都市整備委員会速記録第三号

令和四年三月十四日(月曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長宮瀬 英治君
副委員長鈴木 錦治君
副委員長尾崎あや子君
理事林あきひろ君
理事中山 信行君
松田りゅうすけ君
古城まさお君
渋谷のぶゆき君
原田あきら君
竹井ようこ君
本橋ひろたか君
柴崎 幹男君
山田ひろし君

欠席委員 一名

出席説明員
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・ パラリンピック調整担当部長兼務越 秀幸君
都営住宅経営部長青柳 一彦君
総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務鈴木 誠司君
住宅政策担当部長武井 利行君
民間住宅施策推進担当部長飯塚 佳史君
経営改革担当部長都築 裕樹君
再編利活用推進担当部長栗谷川哲雄君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長小林 秀行君

本日の会議に付した事件
住宅政策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 住宅政策本部所管分
・第十三号議案 令和四年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十四号議案 令和四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十号議案 マンションの管理の適正化の推進に関する法律関係手数料条例
・第六十一号議案 宅地建物取引業法等関係手数料条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・新たな東京都住宅マスタープランの策定について
・「東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」の改定について
・「東京マンション管理・再生促進計画」の改定について

○宮瀬委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 令和四年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
都市整備委員長 宮瀬 英治殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
   記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十七日(木)午後五時
   
(別紙1)
都市整備委員会
 第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中
 歳出
 繰越明許費
 債務負担行為
 都市整備委員会所管分
 第十三号議案 令和四年度東京都都営住宅等事業会計予算
 第十四号議案 令和四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
 第十五号議案 令和四年度東京都都市開発資金会計予算
 第十八号議案 令和四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
 第二十一号議案 令和四年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○宮瀬委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、住宅政策本部所管分、第十三号議案、第十四号議案、第六十号議案から第六十二号議案まで及び報告事項、新たな東京都住宅マスタープランの策定について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際に要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○越住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る二月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料をご覧ください。
 資料をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は全部で六件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1、都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績でございます。
 平成二十三年度から令和二年度までの都営住宅、公社住宅の建設戸数について、年度別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都営住宅における居室内単身死亡者数(過去十年間)でございます。
 平成二十三年度から令和二年度までの人数について、年度別に記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、都営住宅の共用部等におけるLED設置状況(過去五年間)でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの設置戸数について、年度別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、都営住宅における太陽光発電設備の設置状況(過去五年間)でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの設置住棟数について、年度別に記載してございます。
 五ページをご覧ください。5、区市町村住宅供給助成費の予算と実績の推移(過去五年間)でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの当初予算額、決算額について、年度別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。6、マンションに対する耐震診断及び耐震改修の助成実績(過去五年間)でございます。
 耐震診断、耐震改修、合計の別に、平成二十八年度から令和二年度までの当初予算額、執行戸数、執行額について、年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○宮瀬委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○渋谷委員 それでは、私からは、新たな東京都住宅マスタープランの策定について、まず伺います。
 空き家対策の推進ですが、東京都住宅マスタープラン案によると、いわゆるその他空き家は、区部においては非木造共同住宅の割合が多く、多摩部のその他は、戸建ての割合が多くなっているとのことです。それぞれ違う対策が必要ですが、特に戸建て住宅については、空き家となった際の再生ならばリフォーム事業者、販売ならば不動産事業者との連携が欠かせません。
 都は、民間事業者と連携した取組を進めていると聞いていますが、こうした取組をさらに進めるとともに、区市町村が行う事業者と連携した取組についても支援すべきと考えますが、ご見解を伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、民間事業者等を活用し、空き家の利活用に関する普及啓発とワンストップ相談を実施しております。また、市区町村が民間事業者等と連携し、空き家の管理や有効活用等の相談に応じる取組などに対して支援を行っております。
 今年度から、こうした取組に加えまして、空き家所有者と活用希望者をマッチングする取組や、相談者からの求めに応じ、法律、建築、不動産の各専門家を直接現地に派遣して個別の相談に対応するアウトリーチ型の取組を開始いたしました。
 今後は、これらの取組によって得られた成果やノウハウを取りまとめ、全市区町村が参加する空き家対策連絡協議会を通じて情報提供し、活用を促すことで、民間事業者等と連携した市区町村の取組をさらに後押ししてまいります。

○渋谷委員 空き家対策は、今後ますます深刻な問題となってくることが想定されますので、しっかりと事業者並びに区市町村と連携をして、一層の空き家対策を推進していただくよう要望いたします。
 次に、東京マンション管理・再生促進計画の改定について伺います。
 都内では、約四世帯に一世帯はマンションに居住し、マンションは都民の主要な居住形態として広く普及しており、都市や地域社会を構成する重要な要素となっています。
 一方で、建物の老朽化と居住者の高齢化という二つの老いが進行しており、一たびマンションが管理不全に陥れば、周辺環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
 このような状況を踏まえ、都は、マンション管理条例を制定し、令和二年三月に本計画を策定したところですが、新型コロナをはじめとした社会経済情勢の変化、気候変動や国におけるマンション関連法の改正など大きな影響を及ぼす要因が生じたことや、条例に基づく管理状況届出制度が開始され、個々のマンションの管理状況が明らかになったことも今回の改正の背景にあるとのことです。
 この管理状況届出制度によって、昨年十二月末時点で要届出マンションの約八〇%から届出がなされており、そのうち一六%の千四百九十七棟に管理不全の兆候が見られたとのことです。
 こうしたマンションへは、積極的に改善に向けて支援してほしいと考えます。管理不全の兆候のあるマンションに対して、今後どのように取り組むのか伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 修繕の計画的な実施がなされていないなど管理不全の兆候があると判断されるマンションにつきましては、マンション管理士等の専門家を五回まで無料で派遣し、管理組合の設立方法や計画的な修繕の進め方など、課題に応じ的確に助言等を行うこととしております。
 また、区分所有者の高齢化等により役員の成り手が不足するなど自主的な管理が困難なマンションにおいては、外部の専門家を管理者として活用する第三者管理者方式の導入も効果的であることから、管理の適正化に向けた選択肢となるよう、導入に向けた事例調査や複数のマンションへの導入支援の実施を通じた課題抽出などに着手いたします。
 こうした取組を通じまして、マンションの状況に即した必要な支援を展開し、管理の適正化を促進してまいります。

○渋谷委員 管理不全の兆候があるマンションは都内で約千五百件と数が多く、効果的かつ統一的な助言、支援を行うため、マンション管理士等の専門家や区市町村と十分に連携を図りながら、引き続き取り組んでいただくように要望いたします。
 次に、耐震診断、マンション耐震化について。
 改定される計画では、管理状況届出制度を基に、一九八一年五月三十一日以前に建築されたマンションで耐震診断が未実施であると回答したマンションは五六%とのことです。
 こうした診断未実施のマンションに対して、まずは耐震診断の実施を促していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、耐震セミナーなどによる普及啓発を実施して、市区等を通じた助成制度など耐震化に向けた情報提供等を行うことで、耐震診断の実施を促してまいりました。
 さらに、今年度からは、届出制度により得た情報を活用し、耐震診断が未実施のマンションなどに対して実施を直接働きかけるよう、耐震化の必要性や支援制度の案内等を掲載したマンション耐震化通信を郵送やメールで送付する取組を開始いたしました。
 今後は、これらの取組に加えまして、オンライン動画やオンデマンドによる情報発信等を充実させ、耐震化を検討するマンションに豊富な情報を継続して提供することで、効果的な意識啓発を行い、耐震診断の実施を促してまいります。

○渋谷委員 次に、診断の実施により耐震性がないと判定されたマンションのうち、耐震改修を実施していないマンションは約半数とのことである。こうしたマンションは耐震改修もしくは建て替えが必要と考えますが、こうしたマンションへの今後の働きかけについてを伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 耐震診断実施済みのマンションに対しましては、建築士などの専門家を繰り返し派遣し、改修工法や資金面等の助言に加え、建て替えを含めた具体的な計画案を複数提案することで合意形成を支援してまいりました。
 今年度からは、より効果的に耐震化に向けた働きかけを行うよう、届出により把握した情報を活用し、管理活動が健全で耐震化の課題に取り組めるマンションを主な対象として、重点的に改修等を促しております。
 今後は、この支援がより広く活用されるよう市区等とも連携して、こうしたマンションを個別に訪問するなど、働きかけを強化してまいります。

○渋谷委員 届出によって把握した情報を基に確認したマンションの状況を踏まえ、アウトリーチ型の取組として改修や建て替えへの取組意向に応じたアドバイザーを派遣するとのことですが、どのように取り組んでいくのか伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、東京都マンション建替え・改修アドバイザー制度により、建築士等の専門家をアドバイザーとして派遣し、法律、税制、公的な支援などについてきめ細かな助言等を行って、建て替えや改修等に向けた管理組合等による自主的な取組を支援してまいりました。
 昨年度からは、管理状況の届出を行ったマンションについて、管理状況に応じアドバイザーの派遣を五回まで無料で受けられることとし、管理組合への支援を一層強化しております。
 今後は、制度の一層の利用促進に向け、敷地における建築規制等を踏まえた検討の方向性を提案するなど、より手軽に利用できる支援メニューを追加し、建て替えや改修に向けた支援制度のさらなる充実に取り組んでまいります。

○渋谷委員 老朽化マンションの再生について、老朽マンションの住民は高齢者も多く、資金的にも苦しい状況であると考えます。高齢者等に対する支援に関して、都はどのように取り組む考えかを伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、高齢者等を含め、マンションの建て替えの期間中、住宅に困窮する居住者を対象に仮住まいとして都営住宅を期限付で提供してまいりました。
 今後は、居住者の合意形成を後押しすることで、老朽マンションの建て替え等を促進するよう、地元市区町村や公社、都市再生機構等と連携し、建て替え等に伴う住宅や生活へのきめ細かい相談対応など、管理組合や居住者に対する支援の充実を図ってまいります。
 また、建て替え等に伴う高齢者の資金面での負担軽減に向け、金融機関等と連携して、住宅金融支援機構が実施しているリバースモーゲージなど高齢者向け融資制度について、都のマンションポータルサイトや管理・再生セミナーなどを通じて普及を図ってまいります。

○渋谷委員 老朽化マンションの再生については様々な課題がありますけれども、ただいまの高齢者への支援をはじめ、計画に基づいてしっかりと対策を進めていくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○本橋委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 報告事項の新たな住宅マスタープランの策定について、以下何点か質疑させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 これは昨年私の行った事務事業質疑とちょっとかぶるところがありますのと、また、前に質問が出ましたところとかぶるところがあるかもしれませんが、ご容赦いただきたいと思います。
 東京都は、平成三年度に東京都住宅マスタープランを策定して以来、五年ごとに改定を行いながら、都民の住生活の安定向上に向けて時代に即した住宅政策を展開してまいりました。現行の第六次東京都住宅マスタープランにおいては、東京が目指す豊かな住生活の実現と持続を住宅政策の基本方針とし、これまで様々な取組を積極的に展開してまいったところであります。
 そこでまず、現行の住宅マスタープランについて、現時点での実績と成果、総括的な評価をお伺いいたします。

○武井住宅政策担当部長 都は、平成二十九年三月に策定した第六次東京都住宅マスタープランに基づき、住まいにおける子育て環境の向上、高齢者の居住の安定、重層的な住宅セーフティーネットの構築、良質な住宅を安心して選択できる市場環境の実現、老朽マンションや空き家への対策、住宅団地の再生、大規模災害への対応や復興への備えなどに向けた住宅施策を総合的かつ計画的に推進してまいりました。
 昨年十一月に東京都住宅政策審議会からいただいた答申におきましても、都が、第六次住宅マスタープランに基づき施策を推進し、少子高齢化社会における住宅セーフティーネットの強化などに着実に成果を上げてきたことを確認したと評価をいただいております。

○本橋委員 新たな住宅マスタープランの策定に向けては、令和二年七月に成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開について住宅政策審議会に諮問し、様々な議論を経て令和三年十一月に答申がございました。
 そこで、この住宅政策審議会では、どのような調査や検討が行われたのか主要なものについてお伺いいたします。

○武井住宅政策担当部長 知事からの諮問を受けて、住宅政策審議会では、居住者の視点、住宅ストックの視点、産業、新技術の視点、持続可能な住まい、まちづくりの視点及び長期的な視点の五つの視点から調査審議が行われました。
 また、都が令和三年三月に策定した「未来の東京」戦略をはじめ、住宅政策と関連する都市整備、環境、福祉、防災などが議題とされ、今後の都の住宅政策の方向性について検討が行われました。
 この間、高齢者、障害者、ひとり親世帯等に対する居住支援や住宅における新技術の導入、公共賃貸住宅の供給、エリアマネジメント等の取組について実務者からヒアリングが行われております。
 こうした調査審議を踏まえ、昨年十一月に、成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開について答申が取りまとめられたものです。

○本橋委員 この間にも、少子高齢化は一層進行し、新型コロナウイルス感染症の拡大や気候変動問題への対策が喫緊の課題となるなど、社会は大きく急速に変貌を遂げつつあります。
 こうした中、東京における住宅政策の課題をどのように捉えているのかをお伺いいたします。

○武井住宅政策担当部長 新たな住宅マスタープラン案では、人口のピークを間近に控え、少子高齢化、単身世帯の増加、ライフスタイルの多様化等が進んでおり、都内の住宅は量的には充足しているが、都民の生活の場として有効に活用するためには、こうした変化により生じるミスマッチを解消することが欠かせないこと。都内には、高経年マンションや居住目的のない空き家等の増加、巨大地震が起きた場合に倒壊するおそれがある旧耐震基準の住宅ストックの残存等の課題が見られること。コロナ禍を踏まえて都民の住生活に変化が生じており、経済的に困窮した都民の居住の安定を確保するための対策や、テレワークの導入等により、感染症予防に配慮した生活が実現できる住宅、住環境の整備が求められていること。集中豪雨や台風等の災害への備えや、気候変動につながる温室効果ガスの排出を抑制する取組が求められていることなどを課題として位置づけております。

○本橋委員 そうした住宅政策の課題と住宅政策審議会における議論を踏まえ、そもそも住宅は生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素であるという基本認識の下、新たな住宅政策の全体像や基本的方針についてお伺いいたします。

○武井住宅政策担当部長 成長と成熟が両立した未来の東京の実現に向けて、居住の場としての東京の魅力の向上を図る総合的な住宅政策を展開することが求められております。
 このため、新たな住宅マスタープランにおいては、住宅分野における脱炭素化やDXの導入など成長の視点を取り込んだ施策の展開と、住宅セーフティーネットの充実や住宅ストックの更新など社会の成熟化に対応した施策の強化という二つの方針の下、目指す十の目標と二〇四〇年代の姿を明らかにするとともに、目標の実現に向け、民間住宅、都営住宅、公的賃貸住宅などの住宅の特性に応じた効果的な施策を展開していくこととしております。

○本橋委員 ただいま十の目標というお話がございました。新たな住宅マスタープランにおきましては、住宅政策の展開に当たっての基本的方針に基づき、住宅政策が目指す十項目の目標が掲げられております。いずれも重要なものでありますが、ここではテーマを絞りまして、幾つかの点についてお伺いいたします。
 まず、目標3の住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定に関してでございます。
 都内の住宅は量的には充足しているが、有効活用に向けたミスマッチの解消が不可欠などの視点を踏まえ、高齢者など住宅の確保に配慮を要する都民が置かれている住まいの現状についての認識をお伺いします。

○武井住宅政策担当部長 住宅は、都民が市場において自力で確保することが基本でありますが、低所得、低資産であるなど経済力が低いこと、世帯の特性に適した住宅が市場で十分に取引されていないこと、社会関係力が弱いなどの属性等により入居制限を受けやすいことなどから、自力では市場で住宅を円滑に確保することが難しい場合があります。
 例えば、高齢者については、バリアフリー化された住宅が市場で十分には取引されていないことや、死亡事故や認知症等によるトラブルに対する不安などにより、貸主側から入居を拒まれやすいということなどが指摘されております。
 都では、都営住宅をはじめとする公共住宅の積極的な活用に加え、民間賃貸住宅を活用した施策等を実施することにより、重層的な住宅セーフティーネットの構築を進め、住宅の確保に配慮を要する都民の安定した居住の確保を図っていくことが重要であると認識しているところでございます。

