委員長 | 米川大二郎君 |
副委員長 | 鈴木 章浩君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 高橋 信博君 |
理事 | 上野 和彦君 |
理事 | 小山くにひこ君 |
保坂まさひろ君 | |
藤井とものり君 | |
斉藤れいな君 | |
森口つかさ君 | |
ひぐちたかあき君 | |
曽根はじめ君 | |
中山 信行君 | |
鈴木 邦和君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 東京都技監都市整備局長技監兼務 | 上野 雄一君 |
次長 | 桜井 政人君 | |
技監 | 福田 至君 | |
理事 | 安部 文洋君 | |
総務部長 | 木村 健治君 | |
都市づくり政策部長 | 小野 幹雄君 | |
都市基盤部長特命担当部長兼務 | 谷崎 馨一君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 三宮 隆君 | |
景観・プロジェクト担当部長 | 中山 衛君 | |
防災都市づくり担当部長 | 鈴木 理君 | |
住宅政策本部 | 本部長 | 榎本 雅人君 |
技監 | 久保田浩二君 | |
住宅企画部長オリンピック・ パラリンピック調整担当部長兼務 | 佐々木秀之君 | |
都営住宅経営部長 | 青柳 一彦君 | |
総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 | 鈴木 誠司君 | |
住宅政策担当部長 | 武井 利行君 | |
経営改革担当部長 | 土屋 太郎君 | |
建設推進担当部長 | 妹尾 高行君 |
本日の会議に付した事件
住宅政策本部関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・都営住宅二H 一〇七東(北区浮間三丁目)工事請負契約
・都営住宅二H 一一二東(足立区花畑七丁目)工事請負契約
・東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その三)について
・土地の信託の変更について
陳情の審査
(1)二第五七号 都営長房アパート西の空室を非常時に自治会役員が利用することに関する陳情
(2)二第六七号 北青山一丁目アパート(都民住宅)の家賃補助の期間を延長することに関する陳情
(3)二第七六号 都営住宅の使用承継(名義変更)に係る年齢制限の見直しを求めることに関する陳情
都市整備局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
陳情の審査
(1)二第七九号 西武新宿線連続立体交差化計画における上石神井車両基地の拡張・延伸に関する陳情
(2)二第八三号
(3)二第八四号
(4)二第八五号
(5)二第八六号
(6)二第八七号
(7)二第八八号
(8)二第八九号
(9)二第九〇号
(10)二第九一号
(11)二第九二号
(12)二第九三号
(13)二第九四号
荒川区西日暮里五丁目の用途地域の見直しに関する陳情
報告事項(説明・質疑)
・第二百三十二回東京都都市計画審議会付議予定案件について
○米川委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部及び都市整備局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、陳情の審査並びに都市整備局関係の報告事項の聴取を行います。
なお、本日は、提出予定案件につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行うこととし、報告事項につきましては、説明を聴取した後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
これより住宅政策本部関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○榎本住宅政策本部長 本日は、令和二年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております住宅政策本部関係の案件をご説明いたします。提出予定案件は、契約案が二件、事件案が二件でございます。
初めに、契約案についてご説明申し上げます。
お手元の資料1、令和二年第四回東京都議会定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてをごらんください。
北区浮間三丁目などにおける都営住宅の工事請負契約議案が二件でございます。
次に、事件案についてご説明申し上げます。
まず、お手元の資料2、東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その三)についてをごらんください。
原発事故に係り、東京電力ホールディングス株式会社に、有明北地区車両一時置き場設置及び管理に係る費用等について損害賠償を求めましたが、一部これに応じないため、全庁的な方針にのっとり、第三者機関である原子力損害賠償紛争解決センターへ和解あっせんを申し立てるものでございます。
申し立て金額につきましては、五千五百五十万余円及び遅延損害金でございます。
次に、お手元の資料3、土地の信託の変更についてをごらんください。
平成二十七年十二月十六日に議決されました東京都中央区勝どきの土地の信託について、信託期間を変更するものでございます。
私からの説明は以上でございます。
引き続き、詳細な内容につきまして住宅企画部長よりご説明いたします。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○佐々木住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、契約案につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料1、令和二年第四回東京都議会定例会提出予定工事請負契約議案の概要についてをごらんください。
一ページには、件名、工事場所、契約の相手方、契約金額、工期、契約の方法、工事概要、提案理由をそれぞれ記載してございます。
二ページをお開きください。都営住宅二H−一〇七東、北区浮間三丁目工事の概要でございます。
中段に記載のとおり、住宅の総戸数は九十九戸、構造等は鉄筋コンクリート造、地上九階建てが一棟でございます。
契約の相手方は立花建設株式会社、契約金額は十億三百六十四万円、工期は令和五年二月十日までとなっております。
三ページに案内図と配置図を、四ページに平面図と断面図を添付してございます。
五ページをお開きください。都営住宅二H−一一二東、足立区花畑七丁目工事の概要でございます。
中段に記載のとおり、住宅の総戸数は九十一戸、構造等は鉄筋コンクリート造、地上七階建てが一棟でございます。
契約の相手方は立花建設株式会社、契約金額は八億六千三百七十二万円、工期は令和四年十二月二十三日までとなっております。
六ページに案内図と配置図を、七ページに平面図と断面図を添付してございます。
次に、事件案二件につきましてご説明申し上げます。
まず、お手元の資料2、東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その三)についてをごらんください。
概要につきましては、本部長から先ほどご説明いたしましたので、私からは経緯等についてご説明申し上げます。
まず、第2、原発事故に伴う避難者受け入れに係る経緯でございますが、平成二十三年三月に、都は、国からの要請に基づき、東京へ避難した被災者に対して、都営住宅、都民住宅、国家公務員宿舎及び借り上げ民間賃貸住宅の一時提供を開始いたしました。こうした都営住宅等への避難者の多くが自動車を所有していたことから、都営住宅等の敷地内だけでは保管場所が不足したため、自動車保管場所を設置し、提供いたしました。
これらの費用について、東京電力ホールディングス株式会社に損害賠償を求めたところですが、第3、申し立て事項にございますとおり、二つの事項を賠償対象外とされているため、申し立てるものでございます。
申し立て額でございますが、第一に、自動車保管場所の設置及び管理に係り、原発事故避難者が利用した区画のうち、賠償対象外とされた七百五十万余円でございます。
第二に、避難者がすぐに生活を始められるよう、都が行った冷蔵庫、テレビの設置費に係り、テレビ、冷蔵庫の所有権が都にあることを理由に、全額が賠償対象外とされた四千七百九十九万余円でございます。これら合わせまして五千五百五十万余円及び遅延損害金について、和解あっせんを申し立ててまいります。
なお、都と東京電力ホールディングス株式会社との間で、引き続き協議を進めるため、議決後、あっせん申し立てまでの間に、東電から任意に賠償される可能性がございます。東電から任意の賠償を受けた場合には、あっせん申し立て額から賠償受領額を除いた額について申し立てを行うこととしております。
次に、お手元の資料3、土地の信託の変更についてをごらんください。
本件は、平成二十七年十二月十六日に議決されました、現在、勝どきサンスクェアが建っております東京都中央区勝どき一丁目四百二番九ほかの土地の信託につきまして、信託期間を変更するものでございます。
変更の内容でございますが、本土地の信託は、令和三年二月二十八日をもって信託期間が満了いたしますが、信託期間を現在の信託期間満了日から令和四年二月二十八日まで延長するものでございます。
以上で令和二年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○米川委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○曽根委員 私から、勝どきサンスクェアの取り扱いについての事件案について、三点ほど資料をお願いします。
一点目は、勝どきサンスクェア土地信託開始以来の毎年度の経営状況と都への配当、銀行の収益、また、積立金など保有資産の現状について、できるだけ詳しい資料をお願いします。
二点目は、事業終了に向けた一年間の調整に入るとお聞きしましたが、これについてのテナントや区分所有者の意見、要望を資料としてお願いします。
三点目、事業終了によって営業に影響を受けるテナントへの補償や支援の方針があれば、その資料をお願いします。
以上です。
○米川委員長 ほかにございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○米川委員長 ないようでしたら、ただいま曽根委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○米川委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
○米川委員長 次に、陳情の審査を行います。
陳情二第五七号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○土屋経営改革担当部長 整理番号1、陳情二第五七号についてご説明いたします。
それでは、説明表の一ページをごらんください。
整理番号1、陳情二第五七号、都営長房アパート西の空室を非常時に自治会役員が利用することに関する陳情についてご説明申し上げます。
陳情者は、八王子市の長房西団地連合自治会会長の植松昭さんでございます。
陳情の要旨は、都において、都営長房アパート西の空室を非常時に自治会役員が利用できるようにしていただきたいでございます。
現在の状況でございますが、長房西団地連合自治会は、長房アパートのうち二十棟と、長房西アパート一棟の計二十一棟の居住者で構成する連合自治会でございます。
都営住宅の住戸は、公営住宅法等に基づき、住宅に困窮する方に対して賃貸するため都が整備した住宅であり、年四回の定期募集などで入居促進を図っております。
また、空き住戸は、公営住宅の用途に使用する行政財産でありますが、住宅を管理する上で支障がなく、国または地方公共団体が公用または公共用に使う場合などに限り、使用許可をすることができます。
一方、都営住宅の集会所は、入居者の共同の福祉のために公営住宅法等に基づき設置した共同施設でございます。長房西団地連合自治会の存する地域の都営住宅には、集会所が六カ所設置されており、発災時には、自治会役員等がこの集会所をさまざまな活動の拠点として使用することが可能でございます。
なお、都では八王子市と、都営住宅の空き住戸を水害時の緊急避難先として活用する内容の協定を、ことし八月に締結したところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○米川委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○曽根委員 それでは私から、陳情二第五七号、都営長房アパート西の空室を自治会役員が利用することについての陳情について何点かお聞きしたいと思います。
本陳情の出された背景には、都営団地、それも大規模な郊外の都営団地が抱えている幾つかの特徴や困難があると思われます。第一に、都営団地共通の悩みである、高齢化が極端に進んで、日常的な自治会活動などの維持活性化が困難であること、第二に、大規模団地の場合、団地の外に活動の場所を借りるのは難しく、団地内の集会所は一般居住者も含めてかなり満杯であること、第三に、八王子の長房団地など、多摩の数千戸規模の団地では、常時空き家が一定数存在しており、活用方法を工夫すべきという声があること。
しかし、現状では、都民共有の財産として、都営住宅の目的外使用には、当然ながら制限があります。私も、これだけ大量の空き家が目につくようになった、地元の北区の大規模団地などについて、例えば災害時の避難者、特に福祉対応が必要な避難者の受け入れ場所として、一時的な活用は、さらに規模をふやして検討すべきと地元でも自治会などを通じてお願いをしているところです。
そこで、当該の団地からの陳情について質問をいたします。まず、陳情者によれば、長房西団地連合自治会のある二十一棟の都営団地では、空き室率が一割であるとしていますが、これは実態として事実なのか伺います。
○土屋経営改革担当部長 長房西団地連合自治会のある二十一棟につきましては、令和二年九月末時点の空き住戸は百七十戸であり、管理戸数一千三百六十戸の一割超でございます。
空き住戸につきましては、年四回の定期募集などで入居促進を図っております。
○曽根委員 団地の方にお聞きしますと、毎年、定期募集はしているんだけれども、大体日常的に、この百七十戸前後の空き家が常にあるということのようです。
東京都では、こうした空き家を含めた団地の住戸の活用法として、最近、八王子市と、都営住宅の空き家住戸を水害時の緊急避難先として活用する内容の協定を締結したという説明がありますが、どういう内容なのか確認のために伺います。
○土屋経営改革担当部長 都は、水害のおそれのある地域において、都営住宅やその周辺の住民が避難場所等に避難する時間的余裕がない場合の緊急避難先として、都営住宅の上層階の空き住戸を一時的に活用する仕組みを整え、本年八月に八王子市と協定を締結いたしました。
具体的には、八王子市に対し都は毎年度、その依頼に応じて水害時の緊急避難先として使用可能な住戸のリストを提供いたします。市は、浸水が発生するおそれがあると判断した際に、都に都営住宅の空き住戸の使用を要請し、都は、無償で一時提供することとしております。
緊急避難先としての管理運営は市が実施し、水が引き、本来の避難場所等への移転等が終了後、市は住戸を都に返還することとしております。
○曽根委員 今、ご説明あったように、この協定はあくまで水害時の一時的な利用というものであって、陳情の趣旨は、内容はまだ判然としませんが、非常時の利用ということなので、陳情の願意を直ちに、一般的に受け入れられる制度や状況にはないということだろうかと思います。
ただ、郊外の大規模団地で空き家が常時一定数あるという条件のもとで、自治会活動のために住宅の空き家を活用する何らかの手だてを、地元の市が位置づけて具体化するなどが可能になるようにしていく必要があるのではないか。
今回の都と八王子市の水害時の協定については一歩前進だと考えておりますが、これらの協定が、地元の団地の自治会の活動に即して、より具体的、きめ細かく活用が可能な制度に改善がされるように、私としては要望したいと思います。
そうしないと、先ほど申し上げましたように、都営住宅の高齢化等によるコミュニティの維持がますます困難になってくる事態を、大きく改善することはなかなか困難です。
こうした関係部署の努力を期待しまして、陳情の趣旨には採択を求めて、質問を終わります。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○米川委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二第五七号は不採択と決定いたしました。
○米川委員長 陳情二第六七号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○土屋経営改革担当部長 整理番号2、陳情二第六七号についてご説明いたします。
それでは、説明表の三ページをごらんください。
整理番号2、陳情二第六七号、北青山一丁目アパート(都民住宅)の家賃補助の期間を延長することに関する陳情についてご説明申し上げます。
陳情者は、港区の庄司真澄さんでございます。
陳情の要旨は、都において、北青山一丁目アパート(都民住宅)の家賃補助の期間を延長していただきたいでございます。
現在の状況でございますが、都施行型都民住宅とは、広さや設備など、一定の基準で建設された賃貸住宅を、中堅所得者に対し適切な家賃負担で供給する目的で、都みずからが整備した住宅でございます。
その使用料は、二十年間を限度として減額できることとしており、現在までに六十三の都施行型都民住宅が既に減額期間を終了しております。減額が継続している住宅は本アパートを含め三住宅のみでございます。
北青山一丁目アパートは、令和二年十一月末に二十年間の使用料減額期間が終了いたします。同制度の終了により、近隣の民間の賃貸住宅の家賃水準等を考慮して定めた使用料が適用されますが、その使用料が、令和二年十一月時点の額に一・二を乗じた額を上回る場合、激変緩和措置として、令和二年十二月から令和三年十一月までの間は、その一・二を乗じた額をもって使用料とすることとしております。
都民住宅の入居者のうち、使用料負担が収入に対して高いなどの一定の条件に合致する場合は、都営住宅への申し込みが可能でございます。さらに、高齢者世帯や心身障害者世帯など一定の条件に合致する場合には、優遇抽せんの対象にしております。
こうした制度については、都営住宅の募集パンフレットへの記載のほか、東京都住宅供給公社の各窓口センターにおいて、入居者からの個別相談に対応しております。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○米川委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○和泉委員 この北青山一丁目都民住宅の家賃補助の期間を延長することに関する陳情について質疑を行います。
この陳情は、二十年を限度として使用料が減額されている都民住宅において、今月減額期間が終了する北青山一丁目アパート、ここの使用料減額を一年程度延長するよう求めています。
都施行型の都民住宅において、家賃補助が実施されているのは、北青山一丁目アパートのほかに、四番町第二アパート、八雲一丁目アパートの三カ所のみとのことですけれども、各アパートの居住者から、今回のような家賃補助の継続を求める声、こういったものは上がっているんでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 都民住宅の使用料減額の継続につきましては、本年十一月末に減額期間の終了する居住者の方から直接、要望を受けたことはありませんが、今回の陳情を含め、居住者の方にご意見があることは承知しております。
○和泉委員 居住者の方にそういうご意見があるということは承知しているという答弁です。
陳情者は、都民住宅の住民の職種や生活実態はさまざまであり、コロナ禍による収入減や失職など、大きな影響を受けていると訴えています。都は、どうやってそういう都民の暮らしを支えるのか、生活再建を支援するのか、あらゆる場面で、それが今問われているというふうに思います。
経済的に厳しい居住者については、一定の条件に合致すれば都営住宅に申し込めるとのことですけれども、移転先をどのように把握しているんでしょうか、伺います。
○土屋経営改革担当部長 都民住宅の退去者には、氏名や退去後の連絡先など、都民住宅の管理上最小限必要な個人情報を記載した住宅返還届を提出していただいております。その際、退去後の移転先などに関するアンケート調査への協力をお願いしております。
都営住宅を移転先とした事例はございますが、その総数については把握しておりません。
