委員長 | 米川大二郎君 |
副委員長 | 鈴木 章浩君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 高橋 信博君 |
理事 | 上野 和彦君 |
理事 | 小山くにひこ君 |
藤井とものり君 | |
保坂まさひろ君 | |
斉藤れいな君 | |
森口つかさ君 | |
曽根はじめ君 | |
中山 信行君 | |
鈴木 邦和君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 東京都技監都市整備局長技監兼務 | 上野 雄一君 |
次長 | 桜井 政人君 | |
技監 | 福田 至君 | |
理事 | 安部 文洋君 | |
総務部長 | 木村 健治君 | |
都市づくり政策部長 | 小野 幹雄君 | |
都市基盤部長特命担当部長兼務 | 谷崎 馨一君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
市街地建築部長 | 山崎 弘人君 | |
基地対策部長 | 三木 暁朗君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 三宮 隆君 | |
まちづくり推進担当部長 | 吉野 敏郎君 | |
景観・プロジェクト担当部長 | 中山 衛君 | |
交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 | 三木 健君 | |
地域公共交通担当部長 | 江端 治朗君 | |
防災都市づくり担当部長 | 鈴木 理君 | |
耐震化推進担当部長 | 青木 成昭君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 泉水 一君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備局所管分
・第十四号議案 令和三年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 令和三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十号議案 令和三年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十三号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第四十四号議案 高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の一部を改正する条例
・第四十五号議案 東京都市計画事業新宿駅直近地区土地区画整理事業施行規程
報告事項(質疑)
・自転車活用推進計画の改定について
・耐震改修促進計画の一部改定について
・東京高速道路(KK線)の再生方針(案)について
○米川委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十四号議案、第十七号議案、第二十号議案、第四十三号議案から第四十五号議案まで及び報告事項、自転車活用推進計画の改定について外二件を一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○木村総務部長 去る二月十六日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料(二月十六日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。資料は八件ございます。
一ページをお開き願います。1、首都高速道路に対する出資金の推移(過去十年間)でございます。
平成二十二年度から令和元年度までの出資金について、年度別に記載してございます。
二ページをごらんください。2、東京における航空機能に関する調査テーマ一覧(過去五年間)でございます。
(1)、東京における航空機能に関する調査及び(2)、横田基地軍民共用化に関する調査について、平成二十七年度から令和元年度までの調査テーマを年度別に記載してございます。
三ページをお開き願います。3、特定整備路線の進捗状況及び事業施行期間(都市整備局施行)でございます。
特定整備路線の境界立ち会い率及び用地取得率の進捗状況並びに事業施行期間について、路線別に記載してございます。
四ページをごらんください。4、特定整備路線の予算・決算額の推移(都市整備局施行)(平成二十五年度〜令和三年度)でございます。
平成二十五年度から令和三年度までの予算額及び決算額について、年度別に記載してございます。
五ページをお開き願います。5、都及び区市町村が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧でございます。
(1)、耐震診断につきましては、五ページから一〇ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額、補助率を記載してございます。
一一ページをお開き願います。(2)、耐震改修につきましては、一一ページから一九ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額または融資限度額、補助率または利子補給率を記載してございます。
二〇ページをお開きください。6、都が支援する区市町村の耐震化促進普及啓発活動事業一覧でございます。
二〇ページから二二ページにかけまして、今年度、都の助成対象事業となっている区市町村の普及啓発事業を、緊急輸送道路沿道建築物を対象とした事業と、その他の事業の別に記載してございます。
二三ページをお開き願います。7、生産緑地地区の区市別面積(過去五年間)でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの区市別の生産緑地地区の面積を記載してございます。
二四ページをごらんください。8、都内の米軍施設返還に関する要請・申入れ(過去十年間)でございます。
平成二十三年度から令和二年度までの要請、申し入れ先及び件名を年度別に記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○米川委員長 説明は終わりました。
これより、ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○保坂委員 私からは、まず、耐震改修促進計画について質問をいたします。
先日、二月十三日、東北で震度六、東京都でも震度四の地震が発生したことで、気象庁は、以後数週間、大きな地震に注意するよう呼びかけました。
首都圏では、今後三十年以内に七〇%の確率でマグニチュード七・三の首都直下地震が発生すると想定されており、今回の地震でさらにその確率が高まったともいわれています。だからこそ、今回の東京都耐震改修促進計画、この一部改定は、都民の命と財産だけでなく、首都機能を維持するためにも、着実かつ速やかに進めていくことが大変重要であります。
そこでまず、住宅の耐震化について伺ってまいります。
所有者に積極的な働きかけを行う区市町村を対象としました住宅の耐震改修などに対する助成につきまして、令和三年度から除却に要する費用についても助成対象とするとのことでありますが、その理由を伺います。そしてあわせて、その助成内容についても伺います。
○青木耐震化推進担当部長 旧耐震基準の戸建て住宅等は築後四十年以上となり、老朽化が進んでいます。除却も助成の対象としています整備地域内助成においては、除却の件数が約七割を占め、耐震改修や建てかえを大きく上回っています。また、区市町村から、戸建て住宅等助成においても除却を対象にすべきとの要望が寄せられていました。
このため、令和三年度から、除却を助成の対象として追加することにより、所有者の耐震化の選択肢をふやすことにしました。例えば、二百万円の除却工事の場合ですと、助成額は百三万円になりまして、除却による耐震化が促進されると見込んでおります。
○保坂委員 今ご回答いただきました除却費用の助成に対するニーズにつきましては、実際私も地元の方から幾つか相談をいただいておりますので、効果が期待されます。ぜひ積極的なPRも含めて進めていただきたいと思います。
都営住宅や都住宅供給公社住宅は、耐震化率がそれぞれ九五・九%と九九・五%あるにもかかわらず、主な公共住宅全般の耐震化率は九一・九%にとどまっていますが、原因は何かを伺います。
○青木耐震化推進担当部長 主な公共住宅については、都営住宅や住宅供給公社の賃貸住宅のほかに、区市町村営住宅及びUR賃貸住宅を含みます。
区市町村営住宅の耐震化率は九八・五%ですが、UR賃貸住宅の耐震化率は八一・四%にとどまっており、この結果、主な公共住宅の全体の耐震化率は九一・九%となっております。
○保坂委員 今お答えいただきましたURの耐震化率につきまして、全建築物の戸数は、都営住宅の約二十五万戸に次ぐ約十六万戸とURは非常に多いことから、令和七年度までに耐震化を完了させるのは容易ではないことがわかります。
そこで、URは今後の耐震化についてどう見通しを立てているのでしょうか。また、今後、都として、URにどう働きかけていくのかを伺います。
○青木耐震化推進担当部長 都内のUR賃貸住宅の耐震化に関する計画は示されていませんが、今後、都としまして、URに対して計画について情報提供を求め、着実に耐震化を進めるよう働きかけてまいります。
○保坂委員 くれぐれもよろしくお願いします。URは非常に戸数が多いということ、一棟に幾つも戸数があるというマンモスな住宅でもありますので、その分大変だということですが、情報開示も含めてお願いします。
続いて、特定建築物について伺います。
目標は、令和七年度末までに耐震化率を九五%に掲げておりますが、現在八八・四%と目標達成に向けて容易ではないことは、これも見てとれます。
公共の建築物や福祉施設は九〇%以上である一方で、不特定多数の者が利用する百貨店、ホテル、劇場や事務所や店舗が入ったビルといった建築物は八〇%台、大規模建築物に関しましては七〇%台を推移している状況は大変深刻ではないでしょうか。
そこで、特定建築物の耐震化を進めていくため、建築物を所有する事業者などを対象としました新たな取り組みについても検討すべきだと考えますが、見解を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 特定建築物のうち、学校や病院など公共性の高い建築物については重点的に取り組んできており、引き続き所有者への働きかけを強化してまいります。
また、令和三年度からは、事務所や店舗等についても新たに建築士や弁護士などのアドバイザーを派遣するなどの支援を行い、特定建築物の耐震化をさらに進めてまいります。
○保坂委員 公共建築物よりも、やはり事業者や店舗が入る建築物の方が何かと大変だということはわかりました。ぜひ、新たなアドバイザー派遣を利用していただけるよう、積極的に働きをかけて、耐震化へのめどが立てられますよう進めていただきたいと思います。
特に大規模建築物のうち百貨店やホテルなどに関しては、耐震性を有しない建築物は二桁と少ないとはいえ、都心部に存在する建物も多数ありますことから、大きな地震が発生した場合のリスクもはかり知れません。
こうした影響力のある建物につきましては、耐震化の取り組み状況をさらに積極的に公表することで、都民への情報提供をさらに進めていくことも必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 都は、耐震改修促進法に基づき耐震診断が義務づけられている大規模建築物などを対象として、都が所管する建築物の耐震診断結果を平成三十年三月から耐震ポータルサイトにて公表しています。
また、耐震改修工事の着手や完了の報告があった場合は、この公表内容を随時更新しておりまして、今後はツイッターで更新したことをお知らせすることなどによりまして、情報提供をさらに進めてまいります。
○保坂委員 今、ツイッターでも発信をいただけるという力強い答弁をいただきましたので、ぜひよろしくお願いします。公開内容、この更新時にも積極的に更新したことを発信していくことが注意喚起にもつながっていきますので、重ねてお願いします。
さらに、周辺住民に対しましては、地元自治体と連携して、倒壊リスクの情報が周知されるよう努めていただきたいと重ねて要望しておきます。
最後に、一般緊急輸送道路沿道建築物について伺います。
昨年十一月五日の本委員会におきまして、一般緊急輸送道路沿道建築物につきまして、耐震改修などのさらなる支援拡充も検討を進めていくべきと指摘をしました。都からは、今後とも、耐震化への支援のあり方について検討していくと答弁をいただいております。
そこで、今年度末に改定する耐震改修促進計画にはどのような取り組みが示されているのか伺います。
○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路の震災時の通行機能確保に合わせ、一般緊急輸送道路の機能を向上させることは、災害に強い都市を実現する上で有効であり、これまでも、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に取り組んできました。
令和二年度には、テナントビル等の耐震改修等に対する助成額の加算を行いました。さらに令和三年度からは、特に倒壊の危険性が高い建築物の耐震改修等に対する助成単価の引き上げや、新たにアドバイザーによる耐震改修計画の提案を行うなど、支援を強化することとしております。
○保坂委員 今お答えいただきましたが、一般緊急輸送道路沿道建築物の支援の強化策として、特定緊急輸送道路の建物所有者に、現在実施していますアドバイザーによる図面の作成などの改修計画作成をサポートすると。この支援を一般にもしていただけるという回答をいただきました。大変に心強いです。
引き続き、こうした新しい支援策の周知も含めて、耐震化の一層の促進に努めていただくよう要望して、次の質問に移ります。
続いて、木造住宅密集地域の整備促進についてを伺っていきます。
私は、昨年の事務事業質疑にて、これまでの木密地域の改善の取り組みについて確認し、支援拡充の工夫などにより、助成件数が伸びるなどの成果が上がっていることが確認できました。
都は、不燃化特区制度の活用の取り組みをさらに五年間継続するとのことであります。先日、我が会派の代表質問でも、不燃化特区の地区指定の見直しや支援拡充を求めました。
そこで、令和三年度以降の不燃化特区につきまして、新規地区を含む区域の変更を行うとのことでありますが、具体的にどのようになるのか伺います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 不燃化特区は、早期に防災性の向上を図るべき地域を区からの申請に基づき都が指定しており、これまで、十九区の五十三地区、約三千二百十ヘクタールにおいて、老朽建築物の建てかえや除却への助成、固定資産税等の減免などの特別な支援を行っております。
令和三年度以降の不燃化特区の指定については、地元区と不燃化の進捗状況や地域の実情、今後の取り組み内容を確認しながら調整を進めてまいりました。
調整したその結果、現在の不燃化特区の地区につきまして、完了地区を外し、それ以外のさらなる改善が必要な地区では取り組みを強化、継続するほか、まちづくりの機運の高まりなどを踏まえまして、一地区で新たに取り組みを開始、七地区におきまして区域を拡大するなど、地区を見直すことといたしました。
来年度からは、十九区の五十二地区、約三千三百五十ヘクタールにおいて、不燃化特区の取り組みを展開していく予定でございます。
○保坂委員 不燃化特区制度の継続に当たり、今後も都が区の取り組みの一層の充実に向けて誘導していくことは大変重要です。先日の代表質問への答弁では、無接道敷地の解消に向けた専門家派遣にかかわる支援の新設を行うとのことでありましたが、具体の内容と今後の取り組みについて伺います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 都は、老朽建築物の建てかえ、除却への助成など、従来よりも踏み込んだ特別な支援により不燃化に取り組んでまいりましたが、道路に面していない敷地が多い街区を抱え、老朽建築物の建てかえが進まず、改善がおくれている地域もございます。
このような街区において不燃化を進めるためには、無接道敷地を含め、共同化や敷地整序などにより、一体的な改善を図っていくことが必要であり、無接道敷地の解消に向けて専門家を活用する区の取り組みを支援する制度を新設いたしました。
専門家の派遣により、関係権利者相互の意向を踏まえた改善策を提案し、合意形成を進めるなど、個々の権利者だけでは解決が困難な課題に対し、きめ細やかな支援を行うことが可能となります。
なお、来年度は大田区、渋谷区、荒川区におきまして、この専門家派遣制度を活用する予定でございます。
○保坂委員 一方で、地域によりましては防災性の向上が進まず、改善が容易ではない地域もあります。このような地域では、小さなことでもできることを進めていくべきではないでしょうか。
例えば、延焼遮断までいかない小規模の土地を確保し、建物を建てずに広場や敷地整序に使うことにより、木密地域の改善に寄与すると考えますが、見解を伺います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 木密地域の改善に向けては、無接道敷地など建てかえによる不燃化が進まない街区において空地を確保し、これを活用することで敷地整序や共同化、広場の整備などを行うことが有効でございます。
このため、区による公有地取得に対する支援を行っており、これを活用することで防災上有効な広場や公園整備などが進められております。さらに、無接道敷地を有する街区の改善に向けて、取得した空地も活用して、敷地整序などが進められるよう、来年度から新たに専門家派遣を行うことといたしました。
このような、さまざまな支援メニューの活用による土地の確保、活用を区に促すことで、不燃化が進まない街区の改善を図ってまいります。
○保坂委員 まさに私の地元台東区谷中でも、不燃化特区内の拡幅道路におきまして、土地の取得とともに、ポケットパークを整備することも計画しておりますので、引き続き支援をよろしくお願いします。
昨年の事務事業質疑では、新しい取り組みを広げていくことの重要性を確認いたしました。都は、魅力的な住宅市街地への再生や建てかえ促進に向けたモデル的な取り組みを行う区を支援しており、今年度は、私の地元台東区と渋谷区が取り組んでおりますが、その状況について伺います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 都は今年度、木密地域不燃化促進支援モデル事業として、地域特性を生かした魅力的なまち並みの住宅市街地への再生に取り組む台東区と渋谷区を支援しております。
台東区は谷中地区を対象とし、景観上保存すべき建物の調査を行うとともに、景観の形成を図りながら不燃化を進めていくための検討、ワークショップ、住民アンケートを行うなど、今後のガイドラインの策定に向けた取り組みを進めております。
渋谷区は本町地区を対象とし、防災性の視点に加えまして、暮らしの豊かさや多様な生き方等の視点も含めたまちづくりを行うための本町地区防災都市づくりグランドデザインの素案を取りまとめました。
今後も、区と連携しながら地域特性を生かし、防災性の向上と魅力的なまち並みの住宅市街地の再生の実現を目指してまいります。
○保坂委員 私も台東区の谷中地区まちづくり協議会にたびたび参加し、長年議論の推移を見守っております。昨年は、谷中地区計画策定とともに都市計画道路の廃止を実現しました。さらに、防災だけでなく、下町谷中のまち並みを守っていくため、景観形成ガイドライン策定への取り組みにも、引き続き都のご支援をお願いします。
我が会派の代表質問において、防災都市づくり推進計画について、都は地元区と調整を行い、今月末までに整備プログラムを取りまとめるとのことでありましたが、その状況について伺います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 都は、木密地域の改善を一段と加速させるため、昨年三月に改定いたしました防災都市づくり推進計画の基本方針に基づき、今月末に整備プログラムを改定することとしております。
改定に向けては、区との協議会などを通じ、区の事業の計画について調整を行ってきており、現在その調整が完了し、取りまとめを行っているところでございます。
整備プログラムには、先ほど答弁いたしました無接道敷地における不燃化建てかえ促進、地域特性を生かしたまち並みの市街地への再生などの新たな取り組みを含め、整備地域ごとの効果的な事業展開について盛り込む予定でございます。
今後、この新たに策定する整備プログラムに基づき、区と連携しながら、計画に掲げる不燃領域率七〇%の目標達成に向け、整備地域の改善に取り組んでまいります。
○保坂委員 次の五年間で何としても結果を出していくために、これまでの課題を整理し、区市町村へのさらなる支援と連携は必要不可欠であることが確認できました。
引き続き、整備プログラムに基づき、区市町村と連携して、整備地域の改善に向けて全力で取り組んでいただくよう要望します。さらに、定期的な進捗管理も徹底されますよう要望して、次の質問に移ります。
続きまして、水害への取り組みについて伺います。
令和三年度の局予算案の主要事業として、災害に強い首都東京の形成に向けた検討に約二千五百万円計上されております。
この内容については、私の地元台東区が、荒川の破堤などにより大規模な浸水リスクが高いことから注目してきたところであり、昨年の常任委員会でも質問を行いましたが、これに引き続き計上されました費用の用途など、幾つか確認したいと思います。
都は、国と都の実務者による会議を立ち上げて、木密地域での震災対策や東部低地帯での大規模水害対策につきまして、改めて検討を進めてきました。このことについては、昨年の委員会で確認したところではありますが、この中で、年内に取りまとめを行うとの答弁をいただきました。
そこで、まず確認しますが、この会議での水害に関する取りまとめの内容はどのようなものでしょうか、これまでの会議の経緯とあわせて伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都は、防災まちづくりを強力に推進していくために、災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議を国とともに昨年一月に設置し、地元区などから意見をいただきながら、東部低地帯の水害対策などについて検討を進め、九月に中間まとめを公表し、パブリックコメントにより、広く意見を募集した上で、十二月にビジョンを取りまとめました。
ビジョンには、安全性の高い高台まちづくりを進める具体的な方策として、土地区画整理、公園、高規格堤防等の整備による高台づくりや、避難スペースを確保した建築物の整備、建築物から浸水区域外への移動を可能とする通路の整備などを示しております。
○保坂委員 ただいまの答弁で、避難スペースを確保した建築物を整備、確保することはこの会議での検討の一つとのことでありますが、マンションなど、民間の高層建築での垂直避難ができるスペースを確保することは、万が一の大規模水害に備えて大変重要です。このことは昨年の委員会でも指摘しましたが、これに対して都は、都市開発諸制度の見直しについても検討するとの答弁でした。
また、昨年の第四回定例会におきまして、我が会派の議員の質問に、年内をめどに本制度を改正するとの答弁をされ、十二月末に制度改正を行いました。
そこで、大規模水害時の対応としまして、どのような制度改正を行ったのかを伺います。
○小野都市づくり政策部長 都はこれまでも、容積緩和を可能とする都市開発諸制度を活用し、開発区域内での帰宅困難者滞在施設等の整備を推進してまいりました。
昨年の改正では、大規模水害時に東部低地帯において、命の安全を確保する避難スペース等の整備を促進するため、開発区域内外における一時避難施設や避難に有効なデッキ等の整備、高台公園の整備などを公共的な貢献として評価し、容積率を緩和することといたしました。
今後は、本制度が積極的に活用されるよう周知を図るとともに、地元区とも連携しながら、民間開発を効果的に誘導してまいります。
