都市整備委員会速記録第十七号

令和二年十二月十日(木曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長米川大二郎君
副委員長鈴木 章浩君
副委員長和泉なおみ君
理事高橋 信博君
理事上野 和彦君
理事小山くにひこ君
保坂まさひろ君
藤井とものり君
斉藤れいな君
森口つかさ君
ひぐちたかあき君
曽根はじめ君
中山 信行君
鈴木 邦和君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務上野 雄一君
次長桜井 政人君
技監福田  至君
理事安部 文洋君
総務部長木村 健治君
市街地整備部長選手村担当部長兼務朝山  勉君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務三宮  隆君
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木秀之君
都営住宅経営部長青柳 一彦君
総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務鈴木 誠司君
建設推進担当部長妹尾 高行君

本日の会議に付した事件
請願の取り下げについて
都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百九十七号議案 東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
住宅政策本部関係
契約議案の調査
・第二百三号議案 都営住宅二H−一〇七東(北区浮間三丁目)工事請負契約
・第二百四号議案 都営住宅二H−一一二東(足立区花畑七丁目)工事請負契約
土地の信託に関する議案の調査
・第二百十七号議案 土地の信託の変更について
付託議案の審査(質疑)
・第二百九号議案 東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その三)について

○米川委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、請願の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布のとおり、一第一四号、国領小学校周辺の信号機を撤去する計画の見直しに関する請願につきましては、議長から取り下げを許可した旨の通知がありましたので、ご了承願います。

○米川委員長 次に、契約議案及び土地の信託に関する議案について申し上げます。
 契約議案及び土地の信託に関する議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和二年十二月九日
東京都議会議長 石川 良一
都市整備委員長 米川大二郎殿
   議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 (1) 契約議案
  第二百三号議案 都営住宅二H−一〇七東(北区浮間三丁目)工事請負契約
  第二百四号議案 都営住宅二H−一一二東(足立区花畑七丁目)工事請負契約
 (2) 土地の信託に関する議案
  第二百十七号議案 土地の信託の変更について
2 提出期限 令和二年十二月十一日(金)

○米川委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び住宅政策本部関係の付託議案の審査並びに住宅政策本部関係の契約議案の調査及び土地の信託に関する議案の調査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百九十七号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○森口委員 付託議案、泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例について質問をいたします。
 本案では、港区における町の区域の変更に伴い、施行地区に含まれる地域の名称を改める必要があることから、施行規程の変更を行うものであります。
 つきましては、どのような経緯のもと、町名変更に至ったのか伺います。あわせて、変更の手続は議決を必要とされたのかなど、実際に行われた手続についてもお伺いいたします。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 経緯といたしましては、泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業及び隣接いたします品川駅北周辺地区土地区画整理事業における線路の移設や道路の廃止、新設等により、区域の形状が変わり、これまで線路や道路などによって定められていた町境が不明確になったため、港区が、新たに整備される線路や道路の側線に沿って、町の境界を定め、町の区域変更を行ったと区から聞いております。
 手続といたしましては、区が港区住居表示の実施基準に基づき作成した町区域の変更素案について、港区住居表示協議会へ協議を行い、区にて変更案を決定した後、地方自治法の規定に基づき、区議会での議決を経て、町区域の変更を行ったと区から聞いてございます。

○森口委員 ありがとうございます。町区域の変更については港区において議決がなされ、さらに、都市再開発法のもと、施行地区及び工区に含まれる地域の名称が、都条例として規定されていることにより、今回、都議会の議決にかかっているとわかりました。
 市街地再開発事業とは、都市再開発法に基づき、市街地内の老朽木造建築物が密集している地区等において、細分化された敷地の統合、不燃化された共同建築物の建築、公園、広場、街路等の公共施設の整備等を行うことにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図る目的で行われるものであります。
 そこで、この泉岳寺駅地区は、第二種の市街地再開発事業で進めているとのことですが、その理由についてお伺いします。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 泉岳寺駅地区では、従前の土地の大部分が民有敷地であり、地区内に数多くの権利者がいる中で、高輪ゲートウェイ駅と国道一五号とを結ぶ重要な都市計画道路を駅開業までの一年ほどで整備する必要があったため、第二種市街地再開発事業で実施してございます。