○和泉委員 アンケートに書かせて終わりだという答弁で、移転先について丁寧な対応がされているとはいえないんじゃないかというふうに思います。
都営住宅に申し込めますといっても、都心ほど倍率が高いわけですから、入居はそう簡単じゃありません。しかも、今コロナ禍で経済的に困難な状況の方がたくさんいるという中で、家賃減額の補助がなくなったら、住み続けることができない、なれない土地に引っ越さなければならない、そういう事態を生むことになります。
陳情者の願意は、コロナ禍が落ちつき、住民の仕事が正常に稼働し、平穏な生活を取り戻すまで、現行の家賃補助の期間を一年程度延長してもらいたいということです。それが都にとって重過ぎる負担になるんでしょうか。
現在、家賃補助が実施されている三つの住宅において、補助を継続した場合の費用は、年間でどのくらいになるのか伺います。
○土屋経営改革担当部長 現在、使用料の減額が継続している三つのアパートにおきます令和二年十月末時点での一月分の減額の総額は約三百七十万円であり、年間では約四千四百四十万円に相当いたします。
○和泉委員 都は、新型コロナの影響で苦しむ都民の暮らしや営業を支えるために、幾度も補正予算を組んで支援を行っています。私たちは決して十分ではないと思ってはいますが、それでも、大変大きな予算を振り向けていることには間違いありません。
しかし、コロナ対策としての住宅政策という点でいえば、余りに不十分だと率直に指摘しなければなりません。都施行の都民住宅に暮らす都民が、コロナ禍による影響に苦しんでいるときに、その使用料をわずか一年程度延長してほしいという切実な願いに背を向けるんでしょうか。
使用料の減額を一年程度延長した場合の費用は、今答弁があったとおり四千四百四十万円ということです。たとえ収入が減ることがあっても、生活の基盤である住まいを失うような事態を生まない。この立場に立って、本陳情は、当然採択されるべきであるということを主張して、私の質疑を終えます。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○米川委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二第六七号は不採択と決定いたしました。
○米川委員長 陳情二第七六号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○土屋経営改革担当部長 整理番号3、陳情二第七六号についてご説明いたします。
それでは、説明表の五ページをごらんください。
整理番号3、陳情二第七六号、都営住宅の使用承継(名義変更)に係る年齢制限の見直しを求めることに関する陳情についてご説明申し上げます。
陳情者は、八王子市長房西団地連合自治会会長植松昭さん外三人でございます。
陳情の要旨は、都営住宅の使用承継(名義変更)について、名義人が要介護状態であったことが証明できた場合は、六十歳未満の三親等の親族でも例外で承継することができるようにしていただきたいでございます。
現在の状況でございますが、都営住宅の使用承継制度については、公営住宅の入居者と非入居者間の公平性を確保する観点から、承継の厳格化を求める国の通知や東京都住宅政策審議会答申を踏まえ、原則として配偶者に限定したものでございます。
また、同制度では、居住の安定を図る必要がある方として、高齢者、障害者及び病弱者について、例外的に承継を許可する配慮をしております。
使用承継の対象とならない方には、直ちに退去を求めるのではなく、六カ月の退去猶予期間を設けるとともに、公社住宅の募集情報の提供や区市町の相談窓口の紹介などを行っております。
また、特に生活保護受給世帯については、区市町の福祉部門と連携して住宅の確保に努めるなどの対応を図っております。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○米川委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○和泉委員 この都営住宅の使用承継制度に係る年齢制限の見直しを求めることに対する陳情について質疑します。
長房西都営住宅の連合自治会から、使用承継の厳格化の緩和を求めて提出された陳情です。昨年の第四回定例会でも、使用承継を一親等の子供まで認めてほしいという陳情が足立区の都営住宅の七つの自治会から提出されました。
そのときに陳情者から聞いた実態も、とても切実でした。例えば、昔から同じ団地に住んでいるのに、親が亡くなって団地を出た男性が、目の前の公園でしばらく寝泊まりしていた姿は、とてもかわいそうだった。親が亡くなったときに、親の年金で暮らしていた女性は、六十歳手前で収入もなく、アパートを借りることもできずに、本当は行きたくなかった姉夫婦のところに居候させてもらうことになった。このような深刻で切実な実態をこの委員会でも紹介いたしました。
今回は、長房西団地の連合自治会からの陳情です。長房団地には棟ごとに四十の自治会があるということなので、かなり大きな団地です。それが四つの連合自治会を構成していて、その四つの連合自治会から提出をされているわけです。団地の自治会の方たちから繰り返しこのような陳情が出ていることを、都は、正面から受けとめるべきです。
まず、伺いますが、承継の厳格化により使用承継が認められず、退去しなければならなかった世帯は何件あるのか伺います。
○土屋経営改革担当部長 公営住宅への入居は、公営住宅法に基づき公募が原則であり、その上で、都は、公営住宅の入居者と非入居者間の公平性を確保する観点から、使用承継の範囲を原則として配偶者に限っております。
この制度改正を実施した平成十九年八月二十五日以降、令和二年三月末日までの間に名義人が死亡または退去し、その届け出が、名義人または同居者から令和二年九月末日までにあった件数は五万一千七百八十八件でございます。
そのうち、使用承継を許可した件数は四万二千六百五十三件であり、それ以外の九千百三十五件のうち八千八百十一件は、既に退去済みでございます。
八千八百十一件の中には、本人の意思で使用承継を希望せずに退去した方も含まれており、使用承継が認められず退去した件数については把握してございません。
○和泉委員 この数には、これから承継の申請を行う方が含まれているとはいえ、ことしの九月末時点で九千百三十五件の世帯で許可がおりていない。
もちろん、退去することに問題がなくて、承継を希望しないという方もいらっしゃるでしょう。けれども、退去先の見通しが立たない方や、都営住宅に住み続けることを希望している方もたくさんいるはずだと思いますが、そういった数については、具体的につかんでいないということでよろしいんでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 繰り返しになりますが、先ほど答弁申し上げました八千八百十一件の中には、本人の意思で使用承継を希望せずに退去した方も含まれており、使用承継が認められず退去した件数については把握してございません。
○和泉委員 やむなく本人の希望に沿わずに退去せざるを得なかった、そういう数を東京都は把握していないという答弁でした。
とりわけ深刻なのは、親御さんの介護のために仕事もやめ、親が亡くなったら収入が途絶えてしまう、その上、住むところまで失うという場合です。
都は、都営住宅居住者のうち、親の介護のために同居している世帯がどのぐらいあるか、その実態は把握しているんでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 現在、同居者が親の介護をしている世帯数については把握しておりませんが、看護を理由とした期限つき同居の許可件数でお答えいたしますと、令和元年度の許可件数は八百十件でございます。八百十件の中には、身体障害者の介護などを理由とするものも含まれており、親の介護のために同居している世帯数については承知してございません。
○和泉委員 別のところに住んでいたけれども、都営住宅に住んでいる家族の介護が必要になって同居の申請をする期限つき同居、これを許可した件数だけでも八百十件あるということです。しかし、今の答弁を聞くとおり、都は、介護のために仕事をやめた家族の実態については、考慮するどころか、把握すらしていないということになります。
今回陳情を出された連合自治会の方からお話を聞きました。それぞれの連合自治会で、一年に何例も使用承継の厳格化による転居者がいるということで、その相談や改善を求める声は以前からずっと出ていたそうです。連合自治会ごとに、それぞれ話を持ち寄ってみたら、全ての連合会で共通して出されている問題だったので、四つの連合会で話し合い、提出しようということになったと話をされておられました。
親の介護で仕事をやめた四十代の男性は、自治会長を引き受け連合会でもいろいろと役割を担ってくれていた。いずれは連合会長を引き受けてもらおうと周りも期待し、本人もそのつもりで頑張っていた。しかし、母が亡くなった後、居住が継続できず、転居せざるを得なかった。団地内の高齢化が進んで、自治会の役員を引き受けてくれる若い世代は少ない中で、本人だけではなく、ほかの団地居住者も本当にがっかりしたそうです。
本人が地域で頑張っているのに、それを否定し、本人の人生まで変えてしまいかねない、なぜ、都営住宅内の世代循環を都が断ち切るようなことをするのかと話しておられました。
長年同じ団地で暮らしてきた方たちが、住むところを退去せざるを得なくなって、さらに、次の住むところが決まらずホームレスになってしまう方もいる。その現実を目の当たりにして、自治会として陳情を出すほどに、団地の方たちは心を痛めているわけです。
これまで退去したうち、住宅の確保ができなかった事例があるのか、都は、把握しているんでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 使用承継の対象とならない方には、公社住宅の募集情報の提供や区市町の相談窓口の紹介などを行っており、また、都営住宅の返還届を提出いただく際、退去後の移転先などに関するアンケート調査への協力をお願いしております。その限りでは、住宅を確保できなかった事例については把握しておりません。
○和泉委員 これも把握していないと。アンケートに退去後の移転を書かせて終わりという点は、先ほどの都民住宅と同じです。住宅を確保できたのか親身になって対応しているとは、とてもいえないというのが今の答弁でもわかります。
続けて伺いますが、使用承継の厳格化を実施して以降、この仕組みによって都営住宅を退去した実例は何件あるんでしょうか、伺います。
○土屋経営改革担当部長 先ほどお答えしたとおり、平成十九年八月二十五日から令和二年三月末日までに使用承継事由が発生し、令和二年九月末日までに届け出があった五万一千七百八十八件のうち、令和二年九月末日までに退去した件数は八千八百十一件でございます。
○和泉委員 改めてお答えいただきました。ありがとうございます。
では、前年度に退去した世帯のうち、収入月額が入居基準を満たしている世帯の割合、これはどのくらいあるんでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 先ほどお答えいたしました令和二年九月末日までに届け出があった五万一千七百八十八件のうち、令和元年度の退去世帯数は六百十一件でございます。そのうち、名義人が死亡または退去する前の時点で、世帯収入が入居収入基準を満たしていた世帯は四百六十五件、約七六%でございます。
ただし、この中には、名義人の死亡、転出後に収入月額を認定し直した場合、入居収入基準を満たさなくなる世帯が含まれている可能性がございます。
○和泉委員 名義人が亡くなった時点では七六%の世帯が収入基準を満たしていると。ただ、その中には、その後収入が上がって基準を満たさなくなる世帯も含まれている可能性がありますよというご答弁でしたけれども、名義人が亡くなった時点で収入基準を満たしていなかった残りの二四%の世帯について、逆に、名義人の死後、収入が減って基準を満たす、こういう場合だってあるわけです。重要なことは、少なくとも名義人が亡くなったりした時点で、七六%もの世帯が入居資格の収入基準を満たす低所得だということです。
今回、事務事業質疑に当たって、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況について、都道府県と政令市別に資料を出していただきました。二十ある政令市のうち、厳格化を行っているのは八自治体しかありません。昨年提出していただいたときと同じ数字です。
昨年の質疑では、厳格化を行っていない全ての政令市に聞き取りも行いました。その中で、多くの自治体が三親等内の承継を認めていて、その理由についても、低所得の方に退去を迫れば住宅困窮者を新たに生むことになるからというものでした。
お子さんといっても高齢に近く、なおかつ仕事も持っていない方は、真に住宅に困窮する方に当たるとしている自治体、公営住宅は持ち家のない低所得の居住の安定を図る大きな使命があると答えた自治体、名義人が亡くなって余計家計が苦しくなることもあるかもしれないから、退去をお願いするのは心情的に酷だとして、その人の生活が成り立たなくなる可能性もあるのでと答えた自治体もありました。
これらの自治体の言葉は、私は、都にしっかり胸に刻んでいただきたいというふうに思います。
私が最近受けた相談も大変切実なものです。八十五歳の母と五十歳の娘さんです。娘さんは、二十五歳のときにパニック障害になり、近くの診療内科に二十年以上通院しています。二年前、八十八歳で亡くなったお父さんは認知症がひどく、昼夜問わず徘回、台所をあさって食べ物ではないものまで食べてしまったり、トイレではないところで粗相してしまったり、その掃除や洗濯、お父さんの世話で片時も目が離せず、娘さんは七年前に会社をやめて、お母さんと二人で介護に当たってきました。
施設に預けたくても、娘さんが同居しているため、結局、特養ホームには最後まで入ることができませんでした。そのお父さんが暴れてお母さんに大けがをさせてからは、娘さんは、お父さんとお母さんの二人の介護に追われることになります。
お母さんと二人暮らしになってからも、けがの後遺症と認知症でお母さんは身の回りのこともできないことが多く、娘さんは働けず、旅行に行ったり友達と食事に行ったりすることすらできません。
今はお母さんの年金で暮らしていますが、お母さんが亡くなったら収入が途絶えるだけではなく、住むところまで失うという不安の日々を送っています。夜、一人で娘さんがすすり泣く姿を、窓越しにその声を聞いて、お母さんはとてもつらい胸のうちを語ってくれました。
会社もやめて、自分の人生を犠牲にして親の面倒を見てきた娘がなぜこんな目に遭うのか、泣いているのを知っていても、生きてくれとも、死んでくれとも、私にはいってやることができない、そういって泣いておられました。
都は、このような深刻な実態にいつまで目をつぶっているんでしょうか。退去しなければならない人が、住宅の確保ができずホームレスになるという事例を私も幾つも聞いています。紛れもなく、都の住宅政策によってホームレスが新たに生まれていることに対して、都は、どう認識しているんでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅への入居は公募が原則であり、公募の例外である使用承継によって、長年にわたり同一親族が居住し続けることを認めることは、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なうことになります。
このため、使用承継の範囲を原則配偶者としておりますが、特に居住の安定に配慮すべき者として、高齢者、障害者及び病弱者には使用承継を認めております。
また、使用承継の対象とならない方には、直ちに退去を求めるのではなく、六カ月の退去猶予期間を設けるとともに、公社住宅の募集情報の提供や区市町の相談窓口の紹介などを行っております。
さらに、生活保護受給世帯につきましては、区市町の福祉部門と連携して住宅の確保に努めるなどの対応を図っております。
○和泉委員 入居者と非入居者の公平性が損なわれているといいますが、都が公営住宅の提供が必要な世帯の数を極端に少なく絞り込んでふやさないから、入りたい人がいつまでたっても入れないんです。今住んでいる人たちのせいではありません。今住んでいる人が出ていかないから、待っている人が入れないなどという理屈は成り立ちません。住宅確保要配慮者に必要な数を正しくつかんで、都営住宅をふやせばいいではありませんか。
他の自治体が真に住宅に困窮するとしている方たちも、都は認めず、公営住宅は居住の安定を図ることが大きな使命だとしている自治体に学ぶこともなく、住宅困窮者を新たに生み出すことになっても、たとえ生活保護受給者であっても退去を迫り、それを公募が原則だからと、入居者と非入居者との公平性を著しく損なうからだと冷たく退ける。これで、都営住宅は住宅セーフティーネットの中核である、その役割を果たしているといえるでしょうか。
この陳情を採択し、都営住宅に真の住宅セーフティーネットとしての役割を果たさせることが今切実に求められていると思います。このことを強く主張して、質疑を終えます。
○斉藤委員 陳情二第七六号、都営住宅の使用承継に係る年齢制限の見直しを求めることに関する陳情に関連して、私も質疑を行います。
本陳情の願意は、名義人が要介護状態であったことが証明できた場合、六十歳未満の三親等の親族でも、都営住宅の使用承継を可能にしてほしいというもので、その背景には、名義人の高齢化と、介護負担を、家族が同居し担うケースがふえていることがあるということが読み取れます。
まず、この使用承継制度の基本的な考え方を確認したいと思いますが、都営住宅の使用承継制度では、入居者と入居していない方の間の公平性を確保する観点から、対象者を原則配偶者に限り、例外的に高齢者、障害者、病弱者に配慮をしているとの説明がありました。承継の対象とならない方は六カ月の猶予期間を設けているとのことです。
こうした制度の内容を入居者にどのように周知をしているか伺います。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅の名義人が死亡または退去した場合には、使用承継の許可を受けるか、お住まいの住宅を返還していただくことになります。
その手続につきましては、入居の際、全世帯に配布する「住まいのしおり」の各種手続のページに明記するとともに、毎月、各戸に配布する広報紙「すまいのひろば」で定期的に掲載しております。
また、名義人の死亡または退去について東京都住宅供給公社の窓口センターに届け出があった際には、使用承継制度の内容や手続等を説明しております。
その他、公社ホームページでも制度説明を掲載するなどして、周知の徹底を図っております。
○斉藤委員 ちなみに、例えば対象の配偶者には内縁関係などの事実婚のパートナーも含まれるということなども含めて、届け出の際に制度の内容や手続等は説明をしてくださっているというご答弁でありました。
今回の陳情は、この承継対象を名義人の介護の状況に配慮して、六十歳未満の三親等の親族にもという願意ということから、制度の周知に努めているとはいえ、高齢化、単身化が進む都営住宅において、期間内に手続を行うことが容易ではない高齢者の方々などがいることもあると考えております。
こうした状況を踏まえて、都は、どのように取り組みをしているか伺います。
○土屋経営改革担当部長 高齢者世帯をサポートするため、東京都住宅供給公社では、巡回管理人が、希望する六十五歳以上の世帯に対して定期的に訪問し、日常的な相談を受けるほか、各種申請書類の取り次ぎなどを行っております。
令和元年度は、約一万七千世帯を対象に、九十一人の巡回管理人が延べ約二十万回訪問いたしました。
○斉藤委員 巡回管理人の方の訪問が、延べ約二十万回に及んでいるというご答弁でありました。
この日常的な相談の中から、例えば、名義人ご本人のご希望であったりとか、住居や財産の相続に関するご相談のようなことを対応されていると想像しますけれども、介護するご家族の今後の住居についてのご相談などもここで受けておられるかと推測しているんですが、巡回管理人は、例えば地域包括ケアでいうと支援員のような、最も住民の身近なところで相談を受ける可能性のある存在でもありますので、この管理人から上がってくる諸課題の解決については、専門機関の支援へとつなぐことなど、都としても、課題の把握と解決に積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
使用承継の対象とならない方について、都では、一定の退去猶予期間を設けているとはいえ、中にはさまざまな事情で猶予期間を経過しても退去できない世帯もあると思いますけれども、そうした世帯にどのように対応しているか伺います。
○土屋経営改革担当部長 退去猶予期間が経過した場合、明け渡し指導の対象となりますが、すぐに明け渡し訴訟に移行することはございません。
例えば、急な病気などで引っ越しができないような場合など、個別の事情については相談に応じ、必要があれば、区市町の福祉部門と連携して円滑な退去に結びつけるなど、きめ細かい対応に努めております。