○保坂委員 この改正によりまして、水害対策に備えて地元区が用意する小中学校などの公共施設だけでなく、再開発の機会を捉えて、民間での協力のもとで、避難施設の確保が進められることになります。いつ起こるかわからない災害に対して、できることから速やかに対応していくことは大変重要であります。
国との会議では、こうした課題を一つ一つ洗い出して、効果的な方策を提案されておりますが、昨年十二月に公表されました会議資料を見ますと、これで終了ということではないとのことです。昨年十二月の会議には、小池知事や赤羽国交大臣も出席されまして、今後の会議の進め方についても言及をされたとの報道もありました。
では、ビジョンに示した方策につきまして、今後この会議をどのように進めていくのか、来年度予算案に計上されております約二千五百万円の用途とあわせて伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 ビジョンにおいて、先ほど答弁したような高台まちづくりの取り組み方策を具体的な地域で実践していくため、モデル地区を設定して検討することといたしました。今後こうした取り組み方策について、地区特性を踏まえた適正を図るため、連絡会議のもとに、地元区も含めたワーキンググループを設置し、地域の避難計画と連携しながら、モデル地区ごとに検討を進めてまいります。
また、こうした高台まちづくりの取り組み方策の検討を行うために必要な経費を、来年度予算案に計上しております。
○保坂委員 ただいまモデル地区という話がありました。昨年末に公表された連絡会議の取りまとめとなる災害に強い首都「東京」形成ビジョンを見ると、幾つかのモデル地区が掲載されております。
そこで、このモデル地区はどのように選定されたのか、また、モデル地区を設定し、検討を進める意義はどのような点にあるのか、伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 モデル地区につきましては、東部低地帯の荒川沿川七区の意向などを踏まえ、先行的に高台まちづくりの実践等に向けて検討する地区を選定いたしました。
モデル地区において検討を進める中で、抽出した課題に対して、制度の充実を国に働きかけることなどで、事業者への支援につなげることが可能になります。
○保坂委員 高台まちづくり、国や都だけの事業ではなく、地元区や民間地権者などが事業者となることもあります。こうしたことから、高台の事業実施に当たっては、これまで以上の事業者支援が必要です。モデル地区を一つのサンプルに、事業実施に当たっての課題を検証し、どのような支援が求められているのかを確認し、国や都ができる支援を積極的に行うことが不可欠であります。
こうした取り組みを通じて、モデル地区を設定しない範囲でも、水害対策に必要な事業を実施する場合に展開できるようにしていただきたいと要望します。
また、昨年の委員会質疑でも指摘しましたが、水害対策を進める上で、堤防の強化や調節池などの治水施設の整備は不可欠であり、それには地元区との連携が大変重要となることも少なくありません。
これは一例ですが、私の地元台東区でも、民間事業者の協力もいただきながら、隅田川でスーパー堤防整備やテラス整備が進められています。同じく東部低地帯である川上の荒川区では、汐入地区での整備がまちづくりと一体となり、長年にわたって進められてきました。最近では、昨年、墨田区両国にリバーセンター整備事業として、民間活力を用いて、都と墨田区が連携して完成をさせ、区の水害対策が強化され、地域に今、親しまれております。
顧みて我が台東区では、隅田川沿いに大規模な区の管理地があり、スーパー堤防整備などの水害対策に区民の大きな関心が寄せられています。この地区での事業促進については、事業者である建設局にも申し入れているところではありますが、このように地元区と連携を図ることも事業促進には必要であります。
また、治水施設の整備を進める上で、事業地、その周辺の方々や地権者となる方の事業に対する理解を促進する努力が、事業者となる国や都に求められています。今回公表した会議での取りまとめでも、意識啓発などの取り組みにも言及されております。
そこで伺いますが、この会議を通じて、高規格堤防と区画整理の一体施行による高台まちづくりを着実に進めていくため、今後、意識啓発や地権者の理解促進をより積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 高規格堤防と土地区画整理事業の一体施行を含めまして、高台まちづくりを進めるためには、地権者等の意識啓発や理解促進に努めることが重要でございます。具体的には、高規格堤防等の高台まちづくりの必要性や効果について、国や都区などの関係機関が連携し、周知、説明、意見交換などを丁寧に進めることとしております。
また、地権者の理解を促すために、事業の際の負担を軽減することが有効でございます。例えば、高規格堤防の整備に当たって現状では、盛り土前に移転し、完成後に戻ってくる二度移転が必要となり、住民等の負担が大きくなることから、既存堤防の市街地側の斜面を盛り土した用地などを種地として確保し、移転用に活用するなど、二度移転解消につながる手法や仕組みを検討し、その結果を適宜丁寧に周知してまいります。
こうした取り組みによりまして、地権者の理解を得ながら、高台まちづくりを進めてまいります。
○保坂委員 一昨年、各地に甚大な被害をもたらした台風十九号は、利根川水系でも氾濫寸前までに至りました。八ッ場ダムが効果を発揮して、首都圏への被害を防ぐこともできました。試験湛水直後で、ダムの水位が低かったとやゆする声もありましたが、ダムを管理する国などは、台風などによる水害発生が予測される場合には、事前放流により、あらかじめダムの水位を下げる、こうした運用を開始するとしています。
昨今、台風などの規模が大きくなっているとの指摘がある中で、堤防や調節池などの治水施設を計画的に整備するとともに、都民の命を守るため、今回、都と国が示した高台まちづくりを着実かつ迅速に進めることが必要であります。
今後、地元との合意形成に十分配慮されながら、高台まちづくりや治水施設の整備促進が図られるよう要望をしまして、次のテーマに入ります。
続いて、都心部、臨海地域交通について質問をします。
私は昨年の事務事業質疑にて、築地まちづくり方針にも盛り込まれました都心部・臨海地域地下鉄構想実現のため、近隣のつくばエクスプレスの東京駅延伸計画によります相乗効果の期待について質問をしました。
つくばエクスプレスの延伸については、国も国際競争力強化の拠点であるつくば国際戦略総合特区を含む沿線地域と都心とのアクセス、利便性の向上などの効果を示していることは大変重要な視点であることは、前回確認したところであります。
その後、先月の今定例会本会議にて、我が党が臨海地下鉄構想の具体化を加速すべきと質問したところ、知事からは、その重要性を述べられ、国の審議会での議論が始まる機会を捉えて、知事みずから国交大臣に対し具体化に向けて要請し、審議会での議論を踏まえ、国や地元区など関係者間で連携して、構想の具体化に向けた取り組みを加速させると述べられました。
そこでまず、一月よりスタートしている国の審議会での審議内容及びスケジュールについて伺います。また、その審議に当たって、臨海地下鉄構想がどのような扱いとなっているのか、あわせて伺います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 国は、本年一月、交通政策審議会の下に東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会を設置し、東京圏における地下鉄ネットワークについて、今日的視点から検証を行い、今後の地下鉄ネットワークのあり方等について議論することとしております。
この小委員会は五回程度の開催が予定されており、本年七月ごろを目途に答申案が審議される予定となってございます。
小委員会での、今後の地下鉄ネットワークのあり方についての議論に向け、都心部・臨海地域地下鉄構想は、交通政策審議会答申第百九十八号に位置づけられた地下鉄プロジェクトとして例示されてございます。
○保坂委員 今お答えで、答申案は七月をめどに審議される予定ということが確認できました。引き続き、現在開催されている小委員会の推移も注視していただくよう要望します。
審議会での議論も始まりましたが、臨海地下鉄構想の具体化に向けて、都としてどのように取り組んでいくのかを伺います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 臨海地下鉄構想は、国際競争力の強化に資する路線であり、都心部と、開発が進む臨海地域をつなぐ基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割を有しております。とりわけ、大いなるポテンシャルを有するベイエリアにおいて鉄道網を充実することは、東京を持続可能な都市にしていく上で重要であり、ひいては日本の成長を確かなものにつなげることになります。
一方、本路線につきましては、事業化に向けた路線への位置づけ等の課題があることから、本年一月、審議会での議論が始まる機会を捉え、こうした課題解決に向けた検討がなされるよう、都として、国に対し要請したところでございます。
審議会での議論も踏まえ、国や地元区など関係者間で連携して、事業計画の検討を進めるなど、構想の具体化を加速してまいります。
○保坂委員 臨海地下鉄構想の実現に向けて、今後の取り組みとともに、決意なるものを聞かせていただきました。引き続き、よろしくお願いします。
最後になりますが、事業の将来性はもちろん、利便性、採算性を考えたとき、かねてから計画があり、都が主要株主でもありますつくばエクスプレスの秋葉原駅から東京駅への延伸計画との連携も念頭に入れて検討していくことが重要ではないかと考えますが、見解を伺います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 臨海地下鉄構想につきましては、国の答申第百九十八号において、本路線とつくばエクスプレスの東京駅へ延伸との一体整備や、東京駅付近において相互直通運転を行うことにより、既存路線の混雑緩和や速達性の向上などの効果が大きいことが示されており、事業性の確保に向けて、一体整備や直通運転化等を含めた事業計画について検討が行われることを期待とされております。
都といたしましては、同答申や審議会での議論も踏まえまして、今後、関係者間で連携して事業計画の検討を進める際には、つくばエクスプレスとの接続の可能性も含めて検討するなど、構想の具体化を加速してまいります。
○保坂委員 都がこうした活動を積極的に進めることで、周辺の関連自治体や鉄道事業者も、関心をさらに高めていくことは想像にかたくありません。
そこで、大きな注目を集めている関連事業がまさに、都が進める大型開発、築地まちづくりです。この築地まちづくりをさらに価値あるものにしていくためにも、鉄道新線は大変重要な事業であり、今後、具体的な中身が固まってくれば、さらに実現性を増してくると考えます。
またさらに、東京の将来にとっても最も重要なまちづくり構想であるベイエリアビジョンをより確かなものにしていくためにも、築地まちづくりとの連携は必要不可欠であります。
ベイエリアビジョンにも強くリンクする地下鉄新構想をより現実的な姿にするため、引き続き、国、関係機関と密に連携されて取り組んでいただくことを強く要望して、次のテーマに入ります。
続いて、コミュニティバスについて伺います。
コミュニティバスは、公共交通空白地域の解消や高齢者などの外出促進などを目的に全国各地で導入が進んでおり、都内においても現在、区部においては二十三区中二十区で、また、多摩部においては三十市町村中二十四市町村で運行されているなど、広く普及をしています。
私の地元台東区においても、コミュニティバスめぐりんが区内を密度高く運行されており、百円という利用者に大変優しい運賃設定も相まって、区民の日常の生活を支える移動手段の一つとして有効に活用されています。
都は、こうしたコミュニティバスの導入を支援するため、平成十二年度から調査検討経費や運行経費などを対象とし、区市町村に対して継続的に財政支援をしてきました。都の支援制度は、コミュニティバスの普及に一定の役割を果たしてきたといえます。
コミュニティバス事業については、この間、約二十年間にわたって福祉政策の一環として実施され、福祉保健局が所管を担ってきましたが、来年度からは都市整備局に移管されるとのことであります。
そこでまず、なぜ事業移管することになったのか、移管の狙いについて伺います。
○江端地域公共交通担当部長 コミュニティバスは、既存の路線バスや鉄道等では補えない交通需要に対応する地域の公共交通であり、地域ごとのニーズを踏まえ、区市町村が交通事業者などの関係者と連携し、主体的に取り組んでおります。
都においては、コミュニティバスが、地域における高齢者、障害者等の社会参加を促進するための有効な交通手段の一助となることから、福祉保健局が区市町村に対して導入支援を行ってきました。
一方、少子高齢化等が進行する中、誰もが移動しやすい利便性の高い都市を実現していくためには、コミュニティバスを路線バスなど他の交通手段と一体的に捉え、交通政策として総合的に展開していくことが有効であることから、今回、都市整備局が所管することとしました。
○保坂委員 都は、二〇四〇年代に目指す姿の一つとして、誰もが移動しやすい利便性の高い都市を掲げております。こうした都市像を実現するためには、路線バス、コミュニティバス、デマンド交通といった地域の公共交通を一体的に捉えた上で、施策を展開していくことが不可欠であります。その意味においても、今回の事業移管は時勢を捉えたものであり、高く評価をいたします。
次に、コミュニティバスの収支の状況についてを伺ってまいります。
一般的にコミュニティバス事業の収支黒字化は大変難しいとされ、都内においても多くの区市町村が運行経費の欠損分を負担するなどしており、区市町村の財政を圧迫している状況にもあります。例えば、私の地元台東区では、めぐりんの運行に要する費用として年間約一億七千万円もの金額を支出しています。
今後、都は急激な少子高齢、人口減少社会に突入していきますことから、バス利用者数の減少によるさらなる収支悪化も懸念されます。コミュニティバス事業の持続可能性を確保することはもとより、行政による財政負担に対する都民の理解を得ていくためにも、収支改善に向けた不断の努力を促していくべきであると考えます。
地方都市においては、時間帯ごとに各停留所の乗降データなどを取得することで利用の実態を的確につかんで、定量的なデータに基づき、走行ルートやダイヤの見直し、車両のダウンサイジングなどを検討するなど、収支改善に資する取り組みが既に行われております。
一方で、都内においては、コミュニティバスの利用状況をデータから把握し、運行計画などの改善につなげる取り組みは進んでいるようには見えません。近年、さまざまな都市問題の解決にデータが活用される社会が構築されつつあります。都市整備局への移管を契機に、旧来のコミュニティバスの運営手法を変革するチャンスでもあるのではないでしょうか。
そこで、コミュニティバスの運行データに基づく収支改善の検討など、持続可能なコミュニティバスの実現に向けて、都は収支改善に資する区市町村の取り組みを積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
○江端地域公共交通担当部長 委員ご発言のように、財政状況が厳しい状況においても、区市町村が引き続き地域における移動手段を維持、確保していくためには、お話のような財政支援だけに頼らない方策が求められております。
都は、有識者とともに、二〇四〇年代における地域公共交通のあり方を検討する中で、そのような観点も含め、多角的に検討を進めています。
○保坂委員 例えば、地域の商業施設などによります交通事業への協賛として、三重県松阪市の鈴の音バスが挙げられますが、事業収支の七割近くを地元企業や団体からの協賛金で占めており、コミュニティバスを支えている例も参考になります。ぜひ、こうした成功例なども参考にされて、都内コミュニティバスの恒常的な赤字状態に一石を投じる施策につなげるよう、実効性の高い検討を行ってもらいたいと強く要望をいたします。
続いて、地域公共交通の広域連携の必要性についても質問します。
民間の交通事業者が運行する路線バスと異なり、行政が主体的に関与するコミュニティバスやデマンドの運行ルートなどについては、みずからの行政区域内で完結させることが基本となっており、隣接、近接する自治体間の連携が十分に図られているとはいえません。
一方、当然、都民の移動需要は自治体の区域にとらわれることはなく生じるものであり、都内には移動ニーズと輸送手段とのミスマッチが生じている箇所が数多く存在します。
これも私の地元台東区のめぐりんですが、利用者の利便性を高めるため、隣接する文京区とのコミュニティバスとの乗り入れ円滑化や、文京区内の千駄木駅、根津駅への乗り入れなど工夫を講じておりますが、こうした区市町村域を越えた運行の拡大や、複数自治体による共同運行の取り組みを促進して、都民にとって使い勝手がよい地域公共交通を実現していくことが重要ではないでしょうか。
区市町村としましても、自治体間の連携の必要性は認識しているものの、共同運行の実現に向けた調整の困難さや、ほかの自治体への遠慮から二の足を踏んでいるのが実態であると思われ、区市町村間の連携強化に向けて、広域行政体である都が果たすべき役割は大変大きいと考えます。
そこで、東京都が広域調整機能を発揮し、区市町村間の連携に基づく地域公共交通の充実に向けた取り組みを促していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○江端地域公共交通担当部長 東京は区市町村域を越えて市街地が連担していますが、区市町村域を越えた輸送サービスの提供が不足している場合も見受けられることから、近接自治体相互の連携を促進する取り組みを強化していく必要があります。
このため、先ほどの有識者等との地域公共交通のあり方を検討する中で、区市町村の区域を越える路線の導入など、広域的視点からの検討も行っており、得られた知見については区市町村の施策の検討に資するよう情報提供するとともに、意見交換を行っていきます。
こうした取り組みを通じ、区市町村の主体的な取り組みを支援し、コミュニティバスを初め、地域公共交通の充実を図ってまいります。
○保坂委員 将来にわたってコミュニティバスを維持、確保していくには、区市町村による主体的な取り組みに加えて、都もしっかりと役割を果たしていくことが重要であります。
各区市町村における地域公共交通の現状やニーズを的確に捉えました大胆な施策展開に期待をするとともに、我々会派もともに取り組んでいくことを申し上げ、最後の質問に入ります。
最後に、自転車活用推進計画改定について質問をします。
これまで、環境・建設委員会でも自転車利用環境について、私は都民、利用者目線で質疑を繰り返してきましたので、自転車政策全般を統括する都市整備局に対しましても、利用者目線、都民目線で伺いたいと思います。
特に、新型コロナウイルス感染症の拡大で、社会情勢は大きく変化していることで、自転車がこれまで以上に移動手段として注目をされており、利用ニーズが今後ますますふえるに当たり、先を見越した自転車利用の環境整備は喫緊のテーマであります。だからこそ、十年先を見据えた今回の計画改定は大変重要であり、十年後には、東京が世界をリードする自転車先進都市となるよう、大きく期待をしております。
さきの予算委員会でも我が会派の森口都議から今回の計画改定について質問をしました内容を踏まえた上で、質問をいたします。
都は、自転車活用推進計画の改定案を公表され、自転車活用推進重点地区を新たに設定するとしていますが、対象範囲は区や市の境で区切るのではなく、一体的に取り組むことが適切な範囲となるのではないでしょうか。また、重点地区はできる限りふやしていくべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 自転車活用推進重点地区を定める際の範囲の設定に当たりましては、行政区域にかかわらず、自転車の利用が多く、放置自転車が多いなどの共通の課題がある範囲を設定するように考えております。
また、今後、先行実施地区の選定を行いまして、来年度早期に改定する計画に反映させていただいた上で、区市町村とも連携しながら取り組みを進めるとともに、他の地区での実施につきましても、地区特性に応じた調整、検討を進めまして、順次、重点地区を拡大してまいります。
○保坂委員 自治体によって自転車を取り巻く環境はさまざまであります。今後も自転車利用が広域に広がることを考えますと、都が横断的に課題を集約することで、利便性はさらに広がることが期待できます。ぜひ積極的に進めていただくことを要望します。
自転車に乗ってみますと、ここ何年かで、国道、都道、そして最近では、区市道上に自転車が通行するためのさまざまな整備が進んでいることが確認できます。交通管理者により、都道など幹線道路の車道左端に自転車ナビマークが表示されていますが、この区間は通行空間を整備する区間に含まれるのでしょうか。また、整備区間の優先順位はどのように決められたのか、伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 自転車ナビマークは、自転車が通行すべき部分と進行する方向を表示することにより、車道の左側の端を通行することを励行するとともに、自動車と同一車線内を通行する自転車の安全性を向上させるものであります。
本計画案では、誰もが安全で安心して移動できるように、二〇三〇年度までに優先して整備する自転車レーン等の通行空間を約二百五十キロメートル選定しておりまして、その中にはナビマークの表示区間も一部含まれております。
こうした優先整備区間は、既存の自転車通行空間との連続性や、区市町村道の自転車ネットワーク計画路線との連続性、自転車通行量が多く事故の危険性がある区間といった三つの視点に基づきまして選定しております。
○保坂委員 自転車通行空間では、ブルーラインの塗装、車道の利用を促す道路は自転車ナビラインが塗装などとパターンはさまざまです。大変わかりづらいよという都民からの、また、自転車利用者からの指摘もいただいておりますので、こうしたことも、都民の皆様に理解いただけるよう取り組んでいただきたいと要望します。
最後に、今回の計画改定期間であります二〇三〇年までの十年間の中で、コロナを初め、未知の脅威により、今後どうなるか先が見えない状況もあります。
そこで、都は、計画改定後のフォローアップにつきまして、施策の取り組み状況によっては計画途中での見直しなども行うべきではないでしょうか。また、施策の進捗状況などを都民にも積極的に情報発信していくべきと考えますが、見解を伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 本計画案は、自転車通行空間の整備等、中長期的な施策の効果発現を目指すとともに、関連する計画との整合を図るため、計画期間を二〇三〇年度までの十年間といたしております。
この計画を着実に推進するため、区市町村や関係機関を委員とした協議会を設置いたしまして、各年度ごとに取り組み状況の把握ですとか、目標とする指標の達成度につきましてフォローアップし、検証してまいります。
これを踏まえまして、中間の五年目であります二〇二五年度を目途に、必要に応じて計画の見直しを行うことといたしております。
また、自転車施策について、都民の理解を促進し、自転車利用環境の整備が着実に推進できるように、本計画のホームページを充実、活用し、最新の取り組み状況を適宜更新しながら発信してまいります。
○保坂委員 常に進捗状況についてフォローアップをしていきながら、中間となります五年後をめどに、必要に応じて見直しをかけていくという、力強い答弁をいただきました。こうした取り組み、課題など、東京都の自転車政策として、都民や自転車利用者に情報を可視化していくことは大変重要であります。
実際、昨年、私は委員会質疑で、都内自治体のシェアサイクル事業について、都民にわかりやすくホームページ上で可視化してほしいと要望しましたところ、所管の環境局ですが、マップ上に色分けをして、わかりやすく表示をしていただきました。その後、多くの自転車利用者からも好評をいただいております。感謝をいたします。
