都市整備委員会速記録第十号

令和元年九月十一日(水曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長本橋ひろたか君
副委員長森澤 恭子君
副委員長和泉なおみ君
理事神林  茂君
理事中山 信行君
理事伊藤 ゆう君
けいの信一君
滝田やすひこ君
宮瀬 英治君
佐野いくお君
高橋 信博君
たきぐち学君
荒木ちはる君
曽根はじめ君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長兼務佐藤 伸朗君
次長総務部長事務取扱桜井 政人君
技監上野 雄一君
理事中島 高志君
都市づくり政策部長小野 幹雄君
都市基盤部長山下 幸俊君
市街地整備部長選手村担当部長兼務安部 文洋君
市街地建築部長青柳 一彦君
基地対策部長高原 俊幸君
連携・連絡調整担当部長八嶋 吉人君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務朝山  勉君
担当部長小口 新吾君
まちづくり推進担当部長吉野 敏郎君
まちづくり調整担当部長木村 宣代君
景観・プロジェクト担当部長山崎 弘人君
交通政策担当部長森  高志君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務新谷 景一君
防災都市づくり担当部長三宮  隆君
多摩ニュータウン事業担当部長松崎 浩一君
局務担当部長奥秋 聡克君
耐震化推進担当部長青木 成昭君
横田基地共用化推進担当部長泉水  一君
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監都営住宅経営部長事務取扱久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木秀之君
連絡調整担当部長水野  剛君
住宅政策担当部長澁谷 浩一君
民間住宅施策推進担当部長栗谷川哲雄君
経営改革担当部長土屋 太郎君
再編利活用推進担当部長中山  衛君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長金子 陽子君

本日の会議に付した事件
意見書について
住宅政策本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十六号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
・第百五十七号議案 東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
・第百五十八号議案 東京都引揚者住宅条例の一部を改正する条例
・第百五十九号議案 東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
・第百六十号議案  東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
・第百六十一号議案 東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十五号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針(案)について

○本橋委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたしたいと存じます。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元ご配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がございました。
 お諮りをいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○本橋委員長 それでは、異議なしと認めまして、そのように決定いたしました。

○本橋委員長 本日は、お手元ご配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係及び都市整備局関係の付託議案の審査並びに都市整備局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十六号議案から第百六十一号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元にご配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐々木住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る八月三十日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料(八月三十日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 付託議案について要求がございましたのは、1、公営住宅期限付き入居制度の実施状況の一件でございます。
 一ページをお開き願います。公営住宅期限つき入居制度の実施状況について一覧に取りまとめ、都道府県と政令市ごとに記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。ご審議のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。

○本橋委員長 ただいま説明が終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を一括して行います。
 それでは、発言の方をお願いしたいと存じます。

○中山委員 今定例会に上程されております東京都営住宅条例等の一部を改正する条例案につきまして、私からは連帯保証人の廃止に関して質問をさせていただきます。
 これまで私も、都営住宅の入居に際し、連帯保証人の選定ができないで苦慮している都民から幾度も相談を受けてまいりました。昨今は、血縁者や近隣者などとのつき合いも薄れておりまして、連帯保証人を見つけられないという都民がふえております。特に高齢者であれば現役世代の友人がいないなど、その困難は深刻であります。
 そうした相談を受けるたびごとに都庁の担当者の方に相談を行ってまいりましたが、連帯保証人を見つけられないためにせっかく高い倍率を乗り越えて当せんしたチャンスを放棄させるのは余りにも忍びないとして、引き続き連帯保証人を見つける旨の誓約書を提出していただくことで入居を認めてもらうなどの人道的な対応を行ってきていただいたところであります。
 生活保護制度におけます三親等内の血族の扶養義務でさえも実効性が薄らいでおりまして、存在意義に疑念が差し挟まれることもあるなど、相互扶養の感覚の変化が進んでおりまして、それはそれでこのままでよいのかという、人と人を結びつける、そうしたきずなの復活をもたらす取り組みも必要だというご意見もあると思いますけれども、それはともかくとして、都営住宅への入居に連帯保証人の選定を求める制度の見直しの必要性を感じてきたところでございます。
 その点、今回は、都営住宅への入居の円滑化を図るために、条例第十一条第一項第一号を改正し、現行、規則で定める資格を有する連帯保証人の連署する請書を提出することとなっているところを、規則で定める請書を提出することに改めるとしております。
 つまり、連帯保証人に係る規定を削除するとのことでありますが、まず改めて、削除に至った経緯を具体的にご説明願いたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の入居に当たり、都は、使用料の徴収を確実にするため、都営住宅条例に基づき、入居者に対して連帯保証人を立てることを求めてまいりました。
 平成三十年三月、国土交通省は、平成二十九年の民法改正や、身寄りのない単身高齢者等の増加により、今後、公営住宅への入居に際し、連帯保証人を確保することが一層困難になることへの懸念を踏まえまして、公営住宅管理標準条例案から連帯保証人に関する規定を削除することについて、都道府県知事等に通知したところでございます。
 都営住宅におきましても、連帯保証人を用意できず入居を諦める事例もあることから、今般、国の通知を踏まえ、連帯保証人の規定を廃止することといたしました。
 今後、新規の入居者には、緊急時の連絡先の提出をお願いし、滞納があった際、連絡先となった方には、入居者本人に支払いを促すことを依頼することとしております。
 なお、その方に滞納額の請求を行うことはございません。

○中山委員 滞納額の請求はされてこなかったということですけれども、それでも連帯保証人という肩書でございましたので--これは連絡先の提出に関してですね。
 今までもそれほど厳しく取り立てるということがあったわけではないのかもしれませんけれども、今回、連帯保証人の規定を削除することを、もろ手を挙げて喜びたいと思います。長年相談をしてきた事柄をきちっと国にも伝えていただいて、対応していただいたことを評価したいと思います。
 連帯保証人を立てなくても都営住宅に入居できるようになるわけでございますが、このことにより都営住宅の使用料の収入率が低下するのではないかという疑念を感じる人もいらっしゃると思いますので、その点に関する確認のために、対応をお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 都では、都営住宅の入居者が使用料を滞納した場合は、滞納者本人への督促や文書催告、電話、訪問などによる納付指導などを行い、収入の確保を図っております。
 また、生活保護受給世帯につきましては、区市等と連携しまして、住宅扶助の代理納付制度を積極的に活用して、滞納の発生を未然に防ぐよう努めております。
 こうした取り組みを通じて、使用料の収入率は、平成十九年度から二十九年度の十一年間、九六%から九七%台を維持してございます。
 条例改正により、連帯保証人の規定は廃止となりますが、これにかわるものとして、先ほどご答弁申し上げました連絡先の提出を求めることとしており、今後とも、使用料の収入率の確保に努めてまいります。

○中山委員 現在、いろいろな努力の結果、使用料の確保は高い収入率を維持しているから、基本大丈夫ですよというご答弁だと思います。また、連帯保証人制度はなくしますけれども、本人との連絡がとれなくなった場合のためなどを想定して、連絡先の提出は求めていく旨の答弁であったと思います。
 使用料収入が途絶えた場合、滞納が生じた場合など、この連絡先に、本人への支払いに督促的に協力してもらうということかと思いますけれども、確認で、先ほど答弁あったかと思うんですが、間違っても連絡先自体に、本人のかわりに支払いをしてくれよというようなことを求めることはないということで、よろしいですね。確認をしておきたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 ただいま理事ご指摘のとおり、連絡先の方に滞納額の請求を行うことはございません。

