都市整備委員会速記録第十六号

令和元年十一月二十七日(水曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長馬場 信男君
副委員長奥澤 高広君
副委員長和泉なおみ君
理事古城まさお君
理事秋田 一郎君
理事伊藤 ゆう君
菅野 弘一君
清水やすこ君
森口つかさ君
関野たかなり君
村松 一希君
中村ひろし君
東村 邦浩君
曽根はじめ君

欠席委員 なし

出席説明員
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監都営住宅経営部長事務取扱久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木秀之君
連絡調整担当部長水野  剛君
住宅政策担当部長澁谷 浩一君
民間住宅施策推進担当部長栗谷川哲雄君
経営改革担当部長土屋 太郎君
再編利活用推進担当部長中山  衛君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長金子 陽子君

本日の会議に付した事件
住宅政策本部関係
事務事業について(質疑)

○馬場委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐々木住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 十月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は十六件でございます。
 一ページをお開き願います。1、都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
 既設都営住宅及び公社住宅ごとに、過去五年間のエレベーターの設置状況を年度別に記載してございます。
 二ページをお開きください。2、都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
 過去五年間の各件数を使用承継事由発生期間別に記載してございます。
 三ページをごらんください。3、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
 都道府県及び政令市ごとに、令和元年十月一日現在の実施状況を記載してございます。
 四ページをお開きください。4、都営住宅、公社住宅における入居者の年齢別世帯数の状況及び単身入居者の年齢別世帯数の状況でございます。
 入居者及び単身入居者ごとに、名義人の年齢区分が六十四歳以下及び六十五歳以上別に世帯数及び割合を記載してございます。
 五ページをごらんください。5、都営住宅における期限つき入居の募集戸数及び平均倍率でございます。
 過去十年間の募集戸数と平均倍率を年度別に記載してございます。
 六ページをお開きください。6、都営住宅建てかえによる型別供給実績でございます。
 平成二十八年度以降の型別供給内訳を年度別に記載してございます。
 七ページをごらんください。7、都営住宅の応募状況でございます。
 (1)、世帯向けの抽せん方式による募集、(2)、単身者向けの抽せん方式による募集、八ページをお開きください、(3)、ポイント方式による募集について、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
 九ページをごらんください。8、都営住宅の管理戸数、空き住戸数、募集停止戸数でございます。
 平成三十一年三月三十一日現在の各戸数について記載してございます。
 一〇ページをお開きください。9、都営住宅使用料一般減免の状況でございます。
 過去十年間の減免件数を年度別に記載してございます。
 一一ページをごらんください。10、都営住宅の使用料収入でございます。
 過去十年間の調定額、収入済額、収入率を年度別に記載してございます。
 一二ページをお開きください。11、公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き住戸状況でございます。
 公社一般賃貸住宅及び都民住宅ごとに、管理戸数及び空き住戸数を年度別に記載してございます。
 一三ページをごらんください。12、都内の居住支援協議会設置状況と主な活動内容一覧でございます。
 協議会名、設立年月及び主な活動内容について、二ページにわたって記載してございます。
 一五ページをごらんください。13、東京都の空き家数、空き家率の推移でございます。
 平成十年度以降の空き家数と空き家率を五年ごとに記載してございます。
 一六ページをお開きください。14、東京都の空き家利活用等区市町村支援事業補助実績でございます。
 事業区分ごとに、都が補助を行った区市町村数及び補助を行った戸数を年度別に記載してございます。
 一七ページをごらんください。15、サービスつき高齢者向け住宅等供給実績でございます。
 過去五年間及び累計の戸数をそれぞれの高齢者向け住宅ごとに記載してございます。
 一八ページをお開きください。16、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅に係る家賃低廉化補助を実施している自治体及び補助実績でございます。
 平成三十年度の補助実績を、実施自治体別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○馬場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○関野委員 それでは、事務事業に関する質疑を行わせていただきます。簡潔に、また端的に、質疑をどんどん進めていければと思っております。
 都営住宅、また公社住宅、両方に対して、ちょっと何問か聞いていこうかなというふうには思っておりますので、ご承知願います。
 都営住宅、公社住宅の敷地内に、自治会の工作物、こういったものを設置する場合、まずはどのようなルールがあるのか、都営と公社それぞれにお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅についてお答えいたします。
 自治会が都営住宅の敷地内に、物置、防犯カメラ、ベンチ、掲示板などの工作物を設置しようとする場合、自治会は、工作物設置の願い書を住宅供給公社を経由して都に提出することが必要でございます。
 都は、都営住宅の管理上支障がない場合、これを承認することができます。

○水野連絡調整担当部長 公社住宅の敷地に工作物を設置しようとする場合は、公社に対し申し出をすることになっております。公社は、その対象を公共団体や公益法人、公益事業者等としており、自治会が住宅の敷地内に工作物を設置することは原則として認めておりません。
 なお、公社は工作物の設置について、社内規程で、住宅の管理上支障を来さないもの、住宅の建てかえまたは当該土地の利活用計画に支障を来さないもの、住宅の居住環境及び美観を著しく損なわないものと定めており、設置できる工作物の例としては、防災用物置、掲示板などがございます。

○関野委員 ありがとうございます。都営住宅、公社住宅と、設置基準が違うというところは理解をさせていただきました。
 では次に、居住者などが工作物を無断で設置した場合、公社はどのような対応を行うのか、これについてそれぞれお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅についてお答えします。
 都営住宅の敷地内に無断で工作物を設置した場合、都営住宅条例の定めにより、共用地占拠として、不適正使用の是正指導の対象としております。
 近隣住民や自治会から通報などがあった場合、住宅供給公社窓口センターの職員が現地で相談者や対象者に直接話を聞き、内容を十分に把握した上で是正指導を行ってございます。
 また、再三の指導によっても改善されない場合には、困難案件として住宅供給公社本社の担当部署が引き継ぎを受け、解決を図っております。
 さらに、こうした指導によっても解決が見込めないときは、都において、文書により当該工作物の撤去を求める是正勧告などを行ってございます。

○水野連絡調整担当部長 公社は、公社住宅の敷地内に無断で工作物を設置しているとの通報や発見があった場合には、住宅に配置している管理員を通じて自治会やお住まいの方に聞き取りを行い、状況等を把握し、管轄の窓口センターに報告するとともに設置者に対して是正を求めることとしております。
 管理員が是正を求めたにもかかわらず改善されない場合は、窓口センターの職員が対応し、さらに、改善が困難な案件については、本社と窓口センターが連携しながら是正を求めてまいります。

○関野委員 ありがとうございます。どちらとも、まずは窓口センターが対応して、それでなかなか是正ができない場合は本社が出てくるというような形なのかなというふうに理解をいたしました。
 では、工作物を無断で設置し、不適正使用として是正指導をしている対象というのは、今、実際に何件あるのか、都営と公社それぞれにお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅についてお答えします。
 工作物を無断で設置するなどの共用地占拠のうち、公社本社で取り扱った困難案件でございますけれども、平成三十年度は二十二件ございました。
 公社本社では、同年度内に十件処理をし、残り十二件については平成三十一年度に繰り越して、公社において現地訪問や電話指導等を繰り返し、解決を図ってございます。
 今後とも、都は、公社と連携して都営住宅敷地の適正利用の確保に努めてまいります。

○水野連絡調整担当部長 公社は現在、公社住宅の敷地内に居住者などが無断で工作物を設置しているものを三件把握しており、これらについて現地調査や是正を求めているところでございます。

○関野委員 ありがとうございます。都営と公社で件数はちょっと違うにしても、やはり是正を求めてから時間がかかっているのかなというふうには思っております。
 いきなり、そういった無断で設置しているものを取り上げたり、または撤去したりというような形になると、またいろいろと問題が起きてくるのかなというふうには考えておりますので、なるべく早くといいながらも、しっかりと設置者と話し合いをしながら解決していただければなというふうに思っております。
 次に、都営住宅、公社住宅の駐車場の設置状況と現在の空き状況、こちらについて、都営と公社それぞれにお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の駐車場は、都営住宅約一千六百団地のうち、本年十月末現在、約八百団地に約四万八千百区画ありまして、そのうち空き区画は約一万六千九百区画でございます。

○水野連絡調整担当部長 公社住宅の駐車場は、公社住宅約二百三十団地のうち、本年十月末現在、約二百団地に約二万二千四百区画ございまして、そのうち空き区画は約四千六百区画でございます。

○関野委員 ありがとうございます。
 実際、なぜこれを聞いているかというと、いろいろこれからの質問の中にもかかってくるんですけれども、有効活用してほしいなというところが主なところです。
 そこで、今、実際の空き区画をなくしていく取り組み状況、こういった部分について、都営と公社の取り組み、これに対して、それぞれお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の駐車場の空き区画につきましては、定期公募後の常時受け付けや、地域住民向けの貸し出し、案内看板の設置などにより、利用促進を図ってございます。
 地域住民向けの貸し出しは、本年十月末現在、百九十八団地、一千百六区画であります。
 また、居住者の来客や介護車両などの一時的な駐車ニーズに対応するため、昨年七月よりコインパーキング設置を本格実施しており、本年十月末現在、十九団地、百八十五区画で実施しております。

○水野連絡調整担当部長 公社は、公社住宅における駐車場の空き区画について、地域住民向けの貸し出しを行っております。
 本年十月末現在の実績は、五十五団地、六百二十四区画でございます。
 また、公社は、平成二十六年三月より、入居者の利便性向上を図る観点から、住宅敷地や駐車場の空き区画等を活用して、来客者用駐車場、コインパーキングの設置を推進しており、コインパーキングは、本年十月末現在、二十三団地、百八十九区画で実施しております。

○関野委員 ありがとうございます。お互い公社も都営住宅もいろいろと、やられていることは似たようなものなのかなと。もちろん、地域向けという形で貸し出してしまうと、実際の居住者というところもなかなか入れないというのが、いろいろ出てくるのかなとも思いますし、どちらとも来客者用でコインパーキングを設置しているというところに関しては理解をいたしました。
 それでは、地域住民向けの貸し出しやコインパーキング設置について、実際、都営住宅駐車場設置は約八百に対して、それぞれ二百団地、そして二十団地に今とどまっております。また、公社住宅では、駐車場設置が約二百団地に対して、それぞれ五十五団地、二十三団地にとどまっていると。居住者や地域住民の利便性の向上に資するものと私は考えておりますが、今後、この設置についての拡大というところ、この点について、都営と公社それぞれについてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、居住者の高齢化等に伴い駐車場の利用率が低下してきていることから、空き区画については、居住者の利用に支障のない範囲で地域住民向けに貸し出しており、用途廃止の手続を進めながら、設置区画数の拡大を図ってまいります。
 また、コインパーキングについては、居住者の利便性の向上などの効果が期待されることから、条件の整った団地から設置する予定でございます。

○水野連絡調整担当部長 公社は、駐車場の地域開放について、駐車場の有効活用や近隣にお住まいの方の利便性向上の観点から、公社住宅にお住まいの方の理解も得ながら、今後とも取り組みを進めてまいります。
 また、公社は、コインパーキングの設置についても、駐車場の空き区画や敷地内に必要なスペースを確保できる住宅について民間事業者を活用して設置を進め、入居者等の利便性向上を図ってまいります。

○関野委員 ありがとうございます。るる質問してきましたが、都営住宅、公社住宅ともに、居住者の理解を得ながら取り組みを行っているということは理解いたしました。
 私としても、居住者の理解を得ながら実施できることは、空き区画の有効活用としてもよい事業だというふうに考え、評価をいたします。
 今後も、世の中の動向を踏まえながら、こういった形で取り組みを進めていただくことを要望いたします。
 それでは、次は公社住宅だけに対してですけれども、公社住宅では、法人との契約が可能になっておりますが、実際の居住者がどのような方なのか、どう把握しているのか、また、実際の居住者、法人が契約して、それで居住者、ほかの方が入ってくるというところに関して、どのようなトラブルに対応しているのか、この点についてお伺いをいたします。

○水野連絡調整担当部長 公社住宅は、法人名義の契約により、借り上げ社宅として利用することが可能となっており、その場合、賃借人である法人は、入居する従業員に対し、他の居住者と円満な共同生活を営ませる義務を負っております。
 公社は、申し込み時に、法人から入居する従業員と同居者を記載する情報登録カードの提出を受け、入居者を把握してございます。また、入居する従業員が変更されるときは、法人に変更の届け出を義務づけておりまして、公社は実際の入居者を把握できるようにしております。
 公社は、入居契約の際に、住まい方を四カ国語で記載した冊子、快適な生活のためにを配布し、トラブル防止に努めているほか、既存居住者との間にトラブルが発生した際には、法人の担当者へ連絡して是正を求めてございます。

○関野委員 ありがとうございます。
 外国人も多く住むような形にもなってきましたし、最近は外国人実習生という形で、まだ日本語がちょっとできないような方がいますので、四カ国語で記載している冊子というところは、進めてもいいかなというふうに思っております。
 ただ、案外アジアの方は油を使った調理が多かったりすると。テレビでもやっていたんですけれども、それをそのまま排水口に捨ててしまうような、そういったこともありますので、そういった部分も法人の方にしっかりと伝えていくということに対して要望をしておきます。
 次に、都営住宅の集会所の設置目的と管理の主体、そして集会所が全てで何カ所あるのか、この点についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の集会所は、公営住宅法の定めるところにより、使用者の共同の福祉のための施設として設置しており、その管理運営は入居者の自治会が行っております。
 集会所の数は、住棟内のものも含めて、平成三十年三月末日時点で一千七百三十七カ所ございます。

○関野委員 ありがとうございます。
 それでは、その中で、近隣の町会などが利用できる集会所とできない集会所の件数についてもお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 集会所は、一義的には居住者のための共同施設でありますが、そのうち、都、自治会、町会等との覚書の締結により地域住民も利用できる集会所は、平成三十年三月末日時点で二百五十一カ所あります。
 それ以外の集会所は一千四百八十六カ所あり、原則として自治会のみで使用しているものと認識しております。

○関野委員 それでは、自治会が、例えば電気などの契約を解除して、入居者、自治会等でも利用できない集会所の件数が何件あるのか、また、その理由についても同じようにお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 約一千六百団地のうち、特に居住者の高齢化などにより自治会の担い手が減少し、その活動に影響が生じていると考えられる百戸以下の六百三十七団地を対象に調べた結果、練馬区二カ所、府中市一カ所の計三カ所の自治会では、光熱水費の基本契約を締結せず、集会所を利用していないことがわかりました。
 その理由は、自治会を構成する入居者の高齢化のほか、自治会内のトラブルによる自治会の解散と聞いております。

○関野委員 では、地域住民も利用できる集会所の貸出方法ですね、どのような方法で貸し出しているのか、また、都は貸出状況を現在どのぐらい把握しているのか、この点についてもお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 使用日時や使用時間の調整は、居住者間や自治会、町会等の話し合いによって調整することが、円滑な運営につながると考えておりまして、使用希望者は集会所を管理する自治会の代表者等に申し込むこととしております。
 貸出状況の詳細については、都は把握してございません。

○関野委員 では、都は貸出状況の把握をしていないということですが、なぜ把握していないのか。実際、こういったものは把握するものなのではないかなというふうに私は思っております。貸出状況を把握していないので回答は期待できないと考えますが、もう一度聞きます。都は、今度は利用率という部分に関して把握しているか、この件についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 先ほどご答弁申しましたとおり、集会所の使用申し込みは自治会が受け付けておりまして、その利用率は、都としては把握してございません。

○関野委員 集会所を地域の町会に積極的に私は貸し出すべきかなと。そういう意味では、自治会の方が使っている時間はもちろん貸し出せないですけれども、あいている時間帯があるのかなというところで、貸し出すべきと私は考えているんですが、都の見解についてお伺いします。

○土屋経営改革担当部長 集会所は、一義的には居住者のための共同施設ですが、これまで都は、自治会、町会等の覚書を締結したものについては地域開放を進めてまいりました。
 五月の住宅政策審議会答申では、都営住宅内の集会所等を地域住民も参加できるイベントや居場所のスペースとして活用することについて提言がありました。
 その趣旨を踏まえ、今後とも、自治会、町会等との協議が調ったものについて、地域開放を進めてまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 先ほどの答弁では、集会所の管理運営は入居者の自治会が担っているということでしたが、覚書だけでなく、自治会が町会に貸し出す際の様式を定めて、自治会が公社や都に報告すれば、件数は容易に把握できると思っております。
 積極的に貸し出すには、自治会の利用状況の把握や、覚書を締結している町会の利用状況の把握が必要と考えておりますが、こういった見解についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の自治会は、居住者を会員として会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処するなどの目的で設立された任意団体でございます。
 このため、都がその活動内容に対して報告を義務づけることにはなじまないが、今後、集会所を有効に活用するために集会所の利用実態を把握することは必要と考えており、アンケートによる調査などを検討してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 現状、自治会の中には貸したくないという理由、簡単にいえば地域の自治会、または地域の人たちと何というんですかね、余り意見が合わないというか、そぐわないというか、好きではないというか、そういった形で貸したくないといわれる方が、私も市議会をやっているとき、そういった意見が多くありました。ただ、多分そちらに話が入っているのはそういった理由ではなく、管理が大変だというような理由で貸さないという形のことを行っている自治会もあると考えておりますし、聞いてもいます。
 また、そのようなことでは、ある意味、地域コミュニティの形成の観点から孤立をしてしまわないかというふうな心配もしておりますので、今後のまちづくりにも影響が出てくるのかなというところになってきます。
 もちろん、近隣自治会などの利用の方法が悪ければ、利用を拒むことというのはいたし方ないと思っておりますが、一度も利用していない団体を拒むというのはどうなのかというふうにも私は考えております。
 集会所の運営体制に自治会がもちろん苦労しているというのは、理解をいたしますが、都は、集会所の管理方法を検討すべきでないかというように考えておりますが、見解をお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 居住者の高齢化などにより自治会の担い手が減少し、その活動に影響が生じている実態があることは認識しております。
 都は、自治会活動への支援として、住宅供給公社の巡回管理人が年一回以上、自治会を訪問するとともに、都内に十六カ所ある公社の窓口センターごとに、自治会代表者と、各団地における課題や対応策について意見交換を行っております。
 今後、こうした自治会支援の取り組みを進める中で、アンケート調査の結果も踏まえ、都営住宅の居住者と地域住民との間によりよいコミュニティが形成されるように、集会所の設置目的及び使用のあり方、集会所の地域開放の周知等について検討してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。先ほど来、アンケート調査等も行っていくと。また今も、その結果を踏まえて集会所の地域開放、周知等の検討をしていくという答弁をいただきました。
 しっかりと、もちろんアンケートを出しても返ってこない自治会等もあるかなというふうには思いますが、返ってきた部分から、どのような形で貸し出しが一番ベストなのか、こういったこともいろいろと検討していただいて、地域に開放していただきたいなということを要望しておきます。
 次は、空き家対策についてお伺いをいたします。
 空き家対策についてですが、今まで我が会派からは、これまで委員会の質疑だったり代表質問などさまざまな場所で、空き家対策、空き家の活用について要望をしてきました。都内の限られた住宅をいかに効率よく活用するかは、防災の観点からも、経済活性化の観点からも重要であります。
 また、空き家対策は区市町村が特に取り組むべきものと認識しておりますが、その後押しを都として推進すべきであるというふうにも考えております。
 その施策として空き家利活用等区市町村支援事業がありますが、都として後押しをすると認識しているところでありますが、その中で、区市町村の空き家実態調査が進んできているというところではあるんですけれども、空き家対策計画の作成は、ほとんど進んでいない状況にあるのかなというふうにも考えております。作成していない区市町村も、もちろんその中にはあります。
 都は、対策計画の作成が進まない理由としてどのようなことがあるのか、この件についてお伺いをいたします。

○澁谷住宅政策担当部長 都内では、令和元年十月末現在、空き家実態調査実施済みは六十二区市町村のうち四十九区市町村で、全体の約八割という状況です。そして、空き家等対策計画策定済みは三十一区市町村で、五割という状況でございます。
 本年七月に都が実施した区市町村に対するアンケートによりますと、対策計画の作成予定がない理由といたしまして、空き家問題が顕在化しておらず緊急性が低く、必要がないため、空き家対策計画を策定する人員不足のため、空き家対策計画を作成するかどうか検討中などが挙げられてございます。
 引き続き、区市町村の実態調査や計画作成等に対して補助するとともに、助言、指導等の働きかけを行いまして、計画策定を促進してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 空き家の課題は自治体ごとに違うというふうには思っておりますが、ある意味、ないわけではないというふうにも考えております。区市町村へのきめ細かい対応をしっかりとしていただくことを要望しておきます。
 その上で、空き家利活用等区市町村支援事業において、今年度から、区市町村が地域の特性を踏まえて独自に実施する事業を支援する企画提案型というものが設けられておりますが、その補助の実績はどのようなものかお伺いをいたします。また、その成果をどのように評価し、認識しているのかについても一緒にお伺いします。

○澁谷住宅政策担当部長 お話の企画提案型につきましては、本年十月末までに四回公募いたしまして、審査の上、十九区市町村、四十四件の補助金交付決定、あるいは決定予定となってございます。
 事業の内訳は、空き家の適正管理の支援、跡地要件のない空き家の除却、移住、定住のための空き家の除却や改修、各種普及啓発事業などでございます。
 このように、地域の特性を踏まえた多岐にわたる事業が上がっており、従来からの補助メニューである基本形と合わせた区市町村支援事業全体の執行状況も昨年度より向上しているというようなことから、区市町村がおのおのの状況に応じた多様な空き家対策を効果的に進める上で貢献しているものと考えてございます。

○関野委員 地域特性に応じた取り組みを支援するという、実態に合わせた補助制度であり、効果的であるかなというふうにも考えております。よりよい事例を紹介するなど、さらに取り組みがふえるよう周知することを要望しておきます。
 今年度から、エリアリノベーション推進支援事業が創設されておりますが、その実績について、こちらについてお伺いをするとともに、また、都が考えるエリアリノベーションとはどのようなもので、先行して取り組んでいる地域はどのような効果が見られるのか、この件についてお伺いをいたします。

○澁谷住宅政策担当部長 お話のエリアリノベーション推進支援事業でございますが、エリアリノベーションの企画調整等を担うまちづくりプロデューサーの業務、事業に対しまして、最大五年間、都が区市町村を通じて財政支援をするものでございまして、今年度の新規事業でございます。
 本支援事業におけるエリアリノベーションでございますけれども、これは区市町村のまちづくりの方向性を踏まえ、特定のエリアで集中的、連鎖的に空き家等をさまざまな用途に活用及び再生することによりまして、まちの価値、魅力及び住環境の向上を図る取り組みを指してございます。
 支援対象事業といたしまして、今月、大田区と東急株式会社による池上エリアリノベーションプロジェクトを採択いたしました。池上駅から本門寺を結ぶ参道を中心とするエリアでございまして、池上エリアの来訪者、観光客の増加と居住者の生活利便性の向上を狙いとしてございます。
 こうしたエリアリノベーションの先行事例で、全国的に著名なものといたしましては、北九州市の中心市街地である小倉地区のリノベーションまちづくりでは、まち中に新たなビジネスと雇用が生まれ、商店街の通行量が増加した、それから、尾道市の旧中心市街地におけるNPOの取り組みでは、景観保全と移住等による地域コミュニティの再生、活性化が図られた、このような効果が見られるところでございます。
 今月採択いたしました大田区の池上地区におきましても、地域の商業者、居住者を巻き込んだエリアリノベーションによりまして、当初の狙いどおりの効果が得られますよう、きめ細やかな助言や支援を行ってまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 この事業のポイントは、五年間という中期的な支援である点と、一定エリアを包括的にサポートする点というふうに理解をしております。都としては、まだ取り組みを始めたばかりでありますが、全国的にも実績もあるので、ぜひ、推進していただきたいというふうに思っております。
 空き家利活用等普及啓発・相談事業において、民間事業者を活用して、普及啓発の取り組みとワンストップ相談を一体的に実施する取り組みを支援しておりますが、その実績と内容はどういったものなのか、また、参加者や相談者の評価、評判はどうなのか、今度はこの点についてお伺いします。

○澁谷住宅政策担当部長 本事業は、空き家の利活用等に関する普及啓発とワンストップ相談事業を一体的に実施する民間事業者等の取り組みに対しまして、都が補助するものでございます。平成三十年度から実施してございます。毎年度、都が公募し、審査の上、事業者を選定してございます。
 昨年度の実績でございますが、選定した五事業者合わせまして、七十四カ所の常設相談窓口やセミナー等会場で、合計四百二十件の相談に対応いたしますとともに、セミナー等を五十二回実施いたしました。
 また、今年度も五事業者により実施しておりまして、九月末現在で七十五カ所の常設相談窓口等で、合計三百十六件の相談に対応いたしますとともに、セミナー等を二十二回実施しているところでございます。相談内容は、空き家の売却や管理、利活用等多岐にわたってございます。
 また、セミナー等は、各事業者が、相続、人生の畳み方、いわゆる終活ということでございます、それから資産活用等、都民の関心の高いさまざまなテーマを掲げ、都内各地で区市町村と連携しながら実施してございます。
 事業者によりますと、セミナー等の参加者や相談者からは、知らないことばかりで大変勉強になったですとか、実家が空き家になる可能性があるので参考になるというようなことでございまして、非常に好評だというふうに聞いております。
 また、空き家対策に取り組む区市町村からは、都内全域で身近に相談体制が整備されてありがたいというような声もいただいているところでございまして、非常に評価を得ているところでございます。
 このような活動実績や評価を踏まえまして、セミナー等の普及啓発への参加をきっかけに相談につなげていくという本事業を、今後とも、効果的に進めてまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 この事業実施が二年目であることから、実施事業者や区市町村、さらには不動産業界団体なども連携して、一体的なサービスにつながるよう要望をしておきます。
 次に、空き家対策を進めていくには、新たな空き家を発生させないことも必要であります。長く使用できる性能のいい住宅であれば、売却しようとする際にも市場において円滑に流通させることができる、また、空き家の発生を制御できるのではないかというふうにも思っております。
 そのため、良質な住宅ストックの形成を図っていくことが重要であるのかなというふうにも考えております。
 長期にわたって良好な状態で住宅を使用するため、耐久性や断熱性など一定の基準をクリアした住宅を長期優良住宅として認定をしているということでありますが、良質なストック形成が期待できるすばらしい制度であるとも認識をしております。
 平成二十一年度六月のいわゆる長期優良住宅法の施行から十年が経過をいたしました。都内においても、一戸建てで年間六千棟を超える認定実績を上げているところですが、長期優良住宅認定制度の普及に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 長期優良住宅認定制度は、長期に使用するための構造や設備を有し、定期的な点検や補修等に関する計画を定めた住宅を認定するもので、新築時には、いわゆる住宅ローン減税の限度額の引き上げなど、さまざまな税制上の優遇が受けられるものでございます。
 長期にわたって使用可能な質の高い住宅ストックを形成するためには、長期優良住宅の普及啓発に取り組んでいくことは大変重要であり、都はこれまでも、消費者や住宅生産者に対し、住宅政策本部のホームページや講習会などにおいて、税制優遇などのメリットを含め制度の周知を図ってまいりました。
 また、いい住宅をつくり、きちんと手入れして、長く大切に使うという循環型住宅市場の形成に向けて、昨年三月に、既存住宅の流通促進に向けた指針を策定し、その中で、長期優良住宅認定制度の積極的な活用を示しております。
 今後とも、住生活月間のイベントにおいて制度のPRを行うなど、さまざまな機会を通じて制度の普及を図ってまいります。

○関野委員 ありがとうございます。
 空き家対策は、その発生原因が多岐にわたっていることから、解決方法はさまざまであると考えております。都としてさまざまなメニューを用意しておりますが、さらにブラッシュアップしていき、空き家対策につなげていっていただくよう要望して、私の質疑を終わらせていただきます。

