委員長 | 馬場 信男君 |
副委員長 | 奥澤 高広君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 古城まさお君 |
理事 | 秋田 一郎君 |
理事 | 村松 一希君 |
菅野 弘一君 | |
清水やすこ君 | |
西郷あゆ美君 | |
森口つかさ君 | |
関野たかなり君 | |
中山 信行君 | |
中村ひろし君 | |
曽根はじめ君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 東京都技監都市整備局長兼務 | 佐藤 伸朗君 |
次長総務部長事務取扱 | 桜井 政人君 | |
技監 | 上野 雄一君 | |
理事 | 中島 高志君 | |
都市づくり政策部長 | 小野 幹雄君 | |
都市基盤部長 | 山下 幸俊君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 安部 文洋君 | |
市街地建築部長 | 青柳 一彦君 | |
基地対策部長 | 高原 俊幸君 | |
連携・連絡調整担当部長 | 八嶋 吉人君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
担当部長 | 小口 新吾君 | |
まちづくり推進担当部長 | 吉野 敏郎君 | |
まちづくり調整担当部長 | 木村 宣代君 | |
景観・プロジェクト担当部長 | 山崎 弘人君 | |
交通政策担当部長 | 森 高志君 | |
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 | 新谷 景一君 | |
防災都市づくり担当部長 | 三宮 隆君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 松崎 浩一君 | |
局務担当部長 | 奥秋 聡克君 | |
耐震化推進担当部長 | 青木 成昭君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 泉水 一君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
都市整備局所管分
・第十四号議案 令和二年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 令和二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十号議案 令和二年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十八号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第四十九号議案 東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都市計画公園・緑地の整備方針及び緑確保の総合的な方針の改定について
・防災都市づくり推進計画の基本方針の改定について
・東京都耐震改修促進計画の改定について
○馬場委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十四号議案、第十七号議案、第二十号議案、第四十八号議案、第四十九号議案及び報告事項、都市計画公園・緑地の整備方針及び緑確保の総合的な方針の改定について外二件を一括議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○桜井次長 去る二月十三日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料(二月十三日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。資料は九件でございます。
一ページをお開き願います。1、首都高速道路に対する出資金の推移(過去十年間)でございます。
平成二十一年度から平成三十年度までの出資金について、年度別に記載してございます。
二ページをごらんください。2、実機飛行確認期間中に都に寄せられた意見の件数とその内容でございます。
(1)、問合せ件数及び(2)、主な意見について記載してございます。
三ページをお開き願います。3、東京における航空機能に関する調査テーマ一覧(過去五年間)でございます。
(1)、東京における航空機能に関する調査及び(2)、横田基地軍民共用化に関する調査について、平成二十六年度から平成三十年度までの調査のテーマについて、年度別に記載してございます。
四ページをごらんください。4、特定整備路線の進捗状況(都市整備局施行)でございます。
特定整備路線の境界立ち会い率及び用地取得率について、路線別に記載してございます。
五ページをお開き願います。5、特定整備路線の予算・決算額の推移(都市整備局施行)(平成二十五年度~令和二年度)でございます。
平成二十五年度から令和二年度までの予算額及び決算額について、年度別に記載してございます。
六ページをごらんください。6、都及び区市町村が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧でございます。
(1)の耐震診断につきましては、六ページから一一ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額または補助対象限度額、補助率を記載してございます。
一二ページをお開き願います。(2)、耐震改修につきましては、一二ページから二〇ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額、補助対象限度額または融資限度額、補助率または利子補給率を記載してございます。
二一ページをお開きください。7、都が支援する区市町村の耐震化促進普及啓発活動事業一覧でございます。
二一ページから二三ページにかけまして、今年度、都の助成対象事業となっている区市町村の普及啓発事業を、緊急輸送道路沿道建築物を対象とした事業と、その他の事業の別に記載してございます。
二四ページをごらんください。8、生産緑地地区の区市別面積(過去五年間)でございます。
平成二十七年度から令和元年度までの区市別の生産緑地地区の面積を記載してございます。
おめくりいただき、二五ページをごらんください。9、基地対策連絡調整会議の部会及び開催状況(過去三年間)でございます。
(1)、部会一覧及び(2)、過去三年間の開催状況について記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○馬場委員長 説明は終わりました。
これより、ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○森口委員 まずは、先端技術を活用したまちづくりの検討について伺います。
将来にわたり、私たちの暮らしを大きく発展させるものが、AIやIoTなど最先端デジタルテクノロジーの活用であります。
都は、将来の東京の全ての人と物がデジタルテクノロジーでつながり、世界で最も便利で生活満足度の高い都市へと進化をするべく、本年二月にスマート東京実施戦略を発表いたしました。
令和二年度、スマート東京の実現に向けて、百五十八億円の予算が計上されており、都市整備局におきましては、先端技術を活用したまちづくりの検討として、都市の3Dデジタルマップ化と、西新宿、南大沢地区のスマートシティー重点整備が予定されております。
都市の3Dデジタルマップ化は、官民データプラットホームのデジタルツインの取り組みの一つとして取り組まれるものでありますが、平面ではなく、3Dデジタルマップを活用することによるまちづくりのメリットや狙い、今後の進め方について伺います。
○小野都市づくり政策部長 3Dデジタルマップは、共通のデータプラットホームの構築により、インフラの管理、災害時における応急対策立案などに活用できるほか、現実空間の事象を仮想空間に再現する、いわゆるデジタルツインの実現により、業務効率化やスマートシティー等の施策の高度化につなげるなど、さまざまな分野での効用が期待できております。
3Dデジタルマップの取り組みを推進するため、本年二月、庁内各局で構成します都市の3Dデジタルマップに関する検討チームを立ち上げ、国内外の技術や庁内動向などの情報共有を始めたところでございます。
来年度は、学識経験者や民間企業とも連携して、東京にふさわしい3Dデジタルマップのあり方、活用方策の検討などを行い、都民生活の質の向上につなげられるよう、早期構築を目指してまいります。
○森口委員 都市の3D化は、地形や建築物、交通機関など、社会インフラに関する情報を統合し、仮想空間上に3Dモデルとして再現をし、リアルタイムの交通人口統計、気候情報データを加えることで、仮想環境でシミュレーションすることができます。
世界の諸都市でも、3D都市モデルを活用し、土地や空間利用、社会インフラの最適配置、公共交通の改善、渋滞解消などに生かされております。
令和二年度より、都市のデジタルツインとして、災害対策や渋滞対策等、さまざまな都市課題のシミュレーションを実証実験するとともに、5Gと先端技術を活用した分野横断的なサービスの都市実装が五つのエリアで開始がされていきます。
その中でも先行整備されていくのが、西新宿のスマートシティー化であります。
新宿は、世界一の乗降客数である新宿駅を中心としまして、東に世界有数の商業地域や繁華街、そして西に国際的なビジネス拠点や、ここ都庁を有しまして、世界中から人や資本、情報が集まる多様性とにぎわいにあふれたまちであります。
今後、二〇四〇年代に向けては、駅の改良や駅ビルの更新が進み、新宿グランドターミナルとして再編が行われ、東西のまちをつなぐ、一体的な拠点整備が行われることになります。
まずは、令和二年度の5G重点整備の具体的な取り組みとその予算額について伺います。
○小野都市づくり政策部長 新宿エリアが日本におけるビジネスと商業、観光の中心地として、将来にわたり輝き続けるためには、先端技術を活用した分野横断的なサービスが実装された都市への転換が求められております。
そのため、西新宿地区に整備される5G環境を踏まえ、まちづくりにおける先端技術を用いたデータの利活用等に向けた調査検討を実施いたします。
来年度は調査費として三千万円を計上しております。
○森口委員 西新宿の5G重点整備に当たっては、各局で予算がついておりまして、5Gアンテナの整備、Wi-FiやLED灯などを搭載したスマートポールの設置、スタートアップハブの開設、スタートアップピッチイベントの実施、都民が5Gを体験できるイベントやライブ、また、プロジェクションマッピングなど、さまざま検討がされております。
西新宿におけるスマートシティー化の取り組みに当たっては、世界で最も便利で生活満足度の高い東京の実現を牽引するモデル地域として、新宿の将来の東西の再編を見据え、地元新宿区やまちづくり団体、地域の方々、また、企業とも連携をし、迅速な整備を進めていただきたいと考えますが、見解をお伺いします。
○小野都市づくり政策部長 5Gと先端技術を活用した分野横断的なサービスの都市実装を都内全域、全国へとホップ・ステップ・ジャンプで展開するために、西新宿等を先行実施エリアとして迅速に取り組みを進めることとしております。
来年度は、5Gの基盤整備やxRライブなどのイベントの開催、スタートアップ支援事業等を予定しております。
早期の西新宿スマートシティー実現に向け、地域の課題を抽出し、先端技術の活用などを含めた解決策の検討を、関係各局やエリアマネジメント団体など地域の方々、地元新宿区等と連携しながら、スピード感を持って進めてまいります。
○森口委員 令和二年度から始まるスマートシティーの先行整備でありますが、来年度は調査検討、課題を抽出するとのことでありますが、具体的な社会課題の解決や、ビジネスのイノベーションの推進、また、生活の利便性の向上につながる実証実験や社会実装についても、同時並行で積極的に進めていただき、その取り組みを東京全体に迅速に展開していただきたいと要望し、次の質問に移ります。
耐震改修促進計画の一部改定について伺います。
都はこれまで、緊急輸送道路の機能確保に向けた沿道建築物の耐震化や、住宅の耐震化など、耐震診断、耐震改修を進めてきました。
さらなる耐震化の推進に向けて、今月末計画が改定されます。特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の政策目標が、区間到達率や総合到達率といった新たな手法が加わり、変更されることになります。
政策目標の変更に当たっては、これまで進めてきた耐震化に関する一定の総括が必要と考えますが、見解を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について、令和元年度末までの目標は、迂回することで通行機能を確保できるよう、耐震化率九〇%以上としており、令和元年十二月末現在は八五・九%となっています。
計画の改定に当たっては、これまでの耐震化率では実質的な通行機能が確保できているかどうか的確にあらわすことができないので、区間到達率などを用いて検証することとしました。
この指標により、大規模救助救出活動拠点への到達率を検証したところ、ごく一部を除き、到達できることが確認できましたので、迂回することで通行機能を確保するとした令和元年度末までの目標はほぼ達成しました。
一方、特定緊急輸送道路全体を見ますと、区間到達率の低い区間が存在しておりまして、今後、こうした区間を解消していく必要があります。
○森口委員 ありがとうございます。
今回、改定される耐震化促進計画において、政策目標の変更に伴いまして、特定緊急輸送道路の通行機能確保に向けて、新たな耐震化の施策が必要不可欠と考えますが、見解をお伺いします。
○青木耐震化推進担当部長 令和七年度の目標は、必要な通行機能がおおむね確保できる水準としており、今後、任意の地点に到達できるようにするため、特に倒壊の危険性が高い建築物への対策が必要です。
さらに、テナントビルなどについて、耐震化へ向けた関係者の合意形成が得られる仕組みを充実していく必要があります。
このため、まず、特に倒壊の危険性が高い建築物の段階的な改修について、二回目以降の工事が未定の場合も対象とする補助要件の緩和を行います。
これは二回目以降の工事を終えて耐震化が完了するまでには、大規模修繕の期間を考慮すると時間を要することとなりますが、倒壊確率を低減し、道路閉塞を防ぐことで必要な通行機能を早期に確保する観点から有効です。
また、テナントビルなどの耐震改修について、占有者にかかわる費用分を加算する補助の拡充を行うことで、所有者の取り組みを促してまいります。
○森口委員 新たな施策としまして、段階的改修の補助拡充と、また、テナント占有者にかかわる補助の拡充が始まるとわかりました。
令和二年度から始まる新たな耐震化施策について、具体的にそれぞれの施策の補助要件と助成額、また、割合についてもお伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 段階的改修の補助拡充は、特に倒壊の危険性が高い建築物の耐震性能を一回目の工事でIs値〇・三以上とする場合を対象としています。
原則として、工事費用の六分の五を助成するもので、一般的な改修工法の場合、一平方メートル当たりの助成単価は五万一千二百円です。
また、テナントビルなどにおける補助の加算を行うこととしておりまして、賃貸借契約が確認できる建築物の改修工事等を対象とします。
賃貸住宅の契約数やテナントの契約数、占有面積に応じて、従来から補助の対象としている工事費の十五分の一を限度に加算するもので、例えば、百平方メートル以上二百平方メートル未満のテナントの場合、一件当たり九十万円を限度額の範囲内で加算します。
○森口委員 テナントビルなどにつきましては、国の補助と合わせますと、最大で九十分の八十七の助成となりまして、耐震化が一層進むことが期待されます。
新たな耐震化の指標である区間到達率や総合到達率について、早期の通行機能確保の観点から、耐震化率と同様に公表していくことが必要と考えますが、どのような数値をいつ公表することを検討しているのか、お伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 これまでおおむね七月と一月に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率を公表してきました。
今後は、半年ごとに耐震化率に加えまして、特定緊急輸送道路の区間到達率の図と総合到達率の数値を公表していく予定でございます。
○森口委員 ありがとうございます。
今回、法改正に伴いまして、特定緊急輸送道路沿道のブロック塀等の耐震化についても、診断が義務づけられることになります。
この補助要件と助成額、また、割合についてお伺いをいたします。
○青木耐震化推進担当部長 耐震診断が義務づけられるブロック塀等については、除却や安全な塀への建てかえなどにつなげるよう、速やかに診断を行うため、都の技術者派遣制度を活用して診断を実施することとしており、診断について所有者の負担はありません。
都の技術者派遣につきましては、診断義務づけ対象となるブロック塀等について、所有者からのお申し出に基づき行うこととしています。
○森口委員 所有者の負担なく、直接都から技術者を派遣するとわかりました。
道路閉塞につながるブロック塀の診断義務化について、新年度、予算が計上されていますが、区部、多摩部において、それぞれどの程度危険箇所を認識しているのか、見解をお伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 概況調査によりまして、高さと長さが診断義務対象の要件に該当する塀を調べたところ、区部には該当する塀がなく、多摩部の十三市二町に計三十七件あることを確認しました。
今後、技術者派遣制度を活用し、耐震基準に適合しているかなどを明らかにしてまいります。
○森口委員 特定緊急輸送道路としては、比較的幅員の狭い多摩部が対象であるということがわかりました。
さまざま、新たな計画、施策について確認をさせていただきましたが、耐震改修促進計画について、過去を調べますと、平成十九年三月に策定された後、平成二十三年度末に、四年後の平成二十七年度に特定緊急輸送道路沿道建築物を耐震化率一〇〇%にするという目標が定められていました。
前回、平成二十七年度末の改定におきましては、沿道建築物の耐震化率が目標の一〇〇%に対して、当時八一%ほどでありまして、都は、新たな目標として、東京五輪までの四年間で九〇%、その後、令和七年度で一〇〇%を達成すると、目標のハードルを下げるような経緯が見てとれました。
そして、四年がたちまして、今月その目標年次に当たるわけでありますけれども、四年前に改定した目標の九〇%に対して、現状八六%ほどであるわけであります。
今回の改定は、そもそも目標の指標自体を変更するといったものであります。通行機能確保といった到達率という新たな指標を用いることは賛成でありますが、沿道建築物の耐震化のそもそもの評価基準や目標、また、補助要件、支援策が変更となるわけでありまして、関係者や都民に対して丁寧な説明が必要と考えます。
そこで、四月から実施される新たな耐震化施策に向けては、関係する区市、耐震性不十分な建物所有者、耐震アドバイザーの専門家に対する周知や連携を進めるとともに、広く都民に対しても計画改定に関する周知が必要不可欠と考えますが、見解をお伺いします。
○青木耐震化推進担当部長 耐震化を促進するためには、区市町村などと連携し、所有者へ働きかけていくことが重要です。
このため、耐震改修促進計画の一部改定案については、区市町村などと情報共有を図っており、新たな助成制度についても積極的に活用するよう促しています。
都民に対しましては、耐震ポータルサイトにより、今回の計画改定に当たって設置した検討委員会の議事内容を随時公開するなど、情報提供に努めてきました。
今後も、ポータルサイトや耐震キャンペーンなどの機会を通じて、広く都民に周知を図ってまいります。
○森口委員 次に、災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議について伺います。
国と都の実務者による災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議が設置され、本年一月十五日に第一回会議が開催をされております。
この会議の立ち上げは、昨年八月、小池知事が当時の石井国交大臣とともに、スーパー堤防の整備と市街地再開発を一体的に実施した小松川地区を視察した際に、小池知事から大臣に提案したことがきっかけであると伺っております。
これまでも、都においては、それぞれの防災対策について、国や区市町村とともに対策を協議する会議がとり行われていると思いますが、今回新たに立ち上げられた連絡会議の意義や、その目的についてお伺いします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 首都東京は、都市機能が高度に集積する一方、海面水位より低い地域や木密地域が広がるなど、洪水、地震等の自然災害に対するリスクが極めて高い地域でございます。
これまでも洪水、地震に備えまして、さまざまな対策を進めておりますが、その一方で、気候変動による大規模洪水や首都直下地震の危険性や切迫性が高まっております。
こうしたことから、首都東京におきまして壊滅的な被害を回避できるよう、国と都がハード、ソフト両面から連携し、防災まちづくりを強力に推進していくため、本年一月に災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議を設置いたしました。
この会議では、防災まちづくりにつきまして、実効性のある対策が講じられますよう、専門分野の実務者が一堂に会し、民間を含めて知見や情報を幅広く共有しながら、検討を進めていくこととしております。
○森口委員 首都東京のハード、ソフト両面の防災対策を、国と都の実務者が一堂に会し、検討するという会議体でありまして、これはセーフシティー東京の実現に向け、防災まちづくりを強力に、そして迅速に推進をしていくという、小池知事の強い意思のあらわれと大変評価をいたしております。
そこで、今回、国と都の実務者による新たな会議体により、実効性ある検討がなされ、早期に防災対策につなげることが期待されますが、連絡会議をどのように進めていくのか、今後の予定も含めてお伺いをいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 当面は、喫緊の課題でございます東部低地帯の水害対策や、木密地域での地震対策を中心に検討することとしております。
本年一月に開催されました第一回会議では、これまでの取り組みを共有するとともに、課題につきまして議論を行いました。
その後、国の関係部局との協議や関係する地元区からの意見を聞くなどして、課題について具体的な検討を進めております。
今月中を目途に、第二回会議を開催しまして、来年度の早い時期に一定の取りまとめを行いたいと考えております。
○森口委員 今後も東京の防災まちづくりの推進に当たって、東部ゼロメートル地帯での水害対策や、木密の解消とともに、国と連携し迅速に解決しなければいけない災害対策の課題が多いわけであります。
大規模な防災、減災のインフラの整備、また、首都高の大規模更新、帰宅困難者対策における民間施設の免責、災害時のエネルギーの確保など、国の予算や法改正が必要不可欠な課題が山積みであります。
こういった連絡会議を活用し、スピード感を持って国土強靱化や防災まちづくりを強力に推進していただきたいと要望し、最後の質問に移ります。
マンションの空き駐車場問題への対応について伺います。
昨年三月に、マンションの附置義務駐車場に関する緩和の取り扱いを策定しておりますが、実態に応じた対応については一定程度評価をいたしておりますが、一方で、この取り扱いを知らないマンションの存在や、機械式駐車場の撤去、管理組合による駐車場収入の扱いなど、緩和後の対応について整理すべき課題があると伺っております。
そこで、これまでどのような周知を行い、どのような反響があったのか、また、さらなる周知を行うとともに、管理組合などからの相談にも丁寧に対応すべきと考えますが、都の見解を伺い、私の質問を終わります。
○青柳市街地建築部長 都は、昨年三月に取りまとめたマンションの附置義務駐車場に関する緩和の取り扱いについて、管理会社等の業界団体の研修会などで説明を行うとともに、都のホームページ等への掲載や、区市を通じた管理組合等への周知を行ってまいりました。
本年二月時点で、都及び区市には約七十件の問い合わせがあり、附置義務の緩和について、管理組合内で議論する際に参考となる情報を求める声が多うございました。
このため、関係部署と連携し、年度内にも管理組合向けのマンション管理ガイドブックに、附置義務緩和の取り扱いについての情報を新たに掲載するとともに、今後、相談があった場合には、マンション管理アドバイザー制度を紹介するなど、管理組合等の取り組みを支援してまいります。
○中山委員 初めに、区部流通業務団地の都市計画変更に向けた取り組みについて質問します。
区部流通業務団地の施設及び機能の更新を誘導するため、来年度予算案に都市計画変更手続等に必要な検討調査費を計上していますが、これまでの取り組み状況についてお伺いをいたします。
○山下都市基盤部長 区部流通業務団地は、昭和四十一年に施行されました流通業務市街地の整備に関する法律に基づき、倉庫やトラックターミナル等の流通業務施設を集約的に立地させた都市施設でございまして、既成市街地周辺部で交通、地理条件の良好な南部、北部、西北部、東部の四カ所で都市計画決定され、整備されてございます。
これらの流通業務団地につきまして、施設及び機能の更新に当たり、近年の物流ニーズの変化に応じた適切な更新へ誘導していくため、施設用途の複合化や適切な建築形態などの都市計画の見直しの方向性を整理いたしまして、昨年九月に公表しております。
これを踏まえまして、南部流通業務団地につきましては、地元区や地権者と丁寧に検討を重ね、本年三月に都市計画を変更いたしました。
ほかの三カ所の流通業務団地につきましても、順次都市計画変更を行い、施設や機能の更新を誘導してまいります。
○中山委員 南部流通業務団地につきましては、昨年九月に公表されました都市計画の見直しの方向性に基づき、先行する形で、本年に入ってこの三月に地元区や地権者との検討を経て、都市計画を変更しているとのことでございます。
残る北部、西北部、東部の三カ所につきましても、今後、都市計画の変更が検討されるというご答弁でございました。
そこで、私の地元足立区の北部流通業務団地についての現在までの取り組み状況をお伺いいたします。
○山下都市基盤部長 足立区入谷にございます北部流通業務団地では、本年二月に地権者が中心となり、都や足立区もオブザーバーとして参加いたしまして、都市計画変更に向けた勉強会を開始いたしました。
この勉強会では、昨年公表いたしました都市計画の見直しの方向性に基づき、トラックターミナル、倉庫、卸売業等の機能をあわせ持つ複合的な施設や、展示場や会議室などの支援機能、保育施設等の就業者支援施設の整備が可能となるように、必要な検討を行っていく予定でございます。
あわせまして、団地内の諸課題についても議論し、協議、検討していくこととなっております。
○中山委員 この地域では、幾つか解決や改善を目指すべき地元としての課題が存在しております。この際、地元が抱える課題の解決もあわせて検討していただきたいと思います。
その意味で、本日は、例示として二点の課題をご紹介させていただきます。
一つは、違法駐車対策であります。
北部流通業務団地内の施設が原因と思われます路上駐車が、隣接する都立舎人公園付近にあふれておりまして、地元の東京都トラック協会足立支部の役員のお話では、夜半や朝方も含めて百台近くのトラックなどが路上に駐車しております。
これらのトラックなどは、北部流通業務団地内の東京都の中央卸売市場の一つであります北足立市場や、日本自動車ターミナル株式会社が管理経営する足立トラックターミナルなどへの搬入車両で、荷おろしの指示待ちや荷おろし後の空き荷台に積み込むことを前提とした待機車両でありまして、基本、地元のトラック協会に所属する車両ではございません。しかし、一般の区民の方にはその違いがわかりませんし、苦情が足立区役所にも行きますし、トラック協会の足立支部にも届きます。
そこで、足立支部の方々から、私どもにお話がございまして、平日の夜半はほぼがらがら状態であります都立公園の駐車場の活用も含めて、路上駐車の車の数を減らすご相談を承りました。去る一月三十一日には、都の建設局とトラック協会足立支部との間の意見交換の場を設定させていただいた次第であります。
その際には、近藤やよい足立区長名による、三浦建設局長宛ての善処を求める要望書も、同日手交されたところでございます。
しかし、三カ所ある舎人公園の駐車場をフルスペックで活用できたとしても、百台の大型トラックの収容は不可能でありまして、ましてや日中、休日は公園利用客の駐車が優先される、それが都立公園としての駐車場の本来の目的でございますので、抜本的な解決というわけにはいきません。北部流通業務団地の施設管理者が、当事者意識に立っての解決の道を探るべきであります。
また同じく、舎人公園の駐車場は、災害時には、現在、足立区と東京都との間の協定で、災害で発生した瓦れきの置き場として利用される予定となっております。
首都高速道路の出入り口近くに存在しておりまして、しかも、平日の日中は余り使われていない広大な空間であります舎人公園の駐車場は、首都直下地震などの際に、全国から大型車両で運び込まれてくる救援物資等の小型車両への積みかえ拠点として最適であると、東京都との間で災害時の物資輸送の協定を結んでいるトラック協会の役員の方々は口をそろえて、舎人公園の駐車場の取り扱いの仕方をもったいないなというふうにおっしゃっておられます。