○中山委員 既に入居されている方々の連帯保証人の方におかれましても、入居期間が長くなってくると、連帯保証人自体がお亡くなりになっていらっしゃるとか、そういった理由で、新たに別の連帯保証人を立てることが困難で、現時点では連帯保証人は不在になったままという方もいらっしゃると聞いております。
 また、連帯保証人となった側の方からも、現役世代のときにはよかったけれども、引退して年金生活に入ったり、あるいはご自分自身がもう体が不自由になってきたりとかしていると、高齢になり荷が重たいという相談を受ける場合もございます。こうした方々一人一人に、今回の条例改正によって連絡先としての届け出をし直せばよいという情報が確実に伝わることが大事かと思います。
 当然、連帯保証人をもともと引き受けていただいてきた側の方が、東京都からの連絡を受けて、今、連帯保証人になっていただいている方々に、連絡先として変わっていただけますよということで、その入居者の方から手続が進めばいいわけですけれども、入居者の方から連絡が行かない場合等もございますので、そうした方々も含めて具体的な周知方法をお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 既入居者への周知についてでございますけれども、入居者向け広報紙「すまいのひろば」等におきまして、現在、連帯保証人のいない方については、連帯保証人のかわりに連絡先について名義人から届け出ていただくこと、また、既にお届けいただいている連帯保証人についても連絡先に変更することができる旨を丁寧にお知らせしてまいります。

○中山委員 なかなか、連帯保証人の方の届け出状況というのは、住居の更新とか、具体的にされていない場合もあったりして、難しいかと思いますけれども、そうした連帯保証人制度から連絡先の制度に変わるんですよという通知を出すときには、可能な限り、私は、連帯保証人になっている方々の方にも「すまいのひろば」とかそうしたものをご郵送願いたいなというふうに思います。
 また、いろんな形で一般的に情報発信していただいて、一番確実なのは、入居者から連絡が行くことが一番確実なんですし、それが本来の筋ですけれども、それがなかなかうまくいかない場合も含めて、何とか対応していただけるように、策を検討していただくことを要望させていただいて、質問を終わりたいと思います。
 以上です。

○高橋委員 それでは、私の方からは、期限つき入居制度の見直し案について質問いたします。
 東京都は、本定例会に、若年夫婦や子育て世帯を対象とした期限つき入居制度について、現在一律十年までの入居期限を、子供の高校修了期まで延長する条例改正案を提案しました。あわせて、ひとり親世帯について制度の対象に加えることとしております。
 この改正案は、五月の住宅政策審議会答申を踏まえたものであり、限られた都営住宅ストックを有効活用しながら、真に住宅支援を必要とする子育て世帯に、都営住宅の利用機会をふやすことで住宅面からの支援を図るものであります。
 加えて、若い世代の都営住宅への入居が進むことで、高齢化、単身化が進む団地のみならず、周辺地域の活力の向上につながることも期待できます。
 その一方で、これまで一律十年までとしてきた入居期限が、子供の就学期に応じて延びるというわけですから、その分、世帯ごとの入居期間が長くなることが見込まれます。
 そこで、まず、今回の期限延長の見直し案を決めた背景と期待する効果について伺います。

○土屋経営改革担当部長 期限つき入居制度は、近年の応募倍率が低下傾向にあり、また、平均入居期間については約五年であり、満期の十年を迎える前に、子供の就学の節目までに退去する世帯が多く見られるなどの課題がございます。
 このような課題を背景として、本年五月の東京都住宅政策審議会の答申で、十年の期限つきで入居している世帯の子供が、小中学校在学中に退去し、転校を余儀なくされることのないよう、具体的には、高校修了期まで入居期間を延長できる仕組みを整備することが適当との提言をいただいております。今回の見直し案は、この答申を施策化するものでございます。
 見直しの効果としましては、子供の就学期に応じた生活設計が立てやすくなり、子育て世帯にとってより利用しやすい制度になること、また、比較的長い間、子育て世帯が入居し、高齢化、単身化が進む都営住宅で多世代共生が進むことが期待できます。

○高橋委員 今回の見直しにつきましては、都営住宅の定期使用という仕組みは確保しつつ、子育て世帯にとってより利用しやすい制度にするとの答弁でございました。
 一方で、これまで一律十年までとしてきた入居期限が、子供の就学期に応じて延びるというわけですから、その分、世帯ごとの入居期間が長くなることが見込まれます。
 そこで、次に、今回の見直しによって入居期間がどのくらい長くなると想定しているのか伺います。

○土屋経営改革担当部長 入居可能となる年数についてでございますが、平成三十年三月末日現在の世帯構成をもとに、全世帯が見直し後の期限まで都営住宅に住み続けることを前提として試算いたしました。これによりますと、その世帯が末子の高校修了期まで入居を延長した場合、本来の期限である十年より平均して六年半長くなります。
 なお、入居途中に子供が生まれた場合の入居可能期間は、試算より長くなります。

○高橋委員 入居期間は、本来の期間である十年に加え、平均して六年半長くなるとのことです。そうしますと、これから新しく期限つき入居制度を使って都営住宅に住むことを希望する世帯にとって、入居の機会、チャンスが減ることにはならないのか、見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 期限つき入居につきましては、他の応募者にも配慮しつつ、対象となる住宅や地域の拡大などにより、募集戸数を順次ふやし、平成二十三年度以降は、毎年おおむね千五百戸の募集を行っております。
 今回の制度改正後も、高齢者の住宅返還戸数の増加なども勘案しながら、居住者の転出後、入居するまでの期間の圧縮などにより、これまで以上にストックの有効活用を図り、毎年一千五百戸の募集戸数の確保に努めてまいります。
 今後とも、利用機会の公平を図りつつ、真に住宅に困窮する世帯が都営住宅を広く利用できるよう、期限つき入居制度の的確な運用に取り組んでまいります。

○高橋委員 ただいまの答弁によりますと、現時点で入居機会が減るなどの影響はないということで、ひとまず安心をいたしました。
 期限つき入居制度は、入居時にあらかじめ期限を定めることで、都民共有の財産である都営住宅をできるだけ多くの都民が利用できる制度であります。
 都は、我が党の要望に応えて、平成十三年度にこの制度を導入いたしました。今回の見直しは、その仕組みの基本は確保しつつ、子供の就学期に配慮して見直すものであり、安心して子育てができる東京の実現に資するものと考えます。
 今後とも、都営住宅による支援を必要とする都民にとって利用しやすいものとなるよう、時代の要請に応じて制度の改善に取り組むことを要望して、質問を終わります。