○秋田委員 私からは、都営住宅のあり方の抜本的な見直しについて伺いたいと思います。
 都営住宅は、戦後の住宅難への対応から始まっており、現在でも基本的に住宅が充足されていない時代の発想からの延長線上にあります。すなわち戦後間もなく、七十年前の考え方のままであるということになります。数としての住宅は既に充足しており、すなわち所期の目的は達成し、また、これだけ急速に少子高齢化が進行している中にあっては、都営住宅のあり方を抜本的に見直すべきときがもう既にやってきているんだと思います。
 まず第一は、若い勤労世代への重点的な供給についてでございます。
 日本は、他の先進国と比較しても極めて労働生産性が低いことはご存じでしょうか。先進国の中で何位かご存じですか。一九七〇年代以来、先進国の中でずっと最下位の労働生産性でしかないともいわれています。
 しからばその原因は何か。いろいろあるんでしょう。けれども、その原因の一つは、私は通勤時間の長さにあるのではないかとも思っております。
 考えてみれば、きょうそちらにお座りの皆さんも含めて、片道一時間や二時間かけて、満員電車に乗って、毎日毎日、何十年も通勤されてきた方がたくさんいらっしゃるんだと思います。働く前に、出勤する前に、既にかなり疲弊されていてもおかしくはないんだと思います。片道一時間や二時間かかれば往復で二時間、四時間です。人に与えられた時間は一日二十四時間、そのうちの十二分の一、六分の一を通勤時間に費やしているということになります。しかも満員電車の中、疲れてしまう、当たり前です。労働生産性が低くなって私は当たり前だと思います。
 一方で、この国は有史以来初めての二つの事態に直面をしております。一つは、かつてないほどの、有史以来初めてといえるような数の外国人の方、海外の方の流入。そしてもう一つは、ご存じのとおりの急速に進む少子高齢化でございます。
 前者でいえば、来年には訪日外国人数が四千万人にも達するといわれておりますが、こんなに多くの方がこの日本という国にいらっしゃったのは本当に初めてのことでございます。
 働き方という部分で見れば、既に、コンビニを見ればわかるように、外国の方が多く働いていらっしゃいます。政府の方針もあって、今後は本格的に外国人の労働者もふえていくんだと思います。
 また、後者の少子高齢化という話でいえば、これが意味することは、働き方という観点から見れば、働き手が急速に減っていくということでございます。国土も狭い、資源もないこの国が、これだけの経済成長を遂げたのは、誰もが、日本人、人の力だということは皆さん認識されている以上、これからは、労働生産性を高くしていくしかすべはないのではないでしょうか。
 少子高齢化の中、若い人が都心近くに住めるようにして、通勤時間を短くして、労働生産性を高めることが、間違いなく重要だと考えます。
 東京都はかねてより、我が党の要望を受け、若年世帯向けに期限つき入居制度を導入し、募集戸数や対象世帯の拡大に取り組んできていることは認識しております。しかしながら、いまだ都営住宅の入居者募集全体の中では一部にとどまっております。都心部を中心に、もっと大胆に取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 都は、都営住宅の利用機会の公平の確保を図るとともに、都営住宅団地のみならず周辺地域の活力の維持向上を図ることを目的として、平成十三年に、期限つき入居制度を導入しました。
 募集戸数を順次拡大し、平成二十三年度以降はおおむね年間一千五百戸を募集しており、若年夫婦、子育て世帯を対象に、駅から徒歩圏内の利便性の高い住宅を提供してまいりました。
 また、都営住宅条例を改正し、入居期限を子供の高校修了期まで延長するとともに、対象をひとり親世帯に拡大し、子育て世帯にとってより使いやすくなるよう制度を拡充しました。
 今後とも、利用機会の公平を図りつつ、少子高齢化が進む中で、期限つき入居制度を的確に運用してまいります。

○秋田委員 もう一つの課題は、単身用住宅の供給についてでございます。
 私自身は、十数年来、テレビは一週間に一時間も見ない日々が続いていたんですが、今回、久しぶりにドラマを見ております。それは何ていうドラマかというと、まだ結婚できない男という、そういうドラマなんですけれども、これは十数年前に一度放送され、その続編として十数年ぶりに放送されているドラマなんですが、この主人公の方というのは、阿部寛さんが演じられておりまして、建築家でいらっしゃるんですね。十数年前、私が見ていたときは、アイランドキッチンを得意とする建築家として演じられていたわけです。
 アイランドキッチンということはどういうことかというと、それがディンクス的なものなのか、子供がいる家族なのか、あるいは二世帯住宅なのかわかりませんが、いずれにせよ家族団らんを前提としていると。まあ、こういうことだと思うんですが、今回、この番組を期待を込めて見た初回のときに、この阿部寛さん演じる建築家の方は、今までの、そういったアイランドキッチンを得意とした建築家から、ひとり暮らし用の住宅を専門にこれからはしていく、そんな話をされていて、私は非常に、この十数年でいろいろな形、変化があったことを改めて認識したような思いがございます。
 かつては家族団らん、今は単身用住宅。ある意味、時代をテレビらしくとても反映していると思いました。時代とともに家族のあり方も変わり、単身者を対象とした住宅の供給の必要性が間違いなく高まっているんだと思います。
 そもそも都内の世帯数のどれくらいが単身世帯かご存じでしょうか。都内の世帯数の約半数は単身世帯なんです。
 しかしながら、都営住宅はこれまでファミリー世帯向けにつくられており、地元の新宿区にもかなりの戸数の大規模な団地がありますが、いずれも家族向けの住宅に単身で入居をしている人が多くいらっしゃいます。
 都営住宅はこれまで家族向けを前提としてきましたが、高齢者、若者を含め単身用の住戸の供給を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○妹尾建設推進担当部長 都は、都営住宅の建てかえに当たり、多世代共生に配慮して、ファミリー世帯向け住戸の供給を進めるとともに、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立ちまして、基準を設け、それぞれに対応する間取り及び規模の住宅を供給しております。こうしたことによりまして、平成三十年度に建てかえに着手した住宅のうち、約半数が単身者用の住戸となっております。
 なお、都営住宅では、単身者の入居資格を、六十歳以上の者、生活保護の受給者、心身障害者など、条例で定めております。

○秋田委員 今答弁にあったように、都営住宅では若年単身者は対象外とのことでございますが、昭和二十六年、約七十年前に制定された公営住宅法の枠組みのもとで募集や入居制度が決まっており、時代の変化に全くそぐわなくなってきていると思います。
 繰り返しますが、東京は世帯数の約半数が単身世帯です。都営住宅のあり方も時代に合わせた見直しが必要だと思います。都心部に働き手である若者が住めば、通勤時間が短くなって、余暇に使ったり、家族サービスに使ったり、余裕が生まれます。そして、余裕が生まれれば、自由な発想、生活を楽しむことができ、労働生産性も上がるのではないのでしょうか。
 私は先ほど、有史以来初めての変化、事態がこの国に訪れると申し上げました。一つは急速に進む少子高齢化であり、もう一つは有史以来かつてない数の外国人の皆様方の流入というお話をさせていただきました。
 それに伴い、働き方改革ということで、国の方では一・〇から二・〇への移行を進めております。しかし、欧米を見れば三・〇から四・〇に進もうとしているんです。二・〇に移行したところで、海外の欧米先進国は既に三・〇、そこから四・〇に進もうとしている。
 また、この国のことについていえば、戦後日本経済を支えてきたといわれている三種の神器、終身雇用、年功序列、企業内労働組合。多分、多くの人が、既に崩壊している、特に若者の方は恐らくそう思っているはずです。
 さらに申し上げれば、AIがこれからどんどん進めば、事務的な作業はロボットなりが進めていくわけです。皆さんが考えているよりも急速に、時代は、世界は進んでいるんです。
 新たに住宅政策本部をせっかく設立したのですから、根本的な思想を変えて、都営住宅のあり方の見直しを打ち出すべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 本年五月の住宅政策審議会答申では、いわゆる就職氷河期世代の人々などについては、住宅の確保が就労や将来的な家族形成につながるとの観点から、若年単身者の入居を可能とする仕組みについて提言がなされました。こうした若年単身者について、既存の応募資格者の入居機会を減ずることのないよう配慮しつつ、入居の拡大を図る必要があるものと考えております。
 また、住宅政策本部では、現在、福祉保健局が実施している就労支援策であるTOKYOチャレンジネットと連携して、低収入で住宅に困窮する若年単身者に都営住宅を提供しております。
 今後とも、住宅政策審議会答申の趣旨を踏まえ、応募割れしている住戸を活用したシェア居住の導入を含め、新たな住まい方を多角的に検討し、時代の要請に応じた不断の見直しを行ってまいります。

○秋田委員 私が好きな言葉で、ポスターとかにも記載していたりしたんですけれども、ダーウィンの言葉に、強いものが生き残るのでもない、賢いものが生き残るものでもない、環境に適応したものだけが生き残るのだという言葉がございます。
 繰り返しますが、時代は物すごいスピードで進んでおります。公営住宅法の根本的な思想は変わらない中で、我が国の家族のあり方や働き方は間違いなく大きく変わっております。住宅は衣食住の基本でございますから、国民生活の変化に応じたアップデートが必ず必要でございます。
 住宅政策本部は、都営住宅が時代の変化に応じたものとなるよう根源的な改革を行っていただきますよう、そして、決して死滅した恐竜にならないようお願いをして、質問を終わります。

○東村委員 四点の質問をしたいと思います。
 一つ目は、住宅セーフティーネット制度の質問をしたいと思います。
 事務事業概要説明の冒頭で、住宅は生活の基盤であると記載されておりました。人が生きていく上での最も重要な要素であると思っております。
 そのような中、低額所得者や高齢者、障害者、子育て世帯などのいわゆる住宅確保要配慮者にとっては、住まいの問題、これは切実な課題であります。このような方たちのために公共住宅の制度があるわけですけれども、セーフティーネットとしての都営住宅の倍率は依然として高く、入居は容易ではありません。
 他方、都内の空き家は、先ほど資料にもありました、約八十一万戸あるといわれており、この空き家を活用してのセーフティーネットの構築が今後重要になってくると考えております。
 この空き家の中には、腐朽という言葉なんですが、腐ったり、それから朽ちてきたり、こういうことを腐朽といういい方をしますが、腐朽や破損の住宅、さらに所在不明の住宅など、セーフティーネット住宅として適さないものもあります。
 そこで、都内の空き家約八十一万戸のうち、腐朽または破損していない賃貸住宅は、セーフティーネット住宅として活用可能なものと考えますが、どれくらいあるかお答えいただきたいと思います。

○澁谷住宅政策担当部長 総務省が実施いたしました平成三十年住宅・土地統計調査によりますと、都内の空き家数約八十一万戸のうち、腐朽、破損なしの賃貸住宅は約五十万六千戸ございます。
 ただし、補足でございますけれども、セーフティーネット住宅には住戸面積や耐震性等の要件がございますので、これらの要件を満たさない空き家は除かれるということになります。

○東村委員 今、五十万六千戸もあると。ただ、セーフティーネット住宅は条件があるので、住宅面積や耐震性の課題をクリアするのは、さらにこの中から絞られてくると思います。
 平成二十九年十月二十五日、改正住宅セーフティーネット法が施行されました。この施行により、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録制度がスタートいたしました。
 さらに、この登録住宅の中で、住宅確保要配慮者のみが入居可能な住宅を専用住宅として位置づけ、国、東京都、区市によって、まずは貸し主が改修費の補助や家賃の低廉化の補助及び家賃債務保証料の低廉化の補助を受けられるようになりました。
 具体的には、改修費補助、さまざまなスキームがあるんですけれども、高齢者、障害者のためにやる場合には六分の五補助される。限度額は二百五十万まで。また、家賃低廉化補助は、国、東京都、区市によって四万円補助される。また、家賃債務保証料は補助限度が六万円まで補助される。すばらしい制度だと思います。
 資料にも平成三十年度の実績が書かれておりましたけれども、現時点で都内に専用住宅、これは何戸あるのか、また、この専用住宅のうち実際に入居している住宅は何戸あるのか、区市別に説明を求めたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 住宅確保要配慮者の専用住宅は、現在、都内で二百一戸が登録されております。
 区市別の内訳は、千代田区で十五戸、中央区で百戸、世田谷区で二戸、杉並区で一戸、豊島区で一戸、練馬区で二戸、江戸川区で一戸、八王子市で三十戸、羽村市で四十九戸となってございます。
 区市等に聞き取ったところ、実際に入居している戸数は全体で百五十七戸あり、区市別の内訳は、千代田区で十五戸、中央区で百戸、世田谷区で二戸、八王子市で十五戸、羽村市で二十五戸となっております。

○東村委員 専用住宅、七区二市二百一戸。ただ、ここで特筆すべきは中央区、都心のど真ん中で百戸、頑張っているんですね。それから、専用住宅のうち既に入居しているのが三区二市百五十七戸、私の地元の八王子も入っていますが、ここでも中央区が百戸ある。相当これ、行政が努力をされている結果だと思います。
 都は、このセーフティーネット住宅を二〇二五年度までに三万戸確保するという目標を立てて取り組んでおられます。改正法施行より二年がたちましたが、先ほどの数を見ると、普及していないというのが実際感じる部分です。現状だと思います。
 都は、この間も、都議会公明党の要望を踏まえ、登録手数料を無料化し、関係者の負担軽減を図ってきたことは、一定の評価をしたいと思いますが、いまだ道半ばであるといいたいと思います。
 そこで、この住宅セーフティーネット制度が普及していない要因について、住宅政策本部はどのように分析し、現在どのように取り組んでいるのか、見解を求めたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 住宅セーフティーネット制度が普及していない要因についてはさまざまございますが、大きくは二つあり、一つは、貸し主等に制度が十分に浸透していないこと、二つ目に、住宅確保要配慮者の入居に伴う貸し主の不安が根強いことが挙げられると考えており、こうしたことから、都はこれまで、さまざまな施策を講じております。
 具体的には、貸し主や住宅確保要配慮者の方々双方に向け、改修事例を写真で盛り込むなどわかりやすいパンフレットを作成、配布していることに加え、不動産団体を通じた登録の働きかけを行ってございます。
 また、貸し主等の不安軽減を図るために、見守り支援事業等を行う居住支援法人と意見交換を行うなど、連携を図っております。
 また、本年六月から、入居者の死亡時に貸し主に生じる損失を補償する保険料への補助を、さらに、同年七月から、見守りサービスを行う居住支援法人を支援するモデル事業を行ってございます。

○東村委員 今、答弁の中で、不安を払拭するためのわかりやすいパンフレットを作成し、不動産団体を通じて働きかけをしているという話がありました。
 私は、もう一つ大事な視点が抜けているのかなと。それは、自治体、区市に直接働きかけなければ、これは区市が決断しなければ、さっき答弁がありましたように、専用住宅で七区二市しかやっていない、また入居は三区二市であると。この状況ではなかなか目標までは行かないんじゃないかと思っています。
 私もそう思いまして、地元八王子市の副市長に--もう今いらっしゃいませんけれども、これは非常にこれからのセーフティーネットで、しかも空き家活用という部分で大事な制度だから、八王子市としてもしっかり、予算編成に間に合わないかもしれないが、要綱をつくってでも取り組んでほしいという話をしたら、非常に理解をしていただきまして、これはいい制度だから我が市でもぜひともやりたいということで、三十戸という専用住宅を何とか設けていただきました。
 ただ、不動産団体の協力のもと、八王子も貸し主と借り主とのマッチングを行っているんですけれども、どうも不動産関係団体の間では、この住宅セーフティーネット制度については余り評価されておりませんでした。
 そこで、何が課題なのかということをこの不動産団体の人たちと意見交換をしたら、今の制度では、私たち不動産の人たちは通常の手数料を取ってやる仕事があると。しかしながら、これはなかなか手数料も入ってこないと。したがって、一生懸命やっても全く不動産事業者にはメリットがないんだということを本音で話してくれました。
 幾ら市が叫んでも、結局、協力をしてくれる不動産事業者の人が、メリットがないとなかなかできないという話になれば、この制度も進まないわけでありまして、中央区が百戸やっているというのは本当にすごいなと、恐らく相当行政がイニシアチブをとって頑張られたんだなと思いました。
 そこで、やっぱり貸し主や不動産事業者にとってもメリットって必要なんじゃないかと。やはり皆さん仕事としてやっているわけですから、それに対して何らかのメリットが生まれるようなインセンティブ--なかなか単刀直入にはいいにくいんですけど、報酬等のインセンティブもやっぱり必要になってくるんじゃないかと。そうしないと、なかなかこの制度も協力をしてくれる不動産事業者が出てこないんじゃないかと、このように思うんですけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 セーフティーネット住宅の普及促進に当たっては、貸し主及び貸し主に登録を働きかけていただく不動産事業者の皆様のご理解、ご協力をいただくことが重要でございます。
 こうしたことから、現在、住宅政策本部においては、不動産団体とも意見交換を行いつつ、貸し主や不動産事業者の皆様がセーフティーネット住宅の登録にメリットを感じていただけるよう、新たな取り組みを検討しております。
 今後も、住宅セーフティーネット制度の一層の普及促進に向け、取り組みを進めてまいります。

○東村委員 今、前向きな、新たな取り組みを検討しているというお話がございました。ぜひとも来年度予算に間に合うように何とか盛り込んでいただいて、やはり加速をしていかなきゃいけないと思います。
 先ほど申し上げました専用住宅の改修費補助、それから家賃低廉化の補助、それから家賃債務保証料の低廉化の補助、これは、実は国、都、区市で連動しなきゃいけないので、二〇二〇年度までの、今のところ時限措置になっているものもあるんですね。二〇二五年まで加速するためには、あと一年しかないんですけれども、今回、東京都が、榎本本部長を筆頭に継続するように国に提案要求もしていただきました。ぜひとも我が党も、我が党の国会議員に、これを継続するように強く働きかけをしていきたいと思いますが、セーフティーネット住宅制度、二〇二五年まで三万戸、この普及促進に向けて、かなりハードルは高いと思いますけれども、この目標達成に向けての、この質問の最後に榎本本部長の決意を伺いたいと思います。

○榎本住宅政策本部長 住宅は都民生活の基盤でありまして、良好な地域社会の形成、ひいては都市の活力と持続的発展にとって、居住の安定確保というのは必要不可欠であると考えてございます。
 とりわけ、高齢者や障害者など住宅確保要配慮者の方々の居住の安定確保というのは極めて重要でございまして、平成二十九年十月の住宅セーフティーネット制度の開始以降、都は、さまざまな媒体を活用した広報を実施いたしますとともに、手数料の無料化等による申請者の負担軽減を図るなど、制度の普及促進を図ってまいりました。
 また、今年度からは、見守りサービス支援モデル事業等、住宅確保要配慮者の入居に伴います貸し主の不安の軽減に向けました取り組みを実施しておりますほか、先ほど委員からもお話がございました不動産事業者等へのインセンティブを通じた登録促進等、こういった新しい取り組みにつきましても鋭意検討を進めているところでございます。
 私もかつて、住宅局といっていた時代でございますけれども、局職員でございました。そのとき高齢の方から、都営住宅、なかなか入るの難しいねというようなお電話を直接受けたことが何度かございます。こういった方々に対しまして、セーフティーネットの構築というのは改めて必要であると今考えているところでございます。
 今後とも、制度の一層の普及を図りますために、貸し主あるいは不動産業者の団体の方々、あるいは居住支援法人等、住宅セーフティーネット制度に関係する方々の皆様のご協力をいただきながら、また、今お話にございました国への働きかけ、こういったことも積極的に引き続き進めまして、効果的な施策を積極的に展開いたしまして、都民の居住の安定を実現してまいります。

○東村委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。
 次いで、災害時における住宅確保並びにその損害への補修支援、これについて二点ほど質問したいと思います。
 去る十月十二日の台風十九号は、都内各所においても甚大な被害をもたらし、私の地元八王子においても、市内各所において道路の崩落、通行が不可能という道路もまだございます。河川堤防や護岸の崩壊、住宅の全壊が十世帯など、甚大な被害が発生しました。護岸の崩壊も、まだこれからだということですが、東京都、局は違いますが建設局、今一生懸命尽力をしていただいています。
 そういう中、これに先立って都議会公明党は、九月二十四日に、台風十五号、十九号の前の十五号による被害の実際の現場を視察して、住宅損壊への支援について小池知事に緊急要望を行いました。
 一つは、住宅損壊の修理が済むまでの間住むところがないわけですから、こういった住宅を使うことが困難な被災者については、こういうときこそ都営住宅が使用できるように柔軟に対応していただきたいということ。もう一つは、従来全く支援がなかった住宅の一部損壊、屋根が飛んだというのは、これは一部損壊に当たって、半壊にまでいかないそうです。ただ、屋根が飛ぶと当面住めないわけで、修理にも時間がかかります。こういった一部損壊についての支援もしっかり行うよう、新たな制度構築も含めて積極的に対応していただきたいということを、この二点、小池知事に直接緊急要望いたしました。
 その際、知事からは、関係局と相談の上、検討していくと答えられました。
 この申し入れを受け、東京にも甚大な被害を及ぼした台風十九号の際には、住宅を使うことが困難な被災者については修理が済むまでの間都営住宅が使用できるようになったのか、都の対応について伺いたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 台風第十九号による大雨及び浸水等により生活に大きな支障を来している都民の生活再建等を支援する観点から、緊急に住宅を確保する必要があるため、都営住宅を緊急一時避難施設として提供することとしました。
 入居の対象は、台風により被災し、住宅が損壊または浸水などにより居住継続が困難になった世帯としており、台風第十五号への対応と同様に、一部損壊でも罹災証明があれば入居できることとしました。
 また、使用期間は原則、使用許可日から六カ月以内とし、やむを得ないと認められる場合は、六カ月以内の期間で更新できることとしました。
 さらに、被災者の負担を軽減するため、住宅の使用料、敷金、駐車場使用料を免除とし、また、照明器具やガスコンロ、布団などの備品を用意して、入居後速やかに生活できるよう配慮しました。
 これにより受け入れた世帯数は、十一月二十二日現在で受け付け件数八十七件、入居済み件数は五十件となっております。

○東村委員 迅速な対応、大変ありがとうございます。
 私の地元でも、護岸がえぐられて家が傾いて住めなかった人が、すぐに都営住宅に入居できるようになったということで、大変感謝をされていました。今おっしゃったように、使用料、敷金、駐車場も免除し、備品まで用意していただいたということで、本当にこの都の対応に感謝をされておりました。
 その上で、もう一つ、従来全く支援がなかった住宅の一部損壊について、屋根の修理など支援が行えるよう、新たな制度設計をしていただきたいというお願いをしましたが、これについてはどうなったのか、都の見解を求めたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 台風第十五号、第十九号の被害について、国は、これまで災害救助法に基づく応急修理の対象としてこなかった一部損壊の住宅等についても新たに対象とするなど措置を講じておりますが、都として、この国の措置でもなお対象とならない一部損壊の住宅について、緊急対策として、区市町村を通じた支援措置の検討を進めてきたところでございます。
 今般、令和元年度十二月補正予算案として、十一月十五日に、住宅被害対策区市町村支援事業を公表いたしました。
 この支援事業では、区市町村が被害を受けた住宅の補修工事を行う方に対して補助金を交付する事業を行う場合に、その費用の二分の一を補助するものでございます。区市町村が負担する費用を含めた補助金の上限額は、三十万円または補修工事に要する経費の二分の一のいずれか少ない金額としております。この事業の補正予算案として二億五千万円を計上してございます。

○東村委員 本当に積極的にご検討いただいてありがとうございます。
 補正予算案に、今申されましたように、工事費の二分の一もしくは三十万の少ない金額という話がありました。大体聞いたら四十万から六十万かかると。六十万かかった場合の二分の一は三十万円です。したがって、限度額の三十万まで補助していただける。半分の補助というのは本当に助かるわけでありまして、この制度についても、早速、補正予算案に計上されたという話をしたら、本当に現場の皆さん喜んでおられまして、いずれも都営住宅の問題も積極的に対応していただいた住宅政策本部の皆さんの労に感謝をしたいと思います。
 次に、三つ目としまして、都営住宅入居者の肢体に障害を持った方への対応、これについて質問したいと思います。
 肢体に障害を持った車椅子の方は、本来、都営住宅の中でもバリアフリー住宅に入居できることになっていますが、バリアフリー住宅は数が限られており、なかなか入居できないのが現状です。
 そのような中、都議会公明党に、バリアフリー住宅に入居できずやむを得ず都営住宅の一般住宅に入居された、肢体に障害を持った車椅子の方から相談がありました。その内容は、都営住宅の鉄の扉を一人であけることができず、結果、第三者の手をかりなければならないということでありました。
 そこで、バリアフリー住宅に入居できず一般の都営住宅に入居されている方については、引き戸の玄関ドアにするなどの改修支援を行っていくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○金子営繕担当部長 都営住宅におきましては、高齢者や障害者の方からのご要望に合わせて、玄関ドアをレバーハンドルにするなどの住宅設備改善を実施しております。
 しかしながら、既存の住宅の玄関ドアを引き戸に改修するためには、扉をおさめる戸袋の設置により既存の窓を塞いで居住環境が低下するおそれがあることや、引き戸の設置により既存の壁や柱の一部を削る必要があることなどから、構造上、防火上の問題を生じるおそれがあることなど、多くの課題があると考えております。

○東村委員 今、玄関ドアのレバーハンドルという話がありましたが、これも結局その方はだめでした。
 今、構造上、防火上の問題のため、ちょっと引き戸にするのは難しいという話がありました。これはよく理解できます。
 せめて、このような方がどれくらいいらっしゃるのか、東京都は実態を把握すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○金子営繕担当部長 障害を持った方の住宅設備改善のニーズの把握は重要でございます。実態把握に当たりましては、プライバシーへの配慮や個人情報の取り扱い等の課題があることから、その方法などについて検討してまいります。
 日常の入居管理におきまして、このようなニーズが明らかになった場合には、きめ細やかな対応に努めてまいります。

○東村委員 今後、実態把握の方法について検討していくとのことですが、そのような方たちの数が明らかになった場合には、ぜひとも都営住宅の建てかえの際には、その数の分、バリアフリー住宅をふやしていただきたい、このように強く要望いたします。
 最後に、都営住宅の浴室設備の更新について述べたいと思います。
 都営住宅の浴室設備については、昭和五十六年度以前に建設された都営住宅には浴室設備が設置されておらず、入居者自身が設置をしていました。
 都は、昭和五十七年度から、建てかえ時に浴室設備の設置を開始し、平成二十年度からは、居住者が退去した際に行う空き家修繕の際に設置を行っています。その結果、都が浴室設備の設置をしていない住戸数は、この十年間で約十二万一千戸から約六万五千戸まで減少しました。いまだ六万五千戸の住戸については入居者自身が浴室設備を設置しなければならない状況に置かれています。
 入居者が高齢化し、体力的に厳しい状況の中、あの浴室のハンドルを回せないという人も出てまいりました。浴室を取りかえるには経済的に厳しくて、なかなかかえられないという話もありました。
 都議会公明党は、このような負担の不公平感を一刻も早く改善すべきであると何度も代表質問で取り上げてきました。本年第二回定例会の我が党の代表質問に対し、都は、これまでの建てかえや空き家修繕の際の設置に加え、入居中の住宅においても効果的な進め方についてさらに検討すると答えました。
 一刻も早く具体策を明らかにして、浴室の整備を進めていただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○和泉委員 よろしくお願いします。
 住宅政策本部がことし四月に立ち上げられて、最初の事務事業質疑ということになります。
 東京を住み続けられるまちとして都民の暮らしを支える上で、住宅政策本部の果たすべき役割、責任は大きいものがあります。とりわけ都営住宅は、都も繰り返し答弁されていますとおり、住宅セーフティーネットの中核です。低所得の方、高齢者、ひとり親世帯、障害者など、物価が高い東京で暮らしていくことに困難な条件を持つ都民が、低廉な家賃で安心して暮らしていける生活の基盤を提供しています。
 都営住宅の営繕や建てかえは、そこに住む都民の暮らしの質を担保するという点でも、住宅セーフティーネットの中核としての都営住宅が担う重要な役割です。この観点から質疑を行います。
 北青山一丁目都営住宅についてです。
 まず、レバー式の給水栓の問題です。
 現在のレバー式の給水栓は、レバーを上げれば水やお湯が出るというものになっています。しかし、かつては逆になっていて、多くがレバーを下げて水やお湯を出すものでした。北青山一丁目都営住宅に設置された給水栓も、この下吐水型の給水栓です。
 しかし、このタイプの給水栓は、欧米では上げることで水を出すという方式が圧倒的だったこと、さらに、阪神・淡路大震災、地震などで、レバーの上に物が倒れたりして水が出っ放しになったこともある、そういったことから震災対策も含めて、日本工業標準調査会で、一九九七年に、一九九九年度末には廃止するということが決められてしまいました。
 問題は、このために、パッキンなどの故障によって水漏れが発生した際に、通常ならパッキンだけを交換すればいいところを、補修部品が既に製造中止になってしまったがために、給水栓ごと取りかえなければならなくなってしまったということです。規格の変更は何ら住民の責任ではないにもかかわらず、ほかの規格の給水栓が設置された住民と余りに不平等な住民負担となってしまっています。
 この給水栓の交換は都が責任を持つべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○金子営繕担当部長 メーカーに問い合わせをいたしましたところ、業界団体のガイドラインでは、補修部品供給責任十年と規定されておりまして、下吐水型の給水栓は平成十二年三月に製造を中止し、平成二十七年四月にはパッキン等の補修部品の供給を停止しているとのことです。
 そのため、水漏れの際には給水栓ごと取りかえなければならない状況となっております。引き続き、メーカーには補修部品の供給など対応を要請してまいります。

