委員長 | 宮瀬 英治君 |
副委員長 | 鈴木 錦治君 |
副委員長 | 尾崎あや子君 |
理事 | 林あきひろ君 |
理事 | 平けいしょう君 |
理事 | 中山 信行君 |
松田りゅうすけ君 | |
古城まさお君 | |
渋谷のぶゆき君 | |
原田あきら君 | |
竹井ようこ君 | |
本橋ひろたか君 | |
柴崎 幹男君 | |
山田ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 東京都技監都市整備局長技監兼務 | 上野 雄一君 |
次長 | 桜井 政人君 | |
技監 | 福田 至君 | |
理事 | 安部 文洋君 | |
総務部長 | 木村 健治君 | |
都市づくり政策部長 | 小野 幹雄君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
市街地建築部長 | 山崎 弘人君 | |
基地対策部長 | 三木 暁朗君 | |
連携・連絡調整担当部長 | 水野 剛君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 三宮 隆君 | |
まちづくり推進担当部長 | 吉野 敏郎君 | |
築地まちづくり推進担当部長 | 木村 宣代君 | |
景観・プロジェクト担当部長 | 中山 衛君 | |
交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 | 三木 健君 | |
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 | 土橋 秀規君 | |
地域公共交通担当部長 | 江端 治朗君 | |
防災都市づくり担当部長 | 鈴木 理君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 八嶋 吉人君 | |
局務担当部長 | 大八木 猛君 | |
耐震化推進担当部長 | 青木 成昭君 | |
横田基地共用化推進担当部長調整担当部長兼務 | 泉水 一君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
事務事業について(質疑)
○宮瀬委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
谷崎都市基盤部長は、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○木村総務部長 九月二十四日の当委員会で要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をご覧ください。資料は五件でございます。
一ページをお開き願います。1、横田基地におけるパラシュート訓練の通告状況及びパラシュート訓練に伴う事故の状況(過去五年間)でございます。
(1)、パラシュート訓練の通告状況及び(2)、パラシュート訓練に伴う事故の状況について、一ページから二ページにかけて記載してございます。
三ページをお開き願います。2、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数等でございます。
(1)、離着陸回数及び(2)、平成三十年四月以降の国による離着陸状況の把握方法等について記載してございます。
四ページをご覧ください。3、羽田新飛行ルートの実機飛行確認による都内各騒音測定局の騒音の実測値の平均(機体サイズ別)及び最大値でございます。
都内各騒音測定局における騒音の実測値の平均を機体サイズ別に、また、実測値の最大値を記載してございます。
五ページをお開き願います。4、羽田新飛行ルートの令和二年三月二十九日から令和三年三月三十一日までの都内各騒音測定局の騒音の実測値の平均(機体サイズ別)でございます。
都内各騒音測定局における騒音の実測値の平均を機体サイズ別に記載してございます。
六ページをご覧ください。5、令和二年四月から令和三年六月までの羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会及び幹事会の検討状況でございます。
連絡会及び幹事会における主な意見及び国の回答等について、六ページから八ページにかけて記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○宮瀬委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○林委員 それでは、よろしくお願いいたします。
先日、第二十六回気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOP26が十三日に終わりました。
世界全体で年々深刻さを増しております地球温暖化の問題というものは、我が国においても同様であることはご承知のとおりでございまして、政府においては、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆるカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指しております。
東京都においても、都内の温室効果ガス排出量を二〇三〇年までに二〇〇〇年比五〇%削減ということを表明されており、その実現には、あらゆる分野の社会経済構造というものを脱炭素ベースに切り替えていく、そして、私たちの生活自体も大きな変革というものが求められておるわけでございます。
そして、東京のこれからのまちづくり、都市づくりというものですね、これも重要な取組であることは、気候変動に関する政府間パネルの報告書、第五次報告書だと思いますけれども、この中からも明らかになっております。
気候変動の多くのリスクというものは都市域に集中しているけれども、そこにしっかりとした対応策を講じて、持続可能なまちづくりを進めることで改善につながると、そういうふうに記されているわけでございますが、つまり、都市全体で環境負荷を軽減させていくことで、脱炭素と都民の利益、恩恵、環境との調和と発展との両立を図ることができるということであります。
東京は、都市再生や都市開発に関する様々な制度を活用して、優良な民間開発を誘導することによって、東京の活力の向上に寄与する様々な都市機能の導入等を推進してこられました。これからの東京の都市づくりを進めるに当たっては、都市の持つ集積のメリットは最大限生かしつつ、都市全体で環境との調和と都市の発展との両立を図りながら、安全・安心で持続可能な東京の実現に取り組むべきと考えるところでございます。
そこで、環境負荷の少ない都市の実現に向けて、都市づくりの基本的な考え方はどのようになっているか伺いたいと思います。
○小野都市づくり政策部長 環境負荷の少ない都市の実現に向けての都市づくりの基本的な考え方については、平成二十九年に策定した都市づくりのグランドデザインにおいて、高度に成熟した都市として、ESGの概念も取り込み、最先端技術も活用しながらゼロエミッション東京を目指し、地球環境と調和を図り、持続的に発展していくこととしております。
この基本的な考え方を、本年三月に改定した都市計画区域マスタープランにおいて、都市計画として位置づけたところでございます。
今後、この方針に基づき、二〇四〇年代に向けて東京の都市づくりを進め、成長と成熟を支える都市づくりに向けた具体的な取組を推進してまいります。
○林委員 ご答弁ありがとうございました。
今ご答弁の中に、本年三月に都市計画区域マスタープランの改定を行って、これからの都市づくりの方向性を位置づけたと、云々という話がございましたけれども、いずれにしても、成長と成熟を支える都市づくりに向けた持続可能なまちづくりというものを進めていただくということでございますけれども、東京は少子高齢化、そして人口減少など、大きな社会変化に対応できる都市として、これからも持続的に発展していかなければなりません。
そのためには、将来を見据えて、目指すべき都市像というものを示して、その実現に向けて取り組んでいかなくてはならないと思っております。
特に、東京都がゼロエミッション東京への取組に当たっては、改めて申し上げますけれども、やはり、都市全体で環境との調和と都市の発展との両立を図りながら、環境負荷の少ない都市づくりを推進していくべきだというふうに考えております。
ゼロエミッション東京の実現に向けて、緑の保全、創出や、民間の都市開発における取組など、環境負荷の少ない都市づくりについて今後どのように取り組んでいくかについて伺いたいと思います。
○小野都市づくり政策部長 東京が持続的な発展を続けていくためには、長期的観点から東京全体の市街地の再構築を進め、都市づくりを通じて経済活力を向上させるとともに、緑あふれる質の高い都市環境を形成するなど、環境負荷を低減させていくことが重要でございます。
環境負荷の低減に向けては、特に民間による都市再生特別地区や都市開発諸制度の活用によって優良な都市開発を推進する中で、最先端の省エネ技術や再生可能エネルギーの導入、地区、街区単位での地域冷暖房施設の導入、接続などにより、エネルギーの面的利用を促進するとともに、都市開発において質の高い緑空間の充実を図り、公共側としても公園緑地の整備を計画的に進めてまいります。
また、集約型の地域構造への再編により、駅周辺などでは歩いて暮らせるまちづくりの推進とともに、駅や中心地から離れた地域では緑豊かな良質な環境を保全、形成してまいります。
さらに、三環状道路などの広域交通ネットワークの整備、道路と鉄道との立体交差化の推進、TDM施策の導入促進等により、交通渋滞の解消を図り、環境負荷の少ない都市インフラを形成してまいります。
都市全体でエネルギー負荷を減らせるように、こうした多面的な取組を進めることによって、地球環境との調和が図られる、持続可能なゼロエミッション東京を実現してまいります。
○林委員 ご答弁ありがとうございました。
今おっしゃったように、全体での多面的な取組というもの、こういったもので、持続可能な開発目標じゃないですけれども、しっかりとした進め方をしていっていただきたいと思います。
長期的な視点から東京全体の市街地の再構築を進めていくということ、経済活力の向上と環境負荷の低減という課題に対して、都市インフラはもちろんですけれども、民間の力というものをしっかりと生かした優良な土地開発等によって、都市全体でエネルギー負荷を減らしていく、しっかりと答えの出せるような質の高い都市環境の形成というものが非常に重要だと思っております。
ゼロエミッション東京の実現に向けては、もちろん都市整備局だけで対応できるテーマではございませんけれども、持続的に発展可能な都市づくりという新しいこのフィールドに向けて、皆様方は都市計画行政の要でございますので、しっかりと臨んでいただきたいと思います。
次に、スマート東京の実現に向けた取組の中から、私の近隣にございます南大沢スマートシティについて伺いたいと思います。
東京都は、令和元年十二月に、未来の東京戦略ビジョンの中で、東京版Society五・〇、スマート東京の実現を目指すことを発表し、都市部、ベイエリア等先行実施エリアを定めて、それぞれの地域特性を生かしたモデル事業を行っております。
南大沢地区では、多摩地域の課題解決や未来のまちづくりのために、産学公連携により、5Gなど先端技術を活用した実証実験などを推進し、5Gと先端技術を活用した分野横断的なサービスの都市への実装、つまり、使えるようにしていくということですね、先行的に実施していくエリアとされています。
昨年十月には、地元市、企業、通信事業者等で南大沢スマートシティ協議会を設立され、地域の課題解決に向けて、先端技術を活用したまちづくりの検討を進めてこられました。そして、先月八日には、昨年度の検討結果を取りまとめた南大沢スマートシティ実施計画を公表され、本計画に対する意見募集を先日行っておられます。
その募集期間が、つい先日の十一月十五日までの一か月間であったわけでございますけれども、そこで、まず初めに、この一か月間の意見募集期間で何人の意見提出があったのか、また、意見の内容について伺いたいと思います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 南大沢スマートシティ実施計画につきましては、今月十五日に一か月間の意見募集期間を終えたところでございまして、十五日現在で約三十名の方から意見が寄せられております。
現在、集計作業中でございますが、主な意見といたしましては、将来像に関するもの、モビリティーの充実に関するもの、地域コミュニティの充実に関するものなどでございます。
○林委員 ありがとうございました。約三十人の方からということで、主な意見が、将来像、モビリティーの充実、地域コミュニティの充実等に関するということでございました。こういったご意見に対しても、しっかりと受け止めていただいて、前向きに生かしていただければと思うところでございます。
未来の東京戦略ビジョンでは、スマート東京の実現に向けて、大手町、丸の内、有楽町地区という都心部から、ベイエリア、湾岸地区、西新宿、南大沢など五地区を先行実施エリアに位置づけて、5Gと先端技術を活用した分野横断的サービスの都市実装、先ほども申し上げましたけれども、使えるようにしていくということを重点的に推進するとされておられます。
この先端技術を活用したまちづくりを進める上で、都市整備局が果たす役割というものは非常に大きいものと考えるところですけれども、都民のQOL、クオリティー・オブ・ライフを向上させるとともに、ほか自治体に先駆けたモデル都市となるためには、先行実施エリアの一つである南大沢において積極的に取組を図っていただいて、実装化に向けて加速させていくことが重要であると思いますけれども、ご見解をお伺いするものでございます。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 南大沢スマートシティにつきましては、協議会において、実証実験なども行いながら、地域の課題に即した実践的なまちづくりの検討を進めております。
昨年度の実証実験では、自動車椅子による移動支援等を実施し、今年度は今月から、電動シェアサイクルを含むMaaSを活用するとともに、買物の電子クーポン等を組み込む実験を実施しております。
今後、実証実験の効果検証を行うとともに、早期実装化に向けまして、その担い手ともなり得るスタートアップ企業等の参加を促す取組も実施するなど、様々な取組を進め、令和五年度以降の先端技術の社会実装につなげてまいります。
○林委員 ありがとうございました。
実証実験の効果検証、スタートアップ企業の参画を促す取組も実施されるということで、新しい、いろんな活力ある企業も出てこられると思いますので、ぜひともそういった方々も生かして、より効果的なまちづくりにつなげていただきたいと思っております。
私の地元調布市においても、実は、市と大手生命保険会社、電気通信大学等が中心となって、産学官民が連携して、地域の社会課題の解決、そして経済的価値の創出を両立させながら、持続的に進化していく共有価値創造型スマートシティというものを目指して、協議会を設立しております。また、周辺のほかの自治体においても様々な動きが見られます。
しかしながら、こうした取組については、どうしてもノウハウ、そして経験というものが乏しいこともございまして、住民にとって重視する課題に対してどういう答えを出してくれるのかといった、スマートシティに対する理解の醸成から、また、活動内容、方針に至るまで、まだまだ具体的な取組に結びついていないというのが現況でございます。
そこで、今後、スマートシティの実現に取り組もうとしている区市町村に対して積極的に支援していくことが、東京版Society五・〇、スマート東京の実現へとつなげていくためにも非常に重要なことだろうと考えておりますけれども、都としての見解を伺うものでございます。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 スマート東京の実現に向けては、地元の区市町村との連携が重要でございます。
このため、都は、南大沢での取組をスマートシティの一つのモデルとして、そこで得られたノウハウや技術を他地域に横展開することで、区市町村の取組を支援してまいります。
○林委員 ご答弁ありがとうございました。
スマート東京実施戦略でも述べられておられるんですけれども、東京がこれから国際間競争における都市力を上げていくためには、デジタルトランスフォーメーションの推進を加速していくことが急務であることは、様々なデータから見ても明らかなんですけれども、二〇二〇年のスマートシティランキングというものをちょっと見てみますと、世界の中でシンガポールが二年連続のトップということで、アジアでは台北、香港が上位に入る一方で、残念ながら東京、大阪は、七十九位、八十位という大変低い評価になっていました。
デジタルテクノロジー、ICTの力というものが、都民の生活のあらゆる面でよりよい方向に変化させる大きな可能性を持ったデジタルトランスフォーメーションの概念というものを、実際の社会経済活動に生かすためにどのようにまちづくりに生かしていくのか、それが都民全体のQOL、生活満足度の向上につなげていくのか、そのことが我が国全体の持続的な成長に向けて、東京に期待されている役割であり、また、それが東京の責務であるというふうに考えております。
先ほどの質疑で申し上げましたけれども、スマートシティの実現に取り組もうとしている区市町村に対して連携が大事というお話でございましたけれども、都として蓄積してこられたノウハウ、技術、そして何よりも、財政面からも積極的に支援していくことが非常に重要だと思っております。
都市整備局としても積極的な姿勢で取り組んでいただきたいと強く要望申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○本橋委員 では、よろしくお願いいたします。
まずは、木造住宅密集地域の整備についてお尋ねいたします。
首都直下地震の切迫性が指摘される中、木密地域の改善を一段と加速させる必要があります。そこから、都は、令和二年三月、防災都市づくり推進計画の基本方針を、また、令和三年三月、整備プログラムをそれぞれ改定し、市街地の防災性の向上に取り組んでいるところであります。
特定整備路線においては、道路整備と併せた沿道のまちづくりを積極的に推進し、令和七年度までの全線整備に向けて取り組んでおります。また、不燃化特区においては、老朽建築物の除却、建て替え促進に向けた助成や都税の減免措置、さらには専門家の派遣やノウハウ提供などにより、特別区の取組を支援しております。
そこでまず、特定整備路線ですが、当初、平成二十三年度の木密地域不燃化十年プロジェクトにより、令和二年度までの十年間で整備するとしておりましたが、令和七年度まで五年間事業期間を延長して、全線整備することにしております。
現在、私の地元の豊島区でも、用地買収が進められ、フェンスで囲まれた道路予定地も散見され、地域の皆さんからは、終わりの見えない道路事業について不安の声や期待の声が多く寄せられております。
都市整備局が所管する路線におきましても、事業の進捗について、都自らが責任を持って、地域に対する小まめな情報発信を行うべきであると考えておりますが、これまで具体的にどのような情報発信を行ってきたのか、そして今後どのように情報発信していくのか、ご見解をお聞かせください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 特定整備路線の事業の進捗につきましては、これまで地元区とも連携しながら、沿道まちづくりニュースの作成、配布やホームページなどにより、地域の実情に応じた情報発信を行うとともに、地元に相談窓口を設置し、個別の相談にきめ細かく対応できるようにしております。
今後も、令和七年度までの全線整備に向けて、引き続き、こうした様々な手段により情報発信を行ってまいります。
○本橋委員 また、特定整備路線は、従来、都が手がけてきた都市計画道路事業とは異なり、立ち退きを余儀なくされる地権者の方に対して、生活再建の支援も行っていると聞いております。
特定整備路線の整備を進める上での課題はどのようなものなのか、また、それに対してこれまでどのような支援を行ってきたのか、具体的内容をお聞かせください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 特定整備路線の整備は着実に進捗してきているものの、整備完了に向けては、各権利者に移転していただく上できめ細やかな対応が必要でございます。
関係権利者の理解と協力を得て用地取得を進めるために、民間事業者を活用した相談窓口を設置し、移転先情報の提供や建て替えプランの提案を行うなど、関係権利者の不安を解消するきめ細やかな生活再建支援を行ってまいりました。
さらに、平成三十一年四月より、相談窓口で実施している弁護士などの専門家相談のメニューに土地家屋調査士を追加するなど、権利者の要望に応える支援を拡充しております。
このほか、令和二年三月に独立行政法人都市再生機構と協定を締結し、同機構が所有する用地や賃貸住宅のあっせんなど、住み慣れた地域での移転先のさらなる確保に取り組んでおります。
○本橋委員 特定整備路線の整備は、木密地域の延焼遮断帯を形成し、地域の防災性を大きく向上させる、大変意義深い道路事業であると考えております。しかしながら、道路のないところに新たに道路を造るため、地域の住環境が大きく変化していきます。そこで、沿道まちづくりが大変重要になってくると考えております。
都市整備局では、特定整備路線と整備と併せて沿道まちづくりに取り組んでいると聞いておりますが、現在、都が手がけている沿道まちづくりの概要についてお聞きします。また、都と連携して沿道まちづくりを進める地元区においては、技術面や財政面で課題があり、都の積極的な支援が必要であると考えますが、それぞれご見解をお聞きいたします。
○鈴木防災都市づくり担当部長 特定整備路線の整備に向けては、地域の実情に応じた適切な事業手法を選択することが必要でございます。
沿道まちづくりは、都が行う都市計画道路の整備に合わせ、区と連携し、民間活力を誘導しつつ、残地を取り込んだ共同化や土地の交換分合などにより、沿道の効率的な土地利用の促進を図るものでございます。
建物の共同化などによる沿道の不燃化に向けて、都は地元区に対して財政支援を行い、まちづくりの勉強会に専門家を派遣するなどの取組を行ってきており、引き続き、地元区のまちづくりを技術的、財政的に支援してまいります。
○本橋委員 ぜひ技術面、財政面でのご支援をお願いいたします。
さて、次に、不燃化特区制度についてお伺いします。
改めて、制度の概要についてお聞かせください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 不燃化特区制度は、東日本大震災の発生を踏まえ、木造住宅密集地域の改善を一段と加速させるため、木密地域不燃化十年プロジェクトの一つとして平成二十五年度から取組を開始し、木密地域のうち、特に重点的、集中的に改善を図るべき地区を指定して、老朽建築物の建て替えや除却への助成など、特別な支援を行う制度でございます。
○本橋委員 整備地域における改善が進まない地域での課題と、令和七年度まで延長された不燃化特区制度において、課題解決に向けてどのような支援策の充実を図ったのかもお聞かせください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 整備地域では、道路沿道を中心に不燃化が進む一方、道路に面していない敷地が多い街区など、老朽建築物の建て替えが進まず、改善が遅れている地域もございます。
五年間の延長に当たりまして、これまでの施策に加え、無接道敷地の解消に向けた専門家派遣や、除却後五年以内の不燃化建て替えを新たに補助対象とするなど、支援策の拡充を行いました。
○本橋委員 不燃化を測る指標といたしまして不燃領域率がありますけれども、不燃領域率とはどのような指標なのか、また、これまでの取組により整備地域全体の不燃領域率はどのくらい上昇したのか、それぞれお聞かせください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 不燃領域率は、市街地の燃えにくさを表す指標でございまして、建築物の不燃化や道路、公園などの空地の状況から算出し、不燃領域率が七〇%を超えると延焼による焼失がほぼゼロになるとされております。
整備地域全体の不燃領域率は、木密地域不燃化十年プロジェクトを開始した平成二十三年度は五八・四%、令和元年度末の推定値では六三・六%となり、五・二ポイント上昇しております。
○本橋委員 不燃化特区の戸建て住宅建て替えや老朽建築物除去の補助制度は、都民の建て替えを後押しするとともに、防災上有効な取組であると思います。コロナなどにより、都財政の逼迫は承知してはおりますが、引き続き事業期間完了までの間の安定した事業の継続をお願いしたいと考えております。
そこで、重点整備地域での不燃領域率の目標値についてお聞かせください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 都は、令和二年三月に防災都市づくり推進計画の基本方針を改定しており、その中で、重点整備地域につきましては、不燃領域率七〇%の到達に向け、令和七年度までに、各地域の不燃領域率を平成二十八年度に比べ一〇ポイント以上向上させることを目指すとしております。
○本橋委員 引き続き、局を挙げての木密地域の改善や、また、市街地の防災性の向上に努めていただきますことをお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、建築物の耐震化の推進についてお尋ねいたします。
都は、平成二十四年四月以降、一定以上の高さの特定緊急輸送道路の沿道建築物について、東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例に基づいて、耐震診断の義務化や耐震改修工事への助成など、重点的に耐震化を促進してまいりました。
そこでまず、沿道建築物の耐震診断を義務化した結果、多くの建物の所有者または管理者が耐震診断を行ったと記憶しております。結果として現在、まだ耐震診断を実施していない沿道建築物は何棟程度残っているのか、お聞きいたします。
○青木耐震化推進担当部長 診断義務化の対象となった約四千八百棟のうち、耐震診断を実施していないものは、令和三年九月時点で八十五棟です。
○本橋委員 あともう一息のところまで来ていると改めて感じたところでございます。
ところで、残りのまだ耐震診断を行っていない建物オーナーにも耐震診断を行ってもらい、耐震改修工事につなげることが重要と考えますが、そのような方々に対する今後の取組についてはどのようなことを考えているのかお聞きいたします。
○青木耐震化推進担当部長 診断の義務化に伴って診断費用の全額助成制度を創設し、普及啓発を行ってきたことにより、これまでに大半の沿道建築物において診断が実施されました。
診断未実施の沿道建築物については、平成二十七年二月から条例に基づく公表を行い、診断の実施を働きかけてきました。
働きかけにもかかわらず診断を実施しない者に対しましては、平成二十九年度以降、法に基づく命令を行っており、引き続き区市と連携して命令を実施してまいります。
○本橋委員 次に、耐震診断は行ったものの、いまだに耐震改修工事を実施していない沿道建築物の件数と、改修工事を実施しない原因について、どのように認識しているのかをお伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 診断義務の対象となった約四千八百棟のうち、約半数は、耐震性があると診断されたか、これまでに改修が行われたものでありまして、令和三年六月時点で耐震改修等を行っていないものは約二千三百棟です。
建物所有者が耐震化に取り組む際には、例えば、建物の機能が損なわれるでありますとか、合意形成が困難といった様々な事情を抱えていることが原因であるというふうに認識しております。
○本橋委員 耐震化を進めるには、建築物のオーナーなどへの働きかけが重要になると思いますが、こうした取組において、実際の沿道建築物のオーナーと交渉しているのは区市町村の職員だと聞いたことがございます。
今後、都としてどのように彼らを応援していくのか、その決意をお伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 都は、所有者への働きかけを行うに当たり、専門知識やマンパワーを補うため、アドバイザーの派遣や委託による普及啓発活動への補助などを通じて、区市町村の取組を支援してきました。
これに加えて、今年度からは、個別訪問する職員等が所有者の実情に応じた適切なアドバイスを行えるよう、区市町村に対する講習会を実施するなど、技術的支援を充実することとしています。
○本橋委員 次に、令和二年三月、東京都耐震改修促進計画が一部改定されまして、都としては、通行機能の確保の観点から、特定緊急輸送道路沿道建築物において、区間到達率等の新たな指標による目標を設定するとともに、特に倒壊の危険性の高い建築物の段階的改修の補助要件の緩和を行うなど、取組を強化してきたところであります。
都は、耐震改修促進計画において、令和七年度末までに特定緊急輸送道路の総合到達率を九九%、かつ区間到達率九五%未満の区間を解消するとの目標を掲げております。
その対策の一つとして、Is値が〇・三未満の沿道建築物を対象とした都独自の事業であるIs値を〇・六以上にまで上げるのではなく、令和七年度末までにIs値を〇・三以上に上げたオーナーに対して補助できる耐震化準備事業を令和二年度に創設したとのことですが、これまで区市町村に利用された件数をお聞かせください。
○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物を有する五十一区市町村のうち、昨年度に導入したのは一区一市です。
今年度一区が導入を予定しており、四区二市一町がニーズを確認した上で導入を検討するというふうに聞いております。
○本橋委員 ご答弁を聞いて、区市町村における制度創設はまだこれからのようですけれども、そもそもIs値を〇・三以上に高める効果というものを教えてください。
○青木耐震化推進担当部長 国の指針によりますと、Is値〇・三未満の建物は倒壊等の危険性が高いとされています。
また、地震に対して安全な構造とするためには、Is値を〇・六以上とする必要がありますが、それに至らなくても、Is値を〇・三以上にした場合、建物倒壊の確率を数%以下に抑えられますことから、道路の通行機能を確保することができます。
○本橋委員 こうして、特に倒壊の危険性の高い建築物の耐震化が特定緊急輸送道路の通行機能確保に大きく寄与するということですので、目標が達成されるよう、引き続き区市町村への制度創設の働きをよろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきます。
次に、都市の事前復興の取組の推進についてお尋ねいたします。
都は、防災都市づくりに加え、被災後の迅速かつ計画的な都市復興に向け、都市の事前復興の取組を推進しております。
令和三年一月十八日にオンラインで開催された令和二年度都市の事前復興シンポジウムでは、小池都知事から、東日本大震災における都の復興支援や自然災害に対する事前復興の必要性などに触れた挨拶があった後、東日本大震災で甚大な津波被害を受け、ご自身も被災した宮城県南三陸町の町長、佐藤仁さんによる基調講演やシンポジウムなどが行われたところであります。
そこでまず、東京都下における都市の事前復興の必要性や考え方について、ご見解をお聞かせください。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 東京は、首都直下地震の発生確率が三十年以内に約七〇%とされておりまして、備えよ常にの精神で準備しておくことが重要でございます。
首都である東京は、日本経済の牽引役でございまして、万一の災害発生時にも都市機能を早期に復旧、復興させる必要がございます。
そのため、被災した場合に迅速かつ計画的な都市復興を実現できるよう、都市復興の在り方や手順、執行体制をあらかじめ検討し、国や行政職員との共有化を図る事前復興の取組を進めております。
事前復興の取組の一環として、令和元年六月に策定いたしました都市復興の理念、目標及び基本方針では、理念として、安全でゆとりある都市、世界中の人から選択される都市、持続的な発展を遂げる都市、さらには、共助、連携の都市を示し、この理念を踏まえた目標として、被災を繰り返さない、活力とゆとりある高度成熟都市を目指すこととしております。
○本橋委員 災害はいつどこで発生するか分からないからこそ、復興訓練の実施により、地域住民の防災に対する知識や意識を向上させることが重要と考えます。
一方で、コロナウイルスの影響により、多くの人が集まる防災訓練が軒並み中止になっている現状も見逃せない事実であります。このようなウイズコロナ時代における都市の事前復興に係る都民への普及啓発に関する取組についてお聞かせください。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市の事前復興に関する都民への普及啓発を図るため、令和元年度より地域協働復興に関わる補助事業を実施しております。
当初は、対面によるイベントやセミナー等を対象としておりましたが、その後、感染症拡大の状況を踏まえ、ソーシャルディスタンスの確保に配慮した民間等による取組を支援することといたしております。
具体的には、昨年度及び今年度において、都民向けの復興に関するセミナーの動画を都内の会場で放映するとともに、ウェブ配信を行う事業を採択し、実施後も局のホームページを通じて閲覧できるようになっております。
○本橋委員 あわせて、被災後の都市復興の在り方を示した都市復興の理念、目標及び基本方針に加え、復興手順や執行体制を示した東京都震災復興マニュアルを、平時から都民向けのイベントや行政職員向けの図上訓練などで活用し、都民など関係者との連携をさらに強化していくことが重要と考えます。