○和泉委員 都営住宅条例の改正について、私からも質問させていただきます。
 今回の改正の二つの柱のうちの一つは、期限つき入居制度にかかわるものです。この条例改正によって、これまで十年を期限に退出しなければならなかった子育て世帯が、今より長く居住し続けることができるということになるわけです。また、ひとり親世帯も期限つき入居の対象に加わります。
 十年という期限つき入居制度の導入の前提、これが何だったかというと、十年の間に所得を増加させて、将来の生活設計ができるということでした。
 ところが、実際には十年の期限が来る前に、子供の小中学校の途中で転校しなくていいように、小中学校に進学する節目までに退出をしてしまう。入居時に収入で下から一〇%に相当していた世帯の六割が、所得を増加できずに、同じ下から一〇%のままに退出をしている。そういう実情が背景にあるわけです。格差社会が進み、都が主張していた制度設計の前提までもが崩れてしまったんです。
 そういう中で、住宅政策審議会の答申が期限の延長を進言したのは、十年という期限を切ることが、子育て世帯の実態に寄り添っていないからです。若年世代の非正規雇用がふえて、実質賃金が上がらない現状のもとで、安心して子育てするための基盤となる住宅を安い家賃で提供する都営住宅の役割は重要です。
 私たちは、そもそも期限つき入居制度には反対の立場ではありますけれども、期限つき入居の子育てファミリーが、少なくとも一番下の子供さんが高校を卒業するまでは、安心して住み続けられるというのは、これまでの状況から考えれば大きな前進であり、歓迎するものです。
 しかし、この条例では、十八歳に到達する年の年度末で引っ越さなくてはなりません。確認したところによれば、今年度末までに一番下の子供さんが十八歳に到達するのは十七世帯ということですけれども、そのうち、今年度末に退出の期限が来る世帯は何世帯あるんでしょうか。

○土屋経営改革担当部長 今年度十年の期限を迎える世帯で、末子が高校修了期に該当する世帯数は一でございます。

○和泉委員 そういった世帯への丁寧な対応が必要なんだというふうに思うんです。
 子供さんが大学受験を控えているときに、受験と引っ越しを同時に進めるというのは大変なことじゃないでしょうか。柔軟な対応が求められるのではないかと思いますが、都の見解をお聞かせください。

○土屋経営改革担当部長 期限つき入居では、あらかじめ入居期限が示されておりまして、また、入居期限が到来する際、期限の一年前から半年前までの間に、期間満了についてお知らせをしていることから、引っ越し先の準備を計画的に進めるための必要な期間は確保できるものと考えてございます。

○和泉委員 あらかじめわかっているんだから引っ越しの準備は計画的にできるはずだと、そういうご答弁ですけれども、子供の人生の進路選択にとっての最重要ともいえる時期に、その子供と子供を取り巻く家族が落ちついた暮らしを送れるかどうかということと、時間があるかどうかということは、やっぱり別の問題だと私は思うんです。子供が高校三年生に上がり、大学受験や就職活動で日々緊張を強いられている。そのときに、家族は引っ越し先を探さなければとどたばたしている。これでは、やはり安定した生活を営むのには厳しいものがあると思います。
 そもそも都営住宅にお住まいの方は、経済的な面を含め、困難な条件をいろいろ背負っている方が多いわけですから、特に子供の進路への支援に心を尽くすことは、とても大事だというふうに思います。せめて三カ月程度の猶予があるべきじゃないでしょうか。そうすれば、大学受験などが一段落して、子供も家族も落ちついて引っ越しの準備をすることができます。
 現在条例案が示している三月三十一日という期限を、六月三十日にして、三カ月延ばすことを提案するものです。
 続いて、連帯保証人の廃止について伺います。
 今回の改正のもう一つの柱である都営住宅等における連帯保証人の廃止、これは、都営住宅への入居の円滑化を図るため、これまで規則で定める資格を有する連帯保証人の連署する請書の提出が必要だったものを、規則で定める請書を提出するというもので、つまり、連帯保証人がこれからは求められなくなって、そのかわりに、何かあったときの連絡先を出してもらうことになるというものです。
 私どもも、何度か応募してようやく都営住宅に当せんされた方が、ひとり身の高齢者でもう身寄りがない、身寄りがあってもさまざまな事情から長らく連絡がとれない状況にあるなどの理由から、保証人になってくれる人がどうしても見つからない、どうしたらよいものか、そういうつらい相談を数多く受けてきました。よって、今回の措置を歓迎するものです。
 今回の改正は、国の通知を踏まえたものですが、その通知が出された経過をさらにさかのぼれば、総務省が昨年一月に出した公的住宅の供給等に関する行政評価・監視結果に基づく勧告と調査資料に行き着きます。
 この調査では、調査した都道府県等の全てで保証人を求めている中で、把握されているだけでも、十一都道府県などで六十五ケースも、連帯保証人を確保できないための辞退が生じていました。その中には、民間賃貸住宅に入るのが難しいとされる精神障害を持った方、高齢で生活保護を受けておられる方、身体障害のある高齢者の方などがいらっしゃいました。
 さらに、生活困窮者を支援している自立相談支援機関からの調査では、精神障害のある妹と同居し、さらに知的、身体、発達といった障害のある三人の子供がいる母子世帯のケースもあったとのことです。本来、こうした方々を守る最後のよりどころとなるべき公営住宅で、このような事態が起きていることに胸が締めつけられます。
 自立相談支援機関の意見として、相談者は単身で家族と疎遠な者が多いため保証人を確保することが難しい、保証人を確保できず公営住宅に入居できないという相談が月二、三件程度ある、公営住宅は原則保証人を確保する必要があり、紹介する選択肢から外しているなどの意見が出されています。
 今回の改善は、こうした事態を生み出さない、そのために大変重要な改正だと思います。
 同時に気になるのは、今既に都営住宅に入居しておられる方の連帯保証人の問題です。都営住宅にお住まいの方の親類やお知り合いということですから、保証人の方も高齢だったり、経済的に決して楽でない方が数多くいらっしゃることと思います。そうした方は、保証人であることに大変プレッシャーを感じていらっしゃるのではないかと思いますし、そうした方に保証人になってもらったことを負い目に感じている入居者の方もいらっしゃると思います。
 先ほど中山理事の質問に対する答弁もありましたが、改めて確認します。今現在、都営住宅に入居されていらっしゃる方が、請書に連署した連帯保証人を解除して、そのかわりに緊急時の連絡先を出してもらうということは可能だということでよろしいでしょうか。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の入居に当たりまして、都は、都営住宅条例に基づき、入居者に対して連帯保証人を立てることを求めてまいりましたが、今般、国の通知を踏まえまして、連帯保証人の規定を廃止することといたしました。
 今後、入居者には緊急時の連絡先の提出をお願いし、滞納があった際、連絡先となった方には入居者本人に支払いを促すことを依頼することとしております。
 また、名義人の方から届け出があれば、既に届け出いただいている連帯保証人についても、連絡先に変更できるようにすることとしてございます。このことにつきましては、入居者向け広報紙「すまいのひろば」などにおきまして、既入居者に周知してまいります。

○和泉委員 ぜひ、都営住宅にお住まいの方に、さまざまな広報手段を使って周知していただくことも、この機会にお願いしておきたいというふうに思います。
 今回出されている条例提案は、期限つき入居の方の期限を延長するというものですけれども、住政審の答申は、この期限つき入居の期限延長だけではありません。若年単身者の入居や自治会活動への支援など、さまざまな提言を行っています。これらについては、今後どのように取り組んでいかれるんでしょうか。伺います。