○本橋委員 ここからちょっと、若干昨年の私の事務事業質疑とかぶっていってしまうところがありますが、ただ、また月日の経過もございますのでよろしくお願いいたします。
 東京都は、都営住宅を中核とした重層的な住宅セーフティーネットの構築を進めており、民間賃貸住宅を活用した東京ささエール住宅の普及、登録促進に積極的に取り組んでいるところであります。
 住宅確保要配慮者の居住の安定をさらに図るためには、専用住宅を増やすことが肝要ですが、住宅マスタープランにおいては、二〇三〇年度末までに専用住宅三千五百戸を確保することを政策指標に掲げています。
 そこで、どのような経緯でこの目標を掲げたのかお伺いいたします。

○武井住宅政策担当部長 平成三十年三月に東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画を策定し、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅である登録住宅の供給目標として、令和七年度までに三万戸の登録を目指すことといたしました。東京ささエール住宅という都独自の愛称を設定するなど登録促進に努めた結果、令和二年度末の登録戸数が三万九千四百六十九戸となり、目標を達成いたしました。
 一方で、東京ささエール住宅のうち、住宅確保要配慮者のみが入居可能な専用住宅は、令和二年度末で五百九十八戸となっております。
 こうしたことから、新たな住宅マスタープラン案及び東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画改定案においては、より住宅確保要配慮者の居住の安定に資する専用住宅の一層の供給促進を図るため、二〇三〇年度までに、東京ささエール住宅の専用住宅を三千五百戸供給することといたしました。

○本橋委員 現時点でも専用住宅は都内で約六百戸であり、住宅セーフティーネット制度のうち、家賃低廉化補助の事業に取り組んでいる区市町村は四区一市と非常に少ないところでございます。
 また、そもそも東京ささエール住宅の認知度が低いため、支援メニューそのものが貸主に届いていないのではないでしょうか。
 このような状況の中、目標達成に向けてどのように進めていくのか改めてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、貸主の不安軽減や登録意欲の向上を図るため、一定の性能を有する見守り機器の設置費等への補助や、専用住宅に登録する貸主に報奨金の支払いを開始するなど、貸主を支援する取組を進めてまいりました。
 来年度からは、新たに専用住宅に登録することを条件に、バリアフリー改修に加え、高齢者等のヒートショックを防止する設備の設置など、住宅設備を改善する貸主に対して都単独補助を都内全域で開始してまいります。
 さらに、区市町村の居住支援協議会等を通じて貸主へ効果的に普及啓発を行うとともに、補助制度を設けていない区市町村に導入を働きかけながら、専用住宅の登録戸数の目標達成に向けた取組を進めてまいります。

○本橋委員 専用住宅確保の取組は区市町村との連携が欠かせません。
 私の地元の豊島区では、区内で活動する居住支援法人と連携しながら専用住宅の確保に努めており、専用住宅数は着実に増加しているところであります。また、都の支援を受けながら、公募要件の緩和に伴う住戸の募集を都内で初めて行うなど、チャレンジングに取り組んでいるところであります。
 残念ながら、申請件数はゼロだったようですが、このように積極的な取組を行う区市町村には、より一層の支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 国は昨年度から、住宅セーフティーネット制度の家賃低廉化補助を行う住宅について、公募や抽せん等により入居者を選定するという要件を一定の条件を満たした場合に緩和し、入居中の住宅においても適用できることといたしました。
 この制度を活用し、豊島区では入居中の住宅における家賃低廉化補助の募集を昨年十二月から行ったところでございます。
 募集に当たって、都は、区と勉強会を継続して開催し、課題の整理や国との調整を行ったほか、募集期間中に居住支援法人や区内で東京ささエール住宅を登録している事業者への情報提供を行うなど、区の取組を支援してまいりました。
 今後も、豊島区のような積極的な取組を実施する自治体が効果的に事業を行えるよう、住宅確保要配慮者のニーズ等を把握しながら、きめ細かく支援を行ってまいります。

○本橋委員 どうもありがとうございます。
 では、次に、目標7の空き家対策の推進による地域の活性化に関してでございます。
 東京都住宅マスタープランの案によると、平成三十年の国の住宅・土地統計調査における都内の空き家は約八十一万戸であり、そのうち、管理が行き届かない可能性が高い長期不在等のその他空き家については、五年前に比べて約二万八千戸増加し、約十八万戸に及ぶとのことです。
 人口や世帯数の減少が見込まれる中、空き家対策の一層の強化が求められますが、その他空き家は市部に比べ区部に多く見られるなど地域別の特徴も見られ、空き家対策は地域の実情をよく知る区市町村の取組が重要と考えられます。
 そこで、住宅マスタープランに基づく施策を行っていく中で、都はどのように区市町村の取組を支援していくのか、現時点でのお考えをお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、区市町村による実態調査や計画策定、改修等を財政支援するとともに、平成二十九年度から全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会を開催し、先進的な取組事例や都の支援制度を紹介するなど、区市町村の主体的な取組を促進してまいりました。
 今後は、こうした取組に加え、地域特性に応じて、実態把握や計画的な対策の推進、空き家の状況に応じた適時適切な対応など、重点的に取り組むべき空き家対策の考え方や効果的な手法を指針として示すことで、区市町村の主体的な取組を一層支援してまいります。

○本橋委員 また、空き家対策は、住宅所有者の意識を変革していくことも重要な取組です。空き家を発生させないよう、空き家所有者等への普及啓発をどのように行っていくのかもお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、区市町村における住宅の相続に関する相談体制の整備や、住まいの終活セミナーなどの取組に対して財政支援を行うとともに、民間事業者等を活用し、空き家の発生抑制に向けた普及啓発と所有者からの相談にワンストップで対応する取組を一体的に実施しております。
 今年度からは、こうした取組に加え、相談者からの求めに応じ、法律、建築、不動産の各専門家を直接現地に派遣して個別の相談に対応するアウトリーチ型の取組を開始いたしました。
 今後は、所有者へさらに広く働きかけるよう、新たな取組として、税務部門と連携し、固定資産税等の納税通知書に空き家の適正管理等を促す文書を同封して啓発を強化するなど、空き家の発生抑制等に向けた普及啓発を一層推進してまいります。

○本橋委員 関連する政策指標におきましては、区市町村の取組により除却等がなされた管理不全空き家数を掲げております。
 建物の老朽化が進むことによる様々なリスク、空き家を放置することによる周辺への悪影響などを考えると、特定空き家等に関する取組は非常に重要となってまいります。あわせて、空き家を地域の資源として有効活用する方策も進めていく必要もあります。
 そこで、空き家利活用についての見解をお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、空き家を地域活性化施設等に改修し有効活用する区市町村等の取組に対して財政支援を行ってまいりました。また、昨年度からは、民間事業者等が行う空き家改修の取組などに対して直接財政支援を行うモデル事業を開始しております。
 今後は、空き家が地域資源としてさらに有効に活用されるよう、支援制度をより使いやすいものに改善するなど、区市町村や民間事業者等と連携した取組を推進してまいります。

○本橋委員 私の地元の豊島区では、地域貢献型空き家利活用事業を空き家対策の中心に据えて取り組んでおります。住宅政策審議会の議事録を確認したところ、委員として参加しております豊島区長から、好事例の効果的な発信という視点が何より重要といった趣旨の発言がありました。利活用事業を推進していく中で、空き家オーナーに対して働きかけを行い、さらに活用につなげていく手段として、好事例をいかに発信していくかを重要事項と捉えているようであります。
 空き家所有者の意識を高めていくためにも、好事例の発信による空き家オーナーへの働きかけなどを推進していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 空き家の利活用を推進するためには、区市町村、NPO法人や企業など、多様な事業主体による空き家活用の好事例について情報発信し、空き家対策に取り組む機運の醸成を図ることが重要でございます。
 都は、空き家の利活用に関する先進的な取組などについてホームページ等を通じて広く情報発信しております。
 さらに、今年度末には、他用途への改修事例などを新たに盛り込んで、東京空き家ガイドブックを改定し、区市町村の窓口などで空き家所有者等に配布するなど空き家の利活用について積極的に普及啓発を行ってまいります。

○本橋委員 次に、目標9の安全で良質なマンションストックの形成に関してお伺いします。
 若干ここが先ほどの委員とかぶってしまって恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 マンションは、都民の主要な居住形態として広く普及しており、都民にとって不可欠な生活基盤ですが、建物の老朽化と居住者の高齢化という二つの老いが進行し、今後、管理組合の機能低下などにより、管理不全に陥る可能性が指摘されております。
 このことは東京だけの課題ではありませんが、特に東京におけるマンションをめぐる現状についてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都内の分譲マンションの総戸数は令和二年度末時点で約百九十一万戸でございまして、総世帯数の約四分の一に当たる世帯が居住しております。
 一方、着工から四十年以上経過したマンションの戸数は平成三十年時点で約二十四万六千戸であり、建て替え等が進まない場合には、二十年後に約三・五倍に増加する見込みとなっております。
 また、マンションに居住する世帯のうち世帯主が六十五歳以上の割合は平成三十年時点で三六・二%であり、建築年代別では、古いマンションほど居住者の高齢化が進んでいるなど、委員のお話のとおり建物の老朽化と居住者の高齢化という、いわゆる二つの老いが進行しつつあると認識をしております。

○本橋委員 令和二年四月から、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例に基づく管理状況届出制度が実施されております。
 そこで、今年二月末時点の届出状況についてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 令和二年三月に策定した東京マンション管理・再生促進計画では、令和七年度末までに対象マンションの八〇%から届出がなされることを目標としており、今年二月末時点では、対象マンションの約八二%に当たる約九千六百件が届出済みとなってございます。

○本橋委員 届出状況から適正管理に影響する項目の特徴的な傾向は見られるのでしょうか。また、どのような課題が見られるのでしょうか。それぞれお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、管理組合の設立や管理者の設置、修繕の計画的な実施など、七つの項目について管理不全を予防するための必要事項として届出を求めており、これにより管理不全の兆候を把握しております。
 今年二月末時点では、届出のあったマンションの約一七%でこれらの事項のいずれかがない、いわゆる管理不全の兆候が見られました。
 管理不全の兆候の要因といたしましては、修繕の計画的な実施を行っていないと回答した割合が、届出のあったマンションの一〇・三%と最も多くなるなど、専門知識を要する項目については実施できていないと回答するマンションが多くなる傾向が見られております。

○本橋委員 ただいまのその課題を踏まえまして、マンション管理組合や区市町に対してどのような支援をしていくのかお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 管理不全の兆候のあるマンションに対しましては、マンション管理士等の専門家を五回まで無料で派遣し、計画的な修繕の進め方など、課題に応じ的確に助言等を行っております。
 また、東京マンション管理・再生促進計画の改定案では、届出制度により把握した各マンションの課題に応じて管理の適正化等をさらに促進するよう、アドバイザーによる支援メニューに長期修繕計画の作成支援を追加するなど、管理組合に対するきめ細かな支援を充実させていくこととしております。
 一方、都は、届出により把握した管理状況を区市町と共有するとともに、管理組合に対する効果的な助言や指導等に活用できるよう、区市町が参加する連絡会議等を開催し、情報共有や意見交換を行っております。
 さらに、今年度からは、都及び区市町の職員がマンション管理士と連携して、管理不全の兆候があるマンション等を個別訪問するマンション適正管理啓発隊の派遣を実施しており、これにより得られたノウハウは、区市町による独自の施策にも活用されております。
 こうした取組を通じ、引き続き、マンションの管理適正化に向けた管理組合や区市町の取組を支援してまいります。

○本橋委員 それでは、いまだ届出がないマンションの管理組合に対しては、どのような対応をしているのかお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 届出期限を経過しても届出がなされないマンションに対しては、適正な管理が行われていないことが懸念されることから、行政が直接粘り強くアプローチすることが必要であるため、区市町と連携して、順次、届出を促す文書を郵送するなど督促を行っております。
 さらに、こうした督促にもかかわらず届出がなされない場合には、マンション管理士等を活用して個別訪問調査を実施し、管理組合の理事長や居住者等から管理状況を聞き取りながら届出を促しております。
 引き続き、こうした取組などを通じ、対象となるマンションからの届出を促してまいります。

○本橋委員 マンション管理適正化法の改正を受けまして、マンション施策の今後の進め方について、マンション施策推進検討会が設置されました。
 こうした取組が東京マンション管理・再生促進計画の見直しにつながっていると聞いておりますが、これまでの取組についてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、マンション管理適正化法の改正や住宅マスタープランの改定等を踏まえ、マンションをめぐる新たな課題に的確に対応するため、昨年八月と十二月の計二回、有識者等を委員とするマンション施策推進検討会を開催いたしました。
 検討会でいただいたご意見を踏まえ、これまでの東京マンション管理・再生促進計画に掲げていた目標に、新たにマンションの環境性能の向上を加え、管理・再生促進計画の改定案を取りまとめました。
 改定案では、届出により把握した管理状況を分析し、今後の施策展開に生かすとともに、自主的な管理が困難なマンションへの支援策やマンションの環境性能の向上に向けた取組など新たな施策を盛り込んでおり、年度末の改定を予定しております。
 改定後は、本計画に基づき、施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。

○本橋委員 本年四月から、改正マンション管理適正化法により、区市等によるマンション管理適正化推進計画の作成や管理組合の作成する管理計画を認定する制度など、新たな仕組みが設けられることとなっております。
 区市によって取組の状況にばらつきがあるようですが、都全体において安全で良質なマンションストックの形成を図っていくためには、東京都として適切にリーダーシップを発揮し、区市に対して情報提供を含め積極的に支援していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 改正マンション管理適正化法に基づく管理適正化推進計画の策定や管理計画認定制度の着実な実施に向けて、これまで都は、区市に対して技術的支援を行ってまいりました。
 具体的には、実務的な意見交換の場などを通じて、管理適正化推進計画の参考例として都が作成したひな形や、管理計画認定制度の運用に必要な要綱等の案を示すなど、区市の取組を後押ししております。
 また、都は本年四月から、町村部における管理計画認定制度を開始することとしており、管理計画の認定における都の手数料の考え方など、区市に対し情報提供を行っております。
 今後、区市が適切に管理適正化推進計画を策定し、管理計画認定制度を着実に実施できるよう、都としても一層支援してまいります。

○本橋委員 それでは、最後の質問になります。
 関連する政策指標においては、三十年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している分譲マンション管理組合の割合を二〇三〇年度末までに八〇%に、また、管理状況の届出を行った要届出マンションの割合を一〇〇%にとする目標を掲げております。
 これらの指標に対して、区市と連携しながらどのように取り組んでいくのか、最後に見解をお伺いします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 マンションを適切に維持管理していくためには、長期修繕計画を策定し、計画に基づく修繕積立金を適切に積み立てていくことが重要であり、都は、マンション管理ガイドブックによる啓発やマンション管理・再生セミナーの開催などにより、長期修繕計画の作成の促進に取り組んでまいりました。
 本年四月から開始する管理計画認定制度では、三十年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金を認定基準の一つとしており、この制度を区市と連携して普及させ、認定を取得するマンションを増加させることで、適切な長期修繕計画に基づき積立金を設定しているマンションの増加を図ってまいります。
 また、管理状況届出制度において、地域の状況に応じた施策を推進している区市町と連携し、マンション管理士等を活用した個別訪問調査をより積極的に実施することで、今後全ての要届出マンションの管理状況の把握を図ってまいります。
 こうした取組によりまして、新たな住宅マスタープラン案で掲げた政策指標の実現を図ってまいります。

