委員長 | 宮瀬 英治君 |
副委員長 | 鈴木 錦治君 |
副委員長 | 尾崎あや子君 |
理事 | 林あきひろ君 |
理事 | 平けいしょう君 |
理事 | 中山 信行君 |
松田りゅうすけ君 | |
古城まさお君 | |
渋谷のぶゆき君 | |
原田あきら君 | |
竹井ようこ君 | |
本橋ひろたか君 | |
柴崎 幹男君 | |
山田ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員住宅政策本部 | 本部長 | 榎本 雅人君 |
技監 | 久保田浩二君 | |
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 越 秀幸君 | |
都営住宅経営部長 | 青柳 一彦君 | |
総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 | 鈴木 誠司君 | |
住宅政策担当部長 | 武井 利行君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 飯塚 佳史君 | |
経営改革担当部長 | 都築 裕樹君 | |
再編利活用推進担当部長 | 栗谷川哲雄君 | |
建設推進担当部長 | 妹尾 高行君 | |
営繕担当部長 | 小林 秀行君 |
本日の会議に付した事件
住宅政策本部関係
事務事業について(質疑)
○宮瀬委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより住宅政策本部関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際に要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○越住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る九月二十四日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料をご覧ください。
資料をおめくりいただき、目次をご覧ください。
資料は全部で十六件でございます。
それではまず、一ページをお開き願います。1、都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
(1)では、既設都営住宅への、(2)では、公社住宅のエレベーターの設置状況を、それぞれ過去五年間、年度別に記載してございます。
二ページをお開き願います。2、都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
各件数を過去五年間、使用承継事由発生期間別に記載してございます。
三ページをご覧ください。3、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
都道府県及び政令市別に、令和三年十月一日現在の実施状況を記載してございます。
四ページをお開き願います。4、都営住宅、公社住宅における入居者の年齢別世帯数の状況及び単身入居者の年齢別世帯数の状況でございます。
(1)では、入居者、(2)では、単身入居者につきまして、名義人の年齢区分別に、世帯数及び割合をそれぞれ記載してございます。
五ページをご覧ください。5、都営住宅における収入階層別世帯数でございます。
令和三年三月三十一日現在の収入階層ごとの世帯数につきまして記載してございます。
六ページをお開き願います。6、都営住宅における期限付入居の募集戸数及び平均倍率でございます。
都営住宅における期限付入居の募集戸数及び平均倍率を過去十年間、年度別に記載してございます。
七ページをご覧ください。7、都営住宅建て替えによる型別供給実績でございます。
型別供給内訳戸数を過去三年間、年度別に記載してございます。
八ページをお開き願います。8、都営住宅の管理戸数、空き住戸数、募集停止戸数でございます。
都営住宅の管理戸数、そのうちの事業用空き住戸及び募集用空き住戸につきまして、過去五年間、年度別に記載してございます。あわせて、募集停止戸数につきまして、年度別に記載してございます。
九ページをご覧ください。9、都営住宅使用料一般減免の状況でございます。
減免件数を過去十年間、年度別に記載してございます。
一〇ページをお開き願います。10、都営住宅の使用料収入でございます。
調定額、収入済額及び収入率を過去十年間、年度別に記載してございます。
一一ページをご覧ください。11、公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き住戸状況でございます。
(1)では、公社一般賃貸住宅の管理戸数及び空き住戸数を、(2)では、都民住宅の管理戸数及び空き住戸数について、都施行型、公社施行型、公社借り上げ型及び法人管理型別に、それぞれ過去三年間、年度別に記載してございます。
一二ページをお開き願います。12、都内の居住支援協議会設置状況と主な活動内容一覧でございます。
一二ページから一四ページにかけまして、区市の居住支援協議会について、協議会名、設立年月及び主な活動内容をそれぞれ記載してございます。
一五ページをご覧ください。13、東京都の空き家数、空き家率の推移でございます。
平成十年度以降の空き家数及び空き家率を五年ごとに記載してございます。
一六ページをお開き願います。14、区市町村別東京ささエール住宅の登録戸数及び専用住宅の内訳でございます。
令和三年三月三十一日現在の東京ささエール住宅の登録戸数及びそのうちの専用住宅の戸数を区市町村別に記載してございます。
一七ページをご覧ください。15、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅に係る家賃低廉化補助を実施している自治体及び補助実績でございます。
各自治体の補助実績につきまして、過去三年間、年度別に記載してございます。
一八ページをお開き願います。16、サービス付高齢者向け住宅等供給実績でございます。
過去五年間の供給戸数及びこれまでの累計の戸数につきまして、高齢者向け住宅別に記載してございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○宮瀬委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○渋谷委員 それでは、質問をさせていただきます。
まず初めに、都営住宅の耐震化についてです。
先月七日、午後十時四十分過ぎに、千葉県北西部を震源とするマグニチュード五・九の地震が発生し、都内でも震度五強の強い揺れが観測されました。東京二十三区で震度五強の揺れを観測したのは、十年前に発生した東日本大震災以来ですが、都内で大地震はいつ起きてもおかしくない状況であり、建物の耐震の重要性を改めて感じさせられました。
都営住宅については、昨年十二月に都営住宅耐震化整備プログラムを改定し、令和七年度末までに耐震化率一〇〇%を目標として取組が進められています。令和二年度末時点での耐震化率は九六・六%となっておりますが、まだ耐震化されていない都営住宅には、下階部分に分譲店舗を有する併存店舗付住棟が多いと聞いています。目標達成のためには、これらの耐震化が不可欠です。
そこで、耐震化整備プログラムの達成に向けた併存店舗付住棟の耐震化のこれまでの店舗権利者への具体的な対応と、今後の取組についてを伺います。
○小林営繕担当部長 併存店舗付住棟の耐震改修を進めるためには、改修工事の内容や費用負担などについて、店舗権利者の合意を得る必要がございます。
そこで、都は、合意形成を加速させるため、平成三十年度から、区分所有者の店舗の一部を買い取り、その内部を補強することで、他の店舗権利者の費用負担や休業の影響を軽減する取組を開始いたしました。
まず、対象となる店舗権利者に対しまして、改修内容や費用負担、買取り制度の説明を行い、転出希望者から店舗の買取りを実施しています。その後、営業継続の希望者に対しては、営業への影響が少なくなるよう、買い取った区画を活用した補強案を作成し、提示するなど、合意が得られるよう丁寧に折衝を行っています。
令和二年度末までに、耐震改修対象の全四十三棟、三百七十三区画の権利者に対して改修内容などの説明を終え、令和三年十月末時点で転出を検討すると申出があった二百七区画の権利者のうち、八十区画の方と買取り契約を締結することができました。
今後も、転出希望者、営業継続希望者それぞれに丁寧に折衝を行い、令和四年度末までに全ての権利者の耐震改修に向けた意向の把握を目指してまいります。
こうした折衝等を踏まえ、必要に応じて耐震化手法の見直しを行い、目標達成に向けて取り組んでまいります。
○渋谷委員 店舗権利者の方の合意が得られるよう、引き続き分かりやすく丁寧な説明を行い、都営住宅の耐震化を進めていただきたいと思います。
続いて、都営住宅へのエレベーターの設置について質問いたします。
都は、都営住宅の建て替えを計画的に進めており、工事完了後は、バリアフリー化された住宅が整備されます。一方で、建て替えまでには一定の時間がかかるため、建て替え対象とならない既存の都営住宅へのエレベーター設置も進めていますが、要望はしているものの、設置までに時間がかかっているとの声が聞こえています。
そこで、既存の都営住宅へのエレベーター設置に当たっての課題についてを伺います。
○小林営繕担当部長 既存住棟へのエレベーター設置に際しては、日影規制を満たすことができないなど法令上の制約のほか、敷地に設置スペースがないといった物理的な課題が多くございます。こうした課題に対しては、日影規制に抵触するひさしを一部撤去するなど、設計上の工夫を行っています。
また、設置後に使用料や共益費が増えるなどの理由から、一部の居住者の合意が得られない場合がございます。このような場合には、自治会と連携して、居住者に対し費用負担などについて丁寧に説明し、理解を求めております。
○渋谷委員 既存の都営住宅へのエレベーター設置に当たっては、ハード面とソフト面の課題があります。建物の物理的な課題については対応が難しい場合があるかと思いますが、ご高齢の方や障害のある方が一日も早くエレベーターが使えるよう、居住者の方々のご理解に向け、自治会とも連携し、丁寧に説明を行っていただきたいと思います。
分譲の高層型マンションについても、エレベーターのない建物、階段室型の住棟など、エレベーターが設置しづらい建物も多数存在します。高齢化に伴い、階段の昇降に苦心するお年寄りも多い状況です。このようなマンションのエレベーター設置に対する都の財政的な支援についてを伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、エレベーターの設置など共用部分を改良する工事を実施する管理組合が住宅金融支援機構からの融資を受ける際に、利子を補給するマンション改良工事助成制度を実施しております。
また、エレベーターやスロープの設置など共用部分の機能を高める改修について、国の制度を活用し、区市町村と連携した東京都都市居住再生促進事業により、戸当たり百万円を限度として支援をしております。
○渋谷委員 次に、分譲の団地型のマンションの建て替えについてを伺います。
分譲型マンションの建て替えは、多くの区分所有者間の価値観や経済状況の相違により、合意形成などのハードルが高く、建て替えが極めて困難です。こうした困難に対し対策が検討されていますが、よりよい住環境のためにも、都も団地型マンションの建て替え支援に積極的に動いてほしいと考えます。都の今後の取組についてを伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、団地型マンションの建て替え等の促進に向けまして、区市と連携し、マンション再生まちづくり制度により、マンションの再生を図る必要性が高い地区を指定し、建て替え等に向けた管理組合の合意形成を支援するとともに、都市居住再生促進事業により建て替えに要する費用の一部を補助してまいりました。
また、国は昨年、マンション建替え円滑化法を改正し、住棟や区画ごとのニーズに応じた建て替えや改修などを進められるよう、団地の敷地分割を容易にする制度を創設するなど、制度の拡充を行っております。
都は、マンション再生まちづくり制度などを活用し、区市と連携して引き続き管理組合を支援するとともに、住宅政策審議会の提言も踏まえ、法改正により創設された敷地分割制度の活用も含めて、今後、より効果的な施策展開について検討を進め、団地型マンションの建て替え等の促進に取り組んでまいります。
○渋谷委員 次に、新型コロナウイルス感染症は、経済的にも都民生活に大きな影響を及ぼしており、仕事や住居を失った方もいます。新型コロナウイルスの関係で、生活に苦しむ方に対する住宅支援として、都では、都営住宅を使ってどのような取組を行ってきているのか、内容についてを伺います。
○都築経営改革担当部長 都では、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえ、生活に困窮する都民への居住支援の充実を図るため、都営住宅の毎月募集の実施に当たって、令和三年一月から、対象世帯に一般世帯を加えるとともに、募集戸数を月五十戸から七十戸に拡大いたしました。
その後、同年七月から募集戸数を月七十戸から百戸に拡大し、さらに十月からは子育て世帯向けの募集枠として二十戸を加えて月百二十戸とし、支援の充実を図っております。
また、常時申込みが可能な随時募集について、令和三年一月に新たな団地を加え百四十五戸の募集を行い、さらに三月、七月、十月にも募集戸数を追加しております。
こうした取組に加え、福祉保健局と連携し、住まいを失った方の一時利用住宅として、TOKYOチャレンジネット事業への都営住宅の提供戸数を、令和二年四月に三十戸から六十戸に拡大し、令和三年六月からは、さらに八十戸に拡大しております。
今後とも、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、関係局と連携し、支援の取組を適切に行ってまいります。
○渋谷委員 引き続き、対策についてお願いしたいと思います。
次に、住宅の太陽光発電設備設置について質問いたします。
カーボンハーフ実現に向けて、令和三年九月、第三回都議会定例会において、知事は、新たに住宅等の一定の新築建築物に太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始することを表明しましたが、住宅政策としてどのように取り組んでいくのかを伺います。
○武井住宅政策担当部長 住宅等の一定の中小規模の新築建築物への太陽光発電設備の設置を義務づける制度の導入に向けた検討については、十月二十二日に、東京都環境審議会に対して、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の改正についての諮問が行われ、来年四月以降の取りまとめに向け、検討が進められるものと聞いております。
この諮問につきましては、十一月五日に開催された東京都住宅政策審議会企画部会において、所管局から報告があり、意見交換が行われました。
住宅政策本部としても、環境審議会での審議を注視しながら、脱炭素社会の実現に向けた住宅市街地のゼロエミッション化について、関係局と連携して取組を進めてまいります。
○渋谷委員 太陽光発電の義務化という政策は、各方面に影響を与えるものであり、環境政策としてだけでなく、住宅政策としての視点も大事だと思います。また、事業者や都民の負担増にならないよう、慎重に対策を検討してもらいたいと思います。この案件については、住宅政策本部も中心になって関わり、東京都が一体となって取り組んでいただきたいと考えます。
知事の発言では、新築の住宅等となっていますが、東京都は、戸建て住宅だけでなく集合住宅が非常に多いことが特徴です。その点からも、新築住宅のみの対策では、到底、カーボンハーフは実現できないのではないでしょうか。
集合住宅や中古の戸建て住宅などの太陽光発電設備や、その他の省エネ対策について、どのように支援しているのかを伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 住宅建築物におけるCO2排出量の削減には、既存ストックの環境性能の向上を図ることが重要でございます。
マンションにおきましては、大規模修繕の機会を捉えた省エネ対策の実施や再エネ設備の導入が有効であり、都は、窓など開口部の断熱性向上に資する改修工事などに費用の助成を行うとともに、専門家の派遣などによる助言や啓発等を行っております。
また、既存の戸建て住宅につきましても、省エネリフォームや太陽光発電の活用などを紹介するガイドブックのほか、省エネリフォームに関する都民向けのセミナーやイベントを通じまして、普及啓発に努めております。
引き続き、こうした取組を通じて、既存ストックの環境性能の向上を促してまいります。
○渋谷委員 この問題については、発言のように、新築の住宅だけでなくて、中古の物件、また、集合住宅についても重視して進めていただきたいと思いますので要望いたします。
次に、左官工法の活用について伺います。
しっくいなどの左官工法は、若干予算と工期がかかりますが、居住者の健康面などの効果があり、耐火性や抗菌性も強く、かかった費用と時間以上の効果が期待できます。しかし、左官業において、近年、技能者の技術力確保が課題となっており、特に若手への継承が困難になっています。
そこで、こうした課題に対して、公共住宅が率先して協力すべきと考えますが、見解を伺います。
○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 左官業における若手への技能の継承は、担い手確保の観点から重要でございます。
このため、公社では、公社一般賃貸住宅等におきまして、平成二十七年度から毎年度、集会所の修繕工事等の際に壁を左官仕上げとする試行の取組を実施し、技能の継承の場として提供しております。
公社では、こうした取組を継続することにより、左官工法の特質を生かせるよう努めていくこととしております。
○渋谷委員 引き続き、左官工法へのご理解と活用推進をお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○本橋委員 では、よろしくお願いいたします。
事務事業に関しまして、何点かお尋ねさせていただきます。
まずは、マンション施策の推進についてお尋ねいたします。
これまで都は、マンションの適正な管理の促進と、老朽マンション等の再生の促進を施策の柱として積極的に展開し、マンションの適正な管理や再生を促進してまいりました。
この流れを踏まえまして、平成三十一年三月に、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例が制定され、マンションに関わる者の責務や管理状況に応じた助言、支援等が規定され、また、令和二年四月からは、管理組合などが管理状況について届出を行うマンション管理状況届出制度が実施されております。
そこでまず、この制度の概要と、現在の届出状況についてお尋ねいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 管理状況届出制度は、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進すること等を目的に、昭和五十八年以前に建築された戸数六戸以上のマンション約一万二千棟を対象として、管理状況について届出を義務づけた制度であり、初回の届出は昨年九月末を期限としてございました。
昨年三月に策定した東京マンション管理・再生促進計画では、令和七年度末までに対象マンションの八〇%から届出がなされることを目標としており、今年九月末時点では、対象マンションの約七六%に当たる約九千百件が届出済みとなってございます。
○本橋委員 適正な管理を支援していくためには、実態を把握することが必要であり、そのためには届出率の向上に努めていかなくてはならないと思います。
そこで、いまだ届出がないマンションの管理組合に対しては、今後どのように対応していくのかお尋ねいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 届出期限を経過しても届出がなされないマンションに対しましては、適正な管理が行われていないことが懸念されることから、行政が直接粘り強くアプローチすることが必要であるため、区市町と連携して、順次、届出を促す文書を郵送するなど、督促を行っております。
さらに、こうした督促にもかかわらず届出がなされない場合には、マンション管理士等を活用して個別訪問調査を実施し、管理組合理事長や居住者等から管理状況を聞き取りながら届出を促しております。
引き続き、こうした取組などを通じまして、対象となるマンションからの届出を促してまいります。
○本橋委員 管理状況届出制度については、区市と連携しながら取り組んでいることと思いますが、当初、都が区市に示したマンションの中には、届出対象ではないマンションも多く含まれていたと聞いています。私の地元の豊島区でも、当初示された対象マンションが六百四十五棟、その後精査を行いまして、現在では四百十七棟まで対象マンション数が減少しております。
そこで、なぜこのような現象が起きたのか、また、どのように把握に努めてきたのかお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、平成二十三年度にマンション実態調査を実施しており、管理状況届出制度を開始するに当たっては、この調査結果を活用し、分譲マンションであることや専有部分が六戸以上であることなど、届出対象マンションの条件に合致するものを抽出いたしました。
このようにして都が把握したマンションに対しまして、届出制度の開始案内を送付したところ、宛先不明により多数の返戻が発生したことから、令和二年四月から八月にかけ、正確な送付先等を把握するため、現地訪問を実施いたしました。
この過程で、実際には六戸未満のマンションであったことや、賃貸マンションであったことなどが判明したものがございまして、建物自体がなくなっていたケースも含めて、当初示した届出対象マンションからこれらを除いたことから、対象数が減少したものでございます。
○本橋委員 何事も現場に出向いて確認するということは、とても大事なことだなと思っております。
これまでの届出の状況から、例えば総会開催割合や修繕積立金など、適正管理に影響する項目について特徴的な傾向があれば教えていただきたいと思います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、管理組合の設立や管理者の設置、規約の作成、総会の開催、管理費及び修繕積立金の設定、修繕の計画的な実施などの項目について、管理不全を予防するための必要事項として届出を求めており、これにより、管理不全の兆候を把握しております。今年九月末時点で届出のあったマンションの約一五%で、これらの事項のいずれかがない、いわゆる管理不全の兆候が見られました。
管理不全の兆候の要因といたしましては、修繕の計画的な実施を行っていないと回答した割合が届出のあったマンションの九・四%と最も多くなるなど、専門的知識を要する項目については実施できていないと回答するマンションが多くなる傾向が見られております。
○本橋委員 令和二年三月に、東京マンション管理・再生促進計画などが策定されまして、これによって条例の目的を実現するとともに、管理不全の兆候のあるマンションへのアドバイザー派遣や、改修などに対する補助が行われております。
そこで、管理の適正化や適正な維持管理の促進についてお伺いしたいと思います。
管理状況届出制度における届出情報を区市と連携しながらどのように活用していくのでしょうか、また、どのように施策を推進していくのでしょうか、それぞれお聞かせいただきたいです。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 東京マンション管理・再生促進計画では、届出によって把握した管理状況に応じて必要な支援を行うよう、管理状況届出システムを通じて管理状況に関するデータを都と区市の間で共有し、効果的な支援策を検討することとしております。
また、都と区市で連絡会議等を定期的に開催して、情報共有や意見交換を行い、十分に連携を図りながら、届出情報を活用して、管理不全の予防や改善に向けて効果的な助言や指導等を実施しております。
引き続き、こうした取組を通じまして、区市と連携しながら管理の適正化や維持管理の促進を図ってまいります。
