都市整備委員会速記録第四号

令和四年三月十六日(水曜日)
第六委員会室
午後五時三十分開議
出席委員 十四名
委員長宮瀬 英治君
副委員長鈴木 錦治君
副委員長尾崎あや子君
理事林あきひろ君
理事平けいしょう君
理事中山 信行君
松田りゅうすけ君
古城まさお君
渋谷のぶゆき君
原田あきら君
竹井ようこ君
本橋ひろたか君
柴崎 幹男君
山田ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務上野 雄一君
次長桜井 政人君
技監福田  至君
理事安部 文洋君
総務部長木村 健治君
都市づくり政策部長小野 幹雄君
都市基盤部長特命担当部長兼務谷崎 馨一君
市街地整備部長選手村担当部長兼務朝山  勉君
市街地建築部長山崎 弘人君
基地対策部長三木 暁朗君
連携・連絡調整担当部長水野  剛君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務三宮  隆君
まちづくり推進担当部長吉野 敏郎君
築地まちづくり推進担当部長木村 宣代君
交通政策担当部長三木  健君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務土橋 秀規君
地域公共交通担当部長江端 治朗君
防災都市づくり担当部長鈴木  理君
耐震化推進担当部長青木 成昭君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備局所管分
・第十五号議案 令和四年度東京都都市開発資金会計予算
・第十八号議案 令和四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十一号議案 令和四年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十八号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 東京都駐車場条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京高速道路(KK線)再生の事業化に向けた方針(中間まとめ)(案)について
・東京における地域公共交通の基本方針(中間まとめ)について

○宮瀬委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十五号議案、第十八号議案、第二十一号議案、第五十八号議案、第五十九号議案及び報告事項、東京高速道路(KK線)再生の事業化に向けた方針(中間まとめ)(案)について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○木村総務部長 去る二月十五日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料(二月十五日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をご覧ください。資料は八件でございます。
 一ページをお開き願います。1、首都高速道路に対する出資金の推移(過去十年間)でございます。
 平成二十三年度から令和二年度までの出資金について、年度別に記載してございます。
 二ページをご覧ください。2、東京における航空機能に関する調査テーマ一覧(過去五年間)でございます。
 (1)、東京における航空機能に関する調査及び(2)、横田基地軍民共用化に関する調査について、平成二十八年度から令和二年度までの調査テーマを年度別に記載してございます。
 三ページをお開き願います。3、特定整備路線の進捗状況及び事業施行期間(都市整備局施行)でございます。
 特定整備路線の境界立会い率及び用地取得率の進捗状況並びに事業施行期間について、路線別に記載してございます。
 四ページをご覧ください。4、特定整備路線の予算・決算額の推移(都市整備局施行)(平成二十五年度〜令和四年度)でございます。
 平成二十五年度から令和四年度までの予算額及び決算額について、年度別に記載してございます。
 五ページをお開き願います。5、都及び区市町村が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧でございます。
 (1)、耐震診断につきましては、五ページから九ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額、補助率を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。(2)、耐震改修につきましては、一〇ページから一九ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額または融資限度額、補助率または利子補給率を記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。6、都が支援する区市町村の耐震化促進普及啓発活動事業一覧でございます。
 二〇ページから二二ページにかけまして、今年度、都の助成対象事業となっている区市町村の普及啓発事業を、緊急輸送道路沿道建築物を対象とした事業と、その他の事業別に記載してございます。
 二三ページをお開き願います。7、生産緑地地区の区市別面積(過去五年間)でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの区市別の生産緑地地区の面積を記載してございます。
 二四ページをご覧ください。8、都内の米軍施設返還に関する要請・申入れ(過去十年間)でございます。
 平成二十四年度から令和三年度までの要請、申入れ先及び件名を年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○宮瀬委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○柴崎委員 私からは、報告事項の地域公共交通の基本方針について質疑をさせていただきます。
 今定例会におきまして、我が党からの代表質問でも、地域公共交通の基本方針につきまして確認をいたしたところでございます。そして、予算特別委員会におきましても質疑をさせていただきました。さらに詳細な部分についてお聞きをしていきたいと思います。
 区市町村に対するコミュニティバスの導入支援事業は、これまでは福祉保健局で取り扱ってきたものと承知をしております。今年度、すなわち令和三年度からは都市整備局の所管となったわけでありますが、多くの区市町村では、このコミュニティバスについては都市整備部局で所管をしております。
 したがって、もともと都市整備局でやるべき事業であったのかな、まあ、こんなふうに考えているわけでありますが、まず、区市町村に対するコミュニティバスの導入支援事業につきまして、都市整備局が所管局となるということで、どのような意義があるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

○江端地域公共交通担当部長 コミュニティバスは、既存の路線バスや鉄道等では補えない交通需要に対応する地域の公共交通であり、地域ごとのニーズを踏まえ、区市町村が交通事業者などの関係者と連携し、主体的に取り組んでおります。
 少子高齢化等が進行する中、都においては昨年度まで、高齢者、障害者等の施策の観点から、福祉保健局が区市町村に対して導入支援を行っていました。
 多様化するライフスタイルに対応し、誰もが移動しやすい利便性の高い都市の実現に向けて、路線バスなど他の交通手段と一体的に捉え、交通政策として総合的に展開していくことが有効であることから、今年度より都市整備局が所管することといたしました。

○柴崎委員 福祉の観点だけにとどまらず、まちづくり等、交通政策として取り組んでいくということであります。大変重要なことだと思います。
 また、予算特別委員会におきましては、我が党の田村委員から、利用者のニーズに応えるために、データの利活用について質疑をさせていただきました。都は、区市町村の行政区域を意識することのない移動の実現にも取り組むとのことであります。
 しかしながら、これは市街地の連なる東京においては、利用者のニーズに沿った運行を実現する上で重要なことであると考えます。そして、区市町村同士の連携は、都が旗振り役として関わっていくことでスムーズに事業の遂行ができるものと考えます。
 そこでお伺いしたいのは、都は、区市町村の境界を意識することのない移動の実現に向けてどのように取り組むのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

○江端地域公共交通担当部長 通学、通院、買物など、日常生活における区市町村域を越えた利用者目線の輸送ニーズにも的確に対応できるよう、近隣自治体相互の連携を促進する取組を強化し、例えば、コミュニティバス等の移動手段を複数の自治体で連携した運行につなげていくことが有効であります。
 そのため、都は来年度より、検討案件を抽出し、地元自治体と共に関係者と議論し、成果を含め、先行事例として取りまとめます。そこで得られた知見を、都と区市町村から成る行政連絡会などで情報提供し、広く共有することなどにより、区市町村の主体的な取組を後押ししてまいります。

○柴崎委員 難しい面もあるでしょうけれども、やはり区市町村同士の連携が進むこと、これはぜひ期待していきたいと思っております。
 また、現在運行している区市町村のコミュニティバス、これ既に二十年以上経過しているものもあろうかと思います。各区市町村におきましては、例えば、放置自転車対策であったり、交通不便地域の改善、あるいは解消、こうしたことを目的として、様々な目的を持って、こうしたコミュニティバスを導入されているかと思います。こうした中で、運行開始から大変長い年月が経過した路線も多数あるようでございます。
 そこで、既存の路線におきましても、車両が古くなったりして更新が必要になった場合、都は区市町村に対してどのような支援ができるのか、この点について伺いたいと思います。

○江端地域公共交通担当部長 運行開始から長い年月が経過し、古くなった車両については、その更新の機会を捉え、脱炭素など社会課題の解決につなげていくことが重要であります。
 そのため、コミュニティバスなどの車両を更新するに当たっては、環境性能に優れた車両やユニバーサルデザインに対応した車両の導入を条件に、必要な経費に対して新たに支援することとしております。

○柴崎委員 今、答弁いただきましたが、老朽化した車両もかなり、やはりあると思います。ぜひ、こうした点についての対応をお願いしていきたい。
 また、新たな道路が開通したりとか、道路事情が変化することも当然ございます。そして、または、恒久的な施設、こういったものが新設されたり、あるいは移転されたり、様々な状況の中で、従来の路線が実情に合わなくなっている、こうした地域もあろうかと思います。
 そこでお伺いいたしますが、まちの変化等によりまして、既存の路線、この見直しが必要になった場合、都は区市町村に対してどのような支援ができるのか、この点についても伺いたいと思います。

○江端地域公共交通担当部長 既存路線の見直しを行うに当たっては、事業の効率化を図り、持続可能な移動サービスとなるよう、区市町村が利用ニーズの変化に的確に対応するとともに、将来の需要動向等を十分に見極めることが重要であります。
 そのため、区市町村が立地適正化計画など関連する計画等との整合を図りながら既存路線の見直しを行う際、計画の検討費用や運行に必要となる諸経費を支援の対象として追加してまいります。

○柴崎委員 これまでは新規路線のみを対象に区市町村に対しての支援をしてきたところ、今の答弁にもありますように、路線の見直しにまで広げるということでございますので、大変大きな前進であると思います。区市町村の取組が一層後押しされるものと思います。
 そして、広域自治体である都が、福祉だけでなくて幅広い視点から、交通政策として進めていく必要があります。そして、都市整備局で所管となったわけでございますので、大変意義のあることだと思います。
 今後は、コミュニティバスに加えまして、デマンド交通など地域の特性に応じた移動手段の選択肢の充実も図るというふうに確認をしているわけでございますが、そこで、地域公共交通の充実強化に向けまして、都技監の決意を伺いたいと思います。

○上野東京都技監 人口減少、少子高齢社会の進行やライフスタイルの多様化など、都民生活を取り巻く環境が変化する中、都民の日常生活の足である地域公共交通の利便性を高めて、都民の日々の生活を豊かにしていくことが重要でございます。
 そのためには、区市町村の境界を意識することのない移動の実現、あるいは高齢者の気軽な外出を支える移動手段の充実、あるいは脱炭素社会の実現への貢献など、様々な課題の解決を図っていく必要がございまして、地域公共交通の充実強化を主体的に担う区市町村の役割は大きいところでございます。
 そうした課題も踏まえまして、都は、地域の将来像や今後の取組の方向性、具体の支援策を取りまとめまして、東京における地域公共交通の基本方針として今月末に公表する予定でございます。
 公表後は、持続可能な地域公共交通の実現に向けまして、基本方針に基づき、先ほど担当部長から答弁いたしたとおり、例えば複数の自治体で連携して運行する移動手段の検討、あるいはご指摘のございましたデマンド交通やグリーンスローモビリティーの導入、あるいは環境やユニバーサルデザインに対応した車両導入、あるいは利用ニーズの変化や将来の需要動向を踏まえた路線の見直し等を進めていくこととしております。
 都といたしましては、交通事業者等の関係者と連携しながらこうした取組を進める区市町村に対しまして、しっかり支援をしてまいります。

○柴崎委員 ありがとうございます。
 今、技監からもしっかりと決意を示していただきました。誰もが移動しやすい、そして利便性の高い都市東京を目指して、区市町村をしっかりと支援されたいということを申し上げまして、私の質疑を終了とさせていただきます。

○山田委員 それでは、私から、まず地域公共交通について伺わせていただきます。
 今回の都の予算案に、地域公共交通の充実強化に資する区市町村の取組に対する補助の実施が盛り込まれております。かねてより、我々、我が会派が強く訴え、実現に至ったものであり、大幅な拡充を歓迎するものです。
 まず、今回拡大される補助対象やその補助率など、区市町村への支援策の詳細を伺います。

○江端地域公共交通担当部長 地域に適した移動サービスを構築し、誰もが活動しやすいまちを実現するためには、区市町村が関係者と緊密な連携を図りながら、主体的に取り組むことが重要であります。そのため、区市町村による取組に対する支援の拡充を図ってまいります。
 具体的には、まず、地域の公共交通計画の策定を新たに支援していきます。
 また、移動手段の選択肢を充実させるため、これまでのコミュニティバスに加えまして、デマンド交通やグリーンスローモビリティーを対象とするとともに、既存路線の見直しについても新たに追加していきます。
 さらに、環境性能に優れた車両等の導入についても支援の対象として追加してまいります。
 いずれの支援策も、補助対象額に対する補助率は二分の一でございます。

○山田委員 ありがとうございます。
 コミュニティバスに加えて、モビリティーの多様化を受けて、デマンド交通などにも対象を拡大した点、また、新規路線に加えて既存路線の見直しも支援対象に含まれてきている。基礎自治体の多様なニーズに沿ったものと考えております。
 ちょうど、地元の三鷹市では、市内のバスネットワークの抜本的な見直しの検討というのを開始しているところであります。持続可能な地域公共交通の実現について、幾つか欠かせない視点があると考えますけれども、デジタル、また、グリーン、そしてユニバーサルデザインというものが挙げられると思います。
 まず、移動データの活用など、デジタルの視点を活用した効率的な公共交通の運営の支援について伺います。

○江端地域公共交通担当部長 社会経済状況の変化にも適切に対応した持続可能な地域公共交通の実現に向けては、移動データの活用により利用者ニーズを把握するなどし、移動サービスの効率化につなげていくことが重要であります。
 例えば、区市町村がコミュニティバス等の導入への補助を活用するに当たりましては、利用状況等のデータを収集することを要件としまして、それを運行計画に反映するように働きかけてまいります。
 また、各交通事業者等の持つデータを広く共有できるように、その利活用について意見交換の場を設置するとともに、議論の内容を区市町村と共に共有してまいります。
 こうした取組によりまして、移動サービスの質の向上につなげてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 利用者としては、地域の公共の交通機関と、また、民間交通、その双方を自分にとって最適な方法で使い分けていくということがあると思いますので、今ご答弁にありました事業者との間のデータを共有していくということは、ユーザー目線に沿った非常にいい取組と考えています。
 単なる共有を超えて、公共と民間の全体を通じて、全体最適が図られるということが持続可能な交通につながっていくと思いますので、その視点からも、都としても後押しをお願いしたいと思います。
 次に、気候変動危機への対策として、輸送部門の脱炭素化、これを進めることが必要であります。また、都内でも、超高齢社会が進展、進行しており、公共交通にユニバーサルデザインの採用というのが重要となってまいります。これらの観点によるコミュニティバスなどの運行車両支援について伺います。

○江端地域公共交通担当部長 脱炭素社会の実現や人中心のまちづくりを進めるためには、環境に優しく、バリアフリーな運行車両に更新していくことが必要であります。
 そのため、コミュニティバスなどの車両更新をするに当たりましては、温室効果ガス排出量の削減に資するEVバスなどのゼロエミッションビークルやユニバーサルデザイン推進に資するノンステップバスの導入を条件に、必要な経費に対して新たに支援することとしております。

○山田委員 ありがとうございます。
 ご答弁にありましたとおり、脱炭素、また、ユニバーサルデザインの双方につきましても、今すぐになかなか結果が出るというものではありませんけれども、一歩一歩着実に進めていかなければなりませんので、ぜひ公共交通の側面の後押し、お願いしたいと思います。
 次に、デジタル化について伺いたいと思います。
 来年度予算案に、行政手続のデジタル化を推進するため各種のシステム開発を推進するという予算が盛り込まれており、重要な取組と考えています。
 他方で、別にこれは東京都に限ったことではなく、日本全体でいえることでありますけれども、これまでの行政の行うシステム開発というところでは、なかなか行政側においてデジタルに関する知見が十分でないというところもあったと思いますので、ベンダー側のいいなりになってしまうであるとか、また、出来上がったシステムの使い勝手が悪い、また、価格が不合理でなかろうかと、そういった疑念を持たれてしまうような事例の存在も指摘されてきているところがあると思っております。
 デジタルサービス局ともしっかりと連携体制を取りながら、ユーザー目線で使いやすくて、また、価格も合理的なシステム開発というものを進めていく必要があると思っています。
 まず、ユーザー目線での使いやすさ確保のための取組について伺います。

○木村総務部長 委員ご指摘のとおり、行政手続のデジタル化を推進する上で重要なことは、単なるデジタル化ではなく、QOS、クオリティー・オブ・サービスの高い、すなわち、誰もが使いやすい品質の高いデジタルサービスを開発することであると認識しております。
 都市整備局では、新しいシステムの導入に当たりましては、ユーザー目線での使いやすさに配慮したシステムとするために、例えば、現状の業務分析、ユーザーへのアンケートやヒアリングなどを実施しております。
 また、導入に向けた企画段階から、知見のあるデジタルサービス局の専門的、技術的支援を受けられるデジタル導入サポートも活用し、行政の効率化を図りつつ、ユーザーの利便性を確保したシステム開発に取り組んでおります。

○山田委員 ありがとうございます。
 次に、システム開発の価格の合理性確保のための取組について伺います。

○木村総務部長 システムの新規開発に当たりましては、開発経費のみならず、後年度負担も含めた導入経費の合理性を精査することが重要でございます。
 そのために、まず予算要求段階におきまして、デジタルサービス局のデジタル予算担当とのヒアリングにより、システムの開発、運用経費について、有効性、実現性、費用対効果などの観点から検証を受けております。
 調達に際しての仕様作成に当たりましても、デジタルサービス局の支援により、特定のベンダーに依存しないシステム構築や項目内容の具体化などの適正化を図っております。
 システムの調達の際は、デジタルサービス局の協議を経た上で、総合評価方式により品質を確保するとともに、後年度負担も含めた適正な価格を提示した事業者を選定しているところでございます。

○山田委員 ありがとうございます。
 東京都のデジタルサービス局、国に先駆けて始動しているところもあります。ぜひ、今回の都市整備局のシステム開発、日本の行政の中でのシステム構築の中でも、ぜひ、今後のいい参考のモデルとなるような、そういった事例の創出になりますように、引き続き取組をお願いしたいと思います。
 次に、緑地について伺いたいと思います。
 私の以前の事務事業質疑において、これまで都市整備局が取り組んできました生産緑地公園補助制度、また、緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度など、都市の緑地の保全に向けた取組について伺ってまいりました。
 いよいよ二〇二二年を迎える中で、都市農地の着実な保全が必要であります。都市農地、特定生産緑地の保全に向けた来年度の都の取組について伺います。

○小野都市づくり政策部長 二〇二二年に指定から三十年を迎える生産緑地は約二千四百ヘクタールあり、昨年十二月末時点で、特定生産緑地の指定は、指定の見込みを含め九割を超えております。市区におきましては、引き続き個別連絡や相談などを行い、農家の方々の意向を踏まえ、来年度も指定を進めてまいります。
 また、相続などで営農の継続が困難となった生産緑地の買取り申出に対応する市区の意向を踏まえ、生産緑地公園補助制度や緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度などを活用し、貴重な緑空間の保全に取り組む市区を強力に後押ししてまいります。
 さらに、農のある風景を将来に引き継ぐ、農の風景育成地区の指定を増やしていくとともに、屋敷林、里山等の緑と農地、住宅を融合させ、有機的に機能させる緑農住まちづくりについて、ハンドブック等の配布やシンポジウムの開催などにより、普及啓発を促進してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 関係者のご尽力によりまして、多くが特定生産緑地になるということであります。また、答弁に今ありましたとおり、都としても様々な形で緑地の保全に引き続き取り組んでいただきたいと思っております。
 他方で、一定の減少が生じてしまっているということは避けられないというのも現実では生じているという中ですけれども、そのような中でも、できる限りの農地の保全であったり、また、防災性の確保、これは極めて重要な視点であると思っております。
 今回、新たに盛り込まれました農地の保全等と併せた防災性向上まちづくり支援事業の内容について伺います。