○本橋委員 それでは、まとめさせていただきますと、住宅マスタープランを着実に進めていくためには都民の理解を得ることはもちろんですが、各局や区市町村との適切な連携が欠かせません。そのためには、特に区市町村に対する支援を充実させながら、それぞれがしっかりと役割を果たすことにより、住宅は生活の基盤であると同時に都市を形づくる基本的な要素であるとの基本認識の下、住宅マスタープランで掲げた施策を着実に進めていただきたいです。
 それらの効果的な展開に大いに期待いたしまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○古城委員 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、住宅政策本部所管分、第十三号議案、第十四号議案及び第六十号議案から第六十二号議案まで並びに報告事項に関連して、都営住宅及び東京都住宅供給公社、JKK東京について質疑させていただきます。
 初めに、ウクライナからの避難民への支援についてであります。
 都議会においても、今月三日、全会一致でウクライナからのロシア軍の即時撤退と速やかな平和の実現に関する決議を行ったところでございます。
 ウクライナでの人道状況は急速に悪化をしており、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ウクライナから国外に避難した方の数は、十一日時点で二百五十九万人を超えております。
 さきに行われた予算特別委員会の代表総括質疑で都議会公明党は、ウクライナからの避難民について日本政府が受け入れる方針を示したことから、受入れ時には住宅や食料の支援、子供の避難民の教育に関する配慮などきめ細かな支援が必要であり、まずは、都として都営住宅などを提供すべきであると求めたところでございます。
 これに対して知事からは、国から都営住宅等の提供について要請があった場合には、国と連携しまして、都としてウクライナの方々を支援してまいりますとの答弁を得ました。
 そこで、その後の準備状況についてお尋ねをいたします。

○都築経営改革担当部長 現在、都は、国からの要請に速やかに対応できるよう準備を進めております。
 当面の住まいの確保が困難な方を対象に、都営住宅を既に百戸確保しており、状況に応じて今後七百戸まで拡大可能であります。また、無償で提供することとし、入居後の生活に困らないよう、照明器具やガスコンロ、布団等の備品を用意する予定でございます。
 今後、国とも連携しながら、都としてウクライナの方々を支援してまいります。

○古城委員 ただいま答弁いただきましたように、榎本本部長を中心に住宅政策本部の皆様が機動的に対処していただいたことにつきまして、高く評価をさせていただきたいと思います。
 また、今ご答弁いただいた内容の着実な進展をしっかりとお願いをしたいということを改めて申し上げるわけでございますが、受入れに当たっては、ぜひとも、避難されてこられた方々のニーズ、特にご家族、ご親族のつながりであったりだとか、同じ地域にお住まいであった、これまでの関係等を配慮するような、そうしたところも−−スキームで二週間かけて、様々定着に向けた取組を行っていただくというふうには当然存じておるわけでありますが、そうした入居に当たっての配慮も、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 まさに、住まいの確保は暮らしの安心の根幹でありまして、こうした都の取組がウクライナの方々の心を支え、励ましとなることを確信するところでございます。
 続きまして、都議会公明党が一貫して推進してまいりました都営住宅の耐震改修についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 私も、地元新宿区にございます都営戸山ハイツアパートの状況を踏まえまして、都の取組を強力に後押しをさせていただいております。
 都は、一昨年の十二月、都営住宅耐震化整備プログラムを改定し、令和七年度末までに耐震化率一〇〇%とする目標を掲げました。昨年の事務事業質疑で確認をいたしました令和二年度末時点での都営住宅の耐震化率は、併存店舗のない住棟が九八・二%となっている一方で、併存店舗付住棟は四八・七%にとどまっております。
 都営住宅の併存店舗付住棟の耐震化は、店舗権利者の方々との合意形成を図り、早急に進めていく必要がございます。従前は、店舗権利者との合意形成に当たっては、対象となる各住棟において全ての店舗権利者の合意を得る必要があるため、多大な時間を要してまいりました。
 そこで、私は平成三十年第一回定例会の一般質問で、併存店舗付住棟の耐震化が進まない状況を指摘した上で、建て替え時に行っている併存店舗の買取り制度を活用して、移転を希望する方から店舗を買い取り、その一部の店舗の内部を補強することで、営業継続を希望する店舗権利者の費用負担や営業への負担を軽減し、合意形成を進める取組を提案いたしました。
 これを受けて都は、平成三十年度から、新たな手法として併存店舗を買い取る制度を導入し、併存店舗付住棟の耐震改修を進めています。
 本日も昨年の事務事業質疑に続きまして、この併存店舗付住棟の耐震化の進捗状況を確認するとともに、地元の都営戸山ハイツアパート四棟につきましても確認をしてまいります。
 まず初めに、耐震改修の対象となっている併存店舗付住棟の店舗の買取りと耐震改修の進捗状況について、説明いただきたいと思います。

○小林営繕担当部長 都は、耐震改修対象の全四十三棟、三百七十三区画の店舗権利者に対して、改修内容や費用負担、買取り制度の説明を行い、転出希望者から店舗の買取りを実施しています。
 令和二年度末までに全権利者に対して改修内容などの説明を終え、令和四年二月末時点で転出を検討すると申出があった二百三十二区画の権利者のうち、九十七区画の方と買取り契約を締結することができました。
 また、一部店舗を買い取り、耐震改修の見通しが立った住棟については、営業継続希望者に対し買い取った区画を活用して営業への影響を抑えた補強案を作成し、丁寧に折衝を行い、設計と工事内容の合意を得た上で工事に着手しております。
 令和四年二月末時点で、全四十三棟中、設計については今年度六棟の権利者から合意が得られ、設計中が十二棟となり、工事については今年度四棟が完了し、合計で六棟が完了いたしました。
 なお、工事中の住棟はございません。

○古城委員 ただいまの答弁と昨年の事務事業質疑における答弁を比較させていただきたいと思うんですが、転出を検討すると申出のあった権利者は令和三年十月末時点で二百七区画あり、そのうち八十区画の方と買取り契約を締結しているということを確認しておりましたけれども、令和四年二月末時点で二百三十二区画のうち、九十七区画で買取り契約の締結がなされていると。着実に進展をしているということを確認させていただきました。
 また、実際の耐震化に向けた工事の進捗につきましても、設計中が八棟から十二棟へ、そして、工事完了が五棟から六棟へと、こちらも進展をしているわけでございます。
 今後の取組に期待をしたいと思うわけでございますが、私の地元にございます都営戸山ハイツアパートの併存店舗付住棟四棟につきましては、昨年十月時点で一棟で詳細な設計に着手する合意を得られ、設計に向けた準備を進めている、こういうことでございましたけれども、現在の耐震改修の進捗状況をお尋ねいたします。

○小林営繕担当部長 戸山ハイツアパートの併存店舗付住棟については、先月新たに一棟で設計の合意が得られまして、現在二棟が設計中でございます。
 また、残りの二棟につきましては、二棟のうち一棟は転出を希望する店舗の買取りを実施しておりまして、もう一棟は営業を継続する希望者に対し、設計の合意が得られるよう折衝中でございます。

○古城委員 都営戸山ハイツアパートについては、二棟で耐震改修の設計中となり、一棟についても転出を希望する店舗の買取りが実施中であるということは、耐震化に向けて前進をしている証左であると思いますし、このことは、それぞれの住棟にお住まいの居住者の方々も一層安心をしていただけることになるのではないかと考えます。
 しかしながら、営業継続を希望している店舗権利者の方の中からは、耐震改修には賛成をしていただいているものの、改修費用の負担額を一括で支払うことが難しい、こういうお声も聞こえてまいるわけでございます。
 そこで、店舗権利者の改修費用の負担については工夫が必要であると考えますけれども、見解を求めたいと思います。

○小林営繕担当部長 改修工事に着手するには、改修費用の負担額について全店舗権利者に合意してもらう必要がございます。その際、改修費用の負担額が高額となる場合、権利者の中には一括して支払うことが困難な方もおり、合意形成に至らないことも想定されます。
 このため、改修費用の支払いを将来の建て替え時まで猶予する制度について、改修内容や買取り制度などの説明の際にお伝えしておりますが、改めて権利者に説明し、制度を利用してもらうことで合意形成を図り、耐震改修を進めてまいります。

○古城委員 ただいまの答弁にありました改修費用を将来の建て替え時まで猶予する方策につきましては、平成二十六年第一回定例会におきまして、都営住宅の併存店舗付住棟については、耐震改修工事がなかなか進まない状況であること、これについて警鐘を鳴らしました都議会公明党が、これまでの店舗所有者との協議も踏まえて費用負担の方法について新たなスキームを提案し、積極的な打開策を打ち出すべきと強く求めたことに対して、都が、店舗所有者の負担軽減を図るため、耐震改修費用の支払いについて、将来の建て替え時まで猶予することを可能とする新たな方策を導入することにより、店舗所有者との合意形成を進め、併存店舗付都営住宅の耐震化を推進する、このように方針を表明したことによりまして、実施することになったものでございます。
 耐震改修工事の負担費用については、改修に合意をしていただいている権利者でも、全額を支払うことが難しい方もいると考えられますので、ぜひともこれを機に、改めて制度のご案内をしていただくなど丁寧に説明をいただきまして、また、臨機応変な対応も図っていただいて、合意形成に着実につなげていただきたいと要望をいたしますし、また、これまでも申し上げてまいりましたが、都営住宅耐震化整備プログラムの目標達成には、建て替えも含めて実効性のある取組が不可欠であるということを改めて付言をさせていただきたいと思います。
 次に、都営西大久保アパートを含む西早稲田駅周辺地区のまちづくりについてであります。
 私は、店舗付住棟の耐震改修に加えまして、老朽化の進んでいる都営住宅については、周辺地域への影響も考えながら、地元のまちづくりにも貢献できる建て替えを計画的に進めるべきであると訴えてまいりました。
 この西大久保アパートの一号棟から四号棟は建設から約五十年が経過し、エレベーターもなく、老朽化が進んでいます。同様に老朽化が進んだ建築物の多い周辺では、東京メトロ副都心線西早稲田駅の開業以来、利便性が大きく向上しており、新たなまちづくりの動きが出ています。
 こうした状況を踏まえて、令和三年第一回定例会の一般質問において、地域のまちづくりと併せて、西大久保アパートの建て替えに取り組むことを提案いたしました。
 これに対して榎本本部長から、周辺建築物の老朽化も進み、地元におけるまちづくりの機運が高まりつつあることから、団地の建て替えに当たっては、周辺建築物の更新と併せ、まちの再生にも貢献するとの答弁を得ました。
 この取組は、昨年度末に公表された「未来の東京」戦略において、都営住宅の建て替えをてこにしたまちの再生として打ち出されております。version up二〇二二にも記載がされておるところでございます。
 さらに、コロナ禍において住民同士の交流も制限される状況であることから、昨年の事務事業質疑でも、高齢者の割合が高いこの都営住宅の居住者の皆様がこうした周辺の動きに不安を感じることがないよう配慮しながら、適時適切に情報提供することを要望いたしました。改めて、丁寧な対応が求められると考えますけれども、見解をお尋ねしたいと思います。

○栗谷川再編利活用推進担当部長 都営西大久保アパートの建て替えを含む西早稲田駅周辺地区のまちづくりを進めるに当たり、都営住宅の居住者に対して、まちづくりの検討の状況や建て替え計画等について、進捗に応じて丁寧に説明することは重要でございます。
 昨年、勉強会が発足され、まちづくりに向けて話合いが始まったところであり、今後、都といたしましては、検討状況等に応じて、都営住宅の自治会を通じて居住者の方々に説明するなど、丁寧に対応してまいります。

○古城委員 まちづくりの具体化に向けては、十分な議論が行われることが何よりも重要であります。
 新型コロナウイルス感染拡大の第六波の影響もある中で、オンライン形式も活用するなど工夫をしていただきながら、西早稲田駅前地区まちづくり勉強会を着実に開催し、円滑に進めていくべきと考えますが、この点も見解をお尋ねいたします。

○栗谷川再編利活用推進担当部長 第二回の勉強会について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を鑑み、開催時期を見合わせておりました。
 二月に新宿区が発行したまちづくり勉強会ニュース創刊号において、蔓延防止等重点措置の解除後、速やかに勉強会を開催し、地区の課題等に関するアンケートの実施を説明するとともに、まちづくりの方向性について意見交換を行う旨を関係権利者の方々に周知いたしました。
 現在、同措置の実施期限が三月二十一日となっていることを踏まえまして、第二回勉強会を三月二十四日に開催することとし、その旨、三月十日発行のまちづくり勉強会ニュース第二号により、地元区から関係権利者の方々に通知したところでございます。開催に当たりましては、コロナ禍を踏まえ、オンラインでの参加もできるものとしてございます。
 引き続き、都は、都営住宅の建て替えをてこにしたまちの再生の実現に向け、区と供に勉強会の円滑な運営に努めてまいります。

○古城委員 今後、西早稲田駅前地区まちづくり勉強会で議論が深まり、まちづくりの方向性が早期に示されることを期待したいと思います。
 この都営西大久保アパートをはじめ、昭和四十年代に建設をされました都営住宅は確実に老朽化が進んでおります。ここまで取り上げました耐震改修のほか、エレベーターの設置やバリアフリー化など改善を進める一方で、公営住宅法が定める耐用年数七十年に近づく建物について、近い将来適切な建て替え、更新が必要となります。
 高齢者や障害者、子育て世帯にとっても居住しやすい都営住宅の環境は、建て替えにより初めて解決できるところもあります。各所で建て替えが促進をされるためにも、この西大久保アパートを中心とする西早稲田駅周辺地区まちづくりにつきましては、堅実に前進をさせ、必ず結実をさせていただきたいと要望いたします。
 次に、都営住宅の毎月募集についてであります。
 都は、都議会公明党が行いました子育て世帯への支援の要望に応じて、平成三十年一月から毎月募集を実施しております。平成二十九年第二回定例会におきます中山信行議員の代表質問によりまして、この答弁を得たところであります。
 毎月募集は、当初は毎月五十戸で、子育て世帯を対象に募集を開始したものでありますけれども、令和三年一月から、コロナ禍を踏まえ臨時に対象世帯や募集戸数を拡大し、支援の拡充を図ってきております。
 これらの経緯につきまして、昨年の事務事業質疑におきまして経営改革担当部長から、毎月募集は、若年夫婦、子育て世帯の入居希望時期に応じた申込み機会の拡大を図るため、子育てに適した広さの住戸の中で、比較的低倍率のものを、期限付でない若年夫婦、子育て世帯向けに毎月定例的に行う募集制度として、平成三十年一月から募集を開始したものであること。そして、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえ、生活に困窮する都民への居住支援の充実を図るため、毎月募集について、臨時的な措置として、令和三年一月から、本来の対象世帯である若年夫婦やひとり親を含む子育て世帯に加え、一般世帯も対象とするとともに、募集戸数を月五十戸から七十戸に拡大し、その後、同年七月からは募集戸数を月百戸に、十月からはさらに月百二十戸に拡大するとともに、そのうち二十戸については、若年夫婦、子育て世帯向けの募集枠とすることで、入居機会の確保に配慮した支援の充実を図っているとの説明がありました。
 この毎月募集は、決して暫定的、期間限定的な取組ではなく、そもそも都議会公明党が提案をいたしまして実現にこぎ着けた恒久的な取組であります。今定例会でも、毎月募集につきまして、都民の入居機会を増やすために、さらなる募集拡大と募集方法の改善に努めるべきとの我が党の代表質問に対して、本年四月以降、さらに拡充を図るとともに、今後単身者も対象とするとの答弁を得ました。
 そこで改めて、四月以降の毎月募集の具体的な拡充内容についてお尋ねいたします。

○都築経営改革担当部長 都営住宅の毎月募集については、本年四月から募集戸数を月百二十戸から二百戸、年間二千四百戸にし、この中で子育て世帯等の専用枠を月二十戸から四十戸に増やすとともに、一般世帯も引き続き対象とし、都民の入居機会の一層の拡大を図ります。
 高齢者や障害者等の単身者向けの毎月募集については、来年度早期にオンライン申請システムの改修を行い次第、新たに募集を開始してまいります。