○本橋委員 それでは、届出の対象ではない築浅マンションの支援の在り方については、どのようにお考えかお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 今後、高経年マンションの急増が予想されることや、高齢化等による管理組合の担い手不足などにより、適正な管理に支障が生じるマンションが出てくることも懸念されます。
令和元年に策定した東京におけるマンションの管理の適正化に関する指針では、全てのマンションを対象といたしまして、適正な管理を推進するために管理組合が留意する事項などを定めており、都は、パンフレットの配布やホームページへの掲載等を通じ、本指針の周知と普及啓発を広く行っております。
また、各種支援に関する情報提供やセミナーの開催、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターを通じた管理アドバイザーの派遣、分譲マンション総合相談窓口での相談などを行っております。
今後も、こうした取組を通じまして、築浅マンションの適正な管理を促してまいります。
○本橋委員 現在、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例や、東京マンション管理・再生促進計画に基づき施策を展開しておりますが、マンション管理適正化法などの改正もあり、マンション施策の今後の進め方について、マンション施策推進検討会が設置され、検討されていると聞いております。
そこで、現在の進捗状況をお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、平成三十一年に条例を制定し、これに基づき、東京マンション管理・再生促進計画を策定するとともに、昨年四月から管理状況届出制度を開始するなど、施策を推進してございます。その後、届出制度によるマンションの実態把握の進展、マンション管理適正化法の改正、新型コロナウイルス感染症の影響による社会情勢の変化や、ゼロエミッション化に向けた取組の推進など、マンションを取り巻く環境の変化への対応が求められております。
都は、こうした変化を踏まえて、新たな課題に的確に対応するよう、有識者等を委員といたしましてマンション施策推進検討会を設置しており、八月に第一回検討会を開催して、自主的な管理が困難なマンションへの支援策や、環境性能向上に向けた取組などについて、幅広くご意見をいただいたところでございます。
今後、いただいたご意見等を踏まえ、マンション施策を総合的かつ計画的に進めていくため、東京マンション管理・再生促進計画の見直しに向けた検討を行ってまいります。
○本橋委員 令和四年四月から施行される改正マンション管理適正化法では、区市などによるマンション管理適正化推進計画の作成や、管理組合が作成する管理計画認定制度など、新たな仕組みが設けられることとなっております。
法に基づく管理適正化推進計画の策定作業を始めている区市も多いと聞いております。区市に対しては、都がリーダーシップを発揮し、積極的な情報共有に努めながら、適切に支援していくことが求められると考えますが、いかがでしょうか。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 改正マンション管理適正化法に基づく管理適正化推進計画の策定促進に向けて、これまで都は、区市に対して技術的支援を行ってまいりました。
具体的には、マンション施策に関する連絡会や実務担当者の意見交換会などを通じまして、情報提供や意見交換などを実施し、管理適正化推進計画のひな形を作成して区市に示すなど、計画策定に向けた区市の取組を支援しております。
また、国に対しましては、必要な情報を速やかに提供するよう依頼するとともに、区市による計画の策定や施策の実施が円滑に行われるよう、配慮や適切な支援を求めております。
今後、区市が適切に管理適正化推進計画を策定し、地域の実情を踏まえたマンション施策を着実に実施できるよう、都といたしましても、きめ細かく支援してまいります。
○本橋委員 ただいまのご答弁での取組を推進していくためには、マンション管理士、一級建築士、建築設備士、また、税理士さんなど、関係団体や専門家との連携が欠かせないと考えます。
そこで、区市への支援の在り方を含め、ご見解を伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 区市がマンション施策を着実に推進していくためには、マンション関係団体や専門家等との連携協力が不可欠でございます。
東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例では、マンションの管理適正化に向け、管理組合や区分所有者の責務を定めるとともに、マンション管理士や管理業者など関係者との連携協力の下、都や区市などの行政が積極的に関わってマンションの管理適正化を促進することとされております。
このため、都は、区市とマンション管理団体及び一級建築士など専門家の団体等から構成される東京都マンション施策推進会議を設置し、情報共有や意見交換を行うとともに、マンション施策等に関する普及啓発活動などを連携して実施しております。
今後も、区市がマンション関係団体や専門家等と連携しながら、主体的にマンション施策に取り組むよう、積極的に支援してまいります。
○本橋委員 以上、るる質疑をさせていただきましたが、都におかれましては、今後も関連団体や行政機関と緊密に連携を図りつつ、これらの施策を着実に進めていただきまして、マンション管理の適正化や老朽マンションなどの円滑な再生を促進していただきたいと思います。よろしくお願いします。
次に、空き家活用等の推進についてお尋ねいたします。
都はこれまで、適切な管理が行われていない空き家などが、防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、地域住民の命、身体または財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて、空き家などの活用を促進するため様々な施策展開をしているところであります。
そこでまず、都は、空き家対策をどのような認識の下に進めているのかお尋ねいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 空き家の増加は、防災や治安等の面で問題となるとともに、地域の活力や生活環境にも影響を及ぼすため、空き家を都市問題として顕在化させることのないよう、空き家対策を効果的に講じていくことが重要でございます。
空き家のうち、所有者が不在で長期に放置された住宅など、一般に管理が行き届かない可能性が高い、いわゆるその他空き家は課題が大きいことから、都は、未来の東京戦略において、住宅総数に占める、その他空き家の割合について、二〇一八年度に二・三五%であったものを、二〇二五年度に二・三一%以下にすることを政策目標とし、様々な空き家施策を実施してございます。
○本橋委員 ただいま空き家対策に対する基本的な考え方についてご答弁があったわけです。
答弁の中で、その他空き家の割合を増加させないことを目標としているとのことでしたが、平成三十年住宅・土地統計調査、総務省のものですが、都内の空き家数は約八十一万戸、空き家率は一〇・六%となっており、前回調査と比べて、空き家数は初めて僅かではありますが減少し、空き家率も微減したところではあります。
一方、全国の空き家数及び空き家率は、前回調査と比べていずれも若干上昇し、過去最高ということであります。
そこで、続けて、都内の空き家の状況についてお伺いします。
まずは、都内の空き家の傾向、さらに、空き家のうち特に課題が大きい、いわゆるその他空き家の状況についてお伺いします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 平成三十年の国の住宅・土地統計調査によりますと、都内の空き家総数は約八十一万戸であり、それらの多くは、賃貸用の空き室や売却用の空き家でございます。
空き家のうち、一般に管理が行き届かない可能性が高い、その他空き家は約十八万戸であり、平成二十五年の前回調査と比べまして、約二万八千戸増加してございます。
また、その他空き家のうち、活用が困難である腐朽、破損ありの空き家は約三万九千戸であり、前回調査から約四千戸減少しております。
○本橋委員 都内の空き家の全体像につきましては、理解することができました。東京の空き家の特色と考えられますが、売却や賃貸の空き家が多いですけれども、課題となる、その他空き家は五年前から増加しているということであります。今後、増加し続けることのないよう、しっかりと見ていく必要があると考えます。
一方で、老朽化して破損などのある空き家は、約四千戸減少しているとのことで、これは空き家に対する働きかけが奏功しているとも考えることができます。
空き家の状況や課題には、地域ごとに特色があると考えられますが、都内の地域ごとの空き家の特徴や課題についてお尋ねいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 平成三十年の国の住宅・土地統計調査や、区市町村からのヒアリングによりますと、区部中心部では、空き家は非木造の共同住宅の割合が高く、空き家の発生により、地域の活力の低下が課題として挙げられております。
また、区部周辺部などでは、区部中心部と同様に非木造の共同住宅の割合が高く、借地や無接道の敷地に建築されているなど、活用が困難な空き家への対応が課題となっております。
多摩部では、空き家は戸建ての割合が高く、大規模な戸建て住宅団地等における空き家への対応や、定住促進に向けた空き家の有効活用などが課題として挙げられております。
○本橋委員 ただいま都内の空き家の状況や課題というものが地域によって特色があり、異なっていることが分かりました。
こういった空き家の状況を踏まえ、今後、高齢化の進展、人口、世帯数の減少が見込まれる中、都内に八十万戸を超える空き家が存在していることから、都は、地域に応じた空き家施策を促すよう、区市町村などと連携を図りながら、適正管理、有効活用及び発生抑制という三つの柱ないし施策の方向性を示しているところであります。
空き家対策には、地域の実情をよく知る区市町村の取組が重要であり、都は、空き家利活用等区市町村支援事業を実施して、区市町村の取組を支援しているところであります。
そこで、区市町村と連携した空き家対策の取組についてお伺いするところであります。
空き家対策は、区市町村の取組が重要ですが、区市町村の取組と都の支援についてお聞かせください。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している区市町村の取組が重要でございます。
都は、区市町村が主体的に空き家対策に取り組むよう、空き家等対策計画の策定を促しており、計画の策定に必要な地域の空き家の実態調査に要する費用等に対し財政支援などを行っております。
また、令和元年度からは、地域特性を踏まえた区市町村の創意工夫を生かす企画提案型の事業への支援を実施しており、これまで、空き家を、セーフティーネット住宅のほか、移住や定住を促す住宅に改修する取組などに補助を行っております。
引き続き、こうした支援事業の活用を促しながら、区市町村の空き家対策を積極的に支援してまいります。
○本橋委員 区市町村への支援に取り組んでいることは分かりましたけれども、区市の取組をさらに促進するためには、都の支援が、より使いやすく、地域の空き家の実情を捉えたものである必要があると思います。
今後、区市町村の空き家対策をどのように支援していくのかお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 区市町村による空き家対策を促進するためには、都の補助制度を適切に見直して、区市町村が使いやすいものとしていくことが重要でございます。
区市町村が補助制度を積極的に活用できるよう、都はこれまで、補助対象となる取組の拡大や補助上限額の引上げを行っており、今年度からは、空き家の改修に対する補助をより使いやすいものとするよう、改修後の建物に対する用途の制限期間を、補助額に応じて十年から五年に一部短縮するなどの制度改善を図っております。
今後とも、地域の実情に応じた区市町村の空き家対策を促進するよう、効果的な支援の実施に向けて検討してまいります。
○本橋委員 地域の特性を踏まえた空き家対策を支援するよう、都が区市町村支援事業の見直しを行い、制限を緩和するなど、区市町村がより使いやすい仕組みとなるよう取り組んでいることが分かりました。
私の地元の豊島区では、地域貢献型空き家利活用事業を行っております。そこでの事例数は少ないですが、空き家をブックカフェに改修し、地域住民が参加できるイベントを定期的に開催するなど、空き家を地域交流の活性化のために活用する好事例として効果的に発信しているところであります。
区市町村や民間事業者など、多様な主体による空き家対策を促進していくためには、成功している取組、いわゆる好事例を広く発信することで、空き家対策に取り組む機運を醸成することが効果的だと思います。
そこで、この点、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 多様な主体による空き家対策を促進していくためには、区市町村に加え、NPO法人や企業等、多様な事業主体に空き家対策の好事例を発信し、空き家対策に取り組む機運の醸成を図ることは重要でございます。
都は、全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会におきまして、都の支援事業の活用を促すとともに、空き家対策に関する先進的な取組や、ただいま委員からお話のあった豊島区のような成功事例などについて情報共有を行っております。
また、こうした事例につきましては、ホームページや空き家ガイドブックへの掲載などによりまして、広く情報発信に努めております。
引き続き、好事例の積極的な情報発信により、区市町村による空き家対策の取組の強化を図るとともに、より多くの民間事業者の関心を高めることで、様々な主体による空き家対策の取組の拡大を図ってまいります。
○本橋委員 ぜひともオール東京での空き家対策を引き続きよろしくお願いいたします。
次に、住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定について、何点かお尋ねいたします。
まず、平成三十年に策定した東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画についてお伺いいたします。この計画の目的や位置づけなどについて改めて確認させてください。
○武井住宅政策担当部長 平成二十九年の住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、いわゆる住宅セーフティーネット法の改正により開始した、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度を着実に普及させることを目的に、都は平成三十年に東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画を策定しました。
この計画は、住宅セーフティーネット法第五条第一項に規定された都道府県賃貸住宅供給促進計画として策定したものでございます。
○本橋委員 それでは、この計画に掲げられました目標の現在の達成状況はいかがでしょうか。
○武井住宅政策担当部長 計画では、登録住宅について、令和七年度までに三万戸を登録目標としております。本年十月末現在で登録戸数は四万一千五百二十三戸となっております。
○本橋委員 ありがとうございました。
次に、東京ささエール住宅の取組についてお伺いいたします。
住宅セーフティーネット法に基づく登録住宅の供給の目標であります三万戸は達成したとのことですけれども、専用住宅の現在の登録数はいかがでしょうか、また、国全体の状況はいかがでしょうか、それぞれお尋ねいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 本年十月末現在、住宅確保要配慮者のみが入居可能な専用住宅は、都においては六百十九戸が登録されております。国全体においては、四千四百八十九戸が登録されています。
○本橋委員 登録住宅は目標を上回っておりますが、家賃低廉化の補助対象となり得る専用住宅の登録は少ない状況であります。住宅確保要配慮者の居住の安定をさらに図るためには、専用住宅を増やすことが肝要かと思います。
また、住宅セーフティーネット制度、特に家賃低廉化補助の事業に取り組んでいる区市町村は、四区一市と非常に少ないのが現状であります。これらの点についてどのように評価しているのか、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 登録戸数全体の約四万戸に対して、専用住宅の登録戸数は約六百戸となっており、さらなる登録促進が必要と認識をしております。
また、家賃低廉化補助に取り組む区市は、委員のご指摘のとおり四区一市でございますが、各区市町村が家賃低廉化補助を導入しない理由の一つとして、対象となる専用住宅の戸数が少ないことを挙げていることから、家賃低廉化補助の導入を促進する視点からも、専用住宅の登録促進は重要であると考えてございます。
都は、補助制度を設けていない区市町村に対して、導入に向けた働きかけを行うとともに、貸主や不動産事業者などに対しまして、登録制度の普及啓発や補助の活用に向けた働きかけを行っております。
○本橋委員 専用住宅を増やす取組は継続していく必要がありますが、東京ささエール住宅そのものの認知度が低いように思われます。
周知の方法の工夫や、貸主の不安の軽減やインセンティブの在り方などについて検討が必要と考えますが、いかがでしょうか、また、今後どのように取り組んでいくのかもお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 昨年、小金井市が賃貸住宅所有者に実施した調査において、約七六%が新たな住宅セーフティーネット制度を知らないと回答しているなど、都といたしましても、制度の認知度向上が必要であると認識をしております。
都はこれまで、住宅セーフティーネット制度や東京ささエール住宅の認知度向上に向け、分かりやすいパンフレット等を作成して周知を図るとともに、東京ささエール住宅という親しみやすい愛称を設定して広報に活用するなど、工夫を凝らした普及啓発に取り組んでまいりました。
また、専用住宅の登録の増加には、貸主の不安軽減や登録意欲の向上を図る必要があることから、都独自の取組として、一定の性能を有する見守り機器の設置費等への補助や、専用住宅への登録等を条件とした報奨金の支払いを開始するなど、貸主を支援する取組を進めてまいりました。
加えて、今年度からは、住宅確保要配慮者向けの居住支援サービスを充実することで貸主の不安軽減を図るよう、サービスを提供する居住支援法人を支援する安心居住パッケージ事業を開始しております。
引き続き、こうした取組を行うとともに、住宅政策審議会の議論なども踏まえ、区市町村の意見等を聞きながら、制度の普及啓発と専用住宅の登録促進に向けた効果的な取組を検討してまいります。
○本橋委員 この家賃低廉化補助でございますけれども、補助実績が上がっていないように思われます。入居者からの礼金、更新料などの徴収を禁止する規定などが、制度を利用しにくくしている要因の一つと考えられます。
専用住宅の登録促進に向け、貸主がメリットを感じられる制度になるよう、登録基準の緩和なども含めて、国に対して働きかけをすべきと考えますが、この点いかがでしょうか。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 国は、家賃低廉化補助を適用する住宅について、入居者から、礼金や、家賃の三か月分を超える敷金といった謝金、権利金等を受領しないことを補助要件といたしております。
一方で、住宅の貸主にとっては、その要件が家賃低廉化補助を活用する上で課題となる場合もあることから、都は国に対して弾力的な運用の検討を求めております。
また、家賃低廉化補助の対象となる入居者の収入要件について、現在、月額で十五万八千円以下としているものを、二十一万四千円以下まで引き上げるよう要望しております。
今後も、住宅セーフティーネット制度がより活用される制度となるよう、必要に応じ国に働きかけてまいります。
○本橋委員 また地元ネタで恐縮ですけれども、現在、私の地元の豊島区では、東京都と連携しながら、家賃低廉化補助の公募要件の緩和について検討を進めており、年内の実現に向けて取り組んでいるとのことでありました。
区市によって取組の内容に差異があるようですが、東京ささエール住宅の供給促進に向け、効果的な事業になるよう、積極的な区市には、より一層の支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 住宅セーフティーネット制度において、国は、家賃低廉化補助を行う住宅に対して入居機会の公平性を確保するため、原則、公募して抽せんにより、その他公正な方法により、入居者を選定することを要件としてまいりました。
昨年十二月、国は、コロナ禍の影響を受けて収入が減少した方などの居住の安定を図るため、一定の条件を満たした場合に、家賃低廉化補助に関する要件を緩和することとし、豊島区はその活用に向けて検討を行っているところでございます。
都は、昨年度から、豊島区との勉強会を継続して開催し、活用に向けた課題整理や国との調整など、支援を行ってまいりました。
今後も、家賃低廉化補助の導入に向けて区市町村に働きかけるとともに、豊島区のような積極的な取組を実施する自治体に対して、きめ細かく技術的支援を行い、東京ささエール住宅の供給促進と事業効果の向上に向けて取り組んでまいります。
○本橋委員 ぜひとも豊島区との勉強会の成果が広く行き渡ることを願ってやまないところでございます。
次に、高齢者や子育て世帯向けの住宅施策の推進についてお尋ねいたします。
まずは、民間住宅における子育て世帯に向けた良質な住宅の供給促進に向けた取組につきまして、どのように課題を認識しているのか、ご見解をお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 少子高齢化が進行していく中で、住宅政策においても、子育てに配慮した住宅の供給促進に向けた取組を進めていくことが重要でございます。
都では、住まいにおける子育て環境の向上を推進するよう、適切な広さを確保しつつ、安全性や家事のしやすさなどが配慮され、子育て支援設備などが提供されている住宅を認定する子育て支援住宅認定制度を平成二十七年度から実施しており、令和三年十月末時点の認定戸数は千五百九十八戸となってございます。
制度開始から六年が経過し、テレワークの普及などの新しい日常や5G、IoTといった新たな技術の進展など、子育て世帯を取り巻く環境の変化に適切に対応することが求められてございます。
住宅政策審議会中間のまとめでは、東京都子育て支援住宅認定制度の見直しを検討するとともに、本制度の住宅市場における魅力向上や、広報のさらなる充実等による認知度の向上などを図るべきとご提言をいただいており、こうしたご提言を踏まえ、検討していくこととしてございます。
○本橋委員 それでは、住宅政策審議会の提言を踏まえて、今後どのように取り組んでいくのか、ご見解をお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 今後、子育て世帯に適した住まいを整備する際に考慮すべき事項として、平成二十七年度に取りまとめたガイドラインの改定を進めるとともに、子育て支援住宅認定制度について、住宅政策審議会のご提言などを踏まえ、見直しを行ってまいります。
具体的には、子育て支援住宅認定制度等意見交換会を設置して、有識者からご意見を伺いながら検討を進め、今年度末に取りまとめを行い、来年度には改定したガイドラインと認定基準等の公表を行う予定でございます。
こうした成果について、事業者や区市町村とより一層連携を図りながら普及を進め、子育て世帯に向けた良質な住宅の供給促進に取り組んでまいります。
○本橋委員 次に、高齢化の進展など、高齢者を取り巻く状況についてはどのように認識しているのか、ご見解をお伺いいたします。
○武井住宅政策担当部長 平成二十七年の国勢調査による都内の六十五歳以上の高齢者は約三百一万人で、高齢化率は二二・七%となっております。
都の男女年齢別人口の予測によると、高齢者人口は増加が続き、令和二十二年には約三百七十九万人、高齢化率二七・八%に達すると見込まれております。
同じく国勢調査によると、世帯主が六十五歳以上の高齢者夫婦のみの世帯は約五十六万世帯、総世帯に占める割合は八・四%、高齢者単独世帯は約七十四万世帯、一一・一%となっており、今後も高齢者のみの世帯は増加傾向が続くと予想されています。