○森口委員 本事業は公共性、緊急性が著しく高い事業で、用地買収方式、管理処分方式として進めている都施行の事業であることがわかりました。
 市街地再開発事業というのは、一種や二種、また、個人施行や都施行など、さまざまな手法がございます。例えば、平成二十七年十二月に都市計画決定をした晴海五丁目西地区選手村における市街地再開発事業においては、都有地を活用した第一種個人施行を選択しております。
 そこで、都市再開発法により地方公共団体が施行する市街地再開発事業の種類と適用要件はどうなっているのか、また、判断基準についてはどのようにされているのかをお伺いいたします。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市再開発法では、市街地再開発事業の種類として、今、委員がいわれたとおり、第一種市街地再開発事業と第二種市街地再開発事業が位置づけられております。
 第二種市街地再開発事業を適用する要件につきましては、第一種市街地再開発事業を適用する要件でもございます高度利用地区などに該当することに加えまして、地区内に一定の重要な公共施設を早急に整備する必要があり、かつ、その公共施設の整備とあわせて、建築物などを一体的に整備することが合理的であることとされてございます。
 事業の種類を選択する際には、都市計画上の上位計画による位置づけ、従前の地区内の土地や権利者の状況などを踏まえまして、都市再開発法に照らして判断してございます。

○森口委員 第二種市街地再開発事業により、民有地を借り上げ、収用した都有地も含む都有地を活用した市街地再開発事業によって、都有地を民間に譲り渡すような行為については、議会のチェックを加える必要があると思っております。
 地方自治体施行の場合、施行規程を条例で定めることとされておりますが、都有地が適正に譲り渡されないおそれがあるとするならば、施行規程を詳細に定めなければならないと思っております。都民の信頼を損なわないよう運営すべきことを申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○米川委員長 これより住宅政策本部関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百三号議案及び第二百四号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○米川委員長 次に、土地の信託に関する議案の調査を行います。
 第二百十七号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐々木住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 十一月二十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は一件でございます。
 一ページをお開き願います。
 1、「勝どき一丁目地区再開発事業(土地信託)」の信託配当、信託報酬及び積立金(支払準備口残高)の実績の推移でございます。
 信託配当、信託報酬については年度ごとの実績を、積立金については年度末における残高を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○米川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ひぐち委員 それでは、勝どきサンスクェア土地信託について伺います。
 勝どき一丁目、この都有地は、戦後、露天商の使用許可が更新されないままの不法占有状態となった民間住宅、不適正な使用関係にある旧市営住宅などがある土地だと伺っています。
 都は、こうした権利関係を解消するとともに、都市基盤の整備を進めるため、当時の地方自治法の改正により、公有地で可能となった土地信託を活用し、市街地再開発事業を進めてきました。
 そうした背景のもと、まず、本事業の成果、現状を確認いたします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 ただいま委員からお話のありました、当時、不法占有状態であった民間住宅等の従前居住者の方につきましては、再開発事業の実施に合わせて、テナントとして信託部分の店舗床を賃貸し、現在でも九名の方が営業を継続しております。
 このほか、区分所有部分の店舗床で営業を継続している方もおり、当時の錯綜した権利関係は既に解消しております。
 また、もう一つの事業目的である都市基盤の整備に関しましては、晴海通りの拡幅用地の整備や都営大江戸線の出入り口の設置のほか、都営住宅の建てかえ用地や都民住宅、区民住宅の整備など、良質な公的賃貸住宅の供給が進み、地域の良好な都市環境の再生に寄与しております。