○古城委員 毎月募集につきまして、本年四月から募集戸数を月百二十戸から二百戸へと、年間に直しますと二千四百戸、この中で子育て世帯等の専用枠については月二十戸から四十戸に増やしていく。さらに、単身者向けの毎月募集についても、来年度の早期に改修するということでございます。
 都議会公明党はこれまでも、募集戸数の拡大や利便性の高い地域での募集の開始、さらには型別供給での柔軟な取扱いも提案をしてまいりました。引き続き、募集と運用の改善を図っていくことによりまして、都民の都営住宅への期待をしっかりと果たしていく、そうした取組を前に進めていただきたいと要望させていただきます。
 次のテーマといたしまして、JKK東京に入ってまいりたいと思います。
 初めに、公社住宅における環境配慮の取組についてであります。
 十七の目標から成るSDGs、国連の持続可能な開発目標は、国連加盟国全てが合意をしている未来の形、未来の姿であり、二〇三〇年に向けた世界共通の成長戦略ともいえるものであります。特に住宅につきましては、目標十一を中心に多くのゴール、ターゲットと密接に関連をしております。
 これと同様に、企業や投資家に適用される指標として、環境、社会、企業統治に配慮した経営を評価するESG投資の流れが加速し、企業戦略でも、目先の利益ではなく事業の持続可能性に価値を置く動きが広がっています。さらに、コロナ後を見据え、各国政府が脱炭素社会への取組を強化していることも、ESG投資の伸びにつながっているとの指摘もあります。
 さて、不動産は、環境や社会に関する課題解決に貢献できるポテンシャルが大きく、ESG投資の対象として重要であることから、様々に議論、検討が重ねられています。
 国土交通省の検討会では、不動産へのESG投資の基本的な考え方として、不動産取引の際の短期的な価格上昇期待のみに基づくものではなく、ESG投資により不動産が中長期的に生み出す価値を基本的に判断することとし、具体的に、気候変動への対応、健康性、快適性の向上、地域社会、経済への寄与、災害への対応、超少子高齢化への対応が挙げられています。
 既にJKKのホームページでは、当公社とSDGsの関わりとして、当公社は少子高齢社会への対応、地域の防災力の向上、省エネルギー化などSDGsに関係した取組を推進しています、今後も住宅事業を通じて地域社会に貢献していきますとうたっており、このことを評価させていただきますとともに、さきに述べましたESG不動産の考え方ともオーバーラップするのではないかと思うわけでございます。
 ここまでの私の愚見をお聞きになられた皆様には、もちろんJKKの財産は当然に投資の対象ではないわけでありますから、ESG不動産とくくって取り上げるには妥当ではないとお感じになられている、そうしたことは重々承知をいたしました上で、ESG、いわゆる環境、社会、企業統治の視点から評価をしていくということについては、ぜひともご容赦をいただきたいと思うわけであります。
 本日は、冗長に今申し上げてまいりましたけれども、簡潔にすべきことも本意でありますので、特にこのESGのE、Environment、環境に絞って質問したいと思います。
 JKKのホームページには、JKK東京は、国会で宣言された二〇五〇年カーボンニュートラル及び東京都によるゼロエミッション東京戦略二〇二〇の実現に貢献するため、二〇四〇年代後半を目途として事業活動及び事業所活動のCO2排出量実質ゼロに取り組んでいきますと掲げられています。
 また、国土交通省の別の検討会では、環境への配慮の観点から、建物の上に太陽光パネルを設置し発電するなど、自然エネルギーを使用する不動産への関心が高まりつつあるとして、今後の方向性に言及がなされました。都の来年度予算案には、公社住宅における太陽光発電設備の設置の取組が掲げられております。
 そこでまず、公社住宅における太陽光発電設備の現在の設置状況についてお尋ねいたします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 東京都住宅供給公社では、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度の導入に合わせ、原則として、平成二十四年以降竣工の全ての建て替え住棟において太陽光発電設備を設置しております。
 令和二年度末までに、累計で十七棟の公社一般賃貸住宅に設置しているところでございます。

○古城委員 都議会公明党は、昨年の第四回定例会の代表質問で、脱炭素社会の実現に向けた住宅の省エネ化、再エネ導入の推進を踏まえて、特に既存住宅を対象に省エネ改修を支援できる新しい仕組みの構築を提案いたしました。また、さきの代表質問では、都有施設の目標となる二〇三〇年に使用電力の再エネ一〇〇%化を達成するには、都自らが行う太陽光発電の設置もさらに加速化させていくことが重要であると指摘いたしました。
 これらの点を鑑みまして、公社住宅において、都は、既存住宅への再エネ導入のトリガーですとか、また、モーメントとなるような施策に取り組むべきであると考えます。
 そこで来年度、都が費用負担して公社住宅において太陽光発電設備の設置を進めようとする目的と具体的な内容についてお尋ねいたします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 既存の民間集合住宅におきましては、太陽光発電設備の設置を進めるに当たり、工事費や維持管理費等のコスト、自家消費によるコスト削減、また、売電による収入など、収支面の課題があると考えられます。
 そのため、来年度は、公社住宅の既存住棟におきまして、都が太陽光発電設備の設置工事や既存建物に設置するために必要となる防水工事等の関連工事の費用などを負担して、二十五棟に集中的に設置することにより、階層や戸数など住棟の形態に応じた収支構造のケーススタディーを行います。
 こうして得られた検証結果を来年度設立を予定している省エネ、再エネ住宅の普及を促進するプラットフォーム等を通じて広く情報発信することにより、既存の民間集合住宅が太陽光発電設備の導入に取り組みやすい環境を醸成してまいります。
 あわせて、こうした取組を通じて、公社住宅における太陽光発電設備の設置を加速させてまいります。

○古城委員 ただいまご答弁いただいた来年度の既存住棟二十五棟への集中的な設置をはじめ、公社住宅における太陽光発電設備の設置を着実に推進していくこととともに、あわせて、その設置によりまして、既存民間集合住宅の再エネ導入を牽引していくべきであります。
 また、これまでも述べてまいりましたように、太陽光以外にも、住宅においては様々な手法で省エネ性能の向上に取り組んでいくことも重要であります。
 そこで、JKKにおけるこれまでの環境配慮の取組と、今後の方向性についてお尋ねいたします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 公社では、省エネルギー法の改正により、一定規模以上の住宅の新築、増改築等に関して省エネ措置を所管行政庁に届け出ることとなったことなどを受けまして、平成二十二年以降竣工の建て替え住宅から省エネ対策を強化し、その後の省エネ基準の改正にも順次対応してきました。
 具体的には、令和二年度末までに、断熱材や複層ガラス等による断熱化については十五住宅、三千百六十一戸、高効率型給湯器の導入につきましては十六住宅、三千五百五十一戸で実施するなど、省エネ対策に積極的に取り組んでまいりました。
 今後は、こうした取組を継続するとともに、建て替え予定である世田谷区の赤堤住宅等をモデルに、より高い省エネ基準であるZEH-M Orientedの導入の検討を行います。
 また、これまでの居住者用の電気自動車用普通充電設備に加え、公共用の急速充電設備の設置にも取り組んでまいります。
 こうした取組により、都の掲げる二〇三〇年のカーボンハーフの実現に向け、さらなる環境負荷の低減に取り組んでまいります。

○古城委員 これまでのJKKにおけます省エネ対策とともに、来年度の新たな取組、特に、いわゆる強化外皮基準、断熱性能を満たして、省エネによる一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準値から二〇%削減とする基準であるZEH-M Oriented、この導入はESG、先ほど来申し上げてまいりましたが、このESGの方向性と軌を一にするものでありまして、ここまで確認してまいりましたJKKの環境対策は、ESGの観点にも十分にかなうものであるというふうに感じた次第でございます。
 二〇三〇年のSDGsの目標達成と同様に、また、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、JKKの取組が都を牽引することとなることを期待いたしまして、今後も施策展開と事業実施について、私も追いかけてまいりたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 次に、SDGsにも関連いたしまして、JKKにおける障害者雇用についてであります。
 障害者雇用は、ESGのS、Social、社会の重要項目の要素としても挙げられています。都の政策連携団体として、JKKは障害者雇用の拡充に取り組むことも重要であると考えます。
 都庁における障害者雇用を推進する都議会公明党は、平成三十一年の予算特別委員会において、当時の監理団体、現在では政策連携団体での障害者法定雇用率の達成を訴えました。当時の障害者雇用率は民間企業が二・二%、国や地方自治体などが二・五%、都道府県などの教育委員会が二・四%でしたけれども、昨年三月には、それぞれ〇・一ポイントずつ引き上げられております。
 そこでまず、JKKにおける障害者雇用率につきまして、過去二年の実績をお尋ねいたします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 東京都住宅供給公社における障害者の雇用状況につきましては、障害者雇用促進法においてハローワークへの報告が義務づけられております六月一日時点の実績で見ますと、令和二年は三十四名であり、法定雇用率二・五%に対して二・五三%となっております。また、令和三年では三十八名であり、法定雇用率二・六%に対して二・八一%となっており、雇用率は前年に比べ向上しております。

○古城委員 法定雇用率が引き上げられた中で、法定雇用率の引上げを挟む両年、いずれの年においても達成をしているということは評価すべきであります。大変重要であると思います。
 また、障害者雇用率の達成は、単なる数合わせにならないよう、雇用の質であるとか職場への定着にも力を入れる必要があります。
 そこで、JKKの障害者雇用の促進に向けた取組についてお尋ねいたします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 公社では、障害者雇用促進法に基づいた採用活動を計画的に行うとともに、その年の障害者の雇用状況に応じて適宜募集も行っております。
 現在、来年度の採用に向けては、これまでのハローワークを通じた募集に加えて、初めて、障害のある方向けの求人サイトを通じた募集も行っております。
 また、身体や精神といった障害の内容、程度や個々の適性を見極めた上で配属し、それぞれの職員が職場で活躍できるよう配慮に努めるなど、働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。
 公社におきましては、今後とも、障害者の雇用促進に向けた都の方針等も踏まえながら、障害者の雇用を進めてまいります。

○古城委員 令和二年三月に、知事部局や各任命権者との連名で策定がされております都庁における障害者活躍推進計画では、各任命権者について三%の障害者雇用率を目指すということが掲げられております。特に障害者の方々の職場定着には、障害者雇用の推進に関する実務責任者の配置や働く障害を持つ方々向けの相談窓口の設置が求められます。
 また、JKKにおいては、多様なお客様と接する賃貸住宅事業、建設事業、公営住宅等管理受託事業を事業内容とすることから、職員向けないし職員間での取組がお客様との接遇においても、大いに生かされることが期待をされます。
 JKKはもちろん政策連携団体ではありますけれども、ぜひとも都庁グループの一員として、率先してこの三%の雇用率を目指すとともに、引き続き、働きやすい職場環境づくりに取り組み、他の政策連携団体にもノウハウを共有していくなど、都庁グループ全体の牽引役となることを要望いたしたいと思います。
 そして、ただいまESGのE、それからSについて申し上げてまいりましたけれども、いずれの分野におきましても、JKKの取組が進展をいたしまして、特にホームページ上の当公社とSDGsの関わり、この項目の中身が来年度には、ちょっと欲張りかもしれませんが、倍加していくようなことをぜひとも事業として推進をしていただきたいと、このことも付言、申し添えさせていただきたいと思います。
 最後に、新たな東京都住宅マスタープランの策定について、意見を申し上げさせていただきます。
 人口減少や高齢化、外国人居住者の増加も進んでいる中で、コロナ禍を踏まえて、時代の変化に見合った快適な住宅の確保をしていく、このことは暮らしの安心の根幹であります。特に、高齢者や子育て世帯、就労困難者への住宅支援が不可欠であります。
 都営住宅をはじめ、各種公的住宅の適切な戸数と質の確保や、民間住宅、マンションなどの取得や入居がしやすい仕組みの構築など、本プランの策定を通じて骨太の住宅政策を都政の柱に据えていくべきであります。
 今後の事業展開に当たりましては、ここまでの質疑で確認してまいりましたことを踏まえて、特に、毎月募集など都営住宅の募集に係る手続を一〇〇%オンライン化するとともに、デジタルデバイドの解消にも十分に配慮すること。都営住宅、公社住宅における太陽光発電を拡充するなど、建て替えと既存の両面から省エネ、再エネ利用を推進するとともに、民間住宅のゼロエミッション化に貢献すること。一〇〇%を目標に掲げる都営住宅の耐震化に向けて、分譲店舗付住棟における取組を強化すること。都営住宅の建て替えをてこにしたまちづくりを推進することとともに、都営住宅居住者が不安を感じることがないよう、十分に配慮することを改めて求めるものであります。
 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

○尾崎委員 質問に先立ちまして、小池都知事が十一日の記者会見で、ウクライナからの避難民向けに都営住宅百戸を用意したと発表したことは大変歓迎するものです。七百戸まで無償だということも、先ほどほかの委員の質問に答弁がありました。状況に応じて、空いている住戸を積極的に活用することを、まず要望するものです。
 最初に、付託議案第六十号議案、マンションの管理の適正化の推進に関する法律関係手数料について、意見を述べたいと思います。
 条例には反対するものではありません。マンションの管理の適正化の推進に関する法律の改正により、都は、町村部に適用するマンション管理適正化推進計画を作成する予定です。計画の策定に伴い、町村の区域に所在するマンションについて、管理組合の管理者等からの申請に基づき、都が、総会の適切な開催など一定の基準を満たす管理計画を審査し、認定できるようになっており、管理計画の認定審査に係る手数料の規定を新たに設けるものだと考えます。
 神奈川県では、制度普及を目的として、制度開始から三年間は手数料を無料とする予定であることが県のホームページに掲載されていました。大変重要な対応だと思います。東京都でも制度普及のため、例えば神奈川県と同様に三年間は手数料を無料にするなど、特別の対応を検討することを要望するものです。
 次に、東京都住宅マスタープラン案に関わった質問をしていきます。
 住宅マスタープランは、二〇二一年から二〇三〇年までのプランです。住宅は生活の基盤です。新型コロナの感染拡大を経験し、住宅を失えば一気に生活が脅かされることが明らかになりました。コロナ禍で貧困と格差が広がりました。都民の暮らし応援のために、住宅政策がこれまで以上に重要となっています。同時に、気候危機打開が待ったなしの状況の中で、住宅の省エネ、再エネが緊急課題であり、都の取組が急務となっています。
 東京都住宅マスタープラン案の目標2、脱炭素社会の実現に向けた住宅市街地のゼロエミッション化について伺います。
 都営住宅、公社住宅における太陽光発電導入量は、二〇二〇年度末で約二千五百キロワットを、二〇三〇年度末までに約四千八百キロワットにする政策目標が示されています。このうち、都営住宅の二〇二〇年度末と二〇三〇年度末の太陽光発電導入量はどうなっているのか伺います。

○妹尾建設推進担当部長 東京都住宅マスタープラン案における都営住宅の太陽光発電につきまして、二〇二〇年度末までの導入量は約二千三百キロワット、二〇三〇年度末までの導入量は約四千五百キロワットとしております。
 今後、マスタープラン案で示すとおり、東京都環境基本計画の改定に合わせ、上積みを予定しております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で明らかですが、都営住宅に比べると、公社住宅の太陽光発電設置が大変遅れているということが分かりました。しかし、都営住宅でも十分とはいえない状況です。
 資料要求でまとめていただきましたが、都営住宅における太陽光発電設備の設置状況を見ますと、二〇二〇年度は都営住宅の建て替え事業による住棟と既存住宅の合計で三十七棟という状況です。そのうち、既存住棟はおおむね一棟ぐらいだということも聞いています。
 来年度予算案では、既存住宅への太陽光発電設備は、環境局の予算案に事業規模百棟が盛り込まれています。二〇二〇年度の実績の二・七倍ですから、これは大変重要です。
 それでは、都営住宅への二〇二〇年度の太陽光発電設備の設置状況は三十七棟ということですが、太陽光発電導入量は何キロワットになるのか伺います。

○妹尾建設推進担当部長 二〇二〇年度に設置いたしました三十七棟の太陽光発電設備の出力の合計は、約百五十キロワットでございます。

○尾崎委員 都営住宅の建て替え事業による太陽光発電設備を設置した三十七棟での出力が約百五十キロワットということです。このご答弁を基に考えますと、環境局の来年度予算案で百棟ということですから、太陽光発電導入量は約四百五キロワットぐらいでしょうか。また、今後、これまでと同等の都営住宅の建て替え時に太陽光発電設備を設置すると、二〇三〇年度末までの目標には達成することができないという状況だと思います。既存住棟への太陽光発電設置を思い切って進めることが必要です。
 先ほどのご答弁で、東京都環境基本計画の改定に合わせて、上積みを予定しているとのことでしたので、積極的に見直すことを要望するものです。
 公社住宅における太陽光発電設備設置として、来年度予算案に十四億六千万円が盛り込まれたことは重要です。具体的には、何棟に設置し、太陽光発電導入量は何キロワットを目標にしているのですか。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 東京都住宅供給公社における太陽光発電設備の設置につきましては、来年度は公社住宅の既存住棟二十五棟に設置する予定でございます。
 なお、個々の住棟に設置される太陽光発電設備の容量につきましては、住棟の規模や構造などの設置条件によって決まってくるものであり、それに応じて、公社住宅に設置する太陽光発電設備の来年度の発電導入量は決まってまいります。