○和泉委員 メーカーにパッキンの供給を求めるのは大切なことだというふうに思うんですけれども、パッキンが供給されないもとでは、貸し主である都の責任で、レバーを上げて水を出す上吐水型の給水栓に交換するべきだというふうに思います。
 当該自治会が昨年六月に調査した結果は余りに深刻です。一、二号棟合わせて二百二十五世帯のうち、八十三世帯で水漏れしているんです。五世帯に二世帯の割合です。ところが、給水栓の交換には四万円くらい費用がかかります。そのために、修理をせず、給水栓の根元にタオルを巻いたりして我慢しているということでした。
 住民は、このタイプの給水栓を勝手に設置をしたわけでもなく、使い方に問題があったわけでもないのに、大半の方が大変生活に不便を来しています。だったら、北青山一丁目アパートの下吐水型給水栓は、都の責任において取りかえるのは当然だと私は思います。少なくとも水漏れしている世帯に関しては、早急に対応していただくことを求めておきたいと思います。
 続いて、ここの駐車場についても伺います。
 地下にある駐車場については、料金がとても高いというふうに聞いています。算出の方法と現在の駐車場台数、契約台数についてもあわせて伺います。

○土屋経営改革担当部長 北青山一丁目アパートは、都営住宅と都施行型都民住宅との合築でございます。
 駐車料金の額は、東京都営住宅条例等に基づき、一月につき五万五千円以内で、近傍の民間駐車場の賃料水準等を考慮して、地域ごとに知事の定める額の範囲内において指定管理者が定めることとしております。指定管理者は、近傍類似の駐車場賃料を調査し、その上限と下限の範囲で、当該駐車場の大きさ、種類等に応じて設定しております。
 北青山一丁目アパートの地下駐車場の区画数は、本年十月末現在、百五十一、契約区画数は四十六です。
 なお、北青山一丁目アパートについては、これ以外に、駐車場の空き区画の活用としてコインパーキングを設置しております。設置区画数は四十でございます。

○和泉委員 百五十一台分の駐車場がありながら、実際には四十六台しか契約をしていない、それが実態だということがわかりました。
 この駐車場の月額使用料は四万三千円ということですから、もちろん、この都心のど真ん中、近隣の近傍同種ということで比較すれば決して高くはないのかもしれない、けれども都営住宅にお住まいの方たちにとっては大変高額だということになります。
 私が現地に行ってお話を伺った自治会長さんは、あいている駐車場を使ってカーシェアリングをやらせてもらいたいというふうに話しておられました。自動車を所有して毎月四万三千円もの駐車場料金を払うことはとてもできない。けれども何かあったときに自動車を使いたいときもある。そんなときのためにカーシェアリングができれば、家族を病院や介護施設に連れていかなければならないときなどに大変便利だということです。
 私は、この要望を本当にもっともだというふうに思いますし、しかもとても切実だと思います。ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の駐車場の空き区画は、居住者の利用に支障のない範囲で地域住民向けに貸し出すとともに、居住者の来客や介護車両などの一時的な駐車ニーズに対応するため、コインパーキングを設置しております。
 一方、こうした駐車ニーズへの対応とは異なり、事業者によるカーシェアリングは、事業者が駐車スペースに置いた車両を事前登録した会員が利用し合うサービスです。導入に際しては、公有財産上に設置する際の取り扱いや、貸付料や期間等の設置に当たっての条件などの課題について、慎重に整理する必要があると考えてございます。

○和泉委員 もう既に百五十一台のほかにコインパーキングもあるということですから、公有財産上に設置する際の取り扱い、貸付料とか期間、これらのものは十分にクリアできていくんじゃないかというふうに思いますし、今のご答弁ですと課題の整理が必要だということですから、その課題の整理ができれば可能なのではないかというふうにも思います。ぜひ、居住者の暮らしの質を向上させる、安心を担保するという点で、具体化をしていただきたいというふうに思います。
 続いて、荒川七丁目の都営住宅の建てかえについて伺います。
 建てかえに伴って、現在の一号棟、建てかえ後はA棟ということになるようですけれども、二基あったエレベーターが一基になってしまう、このことに対して、従前よりも住環境が悪化するという住民からの声が上がっています。なぜこのような状況になるんでしょうか。まず説明をお願いいたします。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅のエレベーターにつきましては、一般社団法人日本エレベーター協会の基準に準拠して、都営住宅の設計要領を定め、それに基づいて計画を行っております。
 エレベーターの台数は、エレベーターまでの歩行距離、建物の階数のほか、主にエレベーターを利用する三階以上の計画居住者数などに基づいて計画を行っております。
 お話の荒川七丁目団地におきましては、歩行距離や階数については建てかえの前後でほぼ同等でございまして、二基必要とする水準には至っておりません。三階以上の計画居住者数につきましては、建てかえ前は二基の設置を必要とする人数でございましたが、建てかえ後はその人数が六割弱に減少したため、設計要領に基づき算定した結果、一基の設置としたものでございます。

○和泉委員 エレベーターの計画台数は、エレベーターまでの歩行距離、階数のほか、三階以上の居住者数などによって決まると。そのうち、歩行距離や階数は建てかえの前と後では変わらないけれども、計画居住者数が減るから、エレベーターの設置の基準を定めた要領に基づいてエレベーターの数を減らすんだというお話です。
 けれども、この計画居住者数ですが、これが減るのは、建てかえの前と後では戸数はほとんど同じであるにもかかわらず、型別供給で八割以上の住戸を一人もしくは二人しか住めない一DKや二DKの住戸にしてしまうからです。型別供給に固執して、将来にわたって一人か二人向けの住戸しか準備をせず、子供のいるファミリー世帯が入らない建てかえ計画になっていること自体が問題だというふうに思います。
 そして、何よりもひどいのは、圧倒的に戸数の多い一DK、二DKに住むのは、高齢の方たちだということです。エレベーターが一基になってしまっては、エレベーター点検などの際には最上階の九階まで階段を上りおりしなければならなくなります。こうしたときにはおおよそ外出はできなくなるでしょう。せめてこれまでの住環境を維持してほしいというのは、余りに当然の声です。
 歩行距離、階数、三階以上の計画居住者数に関する答弁ありましたけれども、この都営住宅において二基のエレベーターを設置するためには、あとどのような条件が必要なんでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅において、二基のエレベーターを設置するための条件は、エレベーターの乗降扉から最も離れた住戸の玄関扉までの歩行距離が五十メートルを超える場合または階数が十三階以上の場合が該当します。
 このいずれにも該当しない荒川七丁目団地の場合は、三階以上の計画居住者数がおおむね三百人以上であればエレベーターを二基設置する水準に該当いたします。今回、建てかえ後はその人数がおおむね二百四十人であることから、一基を設置する計画としたものでございます。

○和泉委員 この基準ですけれども、先ほど一定の基準に準拠して設置をされているという答弁ありましたけれども、公営住宅を整備する自治体はその基準に必ず従わなければならないものなんでしょうか。また、国の一定の設置基準を上回って都がエレベーターを設置した場合に、このエレベーターの設置費用に対して国の補助が入らない、そのような不都合が生じるんでしょうか。それぞれお答えください。

○妹尾建設推進担当部長 先ほどもお答えいたしましたが、国のエレベーター協会の基準に準拠して、都は、要領を定めて設計を行っております。
 補助金につきましては、確認の上、お答えさせていただきたいと思います。

○和泉委員 国のエレベーター協会の基準に準拠してというご答弁ですけれども、私が伺ったのは、必ずその基準に従ってエレベーターの台数を制限しなければいけないということなんでしょうかというふうに伺いました。もう一度お答えいただけますでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 エレベーター協会の基準に準拠して設計要領を定め、それに基づいて施設それぞれの状況を勘案しながら計画を行っております。

○和泉委員 この基準に準拠しながら、でも、それぞれの状況に応じてという答弁です。国の基準を上回って設置しても、それで、どうしてもその基準を守らなければいけない、制限しなければいけない、そういう性質のものではないということが今の答弁からもわかると思います。その基準を上回って設置した場合に、その分について国からお金が出なくなるのか、この点については後ほどで結構ですので、お答えいただきたいというふうに思います。
 国がつくったエレベーターの設置基準が公営住宅を整備する自治体を縛るものでないとするならば、国の基準を金科玉条にするのではなくて、都としてもっと居住者の実情に応じた柔軟な措置をとるべきじゃないでしょうか。都営住宅に長くお住まいの方が高齢を迎えて、建てかえられた住宅に移るときに建てかえる前よりも住環境が悪くなるというのは、非常に重大な問題です。より住環境の向上を目指す上で、建てかえを進める。そして、都営住宅に暮らす都民の暮らしの質を担保するべきです。都がその責任を果たすことを改めて求めておきたいというふうに思います。
 さらに、建てかえに当たってですけれども、建てかえ時の移転費用、都営住宅の場合には幾らになっているでしょうか。また、ほかの公共住宅はどのようになっているんでしょうか。金額の算出の根拠、どのようになっているかもあわせて伺います。

○妹尾建設推進担当部長 ただいまのご質問にお答えする前に、先ほどの計画台数について再度お答えをいたします。
 要領に基づいて行っている計画でございますが、荒川七丁目の団地では三階以上の計画居住者数がおおむね三百人以上であれば二台の基準に該当するということでございますが、本件の場合は二百四十人程度でありますことから、一台の設置としたものでございます。
 ただいまのご質問にお答えいたします。
 都営住宅の建てかえに伴う移転料は、現在一回の移転につき十七万一千円でございます。移転料につきましては、国の公営住宅等整備事業対象要綱で示されている移転に係る補助対象額を参考に、通常の移転に必要な額を支払っております。
 なお、公社住宅の移転料につきましては、三十万円と聞いております。

○和泉委員 ちょっとエレベーターの話をさせていただきますけど、国のエレベーター協会の基準に準拠して設置することになっているんだと。計画台数は、三階以上の計画居住者数が三百人以上だと二台だけれども、今回荒川七丁目の場合には二百四十人だと。だから一台にしたんだというお話ですけれども、それぞれの建物の状況に応じて私は考えるべきだというふうに思います。
 先ほど申し上げたとおり、圧倒的多数は一DK、二DKに暮らす高齢者の方たちなんです。そういった建物が持つ、都営住宅が持つ特性に配慮しないで、一律に基準を当てはめる。こういったことは、あるべき姿ではないということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。
 移転料の話です。
 答弁のとおり、公社住宅の場合には、移転料は出るときに三十万円、戻るときに二十万円、合わせて五十万円出るんです。移転先でカーテンなど家庭用品をそろえなければならないだろう、こういった配慮も含まれた設定であるという説明を受けました。
 都営住宅の移転費用を公社住宅と同程度に引き上げるべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 都におきましては、通常の移転に必要な額をお支払いしているものと認識してございます。

○和泉委員 必要額を払っているとおっしゃいますけれども、一方は都が供給する都営住宅、もう一方は都の政策連携団体である東京都住宅供給公社が供給する都公社一般賃貸住宅の引っ越しに必要な費用。これが大きく変わるというのは、想定しがたいものがあります。
 また、国の公営住宅等整備事業対象要綱では、消費税が五%から八%に引き上げられたときに、移転経費の上限を十七万一千円から十七万六千円に、さらに一〇%への引き上げで、十月一日から、十七万九千円に引き上げています。しかし、都は、十七万一千円に移転費用を据え置いたままです。
 消費税率が引き上げられれば、その分引っ越し費用が引き上がる。それを考慮した改定を国はやっているにもかかわらず、なぜ都は反映しないのか。ここにも大きな疑問が生じます。少なくとも増税分くらいは移転料を引き上げるべきです。
 また、移転に当たっては、まず自分で費用を払って、移転した後、移転料が支払われる仕組みになっていますけれども、工面できない世帯もあると思います。そのような住民に対してどのように対応しているんでしょうか、伺います。

○妹尾建設推進担当部長 移転料につきましては、移転が完了した後、移転の事実が確認できたときに支払うことを原則としておりますが、生活困窮者等で移転料の前払いが必要であると認められる居住者の方には、移転料を前払いすることができるとしております。

○和泉委員 移転の事実が確認できたときに支払うというご答弁ですけれども、移転の事実の確認というのはどのようにして行われているんでしょうか、伺います。

○妹尾建設推進担当部長 建てかえに伴います移転料は、都が移転の完了を確認した上で支払うものでございますが、具体的には、建てかえを行う住宅建設事務所が、移転後の状態を確認して、支払いの手続を行っております。

○和泉委員 住宅建設事務所が移転したかどうかを確認するというご答弁だとすれば、何も後払いにしなくても、十分に移転したかどうかの事実は確認できる。移転の事実確認を移転料の支払いの要件にすること自体、合理性がないということになるんじゃないでしょうか。後から支払われるとしても、移転に当たって自分で費用を工面しなければならない仕組み自体を、私は改めるべきだというふうに思います。
 前払いが可能であることについては、どのように周知しているんでしょうか。説明会で資料として配ることはもちろん、全居住者にチラシなどを配布して、周知徹底することが必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 移転を行っていただく居住者の方と、個別のご相談の際に対応いたしております。

○和泉委員 個別に対応ということですけれども、都営住宅の居住者というのはそもそもが経済的に十分な収入がないわけですから、前払い制度そのものを改めるとともに、少なくとも、現状でも前払いがあるということについては制度を徹底的に周知するべきであると重ねて訴えておきたいというふうに思います。
 建てかえの発表から説明、時期、工期について一方的な決定で、説明会後の移転時期も急過ぎると、建てかえに当たって相談を受けることが多いのが実情です。住民の実態に合わせて、早目の発表、そして十分な説明と十分な準備期間が必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建てかえにつきましては、都民のセーフティーネットとしての機能を保持するため、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案しながら、計画的に実施しております。
 建てかえに伴う居住者の移転につきましては、計画がまとまり次第、居住者に説明し、理解を得ながら進めております。

○和泉委員 理解を得ながら実施するという点は大事だというふうに思います。住民の方たちは次の引っ越し先がどのような環境なのか、戻ってきたときの状況や間取りがどうなっているのかなど、移転を迫られる住民の皆さんには不安や確認したいことがたくさんあるはずです。せかされて、慌ただしく移転を迫られるようなことは、とりわけ高齢の居住者の皆さんにとっては、健康にまで影響を及ぼしかねません。計画がまとまり次第居住者に説明するのはいいとしても、対応を急がせないでいただきたいというふうに思います。住民の不安や疑問に寄り添って、丁寧に進めていただくよう改めてお願いをしておきます。
 さて、先ほど風呂釜、給湯器のことも東村委員から触れられましたけれども、昭和五十六年度以前の都営住宅については、浴室の整備、更新が自己負担ということになっています。
 都は、この浴室設備の都の負担について、効果的な進め方について検討するというふうに答弁をされてきたのは、先ほどもお話がありました。その後の検討状況はどのようになっているでしょうか、改めて伺います。

○金子営繕担当部長 昭和五十六年度以前の都営住宅につきましては、当初建設時、都は浴室の設備を設置してまいりませんでした。昭和五十七年度から、建てかえ時に設置を開始いたしまして、平成二十年度からは、居住者が退去した際に行う空き家修繕の際に設置を行ってまいりました。その結果、都が浴室の設備を設置していない住戸数は、この十年間で約十二万一千戸から約六万五千戸まで減少しております。
 一方、入居の際に居住者がみずから設置した浴室の設備の更新につきましては、居住しながら効率的に工事を行う方法などの検証を行っております。
 これまでの建てかえや空き家修繕の際の設置に加え、入居中の住宅におきましても効果的な進め方について検討を進めているところでございます。

○和泉委員 検討していきますというこれまでの答弁から、もう既に検討していますということですから、一日も早く入居中の住宅における効果的な進め方を示していただけるよう私からも最後に改めて求めて、質疑を終わります。
 以上です。

○中村委員 それでは、住宅政策本部の事務事業について質問します。
 事業概要には、平成三十年度の総務省の調査で、都内の空き家は八十一万戸とのことです。高齢化の進展、人口、世帯数の減少が見込まれる中、空き家に関して適正管理、有効活用、発生抑制を三つの柱に、引き続き空き家対策に強力に取り組むとしています。
 この同じ調査の数値では、世帯数が住宅数を逆転するのは昭和四十三年から四十八年の間で、このときも空き家率は四・〇から五・六%なので、住宅が足りなくても空き家はゼロにはならないようですが、このころから、住宅そのものは統計上は足りているということになります。
 一方で、都営住宅は二十六万戸あり、市場において自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯への住宅供給を行う施策の中心的役割を担うとしています。しかし、全体の倍率が十倍を超え、高いところでは百倍を超え、入れるか入れないかで不公平になっています。
 今回とりわけ、こうした超高齢社会に向けての対策と施策が真に困窮した方に届くことと公平性に焦点を当てて、質問していきたいと思います。
 最初にまず、民間の住宅であるマンションについて質問します。
 ことしは大型の台風が襲来し、対策の補正予算も組まれますが、いつ起こるかわからない地震への備えは常に重要です。マンションの老朽化と同時に住民も高齢化すると、ますます建てかえは難しくなります。先々、建てかえないまま老朽化したマンションが震災時に倒壊すれば、周辺に危険をもたらします。
 緊急輸送道路の沿道建築物のように、耐震診断を義務化し、補助金も出すように、規制と補助を一体として耐震化を進められないかと考えています。
 都は、マンションの耐震化の促進についてどのような考え方をもとに取り組んでいるのか伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションの耐震化を促進するためには、多数の区分所有者の合意形成が必要であるため、費用負担の軽減に加え、区分所有者が主体的に取り組むよう働きかけることが重要でございます。
 このため、都は、区市等による耐震アドバイザーの派遣や耐震診断及び改修等に対する助成事業等の取り組みを財政的に支援しております。
 平成三十年度からは、耐震診断の実施等に取り組んだものの次の段階に進んでいない管理組合等に対して、建築士などの専門家を繰り返し派遣し、耐震化の実施に向けた合意形成を支援してございます。
 さらに、今年度からは、災害時に多数の者に危険が及ぶおそれのある延べ面積一千平方メートル以上のマンションの改修等に対する補助率を二三%から三分の一に引き上げ、助成制度を拡充しております。
 こうした取り組みにより、分譲マンションの耐震化を進めてまいります。

○中村委員 専門家の派遣や補助率の引き上げなどに取り組まれていることはわかりますが、先ほど述べたように、緊急輸送道路沿道の建築物は、耐震診断を義務化していても、進めるのに大変苦労していました。今後、マンションの老朽化と同時に住民の高齢化が進むと、ますます合意形成が難しくなることが予想されます。
 個人の資産でありながらも周辺に危険をもたらすという点では、緊急輸送道路沿道と同じともいえなくもないので、合意形成に向かうよう一定の法的枠組みをつくり、進めることが必要だと思いますので、改めて検討することを求めます。
 さて、マンションだけではなくて戸建てについても、住民の高齢化は課題になります。とりわけバブルのころに購入し、都心から離れた地域で、さらに駅からも遠い戸建ては大変です。本人が高齢化をし、子供が自立をすると、不便なので売却をして駅の近くに住みかえようと思っても、想定しているような価格で売却できず、引っ越せないようです。所有者が亡くなると、子供は既に別居しているので売却もできず、そのまま空き家になる例も多いようです。空き家そのものの対策も必要ですが、高齢の方が売却できず、郊外で孤立していくことを防ぐための対策も必要です。戸建てなど民間住宅の中古流通市場が十分ではないことも一因です。
 そこで、高齢者の住宅問題に対応するためにも、住宅の中古流通市場が必要であると考えますが、見解を伺います。

○澁谷住宅政策担当部長 都内の高齢者世帯の持ち家につきましては、今後、空き家となる可能性があるものもあることから、空き家の発生を抑制し、既存住宅流通市場を活性化させる取り組みは重要でございます。
 このため、都におきましては、これまでも、空き家のワンストップ相談窓口の開設や東京空き家ガイドブックを用いた普及啓発、事業者グループによる既存住宅の売買に係る相談体制の整備などに取り組んでまいりました。
 引き続き、こうした施策を推進し、高齢者世帯の持ち家を含む既存住宅の流通促進を図ってまいります。

○中村委員 郊外に住むご高齢の方が亡くなった後に空き家が発生することも問題ですが、その前に、まだまだ元気に生活している人が地域で孤立していかないよう、希望すれば住みかえができるようにするためのサポートが必要です。
 中古流通市場の活性化だけではなくて、相談体制についてもお答えいただきましたが、大変重要なことです。住まいは生活そのものですから、単に不動産の取引だけではなく、その人にとって一番よい老後の暮らしのサポートができるような窓口にしていただきたいと思います。
 さて、平成二十三年の法改正により制度が創設された高齢者の住まいとして、サービスつき高齢者住宅、略してサ高住があります。高齢者がサービスを受けながら地域で自立した暮らしができる住宅として期待しています。ところが、広告などもよく目にしますが、家賃の幅が広いことは理解してはいますが、家賃が高く、入居が難しいのではないかとの懸念もあります。
 制度が始まって数年たちますが、どのくらい普及しているのでしょうか、政策の狙いは達成しているのでしょうか、伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、高齢者が住みなれた地域で安心して住み続けることができるよう、生活支援や介護、医療等、高齢者の多様なニーズに対応し、主として中堅所得者層が適切な負担で入居できるサービスつき高齢者向け住宅等の供給を促進してございます。
 これまで供給されてきたサービスつき高齢者向け住宅は、幅広い価格帯の家賃が設定されており、入居希望者のニーズに応じた住戸の選択が可能となっております。このうち、平均家賃が十万円未満の住宅が約六割となっており、比較的低廉な家賃の住宅も供給されてございます。
 都は、サービスつき高齢者向け住宅等の令和七年度末までの整備目標を二万八千戸としており、平成三十年度までの実績は二万七百五十一戸と、着実に整備が進んでおります。
 引き続き、高齢者が安全・安心に暮らせる住まいの確保に取り組んでまいります。

○中村委員 低廉な住宅もあるということだそうなので、目標に向けて進んでいることは確認しました。介護サービスを受けなくても、見守りやちょっとした支えで自立した暮らしができる方々が大勢います。このサ高住はまさしく住宅と福祉の融合ともいえる制度であり、さらなる拡大に努めていただきたいと思います。
 住宅は生活そのものだけに、福祉だけではなくて、就労とも密接にかかわります。これから始まる第四回定例会では、就労困難者と認められる者が他の従業員とともに働いている社会的企業、これをソーシャルファームというそうですが、その支援を通じて就労を支援する条例が提出をされます。
 就労困難な方は、就労を支援するだけではなく、住宅の支援もセットで政策を展開すると、より有効です。
 そこで、福祉や雇用施策と連携した住宅政策が、今後、より一層重要になると考えますが、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 住宅政策本部では、都営住宅の住戸を知的障害者グループホームとしての活用のほか、ホームレスに対する住宅支援など、福祉施策との連携による施策を実施しております。
 また、現在、福祉保健局が実施している就労支援策であるTOKYOチャレンジネットと連携して、低収入で住宅に困窮する若年単身者に対して都営住宅を二十戸提供しており、昨年度は六十九名の利用がございました。
 本年五月の住宅政策審議会答申においても、福祉や就労事業との連携が提言されており、今後とも、都のさまざまな施策との連携を進めてまいります。

○中村委員 就労にさまざまな困難を抱える方がいますが、就労だけに困難なのではなく、住宅についても苦労されていることが当然多いのであり、生活全般の支援となると、住宅、福祉、就労と密接な関連があるため、より一層連携しての取り組みを求めます。
 さて、今の就労についての質問で、ホームレスの方々に対する住宅支援も行っていると答弁がありました。私は、都営住宅が真に困窮した方々の支援のために活用されることは重要だと考えています。ホームレスの方々の支援として、都営住宅に入居を認め、自立支援に取り組むことも必要な場合があると考えます。
 そこで、ホームレスの方々の支援として、都営住宅を、真に困窮した人の入居と福祉施策を組み合わせた利用の仕方を検討できないかと考えますが、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 ホームレス支援として、都営住宅では、真に住宅に困窮する低所得者に対し住宅を的確に提供していくという公営住宅法の趣旨に基づき、特別割り当て制度を実施しております。平成十四年度から、自立支援センターを自立により退所する方向けに、割り当てを実施しております。
 なお、平成三十年度については二十戸割り当てております。

○中村委員 支援することは大切ですが、いろんなケースもあるので、自立支援センターを退所した方だけではなくて、直接都営住宅に入居を支援することも考えられるのではないかと思います。一人一人に合った支援があると考えますので、福祉の担当と連携するということですが、住宅そのものにも福祉的要素が内在しているのですから、住宅政策本部としても、必要な支援を行っていただきたいと思います。
 先ほども述べましたように、都営住宅は、住宅に困窮した方々にとっては大変重要な政策だと思います。反面、倍率が大変高いところもあり、入れた人と入れない人の差が大きく、公平性が必要です。希望する方が全員入れればよいのですが、戸数に限りがあるため、より困窮した方が入居できるような制度が必要です。
 都営住宅の入居の倍率が高く、厳しい中で、入居については収入要件だけしかなく、財産要件がないのは、不公平になってはいないのでしょうか。すなわち、莫大な預金があっても不動産さえ所有していなければ、入れてしまうのではないでしょうか。もちろん個人情報にかかわる部分です。一方では、限られた戸数の入居は公平でなければなりません。見直すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 公営住宅法は、入居者資格を住宅に困窮する低額所得者としており、現在の住宅の状況を把握することは重要であると考えております。
 都営住宅の募集においては、申込書に現在住んでいる住宅の種類や間取り、家賃などの記載を求めております。その後の入居資格審査において、住宅の賃貸借契約書や家賃の支払いを確認できる通帳の写しなどにより、住宅困窮者に該当することを確認するなど、厳正な審査を行っております。
 一方、平成十七年に、国は、入居者資格について、住宅を所有しながら公営住宅への入居を希望している者や住宅の取得が可能な預金を保有している者は、住宅困窮者に該当しないことを示しましたが、公営住宅法では資産の取り扱いを明記しておらず、その調査権限に関する規定もございません。資産の取り扱い及び調査権限について、公営住宅法上明確に位置づけるよう国に対して提案要求しているところでございます。
 今後とも、都営住宅を一層的確に供給できるよう十分検討していくとともに、現状に即した法制度の整備を国に要求してまいります。

○中村委員 サービスを受けるためとはいえ、どこまで資産状況と個人情報を提供しなければならないかという課題はあるとは思いますが、公平性の観点から見直しは必要とは考えています。この財産要件について、よく都営住宅の駐車場に高級車がとまっているではないかと都民の方からご指摘を受けることもあります。高級車イコール不正ではないので一概にはいえませんが、入れたか入れないのかの差が大きいという不公平感があると、こうした声が出ると思いますので、不満のないような公平な制度が必要だと思います。
 とはいえ、最近では駐車場に停車している車の数は減ってきているようです。都営住宅には、平成三十年度で駐車場の区画数は四万八千三十五区画とのことですが、高齢化や若い人の車離れもあると思います。
 都営住宅では最近、自動車の所有が減り、駐車場の多くがあいています。現状どのくらいの契約率でしょうか。
 都内は地価が高く、保育園や介護施設を整備する土地が不足していることから、昨今では都立公園まで活用されるくらいですから、一棟ごとに駐車場があるのを団地全体で集約すれば、かなりの土地ができます。
 建てかえる際に創出した土地だけではなく、建てかえの予定がすぐにはない団地でも、駐車場の用地を集約することで土地を創出して、福祉目的に活用できるのではないかと考えますが、見解を伺います。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の駐車場の契約率は、本年十月末現在、設置区画数約四万八千百区画に対して、六五%となっております。
 今ある駐車場を廃止して福祉目的に活用する場合には、駐車場を利用している方々の理解や関係法令への適合が必要であるなど課題があることから、現在では、介護事業者等の利便性を考慮したコインパーキングや地域開放駐車場として、空き区画の活用を図っております。

○中村委員 利用者の理解ということですが、団地の利用者も福祉施設を利用することもできます。福祉施設の整備のために、使われていない都有地はないかと都庁全体で懸命に探していました。現状、駐車場は三五%、三分の一以上あいているということですから、恐らくこれからもっと契約率が下がっていくと推測されます。都内にある貴重な都有地なので、都営住宅の利用者だけではなく、多くの都民のために利用されるようご検討願います。
 そういう点では、都営住宅にある集会所について、団地の住民だけではなく、近隣の都民の方からも使いたいという声をいただくことがあります。地域のつながりが希薄化する中で、地域の町会の中に都営住宅があり、その自治会が町会とは無関係に存在していることもあり、日常的なおつき合いやお祭りなどの行事でも交流がない場合もあります。町会の役員も高齢化し、近くにある集会所は便利な施設なのですが、都の施設とはいえ管理は自治会にあり、基本的には住民しか利用できず、自治会の許可があれば例外的に使えるというのも、超高齢社会を迎えるに当たり、時代に合わないのではないでしょうか。むしろ集会所の利用を地域に開放して、積極的に地域との交流を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の集会所は、居住者間、あるいは居住者を超えて地域のコミュニティ形成などのために設置しております。
 都では、都営住宅の居住者と地域住民との間に良好なコミュニティを形成するため、自治会、町会等の協議が調ったものについては、地域に開放することに取り組んでおります。
 今後一層、集会所の有効活用を通じて、都営住宅の居住者と地域住民との間によりよいコミュニティが形成されるよう努めてまいります。