今後、新しい日常での新たな交通手段として、自転車が本当の意味で定着していくには、都の取り組みを積極的に開示することにより、都民が理解を深めることで、自転車活用推進計画が実現に向かって進んでいくことを強く願うとともに、我が会派も一丸となって努力していくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴木(章)委員 それでは、私の方から、まず最初に、建築確認のデジタル化についてお伺いさせていただきます。
東京都は、今後、デジタルトランスフォーメーションの推進ということで進めていく中で、今回建築分野においても建築確認のデジタル化ということに着手されました。今般、さまざまな分野でデジタル化が進んでいて、建築行政においての手続の効率化というのは本当に大変重要だというふうに思います。
先日の我が会派の代表質問でも、この建築確認のデジタル化を進めるに当たりましては、都が率先して取り組んでいくとともに、民間機関や区市も含めて関係者の統一的な取り組みを促して、効率化に結びつけて使いやすさを向上させ、都民サービスの充実ということが大事だという話をさせていただきました。
建築確認、今回、このデジタル化ということなんですけれども、実際今の状況においては、建築確認、都と区市、そして民間の役割があるわけですけれども、昨年度の確認件数というのは、実際どのようになっているのか、まずそこからお伺いしたいというふうに思います。
○山崎市街地建築部長 まず、都と区市と民間の役割について申し上げますと、特別区の区域内では、延べ面積が一万平方メートルを超える建築物については都が、それ以外の建築物については区が、また、多摩・島しょ地域については建築主事を設置している八王子市など十市では市が、その他の市町村の区域では都が、特定行政庁として建築確認業務を所管しております。
民間の確認検査機関におきましては、各機関の業務規程に定める業務区域内の建築物について建築確認を行うことができます。
昨年度の都内の建築確認の件数でございますが、約四万六千件でございまして、このうち、民間機関が約四万三千八百件、特定行政庁は約二千二百件でございます。
特定行政庁の内訳は、都が約六百件、二十三区が約千百件、十市が約四百件でございます。
○鈴木(章)委員 今の答弁を伺いますと、全体として四万五千九百八十三件のうち、大体五%ぐらいが特定行政庁が受けていると、そのような状況なんですね。
実際は、民間がほぼ受けて申請されているという、そういった形だというふうに思いますけれども、民間の指定確認検査機関、三十八機関ぐらいあるというふうに思いますけれども、しかしながら、東京消防庁とか特定行政庁に照会したり回答したり、そしてまた報告書を送付したりとか、さまざまある中で、やはりこの部分というのは向上していくことによって、利便性が図られるのかなというふうに思います。
現実において、今回、各区市における確認件数というのは少ないわけですけれども、建築確認業務の効率化や都民サービスの向上を図る上では、区市に対するこのデジタル化の推進を進めていくことが何よりも重要になるわけですけれども、この建築確認のデジタル化に関する区市の取り組み状況をどのように把握しているのかお伺いいたします。
○山崎市街地建築部長 区市からは、デジタル化の必要性は感じているが、近年、確認申請件数が減少傾向にあり、費用対効果の観点から役所内での取り組みの優先順位は低いなどの状況を伺っております。
また、独自に電子申請システムを構築するのは困難であり、都が構築するシステムの活用を希望するとの要望や、建築確認のほか、許可や届け出、民間機関からの報告なども扱えるシステムが必要などの意見が寄せられております。
○鈴木(章)委員 実際、全体の申請の五%が特定行政庁の中で、さらにそれが都と区に分かれている状況の中で、一つの基礎的自治体が新たな投資をして整備するという優先順位というのは、今答弁あったように、なかなか、何かがなければ進まないというのは、現実だというふうに思います。
国の取り組み状況を見てみますと、平成十五年にはデジタル化に対する法整備というのが整備されていて、さらに令和二年、昨年には、建築確認申請や定期報告においては、押印が不要になってくる。そしてまた、申請者に対する委任状も不要になるという、そのような取り組みがあって、このデジタル化の環境整備はされているわけですけれども、実際にはまだなかなか進んでいないというのが現実だというふうに思います。
私も地元の大田区の担当にいろいろ伺ったところ、やはり東京都が、基礎となるようなクラウド、そういったものをつくっていただいて、そこにアップデートされたクラウドに対して、PC上でいろいろやりとりができるようになれば、利便性向上するだろうというふうにはいわれていましたけれども、実際に大田区、基礎的自治体でさまざま設計図書を審査する段階においては、例えば今、省エネ化に対して東京都はさまざま補助金を出したりとかいろいろしているわけですけれども、その部分が活用されるかされないかによっても、設備設計においては大分変わってきてしまうと。
なので、できたら、そういったことも総合的に、都市整備さんだけじゃなく、もちろん都市整備さんだけでできるわけじゃないんですけれども、例えば環境局だとか、そういったところにしっかりと、全庁的な対応で臨んでいただけたらありがたいというような声がありました。
そして、またもう一つは、実際にこれから東京都がどのようなシステムをつくってくださるのかというか、つくるのかがまだわからないので、実際にじゃあどういうふうにしようというような状況にはならないけれども、しかしながら、今効率化ということは大変求められている状況と、このコロナ禍におけるそういったさまざまな諸般の事情を考えれば、ベクトルは一緒で、同じ方向を向いて取り組んでいけることは大変ありがたいという話もありましたので、ぜひその辺の思いも受けて、しっかりとこれ皆さんに、東京都がデジタル化を進めていただいてよかったといっていただけるような、そういった取り組みにしていただきたいというふうに思います。
都は、来年度以降、建築確認のデジタル化を進める。この令和三年というのは、その構築のためにさまざま取り組んでいくという話なんですけれども、この区市の状況や意見を踏まえて、実際にじゃあどのような形で今後取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○山崎市街地建築部長 電子申請システムの構築に当たりましては、区市も活用可能な汎用性を備えたものとするとともに、許可や届け出、民間機関からの報告なども扱えるよう検討してまいります。
来年度は、申請の受け付けや審査など各段階での業務内容を踏まえまして、システムに必要な機能等を整理した上で、多摩建築指導事務所において仮のシステムによる電子申請のトライアルを実施し、機能の検証や課題の洗い出しなどを行ってまいります。
また、区市や東京消防庁を交えた検討会を設置し、都における検討状況や電子申請の導入効果等に係る情報共有を行うとともに、区市等の意見や情報通信環境等を把握し、システム構築に生かしてまいります。
令和四年度には具体的なシステムを構築し、令和五年度からの運用開始を目指してまいります。
○鈴木(章)委員 しっかりしたものをつくっていただきたいなというふうに思うんですけれども、この建築確認だけじゃなく定期報告とか、さまざま申請する部分というのはあるんですけれども、今回は建築確認のデジタル化ということと、そのほかに長期優良住宅建築等計画の認定だとか、特定建築物等の定期報告、台帳記載事項証明とか建築業許可、また、建築業許可更新とか経営事項審査、建築業許可証明だとか、そういったものに年間千件以上、そういった手続がデジタル化になっていくという話なんですけれども、今回こういったデジタル化だけでなく、今実際的には、BIMというような取り組みが求められている中で、ぜひそういった対応も視野に入れて取り組んでいくべきだということが、このDXに向かっての推進になっていくのかなというふうに思います。
このBIMが実際にこの東京都においてもいろいろな部分で採用されるようになってきますと、さらに確認の手間だとか、そしてまた理解度を深めるだとか、そごをなくすだとか、さまざまな部分で有効になってくるということで、今、建築BIM推進会議というところも立ち上がって、これいろいろ検討しているという状況があるんですけれども、これ世界的には、もう二〇〇〇年から、例えばシンガポールなんか二〇一三年からもう義務化されているという話もございますので、ぜひ東京都も、今後そういったことも含めて、もう今民間団体では実際にやっているところもあるというふうに聞いておりますので、ぜひ積極的に進めていただきたいというふうに思います。
また、東京都の中で、消防庁とか、また水道関係もそうなんですけれども、そういったところにもしっかりとこのデジタル化を推進していく中では、連携をして取り組んでいただきたいなというふうに思います。
建築法令の中で、やはり消防庁の審査というのが求められる中で、ここがしっかりと整わなくては、何のためのデジタル化なんだという話になってしまいますので、ぜひその部分もお願いしたいなというふうに思います。
もう一つ、この行政庁だけでなく、やはり申請者、利用者に対するメリットというのも、これ絶対に求められるわけです。今回、システム導入に向けて行政側による取り組みというのは、今、話をさせていただいた状況だというふうに思うんですけれども、この申請者による利用があって初めて成り立つ中で、行政への申請というのは少ないですけれども、申請業務を行っているのは地元の小規模な設計事務所さん。その設計事務所さんも最近高齢化が進んでいるという状況の中で、デジタルデバイドといわれるような情報格差が生じているところもあるわけです。
そうしたところもしっかりと踏まえて、設計者が円滑に確認申請業務を行えるシステムというものがまた求められるのかなというふうに思うんですけれども、そういったところも視野に入れて、今どのように検討されているのかお伺いいたします。
○山崎市街地建築部長 東京都建築士事務所協会によれば、会員事務所の人員規模が三人以下という事務所が過半を占めているなど、建築設計や確認申請等の業務を行っている建築士事務所には、経営規模の小さいところが多くなっております。
また、建築士事務所の開設者の年齢構成を見ますと、六十歳以上が過半を占めておりまして、設計者の高齢化が進んでいるものと認識しております。
こうした状況も踏まえまして、都は、オフィスなどで一般的に使用されているパソコン等の情報機器で対応が可能であり、かつ容易に操作ができる電子申請のシステムの構築に取り組んでまいります。
○鈴木(章)委員 効率化に本当に大きく寄与いたしますので、ぜひこれしっかりとしたものをつくっていただきたいということと、そしてまた今法律が、建築基準法の改正に伴って、図面データの保管というのが十五年に延長されたと。
こういったことも考慮すると、やはりこのデジタル化を進めることによって、紙媒体での処理に比較して、いろんな部分でメリットがある。しかしながら、セキュリティーのコストというのも考えていかなくてはいけないという中では、もうぜひこれことし一年、しっかりと取り組んでいただいて、報告をしていただければありがたいなというふうに思います。
まだまだ緒についたところで、大変世界的に見たらおくれている状況ということも踏まえながら、取り組んでいただきたいなというふうに思います。
先ほどの質疑でもありました、自転車活用推進に向けてについてもお伺いをさせていただきたいなというふうに思います。
東京都は自転車の保有台数、これ都道府県、最も多いわけですけれども、現在、通学や通勤、買い物などに広く利用されている、本当に重要な交通手段だというふうに思います。
二〇一七年五月には、自転車活用推進法が施行されました。環境負荷や自動車への依存低減、そしてまた、交通手段としての役割の拡大、交通安全の確保を図ることなどを基本理念としているわけですけれども、国は、二〇一八年六月に自転車活用推進計画を策定し、東京都においても都内における自転車活用に関する施策をまとめた東京都自転車活用推進計画を二〇一九年三月に策定しているわけです。
一方、昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、自転車は密を避けるという交通手段としてまた注目をされるようになって、満員電車を避けて自転車で通勤する人も最近よく見かけます。また、巣ごもりというような形で、宅配デリバリーや、そういったサービスが随分普及していますし、シェアサイクルの利用もふえているのかなというふうに思います。
この自転車がふえていく状況においては、今自転車が関連する事故というものも、数年増加傾向にあると。安全に自転車を利用できるような環境の確保ということが、今後、喫緊の課題になっているわけです。
こうした状況を受けて、今回の活用推進を図るために、先月この推進計画の改定案を公表して、来年度からこの計画をスタートさせるということなんですけれども、施策を推進していくための体制について確認したいんですけれども、都は、自転車活用推進計画の改定案を公表して、これらの施策を推進していくために区市町村との連携が不可欠だとはいっているんですけれども、実際に、じゃあどのような体制で今進められているのか、初めにお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 自転車は身近な交通手段の一つでありまして、駐輪場の整備など、地域の特性に応じまして、区市町村による取り組みが進んでおります。計画の施策の推進に当たりましては、これら区市町村と連携が必要不可欠でございます。
このため、区市町村や関係機関を委員といたします協議会を設置いたしまして、取り組み状況の把握や、目標とする指標の達成度の検証を行いながら、自転車活用に関する施策を着実に推進してまいります。
○鈴木(章)委員 この部分というのは、取り組みがしやすいところから進めていくということは大事だというふうに思いますけれども、しかしながら、将来的に全区的に、そして東京全体にこれ広めていくためには、統一した考えということもしっかりと踏まえていかなくてはいけないというふうに思います。
区市の状況においては、道路の状況が全く違うと。本当に、幅員がとれて、車も、そして自転車も、歩行者も、流れがしっかりと確保されているところとそうじゃないところもある中で、そういったところにおいても、しっかりとこの共通の考え方で取り組んでいけるようにしていかなくてはいけないというふうに思います。
二〇一九年四月に自転車に関する道路構造令が改正されました。この自転車通行空間の整備を加速させるために、新たに自転車通行帯が規定されたんです。推進計画の改定案では、今後十年間で約二百五十キロ、都道に自転車通行空間の整備に取り組むとしております。
通行空間は、連続的に整備してネットワーク化していくことで使いやすくなるんですけれども、それとともに、この通行空間に、例えば路上駐車している車両も、これあわせてなくしていかなきゃいけないんです。
また、そこが自転車通行空間だということをまずドライバーの方にも認識していただかなくてはならないというふうに思います。停車している車だけじゃなく、例えばタクシーなんかは、その空間に入ってきて、人を乗せたりおろしたりするような、そういった状況もまだまだある中で、今後、この自転車の通行の妨げとなる路上駐車の対策というものをまず強化すべきだというふうに思いますけれども、今後どのように進めていくのかお伺いします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 自転車通行空間に駐車する車両は自転車の通行の支障になることから、通行空間の確保だけでなく、駐車対策もあわせて推進することが重要でございます。
このため、本計画案におきましては、路外駐車場や荷さばき用駐車スペースの確保によりまして、路上の駐停車の車両の低減を図るとともに、空間が十分に確保できる道路につきましては、交通規制とあわせまして、路上の駐停車のスペースを確保しつつ、自転車通行の空間を整備することを検討いたしております。
さらに、自転車の通行を妨害する駐車違反に対しましては取り締まりを強化するなど、違法駐車の削減を進めることといたしておりまして、これらによりまして、安全に通行できる自転車通行空間の確保を図ってまいります。
○鈴木(章)委員 今ご答弁いただいたように、駐車だけじゃなく、駐停車においても、しっかりと取り組んでいかなくては意味がないと私は思います。その中で、やはり関係する機関、例えばタクシー協会さんとか、そういったところにもしっかりと推進計画の考え方を共有していただいて、皆さんが理解の中でこれ進めていかなくては、本当に全く意味のないものになってしまうというふうに思いますので、ぜひその部分にも取り組んでいただきたいなというふうに思います。
先ほどお話しさせていただきました、このコロナ禍を踏まえて二〇二〇年の外食デリバリーというのは、例年に比べて今四割以上増加が見込まれているんですね。その中で、この自転車を利用した宅配サービスも含まれていて、まち中でもよく目にするようになりました。
先日の予算委員会でもいろいろ話ありましたけれども、一部の配達員が交通ルールを守らずに危険な走行をしたり、歩行者と接触して事故を引き起こす、交通安全面で課題が今表面化しているわけですけれども、自転車を用いた宅配サービスの増加に伴って、ルール違反、交通事故が目立っている状況の中で、この推進計画というのはどのような考え方で進めていくのかお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 自転車を利用した各種デリバリーの増加に伴いまして、お話のとおり、一部配達員による交通ルールを無視した走行が社会問題化いたしておりまして、自転車の安全対策は非常に重要な課題であると認識いたしております。
本計画案では、自転車を用いて飲食物等を配達するデリバリーサービス事業者の団体と連携いたしまして、交通ルールやマナーなど、必要な情報や教材の提供を行うとともに、自転車月間等の機会を捉えた自転車の安全利用に係る啓発活動等を行うことといたしております。
引き続きまして、事業者に対する対策の強化を促し、都民の安全を確保してまいります。
○鈴木(章)委員 今、この宅配の方々の交通ルールが守られていないというのが結構いわれておりますので、ぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思います。
また、この宅配サービスの方だけでなく、自転車を利用されている方が大変多くなってきている中で、そうした一般の方々にもしっかりと啓蒙していかなくてはいけないというふうに思います。
ちなみに、二〇一九年、都内で発生した自転車が関与する交通事故の件数というのは、全体の交通事故の今三九%を占めている、大変割合が高くなっているんですね。全国平均の二一%と比較しても、都内の自転車が関与する交通事故というのは大変高い割合になっています。
詳しく見ると、自転車関連事故の相手当事者が、自動車が過半数なんですけれども、年代別に見ますと、人口千人当たりの事故件数は、高校生が含まれる十代後半が最も多い。そしてまた、事故による致死率は五十歳以上だというふうにいわれております。
そしてまた、自転車が歩道を走行したり、車道を並列で走ったり、交差点でとまらなかったり、イヤホンを装着したままスマートフォンを操作しながら、ながら運転するなどのルール違反がよく見受けられるわけです。
安全な自転車利用のための安全教育やマナー啓発、これは都市整備さんだけではない話なんですけれども、しっかりとこの部分も連携しながら取り組んでいく必要があるというふうに思いますけれども、この推進計画の中では、どのような取り組みにつながっていくのかお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 自転車の安全利用の促進に当たりましては、利用者に対して、さまざまな機会を捉えまして安全教育を推進することが不可欠でございます。
本計画案では、例えば、人口当たりの自転車事故発生件数が多い高校生に対しましては、学校等と連携いたしましたヘルメット着用のルール化を促進するとともに、お話の重大事故につながりやすい高齢者等に対しましては、老人クラブなどと連携いたしまして、安全教室を開催し、積極的な参加を求めるなどの対策を進めてまいります。
また、自転車は、原則車道走行、車道は左側通行、歩道においては歩行者優先、安全ルールの遵守などのルール、マナーにつきまして、効果的な啓発活動を行うことといたしております。
都は、引き続き、これらの取り組みによりまして、安全な自転車利用環境を確保してまいります。
○鈴木(章)委員 これ啓発や取り締まりなど、いろいろと取り組んでいかなくてはいけないんですけれども、この推進計画をつくる中で、そうした自転車を使う方々の声もしっかりと反映して、どのような推進計画であれば、皆さんが協力して、この自転車走行空間のさらなる環境整備につながるのかというのも視野に入れて取り組んでいただきたいなというふうに思います。
今、コロナ禍において、先ほども自転車の利用者がふえたという話をさせていただきましたけれども、国は、また世界は、今環境ということで、カーボンニュートラルやゼロカーボンとか、さまざま取り組んでいるわけですけれども、この自転車ということもやはりこれは象徴的な取り組みとして、私は本当にこれ進めていただきたいなというふうに思います。
その中で欠かせないのが、この都内における自転車のシェアリングサービスだというふうに思います。自転車を利用する方へのアンケート調査では、利用可能エリアをもっと拡大してほしいとか、また、貸し出しや返却をもっと容易なシステムにしていただきたいとか、さまざま改善希望が出ているんですね。
このシェアリングサービスも、まあこれなかなか難しいかもしれないですけれども、幾つかの事業者が入っていて、この仕様がまた違うということも、なかなか利用者にとってみれば不便さにつながっているのかなというふうにも感じるんですけれども、誰もがこの自転車シェアリングの利用がしやすいような、利便性向上につながる取り組みにしていただきたいなというふうに思っているんですけれども、今回の計画においては、このシェアリングサービスについてどのようにお考えなのかお伺いいたします。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都内では、複数の自治体で自転車のシェアリングが導入され、事業者ごとに行政区域を越えた利用が可能となるような広域相互利用が実施されておりまして、その利用者は増加傾向にございます。
計画案の中では、自転車シェアリングの一層の普及を目指しまして、複数事業者等の連携のもと、広域利用を推進するほか、サイクルポートの用地確保の支援などに取り組みまして、利便性の向上を図ることといたしております。
さらに、中長期的にはMaaSにより、自転車シェアリングサービスと鉄道、バスなど他の公共交通機関とのシームレスな利用環境を構築いたしまして、一層の利便性を図ってまいります。
都は、引き続き、自転車シェアリングの普及を促進し、利用者のニーズに応えてまいります。
○鈴木(章)委員 今、舟運とか多様な交通手段というものが東京でも随分取り組まれている中で、この自転車の交通機関としてのシェアリングサービス、これがしっかりとMaaSとかによって連携できるようになると、さらにこの利便性が向上して、使われる方もふえてくるんではないかなというふうに思っております。
こうしたことも今後検討されて、自転車走行空間がこの東京都においては本当に快適だと、そして、ぜひ東京都においては、東京に来たら自転車に乗ろうじゃないかと。そのような、自転車の使用がある意味東京のシンボルになるような取り組みに、ぜひ変えていっていただきたいなということを要望させていただきます。
次に、首都高の料金改定についてお伺いをさせていただきたいなというふうに思います。
首都圏の高速道路は重要な都市インフラであるわけですけれども、我が党はこれまで、一体的で利用しやすい料金体系の実現を求めてまいりました。その結果、平成二十八年に新たな料金体系がスタートしたわけです。
先日、三月十二日、国が首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針の案を公表して、来年四月から首都高の料金改定を行うと発表しました。