○尾崎委員 東京都が財政支援を行い、公社住宅への太陽光発電設置を進めることは大変重要だと思います。
 東京都が掲げている二〇三〇年までに二〇〇〇年比で温室効果ガス排出量を五〇%削減するカーボンハーフを実現するためには、ゼロエミ住宅を都営住宅、公社住宅で実現することが重要だと考えます。そう考えると、二〇三〇年度までの太陽光発電設備の設置目標を引き上げること、省エネでは、目標だけではなく都営住宅などでの具体的な対策として、断熱材の性能の向上や二重窓などの設置などの目標も掲げるべきだと要望するものです。
 小池知事は、第一回定例会開会日の施政方針で、多摩産材をはじめ、住宅建設に国産木材の活用を推進すると述べたのは重要です。東京の緑を守る。東京の林業を守り、後継者育成にとっても、都内住宅での多摩産材の活用、とりわけ都営住宅が率先して多摩産材を活用することが大きな役割を果たします。
 それでは、都営住宅における国産木材の中に、多摩産材は入っているのかどうか伺います。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅建て替え工事において、使用を指定している国産木材は、全て多摩産材でございます。

○尾崎委員 全て多摩産材だというご答弁です。大変重要だと思っています。
 都営住宅における国産木材使用量は、二〇一六年度から二〇二〇年度累計で約五千立方メートルとなりますが、どの部分に国産木材、多摩産材を使用しているのでしょうか。
 また、二〇二一年度から二〇二五年度累計で七千五百立方メートルにするという政策指標を持っていますが、具体的にどのように増やしていくのか伺います。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建て替え工事では、多摩地域の木材を有効活用し、木の循環利用を通じて林業の活性化などを図るため、平成十六年度から建物の部材等に多摩産材の使用を開始いたしました。
 当初は、使用の対象を集会所の腰壁パネル、植栽した樹木の控え木としておりましたが、平成十八年度からは、住戸の間仕切り壁の芯材や付けなげしにも拡大するとともに、供給の状況も勘案しながら、発注時に多摩産材の使用を指定する工事件数を増加させてまいりました。
 住宅マスタープラン案で掲げました、都営住宅において二〇二一年度から二〇二五年度の累計で七千五百立方メートルの国産木材の使用という目標に向け、今後も供給状況を勘案しながら、多摩産材を使用する工事件数を増やしてまいります。

○尾崎委員 多摩産材の活用は、都内の林業の発展にとって重要です。今後は、産労局の支援もさらに拡充していただき、都庁一丸となって、多摩産材の加工にも力を入れていただきたいと思います。そして、都営住宅の外壁や床などにも活用できるように、検討を要望するものです。
 日本共産党都議団の代表質問に、住宅は生活の基盤である、都民の居住の安定の確保に向けた住宅セーフティーネットの強化など、総合的な住宅施策を引き続き展開していくと答弁されたことは重要です。
 東京都住宅マスタープランでも目標3で、住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定について位置づけています。長引くコロナ禍で住宅の相談が増えています。特に若者や女性が深刻になっています。
 施策1では、より困窮度の高い都民への都営住宅の的確な供給となっています。若年家族を中心とした毎月募集を大幅に拡大し、対象の拡大も行うべきですが、いかがですか。

○都築経営改革担当部長 都営住宅の毎月募集については、本年四月から募集戸数を月百二十戸から二百戸、年間二千四百戸にし、この中で子育て世帯等の専用枠を月二十戸から四十戸に増やすとともに、一般世帯も引き続き対象にすることとしております。
 その後、高齢者や障害者等の単身者も対象としていく予定でございます。

○尾崎委員 今後、単身者も対象としていく予定であるとのご答弁です。対象を増やしていくことは重要ですが、二〇二二年度、今後、新型コロナの感染状況がどうなるのかまだ分かりません。コロナ禍が長引けば長引くほど、住宅問題で困っている人たちは今後も増えていくのではないかと心配をしています。毎月募集は二百戸で、年間二千四百戸に増やすことは重要ですが、年度途中であったとしても状況に応じて検討し、さらなる拡充を強く求めるものです。
 日本共産党都議団は繰り返し要望してきましたが、住宅に困っている人々への本格的な支援は、都営住宅の新規建設です。改めて新規建設を強く求めるものです。
 また、公社住宅やUR賃貸住宅を借り上げ、都営住宅を増やすことや、直接都民に、とりわけ困っている若者や女性、ひとり親家庭に家賃補助を実現することに向けて真剣に検討すべきだと求めるものです。
 次に、資料要求でまとめていただきました都営住宅における居室内単身死亡者数は、平成二十五年度は三百三十七人でしたが、令和二年度、二〇二〇年度には七百五十五人になっています。団地内の見守りやコミュニティの再生が急がれます。
 住宅マスタープラン案に記載されている大学との連携について、具体的にはどのような取組が検討されているのか伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、大学と協定を結び、空き住戸の目的外使用により、大学の近隣の都営住宅に入居した学生が団地の自治会が行う防災訓練や地域住民との交流等に協力するなど、その活動を支援する仕組みを検討しております。
 来年度からこうした取組を開始できるよう、まずは地域への貢献に関心のある大学などと協定締結に向けた協議をしております。

○尾崎委員 大変重要なご答弁です。
 私は昨年の本委員会でも紹介しましたが、神奈川県横須賀市にある市営住宅、浦賀団地は、築年数が古く、エレベーターの設置が遅れているために、四階や五階の空き家が目立っていました。そのため、二〇一六年に住宅供給公社と神奈川県立保健福祉大学が連携協定を締結し、同大学の学生が団地活性サポーターとして入居し、地域の活性化をサポートする取組も始まっています。こうした取組が都営住宅でも進む可能性が生まれたということです。
 ぜひ、積極的に大学などに働きかけ、実現していただきたいと要望するものです。そして、さらにそこから、都営住宅の入居対象を学生や単身の若者にも広げていただけることを強く求めるものです。
 次に、LGBTQの方々からは、一緒に暮らす上で大きな障害となっているのが住まいの問題ですと、切実な声が寄せられています。都は、パートナーシップ宣誓制度を来年度に導入することとしています。公営住宅への入居に関する他県の取組について、どのような調査をしていますか。

○都築経営改革担当部長 都は現在、いわゆるパートナーシップ制度を導入している他の自治体における公営住宅への入居資格の確認方法等について調査を行っております。

○尾崎委員 兵庫県の宝塚市や明石市などの九市町村にある県営住宅で、認証カードで同性カップルの入居を認めているということも聞いています。
 いつから証明書を活用して都営住宅への同性カップルの入居を認めるお考えなのか伺います。

○都築経営改革担当部長 他の自治体の調査の結果やパートナーシップ宣誓制度構築の検討状況を踏まえながら、導入時期を含め、都営住宅の管理制度等における取扱いについて検討しております。

○尾崎委員 日本共産党都議団は、昨年の第一回定例会に住宅基本条例の改正案を提出しました。その中心は、国連人間居住会議、ハビタットⅢで、日本政府も参加して合意された国際水準に基づいて、全ての都民に安心できる居住の権利を認め、その第一歩として、都営住宅が同性パートナーの家族の入居を認めるなど、ソーシャルインクルージョンの考え方を明記することでした。その中の一部ですが、今実現されようとしており、重要だと考えます。ぜひ一日も早く実現できるようお願いしたいと思います。
 次に、都営住宅の店舗は分譲で区分所有だと伺いました。
 そこで、都営住宅団地の分譲店舗はどのぐらいありますか。

○都築経営改革担当部長 都営住宅団地の分譲店舗数は、令和二年度末現在、百三団地、九百五十一区画あります。

○尾崎委員 それでは、都営住宅団地の中で埋設されている給水管の点検、修繕はどうなっていますか。

○小林営繕担当部長 都営住宅の給水管の点検については、建築基準法に基づき、目視により配管の腐食や漏水の状況などの確認を毎年実施することとしていますが、隠蔽部分及び埋設部分は対象から除かれています。
 また、給水管の修繕については、漏水が発生した際、漏水箇所を特定して対応しており、広範囲にわたって経年劣化している場合には大規模な更新を行うこととしております。

○尾崎委員 都営住宅団地の給水管の埋設部分は点検はしていないということです。分譲店舗の給水管は別になっていて、分譲なので、都が点検、修繕するものではないということも聞いています。
 都営住宅狛江アパートの商店街の店舗は分譲ですが、昨年六月、五月かもしれませんけれども、水道管に穴が空き、水漏れが続いています。このようなことが起こった原因をどう認識していますか。

○都築経営改革担当部長 漏水している給水管は、都営住宅に水を供給しているものではなく、住棟の一階に併設されている十の分譲店舗用に水を供給しているものであるため、店舗所有者全員が共同して維持管理していただくものでございます。
 今回の漏水は、店舗用の給水管の著しい老朽化が原因と考えております。

○尾崎委員 昨年五月に店舗を所有している方が異変に気づき、JKK、住宅供給公社に相談し、公社が発注している業者を紹介したということでしたが、応急の仮補修を試みましたが水は止まらないで、今でも水が漏れているという状況です。店舗の所有者は、心配で夜も眠れない、自分の家に穴が空いていて平気な人はいないでしょうと訴えています。
 今回の給水管は分譲の共用部分ですが、一般のマンションのように修繕などのための積立金をしているわけではありません。水道管の交換が必要だとなれば、それ相当の金額が必要です。
 しかし、そのようなお金がすぐに準備できる状況でもありません。しかも共用部分だから、店舗の方たちの責任だとはならないのではないでしょうか。都はどのような対応をしていますか。

○都築経営改革担当部長 都といたしましても、店舗用の給水管から漏水が続いていることは好ましくなく、先月二十四日に、漏水による地盤等への影響を確認するための地中探査を実施いたしました。
 その結果を踏まえ、店舗所有者の皆様が取り組むことができるよう、改修方法等についての提案をしたいと考えております。

○尾崎委員 二月二十四日に都は、漏水している地中の探査、地下の調査を始めたということです。結果はまだ出ていないということです。今後の対応については、都側から修繕の提案ができないか検討しているということもご答弁の中にありました。
 それでは、地中探査の結果、都営住宅の地盤に影響が生じている場合、土地の所有者として都の責任で漏水の対策を取ることは考えておいでなのかどうか伺います。

○都築経営改革担当部長 都営住宅の土地建物への影響については、地中探査の結果を踏まえ、確認していくこととしております。

○尾崎委員 結果がこれから出るわけですから、結果を踏まえて十分検討していただきたいと思いますが、何よりも当事者の方が納得できるよう、丁寧に対応することを強く求めるものです。
 次に、都営住宅の家賃について伺っていきたいと思います。
 新型コロナ感染症の拡大は、中小業者に大きな影響を与えています。とりわけ飲食店の方々は、昨年、二〇二一年の一年間で、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置、リバウンド防止措置の期間は二百九十日間、営業自粛要請で営業がほとんどできない状況でした。一年三百六十五日のうち、通常どおりの営業ができた日数は僅か七十五日間だけです。
 飲食店の方々は毎日どんな気持ちで過ごしていたのでしょうか。考えるだけで絶望的になってしまいます。先が見えない、仕事ができない状況で、鬱状態になった、生きる展望が持てないなどの声が私たちのところにも寄せられる深刻な事態となっています。
 新型コロナ感染症対策で営業自粛が要請され、協力した事業者には協力金が支給されています。国税庁は、持続化給付金や家賃支援金、月次支援金、都の協力金などは課税の対象になるとしています。
 その結果、都営住宅の家賃が倍になってしまった人などもいて、今後どうやって家賃を払っていくのか、支払っていけるか不安だとの相談も寄せられています。都の協力金などは事業収入ではなく、営業時間短縮の要請に応じた事業者に支給されたものです。二〇二一年に支給されても、来年度も協力金の支給があるとは限りません。二〇二二年に協力金や事業収入が大幅に減少した場合、今年、家賃の減免申請の対象にすべきですが、いかがですか。

○都築経営改革担当部長 都営住宅の使用料は、公営住宅法等に基づき、入居者の収入及び都営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数等に応じて定められる応能応益家賃制度が適用されます。その際、入居者の収入の算定方法についても法令等により定められており、過去一年間における所得金額によることとされております。
 ただし、退職、廃業、転職等の場合には、入居者の申請に基づき、最新の収入に応じた使用料に見直すとともに、その収入が一定基準以下の場合には、使用料をさらに一〇%から五〇%減額することとしております。

○尾崎委員 私は二〇二〇年十一月二十七日の経済・港湾委員会で、協力金や給付金は、事業や益金、事業の対価に該当するものではなく、課税の対象にはならない、緊急事態宣言などによる経済的ダメージを和らげ、中小業者が事業の経営を継続させるための生存権を保障するためのものであり、いわゆる見舞金のようなものだと主張しました。
 産労局は、新型コロナ関連の補助金や助成金等について、事業効果を損なわぬよう、税務上においても特例的な取扱いを講じていただきたい旨、国に要望を行っていると答弁しています。大事な答弁だと思います。
 しかし、残念ながら実際には、国税庁の見解に基づき、協力金などは課税の対象になっています。その結果、協力金などは収入扱いになってしまい、所得が増えることになってしまっているんです。そして、都営住宅の家賃が大幅に増額になってしまっているというわけなんです。
 中小業者の団体でつくっている全国中小業者団体連絡会が、今年二月四日に政府交渉を行いました。その中で、令和二年、二〇二〇年五月七日の事務連絡で、中小・小規模事業者等に対する「持続化給付金」の生活保護制度上の取扱いについてにあるように、市町村が国保料、国保税の算定をする際に給付金等を所得に算入しないという扱いはできるのかと尋ねると、厚労省は、当初から所得に算入しないという扱いは難しいが、給付金等を含めて賦課した後で給付金等に相当する部分を減免することは可能であると答弁したんです。私は、これは国保料、税についての答弁ですが、大変重要な答弁だと思っています。都営住宅の家賃の算定の際にも、同様の考え方が当てはまるからです。
 つまり、一旦は都営住宅の家賃の算定に協力金なども所得に加えて家賃を決める、その後で、協力金等に相当する部分を減免することは可能だと考えています。今年も昨年同様の協力金の支給があるわけではありません。収入が大幅に減少することにつながります。ぜひ、家賃の減免については丁寧に対応していただくことを強く求めるものです。
 都の協力金などの受給によって都営住宅の家賃が高くなった方に、この状況が二年連続すれば退去を求めるとの文書も来ていると聞きました。事業収入ではない協力金です。このような文書を機械的に出すのはやめるべきですが、いかがですか。

○都築経営改革担当部長 ご質問の文書は、都営住宅に引き続き五年以上入居している方で、認定所得月額が三十一万三千円を初めて超えた方に送付しているものであります。二年間引き続きこの金額を超えた方は、高額所得者審査会の審査を経た上で、住宅の明渡し請求の対象となることから、あらかじめその旨をお知らせするために必要な文書でございます。
 なお、協力金は制度上事業収入として扱われております。認定所得月額は、毎年の収入報告において、住民税課税証明書等に記載されている所得に基づき算出をしております。

○尾崎委員 ルールはそうなっていることは承知をしております。しかし、先ほども述べましたが、新型コロナによって中小業者の皆さんは先が見えずに崖っ縁に立たされているのです。そんな方々に強制退去もあるとの文書が届いたら、住むところがなくなると不安が広がるわけです。どんな思いになるか想像してみてください。
 そもそも、今回のコロナ対策の協力金や給付金について、税務上明確に定められていないということです。税金の専門家は、税法上明確に定められていないときは、現行法の枠内で解釈するのではなく、日本国憲法の立場から検討する必要がある、国は、法律の根拠なしに租税の賦課徴収はできないし、国民の立場からすれば、法律の根拠なしに租税を負担する義務は負わないとの見解でした。
 つまり、コロナ対策の協力金や給付金などは課税されるものではないという解釈になります。都営住宅の家賃が上がり、住まいを失いかねない状況は、産労局が述べていた、事業効果を損なわぬよう、税務上においても特例的な取扱いを講じていただきたいということからは大きくかけ離れ、事業効果を損なうばかりか、暮らしの基盤も失いかねない状況になっているんです。
 どこに相談していいのか分からず不安を抱えている方たちがいます。機械的に文書を送りつけるのはやめるよう、改めて強く求めていきます。同時に、相談窓口の担当者を増やすなど、丁寧な相談を行うことを求めて、質問を終わります。