○中村委員 居住者を超えて地域のコミュニティ形成のために設置とのお答えがありましたが、設置の目的にはすばらしいことが書かれているんだと思います。団地にお住まいの方は地域の公共施設も利用することができるのですから、双方向で交流が深まるように、協議が調えばというようにハードルを上げるよりも、積極的に利用してもらえば、老人クラブでもお茶飲み会でも新たな交流が生まれます。当事者任せだと、しがらみもあり進まないので、都が方向性を示し、改善していただきたいと思います。
 さて、この集会所の管理も自治会の仕事になっていますが、そのほかにも、みずから住まう都営住宅ですから、その清掃、草取り、電灯の取りかえなども行っています。しかし、高齢化に伴い、自治会ではできなくなっているところもあります。これらの作業は本来居住者の仕事であるとして、自治会からの要望があれば、都がその費用を共益費として徴収して作業を行っています。
 しかし、都に要望を行うにも自治会としての意見集約さえできない場合には、居住者の仕事ではなく、都の仕事として位置づけることも検討すべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、共用部分の公共料金の支払いや草刈り、中低木の剪定などの作業を自治会が実施しております。こうした共用部分の管理が負担になっているとの声を受けて、都は、希望する団地について、これらの作業を自治会にかわって実施し、その費用を住宅使用料とともに共益費として徴収する事業を平成二十八年度に創設いたしました。
 指定管理者である住宅供給公社においては、公社職員が自治会役員会からの相談に引き続き応じるとともに、今後は、この共益費徴収事業の拡大、充実に向けて、自治会に事業の利用を提案するなどして、自治会支援を強化していくこととしております。

○中村委員 私も自治会が行った方がよいとは思いますけれども、高齢化が進んだり、なかなか役員のなり手がなくなったりとか、できなくなってきているというところはあるので、改善をさらに図って共益費を徴収して行い、事業を創設したとは思いますが、さらに一層難しくなる場合もありますので、対応してほしいと思います。
 少なくとも清掃や草取りなどがされずに近隣から苦情が来るようなら、民間であれば大家さんや不動産屋さんが対応するのでしょうが、都営住宅も、所有者である都が周辺に迷惑をかけないように対応することも必要かと思いますので、ご検討願いたいと思います。
 さて、高齢化については、名義人の年齢で、六十歳以上では七六・七七%とのことです。七十五歳以上でも四三・一八%で、その半数は単身世帯とのことです。
 高齢化が進むと、最初は家族で入居しても、配偶者が亡くなったり、子供が自立したりして単身になっていきます。建てかえをするときに、単身者用の部屋に住みかえてもいただいているそうですが、建てかえがないときはそのままになっていることもあるようです。
 ご家族が亡くなり、思い出もあり、高齢で部屋をかえるのは大変ですが、一人で広い部屋に住んでいると、希望しても入居できない方との公平性も欠いてしまいます。もちろん、中には生活に合わせて住みかえたいという方もいらっしゃると思います。これはあくまで理解を得られればということになりますが、世帯構成が変化した場合に、その人数に応じた部屋に移っていただくことはどのようになっているのでしょうか、伺います。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、入居者の転出、死亡などにより世帯員構成が減少した場合には、新たな世帯員構成に応じた適切な規模の住戸へ変更する制度を設けております。例えば、専用面積が五十平米超で、三DK以上の住戸の入居者が単身者となった場合、入居者の申請により、その世帯員数に応じた住戸への変更を受け付けております。
 変更に当たっては、住戸の空き状況を確認しながら、同一団地周辺の住戸を変更先としてあっせんしております。

○中村委員 高齢の方に動いていただくのは大変ですが、多くの都民の入居を希望する方との公平性ということもあります。とはいえ引っ越しというのは大変ですから、移ってもいいと思っても、引っ越しが大変だからそのままということもあるようですから、ご協力いただけるなら、引っ越し用の費用を負担することなどを検討できないかとは思います。
 とはいえ都営住宅は世帯向けが多く、単身向けが少ないので、実態に合っていないということもあります。応募状況は、昨年度は少し倍率が下がったようですが、世帯向けで十倍を超えるのに対して、単身者向けの応募倍率は四十倍を超えています。ちなみに、ポイント方式にはより困った方が入れるはずですが、それでも約七倍で、簡単には入れません。
 建てかえ時に、単身者向けをふやしているとは聞いています。ただ、都営住宅は建てかえると決めてから、公募停止を始めて、最終的に建てかえるまでは、相当な年月がかかります。その間、あいている部屋は使われず、家賃も当然入らないことになります。平均的にはどのくらいの期間がかかり、それまでの間に空室ができることの損失はどのくらいなのでしょうか、伺います。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建てかえを円滑に進めるため、建てかえの事業化決定を行った住棟については公募を停止しております。公募停止から建てかえに着手するまでの期間は、建てかえる団地の規模等によりさまざまでございまして、平均期間を求めることは困難でございます。
 また、例えば公募停止から除却まで四年かかるとした場合、その間の使用料収入では、入居に先立ち実施する多額の室内補修費を回収することは困難でございます。こうしたことから、公募を停止した住棟に発生した空き住戸は、使用しないこととしております。

○中村委員 平均期間を求めることは困難とのことでしたが、現実に建てかえているのですから、それぞれ数字はあるはずです。もちろん入居されている方がいるので、無理に追い出せといっている意味ではなくて、丁寧に行っていただきたいと思うんですが、一方ではコスト感覚を持っていただきたいと思います。
 さて、都営住宅について質問してきましたが、都営住宅だけが住宅の施策ではありません。先ほど述べましたが、高倍率でなかなか入居できないと、不公平にはなっていないでしょうか。
 先日、決算審査を行った平成三十年度の特別会計決算説明書によると、都営住宅等の管理運営、建設費等に約一千百三十五億円、使用料収入に約六百七十六億円となっています。対して、サービスつき高齢者向け住宅や優良民間住宅など都が行っている民間賃貸住宅への支援は、東京都一般会計決算説明書によると約三十四億円となっています。このように、民間賃貸住宅に比べて、都営住宅へは多くの公費が投じられています。
 都営住宅は家賃収入が入りますが、家賃補助は出るだけだというのが、家賃補助をしない理由の一つとしても挙げられています。しかし、都営住宅に毎年一定の支出をしているのであれば、都営住宅に入れない生活に困窮した方の支援のために、家賃補助を行ってもよいのではないでしょうか、見解を伺います。

○澁谷住宅政策担当部長 家賃補助制度につきましては、国も、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題点を指摘しておりまして、また、生活保護制度との関係等、多くの課題がございます。
 今後とも、社会経済情勢が変化する中で、都営住宅が住宅セーフティーネットの中核として重要な役割を果たせるよう、既存ストックの有効活用を図りながら、公平かつ的確に供給してまいります。

○中村委員 ことし五月の東京都住宅政策審議会の答申、都営住宅における管理制度等の在り方についてでも、住宅困窮者に対して社会情勢の変化に応じて的確に供給していくという視点が必要としています。しかし、能動的、機動的に対応しともありますが、本当に困った方のために迅速に対応できているかというと、そうはなっていないのではないでしょうか。
 都営住宅が希望者全員入れるように整備を行うのも現実的ではない以上は、入居要件に当てはまる方が、くじで外れると何の行政サービスも受けられないことになります。特に、生活保護にならずにぎりぎりのところで暮らしている方への支援が必要と考えます。
 さきの第三回定例会の会派の代表質問でも取り上げましたが、セーフティーネット住宅を進めていただきたいとは思いますが、家賃低廉化補助はまだ実績はわずか九件しかないとのことでした。
 都の方針では、都営住宅はストックの維持更新に重点を置き、管理コストを抑制するということですが、都営住宅と家賃補助による民間住宅の活用をうまく組み合わせることが大切だと思います。
 都営住宅とこの家賃補助制度を組み合わせ、ソフトとハードの融合した住宅制度に転換する必要があると考えますが、住宅政策本部長に本部設立の意義も含めて、政策の方向性について伺います。

○榎本住宅政策本部長 住宅政策本部の設立でございますが、住宅政策本部は、都の住宅政策を一層加速し、機動的に展開していくため、本年四月一日に新たな組織として発足をいたしました。
 住宅に困窮する都民の居住の安定の確保につきましては、都営住宅を住宅セーフティーネットの中核として既存ストックの有効活用を図りながら、公平かつ的確に供給していきますとともに、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅も活用しながら、重層的な住宅セーフティーネットの構築に取り組んでまいります。
 加えまして、少子高齢化や住宅ストックの老朽化など、将来の社会経済状況の変化を見据え、老朽マンションや空き家への対策、大規模災害や復興への備えなど、多岐にわたる施策を推進してまいります。
 今後とも、住宅マスタープランに定める住宅政策の基本方針であります豊かな住生活の実現と持続に向けまして、総合的、計画的に住宅行政を推し進めてまいります。

○中村委員 今後ますます高齢化が進み、人口減少社会になります。空き家対策にもつながる民間住宅の活用のための家賃補助の導入について、私は検討の時期に来ているのではないかと思っています。大きく変化をする中、ぜひ前向きにご検討いただけますよう要望いたしまして、質問を終わります。

○馬場委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二十四分休憩

   午後三時四十五分開議

○馬場委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○奥澤委員 本年四月より住宅政策本部が再編されましたけれども、これは空き家の増加やマンションの老朽化の深刻化といった住宅そのものが抱える問題への対応に迫られていることに加えて、コミュニティの形成や就労の支援、再犯の防止など、都政を取り巻く諸課題の解決に住宅政策が果たす役割が大きいことを意味していると私は捉えております。中でも、都営住宅を初めとする住宅ストックを単に居住の場としてのみならず、幅広い視点で有効活用していくことが重要であると考えています。
 まず初めに、住宅政策審議会の答申であります都営住宅における管理制度等の在り方についてでは、その管理制度のあり方を通じて、都政課題に対する住宅政策を通じた解決策のヒントを見てとることができます。その中には、シェア居住の試行導入についての記述がありまして、応募割れしている住居と単身者の新たな住まい方を組み合わせることでコミュニティ形成を促し、低所得者の住まいを確保するといった観点からも有意義であると考えております。
 一方で、六月の委員会で、同じ会派の森澤議員から指摘をさせていただきましたように、居住者間のトラブルを未然に防ぐためのルールづくり、あるいはライフスタイルの近い者同士が住むことができるような公募の仕方などが必要になると思いますけれども、その後、どのような検討がなされているのかお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 本年五月の住宅政策審議会答申において、新たな住まい方を多角的に検討していくことが提言されました。
 他の自治体において、公営住宅を活用して、入居者同士が協力し合いながら暮らす形の検証などを目的としたシェア居住を実施している例があります。これまで、事例の調査や自治体へのヒアリングを実施してまいりました。今後、現地調査等を行い、実施に当たっての課題等も把握した上で、具体的な実施方法について検討を進めてまいります。

○奥澤委員 来年度の予算要求の資料にも、シェア居住といった記載が見られたり、あるいは都民提案制度を今されておりますけれども、目的は違うんだと思いますけれども同じような提案が記載されておりました。
 公営住宅に限らず、民間でもシェアハウスの取り組みなどもございますので、そうした事業者あるいは居住者からのヒアリングを進めていただいて、加えて、都として初めての取り組みとなると思いますので、事業を走らせながら適宜改善を重ねていくというような柔軟さを持ち合わせて進めていただきたいなというふうに思います。
 シェア居住と聞いて私が真っ先に思い浮かべたのが、私自身の大学時代の暮らしになります。私、大学では部活動の寮生活をしておりまして、寮母さんの家庭であるとかアパートなどに複数の学生が住んで、まさにシェア居住をしていたわけなんですけれども、〇〇大学の学生さんというような形で、コミュニティの中での居場所があったことをすごく今でも覚えています。
 大学生との連携、これはすごく重要なことだと思っています。連携して地域コミュニティを再生していくという観点から、兵庫県の神戸市と明石市の間に位置する明舞団地という団地がありますけれども、こちらでは、近隣の大学と連携したさまざまな取り組みを行っています。私も前職で実はその近くに住んでおりまして、餅つき大会や夏祭りなどの高齢化した自治会にとってはハードルの高かった力仕事に対して、大学生が積極的に手をかしている姿が印象に残っています。
 また、六月の先ほども申しました委員会で、森澤議員の方から、大学側のニーズの把握や都営住宅を使用許可する場合の条件の調整など、課題として取り上げていたところですけれども、こちらについても、その後検討が進んでいれば状況についてお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 高齢化が進む都営住宅における多世代共生の一つとして、大学と連携して学生が入居できるようにすることは、団地の活性化に資するものと認識しております。大学側からヒアリングを行い、都営住宅を大学に使用許可する場合の使用料の金額や、支払い方法などについての意向把握などを実施しております。
 今後、候補とする大学の範囲を広げ、留学生を含めたニーズの把握に努め、検討を進めてまいります。

○奥澤委員 大学との連携というところでいくと、卒業というものが必ず待っておりますので、そうすると人が入れかわりながら自治会、コミュニティの中に入っていく、そして運営をサポートしていくような形になろうかと思います。自治会側は、その学生さんが例えば部活動をやっているような方々だったら、その方々を応援していくような空気感が醸成されていく、そしてコミュニティの一体感が醸成されていく、そういった取り組みになっていくよう期待しております。また、地方から出てきた大学生にとっては、そこが第二のふるさとのような場所になるといいなというふうに思っています。
 今のご答弁の中でも、多世代の共生というお話があったかと思いますけれども、都営住宅やその周辺地域に若い子育て世代を誘致するということは、コミュニティの活性化という観点からも大変重要だと考えています。都営住宅の建てかえに伴って、保育施設や学童クラブ、スーパーなどの子育て世代にとって重要な施設を設置することも含めて、子育て世代の誘因策を実行するべきと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○中山再編利活用推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たっては、敷地を有効利用し、地元自治体のまちづくり方針とも整合させながら、良好な居住環境の形成や、福祉の向上などを図っております。
 子育て支援施設については、地元区市町と連携し、都営住宅の低層部に保育所や学童クラブなどの整備を進めております。また、建てかえにより創出した用地において、福祉保健局及び区市町と連携し、子育て支援施設などを整備する福祉インフラ整備事業を推進するとともに、民間活用事業による商業、医療、福祉等の生活支援機能の誘導もあわせて実施してまいります。

○奥澤委員 子育て世代を誘致するということに当たりましては、他県では、農地を開設して家庭菜園の支援を行ったりだとか、敷地内に遊歩道や植栽、あるいは公園を設けて子供たちが遊べる場所をつくること、あるいはベビーカーのままで部屋に入れるように玄関を広くリノベーションする例などがございます。
 また、都営住宅ではありませんが、立川市の柏町団地では、あらゆるものがインターネットにつながるIoTづくしの部屋へのリノベーションを行うといった取り組みもございました。
 都として、これらの取り組みを参考にして、民間リノベーション事業者等からもさらに強力にアイデアを広く集めるべきというふうに考えております。
 先ほども例示をしました明舞団地ですけれども、こちらではリノベーションスクールというものを開催して、地域に住まうみずからがコミュニティ再生の主役として当事者意識を高めるための新たな取り組みを行うそうです。
 都においても、こうした事例を参考にして、エリア全体のリノベーションなどによって団地再生に向けた取り組みを図ることが重要だと考えておりますけれども、団地再生に向けた住宅政策本部の考え方についてお伺いしたいと思います。

○澁谷住宅政策担当部長 都内には、住宅団地が数多く存在しておりまして、建物の老朽化と居住者の高齢化が見られるようなところもございます。今後、空き家の発生等によりまして、住環境の悪化や地域の活力低下が懸念されるところでございます。
 一方で、これらの団地は、計画的に整備された緑地等を有しておりまして、これらの地域資源を生かしつつ、現在の居住者が住み続けられ、若い世代にとりましても魅力あるまちに再生する必要があると考えております。
 そこで、都におきましては、団地再生を含めたまちづくりに係る方針の策定など、団地再生の取り組みを支援するとともに、大学と連携した自治会活動などソフト面や、民間と連携したリノベーションなどを含む先進事例等につきまして、区市町村等に対しまして情報提供を行っているところでございます。
 また、お話のエリア全体のリノベーションについてでございますが、都の空き家対策の一環として、今年度から、地域の価値、魅力の向上に資するエリアリノベーションの企画調整等を担うまちづくりプロデューサーの業務、事業に対しまして、都が区市町村を通じて支援する取り組みを始めたところでございます。地域の居住者や事業者等が、まさに当事者意識を持って参画をしていただくことが重要であると私どもも認識してございます。これらのさまざまな取り組みを通じまして、団地再生を促進してまいります。

○奥澤委員 当事者意識というお話がありました。そこが本当に重要だというふうに思います。居住者、管理者、事業者、区市町村や都といったさまざまなステークホルダーがまちづくりを自分事と捉えていくこと、これがまず大事なことであって、それをすることで地域の魅力が何倍にも膨らんでいくんだという成功イメージをぜひ共有していただいて、取り組んでいただきたいというふうに期待をしております。
 さて、ここからは、都営住宅の居住者の利便性向上についてお話を聞いていきたいと思いますが、最初に、駐車場の有効活用という観点から、地域開放の促進あるいはコインパーキングの設置をお伺いしようと思いましたけれども、その取り組み状況は先ほど質疑ございましたので割愛させていただいて、具体的な事例に沿って一つご質問したいと思います。
 先日、とある都営住宅の自治会長さんと駐車場の空き区画をどうしたらいいかという話題でお話をしていましたところ、この地域開放の促進あるいはコインパーキングの設置、こういった取り組みがあることを知りませんでした。
 そこで確認をしたいんですけれども、現場での周知、これはどのように行っているのか伺いたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 地域住民向け駐車場につきましては、地域の多くの人の目にとまるように案内看板を設置し、東京都住宅供給公社のホームページで空き区画などの情報提供を行うことで周知を図っております。
 一方、コインパーキングについては、設置団地の選定をする中で、自治会の意向について手続を進める早い段階から確認を行うなど、丁寧な周知に努めております。
 今後とも、より周知の徹底に努めてまいります。

○奥澤委員 周知の徹底に努めるということで、ぜひ潜在的なニーズもあると思いますので、そういったことも掘り起こすような周知のあり方を期待したいと思うところですけれども、一方で、コインパーキングを設置するという場合には、その収益性を高めていくためにも、既存の契約者に区画の移動などを依頼することが必要になってくると思います。
 そういった場合に、事前の説明あるいは協力依頼という場面ではどういったふうに周知をしているのか、取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 コインパーキングの設置に当たりましては、まとまった区画の確保や、周辺道路からのわかりやすいアクセスを踏まえた場所の選定が必要でありまして、既存の利用者に、利用区画の変更を求める場合もございます。コインパーキングを設置する対象団地の選定手続の中で、自治会や利用者に丁寧な説明を行い、円滑な導入を図っております。

○奥澤委員 こちら、私の方に入ってきている話ですと、これは公社住宅のお話だったかと思いますけれども、既存の利用者への周知がおくれたことでなかなかスムーズに事が進まなかったということで、お叱りを受けたことがありました。また、先ほどご紹介した自治会長さんからは、契約更新のタイミングが来年あるから、それに合わせて協力をお願いしたらスムーズですよというようなご助言もいただいています。いずれにせよ、居住者とのコミュニケーションがこの取り組みを円滑に進めていくポイントだと思いますので、ぜひ大切にしていただきたいと思います。
 駐車場の空き区画がふえているということは、つまり居住者が車の運転をしなくなっているということが推察されます。さらに深く考えますと、特に大規模な団地では、高齢となって団地内の移動ですら困難を有している方がいるのではないかと、そういった実態が浮かび上がってくると私は考えています。
 そのような中で、私の地元でもあります町田市の鶴川団地では、電動カートを活用した移動支援というものをスタートさせておりまして、あるいは、これってまさに今やられているのかと思いますけど、多摩ニュータウンでは電動パーソナルモビリティーの試乗会が開催されているものと思います。
 高齢者の移動支援は喫緊の課題だということが、こういった場面であらわれていると思いますけれども、都営住宅の団地内での移動支援について、その必要性に対する考え方、そして取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅入居者の高齢化が進む中で、高齢者が安心して暮らせる環境整備を進めることが必要であり、大規模団地内での移動が困難な方への支援は有効であると認識してございます。
 都では、運行事業者や区市町から、都営住宅敷地内での実施要望があれば、必要に応じて協力について検討してまいります。

○奥澤委員 先ほどもご紹介した鶴川団地の取り組みでは、ボランティア運転手を募っているということですけれども、今後、運転手を本当に確保していけるのかということが鍵になるということでお伺いしています。
 また、電動パーソナルモビリティーについては、一台一台の価格が導入のハードルになると。よく高齢の方が乗るシニアバイクみたいな四輪のやつがあるんですけど、あれも五十万円とかそういう金額がするということで、購入して持っているというのはなかなか厳しいというお話を聞いています。
 そのような課題を見て考えると、シェアリングエコノミーの考え方が解決策になるんじゃないかなというふうに私は考えています。先ほどのご答弁において、実施要望があれば必要に応じて協力を検討していくというようなお話があったかと思います。ぜひ、都営住宅の敷地内での実証実験などの要望について、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 その際に、課題の抽出、あるいは解決策の提示に向けた議論がなされていくと思いますけれども、ぜひそういった場面にも積極的に参加していただいて、そこで得られた知見、あるいはノウハウを政策にかえて、横展開を図っていただきたいということを指摘しておきたいと思います。
 高齢者が移動に困難を抱えると、同時に起きるのは、買い物に支障を来すということであります。この問題に対して一昨年、都営住宅における買い物弱者支援事業をモデル事業として実施したところでありますけれども、現在、どのように取り組みが広がっているのか、事業の効果とあわせてお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 都は、日常の買い物が困難な方々への支援策として、区市町が実施する買い物弱者支援事業と協力し、都営住宅の敷地内で食料品や日用品等の移動販売サービスを実施しております。都営住宅の敷地内で日用品等を販売することから、居住者の利便性向上に寄与していると考えてございます。
 また、定期的に開催することで居住者が顔を合わせるため、コミュニティの活性化にも寄与しております。
 こうした効果もあり、事業開始以来、実施団地が毎年度拡大し、現在、港区、世田谷区、練馬区、八王子市、多摩市の九団地で実施しております。

○奥澤委員 着実に取り組みが広がっているということで、大変喜ばしく思います。居住者の利便性向上のみならず、コミュニティの活性化に寄与しているというお話もございました。
 買い物というのは、食べること、着る服といった暮らしの根源的な部分を支える営みであると同時に、その過程で、体を動かして選んでいったりだとかご友人と顔を合わせてコミュニケーションのきっかけとなっていくというような部分で、高齢者の健康増進にも寄与すると考えております。
 ますます取り組みを広げていただきたいというふうに要望するとともに、そのコミュニティや高齢者の方々の暮らしの変化を取り組みの成果としても測定していくような、そういった考え方も、ぜひ、あわせ持って進めていただきたいというふうに思います。
 今、高齢者の健康について触れましたけれども、都営住宅の高齢化に伴って、入居者を福祉的なサービスとつないでいくことが求められていると思います。六月の委員会において、巡回管理人の福祉的知識、経験を育む必要性について、森澤議員より触れたところでありますけれども、その後の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 東京都住宅供給公社では、巡回管理人等に対する保健福祉に係る研修を通じて、巡回管理人の強化を図ってまいりました。
 加えて、今年度より、公社は、本社に保健福祉業務に従事し保健福祉等に関し豊富な知識や経験を有する職員を二名配置し、巡回管理人の業務支援を図っております。具体的には、巡回管理人の業務へ助言したり、現場へ同行して対応手順を教示したりするなどの支援を行っております。

○奥澤委員 今、具体的な取り組みが進んでいるということがわかりまして、安心をいたしました。この調子で取り組みを広げていただきたいと思います。
 関連してなんですけれども、六月に、高齢者の孤食の問題、あるいはフレイル予防等の観点から、配食サービスなども検討すべきではないかという指摘をさせていただいております。これは何がいいたかったかというと、食を通じたコミュニティの形成が有効ではないかということの認識から考えを述べたわけですけれども、もし、その後検討がなされているものがあれば伺いたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 本年五月の住宅政策審議会答申におきまして、都営住宅内の集会所や敷地を、民間事業者等による地域住民も参加できるイベントや居場所のスペースとして活用できる枠組みを構築することなどにより、高齢入居者の交流を図るなど、多様な見守りの充実を図るべきとの提言がなされたところでございます。
 提言の趣旨を踏まえ、都営住宅に併設されている集会所等を活用して、都営住宅や周辺地域に住んでいる高齢者等に定期的に食事を提供する場を設けることで、コミュニティの活性化に寄与するとともに、緩やかな見守りの実現を図る取り組みについて検討しております。

○奥澤委員 こちらも少し先の議論になるのかなと。今検討していくということで、ぜひとも進めていただきたいと思うんですけれども、食を通じたコミュニティの形成、そして見守り機能といった検討について、率直に期待を寄せたいというふうに思っています。ぜひ進めていただきたいと要望しておきます。
 入居者の高齢化、まあ、先ほどから再三取り上げていますけれども、逆にいうと、福祉サービスをしっかりと充実した住環境を整備すれば、そこは高齢者の住みたいまちへと変貌を遂げるということではないかなと思います。そのような観点から、稲城市にある多摩ニュータウン向陽台における取り組みに期待をしておりますが、その狙いについてお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 都施行型都民住宅の空き住戸を活用して、区市町が地域に必要な保育、介護、生活相談等の住民サービスを提供できるよう、平成二十九年度に仕組みを構築いたしました。
 その最初の事例として、稲城市が、多摩ニュータウン向陽台六丁目団地の一住戸を使い、市が事業者を選定し、生活支援サービスの拠点を整備いたしました。今月末から事業を開始する予定となっております。
 事業を通じまして、団地の入居者だけでなく、地域住民も含め、生活利便性と福祉の向上が図られることが期待されております。

○奥澤委員 今のご答弁で、地域の住民も含めてというお話がありました。これは都営住宅、要は都が保有する住宅ストックあるいはその土地が、地域全体の暮らしの質を高めていく、その核になる可能性を秘めていると私は考えています。
 実際、リノベーションをしている民間事業者の方からお話を伺ったんですけれども、こういう公営住宅というものの価値って何ですかという話を聞きましたら、やっぱりそこが拠点になって、その周辺に住んでいる方々も活性化していくんだというお話を聞いております。一つ一つの住戸をどうリノベーションしていくかとか、どう住みやすくしていくかという視点だけで考えるのではなくて、その住宅を中心にして、その周りの生活にどんな影響が与えられていくんだろうかという視点を持ったエリアリノベーションの考え方を持っていただきたいんだというお話を聞いています。
 先ほども、別の会派の方から空き家対策のお話ありましたけれども、空き家対策のお話をしたときに、どうしても、産業労働局がやっている事業と住宅政策本部がやっている事業って何が違うんだと事業者の方から私なんかはいわれてしまうんですけど、その中で一つ大事にしていただきたいのが、住宅政策本部というのは、あくまでもその周りに住んでいる方々がいる、そこ全体をどう変えていくのかという空き家対策なんですと。産業労働局がやっているのは、その一つ一つの店舗であったり、そこを使って、そのスペースといったらいいですかね、そのスペースの有効活用なんだというようなことを、全国的に空き家対策のリノベーションスクールなんかをやっている事業者さんからはお話を伺っているところです。
 ぜひともそういった考え方を持っていただいて、可能性を追求していただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 今も少しお話をしました都が保有する住宅ストックの有効活用という観点から、住居としての活用のみならず、目的外使用を上手に利用していただきたいというふうに考えているんですけれども、現在どのような取り組みが行われているのかお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 公営住宅法及び都営住宅条例に基づきまして、都営住宅の適正かつ合理的な管理に著しい支障のない範囲で、都営住宅の住戸を目的外使用許可により、知的障害者グループホームとして活用しており、現在十団地二十四戸を社会福祉法人等に使用許可しております。
 また、福祉保健局が実施している就労支援策であるTOKYOチャレンジネットと連携して、介護職場での就労を目指す離職者を対象として、一時利用住宅として都営住宅を現在二十戸提供しております。