○斉藤委員 この転居に当たっては、期間が過ぎたとしても、すぐに退去を強制されるわけではないということと、個別事情がある場合には、福祉と連携して円滑な退去に結びつける仕組みがあるということで、今回、この陳情の願意にある名義人の高齢化とそれに伴う介護の事情から、親族がその後住む場所を確保することについてのご懸念があるような場合は、都として、個別にきめ細かく対応していただけるということを確認させていただきました。
使用承継の対象の拡大そのものについては、都営住宅への入居を希望する全ての方々への公平性を損なう可能性について、慎重に議論、検討していく必要があるということから、本陳情については不採択にするべきと考えておりますが、この願意である名義人や親族のさまざまな事情には、真摯に、丁寧に向き合っていただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○米川委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二第七六号は不採択と決定いたしました。
以上で陳情の審査を終わります。
以上で住宅政策本部関係を終わります。
○米川委員長 これより都市整備局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い東京都技監に上野雄一君が就任されましたので、上野東京都技監から挨拶があります。
○上野東京都技監 東京都技監を拝命いたしました上野雄一でございます。
東京都技監といたしまして、技術職員の人材確保や育成、技術の継承など、各局に共通する課題に、庁内の横のつながりを一層強化しながら取り組むとともに、都庁の技術力の向上を図り、技術職が都政に一層貢献できるように努めてまいります。
引き続き、都市整備局長及び局の技監を兼務いたしますので、米川委員長を初め委員の皆様方のお力添えをいただきながら、職員一同力を合わせまして、局事業の適切かつ円滑な執行に努めてまいります。
何とぞご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○米川委員長 挨拶は終わりました。
○米川委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○上野東京都技監 本日は、令和二年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております都市整備局関係の案件をご説明いたします。
提出予定案件は、条例案が一件でございます。
お手元の資料1、令和二年第四回東京都議会定例会提出予定条例案説明資料をごらんください。
東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例案でございます。
港区における町の区域の変更に伴い、施行地区に含まれる地域の名称を改めるものでございます。
私からの説明は以上でございます。
引き続き、詳細な内容につきまして、総務部長からご説明をいたします。ご審議のほどよろしくお願いをいたします。
○木村総務部長 条例案一件につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料1、令和二年第四回東京都議会定例会提出予定条例案説明資料をごらんください。
三ページをお開き願います。東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
1、改正の理由及び2、条例案の概要でございますが、港区における町の区域の変更に伴い、施行地区に含まれる地域の名称を改めるものでございます。
四ページには条例案文等を、五ページには新旧対照表を記載してございます。
以上で令和二年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○米川委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。−−なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○米川委員長 次に、陳情の審査を行います。
陳情二第七九号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 整理番号1、陳情二第七九号につきましてご説明いたします。
説明表の一ページをごらんください。
整理番号1、陳情二第七九号、西武新宿線連続立体交差化計画における上石神井車両基地の拡張・延伸に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
陳情者は、練馬区の上石神井車両基地拡張問題権利者の会代表の上村桂太さん外百一名でございます。
陳情の趣旨でございますが、都において、西武新宿線井荻駅から西武柳沢駅間連続立体交差化計画における上石神井車両基地の拡張、延伸の見直しをしていただきたいというものでございます。
説明表三ページに、連続立体交差化計画及び上石神井車両基地の位置図を添付しておりますので、あわせてごらんください。
恐れ入りますが、一ページに戻りまして、現在の状況でございます。
都は、踏切対策を促進するため、平成十六年に策定いたしました踏切対策基本方針におきまして、西武鉄道新宿線井荻駅から東伏見駅付近までを連続立体化の検討対象区間に位置づけてございます。
その後検討を進め、当該区間を含む井荻駅から西武柳沢駅の約五・一キロメートルにつきまして、鉄道の立体交差化により十九カ所の踏切を除去し、交通渋滞や地域分断の解消を図ることを計画いたしております。
上石神井車両基地は、区間内の上井草駅から上石神井駅までの間に位置する、西武新宿線で最も都心側にある車庫であり、上石神井駅の始発電車及び終電車への対応や緊急時の対応など、車両運用上重要な拠点となっており、他の場所への車庫の移転は困難でございます。
現況の車庫は地平にあることから、本線を立体化するためには、車庫から立体化される上石神井駅までを接続する斜路が新たに必要となり、現況の車庫の位置に取りつけることはできません。このため、車庫と本線とあわせて立体化する必要がございます。
車庫を立体化する際の配線計画におきましては、安全運行に資する西武鉄道の技術基準に適合した計画とすることや、上石神井駅の位置を大きく変えないことが必要でございます。こうした結果、車両留置線の線路が現況の車庫の範囲におさまらず、一部が民有地にかかる計画となってございます。
このように、連続立体交差化計画におきましては、車庫の計画は本線の立体化の計画と一体不可分なものでございます。
車庫の計画を含む連続立体交差化計画につきましては、昨年二月の都市計画素案の説明会並びに本年十月の都市計画案及び環境影響評価書案の説明会において、スライドや図面を用いながら、わかりやすく地域住民に説明しております。また、こうした説明会とは別に、地元区や西武鉄道と連携して、陳情者等に対する説明も行ってきております。
都といたしましては、引き続き都市計画及び環境影響評価の手続を進め、早期の都市計画決定を目指してまいります。また、関係区市及び西武鉄道と連携して、地域住民への丁寧な説明や情報提供に努めてまいります。
なお、用地取得に伴う補償につきましては、都市計画事業認可の取得後に開催する用地補償説明会において詳細を説明することとなっております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
○米川委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○鈴木(邦)委員 本陳情の審議に先立ちまして、我が会派としても陳情者の方々に直接お話をお伺いしました。当該地は、立体交差事業においてそもそも必要な土地だという認識は、近隣の住民の方々にはありませんでした。しかしながら、この車両基地の形状を検討した結果、用地が必要になったということで、住民の方からすれば、急に立ち退きを迫られているという状況であり、やはり丁寧に対応すべきであるということを申し上げておきます。
今後、都市計画審議会において審議されていくことも考慮し、我が会派といたしましては継続審議を要望いたします。
○曽根委員 私からは、この陳情二の七九号、西武線立体交差化の車両基地の拡張、延伸問題について何点か質問させていただきたいと思います。
この陳情者は、昨年の段階まで自分たちの住まいが立体化事業にかかわってくるとは思っていなかったのに、いきなり車庫の拡張計画があると聞いて非常に驚いたと口々に訴えておられました。ということは車庫の拡張という計画は、直前まで住民に知らされていなかったということになります。
立体化事業を検討する場合、通常は高架方式か地下方式かが大きな選択肢となりますが、上石神井の立体化事業の場合は、広い車庫をどうするかということも検討する中で、車庫の拡張ということもあり得るということは、もっと早くから、当事者初め、住民全体にも知らされていなければならなかったはずだと思います。
そこで、地下方式と高架方式の比較検討をした際に、それと同時に立体化事業を進めれば、この車庫の拡張が必要になり、住民の立ち退きがあり得るということは、どの段階でどういうふうに検討されてきたのかについてお尋ねをいたします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 連続立体交差化計画の検討に当たりましては、現在の鉄道用地を最大限活用することを基本としてございます。
その上で、上石神井車両基地の計画においては、連続立体交差化を地下方式で行う場合も、高架方式と同様、安全運行に資する西武鉄道の現在の技術基準に適合した計画とすることや、上石神井駅の位置を大きく変えないこと、既に都市計画決定されている補助第一三二号線及び補助第二二九号線の都市計画の範囲との整合性を図ることが必要でございます。
このため、地下方式であっても車庫の範囲が現在の鉄道用地におさまらず、一部が民有地にかかる計画となっております。
なお、用地の取得につきましては、事業実施段階で詳細をご説明し、関係権利者のご協力を得ながら実施していくこととしてございます。
○曽根委員 お答えを聞きますと、最後におっしゃったように用地の取得段階で詳細を説明し、関係権利者の協力を得ながらというようなことが強調されましたが、大体、計画が持ち上がった段階で大変な驚き、自分のうちは一体どうなるのかということは関心になるわけで、やはり対応がおくれてきたのではないかというふうな、私も疑念を持たざるを得ません。
それで、当該の住民の方々にお会いしますと、自分たちの町会のところで説明会をお願いして、ようやく詳しい説明が行われたというふうなことをおっしゃっていますが、これは事実かどうかということと、それから、都の側が主催する住民説明会というのは、ではいつ行われたのか、この二点お聞きします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、昨年二月に都市計画素案の説明会を四回開催してございます。その後、委員今ご確認していただきました、当該地を含む地元町会から地元区を通じて依頼を受け、昨年十二月に地元区や西武鉄道と連携して、陳情者等に対して説明を行っております。さらに、本年十月に都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を八回開催してございます。
いずれの説明会においても、車庫の計画を含む連続立体交差化計画につきまして、スライドや図面を用いながら、わかりやすく地域住民に説明してございます。
○曽根委員 今のご説明ですと、地元町会に呼ばれて行ったのは昨年十二月と。しかしその前、十カ月前に、去年の二月には説明会を都と事業者で開いているんだというお話ですから、ますます不可解なんですが、十カ月もたってから町会が改めて説明を求めるというのは、やはり二月の説明会で地元住民、特にこの車庫の拡張によって立ち退きを求められる居住者の方々に、やっぱりわかりやすい説明が十分行われていたとはなかなか思えない事態の経過だなというふうに思います。説明が丁寧にされていれば、恐らくすぐに当事者の方々が驚いて、詳しい説明を求めるはずだと思うんですね。
それから、この立体化の事業で、大規模な車庫の南側は郊外に移すらしいということをお聞きしました。南半分を郊外の車庫に移して、北半分を残すと。したがって、この車庫の今の、こう線路がたくさん並んでいる、それはかなり細くなるわけですね。その分、細くなった分が東側に延びて、今、二十件ぐらいでしょうか、民間のお宅があるところに延ばして拡張するという、変形になるわけですね。これらも全てヤードごと持ち上げて、本線と同じく高架にするという。
いってみればかなりの工事費もかかるし、これを立体交差化事業という、いわば全体としては事業費の大部分を公費で負担するという事業に組み込んでよいのかという疑問も、私、いささか感じざるを得ないんですけれども、そこでお聞きしますが、車庫を、いってみれば南半分ぐらいを削って、機能をほかに移して、必要最小限の規模に縮小するということは合理的な考え方だと思いますが、それによって、北側に残された車庫の用地の運用が、東に用地を延ばさなければできなくなるとは、なかなか素人目には考えにくいんですよ。北側の線路の数が減り、駅に向かって出ていくに当たって、東側に延ばさなければどうしてもこの今の運用ができないのかというと、そうは考えにくいわけですね。線路が中を極端に折れ曲がるわけでもありませんので。
この場所に残さなきゃならないこの車庫について、現状の配線を大きく変えないままで立体化をできるんじゃないかというふうに考えてしまうんですが、この点はいかがでしょうか。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 本区間の連続立体交差化における上石神井車両基地の計画に当たっては、現在の鉄道用地を最大限活用することを基本としてございます。
その上で、安全運行に資する西武鉄道の技術基準に適合するためには、上石神井駅から車庫への分岐に一定の距離が必要となるため、東側に拡張しなければならず、現在の鉄道用地におさまらないことになってございます。
○曽根委員 この鉄道会社、つまり西武鉄道の現在の技術基準、これに適合させるためなんだということなんですけれども、これ民間会社ですので、この西武鉄道の現基準というのは非公開だそうで、住民の方には詳しい説明はないわけです。
今の線路配置ではなぜ安全に資することができないのか。この点が住民の側からすると全くわからないと。これでは住民は、西武の非公開の内部基準を盾に、自分の土地を持っていくのをうのみにするしかなくなってしまうわけで、非常に理不尽さを感じているわけです。
実際に車庫で列車を操作するのは、恐らく時速十キロ前後ですし、今までここの車庫での事故も聞いたことがありません。
さらに、この車庫の拡張に自宅の北半分が取られる一方で、自宅の南半分は賠償されずに、工事の用地として立体事業期間だけ借り上げられるという方が出てくるわけです。
先ほどお話があったように、立体交差化事業は公費を使いますので、必要最小限の土地でおさめると。そうすると、ここに、今回延ばす民有地のところにくびれができて、自宅の北半分は車庫に、要するに立体化事業に取られるけれども、南半分は取られない。しかし、そこも工事には必要だから、工事事業期間だけ借地にして提供すると。
そうすると、賠償金額は大分違ってくるわけですよね、全部買い取られないと。工事が終わったら、はい南半分をお返ししますといって土地だけ戻ってくると。これは、今までの半分程度の広さではどうにもならないという例もあるということがいわれました。ちょっと私も、踏んだり蹴ったりだなというふうな話だと思いました。
住民の土地をのみ込んで進める事業で、逆に、生み出されてくる土地もあるということを、私この際ちょっと忘れてはならないんじゃないかと思います。つまり、車庫の南半分はかなり西の郊外の方に、別の場所に移すわけで、その土地は、今回立体化の事業の対象になりませんから西武の鉄道用地として、もしくは別の目的に使える場所が生み出されるわけです。
車庫全体を高架化するんですから、かなりの費用が発生しますが、鉄道会社からは、これにより生まれる南側のこれまで車庫だった場所、しかもこれは千川通りに面していますので、通りに面した一等地です。この用地や高架下の空間の利用計画については、都側は何か聞いているんでしょうか。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 西武鉄道からは、車庫の跡地や高架下の利用計画は未定であると聞いてございます。
○曽根委員 国や地元自治体の公費をつぎ込んで、車庫を大きく縦に変形させることで、道路沿いの一等地が生み出されるわけです。この立体化事業で、住みなれた場所を動かざるを得なくなるかなりの住民に全く関係なく、例えば西武鉄道などが利用計画を立てるというのは、誰が考えても理不尽な話になると思います。実際、地元では、あれは商業開発に使うんだろうというふうにうわさが立っているわけです。
今回、陳情を出している車庫の東側の方々と同時に、西武線の高架化事業によって立ち退きが求められている北側の住民も含めて、立体化のやり方によっては立ち退く必要がなかった可能性もあるということも改めて確認しておきたいと思います。
地下方式のいわゆる複線シールド方式というものは採用の検討をしたのか、していなかったのか。この経過についてお伺いします。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 事業予定者である建設局からは、単線シールド工法は断面が小さく、合理的であるため、支障物との離隔の確保や縦断的に狭い空間を通過する場合に有用であると聞いております。
本区間では、石神井川や水道幹線などがあり、これらとの離隔の確保や限られた空間での施工が必要であるため、単線シールド工法で検討していると聞いております。
○曽根委員 今いったような理由が、当然、事業側ではあるんでしょうけれども、しかし、そういうことを、両者を検討して、同じ地下方式であっても単線シールドというのは電車ごとにトンネルをあけると。したがって、横幅が広くなりますので、現在の西武線の持っている土地から横にはみ出ると。はみ出た場所は、当然買収が必要になる。
しかし、複線シールドというのは、電車が二本通るトンネルを掘るわけで、したがって、横幅が少なく、複線シールドのトンネルを一本あければ、これは現在の西武線の用地内で地下の工事ができるという可能性が高いといわれていますが、どちらもその選択肢として検討したのならまだしも、実は最初からここは障害物が多いだろうからと勝手に決めつけて検討に加えていなかった。この理由は今余りいわれませんでした。
複線シールドなら、北側の住民立ち退きはほとんどなくて済んだとも聞いております。これで数百件の立ち退きがなくて済むという、住民にとっての大きな安心材料が事業者側の視野に入っていないということが、私、大問題だと思うんです。
少なくとも、今後事業の中で、車庫の南半分を他地域に移すことで、その跡地ができるということが計画されているわけですから、西武鉄道が事業者として、この計画を本気で進めたいのなら、車庫の跡地を権利者に提供するということを、みずから事業者の一人として表明するということは今でもできるはずなんですけれども、そういうことはできないんでしょうか。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 事業予定者である建設局からは、用地の取得に伴う補償については、金銭による補償を原則とすると聞いております。
詳細については、都市計画事業認可の取得後に開催する用地補償説明会において説明することとしております。
○曽根委員 つまり、事業認可がおりるまでは、ここから生み出される土地の活用も、それから立ち退かされる住民への補償も、具体的なことは何も補償しないということなんですね。これでは近隣住民が快く立体化事業に協力することは、私大変困難だと思います。民間事業者なんですから、みずからその意思を示すことができるはずです。
この事業は、まず何よりも、この地域にずっと住み続けて、今後も住み続けたいと願う地元住民の声に応えて、地下化の複線シールドなどを具体的に検討し、極力立ち退き対象を減らすということが第一に必要だと。どうしても立ち退きが必要な方には、代替地の補償などで誠意を尽くすという、西武鉄道や都側の誠意が、私は大前提だと思います。
しかし、いずれのことについても、住民に対して説明や誠意も尽くされておりません。
したがって、陳情の方々が見直しを求めるこの陳情については採択すべきだというのが私たちの意見です。
少なくとも、陳情者の切望することを、この議会として切り捨ててしまうというようなことがないように、ほかの会派の方々との継続審査には応じたいと思います。
以上です。
○藤井委員 陳情二第七九号について、継続審査の立場から意見表明をいたします。
陳情の願意は、車両基地の拡張、延伸の見直しということであります。
確かに、車両基地の拡張の対象となる地元住民の方々にとっては、突然に計画が浮上し、立ち退きを求められたということであります。
鉄道事業者からは、基地の計画を見直す考えがあるとは、現在のところ伺ってはございません。