○鈴木防災都市づくり担当部長 農地を有する地域では、地区計画などを活用し、農地を緑の空間として最大限保全、活用するとともに、やむを得ず宅地化される場合に備えて、防火規制により市街地の耐火性能を高める措置などに取り組むことが重要でございます。
 このため、防火規制等の導入や地区計画の策定など、地域の防災性の維持向上に効果的な手法等を検討する区市の取組を支援してまいります。
 こうした取組により、農地の保全等と併せて木密地域の拡大の未然防止を図り、市街地の安全性を高めてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 農地の保全と、そして木密の拡大の未然の防止というところをぜひ両立できるようにお願いしたいと思います。
 次に、バリアフリーについて伺いたいと思います。
 東京二〇二〇大会の一つのレガシーとして、共生社会の実現に向けた取組の進展というのがございます。ハード面でいいますと、やはりまちのバリアフリーということで、我々、我が会派、かねてより駅のバリアフリーの推進というものを強く訴えてまいりました。
 東京都としても、取組を進めておりまして、駅のホームドア整備、進んでおりますけれども、今後の課題として、利用者十万人未満の駅におけるホームドアの整備というところがあります。
 事前に伺ったところ、東京都内のJR、私鉄の令和二年度末時点の利用者十万人未満の駅の整備率、これは二六%というふうに聞いております。JRの三鷹駅もコロナ前の数字ではありますけれども、一日の利用者数がほぼ十万人に近い規模ではあるんですけれども、なかなか駅のホームドアの整備というのは進んでいないというところがありまして、都としても、さらなる取組の強化は必要だと考えております。
 鉄道駅のホームドアの整備、これをさらに推進するための技術的な課題の解決と整備促進に向けた取組について伺います。

○江端地域公共交通担当部長 狭隘なホームでの設置スペースの確保など技術的な課題に対応するため、今年度、事業者との検討会を新たに設置し、検討を進めておりまして、来年度は技術的な方策を取りまとめてまいります。その検討状況も踏まえながら、さらなる整備対象駅の追加など、整備計画の見直しについて事業者と個別に調整を行っていきます。
 こうした取組を通じて、ホームドア整備のより一層の推進を働きかけてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 今後の様々な観点のバリアフリーの在り方に関して、我々、我が会派の代表質問においても、様々なバリアを技術、テクノロジーの力で解決していくという、アシスティブテクノロジーであったり、また、インクルーシブテクノロジーであったりと、そういった概念の重要性も指摘させていただきました。
 そういった中で、都市整備局の来年度のスマホアプリや先進技術を活用した案内誘導等の取組の推進というのは、その視点から重要ではないかと考えておりますけれども、その事業の詳細について伺います。

○江端地域公共交通担当部長 今年度の都民からの事業提案を受けまして、視覚障害者等がさらに便利で安全に駅を利用できるよう、先進技術を活用し、鉄道事業者と連携しながら取り組んでまいります。
 来年度は、スマホアプリを活用した案内誘導など様々な先行的な方策の調査分析を行った上で、対象駅を選定し、その駅の実情を踏まえた対策を試行的に実施することとしております。
 こうした取組の効果も踏まえつつ、ユニバーサルデザインのまちづくりをさらに促進してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 そういった技術で様々なバリアを解決していくアシスティブテクノロジー等々のいい事例となりますように、しっかりとした取組をお願いいたします。
 次に、鉄道の時間差料金制について伺いたいと思います。
 新型コロナウイルスの影響によって、首都圏の鉄道事業者、今年度に入っても二割程度利用者が減少するなど、今、鉄道業界は極めて大きな変革を迫られております。
 そうした中で、昨年、JR東日本と西日本は時間差料金制の導入の検討を表明し、今年の三月には、国土交通省が同制度の導入を本格的に検討することを発表しました。
 これまで我が会派は、新型コロナウイルスの流行の前から、鉄道の混雑の緩和や持続可能性の観点から時間差料金制の導入を主張してまいりました。そして、都に対し、同制度の効果や、また、技術的な課題について具体的に検討するよう求め、都は昨年度より、料金変動と混雑緩和の効果について、国に先駆けてシミュレーションを実施してきているというところであります。
 今後は、東京都が独自に実施してきたシミュレーションの結果を踏まえて、例えば、都営交通において一時的に試験導入するなど、時間差料金制の検討を一層進めるべきと考えますけれども、見解を伺います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、スムーズビズの取組により、オフピーク通勤等を促進していることに加え、有識者や鉄道事業者と共に輸送力の強化や利用者のさらなる分散につながる対策等について検討を進めております。
 時間差料金制につきましては、東京で導入した場合の料金変動による混雑緩和効果の試算等を行っており、来年度は都営交通等を対象に利用時間帯の変更を促しながら効果の検証を行うなど、さらなる精査を図ってまいります。
 引き続き、鉄道事業者等と密接に連携しながら、混雑緩和に向けた対策の充実を図ってまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 ぜひ、国の方の議論も見据えながら、本制度の導入に向けていち早く取り組んできた東京都として、引き続き、さらなる効果検証を進めていただくようお願いしたいと思います。
 それでは、最後のテーマとなりますけれども、自転車について伺いたいと思います。
 コロナ禍によりまして、また自転車が改めて注目を集めております。東京都の「未来の東京」戦略 version up 二〇二二、最新のものにも、自転車利用環境のさらなる充実が掲げられております。
 三鷹は自転車の利用が多く、自転車が関連する事故もやはり多いというところもあります。また、自転車が走る空間の整備、まだ十分ではない道路もやはりございますし、また、駅だったり商業施設、その周辺の駐輪スペースの確保の在り方であったり、様々な課題がやはりあるところでございます。
 そういった中、東京都は、昨年五月に東京都自転車活用推進計画を改定し、地域特性に応じた様々な施策を集中的に実施するため、三つの重点地区を選定しています。その一つが、三鷹駅周辺を含めました吉祥寺、三鷹、武蔵境地区となっておりますけれども、当該地区における検討方針を踏まえて、これまでの取組状況について伺います。

○三木交通政策担当部長 吉祥寺、三鷹、武蔵境地区では、駅周辺に住宅地や駅前の業務商業地が、行政区域にかかわらず連続的に広がっておりまして、これらの地域を重点地域として選定いたしております。
 この地区におきましては、まちづくりと連携した安全・安心な自転車利用環境の実現を目指すため、複数の主体が各施策を連携して実施することといたしております。地元自治体、都の関係部局から成る部会を昨年十二月から三回開催いたしておりまして、地区の課題を整理し、対応策について検討しておりまして、今月中に当地区の今後の取組予定を盛り込んだ整備計画を策定する予定でございます。

○山田委員 ありがとうございます。
 次は最後となりますけれども、今ご答弁ありましたとおり、吉祥寺、三鷹、武蔵境の駅周辺の地域は三鷹市と武蔵野市の行政区画が複雑に入り交じっておりまして、市がそれぞれ単独で取り組んだだけではなかなか十分ではないというところもありまして、本当に、ご答弁にありましたとおり、行政区画にとどまらない取組の推進、また、複数主体による検討というのが今現在進んでいるというのは非常に有意義であるというふうに感じておるところであります。
 まさに今月中に整備計画が策定されるとのことですけれども、整備計画の策定後、地域ごとの課題に即した自転車利用環境の整備をどのように進めていくのか見解を伺います。

○三木交通政策担当部長 整備計画策定後、令和四年度から取り組む施策といたしまして、都は、井ノ頭通りなどで自転車レーンなどの整備を行うとともに、地元自治体などと連携いたしまして、駅周辺の駐輪場のさらなる利用促進や、様々な年齢、利用形態の方々を対象とした安全教育の場を設けるなどの取組を着実に推進してまいります。
 また、都が市と連携いたしまして取り組むべき重点地区内の自転車レーンのネットワーク化や、路上駐車対策、継続的な交通安全教育、さらには、市による駐輪場の効率的な配置など、中長期的な課題解決に向けた調整を進めまして、施策の具体化を図ってまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 自転車の利用は子供、学生だけではなくて、本当に様々な年代の方が利用されております。事故を防ぐために、学校での自転車利用に関する教育だけではなくて、今、ご答弁にもありましたけれども、いかに継続的に様々な世代の利用者の方々に適切な利用を促していくかというところが本当に重要となってまいります。
 自転車で利用者の方が行くであろうスーパーなどの商業施設であったり、また、子供を送る保育園などで働きかけできないかであったり、また、公共駐輪場の利用契約の際に働きかけるであったり、また、駐輪場があるマンションに働きかけるであるとか、様々なアプローチ、これも併せて検討をお願いしたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。

○中山委員 大きく五点の質問を行いますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、先般公表されました地域公共交通の基本方針、中間のまとめを基に、今後の都の取組について質問します。
 本基本方針の中間のまとめでは、区市町村が地域の公共交通計画を策定する取組を都が促進していくこととしております。地域の実情をよく知る区市町村自らが将来の交通の姿を考えていくことは重要でありまして、都の支援が功を奏し、計画を策定する区市町村が増えていくことを期待しております。
 一方で、既にコミュニティバスなどの民間交通機関の努力による新たな交通網整備の可能性はかなり以前から取り組まれてきておりまして、例えば、新たな二連結のBRTなどのそういう魅力ですとか、あるいは大規模商業施設が新たに誕生する、そうしたことによって、人の流れが変わったりする、そうした地域を除きましては、コミュニティバスの新たな運行が次々と実現していくということはなかなか難しい現状ではないかと考えております。
 公共交通は、運営する事業者、公共交通といえども民間の会社が運営している場合が多いわけでございますので、そうした事業者の採算性の見通しなしには成り立たず、自治体と交通事業者が連携して取り組み、地域が望む公共交通ネットワークを実現させていくことが重要であります。
 今後、区市町村が地域の公共交通計画を策定する上では、路線バスなどの交通事業者などに限らず、当該地域を主な営業範囲とするタクシー会社などと幅広く連携し、新たな事業展開分野を模索するニーズを抱えている企業も含めて意見交換を図り、計画の素案に生かしていくべきと考えます。特に、オンデマンド交通の整備などの視点におきましては、タクシー会社などを含めました幅広の意見交換が効果的と考えます。
 そこで、地域の公共交通計画を策定する際には、タクシー会社など幅広の交通事業者と意見交換をしながら検討することが重要と考えますが、都は、そうした幅広の交通事業者の意見をいかに積極的に取り入れていくかという点で、広域行政の役割を担うべきと考えます。見解を求めます。

○江端地域公共交通担当部長 区市町村が主体的に作成する地域公共交通計画は、地域ごとのニーズを踏まえながら、地域にとって望ましい公共交通の姿を明らかにする基本的な計画でございます。
 区市町村は、地域公共交通計画を作成しようとするときは、関係する公共交通事業者等から成る協議の場を設置することとなっておりまして、地域の実情に応じて、タクシー事業者などが参加することも当然考えられます。
 交通事業者の意見を聞きながら計画策定が進められるように、都は、こうした協議の場に参加いたしまして、広域的、専門的な立場から必要な助言や情報提供を行うなど、地域の取組に対して技術的な支援を行ってまいります。

○中山委員 地域公共交通計画を策定することに加えまして、計画に位置づけられました事業を、交通事業者をはじめとする様々な主体の力を借りながら共に進めていくことは、移動サービスを持続的なものとするために重要であります。
 例えば、福祉施設の送迎車両が使われていない時間帯に高齢者の買物バスとして転用されるなど、地域にある様々な移動手段をつなぎ合わせていく取組なども考えられるのではないかと思います。
 そこで、計画に位置づけられた事業などを進める際には、交通事業者だけではなく、企業内で送迎用の車両や運転者を抱えている地域の様々な企業等の参加を促していくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○江端地域公共交通担当部長 多様な主体が連携し地域の公共交通を支えていくことは、財政支援だけに頼らない持続可能な地域公共交通サービスを実現することにもつながります。
 今月末に公表いたします東京における地域公共交通の基本方針におきましては、地域の輸送資源を総動員した移動サービスの取組について、その仕組みの導入の可能性を検討することとしております。
 その一環として、都は来年度、地元自治体と共に、関係者から成る検討の場を設けまして、お話のありました地域の企業等の送迎車両の活用、こういった移動サービスの取組につきまして、当該企業等の協力を求めながら検討してまいります。

○中山委員 ぜひ、地域の総力を挙げて、効果的な交通計画が練られますようによろしくお願いしたいというふうに思います。
 続きまして、多摩都市モノレールの町田方面への延伸について質問します。
 初めに、この質問は町田市選出の小磯善彦都議会議員と連携して行う質問であることを申し添えておきます。
 四百万人もの人口を抱えます多摩地域の活力の維持向上を図るためには、交通ネットワークを充実させ、広域的に人や物の流れを創出していくことが重要であり、多摩都市モノレールは、こうした多摩地域の発展に大きな役割を果たしております。
 多摩センターから町田方面への延伸は、多摩、町田両市内の交通利便性を向上させるとともに、多摩地域における交通ネットワークの充実に資する、極めて重要な路線でありまして、市民から早期の延伸が熱望されております。
 都は令和元年十月から、学識経験者等で構成するルート検討委員会におきまして客観的、合理的なルートを検討しており、我が会派はこれまでも、一刻も早く結論を出すように都に求めてきたところであります。
 こうした中、ルート検討委員会の検討結果がまとまり、本年一月に公表されたところであります。
 そこでまず、多摩都市モノレールの町田方面への延伸につきまして、ルートの検討結果を公表したことの意義について見解を求めたいと思います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 町田方面への延伸に向けては、収支採算性の確保等に加え、導入空間となり得る道路整備の課題もあるため、学識経験者や地元市等から成る検討委員会を令和元年十月に設置し、客観的かつ合理的なルートの検討を進めてまいりました。
 昨年十二月末に開催した検討委員会におきましてルートが選定され、その内容を本年一月からホームページにおいてお知らせしているところでございます。
 ルートが選定されたことにより、地元市が主体となり、モノレールの需要の創出に資するまちづくりが深度化されるなど各種課題の解決に向けた取組が促進されるものと考えております。

○中山委員 ルートが選定されたことによりまして、モノレールの延伸に向けた取組が促進されることが分かりました。
 そこで、ルートを選定したルート検討委員会の検討結果の内容について、改めて見解を求めたいと思います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 検討委員会におきましては、導入空間となり得る道路が未確定の区間において、客観的かつ合理的なルートを検討していくため、四つのルート案を想定し、モノレールの費用対効果や沿線のまちづくりに関する評価を行いました。
 具体的には、まず、費用対効果につきまして、全てのルート案において効果が費用を上回ることを確認いたしました。まちづくりにつきましては、沿線地域のさらなる活性化や安定した事業性の確保に向け、現時点で確実に需要が見込める拠点や、今後まちづくりが進み、さらなる需要の増加が見込める拠点を経由することなどについて比較検討いたしました。
 こうした検討を踏まえ、モノレールとまちづくりとの相乗効果の観点から最適と判断されるルートが選定されたところでございます。

○中山委員 ルート検討委員会におきましては、モノレールとまちづくりとの相乗効果の観点からルートを選定したことが分かりました。
 一方、地元町田市の都市計画マスタープランでは、平成十一年以来、今回選定されたルートとは異なるルートが図示されております。地元の市民の中には、これまで町田市から示されてきたこのルートでモノレールが延伸されることを期待していた人、あるいは今回選定されたルートでは、導入空間となる道路の整備に時間がかかり、モノレールの延伸がさらに先になってしまうのではないかといった様々な声があります。
 そこで、ルート検討委員会におきまして、これまで町田市が想定していたルートとは異なるルートが選定された理由につきまして、改めて見解を求めたいと思います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 町田市都市計画マスタープランにおいては、平成十一年以来、想定されるルートが図示されておりますが、平成十四年に沿線で計画されていた土地区画整理事業が中止になるなど、沿線を取り巻く状況が大きく変化しております。
 検討委員会におきましては、このルート案について、速達性は優れているが、既存の道路がなく、小山田緑地をトンネルで通過することから沿線開発等の余地が少なく、また、環境への影響も懸念されるとされました。
 これに対しまして、今回選定されたルートは、速達性はやや劣るものの、新駅周辺等において新たな沿線開発等が期待できることや、陸上競技場や高校など、さらなる需要の増加が見込める拠点を経由することなど、モノレールとまちづくりとの相乗効果の観点から最適と判断されたところでございます。

○中山委員 学識経験者等で構成されますルート検討委員会におきまして客観的、合理的なルートの検討が行われ、整備の効果が最適となるルートが選定されたことが分かりました。
 モノレールの早期の延伸に向けましては、都と地元市が密接に連携して取組を進めていくことが何より重要であると考えます。
 そこで、モノレールの延伸に向けて、都はどのように取り組んでいくのか、また、地元市に対してどのようなことを望むのか、併せてこの点をお伺いしたいと思います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 検討委員会において選定されたルートを基本といたしまして、まずは、地元市に対し、沿線まちづくり構想を策定するなど需要の創出に資するまちづくりの深度化を促してまいります。
 具体的には、駅位置などを想定しながら、新駅周辺等における開発計画の具体化や沿線に立地する施設等と連携した取組などが進むことを期待しております。
 都といたしましては、こうした地元市が進めるまちづくりの取組を支援するなど、関係者と事業化について協議、調整を進めてまいります。

○中山委員 都として、今後も主体的な取組を行うとともに、地元市の取組に対して積極的に支援を行うなど、モノレールの早期の延伸に向けて取り組んでいただきたいことを申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、ウオーカブル空間の整備について質問いたします。
 都は、「未来の東京」戦略の中で、ウオーカブル空間の整備について記載しております。もともと都は、二〇一七年に策定しました都市づくりのグランドデザインにおきまして、道路空間等を人が回遊しやすい歩行者空間へ再編し、ゆとりやにぎわいの場を創出するとしてきました。人口減少社会の到来が確実視される中、若者の車離れと、車の運転を卒業した高齢者の増加、公共交通機関の整備、高速通信網の発達などによって、既存道路の中には、従来とは違った道路空間としての機能の発揮を期待される機運も高まってきたと思われます。
 事実、大規模開発の中で幾つかの工夫の事例が見られるようになったものの、その後、あまり広まっていないようにも感じます。その理由は、これまであまりにも長い間、安全で円滑な自動車通行の確保が整備の主眼という考え方に基づき整備が進められてきたために、車両走行とは違う役割を求められても、実際には道路の占用等の許可基準が厳しいなど、歩行者空間の創出がなかなか進みにくい環境が打破できていないからであると考えております。
 一方、昨今では、コロナ禍によります試練を乗り越えるため、例えば飲食店でいえば、十分なディスタンスを確保しながら客席数を確保するため、店舗と一体的に利用できる室外空間の活用を求める傾向が強まっているほか、あまりにも大勢の人が集まる大規模繁華街だけではなく、さほど遠くない身近な地域でにぎわいや買物などの日常の用を足せる空間の創出が求められ始めております。テレワークの進展なども、身近な地域への見直しが進むきっかけになっているものと考えます。
 そこで、都は、最近の社会経済情勢やコロナ禍を踏まえ、より一層、人中心のまちづくりを推進すべきであります。歩行者中心のゆとりある道路空間への再編に向けたこれまでの取組状況について見解を求めます。

