都市整備委員会速記録第十号

令和三年十月八日(金曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長宮瀬 英治君
副委員長鈴木 錦治君
副委員長尾崎あや子君
理事林あきひろ君
理事平けいしょう君
理事中山 信行君
松田りゅうすけ君
古城まさお君
渋谷のぶゆき君
原田あきら君
竹井ようこ君
本橋ひろたか君
柴崎 幹男君
山田ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務上野 雄一君
次長桜井 政人君
技監福田  至君
理事安部 文洋君
総務部長木村 健治君
都市づくり政策部長小野 幹雄君
都市基盤部長特命担当部長兼務谷崎 馨一君
景観・プロジェクト担当部長中山  衛君
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務越  秀幸君
都営住宅経営部長青柳 一彦君
総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務鈴木 誠司君
住宅政策担当部長武井 利行君
民間住宅施策推進担当部長飯塚 佳史君
経営改革担当部長都築 裕樹君
再編利活用推進担当部長栗谷川哲雄君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長小林 秀行君

本日の会議に付した事件
意見書について
都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十七号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百六十八号議案 東京都雨水貯留浸透施設及び保全調整池の標識の設置の基準に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・第二百三十五回東京都都市計画審議会付議予定案件について
住宅政策本部関係
契約議案の調査
・第百八十三号議案 都営住宅三H-一〇二西(村山)工事請負契約
・第百八十四号議案 都営住宅三H-一二〇東(江戸川区西瑞江四丁目第四)工事請負契約
・第百八十五号議案 都営住宅三H-一〇三東(板橋区板橋富士見町)工事請負契約
・第百八十六号議案 都営住宅三H-一二七東(江東区亀戸七丁目)工事その二請負契約
報告事項(説明・質疑)
・東京都住宅政策審議会「中間のまとめ」について

○宮瀬委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○宮瀬委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することとなっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和三年十月六日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
都市整備委員長 宮瀬 英治殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百八十三号議案 都営住宅三H-一〇二西(村山)工事請負契約
 第百八十四号議案 都営住宅三H-一二〇東(江戸川区西瑞江四丁目第四)工事請負契約
 第百八十五号議案 都営住宅三H-一〇三東(板橋区板橋富士見町)工事請負契約
 第百八十六号議案 都営住宅三H-一二七東(江東区亀戸七丁目)工事その二請負契約
2 提出期限 令和三年十月八日(金)

○宮瀬委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の契約議案の調査、都市整備局関係の付託議案の審査並びに都市整備局及び住宅政策本部関係の報告事項の聴取を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百六十七号議案及び第百六十八号議案を一括して議題といたします。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○宮瀬委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○上野東京都技監 来る十二月二十二日に開催予定の第二百三十五回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件につきましてご説明いたします。
 今回、都市計画の変更予定案件が、区部で九件、市町村部で二件ございます。また、神津島村決定の付議予定案件が一件、その他の付議予定案件が一件でございます。
 本日は、これらのうち主な案件といたしまして、都市再生特別地区日本橋一丁目東地区とその関連案件につきましてご説明申し上げます。
 それでは、引き続き担当部長からご説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

○中山景観・プロジェクト担当部長 付議予定案件ナンバー1、東京都市計画都市再生特別地区日本橋一丁目東地区と、ナンバー2、東京都市計画道路都市高速道路第四号線分岐線、ナンバー3、東京都市計画都市高速鉄道第一号線、ナンバー13、国家戦略住宅整備事業は、相互に関連する案件のため、一括してご説明いたします。
 資料は、お手元の資料2、白色表紙、提案事項概要五ページから四七ページまでと九三ページ、資料3、薄茶色表紙、事前説明資料五ページから六九ページまでと一三三ページでございます。併せて資料4、薄オレンジ色表紙、都市計画(素案)日本橋一丁目東地区もご参照ください。
 今回の変更のうち、ナンバー1とナンバー13は、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特別区域会議から東京都の都市計画審議会に付議が予定されているもので、事業主体は日本橋一丁目東地区市街地再開発準備組合でございます。
 まず、都市再生特別地区の変更についてご説明いたします。
 資料3、事前説明資料五ページの位置図と併せてスクリーンをご覧ください。
 本地区は、日本橋駅の北東側に位置し、区域西側で昭和通りに、区域南側で永代通りに接した約三・六ヘクタールの区域です。
 また、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域である東京都心・臨海地域内に位置しております。
 資料3、事前説明資料一一ページの参考図1と併せてスクリーンをご覧ください。
 本計画は、日本橋川沿い及び日本橋駅周辺の歩行者基盤の整備、国際競争力を高める都市機能の導入、防災対応力強化と環境負荷低減に取り組むもので、当該緊急整備地域の地域整備方針に沿うものであり、かつ都市再生の効果が高いものとなっております。
 具体的な都市再生への貢献内容につきましては、主なものとして、本地区と日本橋川沿いなどの周辺エリアをつなぐ重層的な歩行者ネットワークを整備するとともに、首都高速道路の地下化に伴う用地の提供などの協力や、道路の上部空間を利用した水辺の憩い広場を整備いたします。
 さらに、国際競争力のある都心型複合MICE拠点の形成を支える情報発信機能を備えたカンファレンス約三千平方メートルを整備するとともに、外国人を含む高度金融人材等の中長期の滞在ニーズに応えるサービスアパートメント約九千百平方メートルを整備いたします。
 資料2、提案事項概要の五ページから八ページまで、資料3、事前説明資料の七ページの計画図2と併せてスクリーンをご覧ください。
 都市再生特別地区の都市計画変更の内容についてご説明します。
 容積率については、本計画の都市再生への貢献内容を適切に評価した上で、最高限度を地区全体で一五三〇%といたします。また、街区ごとにも最高限度を定め、A街区においては二〇九〇%とし、一部を国際的、先進的なビジネス活動を促進する施設といたします。
 高さの最高限度は、A街区においては、高層部Aを二百四十メートル、低層部Aを四十五メートルなどといたします。
 資料3、事前説明資料の一二ページと併せてスクリーンをご覧ください。完成予想図でございます。
 続きまして、付議予定案件ナンバー13の国家戦略住宅整備事業についてご説明いたします。
 本件についても、国家戦略特別区域法に基づき、東京都の都市計画審議会に付議が予定されているものです。
 資料2、提案事項概要の九三ページ、資料3、事前説明資料の一三三ページの区域図と併せてスクリーンをご覧ください。
 対象区域は、都市再生特別地区の区域と同じく約三・六ヘクタールの区域でございます。
 今回、国家戦略特別区域法に基づく住宅容積率の緩和制度を活用し、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点を形成するために必要な住宅を整備するため、国家戦略住宅整備事業を定めるものです。
 その一部を住宅の用途に供する建築物の容積率の最高限度の数値の算出方法などを定め、本計画においては地区全体の容積率の最高限度を一五五〇%といたします。
 参考といたしまして、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特別区域会議から中央区都市計画審議会へ別途付議が予定されております都市計画についてご説明いたします。
 まず、日本橋・東京駅前地区地区計画の変更についてでございます。
 資料3、事前説明資料の一三ページから四六ページまでと併せてスクリーンをご覧ください。
 先ほどご説明いたしました都市再生特別地区は、三つの地区計画の区域にまたがることから、今回、日本橋・東京駅前地区地区計画の区域を拡大し、都市再生特別地区の全ての区域を含めるよう変更するものでございます。
 また、地区施設として広場と歩道状空地、歩行者通路を位置づけます。
 さらに、都市再生特別地区を定める区域のうち、C街区とD街区の地下に首都高速道路が整備されることを踏まえ、道路の上下の空間に建築物等を建築できるようにするため、重複利用区域を定めます。
 次に、日本橋問屋街地区地区計画の変更についてでございます。
 資料3、事前説明資料の四七ページから五〇ページまでと併せてスクリーンをご覧ください。
 日本橋・東京駅前地区地区計画の変更に伴い、区域の一部を削除いたします。
 次に、人形町・浜町河岸地区地区計画の変更についてでございます。
 資料3、事前説明資料の五一ページから五六ページまでと併せてスクリーンをご覧ください。
 日本橋・東京駅前地区地区計画の変更に伴い、区域の一部を削除いたします。
 次に、日本橋一丁目東地区第一種市街地再開発事業の決定についてでございます。
 資料3、事前説明資料の五七ページから六一ページまでと併せてスクリーンをご覧ください。
 都市再生特別地区を定める区域において、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、市街地再開発事業を決定いたします。
 続きまして、付議予定案件ナンバー2の都市高速道路第四号線分岐線の変更についてご説明いたします。
 資料3、事前説明資料六四ページの計画図1と併せてスクリーンをご覧ください。
 都市高速道路第四号線分岐線は、千代田区大手町二丁目を起点とし、中央区日本橋小網町に至る延長約一・二キロメートルの路線でございます。
 今回の変更は、日本橋一丁目東地区における道路上空に広場空間等を整備する計画を踏まえて、適切かつ合理的な土地利用を図るため、立体的な範囲を変更するものです。
 続きまして、付議予定案件ナンバー3の都市高速鉄道第一号線の変更についてご説明いたします。
 資料3、事前説明資料六八ページの計画図1と併せてスクリーンをご覧ください。
 都市高速鉄道第一号線は、西馬込駅から押上駅間の約十八・八キロメートルを結ぶ路線です。
 今回の変更は、先ほどご説明いたしました市街地再開発事業の施行に伴う区分地上権の消滅を防ぎ、都市高速鉄道の機能を保全するため、当該施行区域内において立体的な範囲を定めるものです。
 付議予定案件ナンバー1、ナンバー2、ナンバー3及びナンバー13の説明は以上でございます。

○宮瀬委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○古城委員 報告事項、第二百三十五回東京都都市計画審議会付議予定案件のうち、二件について質問いたします。
 初めに、都市再生特別地区日本橋一丁目東地区についてであります。
 先日も、都市再生特別地区に関連して質問したところでございますけれども、この制度は、都市部の経済が元気にならないと、周辺地域、さらには日本経済全体も活性化し得ず、その意味では、都市再生が構造改革の命運を握っているとの観点で、二〇〇二年、平成十四年に創設をされました。いわゆる国に縛られた都市開発から、自治体や民間の意欲を生かしたまちづくりへと転換が図られてきた二十年であるといえます。
 現在、コロナ禍を乗り越える視点からも、また、住み続けられるまちづくりを目標に掲げるSDGsの視点からも、東京の、ひいては日本経済の活性化及び都市機能と居住環境の向上は密接不可分であり、都市再生は政策体系の柱であると考えます。
 さて、本件の舞台は日本橋であります。未来の東京戦略に掲げられた日本橋周辺のまちづくりと連携し、首都高の地下化を推進、あわせて、河川空間を生かしたまちづくりを進め、国際都市東京を代表する魅力的な水辺景観を形成、このように示されている、この実現に向けまして、都市整備局のリーダーシップにより歩みを進める上で、日本橋川の再生もまた、中心軸の一つであると考えております。
 私は、前期の都市整備委員会におきまして、羽村から四谷大木戸までの玉川上水、さらに外堀、神田川、日本橋川を経て、隅田川までの自然流下する区間五十三キロを玉川上水系とし、さらに、現在も残るのは八つでありますけれども、江戸時代後期には三十三設けられていた分水網や中小河川を含む区域を玉川上水域として一体的に捉える考えを紹介してまいりました。
 これは、東京の水循環に資する大事な視点であると考えますけれども、これを踏まえれば、国際都市にふさわしい品格のある都市景観の形成、歴史や文化を踏まえた日本橋の顔づくり、舟運など、様々な効果が期待される日本橋周辺のまちづくりにおいて、日本橋川の水質改善もより重要な課題となります。
 二〇一七年十一月、国土交通省、東京都、中央区、首都高速道路株式会社が、国の重要文化財日本橋の上を走る首都高速道路の地下化計画について話し合う検討会の初会合を開催してから四年がたちます。昨年十一月には地下埋設物の移設工事等が着手され、工事が本格化しております。
 そこで、首都高の地下化を契機として、それと連携して進めている日本橋周辺のまちづくりについて、水辺を生かす観点からの整備の方向についてお尋ねいたします。

○中山景観・プロジェクト担当部長 都は、首都高地下化と連携して取り組んでいる日本橋周辺まちづくりにおいて、水辺のにぎわいの創出などに取り組むことにより、国際金融都市にふさわしい品格ある日本橋の顔づくりなどを図ることとしております。
 具体的には、中央区の日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョン二〇二一に基づき、日本橋川を眺める親水広場や重層的なオープンスペースの創出、地下鉄駅から日本橋川につながるデッキや川沿いのプロムナードの整備などによる歩行者ネットワークの形成、日本橋川に顔を向けたオープンカフェ等によるにぎわいの創出などに、日本橋周辺の各地区が連携して取組を進めることとしています。
 なお、これまで三つの地区で都市再生特別地区や市街地再開発事業などの都市計画を決定しておりまして、日本橋一丁目中地区では既に工事に着手しております。

○古城委員 まず、都市再生特別地区制度などを活用して、日本橋川沿いの各地区が連携した取組が進められているということを確認させていただきました。
 その上でになりますが、ただいまの答弁も踏まえますと、まず一つに、駅と川との歩行者動線の確保など、周辺から水辺に人々を呼び込む魅力のある通りづくり、それから二つに、川沿いのにぎわいのあるオープンスペースの形成、三つに、にぎわいのある広場空間や地区内建築物の低層部でのにぎわい機能の整備、これらを重点的に整備するとともに、積極的な機能連携が重要であると考えます。
 そこで、今回の案件である日本橋一丁目東地区における水辺を生かしたまちづくりについてお尋ねいたします。

○中山景観・プロジェクト担当部長 当地区のうち、日本橋川北側に位置するC街区では、立体道路制度を活用して、地上部に、日本橋川を眺め、水辺の憩いの場となる約二千二百平方メートルの緑豊かな広場を創出します。
 また、この広場と江戸橋を介してつながる南側のA街区及びB街区では、日本橋一丁目中地区につながる昭和通り上のデッキや、日本橋駅からのバリアフリー動線の整備などを行うことで、まちと水辺をつなぎ、回遊性の高い歩行者ネットワークを形成します。
 さらに、江戸橋南橋詰め広場と一体的な広がりを持った広場や日本橋川を眺めるテラスを設け、店舗などと一体となったにぎわい空間を創出するとともに、エリアマネジメント活動により、他の地区と連携したにぎわい形成に取り組みます。
 加えて、建物上部に降った雨水を直接日本橋川に排水できる雨水管を整備し、大雨の際、合流式下水管からの下水と混じった雨水排出の削減を図り、日本橋川の水質の改善に寄与してまいります。

