都市整備委員会速記録第三号

令和二年三月十六日(月曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長馬場 信男君
副委員長奥澤 高広君
副委員長和泉なおみ君
理事古城まさお君
理事秋田 一郎君
理事村松 一希君
菅野 弘一君
清水やすこ君
西郷あゆ美君
森口つかさ君
関野たかなり君
中山 信行君
中村ひろし君
曽根はじめ君

欠席委員 なし

出席説明員
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監都営住宅経営部長事務取扱久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木秀之君
連絡調整担当部長水野  剛君
住宅政策担当部長澁谷 浩一君
民間住宅施策推進担当部長栗谷川哲雄君
経営改革担当部長土屋 太郎君
再編利活用推進担当部長中山  衛君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長金子 陽子君

本日の会議に付した事件
意見書について
住宅政策本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
住宅政策本部所管分
・第十二号議案 令和二年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 令和二年度東京都都営住宅等保証金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十一号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京マンション管理・再生促進計画(素案)について

○馬場委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、そのように決定させていただきます。

○馬場委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和二年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和二年三月十三日
東京都議会議長 石川 良一
都市整備委員長 馬場 信男殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十三日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(木)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
 第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 都市整備委員会所管分
 第十二号議案 令和二年度東京都都営住宅等事業会計予算
 第十三号議案 令和二年度東京都都営住宅等保証金会計予算
 第十四号議案 令和二年度東京都都市開発資金会計予算
 第十七号議案 令和二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
 第二十号議案 令和二年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○馬場委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、住宅政策本部所管分、第十二号議案、第十三号議案、第五十一号議案及び報告事項、東京マンション管理・再生促進計画(素案)についてを一括議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐々木住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二月十三日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。資料は六件でございます。
 一ページをお開き願います。1、マンション管理アドバイザーの派遣実績でございます。
 東京都防災・建築まちづくりセンターのマンション管理アドバイザー制度の派遣実績のあった区市の別に、平成三十年度の件数を記載してございます。
 二ページをお開きください。2、区市町村が実施しているマンション管理アドバイザー派遣の助成一覧でございます。
 今年度、マンション管理アドバイザー派遣の助成を実施している区市の別に、助成制度の概要、助成の内容を記載してございます。
 四ページをお開きください。3、都が実施しているマンションの耐震診断及び耐震改修の助成一覧でございます。
 耐震診断、耐震改修の別に、対象となる建築物、補助限度額または補助対象限度額、補助率を記載してございます。
 五ページをごらんください。4、マンションに対する耐震診断及び耐震改修の助成実績(過去五年間)でございます。
 耐震診断、耐震改修、合計の別に、平成二十六年度から平成三十年度まで、年度別の当初予算額、執行件数、執行額を記載してございます。
 六ページをお開きください。5、都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績でございます。
 都営住宅、公社住宅の別に、平成二十一年度から平成三十年度まで、年度別の建設戸数を記載してございます。
 七ページをごらんください。6、都営住宅における居室内単身死亡者数(過去十年間)でございます。
 平成二十一年度から平成三十年度までの人数について年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○馬場委員長 説明は終わりました。
 これより、ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○関野委員 それでは、質疑を行わせていただきます。
 まず、都営住宅での太陽光発電設備の災害時における活用についてお伺いをいたします。
 昨年、台風十五号では、千葉県で長時間の大規模な停電が発生し、引き続いて台風十九号では、都内を含め関東広範囲で停電が発生し、電柱倒壊などにより、完全復旧まで長い時間を要したのは記憶に新しいところであります。
 また、二年前に発生した北海道東部地震において、北海道全域にブラックアウトによる停電が発生しております。
 我々の日々の暮らしにおいて、スマートフォンやノートパソコン、タブレット端末等の情報機器の利用が当たり前になっている中で、停電が長期化した地域では、それらの情報機器の充電に苦労されている被災地の方々の様子が印象的でした。
 現代の社会において、日々、当たり前のようにやっていることが突然できなくなる、メールも電話もつながらず、インターネットから情報も得られない、直接命にかかわらないにしても、被災地でこのような事態に直面した場合、フラストレーションはいかばかりかと感じられます。
 情報機器の普及が進んだ現代において、自然災害による長時間の停電が発生した場合に備え、過去の災害ではなかった新たなニーズに対応できるよう対策が必要です。
 このような問題意識から、昨年十一月の都市整備委員会において、我が会派の伊藤委員から、太陽光発電設備の災害時における利活用について質問をいたしました。
 その際、答弁として、太陽光発電設備を整備する住棟において、災害時の非常用電源として活用できるよう、今年度以降に対応可能なものから、居住者でも接続が可能な位置に出力装置の設置場所を変更していくというものでありました。
 この取り組みも有効ではありますが、さらに一歩進んだ対策として、太陽光発電設備が発電しない夜間の停電時等の対策についても検討すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の住棟の太陽光発電設備は、平成十六年度の建てかえ住棟から設置を開始しておりまして、現在、約三百八十棟に整備されており、廊下やエレベーター内の照明など共用部に電力を供給しております。
 災害対応力向上の観点から、その電力を停電時に活用できるよう、今年度発注の団地からは、出力装置の位置を、従来の電気室内部から居住者が操作可能なエントランス部分に変更しております。
 なお、これらの設備は、主として環境性能を高める目的で設置を進めてきた経緯から、蓄電池などによる夜間の停電時の電力供給に対応したものとはなっておりません。
 また、夜間での対策として蓄電池を設置したとしても、電力の供給先の共用部は廊下など室外のため、夜間に滞在し、過ごす場所としては適当ではないと考えております。
 そのため、屋内であり、夜間の滞在も可能な集会所に太陽光発電設備と蓄電池設備の一体的な整備を計画してございます。

○関野委員 住棟に設置してある太陽光発電設備については、追加で蓄電池を設置しても、夜間に室外で利用するのは適当でないことから、より効果が期待できる集会所に、非常用電源として太陽光発電設備に加え蓄電池の設置を計画しているとのお答えでした。
 都営住宅の集会所にこれらの設備を設置することにより、停電時における災害対応にどのような効果が想定されるのか、この点についてお伺いをいたします。

○妹尾建設推進担当部長 停電時にも昼夜関係なく蓄電池からの電力の供給により、スマートフォン、ノートパソコンなどの情報機器や電気調理器具などの使用が可能となります。
 停電が数日間に及ぶなど長期化した場合にも、夜間の使用で放電した蓄電池を昼間に太陽光発電設備からの電力で充電することにより、継続して電力の供給が可能となります。
 今後、集会所の地域開放が進むことにより、発災時には地域の災害対応力の向上にも寄与すると考えております。

○関野委員 地震や台風等の大災害が発生して、数日間に及ぶような長期間の停電になった場合には、都営住宅の近隣の方々で、自宅では全然電源がとれないような人がいると思います。
 都営住宅の集会所に太陽光発電設備と蓄電池を設置し、夜間でも停電が長期化していても継続的に利用可能な非常用電源を確保して、スマートフォンの充電等に活用できるようにするなど、このことにより、災害時には居住者のみならず地域の支援につながることも想定されますが、非常に重要な取り組みであるとも考えております。
 このような太陽光発電設備と蓄電池を備えた集会所の整備に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、この件についてお伺いをいたします。

○妹尾建設推進担当部長 太陽光発電設備と蓄電池を備えた集会所の整備につきましては、令和二年度に建築工事の着手を予定している二団地においてモデル事業として実施いたします。
 工事の完成後に、長時間の停電を想定した防災訓練等を実施することによりまして、その有効性や課題を検証した上で、今後の展開につなげてまいります。

○関野委員 まずはモデル工事から始めるということは理解をいたしました。
 現在は、コンセントだけではなく、USBなどの利用も多い状況ですので、USBの口も設置することについても要望をしておきます。
 都内でも、いつ発生するかわからない自然災害により、千葉県や北海道のような大規模で長期間の停電が発生するおそれがあります。
 また、昨年の台風十九号では、民間マンションの電気設備が地下にあったことで、電力供給ができなくなった例なども実際に起こっています。
 このような状況を考えると、非常に重要な取り組みでもありますので、ぜひその先の本格的な実施を期待して、この部分に関しての質問を終わりにさせていただきます。
 次に、都営住宅における居場所づくりについてお伺いをいたします。
 都営住宅の集会所等を活用して、周辺地域に住む大人から子供まで幅広く交流できる東京みんなでサロンを創出していくことは、高齢化や世帯の単身化が進む中で、新たな交流を生み出し、地域におけるコミュニティの活性化にもつながると考えております。
 人と人のつながりが保たれ、相互に支えながら暮らしていくことができれば、地域における穏やかな見守りを構築することができると期待をされております。
 我が党の代表質問に対し、早期にモデル事業を開始するとの答弁がありました。モデル事業の実施内容、実施予定時期、実施箇所数など、具体的な実施内容について、まずはお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 未来の東京戦略ビジョンで掲げましたみんなの居場所創出プロジェクトの一環として、既存の都営住宅の集会所等を活用して、居住者や近隣の方々が交流を深めることができる事業として、東京みんなでサロンを実施することとし、来年度予算で事業実施に伴う設備改修等の費用も見込んでおります。
 実施に当たりましては、地域活動を行う団体や社会貢献事業に取り組む民間事業者などが行っているコミュニティの活性化の取り組みも生かしながら、地元区市とも連携して、食事のほか、参加者同士が交流できるイベントなども取り入れた事業としてまいります。
 地域住民も利用可能な地域開放型集会所は約二百五十カ所あることから、二〇三〇年度までに、そのおおよそ半数である百カ所での実施を目標としておりまして、来年度できる限り早期にモデル事業を開始し、地域を変えて数カ所で実施、検証しまして、その後、他の都営住宅へ拡大してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。昔は地域コミュニティがしっかりしており、私自身も、両親にだけでなく地域の大人に育てられ、また、見守られながら大人になった記憶があります。
 昭和の後半あたりから、核家族など、仕事や働き方などの変化と同時に、犯罪が多くなったことで、近所の方でも信用が置けなくなり、地域コミュニティが希薄化している状況であります。
 このように、地域コミュニティが希薄化していくことにより、子育てについて、経験者である近所のお母さん方に聞くことなどができなくなり、また、悩みなども一人で抱えるなど、近年ではコミュニティの大切さが見直されてきている状況でもあります。
 そこで、都営住宅における居場所づくりのモデル事業によって何を検証し、その後の事業の展開にどのようにつなげていくのか、この点についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 モデル事業は、地域や時間帯などを変えることにより、高齢者や親子連れなど参加者の特性に応じた、食事などのメニューやイベントの内容などを工夫して実施いたします。
 また、参加者へのアンケート結果、連携協力先の区市や民間事業者、自治会等からの意見なども踏まえまして、課題を把握してまいります。
 その検証結果を踏まえまして、より多くの方が参加しやすい実施方法を工夫し、その後の事業展開につなげてまいります。

○関野委員 既存の都営住宅の集会所は、厨房設備等が整っていないこともあるのかなというふうに、私も何回かいろんなところへ行かせていただいて思っております。そういう意味では、調理、飲食等を行う上で制約があることが予想されるのかなと。
 また、居場所づくりを一層拡充していくためにも、東京みんなでサロンの取り組みとあわせて、今後、新たな都営住宅の建てかえ団地などでも、居住者と地域の住民の方々が交流できる施設を積極的に整備していく必要があるということも考えられます。
 来年度予算に、地域の居場所づくりに向けた検討調査として、都営住宅の建てかえに合わせ、地域の居場所づくりを検討する調査費が計上されていますが、この調査の内容についてお伺いをいたします。

○中山再編利活用推進担当部長 地域の居場所となる交流施設については、都営住宅や周辺地域に住む方々に幅広く利用してもらい、かつ適切な維持管理が行われることが重要でございます。
 そのため、来年度行う調査では、東京みんなでサロンの取り組みを通じて、都営住宅の集会所など既存の施設を活用する上での課題を把握し、新たに整備する施設の機能や仕様等について検討します。
 また、東京都住宅供給公社や都市再生機構を初め民間事業者が各地で展開している同様な取り組みについても調査を行い、居場所となる交流施設として、誰もが利用しやすい機能や仕様等に加え、効果的な運営手法などについても検討いたします。

○関野委員 誰もが利用しやすい機能や仕様などに加え、効果的な運営手法などについても検討とのことですが、一部の方のためとならないよう、しっかりと調査検討を行いながら、施設整備に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 また、一方で、都が、施設を整備し民間事業者などに貸し出すよりも、土地を借りて事業者が施設を整備した方が事業を行いやすいという意見があります。
 この意見については、私が市議会のときに、まちづくりの一環として、市内にある公社住宅の広大な敷地の建てかえというところで行いました。一つの例となりますが、建てかえに伴い、一階を高齢者施設、グループホームなどの施設にして、二階を保育園などの施設にした。それで、低層に高齢者、中層に単身者、高層に子育て世代など、建てかえを行う場合の案を示しました。
 その際、福祉施設関係者、保育施設関係者と話した際に、先ほど話した建物の空間を借りると、間仕切りなどの変更がすぐにできないなどの問題があるため、近隣の土地や都の創出用地を借りて運営した方が、運営上、責任問題としてもとりやすいとのお話を伺いました。
 そこで、都営住宅の創出用地を提供し、民間事業者のノウハウを活用して居場所づくりを展開することも、取り組みとして有効であると考えますが、所見をお伺いいたします。

○中山再編利活用推進担当部長 都営住宅に居場所となる交流施設を都がみずから整備するほか、民間事業者の創意工夫を生かしたプロジェクトの展開も、居場所づくりには有効でございます。
 都営住宅の建てかえ時の創出用地を活用し、現在進めている八王子市長房地区まちづくりプロジェクトでは、民間事業者が屋内外の交流施設を設けて地域のコミュニティ活動を行う予定です。
 このような取り組みと同様に、今後とも、民間の資金やノウハウを生かしたまちづくりを進め、生活利便施設や地域の居場所となる交流施設等の整備を推進してまいります。

○関野委員 八王子市長房地区まちづくりプロジェクトにおいては、日常生活をサポートする店舗や複合施設や診療所、在宅医療、訪問リハビリなどの施設はありますが、高齢者の入所施設はないとのことです。軽度の認知症の方などは、子供たちや人と触れ合うことで改善される効果も考えられると同時に、コンパクトシティーとしても必要な施設の一つだとも考えます。
 また、東京都全体としても、老人福祉施設等の施設設置目標が達成できていないなどという状況もあるところであります。
 理由の一つに、区市が公募している地域に土地がなく、施設の建設ができないという話も伺っております。ぜひこの点も一つの検討課題と捉え、実施に向けて検証を行っていただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、都営住宅におけるシェア居住についてです。
 令和二年度予算で、都営住宅におけるシェア居住事業が盛り込まれておりますが、どのような目的で実施しようとしているのか、この点についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 昨年五月の東京都住宅政策審議会の答申におきまして、新たな住まい方の多角的な検討として、シェア居住の試行導入などが提言されております。
 また、昨年末に公表された未来の東京戦略ビジョンにおきましても、ひとり暮らしの高齢者や子育て世帯などを含め、誰もが安心して暮らし続けられるネットワークとしての住まいづくりにつながるよう、公的住宅にシェア居住などの導入が掲げられております。
 提言やビジョンを踏まえまして、単身世帯等が安心して暮らせる場を創出するとともに、団地や地域の活性化を図るため、都営住宅等を活用してシェア居住を実施してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 では、事業実施に向け、今後どのように進めていくのか、この点についてお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 現在、他の自治体における公営住宅を活用したシェア居住の事例なども調査しながら、実施に当たっての課題等の把握を行っております。
 今後は、来年度のモデル実施に向け、活用する住戸の条件、事業の運営形態、入居対象者の要件など、具体的な実施方法について検討を進めてまいります。

○関野委員 答弁から察すると、どのような形にするかなどはまだ決まっていないと推察いたしますが、先ほどの居場所づくりでもお話をさせていただきましたが、いろいろな年代の方が交流することで、わからないことが解決するなど、一つの方法だとも考えております。初めて子育てする方は子育ての経験のある方に相談したり、学生などの子を持つ親は、自分だけの判断でなく、多くの意見を聞きながら子育てや相談などにも乗っていただける機会がふえるなど、よいことが多くあります。
 もちろん問題となる点も多々あるでしょう。メリット、デメリットをも踏まえ、民間や自治体の事例なども調査を行っていただくよう要望をしておきます。
 さて、都営住宅、公社住宅においては、来年度予算で居場所づくりやシェア居住、集会所への太陽光発電などなどの事業が行われておりますが、今後、人口減少となり、また、民間のマンションなども空き家がふえている状況から考えると、あり方に関しても検討が必要と考えます。
 都営住宅は、都内において多くの用地を所有しており、これは都の大きな資産でもあります。社会経済状況の変化を踏まえ、この用地をただ住宅として利用するだけではなく、まちづくりや稼ぐ力という観点から、有効に活用していく必要があると考えております。
 区部の中でも、特に好立地でポテンシャルが高い地域にある都営住宅において、建てかえによる創出用地を活用し、民間活力を生かしながら、東京の魅力を高める取り組みが重要と考えますが、その取り組みについてお伺いをいたします。

○中山再編利活用推進担当部長 未来の東京戦略ビジョンにおいて、区部中心部では、土地の高度利用を進め、公的住宅の建てかえ時の創出用地をまちづくりに活用し、業務や商業などの複合機能を有する中核拠点の形成に寄与することとしています。
 これまでも、南青山一丁目や勝どき一丁目、渋谷宮下町などにおいて、都営住宅の建てかえに伴う創出用地を活用し、定期借地制度により、商業、文化、居住機能の導入などを図る民間活用事業を進めてまいりました。
 現在、北青山三丁目地区では、都市整備局と連携を図りながら、民間活用事業による商業施設や賃貸住宅等の複合施設整備などにより、最先端の文化、流行発信拠点の形成に取り組んでいます。
 今後も、都営住宅の建てかえをてこに、民間事業者の資金やノウハウを生かしながら、区部中心部などにおいて、東京の魅力を高めるまちづくりを推進してまいります。

○関野委員 では、公社住宅についても、住宅用地を状況に応じてほかの用途に使うために、民間事業者に定期借地等で貸し出すことなどが必要と考えておりますが、見解をお伺いいたします。

○水野連絡調整担当部長 政策連携団体である東京都住宅供給公社は、都の住宅政策を担う重要なパートナーとして、政策課題の解決に大きな役割を果たすことが期待されております。
 公社では、老朽化した住宅の建てかえの際、保有する敷地を有効に活用して用地を創出し、地域の実情を踏まえ、社会福祉法人等に定期借地で貸し出しして、高齢者施設等の福祉のインフラの整備を推進しております。
 都として、こうした公社の取り組みは、少子高齢社会への対応など、都の重要課題の解決に資するものと考えております。

○関野委員 おととしの事務事業質疑においても、我が会派の両角議員より質疑がありましたが、都心の三区、一等地に約四千戸の都営住宅が存在する、港区北青山の住宅においては九万九百円の家賃であり、低所得者向けに提供されるというのが法の趣旨である、同条件の民間マンションは九十万円であり、都営住宅の立地についても質疑の中でありました。
 答弁では、東京においては、戦後の深刻な住宅難や高度成長期の人口集中に対応するため、大量の公営住宅の建設が求められ、これらの需要に応えるため、都有地や旧軍用地、国有地などを建設用地としたと述べられております。
 この答弁から考えると、現在は日本全体で少子化傾向にあり、人口減少が今後予想され、東京の多摩地区においては二〇二〇年度から、都心部においては二〇二五年度から人口減少が始まるとされている中、民間マンションなどにも空き部屋などが多くなっていることを考えると、高度成長期に建設した同戸数の都営、公社住宅が必要なのかどうかの見直しも必要であると考えております。
 また、都心部においては人気があり入居困難という状況でも、多摩地域においては空き部屋があるなどの状況でもあります。
 今後、五十年、百年先を考えたとき、居住地域と経済地域を分けて考えるとともに、費用対効果を考えることも重要です。もちろん、居住者の状況もありますので、長期的な考え方を取り入れ、経済地域においては、居住住宅を建てずに全ての土地を民間へ貸し出すなど、住宅のあり方の検討をされることを強く要望をいたしまして、次の質問に移ります。
 続いて、大学研究者による事業提案についてです。
 ひとり暮らしの高齢者を初め、誰もが安心して暮らし続けられる東京にしていく上で、ICTを活用した見守りは重要であります。
 来年度予算では、AIを活用した単身高齢者の見守りシステム構築に向けた実証プロジェクトが盛り込まれております。
 そこで、大学研究者による事業提案を受けた、都営住宅を活用した単身高齢者の見守りシステム構築、実証プロジェクトは、どのような内容となっているのか、改めてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 本プロジェクトは、居住者の高齢化や単身化が進む都営住宅におきまして、ICTを活用して、巡回管理人による見守りのサポート強化を図ることを目的としております。
 そこで、都営住宅において、単身高齢者世帯十から四十世帯程度の協力をいただきまして、メーターボックスにスマートメーター化された電力計と、室内のエアコンには温度計を設置いたします。この電気量データとエアコンの利用の有無をAIで判断して、異常となるデータが検出された場合、都営住宅の巡回管理人等に通報するとの見守りシステムを構築しまして、モデル実施をしてまいります。