○三木交通政策担当部長 東京の魅力と価値を高めていくためには、地域特性を踏まえながら、道路空間をゆとりやにぎわいの場として活用していくことが重要でございまして、コロナ禍以前から、関係機関との連携の下、例えば、丸の内の仲通りですとか池袋のグリーン大通りなどで、国家戦略道路占用事業などを活用した地域団体等によるにぎわいづくりが進められてまいりました。
 こうした取組を身近な生活環境にも広げられるよう、令和二年六月から、道路占用許可基準の時限的な緩和を実施し、理事もお話しのとおり、道路上でのテラス営業などが可能となっているところでございます。
 また、令和二年十月から、各地区における取組をパーク・ストリート東京として都が一体的に取りまとめて広報、周知し、その活動を後押ししておりまして、現在十四地区において取組を実施しているところでございます。
 都は、令和四年二月に策定した「未来の東京」戦略version upにおきましても、歩行者中心のゆとりある道路空間への再編など、公共空間の活用促進を図り、都のにぎわいや魅力の創出をすることといたしておりまして、こうした取組を展開してまいります。

○中山委員 今、ご答弁にありました現在の十四地区のパーク・ストリート東京につきましての深掘りは我が党の小磯委員に今後お任せするといたしまして、私は、都内においてそれぞれの地域の魅力やポテンシャルが、ウオーカブル空間の整備などをきっかけに新しい付加価値として効果を発揮することに期待したいと思います。
 身近な観光地や商店街などでのもともとあった人手やにぎわいのより一層の強化や、地域の人々、とりわけ、お子さんや高齢者、家族連れなどが安心して散歩やジョギングを楽しめる身近な地域でのパークストリート化を進めていくべきと考えます。
 そうした身近な地域でウオーカブル整備を進めるためには、荷物の搬入車両や緊急車両の通行の確保、さらには、その道路を利用していた通過車両にとっての代替路、迂回路の確保が必要であります。これを現実のものとするためには、地域の合意の形成が必要であり、その合意を形成するための行政的支援が求められております。
 具体的には、鉄道駅などの従前からのにぎわい空間の魅力の向上は当然のこととして、バス停が近かったり、大きな駐車場施設を併設したりする大規模な商業施設の近くに存在したりする小さな商店街や公園も、ウオーカブル整備に向いていることなどのアドバイスなどが効果的と考えます。
 こうしたアドバイスを通し、大規模な開発を伴わなくてもウオーカブル空間の創出が可能であることや、今後の都市計画道路などの整備の進展によっては、既存道路でのウオーカブル空間の整備が可能になったりすることが都内各地域で広く認識されていけば、この項目の質問の冒頭に述べました、都内各地の魅力の向上につながるものと考えます。
 都内におきます歩行者空間創出に向けた取組をさらに推進させるためには、区市町村や地元の地域団体等と都が連携していくべきと考えます。令和四年度以降の都による歩行者空間の創出に向けた取組について見解を求めます。

○三木交通政策担当部長 魅力ある歩行者空間を創出する、意欲ある地域団体などの活動を後押しするとともに、現在の十四地区にとどまらず、引き続き新たな取組地区の拡大を図るため、パーク・ストリート東京事業といたしまして、引き続き各地区の先進的な取組を公式サイトなどで情報発信してまいります。
 また、人が歩いて楽しむまちの創出が促進されるように、都と全ての区市町村から成る会議体を活用するなどいたしまして、区市町村に対して昨年十一月に都が策定した歩行者中心の道路空間の活用マニュアルの積極的な活用を促すとともに、課題解決に向けた技術的支援を展開してまいります。

○中山委員 ぜひ、都内全体のポテンシャルを高めて、都民全体に喜んでいただける魅力の向上につながりますよう、よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、カーボンマイナスに貢献できる駐車場整備の在り方について質問したいと思います。
 都はこれまで、一定規模以上の建築物への駐車場の附置義務の設定や、地域特性を踏まえた駐車場マネジメントの在り方などをめぐる検討などを通し、都内の駐車場環境の整備の進展や、社会課題に対する対応の在り方の調整を図ってきました。これもまた、都市開発諸制度やまち並み整備、さらには交通網整備をつかさどる都市整備局の大事な役割を地道に遂行してきた結果であると思っております。
 こうした都市整備局によります都内の駐車場整備の在り方をめぐる検討の中で、今後、ウエートを増していくべき視点の一つが、カーボンハーフなどの温暖化対策への貢献、地球の自然環境の保全と持続可能な人社会の発展との両立の視点であります。
 その意味で、私はトラックなどが駐停車する際に、駐車場にコンセントを設けて、プラグイン化された車両とコードでつなぎ、エンジンをかけずにエアコンを稼働できるようにするべきと述べてきました。
 駐車場でのコンセントの設置は、災害時には高速道路近くの都立公園などの大規模駐車施設が、救援物資の搬入や荷物の積替え、救援救助活動の仮設拠点となる可能性が高く、その活動を支える意味でも必要な設備であります。
 したがって、できれば太陽光発電装置などの代替の電源確保施設とのセット化が望ましいと考えております。現状では、トラックなどの大型輸送車が、荷待ちなどのために深夜から朝方にかけての時間帯などで、足立区をはじめ都内各地で長時間駐車する際、車内の運転業務に携わられる方がエアコンをかけっ放しにして夏冬の暑さ寒さをしのぐべく、エンジンをかけっ放しにしております。
 当然、都が主導してきた排気ガス対策できれいになっているとはいえ、排気ガスは二酸化炭素を多く含むものであり、ガソリン消費量の増大化にもつながりますし、好ましいものではありません。
 大型輸送車両の運転業務に従事する若手社員は、若者の車離れの傾向もありまして人材不足の傾向にあり、日中の昼休みの過ごし方を含め、エアコンを使うなというのはあまりにも気の毒な状態であり、求人難の中、企業側も運転者の健康第一で対処せざるを得ないことは容易に理解できます。その点、プラグイン化の進展につながるコンセントの設置はささいなことかもしれませんが、都内の物流を担う若者の確保を図るという視点だけでも大きな効果を発揮できる取組であります。
 さらに、スマホやEV車、一般のカーバッテリーなどの様々な用途に代用できる充電器の駐車場などを活用した設置促進は、平時や災害時のまち中での充電、加えて、人工呼吸器や電動車椅子などの生命や生活の維持に必要な機器の機能維持のためにも、平時や災害時を問わず、今後の重要な社会インフラといえます。
 充電器の設置促進に関しましては、環境局で補助金制度を設けておりますが、コンセントの普及には、その補助制度はございません。また、環境局は充電器の設置について都市開発諸制度を活用した促進を期待しているようでありますが、都市開発諸制度の効果は一定の要件を満たす場合に限られ、都内全域が対象となるわけではありません。
 したがって、都市整備局には、電源コンセントや充電器などについて、補助制度を利用しなくても、都市開発諸制度を活用できない場合であっても、都内全域で設置の後押しを図っていけるよう、工夫を凝らしていくべきであります。
 都市整備局は、充電器や電源コンセントなどのさらなる普及に向け、令和四年度以降、より積極的に取組を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○三木交通政策担当部長 都は、総合的な駐車対策のあり方(案)におきまして、ゼロエミッション東京の実現など目指すべき将来像の実現に向けて、環境負荷の少ないモビリティーの普及のため、EV等に対応した駐車場の充実に向けました取組を推進していくことといたしております。
 また、地域の駐車対策に関わるマネジメント組織が、地区特性を踏まえた駐車対策を行うためのガイドラインの策定に当たりましては、庁内など関係部局と連携をいたしながら、充電器や電源コンセントなどの給電が可能な設備等の計画的な整備を位置づけられるよう働きかけてまいります。
 さらに、駐車場の附置義務に関わる地域ルールの適用に当たりましては、附置義務台数の低減によりメリットを受ける建築主等が地域貢献に取り組むことを条件といたしまして、貢献策の一つとして充電器の設置を例示することにより、設置を誘導してまいります。

○中山委員 ぜひ、駐車場整備につきましても、カーボンハーフ、カーボンマイナスに貢献する取組を都が導いていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後の項目になりますが、耐震化についてお伺いしたいと思います。
 一般緊急輸送道路の耐震化でございます。一般緊急輸送道路は、警察署、消防署、備蓄倉庫など、主要な防災拠点と特定緊急輸送道路との間を結び、特定緊急輸送道路と同様に建物倒壊による道路閉塞のおそれを可能な限り取り除く必要があります。
 一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率は令和二年三月時点で八四・一%であり、令和七年度末の目標九〇%に向けて、今後さらに耐震化の取組を進めていくべきと考えます。
 練馬区では、平成三十年度から、一般緊急輸送道路沿道建築物の所有者に対して個別訪問等の積極的な働きかけに取り組んだことで、耐震診断等が進んでいると聞いております。こうした取組をより多くの区市町村に広げていくことが重要であります。
 令和三年第四回定例会の我が党の代表質問におきましては、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するため、区市町村への支援の在り方を検討するとの答弁がありました。
 そこでまず、令和四年度予算案では一般沿道建築物について補助を拡充するとのことでありますが、具体的な内容について見解を求めたいと思います。

○青木耐震化推進担当部長 一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断の実施割合が高い区市の多くは、所有者の負担軽減を図りながら耐震化を推進するため、個別訪問等の積極的な働きかけや、都が定めた助成率に独自の上乗せを行っています。
 都は、沿道建築物の耐震化の加速化に向けて区市町村の取組をさらに支援するため、来年度から、普及啓発に関する実施計画を区市町村が定めた上で、個別訪問等の働きかけを行うことを要件とし、区市町村が耐震化助成の助成率を上乗せする場合は、上乗せ分についても都が二分の一の補助を行ってまいります。

○中山委員 一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を一層推進するためには、きめ細かな普及啓発活動が重要であるとの答弁でございますが、建物所有者に対する個別訪問等の働きかけは、区市町村にとっても負担が大きいというふうに考えます。
 都として、区市町村に対し、どのような支援を行っていくのかお伺いしたいと思います。

○青木耐震化推進担当部長 所有者への個別訪問等の働きかけを行う区市町村を増やしていくため、来年度、都において所有者を対象に耐震化の意向調査を実施し、その結果を区市町村に情報提供していく予定であります。これにより、耐震化に前向きな所有者への区市町村による重点的な個別訪問が可能となります。
 さらに、これを契機とした所有者の耐震化ニーズに対応できるよう、都によるアドバイザー派遣を拡充いたします。
 こうした取組により、区市町村の負担軽減を図りながら、効果的に耐震化を進めてまいります。

○中山委員 アドバイザー派遣の拡充に加えまして、都自らが所有者に対する耐震化の意向調査を実施して、そのデータを具体的に区市町村に提供していく。都自らが汗をかくという姿勢を示されたことは大変すばらしいというふうに思います。
 答弁にありましたように、区市町村の負担を軽減しつつ、効果的な普及啓発活動を可能とする都の支援や制度拡充は、一般緊急輸送道路沿道の耐震化の加速化に資するものとして評価したいと思います。引き続き、意欲のある区市町村を後押ししながら、その取組が他の区市町村にも広がっていくように促していってもらいたいと思います。
 次に、緊急輸送道路の沿道の分譲マンションの耐震化についてお伺いします。
 分譲マンションの耐震化に当たりましては、耐震改修に要する費用負担が大きいことなどから、区分所有者間の合意形成が困難であることが大きな障害となっております。耐震改修の費用負担を軽減することは、マンション管理組合が耐震化に取り組む上で大変な後押しになると考えます。
 都は、緊急輸送道路沿道の分譲マンションへの耐震改修助成を行う区市町村に対して補助を行っておりますが、現在の補助制度の概要についてお伺いいたします。

○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道の分譲マンションへの耐震改修助成については、区市町村が所有者に助成対象事業費の九割を助成する場合には、都は区市町村に対して助成対象事業費の三分の一の補助を行っています。
 また、一般緊急輸送道路沿道につきましては、延べ面積五千平方メートル以下の部分に対して区市町村が所有者に助成対象事業費の三分の二を助成し、また、五千平方メートルを超える部分に三分の一を助成する場合には、都は区市町村に対して助成対象事業費のそれぞれ六分の一及び十二分の一の補助を行っています。
 なお、助成対象事業費は、特定沿道、一般沿道とも国が定めた基準単価に基づいて、延べ面積に応じて上限額を定めています。
 また、沿道建築物のうち、大規模な建築物の所有者は一般的に費用負担能力が高いと考えられますことから、延べ面積一万平方メートルを超える部分は補助の対象外としております。

○中山委員 今、現状のご説明がありましたが、分譲マンションの耐震化を進めるに当たりまして、こうした補助制度においてどのような課題があると認識をしているのか、その点をお伺いしたいと思います。

○青木耐震化推進担当部長 現行の補助制度においても、特定緊急輸送道路沿道の延べ面積一万平方メートルを超える分譲マンションの約七割は、補助の対象外となる部分があっても、先ほど答弁しましたとおり、費用負担が可能であったことなどから、既に耐震化されております。
 一方で、区分所有者が特に多い分譲マンションにつきましては、理事もご指摘ありましたように、合意形成を後押しする取組が必要であると認識しております。

○中山委員 こちらのグラフをご覧いただきたいと存じます。(パネルを示す)こういったグラフでございます。これはどういうグラフかといいますと、特定緊急輸送道路、こちらでは赤い線になっておりますが、これは一万平方メートルに達するまでは補助率がどんどん上がっていくと。ところが、一万平方メートルを超えると、それ以上の補助の上乗せがないという現状と。
 それから、一般緊急輸送道路につきましては、この青い線ですけれども、これは五千平方メートルのところで補助率が変わってくる。やはり一万平方メートルを超えると、それ以上の上乗せはないという現状ということが今課題としてご説明があったところでございます。
 令和四年度予算案では、分譲マンションについて補助を拡充するとのことでありますが、具体的な内容について見解を求めたいと思います。

○青木耐震化推進担当部長 現在なお耐震化に至っていない分譲マンションについては、区分所有者の費用負担の軽減を図り、合意形成を後押しする必要があることから、特定沿道、一般沿道とも延べ面積一万平方メートルを超える部分を補助の対象とするとともに、一般沿道につきましては、延べ面積五千平方メートルを超える部分を五千平方メートル以下と同じ補助率とし、耐震化を加速してまいります。

○中山委員 今のご答弁を踏まえますと、私が勝手に書いても根拠はないんですけれど−−ちょっと間違えちゃったので、見にくくなっちゃって申し訳ないんですが、赤い線でいうと、ここからが上乗せが始まる、一万平米超えてからですよね。で、青い一般緊急輸送道路でいくと、ここ間違えちゃいましたけど、一万までは補助率を今までどおりとして、そこからはちょっと補助率は下がりますけれども、上乗せを図っていくと。そういうことですよね。ちょっと間違えちゃって申し訳ございませんが、そういうことでございます。
 緊急輸送道路沿道の分譲マンションにつきましても、しっかりとした取組を進めてもらいたいと思います。これまで答弁がありましたように、区市町村との連携や所有者のニーズに沿った制度拡充を通じて、震災に強いまちづくりを目指し、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を一層加速するようお願いします。
 今後とも、上野都技監を中心に団結されて、都民のために頑張っていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からも、最初に、東京における地域公共交通の基本方針(中間まとめ)に関わって、幾つか質問していきたいと思います。
 多摩地域の交通は、区部で働く人を、鉄道を中心にして大量輸送することを基本につくられてきました。このため、日常生活を支える地域交通の整備は大きく立ち遅れており、多摩地域には多くの交通不便地域があります。多摩地域で、この問題の解決は急務となっていると思います。
 高齢化が進む中で、地域公共交通の役割はますます大きくなっています。また、地域公共交通は、CO2排出を削減するためにも大きな役割を果たすと考えます。気候危機対策は待ったなしですので、対策の強化が必要と考えます。
 最初に、多摩地域の公共交通空白地域について、認識と対応の必要性について伺います。

○江端地域公共交通担当部長 先般公表いたしました基本方針の中間のまとめに示しておりますとおり、多摩地域の公共交通空白地域は、西多摩を中心に一部の地域に存在していると認識しております。
 地元自治体が利用者ニーズ等を踏まえつつ、必要に応じて適切に対応していく必要がございます。

○尾崎委員 私自身も、多摩地域を移動しようと思うと、かなり不便だなと日頃から実感をしています。市民の方たちからは、買物や病院への通院、役所の手続などのために、コミュニティバスを走らせてほしいということが大きな要望になっています。
 そこで伺いますが、多摩地域におけるコミュニティバスの意義についてどうお考えでしょうか。

○江端地域公共交通担当部長 コミュニティバスは、多摩地域におきましても、市町村が地域ごとのニーズを踏まえ、交通事業者など関係者と連携し、主体的に運行することで、既存の路線バスや鉄道などでは補えない交通需要に対応することが可能となります。

○尾崎委員 コミュニティバスは、既存の路線バスや鉄道などでは補えない交通需要に対応することができるということですけれども、私の活動地域であります東大和市、東村山市、武蔵村山市では、コミュニティバスへの要望が強くあります。
 私が住んでいる東大和市では、二〇〇三年、平成十五年二月に、高齢化社会の到来とともに、路線バスでは対応できない公共交通空白地域の解消を主目標として、コミュニティバス、ちょこバスの運行が開始されました。
 当初、大人の運賃は百円でしたが、都からの財政支援が開始から三年間だけであり、それ以降の市の財政負担が厳しく、二〇一五年からは運賃を百八十円に値上げしました。
 この間、ルートの見直しもされていますが、それでも、交通不便地域、公共交通空白地域は解消されていません。市民からは、ルートの見直しをしたけれども、不便で本数も少ない、料金が高いので我慢して歩くことにしているなどの声も寄せられています。
 そこで、コミュニティバスへの現在の財政支援について伺います。また、多摩地域のコミュニティバスへの今年度の補助金額と都全体の補助金額はどうなっていますか。

○江端地域公共交通担当部長 都におきましては、公共交通空白地域の中でも一定の利用者ニーズがある地域につきましては、区市町村の事業立ち上げ時の支援としまして、地元自治体の申請に基づきまして、運行経費の一部に対する補助を行っております。
 なお、本年度は、多摩地域におきまして約三千二百万円、東京都全体で約六千万円の交付を決定しております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、令和三年度は多摩地域では約三千二百万円の財政支援だったということが分かりました。
 私の地元の住民からは、市役所に行くルートが欲しい、病院に行けるルートをつくってほしいなど要望がたくさん出されます。
 新しい車両を購入する際には都の支援がありますが、新しいルートをつくるなど、ルートの見直しをしても支援がないため、住民の要望がなかなか実現しません。都の支援の拡充が求められますが、いかがですか。