そこで、国交省では、災害からの復興経験が少ない自治体に向けて、令和二年に復旧・復興まちづくりサポーター制度をスタートさせております。復興の経験値が高い人がサポーターとなり、ノウハウなどを自治体に伝えて共有する制度ですが、自治体という単位を超えて横断的に協力し合う必要性について、ご見解をお聞かせください。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 近年の大災害の教訓から、首都直下地震などの大規模な被害を受けた際に、首都東京の一日も早い都市復興を進めるためには、国や近隣県市、区市町村と連携して取り組むことが必要でございます。
このため、都外自治体との広範な連携を進めていく観点から、国が開設したサポーター制度に都の担当職員も登録しております。
また、都内区市町村間での横断的な連携を支援していく観点から、都は、区市町村の職員向けに、復興まちづくり計画等を作成する図上訓練を毎年実施しております。
○本橋委員 私の地元の豊島区では、木造密集市街地など地域危険度の高い地区を対象として、平成二十一年からワークショップ形式の復興まちづくり訓練を実施しております。地区内の危険箇所を歩き、被害のイメージを想定するとともに、震災復興の具体的なプロセスを理解できる場として、住民からも好評と聞いております。
このような取組を都下で水平展開する上で、各区市町村の好事例などについてマニュアル化することも、地域住民の防災に対する意識向上を図る一つの方法と考えますが、この点、ご見解をお聞かせください。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 震災後の都市復興を円滑に進めるためには、区市町村が行う都市復興に関する取組について、自治体間で共有を図り、都民への普及啓発につなげていくことが有効でございます。
都はこれまでにも、豊島区における震災復興まちづくり訓練をはじめとしたモデル的な取組事例について、都民向けの復興マニュアルの中に盛り込み、ホームページ等を通じて都民に広く周知しているほか、都と区市町村の都市復興の担当者連絡会において、自治体間での共有化も図っております。
今後とも、区市町村と連携を図りながら、都市の事前復興に取り組んでまいります。
○本橋委員 何よりも局におかれましては、ぜひとも復興という観点の住民への浸透を図っていただければありがたいと思います。
次に、都市開発の機会を捉えた防災都市づくりの推進についてお尋ねいたします。
台風などの自然災害により、無電柱化の防災上の重要性がさらに高まっている状況から、都は、無電柱化を一層推進するため、関係局と共に策定した無電柱化加速化戦略や東京都無電柱化計画に基づいて、まちづくりにおける無電柱化が標準仕様になることを目指しております。
都の補助を受けて新たに計画される市街地整備事業は、令和三年度から順次無電柱化を義務化するとともに、民間宅地開発における宅地開発無電柱化パイロット事業の試行などの取組を踏まえ、電柱の新設を防ぐルール化に向けて取り組んでいるところでございます。
まずは、都内の国道、都道、区市町村道を含めた無電柱化率についてお聞かせください。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 東京二十三区内における国道、都道、区道を含めた無電柱化率は八%となっております。
なお、都道における地中化率は四二%となっております。
○本橋委員 電柱の新設禁止の取組は、国道、都道のみならず、都内の道路の約九割を占める区市町村道で広げていく必要がございます。
しかし、区市町村道は、道路の幅員が狭いなど、無電柱化することが物理的に難しい路線が多いということができます。その中でも、木密地域においては、災害時の避難や消防活動を支えていくため、区が実施する防災生活道路における無電柱化の取組を促進していくことが必要と考えますが、既に取り組んでいる事例を含めてご見解をお伺いいたします。
○鈴木防災都市づくり担当部長 木密地域では、歩道のない狭隘な道路が多く、震災時の消火、救援活動や避難を円滑にするため、防災生活道路における無電柱化を推進していくことは重要でございます。
このため、都は、防災都市づくり推進計画におきまして無電柱化検討路線を位置づけ、各区において、公園や民有地などへ地上機器を設置するなど、震災時の道路機能を確保するため、工夫を加えながら無電柱化を進めております。
令和二年度から、これまで支援の対象外となっていた道路区域外での地上機器などの整備を対象に、地元区に対して補助を行っております。
今年度からは、工事費及び補償費について、補助率を二分の一から三分の二に拡充し、一層の促進を図ることといたしました。この補助を活用し、足立区千住一丁目地区におけます市街地再開発事業に合わせて、昨年度から民有地の公開空地で地上機器の設置を進めております。
こうした区の取組を支援しながら、木密地域におけます無電柱化を加速させてまいります。
○本橋委員 都は、新たな事業として、民間事業者による住宅開発を対象にした宅地開発無電柱化パイロット事業に取り組んでいます。
電柱をこれ以上増やさないといった取組が今後も重要となってきますが、本事業の概要とこれまでの実績についてお聞かせください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 宅地開発無電柱化パイロット事業は、宅地開発におけるモデル的な事業を支援することにより、無電柱化の推進のために解決すべき技術面、制度面の課題を把握し、普及に向けた施策の在り方の検討を目的とした事業でございます。
本事業は、三千平方メートル未満の戸建て宅地開発におきまして、電線事業者が将来管理する単独地中化方式及び私道所有者が将来管理する自営設備方式によります開発事業者が行う無電柱化の取組を対象に、設計費及び工事費を合わせて一千万円を限度として助成するものでございます。
これまでに、開発事業者から五件の事業が申請され、一件が完了し、二件が事業中、二件は仮申請を受領しており、宅地開発の許可後、本申請を受領し、事業に着手する予定となっております。
○本橋委員 気候変動などに伴う大規模水害への対応に向けて、都は国と共に設置した連絡会議で幅広い検討を重ね、令和二年十二月に災害に強い首都「東京」形成ビジョンを公表いたしました。
この会議では、区画整理と高規格堤防の一体的実施による高台づくりなど、本ビジョンで盛り込まれた方策の具体化に向けて、令和三年三月に、連絡会議の下、地元区も含めたワーキンググループを設置しており、検討の深度化を図っているところであります。
そこで、これまで連絡会議は書面開催を合わせて五回、また、ワーキンググループは一回開催されたと聞いております。これまでどのようなことが話し合われて、どのようなことが決まったのか、概要をお聞かせください。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 国と共に設置いたしました連絡会議では、水害対策について幅広く議論を重ね、昨年十二月に、区画整理と高規格堤防による高台づくりや再開発事業による避難スペースの確保など、水害時に避難場所にもなる高台まちづくりを推進する方策を盛り込んだビジョンを取りまとめました。
ビジョンで示した高台まちづくりの方策について、地区特性を踏まえた適用を図るため、本年三月、連絡会議の下、地元区も含めたワーキンググループを設置し、避難計画とも連携しながら、高台まちづくりの方針やモデル地区について検討を進めております。
○本橋委員 災害に強い首都「東京」形成ビジョンでは、高台まちづくりを推進していますが、非常に大規模な整備構想が必要となり、どのように進めていくのかイメージがつきにくいともいうことができます。各施設管理者の役割なども含めて、高台まちづくりの概要をお聞かせください。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 災害に強い首都「東京」形成ビジョンでは、高台まちづくりの概要として、まちづくりの役割を担う地方公共団体等が、高規格堤防の上面を活用した高台まちづくりに向けて河川管理者と連携して土地区画整理事業と高規格堤防整備の一体実施を行うことや、公園管理者と連携して高台公園を中心とした高台まちづくりを推進すること、さらには、建物群による高台まちづくりに向けて、民間開発等による建築物の整備と併せて建物上部の避難スペースやデッキによる建物間の通路を確保していくことなどを示しております。
○本橋委員 この高台まちづくりについては、モデル地区を設定して実践に取り組んでいるわけですが、地区ごとの進捗状況はどのようになっているのでしょうか。現状についてお聞かせください。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 高台まちづくりの推進に向けては、現在、三か所のモデル地区において具体的な取組を進めております。
そのうち、江戸川区のJR小岩駅周辺地区では、現在事業中の再開発事業の中で、避難スペースを確保した建築物の整備が進められております。船堀地区においては、本年三月に地元区が船堀駅周辺地区まちづくり基本構想を策定し、これを踏まえ、新庁舎建設に合わせた高台まちづくりの検討を行っております。また、篠崎地区周辺では、その一部において、土地区画整理事業と高規格堤防事業との一体的実施などによる高台まちづくりに取り組んでおります。
○本橋委員 東京東部地域には、いわゆるゼロメートル地帯が広範囲に広がっており、一たび大水害が発生すると長期間の浸水などが想定されます。
大規模災害に対する対策は一朝一夕で完成するものではありませんが、都として、今後どのように災害に強い首都東京を展開していくのかお聞かせください。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 ビジョンで示しました高台まちづくりの方策について、地区特性を踏まえた適用を図るため、引き続き、ワーキンググループ等において、避難計画とも連携しながら、高台まちづくりの方針やモデル地区について検討を進めてまいります。
土地区画整理事業と高規格堤防整備の一体実施において、既存堤防の市街地側の斜面に盛土した用地の活用など、モデル地区の検討の中で抽出された課題に対して、制度の充実を国に働きかけることで事業者への支援につなげてまいります。
国や関係自治体と、より一層連携を図りながら、災害の脅威から都民を守る強靱な東京を実現してまいります。
○本橋委員 既に、今年の令和四年度の国の予算編成に対する都の提案要求の中にも、高台まちづくりの促進に必要な措置と記述されておりました。ぜひ引き続きまして、この件について取組をよろしくお願いしたいと思います。
最後の質問になります。最後は、緑豊かな都市の形成についてお尋ねいたします。
まずは、緑確保の総合的な方針についてお伺いします。
都は、令和二年七月に改定した緑確保の総合的な方針に基づいて、さらなる民有地の保全や質の高い緑の創出を進め、貴重な緑を次世代に確実に引き継いでいくということでございます。
東京の緑は、これまで、航空写真などを活用し、緑被率、みどり率などで緑の分布状況を把握されてきましたが、これを山地、丘陵地、農地、河川沿いなどのように系統的な分類を行い、保全すべき緑を明らかにしているところです。
都が緑確保の総合的な方針において、東京の既存の緑をこのような分類方法とした理由についてお聞かせいただきたいと思います。
○小野都市づくり政策部長 東京の緑は、崖線、河川、旧街道沿いに連なる農地、幹線道路沿いの街路樹などの緑の軸があり、皇居や明治神宮など大規模な緑地が面的に広がり、骨格の緑を形成しております。また、骨格の緑のほかに、社寺林や屋敷林、敷地内の緑など、身近な緑が様々な規模で都内に点在しております。
こうした骨格の緑と身近な緑を東京全体の緑として総括的に把握できる考え方として、丘陵地、崖線、屋敷林、農地など既存の緑を、系統という考え方で分類したものでございます。
○本橋委員 ご答弁のとおり、東京の緑は行政界を超えてつながるものであり、緑のネットワークを形成していくためには、こうした骨格となる緑の連続性や厚みに資する取組のさらなる推進が必要であると思われます。
そこで、都は、山地や丘陵地、河川や運河沿いの水辺の緑など骨格となる系統の緑が、公園緑地やオープンスペースなどの新たに創出された緑と連なり、厚みとつながりのある緑の充実を実現していくためにどのように取り組んでいくのかお聞きいたします。
○小野都市づくり政策部長 山地や丘陵地、河川沿いの緑など骨格となる系統の緑と、新たに創出される緑をつなげ、厚みとつながりのある緑の充実を図っていくことは重要でございます。
都はこれまで、区市町村と連携し、緑確保の総合的な方針や都市計画公園・緑地の整備方針を策定し、既存の緑の保全や公園緑地の整備を進めるとともに、民間開発の機会を捉えた質の高い緑の創出にも取り組むことで、緑のネットワークの形成を図ってまいりました。
今後は、例えば、高台まちづくりと併せた河川沿いの公園の整備や、都市開発諸制度を活用した緑の保全、創出の取組を進めることにより、水と緑のネットワークの充実を図ってまいります。
○本橋委員 それでは、最後に、都市計画公園・緑地の整備方針についてお伺いいたします。
私の地元の豊島区ですが、池袋駅周辺を中心としまして、南池袋公園や中池袋公園、イケ・サンパークなどが整備され、人々の憩いとなる緑の拠点も新たに生み出されてはきましたけれども、都立公園が存在せず、既存の緑もほとんどないことから、他の区市町村に比べ、公園緑地の面積が著しく少ない自治体の代表例となってしまっております。
都は令和二年七月に、区市町村と合同で都市計画公園・緑地の整備方針を改定し、公園緑地の計画的な整備を推進しているとのことですが、緑地面積の少ない豊島区などの自治体においてはどのように取り組んでいくのか、ご見解をお聞かせください。
○小野都市づくり政策部長 既存の緑が少ない自治体においても、身近な緑やオープンスペースなどの創出を図り、都市環境の改善など、多面的な緑の機能を確保することは重要でございます。
都はこれまでも、例えば、お話のありました豊島区において、東池袋一丁目の都市再生特別地区など、都市開発の手法を通じた新たな緑の創出や、木密地域の整備を進める中でのコミュニティ広場の創出など、市街地に新たな緑を創出してまいりました。
また、新たに今年度から、区市町村に対して、公園が不足する地区において、老朽家屋等を撤去し、公園として整備する際にも活用が可能な緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度を創設しております。
今後とも、都は、区市町村の取組を支援し、緑あふれる東京を実現してまいります。
○本橋委員 ありがとうございます。
広域的な観点から、丘陵地など多摩部の緑と都心部の民間開発などで生み出す緑をつなげ、厚みとつながりのある緑のネットワークを形成していくことは大変重要であります。それを実現する上で都の役割は大変大きいと考えますので、ぜひ区市町村を牽引し、事業を進めていただきたいと思います。
以上で私の質疑を終わります。
○中山委員 じゃ、事務事業質疑を行わせていただきます。
初めに、事業概要の二五ページから掲載されております都市づくりのグランドデザインについて質問させていただきます。
都市づくりのグランドデザインとは、記載によりますと、将来を見据え、目指すべき都市像と実現方策を示すものということだそうでございます。具体的には一から七まで項目が分かれておりまして、都の戦略が示されております。私は、これらは基本的には都内全域にわたって当てはまる取組だというふうに認識しております。これを踏まえ、本日は戦略1の、持続的な成長を生み、活力にあふれる拠点を形成について伺います。
事業概要には、環境に配慮するということとか、誰もが活躍できる社会を実現とか、多様なイノベーション創出といった記載がございます。私は、こうした記載に最もふさわしい形態の社会資源というのは、都内の中小企業ではないかというふうに思っております。
中小企業支援そのものは産業労働局の担当ですので、ここでは詳しいことは触れませんけれども、中小企業というのは、ともかく来てくださった働き手の方一人一人を大事にして、どの人の個性も経歴も生かして人材に育てて、その人の人生と一緒に会社が発展していく、そうした企業です。
大企業の方々は、誤解があってはいけませんけれども、大勢の方が就職希望されますので、その中で選考を経て人材を選ばなきゃいけない。そうなってくると、どうしても分かりやすい数値的なもので人を基準評価して、選んだりしがちですけれども、中小企業は、ともかく来てくれる人、全ての人を大事にして育てていくということで、その結果として、様々な人の個性や経歴を生かした、そうした産業となっていくんだと思っております。
しかし、そうした都内の中小企業というものは、安い人件費のコストなどによります海外への移転と−−移転といいますか、海外への発注の移転、そうしたものに追いやられて、だんだん衰退をしていきました。また、ホワイトカラーと称される職種がもてはやされて、三Kといわれるような職場というような形で嫌がられる面もありまして、恒常的な人材不足というものに陥っております。
振り返ってみますと、日本が社会的に最も元気で、それぞれの人が自分の個性を生かしながら、生きがいを持って生産活動に励めていた時代というのは、身近な地域で様々な中小企業が血気盛んに活動していた時代ではなかったかというふうに思っております。
そうした中小企業衰退のもう一つの理由は、最初は東京都内のいろんなところに中小企業はあったわけですけれども、次第に後からだんだん宅地化されていって、住む方々のいろんなご都合もあったんだと思いますけれども、都内での営業が難しくなって都外に移転せざるを得なくなったり、あるいは移転する前にその土地で廃業する、あるいは売り払って宅地に変える、そうしたことがだんだん広まっていって、都内の中小企業の衰退というものが始まっているんだと思います。
先ほど述べましたように、ダイバーシティの特色を生かしながら、様々な人々のそれぞれの個性を生かして、経済の発展を目指していく上におきましては、大企業という舞台よりも中小企業の方がより適しているんではないかと、私見ながら考えているところでございます。
そうした中小企業がこれからも都内で発展していくためには、住宅地が既に建ち並んでいるところに、その方々にどいていただいて新たな工業地帯を造るなんてことは到底難しい話ですので、戦略1にありますような記載を実現するためには、住宅と、それからものづくりや建設、土木といった、そうした中小企業とが、安心して混在できるような、共に発展していけるような、そういう仲よく共存できる立地環境、まち並み整備の必要性を、今後のグランドデザインではさらに強調して、都庁内のほかの局あるいは都内各自治体に対して、同一歩行で行きましょうよということの方向性をきちっと強く打ち出していく必要があると思っております。見解をお願いいたします。
○小野都市づくり政策部長 都は、都市づくりのグランドデザインにおいて、ものづくりなどを生かした特色あるまちづくりを誘導するため、地域のニーズに応じた柔軟で複合的な土地利用を展開することとしております。
この考え方を踏まえ、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針では、住環境を保護しつつ地場産業を育成すべき区域においては、地区計画や特別用途地区を活用し、産業と生活が共存、調和したまちづくりを推進することとしております。
例えば、板橋区では、緑豊かで良好な住環境の保全と合わせた、住工が調和する地区計画を定めております。また、足立区では、スーパー堤防などの整備に合わせた、住工が共存する地区計画を定め、まちづくりを進めているところでございます。
都は今後も、区のこうした地区計画の指定を支援するなど、関係局や区とも連携しながら、生活とものづくりが共存する活力あるまちづくりを推進してまいります。
○中山委員 私の地元足立区では、産業労働局の方で、騒音とか振動とか、そうした課題を乗り越えれば都外に移転しなくてもいい、そういう、中小企業のための補助金制度がありました。
ただ、それは、特別な地域を定めて計画を区が持つ必要があったんですが、足立区に対しては、全域でやった方がいいということを足立区の方に提案させていただいて、導かせていただいた−−ひとえに足立区が頑張ったわけですけれども−−ことがございました。
戦略1だけじゃなくて、情報とか環境問題に立ち向かうとか、そうした戦略の他の面につきましても、空港や港に近いとか、鉄道の主要駅に近いとか、そういったことだけではなくて、都内全域でそうした戦略による効果というものを享受していく必要があると思っております。
先日の住宅政策本部の質疑の中で、我が党の古城委員が、都営住宅の集会所でWi-Fi機能をという話をさせていただきましたけれども、5Gとかそうした事柄についても、そのにぎやかな発展性のある地域だけじゃなくて、住宅でお住まいの高齢者や障害者、普通の方々が享受できる社会というものを同時に目指していくべきだと思いますし、それから文化芸術、これは戦略7でありますけれども、スポーツ、そうした拠点というものも、どの地域に今不足しているかとか、そうした事柄も−−自治体にとっては刺激的ないい方かもしれませんけれども、そうしたことを、ある意味で提言していく、そうした事柄が、私は、東京都の政策の方向性として大事な視点ではないかと思っておりますので、よろしくお願いさせていただきます。
続きまして、木密解消を図るための魅力的な移転先の整備事業について質問させていただきます。
私の地元足立区内にも木密地域がございまして、なかなか遅々として進まない状況でございました。相続のときだけを捉えてということではなかなか進まない。それを打開するために、地域の中で、整備後、こんなに魅力的なまち並みあるいはコミュニティとして活性化が再びできますよ、そうした絵図を描くことによって、木密事業に協力してくださる方々の意欲を高めていく、そうした取組が必要だということを提案してきたところでございます。
これに応えまして、都市整備局は、足立区江北地域で魅力的な移転先の整備事業を展開中でございますけれども、どのような成果を収めつつあるのか、その進捗ぶりについてお伺いしたいと思います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 木密地域の不燃化を加速するためには、権利者の方々が安心して生活再建できるよう、コミュニティを維持しながら入居できる魅力的な移転先を確保することが効果的であり、都は、都有地等を活用し、権利者の方々の受皿となる移転先の整備に取り組んでおります。
先行実施地区の第一弾でございます江北地区におきましては、本年三月、事業予定者と本事業における基本的な合意事項を定めた基本協定を締結し、六月には、移転先の魅力を高め、地域に貢献できる施設となるよう、事業者と連携して地元の方に事業の内容を説明する機会を初めて設け、その際に出されたにぎわいや憩いの場の創出などの要望を踏まえまして、検討を進めることにしております。
今後、事業者において設計を行った上で、年度内を目途に建設工事に着手し、令和四年度内に入居開始ができるよう事業を進めてまいります。
○中山委員 今年度内に工事着手、令和四年度内に入居開始を目指すという大変前向きな答弁でございました。ぜひ実現していただけますよう、そしてまた、より多くの方が魅力を感じて移り住みたいと希望を述べていただけるような移転先事業となりますことを要望させていただきます。
また、そうした意思決定は、高齢者の方々も大事なんですけれども、その次の世代の方々が、その意思決定の上で非常に大事な役割を果たしますので、そうした方々に向けて、今後どういう発信をしていくかということも、よろしくご検討いただきたいと思います。
続きまして、事業概要の四七ページにございます耐震化の促進についてお伺いさせていただきます。
私は、本年三月一日と三月十六日の都市整備委員会で、都の耐震化助成の課題について取り上げさせていただきました。都市整備局は、私の質問の目的、意図をよく踏まえていただきまして、本年四月から都助成の対象範囲の見直しを実施されておられます。
すなわち、令和二年度当初予算額では、整備地域内の耐震化助成の約一億五千万円、整備地域を対象とする戸建て住宅等助成約一億円だったところ、年度末におきましては、整備地域内助成がほぼ順調に予算執行されていたものの、戸建て住宅等助成では約六千万円の減額補正の必要が生じておりました。
その違いをもたらしていたポイントの一つが、老朽家屋の除却を補助対象に加えているかどうかという点にあったわけでございます。加えている方は順調に利用され、加えていない方はあまり利用されていなかったということだったと思います。事実、私が質疑させていただいた際のご答弁では、執行が順調な整備地域内助成の約七割が除却の目的で活用されているというご答弁もありました。
このほか、都民が必要とする耐震化工事の実費額が補助スキームを超えている例が多い旨の答弁もありまして、一件当たりの補助上限の増額も併せてご答弁をいただいたところであります。
住宅の耐震化助成につきまして、助成制度の改善がなされました本年、令和三年度の予算執行の状況はいかがなのか、その状況についてご見解をお願いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 令和三年十月時点の執行見込みは約二億八千八百万円でありまして、前年度を上回る執行見込みとなっております。これは、除却に対する助成を整備地域外も対象としたことなどの効果があったものと認識しています。
○中山委員 除却を対象に含めた効果が上がっているとの認識が示されました。大変よかったと思っております。耐震化がより広く進んでいきますことを期待申し上げております。
続きまして、事業概要の五二ページの建築物等の安全性の向上について質問いたします。
まず、エレベーターであります。
大きな地震が都内を襲った場合、マンションやオフィスビル等のエレベーターが一斉に、安全を保つために停止します。その後、復旧が進まず、エレベーターが長期間使えないようであれば、建物自体に損傷はなくても、住んでいる方、そこで働く方々にとってみれば、建物を使えなくなってしまう。特に住んでいる方にとっては、階段昇降の困難さから避難所に行かざるを得ない、そうしたことも多く想定されるわけであります。
マンション居住者などにおきまして、安全な建物内での自宅避難を望ましい形で実現していきませんと、避難所を幾ら整備しても足りないということにもなりかねません。この点の取組の前進が必要でございまして、近年に比較して、地震時におけるエレベーターの閉じ込め防止や早期の復旧などの安全対策におきまして、どのように対策が進展してきているのか、今後の取組も含めて見解を求めたいと思います。
○山崎市街地建築部長 まず、閉じ込め防止についてでございますが、平成二十年の建築基準法施行令の改正により、エレベーターの安全に係る技術基準が強化されまして、新たに設置するエレベーターについては、地震時管制運転装置の設置が義務づけられました。これにより、装置が初期微動であるP波を感知した場合には、強制的に最寄り階に停止してドアが開放され、利用者の閉じ込めの防止が図られることとなりました。
都は、地震時管制運転装置の設置が義務づけられる前のエレベーターについて、閉じ込め防止対策等のリーフレットを作成し、昇降機の定期検査報告の機会を捉え、建築物の所有者等に対して普及啓発を行っております。
都内のエレベーターにおける当該装置の設置率は、令和二年度で約四八%となっており、二年間で約四%増加しております。
一方、地震時管制運転装置がS波を感知したときには、機器の損傷を防ぐため、エレベーターを休止する場合がありまして、その結果、閉じ込めが発生したときの救出体制につきましては、エレベーターの関係団体と保守管理会社が連携し、整備が進められております。
先月発生いたしました千葉県北西部地震では、都内で十九台の閉じ込めが一時的に発生いたしましたが、おおむね二時間以内には全ての救出が完了しております。
今後は、首都直下地震の発生を見据え、エレベーターを利用する都民に対しましても、閉じ込めが発生する可能性や、発生した場合の救出対策などを周知してまいります。
また、運転を休止したエレベーターの早期復旧についてでございますが、地震発生後に、できるだけ多くのビルやマンションの機能の回復を早期に図るため、都は、関係団体と連携し、一建物につき一台のエレベーターを復旧させることを原則とするルールの徹底をエレベーター保守管理会社に要請するとともに、広く都民、事業者等に理解と協力を求めております。
今後とも、区市や関係団体等と連携し、あらゆる機会を捉えて、建築物の所有者等への働きかけや都民への周知を行うなど、エレベーターの安全対策を推進してまいります。
○中山委員 ありがとうございました。
まず、都内全体として、一ビルについて一台のエレベーターの運行の続行といいますか、そうしたものができるようにということで、大事な取組だと思います。
それがまず確保された上での話かもしれませんが、大きな建物では、一台のエレベーターが動いているだけでは、実際にはなかなか、避難しなくても済むというところまでいかない場合もあるかもしれませんので、その次の段階もにらんでおいていただきたいと思います。
また、千葉県の北西部地震では、足立区でもかなり揺れましたけれども、都内で十九件のエレベーター閉じ込め事故が発生して、二時間で救出されたということでございます。大変すばらしい取組が進んでいるのではないかと思います。
ただ、これからも、先ほど申し上げましたように、エレベーターが早期に地震後復旧されまして、建物に住んでいる方が、建物は大丈夫だから、ここで安心して、避難生活といいますか、しばらく地震後の大変な時期を過ごそうというふうに思っていただけるような体制をぜひ目指して整えていただきたいと思います。
私は、二〇〇七年の十月の決算特別委員会を皮切りにしまして、様々な委員会や本会議などの場を通して、幾度も、天井や附帯構造物、広告、照明、ガラス、デコレーション的な装飾物等の落下、飛散による災害時の被害の拡大、あるいは避難場所が使えなくなってしまう、そうした事柄の発生を抑える取組を訴えてまいりました。
この点の進展状況と今後の取組について見解をお伺いします。
○山崎市街地建築部長 まず、天井の落下防止対策につきましては、東日本大震災において都内を含む広範囲で天井が落下する被害が発生したことから、国は、人が日常立ち入る場所に設置されている一定規模以上のつり天井を特定天井と定義し、脱落防止に係る新たな基準を定め、平成二十六年四月より施行しております。
これを受け、都は、新たな基準や落下防止対策の事例を紹介したリーフレットを作成し、区市とも連携して普及啓発を図るとともに、建築基準法に基づく定期報告を通じて、二十三区内で、延べ面積が一万平方メートルを超え、特定天井を有する建築物が約五百三十棟あることを把握しております。
令和二年三月末の時点で、基準に適合しているものが約二十棟、改修や撤去などの安全対策を実施したものが約六十棟となっておりまして、都は、残りの建築物の所有者等に対して個別に改善指導を行ってまいります。
また、天井以外の落下防止対策につきましては、定期報告により、外壁タイルや窓サッシの劣化状況、広告板の取付金物の腐食状況等を把握しており、改善が必要なものについては指導を行っております。
今後さらに、具体的な落下防止対策等を示した新たなリーフレットを作成するなど、所有者等に対する普及啓発や個別の改善指導を強化してまいります。
○中山委員 二十三区内の対象の建築物は五百三十棟で、それに対して順次取組をしていただいているということで、大変安心いたしました。これからは、さらに残っている建築物に対する改善指導の徹底と、そして改善の実現をよろしくお願いしたいと思います。
あわせて、二十三区内という話ですから、多摩地域についてもしっかりと取組、調査をしていただいて、区市と連携したさらなる取組をよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、事業概要五四ページの避難場所等の指定につきまして質問させていただきます。
気候変動から、毎年、台風が、あるいは豪雨災害が深刻化してきております。避難という点におきましては、我が党も推奨させていただいておりますけれども、マイタイムラインによりまして、自治体も、また、避難する側の人たちも、時刻に応じてきちっと避難をしていくということが大事で、そのためには、まずは広域避難、そして、逃げ切れなかった場合の方々のためには垂直避難ということになります。
当然、避難しなくても済むようなハード的な措置というのが講じられていくことが大前提でありますが、一昨年の台風十九号、令和元年東日本台風におきましては、荒川についていえば氾濫警戒水域まであと五十三センチという大変厳しい状況まで行きまして、足立区でいえば全域に避難勧告が出されたところであります。
それを防いだのが、埼玉県内にございます荒川第一調節池でございまして、三千九百万トンの貯水能力のうち三千五百万トンまで行きました。
当然、台風十九号を上回る台風が来る可能性は十分ございますので、今、第二、第三調節池を、東京都も拠出をしていただいて、埼玉県を上回るような拠出をしていただいていますけれども、国と合わせて急ピッチで急いでやっております。
ただ、完成まで時間がかかるので、どちらか片方だけでも早めに供用開始をしてもらいたいということを申し上げて、ようやく今年八月三十一日に、千二百万トン分の前倒しの早期供用開始という方針が、二〇二五、六年をめどに打ち出されたところでございます。
そうした努力はございますけれども、なかなか広域避難といっても、日本中に親戚がいるわけではありませんし、ある面で大変な課題があります。そうした状況の中、垂直避難というものも実際には考えていかざるを得ない。
そうした中で、私どもが今強く訴えているのが、特に荒川沿いには首都高速道路が走っておりまして、その首都高速道路の高架部については、目の前に一番安心・安全な高い場所があるのに、そこに避難できないというのは本当にどうなのかというお声がございまして、実際に東日本大震災のときには、そこに避難をして助かったという方々も大勢いらっしゃった。
国は、まずは地方の大きな高速道路からということで検討を開始していただいておりますが、なかなか頭が固い面もあったりしまして、台風が吹いているときに高いところに避難させるのはどうかなんていうご意見があったりするわけですけれども、暴風雨が吹いているときに高い場所に行けなんてことは、私どもは申し上げておりません。大体、暴風雨が過ぎ去った後に川の水の増量が始まります。実際に五十三センチに迫ったときにも翌朝でございましたから、少なくとも十二時間以降の、後の話でありまして、もう台風一過の晴天の中で避難する場所はどこかということでございますので、ぜひそれを実現していっていただきたいと思います。