○関野委員 では、都営住宅を対象とした理由について、この点についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅には単身高齢者が多く、今後さらにふえると見込まれております。
 また、現在、希望する単身高齢者に巡回管理人による定期訪問を実施しておりまして、見守りを必要とする方が相当数いらっしゃることから、都営住宅を対象としております。

○関野委員 では、実証プロジェクトの結果について、今後どのような活用を見込んでいるのか、この点についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 得られた成果につきましては、都内全域におきまして、単身高齢者の見守りシステムとして普及が期待できるとともに、単身高齢者が安心して住み続けられる社会の実現につながるものと考えております。

○関野委員 このシステムが完成した後、都が高齢者を見守る支援サービスとして使う場合、都の費用でできたシステムに使用料を問われることがないのか、こういったところがちょっと心配であるんですけれども、そこで、この大学研究者による事業提案は、完成したシステムについての所有者は誰になるのか、都は無償で使用できるのか、この点についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 大学研究者による事業提案制度実施要綱によりますと、本制度において提案されたものに係る知的財産権等の権利は、原則として提案者または大学に帰属するが、都はその権利等を無償で使用することができるとなっております。

○関野委員 高齢者の見守りということですが、見守り支援をする管理人は、福祉的な知識や経験を有する従事者の方がよいと考えております。
 今後、この見守りシステムを普及させるに当たっては、そのような知識、経験を持つ人材を活用すべきと考えますが、都営住宅ではどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 居住者の高齢化や単身化が進む都営住宅におきまして、高齢者の見守りなど生活支援サービスの充実に向けて、地元区市町の福祉部門や社会福祉法人等と連携した取り組みが必要でございます。
 本プロジェクトにおきます見守りシステムが普及する段階では、地域福祉との連携や福祉の知識、経験を有する人材の活用が有効でございまして、今後、委員ご指摘の点も踏まえまして、本プロジェクトの中で検討してまいります。

○関野委員 この見守りシステムが都営住宅の高齢者への有効なシステムとなるよう、今後の実証プロジェクトに期待するとともに、このシステムの維持管理に関する費用、例えばアップデート費用などもかかるかと思われます。こうした費用についても、誰が負担することになるのかも想定してプロジェクトを進めていただければと思っております。
 本プロジェクトにより、都内に住まわれる多くの単身高齢者世帯が、安心して暮らせるお住まいで生活し続けられる社会を実現してほしいということを要望して、次の質問に移ります。
 次は、自動運転の実証実験についてです。
 まずは、移動支援に係る自動運転の実証実験についてです。この事業の目的についてお伺いをいたします。

○水野連絡調整担当部長 公社は、高齢者等が住みなれた場所で安心して暮らし続けることができるよう、民間事業者等と連携し、買い物や家事等の生活支援、コミュニティの活性化などの取り組みを進めております。
 多摩地域の大規模団地の多くは、築後四十年以上経過し、居住者の高齢化が進行しており、団地内にある路線バスの停留所や商店街への移動の支援について課題となってきております。
 一方で、交通事業者においては、ドライバーの不足が課題となっており、将来的には自動運転走行を活用した大規模団地内での移動サービスの実現が期待されているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、公社は、移動支援の居住者ニーズ、自動運転走行の受容性や課題を把握するため、自動運転走行の実証実験を含めた団地内における移動支援の実現に向けた基礎調査を実施します。
 都は、都の住宅政策にも資するこのような公社の取り組みを積極的に支援するため、本件経費を令和二年度予算案に計上したものでございます。

○関野委員 ありがとうございます。移動支援などについては、多摩センターなどでも実証実験を行っておりますが、今回のこれとの違いについてお伺いをいたします。

○水野連絡調整担当部長 都は、平成三十年度、自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクトの一つとして、多摩ニュータウン内において自動運転バスの実証実験を実施しております。
 この実証実験では、多摩ニュータウンの再生をバス事業者の視点から捉え、既存のバス路線を補完し、かつ起伏が多い地域における住民等の移動支援、AIを活用した車内サービス等の活用策について検証したとのことでございます。
 一方、公社が行う実証実験は、住宅政策に資するものとして、公社が多摩地域の公社住宅内における高齢者等の買い物支援や外出機会の創出、こうした政策的課題に対応するため、移動支援の実現に向けた基礎調査の一環として実施するものでございます。

○関野委員 では、区市町村で行っているコミュニティバスとの違いや、地元路線バスなどへの影響についてどのように考えているか、お伺いいたします。

○水野連絡調整担当部長 コミュニティバスは、地元自治体が主体的に計画してその一定地域内の移動手段を補完する、地域の公共交通でございます。
 一方、公社が行う実証実験は、大規模団地内における居住者の移動支援を目的とした限定的なものでございます。
 公社は、実証実験の実施に当たっては、地元自治体や地域の交通事業者の協力が不可欠と考えており、十分な協議を行ってまいります。

○関野委員 それでは、この事業に対して具体的にどのように進めていくのか、この点についてお伺いいたします。

○水野連絡調整担当部長 公社は、本実証実験の実施に当たり、居住者や商店会のニーズ等も踏まえて移動支援の具体的な内容を検討するとともに、大規模団地外周の公道における自動運転走行、こうしたものや、既存バス路線への乗り継ぎ等について、地元自治体や地域の交通事業者などとも十分な協議を行ってまいります。
 都としても、実証実験における事業スキームの構築、効果分析や今後の事業の展開の検証等に当たり、公社を支援してまいります。

○関野委員 今の答弁では、大規模団地の外周の公道というふうなことも答弁にもありましたが、団地については、大きな規模の団地、小さな規模の団地等がありますが、再度お伺いしますが、移動支援の範囲についてお伺いをいたします。

○水野連絡調整担当部長 公社は、団地の外周を含めた団地内を想定しております。
 公社は、実証実験を実施する団地や具体的な走行ルートにつきましては、地元自治体や地域の交通事業者などと十分に協議しながら選定してまいります。

○関野委員 具体的な進め方や範囲についてお伺いしましたが、範囲については、団地内の外周も想定しているということですが、今回、他局の予算で地域コミュニティバスの補助が出ております。
 既存のバス路線やコミュニティバスなどの路線と相関性を考慮した上で、ルート検証が必要だというふうに考えております。理由として、交通空白地域に必要とされたコミュニティバスなどの導入により、地域の交通事業者のルートが、利益が出なくなったためなくなってしまい、その後、コミュニティバスがルート見直しを行ったことで、バスの本数の少なかった地域がバスの本数がゼロとなるなど、何のためにコミュニティバスを導入したのかわからない状況になっている地域もあります。
 これは私が市議会にいた場所ではありますけれども、そういったものもありますので、せっかくいいことをしようとしながらも、やはりそういった地域のコミュニティバスや既存のバス、こういったところとしっかりと協議をしていただきたいなということを再度要望をしておきます。
 次に、車両についての質問ですが、どのような車両を検討しているのか、また、運賃などはどのように考えているのか、この点についてお伺いをいたします。

○水野連絡調整担当部長 公社は、地元自治体や地域の交通事業者などと十分に協議しながら、居住者ニーズや自動運転走行に当たっての安全性等を考慮しつつ、実証実験を実施する団地や走行ルートはもとより、使用する車両あるいは運賃を設定するのか否かについても、選定及び検討してまいります。

○関野委員 車両や運賃についても今後とのことですので、一つ情報としてお伝えをいたします。
 桐生市では、資料にあるバスが、まあ電気自動車ですね、低速電動コミュニティバスMAYUとして走っております。このバスは、無料であれば事業者や二種免許が不要で実施できる事例があるというふうにも聞いております。もちろん有料だとした場合についても、国土交通省や運輸局の判断により、事業者や二種免許が不要だということも可能だということもありますので、この点については確認して、検討材料の一つとしていただければと思っております。
 また、私の地域北多摩一区の武蔵村山市では、昭和四十一年に完成した総数五千二百六十戸の都営団地があります。平成十二年から順次、高層住宅に建てかえが行われ、平成二十六年時点では高齢化率四七%で、高齢者の買い物の頻度が減少したということがありました。
 村山団地の中央商店街の有志で宅配サービスを始めましたが、宅配をしていると高齢者の希望が宅配で満たされている状況にないということがわかったそうです。以前より高層住宅となり、家に閉じこもる時間が多く、商店街で品物を自分の目で見て選んだり、お店でおしゃべりをしたりなどが一番楽しいという声がありました。
 しかし、商店街として資金がなかった状況もあり、商工会に提案、その後、市から補助を受けて、商工会の商業部会と工業部会が協力して電動アシストつき自転車を三輪に改造して、二名の乗車スペースと荷台を追加した送迎自転車が完成いたしました。
 運転手はボランティアと商店主が担当し、午前十時から十二時まで、午後一時から三時までを常時送迎とし、必要に応じて夕方五時まで対応しているとのことです。
 このように、大きな団地でも起伏が激しくなければ電動自転車などを使って実施している地域もありますので、予算をかけるのもいいですが、低予算で実効のある方法を模索することで、初期投資が削減されれば、長期的なバックアップも可能と考えております。
 ぜひ、検討する一つの例として、また、情報として、活用をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○中山委員 初めに、都営住宅のLED化の促進について質問いたします。
 都営住宅の共用部の蛍光灯の取りかえは自治会が担っております。都営住宅の共用部の照明で使っている蛍光灯という点では、団地周辺にあります敷地内の街灯の電気代も自治会の共益費で支払っております。
 先日、ある都営住宅の自治会長さんから、近隣の電気屋さんや家電製品の量販店では商品棚に蛍光灯が余り陳列されておらず、まとまった数を購入しようとする際には、注文して取り寄せてもらう必要があるという話を伺いました。
 昨今では、照明のLED化は余りにも一般的なトレンドとなっておりまして、もはや、わざわざ取り寄せて手配しなければ入手しにくい現状にあるとのことであります。一部の蛍光灯メーカーも段階的に製造を中止しているともお聞きしております。事ほどさように、LEDの普及は目覚ましいものがあります。こうした社会情勢の中で、私は、都営住宅の共用部の照明器具のLED化は、より急ぐべき段階を迎えていると考えております。
 そこで改めて、都営住宅共用部の照明器具のLED化の進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○金子営繕担当部長 都営住宅の共用部のLED化につきましては、二〇一五年度、平成二十七年度から建てかえ事業の中で実施するとともに、既存の都営住宅につきましても、二〇一七年度、平成二十九年度から計画的に更新を進めております。
 その結果、二〇一八年度、平成三十年度までのLED化実績は、累計で約一万九千八百戸となっております。
 二〇三〇年度、令和十二年度に全ての住棟へ設置することを目標に取り組みを加速してまいります。

○中山委員 取り組みを加速化させていくということで、大いに期待したいと思います。
 しかし、加速化させていくということは、目標年次が近づけば近づくほど投入できる予算額もふえて、LEDの取りかえ照明数がラストスパート的に伸びていくということを意味しております。
 見方を変えれば、当面のこれからの数年間の伸びはむしろ余り期待できないということを意味しています。意地悪な見方に聞こえるかもしれませんけれども、都営住宅の設備改善に投入できる総予算額を変更できないとすれば、予算を集中して投入する選択先をステージに応じて変えていかなければならないということになり、いたし方がない面もあります。
 しかし、冒頭、量販店ではもはや蛍光灯が入手しにくくなっているという現実に触れましたとおり、都営住宅の共用部の照明をLEDに切りかえる取り組みに着手した時点と、それから数年を経過した今とでは、社会環境が数年とはいえ大きく変わっております。
 これからの数年間、都営住宅の照明器具のLED化の歩みが遅々としたものであれば、そうした事柄に対する現実の風当たりはきついものになりますよということを改めて申し上げておきたいと思います。
 あくまで私見ではございますけれども、都庁の各局にはLED化促進のためのいろんな予算があります。そうしたものの執行残を、大きく省エネという点から流用し合うようなウルトラC的な取り組みも、私は、都庁には必要となってくるし、しかるべきときに提案してまいりたいと思っております。
 その上で、都営住宅には、省エネに貢献するということだけでなく、物すごいスピードで進展している居住者や自治会役員の高齢化にも対応していかなければならないという課題があります。
 共用廊下や階段の踊り場付近の天井部などに設置されている照明器具、さらには広場とかそういったところでも、公園として地元の区市とかに管理を委託されていないものについては、電気代も都営住宅の共益費であるし、取りかえも都営住宅では、住民の側で行わなければいけない。そういうことがありまして、そうした高い場所での取りかえはもともと危険な作業でありまして、高齢となった居住者には大変な負担であります。
 私の地元でも、取りかえを買って出ました八十歳代の棟長さんが脚立から転げ落ちて、直後には別状はなかったんですけれど、数日してお亡くなりになるという出来事が不幸にしてもございました。都は、さまざまな機会に注意喚起を促すとともに、作業の危険に備える保険制度の周知等にも努めてもらいたいと考えております。
 LED照明器具が広まれば、危険な取りかえ作業の機会も減りますし、事故の発生の可能性も減るかもしれませんが、照明器具の種別にかかわりなく、高所作業に伴う危険を抜本的に回避する手だても強力に推進していくべきであります。
 その点で、都では、我が党の求めに応じて平成二十九年度から共益費の直接徴収事業を開始し、自治会が担っている共用部の光熱費や草刈り費用の徴収、蛍光灯の交換などについて、住宅供給公社が自治会との合意のもと代行する制度がございます。
 住宅供給公社に対する委託費用が伴いますため、この事業の利用数の伸びは目覚ましいものとはいえない現状かと思いますけれども、高所作業に伴う危険を回避する手だてとしては、現状、この委託費化が最も効果的な対処方法ではないかと考えております。
 そこで、この事業を利用している自治会数についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 令和二年二月末現在で、約二千の自治会のうち二百三十七が直接徴収事業を利用してございます。

○中山委員 ようやく一割強の占有率となった状況ではあります。地味ではあっても堅実な成果を上げているものと評価はいたしたいと思います。
 しかし、待ち望んでいた自治会は、この制度が始まった当初に競って委託化に踏み切ったものの、その後の伸びは余り芳しくはございません。
 都営団地の居住者の年代バランスの改善については、我が党もさまざまに提案を重ね、都も若年ファミリー世帯の優遇入居策を講じているところではありますが、今後さらに自治会役員の高齢化が進み、高所作業に伴う事故発生の危険は、ますます高まるものと考えております。
 私は、さらに利用しやすい委託制度への改善に向けて不断の努力を惜しまないことと、都営住宅居住者の安全・安心のために、共益費の直接徴収のさらなる利用促進に向けた努力が必要であると考えております。見解を求めます。

○土屋経営改革担当部長 共益費の直接徴収事業の利用を促進するために、住宅供給公社が毎年二回、自治会に配布している広報誌「すまいのきずな」に同事業の案内を掲載してございます。
 都は、同事業の利用を希望する自治会に、住宅供給公社を通じまして、制度の仕組みや申し込み方法等を記載したパンフレットを送付し、直接説明しております。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、同事業のさらなる利用促進を図ってまいります。

○中山委員 これからの春は団地の自治会の総会が行われるシーズンであります。直近の総会で、委託事業に取り組む自治会がふえてもらうためには、総会に先立つ自治会役員会などで具体的に検討してもらう必要があります。
 都は、広報誌などにこの委託事業のPRを掲載する場合には、役員会などに進んでお邪魔をして説明に努める旨を、大きく、わかりやすく掲示してもらいたいと思います。
 また、当然のことではありますが、高所作業の危険を改めてお知らせして、委託の検討を強く促す努力を惜しまず、それこそ加速化させてもらいたいと切望しておきます。
 次に、具体的な話でございますが、足立区辰沼町のアパートの老朽化対策を取り上げたいと思います。
 私の地元足立区の辰沼町アパートは、全十四棟の規模の大きな団地で、全て昭和四十年代に建設されており、建物の老朽化は確実に進んでおります。
 また、階段室型の住棟が多くエレベーターを設置しにくく、高齢化した居住者の健康面を考えますと、私も長年苦心してまいりました。
 都営住宅経営部にもご苦労いただいて、設置経費が少ない、電気代のふえる分、加算も抑えられる小型エレベーターの活用などのご答弁も頂戴したこともありました。さまざまな工夫を重ねていただいて、平成三十年には九号棟、十号棟、十二号棟に合計九基の階段室エレベーターを設置いただいたところであります。
 建物の躯体構造などの点で懸念がない階段室型住棟には、できる限りエレベーターを設置していただいたわけでありますが、それでもなお、建てかえを急ぐべきか、エレベーターの設置を優先するべきかの選択に迫られている号棟もあります。
 そうした中、例えば十三号棟では、躯体の構造上の懸念はないものの、バリアフリー化のためには新たに五基のエレベーターを設置する必要があり、階段の昇降に苦労する住民も多い中で、エレベーターの設置を進めていくことは望ましいことなんだけれども、共益費である共用部分の電気代、エレベーターを動かす費用ですね、そうしたものが確実に増す見込みがある中で、何か工夫はないものですかということを、私も自治会長さんからご相談を頂戴したりしております。
 この団地の自治会長さんは、号棟ごとに電気代を詳細に把握しておりまして、五カ所の階段室全てにエレベーターを設置した場合、徴収する共益費を大きく値上げせざるを得ず、居住者のお財布の状況を実感していらっしゃるからこそ深く憂慮もされています。
 そこで伺いますが、階段室型住棟にエレベーターを設置した場合の前後の電気代の変化の実態は、都は把握しているのか、その点をまずお伺いしたいと思います。

○金子営繕担当部長 都は、エレベーターを設置する際に電気代が増加することなどをご説明し、居住者のご同意の上、工事を実施しております。
 エレベーターの電気代につきましては、通常、廊下や屋外灯といった共用部の照明灯と同様に自治会が支払っているため、都は具体の電気代を把握してはおりません。
 このため、辰沼町アパート九号棟、十号棟、十二号棟のエレベーター設置に伴う電気代の変化につきまして、自治会のご協力を得ながら、実態把握に努めてまいります。