○ひぐち委員 ありがとうございます。今、ご答弁にありましたとおり、まさに権利関係の解消、都市基盤の整備と、当初の目的が達成されているわけであります。
 では、勝どきサンスクェアの土地信託そのものについては、今後どのように進めていくのか、見解を伺います。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 当初の信託期間二十五年を経過し、錯綜した権利関係の解消と都市基盤の整備といった本事業の目的は既に達成しており、都としては、本事業は終了の時期を迎えていると認識しております。
 先ほどご答弁したとおり、現在も営業している従前居住者の方などがおり、今後、受託行のノウハウやネットワークなども活用しながら、都が持つ信託受益権をビル管理のノウハウを持つ事業者に売却することを視野に検討を進め、将来にわたって、勝どきサンスクェアの安定、継続的な建物の管理運営を実現していきたいと考えております。

○ひぐち委員 終了の時期を迎えていると。あるいは信託受益権の売却を視野にというお話でありましたが、土地信託の今後の方向性については、売却以外の可能性も考えるべきだと私は思っています。
 内部ではどのような検討をしたのか、また、信託期間を一年延長して方針を決定する、その理由についてもお話を伺います。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 勝どき土地信託の今後の方向性につきましては、当初の事業目的が既に達成されていることに加え、東京二〇二〇大会も契機として、勝どきを含むエリア全体のポテンシャルが高まっていることや、本建物の上層階に整備された都の政策目的を持った都民住宅が管理期間を終了し、東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅に移行していることなど、この間の社会経済状況や都の行政需要の変化も勘案し、流動性が高く、流通のしやすい信託受益権の売却を視野に検討することとしたものでございます。
 都が再開発ビルの建設及び管理運営を直接行うのではなく、土地信託というスキームにより、民間のノウハウを活用する本事業の成り立ちや、当初の事業目的を既に達成していることを踏まえると、都による直接管理や信託の継続は適当でないと判断しております。
 また、都による直接管理は、テナントビルの管理運営に関して、都が直接ノウハウを有しているものではなく、都の予算制度等により柔軟な対応が難しいといった課題があり、また、信託の継続につきましても、将来にわたる受託者の確保が難しいといった課題もございます。
 土地信託事業の終了及び信託受益権の売却の場合には、都として初めての取り組みとなり、課題の整理や売却手続の確定等に多くの時間を要することが想定されることから、今般、信託期間を一年延長し、しっかりと準備を進めることといたしました。

○ひぐち委員 内部でさまざまご検討があったということで、こうしたご判断になったと思っております。信託の終了と売却は初めての取り組みだということですが、延長するこの期間でしっかりと手続を進めていただきたいと思います。
 さて、そもそも土地信託は、信託期間が終了した場合、土地建物が返還され、新たな需要に応じて別途活用できる、そのメリットがあるわけでありますが、勝どきサンスクェアについても、将来的に都で活用する方策がなかったのか、都の見解を伺います。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 勝どきサンスクェアは、都の信託部分とその他複数の区分所有者で構成される区分所有建物であり、建物全体の管理運営については、区分所有者全体で構成される管理組合により行われます。
 また、建物の低層階の店舗部分には、現在でも従前居住者の方が長期にわたって営業を継続しております。
 こうしたことから、単独所有の土地信託とは異なり、信託期間終了後において、都の意向のみで活用方針等を決め、将来的な都の政策目的による利活用を進めることは容易ではないと認識しております。