また、公共車両の中には、水没をしてしまえば使えなくなってしまう、そういう車両も多くありまして、救急車やパトカーや、あるいはショベルカーとか、あるいはごみを収集するパッカー車なども、水没すればそれは使えなくなります。そうしたものが一切使えなくなってしまうということになってしまいますと、大きな台風の後の復旧というものが大変遅れることになります。
そうしたことになりますので、人命尊重ということをまず大前提として、そしてまた、水没回避のための公共的、必要性のある車両の避難ということも含めて、自治体が絡んで秩序立った水没避難を図るべきであります。
緊急避難的なものかもしれませんけれども、その必要性を認識した上でルールを決めておきませんと、大変な混乱が発生するおそれがありますので、環境整備を図るべきと考えます。見解をお願いいたします。
○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 大規模水害から都民の命と暮らしを守るためには、高台まちづくりなどのハード対策に加え、住民の避難や、理事ご指摘の救助、復旧に当たる車両の避難などのソフト対策を進めることが重要でございます。
災害時の首都高は、人命救助や消火活動などに必要な緊急自動車などの円滑な通行を確保する役割がある一方、首都高の構造は大部分が高架構造となっておりまして、大規模水害時の人命救助を最優先とする緊急的な避難先としての活用が考えられます。
現在、災害時の首都高におきまして、緊急自動車などの通行機能の確保との関係や地域の実情を踏まえながら、首都高への安全な避難誘導やそのタイミングなど、具体的な場所や活用について、国や高速道路会社などの意見を聞きながら検討を進めております。
今後、国との連絡会議の下、今年三月に設置した高台まちづくりのワーキンググループにおきまして、地元区が策定する避難計画も踏まえて検討を進め、早期の活用に向け取り組んでまいります。
○中山委員 ようやくワーキンググループの検討が開始されたということで、大変朗報であります。当初の頃は、もう全然、箸にも棒にもかからない感じでございました。
ただ、改めて申し上げるまでもなく、首都高速道路があるから避難しなくていいなんてことになったら大変なことになりますので、あくまでも緊急避難的な措置であるということを前提に、ルールをきちっと自治体と合わせて定めていただくということが大事かと思っております。
来年の夏にもそうしたおそれがありますので、できる限り早い取組の進捗をお願いしたいと思います。
その上で、今もお話がございましたが、六二ページに記載があります高台まちづくりの検討状況、先ほども質問ございましたけれども、今後の取組について見解を求めたいと思います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 国と共に設置いたしました連絡会議では、水害対策について幅広く議論を重ね、昨年十二月に区画整理と高規格堤防による高台づくりや再開発事業による避難スペースの確保など、水害時に避難場所にもなる高台まちづくりを推進する方策を盛り込んだビジョンを取りまとめました。
ビジョンで示した高台まちづくりの方策について、地区特性を踏まえた適用を図るため、本年三月に、連絡会議の下、地元区も含めたワーキンググループを設置しておりまして、避難計画とも連携しながら、高台まちづくりの方針やモデル地区について検討を進めております。
高台まちづくりの方針につきましては、例えば足立区では、高規格堤防事業が動いている新田地区などを含め、災害に強い拠点づくり構想の検討を進めております。
モデル地区につきましては、例えば江戸川区の船堀地区では、本年三月に地元区が船堀駅周辺地区まちづくり基本構想を策定し、これを踏まえた新庁舎建設に合わせた高台まちづくりの検討を行っております。
また、土地区画整理事業と高規格堤防整備の一体実施において、既存堤防の市街地側の斜面に盛土した用地の活用など、モデル地区の検討の中で抽出された課題に対して制度の拡充を国に働きかけることで、事業者への支援につなげてまいります。
国や関係自治体と、より一層連携を図りながら、災害の脅威から都民を守る強靱な東京を実現してまいります。
○中山委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
足立区新田地域の場合は、都営住宅の建て替えに合わせて、その候補地としてカウントされるようになりました。
全国にこの高規格堤防は百二十キロ、右岸、左岸合わせてあるということで、荒川というところに着目していえば五十キロの長さがあるわけです。
大事なことは、高台まちづくりというのは避難場所としても大事な役割を担っているわけですけれども、今、モデル地区になっているところとモデル地区以外のところ、モデル地区以外の住民の方々にとってみれば、自分たちの地域は可能性がないのかということについて、やはり疑問もあったり不安があったりしますので、基本的なスキームは、その百二十キロの高規格堤防の予定地については、住民の合意とか地元の準備が整うことが大前提ですけれども、その高台まちづくりの取組の対象であるということをきちっとまず認識をしていただくと。その上で選択肢−−様々地元のご判断、住民の方々の要望等によって、違う道を選ぶ場合もあるかもしれませんが、そういう面では、自分たちの地域もその対象ではあるんだということを知っていただくことは、非常に安心感につながっていくことになると思います。当然、事業のスピードアップを図っていかなきゃいけませんが、よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、事業概要の八〇ページに記載のあります宿泊施設と子育て支援施設、高齢者福祉施設の整備促進について質問をさせていただきます。
これらは、容積率の緩和の方法によりまして整備の促進を図るものでもあります。この手法を採用するようになった以降、どういった進捗が見られているのか、見解を求めます。
○小野都市づくり政策部長 都は、公開空地等の整備を行う良好な建築計画に対して容積率を緩和する都市開発諸制度について、宿泊施設や子育て支援施設、高齢者福祉施設を、それ自体の整備を容積緩和の対象とすることなどにより、立地場所の都市計画上の位置づけなども踏まえ、整備の誘導を図ってまいりました。
具体的には、平成二十七年度からは、子育て支援施設や高齢者福祉施設の整備について容積率緩和の評価対象とするとともに、一定規模以上の都市開発については、子育て支援施設の整備の必要性について区市町と協議を行うことを義務づけております。
また、平成二十八年度からは、総合設計を除く各制度において、宿泊施設の整備について容積率緩和の評価対象としております。これによる整備の実績は、子育て支援施設が四十件、宿泊施設が四件となっております。
今後とも、都や区市町の福祉部門と引き続き情報共有を図るなど、本制度の活用に向けて取り組んでまいります。
○中山委員 容積率の緩和等の手法を取ることによって、着実に、徐々にではございますけれども進展をしてきているということを伺うことができました。
ぜひこれから、高齢者福祉施設等での活用も含めまして、広く取組の視野を広げていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、事業概要の九一ページに記載のございます都施行の区画整理事業の一つであります、私の地元になりますが、六町地区につきまして質問させていただきます。
本事業は、希望換地という画期的な制度を取り入れて、初めて大規模に実施された区画整理事業でございまして、その希望換地を取り入れた分かもしれませんが、進捗が遅れた状況にございました。加えまして、つくばエクスプレス鉄道の整備と時期が重なったこと、駅前の通過道路の優先整備や、さらには、後から土壌汚染の発覚などもありまして、いよいよ終盤に差しかかっているんですけれども、さらに進捗がこれから遅れる見込みとなっているという状況になっております。
特に、一昨年夏に仮移転先に仮移転していただいた街区の住民の皆様におかれましては、この秋に本移転の土地の明渡しの説明があると聞いていたところを、さらに一年以上遅れるという見込みになっておりまして、後から仮移転をした人たちよりも、自分たちの方が負担が増しているじゃないかと、そういう不安を抱いていらっしゃいます。
区画整理事業に当たっていらっしゃる職員の方々の落ち度ではないかもしれませんけれども、ここに至ってのこうした事態の発生は、精神的にも、それぞれのご家庭のご事情の上でもかなりの痛手、ショックであります。
そこで、こうした、長期にわたる仮移転先生活を余儀なくされている方の今現在の件数はどれほどあるのかという点、このことを改めて確認させていただくとともに、早急に個別にご家庭を訪問するなどして丁寧な説明を行うとともに、誠意のある補償に努め、まさに事業概要の記載にありますような事業のスピードアップを文字どおり実現するよう求めるものでございます。見解を求めます。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 六町土地区画整理事業におきましては、現時点で仮住まいにご協力いただいている件数は約四百五十件でございまして、これらの方々は、戻り先の土地で土壌汚染が見つかり、その対策工事が必要になったことから、仮移転が継続しております。
現在、土壌汚染対策工事がおおむね完了し、今年度中に残る全ての下水道や街路築造工事に着手する予定でございます。
これまでも、地権者に対して事業の進捗についての説明を行うとともに、適正な補償を行ってきております。
今後、土地の引渡し時期などについて、地権者に対して個々の事情に応じた小まめな説明に努めるとともに、できる限り早期の生活再建が図れるよう取り組んでまいります。
○中山委員 ぜひ今ご答弁いただいた内容を実現していただきますよう、よろしくお願いいたします。そのために、上野都技監、予算、人員、必要でございますので、最終盤、よろしくお願いを申し上げます。
区画整理事業は大変な事業で、担当される職員の方々も、えらいところを担当になっちゃったなと思うときもあるかもしれませんけれども、前に都技監だった佐藤さんが若いときに、この六町地区を担当していまして、私、夜通し一緒になって、困難に直面しているご家庭に赴いて説明に当たらせていただいたことがあります。
大変な取組ですけど、その経験が、さらに皆様方の、将来、都政に対するご貢献をされていく上での必ず基礎となっていかれるんじゃないかと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
続きまして、事業概要九九ページのオリ・パラ大会後の選手村の活用についてお伺いしたいと思います。
選手村は、新たな集合住宅、分譲が四千百四十五戸、賃貸が一千四百八十七戸の住宅群として生まれ変わるわけでありますが、今回の大会のレガシーとして残り、発展する晴海地区は、たまたま居住することになった人たちにとって、利便性が高いとか、快適性がある居住空間ということだけじゃなくて、何か新しい社会の有益な動きを進める上でのメルクマール的な役割を果たしていただくことが、私は望ましいんではないかと思っております。
その点、事業概要に記載のあります水素の活用の拠点としての今後の発展の可能性を積極的に具体化し、居住者以外にも貢献する取組として、他局とも連携し、進めていくべきと考えます。
選手村地区におきます今後の水素活用についてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いしたいと思います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村地区の水素利用につきましては、東京二〇二〇大会後のレガシーとなるまちの形成に向けまして、民間事業者と連携して常設の水素ステーションを設置し、大会に向けて整備した仮設の水素ステーションを引き継いで、地区内外からの車両への供給を行うほか、新たに、実用段階では日本初となるパイプラインによる各街区への水素供給を行い、発電した電力を住宅の共用部などで活用してまいります。
また、水素ステーションの敷地内に、選手村地区における水素の利活用を含め、水素エネルギーに関する情報を伝える施設を設置し、関係局や地元区などとも連携しながら、水素の有用性を分かりやすく発信してまいります。
○中山委員 ぜひこの水素ステーション内での情報発信施設、期待しておりますので、よろしくお願いします。
一つは、地区内外の車両も使えるということですので、アクセスをどうかよくしていただくためのいろんな工夫を引き続きご検討いただきたいことと、その情報発信施設については内容を、将来の話ですけど、順次リニューアルしていただいて、常に最新のものを提供できるようにご検討いただければと思いますので、よろしくお願いします。
続きまして、事業概要一〇三ページにございます公共交通機関でのバリアフリーの進展について質問させていただきます。
公明党は、この点で国補助の拡大を主導し、補助の拡大を推進してまいりました。私の地元足立区の綾瀬駅も、JR常磐線と地下鉄東京メトロの千代田線が相互乗り入れしている駅でございますが、長年の努力が実り、ようやく、一昨年度ですかね、昨年度ですか、駅ホームドアの整備が完了したところでございます。
都は、令和元年九月に優先整備の考え方を取りまとめ、令和二年度からの補助の拡大を図っております。一方、ホームドア整備につきましては、都内の約半数以上の駅がまだ未整備の状況にございます。
どの都市も、目立つ表玄関の整備はいち早く行われがちなわけでありますけれども、そこから離れた生活の現場はちょっと遅れる可能性がありますけれども、どの地域に住んでいる人にとってみても、自分が住んでいる地域を一番最優先で整備をしていただきたい、大事な拠点となっているわけであります。
そのため、都議会公明党は本年の第一回定例会で、駅ホームドアの整備がまだ半ばである事実を指摘させていただいて、都がイニシアチブを取って推進すべきと求め、東京都からは、事業者と技術的な方策の検討の場を設置するとの答弁をいただいたところであります。
ホームドアは、視覚障害者などの交通弱者の方々を危険から守るために社会的に必要な施設でありますが、国や都から十分な補助があるといっても、ホームドアを設置すること自体で鉄道会社がもうかるわけではありません。
補助制度というものは、ある面で、本質的には営利企業であります鉄道会社が収支の黒字化を目指す取組の中で、どういうふうに自分の優先順位を決めていくかということがありますので、補助制度を設けているというだけではなくて、さらに上乗せとなる取組というものが必要であり、そうでないと限界点を突破できないというふうに思います。
パラリンピックが世界で初めて二度開催される日本の首都東京こそ、その限界点を突破して、全駅でのホームドアの設置を一日も早く目指すべきと考えます。
事業者と技術的な方策の検討の場を設置するとの答弁があった後、駅ホームドアの整備に関する取組状況について見解をお伺いします。
○江端地域公共交通担当部長 都は、令和二年度に拡充した支援策の積極的な活用に向けて、鉄道事業者と課題を共有し、技術的な方策を検討することを目的に、本年五月、東京都におけるホームドア整備に関する検討会を設置したところです。これまでに、検討会を二回実施しまして、課題解決に向けた各社の取組事例の共有化を図ったところでございます。
今後、検討会において技術的な方策を検討するとともに、その検討状況も踏まえながら、整備対象駅の追加など、整備計画の見直しについて事業者と個別に調整を行ってまいります。
○中山委員 検討会を設置していただいて、もう二回も開催していただいたということで、ぜひその検討会を設置した効果がこういうふうに出てきましたよということを都民に分かりやすく発信をしていただきたいと思います。
鉄道会社各社の中におかれても、そうした部門を担当している方々が、社会貢献として、一生懸命ホームドア設置について自社の中で取組をされようとしているんだと思いますけれども、そうした方々の背中を押してあげる意味でも、粘り強く交渉していただいて、補助制度を活用してのホームドアの設置が進みますよう、よろしくお願いいたします。
続きまして、事業概要の一一八ページにございますスムーズビズについて質問させていただきます。
スムーズビズという点では、都市整備局は様々、時差出勤やテレワークなど、いろいろな取組を展開されていらっしゃいます。また、渋滞の緩和という点も目指して取り組んでいらっしゃって、そうした事柄は、化石燃料の消費削減とか、そうした点でも効果があるというふうに思います。
ただ、先ほど申し上げましたけれども、グランドデザインの戦略にも書いてあるカーボンマイナス、ゼロエミッションへの貢献という点では、さらに新たな展開を導いていく必要があると思っております。
ゼロエミッションの達成のためにも、新たな認識に立って、スムーズビズの一層の促進を図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都市づくりのグランドデザインでは、高度に都市機能が集積した都市部におきまして、CO2排出やエネルギー消費を最大限減らすなど、都市全体でエネルギーの負荷を減らすことを政策方針の一つとして掲げております。
都では、円滑な大会輸送と経済活動の維持との両立に向けまして、スムーズビズといたしまして、オフピーク通勤を促進する時差ビズやテレワーク、二〇二〇TDMを一体して推進してきておりまして、これらの取組によります渋滞緩和はCO2削減にもつながるものと考えてございます。
今後、大会のレガシーとしても定着するよう、ご指摘の点も踏まえまして、オフピーク通勤や物流の効率化などの取組を一層推進いたしまして、ゼロエミッション東京の実現を図ってまいります。
○中山委員 信号機がそれぞれ交差点についていますけれども、誰も待っていないのにといいますか、車両も待っていないのに、信号が赤になって止まらなきゃいけないということが時々あろうかと思います。
私の家の近くに車両感知式の信号機というのがあって、車がそのセンサーのところに来ると、一定時間、赤であったことを踏まえて信号が変わるという仕組みがございまして、そうした事柄もこれからは、これ自体は警視庁の判断、問題ですけれども、そうした在り方も含めて、エネルギー消費量の削減ということにどう取り組んでいくかと、未来の姿として、グランドデザインでどう描いていくかということが非常に大事かと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
続きまして、事業概要の一二七ページに記載されております駐車対策について質問させていただきます。
都内におきましては、恒常的にトラックの荷さばき施設、駐車場の不足が続いておりまして、事業を経営されている方々や運転されているドライバーの方々の悩みの種となっております。こうした状態が今後も続くと、若者の運転免許取得意識の希薄化傾向も相まちまして、ドライバー不足はなおさら深刻化して、利便性が高い今日の東京の生活水準を、実は裏方で支えていた物流事業界が機能崩壊するのではないか、こういう危惧を感じていらっしゃる方々は、実は多くいらっしゃいます。
中長期的には、AIによる無人走行なども視野に入ってくるかもしれませんけれども、どこまで無人走行が今日の利便性や安全性を損なうことなく代替できるのかという点は、まだ未知数でございます。ましてや災害発生時には、救援物資の荷さばき施設の確保は、現実的に行政としてやっておかなきゃいけない、そういう課題であります。
平時と災害時の両面での必要性を視野に入れながら、駐車場を含め、一刻も早く本格的に物流を支えていくための必要な社会施設の増強を図るべきであります。
加えて、荷待ち車両が、夏や冬におきましてエアコンを利用しながら待機している状況を足立区内でも多く見受けますし、周辺の住民の方々からの苦情も多く行政に届いているところであります。
アイドリングストップの条例もございますけれども、暑さ寒さを耐えて我慢しろというのは、運転業務に当たる方々に気の毒な面もあります。昨今では、ソケットを備えたトラック車両も出回り始めておりまして、給電機能さえ整えていれば、エンジンを回さずにエアコンを稼働させることも可能となっております。
発電機能におきますカーボンマイナス化を同時に進めていくことが大前提ではありますけれども、ゼロエミッションや、周辺環境の悪化を防ぐためにも、給電機能を付加した荷さばき施設、駐車場の確保を積極的に進めていくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都は、路上駐車問題の解決を主眼といたしまして、区市町村と連携して、荷さばき駐車施設の設置の働きかけなどを行ってきてございます。
そして、最近の駐車場を取り巻く状況変化を踏まえまして、都市づくりのグランドデザインで示した目指すべき将来像の実現に向けまして、令和三年七月より有識者等から成る検討会を立ち上げまして、今後の駐車対策の在り方について検討いたしております。
検討会では、小規模な施設をはじめといたしまして荷さばき駐車施設が不足していること、また、駐車施設における環境負荷低減、防災機能の向上等の課題が示されておりまして、荷さばき駐車施設の設置や給電設備などを付加した駐車施設、防災、減災に対応した駐車施設の在り方などにつきまして検討していくことといたしております。
○中山委員 ぜひそうした事柄をよろしくお願いしたいと思います。
やはり、運転業務に当たっている方々は、何か不幸にして犯罪があったりすると、会社員と報道すればいいんですけど、トラック運転手とか報道する場合が多くて、それは非常に差別じゃないかというようなお声を聞かれることがございます。
そうした中で、本当に一生懸命仕事をしていらっしゃる方々が大勢いらっしゃいますし、先ほど申し上げましたように、災害時には本当に努力をいただくことになりますので、ぜひ、日本の、東京の生活の利便性を支えている物流業界の方々にとってよい環境というのは、その利便性を維持する上で非常に大事なことですので、力を入れていただければと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、同じく一二五ページに記載されております乗合バスにおける感染症対策に係る整備事業補助金について質問します。
私や我が党の本会議質問や委員会質問で、乗合バスの運転者やそのご家族の方からのお声を紹介しながら、観光バス以上に利用客の方との接触の頻度が高く、感染の不安に日々直面しながら、コロナの感染状況が悪化する中にありましても運転業務に従事してくださっていた運転者や、バス利用者の感染防止を図るために、当面、アクリルボードなどの整備による抑止策の普及のための補助金制度の創設を訴えさせていただきました。都市整備局は見事にその期待に応えてくださっています。
その予算執行の現状をお伺いして、今後の活用促進に向けた取組についても併せて見解をお伺いしたいと思います。
○江端地域公共交通担当部長 今年度、新型コロナウイルス感染予防策の支援の一つとして開始した乗合バスにおける感染症対策に係る整備事業において、現時点では、アクリル板の設置や換気対策への補助金として約千七百万円の交付を見込んでおります。
新しい日常も念頭に置いて、補助申請の受付期間の延長や、事業者団体や事業者への呼びかけを行い、さらなる活用促進に取り組んでまいります。
○中山委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
補助制度の開始の前に整備をした会社もあるんですけれど、そうしたところの対応が、器具として壊れちゃったりとか更新することも今後あろうかと思いますので、その際には、ぜひ適用を考えていっていただければと要望させていただきます。
続きまして、事業概要の一四八ページの脱炭素等に配慮した都市づくりについて質問します。
ここでは、都市開発諸制度におけるカーボンマイナスや地域冷暖房施設の普及などが記載されています。現状、カーボンマイナスといっても、煎じ詰めれば、化石燃料の消費抑制ということと、消費電力量の抑制という点が世界的な評価基軸になっているわけであります。
私は、カーボンマイナスを本格的に進めるためには、地域ごとに、消費電力の変化を時間の経過を追いながら進捗を比較し合い、それらを統合して、都内全体の消費電力の抑制に向け、面単位で取り組んでいく手法の確立を急ぐべきではないかと考えております。いってみれば、個々の建物単位で消費電力の比較をはかるだけでなく、それらを総合した面単位の取組の強化を図る仕組みということであります。
例えば、ある高層ビルが建つことになったとして、新しく一万人の人がそこで働くことになったとします。まあ住む場合もあるかもしれませんけれども、あるいは買物客でもいい、そうした方々がビルの中で何らかの社会的取組を行う以上、照明や空調、様々な点で電気を消費します。
大事なことは、その一万人の方々は、ある日突然この地球上に現れたというわけじゃありません。それまでは、どこか別のまちで、別のお住まいであったり別の仕事に就かれていたり、それぞれ分かれて電力を消費していた方々であります。もしかしたら白熱灯などエネルギー効率の悪い、あるいは古い空調の下で仕事をされていたかもしれません。
それが、最新設備の建物の下で一万人が集まって電力を消費することになる。この現象というものをどういうふうに、何と比較をして、そして進展を図っていくかということは大事なことでありまして、そういった点に目配りをしていかないと、いろんな取組がどういうふうに効果があったのかということを正確には評価できないということになってしまいます。
面倒といえば面倒かもしれませんけれども、大変手間暇かかることかもしれませんが、そうしていかないと、カーボンマイナスの名の下に、様々な国がそれぞれの自分の国の政治的な思惑を主張しますので、その駆け引きに翻弄されてしまって、日本独自の冷静な取組を進められなくなってしまうおそれもありますし、各国に対して、日本は、東京は、こういうふうに頑張っていますよと、説得力がない形で、抗弁を主張することもできないことになってしまいます。
こうしたことは、専門家の方々は既に十分議論をして、その上で現状の取組となっているのかもしれませんが、日本全体で年ごとに消費電力の変化というのは比較できるかもしれませんけれども、どんな取組が効果的であって、どんな取組が、うたい文句はすごかったけれども、結果的にはあまり効果を上げていないんだとか、そういったことの比較をきちっとできないといけないという面で、この面単位での取組の影響というものをできる限り数値に表していく仕組みが必要だというふうに思っております。
例えば、あるまち、ある街区では、コンビニエンスストアが、フランチャイズ本部の方針もあるかもしれませんが、二十四時間の営業をしなくなったというようなことが徹底されたことによって、その地域全体でどういうふうに消費電力は減っているのかとか、そうした事柄も、まあこれが、いい悪いというのはまた別問題ですが、考えていく必要があるのではないかと思います。
オフィス街はオフィス街として、住宅地は住宅地として、住工混在地域は住工混在地域として、様々なライフスタイル、経済活動の推移の中で、カーボンマイナスに取り組んだ結果を評価する指標の樹立が必要でございまして、耐震化率と似たような、できれば数値で、面的に地域ごとに取組の進捗ぶりを評価していくべきと考えます。
都市全体のエネルギー負荷を低減していくためにも、日本の首都東京こそがそうした取組を他の道府県に先駆けて行うべきと考えますが、見解を求めます。
○小野都市づくり政策部長 東京が高度に成熟した都市として持続的に発展していくためには、都市づくりを通じて、経済活力の向上とともに、都市活動に伴う環境負荷の低減に取り組んでいく必要がございます。そのためには、建物単位での環境負荷の低減に加え、都市開発の機会を捉えて、エネルギーの面的利用による効率化を図ることが重要でございます。
都市再生特別地区や都市開発諸制度などを活用した開発では、最先端の省エネ技術や再生可能エネルギーの積極的な導入を促すとともに、エネルギーの面的利用を誘導しております。
このうち、日本橋室町三丁目地区や田町駅東口北地区などでは、地区、街区単位でのエネルギー融通や、需要パターンの異なる多様な用途の導入に加え、モニタリングを通じたエネルギー消費量の最適化などにより、効率的なエネルギー利用を行っております。
また、ただいま理事から大変重要なご指摘をいただいたと認識しておりますけれども、こうした取組だけではなく、様々な先端技術を活用するなど、住宅や一般的な建物でのエネルギー利用の効率化を面的に促進することなどにより、都市全体のエネルギー負荷を減らしていくことも重要な視点だと認識しております。
今後、まずは民間の先導的な取組での実施状況の把握を図りながら、さらなる効率的なエネルギーの面的利用につなげてまいります。
○中山委員 今、大事なことがありまして、やはり都市開発諸制度という取組は、当然そうしたものに寄与していかなきゃいけないけれども、そうしたところだけじゃなくて、普通の住宅地、普通の住工混在地域、そうしたところでどう努力されているのかということをきちっと評価する仕組みというもの、これは民間の力も得なければいけないと思いますけれども、ぜひそこに目配りをしていただきたいと思います。
環境局ではキャップ・アンド・トレードという仕組みもありますけれど、いってみれば総量自体は変わらない、そういう前提になってしまうので、総量自体を変えていかなきゃいけない。ただ、総量を変えていくためには、個々の取組がどう変化しているのかということの中で、どの取組が優秀なのかということをきちっと見極めていく、そういうことが大事だと思います。
最後に、事業概要の一四九ページの建設廃棄物対策について質問します。
建設廃棄物を適切に廃棄するためにも、あるいは持続的発展を目指す上からも、そのリサイクルに取り組むことは大変大事であります。
ただ、必ず一度は収集し、保管しなければなりません。そうした施設は、いかに社会的に有意義で必要不可欠な施設であったとしても、立地する周辺の方々にとっては、悲しいかな迷惑施設となってしまうわけであります。
東京都は、多くの公共工事を担い、大量の廃棄物を発生させていることから、率先して廃棄物の処理に取り組むべき立場にありますが、都関連工事におきます建設廃棄物のリサイクルにどのように取り組んでいるのか、見解をお伺いいたします。
○小野都市づくり政策部長 都は、東京都建設リサイクル推進計画を策定し、その中で、都関連工事については、率先して再資源化、縮減を徹底する観点から、原則として、建設廃棄物の全量を現場内利用、工事間利用及び再資源化施設等へ搬入することとし、それを踏まえて再資源化率などの目標値を設定しております。
また、建設廃棄物等に関する庁内協議会において、計画の進行管理や情報交換、再生利用の促進の検討などを行っております。
○中山委員 都は、建設廃棄物のリサイクルの取組を長年続けてきていらっしゃると思うんですが、都関連工事の建設廃棄物のリサイクルの実績値というものをお伺いしたいと思います。
○小野都市づくり政策部長 都関連工事の建設廃棄物の再資源化率につきましては、令和二年度の目標値九九%に対しまして、最新の平成二十四年度実績値は九八%となっております。
○中山委員 これで終わりますが、令和二年度の目標値九九%に対して、最新のデータが二十四年度実績ということですけれども、それで九八%、大変すばらしい数字ではないかと思います。これも決して最初からこれだけの数字を挙げられていたのではないと思いますので、そうした事柄を都民に広くアピールしていただいて、まずは知事にもしっかり認識していただいて、民間でもそうした取組が進んでいくように、都の取組を広報していただいて、そのノウハウを提供していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○宮瀬委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十一分休憩
午後三時三十分開議
○宮瀬委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○尾崎委員 私の方からは、最初に、緑地の保全について幾つか質問したいと思います。
都政モニターアンケートの結果を見ると、東京のような大都市の中に農業、農地は必要ないという議論があるが、あなたは、東京に農業、農地を残したいと思いますかの質問に、残したいと思うが八二・二%でした。
また、東京の農業、農地にどのような機能や役割を期待しますか、三つ選んでくださいの質問に、一番多かったのは、新鮮で安全な農畜産物の供給、これは五八・九%でしたが、二番目に多かったのは、緑や環境の保全、五一・八%でした。
自由記載の意見では、都市環境においても農地があることはメリットが多いので、農地がある環境を整備してほしい、このままでは東京の農地や緑地がなくなってしまうのではないかと不安ですなど、農地保全に関する意見が多く寄せられています。
そこで、都市農業の大きな特徴でもある生産緑地地区面積の推移について伺います。
○小野都市づくり政策部長 都内の生産緑地地区の面積の五年間の推移は、平成二十九年度は三千百七十六ヘクタール、平成三十年度は三千百ヘクタール、令和元年度は三千六十五ヘクタール、令和二年度は三千二十ヘクタール、令和三年は四月一日現在、二千九百七十二ヘクタールとなっております。
○尾崎委員 ただいまご答弁いただいたように、二〇一七年度以降も減少が続いているということが分かりました。
二〇一一年度は三千四百七十八ヘクタールあった生産緑地地区面積は、事業概要で見ますと、四月一日現在で二〇二一年度の面積は二千九百七十二ヘクタールになり、五百六ヘクタール減少していることになりますが、減少している理由について、どのように分析していますか。
○小野都市づくり政策部長 生産緑地地区は、機能的な都市活動を確保するなど都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、都市計画法制度の中に位置づけられており、市街化区域内において、農地等の多目的保留地機能などに着目し、指定するものでございます。
