都市整備委員会速記録第五号

令和二年三月十九日(木曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長馬場 信男君
副委員長奥澤 高広君
副委員長和泉なおみ君
理事古城まさお君
理事秋田 一郎君
理事村松 一希君
菅野 弘一君
清水やすこ君
西郷あゆ美君
森口つかさ君
関野たかなり君
中山 信行君
中村ひろし君
曽根はじめ君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長兼務佐藤 伸朗君
次長総務部長事務取扱桜井 政人君
技監上野 雄一君
理事中島 高志君
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監都営住宅経営部長事務取扱久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木秀之君

本日の会議に付した事件
意見書について
予算の調査(意見開陳)
・第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備委員会所管分
・第十二号議案 令和二年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 令和二年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 令和二年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 令和二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十号議案 令和二年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(決定)
・第四十八号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第四十九号議案 東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
・第五十一号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○馬場委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました意見書一件につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○馬場委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査及び付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備委員会所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案及び第二十号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○西郷委員 都民ファーストの会東京都議団を代表し、当委員会に付託されました令和二年度予算関連議案について意見開陳を行います。
 令和二年度予算は、東京二〇二〇大会を確実に成功させるとともに、成長と成熟が両立した輝ける未来の東京をつくる予算として、第一に、東京二〇二〇大会を確実な成功へと導き、次世代へのレガシーをつくり上げること、第二に、都政が直面する諸課題への対応とともに、ソサエティー五・〇の実現など、東京が成長を生み続ける成熟都市として進化を図るための取り組みを積極果敢に進めること、第三に、都政改革をさらに進め、ワイズスペンディングの視点により無駄の排除を徹底し、財政基盤をより強固なものとすることの三点を基本に編成されています。
 一般会計予算七兆三千五百四十億円、特別会計と公営企業会計を含めた全会計予算十五兆四千五百二十二億円の令和二年度予算には、子育て支援、未来を担う人材の育成、健康長寿の実現、地域コミュニティの強化、災害対策を初め、安全・安心の確保、東京の稼ぐ力の強化、中小企業支援、スマート東京の実現、都市環境の整備、多摩・島しょ振興、そして史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現など都民の生活にとって欠かすことのできない大切な経費が数多く盛り込まれています。
 さらに、今月十一日には、WHOが世界的な流行を意味するパンデミック宣言をするなど、刻一刻と状況が変化する新型コロナウイルス感染症対策に関し、令和二年度補正予算においては、緊急対応、今後の備えの強化、都内産業、中小企業対策、情報発信の充実を柱とする対策が盛り込まれています。
 人口減少、少子高齢化、日本経済の国際競争力の低下、世界規模での地球温暖化、そして新型コロナウイルス感染症など、東京が今まさに歴史的な転換点に直面している中、都民ファーストの視点で東京のさらなる進化を図るとともに、都民の安全・安心を確保するため、効果的でスピード感のある政策の実現を強く要望します。
 まず、都市整備局関係について申し上げます。
 都市づくりのグランドデザインや未来の東京戦略ビジョンで掲げた都市像、まちづくりに向けて取り組みを具体化するとともに、各種計画や政策目標に落とし込まれたい。また、区市町村との調整を図られたい。
 都市化の流れで失われてきた水辺、緑、空を都市に取り戻し、新たな魅力と活力のある次世代の都市空間を形成されたい。水辺を生かす舟運や川辺空間の利用、緑を生かす公園や都市農地の活用、空を生かす首都高速道路の地下化や無電柱化の実現に迅速に取り組まれたい。
 多摩ニュータウン地域再生ガイドラインの取り組みを具体化されたい。高齢者等の移動円滑化に関する調査については、政策企画局と連携し、多様な新しいモビリティーを実証実験する場をニュータウンに創出するという視点で取り組みを発展されたい。
 緑の総量を減らさないという長期目標に基づき、緑確保の総合的な方針の改定を具体的に進め、緑の質の向上や活用についても方向性を示すことや今以上に基礎自治体への財源対策に努められたい。
 都市農地の宅地化は大きな懸念であり、特定生産緑地制度の農地所有者への周知を基礎自治体とともに徹底されたい。