また、要介護、要支援認定者数は毎年増加しており、令和三年四月末で六十二万人を超えています。
このような状況を踏まえると、高齢者が、多様なニーズに応じた居住の場を選択できるようにするとともに、心身の状況等に応じて必要なサービスを受けることができる環境の整備を図り、高齢者の安全・安心を確保していくことが重要だと認識しております。
○本橋委員 高齢者が住み慣れた地域で安心して住み続けられる環境を整えることが重要と考えてはおりますが、住居の確保と併せまして、安否確認など福祉と連携した居住支援サービスの充実にも取り組むべきであると考えています。
住宅政策本部といたしまして、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○武井住宅政策担当部長 住宅施策といたしましても、福祉施策との連携により、バリアフリー化など住宅の質を確保するとともに、緊急通報や安否確認など質が確保された生活支援サービスを提供するサービス付高齢者向け住宅等の供給を促進しております。
また、入居支援や生活支援を行うNPO法人等を都が指定する居住支援法人制度の活用により、住まい探しなどの入居支援や、見守り等の生活支援などの取組を進めております。
○本橋委員 今後も福祉保健局としっかりと連携していただきまして、施策を前へ前へと進めていただければ幸いでございます。
最後に、災害時における住宅の確保についてお尋ねいたします。
大規模地震災害などの発災後の対応につきましては、東日本大震災や阪神・淡路大震災など、過去の大災害や東京都の実情を踏まえまして、住宅の復興に向けた応急対策や復興対策の充実が求められております。
特に応急対策につきましては、ふだんからの事前準備が何よりも重要であり、関係団体との事前協定の締結、国や関係地方公共団体との情報交換、応急仮設住宅の供給などに関わる準備、訓練や、都民に対する普及啓発などなどの取組を進めていく必要があります。
今後、三十年以内には約七〇%の確率で首都直下地震の発生が予測されており、甚大な被害が発生するとされております。
平成二十四年に東京都防災会議が発表した首都直下地震などによる被害想定では、最大の場合の建物被害は、全壊、半壊、火災による被害を合わせて約六十三万棟と想定されています。
そのような被害が懸念される中、住宅の確保という点で、都は、一体どのような役割を持ち、また、どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
○武井住宅政策担当部長 都は、被害状況に応じて、住宅が全壊、全焼、または流出し、居住する住宅がない者であって、自己の資力では住宅を得ることができない被災者に対して、応急仮設住宅等の提供を実施いたします。
都内において十分な戸数を確保できない場合には、他道府県に対し、応急仮設住宅等の供与について協力要請を行うこととしております。
また、都は、災害救助法に基づき、被災した住宅の居住性を維持するため、居住に必要な最小限の住宅の応急修理を実施いたします。
具体的には、応急修理の必要規模について迅速に調査の上、応急修理方針等を策定し、区市町村に周知し、区市町村における執行体制を確保することとしております。
○本橋委員 被災後の住宅の確保に当たっては、公的住宅などの空き住戸の活用や賃貸型応急住宅の提供、建設型応急住宅の提供など、様々な手法を組み合わせながら対応していく必要があると思います。
また、区市町村や関連事業者と連携しながら取り組んでいく必要もございます。
ふだんからの事前準備が非常に重要なわけですが、現在の取組状況を確認いたしたいと思います。
○武井住宅政策担当部長 都が提供する応急仮設住宅等には三種類あり、災害の状況に応じて活用することとしております。
公的住宅等としては、都営住宅等の空き住戸を活用するとともに、東京都住宅供給公社や国に対して、住宅提供の協力を要請し、併せて活用いたします。また、こうした住宅の提供を円滑に行うため、公社と共に災害時の住宅供給に係る情報連絡訓練を毎年実施しております。
賃貸型応急住宅は、都が民間賃貸住宅を借り上げ、被災者へ提供するものであります。災害時、迅速、円滑に賃貸型応急住宅を被災者に提供するため、五つの宅地建物取引業団体等と協定を締結するとともに、関係団体及び区市町村との情報連絡や契約事務手続に係る訓練を実施しております。
建設型応急住宅は、公有地等にプレハブ等の住宅を建設し、提供するものであります。
こうした住宅の提供を円滑に行うため、応急仮設住宅を建設する四つの事業者団体と協定を締結しております。また、毎年一回、区市町村から建設候補地の報告を受けるとともに、昨年からは、複数の建設候補地の現地調査を行い、配置計画の作成に着手したところであります。
○本橋委員 応急住宅の確保、提供だけではなく、都内では避難所が限られているため、地震や水害に比較的強いマンションでは、建物の安全性が確保されているのであれば、在宅避難をしてもらうことも現実的な選択肢となり得ます。
こうした自宅で安全に居住し続けるという視点からは、どのような取組を行っているのかお伺いいたします。
○武井住宅政策担当部長 災害時でも生活を継続することができる住宅の普及は重要でございます。
都では、停電時でも水の供給やエレベーターの運転に必要な非常用電源が確保されている、または防災マニュアルを策定し、居住者共同で様々な防災活動に取り組む共同住宅を東京都LCP住宅として登録し、東京都ホームページで公開しております。
現在、SNSやデジタルサイネージによる周知に加え、業界団体のセミナーや会報誌を通じた普及啓発にも取り組んでおり、登録件数は五件、戸数では二千三百二十七戸となっております。
今年九月の東京都住宅政策審議会の中間のまとめでは、民間の優れた知見を踏まえて登録制度を改善することや、さらなる普及に向けて取組を拡充するよう提言されております。
今後とも、審議会の提言も踏まえ、さらなる登録促進に向けて取組を進めてまいります。
○本橋委員 大規模地震災害などの発災後の対応や防災対策については、多くの都民に関心を持っていただく必要があります。
災害時における住宅の確保について、都民への普及啓発の観点から取り組んでいる点についてお伺いいたします。
○武井住宅政策担当部長 大規模災害時には、多くの都民が被災し、長期にわたり避難所生活や仮住まいを余儀なくされるおそれがございます。
このため、都では、令和元年度から二年度まで、大学研究者による大学提案事業、首都直下地震時の仮設住宅不足への対応準備事業を実施し、その取組成果といたしまして、都民が、被災した際の住宅の確保について自ら考え、平時からの備えと被災後の円滑な行動を促すため、リーフレット、東京仮住まいを作成いたしました。
都では、リーフレットを印刷して配布することに加え、紹介動画やウェブ版の作成などを行って、都民への普及啓発に取り組んでおります。
○本橋委員 都民への対応、くれぐれもよろしくお願いいたしたいのと、また、都内には外国の方も大勢いらっしゃいますので、そういった方へ向けた取組も充実していただきますようお願いいたします。
私からの質疑は以上で終わります。
○中山委員 令和三年度の事務事業質疑に当たりまして、初めに都営住宅について何点か項目を分けて質問したいと思います。
都営住宅の空き住戸の見える化についてでございます。
都営住宅には、建て替えの移転先として活用する事業用の空き住戸と公募用があり、公募用の空き住戸につきましては速やかに募集が行われるよう、我が会派も様々な募集改善の提案をし、都もこれに応じて取り組んでいると思います。
私は昨年度の本委員会で、都営住宅の空き住戸の減少に資するように努力を重ねながら、空き住戸の見える化にも取り組むべきと提案をし、都からは実施方法を検討するとの答弁があったところであります。
そこで、この空き住戸の見える化につきまして、検討状況をお伺いしたいと思います。
○都築経営改革担当部長 空き住戸の見える化につきましては、年度末時点での空き住戸数を団地ごとに集計し、住宅政策本部のホームページ上で閲覧できるよう、都営住宅団地一覧に空き住戸数を掲載することといたしました。
令和二年度末時点の団地ごとの空き住戸数につきましては、来月からホームページに掲載する予定でございまして、来年度以降は夏頃を目途に更新してまいります。
○中山委員 来月からホームページに掲載するとのことであり、団地自治会の役員の方々も、自治会費の徴収などにおいて、めどを立てやすくなると思いますので、一つの朗報として歓迎いたします。
今後は、部屋ごとの空き状況が分かれば、災害時の避難計画などにも、より取り組みやすくなると思われますので、その方が望ましいと考えているところでございます。課題はあると思いますが、ぜひ検討を続けていただきたいと思います。
続いて、都営住宅の毎月募集についてお伺いいたします。
都は、我が会派が行った子育て世帯への支援の要望に対し、これに応じて平成三十年一月から毎月募集を実施しております。
この毎月募集は、当初毎月五十戸で子育て世帯を対象に募集を開始したものでありますが、都は、令和三年一月から、コロナ禍を踏まえ、臨時に対象世帯や募集戸数を拡大し、支援の拡充を図っております。
コロナ禍におきますこうした臨時的な対応は、住宅に困窮する都民にとって大変重要なことであり、今後も必要な取組と考えます。
一方、随時、適時に実施されるこの募集は、年四回の定期募集に加え、都民の申込み機会を拡大するものであり、コロナ禍後も見据えて、さらに申込みしやすい制度にしていく必要があると考えます。
初めに、この毎月募集は、十月からの募集で、九月までの募集戸数が百戸であったところを二十戸拡大し、その増分は子育て世帯専用にしたとのことでありますが、その取組によって、毎月募集で新たに子育て支援が始まったのではないかと誤解する向きもあるようであります。
そもそも、毎月募集は子育て世帯を対象に子育て支援の強化の目的で開始されたはずのものであります。その点を踏まえた上で、五十戸から百二十戸まで拡大してきたことの経緯に加え、その点の経過を都民に改めて分かりやすく説明していただきたいと思います。
○都築経営改革担当部長 都では、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえ、生活に困窮する都民への居住支援の充実を図るため、毎月募集について、臨時的な措置として、令和三年一月から、本来の対象世帯である若年夫婦やひとり親を含む子育て世帯に加え、一般世帯も対象とするとともに、募集戸数を月五十戸から七十戸に拡大いたしました。
その後、同年七月からは募集戸数を月百戸に、十月からはさらに月百二十戸に拡大するとともに、そのうち二十戸につきましては、若年夫婦、子育て世帯向けの募集枠とすることで、入居機会の確保に配慮した支援の充実を図っております。
○中山委員 また加えまして、住宅供給公社におきます毎月募集のホームページでは、三か月間ごとに募集内容の予定が掲載されています。
見方を変えていえば、まるで暫定的な制度で、恒久的に実施する見通しが立っていない事業であるかのような印象を与えてしまいます。都民の中には、計画を立てて、これからの子育てに臨んでいるご家庭もあり、見通しが立っていないかのような印象を与えるのは好ましくありません。
この点も、そもそも我が党が提案し、実現にこぎ着けた段階では恒久的な取組としてスタートし、決して暫定的、期間限定的な取組ではなかったはずだと理解しております。
この点につきましても明確になりますよう、住宅供給公社のホームページでの改善策を検討されたいと思います。
○都築経営改革担当部長 毎月募集は、若年夫婦、子育て世帯の入居希望時期に応じた申込み機会の拡大を図るため、子育てに適した広さの住戸の中で、比較的低倍率のものを、期限付でない若年夫婦、子育て世帯向けに毎月定例的に行う募集制度として、平成三十年一月から募集を開始したものでございます。
今後、住宅供給公社のホームページにおきまして、都民の皆様に分かりやすく伝えられるよう、コロナ禍を踏まえた臨時的措置を講じている経緯の説明に加えまして、毎月定例的に実施することとしている毎月募集の趣旨や内容を追加するなど、掲載内容を工夫し、改善いたします。
○中山委員 今の二つのご答弁で、これまでの経緯をお聞きいただいている都民の方々にもよくご理解いただけたものと考えております。
そこで、この毎月募集につきましては、月ごとの募集戸数を大幅に増やすことや、子育て世帯だけでなく、一般世帯が引き続き申し込める制度にするなど、さらに都民のニーズに即した募集制度への改善を検討すべきと考えております。見解をお伺いします。
○都築経営改革担当部長 毎月募集は、年四回の定期募集に加え、都民が希望する入居時期に合わせて応募が可能な、ニーズに即した募集方法であり、令和三年一月以降は応募者数も増加傾向にあります。
今後、これまで以上にストックの有効活用を図ることで、月ごとの募集戸数を増加させるとともに、若年夫婦、子育て世帯に限定した募集枠を設定し、若年世帯の入居機会を確保した上で、一般世帯も恒常的に対象にした、利用しやすい募集方法への改善の具体化を図ってまいります。
今後とも、都営住宅への入居を希望する都民の入居機会の一層の充実に向けて取り組んでまいります。
○中山委員 ぜひ、今後の一層の充実、運用の改善に期待したいと思います。よろしくお願いいたします。
毎月募集に寄せられますさらなる制度改善の要望内容は、今述べました募集戸数の拡大と、利便性の高い地域での募集の開始、そして型別供給での柔軟な取扱いであります。
利便性の高い地域での募集の開始につきましては、これが可能であればこしたことはないんですけれども、年四回の定期募集でも、利便性の高い地域での空き家募集では、応募数が多く、倍率が極めて高くなっておりまして、空き家の発生が少ないのは致し方がない話でもあります。
しかし、型別供給での柔軟な取扱いにつきましては、運用の工夫で可能なソフト的な話でありまして、積極的に取り組んでもらいたいと思います。
例えば、現に夫婦のみの二人世帯でも応募が可能な、子供部屋を十分に確保できる間取りでの毎月募集となりましたら、近い将来での第一子、第二子等も計画している若い世帯の応募が進むと思われます。事実、我が党の区市町村議員には、そうした声がたくさん届いております。
既に住宅政策本部では、こうした点への対応を開始し、努力を重ねている面もあるかと思いますけれども、これまでの取組の内容と今後のより一層の改善の見込みにつきまして見解を求めたいと思います。
○都築経営改革担当部長 都は、令和二年二月から、世帯人数に応じて提供する住戸の広さと間取りを決めている住戸あっせん基準を多摩地域において緩和し、入居者の募集を行っております。
具体的には、定期募集において応募なしとなった比較的広い住戸を単身用とすることや、同じく応募なしとなった三人、四人以上世帯用の広い住戸を二人以上世帯用とすることなど、募集における住戸あっせん基準の弾力的運用を実施しております。
今後、多摩地域での緩和対象住戸の応募状況等を踏まえながら、さらなる住戸あっせん基準の弾力的な運用方策について検討してまいります。
○中山委員 ぜひ今後の検討をよろしくお願いいたします。
型別供給につきましては、お一人住まいだから一Kでよいと決めつけるのは、単身高齢者の生活実態に即していないとのお声もあります。
介護のために家族が来てくれても、孫が遊びに来てくれても、泊まることさえできない。介護用のベッドを置くこともできない。車椅子生活に移行した場合、車椅子で室内を移動することができないなど、高齢世帯の社会参加、人とのつながりを応援する環境を整えるためにも、型別供給を見直す段階を迎えていると感じております。
ましてや、これから子育てに取り組む、出産後、子供が成長していく過程で引っ越す必要のない住まいに若夫婦二人で暮らし始めたい、さらには、第二子、第三子の子育てにも対応できる住まいが望ましいなどの要望に対応してこそ、都営住宅を活用しての子育て支援といえるものと考えます。
型別供給の発展的な解消、もしくは都政課題に即した抜本的な見直しに期待したいと思います。
間取りの改善におきまして、今後求められておりますのは、団地の建て替え後などにおける立地環境の変化に伴う居住ニーズの変化への対応であります。
都営団地は、一たび建て替えれば、五十年以上の長い期間使用します。建て替えの際は、従前居住者の年代層などに応じて建て替え後の部屋の間取りを決めますが、建て替えた後、新たに鉄道の利便性が向上したり、大学や病院の移転が決まったりなどで、環境の変化が発生し、入居をしようとする人々の年代層の変化が生まれることも考えられます。
そうした際に備え、号室と号室の境となる壁を、全て構造力学上外せない壁とするのではなく、一定の組替え、例えば、三つの単身住戸の間取りを変えて、二つの子育て住戸に変えるなどの方策を建て替え前から想定した建築方式とすることも、既存ストックの柔軟な活用、SDGsの視点からも、優れた取組として試みるべきと考えます。今後検討すべきであります。
今、述べたような方策を今後検討していただきたいと思いますが、見解を求めます。
○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建て替えに当たりましては、居住者の状況を勘案しながら、若年夫婦や子育て世帯が入居可能なファミリー向け住戸の整備を進めております。
現在、建て替えの中心となっております昭和四十年代以前に建設された団地では、三人以上の世帯の割合は平均して約九%でございますが、例えば令和二年度の発注では、全体の約一九%を三人以上世帯向けの住宅としております。
現在建設している住宅では、一人世帯用の一DK住戸や二人世帯用の二DK住戸につきましては、二戸を隣接させ、その戸境の壁を撤去すれば、一つの住戸として使用することも可能な仕様としております。
今後とも、既存ストックの柔軟な活用が図られるよう取り組んでまいります。
○中山委員 ぜひ今ご答弁にありました柔軟な対応を多くの建て替えで採用していただきたいと思います。
加えまして、私が質問の中で触れましたような立地環境の変化にも柔軟に対応できるような建て替えの仕方も、ぜひ積極的にご検討いただくよう要望しておくものであります。
都営住宅の三項目めとしまして、従前居住者が入居時に自己資金で整えた浴室設備について質問いたします。
都は、昨年度から、自己資金で設置している居住者に対して、浴室設備を都設置に切り替える事業を試行することといたしました。住棟ごとに更新を行う場合と、故障した住戸に対して個別に更新を行う場合との二つの方法で実施しております。今年度は試行二年目となっており、昨年度の実施状況を踏まえ、一部見直しを行っているところであります。
本委員会では、昨年度の浴室設備の更新の試行の実績を確認するとともに、昨年度の実施状況を踏まえた今年度の試行の状況について確認したいと思います。
まず、令和二年度の試行におきます浴室設備の更新の実施状況についてお伺いいたします。
○小林営繕担当部長 昨年度の住棟ごとの浴室設備の更新については、五百戸を予定し、建て替え対象でない住棟のうち、またぎの低い浴槽の設置が可能なものから、十九団地、三十一棟を選定し、居住者から承諾の得られた二百四十六戸について更新を行いました。
また、それ以外の住棟の故障した浴室設備の更新についても、五百戸を予定し、居住年数等の要件を設けた上で広く募集を募り、八百二十一戸の中から抽せんの上、四百三十九戸について更新をいたしました。
○中山委員 柔軟な対応をしていただいたということで評価したいと思います。
今年度の故障した浴室設備の更新の実施状況は、昨年度抽せんで対象とはならなかった住戸から優先的に更新するとのことでございました。
そこで、令和三年度の故障した浴室設備の更新の実施状況についてお伺いをしたいと思います。
○小林営繕担当部長 令和三年度の故障した浴室設備の更新についても、五百戸について実施する予定でございます。
また、昨年度抽せんで対象とならなかった三百二十一戸のうち、希望のあった二百十一戸について六月から優先的に更新を進め、おおむね完了してございます。
残り二百八十九戸につきましては、名義人の年齢が六十五歳以上の要件を設けた上で希望を募り、六百十五戸の中から抽せんの上、十月から更新に着手しております。
○中山委員 故障した浴室設備の更新につきましては、今年度も当せんされなかった方々が多くいらっしゃいます。ぜひともこうした方の更新を早期に実施していただくよう検討をお願いいたします。
次に、令和三年度における住棟ごとの浴室設備の更新の実施状況についてお伺いをいたします。
○小林営繕担当部長 昨年度の実施状況を踏まえまして、予定戸数を千五百五十戸に増加するとともに、対象住棟についても七十団地、百四十七棟に拡大し、承諾の得られた六百七戸について、八月から更新を進めております。
残り九百四十三戸の追加実施が可能であることから、今年度における故障した浴室設備の更新枠への応募状況も踏まえまして、十七団地、六十八棟を追加選定し、十月から対象となる住戸の居住者に応募の案内をしております。
○中山委員 追加で住棟を選定し、更新する戸数を増やして対応していただいているとのことでございました。一人でも多くの方が都設置に切り替わりますように、引き続きご対応をお願いしたいと思います。
また、本制度が居住者の方にご理解をいただけますように--今はコロナ禍でしたので、なかなか対面での説明会が開催できませんでした。来年度以降は説明会を開催して、対面でいただきたいと思います。
本格実施では、ぜひとも試行の状況を踏まえ、希望している方が早く更新してもらえる制度となりますよう検討していただきたいと思います。
また、試行期間におきます取組の結果では、故障枠において、二年続けて応募を満たすことはできず、抽せんとなっております。
一方では、今後、丁寧で制度の趣旨が伝わりやすい、対面での説明や、電話、オンラインでの説明にご努力いただくことを前提としても、充当枠では希望数が予算枠には達しない状況が続く可能性があります。
せっかく公的に対応する制度ができたわけでありますから、この二年間の試行の施行の経験値を生かし、故障枠を中心に予算規模の増強を図るべきと強く要望しておくものであります。
次に、都営住宅のみに限定された質問を終えまして、社会全般に広がる住まいにまつわる課題に目を移し、質問をしたいと思います。
まず、高齢者のみ世帯の増加に伴います他者とのつながりを支援する取組であります。
近年は人と人とのつながりが希薄になっており、長引くコロナ禍により、それは一層顕著になっております。
集合住宅におきましても、居住者の高齢化などにより、入居者同士のつながりが希薄になり、周辺地域とのコミュニティ機能の低下が懸念されております。高齢者の孤立化を防ぐためには、コミュニティの活性化につながる高齢者の支援が極めて重要であります。
住宅政策本部では、居住支援法人の活動を生かしながら、高齢者のみ世帯の賃貸住宅の入居困難を克服する取組を続けています。
しかし、高齢者のみ世帯の住まいにまつわる不安は、入居時だけではなく、入居後も他者とのつながりを質、量ともに望ましく確保する支援が必要であります。騒音、ごみ、嫌がらせ、様々な住民間トラブルの発生を防ぐ上でも、この取組は重要であります。
そこで、居住支援法人の活動を生かした支援を、賃貸住宅への入居時だけでなく、入居後も、持家の集合住宅や戸建て世帯にも展開すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○武井住宅政策担当部長 居住支援法人は、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居の促進や、入居後の生活の安定、向上のための相談や援助などを行っております。
都では、居住支援法人の活動につきまして、パンフレットを作成し、周知を図るとともに、区市の協議会に対し、セミナーなどの場を活用して、居住支援法人の活動内容を紹介するなど、地域における居住支援の検討に役立つよう取り組んでいるところでございます。
居住支援法人の中には、賃貸住宅に現に入居している方や持家に居住している方にもサービスを提供する法人がありますので、こうした情報についても併せて情報提供を進めてまいります。
○中山委員 ぜひ今後の展開を期待したいと思います。
こうした中、東京都住宅供給公社では、入居者同士や周辺地域とのコミュニティ活動のきっかけづくりや、高齢者の方などから寄せられる様々な相談に対応していくための専門スタッフとして、JKK住まいるアシスタントを配置し、活動を開始したと聞いております。
そこで、公社住宅におきます住まいるアシスタントの取組をさらに拡大すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 東京都住宅供給公社の住宅では、入居者の高齢化や世帯の単身化の進行などにより、コミュニティ機能の低下や、福祉的なサポート等を必要とする高齢者への支援が課題となっており、本年四月から、コミュニティ活動のきっかけづくりや高齢者の福祉サービスへのつなぎなどに取り組む専門スタッフ、JKK住まいるアシスタントを二名配置いたしました。