例えば道路などであれば、昭和の時代に都市計画決定がなされたものが多くを占めますので、計画があることを前提に、そしてご承知の上で、住まいを選ぶということもできますが、今回は突然の計画ではないかと地元の皆様方が唐突感を覚えられることも、一定理解できないことではございません。
引き続き、東京都として、事業者である西武鉄道、地元区である練馬区と連携をしつつ、一層丁寧な説明、そして今後の交渉をされることを求め、継続審査の意見表明といたします。
以上です。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○米川委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二第七九号は継続審査といたします。
○米川委員長 陳情二第八三号から陳情二第九四号までは、内容に関連がありますので、一括議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○小野都市づくり政策部長 整理番号2、陳情二第八三から九四号につきまして、一括してご説明いたします。
お手元の資料2、陳情審査説明表の五ページをお開きください。
整理番号2、陳情二第八三から九四号、荒川区西日暮里五丁目の用途地域の見直しに関する陳情についてご説明申し上げます。
陳情者でございますが、七ページをおめくりいただきたいと存じます。
荒川区の藤岡弘章さん外十一名から同じ内容の陳情が提出されております。
陳情の要旨でございますが、都において、荒川区西日暮里五丁目の用途地域を変更しないでいただきたいというものでございます。
恐れ入りますが、六ページの配置図をごらんください。
本陳情の対象となっている当地区は、JR山手線、京浜東北線西日暮里駅の北東側、日暮里・舎人ライナーの東側に接する点線で囲みました西日暮里駅前地区市街地再開発事業予定区域でございます。
現在の用途地域の指定状況は、放射第一一号線沿道三十メートルまでの区域は、商業地域、建蔽率八〇%、容積率六〇〇%、放射第一一号線沿道三十メートルを超えた区域は、準工業地域、建蔽率六〇%、容積率四〇〇%、環状第四号線沿道三十メートルまでの区域の一部は、商業地域、建蔽率八〇%、容積率五〇〇%が指定されております。
恐れ入りますが、五ページにお戻りください。現在の状況でございます。
平成十八年度に地元関係者により、西日暮里五丁目まちづくり協議会が発足されました。
平成二十一年度に策定されました荒川区都市計画マスタープランにおいて、西日暮里駅周辺は再開発による計画的な土地利用を図るべき地域として位置づけられております。
当地区においては、学校跡地等の公益施設と共存し、多様な施設が複合した駅前らしく活気のあるまちを目指すため、平成二十六年度に西日暮里駅前地区市街地再開発準備組合が設立されております。
区は、平成二十七年度に西日暮里駅周辺地域まちづくり構想を策定しており、当地区について、交通結節機能を生かした多様な魅力を備えた区内最大の広域拠点としてのまちづくりを推進する地区として位置づけております。
準備組合は、再開発事業に向けた地元の合意形成状況を踏まえ、平成三十一年三月に区に対して都市計画決定の手続を進める旨の依頼を行い、再開発事業にかかわる計画案をまとめ、同年六月に権利者向け、九月に周辺住民を対象に説明会を実施しております。
また、区は組合との調整の上、都市計画原案を策定し、令和元年九月下旬に当地区における地区計画、第一種市街地再開発事業、用途地域、街路計画の決定等の都市計画原案の地元説明会を開催するとともに、都市計画原案の縦覧を行っております。
区は、令和二年九月の建設環境委員会において、これまで区によるホールの整備を検討してきましたが、文化交流拠点という位置づけは変えずに、新たな文化交流施設整備の検討を進めていることを報告しました。
区の原案説明会における住民からの意見を踏まえ、令和二年十月現在、組合は地元関係者へ個別に丁寧な対応を行っているところでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○米川委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○曽根委員 それでは、私から、陳情二の八三号から九四号に至る西日暮里五丁目の用途地域見直しに関する陳情について、質疑を行います。
この再開発問題については、前回の陳情に対しては、この委員会として継続審査という審議結果となっておりますが、その後の荒川区地元での事態の変化について、ただしておきたいと思います。
それぞれ、自分のいろんな要望や趣旨を詳しく書いた陳情が出されていますが、共通して、この再開発については、少なくとも中学校跡地の七千平米の範囲で行い、それ以外の既存のマンションを含む住民を巻き込まないでほしいというふうな意見が共通していると思います。
この主張に関連して、ことし三月の荒川区議会で、区がこの再開発事業の都市計画決定を延期するということを表明したこと。また、九月の荒川区議会で、事業計画の変更案を表明したというふうに聞いておりますが、どういう計画見直し案なのか。陳情者の求めているように、中学校跡地に開発区域を絞っているのか。この点をお伺いします。
○小野都市づくり政策部長 区からは、本年九月の建設環境委員会において、これまで区の整備によるホールを検討してきたが、社会経済情勢の変化や民間事業者へのヒアリングを踏まえ、一部を民間によるコンベンション施設とし、区有施設と民間施設の連携による文化交流拠点の形成に向けた検討を進めていくことを報告したと聞いております。
なお、開発の区域につきましては、当初案からの変更はなく、中学校跡地を含む西日暮里五丁目地内の約二・三ヘクタールを予定していると聞いております。
○曽根委員 区議会の方では、区が文化施設の大ホールの計画を取りやめて、それに伴って、かなり大きな区の財政支出をやめたことから、この再開発事業そのものの採算がとれなくなるというおそれが出ているというふうに聞いています。
それでも、この区の変更案、そして開発区域は中学校を含む約二・三ヘクタール、この変更案をさっさと決めてよいのかということは、地元の方々の陳情を含めて、大変大きな疑問が出ているわけです。
この再開発事業の変更案が区で決定された場合、その後の都段階の手続は、今後どうなっていくことになるんでしょうか。
○鈴木防災都市づくり担当部長 区によれば、先ほどの答弁のとおり、開発の区域に変更はなく、本地区におきましては、当初のとおり、組合施行による第一種市街地再開発事業が計画されているとのことでございます。
区におきまして、都市計画決定がなされた後、区域内の土地所有者または借地権者から、都に対し組合設立の認可申請がなされれば、都は、都市再開発法にのっとり審査を行い、要件に適合していれば認可をすることとなります。
○曽根委員 再開発法では、計画が決定されれば、そこに嫌でも権利者として巻き込まれる。そういう区民の人たちが、再開発の赤字が出たら権利者がそれをかぶらなければならなくなるかもしれない。それならば、民有地を取り込まずに学校跡地だけでやってくれというのは納得できる要望です。
したがって、我が党は陳情を採択すべきと考えますが、少なくとも、不採算の危険が強い再開発について、都議会として、住民の不安の声を無視して、事業の承認にお墨つきを与えることはすべきではないと考えます。
他の会派との同調で継続審査には応じたいと思います。
以上です。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、いずれも継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○米川委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二第八三号から陳情二第九四号までは、いずれも継続審査といたします。
以上で陳情の審査を終わります。
○米川委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○上野東京都技監 来る来年二月三日に開催予定の第二百三十二回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件につきましてご説明いたします。
今回、都市計画の決定・変更予定案件が、区部で十一件、市町村部で二十件ございます。
また、その他の付議予定案件が二件ございます。
本日は、これらのうち主な案件といたしまして、東京都市計画都市再生特別地区新宿駅西口地区及び多摩都市計画道路三・一・六号南多摩尾根幹線につきましてご説明申し上げます。
それでは、引き続き担当部長からご説明いたしますので、よろしくお願いいたします。
○中山景観・プロジェクト担当部長 付議予定案件ナンバー4、東京都市計画都市再生特別地区新宿駅西口地区についてご説明いたします。
資料は、お手元の資料4、白色表紙、提案事項概要二三ページから三一ページまで、資料5、薄茶色表紙、事前説明資料三三ページから四九ページまででございます。あわせて、資料8、紫色表紙、都市計画(素案)新宿駅西口地区もご参照ください。
今回の変更は、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特別区域会議から東京都の都市計画審議会に付議が予定されているもので、事業主体は小田急電鉄株式会社、東京地下鉄株式会社でございます。
資料5、事前説明資料三三ページの位置図とあわせて、スクリーンをごらんください。
本地区は、新宿駅西口直近に位置し、南側で甲州街道に接した約一・六ヘクタールの区域です。
また、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域である新宿駅周辺地域内に位置しております。
資料5、事前説明資料三七ページの参考図1とあわせて、スクリーンをごらんください。
都市再生への貢献として、新宿グランドターミナルの実現に向けた基盤整備、国際競争力強化に資する都市機能の導入、防災機能の強化と環境負荷低減を挙げており、当該都市再生緊急整備地域の地域整備方針に沿うもので、かつ都市再生の効果が高いものとなっております。
具体的な貢献内容につきましては、主なものとして、駅とまちの連携を強化する重層的な歩行者ネットワークの整備により、新宿駅における乗りかえや、駅とまちとの往来の円滑化を図ります。
また、にぎわいと交流を生み出す滞留空間として交流広場などを整備するとともに、西口駅前広場の道路表層整備などを実施します。
さらに、多くの消費者が集まるという新宿の特性を生かし、来街者と企業などの交流により、イノベーションを創出するビジネス創発機能約五千平方メートルを整備いたします。
資料4、提案事項概要の二三ページ及び二四ページ、資料5、事前説明資料の三五ページの計画図2とあわせて、スクリーンをごらんください。
都市再生特別地区の都市計画変更の内容についてご説明します。
容積率については、本計画の都市再生への貢献内容を適切に評価した上で、最高限度を一六〇〇%とし、一部を国際的、先進的なビジネス活動を促進する施設といたします。
高さの最高限度は、高層部を二百六十メートル、低層部を五十五メートルなどといたします。
資料5、事前説明資料の三八ページとあわせて、スクリーンをごらんください。計画地の北西側から見た完成予想図でございます。
参考といたしまして、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特別区域会議から新宿区都市計画審議会へ別途付議が予定されております都市計画について順にご説明いたします。
まず、新宿駅直近地区地区計画の変更についてでございます。
資料5、事前説明資料の四〇ページから四九ページまでとあわせて、スクリーンをごらんください。
地区施設として、立体広場、通路、空中回廊などを位置づけます。
次に、第二十六号新宿駅西口駐車場の変更についてでございます。
資料5、事前説明資料の三九ページとあわせて、スクリーンをごらんください。
新宿駅周辺の基盤整備の一環として、面積や台数などを変更し、スクリーン上、黄色で示す範囲を廃止、赤色で示す範囲を新規に追加いたします。
付議予定案件ナンバー4の説明は以上でございます。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 付議予定案件ナンバー9、多摩都市計画道路三・一・六号南多摩尾根幹線についてご説明いたします。
お手元の資料4、白色表紙の提案事項概要六五ページ、資料5、薄茶色表紙の事前説明資料七一ページから八八ページ、資料9、黄色表紙の環境影響評価書の要約版をお開きください。
本案件は、東京都環境影響評価条例に基づく計画段階環境影響評価の対象事業であり、今回はいわゆる後合わせでございます。
計画段階環境影響評価におきましては、対象計画において採用可能な複数案を策定し、それぞれの案が環境に及ぼす影響を予測、評価することとなっており、令和元年度から計画段階環境影響評価手続を進めてまいりました。
それでは、事前説明資料七一ページの位置図をごらんください。スクリーンにも同じ図を映しております。
南多摩尾根幹線でございますが、調布保谷線との接続部分である調布市多摩川三丁目を起点とし、稲城市、多摩市、八王子市を経て、町田街道との接続部分である町田市小山町に至る延長約十六・六キロメートルの路線でございます。
多摩地域の骨格をなす幹線道路であるとともに、調布保谷線と接続して、埼玉県から神奈川県方面に至る広域的な道路ネットワークを形成する重要な路線でございます。
今回の都市計画変更区間は、青色の引き出し線で表示している二カ所の区間でございます。
具体的には、調布保谷線との接続部分から多摩三・四・一八号との交差点までの延長約六・六キロメートルの区間と、多摩三・四・二六号との交差点から町田街道との接続部分までの延長約四・五キロメートルの区間となります。
都市計画変更区間のうち、今後事業を実施する区間を事業予定区間として赤の引き出し線で表示しており、この区間が東京都環境影響評価条例に基づく計画段階環境影響評価の対象となってございます。
次に、スクリーン上の航空写真をごらんください。
現在、南多摩尾根幹線の構造形式は、地表式、掘り割り式、地下式として都市計画決定されております。
整備状況は、地表式の一部区間が四車線で完成しているものの、大半の区間が暫定で二車線の道路となっております。そのため慢性的に渋滞が発生しており、生活道路に交通が流入するなど、沿道環境の悪化を招いております。
次に、計画の内容についてご説明いたします。
まず、複数案の作成区間からご説明いたします。
事前説明資料八七ページの参考図1をごらんください。
図の左側に青色でお示ししている多摩市と稲城市の市境付近の湿地において、希少な陸産貝類を初め多様な動植物が生息、生育することが判明し、平成二十六年十一月に連光寺・若葉台里山保全地域に指定されました。
保全地域内の湿地の真下に、既に都市計画が決定されているルートが位置しております。そのため、トンネル構造及びその前後を含む区間をトンネル等区間とし、この区間において湿地の南側を通るルートを検討し、既に都市計画決定されているルートと比較検討することといたしました。
A案はルートを既定都市計画の位置とする案、B案はルートを既定都市計画の位置より南側とする案でございます。なお、どちらの案も、都道における道路構造の技術的基準に関する条例、いわゆる道路構造条例を満足しております。
計画段階環境影響評価手続の中で、都民の皆様からの意見書や関係市長等の意見、知事からの審査意見書等を勘案し、令和二年八月に複数案の中から環境への影響や事業費などの面ですぐれているB案を選定し、公表したところでございます。
ここで、事前説明資料七八ページから八〇ページの計画図7から計画図9をごらんください。
ルートを既定都市計画の位置より南側に変更するため、一部線形及び幅員の変更が必要となります。
恐れ入りますが、ページをお戻りいただき、事前説明資料七八ページの計画図7及び八〇ページの計画図9をごらんください。
トンネル等区間について、現道とのアクセス等を考慮し、一部区間について区域の変更を行います。
次に、トンネル等区間を除いた標準区間についてご説明いたします。
事前説明資料八八ページの参考図2をごらんください。
既定の都市計画では、左下のイメージ図のように、構造形式を掘り割り式としております。
今回、沿道へのアクセスやまちづくりとの一体性を考慮し、トンネル構造を除く構造形式を掘り割り式から、右下の断面図のような地表式に変更いたします。
事前説明資料七一ページの位置図にお戻りください。
先ほどご説明した事業予定区間も含む、青色の引き出し線で表示した二カ所の区間について、渋滞の緩和や広域的な幹線道路機能の確保のため、車線数を往復四車線に決定いたします。
また、トンネル等区間のルートを変更するため、延長を変更いたします。
次に、環境影響評価書の概要についてご説明いたします。
環境影響評価書の要約版一ページをごらんください。
東京都環境影響評価条例に基づき、令和元年五月、南多摩尾根幹線の特例環境配慮書を提出し、本年六月に知事より特例環境配慮書審査意見書を受領いたしました。この内容は一一ページの表の左側に記載してございます。
この中で、特例環境配慮書における調査、予測及び評価は、おおむね東京都環境影響評価技術指針に従って行われ、その記載内容は、事業段階環境影響評価における環境影響評価書案に相当することが認められております。
また、審査意見書に記載されている環境影響評価の項目別事項については、表の右側に記載のとおり修正し、環境影響評価書を作成いたしました。
環境に及ぼす影響の評価の結論については、二ページから一〇ページまで記載してございます。大気汚染、騒音、振動を初め、いずれの項目についても、予測結果は環境基準等の評価の指標を満足していることから、環境への影響は少ないと考えられ、都市計画を変更する上で支障はないと判断しております。
最後に、事業の予定でございますが、東京都施行により、令和十一年度の完成を目指しております。
付議予定案件ナンバー9の説明は以上でございます。
○米川委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○森口委員 まずは、都市計画区域マスタープランについて伺います。
都は、今年度、東京の二十年先を見据えた都市計画の基本方針を指し示すべく、東京都都市計画区域マスタープランの改定を進めております。
コロナ禍のもと、人々の行動変容や三密対策等の必要性により、都においても多様な働き方や都市のデジタルトランスフォーメーションを加速させるとともに、緑やオープンスペースのさらなる創出や、ゆとりあるオフィス機能の充実など、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る新たな都市づくりの必要性を、これまで一貫して都民ファーストの会として訴えてまいりました。
そこで、まずは、改めて都市計画区域マスタープランの意義についてお伺いいたします。
○小野都市づくり政策部長 都市計画区域マスタープランは、法に基づき、都が広域的見地から定める都市計画の基本的な方針でございまして、長期的視点に立って、都市の将来像を明確にし、その実現に向けて道筋を示すものでございます。
今回の改定は、少子高齢、人口減少社会の進展など、社会経済情勢の変化などを踏まえた都市づくりのグランドデザインの策定を受けて行うものでございます。
この都市計画区域マスタープランに即しまして、区市町村が定める都市計画マスタープランや地域地区、都市施設などの個別具体の都市計画が決定されることとなります。
これらに基づき、具体の事業などが行われることにより、グランドデザインで描く将来像の実現とともに、新型コロナ危機を契機として生じた変化にも対応した持続的な成長を支える東京の都市づくりが可能となります。
○森口委員 二〇四〇年代を見据えた、将来の持続可能な高度成熟都市東京の実現に向けた都市づくりの方針を指し示すもので、本方針のもと、今後、区市町村が定めるマスタープランやさまざまな都市計画決定がされていくことになり、東京の将来像にとって大変重要な改定であることがわかりました。
今回の都市計画案の作成に当たっては、新型コロナを踏まえて、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る新しい日常にも対応した内容にすべきであると、我が会派として要望を続けてまいりましたが、今回の都市計画案の策定に際して、これまでの取り組みとともに、どのような内容が追加をされたのか、お伺いいたします。
○小野都市づくり政策部長 今回の感染症は、都市づくりのグランドデザインの策定以降、新たに生じた事象でございまして、テレワークの進展や人々の生活等への意識の変化など、多様化を促進しております。
今回の都市計画案の策定に当たりましては、パブリックコメントや公聴会における都民の意見、都市計画審議会の意見に加え、こうした状況を踏まえまして、有識者から意見を伺い、取りまとめを行っております。