○古城委員 日本橋川沿いのそれぞれの地区が連携をし、水辺の魅力とにぎわいを創出していく取組について、評価をさせていただきたいと思います。
 また、今答弁いただきましたけれども、日本橋一丁目東地区の雨水分流の取組は、日本橋川の水質の向上につなげていくためにも大変重要であると考えます。
 その上で、先ほども申し上げましたとおり、外堀の水が神田川、日本橋川に流れて、現在、水質に大きな影響を与えているというふうにいわれております。河川の水質改善を図っていくためには、まずは外堀の持続的な水質浄化が必要不可欠であると考えます。
 そこで、繰り返しになりますが、都議会公明党は、水と緑の回廊、快適な水環境の創出の実現に向けて、議会質問等を通じて、玉川上水を活用した外堀の浄化と日本橋川の水質改善を提言してまいりました。
 都技監は先日の五日、都議会公明党の代表質問に対しまして、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力ある都市の顔づくりを進めることが重要であると、認識をお示しいただいたところでございます。
 今回の案件でございます都市再生特別地区制度を活用した日本橋周辺のまちづくりとともに、外濠浄化プロジェクトの着実な進展により、水循環にも貢献する日本橋川の再生が果たされるということを期待申し上げたいと思います。
 さて、日本橋と外堀を結ぶまちの一つが飯田橋駅周辺地区でございます。
 飯田橋駅周辺は、JRと地下鉄四路線が結節するほか、幹線道路三路線が交差する交通の要衝ともいえる場所でありますけれども、一方で、これらの鉄道駅や道路をまたぎます歩道橋、また、地下の乗換えコンコースなどの駅施設などの歩行者の流動空間をはじめとする都市基盤は、混雑して分かりにくく、バリアフリー動線にも課題があることから、都は昨年九月、飯田橋駅周辺基盤再整備構想を策定しております。
 これは、千代田区、文京区、また、私の地元でもございます新宿区の三区が関係いたしますが、新宿区においても、本件の用途地域を変更するエリアを含む飯田橋駅東口周辺地区でまちづくり協議会が設立され、まちづくりの検討が進められております。
 この地区では、駅前や沿道の老朽化した施設の機能更新と併せ、飯田橋駅からのバリアフリー動線を確保し、周辺との回遊性の高い歩行者ネットワークの形成や、地域の活性化とにぎわいの創出などを図るため、駅前と沿道、周辺地域が一体となってまちづくりを進める必要があると考えます。
 今回の用途地域を変更するエリアは、新宿区が決定する飯田橋駅前地区地区計画に含まれる放射第二五号線沿道の区域に当たります。
 そこで、東京都市計画用途地域、新宿区津久戸町、下宮比町、筑土八幡町及び新小川町、各地内の変更について、その経緯と理由についてお尋ねいたします。

○小野都市づくり政策部長 平成二十九年四月に地権者などで構成しましたまちづくり協議会が設立され、平成三十一年三月に飯田橋駅東口周辺地区まちづくり構想が策定されました。この構想や放射第二五号線の整備などを踏まえ、新宿区において、令和二年十二月に、放射第二五号線沿道地区まちづくりガイドラインが作成されております。
 今回の用途地域の変更は、このガイドラインなどに基づきまして、放射第二五号線沿道にふさわしいまち並みの形成と、居住、商業、業務機能の誘導を図るため、新宿区が決定する地区計画に併せて用途地域を変更するものでございます。

○古城委員 放射第二五号線都市計画道路の整備に併せて、沿道のまち並みやにぎわいを創出するための用途地域変更の必要性があるということであろうかと思いますけれども、こうした都市計画変更を実施しまして、沿道のまちづくりの誘導をしっかりと進めていただきたいと考えます。
 飯田橋駅東口周辺地区は、新宿区の北東部に位置をいたしまして、飯田橋駅を中心とした業務・商業地があるのとともに、新宿区の地場産業であります印刷、製本関連業と、さらには住宅地が混在したまち並みとなっております。特に、この放射第二五号線の北側の沿道には、印刷、製本業の工場などが数多く立地をいたしております。
 今年三月の新宿区議会におきまして、公明党の区議会議員から質問をしておりまして、新宿区の景観・まちづくり課長がご答弁されておる件なんですけれども、今回の商業地域への変更によりまして、一棟ではあるんですが、工場の建て替えを仮に行うとした場合に一部制限されるということを仄聞いたしております。
 そこで、今回の都市計画変更により、建て替えに制限を受ける工場の地権者への今後の対応についてお尋ねいたします。

○小野都市づくり政策部長 準工業地域から商業地域への変更などにより、原動機を使用する作業場の面積が百五十平方メートルを超える工場の建築が制限されることになり、当該地区では、一棟の既存不適格となる建築物が生じることとなります。
 このため、当該地権者に対して新宿区は、建て替えの相談について許可などによる対応について説明していると聞いており、今後とも区において丁寧な対応がなされるものと認識しております。

○古城委員 先ほど来確認をさせていただきました沿道にふさわしいにぎわいの創出などを図りつつ、今答弁いただいた地権者の方への、ご商売であるとか、また、生活に寄り添う丁寧な対応がなされると考えております。ぜひとも都においても、区と連携をしていただいて進めていただければと思います。
 また、新宿区においては、今回のこの説明につきまして、コロナ禍という状況もあって、また、緊急事態宣言も発令をされておりましたので、地区外の地権者の方への説明会の資料の送付であるとか、また、特別出張所、地域センターにおきまして、事前予約制で説明会の動画を配信するなどによりまして、今回の計画の周知を図り、まちづくりが停滞をしないように取り組んでいると聞いております。
 こうした、コロナ禍においても感染状況の推移も踏まえながらでありますが、まちづくりを進める上で、行政側の工夫は大変に重要であると考えます。
 そして、都においては、飯田橋駅周辺基盤再整備構想、これをさらに具体化をして基盤整備方針を策定すると聞いてございます。
 今後とも、この地区をはじめとする飯田橋駅周辺のまちづくりを、東京都と、そして新宿区、また、大きなくくりでは千代田区、また、文京区ともしっかり連携をしていただいて、着実に進めていただきたい、このことを重ねて申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○原田委員 私からは、日本橋一丁目東地区の都市再生特区についてまずお聞きします。
 本計画は、A街区からE街区まで五つの街区によって構成され、C、D、Eの街区は、地上部は公開空地や首都高地下化に伴う擁壁や掘り割りが造られ、地下には首都高が走る計画。そして、A街区、B街区には地上二百メートルを超える二つの超高層ビルが建ち、その横幅は二百メートル近くにも及ぶという大変な計画となります。
 都市計画(素案)日本橋一丁目東地区の冊子を手に取りまして、三七ページの事業推進の必要性というものを読んでみますと、大手町地区D-1街区、八重洲一丁目北地区、日本橋一丁目中地区に連なる巨大開発が、日本橋川南側を固めていくことを喜ぶように書かれておりますが、その一方で、日本橋川上空に首都高速道路が架構されているため、都心部における希少な河川空間を生かせていない状況にあるとされているわけです。
 国家戦略特区の区域方針でも、この地域、東京国際金融センター構想の金融軸を支える多様な集積と書く一方で、日本橋地域の歴史、文化を踏まえた水辺のにぎわい創出を図るとされています。日本橋地域の歴史、文化を踏まえるんだと。
 さらに、都市再生緊急整備地域の整備方針でも、巨大開発を持ち上げる一方で、歴史と文化を生かした潤いと風格あるまち並みを形成すると。日本橋の歴史や景観を重視するんだという記述が見られるわけですね。
 しかし、日本橋川南側の一連とした巨大開発は、日本橋を中心に、南側、東側を二百メートル級の巨大ビルが埋め尽くし、西日でさえ--大手町の日本最高高度三百九十メートルのビルが建設されることになっているわけで、もう、日の当たらない暗い日本橋周辺をつくり出すことになります。
 この一個の開発だけじゃないわけですよ。一本のビルじゃないわけです。全部、南から東、西まで日本橋を取り囲んじゃうんです、二百メートル以上。西日の方は三百九十メートルと。
 開発と景観、風情を両立させるかのごとく書いてありますけれども、完全に開発促進に偏ったまちづくりになっているんじゃないでしょうか。三千億円もの巨費を投じて首都高を地下化する意味が全くもって失われるような事態に陥っているわけです。
 無秩序な計画は環境にも強大な影響を与えることとなります。
 この上空二百二十五メートルから二百四十五メートルの建築物は、横幅も何と二百三十メートルに及び、ビルとビルの間に二十五メートルの隙間があるとしても、二百メートル幅でコンクリートの壁が海に向かって立ちはだかるわけですね。いわゆる大・丸・有のビル群が皇居の緑地帯に届く海風を遮るように立ちはだかりますが、さらにその手前の日本橋でもこうしたビル群が海風を遮ると。皇居の緑地帯で生まれた清廉な空気が内陸に運ばれていくことも遮ります。
 それどころか、その巨大な壁自体が猛烈なエネルギー消費で熱を吐き出していくわけですね。当然、ヒートアイランド現象を都心部で増加させていくことに、西側の地域でもさせていくことになってしまうわけですね。
 さきの都市整備委員会では、そもそもベイエリアで海に向かってこうした建築群が建ち始めていることを指摘しましたが、何重もの壁が都心に向かって立ちはだかって、風の通り道を奪っていくわけですね。これを無秩序な都市計画といわずに何というのか。
 そこで、この計画でもお聞きしますけれども、当地区の従前及び従後の建築物CO2排出量はどのようになるのか伺います。

○中山景観・プロジェクト担当部長 当地区の開発前の建築物からのCO2排出量は、エネルギー実績等が把握できないため、地区全体のCO2排出量を算定できません。
 また、当地区の開発後のCO2排出量につきましては、環境面での先進的な取組により、最高水準の環境性能を確保し、目標としたCO2排出原単位以下とするなど、一定の仮定条件を基に試算すると、年間約三万六百トン以下となります。
 さらに、今後の建物供用開始時までに事業者が最大限に努力しながら、再生可能エネルギー由来の電力利用に取り組むことなどにより、実際のCO2排出量は大幅に削減する見込みでございます。

○原田委員 当該計画地域の建築物は、従前、そもそもCO2排出届けの必要のないレベルの建築群だったという答弁なんですね。それが、最高水準の環境性能を備えても三万トンの排出量になると。
 三万トンのCO2排出量と聞いてもぴんとこないと思いますので、いつものように、森林で吸収しようとするとどれくらいの広さが必要かという計算をしてみました。
 林野庁によると、樹齢四十年の杉の木一ヘクタールが、樹齢四十年ですよ、杉の木一ヘクタールが年間に吸収してくれるCO2が八・八トンです。この試算に基づいて、この三万六百トンものCO2吸収に必要な森林は、東京ドーム四・七ヘクタールの実に七百四十個分に当たるわけです。樹齢四十年の杉の木ですよ。
 気候危機といわれる中、その意味ではどれだけ罪深い開発であるのかを、企業側も東京都もちゃんと考えないといけない事態なんですね、この開発は。
 大体、百歩譲ってですよ、再生可能エネルギーで全ての電力を賄わなければオープンはできないというんだったら話は別ですが、何ですか、その最大限努力しながら取り組むという答弁は。それって、つまり再生可能エネルギー由来の電力を獲得できなくても、建物供用開始に問題は生じないという話じゃありませんか。
 ところで、この計画、驚くべきことに、日本橋川の向こう側まで再開発の区域に加えられています。本来なら首都高地下化の用地買収で対応すべきだと私は思うんです、C、D、E街区。それを、江戸橋という都道の道半分まで再開発の区域に、線の中に入れてあげて、歩道ですよ、連続性があるかのように見せて、この再開発の計画に加えてあげるという、そういう計画になっています。
 お聞きしますが、本件のように離れた土地を道路でつないだ都市再生特別地区の事例は、都内でほかにあるのか伺います。

○中山景観・プロジェクト担当部長 離れた土地を道路でつないだ事例といたしましては、日本橋室町一丁目地区がございます。

○原田委員 ここ最近行われた計画、その一件だと。なるほど目と鼻の先に事例が一件あるわけですね。
 その事例は、建物と建物を結ぶ通路を開発区域と見立てて、一方に巨大なビル、一方に空地という計画をつくると。これも、巨大ビルから離れた飛び地の空地を公開空地に見立てる手法でして、一部に高密度な建築群を造ってしまう、私は無秩序な計画なんだろうなというふうに思っています。
 しかし、今回の計画は何と、公道たる橋の上を計画区域に見立てて、川の向こう岸に平たく空地を造れば、A街区、B街区のような超高密度の建築を可能にしてしまう計画です。
 私、さっきもいいましたけど、本来なら、首都高の地下化によって、あのC、D、E街区は買収をすればよかったんですよ。そうしたら、A街区、B街区をこれほど巨大な容積率に緩和してあげなくてもよかったと思うんです。これが許されれば何でもありになってしまうと。ちょっと離れた土地を買って、巨大建築に伴う公開空地だといい張ることができてしまうじゃありませんか。
 この計画の容積率の最高限度、先ほども一五三〇%だと。それは大手町のあの三百九十メートルのビルの計画の一八六〇%より低い値に見せていますが、それは、川の向こうのほぼ広場となるC、D、E街区を合わせた数値なんです。その実、今回ビルの建つA街区、二百四十五メートルビルの容積率は、この地域の容積率は何と二〇九〇%と桁外れの建築となるわけですね。こうした無理のある建て方は様々な面で矛盾を生み出すんじゃないのかなと私は思うんですね。
 そこでお聞きしますが、本件の都市再生特別地区の権利者の人数と同意の状況について伺います。

○中山景観・プロジェクト担当部長 事業者からの都市計画素案の提出時におきます当地区の権利者数は五十六人であり、同意率は約八六%となっております。
 なお、先ほど、今回の都市再生特別地区の区域の設定につきまして、ご意見もございましたので補足で説明させていただきます。
 都市再生特別地区の区域につきましては、個別の地区の状況等を踏まえ、適切な設定を行っております。当地区におきましては、首都高地下化と連携したまちづくりを進めるために、首都高地下化に係る部分を含めた区域を設定したということになっております。