○土屋経営改革担当部長 本年五月の住宅政策審議会答申では、都営住宅における多世代共生の実現に向け、子育て世帯への支援の一層の充実、単身者の入居制度の拡大、高齢者への生活支援サービスの向上の大きく三つの施策の方向性が示されました。
 このうち、子育て世帯への支援の一層の充実の中で提言のありました期限つき入居制度の拡充につきまして、現在十年間としている入居期限を、子供の高校修了期まで延長する条例改正案を提案させていただいておるほか、ひとり親世帯を対象に加えるなどの見直しを行っております。
 今後とも、今般の子育て世帯への支援の一層の充実に向けた期限つき入居制度の拡充のほか、単身者の入居制度の拡大、高齢者への生活支援サービスの向上など、住宅政策審議会の答申で提言された施策の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

○和泉委員 ぜひとも着実に提言の実現に向けて取り組みを進めていただけるよう要望します。
 住政審の答申は、都営住宅の単身高齢者がふえて適正な管理が困難になっている、その実態に目を向けて、ソーシャルミックスを進めるための内容が含まれていました。また、就職氷河期世代にとっての生活基盤となる安定した住宅確保の必要性、ここにも目を向けて、支援する内容も含まれています。
 若年単身者の入居拡大、学生の入居によるストック活用、家族向けの住居の拡充など、ぜひとも着実に具体化を進めていただきたいと思います。
 また、型別供給や使用承継の厳格化、都営住宅の新規建設の停止など、単身高齢者の比率を高くしてきた根本的な問題点にも、住宅政策本部という専管組織が立ち上がったこの機会に、ぜひ正面から向き合っていただくことを求めて、質疑を終わります。

○宮瀬委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 今回、住政審の答申を受けまして、早速制度が改変されるということで、私も住政審の審議委員の一人ですが、迅速なご対応をいただきまして、まず御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 その上で何点か確認させていただきますが、今回、期限つき入居での募集ということで、現状の平成三十年度の募集戸数と申込者、平均倍率、入居者数について、まず実態をお伺いしたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 平成三十年度の募集戸数は、五月募集と十一月募集を合わせて一千五百戸、申し込みは一千八百五件ございました。この平均倍率は一・二倍で、入居が決定した世帯数は五百三十八世帯でございます。

○宮瀬委員 千五百募集をして、申し込みが千八百五と、倍率が一・二倍ということなんですが、実際入った方が五百三十八世帯と。私、大変これは疑問に思っておりまして、つまり、千五百、皆さん入ってくださいと、募集してくださいといっているのに、実際はそれ以上の方の申し込みがあって、外れている方がたくさんいるんでしょう。しかし、実際入っている方が五百ぐらいの世帯ということは、千五百募集しているのに、千戸も実際は入居することがないといったことは、私はちょっと問題だと思っております。
 それはそうですよね。募集しますよと。多くの人が、定数を上回る人が申し込んでいるのに、入っている人は、その三分の一しか入居していないというのは問題だと思っておりまして、認識と対応を伺います。

○土屋経営改革担当部長 期限つき入居の応募倍率は、都心部で引き続き高い倍率の住戸がある一方で、全体では応募倍率が近年低下傾向にあり、昨年度は一・二倍となってございます。
 このような状況につきまして、期限つき入居制度の存在や仕組みが、募集対象となる若年ファミリー世帯に十分浸透していないのではと考えてございまして、わかりやすい周知、広報を行うことが必要と考えてございます。
 そこで、住宅政策審議会答申も踏まえまして、若い世代に対し、この制度のより効果的な周知を図るため、窓口でのリーフレットの配布に加え、ホームページやSNSなどさまざまな媒体を活用して情報発信を強化してまいります。
 さらに、住宅に困窮する子育て世帯に必要な情報が確実に届くよう、区市町村の子育て部門などへの情報提供にも積極的に取り組みまして、期限つき入居制度の周知を図ってまいります。

○宮瀬委員 ご答弁ですと、もっともっと募集をしてもらえれば、その空き枠も減ってくるでしょうという多分ご答弁なんですが、そのロジックですと、千五百件募集をして五百世帯しか入っていないと。どんどん申し込みをふやしていただくには、単純計算で三倍申込件数がないと埋まっていかないんじゃないかなと。つまり、千八百件申し込みがあって五百三十八世帯が入っていますので、その三倍になれば、大体千五百ぐらいの人は入るのではないかと。その五千四百名の方に申し込んでもらうといった考え方も、私はわかるんですが、やはり当たらないところにずっと申し込む人、大人気のところにずっと申し込んじゃう人、倍率、例えば二百倍のところにまた申し込んじゃう人。一方で、その横を見れば倍率五倍の物件があるかもしれない。そういった状況があって、私の仮説ですと、いかに均一化していくかがポイントの一つではないかなと私は思っております。
 そこで、私の方でかねてから都営住宅の募集に対して、こちらは募集要項でありますが、この巻末に、各募集している戸数の倍率ではなくて--各行政区単位、二十三区、中央区から始まって市部まで載っているんですが、均一化された倍率では、どこの物件、この申し込みをしている物件のどこが入りやすいのかというのがわからないという状態があるので、これをもっと細分化した方がいいのではないかといったご提案をずっとさせていただきました。
 そこで、東京都の方で久々に前向きな答弁をいただきまして、ホームページの方で各募集案件ごとに過去倍率を出していただきました。これによって、中には百人町四丁目第三アパートは三百二十一倍であるけれども、例えば港南四丁目第三アパートは倍率三・六倍といったことで、申し込みの際に過去倍率が可視化することになったと。これは大変いいことだと思っております。ありがとうございました。
 しかし、私のところに単身高齢者の方がいらっしゃって、ネットなんか見ないわよと。当然申し込みも、おばあちゃんだったりしますので、いろいろ、リテラシーの高いおばあちゃんもいればそうでないおばあちゃんもおりまして、うちの母なんかもスマートフォンすら使えない、PCとかもわからないといった世代の七十歳でございます。
 そこで提案なんですが、やはり紙媒体といいますか、この中に倍率を載せるのが、一番リーチが高く、一番求められている人に一番届きやすいものであると思いますので、ここに載せるべきだと思うんですが、ご答弁お願いします。

○土屋経営改革担当部長 現在、都営住宅の募集パンフレットには、前回募集における区市町別の応募倍率を記載するとともに、各回の募集における住戸ごとの応募倍率は、申し込み受け付け期間終了後に東京都住宅供給公社のホームページに掲載してございます。
 住戸ごとの過去の応募倍率の募集パンフレットへの掲載についてでございますけれども、ひとり親世帯を初め、住宅に困窮する子育て世帯に必要な情報がわかりやすく確実に届くよう、検討を進めてまいります。