○中山委員 私からも、号棟ごとの共用部分の電気代の支払い状況については、ぜひ東京都側の申し出に応じて情報をご提供いただきたい旨を自治会長さんにお願いをしてございますので、都としても実態をよく把握していただいて、分析し、エレベーターの設置に伴う電気代の高騰を抑える何かしらの工夫がないのか、改めてご検討願いたいところであります。
 今後は、エレベーターにつきましても、改めて虚心坦懐に前向きにご検討いただく中で、建物の改善、修理にも気を配っていただきながら、改めてこの団地の建てかえを視野に入れた検討に着手していただきたいと思います。
 エレベーターを設置できれば、電気代の高騰は伴いますが、階段昇降の困難はかなりの部分で改善できます。かなりの部分というのは、階段室型エレベーターの場合、中二階の踊り場部分にエレベーターの出入り口が設置されますので、ある程度、階段の上りおりはしなくてはいけないということだからであります。
 しかし、設置工事には国費も投入されますから、当然、建てかえの時期は大きく遠のくことになってしまいます。
 一方、建てかえが可能であれば、新しい建物では、当然、エレベーターの出入り口が各階に設置されるだけでなく、あらゆる設備や居住機能が最新のものに一新されます。
 しかし、団地の状況によっては建てかえにかなりの年数を要する場合があり、居住者の階段昇降に伴う不便の解消には、それこそかなりの時間をお待ちいただかなければなりません。
 この二つが選択肢となるものと思いますけれども、選択結果に伴うマイナス面はできる限り事前に軽減しておきたいと思っております。電気代の高騰への配慮は既にお願いしましたが、建てかえ工事が可能となるまでに要する期間の長期化は、可能な限り改善を願いたい。
 辰沼町アパートの場合、一団地指定の建造物であり、数次にわたり、計画的に新しい住棟の建設と従前居住者の転居とを繰り返して行っていく必要がありまして、この一団地指定の都市計画を変更し、地区計画を再設定する必要があります。
 しかし、その一団地指定の取り消しと地区計画の再設定には、通常十年近くかかる場合もあります。これでは、高齢の居住者からすれば、生きている間に入居できないんじゃないかという不安に駆られるのは当然のことであります。この点を何とかしなければなりません。
 そこで注目したいのが、私の地元にあります保木間第四アパートでの取り組みであります。
 保木間第四アパートの五号棟は、一階部分は分譲の商店で、耐震度の不足に伴う耐震工事への商店の同意が得られず商店の建て増し部分が既存不適格の建造物になっていたことから、エレベーターの増築工事もできず入居部分の入居者の方々は長年困難を強いられてまいりました。
 そこで、私は、当時の都営住宅経営部の有能な職員の方々に対応をお願いするとともに、地元区議とも連携して足立区当局への働きかけを強め、その結果、都市計画手続の変更を行いながら、平成二十七年度に建てかえの検討を開始し、再来年の令和三年度より最初の工事が始まる予定と聞いております。この準備期間の短さは、かなり画期的な取り組みであります。ご努力いただいた方々には深く感謝したいと思います。
 辰沼町アパートも同様な手続が必要となると見込まれますことから、建てかえが完了するまでに、普通であればかなりの時間がかかるものと見込まれます。そのため、一日も早く建てかえについても検討を開始してもらいたいと考えております。
 辰沼町アパートの建てかえについての取り組みの方針をお伺いいたします。

○中山再編利活用推進担当部長 昭和四十年代以前に建設された都営住宅については、団地の特性や老朽化の度合い等を勘案しながら建てかえを推進するとともに、既存ストックの改善を図り、公営住宅法上の耐用年数を超えないよう、計画的な維持更新を行っています。その際、耐震改修やエレベーターの設置を行った住棟については、一定期間の使用の後、建てかえを行うこととなります。
 辰沼町アパートについては、昭和四十年代に建設された大規模な団地であり、これまでエレベーターの設置などバリアフリー化を図ってきましたが、建物の老朽化が進んでおり、将来的な建てかえが必要な状況となっております。
 建てかえの検討に当たっては、第一期の建てかえにおける居住者のまとまった移転先の確保、公営施設の再配置などの課題に加え、一団地の住宅施設の都市計画が定められていることから、良好な居住環境を確保するため、新たに地区計画を定める必要もあり、検討には時間を要することとなります。
 今後、速やかに地元区などと協議を開始し、建てかえも視野に検討を進めてまいります。

○中山委員 今後は、できれば、この保木間第四でご努力いただいた結果だと思いますけれども、着手までに五年でできたというものを一つの目安としていただいて、一団地指定の団地の場合も、住んでいらっしゃる方々に希望を持ってもらえるような迅速な建てかえ工事を進めていただきたいというふうに、ぜひ要望させていただきます。
 次に、都営団地の集会所へのエアコン設置について質問させていただきます。
 我が党は、昨年の第二回定例会の代表質問で、高齢化が進む都営団地でのフレイル対策としての生活支援サービスの充実を求めたところであります。
 これは、本来は、昨年の第一回定例会で、予算特別委員会の締めくくり総括質疑で私が予定していた質疑だったんですけれども、時間が間に合わずに質問できないまま終わっておりましたが、二定の代表質問で取り上げさせていただきました。
 榎本住宅政策本部長からは、今後、市区町などとの連携を深め、移動販売の実施団地を拡大するとともに、敷地や集会所等を活用して、入居者の居場所づくりや交流を図るイベントを、民間事業者等が多くの団地で実施できるよう枠組みを整えるなど、高齢者への生活支援サービスのさらなる向上に取り組んでまいりますとの答弁を頂戴いたしました。
 フレイルのきっかけは、一つは孤独、社会的な閉じこもりにあります。孤独は団地においても発生します。マンションでも、上層階の高齢の居住者ほど閉じこもり傾向が強まることによりまして、生活の中で刺激を受ける機会が減ってしまい、フレイルや軽度認知症状態、MCIを招きやすくなり、介護状態に陥りやすくなるといわれております。
 都は、来年度の予算で、都営住宅の集会所等を活用して、東京みんなでサロンという居場所づくりの取り組みを始めるとのことであります。
 都営住宅に居住する多くの高齢者が自室に閉じこもらないよう、外に出てきてもらい、地域の方々も含めて交流を深めていくことは、フレイル対策の面からも大変有意義であります。我が党などの提案を積極的に事業化してくださった取り組みの一つとして期待しております。
 東京みんなでサロンや区市町村の生活支援サービスと連携して行われる孤独防止策ともなる取り組みの多くは、都営住宅団地の集会所で行われます。そして、その集会所の管理は団地自治会が行っております。冷暖房器具や机、椅子などの備品も、自治会がご自分たちで購入するなどして設置してこられました。
 エアコンが現在設置されていない集会所でも、東京みんなでサロンが夏場でも冬場でもにぎやかに実施されていきますよう、今後は、集会所にあらかじめエアコンを設置し、高齢の居住者を含めた参加者が集まりやすくすることが必要と考えておりますが、見解をお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の集会所等は、居住者の共同の福祉のための施設として設置しておりまして、その管理運営は、お話のように居住者の自治会が行っております。
 集会所等には、あらかじめ給湯器や照明器具などの設備を備えておりますが、冷蔵庫、電話、エアコンなどは自治会が設置しております。
 東京みんなでサロンは、地域コミュニティの活性化や緩やかな見守りの実現に資するもので、早期にモデル事業を開始することとしておりまして、今後、モデル事業を実施していく中で、地域の居場所づくりの場として、集会所等にどのような設備が必要かにつきましても検証してまいります。

○中山委員 集会所にどのような設備が必要か改めて検証していくということでございますが、この検証が検討になり、そして、予算化となっていきますよう期待しております。
 集会所でのエアコン機能が必要である事情は、東京みんなでサロンにおいてだけではありません。災害時における避難所としても大変有効であります。
 都は、水害に備え、今後建てかえられる団地では、上層階に集会所を設置し、水没しない避難所として、近隣住民の利用にも資するように展開していくと、昨年の第四回定例会の我が党の代表質問にお答えいただいております。
 避難所としての都営住宅の機能にも着目をし、エアコン設備を早期に標準仕様化するよう強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。

○秋田委員 私からは、都営住宅のあり方について伺いたいと思います。
 改めて根源的なことを伺わせていただきたいと思います。
 都営住宅は、戦後の住宅難への対応から制定された公営住宅法に基づいて設置されており、基本的にはその枠組みのまま現在に至っております。
 しかしながら、今日、数としての住宅は、皆さんご存じのとおり既に充足しており、所期の目的は達成したわけでございます。
 数だけではないと思います。質においても、多分、この職員の皆さんの中にも、そして議員の中にも、当時を知る人は、残念ながら今やもういないんだと思いますが、当時は多分、お風呂もほとんどのおうちがなかった時代だと思います。それが現在はどうでしょう、全く逆転しているんだと思います。質においても、私は所期の目的は、ある意味、達したんだと思います。
 そうした中、現在では、都営住宅が都内各所に整備される中に当たっては、都営住宅を単に住宅困窮者のための住まいとしてだけ捉えるのではなくて、地域における貴重な都有施設として有効活用をすべきであり、地域で共有すべきものだと考えます。
 そこで、根源的なことをお尋ねします。そもそも都営住宅というのは誰のものなんでしょうか。見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅は、市場において自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯への住宅供給を行う施策の中心的な役割を担っております、都民共有の財産でございます。
 都は、公営住宅法及び都営住宅条例等に基づきまして、都営住宅を真に住宅に困窮する者の居住の安定を図るために、公平、的確に供給しております。

○秋田委員 今、部長の方から、都営住宅は都民共有の財産であるというお話がございました。おっしゃるとおりなんだと思います。
 けれども一方で、入居できた方と入居できなかった方との不公平感がございます。
 また、もっと申し上げれば、要件をわずかに満たせずに、申し込みさえできなかった方もいらっしゃる。そういった方々との不公平感がないよう、都民の共有財産として適切な運営を図ってもらわなければなりません。
 都は、我が党の主張を受けて、これまで、若年世帯向けの期限つき入居の導入や使用承継の厳格化に取り組んでこられましたが、今後、さらに不公平感をなくすためにも、また、都民共有の財産として、都営住宅を、現にそこに住んでいる人にだけでなく、広く地域に開放すべきだと考えますが、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 これまで都営住宅では、例えば、集会所につきましては、自治会、町会等との覚書を締結した場合には、地域住民に開放しております。
 また、駐車場につきましても、空き区画を地域住民に貸し出しているほか、介護車両等の一時的な駐車ニーズに対応するため、コインパーキングを設置しております。
 さらに、建てかえに合わせ住棟の低層部に保育園等を整備するとともに、創出用地を活用して、地域に必要な生活支援施設等を整備しております。
 今後とも、都民共有の財産である都営住宅ストックを活用しまして、居住の安定を図るとともに、地域に貢献してまいります。

○秋田委員 私は一期生か二期生ぐらいのときだったと思いますから、この中でも、きょうご出席の議員の中でもご存じの方は、曽根先生ぐらいかもしれませんが、かつて一部の都営住宅において、自治会が敷地の一部に白線を引き駐車スペースとして運営し、その料金を自治会の収入にしていることがありました。こうした事例は既に、当然是正されておるんですが、ややもすると、居住者の皆様方の中には、都営住宅は自分たちのものだという意識があって、このような事例があったんだと思います。
 こうした背景の中で、今回、都は、来年度予算において新規事業として、集会所などを利用して、居住者だけでなく地域住民をも含めた交流の場として、東京みんなでサロンを行うことにしました。都営住宅を地域で活用する観点からは、私はいいことだと思います。
 そこで、この東京みんなでサロンを実施するに当たり、都は、どのようにして地域住民の皆さんと開かれた事業としてやっていくのか、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 都は、昨年末公表いたしました未来の東京戦略ビジョンで、誰もが集い、支え合う居場所、コミュニティが至るところに存在する東京を目指しまして、みんなの居場所創出プロジェクトを掲げました。その一環として、都営住宅の集会所等を活用して、居住者や近隣の方々が交流を深めることができる事業として、東京みんなでサロンを実施することといたしました。
 実施に当たりましては、大人から子供まで幅広く参加しやすいよう、事業名を東京みんなでサロンとしました。また、地域の町会や地元区市と連携して、地域のニーズに合ったイベント等も工夫しまして、早期にモデル事業を開始することとしております。
 今後、地域や参加者、時間帯を変えて実施、検証しながら事業を拡大し、都営住宅が地域に開かれた居場所となるよう取り組んでまいります。

○秋田委員 先ほどお答えいただいたとおり、都営住宅は都民共有の財産であり、私は可能な限り都民に開放すべきだと思っております。
 そもそも、繰り返しになりますが、都営住宅に入居できた方と入居できなかった方、あるいは申し込みさえできなかった方との不公平感をなくすためにも、都営住宅というのは都民共有の財産だということを、ぜひ、先ほどの駐車場の件じゃないですけど、居住者にもご理解いただくように、皆様方には努力をしていただきたいと思います。
 また、それ以上に都民の皆さんが公平に施設を使えるよう、住宅政策本部は、時代の変化に応じた対応をぜひしていただきたいと思います。
 冒頭に申し上げたとおり、公営住宅法が設立されたころと大分時代は変化をしております。政策本部として独立されたのでありますから、それぐらいの思い切った改革をやるぐらいの心意気で、本部長にはお願いをしたいと思います。
 さて、次の質問に入らせていただきます。
 都営住宅は約二十六万戸あり、約四十三万人が暮らしております。都内においても新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、高齢の方の入居者が多い都営住宅において、現在どのような対策を行っているのでしょうか。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向け、都では指定管理者と連携しまして、居住者への注意喚起に取り組んでおります。
 具体的には、本年二月に新型コロナウイルス感染症対策のポイントや相談窓口を記載したチラシを自治会等に配布し、掲示板等に掲出するよう依頼しました。
 また、三月には、厚生労働省が作成したチラシ、新型コロナウイルスの集団感染を防ぐためにを自治会等に配布しまして、都営住宅の集会所等に掲出するよう周知しております。

○秋田委員 都営住宅では高齢の方も多いわけです。私が知る限りでも、七十歳を超えられてお一人でお住まいの方が、八十歳でやっぱり同じようにお一人でお住まいの方を、全く赤の他人ですが助けて支えていらっしゃるような案件も少なからずあるわけです。
 特にこういう状況ですから、ただでさえ思うように体を動かせないご高齢の方は、買い物に行くのもご苦労されて、トイレットペーパーの買い占めだとか、アルコール消毒液の品薄状況が発生していたり、あるいは、エレベーターがないところもいっぱいあるわけですから、水を運ぶのにもご苦労されているわけです。
 注意喚起も大変重要だと思います。思いますけれども大事なのは、今後はさらに積極的に、都営住宅にお住まいの方々が新型コロナウイルス感染症にかからないように、対策に取り組むべきだと思いますが、都の見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の管理者といたしまして、居住者が安心して暮らせるように適切に管理していく上で、居住者みずからが感染防止に取り組むことができるように支援することが重要でございます。
 これまで、都では、指定管理者と連携しまして、チラシの掲示板への掲出等を自治会等に依頼してまいりました。
 今後、居住者向け広報紙である「すまいのひろば」の配布に合わせて、その時点の最新情報を掲載したチラシを各住戸に配布するなど、新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでまいります。

○秋田委員 先日、ご存じのとおり、WHOはパンデミックであると、こういう宣言もされたことですから、特に高齢者が多い都営住宅の皆様方には感染症にかからないように積極的な対応を求めて、質問を終わります。

○曽根委員 私から、まずマンション施策について、初めに、新年度の四月から始まるマンション条例に基づきますマンションの適正管理のための届け出や報告の実施などについて質問させていただきます。
 昨年中に区や市に移譲したマンションの適正管理のための事務事業について、お聞きしたいのは、移譲に当たっての事務処理の交付金、これはどういう内容で、いつまでの期限で予算措置をされているかお聞きします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンション管理条例の届け出、調査、助言及び指導等の事務につきましては、事務処理特例条例により区市町村に移譲してございます。
 区市町村におきまして、移譲事務を行うに当たり必要となる経費は、対象事務を区市町村で処理した件数に応じて、都から事務処理特例交付金として支払うこととなっております。この交付金につきましては、事務が移譲されている間、区市町村に交付されるものでございます。

○曽根委員 以前、保健所などが移譲されたときは、何年か期限で、結局はその市に全部予算を任せるみたいなことが記憶にありますので、しかし、マンション適正管理の課題の場合、これまでは二十三区の方でも、住宅課といえば課長一人にスタッフが少人数という組織でやっている場合が多く、これから取り組むべきマンションの適正管理のためには、恐らく、繰り返し現場のマンションに訪問したり、具体的な援助をするための職員の費用も、きちんと事務経費を算定して取り組めるように、都として財政的にもバックアップしていくという必要があると思いますので、今回の措置が、事務が移譲されている間は交付されるということで、ぜひこれを積極的に進めていただきたいと。
 もう一つ、内容として、この十年余にわたる、都職員が専門家や地元自治体職員とともに老朽マンションを訪問して蓄積した情報とノウハウ、これをきちんと、区や市の移譲された事務事業で取り組めるように継承していくべきだと思いますが、職員の研修などはどうなっているでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 これまでも、マンションの耐震化への取り組みを促すために、都及び地元区市の担当職員、建築士などの専門家で、管理組合等への個別訪問を実施いたしましたマンション啓発隊の活動を通じまして、個々のマンションの状況に応じたきめ細かな助言等のノウハウを地元区市の職員と共有してまいりました。
 この啓発隊の活動で得られた管理組合対応等ノウハウを、今後、届け出対象マンションへの調査や助言、支援の実施において活用するとともに、行政連絡会等により区市等の職員にフィードバックするなど、共有を図ってまいります。

○曽根委員 マンション住民に身近な区や市が、各マンションからの管理状況の届け出を受けて、また、マンションの適正管理のために助言や支援を行うと。
 その上で、私は前にも強調してまいりましたが、防災問題を重視する必要があるというふうに考えますが、都は、住宅政策本部とともに--防災問題となればさまざまな局にまたがりますが、特に総務局との連携も含めて、どのように取り組んでいくのか伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 今年度から、総務局が実施する防災専門家による派遣型セミナーの開催案内を、管理組合向けの情報サイトであるマンションポータルサイトに掲載しております。
 また、四月から始まる管理状況の届け出では、マンションの社会的機能の向上に資する取り組みといたしまして、防災への取り組みを届け出事項としており、この届け出があった場合には、地元の区市町村と連携しながら、管理組合の了承を得て同ポータルサイトに取り組み事例として掲載するなど、普及啓発を図ってまいります。

○曽根委員 私も、もう二十年前になりますが、自分の議員のホームページの上に、私の住んでいるマンションで起こった、ちょうど二十年前になりますけど、一件火災がありまして、子供さんが亡くなったり、また、それによる団地内の、マンション内のさまざまな被害や管理組合の責任上の問題などなど、それから火災保険の持っている役割や機能といったことで、相当勉強させられましたが、そういったことをホームページに載せたら非常にアクセスがふえまして、こういう問題について具体的に情報をやはり求めているんだなということを実感しました。
 今、ポータルサイトに個別マンションの経験も載せていくというお話があったので、これは大変重要だと思うんですが、同時に、こうしたものをまとめながら、マンションの防災マニュアルといったものを独自に作成するよう私は提案したいと思いますが、こうしたことを検討するのはどこでやるんでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 当本部では、この三月に改定するマンション管理ガイドブックにおきまして、防災対策に関する内容の充実を図ってまいります。
 都における防災対策の総合的な企画調整を所管する総務局と引き続き連携しながら、マンションの防災対策について、管理組合に対する効果的な普及啓発を行ってまいります。

○曽根委員 私、この委員会のたびに非常にしつこいようですけど申し上げているんですが、かなり大規模なマンションでも、今、自治会が結成されていないところが相当あります。
 しかし、二十三区ほとんどの区は管理組合を防災の支援対象としては見ていないので、自治会がなければ、通常のまち場の自治会なら小さくても支給されているD1ポンプとか、それからスタンドパイプとか、また、区によって違うかもしれませんが、さまざまな防災備品などが支給される対象になっておりません。もちろん防災上の訓練やなんかのあれも行きません。
 そういうことでいうと、なおのこと、マンションの場合に独自のエレベーターの問題などの課題があって、地震対策だけではなく、最近では水害対策の問題も、電気設備の問題、それから強風対策や、また、いざとなれば避難も必要になるということから、そういった問題についての独自の情報やノウハウなどを提供する、ガイドブックだけではない独立したものが必要かなというふうに思っておりますので、改めて提案をしておきたいと思います。
 次に、今回出されました東京マンション管理・再生促進計画の素案について、少しだけただしておきたいと思うんですが、本素案では、マンションの適正管理の課題や耐震化の課題とともに、まちづくりと連携した老朽マンションなどの再生という課題が提起されて、ここには事例として、大崎地域と、それから多摩の永山地域が例示されております。
 この点で、確かに老朽マンションが既存不適格のために、単独では再生が難しい場合もあるということはもちろん事例としてはありますけれども、以前指摘したように、今後は、市街地再開発にマンションを巻き込むために、区分所有者の合意も十分でないままマンションの建てかえを強引に進めるなどの問題に、さらにきちんとした歯どめが必要であるということを、私、この際強調しておきたいと思います。
 というのは、ちょうど昨年の請願審査をいたしました荒川区西日暮里の駅前再開発に反対するマンション区分所有者の例のとおり、マンション単独ならば建てかえをするとなれば五分の四以上の賛成決議が必要ですが、この西日暮里の例に見られるように、このマンションが再開発地域に巻き込まれた場合には、築二十年ほどのマンションでも、マンション以外の地権者の合意で建てかえさせられてしまうという法的な抜け穴があるということです。
 こうした区分所有者個人の権利を不当に侵害することのないよう、この問題は前回審議もいたしましたが、こうした適切な歯どめが必要だということをまず指摘しておきたいと思います。
 もう一つは、素案の冒頭で気になったのが、約六百棟に及ぶ超高層マンションについて、ここでは、職住近接の利便性の高い住生活を支える重要な基盤としてというメリットの評価が記載されております。
 しかし、既に、かなりこの超高層マンションについては、資産価値の高騰を狙った過剰な大量供給という弊害の問題が指摘され、また、現にかなりの売れ残りが指摘され始めていること、また、昨年の台風十九号による浸水被害などで、超高層マンションの弱点も指摘されてきているわけです。
 そこで、具体的な問題として、台風十九号による浸水被害を踏まえて、超高層マンションの防災上の問題点、課題についてどう認識しているか、お聞きしておきます。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 昨年の台風等により、超高層マンションにおいて、地下に設置された電気設備に浸水被害が発生し、居住者の生活に多大な支障が生じてございます。
 こうした状況を踏まえ、この三月に改定するマンション管理ガイドブックにおきまして、防災対策として風水害対策についての解説を掲載する予定でございます。このガイドブックの普及啓発により、超高層マンションの風水害に備える意識の醸成を図ってまいります。