○ひぐち委員 都としての活用が容易でない、期待しにくいということでありますが、一方で、従前からおられるこのテナントの皆さんは、今も当然営業されており、また、このコロナ禍のもとでは大変ご苦労もされているということであると思います。
 そうした中で、この都の考えで、売却により所有者が変わるといったことへは不安が多く出てくるものと想定されます。信託受益権を売却する場合には、居住の安定への配慮、つまり、居住者であるテナントの皆さんの不安解消にしっかりと努めていくべきと考えますが、都の見解を伺いまして、質問を終わります。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 勝どきサンスクェアの管理開始以来、これまで受託行においては、従前居住者であるテナントの意向等も踏まえながら、管理運営を行ってきたものと認識しております。
 今後、信託受益権の売却を視野に検討するに当たっては、従前居住者等において、売却により都の関与がなくなることや、その後のビルの管理体制などに対して不安を抱かせないよう、公募方法や要件等の工夫が必要であると考えております。
 こうしたことにより、将来にわたって、勝どきサンスクェアの安定、継続的な建物の管理運営の実現に努めてまいります。

○曽根委員 それでは、私からも、勝どきサンスクェアの土地信託の一年延長の議案について質問させていただきます。
 五年前に二十年の土地信託の期間が来まして、五年間の延長を決めたときも、たまたま私が質疑を行った経緯があります。今回、一年延長するというのは、今もご質問ありましたが、都のサンスクェアビルの権利を売却するための調整期間だと聞いておりますので、それを前提にして幾つかただしておきたいと思います。
 まず、土地信託の契約上、土地信託が終了した場合、信託ビルはどうなることになっているのか。その際の費用負担も含めて伺います。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 都が受託行と締結している土地信託契約におきましては、信託が終了したときは、土地建物の区分所有権である信託不動産は都に引き渡されることになっております。
 また、信託建物について賃貸借契約が存在する場合には、この契約も承継されることとなっております。
 なお、信託終了に要する費用は、信託財産から支弁することとなっております。

○曽根委員 つまり、土地信託の契約上では、土地信託契約が終了した場合は、勝どきサンスクェアビルの都の区分所有権は、新たな財政負担をしなくても都に戻ってくるということです。そのことは、土地信託のスタートのときに、この制度の有利な点として、たしか説明もされていたと思います。
 しかし、今日、都は、一般の企業や都民がテナントや区分所有者として入居しているこうしたビルについては、都の直営施設が少なく、管理事務のノウハウがないことを理由に、都の資産として引き受けることを選択肢から外してきました。
 信託期間の終了後のビルの管理運営については、この勝どきビルの信託が始まるときに、我が党議員の質問に対して、都は、信託終了の三年ぐらい前から協議することになっていると答弁しております。
 五年前は契約の延長を決めましたが、その後の五年の間にどのような検討を行ってきたのか。検討期間は五年もあったわけですから、なぜ、さらに一年の延長をしてまで今後の方向性を検討する必要があるのか、この点をお聞きします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 勝どき土地信託の今後の方向性につきましては、東京二〇二〇大会も契機として、勝どきを含むエリア全体のポテンシャルが高まっていることや、都民住宅が管理期間を終了していることなど、この間の社会経済状況や都の行政需要の変化も勘案し、信託受益権の売却を視野に検討することとしたものでございます。
 土地信託事業の終了及び信託受益権の売却の場合には、東京都として初めての取り組みとなり、課題の整理等に多くの時間を要することが想定されることから、今般、信託期間を一年延長し、しっかりと準備を進めることといたしました。

○曽根委員 今、都のお答えで、この地域のポテンシャルが非常に高まっているというお答えがありましたが、しかし、一年間の調整期間は必要だと。本当は、都が早く勝どきビルを手放したくても、簡単に売却先が見つからないからではないかと私は勘ぐってしまいます。
 今、もし今、信託業務を担っている、例えばみずほ信託銀行に、このビルを買い取る意欲があれば、事はより順当に早く進んだと思いますが、恐らくそういう状況ではないからこそ、一年間、買い手を探さなければならないんだと思うんです。
 また、信託契約を終える前に信託受益権を売却する理由もまた、その辺にあるんじゃないかと思うんですが、都に返還されてから区分所有権を丸ごと売却するのではなく、今回、信託受益権を売却することを考えているのはなぜか、お聞きします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 一旦、都に返還した上で改めて売却する場合には、その間、都が直接テナントビルを管理運営することになりますが、都は、テナントビルの管理運営に関して直接ノウハウを持っておらず、都の予算制度等によって柔軟な対応が難しいなどの課題があると考えております。
 今回、勝どきの土地信託を終了するに当たって、勝どきサンスクェアを将来にわたって安定、継続的に管理運営することができる、より多くの売却先候補を確保するため、流動性が高く、流通のしやすい信託受益権による売却を視野に検討していく考えでございます。