今回追加した具体的な内容につきましては、クリエーティブ人材の受け入れ環境の充実、シェアオフィスやサテライトオフィス等の整備や、職住融合の拠点の育成、身近なオープンスペースのさらなる創出、歩きたくなるまち中形成の促進など、先端技術を活用しながら、新しい日常にも対応した都市づくりの推進に向けた記載の内容の充実、追加を行っております。
○森口委員 今回、計画案の策定に当たっては、新型コロナ危機を受け、さまざまな有識者から意見を集めるとともに、パブリックコメントなど都民の声にも丁寧に対応いただき、コロナ禍を契機とした新たな都市づくりの方向性を加えるなど、東京の将来の発展に向け、適切に計画案の改定をしていただいていると評価をいたしております。
次に、都市再開発の方針の改定について伺います。
先ほどの区域マスタープランの改定に伴い、東京の市街地における都市再開発の方針も今回改定されていくことになります。これは、市街地を再開発の促進地区や誘導地区といった区域指定を行うことで、適切な開発を誘導するものであります。
都市再開発の方針のもと、促進地区や誘導地区に選定された地区では、住民への周知や合意があった上で開発を進めていくべきでありますが、それらの地区はどのような経緯で選定がされたのかお伺いをいたします。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市再開発の方針は、市街地における再開発の各種施策を長期的かつ総合的に体系づけましたマスタープランでございまして、再開発による整備が必要で事業進捗に至っている再開発促進地区や、再開発を行うことが望ましい誘導地区などを位置づけ、再開発の適正な誘導と計画的な推進を図ることを目的としてございます。
再開発促進地区などの選定に当たりましては、地元区市が、まちづくり上の課題がある地区において進められている再開発に向けた検討の進捗状況などを踏まえて、資料を作成し、それをもとに、都が原案を作成した上で、縦覧及び公聴会における都民意見の聴取などを経て、今回の都市計画案を策定してございます。
○森口委員 地元住民の合意のもと、適切な開発が行われるよう、地元区市からの要請の上、選定を行っているとのことであります。
そこで、具体的に、私の地元区である新宿区においては、どのような地区が今回追加をされたのかお伺いいたします。あわせて、その選定理由についても伺います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 地元新宿区から資料提出を受けまして、再開発促進地区、誘導地区をそれぞれ二地区ずつ新規に追加をしております。
新規に追加した再開発促進地区は、高田馬場駅周辺地区、神宮外苑地区でございまして、区によると、グランドデザインや都市計画区域マスタープランの実現に効果が大きく、また、速やかに再開発を進める必要がある地区として、事業化に向けた地元組織が発足しており、体制の整っている地区を選定したとしております。
新規に追加した誘導地区につきましては、飯田橋駅東口周辺地区、新宿六丁目地区でございまして、区によると、今後、再開発の機運の醸成を図り、地元で事業化に向けた検討を進めている地区として選定したとしております。
○森口委員 新宿区においては、ご答弁のように、高田馬場駅周辺、神宮外苑、飯田橋駅東口周辺、新宿六丁目、この四つの地区において再開発の機運が高まり、その検討や事業化に向けた地元組織が立ち上がっているなど、今回新たに誘導地区、また、促進地区として指定がされているとのことであります。
こういった再開発促進地区に指定がされた後、さまざまな状況から再開発がしっかりと進む場合と、一方で進まない場合もあると思われます。
都市再開発の方針では、再開発促進地区の指定後、どのような運用を図っていくのかお伺いいたします。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都は、都市再開発の方針において、地区の望ましい将来像の実現に向けまして、再開発を実施しようとする地元の取り組みを後押しするために再開発促進地区を指定しており、地元の状況などを踏まえて適宜に必要な見直しを行っております。
再開発促進地区のうち、再開発にかかわる事業が進み、全て完了した地区については、原則として一号市街地に変更するものとしております。
再開発促進地区として位置づけた後、おおむね五年程度事業化の進展が見られない地区につきましては、事業化に向けた検討を行い、必要な見直しを行うものとしてございます。
また、新たな事業などを再開発促進地区に定める必要がある場合には、必要に応じて再開発促進地区の追加を行うものとしてございます。
○森口委員 再開発促進地区として指定がされた後、五年間をめどに事業化の進捗を踏まえ、見直しを行っていくとのことであります。
新宿におきましても、高田馬場駅周辺、神宮外苑、この二地区が再開発促進地区として新たに指定がされており、こういった今回指定された地区におきまして、地元の合意のもと、適切な再開発が進むよう、都としても支援をしていただきたいと要望いたします。
次に、都市再生特別地区として、再開発の検討が進められている新宿駅西口の都市計画案についてお伺いいたします。
新宿駅は、七路線八駅が乗り入れ、一日約三百八十万人の世界一の乗降客が利用するターミナル駅でありますが、駅の構造は複雑でわかりにくく、駅とまち、まちとまちの間が移動しにくいことから、膨大な歩行者が滞留できる空間が不足していることが大きな課題となっております。
この課題解決に向けて、今後、新宿グランドターミナルの実現として、区画整理事業や各開発事業が連携して進められていくことになり、本計画は、その先駆けとなる重要な開発であります。
これまで、東西、南北のにぎわいをつなぐ歩行者ネットワークの形成や滞留空間の整備、また、人中心の駅前広場や緑空間の必要性など都に求めてきましたが、本計画では、新宿グランドターミナルの実現に向けて、具体的にどのような取り組みを行うのかお伺いいたします。
○中山景観・プロジェクト担当部長 本計画では、平成三十年に都と新宿区が策定した新宿の拠点再整備方針を踏まえ、土地区画整理事業による基盤整備等と連携し、新宿駅周辺において、乗りかえ経路が複雑で移動がしにくいなどという課題に対し、地下空間の拡充やデッキレベルにおける歩行者ネットワークの強化などにより、駅とまち全体で、利便性、快適性の高い歩行環境を創出いたします。
具体的には、各社鉄道駅の改札が集まる地下一階において、十分な幅員を確保した約三千五百平方メートルの交通広場の整備等により、混雑緩和を図るほか、地下、地上、デッキレベルをつなぐエスカレーター及びエレベーターなどと吹き抜け空間が一体化したわかりやすい縦動線の整備などにより、快適な乗りかえ空間を実現します。
また、二階や三階レベルにおいては、周辺開発と連携して、東西、南北へとつなぐ歩行者ネットワークも整備し、地区全体の回遊性向上を図ります。
さらに、まちのにぎわいと交流を生み出す広場空間として、計画建物中層部に約二千二百五十平方メートルのスカイコリドーを整備し、新宿のまちを眺望でき、緑を身近に感じられる憩いと潤いのある空間を創出します。
以上の取り組みにより、新宿駅グランドターミナルの実現に向け、人中心のまちを形成するものでございます。
○森口委員 新宿のまちを見ますと、本計画の小田急百貨店を初め、駅ビルや駅周辺の建物が老朽化しており、渋谷、東京、品川、虎ノ門など、都心各所で大型の再開発が進む中、相対的にまちの更新がおくれており、スピード感ある拠点再整備が求められております。
また、近年、ビジネス面としても、グローバル環境を支えるビジネス機能や交流できる空間が不足をしているなど、多様で膨大な来街者が存在する強みを生かし切れていないことが課題と考えております。
そこで、本計画では、ウイズコロナ、アフターコロナにも配慮しながら、新宿の強みを生かし、人や物の交流、新たなビジネスの創出など、活力ある拠点としていくべきと考えますが、どのような取り組みを行うのか伺います。
○中山景観・プロジェクト担当部長 平成三十年に都と新宿区が策定した新宿の拠点再整備方針では、消費者と直接結びつき、新たな価値を生み出すイノベーション機能の強化や、人々を新宿に集め続け、新たな発信が行われる国際競争力強化に資する機能の導入を図ることとしております。
本地区では、上位計画を踏まえ、多様で膨大な来街者が集まるという新宿の強みを生かし、企業と消費者、多様な関係者との交流により、イノベーションを創出するため、イベントスペースやコワーキングスペースなどを備えた約五千平方メートルのビジネス創発機能を整備するとともに、本地区を含めたさまざまな情報を発信していきます。
また、アフターコロナも見据えた、多摩地域を中心とした広域な利用圏域を有する商業機能や、換気機能の強化や非接触対応などにも配慮した、ゆとりある共用スペースを備えた国際水準のオフィスの整備により、東京の発展を先導する国際的な拠点の形成を図ってまいります。
○森口委員 新たなビジネスが創発され、交流やにぎわいあふれる拠点として整備を進めていただきたいと要望いたします。
新宿を国際競争力を備えた魅力的な拠点として形成するためには、この新宿グランドターミナル構想を実現していく必要があり、今後起こるであろう周辺の開発も推進することが重要と考えますが、見解を伺います。
○小野都市づくり政策部長 平成三十年に都と区で策定した新宿の拠点再整備方針において、二〇四〇年代を見据えた新宿駅周辺地域の将来像を示しており、国内外の人、物、情報が集まり、交わり、刺激し合い、さらなる魅力や新たな価値を持続的に創出し続ける国際交流都市新宿を目指すこととしております。
そのため、新宿グランドターミナルを交流、連携、挑戦が生まれる、人中心のまちへ転換していくこととしており、具体的には、土地区画整理事業や民間の開発に合わせ、東西のまちをつなぐデッキを新設することや、JR線路上空にグランドターミナルの核となる広場を整備することなどとしております。
一方、新宿駅周辺には個性の異なるまちが広がっており、東口地区では、令和元年にまちづくりのガイドラインとなる街並み再生方針を策定し、新宿らしいにぎわいの維持発展や、安全・安心で快適なまちづくりに取り組んでおります。
また、歌舞伎町一丁目地区では、平成三十年に都市再生特区を定め、令和四年度の竣工を目指して工事中であり、国内外から人を集める世界的な繁華街として、安全・安心なまちづくりを推進しております。
さらに、スマート東京先行実施エリアであります西新宿においては、5Gと先端技術を活用したまちづくりの検討を進めております。
このような周辺地域のまちづくりとともに、その中心にある新宿グランドターミナルの再編を推進し、地域全体として質の高い国際交流拠点の形成を目指してまいります。
○森口委員 二〇四〇年代に向けて、新宿グランドターミナルを含め、駅周辺一帯が国際交流拠点として、順次整備がされていくことになります。本計画でもある、先行する小田急と東京メトロにおいては、二〇二九年完成に向けて整備が行われます。
新宿グランドターミナルとして一体的な整備が必要不可欠であり、今後続きます京王、JRについてもスピード感を持った開発につながるよう取り組んでいただきたいと要望いたします。
最後に、大手町地区における都市計画案について伺います。
本計画は、東京駅前常盤橋プロジェクトとして、東京駅周辺では最大となる三・五ヘクタールに及ぶ大規模複合再開発であります。
十年超の事業期間をかけて段階的にビル開発が進められており、二〇二七年度にはTOKYO TORCHと名づけられたこの街区において、新たな東京のシンボルとして、日本一となる高さ三百九十メートルの超高層タワーや七千平米の広場空間が生まれるなど、多くの都民が大変注目する開発が行われます。
国際的な金融拠点が整備されるなど、東京の国際競争力の強化に大きく寄与する大規模開発でもあり、大変重要な都市計画決定であると考えております。
本事業は、前回二〇一六年に、既に一度、都の都市計画決定がされており、その際さまざまな都市再生への貢献が示されていました。
そこで、前回の都市計画決定ではどのような都市貢献を評価し、何%の容積率緩和を行ったのか、お伺いいたします。
○中山景観・プロジェクト担当部長 平成二十八年に決定した都市計画では、都心部における都市活動を支える重要なインフラ施設である下水ポンプ場の更新、日本橋地区との将来的な歩行者ネットワークの形成も見据え、永代通り下に東京駅からの人の流れを受けとめる呉服橋交差点以西の地下結節空間の整備及び常盤橋公園の再整備などを都市再生への貢献として評価し、二五〇%の容積率緩和を行っております。
○森口委員 前回二五〇%の容積率緩和が行われ、今回、二度目の都市計画案として、さらに一〇〇%の容積率緩和が示されたわけでありますが、この都市計画変更について、どのような社会的背景を踏まえ行うものであり、今回のこの一〇〇%の容積率緩和に当たっては何を評価しているのか、お伺いいたします。
○中山景観・プロジェクト担当部長 今回の都市計画変更は、昨年十月に都市計画決定された首都高速道路日本橋区間地下化事業の進展など、本地区を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、東京の都市再生をさらに推進するため行うものでございます。
具体的には、大手町地区と日本橋地区間の地下歩行者ネットワークについて、前回の都市計画決定時点では具体化する条件が整っておりませんでしたが、首都高地下化事業の計画の深度化により、永代通りの呉服橋交差点下において地下空間の確保が可能となったことから、歩行者の回遊性を強化する延長約七十五メートルの地下通路を整備します。
さらに、首都高地下化に伴い、日本橋川沿いの一体的な景観の形成や地下化工事に必要なスペースの確保など、首都高地下化への協力をするとともに、都心型MICEの拠点となる二千席級の大規模ホールなどを整備します。
このような取り組みを評価し、一〇〇%の容積緩和を行っております。
○森口委員 都市再生特別地区の容積率の緩和を含む開発計画については、事業者による提案を都がしっかりと審査し、決定を出す仕組みであると理解をしております。
事業者との間で、都市貢献に対する費用対効果など、定量的に、そして適切に確認をした上で、前回二五〇%の上乗せを決定し、今回、再度一〇〇%の上乗せが検討されているのだと思われます。
都民の利益にかかわる重要な決定でありまして、ほかの再開発との公平性、妥当性、公共性から、容積率緩和の度合いをどのように確認しているのか伺います。
○中山景観・プロジェクト担当部長 都市再生特別地区の容積率につきましては、事業者の創意工夫を十分に生かすという制度の趣旨を踏まえ、一律的な基準によらず、一件ごとに審査し、今回の地域貢献の評価対象である地下通路の整備などの提案内容について、特定街区など都市開発諸制度の基準なども参考にしながら、さらに交通処理など周辺地域への影響、あるいは周辺開発とのバランスなども考慮し、総合的に評価、判断して定めております。
○森口委員 東京の都市力の強化に大きく寄与する大規模開発であり、スピード感を持って進めていただくとともに、一方で、どのように都民の利益に資する都市づくりにしていくのかといった観点も極めて重要と考えます。
東京におけるこういった再開発が都民や都市に及ぼす影響は甚大であり、私としては、しっかりと納得をしたいと思っていることを申し添えて、質問を終わります。
以上です。
○米川委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時十四分休憩
午後三時三十四分開議
○米川委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○鈴木(章)委員 私からも、第二百三十二回の東京都都市計画審議会付議予定案件について、質疑をさせていただきたいなというふうに思います。
都において、平成二十九年、都市づくりのグランドデザインを策定し、また、二〇四〇年代の将来像の実現に向けた都市づくりを今進めているわけです。今回その一環として、都市計画区域マスタープランを六年ぶりに改定を行うことになった。
先ほどの質疑の中でも、この位置づけについてはお話がありましたけれども、東京全域に関する都市計画の上位の法定計画、また、都市づくりの基本的な方針、区市町村も、都市計画マスタープランや地域地区や都市施設などの具体的な都市計画は、これに即して決定をされていくという、本当に重要な今回の改定になるわけです。
本改定案については、五月に原案を策定し、公表されております。これまでの中で、これも先ほどの質疑ありましたけれども、新型コロナの危機によって、テレワークが急速に普及して、また、オフピーク通勤の日常化などが社会でも随分変わってまいりました。
また、国の方でも、先日、菅政権になりまして、温室効果ガス排出を二〇五〇年までに実質ゼロにするという、本当に大きな決定が発表されたわけですけれども、今後の東京の都市づくりを取り巻く環境というのは、本当に大きく変化しているというふうに感じます。
こうした状況の中で、今回この改定がされるわけですけれども、先ほど意義についてはお話ありましたけれども、この改定に基づいて、今後東京都は、どのように都市づくりというものを進めていくのかということもお伺いをさせていただきたいなというふうに思います。
○小野都市づくり政策部長 今回の改定は、少子高齢、人口減少社会の進展など社会経済情勢の変化などを踏まえまして、都市づくりのグランドデザインなどで示した都市像や将来像を法定計画に位置づけるものでございます。
グローバルな人、物、情報の活発な交流を促進し、世界中から選択される都市、多様なライフスタイルに柔軟に対応した住まい方、働き方、憩い方を選択できる都市を目指すことを都市づくりの目標に置いております。
また、ESGの概念やSDGsの考え方を取り入れて都市づくりを進め、緑を守り、まちを守り、人を守るとともに、東京ならではの価値を高め、持続可能な都市東京を築いていくこととしております。
先端技術も活用しながら、民間事業者や区市町村など多様な主体と連携し、この実現に向けて取り組んでまいります。
○鈴木(章)委員 先ほど世界、今、新型コロナウイルスの拡大の中で、都内の感染者もまた今最近は増加傾向にあると。予断を許さない状況の中で、改定をする中で、有識者からの意見も踏まえて、原案から記載の充実を行ったという話もいただきました。
この件につきましては質疑いたしませんけれども、先日、菅総理が所信表明の中で、温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに実質ゼロとする目標が示されました。
環境などの取り組みを重視する今この取り組みの中で、SDGsやESGの概念というものを取り入れたという話がありましたけれども、このESG投資が世界的に広まって、そして脱炭素への取り組みがますます重要になっていく中で、エネルギーの大量消費地である東京の都市づくりというものが、やはりあり方が問われてくるというふうに思います。
今回の都市計画区域マスタープランの改定案では、CO2削減に向けて、具体的にどのような方針のもと、都市づくりを進めていくということになっているのかお伺いをいたします。
○小野都市づくり政策部長 今回の都市計画区域マスタープランにおいては、環境への配慮、社会への貢献、都市のマネジメント、いわゆるESGの概念を取り入れ、ゼロエミッション東京の実現を目指すこととしております。
このため、環境負荷の少ない都市の形成に向け、開発の機会を捉えた最先端の省エネ技術や地域冷暖房施設等の導入など、エネルギーの有効活用やZEB、ゼロエネルギービルなど環境に優しい建築物の普及、道路ネットワーク整備による交通渋滞の解消など、環境負荷の少ない交通体系の形成等を図ってまいります。
さらに、緑の保全、創出に向け、東京の緑の骨格である丘陵地、崖線などの緑の厚みとつながりを強化し、都内全域での緑の量的な底上げと質の向上にともに取り組んでまいります。
○鈴木(章)委員 先日の新聞記事、これ先日、小池知事も寄稿されておりましたけれども、日本経済新聞の十一月十三日で、アメリカ経済誌のグローバルファイナンスが公表した住みやすい都市の二〇二〇年世界都市ランキング、東京が首位になったと報じられておりました。
今回この都市計画区域マスタープラン改定案では、副題として、サステナブル・リカバリー、東京の新しい都市づくりとされているんですね。このサステーナブルというのが、先ほどのお話の中のESGもSDGsにも関係する一番重要なキーワード、持続可能という話になるんです。
実際に今、合い言葉のようにSDGsとか、ESGの概念って話が出るんですけれども、実際に持続可能性というものに対する具体的な定義、この部分というのが、どのように受けとめていくのかによって、これが実際にどのように取り組まれていくのか、大きく取り組みは変わっていくというふうに私は思っております。
今、世界的に新型コロナウイルスの感染を契機に社会が変わろうとしている中で、この考え方というのは、今後ますます必要になってくるんだというふうに思います。
今までよくファッション業界、このファッション業界の方々は、地球環境に著しく影響が強い業界だというふうにいわれている中で、ファッション業界の人たちも地球環境に配慮した取り組みをしようということで、みずからがリユースのショップを、デザイナーの人たちも含めてつくって、特に廃棄物を減らす取り組みも今されている。