今回のこの料金改定、これはどのような経緯でこういった改定につながったのか、まずそこからお伺いいたしたいなというふうに思います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 首都圏の高速道路でございますが、複数の高速道路会社により運営されていることなどから料金体系が複雑で、利用者にとってわかりにくいものとなっていたところでございます。
平成二十八年に導入された新たな料金体系では、走行距離に応じた公平な料金体系の構築や、高速道路会社間で異なる仕組みの共通化を図るため、料金水準や車種区分の統一が図られたところでございます。
また、都心通過交通を外側の環状道路へ誘導するため、割高だった圏央道の料金が引き下げられた結果、圏央道の迂回利用が促進され、都心の交通環境の改善が進んでおります。
今回、国が方針を示した来年四月からの料金改定は、平成三十年六月に外環千葉区間が開通したことなども踏まえ、首都高の料金体系の整理、統一をさらに進めるものでございます。
○鈴木(章)委員 東京都の大きな課題だった環状道路の整備というものが大分進んできたという状況においては、都心に入ってこなくても、そうした環状道路を利用することによって、逆に走行空間が快適に確保されるようになってくる。私はそういったことを考えれば、今回の料金改定というのは理解できるなというふうに思います。
今回の見直しというのは、五年前に導入された、一体的で利用しやすいこの料金体系を前進させるというようなことですけれども、しかし、この今回示された首都高の上限料金の見直しというものも、これ大きな課題だというふうに思いますけれども、その内容についてお伺いいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 現行の首都高の上限料金は千三百二十円であり、これは、平成二十八年に高速自動車国道の大都市近郊区間の水準に統一された際、激変緩和措置として設定されたものでございます。
この上限料金が一因となって、外環を迂回するよりも都心を通過した方が割安なケースが存在し、慢性的に渋滞している首都高の都内区間に通過交通の流入を招いたこととなっております。
今回の料金改定では、首都高の上限料金を千九百五十円に見直し、長距離料金を適正化する一方、外環千葉区間等の迂回料金を引き下げ、都心通過交通の外側誘導をさらに促進するものでございます。
また、この取り組みにより、現金利用者の料金収受コストが適切に反映され、料金所のETC専用化の加速にもつながるものでございます。
○鈴木(章)委員 これまで都心に入ってこなくてもよかった車が、今回、外環が整備される、迂回道路ができたことによって、さまざま分散されるという状況が生まれたわけですけれども、今回さらにこの料金改定で、そういったことが誘導されるということは、本当に前進したんだなというふうに思います。
そしてまたさらに、この取り組みによって現金利用者の料金収受コストが適切に反映されて、ETCがさらに利用されるような、加速していくことが期待されるわけですけれども、今回の見直しが首都高だけでなく、外環を含めた首都圏の高速道路ネットワーク全体の利用の適正化とともに、このETC専用化の加速につながっていく。そのために、高速道路上の本線料金所の撤去が可能となるなど、高速道路がさらにスムーズで快適になることから、ETCの普及促進を進めていくために、実際に東京都、今後どのように取り組んでいくのか、その見解をお伺いいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 高速道路のETC専用化は、交通の流れを阻害する本線料金所の撤去とともに、交通状況に応じた料金施策の導入につながるなど、高速道路のさらなる交通の円滑化に寄与いたします。
また、新型コロナウイルス感染症対策に有効なキャッシュレス、タッチレスの拡大にもつながることとなります。
このため、昨年八月、ETCの普及促進について、知事が九都県市を代表して国土交通大臣に要望いたしました。
国は昨年十二月、都市部のETC専用化を五年程度で概成させるロードマップを示し、将来的な本線料金所の撤去などを検討することとしてございます。
都としては、引き続き、国や高速道路会社に対して、ETCの普及促進を強く働きかけてまいります。
○鈴木(章)委員 ETCの専用化の効果が多岐にわたっているわけですけれども、引き続き、都がこの旗振り役になって、このETC専用化をぜひ実現していただきたいというふうに思います。
一方、首都高の上限料金が引き上げられることになってしまったわけですけれども、引き上げとなるユーザー、特にエッセンシャルワーカーを担う物流事業者に対して配慮していくことが大切だというふうに思うわけですけれども、その部分においてはどのようになっているのかお伺いいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 今回の料金改定でございますが、コロナ禍においても国民生活、経済活動を支える物流や運輸等の事業者に対して適用されております大口多頻度割引の割引率が最大三五%から四五%に拡大されることとしております。
また、日中、慢性的に渋滞が発生している首都高の夜間利用を促進するため、これまでNEXCOのみに適用されておりました午前零時から四時までの深夜割引が、首都高にも割引率二〇%で導入されることとしております。
○鈴木(章)委員 物流事業者の方々は、この東京都の施策においては、本当にこれまでも大変ご尽力をいただいていて、本当に感謝しなくてはならないんですけれども、何かが起きると必ずやっぱり大きな影響を受けてしまうという状況の中で、今回もこの物流を支える事業者に配慮されているということは評価できるんですけれども、一方、物流事業者の皆さんは、今、この新型コロナウイルス感染症の影響によって、影響が大変な状況にあるというふうにも聞いています。割引率を拡充してほしいという意見とか、労働環境を改善するための深夜割引の対象時間を拡大してほしいというような声も聞かれております。
今答弁ありましたけれども、NEXCOのみに適用されているこの深夜割引、午前零時から四時、これ首都高にも割引率二〇%で導入だという話なんですけれども、これ零時から四時じゃなくて、もう少し長く、この割引の時間を延長していただけるような、ぜひそういった取り組みにもしていただきたいなというふうに思っておりますし、これ私が思っているよりも、事業者の声が、そのような話も聞いております。
また、この首都高の新料金は、来年四月からの運用開始ということですけれども、コロナ禍において、車両稼働状況の落ち込みとか、それが顕著だというところが多数あるというふうに聞いておりますけれども、来年の四月までのこの新料金の運用開始まで、どのような配慮というものがなされているのかお伺いいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 五年前の料金改定の際、首都高の車種区分については、普通車と大型車の二区分であったものを、NEXCOと同じく軽自動車等、普通車、中型車、大型車、特大車の五区分といたしました。その際、中型車と特大車につきましては、今年度末までの五年間、激変緩和措置が講じられており、例えば、中型車の料金は普通車の一・二倍となるところ、一・〇七倍に抑えてございます。
国は、昨今の新型コロナ感染症の状況を踏まえ、この激変緩和された料金比率を来年度末まで続けるとしております。
○鈴木(章)委員 コロナ禍を踏まえて適切な対応がされているんだなという、今ご答弁をいただきまして本当によくわかりました。本日の質疑によって、この今回の料金改定の趣旨や意義を確認させていただいたわけですけれども、首都高の上限料金を見直して、そしてまた、利用者間の負担の公平性を確保するために、都心を通過する交通を外側へ誘導することで、一体的で利用しやすい料金体系をさらに進められるということで、そしてまたあわせて、物流事業者などへもちゃんと配慮されているということでは、評価はできるのかなというふうにも思います。
都市活動を支える安定的な物流を確保するのは重要なことであって、この物流事業者がより一層活動しやすいような環境が整備されることを期待しておりますし、まだまだいろんな部分で、今回のこの料金改定だけでなく、自動車の高速道路のあり方、料金所の撤去の話もそうですし、課題があるというふうにも思っておりますので、その部分においても、しっかりとこれからも進めていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。
○中山委員 本日は令和三年度予算案の中から、竹ノ塚駅付近の連続立体交差化事業、足立区江北地域で実施されます魅力的な移転先の確保事業、建築確認のデジタル化と申請図書の保存、開示の制度改善、路線バスにおける感染防止、住宅の耐震化の各点につきまして、質疑を行いたいと思います。
まず、竹ノ塚駅付近の高架化事業でございます。
東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の踏切事故からこの三月で十六年が経過いたします。私は、まだ初当選前の候補者の段階でしたけれども、この踏切事故の翌日、太田昭宏衆議院議員と一緒に踏切事故の現場、同じ時刻、同じ列車の現場を見に行かせていただきまして、当選した暁には、この対策をしっかりやろうということを深く決意した思い出がございます。
地元の足立区は、踏切問題の早期解決を図るため、みずから連続立体交差事業の事業主体となることを決断し、事業を推進してまいりました。総工費は六百二十九億円、東武鉄道が一六%を負担。残り半分を、まあ全体の四二%に当たりますけれど、それが国と。それから、残り四二%のうち、東京都と足立区が折半で負担するという形でございます。
しかし、これは単純なことではなくて、もともと、死亡事故が発生した踏切は足立区道でございましたので、当時の制度では、区道には国の補助金は出ない。そういう仕切りでございました。この点の改正も行いました。
それから、都施行で既に多くの案件が取り組まれておりましたので、都施行の列の最後についたのでは、いつになるかわからないということがあって、早期解決を目指す足立区は、区施行という新しいパターンに踏み出しました。しかし、区施行でも、補助の対象にするということが大きなハードルでございましたので、その点も乗り越えさせていただきました。
また、本来、都施行ですと東京都と足立区、地元区の負担は七対三でして、これは区施行になるわけですから、三対七になってもおかしくなかったんですが、私も予算特別委員会で、石原知事のときでしたけれども、取り上げさせていただいて、財政力の弱い足立区が決断したということは並々ならぬことなんだから、ぜひ応援をいただきたいということで、お話もさせていただきました。この点も三対七にならず、五対五になって、私の計算ですけど、五十億円ぐらい、これで足立区は東京都に助けていただいたんだと思っております。
そうした幾つものことを奇跡的に乗り越えまして、これからいよいよ完成ということになってまいります。
そこで、竹ノ塚駅付近の連続立体交差事業のこれまでの経緯と、都がどのようにかかわってきたのかということの確認をまずお願いしたいと思います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、踏切対策基本方針を平成十六年に策定し、この中で東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近を鉄道立体化の検討対象区間に位置づけておりました。
その後、関係者間で道路と鉄道の立体化について検討を進める中で、足立区は都内初の区施行による連続立体交差事業を実施することとし、平成十九年に国の着工準備採択を受けたところでございます。
そして、都は、平成二十三年の都市計画決定及び事業認可の手続を適切かつ迅速に行い、その後事業者において平成二十四年に工事着手し、平成二十八年に下り急行線、昨年九月に上り急行線を高架化してございます。
この間、都は、事業段階に応じた技術的助言を行うとともに、事業費への補助を行うなど、技術面、財政面の両面から区の取り組みへの支援を行ってきたところでございます。
○中山委員 特に財政面におきましては、答弁にもございました事業費への補助として、足立区のために制度を立ち上げ、区負担の二分の一を東京都が補助していただいたわけであります。また、その残りにつきましても、区負担の部分につきましても、都区財政調整制度や都市計画交付金の対象事業とするなど、都庁全体で足立区の取り組みを支援していただいております。
こうした都の支援もありまして、足立区が連続立体交差事業を着実に推進してきたことが確認できました。
昨年九月に上り急行線が高架化し、踏切の遮断時間が短縮されるとともに、横断距離も短くなるなど、目に見えて事業の効果があらわれていると強く感じております。地元でも早期の踏切解消に対する期待が高まってきております。
そこで、事業の今後の予定について、改めてお伺いをいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 足立区では、残る上り下りの緩行線、この緩行線とは各駅停車が走る線路のことでありますが、緩行線を高架化し、令和四年三月末までに踏切を除去するとともに、その後、駅の仕上げ工事などを含めて、令和五年度中に事業を完了することを目指してございます。
都としては、引き続き、踏切除去や事業完了に向けた地元区の取り組みを積極的に支援してまいります。
○中山委員 もともと踏切事故は−−距離が長いので朝なんかもうみんな熱い視線でですね、当時は踏切を上げる係員の方がいましたから、その係員の方をみんな見ているんですね。もう耐えられなくなって、本当は上げちゃいけない時間帯、ダイヤを見ながら、ほんの五秒とか十秒とか上げていたんです。上げたその瞬間に、ダイヤを見間違えて急行が来てしまって、渡り始めた方をはねてしまったという大変不幸な出来事でございましたけれども、そうしたことが、今は急行が上に上がったことによって、大分渡る時間も短くなってまいりましたし、期待が高まっているところでございます。
ここまで、鉄道の高架化に向けた取り組みについて確認してまいりました。一方、道路と鉄道との立体化は、地域におけるまちづくりと連動することから、地元区が主体となり、まちづくりを進めていくことが重要でございます。
そこで、連続立体交差化事業をきっかけとした駅周辺のまちづくりは、どのように進んでいるのか、この点についても改めてお伺いしたいと思います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 足立区では、平成二十三年の連続立体交差化計画の都市計画決定に合わせ、既存の東口交通広場の拡張や西口交通広場及びアクセス道路の新設について、都市計画決定をいたしました。
西口交通広場及びアクセス道路につきましては、平成二十三年に事業認可を取得いたしまして、現在、用地取得と並行して工事を進めており、東口交通広場につきましては、整備に向けて関係者との調整を進めているというところでございます。
また、平成二十九年に、都は、区による竹ノ塚駅中央地区地区計画の決定に合わせ、地区の将来像を実現するため、用途地域の変更を行ってございます。
現在、区においては、高架下の利用について、地元へのアンケート調査を行いながら商業施設や公共公益施設の検討を進めるとともに、今後、駅周辺のエリアデザイン計画を策定いたしまして、駅周辺の団地を管理するUR都市機構や東武鉄道と連携し、にぎわいのあるまちづくりを推進していくこととしております。
○中山委員 現在、足立区は東武鉄道や、お話にもございました駅前に大規模なUR団地がございますので、UR当局との交渉を進めております。
今後、駅前のUR団地の移転、活用、また、新たに駅の両側を渡る形で整備されます都市計画道路の周辺の用途地域の変更などで、都市計画審議会マターとなってくる事柄も出てくるかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
同様のことは足立区の綾瀬駅というのもございまして、そこは東口に新たにバス、タクシーロータリーを整備すると。これは、建設局の東綾瀬公園の協力もいただきながら進めておりますけれども、また西口の方も、ロータリーはあるんですがちょっと改札口とずれておりますので、西口そのものの開発というものはまた課題になっております。
また、北綾瀬駅につきましては、新たに十両編成の始発化というものが進みまして、大きく開発が期待されておりまして、全くバス、タクシーロータリーというものがないものですから、それを整備したいということがございます。
足立区、鋭意努力しておりますけれども、今後、都の協力、指導が必要になってくると思いますので、その際はさらによろしくお願いしたいと思っております。
続きまして、魅力的な移転先の確保事業についてお話をさせていただきたいと思います。
現在、昨年十二月に公表されました江北地区におけます事業予定者の提案制度の概要をお伺いしているわけですが、改めて、魅力的な移転先整備事業の意義も含めて、この点についてご答弁をいただきたいと思います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 木密地域の不燃化を加速するためには、権利者の方々が安心して生活再建できるよう、コミュニティを維持しながら入居できる魅力的な移転先を確保することが効果的であり、都は、都有地等を活用し、権利者の方々の受け皿となる移転先の整備に取り組んでおります。
先行実施地区の第一弾でございます江北地区につきましては、昨年六月の募集段階から、コミュニティの維持に配慮したスペースの整備など、多様な観点から民間事業者の積極的な創意工夫を促してまいりました。
事業予定者からは、高齢者やファミリー世帯など、多世代向け賃貸住宅の確保や、居住者や地域の人々の交流を促す路地空間やデッキの整備など、良好なコミュニティの形成に資するような提案がなされました。
○中山委員 木密地域事業というのは、大変時間と労力を要する事業でございまして、私もたしか、ここにいる上野委員と一緒に視察させていただいたことがございますけれども、本当に、相続の機会を待つしかないみたいな取り組みで、それが一つずつ、一件ずつ潰していくというような取り組み。
ただ、これはなかなか被相続人の方々のご理解をいただくことも大変なことですし、まち全体として進まないし、計画した、意図をしたまちづくりというのは、なかなかこれは何十年もかかるということですと、でき上がりにくいという点がございます。
ここは、公有地を活用して魅力的な移転先というのを確保した上で、コミュニティの維持というのを図りながら進めていくということでご努力いただきました。
しかも、それはそう簡単に進んだわけではなくて、何回も募集し直したりとか、なかなか、営利目的でこの事業ができるというめどが立つわけじゃありませんので、大変なご苦労をいただいたと思いますが、よくここまでたどり着いていただいたというふうに思っております。
事業予定者は四社から成る法人グループとのことでございますが、それぞれの事業者がどのような役割を発揮して事業を進めていくのか、その点をお伺いしたいと思います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 事業予定者は、グループ名をTeamコトモノづくりとし、代表法人は公益財団法人東京都都市づくり公社であり、設計、工事監理を株式会社スタジオ・クハラ・ヤギ、建設を三菱地所ホーム株式会社、運営及び維持管理を株式会社ハウスメイトパートナーズが担うこととなっております。
本グループは、災害に強い都市づくりを深く理解し、木密地域の改善に精力的に取り組む姿勢を有しており、東京都都市づくり公社がグループを取りまとめ、各事業者は、設計、施工、管理、それぞれの各段階におきまして専門的な知識と経験を生かすことで、魅力的な移転先の整備や継続的な事業運営に役割を発揮すると期待されます。
○中山委員 今ご説明いただいたような、役割を分担し合える、支え合える、グループを形成しての取り組みであるからこそできる、これからの取り組みではないかというふうに思いますので、ぜひ期待させていただきたいと思います。
江北地区の魅力的な移転先整備事業の今後のスケジュールと、取り組みによって期待される効果についてお伺いしたいと思います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 今後のスケジュールにつきましては、今月中に事業予定者と本事業における基本的な合意事項を定めた基本協定を締結する予定であり、来年度は建設工事に着手し、令和四年度内に入居開始ができるよう事業を進めてまいります。
期待される効果につきましては、先行実施地区の第一弾でございます江北地区において、民間事業者のノウハウなどを生かすことで魅力的な空間形成が可能となり、また、木密地域の権利者が地域のコミュニティを維持しながら、生活再建を進めていくことができるようになります。
さらに、江北地区において得られた知見を生かし、他の地域においても同様な取り組みを進めることで、木密地域における老朽建築物の建てかえが促進され、地域の不燃化が進んでいくものと期待されます。
○中山委員 この足立区の江北地区というのは、すぐお隣のところは都が保有しております公営住宅の建てかえに伴う跡地の創出で、東京女子医大が移転してまいります。
また、その隣接地域において小学校を統廃合しまして、廃校される小学校の跡地に多目的広場という形で、足立区では初めてになりますが、人工芝の全天候型のサッカーグラウンドを整備すると。
また、そのサッカーグラウンドの近くには、東京都の水道局が保有しております調節池がございまして、その上部が平らな空地になりますので、そこは開発、どう使っていくかということについては、水道局と足立区当局が今しっかり連携しながら意見を交わしているというところでございまして、一つは駅前でもございますし、駐車設備というのが大事なことになってくるんではないかと思っておりますけれども、そうした地域でございます。
日暮里・舎人ライナー沿線に近い地域でございまして、そこに、長年課題となっております木密地域が隣接しているということで、その開発を今回新たに工夫をしていただいて、進めていっていただくということでございます。
今お話があったように、魅力的な移転先整備事業、こういうまち並みに移ってきませんかということで絵図を描いて、木密解消の取り組みにご協力をいただく動機を、おじいちゃん、おばあちゃんの世代から息子さんたちやお孫さんたちの世代まで、共通して感じていただきながら取り組みをしていただく。で、コミュニティも維持できますよということで、その安心感を持っていただく。
核となる商店街とかそういったものについても、具体的に示されていくんではないかと思いますけれども、そうした魅力的な移転先整備事業など、さまざまな工夫をしながら不燃化を進めることが重要でありますが、今後の木密地域全般の改善をどのように進めていくのか、都の見解をお伺いしたいと思います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 都は、木密地域の改善を一段と加速させるため、昨年三月に改定しました防災都市づくり推進計画の基本方針に基づき、今月末に防災都市づくり推進計画の整備プログラムを改定し、効果的な取り組みを進めてまいります。
具体的には、不燃化特区について、新たな地区指定や区域拡大等を行うとともに、支援策については、老朽建築物の除却支援など、これまでの施策に加えまして、除却後五年以内の不燃化建てかえや無接道敷地の解消に向けた専門家派遣を新たに補助対象とし、建てかえなどを促進してまいります。
また、地区計画などによる不燃化建てかえの誘導や、地域特性を生かしたまち並みの住宅市街地への再生を支援するとともに、魅力的な移転先確保の取り組みによる権利者の生活再建支援など、さまざまな方策を展開してまいります。
今後も、不燃化の進捗状況を踏まえまして、地区ごとの特性に応じた実効性のある取り組みにより、木造住宅密集地域の改善を進めてまいります。