○奥澤委員 今、次の第四回定例会に上程されております都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例、これの検討段階にあった議論では、TOKYOチャレンジネットの取り組をより有効活用すべきとの考えが示されております。就労と住宅の確保、これは密接な関係がありまして、さらなる取り組みを期待するものです。
 加えて、知的障害者グループホームとしても利用しているというお話がありました。私も実際、これは知的ではなくて精神の方のグループホームを、これは民間のアパートだと思うんですけど、ある住戸の一階に管理をしているというかオーナーさんが住んでいて、一階のほかの住戸には障害のある方がひとり暮らしをしていると。中で、服薬の管理だとか、さまざまな生活の支援がかなりやりやすいんだというお話を聞いています。
 ぜひとも、障害者グループホームとしての活用というのは可能性、まだまだあると思いますので、ここから得られた課題なんかをしっかりと解決しながら広げていただきたいというふうに思います。
 関連して、就職氷河期世代への支援についてお伺いするつもりだったんですけれども、既に質疑がありましたので、意見のみ申し上げたいと思います。
 実は、私はほかの会派の方々の主張とは全く違う観点を持っておりまして、実は私自身も就職氷河期世代に入ります。当然、今なお就労に困難を抱えている方はいらっしゃいますし、住宅の確保において不安定な面があるという部分はもちろん理解をしているんですけれども、この支援の対象を世代で絞り込んでいくという考え方は、どうなのかなというふうに思います。
 確かに、相対的に就職氷河期世代と呼ばれる世代は、直面する困難が多かったことは、これは事実です。一方で、その困難を克服して、しっかりと今就労、そして住宅も自分の思うようなところで住まわれている方々もたくさんいらっしゃいます。
 そういったことを考えたときに、やっぱり世代、要はその年代に的を絞るのではなくて、そこの人たちがどんな問題に直面したんですかと、課題に焦点を絞っていくことが重要なんだというふうに思っています。その方々が--今私三十七歳なので、卒業して十五年、二十年、二十五年ぐらいたっている方々が就職氷河期世代になっていると思うんですけど、そこの間で見られた課題をどうしたら解決できるのかを考えていけば、その課題を解決していけば、この後にいる人たちが同じ困難に直面しないで済むんじゃないかということを考えるわけです。
 ですので、当然困難が多かったボリュームゾーンとしてある就職氷河期世代を支援することは重要なんですが、そこで出てきた課題をどうしたら後世に引き継がないでいけるんだろうかという視点を持って、ぜひ取り組んでいただきたいということをここで意見しておきたいというふうに思います。
 そして、次に、住宅確保要配慮者についての質問に移っていきたいと思っています。
 東京都では、住宅確保要配慮者に対する住宅の供給を促進しておりますけれども、住宅セーフティーネット法、あるいは国土交通省令で定めた以外にも、海外からの引揚者、新婚世帯、原子爆弾の被害者、戦傷病者、児童養護施設退所者、LGBT、UIJターンによる転入者、住宅確保要配慮者に対して生活支援等を行う者が、独自に明記をされています。こうした方々には、国の法令上定められた方々と同等の対応がなされると聞いております。
 東京都内には、住宅確保要配慮者が円滑に入居できる民間賃貸住宅が、現在八百八十九戸あると聞いておりますけれども、二〇二五年度末で三万戸を確保するという目標をしいておりまして、遠く及ばない現状です。
 今後どのようにふやしていこうとしているのか、これまでの取り組みと今後の方向性について伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 平成二十九年十月の住宅セーフティーネット制度の開始後、都は、平成三十年三月に、東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画を策定し、令和七年度、二〇二五年度までに三万戸の登録目標を設定してございます。目標の達成に向け、都は、平成三十年四月に、改修費や家賃低廉化及び家賃債務保証料低廉化に係る補助を開始するとともに、同年十月、手数料条例を改正し、手数料を無料化するなど、申請者の負担軽減を図ってまいりました。
 また、貸し主、住宅確保要配慮者双方に向け、具体的な改修事例を写真で盛り込むなど、わかりやすいパンフレットを作成、配布しているほか、区市町村を対象とした説明会を開催するなど、制度の周知にも努めてまいりました。
 今年度からは、住宅確保要配慮者の入居に伴う貸し主の不安軽減を図るため、高齢者への見守りサービスを支援するモデル事業や、少額短期保険等の保険料への補助を開始しております。
 今後さらに、関係者に向けた積極的な情報発信や、関係局や不動産団体、居住支援法人等との密接な連携を進めるとともに、貸し主の負担や不安の軽減等に取り組み、一層の登録促進を図ってまいります。

○奥澤委員 これからさまざまな形で取り組みを進めていくと思うんですけれども、私は、実はこの住宅確保要配慮者に対する住宅の供給の促進が進まない一つの原因として、人権問題が横たわっているんじゃないかなということを思っています。
 宅地建物の取引において、住宅確保要配慮者に対する人権を尊重すること、これはもう重要なことはいうまでもないことだと思いますけれども、仮に、そこに無理解あるいは偏見があるのであれば、それをなくしていく啓発をしていくというのも、都の役割の一つであると思います。
 都は、宅地建物取引業者に対して、人権に関する冊子を作成して啓発を行っている一方で、民間賃貸住宅の貸し主に対する啓発は、まだまだ不足しているのではないかなと私は感じておりまして、さらなる充実が必要だと考えています。
 中でも、住宅確保要配慮者の中に位置づけられておりますLGBTの方々などを思いますときに、みずからいい出しにくい、相談しにくいということを念頭に、つまり、相談がないから存在しないという考え方ではなくて、目に見えなくても確実に存在すると想像した上で、何ができるのかを考えていく必要があると私は考えるものです。
 東京都では、平成二十九年度から、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅セーフティーネット制度の普及に努めておりますけれども、こうした住宅の貸し主等への啓発については、人権担当部署等とも連携して取り組みを強化すべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅セーフティーネット制度の普及促進を図るため、貸し主や住宅確保要配慮者の方々双方に向けたパンフレットを作成し、幅広く配布してございます。このパンフレットを活用し、高齢者や障害者のほか、LGBTの方などさまざまな方が、住宅確保要配慮者として、住宅セーフティーネット制度の支援対象となっていることなどを周知してまいりました。
 また、国の基本方針においては、セーフティーネット住宅以外の民間賃貸住宅においても、住宅確保要配慮者であることをもって不当な入居制限を受けることがないよう、賃貸人等への啓発に係る施策を供給促進計画に位置づけることが推奨されており、これを受け、都は、不動産団体が開催する講習会等で、人権の啓発リーフレットにより周知をしてまいりました。
 今後とも、こうしたリーフレットの記載内容の充実を図るとともに、貸し主等で構成される不動産団体が主催するセミナーや貸し主向けイベント等において、総務局が作成した啓発冊子を活用するほか、新たな連携に向けた取り組みを検討するなど、住宅確保要配慮者に対する貸し主等の理解が一層深まるよう取り組んでまいります。

○奥澤委員 これまでに加えて、さらなる取り組みに期待したいと思いますけれども、昨年、東京都では、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が制定されたところです。これはまさに、本部長が総務局にいらっしゃったときに質疑をさせていただいて、お答えいただいたことを大変私も強く印象に残っています。これをやっぱり理念で終わらせないで、実際に差別のないダイバーシティー東京を広げていくために、ぜひ住宅部門においてもそれをご理解いただいて、組織横断での取り組みを強化していただきたいと改めて要望させていただきたいと思います。
 関連して、性的マイノリティー、いわゆるLGBTの方々について、この方々、今もお話ありましたけれども、住宅確保要配慮者に位置づけられている、つまり、民間賃貸住宅への入居に困難を有するということを認識しておきながら、住宅確保要配慮者に対する住宅供給の一翼を担うという側面がある都営住宅においては、LGBTパートナーが入居できないという現状があります。
 この現状について、私たち無所属東京みらい、斉藤れいな、そして森澤恭子、三人は、あらゆる場面で再三再四、是正すべきとお伝えしてきたところでありますけれども、なかなか是正に向かわないなというような、じくじたる思いをしております。
 改めて、同性パートナーの都営住宅への入居が可能となるように、その制度を是正すべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、使用者の資格の一つとして、都営住宅条例で、現に同居し、または同居しようとする親族があることと規定しておりまして、入居の際、親族関係については住民票により確認しております。いわゆる内縁関係の方も、住民票上で確認できれば同居親族として都営住宅への入居は可能でございますが、同性パートナーについては、親族関係の記載がないため、入居資格が確認できないということでございます。
 本年八月に公表された東京都性自認及び性的指向に関する基本計画素案において、今後、人権を取り巻く社会の動向等を踏まえ、管理制度等における取り扱いについて検討することとしております。

○奥澤委員 今後の社会動向を踏まえて検討するというお話ですけれども、既に東京都では、先ほども申しました条例を制定して、LGBTの方々への不当な差別的取り扱いを禁止しているわけですから、一刻も早い対応がなされるよう検討を進めていただきたいと思います。
 先ほど、都営住宅条例の話もありました。これの改正が必要だという認識なんだと思います。こういったことも議員側からも働きかけていかないといけないのかなと今思いを新たにしているところです。
 なお、お隣の神奈川県では既に、パートナーシップ制度がある県内の自治体、例えば十二月から横浜市でもパートナーシップ制度をつくるというお話ですけれども、そういったところで宣誓したカップルに対して、県営住宅への入居を認めるとして今月から申し込みを受け付けているということです。こうした社会の動向におくれをとることがないように、ぜひとも進めていただきたいと改めて要望させていただきます。
 続いて、重度訪問介護を活用して生活する高齢者や障害者について、こうした方々が単身で都営住宅入居を申し込む場合に、入居者は一名でも、夜間も含めてほぼ二十四時間介護者が付き添って生活をしていくことになっています。一名用の物件では手狭であるがゆえに、介護者が疲弊して、離職してしまうような弊害が生じているケースがあると聞いています。
 先ほどの住宅確保要配慮者には、住宅確保要配慮者に対して生活支援等を行う者も含まれておりまして、彼らはそのうちに含まれるのではないかと考えています。現在、都営住宅の間取りは、一人用は三十九平米未満または二部屋以下となっておりまして、地域によっては一人用の物件数が少なくて、長年申し込むことすらできないという状況です。
 そこで、重度訪問介護等を利用し、単身で入居を希望する場合、入居者一名で二人用の物件に申し込みができるようにするなどの基準緩和をすべきと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 これまで都営住宅では、居住者の世帯構成に応じた規模や間取りの住宅を供給してまいりました。
 その際には、都営住宅は都民共有のセーフティーネットであることから、最低居住面積水準を確保するとともに、バリアフリーを考慮した間取りを設定してございます。
 さらに、高齢者や障害者の単身世帯が介護を必要とする場合なども考慮しまして、一DKにおいて、介護のための使い勝手の向上を図るなどの間取りの見直しを行っております。

○奥澤委員 基準緩和というまではいかないけれども、介護のための使い勝手の向上を図るなどの工夫をしているということだと思います。
 一DKにおいて間取りの見直しを実施されているということですけれども、障害の特性などによっては、寝室が一つでは、介護者と入居者がほぼ同じスペースで常時生活をすることになります。自閉などの症状を伴う重度の知的障害があって重度訪問介護を活用されている多摩市の当事者からお話を伺うと、平米数は同じでも二DK以上の部屋に入居をすることができないと、安定的に居住を継続していくことが難しいというようなことを伺っています。
 今後、さらに高齢者なども、重度訪問介護を活用して単身で入居したいと考える方がふえていくと思われます。
 ぜひ今後の都営住宅の建てかえや改修に当たっては、このようなニーズをしっかりと酌み取って、最適な間取りの住戸配分を改めて精査していっていただきたいと要望しておきます。
 一方で、単身者のニーズが高くてなかなか空き住戸が出ないという点についてお伺いをしようと思っていましたけれども、これは、ごめんなさい、先ほど、きょう冒頭にいただいた要求資料にありましたので、質疑は割愛しまして、こちらで読み上げてしまいます。平成三十年度の単身者向けの募集は、八月が四十七・一倍、二月が四十五・四倍、世帯向けの募集は、五月が十四・八倍、十一月が十四・七倍ということで、いずれも高いんですけれども、単身者はかなり高いなと、際立っているなというのが印象です。単身入居希望者のニーズに応えていくために、今どのような取り組みを行っているのか、状況を伺いたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 本年五月の住宅政策審議会答申では、応募割れしている住戸のある地域などで、単身者向け住戸のあっせん基準を弾力的に運用するなどして、住宅ストックの有効活用を図るべきと提言されております。
 これを受け、都では、既存の応募有資格者の入居機会を減ずることのないよう配慮し、単身入居希望者のニーズに対応するための方策を検討してまいります。

○奥澤委員 もちろん既存の応募有資格者というのは、これは大事ですから、バランスも考慮していただきたいと思いますけれども、単身者、とりわけ先ほども取り上げた重度生活介護を利用する方々、こういった方々の生活実態を踏まえた検討を進めていただきたいと改めて求めておきます。
 もちろん、建てかえや改修というハードの整備も重要ですけれども、ソフトでの対応として、冒頭申し上げたシェア居住の取り組みの検討も、ぜひ早急に進めていただきたいと申し上げておきます。
 もう一点、入居要件についての考慮をしていただきたい対象として、シルバーピアの管理人であるワーデンの方々がいらっしゃいます。ワーデンとは、シルバーピア住宅入居者のよき隣人として、住み込みで、そのコミュニティの一員として入居者の見守りを行っている方々ですけれども、彼らも高齢化が進んでいます。
 具体例を申し上げますと、長年ワーデンを務めてきたご夫婦がいらっしゃいまして、最近旦那様が亡くなられて、残された奥様が改めて都営住宅への入居をご希望されたそうです。しかし、七回抽せんに外れて、ようやく入れたということではありますけれども、長年コミュニティの一員として入居者の暮らしを支えてこられたということを考えると、ワーデンを続けることができなくなっても、ぜひ、引き続きそのコミュニティの中で暮らしていくことができるようにしていくべきではないかと。それは、本人にとっても、周囲の入居者にとっても必要なのではないかというふうに考えるところです。
 もちろん、抽せんが公正、公平、これは原則であることは承知しておりますけれども、ワーデンのなり手不足も叫ばれています。高齢化も進んでいます。ぜひ、人材確保の観点から入居支援を行うなど検討すべきと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 シルバーピア事業は、ひとり暮らし等の高齢者が住みなれた地域の中で安心して生活できるよう、住宅施策と福祉施策が連携して運営しております。
 都営住宅のシルバーピアでは、区市町が管理人であるワーデンを配置しております。ワーデンへの支援については、一義的にはシルバーピアの運営主体である区市町が対応すべきものと考えております。

○奥澤委員 一義的には区市町が行うものだと。また、事業自体も福祉的な施策であるということで、福祉保健局が所管になるというようなお話だったんだと思います。
 ただ、住宅を取り巻く諸課題、これは本当に分野を横断して今取り組まなければいけないことがたくさん出てきています。特に福祉部門、そして、生活のすぐ近くにいる区市町村といった基礎自治体と、どういうふうに連携していくかというのが課題になるんだと思います。
 ぜひ積極的に、そういった課題を見つけたら介入していっていただきたい、そういった姿勢を求めたいと思います。まずは議論の俎上に上げていただく、そういったことをお願いしたいというふうに要望しておきます。
 話をまた都営住宅、今度は世帯構成の話をしたいと思うんですけれども、これも質疑がありました。住みかえ支援のお話を行おうと思いましたけれども、質疑は行わずに、意見だけお伝えしたいと思います。
 入居者の転出あるいは死亡などによって世帯員構成が変わるという場面はあるわけでして、住みかえ支援の体制の構築、これはぜひ進めていただきたいと思うんですけれども、今どうもお伺いすると、住戸変更を促すような制度についても国に要望しているというふうに仄聞をしています。ぜひ、入居者の暮らしの変化、これをしっかりと支えていただくような、そういった制度構築を目指して取り組みを進めていただきたいと一点要望しておきます。
 最後に、残り二問です。
 よりよい住宅環境を提供するという観点からお伺いします。
 東京都住宅供給公社や東京都には、入居者を初めとするさまざまな方から数多くの意見が寄せられています。この意見は、現在コールセンターで電話受け付けをしていると思いますけれども、その対応には膨大な労力がかかる割に、課題の本質がなかなか見えてこない、そういった状況があると推察しています。
 無所属東京みらい、私たちは、不満の声をAIで可視化して課題として浮かび上がらせるという取り組みをしておりますけれども、不満の声、お客様の声を適切に分析をしていくこと、これがさまざまな解決策、イノベーションの種になるということを身をもって実感しております。だからこそ、お客様の声をどのように受けとめていくのか、その体制と対応、これは非常に重要であるというふうに考えております。
 そこで、お客様の声の活用状況について、現在の取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○水野連絡調整担当部長 公社のお客様センターには、都営住宅や公社住宅にお住まいの方から、年間約四十二万件の電話によるお問い合わせがございます。お問い合わせの内容は、主に各種申請手続に関するご相談や住宅の修繕に関するお申し込みなどでございますが、お住まいの方からのご意見やご要望など、いわゆるお客様の声も含まれております。
 公社は、これらの声への対応を強化するために、今年度から、社内にお客様の声改善会議を設置しております。公社は、この会議での議論を踏まえ、申請書や届け出用紙をホームページからダウンロードできるようにしたり、入居者向けの広報紙や案内書類の記載をわかりやすくするなど、改善に取り組んでおります。
 また、都は、都営住宅の住宅設備や居住者管理制度などに関するご意見やご要望について、公社から情報提供を受け、連携して課題の解決を図っております。
 今後とも、都と公社は、お客様の声を活用して、お客様サービスの向上に努めてまいります。

○奥澤委員 今年度から、新たにお客様の声改善会議を設置したということで、お客様の声を大切にしていこうという姿勢を知ることができました。
 一方で、先ほども触れましたけれども、その取りまとめには膨大な労力がかかることも事実であります。ぜひ、新しいテクノロジーの活用などによる業務効率化を図っていただきたいというふうに思います。
 では、なぜ業務効率化を図っていただきたいというお話をしたかといいますと、住宅を取り巻く課題が多様化する中で、その解決に当たる人員や時間をふやしていただきたい、確保していただきたいと考えるからであります。テクノロジーを用いて自動化できること、それと、人の手を用いてオーダーメードで解決を図るべきこと、これをしっかりと仕分けをしていく必要性を指摘しておきたいと思います。
 そのような観点から見える化改革報告書を読ませていただくと、東京都住宅供給公社の一層の活用を図るために、東京都と東京都住宅供給公社の役割分担を見直し、外注できる業務は民間企業へ外注することで、余力を生み出し、新たな課題に対応していく必要性が言及されています。
 そこで、東京都が考える新たな課題と、その課題に対して果たすべき東京都住宅供給公社の役割についてお伺いしたいと思います。

○水野連絡調整担当部長 都は、ことし五月に、東京都政策連携団体活用戦略を策定しております。この中で、都は、住宅政策における課題の一つに高齢化の進展を挙げ、これに対応するため、公社の持つスキルやノウハウなどの強みを生かし、公社を戦略的に活用していくこととしております。
 公社は、都営住宅における巡回管理人による見守り機能の強化や自治会支援機能の強化などに取り組むほか、中期的には、都の福祉部門への職員派遣や福祉系経験者の採用などにより、都への政策提言が可能となるよう企画提案型の組織体制を構築してまいります。
 また、都は、都営住宅管理において、耐震化促進のための併存店舗折衝業務の一部や共益費の直接徴収を公社に委託するなど、公社をさらに活用する一方で、公社の巡回管理人が担う駐車場業務の一部を外注化することで、巡回管理人による見守り機能を強化するなどの見直しも進めております。
 今後とも、都は、住宅政策の一翼を担う重要なパートナーである公社と緊密に連携して、少子高齢化対応など都政の重要課題の解決に向け取り組んでまいります。

○奥澤委員 今のお話で、公社から都への政策提言が可能となるよう企画提案型の組織体制を構築するというご答弁がありました。それでこそ政策連携団体であるというふうに私は思います。
 この三月の議会のときに、住宅政策本部が再編されるというお話があったときに、必ずしも好意的に受け取っていない方々がいらっしゃったのも事実だと思います。しかし、さまざま意見交換させていただきましたけれども、今般のやりとりを通じて、住宅政策本部が前向きかつ真摯に検討を進めている姿勢をかいま見ることができました。
 超高齢社会を迎える東京都において、住宅政策の果たす役割、非常に重要です。ぜひとも都民の暮らしを住宅政策が支えているんだという気概を持って、さらに意欲的に取り組んでいただきますようお願い申し上げて、質問を終わります。

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、初めに多摩産材について、まず、住宅政策本部で行っている多摩産材の啓発についてお伺いいたします。
 東京には、多摩地域と島しょ地域に、総面積の約四割を占める森林があります。多摩地域で育成した木材、多摩産材などを取り扱う多摩木材センター原木市場における原木の取扱量は、ここ十年、約一万六千立方メートルで推移しており、二十年前と比較すると増加傾向が読み取れます。この多摩産材の利用をこれからも進めてほしいと考えております。
 まず、多摩産材の住宅における利用促進について、住宅政策本部で行っている啓発の内容と啓発により達成すべき目標、そしてその実績についてお伺いいたします。また、これからの取り組みについてもお伺いいたします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 多摩産材の利用拡大には、消費者の認知度の向上が重要であるため、民間住宅に関する多摩産材の活用について啓発等を行っております。
 お話の目標につきましては、まずは、何より認知度の向上が鍵でございまして、具体的に数値として設定はしておりませんが、毎年度、住宅取得を考える若い世代などが参加しやすい新宿駅西口イベントコーナーや都庁舎で、パネル等の展示を行うほか、昨年度は、多摩産材を使った家づくりコンクールを実施し、知事出席の表彰式を行うとともに、ホームページなどで作品を広く紹介してございます。
 また、実績についてでございますが、毎年度実施している新宿駅西口のイベントにおきまして、過年度の正確な来場者数は把握しておりませんが、本年度は、四百名を超える来場者があり、アンケートの結果では、多摩産材を知っていた、名前を聞いたことがあるを合わせまして、回答は六六・七%で、一定の認知度を得ているものと考えてございます。
 今後も、関係局や関係団体との情報の共有や協力、また生産地との意見交換を行い、工夫を凝らした啓発を展開することで、都民の多摩産材への利用拡大が図られるよう努めてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 過去五年間のうち、来場者数を把握していない年度があること、また、アンケートで多摩産材を利用したいとの回答が毎年八十人から九十人いらっしゃることがわかっていながら、その情報をその後、生かし切れていない面があるように感じます。
 現在、公会計監査などで期待されておりますが、この予算を投じてどのぐらいの効果があったのか、効果検証をする方向に全国的になっていくだろうと思います。つまり、今後この場所にこの予算を投じることによって、何を達成するための施策なのか、来事務年度以降、どう粒度を上げて工夫をしていくのか、必要だと思いますので、多摩産材の利用拡大に向けて取り組みを進めていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。都営住宅使用料の滞納についてお伺いいたします。
 何点かお伺いいたします。
 まず、平成三十年度の都営住宅使用料の滞納額について、お幾らでしょうか。そして、最近十年間の推移についてお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 平成三十年度の都営住宅使用料の滞納額は、約十五億七千万円でございます。十年前の平成二十年度、約二十六億七千万円と比べて、年々減少し、平成二十七年度以降は、十五億円台で推移しております。

○清水委員 ありがとうございます。
 都営住宅の使用料の収納について、平成三十年においては、口座振替が七五%、納入通知書による支払いが二〇%、そして代理納付が五%と伺っております。口座振替や代理納付--意思がなければ、滞納に結びついてしまうおそれがあります。
 そこで、滞納縮減に向けて、どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 滞納縮減のためには、何より滞納の発生を未然に防ぐことが重要でございます。
 そのため、入居に際して、住宅使用料の支払いを口座振替とするよう促しております。
 また、生活保護受給世帯については、地元自治体と連携し、使用料の代理納付の促進に取り組んでおります。納入通知書による支払いがなく滞納が発生した場合は、早期に催告書を送付し、それでも解消しない場合は、住宅供給公社職員による訪問、電話での納付指導を実施しております。
 こうした取り組みによっても滞納額が減少しない場合は、住宅明け渡し等の法的措置を実施しております。

○清水委員 入居者への滞納縮減に向けた対応はわかりましたが、滞納がある状態で退去した方も多いと聞きます。
 既に退去した方からの滞納額の回収については、どのような取り組みを行っているかお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 滞納がある状態で退去した者に対しても、転居先を確認し、支払いを求めております。
 具体的には、滞納額等から入居時の保証金を差し引いた額の請求を行う精算通知書を住宅供給公社から発送しております。その発送後三カ月経過しても支払いがない退去者に対して、納入を促す文書を送付し、その後も支払わない者に、催告書を年二回送付しております。
 また、支払いの申し出のあった退去者で、一括払いが困難な者については、分納による納付誓約書の提出をしていただきまして、計画的な滞納解消に努めております。納付誓約者数について、平成二十一年度、約七百二十件、平成三十年度は約一千三百件と増加しております。
 催告書を送付しても支払いをしない退去者のうち、収入超過者など支払い能力があると見込まれる者の中から、都は、法的措置対象者を選定し、法的措置に移行しております。

○清水委員 代理納付など、工夫をして滞納額を縮減している姿勢は伺えます。私も、実は国税局にいたときには、五年ほど、ちょうどバブルがはじけたときに、非常につらい思いをしながらも滞納処分をさせていただいておりました。
 そのときに大事だと思ったのは、職員の方の研修やスキルアップはそうなんですが、上司の細かいフォローも必要なんだろうと。そうでないと、みんながやりたがらない体制になってしまうので、今後とも期待をして、次の質問に移りたいと思います。
 災害時に、被災者に対して東京都がどう対応しているか伺います。
 まず、二つの台風による被害が発生した後、都は、被災者を受け入れるため、都営住宅を速やかに用意したと伺っております。その住戸をどのように確保したのか、まずお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 災害で家屋が被害を受け、居住困難となった被災者の住まいの早期確保は、被災者の生活の安定やプライバシーの確保などの観点から重要でございます。
 被害発生後、都では、それぞれ都営住宅五十戸と百戸を、被災した都民に、一時避難のために提供いたしました。提供する都営住宅は、日常管理している空き住戸とし、台風の被害状況等を注視して、公募用住戸や建てかえに伴う移転先住戸から入居可能なものを用意いたしました。

○清水委員 避難先となる都営住宅がどこに所在するかは、被災者の生活にとって大きな要因を占めると思いますが、被災者の具体的な受け入れ状況についてお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 都では、台風の被害状況に応じまして、できる限り被災者の希望に沿えるよう、区部から多摩部まで幅広い地域の住戸を用意いたしました。
 台風第十五号では、十一月二十二日現在で受け付け件数は六件、入居件数は六件となってございます。
 台風十九号では、同じく十一月二十二日現在で受け付け件数は八十七件、入居済み件数は五十件となっております。特に被害が多く発生した世田谷区と八王子市では、可能な限り同一区市内で住戸を提供できるよう取り組み、それぞれの都営住宅二十五件、十五件が入居済み、または入居予定となってございます。
 受け付け時には、通院、通学の便、親戚の家の近くなど、被災者の事情を聞き取り、可能な限り入居希望エリアの要望に対応いたしました。

○清水委員 今回の台風では、自治体によっては、罹災証明書の発行に時間がかかるといった事例もございました。また、罹災証明書の書式が区市町村、自治体によって異なっているので、ここでもさまざまな問題を目の当たりにいたしました。
 そこで、まず、都営住宅の提供を受ける場合の要件が何か、具体的にお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 被災者受け入れの入居要件としまして、都内在住で、住宅の損壊や浸水などによって居住継続が困難になった世帯で、区市町村が発行する罹災証明書を提出できることとしております。
 罹災証明書は書式を問わず、また、発行に時間を要することを見込んで、入居手続時点の提出だけではなく、入居後の提出でも可として、被災者の迅速な受け入れに努めてまいりました。

○清水委員 ありがとうございます。今回の台風十九号では、地域住民の皆様から、罹災証明が一カ月ぐらいかかるといわれていたので、それが入居要件でなくて大変助かったというお話、それから、電気、ガス、水道を開栓するだけで、もう明日から生活ができる環境というのは助かりますという声もいただいています。
 一方で、今回の台風十九号は、関東に接近したのが十月十二日の土曜日、都営住宅への受け入れを公表されたのが十七日の木曜日、受け付け開始が十八日金曜日でした。三連休だったことも重なりましたが、被災者は、被災してから避難所で六泊を強いられた方もたくさんいらっしゃいます。この間、私も避難所に伺っておりますが、テレビで、自宅が傾いている状況が連日放映されていました。
 また、被災者の居住する地域が市境というところもありました。すぐ近くであるにもかかわらず、隣の市の市営住宅に入居ができないことも生じていました。確かに、一義的には、自分の自治体の困っている住人が入るのを優先されるのはわかりますけれども、そういった調整も、ハードルは高いと思いますが、東京都が積極的に行うと、いろいろなことがスピーディーに進むのかなと感じました。
 被災者対応の迅速化と行政区域を超えた調整を今後の課題としてお願いしまして、次の質問に移ります。
 次は、工事業者に対する未払い期間が長いというケースについてお伺いいたします。
 公社によれば、その理由は、手直し工事の未了や書類の不備であると伺っています。出納閉鎖の後の件数で二十二件、金額で申しますと二十億余円と伺いました。これは平均しますと、平均が必ずしも絶対ではないんですが、一企業が平均一億円弱の支払いを年末や年度末に入金されないことを鑑みますと、都民の業者の立場からいくと相当打撃だろうと想像できます。
 公社は、業者に対して可能な限り早期に支払いできるよう、手直し工事を早期に完了させるため、具体的にどのような対応をされているのか、また、小まめに書類の不備の修正や早期提出を働きかけるなど、丁寧に対応すべきと考えますが、見解を伺います。