○江端地域公共交通担当部長 既存路線の見直しを行うに当たりましては、事業の効率化を図り、持続可能な移動サービスとなるよう、区市町村が将来の需要動向等を十分に見極めることが必要でございます。
 そのため、区市町村が関連する計画等との整合を図りながら既存路線の見直しを行う際、必要な諸経費を支援の対象として追加してまいります。

○尾崎委員 既存路線の見直しについても、都の財政支援の対象となることは重要です。しかし、財政が厳しい多摩地域は、コミュニティバスの運行費の恒常的支援を強く要望するものです。
 東大和市では、コミュニティバスの運賃収入から運行費用を差し引いて足りない部分、市が運行事業補助金を出すのは、差額で六千四百万円です。都が四年目以降も恒常的に運行費の財政支援があれば、運賃を百円に戻すことも可能になり、もっと多くの市民の足として喜ばれると思います。そのためにも、都の支援の拡充を求めるものです。例えば、運行費三分の一でも、運行費の一部でも財政支援があれば、助かる市民は増えるのです。ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 次に、デマンド交通について伺います。
 デマンド交通は東久留米市で実証運行していますが、現在、都内のデマンド交通を実施している区市町村はどこでしょうか。

○江端地域公共交通担当部長 各自治体の公表資料によりますと、現在、武蔵村山市と檜原村で導入してございます。

○尾崎委員 デマンド交通の実証実験をしている東久留米市の市民の方からは、コミュニティバスがない地域なので助かる、バス停まで行かなくても自宅から乗れるのが助かるなどの声も届いているということでした。
 私の活動地域である武蔵村山市では、乗合タクシーむらタクは、二〇一三年、平成二十五年に、市内循環バス、MMシャトルと呼ばれていますが、いわゆるコミュニティバスの日中の運行を廃止した地域の居住者を対象に、代替手段として運行を開始しました。
 二〇二二年三月三十一日をもって、市内循環バス、MMシャトルの一部ルートの廃止をすることに伴い、二〇二二年四月一日より、むらタクの登録できる方と乗降場所を拡大することになっているということも聞いています。
 武蔵村山市は、市内循環バス、コミュニティバスの代替手段として、デマンド交通に移行しているということが分かります。市民からは、ドア・ツー・ドアで行きたいところに行けるのは助かるなどの声も寄せられています。
 しかし、コミュニティバスを利用していた人たちがそのままデマンド交通を利用しているわけではなく、デマンド交通の登録者はほんの僅かにとどまっているということも聞きます。それが課題であるということも、実施している地域の状況で明らかです。
 それでは、デマンド交通の特徴について伺います。また、区市町村への支援は現在どうなっていますか。

○江端地域公共交通担当部長 デマンド交通は、住民の方々の需要に応じて、時間や場所にとらわれず、機動的に利用できるという特徴を有しております。
 デマンド交通に係る補助の内容ですけれども、現在、区市町村による導入調査や実証運行となっております。

○尾崎委員 先ほども武蔵村山市や東久留米市の市民の声も紹介しましたけれども、高齢化が進むと、バス停まで行くことが困難だという声があります。
 デマンド交通の役割はますます重要になると考えますが、多摩地域は財政的に脆弱であり、都の支援がなければ実施できません。都の支援の拡充を求めますが、いかがですか。

○江端地域公共交通担当部長 デマンド交通の導入に際しましては、区市町村による主体的、自立的な運営を前提といたしまして、交通需要や事業の持続可能性、財政負担の将来的な見通し等について十分に検討することが必要でございます。
 その上で、事業運営の安定化を図るため、デマンド交通の事業立ち上げの際に、必要となる諸経費を補助してまいります。

○尾崎委員 デマンド交通の導入時、コミバス同様に三年間の運行費の補助を行う、こういうことも聞いています。重要な支援ですが、都の支援がなくなってしまうと運行費が維持できずに廃止せざるを得なくなるか、利用料、運賃の値上げにつながってしまいます。
 多摩地域でなくてはならない市民の足となっているコミュニティバスやデマンド交通への運行費補助については、四年目以降も都の財政支援がなければ維持できない状況があります。ぜひ、さらなる財政支援の拡充を要望するものです。
 地域には、コミュニティバス、デマンド交通、バスや鉄道など、あらゆる公共交通が必要で、それぞれの役割があるということが分かります。それが、地域公共交通の在り方だと思います。
 次に、私の活動地域である武蔵村山市には、鉄道が一つも走っていません。住民と武蔵村山市が一丸となり、多摩都市モノレールの延伸を求める署名運動にも、この間取り組み、上北台駅からの延伸を求め、ようやく延伸の実現に動き出しました。
 市民の悲願である多摩都市モノレールの上北台駅から箱根ケ崎駅までの延伸について、進捗状況はどうなっているのか伺います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 箱根ケ崎方面への延伸につきましては、モノレールの軌道構造物や駅舎等のインフラ部の事業主体である建設局におきまして、現況調査及び基本設計等を実施してきているところでございます。
 また、沿線市町が策定した沿線まちづくり構想の具体化に向けて、技術的な助言を行っているところでございます。

○尾崎委員 多摩都市モノレールの上北台駅から箱根ケ崎駅までの延伸について、来年度はどのような取組になりますか。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 来年度につきましても、インフラ部の事業主体である建設局において、現況調査及び設計等を実施してまいります。
 また、沿線市町が策定したまちづくり構想の具体化に向けて、引き続き技術的な助言を行ってまいります。
 こうした取組を進め、来年度、都市計画等の手続に着手することとしております。

○尾崎委員 来年度は都市計画等の手続に着手するということです。住民からは、モノレールは自分が生きているうちに実現できるのか、このような声もたくさん上がっていますが、実現に向け、大きく前に進んでいることが分かりました。多摩都市モノレール延伸が一日でも早く実現することを要望するものです。
 来年度予算案には、多摩地域の振興活性化を図るため、多摩都市モノレールにおいて小児特別運賃を適用するとあり、重要だと思っています。
 多摩都市モノレールの小児特別運賃について、たまモノ子育て応援事業はどのような目的で、具体的にどのように行われるのか、伺います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 多摩都市モノレールは地域を南北に結ぶ基幹交通であり、その沿線で子育て支援策を充実させていくことは多摩地域の発展への効果が期待できるため、令和四年度にたまモノ子育て応援事業を試行的に実施いたします。
 具体的には、運営会社の協力を得て、親子の多くの利用が見込まれる学校が長期休暇となる期間を中心に、小児向け一日乗車券を百円で販売するとともに、利用者アンケートを行うところでございます。

○尾崎委員 多摩地域の振興活性化、子育て応援という考えなら、多摩都市モノレールでの通学定期の改善も必要だと考えます。
 今はコロナ禍でアルバイトができなくなり、節約のために自転車で出かけるようにしている、学校にも自転車で通っているという学生もいます。通学定期の学割率を増やすべきですが、いかがですか。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 多摩都市モノレールでは、国の認可上は五〇%とされている通学定期券の割引率を、会社の努力として六五%としているところでございます。
 通学定期券をどの程度の割引にするかにつきましては各事業者の裁量によるものであり、その経営状況等に応じた事業者の判断に基づくものであると考えております。

○尾崎委員 多摩都市モノレールでは、国の認可上は五〇%とされている通学定期券の割引率を、会社の努力で六五%としているというご答弁でしたが、長引くコロナ禍で、学生は財政的にも本当に苦労をしています。子育て支援として、たまモノ子育て応援事業を試行的に実施するのであれば、学生の通学定期券も割引率を上げていただくよう検討をお願いいたします。
 また、通学定期券をどの程度の割引にするかについては各事業者の裁量によるものであれば、ぜひ多摩都市モノレールの裁量で実現していただきたいと要望するものです。
 次に、都民の方からの相談事に関わって質問したいと思います。
 昨年十二月二十五日、東京メトロの六本木駅でベビーカーの転倒事故がありました。午後三時近く、六本木駅で降りようとしたとき、車両とホームの間にベビーカーが挟まり、電車から降りる人の列に押され、ベビーカーの足の部分が折れ、ベビーカーを押していた父親と母親がベビーカーと一緒に転倒するという大惨事に遭ったのです。
 生後六か月の子供のけがが心配で、すぐに声を上げて助けを求めましたが、クリスマスのためににぎわっていた中で、立ち止まる人はいませんでした、近くにいた警備員に大声で声を上げました、反応して目が合った、そう思いましたが、後ろを向いて立ち去ってしまいました、子供のことが心配で、破損したベビーカーを引きずり、改札を出て、タクシーで病院に行こうとしましたが、病院が見つからず、仕方なく自宅に急ぎ、自宅から救急車を呼びました、父親は骨折していましたが、子供は運よくけががありませんでした、もしその場で駅員の方が対応してくれたらよかったのにと、私たちに相談があったんです。
 そこで伺います。乗降者数が多い際には駅員の配置を増やすなど対策を強化することを求めますが、いかがですか。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 鉄道駅の安全対策につきましては、安全な運行の責任を負う鉄道事業者が自ら取り組むことが基本でございます。
 駅員の配置につきましては、各鉄道事業者において、駅の状況に応じて適切に対応すべきものと考えております。

○尾崎委員 駅員の配置は、鉄道事業者において、駅の状況に応じて適切に対応すべきものということですが、先ほども述べたように、事故も起こっているんです。事故を未然に防ぐことが大事です。混雑が予想される場合には、緊急にでも駅員の配備を強めることが安全を担保するものだと思います。ぜひ、都から鉄道会社に対し要望していただくよう強くお願いするものです。
 次に、神宮前五丁目地区まちづくりについてお聞きしたいと思います。
 東京都は、都民の城、旧こどもの城、青山病院跡地、コスモス青山、国連大学の四敷地一体活用のために、神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議を昨年十二月二十七日に発足し、これまで二回の有識者会議が開催されています。
 私は、この間、開催された有識者会議を傍聴してきました。傍聴する中で、問題点は山積していると実感しました。
 一つは、都民の城です。都民の城については、二〇一九年に国から購入し、二〇二〇年二月には改修基本計画が策定されました。ところが、新型コロナの感染拡大の中、酸素ステーションとして活用されており、計画が遅れている状況の中で、改修計画がある都民の城も入っているという問題。
 二つ目の問題点は、コスモス青山には東京ウィメンズプラザなど入っており、二〇二五年まで土地信託契約をしているという状況だということです。
 三つ目の問題点は、国連大学は二〇二九年まで無償賃貸契約になっていることです。しかも、政府と国連との間の条約では恒久的施設とされています。
 四つ目の問題点は、青山病院跡地には歴史的な琵琶池があるということです。
 このような敷地をどう一体活用するのかが問われると思います。
 都有地は都民の財産です。コロナ禍を体験し、価値観も変わってきています。これまでのような再開発を見直して、歴史や文化をどう生かしていくのかが問われていると思っています。
 そこで伺います。青山病院跡地には歴史的に重要な琵琶池がありますが、有識者会議ではどのような意見があったのでしょうか。

○吉野まちづくり推進担当部長 神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議では、検討を進める上で、琵琶池について調べていただきたいなどという意見がございました。

○尾崎委員 琵琶池は、江戸時代の山城国淀藩稲葉家の庭の池という歴史ある池だそうです。江戸時代の歴史ある池は残すべきだと要望するものです。
 では、今後のスケジュールはどうなっているのか伺います。

○吉野まちづくり推進担当部長 有識者会議は全部で五回実施する予定でございます。

○尾崎委員 有識者会議の中で、コロナも経験して価値観も変わってきたという発言もありました。
 こどもの城を都が購入するとき、日本共産党都議団は、先駆的な遊びのプログラム開発など、こどもの城が果たしてきた役割を踏まえた対応を求めました。こどもの城が果たしてきた役割が発揮できるようにすべきだと厳しく指摘するものです。
 次に、横田基地について伺っていきたいと思います。
 オスプレイのホバリングの訓練は、住宅街から八十メートル先のところで行っています。部屋のガラスが振動し、玄関のドアは不具合を生じています。わざわざ住宅地のそばでホバリングすることは許されません。都として、米軍に厳しくやめるよう求めるべきですが、いかがですか。

○三木基地対策部長 安全保障に関することは国の専管事項でありますが、オスプレイの訓練を含む米軍の運用に当たっては、安全面に最大限配慮するとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきであります。
 このため、都は、地元自治体と連携し、周辺住民の騒音被害の軽減のため、かねてより、国や米軍に対し、夜間における航空機の飛行などを行わないことの徹底や、休日などにおいて航空機の飛行などによる騒音を発生させないこと、横田基地周辺市街地上空での低空飛行などを行わないことなどを要請してきました。
 これらに加え、騒音を伴う地上及びその付近でのホバリングなどは極力行わないことなど、オスプレイ特有の騒音の軽減策について検討するよう、これまでも繰り返し要請しております。
 今後も引き続き、国や米軍に対して必要な働きかけを行ってまいります。

○尾崎委員 横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会として、二〇二一年十二月二十四日に、令和三年度横田基地対策に関する要望書を政府や北関東防衛局長に出していることは、東京都のホームページでも確認し、まとめていただいた資料にも掲載されています。
 要望書の中で、ヘリコプター及びオスプレイ特有の騒音の軽減策について検討を行うこと、特に、騒音を伴う地上及びその付近でのアイドリング及びホバリングは、極力行わないことと記載されていることは重要です。
 しかし実態は、先ほどもいいましたが、個人の住宅から僅か八十メートル先でオスプレイがホバリングをしています。ホバリングは地上から電線の高さの前後で行われているんです。それよりも低いところで行われることも度々です。しかも、一月五日の午後四時から、一月十日夕方から夜間にかけて、十一日、十二日、十三日、十八日、十九日、二十日、二十三日、二十七日と、一月だけでも十日間もオスプレイが飛来し、そのうち、自宅の前でのホバリングは六日間です。ひどいときは、三十分以上もの間ホバリングをしています。二月も三月もオスプレイが飛来し、ホバリングが続いているんです。
 横田基地にオスプレイが配備され、騒音の被害が広がっています。横田基地付近に住んでいる方から、オスプレイが配備され、体調が悪い、夜寝ていてもゴーという音がよみがえり起きてしまう、顔がむくみ、赤くなって、病院に行っても原因不明だといわれた、集中できない、いらいらするなどがあるということでした。オスプレイが来ると体が震え出すレストレッグス症候群になり、オスプレイの音が聞こえると症状が悪くなると語っています。以前はこんなことは全くなかったといいます。
 騒音、低周波音、振動などによる健康被害について、どう認識していますか。

○三木基地対策部長 米軍の運用に起因する航空機騒音などについては、国が適切に対処すべきものでありますが、オスプレイの運用に当たりましては、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきであります。
 このため、都は、米軍の運用に当たっては、基地周辺住民の安全確保を優先し、細心の配慮と安全対策の徹底、生活環境への配慮などについて繰り返し要請を行っており、これまでも騒音防止対策の推進などについて求めてきたところです。
 今後とも、都民の生命と安全・安心を守る立場から、地元自治体と共に国や米軍に対して必要なことを申し入れてまいります。

○尾崎委員 健康被害についても、先ほど紹介した東京都と周辺市町連絡協議会の要望書で、オスプレイについては、低周波音による健康影響等を懸念する声があることから、国の責任において、低周波音に関する調査検討を引き続き実施し、必要な対策を講ずること、航空機騒音等による健康被害調査を実施することを東京都は国に要望していることが分かりました。
 しかし、健康被害の調査は、国や米軍に要望するだけではなく、オスプレイの騒音、低周波音、振動などによる健康被害については都として調査を求めますが、いかがですか。

○三木基地対策部長 米軍の運用に起因する航空機騒音などについては、国が適切に対処すべきものであり、これらに伴う健康被害についても国が調査すべきものであります。
 このため、都は、国に対し、航空機騒音などによる健康被害調査や、オスプレイの低周波音に関する調査を実施するよう要請をしているところでございます。

○尾崎委員 横田基地のそばに住んでいる方からは、一月がとにかくオスプレイのホバリングが多く、体調が悪かった、今も通院している、仕事を終えて自宅に帰るのがつらい、普通は自宅でくつろぎたいという気持ちだと思うが、自宅ではくつろぐことができない、こう語っています。
 この方のお宅は、住宅防音工事助成の対象になっていません。都は、国に、住宅防音工事等周辺対策の充実及び強化を図ることも要望していますが、実現していないんです。もう健康被害にもなっており限界です。どこの場所かも具体的に示して、国に要望することを強く求めるものです。都として、国に強く求めていただき、実現できるまで要望を続けていただくようお願いしたいと思います。
 住民の方からは、横田基地からオスプレイを撤去してほしい、せめてヘリポートを移動してほしいという強い要望が出されています。国と東京都の責任が問われています。要望しただけではなく、要望したことが実現できるまでしっかりと声を上げていただくことが必要だということ、国がやらないのであれば、都が都民の安全、命、健康を守る立場で、都として実施することを厳しく指摘をして、質問を終わります。

○竹井委員 何点か質問させていただきます。
 まず初めに、鉄道駅のバリアフリー化についてお聞きします。
 十一月の都市整備委員会におきましても、ホームドアの整備推進について質問をいたしました。その際に、都内五つの視覚障害特別支援学校のうち、久我山青光学園の最寄り駅である京王線の久我山駅、千歳烏山駅はともにホームドアの設置なし、また、八王子盲学校の最寄り駅のJR西八王子駅、八王子駅、そして京王線の京王八王子駅、どの駅にもホームドアの設置がないと指摘をさせていただきました。また、意見交換をする中で、各駅において技術的な課題が様々あることも確認をしたところです。
 来年度は、技術的な方策に関する調査等が実施されるとのことをお聞きしていますけれども、視覚障害者が頻繁に利用するこれらの駅については、早急に課題解決が望まれるところです。
 ホームドア未整備駅における整備推進について、来年度はどのように取り組む予定なのか伺います。

○江端地域公共交通担当部長 都は、令和元年に取りまとめた優先整備の考え方も踏まえた、事業者による整備計画に基づくホームドアの整備に対して補助を行っておりまして、引き続き支援してまいります。
 一方、お話のありました狭隘なホームでの設置スペースの確保など技術的な課題に対応するため、今年度、事業者との検討会を新たに設置し、検討を進めておりまして、来年度は技術的な方策を取りまとめてまいります。その検討状況も踏まえながら、さらなる整備対象駅の追加など、整備計画の見直しについて事業者と個別に調整を行ってまいります。
 こうした取組を通じて、ホームドアの整備のより一層の推進を働きかけてまいります。

○竹井委員 期待をしたいと思っています。そして、ぜひ、先ほど申し上げた駅について優先的に取り組んでいただきたいと思います。
 十一月にも要望したとおり、毎年陳情をいただいていますので、視覚障害特別支援学校のPTAの皆さんにも、ぜひ状況を情報共有してくださるようにお願いをいたします。
 次に、今回の予算では、スマホアプリや先進技術を活用した案内誘導等の取組が新たに盛り込まれました。その内容について伺います。

○江端地域公共交通担当部長 今年度の都民からの事業提案を受けまして、視覚障害者等がさらに便利で安全に駅を利用できるよう、先進技術を活用し、鉄道事業者と連携しながら取り組んでまいります。
 来年度は、スマホアプリを活用した案内誘導など様々な先行的な方策の調査分析を行った上で、対象駅を選定し、その駅の実情を踏まえた対策を試行的に実施いたします。
 こうした取組の効果も踏まえつつ、ユニバーサルデザインのまちづくりをさらに促進してまいります。