○原田委員 今の後の付け足しの答弁、何がいいたかったのかちょっとよく分からなかったんですけど、同意率は八六%と。一見高いように見えますが、裏を返せば一四%反対している方がいらっしゃるということですね。一見、真新しい再開発ビルに地権を得ることができるとなれば、いいことのように感じるわけですが、現実はそう甘くないんじゃないかなと。
 例えば川の向こうの敷地は、地下に首都高ができてしまうわけなんですね。数十年後にこのA街区、B街区の建物が建て替えの時期を--五十年後なのか六十年後なのか分かりませんけど、建て替えの時期を迎えたところで、その川の向こうの首都高が地下を走っている地域の空き地、この土地を利用することはもうできないわけですよね。
 かといって、容積率を二〇〇〇%まで緩和してしまったA街区など、建て替え時にもう容積率が緩和されることはなく、目いっぱいをはるかに超えて入居させたことによる余剰床の売上げは、ディベロッパーがもうこの開発の時点で持ち去ってしまっているわけで、建て替え時には、入居者が莫大なお金を払うか巨額の修繕費を積み立てていくしかないわけなんですね。
 このからくりに気づいた人たちが反対することはよくある話なわけです。ディベロッパー主導の再開発の恐ろしいところだと、今、各地で問題が噴き上がっていると。反対する住民、出てきています。
 C、D、E街区の土地の権利は今後誰が持つのかと。首都高や中央区に譲渡されるのか、開発ビルに入居した人たちに土地の権利が残るのか、本日を迎える前に都市整備局にお聞きしましたが、何と、それはまだ分からないとのことでした。この段階で、あのC、D、E街区の、地下に首都高が走る土地は、誰のものになるのか、どうなっていくのか、分かっていないんだと。
 ちょっと驚きましたが、都市計画素案の冊子の七二ページを見ると、最後の三行に意味深なことが書いてあるわけですね。
 なお、C、D、E街区の広場については、中略、管理運営方法については、事業者において行政及び(仮)日本橋川沿いエリアマネジメントとの連携を含めて検討するとあり、管理や運営、もっといえば土地の権利についても、いまだどうなっていくのかはっきりしていないということが、実はこうやって何となくにおわせて書いてあったんですね。
 これが、私は本当にサステーナブルなまちづくりといえるのかと。本気で考えなければならないところまで来ているんじゃないかと。こういうまちづくりをどんどん進めていって、本当にこの東京というまちは五十年後にサステーナブルな状況になり得ているのか、本気で考えないといけないところに来ていると思いますよ。そのことを指摘して、次の質問に移ります。
 その瞬間もうかればいいというのでまちづくりをやったり、そのディベロッパーがもうかればいいというので、いとも簡単に国際競争力の名の下に容積率をぽんぽん上げていってあげると。本当に私は恐ろしいことになっていくんじゃないかと思っています。
 新宿区津久戸町外各地内の用途地域の変更に移ります。
 本案件は、放射二五号線の整備に伴う沿道の用途地域を変更するものです。
 これまでの準工業地域から商業地域に当該区域の用途地域を変更することが大きな点ですが、この際、容積率が三〇〇%などから五〇〇%に引き上げられることも重大な変更ですが、それ以上に、準工業や住居地域が商業地域に変わることの問題が懸念されます。
 そこでお聞きしたかったのは、今回の都市計画変更により、沿道の工場などの建て替えに影響することはないのかと質問しようと思っていましたが、先ほど他の委員の質問がありまして、準工業地域から商業地域への変更などによって、原動機を使用する作業場の面積が百五十平米を超える工場の建築が制限されることになって、当該地区では一棟の既存不適格となる建築物が生じるんだけれども、当該地権者に対して新宿区は、建て替えの相談について、許可などによる対応について説明しているというふうに聞いているという答弁がありました。
 ですので、私の質問は割愛させていただきまして、当該区域の南側や東側には既に商業地域が広がっており、用途地域の変更による弊害についても、地元で丁寧な対応が約束されているということを確認させていただきまして、次の案件に移ります。
 北区赤羽台一丁目外各地内の用途地域の変更について意見を述べさせていただきます。
 赤羽駅西側の高台に位置するURと北区の用地における用途地域の変更です。
 この用途地域の緩和を基に、北区児童相談所を含めた複合施設などが建設される予定ですけれども、建築物の方針は、現状いまだ未定となっているんだということのようです。
 容積率は二〇〇%から三〇〇%に引き上げられ、第一種中高層住居専用地域から第一種住居地域という、かなり規模の大きい施設が建設できるように変更されます。第一種住居地域はパチンコやカラオケボックスなどは設置できないなど、住居地域であることを念頭にしつつ、この第一種住居地域という用途地域は、三千平米以下の店舗や事務所、三千平米以下の運動施設や展示場等、公共施設、病院、学校等を建築することができます。
 URは大規模な共同住宅建設を計画しており、北区議会の質疑では、二十階建て三百戸の高層マンション計画という数字も示されているようです。
 北区は、赤羽台ゲートウエー構想を打ち出しており、URとは昨年協定を結び、職員の相互派遣を行うなど事業が加速化しています。しかし、住民からは懸念の声が上がっています。
 この地域はこの間、二つの中学校が一校に、六つの小学校が四校に統廃合されており、この学区域である赤羽台西小学校、現在でも教室に余裕がありません。にもかかわらず、既にURは賃貸住宅建設として約八百戸の建設に入っていると。さらに、隣接する赤羽西五丁目には、印刷局の官舎が来年四月に入居することになっていると。そのため、校内に移設した学童クラブを元の児童館に戻さないといけない事態となっているほどなんですね。
 保育園不足も深刻で、団地の建て替えに併せて、駅に最も近い住棟の一階と二階の一部に実に二百人定員の保育園を造っていますが、ここも既に満杯となっています。
 ここに加えて、容積率を緩和してまで大規模なマンションが相次いで造られれば、この地域の人口と行政サービスの提供管理は破綻します。
 また、高層化したビルから見下ろされる児童相談所、プライバシーが守られるのかなどの問題も浮上しています。
 一方で、北区自前の児童相談所ができること、駐輪場の設置、高低差の大きい駅前の歩行空間の整備も、この地域にとっては重大な課題でありまして、この課題の解消が位置づけられていることは、住民から歓迎されているとお聞きしております。
 用途地域の変更は、最近では、都市計画の申請があればいとも簡単に行われているように感じてしまいますが、その地域の百年の計に影響を与える行為であり、慎重さが必要とされます。
 行政サービスのキャパと人口増加の規模など、まちづくりの最も基本的な課題をクリアできているのか、都としてもしっかりと自治体と意見を交わすことが必要であると、そのことを改めて指摘させていただき、意見として、次の案件に移ります。
 幹線街路補助線街路第二八号線について意見を述べます。
 本案件は、大森駅西側の駅前整備に関わる案件です。
 大森駅は、混雑を極めるバス停の改善など利用者から改善の声が上がっていますが、一方で、駅前広場の設置は大森駅前の風情に重大な影響を与えることになり、住民からは懸念の声が上がっていると聞いております。
 大田区が策定した大森駅周辺地区グランドデザインは、大森駅西側周辺の整備の方向性が示されています。これを契機に、平成二十四年七月に、地権者間で意見交換、検討を重ね、まちづくりを実現するための組織として、大森八景坂地区まちづくり協議会が発足しています。同協議会は、この地区のまちづくりの目標や方向性、具体的方策について定めた大森八景坂地区まちづくり計画案をまとめ、平成二十七年三月に大田区に提案しています。
 また、協議会は平成二十九年十一月、行政による基盤整備の進捗に伴い建物が更新されていくことを念頭に、地域が目指すまちのデザインの考え方をデザインコードとして取りまとめ、大田区に提案しています。
 大田区は、こうした経緯から十分な協議が行われてきたとして、大森西口広場、百人の地権者の合意の下に計画は進んでいると説明をしてきました。
 しかし、西口広場地下の通称地獄谷には、飲食店が数多く軒を連ね、地権者以外の賃貸借人や一部又貸し等の複雑な土地関係となっており、計画を進める区も賃貸人の人数を把握していないというのが現状です。様々なメディアで取り上げられてきた文化ともいうべきまちのありように、店主や利用者からは、このまちの風情を残してほしいという声が多数上がっています。
 地獄谷は通称で、山王小路飲食店街が正式な商店街名と。大衆居酒屋やスナック、バーなど昭和のムードを漂わせつつ、イタリアンバルやシンガポールバル、レストランバーなど現代的な飲食店も共存する。徒歩ですぐ近くには大森山王といわれる高級住宅街が広がり、馬込にかけてのなだらかな丘陵地に、作家や画家といった文化人の住んだ地域が続きまして、馬込文士村と総称され、風格を堅持しています。
 本当に、この駅前が現代風のテラスを持った広場に変われば、このまちの風格は維持発展することになるのかと。しっかりと住民の声を聞かねばならない事態だなと思っています。こうした古きよき時代を表すようなまち並みと、それから、昭和のムードを漂わせる駅前の飲食店街、実は不可分な関係にあるんじゃないかという話もあるわけですので、しっかりと住民の声を聞かなきゃいけないと。
 大田区が事業主体となる大森駅広場都市計画変更案の公告、縦覧が十月十三日から始まっており、二十七日まで二週間の期間で行われています。住民の声が計画にしっかりと反映されるのか注目が集まっています。都としても、地元区に寄せられた住民の声については、当該案件にも深く関わる資料と考えるため、私には提供していただけるよう求めるものであります。
 この地域の風情に重大な影響を与えるとともに、大規模な税金も出動する案件であり、慎重さが必要です。現時点では幅広い意見を取り入れた計画になり得ていないと指摘をして、次の案件に移ります。
 私からの最後に、幹線街路三・三・七四号左入美山線、いわゆる北西部幹線道路について意見を述べます。
 本計画は、当初、巨大な物流センター計画及びイオンの進出が計画され、それらの物流や交通を保障する、四車線二十五メートルの道路として計画されてきました。しかし、物流センターの計画は頓挫をして、イオン進出予定についても不明瞭な状態となっているのが現状です。
 都の説明としては、交通量予測として一日二万四千台と見込んでいた交通量が、一日一万六千台に落ち込んだことを受け、四車線から、二車線二十二メートルへと変更したとのことです。この交通量予測については、詳しいデータについてお示ししていただければと思うのと、四車線で二十五メートルというのは、国交省の基準に照らしてクリアしているのか、後で教えていただけたらと思います。
 今求められているのは、莫大な巨費を投じてこの二車線は本当に必要なのかということの検証です。
 この地域は、方々に切土、盛土を行って造成された宅地開発がありまして、天合峰の宅地開発は規模が極めて巨大で今も続いています。この宅地に関わる交通、イオンが来た場合の交通をさばくことと、北西部幹線道路は関わっていると思われます。市がどうしても同計画を推し進める理由もそこにあるのではないかなと。
 天合峰開発は最大で五十メートルの盛土となるのですね。ちょっと委員長よろしいですか。--失礼しました。三メートルごとの段差を造るので大きなのり面にならないといっているそうですが、排水などが悪ければ、人工的に盛られた土はもろくも崩れ去っていくことになります。豪雨が降ったときには貯水池に流すので大丈夫といいますが、おととしの台風十九号の雨量が引き起こされれば、貯水量を超えて、この下の山入川に流入するといわれておりまして、天合峰の宅地開発については住民は大変心配しています。
 鉄道に向かう東西交通を整備してほしいという声は地域にあるんですね、この地域には。けれども、里山を掘り崩してまでやることなのかと。既成街路の拡幅を進める方が現実的なのではないかなど、住民の声は様々でありまして、多くの住民が拙速に決めないでほしいという思いを持っています。
 用地買収、立ち退きによる生活破壊、道路建設とセットともいえる宅地造成による自然環境の破壊など、あるいは既成道路の拡幅といった代替案の検討など、様々な検証が必要と考えます。
 慎重にも慎重を期して、住民や専門家の声に耳を傾けながら計画を見直す必要もあるのではないかと指摘して、十二月二十二日都市計画審議会への提出案件についての質疑及び意見開陳を終わります。

○竹井委員 私からは、都市再生特別地区日本橋一丁目東地区の都市計画についてお伺いをいたします。
 ほかの委員さんからもお話があったところでありますけれども、この地域には日本橋川が流れ、今現在、日本橋川再生のため、首都高速道路移転撤去計画が進められていると。現在、呉服橋、江戸橋出入口が閉鎖されて、地下埋設物移設工事等が行われているということです。令和十七年度には地下化されたルートが開通し、令和二十二年度には現在の高架橋が撤去される予定ということで伺っております。
 今回の開発で、C、D、E街区においては、緑地や眺望広場、散策路を造って、都心でありながら緑と水を楽しめる、希少な河川空間に変わるものということで理解をいたしました。未来の東京戦略でいうと、水辺に顔を向けたまち並みになるということです。
 この地域を実際に歩いて、住民の方ともお話をしてまいりました。地域の特色といたしまして、オフィス街であると同時に、近隣に住宅街もあって、この地域を抜けて小学校や保育園もあって、朝は自転車で行き交う人も多く、生活の場でもあります。
 中央区は、五年間の人口増加率が一九・九%となり、実質的に全国一位の増加率です。若い世代が流入しているというふうに聞いております。移動手段は主に自転車という方も多いようで、シェアサイクルの稼働率も非常に高いとのことです。程よい職住接近が可能なまちであると思っています。そのため、私は、人が歩くのはもちろん、自転車で移動することも意識したまちづくりが望ましいと考えております。
 質問をいたします。
 現在は、幅員の広く無機質な昭和通り、まあ無機質といってしまってもいいかとは思うんですけれども、昭和通りがまちを分断しているようなイメージがありますけれども、今回の開発で、そのまちを隔てるイメージは払拭されることが望ましいというふうに考えていますが、周辺のまちとのつながりの向上に向けて、どのように取り組むのかお伺いをいたします。

○中山景観・プロジェクト担当部長 当地区周辺では、昭和通りや首都高の高架によって、日本橋一丁目中地区や日本橋兜町などとの間に視覚的な分断や歩行者ネットワークの分離が生じております。
 特に、昭和通りは、幅員が四十四メートルあり、現在、横断歩道橋が設置されておりますが、通路幅が狭く、バリアフリー上の課題もございます。
 本計画では、昭和通りを挟んだ日本橋一丁目中地区と接続するエレベーターやエスカレーターを備えたデッキを整備するとともに、日本橋兜町、日本橋駅方面ともつながる地上とデッキレベルの重層的な歩行者ネットワークや、地下鉄駅と接続するバリアフリー動線などを整備します。
 こうした取組により、周辺エリアと円滑につながる回遊性の高い歩行者ネットワークを形成してまいります。

○竹井委員 ありがとうございます。
 しっかりと回遊性を確保しているというお話だったかなというふうに思うんですけれども、駅、まち、川をつなぐ歩行者基盤の整備など、歩行者中心の環境形成を目指していると思います。
 先ほど申し上げたように、自転車の利用率も高いと聞いています。生活の場でもありますので、近隣住民にとって、現状でも駐輪場がないなどの課題がありますけれども、自転車で移動することを意識したまちづくりになっているのかどうかについて伺います。

○中山景観・プロジェクト担当部長 中央区の日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョン二〇二一では、自転車や歩行者交通を重視した環境負荷低減に寄与できる交通体系を構築することとしており、本計画では、路上駐輪自転車の実態調査も踏まえて、建物利用者のための駐輪場に加え、約百台の公共的駐輪場を整備します。
 あわせて、敷地内にコミュニティサイクル用駐輪スペースを整備すると事業者から聞いております。