○宮瀬委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩

   午後三時二十六分開議
○宮瀬委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○竹井委員 よろしくお願いします。
 まず初めに、ウクライナからの避難民への都営住宅の提供について伺います。
 横浜市などが具体的に市営住宅の提供数を発表しました。その後、小池都知事も十一日の会見で、まずは都営住宅百戸、最大七百戸まで提供可能との発表をされました。国の受入れスキームを踏まえて、タイミングを逸することなく機動的に対処していくとのことで、大変安心をいたしました。
 東京都には約五百人のウクライナ人が在住しているとのことです。彼らを頼って避難者が渡航する可能性もあります。また、政府によれば、既に八名のウクライナ人が入国されているとのことで、今後、避難者が増える可能性もあります。
 国からの要請があれば、都営住宅に無償ですぐに入居が可能という理解でよろしいでしょうか。また、入居に当たって、家賃や光熱水費、備品の扱いはどのようになるのか、伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、都営住宅を既に百戸確保しており、国からの要請に速やかに対応できるよう準備をしております。また、無償で提供することとし、照明器具やガスコンロ等の備品を用意する予定であります。
 光熱水費は自己負担となります。

○竹井委員 光熱水費は自己負担とのことですけれども、今後、状況に応じて、都庁一丸となって臨機応変なサポートをお願いしたいと思います。
 それでは、東京マンション管理・再生促進計画の改定について、まず、マンションの管理計画認定制度について伺います。
 四月一日から、一定の基準を満たすマンションの管理計画を認定する制度が開始されます。今回の手数料条例では、東京都が町村において認定事業を行うことから、その手数料について定めたものと聞いております。
 一方、市区においては、四月一日から板橋区が始めると聞いていますけれども、他の市区はまだ準備中のところがほとんどです。管理計画認定を取得したマンションの取得等については金利の引下げ措置を講じることが予定されており、また、管理が適正に行われることで、マンションの市場価値を上げることも期待できます。メリットが期待される中で、認定制度がある市区、ない市区とまだらになるのは望ましくないと考えます。
 多くの市区が速やかに認定制度を導入するよう、都の支援が必要と考えますが、都の取組について伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 これまで都は、より多くの市区が管理計画認定制度を導入するよう、実務的な意見交換の場などを通じ、管理適正化推進計画の参考例として都が作成したひな形や、認定制度における都の手数料の考え方を示すなど、市区を技術的に支援してまいりました。
 今後とも、市区が適切に管理適正化推進計画を策定し、管理計画認定制度を着実に実施できるよう、市区に対し必要な支援を行ってまいります。

○竹井委員 次に、管理状況届出制度について伺います。
 今回の計画の改定は、条例に基づく管理状況届出制度が開始され、個々のマンションの管理状況が明らかになったということも背景にあるとのことです。
 昨年十二月末時点で要届出マンションの八割から届出がなされたとのことですけれども、逆にいえば、二割において届出がなされていません。未届けのマンションについてはどのような対策を講じているのか伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 届出期限を経過しても届出がなされないマンションに対しましては、適正な管理が行われていないことが懸念されることから、市区町と連携して、順次、届出を促す文書を郵送するなど督促を行っております。
 さらに、こうした督促にもかかわらず届出がなされない場合には、マンション管理士等を活用して個別訪問調査を実施し、管理状況を聞き取りながら届出を促しております。
 引き続き、こうした取組などを通じ、対象となるマンションからの届出を促してまいります。

○竹井委員 届出があったマンションのうち約一六%、約千五百件に管理不全の兆候が見られたとのことです。
 こうしたマンションへはマンション管理士などのアドバイザーを無料で派遣したり、市区町と連携し、管理状況に応じた調査、助言などを順次行っていくようですけれども、管理状況に応じて、市区町が地域の実情に応じた施策を推進するために、都の支援が重要だと思っています。どのように支援していくのか伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、把握した管理状況を市区町と共有するとともに、管理組合に対して効果的な助言等に活用できるよう、市区町が参加する連絡会議等を開催し、情報共有を行っております。
 さらに、都及び市区町の職員がマンション管理士と連携して、マンション等を個別訪問する適正管理啓発隊の派遣を実施しており、これにより得られたノウハウは、市区町による施策にも活用されております。
 こうした取組を通じまして、市区町の取組を支援してまいります。

○竹井委員 ありがとうございます。市区での取組の支援をよろしくお願いをしたいと思っています。
 次に、公社住宅における太陽光発電設備設置事業について伺います。
 来年度は、公社住宅で二十五施設に太陽光発電設備を設置するとのことで、十四億円の予算が組まれています。公社では、これまでどれくらいの太陽光発電設備を設置しているのか伺います。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 東京都住宅供給公社では、原則として、平成二十四年以降竣工の全ての建て替え住棟において太陽光発電設備を設置しており、令和二年度末までに、累計で十七棟の公社一般賃貸住宅に設置しております。

○竹井委員 来年度実施する事業の目的と、それから、二十五の住棟はどのように決定するのかについて伺います。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 既存の民間集合住宅におきまして、太陽光発電設備の設置を進めるに当たりましては、工事費等のコストや売電による収入など、収支面の課題があると考えられます。
 そのため、来年度は、都が設置費用を負担して公社住宅の既存住棟に太陽光発電設備を設置し、こうした課題に対しまして、住宅の形態に応じた収支構造の検証を行います。
 その結果を広く情報発信することにより、既存の民間集合住宅が太陽光発電設備の導入に取り組みやすい環境を醸成してまいります。
 あわせまして、こうした取組を通じまして、公社住宅における太陽光発電設備の設置を進めてまいります。
 なお、来年度設置を予定している二十五棟につきましては、今後、建物の状況等を踏まえながら、設置の可否を適切に判断した上で選定していくこととしております。

○竹井委員 この事業の実施によって電力が発生しますが、何に使われるのか伺います。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 本事業は、既存の民間集合住宅が太陽光発電設備の導入に取り組みやすい環境を醸成していくことを目的としております。
 なお、集合住宅におきましては、太陽光発電設備により発電した電力の使用方法については、一般的には、集会所や廊下など住宅の共用部における利用や災害時における活用などが考えられます。

○竹井委員 今、ご答弁で、一般的には、住宅の共用部における利用であるとか災害時における活用ということで、今後のこの施策について、具体的に、例えば売電していくのかどうなのか、どのように使われていくのかということについては未定というふうに理解をしました。
 都営住宅も、先ほど来お話が出ているように、百施設にも、今回、環境局の予算で太陽光発電設備が設置されます。都営住宅では、これまでの設置では一棟当たり家庭の出力と同じ五キロワット程度が大半で、今回は太陽光発電設備設置事業で一気に百億円近い予算が組まれています。
 都営住宅についても大きな予算がついていると思いますけれども、ゼロエミッションに向けて、まず隗より始めよという精神でとのことです。しかし、具体的にはまだまだこれからのようですけれども、非常に大きなこの予算でありますので、ぜひこの取組の内容を可視化して、都民にとって納得感のある事業にしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 都営住宅の環境整備、これに七十六億円計上されていますので、こちらについて伺います。
 予算書にあるうち、まず、都営住宅のエレベーターへの停電時の対応について伺います。
 平成十七年に発生した千葉県北西部地震の際に、多くのエレベーターが停止し、エレベーター内に長時間閉じ込められる事象が発生し、救出に時間を要したということが問題視されました。
 そこで、都では、都営住宅のエレベーターが、停電した際に利用者が中に閉じ込められないように、最寄りの階に停止して扉が開く、停電時自動着床装置の設置を開始したとお聞きしています。
 都では、二〇二四年、令和六年度までに都営住宅への本装置の設置率八五%以上を目標としていますけれども、都営住宅のこのエレベーターの停電時の自動着床装置の設置について、これまでの取組と進捗状況について伺います。

○小林営繕担当部長 平成二十年度の建て替え工事及び既存住棟への増築工事から、停電時自動着床装置付エレベーターの整備を開始いたしました。
 また、平成二十一年度からは、既存エレベーターの改修に合わせて本装置の設置を開始し、さらに、平成二十三年度以降、東日本大震災で長時間の閉じ込めが発生した状況を踏まえて、それ以外の既存エレベーターについても設置を進めてきました。
 こうした取組により、令和二年度末時点の設置率は七四%となっております。

○竹井委員 昨年度末時点で七四%ということですので、順調に進んでいるということは確認ができました。しかし、災害はいつ起こるか分かりません。目標達成はもとより、より多くのエレベーターに設置していただくことを希望いたします。
 次に、ブロック塀の安全対策について伺います。
 平成三十年六月の大阪北部地震が発生した際に、通学中の児童がブロック塀の下敷きになって亡くなるという痛ましい事故が起きました。
 東京都は、震災後、都有施設のブロック塀等の緊急点検を行って、撤去等の安全対策を進めているというふうに伺っています。
 都営住宅のブロック塀等のうち、通学路を含む不特定多数が通行する道路などに面する塀について第一優先順位で対応しているというふうに伺っていますけれども、これについてもこれまでの取組と進捗状況を伺いたいと思います。

○小林営繕担当部長 平成三十年に発生した大阪北部地震によるブロック塀等の倒壊事故を踏まえまして、都営住宅の塀を対象に緊急点検を行った結果、通学路を含む不特定多数の方が通行する道路等に面している現行法規に適合しないブロック塀等が六十二団地、六十八か所ございました。
 令和三年九月三十日時点で四十四団地、四十八か所で撤去等の安全対策を実施済みであり、進捗率は団地数ベース及び箇所数ベースともに約七一%となっております。

○竹井委員 七一%の進捗率ということですので、まだ残っているところがあります。早急に撤去等の対策を行っていただきたいと強く要望をいたします。
 次に、都営住宅の照明器具のLED化について伺います。
 先日、都営住宅にお引っ越しされたばかりの方から同僚の議員のもとにメールが届きました。廊下の蛍光灯の交換作業をいつもしてくださっている高齢者の方がいらっしゃって、その方に共益費で脚立を買おうという話になって驚いたとおっしゃっています。何に驚いたかといえば、それほど電球取替えの頻度が高いことに驚いたということです。LEDにしてほしいと東京都に頼んだんだけれども、許可されたというふうにありました。
 東京都は、CO2の削減のためにLED電球を配ったりもしていたのに、都営住宅でLEDでないというのはおかしいというメールでした。全くそのとおりだと思います。
 国は、エネルギー基本計画において、二〇三〇年、令和十二年度までに照明ストックでLED普及率一〇〇%を目指すこととしています。都においても同年までに、都営住宅の既存の住棟について共用部の照明のLED化一〇〇%を目標としているというふうに聞いています。
 これまでの取組と進捗状況をここでも伺いたいと思います。

○小林営繕担当部長 都営住宅の共用部のLED化については平成二十七年度の建て替え工事から、既存住宅についても平成二十九年度の照明器具の改修工事から開始しており、計画的に進めております。
 設置率については戸数ベースで算出しておりまして、令和二年度には約一万八千戸に設置し、令和二年度末時点での累計は約四万七千七百戸、設置率は約一九%となっております。

○竹井委員 令和二年度末で一九%とのことでした。
 八年後に一〇〇%にするというのは分かったんですけれども、LEDにすることによってCO2削減に資することはもちろんなんですけれども、自治会としても電気代の負担軽減になります。そして、省エネについては約四割省エネができるというふうにいわれているわけです。
 さらに、蛍光管よりも球切れが少なくなって、冒頭申し上げたような、高齢者の方が脚立に乗って少し危なっかしいような状況で電球交換をするということも、その回数を減らすことができます。非常に待ち望まれていることです。
 ゼロエミッションに向けても早急に進めるべきものだと思っておりますので、ぜひこれは計画を前倒しして進めていただきたいというふうに要望させていただきます。よろしくお願いします。
 次に、セーフティーネット住宅、東京ささエール住宅についても伺います。
 このささエール住宅に関する課題について、都はどのように認識をされているのか、まず伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 東京ささエール住宅について、より住宅確保要配慮者の居住の安定に資する専用住宅の供給を促進することは重要でございます。
 そのため、都は、新たな住宅マスタープラン案の政策指標等において、専用住宅の戸数を現在の約六百戸から二〇三〇年度までに三千五百戸とすることを目標としており、達成に向けた取組を進めていくこととしております。

○竹井委員 昨年十一月九日の都市整備委員会で、ささエール住宅について質問をさせていただきました。専用住宅の戸数と目標について伺ったところ約六百戸であるということと、それから、特に目標は設けていないというご答弁だったと思います。
 その際、私からは、多摩地域は三十市町村のうち、約二十市町村において専用住宅がゼロだということを申し上げ、意見交換の中で、社会貢献という側面からも重要な施策であるのに戸数が少なく、しかも目標を設けていないのはおかしいということも申し上げておりました。
 このたび、三千五百戸を目標値として定めるということを決めていただいたということで、前進したと思っております。
 先ほど伺った課題について、今後の取組を伺いたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 専用住宅の登録促進に向け貸主への支援を充実させることは重要であり、都は来年度から、新たに専用住宅に登録される民間賃貸住宅を対象に、バリアフリー改修など住宅設備の改善を後押しするよう補助を開始してまいります。
 加えて、住宅確保要配慮者の入居や生活をサポートする市区町村の居住支援協議会等の取組をさらに支援することで、貸主がより安心して専用住宅に登録できる環境整備を図るとともに、貸主への普及啓発等を効果的に行い、専用住宅への登録を促進してまいります。

○竹井委員 最後に、このたび案がまとまった住宅マスタープランについて伺います。
 住まいは生活の基盤であり、権利です。住宅は環境問題にも大きく影響し、また、新型コロナウイルスの影響で住宅の価値観も変わりつつある中、様々な課題に呼応していく必要があります。
 その中で、先ほど質問させていただきました高齢者や障害者、子育て世帯などの住居確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット制度など、福祉と密接に関連した施策についても自治体は迅速に取り組むべきだと考えています。
 この新たな住宅マスタープラン案には、そういった都民の住生活につながる幅広い施策が掲げられており、どれも大変重要なものだと思っています。
 一方で、これらの施策を着実に進めていくためには、市区町村の役割が非常に重要だと考えます。しかしながら、そもそも市区町村において自治体独自の住宅マスタープランを策定していない市区町村もあるのが現状です。
 都の新しい住宅マスタープランに掲げた目標を確実に実現させていくためには、まずは市区町村が住宅政策を進める必要があり、そのためには、都のマスタープランを踏まえた住宅マスタープランを策定することが重要だと考えますが、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

○武井住宅政策担当部長 都では、市区町村が住宅施策を総合的かつ計画的に推進するための基本となる計画として住宅マスタープランの策定に取り組めるよう、都が集計した都内の住宅に関する統計データ等を提供しているほか、市区町村の依頼に応じ、住宅マスタープラン策定委員会等に住宅行政に関わる都の職員を委員として参加させるなど、積極的な支援に取り組んでおります。
 引き続き、市区町村による地域の特性を踏まえた住宅マスタープランの策定を支援してまいります。

○竹井委員 今、全く住宅マスタープランをつくっていないところもありますし、また、私としては、それに加えて居住支援協議会の役割も非常に大きいものだというふうに考えています。
 これまでの本委員会でも、居住支援協議会の設置がない自治体への働きかけについても度々質問をさせていただいてまいりましたけれども、ぜひ総合的に市区町村での住宅政策の支援をお願いしたいということを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○松田委員 当委員会の報告事項にもありました新たな東京都住宅マスタープランが示されましたが、目指すべき二〇四〇年代の姿のイラストの建築物には、必ずといっていいほど太陽光発電の設備が設置されていたのが個人的には印象に残りました。
 本日は、令和四年度住宅政策本部関係予算の新規施策でもあります既存公社住宅への太陽光発電設備の設置について質疑をさせていただきます。
 他局の令和四年度の予算を見てみても、都営住宅を含め、既存の都有施設における太陽光発電設置に大幅な予算が増額をされています。
 質疑に移りますが、他の複数の委員とかぶっている、重複している部分もありますので、簡潔に質疑の方をさせていただければと思います。
 住宅政策本部として、令和四年度の予算の中で、都内における再生可能エネルギーの導入拡大を図るため、既存の公社住宅において太陽光発電設備の設置を進めるとして、公社住宅二十五棟における太陽光発電設備設置に十四億六千万円の予算を置いていますが、具体的にはどのようなことに使われるのかお伺いいたします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 公社住宅に太陽光発電設備を設置するに当たり必要となります現地調査費や設計委託費、工事費等でございます。

