都市整備委員会速記録第十号

令和二年十月二日(金曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長馬場 信男君
副委員長秋田 一郎君
副委員長和泉なおみ君
理事古城まさお君
理事村松 一希君
理事菅野 弘一君
関野たかなり君
清水やすこ君
奥澤 高広君
西郷あゆ美君
森口つかさ君
曽根はじめ君
中山 信行君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局局長技監兼務上野 雄一君
次長桜井 政人君
技監福田  至君
理事安部 文洋君
総務部長木村 健治君
都市づくり政策部長小野 幹雄君
市街地建築部長山崎 弘人君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務三宮  隆君
防災都市づくり担当部長鈴木  理君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例

○馬場委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の付託議案の審査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七十号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○曽根委員 それでは、都市整備手数料の条例改正による手数料の新設について、質問いたします。
 まず、この手数料の条例改正は、本年二月に国会で、都市再生の特措法などの一部改正が行われまして、郊外に設定された立地適正化計画区域の中で居住誘導区域とされ、原則として、住宅地としてまちづくりを進めるべきとされた地域の中に、用途、容積率を緩和した居住環境向上用途誘導地区というのを指定できるということが法改正で決められたということですが、この都の条例案では、居住環境向上用途誘導地区が指定された場合に、実際にそこに建築物を建てる際の現行の建蔽率などの制限を超える場合について、適用除外のための許可申請が必要となると、その手数料が提案されているわけですね。
 そこでお聞きしますが、この居住環境向上用途誘導地区というのは、どういう場合に、誰が指定を行う制度なのかお聞きします。

○小野都市づくり政策部長 居住環境向上用途誘導地区につきましては、地元自治体が策定する立地適正化計画に記載された居住誘導区域において、病院、店舗など、居住環境を向上させる日常生活に必要な施設を誘導する場合に、特別区の区域においては都が、市町村においては地元自治体が、当該誘導地区を都市計画に定めることができるようにした制度でございます。

○曽根委員 つまり、この誘導地区を指定できるのは、立地適正化計画を定めていることが前提ということになりますが、都内で立地適正化計画を定めた実例はあるんでしょうか。
 また、そこで、この居住環境向上用途誘導地区を指定する動きや、今後の見通しがあるのかどうかをお聞きします。

○小野都市づくり政策部長 都におけます立地適正化計画につきましては、福生、八王子の二市が策定しておりますが、現時点では、居住環境向上用途誘導地区の具体的な指定の予定はないと聞いております。

○曽根委員 そうすると、現在、都内では二十三区にはないと、こういう立地適正化計画を設定しているところは。それは、ある意味必要が今のところないからということだと思います。
 多摩の地域で、福生と八王子でしたか、この二市で設定をされているので、今後、この立地適正化計画が設定されている自治体では、居住環境向上用途誘導地区というのが指定をされてくる可能性があると。その場合に、市がそれを許可する上での手数料が、今回、都の条例で定められるということになります。
 居住誘導地区というのは、基本的に、居住を誘導する、つまり住宅市街地として誘導していく。もしくは、低層の第一種住専などのように、基本的には住宅用地であって、例えば、低層第一種住専の場合は五十平方メートルを超える店舗などは規制されていますので、ちょっとしたコンビニエンスストアも五十平米となればなかなか難しいということになります。
 ですから、その地域に住む高齢者の買い物だとか、通院の利便、例えば、空き家を店舗に転用したいという場合などについては、この居住環境向上用途誘導地区に指定することで、容積率や用途地域を若干緩和して地域指定をして、住民の利益にかなう計画が立てられるという可能性は否定しません。
 しかし、ここで大きな懸念があるのは、その誘導地区の指定と、実際にそこの地区を指定した後に、建築の計画が出てきたときに、この許可について分けてしまうという場合に、地元住民の声が有効に反映されるとは限らないという問題です。
 そこでお聞きしますが、居住環境向上用途誘導地区を自治体が指定する場合は、都市計画の手続として、これはたしか都市計画法十七条に基づいて、住民の意見や要望を述べるよう説明会などを実施することになっている、これは私の方で確認をいたしました。では、本議案で手数料が提案されているこの誘導地区内の建築物の建蔽率等に関する制限の適用除外、この申請とそれから許可はどのような手続で行われるのかお聞きします。

○山崎市街地建築部長 お尋ねの許可は、居住環境向上用途誘導地区内において、都市計画に定められた建蔽率等の制限を超えて建築物を建築しようとする場合に、当該建築物の建築主が特定行政庁に対して申請を行うものでございます。
 特定行政庁は、許可を行う場合、あらかじめ建築審査会の同意を得なければならないとされております。