現在、公社住宅のコミュニティサロンを活用した高齢者向けの健康体操の実施のための連絡調整を行っているほか、介護等の支援が必要であるにもかかわらず、どこに連絡すればよいか分からない方に対して、地域包括支援センターへの橋渡しなどを行っております。
今後、公社では、体制を順次整備しながら、高齢者等の居住者の方が安心して暮らせるよう取り組んでいくこととしております。
○中山委員 二十三区、広い多摩部、両方の地域での展開が必要と考えます。どちらの地域におきましても、JKK住まいるアシスタントのメリットを、より多くの公社住宅にお住まいの方々が享受できますようにするためには、大変な準備と人員の育成が必要だと考えますが、ぜひよろしくお願いします。
都営住宅におきましても、公社の住まいるアシスタントのような取組をすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○都築経営改革担当部長 現在、都営住宅におきましては、公社が巡回管理人を配置して、日常的な相談を受けるなど、高齢者世帯等をサポートしております。
また、公社では、本社に保健福祉等に関し豊富な知識や経験を有する職員を二名配置し、巡回管理人の業務支援を行っております。
今後、公社の住まいるアシスタントの新たな取組の実施状況や効果などを十分注視しながら、都営住宅におけるコミュニティ支援や、高齢者世帯等へのサポートの在り方や仕組みなどにつきまして、指定管理者である公社等と意見交換を行ってまいります。
○中山委員 ぜひ公社など関係機関と有意義な意見交換をしていただきまして、近い将来の実現に結びつけていただきたいと思います。
高齢者の増加に伴う社会不安のもう一つの様相は、家庭内、居室内で、年を重ねることによって膨らむ家具や物品の整理、引っ越しなどの備えなどでの公的支援であります。
身体面での不安は、既に医療や介護の世界で、保険制度を含めて公的支援制度が整い、いろいろ課題はあるにせよ、低所得者等も守備範囲に収めた悉皆的な世界でも誇るべき制度があります。
しかし、他者とのつながりをはじめ、住まい方での人生の総仕上げ、高齢期の迎え方という点での公的支援の在り方という点では、現在の行っております質疑がその先鞭をつけている状態となっているものであり、これからといえます。
例えば、都営住宅での高齢化に伴う建て替えでは、本来、引っ越し費用の公的助成があり、都営住宅に住み続けられることを保障されながら、より快適な住まい環境に移れるチャンスでありますけれども、多くの高齢者のみ世帯の中では、引っ越しそれ自体が大きく深刻な悩みの種になりかねない現状があります。
特に寝たきりに近いような身体状況の方々にとっては、高齢者に限らず、どのように引っ越しに備えたらよいのか、途方に暮れることもあると聞いております。
別の土地に分かれて住む子供世帯の助力を得にくい、またはそうした親族はもともといない高齢者のみ世帯も増えつつあるなど、こうした状況は都営住宅や公社住宅に限らず、社会全般の課題となっております。
高齢者の引っ越しでは、自分で荷物を整理できない方々もいらっしゃいます。居住支援法人を通じて、高齢者の引っ越しの支援をすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 住宅確保要配慮者の居住の安定のためには、住宅相談など住宅入居時の支援や見守りなどの生活支援等、居住支援法人の果たす役割が重要でありまして、都はこれまで、不動産団体のセミナーで周知を図るなど、居住支援法人の指定促進に努めております。
また、今年度からは、二か年のモデル事業といたしまして、安心居住パッケージ事業を実施し、入居時の不動産店への同行サービスや緊急時の身元保証代行サービスの提供など、貸主の不安軽減と要配慮者の円滑な入居につながるきめ細かな居住支援法人の取組を支援しております。
本事業では、居住支援法人に企画提案を求め、居住の質の向上に資すると認められる居住支援サービスに対して補助をすることとしており、転居に伴う行政手続やライフラインの切替え手続などをサポートする転居支援サービスなどを補助対象としてございます。
今後二年間で本事業を着実に進めていくとともに、事業成果を踏まえ、必要な施策の検討を行うことなどにより、要配慮者への居住支援に取り組んでまいります。
○中山委員 戸建て住宅の方も、引っ越しを予定していなくても、やっぱり荷物の整理はとても大事なことで、それが将来のごみ屋敷とか、そうならないためにも大事なことですから、ぜひこのモデル事業を充実したものにしていっていただきたいと思います。
モデル事業の意義は、あくまで事業スキームの望ましい在り方を探ることにあると考えます。本格実施に際しましては、市区町村の任意に委ねることなく、市区町村と連携して、都も予算措置を講じる取組とするよう要望いたします。
ぜひ、利用に際しての金銭的負担の上では、多くの高齢者が利用しやすいリーズナブルなものとし、かつまた、事業者の経営も成り立つ仕組みを検討されたいと思います。
加えて、結果として都内全域で取組が広がりますように、住宅政策本部が誘導し、産業労働局や福祉保健局などの他局と連携して、民間の担い手の育成の点でも効果を上げていくように要望いたします。
その意味で、こうした新しい分野に対する社会全般での取組が開始されるようになってから、都営住宅や公社住宅の世界での取組が周回遅れで続いていくというような事態には決して陥るべきではありません。
むしろ公的部門こそ、居住支援法人と連携して、模範的な取組を率先して行い、そのノウハウを民間部門で展開していただくといった誘導を図って、社会貢献を果たすべきと注文をつけておくものであります。
それにしましても、公的住宅の政策部門におきましては、箱物としての建物の建築や入居管理だけを行っていればよいという段階を超えて、様々な行政サービスにも目配りをしていくことが求められております。
そうした費用をどんなふうに捻出していくか、これは大事な課題であります。例えば、都営住宅の家賃は法律で決められており、その費用は特別会計で処理しているため、現在、地域からはコミュニティ支援などソフト的なサービスが求められており、公的住宅は模範となって対応すべきだが、新たに発生する費用をどのように捻出していくのか、中長期的な課題として検討すべきと考えます。見解を求めます。
○青柳都営住宅経営部長 都営住宅等事業会計は、その経理を明確にするために設置された特別会計でございまして、国からの交付金と都債を財源に建て替えを行い、居住者からの住宅使用料を維持管理や都債の償還等に充てております。
近年、都営住宅では、居住者の高齢化に伴い、一部の自治会では、日常の維持管理やコミュニティ活動の継続が課題となっております。
また、周辺住民を含めた高齢者の生きがいや健康づくり、社会参加にも資するよう、都営住宅を活用した地域交流の場となる居場所づくりなども求められております。
こうしたコミュニティ支援など、高齢者を支える仕組みの整備促進を図っていくため、空き住戸の解消やコストの縮減など効率的な経営により、都営住宅等事業会計を継続的、安定的に運営していくとともに、関係機関とも調整しながら、必要な財源の確保に努めてまいります。
○中山委員 先ほども災害発生後の復興住宅の問題とかありましたけれども、現状の枠組みだけにとらわれて仕事をしているというのでは、想定できない事態に遭遇したときに対応できないことになってしまいます。
都営住宅、公社住宅の部門におきましても、今申し上げたような様々なソフト的なサービスに対応する財源捻出の方法というものを、今から頭の体操として、しっかり行っておくべきだと思います。
公社住宅などのこうした制度に縛られた都庁パートナーの体制だけでなく、広い視野から、どうしたらそうした事柄に対応できる環境を整えられるのか、ぜひ若い職員の方々もいらっしゃいますので、その点の検討をお願いしたいと思います。
住まいに関する社会的課題は、高齢者の増加だけでなく、CO2の削減、ゼロエミッションの具現化という点にもあります。
前回の十月八日、都市整備委員会での住宅政策審議会の中間のまとめに関する質疑でも指摘させていただいたところでありますが、今後、脱炭素社会を実現していくためには、新築住宅だけではなく、既存の住宅の省エネ化の促進が重要であります。
新築時の住宅購入費用とは異なり、住宅のメンテナンスや改修に対する費用にそれほど余裕を持てる世帯はそう多くはないため、省エネ改修を促進するためには、費用負担を軽減していく必要があります。
既存住宅への断熱改修の補助制度といえば、環境局が行っている窓やドアの改修に対する補助事業があり、住宅政策本部でもマンションの共用部の改修に対する補助事業は既にございますが、例えば壁面や天井などの断熱改修にも支援できる新たな仕組みが必要だと考えております。
既存住宅の省エネ化をさらに促進させていくための新たな補助事業が必要と考えますが、見解を求めます。
○武井住宅政策担当部長 壁面や天井、床なども含めた断熱改修は、窓など開口部のみの改修よりも、一般的に改修費用は高くなります。
CO2排出削減効果の高い、こうした住宅の省エネ改修を促進させていくためには、住宅所有者の費用負担を軽減させていくことが課題であり、今後、国に対して支援の充実を要請するなど、引き続き、施策の在り方について具体的な検討を進めていきたいと考えております。
○中山委員 ぜひ来年度予算編成の中で実現していただくことを強く要望します。
本日は、様々な観点から東京都におきます住宅行政の進展を求める質問を行い、有益なご答弁もいただいたと思っております。
こうした答弁の内容を、本日、各質疑について追加で要望させていただいた内容も含めまして、さらに発展、進展させていくためには、さらなる執行体制の充実が必要であると感じております。
我が党は、さきの令和三年第三回定例会の本会議で、先駆けて、住宅政策本部の住宅局への格上げを求め、前向きな答弁を得ているところであります。
本日は、住宅政策本部長に住宅局長になるべきと迫ってみても、詮のない議論になりますので、主張にとどめておきたいと思います。榎本本部長がご答弁いただきたいということであればいいですけど、よろしいですか。--これはね、ちょっと、はい、ここはとどめておきます。
住宅政策本部は、都市整備局から独立し、本部になった以降、今日に至るまで、それ相応の努力を重ねて、一定の実績を残してきたことは高く評価しております。
しかし、我が国全体が抱える諸課題や安定的な成長を遂げることがますます困難になりつつある周辺の国際環境を考えますと、国内の生活の質の向上を通じて、ありとあらゆる人々がそれぞれに個性を発揮し、ポテンシャルを遺憾なく発揮できる社会的環境を整えることは喫緊の課題であります。
そのためには、あらゆる人が住まいの安定を得られますように、都財政の現状を的確に踏まえた上でも、良識のあるさらなる工夫を重ねて、例示的に申し上げれば、都庁内だけでなく、都を代表して、民間との積極的な協働を果たし、より魅力のある東京の暮らし、高齢者にも、子育てを望む人々にも、前向きに生きることが暮らしとして可能となっていくことを導く住宅行政への期待が高まっており、それに応える必要があります。
少子高齢化、人口減少の社会の中にありましても、国力を高め、底上げを図っていくためには、首都東京の住宅行政を格段とレベルアップさせる必要があり、改めて住宅政策本部を住宅局に格上げすべきと申し上げて、質問を終わります。
○宮瀬委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十九分休憩
午後三時十五分開議
○宮瀬委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○尾崎委員 私の方からは、最初に、コロナ禍での住宅の問題について、幾つか質問していきたいと思います。
日本民主青年同盟東京都委員会は、八月、九月に、ネットカフェなどを利用している方たちへのアンケートを行いました。アンケートには、週六以上、ネットカフェを利用しているが、最も多かったそうです。週六以上と答えた人たちの中では、アパートは初期費用がかかる、お金がないからネットカフェに滞在しているなどの声が寄せられているということでした。
コロナの感染拡大の中で、各地で食料支援のボランティア活動が広がりました。今年になって、食料支援に若者や子供を連れた若いお母さんたちの長い列ができたことが報告されています。中には、失業し、住まいを失い、食べるものがなく、食料支援を歩いて回っているなどの状況が明らかになっています。
住まいは生きていく上で欠かせない生活の基盤です。誰一人取り残さない、住まいは人権の立場を、住宅政策の基本に据えて取り組む必要があります。
新型コロナの感染拡大の中で、アパートは初期費用がかかる、お金がないからネットカフェに滞在している、路上生活になったなど、住まいに困窮している人が増えています。コロナ禍での住宅支援について、都の認識を伺います。
○武井住宅政策担当部長 都はこれまでも、公共住宅に加え、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネットにより、都民の住まいの安心の確保に努めてまいりました。
今後とも、既存の住宅ストックを有効に活用し、住宅に困窮する都民の居住の安定の確保に取り組んでまいります。
○尾崎委員 既存の住宅ストックを有効に活用とのことですが、若者には全く支援が届いていません。家賃が払えない状況、住まいを失っているからネットカフェで過ごさざるを得ない若者が増えているのです。住まいを失わずに済むような支援が求められています。若者の皆さんからは、公的住宅に入りたいとの強い要望があります。
第三回定例会の我が党の代表質問に、知事は、コロナ禍におきまして、失業に伴う経済的な困窮や心理的な不安の増大など、多くの方々が様々な影響を受けており、きめ細かな支援が必要と答えました。そしてさらに、知事は、都は、こうした悩みや不安を抱える方々に寄り添った政策を幅広く展開しておりまして、引き続き、誰一人取り残さない社会の実現を目指してまいります、また、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が大きく減少したひとり親家庭もあると認識しています、住宅は生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素と答弁しました。
これは重要な認識だと思っています。そうであるなら、家賃補助制度や都営住宅への入居対象の見直しなども積極的に行うよう検討を求めるものです。
日本共産党都議団は、都営住宅の毎月募集について、十月以降の継続と戸数の拡充を求め、知事への申入れや、第三回定例会の代表質問でも要望してきました。
都は、新型コロナ感染症による影響を踏まえ、生活に困窮する都民への居住支援として毎月募集を行っていますが、取組状況について伺います。
○都築経営改革担当部長 毎月募集につきましては、コロナ禍を踏まえ、令和三年一月から、対象世帯に一般世帯を加えるとともに、募集戸数を月五十戸から七十戸に拡大いたしました。
その後、同年七月から募集戸数を月七十戸から百戸に拡大し、さらに十月からは子育て世帯向けの募集枠として二十戸を加えて月百二十戸とし、支援の充実を図っております。
○尾崎委員 都は、十月以降も毎月募集は継続することになり、月百戸の募集から百二十戸に増えたことは重要です。引き続き戸数のさらなる拡大を要望するものです。
コロナ感染拡大に伴う暮らしの影響は大変深刻になっています。子育て世帯や高齢者だけではなく、特に非正規雇用が多い若者や女性などが職を失っています。
そこで伺います。新型コロナ感染症の影響は、ひとり親世帯や若年夫婦、子育て世帯だけではなく、全ての都民に大きな影響を及ぼしています。特に、若者への影響も深刻となっています。単身者の若者でも都営住宅に入れるように入居対象を見直すべきですが、いかがですか。
○都築経営改革担当部長 都営住宅は、原則として、市場で適切な住宅を確保することが困難な同居親族のある世帯を入居対象としており、単身者は、特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯や障害者世帯等に限り入居の対象としております。
若い世代の単身者につきましては、福祉施策や雇用就業施策とともに、民間事業者等の多様な連携によって、市場において居住の確保が図られるべきと考えております。
○尾崎委員 先ほども紹介しましたけれども、第三回定例会の我が党の質問に、知事は、住宅は生活の基盤であると答弁しました。若者であっても同じです。住まいがなければ生活の基盤がなくなるのです。
市場において居住の確保が図られるべきと先ほどご答弁がありましたが、市場で自己責任で住まいを確保できない状況になっている若者に対しては、都が支援すべきだと思います。都営住宅があるわけですから、ぜひ都営住宅にも入れるよう改善を強く求めるものです。
UR賃貸住宅では、大学生との連携が進んでいます。今年五月十八日に開催された第一回東京都住宅政策審議会企画部会の資料には、今後の施策の方向性の〔1〕、都営住宅における取組のところでは、高齢化が進む都営住宅における多世代共生の一つとして、大学との連携による学生入居を検討と書かれています。学生や若者が安心して暮らせるためにも、早急に都営住宅の入居ができるように検討を進めていただくことを強く求めるものです。
次に、都営住宅について幾つか質問していきます。
都営住宅の問題では、入居している方たちから具体的な要望が多く寄せられます。事実確認も含めて質問していきます。
駐車場の問題では、子供たちや親戚などが会いに来たとき、駐車場がないために敷地内に駐車していると駐車違反で警察に通報されることが多く、敷地内の空いている駐車場を活用できないかという要望も出されています。
そこで伺いますが、コインパーキングの設置は現在どうなっていますか。今後の計画についても伺います。
○都築経営改革担当部長 都営住宅の駐車場の空き区画については、居住者の来客や介護車両などの一時的な駐車ニーズに対応するため、居住者の利用に支障のない範囲でコインパーキングを設置しております。令和三年十月末現在、四十二団地、三百三十五区画で実施しております。
引き続き、管理開始後十年を経過したものなど、条件の整った団地に設置していくこととしております。
○尾崎委員 現在四十二団地、三百三十五区画でコインパーキングを実施しているということが分かりました。
私の地元にある都営住宅の駐車場も空いているのが目立ちます。都営住宅の近くにある商店街からは、買物客の駐車場に活用させてほしいという声もあります。ぜひ、地元自治体や商店街などとの連携も強めていただきたいと要望するものです。
都営住宅には、駐輪場、駐車場はありますが、バイクを置く場所についてはどのようになっていますか。
○都築経営改革担当部長 都営住宅では、共同施設及び附帯施設として、バイク置場は整備しておりません。
○尾崎委員 バイク置場は未整備ということですけれども、団地の自治会で相談をして、自転車置場の隣にバイクを置くようにしているですとか、それぞれ地域によって違うと思いますが、様々な方法が今取られているんだと思います。
ある入居者の方からは、屋根のないところで今バイクを置いているので、強風が吹くとバイクが倒れてしまい、燃料が漏れるなど危ない状況があるんだという声も届いています。
そこで、駐車場が空いているところをバイクの置場にしてほしいとの要望がありますけれども、これについてはどう考えますか。
○都築経営改革担当部長 都営住宅の共同施設として整備した駐車場に保管可能な自動車は、四輪の自動車を対象としております。
駐車場の空き区画をバイク置場に転用することにつきましては、駐車場の附置義務台数の確保などの課題があると考えてございます。
○尾崎委員 入居者の要望などをよく聞いていただいて、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
次に、都営住宅の建て替えを行うとき、障害者用の住宅はどのような基準で戸数を決められているのか伺います。
○妹尾建設推進担当部長 現在、建て替えを行っている都営住宅につきましては、原則として全ての住棟にエレベーターやスロープを設置するとともに、全ての住戸において、玄関を車椅子での出入りがしやすい仕様とするほか、住戸内の段差解消、浴室等への手すりの設置など、バリアフリー化を図っております。
○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、現在、建て替えを行う場合は、以前あったような障害者の方用の住居は造らないということだと思いますけれども、エレベーターやスロープを設置し、手すりやバリアフリー化しているからということですけれども、実際、車椅子で玄関から部屋に入るときのほんの少しの段差でも車椅子は容易に入れないという人もいました。トイレも、ついている手すりだけでは不十分で、狭くて使えない状況があります。建て替え後の新しい部屋を見学し、車椅子は難しいと悩んでいる方もいました。
そこで伺います。病気やけがなどによって障害があり、車椅子を使用するとき、トイレやお風呂など狭くて移動ができない状況があります。車椅子が対応できるよう修繕が必要ですが、都はどのように対応していますか。
○小林営繕担当部長 身体障害者や六十五歳以上の高齢者が居住している住戸については、居住者の申出により、住宅設備改善工事を実施しています。
例えば、浴室の開き戸から引き戸または中折れ戸への取替えや、便所、浴室及び段差の大きい箇所などへの手すりの設置を行っております。
○尾崎委員 住宅設備改善工事は、都の負担で行っていただくということも聞きました。重要なことです。
障害の状況は一人一人異なります。障害のある方が安心して暮らせるようにするため、丁寧な対応をお願いするものです。また、相談できるということを入居前に入居者にお知らせすることも大事だと思いますので、要望しておきたいと思います。
高齢者は、力が弱くなっており、ドアが重くて開けられないとの声も寄せられています。高齢になると、一人一人の状況で困難さが異なります。入居者の要望に寄り添って対応すべきですが、どうですか。
○小林営繕担当部長 住宅設備改善工事として、玄関のドアノブをレバーハンドルに取り替えております。
○尾崎委員 私もこの間、建て替えになった幾つかの都営住宅を見て回ってきました。都営住宅によっては、共同の通路、廊下から、玄関が少し奥にあるものや、通路側の柵の上に、玄関の部分にだけパネルが設置されているものなど、様々でした。私のところにドアが重くて開けられないと相談があった都営住宅では、玄関はセットバックしておらず、通路側のドアの前の風よけのパネルも設置されていませんでした。
様々な条件があってできなかったのだと思いますけれども、今後、何らかの対策が必要だと思いますので、検討をお願いしたいと思います。
次に、視覚障害のある方たちからの要望について、幾つか伺っていきたいと思います。
都営住宅の階段手すりに、階数の点字表示はどうなっていますか。
○妹尾建設推進担当部長 建て替え住棟につきましては、本年度から階段に階数の点字表示付手すりを設置しております。
既存住棟につきましても、本年度から、視覚障害者の方からの要望なども踏まえ、対応しております。
○尾崎委員 建て替え住棟は、本年度から点字表示付手すりを設置ということです。既存住棟も本年度からとのことですが、視覚障害者の皆さんからの要望などを踏まえ、対応するというご答弁が今ありましたけれども、この間、東京視覚障害者協会からも、都への予算要望の場で、この間繰り返し、これらの問題、要望されてきたと思っています。
どこに視覚障害者の方がお住まいかということは、都は承知していると思いますので、まずは、入居者のいる住棟を早急に改善するよう求めるものです。
都営住宅の敷地内に、視覚障害者誘導用ブロックはありますか。
○妹尾建設推進担当部長 昭和六十三年度以降に建設に着手した都営住宅におきましては、道路から住棟及び集会所の主要出入口までの経路に、視覚障害者誘導用ブロックを設置しております。
○尾崎委員 昭和六十三年以降の都営住宅には視覚障害者誘導用ブロックを設置しているということですけれども、昭和六十三年以前のものは、特に視覚障害のある方が入居している場合には、早急に視覚障害者誘導用ブロックの設置をお願いしたいと思います。
次に、エレベーターに音声案内がついているのはどのぐらいの割合になっているか伺います。
○小林営繕担当部長 令和二年度末時点で、都営住宅に設置されているエレベーターのうち、音声案内装置付エレベーターの基数の割合は約九割となっております。
○尾崎委員 九割になっているということですが、複数のエレベーターがある場合には、一つは音声案内装置付になっているということも伺っていますが、エレベーター全てに設置することを要望するものです。