○曽根委員 超高層マンションは、既に都心にかなりの数が建設されておりますが、この防災上の問題点として、昨年起こった具体的な台風被害の問題はもちろんありますけれども、以前、我が党が、長周期地震動への対策や、また、エレベーターのワイヤーが絡まって長期間使用不能になる危険性、また、臨海部に多い超高層ビルが、建物は無事でも、周辺の液状化によって上下水道などライフラインがずたずたになる危険性など、多くの危険をはらんでいることを機会あるごとに指摘してまいりました。
 最近、NHKのある番組でも、超高層マンションなどのマンションの防災の問題について、かなり詳しく取り上げている例もあります。
 このほか、以前から、乳幼児や高齢者などの外出が困難になるための健康面の不安や心理的な影響もいわれております。
 欧米の各都市では、高層住宅での居住そのものから、今脱却しつつあると。日本でも、阪神大震災を経験した神戸市などで、最近、高層マンションを規制する方向にかじを切りかえております。
 東京都としても、建物を高層化して公共空間を提供すれば、容積率の上乗せを認めるということや、事実上、高層ビル、またマンションの推進の方向での都市計画を進めてきたといわざるを得ませんが、今後は、こうした居住のあり方の問題点を専門家の協力も得て研究、検討し、そして都民に公表していくべきだということをつけ加えておきたいと思います。
 次に、都営住宅の問題について、特に私からは、都営住宅の建てかえ事業に伴う課題について、何点か質問させていただきます。
 まず、建てかえ後の住宅の公募での活用についてなんですけれども、中途議決で先日決定されました板橋区の双葉町の建てかえ住宅、ここは一棟で百戸建設することになっていますが、この双葉町のアパートが完成する二〇二二年、二年後の春に予定されている戻り入居は数世帯しかないと聞いております。まさか数世帯だけが戻ってきて百戸の団地に暮らし始める、それだけで済むということにはならないと思うんで、このときのほかの百戸の建物の入居者はどのように確保するのかお聞きします。

○妹尾建設推進担当部長 お話の双葉町団地につきましては、従前の居住者の戻り入居のほかに、板橋区内外で今後建てかえる予定の団地からの入居を見込んでおります。

○曽根委員 先日の本委員会でも、私、この建てかえ後の住宅の公募などの活用も考えてほしいというときにも、今のようなお話が基本だということでありました。
 そこで、東部住宅事務所が具体的にここを担当していますので、お聞きしたんですけれども、二年後の双葉町団地の建てかえ完成時には、どの団地から何世帯ぐらい移転してくる見通しなのかをお尋ねしました。それで、考えられるのは、板橋区内のある団地が考えられるけれども、その団地の建てかえは少し後にずれそうだというお話でした。建てかえ戸数も一遍に百戸規模ということはなさそうなんです。
 こうしたように、最近、昭和四十年代の建てかえの対象の団地もかなり進んできておりますので、建てかえ後の住宅を有効活用する観点から、次の建てかえ事業で使用する予定のない住戸については、見通しを立てた上で新規の募集に回すこともやっていくべきだと考えますが、いかがですか。

○妹尾建設推進担当部長 建てかえ事業を円滑に進めるため、例えば、団地の建てかえにおける最終期の住棟は、次期建てかえ団地の居住者の移転先として活用することとしておりますが、居住者の移転の状況を見ながら、公募住宅としての活用も図っております。

○曽根委員 先ほどもお話があったように、都営団地の建てかえということになれば、今の建設技術でいうと戸数をふやすこともかなり可能になっています。
 そして、都営団地というのは都民共有の財産ですから、今都営団地に住んでいる人が移ってくる、建てかえに使うというだけではなく、もっと多くの都民の方に公募の機会を与えるという点では、もう待っている方はたくさんいますので、建てかえ後の住宅を公募に回すことは積極的に進めるべきだと思います。
 しかも、建てかえの最後の期というのが、今私の住んでいる北区でもかなりあるんですけれども、最後の期は、団地内で移転していて、もう住んでいない住宅を取り壊して、それを建てかえるわけなので、戻り入居はほとんどないんです。
 したがって、こういうところはかなりの数、新規に、新しい都民の方を入居者として迎える可能性が出てまいりますので、今までは新規建設というのはなかなか進まなかったんですけれども、ぜひこれを機に、こうした中でも、建てかえ事業の中でも、新しく都民を迎えられる道を大きくあけるように求めておきたいと思います。
 次に、移転料について質問させていただきます。
 建てかえに伴う都の移転料については、現在の十七万一千円一律になったのはいつからか、その後、都と国の移転料はどのように変わってきたのかお聞きします。

○妹尾建設推進担当部長 現在の十七万一千円の移転料につきまして策定いたしましたのは平成十六年でございまして、それ以降、現在まで移転料の額は変更してございません。
 国の方は、移転に係る補助対象額の上限につきまして、平成十四年に十七万一千円とした以降、平成二十六年から十七万六千円に、昨年の十月から十七万九千円としております。

○曽根委員 国の方の補助対象額の上限というものの改定は、恐らくこの年号からいって消費税が五%から八%、そして昨年一〇%に上がったのに対応するものだと思いますが、当然ながら東京都の都営住宅居住者についても、この消費税の増額の影響は受けているわけで、少なくとも現在の国基準との差額は早期に埋めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 都におきましては、通常の移転に必要な額の移転料を支払っているものと認識しております。

○曽根委員 かなり東京都は、首都東京は物価も高く、居住関係の費用も割高だというふうに、通例いわれていますけれども、なぜか都営住宅の移転料に関しては国基準以下で抑えていくというのは、どうも腑に落ちません。
 以前のことを、私、ちょっと記憶をたどってなんですけれども、建てかえ事業が本格的に始まったのは、たしか平成に入ったころで、北区の桐ケ丘団地だとか、例えば武蔵村山の村山団地など、かなり、千戸規模以上の団地から建てかえ事業が始まって、当時は、移転料は二十一万円が支払われておりました。ただ、この限度額の範囲内の出来高払いだったと記憶しています。手続にちょっと手間もかかりました。十年ちょっと前から、国の基準に合わせて十七万一千円の一括払いになったわけです。しかもその後、国は値上げをしたんですけれども、都は改定していないと。
 実態についていいますと、建てかえ事業が始まったころと比べて、非常に転居については厳しい、つまり居住者にとっては厳しい条件になっているということをちょっと申し上げておきたいと思うんです。
 引っ越し屋さんに払う手数料は、この間、確かに余り変わっておりません。しかし、一般の賃貸居住者、つまりアパートの方々に比べても、支払いが大きく違ってきているものが幾つかあります。
 それは、例えば都営住宅の転居の場合、多くの居住者が三十年から四十年、場合によっては半世紀もそこに住んでいる世帯が多いわけで、高齢化も進み、処分しなければならない家財もたくさんあって、しかし自分では荷づくりさえままならない。したがって、その分もお任せ的に業者に支払わなきゃならないという場合がかなり多くなっている。
 それから、以前は取り壊す住宅に家具など置いていっても構わなかったり、また、建築廃材として、その後、団地の下にまとめて、処理するようなサービスもされたことがあるんですけれども、当然ながら、今は全部粗大ごみとして個人負担で処分しています。布団類も大小にかかわらず、北区では一枚千円の粗大ごみ処分量がかかります。
 以前は少なかったクーラーも、最近の異常気象の影響でほとんどの住宅につくようになり、室外機とともに外すのにかなりの費用を要します。浴室なども、自分で購入した風呂釜、浴槽、壁のタイルなどを全て取り除き、処分するために工事も必要で、数万円から十万円ぐらいの費用がかかります。
 また、最近の建てかえ後の住宅は居室にガス栓がありませんので、ガスストーブ、ガス釜などが使えなくなり、買いかえることも必要になっているなどなど、私が何件かお聞きしましたところ、自分の都合で家電はこの際買いかえたなどという個人の都合を除いても、平均で、引っ越しの業者に払う支払い以外に約二十万円か、場合によってはそれ以上の費用が出ていったということです。
 これらの全てとはいいませんが、少なくとも移転に係る費用の補償という点では、国基準で見直されている移転料の上限額は支払うように、改めて強く求めておきたいと思います。
 次に、建てかえに伴って共用廊下などの電気設備について、先ほどの質問とはダブらないように、私の住んでいる北区の神谷二丁目団地というのがあるんですが、そこでの経験から、そこは十数年前から建てかえが何期かに分けて行われていますが、最初に行われた一期目、二期目と、現在進んでいる三期目、四期目以降の建てかえでは、街路灯の数や電球のLED化などが大幅に違ってきて、共益費に違いが出てきております。同じ団地として早期に統一化するように要望が出ております。
 ほかにも、古い団地の街路灯や共用電気のLED化を求める声が大変強いんですけれども、この点で都の更新の取り組みを急ぐべきですが、いかがでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建てかえ事業におきましては、二〇一五年度、平成二十七年度より、廊下や街路灯などの共用部にLED照明を採用いたしました。
 これ以前に整備された都営住宅の共用部の照明器具のLED化につきましては、二〇三〇年度、令和十二年度を目標に、全ての住棟への設置に向けて取り組んでいるところでございます。
 なお、街路灯の数につきましては、同じ団地であっても建てかえの期によって、それぞれの敷地の広さや建物、団地内通路の位置などの状況が異なるものでございまして、そのような中で、必要な照度を確保できるように計画しているものでございます。

○曽根委員 二〇三〇年度目標だということでしたが、できるだけ早期に、これは共益費にもはね返ってくる金額が大分違いますので、ぜひ早期に改修をお願いしたいと思います。
 同時に、街路灯についてですが、団地の方のお話ですと、例えば水銀灯を使っているけれども、LED電球にかえるだけでも交換できるものもあると、こういうものの交換は電球をかえるだけなので、早くやってほしいと意見もありました。
 それから、団地の敷地内に駐車場がある場合は、駐車場を照らしている街路灯は、駐車場は今公社が管理して、駐車料金も公社が徴収していますから、街路灯もそのためのものなので公社が負担している。しかし、団地の方を照らしている街路灯は団地住民が負担すると。これは微妙なものがいっぱいあるということなんですね。
 その点なども含めて、団地の方々が、街路灯一本で年間数千円も違いますので、細かい改善要望を、公社の窓口に行ってもなかなか聞いてもらえないという話も聞こえていますので、ぜひ細かい改善要望を聞いて、この声に応じるように、住宅供給公社への改善指導もお願いしておきたいと思います。
 それから次に、型別供給のあり方について、建てかえ事業の際に、住宅設計に当たって、かつては従前居住者の家族数に応じた型別供給を新しい住宅で行うという、供給の配分率ということをお聞きしたこともありますが、今は、やはりソーシャルミックスを進める、若い世代にも積極的に入っていただくということを意識した家族向けの住宅をふやしていく、こうした供給を進めることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、居住者の世帯規模などの状況を勘案し、地元自治体との協議も踏まえつつ、必要なファミリー住戸の整備を進めております。

○曽根委員 従前居住者の家族数の構成に応じた新しい住宅の戸数ということで枠組みを決めてしまうと、どうしても高齢者がどんどんどんどんふえていくと。新しい住宅をつくるとほとんどが高齢者向けの住宅というか、家族数が少ない住宅になってしまうということの、何といいますか、弊害を解決するために、ファミリータイプをふやしていくということは大変重要だと思います。
 また、もう一つ要望として強く出ているのは、一人世帯の場合は必ず一DKにするということについては、この間、多くの高齢世帯で介護などのため同居や一時滞在の必要性が非常に高いという実態から、一人分のベッドしか入れられないという現状の設計を改善する必要が出されていること、一DKに限定しない間取り、その他の改善も必要だということを付言しておきたいと思います。
 最後に、新しい都営団地のエレベーターの設置基準のことなんですけど、現在の都の基準では、エレベーターの設置数が、建てかえ前の住棟よりも逆に減ってしまうという例が出てきております。
 設置基準の改善というのは、都の方では検討できないでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅のエレベーターにつきましては、一般社団法人日本エレベーター協会の基準に準拠して設計要領を定め、それに基づいて計画しており、適切なものと考えております。

○曽根委員 一般社団法人のエレベーター協会の基準というのは、単位時間にエレベーターを利用する人の頻度から台数を割り出すという一般的な基準だと思いますが、都営住宅などにそのまま適用すると、現在、都営住宅のように高齢者がどんどんふえている住棟ほど、相対的には通勤通学の人が減るため、同じ戸数でもエレベーターを減らしていく傾向が強まってしまうというふうに推測されます。
 しかし、居住者一人一人の目線で考えますと、高齢になればなるほど、外出するときにエレベーターは欠かせなくなります。若いころはそうじゃなくても、年配になれば、二階、三階の方でも、必ずおりるときにもエレベーターを使うようになります。また、車椅子の方も多くなります。
 それを保障するエレベーターの大切さというのは、例えば一基しかないときにエレベーターの定期修理が一日入りますと、もうみんな出られなくなるというようなことで痛感させられるわけです。
 多くの高齢の居住者は、大体同じ時間帯に外出が集中します。例えば買い物に出かける時間帯や、デイサービスなどに出かける時間帯など、かなり共通した時間帯に動くわけです。一日に一回か二回しか出かけない人の場合でも、エレベーターの数というのは、私は、高齢者の生活、そういう方が多いということを配慮した配置が必要だということが、今後、検討しなきゃならないということを申し上げておきたい。
 それから、最近は、この間の三件の建設でも、百戸規模の団地に、真ん中にエクスパンションが入って、二つの建物をつないでいる構造が多いんですけれども、万が一、東北震災のクラスのものでも、東京は震度五でしたが、エクスパンションが壊れて、間の通路が通れなくなるケースがありました。これは主に私の知っているのは公団住宅でしたけれども、そういった場合に、戸数の関係で片側だけにエレベーターがあるというのでは、災害時に移動がままならないという場合も考えられます。
 したがって、さまざまな状況に応じて、やっぱり住む人の目線に立って、エレベーターの設置など、高齢化した団地には欠かせない施設の改善についても強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。

○馬場委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十三分休憩

   午後三時十五分開議

○馬場委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、住宅政策本部への質問として、最初にマンション管理について伺います。
 先日の委員会で、今年度の最終補正予算の質問で、耐震改修及び設計が当初見込みの三千戸を上回る三千四百一戸だったとの答弁がありました。ただ、棟数ではなく戸数による目標と実績だったので、予算としては大幅に減額補正をすることになりました。
 そこで、まず最初に、来年度の予算と当初見込み数について伺います。あわせて、達成に向けた対応策について伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 来年度の耐震改修助成事業といたしまして三千戸を見込み、予算額は一億六千二百万円を計上してございます。
 マンション耐震化促進事業に加え、マンション耐震化サポーター派遣事業等により、区分所有者間の合意形成を支援し、耐震化を促進してまいります。

○中村委員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 さて、昨年三月に一部施行されたマンションの適正な管理の促進に関する条例について伺います。
 ことしの四月一日に、マンション管理組合の届け出に関する部分も施行となり、これで完全施行となります。現在の耐震基準となる一九八一年六月一日以前に新築された旧耐震マンションについても届け出が義務化されます。条例で罰則はないとはいえ義務化されるので、ある程度の期間はかかるとは思いますが、履行されるようにしなければなりません。
 現在、東京マンション管理・再生促進計画の策定を進めていますが、届け出の目標は五年後の二〇二五年度で八〇%とのことです。届け出から都の施策も始まるのでしょうから、この二〇%が今後課題になっていく可能性が高く、その点では早く一〇〇%にすることが重要です。
 目標が少し控え目ではないかと考えますが、理由を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 本計画の成果指標である五年後の八〇%の届け出率につきましては、同様の届け出制度を先行して実施している豊島区におきまして、制度施行後五年間で七割程度の届け出率であったことなどを参考に設定したものでございます。
 都のマンション管理条例では、正当な理由なく届け出がない場合について、マンションの管理組合または区分所有者等の協力を得て、当該マンションに立ち入り、書類その他の物件を調査することができることとなっております。
 管理組合や区分所有者等の協力や理解を得ながら、成果指標の届け出率の達成を目指すとともに、さらなる届け出率の向上に向けて、粘り強く取り組んでまいります。

○中村委員 策定中の計画では、旧耐震基準のマンションの耐震化の促進として、耐震診断の実施率は二〇一一年度末で一七%、二〇二五年度末で一〇〇%となっています。
 二〇一一年度以降、正確な状況を把握していないようであり、また、先ほど届け出の目標が八〇%ということでしたが、耐震診断が一〇〇%になることをどのように把握するのでしょうか。目標を達成することは望ましいのですが、どのような施策をもって一〇〇%を達成するのか、あわせて伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 この四月からの届け出制度では、耐震化の状況についても届け出事項としております。このため、五年後の耐震診断の実施率につきましては、管理状況届け出システムや届け出内容等により測定することとしており、届け出を契機として、管理組合へのアドバイザー派遣事業やサポーター派遣事業による耐震診断の実施を働きかけることにより、おおむね一〇〇%の達成を見込んでございます。
 また、届け出がない場合につきましては、先ほどの答弁のとおり、条例に基づく調査権を活用しながら、届け出とあわせて耐震診断が実施されるよう、管理組合等の協力や理解を得ながら、粘り強く取り組んでまいります。

○中村委員 今ご答弁あったんですが、届け出システムや届け出内容等により測定するということなので、届け出が出たものを見て、一〇〇%ということなんでしょうから、実際には、先ほど五年で八〇%ということであれば、その八〇%の中で一〇〇%であれば、全体でも八〇%じゃないかという思いもないわけでもありません。
 耐震化を進めたいということですから、これは数字の見方だけかもしれませんけれども、ぜひもう少し、二〇%の部分が大変だというお話を先ほどさせていただいたんですが、しっかりとその届け出を早目に済ませていただくことと、この数値の一〇〇%ということの数字だけで満足することなく、いち早く耐震化を進めていただきたいというふうに思います。
 さて、マンションの老朽化、そして、そこに住む方々が高齢化をしていくため、合意形成が困難となり、耐震化や建てかえは大変大きな課題ともなります。たびたび指摘をしていますが、都は、緊急輸送道路の沿道建築物について耐震診断を義務化し、耐震化を努力義務化し、大幅に補助したにもかかわらず、当初の予定に比べて大幅におくれています。通常、マンションの耐震化はもっと難しく、より一層の取り組みをしなければ進みません。
 マンションは民間建築物ですが、緊急輸送道路沿道のように公益性がないから規制できないというなら、なぜ補助金を出すのかということになります。
 私は、緊急輸送道路沿道ではなくても、一戸建てに比べると規模が大きく社会的責任があるから補助もするし、だからこそ一定の規制をしていくべきと考えますが、改めて見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションは、地震による倒壊等があった場合、周辺地域にも大きな影響が及ぶ上、合意形成の難しさから、その再建には困難を伴い、復興の障害となるおそれもあるため、耐震性が不足するマンションにつきましては、耐震改修や建てかえ等を行うことが急務でございます。
 これまで、都内に約一万二千棟ある旧耐震基準のマンションを対象にマンション啓発隊による個別訪問を実施するなど、管理組合に対して助言等を行うとともに、区市と連携して、耐震アドバイザーの派遣や耐震診断及び改修等の助成制度の活用を促しております。
 また、昨年度からマンション耐震化サポーター派遣事業を開始し、今年度からは耐震化の助成制度を拡充してございます。
 マンションの耐震化を促進するためには、所有者みずからが主体的に取り組めるよう、管理組合の合意形成に向けた働きかけが重要でございます。この四月から始まる管理状況の届け出により把握した耐震化の状況に応じ、助成制度の案内や耐震化サポーター派遣等を働きかけるなど、今後とも、管理組合の合意形成に向けた取り組みを支援していくことが必要と認識してございます。