○曽根委員 ですから、この誘導地区が指定された後に建築物の計画が出てきたときには、それが、例えば建蔽率でオーバーすると、それまでの規制を。その場合には、これは適用除外の審査を、建築審査会にかけなきゃならないということになるわけですが、もし建蔽率などをオーバーしていなければ、もう容積率、用途地域は既に地区指定をしたときに緩和されているわけですから、特に届け出や、許可は必要ないわけですね。そこに建てることができるわけです。
 それから、建蔽率などが規制を超えるので、建築審査会で許可を得なきゃならない場合も、今、自治体は建築審査会にかける必要があるというふうにお話でしたが、問題はそこのときに住民説明や公聴会はないということですよね。
 例えば、具体の店舗や病院の事業者、もしくは施設の建築計画が明らかになった段階で、地区指定は特に反対はなかったんだけれども、このスーパーのチェーン店が出てくるんだったら、これは歓迎できないとか、そういう声が上がったときにも、もう申請や許可をする前の住民説明会は開かれない。その可能性が高いということになります。
 だったらば、もともと誘導地区を指定しないで、一般的に、例えば、低層一種住専の用途地域を超える建物の許可について建築審査会にかければ、その場合は住民説明会や公聴会が行われるわけです。建築基準法第四十八条でそれが規定されておりますよね。
 したがって、今回は、一般的な建築審査会にかける場合の住民説明会や公聴会は、誘導地区に指定されているから省略できるということになってしまう。その分、たしか今回設定された十六万円という手数料も、一般的には公聴会にかける場合、十八万円が都の手数料で、二万円低いと。その分は、たしか公聴会などがない分だけ低くなっているというふうにお聞きしてもいます。
 しかし、私たちは、手間がかかっても、建築物の計画段階で住民の意見を表明する場の保障は極めて重要だと考えております。
 これちょっと、私の経験でかなり前になりますが、八七年に、北区の遊休状態だった自衛隊駐屯地に市ヶ谷から三千名の補給統制本部が移転して、五階建てのオフィスが四棟建つという、当時の第二種住居専用地域を超える計画が発表されたときに、当然これは建築審査会にかけられたわけですが、その前に、地元区民の最後の論戦の舞台が、住民説明会と公聴会が行われたところです。説明会二回で打ち切られまして、公聴会も数十名の意見開陳者を予定していたんですが、八人目か九人目の方が発言した直後に--この都庁でやったんですけど、議長役の当時都市計画局の担当課長が、突然、意見は十分聞いたのでこれで打ち切りますと宣言した途端に、全速力で議場から逃げ出すという一幕がありまして、さすがにその後、補給本部の護衛部隊は縮小されたり、区民開放のエリアを広げるなど、当時、防衛庁側の住民に対する妥協策が出てきました。住民の最後の意見表明、そしてそこでのいろんな問題提起は、最後まで住民の意見を尊重するという立場でいうと、極めて重要だということを、私、このとき痛感をいたしました。
 これは、もちろん自衛隊基地のような問題ではないし、もともと住民の生活に必要な病院や店舗ということに限られているということはありますけれども、まちづくりの最後の段階、特に建物や施設の計画が出てきたときに、住民の意見が出しにくくなるという点で、この法の改正の趣旨には、私たちは賛成できないということを申し上げておきます。
 ただ、今回の議案は、手数料条例の改正で、法改正が既に実施段階になっていますので、都の条例については、その申請許可の手数料を決めるものですから、申請は無料でよいということにはなりませんので、本議案については反対はしないということを申し上げて、私の質疑を終わります。
 以上です。

○中村委員 それでは、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例の変更について、質問します。
 今回の条例改正は、都市再生特別措置法の改正が背景にあります。高齢社会の進展に対応するため、集約型のいわゆるコンパクトシティーを目指すものです。
 この法律によると、市区町村は、立地適正化計画を策定し、居住誘導区域を定め、さらに今回は、その区域内に居住環境向上用途誘導地区を定める場合の手続とのことです。
 そこでまず、居住環境向上誘導地区について、どのような目的の制度か伺います。あわせて、この地区の前提となる居住誘導区域を定める立地適正化計画及び居住環境向上誘導地区について、都内市区町村の取り組みの状況を伺います。

○小野都市づくり政策部長 居住環境向上用途誘導地区につきましては、地元自治体が策定する立地適正化計画に記載された居住誘導区域において、日常生活に必要な病院や店舗など、居住環境を向上させる施設に限定し、用途規制や容積率の緩和を行うことにより、そうした施設を誘導することを目的とする制度でございます。
 立地適正化計画につきましては、都内では八王子、福生の二市が策定しており、府中、日野、狛江の三市において、策定に向けた取り組みを行っていると聞いております。
 居住環境向上誘導地区につきましては、現段階では具体的な指定の予定はないと聞いております。

○中村委員 立地適正化計画については、二市が策定済みで、これから三市が予定とのことですが、現段階ではまだ、居住環境向上誘導地区については指定がないようですけれども、法改正があったので備えていく必要性があります。
 そこで、今回の条例改正は、都市再生特別措置法の改正に合わせた建築基準法の改正によるもので、居住誘導区域内で市街地の環境を確保するために定めた建蔽率の最高限度、壁面位置の制限、高さの最高限度について適用除外とする許可に係る手数料を定めるものです。一旦強化した建蔽率などの規制を緩めるわけですから、住環境を損なうおそれもあります。
 そこで、どのような場合に許可をするのか伺います。

○山崎市街地建築部長 お尋ねの許可は、居住環境向上用途誘導地区内において、都市計画に定められた建蔽率等の制限を超えて建築物を建築しようとする場合に、当該建築物の建築主が特定行政庁に対して申請を行うものでございます。
 許可申請がなされた場合、特定行政庁は、建築基準法に基づき、用途上または構造上やむを得ないと認めたものについて、建築審査会の同意を得て許可を行うこととなります。

○中村委員 今ご答弁ありましたが、用途上または構造上やむを得ないと認めたものについてということでございますので、今後、具体的な計画は今まだないようですけれども、定められた場合には慎重な対応の方を求めたいと思います。
 さて、冒頭にも述べましたが、今後、ますます高齢社会が進むため、より一層の取り組みが必要になります。一方、現在の新型コロナウイルスにより変化も生じていきます。政府の方も有識者からヒアリングを行い、論点整理を行っているようです。テレワークが進展し、働き方、暮らし方が変わります。自宅で仕事をする場合には、そのためのスペースが必要になったり、居住地の近くで公園を散歩する機会もふえると思われます。仕事の場所の周辺にせよ、生活の場の周辺にせよ、より快適な空間や環境が求められます。
 今後、多摩地域を中心に立地適正化計画の策定も進むようですので、そうした中で、建築行政を通じても居住環境が向上するよう求めて、質問を終わります。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十七分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る