○松田委員 十四億六千万円は、あくまでも設置までの初期費用とのことです。
 ただ、太陽光発電設備においては初期費用以外にも維持管理費用が想定をされますが、二十五棟の公社住宅に設置した場合、来年度以降、維持管理費用はどのくらい想定しているのかお伺いいたします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 個々の住棟の規模や構造などの設置条件により太陽光発電設備の容量は決まり、それに応じて維持管理費用も異なってまいります。
 なお、この維持管理経費につきましては、公社が売電収入等によって負担することとしております。

○松田委員 答弁をいただきましたのは、公社住宅二十五棟への太陽光発電設備設置をするに当たって必要となる現地調査費や設計委託費、工事費用等は都が負担するものの、それ以降の費用については都は負担をしないということだと思います。
 では、十四億六千万円をかけて太陽光発電設備設置をされますが、二十五棟設置した場合の発電量はどのぐらいになると見積もっているのかお伺いいたします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 個々の住棟に設置される太陽光発電設備の容量は住宅の規模や構造などの設置条件によって決まり、それに応じて、来年度二十五棟に設置した場合の太陽光発電設備の発電導入量も決まってまいります。

○松田委員 本年度予算では、先ほども述べましたが、都有施設の太陽光発電設備設置のために他局の試算も合わせますと百億円近い予算が投入をされる見込みです。
 ただ、果たして、他局も予算は積んだが発電導入量はまだ分からないというような、同じような状況なのでしょうか。
 二〇三〇年カーボンハーフを都として表明していることは、もちろん賛同いたします。
 建築物の太陽光発電設備が当たり前だという流れが、果たして二〇三〇年のカーボンハーフを目指す上で盲目的に推し進めていい施策なのかについては、しっかりと今後も検証していかなければと思っております。
 先ほど他の委員からの質疑への答弁でもありましたが、公社住宅への太陽光発電設備の設置については、民間施設に広げるためのケーススタディーとの答弁もありました。必要経費かもしれませんが、十四億六千万円が効果的な投資なのか、しっかりと効果検証していかなければいけないと感じています。
 カーボンハーフ実現のためなら都民の税金を湯水のように使っていいわけではありません。
 残念ながら、本日の質疑では、発電量等、計画の詳細については明らかにされませんでしたが、十四億六千万円の予算で二十五棟という棟数ありきの目標ではなく、十四億六千万円を使い、どれだけ新たに発電量を生み出せるといったような目標設定の在り方について再度検討していただきたいと要望申し上げ、質疑を終了とさせていただきます。ありがとうございました。

○中山委員 合計五点について質問させていただきます。
 初めに、多摩産材など木材の活用促進についてであります。
 地球温暖化への傾向は深刻な現状にありまして、加えて化石燃料などの有限資源の利用は、それが二酸化炭素の増大をもたらすという点で課題であるだけでなく、やがて皆枯渇する運命にあるという点が重要であります。
 あらゆる国が持続的に発展できる可能性を探る観点からも、方針転換をしなければなりません。その点、森林資源は貴重なCO2の吸収資源でもあり、その森林を望ましい状態に保つことができれば持続的な確保が可能であります。
 持続可能性という意味での森林の望ましい状態という観点では、樹木は樹齢十一年から五十年ほどまでにかけて急速にCO2の吸収量を増大化させ、その後、徐々に減退していくことにつきましては既につとに知られた研究成果となっております。
 東京には約八万ヘクタールもの広大な山林が多摩地域を中心に広がっており、その面積は都全体の面積の約四割を占めております。
 一定の期間の成長を得た樹木から積極的に伐採を行い、その後に若木を植林する循環を保つことが重要であり、その意味で東京の林業の活性化は地球環境の持続性を図る上で価値ある取組であります。
 この山林を望ましい状態に保つことは都政全体の重要課題であり、直接の林業支援を担う産業労働局だけでなく、木材の主な活用先の一つであります住宅行政を担う住宅政策本部の役割も誠に大きいと考えます。
 脱炭素社会の実現に向け、地球温暖化防止につながる森林の循環にも資するよう、多摩産材等の国産木材の利用を拡大していくことが重要であります。
 都は今年度、住宅における多摩産材等の活用促進を図るため、多摩産材をはじめとする国産木材を使った家づくりコンクールを実施し、先般入賞作品を公表したと聞いております。
 家づくりコンクールにつきまして、これまでの取組内容と今年度の実績をまず明らかにされたいと思います。見解を求めます。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 住宅における多摩産材等の利用拡大には消費者の認知度の向上が重要であることから、都は、木材利用や木造建築に対する関心と理解を深めるため、多摩産材を使った家づくりコンクールを平成二十七年度から三年ごとに実施し、木のよさを生かす知恵と工夫を盛り込んだ住宅の事例を広く都民に紹介してまいりました。
 三回目の開催となる今年度は、広く国産木材も対象とするとともに、木造住宅に加え内装等に木材を使用した住宅も対象とするなど、より木材の利用促進につながるよう募集要件を緩和して実施し、三点の応募作品の中から一点を優秀賞に選定いたしました。

○中山委員 平成二十七年から三年ごとに開催され、今年で三回目とのことであります。
 開催のたびごとに工夫を凝らしているようで、今年は木造住宅に加え、内装に木材を使用した住宅についても審査の対象に加えた点を木材利用の促進につながるものと評価したいと思います。
 ところで、今回は優秀賞一作品が選定されたとのことでありますが、それはいかなる特徴を持った作品なのか説明を求めたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 優秀賞に選定された作品でございますけれども、柱やはりに多摩産材を使用するとともに、外壁や板塀には国産の焼き杉を使用し耐久性を高めたものとなっております。
 加えまして、隣接する住宅に居住される受賞者の両親と共同で使用できる中庭を設けるとともに、リビングにはトップライトを設けて十分な採光を確保するなど、暮らしやすい工夫が凝らされたものとなってございます。

○中山委員 焼いた杉を使っているということなど、答弁を聞いているだけで木材の魅力が十分に伝わってくるような気がいたしました。
 ちなみに、今月二十日に供用開始となります立体交差化事業を完了する、高架化になりました足立区竹ノ塚駅の新しいホームの天井には国内産の木材がふんだんに使われておりまして、魅力的なデザインとなっております。我が党の議員の提案であり、東武鉄道が快く設計に取り入れてくれたことを評価しておりますが、鉄道駅好きな方はぜひご覧いただきたいというふうに願っております。
 優秀作品について、ぜひその魅力を都民に幅広く紹介していただきたいと思います。
 マイホームの新築は、多くの都民にとりまして一生で一度あるかないか大事な行事でありまして、なかなか経験を重ねて次にそれを生かすということは難しい状況にあります。木材利用のメリットや注意点、コストなどの情報も不足しがちであります。
 仕事や育児など、忙しい生活を送りながらマイホームを目指すわけであり、マイホームの新築に必要な情報の収集を図る都民をお手伝いする意味でも、住宅政策本部の役割は大きいと思っております。
 加えて、住宅における多摩産材の活用を促進するためにも、都による木材活用の一層の普及、PRが必要であります。
 例えば、都のホームページにおいて、多摩産材等を使った住宅の魅力について、お住まいになられた方の声、住み始めての住み心地はどうか、住む前に感じていた不安点はどう解消されたのか、これから検討する人へのアドバイスといった観点も含めて経験者の声を紹介すべきと考えます。
 さらには、コンクールのホームページを見た都民が、それをきっかけに木造住宅に関する様々な情報に容易にアクセスしたりもできるように工夫を凝らすことも効果的と考えます。
 多摩産材等の利用拡大に向けたPRの充実について見解を求めます。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、新宿駅西口イベントコーナーや都庁舎で木造住宅のよさを伝えるパネル等の展示を行っているほか、ホームページを活用し多摩産材等を使った住宅の魅力を伝えてまいりました。また、関係団体と連携して住宅生産事業者向けに多摩産材の見学会を行うなど、多摩産材等の利用拡大に向けた普及啓発を図っております。
 今後、住宅政策本部のホームページにおきまして、多摩産材等を使った住宅に住まわれてきた方の声の紹介、木造住宅に関する関係局等のページへのリンクの掲載、関心を持たれた都民の質問に対応するための工夫など、魅力の発信や情報提供の充実等の改善を行い、多摩産材等の利用促進に向け一層の普及啓発に取り組んでまいります。

○中山委員 当たり前の話ではございますけれども、マイホームの新築や改築に伴う木材の活用促進は強制して進むものではありません。あくまで地球環境の持続性に向けた社会貢献の意義を強調し、または住まいとしての魅力を積極的に都民にPRしていく必要があります。
 都のホームページの改良に際しましては、耐震性や耐火性に関する不安の軽減、専門メーカーへの問合せ情報などの関連情報の充実に取り組んでもらいたいと思います。
 木造住宅だけでなく、鉄筋や鉄骨を使った建造物内でも、木材を活用した場空間の創出もより一層効果的にPRしていくべきと考えます。
 ぜひ今後とも、地球環境に優しい都内の住宅の進展と都内林業の持続的発展にもつながる木材活用の促進に向けて、令和五年度以降の取組においても施策の充実を図っていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、都営住宅の敷地内での緑化活動を活用した地域のコミュニティの活性化について質問いたします。
 都営住宅を活用した緑化による居場所の創出でありますが、都営住宅では、地域の居場所づくりのため、東京みんなでサロンの取組を推進しております。
 今回、新たに、都営住宅用地を活用した緑化・居場所づくりを実施する予算案となっておりますが、高齢化や独居化が著しく進行している都営住宅でのコミュニティ支援の充実は我が党が求めてきたところでもあります。意図するところは高く評価したいと思います。
 居住者だけでなく周辺住民の方々の理解と協力が必要となる取組であり、そのためには事業立案の社会的背景や意義を正しく認識していただくことが重要であります。
 まず、事業の目的と実施の概要、今後の段取りについて説明を求めたいと思います。

○妹尾建設推進担当部長 「未来の東京」戦略で掲げたとおり、人と人とがつながりを保ち、支え合いながら暮らしていくことができる様々な形での居場所の創出を実現していくことは重要でございます。
 このため、都は今年度から、都営住宅の集会所等を活用し、地元自治体や自治会等と連携し、多彩なプログラムを通して居住者や周辺住民が交流できる東京みんなでサロンを実施しております。
 さらに、都営住宅用地を活用し、様々な人々が集える花壇や菜園などの管理を通じて地域の居場所づくりを進め、地域コミュニティの活性化に資する取組を開始することといたしました。
 来年度から、候補地の選定等をした上で、まずは数か所で先行的に取組を開始し、効果検証を行いながら他団地での展開へ向けた検討を進めてまいります。

○中山委員 従前の都営住宅では、都の許可を得ることなく一部の居住者の方が都営住宅の敷地内に私的な菜園を設け草花の育成を楽しんだりするにとどまらず、収穫物も個人的に利用するといった事態があり、これを見聞きしたほかの居住者の方や都営住宅近くの近隣住民の方から是正を求める厳しいご指摘を頂戴することが度々あったかと思っております。
 そうした声に基づき、苦労して、都が定めている原則的な取組への変更を、その改善を推進してきたのが団地自治会の役員の方々であります。時には妬まれるような言葉を投げかけられたに違いないと思います。
 そうしたかつての不適正な取扱いの是正に汗を流されてきた方々からすれば、来年度から都が取り組む事業と、かつて苦労して取りやめを推進してきた取扱いとの違いがはっきりとせず、せっかく収まった不満の寝た子を起こすようなことになりやしないかと心配の声が上がるおそれが今から危惧されるところであります。また、一部の団地では今もそうした不適正とも思われる取扱いの現状が続いております。
 コミュニティ支援に草花の育成を活用することは、それ自体はすばらしい着眼点でありますが、現状、都営住宅では原則、居住者が勝手に花壇づくり等をすることはできないと理解しております。自治会役員の方々がその徹底に今も苦労されている。
 今回の取組では何が違うのか、まず概要を明らかにしてもらいたいと思います。見解を求めます。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅団地において居住者が無断で花壇や菜園づくりをすることは、公有地の適正な管理や公平性の確保などの観点から禁止されております。
 今回の取組は、都が整備する花壇等におきまして、その管理を通じて地域コミュニティの活性化を図るものでございます。
 管理につきましては、地元自治体から推薦等を受けた高齢者等を支援する団体や自治会等と連携して、居住者だけではなく周辺住民にも参加者を募るなど、公共性、公平性を担保しながら実施することを計画しております。

○中山委員 一部の居住者の方がこの一角は自分の区画だと独断で決めてしまって、独占的に自分個人の花壇、植栽地、いわば持ち物とするような慣行がかつて見られたわけであります。
 今後、都が進める取組では、それとは異なり、地域コミュニティの活性化のための共同作業を目指すものであります。区画における植栽を居住者個人に任せるような活動は認めるべきではないと考えますが、見解を求めます。

○妹尾建設推進担当部長 この取組は、都営住宅居住者や周辺住民の居場所づくりの一環として実施するものでございまして、都が整備する花壇等において、その一部であっても個人が占用するような活動を認める考えはございません。

○中山委員 また、今後、都が進める取組におきましては、収穫する作物、果実や花等につきましては、その作業に関わる特定の個人や人々の所有物とすべきではないとも考えます。これを認めてしまいますと、自分の判断で、似たようなことだから構わないだろうと勝手に敷地内で区画を占有して植栽を始めてしまう人が出てくるとも限りません。団地内のモラルの崩壊にもつながりかねません。
 事前にその発生を抑制する意味でも都の方針をはっきりとさせておくべきと考えますが、見解を求めます。

○妹尾建設推進担当部長 この取組における収穫物等につきましては、参加した個人やグループにお渡しすることは考えておりません。
 収穫物等につきましては、例えば子供食堂のような公共に資する活動への活用を検討してまいります。

○中山委員 子供食堂への活用ということは大変すばらしい取組でありまして、実現にはまだまだ課題があるかもしれませんけれども、ぜひ推進をしていただきたいと要望しておきます。
 とはいえ、そうはいっても、今後始まる都の新しい取組を個人でまねて、東京都に無断で居住者の方が花壇や菜園づくりの活動を始めてしまった場合、そういう事例が出てきてしまった場合、それをいさめるのは自治会の役員の方々でありまして、その負担は大変大きいと思っています。
 その自治会の負担の軽減を図るためにも、都は毅然と自らが対処すべきと考えますが、対応について見解を求めます。

○都築経営改革担当部長 居住者が無断で花壇や菜園づくりを行った場合は、これまでと同様に不適正使用の是正対象とし、東京都住宅供給公社の窓口センターの職員が現地に赴き是正指導を行ってまいります。
 また、再三の指導でも改善されない場合には、公社の本社の担当部署が引継ぎを受け対応に当たり、さらに、悪質なケースに対しましては、都として、公社と連携し法的措置も含め厳正な対応を行ってまいります。