細かいようなお話、質問をしてきましたけれども、実際に障害のある方にとっては命綱になる問題ですので、ぜひ早急に改善をお願いしたいと思います。
次に、建て替えに伴う問題についてです。
都営住宅の建て替えに伴う粗大ごみについて、どのような対応になっていますか。
○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建て替えに伴う移転に当たりましては、居住者に対して移転料をお支払いしており、この移転料で粗大ごみ等の処理を含めた引っ越し費用を賄っていただくこととしております。
○尾崎委員 粗大ごみについて、都営住宅の敷地内に置場を設けて、料金は自己負担で行っているのが通常の対応だと思っています。
私の地元では、都営住宅の敷地内で置場を設置して進めていました。しかし、都営住宅以外の住民が不法投棄し、ごみの量が多くなって、処理に大変な苦労がありました。
東京都住宅供給公社と団地の自治会が相談し、移転料十七万一千円のうち、二万一千円を先に振り込み、その中からごみ処理分として五千円を自治会に渡すことを求め、支払わなければ、新しい住居の鍵は手渡さないということも行われました。
入居者からは、自分のごみは自分で全部処分している、それなのに、一律でごみ処理料としてお金を徴収されるのはおかしい、納得できないという声や、ごみの処理代を出さないと新しい部屋の鍵を渡さないというのは一種の脅しではないかという不満の声も出されました。
自治会の判断で行っているということだと思いますが、都として、不法投棄をなくす対策など、地元自治体との連携を強めるべきだと思います。
また、入居者に対しては、ごみの処理などについての説明は、入居者が理解できるよう、納得できるまで説明会を開き、丁寧な対応を求めるものです。多摩地域は、家庭ごみの有料化も進められており、ごみの処分だけでもかなりの負担になります。
都営住宅の移転料の推移と現在の金額について伺います。
○妹尾建設推進担当部長 平成十五年度までは、建て替え後の団地に戻ることが前提の仮移転の場合、一回につき約十七万七千円、移転先の団地に住み続ける本移転の場合は約二十万三千円でございました。
平成十六年度からは、一律、現行の一回につき十七万一千円としております。
○尾崎委員 現在の都の移転料は十七万一千円ということです。
私は、二〇一九年第一回定例会に、都営住宅の移転料についての文書質問をしました。地元の方たちから、都営住宅の移転料を増額してほしいとの要望が寄せられたからです。
このときの文書質問で、都の移転料は現在と同じ十七万一千円でした。国の公営住宅等整備事業対象要綱の第十三条二に、移転件数一件につき十七万六千円を限度とするとなっていて、消費税が五%から八%に増税されたときに、限度額を引き上げたということでした。
二〇一九年時点で、国の限度額よりも都の移転料は五千円少ない状況でした。このとき、二〇一九年十月から消費税が八%から一〇%に増税になることを踏まえ、国は、公営住宅等整備事業対象要綱の移転料の引上げを検討していることが分かりました。私は、このときの文書質問で、都も移転料の引上げが必要ではないかと要望していました。
そこで伺います。国の公営住宅等整備事業対象要綱では、移転料の限度をどのように定めていますか。
○妹尾建設推進担当部長 国が定める公営住宅等整備事業対象要綱におきまして、移転料につきましては、移転件数一件につき十七万九千円を限度とすると定められております。
○尾崎委員 ただいまのご答弁で、十七万九千円を限度としているということでした。国の公営住宅等整備事業対象要綱は、二〇二〇年度に改正されて、二〇二〇年四月一日から施行されていますが、移転料については十七万九千円を限度とすると、そこで変わったのです。
国の公営住宅等整備事業対象要綱に定める移転料の限度について、都はどのように受け止めていますか。
○妹尾建設推進担当部長 国が公営住宅等整備事業対象要綱で示している額は、移転に係る補助対象額の上限でございまして、都においては、通常の移転に必要な額を支払っているものと認識しております。
○尾崎委員 私は、神奈川県や埼玉県の県営住宅の移転料について、この間電話などでも聞き取りを行いました。
神奈川県は、一律の移転料ではなく、先ほど東京都が以前のような段階のある移転料を設定していたわけですが、神奈川でも移転料については状況に応じて、二十万円ちょっと超える金額を移転料として支払っているという話でした。埼玉県の移転料は十七万九千円になっていることが分かりました。
いずれも、国の限度額に応じて移転料を引き上げているということでした。
都の移転料は十七万一千円ですから、八千円も差が出ています。都民も消費税増税によって、暮らしを直撃されているんです。都営住宅の建て替え費用については、移転料も含めた費用全体の四五%が国の交付金で賄われています。つまり、移転料については国から財政支援があるということです。都も国の限度まで移転料を引き上げることを強く求めるものです。
最後に、災害や火災などで住まいを失った場合の一時住宅として都営住宅を提供する場合、どのような住戸を提供しているのか伺います。
○都築経営改革担当部長 災害等で緊急の必要がある場合は、都営住宅の空き住戸のうち、補修が終わり、入居予定者が決まっていない住戸を活用することとしております。
○尾崎委員 コロナの感染拡大の影響は災害並みと小池知事もこの間発言しています。現在は一日の新規陽性者の人数は少なくなっていますが、都民の暮らしは、これまでに経験したことのないような貧困と格差の拡大や、困っている方がより深刻な状況になってきています。
都営住宅の管理戸数、空き住戸数など資料をまとめていただきました。単純に考えると、空き住戸数、事業用、募集用と、管理戸数から見れば約一二%の空きがあると考えられます。
しかし、地域の方たちからは、空き戸数が多い、都営住宅は空きが多いんだから、都営住宅に入れてほしい、困っている人が多いのだから、都営住宅に入れてほしいと、たくさんの要望が出されています。
私の地元の一つである武蔵村山市の生活と健康を守る会の人たちは、村山団地の空いているところを一つ一つ調べました。村山団地は、四千戸を超える大きな都営住宅です。その中で、七百を超える空きがあり、約一七・六%が空き戸数になっているということが分かりました。まとめていただいた資料と比較しても、やはり空き戸数が多いと思います。
空いているのであれば、募集戸数を増やしていただくよう強く求めて、質問を終わります。
○竹井委員 それでは、何点か質問をさせていただきます。
初めに、都営住宅について伺います。
全国的に見ますと、人口が減少する中でも世帯数が増えているのは、いわゆる単独世帯が増えているからです。二〇四〇年には単独世帯がおよそ四割を占めるのではないかという推計もあります。持家取得が困難で、賃貸にとどまるジェネレーションレント、賃貸世代という言葉も生まれています。
NPOのPOSSEによれば、この三十年ほどで三十九歳以下の若い世代の持家率が二〇%ほど減少しているということです。その上、賃貸住宅では、より低所得の借手が増えているにもかかわらず、低家賃住宅が減少しているため、家賃負担が重くなっています。住居費負担率は、一九八九年には一二・二%であったのが、二〇一四年には一七・一%と上がっているということです。コロナ禍においては、住居確保給付金の要件が緩和されたことで、二〇二〇年度の支給件数は、前年度の三十四倍だったということです。
これらのことからも、生活に占める住居費の負担が、若者世代に重くのしかかっていることが分かります。
都営住宅は低額所得者に低廉な家賃で賃貸する住宅であります。住居費の負担にあえぐ若者世代にも門戸を開いてほしい、都営住宅に入居したいという声が寄せられていますが、都営住宅に若年単身者も入居できるようにすべきだと思いますけれども、ご見解を伺います。
○都築経営改革担当部長 都営住宅は、原則として、市場で適切な住宅を確保することが困難な同居親族のある世帯を入居対象としており、単身者は、特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯や障害者世帯等に限り入居の対象としております。
若い世代の単身者につきましては、福祉施策や雇用就業施策とともに、民間事業者等の多様な連携によりまして、市場において居住の確保が図られるべきと考えております。
○竹井委員 福祉施策、雇用就業施策、民間事業者等の連携によってということでした。
コロナ禍においては、例えば東京都においても支援情報ナビなどで様々な支援が確認できます。住居確保給付金や小口資金特例貸付などですね。あとは、各種の支払い猶予等もあります。
しかし、若年層の住宅環境については、これは継続的に改善していかないといけない課題だというふうに思っています。都営住宅において門戸を開くことがすぐには難しいということであるとすれば、ぜひ他局と連携して、若年層の住居支援に取り組んでいただきたいと思っております。
今、単身者向けの倍率は四十倍にも上るということですので、そこに若年層を加えれば、またさらに倍率が上がって、高齢者や障害者の単身者の入居に支障が生じるということも理解はできます。ただ、冒頭申し上げたような住まい方の変化が起こっていますので、単身者向けの住宅を増やしてほしいということ、先ほどもご質問もありましたけれども、私の方も今回、市民からも要望をいただいているところです。建て替えの機会を捉えて増やしていただいていることは承知をしていますけれども、需要をしっかりと把握していただきたいと思います。
さて、次の質問ですけれども、都営住宅は低額所得者向けの住宅であるということですが、仮に多くの資産を持っていても入居できているのではないかという声もあって、本当に困窮度が反映されているのか、疑問に思うというお声もいただいているところです。
都営住宅の資格審査で、資産の確認をすべきだという声がありますが、見解を伺います。
○都築経営改革担当部長 公営住宅法では、入居者資格を住宅に困窮する低額所得者としており、都営住宅の入居資格審査におきましては、住宅の賃貸借契約書や家賃の支払いを確認できる通帳の写しなどにより、住宅困窮者に該当することを確認するなど、厳正な審査を行っております。
国は、平成十七年に、入居者資格について、住宅を所有しながら公営住宅への入居を希望している者や、住宅の取得が可能な預金を保有している者は、住宅困窮者に該当しないことを示しましたが、公営住宅法では資産の取扱いを明記しておらず、その調査権限に関する規定もございません。
資産の取扱い及び調査権限については、公営住宅法上、明確に位置づけるよう国に対して提案要求をしているところでございます。
○竹井委員 これまでも、議会においても国に提案要求をしているというご答弁がなされているようであります。
しかし、法改正は実現をしていないわけですが、国に要望するだけでなくて、せめて、資産申告書の提出を求めるなど、都として独自に資産状況の把握をすべきではないかと思いますけれども、ご見解はいかがでしょうか。
○都築経営改革担当部長 資産状況を把握する制度の導入に当たりましては、入居申込者の自己申告の信頼性が前提となりますが、現行の法制度では、申込者の資産について都に調査権限が付与されていないなど、公平性を確保する上で様々な課題がございます。
今後とも、現状に即した法制度の整備を国に要求してまいります。
○竹井委員 それでは、次の質問に移ります。
先ほどもご質問があったんですけれども、都営住宅では空き住戸が多いのではという声を聞きます。一定の空き住戸を確保していくということの必要性は分かっているのですけれども、実際に暮らしていらっしゃる方から、ずっと空いてますよという声も聞こえてくるのですね。そういったことで、先ほどご質問にあった見える化というのは非常に大事なことかなというふうに思います。
当然、一方で、入居希望者が多くて倍率も高い住居もたくさんあるわけですけれども、都における入居の促進に向けた募集改善の取組について伺います。
○都築経営改革担当部長 都では、都営住宅を的確に供給できるよう、近年、募集戸数を毎年度増やすとともに、年四回の定期募集に加え、平成三十年一月から毎月募集を、令和二年二月からは常時申込みが可能な随時募集を開始し、入居機会の拡充を図っております。
また、若年夫婦、子育て世帯向けの期限付入居制度の拡充や、多摩地域での少人数世帯向け住戸あっせん基準の緩和、過去の応募倍率の募集案内への記載などの募集改善を実施したほか、入居者募集のオンライン化に向けたシステムの開発にも取り組んでおります。
○竹井委員 毎月募集の話も先ほど来出ておりますので、割愛をいたしますが、今オンライン化のお話をいただいたところです。
今、入居者募集のオンライン化に向けてシステムの開発を進めているということですけれども、オンライン化によって期待できる効果について伺います。
○都築経営改革担当部長 都営住宅の募集オンライン申請システムの導入により、申込者は、応募期間中、東京都住宅供給公社のホームページにある申込フォームから、休日や夜間でも申し込めるようになるとともに、手書きや郵送の手間を省き、申込書の未記入を防止できるようになります。また、申込者に対して、抽せん番号や公開抽せん後の結果をオンラインにより通知をいたします。
このような利便性の向上が、入居者募集手続において期待できると考えております。
○竹井委員 今おっしゃっていただいたように、何ていうんですかね、ちゃんと記入をしていなければ、それがまたエラーになって、きちんと記入をして申し込むというような形で、こう行ったり来たりが防げるのかなということで期待をしたいと思いますけれども、ただでさえ申込みが難しいというお声も聞いておりますので、オンライン化においても分かりやすい申込方法についての工夫をお願いしたいと思っております。
そうしましたら、都営住宅において、日常の買物が困難な買物弱者への支援策を始めておられるということで、移動販売サービス、これを実施していらっしゃいますけれども、現在の実施状況と拡大に向けた都の取組について伺います。
○都築経営改革担当部長 都は、日常の買物が困難な方々への支援策として、市区町が実施する買物弱者支援事業と協力し、都営住宅の敷地内で食料品や日用品等の移動販売サービスを実施しております。
この取組は、居住者の利便性向上に寄与するとともに、定期的に開催することで、居住者のみならず、周辺にお住まいの方々が顔を合わせるため、地域コミュニティの活性化にも寄与すると考えております。
平成二十九年十二月の事業開始以来、実施団地を毎年度拡大し、現在、六市七区の二十七団地で三十九の移動販売が行われております。
この移動販売サービスを拡大するには、ホームページやSNSなどを活用した都民や事業者などへの事業の周知に加え、地元自治体への実施に向けた働きかけが必要であります。
そこで、都では、自治体に対し、実施事例の紹介や働きかけを行うとともに、導入を検討する自治体からの相談などに応じております。
○竹井委員 ぜひ進めていただきたいと思います。よい取組だと思っておりますので、拡大をお願いしたいと思います。
都営住宅につきましては、私の方にいただいているご意見として、初期費用の課題というものがありまして、何かと申しますと、例えば、網戸とかエアコンとかトイレの蓋とか、ほかの賃貸住宅であれば、もともと設置されているであろうものが設置されておらず、入居者が負担しなければならないと。規格が独特なので、なかなか、前の住居から持ってきたりとか、ほかのものを転用することができないということです。そうしたところ、初期にかかる金額が大体二、三十万ぐらいかかるということで、これ決して安い金額ではないと思うんです。
また一方、どれだけ入居している期間が短くても、出るときには原状復帰が必要だという決まりになっていますので、これ全て廃棄しないといけないということで、ごみになってしまう。次の方に引き継げない。これ環境に優しくないんじゃないかというお声があります。
公平にする必要があるからというのは分からなくもないんですけれども、そろそろ、やり方はあるんじゃないかなと。ぜひ工夫をしていただきたいと思います。質問はしないんですけれども、要望をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、東京ささエール住宅について、先ほど来質問も出ておりますけれども、私からもご質問させていただきます。
住宅セーフティーネット制度、この登録制度、登録住宅に対する経済的な支援、そして居住支援、こういった三つの柱で実施されているというふうに伺っています。
まず、高齢者や子育て世帯などの住居確保配慮者のみが入居可能な専用住宅について伺います。専用住宅の目標戸数、それから、現在の戸数について伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 東京ささエール住宅の専用住宅につきましては、目標は設けてございません。
本年十月末現在、専用住宅は六百十九戸が登録されてございます。
○竹井委員 専用住宅の登録は約六百戸、特に目標は設けていないということです。
本日いただいた資料の中でも、専用住宅がゼロという、多摩地域の市でいえば、三十市町村のうち、二十市町村がゼロでした。
なぜ少ないのかということ、理由を改めて伺いたいと思います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 住宅確保要配慮者のみが入居できる専用住宅については、登録事業者に対するアンケートによると、入居中の事故やトラブルの発生など、様々な不安があることから、積極的な登録がなされていないものと考えられます。
○竹井委員 そうしましたら、その貸主さんの不安を取り除くということが重要であるわけですけれども、都はそのためにどのような取組を行っているのか伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 貸主の不安軽減を図るため、都独自の取組として、一定の性能を有する見守り機器の設置費等への補助などにより、貸主を支援する取組を進めているところでございます。
○竹井委員 専用住宅に登録すると、要配慮者以外の一般世帯の入居ができないということから、貸主の方が、空き室になるリスクを見据えて、登録に前向きにならないのではないかという意見があるようですが、その解決については、借主とのマッチングが重要だというふうに考えますけれども、そのためにはどのような取組を行っているのか伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、今年度から、二か年のモデル事業として安心居住パッケージ事業を実施し、入居時の不動産店への同行サービスや緊急時の身元保証代行サービスの提供など、住宅をお探しの要配慮者と貸主とのマッチング支援を行っております。
○竹井委員 様々取組はあるということでありました。
私は、この専用住宅については、一方で社会貢献になるという側面がとても重要なのではないかなというふうに、その貸主さんの方ですね、社会貢献にもなるんですよということ、そういった体験談も見かけたところです。
そういった側面もぜひ強調していただいたらいいのかなというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。不動産を持っておられる方に社会貢献にもなりますよということをいっていただければと思っております。
専用住宅は少ない一方で、登録住宅は約四万戸が登録されているということでした。これ、実際に住宅に困っている人の役に立っているのかどうか、ご見解を伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅を供給することは重要であり、東京ささエール住宅は、要配慮者の入居の受皿として一定の役割を果たしているものと考えております。
○竹井委員 であるということでしたらば、先ほどもご質問もあったところですけれども、認知度を上げていくということ、とても重要なことだと思います。
それにまた、実際入居に至った方についても一定のヒアリング等も必要ではないかというふうに思いますので、今後のお取組に期待をしたいというふうに思います。
それでは、先ほど申し上げた三つの柱の一つである居住支援の方ですけれども、市区町村の居住支援協議会について、まだ立ち上げに至っていない市区町村がありますが、その理由をどのようにご認識をされておられるでしょうか。
○武井住宅政策担当部長 現在、都内全四十九市区のうち二十六市区において、市区町村居住支援協議会が設置されております。
都が協議会を設置していない市区町村に対して実施したアンケート調査では、居住支援協議会を設立するに至らない理由として、必要なマンパワーや財源の不足が挙げられていることから、都は、市区町村に対して運営経費の補助や参考となる設立事例の情報提供を行うなど、必要な働きかけを行っております。
○竹井委員 ぜひ、これ重要だということを強調していただいて、横展開をお願いできればと思います。
最後になりますけれども、マンションのベランダからの子供の転落事故についてお聞きをいたします。
この十月に、大阪北区の高層マンションで四歳の女の子がベランダから転落して亡くなったという痛ましい事故が起こりまして、これが記憶に新しいところですけれども、国の人口動態調査によれば、十四歳以下の子供がマンションのベランダなど建物から転落して死亡した事故は、毎年発生していて、過去十年間で百二十四件に上っているということです。
テレビ報道によりますと、東京消防庁管内でも、マンションのベランダなどから転落して搬送された五歳以下の子供の数、これちょっと古い報道でしたが、二〇二〇年までの五年間で六十六人いたということです。
住宅政策本部においては、このような事故について安全対策を強化すべきだというふうに思うのですけれども、現在は民間住宅に対してどのような取組を行っておられるでしょうか。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 共同住宅の二階以上にあるバルコニーの手すりの高さにつきまして、建築基準法施行令では一・一メートル以上と規定されております。
住宅政策本部では、子育て世帯に適した住まいを整備する際に考慮すべき事項を取りまとめた子育てに配慮した住宅のガイドラインにおきまして、子供の転落防止のための対策といたしまして、一・二メートル以上を手すりの高さの推奨値として掲載しているほか、足がかりとなりますエアコン室外機等の設置場所の手すりからの距離などにつきまして、安全対策上、有効と考えられる目安をお示しをして普及を図っております。
また、ホームページにおきまして、子供の転落事故に関する政府広報や消費者庁などの情報を掲載することにより、子育て世帯等に対し情報提供を行っております。
○竹井委員 ガイドラインなどで法令の一・一メートルより高い一・二メートル以上を推奨しているということでした。エアコン室外機等を近くに置かないということも非常に重要なことだというふうに思います。
冒頭申し上げましたとおり、十年間で百二十四件の死亡事故が起きています。そのうち二〇一八年までの五年間の死亡事故三十七件について消費者庁が分析したところ、年齢別では三歳が最も多く、一歳から四歳で全体の六割余りを占めていたということです。高さに恐怖心を抱かない小さい子供たちが亡くなっています。
建築基準法では、バルコニーの手すりは一・一メートル以上というふうに定められているんですけれども、この基準をもってしてもこれだけの事故が起きているわけですから、東京都の推奨にあるように、一・二メートル以上というふうに法律の基準自体を見直す必要があるのではないか、それを国に働きかけていく必要があるのではないかというふうに思います。
小さい子供をお持ちのお父さん、お母さんからは、本当に心配だという声もいただいておりますので、ぜひ建築指導行政を所管する都市整備局との連携をお願いしたいと思います。
以上で質問を終わります。
○松田委員 それでは、事務事業質疑、実施させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
まずは、多摩産材の住宅への利用促進についてご質問をさせていただきます。
木造住宅を増やしていくことは、まち中にもう一つの森林をつくることと同じ効果があるといわれています。そして、木材の地産地消は、外国産の木材を使用する場合に比べ、運搬の際の二酸化炭素の排出を抑え、地球温暖化にも寄与するのはもとより、地域経済、そして国内産業の発展に貢献いたします。
国内産業を育てていくためにも、多摩資材の利用拡大については、ぜひ積極的に取り組んでいただければと考えています。