○中村委員 規制ということまではしないようですが、条例を制定するということも一つの契機になるかと思いますので、ぜひとも広報等しっかりとしていただきたいというふうに思っています。
 さて一方、災害時のマンションの存在というのは、地域において大きいと思います。都市型水害などの際には、高層建築物に緊急避難することが必要になる場面もあります。また一方では、高層建築物になると建築物周辺に空地があったり、また、広いエントランスやスペースがあるため、住宅密集地域においては周辺住民が緊急で逃げ込める余地もあります。
 高層で得られる眺望は、一方では周辺の日照や景観が失われることにもなりますので、だからこそマンションそのものも地域の中にあり、つながりがあってもよいと思います。
 災害時の避難場所としての地域での一定の役割を果たすことが支援の理由になると思います。
 災害時の対応や、可能であれば地域との日常的な交流の場としての活用など、こうした良好な交流関係を築けるよう都が働きかけをしていくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの居住者と周辺の住民との防災、防犯等における連携を進めることは、都市における良好なコミュニティの形成を図る上でも、また、災害への対応においても大変有効でございます。
 このため、マンションの社会的機能を高める取り組みについて、この三月に改定するマンション管理ガイドブックなどにより普及啓発を図っていくことが重要であると認識してございます。

○中村委員 空き家の問題が戸建てで発生していますが、マンションでも、今後、空き家問題が発生しかねません。ひとり暮らしで相続人がないまま亡くなられる場合、建てかえの経費を含めると資産価値が赤字の場合には相続放棄などがある場合、また、所有者がはっきりしていても資産価値がなく放置されてしまう場合などが考えられます。そうなると、より一層合意形成が図れなくなります。
 分譲マンションにおける空き家問題はどう対応するのか伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 国が平成三十年度に実施いたしましたマンション総合調査によりますと、古いマンションほど空き住戸の割合が高くなる傾向にございます。
 また、居住者の高齢化が進んだマンションでは、将来、相続後に利用されず放置される可能性があるなど、管理上の問題を生じる懸念がございます。
 このため、都では、弁護士による専門相談や、昨年九月に開設いたしました分譲マンション総合相談窓口におきまして、マンションの状況に応じた相談を受け付けております。
 また、改定するマンション管理ガイドブックにおきまして、住戸が相続されない場合の対応について記載するなど、マンションの空き家問題に対する意識向上を図ってまいります。

○中村委員 策定中の計画の参考資料に、都のマンション実態調査結果が掲載されています。その中で、耐震診断や耐震改修を検討しない理由として、費用がないという回答が最も多くなっています。これは、合意形成が図れない理由でもあるのでしょうし、合意形成はできても実行できないということもあると思います。
 修繕積立金の設定は住民が行うことですが、適切な段階から積み立てをしていくよう、住民への情報提供、管理組合への指導等も重要ですが、見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 修繕積立金の重要性や積み立て方法等について、管理組合向けに普及啓発を図っていくことは重要であり、これまでもマンション耐震セミナーの開催や東京都マンションポータルサイトを通じた情報提供を行ってまいりました。
 また、改定するマンション管理ガイドブックでは、耐震診断や耐震補強の実施時期を大規模修繕工事に合わせることが経費などの面において有効であり、それに伴い長期修繕計画や修繕積立金を見直すことが重要である旨、紹介してございます。
 こうした取り組み例を示すことで、引き続き耐震化を促進してまいります。

○中村委員 今、マンションの管理について、また、耐震化について質問させていただきましたが、本当にこれから先々、東京におけるマンションの耐震化等の課題というのは、ますます大きくなっていくと思いますので、ぜひ早目早目、先手先手に手を打っていただきたいというふうに思っています。
 また、こういった耐震化の問題、災害対策という問題でいうと、マンションだけではないんだろうというふうに思っています。
 先日も、三・一一東日本大震災から九年目を迎えたわけですけれども、改めて、引き続き東京都の課題としては、災害の対応というのは最も大きな課題の一つになるかと思っています。
 そこで、昨年度の予算について計上されていた項目なんですが、大学提案ということで二千七百万円が、首都直下地震時の仮設住宅不足への対応準備についてということがありましたので、この点を伺います。
 首都直下地震時に想定される仮設住宅の不足に対して対応準備する事業とのことですが、昨年十月に会議をやったようですが、具体的にどのような成果が出たのでしょうか。住宅審議会においても、被災後の都民の居住確保として、資料には掲載されていますが、具体的な動きは見えません。
 大学提案や都民提案の予算の執行率には高くないものもあるようですが、本事業について、これまでの成果と今後どのように展開していくのか伺います。

○澁谷住宅政策担当部長 首都直下地震時の仮設住宅不足への対応準備事業は、専修大学の佐藤教授の提案を受けまして、平成三十一年度の大学提案事業として採択されたものでございまして、大規模地震時における仮住まいの確保のため、自助、共助、公助の観点からの平時の対応策につきまして、都民等への意識啓発や行政に対する提言を行うことを目的としてございます。
 これまで、学識経験者等から成る東京都防災・仮住まい検討会を四回、都民や都内勤務者などからご意見を伺うワークショップを都内各所で六回開催するなど、主に自助、共助の観点から、提案者と連携して事業を着実に進めているところでございます。
 今年度の成果といたしまして、年度内に、発災から仮住まい、復興までの流れや支援制度などを示すとともに、都民等に対しまして、平時からの備えを促すための都民向けリーフレットを作成する予定でございます。
 来年度は、タウンミーティングの開催などにより、リーフレットを活用しながら、都民等に自発的な防災対策や災害後の行動を啓発するとともに、引き続き検討会を開催いたしまして、仮住まいの確保につきまして、主に公助の観点から提言を取りまとめていただく予定でございます。
 その後、提言を踏まえまして、都として必要な施策を展開してまいります。

○中村委員 具体的な話はまた来年度ということではあるんですけれども、被災後の都民の居住確保というのは大変重要なことでございますので、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 次に、来年度予算に新規事業として東京みんなでサロンを新設し、都営住宅の集会所等を活用し、都営住宅や地域の高齢者等に食事を提供するため、三千二百万円が計上されました。これは、都民による事業提案制度として三百十七票獲得して実現したようです。
 昨年の事務事業質疑では、都営住宅の集会所は貴重であり、地域に活用して交流を図ってはどうかとの提案をしましたが、居住者のためのものなので、自治会と町会の協議が調えば開放するとのことでした。
 この事業は、中身だけでいえば福祉保健局かもしれませんが、都民の提案は、あくまで都営住宅の集会所を活用してということであり、集会所をもっと活用したいと多くの都民も思っているということだと思います。
 未来の東京戦略ビジョンで、二〇三〇年に千カ所を創出するというみんなの居場所創出プロジェクトの一環として、百カ所を設置するとのことです。
 事業の内容そのものはよいのですが、都営住宅だけではなくて周辺住民も参加できるのか、集会所の利用について自治会とどのように調整するのか、来年度は二カ所のみの立ち上げということのようですが、どのような内容なのか伺います。

○土屋経営改革担当部長 来年度、都営住宅の集会所等を活用いたしまして、居住者や近隣の方々が交流を深めることができる事業として、東京みんなでサロンを実施することといたしました。
 実施に当たりましては、集会所の日常管理を行う団地自治会の協力を得ながら、利用日時等について調整するほか、地域の町会や地元区市と連携して、地域のニーズに合ったイベント等も工夫して、早期にモデル事業を開始することとしております。
 今後、地域活動を担う団体や社会貢献事業に取り組む民間事業者などが行っているコミュニティ活性化の取り組みを生かしつつ、地域を変えて数カ所で行い、それぞれの地域の実情に合わせた居場所づくりにつながるよう工夫を凝らし、実施、検証してまいります。

○中村委員 都営住宅の集会所というのは、地域にとっては貴重な居場所になっていくんだと思っています。もちろん、管理しているのは団地の自治会ということになるかもしれませんが、団地の住民だけのものということよりも東京都の施設だと思いますから、都民の共有財産として幅広く使えるようにしてはというふうに思います。せっかくこうした新しい事業があるわけですから、このことを通じて、こういった団地の自治会の皆さんと地域の町会、周辺の皆様と、より交流が深められるような事業にしていただければということを要望いたします。
 さて、次に、昨年五月の東京都の住宅政策審議会の答申によると、東京における高齢化は急速に進行しており、都営住宅の高齢化も著しいとの認識が示されました。こうした状況から、大変残念ながら孤独死をされる方もおり、高齢の居住者の方々へのサポートは重要な課題であると思います。
 そこで、現在、都では、都営住宅における高齢者世帯サポートにどのように取り組まれているのか伺います。

○土屋経営改革担当部長 高齢者世帯をサポートするため、指定管理者である東京都住宅供給公社では、巡回管理人制度を実施しておりまして、希望する六十五歳以上の世帯に対して定期的に訪問し、日常的な相談を受けるほか、各種申請書類の取り次ぎなどを行っております。平成三十年度は、約一万七千世帯を対象に、九十一人の巡回管理人が延べ約二十万回訪問いたしました。
 また、高齢者世帯の安全を確保するため、公社のお客様センターで、二十四時間三百六十五日受け付け可能な連絡体制を整備し、居住者の緊急時の安否確認を実施しております。
 さらに、平成二十四年度からは、安否確認時に、より迅速な情報収集及び入室確認等を行うことを目的としまして、現在、三十七区市町との間で安否確認に関する協定を締結し、連携の強化に取り組んでおります。
 この安否確認により、平成三十年度は、公社が警察立ち会いのもと入室して、百三十件の救急搬送につながっております。
 今後とも、高齢者世帯のサポートに取り組んでまいります。

○中村委員 今お答えがあったように、一万七千世帯で二十万回訪問ということになりますと、大体一世帯につき年間で十回ぐらいの訪問だというふうに思っています。これは見守りではなくてサポートということですので、この回数なのかもしれませんけれども、できればこういった回数がもっとふえていった方がよろしいかと思いますので、ご検討いただきたいと思います。
 そういった意味では、来年度の予算のところで、大学研究者による事業提案制度として、都営住宅による単身高齢者の見守りシステムの構築として三千百万円が計上されました。
 AIを活用してとはいえ、これまでも、電気量を検知して安否確認をするものは可能であったのかとは思いますが、今回どのような点が特徴であり、どのように展開をしていくのか伺います。

○土屋経営改革担当部長 本プロジェクトは、ICTを活用いたしまして、都営住宅の巡回管理人による見守りのサポート強化を図ることを目的としております。
 そこで、都営住宅におきまして、単身高齢者世帯十から四十世帯程度の協力をいただきまして、メーターボックスにスマート化された電力計と室内のエアコンに温度計を設置いたします。
 この電気量データとエアコンの利用の有無をAIで判断し、異常となるデータが検出された場合、公社の巡回管理人等に通報するという見守りシステムを構築し、モデル実施をしてまいります。
 まずは、本プロジェクトの中で、単身高齢者の見守りシステムとしての信頼性や汎用性について確認しまして、その後、具体的な展開について検討してまいります。

○中村委員 次に、都営住宅ではないんですが、同じ見守りという点で伺いたいというふうに思っています。
 セーフティーネット住宅、住宅要配慮者に対する住宅の方においても、来年度の新規事業として見守り機器の設置費用補助ということで、モデル事業として二百戸を対象として行うとのことです。
 改めて、まず、この内容について伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 見守り機器設置費等補助につきましては、セーフティーネット住宅の貸し主に対しまして、居室内に設置する見守り機器の購入費及び取りつけ費の二分の一を、戸当たり三万円を上限として補助するものでございます。
 本事業と現在行っております見守りサービス支援モデル事業により、高齢者の入居に伴う貸し主の不安を一層軽減し、セーフティーネット住宅の登録促進を図ってまいります。

○中村委員 セーフティーネット住宅の登録がまだまだ進んでいないというところもあると思いますので、こういったこともひとつ活用しながら促進していただきたいということは思っております。
 今、都営住宅にしても、セーフティーネット住宅についても、見守りということについて質問させていただきました。見守りそのものということは地域福祉なのかもしれませんが、住まいは最大の福祉でもあり、高齢化に伴う住まいの政策と見守りの問題は、一体化をしてもよいと考えています。
 今年度から住宅政策本部ができましたが、ハードの都市整備局との一体性という点ではいろいろと賛否があったと思いますが、独立した組織になった以上は、住まいを中心として、人に焦点を当てたソフト面での政策も重点化していくことができるかと思っています。
 先ほどから質問しましたが、そもそも見守りを想定したサービスつき高齢者住宅や、都営住宅での見守りが政策として進められています。
 しかし、経済的事情や抽せんに当たらずそれらに入りたくても入れない人で、生活保護でない場合はそうした見守りサービスはありません。セーフティーネット住宅で見守りを始めるようですが、まだまだ十分な数でもありません。
 さまざまな住宅の種別で、見守りが受けられたり受けられなかったりしますが、希望している高齢者単身の世帯には、例えば高齢者だけの世帯においては、どのような住まいの種類かにかかわらず受けられるようにするような制度を構築すべきとも考えますので、今後、ご検討をお願いしたいと思っております。
 さて、次に空き家対策について伺います。
 住宅マスタープランの政策目標では、計画を策定する市区町村の数を二〇二四年度末までに八〇%以上にすることだけでしたが、さきに策定された戦略ビジョンでは、その他空き家の住宅総数に占める割合が、二〇一八年度二・三五%を、二〇二五年度では二・三一%として、これ以上ふやさないとしています。
 確かに、少子高齢化とはいえ、地方に比べれば都は人口が減らず、また、ひとり暮らしの高齢者の増加や若者の晩婚化により世帯構成が変わり、世帯数は減ってはいません。
 しかし、都心での超高層マンションの建設や宅地開発による新規物件の出現で、老朽化した住宅は空き家となり、空き家を減らさないということは大変困難ではあります。
 空き家の活用という点では、居場所づくりや防災倉庫などの活用は重要ですが、全体の数からすればわずかです。
 来年度、民間空き家対策東京モデル支援事業が行われますが、件数はわずかです。どのような効果があるのか伺います。

○澁谷住宅政策担当部長 空き家対策は、地域の実情を把握している区市町村の役割が重要でございまして、都はこれまでも、区市町村に対しまして財政支援等を行ってきてございます。
 一方、都内には、NPO等多様な民間主体による空き家の利活用や発生抑制等に資する取り組みが見られまして、広域的見地から、こうした取り組みを促進していくことも有効と考えられます。
 そこで、都におきましては、区市町村支援に加えまして、来年度から民間事業者等に直接、補助を行い、空き家予備軍対策や5G等先端技術を駆使した空き家対策など、重層的に空き家対策に取り組む予定でございます。
 効果といたしましては、支援したモデル的な取り組みを他の民間主体に波及させることで、利活用や発生抑制に資するさまざまな空き家対策が促進されるようになることを見込んでございます。

○中村委員 来年度の取り組みについてご説明をいただきましたが、空き家をふやさないとはいえ、コンパクトシティーとして都心や駅前の開発を続ければ、周辺や駅から遠い場所は空き家になってしまう可能性があります。空き家は、核家族化と高齢者のみの世帯が多くなり、相続が発生すると親の住まいがそのまま空き家になってしまいます。駅から離れていると、住めない、貸せない、売れないとして空き家になります。場合によっては、既存不適格で建てかえができない場合も空き家になります。
 空き家の割合をこれ以上ふやさないという目標をどのように実現するのか伺います。

○澁谷住宅政策担当部長 都が取り組む空き家対策は、空家等対策特別措置法に基づきまして、都民の生活環境の保全や空き家等の活用を図ることなどを目的としてございます。
 この達成のために、昨年十二月に策定された未来の東京戦略ビジョンでは、新たに、その他空き家と称しております長期不在、取り壊し予定等の空き家の住宅総数に占める割合を政策目標として掲げました。
 総務省の平成三十年住宅・土地統計調査結果によりますと、都内のその割合は、都道府県では突出して低い二・三五%でございます。
 その他空き家は、一般に管理が行き届かない可能性が高いことから、この新たな目標は、その値を過去二十年間の平均水準以下に保つことで住宅市街地の環境を維持することを目指すものでございます。
 この実現のために、今後、空き家の適正管理、有効活用、発生抑制等の基本的な取り組みを区市町村と連携して一層強化するとともに、福祉分野等との連携や民間のノウハウ等も最大限に生かしながら、空き家対策を加速してまいります。

○中村委員 幾つか、都が関係している空き家セミナー等も出させていただいたんですが、非常に多く関心があって参加されていらっしゃる方もいらっしゃいます。より一層こうした取り組みをこれからも進めていただきたいと思っております。
 さて、最後に、都営住宅の入居について伺わせていただきます。
 二〇一八年十月、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が制定されました。その第三条には、都は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の推進を図るものとするとあります。いわゆるLGBTの方々への差別をなくすよう取り組むことになりました。
 そして、昨年十二月に、条例に基づいて策定された東京都性自認及び性的指向に関する基本計画に期待をしていました。
 計画では、当事者は、住宅の入居に当たって差別的な取り扱いを受けたり、周辺への理解が得られず、苦労するケースがありますと問題の認識をしています。そして、民間の住宅については、LGBTの方を住宅確保要配慮者として位置づけ、民間賃貸住宅への円滑な入居等が行えるよう、セーフティーネットの登録を促していますとお願いをしています。
 しかし、都みずからが運営する都営住宅において、人権を取り巻く社会の動向等を踏まえ、管理制度等における取り扱いについて検討していきますのみでした。局が違うとはいえ、都が差別をなくそうとした条例をつくったのに、都みずからがその差別を解消しようとしないことは残念です。
 世田谷区や渋谷区のように、証明書があれば入居できるとすれば、どの自治体に住むかで都のサービスに差が出てしまうので、一律に入居可能な制度をつくるべきです。
 榎本本部長は、前のお仕事は総務局の次長として条例制定にかかわりましたので、大きく期待をしています。条例の趣旨に鑑み、LGBTなどの同性パートナーの方も都営住宅に入居できるようにすべきと考えますが、お伺いします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、使用者の資格の一つとして、東京都営住宅条例で、現に同居し、または同居しようとする親族があることと規定しておりまして、入居の際、親族関係については住民票により確認しておりますが、同性パートナーについては、親族関係の記載がないため入居資格を確認できません。
 今後、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画を踏まえ、他の自治体における動向や課題等を調査するなど、都営住宅の管理制度等における取り扱いについて検討してまいります。

○中村委員 都として条例をつくったわけですから、これは局をまたぐということなのかもしれませんけれども、ぜひこれは進めていただきたいと思っています。
 逆にいうと、本当にこれはトップの判断が、知事がもっと、こういった条例をつくったことで指示を出していただければというふうには思うんですけれども、こういった多様性を尊重する時代でもあり、排除ではなく共生の社会へと進んでいくためにも、こういった制度の促進ということをぜひ進めていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

○奥澤委員 私からは、まず、マンション管理・再生促進計画の素案についてお伺いしたいと思います。重複は避けてこの先質問したいと思います。
 マンションの管理、再生促進、これは都政の重要課題であるということはいうまでもないと思いますけれども、私有財産でありますから、どのような形で関与していくのかというところが、一番難しい線引きをしなきゃいけないのかなというところもあると思っています。
 まず初めに、今般、マンション管理・再生促進計画を策定するに当たって、改めて、どのような背景があったのか、そして、計画策定の狙いについて確認しておきたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの適正な管理を促進するためには、行政が管理組合に対し、より積極的に関与し、管理組合の機能強化を図る、より踏み込んだ施策を実施していくことが必要でございます。
 このため、都は、昨年三月に、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進することなどにより、良質なマンションストックの形成等を図り、都民生活の安定向上及び市街地環境の向上に寄与することを目的とする、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例を制定いたしました。
 同条例において、都は、条例の目的の実現に向けた基本的施策を具体化し、推進するための総合的な計画を定めると規定してございます。
 本計画は、条例の目的の実現と老朽マンション等の円滑な再生の促進に向けて施策を具体化し、その中長期的な目標を設定するとともに、国や区市町村、関係団体など多様な主体との連携を図ることにより、施策を総合的かつ計画的に推進することを目的として策定するものでございます。