○竹井委員 今回の計画の中では、なかなか自転車に関する記述が見つけられませんでしたけれども、中央区のまちづくりビジョンの方にはその旨はしっかりと考えられているということで、理解をいたしました。地元の皆様の声をしっかりお聞きをいただきたいと思っています。
 さて、水辺に顔を向けたまちづくりをするということでありますれば、川の水をきれいにして、臭気などもしっかり取り除いていくことも重要になってきます。
 日本橋川の水質は悪化が問題となっているようです。今回、日本橋川沿いの計画地として、日本橋川の水質改善にどのように取り組むのかお伺いいたします。

○中山景観・プロジェクト担当部長 当地区では、建物上部に降った雨水を直接日本橋川に排水できる雨水管を整備し、大雨の際、合流式下水管からの下水と混じった雨水排出の削減を図り、日本橋川の水質の改善に寄与してまいります。

○竹井委員 先ほど古城委員からもお話がありましたけれども、今、様々なプロジェクトがありますが、日本橋川の水質悪化について、その原因は、十分な水源を持たないために発生する外堀のアオコであるといわれています。
 アオコの発生を止めるためには、外堀の水を滞留させないようにすることが必要ですけれども、そのために、玉川上水を使って多摩川から導水して、外堀や日本橋川の水質を浄化すべきだという提言、これを、法政大学、東京理科大学、中央大学や水循環都市東京連絡会、そして、私の地元小平市民の方が代表を務めておられる、二十五団体が加盟する玉川上水ネットという市民団体などが行っております。
 プロジェクトが様々あると申し上げたのはこのことなんですけれども、このことにつきましては、東京都も未来の東京戦略ビジョンにおきまして、二〇三〇年の展開として、外堀への導水などによる水質改善を挙げています。それに向けて、二〇二一年度は詳細調査、基本計画の検討を行うとなっております。
 地元からの期待も大変大きい取組でありますので、しっかり進めていただきたいとご要望いたしまして、質問を終わります。

○松田委員 第二百三十五回東京都都市計画審議会付議予定案件について質疑をさせていただきます。
 まずは、日本橋一丁目東地区の都市計画についてお伺いいたします。
 前提条件につきましては、他の委員の発言でありましたので割愛をさせていただきます。
 日本橋一丁目東地区では、首都高地下化と連携して、どのように国際競争力強化に取り組んでいくのか、改めて伺います。

○中山景観・プロジェクト担当部長 都は、首都高地下化と連携して取り組んでいる日本橋周辺まちづくりにおいて、水辺のにぎわいの創出などに取り組むとともに、国際金融、ビジネスの拠点として高度な都市機能の集積に向けたまちづくりを進めております。
 本地区では、国際競争力の強化に向けて、先行して都市計画決定した日本橋一丁目中地区などと連携を図り、都心型複合MICE拠点の形成を支える情報発信機能を備えたカンファレンス約三千平方メートルを整備するとともに、サービスアパートメントや国家戦略住宅を整備していきます。
 さらに、本地区は首都高の地下化事業区間の東端部に位置することから、首都高地下化事業との調整により、地下化への導入空間となる部分約千七百五十平方メートルを事業用地として提供するとともに、そこに接するC街区については、立体道路制度を活用して、地上部に、日本橋川を眺め、水辺の憩いの場となる約二千二百平方メートルの緑豊かな広場を創出してまいります。

○松田委員 日本橋地域は、東京、ひいては日本の重要な経済活動拠点の一つです。アフターコロナの社会でも経済活動を進めていくためには、高密度に人が存在し、かつある一定以上の密集性を持ち、そこに多様性があることが、都市の経済発展には必要不可欠です。集積の高いところで生産性は上がり、人と人とが対面接触が増える場所でイノベーションは起こるといわれています。
 感染症の時代においては、今後の都市計画は一定のソーシャルディスタンスを保っていくことが必要だからこそ、過密ではなく、高密度に人が集積できるよう、民間の需要がある場所については、自由な経済活動を阻害せぬよう、東京都としては積極的に容積率の緩和を行っていくべきだと述べ、次の質問に移ります。
 脱炭素化社会を歩んでいく東京都の都市計画においても、環境負荷についてはもちろん取り組んでいかなければいけません。今回の計画では、環境負荷軽減に向けどのように取り組むのかお伺いいたします。

○中山景観・プロジェクト担当部長 本地区では、様々な最先端の環境技術を導入することで、省エネルギー性能及び建物の熱負荷に対する性能を最高水準にすることとしております。
 具体的には、高効率な設備機器などの導入や、熱負荷の低減に配慮した外装計画とするとともに、自然エネルギーの利用等により、建物の環境性能を最大限確保します。
 また、新たな地域冷暖房を当地区に導入して、隣接する日本橋一丁目中地区の地域冷暖房と連携することで、浅草線日本橋駅への冷水供給や地区間での熱融通などにより、地区、街区単位でのエネルギー有効利用を促進します。
 さらに、脱炭素化に向けて、再生可能エネルギー由来の電力利用を最大限進めることで、CO2排出量の大幅な削減を図ってまいります。

○松田委員 経済合理性に基づく中での環境負荷軽減は、民間企業が自ら取り組んでいくものだと考えます。東京都におきましては、経済合理性を超えた部分の省エネ化、エネルギーの有効活用について、監督、そして指導していくことを引き続き望みます。
 ただ、環境負荷について論じる際、大都市東京都の中の一つの都市計画だけを抜き出して、環境負荷が高いという議論はあまり意味をなさないものだと感じています。東京都としては、一つ一つの都市計画ではなく、俯瞰的な目で都市計画全体の脱炭素化を進めるように要望いたします。
 次に、緑地空間についてお伺いいたします。
 私自身も、都議会議員となる前は、大手町地域で三年、日本橋地域で三年勤務していた経験があります。その際、感じたことですが、東京駅の西側の丸の内や大手町地域に比べますと、東側である日本橋は、良好な都市環境の形成に必要な緑地が不足していると感じています。
 当地区の緑化空間をどのように確保するのかお伺いいたします。

○中山景観・プロジェクト担当部長 中央区の緑の基本計画では、昭和通り及び永代通りを主要な街路の緑の軸、日本橋川周辺を将来の緑の創出エリアと位置づけており、日本橋川周辺のまちづくりにおいて、水辺の魅力を生かした緑豊かな整備を図ることとしております。
 本地区では、先ほど申し上げましたC街区の地上部に整備する約二千二百平方メートルの広場に積極的な緑化を行い、川沿いの緑を大幅に充実させるとともに、日本橋川の南側のA街区及びB街区では、昭和通り及び永代通り沿いの地上部やデッキレベル、低層部の屋上部分に重層的に植栽を行うなど、約千九百平方メートルの緑化を予定しております。
 さらに、壁面緑化による立体的な緑の創出にも取り組んでいくと事業者から聞いております。
 こうした取組により、ヒートアイランド対策などにも配慮しながら、訪れる人々が水と緑を実感できる快適な都市空間の創出を図ってまいります。

○松田委員 日本橋川上空の首都高は、河川空間の活用を制限しているだけでなく、日本橋のまちを視覚的に分断するように横切っており、東京都としても、いち早く首都高地下化実現に向け協力をしていくように求めます。
 東京都としても、課題感を持って取り組んでいただいておりますが、日本橋川の水辺空間を活用できない状況は、日本橋一丁目東地区だけではなく、東京駅東側地区の大きな問題だと述べ、次の案件に移ります。
 次に、東京都市計画道路幹線街路補助線街路第二八号線について質疑をさせていただきます。
 このJR大森駅西口前の補助第二八号線の計画変更においてですが、どのような課題感、問題意識を持っているのか、都の見解をお伺いいたします。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 補助第二八号線は、大田区東海三丁目から大田区下丸子二丁目の神奈川県境までの延長約十四・三キロメートルの路線でございます。
 補助第二八号線のうち、大森駅西口周辺の区間は、現道の幅員が約十五メートルに対し、乗降場に停車するバスや乗客待ちのタクシーの車列、停車する一般車両や荷さばき車両が、本線を通行する自動車の円滑な通行を妨げております。
 また、歩道幅員が狭く、多くの歩行者や自転車の通行により混雑しているため、鉄道やバス、タクシーとの乗換えに支障を来すなど、安全上の課題がございます。
 安全で快適な歩行者空間を確保しながら、こうした課題を解決する施設を集約して配置できるよう、都市計画を変更し、早期整備を図っていくこととしてございます。

○松田委員 都の説明にもありましたとおり、現在、車道も狭く、バスの停車場所も本線と分離されてはおりません。通行量が多い駅前にもかかわらず、本線の通行に大きな問題を抱えています。
 また、荷さばき車両は、駅前の歩道の中に進入し、小さな駅前広場に駐車し荷さばきを実施するしかなく、駅利用者にとっても非常に危険な状況が日々続いております。
 そしてまた、大森駅西口は、多くのバスが発着していますが、狭い歩道内にバス待ち利用客が列をなしており、歩行者の交互通行が困難な状況が見られます。
 自動車、自家用車の乗り降りも、駐車スペースは確保されておらず、現状、タクシープールや駐停車禁止場所に止める車が常態化しており、一刻も早く改善すべき問題だと考えます。
 次に、都市計画を進めていく上では、何より地域住民の理解を得ることが必要不可欠です。このたびの都市計画変更の手続に当たっては、計画案を地域住民などに東京都としてどのように周知を図ったのかお伺いいたします。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都市計画法第十六条に基づき、都市計画案の作成に当たり、あらかじめ道路計画の内容を沿道地域の住民の皆様に説明し、理解をいただくとともに、様々な意見をお聞きするため、令和二年十二月十八日、十九日に、大田区立山王小学校にて素案説明会を開催したところでございます。
 また、駅前の事業であることなどから、令和二年十二月二十一日、二十二日に、駅直近にある区の施設や大森駅中央改札外のコンコースにおいて、パンフレットのパネル展示や素案説明会で使用したスライド動画を上映するオープンハウス型説明会を開催し、約二千八百人の方にご来場いただきました。
 ほかにも、会場に来場いただかなくても内容をご覧いただける取組といたしまして、素案説明会で使用したスライド、パンフレットをインターネットで公開してございます。

○宮瀬委員長 松田委員に申し上げます。申告時間もありますので、そろそろ質問をおまとめください。

○松田委員 はい、失礼いたしました。では、最後にさせていただきます。
 委員からの発言もありましたが、大森八景坂地区まちづくり計画案デザインコードが作成をされております。第二八号線の都市計画の変更は、地域の要望も多い大森駅西口のまちづくりとセットで実施予定となっており、早期に地域住民の声を反映するために事業化を進めていくことを求め、質疑を終わらせていただきます。

○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○宮瀬委員長 これより住宅政策本部関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百八十三号議案から第百八十六号議案までを一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○尾崎委員 都営住宅建て替えに関わる請負契約、第百八十三号、第百八十四号、第百八十五号、第百八十六号議案については賛成ですが、型別供給になっています。
 今回の建て替えに関わり、四か所合計で見ると、一DKは百九十一戸で全体の四三・六%になります。ところが、三人用の二DKは七十戸で全体の一六・〇%、三DKは三十八戸で全体の八・六八%となります。一DKが圧倒的に多く、四人以上の家族が入居できる三DKは一割にもならないという状況です。
 建て替え前の入居者の家族構成を基本に、建て替え後の種別、間取り、戸数が決まっていく仕組みだということですが、新規に入居したくても、家族の人数で倍率が大きく変わるということが起きてきます。
 そもそも、型別供給では、一人暮らしの方は一DKになりますが、病気になったり介護が必要になった場合、子供が看病に来ても泊まれないという声がたくさん出されています。独立した子供たちが孫を連れて遊びに来ても狭くて居場所がなく、だんだん遊びに来なくなると悲しんでいる高齢者の方もいます。介護でお風呂のサービスを受けたいが、一DKでは狭くて機材が入らないからサービスが受けられないという声もありました。
 コロナ禍の中で、自宅にいる時間が大幅に増えています。人間らしく生きるための根幹にあるのが住まいです。高齢化が進む中、当然、車椅子や寝たきりに近い状況になる方も増えています。一人暮らしでも一DKではなく二DKが必要だということになります。
 住まいは生活の基本であり、憲法に保障された生存権の土台です。一定の居住面積以上の広さを備えることは都営住宅の必要条件です。
 型別供給については、今後見直すことを要望して、意見表明といたします。

○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○宮瀬委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○武井住宅政策担当部長 東京都住宅政策審議会、成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開について、中間のまとめについてご説明いたします。
 お手元の資料1がその本文、資料2が概要でございます。本日は概要を用いて説明させていただきますので、資料2をご覧ください。
 初めに検討経緯等を記載しております。昨年七月三十日に知事から審議会に、成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開について諮問が行われました。審議会と、審議会に設置された企画部会において調査審議が進められ、このたび中間のまとめが行われました。
 第一章は、成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい住宅政策の考え方についてです。
 人口、世帯の動向、新型コロナウイルス感染症の影響、集中豪雨等の災害、温室効果ガスの排出など住宅政策をめぐる課題が提示され、これらを踏まえ、住宅セーフティーネットの強化などの取組を一層推進するとともに、成長の視点を取り込みながら、住宅施策のさらなる展開を図るべきとされております。
 成長と成熟が両立した未来の東京の実現に向けた住宅施策として、高齢者、障害者、ひとり親世帯などの居住の安定の確保など、社会の成熟化に対応した施策の強化を図るとともに、DXの導入などによる新たな日常の実現、脱炭素社会の実現に向けた住宅市街地のゼロエミッション化など、成長に向けた新たな施策を展開すべきと提言されております。
 第二章では、こうした考え方を踏まえ、住宅政策の目指すべき目標と二〇四〇年代の姿が示されております。
 目標1、新たな日常に対応した住まい方の実現、目標2、脱炭素社会の実現に向けた住宅市街地のゼロエミッション化、目標3、住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定、目標4、住まいにおける子育て環境の向上、目標5、高齢者の居住の安定、目標6、災害時における安全な居住の持続、目標7、空き家対策の推進による地域の活性化、目標8、良質な住宅を安心して選択できる市場環境の実現、目標9、安全で良質なマンションストックの形成、目標10、都市づくりと一体となった団地の再生の、十の目指すべき目標を掲げ、それぞれについての二〇四〇年代の姿が示されております。
 また、第三章では、十の目標に対し、具体的な施策の方向がそれぞれ示されております。
 第四章、住宅市街地の整備の方向では、都市形成の経緯等を通じて生じた課題に対して、めり張りある施策展開を図る必要があるとし、四つの地域区分と二つのゾーンに基づき、地域区分別に住宅市街地の整備の方向が示されています。
 第5章、目標実現に向けた施策の進め方では、多様な主体、分野との連携、民間や区市町村を巻き込んだ幅広い展開を目指す事業や、きっかけとなる公的プロジェクトの実施、適時適切な施策の企画立案などが提言されています。
 現在、この中間のまとめのパブリックコメントが実施されており、いただいたご意見を踏まえ、年内には答申が行われる予定です。
 また、審議会からの答申などを踏まえ、都では、令和三年度末に新たな東京都住宅マスタープランを策定する予定です。
 説明は以上でございます。