都市計画法では、生産緑地地区の追加及び削除は市区町村が行うこととされており、生産緑地地区の削除の主な理由としましては、相続の発生などがございます。
○尾崎委員 生産緑地の指定の削除の理由は相続の発生等であるということです。やはり後継者の問題や相続税が高いということが今後の大きな課題だと思います。
一九九一年に制定された生産緑地法は、市街化区域内農地は保全する農地と宅地化する農地に区分され、保全する農地は農地課税、宅地化する農地は宅地並み課税とすることが決まりました。建築行為などは禁止されますが、地区指定の日から三十年を経過すれば、区長、市長に対し、買取り申出ができるとなっています。
しかし、これまで買取り申出をしても区や市の買取りやあっせんはなかったため、買取り申出は生産緑地解除方法と理解され、関係農家にとっては三十年営農義務の重圧を緩和するものでした。一九九二年に地区指定された生産緑地は、二〇二二年に三十年目を迎え、二〇二二年問題といわれ、都市農家の方たちの一大事となっていました。
都市農地の都市計画における位置づけは、都市農業振興基本法の制定とそれに基づく都市農業振興基本計画の策定によって、これまでの宅地化すべきものから都市にあるべきものへと大きく転換され、都市農地の保全、活用のため、二〇一七年五月に生産緑地法の一部が改正されました。二〇一七年に生産緑地法が改正され、地区指定された生産緑地は二〇二二年度に三十年目を迎えます。
今後は、特定生産緑地地区として指定を受けた場合、営農義務の期間は十年に緩和されます。二〇二二年に向けてどのような取組を行っているのか伺います。
○小野都市づくり政策部長 都は、市区や農業委員会等と連携しまして、制度の周知や指定のメリットの説明など、農家の方々への丁寧な情報提供を行っております。
また、市区の手続の進捗状況を把握するとともに、手続に関する課題と対応の共有化を図るよう、情報提供や意見交換の場を設定するなど、技術的な支援を行っております。
令和三年七月末時点で、平成四年に指定された生産緑地のうち約四割が指定の公示を完了しており、指定の受付が完了しているものを含めますと、全体の約九割が特定生産緑地の指定となる見込みとなっております。
○尾崎委員 生産緑地法の一部改正の主な変更内容は、一つには、特定生産緑地制度の創設、二つ目は、最低面積について、これまでは五百平方メートルでしたが、三百平方メートルに変更されること、三つ目が、建築規制が緩和され、生産緑地で作った農産物の加工所、販売所、レストランが建設可能になったことです。この点では具体的な支援は産業労働局になりますが、東京都全体での支援が求められていると考えます。
ただいまのご答弁で、指定の受付が完了しているものを含めると、全体の九割が特定生産緑地の指定となる見込みとのことですが、引き続き支援をお願いしたいと思います。
次に、生産緑地公園補助制度の実績について伺います。
○小野都市づくり政策部長 都は、平成三十年度に、市区が都市計画公園、緑地内の生産緑地を買い取る費用に対して助成を行う生産緑地公園補助制度を設けております。
令和二年度までの実績は、十二市区、延べ約三ヘクタールとなっております。
○尾崎委員 それでは、農の風景育成地区制度における農のある風景の保全の実績はどうなっているのか伺います。
○小野都市づくり政策部長 都は、減少しつつある農地をオープンスペースとして保全し、農のある風景を将来に引き継ぐ農の風景育成地区制度を平成二十三年度に創設しております。
令和二年度までの実績は、四市区で五地区を指定しております。
○尾崎委員 私は、この事業は大変重要なものだと思っています。しかし、残念ながら実績は増えていないという状況にあります。
農家の方たちは、大変な努力をして農地、生産緑地を残そうと思っても、後継者がいないことや、相続が発生したら重い税金のために、農地を手放さざるを得ない状況があります。
農地の買取りなども含めて、区市町村、都の役割が今後強く求められると思います。引き続きご努力いただきたいと要望するものです。
緑地の保全は、気候危機打開に向けた取組としても大変重要なものだと痛感しています。近年、東京でも、これまで経験したことのない台風や豪雨被害が起こっています。私の地元でも、木が切られ、畑が住宅に変わる中で、雨水の逃げ道がなくなって、河川の水かさが増える、床上浸水になることが多くなっている地域もあります。
緑の保全、農地、生産緑地の保全は待ったなしの状況です。農家の方が相続などの問題で手放さざるを得ない場合には、都が直接買い取るなどの支援を行い、保全することが必要です。
二〇二一年度に緑確保の総合的な方針の改定を東京都は行いました。改定のポイントは、一つは、未来の東京戦略ビジョンを踏まえ、緑あふれる東京の実現に向け、将来に引き継ぐべき樹林地や農地の保全を推進、二つ目に、骨格的な緑の充実を目指し、新たな確保地の設定及び施策を提示、三つ目は、確保の水準として特定生産緑地を新設、生産緑地を保全すべき農地として明確化となっています。
都として、持続可能な社会、地域をつくるため、今以上に緑地の保全に積極的に取り組むことを強く要望するものです。
次に、多摩都市モノレールについて幾つか質問したいと思います。
多摩地域の公共交通は、都心に向かう交通網が発達し、多摩地域の中の移動は大変不便でしたが、多摩都市モノレールができたことで、今までよりも公共交通の移動が少し便利になりました。
私の活動地域には、鉄道が一本も走っていない武蔵村山市があります。多摩都市モノレールの上北台駅から箱根ケ崎までの延伸は武蔵村山市民の悲願です。市議会でも全会一致で延伸を求める署名運動を推進し、市内で大きな取組に広がりました。
そこで伺いますが、多摩都市モノレールの上北台駅からの延伸について、進捗状況はどうなっていますか。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸に関してでございますが、当局におきまして、収支採算性の確保等について検討を進めるとともに、沿線市町が策定したまちづくり構想の具体化に向けて、技術的な支援を行っているところでございます。
○尾崎委員 地元住民の期待が大きい事業ですので、一日も早く多摩都市モノレールの延伸が実現できるよう要望するものです。
多摩都市モノレールの乗車料金が高いために、高齢者の皆さんからは、シルバーパスが使えるバスを乗り継いでモノレールの利用を抑えている、こういう声が出ています。学生からは、できるだけ自転車を使っているなどの声もあり、乗車料金の引下げを求める要望がありますが、いかがでしょうか。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 運賃の割引につきましては、各事業者の裁量によるものでございまして、その経営状況に応じた、事業者の判断に基づくものと考えてございます。
多摩都市モノレールの乗車料金は、比較的、他の新しい都市モノレールや新交通システムなどと比較いたしましても、大きな差異はないものと認識しているところでございます。
また、一駅区間を対象とした割引運賃ですとか通学定期券の割引など、既に運賃の負担軽減策を導入しているところでございます。
○尾崎委員 一九九八年の多摩都市モノレールの開業時には、初乗りの料金は三キロまで二百円で、住民の方たちからは初乗り料金が高いとの声が多く上がりました。その後、二〇〇一年四月からは初乗りは百円に値下げされました。一区間は百円になりましたが、地元住民からは、さらなる乗車料金の見直しをしてほしいとの要望があります。
コロナ禍でテレワークが増え、乗降者数は減っていると思いますけれども、新型コロナの影響で都民や学生の暮らしが大変になっていますので、さらなる乗車料金の引下げ、学生割引料の割引率の引上げを検討していただきたいと強く要望するものです。
次に、築地まちづくりについて幾つか質問したいと思います。
二〇一九年三月六日の本会議で、小池知事は、築地市場を約五千六百億円で市場会計から一般会計に有償所管替えを行うことを提案しました。
日本共産党都議団は、知事は、築地は守る、市場機能を残すと公約したにもかかわらず、築地まちづくり方針案には市場機能はなく、公約違反だと厳しく批判し、都民の納得できる計画にすべきだと求め、有償所管替えを補正予算で急ぐ必要はないと、当時反対しました。
築地まちづくり方針が策定され、築地市場の解体が行われました。東京五輪大会ではバスのデポとして活用することになりましたが、その後、新型コロナの感染拡大の中、東京五輪大会は一年延期となりました。
そこで、築地まちづくりはどのように進められているのか、事実確認を中心に幾つか質問していきます。
築地市場は戦後、米軍のクリーニング工場になっていた時期もあり、土壌汚染が問題になっていました。土壌調査の状況について伺います。この間の調査状況と今後の調査はどうなりますか。土壌調査費用と土壌対策費用はどこが負担するのかも伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 土壌汚染調査につきましては、令和元年度から調査を始めておりまして、引き続き土壌汚染の状況を把握するため調査を実施していくこととしてございます。
土壌調査及び対策の費用につきましては、都の負担とすることとなってございます。
○尾崎委員 この間、土壌汚染調査を実施して、今も、そして今後も必要だということです。
一回目の調査は二〇一九年度に行われて、百四十六地点を調査して、四十八地点で基準値を超える結果が出ました。二回目の調査は、二〇二〇年度で五百四地点を調査し、百六十九地点で基準値を超過しているということです。おおむね、調査したところの三分の一が環境基準を超えているということです。
土壌汚染対策法に基づくと、環境基準を超える有害物質があっても、コンクリートで地上を覆っているから、掘り起こさない限り土壌対策は行わなくても大丈夫だということでした。今後、建設工事が始まり、地面の掘削が始まれば、そのときに安全対策として、土壌改良もしくは指定されたところに処理をするということになっていくと思います。
土壌汚染調査がいつ完了するか分からないということです。先日の第三回定例会には、経済・港湾委員会で、中央卸売市場から駐車場と厚生会館の解体が報告されたと聞いています。これを聞いても、土壌汚染調査がいつ終わるのかが分からないということになると思います。
あわせて、埋蔵文化財の調査でも同じことがいえると考えます。そこで、埋蔵文化財調査について戦略的に行うとなっていましたが、誰がどのように行うのか、費用はどこが負担するのか、伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 埋蔵文化財調査につきましては、都市整備局が、文化財を所管する都の教育庁や中央区教育委員会などと調整しながら行うものでございます。
埋蔵文化財調査の費用につきましては、都の負担とすることとなってございます。
○尾崎委員 費用については都がということで、土壌汚染調査も含めて都が負担ということのご答弁ですけれども、有償所管替えしたときに、金額を決めて、そこから埋蔵文化財の調査に関わる費用や土壌汚染調査や対策に関わる費用は差し引かれて市場会計にいっているということは、皆さんご承知のところだと思っています。
埋蔵文化財については、環状二号線の工事の際に江戸の護岸が発見されたということも聞いています。築地市場跡地には、松平定信の池といいますか、庭園があったといわれています。
しかし、掘ってみなければどんなものがあるかも分からない。そして、いつまで調査が必要かも分からないという状況です。そうであるならば、やはり有償所管替えは、市場が土壌汚染調査と対策をしっかりと済ませてから、それでよかったのではないかと思います。
埋蔵文化財の調査についても、調査はこれからだということで、いつまでかかるか掘ってみなければ分からないということです。この点からも有償所管替えを急ぐ必要がなく、市場会計の赤字の穴埋めに急いだということがはっきりしてきたと思っています。
二〇一九年三月にまとめた築地まちづくり方針では、段階的整備の進め方として、第ゼロ段階、第一段階、第二段階、第三段階で何をするかということを示しています。進捗状況について伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 築地まちづくりの進捗状況につきましては、一体的な事業者募集に向け、現在、今年度中に実施方針を公表できるよう検討しているところでございます。
○尾崎委員 一体的にという、今のご答弁の中にありましたけれども、それでは、東京五輪の開催が一年延期になったことで何が変更になったのか、具体的に教えてください。
○木村築地まちづくり推進担当部長 築地まちづくりにつきましては、まちづくり方針の策定後、東京二〇二〇大会の延期に伴いまして、船着場周辺エリアにおける先行整備事業について見直しを行った結果、昨年九月に、先行整備と本格整備の事業者を一体的に募集する方向で検討していくこととしたものでございます。
○尾崎委員 先行整備がなくなったということですけれども、それでは、築地地区まちづくりの事業者募集の方向性について、当初、二〇二〇年度頃に第ゼロ段階の事業者を募集となっていましたが、今後の事業者募集についてはどうなるのか教えてください。
○木村築地まちづくり推進担当部長 築地まちづくりについては、まちづくり方針の策定後、東京二〇二〇大会の延期に伴いまして、船着場周辺エリアにおける先行整備事業について見直しを行った結果、先行整備と本格整備の事業者を来年度に一体的に募集する方向で検討してございます。
○尾崎委員 二〇二二年度に事業者を募集するということです。
今後の具体的な進め方について、築地まちづくり方針で、まちづくりのマネジメント体制を整えることなども必要としていますが、どうなっていますか。また、築地まちづくり方針では、仮称としてデザインフォローアップ会議設置などとも書かれていましたが、これはどうなっているのか伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 お話があったことにつきましては、事業者を一体的に募集することとなったことに伴いまして、扱いを考えていく必要があると考えてございます。
○尾崎委員 扱いを考えていく必要があるということですので、今後どうなるかは、今後の検討だということだというふうに思うわけです。
それでは、築地まちづくり方針で、整備に向けて都市計画案を作成とありますが、都市計画案、概要も含めてですけれども、これはいつ頃までに作成するのか伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 都市計画案の作成につきましては、必要に応じ適切に対応してまいります。
○尾崎委員 都市計画案についても必要に応じ適切に対応するということで、今後のことは今の段階では分からないということになります。
都市計画案は大変重要なものだと私は考えています。先行整備がなくなって一体的整備になっていくので、同じ事業者になるから、あらかじめ都市計画を示す必要はないということも聞いてはいますけれども、こういう考えはおかしいのではないかと思います。築地まちづくりについての整備計画案を都民や議会に明らかにすることを求めるものです。
築地まちづくり方針で示しています交流促進ゾーン、おもてなしゾーン、ゲートゾーン、水辺の顔づくりゾーンと、それぞれの地域の機能についてはイメージであって、民間事業者からの提案を受けて具体化していくということもお話を聞いていますけれども、現時点では具体的なことは決まっていないということですが、それでは、容積率の緩和はあるのかどうか伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 築地まちづくりでは、民間の創意工夫を生かしながら、将来の都民にとっての価値を最大にすることとしておりまして、具体的な内容については、都が作成する事業実施方針等に基づき、民間事業者から提案を受け、具体化していくこととなるものでございます。
○尾崎委員 事業実施方針等となると、事業実施方針と募集要項も入るということも聞きました。ただいまのご答弁だと、具体的なことは、今年度中にまとめる事業実施方針と来年度に行う募集要項に基づいて、民間事業者から提案を受けて具体化されるということになります。
しかし、中央区議会の築地等地域活性化対策特別委員会の質疑の中で、指定された容積は五〇〇%と副区長が発言している場面もありました。もう既にいろいろなことが進んでいるのではないかと思いました。
築地まちづくり方針には、必要に応じて民間ヒアリングも行っていくとなっていますが、この点ではどうなっていますか。これまで何社からヒアリングを行ったのか伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 ヒアリングにつきましては、必要に応じ適宜行ってございまして、これまで二十社を超える民間事業者にヒアリングを行ってございます。
○尾崎委員 民間ヒアリングは現在実施しており、二十社を超えるところからヒアリングをしているというお話でした。しかし、中身については公表しないということも伺っています。そして、公表しない理由は、契約の内容につながるものもあるからだということでした。
しかし、築地まちづくりはこれまでにない大きな事業です。しかも、築地まちづくり方針素案には多くの都民から厳しい声が寄せられたものもあり、市場関係者や築地の場外の皆さんは納得できない状況を残したまま、東京都は進めているわけです。何社からヒアリングをしているかということだけではなく、おおむねどんなことを聞いているのかということも早く明らかにする必要があると思います。
実施方針はいつまでにまとめるのか伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 築地まちづくりの事業実施方針につきましては、今年度中に公表できるよう検討しているところでございます。
○尾崎委員 今のご答弁で、今年度中にまとめるとのことでしたけれども、今年度といってもあと僅かしかないわけです。
事業者の募集は公募型プロポーザル方式となっていますが、定期借地は何年の契約になるのか伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 事業者募集の方針や実施条件などにつきましては、今後、事業実施方針等の中で示していくこととしてございます。
○尾崎委員 定期借地は何年の契約になるかは、事業実施方針等の中で示すということで、明確な年数はご答弁がありませんでした。
公募型プロポーザル方式で、長期期間で土地を貸して地代を東京都に支払うという定期借地契約で行うということですけれども、長期期間というのは、この間の東京都のいろんな契約などを考えると、おおむね五十年になるのかなというふうにも思いますけれども、日本共産党都議団はこの間、都民の財産である都有地は都民のために使うべきだと厳しく指摘をしてきました。五十年もの長期で土地を貸し出す、このような定期借地契約については反対です。
幾つか事実確認も含めて質問をしてきましたけれども、ご答弁を聞きながら、事業実施方針が大事だということが分かりました。
そこで、事業実施方針の案がまとまれば都議会には報告するのか伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 築地まちづくりにつきましてはこれまでも、議会に報告を行い、検討を進めてきたところでございます。今後も適宜報告をしていくと考えてございます。
○尾崎委員 今、事業実施方針も報告しますと明確な答弁はなかったんですけれども、今年度中にまとめるということになっているこの事業実施方針の案については、ぜひ議会に報告して質疑できるようにすること、そして、あわせて、都民の皆さんによくお知らせをして、都民の声をよく聞いていただくことも要望しておきます。
築地まちづくり方針は、国際競争力向上に資する展示場機能を備えた一定規模の国際展示場、上質なホテルなどを造る計画になっています。この間の新型コロナ感染症の感染拡大を踏まえ、国際展示場や上質なホテルなどへの需要は極端に少なくなっていると感じます。
計画の見直しが必要ですが、いかがですか。
○木村築地まちづくり推進担当部長 築地まちづくり方針では、東京と日本の国際競争力をさらに高めていくため、国際的な交流拠点に必要となる機能を導入することとしておりまして、具体的な内容につきましては、都が作成する事業実施方針等に基づきまして、民間事業者から提案を受け、具体化していくこととなるものでございます。
○尾崎委員 ただいまのご答弁で、結局は、民間事業者からの提案を受けて具体化するんだということです。
これまで質問してきましたけれども、はっきりしたことは、事業実施方針や募集要項は都が作成しても、最後は民間事業者の提案で具体化するということです。都は、土地を貸して、その土地を活用して何をするか、民間事業者のやりたいことをするということ。いい方を変えれば、容積率の緩和を行って、これまでにない大きな箱物を造り、民間事業者がもうかることをするということになるのではないかと考えます。
新型コロナ感染症を経験し、様々なことを見直す必要が迫られています。一番大きい変化は、海外からの観光客が来日できなくなっているということ。観光地は非常に厳しい状況です。同時に、ホテルの利用客が激減しているということです。
新型コロナ感染症の感染拡大の前でも、東京都内のMICE、国際会議場や展示場は増えていて、なかなか大変という状況がありました。コロナ禍で、ズームの国際会議や展示会などが要望として強まっており、これまでと同じ考えでは進まないのではないでしょうか。
地元の日本共産党中央区議団は、地元住民にアンケートを実施しました。アンケートは、区内全域を対象として、築地市場跡地の活用についてどのようにお考えかということで、四つの中から一つを選ぶという内容のアンケートです。一つは、東京都のMICE機能を持つ交流拠点を中心とした計画を進めてほしい、二つが、交通結節点としての機能を強化してほしい、三つ目が、緑地や公園を中心とした活用に見直してほしい、四つ目が、分からないというものです。
アンケートの結果は、緑地や公園を中心とした活用に見直してほしいが五五・五%で過半数を超えていました。東京都のMICE機能を持つ計画については二〇%、交通結節点としての機能を強化してほしいというのは一二・五%、分からないという声は一二%あったと報告されています。
自由記述のところには、緑地や公園を基礎として多目的に使用できる機能を組み合わせたまちづくりをしてほしい、避難所の確保もしてほしいという意見が多く、中には、採算の取れない緑地、公園ほど、住み心地やまちのイメージは、豊かさに直結している、こういうものは行政にしか造れない、行政の最も本来的な役割の一つだと思うという声も寄せられたそうです。これが、地元住民、都民の率直な意見だと思います。
これからの東京を考えた場合、東京五輪大会も終わり、長引くコロナ禍の中で、インバウンド需要も少なくなっていくと思われます。こんなときに、大きな建物や国際展示場などのMICE、上質なホテルが必要なのでしょうか。
二〇一九年第二回定例会で、日本共産党都議団は、都心で、病院も近くにある環境の中に、高齢者施設などを造ってほしいとの要望がある、難病の子供たちが東京で治療できるように、病児と家族が宿泊できる滞在施設を造ってほしいとの要望が寄せられているので、これらの要望に対応してほしいと求めました。
実施方針については、今年度中にまとめるとのことですが、都民の意見を尊重し、築地市場跡地利用については築地市場場外の皆さんや仲卸業者の意見もよく聞いて、地域や地元業者の活性化につながるものに見直すことを求めます。
民間事業者が自由に開発できるような公募型プロポーザル方式はやめて、都が直接都民の求めることを行うこと、都民の納得が得られるものに見直すことを強く求めるものです。
最後に、横田基地について幾つか質問したいと思います。
二〇一八年十月に米軍横田基地にオスプレイが正式に配備され、四年になります。この間、横田基地周辺の住民の方々からは、騒音がひどい、横田基地での訓練が激化していて、大きな事故がいつ起きてしまうのかと不安、こういう声が広がって、横田基地にオスプレイは要らない、横田基地は要らないなどの声も大きな運動に広がっています。
今年六月十四日、横田基地に配備されているCV22オスプレイが山形空港に緊急着陸しました。また、その三か月後の九月二十二日には仙台空港に予防着陸しました。エンジントラブルでした。
都は、横田基地周辺自治体と共に申入れをしていますが、どのような内容で申入れをしたのか伺います。
○三木基地対策部長 予防着陸に至ったトラブルの原因究明を行い、再発防止の徹底を図ることや、横田基地所属航空機の点検整備を強化し、安全確保の徹底を図ることなどについて、文書による要請を行ったところでございます。
○尾崎委員 都と横田基地周辺五市一町の自治体と共に申入れを行ったということですけれども、申入れを行っても何も改善されていないんです。
一回目の山形空港に緊急着陸したCV22オスプレイの原因も明らかにされない中、同じ機種のCV22オスプレイが、横田基地で訓練を行っていました。
申入れを行って要望したことが曖昧にされ続けているんです。都は徹底した追及を行う必要があります。米国は、米軍や米国に厳しく意見がいえない日本政府を甘く見ているとしか思えません。このままでは都民の安全と命が脅かされ続けることになります。
二〇二〇年度には、落下事故など、どのような事故がありましたか。
○三木基地対策部長 令和二年度には、人員降下訓練中における部品落下や、CV22オスプレイの部品遺失などの事故が発生しております。
○尾崎委員 エンジントラブルや落下事故が増えているのは、オスプレイがいかに無謀な訓練を行っているかという表れなんです。横田基地で人員降下訓練中にも部品を落下しています。
米空軍が発表した二〇二〇年会計年度、二〇一九年十月から二〇二〇年九月の事故統計によれば、横田基地に配備されているCV22オスプレイの事故率の推移は、米国本土なども含めた統計によりますと、クラスA事故率、十万飛行時間当たりの事故数ですが、二〇一七年度は四・〇五だったのに対し、二〇一八年度は五・八四、二〇一九年度は六・二二、二〇二〇年度は六・五八と上昇しているんです。このことを都はどう受け止めていますか。
○三木基地対策部長 安全保障に関することは国の専管事項であり、米軍機の安全確保は国が責任を持って行うべきことであります。
国は、事故率については、機体以外の要因で発生する事故もあることから、あくまで目安の一つである、米軍の運用に関しては安全面の確保が大前提であり、引き続き、米軍に対し、運航面で最大限配慮するよう求めていくとしております。
都は、国への提案要求などにおいて、オスプレイの運用について安全対策の徹底などを要請しており、今後も必要な働きかけを行ってまいります。
○尾崎委員 オスプレイの事故率は増えているんです。日本でも、横田基地に所属しているオスプレイも二〇二〇年度三回の事故がありました。
一回目は六月十六日、オスプレイのサーチライトの部品を訓練中にどこかに落としました。この部品は今もって見つかっていません。二回目は七月二日、またもや降下訓練中に、切り離したパラシュートが二つの部分に分かれて、一方は立川市西砂町の浄水場施設に落下し、もう一つは近くの民家前の電線にひっかかりました。そして三回目は、二回目の事故からたった五日後の七月七日です。一キロぐらいの重さのある足ひれが、福生市のJR青梅線牛浜駅西口の駐車場付近に落ちてきました。少し場所が違えば大きな事故や火災を起こす危険がありました。
これらの落下事故によって、横田基地周辺、部品落下のあった地域の住民の方々からは不安の声が上がっています。
あくまでも目安の一つなどといっている場合ではありません。都民の安全、命を守るために、都は、事故が増えているオスプレイの配備はやめるよう米軍、米国に直接申入れを行うべきです。
福生市議会は、これらの事故を受けて、これまでの個別事故に対する抗議から一歩踏み込んで、基地機能そのものを強化しないよう求める横田基地の基地機能強化に関する決議を市議会一致で議決しています。
都はこの決議の内容をどう受け止めますか。また、都としても横田基地の基地強化について抗議することが必要だと思いますが、どうですか。
○三木基地対策部長 安全保障に関することは国の専管事項であり、米軍の運用に関することは国の責任で対応すべきものでありますが、米軍の運用が周辺住民に不安を与えることがないよう、最大限の配慮が払われなくてはなりません。
福生市議会の決議は承知しておりますが、都といたしましては、今後も、都民の生命と安全・安心を守る立場から、地元自治体と共に国や米軍に対して必要なことを申し入れてまいります。
○尾崎委員 米軍の運用に関することは国の責任で対応すべきだという認識を変えるべきだと思います。ただいまのご答弁で、都としては今後も必要なことを申し入れていくということですが、それなら、国の対応というのはやめて、都民が不安になっている、都民の安全が守られる状況にするために、都民の安全が守れない状況に今なっているときに、都として申入れすることが必要であると厳しく指摘をするものです。
横田基地の役割は、運送中継基地としての機能を持っているといわれてきましたが、横田基地にオスプレイが配備され、米軍の特殊作戦部隊の拠点に変貌しつつあります。
この問題で、日本共産党都議団は、本会議などで横田基地の変貌についてただしてきましたが、知事も都市整備局も認めていません。
しかし、既に訓練の内容や落下事故の発生などから見ても、横田基地が特殊作戦部隊の拠点になっていることは明らかです。都として、横田基地の基地強化について抗議することを強く求めるものです。
横田基地での米軍と自衛隊の合同訓練はどうなっているのか伺います。
○三木基地対策部長 平成三十年度以降で、国から情報提供があった横田基地で実施された合同訓練については、輸送、航空機からの降下などを内容とする訓練や消火訓練などが六回実施されていると承知しております。
○尾崎委員 オスプレイが配備されるだけではなくて、日米の合同訓練は降下訓練など危険な訓練を行うなど激化している。危険な横田基地になっているということです。
全国知事会は二〇一八年七月に、米軍の低空飛行訓練の危険な実態を指摘した上で、日米地位協定の抜本見直しを提言しました。
日本共産党都議団は、この提言に基づいて、東京都として日米地位協定の見直しについてどう取り組むのかと知事に質問しました。知事はこのとき、米軍の運用につきましては、日米地位協定の見直しなどを含め、他の自治体とも連携しながら、国、米軍に要請を行っているとの答弁でした。
全国では、この全国知事会の提言を受けて、九県二百十七市町村で、地位協定の抜本見直しの意見書が採択をされています。
その後も、全国知事会は、二〇二〇年十一月五日に米軍基地負担に関する提言をまとめていますが、都はこの提言をどのように受け止めていますか。
○三木基地対策部長 この全国知事会の提言は、米軍の基地負担に関する諸課題が住民の生活に直結する重要な問題であることを踏まえ、訓練に関わる速やか、かつ詳細な事前情報提供、日米地位協定の抜本的な見直し、米軍人などによる事件、事故に対する防止策の提示、基地の整理、縮小、返還などについて積極的に取り組むことを求めております。
これらの提言の内容は、都としても同様であり、都民の生活環境を改善し、地域のまちづくりを推進する観点から、繰り返し国への提案要求を行うとともに、地元五市一町との連絡協議会や渉外知事会を通じ、要請、要望を行ってまいりました。
今後とも、全国知事会はもとより、関係する他の自治体と連携しながら、提言の内容の実現を目指してまいります。
○尾崎委員 都は全国知事会の提言の内容の実現を目指していくとのことで、大変重要な答弁です。
それでは、横田基地周辺は、学校や老人ホーム、病院などたくさんあります人口密集地です。横田基地での訓練や飛行は、深夜や早朝の時間帯や土曜日、日曜日、祝日や地元行事や学校行事などは避けるべきですが、都として要望は行っていますか。
○三木基地対策部長 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、米軍の運用に当たっては、安全面に最大限配慮するとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきであります。
このため、都は、地元自治体と連携し、国や米軍に対し、米軍の運用について、夜間、休日などにおける飛行訓練の中止などについて要請しております。
今後も、引き続き国や米軍に対して必要な働きかけを行ってまいります。
○尾崎委員 地元住民からは、朝早くから夜遅くまで飛行していると、土曜、日曜、祝日でも、学校の受験の日も飛行しているとの情報が入っています。日米で合意したものでさえ守られていない状況が明らかなんです。
全国知事会の提言で、日米地位協定を抜本的に見直し、米軍機の飛行については、最低安全高度を定める航空法令や、航空機騒音の環境基準を定める環境法令などの国内法を、原則として米軍にも適用させることとしています。
都は、この問題で、国や米軍、米国にどのような働きかけをしているのか伺います。
○三木基地対策部長 日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず、補足協定などにより運用の改善が図られているものの、航空法や環境法令等の国内法の米軍への適用がないなど、我が国にとって依然として十分とはいえない状況にあります。
このため、都は、お話の全国知事会の提言のほか、国への提案要求において、基地周辺の生活環境の保全及び安全の確保に関わる国内法令を米軍基地に適用する旨を協定上明記することなど、協定の見直しを要請しておりまして、渉外知事会においても同様の見直しを要望しているところでございます。
○尾崎委員 日米地位協定は十分とはいえない状況との答弁です。これも大変重要な答弁です。しかし、改善するまで東京都が直接働きかけることが必要だと思います。米軍が日本の国内法を無視してやりたい放題しているのは、日本だけです。
第三回定例会の代表質問では、米軍の都心低空飛行問題についてただしましたが、都は低空飛行の実態も調べるとは答弁しませんでした。地位協定の取決めで、都市部は三百メートル以下の飛行は禁止されているのにもかかわらず、これを下回る高度二百メートルで飛行訓練が強行されているんです。このような危険な訓練を許してはならないと思います。都庁の展望台から目視で確認できる低空飛行が行われているわけですから、せめて低空飛行の実態を都の責任で調査することを求めるものです。
