都市整備委員会速記録第五号

令和三年三月十八日(木曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長米川大二郎君
副委員長鈴木 章浩君
副委員長和泉なおみ君
理事高橋 信博君
理事上野 和彦君
理事小山くにひこ君
藤井とものり君
保坂まさひろ君
斉藤れいな君
森口つかさ君
曽根はじめ君
中山 信行君
鈴木 邦和君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務上野 雄一君
次長桜井 政人君
技監福田  至君
理事安部 文洋君
総務部長木村 健治君
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木秀之君

本日の会議に付した事件
予算の調査(意見開陳)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備委員会所管分
・第十二号議案 令和三年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 令和三年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 令和三年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 令和三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十号議案 令和三年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(決定)
・第四十三号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第四十四号議案 高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の一部を改正する条例
・第四十五号議案 東京都市計画事業新宿駅直近地区土地区画整理事業施行規程
・議員提出議案第二号 東京都住宅基本条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○米川委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備委員会所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案及び第二十号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○保坂委員 都民ファーストの会東京都議団を代表し、当委員会に付託されました令和三年度予算関連議案について意見開陳を行います。
 令和三年度予算は、昨年から継続しているコロナ禍の厳しい財政状況の中にあっても、都民の命を守ることを最優先としながら、東京の経済を支え、その先の未来を見据えた予算として、第一に、新型コロナウイルス感染症対策に取り組み、この間、浮き彫りとなった課題に的確に対処するとともに、将来にわたって成長し続ける都市東京の実現に向け、戦略的に取り組むこと、第二に、デジタル化による都民サービスの向上など都政の構造改革を進めるとともに、ワイズスペンディングの視点から、無駄を一層なくしていくこと、第三に、東京二〇二〇大会を都民、国民の理解を得られる安全かつ持続可能な大会として実施し、次世代へレガシーを継承していくことの三点を基本に編成されています。
 補正予算を含めた一般会計予算七兆五千六百五十一億円、特別会計と公営企業会計を含めた全会計予算十五兆二千九百九十五億円の令和三年度予算には、新型コロナウイルス感染症対策、医療体制の充実、子育て支援、新しい時代を切り開く人材の育成、高齢者の社会参加の促進、暮らしへの支援、女性の活躍推進、雇用就業支援、テレワークなどの働き方改革、悩みに対するサポート体制の強化、豪雨対策、震災に強いまちづくり、道路ネットワーク形成や公共交通の充実、国際金融都市などの世界経済を牽引する都市の実現、中小企業、地域産業支援、ゼロエミッション東京、水と緑あふれる都市環境の形成、都民サービスや行政のデジタルシフトなどスマート東京の実現、東京二〇二〇大会の開催とレガシーの創出、多摩・島しょの振興など、都民生活にとって欠かすことのできない大切な施策が数多く盛り込まれております。
 都民ファーストの会東京都議団が要望し、予算計上されました出産、子育ての十万円分の支援、東京版ニューディールによる二万人の雇用創出や、新しい日常に対応した雇用就業環境の構築など、五十回を超える都への新型コロナウイルス対策要望事項を初め、デジタルトランスフォーメーションの爆速的な実装、世界的な気候変動対策と連携したゼロエミッション東京の実現など、都民ファーストの視点で、未来の東京の実現に向け東京のさらなる進化を図るとともに、都民の安全・安心を確保するため、効果的でスピード感のある政策の実現を強く要望します。
 それでは、各局事業について、まず、都市整備局関係について申し上げます。
 一、二〇四〇年代の都市像を示す都市づくりのグランドデザインに掲げた各方針について、その具体化のための取り組みを強化されたい。また、ロードマップを策定し、事例づくりや基礎自治体との協議を加速されたい。
 一、東京都耐震改修促進計画改定における住宅耐震化では、除却費用を助成対象とするほか、特定建築物に対しては、入居する事務所や店舗などに対してアドバイザー派遣などの支援を進めるとともに、大規模建築物についてはSNSなどを活用するなど、都民への効果的な情報発信を図られたい。
 一、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を一層進めるため、特に倒壊の危険性が高い建築物の耐震改修などに対する助成単価の引き上げや、アドバイザーによる耐震改修計画の提案サポートなど支援強化を図られたい。
 一、木造住宅密集市街地における不燃化を一層進めるため、特区指定地域の見直し、改善が必要な地区への取り組みを一層強化するとともに、無接道敷地の解消に向けても、空地の確保とその活用や専門家を派遣するなど、区の取り組みを支援できる体制を図られたい。