まさに売る方が売れなくなるような取り組みもしている中で、みんなが環境負荷を考えて取り組みをしていく中で、この計画の中にも、やはり先ほどのお話ありましたけれども、エネルギーとか、さまざま環境には配慮するという話の中で、やはり私たちが、ぜひ六年ぶりに改定をするのであれば、リサイクル、建築リサイクルという部分においても、ぜひ今回の取り組みの中で進めていっていただきたいなというふうに私は本当に思っております。
今、産業廃棄物の中で建築廃棄物というのが大変な量になっている。年間で三千五百万トンぐらい出ている。そのほとんどがコンクリート殻という話であるんですけれども、なかなか民間のリサイクルが進んでいないという現実もある中で、ぜひこういった観点も入れていただいて、これからこの計画の中で実際に生かしていただきたいなということを申し述べて、これは質問いたしません。
次に、続いて都市再開発の方針にも話を触れていきたいなというふうに思うんですけれども、今伺った都市計画区域マスタープランの方針を実現していくためには、当然、都市再開発の方針というものも必要になってくるわけですけれども、防災分野で環境分野などにおける都市の課題に対応して、やはり計画的に都市再開発を進めていくことが何よりも重要です。
都市再開発の方針は、再開発の長期的マスタープランであり、今回、都市計画区域マスタープランと同時に六年ぶりに改定されるということですけれども、都市の課題への対応という観点から、都市再開発の方針の内容、これをやはりもう一回再確認をさせていただきたいというふうに思います。
まず、首都直下地震や大規模水害など、東京がさらされているさまざまな災害リスクへの対応についてお聞きしたいなというふうに思います。
こうしたリスクに備えるために、都市再開発による災害に強い都市づくりを進めていく中で、どのように実現をしようとしているのかお伺いいたします。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の都市再開発の方針の改定は、今後東京が直面いたします、巨大地震や気候変動による異常気象などに起因する未曽有の自然災害など、さまざまな課題に対応しながら、未来の東京戦略ビジョンや都市づくりのグランドデザイン等を実効性あるものとするため、再開発の適正な誘導と計画的な推進を図ることを目的としてございます。
本方針では、都市再開発の施策の方向の一つとして、安全な市街地の整備について定めておりまして、その中で、首都直下地震や台風、豪雨災害などさまざまな災害に対して、AIやICTなどを活用し、刻々と変化する状況にも対応できるよう、ハード、ソフト両面からの備えの充実を図ることや、まちづくりの機会を捉え、無電柱化を推進すること、また、大規模水害リスクに備えて、浸水に対応したまちづくりを進めていくことなどとしてございます。
こうした方針に基づき再開発を適正に誘導していくことによりまして、災害に強い都市を実現してまいります。
○鈴木(章)委員 先ほどの質疑の中でも、新宿西口の計画についての質疑があったんですけれども、やはりこれから大きくまちも変わっていく。新宿中心に、また新しい日本の核が、東京の核ができていくんだなというふうに思うんですけれども、やはり災害に強い都市ということにもぜひチャレンジしていただくために、今、災害対策をしていく中で、東京の一つの課題というのが、帰宅困難者への一時滞在施設が不足しているという話があるんです。
防災対策でも、いつも質疑させていただいているんですけれども、なかなかある程度のところでとまって、なかなか民間からの手が挙がってこないという状況がある中で、ぜひ、帰宅困難者への一時滞在施設の機能、これも入れていただくことによって、新宿は大変な人の交流がある中で、昼間人口が大変だという状況の中で、やはりそういった観点もぜひ入れていっていただきたいなというふうに思います。
今回、都市再開発の方針の基本方針では、持続可能な都市づくりを進めるということとして、このために、オープンスペースの配置や、緑化による都市の魅力を高めていくということも重要であるというふうに私は思うんですけれども、都市再開発の方針の改定が、区部においても、オープンスペースの確保や緑化につながっていくのかということが大事だというふうに思うんですけれども、この点についての見解をお伺いいたします。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市づくりのグランドデザインでは、人々のライフスタイルや価値観が多様化する中で、生活のゆとりを楽しみ、ライフスタイルに柔軟に対応できることが重要であるとしております。
こうした方針を再開発により実現していくため、区部の都市再開発の方針では、都市再開発の施策の方向の一つである快適な居住環境の中で、ゆとりあるオープンスペースの充実によるにぎわい創出を促進することとしております。
一号市街地の土地の高度利用及び都市機能の更新に関する方針では、例えば、都市開発諸制度などの活用により、開放的で緑豊かな身近なオープンスペースをさらに創出し、にぎわいある魅力的な空間形成を一層促進するとしております。
今後、個別の再開発が進められることで、ゆとりある空間の確保につながるものと考えてございます。
○鈴木(章)委員 先ほど都市計画区域マスタープランにおけるCO2削減の方針についても私、伺いましたけれども、CO2削減に向けて、個別の再開発において環境対策が行われる、それはもちろんなんですけれども、実際にどのように誘導していくのか、具体的に挙げていただけたらなというふうに思います。
○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市づくりのグランドデザインでは、東京が高度に成熟した都市として、最先端技術も活用しながら、ゼロエミッション東京を目指し、地球環境と調和を図り、持続的に発展していくことを理念とすべきとしており、ESGの概念を取り入れて、都市づくりを進めることが大切であるとしております。
これに基づきまして、都市再開発の方針では、一号市街地の土地の高度利用及び都市機能の更新に関する方針の中で、中核的な拠点や活力とにぎわいの拠点などで、都市再生特別地区や都市開発諸制度などを活用した複合開発により、最先端の省エネ技術、再生可能エネルギー、未利用エネルギーなどの積極的な誘導を促すこととしてございます。
また、都市開発諸制度や容積適正配分型地区計画などを活用し、緑の保全、再生や都市公園と連担した厚みのある質の高い緑化空間の形成を図ることとしてございます。
こうした方針に基づきまして、再開発を適正に誘導していくことによりまして、持続可能な都市づくりを進めてまいります。
○鈴木(章)委員 今回、新型コロナウイルスの感染拡大、これが世界規模でこういった局面に当たるというのは、多分歴史上ない、なかったことだというふうに思います。その中で社会も一気に変わっていく、私はそのように思っております。
今回、先ほど触れましたけれども、住みやすい都市のランキングで東京が堂々一位になったということは大変喜ばしいことであり、逆にこれをしっかりと範を示していく責任もあるんだというふうに思います。
今回、ESG、そしてSDGsの考え方という話がありましたけれども、日本は、まだまだサステーナブルな活動が活発とはいえないというふうにもいわれています。
そうした中で、今回の改定が、ぜひ東京が本当に変わっていく大きなきっかけになっていただきたいなというふうに私は思っております。
そのためにも、環境とか、これも二〇五〇年までに温室効果ガスゼロというのは、ゼロというのは大変なことであって、この部分もしっかりと責任を果たしていく。
そしてまた、その部分においては、廃棄物の処理についても先ほど触れましたけれども、やはり建築の産業廃棄物というのが大変大きな割合を占めている中で、やはりその部分にもしっかりと踏み込んでいただきたいなというふうに思っております。
そしてまた、災害に強い、そしてまた何よりも、皆さんが活力ある都市につながっていくような、そうした取り組みを期待いたしまして、私からの質問を終わります。
○中山委員 私から、都市計画区域マスタープランついて、二問お伺いしたいと思います。
私も、そして我が党としても、去る九月の都市計画審議会の場で、今回の都市計画区域マスタープランの改定におきまして、駅周辺の公共性の高い空間では、公共福祉に資する活用がより一層求められると。職と住の近接、さらに踏み込んで職住一体をも基本に、医療や福祉、教育などと連携できる都市へつくりかえていくことが大切であるといった認識を意見として申し上げたところであります。
具体的に申し上げれば、例えばひとり親家庭とか、そうした住宅確保要配慮者の方々の住まいの場といったものも、どうやって駅前とかにつくり上げていくことができるか、あるいは社会的に経済利益性が高いとはいえない、裏返してみれば、迷惑施設といわれているようなものも、駅前といった空間にどういうふうに導いていくか、そうした事柄を意識したものであります。
そこで、こうした意見について、今回の都市計画案ではどのように反映されているのかお伺いをいたします。
○小野都市づくり政策部長 今回の都市計画区域マスタープランの改定では、あらゆる人が活躍、挑戦できることや、生活のゆとりを楽しみ、個々人から見れば、特色のある個性を有するさまざまな地域で、多様なライフスタイルに柔軟に対応した住まい方、働き方、憩い方を選択できる都市を目指すこととしております。
こうした都市づくりを進めるため、中枢広域拠点域においても商業、医療、福祉、教育、文化、行政サービスなど、多様なライフスタイルを支える職住融合の拠点の育成を図っていくことが重要でございます。
このため、今回の都市計画案では、主要な駅周辺での医療、高齢者福祉、子育て支援施設など、都民の生活を支え、柔軟な働き方、暮らし方に資する都市機能の集積を図る誘導の方向について、環状七号線の外側に加えまして、環状七号線内側におきましても追記し、誘導していくことを明確にしております。
○中山委員 最後のご答弁にありましたような視点というのが、今までは環状七号線の外側にはあったけれども、それを環状七号線の内側のまちづくりというところにも導いていくということですね、これは大事なことだと思います。
東京は、日本の経済発展のトップランナーとして、これからも引っ張っていく役割を担っていかなければなりませんけれども、やはり住まいの空間として、住んでいる方々の満足性といいますか、そういうものも高めていかなくてはならない。外国人の方からも選ばれる地域でなければいけませんけれども、都内に住んでいる方々の顔が見える、活躍の様子が見える、そういう地域、社会づくりというものを目指していく必要があろうかというふうに思います。
全ての地域が−−高層ビルが私は全然いけないとは思わないんですけれども、高層ビルばかりの地域になることが都市づくりの目標ではなくて、それぞれの地域に応じた、いろんな方々の社会的活躍の仕方が導かれるような社会をつくっていくということが大事だと思っております。
駅前空間の公共性ということを私はいわせていただいてまいりましたけれども、そういう駅前のような交通利便性の高いところというのは地価も高いですし、やはり経済的な利益をもたらすような機能、施設じゃないと、なかなかそこに立地できないというところはあります。
しかし、その駅に通う全ての住民の方々の利益にかなう、そういう駅前空間という視点も、これからは大切になってくるんではないかというように思います。
とはいっても、社会のありとあらゆる機能を駅前に全部集めるなんてことは到底無理なわけでありますし、困難であります。
その駅前と−−駅前といういい方は交通利便性の高いところという意味ですけれども、そういう地域性とそれ以外の地域性との役割分担というものを、すみ分けとかですね、そういうものを適切に調整していくことが大事になってまいります。
ただ、もともとですね、先ほど申し上げましたけれども、経済利益性が低いような機能というものは、どちらかといえば、交通利便性が高いような地域から離れたところに立地しているわけですから、この場合の調整というのは、社会的には必要だけれども、決して経済的利益性が高いというわけではない。そういう機能を、いかにその一部を駅前空間に持っていくかということが非常に大事なポイントになってまいります。
社会の多様性の具体的なあらわし方、まあ、あらゆる多様性というのは、ありとあらゆる人が活躍できる、そういう社会という意味で私申し上げておりますけれども、そうしたものは、今まではとかくソフト的な政策で導かれてきたと。
これからは、ハードという、都市計画区域マスタープランというようなものにも込められている、そうした政策も使って、そうした社会づくりというものを目指していかなければいけないというふうに思っておりまして、今の答弁は大変大事なご答弁であったんではないかと思っております。
このような記述の充実、追加によりまして、今後どのようなことを我々は都民として期待できるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○小野都市づくり政策部長 都市計画区域マスタープランは、法に基づき、都が広域的見地から定める都市計画の基本的な方針でございまして、長期的視点に立って都市の将来像を明確にし、その実現に向けて道筋を示すものでございます。
今回の改定は、少子高齢、人口減少社会の進展など、社会経済情勢の変化などを踏まえた都市づくりのグランドデザインの策定を受けて行うものでございます。
この都市計画区域マスタープランに即して、区市町村が定める都市計画マスタープランや地域地区、都市施設などの個別具体の都市計画が決定されることになります。
これらに基づきまして、具体の事業等が行われることにより、グランドデザインで描く将来像の実現とともに、新型コロナ危機を契機として生じた変化にも対応した東京の都市づくりが可能となると考えております。
○中山委員 今ございました区市町村が定める都市計画マスタープランや地域地区、都市施設などの個別具体の都市計画が、今後これに基づき決定されていくと。
ここが非常に大事なプロセスでして、よくおわかりのとおりだと思いますけれども、ただこれは、東京都が都市計画区域マスタープランを定めましたよ、あとは区市町村でそれぞれやってくださいねということではなかなか進まないんだと思うんですよね。
やっぱり今コロナの時代で、意思疎通がなかなか難しいとか、オンラインだと一方通行になっちゃうとか、いろんな課題がありますけれども、対面も含めて、前にもちょっとお話ししましたけれど、一つの課題を東京都の担当者の方と区市の担当者の方が、モデル事例的に、頭の体操的にシミュレーションしながら検討していくとか、いろんな形で意見交換を深めていっていただかないと、東京都の都市計画マスタープランに込められた問題意識というものがきちっと伝わっていかない、その価値も含めてですね。そうすると、宝の持ち腐れで終わってしまうんだと思います。
今ご答弁の中でも、少子高齢化とか、人口減少、これは大変な課題で、これをどういうふうにハード策としてのこれからのまちづくりで貢献していけるかということはとても大事なことですし、そのほかにも質疑でいろいろございましたけれど、感染症対策ですとか、デジタルトランスフォーメーション、情報が場所を選ばずに入手できる、交換できる、そういう社会というものがあるとか、地球温暖化対策もそうですし、場合によっては将来的には食品ロスとか、そういった問題も、都市政策からも何か取り組んでいくみたいなことも出てくるのかもしれません。
また、災害、特に水害対策とか、そういったことについては、やはり都市づくり、まちづくりというところから取り組んでいかないと解決できない問題もたくさんございますので、特に人工基盤で地盤を共有している開発というのが結構幾つかあります。
そうしたところが、だんだんそのまとまりごとに老朽化していくわけですよね。そうしたときに、そのリニューアルはどうするのか。
それを一つ一つ区域を区切って、新しくしていく。一旦どこかにどいていただくとか、いろんな形があるんだと思いますし、住み続けながらやるということもあるでしょうけれども、そうした事柄も、都市の持続的発展性という点でも具体的に考えてシミュレーションをして、必要な仕掛けを講じていかないと、それぞれの人がそれぞれの段階で想定外のことでしたみたいなことをいっていても、何も始まらないので、この頭の体操というのは、東京都と区市町村の間でやっていただくことの意義というのはとても大きいんだというふうに思います。
今申し上げたような社会的な課題というものを、まちづくりという視点からも先取りして取り組んでいくか、それとも言葉だけで終わってしまうかで、これから日本、東京というものがむしろ発展していくか、それともまるで、そういういい方は余り適切でありませんけれども、後進国のようなおくれをとってしまうか、それは非常に分かれていくことだと思いますので、区市町村の方々とともに分かち合うまちづくりに関する常識というものをレベルアップしていただいて、事前事後の復興ですとか、さまざまな都市計画的手法による問題解決のときに、都市計画マスタープランに込められたものを、それぞれの段階で生かしていけるように取り組んでいただくことを私として希望させていただいて、質疑を終えさせていただきたいと思います。
以上です。
○和泉委員 私は、都計審案件として報告されているうち、大手町D−1地区、それから虎ノ門一丁目東地区、そして新宿駅西口地区のことについて、幾つか質問したいと思います。
昨年十二月に都は、ゼロエミッション東京を発表して、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロというゴールを目指して、二〇三〇年の目標も掲げました。
その中で、とりわけ建物は建築後数十年にわたって使用され続けるため、今後建築される建物は二〇五〇年の東京を形成しますと述べた上で、新築建物では、稼働時のゼロエミを実現できるだけの建物性能を確保すると書いています。
今、計画されている超高層ビルがそうなっているのか、この点について質疑を行います。
大手町、丸の内、有楽町、いわゆる大・丸・有地区で都市再生特別地区の活用により、既に完成しているビルから排出されているCO2についてはどのように把握をしているんでしょうか。
○中山景観・プロジェクト担当部長 都市再生特別地区では、建物の竣工後、毎年、提案内容の履行状況について報告を求めておりまして、その中でCO2排出量の実績値についても確認しております。
○和泉委員 実際に環境局のホームページで基準排出量が公表されているということで、表の抜粋もいただきましたけれども、延べ床面積が記載されていないために、一平米当たりのCO2排出量については知ることができませんでした。
そこで、伺いたいと思うんですが、ビルの建築前と建築後のCO2排出量の比較というのは行っているんでしょうか。
○中山景観・プロジェクト担当部長 建築前の既存ビルは、エネルギー実績等が把握できず、CO2排出量を算定できないことが多いことから、建築前後での比較は行っておりません。
○和泉委員 新たに建築されるビルが最高水準の環境性能だとか、東京都建築物環境計画書制度における段階三を目指すとか、それからCASBEEのAランクを確保し、Sランクを目指す、このようなことが書いてありますけれども、この建物を建築する前と比較して、CO2排出量がどうなるか、これについては把握していないということです。
以前、同じ大手町D−1地区について質疑が行われた際に、我が党の白石議員が明らかにしましたが、この計画地区にもともとあった五つのビルについて、報告書のないビルが一つありますけれども、それも含めて、CO2の排出量は多くても年間二万トンだろうと試算を行いました。
しかし、今回新しくできるビルの延べ面積は、四棟合わせて七十四万平米。事務所用用途部分で目指すというふうに書かれている一平方メートル当たり五十一キログラム以下で計算したとしても、年間のCO2排出量は三万七千七百四十トンにもなります。
目指す数値を達成したとしても、これまでよりもはるかに大きな環境負荷ということになるわけです。
年間三万七千七百四十トンというCO2を実質ゼロにする対策は、この計画の中に位置づけられているんでしょうか、いかがでしょうか。
○中山景観・プロジェクト担当部長 都市再生特別地区につきましては、その適用に当たりまして、省エネルギーの性能が最高水準になることなどを目指しております。
当地区につきましても、最先端の環境技術を導入するとともに、地域冷暖房施設なども導入し、周辺地区を含めた熱の効率的な利用を促進し、環境負荷低減を図ってまいります。
さらに、今後、再生可能エネルギーの利用拡大についても検討し、さらなるCO2削減を図ってまいります。
○和泉委員 これらのことは、いただいた冊子の中にも書いてあるかと思いますし、私も先ほどさまざまな指標をもって目指していくんだということが書いてあるということは申し上げましたが、実質ゼロにする対策はこの計画の中に位置づけられているのでしょうかというふうに伺いました。もう一度伺います、いかがですか。