 災害に強い首都東京の形成に向けた連絡会議を活用し、東部ゼロメートル地帯での浸水被害や木密地域での延焼火災、その他切迫している災害対策について、実効性のある防災まちづくり強化を推進されたい。
 特定緊急輸送道路の通行機能確保に向けて、沿道建築物の耐震改修支援及びブロック塀の耐震診断、改修に努められたい。また、区市町村道の沿道のブロック塀についても耐震診断を進め、区市町村と連携し、その結果について公表されたい。
 区市町施行の土地区画整理事業の推進について、既存の対応に加え、無電柱化など推進されたい。事業計画の作成や変更、国費の確保など、技術面からも対応されたい。
 木造密集地域において、老朽建物の除去や建てかえ、防災生活道路の整備、無電柱化など地区ごとの特性に応じた整備プログラムの見直しや実効性のある取り組みを進められたい。
 耐震改修促進計画の一部改定に当たり、関係する区市、耐震性不十分な建物所有者、耐震アドバイザーの専門家に対して、周知、連携を進めるとともに、広く都民に対しても計画改定に関する周知に努められたい。
 都市計画道路及び外かく環状道路を計画的、効率的に整備されたい。また、区部に比べて整備がおくれている多摩地域の幹線道路について整備を加速し、個別路線ごとの必要性については不断の検証を行われたい。
 首都高都心環状線築地川区間の大規模更新において、都市再生と連携した高速道路の老朽化対策に向けた検討を推進されたい。
 首都高速晴海線の未整備区間について、築地再整備の機会を捉え、事業化されたい。
 日本橋を通る首都高速道路の地下化に合わせて、東京高速道路、KK線を遊歩道へ再生する取り組みを推進されたい。
 物流環境の将来像を見据えた上で、東京湾の混雑解消など、課題に対応するための二十四時間制の導入など物流戦略を検討されたい。
 自転車走行空間の整備を推進するとともに、自転車推奨ルートの都内全域でのネットワーク化に向けて調査研究を進められたい。
 都民が鉄道の混雑緩和を実感できるよう、時間差料金制を導入するなどスムーズビズの政策を強力に推進されたい。
 都内約千カ所に及ぶ踏切による渋滞、事故などを解消するため、鉄道の立体交差化事業を推進されたい。
 鉄道新線六路線などについて、地元自治体や事業者と連携し、早期実現に向けた検討を進められたい。
 ホームドア整備及びバリアフリールートの拡充を推進されたい。
 鉄道駅でのトイレ洋式化及び多機能のトイレの整備を促進されたい。オストメイトへの配慮やユニバーサルシートなどのニーズについても適切に機能を誘導されたい。
 築地再開発及び臨海部において、特区や諸制度を活用した新たなモビリティーの導入や空間づくりに取り組まれたい。
 BRTの暫定開業及びその後の路線拡大に向けて、事業者や地元自治体と速やかに事業を推進されたい。
 新たな観光消費スポットの形成など、ナイトタイムエコノミーの創出について関係部局と共同で推進されたい。
 都市の3Dデジタルマップ化を進め、土地空間利用、社会インフラの最適配置、公共交通の改善、渋滞解消など、都のまちづくりやさまざまな課題解決に活用されたい。
 5G重点整備エリアにおけるスマートシティー化の取り組みに当たっては、調査検討、課題抽出を進めるとともに、具体的な社会課題の解決やビジネスのイノベーション、生活の利便性の向上につながる実証実験、社会実装を迅速に行われたい。
 マンションの駐車場附置義務の緩和について、管理組合等に対してさらなる周知に努められたい。
 デマンド交通導入の促進に向け、区市町村への支援を強化されたい。
 続いて、住宅政策本部関係について申し上げます。
 高齢化や施設老朽化する大規模団地について、建てかえに加え、リノベーションや耐震化、エレベーター設置など、個別事情に合わせた既存ストックの活用策を強化されたい。
 民間賃貸住宅などを活用して、都営住宅に限らない住宅セーフティーネットの取り組みを加速されたい。また、ひとり親家庭なども対象に、子育て世代に対する低廉な住宅の適正な供給を促進されたい。
 都営住宅は適正な建てかえを進める中で、創出用地の活用やまちを動かすプロジェクトの検討をされたい。加えて、環境性能の向上や敷地を活用した太陽光発電の導入、活用を促進されたい。
 東京マンション管理・再生促進計画のもと、管理不全を予防し、適正な管理を促進するとともに、良質なマンションストックの形成を図り、都民生活の安定向上に努められたい。
 マンション管理状況届け出制度の開始に当たっては、円滑に届け出がされるよう、関係各所に対して周知啓発に努めるとともに、専門家を活用した相談体制の強化に努められたい。
 適正に管理されたマンションが市場で評価され付加価値となるよう、届け出された情報の公開について、管理組合の意向や個人情報の保護に配慮しながら検討されたい。
 老朽マンションの再生を推進するために、マンション再生まちづくり制度の適用要件の拡充や支援内容の充実に努められたい。
 国の法改正等の動向を踏まえ、マンション管理の一層の適正化や円滑な再生に向けた課題の把握や具体的な方策を検討されたい。
 住宅マスタープランの策定に向けては、長期的視点に立ち、人口動態や民間賃貸空き家の状況などを鑑み、都営住宅のあり方などを含め、都の住宅政策を考えられたい。
 以上で意見開陳を終わります。

○古城委員 都議会公明党を代表して、当委員会に付託された令和二年度予算関連議案について意見開陳を行います。
 令和二年度一般会計予算案は、東京二〇二〇大会の確実な成功と東京の持続的成長につながる施策に重点的に予算措置を行うとともに、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するべく、補正予算、予備費の活用などのあらゆる手段を使い、約五百億円を超す対策を講じており、評価できます。
 具体的には、都議会公明党が強く求めてきた私立高校授業料の実質無償化の対象拡大、市町村総合交付金の拡充、多子、多胎児支援、高齢者の移動支援、豪雨水害対策、ドクターヘリの導入など、都民の暮らしを守るための施策が随所に盛り込まれております。
 一方、都財政はもともと景気変動の影響を受けやすい歳入構造にあり、さらには地方法人課税のいわゆる偏在是正措置の影響が始まっております。その上での今回の新型コロナウイルスであり、都税収入の先行きは決して予断を許さない状況にあります。