 一、東部低地帯での大規模水害対策として、国による災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議を通じて、民間の高層建築や高台への垂直避難を可能にするべく、容積率を緩和するために見直された都市開発諸制度を推進し、地元区とも連携して、民間開発を効果的に誘導されたい。
 一、水害対策における高台まちづくりを進めるモデル地区を積極的に支援するとともに、モデル地区を設定していない範囲でも、水害対策に必要な事業を支援するとともに、住民負担が大きい二度移転の解消につながる手法や仕組みなどを検討し、丁寧に周知されたい。
 一、鉄道の混雑緩和を目的とした時間差料金制の調査に当たっては、料金差による需要分散効果の違いなどについて、より詳細にシミュレーションを行われたい。また、そうした調査結果を踏まえて、鉄道事業者と連携して、制度の実現可能性について検討を進められたい。
 一、築地まちづくりをさらに価値あるものにするためにも、臨海地下鉄構想に、都が主要株主でもあるつくばエクスプレスの東京駅への延伸計画との連携も念頭に入れて検討を進められたい。
 一、コミュニティバス事業を持続可能な地域交通とするため、収支改善に資する区市町村の取り組みを支援するとともに、都が広域調整機能を発揮し、区市町村域を越えた輸送サービスなど、新たな取り組みを積極的に支援されたい。
 一、自転車活用推進計画改定における自転車活用推進重点地区の選定では、対象範囲を行政区域にかかわらず共通の課題がある範囲とし、都が横断的に課題を集約するとともに、必要に応じて重点地区を拡大されたい。また、改定後のフォローアップ、施策への取り組みの最新状況を本計画ホームページで発信されたい。
 一、建築安全条例について、建物の安全性をしっかりと確保した上で、より柔軟に、今の社会的要請を捉えた形で、緩和も含め規制を見直されたい。
 一、都心の地上部において、緑やオープンスペースなど、ゆとりやにぎわいのある人中心の空間を創出するべく、周辺のまちづくりと連携し、首都高地下化など大規模更新に取り組まれたい。
 一、飯田橋駅周辺の基盤再整備に当たっては、地元三区のまちづくりの動きを踏まえ、都として早期に構想を具体化されたい。
 続いて、住宅政策本部関係について申し上げます。
 一、区部中心部のポテンシャルが高い地域では、都営住宅ストックを有効活用し、広く都民がゆとりやにぎわいを享受できる建てかえやまちづくりを進められたい。あわせて、次期住宅マスタープランにも位置づけられたい。
 一、都営住宅の建てかえの際に創出した用地を活用し、民間プロジェクトによって、誰もが気軽に利用可能なコワーキングスペースの確保を積極的に図られたい。
 一、東京都耐震改修促進計画改定におけるマンションの耐震化において、特に耐震診断済みマンションへ専門家を派遣し、合意形成に向けて支援するとともに、倒壊の危険性の高いマンションには、改修工事などの助成単価を引き上げるなど、区市とも連携して耐震化を促進されたい。
 一、次期住宅マスタープランは、コロナ禍による社会情勢や都民の価値観の変化も十分に踏まえた形で策定されたい。
 一、民間賃貸住宅などを活用して、都営住宅に限らない住宅セーフティーネットの取り組みを加速されたい。また、ひとり親家庭なども対象に、子育て世代に対する低廉な住宅の適正な供給を促進されたい。
 一、昨年策定された東京都性自認及び性的指向に関する基本計画を踏まえ、都営住宅における同性パートナーの入居についても検討されたい。
 一、都営住宅募集や宅建業関連手続のオンライン化に当たっては、現行の業務フローを可視化した上で、手続の工数や申請書類の記入項目を縮小するなどBPRを積極的に行い、都民の利便性向上に取り組まれたい。
 一、都営住宅における見守りシステム構築に当たっては、既存の民間サービスとの違いを出せるよう、都営住宅の運営ノウハウを活用しながら、大学と連携して事業を進められたい。
 以上で意見開陳を終わります。

○高橋委員 都議会自民党を代表して意見開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 令和三年度予算案は、コロナ感染拡大防止対策に万全を期し、ワクチン接種を迅速に進めながら、コロナ禍から立ち上がる都民、都内事業者を力強く支援するとともに、災害対策、高齢者施策、子供、子育て、障害者施策、教育環境の整備といった課題にも的確に対応し、あわせて、東京二〇二〇大会に向けた準備を着実に進めていくための予算です。
 そして、こうした多岐にわたる課題に対応しながら、コロナ禍の影響によって税収が落ち込む中で、都財政の健全性を堅持し、東京の将来に向けた長期計画をしっかりと構築していくことが求められています。
 つまり、令和三年度の予算は、コロナ禍を切り抜け、コロナ後の東京の未来に向けた道筋をつける予算です。
 その一方で、コロナ感染の再拡大への懸念が拭えない中、令和三年度の予算に関して、事業執行の段階で柔軟な対応が必要になってくる事態が発生することもあると思われます。
 課題は山積し、将来見通しは不透明です。こうしたときこそ、国との連携が重要です。現に、営業時間短縮に係る都内飲食店等への協力金の九割以上は国の負担によるものです。
 そして、首都圏としてのまとまりも大事にしながら、都内区市町村の実態に目を配り、都民福祉の向上という都政運営の基本を忘れずに、計画的な財政運営に努めることが必要です。
 今後の都政を取り巻く環境の変化に適切に対応しながら、刻々と変化し多様化する都民の声に丁寧に対応し、都民が事業効果を実感できる、都民のための予算執行に全力で取り組むことを求めておきます。
 本委員会所管事業に関する意見開陳の冒頭に当たり、まず、このことを申し上げ、各局事業について述べさせていただきます。
 最初に、都市整備局関係について申し上げます。
 一、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会とその先を見据え、東京を世界で一番の都市へ導くため、都市づくりのグランドデザインに示した都市像の実現に向けた取り組みを着実に推進されたい。