トラック協会の方々には、東京都の白鬚橋の物資倉庫ですとか、立川の物資倉庫も見ていただきました。いろいろと使い勝手が、いざというとき、こういった点、課題がありますよということをいわせていただいて、東京都の方々もよく納得していただいて、今回板橋区に、健康長寿医療センターのところに特養をつくりますけれども、その際に物資倉庫をつくるということで、そこにわざわざ呼ばれて、あらかじめ計画に対してアドバイスが欲しいということで、ご提言をされたりしています。
一方、現状、救援物資の積みかえ場所に予定されているのは、北部流通業務団地内のトラックターミナルであります。しかし、トラックターミナルは、日中も夜半も、いろんな物流会社の大型トラック車両が常時多数入っていまして、貨物で満杯であり、救援物資の積みかえ場所としては、災害時、恐らく使えないであろうというのがトラック協会の方々の意見であります。
こうしたミスマッチが、都と地元区との間の協議の結果に生じてしまっている原因は、申しわけないけれども、東京都の総務局の総合防災部が、災害時の施設利用のあり方に関するガイドライン的なもの、基準となるものを何ら示してこなかったがために、そのまんま協議をしているから、こういう結果になってしまっているのだと、私は思っておりますけれども、本日は都市整備委員会の席上でありますので、そのこと自体は議論はいたしません。私の問題意識は、既に総合防災部には伝えてあります。
とはいえ、北部流通業務団地の都市計画変更に関するせっかくの勉強会の機会が、予算計上されて、訪れるわけでありますので、災害時対応のあり方を都や地元区を入れて再検討する絶好のチャンスだと思います。
既に地権者が中心となり勉強会が始まり、今後、団地内の諸課題についても議論し、協議、検討するとのことでありますが、この勉強会の中で、課題となっております災害時対応や周辺の路上駐車対策についても検討していくのかどうか、その点についてお伺いをいたします。
○山下都市基盤部長 ただいま委員の方からお話がありました災害時の対応につきましては、地元足立区におきましても、災害時の業務継続及び配送拠点としても期待しているところでございますので、勉強会での検討を働きかけてまいります。
また、団地内に出入りします車両による周辺道路の路上駐車対策につきましても、地元区や交通管理者の協力も得ながら検討するよう働きかけてまいります。
○中山委員 ぜひこの機会を生かして、都市計画の見直しということですけれども、都民生活、いろんな面での課題に寄り添って、まあ、そういう課題は生々しい課題が多いわけですが、その解決に役に立つ、そういう都市計画変更になりますよう、そういった勉強会としていただくことを要望して、次の質問に移らせていただきます。
次に、木造住宅密集地域の解消に向けた取り組みについて質問します。
都議会公明党は、今回の本会議代表質問で、相続の機会にしか、なかなか不燃化に向けた建てかえが進まない木密対策の現状を打破するための取り組みとして、地域住民がこぞって関心を寄せるような魅力あるまち並みの創出や、新たな客足につながる商店街のリニューアルなど、夢や希望が膨らむ木密対策への転換を図るべきと訴えて質問をし、佐藤東京都技監からは、今回の防災都市づくり推進計画の基本方針の改定をもとに、今年度末を目途に基本方針を定めるとともに、来年度に整備プログラムを取りまとめるとした上で、区に対し、新たに各整備地域内の不燃化の現状や将来の見通しなどを詳細に示した地域別カルテを提供するとともに、地区ごとの特性に応じた実効性のある取り組みの展開につなげていくこと、さらに、計画の改定に先立ち、来年度から、防災性の向上とあわせて、地域特性を生かしたまち並みづくりのモデル的な取り組みを行う区への支援を新たに開始し、商店街など地域の持続的な発展のため、建てかえや事業継続の際に、経営面での課題等に対応できる専門家を派遣するといったソフト面での支援について、都庁内の関係局とより密接に連携していく旨の答弁をいただいたところであります。
木密地域は都内には約八千六百ヘクタール存在しています。この状態を何とか改善し、火災の延焼に対しても、地震に対しても、強靱な防災都市へと発展させる安心感と見通しのよい取り組みを開始するのが、令和二年度としていかなければなりません。
都は、防災都市づくり推進計画の基本方針を今年度末に改定し、来年度に整備プログラムを取りまとめていくとのことでございますが、改めて今後の具体的なスケジュール等をお伺いいたします。
○三宮防災都市づくり担当部長 都は、防災都市づくり推進計画に基づき、木密地域の不燃化に取り組んでまいりましたが、これまでの課題を踏まえ、計画の基本方針の改定案を示したところでございます。
今年度末を目途に基本方針を定めるとともに、来年度に整備プログラムを取りまとめてまいります。
具体的な取り組みといたしましては、不燃化特区制度のさらなる活用に加え、無接道敷地での建てかえの促進や、防災性の向上とともに地域特性を生かしたまち並みづくりへの誘導、高齢者の住みかえの円滑化など、一歩踏み込んだ取り組みを新たに展開してまいります。
○中山委員 地域特性を生かしたまち並みづくりについて、我が党の代表質問に対して、モデル的な取り組みを行う区への支援を行うという答弁が代表質問であったわけでありますけれども、このモデル的取り組みの狙いと、大まかなその内容につきまして、見解を求めたいと思います。
○三宮防災都市づくり担当部長 地域特性を生かしたまち並みづくりに向けては、下町の持つ路地の風情を残すまち並みを継承しながら防災性の向上を図ることや、低層高密な市街地ならではのヒューマンスケールのまち並みを生かしながら、住宅の耐火性を確保するとともに、避難経路、公園、広場を適切に配置していくことなどが考えられます。
そのため、都は、来年度から、こうしたまちづくりにモデル的に取り組む区への支援を新たに開始することといたしました。
具体的には、区が地域のまちづくり協議会などと協働し、まちの将来像を検討するための調査費や活動助成費に対して補助を行ってまいります。
これにより、改善の進まない地域において、地域の創意工夫による魅力的なまち並みの住宅市街地への再生を促進してまいります。
○中山委員 問題は、高齢の従前居住者の方々や、経済的に余力が乏しい状態にいらっしゃる賃貸住宅の入居者の方々などの協力であります。
実際に建てかえや道路整備の促進に協力したいと思っても、高齢であるがゆえになどの理由から困難な方々も包摂できる取り組みを目指すべきと考えます。
高齢者の住みかえの円滑化などに取り組んでいくとのことでございますが、具体的な工夫の例をお伺いいたします。
○三宮防災都市づくり担当部長 木密地域において、高齢者世帯では資金難等の理由から建てかえなどが進みにくい状況にあり、その建てかえや住みかえを行いやすい環境整備が重要でございます。
このため、区の居住支援協議会などと連携し、民間の空き家や空き室を活用した高齢者などの入居を拒まない住宅セーフティーネット制度を周知するなどの取り組みを進めているほか、令和元年十月から独立行政法人住宅金融支援機構と連携し、住宅ローンの金利引き下げなどにより、建てかえの促進を図っております。
また、特定整備路線の整備に当たりましても、高齢者などの権利者が住みなれた地域で生活再建できるよう、来年度から新たに独立行政法人都市再生機構と連携し、代替地の確保など、権利者にとって魅力的な移転先を提供する取り組みを進めてまいります。
○中山委員 これは、来年度からUR等との連携による取り組みというのは、画期的なことだと思います。
URの団地が既にある場所だけじゃなくて、新たな種地となるところをUR側の協力によって確保しながら、そこに魅力的な移転先を提供するという取り組みを、都との協力のもと進めていくということでありまして、大いに期待したいと思います。
旧都市整備局内だけの連携ではなくて、広く都庁各局の連携による政策ミックスの効果を、具体的に得られる計画立案を目指して推進していただきたいと思います。
希望する区と連携し、都民の刮目を集めるモデル的取り組みとなることを期待しております。
あわせて、これは要望でございますが、液状化対策も、大変、木密地域には大きな課題になっている地域もございますので、街区ごとに対策を講じたり、効果的な土壌改良策と組み合わせるなど、効果を上げていただくことを要望して、次の質問に移ります。
続きまして、住宅街などの都民の日常の生活空間の中で、身近な緑をふやしていく取り組みについて質問します。
都市戦略研究所が、二〇一九年十一月十九日に発表した都市力ランキングでは、東京は昨年に続き、世界第三位でありましたが、ウイークポイントとしては、居住の視点が八位、環境の視点が二十三位となっております。
公園面積のカウントの仕方に課題があるのかもしれませんけれども、緑被率の低さや一人当たりの公園面積の低さなどが、文化面での魅力のアピール不足や自動車交通の渋滞の解消と並んで、緑と花にあふれる生活空間を整えることが東京の今後の課題の一つといわれている現状であります。
地域で、緑や花壇などで、まち中の花や緑をふやすということ、身近な緑をふやすということは、まちの価値向上にもつながる重要な取り組みであります。
公園や道路などの公共空間における身近な緑をふやす取り組みについて、まず、これまでの実績をお伺いいたします。
○小野都市づくり政策部長 主に区市町村において、さまざまな身近な緑をふやす取り組みを実施しております。
例えば、今年度調布市では、東京二〇二〇大会の来訪者へのおもてなしとして、市と市民、事業者の協働により、競技会場のアクセス駅周辺でおもてなし花壇の植えつけなどを実施しており、また町田市では、都市緑化の推進や、花の香り漂う美しいまちづくりの寄与を目的に、公園、道路、学校などの公共的な場所に、市民団体が植えつけを行った花壇のコンクールを実施しております。
委員からもお話がありましたが、都としましても、都市において緑の豊かさを実感できるようにするためには、身近な緑をふやす取り組みが重要であると考えておりまして、さまざまな機会を通じまして、こうした取り組みを紹介しております。
○中山委員 公園の魅力の増強や、公園自体をふやす取り組みももちろん大事な東京の課題であると思います。
私はそれに加えまして、普通の住宅街を歩いている中で、人々の視野に入ってくる緑や花の美しさというものが、そのまちの文化度を物語る重要な要素になっているのではないかと思っております。
海外諸都市の中で、東京がどういったまち並みを目指すべきかという話題は、大いに議論の余地があるところかもしれませんし、一概に決めつけて論じることはできないと思ってはおります。
その一方で、一般住戸が広い庭を持っていて、その庭における草花の管理を敷地の外を往来する人々の目線で義務づけるような文化とか、あるいはベランダなどに洗濯物だけでなく、花の鉢植えを飾ることを共通の心得とする地域の歴史の積み重ねは簡単にまねできるものではありませんけれども、うらやましいといっていいんでしょうか、そういう取り組みであり、ぜひ目指して議論を重ねていきたいと思います。
加えて、街路樹の考え方、哲学といっていいのかどうかわかりませんけれども、それも再検討すべきと思います。
延焼遮断帯となり得るほどの緑というのはかなりのボリュームが必要でありますけれども、通常の場合、枝葉の剪定ばかりに行政に寄せられる苦情が集中しておりまして、そういう街路樹ではなくて、ボランティアの活力を生かした歩道空間の草花といった統一感のある取り組みを、区市境を越えて広げていけるような東京となっていくことも一つの策かと思います。
その上でも、東京が目指すべきまち並みの美学についての議論に関心を深めるだけでも、後の世に残すべき大事なレガシーとなり得るのではないかと思います。
そこで、身近な緑をふやす取り組みは、地域コミュニティの醸成にもつながり、さらに広げていくことが望ましいと考えます。
都は、戦略ビジョンにおいて、緑にあふれた美しい東京を目指すとしておりますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
○小野都市づくり政策部長 都は、区市町村が実施しております良好な取り組みについて、都内の自治体に情報共有するなどの技術的支援を行い、さらに取り組みの拡大を促進してまいります。
また、都は、公益財団法人東京都公園協会と区市町村と連携し、まち中の緑の創出を進める地域に、緑化に関してアドバイスを行う専門家の派遣や、東京都都市緑化基金からの助成を行う界わい緑化推進プログラムを実施しております。
今後は、これらの身近な緑をふやす取り組みをさらに充実させ、より使いやすい制度に改善するなど、緑あふれる東京の実現に向け、区市町村等と連携して取り組んでまいります。
○中山委員 ぜひ、そういう議論となっていくことを期待しております。
続きまして、屋外広告物条例の一部を改正する条例について質問をいたします。
本条例は、プロジェクションマッピングのさらなる活用を促すために必要な環境整備を図るためのものと受けとめております。
プロジェクションマッピングは、地域のにぎわい創出や観光促進への活用が期待されておりますが、投影機材や作品の制作等に多額の費用がかかる現状にありまして、コスト負担が課題と聞いております。
普及のためには、広告収入を活用しやすくする工夫が必要であると考えますが、改正条例案はどういった見地に立つものなのか、見解をお伺いいたします。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 プロジェクションマッピングにつきましては、これまでイベント等で企業広告等の営利内容を含まない映像を一時的に投影するものは規制の対象外とする一方、企業広告を含む映像を投影する場合は、通常の広告板等と同様に、表示できる高さや面積等を制限しておりまして、それを超えて表示しようとする場合には、特例許可を受ける必要がございました。
今回の改正では、プロジェクションマッピングをより活用しやすくする観点から、国のガイドラインも踏まえまして、公益イベントでは、企業広告を含むものでも、その占める割合が三分の一以下であるなど、公益性を有するものについては許可を受けずに表示できることといたしました。
これにより、広告収入をプロジェクションマッピングの実施経費などに充当しやすくなり、プロジェクションマッピングの普及促進に寄与することが期待されます。
○中山委員 今まで、公益事業としてのプロジェクションマッピングの場合は、一部でもそこに商業広告が入ると、そのプロジェクションマッピング全体が商業広告としてカウントされ、手数料算定に入っていたので、実際上は一部の商業広告を入れるような公益事業のプロジェクションマッピングというのはなかったということですよね、全体がカウントされちゃうから。
それが三分の一以下だったらいいですよということになったので、実際に商業広告を入れながらプロジェクションマッピングを展開していくことが可能になってくるので、そうなってくれば、高額な費用を要するプロジェクションマッピングだけれども、さらにそれが実際に使われていくことがふえていくんだろうということを狙いとしたというご答弁だったと思います。
商業広告を取り入れることによって得られる収益を加味しなければ、プロジェクションマッピングの高額な制作費用を賄うことができないからこそ、条例改正を行うとのことでございます。
これまでは、少しでも商業広告が入れば、そのプロジェクションマッピングの全体が商業広告とみなされ、許可が必要であったとのことでございました。
今回の条例改正で、一定程度の割合以下であれば、商業広告を含めても許可の必要がないとのことであります。
プロジェクションマッピングの普及を図ることだけが目的であれば、許可申請の手数料を無料とする選択肢もあったはずでありますが、許可申請に一定の手数料を徴することにした意図は何か、例えば、一千平方メートル以上の商業広告の審査手数料を六十四万四千円とした根拠について、ご説明をお願いしたいと思います。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、今回の改正ではプロジェクションマッピングをより活用しやすくする観点から、公益イベント等のために表示するもので、公益性を有するものについては許可を受けずに表示できることとしたものでありまして、そのほかのものについては従来どおり許可が必要となります。
その許可申請手数料につきましては、従来は、通常の商業目的の広告板等の手数料との均衡に配慮して、広告板等と同額とし、なおかつ上限は設けておりませんでしたが、都内で最大の広告板等の面積が約一千平方メートルであるのに対しまして、プロジェクションマッピングについては、それを超える規模の表示が容易であるため、広告板等の最大規模を考慮し、手数料の上限を一千平方メートル、六十四万四千円とすることによりまして、過度な負担とならないように配慮したものでございます。
○中山委員 それと同時に、プロジェクションマッピングは非常に人の目を引くものですから、どうしても、考えてみても、目を奪われてしまって、交通事故とか、そういったことにつながりかねないのかとか、非常に集客力が期待できるがゆえに、周辺との協調といいますか、そういったものはどうなっているのかとか、課題があるかと思いますけれども、その点についてはどういうふうに取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 都はこれまでも、屋外広告物条例によりまして、景観または風致を害するおそれのある広告物や、道路交通の安全を阻害するおそれのある広告物等を表示することを禁止しております。
プロジェクションマッピングは、光の投影により動きのある大きな映像を映すことが可能であることなどから、この特性に応じた景観、周辺環境や交通安全への配慮が必要でございます。
このため、今回の改正により、道路を挟んで投影する場合等においては、信号機等の効用阻害や運転者を幻惑するおそれがないことを求めております。
また、今後、表示に関する誘導基準等について指針を定めることとしておりまして、その中で光害の防止などの配慮事項や道路付近で実施する場合の交通安全上の留意事項等についても示してまいります。
○中山委員 ぜひ、イベントを企画する側も、それを訪れる人々も、地元の方々も、みんなにとって安心・安全で取り組める、喜ばれるプロジェクションマッピング事業にしていただきたいと思います。
続きまして、建造物の建築申請に伴う決裁文書やその図面などの図画の保存年限及びその電子化について質問したいと思います。
私のもとには、老朽化マンションの建てかえの円滑化を目指す関係者や不動産事業者などから、現状の建物が建築確認を得たとおりの内容で建築されているかどうかを後年になってから確かめようとしたり、裁判で争ったりする際に建築確認申請図書が廃棄されている場合があって、現に不都合が生じているし、今後、老朽化マンションの建てかえとかふえていきますから、一層不都合が生じていくことになるであろうとの想定から、大変この状態を危惧する声を頂戴しているところであります。
さきの予算特別委員会の代表総括質疑におきましても、我が党は、私が担当し、老朽化マンションの建てかえの促進のための管理組合の活性化を図るための質問を行ったところであります。
そこで、まず、建築確認申請図書の保存年限について、現状はどうなっているのか、説明を求めたいと思います。
○青柳市街地建築部長 建築確認申請図書の保存期間につきましては、法令の規定により確認済証の交付の日から起算して十五年間保存しなければならないとされております。
○中山委員 十五年と規定されているわけですけれども、当然、建物自体は何十年も存続していくわけであって、むしろ問題が生じるのは後年の方になってからの方が多いわけであります。
十五年と規定されているとのことでございますが、その目的と根拠は何であるのか、見解を求めます。
○青柳市街地建築部長 建築規制の実効性の確保を図る上で確認申請に係る図書の保存は極めて重要であることから、保存の義務づけがなされております。
十五年の根拠は、新築住宅の瑕疵担保期間や、新築後最初の大規模修繕の時期を踏まえて定められた年数であると聞いております。
○中山委員 現在は、確認申請の審査は、民間の審査機関でも行えることになっております。
都内の確認申請について、行政と民間の確認機関との比率はどの程度なのか、見解をお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 平成三十年の実績によりますと、都内の確認申請件数は約四万六千件でございまして、そのうちの約五%を行政、約九五%を指定確認検査機関が扱っております。
○中山委員 先ほどのご答弁によりまして、建築確認申請図書の保存期間は、法令の定めで十五年、そして、そのほとんどが民間の機関で扱っているという現状ではあります。
しかしながら、マンションの耐震偽装問題でも明らかになったように、居住を始めてから何年も経過してから安全性を揺るがすような問題が発覚する場合もあります。
建築規制の実効性の確保を図ることが、建築物の安全性の確保につながるということだと思います。
建築物が存在しているにもかかわらず、保存期間が経過したとの理由で一律に廃棄してしまうというのは考え直す余地があると思っております。
建築確認申請図書を電子化できれば、保存年限の延長にも対応できると考えますが、佐藤東京都技監の見解をお伺いいたします。
○佐藤東京都技監 大変重要なご指摘をいただいたと思っております。
確かに法定では十五年というふうになっております。私の記憶違いでなければ、昔は、一年から五年ぐらいの保存年限で廃棄すると、そういう流れであったものが、その後の建築物の改修ということのニーズによって、十五年と期間が延びてきたということになっていると思いますが、そうなりますと、やはり保存をどういうふうにしていくかということが重要になってまいります。
おっしゃったように、電子化というのはやはり時代の流れでございまして、建築確認申請図書についても、そういう検討が必要だということは私どもも感じております。
また、国の動向としても、そういったことの問題意識はあるというふうに聞いております。
ただ、一方で、保存期間を延ばすというときに、建築主の個人情報の保護との関係をどう整理するのか。あるいは、保存期間設定をいつにするのか。永久保存という考え方もあるでしょうけれども、それはそれでちょっとどこかで年限を切らなきゃいけないと思いますし、それから、はっきりいってしまいますと、電子化するに当たってもコストがかかります。そこをどうやって考えるかみたいなさまざまな課題があります。
したがって、本日のご指摘を踏まえまして、庁内関係部署で調整を進めつつ、まずは、その課題を整理するというところから始めさせていただければと思います。
○中山委員 前向きに受けとめていただいたご答弁ありがとうございました。ぜひ、庁内各局と連携して検討していただきたいと思います。
いわゆる契約の関係する図書の電子化ということについても、本会議で取り上げさせていただいて、やはりその際には、A全判の図面の読み込みとかということで、スキャナー等が、受注者側でも発注者側でも整えなければいけないといった課題があったりとか、時間がかかるということでございましたけれども、方針としてはそういう方向でいくというご答弁をいただきました。
そういう面で、この問題についても同じように長期常用しなければいけませんけれど、予算を獲得しながら、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。
なお、個人情報の問題については、これはやはり大事な問題ですから、今の段階としては、建て主が不動産の業者さんで、それを買った側が現在住んでいるとなると、個人情報ということになると、現在住んでいる人の情報には当たらないということになって、真っ黒なものになってしまうということが課題としてありますので、それはしかるべき機会に、私どもも提案をして改善を求めたいというふうに思っております。
その上で、最後になりますが、重ねて都技監にご登場いただいて申しわけないんですけれども、私は、昨日住宅政策本部に対しまして、都営住宅の建てかえの促進を求めて質疑をした際に、一団地の住宅施設が指定されている大規模都営住宅について、一団地の住宅施設の廃止と新たな地区計画の決定について、立地自治体のまちづくり部署と連携して、都市計画手続に伴う期間の短縮化を図るよう強く求めたところであります。
一団地の住宅施設の廃止と新たな地区計画の決定は、区市の権限であり、直接都が出せる案件ではありません。
一団地の住宅施設が指定されているような大規模団地の建てかえは、一般に十年近く要してしまう場合が多く、高齢化が進む中で建てかえを待ち望む都営団地の住民の苦しみを増してしまう原因の一つともなっております。
こうした状態が繰り返されれば、大規模団地の建てかえはますます遠のいてしまいます。
ぜひ都市整備局としても、住宅政策本部はもちろん、立地自治体とも協力して、大規模団地の建てかえに伴う都市計画手続期間の短縮化につきまして支援をお願いしたいと思いますが、都技監のご見解をお願いいたします。
○佐藤東京都技監 ただいまご指摘いただいた案件のように、まちづくりの計画はさまざまなプロセスを経て、都市計画に至るものでございます。
そういう意味では、都市計画というのは、まちづくりの計画が事業に行く最後の手続といいますか、最後のステップの段階ということでございますので、まずは、そのまちづくりを、どんなまちづくりをするのかというプランをつくるというところを、いかに効率よく、住民と合意形成をしてやるかということが重要になってまいります。
私どもも、そちらについても、地元区の取り組みを常に支援しておりますし、これからも支援してまいりたいと思います。もちろん、住宅政策本部の事業も支援してまいります。
それで、こういった区決定の都市計画の場合には、当然ですが、計画決定権者としての区が主体的に計画をつくるということになるわけですけれども、一団地のように、なかなかない事例もございます。
そういったときには、私どもも、区の方に技術的な助言を丁寧に行うなど、東京都としても積極的に支援してまいりたいと思います。
○中山委員 この点でも積極的なご答弁いただいてありがとうございました。
都庁内でももちろん専門人材はさらに必要でありますし、お話のように、区市でなかなか事例がないような事柄に関しても対応できる人材を区市が育てていくということも大変大事な課題でありまして、都内全体がこういった問題を通して、都民生活の向上を遂げられるように、専門人材の育成という点でも、我々もしっかりと応援させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○菅野委員 まず、私からは、宅地開発無電柱化パイロット事業についてお伺いしたいと思います。
無電柱化といいますと、小池知事の実績のようにもよくとられますけれども、東京都はこれまで、昭和六十一年度から三十年以上、七期にわたって計画的にこの無電柱化を進めてきたわけであります。
最近では、特にオリンピック招致後は、この二〇二〇年に向かって、センター・コア・エリア内では一〇〇%の無電柱化を目指そうということで、かなり努力されてこられたわけでございます。
そうした結果で、既に地中化率が九六%に達するなど、一定の進捗を図ってきたということは評価しております。
しかし、今後、都内全域でこの無電柱化を進めていくには、やはり都道だけではなくて、区市町村道での整備の推進、これが求められているということは皆様ご承知のとおりであります。
しかし、区市町村道約二万キロを全て都道と同じように電線共同溝方式で整備をするとなりますと、区市町村にとっては大変この整備に要するコストはもちろんのこと、やはり共同溝のその後の維持管理の負担というものが大きなものになってしまう。そして、このことが区市町村道の無電柱化が進みにくい一因ともなっているといわれています。
そこで、来年度予算案にある宅地開発無電柱化パイロット事業は、宅地開発で整備される道路を対象に、無電柱化の支援を行うということでありますけれども、これは電柱をこれ以上ふやさないためにも必要な取り組みだと思います。
そこで、区市町村の負担はどうなるのか伺いたいと思います。
○三宮防災都市づくり担当部長 宅地開発無電柱化パイロット事業は、宅地開発におけるモデル的な事業を支援することにより、無電柱化を推進するために解決すべき技術面、制度面の課題を把握し、普及に向けた施策のあり方の検討を進めることを目的とした事業でございます。
無電柱化は、主に電線共同溝方式と単独地中化方式がございますが、電線共同溝は道路施設でありまして、道路管理者が維持管理することから、維持管理に対する負担が大きくなります。
このため、今回のパイロット事業では、単独地中化方式で無電柱化を行う事業を対象とすることにより、区市町村の維持管理の負担軽減につなげてまいります。
○菅野委員 区市町村の負担を軽減して、新たな宅地開発からこの無電柱化を普及させて、日常的に区市町村が一生懸命取り組んでいる無電柱化への取り組みの後押しとなるように期待をしたいと思います。
一方で、その開発許可では、区市町村道などの公道だけでなくて、開発地内の私道も多く整備されていると思います。
本事業ではどのような道路を支援の対象としているのか、教えていただきたいと思います。
○三宮防災都市づくり担当部長 本事業では、モデルとなる事業の実施を通じて、上下水道やガスなど他の埋設物との調整や、整備後の施設の維持管理など、無電柱化を行う際に解決すべき課題を把握するため、道路管理者の意見を聞くことが重要と考えております。
そのため、原則として、将来区市町村道となる公道を対象としております。
○菅野委員 本事業は、そうした原則で公道を対象としているということですので、その考え方については理解をいたしました。
しかし、先ほど申し上げましたとおり、開発許可では私道も大変多いと思います。私道は民有地であり、電柱の規制をする手段がないことから、どうしても、そこにまた電柱がふえてしまうという懸念があります。ぜひ私道への支援も必要と考えますので、今後の課題としていただきたいと思います。公道、私道の区別なく、全ての道路で無電柱化が進むよう、全力で取り組んでいただきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