○竹井委員 対象駅を選定しということですので、近隣の状況などもご配慮いただけるんだというふうに思います。今回、都民からの提案を受けてということで期待をしたいと思います。
 私の経験なんですけれども、先日、視覚障害のある学生さんからご相談を受けました。横断歩道に音響式信号機の押しボタンが設置されているんですけれども、ついている位置が、よくある横断歩道の横ではなくて、横断者の背中側にあるポールについていました。ボタンを押すのに体を一回転させなくてはならなくて、そして、その後、横断歩道を渡ろうと思って元に戻ろうとすると、方向感覚を失ってしまうんだそうです。
 こういったことから、そこにあればいいんだ、ついていればいいんだということではなくて、設置する場合には当事者の意見をよく聞くということがいかに大切かということを改めて学んだ次第です。
 次に、都市の3Dデジタルマップ化についてお伺いをいたします。
 都は、「未来の東京」戦略において、完全なデジタルツインを二〇三〇年に実現させるとして、その実現に向けた取組の一つに、都市整備局が実施している3Dデジタルマップの整備が位置づけられています。
 この3Dデジタルマップを活用し、行政サービスの向上や業務の高度化に資する様々なシミュレーションが可能となるということは重要だというふうに考えます。3Dデジタルマップを整備することにより、都民にはどのようなメリットがあるのかについて伺います。

○小野都市づくり政策部長 3Dデジタルマップは、現実空間のデータを仮想空間に3Dで再現し、様々な分析、シミュレーションが可能となる、いわゆるデジタルツインの情報基盤の高度化につながるものでございます。
 防災、まちづくり、モビリティー、エネルギー、ウエルネスなど様々な分野でのシミュレーションを行い、実際の現実空間にフィードバックする際の有効なツールとなります。
 特に、防災分野につきましては優先的に着手することとしており、例えば、浸水した場合の水位を立体的に再現し、被害状況を視覚的に把握することが可能な水害シミュレーション、あるいは山岳道路の斜面点検、土石流に対する安全対策の検討や避難シミュレーションなどにおける活用が可能となるものでございます。
 このほか、都庁内外とのデータ連携を図っていくことで、行政サービスのみならず民間事業者などによる様々なサービスの開発、展開等を促進し、都民生活のさらなる質の向上にもつながるものと考えております。

○竹井委員 オープンデータのように可能な限り公開するということで、民間事業者や個人が自由にデータを活用して、そこで新たなサービスやアプリなどを開発して、都民生活の向上に資するようにしていただきたいというふうに思います。
 3Dデジタルマップの令和四年度以降の整備予定について伺いたいと思います。

○小野都市づくり政策部長 令和三年度は、西新宿、南大沢など四地区のモデルエリアを対象に3Dデジタルマップの整備を行いました。
 令和四年度は、引き続き関係局とも連携し、都内全域で点群データを取得するとともに、都市再生緊急整備地域全域を対象に3Dデジタルマップを構築するなど、エリア拡大を加速してまいります。

○竹井委員 多摩地域でもよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、ブロック塀の安全対策について伺います。
 住宅政策本部の審査におきましても、都営住宅敷地内のブロック塀の安全対策について伺いましたけれども、民間のブロック塀の安全対策の促進に向けた都のこれまでの取組について伺います。

○山崎市街地建築部長 都は、平成三十年六月に発生した大阪府北部地震によるブロック塀等の倒壊被害を踏まえ、同年十二月に補助制度を創設し、倒壊の危険性のある民間のブロック塀等の除却や建て替えに助成を行う区市町村を支援するとともに、都自らも建築基準法に基づく定期報告を通じて、ブロック塀等の所有者に対して安全対策に取り組むよう促しております。
 また、ブロック塀等の倒壊による特定緊急輸送道路の閉塞を防ぐため、沿道の建物に附属するブロック塀等のうち一定の要件に該当するものについて、所有者に耐震診断を義務づけ、今年度末を診断結果の報告期限として定め、耐震診断技術者の派遣を行っております。

○竹井委員 それでは、市区町村における助成制度の整備状況について伺いたいと思います。

○山崎市街地建築部長 ブロック塀等の安全対策を促進する上で、地域の状況を把握している区市町村において助成制度を整備し、危険なブロック塀等の所有者に対して除却等を行うよう、きめ細かく働きかけることが重要でございます。
 都が補助制度を創設いたしました平成三十年十二月の時点で、ブロック塀等に対する助成制度を有していたのは二十九区市でございましたが、現在は四十六区市町で助成制度が整備されております。
 都といたしましては、助成制度が未整備の自治体に対し、区市町村との行政連絡会等において、必要な情報提供や整備に向けた働きかけを引き続き行ってまいります。

○竹井委員 平成三十年には二十九市区、現在は四十六市区町とのことで、広がっているということを確認ができました。
 しかし、まだ多摩地域にも何市か助成制度がない市もあります。地震への備えとして、ブロック塀の耐震化はニーズが高いものと思いますので、ぜひ引き続きの働きかけをお願いいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

○宮瀬委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後七時三十分休憩

   午後八時開議
○宮瀬委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○松田委員 令和四年度都市整備局予算案、鉄道、次世代交通システム等の整備について、本日は質疑をさせていただきます。
 昨年の都市整備局の事務事業質疑でも質疑をさせていただきました、私の地元大田区を通ります新空港線、通称蒲蒲線について、令和四年度の事業の見通し、そして進捗も含めて、本日は確認をさせていただきます。
 まず、令和四年度予算案におきまして、鉄道ネットワークに関する調査、整備費用等で五十五億円が計上予定となっておりますが、新空港線に関する予算は幾らと試算しているのかお伺いいたします。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、令和四年度予算案において、広域交通ネットワーク形成等に関する調査として八千五百万円を計上しております。
 この調査の中で、新空港線を含め、国の交通政策審議会の答申において事業化に向けて検討などを進めるべきとされた路線等について、事業スキームの構築に向けた検討などを実施する予定でございます。

○松田委員 国の答申におきまして、空港アクセスの向上に資するプロジェクトの一つとして示されているだけでなく、東京都としても、国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限に発揮させるためにも、新空港線を含む鉄道によるアクセスの充実の必要性を感じているからこそ、広域交通ネットワーク形成等という形で調査費を予定していただいているのだと思っております。
 昨年の事務事業質疑では、新空港線の取組状況と今後の見通しについて質疑をさせていただいた際、国の答申において、関係地方公共団体、鉄道事業者等において費用負担の在り方等について合意形成を進めるべきとの課題が示されている、まちづくりの要素等も加味して事業プランを検討し、その結果をベースに都区負担等に関する協議を進めるため、都と大田区は新空港線に関する協議の場を昨年の九月から開催をしていると。蒲田駅周辺のまちづくりとの整合性を図りながら、乗換えの利便性の向上等について検討を進め、乗換えの動線の整理を行っており、引き続き区と連携して検討を深度化との答弁がありました。
 そこで、都と大田区では、本路線に関する協議の場を開催し、まちづくりの要素等も加味いたしまして事業プランの検討を行っていますが、これまで何回実施されたのか、また、令和三年度は何回実施されたのか、そして、次回はいつ実施するのか、お伺いいたします。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都と大田区は、新空港線に関する協議の場を令和二年九月から四回開催しており、このうち今年度は昨年十二月に開催し、蒲田駅周辺のまちづくりとの整合を図りながら、乗換え利便性の向上などについて検討を進めてきております。
 引き続き、需要予測及び収支採算性等の精査や、都と区の費用負担の考え方の整理を行っていくこととしており、次回については、こうした検討の状況に応じて、区と連携して開催する予定でございます。

○松田委員 昨年の事務事業質疑の後の十二月に協議の場が設定をされ、乗換え利便性の向上等について検討を進め、乗換え動線の整理については見通しがついたとも聞いております。
 その中で、今定例会の一般質問におきまして、かつまた議員からの新空港線への質疑では、上野東京都技監からも本路線のほか羽田空港アクセス線などのプロジェクトも示されており、都といたしましては、答申に示された広域的な空港アクセスの向上に資するなどの観点を踏まえつつ、羽田空港アクセス線の整備による本路線の需要などへの影響も考慮しながらと答弁もありましたが、羽田空港アクセス線により、新空港線は実際には需要がどうなるのかお伺いいたします。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 国の答申では、空港アクセスの向上に資するプロジェクトとして、新空港線や羽田空港アクセス線など四つのプロジェクトが示されており、このうち羽田空港アクセス線は、JR東日本により工事着手に向けた手続が進んでおります。
 このため、新空港線の需要予測などは羽田空港アクセス線の整備による影響も考慮しながら検討を行う必要があり、引き続き、その精査を行ってまいります。

○松田委員 昨年の十二月には乗換え利便性の向上等について検討を進め、乗換え動線の整理に見通しがついたということで、今年度、新空港線の需要予測、収支採算性の精査を現在進めているというのは、前回の事務事業質疑から議論は進展をしていることだと思っております。
 ぜひ、日数は限られてきましたが、年度内には東京都で実施をしています需要予測等の精査を終え、新年度早々には大田区との協議の場を設定していただくことを要望しておきます。
 新空港線につきましては、首都圏の広範囲からの羽田空港へのアクセス向上はもとより、将来的には、東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線との相互直通運転が可能となり、羽田空港と渋谷、新宿、池袋などの副都心及び川越、所沢、和光市など埼玉方面などの東京圏北西部を結ぶ広域的な鉄道ネットワークの形成につながると考えています。
 また、いつ起こるか分からない首都直下型地震の際にも、都市機能を持続するためにも迂回ルートとしての機能を担うことから、リスク分散にも寄与するとも考えられています。東京都としても、広域的な観点から早期に都区間の合意形成を行うだけでなく、広域自治体として、相応の事業費の負担を要望いたします。
 大田区議会では、東京都に対して新空港線整備についての緊急要請を今年度中の提出に向け、日程調整が進んでいると聞いております。大田区議会だけではなく、私も含めました大田区選出の自民党さん、公明党さん、都民ファーストさん所属の都議会議員の方も署名をさせていただきました。
 最後になりますが、昨年の事務事業質疑でも述べたとおり、区民の期待も大きい路線であるので、事業化に向けて議論を加速していただきますように改めて要望を申し上げまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○渋谷委員 それでは、質問させていただきます。
 まず初めに、当初予算における鉄道駅のバリアフリー化について伺います。
 都内におけるホームドアの整備については都営地下鉄等で順調に進んでおり、今後はJR、私鉄を進めていくことが求められています。
 そこで、JR、私鉄の令和四年度当初予算におけるホームドア整備の補助予定駅数を伺います。

○江端地域公共交通担当部長 JR、私鉄のホームドア整備につきまして、令和四年度は、JR七駅、私鉄九駅、合わせて十六駅への補助を予定しております。

○渋谷委員 次に、JR、私鉄のホームドア整備について、現在の整備率は約三三%であり、都は二〇三〇年までに六割に引き上げる目標を掲げていますが、目標に向けた取組について伺います。

○江端地域公共交通担当部長 都は、令和元年に取りまとめた優先整備の考え方も踏まえた、事業者による整備計画に基づくホームドアの整備に対して補助を行っておりまして、引き続き支援してまいります。
 一方、狭隘なホームでの設置スペースの確保など技術的な課題に対応するため、今年度、事業者との検討会を新たに設置し、検討を進めておりまして、来年度は技術的な方策を取りまとめてまいります。その検討状況も踏まえながら、さらなる整備対象駅の追加など整備計画の見直しについて、事業者と個別に調整を行ってまいります。
 こうした取組を通じて、ホームドア整備のより一層の推進を働きかけてまいります。

○渋谷委員 ホームドアの整備促進について市民からの根強い要望がありますので、事業者が一層積極的に整備を検討していくよう、引き続き調整をお願いいたします。
 次に、舟運について伺います。
 東京の今後を考えると、舟運の活性化は大変重要であり、大きく発展する可能性が存在すると考えます。
 江戸時代は、川や水路が網目のように江戸を流れ、様々な船でにぎわっていたとのことです。そうした点から見ると、舟運を活性化し後世に残していくことは、歴史的、文化的な意味のあることと考えます。
 また、東京都は、東京ベイeSGまちづくり戦略を発表し、海と緑の環境に調和したサステーナブルな自治体都市としてベイエリアが発展するよう検討しており、そうした未来像においても、水を活用した舟運の活性化は欠かせないものと考えます。
 舟運については今までにも実証実験などが行われていますが、今後一歩進めてどのように舟運を活性化していくか見解を伺います。

○三木交通政策担当部長 舟運の活性化につきましては、都心や臨海部で社会実験を実施してまいりましたが、こうした取組を踏まえまして、今後も新規路線の開拓などの取組を行ってまいります。
 令和元年度に朝の通勤等の交通手段として実施いたしましたらくらく舟旅通勤におきまして、船の通勤等への活用可能性が一定程度認められております。その後、新型コロナの影響等もあったところでございますが、来年度は、らくらく舟旅通勤の第二弾を複数の航路で実施することといたしておりまして、通勤用にも利用できる定期航路の開設などにつながるよう、さらなる利用者の拡大や水の都東京の発信を図ってまいりたいと思っております。
 舟運が身近な観光、交通手段として定着するよう、関係局と連携しながら積極的に取り組んでまいります。

○渋谷委員 東京は海に面した水の都という側面があります。舟運は、今後ますます東京にとって重要なものになっていくと考えますので、引き続き舟運の活性化への取組をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、無電柱化について伺います。
 宅地開発における無電柱化については、これまで宅地開発無電柱化パイロット事業として取り組んできましたが、令和四年度から、新たに宅地開発無電柱化推進事業を始めようとしているところです。
 宅地開発の無電柱化について、パイロット事業をはじめとしたこれまでの取組を踏まえて、推進事業でどのように取り組み、内容を拡充したのかを伺います。

○鈴木防災都市づくり担当部長 都は、宅地開発における無電柱化の取組を促進するために解決すべき技術面、制度面の課題を把握し、普及に向けた施策の在り方の検討を進めることを目的として、令和二年度から宅地開発無電柱化パイロット事業を開始し、開発事業者に助成を行ってきました。
 都は、開発事業者、電線管理者、関係自治体と、昨年夏に設置した連絡会などを通じて無電柱化に向けた情報交換や意見調整を行っており、その中で、宅地開発と既存道路との接続部に係る整備費用が高額であることや、開発事業者に無電柱化のノウハウが少なく、電線管理者等との協議に時間を要するなどの課題が明らかになりました。
 こうした課題を踏まえまして、開発事業者の意欲を高めるため、都は来年度から、宅地開発無電柱化推進事業として、国において創設される補助制度を活用しながら、補助対象の限度額を一千万円から二千万円に引き上げ、開発事業者の負担を減らすことといたしました。
 また、予算額を一億円から三億円に拡大し実施件数の増加を図ることで、関係者のノウハウの蓄積を行い、協議期間の短縮を図ってまいります。
 こうした取組により、宅地開発時に電柱が新設されない取組を積極的に進めてまいります。

○渋谷委員 無電柱化の推進については、様々な事業者の理解を得ることが重要と考えますので、事業者との意見交換を今後も積極的に行い、無電柱化が一層推進されるよう要望いたします。
 次に、KK線再生の事業化に向けた方針について質問をいたします。
 KK線の再生事業については内容を見させていただきましたが、今後の有効利用としてよい計画だと考えます。この中間まとめ案では、KK線の全区間の整備完了を二〇三〇年代から二〇四〇年代を目標時期としています。一方、東京高速道路株式会社の資料によれば、KK線は一九五四年から一九六六年の間に順次竣工しています。
 仮に、全区間の整備完了を二〇四九年とすれば、その時点で竣工後八十三年から九十五年が経過していることとなりますが、安全に利用していくことができるのかを伺います。

○吉野まちづくり推進担当部長 東京高速道路株式会社によりますと、同社は、日常点検や定期的な点検に加え、専門機関によるコンクリート材料の耐久性調査を実施し、老朽化に対応していくための補修や予防保全策を行うなど、適切に構造物の維持管理を行っております。
 二〇〇九年及び二〇一六年に同社が実施した専門機関によるコンクリート材料の耐久性調査におきまして、適切な点検、維持管理がなされており、コンクリートの中性化深さは通常よりも小さく、鉄筋コンクリートの耐久性を考える上では安全側の状態であり、健全性に問題はないとされております。
 同社は、今後もこれまで同様、継続的に点検や耐久性調査を実施し、的確に補修や予防保全策を行うなど、適切に構造物の維持管理を行っていくこととしてございます。
 なお、構造物の耐震補強については完了しております。

○渋谷委員 耐久性については、調査の結果、特に問題はないということでした。
 今後も適切な管理に努めていただくよう要望するとともに、財政事業によって、都民の憩いの場に生まれ変わることを期待して、質問を終わります。

○古城委員 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、都市整備局所管分、第十五号議案、第十八号議案、第二十一号議案、第五十八号議案、第五十九号議案及び報告事項に関連して、まず意見を表明するとともに、持続可能な都市づくりと政策連携団体について質問いたします。
 私は、予算案の審査に当たりまして、予算特別委員会の一般質疑において、コロナ禍の先に東京の未来を開くためには、SDGsにも関連して、住まう、暮らす、働く、楽しむなど、持続可能な都市づくりが重要であると訴えました。
 これに対して知事は、東京の持続的な成長の原動力は人であるとの認識を示した上で、東京の成長につながるビジネスや生活の基盤を整備するなど、世界の人々を引きつける都市へとさらに進化していくことは重要であり、令和四年度予算において、新宿などの都心エリアや臨海部での国際競争力を備えた魅力的なまちづくりなど、東京の活性化に向けまして様々な施策を展開する方針を明らかにしました。
 ここに述べられる、新宿におけるまちづくりに関する、続く上野都技監との質疑におきましては、特に新宿駅周辺に関して、これまでの経緯や現状と課題をつまびらかにお答えいただくとともに、それらを解決するためには民間開発と都施行事業の連携が重要であるとの共通認識の下、まちづくりの諸制度を活用した各プロジェクトの進展と今後の方針策定を明言していただき、私にとりましても、新宿の未来を開く大変有意義な議論となったところでございます。感謝申し上げたいと思います。
 また、臨海部については、昨年十二月の当委員会での質疑に思いを凝縮いたしておりますので、今後の進展に大いなる期待を持っているところであり、この点に関しては、後ほど一問に絞ってお尋ねしたいと思います。
 つまるところ、成熟した都市がその魅力を十分に引き出すには、長期的視野に立った戦略性が求められます。それとともに、単なる経済的な成長だけでなく、例えば少子高齢社会に対応したバリアフリー化など、生活者の視点や安心、快適に過ごせる居住環境の向上、環境への配慮も欠かせません。これらを包含した、都市の活力となる人そのものに焦点を当てたまちづくりが、都市再生であり、持続可能な都市づくりであると解するものであります。
 そこで着目をいたしましたのが、二〇一九年に国土交通省で持たれた「居心地が良く歩きたくなるまちなか」からはじまる都市の再生と題する産官学の関係者から成る、都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会であります。ここには、東京都都市整備局のほか、名古屋市や大阪市の都市計画部局もオブザーバーとして参画し、都市経済、社会をめぐる背景を踏まえて、コンパクト・プラス・ネットワークの進展と都市再生プロジェクトの実現から都市再生政策の動向が検証され、海外事例と国内事例も複数紹介した上で、今後のまちづくりの方向性について提言がなされました。
 その提言には、居心地がよく歩きたくなるまち中形成のイメージとして、四つのキーワードが示されています。一つはウオーカブル、歩きたくなること、二つ目はアイレベル、建物に、まちに開かれた一階部分があること、三つ目はダイバーシティ、多様な人の多様な用途、使い方であること、四つ目はオープン、開かれた空間が心地よいことであります。
 これに対して都は、この提言の後の昨年二月に策定された「未来の東京」戦略においても、新型コロナ危機を契機とした東京の都市のあり方フォローアッププロジェクトを掲げています。この中で、改定を予定しておりました都市計画区域マスタープラン、いわゆる区域マスにおいて示すべき都市政策の方向性の例として、開放的で緑豊かな身近なオープンスペースを創出し、にぎわいある魅力的な空間形成を促進や、車中心から人中心の空間へと転換し歩きたくなるまち中の形成を促進などが記載されています。
 これらを目にいたしますと、国の提言で示された先ほどの四つのキーワードと関連深い今後のまちづくりの方向性が示されていると考えます。
 少し前置きが長くなりましたけれども、そこで、昨年三月に改定された区域マスでは、これらがどのように反映されているのか、まずお尋ねいたします。