○水野連絡調整担当部長 公社が発注する都営住宅に関する工事等は、都の求める品質を確保する必要があり、また、公社住宅事業についても、これに準じて品質を確保する必要があることから、公社は、適切な施工を確保するため、必要な書類の確認を行っております。
 公社は、政府契約の支払遅延防止等に関する法律の趣旨を踏まえ、工事代金を速やかに工事業者に対して支払うことは重要であると認識しております。例えば、塗装工事の手直しにおいては、塗装漏れや塗装のかすれなどについて、具体的な箇所と手直し方法を適切に指示するとともに、書類に不備のあった場合は、工事業者に対して、書類の修正や不足している書類の速やかな提出を小まめに働きかけております。
 公社は、引き続き早期の支払いができるよう丁寧な対応に努めていくとのことであり、都は、公社に対して、今後とも適切な対応を促してまいります。

○清水委員 そもそも要因の一つが、書類が煩雑なため、支払いまでに時間がかかっているのではないでしょうか。
 業者にアンケートをとるなど、改善に向け、細かい意見をよく聞いていただきたいと思いますが、このような対応をとっているのでしょうか。あわせて、もっと提出書類を簡素化できるところは簡素化できるのではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。

○水野連絡調整担当部長 公社は、いわゆる支払い遅延防止法の規定に基づき、工事業者から工事完了の報告を受けてから十四日以内に完了検査を行い、完了検査合格後、工事業者からの請求を受けて四十日以内に支払うこととしております。
 都は、工事関係書類について、削減、簡素化の取り組みを検討しており、この取り組みと並行して、公社に対しても、公社が独自に定めている書類について、削減、簡素化を促してまいります。
 なお、業者にアンケートをとるなど、改善に向け意見をよく聞くべきとのお話についてでございますが、公社は、工事業者と意見交換なども行いながら、現場の実態を踏まえて対応していくとのことであり、都としても、公社に対し、今後とも適切に対応するよう促してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 次に、公社住宅の共益費についてお伺いします。
 共益費については、まず、草刈りやエレベーター点検、電球の取りかえなど、住人みんなで負担しているという趣旨かと思っております。つまり、住人皆さんから集めて、それを支払っている、行って来いの性格を含みますので、消費税も非課税でございます。
 さて、説明では、公社住宅二百三十二団地の共益費支出の五割を目安にしていると伺いました。実際は、いかがでしょうか。二百三十二団地全体で、過去十年間で最大の共益費の残高は二十七億、今期は八億、たまりがあります。
 共益費の趣旨からすると、居住者から徴収し過ぎ、あるいは計画的ではないのかなと私は感じております。今後どのようにお考えなのか伺います。また、どのように公社住宅の共益費を設定し、運用しているのか、具体的にお伺いをいたします。

○水野連絡調整担当部長 公社住宅の共益費は、光熱水費や清掃費、草刈り、樹木剪定費など、共用部分等の維持管理を適切に行うための費用でございます。
 共益費は、過去三カ年の支出実績や残高の状況を考慮して設定しており、公社は、団地ごとに収支の状況を毎年度お住まいの方に報告しております。
 これまでも、支出額が前年度実績から二〇%程度増加した事項もあることから、公社は、安定的な共益費運営のため、経済情勢の変化に伴う急激な費用増加や人件費の上昇なども考慮して、年間支出額の五〇%程度を確保する必要があるとしております。
 そのため、当該年度において生じた剰余金は、賃貸借契約書に記載のとおり、翌年度に繰り越しております。
 公社は、団地ごとの共益費について、適宜、維持管理に要する費用の検証を行い、必要に応じ改定を行っており、都は、公社に対し、今後とも共益費の適正な管理に努めていくよう促してまいります。

○清水委員 では、最後の質問に移らせていただきます。
 公社は、賃貸店舗を運営していますが、その中には、長期にわたって空き店舗となっているところが見受けられます。
 都全体では、二〇一九年十月末、先月末時点で、三百四十八施設のうち、四十七施設が空き店舗、つまり、七軒に一軒が空き店舗の状況です。空き店舗となった事情はさまざまなので、一概には申せませんが、もしこれが全部埋まっているとしたときは、月額約九百三十万円の収入でございます。
 果たして公社は、空き店舗解消の工夫をどこまでしていらっしゃるのでしょうか。
 一方で、団地によって、都市計画法上、一団地の住宅施設と位置づけられていると、店舗部分の用途が制限されていることで、テナント募集に制約があるようにも思います。このような公社の空き店舗をどのように改善していくのか、見解を伺います。

○水野連絡調整担当部長 団地の近隣に大型駐車場を備えたスーパーやショッピングセンターが進出したことに伴う購買動向の変化や、入居世帯の少子高齢化による購買力低下などにより、公社の団地内に長期にわたり空室となっている店舗がございます。
 また、都市計画法上の一団地の住宅施設として特定の用途に限定されていることで、テナントの募集に支障が生じている店舗もございます。
 公社は、店舗が団地住民の生活の利便に資するものであることから、引き続き、小売店等の誘致に取り組むことが必要と考えております。
 公社は、不動産仲介業者の活用や適切な賃料見直し等により、空き店舗の解消を図っていくこととしており、都としても、空き店舗が少しでも解消されるよう、公社のさらなる取り組みを促してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 地元でも、十年間空き店舗という箇所がございます。三年前の賃料改定、この十年で初めて賃料改定が行われまして約半額になりましたが、いまだ借り手はあらわれません。とはいえ、千人単位の住民の方がいて、減ってはいません。ぜひ柔軟に、今後対応していただけるよう意見いたしまして、私の質問は終わりにいたします。

○菅野委員 私からは、マンション施策について伺います。
 住宅政策本部の役割の一つに、長期的視点に立った分譲マンションの適正な維持管理の促進、そして円滑な再生を図る施策の推進があります。
 そこで、都内には分譲マンションが約百八十四万戸あるといわれています。しかし、そのうち約二十八万戸は建築をされてから四十年以上経過している。いわゆる老朽化ですね。そうしたことで、今後、建物の老朽化、また分譲当初からお住まいの方も大変多いところもあります。そういった意味で居住者の高齢化という、二つの老いが急速に進行している現状があるわけです。
 そこで、まず、マンションを取り巻く現状認識及びマンションの適正な管理の促進に関する条例を制定した背景を伺っておきたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 東京において、マンションは、都民の主要な居住形態であるとともに、都市や地域社会を構成する要素として重要であり、地域のまちづくりやコミュニティとも密接に関連する社会性の高い住宅ストックでございます。
 一方で、建物の老朽化と居住者の高齢化の二つの老いが進行し、今後、管理組合の機能低下によって、管理不全に陥る可能性があり、一たびマンションが管理不全に陥れば、周辺環境にも深刻な影響を及ぼすおそれがございます。
 都はこれまで、管理組合の自主的な取り組みを後押しするため、マンション管理ガイドラインやセミナーなどの情報提供による普及啓発やアドバイザー派遣などの支援を実施しております。
 しかしながら、これらの施策は、区分所有者が管理に無関心で管理組合が機能していないようなマンションには届きにくいといった課題もあり、これまでよりも行政が積極的に関与するなどの、より踏み込んだ施策が必要でございます。
 このため、都は昨年、有識者による検討会を設置するなどにより、管理組合の機能強化に向けて鋭意検討を進め、都民を初め、区市町村や関係団体の意見を聞きながら、本年三月に、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例を制定いたしました。

○菅野委員 そうですね。いろんな委員から質問がありましたけれども、マンションの老朽化の建てかえであるとか、耐震化の促進など、非常に課題があるわけです。
 そうした課題の解決の中においては、このマンション管理の適正化というのはどうしてもついて離れない、これは一体のもので取り組まなければならないというところでありまして、そうした意味で、この早期対応をずっと主張してきた私にとっても、本条例については大いに期待をするところであります。
 そこで、この条例に基づき、来年四月から、管理状況の届け出制度が始まるというふうに聞いております。期待される効果を伺っておきたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 届け出対象となるマンションは、昭和五十八年以前に新築された六戸以上のマンションとしており、これは、都内の分譲マンション約五万三千棟のうち、約一万四千棟に上ります。
 届け出内容として、管理組合や管理規約、大規模修繕の有無の項目等があり、これにより、管理不全の兆候を把握するとともに、防災や環境への取り組みなど、マンションの社会的機能の向上に資する取り組みに関しても状況を把握してまいります。
 届け出により把握した管理不全の兆候のあるマンションに対しては、管理状況に応じた助言やマンション管理士等の専門家の派遣などの支援を継続的に行うことで、管理不全の予防、改善につながる効果が得られます。
 また、届け出情報をもとに、管理組合と地域との連携による防災、防犯、美化、清掃活動などの取り組み事例の情報提供を行うなど、地域社会に貢献する管理組合の取り組みを後押しすることで、地域の安全・安心や居住環境の形成など、マンションの社会的機能の向上が期待されます。

○菅野委員 私の住んでいます港区では、届け出義務の対象となるいわゆる古いマンションですね、老朽化マンション、これが約千棟あるといわれています。昭和五十八年以前のマンションが千棟あるといわれています。
 特にその高経年マンションにお住まいの方々からは、やはり高齢化に伴う管理組合の役員のなり手不足、そして、修繕積立金がやはり当初の予定でずっと積んでいったものがなかなかこう大幅に積み増しができなかったりして、大規模修繕がその間に何回かあって、不足しているといったさまざまな悩みを聞いています。
 このことで、行政がこれまでより踏み込んだ施策を実施することは大変重要だということで、本当にそれを強く感じています。
 また、マンションは、都民の主要な居住形態であるとともに、市街地の構成要素として、まちの活力や魅力、防災力の形成とも密接に関連するなど、地域のまちづくりやコミュニティ形成にとって重要な存在であります。都心など、私の港区だとかでは、住んでいる人の九割ぐらいの形態がマンションであります。
 このため、マンションの管理組合と地域の町会、自治会が連携して、防災や防犯、コミュニティ活動などの取り組みを進めていくことが重要であります。この届け出制度の開始を機に、ぜひ、こういった面も強力に進めてもらいたいと思います。
 そこで、この条例による届け出対象というのが、昭和五十八年以前に新築されたマンションとなっています。昭和五十八年に実は区分所有法が大きく改正があったということで、それまでは、このマンションの管理組合というものは明確に規定されていなかったわけであります。区分所有者とマンションの管理者というような立場の者を置いていればというような程度の記載であったと思います。
 そのため、この届け出制度が開始されても、管理組合が設立されていない、もしくは管理組合というのが名前だけあるんだけれども、実態としては組合の体をなしていない、または管理者そのものも存在していないマンションなども出てくることが想定されます。
 これらの、今いったようなマンションだったりですと、当然ですけれども事務作業能力もあんまりありませんので、こういった届け出すら出ないんじゃないか、そうした心配をしています。
 これら未届けマンションへの対応はどのように行っていくのか伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 届け出がなされないマンションにつきましては、適正な管理が行われていないことが懸念されることから、行政が直接粘り強くアプローチすることが必要でございます。
 管理組合がない、もしくは管理者が存在しないマンションに対しましては、個別訪問による調査を実施して、お住まいの方々に聞き取りを行うなど、ご協力いただける区分所有者を通じて届け出を行うよう求めてまいります。
 なお、届け出につなげた後、管理不全の兆候があるマンションに対しましては、マンション管理士の派遣により、管理組合の設立など適正な管理がなされていくよう、きめ細やかな支援を行ってまいります。

○菅野委員 この届け出制度によって、まずは各マンションの状況を正確に把握をして、管理を適正に行うことを誘導して、さらには、耐震化、そして建てかえなどに結びつけていくことが極めて重要であります。
 その届け出制度の実施に当たっては、先ほど答弁があったように、個別訪問による調査など相当な手間や苦労があると思いますけれども、ぜひ都が積極的に区や市とも密接に連携をして進めてもらいたいと思います。
 しかし、何度も申し上げますけれども、実際にこの届け出が出なかった、または出てきた、そういったことで、どんどん出なかったところの調査を深めれば深めるほど、そうした実態がどんどんどんどん明らかになってくるわけであります。
 そうした明らかになる中で、今の進まない耐震化、老朽マンション建てかえもそうなんですが、やはり多くの課題がそこに見えてくるのかなと思います。
 そういった課題には、やはりいろんな方法で解決しなきゃいけない。しっかりとした管理組合を立ち上げることも必要かもしれませんし、もしくは老朽化に伴う建てかえを誘導することも必要かもしれない。管理組合をつくるにしても、今、実は管理会社も人手不足で、なかなかそういった、例えば非常に複雑になってしまった昔の形態の分譲マンションだとか、そういったものを、逆にいうとリスクが多かったり、余り利益にならなかったり、余り高い管理手数料は取れなかったりというようなことで、敬遠される嫌いもあります。
 ですから、管理士を派遣してアドバイスをするんですが、なかなか、またその先へ進めないということも実態として想定できますので、そうしたこともいずれあり得ると。そういう結果が出てくることで、対応しなきゃならない。どこまで行政が、何ができるのか、何を行政がするのかっていうことも含めて、今後の検討課題として取り組んでいただきたいなと思います。
 最後に、届け出制度をぜひ実効性のあるものとして、都民の豊かな住生活を支える安全で良質なマンションストックを形成していくことを期待して、私の質問を終わりたいと思います。

○古城委員 私の地元新宿区にあります都営住宅である都営戸山ハイツアパートの歴史をひもときますと、戦後間もなくの一九四八年、昭和二十三年、約二十四ヘクタールの旧軍用地に戦災復興住宅として木造平屋住宅、この数字はおおよそでありますけれども三百六十棟程度、そして千六十戸程度が建設をされました。
 その後、木造でございますので、不燃化や中層化など、住環境の改善を図るため、都市計画法における当時の一団地の住宅として事業が計画決定されましたが、払い下げか建てかえかという居住者との意見対立から事業が中断したそうであります。
 一九六九年、昭和四十四年五月六日に行われた参議院建設委員会公聴会の会議録を読みますと、当時、GHQから払い下げられた資材によって建てられた、いわば野戦用のバラックであったことがわかります。畳もない、間仕切りもないことから、畳、ふすまの一枚に至るまで自己資金で整え、住めるようにしたという事情が意見対立の背景にあったそうです。
 そして、この会議録には、次のような公述人による公述が残されています。このため、建てかえに猛反対でしたが、地元の都議が仲介役となり、自治会の人々と毎月二回にわたって相談し、対話をいたしました結果、ようやく住民も納得し、建てかえに賛同、現在に至っておりますと。
 住宅難解消のために協力していただきたいと居住者側と幾度も膝詰めで対話し、高層化実現にこぎつけたこの地元の都議とは、都議会公明党の大先輩である藤井富雄都議会議員であります。そして、ついに一九六八年、昭和四十三年より、八年間にわたり建てかえ再整備事業が行われました。
 このエピソードを伺い、住民の方々とよく話し合い、よき住民とのパイプ役となっていかなければならないと思いを新たにしました。いつの時代も、東京をいつまでも住み続けられるまちにすることが我々の使命だと思います。
 きょうはこの観点から、住宅政策本部が所管する事務事業に関連して、都営住宅について質問いたします。
 初めに、都営住宅の駐車場についてであります。
 委員会要求資料やまた他の委員の質疑でも触れられておりますので、概略で申し上げますと、都営住宅では、社会の高齢化の進展に伴って、入居者名義人の約三分の二が六十五歳以上となられるなど、高齢化が顕著となり、介護を必要とする方も多くなっている現状であります。
 そして、ライフスタイルの変化により、自動車の保有が減少したことも相まって、約四万八千区画の駐車場のうち、約三割の区画が未利用となっています。
 また、都営住宅では地域住民向けに、月決めで駐車場の貸し出しを行っているということでありますけれども、これまでも触れられたとおり、都営住宅への近親者の訪問や介護事業の目的で車で来られる人が、一時的にとめられるタイプの駐車スペースに対するニーズも高まっております。
 都議会公明党は、平成二十五年の決算特別委員会において、都営住宅内に介護事業者が一時的に駐車できる場を設けるよう求めるなど、折に触れて、介護目的での駐車場利用について要望してまいりました。
 そこで、都は現在、このような一時的な駐車利用に関するニーズに対し、どのような取り組みを行っているか、また、重複を避ける意味でも、コインパーキングの設置によりどのような効果が期待できるのかお尋ねをいたします。

○土屋経営改革担当部長 駐車場の空き区画につきましては、居住者の高齢化等に伴い利用率が低下してきていることから、居住者への来客や介護車両などの一時的な駐車ニーズに対応するため、コインパーキングを設置しております。
 コインパーキングは、昨年七月の本格実施に先立ち、九団地での試行を実施しましたが、その結果、団地での迷惑駐車の減少や、介護事業などの来訪者をコインパーキングに誘導できたなどの効果が確認できております。
 これらを踏まえ、今年度新たに十団地、七十二区画を加え、十月末現在で十九団地、百八十五区画に設置しております。

○古城委員 コインパーキングの設置は、これまでの都議会公明党の要望に合致する取り組みでありまして、居住者のメリットにもつながるものと評価をいたします。入居者の中には在宅療養の方や、ひとり暮らしの要介護高齢者のために介護に来られる親族、あるいは介護サービス事業者の車両の利用が多く見られ、居住者の方々からも利便性が向上したとの声もお聞きをしているところでございます。
 都営住宅の居住者の高齢化は今後も続き、それに伴い、介護の需要も減ることはないと思われます。
 こうした状況の中、私の地元の新宿区内の都営住宅、特に西戸山、百人町でも、住民から駐車場の空き区画を有効活用すべきだとのご意見を寄せていただきまして、私は、都に再三にわたり検討を求めてきたところでございます。
 そこで、コインパーキングを設置する団地の条件はどのようになっているのかお尋ねをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の駐車場は、都営住宅の居住者が利用する目的で設置してございます。
 コインパーキングは、目的外の使用となるため、管理開始後十年を経過したもので、入居率は高いが、駐車場の契約率が比較的低い団地について、国への用途廃止の手続を行ったものを設置対象としております。
 その中で、駐車場事業者の採算が見込めること、建てかえや移管の対象団地でないことなどの条件を満たす団地をコインパーキング設置団地として選定してございます。
 今後も、条件の整った団地から、順次拡大を実施する予定でございます。

○古城委員 条件について確認をさせていただきましたけれども、私がご要望いただいている都営住宅には、機械式の駐車場が設置をされているところもございます。機械式の駐車場の扱いについては、先日の都市整備局に対する事務事業質疑の中でも、そのときは分譲マンションに関してでありますが、附置義務の緩和について要件を確認させていただきました。
 そうした社会状況の変化も踏まえながら、今後の都営住宅における駐車場の民間活用のあり方についても積極的に進めていっていただきたいと思いますし、また、その展開に当たっては、都営住宅内はもとより、近隣にお住まいの方々にも十分に理解を得ながら、コインパーキングの対象団地を大幅に拡充するなど、駐車場の利用拡大を図ることを要望させていただきます。
 次に、大規模水害時の緊急避難について質問をいたします。
 先般の台風十九号では、都内にも避難勧告が出され、浸水の危険のあった地域の住民の方々は、大変大きな不安の中で過ごされました。住民の方からは、避難しようとしても、避難場所に指定されているところも浸水の危険があり、どこへ避難すればよいかわからず大変困ったとの声を伺いました。
 都は、大規模な水害が発生した際に、都営住宅を緊急避難先とすることに関して、区部東部地区を中心とした九区と覚書を締結しているとのことであります。地域住民の日ごろの不安に対応したものと考えます。
 ただ、これはあくまでも最終的な避難の手段であって、今回の台風のように、避難勧告が出た時点での避難先の確保は、依然として課題となっております。特に、車椅子使用者や要介護者などの災害弱者の方々は、いざというときにすぐに避難することは難しく、あらかじめ避難できる先の確保が重要です。
 都営住宅には、自治会が管理する集会室があり、その中には、建物の上の方の階にある住棟もあります。覚書をさらに実効性のあるものとするため、そうした集会室を緊急時の避難先として利用できることをあらかじめ都と区の間で取り決めて、住民に周知することが安心につながると考えますが、見解を求めます。

○土屋経営改革担当部長 ただいま理事からお話のありました覚書は、河川の氾濫などの大規模な水害が発生したときに、区が定める避難場所等に区民の方が避難する時間がない場合に、緊急的に都営住宅を避難先とすることについて、各区から要請を受け締結したものでございます。
 都営住宅の集会室は、通常は住棟の一階や敷地の中に別棟で設置されておりますが、お話のとおり、主に都や区の施設と合築となっている一部の都営住宅におきましては、上層階に設置されているところがございます。
 水害のおそれのある地域において、そうした集会室を緊急時の避難先として活用することは、都民の災害時の安心確保に資するものと考えております。

○古城委員 ぜひとも前向きに検討していただいて進めていただきたいと思うんですが、今、答弁していただいた中に触れていただいたことも関連をすることで、加えてお尋ねをしたいわけですけれども、今後、水害のおそれのある地域、ハザードマップで水害のおそれがある、また浸水が想定される地域における都営住宅を建てかえる際には、水害時の避難先にもなる集会室を上層階に設置すべきではないかと考えますけれども、この点について見解を求めます。

○妹尾建設推進担当部長 集会室を上層階に設置する場合、構造上設置可能な規模が制限されるとともに、団地内別棟の住棟の居住者や団地周辺住民の利用に制約が生じます。
 こうした制約を踏まえた上で、地元区市等から上層階設置に関する要望があれば、協議に応じてまいります。

○古城委員 さまざまな制約があるということについて、今まずお答えがありましたけれども、その前の質問でお答えいただいた点では、上層階にある部分については、その理由としては合築である、こういったことでありました。
 いずれにしましても、上層階に既に集会室が設けられているというところもあるわけでありますので、制約という点についてはなかなか難しい点もあるのかなと思いますけれども、区市等から要望があればということでございますので、ぜひ積極的に協議に応じていただきたいというふうに思います。
 あわせて、もう一点申し上げますと、今、建てかえについて、その際の点について確認をさせていただきましたが、既存の都営住宅の住棟においても、上層階において集会室とまではいわなくとも、その避難場所として活用できるスペースがあるのであれば、その点についても調査研究を行っていただきたいと要望させていただきます。
 次に、都営住宅の耐震改修について質問をいたします。
 都民の住宅セーフティーネットである都営住宅は、都が管理している公共住宅であり、居住者が安心して暮らしていく上で、耐震性の確保は大変重要であります。
 都議会公明党は一貫して、この都営住宅の耐震改修を強力に推進してまいりました。
 平成二十四年第二回定例会では、都に耐震改修の先導的役割を果たすよう求めた我が党の代表質問に対して、都は、居住者の安心・安全を図り、民間住宅等の耐震化を促すためにも、都営住宅の耐震化を推進することが重要との認識を示し、都営住宅の耐震化を計画的かつ着実に推進するとの方針を明らかにしました。
 同じく平成二十四年の第三回定例会の代表質問では、耐震化を確実にスピードアップさせるためには、併存店舗つき都営住宅の耐震化が大きな課題となっていることを指摘し、耐震化の促進には新たな対策が必要であり、特に、一刻も早い耐震化が求められている緊急輸送道路沿道の併存店舗つき住棟について、所有者の費用負担の軽減に向けた検討を行うべきと訴えました。都からは、これらの住棟の耐震化を推進するためには、権利者の負担の軽減を図ることが必要との見解が示されました。
 次いで、平成二十六年第一回定例会において、建てかえ事業とあわせて年間一万戸以上の耐震化が完了したことを評価する一方で、併存店舗つき住棟については、耐震改修工事がなかなか進まない状況に警鐘を鳴らしました。そして、これまでの店舗所有者との協議も踏まえて、費用負担の方法について新たなスキームを提案し、積極的な打開策を打ち出すべきと強く求めました。都は、店舗所有者の負担軽減を図るため、耐震改修費用の支払いについて将来の建てかえ時まで猶予することを可能とする新たな方策を導入することにより、店舗所有者との合意形成を進め、併存店舗つき都営住宅の耐震化を推進するとの方針を表明しました。
 その上で、平成二十九年第三回定例会で、都議会公明党は、分譲店舗が併設されている建物の耐震化を進めるには所有者の協力が欠かせないが、合意形成が得られず、耐震化の工事が進められない現状に対して、改めて、所有者との粘り強い話し合いは当然として、合意形成が進展するよう思い切った新たな対策が必要だと都に迫りました。都から、店舗の営業継続などに配慮しながら、耐震補強のための構造物を集約配置するなど、より効率的に耐震改修を行う方法も検討し、粘り強い折衝をさらに進めて耐震化を推進する決意が示されました。
 私は、昨年、平成三十年第一回定例会で一般質問に立ち、この分譲店舗の併設されている住棟の耐震化率は、店舗所有者との合意形成が難しいことなどから、いまだ五〇%未満にとどまっていることを指摘するとともに、地元新宿区の戸山ハイツアパートに四棟ある併存店舗つき住棟の耐震化が進まず、住民が不安を感じていることを切に訴えました。これら四棟の都営住宅には、約九十区画の併存店舗が存在し、倉庫として使われている区画や空き店舗もあります。こうした住棟の耐震化が進まない原因の一つは、建てかえの場合には併存店舗の買い取り制度が用意されているのに対し、耐震改修では買い取り制度が適用されないことにありました。
 そこで、私は、都内には同様の形態の住棟が多くあるため、具体的に、併存店舗の買い取り制度の適用を提案し、一歩踏み込んで耐震改修に取り組むことを訴えました。これに対し、当時、都技監から、一つ、来年度、平成三十年度からは一部の店舗を新たに買い取り、その内部に補強のための部材を集約配置することで、より効率的に耐震改修を行っていくこと、二つ、これにより他の店舗の仮移転や一時休業などの負担を軽減し、合意形成を加速すること、三つ、これにあわせて、折衝について東京都住宅供給公社を活用し、各店舗の状況に応じた対応をよりきめ細かに行うことが示され、併存店舗つき都営住宅の耐震化を推進し、居住者の安全を確保するとの取り組みがようやく明らかになりました。
 そして、この本会議でのやりとりから、一年九カ月近く経過しました。ようやく私も都市整備委員会に所属をしまして、この質問をさせていただけるわけですけれども、併存店舗のある都営住宅の耐震改修事業における店舗買い取りの進捗について見解を求めます。

○金子営繕担当部長 都は、昨年度より、耐震改修事業における店舗買い取りの取り組みを原則として耐震性の低い住棟から実施しております。
 また、これにあわせ、店舗権利者との折衝につきまして、東京都住宅供給公社への業務委託を活用し、耐震化に向けた説明会及び買い取り額算定のための調査を実施しております。
 本年度は、東京都住宅供給公社への委託規模を拡大いたしまして、計画的に説明会及び調査を実施するとともに、昨年度調査済み団地につきましては、順次買い取り額を提示し、折衝を行っております。
 その結果、今年度提示を行った住棟につきましては、年度末には買い取りに応じていただける店舗が明らかとなる見込みでございます。
 店舗の売却をせず、営業継続を希望される権利者に対しては、改めて耐震改修に要する費用負担や工事中の営業補償など、耐震改修に向けた協議を行ってまいります。

○古城委員 一つの建物を都営住宅と民間店舗とが区分所有している併存店舗つき都営住宅の耐震化を進めるには、一階部分の区分所有権を有する店舗権利者の協力と合意が不可欠であります。
 これまで都が、工事の実施に向けた設計を進め、店舗権利者への個別訪問により改修内容について丁寧な説明を行うなど、耐震化に向けた働きかけを精力的に行っていることについては評価をします。
 私の地元の、先ほど申し上げた戸山ハイツアパートの併存店舗つき住棟についても、説明会がようやく実施されたということで、当該住棟の店舗権利者の方からお話を伺ったところでございます。
 一方で、首都直下地震の切迫性も指摘される中、該当する住棟の居住者の方々は、一日も早い耐震工事を望まれているわけであります。
 そこで、戸山ハイツアパートにある四棟の併存店舗つき住棟の現在の折衝状況について見解を求めます。