ぜひ、都独自に米軍や米国に直接意見を上げるということを含めて、強く要望いたしまして、質問を終わります。
○竹井委員 よろしくお願いします。
私からは、初めに、地震に関する地域危険度測定調査について伺います。
この調査は、東京都震災対策条例に基づき、昭和五十年に第一回、これは区部ということでしたけれども、地域危険度を公表して以降、おおむね五年ごとに調査を行っておられるということで、現在、第八回、二〇一八年のものが最新版です。都内の市街化区域の五千百七十七町丁目において、建物倒壊危険度、火災危険度、災害時活動困難度を測定して、総合危険度を算出しておられます。細かいデータを測定して、ビジュアル的にも非常に分かりやすいつくりだなというふうに思っています。
おおむね五年ごとに調査されるということですので、また近々改定されるものとは思いますけれども、この調査に基づいた都や市区町における取組が重要だと考えますので、以下ご質問いたします。
第八回の地域危険度測定調査の結果を踏まえて、この間どのような取組が行われてきたのか伺います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 平成三十年二月に公表いたしました前回の地域危険度測定調査の結果では、建物の延焼の危険性は都内全体で改善したものの、相対的な値としての危険度は、木密地域などで高い状況にあります。
都は、この調査結果も踏まえ、防災都市づくり推進計画の基本方針と整備プログラムを改定し、これに基づき、延焼を遮断する特定整備路線などの整備や不燃化特区制度の支援メニューを拡充し、老朽建築物の除却、建て替え支援などを行ってまいりました。
また、狭隘な道路を拡幅する防災生活道路の整備や、不燃化建て替えを促し、市街地の耐火性能を高める新たな防火区域の指定、さらには地区計画の活用など、各地域の改善に必要な防災まちづくりを地元区市町と連携しながら推進しております。
○竹井委員 相対的な値として木密地域では延焼の危険性が高いところもあるけれども、さらなる防火のまちづくりが進むことを期待したいというふうに思います。
相対評価によるランクづけですので、その一方で、東京都自体の全体的な危険量が減っていくこと、東京都自体が安全になっていくということが非常に大切かと思いますが、東京都全体として安全になっているのかどうか伺いたいと思います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 前回の地域危険度測定調査では、町丁目ごとの相対評価のランク分けに加えまして、その評価の基となる建物倒壊危険量、火災危険量を明らかにし、延焼等の危険性について、前々回の調査時からの改善状況を把握できるようにいたしました。
前回の地域危険度測定調査の結果によりますと、延焼火災等の危険性は都内全体で低下しております。
○竹井委員 建て替えによる不燃化が進んだり、耐震改修あるいは市街地再開発、街路事業などによって、危険性が大きく下がった地域があるということも理解をいたしました。
今回、総合危険度で災害時活動困難度が加味されましたけれども、道路整備が進んだ一部の区で危険度が低くなったということから、道路整備の重要性も再確認したところです。ランキングの方に目が行きがちですので、そちらも非常に重要ですけれども、都全体として、全体的な危険量が低下しているということが分かり、安心をいたしました。
次に、鉄道のホームドアについて伺いたいと思います。
今回は、都内の各視覚障害特別支援学校のPTAの皆さんからもご要望をいただいています各学校の最寄り駅のホームドアの整備について伺いますけれども、その前に、ホームドア全体の整備に関して見てみますと、全体として、東京都が補助の本格実施を開始した平成二十六年度からホームドアが増加を続けていますので、補助についての成果が理解できます。
一方で、東京都の目標を確認いたしますと、二〇二五年度に、地下鉄駅では一〇〇%、JR、私鉄駅では二〇三〇年度に六〇%という設置率を目指しているということで、二〇二〇年度末で、地下鉄は今、約八四%の設置率、都営地下鉄については四路線のうち、三田線、新宿線、大江戸線については整備を完了していて、浅草線の残る十五駅の整備が完了すれば一〇〇%ということですから、これは期待できるものと思いますが、JR、私鉄についてはなかなかこれ厳しくて、JRでは二〇二〇年度末で三〇・七%の整備率、私鉄については一番進んでいる東急電鉄で五六・一%、東武鉄道や京成電鉄、西武鉄道など一〇%未満も多く、あと九年で目標の六割が達成できるのかということ、疑問が残ります。
特にJR等では、コスト面のほか、そもそも扉の位置が異なる車両が混在しているなどの課題があることは、一定程度理解はできますが、しかし、今回質問させていただく視覚障害者の方々やそのご家族は、視覚障害者がホームから転落したという事故を耳にするたびに、どれだけ心を痛めて心配をされているか計り知れません。
また、PTAの方にお聞きをしますと、ホームが狭くて、朝夕の混雑が激しく、かつホームドアがないような駅では、視覚障害の中高生が一人で通学したいと思っても、なかなか学校から許可が出ない。ある意味、自立を遅らせる遠因にもなりかねないと思っています。
都内には五つの視覚障害特別支援学校がありますが、それぞれの学校の最寄り駅におけるホームドア設置の状況を伺います。
○江端地域公共交通担当部長 五つの視覚障害特別支援学校の最寄り駅のうち、地下鉄の駅につきましては全てホームドアが設置されています。
一方、JR、私鉄の駅はいずれも未設置であります。
○竹井委員 今、五つの学校について教えていただきましたけれども、特に久我山青光学園については、最寄り駅の久我山、千歳烏山ともに設置をされていません。この二つを使う方が多いわけですけれども、ともに設置がない。
そして、八王子盲学校については、JRの西八王子駅、八王子駅、そして京王線の京王八王子駅と、三つの駅が主だと思いますけれども、どの駅にもホームドアがないということです。
これは、毎年毎年、同校PTAの皆さんが、事業者、そして東京都に設置を訴えておられると思いますけれども、これについて都はどのように応えているのか、鉄道事業者への働きかけについて伺います。
○江端地域公共交通担当部長 ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠であります。
都は、令和元年度に取りまとめた鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方において、優先整備の視点として駅周辺における視覚障害特別支援学校などの立地状況を考慮しており、この考え方を踏まえて、鉄道事業者に整備計画の策定を引き続き求めてまいります。
○竹井委員 都は、各事業者さんと課題の共有をして、技術的な方策について検討するために、東京都におけるホームドア整備に関する検討会を設置しておられるということも承知をしています。先ほどほかの委員の方からのご質問にもありました。また、都からは優先整備の考え方を示しているということも理解しています。
そこには、盲学校等の特別支援学校などを考慮するようにというふうにはなっているのですけれども、残念ながら、京王線の優先駅に久我山青光学園の最寄り駅は入っていませんし、また、JRの優先駅にも八王子盲学校の最寄り駅が入っていません。
非常に残念なことですし、なかなかこれ、優先駅として入れられないという事情があるのであれば、事業者さんからもヒアリングして聞いておられることもあると思うんですけれども、ぜひ毎年陳情していらっしゃる皆さんにフィードバックをしていただけないでしょうか。補助金は出しているけれども、コストのみならず構造上の問題があるのであれば、併せて伝えていただきたいと思います。
計画について、つぶさにはいえないかもしれませんけれども、今こういうことを取り組んでいるんだということを、ぜひお伝えをいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。待っている方が大勢おられますので、お願いをしたいと思います。
次に、私の地元であります小平市内の踏切の対策について伺います。
九月の都市整備委員会において、西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差化の計画について質疑が行われました。都市計画審議会を経て、年内に都市計画決定が予定されているということでした。
その先の小平市においても、踏切の解消に対する期待はとても大きいものがあります。特に、西武新宿線小平駅の西側に位置する踏切、小平第一号踏切ですけれども、駅のホームのすぐ横にあるため、電車が、通過せずにホームに停車する際にも、これはオーバーランを懸念してだと思いますけれども、安全のために踏切が一旦閉まりますので、頻繁に踏切が閉まることになって、いわゆる開かずの踏切となっています。
また、自動車のみならず、歩行者や自転車の交通量も非常に多く、混雑をしていますので、常に事故のリスクがあって、鉄道の立体化などによって踏切解消を図るべきだというふうに考えています。
幅も広くて、すぐ閉まってしまうので、踏切の中で立ち往生しておられる高齢者の方も見かけたこともありますし、短い開いている時間で、我先にと自転車、通行人が行き交いますので、非常に危険な状況だというふうに思っています。
そこで、小平駅付近の踏切解消に向けた都の見解について伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 西武新宿線の花小金井駅から小平駅構内は、踏切対策基本方針におきまして鉄道立体化以外の対策の検討対象区間に位置づけられており、踏切道のカラー舗装による通行帯の明示や、踏切支障検知装置の高機能化等を実施してきているところでございます。
一方、小平駅北口の市街地再開発事業におきましては、ペデストリアンデッキによる駅との接続や駅前広場の整備等によりまして、歩行者、自動車の安全性と利便性の向上を図ることを計画しております。
道路と鉄道の立体化につきましては、小平市が行うまちづくりの取組の方向性を踏まえつつ、適切に対応してまいります。
○竹井委員 今ご答弁にあったように、平成十六年に出された踏切対策基本方針において、当該踏切は、鉄道立体化以外の対策の検討対象区間ということに指定をされています。その中には同時に、将来、まちづくりの進展や周辺環境の変化が生じた場合などには、対策の一つとして鉄道立体化を検討することもあり得ますというふうに記載がされています。
これから十七年たっているわけですし、状況も変化をしています。北口の再開発と同時にという考えが、本当に地元の要望に沿っているのかどうなのか、整備しないことで安心・安全の取組が後れを取っているのではないか、そういったこともしっかり検証していただきたいと思います。
近い将来、この基本方針が改定される場合には、ぜひ見直しをお願いしたいと思います。ペデストリアンデッキができるという、北口の再開発と同時にという考えであるとしても、そこで解消できるのは人の流れのみということになりますので、よろしくお願いをいたします。
都民の安全の推進について三点伺いましたけれども、最後にパーク・ストリート東京事業について伺いたいと思います。
東京都においては、昨年度から、パーク・ストリート東京と銘打ち、歩きやすいまちづくりを推進している先進的な地区の取組状況を情報発信しているということです。
その一方で、特に多摩地区などではまだまだ、地元の方々の意欲はあるものの、具体的にどのように取り組んでいけばよいのか分からないために、検討が進んでいない地域もあるのではないかというふうに考えます。
そこで、さらなる歩行者中心の道路空間の活用に向けまして、新たな地区における取組を積極的に進めていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都は、車中心から人中心へのまちづくりの一環といたしまして、道路空間を活用した、人が歩いて楽しむまちを創出する取組を推進しております。
道路の活用に当たりましては、地元の主体的な取組が不可欠でございまして、関係機関との連携の下、地域団体等による取組が進められております。
こうした地域の活動を後押しするため、パーク・ストリート東京事業といたしまして、引き続き、各地区の先進的な取組を公式サイト等で情報発信するとともに、地域団体や区市町村の実施に向けた手順や課題に対する助言なども積極的に行ってまいります。
○竹井委員 ぜひマニュアル等を整備していただいて、今おっしゃっていただいた積極的に実施というところ、ぜひお願いをしたいと思います。
今行っているところの一覧表を見せていただくと、もともと何かしらやっておられたりとか、そもそも進んでいたというところもあるのかなと思うんですけれども、全く今できていないけれどもやりたいという市もたくさんあると思います。よろしくお願いいたします。
質問は最後であったんですけれども、一点、マンションのベランダからの子供の転落事故について、先日、住宅政策本部での質疑においてお聞きをいたしました。
ベランダの高さについては、建築指導行政を所管する都市整備局との連携をお願いしたところでありますけれども、今回、様々意見交換させていただく中で、課題としては、ベランダの手すりの構造や、近くに踏み台となるものを置かないなどの徹底などの方が課題であろうということにはなりました。
都としても、生活文化局などで安全対策の周知をしていただいているところですし、住宅政策本部では、法で定めるよりも十センチ高い一・二メートルをガイドラインの中で推奨するなどしていただいていますけれども、都市整備局としても、足がかりの部分の考え方、足をかけることができないような隙間等について、また周知徹底をお願いしたいと思います。先日も質疑で申し上げましたが、不幸な事故も起こっていますので、そういった事故をなくすための取組をお願いしたいと思います。
以上で終わります。
○松田委員 それでは、事務事業質疑の方を始めさせていただきます。
世界は今や、国家間の競争から都市間競争の時代といわれています。国力を上げて、より生活を豊かにするためにも、都市が引っ張り上げるしかなく、いうまでもなく、この日本のメインエンジンは首都東京であります。
残念ながらここ数年、日本、そして東京の力は上がっておらず、他の先進国や新興国の都市の成長に置いていかれているのが実情だと思います。私自身も二年前までは商社に勤めており、数多くのグローバル企業と接してまいりましたが、アジアの拠点をこの東京から撤退させ、シンガポール等を拠点とするグローバル企業も数多く増えてまいりました。
東京都は、世界の都市と対峙し、世界中から人、物、金を集める都市になる必要があると感じていますが、アジアだけでなく、ロンドンやニューヨーク、パリ等に比べて、都市としての強みと弱みは東京都としてどのように認識をしているのか、お伺いいたします。
○小野都市づくり政策部長 都が発行しました東京都市白書二〇一五年度版では、世界の様々な都市ランキングにおける東京の評価を紹介しております。
この中で、東京は、生活の質の面では、生活格差や治安の改善への取組が評価され、世界で最も安全な都市として、また、経済成長性においても、高品質なインフラや対内直接投資戦略が評価されるなど、世界でもトップの強みを有しているとしております。
一方で、交通、アクセス分野の評価は、世界の主要都市の中では低いものの、羽田空港の発着枠増や都市部の開発により、ランクアップが期待できるとしております。
○松田委員 ありがとうございます。
これまで国内から人を集めていた東京が、今後、世界から人を集めようと思えば、全ての面でのレベルアップが必要不可欠だと思っています。海外から人、物、金を引っ張ってくるためには、東京都が本気で世界一の都市を目指さなければ、シンガポール、ソウル、香港、北京、上海といったアジアの新興主要都市が東京に取って代わる日は、すぐ目の前に来ていると私自身も肌で感じています。
今回の質疑に当たり様々なデータを見ていますと、東京都の都市の夜間人口については、ニューヨークやパリ、ロンドンに比べて、都心部の夜間人口、いわゆる住みかとしている人たちは、日中の人口に比べて少ないといわれています。
東京都心三区の昼間の人口は、夜間より約二百万人ほど、都心八区であれば三百万人ほど昼間人口の方が多いというデータがありますが、昼夜人口比率について、どのような認識をお持ちかお伺いいたします。
○小野都市づくり政策部長 都心部を中心としたかつての地価の高騰等によりまして、定住人口の著しい減少などが進展したことから、都では、従来から職住近接などを図るため都心居住を誘導してまいりました。
この結果、センター・コア・エリアでは、同エリアにおける二〇一五年の夜間人口は約二百六十八万人と、一九七五年の約二百五十六万人と同水準に回復し、一定の成果を得てきたところでございます。
今後は、人口の推移や住宅ストックの形成状況、都心の利便性を生かした様々な居住ニーズを踏まえながら、これまでの量的拡大から質の向上へ住宅施策を転換し、高齢化や国際化等に的確に対応した住宅供給を誘導してまいります。
○松田委員 コロナ禍で東京都の流入人口と流出人口が逆転をした、このようなニュースもありました。
特に若い世代については、狭くてもいいから職住近接を望む傾向が高いというデータもあります。そして、独身時代は都心のワンルーム、結婚して少し郊外の広いマンション、子供ができたら、さらに会社から離れた場所の一戸建てに住むというような都心勤務のサラリーマンのモデルもありましたが、四十歳以下の世代については、このような発想が薄いといわれています。
会社に近い都心に住み、休日も会社の近くで遊ぶという職住近接が理想だが、それが経済的な理由で選択をできないから都心から離れて住まざるを得ない、このような実態があると思います。
次に、バブル崩壊後の都心部を中心とした開発のラッシュが、東京都の立て直しに大きな役割を果たしたといわれています。
都心の発展には、民間の需要に合わせて容積率の緩和を実施していくことが東京都の大事な役割だと思っていますが、容積率の緩和について、今後、東京都はどのような戦略を持っているのかお伺いいたします。
○小野都市づくり政策部長 都は、都市づくりのグランドデザインで示した望ましい都市像を実現するため、民間の都市開発の機会を捉え容積率緩和をインセンティブとして活用し、優良な開発を誘導しております。
このため、特に容積率緩和によって優良な都市開発を誘導する都市開発諸制度については、都市構造上の位置づけや地域特性に応じた容積率緩和の度合いを基準としてあらかじめ定めることなどにより、それぞれの地域に必要な都市基盤整備や都市機能の誘導を進めております。
また、区部中心部の開発における、広域的な観点からの郊外の緑の保全などの隔地貢献や主要駅周辺への都市機能の集積など、集約型地域構造の再編にも資する制度等の運用を図っております。
今後も制度を効果的に活用できるよう、運用面の改善を図りながら民間事業者や区市と連携し、多様な魅力と活力のある拠点の形成を進め、持続可能な東京を実現してまいります。
○松田委員 東京都がこれまで行ってきた都市への貢献度に見合った容積率の緩和の制度は、都市の成長に大きな役割を果たしてきたと感じています。
容積率の緩和は、都市づくりに不可欠な機能を民間に負担をしてもらいながら、民間だけでなく都民も容積率の緩和の恩恵を受けるウイン・ウインな制度のため、積極的に今後も容積率の緩和を行いながら民間の自発的な開発を導いていただければと思います。
今後の東京の発展について、先ほど述べさせていただいたとおり、東京都の国際化は必要不可欠です。そして、そのためには、羽田空港の一層の国際化が、海外から人、物、金を引っ張ってくる大きな役割を果たします。
ここでは、空港アクセスについてお伺いさせていただきます。
現在の都の空港へのアクセス強化への取組と今後の見通しについてお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 平成二十八年度の国の審議会答申では、空港アクセス機能に資する四つのプロジェクトが示されておりまして、このうち羽田空港アクセス線と新空港線は、事業化に向けて検討などを進めるべき路線として位置づけられております。
都は、こうした事業に向けまして、検討などを進めるべきとされた路線等につきまして需要や収支採算性の検証、事業スキームの構築に向けた検討等を行っておりまして、引き続き、関係者との協議、調整を加速してまいります。
○松田委員 今ご答弁にもありました私の地元でもある大田区を通る新空港線についてお伺いさせていただきます。
新空港線は、大田区内では、京急蒲田とJR蒲田をつなぎ、地元地域では蒲蒲線ともいわれておりますが、遡ってみますと、平成十四年と約二十年ほど前から大田区では基礎調査がスタートをいたしました。
ただ、その後、事業化へ向けて様々な検討がなされましたが、事業採算性、鉄道事業者等の調整等に時間を要し、地元大田区でも、期待とともに、いつまでたっても進まない蒲蒲線への焦燥感が募っているというのが現状でした。
ただ、それでも、平成二十八年の交通政策審議会答申で事業計画の検討が進んでおり、事業化に向けて関係各所との費用負担の在り方等について合意形成を進めるべきとの評価をいただき、地元地域でも再度動き出したというのが今の認識だと思います。
そこで、新空港線の取組状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 新空港線につきましては、国の答申において、空港アクセスの向上の効果が示されている一方、関係地方公共団体、鉄道事業者等におきまして、費用負担の在り方等について合意形成を進めるべきとの課題も示されているところでございます。
まちづくりの要素等も加味をいたしまして事業プランを検討し、その結果をベースに都区負担等に関する協議を進めるため、都と大田区では、新空港線に関する協議の場を昨年九月から開催いたしております。
協議の場におきましては、蒲田駅付近のまちづくりとの整合を図りながら、乗換え利便性の向上等について検討を進めまして、乗換え動線の整理を行ってきておりまして、引き続き区と連携して検討を深度化させてまいります。
○松田委員 協議の場は、昨年の九月に設置をしていただいたというお話がありました。新空港線は、東京都内からの空港へのアクセスの利便性、また、大田区のまちづくりの推進で、地域の活性化にも大きく寄与するともいわれ、大田区内でも早期実現に向けた動きが活発化してきております。
区民の期待も大きな路線でもありますので、ぜひ事業化に向けて議論を加速していただくよう強く東京都にも改めて要望させていただきます。
次は、住宅政策本部での事務事業質疑でもお伺いいたしました東京都政策連携団体についてご質問させていただきます。
前回は、住宅政策本部では、東京都住宅供給公社への元職員の天下り、そして、特命契約という外郭団体を存続させるためだけの契約形態をご質問させていただきました。
まずは、都市整備局所管の東京都政策連携団体の四団体のうち、理事長もしくは代表権を有する役員が東京都の元職員であるか、各団体の役員構成についてお伺いいたします。
○水野連携・連絡調整担当部長 理事長もしくは代表権を持つ役員となっております都の元職員は、東京臨海高速鉄道株式会社が二名、それ以外の三団体につきましては、各一名ずつの合計五名でございます。
○松田委員 ご答弁いただきましたとおり、住宅政策本部同様に、政策連携団体には四団体のうち四団体、きっちりと東京都の元職員の方が、理事長もしくは代表権を持つ役員に就任をされております。
それでは次に、都市整備局所管の事業協力団体五団体のうち、理事長もしくは代表権を有する役員が東京都の元職員であるか、各団体の役員構成についてお伺いいたします。
○水野連携・連絡調整担当部長 代表権を持つ役員となっております都の元職員は、首都圏新都市鉄道株式会社を除く四団体が、各一名ずつの合計四名でございます。
○松田委員 ご答弁いただきましたとおり、事業協力団体五団体のうち四団体には、理事長もしくは代表権を持つ役員に東京都の元職員がいると。
そして、今回、一団体については、確認をさせていただきますと、首都圏新都市鉄道株式会社については、東京都の職員ではありませんが、代表取締役には元運輸省の官僚の方、その他の役員にも総務省、国交省と、天下りといわれても仕方ない人事のオンパレードでした。東京都の政策連携団体は、東京都の元職員のための天下り先としてあるのでしょうか。
それでは、東京都の元職員の方が数多くいる東京都政策連携団体、事業協力団体への指導監督を東京都としてどのように実施をしているのかお伺いいたします。
○水野連携・連絡調整担当部長 政策連携団体につきましては、各団体を都政の一体的運営を担う都庁グループの一員として戦略的に活用するとともに、各団体の適正かつ効率的な運営を確保し、自律的経営及び改革を推進するために、法令その他の規程で定められているもののほか、東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱等に基づき、団体運営の重要事項などについて適切に指導等を行っております。
また、事業協力団体につきましては、主体的に都と事業協力を行う団体であるところ、当該団体との協力関係強化に向け、法令その他の関係規程に定めるところにより、必要な関与を行っております。
○松田委員 今ご答弁のありました東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱を読ませていただきますと、役員業績評価制度は、役員の業績を的確に把握し、これを適正に評価するとともに評価結果を役員人事及び役員報酬に反映をさせることにより、政策連携団体の自律的経営及び経営改革の促進に資することを目的とするとの記載があります。
それでは、都市整備局として、政策連携団体が、東京都の元職員が理事長もしくは代表権を有する役員である必要性はあるのかお伺いいたします。
○水野連携・連絡調整担当部長 各団体の具体的な人事に関することにつきましては、当局としてお答えする立場にございません。
○松田委員 住宅政策本部の方の答弁でも、人事案件については、総務局の管轄だと私も前回から学びました。ただ、私が知りたいのは人事ではなく、都市整備局が管轄をしている政策連携団体が、都の職員がいなければ、都市整備局として指導監督ができないのかを知りたいまででした。
今回、通告はしておりませんので、ここで終わりますが、ぜひ都市整備局主体となって、理事や代表権を持つ役員を、東京都の元職員を置く必要性を都民に説明できないのであれば、ぜひ、この政策連携団体、事業協力団体の在り方については、再度考えていただきますよう強く要望し、事務事業質疑を終わります。ありがとうございました。
○渋谷委員 それでは、質問させていただきます。
まず初めに、連続立体交差事業等の踏切対策について伺います。
東京都内には、令和三年四月現在で約一千五十か所の踏切があり、踏切は安全性の観点からも交通渋滞解消の観点からも対策が求められています。
都としては、段階的に解消を図っていくところと認識しています。東京都の踏切対策基本方針によれば、都としても多くの踏切について対策が必要と認識しているようです。
踏切対策の現在の取組についてを伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都は、平成十六年に踏切対策基本方針を策定いたしまして、この中で、踏切の遮断時間や自動車交通量等を勘案いたしまして、重点的に対策を実施、検討をしていく重点踏切を抽出いたしました。
また、重点踏切におきます対策の検討に当たりまして、立地状況等によりグループ化をいたしまして、鉄道立体化の検討対象区間を二十区間、鉄道立体化以外の対策の検討対象区間を八十三区間選定いたしました。
鉄道立体化の検討対象区間では、道路整備やまちづくりの熟度を勘案しながら順次、道路と鉄道の立体化に向けた取組を進めております。
一方、鉄道立体化以外の対策の検討対象区間では、踏切道の拡幅、踏切システムの改修等、早期に実施可能な対策を関係者間で検討し、実施してきておるところでございます。
○渋谷委員 踏切対策基本方針によると、東京都が検討する対策として、鉄道立体化の検討対象区間と鉄道立体化以外の検討対象区間があります。
鉄道立体化以外の検討対象区間の取組についてですが、例えば、私の地元北多摩地域にある秋津駅の踏切は、幅が狭くかつ道路が交差するところに車や自転車や人が多く重なり合って大変危険です。
こうした踏切への対策は具体的にどんなものか伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 西武池袋線の秋津駅構内から所沢間は、交通の円滑化を図る対策として、踏切道のカラー舗装による通行帯の明示や、全方位型踏切警報灯の設置等を実施してきているところでございます。
今後とも、地元の市や鉄道事業者等と連携し、踏切対策を進めてまいります。
○渋谷委員 次に、鉄道立体化の検討対象区間についてですが、例えば西武池袋線では、石神井公園の西までは立体化が進んでおり、その先についても立体化の検討対象区間となっています。この区間の踏切には様々な課題があり、特に東久留米駅付近では踏切による渋滞が大変ひどい状態です。
鉄道立体化の検討対象区間である東久留米駅付近の今後の対策についてを伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 西武池袋線のひばりヶ丘から東久留米駅付近の鉄道立体交差化につきましては、地域におけるまちづくりと連動することから、地元市が主体となり、地域の将来像やまちづくりの方針等を検討する必要がございます。また、未整備の都市計画道路と三か所で交差いたしておりまして、道路整備計画との整合を図る必要もございます。
都といたしましては、西東京市や東久留米市が行うまちづくりの取組を支援しつつ、その状況や道路整備計画の具体化等を踏まえ、適切に対応してまいります。
○渋谷委員 次に、ホームドアについて伺います。
ホームドアについてですが、都営地下鉄ではホームドアの設置が進んでおり、三田線、新宿線、大江戸線で完了し、浅草線が令和五年度に完了と伺っています。今後は、民間鉄道のホームドア設置をいかに推進するかが課題となります。
現在、都は、区市町村や鉄道事業者への補助を通じてホームドアの設置を進めているところですが、駅の安全対策、特に視覚障害者の方の安全対策のためにもホームドア設置を早く推進してほしいとの強い要望があります。
都としても一層の推進を図るべきと考えますが、JR、私鉄の整備状況と都の目標を伺います。
○江端地域公共交通担当部長 都内のJR、私鉄の駅の令和二年度末におけるホームドアの整備率は三三%であります。
都が令和三年三月に策定した未来の東京戦略において、令和十二年度までにJR、私鉄の整備率を約六割に引き上げることを目標に掲げております。
○渋谷委員 ホームドアについては、利用者十万人未満の駅でも補助金の対象になるよう見直されています。
駅の安全性を高めるためにも、JR、私鉄のホームドア整備に対する都の取組についてを伺います。
○江端地域公共交通担当部長 都は、令和二年度に補助対象駅の拡大と上限額の引上げを行うとともに、本年五月には、支援策の積極的な活用に向けて鉄道事業者との検討会を設置し、技術的な方策を検討しております。
こうした取組を通じて、鉄道事業者に対し、ホームドア整備のより一層の推進を働きかけるとともに、国や区市町村と連携して、その取組を支援してまいります。
○渋谷委員 ぜひ、踏切対策、また、ホームドア対策を推進していただきたいと要望いたします。
次に、多摩地域の都市計画道路の整備状況について伺います。
多摩地域の都市計画道路の整備率は六二%で、区部における整備率六六%と比べ遅れているのが現状ですが、都をはじめ多摩地域の市町の努力により解消されつつあると認識しています。
私の地元北多摩四区の清瀬市と東久留米市の都市計画道路の整備率は約三三%と約六〇%ということで、多摩地域の平均値と比較しても遅れています。この地域では、朝夕の交通渋滞が各地で発生しているのが目立つとともに、歩道のない道路も多く、歩行者の安全も十分に確保されていない状況です。
こうしたことから、地元でも都市計画道路の整備が強く求められていますが、この二市は都県境にあることから、都市計画道路の整備を促進する上では、埼玉県側との連携が不可欠であると考えます。
都は、埼玉県との連携をどのように図っているか、見解を伺います。
○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 都県境を超える道路ネットワークの形成は、近隣県との交流、連携を図るために重要でありまして、練馬区の西端から途中、東久留米市や清瀬市、埼玉県内を通り所沢市方面につながる新東京所沢線など、都と埼玉県とを結ぶ道路の接続については、調整会議を立ち上げるなど県と連携して取り組んでおります。
今後も、埼玉県など関係自治体と連携して、北多摩地域の道路ネットワークの形成を図ってまいります。
○渋谷委員 道路は、ネットワークとしてその機能が発揮されることから、一方的に東京都側で道路整備を進めても、接続先がなければ、整備された道路を供用することはできません。埼玉県とも連携し、双方の都市計画道路の整備を促進するように要望をいたします。
次に、駐車対策について質問いたします。
都は、路上駐車問題に取り組み、令和三年七月より有識者等による検討会を立ち上げ、今後の駐車対策の在り方について検討しているところです。
駐車対策で、人中心の歩きやすいまちづくりを目指すのはいいですが、物流事業者など、どうしても道路に停車して荷さばき等をしなければならない方も多く、そうした方の声も取り入れ、路上駐車をただ規制するのではなく、荷さばき等をしやすくなるような対策も併せて検討していただきたいと考えます。また、タクシー事業者の声として、都内の路上駐車スペースはまだまだ足りず、さらなる増設について要望があります。
そこで、今後の駐車対策の在り方の検討においては、事業者の要望を踏まえ、利用しやすい道路空間づくりを考慮すべきと考えますが、事業者活動にも配慮した駐車対策について見解を伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都は、路上駐車問題の解決を主眼といたしまして、区市町村と連携して、荷さばき駐車施設の設置の働きかけなどを行ってまいりました。また、短時間の駐車需要に対応するため、パーキングメーター等の設置を実施しているところでございます。