そこでまず、多摩産材の利用拡大に向けて、課題認識をお伺いいたします。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 多摩産材等の木材の利用を促進することは、炭素の固定や森林の循環にも資することから、地球温暖化の防止にも寄与するものと考えております。
多摩産材については、都民の認知度が十分とはいえないことから、住宅における利用拡大に向け、消費者の認知度向上を図っていくことが重要であると認識しております。
○松田委員 現在、東急電鉄では、木になるリニューアルと称して、二〇一六年の戸越銀座駅が多摩産材を使った木を基調とした駅舎へのリニューアルを皮切りに、旗の台駅、池上駅と駅舎の改修が行われました。
そして現在、池上線では長原駅も同じく改修中で、多摩産材がより都民にとって身近になってくる機運が醸成されていると感じています。
多摩産材を活用いたしました木材住宅の供給促進について、現在の都の取組、お伺いさせていただきます。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、木材利用や木造建築に対する関心と理解を深めるため、多摩産材を使った家づくりコンクールを実施し、都のホームページ等を通じて、木のよさを生かす知恵と工夫を盛り込んだ住宅の事例を広く都民に紹介してまいりました。
また、新宿駅西口イベントコーナーや都庁舎で、木造住宅のよさを伝えるパネル等の展示を毎年度行うとともに、都民向けのリーフレットを配布するなど、住宅における多摩産材の利用拡大に向けた普及啓発を図っております。
今後も、住宅への多摩産材の利用促進のため、関係局等と連携して都民への普及啓発に取り組んでまいります。
○松田委員 住宅政策本部としても、継続的に多摩産材の住宅への利用促進に取り組んでいることが分かりました。
ここで、国内の林業の可能性についてです。
現在、木材の自給率は三割程度といわれております。日本の国土の約六割以上が森林だといわれており、この東京でさえ、多摩地域を中心に四割近くが森林で覆われているにもかかわらず、木材の自給率が海外に比べて低いといわざるを得ません。原因は、国産の木材の認知ではなく、外国産の木材に比べて価格競争力に劣る点だと感じています。
東京都としても、平成十七年に創設をされました多摩産材を活用した住宅への優遇融資制度「とうきょうの森のいえ」がありますが、多摩産材の利用拡大に寄与しているとはいい難いと思っています。
多摩産材の普及を本気で考えるのであれば、ぜひ、今の制度にとどまらず、都民が経済的な観点からも多摩産材を選択できるような仕組みづくりに向けた、てこ入れが必要だと思っています。
そして現在、新築住宅への太陽光発電設備等の導入に支援を実施する検討がなされていますが、同じく、ぜひカーボンハーフの観点からも国産木材、多摩産材への経済的支援の拡充、お願いをできればと思います。
それでは、次の質問に移ります。
都営住宅の整備についてお伺いいたします。
基本的には、現在、都営住宅の建て替え等により創出した用地については、東京都で抱えているのではなく、民間に開放し、民間の創意工夫を最大限生かせる環境をつくることが今求められている行政の役割だと考えています。
まずは、現状を確認させていただければと存じます。
都営住宅等のストック活用において建て替え等により創出された用地は、民間活用プロジェクト以外ではどのような有効活用がなされているかお伺いいたします。
○栗谷川再編利活用推進担当部長 都営住宅の建て替え等に伴い創出される用地につきましては、道路、公園などの公共公益施設の整備や民間活用プロジェクトのほか、子育て支援施設や高齢者施設など福祉インフラ整備への活用が見込まれる用地を選定し、福祉保健局に平成二十六年度から情報提供を行っております。
福祉インフラ整備事業の候補地は、公社住宅の建て替えに伴う創出用地も含め、令和六年度末までに計三十ヘクタール超を情報提供することを目標としてございます。
○松田委員 まずは住宅政策本部としては、需要がある福祉保健局への情報提供を行っていることが分かりました。
次に、福祉インフラ整備事業の候補地は、令和二年度末までにどのぐらい提供しているのかお伺いいたします。
○栗谷川再編利活用推進担当部長 福祉インフラ整備事業の候補地として、令和二年度末までに約二十七ヘクタールを福祉保健局に情報提供してございます。
引き続き、福祉インフラの整備促進に向けて、候補地の情報提供に取り組んでまいります。
○松田委員 局内での目標に向けては順調に推移していることが分かりました。
建て替え等で創出した用地は、財務局が間に入り、ご説明のあった福祉保健局等への庁内活用、そして市区町村への情報提供、それでも活用がなければ民間への売渡しの優先順位となっているとお伺いをしています。
行政での有効活用も必要ですが、特に都内は、行政よりも民間が有効活用できる可能性が高い都有地は数多くあり、東京都の発展のためにも、引き続き住宅政策本部でも民間への土地の開放を積極的に取り組んでいただければと存じます。
次に、都営住宅についてご質問させていただければと存じます。
都営住宅の入居率の直近のデータを見ていますと、年々入居率が減少していることが分かります。
ここ数年、都営住宅の入居率の減少の理由をどのようにお考えかお伺いいたします。また、入居率の向上に向けどのような取組を実施しているのか、併せてお伺いいたします。
○都築経営改革担当部長 都営住宅では、近年、単身死亡などにより退去世帯数が増加傾向にある中で、毎年度の新規入居世帯数は一定程度のまま推移しているため、空き住戸数が増加傾向にあります。
都では、入居世帯数を増やすため、募集戸数を毎年度増やすとともに、年四回の定期募集に加え、平成三十年一月から毎月募集を、令和二年二月からは常時申込みが可能な随時募集を開始し、入居機会の拡充を図っております。
また、若年夫婦、子育て世帯向けの期限付入居制度の拡充や、多摩地域での少人数世帯向け住戸あっせん基準の緩和、過去の応募倍率の募集案内への記載などの募集改善を実施したほか、入居者募集のオンライン化に向けたシステムの開発にも取り組んでいるところでございます。
○松田委員 都として、入居制度の拡充や募集方法を工夫して入居率を高める、また、必要な方に届く工夫をされていることが分かりました。現存のストックを有効活用するために引き続きご尽力いただければと思います。
ただ、ここで一つ考えたいのが、果たして入居率が減少傾向にあることは入居制度だけの問題なのか。都営住宅が、変わっていく世帯の在り方に置いていかれていることを危惧しています。すなわち、入居制度の工夫だけではなく、今後の都営住宅の在り方そのものを議論すべき時期に来ているのではないかと感じています。
現在、住宅政策本部では、東京の人口、世帯数の減少に合わせた都営住宅の管理戸数の抑制が求められている中で、どのような課題認識をお持ちかお伺いいたします。
○武井住宅政策担当部長 都内の住宅数が世帯数を上回る状況や、将来的な人口、世帯数の減少の見込みを踏まえ、都営住宅は、現在のストックを最大限に活用し、引き続き、住宅セーフティーネットの中核としての機能を果たしていくべきであると考えております。
○松田委員 現在、都内では、賃貸物件のうち、都営住宅を含め公共住宅の割合が約一五%程度だといわれています。この先、都内人口の減少に伴い、都営住宅、公共住宅の管理戸数が変わらない状況が続けば、民間の賃貸住宅への圧迫にもつながり、都内への投資機会の減少にもつながると懸念をされています。
都営住宅を含め公共住宅については、民間を圧迫しないためにも、人口動態に合わせてダウンサイズすべき時期が迫ってきていると感じています。
次に、東京都住宅供給公社について質疑をさせていただきます。
まずは、東京都住宅供給公社の役割についてお伺いできればと思います。
○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 東京都住宅供給公社は、地方住宅供給公社法に基づき、住宅を必要とする都民に対して賃貸住宅を供給することにより、都民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的としております。
こうした観点から、公社では、少子高齢化の進展などを踏まえ、子育て世帯や高齢者世帯に対する入居支援の充実を図るとともに、ポストコロナ社会に向け、働き方の変化や健康志向に応じた取組を進めるなど、社会のニーズに応える住宅を供給しております。
また、都の住宅政策を推進する上での重要なパートナーとして、都営住宅の管理や公社住宅の建て替えにより創出した用地などを活用した福祉施設の誘致など、行政と連携した事業も積極的に推進しております。
○松田委員 都の住宅政策を進めていく上で重要なパートナーということが分かりました。
ただ、住宅の供給が足りていない状況ならまだしも、供給過多の都内において、ニーズも民間住宅と近い公社の住宅供給については、時代に合わせて見直すべきだと感じています。
次に、重要なパートナーである東京都の住宅供給公社の人事についてです。
現在の理事長だけではなく、歴代の理事長は東京都の元職員です。それだけでなく、役員のメンバーの多くを元職員の方が占めているのが現状であります。
恐らく、一切のあっせんなどは行っておらず、有用な人材が登用されただけのことと、適正だとの認識だと思いますが、今のこの状況が都民の理解を得られるかどうかはどのようにお考えなのか、人事は適正なのか、幹部職員の天下り先になっていないのか、東京都の元職員でなければ理事は務まらないのか疑問に感じています。
そこでお伺いいたします。理事長には東京都の元職員である必要性は、住宅政策本部としてどのように認識されているのかお伺いいたします。
○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 地方住宅供給公社法の規定に基づき、公社の理事長は設立団体の長が任命することになっております。
具体的な人事に関することについては、当本部としてはお答えする立場にございません。
○松田委員 人事については総務局が実施をしており、住宅政策本部では関知をしていないということだと思います。ただ、住宅政策本部としては、理事長等の役員が東京都の元職員でなくとも問題はないとの答弁に私には聞こえました。
この人事の問題は、開かれた都政を実現するためにも、透明性を持った人事にしていかなければいけないと改めて問題提起をさせていただければと存じます。
次は、監督体制についてです。
東京都住宅供給公社への指定管理業務については、どのように指導監督を実施しているのかお伺いいたします。
○都築経営改革担当部長 都は、東京都住宅供給公社との間で締結している都営住宅等の管理に係る基本協定に基づき、指定管理業務の指導監督を行うこととしております。
具体的には、公社に対し、収納業務や入居者管理業務などの業務ごとに作業量を記載した年間執行計画書及び作業計画書を作成させ、事前に都が承諾することとしております。その上で、毎月、文書により業務ごとの執行状況の報告を求め、履行実績を確認しております。
また、業務履行場所での実地検査を行うなど、業務が適正に履行されているかどうか確認を行っております。
○松田委員 住宅供給公社の計画書を東京都が確認し、その後審査をするという流れになっていますが、果たして、元職員が理事長を務めている住宅供給公社の適正な評価方法なのかは大いに疑問を感じます。
次に、都営住宅の管理運営については、民間事業者に行わせることができる指定管理者制度を取っていますが、特命により東京都住宅供給公社を選定している理由をお伺いいたします。
○都築経営改革担当部長 都営住宅は、居住者の高齢化に伴う福祉的サポートの充実のほか、適正、公平な管理など管理運営の特殊性を有し、また、大規模災害時には応急仮設住宅として活用されるなど、都の政策との連動性を有しております。
公社はこれまで、確実な家賃収入や高額所得者への対応、東日本大震災における都の指示への的確な対応などの実績、能力があり、また、安定した財政基盤を維持し、コスト縮減にも努めております。
また、公社は、毎年行われている指定管理者管理運営状況評価においても高い評価を得ております。
さらに、平成三十年度の選定の際に、公社からは、都の見える化改革で示された少子高齢化に伴う施策の方向性を踏まえ、事業計画において見守り機能や災害対応力の強化など、新たな提案がなされております。
これらのことから、東京都住宅供給公社を特命で選定しております。
○松田委員 東京都としては、公社が実績、そして能力があり、コスト削減にも取り組んでいるとご答弁をいただきましたが、果たして今の説明で都民の理解が得られるか疑問に感じています。
管理の特殊性、都政との連動性という観点から民間企業には任せられず、住宅供給公社への特命契約となっているとの答弁でしたが、事業を切り分け、民間への委託が進んでいる自治体もございます。
今の評価委員の構成、そして評価制度は十分なのか、住宅供給公社は現在のまま特命契約という形で守られた立場にいることが都民のためになるのか、在り方についても再度ご検討いただければと思います。
今回、質疑としてやり取りをさせていただきましたが、住宅公社の都営住宅の管理については、民間企業で対応可能なものも特命契約により受注させ、存続ありきになっているのではないかと感じさせられました。ぜひ、疑念が払拭できるように、公社の在り方についても再度検討いただければと思います。
今回の質疑では、都営住宅が建てられていた用地の民間活用、そして住宅供給公社の在り方を取り上げさせていただきました。背景といたしましては、都内の住宅環境を見ると、民間が担える部分においても行政が担っているとの認識です。
官と民との役割分担は時代とともに変わるため、ぜひ、時代に取り残されないように、柔軟な制度設計についても引き続き検討いただくようお願いを申し上げ、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山田委員 では、私から質問させていただきます。
あらゆる政策課題について、持続可能性、サステーナビリティーというのが重要なテーマとなってきています。
東京都の行う住宅政策に関しても、特に住宅は必然的に長期的に存在して利用していくものになりますので、持続可能性の観点から極めて重要な視点だと思っておりますので、その観点から何点か質問させていただきます。
まず、住宅の脱炭素化に向けた取組について伺いたいと思います。
令和三年九月、第三回都議会定例会において小池知事から、新たに住宅等の一定の新築建築物に太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始することを表明されました。
また、先日公表されました成長と成熟が両立した未来の東京に相応しい新たな住宅政策の展開について、中間のまとめのポイントにおいても、住宅の脱炭素化に向けた具体的な施策の方向性が示され、これから、都庁全体を挙げた本腰を入れた対策が期待されるところであります。
ただ、今後の施策展開の動きを待たずに、今できる取組についてはしっかりと今から全力で進めていく必要があると思っています。
都の環境局の補助制度も既に相当充実した中身があります。ただ、必ずしも十分に活用されていないという側面もあるようです。住宅政策本部としても、住宅政策本部が持っている住宅事業者や工事の関係者、また、住宅購入や太陽光パネル導入を検討している消費者に対して積極的な働きが求められています。
まずは、都の現状の補助策を生かしながら、住宅関係業者への働きかけであったり、都民の方々の意識変革など、できることにしっかりと取り組むべきと考えますが、これまでの取組と課題認識を伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 脱炭素社会の実現に向け、省エネ性能が高く、再生可能エネルギーを利用した環境性能の高い住宅を広く普及させていくことは重要であると認識しております。
これまで都は、優れた省エネ性能も備えた長期優良住宅の認定促進に向け、パンフレットやホームページを用いて消費者への普及を図ってまいりました。また、住宅生産者の団体と協働して、省エネ技術講習会などにより、中小企業の技術力向上に資する情報提供を行っております。
既存住宅につきましては、省エネリフォームや太陽光発電などの活用を紹介するガイドブックのほか、省エネリフォームに関する都民向けのセミナー、イベントを通じてPRに努めてございます。
今後も、広く都民に対する普及啓発や事業者への働きかけを行い、環境性能の高い住宅の普及に向け取り組んでまいります。
○山田委員 ありがとうございます。
環境局の補助制度を活用していけば、太陽光発電設備の初期費用はもう不要となるというふうにされております。また、電気代の年間の削減額であったり、また、売電というのも含めていくと、経済的メリットはもう年間で十万円程度に及ぶというふうな試算もされているというところであります。
また、停電だったり災害時の非常用電源に使えるなど、今行われている都民の皆さんへの普及の啓発の一つとして大事だと思いますけれども、ぜひこのように、暮らしだったり家計にだったりと、都民の皆様にとって具体的なメリット、そういったところをぜひ訴えていただければと思います。
また、環境局の補助制度、これが効果的に活用されていくためには、住宅政策本部さんがこれまで有してきている住宅関係の事業者、そのネットワークをしっかりと生かしていただきたいと、それも一つ重要な点でございますので、ぜひ積極的な取組を引き続きお願いいたします。
次に、脱炭素化の流れの中での建築物の素材の在り方について注目が集まっているところであります。
その中でも、先ほども少しお話ありましたけれども、木材ですね。二酸化炭素が木材の内部に固定化されて、そして大気中に発散されないというふうな効果が見込まれておりまして、特に木造で、高層建築物への期待度というのも世界的に高まってきているというところがあります。
海外では、既に八十メートルを超える木造の建築物も出てきていると。大体これは二十階を超えてくるぐらいの高さの建築物になるというところであります。
日本国内でも、耐火性が高い建材というものの開発なども進んできておりまして、木造建築物の高層化というところの期待も高まっている。ですので、都としても積極的な後押しが必要になってくると思っています。
高層化という観点ではありませんけれども、都もこれまで、地球温暖化防止の観点などから多摩産材について木材の利用促進を図ってきたと先ほどもありましたけれども、改めて、民間住宅に対する多摩産材等の利用促進の取組について伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 多摩産材等の木材の利用を促進することは、炭素の固定化や森林の循環にも資することから、地球温暖化の防止にも寄与するものと考えてございます。
住宅における多摩産材等の利用拡大には消費者の認知度の向上が重要であることから、都はこれまで、木材利用や木造建築に対する関心と理解を深めるため、多摩産材を使った家づくりコンクールを実施し、木のよさを生かす知恵と工夫を盛り込んだ住宅の事例を広く都民に紹介してまいりました。
また、毎年度、新宿駅西口イベントコーナーや都庁舎で、木造住宅のよさを伝えるパネル等の展示を行い、住宅における多摩産材等の利用拡大に向けた普及啓発を図っております。
今後も、住宅への多摩産材等の利用促進のため、関係局等と連携して都民への普及啓発に取り組んでまいります。
○山田委員 ありがとうございます。
今は多摩産材について伺いましたけれども、これからは建物だったり住宅だったりと、それから排出されるCO2だけではなくて、その原料の製造過程など、いろんな様々な過程において脱炭素への対応が必要になってきています。
中でも、建設時のコンクリートや地盤改良に使用するセメントの製造に由来するCO2の排出量は極めて多いというふうにいわれておりまして、それだけでも我が国全体のCO2排出量の約三%にも達するというふうにも指摘されています。ですので、その減少に向けた取組の後押しも必要になってくることだと思います。
木材だけではなくて、CO2を吸収して内部に固定する、そういったコンクリートの開発も進んでいるというところでありますので、あらゆる観点からの、建物だったり住宅の脱炭素化の取組、引き続き後押ししていただきたいと思います。
次に、建築であったり、また、住宅分野における省エネルギー化に関連して、都もこれまで様々な取組、進めていらっしゃいますけれども、中でも、先ほどもお話ありましたけれども、住宅の断熱性の向上というのも、これは省エネの観点、もちろんでございますけれども、居住者、住んでいる方の健康にも、いい影響を与えるというふうな指摘もなされているところであります。
例えば、日本サステナブル建築協会というのがございますけれども、住宅の改修前後の温熱環境と、また、居住者の健康状態に関するデータを収集しまして、省エネによる居住環境の改善が疾病の予防であったり、また、介護予防などにもたらす効果を明らかにするといった調査研究も進められています。
その中では、断熱性が高く、また、暖かい省エネ住宅というのは、住んでいる方の健康づくりにもつながるというふうにいわれておりまして、リフォームで断熱性を改善すると血圧が下がるであるとか、また、健康診断結果にも差が出てきているというような指摘がされているところであります。
このように、省エネルギー化されまして、また、安全で健康に配慮されていて、高齢者等が安心して暮らすことができる住宅はスマートウエルネス住宅とも呼ばれておりまして、国の補助も入った産学官連携での研究も進められているところであります。
そこで、都としても、こうした住宅の普及に向けて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○武井住宅政策担当部長 高齢化社会の進展に対応し脱炭素社会の実現を目指していく上で、住宅の断熱性能の向上等により、良好な温熱環境が確保された、高齢者等が安全で健康に暮らせる住宅の普及は重要であります。
東京都住宅政策審議会では、成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開についての審議を進めていく中で、昨年十二月、住まいと健康に関する医学的エビデンスや健康に暮らすための暖かい住まいと断熱の関係などについて、当該分野の研究者である委員から発表していただき、意見交換を行ってまいりました。
今年九月の中間のまとめでは、高齢者の健康、長寿実現の観点から、ヒートショック対策を含めた住宅の温熱環境の向上を図るため、その重要性を都民へ周知するとともに、既存ストックの断熱改修促進や設備による改善等を進めるべきであると提言されております。
こうした審議会の提言を踏まえて、住宅の温熱環境向上に関する団体の動向や、先進事例の調査研究を進めながら普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
○山田委員 ありがとうございます。
これからの日本、東京の成長のキーワードというのは、デジタルだったり脱炭素だったり、また、もう一個、健康分野というのがあると思います。今のスマートウエルネス住宅というのは、これらの要素が組み合わさったものでございます。引き続き、しっかりと普及啓発を含めて、様々な取組をお願いしたいと思います。
次に、既存住宅の流通促進について伺いたいと思います。
日本の住宅の寿命は約三十年程度とも指摘があります。ただ、他方で、イギリスは七十七年、また、アメリカは五十五年ともいわれていると。
また、国交省によれば、全ての住宅流通量、これは、既存プラス新築になりますけれども、そのうちの既存住宅の流通シェアは平成三十年で約一四・五%程度だというふうにいわれていると。そして、これを欧米諸国と比べると、六分の一から五分の一程度と低い水準にあるというふうな指摘がなされています。
これまで日本社会では、新築に対する強いこだわりの意識もきっとあったと思いますけれども、こちら、内閣府の住生活に関する世論調査、これ二〇一五年ですけれども、そういった意識に対して、中古でよいだろうという回答が、戸建て、マンション合わせて、今、約一割程度だというところまでは来ているということだと思います。
持続可能性だとか、そういった観点から来たときには、リフォームを上手に組み合わせながら住宅を長期間利用していくと。そうした取組についても後押しが必要になってくると思います。
他方で、中古の住宅というのは、性能面でやはり不安視されていたり、安心して買えない、また、購入者自らが注意して品質チェックすることが必要であるなど、取引に要する各種の取引費用、各種のコストが高くなっていくと。そういった傾向もまたあるところであります。