○金子営繕担当部長 戸山ハイツアパートにつきましては、昨年度、二棟の店舗権利者の方々へ説明会及び調査を実施し、今年度も二棟の説明会を実施し、調査を行っております。
 昨年度調査を実施した住棟につきましては、順次買い取り額の提示を行っておりまして、売却の意向を示している店舗権利者の方も出てきております。
 今後、買い取りの契約締結に向けて、店舗権利者の移転時期について調整が必要でございまして、各店舗の状況に応じた対応を行ってまいります。

○古城委員 現在、買い取り補償契約に向けた対応などがなされていて、併存店舗つき住棟の耐震化のための取り組みが進められているということについては、進んでいるんだろうということを理解したところであります。
 また、耐震改修によって、工事中の店舗営業の継続が困難となるなどの課題もあり、権利者の合意形成を図ることは容易なことではないと思われますけれども、引き続き、耐震化に向けて店舗権利者の方々の理解を得るための取り組み、また調査、買い取り額の提示等、さまざまな取り組みがありますけれども、これを着実に進めていただきたいと要望をいたします。
 さて、都営住宅においては、今質問させていただいた耐震改修やエレベーターの設置など、改善を進める一方で、公営住宅法に定められる耐用年数七十年に近づいている建物については老朽化も進んでいることから、将来、適切な建てかえ、更新が必要になると考えます。
 今申し上げてまいりました戸山ハイツアパートや、同じく私の地元にある西大久保アパートなどは、昭和四十年代に建設されており、確実に老朽化が進んでいます。
 台風十五号及び台風十九号による大雨の際には、住棟の廊下に流入した雨水によりましてエレベーターが稼働不能に陥ったり、雨漏りが至るところで発生したり、老朽化が顕在化をいたしました。中には入居してすぐに雨漏りに見舞われるという方もいらっしゃいましたが、私も現場に駆けつけまして、住宅政策本部の方々やJKKに対して急ぎ改善するよう求めたところであります。
 また、エレベーターの設置やバリアフリーに向けた対応など、高齢者や障害者にとっても居住しやすい都営住宅の環境は、建てかえを行うことで初めて解決できるところもあります。建てかえには一定の検討期間が必要になると思われますが、都営住宅をよりよいものとするために、将来の建てかえについても今後視野に入れた対応が必要であると考えます。
 そこで、老朽化の進んでいる昭和四十年代に建てられた都営住宅に関して、耐震改修を行ったものも含め、建てかえについて見解を求めます。

○妹尾建設推進担当部長 昭和四十年代に建築された都営住宅は、団地の特性や老朽化度合いなどを勘案しながら建てかえを推進し、公営住宅法上の耐用年数を超えないよう、ストックの計画的な更新を図っております。
 また、耐震改修を行った住棟につきましても、これらの観点に加え、改修に費やしたコスト等を踏まえながら、一定期間の使用の後、建てかえを検討してまいります。

○古城委員 戸山ハイツアパートを一例にしますと、緑豊かで、スポーツ、また防災の拠点となる都立戸山公園と近接、混在し、さらに団地敷地内施設は、周辺地域の居住者、勤労者にとっても、日々利用し、また生活に必要な施設となっています。
 したがって、私は戸山エリアを一体的に捉えていくことが大変重要であると考えております。老朽化の進んでいる都営住宅について、周辺地域への影響も考えながら、地元のまちづくりにも貢献できる建てかえを計画的に進めていただきたいと要望いたします。
 人口減少や高齢化、外国人居住者の増加が進む中で、時代の変化に見合った快適な住宅の確保は、暮らしの安心の根幹です。高齢者や子育て世帯、就労困難者への住宅支援を進めるため、都営住宅を初め各種公的住宅の適切な戸数と質の確保や、民間住宅、マンション等の取得や入居がしやすい仕組みの構築など、誰もが安心して住むことができる骨太の住宅政策を、都民生活の向上を目指す都政の柱として据えるべきであると訴えて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○馬場委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時四十三分休憩

   午後六時五分開議

○馬場委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○曽根委員 私からは、まず、分譲マンションの課題について質問させていただきます。
 今年度は、マンションの適正な管理運営に向けての条例が制定されました。
 我が党は、第一に、この条例に対して、都の立入調査権の乱用の防止、それから第二に、マンションの建設業者が販売促進のために当初の修繕積立金を低く抑えるなどして、後の管理組合の運営が難しくなるなどのこうした弊害の防止、第三に、居住者の参加した協議会の設置、そして、三年をめどに条例の見直しなどの条項を入れるなどの修正を提案しました。実現はしませんでしたが、今後も、マンション居住者、区分所有者の立場から改善を求めて取り組んでいくつもりです。
 きょうは、これから本格的に条例の具体化を進める上で、幾つか提案も含めて質疑をしたいと思います。
 まず、これまでマンションについては、都市整備局として、主に耐震化の促進とマンションの管理の実態を把握するために、一万棟を超える多くの古いマンションへの都の職員による直接訪問に取り組んできました。
 ここで蓄積された各マンションの訪問によるデータや実績は、今後どのように継承されていくのかお聞きします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンション啓発隊は、管理組合による耐震化への取り組みを促すため、平成二十四年度から四年間、都内に約一万二千棟ある旧耐震基準のマンションを対象に、都及び地元区市の職員、建築士などの専門家で個別訪問を実施いたしました。
 加えて、平成二十八年度から二年間、耐震化に関心のあった管理組合を対象に啓発隊が再訪問し、個々のマンションの状況に応じたきめ細かな助言などを実施してきたものでございます。
 啓発隊を通じて得られた管理組合ごとの情報は、データベース化しており、マンションへの働きかけを行う際の基礎情報として活用してございます。
 来年四月からの条例に基づく管理状況届け出制度の施行後、管理不全の兆候があるマンション等への個別訪問時におきましても、引き続きこの情報を活用し、マンションの管理適正化に向けた働きかけを実施してまいります。

○曽根委員 これまでの訪問による情報がデータベース化されて基礎情報として生かされること、また管理不全の兆候のあるマンションについても、今までの情報をもとにより具体的な支援がされるよう、引き続き要望していきたいと思います。
 その上で、今後はどのようにこの条例による制度を普及し、マンションの側に活用を促していくのかが大きな課題になります。
 そこで、来年四月からの管理状況の届け出制というのが実施されますが、これに向けた現在の取り組みの現状、どのように制度を周知していくのか、この点についてはいかがでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 条例及び管理状況届け出制度の開始に向けましては、既に「広報東京都」の五月号におきまして周知をしているところでございます。
 また、マンション啓発隊の活動で得られた情報を活用し、届け出対象のマンションに制度の周知を行ってまいります。
 今後とも、制度に関する広報、周知活動を区市等や関係団体とも連携して実施してまいります。

○曽根委員 都としては珍しく一万棟を超える都内の旧耐震基準の全マンションを訪問した、この実績は大いに生かしていただきたいと。青島知事のころに、都内にふえ続けている分譲マンションの実態調査が必要じゃないかということを私たちもお願いしまして、青島知事、当時なかなか渋い答弁が多かった中で、唯一この問題はやりますと、必要だということを知事も答えた。それ以来二十年以上になりますが、この蓄積は、私、今後のマンションに対する具体的な働きかけという点では非常に大きいと思います。
 今後の具体的な支援というのは、まず問題を抱えたマンションから重点的に始まるというふうに思いますが、それは当然のことですが、同時に、一般の分譲マンション、まだ問題は顕在化していないけれどもこれからだんだん古くなっていく、そうしたマンションにとって、この制度を生かす上で、やはりこの制度の中にある、例えばマンション管理士などを招いて適正管理のアドバイスを受ける、また問題が起きる前に事前に例えば長期修繕計画などの指導を受ける、こういうことができるようにしていくと。管理の報告の届け出だけではなく、それに対する都としての支援のルートがありますよということを示していくことが大事だというふうに思います。
 東京都には、マンション管理士を選定してマンションに派遣する制度があって、区や市によっては、この派遣制度で派遣される専門家、アドバイザーに助成金を出すという制度を、私のいる北区なども含めて持っているところもあります。
 都としても、このアドバイザー派遣に一定の助成を出すことも強く求めておきたいと思いますが、同時に、このアドバイザーがマンションの希望に応じた、即した人材を派遣できるようなきめ細かい運営というのがこれから大事になってくると思うんです。
 例えば、マンション管理士などを派遣する制度の中で、派遣する専門家というのは都が選んで指定するというだけではなくて、要望があれば、都が派遣できるマンション管理士のリストの中から管理組合の方がこの人をお願いしたいというようなことが推薦できるような、こういう制度もあっていいんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 東京都防災・建築まちづくりセンターが実施しておりますマンション管理アドバイザー制度やマンション建替え・改修アドバイザー制度では、登録アドバイザーはマンション管理士などの国家資格者や専門機関等の認定資格者で構成されてございます。
 派遣されるアドバイザーの知識や経験によって相談者が受けるアドバイスの内容等に差が生じないよう、全てのアドバイザーが一定の能力や実務経験を有し、相談者に対し一定水準のアドバイスを提供できる体制を整備してございます。
 派遣に当たりましては、登録アドバイザーの中から派遣内容に適したアドバイザーを選定してございます。
 なお、東京都防災・建築まちづくりセンターでは、定期的に登録アドバイザーへの研修等を実施し、アドバイス能力の平準化にも取り組んでおります。
 そのため、相談者が特定のアドバイザーを指定して派遣を申し込むことができる取り扱いは行ってございません。

○曽根委員 東京都が選定するというのは、この制度としては当然だと思いますが、これまで私が住んでいるマンションでもそういうアドバイザーを派遣していただいて、何回か来ていただき、北区の助成を受けたこともありますが、やはり行政が派遣するアドバイザーというのは、公平性を強調し過ぎる余り、例えば管理組合が管理会社に不当に高い管理費や修繕費を払わされていても、そういうマンション管理業者に不利な情報というのはあんまり提供しないという傾向があるという印象があるんです。
 したがって、こういうマンションの管理組合に専門家としてのアドバイスを与える、こういう立場は、あくまで区分所有者の利益のためにやっぱり力を発揮するんだという点をぜひ明確にしていくような制度にしていただきたい。都としてアドバイザーのレベルを高めるための研修も行うということですが、専門家はあくまでこの区分所有者のメリットを守るという点を重視していただきたい。
 それから、今日、防災問題でも、やっぱり外から防災の専門家が行って、管理組合にアドバイスをする、いろんな支援をするということは大事になってきていると思います。
 防災問題で、専門家の派遣を受けて、マンションの防災対策についてアドバイスを受けられるような制度を今後も継続、充実させるよう求めたいと思いますが、どうでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 防災対策を所管する総務局では、マンション管理組合等に防災関係の専門家を派遣する制度である東京防災学習セミナーを実施しており、住宅政策本部では、この利用促進に向けた普及啓発を図るため、今年度から、同セミナー開催の案内を管理組合向けの情報サイトであるマンションポータルサイトに掲載し、情報提供を行ってございます。
 今後とも、こうした取り組みにより、管理組合等の防災への意識向上を図ってまいります。

○曽根委員 分譲マンションに共通した防災の点での悩みというのは、地元の自治体から管理組合に対しては、例えば自治会、町会並みの防災の支援のルートがないと。したがって、例えば区から防災資器材の支給も、直接管理組合には支給されないと。援助金も出ないと。町会、自治会を管理組合とは別に組織するか、もしくは地元の町会に入って、その中でマンションとしての特別な必要な資器材の支給を受けるか。つまり単純に管理組合に対して直接の支援はないということなんです。
 これは既に前にも指摘しましたが、国の総務省でも、防災に関しては、マンション管理組合、大規模なマンションは特に、防災上の穴があかないように、町会、自治会並みの支援をしなさいということがもう既に通達でも出されておりますので、この方向で充実をしていただきたいんですが、例えば管理組合がこうした防災の専門家からの助言を受けて、自治体から、例えば防災活動への支援が直接受けられるよう、今、自治体によって、区によっては、防災の自主組織、住民組織をつくった場合には、それが自治会ではなくても資器材を援助したり、助成金を場合によっては出したりする援助も始まっているようですので、こうした具体的な支援につながる助言が受けられるよう、また実質的に防災の訓練などに役立つような知識が受けられるように、総務局の防災部門と連携して進めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都はこれまでも、マンション管理組合の自主防災組織の立ち上げに向けた区市等による防災アドバイザー派遣を、マンション管理ガイドラインにてご紹介してございます。
 あわせて、先ほどご答弁したとおり、管理組合等は東京防災学習セミナーを活用し、防災関係の専門家からの助言を受けることが可能であり、今年度から同セミナー開催の案内をマンションポータルサイトに掲載しているところでございます。
 こうした取り組みを総務局と連携しながら実施し、マンション管理組合による防災活動への支援の充実を図っております。

○曽根委員 こうした、局はちょっと違いますけれども、総務局なども分譲マンションへの防災セミナーなどを行っており、これは、ちょっと昨年度は見直しで、なかったんですが、今年度改めてまた復活して取り組みが行われております。こことの連携を進めながら、大きなマンションは、ある意味直接住民の垂直避難の場ともなり得る、そうした協定も結ぶ可能性も今後大いに出てくると思いますので、分譲マンションのそういう防災上の役割、また、タワーマンションでこの間、地下の電気設備に浸水をして、何日間か全く生活ができなくなるという事態がありまして、これは私調べてみたんですけど、都内のかなりの高層マンションが、電気設備はあんまり売り物にならない地下に入れている場合が多くて、多くが浸水の危険を持っていると。世田谷の一部には、止水板を周りに設置してとめたというところもあったようですが、とにかく弱点としては電気設備が地下にあるというのが、高層マンションの場合、大きな弱点になり得るという問題も起きています。
 そうした問題も含めて、今後、防災上の的確なアドバイスや、また取り組みが進められるように協力して進めていただきたいと思います。
 そこで、派遣する専門家については、管理組合や居住者の利益を守る立場を堅持できるような、いわば義務づけといいますか、そういう仕組みが必要だと考えますが、この点では都はどういうふうに取り組んでいるでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンション管理アドバイザー制度などの登録アドバイザーは、マンション管理士などの国家資格者であり、信用失墜行為の禁止などが法令上規定されてございます。
 また、マンション管理アドバイザー制度の制度実施要領には、アドバイザー業務に際しての遵守事項として、公平、誠実な業務遂行、営利活動目的による業務遂行の禁止、業務内容等の守秘義務などが規定されております。
 加えて、登録アドバイザーが会員として所属する資格者団体におきましても、団体の社会的信用の確保のため、みずから倫理規定を置き、会員の資質向上に努めてございます。
 これらにより、アドバイザーの業務の適正性を確保してございます。

○曽根委員 その点は厳密にやっていただきたいんですが、分譲マンションの管理については、片や居住者で構成する素人集団の管理組合理事会に対して、管理会社というのは情報やノウハウの点で圧倒的に優位に立っております。そのギャップを埋めて、適切な管理業務や居住者の負担のあり方をアドバイスできる能力が、私は間に立つその専門家アドバイザーに大変求められていると思います。
 しかし、実際には、公平性にこだわる余り、区分所有者の利益に対して若干誠意に欠けるような対応がしばしば見られるわけで、こうした点をやっぱり克服できるような制度となるよう、この点は重ねて強調しておきたいと思います。
 条例の今後の運用に当たってもこの観点を貫くように求めまして、次の質問に行きます。
 次に、都営住宅の供給増を可能とするよう、この際、建てかえ事業などの実態に合わせた一部見直し、改革を求めて、質問したいと思います。
 我が党は、一貫して都営住宅の新規建設の再開を求めてまいりました。そのためには、基本的には都有地を確保し、そこに新規の都営団地を建設すべきです。同時に、都内の八十万戸といわれる空き家を活用した借り上げ住宅も検討すべきで、特に公社、公団、都民住宅などの空き家の活用を提案してまいりました。
 加えて、きょうは、建てかえによる都営住宅の建設の中で、可能な建てかえ後の住宅の新規の入居者募集にこれを回すよう求めて、質問したいと思います。
 既に昭和四十年代に整備された約十万戸の都営住宅の建てかえはかなりの程度進んでおります。
 それでお聞きしますが、新規建設を中止した西暦二〇〇〇年度以降、都営住宅の建てかえと、それから建てかえに近いスーパーリフォーム、壁などを残して中は全部リフォームしますが、これが行われた戸数は、トータルで何戸ぐらいになっているでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 西暦二〇〇〇年といいますと、平成十二年かと思います。平成十二年度以降に着手しました戸数は、平成三十一年三月末現在で、都営住宅の建てかえが計五万九千二百五十五戸、スーパーリフォーム事業で行ったものが計二万百九十二戸でございます。

○曽根委員 合計で約八万戸について、建てかえか、もしくは建てかえにかなり近いスーパーリフォームが行われております。昭和四十年代の都営住宅については、残りの建てかえ事業の対象となる都営住宅は、かなり限られてきているということになると思います。
 そして、多くの団地では、建てかえ事業が例えば行われて、最初の段階では、その団地の中に移転先がないので、ほかの団地に移転します。例えば、百件のお宅が最初にほかの団地に移転して、そこの住棟を取り壊して新しい建物を建て、そしてその団地の中の残りのところが移って、玉突きで移転していくというローリングでやられる場合が大きな団地は多いです。
 そうすると、最後の段階で、最後につくる住宅にはその団地の方はもうみんな入り終わっていて、ほかの団地からのまた建てかえによる移転のための事業用の住宅というのが残るわけですね。
 そういう流れの中で、だんだん建てかえ事業が全体として終了に近づきますと、建てかえ後に残された住宅がかなりの数になってきているわけです。
 一例として、北区、地元にあります桐ヶ丘団地の例について質問をします。
 桐ヶ丘団地の再生事業、これはもう二十年来やっていますけれども、従前戸数と、それから今計画されている再生事業後の計画戸数は幾つでしょうか。

○中山再編利活用推進担当部長 都営桐ヶ丘団地について、建てかえ着手前の従前戸数は、平成七年度時点で五千二十戸、現在の建てかえ計画戸数も同様に五千二十戸でございます。

○曽根委員 同数ということですよね。実際は、私、地元でずっともう三十年来、議員などやっているものですから、実際は昭和二十九年に建設が始まって、再生事業に入ったとき、平成七年と今おっしゃいましたけど、その時点では昭和二十九年から四十年ぐらいかけて整備してきて、五千二十戸できていないんです。実際は、民有地を買い取りができないまま、大体四千九百五十戸ぐらいだったんです。これが、実際の従前戸数なんです。
 これを、しかし計画上は五千二十戸にすると、都営住宅で。ということは、事実上、建てかえによる戸数増ということになりまして、今、都内で桐ヶ丘は最大の団地だと思いますので、画期的なことじゃないかと思います。
 しかも、もともと再生事業を計画したときは、五千戸のうち四千戸は都営住宅でつくり、残り一千戸は都民住宅をつくるというふうに計画されていました。ところが、途中で、ご存じのように東京都も公社も都民住宅はつくらないということに方針が変わりまして、残り一千戸はもうやめようかということがいわれ出したので、もう大変だというので、地元も非常に強く、だったら都営住宅でいいじゃないかということを求めて、結果としては五千二十戸全部、都営住宅で建てかえるということになったわけです。
 その点では、今、桐ヶ丘の現居住者は四千世帯を切っていると思います。いろいろ建てかえで移転をしたり、それから当然亡くなっている方もいまして、三千数百世帯ぐらいになっていると思いますが、その方々は、今古い住宅に住んでいる方も、今建設している都営住宅に団地内で移転がもう全部見通しが立っておりますので、四千戸の今建設中の住宅に入ると。
 そうすると、残り丸々一千戸は残って、それがつくられるのが大体五、六年先になるかと思いますが、こういうまとまった大きな戸数の都営住宅を、もう周りを見回しても建てかえ事業をやっている団地がかなり少なくなっている中で、別の目的に転換して、新しい階層を含む、都営住宅の門戸を広げるという事業に乗り出す物理的条件ができてきているんじゃないかというのが私の率直な実感なんです。
 その点でちょっとお聞きしますけれども、北区内で昭和四十年代までに建設された都営住宅で、建てかえやスーパーリフォームが未着手の団地というのは幾つあって、何戸ぐらいあるんでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 北区において昭和四十年代以前に建設された都営住宅のうち、まだ建てかえやスーパーリフォーム事業に着手していない住棟を含む団地は、平成三十年三月末現在で合計二十一団地、戸数は計五千四百七十八戸でございます。

○曽根委員 北区内は一万三千戸の都営住宅がありますが、そのうち七千戸以上の建てかえなどはもう終わっている、もしくは昭和五十年代以降であると。
 残り五千四百戸余りというお話ですが、この中には実は、桐ヶ丘団地の残り戸数千七百六十七戸とか--これはデータとしては平成二十九年度末だと思いますが、それ以降に、建てかえがもう計画されて、移転先が決まったり移転が始まっている団地が、王子三丁目の二百五十戸とか、王子本町の三百戸余りとか、田端新町の二百二十五戸とか、もう既に決まっているところがありまして、また桐ヶ丘団地のお隣に赤羽西五丁目団地というのがありますが、この五百六十八戸も、耐震補強が今進められていて、今後十年間は建てかえはないと。
 そうしたことも勘案し、かつ桐ヶ丘から離れた団地の建てかえの場合、これまでの経験則ですけれども、遠くの桐ヶ丘まで仮移転や本移転で移るというよりは、近くにある団地の空き家にほとんど吸収されますので、桐ヶ丘に今後、一千戸規模の新しい住宅にどうしても移転してこなきゃならないというところはもう大体なくなってきているわけなんです。
 したがって、これは新しい活用の仕方をぜひ検討すべきだというふうに思いますけれども、この活用についてはどう考えているでしょうか。

○中山再編利活用推進担当部長 北区において、昭和四十年代以前に建設された都営住宅で建てかえ等に着手していない団地はまだ多くございます。
 現在、段階的に進めている桐ヶ丘団地建てかえ事業について、今後、最終期に整備する住棟については、引き続き、区内の建てかえ事業を円滑に進めていくために、他団地の居住者の移転先として活用することを想定しております。

○曽根委員 今の現状ではそういうお答えになってしまうんでしょうけれども、これから数年たって桐ヶ丘の中でも住みかえが全部終了し、かつ周辺の昭和四十年代の団地の建てかえ事業も進捗していったときに、新しくこれからつくられてくる桐ヶ丘の一千戸の都営住宅は、実際上は、そこに移転してくる、区内でいえば大規模な移転の団地はなくなってくると。
 今、隣が板橋区なんですけれども、例えば板橋区の区境を越えて移転というのはあんまりやっていないですよね。というのは、介護保険その他の手続、生活保護を受けている人も一定数いますので、そういう方の手続、区を越えると結構大変ですから。そういう意味では、北区内で他団地の建てかえ用にというのは大体終息してくると思いますので、こういうところを、例えば住政審が提案している新たな都営住宅の対象階層、若年単身者やひとり親家庭、学生などへの新たな提供の住宅として活用を検討すべきじゃないかと考えております。
 これら新しい階層への住政審の提案にどう応えていくのかということで、どういう住宅を、こういう新たな階層に提供しようと考えているのか。私の予想では、どうしても多摩地域が多くなってしまうと思うんですが、二十三区でもそういう新たな提供できる住宅が確保できるのかどうかお聞きします。

○土屋経営改革担当部長 若年単身者に提供する住戸につきましては、五月の住宅政策審議会答申で、応募割れしている住戸のある地域などにおいて、建てかえの型別供給基準との整合性を図りながら、単身者向け住戸のあっせん基準を弾力的に運用するなどして確保に努めていくとの提言がなされております。
 また、学生入居につきましては、同答申で、例えば建てかえ用に確保している住戸について、建てかえ事業で使用するまでの間、大学等と連携した学生の入居を検討すべきとされてございます。
 これらの提供住戸につきましては、答申の趣旨を踏まえ、今後適切に検討していくこととしております。
 なお、ひとり親世帯につきましては、十一月募集から新たに期限つき入居の対象に加えておりまして、二十三区を含め、駅から徒歩圏内の利便性の高い住宅を提供しているところでございます。

○曽根委員 今いわれたように、ひとり親家庭については期限つき入居の中に新たに加えたと。ただ、これはかなり制限は緩和されましたけれども、やはり一定の条件がありますし、学生や単身の方の、若年単身の方の募集は、応募がなかった、率直にいえば不人気な住宅が当てがわれるということで、まだまだ十分な取り組み、本格的、本腰を入れた取り組みとはいいがたいんじゃないかと思います。
 それで、多くの既存の都営住宅を見ますと、私の地元もそうなんですけど、高齢化が物すごい勢いで進行しておりまして、高齢者の方にとっては、コミュニティの維持のためにも、若手やファミリーの入居を求めているわけです。その中で、建てかえの終了で空き家も生まれているわけです。私はこれを活用しない手はない、やはりコミュニティの担い手、働き盛りのファミリー、また学生や単身、若年の人たちを迎え入れる、既存の団地でこそ求められていることではないかというふうに思います。その点で、抜本的な対象の拡大、取り組みを求めておきます。
 最後に、二〇二〇年度までに都営住宅の耐震化、少なくとも今住んでいる都営住宅については必ず耐震化を完了させるという約束はどうなっているのか、残された住宅の今後の見通しも含めてお聞きしたいと思います。

○金子営繕担当部長 平成三十年度末時点の耐震化率は約九五%となっておりますが、下層階に分譲店舗が併設されている都営住宅の耐震化につきまして課題があると考えております。
 耐震改修事業におきましては、売却の意向のある店舗を買い取り、より効率的に耐震改修を行ってまいります。

○曽根委員 先ほどほかの方からも質問ありましたので、私からの提案としては、率直にいいまして、一階に店舗が入っている場合、地元にもありますけれども、なかなかこれ買い取り大変なんですよね。そういうところの場合、来年度いっぱいの間に上の住宅も含めて耐震化が完了できるのかというと、極めて厳しい状況がやはりあると思います。
 そこで、一階が店舗の場合など耐震化の見込みが立ちにくい場合、建てかえ計画をその建物に適用して、住宅を建てかえの事業の一環として先行して移転させると。店舗については継続して協議しなければならないとしても、上の住宅の方は先に移転させることができるようになると思うんですが、こういうことを検討してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○妹尾建設推進担当部長 耐震性を満たさない住棟につきましては、早急に安全性の確保を図る必要があることから、建物の老朽化や居住者の移転先の確保の状況等を勘案し、建てかえ、もしくは耐震改修いずれかの最適な手法により取り組んでいるところでございまして、併存店舗つき住棟の耐震化についても同様でございます。
 なお、お話の店舗権利者との調整の長期化によりまして耐震化が進まない住棟の居住者に、先行移転していただく方法につきましては、移転先住戸の確保や居住者の移転後に残される建物の維持管理など、ストックの有効活用を図る上での課題もあることから、十分な検討が必要と考えております。

○曽根委員 今、部長さんのお答えで、確かに移転先住戸の確保が簡単でない場合もあり得ると思います。それから、残された建物の維持管理も課題があると思います。何よりも、いつ襲ってくるかわからない大地震に備えて居住者の安全を確保するという点でいうと、選択肢として、できないという、選択はないとはおっしゃらなかったので、その点はぜひ検討に加えていただきたいと。
 やはり私たちとしては、来年度いっぱいと約束した、これは都民への約束であり、同時に都営住宅居住者に対する約束になりますので、居住者の安全を最優先で、必ず来年度内の耐震化をやり切ってほしいということを申し上げておきたいと思います。
 そして、やはり桐ヶ丘団地、大きな団地ですので、その中にも、一階に店舗があって耐震基準を満たさない小さな住棟が残されております。住民の多くは移転を希望しているわけで、ここは建てかえ中の団地ですので、幾らでも空き家はあるわけです。そういう点で、早期に対処することを最後に強く求めまして、私の質問を終わります。

○伊藤委員 まず、私の方からは、都営住宅に設置されている太陽光発電設備の災害時における活用について伺いたいと思います。
 このところ風水害もあり、一部停電をされている世帯もありました。これまで、大災害、特に大震災、直下型地震を想定して、長期間の停電に都民も備えてきていたところと思います。
 かつては、手探りで懐中電灯と、とにかくラジオを探して、光と、そして情報を集めようということであったと思いますが、昨今は、携帯電話をとにかく手元に置いて、懐中電灯の役割も果たしますし、当然ですが情報もとれる、そして安否確認もできるわけでありますので、被災をされた方々はすぐに携帯電話をまずは探すという少し習慣ができてきているのではないかと思います。
 一方で、携帯電話の場合は充電をしないと、そもそも携帯電話として使えないわけでございまして、この充電機能を停電のときにどこで果たすのかということが問われているというふうに思います。
 そういう観点から、都営住宅に設置されている太陽光発電設備について伺いたいと思います。
 まずなんですけれども、都営住宅はそもそも全体で都内に何棟あって、そのうち、都営住宅の屋根部分になろうかと思いますけれども、太陽光発電設備が設置されている棟数は何棟になるのか、あわせて、これまでの太陽光発電設備の設置の取り組み状況を伺いたいと思います。