○曽根委員 やはり信託受益権の方が流動性が高く、流通しやすいということが大きな理由になっております。
 それにしても、この信託受益権を購入する側は、その後はみずからのビル床の保有率が、今六七%程度で、都の開発事務所は入っているし、JKK、住宅供給公社、その他の企業や飲食店も区分所有や賃貸などが入っている店もあると。中央区の区民住宅もあるという複雑な権利関係であり、これらをまとめていくことは、実務的にはなかなか大変だと思います。
 私が一番心配なのは、今、都の区分所有の床に賃貸で入っている九つの飲食店などの店舗が、その権利をきちんと守られるかどうかということです。それは、勝どきサンスクェアビルの最大の区分所有者が誰になるのかによって大きな影響を受けることになるからです。
 都の売却構想からは、とにかくこの土地信託ビルを早く厄介払いしたいという本音が透けて見える印象があります。都として直接管理する場合と、売却する場合とで、それぞれのメリットとデメリットをどう考えているのかについて、改めてお聞きします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 当初の信託期間二十五年を経過し、当時の錯綜した権利関係の解消と都市基盤の整備といった本事業の目的は既に達成しており、都としては、本事業の終了の時期を迎えているとの認識のもと、信託受益権の売却を視野に検討していく考えでございます。
 信託受益権をビル管理のノウハウを持つ事業者に売却する場合、勝どきサンスクェアの安定、継続的な建物の管理運営を将来にわたって実現できるというメリットがありますが、地方自治法等において定める手続に沿って売却を進めていく必要がございます。
 一方、もともと都が再開発ビルの建設及び管理を直接行うのではなく、土地信託というスキームで、民間のノウハウを活用した本事業の成り立ちを踏まえますと、都による直接管理は適当でないと考えております。
 単独所有の土地信託の場合には、信託受益権を売却せずに、都が所有権を持ち続けることにより、将来的に、都の政策目的等により利活用が期待できるというメリットが考えられます。
 しかしながら、一方、勝どきサンスクェアの場合には、信託部分と複数の区分所有者で構成される区分所有建物であり、建物全体の管理運営は区分所有者全体で構成される管理組合により行われますことから、都の意向のみで建物全体の管理運営を行うことは困難であり、単独所有の土地信託のようなメリットを発揮することは期待できないと認識しております。
 また、テナントビルの管理運営に関しましては、都が直接ノウハウを有しているものではなく、都の予算制度等により柔軟な対応が難しいといった課題もございます。