 こうした中で、令和二年度予算編成では、新たにICT関係を対象に入れた事業評価や新たな公会計制度を活用し、いずれも過去最高となる八百八十四件の見直し、再構築、約一千三十億円の財源確保額へとつなげています。また、新たな基金の創設や既存基金の残高確保などで弾力的な財政基盤を堅持しています。
 今後とも都民生活を守ることを最優先に考え、責任ある堅実な財政運営に努めることを強く望むものであります。あわせて、予算の執行段階においても、さらなる精査を行うことで各施策の効率性、実効性をより一層高めることを強く求めておきます。
 次に、各局別に申し上げます。
 初めに、都市整備局関係について申し上げます。
 一、都市インフラや施設更新を進めながら、活力と魅力に満ちた東京の再構築のために都市再生の開発プロジェクトを推進するなど、国際競争力を一層強化すること。
 一、木造住宅密集地域の整備促進のために、公有地や民間の協力による種地活用を図るほか、商店街などを含めた魅力あるにぎやかなまち並みの絵図を描くなどして、関係者の意欲を高める企画提案を行うこと。加えて、低所得従前居住者の住まいの安定を優先し、地元区とも十分連携し、従前コミュニティの保全につながる提案に努めるため、都庁横断的な支援メニューを組み合わせた住環境整備とすること。
 一、緊急輸送道路沿道建築物について、所有者の個別課題に柔軟に対応するための専門家による訪問による助言などにより、不安の解消や対応意欲の向上に努めること。また、共同化や街区再編などを含めた積極的な耐震化の提案を行うほか、占有者の協力を得るための所有者の取り組みを支援する体制の強化など、仕組みの充実を図ること。住宅地域でも、整備地域外を含めて区市町村と連携し、耐震化の加速を図ること。
 一、公共交通では、基金に基づく六路線の整備などの新たな鉄道交通網の整備の促進や乗り入れなどでの利便性の向上、通勤混雑の緩和、ホームドアやエレベーター等のバリアフリーの促進、乗車マナーの向上に努めるほか、効果的なタクシー利用の工夫や新たなBRTや官民バス路線なども活用して、高齢者、障害者などの移動支援を図ること。また、舟運を活性化し、運河や河川、港内などで、災害時にも対応し、観光面からも魅力のある交通網の重層化を図ること。
 一、羽田空港や近県空港を含めた首都アクセスの複層化と時間短縮を図るとともに、航空輸送の機能強化に伴う航空機の騒音、落下物防止対策など、都民の安全・安心に必要な十分な対策を国に求めること。
 一、浸水被害の危険性の高い地域では、公共施設等を活用した一時貯留施設等の設置促進など、流域対策に積極的に取り組むこと。
 一、区市町村におけるまちづくりの進展に寄与するべく、都のノウハウの提供や人材育成に貢献し、都市計画区域マスタープランの効果的な改定を推進すること。
 一、所有者不明の土地の活用と発生防止を図るべく、国や関係機関との連携を強化すること。
 一、建築物のバリアフリーの進展に向け、特に宿泊施設オーナーとの意見交換を進め、改正条例の効果の発揮に努めること。
 一、築地市場の跡地の活用方針においては、民間の知恵と活力を引き出す工夫を図るとともに、用地の貴重性に配慮し、公共的な使命にかなう開発に努めること。
 一、世界に開かれた環境先進都市東京を目指して、快適な水環境を創出し、水と緑の回廊の実現を図ること。玉川上水や河川水を活用した外堀、神田川、日本橋川の恒久的な水質改善に向けて、工業用水道施設の活用などの多角的な取り組みを早期に事業化するとともに、当面の浄化策も強化すること。
 一、都みずから建築確認申請図書の保存年限の見直しと電子化を進めるとともに、民間確認機関との協議を進め、都内で統一感のある取り組み、相談対応のワンストップ化を図ること。
 次に、住宅政策本部関係について申し上げます。
 一、東京都住宅マスタープランに定める豊かな住生活の実現に向けて、都市計画部門との連携を図りつつ、未来の東京戦略ビジョンに掲げたプロジェクトを初め、住宅施策をより強力かつ機能的に推進すること。
 一、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例に基づき、管理状況届け出制度の円滑な運営を図りつつ、分譲マンション総合相談窓口の拡充やアドバイザーの無料派遣などにより、マンションの適正な管理を促進するとともに、老朽マンション等の建てかえや改修など、再生を一層加速すること。
 一、震災時でもマンション居住者等が建物内で生活を継続できるよう、エレベーターの耐震性向上や早期復旧等を進めること。
 一、都営住宅について、住まいとしての機能、設備の向上に努め、建てかえ事業の促進を図ること。また、建てかえにより創出された用地を活用し、地元自治体や住民の要請に応えた福祉インフラの整備に協力すること。さらに、居住者の高齢化に対応した福祉施策との連携や老朽浴室設備の取りかえにおける不公平の解消、見守り機能の強化を図るとともに、居住者の世代間バランスに努めること。加えて、高齢化による自治機能の低下を補うための工夫に努めること。さらには、子育て世帯の住宅困窮に対応できるよう、間取りの改善に努めること。また、住宅に困窮する単身者にも都営住宅を提供できるよう、入居資格の範囲の見直しや新たな提供方法の検討を行うこと。あわせて、親世帯と子世帯の近居を可能とする親子触れ合い住みかえ募集や毎月の若年ファミリー世帯向け募集については、応募需要の高い地域でも実施していくこと。
 一、公社住宅についても建てかえの促進を図るほか、建てかえにより創出された用地を活用し、地元自治体や住民の要請に応えた福祉インフラ整備に協力すること。
 一、高齢者が住みなれた地域で安心して住み続けられるように、サービスつき高齢者向け住宅の一層の供給促進に取り組むこと。
 一、都民住宅については、管理期間が終了しても、引き続き入居者が安心して居住できるよう最大限の配慮に努めること。
 一、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、不動産業者や家主などへのインセンティブの付与による住宅登録や区市町村の居住支援協議会設立の促進、居住支援法人の活動の活性化、貸し主の安心感の醸成に向けた支援等に取り組むこと。
 一、区市町村が実施する空き家の実態調査や利活用等の取り組み、区市町村の地域特性に応じた取り組みへの支援、さらには民間事業者の取り組みへも新たに直接支援を行うなど、空き家対策をより一層推進すること。