○中山景観・プロジェクト担当部長 ただいまご答弁いたしましたが、都市再生特別地区の活用に当たりましては、最先端技術を導入し、建物の熱負荷に対する性能及び省エネルギー性能を最高水準とすることを制度適用の条件としております。
その際、最先端の環境技術を導入するとともに、地域冷暖房施設の導入などにより、周辺地区を含めた熱の効率的な利用を促進し、環境負荷低減を図ってまいります。
さらに、今後、再生可能エネルギーの利用拡大についても検討し、さらなるCO2削減を図ってまいります。
○和泉委員 さまざまな方法でCO2削減をしていくというご答弁ですけれども、どういう技術でどのぐらいCO2を下げて、CO2の排出を実質ゼロにできると、そういう具体的な道筋については、要するに計画の中に位置づけられていないということだろうと思います。
林野庁のホームページを見ましたら、樹齢四十年程度の杉の人工林一ヘクタールが一年間に吸収するCO2は八・八トンということです。ということは、四千二百八十八ヘクタールなければ、三万七千七百四十トンのCO2を吸収できないという計算になります。
新たにふえる面積約一万七千トンの吸収だけでも千九百ヘクタール以上必要で、新宿御苑五十八・三ヘクタールの三十三倍もの面積の林野が必要になるということなんです。
虎ノ門一丁目東地区は、延べ面積十二万六千平米で、先ほどと同様の計算をすると、年間排出量は六千四百二十六トン、必要な森林面積は七百三十ヘクタール、新宿駅西口地区は、延べ面積二十八万一千七百平米で、年間排出量が一万四千三百六十六トン、必要な森林面積は千六百三十二ヘクタール、あくまで事務所用途として計算していますけれども、商業用途であれば、排出量はさらにふえます。
この三つの地区の計画だけで、必要な森林面積は六千六百五十ヘクタール、東京都の面積の約三分の一に匹敵します。
もともと建っていたビルから排出されるCO2の分を差し引いていない数字ですから、建築によってふえるという単純な数字ではありませんが、どんなにCO2排出量を抑えても、それを補い切れないほど大きな建物というのは、結局、環境負荷が上がり、CO2排出実質ゼロどころか、これまで以上の排出量になるということになるんじゃないでしょうか。
いずれの計画についても、このことは指摘しておきたいというふうに思います。
大手町・丸の内・有楽町地区まちづくりガイドラインでは、風の道の形成がうたわれています。この三百九十メートルの建物が風の道を塞がない、このことをどのように確認しているんでしょうか。
○中山景観・プロジェクト担当部長 ただいまのご質問の前に若干補足させていただきます。
都市再生特別地区が先導役となり、高度な省エネルギー性能を有する都市開発を誘導、普及していくことが、長期的、広域的な観点で見れば、都市全体の環境負荷低減につながっていくと考えております。
東京が将来にわたって持続的な発展を生み、活力あふれる都市としてあり続けるためには、都市再生特別地区などを活用し、優良で質の高い民間プロジェクトを積極的に誘導し、機能更新を図っていくことが重要でございます。
なお、その際は、最先端の環境技術を導入するとともに、先ほどもお答えいたしましたが、地域冷暖房施設などの導入により、周辺地区を含めた熱の効率的な利用を促進し、環境負荷低減を図ってまいります。
さらに、今後、再生可能エネルギーの利用拡大についても検討し、さらなるCO2削減も図ってまいります。
次に、風の道の形成についてでございます。
大手町・丸の内・有楽町地区まちづくりガイドラインにおける風の道の形成は、夏における上空の南から南東の風の流れを、本地区の東西方向の主要な空間である晴海通り、行幸通り、日本橋川に誘導するものです。
誘導に当たりましては、それらに面する建物は壁面後退により、風の流れる空間をより大きくするとともに、建物外構やビル低層部屋上への植栽などにより、地表付近を涼風が流れやすくなる風環境形成を図ることとしております。
今回の大手町地区では、壁面を後退するとともに、建物外構やホール上部屋上広場への植栽などを行うほか、日本橋川沿いに緑豊かなオープンスペースを整備するなど、風の道の形成に配慮した計画としております。
○和泉委員 いろいろ先ほど来おっしゃいましたけれども、あれをやるんだ、これをやるんだで、実質ゼロエミを実現できるのかということについての具体的な道筋はやっぱり示されないんですよ、そのことを私は指摘しているんです。
風の道の形成の話ですけれども、私は、品川、田町地区の再開発のときに風の道の問題で質疑をして、風の道を確保する計画だとされていたものが、実際には主要な風が後背地まで届かないシミュレーション結果となっている、このことを明らかにしました。
今計画で、皇居は周辺部よりも夏の夜の気温が低いことが確認されていて、それがにじみ出しという効果で、周辺部の気温を下げる役割を果たしているということです。その効果を低下させるような計画になっていないか、この点については慎重に判断する必要があるというふうに思います。
今回の風の道の形成についても、シミュレーションを行っているのであれば、その結果を資料として提出していただきたいというふうに求めておきます。
虎ノ門一丁目東地区ですけれども、これもやはり超高層建物を建てるための計画というふうになっているわけですが、当該地区の土地所有権者の数について、個人、法人別に伺います。また、都市計画への同意状況についても、それぞれ伺います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 区によりますと、当該地区における土地所有権者は五十人、そのうち個人は二十六・五人、法人は二十三・五者となっております。
都市計画に対する現在の同意状況でございますが、それぞれ約七二%、約八七%、個人と法人を合わせますと約七九%でございます。
なお、借地権者は八人となっており、都市計画に対する現在の同意状況は約八八%、土地所有権者と借地権者を合わせた全体では約八〇%となっております。
○和泉委員 今、数字をいっていただきました。個人の土地所有権者の同意状況が七二%ということです。個人の土地所有権者の同意状況が低くなっているというのは、個人の土地所有権者にとって必ずしもメリットがある再開発となっていないからではないんでしょうか。
地元の区議会議員からもらった資料によれば、小規模の飲食店が建ち並ぶ一角には五十平米未満の地権者も多く、そういう方たちにとって、再開発ビルの中に確保する権利床を持つにしても、わずかなものにならざるを得ないでしょうし、土地を手放して補償を受けるにしても、今後の生活再建ができるだけの補償が受けられるのか、不安をお持ちなんじゃないかというふうに思います。
以前にも聞いたことありますけれども、個人の所有権者で同意していない方たちはこの後どうなるのか、今後どのような調整を行うことになっているのか、改めて伺います。
○鈴木防災都市づくり担当部長 施行地区内の土地所有権に加えまして、借地権及び建物の所有権は、今後設立される予定の再開発組合が定める権利変換計画に基づき、原則等価で再開発建物の一部の権利に置きかえられます。
また、施行地区内に権利を有する方が、権利変換計画の作成前の申し出により、地区外に転出する場合、従前の権利と同等の補償を受けることができることとなっております。
地権者は、都市計画決定後の組合設立認可や権利変換計画認可などの手続の過程におきまして、再開発組合と生活再建の話し合いを重ね、希望に応じて適切な対応がなされることとなります。
区によりますと、準備組合に対し、地権者の理解のもと進めるよう指導しております。
○和泉委員 希望に応じた適切な対応がなされるとご答弁なさいましたけれども、同意していないのに再開発建物の一部の権利に置きかえられたり、土地を手放して出ていかなければならないこと自体が、当事者にしてみれば既に希望に応じていないわけですから、決して適切とはいい切れないというふうに思います。
本来であれば、地権者は排他的、独占的に土地の処分権を保有しているわけですから、その方たちの納得が得られるまで、決して強引なやり方で進めてはならないということを指摘しておきます。
新宿駅西口地区についても、一つお伺いしておきたいと思います。
今回報告されている案件のほかにも、今後、西口については、都庁の高さに合わせて二百メートルを超える建物が林立していくという計画が想定されているわけですが、コロナ禍でオフィスビルの空室率が上がっているという調査結果が、複数の調査会社から出ています。
新宿の計画を含め、これからの再開発計画は、このような今後の傾向を見越した計画となっていることが必要だというふうに思いますが、都の認識について伺います。
○中山景観・プロジェクト担当部長 都が策定した都市づくりのグランドデザインや、都と新宿区が策定した新宿の新たなまちづくりでは、長期的かつ広域的な視点から新宿の拠点形成に取り組み、世界中の人々を引きつける多様な都市機能の充実強化を図ることとしております。
本地区は、このような上位計画を踏まえ、イノベーションを創出するビジネス創発施設や、ゆとりのある交流スペースなどとともに、国際水準のオフィスを整備することとしています。
引き続き、このような優良な民間プロジェクトを推進し、上位計画に示す将来像の実現を図っていくことが重要と認識しております。
なお、オフィスの空室率等につきましては、景気の動向など、その時々の社会経済の状況や需給のバランスにより、絶えず変動するものでございまして、それをもって長期的な視点で行うまちづくりを論ずることはなじまないと認識しております。
○和泉委員 世界中から人や物を呼び込むんだと、国際競争力の強化を図っていくんだと、このようなことが重要だというふうにおっしゃいますけれども、私は新型コロナがあぶり出したものは、まさにそういう価値観や経済政策の脆弱性なんだというふうに思います。
生産力を人件費の安い海外に移して、製造業を中心に、中小、小規模企業を衰退させ、非正規雇用がふえ、働く人の賃金は上がらず、消費を冷え込ませた。海外で競争力を高めるためにという理由で、大企業の税負担は軽くして、足りなくなった税収は、社会保障の後退と負担増という形で国民の肩に重くのしかかった。
その結果、経済が国内で回らなくなったら、インバウンドと世界中から人、物、投資を呼び込んで国際競争力を強化するんだという。
しかし、一たび感染症が爆発的に感染拡大すれば、海外頼みの経済政策は途端に破綻をします。内需と家計、中小企業を経済政策の軸に据えるべきだというふうに思います。
そして、まちづくりも、また何よりも、そのまちの暮らし、なりわい、そこに最も力点を置くことこそが原点であり、そこに立ち返るべきであるということを指摘して、質疑を終わります。
○斉藤委員 都市計画審議会の報告の中で、私からは、新宿駅西口地区の都市計画素案についてと南多摩尾根幹線の計画事業について伺わせていただきます。
まず、私の地元の多摩市、稲城市から利用される方も大変多い新宿駅西口地区の都市計画素案に関しまして、二点だけ確認させていただきたいと思います。
新宿駅西口地区は、特区として規制緩和やその他必要な施策を展開することにより、国際的な中枢業務、交流機能を担う拠点を形成するということを目指し、利便性の向上や防災機能の充実も含めて、ユニバーサルデザインに配慮したターミナル駅の形成を行っていくということが期待をされております。
かねてから、京王線や小田急線を活用し、新宿駅で大江戸線、またはJRに乗りかえをするという場合に、車椅子を利用されている方、また、ベビーカーを利用している方や小さな幼児を連れて移動される方を筆頭に、駅構内の移動が階段や段差も多く、やや複雑に入り組んでいることもあり、課題があるということを伺ってまいりました。
あえて新宿駅は通らずに済むように別の乗りかえの方法を考えるというお話であったり、また、通る場合はベビーカーをなるべく使わないようにするといったお話を伺ったこともありまして、今後は高齢者や障害者、子育て中の方や子供なども含めて、全ての人にとって移動や利用にハードルを感じないエリアとなるように、本計画素案の今後に期待をするものです。
そこで、ユニバーサルデザインに配慮したターミナル駅の形成、また、利便性の向上について、立体的な歩行者ネットワークの充実強化について、本計画において重点的に課題を解消すべきと考えますが、本計画における取り組みについて伺います。
○中山景観・プロジェクト担当部長 平成三十年に都と新宿区が策定した新宿の拠点再整備方針では、わかりやすく、人に優しいグランドターミナルを整えることを目的として、ユニバーサルデザインで段差のないターミナルを整備するなどとしております。
本地区では、このような上位計画を踏まえ、バリアフリーにも配慮しながら、重層的な歩行者ネットワークを構築し、乗りかえ動線の円滑化により、利便性及び快適性の向上を図ってまいります。
具体的には、地下一階などの交通広場の整備により、見通しのよい乗りかえ空間を実現するほか、歩行者動線の結節点等において、地上、地下、デッキレベルをつなぐエレベーター及びエスカレーターなどと吹き抜け空間が一体化したわかりやすい縦動線を整備します。
また、二階や三階レベルにおいて、周辺開発と連携して、東西、南北をつなぐ、誰でも歩きやすい歩行者ネットワークを整備いたします。
さらに、新宿駅西口駐車場の駅至近の位置にバリアフリー乗降場を整備するとしており、運用に当たりましては、移動制約者が優先的に利用できるよう検討することとしております。
○斉藤委員 西口駐車場の付近の位置にバリアフリー乗降場を整備するなどのご答弁をいただきました。ありがとうございます。
ユニバーサルデザインとは、高齢者や子供、子育て中の家族などに加えまして、例えば、視覚障害者や聴覚障害者、また、色覚障害者や発達障害、自閉スペクトラム症なども含めまして、さまざまな音や光に対して特別な感覚のある方も含めて、全ての人にとって使いやすい、過ごしやすいデザインを目指すことであると考えております。
本プロジェクトを初め、新宿グランドターミナル全体が、多様な主体について、より使いやすい、過ごしやすいエリアとなるように今後も取り組んでいくことを望みます。
次に、地球温暖化対策について伺います。
都の掲げるゼロエミッション東京、また、国の目指す二〇五〇年のCO2排出ゼロ実現に向けまして、先ほど来、委員の方よりもご質問出ておりますけれども、都として、都市計画の策定に当たっては複数の事業者との連携の上で、地区、街区レベルでエネルギーの面的利用の推進を目指すことなど、都市のエネルギー環境の改善を図るため、役割を果たしていくことなども期待をされます。
こちらの計画素案を見させていただきますと、電気の面的ネットワークの新たな構築についても、隣接する西口都市計画駐車場や小田急エースも含めて、機器集約やデマンド監視、制御を実施するということで、ぜひさらなる周辺地域への拡張の可能性についても積極的にご検討いただきたいと思います。
その上でお聞きをいたしますが、地球温暖化対策について、環境負荷低減に向け、省エネルギーや再生可能エネルギー活用に取り組むとされておりますけれども、エネルギー分析に利用するBEMSなど、最先端の設備、技術、再生可能エネルギー、太陽光発電などの活用によるゼロエミッション東京の実現に向けた見解を伺います。
○中山景観・プロジェクト担当部長 都市再生特別地区の活用に当たりましては、最先端の環境技術を導入して、建物の熱負荷に対する性能や設備の省エネルギー性能などを最高水準にすることを制度適用の条件にするとともに、事業者の環境負荷低減の取り組みについて確認することとしております。
本地区では、最先端の環境技術として、外装の工夫による日射遮蔽、高効率な設備機器等の導入、BEMSを利用したエネルギー消費量の最適化などにより、環境負荷低減を図ることとしております。
また、このような省エネ性能の確保に加えまして、西新宿に整備されている既存の地域冷暖房による熱の効率的な利用を図るとともに、面的な電気のネットワークを新たに構築し、本地区周辺における電力負荷のピークカットを行います。
さらに、太陽光発電の拡充や再生可能エネルギーの電力利用の推進等についても検討し、さらなるCO2削減に努めることにより、ゼロエミッション東京の実現に向けた取り組みを進めていくこととしております。
○斉藤委員 ぜひ、こういった設計段階や竣工の後も、事業者に取り組みの進捗確認をしていただきまして、新型コロナの影響でただいま経常赤字が出るような事業者、大変多くなっていることから、さまざまな影響が出始めることも懸念をされておりまして、今後、設備投資であったりとか環境負荷の低減に向けた取り組みについても、縮減がされてしまうんではないかというような心配もありますので、このあたりは都としても積極的に取り組みの進捗確認をしていただきたいとお願いを申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
次に、南多摩尾根幹線の計画事業について伺います。
掘り割り式からの計画の変更に伴いまして、地域の地元住民からは、環境、騒音、大気について懸念をする声も上がっておりました。
環境の評価についての都の見解を伺います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 環境影響評価において、地表式の区間では、大気汚染、騒音・振動など七項目の予測、評価を実施しております。
例えば、大気汚染の項目では、沿道から車道までの離隔の確保、また、騒音・振動の項目では、騒音軽減のため一部区間に遮音壁の設置など、それぞれ環境保全措置を講ずることとしてございます。
このような措置により、いずれの評価項目においても、環境基準等の評価の指標を満足することから、本事業の実施が周辺環境に与える影響は少ないと考えられ、都市計画を変更する上で支障ないと判断してございます。
○斉藤委員 特に沿道周辺の住民の方たちからは、騒音や大気についてのご心配の声が上がっていたわけですけれども、環境影響評価を行った上で一部の区間には遮音壁の設置を行うことや、車道を中心部分に設定していくことで、沿道までの距離をとる形で計画を進めていっていただけるということを今ご答弁いただきました。
この尾根幹線沿道沿いを含めまして、多摩ニュータウンの再生、活性化を今どのように進めていこうかということを、まさに今、多摩市における多摩ニュータウン再生推進会議で進めていることもありまして、多摩ニュータウンの住民の皆様、また、沿道周辺の地域の皆様のご意見をよく伺いながら、整備計画を進めていっていただきたいと思います。
また、今、車道を中央側にすることで、沿道までの距離をとるというお話があったんですけれども、例えば尾根幹線は、もともと二〇二〇大会の自転車のロードレースのコースとして設定をされておりまして、また、ふだんからロードレース愛好家の方たちの好むコースとなっていることもありまして、今後の整備計画に当たっては、自転車の専用レーンの整備についても期待を大変大きくされております。
これは具体的に計画策定後の建設局さんの方での設計になるかと思いますけれども、歩行者と自転車それぞれが交わらない形で、通行、また、歩行が可能になるようにぜひ取り組んでいただきたいということを申し述べさせていただきます。
次に、近隣の湿地帯の生態系への影響について伺います。
この尾根幹線のもともと計画されていたルートでは、希少な貝類の生息する湿地帯の近くを通るということから、地域住民から本計画への懸念の声が届いておりました。
この地域は、東京都の里山保全地域として指定をされておりまして、私も、もう三年前になりますけれども、長靴を履いて、湿地の中へご案内をいただいたことがあるんですが、実はこの湿地帯は希少な貝類に限りません。
ヘイケボタル、大変珍しい蛍なんですけれども、また、ホトケドジョウと希少な植物も含めて、大変貴重な生物多様性が認められている地域でもありまして、わずかなりともその生態系への影響がないようにというのが地域の住民の皆様の願いでもあります。
希少な貝類の生息する地域への影響が大きく及ばないように、計画内容を一部変更した点について、変更後に想定される影響について伺います。
また、工事を進める中で地下水流入などがあった場合に、どのような手続で対応していくか伺います。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 連光寺・若葉台里山保全地域内の湿地の直下に既定都市計画のルートが位置していることから、湿地の南側を通過するルートと比較検討を行い、環境への影響や事業費などの面ですぐれている、湿地の南側を通るルートに変更することといたしました。
このルートのトンネル構造及びその周辺については、地盤、水循環及び生物・生態系の項目において環境影響評価を行っており、いずれの評価項目においても、地下水等の状況に著しい影響を及ぼさないことなどの評価の指標を満足することから、本事業の実施が周辺環境に影響を及ぼす可能性は、既定ルート案より低いと考えられます。
工事の施行中には、周辺への影響を最小限にとどめるための環境保全措置として、湿地の流量及び湿地周辺の地下水位をモニタリングすることや、あわせて、植生図を作成し、生息、生育環境及び陸水域生態系の変化の有無を把握する。また、掘削工事によるトンネル坑内への地下水の流入が多い場合には、止水対策を講ずることとしております。
○斉藤委員 今後、実際に掘削工事を行われる際に起きるさまざまな影響や、それについての対応についても、ぜひ、慎重かつ丁寧に取り組んでいっていただきたいと思います。