○奥澤委員 今、より踏み込んだ施策をというお話がありました。
 先ほどから幾つか議論も出ております空き家の問題なんかも、その根底には、私有財産であるがゆえに、どこまで手をかけるのかという難しい判断があるというふうに思っています。
 昨年の条例制定を踏まえて、さらに踏み込んでいかなければいけないというようなことで、今回の計画を策定するということだと思いますけれども、私自身は、これは重要かつ適切な判断をしているんじゃないかなというふうに思っています。
 また、マンションの管理、再生をさらに困難にさせる要因として、利害関係者の数が多いこと、合意形成が非常に難しいということが挙げられます。
 国では、マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定されて、要除却認定を受けた老朽化マンションを含む団地において、敷地共有者の五分の四以上の同意によって、マンション敷地の分割を可能とする制度を創設させる方向性と伺っています。
 そのような中、利害関係者の合意形成に向けて、都としてはどのような役割を果たそうとしているのか、見解を伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの管理組合等が再生を進めるためには、多数の区分所有者間の合意形成を図る必要がございますが、各区分所有者の専門的知識や資金の不足などにより、合意形成が進まない状況があると認識しております。
 そのため、都は、セミナーの開催や専門家による個別相談を実施するとともに、合意形成の際に留意すべき点などについて解説するマンション再生ガイドブックの普及を図るなど、管理組合等の取り組みを支援しております。
 また、マンション再生まちづくり制度に基づき、マンション再生を図る必要性が高い推進地区として指定した地区内では、管理組合が行う区分所有者間の合意形成に要する費用について、区市町村と連携して助成しております。
 これらにより、引き続き、管理組合によるマンション建替え法に規定する同意要件の達成など、マンションの再生を進める合意形成に向けた取り組みを支援してまいります。

○奥澤委員 管理組合の取り組みに対して、助言にとどまらず、費用面でも後方支援をしていくということだと思います。
 ガイドラインを作成する、今まさに作業していると思いますけれども、その都度、今後もいろいろ事例、積み上がっていくと思いますので、アップデートしていただきたいということをお願いしておきます。
 そもそもの話にまた戻りますけれども、マンションは私有財産でありますから、売り手と買い手がいるのであって、特に私自身なんかも、買い手側の立場から見ていくと、非常に知識不足であったりして、買ってからいろいろわかることがあったりだとかして、買う前の段階から働きかけをしていかないといけないんだろうなというふうに思います。
 計画の中にも、マンションを売買する消費者への普及啓発の重要性が記載されておりますけれども、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、そして、今後どのような取り組みに力を入れていこうと考えているのか、お伺いしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都では、平成二十年に、安心して住宅を売買するためのガイドブック、マンション編を発行し、マンションの購入を検討するに当たっての大切な視点やチェックリストによる確認、不動産取引や契約に際しての留意事項などを示してございます。
 また、この三月に、近年の不動産取引を取り巻く環境変化を踏まえて内容を改定し、引き続き、広く都民への普及を図ってまいります。
 これにより、売り主と買い主が、物件や管理状況等を確認し、情報を共有するなど、売買当事者の意識啓発を促すとともに、管理や取引に関する知識の向上の促進に取り組んでまいります。

○奥澤委員 この三月中にガイドブックの改定ということですけれども、やっぱり、行政が使う言葉あるいは売買の取引に関する言葉は、すごく難しい言葉が多くて、なかなか一般の方にはわかりにくい表現がすごく多いので、ぜひともそういった表現をなるべく控えていただいて、わかりやすく伝えていただきたいというふうに要望しておきます。
 それから、二〇四〇年代の東京を示しているページがありますけれども、この中には、地域包括ケアあるいは災害対策などにおいて、マンションが地域コミュニティの中核となっているような、そういった姿が描かれています。
 しかし、実際には、建設時点からなかなか地域との折り合いがつかなかったりするようなところで、そこに、マンションに住まう住民と周辺地域に住まう住民との間で、良好なコミュニケーションをとることが難しくなっているケースも多々あるというふうに思います。
 計画の中では、幾つかの好事例が紹介されていますけれども、こうした取り組みをふやしていくために、都としてはどのような役割を果たしていこうと考えているのか、お伺いしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンション管理条例では、管理組合が適正な管理の推進とともに、社会的機能の向上に資する取り組みの実施に努めなければならないとしてございます。
 条例の規定を受け、四月から始まる管理状況の届け出では、防災への取り組みや地域コミュニティの形成等の取り組みなど、社会的機能の向上に資する取り組みを届け出事項としております。
 こうした取り組みの届け出があった場合には、地元の区市町村と連携しながら、管理組合の了承を得て、東京都マンションポータルサイトに取り組み事例として掲載するなど、普及啓発を図ってまいります。
 また、この三月に改定するマンション管理ガイドブックにおきまして、地域コミュニティとの連携について解説するなど、管理組合の意識向上を図ってまいります。

○奥澤委員 今、社会的機能という言葉がございました。
 先ほど、なかなか良好なコミュニケーションが図りにくいというお話をしたんですけれども、やっぱり、地域側からマンションの方に話をしていく、こういうふうに開いてくれ、地域に開いてくれというのは、なかなか難しいことで、さらにいうと、マンションに住んでいる人も、そもそもどういうコミュニケーションがあったのかわからないままで入居してくるわけですから、その方々が地域の中に入り込んでいくというのも、なかなか難しいところがある中でいうと、やっぱり管理組合が主体的に両者のかけ橋になっていくようなことを持っていただかないといけないんだろうなというふうに思います。
 さらに、そこから住民の一人一人の方まで理解をしていただく、そこまで落とし込んでいくところには、さらにもう一つハードルがあるようにも感じています。
 その点、今後の取り組みの中で、さらに踏み込んだ施策が必要になるかもしれないという、そういった視点も持って取り組んでいただきたいというふうに申し述べておきます。
 これまで聞いてきたことがですね、何がいいたいかというと、結局、マンションというのは、建物の適正管理、再生促進、そこには住んでいる住民の方々がいるわけで、住民の方々が行動を変えようとしてくれないといけないということなんだと思います。何かしらのインセンティブの付与が必要になるのかもしれません。
 都としてもさまざま用意していることは承知しておりますけれども、税制面での支援は最も強力なインセンティブであるといえると思います。
 計画の中にも、税制面からの支援として、建てかえ及び耐震改修を行った場合の減免措置が示されています。こうした税制面での支援の効果についてお伺いしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識し、備えることが不可欠であり、所有者が主体的に取り組むよう働きかけることが重要でございます。
 耐震化を進めるには、多数の区分所有者の合意形成が必要となりますが、費用負担が合意形成の主な阻害要因となっていることから、都は、平成二十年度から、マンションを含め、住宅の建てかえ及び耐震改修を行った場合に、固定資産税等を減免する都独自の耐震化促進税制を実施してございます。
 こうした制度を周知することは、マンションへ耐震アドバイザーや耐震化サポーターを派遣するなど、耐震化を働きかける際に有効であり、耐震化に取り組む後押しにもなってございます。

○奥澤委員 これまでの取り組みが一定程度有効に機能してきたんだというような見解が述べられたんだというふうに捉えています。
 引き続き、所有者自身が主体的に行動していく、それを後押しする施策について、どういった施策が有効だったのか、成果が上がるのかというところに着目をして、PDCAを重ねていただいて、計画に示されているマンション居住の将来像を実現できるように取り組んでいただきたいというふうにお願いをしておきます。
 ここから、関連して予算にも入っていきたいと思うんですけれども、来年度はマンション再生検討調査の予算が計上されていますけれども、この調査の目的についてお伺いしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの建替え等の円滑化に関する法律では、建てかえ以外の再生手法として、耐震性不足の認定を受けたマンションについて、全区分所有者の五分の四以上の賛成により、その敷地を売却できる制度を規定してございます。
 来年度予定しておりますマンション再生支援検討調査では、同法の改正法案の内容も踏まえつつ、敷地売却制度等の活用など、マンションの再生を促進するための施策を検討してまいります。

○奥澤委員 法改正を踏まえての検討調査ということですけれども、先ほども申し述べたように、政策効果にしっかりと着目をして取り組んでいっていただきたいというふうに、検討を重ねていただきたいというふうに思います。
 次に、単身高齢者の見守りシステム構築実証プロジェクト、これは先ほどから幾つか質問も出ておりますので、重複する部分は回答していただかなくても結構かなと思うんですけれども、都営住宅でやるということにすごく大きな意味があると私は思っています。
 さまざまな、都だけじゃなくて他府県も、高齢化というのはこれからどうやって解決していったらいいんだろうかというふうに思っているところがあって、都営住宅というのは、やっぱり高齢の方が住んでいるような--たくさん住んでいるというのは、先ほども指摘が他会派からありましたけれども、すごく特性があるんだろうなと、特徴があるんだろうなというふうに思っています。
 そういうことを考えると、都あるいは指定管理者の知見も踏まえて、逆に大学側に、こういった取り組みをやったら有用なんじゃないかと提案していくような姿勢で、協力、連携をしていくべきではないかと思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 本プロジェクトは、居住者の高齢化や単身化が進む都営住宅におきまして、ICTを活用して、巡回管理人による見守りのサポート強化を図ることを目的にモデル実施するものでございます。
 都営住宅では、指定管理者である東京都住宅供給公社の巡回管理人が、希望する六十五歳以上の高齢居住者等へ定期訪問を実施しておりまして、都では、公社を通じて居住者のニーズなどを把握しております。
 都は、公社と連携いたしまして、保有する知識、経験が本プロジェクトに生かされるよう、事業提案者と情報共有を図るとともに、協力していただく団地自治会や居住者との調整などを通じまして、円滑な実施に向けて取り組んでまいります。

○奥澤委員 都としても積極的に関与していくんだというような認識だったのかなというふうに思います。
 先ほど、システムに関しては大学側に帰属するというお話がありましたけれども、ここで得られた知見あるいはデータというものは、ほかの同じような悩みを抱えている他府県にとっても、すごく有用なものになると思います。ぜひともそういったものは、提供していただくというか、日本全体の取り組みに生きていくような、そういった役割を果たしていくものにしていただきたいというふうに思います。そういったことをやっていくことが、住宅政策本部というものの存在価値をさらに高めていくものになると思っていますので、期待しておりますのでよろしくお願いします。
 続いて、質問として、公社住宅で行う移動支援実証プロジェクトを考えておったんですけれども、これは他会派から質問ありましたので、質問自体は割愛をさせていただきたいと思います。
 次に、移動支援もそうなんですけれども、一番大きいのは、コミュニティをどう活性化させていくかというのが、今、さまざまな、都営住宅もそうですし、公社住宅もそうですし、団地と呼ばれるようなところで大きな課題なんだと思っています。
 来年度、シェア居住についても予算化されていますけれども、昨年の事務事業質疑においてのやりとりの中で、今後、現地調査等を行い、実施に当たっての課題等も把握した上で、具体的な実施方法について検討を進めてまいりますという答弁がございました。
 シェア居住について、その後の検討状況とあわせて、改めて本事業の狙いについて伺いたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅におけるシェア居住につきましては、住宅に困窮している高齢者やひとり親世帯などを受け入れることで、単身世帯等が安心して暮らせる場を創出するとともに、団地や地域の活性化を図ることを狙いとしております。
 現在、他の自治体における公営住宅を活用したシェア居住の事例なども調査しながら、実施に当たっての課題等の把握を行っております。
 今後、来年度のモデル実施に向け、活用する住戸の条件、事業の運営形態、入居対象者の要件など、具体的な実施方法について検討を進めてまいります。

○奥澤委員 昨年よりも、目的、狙いもはっきりしてきたことに加えて、他自治体の事例研究がより進んできているのだなということは、改めてわかりました。
 以前も述べたことではありますけれども、居住者間のトラブルを未然に防ぐためのルールづくりであったり、あるいはライフスタイルの近い者同士が住むことができるような公募の仕方など、必要な条件整備、具体的に検討していただきたいと思います。せっかく始めたところで、トラブルになってしまったら本末転倒だと思いますので、そういったことのないように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 とはいえ、都として初の取り組みということですから、走りながら改善していく、そういった姿勢も重要であるということで、思い切って取り組んでいただきたいということを伝えておきます。
 続いて、東京みんなでサロンについても、質問自体は割愛をさせていただきます。
 ただ一点、ぜひお願いしたいなというところであるのが、コミュニティづくりをしている方々のお話を聞いていると、場所をつくるだけではなかなか人は集まらないというのが一番大きな課題でして、以前であれば、近くに住んでいるというだけで、そこが地域の中の集まり、寄り合いになっていたというのが当たり前だったと思うんですけれども、今はそうはいかない。
 いろいろなコミュニティをそれぞれ持っていて、じゃあどういうふうにして集めればいいんですかという話を聞くと、同じテーマで毎回毎回やっていても人は集まらないんですよということを聞いています。
 例えば、食事のことをやったら食事に興味がある人たちが集まってくるし、防災のことをやれば防災の人たちが集まってくるし、あるいは何かこう、子供たちの学習機会を提供しようとかいうことであれば、そういう人たちが集まってくると。
 いろんなテーマで切り口を変えて繰り返してやっていくことで、初めて新しい人たちがどんどん加わってきて、その輪が大きくなっていくんですよと、こういったのがコミュニティづくりをしている人たちからすると常識になっていると。
 これは、住宅という切り口、場所を提供するという切り口で、今回のみんなでサロン、あると思うんですけれども、そういった知見をぜひ生かしていただいて、さまざまな方々が入ってきていただく。同じ人たちが同じようにやっている場所ではなくて、いろんな方々が入ってきていただけるということを、ぜひ意識してやっていただきたいということを申し述べておきたいと思います。
 最後に、無電柱化について伺いたいと思います。
 先般の予算特別委員会あるいは本会議の方でも、さまざまな観点から無電柱化に関する質疑が出ておりました。
 今回、住宅政策本部においても、団地外周道路の無電柱化の予算がありますので、これはぜひ進めていただきたいと思っています。
 一方で、この取り組みを進めていくには、道路の維持管理をしていく市区町村との連携、これは非常に重要であると考えますけれども、どのようなスキームで取り組んでいこうと考えているのか、お伺いしたいと思います。

○妹尾建設推進担当部長 都は、都営住宅の建てかえに合わせ、良好な市街地の形成及び生活環境等の向上を図るため、あらかじめ道路等の公共施設及び保育所等の公益的施設の整備につきまして、市区町村と協議を行っております。
 この中で、建てかえ後に市区町村が維持管理を行うこととなる団地外周道路の無電柱化について協議を行い、その結果を踏まえ、都が整備することとしております。

○奥澤委員 しっかりと事前協議を行っていくということですから、ぜひ十分にコミュニケーションを図っていただいて、円滑な実施をお願いしたいと思います。
 全体的に来年度予算を見ますと、これまで以上に、都政の重要課題に対して住宅という観点から解決を図ろうという姿勢がかいま見えて、私としては、大変期待している予算になっているなと思っています。
 一つだけ注文をつけるなら、住宅というものを見たときには、必ずそこに住まう人たちがいるわけですから、そこに住まう一人一人の生活の満足度あるいは不満に思っていることの解消、そういったことを通して、幸福度、幸せだなと、ここに住んでいてよかったと思ってもらえるような取り組みに発展をさせていただきたい、そういったことを要望させていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

○森口委員 東京マンション管理・再生促進計画について伺います。
 都道府県では初となる管理状況届け出制度がこの四月から始まるわけでありますが、対象となるマンションの管理組合は、いつまでに、どのように届け出をする必要があるのか伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 条例に基づき、届け出義務の対象となるマンションの管理組合は、条例施行規則に定められた期限の本年九月三十日までに届け出を行う必要がございます。
 届け出は、管理組合の利便性や負担軽減のため、オンラインによる届け出を可能とする機能を備えた管理状況届け出システムに届け出事項を入力するか、または、所定の様式に届け出事項を記載して区市町村の担当部署に提出するか、いずれかの方法により行うことができることになってございます。

○森口委員 実効性ある制度とするには、対象となる一万四千棟のマンションが本年九月末までにしっかりと届け出がされるよう、関係各所に対して普及啓発に努めるとともに、専門家を活用した相談体制の強化が必要と考えますが、どのように提出を促すのか伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 対象となる全てのマンションに対しまして、今月中旬から順次、届け出書のほか、届け出制度のご案内や届け出方法の手引などの資料を郵送するとともに、多くのマンション管理業者が加入してございます管理業団体に協力を依頼し、当該団体の会員各社から対象マンションの管理組合に制度周知を図ってございます。
 また、四月からは、マンション管理士が管理組合等からの相談を受ける分譲マンション総合相談窓口の相談員を二名に増員するほか、月一回、土曜日と日曜日の窓口の開設や、毎週水曜日の開設時間の延長を行い、届け出制度の問い合わせの増加に対応できるよう体制を強化いたします。
 こうした取り組みなどにより、対象となるマンションからの届け出の促進を図ってまいります。

○森口委員 届け出がスムーズに進むよう、関係各所への周知や相談体制の拡充に努めていただいていることがわかりました。
 そのような体制のもとで届け出された管理情報を活用し、適切な管理と再生につなげる必要があると思いますが、具体的に届け出された情報をどのように利用するのか伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 四月から始まる届け出では、管理費及び修繕積立金の設定や計画的な修繕の実施の有無などの管理状況のほか、耐震化の状況などの事項を設けております。
 届け出された情報に基づき、管理不全の兆候のある場合には、調査を行った上で必要な助言、支援等を実施いたします。
 また、耐震化が図られていない場合には、耐震助成制度の案内やアドバイザーの派遣等のきめ細かな助言、支援等を実施いたします。
 こうした取り組みにより、届け出対象マンションの適正な管理や円滑な再生の促進につなげてまいります。

○森口委員 管理組合や管理規約がない、そもそも管理者がいない、年一回以上の総会を開催していない、管理費や修繕積立金を積み立てていない、または、計画的に修繕工事を行っていないなど、届け出によって管理不全の兆候があるマンションに対して、啓発隊などによって個別訪問を行うなど、個々の管理状況に応じた丁寧な支援につなげていただきたいと思います。
 また、こういった支援とともに、都内のマンションの適正管理を促進するには、適切に管理されたマンションが市場で評価され、付加価値となるよう、届け出された情報を都民に積極的に公開するべきと考えますが、見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 管理組合がマンションの管理の取り組み状況を開示し、適切に評価されることが、適正管理を行っていく上でのインセンティブになることから、届け出された情報が不動産の取引時などに物件情報等とともに活用されることが期待されます。
 これを踏まえまして、届け出情報の公開につきまして、管理組合の意向や個人情報の保護に配慮しながら、検討を進めてまいります。

○森口委員 マンション管理状況の見える化を進めることで、適切な管理を行っているマンションの市場価値が上がり、都内全体の適正管理が進むといった好循環が起こるのだと期待をいたします。
 適正管理とともに、老朽マンションの再生も重要な課題であります。
 都内には、敷地条件の悪さや容積率など建築規制により既存不適格となっているなど、単独では建てかえが困難なマンションが相当数存在をしているわけであり、そのようなマンションについては、周辺との共同化など、まちづくりと連携した再生を促進することが有効であります。
 そこで、都独自の制度であるマンション再生まちづくり制度について、一層の活用を促進していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、本制度により、まちづくり計画を策定する区市に対しまして支援するとともに、マンションの再生を図る必要性が高い推進地区として指定した地区内では、管理組合が行う区分所有者間の合意形成に要する費用について、区市と連携し、助成しております。
 都は、今後とも、本制度を区市へ積極的に周知するとともに、管理組合等に対しましても、制度活用のメリットなどについて普及啓発を行い、活用を促してまいります。
 さらに、本制度の運用状況を踏まえまして、制度の適用要件の拡充や、支援内容の充実について検討してまいります。