 以上です。

○菅野委員 都議会自民党を代表して、本委員会に付託されました令和二年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 令和二年度予算案は、東京都民の日常生活や東京の経済活動に深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス対策に迅速かつ的確に対応するとともに、二〇二〇年大会を成功させ、同時に防災対策、医療福祉、子育て支援、女性活躍、中小企業支援などの行政課題に適切に対応することで、大会後の東京の発展につなげていくための予算です。
 今後も、都民福祉向上に役立つ実効性のある施策を計画的に推進するとともに、強固で弾力的な財政基盤を構築していくことを要望しておきます。
 三月五日の中途議決でコロナウイルスの緊急対策に関する補正予算も可決されましたが、刻々と変化する状況を捉え、国や区市町村とも連携して真に効果的な対策を展開することを強く要望しておきます。
 小池知事就任以来、恣意的かつ無計画な財政運営が続いています。来年度予算案では、築地地区まちづくり調査費用一億四百万円が計上されていますが、全体計画も五千四百二十三億円に上る投資経費の回収計画もほぼ白紙の状態です。
 また、当初計画より百五十五億円も高い五百二十五億円で購入した旧こどもの城跡地も都民アンケートに寄せられた多くの都民の声を無視し、さらに最短で六年だけ使って取り壊すこともあり得るという条件つきの改修に総額百三十六億円を投じるとして、来年度予算案に設計経費三億八千百万円が計上されています。
 都区財政調整制度においては、明確な積算根拠もなく配分割合を変更しようとしています。
 突然の有償所管がえや唐突な方針変更で、東京の将来に大きな影響を与える事業や制度変更が、都議会との議論も、そして都民への説明も不十分なまま予算案に計上されています。
 このため、我が党は今後の予算特別委員会において、こうした課題を捉えた令和二年度予算案の取り扱いについてさらに質疑を重ねて、必要な提案をしてまいります。
 本委員会所管事業に関する意見開陳の冒頭に当たり、まずはこのことを申し上げて、各局事業について述べさせていただきます。
 まず、都市整備局について申し上げます。
 一、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会とその先を見据え、東京を世界で一番の都市へと導くため、都市づくりのグランドデザインに示した都市像の実現に向けた取り組みを着実に推進されたい。
 一、外環の一日も早い完成に向け、東名高速から湾岸道路までの計画の早期具体化を強く国に求められたい。
 一、平成二十八年三月策定の東京における都市計画道路の整備方針に基づき、区部の環状道路や多摩地域の軸となる幹線道路など、都市計画道路ネットワークの充実強化を図るとともに、令和元年十一月策定の東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針で計画の変更予定となった路線について、都市計画手続を進められたい。
 一、鉄道ネットワークのさらなる充実を図るため、国の答申六路線を中心に、国と東京都の実務者協議会の場も最大限活用しながら、関係者との協議、調整を加速されたい。
 一、騒音対策、落下物対策、住民への周知徹底等に万全を期すとともに、羽田空港の一層の機能強化や国際化及び空港アクセスの整備に向けて積極的に取り組まれたい。また、水の都東京の魅力を高めていくため、舟運の活性化に向けた取り組みを進められたい。
 一、首都圏の高速道路は重要な都市インフラであることから、平成二十八年四月に導入された新たな料金体系の影響などを検証し、一体的で利用しやすい料金体系の実現に向け、積極的に取り組まれたい。
 一、今年度改定する防災都市づくり推進計画の基本方針に基づき、来年度、各区と連携して整備プログラムを取りまとめ、不燃化の取り組みを効果的に展開されたい。また、延焼遮断帯内側の市街地の改善をさらに進めるため、区における防災生活道路整備事業への支援に取り組まれたい。
 一、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するため、区市町村とも連携をして、所有者の取り組みをさらに後押しするなどして、耐震診断結果を改修や建てかえ工事に確実につなげられたい。また、震災時における緊急輸送道路の必要な通行機能が確保できるよう、今年度一部改定する耐震改修促進計画に定める新たな目標の達成に向け、耐震化の施策をより効果的に推進されたい。住宅については、整備地域外を含め、所有者などの取り組みを後押しし、耐震化を促進されたい。
 一、首都圏における住民の生命や財産を守るために、極めて重要な施設である八ッ場ダムについて、国や関係各県と協力をして水源地地域の対策に万全を期されたい。
 一、地域の特性に応じた良好な市街地の形成を図るため、土地区画整理事業、市街地再開発事業などの市街地整備事業を積極的に推進されたい。
 一、築地地区まちづくりに関しては、これまで培ってきた都市づくりの基本を逸脱することなく、全体計画とそれを支える財政計画を都民に明らかにした上で、東京の将来に禍根を残すことがないよう、東京にとって、都民にとって望ましい形になるよう取り組むこと。
 続いて、住宅政策本部について申し上げます。
 一、区市町村の地域特性に応じた取り組みへの支援や情報提供の充実などにより、空き家の利活用を促進されたい。また、区市町村支援事業も活用し、防災面からの老朽空き家の対策などを進められたい。さらに、空き家所有者には管理の重要性を周知するとともに、地域特性などを踏まえた適切なアドバイスを行えるよう、専門家を活用した相談体制の整備など、きめ細かい支援を行われたい。
 一、居住者の高齢化、単身化が進む都営住宅において、コミュニティの活性化に向けて、子育て世代のさらなる入居促進や高齢者世帯の生活支援の強化などにより、多世代共生の推進に取り組まれたい。
 一、東京都住宅マスタープランに基づき、子育て支援、見守り機器設置費用等の補助による住宅確保、要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居支援、良質な既存住宅の流通拡大、条例に基づく届け出制度等によるマンションの適正管理促進や建てかえなどによる再生など、区市町村等とも連携をして、住宅政策を総合的に推進されたい。