○曽根委員 長い答弁でしたけれども、あくまで都の都合を優先させる観点で処分を考えているとしか思われません。中のテナントのことには余り触れておられませんでした。
 例えば、もともと都が民間のノウハウを活用した土地信託でこのビルをやってきた以上は、都による直接管理は適当ではないというふうにおっしゃいましたが、土地信託を提案したときはそういう説明ではなかったはずであります。
 土地信託に都有地を提供する東京都や信託を受ける銀行だけでなく、地域の都市整備を進め、地域住民や入居テナントなど全てにメリットがあるという説明だったし、その後、土地と建物は、都民の共有財産として返還されるんだと、これが基本だというふうに説明されていました。
 しかし、問題は、現状の勝どきのビルは、今、部長がお答えになったような、本事業の目的を既に達成したといえる状態になっていないことが問題だと思います。現に、入居テナントは、区分所有と賃貸が混在する権利関係の複雑さは全く解消されておりません。
 しかもこの間、零細業者にとっては不況が長引き、家賃改定にも到底応じられない状況が続いていると聞いています。特に、不況のしわ寄せは賃貸店舗の方に行っていまして、例えば、パン屋さんとか八百屋さんなどがありますが、こういう生活用品のお店も、また、居酒屋やカラオケ店も、お客さんというのは昔と違い、今、大半が近くの職場のサラリーマンなんですね。そのため、景気の影響をもろに受けており、最近近くの三井住友などのオフィスが大規模に撤退をしまして、万単位で通勤客が減っているというふうにも聞いておりまして、物すごい影響を受けています。
 こういう中で、さらにこの地域は五輪開催がコロナの影響で延期になったことと、また、コロナウイルスそのものの感染による影響とで事態が一層深刻になっており、一年後、延ばしてみても見通しが今、全く立たない状況であります。
 もし、新しいオーナーが最大の区分所有者であり、零細店舗の家主として厳しい対応をとってきた場合、これら零細店舗は廃業の道を考えざるを得なくなるかもしれない。したがって、あと一年で売却先を探すというのは、ビルにかかわる誰にとっても大きなリスクがあるということは明らかであります。
 大体、そもそもこの時期に買い手が見つかるのかも不透明です。一年待つといいますが、その間に売却先は探せる見通しはあるんでしょうか。この点お聞きします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 先ほどご答弁のとおり、不動産の流動性、つまり、流通のしやすさといった観点も考慮して、信託受益権の売却を視野に検討する考えでございます。
 受託行のノウハウやネットワークなども活用しながら、将来にわたって、勝どきサンスクェアの安定、継続的な管理運営を実現することが期待できる、より多くの売却先候補の確保に努めてまいります。

○曽根委員 今、盛んに強調される流動性という点でいいますと、一番流動性が高いのは空っぽのビルですよね。勝どきビルの売却条件の中に、例えば現テナントは当分の間は追い出さないとか、そういう条件を付すことはできないと聞いています。
 したがって、新オーナーが乱暴なビル経営に向かないような歯どめは難しいということです。ですから、非常に私は心配です。
 我が党は、土地信託スタートに当たって、当時、既にバブル崩壊が始まった中で、土地信託というのは信託銀行に確実な利益を保障する制度であり、都にとっても、また、地域住民にとっても損失が大きいということで反対をしてまいりました。
 したがって、信託期間が終了した現在は、都民の共有財産である土地と建物が都に返還されるという当初の約束は果たさせるべきであること、都にビル管理のノウハウがないなどは正当な理由になりませんので、管理方法も含めて、今後の活用は区分所有やテナントなどの当事者はもちろんのこと、都民、有識者の参加で議論し、決めていくべきという立場であります。したがって、本議案には賛成できません。
 そこで、もう一つ気になる問題として、都が、みずからの信託配当の一部を積み立ててきた積立金が三十三億円以上に上っていますが、この扱いについて聞いておきます。
 積立金は都に戻るのかどうか、また、これはどういう位置づけで活用されるべきかについてお聞きします。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 一般的な信託のスキームにおきましては、信託期間の終了後、信託財産が返還されるため、本積立金は、その後の財産の有効活用に必要となる費用の備えとして積み立ててきたものでございます。
 今般、信託受益権の売却を視野に検討することとしたことから、今後、信託受益権を売却する場合には、信託受益権の売却収入や積立金につきましては、都の普通財産である公有財産の運用及び処分に伴って得たものであるため、都の一般会計に算入され、都の事業に使われていくことになります。