○森口委員 マンション再生まちづくり制度の適用要件の拡充や、支援内容の充実が検討されているとわかりました。
 国の動向を見ますと、先月末にマンション管理適正法の改正案が閣議決定されております。
 本国会で可決いたしますと、二〇二二年までに、新たに適切な修繕計画の策定や積み立ての状況、管理組合の活動などを評価する管理計画認定制度が創設され、適切に管理されたマンションについては、税制上の優遇措置も検討されていると伺っています。
 また、建てかえや敷地売却の要件についても緩和されることになります。これは、これまでの耐震性が不十分な場合に加え、外壁の崩壊などにより周辺に危険が生じる建物についても、敷地売却の合意形成が五分の四に緩和されるとともに、団地型マンションの敷地を分割した売却についても、五分の四の合意形成で可能となるわけであります。
 東京マンション管理・再生促進計画は、今月中に策定がされ、この計画のもと、十年間の施策が進められます。
 都においては、法改正を見据えた準備が必要と考えますが、見解を伺い、私からの質問を終わります。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 現在、国におきまして、マンションの老朽化等に対応し、管理の適正化の一層の促進及び建てかえ等の一層の円滑化を図るため、マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部改正法案が審議されております。
 具体的には、マンション管理適正化法関連では、区市等によるマンションの管理の適正化の推進を図るための計画の策定などが法案の概要となっております。また、マンション建替え法関連では、敷地売却制度の対象拡充などが法案の概要となってございます。
 都の東京マンション管理・再生促進計画では、こうした国の法改正等の動向を踏まえ、マンション管理の一層の適正化や円滑な再生に向けた、課題の把握や具体的な方策を検討していくこととしてございます。
 今後、改正マンション管理適正化法に基づく計画との整合性の検討や、敷地売却制度等に係る効果的な支援策の検討調査など、改正法案の内容を踏まえ、必要となる準備を進めてまいります。

○古城委員 私からは、第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、住宅政策本部所管分、第十二号議案、第十三号議案及び第五十一号議案並びに報告事項に関連して、都営住宅の耐震化について質問をいたします。
 都営住宅に関する私の考えとその背景については、昨年十一月の都市整備委員会事務事業質疑に十分に込めさせていただいております。
 私は、都営住宅の耐震化について、店舗所有者との合意形成が課題であることなどから、併存店舗つき住棟の耐震化が進まず、住民から不安を感じている旨の相談を伺い、取り組みの加速化を訴えてまいりました。この課題に関して、都議会公明党の推進とそれを受けた都の対応について、昨年の委員会において詳細に申し上げたところでございます。
 特に、私が併存店舗の買い取り制度の適用も含め、一歩踏み込んだ取り組みをと求めたことを受けて、都は、より効果的に耐震改修を行っていくとの方針を表明しました。
 昨年、これ以降の取り組みの進捗について確認をしたところ、今年度末には買い取りに応じていただける店舗が明らかとなる見込みであると答弁がありました。
 改めて、併存店舗のある都営住宅の耐震改修事業における店舗買い取りの今年度末時点での進捗について、答弁を求めます。

○金子営繕担当部長 併存店舗つき都営住宅の耐震改修事業におきましては、一部の店舗が移転すれば店舗内部を利用した補強が可能となることから、都は、昨年度より、移転にご協力いただける店舗を買い取る取り組みを実施しております。
 そこで、移転を検討いただけるか店舗所有者の皆様に説明を行い、移転を検討するとのお申し出のあった区画について、買い取りに向けた店舗の調査及び買い取り額の算定を行っております。
 昨年度、調査、算定を行った十二団地の十四棟九十八区画のうち、今年度は十団地の十二棟八十八区画の店舗権利者の方に対して、買い取り額を提示いたしました。そのうち、七団地の八棟二十二区画におきまして買い取り契約を締結いたしまして、順次移転を進めているところでございます。

○古城委員 私の地元新宿区の都営戸山ハイツアパートの併存店舗つき住棟の店舗権利者の方々からも、常々状況を伺っておりまして、この事業の進捗、進んでいるということを実感しているところでございます。
 そこで、戸山ハイツアパートに四棟あります併存店舗つき住棟の現在の折衝状況について答弁を求めます。

○金子営繕担当部長 昨年度、戸山ハイツアパートの併存店舗つき住棟、二棟三十七区画のうち、三十四区画から移転を検討するとのお申し出があり、都は、店舗の調査及び買い取り額の算定を行いました。
 今年度、買い取り額を提示し、現時点で七区画において買い取り契約を締結しており、残りの区画につきましても、移転先の確保など条件が整い次第、契約できるよう折衝を続けております。
 今後、店舗の売却をせず、現地での営業継続を希望される権利者が確定した時点で、耐震改修に向けた費用負担などの協議を行ってまいります。
 また、今年度、他の二棟五十区画のうち、移転を検討するとのお申し出のあった二十区画につきまして、店舗の調査を行いました。
 現在、買い取り額の算定中でございまして、額が確定次第、順次ご提示し、買い取りに向けた折衝を行ってまいります。

○古城委員 昨年度から店舗買い取りの取り組みが始まり、一定の成果が上がっているということを確認させていただきました。
 店舗買い取り額の算定においては、調査の立ち会いであるとか、算定に必要な資料の提供など、店舗権利者の方々のご理解やご協力が必要でございます。
 戸山ハイツの併存店舗つき住棟の店舗権利者の方々は、昨年の委員会でも申し上げましたとおり、一九六〇年代及び七〇年代の戸山ハイツの木造平家住宅から中高層への建てかえ事業において、当時、既に戸山ハイツ内で営業していて、新たな建てかえられた住棟に移転された方や、団地の規模、戸山ハイツは大変大きな規模がございます。そうした規模から必要と考えられる業種、業態として、ほかのエリアから誘致をされてこられた方、さらに加えて、建てかえ後に現在に至るまでの間に権利を取得した方など、さまざまな方々がいらっしゃいます。
 こうした点を認識した上で、引き続きそれぞれの事情にも配慮をして、丁寧な説明に邁進をしていただきたいと強く要望させていただきます。
 あわせて、店舗移転に協力していただいた区画を活用した耐震改修が早期に実施できるように、この早期の実施については、その住棟に住む住民の方々の安心・安全にもつながります。
 耐震化の取り組みを積極的に進めていただきたいとあわせて要望いたしまして、質問を終わります。

○菅野委員 私からも、分譲マンションの適正な維持管理、そして、円滑な再生の促進の観点から質問をさせていただきたいと思います。
 私の地元港区では、古いマンションが結構多いんですけれども、そのようなマンションでは、管理上の問題や、加えて耐震化、また、建てかえなど、実に多くの課題が見られます。
 また、戸建住宅と異なり、分譲マンションは建物を区分所有するがゆえに、そこに住む居住者皆で管理組合を運営して、総会を開いて、どのようにこれからマンションを管理し、再生していくか、しっかりとそうした合意形成をしながら進めていかなくてはならない、そういうものであります。
 都では、この四月から、いよいよ条例に基づく管理状況届け出制度が施行され、マンションの管理適正化に向けた取り組みがスタートします。
 私はかねてより、このマンション管理の適正化、老朽化や建てかえへの早期対応について、さまざまな場面で主張してきておりまして、届け出制度については大いに期待をするところであります。
 ただし、この届け出制度が進んでいくと、その先には、管理組合が実際には設立されていない、あるいは管理組合は存在するものの実態として機能していない、そんな管理不全マンションやその予備軍の存在が徐々に明らかになってくることが想定されます。
 そこで伺いたいんですが、届け出制度により、まずはマンションの状況を正確に把握することになると思いますけれども、届け出の情報をもとに、都は、管理適正化に向けた施策にどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 管理状況届け出制度では、届け出内容といたしまして、管理組合や管理規約、大規模修繕工事の実施の有無の項目等がございまして、これにより、管理不全の兆候を把握いたします。
 管理不全の兆候のあるマンションに対しましては、マンション管理士などとも連携し、個別訪問により書類や建物の調査を実施するとともに、把握した状況に応じて、管理不全の兆候の改善に向けた助言を行います。
 さらに、必要に応じまして、マンション管理アドバイザーなどの専門家を繰り返し派遣するなど支援を実施いたします。
 また、そのような助言、支援を実施しようとしても、管理組合等の改善の動きが見られない場合には、来年度、新たに設置いたします行政職員やマンション管理士等から成るマンション適正管理啓発隊が訪問し、改善に向けた取り組みを働きかけてまいります。
 さらに、助言や支援によっても管理状況の悪化を防ぐことが困難な場合には、その状況に応じて、管理組合に対する指導や文書による勧告も行います。
 こうした取り組みにより、管理不全の兆候のあるマンションに対しまして、行政が粘り強くアプローチし、管理不全の予防、改善を図ってまいります。

○菅野委員 いろいろな段階もあるんでしょうけれども、さまざまな取り組みによって、こうして粘り強くアプローチをしていくと伺いましたので、それは大いに期待しております。
 ただ、実際に、やっぱり私も知っているところでも、管理組合そのものというか、入居者全体がかなりご高齢になられていて、理事長とかにも、何ていうんですかね、やる人がいないからずっとその人がやっていたりするんですが、なかなか慢性化してしまって、余り新しいこともできないし、従来からのことで、どんどんどんどん管理の状態が衰退しているようなことで、何か上からとか、いろんな形でアプローチがあっても、そういう必要性を感じていないというわけじゃないんでしょうけれども、なかなかそこに踏み出せない。物理的に難しいというようなことも見受けられます。
 ぜひそういったところもしっかりと進めていただきたいと思いますが、ただ、そういう管理組合も多い中で、この届け出制度の実施、これをしっかりしていく上で、答弁があったような個別訪問による調査など、実際に現場で従事する行政職員には大変苦労がかかると思います。区や市と連携しながら、都としても、ぜひ積極的に取り組んでいただくよう要望いたします。
 またさらに、この届け出制度を活用して、まずは、各マンションの状況を正確に把握し、適正に管理に誘導していくとともに、その先の建てかえや耐震化に結びつけていくことも極めて重要だと思います。
 現在、都内の分譲マンションは約百八十七万戸と伺っておりますが、そのうち約二割は、昭和五十六年以前に建てられた旧耐震基準です。こうした老朽マンションについては、建てかえ、改修などにより再生を促進していくことが重要ですが、建てかえ検討では、都市計画や建築規制上の既存不適格となっているために、マンション単体では建てかえが困難となっている事例が多く見られます。
 この現状を打開するために、敷地の共同化など、まちづくりと連携して建てかえを促進する仕組みとして、東京都は、平成二十七年度から二年間をかけて、都内三地区、品川の大崎駅西口駅前地区、また杉並の方南町駅周辺地区、また、多摩市の諏訪、永山地区でモデル事業を実施して、その結果を踏まえて、二十九年にはマンション再生まちづくり制度を創設しています。
 なお、いち早くこのモデル事業に取り組んだこの三地区のその後の状況なども伺ってはおりますけれども、地区ごとにまちづくりの課題もあるようで、やはりこうしたマンション建てかえで周辺との共同化を誘導する事業というのは、その課題解決に十分時間をかけていかなければならないのかもしれません。
 しかしながら、老朽マンション対策は、地震災害のことを考えますと、一刻も早く進めるべきであります。そして、都がマンション再生まちづくり推進地区に指定することで、地区内のマンション管理組合が合意形成する際の費用補助のような支援策などもあるようですから、その普及を図ることが何よりも重要だと考えます。
 そこで伺いますが、マンション再生まちづくり制度を活用して再生を促進するためには、マンション再生まちづくり推進地区の指定後の地区内のマンションへの支援が特に重要になると思われますが、見解を伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、マンション再生まちづくり制度に基づき、マンションの再生を図る必要性が高い推進地区として指定した後は、地区内の管理組合が行う合意形成に要する費用に対しまして、区市と連携して助成してございます。
 また、特別に容積率を緩和する仕組みである都市開発諸制度との連携により、推進地区内におきましては、通常と比較して容積率をさらに緩和することが可能となり、管理組合による再生に向けた合意形成が行いやすくなることも期待されます。
 さらに、本制度の要綱に基づき、推進地区を指定した地区では、定期的に地区内のマンション再生の状況について地元区市から報告を求めるとともに、その内容に応じまして、都から区市に対して、必要な助言または技術的な支援を実施することが可能でございます。
 これらにより、推進地区内のマンションの管理組合が再生に係る決議等の手続を円滑に進められるよう支援することで、マンションの再生を促進してまいります。

○菅野委員 答弁をいただいたとおりですが、マンション再生まちづくり推進地区に指定されれば、容積率の緩和により管理組合内の合意形成が進みやすくなるということで、これはやはり建てかえに当たってどうしても生活再建、なるべく自己負担を減らす中で再生を図りたいという思いというのは結構多いので、容積率をふやすことで、新たに事業化しやすいというようなこともありますので、それはいいことだと思います。ぜひ都としても、制度のさらなる普及に力を入れていただくよう要望いたします。
 また、地元の区市に対しても、都からのサポートが得られるとのことですので、特にマンション事例が少ないような自治体、また、どうしても区市というのは技術職員の手がやはり、東京都も決して余っているわけじゃないと思います、大変だと思いますが、技術職員は全体的に足りないんですが、特に区市においては足りないと聞いております。そうした基礎自治体にとって、ぜひ心強いパートナーとなれるように、都の方もぜひ親身な対応をお願いしておきます。
 最後になりますが、この四月からスタートする届け出制度が円滑に進むとともに、適正な管理が円滑な再生につながっていく、そんな理想的なマンションのライフサイクルがこの東京で実現することを大いに期待しながら、私の質問を終わります。

○和泉委員 私からは、まず、都営住宅の供給について質問したいと思います。
 先日の予算特別委員会の我が党の星見都議の質疑でも明らかにしたように、国交省の最新のデータである二〇一七年度の公営住宅の応募倍率を見ますと、東京の公営住宅の応募倍率は二十倍、二位の沖縄県でも八倍であり、全国平均が三倍であることなどと比較しても、全国で突出して高くなっています。つまり、少ない募集数に多数の都民が殺到しているという実態をあらわしていると思います。星見都議の質疑では、なぜそうなるのかという背景についても明らかにしました。確認したいというふうに思います。
 現在、都には、民間借家など公営住宅以外の借家に住み、都営住宅の入居資格を持っている方は六十三万八千世帯に上ります。(パネルを示す)これがそうですね。この数は六十三万八千世帯に上ります。
 しかし、都が考える公的な支援により居住の安定の確保を図るべき世帯、都にいわせると、真に住宅に困窮する世帯というものですが、第一に、著しい困窮世帯という低年収ラインを設けました。それがここです。ここでまず切ってしまいます。
 第二に、その中でも、さらに最低居住面積という最低ラインの住宅すら満たさない世帯しかカウントしない。それでここにまた絞り込んでしまいます。
 第三には、これだけだと余りにもひどいということで、著しい困窮年収だけれどもカウントされなかった世帯のうち、収入の五〇%以上を家賃に払っている就学前の子供がいる世帯と高齢者世帯、これはカウントすると。こういう何重にも条件をつけて、有資格者の一五%、九万六千世帯に絞り込んで、その数だけ提供することにしたと。だから供給量は大変少ないということになるわけです。
 しかも、質疑ではいいませんでしたけれども、この有資格者の一五%分、九万六千の都営住宅など、都内の公営住宅が提供されるのは、一年、二年で提供されるというわけじゃありません。十年という長期間です。ですから、一年当たりでいうと、都営住宅に入居できる資格を持っている人のうち、一・五%分しか提供されないということになります。応募しても応募しても当たらないというのは、ある意味、当たり前の話なんです。
 そこで、きょうは予算特別委員会に引き続き、もう少し聞いていきたいというふうに思います。
 この九万六千世帯に相当する公営住宅は、十年間でどういうふうに提供されるんでしょうか。
 住宅マスタープランで定めた空き家募集、建てかえ、新規建設、それぞれについて、都営住宅、そのほかの公営住宅ごとにお示しいただけますか。

○澁谷住宅政策担当部長 供給量でございますけれども、新規入居者用と既入居者用に分かれております。
 まず、新規入居者用についてお答えします。内訳といたしまして、空き家募集が、都営住宅で約八万五千戸、それから、その他の公営住宅で約一万二千戸、建てかえにつきましては、都営住宅ではございませんで、その他の公営住宅で約百戸、それから、新規建設は都営住宅ではございませんで、その他の公営住宅で約二百戸でございます。
 このほか、既入居者用という供給量がございまして、それが約四万一千戸でございます。
 合計で十三万八千戸ということで、お話しいただきましたように、十年間の供給目標量として、住宅マスタープランに位置づけをしてございます。

○和泉委員 このパネルのとおりだと思うんです。既入居者用というのは、あくまで建てかえのために、今既に住んでいる人に確保しておかなければいけないという四万一千ですから、新たに供給されるものではない。
 空き家募集で、都とそれ以外で九万七千戸、つまり九万六千世帯分は、都営と区市町村営の空き家募集で、十年かければちょうどほぼ間に合う。だから、都の新規建設はゼロ、建てかえから生み出される分もゼロ、都営住宅はこれから十年間で一切新しいものはつくりませんよという数字は、ここから出てくるわけです。
 この余りにもひどい都営住宅の供給量の絞り込みについて、都は予算特別委員会で、国から都道府県に提供された公営住宅供給目標量設定支援プログラムという大変長い名前のプログラムに基づいて計算をしたこと、このような計算は東京都だけではなく、ほかのどこの自治体でもやっているというようなことをいいました。
 改めてお聞きしますけれども、供給数の前提になった要支援世帯数は、このプログラムに基づいて計算をしたということでよろしいんでしょうか。

○澁谷住宅政策担当部長 国から都道府県に対しまして、公営住宅供給目標量設定支援プログラムというものが提供されておりまして、都におきましても、それを用いまして算定、推計をしまして、供給目標量に相当する値を設定させていただきました。
 補足でございますけれども、国の住生活基本計画では、市場において自力で適正な水準の住宅を適正な負担で確保することが困難と見込まれ、公的な支援により居住の安定の確保を図るべき世帯の数を的確に把握することとし、その上で、当該世帯の居住の安定の確保のため必要な公営住宅の供給の目標量を設定することとされておりまして、その考え方を受けまして、国の方でこのプログラムを用意し、都道府県の方で検討を行うための基礎資料として提供を受けたものというふうに認識をしてございます。

○和泉委員 つまり、要支援世帯数はこのプログラムに基づいて計算したということです。
 では、このプログラムの性質について伺いたいんですけれども、この国のプログラムには、都を初めとする地方自治体が従わなければならないという法的な拘束力があるんでしょうか。

○澁谷住宅政策担当部長 お話の支援プログラムでございますけれども、都道府県の住生活基本計画、都では住宅マスタープランがこれを兼ねるわけでございますけれども、それに位置づけるべき公営住宅の供給目標量の設定や、計画期間内における公営住宅等の供給のあり方につきまして検討を行う上での基礎資料として、国から提供を受けているものと認識してございます。したがいまして、いわゆる法的拘束力はないものと認識してございます。
 補足でございますけれども、都におきましても、この支援プログラムを用いて算定をさせていただいておるわけでございますけれども、これは都内の公営住宅入居資格世帯数のいわば……(和泉委員「聞いたことだけ答えていただければいいですよ」と呼ぶ)はい。最大値を推計するものでございまして、既往統計上の世帯年収と世帯人員に基づきまして、一定の算定方式により、二〇一六年度末から二〇二五年度末までの十年間に新たに発生する公営住宅以外の借家に居住すると見込まれる世帯といたしまして推計をいたしまして、それを住宅困窮度に応じて重点化いたしまして要支援世帯数とし、それに見合う供給量として供給目標量を設定したものでございます。