 一、外環の一日も早い完成に向け、東名高速から湾岸道路までの計画の早期具体化を国に強く求められたい。
 一、平成二十八年三月策定の東京における都市計画道路の整備方針に基づき、区部の環状道路や多摩地域の軸となる幹線道路など、都市計画道路ネットワークの充実強化を図るとともに、令和元年十一月に策定の東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針で計画の変更予定となった路線について、都市計画手続を進められたい。
 一、鉄道ネットワークのさらなる充実を図るため、国の答申六路線を中心に、国と東京都の実務者協議会の場も最大限活用しながら、関係者との協議、調整を加速されたい。
 一、騒音対策、落下物対策、住民への周知徹底等に万全を期すとともに、羽田空港の一層の機能強化や国際化及び空港アクセスの整備に向けて積極的に取り組まれたい。また、水の都東京の魅力を高めていくため、舟運の活性化に向けた取り組みを進められたい。
 一、首都圏の高速道路は重要な都市インフラであることから、平成二十八年四月に導入された新たな料金体系の影響などを検証するとともに、国での検討状況も踏まえ、一体的で利用しやすい料金体系の実現に向け、積極的に取り組まれたい。
 一、防災都市づくり推進計画の基本方針に基づき、今年度取りまとめる整備プログラムを踏まえ、不燃化の取り組みを効果的に展開されたい。また、延焼遮断帯内側の市街地の改善をさらに進めるため、区における防災生活道路整備事業への支援に取り組まれたい。
 一、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を促進するため、区市町村等とも連携し、所有者の取り組みをさらに後押しするなどして、耐震診断結果を改修や建てかえ工事に確実につなげられたい。また、今年度改定する耐震改修促進計画に定めた新たな目標の達成に向け、整備地域外を含め一体的に取り組み、都内全域で住宅の耐震化を促進されたい。
 一、地域の特性に応じた良好な市街地の形成を図るため、土地区画整理事業、市街地再開発事業などの市街地整備事業を積極的に推進されたい。
 次に、住宅政策本部関係について申し上げます。
 一、区市町村の地域特性に応じた取り組みへの支援や情報提供の充実などにより、空き家の利活用を促進されたい。また、区市町村支援事業も活用し、防災面からの老朽空き家対策などを進められたい。さらに、空き家所有者に管理の重要性を周知するとともに、地域特性等を踏まえた適切なアドバイスを行えるよう、専門家を活用した相談体制の整備など、きめ細かい支援を行われたい。
 一、居住者の高齢化、単身化が進む都営住宅において、コミュニティの活性化に向けて、子育て世帯のさらなる入居促進や高齢者世帯の生活支援の強化等により、多世代共生の推進に取り組まれたい。
 一、東京都住宅マスタープランに基づき、子育て支援、見守り機器設置費等の補助などによる住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居への支援や、良質な既存住宅の流通の拡大、そして、条例に基づく届け出制度等によるマンションの適正管理の促進や建てかえ等による再生など、区市町村等とも連携し、住宅政策を総合的に推進されたい。また、行政手続のデジタル化を進め、デジタル化によって各種施策の充実、改善に取り組まれたい。
 以上をもちまして意見開陳を終わります。

○上野委員 都議会公明党を代表して、当委員会に付託された令和三年度予算関連議案について意見開陳をいたします。
 令和三年度一般会計予算案は、厳しい財政環境が続くことが想定される中にあっても、我が党のたび重なる要請に応え、東京の総力を挙げた感染症対策や、感染防止と経済活動の両立を図るための多面的な対策を事業化しています。
 具体的には、都議会公明党が強く求めてきた東京都出産応援事業や、東京都生活応援事業、都認可外通信制授業料軽減助成、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期予防接種補助、デジタルデバイド対策、住居喪失不安定就労者・離職者等サポート事業の拡充、東京都ドクターヘリの導入、新たな調節池の整備、都営住宅募集のオンライン化など、都民の暮らしを守るための施策が随所に盛り込まれております。
 一方、都財政は、景気変動に大きく影響を受けやすい不安定な歳入構造にある上、新型コロナウイルス感染症は社会経済全体に大きな影響を及ぼしており、都の歳入の根幹をなす都税収入の減収が続くことも想定しておかなければなりません。
 こうした状況の中、令和三年度予算編成における事業評価の取り組みでは、コロナ禍での社会情勢の変化も踏まえ、我が党がこれまで積極的な活用を広めてまいりました複式簿記・発生主義による新たな公会計制度も活用し、いずれも過去最高となる千三百六十件の見直し、再構築、約千百十億円の財源確保額へとつなげています。
 また、未来の東京戦略で掲げる政策を着実に進めるための財源として、基金を計画的に活用するとともに、都債を充当可能な事業に対して積極的に活用するなど、これまで培ってきた財政対応力を最大限に発揮し、必要な財源を確保しています。
 今後とも、税収動向を勘案しながら、基金や都債を計画的に活用するべきことを強く求めておきます。
 次に、各局別に申し上げます。
 初めに、都市整備局関係について申し上げます。
 一、都市インフラや施設更新を進めながら、活力と魅力に満ちた東京の再構築のために都市再生の開発プロジェクトを推進するなど、国際競争力を一層強化すること。
 一、木造住宅密集地域の整備促進のために、公有地や民間の協力による種地活用を図り、商店街などを含めた魅力あるにぎやかな移転先の絵図を描くなどして、関係者の意欲を高める企画提案を行うこと。加えて、低所得従前居住者の住まいの安定を優先し、地元区とも十分連携し、従前コミュニティの保全につながる提案に努めるため、都庁横断的な支援メニューを組み合わせた住環境整備とすること。