品川周辺のまちづくりに関連して幾つかお聞きしたいと思います。
先週の十四日、ちょっと天気は悪かったんですけれども、山手線第三十番目の駅となる高輪ゲートウェイ駅が誕生いたしました。暫定開業ということですが、初日は大変なにぎわいで、記念切符を買い求める方なども含めて本当に大変な混雑でございました。
翌日の日曜日もそれなりの大勢の方がお見えになったり、家族連れがお見えになったりして、新しい駅を楽しまれたり、将来その駅の周辺に完成するであろうまち、そういったものを想像しながら、いろいろと楽しまれていた様子を拝見いたしました。
残念ながら、新型コロナウイルスの影響がありまして、駅前で予定されていたさまざまなイベント、オリンピックまでの機運醸成イベントなども含めて、しばらくちょっと延期になっておる関係で、きのうあたりからは少し人出が少ないというふうに近所の方からは伺いました。
そこで、暫定開業ではありますけれども、それでもそういった問題がなければ、当面一日の利用者数は二万人を超えると想定されています。大体鶯谷駅ぐらいの規模だそうでございます。品川駅と田町駅の間に、そういったことで新たな人の流れが誕生することになります。
そして、JR東日本が、この駅周辺でこれから進めようとしているオフィスやホテル、商業施設や文化施設などの整備が進む二〇二四年には、さらに一日の利用者が十二万三千人、これは今の恵比寿駅並みの混雑というか、利用者になるということが予想されています。
こうした大きな変貌を遂げる新駅周辺と、二〇二七年のリニア中央新幹線開通なども見据える中で、今後、品川駅そのものや、駅の周辺においてもさまざまなまちづくりや都市基盤整備が進められることになると聞いています。その一つとして、国土交通省が主導する駅前の国道一五号線上の真上にデッキを新設して、商業施設や交通ターミナルを整備するという計画も話題になっています。
まさにそれらをきちんと融合させて、そこに日本の玄関口にふさわしい顔づくりを行っていくことが必要だと思います。
そこで、品川駅周辺の景観、そして空間形成に向けた今後の取り組み内容を伺いたいと思います。
○小野都市づくり政策部長 品川駅とその周辺では、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四に基づき、景観形成や開発整備を一体的に誘導しております。
一方、都市づくりのグランドデザインにおいて、駅とまちが一体となった開発の方向性が示され、また、委員からもご紹介がありましたが、国道一五号上空デッキの事業計画において、駅とまちをつなぐ広場の構想が示されております。
これらも踏まえ、まちづくりガイドラインを今年度末に一部改定し、駅周辺の開発の機会を捉えて積極的にまちの顔づくりを進め、リニア中央新幹線の始発駅にふさわしい景観や空間形成に取り組んでまいります。
○菅野委員 この大きく発展を遂げている品川駅周辺において、今、最大の課題となっているのが、広大な鉄道車両基地によって分断をされた東西をつなぐネットワークが不足しているということであります。
緊急車両なども、現在では通行できる幹線道路がこの高輪ゲートウェイという新駅、また、品川駅の間はもちろんですが、さらに、田町駅に近いところ、また、品川をはるかに超えて、本格的にいえば山手通りに近いところまで行かないと、大型車などは迂回せざるを得ないというような状況であります。
そこで、特に骨格となる幹線道路を強化する環状四号線の早期整備が不可欠となっていますが、高輪区間は高低差があって、山というか台地から国道におりるところがかなり低くなりますので、その高低差があることから単なる平面整備とは異なり、鉄道車両基地を横断する橋梁や、その橋桁の取りつけなど、周辺環境や景観に配慮した沿道まちづくりと一体的な整備が求められています。
既にそうしたことから、環状四号線の沿道地域においては、まちづくり協議会も結成されて、地域の方々が中心となってさまざまな議論を重ねているようであります。
そこで、環状四号線の高輪地区のこれまでの取り組みと今後の予定をお聞かせいただきたいと思います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 環状第四号線は、広域道路ネットワークを形成するとともに、国際交流拠点品川の実現に不可欠な路線でございまして、昨年七月に港南及び高輪区間の街路事業につきまして事業認可を取得しております。
このうち、高輪区間では、品川駅、田町駅周辺のまちづくりガイドラインにおきまして、周辺地域との連続性に配慮し、緑、にぎわいが一体となった沿道エリアを形成することとしております。
委員お話しのとおり、地元でもまちづくりの検討が行われるなど機運が高まっていることから、地権者の声を丁寧に聞きながら、周辺の歴史あるまち並みや崖線の緑と調和した沿道の地区計画の策定に地元港区と連携し取り組むとともに、高輪衆議院議員宿舎跡地を活用したまちづくり手法による整備を検討しております。
来年度は、新たに用地取得に着手するとともに、区が沿道の地区計画の策定に向けた手続を開始する予定でございまして、二〇二七年に予定されておりますリニア中央新幹線の開通も見据え、環状第四号線の整備と沿道まちづくりを着実に進めてまいります。
○菅野委員 そうなんですね、こうした大きな幹線道路ができるということは便利になったり、非常に機能的になる。都市のいろんな問題を解決する大きな一つの方向性だと思いますが、一方で、従来のまち並みというか、環境がかなり大きく変わってくるわけであります。
ですから、そうした沿道まちづくりという視点で、今後はその道路を、新しい道路を中心に、人々の生活やさまざまな景観、また、快適な環境も維持できるような形で検討いただく、そういう方法が非常に大事だと思いますので、ぜひお力を入れていただきたいと思っています。
そして、続いて、その品川駅周辺のまちづくりを進めていく上で、やはり駅にも一層の機能強化が求められます。
先月には、品川駅北口駅前広場が都市計画決定されました。今後、その広場を活用して高速バスが発着する広域的な交通結節点となることが期待をされています。
しかし、例えば、品川駅西口、いわゆる高輪口ですが、鉄道駅やバス乗り場が分散するため、乗りかえや利便性が現在非常に低い。そして、駅前広場、ロータリーも大変狭くてタクシーなどの集中による混雑など、やっぱり交通結節機能をもっと強化しなきゃいけないというのが、これずっといわれている重要な課題となっています。
そこで、来年度予算案に計上されている品川駅周辺交通基盤整備計画策定調査においては、この交通結節機能強化についてはどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
○山下都市基盤部長 品川駅の再編に当たりましては、国際交流拠点の玄関口として、羽田空港のアクセス、リニア中央新幹線及び東海道新幹線への乗りかえをスムーズにし、また、鉄道以外の交通手段との交通結節機能を拡充することが重要でございます。
このため、来年度調査では、新設する北口広場も含め、西口及び東口駅前広場のバスやタクシー等の適切な機能分担について検討し、乗降場の配置や歩行者動線につきまして周辺開発などの関係者と調整を進めてまいります。
特に、品川駅西口では、国道一五号上空にデッキができまして、地上部とあわせまして、バス、タクシー、次世代モビリティー等への乗りかえを可能といたします重層的な駅前広場として再編整備いたします。
引き続き、日本の成長を牽引する国際交流拠点品川の実現に向けまして、関係者と連携し、交通結節機能の強化に取り組んでまいります。
○菅野委員 さまざまなこれから取り組みが予定をされている品川駅、そしてその周辺であります。新駅もそうですが、品川駅に今、私も立ちますと何かつい空中を見上げてしまって、将来のそうしたまちづくりというか、駅の整備はどういう形になるかというのを想像しながら、夢を描いているわけでありますけれども、この日本の発展を牽引する国際交流拠点品川の実現のためには、官民連携によるまちづくりや都市基盤整備が一体的に進められることが必要不可欠であります。
引き続き精力的に取り組んでいただくようお願いをして、次の質問に移りたいと思います。
それでは、次は、築地まちづくりについてでございます。
築地まちづくり方針について、昨年十一月に、いわゆる第ゼロ段階の船着き場エリアの先行整備事業について、その実施の報告を受けました。そして、来年度は事業者を募集する予定とお聞きしています。
そこで、きょうは、これまで我が会派がさまざまな機会で築地まちづくりについて関連して確認させていただいたことに、もう一度触れながら、改めて質問を進めていきたいと思います。
それでは、まず、この築地まちづくり方針に至る経過、つまり、最初に築地市場跡地で再開発をやろう、やれと、都市整備局でこれはやりなさいというような指示があったのは、いつ、誰からなのか伺いたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地のまちづくりにつきましては、平成二十九年六月二十日の基本方針公表後、六月二十二日の市場移転に関する関係局長会議におきまして、築地の再開発に向けた検討に都市整備局が中心となって取り組む、開発コンセプト、開発手法、開発スケジュールなどの検討を行うこととされております。
○菅野委員 そうですね、今のお話のように、六月二十日に、知事から突然の、築地は守る、豊洲は生かすという基本方針が発表されています。
それを受けて、六月二十二日の関係局長会議で、築地の再開発が指示をされ、都市整備局がこうして準備を重ねてきて、この築地まちづくり方針の策定へと至ったわけだと思います。
ちょうど都議会議員選挙の前回の時期でありましたということで、特に、この築地は守るというその言葉は大変インパクトがありました。
そして、八月に、記者からその決定過程を問われた小池知事は、豊洲移転、築地再開発を決定した判断について、決定過程についての記録がないことに触れ、有名なAI発言--つまりAI、人工知能であり、政策決定者でもある、知事自身が決めたんだというふうに答えられました。
この旧築地市場跡地利用についての築地は守る、豊洲は生かすといった、都民にあたかも築地に市場機能を残すかの期待を持たせた知事の発言については、その後、食のテーマパーク、そして食文化へと変えられることになりました。
我が会派は、何度もその変節した矛盾などを指摘してきましたが、知事からは一度も都民が納得するような説明や答弁はいただけなかったということであります。
いずれにしても、この築地まちづくり方針策定への取り組みは、まさに知事のひらめき、思いつきによる決定による、まさにトップダウン、そしてブラックボックスの中で決まったことでスタートしたのであります。
こうした事実からも明らかなように、トータルで五千四百三十億円もの膨大な税金を投入する、しかも、資金回収に余りに長期な期間を要し、都民に将来にわたる負担を背負わせるおそれのあるこの事業の責任は、紛れもなく小池知事自身にあるということが確認できます。
このことはしっかりと申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
まさに、この壮大な築地再開発事業を進めていく上で重要となる築地まちづくり方針には、事業の根幹たる財政計画はおろか、具体的な施設規模や期間、将来像などが示されていません。
跡地取得だけで五千二百億円もの巨額な税金を投じたこのプロジェクトのその資金回収はどうなるのかだけでも本当に心配です。
こうした思いをお伝えした上でお聞きします。こうした中、いよいよ第ゼロ段階整備の事業者募集ということですが、まずは、この築地まちづくりという大型再開発事業を進める上で必須となるのが土壌汚染調査、そして続く埋蔵文化財調査であります。
そこで、まず、この跡地の土壌汚染調査について、敷地全体で何カ所行う予定で、これまで他局が行ったものも合わせて、何カ所で調査が行われているのか伺いたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 旧築地市場跡地における土壌汚染調査につきましては、環境局が作成した手引に基づきまして、十メーターメッシュで調査地点を設定し、各局がそれぞれの事業の実施に合わせて、必要な箇所において土壌汚染調査を行ってございます。
築地地区のまちづくりに当たりましては、他局が土壌汚染調査を行った地点を除いて調査を行うこととしており、調査が必要な地点数については、今後、まちづくりの具体化を図る中で定めていくこととしてございます。
これまでに調査を行った地点数は、当局が今年度行ったものも含めまして五百四十八地点でございます。
○菅野委員 今年度までに五百四十八地区の調査を行ったということですが、その結果ですけれども、都市整備局が行った土壌汚染の調査箇所についてで結構ですので、調査結果についてお聞かせいただけますでしょうか。
○木村まちづくり調整担当部長 旧築地市場跡地のまちづくりに当たりましては、時間軸を意識し、大規模な土地のポテンシャルを最大限に引き出しながら、段階的に適切な機能を順次導入、整備していくこととしておりまして、その進め方、スケジュールについても、昨年度策定したまちづくり方針において既にお示ししているところでございます。
また、各段階の整備に向けて、埋蔵文化財調査等を戦略的に行うこととしてございます。
当局では今年度、先行整備を行う第ゼロ段階の船着き場周辺のエリアにおいて、市場の解体工事や東京二〇二〇大会の車両基地整備工事と調整を図りながら、土壌汚染調査を実施しておりまして、概況調査を百四十六地点、詳細調査を二十二地点で行ったところでございます。
その結果、土壌汚染対策法及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に基づく基準値を四十八地点で超過したことが判明したところでございます。
○菅野委員 四十八地点で基準値を超過しているということでありますので、実際にはまだ土壌汚染調査は全て終わったわけじゃもちろんないわけで、単純に面積でいうと二十三ヘクタールですから、たしか十メーターメッシュで調査するとなれば、二千三百カ所。ただ、先ほどの答弁でもいろいろと選んでいくというお話もありましたので、それだけの数ではないんでしょうけれども、既に終わった箇所、先ほどお聞きした箇所を引いても、まだかなり相当な数の調査が残っていると感じます。
この辺、先ほどもお話しいただいたかな、その残った部分も含めて、今後のスケジュール感をちょっとお聞きしたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 第ゼロ段階の船着き場周辺のエリアにおきましては、令和四年十月の着工に向けまして、今年度から市場の解体工事や東京二〇二〇大会の車両基地整備工事と調整を図りながら、土壌汚染調査を実施しておりまして、引き続き、来年度は東京二〇二〇大会終了後に調査を実施してまいります。
第一段階以降のエリアにつきましては、まちづくり方針にお示しした各段階の整備に向けまして、調査を戦略的に行うこととしてございます。
○菅野委員 それで、先ほど基準値を超過した場所があったということですけれども、都市整備局が行った土壌汚染調査の結果で、汚染がわかった箇所については、どのような、これから対応をしていくのかも伺っておきたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 一般的に、土壌汚染調査の結果、基準を超える汚染が確認された地点においては、掘削除去などの対策が行われることになるものでございます。
当地区におきましても、関係法令に基づきまして、適切に対応することとなると考えてございます。
○菅野委員 前の話ですが、都知事は、豊洲市場の土地に関しては法的にも科学的にも問題がないのに、安全であっても安心ではないとおっしゃって、市場移転をおくらせて、その結果、市場業者への補償など多額の費用負担や環状二号線の本格整備、本格開通におくれを生じる結果を招いたわけであります。
それだけ安心にこだわるわけですから、ここはしっかりとした土壌汚染対策を講じることを求めておきます。
そして、続く埋蔵文化財調査については、この土地の地歴からも江戸時代の武家屋敷の遺構や遺物が出ることなどは明らかだと思います。
そうなれば、埋蔵物の発掘調査の安全を確保しながら、汚染土壌の掘り出しや搬出など、対象面積を考えれば、途方もない時間と労力、巨額の費用などが必要となることが、かつての汐留の区画整理事業の例を見るまでもないかと思います。
そこで、埋蔵文化財調査はどのようなスケジュールで進めるつもりなのか、また、どれぐらい時間がかかる予定なのか、伺いたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地まちづくりにおきまして、当地区の段階的な整備の進め方に沿いまして、埋蔵文化財調査を戦略的に行うこととしてございます。
文化財の発見される範囲や種類などにより、現時点で調査期間を特定することは困難でございますが、他の大規模開発の事例等も参考にいたしますと、一年間の調査範囲は一から三ヘクタールと想定してございます。
○菅野委員 一年間の調査範囲というのが一から三ヘクタールということです。これは一概にどこまで掘り進んでいくかというのは、今の段階ではわからないかもしれませんが、単純に考えても、面積全体二十三ヘクタールを、仮にですよ、やるとすれば、それだけでも八年から二十年かかるわけです。
汐留なんかの例を見ても、やはりあれだけの規模のもので、かなりの年数、八年くらいですか、私も当時区議会でしたけれども、何度も現場を見させてもらいましたけれども、丁寧にやる調査には時間かかったと思います。
このように、かなりボリュームのある土壌汚染調査、そして埋蔵文化財調査は、これは土地の売り主義務として、今回は中央卸売市場会計の負担でこれを行う--これは売り主がもともと中央卸売市場だからでしょうけれども--ということです。
それがこの予算の中にも少し、あらかじめこうつかみでとっているわけですけれども、その土地の取引上の慣例から考えても、こうしたことの手続をクリアして初めて土地を活用することが可能になるというふうなのが常識だと思います。
しかも、これらの手続を行えるのは、この市場跡地を東京二〇二〇大会の輸送基地として活用し終えてからの話であります。
まだまだ、そうした解決すべき課題がこれだけたくさんあるのに計画だけが進んでいます。知事が公言された五年以内の着手が可能なのか甚だ疑問です。やはり第ゼロ段階は五年着工のつじつま合わせにしか思えません。
ここで、念のためお聞きしたいんですが、知事が五年以内に着工するといった、その五年というのはどこから五年なのか確認しておきたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 平成二十九年六月二十日の基本方針において示されましたのは、五年後を目途に再開発するということでございます。
再開発の着工の時期につきましては、築地再開発検討会議によって検討が始められた平成二十九年の十月から、先行する部分の五年以内の着工を目指すこととしてございます。
○菅野委員 平成二十九年の十月からということは既に二年以上たっているわけでありまして、そこまで申し上げた上で、そういったことも考えていただいて、改めて築地まちづくり方針については、この都心の二十三ヘクタールという大規模敷地を活用した未来の東京発展の根幹ともなり得る重要な事業であり、その方針の割には、プロジェクト全体の具体的な姿、スケジュールがまだ整っていないと申し上げておきます。
そんな不確定要素やスケジュールの中、本当に事業者が手を挙げるのかであります。これらを勘案し、築地まちづくり方針における整備の進め方については、いま一度撤回をしていただいて、改めて計画を構築すべきと思いますが、都の見解を伺いたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 先ほどご説明いたしましたように、旧築地市場跡地のまちづくりに当たりましては、段階的に適切な機能を順次導入、整備していくこととしておりまして、その進め方、スケジュールにつきましても、昨年度策定したまちづくり方針において既にお示ししているところでございます。
また、各段階の整備に向けまして、埋蔵文化財調査等を戦略的に行うこととしてございます。
将来像につきましても、この地のポテンシャルを生かし、周辺地域とのつながりも図りながら、多くの人々が集う、新しい東京ブランドを創造、発信できるような交流拠点を形成することを目指すこととしてございます。
その将来像の実現に向けて、当地区のまちづくりを着実に進めていきたいと考えてございます。
○菅野委員 きょう、繰り返しのようなやりとりをさせていただいて、その中で取り上げた課題だけでも、かなりの、さまざま手続に時間を要するというのは明らかであります。
当然、その間は具体的な投資経費の回収計画というのは進められないわけであります。
よって、現状では築地まちづくり計画として計上した全体費用五千四百二十三億円もの投資経費の回収計画はほぼ白紙の状態であるといえます。
将来の都財政に与える影響も考慮すると、全体計画と財政見通しを曖昧にしたまま築地跡地の都市計画手続を進めることは適切でないと考えます。
そのことを申し上げて、質問を終わります。
○馬場委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後二時四十三分休憩
午後三時五分開議
○馬場委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
○曽根委員 私からは、最初に、住宅耐震助成の拡充について質問いたします。
いつ来てもおかしくない首都直下地震に備えるために、住宅の耐震化は急務であります。阪神・淡路大震災の犠牲者の大半は、建物の倒壊による圧死でした。しかし、住宅の耐震化によって、都民の命と暮らし、財産は守ることができます。
都は、耐震改修促進計画で、住宅の耐震化率を二〇一五年度末までに九〇%、二〇二〇年度末までに九五%との目標を掲げてきましたが、そのための住宅の耐震改修は進んでおらず、二〇二〇年度末をあと一年後に控えながらも、都内の住宅耐震化率は、最近統計は出ていませんが、九五%どころか、恐らく九〇%を切っているんではないかと思われます。
小池知事の公約の柱の一つは、住宅の耐震化、不燃化を加速するということでしたが、住宅耐震助成は、二〇一八年度に対象地域が都内全域に拡大され、予算も大幅にふやされましたが、実績は伸びていません。昨年度の予算から、また今年度、そして来年度と連続して、実績見合いで減額されようとしています。二〇二〇年度は二億円台まで予算が下がろうとしています。加速とはほど遠い状況です。
都は、今年度に区市町村への条件を緩和したり、制度の普及に努めるというふうにしていましたが、実績が振るわないことを都としてはどう見ているのか伺います。
○青木耐震化推進担当部長 住宅の耐震化についてでございます。
住宅の所有者は、改修により建物機能が損なわれることへの懸念でありますとか、耐震改修の進め方がわからないことなどへの不安など、さまざまな事情を抱えておりますから、耐震改修を行う決断に至らず、助成の申請件数が伸びていないものと思われます。
○曽根委員 今のお答えで、改修により建物機能が損なわれることなどへの懸念から耐震改修を行う決断に至らない、または制度がよくわからない、これが第一の理由だと考えているんだとすれば、私は、本当に認識違いで、この認識を、いってみれば改めない限り、事業は今後も進まないというふうになりますので、大変重要な問題なので指摘をさせていただきますが、東京都も、生活文化局が毎年行っている都民アンケート、モニターアンケートでは、二〇一六年に建物の耐震化についての世論調査をやっています。
都民世論は、今のお答えと全然違っているんです。この中で、耐震化したいと思わない理由を生文局の方で聞いていますけれども、第一位は、耐震化を実施しても大地震が来たら被害を避けられないと思うから、これが二二%、第二位は、資金がないから、これが一七%、今お答えの建物機能が損なわれるに該当しそうな、例えば、煩わしいとか、耐震化の進め方がわからない、これは一一%にすぎません。
改めて、この認識は大事ですのでお聞きするんですけれども、この東京都の生文局の都民アンケートなど、東京都自身が調べた都民の世論、これ以外に何か先ほどの答え、根拠があってお答えになっているのか。こうした世論調査結果を認識しているのであれば、先ほどのようなご答弁にならないんじゃないかと思いますが、改めてお聞きします。制度が前に、実績が上がらない原因について、東京都の認識はどうなっているのか、もう一回お聞きします。
○青木耐震化推進担当部長 住宅の耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識して備えることが不可欠でございます。ですので、所有者が主体的に取り組めるよう、私どもとしては働きかけていくことが重要であります。また、所有者の方々は、さまざまな事情を抱えておりますから、そういったものへ対する働きかけも行っていく必要があると考えております。
○曽根委員 今お答えになった、所有者が主体的に取り組めるような気持ちになるには、何が必要かと。そして、さまざまな不安があるからというお話もありました。その不安の中身、何なのかと。この点で、今のお答えのように曖昧な態度を続けていたのでは、都民の不安に本当に寄り添っていないということになり、都民の不安も一向に解消されず、改修が進まないということになるんじゃないでしょうか。
私たちは、もうこの間、繰り返し都議会で、年間千七百七十件、耐震改修を進め、東京都の実数で五倍、人口比で見れば百倍以上の改修助成をやっている高知県に学ぶべきだと指摘してまいりました。この高知県は、まさにこの都民世論調査の第一位、第二位に出た、どうせやっても被害を受けるのだから同じだとか、お金が心配だと、この二つの思いに応える取り組みを現にやっているわけです。
一つは、改修しなければ命の危険があることはもちろんだが、たとえ命が助かっても、長期間の避難生活を強いられることが、暮らしの面でもお金の面でも大変な苦労を強いられるんですよと。だから、耐震改修は暮らしを守る第一歩なんだと、こういって県民を説得して回っているわけです。
それから、お金の不安に対しても、九十二万五千円までは費用を負担する制度をつくり、かつ安くできる工法について、県みずから普及啓発して回っている。まさに県民の不安に寄り添って、こういう努力をしている。だからこそ実績が上がっているというふうになっているんだと思います。
このことは、繰り返し私たちも提案し、指摘してまいりましたので、東京都もこうした高知県の努力はもう知っているし、もしくは調べていてもおかしくないと思いますが、いかがでしょうか。
○青木耐震化推進担当部長 委員のご指摘のありました高知県の取り組みについては、私どもとしても承知してございます。県の取り組みを参考にするとともに、都は、都としての取り組みを進めてまいります。
○曽根委員 都としての取り組みの中に、高知県など進んだ県に謙虚に学ぶという姿勢が必要だと思います。今回、新しい防災計画、一部改定されますが、目標年次はもう迫っているわけです。
直下地震から都民の命を守るために最も中心となるべき事業ですが、都として実績を上げるために、今のお答えを踏まえて、どう対応するつもりなんでしょうか。
○青木耐震化推進担当部長 都はこれまで、安価で信頼できる耐震改修工法、装置の事例の募集、選定を行いまして、パンフレットで紹介するとともに、耐震キャンペーンにおいて展示会などを実施しており、引き続き、改善を図りながら、こうした住宅の耐震化の普及に努めてまいります。
また、平成三十年度から開始しました、所有者への積極的な働きかけを行う区市町村を対象とした戸建て住宅等の耐震改修等への助成につきましては、一区九市から運用開始しておりまして、今年度は三区十五市に取り組みが拡大しております。
今後も、より多くの区市町村が本制度を活用するよう促し、住宅の耐震化促進に結びつけてまいります。
○曽根委員 お答えいただいたのは、二つの点です。一つは、これまでやってきたパンフレット、展示会などを続けると。従来策の継続ですから、これで耐震化が加速するとは思えません。
ただ、もう一つおっしゃった点は重要だと思います。平成三十年度から開始した耐震改修助成は、国の制度として、これは高知県の提案を受けて国が制度化したものなんです。しかし、今年度でようやく三区十五市、区でいえば一割ちょっと、市でいっても半分ちょっと、町村ではもうないということですから、本格的に進めるには、さらに区市町村に制度をつくってもらわなければなりません。
この制度をどうやって全区市町村に広げるかというのが非常に具体的に問われることなんですけれども、その点では、お答えにありませんでしたが、どうですか。
○青木耐震化推進担当部長 都はこれまで、ブロック会議や行政連絡会などの場を通じまして、各区市町村に対する働きかけを行ってまいりました。
引き続き、働きかけを続けてまいります。
○曽根委員 通常の行政上の会議だけではなく、本当に血の通ったやり方で推進を図ってほしいと思います。
耐震化を加速させるには、先ほど紹介しましたように、耐震改修がどんなに都民の暮らしを守るのか説得力のある説明をすること、そして、ともに行政として、これから申し上げる二つの点の後押しが必要だと思います。
一つは、コストの問題です。約四十年以上も前に建てられた旧耐震住宅の所有者は、当然年金生活の高齢の方が大変多くなっています。費用負担を減らすとともに、負担の見通しがつくことが大事です。高知県の場合、一定額までは全額自治体で負担するという制度をつくっています。
改めて、都も、定額助成のメニューを設定して、思い切って制度拡充を進めるべきですが、いかがでしょうか。