○宮瀬委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○渋谷委員 目標7、空き家対策の推進による地域の活性化について質問をいたします。
 空き家対策、特に長期間放置され、腐朽、破損のある空き家は、周辺の住環境に大きな影響を与え、まちのイメージダウンにもつながりかねない問題で、早めの対応が望まれます。
 中間のまとめにある、空き家の状況に応じた適時適切な対応では、区市町村が特定空き家等の措置を円滑に行えるよう、必要な支援をすべきとあります。
 放置されている空き家については、所有者に対応を促すのはもちろんですが、所有者がご高齢であったり、様々な手続が苦手な方ですと、どう対応したらよいか分からず、幾ら対応を促しても進まない状況になることも考えられることから、事務手続のサポートなども検討しなければならないのではないかと考えます。
 また、権利関係が複雑であったり、所有者不明の空き家も多くなっていると伺います。こうした問題に対応するには、専門家の協力をいただいて進めていくことが必要だと考えます。
 所有者不明の土地調査には、土地家屋調査士会などの専門的な助力を得る必要があります。専門家の助力を得ることについては、基礎自治体では費用の問題などもあり、なかなか難しく、東京都において進めていただきたいと考えます。
 中間のまとめを踏まえ、困難な状況になっている空き家問題に取り組む区市町村へのさらなる支援について、見解を伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している区市町村の主体的な取組が重要でございます。
 都はこれまで、区市町村が行う空き家に関する実態調査や計画策定などに対して、支援を実施してまいりました。あわせて、高齢者などからの空き家に関する相談等に区市町村が的確に対応できるよう、専門家を活用した相談体制の整備を促進しております。
 また、所有者不明の空き家への対策など、困難なケースに取り組む区市町村に対しましては、調査費用を補助するなど、きめ細かな支援を行ってございます。
 加えまして、都内の全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会を通じまして、先進的な取組事例や都の様々な支援制度を紹介するなど、区市町村の取組を後押ししてございます。
 引き続き、こうした事業を通じまして、区市町村の取組を積極的に支援するとともに、住宅政策審議会からの提言を踏まえ、区市町村がより効果的に空き家対策を展開できるよう、必要な支援策などを検討してまいります。

○渋谷委員 空き家対策では、多くの方が大変困難に直面しておりますし、また、区市町村も大変困難に直面しておりますので、東京都におけるさらなるサポートの充実を強く要望いたします。
 次の質問に参ります。目標10、都市づくりと一体となった団地の再生について質問いたします。
 老朽化した都営団地の再生は大きな課題です。老朽化した団地は、高齢化が著しく、買物難民対策やコミュニティの再生など様々な課題があります。
 中間まとめの目標10では、多様な世代の居住によるコミュニティの活性化や居場所づくりなど、ハード、ソフト両面からの取組が必要であるとされており、期限付入居制度や優遇抽せん等のソフト面の取組を具現化していくためには、ハード面の取組も工夫が重要と考えます。
 都営住宅においては、老朽化した住宅の建て替えを進めているが、従前居住者の世帯構成に応じた住戸のみを整備すると単身高齢者ばかりの住宅となり、コミュニティの維持が難しくなります。もっとファミリー向け住宅を供給し、コミュニティの維持に努めていってはどうかと考えますが、見解を伺います。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅では、建設年次の古い団地ほど居住者の高齢化や世帯の小規模化、単身化が進んでおりまして、現在、建て替えの中心となっている昭和四十年代以前に建設された団地におきましては、団地により相違はありますが、都内全体の平均で、入居世帯数に占める三人以上のファミリー世帯の割合は約九%となっております。
 都は、建て替えに当たり、団地居住者の世帯構成などの状況を勘案した上で、地元自治体との協議を行いながら、若年世帯の入居促進にも寄与できるよう取り組んでおり、直近の令和二年度建て替え事業におきましても、三人以上世帯向け住戸の割合は約一九%となっております。
 今後とも、団地ごとの状況を踏まえ、適切にファミリー世帯向け住戸の確保に努めてまいります。

○渋谷委員 団地のコミュニティを再生していくためには、やはり年齢構成の改善ということも必要となろうと思いますので、引き続き進めていただきたいと思います。
 さて、中間まとめの目標10では、団地において、コミュニティ施設の設置や移動販売サービスなどにより、生活環境を向上させるとともに、様々な人が集い、地域の交流の場となる居場所の創設を図るべきであるとされています。
 団地の建て替えが行われましても、近くに日常的な店舗がなく、毎日の買物に困る例もあります。都では、都営住宅の敷地内で移動販売サービスを実施していますが、こうした取組は、居住者や周辺にお住まいの方の生活環境を向上させるとともに、地域コミュニティの再生にも寄与すると考えます。
 今後、さらに移動販売サービスを広げていくべきと考えますが、見解を伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、日常の買物が困難な方々への支援策として、区市町が実施する買物弱者支援事業と協力し、都営住宅の敷地内で食料品や日用品等の移動販売サービスを実施しております。
 平成二十九年十二月の事業開始以来、実施団地を毎年度拡大し、現在、七区六市の二十七団地で三十八の移動販売が行われております。
 この取組は、都営住宅の敷地内で日用品等を販売することから、居住者の利便性を向上させるとともに、定期的に開催することで、居住者のみならず周辺にお住まいの方々が顔を合わせるため、地域コミュニティの活性化にも寄与すると考えております。
 今後も、ホームページやSNS等を活用した都民や事業者などへの事業の周知に加え、地元自治体への実施に向けた働きかけなどにより、拡大を図ってまいります。

○渋谷委員 移動販売サービスにつきましては、定期的に時間を決めて開催されることによって、人がその時間に集まる。また、もし集まらなかった方においては、あの方はどうしているんだろうという安否確認にもつながってくるということもあり、効果が期待されております。
 現在、拡充を進めているところだと思いますが、もっともっと多くの移動販売サービスの拡充を要望したいと思います。
 次に、分譲の団地型マンションは、多くの区分所有者の価値観や経済状況の相違により、合意形成などのハードルが高く、建て替え等が極めて困難な状況にあります。
 とはいえ、都内最大規模の団地であり、最も老朽化が進んでいるといわれた石神井公園団地は、このたび関係者の尽力により建て替えが決まり、今年三月に取壊しは完了しました。困難ではあるものの、団地型マンションも建て替えは可能です。
 こうした団地型マンションの建て替え等の協議会づくりや話合いについて、東京都はもっと積極的に支援し、推進していくべきと考えます。団地型マンションの建て替え等の促進に向けた都の取組について伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、団地型マンションの建て替え等の促進に向けまして、区市と連携し、マンション再生まちづくり制度により、マンションの再生を図る必要性が高い地区を指定し、建て替え等に向けた管理組合の合意形成を支援するとともに、都市居住再生促進事業により、建て替えに要する費用等の一部を補助してまいりました。
 また、国は昨年、マンション建替え円滑化法を改正し、住棟や区画ごとのニーズに応じた建て替えや改修などを進められるよう、団地の敷地分割を容易にする制度を創設するなど、制度の拡充を行っております。
 都は引き続き、マンション再生まちづくり制度などを活用し、区市と連携して管理組合を支援するとともに、住宅政策審議会の提言も踏まえまして、今後、より効果的な施策展開について検討を進め、団地型マンションの建て替え等の促進に取り組んでまいります。

○渋谷委員 ただいま答弁にもありましたとおり、今後も積極的に、東京都としては区市と連携して管理組合を支援するとともに、団地型マンション等の建て替え促進に引き続き努めていただきたいと思います。
 以上、要望いたしまして、質問を終わります。

○平委員 私からは、東京都住宅政策審議会中間まとめの目標2に掲げられている脱炭素社会の実現に向けた住宅市街地のゼロエミッション化について質問をいたします。
 都内CO2排出量の約七割が事業者や住宅などの建物由来です。新たに建てられる建築物は数十年にわたり使用されることから、二〇五〇年の東京を形成するといえます。今後の新築建築物は二〇五〇年の時点において過半数を占める見込みで、都内では一年間に五万弱の建物が新築され、そのうち九八%を住宅等の中小建築物が占めることといわれております。こういった背景から、住宅等中小建築物の環境性能を向上させることは、都が掲げるゼロエミッション東京を実現する上で必要不可欠であります。
 住宅の省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入を進めるに当たっては、住宅政策本部と、制度面において所管する環境局との緊密な連携が重要と考えます。
 これまでの住宅政策審議会の調査審議において、住宅政策本部は環境局とどのように連携したのか、確認をさせていただきます。

○武井住宅政策担当部長 東京都住宅政策審議会では、昨年七月の知事からの諮問に対し、審議会と、審議会に設置した企画部会において調査審議が進められ、このたび中間のまとめが行われました。
 この間、都は審議会に対し、都の住宅政策や都市整備、環境、福祉、防災などの関連分野について、現状や今後の取組の方向性などをご説明し、調査審議をいただいてきました。
 環境局につきましては、審議会と企画部会にオブザーバーとして参加するとともに、本年五月に開催した企画部会では、ゼロエミッション東京の実現に向けた都の取組について説明を行っているところでございます。

○平委員 ありがとうございます。
 先日の本会議において、小池知事は所信表明の中で、世界の脱炭素化に貢献していく、ゼロエミ東京の実現に向けた二〇五〇年を見据え、数十年にわたり使い続ける住宅等の建物を、環境面、防災面にも優れたサステーナブルな性能に転換をする、新たに一定の建築建造物に太陽光発電の設備設置を義務づける都独自の制度導入に向けた検討を開始する、抜本的な取組の強化を図り、都の環境政策を新たなステージに導くとの力強い表明がございました。ぜひ実現していただきたい取組と考えます。
 国も、二〇三〇年において、新築戸建て住宅の六割に太陽光発電設備が設置されることを目指すとしており、あらゆる手段を検討している中で、小池知事の表明は、国に先駆けて踏み出したと感じております。
 今後、環境審議会の下に設置する分科会において、法的な観点や効果的な再エネ設備の導入方法など、専門家等による審議を行っていくと伺いました。持続可能な社会、経済を実現し、将来世代に引き継ぐために、東京から行動を加速する、大変重要な政策だというふうに期待をいたします。
 環境局が新たな制度の導入に向けて検討を開始したことについて、今後、住宅政策審議会にも説明していくべきと考えます。見解を伺います。

○武井住宅政策担当部長 ゼロエミッション東京の実現に向けては、住宅の省エネルギー対策のさらなる推進と併せて、使用するエネルギーを再生可能エネルギーへと転換していくことが必要であります。
 知事が表明した新たな制度の導入に向けた検討の開始については、環境局と連携し、住宅政策審議会に対して説明してまいります。

○平委員 太陽光パネルの設置には、パネル自体の費用や工費だけでなく、荷重に耐えられるよう住宅の構造を強化し、コストが増えることなど、課題となることも想像ができます。
 先日、知事の表明を取り上げた新聞では、不動産関係者の言葉として、義務化されれば特に戸建て住宅を購入する人の負担は大きくなる、補助を充実させなければ住宅供給の足かせになるとの記事がございました。
 こういったことから、環境局は、関係団体と様々な立場の方々からのご意見等も伺っていく予定としておりますが、都が表明した事業を着実かつ円滑に進めるためにも、関係団体等の意見交換の場のテーブルには、住宅政策本部にも加わっていただくことを要望いたします。
 住宅マスタープランの策定に当たっては、環境審議会で審議されることとなる新たな制度の検討状況も踏まえて、ゼロエミッション東京の実現に向けて実効性のある施策展開を示していくべきであり、知事が表明した都の取組を着実に進めるべきと考えます。見解をお伺いいたします。

○武井住宅政策担当部長 二〇五〇年までのゼロエミッション東京の実現のためには、家庭部門のCO2排出量を低減させていくことが重要であり、そのためには、住宅の省エネ性能の向上や再生可能エネルギー導入を促進していく必要がございます。
 都は、年内にいただく予定の住宅政策審議会の答申などを踏まえながら、年度内に新たな住宅マスタープランを策定いたします。
 住宅市街地のゼロエミッション化に向け、太陽光発電設備の設置に係る新たな制度の導入に向けた検討の状況も踏まえながら、住宅マスタープランに必要な施策を位置づけるとともに、環境局と連携して取組を進めてまいります。

○平委員 ありがとうございます。
 今回の中間まとめに書かれた、成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開について、まさにこのテーマと次世代につながる太陽光発電、設置義務化は、合致するなというふうに私は考えておりますので、ぜひともこの取組を皆様方もしっかりと取り組んでいただくことを最後に要望いたしまして、私の質疑を終了いたします。ありがとうございました。

○宮瀬委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十九分休憩

   午後三時五分開議

○宮瀬委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中山委員 私は、九月二十七日の住宅政策審議会で発言をさせていただきまして、大きく三点やらせていただきました。
 一つは、ゼロエミッション化ということについて、まあゼロエミッションという言葉が新しい概念であることは間違いないんですけれども、施策として、新しい施策の打ち出しをはっきりと示すべきだということで、その中心となるのが既存建造物に対する取組だということを申し上げました。
 新規建造物に対して規制するということは、それはそれで大変ないい取組だと思いますけれども、既存建造物の方が圧倒的多数を占めておりますので、そこに対して前進しなければ、ゼロエミッション化というものを進ませることはできません。そういうことを申し上げました。今日はそのことをちょっと触れさせていただきたいと思います。
 二つ目は、住宅セーフティーネット、それから、空き家対策ということに関して、空き家になってからの対策ではなくて、空き家になる前の予防策というものを視点に置いて打ち出していくべきだということを申し上げたところです。そのことも今日触れさせていただきたいと思います。
 三番目に申し上げたことは、長寿命化--利便性の向上とか、リフォーム情報の効果的な提供とか、新しい技術の育成とか、そういう意味で長寿命化というものを進めていく上で必要な環境整備と誘導策というものをきちっと高めていかなければいけないということでございます。その点については、中間のまとめの中でも、三四ページから三五ページに記載していただいていますので、今日はそのことは、また触れずに、別の機会で申し上げていきたいと思います。
 まず、CO2の総排出量を抑制することについてでございますけれども、中間のまとめの中では、一四ページのところで、七行目、八行目、九行目辺りで一つの大事な表現が出ております。実際に省エネ改修や再生可能エネルギーの利用及び導入というものを、どうリフォームの機会を促して既存住宅で進めていくかということがとても大事なことでございます。
 都内では、CO2排出量をエネルギー起源で見ますと、家庭部門が約三割と高い割合を占めており、東京のゼロエミッション化を進めていくためには、住宅の省エネ化の推進が重要であります。
 新築住宅に関しましては、国のZEHや都の東京ゼロエミ住宅などの支援制度があり、供給戸数も順調に伸びるなど、着実に取組が進んでいると認識しています。
 一方で、住宅全体で見ますと、既存住宅が圧倒的多数を占めておりまして、住宅の省エネ化のさらなる推進のためには、既存住宅に対する取組の推進が必要であります。
 そこでまず、既存住宅の省エネ化に対しまして、都がこれまでどのように取り組んできたのかを確認させていただきたいと思います。