○宮瀬委員 ありがとうございます。心より感謝申し上げます。
 私の原点が、昨年十一月の委員会の質疑の中で、大変僣越ながら、板橋区に住んで三十年、都営住宅に二十五年以上申し込んだが、当たらなかった、夜も眠れず考え込む毎日であるといった一人の、この状況を、苦しい現実を都議会議員の皆さんに知っていただきたいんですという手紙でありました。
 それから一年、何ができるか考え続けてきたんですが、一旦、都営住宅をいきなりはふやせないとか、ふやす方針がなかなかないとか、家賃補助の提案とか、いろいろさせていただきましたが、私はこの手紙に対する回答をひとつ、応募倍率の均一化、平準化、可視化ということでお答えしていきたいと思います。
 次に、今回は期限つきの入居ということで、住政審の方ではさまざまな議論がされておりました。今回、ひとり親家庭の支援ということであったんですが、その中で、どうしてもひとり親と同様に大事なのが、単身高齢者の倍率が、一・二倍どころか実際は五十二・五倍、そちらの倍率、そちらの課題を見ずして、単身のお母さんの方だけに注力していくのはいかがなものかといった質疑をさせていただきました。
 その中で、いろいろ時間のかかることもあるかと思いますが、やはり、いい方は気をつけなきゃいけないんですけれどもふさわしくない方、入るときは収入要件が申し込みの範囲内だったにもかかわらず、いろいろご努力されて、お金が、貯蓄が、収入がふえていって、実際は高額所得者になっていくという方が入られております。今回の案の中にも、入居十一年目からは明け渡しを、高額所得者対応は期限つき入居制度の中でもやっていくといったことが書いてあります。
 そこで、私の方で、これは質問にしないのでいいますが、実際に都営住宅に入っている方は、平成二十九年度末で約二十二万九千世帯、実際に収入が超過している方は、収入区分たくさんございますが、基本的には月収、税込みで収入が十五万八千円以下の方が本来入居するべき方でありますが、それより上の方が収入超過者ということで、一万三千世帯もいると。一万三千世帯の方が入っていると、さらに困っている方の入居機会が失われてしまうという問題があると思っています。
 その中で、最上級のランクであります月収三十一万三千円以上の方は高額所得者としているわけでありますが、その数が四百五十一件あるということでございます。つまり、局の方に確認したんですが、四百五十一人いて、何人の方に出ていっていただくようしているんですかと聞きましたら、その審査をするに当たって、東京都都営住宅高額所得者審査会というのがあると。そこに上がった人の数を確認しました。七十件ということでございまして、つまり、二十二万ほどしかない都営住宅があって、一万三千世帯の方が、収入が多目にあって、本来の基準より多くあって、高額の所得者が四百五十一人いるんですけれども、実際には七十人にしか、もう出ていっていただかないと大変困るという通知をして、実際出ていってもらっているしかないと。
 これは全体の割合からいうと、入れない人がたくさんいる中で、私はこれは問題だと思っているんですけれども、どのように受けとめていますでしょうか。

○土屋経営改革担当部長 都は、公営住宅法などの関係法令を踏まえまして、年度当初において高額所得者の認定を行い、その後速やかに、高額所得者を対象として個別説明会を開催するとともに、明け渡しに向けた計画の提出を求めるなど、相談、指導を行ってございます。
 こうした取り組みの中で、住宅購入などにより自力で退去する方や、退職や離婚などにより世帯収入が減少し、高額所得者の認定を取り消された方、また、重度の病気や障害などにより、一時的に明け渡し請求の対象とならない方もいらっしゃいます。
 七十件は、こうしたプロセスを経て、平成二十九年度、最終的に東京都都営住宅高額所得者審査会に付議した件数でありまして、高額所得者に対して適切に取り組んだ結果であると認識してございます。
 今後とも、高額所得者への厳正な対応に取り組んでまいります。

○宮瀬委員 こちらは大変デリケートな問題でありますが、やはり入れない方のことも十分意識していただき、都営住宅本来のあり方、制度に見合った実態にさらにしていっていただきたいと思います。
 私はかねがね、この一年間質疑させていただきましたが、都営住宅は、資産が例えば一億円あっても収入が少なければ入れてしまうと。実際に資産もなく収入もない方に本来であれば優先的に入っていただかなきゃいけないものだと私は思っておりますが、やはりそのためにも、資産をどう判断していくか、大変難しい問題ではありますが、そのためにも、サンプル調査ではなくて、実際入っている方全員に対しての実態調査を、さまざまなニーズ、課題、要望が出てくると思いますので、そういった前向きな面も含めて、サンプル調査ではなく全実態調査をしていただくことをまた要望させていただきます。
 最後になりますが、先日、ひとり親の方から私の方に連絡がありまして、子供が三人、都営住宅に入られていました。風呂釜の件で、ちょうど更新するかしないかの大変微妙な更新時期でありまして、私の方がその方と、自分の名前、職責、肩書は自分から名乗らず知り合いということで、目白のJKKのセンターにお伺いしました。
 そのとき対応された方は、結論からいうと、ひとり親のお母さんにとっては大変つらいやりとりをされていました。どういう状況だったかといいますと、まず、ご対応された方が名を名乗らないと。名刺もお渡しになりませんでした。どうして名刺を渡さないんですかというのを聞いたら、名刺を渡さない規則になっていますということをおっしゃっていました。
 次に、この件でお伺いしたいんですけどとお母さんがいいましたら、その件は全員出払っていて誰も答えられませんと、また後日来てくださいということをおっしゃっていました。
 何でJKKの窓口にいたかというと、いった、いわない、電話で、これはやってくれる、やってくれないという大変曖昧なことだったので来たので、念のため、確認のために、職員さんからの回答を録音しておいていいですかと聞いたら、録音も写真もだめという規則になっていますということをおっしゃっていて、やはり制度のことを聞いても担当がいないとわからないからまた来てください、後日来てください、名も名乗らない、確認をとる手段もないとなると、内容はさておき、やはりこういった制度をつくっても、そこに携わる人たちの気持ちがなければ、ひとり親のお母さん、お父さんのところには届かないと思います。ぜひ、入居した後の人たちのことも含め、お役所仕事ではなくて、しっかりと寄り添った対応をしていただくよう、これはあえて質問にしませんので、要望しまして、質問を終わります。

○けいの委員 よろしくお願いします。
 私からも、期限つき入居の改正について質問させていただきますけれども、初めに、対象者を若年夫婦、それから若年夫婦と子から成る世帯というところから、ひとり親世帯まで拡大できるということが、非常に重要だと思っております。
 きのうの一般質問で、我が党の栗林都議が他の趣旨の質問の中で引用しましたけれども、この東京都内にはひとり親の世帯が十三万世帯もある。その十三万世帯のどれほど多くの人が、対象になることで助かるチャンスが生まれるかということで、ひとり親世帯へ拡大できるようになれば喜ばしいことだと思います。
 質問といたしましては、期限そのものの方に入らせていただきます。
 初めに、皆さんと重複しますけれども、都営住宅における期限つき入居、平成十三年に全国に先駆けて導入されたとのことですが、導入した経緯、そして入居期限を十年とした理由について、改めてお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 期限つき入居制度は、平成十三年五月の住宅政策審議会の答申を踏まえまして、都民共有の財産である都営住宅の利用機会の公平の確保を図るとともに、あわせて若年ファミリー世帯の入居を促進することにより、高齢化が進行している都営住宅団地のみならず、周辺地域の活力の維持向上を図ることを目的として導入いたしました。
 十年の入居期限は、若年ファミリー世帯が一定の経済的な成長が期待できることに加え、安心して子育てができ、かつ、住みかえを含めた将来の生活設計をすることが可能な期間であると考え、設定しております。

○けいの委員 ありがとうございます。制度導入時の想定、今、回答いただきましたが、実際に制度を運用していく中で、入居期間に関して課題が見えてきたために、今回見直しを図るということだと思います。
 先ほどの質疑で、十年に設定したのに平均の入居期間は約五年間であるという、そういう答弁もありました。そうした中で、今回の見直し、なぜ高校修了期まで延長することにしたのか伺います。