○中山委員 生活支援とか大変大事なところだと思います。特にたな子さんとかそうした方々、あるいは不動産の家賃収入以外に収入がない生活状況の方々、そうした方々にとっての木密事業に協力する上で大事な要素として、生活支援、めどが立つということが大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思いますし、また、除却後五年以内の不燃化建てかえや無接道敷地の解消に向けた専門家派遣を新たに補助対象にするということも非常に大事な取り組みだと思いますので、ある面では、そうした時間的余裕を持って臨めるような体制をつくっていただいたということですから、しっかりとPRしていただいて、進めていただきたいというふうに思います。
続きまして、建築確認のデジタル化と申請図書の保存、開示の制度改善についてお伺いいたします。
昨年三月十七日の本委員会で予算案質疑の中で、建築確認のデジタル化と申請図書の保存、開示の制度改善を求める質疑を行ったところであります。
その際には、当時の佐藤都技監から、大変重要なご指摘をいただいたと思っております、本日のご指摘を踏まえまして、庁内各関係部署で調整を進めつつ、まずは、その課題を整理するというところから始めさせていただければと思いますと、前向きなご答弁を頂戴しました。その後の検討の成果を求める意味で質疑を行いたいと思います。
まず改めて、都におきます建築確認申請図書の保存の現状についてお伺いいたします。
○山崎市街地建築部長 建築確認申請図書の保存義務は、耐震偽装問題を契機とした平成十八年の建築基準法改正により定められ、保存期間については、省令により確認済み証交付の日から十五年間とされております。
都においては、改正法が施行された平成十九年六月以降の確認申請図書について、本庁の建築指導課では民間業者に委託して保存しており、多摩建築指導事務所では庁舎内の倉庫に保存しております。
○中山委員 佐藤都技監にご答弁いただいたときにも、もともといきなり十五年になっていたわけじゃなくて、もっと最初は短かったと、それが延びてきたんだというお話もございました。
さらに今、私は、建築確認の電子化を契機として、建築確認申請図書の保存期間の延長を図るべきと思っております。というのは、そういう電子化ができれば、その保存に要する費用というものも大分、まあスペース的なことも含めて減るわけでございますので、その負担のために保存期間を設定するという必要はなくなってくるわけですから、必要性に応じて定めればいいということだと思っております。
改めて申し上げますけれども、建築確認の電子化を契機として、建築確認申請図書の保存期間の延長を図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○山崎市街地建築部長 平成十七年に耐震偽装問題が発生した際には、各特定行政庁において保存されていた構造計算書をもとに耐震強度を調査し、建築物の使用禁止命令を出すなどの措置をとることができたことなどからも、建築規制の実効性の確保を図る上で、建築確認申請図書を保存しておくことは重要でございます。
近年発覚いたしました共同住宅における界壁等の法定仕様への不適合事案におきましては、建築後十五年以上のものも多数含まれておりました。
このように、建築後、相当の年数が経過してから建築物の安全性にかかわる不正事案が発覚することもあり、特定行政庁にとっては、建築確認申請図書を長期間保存しておくことは有効であると考えられます。
建築確認を電子化することによりまして、申請図書の保存コストの軽減も見込めることから、都といたしましては、今後の電子化の検討に合わせまして、申請図書の保存期間の延長についても、費用対効果等を勘案しながら検討してまいります。
○中山委員 ありがとうございます。実際に、まあ改めて業者名はいいませんけれども、お話がございました界壁等の法定仕様への不適合事案というのが十五年以上経過しているものがあったということでございますので、やはりニーズというものはあるんだということだと思います。
先ほども鈴木委員から大事な質疑がございましたけれども、民間が問題なんですよね。民間機関が保有する建築確認申請図書につきましても、同様に保存期間の延長を図る必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
○山崎市街地建築部長 民間の確認検査機関につきましても、省令によって十五年間の建築確認申請図書の保存義務が定められております。民間機関が建築確認を行った建築物でありましても、不正事案等が発覚した場合の対応は特定行政庁の役割でございます。確認申請図書が保存されていれば、不正事案の調査等についても、より迅速な対応が可能になるものと考えられます。
都といたしましては、民間機関に対して、建築確認の電子化に向けた統一的な取り組みを促しつつ、電子化による保存コストの軽減効果等も勘案しながら、民間機関が保有する図書の保存期間等の取り扱いについて、国や民間機関と意見交換を行ってまいります。
○中山委員 ここは大事なことで、民間機関が建築確認を行った建築物であっても、不正事案等が発覚した場合への対応は特定行政庁の役割となってくるということでございまして、やはりこれは大事な角度だと思います。
そういう意味で、ご答弁していただきました国や民間機関と意見交換を行っていくということについて、よく丁寧にやっていただいて、システムの問題等の課題もあろうかと思いますので、ぜひ前向きに進展していくようお願いしたいと思います。
そういうことを踏まえまして、問題は、その保存ができたとして、建築確認の申請図書の情報開示のまず現状、これについてお伺いしたいと思います。
○山崎市街地建築部長 建築基準法には、書類の閲覧の制度が定められておりますが、建築確認申請図書自体は閲覧の対象外とされておりまして、特定行政庁においては、各自治体の個人情報保護条例等に基づいて対応しております。
個人情報保護条例では、実施機関である知事等に対して開示請求できる情報は、請求者本人の個人情報でありまして、確認申請図書については、建築主からの請求であれば開示することができます。
一方、建築主以外の者、例えば、建築主である不動産業者から住宅を購入した方が開示請求をした場合は、個人情報保護条例上は該当する個人情報が不存在という扱いになります。
○中山委員 ここがまた非常に大事なハードルでございまして、今自分が住んでいる建物の建築図書だからといって閲覧を求めたら、閲覧できない。個人情報保護条例等に基づく自治体ごとの判断ということで、個人情報ということになると、自分は前の持ち主から買ったんだとかいうことになると、その個人情報の対象にならないということがあります。
じゃ、あなたの個人情報は存在していませんよ、不存在ですよといわれたからといって、不存在では問題は決して解決しないわけですね。現在の居住者や持ち主が、当初の建て主でないからといって、自分が居住している建築物に関する建築確認申請図書の開示を得られないというのは、法のあり方として不適切であります。都は、ぜひこの点の見直しを国に強く求めてもらいたいと思います。
建築確認申請図書の情報を必要としている建物所有者に対する情報提供に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○山崎市街地建築部長 民間の確認検査機関におきましては、法律により秘密保持義務がございますが、国の通知により、建築主または建築主の同意を得たと認められる者に確認申請書類の記載内容を知らせることは、秘密の漏えいには当たらないとされておりまして、これに基づいて対応はなされております。
また、都の個人情報保護条例では、実施機関は、本人の同意があれば実施機関以外の者に保有個人情報を目的外提供することができるとされております。
さらに、建築基準法による閲覧制度では、特定行政庁は建築確認等に関する書類のうち、建築物の所有者等の権利、利益を不当に侵害するおそれがないものとして、省令で定めるものについては、請求があれば閲覧させなければならないとされております。
これらを参考に、都といたしましては、住宅の買い主等の保護を図る観点などから、建物所有者への情報提供のあり方について検討を行ってまいります。あわせて、国に対しましても、建築基準法による閲覧制度の趣旨を踏まえ、建物所有者が円滑に必要な情報を入手できる仕組みの検討を求めてまいります。
○中山委員 昨年、前の佐藤都技監にご答弁いただいて、前向きな検討を開始していただいて以来、よくぞ今日まで上野都技監のもとご努力いただいて、ご答弁ご準備いただいて、本当にありがとうございます。ぜひ、この問題の突破を東京都のご努力で遂げていっていただいて、今後のいろんな課題に対して対応できる事務体制というものをつくり上げていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、路線バスにおきます感染防止についてお伺いします。
昨年六月の第二回定例会代表質問で、路線バスにおきます飛沫感染防止の取り組みの必要性について問題提起を行ったところであります。
産業労働局は観光バスでの飛沫感染防止の取り組みを支援しておりますが、路線バスでは観光バス以上に、料金機、料金の機械を挟んで、乗客と運転手の方が会話する機会が多く存在しております。
私も足立区の住民の方から、路線バスに勤務されている方やご本人のご家族でしたけれども、毎日感染の恐怖を感じながら仕事をしていると、大変せっぱ詰まった思いでのご相談を頂戴したことがございました。
コロナ禍でも日々の運行を担うバス事業者の経営者の方々にもお話をお伺いしましたところ、運転席に透明ビニールシートなどを配置して、応急的な措置を講じたりしている例もありますが、感染防止に向けた取り組みの次の段階として、アクリルボードなどによる恒久的な対策が求められているというお話も承ったところであります。
そこで先ほど申し上げましたように、昨年の第二回定例会代表質問に私が立たせていただいた際に、この問題を取り上げたわけでございました。
路線バスの運行を担う運転手の方も、大事なエッセンシャルワーカーでありまして、乗客とあわせて、その安全は最大限に保護されるべきであります。路線バスに対しても飛沫感染防止の取り組みを促進するべきと質問いたしましたけれども、この問題に対し都技監は、バス車内におきます感染予防策が持続的なものとなるよう実証的な検証を行うなど、事業者によるさらなる取り組みを支援していくと、前向きなご答弁をいただいたところであります。
そこでまず、路線バスにおきます感染防止につきまして、その後の検証の状況をお伺いいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 路線バスは都民の日常生活や地域の活力を支えるインフラであり、その運行の維持に向け、乗客、乗員の安全・安心を確保していくことは重要でございます。
今年度、都は、学識経験者からも意見をいただきながら事業者団体と協力して、営業車両を利用した飛沫感染、接触感染等に関する実証実験や、事業者、利用者へのヒアリングなど、バス車内における感染症対策にかかわる検証を実施いたしました。
具体的には、飛沫感染につきましては、運転席と乗客スペースとを仕切るアクリル板を試行的に設置し、飛沫飛散試験を行った結果、運転手の飛沫への暴露が低減されることを確認いたしました。
また、接触感染につきましては、運行前後の営業車両の車内を測定することで、手すりや降車ボタンなど、接触による汚染が特に高い箇所を特定いたしました。
こうした結果を受け、学識経験者からは、運転席への仕切りの設置による効果や利用者の接触頻度に沿った定期的な消毒が有効などの意見をいただいたところでございます。
○中山委員 私も先般の代表質問の前後に東京都バス協会の役員の方々と連絡をとりまして、ぜひこの際、東京都の取り組み、検討にご協力いただきたいというふうにお願いをさせていただいたところであります。会員企業の方々からも、都の取り組み、支援に向けた検討を歓迎しますというお声が多いということをお伺いしました。
アクリル板を試行的に設置した結果、バス事業者や利用者からはどのような評価があったのか、改めてお伺いいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 本検証におきまして、アクリル板を試行設置した事業者三社からヒアリングを行いました。事業者からは、ビニールカーテンと比較して消毒や清掃が容易で耐久性にすぐれている、運転手が安心して乗務に専念できるといったメリットが挙げられております。一方で、車両や料金機の形状に合わせたオーダーメードとなるため、設計や取りつけに期間を要する、設計費用が高額となるなどの課題が挙げられております。
また、アクリル板を設置いたしました車両を利用した乗客四百名の方々を対象にアンケート調査を実施いたしました。その結果は、よい取り組みで、他の車両でも設置してほしい、ビニールカーテンより仕切り板の方が安心感があるなど、肯定的な回答、約八割をいただいているところでございます。
○中山委員 試行設置していただいた事業者の、具体的にバスの運転手の方々が、アクリル板の設置の仕方等、いろいろ工夫されたみたいですよね。現場に即して、どうしたらいいかということの試行錯誤があったようなら大変すばらしいことだと思います。
今後、新しい日常に向けて、エッセンシャルワーカーであります運転手の安全を確保するとともに、都民が安全・安心に路線バスを利用できる環境を整備していくことが重要であります。
路線バス事業者によります感染防止対策を促進していくべきと考えますが、事業者における対応の状況と、検証結果を踏まえた今後の取り組みについてお伺いをいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 路線バス事業者においては、バス協会が策定するガイドラインに基づき、主体的に車内消毒や運転席へのビニールカーテン設置などの対策を実施しており、アクリル板の仕切りについては、昨年末時点で、都内バス車両の約一割程度に導入されているところでございます。
今年度の検証では、先ほど答弁いたしました検証結果に加え、事業者においても、アクリル板設置に際しての運転席の視界確保など、さまざまな創意工夫が行われております。
都といたしましては、こうした知見を都内バス事業者が有効活用できるよう、事業者団体を通じて情報提供してまいります。あわせまして、来年度、路線バス事業者がアクリル板設置などの恒久的な感染症対策を実施する場合に、その費用の四分の一を補助する制度を新設いたしまして、国の補助と併用することで、最大四分の三の支援を受けられるようにいたします。
このように、事業者によるさらなる取り組みを支援いたしまして、バス車内における感染症対策が持続的なものとなるよう促してまいります。
○中山委員 バス事業者の方々の負担が四分の一ということでございますので、大変すばらしい取り組みだというふうに思います。ぜひ多くの事業者の方々、多くの路線で実施をしていただいて、公共交通であります路線バスに、乗客の方々、そしてそれを支える運転手の方々が、持続的に安心して運転し、乗車できますよう、この取り組みを広めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、最後になりますが、住宅の耐震化についてお伺いいたします。
今年度末に一部改定予定の耐震改修促進計画の素案では、令和七年度末までに耐震性の不足する住宅をおおむね解消することを目標として、老朽化の進行を踏まえ、除却による耐震化を積極的に促進するとともに、区市町村による所有者への積極的な働きかけをさらに促進する方針を掲げております。こうした方針のもと、来年度予算案では、住宅の耐震化助成に関して制度拡充が盛り込まれております。
前回の質疑でも指摘をしたところでありますが、改めて、今回の制度拡充について質問させていただきます。
住宅の耐震化の補助上限額につきまして、耐震改修等の工事費が全国平均よりも都内平均の方が高いという実態を踏まえ、適切な見直しが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 住宅の耐震化の補助上限額は、国が定めた金額としていましたが、都内における実際の改修工事費などはこの額を上回っていることを踏まえ、必要な引き上げを行います。
具体的には、防災都市づくり推進計画に定めます整備地域内については、国、都、区を合わせまして、これまでの約百六十万円を百七十万円に、それ以外の地域につきましては百万円を百五十万円にそれぞれ引き上げ、適切な対応を行うこととしております。
○中山委員 耐震化助成というのは、今はもう何か当たり前のようになっていますけれども、昔はそうではなかったですよね。私有物であるその財産、私有財産であるものに公的に補助するということって、最初のころは全く考えられなかったんです。
でもこれは、手前みそになりますけれども、私どもの国土交通大臣が、この問題について制度改善を行いまして、国の方としても社会的に意味がある特定緊急輸送道路とか、そうしたところに面した建物の耐震化を急ぐというようなことで、私有財産に対しての耐震助成の公的補助というものを導入していったということによって、いろいろ広がっていったものでございまして、今回、上限額を都内平均を踏まえて改定していただくということは、大変重要なことだと思っております。
木密地域や新防火区域など不燃化を求められる地域内で耐震改修を実施する場合は、耐震補強に加え、外壁などの防火性能を高める必要がありまして、工事額が高額になる。この点も前回質疑させていただいたところでございますが、耐震化を進めるためにはこうした事情にもきめ細かく配慮すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 委員ご指摘のとおり、耐震化に加えまして、不燃化を行う必要がある場合は、改修工事費が高額になる傾向があります。このため、新たな防火規制区域等で建てかえを行う場合や、耐震改修に合わせて防火改修を行う場合は、補助上限額を五〇%引き上げることとしております。
○中山委員 先日の質疑で、住宅の耐震化助成には、整備地域内助成と戸建て住宅等助成の二つの制度があるというご説明ではあるけれども、戸建て住宅等助成も整備地域内助成と同様に、除却費を、まあこれが大事なポイントだったわけですが、助成対象としていくならば、類似する二つの制度を存続させておく必要はないというふうに考えると申し上げさせていただきましたが、この点についての見解をお伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 旧耐震基準の戸建て住宅等は老朽化が進行しておりまして、除却も助成の対象としている整備地域内助成においては、除却の件数が約七割でありまして、区市町村からは戸建て住宅等助成においても除却を対象にすべきとの要望があります。
また、平成三十年度から、所有者への積極的な働きかけを行うことを区市町村への補助の要件とする戸建て住宅等助成を開始しましたところ、個別訪問等に取り組む区市が年々増加しまして、耐震診断が促進されるなど、効果があらわれております。
これらのことから、整備地域内助成と戸建て住宅等助成の長所を生かし、整備地域の内外を問わず、所有者への積極的な働きかけを行うことを補助の要件とするとともに、戸建て住宅等の除却を助成の対象に加えることとしまして、事業を効率的に執行するため、令和三年度から二つの制度を統合することとしました。
なお、整備地域内において所有者への積極的な働きかけを要件とすることは、区による個別訪問等の計画策定に時間を要しますことから、令和四年度からとしております。
○中山委員 積極的な対応、ありがとうございます。
実際に取り組むのは令和四年度からと、これは大変慎重な姿勢でいいと思います。これはやっぱり、区市町村と一緒になって個別訪問等の取り組みを東京都、展開してこられたからこそ、そういうことに準備の時間がかかるということをよくわきまえられたことでありまして、区への配慮という点で大事な点であると思いますので、しっかり足並みそろえて取り組んでいただきたいと思います。
最後になりますが、所有者への積極的な働きかけを行うことを補助の要件とするとのことでございますが、個別訪問等の対象となる住宅の数は少なくないため、区市町村にとっては費用やマンパワーの面で負担が大きいと考えます。都として、どのように支援していくのかお伺いをいたします。
○青木耐震化推進担当部長 区市町村による積極的な個別訪問等を促すため、都は区市町村に対する支援を拡充することとしました。
具体的には、普及啓発活動を行う区市町村への補助について、個別訪問等を行う場合には、従来の補助上限二百五十万円を四百万円に引き上げます。また、訪問する職員や外部のスタッフのスキルアップを図り、所有者の実情に応じたきめ細やかなアドバイスを行えるよう、講習会を実施するなど、技術的支援も充実してまいります。
これらの取り組みにより、区市町村の取り組みを一層後押しし、令和七年度末までの目標達成に向け、戸建て住宅等の耐震化を促進してまいります。
○中山委員 これまでご答弁いただきましたように、所有者のニーズに合った制度拡充が行われ、令和七年度末のおおむね解消という目標の達成に向けて、住宅の耐震化を一層加速させていただきますようお願いを申し上げて、質問を終わります。
○米川委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時三十二分休憩
午後三時五十五分開議
○米川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○曽根委員 それでは私から、初めに、この間の都心中心の開発ラッシュの環境影響について、ゼロエミッション東京の目標を達成する立場から、これをコントロールする仕組みが都政には根本的に欠けているんではないかという問題について質問をさせていただきます。
この間の都市再生特別地区の大手町、内神田、新宿駅周辺や、また、市街地再開発事業の西日暮里などの開発計画では、いずれもビル床の総面積が従前の二倍以上になる計画で、温暖化ガスなどの環境影響は深刻になるものばかりであります。
都内各地の都市開発について、環境上の規制を設ける必要があると考えますが、お答えいただきたいと思います。
○小野都市づくり政策部長 東京が高度に成熟した都市として持続的に発展していくためには、地球環境との調和を図りながら、国際競争力の向上にも資する優良な都市開発を推進していく必要がございます。
お話の都市再生特別地区の三地区では、最先端の省エネ技術等の積極的な導入、地区、街区単位でのエネルギーの有効利用などを促進するほか、大手町地区D−1街区では、建物への再生可能エネルギー由来の電力の導入に向け、開発事業者が関係者と協議を進めており、内神田一丁目地区、新宿駅西口地区におきましても、再生可能エネルギー由来の電力利用について検討していくこととしております。
また、西日暮里駅前地区では、都市開発諸制度の基準を満たすよう、建物本体における高い断熱性能の確保や高効率の設備機器の導入などを図ることとしております。
こうした、環境面でもさまざまな創意工夫のあるプロジェクトを推進するなどにより、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。
○曽根委員 今お答えがあったように、個別のビル建設については、環境性能を引き上げることは可能でありますし、都としての環境基準適合の審査も行っているわけです。しかし、開発エリアの中で、トータルに見れば、従前のビルによる温暖化ガスの総量と開発後のそれとでは、いずれの開発でも温暖化ガスの総量は増加することが計画段階から明らかになっている。
そのキーポイントは、都心開発への特区や高度利用の地区計画などによる容積率緩和のボーナスが、何段階にも上乗せされるというこの仕組みです。環七内側の開発拠点として、今回区域マスに指定された箇所が三十二カ所から、新しく八十五カ所までふやされましたが、この全てで、このような開発が進行するとなると、環境への影響は莫大なものになります。
このボーナスの容積率サービスが行政によって与えられる限り、個別ビルの環境性能を幾ら従前の二倍程度まで引き上げ、温暖化ガスが半分以下になっても、開発後の環境負荷はトータルで増加してしまう場合が多いと。
これを避けるには、欧米各大都市の都心エリアで厳しく行っているような高さ規制、容積率規制をあわせて実施するのが一番効果的だといわれています。
さらに、今、国際的には炭素税を厳しく課税するというようなことがやはり行われない限り、東京の場合の開発の誘導、緩和、こういうものについては、ますます環境負荷を引き上げてしまうということを申し上げなければなりません。