最後に、地域住民への説明や意見交換については、今後も丁寧な取り組みが必要と考えます。
これまでの取り組みと今後の方向性について伺いまして、私の質問を終わります。
○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 南多摩尾根幹線の早期整備を進めるため、道路構造の基本的な考え方や今後の進め方を定めた整備方針を平成二十七年二月に公表し、説明会とオープンハウスを開催いたしております。
今回の事業予定区間については、令和元年八月に都市計画変更素案及び特例環境配慮書の説明会とオープンハウスを開催し、また、令和二年九月には計画策定に関するオープンハウスを開催しております。
それぞれ来場された方々には、ご理解が得られるよう、図面やパンフレットなどを用いて、丁寧な説明に努めてきたところでございます。
また、説明会などにおいて、ご意見やご質問のある方々と質疑応答を行うとともに、その後も電話等において個別の対応を行ってきているところでございます。
今後も、事業者において事業概要説明会や用地説明会などを開催し、地権者を初め、地域の方々に対してわかりやすく丁寧な説明に努めていくこととしてございます。
○保坂委員 私からは、私の地元でもあります東京都市計画公園第八・六・一三号上野公園の都市計画変更についてを伺います。
資料で申しますと、事前説明資料九一ページでございます。
今回追加の区域となります当該地の一角には、平成十六年までに、地権者であります今の台東区が上野区民館施設を運営しておりましたが、施設の老朽化により、区民館は別の土地に移設されました。
その後、建築物はそのままの状態が続き、十一年が経過し、平成二十七年に、当該地は東京都への売却が台東区議会で承認をされました。そして、建築物の解体も実施をされました。既に五年がそれから経過しておりますが、空地のままで現在に至っております。
区民の財産でありますこの上野の貴重な土地が、平成十六年以来、およそ十六年もの間、何も使われることのなかったこの状態は正常とはいえず、行政の姿勢が問われており、地元の不信感も高まっております。それは、その土地の魅力を、行政よりも地元の方々がよく理解しているからにほかなりません。
地域発展のため、当該地の有効活用を求める声が高まり、平成二十九年には、地元の主要団体、上野地区町会連合会、上野観光連盟、上野商店街連合会、副都心上野まちづくり協議会が立ち上がり、都知事宛てに総合的な観光情報発信と防災センターの機能を兼ね備えた施設の設置を求める要望書が提出をされました。
平成三十一年、続いて令和元年には、台東区議会に旧上野出張所跡地の多目的活用を求めることについての陳情が提出されております。
年間約二千万人以上が訪れる上野にとって、総じて当該地に隣接する弁天広場は、上野動物園の弁天門が再整備され、かつパンダ舎もこのたび西園に移設されたことで、人の行き来が盛んになり、また、多くの人が集う上野の新たな中心的広場ともなっております。
だからこそ、地元住民や地元の団体らは、来訪者に対して、さまざまな情報提供や、災害時に帰宅困難者を受け入れることができる、おもてなし拠点の必要性をかねてから訴えてきました。
残念ながら、地権者である台東区は、それらの意識は非常に薄く、東京都への売却済みのみを訴えるだけでした。
今回の都市計画変更に当たり、その理由の一つとして、台東区都市計画マスタープランにおける上野地域の安全性の向上、特に帰宅困難者対策と避難動線の整備に協力するとされておりますが、そもそも区の土地を都は購入するにもかかわらず、なおその土地の利用について、都が区に協力するという、まさに理解するのは大変難しい状況です。
だからこそ、上野や公園機能の防災力の強化という地域の皆さんの思いを実現するには、まさにオール上野の協力体制で取り組む必要があるのではないかと強く考えている次第でございます。
その認識のもと、当該地の活用に向けては、計画段階から、区だけではなく、日々現場で来訪者へのおもてなしを支えている地元住民や団体などとの連携が必要不可欠ではないかと強く考えます。
そこで、一つだけお伺いします。
上野公園の都市計画変更の趣旨を踏まえ、今後、当該地の有効活用については、これまでの長年、要望を行政に提出している地元住民や地元団体などとの連携をしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○小野都市づくり政策部長 委員からも詳しくご説明がありましたけれども、これまでの経緯や地元要望につきましては、公園整備を行う建設局は認識していると聞いております。
今回の上野公園の計画変更の趣旨は、地域の回遊性や防災機能のさらなる向上でございます。今後の具体的な公園整備につきましては、平成二十年九月に策定しました上野公園グランドデザイン検討会報告書で、将来像として示した日本の顔となる文化の森の創造の実現に向けて、さまざまな観点から検討されていくと聞いております。
今後、都市計画案を縦覧し、地元の方も含めた多くの方々の意見を求め、その中で出された意見につきましては建設局に伝えてまいります。
○保坂委員 ぜひ、これまで長年我慢してきました地元の皆様が納得される形で当該地が有効活用されるよう、オール上野で取り組んでいただくことを求めますとともに、丁寧に進めていただくよう強く求めまして、私の質問を終わります。
○曽根委員 それでは、私から、今回の都計審案件についての何点かについて質問をさせていただきます。
まず、用途地域の変更で二カ所、北区中十条二丁目の用途地域変更について、それからその後、品川区五反田五丁目ほか放射二号線による用途地域変更について質問いたします。
北区中十条の用途地域変更は、埼京線の十条駅付近の高架化による立体交差事業によって、線路を一度仮線に移すための側道を線路沿いに整備するために、中十条二丁目の線路沿いの住宅、建物が軒並み立ち退きの対象となる、この事業に伴う変更です。
高架化事業は、東京都とJRが立体化事業の主体ですが、北区が区道として整備し、事業の後は生活道路として活用するという位置づけになっております。
埼京線十条駅付近の立体化に伴う建物の立ち退き対象、その対象の数は何棟か、また、そこに住む人口は何世帯、何人ぐらいと想定されるか、お聞きします。
○小野都市づくり政策部長 北区からは、鉄道附属街路事業に伴う建物の立ち退き対象数は約百二十棟と聞いております。また、借地権者や借家人等を含めた世帯数は約四百世帯と聞いております。人口についてはちょっと承知をしておりません。
○曽根委員 長い期間、埼京線の立体化については、区民の総意は地下方式だったんですが、十年近く前にこれが地下化や高架化を明記しない決議にすりかえられまして、そして五年前に高架化計画がいきなり住民に押しつけられ、住民大多数の反対があるにもかかわらず、事業化されたという経緯があります。
側道を整備する線路際のこの地域は、もともと道路計画がありませんので、アパートも多く、立ち退き棟数に対して世帯数がかなり多いわけです。
底地も建物も持たない賃貸居住者にとっては、今後の住宅確保は極めて困難であり、大家さんとともに自分が生きている間はてこでも動かないという方が多数存在しております。
ほかにも、八五号線拡幅や、また、駅前の再開発、また、十条銀座の裏側、七三号線、特定整備路線の関係の立ち退きが総計で一千件を超え、人口でいうと数千人に及ぶ立ち退きがこれから起きるために、十条地域で代替地を探すことは極めて困難であります。
こういう事業は、弱小権利者への住まいの補償がなければなかなか進まないわけですが、事業者である区の方から代替地の提供の動きはあるのかどうかについてお聞きします。
○小野都市づくり政策部長 北区からは、平成三十年十一月の区の十条まちづくり特別委員会において、都営上十条アパートの五号棟跡地が東京都から国へ返還された後、区施行である鉄道附属街路事業のまちづくり用地、代替地として取得し、活用していく意向であることを報告したと聞いております。
○曽根委員 さすがに事業者の北区も代替地なしには進まないというふうに考えたようですが、しかし実際には、駅近くにあった貴重な都営住宅の取り壊し用地がこれに提供されるということは、大きな疑問があることを提起しておきます。
しかし、これは区議会のやりとりなんですが、用意できる敷地はその五号棟一棟分、二千百平米程度で、区画は二十ほどしかないということですから、これではまさに焼け石に水であって、立ち退き対象に比べて全く不足しております。
今から事業の行き詰まりが見えており、北区十条の区民が念願する埼京線の立体化は、十条に不足している防災空地となり、また、車の入らないオープンスペースが確保できる地下方式ではなく、実際は高架化の道を進めるために、今後、立体化は長く停滞することになると思われます。
改めて、都市の安全のための立体化という大原則に立ち返って、住宅密集地の十条こそ、地下化が必要だという大転換が必要だということを指摘しておきます。
次に、品川区五反田五丁目ほか放射二号線による用途地域変更について伺います。
この場所は、都内二十八路線の特定整備路線の一つであります放射二号骨格幹線道路でありますが、これほどまちづくりとバッティングしている道路計画も少ないと私は感じております。
その最大のバッティングが、この放射二号が星薬科大学の薬草園という大学研究の中心施設をのみ込んでしまうという問題です。この道路が薬学専門の大学のキャンパスと分断すれば、大学の機能はほとんど壊滅的な影響を受けることになります。
今回の変更地域には、まさにその星薬科大学が含まれておりますが、大学側の道路事業への協力が得られるようになったかどうか、この点を把握しているかどうかお聞きします。
○小野都市づくり政策部長 道路事業の施行者である建設局からは、大学関係者を初め関係権利者一人一人へ丁寧に説明するなど、理解と協力を得ながら、整備が着実に進むよう取り組んでいるところであると聞いております。
○曽根委員 現状で理解を得られたというふうな答えはあり得ませんので、そういうふうに答えるしかないだろうと思いますが、この建設局の丁寧な説明とか、理解を得る努力というのは、実る根拠は全くありません。相手は、個人ではなくて、大学法人なんです。それも当然であって、この道路計画が、星薬科大学の学問研究の中心部分を真っ向から破壊するものになるわけです。
それで、放射二号の道路計画に大学が全く了解も合意もできないわけですから、それがないのにもかかわらず、品川区は、今回勝手にキャンパス内の防火地区、高度地区を変更すること。これは道義的にも非常に大きな矛盾を生み出すことになりますが、仮にこの場所の薬草園を、例えば、大学がハウス型にしたり、一部建物をつくろうとしたときにも、この規制がかかってしまうことになります。
それでも、現権利者である大学の用途や目的を全く無視した防火地区、高度地区の指定を区が行った場合、これは法的には問題ないんでしょうか。
○小野都市づくり政策部長 都の防災都市づくり推進計画において、都市計画道路放射第二号線は、主要延焼遮断帯及び特定整備路線として位置づけられております。
また、品川区まちづくりマスタープランでは、放射第二号線の整備に合わせて、周辺市街地の耐火性能を効果的に高めるとともに、住工共存の良好な市街地を維持することが示されております。
それらの上位計画を踏まえ、都市計画道路の沿道建築物の不燃化を促進させ、延焼遮断帯を形成し、災害に強い安全な市街地を形成するため、区において、沿道地域を準防火地域から防火地域に変更し、七メートルの最低限高度地区の指定を行うものでございます。
区においてはこれまでも、説明会の開催や資料の各戸配布、区報やホームページのお知らせを行い、大学を含め、都市計画変更内容について周知を図るとともに、今後も都市計画法に基づき適切に手続を進めていく予定と聞いており、法的に問題はないと考えております。
○曽根委員 このままでは都と区は、今後もやはり長期にわたり大学側とむなしい対立を続けざるを得ないことになります。
都や区の英断があれば、本当は、伝統ある薬科大学の存在をもっと品川の区政やまちづくりに生かすことができたはずなのに、極めて不幸な関係が続くことを厳しく指摘しておくものです。したがって、この案件については反対をいたします。
次に、案件第八・六・一三号上野公園の用地の拡大について、先ほども質問がありましたので、簡潔にお聞きします。
まず、上野公園の都市計画変更の計画は、誰が要望して、具体化されたのかを伺います。あわせて、上野公園の追加予定区域は、都として、今後どのような活用を考えているのかについて伺います。
○小野都市づくり政策部長 上野公園の都市計画変更は、事業者である建設局が提案し、都市整備局が行うものでございます。
今回の都市計画変更は、地域の回遊性や防災機能のさらなる向上を図るため行うものでございます。
具体的な整備内容につきましては、事業者である建設局が今後検討すると聞いております。
○曽根委員 台東区の関係者に聞きますと、既にかなり前に区民センターは道路の向かい側に移転している。その後、台東区では、耐震改修や区民利用の場の確保、下町風俗資料館の拡充への活用などの案が浮かんでは消えていったという状況で、その中でついに区は、都の要望を受けて、上野公園への編入で、都に売却を提案し、区議会では多数でこれが決まったわけです。
しかし、その後に再び防災などの区民利用の世論が起きるなど、私、率直にいって、区民や議会の中でさまざまな異論がまだくすぶっているという状況ではないかと思います。
既に売却手続が済んでおり、議論は膠着状態になっておりますが、一方で、都の建設局が検討している今後の活用は、いずれにしても公園の一部となっていくわけですので、特別にどうしても急ぐべき利用ではないと。
だったらば、台東区の中での議論が、区民意見も踏まえて、一定の結論が出るまでは、最終的な活用方法も含めた決定を見送るべきであり、今回の決定は時期尚早というべきであるということを申し上げておきたいと思います。
最後に、都市計画区域マスタープランについて何点かお聞きします。
私、実は九月七日の都市計画審議会で、この原案について、一つは、コロナ後の都市のあり方をどう取り込むのか、二つ目に、ゼロエミッション東京の二酸化炭素ゼロ目標をどう達成、その達成をどう具体的に保障するのか、三点目に、都心では、もうマンション供給はなくなりつつありますが、逆にオフィスビルにシフトし過ぎて過剰供給になりつつあるんではないかなどの論点を提起しましたが、都の側からは、根拠になる答えはもらえませんでした。
その後、都計審での決定に向けて、原案に若干の修正が加えられたようですけれども、どういう観点でどういう点を修正したのかについて、まずお聞きします。
○小野都市づくり政策部長 今回の感染症は、都市づくりのグランドデザイン策定以降、新たに生じた事象でございまして、テレワークの進展や人々の生活等への意識の変化など、多様化を促進しております。
今回の都市計画案の策定に当たっては、パブリックコメントや公聴会における都民の意見、都市計画審議会の意見に加え、こうした状況を踏まえて、有識者から意見を伺い、取りまとめを行っております。
今回追加した具体的な内容につきましては、クリエーティブ人材の受け入れ環境の充実、シェアオフィスやサテライトオフィス等の整備や、職住融合の拠点の育成、身近なオープンスペースのさらなる創出、歩きたくなるまち中形成の促進など、先端技術を活用しながら、新しい日常にも対応した都市づくりの推進に向けた記述の内容を充実、追加を行っております。
○曽根委員 今の答弁で紹介されたように、この原案をつくったころには大きな問題となっていなかった、コロナの影響によるテレワークだとか、生活意識の変化、これらを踏まえて、シェアオフィス、サテライトオフィス、職住融合など、さまざまなオフィス問題に対する動きや変化、こういうことは今回の最終案の中には盛り込まれたわけです。
しかし、これは表現として盛り込まれただけであって、都市計画の総体にどれほどコロナによる影響、また、コロナ後の社会の問題が具体の影響を及ぼすかということの分析はもちろんありません。掲げた開発の目標は、量的には全く当初と変わっていないわけです。
私の最大の心配は、都心の開発拠点を飛躍的に増大させて、それぞれの地区で開発を誘導する計画を進める。これがコロナ後の社会の中で、オフィスビルの供給過剰など大きな問題を起こさないのかということについて、分析や視点が全くないことなんです。
そこで、お聞きしますけれども、九月の都市計画審議会において、私からの質問に対する答弁として、環七内側の中枢広域拠点域における拠点の数が、現行の三十二カ所から八十五カ所にふやされているということが示されました。
この点について、これまでの再開発等の計画状況から見て、各地域で進んでいる開発構想が促進されれば、ほとんど全ての地域で、開発の中で新たに発生する二酸化炭素は従前を大きく上回ると見られますが、これについての都の見解を伺いたいと思います。
○小野都市づくり政策部長 今回の都市計画区域マスタープランの改定では、環状七号線内側においては、中核的な拠点及び活力とにぎわいの拠点を位置づけております。
特に、中野や飯田橋など鉄道乗車人員の特に多い駅周辺等を新たに活力とにぎわいの拠点とし、商業、文化、交流等、地域の活力やにぎわいを生み出す多様な都市機能の集積を図ることとしております。
これらの拠点においては、地域の課題や区の都市計画マスタープランなどの方針を踏まえ、区独自の育成用途の設定も可能であり、都市開発諸制度等の活用により、適切な開発を誘導し、地域にふさわしい用途の導入や、多様な機能集積を促進することとしております。
このような拠点の開発に当たりましては、最先端の省エネ技術などの積極的な導入により、環境にも配慮していくこととしております。
○曽根委員 都市計画審議会で私も指摘しましたが、当日、案件として出されていた内神田一丁目の割合小さい面積の再開発計画でも、地域熱供給の導入まで図った最新鋭の開発ビルの発生する二酸化炭素が従前のビルの二倍になってしまうということも申し上げました。
個別開発で事業者が単位面積当たりのCO2発生量を、例えば従前の半分以下に抑えても、ビルの規模が四倍になって、超高層をつくってしまえば、二酸化炭素は当然二倍以上にふえてしまうわけです。
しかも、こういう開発を誘導促進する拠点数を現行の二・五倍に、特に都心部でふやしてしまうと、都市全体ではもっと増大することになってしまいます。
都の役割は、むしろ東京全体の開発ラッシュを抑えるために何らかのコントロールに取り組む、これがまさに今求められているんじゃないかと思いまして、この点について、私は広域的な観点から、環境負荷の少ない都市づくりに向けて、東京都全体の都市計画、特に再開発などについて誘導していくことが、どうしても今、都に求められているんじゃないかと思いますが、都の見解を伺います。
○小野都市づくり政策部長 今回の都市計画区域マスタープランにおいては、環境への配慮、社会への貢献、都市のマネジメント、いわゆるESGの概念を取り入れ、ゼロエミッション東京の実現を目指すこととしております。
このためには、敷地レベル、地区、街区レベル、東京全体のレベルで環境負荷の少ない都市づくりを進めることが重要でございます。
具体的には、開発の機会を捉えて、最先端の省エネ技術の導入やZEBなど環境に優しい建築物の普及を進めることにより、長期的、広域的な観点から、都市全体の環境負荷低減にもつながる都市の更新を図ってまいります。
また、地域冷暖房施設などの導入、接続による、地区、街区単位でのエネルギー利用を促進してまいります。
さらに、道路ネットワーク整備による交通渋滞の解消など、環境負荷の少ない交通体系の形成等を図っていくとともに、緑の保全、創出に向け、東京の緑の骨格である丘陵地、崖線などの緑の厚みとつながりを強化し、都内全域での緑の量的な底上げと質の向上にともに取り組んでまいります。
○曽根委員 私の持ち時間ちょっと超えてしまいましたので、オフィスビルの供給過剰の問題については質問を割愛させていただきますが、私、二〇〇三年から二〇〇七年にかけてのオフィスビルの供給ラッシュが起きたときに、質問で都の姿勢をただしましたが、当時石原知事は、それだけのオフィス需要がどこから出るんだという私の質問に、それは個々の事業者が考えることですと、東京都は別にそれをコントロールするつもりはさらさらないというふうなお話でした。
しかし、今回は、個々の事業者任せにして、その後の中古ビルや中小ビルの連鎖的な倒産が起きたあの二〇〇三年から七年にかけての、そして国内のハゲタカファンドの暗躍を許すことになったあの事態を、さらに大規模に繰り返すことになりかねないんじゃないかということが私の大変危惧するところです。
今回の都市計画区域マスタープランについては、その過ちの道を、大きな規模で繰り返すことになりかねないことを指摘しまして、私の質問を終わります。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○米川委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時六分散会
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