○武井住宅政策担当部長 既存住宅の省エネルギー化を推進するためには、断熱改修などの省エネリフォームの促進が重要でございます。
 そこで、都は、より多くの都民に省エネリフォームに取り組んでもらえるよう、省エネリフォームの効果や工法、優良な施工事例などについてまとめた住宅の省エネリフォームガイドブックを活用して普及啓発を図ってまいりました。
 また、窓などの開口部の断熱性向上に資する改修工事や、マンションの共用部分における照明のLED化などの費用に対する支援も行っております。

○中山委員 ありがとうございました。都がこれまでも住宅の省エネ化に対しまして、普及啓発や改修支援に取り組まれてきたことは、今のご答弁で分かりました。
 しかし、国の脱炭素社会に向けた省エネ対策等の検討会では、二〇五〇年には、ストック平均で、現行の省エネ基準から一次エネルギー消費量を二〇%程度削減したZEH基準の水準の省エネ性能が確保されることが必要と提言しているところであります。
 一方で、現状に目を向けますと、国の調べでは、住宅ストックの約九割が、現行の省エネ基準に満たない水準にある、状態にあるということが明らかになっております。
 先月の住宅政策審議会でも、審議会委員として私は発言したところでありますが、こうした提言が示した高い目標をクリアするためにも、耐震性向上のための補助事業など、耐震性を向上するために、ある面では私有物でありますそういう建物に、行政が補助を打ち出すということは、かつては全く考えられなかったことですけれども、公明党も国土交通大臣等をさせていただいて、そういうものをある面では大きく進めさせていただいて、耐震化の前進というものを見させていただきました。
 こうした補助事業なども参考にしながら、既存住宅への支援をさらに強化し、既存住宅におけるゼロエミッション化への貢献をきちんと打ち出していくことが必要であると思います。
 その意味で、環境局だけでなくて、戸建て住宅も対象に入れた上で、住宅政策本部としても補助事業を開始するべきだというふうに私は考えているところでございますけれども、そこで、今後どのように既存住宅の省エネ化に取り組むのかお伺いをいたします。

○武井住宅政策担当部長 二〇五〇年までのゼロエミッション東京の実現に向けて、家庭部門のCO2排出量を削減させていくためには、住宅ストック全体の環境性能の底上げを図ることが必要であり、既存住宅の省エネ性能の向上を促していくことが重要でございます。
 住宅政策審議会の中間のまとめでは、既存住宅については、都民に対するきめ細かな普及啓発や支援により、リフォーム等の機会を活用しながら、省エネ改修等を促進すべきであるとの提言が盛り込まれております。
 こうした審議会での提言や、国の動向、環境施策との連携などを踏まえながら、既存住宅の省エネ改修の促進に向けた施策の在り方について、具体的な検討を進めていきたいと考えております。

○中山委員 二〇五〇年までのゼロエミッション化は世界共通の課題でありまして、東京都としてもこれに貢献をしていかなければなりません。
 答弁にもありましたが、東京では家庭部門のCO2排出が大きい状況にございますので、とりわけ、既存住宅の省エネ化については大変重要な課題であります。具体的な施策案を検討中とのことでありますから、検討結果をお待ちしたいと思います。
 今日は二点だけ要望させていただきます。
 一つは、相談窓口の在り方ということです。これは当然、補助事業にしても、環境局でもやる、また、住宅政策本部でもやるということになってくると、あっち行ったりこっち行ったりしないと全体が網羅できないということになる可能性がありますので、相談窓口のワンストップ化ということは、ぜひ局横断的に協力し合って利便性を高めていただきたいと思います。
 もう一つは、耐震性向上のための補助事業を参考にと申し上げましたけれども、耐震性が進んだ一つの取組は、耐震診断という形で数値的に把握できたということですね。ご自分のお宅がどういう環境性能なのか、どの程度なのかということを、現状把握をするということがやっぱり分からないと、なかなかお金をかけてリフォームしようとか、そういうことに結びついていかないし、リフォームする際もこれだけやろうということになかなかならない。
 また、その上で東京都も頑張っていただいて、例えば、耐震性が〇・六に達さない場合でも、耐震改修工事で一気にそれをクリアするといかない場合でも、〇・六未満にとどまっても、少しでも前進することについても補助の対象にしてくださったとか、そういう前進をしてくださっていますけれども、いろんなメニューがあって、予算も必ずしもたくさんかけられる人ばかりじゃありませんから、自分ができる省エネ向上とはどういうことかということで、そういうメニューをきちっと示すことが大事だと思います。
 もちろん、耐震性のための補助事業と、環境性能のための補助事業というのは、立てつけとしては別物でありますけれども、そうしたものが効果を上げて、成果を上げたということを参考にしていただいて、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 都民にとって使いやすいものとなりますよう、検討を進められることを要望して、次の質問に移ります。
 次の質問は、住宅政策審議会で、私は、長期の空き家という前提を取り払って、住宅確保に配慮を要する方々への施策を展開すべきと意見を申し上げました。また、それは空き家対策という点でも同じであります。
 中間のまとめでは、地域の資源として活用が見込まれる空き家について、福祉施設や地域の交流拠点など多様な用途として有効活用する取組を促進するべきとあります。空き家の有効活用は、中心市街地のにぎわいや、戸建て住宅、団地の活力を維持していく上で非常に重要でありまして、積極的に支援していくべきと考えますが、空き家の有効活用に向けた改修に対する都の補助について、これまでの実績をお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 空き家対策を効果的に進めるためには、空き家の適正管理、発生抑制に加えまして、空き家を地域の資源として様々な用途で有効に活用していくことが重要でございます。
 このため、都は、区市町村等が行う空き家を地域活性化施設等として改修し有効活用する取組などに対しまして財政支援を行ってまいりました。また、昨年度からは、民間事業者等が行う空き家改修の取組などに対しまして、直接財政支援を行うモデル事業を実施しております。
 区市町村等が行う空き家改修の取組につきましては、これまでの五年間で、空き家をブックカフェやグループホームに改修する取組など、五つの自治体における十二施設に対して補助を行っております。民間事業者等が行う空き家改修の取組につきましては、今年度、ひとり親世帯向けの東京ささエール住宅への改修など、二件を補助事業として採択してございます。

○中山委員 都は、有効活用に向けて、今ご答弁いただいたように補助制度を設けているところでありますけれども、必ずしも十分に都民に活用されているという状況にはございません。
 区市町村に対しても、民間企業に対しても、補助制度の積極的な活用を促して、空き家の有効活用を促進するべきと考えます。空き家の有効活用につきまして、改修費補助等が活用されない原因を、都はどのように分析しているのか、この点をお伺いしたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都が、区市町村や空き家対策に取り組む民間事業者を対象として昨年度に実施いたしましたアンケート等によりますと、空き家の改修や利活用が進まない理由といたしまして、空き家を地域活性化施設等に改修して活用する取組に対し、所有者の協力が得られにくいこと、築年数が古い空き家の中には耐震性等に課題があるものが多く、改修費用が高額となり活用が困難であること、空き家を活用する際の賃料について、所有者と、活用を希望する事業者の意識に差があることなどが挙げられてございます。
 こうした回答からも、空き家の所有者と活用を希望する事業者の間で、活用に向けた費用負担などの合意が得られにくいことなどが、空き家改修が進まず、補助が活用されない一因であると考えられます。

○中山委員 今、飯塚部長からご答弁いただきましたけど、その答弁の中に、考えられることの三番目に挙げていただいた、空き家を活用する際の賃料について、所有者と、活用を希望する事業者の意識に差があるといった点は、具体的にいうとどういうことなのか、ちょっと教えていただけますか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 お尋ねの、所有者と、活用を希望する事業者の意識に差があるというところでございますけれども、所有者の方は、自分が所有する空き家をできるだけ近傍の住宅の賃料に近い価格で貸したいという意識がございます。
 一方、活用を希望する事業者につきましては、空き家をできるだけ安く借りたいという意識がございまして、その意識が差になっているというふうに考えてございます。

○中山委員 そういう意味で、三一ページの十三行目には、空き家の所有者と活用希望者とのマッチングを支援というのが出ていますけれども、このマッチングという意味で、私は既存補助制度と空き家の発生抑制とのマッチングをよく進めていただきたいというふうに思います。既存の補助制度をどう活用していくかということについて、よく周知をしていただいて、取り組んでいただきたいと思います。
 その上で、私、この質問の最初に--一年間という空き家でなきゃいけないという国の補助の基準があるかと思うんですけれども、東京都の補助事業では、それを前提として、それ以外のものは駄目ですよとしている補助事業と、そうでない補助事業もあるように聞いてるんですが、その点、ちょっと整理して教えていただけますか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 お尋ねの空き家の一年というところでございますけれども、空家等対策の推進に関する特別措置法でございますが、居住その他の用がなされていないことが常態である建築物等を空き家としていると。国の告示では、おおむね年間を通して建築物等の使用実績がないことが一つの基準として示されてございまして、現在、都の補助制度でもこれを準用しているところではございます。
 ただ、都が、区市町村の空き家対策を支援いたします空き家利活用等区市町村支援事業におきましては、区市町村が空き家対策事業として実施するものにつきましては、都も一年程度の空き家状態を要件とせずに補助をしている場合がございます。
 一方で、昨年度から実施をしております民間が空き家対策に取り組む事業におきましては、これにつきましては、募集する事業を明確にする必要がございますことから、一年以上空き家であるということを要件として事業を募集したというものでございます。

○中山委員 今ご答弁いただいて、国では、年間を通して空き家であるというような状態となっているということなんですけれども、それが、一年以上空き家となっていることと、ちょっと微妙に違うんだと思うんですよね。
 例えば、直近はつい二か月前に空いたと。だから、一年間空いているというわけじゃないと。だけれども、年間通してみると、住むんだけれどもすぐ出ていっちゃうと。いわゆる空き家になる状態を繰り返されていると、ずうっとですね。そういうところもあると思うんですよね。ですから、もう少し柔軟に対応していかないといけないんじゃないかと思います。
 そもそも、その一年間空いていますよってことを要件にするにしても、誰がそれを客観的に証明するのかと。そういう住宅の、物件の共通のデータが確立しているわけでもありませんから、それをそういうふうに客観的に見るといっても、なかなかそれは難しいという現状がある。
 お話のように、地域活性化施設事業では、自治体が申請していくわけですよね。自治体の中には、その一年間というものを厳密に守っているところもあるかもしれませんけれども、そうでもないところもあって、その上で申請してくるという状態もありますので、したがって、一年間の空き家という基準自体を守り抜くっていう意味は、私はあまりないんではないかなと。もっといえば、この一年間の空き家という条件というもの自体に目が行っちゃって、何とかしようと思いがあっても、もうそれに対する取組というものは、はなから、少なくとも申請をするってことにおいては諦めちゃっているというケースも多いんじゃないかなということを思います。
 そういう意味で、やはり空き家を発生させないと。その発生抑制ということを、力を入れていくという点においては、利用しやすい制度としていかれることを強く求めて、質問を終わりたいと思います。
 以上です。

○尾崎委員 私の方からは、まず最初に、この中間のまとめを行うに当たり、東京都住宅政策審議会は、高齢者、障害者、ひとり親世帯等に対する居住支援サービスやシェアハウスの提供を行っている者からヒアリングを行い、居住支援の現状を調査したとありますが、このヒアリングではどのような意見が出されたのか伺います。

○武井住宅政策担当部長 高齢者の居住支援を行う法人からは、自治体と不動産団体と協定を締結して入居の円滑化に向けて協力する取組や、自治体と連携した見守りサービスを導入する取組などをさらに進めていきたいといったご意見などをいただきました。
 障害者の居住支援を行う法人からは、入居時の住宅探しの相談だけでなく、入居後のサポートを考えていくことが大事であるといったご意見などをいただきました。
 母子家庭の居住支援を行う法人からは、居住支援団体やその活動を知らない自治体が多いので、様々な自治体と話し合い、よい事例などをシェアしたいといったご意見などをいただきました。

○尾崎委員 当事者である高齢者、障害者、ひとり親世帯などから直接住まいの現状や意見、要望などは聞いたのでしょうか。

○武井住宅政策担当部長 住宅政策審議会の調査審議の中では、高齢者、障害者、ひとり親世帯から、住まいの現状や意見、要望を聞くヒアリングは行っておりません。

○尾崎委員 先日、私は、視覚障害のある方たちからお話を伺う機会がありました。障害があることで、民間賃貸住宅では住居が探せない、生活環境の変化への対応が困難、所得が低いなどの理由で住宅の確保が難しいということが訴えられ、障害があっても安心して住み続けられるようにとの強い要望が出されました。東京都の住宅政策審議会に当事者を委員にしてほしいという要望も出されていました。
 今回の成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開についての中間のまとめでは、住宅要配慮者への支援は大きな柱になると思います。住宅に困っている当事者の声をよく聞くことが今求められていると思います。
 障害のある方たちからは、東京都の住宅政策審議会の委員に当事者を入れてほしいという声も上がっているので、少なくても、高齢者や障害者、ひとり親世帯などの当事者の声もよく聞いていただくことを求めておきたいと思います。
 次に、目標2、脱炭素社会の実現に向けた住宅市街地のゼロエミッション化のところで、東京都として、住宅、建築物における省エネルギー対策を検討すべきであるということが書かれています。大変重要なことです。
 都営住宅は、建て替えに関わり太陽光パネルを設置していますが、この間の設置状況と、太陽光パネルの運用状況について伺います。

○妹尾建設推進担当部長 建て替えを行う都営住宅におきましては、平成十六年度から原則全ての住棟に太陽光発電設備を設置しており、その累計は、令和二年度末時点で約二千二百キロワットとなっております。
 発電した電力につきましては、共用部の廊下やエレベーターかご内の照明等に利用した上で、余剰電力は売電しております。