こういった、中古住宅の取引に関する負担を軽減するため、第三者の視点から中古住宅を評価する取組の強化であったり、また、税制や補助など、リフォーム投資が正当に評価される仕組みづくりなど進めるべきと考えますけれども、見解を伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 既存住宅の流通促進に向けては、不安、汚い、分からないといった従来の既存住宅のマイナスイメージを払拭し、消費者が安心して既存住宅を売買できる市場環境を整備することが重要でございます。
都は、平成三十年度から東京都既存住宅流通促進事業者グループ登録制度を開始し、宅建業者や金融機関などの専門家が、都民の様々な不安や疑問に対しワンストップで相談に対応しております。
また、令和二年度には、既存住宅の売買成立のポイントなど事例を使って分かりやすくまとめた既存住宅ガイドブックを作成し、都民への普及啓発を行っております。
さらに、既存住宅の価値が市場で適正に評価されるよう、適切な建物評価手法の普及、既存住宅の取得やリフォームに係る税制面からの積極的な支援について、国に対し提案要求を行っております。
今後とも、消費者が安心して既存住宅を売買できる市場環境の整備に向けた取組を進めてまいります。
○山田委員 ありがとうございます。ぜひ引き続き様々な取組をお願いいたします。
我が会派の本橋委員はじめ、既に質疑がありました点がありますので、私の方からは避けますけれども、何点か住宅政策に関して指摘させていただきます。
結局、住宅政策の持続可能性というのをやっぱり強化していくためには、住宅管理をこれからどうやってしっかりガバナンスを強くやっていくかというところが一つ重要だと思っております。売主が売却すればそれで利益が確定して、それで全部終わりだというところだけではなくて、その後の管理、維持に対しても、売主の責任ある参画というのも一つ重要になってくると思っています。
東京都の今進めている届出制度、先ほども様々な質疑ありましたけれども、これ、住宅管理の在り方をいい方向に持っていくために一つ大変重要な取組だというふうに思っています。
特に都内では、現状では、新しい華やかな超高層なタワーマンションも存在していますけれども、やっぱり、超高層であればあるほど管理保全が簡単ではないという側面が出てきていると。ですので、だんだんだんだんやっぱり年数がたっていくにつれて、適切な管理の在り方というのも大きな課題になってくると思います。
届出制度のそれは対象外になるものが多いと思いますけれども、そういった対象外のマンションについても、建て替え、改修や、また、管理組合の活動、そういったものへの支援をしっかりと今後、拡大、検討をお願いしたいと思っています。
また、住宅セーフティーネット制度、こちらも様々もう質疑ありましたけれども、やはり今、家賃低廉化補助の対象となる専用住宅の登録、これは現状約六百戸程度だということですので、その拡大に向けて引き続きお願いしたいと思います。
そして、子育て世帯の住みやすい住宅、住戸の確保ということも、もう先ほど来お話ありましたけれども、子育て世帯の家計へのインパクトが大きいのは、やっぱり教育費と住宅費というところになってくると思います。特に都心では、やっぱり子育て世帯に適した広さがある住宅だったりマンション、なかなか存在しなかったり、あったとしても到底手が届かない金額というのも多いのが状況だと思っています。
東京都の長期戦略では、合計特殊出生率二・〇七を目指すべき姿の一つとして掲げられていますけれども、やっぱり都心のこういった住宅事情が、都内で二人以上育てていくことの一つ大きなハードルになっているのではないかというのもありますので、質疑に先ほど来ありましたけれども、子育てに配慮した良質な住宅の供給の促進、これもぜひ進めていただきたいんですけれども、少子化対策の観点から、子育て世帯向けの住宅費用の支援というのも改めて、課題はあると思っていますけれども、ぜひ検討をお願いしたいと思っています。
では最後に、またマンションに関連してですけれども、風水害対策について伺います。
浸水リスクのある地域において、建築物の電気設備が浸水した、その際の住民への被害は、停電によってトイレやエレベーターが使えなくなるなど極めて大きいものがあります。
先日の第三回定例会の我が会派の代表質問に対し、都市整備局から、浸水リスクの低い一定の高さ以上の地上階に電気室の設置が図られるよう、特定行政庁の容積率制限の許可基準を改定するという、新たなインセンティブを付与するという旨の答弁がありました。今後新設されるマンションに関して重要な前進だと思います。
一方で、特に既存のマンションにおいては、電気設備などを浸水のおそれが少ない場所に移していくというのは、なかなか簡単ではないとありますけれども、やはり浸水リスクへの備えの強化というのは必要だと思っています。
一つの手段として、既存のマンションの風水害対策、その重要性について普及啓発すべきと考えますが、都の取組を伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 近年の気候変動の影響により、水災害の頻発化、激甚化が懸念される中、一昨年の台風等の際には、超高層のマンションにおいて、地下に設置された電気設備に浸水被害が発生し、居住者の生活に多大な支障が生じた事例がございました。
こうした状況を踏まえまして、昨年三月に改定したマンション管理ガイドブックにおいて、止水板や土のうの設置など、風水害対策について管理組合として留意すべき事項を掲載いたしました。
さらに、今年四月には、マンションでの風水害対策をテーマにオンラインで管理セミナーを開催し、現在も動画を継続して公開するなど、情報発信に努めてございます。
今後とも、こうした取組を通じまして、管理組合や居住者に対し風水害に備える意識の醸成を図ってまいります。
○山田委員 ありがとうございます。
今、普及啓発について伺いましたけれども、本来的には、より一層踏み込んで、電源施設を二階以上にもう義務化するであるとか、また、消費者に販売するときに電源施設の設置階に関する情報提供の義務化をするなども必要ではないかと思いますけれども、国との調整も必要になると思いますので、ぜひ引き続き状況を踏まえながら検討をお願いしたいと思っています。
様々伺ってまいりましたけれども、これから長期的な人口減少傾向であったり、また、風水害リスク、増加していくということを考えますと、これまでのように人がどんどんどんどん住むエリアが広がっていくであったり、また、新築の建物がどんどんどんどん建っていくというふうな、住宅だったり都市の在り方は、近いうちに必ず見直しが迫られるのではないかと考えています。
住宅だけではなくて、都市政策全般に及ぶことになりますけれども、災害リスクの低い居住に適したエリアに、いろんなリソースを集中していくであるとか、様々な観点から見直しが必要になってくると思います。
ぜひ、そういった未来、長期的な視点を見据えた住宅政策の検討、構築を、引き続き検討を求めまして、質問を終わります。
○古城委員 それでは、よろしくお願い申し上げます。少しちょっと前置きが長くなるやもしれませんが、ご承知おきいただければというふうに思います。
人口減少や高齢化、外国人居住者の増加が進む中で、時代の変化、特に喫緊のコロナ禍の課題解決に見合った快適な住宅の確保は、暮らしの安心の根幹であると考えます。
目標十一、住み続けられるまちづくりを、また、目標一、貧困をなくそう、さらには、目標三、全ての人に健康と福祉を、これらを掲げますSDGsの理念を、都の住宅政策においても具体化していくことが求められているのではないかと考えております。
高齢者や子育て世帯、就労困難者への住宅支援を進めるには、都営住宅をはじめ各種公的住宅における適切な戸数と質の確保、民間住宅、マンション等については、取得や入居がしやすい仕組みの構築などが重要であります。
都議会公明党は、こうした、誰もが安心して住むことができる骨太の住宅政策を、都民生活の向上を目指す都政の柱として据えることを訴えてまいりました。
そこで、住宅政策本部が所管する事務事業に関連して、都営住宅と空き家対策について質問させていただきます。
初めに、都営住宅についてであります。
私の地元新宿区にございます都営戸山ハイツアパートの歴史につきましては、前期の都市整備委員会でも申し上げましたけれども、改めて申し上げたいというふうに思います。
戦後間もない一九四八年、昭和二十三年、約二十四ヘクタールの旧軍用地に戦災復興住宅として木造平家の住宅がおおよそ三百六十棟、千六十戸程度建設をされました。
その後、不燃化や中層化など、住環境の改善を図るため、都市計画法における当時の一団地の住宅として事業が計画決定されたんですけれども、払下げか建て替えかという居住者との意見対立から事業が中断したそうであります。GHQから払い下げられた資材によって建てられた、いわば野戦用のバラックで、畳もない、間仕切りもないことから、畳、ふすまの一枚に至るまで自己資金で整え、住めるようにしたという事情がこの背景でありました。
一九六九年、昭和四十四年五月六日に行われた国会、参議院の建設委員会公聴会の会議録には、次のような公述人による発言が残されています。建て替えに猛反対でしたが、地元の都議が仲介役となり、自治会の人々と毎月二回にわたって相談し、対話した結果、ようやく住民も納得し、建て替えに賛同、現在に至っておりますと。住宅難解消のために協力していただきたいと居住者側と幾度も膝詰めで対話し、高層化実現にこぎ着けたこの地元の都議とは、都議会公明党の大先輩である藤井富雄都議会議員でいらっしゃいます。
そして、ついに一九六八年、昭和四十三年より、八年間にわたり建て替え再整備事業が行われるに至ったわけでございます。
改めてこのエピソードを確認いたしまして、私自身、住民、居住者の方々とよく話し合い、住民の皆様とのよきパイプ役となっていかなければならないと決意を新たにしたところでございます。
今日もこれらの観点から質問させていただきたいわけでございますが、まず、都営住宅の耐震化についてでございます。
都議会公明党は、都営住宅の耐震改修を強力に推進してまいりました。中でも、平成二十四年第二回定例会では、都に耐震改修の先導的役割を果たすよう求めた我が党の代表質問に対して、都は、居住者の安心・安全を図り、民間住宅等の耐震化を促すためにも、都営住宅の耐震化を推進することが重要との認識を示し、都営住宅の耐震化を計画的かつ着実に推進するとの方針を明らかにしました。
さらに、一つの建物を都営住宅と民間店舗とが区分所有している併存店舗付住棟については、耐震改修工事が遅々として進まない状況に警鐘を鳴らし、店舗権利者との合意形成が進展するよう思い切った新たな対策が必要だと都に迫ったわけでございます。
都は、昨年十二月、都営住宅耐震化整備プログラムを改定いたしまして、令和七年度末までに耐震化率一〇〇%とする目標を掲げましたが、この目標達成には、併存店舗付住棟の耐震化について、より重点的に取り組んでいく必要があると考えます。
まず、住宅政策本部の事業概要によりますと、令和二年度末時点での都営住宅の耐震化率は九六・六%とのことでありますが、併存店舗のない住棟と併存店舗付住棟のそれぞれの耐震化率をお尋ねいたします。
○小林営繕担当部長 令和二年度末時点での併存店舗のない住棟の耐震化率は九八・二%、併存店舗付住棟については四八・七%となっております。
○古城委員 やはり、都営住宅の耐震化を進めていくには、併存店舗付住棟にかかっているといっても過言ではありません。複数の店舗権利者がおり、個々の権利者の皆様のそれぞれの合意を得ていかなければならないわけでございます。
私は、平成三十年第一回定例会の一般質問で併存店舗付住棟の耐震化が進まない状況を指摘させていただいて、併存店舗の買取り制度を耐震改修にも導入すべきとの提案を行いました。これは、先ほども申し上げました地元の戸山ハイツアパートも、空き区画であるとか、また、倉庫として活用されている、そうした区画の現状を踏まえまして提案をさせていただいたわけでございます。
これを受けて都は、平成三十年度から新たな手法として、併存店舗を買い取る制度を導入しております。先ほども申し上げました。前期の都市整備委員会にも所属させていただきましたけれども、この制度導入を評価させていただくとともに、耐震化に向けて店舗権利者の方々の理解を得るための取組を丁寧に行うべきであるということを求めてまいりました。
そこで、併存店舗付住棟の耐震改修を進めるに当たり、都による店舗権利者に対する対応についてお尋ねいたします。
○小林営繕担当部長 まず、対象住棟の全店舗権利者に対して、改修内容や費用負担などのほか、買取り制度の説明を行い、転出希望者には、店舗を調査し、買取り額を算定の上、店舗の買取りを実施しております。
その後、営業継続希望者には、店舗の営業への影響が少なくなるよう、買い取った区画を活用した補強案を提示し、合意を得た後、詳細な設計を実施しております。
この設計に基づき、改修工事の内容、費用負担額や営業への影響などを丁寧に説明し、工事実施の最終的な合意が得られた後、工事に着手しております。
○古城委員 ただいまご答弁いただきました中身を確認させていただきますと、店舗権利者の皆様との合意形成については、設計の段階と工事の段階、それぞれに着手する前に二回必要であるということが分かりました。
私はこれまで、東京都住宅供給公社、JKKの活用も含めた人員体制の拡充を求めてまいりましたけれども、併存店舗付住棟の耐震改修を進めるためには、個々の店舗権利者の意向を把握し、営業を継続する、そうした考えをお持ちの店舗権利者の方にも合意していただけるよう丁寧に説明し、対応していくことが重要でございます。
そこで、併存店舗付住棟における耐震改修に向けた取組の進捗状況についてお尋ねいたします。
○小林営繕担当部長 都は、令和元年度から、東京都住宅供給公社に委託している説明業務について、対象区画数を拡大し、店舗権利者との折衝をさらに加速させました。
その結果、令和二年度末までに、耐震改修対象の全四十三棟、三百七十三区画の店舗権利者に対して改修内容や買取り制度などの説明を終えました。順次買取り額を提示しておりまして、令和三年十月末時点で転出を検討すると申出があった二百七区画の権利者のうち、八十区画の方と買取り契約を締結することができました。
耐震改修工事の進捗状況につきましては、設計中が八棟、工事中が一棟、工事完了が五棟となっております。
○古城委員 設計中が八棟、工事中が一棟、工事完了が五棟ということでありますので、一歩一歩ではありますけれども、耐震改修が進んでいるということが分かりました。
私は、今年の第一回定例会の一般質問で、改めてこの店舗付住棟の耐震改修について取り上げさせていただいて、一日も早くということ--これは、そこにお住まいの都営住宅の居住者の方々からも、安心・安全に向けた取組というのを一日も早くやってほしい、そういう切実なお声を伺っているからこそでもありますし、また、店舗で営業されている方々からも、どういう状況なのかということを日々お尋ねいただくことがあったわけでございます。
そして、先ほども申し上げた令和七年度末までのこの都営住宅耐震化整備プログラム、耐震化一〇〇%、この目標を達成するためには、まさに併存店舗付住棟での進展が重要でありまして、しかしながら、店舗権利者の方々との交渉が困難なことが想定もされる中で、建て替えも含めて実効性のある取組が不可欠であるということを、第一回定例会では申し上げさせていただきました。
目標の達成に向けて、いかにして店舗権利者の合意を得ていけるかが大変重要な鍵でございます。
そこで、店舗権利者との合意形成を行うに当たって工夫している点についてお尋ねいたします。
○小林営繕担当部長 店舗権利者の中には、当初の説明時点では営業の継続を希望していたものの、折衝を重ねる中で転出希望に変わる方もいるため、工事実施の最終的な合意を行うまでの間であれば、こうした意向の変化に柔軟に対応し、必要に応じ店舗を調査し、買取り額を算定の上、店舗の買取りを行っております。
今後も、転出希望者、営業継続希望者それぞれに丁寧に折衝を行い、令和四年度末までに全ての権利者の耐震改修に向けた意向の把握を目指してまいります。
こうした折衝状況等を踏まえまして、必要に応じて耐震化手法の見直しを行ってまいります。
○古城委員 店舗権利者側の意向の変化についてもしっかりと対応していただくということは、大変重要であるというふうに思います。また、それとともに、ただいま必要に応じて耐震化手法の見直しも行っていくということを重ねて答弁をいただきましたけれども、いずれにいたしましても、店舗権利者の立場に立って臨機応変な対応を図ることで信頼を得ていくということは重要でございます。引き続き、丁寧な対応に努めることを要望させていただきます。
先ほど来申し上げましたとおり、私の地元の都営戸山ハイツアパートの店舗権利者の方々からも常々お話を伺いまして、事業の進捗状況を確認させていただいておりまして、一定の成果も承知をしているところでございます。
他方、首都直下地震の切迫性も指摘される中で、該当する住棟の居住者の方々からは、やはり一日も早く耐震化を行ってほしい、そういう要望、また、期待も高まっているわけでございます。改めて、戸山ハイツアパートの併存店舗付住棟の耐震改修の進捗状況についてお尋ねします。
○小林営繕担当部長 戸山ハイツアパートの併存店舗付住棟四棟のうち一棟については、本年十月、詳細な設計に着手する合意を得られ、現在、設計に向けた準備を進めております。
また、二棟については、営業を継続する希望者に対し、詳細な設計着手への合意が得られるよう、買い取った区画を活用した補強案を作成し、これを提示するとともに、営業継続から転出に意向が変わった方に対しては、買取り額算定のための店舗調査を行うなど、丁寧に折衝を行っております。
残りの一棟については、転出を希望する店舗の買取りを行っております。
引き続き、店舗権利者との合意形成を図り、耐震改修に向け進めてまいります。
○古城委員 都営戸山ハイツアパートの併存店舗付住棟の店舗権利者の方々は、一九六〇年代から七〇年代にかけての木造平家住宅から中高層団地への建て替え事業において、それまで既に敷地内で営業していて、建て替えられた住棟に移転をされた方、また、非常に大規模な団地を造成することになりましたので、その居住者の方々の規模に応じて必要と考えられる業種、業態として、ほかのエリアから誘致をされて新たにこちらに来られた方、さらには、加えて、建て替え後から現在に至るまでの間に権利を取得した方など、様々な背景がございます。もうご存じであるというふうに思います。
改めて確認をさせていただきますけれども、やはり耐震改修によって、そうしたご事情、さらには工事中の店舗営業の継続についてもご心配されている声というのもあるわけでありまして、課題は様々でございます。
こうした事情をぜひとも重ねてお訴え申し上げたいわけですけれども、ご認識いただいた上で、丁寧に耐震化事業を推進していただきたいと強く要望させていただきます。
今申し上げました戸山ハイツアパート、さらには早稲田アパート、西大久保アパート、こうした大規模な高層の都営住宅が新宿区にもあるわけでございますけれども、いずれも昭和四十年代に建設をされておりまして、確実に老朽化が進んでいます。
ただいま質疑をさせていただいた耐震改修のほか、エレベーターの設置やバリアフリー化など改善を進める一方で、公営住宅法が定める耐用年数七十年に近づく建物について、近い将来、適切な建て替え、更新が必要になると考えます。
高齢者の方、障害をお持ちの方、子育て世代の方々にとっても、居住しやすい都営住宅の環境というものは、建て替えによって初めて解決できるものもあるのではないかと考えます。
そこで、続けて、都営西大久保アパートを含む西早稲田駅周辺地区のまちづくりについてお尋ねいたします。
私は、令和元年十一月の都市整備委員会の事務事業質疑の際に、老朽化の進んでいる都営住宅について、周辺地域への影響も考えながら地元のまちづくりにも貢献できる建て替えを計画的に進めることを要望いたしました。西大久保アパートの一号棟から四号棟は建設から約五十年が経過し、エレベーターもなく、老朽化が進んでいます。
同様に、更新時期を迎える建築物の多い周辺では、東京メトロ副都心線西早稲田駅の開業以来、利便性が大きく向上しており、新たなまちづくりの動きが出ています。
そこで、今年の第一回定例会におきまして、都営住宅の居住者は高齢者の割合が高く、こうした周辺の動きに不安を感じることがないよう配慮しながら、地域のまちづくりと併せて西大久保アパートの建て替えに取り組むことを提案いたしました。これを受けまして榎本本部長から、周辺建築物の老朽化も進み、地元におけるまちづくりの機運が高まりつつあることから、団地の建て替えに当たっては、周辺建築物の更新と併せ、まちの再生にも貢献するとの答弁を得たところでございます。
そして、この取組は、昨年度末に公表された未来の東京戦略において、都営住宅の建て替えをてこにしたまちの再生として打ち出されています。
そこで、まず、西早稲田駅周辺地区のまちづくりの検討の対象となる範囲と既存の建物数についてお尋ねいたします。
○栗谷川再編利活用推進担当部長 対象範囲は、地下鉄副都心線の西早稲田駅西側で、北を諏訪通り、東を明治通り、南西を戸山公園で囲まれた区域、約四ヘクタールでございます。
区域内の建物は、都営西大久保アパート一号棟から四号棟までの四棟のほか、分譲マンション一棟を含む共同住宅や、消防署、郵便局、事務所ビルなど、合わせて十七棟ございます。
○古城委員 十七棟あるということを確認させていただきましたけれども、二月の本会議で榎本本部長からは、来年度、すなわち、現時点においては今年度を目途に、まちづくりのための検討組織を立ち上げる動きがあるということを明らかにされました。
そこで、この検討組織は結成されたのかお尋ねいたします。
○栗谷川再編利活用推進担当部長 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が九月三十日に解除された後、十月二十日に、新宿区を事務局といたしまして、まちづくりのための検討組織となる西早稲田駅前地区まちづくり勉強会が発足いたしました。
区による各建物権利者の代表者等への参加依頼に対し、約八割の方が出席いたしました。
初回となる本勉強会におきましては、地区の現況、特性、課題などが共有されました。
○古城委員 勉強会が発足をして、まだまだまちづくりというものは緒に就いたばかりでありますけれども、まちづくりの具体化に向けて十分な議論が行われていくということが大変に重要でございます。
そこで、今後の西早稲田駅前地区まちづくり勉強会の進め方についてお尋ねいたします。
○栗谷川再編利活用推進担当部長 本勉強会は、おおむね四半期に一回開催する予定でございます。次回は、地区内の権利者にまちづくりについての意向調査を実施することを提案し、その後、聴取した意見等を踏まえ、まちづくりの方向性について議論していくこととしてございます。
引き続き、都は、都営住宅の建て替えをてことしたまちの再生の実現に向け、区と共に勉強会の円滑な運営に努めてまいります。
○古城委員 今後、西早稲田駅前地区まちづくり勉強会で議論が深まり、この地域のまちづくりの方向性が示されることを期待いたします。それとともに、都営西大久保アパートの居住者の方々がこうした動き、これについてご不安を感じることがないよう、適時適切に情報提供を行っていただきたいと要望させていただきます。
最後の質問のテーマに移りたいと思います。この都営住宅に関する最後のテーマでございます。
都営住宅のWi-Fi環境整備について申し上げたいと思います。
今年度の東京都予算には、都議会公明党の提案でデジタルデバイド、いわゆる情報格差の是正に向けた高齢者向けスマートフォン利用普及啓発事業や区市町村包括補助事業等が盛り込まれています。特に、都営住宅では高齢化率が高く、団地の集会所を利用してスマホ教室等を活発に行うことは、都の施策にもつながります。
今年の第一回定例会の代表質問では、都営住宅の集会所にWi-Fiルーターを設置するなどの環境整備を求めました。これに対し、集会所のWi-Fi環境整備に向けて、関係局や地元区市とも連携しながらモデル事業を実施するとの答弁を得たところでございます。
そこで、このモデル事業の進捗状況についてお尋ねいたします。
○妹尾建設推進担当部長 都では、社会のデジタル化に対応し、高齢化が進む都営住宅においても居住者がスマートフォン等のデジタル機器を利用した情報収集等ができるよう、令和三年六月から二年間で、集会所のWi-Fi環境整備に向けたモデル事業を実施しております。
本年六月、区部と市部の計二団地の集会所にWi-Fi設備を設置し、居住者がデジタル機器を利用するきっかけづくりを目的に、今月七日、区部の一団地におきまして、デジタルサービス局と連携してスマホ教室を開催いたしました。
当日は、計二回の教室に二十九人の参加者があり、スマホの電源の入れ方から始めて、初歩的な操作の講習を行ったところ、参加者からは、楽しかった、スマホに興味を持ったとの意見もいただくなど、好評でございました。