きょう、議案として出されております建築物の省エネ法が都の条例としても実施されますと、開発の従前との環境負荷の比較はますます容易になってくるわけです。これからは、三百平方メートル以上の住宅以外の建物については環境性能を審査されますので、都としても、この課題からは絶対に逃げられないということを厳しく指摘して、次の質問に移りたいと思います。
次に、都内米軍基地の返還について質問いたします。
今世紀になって、都内の米軍施設の全面返還と部分返還はそれぞれどういう施設と面積で行われたかお答えください。
○三木基地対策部長 都内米軍施設の全部返還については、平成二十八年度に由木通信所約三千九百平方メートルが返還されております。また、一部返還については、古い順に、平成二十三年度に赤坂プレスセンターの約四千七百平方メートルが、平成二十九年度に多摩サービス補助施設の約八千八百平方メートルと、硫黄島通信所の約六百三十平方メートルがそれぞれ返還されております。
○曽根委員 全部返還されたのは八王子の由木通信所ですけれども、市街地から離れた山林の地帯で、市民は誰も行かない場所ですので、市の方でも跡地計画は今、立ててはいないと聞いております。
また、部分返還の赤坂プレスセンターですが、もともと都立の青山公園の改修で、臨時に米軍ヘリポートを公園敷地内に仮移転した場所に、いまだに、公園改修は終わっても、米軍はそこが都合がよいと居座ったままで、ついに、現ヘリポートの場所のかわりに、周辺の壁際などの変形の土地を返還してきたというものでありまして、今日に至るも、港区も活用に苦慮するほど使い勝手の悪い場所です。しかも、このヘリポートに最近米軍ヘリが盛んに離発着するので、すぐそばの六本木ヒルズから見ると非常に危険だということを実感しているということです。
部分返還は、長年共同利用されてきた多摩サービス補助施設の、たしか稲城市立病院の付近ですが、これも共同利用が長かったもので、なぜ今まで、部分とはいえ、返還されるのに時間がかかったのか不思議なくらいの場所だと思います。
今、途中まで返還が進みながらとまっているのが府中の通信施設ですが、大変中途半端な状態でとまっていることに、住民も、府中市も大変苦慮しています。議会でもたびたび取り上げられ、私たちも指摘していることですが、返還された国有地の真ん中に米軍の通信施設だけが残っていて、そこに南側からつながる米軍専用の通路が通っている。この通路と国有地の中に、ちょうど中ぐらいにある米軍施設があるために、市がまちづくり計画を立てようといろいろなまちづくりの委託を出そうとしても、民間の業者の人が、これがある限りどうもゾーニングがうまくいかないということで、繰り返し、まちづくりの計画が立たないで頓挫している。
これは、都としても当然ながら国に申し入れを行っているようですけれども、政府の対応はどういうふうになっているでしょうか。
○三木基地対策部長 府中通信施設の四方を囲む土地は、昭和六十年度までの間に返還済みであり、現在は留保地として国有地となっております。府中市では、昨年二月に府中基地跡地留保地利用計画を策定し、同施設については、留保地の土地利用に当たり、重大な阻害要因となるため、返還を強く要望するとともに、返還を見据えた一体的な土地利用を検討するとしております。
都は、府中市の意向も踏まえ、令和元年度と二年度の二回にわたり、国に対して同施設の返還について要望を行っています。国からは、米軍施設、区域の返還については、日米地位協定第二条に基づき検討することとされており、日米安全保障体制の目的達成という観点を踏まえつつ、個々の施設、区域の実情を踏まえた適切な対応を行っていくと聞いております。
○曽根委員 府中の市民も、それから市議会も、もちろん市自身も強く繰り返し、政府や東京都に協力を要請していると聞いていますが、なぜ打開できないのか、非常に疑問を感じます。
多摩サービス補助施設についても地元の市民団体から、戦争の遺跡の調査、保存や貴重な自然の保護について、せめて立入調査をという陳情も繰り返し出されていますが、東京都は、政府や米軍に対してきちんと申し入れを行っているんでしょうか。
○三木基地対策部長 多摩サービス補助施設につきましては、直ちに返還がなされるよう、都は提案要求を通じて国に要請しております。戦争遺跡の調査、保存や自然保護についての申し入れは行っておりません。
○曽根委員 稲城の市民運動の皆さんは、繰り返し都議会に陳情を寄せていて、そこでは、米軍が長く占有している中で、絶滅危惧種を含む貴重な生物等自然環境が、例えば米軍のゴルフ場を初めとして、娯楽施設整備で攪乱されている危険もあること、それに対する国内法による自然保護の手当てが全くとれないこと、旧日本軍の戦争遺跡の状況なども心配しておりまして、せめて当面立入調査だけでも実現を求めております。
もともと、返還を強く求めながらも、長く返還が可能だとされながらも、返還されなかった。したがって、その間に自然の問題や戦争遺跡の問題で、せめて中に入らせてほしいと、こうした地元の声を聞こうとせず、その実現を目指すこともしないということでは、こういう地元に根差さない返還要望に魂が入るわけがないということも指摘しておきたいと思います。
このように、都内の米軍施設の返還は、今世紀になって、もう二十二年目ですけど、ほとんど前進がありません。一方で、神奈川県では、上瀬谷通信施設を初め、広大な米軍施設が返還されてきておりまして、大変対照的に思われます。この違いが生じている要因は何だと考えていますか。
○三木基地対策部長 安全保障に関することは国の専管事項であり、ご指摘の米軍基地の返還について、都としては承知しておりません。
○曽根委員 そういう姿勢こそ、私は本当に大きな問題だと思います。神奈川県は、これまでに県内の大半の米軍施設を返還させています。この十年間だけでも、富岡倉庫地区の返還で、例えば横浜市の衛生研究所を整備し、深谷通信所や上瀬谷通信施設も含めて、この十年間だけでも三百二十四ヘクタールを全面返還させているんです。ヘクタールですよ。
神奈川県では、知事自身が年に何度も現地の米軍司令官と懇談の機会を持っております。直接懇談の機会が多ければ、住民の要望を伝えるチャンスがふえるのは当然です。ぜひ、東京都自身も知事が、具体的にこういう神奈川県の取り組みを参考にすべきではないかと思いますが、いかがですか。
○三木基地対策部長 米軍基地は日米安全保障条約に基づいてアメリカに提供されているものであり、その返還も、日米両政府間で協議されるべきものであり、知事が米軍と協議すべきものではありません。
都としては、都内の米軍基地について返還の可能性が検討され、基地の整理、縮小、返還が促進されるよう、国への提案要求や渉外知事会の活動を通じて国に要請してきており、今後も必要な働きかけを行ってまいります。
○曽根委員 極めて残念な消極的な姿勢だといわざるを得ません。今回の日米の防衛外交トップによる2プラス2の会談も、また、それに向けての政府に対する働きかけでも、少なくとも、都内の基地周辺都民から、具体的で切実な基地被害の実態や返還への要望も、このように聞こうとしないという姿勢では、都として何ら新たな前向きの提案が出ることも期待できません。
むしろ、私が危惧するのは、東京都の軍民共用化推進の政策によって、この間ずっと米軍基地返還にブレーキがかかっているんではないかということであります。この二十年来、都が軍民共用化を要望していることが、基地返還の実現に足かせになっているんではないかという印象を持ちますが、いかがですか。
○三木基地対策部長 都は国に対し、都民の生活環境を改善し、地域のまちづくりを推進する観点から、米軍基地の整理、縮小、返還が促進されるよう求めております。
一方、横田基地の軍民共用化は、首都圏西部地域の利便性の向上など、首都圏の空港機能を補完し、多摩の振興はもとより、首都圏、ひいては日本経済の発展にも資するよう求めているものであり、基地返還とは目的を異にしていると考えております。
○曽根委員 東京都の都市整備局の予算の中に基地対策事務費というのがありますが、今やこの事務費の半分は軍民共用化の調査費になっています。このほかに、東京の航空機能の強化という部門にも、羽田空港の拡張による低空飛行の空路の拡大などとともに、軍民共用化の予算が動いているわけです。オリンピックでのアメリカの政府専用機やビジネスジェットの検討なども、もう目の前に迫ってきていますが、検討が進んでいるようです。
そして、軍民共用化の政策を本格的に推進し始めた石原知事の当時から、米軍施設の返還はほとんど進まなくなっているというのは現実です。軍民共用化自体が、米軍が、休養している土日、休日の民間機騒音をふやすという点で、周辺の自治体の市民や首長も含めて反対の世論があります。
とりわけ、横田基地騒音公害訴訟が繰り返され、裁判では、過去の騒音には被害補償が実現しても、未来の騒音は補償しないという立場ですから、周辺住民は横田基地がある限り、未来永劫まで騒音公害を繰り返し提訴しなければならないということです。こんなことをいつまで繰り返させるつもりなのか。
改めて、東京都の返還への取り組みにとって何のプラスにもならない軍民共用化をやめるよう、この点もあわせて求めて、米軍基地の返還に本腰で取り組みを求め、次の質問に移ります。
次に、報告事項にもありますKK線のあり方の検討について質問いたします。
昨年も私、この問題を質問しましたが、今現在は、民間の自動車専用道路であるKK線を、道路として廃止することを前提に、現在の道路部分をオープンスペースとして、さまざまなにぎわいを創出するという検討がされているようです。
しかし、東京都政として、このKK線の廃止にかかわる最も大きな問題というのは、KK線の廃止後に、その自動車交通を受け継ぎ、しかも日本橋の首都高の地下化による大型車の通行問題の打開のために不可欠だとされております現KK線直下に整備するという、首都高速道路の地下の別線事業がどうなるかによって、東京都には莫大な財政上の負担や環境まちづくりの変更を余儀なくされるということです。
KK線のあり方を検討する前提となる、この地下の首都高速道路別線の整備が困難になるという可能性については、東京都は想定していないんでしょうか。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 別線整備案は、首都高日本橋地下化と同様に事前に必要となる調査を実施した上で事業を行うことを考えておりまして、整備が困難になることは想定してございません。引き続き、別線整備案の具体化に向けて、国などの関係機関とともに取り組んでまいりたいと思います。
○曽根委員 KK線の現在の自動車専用道路の下には、銀座の中心街だけに、さまざまな店舗がびっしり入っております。その直下を長距離に、直下でシールドマシンのトンネルを整備するというのが別線の構想ですが、昨年お聞きしたときにも、商店街を一キロ以上にわたって長距離に、直下で整備する地下トンネル工事は例がないという答弁がありました。
昨年十月以来の、外環道工事による地下深くのシールドマシン工事の影響で陥没が起きたり、空洞も複数見つかったことを踏まえれば、事前の地質や地盤調査、地下水の調査などは絶対に欠かせないはずですが、現商店街の場所でそれは可能なんでしょうか。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 別線整備案は、西銀座ジャンクション付近から京橋ジャンクション付近までの間、東京高速道路、いわゆるKK線の構造物の直下の施工となることから、シールド工法でトンネルを構築する予定でございます。
シールド工法は、道路だけでなく鉄道や下水道など、都市のインフラ整備に幅広く活用されており、都内の既成市街地においても、数多くの施工実績がございます。
事業の実施に当たっては、設計や施工の段階で必要となる地下水や地質などの状況を事前に調査することになりますが、この段階で具体的な調査方法も決めることになってございます。
○曽根委員 昨年十月の外環道直上の住宅街での陥没事故を踏まえれば、もうこの商店街の真下を、しかも、深層地下ではなく、本当にわずかな地下のところを高速道路を掘るというのは非常に心配です。都心直下の軟弱地盤、地下をいじれば、地下水位に影響があり、地盤沈下の危険も大きいといわざるを得ません。
しかも、真上の商店街は営業を休む話などは全く想定していないようですけれども、余りにリスクが大きいと思います。さらに、約一・二キロの日本橋と同じ長距離のトンネル区間の間に、地質調査ができる、いわゆるボーリングを行うスペースが路線から離れた場所にしか確保できないのではないかという危惧を感じます。せいぜい、真上からボーリングできるのは交差点のところぐらいではないでしょうか。
さらに、八重洲線からの接続と京橋ジャンクションとの接続は、カーブする地下道路のために、近隣のビルを巻き込んだ再開発が恐らく不可欠だと思います。地元地権者との合意はかなり困難ではないかとも聞いております。
そして、日本橋とほぼ同じ距離のシールドトンネル工事による莫大な事業費は、都民の負担になっていく可能性が大きく、日本橋と合わせて、この巨額の事業費の負担が今後、都政に重くのしかかってくることになります。
KK線付近では、現状で大きな利便性やまちづくりの問題は聞いておりませんが、この計画が動き出せば、環境破壊も含めて大きな開発問題を引き起こすことは確実であり、これほど安易に何か華やかな部分だけの検討が取りざたされていることに、私は強い違和感を持たざるを得ません。
もし具体的に進めるというのなら、地元商店街や住民なども含めた慎重な検討、そして、外環道の問題を教訓として、完全な第三者による事業監視委員会設置が不可欠ですが、少なくとも、都心で開発バブルの危険がなくなるまで検討そのものを中止すべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
○藤井委員 私からは、緊急輸送道路と、そして耐震化の関係についてお伺いをしてまいりたいと思います。
まず、特定緊急輸送道路についてお伺いをいたします。
私の地元練馬区におきましては、特定緊急輸送道路は七路線ございます。具体的には、笹目通り、川越街道、環七、目白通り、新青梅街道、青梅街道、そして関越、外環の高速道路ということでありますけれども、まず、都として、この七つの路線を特定緊急輸送道路として指定していることの考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 都は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震直後から発生する緊急輸送などを円滑に行うための道路として、高速自動車道、一般国道及びこれらを連絡する幹線道路と、知事が指定する防災拠点とを相互に連絡する道路を緊急輸送道路として指定しています。
練馬区のご指摘のありました路線は、応急対策の中枢を担う都庁本庁舎や立川地域防災センター、重要港湾、空港などを連絡する道路として、特定緊急輸送道路に指定しております。
○藤井委員 ただいまのご答弁ですと、防災上重要性が高い道路を指定しているということでございました。
次に、特定緊急輸送道路沿道の建築物に係る耐震化についてお伺いをしてまいりたいと思います。
引き続き、地元の話で恐縮でございますが、練馬区内においては、対象建築物の五百七棟のうち四百八十六棟が既に耐震化がなされているということでございまして、率としては九六%であり、かなりこれ、耐震化が進捗されているというふうに捉えることもできるんですが、ただ、この耐震化ができていない建築物の全てが昭和五十六年以前の旧耐震でつくられた建築物であります。この旧耐震基準は、百一棟のうち、現在、耐震化済みは八十棟ということでございます。
逆に申しますと、二十一棟が残ってしまっているということでございます。地元区においては、職員さんが個別訪問を進めるなど、徹底した人海戦術を進め、そして、事業進捗を図っていると伺っているわけでございますが、逆に、この最後の部分が残っているわけでして、ここがなかなか厳しいという声もいただいております。
都として、残っている対象建築物について、どのような理由、課題があるというふうに分析をされておられるのかお伺いをいたします。
○青木耐震化推進担当部長 練馬区からは、未耐震の建築物につきまして、賃借人や区分所有者との合意形成が困難あるいは資金難であるとか、建築基準法上の違反があるなどの課題があるというふうに聞いております。
○藤井委員 今ご答弁いただきましたけれども、練馬区内に限定をされる話ではなくて、これは恐らく東京全体でも起こっていることではないかと推測するわけであります。ぜひ、この辺の原因を究明していただいて解決を目指して、都として取り組んでいただきたいと思います。
これ、なかなか地権者の方の理解が得られない等々の話もあると伺っているわけでございますけれども、都として、何らかの有効な手だてをとっていただきたいなと思うわけでございますけれども、見解について伺いたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 都は、さまざまな専門家をアドバイザーとして無料で派遣しておりまして、先ほどご説明しましたような個別課題にも対応できますよう、弁護士あるいはファイナンシャルプランナー、建築士などが専門的な立場からアドバイスを行っておるところでございます。
○藤井委員 専門家を派遣していただいていると、これは、都の取り組みとしてやっていただいているということは感謝申し上げたいと思うわけでございますけれども、なかなかアドバイスをいただいても、現実に解決ができない課題もあるのかなという思いもございます。
これは質問に先立ちまして、現場の声を伺ってきたんですけれども、近年かなり助成額もふえてきたと。マンション一戸当たり、国と区で三十万円を、それぞれ十五万、十五万で、全体で三十万円の補助がなされたりとか、そういったこともあって、かなり助成率、助成額が上がっていけば、それだけ進捗にもつながるというようなご意見でございました。
この助成という観点において、都としての一層の支援、そして、後押しを求めるものでございますけれども、見解を伺いたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 都は、平成三十年度から、特に倒壊の危険性が高い建築物について、耐震改修に加えまして、建てかえや除却の費用も助成単価の上限額を引き上げ、今年度からは、段階的な改修に対する補助要件を緩和するなど、支援を拡充しております。
今後とも、こうした支援を通じて、所有者の耐震化に向けた取り組みを後押ししてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。ぜひ、財政的な支援も極めて重要だと思いますので、引き続きお願いを申し上げたいと思います。
次に、一般緊急輸送道路についてお伺いをしてまいりたいと思います。
練馬区内には、実は二十六路線、存在をいたします。環状八号線、千川通り、富士街道等々であるわけでございますけれども、これらの路線は救急車両が頻繁に通過をするという意味合いにおいては、もう特定緊急輸送道路と全く変わらないような幹線道路であるわけでございます。
練馬区における計画におきましては、令和二年度において、今、対象となる一般の建築物が千六百八十七棟あるんですが、その耐震化済みが千三百五十二棟で八〇%にとどまっているということなんですが、これを令和七年度末には九〇%を目指して取り組んでいくというようにお伺いをしているところでございます。
先ほど、特定の方についての数字を申し上げたんですが、耐震化の対象となる建築物そのものが特定の三倍あるということでございまして、やはりここも都として、しっかり支援をしていただきたいなと思いますので、その支援を求める観点から伺いたいと思います。
特定と一般では、補助率などに支援の差があるというふうに伺っているわけでございますが、この差をつけている理由はどのようなものなのか、また、防災上の重要性等々について、どう判断をされているのか、見解を伺いたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 大規模地震時におきまして、沿道建築物の倒壊による道路閉塞を防止するため、特に重要な道路を特定緊急輸送道路として選定し、沿道建築物の所有者に対して耐震診断の実施を義務づけるとともに、重点的かつ集中的に耐震化に取り組むこととしまして、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化よりも高い助成割合としてまいりました。
○藤井委員 今ご答弁あったとおりなんですけれども、環状八号線は自衛隊の駐屯地も存在をいたしますし、千川通りには消防署等々もございます。これ、特定道路とも全く変わらない、あるいはそれ以上の防災上の重要性があるということは、私も地元の人間として認識をしているところでございます。
さらに、この耐震関連の予算、最近、事業の執行率そのものが三〇%とか四〇%という、かなり予算額に対して決算額が低いというか、まあ、これは十分余裕がある予算を取っているというふうには伺っているんでございますけれども、執行率だけ見れば、三〇%、四〇%という年も多いと伺っております。
先ほども申し上げましたが、補助率が上がれば事業進捗が進みやすいということも事実でございまして、ぜひこれ、利用しやすいように補助率を上げていただくことも検討していただきたいなと思うわけでありますけれども、都の見解を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 練馬区においては、先ほどご答弁しました笹目通りなどを特定緊急輸送道路に指定しておりまして、お話のありました環八南田中交差点より北側の環八通りなどは一般緊急輸送道路に位置づけております。
特定緊急輸送道路の震災時の通行機能確保に合わせまして、一般緊急輸送道路の機能を向上させることは、災害に強い都市を実現する上で有効でありまして、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化にも取り組んでまいりました。
令和二年度には、テナントビル等の耐震改修等に対する助成額の加算を行いました。さらに、令和三年度からは、特に倒壊の危険性が高い建築物の耐震改修等に対する助成単価の引き上げや、新たにアドバイザーによる耐震改修計画の提案を行うなど、支援を強化することとしております。
○藤井委員 ご答弁あったとおり、令和三年度から新しい助成、支援も強化をしていただけるということでございますので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいなと思います。
沿道建築物に対する助成は、私有財産等に対する公金投入であるので、かつては慎重であるべきだというようなお声もありましたけれども、やはりこの防災性を高めていくという観点で、やはり公共の利益にも資することだというふうに認識をしておりますので、この特定、そして一般と、緊急輸送道路沿いの建築物に対する都の一層の取り組みを求めたいと思います。
それでは、最後の質問に移らせていただきたいと思います。
これも地元の話で恐縮なんでございますけれども、大江戸線の延伸の関連で、鉄道ネットワークの整備促進についてお伺いをしてまいりたいと思います。
この練馬区の北西部、これ大泉だとか、あるいは石神井、光が丘、土支田といったような地域が当たるわけでございますけれども、二十三区の中でも数少ない鉄道空白地域にあるわけでございまして、大江戸線の延伸というのは、その空白を解消するという観点で重要なプロジェクトであるわけであります。練馬区にとっては悲願でもあるものでございます。
もちろん、特別区内の他地域におきましても、鉄道空白地域は点在をしているわけでございますけれども、この練馬区内においては、面積という観点では、かなり大きな割合を占めているわけであります。都として、練馬区内における鉄道空白地域について、どのように認識をされているのかお伺いをいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 平成二十年に練馬区が策定いたしました都市交通マスタープランでは、駅やバス停から離れ公共交通を利用しづらい公共交通空白地域があることを交通課題の一つとして挙げてございます。
区では、こうした地域を改善するため、新規鉄道路線の早期実現、既存バス路線の再編や、コミュニティバスの検討、運行などによる最寄り駅などまでのアクセスの確保等に取り組むこととしてございます。