最近の駐車場を取り巻く状況の変化を踏まえまして、都市づくりのグランドデザインで示した目指すべき将来像の実現に向けまして、お話のとおり、令和三年七月より有識者等から成る検討会を立ち上げ、今後の駐車対策の在り方について検討しているところでございます。
検討会では、道路上における荷さばき作業など、事業者が業務利用できる駐車施設の不足等の課題が示されておりまして、事業者の意見も踏まえまして、荷さばき駐車施設の設置や路上駐車の在り方等について検討していくことといたしております。
○渋谷委員 ぜひ、そうした、事業者にも配慮した駐車対策を推進していただきたいと思います。要望いたします。
次に、緑確保の総合的な方針に基づく東京都の民有地の緑地保全についてを伺います。
都内の生産緑地は年々減少傾向にあるといわれています。令和四年は、平成四年に指定された生産緑地が三十年の期限を迎える年であり、生産緑地の売却などが進むことが予想されます。
特定生産緑地の指定について、都の取組状況とこれまでの実績を伺います。
○小野都市づくり政策部長 都は、市区や農業委員会等と連携して、制度の周知や指定のメリットの説明など、農家の方々への丁寧な情報提供を行っております。
また、市区の手続の進捗状況を把握しますとともに、手続に関する課題と対応の共有化を図るよう、情報提供や意見交換の場の設定など、技術的な支援を行っております。
令和三年七月末時点で、平成四年に指定された生産緑地のうち約四割が指定の公示を完了しており、指定の受付が完了しているものを含めますと、全体の約九割が特定生産緑地の指定となる見込みでございます。
○渋谷委員 農地は、今後も相続等の理由で減少が続くことが予想されます。都は、農ある風景を守ることができるよう、農の風景育成地区制度を創設し取り組んでいます。
これまでの取組と実績、今後の取組を伺います。
○小野都市づくり政策部長 都は、減少しつつある農地をオープンスペースとして保全し、農のある風景を将来に引き継ぐ農の風景育成地区制度を平成二十三年度に創設しております。
都はこれまで、市区に対し、指定に向けた地域の現況把握等を行うための調査費に関する補助や、既に指定した地区の現地見学会を行うなど、指定を後押ししてまいりました。
また、生産緑地を所管する市区の関係者や有識者が参加する意見交換の場において、指定に向けた課題と解決策等の情報を共有化するなど、技術的支援を行ってきております。
令和二年度までの実績は、四市区で五地区を指定しております。
今後は、未来の東京戦略において二〇三〇年度までに農の風景育成地区をさらに五地区指定することとしており、先ほど申し上げました補助制度などを活用しながら、市区とも連携し指定に向けて取り組んでまいります。
○渋谷委員 農の風景育成地区においても屋敷林は重要であり、屋敷林も固定資産税や相続税の負担など維持費の重さから消えていきつつある緑です。
都として、屋敷林がある風景を保全する取組についてを伺います。
○小野都市づくり政策部長 都はこれまで、市区町村と合同で策定した緑確保の総合的な方針に基づき、相続税等の優遇措置が適用される特別緑地保全地区等の指定を促進し、屋敷林の保全に努めてまいりました。
また、貴重な生き物が生息する緑の保全や公園が不足する地区の解消を図るため、今年度新たに、屋敷林を含む用地取得等に活用できる緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度を開始し、東久留米市、武蔵野市、稲城市、大田区において助成を予定しております。
今後とも、市区町村等と連携し、屋敷林や農地などが広がる風景を保全し、緑あふれる東京を実現してまいります。
○渋谷委員 ぜひ、そうした取組を拡充して、東京都の緑を保全していっていただきたいと思います。要望します。
以上で質問を終わります。
○山田委員 まず、バリアフリーについて伺います。
東京オリ・パラ大会のレガシーの一つは、様々なバリアフリーが推進されたということにあります。これまでも質疑がありましたけれども、駅のホームドア、一日当たり利用者十万人以上の駅のホームドアを中心に東京都も整備、後押ししてきましたけれども、これ以降も、簡易型ホームドアなども活用しながら、十万人未満の駅の整備もしっかり進めていただきたいと考えております。
まず、一日当たり利用者十万人未満の駅のホームドア整備の現状と課題、そして都の対応を伺います。
○江端地域公共交通担当部長 都内における令和二年度末時点の整備率は、利用者十万人以上の駅は六六%に対し、十万人未満の駅は二六%となっております。
ホームドアの整備に当たっては、扉位置の異なる列車への対応や狭隘なホームでの設置スペースの確保、財源の確保などの様々な課題がございます。
このため、都は、令和二年度に補助対象駅の拡大と上限額の引上げを行うとともに、本年五月には、支援策の積極的な活用に向けて鉄道事業者との検討会を設置し、技術的な方策を検討しております。
こうした取組とともに、令和元年度に取りまとめた鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方を踏まえて、鉄道事業者に対し、引き続き整備計画の策定を求めてまいります。
○山田委員 ありがとうございます。
ちょうど私の地元の三鷹駅も十万人に行くか行かないかぐらいなんですけれども、まだホームドアはないんですけれども、利用者が多いときは、やっぱりホーム上は人が大変多くて危ないなと感じることもございましたので、引き続き整備を後押ししていただきたいと思います。
様々な形でバリアフリーがありますけれども、一つ、認知症バリアフリーという言葉、概念がございます。例えばスコットランドのスターリング大学というところの認知症サービス開発センターというところが提唱、研究しているんですけれども、例えば認知症の方に対応したデザインのポイントというのがあると。例えば色のコントラストを利用していく、また、いろんな標識には、文字の情報にピクトグラムとかを追加するような、視覚情報を追加するであるとか、そういったまちのデザインが進んでいるところがあると。
そのスターリング市内でもそうですし、また、日本においても福岡市であったり、あと都内においても、世田谷でもそういった事例が出てきているというところがございます。
ぜひ、これは今後の課題ということになりますけれども、都市整備さんの方でも福祉保健局などと連携していただいて、認知症に優しいまちづくりのガイドラインであったり支援であったりと、そういったものを新しいバリアフリーの展開として、ぜひ検討していただきたいと思います。
次に、スマート東京について伺いたいと思います。
我々は、デジタルシフトの推進というものを強く掲げ、東京都もそれを受けてスマート東京を推進されています。
スマート東京について、西新宿と南大沢が重点整備エリアと今位置づけられていまして、西新宿についてはデジタルサービス局が中心だと。南大沢について、都市整備局で中心となって取組を進めている。そして、昨年度は協議会を立ち上げて、自動運転車椅子などの実証実験が行われたというふうに聞いております。
今年度においても、引き続き地域の課題に即した検討を進めていると思いますけれども、これまでの取組状況と今後の進め方について伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 南大沢地区は、スマート東京実施戦略で、最先端の研究とICT活用による住民生活の向上が融合した持続可能なスマートエリアを目指すことを位置づけております。
昨年十月に設立した協議会において、地域の課題に対応した先端技術を活用したまちづくりの検討結果を実施計画として取りまとめ、広く住民の意見を聞くため、先月公表いたしました。
また、検討の中で、昨年度は、丘陵地での高齢者等の移動手段の確保の課題に対応するため、自動車椅子の実証実験を実施いたしました。
今年度は、まちの回遊性やにぎわいの創出の課題に対応するため、今月から電動シェアサイクルを含むMaaSを活用するとともに、これに買物の電子クーポン等を組み込む実証実験を実施しております。
今後は、住民の意見の取りまとめや実証実験の効果検証を行うとともに、将来の先端技術活用に関わる運営の仕組みづくりについて検討し、令和五年度以降の先端技術の社会実装につなげてまいります。
○山田委員 ありがとうございます。
今、取組の中でも高齢者の方の移動手段の確保などは、東京だけではなくて日本全体で大きな課題の一つになってきますので、ぜひ、いい事例の創出をお願いしたいと思います。
さて、都市のデジタルツイン、これは様々な形での活用が期待されておりますけれども、デジタルサービス局も事業を進めていますが、都市整備局としても、デジタルツインの基盤をなす都市の3Dデジタルマップ、そういったものの早期整備、進めていくことが必要と考えますけれども、これまでの取組と今後の整備予定について伺います。
○小野都市づくり政策部長 建物や道路などの現実空間の要素をサイバー空間上に再現しシミュレーションすることで、効果の高い施策をつくることが可能となるデジタルツインの取組には、3Dデジタルマップの整備が必要でございます。
昨年度、学識経験者等から成る都市の3Dデジタルマップの実装に向けた産学官ワーキンググループを新たに設置し、今後、都が整備していくべき3Dマップの仕様等について取りまとめを行ったところでございます。
また、昨年度、試行整備したパイロットマップも活用しながら、関係局では、各局のデータを重ね合わせ3Dビューアーで実際に見て体感できるサイトの立ち上げや、特定エリアにおいて災害時の安全な避難経路を3Dで案内する実証などの技術的、法的課題等、デジタルツイン構築に向けた検証が進められております。
今年度は、昨年度取りまとめた都の仕様等を活用し、西新宿、南大沢、大・丸・有、ベイエリアの四つのモデルエリアを対象に、3Dデジタルマップを整備する予定となっております。
○山田委員 ありがとうございます。
デジタルマップ、デジタルツインですね、そういったものを活用することによりまして、今お話にありました防災のほかにも、5Gの環境だったりデータプラットフォーム、まあ、これも構築、デジタルサービス局の方でやっているところ、ありますけれども、そういったものを組み合わせることによって、人口密度、密集度の大変高い東京の中では、交通だったり物流の最適化というのも一つ解決の期待される課題だと思っておりますので、今までの取組を総合していただきながら、都民の快適な暮らしの実現に引き続き努めていただきたいと思います。
さて、脱炭素化の流れの中で、建築物の素材の在り方についても注目が集まってきています。特に、二酸化炭素を木材の内部に固定化して大気中に発散しないと、木造の建築物への期待が世界的に高まってきていると住宅政策本部の中でも言及いたしましたけれども、海外では、既に八十メートルを超える木造建物もあると。大体二十階を超えるビルに相当するような高さのものも、もう存在しているということであります。
そのような中で、例えば耐火性の高い木材の活用促進など、東京都としても木造建築物の普及を積極的に後押しすべきと考えますけれども、見解を伺います。
○山崎市街地建築部長 都はこれまで、あまり木材が利用されてこなかった非住宅建築物における木材の利用の推進等を図るため、全国知事会に国産木材活用プロジェクトチームの設置を提案し、強度や耐火性能が高く中高層建築物への活用が可能なCLTの普及に向けた取組や、建築基準法における耐火構造等に関する要件緩和などを全国知事会として国に提言するなどの取組を行ってまいりました。
この提言も踏まえまして、現在、国において木造建築物に係る建築規制のさらなる合理化の検討が進められているところでございます。
○山田委員 ありがとうございます。
今のご答弁で、東京都からは積極的に国に対して見直しの提案をしていくことで、今、建築の規制の合理化が国の方でも検討中だということでありました。その規制の合理化がしっかり進めば、これまで以上に多くの事業者が木造建築物をさらに取り組んでいくという効果が期待できますので、引き続き、都としても、取り組み、後押しいただきたいと思います。
様々なインフラの整備において、自然環境が多様な機能を有していくと、そういった機能を活用するグリーンインフラという概念が、近年注目を集めているというところがあります。
具体例として挙げられますのが、持続的な雨水の管理であったり、また、緑地を増やしていくと、そういった取組が例として挙げられていることがあります。まだ抽象的な概念であると思いますけれども、しかし、そういった先進事例からグリーンインフラの中身、これを具体化していくということも重要だと考えています。
都市の緑地、それも重要なグリーンインフラの一つでありますけれども、やはり東京の緑、公園だったり緑地の整備、また、都市開発で緑を増やしたりということはありますけれども、総体として、やっぱり減少を続けてきているといった中で、我々としては、やっぱりこれまでも都市の発展のためには、都市環境と、そして緑が自然と共生していくということは、極めて重要だということを訴え続けてきたというところはあります。
東京都も、緑あふれる東京基金の創設であったり、また、緑あふれる東京プロジェクト、様々な取組、開始されて、今年度から、これまで対象としてこなかった都市施設以外の身近な緑を保全、創出する緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度を開始しているというふうに聞いております。
そこで、今年度開始しましたこちらの補助制度の取組状況と今後の取組について伺います。
○小野都市づくり政策部長 貴重な生き物が生息する緑の保全や公園が不足する地区の解消を図るため、今年度新たに、雑木林など身近な緑を含む用地取得等に活用できる緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度を開始しております。今年度は、武蔵野市、稲城市、東久留米市、大田区において助成を予定しております。
今後とも、市区町村等と連携し、この補助制度を活用しながら市区町村が進める緑の保全、創出を強力に後押ししてまいります。
○山田委員 ありがとうございます。
今年度からの事業ですけれども、既に一定の活用事例が見られているということですけれども、より多くの市区の取組を後押しできるよう、引き続き制度のさらなる拡大も視野に入れてお願いしたいと思います。
さて、今までの質疑と重複する、ほかの方等もあって恐縮でありますけれども、農地について何点か伺いたいと思います。
これまで市街化区域内における農地の保全では、生産緑地地区制度は大きく貢献してきました。三鷹市でもまちの中に、歩いていると本当に農地が多くありまして、市の魅力の向上に大きく貢献しているというところがあります。
ただ、いわゆる二〇二二年問題によって、急激な生産緑地の減少の危険性があるという中で、引き続き生産緑地が保全され、良好な都市環境の形成が図られるように、現在、特定生産緑地の指定について、市区、地元のJA等とも連携して大変熱心に取り組んでいるというところがあります。
そこで、現在の特定生産緑地の指定状況と都の取組について伺います。
○小野都市づくり政策部長 都は、市区や農業委員会等と連携して、制度の周知や指定のメリットの説明など、農家の方々への丁寧な情報提供を行っております。
また、市区の手続の進捗状況を把握しますとともに、手続に関する課題と対応の共有化を図るよう、情報提供や意見交換の場を設定するなど、技術的な支援を行っております。
令和三年七月末時点で、平成四年に指定された生産緑地のうち約四割が指定の公示を完了しており、指定の受付が完了しているものを含めますと、全体の約九割が特定生産緑地の指定となる見込みでございます。
○山田委員 今のご答弁のとおり、関係者の方々のご尽力によって特定生産緑地の指定は、意向も含めると約九割達成する見込みであろうということです。
三鷹市でも約百三十ヘクタール生産緑地がありますけれども、減少傾向なのは残念ながら間違いないところでありますが、本当に関係者の方は、保全のために大変ご尽力、ご苦労されていらっしゃいます。
貴重な都市の農地、その緑をこれ以上減少させないためには、地域の緑の拠点となる農地を、自治体が買い取った上で、農業公園等に整備していくことも一つの重要な取組と考えられます。
現在、都は、市区が生産緑地を買い取る際の支援策として、生産緑地公園補助制度を実施していると聞いていますけれども、その制度のこれまでの成果と今後の取組について伺います。
○小野都市づくり政策部長 都は、平成三十年度に、市区が都市計画公園、緑地内の生産緑地を買い取る費用に対して助成を行う生産緑地公園補助制度を設けております。
令和二年度までに十二市区、延べ約三ヘクタールの生産緑地の買取りが行われており、これにより、例えば、武蔵野市では吉祥寺東町農業公園、世田谷区では喜多見農業公園が開園するなどの成果が挙がっております。
都は、今後とも、市区との連絡会を通じて本制度を周知しますとともに、生産緑地を有する都民に対してもホームページを活用し情報提供を行うことなどにより、本制度の活用を促進してまいります。
○山田委員 ありがとうございます。都市の公園としての整備に一定、着実な成果が出てきているということが分かりました。
ただ、やはり農地の減少を食い止めていくためには、地域において農業を継続できる環境づくり、これが最も重要となってくると思います。私も純粋に、三鷹市内産の野菜を食べると、やはり普通に新鮮でおいしいなと思うこと多いので、ぜひこの取組は重要だと思っております。
そこで、東京都で市区町村と共に営農を継続しやすく農地が身近にあること、これは地域の大きな魅力の創出につながるまちづくりの実現に向けて、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
○小野都市づくり政策部長 市街地において、農地や屋敷林、樹林地などまとまった緑が身近にある地域を実現していくためには、農地保全等の取組を市区町村と共に推進していくことが重要でございます。
都はこれまで、農の風景育成地区の指定や生産緑地の買取り支援などにより、市区町村の取組を後押ししてきたほか、緑地、農地と市街地が一体となり良質な住環境を提供する緑農住まちづくりの検討を進めてまいりました。
今後は、農の風景育成地区の指定をさらに推進しますとともに、緑農住まちづくりのガイドラインを作成し、モデルとなる取組を進めてまいります。
○山田委員 ありがとうございます。ぜひ、引き続きそういった取組、総合していただきたいと思います。
ちょっと別のテーマについて、次、サステーナビリティー、持続可能なまちづくりについて何点か伺っていきたいと思っています。
長期的な人口減少傾向であったり、また、災害の激甚化といったところを踏まえると、これまでのように、人の住んでいるエリアがどんどんどんどん広がっていく、また、新築の建物がどんどん建っていくと。そういった住宅だったり、また、まち、都市の在り方、これはそろそろ転換しなければならない時期に来ているというふうに感じております。
人口減少というと、特に東京というか地方の方が深刻な課題になってくるとは思いますけれども、決して東京も他人事ではないというところがあります。
そのような課題に対して、一つの方向性として、コンパクトシティという形の概念が示されています。基本的には、基礎自治体が立地適正化計画、これをつくっていくことによって取組を進めていくということが、今期待されているところがあります。
ですので、まず、都内の基礎自治体のこれまでの立地適正化計画の取組の現状と課題、そして取組自治体をさらに増やすための後押し、必要と考えますけれども、見解を伺います。
○小野都市づくり政策部長 今後、少子高齢化や人口減少が進行する中においても、都市経営コストの効率化を図り、身近な地域で誰もが活動しやすく快適に暮らすことができる環境を実現することが必要でございます。
このため、人口密度の動向、公共交通サービスの集積状況、高齢化の進展状況等を踏まえ、おおむね環状七号線外側の地域において、集約型の地域構造への再編に向け取組を推進していくこととしております。
現在、立地適正化計画は、八王子市と福生市の二市が策定済みであり、日野市、府中市、狛江市、調布市、西東京市の五市で作成中でございますが、多くの自治体からは、立地適正化計画の策定に当たり、特に居住誘導区域の設定などに関する合意形成などが課題であると聞いております。
このため、都は、区市町村による立地適正化計画の作成時に、都として助言を行う機会を設けるとともに、国の補助に合わせて財政支援を行っております。
○山田委員 ありがとうございます。
ただ、立地適正化計画を策定している都内の自治体は、必ずしも都内で多くもないというのが現状だと思います。立地適正化計画そのものではありませんけれども、ほかの自治体ですと、例えば北九州市では、災害対策の観点から斜面の開発を制限して、平地へ誘導していくというふうな取組も行ってきていると。これも一つ示唆に富む取組だと思います。
東京でも、本当に毎年毎年、過去最大レベルの水害だったり台風だったりが来るといった中で、そういった激甚化する一方の水害の危険性が高い地域、今のところハザードマップによる情報提供というところが主だと思いますけれども、より一層踏み込んで、水害リスクの高い地域から、長期的ですけれども、だんだん移住して、そういったものの促進であったり、新しく建物を建てるのに一定の制限が必要ではないかとの、そういった議論についても行うべき時期が近づいてきているというふうに感じておるところであります。
もちろん、一朝一夕にできるものではないということは重々承知していますけれども、やっぱり人口が減っていくと、人口減少はほぼ間違いない未来であるというところがありますので、そういった、まさしく長期的な未来を見据えた都市の未来像をつくっていくということこそ、東京都、都市整備局さんには求められているんだと思います。
そういった都市の未来像を示すと。つくって示す。それに加えて、それじゃどうやって実現させていくのかどうかというところも、その実現させていくところの具体化ですね、これも極めて重要になってくると。
東京都として、基礎自治体の取組の後押しだけにとどまらないで、より主体的な取組も期待されてくるのではないかというふうに考えております。
東京の都市の未来像についてですけれども、これは都市づくりのグランドデザイン、これが大きな指針となっていると。この大方針を念頭に置きながら、都内の基礎自治体がそれぞれまちづくりを進めていくというところが、まず期待されていますけれども、このグランドデザインでは、どの程度、基礎自治体、区市町村のまちづくりにおいて現実に反映されているのかというところも重要な点でございます。
東京全体のまちづくりの大方針となっているグランドデザインを念頭に置きながら、各自治体がまちづくりを進めていくという必要がありますけれども、実際にどのように各自治体のまちづくりの整合性を図っているのか伺います。
○小野都市づくり政策部長 都市計画区域マスタープランは、都市計画法に基づいて広域的な視点から都が定める法定計画でございまして、市区町村が都市計画マスタープランを定めるに当たっては、東京都の都市計画区域マスタープランに即して定めることとされております。
このため、行政計画としての都市づくりのグランドデザインを法定計画にするために、都は市区町村の意見も聞いた上で、都市計画区域マスタープランの改定を行っております。
また、市区町村による都市計画事業や個別の都市計画を定める際には、都市計画法に基づき都と市区町村で協議を行うこととなっております。
○山田委員 今のご答弁で、都市計画区域マスタープランだったり東京都との調整だったりと、そういったものを通じて整合性を図っているというふうなお話でした。
もちろん一般論としては、まちづくり、住民に最も近い基礎自治体、その意向が強く反映される、まあそうだと思います。
ただ、先ほど来、指摘しているとおり、人口減少だったり、また、激甚化する災害の状況、そういったものを踏まえて東京全体のまちづくりの視点といったところをどうやって具体的にやっていくかといったときに、私としては、今現状やや緩やかな取組、枠組みではないかと思っておりますけれども、それで本当に実現されていくのか、担保されていくのかどうかというのは、大きく、私自身は疑問があるところであります。
都市政策全般に及びますけれども、災害リスクが低い、また、住むのに適したエリアに、長期的な視点からいうと、生活だったり医療だったり介護だったり、そういったリソースをだんだんだんだんと集めて集約していくというのが、人口減少社会の中で持続可能な都市の一つの在り方ではないかというふうに考えています。それを実現するには、基礎自治体に任せるだけではなくて、やっぱり都としても強く後押し、推進していくことが必要だというふうに思っております。
現在の法律上、様々な枠組み、制度があるのは承知しております。ただ、現在の法規制上で、必ずしも十分ではないということであれば、国に対しても積極的に制度の改正、そういったものをしっかり求めていくことも、また必要だと思います。
東京都として、グランドデザイン、大変すばらしいものだと思います。ただ、これをしっかりどうやって実現させていくのかどうかといったところに対して、ぜひこれまで以上に東京都として主体的、積極的に取り組んでいただくことを求めたいと思っています。
すみません、ちょっと別の話に移ります。
都市の競争力、それを向上させていくというためには、都市インフラの整備が必要となりますけれども、やはり鉄道網、重要な一つの要素となってまいります。
現状、課題も指摘されていますけれども、リニア中央新幹線、これは開通二〇二七年頃だというふうにいわれております。
リニア中央新幹線ができれば、品川と名古屋の駅の間、最短四十分で結ばれるということでありますので、日本の人、物の流れを大きく変えていく。首都圏から東海地方、さらには関西までつなぐ、世界に類を見ない巨大な経済圏が生み出されることにつながって、期待されますので、ぜひ、東京のまちづくりもそういった視点で進めていただくことが必要だと思っております。
鉄道網のそういった強化の中でも、特に今、羽田空港アクセス線の強化、これは東京の国際競争力の向上に資するものでありますし、特に多摩地域からの空港アクセスを強化することは重要だと考えます。
多摩地域の視点から都内空港アクセスの向上を進めるべきと考えますけれども、羽田空港アクセス線に関する都の見解を伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 羽田空港アクセス線は、羽田空港と、国際競争力強化の拠点である都心や新宿、臨海部等を結ぶとともに、既存路線と接続することで多摩地域も含めました広域にわたる空港アクセスの利便性の向上が期待されております。
国の答申において示されました三ルートのうち、東山手ルートは、JR東日本が本年一月に新設区間の鉄道事業許可を受けるとともに、八月に環境影響評価書案の地元説明会を行うなど、二〇二九年度の運行開始を目指しまして工事着手に向けた手続が進んでおります。
西山手、臨海部の二ルートは、東山手ルートの進捗等を勘案しながら、事業スキームの構築に向けた国やJR東日本等の協議、調整を積極的に進めてまいります。
○山田委員 ありがとうございます。ぜひ引き続きお願いいたします。
最後になります。築地について伺います。
築地の跡地は、都心の中心部に位置して、東京全体の発展のために極めて重要な意義を有しています。食文化をはじめ、これまで築地が培ってきた伝統、これを東京全体の発展に生かしていくためにも、売却ではなく都が保有を継続して戦略的に活用していくことが重要と考えます。
改めて、土地を売却せずに再開発を進めるという方針について確認するとともに、今後の事業展開に向けた進捗状況について伺います。
○木村築地まちづくり推進担当部長 築地再開発では、都心のまたとない広大な土地を長期的に民間に貸し付けて、地域のポテンシャルを生かし、東京の持続的な成長につながるまちづくりを進めていくと考えてございます。
長期的なまちづくりの観点から、土地を民間に売却することなく、都が所有し有効活用することを想定しておりまして、現在、事業者を来年度に一体的に募集する方向で、今年度中に実施方針を公表できるよう検討しているところでございます。
○山田委員 分かりました。
あくまで、一般論として申し上げますけれども、一般論として、やっぱり公共の公有資産が公正な対価ではなく安い価格で売却されてしまった場合、それは有権者の共有財産の価値が毀損されてしまうといった中で、安く買うことができた土地の買主、これは不当な利益を得てしまうということになってしまいます。
もし、仮にですけれども、安く買うことができた買主から、特定の政治家だったり公務員に対して何らかの見返りが提供されると、そういった事態は決して許されるものではありません。
公有財産の売却には、常にこういった危険性、これがあることを念頭に置いていただきながら、慎重に事業を進めていただくように改めて強く求めます。
以上です。
○宮瀬委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
午後五時五十分休憩
午後六時二十分開議
○宮瀬委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○古城委員 私の地元新宿区の淵源は、江戸時代に誕生、繁栄した五街道の起点であります日本橋を出発し、甲州街道最初の宿場町となった内藤新宿であります。この内藤新宿は、西から見まして、現在の新宿三丁目周辺であります追分から四谷大木戸に至ったわけであります。
その後、東京が大きく都市として成長する中で、明治時代に鉄道駅が開業したことから、新宿駅を中心にまちが発展をしてまいりました。
本日は、ここ新宿に大いに関連する都市整備局所管の事務事業、特に、新宿グランドターミナル、外濠浄化プロジェクト等について、持続可能な都市東京を目指したSDGsの視点も踏まえて質問をさせていただきたいと思います。
初めに、新宿グランドターミナルについてであります。
コロナ禍は、新宿に大変大きな影を落としました。私自身、地元を回る中で様々なお声を伺ってまいりまして、今も区民の皆様、また、ご商売をされる事業者の方々、多くの関係者の皆様と意見交換をさせていただいております。
そうした中で、いわゆる風評被害の払拭につきまして、新宿から未来の東京を展望する取組と、その情報発信も重要であるとの考えに基づきまして、平成三十年の第一回、それから令和元年の第二回の各定例会と令和二年の予算特別委員会において一貫して訴えまして、地域の期待が一層高まっております鉄道駅や駅ビルと駅前広場を一体的に再編する新宿グランドターミナルについて、本年の第一回定例会の一般質問でも取り上げ、コロナ禍での強靱な、レジリエントな取組として推進することを求めたところでございます。
これまでも、歴代の都市整備局長、東京都技監から、新たなまちづくりの視点として、歩行者中心で交流やにぎわいを生む空間への転換を掲げる旨の答弁を得て、さらに今般、上野都技監からも、誰もが利用しやすい機能的なターミナルへの再編への方針をお示しいただいたところでございます。これらは、新宿にとっても、東京全体にとっても新たな魅力や価値をもたらし、にぎわいが創出されることを期待するものでございます。
そこで、質問の初めに、改めてではあるんですけれども、新宿グランドターミナルについて再編の基本的な考え方をお尋ねいたします。
○小野都市づくり政策部長 平成三十年に都と区で策定した新宿の拠点再整備方針においては、二〇四〇年代を見据えた新宿駅周辺地域の将来像を示しており、国内外の人、物、情報が集まり、交わり、刺激し合い、さらなる魅力や新たな価値を持続的に創出し続ける国際交流都市新宿を目指すこととしております。
このため、新宿グランドターミナルへの再編に当たりましては、交流、連携、挑戦が生まれ、人中心のまちへ転換していくこととしております。
具体的には、更新期を迎えた新宿駅を駅ビルや駅前広場と一体的に再編しますとともに、新宿グランドターミナル周辺の機能更新を促進し、地域全体としてにぎわい空間の創出を図っていくこととしております。
○古城委員 新宿グランドターミナルへの再編では、人中心のまちづくりを進めるとのことでありますけれども、であるならば、誰もが快適に移動できる空間の整備が求められると私は訴えて、都市整備局の各部の皆様と意見交換をさせていただいておるわけでございます。
SDGsの目標十一にも、ターゲットとして、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮したアクセス手段の提供がうたわれております。
新宿駅は皆様もご利用されておられると思います。お気づきだと思いますが、大きな駅、ターミナル駅であるからこそ、構造が複雑で乗換経路が分かりにくく、エレベーターを利用するにも遠回りを強いられ不便である。加えて、鉄道や幹線道路、駅前広場を横断できる空間や通路が不足し、駅周辺を巡り歩くことが困難であるといった課題を抱えております。
そこで、誰もが安心して心軽やかに移動できるよう、分かりやすく利用しやすい空間の整備が重要であると考えますが、見解を求めます。
○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 新宿グランドターミナルの再編に当たっては、土地区画整理事業によりまして、線路上空の東西デッキや歩行者優先の駅前広場などの整備を行います。
また、駅ビルの建て替えなどの民間開発と連携することで、駅の乗換経路を新設、改良するとともに、エレベーターを随所に配置するなどバリアフリー化を推進し、人の移動の円滑化を図ってまいります。
○古城委員 これまでも申し上げてまいりましたとおり、車椅子を利用される方、ベビーカーを押す親子連れ、シルバーカーを利用される高齢者、また、初めて新宿を訪れた−−これは、国籍は問わないとは思いますけれども、これからまたインバウンドの復活も含めて期待をしたいところですが−−外国人旅行者の方々など、誰もが快適に移動できる空間の整備について、都の事業でもしかり、さらに民間開発についてもしっかりと都が主体的に、また、誘導していくということを求めたいと思います。