 一、緊急輸送道路沿道建築物について、専門家による訪問による助言などにより、個別の不安の解消や対応意欲の向上に努めること。また、共同化や街区再編、占有者の協力を得るための取り組みなどの提案を積極的に行うこと。住宅について、区市町村と連携し、整備地域外を含めて除却も助成対象とするなど一体的に取り組み、都内の工事単価や、耐震化と不燃化の双方の工事の重複実施などの要請にも的確に対応して、都内全域で耐震化の加速を図ること。
 一、公共交通網では、基金に基づく六路線の整備などの新たな鉄道交通網の整備の促進や乗り入れなどでの利便性の向上、通勤混雑の緩和、ホームドアやエレベーター等のバリアフリーの促進、乗車マナーの向上に努めるほか、効果的なタクシー利用の工夫やBRT、官民バス路線などを活用して、高齢者、障害者などの移動支援を図ること。また、舟運を活性化し、運河や河川、港内などで、災害時でも対応し観光面からも魅力のある交通網の重層化を図ること。
 一、羽田空港や近県空港を含めた首都アクセスの複層化と時間短縮を図るとともに、航空輸送の機能強化に伴う航空機の騒音、落下物防止対策など、都民の安全・安心に必要十分な対策を国に求めること。
 一、浸水被害の危険性の高い地域では、公共施設等を活用した一時貯留施設等の設置促進など、流域対策に積極的に取り組むこと。また、国とともに設置した連絡会議のもとに、地元区も含めたワーキンググループ等を早急に設置し、国や関係自治体と、より一層連携を図りながら、首都高を初めとする道路高架部等の早期な活用に向けて取り組むこと。
 一、所有者不明の土地の活用と発生の未然防止を図るべく、国や関係機関との連携を強化すること。
 一、建築物のバリアフリーの進展に向け、特に宿泊施設オーナーとの意見交換を進め、改正条例の効果の発揮に努めること。
 一、築地市場の跡地の活用方針においては、事前の土壌調査及び土壌汚染対策等に万全を期すこと。また、民間の知恵と活力を効果的に引き出す工夫を図るとともに、用地の貴重性に配慮し、公共的な使命にかなう開発に努めること。
 一、世界に開かれた環境先進都市東京を目指して、快適な水環境を創出し、水と緑の回廊の実現を図ること。また、玉川上水や河川水を活用した外堀、神田川、日本橋川の恒久的な水質改善に向けて、工業用水道施設の活用などの多角的な取り組みを早期に事業化するとともに、当面の浄化策も強化すること。
 一、建築確認申請図書の保存年限の見直しと電子化を進めるとともに、民間確認機関との協議を進め、都内で統一感のある取り組み、相談対応のワンストップ化を図るとともに、建て主以外の所有者や居住者による、建築確認図書の閲覧を可能にするための法制度改善の要請を国へ行い、都独自の工夫を検討すること。
 一、国制度を活用しながら、路線バス内の感染防止対策への助成を行うこと。
 次に、住宅政策本部関係について申し上げます。
 一、東京都住宅マスタープランに定める豊かな住生活の実現と持続に向けて、都市計画部門との連携を図りつつ、未来の東京戦略案に掲げたプロジェクトを初め、住宅政策をより強力かつ機能的に推進すること。また、住宅政策本部の施策をデジタルファーストの視点で見詰め直し、DXを推進することにより、都政のQOSを向上すること。
 一、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例に基づき、管理状況届け出制度の円滑な運営を図るとともに、分譲マンション総合相談窓口の拡充やアドバイザーの無料派遣などにより、マンションの適正な管理を促進するとともに、老朽マンション等の建てかえや改修など、再生を一層加速すること。
 一、震災時でもマンション居住者が建物内で生活を継続できるよう、エレベーターの耐震性向上や早期復旧等を進めること。
 一、都営住宅について、住まいとしての機能、設備の向上に努め、建てかえ事業の促進を図ること。また、建てかえ時の創出用地を活用した福祉インフラ整備に協力すること。さらに、居住者の高齢化に対応した福祉施策との連携や、自己資金風呂釜を含む老朽浴室設備の着実な取りかえや故障対応の推進、修繕費の居住者負担のあり方を見直すとともに、見守り機能の強化を図ること。
 居住者の世代間バランスに努めて、高齢化による自治機能の低下を補うための工夫に努めること。加えて、住民トラブルの原因となりやすい不適切な住まい方の是正に積極的に対応すること。さらには、子育て世帯の住宅困窮に対応できるよう、間取りの改善に努めること。また、住宅に困窮する単身者にも都営住宅を提供できるよう、入居資格の範囲の見直しや新たな提供方法の検討を行うこと。また、集会所施設の機能を活用した社会貢献を進めるとともに、エアコンやWi-Fiの設置などの防災機能の充実を図ること。あわせて、親世帯と子世帯の近居を可能とする親子触れ合い住みかえ募集や、毎月の若年ファミリー世帯向け募集については、応募需要の高い地域でも実施していくこと。
 一、公社住宅の建てかえの促進を図るほか、建てかえにより創出された用地を活用し、地元自治体や住民の要請に応えた福祉インフラ整備に協力すること。長期入居者の家族構成の変化に応じた、より家賃負担の少ない住戸への転居に取り組むこと。
 一、高齢者が住みなれた地域で安心して住み続けられるように、サービスつき高齢者向け住宅の一層の供給促進に取り組むこと。
 一、管理期間が終了した都民住宅について、入居者が安心できる最大限の配慮に努めること。
 一、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、東京ささエール住宅の居住の質の向上や、区市町村の居住支援協議会の設立の促進と、同協議会による事業活動や居住支援法人の活動の活性化、また、区市等へのコーディネートの促進、地域に人的に根差した居住支援法人の創立や育成、貸し主の安心感の醸成に向けた支援等に取り組むこと。加えて、荷物整理などの高齢者の転居に伴う不安の軽減に貢献する居住支援法人などの育成やマッチングを居住支援協議会の役割に加え、的確に対応を導くこと。
 一、コワーキングスペースとしての活用など、空き家を活用した社会問題の解決に貢献できる取り組みを区市町村と連携し推進するほか、さらには民間事業者の取り組みへも直接支援を行うこと。