都といたしましては、引き続き、地元区や交通事業者による取り組みと連携し、公共交通の利便性や快適性の向上に努めていく必要があると考えてございます。
○藤井委員 公共交通ネットワークの充実に努めていかれるというご答弁でありました。
コミュニティバス、私たちの地元ではみどりバスといっているんですけれども、こういったコミュニティバスを積極的に走らせることによって、交通空白というか、そういったものを解消すると、解決するという手段がないわけではないわけでありますけれども、より根本的な解決のためには、やっぱり鉄道が必要なのではないかというのが練馬区の立場でもございます。
本年一月二十二日、練馬区の副区長が都庁を訪れまして、この事業化に向けた課題の検討を早急に求めるなどの五項目を要望したものと伺っているものでございます。そうした区の要請に対する都の受けとめについて、最後にお伺いをいたしたいと思います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 大江戸線の光が丘から大泉学園町までの延伸につきましては、交通局におきまして、テレワークの定着など、旅客の行動変容に伴い変化する将来的な旅客需要の見通しや、事業の収支採算性を分析、評価する必要があり、引き続き検討を進めていくことと聞いてございます。
○藤井委員 コロナ以前、以後で事業環境は大きく変わったというのも事実であろうかと思います。ただ、この都市インフラの整備はやっぱり時間を要するものでありますので、長期的視点かつ計画的にぜひ取り組んでいただきたいなと思うわけであります。
昨年五月には、区長が知事に対しまして、直接事業化について要望をし、小池知事からは、事業化に向けて検討を進めるという力強いお返事をいただいたところでもございます。
今後、東京都として、先ほど申し上げました一月の要望も含めまして、地元区からの要望をしっかりと受けとめていただいて、取り組んでいただきますことを要望いたしまして、私からの質疑を終えたいと思います。ありがとうございました。
○斉藤委員 私からも、自転車活用推進計画の改定に当たり、質問させていただきます。
新たな計画の改定に当たり重要な柱の一つとして、自転車専用レーンなどの整備を進めて、自転車ネットワークを形成することとされています。これについて、実際に例えば小さなお子さんを乗せて保育園などに毎日送迎をされている子育て世帯の方にも意見を伺ってみたところ、自転車専用レーンを走行していても、レーンが途中で途切れてしまっていたり、レーンの途中に自動車が路上駐車をしているため、むしろ走行することに危険を感じているということで、歩道側を通行されているというお話を伺いました。
東京都は、自転車活用推進計画の改定案を公表されましたが、住宅地における送迎や買い物など、日常利用の自転車が安全に走行できる空間を確保するため、駐車対策やまちづくりとの連携も含めて、どのように取り組んでいくか見解を伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都は、先般公表いたしました自転車活用推進計画案におきまして、住宅地等、三つの地域特性を想定しつつ、活用推進重点地区を設定いたしまして、さまざまな施策を集中的に実施するとともに、他地区への展開を図ることといたしました。
特に、住宅地におきましては、自転車事故の増加や放置自転車が解消されていない等の状況も踏まえまして、自転車利用が多い駅や商店街、学校等の周辺における通学路及びその周辺道路の安全点検の実施、また、路上駐車対策、歩行者、自動車等と分離した安全な自転車通行空間の整備、商業施設の駐輪環境の充実等によります放置自転車対策の推進、生活道路のゾーン三十による速度抑制等、まちづくりと連携した取り組みを想定しております。
今後、先行実施地区を選定いたしまして、来年度早期に改定する計画に反映いたしました上で、区市町村と連携しながら取り組みを進め、誰もが安心して快適に自転車を利用できる環境の一層の充実に取り組んでまいります。
○斉藤委員 レーンを走行される自転車が危険を感じることがないよう、通行空間の整備に加え、物流事業者のための一時的な駐車場の確保なども含め、多様な取り組みを推進していただきたいと考えております。
同じように、子育て世代の方々からのご懸念点として、駐輪場以外の路上などに自転車がとめられていることがあります。歩行者やベビーカーの通行に苦労する場面があるということです。また、駐輪場がどこにあり、あいているのかという情報がそのときに適時に得られないことがございます。
長期的には駐輪場の整備が必要ではありますが、まずは、既存の駐輪場を有効活用するための対策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 自転車の駐輪場につきましては、地域の特性に応じまして整備する必要があることから、これまで区市町村による取り組みが進んでおりますが、なお駐輪場が不足している駅直近などでは自転車の放置が解消されておらず、駐輪場の整備とあわせまして、既存の駐輪場を有効活用することも重要であると考えてございます。
駐輪場の整備には時間を要することから、本計画案では、スマートフォンで駐輪場の位置がわかるように、地図情報を提供している事業者に都内の駐輪場の情報提供を行うとともに、既存の駐輪場利用促進の啓発活動を行う等によりまして、放置自転車対策に取り組むことといたしております。
さらに、区市に対しまして、こうした駐輪場の有効活用も含めた総合的な計画の策定を促しまして、安心して快適に自転車を利用できる環境の一層の充実に取り組んでまいります。
○斉藤委員 地図情報に最新の駐輪場情報が反映されることを願っております。また、各地域に着実に駐輪場が整備されていくよう、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、地域公共交通の充実強化について伺います。
これまで、稲城市や多摩市から地域公共交通として、特にコミュニティバスの運行継続に当たる支援についてご要望いただいてまいりました。一昨年の予算特別委員会でも問題提起をさせていただきました。現在、東京都においては、地域公共交通の在り方検討会を設置され、今後の持続可能な地域公共交通について議論、検討を重ねておられます。
一方、地域公共交通の分野については、これまでは東京都による関与が少なかったと認識をしております。まず、こうして東京都みずからが地域公共交通のあり方等を検討することに至った背景について伺います。
○江端地域公共交通担当部長 これまで都は、区市町村が設置する地域公共交通活性化協議会等に参加し、広域的、専門的な立場から、地域の取り組みに対して技術的な支援を行うこととともに、コミュニティバス等の導入に対して、財政的な支援を行ってきています。
一方、少子高齢、人口減少に伴う公共交通の利用者減少や、高齢運転手による交通事故の深刻化、また、MaaSや自動運転技術など、交通分野における急速な技術革新が進んでおり、地域公共交通もこうした社会情勢の変化に対応した役割を果たす必要があります。
このことから、都は、有識者から成る検討会を立ち上げ、二〇四〇年代を見据えた地域公共交通のあり方などについて検討しております。
○斉藤委員 ありがとうございます。
地元市からは、具体的にコミバスの運行維持、支援のご要望をいただいているんですが、本検討会の中でも、都内区市町村のコミバスやデマンド交通の事業採算性が厳しいということが指摘をされておりまして、このまま維持することで、行政による財政負担額はさらに増加するおそれがあるということや、場合によっては、既定路線の維持等が困難になる状況があるとも示唆をされています。
こうした状況を踏まえ、検討会では、地域公共交通の持続可能性の確保に向け、極力、補助金等に頼らない新しい事業スキームを構築すべきであるとの問題提起をされています。地域公共交通のトップランナーは、既に利用者減少などに直面し、厳しい経営を強いられている地方都市でありまして、新しい事業スキームの検討に当たっては、地方都市におけるすぐれた取り組みから大いに学ぶべきと考えております。
そこで、極力、補助金等に頼らない新しい事業スキームの検討に当たっては、地方都市におけるすぐれた取り組みを積極的に導入していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○江端地域公共交通担当部長 委員ご発言のように、財政状況が厳しい状況においても、区市町村が引き続き、地域における移動手段を維持、確保していくためには、財政支援だけに頼らない方策が求められております。
委員お話の地方都市におきましては、地域住民や地元の商業施設等から協賛金を募り、運行経費の一部に充当するなど、地域ぐるみで地域公共交通を支える取り組みが数多く実施されております。
都は、二〇四〇年代における地域公共交通のあり方を検討する中で、こうした地方都市における先進的な取り組みの都内への適用可能性等についても検討しており、得られた知見については、区市町村の施策の検討に資するよう、情報提供、意見交換を行ってまいります。
○斉藤委員 地域公共交通は、都民の豊かな日常生活を支えるものであり、その波及効果は医療、福祉、商業、防災などあらゆる分野に及びます。一方で、地域公共交通の検討に当たっては、こうした分野横断的な視点が希薄であると感じております。
誰もが移動しやすい利便性の高い都市を実現していくためには、人々の移動ニーズはどこにあるのか、また、ニーズに対応した輸送モードは確保されているのかなど、地域公共交通をマーケティングの視点から捉えた上で、多様な分野間の緊密な連携のもとで施策を展開していくことが重要だと考えます。
そこで、地域公共交通分野における多様な分野間の連携の必要性について、都の認識を伺います。
○江端地域公共交通担当部長 委員ご指摘のとおり、地域公共交通は、都民の日常生活を支えるものであり、観光振興、教育など、多様な分野との連携を強化することにより、利用者のニーズに即した輸送サービスの充実や移動需要の増大等をもたらすことが期待されております。
こうしたことから、地域公共交通の検討に当たっては、多様な分野間の連携を考慮することが重要であると認識しております。
○斉藤委員 多様な分野間の連携の重要性を認識しているとのご答弁をいただきました。
地域公共交通が発達することで、地域住民や地域の民間事業者にどのような恩恵があるか、民間にも周知し、プレーヤーとして巻き込んでいくことで、今後、新たな地域公共交通のあり方を検討していただくことを要望しまして、次の質問に移ります。
多摩地域の魅力向上について伺います。
東京都は、令和二年二月に多摩のイノベーション創出拠点の形成に向けた取組方針を策定され、今年度は多摩イノベーション創出まちづくり検討支援モデル事業に、多摩市、府中市、日野市、八王子市を選定され、地域の特性や強みを生かした新たなまちづくりに取り組まれています。
イノベーションの創出とは、まさに新たな価値を創造することでありまして、既存の事業や取り組みの枠にとどまらない自由かつ大胆なアイデアが生まれてくることが重要です。そのために、公民学連携によるまちづくりの推進体制について、モデル事業ではどのように取り組んでいるか伺います。
○中山景観・プロジェクト担当部長 多摩のイノベーション創出拠点の形成に向けた取組方針では、イノベーションを生み出すためには、スタートアップや研究開発などの目的を持った人材や企業、それらを支援する大学、研究機関等、多様な主体間の交流連携を促進していくことが重要としております。
現在、四地区で進めているモデル事業におきましては、こうした考えに基づき、各市がそれぞれの地域特性を踏まえて、公民学連携によるまちづくりの推進体制の構築に向けて、企業や大学等と意見交換やヒアリングなどを行い、検討を進めております。
○斉藤委員 より多くのプレーヤーや民間の主体に、イノベーション創出のまちづくりの取り組みを知っていただいて、参画していただくことを目指していけるよう、コロナ禍においても、着実な連絡会議の実施と、随時の情報発信をぜひよろしくお願いいたします。
最後に、緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度について伺います。
地元多摩市や稲城市は、緑のあふれる、そして、市民からその環境がこよなく愛されているという自然豊かな地域でありますが、若い子育て世帯の転入や人口がふえる地域もある中で、駅近くや一部エリアでは大規模開発が進んでいるところもございます。
一方で、子育て世帯や高齢者などにも、市内の公園や遊歩道は大変親しまれておりまして、子供たちにとっては貴重な遊び場や自然との親しみの場として、また、高齢者にとっては日々の運動や身体機能維持のために、なくてはならない環境として必要とされています。
区市町村が市内の土地を確保して、公園として継続していき、将来にわたり、市民が散策や活動ができるよう自然を保全していくことは大変重要と考えております。本事業は東京都の補助率が四分の一であり、区市町の負担も少なからず生じてしまいますが、今後、多くの区市町に取り組んでいただけるよう積極的に周知を図り、取り組みたいと考える自治体に向けても、情報提供などに努めていただきたいと考えますが、見解を伺います。
○小野都市づくり政策部長 公園などの緑は、都民の快適な暮らしや都市の魅力を高めるほか、防災の面からも大きな役割を果たすことから、公園や緑地の整備による緑の創出や保全は重要でございます。このため、未来の東京戦略案において、区市町への新たな支援策を示したところでございます。
具体的には、区市町が都市計画公園、緑地の区域外に公園や緑地等を整備することを支援する、緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度を来年度から開始することとしております。
今後は、補助制度等の支援策についてホームページに掲載するほか、区市町との連絡会など、さまざまな場を活用して説明や情報提供を行うなど、厚みとつながりのある緑の充実を図り、ゆとりと潤いのある東京を実現してまいります。
○斉藤委員 基礎自治体が緑の保全や公園用地確保に取り組んでいけるよう、要件などについてのご要望がある場合には、丁寧に聞き取っていただきたいと思います。
今後、取り組みを検討する区市町村に対しても、積極的に制度の紹介や働きかけを行っていただきたいということを申し上げ、また、都市整備局の皆様には、まちづくりにかかわる重要な業務に加えまして、最近では、新型コロナウイルス感染症の宿泊療養施設の管理運営、こちらの方の継続にご尽力いただいていることに心より感謝を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○森口委員 車中心から人中心のまちづくりが進む中、我が会派の令和元年第四回定例会代表質問において、時代に合わなくなった駐車場の附置義務条例を抜本的に見直すべきと求めて以来、都においては、駐車場附置義務の見直しに向けた検討会議を立ち上げるなど、見直しが始まっていることを高く評価いたします。
一方、車にかわり、今後は自転車駐輪場や一人乗り電動シニアカートなどの新たなモビリティーをとめる場所について検討を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 駐輪場につきましては、地域の特性に応じて、区市町村による取り組みが進んでおりますが、駐輪場が不足している駅直近では放置自転車が解消されておりません。
こうした課題にまちづくりと連動して対応できるよう、都は区市に対し、総合的な駐輪場の整備に係る計画の策定を促し、駅前などの需給アンバランスの解消を図る取り組みを積極的に働きかけてまいります。
新たなモビリティーにつきましては、さまざまな種類が提案されておりまして、国において、駐車施設の基準化に向けた検討が進められております。
この動向も見ながら、人中心のまちづくり等との関係も整理いたしまして、新たなモビリティーの駐車場につきましても検討し、総合駐車対策マニュアルを改定してまいります。
○森口委員 都は、二〇四〇年代に向けて、センター・コア・エリア内の都道の八割以上で自転車通行空間を整備していくなど、ますます自転車の利用の増加が想定されるとともに、高齢化による電動のシニアカートの増加など、新たな社会ニーズに対応した駐輪場、また、駐車場のあり方について、しっかりと検討を進めていただきたいと思います。
次に、建築行政の見直しについて伺います。
今日、都においては、世界の諸都市でも経験したことのない超高齢化、単独世帯の増加が進むとともに、コロナ禍を機に、人々の居住や働き方の多様化が一気に加速をし、職住融合などの新たなニーズが高まるなど、既存建築物の円滑な用途変更による既存ストックの有効活用といった点が大変重要な課題であります。
建築行政についても、こうした状況や社会ニーズの変化に合わせた取り組みが必要であり、都の建築安全条例は、国の建築基準法の制限をさらに強化する付加基準として、今から七十年ほど前に制定がされたものでありまして、昨今の建築技術の革新や、防災、消火技術の発展とともに、その時代の社会環境や社会的要請に合わせた適宜適切な見直しが必要であると、これまで都に求めてきました。
社会ニーズが多様化し、既存建築物のより柔軟な用途変更などが求められている中、建築安全条例についても、建物の安全性をしっかりと確保した上、より柔軟に今の社会的要請を捉えた形で、緩和も含め、規制を見直すべきと考えますが、見解を伺います。
○山崎市街地建築部長 委員お話のとおり、コロナ禍を契機といたしまして、テレワークの進展などに見られる多様なライフスタイルに対応した都市づくりが加速する方向にあり、新しい日常に適した職住融合等のニーズに対応し、既存の建物の用途変更等が円滑にできるよう、建築安全条例による規制の見直しが必要でございます。
例えば、現在は、建物の一部の用途変更を行う場合であっても、建物全体を現行の条例の規定に適合させるためには、建物全体の改修が必要となる場合があり、建築主への過大な負担となっております。
このため、安全性に配慮した上で、現行の規定を適用する範囲の限定化を可能とする取り扱い等について検討してまいります。
来年度、有識者等による検討委員会を設置し、社会のニーズの変容にも的確に対応しながら、安全・安心な社会の実現に資するよう、条例の見直しを進めてまいります。
○森口委員 来年度、建築安全条例による規制の見直しなども見据え、有識者による検討委員会を設置するとのことであり、高く評価をいたしたいと思います。窓先空地のあり方についても検討いただきたいと要望しておきます。
次に、首都高の地下化について伺います。
都民の暮らしを支える重要な社会資本である首都高速道路は、建設から六十年近くが経過をし、橋梁部の腐食やひび割れが発生するなど、老朽化が進行しております。東日本大震災後の平成二十四年には、首都高速道路の将来の更新に当たり、国土交通省の有識者会議において、都心環状線の高架橋を撤去し、地下化などを含めた再生を目指し、その具体化に向けた検討を進めるべきとの答申がされております。
日本橋区間においては、首都高地下化により、歴史ある景観と水辺の美しさを取り戻し、ゆとりやにぎわいある空間の創出につながるなど、東京の都市の魅力に大きくつながるものであり、昨年事業化が決定されております。
コロナ禍を受け、今月改定される東京の都市計画のマスタープランにおいても、緑やオープンスペースのさらなる創出を進めていくとともに、車中心から人中心の空間づくりへと転換をしていくと掲げられております。
東京の将来を見据えた都市づくりとして、日本橋エリアのように、都心の地上部において、緑やオープンスペースなど、ゆとりやにぎわいある人中心の空間を創出するべく、周辺のまちづくりと連携し、首都高地下化などの大規模更新を一層促進していくべきと考えますが、見解を伺います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、日本橋周辺におきまして、老朽化が進む首都高の大規模更新や周辺まちづくりが同時に進められる機会を捉えまして、品格ある都市景観の形成や水辺を生かした都市の顔づくりに向け、首都高の地下化に取り組んでおります。
首都高都心環状線の築地川区間におきましても、大規模更新が予定されておりまして、地元の中央区は、掘り割り構造となっている同区間の上部空間を活用することで、新たな都市空間を創出する考えを示してございます。
都といたしましても、地元が進めるまちづくりを支援するとともに、国などに対し、大規模更新とまちづくりとの連携を働きかけてまいります。
先月公表いたしました未来の東京戦略案におきましても、大規模更新の機会を捉えた首都高の地下化など、円滑な交通と快適な環境の両立を目指していくことと位置づけており、成熟した都市にふさわしいまちづくりを推進してまいります。
○森口委員 大規模更新に合わせた首都高の地下化は、単なる老朽化対策にとどまらず、世界に誇れる水辺や、緑あふれる都市景観の創造とともに、車中心から人中心のまちづくりの象徴となることから、都としても一層推進をしていただきたいと要望いたします。
最後に、飯田橋駅周辺のまちづくりについて伺います。
飯田橋駅は、JRやメトロなど鉄道五路線が乗り入れ、幹線道路も三路線で交差するなど、交通利便性が高いエリアであります。一方、新宿区、千代田区、文京区、この三区にまたがる駅周辺の歩行空間が十分確保されていないほか、歩道橋や地下鉄から地上へのバリアフリー動線など、改善しなければならない課題が多く残されています。
その中で、東口の千代田区エリアでは複数の再開発計画の機運が高まっております。私の地元である新宿区側でも、まちづくり協議会が設置されているとともに、文京区側も再開発準備組合が再開発を計画しております。
都は、地元三区等と昨年九月に飯田橋駅周辺基盤再整備構想を策定し、これを具体化した基盤整備方針を取りまとめていくとしていますが、地元のまちづくりの動きも踏まえ、都として早期に構想を具体化し、都市基盤の再整備を一層推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 飯田橋駅周辺は、鉄道五路線が結節するなど交通の要衝である一方、鉄道駅や歩道橋、地下の乗りかえコンコースなどの都市基盤は、混雑していて歩行者にとってわかりにくく、バリアフリー動線にも課題がございます。
このため都は、区や鉄道事業者とともに検討会を設置いたしまして、駅周辺のまちづくりとも連携した基盤の再整備のあり方について、昨年九月に再整備構想を取りまとめたところでございます。
その後、検討会では、歩行者流動調査を行い、さらに周辺の再開発の動向などを踏まえ、JR飯田橋駅東口構内の拡充や、三区にまたがる飯田橋交差点の横断歩道橋の機能強化などを図るため、まちづくりと連携した改良のあり方や方策などについて検討してございます。
引き続き、関係者と連携しながら再整備構想を具体化し、駅とまちが一体となった、便利でにぎわいのある交通結節点の整備に取り組んでまいります。
○森口委員 三区にまたがる飯田橋駅周辺の都市基盤の再整備の実現に向けては、都が果たす役割は大変重要であります。今後も関係区等と連携を図りながら、基盤整備方針を早期に取りまとめ、都市基盤の再整備を着実に推進していただくことを要望し、質問を終わります。
○和泉委員 私は、まず初めに、新宿駅直近地区土地区画整理事業施行規程について質問します。
この事業の事業計画書案を見ますと、この事業は、新宿駅の東西デッキ及び南北デッキの新設と西口及び東口駅前広場の再編、鉄道施設の乗りかえルートを新設、再編と街区再編とを一体的に行うことにより、公共の福祉に資することが目的というふうに記されています。
まず初めに、この施行地区内の宅地所有者、借地権者の構成と、それぞれの人数について伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 本年二月三日時点の所有者は四人、全て法人でございまして、登記された借地権者は確認されておりません。
○和泉委員 ほかにも二つ、基本的なことを確認しておきたいと思うんですが、事業計画書案によりますと、工事費七百十七億五千万円、事務費が十億五千万円で総額七百二十八億円と、このようになっています。