○妹尾建設推進担当部長 都営住宅は平成三十年度末で約五千八百棟ございまして、そのうち太陽光発電設備が設置されているのは三百八十四棟でございます。
 平成十六年度から建てかえ後の住棟については、原則として全て太陽光発電設備を設置しております。
 また、平成二十五年度からは、既存の太陽光発電設備が未設置の住棟につきましても、建物の構造、今後の耐用年数、屋上のスペース及び防水工事の状況などを勘案して、可能なものについて設置を進めております。

○伊藤委員 今、五千八百棟ほどあって、そのうち太陽光発電設備がついているのが三百八十四棟だということがわかりましたし、また、十六年以降は建てかえに合わせて原則全て太陽光発電設備を設置されているということでございましたが、太陽光発電設備をつけることによって、日常的にも発電をして、それを使用するということも可能だと思います。
 エコにもなるということでありますが、太陽光パネルをつけても、仮にも停電してしまったときに、取り出す、つまり停電はしているんだけれども、その太陽光発電で発電されているものを独自に使うためには、それ相応の出力装置を外づけにしておくというんですかね、抜き出しておく必要があるというふうに思います。
 かつて、豊洲の市場にも大型太陽光パネルを張るといったときに、この議論をちょっとさせていただいたことが別の委員会でありましたけれども、停電しちゃったときに、そもそも電気室の中で全部統合されてしまっていると、太陽光発電で幾ら発電しても出力されないということになりかねません。
 私は、必ずしも都営住宅に蓄電池をつけた方がいいとかいうこといっているわけではなくて、発電されたものを、いってみれば停電したときでも、少しずつでも取り出していくことができるようにするべきだという観点で伺いたいというふうに思います。
 そういう意味で、都営住宅の防災力を高めるという観点から、この太陽光発電設備の電力を災害時に有効活用するためには、今申し上げたような出力装置を外につけて非常用電源にできるような取り組みをすべきというふうに考えますけれども、現在行っている取り組みについて伺いたいと思います。

○妹尾建設推進担当部長 お答えがちょっと専門的になりまして恐縮でございますが、都営住宅の太陽光発電設備により発電された電力は、直流から家電類で使用可能な交流に変換する出力装置というものを通りまして、日中のみ、平常時は共用部の照明設備などに供給されておりますが、停電時には、その出力装置に附属するコンセントだけに供給される仕組みとなっております。
 停電時にこの電力を活用するため、従来電気室に設置してきた出力装置を、今後は、居住者が操作可能なエントランス付近に設置していく予定でございます。
 また、河川氾濫などによる浸水が予想される区域におきましては、出力装置を上層階に設置することにより、電気室が万一浸水した場合でも電力供給機能を確保していく予定でございます。
 これにより、日照条件にもよりますが、一棟当たり携帯電話約百台程度が同時に充電できる見通しでございます。

○伊藤委員 ちょっと今、専門的なご説明いただいて非常にわかりよかったんですけれども、電気室に設置されてきたその出力装置が、電気室にあると、一般の方々が、簡単にいえばコンセントとして差し込むこともできないし、なかなか使えないということで、今後は居住者が操作可能なエントランス付近に設置をしていきますよと、こういうご説明でありました。
 また、一棟当たり携帯電話百台が充電できるということは、非常に停電時においては有効な非常用電源になるというふうに思います。
 ちょっと細かいことになりますけれども、この出力装置を、今お話しのエントランスなどに設置をするための費用というのは、大体一棟当たり幾らぐらいになるのか伺いたいと思います。

○妹尾建設推進担当部長 従来の電気室に設置する場合と比較しまして、エントランス等に出力装置を設置する場合は、安全対策として、施錠ができる収納箱に格納するため、一棟当たり約二十万円の費用増加となることが想定されております。

○伊藤委員 一棟当たり二十万円ってね、一棟当たり携帯電話百台、しかもこれはバッテリーが限られているものではなくて太陽光なので、ずっと日照さえあれば発電できて、それだけの電源を供給できるということなので、決して高い工事だというふうには思えません。
 ですので、ぜひ、特に太陽光パネルがついているところ、三百八十四棟既についているというお話でしたけれども、これらについてはもう早速にでも、今のおっしゃられた工事を今後進めていただきたいというふうに強く要望を申し上げたいと思いますが、都営住宅に設置している太陽光発電設備を災害時に活用するこの取り組みについて、今後の方針を伺いたいと思います。

○妹尾建設推進担当部長 今回の新たな試みでありますエントランスなどに出力装置を置く取り組みは、今年度建てかえを行う住棟のうち、可能なものから実施いたします。
 都民共有の貴重な財産である都営住宅ストックの有効活用を図りつつ、地域の防災力向上に寄与する観点から、既にこの取り組みを織り込んだ基準設計の見直しを行ったところでございまして、これに基づき、来年度以降も、建てかえに合わせて太陽光発電設備の設置を着実に進めてまいります。

○伊藤委員 非常に前向きな答弁をいただいたと思います。とりわけて、この都営住宅の整備にかかわる職員の皆様方のこうした取り組みについては心から敬意を表したいというふうに思います。
 今、小池知事からも、帰宅困難者の一時待機施設については非常用電源を、何かバッテリーのような形なんだと思いますけれども、準備をしていこうということであります。
 そういう中にあって、都営住宅は大方敷地としてもかなりゆとりのあるところに建てられていて、日照条件が比較的いいというふうに思います。今ご答弁にあったのは、今年度建てかえを行う住棟のうち可能なものからということなので、かなり限定的なところからまず始めていくということなんですけれども、それに限らず、例えば、当面建てかえの予定はないんだけれども、もう上には太陽光パネルがついているよというところには、先ほど申し上げたように、二十万円程度でできるということなので、これはぜひ、どこの会計から繰り出すのかという議論もあろうかとは思いますけれども、検討をしていただきたいというふうに思います。
 あわせて、今、答弁の中だと、基本的には住居に住んでいらっしゃる方々に使っていただくんだということなんですけれども、近隣の方々、家では全然電源がとれないという方々もたくさんいらっしゃると思います。都営住宅の公益性というところにも鑑みて、近隣の皆さんにもお使いいただけるというようなしつらえにぜひしていただけないかと思いますので、ご検討をお願いしたいと思います。
 次に、マンション建てかえについて伺いたいと思います。
 既に多くの議員の皆さんからお話がありましたので、私の方はきょう出ていない具体的なテーマについて伺いたいと思います。
 私の地元の目黒区ですけれども、とりわけて中目黒の百世帯ぐらいのいわゆる旧耐震時代のマンション、もう建てかえたいというふうにそこのマンション組合の理事長もおっしゃっていますが、私も何度かご相談に乗らせていただきましたけれども、本当に難しいところが幾つもありまして、まず一つには、そこのマンションは既存不適格になっているということなので、建てかえると容積が下がっちゃうと。ですから、都営住宅のようにゆとりのある建蔽率であれば、保留床ができたりして、それを売って建てかえ代に充てることができると思いますが、それもままならない、むしろ小さくなってしまうということもあって、区分所有者の方々の合意を取りつけるのは極めて困難な状況です。
 これを今度、じゃあ容積を上げていくためにどうしたらいいかというと、その周辺を少なくても二、三十件ぐらい用地買収できると、山手通りまで出れて、そうすると道路づけがよくなって容積が上がるということなんです。
 これらを例えば、大手マンションディベロッパーさんにマンション組合も相談したんですけれども、二、三十件、やっぱりディベロッパーさんも民間企業なので、それを用地買収していくのにストックリスクを抱えなきゃいけないし、いざ二、三十件買い取ったところで、本当にマンションの百世帯ある皆さんが全世帯合意して、ちゃんと建てかえるという話になるかどうかも不透明、そういう中において、非常に民間事業者としては着手しづらい。そうすると今度は、どうしても、どうぞ自分たちでやってくださいといわれてしまうので、住民同士の合意も、なかなか素人ですから図ることができないという、立ち往生になっているんだというふうに理解をいたしております。
 そこで、建てかえを含むマンションの再生に向けた合意形成を図るために、近年、都と、そして国と、どんな誘導策を今行っているのか伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンション再生に向けた合意形成を促す施策として、平成二十六年、国において、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正がなされ、建てかえ以外の再生手法として、耐震性不足の認定を受けたマンションについて、全区分所有者の五分の四以上の賛成によりその敷地を売却できる制度が、新たに創設されました。
 都においては、平成二十九年に、容積率や絶対高さ制限などにより単独での建てかえが困難なマンションについて、周辺との共同化など、まちづくりと連携して建てかえを促進するためのマンション再生まちづくり制度を創設し、その活用を図っております。
 このマンション再生まちづくり制度では、区市町村がまちづくりの計画を定め、都がマンションの再生を図る必要性が高い推進地区として指定した地区内において、管理組合が行う区分所有者の意向調査や説明会の実施などに対して助成することができ、管理組合の合意形成を支援しているところでございます。

○伊藤委員 今答弁にあった国、都の誘導策ということで、基本的にはこれは国の法律ですよね、条例じゃなくて。法律に基づいて、全区分所有者の五分の四以上の賛成によりその敷地を売却できる制度を新たに創設しましたということなんですが、条件がついていて、耐震性不足の認定を受けたマンションということですよね。さっき話題に出したマンションも旧耐震ではありましたけれども、しかしもうちゃんと耐震性は補っているわけで、昭和五十六年以前の建物でも、基本的にははりを入れたりして補強しているというところがほとんどだと思います。
 そういう意味で、この今ご答弁いただいた新しい制度を活用された例というのは何件あるのか、わかればご答弁いただけますか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都内ではこれまで、敷地売却制度が複数活用されてございまして、そのうち全国初を含め二件の事業が完了してございます。

○伊藤委員 二件ということなんですよね、平成二十六年から。もちろん、新しい制度をつくっていただいたことには、国、東京都に対して敬意を表したいと思いますが、少なくても不動産経済研究所が出している統計だと、二十三区内に旧耐震時代につくられた建物が四千四百三十物件。先ほど菅野先生からも、港区だけでも千棟ぐらいあるというお話でした。目黒もここだと二百五十件ぐらいになっていますけど、もっとあると思います。
 いずれにせよ、都内で、二十三区だけでも五千棟近い、五千棟以上だと思われる旧耐震時代のマンション、四十年以上もうたっているマンションがある中で、条件がついているということもあって、今のご答弁だと二件のみに、この新しい制度を使って今計画が進んでいるところがとどまっているということでございます。そういう意味で、より踏み込んだ対応をしていかなければならないんじゃないかなというふうに思います。
 実は、この問題については私が取り組み始めたのはちょうど十年ぐらい前で、その当時、国交省に伺って、どうしたら進むのかということを国交省の方とも意見交換させていただきました。
 当時、国交省の方がおっしゃられていたのは、国交省としても非常に危機感を持っているので、ぜひ実態を現場を持っている自治体として調査をして、そしてそれらを提供していただきたいというような話もあって、そしてそれらを意向として私どもも当時東京都にお伝えをして、都が、マンションに関する調査というものを随分前に行われたというふうに記憶をしております。
 そういう意味で、やっぱり東京都が現場を国に伝えて、国で具体的な政策を今後とも練り上げてもらう必要があるというふうに思うんですけれども、より踏み込んだ施策を検討すべきですが、都の見解と取り組み状況を伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの建てかえに向けた支援を進めるに当たりましては、お話のように、国と都が十分に連携を図りながら施策に取り組んでいくことが重要でございます。
 国土交通省では、平成二十七年から開催してきた有識者検討会の結果を受け、先月、社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会を開催し、マンション再生の円滑化に加え、マンションの維持管理の適正化に向けた取り組みの強化など、ストック時代における新たなマンション政策のあり方を検討することとしてございます。
 この小委員会を初め平成二十七年の検討会から、都は、委員として参画してきており、国からの要請に応じて、都におけるマンションの管理適正化や再生の促進に向けた施策の取り組み状況や、課題等に対応した先進的な事例を紹介してございます。
 今後とも、こうした場を活用して都の取り組みを情報提供しながら、課題解決に向けた国の施策検討に、都も積極的にかかわってまいります。

○伊藤委員 さっきの中目黒のマンションを例にとれば、やっぱりもう本当に容積緩和を大胆に行ってあげるとか、あるいは今のお話に出てきた区分所有権の解消をさらに踏み込んだ形で行うとか、かなり果敢な取り組みをしないと、時間ばっかりたっていって、結局、躯体はもつかもしれませんけれども、災害が起きたときにコンクリートが剥がれ落ちるとか、とても住めないような状況になってしまう古い建物というのはあり得るというふうに思います。
 今申し上げたように、その区分所有関係を解消する仕組みなんですけれども、さっき、条件つきで、新たな法律が平成二十六年以降にできましたということだったんですが、アメリカのある州では、州法なのでアメリカ全土ではありませんけれども、州法でコンドミニアム法というのがありまして、これは、マンションの区分所有者の五分の四の同意によって、区分所有権を条件なしに解消できてしまうという州法があります。ですから、五分の四同意すると、もうどうしてもここに住みたいんだ、残りたいんだとおっしゃられても、申しわけないんですけれども現金化していただいて現金を受け取っていただくか、新たに建て直すところに移っていただくかという選択をしていただくということです。
 こういうマンション建てかえに関しては、それくらい抜本的な手法を用いるなどしないと問題はなかなか解決しないんじゃないかなと思います。もちろん、権利関係もあるので本当大変だと思うし、省庁間でも認識の分かれるところだと思いますが、都の認識を伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 お話の区分所有関係を解消する仕組みであるマンション建替え法に基づくマンション敷地売却制度は、全区分所有者の五分の四以上の賛成により、マンションとその敷地の売却が可能となるものでございます。
 本制度は、建てかえが困難なマンションの再生などに有効な手段でございますが、対象は耐震性不足のマンションに限定されてございます。
 これまで都は、この敷地売却制度の適用対象の緩和について、国に対して法改正等を要望しております。
 なお、先ほどご答弁した国の小委員会では、耐震性不足のマンション以外の老朽化マンションも敷地売却制度の対象とする必要性について議論されてございます。
 その論点といたしましては、例えば、居住者や近隣住民等の生命、身体に危険が生じるおそれがあるマンションとして、外壁の剥落等により通行人等に危険が生じるおそれがあるものなどが挙げられてございます。
 今後とも、積極的に議論に参画するとともに、国の動向を注視しながら、新たな制度構築に向けて、引き続き要望してまいります。

○伊藤委員 今答弁していただいたとおり、耐震性不足のマンション以外の老朽化マンションもということですよね。ですから、今限定されているものを限定を少し払って、老朽化マンションも、五分の四の賛成によって区分所有権を解消できるように、都としても今まさに国に対して要望していると、そういう理解でいいんですよね。--はい。それはぜひ積極的に行っていただきたいと思います。
 もちろん、ここに住み続けたいとおっしゃられる方も当然いらっしゃると思います。ですが、それがゆえに、二十年、三十年たったときに、本当にゴーストタウン化してしまうというマンションもあり得るというふうに思います。
 そういう意味では、本末転倒にならないように、やっぱりまちづくりという観点から積極的に国に働きかけをお願いしたいというふうに思います。
 国においても法改正を視野に入れた検討が進められているということで、やはり引き続き都としても、国と連携した積極的な再生の取り組みを要望するものですが、再生を円滑に進めるためには、管理組合が適切に運営され、そしてまた適正な管理が行われていることが不可欠であります。マンションの施策の車の両輪ともいえる管理と再生の取り組みを、ともに進めていくことが重要であることはいうまでもありません。
 こうした状況において、マンション施策をさらに充実させ、都民の豊かな暮らしの実現を図るべきと考えますが、本部長の決意を伺いたいと思います。

○榎本住宅政策本部長 老朽マンションの円滑な再生は、先ほど来ご議論いただいておりますけれども、居住者の高齢化、そして建物の老朽化、いわゆる二つの老いが進行する、東京が抱える喫緊の課題の一つでございます。
 これまで都は、独自のマンション再生まちづくり制度を創設するなど、建てかえの促進に向けまして意欲的に取り組んでまいりました。
 また、都だけでは課題解決できない法改正等が必要な事項につきましては、都内のマンション建てかえの事例やさまざまな実態の把握をもとに、国に対して要望を重ねてまいりました。
 さらに、本年三月には、全国都道府県で初となります東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例を制定するなど、現場感覚を有する都の先駆的な取り組みの積み重ねや働きかけが、先ほど来ご答弁申し上げていますが、国の小委員会での議論等、今般の国を動かす大きな原動力となっているものと認識しております。
 来年四月から、条例による管理状況届け出制度を施行いたしますが、これを契機に、住宅政策本部の機動性を生かし、適正な管理から円滑な再生につながるマンション管理組合への切れ目のない支援を展開してまいります。
 再生促進に向けまして、建てかえや改修に向けました要件の緩和など、引き続き、国へ法改正等を強く要望いたしますとともに、東京の主要な居住形態として広く普及しておりますマンションを安全で良質なストックとして形成していくことにより、都民生活の安定向上及び良好な市街地環境の形成に向けまして、全力で取り組んでまいります。

○伊藤委員 最後に、意見及び要望を申し上げたいと思います。
 今、力強い答弁がありましたので期待したいと思いますが、国交省も、やっぱりこれは権利にかかわる部分、法務的なところで非常に苦慮しながら法改正しているというふうに承知をしています。
 そういう意味では、やっぱり東京、とりわけて日本最大の地方政府でありますので、その地方からやっぱり国交省の法改正を後押しするような材料と、そして声というものを、ぜひ上げていただきたいというふうに思います。
 ちなみに、先ほどちょっと話題にした都が行ったアンケートですけれども、当時のこのアンケート、配布棟数十三万三千棟に対して回答数が三万四千棟程度、二五%ぐらいの回答率で、いろんなことを当時聞かれたというふうに承知をしています。
 何年ぐらいもう経年していますかということも当然ですけれども、その中の一つに、建てかえの検討状況というアンケート調査があって、建てかえの検討状況どうでしょうかという中で、建てかえ決議が成立していますというふうに答えたマンション管理組合は〇・一%です。現在検討中というふうに答えた組合が三・四%、過去に検討したが五・〇%、あとほとんどは、当面は改修工事で済ませます、検討の必要性を感じていません、合わせると八〇%なんですよね。
 マンションにおいて、修繕費は当然積み立てられているところがほとんどだと思いますけれども、建てかえ費を積み立てているところというのは万に一つもないんじゃないかと思います。そんなことやり始めたらマンションは売れなくなってしまうので、そもそもそれ自体も現実的だとは思えません。
 このときの建てかえ検討時の課題は何ですかというアンケートに対して、上から少しランダムに申し上げますけれども、建てかえの費用がないが一つ、それから区分所有者が必要性を理解していないが一つ、法定決議に必要な合意形成が難しい、それから建てかえか改修か技術的な判断ができないというようなことも、その主な理由の中に上がっていました。
 さっきの中目黒の話に戻りますと、素人になかなか建てかえのスキームをつくらせるというのは難しいですよ、やっぱり。本当に難しいと思います。普通にサラリーマンやっていて、最近少し時間ができたからマンション組合の理事長やっていますとか、あるいは会社員やりながらやっていらっしゃる方も大勢いらっしゃいます。
 そういう中において、どこを用地買収すればどれぐらいの容積が上がるかとか、どこだったら買えるかもしれないとかなんていうシミュレーションをまず組むこと自体が、素人の方に簡単にできるとは思えない中で、やっぱりコーディネーター役というのもこれから法律の改正とともに必要になってくるんじゃないでしょうか。仮に区分所有が解消されても、コーディネーターがいなければ、新しい計画を創出することもできないと思います。
 ただ、先ほど申し上げたように、その機能を必ずしも民間企業に依存をしても、さっき申し上げたようないろんなリスクがありますので、なかなかそれもうまくいかないという中においては、今後やっぱり半官半民、URとかそういう公共的なお仕事を担える組織にコーディネーター役として入っていただいて、例えばですけれども、用地の買い上げをある一定の時期まではして、そして民間に手渡すとか、ある程度のシミュレーションはそこで立ててあげるとか、そういう機能が必要なんじゃないかなというふうに思います。
 URは国の方の組織だと思いますけれども、含めて、現実的に何件も何件も使っていただける制度というものを、ぜひ国と組み上げていただきたいと思いますので、そのことを要望として申し上げて、終わらせていただきます。

○森口委員 私からも、都におけるマンションの適正管理と再生について、別の視点で質問をさせていただきます。
 重複ありますので、冒頭全て割愛して、質問に入りたいと思います。
 本年三月に制定されましたマンション管理条例に基づき、管理状況届け出制度が来年四月から開始されることになりますが、制度の運用に当たっては、管理組合の円滑な届け出が進むよう、制度の十分な周知や届け出の負担軽減など、取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 条例に基づき届け出義務の対象となるマンションの数は約一万四千棟にも上り、これらのマンションに対し、届け出制度の情報が行き渡り、管理組合による届け出が行われることが必要でございます。
 そのため、本年九月に開設いたしました分譲マンション総合相談窓口において、条例や届け出制度の内容の問い合わせに対し説明するとともに、効果的な広報活動を展開することにより、管理組合に対し事前に十分な制度の周知を行ってまいります。
 また、届け出を行う管理組合の利便性や負担軽減のため、現在開発中のデータベースに、オンラインによる届け出を可能とする機能も備えます。
 こうした取り組みなどにより、届け出制度が円滑に運用されるよう、環境の整備を進めてまいります。

○森口委員 四月からの制度運用に当たりまして、管理組合の円滑な届け出が進むよう、既に総合相談窓口を設置しているとともに、届け出の電子申請の準備を進めているとのことであります。
 電子申請につきましては、円滑な届け出や集めたデータの管理にとりまして必要不可欠な取り組みであり、届け出を行う管理組合のユーザー視点に立った使いやすい仕様にしていただきたいと要望をしておきます。
 今後、本条例により届け出が進むとともに、適切なマンション管理をしっかりと進めていくためには、マンション管理士など専門家の協力のもと、管理組合に対する効果的な支援策を実施し、実効性ある制度とする必要があると考えますが、見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 条例では、マンション管理士、マンション管理業者、マンション分譲事業者、その他マンションにかかわる者の協力のもと、マンションの適正管理を促進していくこととしており、制度の実効性を高めるためには、マンションにかかわる専門家等の協力を得ながら制度を運用していくことが重要でございます。
 例えば、来年度から始まる管理状況届け出制度において、条例に規定した調査の実施については、管理組合支援の実績やノウハウを持つマンション管理士などを活用してまいります。
 あわせて、届け出制度の実効性を確保するためには、届け出により把握した管理状況に応じて効果的な支援策を適切に提供する仕組みを整備することも重要でございます。
 そのため、来年度からの届け出制度の開始に向け、今年度は、管理組合の機能していないマンションなどへのマンション管理士の継続的な派遣により、マンション管理の適正化に向けた支援のモデル事業を実施してございます。
 こうした取り組みなどを通じて、円滑かつ実効性のある届け出制度の構築を進めてまいります。

○森口委員 条例上の届け出義務の対象となる昭和五十八年以前に建てられた戸数六戸以上のマンションに対して、専門家であるマンション管理士などを活用するとともに、届け出の内容によって効果的な支援策を提供する仕組みについて、今年度モデル事業を実施するなど、実効性のある制度の構築を進めていることが確認できました。
 一方、本条例の届け出義務の対象とならない昭和五十九年以降のマンションについても、今後、急激に高経年マンションが増加をし適正管理に支障が生じていくことが、都におけるマンションの総合的な計画に関する検討会において指摘がされております。
 そこで、管理状況の届け出義務対象マンション以外のマンションにつきましても、行政が適正な管理を働きかけることが必要と考えますが、見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 条例では、管理組合に関する明確な規定がなかった昭和五十八年の区分所有法改正前に建築された六戸以上のマンションを届け出義務の対象としておりますが、こうした届け出義務のないマンションにも管理不全の兆候があると認められる場合には、行政が届け出を求めることが可能となってございます。
 また、条例では、届け出義務のないマンションの管理組合等が任意に届け出を行うことも可能でございます。
 これにより、届け出義務のないマンションに対しましても、届け出により把握した管理状況に応じ、行政が助言等の働きかけを行ってまいります。
 また、先月三十一日に告示した東京におけるマンションの管理の適正化に関する指針では、適正な管理を推進するために管理組合が留意する事項などを定めております。本指針は全てのマンションを適用対象としており、周知とともにセミナーなどを通じた普及啓発などにより、適正な管理を促進してまいります。

○森口委員 優良な管理をしていることは、コストではなく、市場でしっかりと評価がされるバリューであります。届け出義務の有無にかかわらず、管理の良好なマンションが適正に評価をされる市場形成に向けて、優良な管理をしているマンションの情報公開も大変有効と考えます。こちらの取り組みも進めていただきたいと要望をいたします。
 次に、良質なマンションストックの形成においては、本条例のもと、適正管理の促進とともに、耐震化や建てかえなど老朽マンションの再生を進めていくことが必要であります。
 そこで、老朽マンションの再生促進策として、都がこれまで行ってきた取り組みと、今後、耐震化や建てかえ等、マンションの再生をどのように進めていくのかお伺いします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、旧耐震基準のマンションの耐震化促進に向けた取り組みとして、セミナー開催などの普及啓発に加え、耐震化サポーターの派遣など技術的な側面から支援するとともに、マンション耐震化促進事業による補助を行うなど、財政的にも支援してまいりました。
 このような取り組みを通じて旧耐震基準のマンションの耐震化を着実に進めてきており、引き続き、支援策の活用促進などにより耐震化を進めてまいります。
 一方、老朽化したマンションの建てかえ、改修促進に向けた取り組みといたしましては、マンション再生ガイドブックによる普及啓発や建替え・改修アドバイザーの派遣、まちづくりと連携してマンション再生を促進するマンション再生まちづくり制度の活用など、技術的、財政的に支援してまいりました。
 今後、建築後相当の年数を経たマンションの急増が見込まれることから、引き続き、マンション再生まちづくり制度等を活用した取り組みを着実に進めるほか、マンション再生を効果的に促進する方策について検討してまいります。

○森口委員 都は、老朽マンションの再生に向け、令和七年度末に、耐震性を有しないマンションをおおむね解消するとしております。
 老朽マンションの建てかえに関しては、本年四月、街区再編まちづくり制度活用方針を改定し、高経年マンションが多く立地する地域において連鎖的なマンション再生を図るため、移転先としての受け皿となる住宅の整備などの取り組み例を示しており、非常に効果的な施策であると考えますが、この取り組みを進めていくために、どのような検討がなされているのかお伺いします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 本年三月に制定した東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例において、都は、マンションに係る基本的施策を具体化し、推進するための総合的な計画を定めると規定してございます。
 これを受け、都は、計画の策定に当たり、専門的観点から意見交換等を行っていただくため、有識者等で構成する検討会を設置いたしました。
 お話の取り組みにつきましては、検討会において、これまでの取り組み状況等を踏まえた今後の展開のあり方が議論されてございます。

○森口委員 本年三月に制定されたこのマンション管理条例のもと、今年度末には、老朽マンションの再生を促進する新たなマンション総合計画が策定されることになります。今のご答弁のようにぜひ検討を進めていただきたいと思いますが、この街区再編まちづくり制度を活用した老朽マンションの連続した建てかえは、民間事業者の参入によって実現するものであります。
 今後、老朽マンションが急増していく中、老朽マンション対策には、限りある財源による行政施策とともに、さまざまな管理、再生のノウハウを有する民間の活力を導入した良質ストックの形成が必須と考えますが、都の見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの管理や再生は、管理組合による自主的かつ主体的な取り組みが重要でございます。
 そのため、都は、適正な管理や円滑な再生に取り組む管理組合を後押しできるよう、普及啓発や技術的支援などを行っております。
 例えば、管理組合の求めに応じてマンション管理士や建築士を派遣するアドバイザー制度、弁護士や建築士による専門相談、専門家の団体との共催によるセミナーなど、民間のノウハウや知見を生かせるよう、専門家や民間団体と連携した取り組みを実施してございます。
 今後とも、こうした民間団体等との連携を図りながら、マンションの適正な管理や円滑な再生の取り組みを促進し、安全で良質なマンションストックの形成を進めてまいります。

○森口委員 来年四月から条例が全面施行となり、届け出制度がスタートするとともに、新たな総合計画のもと施策が展開されるわけでありますが、安全で良質なマンションストックの形成に向けて、専門家のノウハウや知見を活用するとともに、民間による適切な管理、改修、建てかえをしっかりと促していけるよう、取り組みを進めていただきたいと要望し、質問を終わります。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時二十七分散会

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