○小野都市づくり政策部長 昨年三月に改定しました都市計画区域マスタープランでは、「未来の東京」戦略ビジョンで示した方向性などを踏まえ、あらゆる人が活躍、挑戦できることや、生活のゆとりを楽しみ、個々人から見れば、特色のある個性を有する様々な地域で、多様なライフスタイルに柔軟に対応した住まい方、働き方、憩い方を選択できる都市を目指すことが記載されております。
 今後のまちづくりの方向性については、例えば、都市開発諸制度などの活用により、開放的で緑豊かな身近なオープンスペースをさらに創出し、にぎわいのある魅力的な空間形成を一層促進することとしております。
 また、誰もが集い、支え合う居場所、コミュニティが至るところに存在するなど、包摂的社会形成にも留意したまちづくりを進めることとしております。
 さらに、まちづくりの機会を捉え、地域の特性に応じ、車中心から人中心の空間へと転換し、居心地がよく、歩きたくなるまち中の形成を促進することが示されております。

○古城委員 国の提言でも示された、居心地がよく歩きたくなるまち中の形成を促進することが区域マスにも反映されているということは、まさに人そのものに焦点を当てたまちづくりこそが持続可能な都市づくりの特徴であると意を強くするものであります。
 それでは、ブレークダウンいたしまして、具体的な都の取組を確認する質疑を進めたいと思います。
 先ほどの国の提言に参考として紹介されていたニューヨークのNPO法人のツール、「Power of 10+」によれば、都市が新しい住民、ビジネス及び投資を引きつけるには、どのような規模の都市も最低十か所、人々がいたいと思う目的地、広場、大通り、ウオーターフロント、公園、美術館などでありますが、これらを有する必要があり、そして、その各目的地に、十か所以上の場所、例えば、座る場所、遊ぶ場所、絵を描く場所、音楽を聴く場所、食べる場所、歴史を感じる場所、人に会う場所などでありますが、これらもそこにあるということが必要とされております。
 後段に関しては、提言では、オーストラリア・メルボルンの広場を例示いたしまして、一つのスペースを誰一人として同じ使い方をしないと注釈しています。都市空間の魅力の増進としてにぎわいを創出し、居心地をよくすることを指す、いわゆるプレイスメーキングについて非常に示唆に富むものであると考えます。
 こうした点から、私は、持続可能な都市づくりにおいては、まち中を人々が集い、憩い、多様な活動が繰り広げられる場に進化させていくまちづくりが施行されるべきであると考えます。
 「未来の東京」戦略には、人中心の歩きやすいまちづくりプロジェクトが戦略として掲げられました。
 そこで、このプロジェクトの「未来の東京」戦略 version up 二〇二二における深度化についてお尋ねいたします。

○三木交通政策担当部長 都は、都市の機能をさらに高めながら、人々が集い、憩う、便利で快適な、にぎわいあふれるウオーカブルな人中心のまちづくりを推進することといたしております。
 具体的には、パーク・ストリート東京事業を推進するため、道路空間などを活用したにぎわい創出事例の紹介やPR等を積極的に実施いたしまして、現在十四か所で取組が展開されており、今後、地区の拡大などを進めることといたしております。
 また、都立公園等におきましてはパークPFI制度などを活用いたしまして、都心の自然豊かな空間で憩い、にぎわうことができ、多様なアクティビティーを楽しめる場を創出できるよう明治公園等で整備を行ってまいります。
 さらに、東京高速道路の上部空間を歩行者中心の公共的空間として活用するため、昨年度策定いたしました再生方針を踏まえまして、東京スカイコリドーの事業化に向けた方針を策定してまいります。

○古城委員 深度化の例といたしまして三点挙げていただきましたけれども、いずれも人々がいたいと思う目的地を目指すべきでありまして、そこにはシナジーの創出が重なり合う場所の展開を企図すべきであると考えます。
 この三つについて、具体的にさらに質問をさせていただきたいと考えておったんですが、今日は要望にとどめさせていただいて、進めてまいりたいと思います。
 まず、区域マスでも示された緑豊かな歩行者空間など、道路の活用再編を通じた人中心の魅力の高い空間を創出する方向性が、パーク・ストリート東京のさらなる展開として具現をされているわけであります。意欲ある地域の活動を後押しするため、各地区の先進的な取組を情報発信、当然これも大事でありますが、それだけではなくて、区市町村などへの助言を積極的に行っていただきたいと要望させていただきます。
 それから、二点目につきましては、いわゆるパークPFIを活用する明治公園の整備につきまして、皆様もよくご利用されていると思いますが、この都庁のお隣には新宿区立の新宿中央公園がございます。今、健康増進のための機能やシュクノバと呼ばれるにぎわい施設が充実をいたしまして、今後は、ちびっ子広場の機能の強化も図られてまいります。
 まさに、多様な来園者の新たなコミュニケーションの場としてにぎわう、都心の自然豊かな空間への期待は募るばかりであります。
 それから、もう一点、三点目についてですけれども、報告事項、東京高速道路(KK線)再生の事業化に向けた方針(中間まとめ)にも関連して、東京スカイコリドーは、その周辺、京橋、八重洲、銀座、有楽町、日比谷、新橋、汐留、築地など、まさに目的地を結ぶネットワークといえることから、縦動線の整備に当たりましては、先ほど来申し上げている目的地への接続性を重視して配置していくということを要望したいと思います。
 また、新しい都市の視点場が十か所程度設けられるということも示されておりますので、このことは、それ自体が目的地となり得るのでありますから、ぜひとも眺望を生かした場所の形成も求めておきたいと思います。
 ここまで言及してまいりました目的地は、既存施設の更新が主となるかと思います。一方で、新たなまち創出という概念からも、この目的地と場所を論じたいと思います。
 それは、世界の主要都市に類のないロケーションに恵まれ、しかも二十三ヘクタールもの希少な用地である築地地区のまちづくりについてであります。
 昨年十二月の当委員会における東京ベイeSGまちづくり戦略と、築地地区都有地活用事業の実施方針の方向性についてに関する質疑におきまして、東京の成長の要となるベイエリアの将来像を実現するために、このまちづくり戦略にはSDGsの達成が果たされた絵姿を示し、都は持続可能な社会モデルの構築をリードすべきこと、また、ベイエリアの発展の核となる築地まちづくりについて、地元中央区との連携を重視しつつ、都民の夢と希望を育み、世界の主要都市に類のないロケーションを生かしたまちづくりとすることを訴えました。
 そして、築地の歴史をひもときまして食文化の拠点であるとか、築地本願寺、浴恩園、築地ホテル、勝鬨橋、歌舞伎座などの資源を生かして、新たな文化と歴史を発信する拠点を形成することを求めました。後の本会議の討論でも申し述べたとおりであります。
 そこで、築地地区のまちづくりにおいても、人々が集い、憩い、多様な活動を繰り広げ、文化を発信していく拠点を形成していくべきと考えますが、見解を求めます。

○木村築地まちづくり推進担当部長 築地周辺地域の観光文化資源として、水辺、浜離宮恩賜庭園、築地本願寺などがあり、銀座から当地域にかけて築地場外市場など食文化に関わる施設等が集積してございます。また、銀座方面には、歌舞伎座をはじめ劇場等の文化施設が集積し、隅田川には、国の重要文化財に指定されている勝鬨橋など魅力的な地域資源が数多く存在してございます。
 こうした周辺の様々な資源とのつながりを重視し、より価値を高めていく必要があり、周辺の資源などとも連携した取組を重視することとしております。
 これら歴史、文化資源などの文化的ストックを十分に生かし、水と緑に囲まれ、世界中から多様な人々を出迎え、多くの人々が多様な活動を通じて感動や楽しみを共有できるなど、交流により新しい文化を創造、発信する拠点を形成してまいります。

○古城委員 昨年に続いて本日の答弁におきましても、築地から新しい文化を創造、発信する拠点も含めまして、シンボリックで印象的なアイコンとなるデザインとする取組、これに期待をしたいと思いますけれども、改めて、東京といえば築地といわれるような、東京の顔となる、インパクトのある景観形成を誘導していただきたいと要望いたします。
 さて、二〇一二年のオリンピック・パラリンピックの開催以降、世界の都市総合力ランキングで首位に立ち続けるイギリスのロンドンは、文化交流の中心地としての存在感を発揮しております。概して、コロナ禍前でありますけれども、世界的文化イベントの開催件数や、文化コンテンツの輸出額、海外からの訪問者数などで強みを保ち、さらに、今なお、それらを支える交通アクセスの指標でもトップを走っております。
 また、少し遡りますが、平成二十八年度の国土交通白書は、人は、人の交流を通じて、また、物の交易を通じて、文化を構成する知恵や技術等を豊かにすることで、人類の繁栄に寄与してきた、その意味において、人にとって交通は、単なる移動手段にとどまらず、人が文化的に、また、創造的に生きていく活力の源泉といえると論じています。
 こうしたことから、人を引きつける文化と人、物を移動させる交通は、密接不可分の関係にあるわけであります。その上で、例えば、先ほどのパーク・ストリート東京の取組地区の各所であるとか、東京スカイコリドー、築地など、こうした目的地に集う人は、まず、鉄道駅やバス、タクシーのターミナルなど交通拠点に到着し、そこから歩いて、または自転車で、そして、これからは例えばグリーンスローモビリティーなど次世代モビリティーなどによりまして場所に移動することが想定されます。その交通拠点の快適な利用環境こそが、都市の文化を輝かせていくといっても過言ではありません。
 そうした中で、駅のバリアフリー等の確保について、これまで私も地元の皆様から様々なご要望、ご相談をお受けしてまいりましたので、ケースを紹介したいと思うんですけれども、国内有数の商店街の最寄り駅となります都営地下鉄駅では、その商店街方面とは反対側にワンルートのエレベーターが設置されています。商店街側の地上出入口は階段でありまして、道路上に開口されているタイプで、そこに合わせてエレベーターを整備するには余地がなく、困難であるということであります。
 それから、鉄道ターミナルを構成する都営地下鉄駅の、ある比較的地域住民の方々の利用が多い出入口はビルに併置されるタイプでありますけれども、改札階に至るまでの間、途中のエスカレーターが片方向しかない箇所があるわけです。最初と最後は両方向なので上りも下りもできるわけですけれども、途中が片方向しかない。こういうことで、階段の上り下りでは足への負担に不安を抱える方もいらっしゃいます。
 そして、その区間にエスカレーターを増設するには、ホーム階の電車走行部分の天井に当たることや、機械室が配置されていることにより、安全面、技術面から困難であると、こういう回答を得ました。
 この両駅のバリアフリールートの拡充については、所管局であります交通局に要望しているところでありまして、地域関係者の皆様と共に取り組んでまいりたいと思います。
 それからもう一つ、今期の当委員会で二度にわたりまして関連する質疑を行ってまいりました飯田橋駅でありますけれども、JRの駅東口からの動線は、飯田橋交差点歩道橋の利用が必至のルートもあります。エレベーターも含め、バリアフリー化は喫緊の課題であります。
 先ほど来訴えてまいりましたにぎわいあふれるウオーカブルな人中心のまちづくりを推進するためには、特に区部中心部では、重要な交通結節点である鉄道駅のバリアフリー化も、いわゆるツールートなどの進展を図らなければなりません。
 しかしながら、高度に土地利用が進んでいる駅周辺では、バリアフリー動線を整備できる空間に制約があることから、駅周辺の再開発などのまちづくりの機会を捉えて整備することが合理的と考えます。
 渋谷や品川などターミナル駅周辺ではこうした取組が進められていますが、例えば、先ほど申し上げました複数路線が乗り入れている飯田橋など地域の拠点駅周辺についても、駅とまちを一体的に整備する駅まち一体開発の取組を推進すべきと考えますが、見解を求めます。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 複数の鉄道が乗り入れ、都市機能が集積する地域の拠点駅周辺などでは、その多くでいまだ慢性的な混雑を抱え、また、バリアフリー動線やまちの顔となる空間の不足等の課題がございます。
 このため、駅周辺のまちづくりと連携し、都市開発に関する様々な制度等を活用し、地域の課題の解決を図る駅まち一体開発の取組が必要でございます。
 委員お話しの鉄道五路線が結節する飯田橋駅周辺では、千代田区、新宿区、文京区の三区や鉄道会社などで構成する検討会を設置し、民間開発と連携したバリアフリー動線の形成や、まちの顔となる空間づくりなどについて検討を進めてございます。
 引き続き、地元自治体とも連携し、民間の活力も生かしながら、駅とまちが一体となった便利でにぎわいのある交通結節点の整備に取り組んでまいります。

○古城委員 飯田橋駅周辺におきます駅基盤再整備構想の具体化、すなわち基盤再整備方針の策定について、しっかりと関係各区と連携をしながら、都として主体的に進めていただきたいと思います。
 また、飯田橋駅の周辺は神楽坂や、さらに、市谷、四谷とつながる外堀など、ここまで私が今論じてまいりました持続可能な都市づくりに資する、場所が豊富な目的地であります。こうした意味でも、外堀を中心とした魅力あるまちづくりに向けて、人々が憩う外堀の水辺再生を着実に進めていただきたいと、本日も改めて要望したいと思います。よろしくお願いいたします。
 二つ目のテーマに移ります。政策連携団体についてであります。
 一昨日も住宅政策本部所管について質問いたしましたが、都市整備局所管の政策連携団体も障害者雇用の拡充に取り組むことが重要であります。SDGsの観点からも、目標一、目標三、目標八、目標十などを中心に密接に関連するものです。
 昨年三月には法定雇用率が引き上げられたところですが、都市整備局所管の政策連携団体について、障害者法定雇用率の令和二年度及び令和三年度の達成状況についてお尋ねします。

○水野連携・連絡調整担当部長 当局所管の政策連携団体四団体のうち、株式会社多摩ニュータウン開発センターは、従業員数が適用基準に満たないため、制度の対象外となっております。
 令和二年六月一日時点の障害者雇用率につきましては、公益財団法人東京都都市づくり公社が二・四一%、多摩都市モノレール株式会社が二・〇三%、東京臨海高速鉄道株式会社が二・一五%でございまして、いずれも法定雇用障害者数を満たしており、法定雇用率を充足しておりました。
 また、令和三年六月一日時点の障害者雇用率につきましては、都市づくり公社が一・七%、多摩都市モノレールが一・九四%、東京臨海高速鉄道が一・五二%でございまして、多摩都市モノレールは法定雇用障害者数を満たしており、法定雇用率を充足しておりましたが、都市づくり公社及び東京臨海高速鉄道は、令和二年度末で退職した方がおられたため、それぞれ雇用障害者数が一名不足しておりました。
 その後、両団体は採用活動を積極的に行い、令和四年二月末時点では、いずれの団体も法定雇用障害者数を満たしており、法定雇用率を充足しております。

○古城委員 法定雇用率が引き上げられた中で、年度末退職によりまして本年六月一日という報告時点ベースでは未達ではあったけれども、その後の積極的な採用活動を展開して、いずれも法定数を達成しているということは評価させていただきたいと思います。
 その上で、障害者雇用率、障害者雇用数の達成は単なる数合わせにならないよう、雇用の質や職場への定着にも力を入れる必要があります。
 そこで、都市整備局所管の政策連携団体における障害者雇用の促進に向けた取組についてお尋ねいたします。

○水野連携・連絡調整担当部長 各政策連携団体は、総務局主催の政策連携団体向け研修などに人事担当社員を参加させることにより、団体内における障害者雇用の理解促進を図っております。また、障害者の採用確保に向けて、ハローワークを通じた募集を行うほか、人材紹介会社を活用するなど必要に応じて採用機会の拡大を図っております。
 一方、採用後は、障害特性に応じた適切な配置を行うとともに、例えば室温に敏感な方へ作業環境の温度に配慮するなど、障害を有する社員が働く上での環境整備にも努め、障害のある社員の定着を図っております。
 当局においても、障害者雇用促進法に基づく総務局通知を踏まえ、各政策連携団体に対し指導を行うとともに、他の政策連携団体の受入れ環境整備についての情報提供を行うなど、政策連携団体における障害者雇用の促進を図っております。

○古城委員 都市整備局所管の政策連携団体において、私たち都議会公明党が訴えてまいりました全庁かつ都庁グループ全体での方針を踏まえて、今、答弁で示していただいた具体的な取組によって、着実に障害者雇用が進んでいるということを確認させていただきました。
 今後も、法定雇用率、法定雇用数の達成とともに、誰もが働きやすい職場づくりを進めていただきたい、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○原田委員 外環、BRT、そして神宮外苑についてお聞きします。
 おととし陥没事故を起こし、まだ事故の原因や対策に対して専門家からも批判が渦巻く中、今年二月工事が再開されてしまった外環道計画。ところが、東京地裁は二月二十八日、具体的な再発防止策が示されていない、工事は違法だとし、外環道計画において陥没、空洞を引き起こした地域での一部工事の差止めを事業者の国土交通省や東日本高速道路、NEXCO東日本などに命じる決定を行いました。
 この間、我が党都議団は、事前調査の決定的な不足、施工管理が不明瞭なこと、住民説明や情報開示に対して徹底的に不誠実であること、トンネル施工や事故調査に第三者機関が存在していないことなどを、るる指摘してまいりました。
 しかし、都は、第一義的には国と事業者の責任といい続け、しっかり対応していると国や事業者を固く信じ続けてきました。事故が起きた後もそうなわけですね。そうして昨年三月、東京都は、住民や日本共産党からの猛烈な反対をよそに、事業認可をしてしまったわけです。
 その点で、今回の東京地裁による一部差止めは、東京都にとってもその姿勢を問われる重大な機会となっています。
 そこでお聞きしますが、東京都は昨年三月、都市計画法上の事業認可を外環道計画の期間延長に対して行いましたが、その際の認可条件を示していただきたい。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 昨年三月の都市計画事業の変更認可に当たりましては、高速道路株式会社に対しまして、再発防止対策も踏まえ、周辺地に対する影響を十分に配慮するとともに、工事施工の安全に万全を期すことなどを認可の条件として付しております。