 一、水没しない垂直避難場所としての都住、公社住宅の空き室提供について、積極的に区市等からの要請に対応すること。
 以上をもちまして、都議会公明党を代表しての意見開陳とさせていただきます。

○曽根委員 令和三年度東京都予算について、日本共産党を代表して意見開陳を行います。
 予算案は、都が全力でコロナ感染から都民を守るべきときに、検査、医療、補償の各分野で極めて不十分な内容となっています。
 医療では、コロナ感染防止の最前線で医療を支えている都立病院のスタッフを本格的にふやす姿勢がなく、都立、公社病院を後退させる独法化予算を増額しています。
 福祉では、特別養護老人ホーム等高齢者施設や障害者施設、認可保育園などの整備支援は軒並み大幅減額、国民健康保険への独自対策もありません。
 一方で、住民が強く反対し各地で裁判も起こされている特定整備路線など大型道路建設を引き続き推進し、陥没事故を引き起こした外環道を東名以南まで延長する調査費や羽田への低空飛行ルートを固定化、拡大する調査費が計上されています。
 品川、田町駅周辺整備や内神田、大手町、新宿駅周辺など都心の開発ラッシュが、新たな都市計画区域マスタープランによって加速されようとしていることは重大です。
 また、予算案は、東京二〇二〇大会の開催準備予算を計上していますが、今夏の大会は中止し、コロナ対策に万全を期すべきです。
 次に、各局関係について述べます。
 初めに、都市整備局関係です。
 一、大型道路や超高層ビル優先の都市づくりを改め、ゼロエミッション東京の目標達成に向け、都市の成長をコントロールする都市計画、都市づくりへの転換を急ぐこと。
 一、首都高日本橋付近の地下化、別線の地下トンネル整備、外環道、外環ノ2、環状四号線、立川三・三・三〇号線、反対住民が提訴している特定整備路線など、住民合意のない幹線道路建設は中止し、抜本的に再検討すること。外環道の東名以南の検討をやめること。
 一、神宮外苑地区のまちづくりの方針に対する地元住民の強い反対意見を踏まえて、公園まちづくり制度の適用をやめ、都民参加で計画の抜本的見直しを行うこと。
 一、木造住宅密集地域の安全化対策は、幹線道路の整備や再開発優先ではなく住民合意を基本に、耐震化、難燃化、不燃化を進めること。
 一、緊急輸送道路の沿道建物耐震化を進めるために、テナントビルの占有者などへの支援の強化、訪問や働きかけを行う体制の強化を図ること。
 一、築地市場跡地の開発は、市場関係者や都民の要望を十分踏まえて再検討すること。
 一、住宅の耐震化は、住宅所有者の個人責任に任せるのではなく、地震被害から都民の生命、財産と地域を守るための最大の課題と位置づけ促進すること。
 一、木造住宅耐震化への助成額を定額制も含めて抜本的に引き上げ、簡易改修助成や高齢者、障害者のいる世帯への上乗せ、二〇〇〇年以前に建てられた新耐震基準の住宅も助成対象として検討すること。
 一、浸水被害防止のため、一時貯留施設や浸透ます等の設置を積極的に推進し、幅広く支援すること。
 一、洪水対策として、完成のめどの立たないスーパー堤防を含む高台まちづくり制度を地元に押しつけないこと。
 一、羽田空港への都心低空飛行を推進する羽田空港機能強化の撤回と、第五滑走路の検討をやめるよう国に求めること。
 一、鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方に基づき、視覚障害者の利用が多い駅などのホームドア設置を急ぐこと。鉄道駅等の利用者への情報提供も含めバリアフリー化を支援し、必要な場所へのエレベーター、エスカレーター設置を複数ルートも含め推進すること。
 一、コミュニティバスやデマンド交通への支援は、地域の実情を踏まえ、既存バス路線や鉄道とのネットワークを重視して抜本的に強化すること。
 一、緑地の総量を大きくふやすため、緑地、樹林地の保全を積極的に進めること。
 一、横田基地におけるPFOS等有害物質の保管や土壌汚染の実態について、また、多摩サービス補助施設の自然保護や戦争遺跡の保存について、米軍に公開させ、都として立入調査を求めること。
 一、横田基地からのCV22オスプレイ撤去とともに、パラシュート訓練の中止を国と米軍に求めること。また、米軍機の飛行訓練の回数、飛行高度、騒音等の実態を詳細に調査すること。
 一、横田の軍民共用化の検討をやめること。基地周辺自治体や都民と連携し、都内の全米軍基地の整理、縮小、返還を強く求めること。
 次に、住宅政策本部関係です。
 一、マンションの耐震診断、改修への助成率、上限額を引き上げるとともに、大規模改修による防災機能向上にも助成すること。
 一、マンションの共用部分であるごみ置き場や管理室、集会所等は、公共性にふさわしく固定資産税を減免すること。
 一、マンション管理組合の育成支援を進め、区市町村が自治会等と同等の支援を行うよう働きかけること。また、都としてマンション白書を定期的に発行すること。
 一、都営住宅の供給計画を抜本的に拡充し、新規建設を再開すること。建てかえで創出される用地は、都営住宅の増設、福祉施設等に優先的に活用すること。建てかえによる新築住宅は、可能な限り公募に回すこと。
 一、都営住宅に若年世帯、学生、単身者、同性パートナーの入居が可能となるよう入居基準を緩和すること。
 一、都営住宅の使用承継の基準を少なくとも一親等の同居家族にまで拡大すること。また、期限つき入居制度を廃止し、若年世帯の入居枠を都内全地域に拡大すること。
 一、都営住宅のバリアフリー化、アルミサッシ化、本人設置の給湯器、風呂釜、浴槽の公費による更新を促進し、公費による畳取りかえや、スイッチ、ガス栓などの修繕費負担区分見直しで、居住者負担を軽減すること。全ての住棟へのエレベーター設置を急ぐこと。また、共用部分の電灯のLED化など省エネ化を急ぐこと。
 一、公社一般賃貸住宅家賃の設定は、近傍同種ではなく、応能負担を基本とすること。また、バリアフリー化、窓枠やドアのアルミサッシ化、集会所等の増設などへの支援を拡充すること。階段室型住棟へのエレベーター設置を進めること。