さらに、都市整備局では、新宿駅等における交通結節機能の充実に向けた取組として、新宿ターミナル協議会による案内サインの統一や、乗換え経路を対象にしたバリアフリーの整備等の対応策を取りまとめた新宿ターミナル基本ルールの策定に続いて、ICTを活用した屋内外ナビゲーションの実証実験や屋内案内誘導アプリの利用実態調査が行われております。こうした取組を進化させていただいて具体化するとともに、ほかのターミナル駅につきましても拡大をしていくということも求めておきたいと思います。
さて、ただいまの答弁で、図らずも新宿グランドターミナルへの再編整備については土地区画整理事業と民間開発事業が連携して基盤整備に当たるということ、このことが確認をできました。
地元の皆様だけでなく、多くの方々になじみのある百貨店、また、駅ビルなどの商業施設が更新時期を迎えることから、新宿グランドターミナルの青写真はもとより、いつ、何がどうなるのかということへの関心が高まっております。
そうしたときに、先ほど答弁でお示しいただいた再整備方針に書かれておりますが、二〇四〇年代を見据えたという言葉、説明だけでは不十分、まあ、不十分というと少しとげとげしいかもしれませんけれども、じゃあ一体いつになったら新宿駅は新しくなるのと、こういうお話をいただいたときに、二〇四〇年代ですと申し上げると、二〇四九年までということをイメージしますと、策定された二〇一九年からですと三十年先の話になると。そのときには、もう私は元気じゃないよというお声、たくさんいただいてまいりましたが、私はそれをポジティブに捉えて、ぜひとも新宿駅、グランドターミナルが完成した暁には、三十年後まで、ぜひそれを見届けていただきたい、そこまでぜひとも元気でいていただいて、大きく生まれ変わった新宿グランドターミナルを利用して、その利便性を享受していただきたいということを申し上げているわけでございます。
そこで、都が施行する新宿駅直近地区土地区画整理事業が、これを皮切りに新宿グランドターミナル関連の事業が進むと考えるわけでございますけれども、今後の事業の予定についてお尋ねをしたいと思います。できれば、現時点で把握をしておられる、また、計画をしておられる具体的な部分ですね、二〇四〇年代ということではなくて、ぜひともその途中の経過についてもお聞かせいただければと思います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 新宿グランドターミナルへの再編におきましては、まず、本年七月に土地区画整理事業の事業計画を決定し、事業に着手したところでございます。
現在、駅前広場の設計を進めており、西口駅前広場において今年度中の工事着手を目指しております。
今後、順次開発される複数の駅ビルの機能更新と併せ、歩行者空間の段階的な拡充を図ってまいります。
二〇三五年度の駅前広場とデッキの概成を目指し、誰もが利用しやすい機能的なターミナルへの再編に取り組んでまいります。
○古城委員 この新宿グランドターミナルへの再編というのは、二〇四〇年代の後半にいきなり全てが出来上がるということじゃなくて、段階的にそれぞれの建物の更新に合わせて空間整備が、徐々にではあるかもしれませんけれども、広がっていくという、そのように理解をさせていただいたところでございます。
さて、このターミナル駅の再編ということについて、少しばかりではあるんですが、ほかの都市での事例、どのようになっているのかなということを確認してまいりました。
例えば欧米では、ニューヨーク市のマディソン・スクエア・ガーデンと一体となっているペンシルベニア駅−−これは二〇二三年のようですけれども、ペンシルベニア駅の更新に合わせてマディソン・スクエア・ガーデンが移転をする、そういうようなこともニュースで目にいたしました。
さらには、インナー・ロンドンのセント・パンクラス・インターナショナル駅、これは、ユーロスターのイギリス側、ロンドン側のターミナル駅が移動して、ここで併設をされたわけでございますけれども、大きく発展、また、まちが生まれ変わっているということも伺いました。
さらに、国内では、国土交通省の都市局が、駅や駅前広場と一体的に機能の配置を検討することが期待される地域を駅まち空間と摘示している渋谷駅であるとか、また、大手町駅などの例を見ましても、やはりターミナル駅の再編というのは、そもそも歴史がある駅の持続可能な発展ということとして捉えますと、やはりこれは、これまでも、また、これからも、そういった意味で長期スパンの視点が必要な事業となります。新宿グランドターミナルへの再編もそうであることが明らかであります。
新宿区が新宿駅をグランドターミナルとして整備していく上でスタートラインに立つと位置づけた、通路の拡幅と改札口の移設により駅東西の地域の分断を解消することが狙いの一つである新宿駅東西自由通路は、昨年の七月に供用開始されましたが、これは、平成二十四年から八年かけて今も工事が進められております。
完了としては令和五年度というふうに聞いておりますが、私は、平成三十年の三月に新宿駅の構内や線路直下の工事現場を視察した経験も踏まえまして、安全対策の徹底についても関係各所に求めてまいりました。一日平均の乗降者数が約三百五十万人と世界一である新宿駅では、新宿グランドターミナルに係る一連の工事においても、特に歩行者の安全管理には万全を期す必要がございます。
このため、事業の推進に当たっては、都が主導して安全管理を進める必要があると考えますが、見解を求めます。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 新宿グランドターミナルへの再編に当たりましては、工事を安全かつ円滑に推進するため、都が主体となり、民間開発事業者などと共に工事に関わる連絡会議を設置することとしております。
この中で、工事間の情報共有を図りながら、周辺街路も含めた車両交通や歩行者の影響検討を行い、安全な歩行者動線を確保するなど、安全対策の徹底を図ってまいります。
○古城委員 新宿は、東洋一の繁華街として、全国、全世界から注目されております。にぎわいがある、そして、そのこととともに安全・安心であることの一丁目一番地、それを皆様に感じ取っていただく場所は駅、ターミナルだと思います。だからこそ、新宿グランドターミナルに関係する工事について、ぜひとも都がリーダーシップを発揮して安全管理を徹底していただきたいということを求めさせていただきます。
さて、私は、東京二〇二〇大会にはバリアフリー先進都市を世界にアピールする意義があり、大会の開会式、閉会式等が行われた新国立競技場、オリンピックスタジアム周辺のバリアフリー化も国内外の関心が高いことを訴え、その整備促進に取り組んでまいりました。
JR新宿駅に関しましては、前期の都市整備委員会で、新宿グランドターミナルに向けた改良工事の工事工程に合わせて設置する予定であるとの答弁を得ているところでございます。
ここまで申し上げられなかった点も含めまして、新宿グランドターミナル、また、駅東西のまちづくりにつきましても、地元の都議会議員としてこれからも確認をさせていただきたいというふうに思います。
もとい、旅客のホームからの転落や列車との接触を防ぐのに有効な対策であり、かけがえのない命を守るホームドアについて、中でも、今から二十年前の一月にJR新大久保駅で発生した、線路に転落した男性を救おうとした日本人カメラマンと韓国人留学生が電車にはねられ、三人とも亡くなられた痛ましい事故を踏まえまして、公明党は、国、都や地元自治体、鉄道事業者に働きかけ、果たしてきた役割につきましては、先ほど中山理事から明言されたとおりでございまして、早期整備を訴えてきたところでございます。
そこで、本日は、新宿駅を通りますJR中央・総武線の大久保駅、飯田橋駅におけるホームドアの整備の予定をお尋ねします。
○江端地域公共交通担当部長 大久保駅につきましては、しあさって、十一月二十一日から供用開始の予定でございます。
飯田橋駅につきましては、現在整備中でございまして、来年夏頃供用開始と聞いております。
○古城委員 JR大久保駅のホームドアがいよいよ二十一日から供用されるということでありまして、既に工事も完了、設置がなされておりまして、地元の皆様から安心して駅を利用できるとの声が寄せられております。
他方、JR飯田橋駅は、都内全域から通学する生徒の皆さんが学ぶ都立文京盲学校の最寄り駅の一つであります。
都議会公明党は、平成二十九年の予算特別委員会で、盲学校に子供を通わせておられた一人の母親から寄せられた切実な声を紹介するとともに、独自に調査した盲学校の周辺駅の実態を示し、ホームドアの早期整備を迫りました。
それ以降の都の対応については、念のため、私からも申し上げておきたいと思いますが、これを受けて方針を転換して、令和元年九月に優先整備の考え方を公表、盲学校の最寄り駅等を含むホームドアの整備計画作成を鉄道事業者に求めたわけであります。そして、昨年度からは、事業者への設置補助制度について、対象を利用者十万人未満の駅にも広げ、一ホーム当たりの補助上限額も増額されております。
ホームドアの早期整備を求めてきた同校の校長先生は、見えない、見えにくい不安を抱えながら生徒たちは希望の進路を実現しようと学んでいる、その基盤となる通学の安全・安心を確保するためにホームドアの設置が必要だと強調されております。
都においても、着実に整備が成就するよう、求められる役割を果たしていただきたいと強く申し上げたいと思います。
関連して、飯田橋駅周辺における駅まち一体開発の推進について質問いたします。
過日の本委員会でも言及しましたが、JRと地下鉄四路線が結節するほか、幹線道路三路線が交差する交通の要衝である飯田橋駅周辺について、都は昨年九月、飯田橋駅周辺基盤再整備構想を取りまとめています。まず、その策定の経緯についてお尋ねいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 飯田橋駅周辺は、先生のお話のとおり、鉄道五路線が結節するなど交通の要衝である一方、鉄道駅や歩道橋、地下通路などの都市基盤は混雑しておりまして、歩行者にとって分かりにくく、バリアフリー動線にも課題がございます。
このため、都は、千代田、新宿、文京の三区や鉄道事業者と共に検討会を設立いたしまして、駅周辺のまちづくりとも連携した基盤の再整備の在り方について、昨年九月に再整備構想を取りまとめたところでございます。
○古城委員 重ねて申し上げる形になりまして大変恐縮ですけれども、過日の委員会では、駅前や沿道の老朽化した施設の機能更新と併せ、飯田橋駅からのバリアフリー動線を確保し、周辺との回遊性の高い歩行者ネットワークの形成や、地域の活性化とにぎわいの創出等を図るため、都と関係区が連携して駅周辺のまちづくりを着実に進めていくことを要望したところでありますけれども、都市基盤の再整備を一層推進すべきと考えます。
そこで、現在の取組状況と今後の進め方についてお尋ねします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 複数の都市開発と連携した一体的な都市基盤整備の実現に向けまして、計画内容やスケジュール、事業手法、役割分担、費用負担等につきまして、地元の区や鉄道事業者などと調整や合意形成を進める必要がございます。
このため、周辺の開発動向等を踏まえましたJR駅東口周辺の歩行者空間の拡充や、三区にまたがる飯田橋交差点横断歩道橋の機能強化などを図るため、まちづくりと連携した改良方策などについて検討を進めております。
引き続きまして、関係者と連携いたしながら再整備構想を具体化し、駅とまちが一体となった便利でにぎわいのある交通結節点の整備に取り組んでまいります。
○古城委員 答弁の中で方針が示された一つであります三区にまたがる飯田橋交差点横断歩道橋の機能強化について、一言申し上げたいと思います。
JR飯田橋駅東口から、先ほども申し上げた都立文京盲学校までのアクセス方法は、ホームページに、改札を出てからこの歩道橋を利用するルートが示されております。そして、この歩道橋における喫緊の課題は、昇降設備も含めたバリアフリー化にあります。歩道橋の利用が困難な高齢者やベビーカーを使用する子育て世代の方々からも往来が不便だとの声を数多く伺っておりまして、私は早期のエレベーター設置を都の関係各局に要望してまいりました。
これは、ただいまの答弁の結論部分でございましたけれども、飯田橋駅周辺における駅とまちが一体となった便利でにぎわいのある交通結節点の創出に不可欠であることから、基盤再整備構想の具体化、すなわち基盤再整備方針の策定を待たずに、これは、ぜひとも実現をさせていく必要があるのではないかと、やっていただきたいということをこの委員会の場、お借りしまして、申し上げさせていただきます。
最後のテーマといたしまして、外濠浄化プロジェクトでございます。
これまでも、先ほど来の私の申し上げてまいりましたところでも、歴代の都市整備局長の方々、都技監の方々にも、この外濠浄化プロジェクトについて様々方針をお示しいただいてきたわけでございますけれども、また、理事者の皆様との意見交換の中でも、例えば、かつて東京都の前身でございます東京市が発行いたしました東京市土木読本というものをお示しをして、ご存じですかということも少し投げかけさせていただきながら、もう上野都技監もよくご存じだと思いますし、また、小野部長も、もう三年ぐらい前から私申し上げているのでよくご存じだと思いますが、先人たちが、私たちの先輩たちが、太田道灌以来のその江戸城、また、家康公以来の徳川の時代、さらには明治期からの江戸東京のさらなる発展、そうしたことも踏まえて、江戸城の内堀、外堀、皇居の内堀、外堀の浄化を果たしていきたい、そういう思いが込められていたわけでございます。
私がこの東京市土木読本に込められたその先人たちの熱意を学ぶきっかけとなったのが、水文学の第一人者であります中央大学の山田正教授のお話でございました。
この十月、十一月と二回、玉川上水・分水網を生かした水循環都市東京連絡会、これは山田正先生が代表をお務めでございますけれども、その主催の講演会に参加をいたしまして、山田先生、さらには東京大学の同じく水文学の第一人者、権威であられる沖大幹教授など諸先生方の講演を拝聴し、意見交換する機会に恵まれたところでございます。
そして、私自身、何ゆえ外堀をはじめとする東京の水循環政策とグリーンインフラの構築に取り組むのか、このことを改めて思索をいたしました。
私の青春時代の学びやは、以前にも申し上げたことがありますが、武蔵野の面影を色濃く残し、緑豊かで、遠く富士山を望み、その通学路は玉川上水の清き流れに沿い、課外授業では、上流に当たる羽村の取水堰や小河内ダムも訪れております。こうした私自身の原体験、また、原風景とともに、四谷大木戸や外堀など地元新宿の各所が、かつて江戸の水循環の重要地点であったという歴史ロマンに駆られているからでもあるかもしれません。
また、SDGsの目標の中で申し上げますと、六や十一、十三、十四、十五とも密接に関わっておりまして、こうした目標達成への貢献も期待をされております。
都議会公明党が昭和四十二年、一九六七年に掲げた東京の未来構想、緑の森と噴水の中にそびえる高層都市大東京にうたう水と緑の回廊の実現に向けて、決意を新たにするところでございます。
そして、我が党は今、玉川上水の上流から隅田川まで河川水の導水で清流を復活させ、多摩地域から外堀、日本橋周辺まで水辺を楽しめる空間を創出する、水と緑あふれる豊かな都市東京を提言しております。また、常時通水することで消火用水の確保につながり、長期的には豊かな水辺空間の再生も期待される、このようにいわれております。
都は、これらを受けて、平成三十年に関係局による検討会を発足させ、さらに、外濠浄化プロジェクトとして未来の東京戦略に掲げ、外堀への導水に向けた取組を開始しております。
そこで、改めて外堀の水質改善について、外堀への導水に向けた現在の取組状況をお尋ねします。
○小野都市づくり政策部長 外堀への導水に向けては、現在、関係局が役割分担し、新たな導水路整備等に関する詳細調査を実施しており、年度内に基本計画の検討を進め、取りまとめを行ってまいります。
あわせて、多摩川からの通水の可能性も展望し、玉川上水中流域において、のり面における樹木の成長が進んでいることなどから、水量が増えた場合の、のり面への影響に関する調査を実施しております。
○古城委員 多摩川からの通水の可能性を展望し、玉川上水中流域において水量が増えた場合の、のり面への影響に関する調査を行っているとのことでありますけれども、これまで都議会公明党が議会質問を通じて答弁を得て、また、未来の東京戦略にも明示された玉川上水の構造物健全度調査について、具体的な調査検討内容をお尋ねします。
○小野都市づくり政策部長 玉川上水の構造物健全度調査につきましては、同上水の小平監視所から浅間橋の開削区間について現地踏査を行うとともに、玉川上水の構造に関する既存資料などの把握を行っております。それらを踏まえ、水量が増えた場合の、のり面への影響調査を行っているところでございます。
○古城委員 外濠浄化プロジェクトの進展によりまして、ただいま答弁でも確認させていただいた玉川上水の構造物健全度調査に着手されていることから、玉川上水の本線はもちろんのこと、その分水網、私はこれまで、この委員会では江戸時代に三十三あったと申し上げてきたんですが、幕末期には三十四であったそうでございます。この関連遺構は、全て玉川上水、多摩川へと連なる水のえにしであり、また、情報の絆でもあるとの視座に立つ大学、研究機関、さらに、市民、関係団体の方々の注目度が急速に高まっております。行政、大学、民間企業、市民の知見を集約して協働できる体制の確立を求める声も伺っております。
そして、この未来の東京戦略、大変野心的な戦略、ビジョンが掲げられているわけでございますけれども、先ほど来確認をさせていただいたとおり、一つ一つ着実に進めていかなければならないというふうにも考えてございます。
そうした中で、この未来の東京戦略には、外濠浄化プロジェクトについて次のような一文、多様な主体との協働に関する方策の検討ということが示されておりますけれども、この点について現在の検討状況をお尋ねします。
○小野都市づくり政策部長 外濠浄化プロジェクトにおいては、導水に向けた取組に合わせて、玉川上水の調査等の実施や多様な主体との協働に関する方策の検討を行うこととしております。
外堀をはじめ、玉川上水や多摩川においては、地元自治体による環境保全や史跡保全等の計画が策定されているとともに、様々な主体が環境保全活動を実施しており、現在それらの活動の目的や内容等の整理を行っております。
○古城委員 本年二月、先ほどもご紹介いたしました中央大学の山田正教授を代表とする玉川上水・分水網を生かした水循環都市東京連絡会から、東京都知事及び国土交通大臣宛ての要望書が提出されております。ここでは、玉川上水、外堀、日本橋川等を玉川上水系として一体的に捉え、外濠浄化プロジェクトを誠に時宜を得たプロジェクトと評価されております。
その上で、玉川上水系の清流復活について、水や緑豊かな環境的な側面に加え、緊急時の飲料水の確保など防災機能でも重要であると強調し、玉川上水系の整備や利活用等に関する中長期的なビジョンの策定を求めているほか、試験的な通水の実施や、試験通水に関連する河川の流れの状況改善、緊急水利の配慮を要望しております。
るる申し上げてまいりましたけれども、これらを踏まえ、外堀や日本橋川の水質改善に向けて真摯に取り組むべきと考えますが、都技監の決意をお尋ねいたします。
○上野東京都技監 多様な魅力にあふれた美しい東京の実現に向け、本年三月に策定いたしました未来の東京戦略におきまして水と緑あふれる東京戦略を掲げ、外堀につきましては、多摩川から水を引き、かつての玉川上水の姿をよみがえらせる可能性を展望しながら、まずは外堀の浄化を進めることとしております。
外堀の浄化に向けては、水源、水量の確保や導水路の整備手順を示すとともに、玉川上水の構造物調査など、プロジェクトの具体的な展開を盛り込んでおります。また、プロジェクトの推進に伴い、下流の日本橋川などの水質改善にも一定の効果があると見込んでおるところでございます。
水の都にふさわしい、まちに潤いを与える東京を実現するために、国や地元区とも協議するなど連携を図りながら、歴史的財産である外堀の水質改善を進め、都心で働く方々に癒やしの場を提供するとともに、品格ある景観の形成により、地域全体の活性化を図ってまいります。
○古城委員 上野都技監を先頭に、都市整備局の皆様のご尽力によって外濠浄化プロジェクトが着実に進展しているということに敬意を表するものでございます。
また、今、技監のご答弁の中で、品格ある景観の形成により、地域全体の活性化を図っていくという方針を改めてお示しをいただきましたけれども、単純に外堀に再び通水、導水をすればいい、それで終わりなんだということではなくて、そのことによって、沿川、各区市、また、外堀周辺、さらには日本橋、こうした、東京の魅力あふれる多摩から都心部にかけてのそうした魅力を、多くの方々に足を運んでいただいて、そして実際に見ていただいて、体感、体験をしていただくというところに、今ご答弁いただいたところ、私はそのように感じた次第でございます。
これからは、国や関係自治体との協議、また、有識者や多様な主体との連携がいや増して重要であり、都市整備局のリーダーシップによる庁内関係局のスクラムが、そのかすがいになると確信をいたします。
冒頭、私の本日の質疑のテーマとして、新宿からの未来の東京を展望した強靱な、レジリエントな取組ということは、新宿グランドターミナルもまたしかり、そして今確認をさせていただいた外堀、そして玉川上水も含めた外濠浄化プロジェクトの中で、しっかりと、そうした期待であったり、また、なかなか、一度マイナスに転じたものを元へ戻していく、大変難しいところではありますけれども、一方でポジティブな部分、プラスな部分、そこをぜひともこの外濠浄化プロジェクトに見いだして、新宿、また、東京のこれからの大きな希望となることを期待したいというふうに思います。
さらに、もう一言だけ。玉川上水と、その分水網や外堀、日本橋川等を中心とする玉川上水系、また、さらに大きく見まして、玉川上水域から考察される自然の力と歴史的な資産の活用による身近な水循環の再生への期待ということも併せて申し上げまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○原田委員 事務事業質疑、させていただきます。
まず、総合治水対策についてお聞きします。
杉並で一時間当たり百十ミリとも百二十ミリともいわれる豪雨を記録した二〇〇五年の大豪雨を受け、東京都は豪雨対策基本方針を策定いたしました。
現在、区部でいえば一時間当たり七十五ミリの豪雨対策として、河川の拡幅、下水の整備等により五十ミリ、調節池等により十五ミリ、そして、今日お聞きする流域対策、総合治水対策等によって十ミリの対策を取ることが各自治体に求められています。
この総合治水対策は、雨水の流出抑制が柱であって、それは雨水浸透ますや浸透トレンチ管、透水性舗装などが含まれますが、これらはそもそも雨水を直接下水に流し込むのではなく、地下に浸透させる対策となっていると。瞬間的な豪雨が下水に流れ込むのにタイムラグをつくり出し、下水や河川の圧力を和らげる可能性を持つと同時に、地下水の涵養、さらにはヒートアイランド現象の緩和にも役立つといわれ、これから都が本気を傾けるべき施策だと私は常々訴えてまいりました。
東京都は、流域対策として各自治体に対策量を割り当てると同時に、自治体の施策に対しては、一時貯留施設等の設置に係る実施計画策定委託費及び工事費補助制度をつくり、支援してきました。この網にかからない対策量は、全部各自治体は自腹です。
こうして支援をしてきたわけですけれども、しかし、なかなかこの制度は実績が上がらない状況が続き、各自治体の総合治水対策も率直にいって進んでこなかったのが実態だと感じています。
私は、都議会での最初の一般質問でこの問題を取り上げ、その後、制度の改善が図られてきました。
そこで、一時貯留施設等の設置に係る補助金について、その目的と意義、この間の補助条件緩和の経緯と成果について伺います。
○江端地域公共交通担当部長 都は、総合的な治水対策の一環として、雨水流出抑制のため、区市町が学校や公園などの公共施設に一時貯留施設等を設置する場合の対策費用に対して補助を行っており、これにより、流域対策の促進が可能となります。
補助対象施設の規模要件につきましては、平成三十年度に三百立方メートル以上としていたものを百立方メートル以上に変更し、令和二年度には補助対象施設の規模要件を撤廃いたしました。
平成三十年度以降、二十一件の工事について補助金の交付または交付の決定をしており、そのうち三件が百立方メートル以上三百立方メートル未満の工事、一件が百立方メートル未満の工事であり、こうした補助などにより、流域対策が促進されております。
○原田委員 制度の改善、ご努力に感謝申し上げます。この間、制度をもっと利用してもらおう、総合治水対策に各自治体が取り組めるように支援しようと努力してきたことがよく分かりました。
そこで気になったのは、答弁で、学校や公園などの公共施設に一時貯留施設等を設置する場合の対策費用に補助するという一文です。
例えば透水性舗装などは、学校や公園に面しているかを問うていたら整備などできません。透水性舗装については、学校や公園など公共施設に面していなくとも補助の対象になると理解して構わないか、確認します。
○江端地域公共交通担当部長 お尋ねの透水性舗装につきましては、それ自体が一時貯留施設等でございまして、学校や公園などの公共施設に面している、いないにかかわらず、一時貯留施設等の設置に係る補助の対象となっております。
○原田委員 これ、トン数の制限が令和二年度で撤廃されたことによってこういうことが可能になったわけですよね。
この制度、かなり改善が進んできて、もっと利用されてもよさそうなものなんですけれども、もうちょっと、十ミリといわず十五ミリ、二十ミリと、浸透施策による雨水流出抑制、進んでいったっていいんじゃないかと私は思うんですけれども、制度への苦手意識や、時として誤解も含まれているんではないかなと思われるわけです。
特に、この間制度変わってきましたので、今の透水性舗装、何かと一緒にセットじゃなきゃいけないんじゃないかという勘違いも私、あるんじゃないかと思うんですね、自治体の方としては。どこでもぱぱっと補助してもらえるということを知らないんじゃないかとか。
そこでお聞きしますが、一時貯留施設等の設置に係る対策費用の補助の実績数が上がっていない理由について、自治体の声も聞いていると思いますが、どのような意見が上がっているか伺います。
○江端地域公共交通担当部長 補助対象となる区市からは、この補助を活用して流域対策を進めたいという意見を聞いており、これまでも、区市からの補助申請については十分に対応してきております。
なお、都は、東京都総合治水対策協議会などを通じ、本補助の活用方法等について情報提供をしております。
○原田委員 補助対象となってきた自治体は、当然この制度を活用して流域対策を進めたいというふうに答えるだろうと思いますが、まあちょっと、いささか胸を張り過ぎた答弁かなと。やっぱりこの制度を活用する自治体が限られているんですよね、数自治体に。
ただ、活用した自治体は手放さないといいますか、毎年のように申請を出してくるわけです。一昨年の補助対象自治体は四区市、五件の補助、昨年も四区市、五件補助と、あまりにも少数です。使い勝手が悪いと感じている自治体からこそ話をよく聞いて、制度の改善に生かすべきだと思うわけですね。
この制度の使い勝手という点で気になるのは、実施計画の策定と提出です。
例えば透水性舗装は、大体一年間にどれくらい舗装するかを自治体というのは決めてあるんですけれども、年度の初めにどこで工事をするということは、透水性舗装の場合、決まってはいないわけなんですね。
そこでお聞きしますが、各自治体の透水性舗装など雨水浸透策は、小規模な工事を多数行うことで年度の終わりまでに多くの実績を積み上げています。本制度は、年度初めに策定した実施計画を基に自治体に補助をする仕組みとなっているため、年度途中で積み上げられていく工事に補助ができないのではないかと。制度のさらなる改善を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○江端地域公共交通担当部長 本補助金は、区市町からの交付の申請を受けまして補助金の交付を決定しております。その後、年度の途中に工事の追加等が生じた場合には、交付決定額の変更の申請を受け付けることで交付金額を変更しております。
このため、ご指摘の観点からの制度の変更については考えてございません。
○原田委員 つまり、今の答弁からすると、年度の途中の申請も事実上受けられると。予算さえあれば、都も自治体からの申請を受けることができるということだと。
私も調べてみて分かったんですが、実施計画というのも毎年出すのではなく、数か年分のものを出したらあとは出す必要はなく、補助金の申請自体は、工事の領収書を貼って、ルールに基づいて補助額を記載するだけなど、複雑とはいえない申請書でありました。もっと各自治体に申請してもらえるように、予算の枠を増やさないといけないなというふうに感じています。
また、そもそも補助額の上限が対策量一立方メートル当たり−−一トンですよね、つまり。水一トンを吸い込む雨水浸透策に対して三万一千円が上限とされていることは最大のネックです。一トンの水を飲み込む透水性舗装といったら、これ大変な面積が必要で、それに三万ちょっとしか出ないと分かれば、この補助制度の魅力は急速にしぼむことになります。
それでも、一度この制度を使った自治体は手放さないと。毎年のように申請出してくるわけですから、ぜひともこの上限については抜本的に見直すことなど提言をして、次の質問に移ります。
組合施行再開発事業についてお聞きします。
現在、各地の組合施行再開発事業で争いが絶えません。
大問題として私がこの間取り上げたのは、二〇〇五年三月から始まった日本橋二丁目再開発計画です。当初から地権者の間で賛否が激しく対立。そのような中、再開発区域内のたった八十平米ほどの土地に突如三十社ほどの借地権者が登場し、拮抗していたはずの地権者数は一気に賛成に偏ることとなります。しかし、この三十社に及ぶ二つの合同会社は、本組合が設立されて新築工事が着工してすぐに解散して、その土地の権利は最終的に全て三井不動産が購入しています。
この日本橋高島屋の分筆問題がマスコミにも取り上げられ、二〇一二年に裁判沙汰となると。東京都も一部の地権者から訴えられ、控訴審の中、三井不動産も参加して和解をすることになります。原告に金銭を支払ったと報道されていますが、内実は分かりません。
この問題について都市計画審議会では、私が分筆による合意率増加の手法についてどのような見解を持っているのかと聞いたことに対し、都は、国に対して、認可申請前に宅地の小割、分割を行っても、同意対象人数が−−同意率ですよね、増えないような算定の方法とするなど、人数、同意要件の算定方法の見直しを行うよう提案要求を実施しているとの答弁をいただきました。都としても問題を認識し、改善を国に求めていたことが分かったのは、このときの質疑で重要でした。
その都市計画審議会に付議されていた虎ノ門一丁目東地区においても、再開発地区内の土地が幾つかの狭隘な土地に分筆されていました。その分筆によって、港区が定める再開発の合意率八〇%が達成することになっていたんですね。
本来、適切なまちづくりを進めるはずの再開発事業手続が住民のなれ親しんだまちを破壊し、民主主義を脅かすようなまち壊しの手段と化してしまっていると。
現在、中野区では、ディベロッパーと住民の対立が深刻な段階に来ています。中野四丁目西地区では、約一・三ヘクタールにある建物を壊し、高さ約百六十五メートルのタワーマンションを建てる構想が進められていますが、ある地権者は新聞紙上で、各地権者がどのくらいの広さの床を確保できるか不透明と語り、アパート経営の地権者は、タワマンは修繕積立金や管理費などの負担も重いはずだ、そうした点をディベロッパーに聞いても満足のいく説明がない、そう訴えています。
こうして地権者の声が上がる中、東急不動産ほかが加わる準備組合は、二〇二〇年、去年の九月、コロナ禍にもかかわらず臨時総会を開き、再開発を進めるかを採決。現場には十名しか参加していなかったため、欠席者の議決権行使書の、まあ委任状みたいなものですかね、情報公開を求めたものの、それは個人情報を盾に確認すらできず、再開発を進めるんだと採決をされてしまったわけです。現在、この決議の効力をめぐり裁判中です。
さらに、中野区囲町東という地域では、組合施行再開発事業自体に反対ではないものの、権利変換の際の土地の価額鑑定に、土地の価格の鑑定に問題があるのではないかと、話合いの進め方にも重大な問題があると声が上がっています。
具体的には、明らかに近隣の土地の価値からして低く抑えられた価額となっているとの指摘です。地権者への情報の開示も不十分であるなど、およそ自治体も関わる再開発とはいえない状況となっています。
再開発組合の設立認可申請に対して異議を唱える少なからずの地権者がいたにもかかわらず、組合設立認可が東京都によって行われたのは、先ほど示した中野四丁目西地区の臨時総会が開かれた同じ月である九月でした。組合設立に反対する地権者らは、組合設立を認可した都市整備局の決定に問題があるとして行政不服審査請求を提出。現在、審査庁たる総務局訟務担当により審査をされている最中であります。
それゆえ、今回は一般論としてお聞きします。
まず、組合施行市街地再開発事業において権利変換計画の策定が定められていますが、その意義や目的を示していただきたい。
○鈴木防災都市づくり担当部長 権利変換計画は、災害を防止し、衛生を向上し、その他居住条件を改善するとともに、施設建築物、施設建築敷地等の合理的利用を図るように定めなければならないとされており、施行地区内の土地所有権等の従前の権利を従後の施設建築物の一部、いわゆる権利床に置き換えるための計画でございます。
この計画の作成によって、権利者に与えられる権利床の位置や床面積等が明確になります。
○原田委員 あくまでも権利変換は、良好なまちづくりに寄与するとともに、地権者の財産がどのように確保されるのかを明らかにするよう定められているということを認識します。
しかし、実際は、組合施行再開発事業においては、とかく全体の資産の動きが見えにくくされてしまいまして、ディベロッパーが事業協力者として一体どれだけの保留床を確保し、幾らのもうけを得るのか、闇に包まれているのが実態です。そうした闇をつくらせないために最も重要になる局面が権利変換計画の策定ですが、逆に再開発事業の闇をつくり出してきたのがこの権利変換です。