 以上をもちまして意見開陳を終わります。

○曽根委員 日本共産党都議団を代表し、来年度の都予算案についての意見を述べます。
 小池知事提案の二〇二〇年度の予算案は、石原都政以来続く一極集中の都市づくりをさらに拡大しようとするものです。
 羽田空港への実機飛行で、想定を超える深刻な騒音被害が改めてあらわになったにもかかわらず、新飛行ルートを推進し、さらなる拡大まで狙っています。外かく環状道路や住民が強く反対し各地で裁判が起こされている特定整備路線などの大型道路建設も、引き続き推進されています。品川、田町駅周辺整備計画、環状四号線の整備、築地地区まちづくり調査など、東京二〇二〇大会後も大規模開発を推し進めようとしています。
 一方で、鉄道駅のホームドア整備の拡充、雨水貯留設備への助成の拡充、多摩都市モノレールの延伸の具体化などが予算化されたことは重要です。
 また、住宅政策本部が都営住宅の風呂釜、浴槽の都負担での更新に取り組む姿勢を示したこと、都営住宅建てかえ後の住宅を公募にかけると表明したことも重要です。
 しかし、住宅セーフティーネットの中核を担う都営住宅が、二十一年間も新規建設予算がつかないため、供給が不足し、大変な高倍率になっていることは重大問題です。
 我が党は、幹線道路や大型開発の優先から、都営住宅の新規建設、木造住宅の耐震助成の抜本的拡充など、都民の暮らしを支える生活密着型の公共事業への転換を図り、誰もが安心して住み続けられる災害に強い東京の実現を求めます。
 以下、局別に意見を述べます。
 まず、都市整備局関係です。
 一、大型道路や超高層ビル優先の都市づくりを改め、都市としての成長をコントロールする成長管理型の都市計画、都市づくりへの転換を進めること。
 一、首都高日本橋付近の地下化や別線の地下高速道路の整備、外環道、外環ノ2、住民訴訟が起こされている特定整備路線など、住民合意のない幹線道路の建設、計画は、中止、廃止を含め抜本的に再検討すること。外環道の東名以南の検討をやめること。
 一、神宮外苑地区のまちづくりの方針に対する地元住民の強い反対意見を踏まえて、公園まちづくり制度の適用をやめるとともに、都民参加で計画の抜本的な見直しを行うこと。
 一、木造住宅密集地域の安全化対策は、幹線道路の整備や再開発優先ではなく住民合意を基本に進めること。
 一、緊急輸送道路の沿道建物耐震化を進めるために、テナントビルの占有者などへの支援の具体化と訪問や働きかけを行う体制の強化を図ること。
 一、築地市場跡地の開発は、市場関係者や都民の要望を十分踏まえて再検討すること。
 一、住宅の耐震化は、所有者の自己責任という都の基本姿勢を改め、地震災害から都民の生命、財産と地域を守るための最大の課題と位置づけること。
 一、木造住宅耐震化への助成額を抜本的に引き上げ、簡易改修助成や高齢者や障害者のいる世帯への上乗せ補助、二〇〇〇年より前に建てられた新耐震基準の住宅についても、耐震助成の対象とするよう検討すること。
 一、羽田空港への都心低空飛行を推進する羽田空港の機能強化の撤回と第五滑走路の検討を行わないよう国に強く求めること。
 一、鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方に基づき、視覚障害者の利用が多い駅などへのホームドア設置を進めること。鉄道駅や車両内移動や情報提供などのバリアフリー化を支援し、必要な全ての場所へのエレベーター、エスカレーター設置をさらに推進すること。要望のあるところは、複数ルートの設置を行うこと。
 一、横田基地におけるPFOS等の有害物質の保管や土壌汚染の実態について、米軍に明らかにさせ対応させるとともに、都として立入調査を求めること。
 一、横田基地からCV22オスプレイを撤去させるとともに、事故が相次いでいるパラシュート訓練をやめるよう国と米軍に求めること。
 一、オスプレイ等の米軍機の危険な飛行、訓練の回数、飛行高度、騒音等の実態を詳細に調査すること。周辺自治体や都民と連携して、都内の全米軍基地の整理、縮小、返還を厳しく求めること。
 一、横田基地の軍民共用化の検討をやめること。
 次に、住宅政策本部について申し上げます。
 一、マンションの耐震診断、改修への助成率、上限額を抜本的に引き上げ、改修を行う管理組合の費用軽減を図ること。共用部分などの部分改修についても助成するなど、制度を拡充すること。外壁落下防止などの防災機能向上に対して、抜本的な助成制度をつくること。
 一、都としてマンション白書を定期発行するとともに、マンションの防災マニュアルを発行すること。
 一、マンションのごみ置き場用の土地、管理室、集会場、機械室、管理組合法人の保有する固定資産については、その公共性にふさわしく、固定資産税を減免すること。
 一、マンション管理組合の育成支援を進めること。区市町村がマンション管理組合を自治会、町会と同等に扱うよう働きかけること。
 一、法律、技術、管理など総合的なマンション相談窓口を都として開設するとともに、区市町村の相談体制整備等への支援を強化すること。
 一、都民の居住水準、居住費負担、住環境等の基準を都として定め、実現を図ること。また、最低居住面積水準を満たさない住宅を早期に解消するため、都として支援すること。
 一、都営住宅の新規建設を再開し、大量建設を進めること。建てかえ時に戸数をふやすこと。そのためにも、都営住宅の供給計画を抜本的に見直すこと。
 一、都営住宅に若年世帯、学生、単身者、同性パートナーの入居を可能とするよう入居基準を緩和すること。
 一、都営住宅の建てかえで生まれる都有地は、都営住宅増設や保育園、特別養護老人ホームなど福祉施設の整備、都民のための公共施設の整備を最優先にして活用すること。
 一、区市町村の居住支援協議会の設置促進のため、支援を強化するとともに、低所得者、高齢者、子育て世帯などの部会を設置し、具体的な支援策の協議を進めること。
 一、住宅に困窮している低所得者、若者、子育て世帯、高齢者等に対する直接の家賃助成を実施すること。
 一、土地所有者が建てたアパートなどを一括借り上げし、入居者に貸し出すサブリース契約において、土地所有者に一方的に家賃値下げや契約解除を迫るような悪質な行為が問題になっていることから、実態を調査し、適切な措置をとること。