引き続き、市部の団地においてもスマホ教室を開催してまいります。
○古城委員 参加者からの好評とのご意見、紹介をしていただきましたけれども、スマホ教室が好評であったということは、その準備のために整備をしていただいた集会所のWi-Fiの環境整備というのも大変重要であるということでございます。
それを踏まえた上で申し上げたいのですが、いわゆるSociety五・〇、東京都においてはスマート東京と称しておりますけれども、これは、デジタルデバイス、情報端末を誰もが使いこなすことで、新たな社会、新たな時代の発展につながることが期待をされております。まさに、スマホやタブレットなどの情報端末を、まだまだなじみがなかった、それから、使いこなせない、ちょっとおっくうだと、そういうふうに感じておられる高齢者の方々などへの普及が鍵を握っているといえます。
SDGsの目標九でも、情報通信技術へのアクセス拡大が期待をされておりまして、今後のデジタルデバイド対策事業の推進に当たっては、今確認をさせていただいたところにも通ずるわけですけれども、身近な地域で集まれる場の確保、それから、通信端末や通信環境の整備、さらにはデジタル支援員などの派遣など、こうした支援策、施策が重要であります。
東京都は、TOKYO Data Highwayとしまして、二十一世紀の基幹インフラである電波の道を整備して、いつでも、誰でも、どこでもつながる東京、この早期実現をうたっています。であるならば、東京都の公営住宅である都営住宅においても、まずは、二十一世紀の基幹インフラ、これを整備していくことが求められるのではないでしょうか。
デジタルデバイドの是正は、高齢者の多い都営住宅でも大変重要でございます。今後のWi-Fi環境の整備について見解を求めます。
○妹尾建設推進担当部長 高齢化が進む都営住宅において、居住者によるデジタル機器の利用促進など、デジタル化に対応できるようにすることは重要でございます。
集会所でのWi-Fi機器の整備は、居住者が集まり交流するきっかけを生み、居場所づくりにもつながるものと期待しております。
そのため、今回のモデル事業におきまして、Wi-Fi機器の利用状況の確認やアンケート調査を実施しまして、事業効果等の検証を行ってまいります。
○古城委員 都営住宅のWi-Fi環境の整備につきましては、東京都による整備を強く、また、重ねて求めておきたいと思います。
さらに、先ほど好評だということが明らかになりました都営住宅の集会所を活用したスマホ教室等の開催経費についてでありますけれども、高齢化が進む都営住宅の自治会の皆さん任せとならないことに十分に留意をしていただいて、都の事業であるとか、また、立地、地元の区市町村の事業、さらには民間の事業も活用いたしまして、都として無料もしくは極めて廉価で開催できるように努めるべきであるということを付言、また、要望させていただきたいと思います。
最後に、空き家対策についてテーマを替えて質問させていただきます。
私の地元新宿区について概況を申し上げたいと思うんですが、二〇一五年の国勢調査によりますと、新宿区の男女年齢別人口の分布を全国と比較をいたしますと、二十歳代で極めて多くなっているのが特徴的でございまして、分かりやすく申し上げますと、全国の人口分布は土器のような形をしている形状です。一方で、新宿区のこの人口分布はツリー型、木の形状をしているというのが特徴的でございます。
今日は、本来であれば、様々数字をデータに基づいて皆様と意見交換もしてまいりましたので、そうしたことも明らかにしたいなと思っておるんですが、時間の限りもございますので、新宿区が内部組織として設置をしておりますシンクタンク、新宿自治創造研究所の研究所レポート二〇一九に示された、データに基づく調査研究結果を私なりにひもとかせていただいて、トレンドを申し上げたいと思います。
それは、新宿区の概況ですけれども、子育て世代ともいえる三十歳代、四十歳代が新宿区に転入をしてくる一方で、五十歳代では新宿区を居住の地として選んでいる方が少なく、また、高齢単身者の方も非常に多いわけですけれども、いずれの世代も共同住宅の借家に居住する傾向があり、人生の様々な節目に合わせて住み替えの機会が比較的多くなっている、このようにいえるのではないかと考えております。
こうしたことは、担税力の視点であるとか、また、次の地域の担い手、中心者、そういう捉え方からも、ライフスタイルに合わせて慣れ親しんだ地域、これは決して新宿区というくくりではなくて、地域という考え方で申し上げたいと思いますけれども、そこに住み続けられる住宅政策が求められているというふうに考えてございます。
そこで、私が注目をいたしますのが空き家対策、こうした施策であります。
都議会公明党は、高齢者やひとり親世帯、障害者などのように住宅確保に配慮が必要な方々への支援、さらには地域の資源として捉えた空き家対策について提言を重ねてまいりました。
先日この委員会でも報告、質疑が行われた東京都住宅政策審議会の中間のまとめでは、空き家の発生には、地域における人口構成、世帯数、住宅の需給動向など、多様な要因が存在するため、地域特性に応じた空き家施策の展開が必要との意見がありました。
民間の不動産市場が比較的活発であるといえる新宿区を含む区部中心部では、相続等に当たって住宅が長期間放置され、空き家となることのないよう、積極的に住宅を市場に流通させる取組が有効であると考えます。
また、今後、人口や世帯数が東京都としても減少が予測されている中で、都内に約八十一万戸ある空き家問題の解決には、法律、建築、不動産などの様々な専門知識が必要であり、宅建事業者や司法書士、建築士などの専門家や不動産に関連する民間企業等を積極的に活用することも重要です。
そこで、高齢世帯で持家の活用を希望する方や、将来、住宅を相続する方等に対し、空き家を発生させないよう、専門家や民間企業を活用した働きかけを行うとともに、空き家の流通促進につなげることが重要であると考えますけれども、見解を求めます。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、空き家の発生を抑制し、活用を促進するため、空き家所有者等が専門的なアドバイスを受けられるよう、不動産業、弁護士、建築士などの団体と個別に協定を締結し、専門家の知見を生かした相談窓口を各団体に設置していただくなど、様々な相談に対応できる環境を整備してございます。
平成三十年度からは、公募により選定した民間事業者を活用いたしまして、空き家活用等に関するセミナーを都内各地で開催する啓発事業や、住宅の相続や売却等に関する、より具体的な相談にワンストップで対応する取組など、空き家所有者等への支援を実施しております。
今年度からは、相談者からの求めに応じて民間事業者が法律、建築、不動産の各専門家を直接派遣し、住宅の改修など、個別の相談に対応するアウトリーチ型の取組を開始いたしました。
今後は、こうした取組を一層広く都民に周知して、流通を含め、活用を促すことで、空き家などの既存住宅が良質な住宅等として活用されるよう取り組んでまいります。
○古城委員 私は先ほど来、地元の課題解決のための空き家の活用ということについて申し上げてまいりましたけれども、その空き家のきっかけというのは、東京都で作成していただいているハンドブックによれば大きく二つの理由があって、申し上げている相続、それから住み替えということがあって、相続について四割程度、非常に大きく占めているわけであります。
一方で、それに対して解決策として東京都が提示をしているのが、除却をすること、それから利活用をすること、管理をすること、そして、そもそも発生を予防していくこと。いずれも重要であると思いますが、やはりこの管理というところに結びつけていくということが私は先ほど来の課題認識、その解決については重要であると考えているわけです。
ただ、管理については、なかなか、大家として、今後、賃貸で住宅を出していくということについては非常に困難があると。であるがゆえに、利活用ではなかなか困難があると。
したがって、利活用ではなくて、管理の方にシフトをして、空き家をまさに管理をしていこうということが東京都の施策の中でも様々うたわれているわけですけれども、やはり最初の段階で、除却であるとか、それから管理ということではなくて、利活用というところについてしっかりと丁寧に相談者の方のご事情に合わせて、そうした利活用の側面もしっかりと丁寧に説明をしていくことが私はこれから求められているというふうに考えております。
そうした中で新宿区では、例年、建築士の方であるとか社会保険労務士の方であるとか税理士、司法書士、行政書士、それから宅建協会の方などの主催によりまして、専門家集団、まさに専門士業の専門家集団による街頭無料相談会というのが開催をされております。区役所においても様々な相談が行われております。そこでは空き家相談も数多く寄せられておりまして、士業の特徴を生かしたアドバイスが好評を得ております。
ただいま部長から答弁いただきました中にも、不動産業であるとか、弁護士、建築士などの専門家が無料相談窓口を設置しているということでありますけれども、こうした相談窓口を多くの方々にご利用いただいて、除却であるとか、管理であるとか、そうしたところではなくて、利活用であるとか、それから、発生予防のところに結びつけていく。そうした取組を進めていくためには、やはりこうした専門家の相談窓口を広く都民の皆様に周知をしていくことが重要であると考えます。
そこで、こうした点について都の取組、確認をさせていただきたいと思います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 専門家による相談窓口につきましては、各団体が自らのホームページ等で広報しているほか、都のホームページにおいても紹介をしており、都民に情報提供をいたしております。
また、都は、空き家活用等の啓発冊子であります東京空き家ガイドブックの中で、専門家による相談窓口の一覧を掲載しており、本ガイドブックを全区市町村の窓口等で配布することにより、都民に広く周知しております。あわせて、専門家の各団体と最新の都の取組や相談事例等について、情報共有や意見交換なども積極的に実施しております。
引き続き、こうした連携を図りながら、空き家の利活用、流通などの取組を一層促進してまいります。
○古城委員 ハンドブックを作成して、それを配布していく、もちろんこれも大事なことであると思うんですけれども、ただいま答弁いただいた中で、それに加えて、そうした専門家の方々、各団体と意見交換をして、しっかりと共有をしていくということ、これは大変重要であるというふうに思います。
やはり、地域、地域によって空き家の事情というのは異なるということは、まさに住政審でもいわれていることでありまして、ただ一方で、共通する部分について、課題認識であるとか解決策であるとか、そうしたことは、やはり専門家の方々のそうしたノウハウ、知見が重要であって、それはやはり東京都住宅政策本部において、まさにハブとして、それをしっかりグリップを握っていただいて、そうしたことを改めてハンドブックの更新であるとか、さらには具体的な相談会、ワンストップで行っている相談会なども数多く行われていますので、そうしたところで、ぜひとも、さらにさらに相談、この発生抑制も大事だと思います、除却も大事だと思います、管理も大事だと思いますが、利活用の側面も、ぜひ空き家対策の大きな柱として、続けていっていただきたいというふうに思います。
最後に意見として、既存の民間賃貸住宅のストックも活用していくこと、これは、住宅確保要配慮者の方々も入居できる住宅を増やしていくということも大変重要でありますし、先ほど来この質疑で申し上げてまいりましたライフイベントに合わせた住み替えにも対応できる、そして、住み慣れた地域でこれからも安心して生活することができる、そうした居住環境の実現に向けて積極的に施策を展開していただきたいと、このことを住宅政策本部の皆様に重ねてお訴えを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○原田委員 それでは、私からも、住宅政策本部事務事業についてお聞きしたいと思います。
まず、東京ささエール住宅についてです。
日本共産党は、長年、東京都議会において都営住宅の増設、拡充を求めてきましたが、東京都は二十年以上にわたって、これを拒み続けてまいりました。そのような中、住まいの対策として現れてきましたのが、民間ストックの活用であるとか空き家活用というものでした。
迷惑空き家対策とともに、空き家、空き室の行政活用が、まるで、住まいから保育、介護まで多くの課題が解決されるかのようにもてはやされて、その文脈で各地で空き家実態調査が行われるようになっていきました。
その間、公営住宅の新規建設はずっとストップしたまま、住まいの人権の剥奪が放置されてきました。そして、空き家実態調査の結果が出てみますと、空き家の行政活用については魅力を感じない、長期にわたる行政活用については不安が大きいなど、とてもではありませんが、空き家の行政活用は、緊急性の高い住宅行政を前に、どこか的の外れた議論だったということが実態調査の結論として明らかになったわけです。
そんな議論をしていたのは、私がまだ杉並区議会にいたときで、もう十年も前の話ですよ。あれから十年。こうしている間にも都民の住まいの貧困は激しさを増す一方でした。そこにコロナ禍が襲ったわけですね。
失業や住居の喪失など深刻な被害が増幅、自殺者は増加に転じています。自殺の理由は複合的ですが、その要因の中に住居の喪失、あるいは住居喪失の危機があることは想像に難くありません。住まいは人権といわれて久しい中、その人権がたやすく奪われる事態がずっと放置されているんです。
国は、二〇一七年からセーフティーネット住宅の制度を開始、全国で増加傾向にある空き家や空き室の有効活用を促し、かつ住宅行政の課題を解決できると、まだ思い込みました。高齢者や月収十五万八千円以下の低所得者、障害者、被災者、ひとり親世帯を住宅確保要配慮者と位置づけ、一般住民も入居できますが、要配慮者を拒まない賃貸住宅としました。
要配慮者に限定した専用住宅には、家賃や改修費の補助もあります。東京都は、この制度を基にささエール住宅を創設したわけです。しかし、この制度が本当に住まいの人権を守れる制度となっているのか、今大きく問われています。二〇一七年から三年たって、この制度の活用が全くというほど進んでいないからです。
それもそのはずで、我が党都議団の調査により、ささエール住宅の登録住宅の実態を見ますと、家賃低廉化補助のある専用住宅を除くと、一般住宅の家賃最高額、何と三十八万円、平均額が八万九千円です。要配慮者を拒まないといわれても、これではそもそも要配慮者が申請する気になるはずがありません。肝腎の専用住宅はどうかというと、これも全く進んでいないと。国と東京都、自治体で補助制度があるにもかかわらずです。
そこでお聞きします。家賃低廉化補助を実施している区市町村が少ないわけですが、その理由を伺います。また、実施している四区一市も補助実績が少ないわけですが、その理由を伺います。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 家賃低廉化補助を実施している区市町村が少ない理由は、主に、対象となる専用住宅の登録戸数が少ないことなどによるものと各自治体から聞いております。
また、実施区市で補助実績が少ない理由は、専用住宅が少ないことに加え、補助対象となる専用住宅が入居希望者の条件に合わなかったことなどによるものと聞いてございます。
○原田委員 答弁は、専用住宅がそもそも少ないことを指摘しています。しかし、もう三年たって、大家のニーズと空き家、空き室の行政活用という思惑が必ずしもマッチしていないということはもう明らかだと思うんですよね。いつまでこうした、かけ逃げみたいな仕事を続けるつもりなのかと。今、住宅施策は、やっているふりじゃ困るんですよね。そうしている間に命を落とす人が増えるんだというぐらいの危機感を持っていただきたいと思うんです。
登録された専用住宅が入居条件に合わなかったとも答弁されましたが、我が党都議団が専用住宅の登録戸数を家賃ごとに調べたところ、六百戸ほどある専用住宅のうち五万円以下の住宅はたったの百五十三戸しかないんですね、全都で。あとは、五万円から十万円が二百四十四戸、十万円から二十万円が二百一戸でした。これでは高額過ぎて、要配慮者の入居条件に合わないのは当然なわけですよ。
そこで、ささエール住宅制度による入居が四十件ほどと、比較的施策が進んでいる八王子市の実例を聞いてまいりました。今日の資料にも出ていますけれども。
まず、八王子市は、中核都市ということで、独自に登録業者を募ることができるんですね。これは大きいんです。市営住宅を新築する代わりに、ささエール住宅を使おうということで始めたものでして、そもそも専用住宅には、家賃低廉化補助を実施した場合に、市営住宅並みになる物件しか募集していないと、専用住宅には。だからもう、十万円、二十万円みたいな、低廉化補助やっても入れませんよみたいな物件は募集していないんです、そもそも。そういう市営住宅並みにこの補助を行った場合に、市営住宅並みの家賃になるような物件を募集するんですね、そもそも。そこに、ささエール住宅制度の空き室改修補助など様々な補助をフルスペックで活用して--つまり市の持ち出し分があるということですよね。それを決断して、空き室、インセンティブを大家さんに見せて募るわけです。さらには、入居者の募集は大家に任せるのではなく、何と市が市営住宅と一緒に募集して探してあげるという丁寧さでした。
驚くべきは、市が完全に持ち出しで、入居者が決まると上限三万五千円の仲介手数料を不動産会社に支払う独自補助までつくっていました。
ほかの自治体は、都に登録した住宅しか選べないわけですね。そうすれば、先ほどのような、セーフティーネットとしては法外な高い家賃の住宅がほとんどになってしまうわけです。
こうして、他の自治体の入居実績が極めて少ない中、八王子だけが四十件ほどの実績をつくれているわけなんですね。
しかしですよ、率直にいって、それでも四十件しか実績がないわけです。八王子市営住宅整備・管理計画によると、百五戸の公的住宅確保を目指している。この制度を取り入れましたが、三年たっても、これだけ試行錯誤と独自予算を施しても目標まで六十件以上足りていないと。
今後も努力を続けるとのことで頑張っていただきたいと思いますけれども、改めてお聞きしますが、一体、家賃低廉化補助の実施区市が少ないことや補助実績が少ないことを都としてどのように認識しているのか、見解を求めます。
○飯塚民間住宅施策推進担当部長 家賃低廉化補助を実施する区市町村の増加や補助のさらなる活用促進は重要であると認識しており、都は、補助制度を設けていない区市町村に対して、導入に向けた働きかけを行うとともに、貸主や不動産事業者などに対して、登録制度の普及啓発や補助の活用に向けた働きかけを行っております。
○原田委員 今示したような八王子の事例も参考にしていただきながら、セーフティーネットの一つとして、この制度の改善に取り組んでいただければと思いますが、しかし、この仕組みが緊急を要する住まいのセーフティーネットになり得ないことは、もはや明らかです。
政府は、一九九〇年代半ばから住宅関連の公的支援を大幅に削減し、住宅や住宅ローンを市場に放り出し、住まいの人権が侵害されてきたわけですが、今、小池都知事いわく災害レベルのコロナにおいてですよ、都民の住まいの貧困は深刻さを増して顕在化しています。
住まいを失う寸前の女性が首をつるロープを買ったと、SOSが支援団体のもとに届く現場の実態。渋谷では、ホームレスに追いやられた六十代の女性が暴行を受け死亡する痛ましい事例がありましたが、NHKの取材で、被害者はもともと私の地元である杉並にアパートを借りて住んでいたことが分かり、印象に残っています。
彼女は、家賃滞納で住まいを追われ、この数年ネットカフェなどで暮らすなどホームレス化しながらも、それでもスーパーの試食売場などで働き、暮らしていました。しかし、昨年のコロナから仕事が激減。渋谷のバス停にいつも夜になると現れ、座ったまま眠っていたそうです。加害者は、その地域で家業を手伝い暮らしていた男性で、犯行理由は邪魔だったというものでした。
住宅行政という人権に関わる行政が市場原理に委ねられてきたことが、被害女性の悲惨な境遇を生み出すとともに、加害男性の不寛容さと差別意識を生み出してきたのではないでしょうか。もはや民間ストックの活用などという社会実験のような、モデル事業のような悠長なことをいっている時間はないわけです。
世界では、公的賃貸住宅と家賃補助の提供が--東京都でいえば都営住宅の増設と家賃補助の提供ですよ、それが、世界では住宅施策の柱になっています。今すぐこの道を歩まねば、災害級のコロナ禍にあって住まいを失い、あるいは失う危機にさいなまれ、今も苦しんでいる都民を緊急に救うことはできません。セーフティーネットというのであれば、分かりやすく直接家賃補助を行うことが、まずは緊急に求められていると指摘するものです。
また、毎年ある災害や先行き不透明な経済状況において、先を見据えて都営住宅の新規建設に着手し始めることを求めて、意見とさせていただきます。
次に、住宅局の復活についてお聞きします。
都営住宅の新規建設や家賃補助といった施策を展開する上では、住まいの人権を確保するにふさわしい予算規模、そして職員配置が必要と考えます。
現在、東京二〇二〇大会が終わり、東京都の組織改編が大きな注目の的となっております。日本共産党は、かねてより住宅局の復活を求めてきましたが、本日は職員配置に絞って二つ質問させていただきます。
まず、都道府県として初めて住宅基本条例を施行した平成四年度の旧住宅局及び現在の住宅政策本部における、それぞれの部課長級職員及び全職員の定数について伺います。
○越住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 旧住宅局の平成四年八月一日現在における職員定数は七百二十九名でございまして、うち部課長級職員は五十八名でございます。
現在の住宅政策本部の令和三年八月一日現在における職員定数は三百九十二名でございまして、うち部課長級職員は四十二名でございます。
○原田委員 旧住宅局は七百二十九名に対し--多かったときですね、現在の住宅政策本部は三百九十二名であると。七百二十九対三百九十二と、やはり当時の住宅局が担った仕事というものが大きかったことを職員定数が物語っているように感じます。
その後、行革が行われる下、二〇〇三年、十八年前、ちなみに私が初めて区議会議員になった時代ですけれども、旧住宅局が解体される間際の職員定数が五百人ほどだったと聞いております。七百二十九から五百まで職員定数、減らされたんですね。それでも、住宅政策本部の現在よりも百名ほど大きな組織だったんですね。
そこでお聞きします。本年第三回定例会における住宅局の復活についての代表質問に対し、知事は、新たな組織の在り方を検討し、執行体制を構築すると答弁していますが、その後の検討状況について伺います。
○越住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 局相当の組織の在り方につきましては、総務局が所管でございまして、当本部としてお答えする立場にございません。
○原田委員 つれない答弁だったわけですけれども、住宅局の復活について知事が検討するといったのであれば、住宅政策本部が総務局と何も話していないはずはないと思うわけです。住宅政策本部の行く末に関わる重大な案件なのですから、事務事業質疑においても、どういう検討状況が来ているのか、正直に語っていただきたいものだなと思います。
組織再編に関わって気になるのが、オリンピック・パラリンピック準備局の職員定数です。
調べてみましたら、令和三年四月一日現在、職員定数はオリ・パラ局三百七十五名、うち部課長級職員が七十六名、随分部課長級が多いなと思いますけれども、三百七十五名で部課長級七十六名とのことでした。
この数字を見れば、住宅政策本部が発展し、住宅局復活に向け、大きな人的資源がここに存在していることが分かります。事は、住まいという人権に関わる問題です。
目の前には、住まいを奪われ、あるいはその危機にある都民がたくさんいるのが実態です。抜本的な住宅施策の発展のためにも、住宅局を復活させ十分な職員体制と予算規模の確保を求めて、質疑を終わります。
○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮瀬委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で住宅政策本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時五十二分散会
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