○青木耐震化推進担当部長 都内の戸建て住宅等の所有者ごとの実情によりまして、改修の方法、あるいは規模が大小さまざまであります。ですので、定額制では公平性を欠く可能性があると考えております。そのため、都は、区市町村に対して定率制により助成を行っております。
○曽根委員 やはり、今までの方法にこだわり過ぎていると。そして、定額制のメリットについても、今、公平性を欠くというお話がありましたが、定額制というのは、標準的な工事ならほとんど自己負担なしでできるという安心感が都民の側に与えられると、こういうものです。高知県で、この制度が不公平だという声は、出ているとは全く聞いていません。
それから、もう一つの後押しの方法として、業者や工法への信頼性の問題があります。これも高知県になり恐縮ですけれども、診断に携わる診断士と、設計改修に携わる設計事務所と、工務店の登録制度をつくり、登録工務店は、耐震診断士が所属もしくは建築事務所と連携して登録する仕組みとなっているので、耐震から改修までスムーズに進めることができる。登録は抹消することができるので、いいかげんな工事をすることはできない。登録工務店が八百五十二件に上るので、工務店がそれぞれ年間二件の改修を手がければ、年間で千七百件の改修は進むわけです。
こうしたように、業者や工法への信頼性を高めるために、都としてどのように努力をするのか。先ほどは、パンフレットや展示などをするといっていましたが、やはり登録制度など、仕組みづくりをもっと検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○青木耐震化推進担当部長 都は、昨年度から、木造住宅の耐震改修事業者を対象とした技術力の向上を支援する講習会、これを都と区市町村共催で実施しているところでございます。
引き続き、こうした取り組みにより、事業者の信頼確保に努めてまいります。
○曽根委員 講習会、技術的な--特に中小零細の建設業者にとっては、技術向上の場となる点では重要だと思いますけれども、やはりその信頼性を高める上で、都が一定の研修やレベルを確認して登録制度を設けるということは、高知県の例をまたずとも、東京都の場合極めて重要だと思いますので、ぜひこの点を進めていただきたい。
先進的な他の自治体の事例に学ぶという姿勢が、東京都はやはり乏しいと率直にいわざるを得ません。繰り返して申し上げますけれども、住宅の耐震化というのは、地震から都民の命と生活を守る、まず入り口です。都としてこれまでの姿勢を率直に見直して、加速に努めるよう要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、日本橋の地下化及び関連事業について質問いたします。
首都高速の日本橋地下化に伴って、さらに別線をつくろうという問題について、三月二日から五日にかけて持ち回りで確認が行われ、三月十日に中間取りまとめが発表されましたが、第一回の開催がたしか十二月末でしたから、わずか二カ月、三回会議が開かれたうち、最後の一回、三月の上旬は、会議は開催せずに意見聴取しただけですから、議論をしたのは二回にすぎません。
大体、このように、日本橋の地下化自体が全体として見切り発車で進んでいます。予定した質問の順番をちょっと変えまして、まず、日本橋の地下化の問題から先にお聞きしたいと思います。
日本橋の地下化の問題では、これまで繰り返し質問もして取り上げてきたように、五カ所の再開発の都市計画決定や再開発組合の設立などが必要です。そうしなければ、地下の高速道路を通すルートができません、今建っているビルの再開発により移転をしてもらわなきゃならないわけですから。
しかし、その見通しは立っているのかということについて、現在の到達点をお聞きします。
○三宮防災都市づくり担当部長 委員がご指摘の五地区のうち、日本橋一丁目中地区におきましては、平成三十年三月に中央区が市街地再開発事業の都市計画決定を行い、同年十二月に都が再開発組合の設立を認可しております。
また、八重洲一丁目北地区と日本橋室町一丁目地区におきましては、令和元年十月に中央区が市街地再開発事業の都市計画決定を行っております。
日本橋一丁目一、二番街区地区と日本橋一丁目東地区におきましては、中央区が都市計画決定に向けて地元と調整していると聞いております。
○曽根委員 地下化のルートをつくるのに、どうしても欠かすことができない五つの再開発のうち、組合設立が認可されたのは一カ所のみ、そして、日本橋一丁目一、二番街区と、また日本橋一丁目東地区は、都市計画決定もまだで、地元と調整中ということです。
こういうところで、私たちも話を聞きましたが、地元地権者やビルオーナーなどが、もともとそこは老舗で古くから一階で店を出して商売をやってきたのに、再開発ビルの一角に押し込められるのは納得できないなど不満を持っており、反対者が多くなるのは当然で、なかなか話はまとまらないというふうに思います。にもかかわらず、日本橋の地下化は決まったのだから、そのためには、はみ出してくる大型車を受けるための新しいルートが必要だということで、地下化の規模がどんどん大きくなっている現状は、大変異常だといわざるを得ません。
別線は、KK線の地下につくるんだということですが、今、高架で通っているKK線の高架下には、恐らく百を超える店舗がテナントで入って営業しています。地下といっても、外環道でやっているような地下五十メートルの大深度ではなく、ごく浅いところを工事しなければなりません。
ずっとこの高架下にテナントが並んでいる場所は、まさに銀座の一等地の商店街になります。その真下を長距離にわたってシールドで掘るような、こういう工事の例が過去にあったんでしょうか。
○山下都市基盤部長 最初に、委員の方から二カ月の検討というお話がありましたが、一昨年から検討が始まっていますので、一年二カ月検討しております、しっかり検討しております。よろしくお願いいたします。
ご質問の方ですけれども、一般的に都市部の道路や鉄道などのトンネルは、道路などの公共施設の下を通過する例が多いのですが、シールドトンネルは施工時の地上への影響が小さいことから、曲線部などでは私有地の下を通過する例もございます。
なお、商業施設の直下を長距離にわたってシールドで掘るような例は承知してございません。
○曽根委員 東京都が例を承知していないというんですから、前例のない工事だということです。
別線を通す地上部分に、かなりの大きなお店も含めて入っていますが、これらのテナントの意向は聞いているんでしょうか。
○山下都市基盤部長 検討会には、KK線と一体構造の建物を管理いたします東京高速道路株式会社がメンバーとして入っておりまして、別線整備案はテナントへの影響は配慮されているとの意見が出されております。
都として、個々のテナントの意向は聞いておりませんが、今後、都市計画を定める際には、説明会や都市計画案の縦覧を通じまして、テナント関係者の方々のみならず、広く都民から意見を聞いてまいります。
○曽根委員 現地に先日行ってまいりましたが、老舗の飲食店だとか居酒屋、ブティックなど、人気店が百軒規模で軒を連ねているわけです。シールドが下を通過する。それも、すぐ真下の場所で工事が行われるという時期に、私は、もし本当に工事をやるんだったら、仮店舗に移ってもらうなどの特別の対策が必要になるんじゃないかと思いますが、個々のテナントに意向も聞かずに中間の取りまとめを出してしまうやり方は、私は余りにも無責任だと思います。
それで、この別線整備の事業費と、それから日本橋付近を含む総事業費、これ全体で幾らになるのか出ているんでしょうか。
○山下都市基盤部長 日本橋周辺の首都高地下化に要します概算事業費は、約三千二百億円と見込んでおります。
別線整備案の概算事業費につきましては、国などの関係者とともに、今後、検討してまいります。
○曽根委員 一・二キロの日本橋の地下化だけで三千二百億円です。それに加えて、今回打ち出された別線の方も約一・二キロですから、同等とまではいかないかもしれませんが、莫大な事業費がかかるのは明らかです。しかし、幾らかかるかも試算しないまま、ルートが見出せたからこれでいきたいと発表してしまう。もちろん都を初め、どこが負担するかもまだ定まっていません。ここでも、余りに無責任なやり方が横行しているといわざるを得ません。
日本橋では、三井不動産など大手ディベロッパーが地下化を契機に再開発を行い、超高層ビルを林立させ、まちの風景を一変させようとしています。さらに、別線の地下化を捉えて、周辺の地域では再開発の動きが次々起きています。別線の先には中央環状線の高速道路の築地川区間がありますが、ここはどうかということです。
この先、別線の接続していく中央環状の築地川区間の掘り割り部分も含めて、さらなる高速道路の地下化の動きが連動して具体化していくのではないかと思いますが、この点ではいかがでしょうか。
○山下都市基盤部長 別線と接続いたします都心環状線の築地川区間におきましては、強度が不足している擁壁の取りかえ等を行う大規模更新の実施が、平成二十六年に既に決定されておりまして、国は、同区間をモデルケースといたしまして、都市再生と連携した高速道路の老朽化対策に向けた検討を推進することになっております。
○曽根委員 今私がお聞きしたのは、築地川区間の掘り割り部分の地下化の動きがあるんじゃないかということをお聞きしたんですね。お答えなかったんですけれども、私、中央区の幹部の方にもお会いして、もうこれは、あそこは掘り割りになっているけれども、ふたをかけて、また地上を活用する、事実上の地下化の動きを、中央区としては都にも求めているんだということはおっしゃっておりました。
この点で、こうした動きが出てくるのはもう明らかになっているんですが、都としては、こうした地元区の要望や動きについて、どう捉えているんですか。
○山下都市基盤部長 築地川区間におきましては、大規模更新の実施が既に決定されておりまして、国は、都市再生と連携した高速道路の老朽化対策に向けた検討を推進することとしております。
また、中央区は、掘り割り構造となっております同区間の上部空間を活用することで、新たな都市空間を創出する考えを示しております。
都といたしましても、こうした動きを踏まえながら、築地川区間の大規模更新を促進してまいります。
○曽根委員 築地川区間についても、東京都は区のまちづくりを支援し、国や首都高にも働きかけていくと、再開発を促進する姿勢です。もう恐らく、築地川区間についても事実上の地下化ということで、どんどん計画は進んでいくんだろうと思います。本日質疑してきたように、日本橋区間でも再開発の見通しが定まっていない。別線では、影響を与える多数のテナントから声も聞き取っていない。費用が幾らかかり、誰が払うかも定まっていない。見切り発車で強行している姿が明らかになっています。
もう一方で、この区間をどんどん延長して開発の計画が立ち上がり、それを都は支援している。これでもうけるのは、工事を手がける巨大ゼネコンや周辺開発を手がける巨大ディベロッパーという限られた企業です。
日本橋の地下化計画は、もともと地元の方々が願った、日本橋に青空をとの願いに応えるものとして登場しましたけれども、撤去されるのは二十年も先になります。都民や関係者の声を聞かずに、必要な費用なども示さず強行するような日本橋計画の具体化はストップして、抜本的な見直しを求めておきたい。
次の質問に移ります。
次に、今回、条例改正が提案されているプロジェクションマッピングについてお聞きします。
今回、条例改正の対象というのは、私から見てこれまで以上に人間の視覚に強い作用を及ぼす巨大映像による広告物です。したがって、屋外広告物として、これまでより厳しい検討が、また、規制が必要だと思います。
今回、プロジェクションマッピングの活用には、二種類の方式が規定されています。知事の許可を得て活用地区を決める場合と、地域の、例えば、自治会などが地域的に活用する場合です。活用地区を決める場合、市街地の道路に面した場所では、どれぐらいの面積の制限があるのかをまずお聞きします。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 プロジェクションマッピング活用地区におきましては、通常のプロジェクションマッピングの基準によらず、まちづくり団体等が、地域の実情に応じて、表示面積等の表示基準を定めることとしております。
○曽根委員 まちづくり団体がつくられ、そこで地域の特性に応じて決めると。特に面積の限度は決まっていないわけですよね。
条例案では、画面転換や点滅が毎秒三回以内という規制を、国のこれはガイドラインだと思いますが、かけていますが、これはどういう根拠によるものですか。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 ただいまお尋ねの画面転換や点滅につきましては、条例案ではなくて、昨年の十一月に公表いたしました規制の見直し案においてお示しをしたものでございます。この中で、テレビ放送におけるNHKと民放連の共同のガイドラインを参考に、プロジェクションマッピングを表示する際の配慮事項として示したものでございます。
○曽根委員 この基準というか、条件というのは、当然ながらどちらの方式でも、地域的に地元の団体がやる場合でも、それから、まち中で大規模にやる場合でも条件適用されると思うんですが、一秒間に三回までは許されるというこの点滅や画像転換の自動車の運転者への幻惑効果については、本当に考えられているんだろうかと。今の点滅の規制で幻惑効果がもたらされないという保証があるのかなというのが、私、非常に疑問なんです。
自動車の運転者への幻惑効果ということについては、どう考えられているんでしょうか。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 ただいまご指摘の画面の転換あるいは点滅等につきましては、運転者の幻惑というものを想定したものではございませんで、プロジェクションマッピングを鑑賞する人の健康面への配慮事項として示したものでございます。
これとは別に、今回の改正では、道路を挟んで投影する場合等において、信号機等の効用阻害や運転者を幻惑するおそれがないということを求めているということでございます。
この運転者を幻惑するおそれがないとは、例えば、運転者の目を幻惑するような光を道路上に投射しないことなどが考えられますが、具体的には、個別に交通管理者との協議によるものと考えております。
○曽根委員 今の考え方は、非常に私、疑問があるんですね。この一秒間に三回以内の点滅規制というのは、その映像を見に来た人たちに健康への被害を与えないように考えたものだと。しかし、運転者の幻惑効果は別なんだと。しかし、その映像を道路際などで投射していれば、運転者が見ないということはあり得ないわけです。視野の中に入ってくるわけですよね。当然、運転者への効果としても考えなきゃならないと思うんですよ、私。しかし、それは個別の協議によると。
この問題は、基本的な映像の面積の投射方法も決めていないで、最終的には個別に判断というのは、私、規制のやり方として非常に問題があると思います。改めて、大きな原則を規定することを検討すべきであると申し上げておきます。
次に、企業の宣伝などの制限はどうなっているのか。
形のある、例えば、ポスターとか広告看板とか、こういう屋外広告物に比べて、映像の場合に規制が非常に弱いんじゃないかという印象ですが、その理由はどういうことでしょうか。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 国におきましては、プロジェクションマッピングについて、常時表示されるものではなく、都市の景観、風致や安全性への影響が小さいなど、有体の広告物と特性が異なるとして、従来の屋外広告物とは別に条例のガイドラインを示しております。
その中で、公益性のあるプロジェクションマッピングの基準として、企業広告等の割合がおおむね三分の一以下であることなどが示されておりまして、都もこの考え方を準用しているということでございます。
加えて、都におきましては、光の投影により動きのある大きな映像を映すことが可能であるなどのプロジェクションマッピングの特性を踏まえまして、有体の広告板等にはない急激な光点滅等を避けるなどの配慮や、運転者を幻惑するおそれがないことなどを求めております。
○曽根委員 お答えには、私にはありませんでしたが、先ほどの答弁の中で、映写機の機材や映像を作成する費用がかなり莫大にかかると。この費用が賄えないところは、なかなかこれが使えないと。その費用の一部として、ここで企業宣伝などを入れて、その広告料が、まあ宣伝料ですか、その費用の助けになるということで、今後、プロジェクションマッピングを推進していく一つの何といいますかね、手だてとして、広告規制、宣伝規制を緩めたというふうな私は印象を受けたんですね。これは、テレビ広告やポスターに比べても、プロジェクションマッピングができる力を持った企業が優位なのは明らかであって、私は濫用されないことが重要だと思っております。
地域ルールづくりの場に、地域住民とともに、交通安全の立場で警察署などがちゃんと参加して、交通安全の立場からも厳しくこの問題について、やはり検討、協議に参加すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 プロジェクションマッピングの活用地区において、まちづくり団体等が表示基準等を定める際には、説明会の開催等により、住民の意見を反映させるよう努めることを求めております。
また、交通管理者とも協議することになります。
○曽根委員 それから、地域のイベントなどの場合、このプロジェクションマッピングを表示する場合、地元区市町村への届け出は義務化されているんでしょうか。また、大きさなどの制限については、どうなっているでしょうか。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 公益イベント等に該当いたします地域のイベントにおきましては、許可権者である区市町への届け出を行うことなどを条件に、許可を受けずにプロジェクションマッピングを表示できることといたします。
また、プロジェクションマッピングの表示面積等につきましては、原則、広告板等と同じ基準が適用されることになりますが、公益イベント等においては、表示期間が十四日以内であれば、それを超える表示も可能といたします。
○曽根委員 短期間であれば、地域の団体が行うイベントで、ここでも面積は自由、届け出すれば許可を得る必要はない。やはり規制が余りにも緩いといわざるを得ません。都条例のもとになった国のガイドラインについて、業界の関係者は、これでプロジェクションマッピングが実施しやすくなるとして非常に評価しておりまして、その点でやっぱり制限が緩いということを評価の理由としています。
もちろん、この活用を全て規制する必要はありませんが、国のガイドラインは規制緩和の行き過ぎがやはり各方面から批判されて、東京都はそのままの適用ではありませんけれども、今後の制度濫用が心配されます。
特に、都心を中心とした都内では、歩行者や運転者への幻惑効果を及ぼす危険が極めて高いために、厳しい規制が必要と考えられること、これは以前、都営バスのラッピング広告の際にも、私、強調いたしました。例えば、大きな女優の顔が都営バスの後ろに張られたことがありまして、これが非常に人気のある人だったんで、思わず見入っているうちに追突しそうになったという私の経験をもとに意見を申し上げたんですけれども、すぐなくなりました、こういうのはだめということになったんです。
都内では、今後、このプロジェクションマッピングが濫用されないための慎重な検討の場を、私は、公開で専門家や都民も参加して設けるべきだと、いきなり条例化するのは非常に乱暴だということは申し上げておきたいと思います。
次に、最後に、横田基地の問題について何点か質問します。
まず第一に、第九次の横田基地の騒音公害訴訟の判決が出されました。ここでは、騒音への賠償は命じられましたが、飛行の差しとめは退けられ、そして、今後起き得る騒音被害についての補償も認められませんでした。過去の騒音の被害だけが補償の対象になると。これがやっぱり今後の騒音も続くことをとめることはできず、都民の苦痛と怒りはおさまりません。
騒音被害の解決には、横田基地の撤去が決定的ですが、撤去に導くためにも、都民の騒音被害の実態を明らかにすることが重要です。例えば、この間配備されたオスプレイが盛んにホバリング訓練などをしている地点に東京都の騒音測定器を増強するとか、米軍機の訓練実態を測定し公表するなど、東京都としても取り組みを強化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○高原基地対策部長 横田基地の騒音調査につきましては、所管する環境局から、基地周辺の環境基準の達成状況を把握するために必要な数の調査地点を設けていると聞いてございます。米軍基地に起因する騒音につきましては、国が法の枠組みに基づき、適切に対処すべきものでございます。
このため、都は、毎年の騒音調査の結果に基づきまして、国と米軍に航空機騒音防止対策の推進を要請するとともに、国への提案要求や渉外知事会の要望を通じても、基地周辺の騒音被害の軽減を図るよう求めてございます。
○曽根委員 オスプレイのホバリングというのは、これまでと違った区域での騒音を発生させています。基地対策部は、この実態を把握すると同時に、やはり環境局の測定器も、今まだ数も少ないだけじゃなくて、騒音の中心の場所に置かれていないという点でも働きかけをすべきだと思います。
次に、現在起きているPFOS問題、有機リン系の化学物質、主に、米軍基地の中で大規模な火災消火訓練が行われた際に繰り返し使われてきた消火剤の中に入っているものですが、さらに都の米軍への厳しい姿勢を求めている問題だと思います。
PFOSなどを含む泡消火剤について、前回の本会議質問の際には、国の基準がないことが立入調査を求めることが難しい理由とされていましたが、国も環境基準を定める動きになっている今日、かつて米軍の航空機燃料の流出事故の際に調査を求めたように、立入調査を求めるなど、このPFOSの汚染実態の把握に努めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○高原基地対策部長 横田基地におけます泡消火剤の流出や使用状況等につきましては、国に確認をいたしましたが、泡消火剤が流出したとの情報は承知していない、また、横田基地では、平成二十八年以降、PFOS等を含む泡消火剤を使用していないとのことでございました。
さらに、有機フッ素化合物でございますこのPFOS等は、泡消火剤以外にもさまざまな用途に使用されており、現時点では発生源は特定されてございません。
PFOS等につきましては、環境省が、現在、地下水等の全国調査を行っており、さらに今後、河川など水環境における目標値を設定するとしてございます。また、厚生労働省も、本年四月を目途に水道水質の暫定目標値を設定すると聞いてございます。
今後、これらの動向を注視するとともに、引き続き、国や米軍に情報提供を求めるなど、実態把握に努めてまいります。
○曽根委員 昨年、私どもが本会議で取り上げて以降、かなり急激な、急速な動きになっています。日本の政府もさすがに、米国本土では市民運動が急速に広がり、また、沖縄では長年水道水にまじっていたことが明らかになり、そして横田基地周辺でも高い濃度で検出されているなど、事態の広がりに対応せざるを得なくなってきているわけです。
しかし、都の姿勢は、相変わらず立入調査を要求する点でも腰が引けているといわざるを得ません。この点でも、ネックは日米地位協定であることは明らかです。この問題を避けていては、PFOS問題はもちろん、この数年の横田基地の異常な機能強化と訓練の異常な拡大に対して、都民の立場で物をいうことができなくなってしまいます。
今回の問題でも、やはり都は、基地により都民が負うさまざまな犠牲を解決するために、率先して地位協定の見直しを国と米軍に求めていくべきではないかと思いますが、いかがですか。
○高原基地対策部長 日米地位協定は、締結以来一度も改定をされておらず、補足協定等により運用改善は図られているものの、国内法の適用や自治体の立ち入り権がないなど、我が国にとっても依然として十分とはいえない状況でございます。
このため、都は、国への提案要求におきまして、直接外務省に出向き、基地周辺の生活環境の保全及び安全の確保に係る国内法令を米軍基地に適用する旨を協定上明記することなど、協定の見直しを要請したほか、全国知事会や渉外知事会の要望においても見直しを要請してまいりました。
今後も、他の自治体とも連携をし、日米地位協定の見直しを国に求めてまいります。
○曽根委員 今後も、国に対して、全国知事会でも決議を上げました地位協定見直しを求める、東京都が先頭に立つと同時に、今回の都民の安全と環境にかかわる重大問題については、特に都の立入調査権をやっぱり求め続けることが大切だと申し上げておきたいと思います。
この化学物質問題は、基地周辺の特に子育て中の若い保護者の方々が、例えば、ママの会などをつくって勉強会を始めております。私も先日、専門家の話を聞きに、その勉強会に参加をしてまいりましたけれども、こうした都民の声にいかに応えるかが東京都に厳しく問われているということを申し上げて、私の質問を終わります。
○中村委員 それでは、都市整備局に質問します。
先週三月十一日、東日本大震災からちょうど九年目を迎えました。新型コロナウイルスのため、政府主催の式典は残念ながら中止になりましたが、決して風化させてはならないばかりか、三十年以内に首都直下型地震が七〇%の確率で起こるといわれて久しいだけに、今、震災が起こらないとも限らないわけですから、感染症の対応をしつつも、常に震災対策を進めていかなければなりません。複合災害という最悪のケースも考えると、震災に対して想定できる対策は、早急に行う必要があります。
そこで最初に、今般、一部改定を進めている東京都耐震改修促進計画について伺います。
緊急輸送道路の沿道の耐震診断が義務化され、耐震改修が努力義務化とされた条例が二〇一一年三月十一日の東日本大震災の発生直前に議会で可決をしました。それを受けて、二〇一二年三月に計画が策定をされました。いつ起こるかわからない震災への備えとして、早急に建築物の耐震化を進める必要があり、とりわけ緊急輸送道路沿道の建築物は早期の耐震化を進める必要があります。条例制定後の計画に定められた目標数値はどうであったのでしょうか。
その後、二〇一六年三月に計画が改定され、一〇〇%になる目標が二〇二五年度まで大きく後退し、その際には、この委員会でも大きな問題となりました。
前回の計画改定時に、目標数値はどのように変更したのでしょうか、理由は何だったのでしょうか、改めて伺います。
○青木耐震化推進担当部長 東京都耐震改修促進計画は、平成十九年三月に策定し、平成二十四年三月に改定しておりまして、このときの緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率の目標は、平成二十七年度末までに一〇〇%としておりました。
平成二十七年度末の改定に当たり、耐震化推進条例により耐震診断を義務づけた結果、特定緊急輸送道路沿道建築物の九割以上で耐震診断が実施され、耐震化状況がほぼ把握できたことからシミュレーションを行ったところ、特に倒壊の危険性が高い建築物を解消し、かつ耐震化率を九〇%とすることで、震災時における通行機能を確保できることが明らかとなりました。
このことを踏まえ、東京二〇二〇大会の開催までの新たな耐震化の目標や、最終的に耐震化率一〇〇%を目指す目標年次を定めたものであります。
○中村委員 最初のときでは、平成二十七年度、二〇一五年度で一〇〇%としていたわけですから、かなりこれがおくれたのかというふうに思っています。
今回、さらにこの耐震改修促進計画が改定され、特定緊急輸送道路沿道の建築物について変更がされます。区間到達率と総合到達率という新たな概念を用いていますが、細かく区間を区切ることで達成度を大きく見せているともいえます。さらに、一〇〇%は十年も先延ばしとなる二〇三五年度末という、長期戦略の目標年次の二〇三〇年よりももっと先の達成となります。
民間建築物とはいえ、なぜここまで大きく後退したのか伺います。
○青木耐震化推進担当部長 計画の改定に当たりましては、これまでの耐震化率よりも、実質的な通行機能が確保できているかどうかを的確にあらわすことができる区間到達率などを用いて目標を設定しています。
令和七年度の目標達成に向けて、特に倒壊の危険性が高いIs値〇・三未満の建築物の解消は地震での倒壊によって道路を閉塞する確率が低減されることから、段階的な改修も促すこととしました。これは、二回目以降の工事を終えて耐震化が完了するまでには、大規模修繕の期間等を考慮しますと時間を要することとなりますが、必要な通行機能を早期に確保する観点から有効でございます。
こうしたことから、総合到達率で一〇〇%の目標年次については、段階的改修を実施した建築物の耐震化が完了するまでの期間を考慮して設定しました。
○中村委員 区間到達率ということで、迂回をすれば到達できるということでもあるんでしょうけれども、実際その災害が起きたときにそういった迂回のルートを、じゃあどうやってその車両に知らせるのかということもありますし、緊急の輸送道路ですから、なるべく早く行けた方がいいわけですから、もちろん一〇〇%に向けて懸命に取り組まれているとは思いますけれども、より一層、こういった取り組みをしっかりとやっていただきたいと思っています。
また、冒頭にも述べましたが、震災はいつ来るかわかりません。対象が民間建築物で、都みずからが整備するわけではないにせよ、限られた数であり、条例にも対応が規定され、補助の割合も高く設定されています。ここで目標が達成できないようであれば、他の建築物の目標の達成は進みません。引き続き、一〇〇%に向けての取り組みを進めていただくことを求めます。
また、特定緊急輸送道路沿道以外の住宅などの目標は、来年度の改定で目標数が見直されることになりますが、そちらも迅速に進めることが必要です。しかし、低所得の方が経済的な理由により耐震化ができない場合もあり、所得の格差が命の格差になりかねません。自治体間の財政の格差もあるので施策や補助にも差がありますし、個人間の所得格差などもあります。