○土屋経営改革担当部長 期限つき入居制度により入居した世帯の入居期間の平均が約五年となっており、満期の十年を迎える前に、子供の小中学校の就学の節目までに退去する世帯が多く見られるとの課題がございました。
 そこで、入居期間の満了によって退去し、子供が転校を余儀なくされることがないよう、就学期に応じて入居期間を延長することといたしました。
 延長する期間につきましては、高校への進学率がほぼ一〇〇%であり、入居者間の公平が図りやすいことや、子育て世帯支援の諸施策との整合性、見直しにより延長される入居可能期間などを考慮し、子供の高校修了期までとしてございます。

○けいの委員 ありがとうございます。
 先ほど質問が出ておりましたけれども、高校修了期、大事なのは、満十八歳になった日ではなくて、その後訪れる三月末であるということ、つまり高校修了期であるということ。これは、受験生であったり、進学、それから就職を控えた人にとっては、その後の転居先、引っ越し、難しいんじゃないか、だから三カ月延長してもいいのではないかという、そういう趣旨のご意見もありましたけれども、私が思うのは、都営住宅の入居者に限らず、また都民に限らず、全国で受験に挑む学生、一生懸命頑張って、二月あるいは三月、晴れて進学先が決まった人、歓喜の中で、または悔しい思いをした中で、合格先が決まって初めて、彼らは、特に地方にいる子なんかは、その学校への通学の利便性を考えたりして、一律に皆さんが平等に新しいお住まいを探していくのが、我々も経験してきた道なのではないかと思います。
 四月、入学式の時点で、古い家にいるから通えません、こういう人はいないわけで、皆が受験を終えて、それから新しい新生活をスタートする準備をするというのが、年度末、年度初めに当たっての、恒例という表現が合っているかどうかわかりませんけれども、そういう順序でやるのが通常なのかと思います。
 そうした観点からすれば、入居者間の公平性を確保するという、今ご答弁いただいたとおりで、入居者間の公平を確保する。そして、改正の根拠が、今まで十年と限っていたのに五年で出ていってしまうのは、小中学校進学によって、高校の進学によって、そのタイミングに合わせて転居を余儀なくされているからと、改正の根拠はここにある、そして、五年で出ていってしまう課題はここにあったという、この二点からすれば、入居者間の公平を確保しながら、その中でどう改正するかということであれば、満十八歳に達した日ではなくて、その後最初に訪れた三月末にするということは、妥当であるのではないかというふうに私は考えます。
 続いて、我が党が一貫して進めてまいりました私立高校の授業料の実質無償化が既に始まっております。これはご存じのように、世帯の収入が七百六十万円未満の方を対象にしておることから、当然、都営住宅の入居者の大多数が、よっぽどの高額認定されている方でない限りは多くの方が、対象となるわけです。つまり、高校修了期というふうに延長すれば、都営住宅入居者であっても、私立高校への進学が選択肢として入ってまいります。
 そして、私立高校の中では、コンクールを目指す強い吹奏楽部があるとか、もしくは甲子園を目指す、花園を目指す、そういった強い、スポーツに取り組んでいる運動部がある。こういう運動部の中には、全寮制、寮に入ることを求められている学校が幾つか都内にもあります。
 それから、都立であっても、大島海洋国際なんかに進学すれば、同居を諦めて寮に、大島に行く必要があるわけで、今、入居者に配る、タイトルは何でしたか、定期使用住宅にお住まいの皆様へという入居者案内の案を拝見しましたけれども、その中には、対象の子供が転出した場合は退去してもらうと、このように明記されております。
 今るるお話ししたようなケースで、お子さんが都営住宅から、三年間か二年間かわかりませんけれども同居を一時的にしなくなった場合、退去しなければならないのかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。

○土屋経営改革担当部長 子供が遠隔地の学校に入学するなど一時的に転出する場合、届け出をしていただければ、都営住宅に同居しているものとして取り扱うこととしており、これによっては期限つき入居の期間は満了せず、退去を求めることはございません。

○けいの委員 今お答えいただいたように、必ずしも同居を継続していなくても、寮に入る、遠くに住む、こういう場合でも、高校修了期までその親御さんは住んでいられるという、こういう答弁でありました。
 しかし、今、さまざまな状況から、教育は多様性になっております。ここで一々は具体例を挙げることはしませんけれども、そうした多様な教育の中で、今回の制度改正は、極めて重要な改善策が盛り込まれておりますけれども、多様な教育の中で、まれに、三年間では勉学を終えられない、修了期を迎えられないという学び方も多く存在しております。こうした人たちを救うようなさらなる改善も必要かなというふうに考えます。
 それから、今回の見直しは、現在期限つきで都営住宅に入居中の世帯にも適用されるということになりますけれども、現在期限つきで入居している世帯は何世帯あって、そのうち期限が延長される、今回の改正によって延長される見込みがある世帯はどのぐらいあるのか、お尋ねします。

○土屋経営改革担当部長 現在期限つき入居制度により入居している世帯数は約五千であり、そのうち期限延長の対象となる世帯数は、現在の世帯構成に基づいて調べたところ、今年度末現在で高校修了期までの子供がいる世帯、約四千四百世帯でございます。

○けいの委員 現在の入居世帯、期限つきで入居している方は約五千世帯で、現状であれば、お子さんがいて、このまま高校修了期まで希望すれば住み続けられる方が四千四百世帯、九〇%近くの方が、今回の条例改正によって、安心して住み続けることができるようになるわけです。
 さらに、今回からの募集によって、ひとり親の方が来る、これから子育てを始めよう、計画していこうという方々がふえる、そうなると、今までの課題であった、進学の時期に合わせた退去というのが少なくなってきて、先ほどは六年ほど延長が見込まれるとありましたけれども、六年ほど延長を見込んでいるということでしたけれども、さらに多くの方が、お子さんの高校修了期まで住み続けられるようになるわけです。
 そうした中で、子育て世帯の子供の入学先の場所、それから、入居期間の途中での転校をさらに気にしなくなることで、安心して住み続けられるようになったことは、大変に有意義な制度改善であります。
 しかし、せっかくよい制度改正であるのに、五千世帯の、そして対象は四千四百世帯の方々が、自分は対象なのか、何年住み続けていいのか、それから、さっき質問させていただきました、自分の子供はこういう高校に入ってこういう寮に入る、大島に行ってしまう、こういった方々の問い合わせが--もう退去の連絡、来ている方ももしかしたらいるかもしれません。そうした中で、自分はどういうふうにすればいいのか、問い合わせが殺到することも見込まれます。
 そして、中には、大変な忙しい生活状況の中で、厳しい状況の中で、平日の日中の問い合わせが難しい人もいるかもしれません。土曜、日曜であったとしても、そして夕方五時、六時以降であったとしても、丁寧に、こうした方々がさらに、住むことが安心なんじゃなくて、住み続けるために、その事前の不安を一切払拭していっていただけるような、そうした相談体制をしいていただきたいと思います。
 「すまいのひろば」での告知、こういうことも大事ですけれども、その上でかかってくる個別のお問い合わせに、時間、曜日に限らず丁寧に対応していただいて、多くの方がこれまで以上に、都営住宅に入って安心して住み続けられるというような環境、また、子育て世帯の方がしっかりと暮らしていける制度を維持していただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○本橋委員長 一通り発言が終わりました。
 お諮りさせていただきます。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○本橋委員長 異議なしと認めまして、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。