○尾崎委員 都営住宅の建て替えで、原則全ての住棟に太陽光パネルを設置しているとのことですが、共用部の廊下やエレベーターかご内の照明等に利用できるのは、ほんの僅かだということも聞いています。引き続き取組を推進していただきたいと思います。
 東京都として、住宅、建築物における省エネルギー対策を検討すること、大変重要なんですが、その際、都営住宅の省エネルギー対策を率先して行うことが重要だとも思います。
 建て替え時だけでなく、既存の都営住宅での省エネルギー、太陽光パネル設置など、再生可能エネルギーの利用を推進すべきですが、取組状況について伺います。

○小林営繕担当部長 都営住宅の省エネルギー対策の一つとして、共用部等の照明器具のLED化を実施しております。令和十二年度末までに全棟のLED化を目標とすることにしてございます。
 平成二十七年度から建て替え事業の中でLED化を実施するとともに、既存の都営住宅についても、平成二十九年度から計画的に更新を進めています。
 また、太陽光発電設備が未設置の既存の住棟につきましては、平成二十五年度から、建物の構造、今後の耐用年数、屋上のスペース、防水工事の状況などを勘案し、設置可能な住棟に太陽光発電設備を設けておりまして、その累計は令和二年度末時点で約百キロワットとなっております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、省エネ対策としてLED化を実施しているとのことです。
 性能の高い断熱材を入れることは既存住宅では難しいということだと思います。しかし、複層ガラスにするなど工夫し、遅れている省エネ対策を積極的に取り組むことを要望します。
 また、既存住宅にも太陽光パネルの設置に努力していることは分かりますが、累計で百キロワットということですから、省エネ対策でも、再エネ対策でも、大きな課題であることが分かりました。
 都営住宅の建て替え時に断熱材も新しい、より性能のいいものになると思いますが、古いものと現在では性能はどのように上がっているのでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建て替えは、品確法の断熱等性能等級におきまして最上位の等級四の基準を満たす仕様とするため、現在、建て替え対象としている昭和四十年代の等級一の住棟と比較し、建て替え後は、外気に面する壁の断熱材の厚さは二倍に、最上階の天井の断熱材の厚さは五倍となっております。

○尾崎委員 断熱材は、断熱等性能等級の最上級である等級四を満たすようにしているという答弁でした。
 断熱材の性能も向上しているとのことですけれども、世界では、はるかに高い断熱性能基準を義務化しており、日本でも国は今ZEHの推進を掲げています。
 東京都は、二〇三〇年までに温暖化ガスを二〇〇〇年比五〇%削減し、エネルギー消費量五〇%削減などの目標を掲げています。今回の中間のまとめは、住宅政策の目指すべき目標と、二〇四〇年代の姿、具体的な政策の考え方や住宅政策の方向などについての提言案です。
 この立場で考えるなら、断熱についても踏み込んだ提言にする必要があるのではないでしょうか。東京都が自ら掲げる目標にふさわしい再エネ、省エネ対策を進めるためにも、都営住宅での対策をもっと前に進める必要があると指摘しておきます。
 次に、目標3、住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定のところで、公社住宅について、今後は住宅確保要配慮者向けとしての性格を重視すると記載されたことは重要です。
 公社住宅の空き状況はどうなっていますか。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 東京都住宅供給公社が管理する公社一般賃貸住宅及び公社施行型都民住宅、公社借り上げ型都民住宅の令和三年三月末時点の空き住戸の状況については、管理戸数七万一千百五十一戸に対して、三千六十三戸となっております。

○尾崎委員 それでは、この公社住宅の空き状況について、どの地域にどれだけの空き住戸があるのでしょうか。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 ただいま答弁しました三千六十三戸の空き住戸のうち、区部は千百八十四戸、市部は千八百七十九戸となっております。

○尾崎委員 空き住戸は三千六十三戸ということが分かりました。
 しかし、これでは、今後は住宅確保要配慮者向けとしての性格を重視するといっても、住宅に困っている人が希望してもなかなか入れないのではないでしょうか。
 地域別の空き住戸は、区部よりも市部の方が多いということです。私の地元を見ても、駅から少し遠い、そして古い公社住宅での空きが多いように思います。住宅確保要配慮者向けとしての性格を重視するとなっても、空き住戸をフルに活用できる状況とはいえず、住宅確保要配慮者に向けて何をすべきかということが求められていると思います。
 公社住宅は家賃が高くて払えないとの声も寄せられています。収入が減った場合には、家賃の減額申請ができるように改善すべきですが、いかがですか。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 公社住宅の家賃設定につきましては、地方住宅供給公社法施行規則第十六条に基づき、近傍同種の住宅の家賃と均衡を失しないよう定めることとされておりますが、入居者の居住の安定に配慮する観点から、入居から三年ごとの継続家賃の改定に当たっては、激変緩和措置を講じております。
 また、一定の要件を満たす高齢者世帯や生活保護受給世帯等を対象に、改定後の継続家賃を減額する特別措置も講じております。
 なお、昨年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一時的に家賃等の支払いが困難になった方に対して、家賃等の支払い期限の延長を行っております。

○尾崎委員 働いた給料で払えた家賃も、状況が変わり、年金生活になったり、収入が減るなどして家賃を払うのが大変になっている方がこの間増えています。
 東京都公社住宅自治会協議会が行った住まいと暮らしのアンケート調査では、世帯主の年齢七十歳以上が六〇・六%、世帯収入二百万円以下が四二・八%であることが分かりました。高齢やひとり親などの低所得者に対する家賃の減免を要望するものです。
 先日、JKK東京、東京都住宅供給公社は、世田谷区と連携協定を締結し、世田谷区内のひとり親世帯の住宅確保を推進していくということが報道されました。世田谷区の家賃助成金の支給はいい取組だと思います。都としても、家賃補助を行うよう強く要望するものです。
 古い公社住宅にはエレベーターがなく、入居者からは外出を控えている、エレベーターをつけてほしいと要望が広がっています。公社住宅のエレベーター設置を計画的に進めるべきですが、いかがですか。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 エレベーターのない建設年度の古い公社住宅につきましては、公社一般賃貸住宅の再編整備計画に基づいて計画的に建て替えを進める中で、エレベーターの設置や居室内の段差解消などバリアフリー化を図っております。
 なお、当面建て替え予定のない住宅につきましては、高齢者等の入居者が、より円滑に生活し続けられるよう、同一団地の下層階への住み替えへの対応などを行っております。

○尾崎委員 再編整備計画に基づき計画的に建て替える中で、エレベーターの設置などバリアフリー化を進めるということですが、高齢化が進んでいるので、建て替えの計画がなくてもエレベーターだけでも設置できるよう検討をお願いしたいと思います。
 次に、都営住宅については、現在のストックを最大限に活用し、引き続き、住宅セーフティーネットの中核としての機能を果たしていくべきであると記載されていますが、現在でも、都営住宅に入りたくて二十回以上申し込んでいるが当たらないという声がたくさんあります。
 昨年度の定期募集の世帯向けと単身者向けの募集戸数と応募人数及び倍率はどうなっていますか。

○都築経営改革担当部長 令和二年度の定期募集の応募状況ですが、世帯向けのうち、五月は二千三百四十七戸の募集に三万三千二百五十四人の申込みがあり、平均倍率は十四・二倍です。十一月は二千三百五十六戸の募集に二万九千八百十六人の申込みがあり、平均倍率は十二・七倍です。
 次に、単身者向けのうち、八月は二百四十五戸の募集に一万一千九百十三人の申込みがあり、平均倍率は四十八・六倍です。二月は二百六十六戸の募集に九千七百十九人の申込みがあり、平均倍率は三十六・五倍となっております。

○尾崎委員 昨年度の状況をご答弁していただきましたが、世帯向け平均倍率は五月で十四・二倍、十一月で十二・七倍、単身者向けの平均倍率は八月で四十八・六倍、二月は三十六・五倍と驚くべき倍率です。
 現在のストックを最大限活用してといいますが、コロナ禍で住宅困窮者は増えています。現在のストックだけでは不十分です。都営住宅の新規建設が必要だと思いますが、いかがですか。

○武井住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や適正な管理に努めてまいりました。
 今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅について、既存ストックの有効活用を図りながら、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○尾崎委員 都営住宅は現在のストックを最大限活用するという考えを大本から変えることが必要だと思います。既存のストックの活用だけでは、住宅に困っている人を救済することができないところに来ているということだと思います。
 コロナ禍で、貧困と格差は広がり、生活に困っている方たちの中に既に住まいを失っている人が出ています。都営住宅を必要とする人が増えているんです。今後もっと増えることは明らかな状況です。政策の見直しが必要だと厳しく指摘をしておきたいと思います。
 今回の中間のまとめでは触れられていませんが、都営住宅に入居している方の相談で一番多いのが使用承継です。
 そこで伺います。都営住宅の使用承継は、名義人の配偶者が原則となり、特例として、同居している高齢者、障害者、病弱者で、名義人の三親等内となっています。
 親が亡くなり、二十代と十代の子供だけが残り、使用承継は認められず、都営住宅から退去を迫られました。民間のアパートを借りていましたが、非正規雇用で首を切られ、家賃が払えずホームレスになってしまった事例もあります。
 住宅確保要配慮者でも、都営住宅に住み続けられない状況があちこちで起きています。使用承継の範囲を配偶者に限定することをやめて元に戻すことを求めますが、いかがですか。

○都築経営改革担当部長 都営住宅への入居は公募が原則であり、公募の例外である使用承継によって、長年にわたり同一の親族が居住し続けることを認めることは、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なうことになります。
 このため、使用承継の範囲を原則配偶者としておりますが、特に居住の安定に配慮すべき者として、高齢者、障害者及び病弱者には使用承継を認めることとしております。
 使用承継の許可事由に該当しない低所得者の方は、生活保護を含む福祉施策や雇用就業施策により、居住の確保が図られるものと認識してございます。

○尾崎委員 名義人が亡くなり、使用承継の対象とならない人には退去を命じるということです。これは、新たな住宅確保要配慮者を生み出し、放り出すことになります。使用承継の範囲について見直すことを強く要望するものです。
 次に、公共住宅の有効活用のところで、親族でない者同士が都営住宅で共に暮らす仕組みの具体化に向けて取り組むとありますが、同性パートナーの入居も可能になるのでしょうか。

○都築経営改革担当部長 都営住宅では、使用者の資格の一つとして、東京都営住宅条例で同居親族要件を定めており、入居の際、親族関係については住民票により確認しておりますが、同性パートナーについては親族関係の記載がないため、入居資格を確認できません。
 現在、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画も踏まえ、他の自治体における動向や入居資格の確認方法等の課題を調査しております。
 今後、こうした調査の結果や東京都住宅政策審議会の提言を踏まえ、都営住宅の管理制度等における取扱いについて検討してまいります。

○尾崎委員 パートナーシップ制度は、五つの府県が既に開始しています。都も制度の在り方については検討を行っているわけですから、全国に先駆けて、都営住宅において同性パートナーの入居ができるよう検討を求めるものです。
 最後に、目標9、安全で良質なマンションストックの形成のマンションをめぐる現状のところで、築年数がたつほど空き家や賃貸の住戸が増えて、管理に参加しない、できない人が増える傾向、管理組合の役員の成り手が不足するなどと分析をしています。
 マンションの適正な管理の促進や、老朽マンション等の再生の促進に向けて、どう取り組むのか伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、昨年度からマンション管理条例に基づく管理状況届出制度を開始し、届出情報を基に、個々のマンションの状況に応じた支援を実施しております。
 また、東京マンション管理・再生促進計画に基づき、マンションの管理の適正化や老朽マンション等の建て替えなどに係る施策を総合的かつ計画的に推進してまいりました。
 今後もこうした取組を進めるとともに、住宅政策審議会からの提言を踏まえ、検討してまいります。

○尾崎委員 特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会の方たちからは、第三者管理方式には、平成十二年のマンション管理適正化法で示されたマンションの管理の理念、管理組合、理事会、管理方式を根本から揺るがしかねないという危機感を持ちますとの声もありました。あわせて、役員の成り手不足、管理費等滞納問題、空き家の増加、賃貸化、高齢化による管理組合活動の停滞など、今日的問題を抱えますが、創意工夫と経験の交流などで乗り越えられると確信しています、自分の財産、生活は自ら守る、自分たちのコミュニティは自ら築く、マンションの管理の基本ですと述べています。重要な意見だと思います。都や業界団体が押しつけるのではなく、管理組合自身による管理ができるよう支援することを求めるものです。
 コロナ禍で、貧困と格差が広がり、住宅に困っている人が増えています。住まいを失い、路上生活を余儀なくされる方も増えています。住まいの確保は自己責任ではありません。住まいに困っている方は、労働者をはじめ、高齢者、障害者、若者、子育て世帯、女性、LGBT、学生、外国人など、東京に暮らす全てに及んでいます。住まいは、人権の立場から誰もが安心・安全な住まいを確保できる住宅政策が求められていることを述べて、質疑を終わります。

○竹井委員 東京都住宅政策審議会による成長と成熟が両立した未来の東京にふさわしい新たな住宅政策の展開について、この中間のまとめについて質問いたします。
 コロナ禍は都民の生活や雇用に深刻な影響を及ぼしました。中でも住居は生活の基礎となるものであり、同時に家賃や住宅ローンなど、住まいに係るコストは生活する上で最も重いものでもあり、コロナ禍の影響は大きいものと考えます。
 中間まとめによれば、審議会において、東京都が平成二十九年三月に定めた第六次東京都住宅マスタープランに基づき施策を推進し、少子高齢化社会における住宅セーフティーネットの強化などに着実に成果を上げてきたことを確認したとあります。その上で、今後目指すべき十の目標を定めており、いずれも非常に大切な目標だと思います。
 その中で、まず、目標4、住まいにおける子育て環境の向上の章で記載されていることについてお聞きいたします。
 東京都では東京都子育て支援住宅認定制度により、子育てしやすい環境づくりを行っている優良な住宅を認定しているとあります。この子育て支援住宅認定制度は、住戸内共有部分の性能や立地、さらに地域コミュニティとの交流など、ハード、ソフト両面から見た基準を設けていて、事業者にとっては厳しめの基準かもしれませんが、子育て世帯にとってみれば、とても安心感の持てる認定制度であるというふうに理解しています。
 中間のまとめによると、その戸数は、令和三年、二〇二一年七月時点で千五百九十八戸となっています。第六次東京都住宅マスタープランでは、同認定制度の政策指標は、二〇二五年度末で一万戸です。指標に従えば、今後四年間で八千戸以上増やす必要がありますが、このままでは政策指標を達成するのは厳しいんではないかと思われます。
 そこで、本認定制度について、都は今後どのように取り組んでいくのか、そのご見解を伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 少子高齢化が進行していく中で、住宅政策におきましても、子育てに配慮した住宅の供給促進に向けた取組を進めていくことが重要でございます。
 都は、居住者の安全性や家事のしやすさなどが配慮されるとともに、子育てを支援する設備やサービスなどが供給されている住宅を認定する東京都子育て支援住宅認定制度の普及や活用促進により、住まいにおける子育て環境の向上を推進してございます。
 具体的には、事業者に対する市区町村を通じた整備費に係る補助や、容積緩和を可能とする都市開発諸制度の活用などにより、認定住宅の供給を促進してございます。
 今後、こうした取組を進めるとともに、住宅政策審議会の議論なども踏まえ、必要に応じて認定制度の見直しも含め、検討してまいります。