○原田委員 工事施工の安全に万全を期すこと等を認可の条件として付したわけです。
 ところが、今回の東京地裁の決定は、まさに陥没、空洞が発生した地域においては再発防止策が提出されていないことをもって、工事の再開は、この地域の原告の一人については違法性があるといわざるを得ないと指摘しているわけです。まさに安全に対して万全が期されていない中での掘進再開だったわけです。
 都市計画法上の認可権者である知事は、東京都は、もう本当に自分の胸に手を当ててこの決定を受け止めなければならないんです。
 さて、工事の一部差止め決定についてもう少し詳しく、深く聞いてみたいと思います。
 NEXCO東日本らは、掘削再開時について、カッターの閉塞を生じさせない等の再発防止対策を講じるとしていることから、原告の居住場所において陥没が発生するおそれがあるとはいえないと主張したのに対して、東京地裁は、本件陥没事故が発生してから一年以上、本件有識者委員会報告書の完成から、もう約九か月が経過した第十一回審尋期日においても、本件陥没を生じさせた東名ジャンクション部発進の本線トンネル南行き及び北及びそれと並走する同北行きの工事については、再発防止対策策定までの具体的なスケジュールは明らかにできない旨を述べるにとどまっており、現段階においても再発防止対策の事業者案の策定、有識者による確認は未了であると指摘をしているわけですね。
 その上で原告の一部について、その居住場所に陥没や空洞が生じる具体的なおそれがあるといわざるを得ないとし、東名ジャンクション部を発進する本線トンネル南行き及び同北行きの工事には、差止めを認めるのを相当とする違法性が認められるというべきであると断じ、人格権に基づく差止め請求権を認めています。
 この一部住民の家屋はトンネル直上から僅かに外れておりまして、その住民の居住について陥没や空洞が生じる具体的なおそれがあると東京地裁が断じたことについて、都民の命と財産を守る立場に立ち、事業を認可した東京都としてどのように受け止めているかお答えください。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 都市計画事業の認可に当たりましては、工事の安全・安心の取組は事業者の当然の責務であることから、再発防止対策も踏まえ、周辺地に対する影響を十分に配慮するとともに、工事施工の安全に万全を期すことなどを認可の条件として付したところでございます。
 工事施工の安全に万全を期す一環としまして、事業者は、陥没箇所周辺では補償や地盤補修への対応を行い、今後、再発防止対策の取りまとめや住民説明を実施するとしておりまして、事業者は認可の条件に即した対応を行っていくものと考えてございます。

○原田委員 東京都は、今まで私が示したような決定を受けて、事業者に対して安全に万全を期してやるということを付して事業認可をしたのに、東京地裁からこんな決定を受けてしまう、そういう乱暴な計画を進めてしまったわけですね。
 東京都として、事業者に対して遺憾の意も表明するつもりはないんですか。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 繰り返しになりますが、認可に当たっては、工事の安全・安心の取組は事業者の当然の責務であることから、再発防止対策も踏まえ、周辺地に対する影響を十分に配慮するとともに、工事施工の安全に万全を期すことなどを認可の条件として付したところでございます。
 工事施工の安全に万全を期す一環として、事業者は、陥没箇所周辺では補償や地盤補修への対応を行い、今後、再発防止対策の取りまとめや住民説明を実施するとしておりまして、事業者は認可の条件に即した対応を行っていくものと考えてございます。

○原田委員 東京都は、丁寧にやれよと、安全には万全を期してよと、事業認可を昨年三月に行っているんですよね。それが丁寧じゃなかったと。安全対策も万全ではなかったのに工事再開の動きとなったものだから、一部工事差止めという重い決定が下されたわけなんですよ。
 当然、都としては国と事業者に、こんな判決出されるようなことをよくもしてくれたなと怒る権利があるし、遺憾の意の一つも出さなきゃ自治体と呼べませんよ。国にいいなりの組織じゃないですか。もっと被害住民の立場に立って、政治をしていただかなければ、行政を進めてもらわなければ困るんだと、改めて指摘したいと思います。
 本来、高速道路株式会社法や大深度法において、陥没した地域はNEXCO中日本の事業認可が行われている区域であったことが、我が党の「しんぶん赤旗」の報道で明らかになりました。さらに、事業範囲外の高速道路を新設などする場合、高速道路株式会社法第五条第四項において大臣の認可を受けなければなりませんが、NEXCO中日本あるいは東日本は、国土交通省の事業範囲外の工事の認可を受けていないことも赤旗新聞紙上において指摘をされております。
 この工事や事故の最終的な責任者は、事業認可を受けたNEXCO中日本になるのか、NEXCO東日本になるのか、それは何に基づいて規定されているのか、事業認可をした東京都として、どのように受け止めていますか。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 外環は、国、NEXCO東日本、NEXCO中日本によって事業が進められております。
 許認可権者であります国からは、許認可を受けている事業範囲以外についても高速道路株式会社法に基づき工事の施工は可能と聞いております。今般の陥没事故の責任者は、施工を行ったNEXCO東日本が第一義的に責任を持つと聞いております。
 なお、都が行いました都市計画事業による事業認可は、高速道路株式会社法や大深度法による許認可とは別の話でございまして、お尋ねの件につきましては、高速道路株式会社法や大深度法に基づき、当該許認可権者によって判断されるべきものでございます。

○原田委員 事業範囲外の工事を行う際には、大臣の認可を受けねばならないという法律になっているとの指摘に対し、高速道路株式会社法や大深度法については国が判断すべきものだというかわしているようでいて全く答えになっていない答弁であります。
 国は、違法状態ではないかとの指摘に対し、NEXCO中日本、東日本、国で協定を結んでいるので問題ないといっているそうです。
 そこで、都市計画法上の認可権者であり、自治体たる東京都に改めてお聞きします。三者の協定が結ばれていたとしても、高速道路株式会社法第五条第四項の定めにあるとおり、大臣の認可は受けることが望ましかったのではありませんか。事業を認可した東京都としては、国等事業者に確認する必要があると思いますが、いかがでしょう。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 許認可権者であります国からは、許認可を受けている事業範囲以外についても高速道路株式会社法に基づき工事の施工は可能と聞いてございます。

○原田委員 国は、協定が結ばれているので問題ないといっているようですけれども、この高速道路株式会社法第五条には、明らかに大臣の認可を工事範囲外で施工するときは求めているわけですよ。大臣認可は受けてもらうべきだと思うんですね。東京都は認可条件に、当然、遵法規定があるわけでしょう。
 高速道路株式会社法第五条第五項は高速道路の新設など基幹的事業以外の工事等を対象としており、これを根拠にNEXCO東日本が事業認可を受けていない東つつじケ丘で工事を発注することはできないのではないのかと。事業認可を行った都としてどのように考えていますか。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 許認可権者であります国からは、許認可を受けている事業範囲以外についても高速道路株式会社法に基づき工事の施工は可能と聞いております。
 なお、高速道路株式会社法に関する事項は、当該許認可権者によって判断されるべきものでございます。

○原田委員 質問に全く答えていないの分かっているんでしょうか。
 東京都の認可条件、もう一度おさらいしますね。一、基本的事項に、東日本及び中日本高速道路株式会社は、本件事業の実施に当たって、事業計画及び認可条件並びに関係法令等の定めるところにより、適正に施工することと書いてあるわけですよ。そして、その関係法令たる高速道路株式会社法の定めは、事業範囲を超える際は大臣の認可を受けると、そういうふうに書いてあるわけなんです。東京都は、自らの事業認可条件もかなぐり捨ててまで国に従うのかと問われているわけですよ。
 東京都というのは自治体なわけです。国が重大な事故を引き起こして、都民の命と財産が脅かされているときに、国が法の定めも曖昧にしている事項が指摘されたのなら、国の意見を聞くだけでなく、自分の調査と分析を基に自ら意見を発するべきなんですよ。
 今回の東京地裁一部工事差止め決定や、適切な手続を踏まずに事故を引き起こした事業者に対し、何ら自らの意見を持たない東京都政、小池都知事は、自治体の在り方としてかけ離れた姿に成り下がっているということを指摘し、外環についての質疑を終わります。
 次に、東京BRTについて伺います。
 BRTの構想は二〇一四年、今から八年前に遡ります。二〇一四年八月、基本方針が策定され、その二か月後には、もう事業協力者が京成バス及び東京都交通局に決まり、協議会が発足しました。そして、年が明けて二〇一五年四月に、都市整備局は都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する基本計画を策定しました。七年前ですね。この間、基本方針から基本計画までたったの半年でばっと動いたんですよね、BRTは。
 そもそも、失敗に失敗を重ね続ける臨海副都心開発にいつまでもしがみつき、再開発の乱発で建築規制を次々と緩和し、インフラ整備に税金を投入して東京都の環境に多大な負荷をかけながら強引にまちをつくり、そして、ここに来て交通網の脆弱さが大きな問題となってきています。都市計画というより、私は都市無計画だと思うんですよ。
 そんな中、発表されてきたBRTに関する事業計画は、二〇一八年八月の改定版で具体的なスケジュールが示され、二〇二〇年に開催されている予定の大会前、大会期間中にはプレ一次運行開始、大会後にはプレ二次運行として、本格運行を前にほとんどの停留所が出来上がり、本格運行では晴海フラッグに停留所ができて、新橋からの目標到達時間も達成されるようになる。そんな計画のはずでした。
 ところが、一年延期になった東京二〇二〇大会終了後も、まだ第二次プレ運行が開始されず。本当は一年前にできてなくてはいけなかったわけです。BRTは、その予定が現在大幅に遅れています。
 都は、第二次プレ運行に向けて七か所の停留所の施設整備工事が不調に終わったことを一月に発表しました。
 ここでお聞きします。東京BRTの停留所整備工事が入札不調になった経過を伺います。

○三木交通政策担当部長 プレ運行二次の開始に必要となります停留所の整備のため、昨年十二月、横断抑止柵の撤去ですとか、車道や歩道の舗装などの工事を起工いたしました。
 本年一月の入札は、九者が辞退、一者が不参加となり、残念ながら入札不調となりました。

○原田委員 そもそも一年遅れた五輪大会であって、その直後に入札も行えず、今年一月になったというのですね、入札が。
 聞くところによると、昨年十二月まで停留所の位置などについて地域や警察との調整をつけていたと聞きます。一年延期になっているのに、そんなことも調整がついていなかったのかと驚くのですけれども、そして今度は入札に参加した九者が全て辞退と。一体何が起きているのかなと。
 工事自体は決して難しい工事ではないと思われますが、入札が不調となった。都は、辞退や不参加となった十者に入札不調の理由を聞き取っているそうですが、聞き取りの結果を教えてください。

○三木交通政策担当部長 入札参加者にヒアリングを実施いたしましたところ、主な辞退の理由といたしまして、停留所が七か所に点在していること、また、技術者の確保が困難であることなどが挙げられております。

○原田委員 なるほど、七か所に点在した停留所を一度にやるのが大変だったと。年度末の発注で一度に七か所の工事、そう聞けば、確かに不調になるのかなというような気もしますけど、逆に、しっくりき過ぎる理由といいますか、そんなことは入札の前から予想がつきそうなものだなといいますか、本来大変緊急かつ深刻な事態ですよね、これ。
 いうまでもなく、停留所ができるまでBRTは運行ができません。BRTの運行を都心へのアクセスの頼みの綱とする晴海フラッグ購入者にとっても、大変な不安材料となることは疑いようがありません。
 事業協力者である京成バスが乗り込んできて、何を不調にしているんだと、どなり込んで来てもおかしくなさそうな事態なのに、どうも緊張感が足りないような気がすると。そこに違和感を感じるんですよね。単なる入札の不調というのではない、何か深刻な雰囲気が漂っているような気がします。
 気になるのは、京成バスの体制は、入札の不調で問題が生じていないのかということですので、お聞きしますが、プレ二次運行のダイヤや運行台数などは決まっているのですか。

○三木交通政策担当部長 事業計画におきましては、東京二〇二〇大会後にプレ運行二次を開始する予定といたしております。
 プレ運行二次の開始に向けまして運行事業者との協議は行っておりますが、現時点におきまして、運行についての詳細は定まっていないような状況でございます。

○原田委員 本来一年前にスタートしていたはずのプレ二次運行なのに、バスの停留所整備の入札もいよいよ行われるというのに、京成バスの方は具体的なダイヤも運行台数も決まっていないということがあるわけなんですね。
 入札が成立していたら、いよいよ運行に向けて動き出していかなきゃいけないのかなと思うんですが、その辺どうなっていたのか実態を知りたいなと。
 だんだん不安になってくるんですが、バス停留所の次回の入札時期など見込みはあるんでしょうか、今後の予定と見通しを伺います。

○三木交通政策担当部長 工事の円滑な実施の観点から、工事規模の適正化による全体計画の見直しを行うとともに、入札参加者へのヒアリング等を踏まえまして、今回七か所のうち工事を速やかにできる三か所について起工いたしまして、三月七日に開札があり、落札者が決定したところでございます。
 他の停留所につきましても、今後速やかに起工できるように検討してまいります。

○原田委員 今回、三月九日の予算特別委員会でこのBRTの問題、取り上げようとしまして何度か進捗状況をお伺いしていたら、突如として、その二日前の三月七日に五百万円ほどの発注が行われて、随意契約になるんですかね、施工者が決まったと報告がありました。そんなに慌てなくてもいいんじゃないのかなと思うわけですよ。
 だって、京成バスだってダイヤも運行台数も決まっていない、乗務員の確保もどうしたものかという状況だと思うんですよ。どうなんでしょうか、そうやって付け焼き刃のように、深い傷にばんそうこうを貼るようなことをし続けるから、傷がどんどん悪化するんじゃないでしょうか。
 一時期、連結バスといえばコンパクトシティの代名詞のようにもてはやされまして、どこでも市町による導入検討や議員の視察が横行した時期がありましたが、私も杉並で区議会議員時代に見に行った記憶がありますけれども、結局、BRTの車両自体はコンパクトでも何でもなくて、道幅に合わないとかいろんな問題山積で、導入の話はどこかに消えていくというのが、そういう話が全国で見られました。
 今回は、東京の場合、オリンピックの招致やまちの開発が先行してしまって、BRTが後から掲げられるという流れですし、水素社会の実現とか余計なものまで背負うことになりますから、本当に大変だと、所管は大変だろうなと思うんですけど、そうはいってもこの地域のまちづくりは、もう走り始めてしまっています。
 入札が不調とかダイヤも運行台数も決まっていないとかいろいろありますが、そもそも大きな課題が横たわっているように感じます。
 BRTは、連節バス、PTPS、公共車両優先システム、バス専用道、バスレーン等を組み合わせることで、速達性、定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステムと国交省は説明しています。つまり、連節バスによる大量輸送と専用レーンやPTPS、公共車両優先システムなどによる定時性、速達性、この二つの機能を備えたものがBRTだっていうんですね。
 ところが、住民の話では、専用レーンなんてないし、ほとんどが普通のバスで、連節バスはいつもではないということなんですね。
 お聞きしますが、連節車両の運行が一部しかできなかった理由は何でなんでしょうか。

○三木交通政策担当部長 都心と臨海地域とを結ぶBRTに関する事業計画におきまして、当初の計画から、プレ運行一次及びプレ運行二次では水素を燃料とする連節ではない単車の燃料電池バスを中心として運行すると。その上で連節バスも一次で使用するということとしております。
 連節バスに関しましては、現在まず一台が運行しているような状況でございます。

○原田委員 事業計画の段階から、プレ運行では連節バスは一部の運行のつもりだったということなんですが、それにしても六台中のたった一台と。
 昨年の十二月まで地域や警察と停留所について調整をしていて、プレ二次運行にもこぎ着けられていないというのは、もう本当に連節バスは現実的なのか不安が募ってくるんじゃありませんか。
 しかも、お聞きしたところによると、当初、基本計画に書かれていた専用レーンは、いざやろうとしたら大変な渋滞が起きてしまうので難しい状況だと。これなんて、今さら解決できない問題じゃありませんか。
 つまり、連節による大量輸送も、バス専用道などによる定時性、速達性も担保されていないということになります。つまり、現状はBRTとは名ばかりの、単なる路線バスにすぎないという事態ですし、このままだとずっとそのような状態が続くと。
 晴海ふ頭という一大都有地を二束三文で売り飛ばし、莫大な税金をかけて道路や周辺を整備し、施してあげて、大規模なマンション群建設を誘導したんですから、それはもう都心への交通手段は新交通システムと格好よくうたいたい気持ちは分からないでもありません。まさに新交通システムというのは、最初からうたい文句でしかなかったのかと思わざるを得ない事態です。単なる路線バスだったのではないかと。
 知事や都市整備局は、施策の外見や話題性ばかりにしがみつくことなく、今後は、もう住民、呼び込んじゃうわけですから、住民の声にもしっかりと耳を傾けて、この地域の輸送交通の、通勤通学の在り方を丁寧に考えていただきたいなと思います。
 本日のところはここまでとしますが、こうした状況を放置しながら、よくも東京ベイeSG構想などと浮かれていられるなと。この質疑をしながら本当にあきれる思いです。
 東京都のまちづくりの計画性を確かめる上でも大事な施策となりますので、今後も注目していきたいと思います。
 それでは、神宮外苑地区地区計画について、予算特別委員会に引き続き質疑をさせていただきます。
 予特でやり切れなかった質問や、かなり細かいマニアックな質問などが残っておりまして、一つ一つ確認していきたいと思います。
 予特質疑で知事は、民間事業者が先人の思いや歴史にも思いをはせながら、一本一本の樹木を大切に扱っているとかばい、今回の計画により、新たな神宮外苑として次世代につなげていくことは創建の趣旨にかなったものと、根拠不明の答弁をされました。
 イチョウ並木の眺望点脇に設置された明治神宮外苑之記、これ読まれたことが知事はあるんでしょうか。そこにはこうあります。外苑内には、聖徳記念絵画館を中心に、野球場、競技場その他多くの優れた運動施設が設けられ、明治天皇のご仁徳をおしのびしつつ、青少年の心身鍛錬の場として、あるいは遊歩を楽しむ人々の憩いの苑として、崇高森厳の気みなぎる内苑−−明治神宮のことですね、と相まって造成されたもので、永く後世に残されるものでありますと書かれているわけです。大正十五年十月、明治神宮奉賛会徳川家達。まさにこれが創建の趣旨ですよ。
 超高層ビルを建て、ホテルを建て、庶民のスポーツの場を多数奪い、内苑と共に百年かけて育った崇高森厳の気みなぎる森やイチョウ並木の一部を切り倒した。そんな神宮外苑を次世代に手渡すことが創建の趣旨に合わないことは明白です。
 予算特別委員会では、事業者や都の、極力緑は守るという言葉に幾つものごまかしが含まれていることを指摘しました。
 ここで新たに指摘をさせていただきますが、事業者は、この計画で緑地や樹木の保全に対して、実は都民に対して二つの約束をしています。一つは、樹木の伐採をしたら、伐採本数を上回って新植する、新しく植えるということ。もう一つの約束は、今回、都市計画明治公園の区域を公園まちづくり制度という手続も使って一部除外するために、その代わりとして、除外する区域の面積の六〇%に当たる面積を緑地等にするという約束なんです。二つの環境破壊が行われるので、それを補うには、その約束が一つ一つ守られなければならないことはいうまでもありません。
 しかし、今回の計画を見るにつけ、どうしてもそうした敷地が残っている、増えるように見えないわけです。もしかして、樹木伐採後に植え替える木の面積と、都市計画公園区域を外す代わりに設置を約束した緑地等をダブルカウントしていないか、不安が募ってまいりました。
 そこで一点確認します。本計画では、公園まちづくり制度の取決めとして都市計画公園の一部区域を外す代わりに、外した区域の面積の六〇%を緑地等にするといってきましたが、その区域内の緑地等には、新たに植樹する木は含まれているか。