○本橋委員長 それでは、都市整備局関係に入らせていただきます。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十五号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
 この際、発言ございましたら、よろしくお願いいたします。ございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○本橋委員長 発言はないようでございます。
 それでは、お諮りさせていただきます。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○本橋委員長 ご異議なしと認めまして、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○本橋委員長 次に、報告事項、東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針(案)についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元にご配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○桜井次長 去る八月三十日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料(八月三十日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。資料は三件でございます。
 一ページをお開き願います。1、都市計画運用指針(平成十二年十二月)発出以降の都市計画道路(幹線街路)の変更・廃止状況でございます。
 廃止、ルート変更または幅員変更された幹線街路の路線数及び延長を都道府県別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、平成元年以降の都内の自動車の十二時間走行台キロの推移でございます。
 都内で交通センサスが実施された道路における十二時間当たりの自動車走行距離を全て足し上げた数について、調査年度別に記載してございます。
 三ページをお開き願います。3、「都市計画道路の在り方に関する基本方針(案)」に対するパブリックコメントの状況でございます。
 実施期間、意見数及び意見の主な内容について記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○本橋委員長 説明が終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 それでは、発言をお願いいたします。

○たきぐち委員 それでは、報告事項、東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針(案)について伺いたいと思います。
 今回の基本方針は、第四次事業化計画において必要性が確認された路線のうち、優先整備路線や見直し候補路線などを除く未着手の道路を対象に、新たな検証項目を設定して、それらの計画内容を検討するものということであります。
 改めて現状を確認いたしますと、都市計画決定されている道路が約三千二百キロ、このうち完成しているのが六割、約二千キロ、完成していない残りの約一千二百キロの半分弱、約五百三十五キロが、今回の検討対象ということになろうかと思います。
 都市計画道路については、これまで、区部及び多摩におきまして、第一次、第二次、第三次事業化計画を策定いたしまして、三年前の平成二十八年に区と多摩を統合した第四次の整備方針を策定するとともに、おおむね十年ごとに見直しを行ってきたところであります。
 今回、この時期に、都市計画道路の在り方に関する基本方針を打ち出す意義、検討対象路線の設定の目的について伺います。

○山下都市基盤部長 東京の都市計画道路は、平成二十八年に策定しました現行の第四次事業化計画で選定した優先整備路線の整備を推進することで、都市づくりのグランドデザインの目標時期でございます二〇四〇年代に、約八割が完成いたします。
 一方、優先整備路線として選定しなかった残る約二割の都市計画道路につきましては、事業着手までに期間を要することになり、都市計画法によります建築制限がさらに長期化することが想定されます。
 また、少子高齢化の進展など、東京を取り巻く社会経済情勢や道路に対するニーズは日々変化し、そして多様化してございます。
 こうした状況を的確に捉え、都市計画道路の検証を不断に行っていく必要がございます。
 第四次事業化計画では、未着手の都市計画道路を対象に、将来都市計画道路ネットワークの検証を実施し、個々の路線の必要性を確認してございます。
 今回の検討は、この検証を前提といたしまして、さらなる見直しを行うため、現行計画策定から十年を待たずして、優先整備路線を除く未着手の都市計画道路を対象といたしまして、概成道路における拡幅整備の有効性の検証や立体交差計画の必要性等、新たな検証項目を設け、検証を行うものでございます。

○たきぐち委員 昨年、中間のまとめを作成して、パブリックコメントを実施されました。五百八十七件の意見が寄せられたということでありますが、このパブリックコメントを今回の基本方針案にどう反映したのか伺います。また、今回の基本方針案に対し寄せられた意見、先ほど資料説明で四百三十通とありましたけれども、この件数、また、今後の対応も含めて伺いたいと思います。

○山下都市基盤部長 昨年の中間まとめでは、あり方に関する基本的な考え方や検証方法をお示しいたしました。その際に実施しましたパブリックコメントで、今回の基本方針案に反映した内容といたしましては、概成道路の検証方法、立体交差の検証方法、都市計画公園との重複における緑、景観を重視する内容等でございます。
 具体的には、概成道路の検証方法では、路肩と停車帯につきまして、分けて検証することとなったこと、立体交差では、交通の円滑化、速達性の向上を重視する路線といたしまして、都市間連携に資する幹線道路を設定したこと、都市計画公園との重複では、必要な公園の機能の確保を前提とすることを記載することとしたことなどでございます。
 また、検討対象箇所を明確にすべきとの意見がございまして、これを踏まえ、基本方針案では、検証項目ごとの対象箇所を掲載し、さらに、区市町別の対象箇所、検証結果をホームページに公開いたしました。
 今回、基本方針案に寄せられましたパブリックコメントは、約四百三十通となっておりまして、件数については現在整理中でございます。
 今後、これらの意見を踏まえ、年内を目途に基本方針を策定してまいります。

○たきぐち委員 概成道路や立体交差の検証方法など、テクニカルな部分での意見を反映したということでありました。
 同時に、都市計画道路の整備や検討対象についても、多くの意見が寄せられていまして、必要な道路の整備を求める意見がある一方、新たな道路は必要がないという趣旨の意見も複数見られます。
 先ほど、今回の意義について伺いましたけれども、都市計画道路が、長期にわたって未着手の路線があって、建築制限が長期化しているという実態がある中で、社会情勢の変化に応じて、事業の取捨選択によって、コスト、人の選択と集中を図ることは、常に求められているものと考えます。それが結果的に整備率を高めることになろうかと思います。
 今回の基本方針案に対しても、件数については精査中ということでありますが、中間まとめを上回るご意見が届いているということでありますので、しっかりと整理をしていただきたいと思います。
 今回の検討対象路線は、広域的な道路と地域的な道路、さらに、概成道路と現道無道路とに分類されて検討がなされておりますけれども、それぞれにおいて検証のアプローチの仕方は異なるかと考えます。
 新たな検証項目に沿えば、広域的な道路の現道無道路については、今回は検討対象ではないという理解でよいのか、また、その理由について伺います。

○山下都市基盤部長 第四次事業化計画では、未着手の都市計画道路を対象に、将来都市計画道路ネットワークの検証を実施し、個々の路線の必要性を確認してございます。
 今回の検討は、この検証を前提としてさらなる見直しを行うため、概成道路における拡幅整備の有効性の検証や立体交差計画の必要性等、新たな検証項目を設け、検証を行うものでございます。
 広域的な道路のうち、お話にありました現道がない道路は、立体交差など交差方式等の検証と、都市計画公園との重複に関する検証の対象に一部該当する区間がございますが、それ以外の区間は、新たな検証項目のいずれにも該当してございません。