議案となっています土地区画整理事業施行規程案の第六条には、事業の施行に要する費用を宅地所有者から徴収することとなっていますが、その費用はどのように算出するんでしょうか。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 事業計画における事業費の総額は七百二十八億円でございまして、その費用は、宅地の所有者が拠出をする地権者負担金を充てることとしております。
各宅地所有者の負担する額は、従前、従後のそれぞれの敷地の位置、地積、利用状況等の条件に応じ、各宅地所有者の負担に不均衡が生じないように算出いたします。
○和泉委員 つまり、事業に係る費用については全て地権者が負担するということで、都や区の負担はないという理解でよろしいんでしょうか、伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 事業計画におけます事業費の総額は七百二十八億円でございまして、その費用は、宅地の所有者が拠出する地権者負担金を充てることとしてございます。
○和泉委員 もう一点確認させてください。この事業における清算金ですけれども、これはどのような算出方法で分割徴収、あるいは分割交付されることになるんでしょうか、伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 清算金とは、工事完了後の換地処分時に、各宅地の所有者間の従前の土地の価額と換地後の土地の価額の比較において不均衡が生じた場合に徴収、交付するものでございまして、施行者が徴収する額と交付する額は同額となります。
なお、その具体的な算出方法は、今後検討してまいります。
○和泉委員 では、これもまた全て地権者が負担するということで、都や区の負担はないという理解でよろしいんでしょうか。イエスかノーかだけで結構です。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 繰り返しとなりますが、現在、事業計画における事業費の総額七百二十八億円については、その費用は、宅地の所有者が拠出する地権者負担金を充てることとしてございます。
○和泉委員 はっきり答えていただけないわけなんですけれども、つまり、清算金においても、最終的な清算においても、あくまで宅地所有者が負担するものだと。都や区の負担はないというふうに理解をしておきます。
私、二〇一九年九月十二日の本委員会で、新宿区都市マスタープランでは、この地域が、東口を中心に、小規模なものから大規模なものまで数多くの店舗が軒を連ね、年間の小売販売額が九千億円となる国内有数の商業のまちと紹介されていることを示しながら、その方たちへのリスペクトを持って、双方向で地域の方たちと一緒にまちづくりを進めていく、丁寧で緊密な関係者との協議が欠かせないというふうに指摘をしました。
この二〇一九年の質疑以降、地域の住民の皆さんへの説明会、意見交換会はどのような形で、何回開かれてきたんでしょうか。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市計画決定に向けまして、令和元年七月、九月には、新宿区とともに地元説明会を開催し、新宿駅直近地区に係る都市計画変更の内容について説明を行っております。
令和元年十月以降も、本土地区画整理事業に関しまして、新宿駅周辺地域まちづくり協議会等の地元団体や隣接地権者に対し、延べ三回説明し、その際、工事期間中の安全確保や工事情報の発信などについて意見交換を行っております。
なお、令和二年十一月末から十二月にかけて事業計画書の案を縦覧しておりますが、その際には、住民等が容易に閲覧できるよう、ホームページにも図書を掲載しているところでございます。
○和泉委員 七月、九月には地元説明会を行ったと。十月以降も三回説明会を行っている。そして、十一月末から十二月にかけては、住民等が閲覧できるようにホームページにも図書を掲載していると。十分に周知がされているはずだというお答えですけれども、新宿区都市計画審議会には、昨年の十二月です、新宿駅直近地区地区計画に関して、新宿EAST推進協議会から意見書が上がっています。このことを都は承知しているでしょうか。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 新宿区都市計画審議会に一団体から意見書が提出され、都市計画の説明会の事前周知に関する意見などがあったことは承知をしてございます。
区からは、説明会開催について、事前に区のホームページにて広く周知し、地元まちづくり団体に対して、都市計画原案、素案の資料を事前に送付するとともに、意見交換の機会を確保するなど対応を行っているというふうに聞いてございます。
○和泉委員 区もまたホームページで広く周知していると。事前に送付していますよと。こういうお話なんですけれども、この意見書では、地元の地権者は十分告知されているという受けとめにはなっていないといっているんです。
説明会の案内も、新宿駅周辺地域まちづくり協議会への説明も直前で、行政の決定事項のみを伝えられ、地元としての理解、検討の時間がなく、地元の思いが伝えられないと、このように意見書の中で訴えています。
さらに、この意見書でこの協議会の方たちがいいたいのは、事前の告知の問題だけではありません。この地域は、江戸初期に浅草商人らが内藤新宿の開設を幕府に許可を求め、みずからの投資をもって行ったことが基礎となっていて、自分たちのまちは自分たちでつくり運営する、そういう気質が柱になっている。これまでのまちづくりもそのように区と連携してきたし、これからもそうしてやっていきたいと。それなのに、今回のまちづくりは、まちの方たちとともにつくり上げていくという視点に欠けているんではないかと、そのような厳しい指摘です。
その後、静かで丁寧で長期的な意見交換会が開催され、第二回も行うこととなったようですけれども、丁寧で長期的なとしているところに、この協議会の方たちの思いが込もっているというふうに私は思います。
いつもいっていることですけれども、まちというのは、その地域に愛着を持って、そのまちをつくってきた方たちがいるからこそ、生き生きとした活気が生まれます。丁寧に時間をかけて合意形成を図るために、計画を拙速に進めるべきではないということを改めて強く述べておきます。
次に、耐震改修促進計画について伺います。
首都直下地震は、発生確率、切迫性が高いとされていて、揺れによる全壊家屋は十七万五千棟、死者は最大一万一千人、火災による焼失は四十一万二千棟、死者は最大一万六千人と、このように想定されています。直接被害と生産サービス低下による経済的被害は約九十五兆円と試算されています。
阪神・淡路大地震における死因の八八%が家屋の家具類等の倒壊による圧死とされているだけに、建築物の耐震化、とりわけ、住宅の耐震化は住民の命に直結する課題です。地震発災時、いかに住宅の倒壊や火災を防ぐかという視点から、都は、耐震改修促進計画で、建築物の区分ごとに耐震化目標を設定して進めてきました。
そこで、住宅耐震について伺います。
初めに、整備地域内、整備地域外の住宅耐震改修促進について、これまでの取り組みを伺います。
○青木耐震化推進担当部長 都は、平成十八年度から、防災都市づくり推進計画に定めます整備地域内の住宅を対象に、耐震診断、補強設計、耐震改修、建てかえ及び除却に助成を行っております。また、平成三十年度からは、所有者への積極的な働きかけを行う自治体を支援するものとしまして、整備地域外の住宅も対象に、耐震診断、補強設計、耐震改修及び建てかえに助成を行っております。
さらに、整備地域の内外を問わず、所有者の主体的な取り組みを促すため、耐震キャンペーンにおける改修工法の展示や耐震診断事務所の紹介などに取り組んでおります。
○和泉委員 整備地域外にも住宅の耐震助成を行うことは我が党も繰り返し求めてきたものであり、重要だというふうに思います。
また、来年度から、整備地域外の除却費用についても助成が行われるとのことですけれども、その詳細について伺います。
○青木耐震化推進担当部長 旧耐震基準の戸建て住宅等は築後四十年以上となっておりまして、老朽化が進んでいます。除却も助成の対象としています整備地域内助成におきましては、除却の件数が約七割を占め、耐震改修や建てかえを大きく上回っています。また、区市町村からは、戸建て住宅等助成においても除却を対象にすべきとの声が寄せられていました。
このため、令和三年度から、除却を助成の対象として追加することにより、所有者の耐震化の選択肢をふやすこととしました。助成額ですけれども、例えば、二百万円の除却工事を行った場合に、助成額は百三万円となりまして、除却による耐震化が促進されるものと見込んでおります。
○和泉委員 除却のニーズが高いと。区市町村からも助成の対象とすることを求められてきたというご答弁です。
続けて伺いますけれども、戸建て木造住宅、戸建て非木造住宅の耐震化率の到達、これはどのようになっているでしょうか。整備地域内、整備地域外別に伺います。
○青木耐震化推進担当部長 国が実施した平成三十年住宅・土地統計調査に基づきまして、令和元年度末の耐震化率を推計しますと、都内全域になりますけれども、戸建て木造住宅は八六・〇%、戸建て非木造住宅は九五・二%でございます。
なお、住宅・土地統計調査は、区市町村を最小単位として集計しておりますため、整備地域の内外を分けての推計は困難でございます。
○和泉委員 整備地域内外それぞれに分けて推計することは難しいという答弁ですけれども、いずれにしましても、戸建て木造住宅については八六%という答弁です。令和七年度までに耐震性が不足している住宅をおおむね解消する、そのためには、率直にいって低い達成率だというふうに思います。
戸建て木造住宅に係る耐震化率が八六%にとどまっている、この主な原因はどのように分析しているんでしょうか、伺います。
○青木耐震化推進担当部長 戸建て木造住宅は、老朽化した建物の割合が高くなってございまして、非木造の戸建て住宅や共同住宅と比べまして、耐震化率が低くなる傾向にあると認識しております。
○和泉委員 耐震化率が低くなる原因ではなくて、耐震化が進まない原因、主に土地所有者、家屋の所有者、こういった方たちがなぜ耐震化をしようというふうにならないんだろうか、そこのところをどう分析しているかを伺いたかったんですが、いかがでしょうか。
○青木耐震化推進担当部長 住宅の所有者の方々がさまざまな課題を抱えていることはご指摘のとおりでございます。ただ、戸建て住宅、木造であるか、非木造であるかにかかわらず課題を抱えておられまして、戸建て木造住宅に関して耐震化率が低くなっている理由としましては、そもそも老朽化した建物の割合が高いことから、もともとの耐震化率が低く出ているということがあると分析しております。
○和泉委員 昨年の三月ですか、我が党の曽根議員が質疑で行いましたけれども、生活文化局がアンケートをとっています。その中で、耐震化を行わないというふうに答えている理由が、どうせ地震が来れば、被害がどっちみち出るんだと。だから、耐震化を行っても無駄だ。あるいは、費用はとても工面できない。これが一位、二位を占めているというアンケート結果でした。このことを正面から受けとめる必要があるというふうに思うんです。
耐震改修促進計画は、都民の命と財産を守るとともに、首都機能を維持するため、建築物の耐震化を計画的かつ総合的に推進することを目的として、都が策定しているわけですから、命と財産を守る主体として、それにふさわしい取り組みになっているのかということが問われているはずです。
耐震化が必要な住宅がどのくらいあって、令和七年度までに耐震性の不足する住宅をおおむね解消するために、年間どのぐらいのペースで進めていく必要があるのか。着実に目標を達成するために何が必要なのか。これらを都はどのように考えているんでしょうか。耐震化が必要な住宅というのは全都でどのぐらいあるんでしょうか、伺います。
○青木耐震化推進担当部長 都といたしましては、住宅の耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識し、備えることが不可欠であり、その所有者の取り組みを支援して、後押ししてまいります。
現在、令和二年三月末時点でございますけれども、都内全域の住宅約六百九十万戸ありますうち、耐震性が不足する住宅は約五十五万戸と推定しております。
○和泉委員 これもまた昨年の曽根委員の質疑の繰り返しになりますけれども、ちゅうちょしている方たちをどうやって耐震化へと足を一歩踏み出すか、その強力な、背中を押す手だてが東京都に今求められているんだというふうに思うんです。
いまだ五十五万戸の住宅で耐震性が不足しているというこの状況を、あと五年でおおむね解消していこうと。本当に真剣な取り組みが今求められているというふうに思います。
続いて、実績についても伺いますが、昨年、一昨年の住宅耐震改修、建てかえ及び除却の実績については、それぞれどのようになっているでしょうか、伺います。
○青木耐震化推進担当部長 戸建て住宅等に関する耐震改修等の助成実績ですけれども、耐震改修につきましては、令和元年度が百二十一件、平成三十年度が百十四件。建てかえにつきましては、令和元年度が三十九件、平成三十年度が四十一件。除却は、令和元年度が百八十一件、平成三十年度が百七十五件でございます。
○和泉委員 昨年の実績は耐震改修、建てかえ、除却、これを全部合わせても三百四十一件、一昨年は三百三十件です。このペースでは到底目標達成には及びません。
昨年三月の本委員会で曽根議員が高知県の取り組みについて紹介して、質問をしていますけれども、都は、他県の取り組みは参考にしながら、都は都としてやっていくと、このように答弁しています。しかし、実績を見ても、実際には進んでいないというのが現状です。
また、補助上限額を来年度から引き上げたことは重要ですけれども、前向きに評価したいというふうに思いますけれども、これは、都がやはり住宅耐震促進に向けてスピードを上げていく、その必要性を自覚しているからだというふうに思うんです。
ただ、助成率に関していえば、区市町村が都と同じ負担をすることが条件となっていて、区市町村の負担が重ければ、やはりその財政力の違いが進捗率の違いになってあらわれてくるんじゃないでしょうか。区市町村の負担を軽減するべきだというふうに思います。
あわせて、家屋の所有者の負担もまた、大きく軽減しなければ、なかなか耐震化率をスピードを上げて、加速をさせていくというのが難しいんではないかというふうに思います。命と財産を守るために、目標を達成するために、都としての本気の取り組みが求められています。
他県の先進事例にも学んで、耐震化が進まないのは何が障壁となっているのか、これを正面から捉えて、思い切った助成の拡充に取り組むことを求めておきます。
最後に、高台まちづくりについて伺います。
昨年十二月に策定された災害に強い首都「東京」形成ビジョンでは、高台まちづくりを推進していくという方向性が示されましたけれども、高台まちづくりでどのようなことを目指しているんでしょうか、伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 東部低地帯など海抜ゼロメートル地帯等には、人口、資産が多く集積し、一たび大水害が発生すると、広範囲で長期間の浸水が想定されます。
国と都は、こうした課題に対応するため、昨年十二月に、災害に強い首都「東京」形成ビジョンを取りまとめ、その中で、治水施設の整備を加速させるものの、施設では防ぎ切れない大洪水等が発生し、大規模氾濫が発生しても、命の安全、最低限の避難生活水準が確保され、さらには、社会経済活動が一定程度継続することができるよう、高台まちづくりを推進していくことといたしました。
○和泉委員 大洪水が起こって、大規模氾濫が発生するかもしれない。その場合でも、ある程度の社会経済活動が継続できるように高台まちづくりを推進すると、おおむねこのような答弁です。
形成ビジョンでも、高台をつくるとして強調されているのが国の高規格堤防ですが、この高規格堤防が東部低地帯における浸水時の避難先としてどのように貢献すると想定しているんでしょうか、伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回のビジョンでは、高規格堤防は、堤防決壊による壊滅的な被害を防ぐとともに、整備区間の全てが完成する前の一部区間が整備された場合でも、その区間は超過洪水等による堤防の決壊に対する安全性が向上いたします。
また、ほかの区間における堤防の決壊等により、周辺地域が水没した場合には、周辺住民等の緊急的な避難場所や、被害者の救助、緊急物資の輸送、供給など、災害時のさまざまな活動の拠点となる重要な高台の役割を果たすなどとしてございます。
○和泉委員 高規格堤防が整備された区間では、確かに堤防の決壊は起こらないかもしれません。そうでなかったら、つくる意味がありません。
しかし、それ以外の部分の堤防が決壊すれば、結局、膨大な浸水被害が発生します。高台化によって、この高規格堤防をつくることによって、逆に、そこからあふれた水が周辺の堤防の裏のりを削って、洗掘による決壊が起こる、そういう危険性だってあるというふうに思います。
ビジョンで描かれているのは、高台づくりや避難スペースを確保した建築物等の整備ですけれども、堤防の決壊が前提となっていて、堤防を決壊しにくいものにするという対策は高規格堤防しか示されていません。
しかも、この形成ビジョンの中では、高規格堤防は、現時点において越流による決壊を防ぐ効果を持つ唯一の整備手法であるとしていますけれども、実際には、令和元年台風第十九号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会というのが三回開かれていて、さまざまな検討が行われていますし、かつて開発され、既に幾つか事業実施された堤防強化策、アーマーレビーやフロンティア堤防などの検討も改めて研究されています。
一方で、高規格堤防は、河川全域で整備されなければ、本来の堤防決壊の危険を完全に回避できるものではありません。しかも、まちづくりと一体で進めるために、完成までに何百年かかるかわからないともいわれています。
豪雨や台風による被害が現実のものとして迫っている状況で、対策は緊急性が求められているわけですから、高規格堤防ありきの対策ではなく、それ以外の堤防強化策を都も積極的に研究して、実効性のある浸水防止対策、減災対策に、国とともに踏み出すことを強く求めて、質問を終わります。
○鈴木(邦)委員 私からは、鉄道の時間差料金制について質疑をしたいと思います。
鉄道の時間差料金制は、首都圏の約五百万人の通勤客が苦しむ東京最大の交通問題の解消に寄与するものだと思っております。私も任期の当初から、東京都に対してこの検討を求めてまいりました。
昨年の第三定例会の我が会派の代表質問に対して、交通局さんから、都営交通の方で検討を進めていくというご答弁があり、そしてまた、都市整備局さんからは、東京都の方で時間差料金制を導入した場合の混雑緩和の効果について調査を行っていくと、シミュレーション調査を実施していくと、そういう答弁がございました。
そこで、今年度実施した、この時間差料金制に関する調査結果について伺いたいと思います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、鉄道の混雑緩和に向け、有識者や鉄道事業者とともに研究会を立ち上げ、最新の技術動向等を踏まえた対策とその課題、実現可能性等について検討を進めてございます。この中で、時間差料金制につきましては、今年度は東京で導入した場合の混雑緩和効果の試算等を行っております。
具体的には、利用者にオフピーク時間帯への転換の意向についてアンケート調査を行った上で、ピーク時間帯の料金の上乗せやオフピーク時間帯の割引による利用状況の変化を試算してございます。
その結果、例えば百五十円程度の料金差により、利用者が約一割転換するなど、料金変動により、ピーク時間帯の混雑が一定程度緩和する傾向が確認されております。
○鈴木(邦)委員 今回実施したシミュレーションによれば、百五十円程度の料金差なので、ピーク時を七十五円上げて、オフピーク時を七十五円下げるという、こういう料金差だと思いますけれども、これによって約一割の混雑緩和効果があったということです。
この一割という数字なんですけれども、少し考えてみますと、三年前に小田急線が複々線化をしました。そのときに、当時、その複々線化の前に、混雑率が大体、最混雑区間で一九二%ぐらいあったということですけれども、これが複々線化によって一五一%にまで減少したというものがあります。
複々線化の効果は非常に高いんですけれども、総額三千百億円の事業費と、そして、三十七年間の年月をかけて工事してきたという中で、やっぱり将来的にも都内の人口減少は見込まれて、とても同じような事業はもう今後不可能だろうと私としては正直思っております。
一方、今回都が実施したシミュレーション結果に基づけば、仮にこの一九一%という混雑率が、一割混雑緩和をすると一七二%程度にまで減少するという、一応こういう数字だと思います。
輸送力の強化というアプローチに比べて、混雑緩和の効果というのは、複々線化に比べれば少し限定的なんですけれども、ただこれは、先ほど申し上げたような事業費とか、あるいは年月というのは、まだ複々線化よりもはるかに小さいもので済むと思いますし、何より、この首都圏全体の路線にもこの効果があるということが、非常にこの制度の意義があるかなと。私は、そういう意味で、今回の結果も決してインパクトは小さくないというふうに思っております。
しかしながら、この本制度が都民、ひいては首都圏の県民に与える影響というのは非常に大きいので、しっかりとこのデータに基づいて、さらにさまざまな観点から、丁寧に検討を重ねていくことが重要だと思います。
特に、今後は料金差による効果の違いや、路線のもともとの混雑率による効果の違いなどをより詳細に検討していく必要があります。
そこで、今年度の調査結果を踏まえ、本制度の実現可能性について、鉄道事業者、有識者とさらに議論を深めていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 今回の調査では、利用者へのアンケート調査をもとに、ピーク時間帯とオフピーク時間帯との料金差がある場合の、利用者の交通行動の変化について試算を行ったが、料金差の大小による行動の変化までは十分把握できてございません。
このため、来年度は今年度の試算結果を検証し、さらに料金差による交通行動の変化を詳細に把握した上で、鉄道事業者等と連携しながら、時間差料金制の課題や実現可能性などについて検討を進めてまいります。
○鈴木(邦)委員 今、料金差による交通行動の変化を、より詳細に把握していくという話でした。
やっぱり、来年度の調査でひとつ目標に据えていただきたいのは、仮にこの混雑緩和効果を二割まで持っていくのにどういう設計をやると二割までいくのかというのも、ひとつぜひシミュレーションしていただきたいなと思います。
というのも、二割まで行けば、先ほどの小田急線の複々線化と同じだけの、やっぱり効果が得られる。そうすると、例えば、今、混雑率最大で首都圏だと二〇〇%ぐらいだと思いますけれども、二〇〇%の鉄道が大体一六〇%ぐらいまで落ちるわけです。
そうすれば、都内の全域の満員電車というのは、おおむね解消するというところまで行くんじゃないかと私は思うので、これ、もちろん、いろいろシミュレーションをしていただくと思うんですけれども、そのうちの検討項目の一つに、この二割という目標もぜひ加えていただきたいなと思います。
これまで、東京都が検討を進めてきた時間差料金制は、私、先ほど申し上げたように、首都圏の利用者にとって、満員電車を解消するという非常に大きな意義があるというだけではなくて、やはり、コロナ禍において今後の事業の持続可能性が危ぶまれている鉄道事業者にとっても、非常に意義があると思っています。
それはすなわち、やっぱりこの首都圏の基幹インフラである、この鉄道が持続可能になっていくためにも、非常に検討に値する重要な制度だと思いますので、ぜひ、今後、データと検証を積み重ねていただいて、そして鉄道事業者としっかりと連携をしながら、この時間差料金制の実現可能性の検討を進めていただくよう要望しまして、私の質疑を終わります。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○米川委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時四十分散会
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