○小野都市づくり政策部長 本計画では、公園まちづくり制度の活用により、公園計画区域から外す区域における緑地等には、新たに植樹する樹木は含まれております。
 公園まちづくり制度では、公園計画区域から外れた民有地も含め、既存の公園計画区域と一体となった、より質の高い公園的空間を整備することを目的としており、既存の樹木も生かしながら、新たに樹木を植樹し、緑を増やすこととしております。
 この制度を活用し、公園計画区域から外す区域における緑地等につきましては、保全する樹木も含め、地区全体として量、質ともに、より良好な緑空間としてまいります。
 なお、委員からダブルカウントではないかというご指摘もございましたが、公園まちづくり制度や再開発等促進区の運用に当たりまして、緑地の面積や樹木の本数など、何か二重に計上しているということはございません。

○原田委員 しかしながら、一番最初に部長答弁で、公園計画区域から外す区域における緑地等には、伐採後に新たに植樹する木は含まれていると、自ら答えているじゃありませんか。
 いいですか。都民に対してこの計画は、伐採をした木の代わりに、伐採をした木を上回る木を植えますと約束しているんです。もう一つは、公園区域を一部除外してしまうんで、その部分はちゃんと緑地等を今まで以上につくるから勘弁してくださいといっているわけですよ。
 ところが、この緑地等を設置しますといっている地域と、伐採をする代わりに新たに植えますという木の地域が、面積が、一緒くたになっていると。おかしな話なわけですね。これダブルカウントといわずに何というのかと。
 ごまかすにも程があると思うんです。しかも、まだひどいごまかしがあります。秩父宮ラグビー場の周りは、現在、周囲を歩けないわけですが、これが北の方に移動して新ラグビー場になると周囲を歩けるようになるんだと。そうすると、未供用だった土地が供用になるので、その新ラグビー場の周りを歩ける歩道も緑地等に含まれるんだという計算になっているわけです。ただ歩けるようになったから、それがなぜか緑地等に含まれると。
 さらには、これ深刻ですよ。もともとあった建国記念文庫の豊かな重層な、重厚な森ですけれども、今回、新ラグビー場棟の建設で半分以上伐採されます。何と、残った森が新しい緑地等に数えられているんです。面積に加えられているんですよ。これ、どういうことなんでしょうか。
 都市計画公園区域を外す代わりに、その外した面積の六〇%は緑地等にしますといっていたんですけれども、その六〇%の敷地の中に、半分に削られてしまった森の面積がなぜか含まれていると。もうしっちゃかめっちゃかですよ、この制度。
 もう一度いいますけど、都市計画公園区域が外された代わりに設置すると事業者が約束していた緑地等が、緑地の増進につながっていない歩道や、それに連なるエレベーターや階段まで含まれて、樹木の伐採の代わりに植えた木々もその六〇%に数えられてしまい、むしろ減らされた森が新緑地としてカウントされているというわけです。これを全部緑色に塗って、私たち議員や都民に計画後緑は増えますよというふうに見せてきたんですよ、皆さん。本当にこういうごまかしがいつまで続くのかと、都民は黙っていないということを改めて私から訴えさせていただきたいと思います。
 さて、この開発で四万七千トンのCO2が排出されることを代表質問で指摘しましたが、同時に、建築に関わるCO2の排出も深刻であるということを予特で指摘をしました。このときは質問にしませんでしたのでここでお聞きします。
 開発における建材生産で発生するCO2は、開発後の年間排出の十数年分に匹敵すると指摘する研究者もいますが、超高層ビルの建材生産に関わる大規模なCO2排出について東京都は認識しているのか伺います。

○小野都市づくり政策部長 まず先ほどのご質問の中で、多分、委員おっしゃりたいのが、実質的な緑の充実強化につながっていないのではないかというご疑問があるということだと思いますけれども、公園まちづくり計画の区域に対する緑の割合とか、地区全体における樹木、まあ、高さ三メートル以上の本数ですけれども、確認することにしておりまして、現時点の民間事業者からの提案でも、緑の割合、樹木の本数も増える計画になっております。
 いずれにしましても、今後、具体的な設計が進む中で樹木の調査も行ってまいりますので、民間事業者における緑の充実強化につきましては、しっかり確認をしてまいります。
 また、ただいまのご質問でございますが、環境負荷を低減し、東京が持続的な発展を続けていくためにも、長期的な観点から東京全体の市街地の再構築を進めていく必要がございます。
 特に、民間による優良な都市開発では、高効率な設備機器や地域冷暖房システムの導入、再生可能エネルギーの積極的な活用、質の高い緑空間の拡充などに加え、建材生産過程や建設段階でのCO2排出量の削減に取り組むなど、多面的、多角的な観点から先導的に脱炭素化を図っていくことが重要だと認識しております。

○原田委員 悔し紛れに緑の割合は増えるんだといいましたけど、何度もいいますが、その緑の割合の中には、樹齢百年の大木が切り落とされた後に、そこら辺の植え込みとか花壇みたいなもの、ホテルの屋上の植栽、そんなものがほとんどということですよ。ついでにいえば、これ何割になるのかな、かなりの規模で歩道が入っているわけですよ。これ何で緑地等なんですか。これはさっき指摘したとおりです。これをどんなに部長が強弁しても言い訳にならないと思います。
 ただ、建材生産に関わるCO2の排出については初の答弁がありました。これまで、建材生産に関わるCO2、建設時のCO2排出、あるいは解体におけるCO2の排出など、私は何度か指摘をしてきました。今回初めて建材生産過程等のCO2排出削減の取組は重要という答弁が出てまいりましたことは重要です。
 都市整備局は、今後、開発に関わって、建設に関わるCO2の排出についても事業者に報告を求めるべきと指摘しておきます。
 これまでは、二百メートル、三百メートルのビルを建てても、その建材は全部東京都の外でコンクリートも鉄骨もつくられているので把握する必要はありませんと、把握を拒否してきたわけですよね。ただし、今日の答弁は非常に重要でした。削減をしなきゃいけないし、把握もできればしていきたいみたいなような答弁だったと思います。
 また、建材生産過程でのCO2排出削減ということもおっしゃられまして、これはすごいなと。具体的にどのような取組になるのか聞きたいし、逆に疑問です。
 そもそも新築ビルを抜本的に規制することしか、私はないと思うんですよね。海外で、この東京ほど新築ビルに携わることはなかなかないらしいですよ。東京の場合は、ビルを建てるといったら新築ビルばっかりなわけですよ。でも、向こうに行ったらやっぱり既存のビルをどうやって建て直すかという仕事が建築関係の人たちにはたくさん来るそうなんですよね。やっぱり改めて、そういったまちづくりの在り方そのものも問われるのかなというふうに思っています。
 さて、今回の計画では、三井不動産の複合棟A、百八十五メートルビル、伊藤忠の百九十メートルビルは、神宮外苑内の敷地から容積移転を受けることが明らかとなっています。このことを私が聞くまでちゃんと説明していないというところからして、この計画や事業者は不誠実極まりないなと思うわけなんですけれども、そこでお聞きします。
 二百メートルに近い超高層ビル二棟は、都市計画公園内の明治神宮の敷地や、元は国有地である日本スポーツ振興センター、秩父宮ラグビー場から容積移転を受けることが分かっております。空中権の移転だと思いますが、その際、三井不動産や伊藤忠商事は容積配分の対価として何をどれだけ支払うのか。

○小野都市づくり政策部長 本計画では、地区計画により、容積の適正配分が行われますが、関係地権者間での売買契約は行われないと聞いております。
 当地区では、関係地権者が共同で都市再開発法に基づき市街地再開発事業を実施する予定としており、当事業での建て替え費用や広場などの整備費に充当される保留床処分金の一部が容積配分の対価相当に当たると聞いております。
 その保留床の取得者や価格につきましては、都市再開発法に基づく市街地再開発事業の手順どおり、今後、都市計画決定された後、事業化の検討の中で関係地権者により決められたものと聞いております。

○原田委員 これは初答弁になりますが、極めて複雑ですよね。今の答弁からすると、超高層ビル二棟は三井不動産や伊藤忠がそれぞれ建てるのではなくて、まずこの地区計画の事業者である四者みんなで建てるんだと。そして、容積率移転で超高層化した二棟のビルの保留床、単純にいえば余ったスペースを三井不動産や伊藤忠が受け取り、その保留床処分金が新神宮球場や新ラグビー場の整備費等に充てられる計画になっているんだと。
 結局のところ、三井不動産と伊藤忠は容積率を、事実上ですけれども、購入することになるわけなんですね。それを、売買契約はないといった後、すごい難しい答弁で部長は語り切っていただいたわけです。都市計画公園の区域内の容積が売買される前代未聞の計画となるわけです。
 ここから少し難しい話になりますが、この計画の柱ともいえる超高層ビル二棟はどうやって建てられることになるのか、その辺を確認していきたいと思います。
 神宮外苑で行われる再開発は、再開発等促進区を定める地区計画という制度で進められます。専門家からは、この時点で何っとなるんだそうです。
 国土交通省の都市計画運用指針というものがあります。これは、地方自治法第二百四十五条の四という法律で国の大臣は自治体が行う事務等に対して技術的な助言や事務等の適正な処理をさせるために、情報提供とかいろいろしなければならないことになっておりまして、都市計画をする上で国から示されたもの、これが都市計画運用指針です。恐らく都も、都市計画法を運用するに当たっては、日常的にこの都市計画運用指針を指針としているものと思います。
 なお、地方自治法逐条解説では、国が地方公共団体に行う技術的な助言とは、恣意的と取られるような判断を含まない、客観的に妥当性のある行為または措置を実施するよう促すものとされています。
 では、都市計画公園に再開発等促進区を定める地区計画を適用することについて、都市計画運用指針における根拠は何か。

○小野都市づくり政策部長 少し技術的なご説明になりますので、ご容赦願いますが、都市計画運用指針によれば、再開発等促進区を定める地区計画の目的は、まとまった低未利用地などにおける土地利用転換を円滑に推進するため、都市の良好な資産の形成に資するプロジェクト等を誘導することにより、都市環境の整備、改善などに寄与しつつ、土地の高度利用と都市機能の増進を図ることとなっております。
 再開発等促進区を定める地区計画は、都市計画公園区域における適用が認められており、センター・コア・エリアにおいて長期未供用の区域がある都市計画公園、緑地を含む区域を対象として、公園まちづくり制度を活用することにより、民間都市開発の機運を捉え、再開発等促進区を定める地区計画の提案を民間から受け、まちづくりと公園整備を両立させながら、地域の防災性の向上や緑豊かな都市空間の形成など、公園機能の効果的な発現が可能となるものでございます。

○原田委員 なるほど、都市環境の整備、改善などに寄与しつつ、土地の高度利用と都市機能の増進を図るために、再開発等促進区を定める地区計画を適用した方がいいと思ったということなんですね。
 確かに、都市計画運用指針には、地区計画の区域内において、公共施設の整備を図りつつ、高容積の土地利用転換プロジェクトを誘導することにより、土地の高度利用と都市機能の増進を図る場合には、必要に応じ再開発等促進区の活用を図ることが望ましいと書いてあります。
 しかし、この都市計画運用指針には、先ほど部長が答弁された都市環境の整備、改善などに寄与しつつ、土地の高度利用と都市機能の増進を図ると書いてある文章に続いて、運用指針にはこう書いてあるわけですよね。再開発等促進区を指定することが考えられるケースの例示、五つ。一、工場や倉庫などの跡地、二、埋立地、三、住居専用地域内の農地や低未利用地を住宅市街地に転換する場合、四、老朽化した住宅団地、五、木密地域。
 神宮外苑のような都市計画公園は、再開発等促進区を指定することが考えられるケースのどこにも見当たりません。要するに、神宮外苑再開発は、地方自治法、先ほど紹介しました逐条解説が戒めていた恣意的な判断によって、都市計画法の運用について国も想定しないような、いわば脱法的なやり方で進められたんじゃありませんか。
 また、再開発等促進区を定めるその本音は、最終目標が都市環境の整備改善ではなくて、その手段として書かれていたはずの高容積の土地利用転換プロジェクトの誘導、ここにこそ今回神宮外苑に再開発等促進区を定める、その本音があったんじゃないのかと。
 そもそも、東京都は既に二〇一一年、今から十一年前、九月、国立競技場整備の際に再開発等促進区を定める地区計画を適用する場合は、国において都市計画運用指針の改定等が必要となり、ハードルが高いと述べ−−先ほど私が指摘した五つの例示をその理由として、ハードルが高いといった理由として挙げているんです。十一年前にその議論をやっているわけですよ。上野さん、そこにいたでしょう。このとき、都市計画運用指針は実際改定されたんですか、その後。

○小野都市づくり政策部長 委員お話しの都市計画運用指針の改定については、ちょっと承知をしておりませんが、先ほど委員から挙げられた五つの事例というのはあくまで事例でございまして、今回お話ししましたセンター・コア・エリアにおきます長期未供用の区域がある都市計画公園、緑地も、土地の合理的利用が進んでない点では、それらの事例と同様な性格を持っているものと理解しております。都市計画上、何ら問題はないと考えております。

○原田委員 私の説明、聞いていました。地方自治法逐条解説では、この例示については技術的な助言なわけですけれども、この運用指針というのは、恣意的と取られるような判断を含まないようにと、客観的に妥当性のある行為または措置を実施するよう促すものとされているわけで、再開発等促進区を適用するような地域のケース五つに、かすりもしないわけですよ、神宮外苑の都市計画公園は。まさに恣意的な判断で、どこにもやっちゃいけないと書いていないからいいんじゃないかみたいなのりでやっているんですけど、法の立てつけは、こうやって様々な段階で皆さんのような人が現れないように、ちゃんと客観性を持って制度を活用しなさいと、立てつけになっているわけですよ。私は、ですから脱法的行為なんじゃないですかといったんです。
 都市計画運用指針、国立競技場の際にこの五つの例示があるから、これを国立競技場だとか神宮外苑に再開発等促進区を定める地区計画を適用するのはハードルが高いと述べていたにもかかわらず、その後、結局都市計画運用指針の改定は国において行われず、そのままの状態で皆さんは突き進んでいるわけです。不思議ですよね。十一年前は、これハードル高い、やばいんじゃないかといっていたのに、今突き進んじゃっていると。
 しかし、都市計画明治公園一帯に再開発等促進区を設定する地区計画が決定されてしまっています。神宮外苑の再開発というのは、徹頭徹尾、東京都の恣意的な判断によって意図的に法の想定をかいくぐって進められてきた計画だということが明らかになりました。
 この計画に、東京都再開発等促進区を定める地区計画運用基準に定める容積の適正配分の特例、適用されているんでしょうか。適用されている場合、広場7号、8号、緑地6号は、それぞれ特例の適用に関わってどのような役割を果たし得るのか、ちょっと難しい質問ですけど、お答えください。

○小野都市づくり政策部長 東京都再開発等促進区を定める地区計画運用基準により、地区計画において主要な公共施設や地区施設として位置づける広場などが市街地環境の向上に貢献する優良な計画の場合には、この特例を適用することができるとなっております。
 ご指摘の広場7号などは、この特例に該当するものでございます。

○原田委員 いい方を変えますが、容積の適正配分について、つまり今回でいえば神宮外苑内から外苑外に、超高層ビルに容積が移転されたと。この際に特例を適用しているということは、つまり緑地6号、広場7号、8号がないと、容積配分のこの特例、適用できないということですか。

○小野都市づくり政策部長 広場7号、8号及び緑地6号は、主要な公共施設等として位置づけられた、合計約二・六ヘクタールのオープンスペースでございまして、より多くの人々が親しめる空間として活用されるとともに、絵画館前広場や南北通路などとも連携し、区域内環境の向上に資する重要な施設であることから、容積の適正配分の特例を適用しているものでございます。

○原田委員 東京都再開発等促進区を定める地区計画運用基準では、主要な公共施設等に位置づけられた広場などの有効性の確保と向上が認められるなどとして、より優良な計画となる場合、容積の適正配分の特例が認められるとしています。
 つまり、この広場がないと容積移転は認められないと。しかも、優良な計画となる場合とあるわけですよね。この計画のどこが優良なのかと。樹木伐採、温暖化ガスの排出、さらには、伊藤忠のビル風が今も近隣住民の皆さんにひどい風害を及ぼしていること、有名な話でして、アセスへのパブコメでも多くの方が風害がよりひどくなるんじゃないかとか、危惧する意見が出されています。
 伊藤忠は、ビルが建った後に、事後に対応する可能性を否定していません。広場7号などが可能にしたのは、こういう住民を犠牲にする現実なんです。どこが都市環境の整備改善なのかと。
 さらに、この広場を設置したことで、都が以前は持っていた恒久サブトラックの設置計画を断念せざるを得なくなった可能性が、先日の私の予算特別委員会の質疑で出てまいりました。

○宮瀬委員長 そろそろ時間ですので、おまとめください。

○原田委員 本日、あとの質問は割愛させていただきますが、本日改めて、緑地の量は増えるという都や事業者のごまかしについて指摘をしました。
 改めて、本日の質疑を通して、東京都の指定というものがいかに一部の人たちの利益のために進んできたのか、住民の方を向いてまちづくりが行われていないのか、そのことを指摘し、質問を終わります。

○宮瀬委員長 原田委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後九時四十八分休憩

   午後十一時五十分開議
○宮瀬委員長 休憩前に続き委員会を開きます。
 お諮りいたします。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、委員会を閉会するとともに、明日の委員会は開会時刻を午前零時五分に繰り上げたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認めます。よって、明日の委員会の開会時刻は午前零時五分といたします。
 なお、ただいまご出席の皆様には、明日の委員会の開会時刻の繰上げの通知を省略させていただきますので、ご了承願います。

○宮瀬委員長 次に、傍聴券の有効期限についてお諮りいたします。
 本日の傍聴券の有効期限を明日三月十七日の正午までといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十一時五十一分散会

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