そこでお聞きします。
権利変換計画においては等価の原則が都市再開発法上定められていますが、その理由は何であると認識していますか。
○鈴木防災都市づくり担当部長 法によれば、関係権利者間の利害の公平に十分の考慮を払う必要があることから、等価の原則となっております。
○原田委員 宅地等の価格の算定基準はどのように規定をされているのか伺います。
また、その具体的な価格については、組合の合意に基づいていることは前提として、その土地の周辺の開発状況や不動産鑑定士によっても違ってくると考えて間違いありませんか。
○鈴木防災都市づくり担当部長 権利変換計画を定める際の施行地区内の従前の宅地等の価格算定については、法に基づく算定基準により、近傍類似の土地、近傍同種の建築物またはそれらに関する借地権などの権利の取引価格等を考慮して定めるものとされております。
また、不動産鑑定士は、国土交通省が定めた不動産鑑定評価基準等に基づき、その時点の土地などの価格を適正に算定しております。
○原田委員 一般の地権者らは、等価交換の原則により、巨大な再開発ビルが建とうとも等価交換が求められます。これにより、過剰な環境負荷や無秩序な開発を抑制する機能も備わるんだと、開発に対して、そのようにも思うところです。
ところが、昨今の再開発がまさに無秩序で無謀な将来設計がまかり通ってしまうのは、ディベロッパーだけは事業協力者として上限のない保留床売却による利益が許されている、そこに原因があると思います。その中で納得のいかない権利変換を押しつけられる人が少なくありません。
自分の財産の行く末が見えてくる権利変換の場面、それに先立つ準備組合から組合設立申請の瞬間、ここで行政がしっかりと、住民本位の計画であるのか、まちづくりにとって本当に適切な方向性が打ち出されているのかを判断し、時として、ディベロッパーによる訴訟という事態にもひるむことなく、毅然としたまちづくりの門番として、住民の防波堤として、金が主人公となるようなまちづくり、再開発事業に立ちはだかることこそ都市整備局の本来の務めなんだということを指摘し、次の質疑に移らせていただきます。
南山東部土地区画整理事業について。
今年七月三日に起きた熱海市伊豆山の土石流被害は、二十六人の方が亡くなりました。この事故を受けて、国は全国の盛土の総点検をすることを決め、現在東京都でも作業が進められているところです。
まずお聞きしますが、熱海市の土石流災害を踏まえて行われている盛土の総点検について、到達状況を教えてください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 七月の熱海市における土石流災害を踏まえ、都は、土地利用の規制等に関する法律や条例を所管する四局が連携して、盛土による災害防止に向けた総点検を実施しております。
具体的には、土砂災害警戒区域や山地災害危険地区の上流域、大規模盛土造成地等にある盛土約千六百か所を対象とし、区市町村などの関係機関と連携し、必要な措置の実施状況について点検を行っているところでございます。
今後、年内を目途に点検結果の暫定的な取りまとめを実施する予定となっております。
○原田委員 細大漏らさず、しっかり点検していただきたいと思います。
熱海市の事故を受けて、私たち日本共産党都議団には、都内各地から、自分のところの盛土は大丈夫だろうかと、そういう声が次々と寄せられています。
そのうちの一つ、よみうりランドのすぐ近く、稲城市の南山東部土地区画整理事業の大規模な盛土についてお聞きします。
同事業のうち、ランド谷戸の盛土は高さ三十八メートル、盛土量七十万立方メートル。熱海の土砂崩れで落ちた土量は五万五千立方メートル。このランド谷戸だけで盛土七十万立方メートル、根方谷戸の方は盛土の高さ四十八メートル、盛土量が百万立方メートル。いずれも、文字どおり大規模盛土工事であります。
本当に、想像していただきたいと思うんです。この盛土の下に住宅もマンションもあったりするんですよね。自分のところから見上げて、三十八メートルとか四十八メートルの盛土の山がうずたかく積まれて、それが平場に置かれているわけじゃないんですよね。これが、谷戸といって斜めになっている、どんどんどんどん山に登っていく斜面のところにその超大量の土砂が載っけられているわけです。これがずずずっと落ちてこないようにいろんな対策を施さなきゃいけないわけですね。
現在、根方谷戸の上方に位置するよみうりランド側から工事現場を眺めると、積み上がる予定の盛土の規模に圧倒されます。これがもし崩れて京王線方面まで土砂が流れ下ったらとつい想像してしまう、極めて大規模なものです。もう本当に局長、見に行っていただきたいなと。これは本当に大丈夫なのかと心配になります。
南山東部土地区画整理事業におけるランド谷戸、根方谷戸の盛土工事は上記点検の対象になるかどうか、対象とならない場合、理由を教えてください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 ランド谷戸及び根方谷戸の盛土を含め、南山東部地区につきましては、宅地造成等規制法の法規制区域内であることから、法令の技術的基準に基づき安全性を確認した上で許可をしているところであり、事業者の組合はその許可に基づき施工を行っております。
国によれば、今回の盛土総点検は、宅造許可を受けたものについては、完了検査済みの宅地で、土砂災害警戒区域の土石流の上流域などの重点点検エリア内にあるものを対象としており、両地区は重点点検エリア内に入っていないことから、点検の対象にはなっておりません。
○原田委員 これからの質問ですけれども、極めて重要なんですが、分かりにくい専門用語が飛び交う質問になりますので、どうぞしっかり答えていただきたいと思います。
今回の国の総点検の方針に照らせば、対象にならないということでした。しかし、現地では、あるマンションがこのランド谷戸、根方谷戸の二つの巨大盛土に挟まれることになるなど、住民から強い不安の声が上がっています。後ほど質疑しますが、都は点検対象を必ずしも国の方針の範囲にとどめているわけではありませんよね。ぜひ、住民や地元自治体の声に応えて、できる限り対象を広く取ることを求めます。
住民の皆さんが本工事に不安を覚える根拠の一つに、実は東京都自身がこの南山地区の盛土工事についてかなり詳細な疑問点を挙げていたということがあります。
同事業のうち、特に根方谷戸に係る保安林の指定があったわけですけど、その保安林の指定を解除するに当たって、二〇一五年七月、その作業に当たっている当時の産業労働局長から都市整備局長宛てに、何と二十七点にわたる疑問点の照会が行われ、同八月、回答がなされています。
私も、形式的な産労局と都市整備局のやり取りぐらいかなと思っていましたが、読んでみると、産労局は明らかにこの事業に対する不信感を漂わせているといいますかね、都市整備局がなぜこれ認可を相当と判断をしているのかしっかりと聞きたいと、真摯に聞く内容となっていました。
その中から幾つかの点について、改めて質問します。
産労局の質問6、軟弱地盤の強化対策について、事業者は盛土への地下水の影響があることを認めており、産業労働局はこの点とサンドコンパクションパイル工法との関係、矛盾について事業者に質問していますが、的確な回答はなかったと産労局、判断しているわけです。
都市整備局の回答6も、この点について十分回答していないんじゃないかなと思うんですがいかがでしょう。
○鈴木防災都市づくり担当部長 本件は、南山東部地区におきまして事業者から申請のあった保安林の解除について、宅地造成等規制法を所管する都市整備局が産業労働局から技術的な見解を求められたものでございます。
都市整備局からは、サンドコンパクションパイル工法において採用している砂杭方式の使用について、盛土部の安全上の問題は心配ない旨を回答しております。
○原田委員 ですから、その安全上の問題がないということについて、何で安全といえるのかを詳しく聞きたいわけですが、それは産労局も聞きたがっていると思いますけど、当時ね。何ら答えていないわけです、今の答弁も。安全だと判断したという答弁でした。根拠が見えない。
大規模盛土の地震時の検討についてお聞きします。
事業者が盛土の安定計算には設計水平震度〇・二五、四百から五百ガル相当を用いているのに、液状化の安全性の確認の計算には三百五十ガルを用いていることは、基準に照らして問題ないとしても、実際上は矛盾があるのではないか、お答えください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 事業者は、法令に基づき、当局が定めている審査基準にのっとり盛土の安定計算を行い、安定性を確認しております。液状化の安全性につきましても、建築基礎構造設計指針に基づき確認しております。
盛土の安定性、液状化の安全性は、それぞれの基準等に基づき、事業者が適正に検証を行っております。
○原田委員 要するに、三百五十ガルの基準でも、阪神・淡路大震災クラスの震災を想定したものであって、液状化の対応としては十分だというふうに答弁をしたわけですね。
しかし、一方で、地震時の盛土の安定計算には、四百から五百ガル相当でこの盛土は計算をされて造られていると。大丈夫なのかい、この差はという疑問がまだ残るんですよね。
産労局の質問10、(6)、恒久雨水調節池の余水対策について、都市整備局の回答10、(6)で、調節池に流入しない雨水については道路勾配に沿って地区外に流出するとあるが、雨量によっては問題になるんじゃないのかと、ほかにもう、どんどんと流れ出ちゃうんじゃないかと、下のまちに。
また、事業計画の第五回の変更において、調節池施設が地下式貯留池三か所、掘り込み式貯留池二か所から、掘り込み式調節池四か所に変更されていますが、これはなぜか。
○鈴木防災都市づくり担当部長 調整池を含めた当地区における排水施設につきましては、必要な技術基準に基づき関係機関とも協議した上で計画等が決定されており、十分な流下能力を確保していることから問題はありません。
調整池の箇所数につきましてですが、全体の施設計画の変更に伴い、三か所の地下式調整池を二か所の掘り込み式調整池に集約したものでございます。
○原田委員 本当に難しいやり取りになって恐縮ですけれども、産労局への当時の回答を超えておらず、全く不安が払拭できないわけなんです。
貯留池施設は一時間当たり七十五ミリの降雨強度を想定して設計されており、また、貯留池の数は減りましたが、容量は確保しているんだと。また、貯留池に入り切らずに流れ出る雨水についても十分対応できるんだという答弁でありました。
都市整備局に対する産業労働局の質問、二十七問あって、都市整備局は当時回答しているわけなんですが、今日はそれを深めてお聞きしたかったんですけれども、どうしても当時の回答の域を全く出ない答弁で、率直にいって失望しました。むしろ姿勢は後退しているとも感じるわけで、住民はますます不安感を増すんじゃないでしょうか。
二十七問の全てについて、住民の皆さんに分かりやすく都市整備局がきちんと説明することを求めておきます。
一旦、産業労働局の質問から離れますが、工事に対する疑問点、解明していくという点で、二〇〇七年六月の同事業造成工事検討委員会答申書というものでは、施工に当たって、本検討委員会の答申が確実に反映されていることや、答申した定数等が満たされているかを確認することを目的として第三者的な機関を設置し、施工管理、計測管理を行っていくこととありますが、これどのように具体化されているかお答えください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 造成工事検討委員会答申に基づき第三者委員会が組合により設置されており、工事の進捗に応じて答申の内容が履行されているかについて確認しております。
○原田委員 組合により第三者委員会を設置するまでは百歩譲ってしようがないとしても、その内容が見えなかったら本当に第三者委員会なのかという話にもなるわけで、ぜひこの第三者委員会の報告を住民の皆さんにも見られるようにしていただきたいと、それを都からも組合に対して働きかけていただきたいと思います。
本当に、排水だとかいろんなことが大丈夫なのかって問われているんですから、大丈夫ですと資料を出してもらわないと安心できないわけですよね。
産業労働局の質問に戻ります。
質問12、大規模盛土上部平場の土地利用について、建築物の基礎掘削の際に集水ドレーンを分断破壊することが想定されるという質問に対し、造成完了後には基本的にその役割は完了し、影響はないと都市整備局は産労局に回答しているんですけど、では、造成完了後のこの部分の排水機能をどのように担保されるのか教えてください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 造成完了後の雨水排水対策につきましては、宅地造成に関する工事の技術的基準に基づき適切に計画されております。
○原田委員 ただ適切に計画されているからといわれて、納得がいくわけがないわけですよね。だから産労局も質問を投げかけているわけです。どうやって適切に計画されているのか、それを聞きたいわけですよね。
七十万立方メートルの土、百万立方メートルの土が斜面に向かってずうっとうずたかく三十八メートル、四十八メートルと、どんどんと積まれているわけです。その盛土の中に排水機能がしっかりとされていなくて、盛土の中を縦横無尽に雨水だとか地下水が流れちゃったら、これ大変なことになるわけですよ。その排水機能について真摯に質問をしているのに、適切に計画されているので安全と判断しましたといって、誰がそれで安心をするわけですか。
続けて聞きますけれども、南山東部地区において稲城市は、野村不動産と協議書を交わした組合に依頼され、民有地を含む盛土全体の管理を将来にわたって責任を負うこととしましたが、ほかの大規模盛土造成地でも、通例このように自治体が盛土の管理を行うものなのか、お聞かせください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 ご指摘のありました稲城市が民有地を含む盛土全体の管理を将来にわたって責任を負うという内容は、事実ではございません。
○原田委員 将来にわたって市が責任をという内容は事実ではないと答弁をされたんですが、しかし、都市整備局自身が産業労働局の大規模盛土の安定について質問をしているのに回答して、例えば質問7の(7)のように、また、盛土の維持管理については、将来管理者となる稲城市が責任を持って行うこととなりますと、盛土の安定について、都市整備局自身がそう答えているんですよね。
これ、こういう答弁が今日こうやって出てきて、やってもすごい細かい話でしょうからね、この後の議論に譲りますけれども、はっきりといっているわけですよ、盛土の維持管理については将来管理者となる稲城市が−−自治体がですよ、ディベロッパーが開発してやるのに、責任を持って自治体が行うことになるんだと回答しているわけで、この矛盾はおいおい聞いていきたいと思います。
ただ、確かに、こういう事実を示して聞けばよかったなと思いますので、改めてちょっとお聞きしたいんですけれども、こういう聞き方で聞けば出てくるかなと思うんですけど、盛土の補修について、土地所有者の指導監督を担うよう依頼をされていますけれども、市がね。他の大規模盛土造成地でも通例、自治体がこのような指導監督を行うものなのかという質問だったらどう答えますか。
○鈴木防災都市づくり担当部長 宅地造成工事規制区域内におきましては、宅地造成等規制法に基づき、宅地の所有者、管理者または占有者は、災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するよう努めていくこととされており、官民の区分に従って適切に管理していくこととなります。
○原田委員 やっぱり、指導監督という言葉に直せば、官も入ってくることになるんですよと。将来にわたってこの盛土の管理を指導監督していかなきゃいけないという答弁が出てきたわけです。
現地からは、今後、盛土上部に住宅など建築物が建てられた際、排水施設を損傷する可能性もあるんじゃないんですかと、そうした場合、民有地についても市がその修復に責任を負うんですかという疑問が出されているわけなんですね。
組合と野村不動産の協議書や、組合の稲城市に対する依頼書を見ると、一応、盛土の補修自体は保留地購入者が行うと。その指導監督を市が組合から引き継ぐ−−先ほどの答弁ですね、となっているので、直接、市が盛土の補修を行うわけではないように見えます。しかし、その実態については今後よく注視していく必要があるなというふうに考えています。
とにかく後先考えずに超巨大な盛土を、どんどん造成地を造って、その先はどうなるかは知りませんなんてことになったら、それを東京都もばんばんと認可していくなんてことになったら、本当に熱海のような事故が官製でこれから起きていくことになってしまうわけですよ。気をつけなきゃいけない。
同事業への都補助金について、事業認可当初と直近の額を教えてください。その差額の理由を教えてください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 平成十八年四月の認可当初に見込んでいた都補助金は、総額約四十七億円となっております。
直近では、令和二年三月に七回目の事業計画変更を行っており、変更後の事業計画では、都の補助金は総額約百五十二億円を見込んでおります。
主な増額要因は、地盤調査に基づくトンネルの補助工法の追加などによるものでございます。
○原田委員 驚きますよね。ディベロッパーとこの組合でやっていく工事に、なぜ税金が百五十二億円出されていかなきゃいけないのかと。しかも、この盛土造成地ができた後の排水機能などの安全性についても、官も、まあ確かに加わってくれなきゃ怖いよなと思うんですけど、どっちがいいのか分からないですけど、それについても官は関わっていかなきゃいけないと。東京都も多額の補助を行って進められている事業だということなわけです。その意味でも、まずしっかり住民への説明責任、果たさなければいけないということを指摘したい。
産業労働局の質問では、ほかにも質問7、(8)、大規模盛土内の排水施設について、稲城砂と関東ローム層の互層盛土をブランケット層に平面的に、平行に積み上げられていく計画について施工の実現性を質問していて、都市整備局は許可相当と答えています。
水を通す層と、水を通しにくい層とか、いろんなものをミルフィーユの状態でやって地盤を強化するんだと。それについてこんなことできるのかというふうに疑問を持っているわけですね。それについて、都市整備局は認可相当と答えている。
では、実際の施工状況についてどのように確認されているのか気になります。そういうこともありますから、やはり本工事の大規模盛土をきちんと総点検の対象に加えることを重ねてこれは要求しておきたいと思います。
最後にもう一つ、盛土の安全性に関して、私たちに寄せられている件について質問します。
日の出町の日の出団地造成地の盛土部分について、二〇一九年の台風十九号の際、土砂崩れがあり、都は町の要請を受けてボーリング調査を行っています。地元では、この盛土につながる別の箇所についても同様の調査を望んでいます。
今回、国の盛土総点検の方針は、熱海の事故を踏まえ、二〇〇〇年以降に造成された盛土について点検対象としているわけですね。この日の出町の盛土は二〇〇〇年より以前に造成された盛土なんですが、町からは、今回の盛土の総点検に当たり、対象として都に報告されていると聞いています。今回の総点検の対象になっていると。
地元自治体などから報告、依頼があった場合、二〇〇〇年より以前の盛土についても総点検の対象に加えるべきではないか、お聞かせください。
○鈴木防災都市づくり担当部長 地元自治体などから依頼があった盛土につきましては、二〇〇〇年以前の造成であっても、総点検の対象としております。
○原田委員 極めて重要な答弁です。ぜひ積極的に対象を広く取って点検を進めていただきたいと思います。
盛土造成地の問題は、これまでも少なからずの被害を住民の暮らしと自然環境にもたらしてきました。この間の盛土造成、そして残土ビジネスに対する世論が高まってきた中で起きた熱海の事件、二十六人が亡くなりました。大げさにいうわけじゃありません。亡くなった人たちの、そのご家族、友人の無念を晴らさなきゃいけないし、壊され続ける自然環境を守るためにも、盛土や宅地造成、残土ビジネスを取り締まる東京都の本気の姿勢を見せなければならないときだと強く指摘をしまして、私の事務事業質疑、終わらせていただきます。
○柴崎委員 私からは、屋外広告物についてお伺いをしたいと思います。
まず、この屋外広告物、公道ですとかガードレールあるいは電柱等、公共施設に置かれた看板ですとか、明らかに条例違反と分かるような広告物など、良好な景観形成には大変不具合であります。こうした広告物が歩行者にとりましても大変邪魔になる、こういったケースも多々ございます。
こうした中で、看板が道路にはみ出して営業している事業者が以前はあったこともありますが、最近ではそういった事業者、店舗はほとんど見かけない状況にあります。
地元の商店街を通りましても、商店街の看板を見ますと、全て、店舗はルールを守って看板を出されております。たまに、新しく出店された店舗がルールに反した看板を設置している場合などは、商店街の中でそれぞれ注意をし合って、お互いにこういうことをなくそうというようなご努力もされているようでございます。
しかしながら、それでも違反する事業者、これはまた後を絶たないということもございます。このルールに反する違反広告物、こういうものに対してはどのように対応されているのか、都の取組をまず伺いたいと思います。
○中山景観・プロジェクト担当部長 景観を損ね、通行の妨げとなるなどの問題を生じる電柱の貼り紙や道路上に放置された立て看板などの違反広告物については、実施主体である区市等と連携して、毎年度、除却などの対策を進めております。
今年度についても、九月から十月にかけて道路管理者や地元の町会などと地域で一斉に違反広告物を除却する共同キャンペーンを行うとともに、来年三月の東京マラソンの開催に合わせて、コース沿道の捨て看板等の共同除却に取り組む予定でございます。
また、ホームページや屋外広告物講習会などの場を活用し、屋外広告物のルールについて幅広く周知を行うなど、違反広告物対策の強化を図っております。
○柴崎委員 今答弁いただきました。違反されているものというのは、やはりほとんどが電柱あるいはそういった公共施設に設置をされた屋外広告物のようであります。
特に、悪質な違反広告物に対しましては、ぜひ地元の区市町村と連携を図って、しっかりとした厳しい対策を講じていただきたい、この点は強く要望していきたいと思います。
次に、まち中で壁面に設置されていたり、あるいは屋上に設置されている老朽化した看板、これもやはり見かけることがございます。こうした看板は、落下してしまいますともちろん大変危険でありますし、これが大変な大きな事故につながってしまうということもあるわけでございます。
また、都内でも過去にこうした事故が発生しているということをお聞きしておりますが、都は、こうした看板の安全確保につきましてどのような対策を講じているのか、この点について所見を伺いたいと思います。
○中山景観・プロジェクト担当部長 都は、屋外広告物条例に基づき、広告主や広告物の設置者に対し、屋外広告物について補修その他必要な管理を行い、良好な状態に保持することを義務づけています。
また、高さが四メートルを超えるなど一定規模以上の広告物については、建築士の資格等を有する屋外広告物管理者を置くことや、屋外広告物の変更または継続の許可を受ける場合には、主要部材や取付部分の変形または腐食の有無など安全管理について自己点検を行い、都または区市町に報告書を提出することを義務づけております。
これら屋外広告物の安全管理につきましては、屋外広告業団体の協力を得てガイドブック等による普及啓発を行うとともに、屋外広告物講習会などにおいて周知を実施しております。
こうした取組により、引き続き区市等と連携しながら屋外広告物の安全確保に取り組んでまいります。
○柴崎委員 安全面につきましてはしっかりとした対応をお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、最後に交通広告についてお伺いしておきたいと思います。
コロナ禍におきましては、家で食事を取る、こんなケースが大変増えてきているわけであります。こうした状況下におきましては、多くの飲食店、なかなかお店を開いてお客さんを呼ぶというわけにいかないので、宅配サービス、これを原動機付自転車を使って取り組んでいたり、あるいはこうした宅配の事業者も大変数も増えてきているようであります。
こうした中で、まち中でよく見かける原付自転車、これには通常、交通広告としては自社のロゴですとか、あるいは社名が記載をされているわけであります。こうした交通広告に関しましては、都条例によりますと、原付の自転車に記載できる自社広告と第三者広告との取扱い、これはまた違っているわけであります。
現在は、よく見かける広告というと、路線バスあるいはタクシー、あるいは電車、こういった車体を利用した広告が一般的なわけでありますけれども、こうした原付自転車についても第三者広告の媒体としてこれから活用されていく可能性も出てくるわけであります。したがって、一般都民には非常に分かりにくいと思うんですが、この原付自転車の屋外広告につきまして、やはり条例違反とならないような取組が求められていると思います。
したがいまして、このため、この条例の内容を分かりやすく周知徹底を図る必要があるかと思いますが、都の見解を伺いたいと思います。
○中山景観・プロジェクト担当部長 禁止区域である道路上における屋外広告物の表示は、良好な景観形成や道路交通の安全確保等のため、車両等への表示も含め、規格を設けて適切に運用しております。
原動機付自転車に表示する屋外広告物は、条例の規格上、車体のフレーム本体について第三者広告物等の表示を可能としていますが、後づけされた荷台やボックス等には第三者広告物等の表示は不可となっています。
ご指摘のように、宅配用の原動機付自転車が増加している状況を踏まえ、区市等と連携しながら、業界団体等に対し、ホームページを活用して条例内容の分かりやすい周知などに取り組んでまいります。
○柴崎委員 今ご答弁いただきました。これから増えるかもしれませんこの原動機付自転車に関しての屋外広告でありますけれども、区市町村と連携をということでありますから、やはりこの辺の連携をしっかり取っていただいて、注視していっていただきたいと、このように思います。
ぜひこの点についてはしっかりとお取組をいただきたい、この旨を申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
○平委員 長時間に及びます事務事業質疑、お疲れさまでございます。最後の登壇となりますので、簡潔に質問を行わせていただきます。
昨年十月より一次プレ運行を開始した、環状第二号線を中心に都心と臨海地域とを結ぶ新たな公共交通機関でありますバス高速システム、通称東京BRTについてお伺いをいたします。
公式サイトによりますと、一次プレ運行は京成バス株式会社、二次プレ運行は京成バス株式会社と東京BRT株式会社、そして、本格運行は東京BRT株式会社となっております。
こちら、都が作成したパンフレットでは、東京二〇二〇大会終了後からという文字が大きく明記をされておりますが、二次のプレ運行を開始することになっておりますが、東京二〇二〇大会終わっても、いまだなお開始が予定されていないということでございます。
そこで、まず初めに、二次プレ運行の開始に向けた現在の取組状況、調整状況についてお伺いをいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 プレ運行二次に関しましては、東京二〇二〇大会後の運行開始予定といたしておりますが、現時点でまだ具体的な開始時期は未定となってございます。
現在、プレ運行二次の開始に向けました停留施設整備などの工事の準備ですとか関係者調整を実施しておりまして、一部の工事に関しましては既に着手をしているところでございます。
○平委員 一部の工事には既に着手ということでございます。工事の準備や関係者調整等を実施されているともいうことでございました。
BRT計画を練ってから、ルートや停留施設の位置等、また、運行スケジュールなども見越していたのではないかというふうに思います。しかし、にもかかわらず現在時間を要しているというところ、これは具体的にどのような点に時間がかかっているのかお伺いをさせてください。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 BRTは、車の車長の全長が長い連接バスに合わせました停留施設の整備が必要なことですとか、プレ運行二次からは、路線の数、また、それに伴います停留施設の数が大幅に増加するなどの特殊性がございます。
工事の準備に関しましては、例えば、停留施設のおおむねの位置等に関しましては既に決定しておるところでございますが、工事のための詳細な位置を決めるためには、交差点や横断歩道からの距離ですとか、既にそこに埋められております埋設物ですとか、照明柱などの移設など、特殊性を踏まえた細やかな調整が必要になるということでございまして、関係者等の調整に時間を要しているところでございます。
○平委員 全長が長い連接バスに合わせた停留施設の整備、また、交差点や横断歩道からの距離、埋設物や照明柱等の移設など、これらBRTの特殊性から、関連する工事などに調整がかかっているということでございました。
臨海地域での人口は増加しておりまして、インフラ整備は喫緊の課題でもあります。東京BRTの運行を目的としてこの臨海地域に移り住む人もいるというふうにも私聞いております。そういったことから、二次プレ運行が始まらないことについて心配の声もあるということも伺っております。
BRT事業は、都民の期待も大きく、早期の開業を求める声もある中、情報不足により都民を不安にさせていることは避けるべきであるというふうに考えます。
そこで、二次プレ運行について広報を充実させる必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 これまでも、プレ運行一次の開始時期ですとか東京二〇二〇大会時のルートの変更などにつきましては、必要な情報の提供を実施してまいりました。プレ運行二次の具体的な開始時期が未定であるという旨につきましても、十月末にホームページに掲載をさせていただいているところでございます。
今後、プレ運行二次の開始時期が決まり次第、速やかな情報提供を行うとともに、東京都及び運行事業者のホームページだけではなく、停留所への提示ですとかSNS等を活用し、広く情報発信をしていきたいと考えているところでございます。
○平委員 都民に伝えるように情報提供をしていただきたいというふうに思います。
同じ広報の関連で、東京BRTのホームページを拝見いたしますと、先週の混雑状況を掲載している。一方、現在、JR山手線や一部バスでは、リアルタイムの混雑表示を実施しております。東京BRTは先進的なシステムを売りにする交通機関であり、先進的な取組を行うべきと考えます。
そこで、東京BRTにおいても混雑状況のリアルタイムでの情報発信等を実施すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 委員お話しのとおり、昨年九月に国はバスのリアルタイムの混雑情報提供システムに関するガイドラインを公表いたしております。そして、その中では、密を避けるための判断に必要となる混雑情報を提供していくことは重要であるとしております。
一方で、このガイドラインでは、新型コロナウイルスの影響による交通事業者の厳しい経営環境にも言及しておりまして、その中で、都といたしましても、バスにおけるリアルタイムの混雑情報の提供や、カメラですとかセンサーなどの新たな設備投資が必要となるなどの課題があるというところを認識しているところでございます。
今後、運行状況や利用者の状況等を勘案しながら、リアルタイムの情報提供につきまして運行事業者と調整をしてまいりたいと考えております。
○平委員 ありがとうございます。リアルタイムの情報提供等、調整を図ってくださるということでございました。質疑を通して、二次プレ運行に向けた現状の取組については理解ができました。
地元の都民は早期の開業を望んでいる人も多いということです。今後、二次プレ運行の早期実現に向けて、都としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 東京BRTは昨年十月にプレ運行一次を開始いたしております。
今後、プレ運行二次で有明、豊洲方面に運行系統を順次拡大していく予定でございます。これによりまして、開発が進む臨海地域での交通需要に速やかに対応するとともに、本格運行への円滑な転換を図ることといたしているところでございます。
まずは、プレ運行二次をできるだけ早く開始できるよう、今後、工事の準備や関係者との調整をさらに進めるとともに、開始の時期など、都民や利用者に対しまして速やかに分かりやすい広報を実施したいと考えております。
これによりまして、東京BRTが利用者にとってさらに使いやすく魅力のある交通機関となるように取り組んでまいりたいと考えております。
○平委員 二次プレ運行をできるだけ早く開始できるよう、工事関係者との調整、さらに進め、都民や利用者に対し分かりやすい広報を行うということでございます。よろしくお願いします。
現在、営業所は京成バスの一部を利用していると理解をしております。営業所を開放など、その他の課題もあるならば、しっかりと対応いただきたいと要望をしておきます。
臨海地域での交通需要に対応するため、二次のプレ運行、また、本格運行を早期実現いただきますようお願いを申し上げまして、質疑を終了いたします。ありがとうございました。
○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮瀬委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時六分散会
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