○中山委員 繰り返しになりますけれども、団地内や団地周辺でのコミュニケーションの活性化、コミュニティの創出は防災への備えや防犯の対策としても重要であり、何より世帯の単身化が進む都内にありましては、都民の皆様に心身ともに健康を長く保ってもらい、フレイルに陥ることなく、ご長寿いただく上でも大事な取組であります。
 コミュニティ支援に草花の育成を活用することは、すばらしい着眼点に立つ取組であります。モデル的実施を行う団地の方々とよく話合いをし、万事成功を目指して、理解の下地を広げた上で取り組んでいただきたいと思います。
 また一方で、かつて多くの団地で見られた不適正な無届けの個人的敷地利用がまだ一部の団地で続いております。そうした状況の是正を、都は団地自治会役員の手を煩わせることなく実施するべきであります。
 不適正な取扱いの解消を進めてから新しい都の取組を広げていくようにしませんと、大変な混乱を招くことになりかねません。都が責任を持って取り組んでいただくことを要望します。
 東京みんなでサロンの取組が、緑化の活動を活用する取組も含めまして、都営団地内からも、その周辺地域の都民の方々からも称賛されるすばらしい取組となることを願って、次の質問に移ります。
 次に、都営住宅の浴室設備の更新について質問いたします。
 我が党の長年の要望に応え、住宅政策本部の設置を機に、都は、自己資金で設置している居住者に対して浴室設備を都設置に切り替える事業を令和二年度から試行しております。
 住棟ごとに更新を行う基本枠と、故障した住戸に対して個別に更新を行う故障枠の二つの方法で実施しております。
 今年度でモデル的な試行二年目となることから、我が党からの一定の代表質問におきまして、来年度から本格的に実施することとし、二年間の試行結果を踏まえ、基本枠を二千六百戸にさらに拡大し、故障枠は年齢要件をなくして実施していくとのすばらしい答弁がありました。
 本委員会では、本年度の試行の状況を改めて確認するとともに、来年度の本格実施の取組について確認をいたします。
 まず、令和三年度におきます故障した浴室設備の更新の実施状況とその来年度の取扱いについて概要を、見解を求めたいと思います。

○小林営繕担当部長 故障した浴室設備の更新につきましては、今年度五百戸を予定戸数とし、希望者を募り、抽せんの上、実施しております。
 まず、昨年度の抽せんで落選された方のうち、今年度も希望のあった二百十一戸に対して優先的に更新を行いました。残りの二百八十九戸につきましては、今年度新たに応募があった六百十五戸の中から抽せんの上、令和四年二月末時点で二百八十二戸の設置を完了しており、工事中の七戸も今年度中に完了する見込みでございます。
 なお、今年度の抽せんで落選された方につきましても、来年度優先的に更新する予定でございます。

○中山委員 今年度、故障枠で落選された方につきましては、来年度優先的に更新するとのことでございます。故障している方は現に困っているわけでありまして、早期に更新を実施していただきたいと思います。
 次に、令和三年度における住棟ごとの浴室設備の更新の実施状況について説明を求めます。

○小林営繕担当部長 住棟ごとの浴室設備の更新につきましては、予定戸数を昨年度の五百戸から、今年度千五百五十戸に拡大いたしました。
 対象住棟数についても拡大した結果、応募戸数も昨年度の二百五十四戸から六百七戸に増加し、これらについては昨年八月から工事に着手しております。
 さらに、九百四十三戸の追加実施が可能であることから、昨年九月に対象住棟を追加したところ五百九十八戸から応募があり、昨年十一月から工事に着手しております。
 令和四年二月末時点で合計九百二十二戸の設置が完了しており、工事中の二百八十三戸を加えた千二百五戸が今年度中に完了する見込みとなっております。

○中山委員 来年度から本格実施するに当たりまして、故障枠につきましては年齢要件をなくし多くの居住者の方が申し込めるようにしたとのことでございます。
 そこで、本格実施では、住棟ごとの更新につきましても戸数と対象住棟数を拡大して実施し、より多くの方が応募できるように工夫すべきと考えますが、見解を求めます。

○小林営繕担当部長 住棟ごとの浴室設備の更新の対象となる住棟につきましては、建物の構造上、おおむね全ての住戸で、またぎが低く広い浴槽が設置できる住棟と設置できない住棟がございます。
 これまでの試行では、高齢者などが利用しやすい、またぎの低い浴槽が設置できる住棟を対象にしてまいりました。
 来年度からの本格実施では、またぎの低い浴槽が設置できない住棟も対象にし、より多くの方が応募できるようにしてまいります。

○中山委員 故障した浴室設備と住棟ごとに更新する基本枠とともに、多くの方が申し込めるよう、要件をなくして実施していくとの答弁でありました。
 また、住棟ごとの浴室設備の更新に当たりましては、コロナ禍の中、各団地におきましても説明会が実施されず、本制度の内容がよく分からず更新を希望しない意向を示していた居住者の方も少なからずいたのではないかと思っております。
 そこで、住棟ごとの更新につきましては、居住者の方に分かりやすく制度の内容を伝えることが重要であります。来年度は、より積極化すべきと考えますが、見解を求めます。

○小林営繕担当部長 都による浴室設備更新の制度について、居住者が安心して応募できるよう、更新後は都で定期的に点検や交換をしていくことで安全に使用できることと併せて、住宅使用料が上がることなどについても分かりやすく伝える必要がございます。
 試行では、居住者向け広報紙「すまいのひろば」において制度の案内を行うほか、東京都住宅供給公社の職員が各対象団地の自治会長に説明を行った上で、各住戸に説明書や申込書を投函し、居住者からの問合せにも対応してまいりました。
 来年度からの本格実施では、こうした対応に加えまして、制度の要点をより分かりやすくまとめたお知らせを作成し、事前に選定した工事受注者が対象団地の自治会長及び各住戸を訪問の上、丁寧に説明を行う予定でございます。

○中山委員 より多くの方に希望していただけますよう、本事業の説明を丁寧に実施していただきたいと思います。また、受注者の方にとっても、更新していただく方が一人でも多く増えれば利益につながると思いますので、ぜひしっかりと取り組んでもらいたいと思います。
 加えて、工事自体ではなく、説明を行うために入居者宅に訪問する事業者にとって負担が増すことは、ある意味で明らかでありますので、制度の周知を担当する事業者が意欲を失うことがないよう、都は配慮に努めてもらいたいと思います。
 あわせて、故障枠の対応では、事業者が故障の知らせがあった住戸を、やはり一つ一つ訪問して状況を確認してから入居者の都合に合わせて工事日程を決めていくことになります。その手間は大変なものであり、この点でもより丁寧な説明が実現できますように、従事する事業者が意欲を失うことがないよう、都が十分配慮していただくことを要望させていただきます。
 次の質問に移ります。
 都営住宅の入居募集につきましての質問でございます。
 住宅マスタープランの改定に向けパブリックコメントも実施されましたが、都営住宅の管理戸数について、五年前のマスタープランでは、抑制を図りつつと表記されていたところ、今回のプラン案では、現状の都住ストックの維持と表記が改善されております。これは大きな方針の転換であり、我が党の要望に沿うものとして高く評価します。
 都営住宅の抽せん倍率は少しずつ好転しているとはいえ、依然として高い中にあって、都内の公営住宅の十年間での募集供給戸数の目標の数の点で、五年前のマスタープランでは十三万八千戸と記載していたところ、今回は十七万一千戸と三万三千戸も増えております。この点も高く評価したいと思います。
 我が党が改善を提案し、都が積極的に導入を図ってきた毎月募集や随時募集などの従来からの年四回の定期募集以外の募集方法の改善が生かされた成果であると思っております。
 また、我が党はこれまで、都庁のDXを積極的に進めるべきと主張し、特に対象者が多い都営住宅への申込みなどがスマートフォンなどでも可能になるような取組をスタートさせるべきと提案してきました。
 都は、これに意欲的に取り組み、先月二月の毎月募集から都営住宅の募集オンライン申請を開始するとともに、専用のコールセンターも設けて都民の利便性の向上に取り組んでいます。
 そこで、まず初めに、二月の毎月募集ではオンラインでの応募と従来の郵便による応募のいずれも可能だったわけでありますが、実際にオンラインで応募した世帯数とその割合、また、子育て世帯等の専用枠での利用の割合について見解を求めます。

○都築経営改革担当部長 二月の毎月募集における速報値でありますが、募集戸数百二十戸に対して三百三十三世帯の応募があり、そのうちオンラインで応募した世帯は二百八十一世帯で、全体の八四%でございます。
 この中で、若年夫婦、子育て世帯向け専用枠の二十戸に対して五十四世帯の応募があり、そのうちオンラインで応募した世帯は五十二世帯で、九六%を占めており、子育て世帯等は利用の割合が高くなっております。

○中山委員 二月の毎月募集に応募した全世帯のうち、八割以上の方がオンライン申請を利用したとのことでございました。また、子育て世帯等の専用枠の応募は、ほとんどの世帯がオンライン申請を利用しています。提案したかいがあったというものであります。
 オンライン申請の迅速な推進をされた職員の方々の労を、僣越でありますけれども、ねぎらいたいと思います。
 我が党が主張してきた都営住宅の申込みのオンライン化により、スマートフォンなどから簡単に申し込めるようになり、とりわけ子育て世帯などの若い世代のニーズにかなったものになったと思います。
 この募集オンライン申請につきましては、今後、各定期募集やポイント募集、随時募集などにおいても開始するわけでありますが、次は五月に予定されている若年夫婦、子育て世帯向けの定期使用住宅の募集で利用できることになっております。
 この募集は若い世代を対象とする募集であり、一層の利用促進が期待でき、多くの方に利用方法を知ってもらう必要があります。
 今回の募集オンライン申請については、今後、まずは五月の募集において積極的にPRしていくべきと考えますが、見解を求めます。

○都築経営改革担当部長 オンライン申請の運用開始に当たりましては、都や公社のホームページに掲載し周知するとともに、利用案内チラシを区市町村の窓口に備え付けたほか、二月のポイント募集のパンフレットにもチラシを折り込んで配布いたしました。
 今回のオンラインで応募した方へのアンケートによりますと、オンライン募集を知ったきっかけとして約六割の方が公社のホームページを挙げており、インターネットを通じて情報を得る方が多い結果となりました。
 今後、五月の定期使用住宅の募集に向けましては、利用案内チラシの配布やホームページへの掲載に加え、SNSなどのインターネットメディアを活用した周知も積極的に行い、オンライン申請のさらなる認知度向上を図ってまいります。

○中山委員 今答弁の中でご紹介ありましたホームページの充実は、若い世代の都民にとっては今まで以上に効果を発揮することになると思いますので、ぜひいろいろな意味でお取組を充実していただきたいと思います。
 先ほど、我が党の古城委員の質問に関連して、都営住宅の毎月募集がこの四月から拡大されることにつきまして質問させていただきます。
 月百二十戸から二百戸に募集戸数を増やすことに伴いまして、子育て世帯等のみが申し込める募集が二十戸から四十戸に拡大されるとの答弁が古城委員に対してありました。
 当然のこととは思いますが、一般世帯が幅広く申し込める募集戸数も拡大するということになると思いますが、子育て世帯等のみが申し込める戸数、子育て世帯等だけでなく一般世帯が申し込める募集戸数の拡大の内訳につきまして、改めて確認を行いたいと思います。
 また、加えまして、子育て世帯等の等とは何を意味するのか、この際、改めて明らかにしておいた方がよいと思いますので、併せて見解を求めます。

○都築経営改革担当部長 毎月募集については、募集戸数を月百二十戸から二百戸にするうち、子育て世帯等や一般世帯が幅広く申し込める戸数は月百戸から百六十戸に、子育て世帯等のみが申し込める専用枠の戸数は月二十戸から四十戸にそれぞれ拡大をいたします。
 また、子育て世帯等の等には、若年夫婦の世帯が含まれております。

○中山委員 子育て世帯等の等とは、若年の夫婦のみ世帯を意味するとのことでございました。この点も、これから子育てを希望される若い夫婦の世帯にも門戸を広げたものであり、これらの世帯を対象に加えることを求めてきた我が党の提案にかなうものであります。
 都営住宅での子育て支援策の成果は、ぜひとも今後データをそろえて、広く都民の方々の理解を得られるような状況をつくっていただきたいと要望しておきます。
 また、先日の第一回定例会本会議の我が党の代表質問におきまして、今後、定期使用住宅の募集については申込み世帯人数の条件を緩和し、若年夫婦世帯や子育て世帯のニーズに即した募集方法に改善するとの答弁がありました。
 速やかに取り組んでもらいたいと思いますが、改めて、改善内容と具体的な実施時期についてお伺いをいたします。

○都築経営改革担当部長 若年夫婦、子育て世帯向けの定期使用住宅の募集において、一倍を切った住戸は、その後の定期使用住宅の募集で申込み時の世帯人数の条件を緩和し、若年夫婦など少人数の世帯でも、将来の家族の増加や子供の成長も考慮して、より広い住戸を選択し応募できるようにいたします。
 本年五月に予定している定期使用住宅の募集から実施し、入居を希望する若年夫婦世帯等のニーズに対応してまいります。

○中山委員 型別供給や間取りの改善を実質的にバージョンアップする取組であり、高く評価したいと思います。
 今年五月の定期使用住宅の募集からの実施という明確な答弁もあり、大いに期待したいと思います。
 その上で、以前にも述べましたけれども、都内も遠からず、やがては人口減少に直面します。そうした時期の到来を見込んで、都営住宅にありましては、単身世帯と二人世帯の間取りの壁の解消を図り、単身でも家族による介護のための週末の寝泊まりや介護ベッドの設置、車椅子での生活が可能となる余裕を持った間取りとすべきであります。
 さらに、子育て支援の充実が我が国の国家存亡の危機ともいえる最重要課題の一つ、その子育て支援の問題を解決するために必要なものでありまして、若年夫婦世帯が二人目、三人目の子育てにも安心して積極的に取り組める間取りの充実を図るべきと訴えておくものであります。この点は、公社住宅でも同じことですので、よく検討をお願いしたいと思います。
 ここまで主に都営住宅に関連する質問をさせていただいてまいりました。
 一方で、都内の住宅の九割以上を占めます民間住宅に関する施策も大変重要であり、都は来年度新たに民間住宅部を設置し、体制の強化を図ることとしております。民間住宅施策の取組は加速し、都営住宅と民間住宅がそれぞれの特性に応じた役割を発揮する総合的な住宅政策の推進が期待されております。
 都は、住宅施策を総合的かつ計画的に展開するための基本計画であります新たな住宅マスタープランを今年度末に策定いたします。
 私は、住宅政策審議会に委員として参加し、住宅マスタープランの検討過程におきまして、住宅の脱炭素化に向けて住宅の圧倒的多数を占める既存住宅への対策を打ち出すべきことや、住宅セーフティーネット、空き家対策などについての様々な提案をしてきました。
 案として公表された新たな住宅マスタープランを見ますと、そうした提案も積極的に受け止めていただいており、意欲的な施策や数値目標が多く掲げられており、この点については評価しております。
 しかし、計画はつくっただけでは意味がなく、しっかりと実行に移し、都民の住生活の向上に結びつけていくことが大変重要であります。
 榎本本部長が、この間、本部内の職員の方々をよくまとめていただいて、知恵を生み出し、職員の方々が団結して都の住宅行政の充実に歴史的な業績を上げられたと評価しております。
 これからも住宅政策本部は、ますます都民のために力を発揮していただきたいところでありまして、最後になりますが、新たな住宅マスタープランで掲げた施策や目標の実現に向けた榎本本部長の決意をお伺いしたいと思います。

○榎本住宅政策本部長 昨年十一月に東京都住宅政策審議会から答申をいただきました。
 いただきました答申では、東京における住宅政策の課題として、少子高齢化、単身世帯の増加、高経年マンションや居住目的のない空き家の増加、新型コロナウイルス感染症の流行による住生活の変化、地震や集中豪雨、台風等の災害への備えや気候変動につながる温室効果ガスの排出抑制などを挙げていただいているところでございます。
 こうした課題に適切に対応いたしまして、成長と成熟が両立いたしました未来の東京をつくり上げていく上で、住宅政策の一層の充実が求められていると考えておりまして、新たな住宅マスタープランの案では、目指すべき目標や、そのためになすべき施策を明らかにしているところでございます。
 理事からもご指摘ございましたが、計画というのは策定すればそれでよしということではございません。掲げました目標を達成するために政策を実行していくということが重要でございます。
 策定後は、この住宅マスタープランを羅針盤といたしまして、住宅分野における脱炭素化やデジタル化をスピード感を持って強力に推し進めてまいります。また、少子高齢化のさらなる進行などを見据えまして、住宅セーフティーネットの充実や住宅ストックの再生などを着実に前へと進めてまいります。
 新たな組織体制の下、こうした取組を区市町村や民間事業者など多様な主体と連携を図りながら積極的に展開をいたしまして、成長と成熟が両立した明るい未来の東京をつくり上げるとともに、豊かな都民生活の実現を図ってまいります。

○中山委員 大変積極的なご答弁、ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十分散会

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