 一、都営住宅の使用承継の基準をもとに戻し、一親等まで承継を認めること。
 一、都営住宅の長期の空き家を放置せず、速やかに公募にかけ、募集戸数をふやすこと。
 一、都営住宅の期限つき入居制度は廃止すること。現期限つき入居者の継続使用を認め、一方的退去を強要しないこと。若年世帯入居枠を都内全地域に拡大すること。
 一、都営住宅の計画修繕の完全実施、バリアフリー化、窓枠アルミサッシ化、本人設置の給湯器、風呂釜、浴槽の公費負担による更新を促進し、畳取りかえの公費負担など修繕負担区分を見直し、居住者負担を軽減すること。
 一、全ての都営住宅にエレベーター設置を早期に完了させること。
 一、都営住宅の省エネ、長寿命化、共益費負担軽減のために、共用部分の電灯は早期にLED化すること。
 一、東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅家賃の設定は近傍同種ではなく、応能負担を基本とした制度に改めること。
 一、公社住宅のバリアフリー化、窓枠やドアのアルミサッシ化、駐車、駐輪場、集会所等の増設など住環境整備への助成や貸し付けを拡充すること。特に階段室型住棟へのエレベーター設置を進めること。
 一、外国人、独身者、障害者、高齢者、ひとり親世帯、性的マイノリティーなどへの居住差別をなくし、誰もが安心して賃貸住宅を借りられるよう、公的な保証制度を確立すること。
 一、賃貸住宅紛争防止条例の周知徹底と賃貸住宅トラブル防止ガイドラインの普及を図ること。
 一、住宅リフォーム助成を都として実施すること。また、住宅リフォーム助成を実施する区市町村への財政支援を実施すること。
 以上です。

○中村委員 私は、都議会立憲民主党・民主クラブを代表して、当委員会に調査を依頼された令和二年度予算案に係る議案について意見の開陳を行います。
 令和二年度予算案は、過去最大だった昨年度に次ぐ予算規模となりましたが、昨年十月の消費税増税による消費の落ち込みに加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済への影響、社会への影響が増大する中で、過去にない厳しいかじ取りが求められています。
 東京都としては、当該予算のみならず、補正予算の編成や予備費の活用も含めて早目早目の対策を講じ、都民生活への影響を最小限に抑えるよう強く求めておきます。
 予算案は、予算編成方針で示されていたソサエティー五・〇の実現、ワイズスペンディングの視点などの基本方針に引っ張られてか、一番肝心な福祉や教育、防災など、都民の暮らしという視点が明確でないまま編成された感があります。
 私たちの要望に基づき予算化されたものもありますが、家賃補助の拡充や学校給食の無償化など私たちが最重点で求めてきた項目について、引き続き積極的な取り組みを求めておきます。
 また、都庁組織や職員定数においても、安易な肥大化を招くことのないよう、効率的、効果的な都政運営に取り組むとともに、事業評価についても明確でわかりやすく、かつ事業の根本にまで踏み込んで評価するなど、不断の改革に取り組まれることを強く求めるものです。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について申し上げます。
 まず、都市整備局関係について申し上げます。
 一、震災への備えとして、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化一〇〇%を早急に達成するよう、引き続き取り組みを進めること。
 一、住宅の耐震化についても自治体間の財政力格差にかかわらず推進されるよう、都として耐震化一〇〇%に向けた取り組みを強化すること。
 一、防災都市づくりについては、整備地域の不燃領域の拡大に取り組むとともに、多摩地域の老朽木造住宅密集地の不燃化についても積極的に推進すること。また、避難場所の一層の確保、避難距離三キロ以上の早期解消に向けて取り組むこと。
 一、多摩地域からの企業転出や大学等の都心回帰が続く中、多様なイノベーション創出拠点の形成を図るため、産業政策と連携した取り組みを進めること。
 一、都市計画道路の整備については、自転車専用レーンの設置に配慮するため、計画道路幅を検討すること。
 一、転落事故防止のため、鉄道駅へのホームドア設置を早急に促進するとともに、補助対象を拡大すること。ホームドア設置までの間、安全柵や転落感知装置などが設置されるよう都として支援すること。
 一、満員電車ゼロの実現に向けて、都として早急に取り組むこと。
 一、外堀の水質改善に向けて調査を行うこと。また、玉川上水を活用した外堀への導水に当たっては、水源、水量の確保や暗渠区間の改良など、必要な課題について検討すること。
 一、緑あふれる東京基金の活用に当たっては、既存の緑地や農地の保全を優先的に実施し、緑地の減少を食いとめるため、市区町村の取り組みと十分に連携すること。
 次に、住宅政策本部関係について申し上げます。
 一、低所得者やひとり親家庭等の住宅確保要配慮者の居住安定化を図るため、登録戸数をふやすとともに、家賃補助等を実施、拡充し、住宅セーフティーネット機能の強化を図ること。
 一、高齢者の住まい確保のため、サービスつき高齢者向け住宅供給助成を着実に実施すること。また、住宅確保要配慮者の居住を支援するため、東京都居住支援協議会を運営するとともに、地域の居住支援協議会の設置促進、運営充実を促すこと。
 一、市区町村における空き家対策計画の策定を支援するとともに、民間事業者への支援を行い、空き家活用を進めること。空き家問題の未然防止のための環境整備や中古住宅の流通活性化、マンションの空き住戸問題なども含めて、総合的な対策を策定すること。
 一、家賃補助などの支援策拡充など、低所得かつ住宅に困窮する都民の多くに対して、平等な住宅政策の構築に向けて取り組むこと。
 一、東京都子育て支援住宅認定制度や子育て世帯向け優良賃貸住宅などにより、子育てに配慮した住宅の供給を促進すること。環境に配慮した住宅の供給を促進すること。
 一、マンションは地震による倒壊等があった場合、周辺地域に与える影響が大きく、応急救助活動はもとより、復旧、復興の妨げにもなりかねないため、適切な管理はもとより、耐震診断、改修促進により一層努めること。さらに、LCP、居住継続性能により、災害時でも給水やエレベーターなどが停止しない住宅の普及促進を図ること。