 一、居住支援協議会については、都と住宅関連事業者、居住支援法人や居住支援に取り組む団体等が連携して、住宅確保要配慮者等の賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、積極的に助言や援助を進めること。また、区市町村の居住支援協議会の設置促進へ支援を強化すること。
 一、住宅に困窮している都民への直接の家賃補助制度を創設すること。
 一、全ての都民に居住権が保障されるようにすること。とりわけ、外国人、単身者、障害者、高齢者、ひとり親世帯、性的マイノリティーなどへの居住差別をなくし、安心して賃貸住宅を借りられるよう、公的な保証制度を確立すること。
 一、住宅リフォーム制度を都として実施すること。また、助成を実施する区市町村を支援すること。
 以上です。

○藤井委員 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された令和三年度予算案に係る議案について意見の開陳を行います。
 令和三年度予算案は、厳しい財政環境の中にあっても、都民の命を守ることを最優先としながら、東京の経済を支え、その先の未来を見据えて、都政に課せられた使命を確実に果たしていく予算と位置づけられています。
 しかし、この間、私たちが再三求めてきた、コロナ禍で拡大する格差や貧困問題に対しては、当該予算案ではまだまだ不十分であるとも考えます。今後、国に対する要請も含め、都民一人当たり十万円以上の定額給付金を初め、子育て家庭、とりわけ、ひとり親家庭に対する給付金の支給に取り組まれることを求めるものであります。
 あわせて、学校給食の無償化や家賃補助の拡充など都民の暮らしを底上げし、格差や貧困の解消に向けて積極的に取り組まれることを強く要望するものであります。
 他方で、今後の都財政は極めて厳しいかじ取りが予想されます。今回の組織改正によるデジタルサービス局の創設に伴い、行政改革の文言が見られなくなりました。財政も含め、東京の行財政改革が後退することのないよう、積極的な取り組みを求めるものであります。
 また、事業評価の見直しに当たっては、事業の見直し専門チームを設置するなど、より一層の歳出の精査を強化するとともに、新しい事業評価においても、外部の目を積極的に活用することを強く求めます。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について申し上げます。
 まず、都市整備局関係について申し上げます。
 一、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化については、都として、より一層の支援に取り組むとともに、特定緊急輸送道路と比べ補助率が低い一般緊急輸送道路沿道建築物の補助率を引き上げるなど、耐震化一〇〇%実現に向け取り組むこと。
 一、不燃化特区制度、木造密集地域整備事業、都市防災不燃化促進事業、防災生活道路整備促進事業などを実施し、震災時の被害を軽減できる災害に強いまちづくりを推進すること。
 一、都営地下鉄大江戸線の大泉学園方面への延伸を初め、六路線の整備に向けて取り組むこと。また、都心地下鉄新線などの構想路線の検討を進めること。
 一、満員電車ゼロについては、現在は結果的に混雑は緩和されているが、コロナ終息後にもとに戻らないよう、時間差料金制の調査検討を進めるなど、ユーザーの理解を得ながら、利用の平準化に取り組むこと。
 一、転落事故防止のため、鉄道駅へのホームドア設置を早急に促進するとともに、補助対象を拡大すること。ホームドア設置までの間、安全柵や転落感知装置などが設置されるよう都として支援すること。
 一、羽田空港の新飛行経路については、国に対して、固定化を避けるための取り組みを早急かつ具体的に進め、見直しを図るよう求めること。
 一、生産緑地の二〇二二年問題について、都市計画公園、緑地区域内の生産緑地を買い取る区市への支援を拡充するとともに、関係局等とも連携をし、区域内以外の生産緑地についても保全に取り組むこと。
 次に、住宅政策本部関係について申し上げます。
 一、低所得者やひとり親家庭等の住宅確保要配慮者の居住安定化を図るため、登録戸数をふやすとともに、住宅セーフティーネット機能の強化を図ること。とりわけ、家賃補助、家賃低廉化については、低所得かつ住宅に困窮する都民の多くに対し、平等な住宅政策となりますので、制度の構築、拡充に向けて取り組むこと。
 一、高齢者の住まい確保のため、サービスつき高齢者向け住宅供給助成を着実に実施すること。また、住宅確保要配慮者の居住を支援するため、地域の居住支援協議会の設置促進を図るとともに、直接的な支援につながる取り組みの情報を把握し、提供するなど運営充実を促すこと。
 一、空き家問題の未然防止のための環境整備や中古住宅の流通活性化など、東京都空き家総合対策を策定するなど、空き家対策を推進すること。また、空き家を地域活動の拠点として活用する場合のマッチングや支援体制を構築すること。
 一、住宅の耐震化を促進するため、診断及び耐震改修等への支援について補助制度の拡充を図ること。
 一、包括外部監査報告書でも指摘されたが、都営住宅の入居資格審査時及び入居後について、住宅または土地を所有していないことが直接的に確認することができる資産調査権限について、公営住宅法上、明確に位置づけるよう引き続き国に強く要望すること。
 一、都営住宅の募集のオンライン化に当たっては、過去数年の抽せん倍率や募集戸数、類似物件等を検索できるようにすることで、申し込み住戸の分散化を図り、より適切なマッチングとなるよう工夫すること。また、資格審査を効率化するなど、申し込みから入居までの期間を短縮すること。
 一、都営住宅に家族で入居し、その後、ひとり暮らしになる世帯に対する住みかえを促進すること。また、包括外部監査報告書でも指摘された都営住宅の近傍同種家賃の妥当性について検証すること。
 一、都営住宅の集会所等については、周辺の地域住民も含めた活用について積極的に検討すること。
 一、単身高齢者の見守りについては、システムの構築と実証を踏まえて都営住宅での具体的な活用が検討されるが、都営住宅入居者に対する不公平感を助長しないためにも、他の一般住宅も含めて、見守りシステムの普及に取り組むこと。