○和泉委員 なるべく審議を短くやりたいと思って、ぎりぎりの時間で申告していますので、聞いたことだけ答えていただければ結構です。
 法的拘束力はつまりないと。このプログラムにあえて従わなくても、都として独自に計算することもできたということです。あるいは従わないけれども、このプログラムをうまく応用して、より的確に住宅に困窮する世帯をカウントし、都民の切実な住宅要求に応えるようなこともできるはずだというふうに思います。
 例えば、都が第一の線引きで示した著しい困窮年収未満の世帯、ここは何らかの形で考慮するべきではないかというふうに思います。なぜなら、この著しい困窮年収とは、民間の借家では最低居住面積の住まいすら自力で住むことができない世帯の年収だというのがおおよその定義です。
 最低居住面積水準は国が決めているものですけれども、単身世帯では二十五平米、夫婦二人では三十平米などというふうにされています。
 都営住宅の主に単身用世帯を想定している一DK、これは狭くて、介護ベッドを置くと車椅子も通れない、このような指摘があって、単身世帯でも不評なものですけれども、それでも六畳の寝室とおおよそ六畳のダイニングキッチン、一間の幅の押し入れ、脱衣場やトイレ、浴室があって、三十五平米あります。最低居住面積の単身用二十五平米というのは、ここから十平米--十平米といったら六畳間一間分です、の面積が削られるということです。夫婦二人の最低居住面積は三十平米、ここから五平米、三畳間分の面積が削られるということです。
 このことを説明したときに、我が党の議員から思わず、息が詰まる、二人で部屋にいられない、外に出ていきたくなる、そういう声が漏れました。
 それで、この文字どおり最低限の住居を民間の平均家賃で手に入れようとすると、収入に占める家賃負担の限度を超えてしまう、これが著しい困窮年収未満の世帯です。
 ですから、ここですね、このラインよりも下の世帯は、民間借家を借りようとしたら二つの選択がある。一つは、最低限という部屋すら諦めてもっと狭い部屋を借りる。もう一つは、最低限以上の部屋を確保するために高い家賃を払って、住居費以外の生活費をその分削っていくと。どちらにしても大変な選択を強いられるわけです。
 このような大変な境遇の世帯、民間借家市場では自力で最低居住面積を達成することが著しく困難な世帯なわけですから、公的な住宅で支援しなければならないと思います。その数はプログラムでも計算できる仕組みになっています。なぜ都は、この世帯を全て公的な支援で居住の安定を図るべき世帯にしようとしないんですか、伺います。

○澁谷住宅政策担当部長 繰り返しになりますけれども、このプログラムにおきましては、国から提供された支援プログラムでございますけれども、既往の統計上の年収や世帯人員に基づきまして、公営住宅の入居資格を満たすことになる、いわば最大値が推計されるようなことになっておりまして、その中で住宅の困窮度に応じまして、地域の状況に応じまして、必要に応じて重点化をいたしまして、供給目標量を設定するようになってございます。
 どこまでを供給目標量の支援対象とするのが妥当なのかと、なぜしないのかというお尋ねであったと思いますけれども、私どもの考え方といたしますれば、住宅政策におきまして、公営住宅につきましては、まあ、都営住宅につきましては、真に住宅に困窮する世帯により的確に支援していくということが重要であると考えておりまして、それに努めてきているということでございますのと、それから、そもそもといたしまして、都営住宅がそのような住宅セーフティーネットの中心的な役割を担っていることは十分認識しておりまして、その役割を発揮できるように、困窮度の高い人たちに対します優遇抽せんやポイント方式を導入して、ストックの有効活用を図りながら、セーフティーネットの中核としての役割を果たしていくよう取り組んでいくところでございますし、そもそも論といたしまして、住宅の量的な充足や都民の居住ニーズの多様化などを踏まえまして、都は、公的住宅の新規建設を中心とした政策から、市場の活用やストックの活用を重視した政策へと転換を図ってきたところでございます。
 また、都内には、腐朽、破損のない賃貸用の空き家が多数存在してございます。直近の統計で約五十一万戸も存在してございまして、都民の居住の安定の確保からも、その積極的な活用が重要でございます。
 そこで、都は、住宅に困窮する都民に対しまして、都営住宅が住宅セーフティーネットの中核としての役割を果たすよう取り組むとともに、このような豊富な民間賃貸住宅の空き家、空き室も含めた重層的なセーフティーネット機能の強化を図っていくこととしてございます。
 そのような考え方から、今の目標量を設定させていただいているということでございます。

○和泉委員 先ほどからいっていますけど、答弁は端的にお願いしますよ。時間に限りがある中でやっているんですから。
 的確にといいましたけれども、著しい困窮世帯をカウントしていないわけでしょう。適切と、的確と一体どうしていえるんでしょうか。
 国土技術政策総合研究所が、プログラムをある政令市に当てはめてみると、著しい困窮年収世帯数に対して、市内にある公営住宅数は三割分しかなかった。それならふやせばいいわけですけれど、研究所の考え方は、市や国の財政的状況等に鑑みると、公営住宅管理戸数の大幅な増加は期待できないというものです。国や都の本音はこういうところにあるんじゃないんですか。
 民間市場では自力で最低限の住宅すら住むことができない、そういう年収の世帯だよというふうにしながら、国や自治体の財政的な都合でカウントするのをやめて、さらに冷たく絞り込んでしまったというのが実態なんですよ。
 次の問題です。さきの予算特別委員会で、住宅政策本部長は聞き逃すことができない答弁をされています。国の全体枠は最大限ということで見積もりながら、自治体の状況に応じて推計を絞っていますと。先ほど部長からも、国のプログラムは最大限なんだという答弁がありました。つまり自治体の都合で数を削っているんだと。
 まず、国の全体枠について確認したいと思います。国のプログラムでは、要支援世帯数を推計するに当たり、都よりも大きな枠組みを示しています。その枠組みには四つの種類があって、類型一は、最低居住面積未満に居住し、著しい困窮年収未満である世帯、この部分です。都もカウントしている、ここですね。
 類型二は、同等の所得層、これより下の世帯です。同等の所得層で、居住面積はここよりは広いけれども、高家賃負担率である世帯、ここに都は、この中でも特に配慮が必要な世帯という限定をつけて、最終的にカウントしていますけれども、この限定前の世帯、要するにここは含まない世帯ということです。
 類型三は、最低居住面積水準未満、こっちですね、に居住し、著しい困窮年収以上である世帯、ここになります。この部分です。
 そして、類型四は、三と同等の所得層で、ここから上ですね、居住面積は三よりも広いけれども、高家賃負担率である世帯。
 つまり、一、二、三、四という四つの類型になっています。この四つの類型それぞれの世帯数、推計した数を教えてください。

○澁谷住宅政策担当部長 四つの類型ということでございます。お答えをいたします。順にお答えをさせていただきます。
 推計上の公営住宅の入居資格を有する世帯のうち、一つ目が、最低居住面積水準未満かつ著しい困窮年収未満の世帯でございます。これが約七万五千世帯でございます。
 最低居住面積水準以上かつ著しい困窮年収未満の世帯のうち高家賃負担世帯、これが約四万三千世帯でございます。
 次に、最低居住面積水準未満かつ著しい困窮年収以上の世帯、これが約五万六千世帯でございます。
 次に、最低居住面積水準以上かつ著しい困窮年収以上の世帯のうち高家賃負担世帯でございますが、これは約一万一千でございます。
 補足でございますけれども、先ほど絞り込んだというお話がございましたけれども、最低居住面積水準未満かつ著しい困窮年収未満の類型につきましては、先ほどの著しい困窮年収未満のところも見てございます。要支援の対象にしてございます。

○和泉委員 四つの類型、今ご答弁いただきましたのをそれぞれ書き込んで、全部足しますと十八万五千世帯になります。都がカウントした公的な支援により居住の安定を図るべき世帯数九万六千世帯の二倍近くになるんです。逆にいえば、都は、国の最大値を自治体の状況に応じるということで半分にまで絞ったということになります。
 では、この四類型について、国は、自治体が公的な支援により居住の安定の確保を図るべき世帯としてカウントするときに、どのように扱うべきだといっているでしょうか。
 まず、類型一については一〇〇%算入、類型二については十年間で一〇〇%が理想、そして類型三、四は、地域の実情や政策に応じて設定するとしています。
 類型一については都も一〇〇%算入しています。しかし、類型二の算入率は、国のいう十年間で一〇〇%が理想とは異なった実態にあると思いますが、何%ですか。一〇〇%になっていない場合、一体なぜそうなっているのかについてもあわせて伺います。

○澁谷住宅政策担当部長 お話の類型の算入率につきましては、約五〇%でございます。
 これは、都営住宅におきましては、真に住宅に困窮する世帯に、より的確に支援することが重要でございますので、家賃負担率が高い世帯のうち、高齢者世帯、障害者世帯及び子育て世帯につきまして、より重点を置いたものでございます。

○和泉委員 全く理解できないんですよ。国だって一〇〇%入れるのが理想といっているのに、四万三千世帯のうち、高齢者世帯、障害者世帯及び子育てといっていますけれども、小学校入学前の子供がいる世帯に絞っている。その世帯に当てはまらない世帯の分の数を入れるのが、本来的確ということなんじゃないでしょうか。
 この世帯は高家賃負担、それをどのぐらいに設定しているかといったら、東京都は五〇%に設定しているわけですよ。ですから、収入の半分を家賃に持っていかれる世帯ということになるんです。収入の五〇%以上が家賃に消えていくという大変な生活をしている方々ですよ。真に困窮していると都は考えないんでしょうか。いかがですか。

○澁谷住宅政策担当部長 今、真に困窮していると考えないのかというお尋ねでございました。
 今、そこの類型につきましては、家賃負担率の高いというところでございます。家賃負担率がどのぐらいであれば、何割あれば困窮だとか、生活が苦しくなるのかというような一般的な基準はないところでありまして、住所地や個々の世帯の状況などさまざまでありまして、一概にはいえないものと考えてございます。

○和泉委員 こういう方たちを真に困窮しているというふうに考えないのかというふうにお聞きしました。考えているのか考えていないのかという答弁もありませんでした。
 高家賃負担率がどのぐらいというのは一概にいえないという答弁ですけれども、収入の五〇%を家賃に持っていかれるというのは、誰が聞いても高くないですか。
 国交省は、家賃負担率、これは二〇%程度が限度だというふうに、その方向性を示しています。一定の基準を示していますよ。住宅ローンなんかを組む場合でも、ほとんどの金融機関が、年収に占める住宅ローンの割合は三〇%、二五%程度が安心ラインだというふうにしていますよ。それに比べても明らかに高い水準じゃないですか。
 都が真に住宅に困窮していると認めた世帯は、都が四万三千世帯から二万一千世帯に絞った。都の言葉でいえば、より重点を置いたということですけれども、それによって都営住宅に果たして入りやすくなったんですか、端的にお答えください。長々と答弁は要りません。入りやすくなったのかならないのか、そのことをお答えください。

○澁谷住宅政策担当部長 高齢者、障害者、子育て世帯等の住宅困窮度の高い世帯の方々に対しましては、ポイント方式の導入や優遇抽せん等によりまして、優先的に入居を図ってございまして、そういう意味では入りやすくなっているものと考えております。

○和泉委員 今おっしゃられたのは、優先順位だとかポイント方式だとか、それは都営住宅の募集の数が決まって、募集に出された後の段階の話ですよ。問題は供給の話なんです。
 四万三千から二万一千に絞れば、それに対応して、新規に供給される都営住宅を初めとする公営住宅数は、差の分の二万二千分だけ減るわけですよ。その分だけ供給が減って募集も減る。都営住宅の提供されるパイそのものが小さくなるわけですから、その分だけ、都が真に困窮しているとした高齢者世帯だって、未就学の子供がいる子育て世帯だって、入りにくくなるのは簡単な計算の問題ですよ。真に困窮している世帯の対象を狭く絞り込めば、供給戸数も減って、結局、その絞り込んだ対象世帯も入りにくくなるでしょう。
 ごまかさないでもう一回お答えください。入りやすくなっているんですか。

○澁谷住宅政策担当部長 お尋ねの点でございますけれども、繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、困窮度の高い方々には、ポイント方式等の導入によりまして優先入居を図っておりますのと、それから、民間賃貸住宅の空き家、空き室等も活用しました重層的なセーフティーネット機能の強化を図って対応してございます。

○和泉委員 結局答えられないんですよ。なぜそうまでして絞り込まなければならなかったのか。絞り込まなければ、十年間に出てくる空き家の戸数では大幅に足りなくなってしまう。そうすると、これまでストップしていた都営住宅の新規建設を再開して、二万戸以上新たにつくらざるを得なくなる。それを避けるために、真に困窮する世帯にいろいろと条件をつけて数を絞り、十年間で空き家になる九万七千戸の方に無理やり合わせた、こういうことなんじゃないかと指摘されても仕方ないんじゃありませんか。
 類型三、四の算入率についてもあわせてお尋ねします。国のプログラムでは、この類型の算入率は、地域の実情や政策に応じて設定するとされているようですけれども、都は何%にしているんでしょうか。なぜそういうふうにしているんでしょうか。あわせて伺います。

○澁谷住宅政策担当部長 お話の類型に相当する世帯につきましては、算入してございません。
 国の住生活基本計画では、先ほども申し上げましたけれども、区域内の住宅事情をきちんと分析した上で、公的な支援により居住の安定を図るべき世帯の数を把握し、必要な公営住宅の供給目標量を設定することとしてございます。
 都におきましては、住宅の量的な充足や都民の居住ニーズの多様化などを踏まえまして、公的住宅の新規建設を中心とした政策から、市場の活用やストックの活用を重視した政策へと転換を図ってきたところでございます。
 また、都内には、腐朽、破損のない賃貸用の空き家が直近の統計で約五十一万戸存在いたしまして、都民の居住の安定の確保の観点からも、その積極的な活用が重要でございます。
 都は、住宅に困窮する都民の皆様に対しまして、都営住宅が住宅セーフティーネットの中核としての役割を果たすよう取り組むとともに、豊富な民間賃貸住宅の空き家、空き室も含めた重層的な住宅セーフティーネット機能の強化を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、算入していないものとしてございます。

○和泉委員 地域の実態に応じて、政策に応じてというふうに国はいっているけれども、東京都は、この部分についてはまるっきり公営住宅供給に算入していないという今のご答弁でした。
 本当に問題だらけの答弁で、何から指摘すればいいかというふうに思うんですが、まず不思議なのは、住宅が量的に充足したというふうにいいますが、自治体が基準とすべき量的充足というのは、単なる住宅一般の数ではなく、一定の居住水準があり、適度な家賃負担で入れる住宅の数ではかるべきでしょう。このような住宅が量的に充足しているというなら、まず、その根拠を具体的に教えていただきたい。
 第二に、居住ニーズが多様化したというふうにいいますが、それで都営住宅へのニーズが減ったというなら理解できます。しかし、ニーズは減るどころか、高い応募倍率となってあらわれているのが現実の姿です。
 居住ニーズの多様化によって、都営住宅の新規建設へのニーズが減ったというデータはありますか。いかがですか。

○澁谷住宅政策担当部長 量的な充足につきましては、まず、一世帯一住宅を上回ったということが象徴的にいわれておりますけれども、それから順次ストックが、民間のストックも含めまして厚くなってきております。そのような状況を指してございます。
 それから、公営住宅へのニーズということでございますけれども、今、少なくともこの設定支援プログラムにつきましては、ニーズそのものを見ているものではございませんで、統計上わかり得る公営住宅の入居資格世帯数の最大値を推計いたすものでございます。
 あと、例えば倍率で見ますと、最近の傾向でございますと、倍率は、ややでございますけれども、低下傾向にあるものと認識はしてございます。

○和泉委員 都が、都内には、腐朽、破損のない賃貸用の空き家が約五十一万戸もあると、豊富な民間賃貸住宅の空き家を含めた重層的なセーフティーネットをつくると、先ほども答弁なさいましたけれども、そもそも都の計画では、現在、都内のセーフティーネット登録住宅で空き家のものは八百六十八戸にすぎません。二〇二五年までの登録目標は、公営住宅に入る資格のある層では二万戸です。
 しかし、先ほど都は、類型三は五万六千世帯、類型四は一万一千世帯、合計六万七千世帯いるというふうにいわれました。現状は、このセーフティーネットの登録目標件数、戸数だけでも全然足りていないわけですよ。目標ですら三分の一にしかならない。よく絵に描いた餅という言葉がありますけれども、この類型三と四が入れるだけの絵すら、都は描けていないということになるんです。
 民間借家でやりますよというのは破綻しています。やはり都営住宅をふやさなければ問題は解決しないというふうに思います。そのために、都営住宅で支援すべき世帯の数については、ブラックボックスの中でやるのではなくて、推計のやり方、過程を都民や専門家にオープンにして、都民参加で協議するべきです。
 現行の住宅マスタープランでは、都民はもとより、住宅政策審議会の委員にすら、どのように公的な支援により居住の安定の確保を図るべき世帯数を計算しているか、これが示されませんでした。
 そのような計算をしていること自体、私たちが知ったのは、住宅マスタープランについて都議会で質疑をする前日の深夜でした。情報公開は小池都政の一丁目一番地です。まずは現行の住宅マスタープランで、国の公営住宅供給目標量設定支援プログラムに基づいて行った計算を詳細に明らかにすることを求めたいと思います。その上で、都民や専門家と一緒になって計算を見直すことを求めます。
 今後の住宅マスタープランにおいても、都民参加で進めることをあわせて求めておきたいというふうに思います。
 都は何かにつけ、国際競争力、国際都市間競争に勝ち抜くというふうに繰り返して、東京を世界に冠たる都市にしようと、外環道など都市インフラに莫大な都民の税金を投入しております。
 しかし、その足元で一体都民の住まいはどうなっているのか。低年収で、民間市場では自力で最低限の住居すら手に入れられない都民が莫大な数いる。その中でも、年収の半分以上を家賃に奪われるような生活で、毎日毎日、家計の不安におびえて生活している方が四万三千世帯もいる。それなのに数を間引いて、都営住宅を一戸たりともつくらない。顔を向ける方向が違っているんじゃありませんか。この姿勢の根本的な転換を求めて、次の質問に移りたいというふうに思います。
 都営住宅の空き家募集についてです。
 予算特別委員会で我が党の星見議員も触れましたけれども、目黒区、とりわけ人口当たりの都営住宅の提供数が少ないということが問題になりました。この十年間で平均十戸程度しか空き家募集がされていません。
 しかし、現状五十戸近くの公募用空き家があるようです。公募用空き家については、一般的になるべく早期に提供されるべきものだというふうに思いますが、都の基本姿勢を伺います。

○土屋経営改革担当部長 令和二年一月末現在で、目黒区内の公募用空き住戸は四十八戸ありまして、このうち二十八戸は既に募集済みでございます。残り二十戸につきましては、募集に向けて補修などを行っております。
 今後とも、空き住戸の発生状況などに応じまして、都営住宅の募集を適切に実施してまいります。

○和泉委員 続いて、台風十五号、十九号で一部損壊した住宅の修繕への支援について伺います。
 十五号、十九号で一部損壊した住宅のうち、都は、国の支援の対象とならない修繕工事を支援する区市町村に対して独自に補助するという制度を創設しました。重要な取り組みだったというふうに思います。
 しかし、この制度は三月末までというふうになっています。業者の人手が足りない、修繕が三月末まで間に合わないという声が上がっていることを都はどのように認識しているでしょうか。
 また、間に合わないという、この声に対して、三月末以降も制度を延長するべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 お話の支援事業は、国の応急修理制度の対象とならない一部損壊の被災住宅に対しまして補助を行う区市町村に、都が独自に補助するもので、今年度の緊急対策として行っているものでございます。
 本事業の実施に当たりましては、各区市町村がそれぞれの状況等に応じて補助要綱を策定し、取り組んでおり、今年度事業であることについても理解を得てございます。
 しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染拡大により、資材、部品等の供給が滞ることで、被災した住宅の修繕にも影響が及ぶことに鑑み、今後、各区市町村と丁寧に協議し、速やかに対応を検討してまいります。

○和泉委員 最後にもう一問聞きます。
 都のセーフティーネット住宅供給促進計画ですけれども、LGBTを住宅確保要配慮者というふうに位置づけています。
 都は、今後、庁内で総合的な調整を行う担当組織を設け、庁内各局がLGBTに関する情報を共有し、連携して施策を推進する体制の整備を図っていく、このような動向を踏まえながら都営住宅における対応について検討してまいりますと、このようにいってきましたけれども、その検討状況はどのようになっているでしょうか。

○土屋経営改革担当部長 昨年十二月に、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画が策定されたところでございまして、同計画も踏まえまして、他の自治体における動向や課題等を調査するなど、都営住宅の管理制度等における取り扱いについて検討していくこととしております。

○和泉委員 住宅の供給の問題、それから幾つかの個別の問題について伺ってきましたが、まさに住宅政策本部を立ち上げて、住宅政策をしっかりと都の真ん中に据えるんだと、そういうことで立ち上がったのが住宅政策本部ということなんだと思います。
 都営住宅は、その住宅セーフティーネットの中核だということは、皆さんも自認しているわけですから、それにふさわしい取り組みを求めて、私の質疑を終わりたいというふうに思います。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十五分散会

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