○竹井委員 ホームページによれば、東京都子育て支援住宅認定制度で認定を受けると、そのメリットとして、他の物件との差別化が期待できるとか、認定マークの活用で広告効果や信頼度が向上する、東京都のホームページによる認定物件のPRができるとあって、もう一つが、整備費の一部等に補助金の活用が可能である、そして都市開発諸制度を活用して容積率の緩和を受けることが可能というふうにあります。
 戸数が増えない原因として、事業者にとってメリットが少ないということが考えられるのですけれども、補助金については、認定住宅が所在する区市町村から、整備費用の一部等に補助金を受けることができる場合がありますとあるのですけれども、受けられる市区町村は限られていて、私の地元小平市もその制度はありません。
 ちょっとこの辺りについては、また事務事業でもお聞きをしていきたいというふうに思っているんですけれども、ぜひこの補助制度の導入が市区町村で進んでいない背景もご精査いただいて、補助制度の見直しもご検討いただきたいと思っています。
 認定制度自体の認知度、事業者側のコストメリット、子育て世帯への直接的なメリットも含めて、全体的な制度の見直しもご検討をいただきまして、認定制度が普及されるようにしていただきたいと要望いたします。
 東京都でなかなか出生率が上向かない、その原因の一つとして住宅事情があるのではないか、そのためにも、安心して子供を産み、育ててもらうために、子育てに適した住宅の普及を目指してきたかというふうに思います。子育て世代の声をよく聞いて、審議会での議論も踏まえて実効性のある見直しをぜひお願いしたいと思います。
 二問目として、中間まとめの中に、公社住宅においては、東京都子育て支援住宅認定制度の認定を取得するなど、子育て世帯向けの住宅の供給を図るべきとあります。これまでの取組を伺います。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 東京都住宅供給公社ではこれまで、コーシャハイム千歳烏山や向原等におきまして、住戸や共用部分において安全に配慮した設計を行うとともに、子育てイベントなどが実施可能なキッズルームを整備するなど、子育てしやすい環境づくりに取り組んでおり、面積要件等を満たす合計四百四十八戸の住戸で、東京都子育て支援住宅認定制度の認定を受けております。

○竹井委員 こちらもぜひ積極的に進めていただきたいというふうに思っています。
 次に、中間のまとめ、目標3の住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定から質問させていただきます。
 施策の方向性としては、都営住宅の的確な供給とともに、重層的にセーフティーネットを強化していくものとして、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅である東京ささエール住宅の強化を促進していくべきというふうにしています。
 そこで伺います。家賃低廉化補助や改修費補助を実施している市区町村は現状どれぐらいあるのでしょうか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 現在、家賃低廉化補助を設けている自治体は、墨田区、世田谷区、豊島区、練馬区、八王子市の四区一市でございます。
 また、改修費補助を設けている自治体は、豊島区、練馬区、八王子市の二区一市でございます。

○竹井委員 家賃低廉化補助、それから改修費補助とも非常に少ない状況かなというふうに思いますが、重ねて伺いますが、その理由と、さらに多くの市区町村がこれらの制度を活用するように、都は今後どのように取り組んでいくのか、伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 補助制度を設けている市区町村が少ない理由は、主に、対象となる専用住宅の登録戸数が少ないことなどによるものと各自治体からは聞いております。
 都は、専用住宅の登録の増加に向けまして、貸主の不安軽減や登録意欲の向上を図る必要があることから、独自の取組といたしまして、一定の性能を有する見守り機器の設置費等への補助や登録等を条件とした報奨金の支払いを開始するなど、貸主を支援する取組を進めてまいりました。
 あわせて、都は、家賃低廉化補助などを実施する市区への財政支援を行うとともに、制度を設けていない市区を個別訪問して意見交換等を行うなど、制度の導入を働きかけております。
 引き続き、こうした取組を行うとともに、住宅政策審議会の議論なども踏まえ、必要な検討を行ってまいります。

○竹井委員 実施している市区町村が少ない理由が、補助制度の対象となる専用住宅の登録戸数が少ないことというのは、ちょっと私はよく分からなくて、補助を実施すれば、専用住宅の登録戸数が上がることが見込まれるんではないかなというふうに思うんですけれども、またこれちょっと理解が違っていたら後で教えていただきたいと思いますが、専用住宅の登録戸数が少ないことが補助が進まない理由というのは、ちょっと今理解が難しいところです。
 専用住宅の戸数もまた、数百のレベルでまだちょっと少ないのかなということで伺っているところです。この専用住宅に対する政策指標というのは見当たらなかったわけですけれども、これは定めるべきではないかなというふうに思います。
 住宅政策本部が行われたアンケートで、ささエール住宅に登録した理由を事業者に聞いておられますけれども、空き家、空き室の有効活用と社会貢献と答えている方が五〇%でありまして、この結果からは、事業者さん、家主さんにとっても、社会的な課題と、それから社会貢献活動、いわゆるCSRを満たすことができる施策であって、その意義は大きいものというふうに考えます。
 また、住宅確保要配慮者から見れば、特に家賃低廉化補助は、低額所得者や高齢者などの負担軽減を図る観点からも非常に重要であるというふうに思いますので、ぜひこの活用促進をお願いしたいというふうに思います。
 さて、要配慮者の住まいの問題の観点からは、居住支援協議会の設立促進も重要なポイントであるというふうに思います。中間のまとめにおいても、住宅確保要配慮者の住宅探しや入居後の生活支援については、複数の主体が得意とする分野をつなぎ合わせて、シームレスな居住支援が実現できるよう、関連する多様な主体分野が参加し、目標を共有する区市町村居住支援協議会の設置を促進するとともに、協議会活動の活性化に努めるべきであるとあります。
 現在、四十九市区中、二十六市区での設置にとどまっています。その理由をどのように認識されておられますでしょうか、また、東京都の働きかけについても伺いたいと思います。

○武井住宅政策担当部長 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するためには、入居あっせん等の具体的な取組を行う市区町村の役割が重要であり、市区町村や居住支援団体などを構成員とする市区町村居住支援協議会の設置が期待されております。
 都は、令和二年度末までに、都内全四十九市区の半数以上において市区居住支援協議会が設立されることを目標に、経費の補助や設立事例の情報提供を行うなど、必要な働きかけを行ってまいりました。その結果、目標を達成し、二十六市区において協議会が設立されております。
 現在、令和七年度末までに、市区の三分の二以上において協議会が設置されることを目標に掲げ、未設置市区への働きかけなど、取組を進めております。

○竹井委員 住宅担当という明確な担当がない市も多くあるんではないかなというふうに思います。私の地元小平市でも、居住支援協議会は設置を今のところしていません。今は福祉部門でオブザーブ参加をしているということです。
 しかし、住居に困っている方、例えば高齢者や障害者の方から、家が借りられるかどうか不安だというご相談はもちろんたくさんありまして、私も市議会議員時代にお受けしたりしました。福祉部門で、ほかの困り事と併せて対応しているということでしたけれども、困っている市民に対して複数の主体が手を差し伸べることができる協議会の設置が急がれます。
 何がこの設置を阻んでいるのかしっかり調査していただいて、今は設置に関しては経済的なバックアップも、国や都の方から得られるということもありますので、ぜひ設置をしてほしいと思っているところですので、成功事例の横展開なども含めて、働きかけをお願いしたいと思います。
 次に、目標5、高齢者の居住の安定から伺います。
 高齢者のいる世帯は、平成三十年で約二百二十三万世帯で、共同住宅の共用部分のバリアフリー化が約二一%、高齢者の居住する住宅のバリアフリー化率は約四三%にとどまっており、一層のバリアフリー化が求められているというふうにあります。
 東京都住宅マスタープランの政策指標、度々持ち出しますけれども、二〇二五年で高齢者が居住する住宅のバリアフリー化率は八〇%と設定されています。二〇一三年度末で四二・九%でした。五年たった二〇一八年も全く同じ四二・九%というのは、どのような理由によるものなのか、見解を伺います。

○武井住宅政策担当部長 高齢者が居住する住宅のバリアフリー化率は、平成二十五年の四二・九%から平成三十年の四二・九%と横ばいになっております。
 これは、六十五歳以上の高齢者が居住する世帯数と、このうち、一定のバリアフリー化された住宅に居住する世帯数がおおむね同じ割合で増加したことによるものであり、高齢化対応のリフォームの実施戸数が伸びなかったことなどがその原因と考えております。

○竹井委員 理由については承知をいたしました。
 政策指標を八〇%というふうに置かれたときにもう、高齢化率が上がっていく、高齢者が居住する世帯が増えるということは、いわば考慮の上で立てられたんではないかなというふうに推察します。しっかり数字を精査していただきたいと思いますので、今のままでは、ちょっと見た目が非常に数字が心もとない数字に見えますので、お願いしたいと思います。
 次に、共同住宅の共用部分におけるバリアフリー化率において、二〇二五年度末に三〇%の指標に対して、二〇一三年度末が二一・四%、二〇一八年では二〇・七%と、むしろ下がっていることの理由についての見解を伺います。

○武井住宅政策担当部長 共同住宅の共用部分におけるバリアフリー化率は、平成二十五年の二一・四%から、平成三十年は二〇・七%と低下しております。
 これは、建築物バリアフリー条例でバリアフリー化が義務づけられていないアパートなどの小規模な共同住宅の建設が増加したことなどにより、共同住宅の総戸数が増加する割合に比べ、共用部分がバリアフリー化された共同住宅の戸数が増加する割合が下回ったためと考えております。

○竹井委員 数字についての背景は理解をいたしました。
 もちろん、二階建てのアパートにエレベーターを必ず導入せよというふうにはいえませんので、前提の段階でそういったことが除外されていなければ、多分いつまでたっても数字が上がっていかないんじゃないでしょうか、バリアフリー化率のですね。本質の見えない調査になるんではないかというふうに危惧をいたします。ぜひ、前の質問も同じですけれども、精査をお願いしたいと思います。あわせまして、今後の指標においては、高齢者にとって温度のバリアフリーともいえる断熱効果なども意識していただくことを要望いたしておきます。
 今回、中間のまとめということでしたので、中間の段階での効果検証を意識して少し細かい質問も多かったこと、すみません。
 今後も、ゼロエミッション、それからDX、そしてコロナ禍等々、新たな動向や変化を見据えて、真に都民の皆さんの安心・安全で快適な暮らしを支える施策の立案、そしてまた、先ほど申し上げたとおり、住宅に特化した体制がない市区町村にも考慮していただいて、体制の確立にも都が大いに支援していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。

○松田委員 住宅政策審議会の中間まとめについて質疑させていただきます。
 東京において、コロナ禍も相まり、人口減少、少子高齢化、単身世帯の増加等、住宅政策についても大きな転換が求められています。都内マンションの高経年化、住宅需要の供給のミスマッチ、少なくなってきていますが、耐震化が進んでいない住宅ストックの残存等、様々な問題がありますが、今回は空き家問題について焦点を当て、質問させていただきます。
 東京都の人口もピークを迎え、今後、人口、世帯数の減少により、空き家の数は増えていくと予想されます。
 都としては、先ほど他の委員の答弁でもありましたが、区市町村が行う空き家を改修して有効活用する取組などに対して財政支援を既に行っており、これまで五年間、五自治体における十二施設に対して補助を実施していると先ほどお伺いいたしました。
 ただ、どうでしょうか、現在の東京都の支援した有効活用の件数を見ますと、解決に向かっているとはいい難いといわざるを得ません。
 ここで、需要のない空き家について積極的に取り壊し、住居としての利用を前提とするのではなく、更地として有効活用を進めていくことを提案させていただきますが、ここにも問題はあります。
 解体には費用が必要なことや、更地にした場合の固定資産税の観点などから、老朽化した空き家を解体せず、そのまま放置する事例も多いと聞きます。老朽化した空き家の取壊しに際し、現在の都の助成制度について、実績も含めてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 空き家が放置されますと、防災、衛生等の面から、周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼすだけでなく、地域活力やコミュニティの衰退などにつながるおそれがあることから、空き家の適正管理は重要でございます。
 都は、周辺に悪影響を及ぼす可能性があり、放置することが不適切な老朽空き家などの除却を行う区市町村を財政支援しており、これまでの二年間で、七自治体で百七十八件の補助を行ってございます。

○松田委員 空き家を改修しまして有効活用の事例は、五年間で十二施設、今答弁にございました空き家の除去については二年間で百七十八件と、空き家除去の助成を都民が求めていることが明らかになりました。
 では、更地にした際の利用はどうするのか。新しい住居を建てようにも都内の住宅は供給過多状態で、住宅需要だけでは更地が増えていくばかりです。
 ここで、更地の有効活用について質問させていただきます。気候変動とSDGsへの関心が相まって、ドイツのベルリン等では、若い世代を中心に、アーバンガーデン、都市農園の人気が広がっています。空き家の有効活用という視点で、空き家を除去し、都市農園だけでなく、グリーンインフラに転換した事例で、都は助成した実績があるか、お伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 空き家の有効活用に関して、都は、区市町村が空き家を除却して跡地を公的に活用する取組などについて財政支援を行っております。
 これまでの五年間で、空き家を除却して跡地を防災空地や保育園とする取組など、三つの自治体で九件の補助を行ってございます。
 なお、空き家を除却して、お尋ねのような都市農園などとして活用する取組への補助は、これまで実績がございません。

○松田委員 残念ながら、公的活用を目的とした老朽空き家除去への補助の件数も極めて限定的だということが分かります。
 先ほどご紹介したグリーンガーデン、都市農園は、更地の有効活用だけでなく、地産地消の推進、地域コミュニティの活性化、ひいては脱炭素社会への重要な役割も果たすといわれています。
 また、まち中でのグリーンインフラの例ですと、ニューヨークでは、ハリケーンなどの豪雨被害に備えて、レインガーデンという雨水貯留浸透施設がまち中で数多く設置されています。グリーンインフラは土地の有効活用だけでなく、災害対策にも有効です。
 都内人口減少による空き家の増加が予想される東京都では、海外の事例も参考にして、空き家対策の一つとして、まち中に開かれた都市農園、災害対策を見据えたグリーンインフラの設置等、市区町村等とも連携し、東京都としても様々な角度からサポートしていくべきと要望を申し上げ、終わります。

○宮瀬委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮瀬委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十八分散会

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