○曽根委員 この点について、五年前にも私、当時の都市整備局に質問いたしましたが、このときの答弁はこうでした。
 将来、信託財産が返還された際、その財産を引き続き価値あるものとして有効活用していくためには、環境性能や情報通信など、使用者のニーズに応えるための費用がかかる可能性が高いと考えております。このため、信託銀行とも協議して、将来への備えが必要であると判断し、信託配当で受け取らず、積み立ててきたと答えております。
 この使用者というのは、もちろんビル全体ではなく、勝どきビルの場合は、都の区分所有の床を使っている企業や店舗という意味だという点は大事です。
 したがって、積立金の活用の対象には、都の一般会計に繰り入れる前に、都の区分所有部分に入っている都の事務所や企業などとともに、都の賃貸になっている小さな店舗や居酒屋なども含まれるし、その方々は今、月々の家賃の支払いにも困窮している大変苦しい現状ですから、当然、公平性に配慮しながらも、積立金の一部は、こういう方々のニーズのために活用する手だてを検討すべきであるということを要望して、質問を終わります。
 以上です。

○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、土地の信託に関する議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○和泉委員 今回の土地信託契約の変更は、令和三年二月二十八日で信託期間が切れる勝どきサンスクェアについて、令和四年二月二十八日まで信託期間の延長を行うというものです。
 この案件は通常の土地信託と違って、敷地権設定され、土地と建物の所有権が一体となっている区分所有です。そのうち、都の持ち分は全体の六六・九%で、地下の駐車場と、地下一階から地上二階までの店舗部分の一部、三階から九階までのオフィス部分ということになります。これをみずほ信託銀行に信託しているわけです。
 都は、信託期間を一年延長している間に信託受益権を売却することにしていて、その売却収益が来年度予算概要には既に歳入として見込まれています。信託受益権の売却とともに、本来、都に戻ってくるはずの所有権も手放すということになります。
 もともと私たちは、バブルに踊らされて、土地信託で運用益を得ようなどという考え方そのものに一貫して反対してきました。どの案件も信託配当など期待できないのに、それでも、直接管理するノウハウがないから、信託契約を継続するしかないという状況に陥っています。率直な反省を求めたいと思います。
 地方自治法は、普通財産の土地信託に当たって、その受益者を当該普通地方公共団体に限っています。その解釈については、要するに、他益信託は認められない、信託期間終了後の財産権を享受させることは、実質的に予算の審議を経ることなく補助金の交付などと同様の効果をもたらすこととなる、受益権の処分は、正当な事由のある場合を除き行うことは適当でないと指摘されています。
 この点での整合性については当然検討されているというふうに思いますが、必ずしも明らかではありません。とりわけこの案件については、土地も建物も共有という使い勝手の悪い方法で土地信託を行い、結局、信託受益権の売却という形で処分しようとしています。
 心配なのは、テナントの方たちの営業権です。現在、地下一階から二階の四十五店舗のうち都の信託に係る部分は二十六店舗ということですが、コロナ禍で営業が厳しくなっている中で、都には、この方たちが今までと同様に営業を継続できるようにする責任があると思います。
 答弁では、勝どきを含むエリア全体のポテンシャルが高まっているとの話が繰り返し出されましたが、信託受益権の購入者がビジネスとして不動産の運用益をふやすことを優先すれば、賃料の値上げや、払えない事業者が店を閉めて廃業に追い込まれるということもあり得ます。
 事業に着手した当時、土地を占有していた方たちの営業権を保全しながら、複雑に入り組んだ権利関係を整理するために採用した手法だと、このように都は説明していますが、そうであるならば、今回も、まず何よりも当事者の意向や不安に寄り添い、その方たちの営業を保全するために最善の方法をとることこそ、都の果たすべき責任です。
 使い勝手が悪いからといって、最も手っ取り早い方法で信託受益権を売却するということには反対であり、それを前提とした土地信託の一年延長も反対です。
 最後に、都有地は都民共有の財産であり、都民の役に立つ形で運用するべきであるということを申し述べ、意見とします。

○米川委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で土地の信託に関する議案の調査を終わります。

○米川委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百九号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十四分散会

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