 以上で都議会立憲民主党を代表しての意見開陳を終わります。

○斉藤委員 無所属東京みらいを代表して、一般会計予算七兆五千六百五十一億円、特別会計や公営企業会計を合わせて十五兆二千九百九十五億円に上る令和三年度予算案について意見を申し述べます。
 新型コロナウイルス感染症との闘いが一年を超えました。一年前と比べれば、ウイルスの特性が次第にわかるようになり、感染症対策の基本である検査、追跡、隔離、そして、医療体制の強化が図られてきたことは重要です。
 今後は、これから本格化するワクチン接種を見据えた医療体制、さらには、変異株やリバウンドの兆候を早期に発見する検査体制の整備を行っていく必要があり、さらなる取り組みが求められます。
 一方で、コロナ禍による社会経済活動が縮小し、事業者や都民の暮らしに大きな影を落としています。緊急事態宣言の二週間の再延長による経済損失は七千億円ともいわれ、都内のコロナ解雇は三月十二日時点で二万一千八百三十七人となりました。加えて、昨年の全国の小中高生の自殺は過去最多の四百九十九人とのことであり、また、大学のオンライン化や行事の縮小、中止によって、学生時代の貴重な学びの機会が失われております。
 私たちは、選択と集中による健全な財政運営を求めてきましたが、こうした状況を鑑みれば、さらなる財政出動による経済の下支えが必要なタイミングを迎えているのではないかと考えるところであり、一人一人に届くセーフティーネットの強化を求めるものです。
 さて、来年度予算では、コロナ禍の先にある、誰もが輝ける、世界から選ばれる東京をつくり出すために、社会の構造改革に取り組む内容が数多く見られることは重要です。
 一方で、社会の構造改革を進めるには、これまで当たり前とされてきた仕組みや制度を変えること、規制改革がより一層重要です。社会を変える方法は予算措置だけではありません。今後、厳しい財政局面を迎える可能性を念頭に、国と区市町村との役割分担や民間との協働を進め、都庁がなすべきものを見きわめ、注力するよう求めるものです。
 ここからは、各局について述べさせていただきます。
 都市整備局関係について申し上げます。
 コロナ禍で、これまで東京が強みとしてきた集積の価値が変わる中にあっても、世界の都市間競争に打ち勝つことができるよう、新たな強みを見出した上で戦略的なまちづくりを進めていくこと。
 自動運転やロボット、AI等の技術革新を見据えた規制改革を積極的に進め、スマート東京の実現に向けた取り組みを関係局と連携して取り組むこと。
 多摩ニュータウンにおいて、若い世代の転入と多世代交流を促す施策を推進し、地域の活性化につなげていくこと。その際、住民が主体的にまちづくりに参加するよう働きかけを行うこと。
 多摩のイノベーション創出に当たっては、市町村自身が気づいていない魅力を引き出すとともに、公民学連携によるまちづくりの推進体制を構築すること。
 鉄道駅の安全性と快適性を高めるため、エレベーター、多機能トイレの整備などのバリアフリー化をより一層進めていくこと。その際、障害者や高齢者、子供連れなどの当事者による点検も進めていくこと。
 多摩モノレールの延伸の検討においては、沿線のまちづくりと連動した取り組みにより、未来の交通モードを念頭に検討を進めること。
 地域公共交通のあり方の検討に際し、コミュニティバスを初めとした地域交通の持続可能性の確保に向け、多様な分野間の緊密な連携を促進し、補助金に頼らない新たな事業スキーム構築を支援すること。
 東京の国際競争力向上に資する羽田空港の機能強化については、国による固定化回避にかかわる検討を注視しつつ、引き続き、地域住民の安全・安心に十分配慮する対策を国に求めること。
 羽田空港アクセス線については、早期整備に向け、事業者の取り組みを力強く後押ししていくこと。
 東京ベイeSGプロジェクトと東京ベイエリアビジョンを整理するに当たっては、官民連携チームからの提言を生かすこと。
 都市の事前復興の理念に基づき、区市町村と連携した復興訓練に取り組むこと。その際、財政的な裏づけを初め、関係各局との事前の連携を強化すること。
 豪雨災害への備えとして、雨水浸透ますの設置などを周知し、都民自身ができる取り組みを促進すること。
 雑用水利用を初め、水の有効利用の促進に向け、積極的に事業者への周知を図ること。
 都市の緑を充実していくに当たっては、多様な主体と連携した取り組みを推進し、質の高い緑を創出していくこと。
 まちづくりに係る長期計画等を策定する際は、子供本人の目線や意見が反映されるよう、積極的な意見の集約に努めること。
 新宿駅西口再開発については、地域と連携し、再エネ電力共有に向けた取り組みを推進すること。また、子供や子育て世帯、高齢者や障害のある方が回遊しやすいようバリアフリー化を推進すること。
 都市における芸術や文化の魅力創出に向けて、地域の景観形成につながる歴史的建造物の保存などに区市町村と連携し取り組んでいくこと。
 次に、住宅政策本部関係について申し上げます。
 空き家の増加やマンションの老朽化といった、住宅そのものが抱える課題への対策を進めるとともに、コミュニティの形成や就労の支援、再犯の防止など、都政を取り巻く諸課題の解決に向けて、住宅という観点から積極的に取り組むこと。
 コロナ禍を契機に、地域で働き地域で暮らす機運も高まる中、民間空き家対策東京モデル支援事業を初め、地域の空き家対策に取り組むとともに、区市町村や事業者の取り組みを支援すること。
 東京都性自認及び性的指向に関する基本計画を踏まえ、ほかの自治体における動向や課題等を調査検討し、都営住宅において同性パートナーが入居できるようにすること。
 都営住宅において、多世代共生が実現するよう、若年ファミリーの入居期間を延長する、大学との連携を強化するなどの取り組みを進めること。
 都営住宅の若年ファミリー向け定期使用住宅の確保と、当事者へのわかりやすい周知を行い、コロナ禍において生活困窮に陥るひとり親、子育て世帯への住宅確保支援に努めること。
 コロナ禍特別支援住宅の周知に努めるとともに、世帯収入の条件の緩和なども含め検討し、解雇や失業等で困窮する方の住居確保を支援すること。