そうした経済的な格差が命の格差にならないよう、都として、全ての都民が安心して暮らせるよう対応することが重要です。古い住宅や古いアパートなどを借りて住む方々にとっては、所有者が耐震化をしないと、経済的にも転居もできない場合もあります。都として耐震化一〇〇%に向けて取り組むことを求めます。
次に、防災都市づくり推進計画の基本方針も改定されますので、伺います。
耐震化の個々の家だけではなく、まち全体で燃えない、倒れない都市を目指して取り組むことは重要で、こちらも時間がかかるので、着実な対応が求められます。これまで都は、整備地域の不燃領域率の七〇%を目指して取り組んできましたが、二〇〇四年、二〇一〇年、二〇一六年の計画では、それぞれの主な目標数値はどのようになっているのか伺います。また、今回の計画では、目標設定はどのように変化をしたのか、あわせて伺います。
○三宮防災都市づくり担当部長 防災都市づくり推進計画におきましては、整備地域の不燃領域率などの目標を定めております。
これまで、整備地域における不燃領域率の平均値の目標達成時期は、二〇〇四年と二〇一〇年の計画におきましては、二〇二五年度までに七〇%到達とし、二〇一六年の計画では、二〇二〇年度までに七〇%と前倒しし、不燃化の促進に取り組んでまいりました。
これまでの取り組みにより不燃化が進む中で、各地域の進捗状況に目を向けると、不燃化が進んでいる地域や加速が必要な地域など、地域の状況により差が出てきているのが実情でございます。
そのため、今回の計画の改定に当たりましては、地域ごとの状況や課題を踏まえ、それぞれの地域で効果を上げていくため、新たな目標設定をすることといたしました。具体的には、二〇二五年度までに整備地域のうち半数の地域で不燃領域率七〇%への到達、二〇三〇年度までに全地域での到達を目指すことといたしました。
○中村委員 こちらも懸命に取り組まれているとは思うんですが、やはり到達年度の目標がおくれてしまうということもありますので、より一層、着実な取り組みを引き続き求めていきたいと思っています。
また、さきの事務事業質疑のときにも質問したんですが、多摩地域においては、こういった対象には入っていません。整備地域を対応し、そこに含まれない市町村の不燃化については各自治体の取り組みを支援するとのことですが、先ほどもいいましたが、財政的な差もあり、進まないところもあります。
都として、より積極的に自治体を支援すべきと考えますが、改めて見解を伺います。
○三宮防災都市づくり担当部長 都は、防災都市づくり推進計画におきまして、整備地域について、原則として新たな防火規制区域の指定を行うこととしております。
また、都内には、整備地域以外にも老朽木造住宅の密集地などがあり、こうした地域についても、地区計画または用途地域による敷地面積の最低限度の設定による敷地の細分化防止や、市街地状況に応じた防火規制等の指定による建築物の不燃化の促進を図ることとしております。
今後もこのような考えに基づき、区市に対して地区計画策定等を働きかけていくとともに、引き続き、財政支援を行ってまいります。
○中村委員 また、次に、計画の中には、避難場所についても目標が定められています。避難有効面積を一人当たり一平米確保するとのことですが、かなり狭いのではないかともいえます。もっと広くすべきではないでしょうか。
また、避難距離三キロ以上を解消することを目標としていますが、都市部において三キロは相当な距離ともいえます。達成状況は、どうなっているのか、伺います。
○三宮防災都市づくり担当部長 都は、区部におきまして、東京都震災対策条例に基づき、広域的な避難を確保する見地から、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するための避難場所と、避難場所に安全に避難するために必要な避難道路などを、昭和四十七年からおおむね五年ごとに指定してきております。
平成三十年六月に行った前回の指定の見直しにおきまして、それぞれの避難場所で避難有効面積の目標を達成するとともに、避難場所全体では、一人当たり三平方メートル以上を確保しております。また、避難距離が三キロメートルを超える避難圏域は、三カ所から二カ所に減少いたしました。
今後とも、都は、市街地の不燃化を進めることで、避難場所の拡大や新たな避難場所の創出を図り、一人当たり避難有効面積のさらなる増加、避難距離のさらなる短縮に努めてまいります。
○中村委員 いろいろと先ほどは耐震の方と、そしてまた、防災の都市づくりということで、計画の数値目標についての達成状況等を含めて質問させていただきました。いろいろと改定するときに、見直す必要があればもちろん見直さなければならないんでしょうけれども、ただ、余り目標をそんなに変えていいというものでもないと思っていますから、必要な目標というのはしっかり定めて、そこに向けて着実に取り組んでいくということが必要かと思っています。
また、変わってきた変遷を見ようと思うと、計画が変わっているので、過去のを調べようと思うと、どれが最新の計画かというのがわかりづらくなってしまうので、全部並べておくわけではないにしても、一番新しいところの計画にそういう履歴を並べておけば、もちろんおくれたとかということになるんですけれども、それを見てどういうふうに達成しているかということもわかるわけですから、こういったことの情報の出し方というのも、私はこれは明らかにしていくことだと思っていますので、できれば、もちろん、下方修正してほしいということではないんですけれども、きちんとそれを守っていくという意味でも、こういった数値の示し方というのを改めて考えていただければというふうに思っています。
さて、また来年度の予算の中に新規事業として、災害に強い首都東京の形成に向けた検討として一千万円計上されていますが、内容を伺います。
災害に強い東京をつくるということは、都政の最大の課題の一つでありますので、ぜひこういったことを検討していただいた上で、どのように取り組むのか伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 来年度予算案に計上しております災害に強い首都東京の形成に向けた検討は、水害対策や地震対策など、ハード、ソフト両面から効率的、効果的に進めるため、国と連携して防災まちづくり施策を検討するものでございます。
具体的には、本年一月、都が国とともに設置しました災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議での検討などに活用する予定でございます。
今後、連絡会議での議論も踏まえまして検討を深度化し、防災まちづくり施策の具体化を図ってまいります。
○中村委員 次に、多摩振興について伺います。
多摩地域では、かつて、これは石原都政のころだったと思うんですが、多摩シリコンバレーといった施策を打ち出し、圏央道周辺においては、高度な機能を備えた物流企業などの立地が行われるなど一定の成果が見られたものとは考えています。
しかし、その一方では、企業の撤退や大学の都心回帰なども見られています。私の地元の三鷹市でも、日本無線といった大企業が地方に移転したほか、他の市でも大企業の移転が数多く見られます。ここ数年記憶するだけでも、東芝の青梅の工場、そしてまた日立の青梅の工場、そして富士通のあきる野の工場など、軒並み世界有数の電機メーカーの企業が移転をしてしまっています。
こういった状況を食いとめ、多摩地域をさらに発展させていくためには、これまでとは異なる形で多摩の魅力や価値を引き出し、逆に企業などを呼び寄せる施策を行っていくべきと考えます。
都は、来年度予算の新規事業として、まさにそのような施策を推し進めることとしており、多摩の拠点づくりの取り組みの促進としてモデル事業を行い、イノベーション創出拠点の整備に向けたまちづくりの検討経費を補助するとしています。また先月には、この具体の取り組みの方向性を示すものとして、多摩のイノベーション創出拠点の形成に向けた取組方針を公表しています。
そこで伺いますが、来年度予算に計上している三千万円についてですが、幾つの自治体をどのように支援するのでしょうか。また、今回の予算を通じて、多摩地域の将来のどのような姿を目指して取り組むのか伺います。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 都は、未来の東京戦略ビジョン等を踏まえ、多摩の強みである高い技術力を持つ企業や大学などの集積等を生かして、多様なイノベーション創出拠点の形成を図るため、産業政策とも連携し、各自治体によるまちづくりを促進してまいります。
来年度から実施するモデル事業では、地元自治体が主体となって、ハード、ソフトの両面からイノベーション創出のまちづくりに取り組む地区を公募により三地区程度選定いたしまして、都が検討経費の補助や検討会議への都職員の参加などの技術的、財政的な支援を行います。
さらに、都と多摩地域の市町による連絡会議を新たに設置し、情報共有や意見交換等を行いながら、二〇二二年度を目途に、多摩の拠点整備に関する新たな計画を策定し、多摩地域全体でイノベーション創出拠点の形成を推進してまいります。
○中村委員 先ほど、多摩シリコンバレーという話もしていましたけれども、どちらかというと一定の成果があったとはいいながらも、民間企業がそこに集積をしていたのをそう称していたという感もないわけではありませんでした。結局、そういった言葉そのものも、いつの間にか都の資料から全く何の説明もないままなくなってしまうということがありましたが、今度はぜひそういったことがないように、新たな取り組みということで期待をしていきたいと思いますので、多摩地域の振興について取り組みをお願いいたしたいと思います。
さて、都市計画道路についても伺います。
来年度、都市計画道路網の検討という調査が予算化をされています。路線そのものの見直しもあるんですが、昨年、国の政令が変わり、自転車通行帯、いわゆる自転車専用レーンが法的に位置づけられました。
車と自転車と歩行者が共存するためには、新設による都市計画道路の道路幅の見直しも必要となります。戦略ビジョンの中では、二〇一八年で二百三十六キロを、二〇三〇年で四百キロにすると、自転車通行空間ということだそうですが、整備をするということだそうです。
整備そのものは建設局なんでしょうけれども、整備する際に、計画の幅で検討しても、そのままの幅ではうまくいかないこともあります。計画の段階から自転車専用レーンが必要な幅にしておかなければならないのではないかと考えますが、見解を伺います。
○山下都市基盤部長 委員からお話がありました自転車通行帯につきましては、自転車を安全かつ円滑に通行させるために設けられます帯状の車道の部分でございまして、平成三十一年四月に道路構造令が改正され、幅員一・五メートル以上設けることが位置づけられてございます。
この改正を踏まえまして、都道における道路構造の技術的基準に関する条例におきましても、令和元年十二月に自転車通行帯を規定してございます。
こうした背景から、都市計画道路の幅員構成につきましては、地元自治体の自転車に関します計画等を勘案しまして、歩行者や自動車から自転車の通行を分離する必要がある場合には、自転車通行帯の設置にも配慮して検討してまいります。
○中村委員 都市計画道路の幅を変えるのは簡単でないということは承知はしているんですけれども、ただ、基準が変わって、こういったものを設けるというふうになったのであれば、それが設置できるようにしていくことが必要かと思っています。もう幅が決まってしまって、その中でやりくりしなければならないということになれば、結局その幅がとれなくなってしまうわけですから、必要な幅をどのようにとっていくかということを、計画段階からぜひご検討いただきたいというふうに思っております。
次に、外堀の水質改善検討調査について質問したいと思っています。
未来の東京戦略ビジョンの中にも定められておりまして、二〇三〇年に向けた外堀の浄化を行っていくとのことです。来年度の予算の中には、この外堀の水質改善検討調査について、新規事業として二億二千万円もの予算が計上されています。外堀がきれいになることはよいことなんですが、まだ調査を始めるだけなんですが、これだけの膨大な予算を計上しています。
何を検討するのでしょうか、予算の内訳について伺います。
○小野都市づくり政策部長 来年度の予算では、昨年末に公表した未来の東京戦略ビジョンに位置づけました外堀浄化プロジェクトにより、外堀の水質改善を図るために必要な調査などを行います。
具体的には、外堀の水質などの詳しい調査のための経費を初め、外堀に導水する場合の水源、水量や、その水源から外堀まで導水路を確保する方策を関係局と連携して検討するための経費でございまして、調査検討内容が広範囲かつ多岐にわたることを踏まえまして、必要な経費を計上したものでございます。
○中村委員 この外堀の水質改善を進めるに当たって、また別の事業だとは思うんですけれども、玉川上水の話が出てきます。本来の玉川上水の姿をよみがえらせる可能性も展望するということが書いてあります。
現在の玉川上水については、羽村から多摩川の水を取水していますが、上水としては小平の監視所までで、そこからは管を通って東村山の浄水場まで行き、水道水になります。玉川上水は、小平から先は全く別のもので、清流復活事業として、昭島にある下水処理場の処理水を流しています。玉川上水の沿川市には、保存を求める多くの市民団体も活動しています。もちろん史跡としての保存ですが、下水処理水ではなく、本当の自然の水が豊富に流れてくれたら喜ぶ方もいると思いますし、本来の玉川上水の姿がよみがえり、保存されることは望むべきことだと思います。
そして、この外堀の浄化のためには、必要な水をどこから持ってくるかということが課題になりますが、その一つの選択肢として、玉川上水を使うということが検討されているとのことです。とはいえ、そのためには多くの課題もあるかと思いますが、どのような課題があると認識しているのか、お伺いします。
○小野都市づくり政策部長 今後、都は、先ほどご説明させていただきました調査費なども活用し、外堀水質改善に必要な水源、水量などを検討することにしておりますが、その導水路として玉川上水を活用する場合には、下水道として活用されている暗渠区間の改良や外堀までの導水路の確保などが課題であると認識しております。
○中村委員 いろんなまだまだ課題はあるんだと思いますけれども、特に、この多摩の地域で玉川上水の沿川では、本当にその玉川上水を大切にされる方も大勢いらっしゃいますので、本来のその姿が取り戻せるということであれば、これは歓迎をしていきたいというふうには思っています。
特に、私の地元の三鷹市では、ちょうど玉川上水の上に三鷹の駅が建っているんですけれども、そこから玉川上水をずっと歩いて井の頭公園まで行って、ジブリ美術館まで行けるので、多くの方々が歩いてそこを散策をしていらっしゃいます。史跡としての部分というのは、緑の部分ではなくて、実は素掘りの部分で、そういった構造物なんですけれども、そういったところがいいという方もいれば、その緑の回廊がいいという方もいれば、また途中で、文学でいえば太宰治が入水した場所もあればとか、いろんな意味の文化的な遺構等もあったり、大変地元でも大切にされております。
そういった点では、ずっと沿川市に市民団体も連携して取り組まれていらっしゃって、これを保存してほしい、大切にしてほしいといっていらっしゃる方がいらっしゃいますので、ぜひとも、こういった清流の復活、そしてまた、本来の玉川上水の姿ということに向けての取り組みをお願いしたいと思っています。
次に、緑地の確保について伺います。
さきの委員会でも、今年度の最終補正予算で新たな基金を創出することについて質疑を行いました。都市部において良好な住環境を形成するには、緑地の確保は大変重要な取り組みであり、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。とはいえ、都内に残された貴重な緑地において農地が占める割合は高いため、その保存が課題になっています。
一九九二年の生産緑地地区の指定にされた多くの生産緑地が三十年を経過したことで、買い取り申し出が可能になり、生産緑地の二〇二二年問題ともいわれています。買い取りの申し出があれば、自治体は原則買い取らなければならないことになっています。
しかし、相続が発生した際などにも、都内は地価が高いことから実際には買い支えることができず、結局は売却され、膨大な緑地が減少し続けるという厳しい状況にあるのが現状です。
来年度、都は、生産緑地の保全にどのように取り組んでいくのか伺います。
○小野都市づくり政策部長 都は、昨年度新たに、区市が都市計画公園、緑地区域内の生産緑地を買い取る費用に対して助成を行う生産緑地公園補助制度を設けております。平成三十年度には、二区に対して助成し、今年度は二区四市に対する助成を進めており、着実に助成を活用する自治体数がふえております。
来年度の予算規模は十億円でございまして、引き続き、区市への制度を周知し、さらに活用を促してまいります。
○中村委員 生産緑地が三十年を経過すると、特定生産緑地として十年ごとに延期ができますが、手続をせずに過ぎると、おくれて手続をするということができず、指定できなくなります。まだ時間はあるとはいうものの、十分な周知と支援を図る必要がありますが、都の取り組みを伺います。
○小野都市づくり政策部長 都市計画決定から三十年が経過する生産緑地につきましては、二〇二二年までに確実に特定生産緑地に指定することが重要でございます。都は、区市や農業委員会等と連携しまして、制度の周知や指定のメリットの説明など、農家の方々への丁寧な情報提供を行っております。また、区市の手続の進捗状況を把握しますとともに、手続に関する課題と対応の共有化を図るよう、情報提供や意見交換の場の設定など、技術的な支援を行っております。
これによりまして、生産緑地を有する六割以上の区市が所有者の同意取得の手続を開始しているほか、三区市におきましては、既に指定の公示まで進んでおります。
都は、引き続き、積極的に区市への技術的支援を行い、特定生産緑地の指定を促進してまいります。
○中村委員 緑地の方も、生産緑地の方も、農地の方も全てなかなか行政が買い取るというわけにはいかないでしょうから、できればこういった生産緑地の制度を生かしていただいて、農業を続けていただいて、この都会における緑地を確保していただきたいというふうに思います。
さて、基金の議論の際に、自然なこういった緑の買い取りについて使ってほしいという話をさせていただきました。再開発によって緑地ができるということも、壁面緑化とか広場とかあるんですが、できればそういったところに使うよりは、自然の買い取りの方に使ってほしいという話もさせていただきました。
今、農地を初め、都内には多くの貴重な緑地がありますが、細切れで買っても使い方として難しいとは思いますが、そういった自然を買い取らずに宅地化されてしまって、一方では、都市計画の範囲内だからと、既に宅地化しているところを買収して、家を壊して自然を回復させて公園を整備していくということについては、何らか矛盾も感じないわけでもありません。防災上の拠点としてまとまった広さの公園をつくる必要性もありますが、できれば、今ある自然を優先して残していくということを考えていただきたいというふうに思います。
今後も、この緑地の確保ということは、大変重要な都政の課題でありますので、引き続き取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。
○奥澤委員 まず、防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案についてお伺いしたいと思います。
私たちの会派で独自に、インターネットを介して都民アンケート調査を行いました。都に期待する政策ニーズの第一位は、これは年齢別、男女別、さまざまな観点からやりましたけれども、一位は災害に強いまちづくりを推進してほしいということでした。今般の改定案のサブタイトルには、燃えない、倒れない、震災に強い安全・安心な都市の実現を目指してとありますけれども、まさに都民の皆さんが都に対して求めていることであるというふうに思います。
一方で、そのアンケートを見ていて思うのが、災害に強いまちづくりをつくっていく主体の一人が自分自身なんだという意識は、やっぱり都民の皆さんにはちょっと低いのかなというのも裏返しであるのかもしれないというふうに感じています。この後、質問を幾つかしていきますけれども、まちづくりに対して都民一人一人自身が当事者意識を高めていくために、都は、どのようにかかわっていくのかというような視点を持って質問していきたいと思います。
最初に準備していた質問は、既に重複しておりますので割愛をさせていただいて、生産緑地の二〇二二年問題が近づいてくる中でという問題提起から、一点質問をしたいと思います。
改定案の中には、将来、無秩序に宅地化された場合に防災性が低下するおそれのある住宅市街地が存在というようなことがありまして、こうした地域の防火規制の導入や地区計画の策定、こういったことを急ぐべきであると考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○三宮防災都市づくり担当部長 二〇二二年に生産緑地の多くが都市計画決定から三十年を経過し、農地を有する地域におきまして無秩序な宅地化が進行した場合には、延焼の危険性が増大する可能性がございます。これらの地域では、農地の保全、活用を最大限図っていくとともに、やむを得ず宅地化される場合に備え、必要に応じ、地区計画の策定や防火規制の導入などにより、あらかじめ防災性を担保していくことが重要でございます。
そのため、一月に公表した防災都市づくり推進計画の基本方針案では、農地を有し、防災性の維持向上を図るべき地域を新たにお示ししました。
この地域について、今後取りまとめる整備プログラムにおいて、防火規制の導入状況などを重ね合わせて示すことで見える化を行い、区市に対し、必要な規制誘導策の導入の検討を促してまいります。
○奥澤委員 今、見える化というお話がありました。見える化は、実は当事者意識を高めるためにすごく有効な手段だというふうに思います。地域の住民の方々からすると、地図を俯瞰するような形で見ることというのはふだんありませんので、ふだん気づかない視点を持つという意味でも大変重要だと思います。
一方で、地図の上から見ているだけでは、当然、当事者意識は働かない、そして、整備も進んでいかないというようなことも出てくると思います。そういった意味で、地域に身近な区市の動き、働きが非常に重要になると思いますので、しっかりと連携をとって進めていただきたいと要望しておきます。
続いて、東京都耐震改修促進計画について伺います。
きょうも、るる質問ありましたけれども、結局、じゃあこの計画をどうやって具体化していくのか、実現していくのかというのが一番重要な視点だと思います。さまざまな助成、これまでも講じてきたと思いますけれども、なかなか思うようには改修が進んでこなかった、これが実情だと思います。
そのような中で、今後のさらなる耐震改修を促進していくには、地道かもしれないですけれども、建物所有者を初めとする利害関係者と膝を詰めて話し合っていかなければならないというふうに考えます。
この計画の一六ページを見ますと、都が区市町村や建築士の団体と連携し行った個別訪問、ローラー作戦という言葉が出てきます。課題の抽出について述べられているページだったかと思いますけれども、具体に耐震改修を促進していく上でも、大変有効な手段であると考えます。見解をお伺いします。
○青木耐震化推進担当部長 都は、平成二十八年度から、区市町村や建築士の団体と連携して、特定緊急輸送道路沿道建築物の所有者等への個別訪問を行い、耐震化を働きかけてきました。個別訪問などにより所有者等に直接働きかけることは、費用負担や区分所有者間の合意形成、改修等により機能が損なわれるなどの個々の課題に応じた説明や提案が可能であり、耐震改修等を促す上で有効な取り組みであります。
○奥澤委員 今、有効な取り組みであるということで認識もありました。個々の課題に応じた説明や提案ということが、本当にこれから先必要なんだと思います。
また、二六ページを見ますと、所有者等に対し個別訪問や啓発文書の送付等を行うことにより耐震化を強力に働きかけとあります。これまでもやってきたことなんだとは思いますけれども、これまでと比べて、どのような工夫を講じていくのか、お伺いしたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 所有者は、費用負担や合意形成以外にも、さまざまな課題を抱えておられます。その課題に対して的確な働きかけを行ってまいります。
賃貸建築物の所有者に対しましては、耐震化に向けて占有者の協力を得やすい仕組みを整えたことに加え、新たに改修費用の助成を加算することなどを説明し、耐震化をさらに促してまいります。
また、特に倒壊の危険性が高い建築物の所有者に対しましては、段階的な改修について、新たに、二回目以降の工事が未定の場合も助成対象とすることなどを説明し、緊急輸送道路の通行機能の早期確保に向けて段階的な改修も促してまいります。
○奥澤委員 これまでの取り組みの中で、なかなか行動に移すことのなかった方々というのは、何らかの事情を抱えているんであろうというふうに推察されます。私のこれは経験というかで申しわけないんですけれども、複雑な事情、難しい事情を抱えた人ほど、やっぱりコミュニケーションをとるのは難しくて、そういったところに足を運ぶことというのはどうしてもおっくうになってしまって、どんどん足が遠のいてしまって、いつの間にか気づいたら担当者が変わっていってしまっていると。また腹を割って話したいと思ったときには、違う方になっているので、もう話ができなくなってしまっているというようなケースもたくさん伺うところであります。
もちろん、行政の仕組みとして、人が変わっていくのは当然のことだとは思うんですけれども、そのときに、それまでに築いた信頼関係だったりコミュニケーションが、また一からやり直すとかいうようにならないような、そういった仕組みだったり意思疎通のあり方というのを、ぜひとも意識していただきたいということを要望しておきます。
次に、緑確保の総合的な方針について質問をしたいと思います。
緑の確保、これは先ほどからお話もありましたけれども、都市の魅力を向上させるという意味でも大変重要です。中でも、多様な主体が連携して取り組むことが大切だと思っています。大きな都市計画の中で緑をつくっていくという方向性と、まさに草の根で都民自身が緑をふやしていこうとする、両方向からのアプローチが必要なのだというふうに考えます。
そうした意味から、本方針に記載されているNPO法人Green Connection TOKYOの役割は重要ではないかと考えますけれども、その設立の狙いについてお伺いします。
○小野都市づくり政策部長 NPO法人Green Connection TOKYOは、市民団体や緑地の所有者、企業による緑の保全活動を支援する民間組織として、平成二十二年に民間基金の支援を受けて設立されました任意団体、東京の緑を守る将来会議を前身としております。
これまで、屋敷林の保全を進めるためのワークショップや、緑の保全に係る市民団体の交流会などを行ってまいりました。今後は、法人化の強みを生かしまして、緑の保全、活用に関するコンサルティング事業などを受託していくこと、また、任意団体のときと異なりまして、多くの会員を対象として情報の周知を図ることも可能となることから、東京の緑の価値を伝えるフォーラムの開催やウエブ媒体による緑の情報発信など、より幅広く主体的な取り組みを推進していくとNPO法人より聞いております。
○奥澤委員 もともと多様な主体がともに取り組んできたというベースがあることに加えて、法人化によって、さらに取り組みの幅が広がるという答弁であったかと思います。本方針の中には、緑の保全、創出を進める上で、行政、NPO、企業などさまざまな主体が連携して取り組むことの重要性がたびたび記載されています。これには賛同しています。
では、さまざまな主体の連携を進めるに当たって、都は、具体的にどのような取り組みを進めていくのか、お伺いしたいと思います。
○小野都市づくり政策部長 緑の保全、創出に向け、多様な主体との連携には、さまざまな手法がございます。
例えば、都市開発にかかわる民間開発事業者との連携や、認定市民緑地などにおいて、質の高い維持管理を地域主体で行う緑のマネジメント、先ほど申し上げましたNPOのような中間支援組織等と連携した都民や市民団体への支援などによりまして、積極的に連携を進めてまいります。
○奥澤委員 さまざまな形でかかわっていく、そして積極的に連携を進めていくということがわかりました。これを進めていくときに、ある程度トップダウンでやっていかなきゃいけない部分、それから、ボトムアップで都民自身の主体性を引き出さなければいけない部分とあると思いますので、そのあたりのバランス感覚は大事にしていただきたいと思います。
東京の緑を確保していくという共通の目標を実現していくには、自治体の垣根も超えて取り組んでいかなければならないと思います。行政の区域で施策を分けていたら、一体的な緑の整備はままなりません。そうした意味から、都区市町村合同の調整プラットホームという言葉がありますけれども、この組織が担う役割が重要であると考えます。
これまでの開催状況、そして、今後の取り組みの方向性についてお伺いします。
○小野都市づくり政策部長 平成二十二年の緑確保の総合的な方針の策定後、これまでに二十四回の調整会議を開催し、方針に掲げた施策の推進や取り組み状況の共有、改定内容の検討などを行ってまいりました。
また、関係する区市町村等が連携した取り組みの例としまして、多摩川由来の崖線の緑を保全する協議会では、崖線の緑の保全に向けたガイドラインの作成やシンポジウム、ウオークラリーの開催などを行ってまいりました。