 一、高層マンションや大規模マンションに対しては、空地や大きなエントランスがあり、震災時の避難先、水害時の垂直避難先として地域に貢献できる建物となるよう、日常的な交流関係を築けるよう働きかけること。
 一、高齢世帯への見守りサポートについては、都営住宅、民間賃貸住宅などさまざまな住宅種別で受けられるよう制度を構築すること。
 一、都営住宅の集会所等については、周辺の地域住民も含めた活用について積極的に検討すること。
 一、都営住宅の入居要件については、都人権条例に基づき同性カップルの入居を可能とするなど、いわゆるLGBTの方等への差別が解消されるよう早急に見直すこと。
 以上で都議会立憲民主党・民主クラブを代表しての意見開陳を終わります。

○奥澤委員 無所属東京みらいを代表して、意見を申し上げます。
 一般会計歳出総額七兆三千五百四十億円、公営企業会計や特別会計を合わせると約十五・五兆円に上る令和二年度予算案に加え、新型コロナウイルス感染症対策の影響を最大限抑えるべく補正予算を組んだことは、適切な判断であると考えます。
 いまだ事態収束が見えない中ではありますが、重症度に応じた医療体制の確保とあわせて、適切な情報発信により日常生活を取り戻していく道筋をつくっていく必要があります。それまでの間は、厳しい環境で暮らす方へのセーフティーネットを初め、十分な対策を思い切って講じることも重要です。
 一方で、新型コロナウイルス感染症による世界経済の混乱は、大幅な税収減のリスクを高めており、より一層健全な財政運営を心がける必要性も申し述べておきます。
 私たちは、誰もが自分らしく幸せに暮らせる世界で一番輝く都市を目指しておりますが、今般の新型コロナ対策に関連して顕在化した課題にも目を向ける必要があります。時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の推進や、一斉授業によらない学び方や食や運動などの学校の多面的な価値の発揮、子育てに社会全体で取り組んでいく子育ての社会化や保育保障などを進め、これまで当たり前とされてきた暮らしを転換するきっかけにすべきです。
 未来の東京戦略ビジョンや新たな都政改革ビジョンといった、これからの二十年に向けた羅針盤が示されました。私たちの独自調査では、満足度の向上とともに、不便や不安などの不を解消することが幸福度を高めることがわかってきました。
 児童虐待の未然防止や教育格差の解消、少子高齢化への対応や災害対策など、広域行政である都だけが果たすことのできる役割を自覚し、官と民の新しい協働スタイルを確立していく必要があります。エビデンスに基づいた具体的かつ効果的な施策を提案し、実行する都庁へと改革を進めるよう求めるものです。
 ここからは、各局について述べさせていただきます。
 まず、都市整備局関係について申し上げます。
 激化する世界の都市間競争の中で、東京に世界から人、物、お金、情報が集まるよう戦略的なまちづくりを進めていくこと。
 都市の3Dデジタルマップの作成については、広く都民参加を促す視点も重視すること。
 自動運転やロボット、AI等の技術革新を見据え、スマート東京の実現に向け、関係局と連携した取り組みを進めていくこと。特にスマート東京先行実施エリアである南大沢では、地域住民の課題解決に資する取り組みを重点的に進めること。
 多摩ニュータウンにおいて、若い世代の転入と多世代交流を促す施策を推進し、地域の活性化につなげていくこと。その際、住民が主体的にまちづくりに参加するよう働きかけをすること。
 多摩のイノベーション創出拠点を整備するに当たっては、市町村自身が気づいていない魅力を引き出すとともに、主体的な取り組みを促すこと。
 鉄道駅の安全性と快適性を高めるため、エレベーター、ホームドア、多機能トイレの整備などのバリアフリー化をより一層進めていくこと。その際、障害者や高齢者、子供連れの方などの当事者による点検も進めていくこと。
 多摩モノレールの延伸の検討においては、沿線のまちづくりと連動した取り組みにより、民間投資を促す仕組みについても検討すること。
 地域交通のあり方を検討するに際しては、コミュニティバスや次世代モビリティーへの支援も念頭に検討を進めること。その際、デマンド交通の実証実験で得られたデータを十分に活用すること。
 スムーズビズを推進するに当たっては、各局の取り組みについて効果測定を行い、満員電車解消に向けた取り組みを加速すること。
 東京の国際競争力向上に資する羽田空港の機能強化については、引き続き地域住民の安全・安心に十分配慮する対策を国に求めること。
 羽田空港アクセス線については、早期整備に向け、事業者の取り組みを力強く後押ししていくこと。
 都心と臨海副都心を結ぶBRTについては、運行開始に向けて着実に整備を進めるとともに、そこで得られた知見を今後の交通政策に十分活用すること。
 臨海地域のまちづくりについては、東京の魅力向上に資するよう、官民連携ワーキンググループからの提言を生かし、関係各局と連携して取り組むこと。
 築地市場跡地の再開発については、そのポテンシャルを最大限引き出すべく、民間事業者の発想を十分に引き出し、かつ長期に一貫したエリアマネジメントがなされるよう、事業者の選定に当たること。
 舟運においては、実証実験のデータを踏まえた新たな活用を検討するとともに、民間による航路拡充や夜間帯の運航にも取り組むこと。
 都市の事前復興の理念に基づき、区市町村と連携した復興訓練に取り組むこと。その際、財政的な裏づけを初め、関係各局との事前の連携を強化すること。
 燃えない、倒れない、災害に強いまちづくりを進めるべく、建物所有者を初めとする利害関係者との意思疎通を十分に図ること。
 豪雨災害への備えとして、雨水浸透ますの設置などを周知し、都民自身ができる取り組みを促進すること。
 都市の緑を充実していくに当たっては、多様な主体と連携した取り組みを推進し、質の高い緑を創出していくこと。
 次に、住宅政策本部関係について申し上げます。
 空き家の増加やマンションの老朽化の深刻化といった住宅そのものが抱える課題への対策を進めるとともに、コミュニティの形成や就労の支援、再犯の防止など都政を取り巻く諸課題の解決に向けて、住宅という観点から積極的に取り組むこと。