 重度の障害があり、介助を必須とする方が都営住宅へ入居を希望する際、困窮度に応じ合理的配慮を講ずること。多摩地域における単身者用の住戸あっせん基準の緩和を継続すること。
 都営住宅や公社住宅の居住者の高齢化などを踏まえ、買い物弱者支援や移動支援を積極的に進めること。
 東京みんなでサロンを実施する上では、食や健康、防災といったさまざまなテーマで開催することで、新たなコミュニティ形成に資する取り組みとすること。また、コロナ禍においても、非対面の取り組みも含め、継続すること。
 連帯保証人や身元保証人のいない方がセーフティーネット住宅への入居ができるよう、身元保証代行サービスの提供を行う安心居住パッケージ事業を進め、児童養護施設退所者支援や若年被害女性支援、DV被害者支援などに取り組む民間団体等に制度の周知を図ること。
 都営住宅跡地や建設中などの都有地については、地域住民のニーズに即した活用が図られるよう、丁寧かつ適切に取り組むこと。
 マンション再生、団地再生についての検討を行う区市町村を支援すること。
 住宅供給公社は、政策連携団体としての役割を果たすべく、適切に顧客満足度やニーズをはかり、業務改善に生かしていくこと。ガバナンスコードを策定し、守るべき原則や指針を公表することで組織のガバナンス強化を図ること。
 東京都住宅供給公社及び都営住宅の敷地を活用した次世代交通の実証実験に積極的に取り組むとともに、そこで得られたデータやノウハウを区市町村に対し広く提供すること。
 以上で意見開陳を終わります。

○米川委員長 以上で予算案に対する意見開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見については、委員長において調査報告書として取りまとめの上、議長に提出いたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○米川委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第四十三号議案から第四十五号議案まで及び議員提出議案第二号を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○曽根委員 第四十五号議案、東京都市計画事業新宿駅直近地区土地区画整理事業施行規程について、日本共産党の意見を述べます。
 本区画整理事業は、駅周辺の再開発事業と一体的に、駅の東西をつなぐ線路上空のデッキや南北デッキの新設、加えて、西口及び東口駅前広場の再編などを都施行で行うものですが、個人の地権者はおらず、全て鉄道事業者による開発です。
 本区画整理事業は、計画段階から新宿駅に乗り入れる鉄道事業者が、いわゆる駅ナカ商法と同様に、超巨大な新宿駅の乗降客の流れをみずからの商業施設に有利にコントロールすることで、圧倒的な優位に立つことを可能とするまちづくり手法であり、これを都が施行者として推進することに対し、周辺の商店街振興会から、お客さんが減ることへの懸念の声と、周辺地域に説明がされていないことへの批判が上がっているものです。
 また、バスやタクシー利用者の利便や駅周辺の交通環境がどうなるのか、新たな渋滞の原因にならないのかなど、多くの危惧の声が上がっています。大手鉄道事業者が駅と周辺地区の再編によって、ただでさえ苦しい地域商業にさらに打撃を与えるようなことは、公共交通機関を担う大企業として許されないことであり、地域住民や商業者との合意が余りにおろそかにされている本事業については、改めて、住民合意づくりに立ち返って抜本的に見直すよう求め、本条例案には反対するものです。
 以上です。

○米川委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、議員提出議案第二号を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○米川委員長 起立少数と認めます。よって、議員提出議案第二号は否決されました。
 次に、第四十五号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○米川委員長 起立多数と認めます。よって、第四十五号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第四十三号議案及び第四十四号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認めます。よって、第四十三号議案及び第四十四号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○米川委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○米川委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、上野東京都技監から発言を求められておりますので、これを許します。

○上野東京都技監 一言御礼のご挨拶を申し上げます。
 このたびの定例会に提案いたしました議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。
 米川委員長を初め委員の皆様方には、熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程でいただきましたご意見、ご指摘等につきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいりたいと考えております。
 今後とも、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、大変簡単ではございますが、御礼のご挨拶とさせていただきます。まことにありがとうございました。

○米川委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十五分散会

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