今後も、こうした調整プラットホームを活用し、都と区市町村が連携して施策の推進に向けた調整を行っていくとともに、社会情勢の変化に対応した施策の充実や、取り組みの加速などもあわせて検討してまいります。
○奥澤委員 再三申してきておりますけれども、都、区市町村、国、企業、民間団体、あるいは都の中でも各組織が横断で取り組まなければいけない。多様な主体の取り組みを一つに束ねていかなければ、緑の確保はできないと思います。ぜひとも、都市整備局がその役割を担って、全体像を俯瞰しながら個別の取り組みを調整していただきたいという、そんな役割を期待しております。
ここからは、令和二年度の予算についてお伺いします。
緑の確保の話から入ります。
気候変動への処方箋という意味合いもある緑の確保ですけれども、緑の多面的な機能を都市づくりに活用していこうというグリーンインフラの概念も、広く知られるようになってきました。特に、日本においては、豪雨災害時における貯留施設を思い浮かべる場合が多いかと思いますけれども、実は、一人一人が各家庭の庭などにおいて取り組む身近なグリーンインフラの積み重ねが重要であります。
近年、水害が多発しておりますので、各家庭で雨水浸透ますを設置するといった取り組みは有効な手段であると思いますが、なかなか設置が進みません。
来年度も設置助成予算が計上されておりますが、その促進のために、どのような取り組みが必要であると考えているのか、見解を伺いたいと思います。
○山下都市基盤部長 都は、総合的な治水対策の一環といたしまして、雨水流出抑制のため、個人住宅の敷地に雨水浸透ますなどを設置する際に、その費用を助成する市区に対しまして補助を行ってございます。
この補助の一層の活用を図り、より実効性のある取り組みを促すため、今年度、地元自治体に対しましてヒアリングを行った結果、雨水の流出を抑える流域対策の認知度をさらに向上させる必要があることが明らかになりました。
これを踏まえまして、流域対策につきまして、地元自治体における対策の実績や十年後の目標値を今月中にホームページで公表して見える化し、市区に対して、その達成に向けた技術的支援などを行っていくことといたしました。
さらに、来年度以降、モデル事業によりまして、地形的な条件などを踏まえました雨水浸透ますなどの貯留浸透施設の効果的な設置方法などを検証してまいります。
○奥澤委員 また、今、実績や目標値を見える化していくというような、そういった答弁、非常に重要だと思います。これも私の聞いた話で大変悲しいお話なんですけれども、グリーンインフラをすごく重要だと思って活動している方が地域にいらっしゃって、その方は設置を皆さんに呼びかけて、セミナーなんかにはたくさん人は来るんですけれども、調べてみたら、実際に浸透ますをつけている家庭がその地域でその方だけだったんですよ。
これすごく重要だと思っていて、やっぱり見えないんですよね。雨水浸透ますも庭の下につけていくようなものなので、すごくいいねと思っても、じゃあ誰がやっているのと、じゃあ自分もやるのといわれたときに、なかなか一歩踏み出せないというのが、その話聞いたときには、ああ、そういうことなんだなと改めて思いました。
見える化ということで、住民の理解は進んでいくと思います。ただ、ここで、設置の位置とか目標、そういったことだけではなくて、それの効果、例えば、十年後の目標を達成すると、この地域においてどれぐらいの水害対策効果があるんだとか、そういったこともぜひあわせて示していっていただきたいというふうに思いますので、これは要望しておきたいと思います。
続いて、デマンド交通の実証実験についてお伺いしたいと思います。
超高齢社会に対応した地域交通のあり方を見直していくという意味でも、非常に重要な取り組みです。
来年度からデマンド交通の実証実験を行う区市町村を支援するということですが、その成果や課題について、全都的に広げていくことが重要であると考えますが、見解を伺います。
○森交通政策担当部長 来年度は、地域公共交通のあり方の検討とあわせ、区市町村によるデマンド交通の導入調査や実証実験に対する補助を開始いたします。実証実験を通じて、区市町村が運行や利用等に関するデータを収集し、効果や課題等を整理することとなります。
こうした内容を区市町村等との情報共有の場として設置する行政会議などを通じて情報提供することにより、デマンド交通を含めた地域公共交通の充実強化に向けた取り組みを技術面から支援してまいります。
○奥澤委員 町田市でも、幾つかの地域でデマンド交通の実証実験を、これは自主的に行っているんですけれども、試行錯誤の繰り返しです。なかなか思ったような結果を得られなくて、その後の取り組みを断念してしまうといったケースもあったと聞いています。
今回、都からの財政支援があるということで、これは実験を続けることができるという、まずそこが大きな違いになります。失敗をしたからそれでやめてしまうというふうになると、なかなかいい、あるべき交通政策というのは見えてこないんだと思います。つまり、失敗で終わることではなくて、失敗を生かして成功へと、また次へ次へと取り組むチャンスを生み出していくというのは、大変重要な支援のあり方だと思っています。
こうした前向きな取り組みを後押しするということ、そして、そのデータを全都に共有していくというようなことで、地域交通のあり方、これをアップデートしていっていただきたいというふうに思います。
次に、多摩ニュータウンの再生についてお伺いしたいと思います。
全国的な団地再生の好事例というのを研究していきますと、いずれも、その主役である住民自身が主体的かつ創意工夫にあふれた取り組みをしていることがポイントになるんだと思います。
本年度から空き店舗や空き住戸などを活用した取り組みを後押ししていますけれども、やはり住民の主体性を引き出せるかどうか、これが鍵になるんだと思います。
そこでお伺いします。空き店舗や空き住戸の活用については、管理者であるURやJKKとの連携も含めて、住民自身の意欲を駆り立てるような、そういった働きかけをしていく必要があると考えますが、見解をお伺いします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 都は、多摩ニュータウン再生の取り組みとして、生活関連サービスの導入などを促進するため、空き店舗、空き住戸等の改修費用の一部を公的賃貸住宅管理者に補助する事業を二カ年のモデル事業として実施してございます。
今年度は、地域住民のニーズを踏まえた地元市の施策や、公的賃貸住宅管理者の把握する居住者ニーズなどを踏まえ、多摩市が空き店舗に設置する北部地域包括支援センター第二拠点の運営事業者用駐車場の整備や、団地集会所の改修等に対して補助を実施してございます。
これらの改修を行うことで、住民の自主的な活動や生活利便性の向上を後押ししてまいりました。引き続き、地元市や公的賃貸住宅管理者と連携し、改修のニーズを的確に捉えながら、住民の主体的な取り組みにもつながるよう、本事業を効果的に実施してまいります。
○奥澤委員 今、改修の事例が幾つか出ているというお話がありましたけれども、これも、団地に住んでいる方々と話をすると思うのが、こういう店舗、あるいは改修、こういったものは行政がやるものだと、管理者がやるものだと。だから、自分がやるものじゃないと思っている方がすごく多くて、住民の方々にとっても、自分たちがこういったサービスが欲しいんだとか、こういった場所が欲しいんだということをいったときに、実現できるという成功体験を持っていないというのも、この一つ大きな問題なのかなと思っています。
ぜひとも、来年度の取り組みにおいては、住民の方々自身が、じゃあどういったものがあればこの暮らしが良くなるんだということを引き出すような、そういったコミュニケーションを図っていただきたいというふうに思います。補助がありますよと、それだけでは本当にもったいない。すばらしい事業だと私は思っていますので、いい成果が出るように期待をして、また来年も見させていただきたいと思います。
次に、多摩のイノベーション創出拠点の形成についてお伺いしようと思ったんですけれども、これは先ほど重複しましたので、質問自体はしないんですけれども、こちらも同じように、地元の区市町村が主体になると思いますので、主体性をしっかりと引き出していただくような働きかけをお願いいたしたいと思います。
次に、多摩地域、私も多摩地域の出身ですから、これは東京の魅力を引き出していく、牽引する大きなエリアとして思っているわけですけれども、同じように今後の東京を牽引していく視点では、ベイエリアは欠かせない場所だと思っています。
昨年、ベイエリアビジョンの策定に向けて、官民連携ワーキンググループからの提言もありまして、ことしはいよいよその策定に向けた仕上げの段階に入っていくものと思います。
ぜひ、意欲的な内容となることを期待するものですが、一方で、未来の東京戦略ビジョン、こちらの具体化も時を同じくしていくのだと思います。これもあわせてその中身がブラッシュアップしていくのかなというふうに思いますけれども、改めて、このスケジュールについて確認をさせてください。よろしくお願いします。
○小野都市づくり政策部長 東京ベイエリアビジョン(仮称)につきましては、昨年十二月に策定しました未来の東京戦略ビジョンにおいて、世界を見据えたベイエリアの将来像と、その実現に向けた具体的な戦略や取り組みの検討を進めることとしております。
今後、官民連携チームからの提案を十分参考にしつつ、来年度策定予定の長期戦略との調整を図りながら検討を進めてまいります。
○奥澤委員 今、ご答弁で、官民連携チームからの提案を十分に参考にしていくといったお話がありました。以前の委員会でも申しましたけれども、どうしたら実現できるのかという姿勢で取り組んでいただきたいと思っています。
加えて、ベイエリアの一部でもあります築地の再整備についても、来年度いよいよ事業者の公募が始まっていくと思いますので、これも民間の発想を十分に引き出して、かつ長期に一貫してまちの魅力を高めていけるように、事業者のみならず、周辺のステークホルダーと十分にコミュニケーションを図っていただきたいと要望しておきます。
このときに、当然、想定したスケジュールに乗せていくということも大事なんだと思いますけれども、一番大事なのは、より魅力的なまちづくりをするにはどうしたらいいのかと、もうここが一番肝なのであって、先ほどの官民連携チームからの提案もそうですけれども、どうしたらベイエリアが魅力的になるのか、この本質的な議論を積み重ねていただきたい。そして、その将来像を見失うことのないように議論を重ねていただきたいということを改めて申し述べておきたいと思います。
最後に、東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例についてお伺いをします。
今お伺いしたベイエリアビジョンもそうですけれども、プロジェクションマッピング、これは都市の魅力を向上していく、とりわけナイトライフを彩るツールとして大変有意義だと思っています。地域ごと、そして季節ごとにその演出を変えていけるということも魅力的であります。そうした視点から、どのような主体がこの取り組みをしていくのかということも重要です。
本条例においては、その主体がまちづくり団体としてありますけれども、いかなるものを想定しているのか、お伺いしたいと思います。これ、要件などあれば教えていただければと思います。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 プロジェクションマッピング活用地区についてのお尋ねということと理解しておりますけれども、このプロジェクションマッピング活用地区の指定を申請する団体といたしましては、例えば、地域で活動するまちづくり協議会やエリアマネジメント団体などを想定しております。
まちづくり団体等の要件といたしましては、まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的とする一般社団法人などのほか、法人でない団体も対象とする予定でございます。
○奥澤委員 今のご答弁をお伺いしますと、かなり幅広い主体が対象となる可能性があるのだろうなと思います。そうなると心配になってくるのは、地域の方々とのコミュニケーションが円滑に図れるのかどうかということです。当該地区の表示基準等を定めていく上では、地域の方々を含めた利害関係者との合意形成、これは非常に重要だと思います。まちづくり団体が丁寧に合意形成を行うことができるように、個別の事情に応じて必要な助言を行っていくべきだと考えます。
合意形成を進める上での都の取り組みについて、役割とでもいいましょうか、表示基準等を定めていく手順とあわせて見解をお伺いしたいと思います。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 まちづくり団体等がプロジェクションマッピング活用地区の指定を申請するに当たっては、プロジェクションマッピング活用計画の案を作成し、当該地区におけるプロジェクションマッピングの表示基準等を定めることとなります。その際には、まちづくり団体等が、説明会の開催等により、住民の意見を反映させるよう努めることを求めております。
都といたしましても、活用地区の指定の申請を行うまちづくり団体等に対し、地元の区市町と連携し、活用計画の案の作成や合意形成等に関して、必要な助言などを行ってまいります。
○奥澤委員 必要な助言を行っていくというふうにありましたので、ぜひここも積極的にかかわっていただきたいというふうに思います。
最後に、条例の対象について一点確認をさせてください。
私、以前シンガポールを訪れた際に、噴射した水に対して映像を映し出すようなイベントがあって、これは大盛況でした。また、これに似た取り組みというのも、ベイエリアなどでは十分に可能であろうというふうに思います。また、一昨年でしたか、昨年でしたか、浜離宮恩賜公園でウオータースクリーンを用いて巨大な映像を映し出しているような演出があって、特に海外の方々から大いに歓声が上がっていたのを覚えています。
そこで、本条例の対象には、こうした水面に映写するようなものが含まれるのか、見解をお伺いしたいと思います。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 屋外広告物法において、屋外広告物とは、常時または一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであって、看板、立て看板、張り紙及び張り札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、または表示されたもの並びにこれらに類するものとされております。
お話の水面に映写するようなものが屋外広告物に該当するか否かにつきましては、ただいま申し上げました一定期間継続しているかどうかですとか、公衆に表示されているかなどを個別に判断することとなります。
○奥澤委員 個別に判断をしていくということで、ぜひ、まちづくり団体の意向などもよく確認しながら進めていただきたいと思います。
最後に、一言申し述べたいと思います。
こういった今回のこの改正案というのは、これは規制なのか、それとも緩和をしていく話なのかというような、同じものをとっても見方というのはそれぞれ違うと思うんですけれども、これは海外の、特に新興国といいますか、どんどん発展を遂げているような国と話をしていると、日本の場合には、まず規制から入るんだと。規制から入って、まずできることを絞った上で、この後できることを考えるというのが日本の考え方で、例えば、先ほども申したシンガポールだったり、中国だったりというところは、まずはやってみると。まずはやってみて、でもやはりふぐあいがあるようであれば、ルールを設けていくと。
考え方が真逆になっていて、じゃあどちらがイノベーションが生み出せるのかという議論を毎回します。そうすると、やっぱり一旦絞ってしまうと、そこから新しいものをつくっていくという発想はなかなか生まれにくいと。これが一つ、日本のイノベーションを阻んでいる要因じゃないかというようなことが聞かれます。
今回も、先ほどもさまざま他会派さんからも意見ありましたけれども、かなり幅広い、いろんな提案が出てくることと思います。なので、その中で、まずはどうやったらできるのかということを考えた上で、ただやっぱり問題があるねと、地域の方々であったりだとか、あるいは事故のリスクだったりがあった場合には、一定のルールを決めていくという、そこは柔軟に取り組んでいけばいいんだと思っていますので、今までにないやり方なのかもしれません。だからこそ柔軟に、そして、しっかりとまちづくり団体や利害関係者の意向をよく聞きながら進めていただきたいということを申し述べまして、質問を終えたいと思います。
○馬場委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後四時五十一分休憩
午後五時十分開議
○馬場委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西郷委員 それでは、私から、東京高速道路、KK線についてまず質問いたします。
東京都中央区は、首都高速道路日本橋区間の地下化に向け、中央区首都高速道路地下化等都市基盤整備基金を創設すると発表しました。原資は、日本橋川沿いに計画がある再開発事業の協力金のほか、区道撤廃に伴う補助金、ふるさと納税制度による寄附金などを想定しています。
首都高速道路日本橋区間の地下化の実現により、道路の防災機能の向上、国際金融都市にふさわしい品格ある都市景観の形成、歴史や文化を踏まえた日本橋の顔づくり、沿道環境の改善など、さまざまな効果が期待できます。
この首都高速地下化を契機として、今後、東京都の将来を担う重要な都市基盤整備の進展が想定されています。その中でも東京高速道路、KK線の活用について注目されています。
中央区の山本区長が小池知事と会談し、日本橋を通る首都高速道路の地下化に合わせて、地下に別の道路を整備し、KK線を遊歩道へと再生する案を東京都に提案した際には、小池知事が大きな関心を示していました。
ニューヨークのハイラインのように、人でにぎわう緑のプロムナードになれば、首都東京にふさわしい観光名所となることでしょう。
中央区では、令和二年度の区の予算案に調査検討費などとして五百万円を計上し、昨年区が策定した築地川アメニティ整備構想で示した銀座と築地のまちをつなぐ新たな緑のアメニティー空間の創出とあわせ、東京高速道路、KK線を活用した銀座地区の外周の緑のプロムナード化に向けた検討を行うとしています。
こうした中央区による検討や、中央区首都高速道路地下化等都市基盤整備基金の創設は、首都高地下化に関連する首都基盤整備等に対し、中央区として積極的な姿勢を示し、一層の促進を図るとともに、必要な資金を積み立てるという強い決意のあらわれです。
地元の中央区選出議員としては、中央区の強い決意と歩調を合わせて、バックアップしていただきたいです。
そこで、都におけるKK線に関する検討状況について伺います。
○吉野まちづくり推進担当部長 平成三十年十二月、都は、国や首都高速道路株式会社とともに検討会を設置し、日本橋周辺の首都高地下化に伴い必要となる大型車の環状方向の交通機能確保策の検討を進めてまいりました。
この検討会において、KK線の既存施設のあり方については、その交通機能上の役割なども踏まえ、別途検討が必要とされ、これを受け、都は、昨年十月にKK線の既存施設のあり方について、学識経験者、地元区等による検討会を設置し、検討を開始したところでございます。
第一回検討会では、現状や課題の整理を行い、高架である特徴や地域の広がりを見据えた広域的な観点を踏まえるべきといった意見が出され、検討を進めるに当たって、KK線の既存施設を評価する上での視点等の整理が必要とされております。
一方、今月十日、交通機能確保に関する検討会において、別線を地下で整備する案を具体化することを確認するとともに、それによりKK線の自動車専用の道路としての役割が大きく低下し、KK線の全線を対象に有効活用策の検討が可能となることが示されました。
このことも踏まえて、都は、引き続き、KK線の既存施設のあり方の検討会において検討を進めてまいります。
○西郷委員 それでは、首都高地下化を契機とした、今後想定される都市基盤整備としては、先ほど触れた東京高速道路、KK線の活用にも築地川アメニティ整備構想が挙げられます。
築地川区間のアメニティー整備構想とは、一九六四年、東京オリンピック開催を契機に築地川を埋め立てて、都市の基盤整備を図った首都高速道路都心環状線の築地川区間において、東京二〇二〇大会を迎えようとするきょう、自然豊かで一人一人の快適で多様なライフスタイルを支える次世代に相応し、都市のアメニティー空間の創出を目指して取りまとめられたものです。
この構想は、新富二丁目の三吉橋から銀座八丁目までの一キロメートルの前後の検討範囲として、首都高都心環状線築地川区間の大規模更新事業に合わせて、首都高築地川区間の掘り割り上部に人工地盤を整備する計画です。
この人工地盤を整備することにより、築地川によって分断されている銀座と築地の両エリアを接続し、一体的な連続性を生み出す狙いがあります。
築地川周辺では、中央区役所がある三吉橋周辺地区、旧電通本社ビルなどがある築地一丁目地区、新橋演舞場に近い采女橋周辺地区などで再開発の構想があるため、これら計画中の再開発事業などの連携も視野に入れているようです。
先日の本会議において我が会派が行った代表質問に対して、都といたしましても、まちづくりと連動して進める日本橋の取り組みも参考にしながら、築地川区間の大規模更新を促進してまいりますと答弁されました。
地元の中央区選出議員として、大変に心強く思いました。ぜひ促進していただきたいです。
そこで伺います。首都高速都心環状線築地川区間の大規模更新計画等と周辺まちづくりの連携に際し、東京都は中央区と連携してどのような関与をされる予定でしょうか、伺います。
○山下都市基盤部長 東京を成熟した都市としていくためには、首都高の大規模更新の機会を捉えた日本橋周辺のまちづくりのように、円滑な交通と快適な環境の両立が必要でございまして、大規模更新が予定されております都心環状線の築地川区間につきましても、周辺のまちづくりと連携できると効果的でございます。
国は、同区間をモデルケースといたしまして、都市再生と連携した高速道路の老朽化対策に向けた検討を推進することとなっております。
地元の中央区も、委員からただいまお話がありましたように掘り割り構造である同区間の上部空間を活用する考えを示してございます。
都といたしましては、築地川区間の大規模更新の着手に向けまして、地元区が進めるまちづくりを支援するとともに、国や首都高速道路株式会社に対し大規模更新とまちづくりとの連携を働きかけてまいります。
○西郷委員 それでは次に、首都高速晴海線は、現在開発が著しい東京臨海部晴海、豊洲から発生する交通需要を高速湾岸線に誘導する役割を担う路線として、また、高速九号深川線、一一号台場線のバイパス的機能等が期待され、平成三十年に晴海まで開通しています。
この晴海線は、平成五年七月に江東区有明から中央区築地区間の約五・一キロメートルが都市計画決定されており、晴海出入り口から先に延び、都心環状線に接続することとなっています。
晴海出入り口先から、ルートは晴海通りを北西へ向かい、地下構造となり、やや南西にそれる形で築地市場跡地の直下を通過し、そこで二股に分かれ、一方では銀座付近で、もう一方では築地川の跡を通って、新富町付近でそれぞれ都心環状線に接続する予定です。
しかし、晴海から先はまだ事業化もされておらず、一日も早い事業化が待たれております。高速湾岸線から銀座などの都心へ向かう場合、首都高速晴海線を利用することで、所要時間が大幅に短縮されます。
現在は、九号深川線や一号羽田線を利用し、迂回しながら、湾岸線へ至るルートしかありませんが、新たに高速湾岸線から都心に向かう場合の代替ルートとして、首都高速晴海線の利用の選択が可能になります。羽田空港の拡張が進む中で、国際競争力の強化や地域の活性化、被災時の緊急輸送、迂回機能の確保などに資する重要な社会基盤であるため、早期に完成を図ることが重要です。
この点、平成二十二年十二月六日付で中央区議会から東京知事宛てに、首都高速晴海線の計画の見直しを求める意見書が提出されています。
しかし、平成二十二年当時は、東京二〇二〇大会の開催が決定する以前で、二〇一六年の夏季オリンピック会場建設予定の計画が白紙になった後の時期であり、当時の晴海地区は開発が進んでいませんでした。
現在の晴海地区では、都有地を中心とする一帯十八ヘクタールの区域で、計二十一棟のマンションが建設され、晴海フラッグとして、過去最大級の住宅開発が行われました。中央区の山本区長と小池知事の会談の際に首都高速晴海線延伸について、中央区長から前向きな意見があり、令和二年度中央区予算案の中でも晴海線の検討が記載されています。晴海線延伸計画については、地域住民からの期待も大きく、都が検討を進めている築地再整備のタイミングで事業化に向けて進み出すべきではないでしょうか。
そこで伺います。築地再整備と関連して、首都高速晴海線の延伸部の事業化について、東京都はどのような取り組みを予定していますか、質問します。
○山下都市基盤部長 高速晴海線は、首都高の都心環状線と湾岸線を結び、都心と臨海部との連携を強化するとともに、人口増加が著しい晴海地区など、臨海部の交通分散や利便性向上に寄与する重要な路線でございます。
今般、日本橋周辺の首都高地下化に伴う交通機能確保策について、首都高八重洲線を延伸して、東京高速道路の下を通り、京橋付近で都心環状線に接続するトンネル案の具体化を国など関係者と確認いたしました。
高速晴海線の延伸部は、この新たな都心環状ルートと連続したネットワークを形成することで、首都高の中でも特に交通が集中する江戸橋ジャンクションや箱崎ジャンクションなどの渋滞ポイントを避けて、都心と湾岸線の相互アクセスを可能とするなど、より高い整備効果が見込まれます。
このため、高速晴海線が接続する築地川区間の大規模更新や築地再開発の機会を捉え、国などの関係者と連携して、早期事業化に向けて取り組んでまいります。
○西郷委員 次に、鉄道駅のバリアフリーの補助の充実について、エレベーター整備に関する変更内容について伺います。
○森交通政策担当部長 都は、駅のバリアフリー化を推進するため、国や区市町と連携して補助を実施し、鉄道事業者によるエレベーター設置を支援しております。
現状のエレベーター整備に対する補助は、駅単位で上限を設定し、二基まで合計で三千五百万円、三基以上は一律合計で五千万円としています。このため、複数、乗りかえルートの整備促進に向け、整備の規模に見合う制度に見直すことといたしました。
加えて、障害者団体等の意見やTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの整備基準を踏まえまして、十七人乗り以上の大型エレベーターを整備する際は、補助上限額の引き上げを図ることといたしました。
これらにより、来年度からはエレベーター一基当たり、十七人乗り未満は二千万円、十七人乗り以上は三千万円とし、補助の充実を図り、整備を促進いたします。
今後も駅のバリアフリー化の取り組みが加速するよう、引き続き、鉄道事業者に働きかけるとともに、国や区市町と連携し、その取り組みを支援してまいります。
○西郷委員 一昨年の都市整備委員会でも、有楽町駅と銀座一丁目のバリアフリーについて要望させていただきましたが、今回は地下鉄銀座駅のバリアフリー化の取り組みについて伺います。
○森交通政策担当部長 地下鉄銀座駅は、丸ノ内線、銀座線、日比谷線の三線が乗り入れており、複雑な地下空間を形成しております。
現在、東京メトロにおきまして、全エリアをリニューアルする駅改良工事を実施しており、この中でバリアフリー化工事も行われています。
バリアフリー化につきましては、現在、丸ノ内線の改札階から地上階までについて、複数のバリアフリー経路の確保に取り組んでおり、既存の晴海通り北側にあるエレベーターに加えまして、晴海通り南側の数寄屋橋構内に新たなエレベーターの設置を進めております。
○西郷委員 地下鉄銀座駅の丸ノ内線と日比谷線の間の乗りかえは、階段とエスカレーターのみであり、車椅子利用者は地上を経由する必要があります。
銀座駅のリニューアル工事で何か対策が図られるのか伺います。
○森交通政策担当部長 銀座駅における丸ノ内線と日比谷線の地下の乗りかえルートにつきましては、当面の対応として、東京二〇二〇大会までに車椅子の利用が可能な階段昇降機を新たに設置し、引き続き、エレベーター設置に向け検討を進めると東京メトロより聞いております。
○西郷委員 それぞれに答弁ありがとうございました。エレベーターの設置を検討していただけると答弁をいただきました。エレベーターを設置することにより、有楽町から東銀座までの地下移動がスムーズになり、子育て世代や障害がある方々にとっても大変ありがたいことだと思います。ぜひ取り組んでいただきたく存じます。
質問を終わります。
○古城委員 第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、都市整備局所管分等の議案並びに報告事項に関連して、地域公共交通の充実強化と外堀の水質改善について質問をいたします。
初めに、地域公共交通の充実強化についてであります。
都議会公明党は昨年の第二回定例会の代表質問で、同定例会で可決された意見書にも盛り込まれましたが、東京都市圏パーソントリップ調査を踏まえて、都内において公共交通と徒歩を手段とする合計割合が七割以上を占める区市町村は十一区にすぎないことを指摘いたしました。交通不便地域の多くは、区境や市境など行政の境に存在し、高齢者の外出頻度率も低いという傾向にあります。
このような交通不便地域を抱える自治体は、買い物難民などの課題の解消を図るため、十八区二十六市町村でコミュニティバスやオンデマンドバス等を運行しています。昨今の社会情勢も踏まえ、免許を返納した高齢者が日々の買い物や通院などに困らないように移動支援サービスを充実させていくことが重要であります。