 東京都性自認及び性的指向に関する基本計画を踏まえ、他の自治体における動向や課題等を調査検討し、都営住宅において同性パートナーが入居できるようにすること。
 都営住宅において、多世代共生が実現するよう若年ファミリーの入居期間を延長する、大学との連携を強化するなどの取り組みを進めること。
 都営住宅の建てかえの際には、保育施設や学童クラブ、スーパーなどの子育て世代にとって重要な施設を設置することも含めて、子育て世代の誘因策を実施するとともに、公園や道路などの周辺環境の整備においては、例えば無電柱化の支援など、地元自治体への支援を検討すること。
 都営住宅の駐車場について、その空き区画の有効活用を図るべく、居住者への周知に努めること。
 都営住宅や公社住宅の居住者の高齢化などを踏まえ、買い物弱者支援や移動支援を積極的に進めること。
 介護が必要な高齢者や障害者などの生活実態を踏まえ、都営住宅における使い勝手の向上や間取りの見直し、基準の緩和などを検討すること。
 東京みんなでサロンを実施する上では、食や健康、防災といったさまざまなテーマで開催することで、新たなコミュニティ形成に資する取り組みとすること。
 都営住宅におけるシェア居住を行うに当たっては、居住者間のトラブルを未然に防ぐためのルールづくり、あるいはライフスタイルの近い者同士が住むことができるような公募の仕方を検討すること。
 大学研究者からの事業提案制度を実施するに際しては、そこで得られるデータを他の自治体も活用できるよう検討すること。
 東京都住宅供給公社の一層の活用を図るために、東京都と東京都住宅供給公社の役割分担を見直し、外注できる業務は民間企業へ外注することやテクノロジーの活用で業務効率化を図ることで余力を生み出し、少子高齢化などの新たな課題に対応していくこと。
 マンションの適切な管理、再生の促進を図るとともに、地域における社会的機能を果たすため、管理組合の強化のみならず、入居者の意識や行動変容を促す、より踏み込んだ施策を検討すること。
 セーフティーネット住宅をふやしていくために、不動産業者のみならず、オーナーへの啓発を進めること。
 以上です。

○馬場委員長 以上で予算案に対する意見開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において取りまとめの上、調査報告書として議長に提出いたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○馬場委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第四十八号議案、第四十九号議案及び第五十一号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対して発言の申し出がありますので、これを許します。

○和泉委員 第四十九号議案に対する反対意見を述べます。
 四十九号議案、東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例は、屋外広告物のうち、プロジェクションマッピングをまちづくりや活性化の一環として推進する立場から、条例に位置づけるというものです。
 国のガイドラインは、一定の公益性という条件はあるものの、ポスターなどよりも規制が緩く、映像投影対象も限定されず、プロジェクションマッピング面積の制限も緩くなっており、規制緩和の行き過ぎが批判されています。
 都の条例改正は、国のガイドラインをそのまま適用するものではありませんが、デジタルサイネージの車両積載禁止など他県よりも屋外広告に厳しい規制をかけてきたことと比べても、その規制の緩さはバランスを欠いたものといわざるを得ません。
 歩行者や運転者への幻惑効果を及ぼす危険が極めて高いことから、事故がふえる危険性もあり、運用には慎重さが求められます。専門家や都民の意見を十分に聞き、検討する場を設けるべきです。条例化は時期尚早であり、反対です。
 以上です。

○馬場委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第四十九号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○馬場委員長 起立多数と認めます。よって、第四十九号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第四十八号議案及び第五十一号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認めます。よって、第四十八号議案及び第五十一号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○馬場委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。

○馬場委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、佐藤東京都技監から発言を求められておりますので、これを許します。

○佐藤東京都技監 一言御礼のご挨拶を申し上げます。
 このたびの定例会に提案いたしました議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。
 馬場委員長を初め委員の皆様方には、熱心な審議を賜りまして、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程でいただきましたご意見、ご指摘などにつきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいりたいと考えております。
 今後とも、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、大変簡単ではございますが、御礼のご挨拶とさせていただきます。まことにありがとうございました。

○馬場委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十二分散会

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