自治体によるコミュニティバスの導入からの三年間は、福祉目的による都の財政支援があるものの、その後は各自治体で全額財政負担をしなければならず、そのことが新たな路線の拡充ができない要因となっておりました。
そこで、都議会公明党は昨年十二月、知事に対する都の来年度予算編成に関する要望において、最重点項目として、高齢者など交通弱者、買い物弱者の移動を支援するコミュニティバスやデマンド交通の充実に取り組む自治体への財政支援を要望したところであります。
二〇三〇年を目指した国連の持続可能な開発目標、SDGsの目標十一には、都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にすると掲げられています。
私は、このSDGsのもと、妊婦応援、育児支援、高齢者支援、障害者支援、交通空白地等における地域住民の日常生活の移動支援など総合生活移動サービスが提供される、免許がなくても移動に困らないまちづくりを進めるべきと考えます。
そこで、地域公共交通の充実強化について、令和二年度の取り組みは予算案にどのように反映されているのか、答弁を求めます。
○山下都市基盤部長 高齢者を初め誰もが移動しやすい利便性の高い都市を実現していくためには、地域の特性に応じて、路線バスやコミュニティバスに加え、運行ダイヤや発着地等を柔軟に運用できるデマンド交通など、さまざまな交通を組み合わせた効率的な地域公共交通ネットワークの形成を促進する必要がございます。
このため、来年度、新たに学識経験者などから構成する検討組織を立ち上げ、都における地域公共交通のあり方や区市町村に対する支援策などについて、検討経費を計上してございます。
こうした検討とあわせまして、デマンド交通導入の促進に向け、区市町村による導入調査や実証運行等に対する補助を開始いたします。
○古城委員 先ほど来の質疑でも詳細についてお話があったところでございますので、私からは意見として申し上げさせていただきたいというふうに思います。
私は先週の予算特別委員会の一般質疑において、ソサエティー五・〇、スマート東京には、これまでの情報社会が抱える課題、例えば、障害の有無や年齢などによって得られるメリットに格差が生じる点などを克服し、誰ひとり取り残さない都市東京を実現する使命があることを訴えました。
技術と社会の進展に伴って、オンデマンドモビリティーがこれらの課題を解決してくれることに期待いたしますけれども、その社会実装までの間にやるべきことがあるとも考えます。それは、旅客自動車交通の充実に欠かせない運転者、乗務員の確保であります。
私はかつてサラリーマン時代、貸し切りと乗り合いを営むバス会社で事務職として働いておりました。近年、運転者不足を背景としたバス路線の廃止や運行回数の削減といった事例も散見されます。
この要因の一つとして、全国的に大型二種免許保有者の高齢化と新規取得者の減少が進行しており、いずれの場所においても乗務員確保が経営課題となっていることが挙げられます。
日本バス協会の平成二十九年の調査結果によれば、運転者の年齢構成は、五十歳代が三二・九%、六十歳代が一四・二%、七十歳代が〇・九%で、五十歳代以上が四八・〇%を占め、平均年齢は五十一・三歳だそうでございます。
一方で、厚生労働省の平成二十九年賃金構造基本統計調査によれば、タクシー運転手の平均年齢は五十九・四歳で、一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の平成二十九年調べによれば、正規乗務員と定時制乗務員を合わせた全体のタクシー乗務員に占める六十歳以上は六一・六%となっています。
高齢ドライバーが運転する車による痛ましい交通事故が後を絶ちませんが、免許返納後の高齢者の移動手段を支える職業ドライバーもまた、高齢化しているといえます。
運転者確保の視点からも、コミュニティバスやデマンド交通だから運行しやすいということには直ちにならないと考えます。
昨日の住宅政策本部の質疑では、二種免許を要しない手法の紹介もされておりましたけれども、いずれにしても、労働者の権利が保障されることや、安全の確保とサービスの質の担保に資することが大前提になります。
したがって、二種免許保有者の確保、増加に向けた運輸業界の取り組みを支援する施策が重要です。
他局の所管になりますし、また、他局に対しても求めているところでありますけれども、例えば、賃金や労働時間の短縮等、労働条件の改善、多様な勤務体系や女性専用の休憩施設等の整備、キャリア形成の見える化やスキルアップによるメリットなどが求められています。
こうした取り組みを着実に進めることで、総合生活移動サービスが提供される、免許がなくても移動に困らないまちづくりを実現できると、改めて訴えたいと思います。
続いて、次のテーマに参りたいと思います。外堀の水質改善についてであります。
私の地元新宿区と千代田区にまたがる外堀は、都心の貴重な水辺空間でありながら、冬場を除き毎年春先の五月ごろから秋口の九月ごろにかけて発生するアオコによって、水面が覆われ、悪臭を放つなどの課題を抱えています。
この原因は、かつて保たれていた玉川上水からの水の補給がなくなったこと、また、下水道のはけ口から、大雨が降るたびに汚水まじりの雨水が流れ込むことなどが挙げられています。
都議会公明党は、これまでもこのことを指摘し、日本橋川の水質悪化の原因の一つである外堀の水質について、国指定史跡にふさわしい良好な環境となるよう、都の関係各局に対して、しゅんせつや下水道の貯留管整備の先を見据えた恒久的な水循環による水質改善の方策などのさまざまな提言を行ってまいりました。
また、私自身も地元の都議会議員として、改善の必要性を都議会等で訴えているところでございます。
特に昨年十月の本委員会、事務事業質疑では、都の検討状況について答弁を求め、さらに先週の予算特別委員会でも、関係各局に見解を問い、都の取り組みを確認したところでございます。
本日は、予算審査という視点から、来年度初めて計上された外堀関係の経費について確認をいたします。
まず、予算説明書では、外堀の水質改善検討調査費として二億二千万円が計上されています。先ほど別の委員からも質問がございましたが、この内訳について、特に外堀の水質改善に向けて具体的にどのようなことを調査検討するのかを含めて説明を求めます。
○小野都市づくり政策部長 外堀の水質改善に向けて、都はこれまで、庁内関係局が連携して効果的な改善方策を幅広く検討し、河川水等の導水の有効性など確認してまいりました。
来年度の外堀関連の予算には、外堀の水質など詳しい調査のための経費や、外堀に導水する場合の水源、水量や、その水源から外堀まで導水路を確保する方策を検討するための経費を計上したものでございます。
詳細でございますが、例えば、水源から外堀までの間で玉川上水などの既設水路を活用するためにどのような補修、改良が必要か、水路がない場合に新たに設置することが可能かなどの調査を行ってまいります。
また、このほか、東京二〇二〇大会を見据え、ことしの夏季、夏の時期には暫定的な方策を実施することにしておりまして、その効果の検証とあわせまして、外堀の水質調査を行う予定となっております。
○古城委員 昨年末に公表された未来の東京戦略ビジョンに、目指す二〇四〇年代の東京の姿として描かれた水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京は、玉川上水を活用して、外堀や都内河川の浄化を進めようというもので、都議会公明党が一貫して主張してきた緑の森と噴水の中にそびえる高層都市大東京構想と軌を一にするものであります。実現に向けて着実に取り組みを進めるべきであります。
そして、外堀浄化プロジェクトの中で、まず、外堀に導水するための水源を検討するとありますが、どのようなものを水源として検討しているのか、答弁を求めます。
○小野都市づくり政策部長 河川水のほか、下水の再生水、地下構造物からの湧水など、活用可能な水源を幅広く検討しております。
また、こうした水源の中から、外堀の水質改善に適した水量、水質の確保が可能なものについては、導水経路の確保が可能かなど、さらに検討を加えることとしております。
○古城委員 天皇陛下は、水問題へのご関心が深く、ライフワークの一つにされておられます。皇太子時代の一昨年九月には、国際水協会、IWA世界会議開会式にご臨席なされました。
その際、SDGsについて、水の問題が誰ひとり取り残さない社会の実現に向けた国際社会の大きな課題となっていることを踏まえて、歴史から学んだ知恵と現代のすぐれた技術をあわせて活用し、国際社会が連携して行動することが求められているとのお言葉を賜りました。
二〇〇六年、平成十八年、メキシコシティーで行われた第四回世界水フォーラム全体会合における基調講演では、江戸の上水道、多摩川からの導水として、玉川上水の意義を飲み水の確保の視点から考察もしていらっしゃいます。
かつて武蔵野台地に刻まれた玉川上水は、世界に誇る大都市江戸東京を形成する根幹のインフラでした。
玉川上水は一六五四年、羽村から四谷大木戸、現在の四谷四丁目交差点付近まで、東京のほぼ中央を標高差わずか約九十二メートルの緩やかな勾配で、東西約四十三キロメートルにわたって開削され、四谷大木戸からの下流は暗渠になり、神田上水とあわせて、江戸市街地全体に生活用水を供給してきました。
外堀の周辺で十分な水量が確保できる水源がないことを承知してはおりますけれども、都議会公明党では、今申し上げた玉川上水や、今後廃止となる工業用水道のような既存の施設の活用を提言してきました。こうした施設を活用すれば、水源が都内のどの場所にあっても、外堀まで導水する実現性が高くなると考えるからです。
加えて、江戸時代に多摩川から取水された水が江戸城の外堀、内堀にも導水され、江戸市街地の豊かな水環境形成の一翼を担っていたことや、多摩地域の景観向上のためにも、多摩川からの取水が望ましいことは間違いありません。
一方で、外堀の水質改善は急務であります。まずは、速やかに水源を確保して、外堀への導水を実現してもらいたいと要望いたします。
また、この夏から暫定対策にも調査の一環で取り組むとのことであります。さきの予算特別委員会での質疑では、建設局長から同様の趣旨の答弁がありました。
この経費を建設局に執行委任するということだと思いますが、では具体的にどのような対策を行うのか、答弁を求めます。
○小野都市づくり政策部長 これまでの庁内関係局による検討の中で、この夏季におけるアオコの発生抑制に取り組むことといたしました。
具体的には、自然由来の鉱物を主原料としました水質改善処理剤を散布することにより、アオコやアオコの発生原因となるリンなどの栄養塩類を吸着、沈殿させる方策などを検討しております。こうした暫定的な方策を改善効果の検証とあわせて実施してまいります。
○古城委員 私は学生時代、遠く富士山を望み、緑豊かな学びやに通っておりました。玉川上水の清き流れに沿う通学路は、せせらぎの音が聞こえ、四季折々に花が咲き乱れています。ほとりの雑木林では、野鳥もさえずり、武蔵野の面影を色濃く残しているところであります。課外授業では、上流に当たる羽村の取水堰や小河内ダムも訪れたことがあります。こうしたことから、水と緑の回廊の実現を強く願っている一人であります。
現在、新型コロナウイルス感染症拡大にまつわるさまざまな憶測、または報道等もされておりますけれども、東京二〇二〇大会に向けて、着実に準備を進めていくべきであります。
この外堀の短期的な対策もその一環だと考えます。十分な効果が得られるよう、引き続き、関係局で連携して取り組むことを要望いたします。
そして、もう一点、ことしの方策は調査を兼ねているということでありますけれども、ことしだけしか実施をしないものなのでしょうか。恒久的な対策の実施には時間がかかると考えております。
ことしの成果を生かして、恒久的な方策が実現できるまで、毎年暫定的な方策にも取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
○小野都市づくり政策部長 来年度予定しております外堀での暫定方策につきましては、実施前後の水質改善状況などを詳しく調査し、その効果などについて関係局により検証することとしております。
恒久的な方策が完了するまでの間の暫定策の継続につきましては、まずは、来年度の検証結果などを踏まえて、実施を検討してまいりたいと考えております。
○古城委員 重ねて申し上げますけれども、暫定的な方策を継続することが望ましいというふうに考えてございます。外堀は東京のシンボルであるとの観点から、恒久策実施までの間、効果的な暫定策を継続することを強く求めたいと思います。
さて、最後に申し上げたいと思います。
外堀の水質は、文献によりますと、維持水を担っていた玉川上水からの導水が一八九八年、明治三十一年に淀橋浄水場が通水した後に途絶えてから、既に悪化していたともいわれております。ともすれば、実に一世紀以上もの間、抜本的な対策がなされないままだったことになります。
今回、都が外堀の水質改善に向けて大きくかじを切ったことは、歴史に残る大きな英断であると思います。
都議会公明党は、一昨年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑において、水循環の視点から、外堀の水質改善を提言いたしました。佐藤東京都技監を先頭に、都市整備局の皆様がこの二年、大変にご尽力をいただき、外堀浄化プロジェクトへと押し上げてくださったことに満腔の敬意を表するものであります。
また、私の地元新宿区内、この二月にコモレ四谷という新たなランドマークタワーが竣工をいたしました。
このコモレ四谷には、緑の二つの広場、さらにはオフィス棟、レジデンス棟、商業棟等が並んでおりますけれども、その一角に玉川上水の四谷大木戸から江戸城への導水路、かつてのこの導水路が再現をされております。古地図、古い地図もあわせて表記がされております。
さらに、建設に当たって行われた埋蔵文化財の発掘調査では、玉川上水を引き込んだと考えられる上水井戸が発見をされました。こうしたことも含めて、江戸の水循環のさまざまな文献等がこのコモレ四谷には展示をされているところでございます。
都議会公明党といたしましては、外堀の浄化、水質改善に向けた恒久策の実現まで、今後とも、都の実施状況を確認していきたいと考えております。
恒久策の実現に向けて、改めて関係局が連携して、実効性ある取り組みを速やかに進めていただくように求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○和泉委員 私からは、神宮外苑のまちづくりの問題に絞って質問したいというふうに思います。
一昨年の十一月に都が策定をしました東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針には、世界に誇れるスポーツクラスターをつくるというふうに書いてあります。
しかし、先日の私の代表質問で指摘したように、できるのはプロスポーツやスポーツを専門にやる人を主な対象としたスポーツ施設ばかりで、都民のためのスポーツ施設は激減ともいえる計画に都民から疑問の声が上がっています。
そこで、確認のためですが、神宮外苑地区の公園まちづくり計画区域内のスポーツ施設の現状と、それから、神宮外苑地区市街地再開発事業後にどうなるのか、軟式野球場、フットサルコート、テニスコート、バッティングセンターなど、施設名と施設数についてご説明を願います。
○小野都市づくり政策部長 現状の施設は、神宮球場、第二球場、秩父宮ラグビー場、絵画館前には軟式野球場六面、バッティングドームなどのほか、フットサルコート兼テニスコート四面、テニスコートが一面、その他テニスクラブの施設としまして、屋外テニスコートが二十一面、屋内テニスコートが八面ございます。また、ラグビー場の北側には屋内テニスコート七面がございます。
なお、絵画館前の軟式野球場、フットサルコート、テニスコートにつきましては、東京二〇二〇大会に使用することから、その準備のために現在は休業しております。
事業後の施設につきましては、現在の計画では、新しい野球場、新しいラグビー場のほか、テニスクラブにつきましては現状と同程度の面数を確保する内容となっております。
○和泉委員 今ご答弁があったように、ほとんどのスポーツ施設が残らないということになるんです。
この資料を見ていただきたい、パネルを見ていただきたいというふうに思いますが、今度開発が行われようとしている神宮外苑の公園まちづくり計画区域には、都民に広く開かれたスポーツ施設として、軟式野球場六面、これですね、そしてフットサル兼テニスコート五面、専用テニスコートが外苑で一面、JSCが七面、第二球場とも兼ねていますけれども、ゴルフの打ちっ放しが百六十三打席、バッティングセンター十二打席分あります。
また、会員制のテニスクラブが屋外で二十一面、屋内に八面あります。
そして、プロフェッショナルやそのスポーツを専門的にやる選手が主に使用する神宮球場、秩父宮ラグビー場、プロの選手の練習に使われる屋内練習場があります。
まさに都民とプロのスポーツのメッカ、スポーツクラスターというのが現況です。
なぜこれだけ充実したのか。この地域の土地と施設を広く所有し、事業の一員となっている明治神宮のホームページには、このように書いてあります。ちょっと小さいので、読むのは困難かもしれませんが、読み上げます。
時代の移り変わりとともに、世の中のスポーツ観は、選手の強化育成や競技会での記録重視の見るスポーツから、国民一人一人が健康増進や趣味として楽しむスポーツへと大きく変貌してきました。外苑も、その時々の要望に応え、軟式球場、テニスコート、ゴルフ練習場、アイススケート場、打撃練習場--これはバッティングドームです、フットサルコートなど、次々と時代の先端の施設をつくり、改修も重ねて、活発で楽しい場所を提供し、早朝から夜遅くまで広く皆様にご利用いただき、喜ばれ、親しまれております。
単に見るだけから、国民一人一人が健康や趣味のために楽しむスポーツへと大きく変わったんだと。そして、その要望に応えて、時代の最先端の施設をつくって、改修も重ねた。それで、早朝から夜遅くまで広く親しまれているのが外苑のスポーツ施設なんだと、このように書いてあるんです。
しかし、開発後はどうなるのか。軟式野球場もフットサルコートもゴルフの打ちっ放しもことごとくなくなります。
テニスコートは激減して、会員制のテニスクラブのコートが、場所を変えて残るだけです。ここは屋内コートは一般にも開かれているものの、屋外コートの利用は会員限定、そして、その会員となっている人の紹介がなければ会員にはなれないというところです。
正会員の入会費は八十八万円、月会費は一万八千七百円という、いわゆる高級テニスクラブといわれるようなところです。しかも、どこに移るかといえば、テニスコート兼フットサルコートなどをなくして、そこに移るということになります。
神宮球場やラグビー場など、ごく一部のスポーツ施設は残る一方で、都民に開かれた、明治神宮の言葉をかりれば、国民一人一人が健康や趣味のために楽しむスポーツ施設、そのための施設はいわば壊滅的な状況になるんです。
軟式野球場は、その多くが河川敷などにあって、交通の便が必ずしもいいところばかりではありません。だから、都心の貴重な施設だと。スポーツクラスター、すなわちスポーツの集積地をつくるといいながら、超高層ビルは建てる一方、都民が親しめるスポーツ施設を減らすのはおかしいのではありませんかと私は代表質問で尋ねました。
これに対して都技監は、多目的に利用可能な、誰もがスポーツに親しめる広場空間を整備すると答弁をされました。しかし、こういう広場空間は、昨今ではボール遊びは危険だと禁止されるのが通例です。
ましてや軟式野球やフットサルとなると、さらに危ないということになると思うんですが、都技監は、開発で生まれるとされる多目的に利用される広場で軟式野球やフットサル、ゴルフの打ちっ放しが現状と変わらずにできるというふうに考えているんでしょうか、伺います。
○小野都市づくり政策部長 今、副委員長からもお話がありましたが、現在の計画では確かに軟式野球場とフットサルコート兼テニスコートなどが廃止される予定になっております。
また、その一方で、地区の中心には、都技監からもご答弁させてもらいましたけれども、多目的に利用可能なフリースペースとして、まとまった広場空間を確保しますとともに、神宮絵画館前の前景として、風格ある憩いの広場を設けることになっております。
また、誰もが歩きたくなるような安らぎのある緑陰空間を創出し、バリアフリー化された安全で快適な歩行者ネットワークを形成します。
このように子供から高齢者まで幅広い層の多くの都民が、例えば、芝生の上で遊んだり、ヨガをしたり、あるいはジョギングなどのレクリエーション的なスポーツを楽しめる公園、憩いの場に生まれ変わるものでございます。
確かにご利用できなくなる方にはご不便をおかけすると思いますけれども、新しい神宮外苑地区に生まれ変わることにご理解をいただきたいと思っております。
○和泉委員 答えていないんですよ。どんな広場にしようとしているのかというのが本当に理解できません。
もしかしたら、お弁当を持って、子供連れで訪れる人もいるかもしれない。スポーツ観戦の方たちなどがその前後の時間でゆっくりと散策などしているかもしれない。その場所で軟式野球やフットサルやテニスの試合ができるはずないじゃありませんか。ゴルフの打ちっ放しの練習ができるはずがないじゃありませんか。これらのスポーツに親しんできた人たちは、貴重な都心の競技施設を失うんです。
私は、子供が小学校に上がってからママさんバレーを始めました。運動神経がいい方ではありませんけれども、体を動かして、汗をかくということの気持ちよさ、仲間と信頼関係を深めること、ネットを隔てて競い合う対戦チームに対しても、同じスポーツを愛する仲間としてリスペクトすること、フェアであること、何より自分の弱さと向き合って、克服する力と勇気を持つこと、スポーツを通じてたくさんのことを学びました。
スポーツの果たすこのような役割を広く普及して、人権、文化として定着させることは、オリンピックのレガシーとされるはずです。今、新型コロナウイルスで開催が不安定な状況であっても、スポーツ文化の醸成そのものは残す必要があるはずです。
それなのに少なくともこの計画に関しては、都民のスポーツ環境を大きく後退をさせる、そういう計画を果たしてこのまま進めていいんでしょうか。
さらに疑問を感じているのが、神宮外苑地区のまちづくりに公園まちづくり制度という制度が持ち込まれていることです。
この制度について、都の説明図では、いろいろな理由から未供用になっている都市計画公園の区域を--これですね、オレンジ色の部分です、都市計画から外して、民間によって緑地空間にする。そのかわり、空間の中には、再開発等によって超高層ビルを建てますよというものです。
それで、今回の神宮外苑のまちづくりでは、現在未供用で、この説明で示されたような民間によってつくられる緑地とは一体どこの部分なのか、事前に伺ったところ、この地図の青い部分で、面積は一・五ヘクタールということです。これで間違いありませんね、この部分です。
○小野都市づくり政策部長 ちょっと事前にパネルを拝見しておりませんので、それが確かかどうかわかりませんけれども、ご説明しますが、公園まちづくり計画の区域は、絵画館前の軟式野球場からイチョウ並木と、第二球場から神宮球場、秩父宮ラグビー場、伊藤忠商事東京本社ビルの区域でございます。
また、未供用の区域は、秩父宮ラビグー場の敷地とTEPIAの敷地でございます。
○和泉委員 ですから、皆さんにも見ていただければわかると思いますけど、未供用の区域はここなんです。そして、この未供用の区域を使って、再開発をしますよと。これを都市計画から外して、公園まちづくり制度でやりますよというのは、こっちの水色の部分のということになるんです。
大半はこの二つの超高層ビルやTEPIAという施設と、どれを見ていただければわかるかな、これですかね、こっち側の地図を見ていただくのがわかりやすいと思いますが、大半は二つの超高層ビルやTEPIAという施設とスタジアムとの間のすき間のような部分や超高層ビルの周りの狭い空間です。
北側の一部は、中央広場とつながって、広場のような空間にはなりますが、とてもその大半は緑地とはいえないのではないかというふうに尋ねたら、東京都は、これは確かに緑地ではないけれども、これは制度でいうところの緑地等でいう等の部分だと。広場その他の公共施設に入るんだと。そして、歩道状空地だというふうにおっしゃいました。
神宮外苑で公園まちづくり制度を使って、つくられる緑地等という部分の大半は、歩道状空地ということでよろしいですね。
○小野都市づくり政策部長 広場や歩道状空地などの地区施設などの緑地等につきましては、現在、計画内容では、まちづくり指針で文化にぎわい等複合ゾーンとしております、今、先生からもお話がありましたスタジアム通り沿いに配置しております。
なお、公園削除区域において確保する緑地等の面積につきましては、現在の計画内容では約一・五ヘクタールとなっております。
○和泉委員 ですから、先ほど地図を掲げましたとおり、その狭いスペースが、都民がくつろげるようなものは、せいぜいベンチを幾つか置くぐらいということになるんじゃないでしょうか。
都は、制度の説明図では、緑地等とはいわず、緑地空間と書いて、広々とした緑地が生まれるような図になっていますけれども、実際には大違いなんじゃないですか。
そもそも不思議なのは、このような緑地と空間を生み出すために、わざわざ公園まちづくり制度を使わなければいけないのかということです。
といいますのも、この一角は第二球場や東ゴルフ場、JSCのテニスコートを廃止して、会員制テニスクラブのコートを絵画館前の広場に移すのですから、この三カ所の黄色い部分が空地になるんです。このスポーツ施設の廃止や移転は、この計画に参加する大手ディベロッパーの手をかりなくても、明治神宮だけでできるはずなんですよ。その空地を寄せ集めたのが、この緑の中央広場、こちら側ですね、この緑の中央広場と、水色に塗った部分だと思いますが、そのままなら広々とした空間ができるんです。
ところが、公園まちづくり計画は、空地に高層ビルを建てる制度ですから、そうやってできた空地に高層ビルがこのように二つ、二棟割り込んできます。二つのビルがなければ広々とした空間になったはずの場所が、ビルのすき間の狭い歩道状の空間になってしまうということなんです。しかも、この空間は超高層ビルの谷間ですから、ビル風もひどい、超高層ビルは風致地区の景観に似つかわしくないなど、デメリットばかりです。
なぜこのように使い勝手の悪い歩道状空地を生み出すために、わざわざ公園まちづくり制度を使い、大手ディベロッパーの力をかりなければいけないんでしょうか、お尋ねいたします。
○小野都市づくり政策部長 都心部におきましては、民間事業者による大規模なまちづくりが進み、緑とオープンスペースを備えた快適な都市空間が創出される一方、事業化が進まない都市計画公園緑地の区域では、未整備の状態が続くとともに、都市計画制限により市街地の更新も進んでいない現状がございます。
今回の公園まちづくり制度でございますが、都市開発のポテンシャルが高い地域における未供用区域を対象に、まちづくりと公園緑地の整備を両立させる仕組みとして創設したものでございます。
○和泉委員 長年未供用になっていたところを使って、ポテンシャル、都心部のポテンシャルを生かすんだというような答弁でしたけれども、長年未供用になっていたといっても、秩父宮ラグビー場のある部分だけでも供用扱いにできたはずではないかというふうに思うんです。
実際、新しく秩父宮ラグビー場が移る場所は、そのまんま供用区域になるわけですから、今ある場所だって、そのまま都市計画公園をわざわざ削除しなくても、廃止しなくても、都市計画公園のまま、供用地域でやれるんじゃないでしょうか。
公園まちづくり制度の住民説明会でディベロッパーが示した整備のイメージ図を見れば、まず第二球場を潰して、その跡地にラグビー場をつくる。ラグビー場、それからテニスコートの跡地に野球場兼ホテルをつくる。最後に、神宮球場を解体して、ラグビー場の二期工事を行う。こうなっていますけれども、ここに民間ディベロッパーが入らなければならない理由があるとは思えません。
もう一度ご説明ください。なぜ民間ディベロッパーを使わなければいけなかったんでしょうか。
○小野都市づくり政策部長 計画区域の課題を解決すること、歴史や緑を継承すること、新たな拠点として魅力を創出することが重要でございます。
計画区域では、大規模スポーツ施設が老朽化しており、機能更新が求められていること、使用目的が限定された空間が多く、多様な目的で利用できるオープンスペースが不足していること、各施設の敷地にフェンスが設けられ、歩行者が自由に移動、散策できないなど、広域的なまちとして、機能やアクセス性の向上が求められることなど課題がございます。
これまでの歴史を継承するとともに、東京二〇二〇大会を契機に新たな文化として発展させていくべきであり、多様な人々を引きつける魅力あるまちにすること、にぎわいと緑豊かなスポーツ拠点としてさらに発展させることが重要でございまして、これらのことを踏まえまして、まちづくり指針や地区計画に基づき、まちづくりを進めていくものでございます。
○和泉委員 いろいろお答えになりましたけれども、どれも私が今まで指摘してきたことをしっかりと裏づけるような、どうしても民間ディベロッパーを使わなければ、ここは更新が進まないんだ、そういう答弁にはなっていないというふうに思います。
民間ディベロッパーを使わなくたって、十分な土地を確保することはできる、緑を確保することはできるはずなんです。それは、るる私がこれまで説明をしてきました。このような公園まちづくりをこのまま認めていいんだろうかというふうに思います。
都の制度実施要綱を見ますと、事業者は公園まちづくり計画を都に対して提案し、都は検討会及び審査会を設置し、検討及び審査を行うということになっていますけれども、その提案に先立ち、事業者等は公園まちづくり計画について、周辺住民へ十分な説明を行い、公園まちづくり計画を周知し、理解が得られるように努めるとされています。
その説明会は一月二十三日と二十六日に開催をされました。都市整備局の関係の皆さんは、この説明会に参加したんでしょうか。参加した場合、参加者の所属の部署についても教えていただきたいというふうに思います。
○小野都市づくり政策部長 説明会には、都市づくり政策部の職員が複数名参加をしております。
○和泉委員 都市づくり政策部ということですから、公園まちづくり計画にかかわる課ではなく、別の課の職員の方が参加をしたということになるかと思います。
公園まちづくり計画の担当課は緑地景観課ですが、緑地景観課の職員の方は説明会に参加したんですか。
○小野都市づくり政策部長 当日は参加しておりません。
○和泉委員 参加していないとしますと、制度要綱に書かれているように、事業者等が公園まちづくり計画について、周辺住民へ十分な説明をやったかどうか、これは誰が客観的に判断するんでしょうか。
制度要綱に書かれた審査などのフロー図では、審査会では事業者に説明及び質疑応答をするとは書いてありますけれども、周辺住民から話を聞くとは書いていないんです。担当課の職員が参加しなければ、事業者側の一方的な説明を聞くだけになってしまうんじゃないでしょうか。
担当課の職員は説明会に参加していないというふうなことですけれども、この説明会において、周辺住民等への十分な説明、公園まちづくり計画の周知は行われ、理解が得られたというふうに都は考えているんでしょうか。
○小野都市づくり政策部長 都は、公園まちづくり制度実施要綱におきまして、公園まちづくり計画について周辺住民等へ十分な説明を行い、公園まちづくり計画を周知し、理解が得られるように努めることを事業者に求めておりまして、今回、事業者において二回の説明会が行われております。
また、事業者は説明会において、説明会以外でも問い合わせに対応することを明らかにしており、理解が得られるように努めていると都としては認識しております。
また、先ほど副委員長の方から、所管の担当が出ていなくて、どうやって判断するのかというお話がありましたが、今回の制度では、説明会の状況につきまして、周辺住民等に対する説明状況報告書を提出させることになっておりまして、説明会の参加人数や主な意見、質問と回答について報告されております。
それに加えまして、その後の対応状況などを適宜事業者に確認しておりまして、職員が説明会に参加しなければ実態、状況が把握できないということはないと考えております。
○和泉委員 ということは、事業者側の説明を一方的に聞くということにほかならないんですよ。事業者が適切に説明会をすることになっている、理解を得るように努力することになっているから、そうしているはずだということにとどまるということじゃありませんか。
そういうことで、果たしてこういう都市計画公園からわざわざ外して、未供用の土地を再開発の種地にする。そんなことをどんどん進めていいのかというふうに指摘せざるを得ません。
実態はどうだったのか。私と我が党の事務局、我が党都議団の事務局が分担して、一月二十三日、一月二十六日、二回の住民説明会に参加しました。
そのときに、先ほど紹介したような、緑地等の空間はビルとスタジアムの間の歩道状空地なんだという説明があったということは一切私、記憶していません。この委員会の前日に都の説明を受けて、ようやく知って、大変驚きました。なぜこんなことになったのかと思って、記録を振り返ると、こうでした。
まず、先ほどのこの図です。先ほどのこの東京都の図を出して、公園まちづくり制度について、この制度はオレンジ色の部分の都市計画公園の未供用部分を民間による都市開発の機会と捉え、まちづくりと公園緑地の整備とを両立させ、これまで公園ではないところを公園的空間として整備するための制度だという説明がありました。
その後に、神宮外苑地区についての説明として、この図を出して、秩父宮ラグビー場と一般財団法人TEPIAの先端技術館の敷地を合わせた四・八ヘクタールの部分が公園内の未供用区域となっていて、この計画は公園まちづくり制度を活用して、お示ししている約四・八ヘクタールの未供用区域に相当する部分を中心として、まちづくりとあわせて、公園的空間を整備していきますと、そういう説明がありました。
この説明の中に、先ほど図で示しました水色の部分、都のいう公園や緑地等になる部分だという説明は全くないんです。しかも、その緑地等というものの大半が歩道状空地だという説明もありません。
ですから、私も、参加した我が党の事務局員も、この水色の部分が今回の公園まちづくり計画で生み出される緑地等なのだとは全く気がつきませんでした。ましてや、これが歩道状空地、つまり通路にすぎないんだとは知るよしもありません。
説明会に参加した我が党の地元区の区議会議員も、今回の公園まちづくり計画で生み出される緑地等とは、このような歩道状空地のことだと昨日お伝えしましたら、説明会では全くわからなかった、ひどい計画だと大変驚いて、怒っていました。
日ごろ都市計画を分析している私たちですら、こういう状況なんです。説明会に参加した地元の方も全く気がつかなかったんじゃないでしょうか。
そして、この説明会では、何でこんな超高層ビルをつくるのかと大変紛糾したんですが、超高層ビルがこの歩道状空地と引きかえにつくられるんだと知ったら、ますます紛糾したのは、火を見るより明らかです。
私、ぜひ東京都なり事業者なりが、説明会の参加者に、今回の公園まちづくり計画について、さきの説明会で計画が周知されたと思うか、また、理解できたか、調査していただきたいというふうに思います。
そして、周知されなかった、理解できないということが判明したら、とても計画の提案をできる段階ではないとして、説明会のやり直しをしていただきたい。
東京都公園まちづくり制度実施要綱では、これからこの場所は、公園まちづくり計画の提案書を策定することになっています。その事前協議として、提案に先立ち、事業者等は公園まちづくり計画について、周辺住民等へ十分な説明を行い、公園まちづくり計画を周知し、理解が得られるように努めるとともに、事業内容に関する質問に対して、誠意を持って応じることというふうに書いてあるんです。
この計画は、都民が楽しむスポーツ施設を大幅に減らす、超高層ビルや巨大スタジアムの建設で、都民はもちろん、国民的に貴重な景観を損なうなど、数多くの問題をはらんでいます。
加えて、ディベロッパーのための超高層ビルをつくるための公園まちづくり計画についても、周辺住民へも都民へも、ほとんど全く説明がないという点でも、大変問題がある計画だというふうに思います。
計画の撤回、見直しを強く求めて、質疑を終わります。
○清水委員 私からは、ブロック塀の安全対策についてから質問させていただきます。
平成三十年六月発生した大阪北部地震により、ブロック塀の倒壊で小学生が犠牲になったことから、地震時の安全対策として、ブロック塀の対策の重要性が明らかになりました。
都有施設のブロック塀については、行政側の責任により、迅速に安全対策を進めているものと思いますが、一方で、民間所有のものについては、所有者の方に安全対策を講じていただく必要があります。
まず、確認として、民間のブロック塀の安全対策の促進に向けた都のこれまでの取り組みについてお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 都では、大阪府北部地震が起きた平成三十年の十二月に補正予算を組み、民間のブロック塀の除却や新設を行う場合に補助金を交付する区市町村に対する補助制度を創設いたしました。
実績につきましては、平成三十年度は、撤去などについて約百五十件ございました。今年度の補助見込みは、二月十四日時点における区市からのヒアリング結果によりますと、約五百件の見込みでございます。
○清水委員 ありがとうございます。補助件数は初年度に比べてふえていることがわかりました。
ブロック塀の安全対策にまだ取り組めていない所有者の方に取り組みを促していくには、除却や新設に対する補助事業を用意するだけでなく、さらなる支援策が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 都はこれまで、区市町村に対して、ブロック塀のある建物への補助制度のパンフレットのポスティング、住民を対象とした専門家を招いた勉強会の開催など、安全対策に効果的に取り組んでいる自治体の事例を情報提供することで、各自治体の積極的な取り組みを促しております。
さらに、来年度からは、こうした普及啓発などを行う自治体を対象に、新たにその費用の一部を国とともに都が補助する事業を行っていく予定でございます。
これらの取り組みにより、ブロック塀の安全対策がさらに進むよう、引き続き、区市町村と連携して取り組んでまいります。
○清水委員 私の地元の西多摩地域では、住宅地等が点在していて、これらを結ぶ道路は限られており、地震時に建物や塀が倒壊して道路を塞いでしまった場合、緊急車両等の通行を妨げてしまうため、各地域の生活を確実に守っていく必要がありますが、なかなか安全対策が迅速に進んでいないというのが実情です。
確実に対策を講じていく必要がある路線については、特に力を入れて取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、今回、都では、耐震改修促進計画の改定において、新たにブロック塀の耐震診断の義務づけについて位置づけるとのことですが、その具体的な内容についてお伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 耐震改修促進法施行令等の改正によりまして、耐震診断義務づけ対象に、建物に附属するブロック塀などが追加されました。
このため、都は、対象路線や報告期限、塀の高さや長さなど、耐震診断の義務づけに関する事項を、耐震改修促進計画に位置づけることとしました。
具体的には、特定緊急輸送道路の通行機能確保の効果を高めるため、沿道のブロック塀を診断義務対象とし、耐震診断の報告期限は、所有者への周知や耐震診断の実施期間等を勘案し、令和三年度末としました。
また、道路閉塞を防ぐ観点から、対象となる塀の高さについては、政令に準じて道路中心線からの距離を二・五で割った数値を超えるものとし、長さについては、知事が規則で定めることができる最小値の八メートルを超えるものといたしました。
○清水委員 特定緊急輸送道路の沿道について、耐震診断を義務づけていくとのことでありますが、これらは特にしっかりと対策を進めていただきたいと思います。
耐震診断の実施や耐震性が不足する塀の解消に向けて、着実な取り組みが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○青木耐震化推進担当部長 耐震診断が義務づけられた塀につきましては、対象の塀全てで速やかに診断が行われるよう、耐震診断について、都の技術者派遣制度を活用するとともに、先ほどもありました平成三十年度に創設した民間のブロック塀の除却や新設を行う際の補助制度も活用し、塀の所有者の取り組みを支援いたします。
診断の結果、耐震性が不十分と判明した場合には、市町村や関係団体と連携し、個別訪問や啓発文書の送付などにより、除却や安全な塀への建てかえなどを働きかけてまいります。
また、塀の所有者から報告を受けた耐震診断の結果につきましては、令和三年度末の報告期限以降に取りまとめ次第、耐震改修促進法に基づき、所管行政庁である都や市が公表し、都民への情報提供を行い、所有者の取り組みを促してまいります。
○清水委員 いつ起きてもおかしくない大地震に備えて、今後、ブロック塀の倒壊による被害を出さないよう、ブロック塀の安全対策についてしっかり進めていただきたいと思います。
次に、区市町村施行の土地区画整理事業の推進について、地元であります瑞穂町のことについてお伺いいたします。
瑞穂町の施行する箱根ケ崎駅西土地区画整理事業の概要と整備効果について、まずお伺いいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 箱根ケ崎駅西土地区画整理事業につきましては、JR八高線箱根ケ崎駅に隣接する二十七・四ヘクタールの範囲におきまして、平成六年に都市計画決定、平成八年に着手しまして、現在、事業が進められております。
本事業によりまして、良好な宅地が整理され、土地利用の転換が図られるとともに、駅西口の三千平方メートルの交通広場や福生三・四・一二号線など、地域の骨格となる都市計画道路三路線のほか、区画街路や、さらには四千六百平方メートルの街区公園など、地域の基盤となる重要な都市施設が整備されます。
これらによりまして、地区内の防災性や利便性が向上するとともに、駅における交通結節機能や道路ネットワーク機能が強化されまして、駅周辺はもとより、まち全体の活性化にも寄与することとなります。
○清水委員 そこで次に、箱根ケ崎駅西地区における現在の進捗状況をお伺いいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 施行者である瑞穂町によりますと、昨年十二月末時点の進捗状況は、事業のために必要な建物の移転が約九三%完了しております。また、事業費ベースの進捗率は約八七%でございまして、令和三年度末の工事概成を目指しているとしております。
○清水委員 ありがとうございます。
区市町村施行土地区画整理事業の推進について伺います。
区市町村施行の土地区画整理事業を推進するために、東京都、都はどのような支援をしているのか、お伺いいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 区市町施行の土地区画整理事業は、これまでもさまざまな地区で実施されておりまして、防災性の向上や良好な市街地の形成、都市基盤の充実など、東京の都市力の強化に大きく寄与してまいりました。現在も二十一地区で事業が進められております。
都は、東京都土地区画整理事業助成規程に基づきまして、区市町に対する財政的な支援を行っておりまして、平成三十年度からは補助制度を拡充しまして、土地区画整理事業による面的な無電柱化を推進しております。
あわせまして、都施行事業等で培った経験やノウハウを生かしまして、事業計画の作成や変更、国費の確保など、事業上の課題の解決に向け、技術面からも助言を行っております。
引き続き、各地区における事業推進に向け、各自治体の取り組みに対して支援を行ってまいります。
○清水委員 ありがとうございます。助成規程に基づいて、補助制度の拡充や技術面からの助言、いろいろいただきまして、引き続きよろしくお願いいたします。
最後の質問です。地域公共交通についてお伺いしてまいります。
また地元なんですけれども、私の地元西多摩地域では、公共交通が不便な地域が多く存在します。地形的にも、山間部や丘陵地等が多く、上りおりなどの高低差があるため、徒歩などでの移動がしにくく、また、道路の幅も非常に狭いところがあります。
そのため、路線バスやコミュニティバスが入れない地区も多いため、自動車交通に頼らざるを得ない状況が発生しています。
路線バス等が通っている地域でも、日の出町の日の出団地のように一日数本程度しか運行されていない路線や、運転者不足によりバスの運行本数が年々減少している路線などもあり、地域住民からは、日常生活の足となる地域公共交通を利用したくても利用しにくいため、どうにかしてほしいとの声を多くいただいております。
また、高齢化の進展により、今後、高齢ドライバーも見込まれる中、免許返納を行う場合でも、代替となる地域公共交通を確保、充実していくことが必須であります。
ほかの方からの質問にもありましたが、都は来年度、こうした西多摩地域の実情も踏まえ、地域公共交通の充実強化に向け取り組んでいく必要があると思いますが、所見をまずお伺いいたします。
○山下都市基盤部長 今後の少子高齢、人口減少社会を見据えまして、誰もが移動しやすい利便性の高い都市を実現していくためには、地域特性に応じた効率的な地域公共交通ネットワークの形成を促進する必要がございます。
来年度は、公共交通の課題や、お話にありました西多摩地域を初めといたします各地域の特性、都市づくりの方向性等を踏まえまして、地域公共交通のあり方や市区町村に対する支援策などについて検討する予定でございます。
こうした検討に合わせまして、デマンド交通導入の促進に向け、市区町村における導入調査や実証実験等に対する補助を開始することとしております。
○清水委員 東京都が地域公共交通について積極的に検討していくことは評価できます。
一方で、これまで住民の移動手段の確保に取り組んできた区市町村からは、都に対する一層の支援を求める声も出ています。
そこで、東京都はこうした区市町村の声を、地域公共交通を強化していく施策に反映させていくべきと考えますが、見解を伺います。
○山下都市基盤部長 来年度実施いたします地域公共交通のあり方等の検討に当たりましては、市区町村や国、学識経験者などから成ります検討組織を新たに立ち上げるとともに、市区町村等との情報共有の場として、行政会議を設置し、意見を聞きながら取り組んでまいります。
また、先ほどお話ししましたように、地元自治体が主体となった地域公共交通の充実強化に向けた取り組みに対しまして、技術面、財政面から支援してまいります。
○清水委員 地域の実情に詳しい区市町村の声をしっかりと聞いて、検討を進めていただくことをお願いいたします。
また、地域公共交通は、区市町村が中心となり取り組んでいくものでありますが、例えば、行政境の付近や最寄り駅が隣接する区市町村にある場合など、一つの区市町村の取り組みだけでは、地域の課題の解決が困難な場合もあります。
私のいます西多摩地域では、駅がない自治体も二自治体ございますので、こうした地域を抱える区市町村に対して、都が積極的に関与し、地域課題の解決に向けて取り組んでいただくことを強くお願いしたいと思います。
また、都は先ほどの答弁にもございましたように、来年度、地域公共交通の検討とあわせて、デマンド交通の導入促進に向け、区市町村が行う実証実験等を支援していくこととしています。
そこで、最後の質問になりますが、このデマンド交通は私の地元西多摩地域において有効な移動手段の一つとなるのか、伺います。
○山下都市基盤部長 デマンド交通は、一般的にバスと比較いたしまして、車両が小型で、運行ダイヤや発着地等を柔軟に運用できる特徴を有してございます。
このため、地域ごとのニーズや公共交通の整備状況など、さまざまな地域の特性に応じ、路線バスやコミュニティバスに加えて、デマンド交通を活用することで、利便性の高い公共交通ネットワークの形成の促進に資することが期待されます。
こうしたことから、西多摩地域を初めといたしまして、都内のさまざまな地域におきまして、有効な移動手段の一つになるものと想定しております。
○清水委員 西多摩地域を初めとする地域の住民の皆様は、一日も早く地域公共交通が充実強化されることを強く待ち望んでおります。
東京都として、デマンド交通を初めとする地域公共交通の充実に向け、これまで以上にしっかり取り組んでいただきたいと申し上げて、私の質問を終わります。
○関野委員 それでは、緑確保の総合的な方針についてお伺いをさせていただきます。
本日、多くの議員が質問をされていますが、割愛すると、私の質問がなくなってしまいますので、そのままさせていただきます。
まずは、方針の改定案の中では、農地の保全に向けた課題として、市街化区域内に恒久的に農地を残す制度が少ないほか、生産緑地でなくなっても、農的、あるいは緑地的な利用が継続できる仕組みが不十分であるや、区市町村による生産緑地の買い取り制度はあっても、公共施設の計画的整備と整合性や財源の手当てなど、現実的に対応が難しいなどなど、四つの課題が挙げられております。
生産緑地でなくなった農地を残すことが難しいという課題や、緑あふれる東京基金条例制定の質疑でも話した内容でもありますが、区市による生産緑地の買い取りなど、現実的に対応が難しい課題などに対してどのように対応していくのか、この点についてお伺いをいたします。
○小野都市づくり政策部長 農地の保全についてでございますが、市街化区域内の農地は、生産緑地でなくなると農地として存続することは困難であるため、生産緑地をできる限り継続していくことが必要でございます。
特に二〇二二年には、多くの生産緑地が指定から三十年を迎えることから、買い取り申し出期間を先延ばしする特定生産緑地への指定が重要でございまして、都は、区市や農業委員会等と連携し、農家の方々に対する特定生産緑地制度の周知やその指定への働きかけを行うとともに、区市に対する指定の手続に関する技術的な支援を行っております。
加えまして、農家が農業を継続するに当たって大きな負担となっている相続税や農業従事者の高齢化、後継者不足といった課題に対し、都は、国に相続税の軽減措置の要望を継続するとともに、担い手不足への対応等にも農業振興施策とも連携を図りながら、引き続き取り組んでまいります。
また、都は、区市に対して、都市計画公園、緑地区域内の生産緑地を買い取る費用の一部を助成する制度を平成三十年度から開始しており、来年度も十億円の予算を活用し、区市への支援を行ってまいります。
○関野委員 ありがとうございます。
都心部では、都市開発諸制度等の活用により、緑やオープンスペースを創出する取り組みが充実してきておりますが、都市開発諸制度等が適用されない地域等においては、どのように緑をふやしていくのか、この点についてお伺いをいたします。
○小野都市づくり政策部長 都市開発諸制度等が適用されない地域等においては、緑化率を定める地区計画や緑化地域制度の活用、民間主体による市民緑地の設置等が有効でございます。
このため、都は、改定作業中の都市計画区域マスタープランにもこうした制度の活用等を位置づけ、区市町に対し積極的な制度活用を働きかけてまいります。
○関野委員 ありがとうございます。
次に、防災都市づくり推進計画の基本方針の改定についてです。
都が一月に示した防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案では、農地の宅地化により、今後の防災性の低下が懸念される地域を新たに創出し、あらかじめ防災性の維持向上を図っていく考えが示されております。
そこで、今回抽出した農地を有し、防災性の維持向上が必要な地域における取り組み内容について、都の見解をお伺いいたします。
○三宮防災都市づくり担当部長 二〇二二年に生産緑地の多くが都市計画決定から三十年を経過し、農地を有する地域において、無秩序な宅地化が進行した場合には、延焼の危険性が増大する可能性がございます。
これらの地域では、農地の保全、活用を最大限図っていくとともに、やむを得ず宅地化される場合に備え、必要に応じ、地区計画の策定や防火規制の導入などにより、あらかじめ防災性を担保していくことが重要でございます。
そのため、一月に公表した防災都市づくり推進計画の基本方針案では、農地を有し、防災性の維持向上を図るべき地域を新たにお示ししました。
この地域について、今後、取りまとめる整備プログラムにおいて、防火規制の導入状況などを重ね合わせて示すことで見える化を行い、区市に対し必要な規制誘導策の導入の検討を促してまいります。
○関野委員 ありがとうございます。
先ほどの緑確保の総合的な方針に関しては、緑の基金のときもちょっとお話をさせていただきましたが、農地が宅地化されると、その後、行政として取得するときは、交渉して、換地先の確保をして、補償金や時間などがかかります。
今の答弁では、防火規制の導入などが行われれば、そういう意味では宅地化にならずに済み、無駄な予算や時間が必要なくなるのかなというようなことも考えております。
見える化をすることによって、区市に対しての導入の検討を促していただくこと、また、緑確保の総合的な方針でも課題としている認識、区市町村への財源の手当てなども含めて、今後、しっかりと対応していただくことを要望して、次の質問に移ります。
続いて、多摩イノベーションについてです。
先月、都は、多摩のイノベーション創出拠点の形成に向けた取組方針を公表し、イノベーション創出環境の整備を図る新たなまちづくりに取り組む基本的な考え方や具体的な取り組みを示しました。
その具体的な取り組みの一つとして、イノベーションの創出まちづくりのモデル事業を実施することとしており、地元自治体が主体となって、イノベーション創出まちづくりに取り組む地区を公募、選定するとあります。
そこで、まずお伺いしますが、モデル事業の実施と三地区程度を予定しているとありますが、どのような地区を選定しようとしているのか、お伺いをいたします。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 多摩地域には、歴史的な経緯から、ものづくりを初めとした高い技術力を持つ中小企業などが集積しております。また、豊かな自然環境や地域の伝統文化などの観光文化資源、農産物を初めとした食資源など、都心部にはない多摩らしい地域資源が多く存在しております。
モデル事業では、こうした地域資源を生かしまして、地元自治体が主体となって、イノベーション創出のまちづくりに取り組もうとしている地区を選定の対象としてまいります。
○関野委員 取り組み方針の基本的な考え方の中には、各地区に立地特性や地域資源を生かす、あるいは公民学連携によるまちづくりの推進体制を構築といった記載がありました。
しかし、多摩地域の中には、大学がない地域もあるほか、これといった明確な地域資源を持たないような地域もあります。
私は、そういった地域であれば、なおさらさまざまな形でイノベーションを起こして、まちを活性化していくべきであると考えており、そういった自治体の職員が前向きにイノベーション創出まちづくりに取り組めるよう、都から積極的にアクションを起こすような体制が必要であるとも考えております。
できることなら、都の職員からヒントを与えたり、市や町の職員が気軽に相談などができる体制をとってもらいたいというふうに考えておりますが、どのように考えていますか。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 多摩地域のまちづくりの一層の推進に向けまして、来年度、都と市町による連絡会議を新たに設置することとしております。
こうした場を活用し、都から先進的なまちづくりの事例紹介を初め、市町の参考となるような情報の提供や提案などを行いまして、市町による主体的なまちづくりの取り組みを促してまいります。
都ではこれまでも、まちづくりに関して市町からの個別の相談に応じてまいりました。引き続き丁寧に対応し、市町の職員が相談しやすい環境づくりに努めてまいります。
○関野委員 ありがとうございます。地域に住んでいると、そこの魅力がわからない。ある意味、海外から日本に来て、日本の文化はすばらしいという外国人がいると同じように、やはりその地域だとわからないことがありますので、なるべく相談ができるような体制をとっていただければと思っております。
続いて、鉄道ネットワークについてです。
先週の予算特別委員会において、我が会派の村松都議から都営大江戸線、十二号の大泉学園までの延伸の早期実現について質疑を行わせていただき、昨年度に要望した車両の増備や誘致施設の電力設備などについても増設が必要などと研究検討されたことにより明らかになりました。
今後は、事業費の算定や延伸後の運行経費なども含めた積算について検討と大きく一歩前進をいたしました。今後も、延伸に向けて検討を各局と協力して実施していただくことをまずは要望いたします。
さて、大きく前進したといえば、私の地元の多摩都市モノレール上北台から箱根ヶ崎についてです。
多摩都市モノレールの延伸は、鉄道空白地域の解消に大きく貢献するとともに、既存のJR八高線とつながることで、多摩地域の交通ネットワークをさらに強化するものであります。周辺住民の利便性向上はもとより、多摩地域の振興にも大きく寄与する路線であるとも考えております。
都内で唯一駅がない武蔵村山市、既存の区間やJRと接続する東大和市、そして瑞穂町の二市一町にとっては、モノレールの延伸は長年の悲願でもあります。その実現は、地元は大いに期待をしているところです。
また、今予算において、多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎延伸に向けて、独自に一億一千六百万円の調査費が計上されました。
これは私の勝手な思いではありますが、昨年のここの事務事業でお話をしたとき、委員の皆様に説明した際、賛同していただいたこと、また、この担当の職員の方、そして技監のご尽力のおかげなのかなというふうに思っております。この場をかりて感謝を申し上げます。
そこで、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面の延伸に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
○山下都市基盤部長 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸は、その実現によりまして、開業区間と一体となって、南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。
事業化に向けて、都は、多摩都市モノレール株式会社の経営状況を踏まえるとともに、収支採算性の確保に向けたコスト縮減策や収入確保策などの検討を進めております。
また、沿線の二市一町におきましては、一昨年、モノレール沿線まちづくり構想を策定し、着実にまちづくりに取り組んでおります。
こうした状況を踏まえ、都は、来年度予算におきまして、現況調査及び基本設計等に着手することといたしました。
引き続き、関係者との協議、調整を進め、多摩地域における交通インフラの充実強化に向けて取り組んでまいります。
○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○馬場委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時四十五分散会
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