○たきぐち委員 第四次計画で優先整備路線には選定されなかったけれども、必要性は確認をされている、こういった広域的な道路として分類された百八十五キロのうち、現道無道路の約五十キロについては、新たな検証項目には該当しないということで、基本的に計画は存続させるというご説明だったかと思います。
 検討フローにも小さく記載がありますけれども、少しわかりにくいですし、専門アドバイザー委員会においても、そのあたりの検証対象がしっかりと共有されて議論されているのだろうかという印象もあるわけでありますけれども、そもそも広域的な道路と地域的な道路の分類は、広域的な道路は現時点で都が整備、管理する道路、地域的な道路はそれ以外となっていますけれども、地域的な道路について、都と区市町のどちらが整備、管理するのかが、今回の検討で一定の整理がなされたのか。
 今後、事業を推進するにしろ、さらに検討を加えるにしろ、区市町との十分な調整、合意を図りながら検討を進めていくことが重要だと考えますが、区市町との調整に関して、今後の進め方とあわせて伺います。

○山下都市基盤部長 広域的な道路と地域的な道路で検証方法が異なる項目がございます。
 例えば、概成道路の拡幅整備の有効性の検証におきましては、広域的な道路については付加車線及び植樹帯を原則設けることとしておりますが、地域的な道路では状況に応じて設けない場合があるとしております。こうしたことから、都と区市町で調整を行い、今回の検討を行う上で、広域的な道路と地域的な道路に分けております。
 なお、地域的な道路につきましては、現時点では都が整備、管理を必要とする道路と考えておりませんが、一部の路線につきましては、区市町と調整が整っていないと認識しております。
 今後の検討や、今後事業化する時点で、整備、管理主体につきまして協議を進めてまいります。

○たきぐち委員 広域的な道路と地域的な道路で検証方法が異なるところがあるということでありますが、東京都が広域的か地域的かを分類し、ご答弁があったとおり、各自治体との調整は全て済んでいないということではありました。
 地域の実情は区市町の方が理解しているということかもしれませんが、整備と管理が区市町に移行される可能性があることに対して、当然、財源はどうなるんだというようなことにもつながってくるわけでありまして、区市町が懸念を示しているという声もあるやに聞いております。今後、しっかりと協議をして進めていただきたいと思います。
 こうした検証の結果、概成道路については約九キロ、事業実施済み区間については約二キロ、地域的な道路については八百メートル、合わせて約十二キロメートルの見直しとなりました。
 検討対象五百三十五キロからすると、数字だけで捉えるとインパクトは小さく感じるところでありますが、検証結果についての認識を伺います。

○山下都市基盤部長 これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、優先整備路線を選定する一方で、都市計画道路の必要性の検証を行い、見直しを行ってまいりました。
 必要性の検証に当たりましては、その時々の社会経済情勢やニーズを踏まえた検証項目を設定した上で、未着手の都市計画道路全てを対象として検証を実施し、平成十六年の第三次事業化計画では約六キロ、平成二十八年の第四次事業化計画では約五キロの見直しを行うべき路線を示してございます。
 加えまして、今回の見直しでは、概成道路におきます拡幅整備の有効性や立体交差計画の必要性など、これまでの事業化計画とは異なる新たな視点に基づき四つの検証項目を設定し、約十二キロの見直しを行うべき路線を示してございます。
 このように、都市計画道路について、見直すべきものについて着実に見直しを行ってきております。
 今後は、基本方針案に示しておりますように、都市計画区域マスタープラン等の改定を踏まえて、地域のまちづくりに関連する道路について検証を行ってまいります。

○たきぐち委員 今回、都市計画道路の在り方に関する基本方針をまとめるという作業は、冒頭にもありましたけれども、おおむね十年ごとの見直しを待たずに検証するということで意義のあるものだと考えますが、表題からすると、予想と結果が乖離したとの印象も否めないと思います。
 都市計画道路については、個別路線も含めて議会でもたびたび言及があり、待ち望まれている路線の早期整備を求めるものや反対の声がある路線など、議論の俎上に上るわけでありますけれども、知事も、見直すべきものは大胆に見直す一方で、地元の理解と協力を得ながら、必要な道路を精査した上で着実に整備を進めていくという姿勢を示されています。
 個別路線については、さまざまな状況、課題、地域の実情がある中で、この方針に尽きるんだというふうに思いますけれども、今回の見直しに関しては、今ご答弁がありましたとおり、これまでの事業化計画とは異なる新たな視点による検証項目を設定して、道路構造条例に基づいた基準によって検証、整理をしたということだと理解をいたしました。
 今後、都市計画区域マスタープランの改定を行って、地域的な道路についての検証を行っていくということでありますが、これまでの事業化計画を含む検討結果を是としながらも、それが不変ではなくて、引き続き、社会経済情勢の変化や地域のさまざまな実情の変化などを常に捉まえて、選択と集中を進めていただきたいというふうに思います。
 今回、交差部についても、立体交差、交差点拡幅部、支線、橋詰めについて、計画の要否を検証したということであります。
 検証対象数及び計画存続路線については、費用対効果、実現可能性も含めて、今後どのように進めていくのか伺います。

○山下都市基盤部長 交差部につきましては、検証対象となりました箇所数について、立体交差五十三カ所、交差点拡幅部十二カ所、支線七カ所、橋詰め九カ所でございます。
 検討におきましては、これらの箇所について、計画を変更する箇所、今後事業化を検討していく際に計画の要否を検証すべき箇所、計画を存続する箇所の三つに分類してございます。
 このうち、計画を存続する箇所につきましては、第四次事業化計画の期間内では原則として事業化の予定はございませんが、計画期間の終了後、事業化について検討することとなります。

○たきぐち委員 立体交差は、五十三カ所中二カ所を廃止、十七カ所を事業化の際に要否を検証、交差点拡幅部については、十二カ所中十一カ所を廃止または今後の検証、支線は七カ所中四カ所、橋詰めは九カ所全てが廃止または今後の検証とされたかと思います。
 幾つか私も、地元に近いところの交差点、田端新町一丁目あるいは泪橋の交差点を確認いたしましたけれども、恐らく戦後、昭和二十一年の都市計画決定だと思います。もし違っていたら後で訂正をしたいんですが、ここに計画があったんだなという改めて認識をしたところでありまして、私の感覚的なところで大変恐縮なんですけれども、今現在、交通の円滑化がある程度図られていたり、仮に整備をされたらよりスムーズになるかもしれないけれども、費用対効果等々を考慮すれば現状でも交通の円滑化に大きな問題はないと思われるような箇所でありました。今回、地形や交通動向などから検証されたことは評価をしたいと思います。
 計画を存続する路線については、主に幹線道路における立体交差になろうかと思いますが、基本的にこの立体交差については、権利者が存在しないという観点では道路整備とはアプローチが異なるのかなというふうに思いますけれども、これがアンダーパスなのか、オーバーパスになるのか、いずれにしても地元の理解を得ることなどは大きい課題だというふうに認識をしております。第四次事業化計画終了後の事業化検討ということでありますので、今後のさまざまな諸条件の変化も踏まえながら対応していただきたいというふうに思います。
 次に、都市計画公園との重複についてでありますけれども、国指定の史跡、名勝、鉄道、調節池と重複する場合には関係機関と調整を行う一方、それ以外の重複箇所については都市計画公園を変更する方針ということであります。
 緑化保全や景観等をしっかりと担保することが重要だと考えますが、都市計画道路を優先する考え方について、見解を伺います。

○山下都市基盤部長 今回の重複箇所につきましては、公園の区域を避けて道路線形を変更した場合、新たに都市計画道路の区域に含まれる箇所が広範囲にわたって発生するなど、周辺地域により大きな影響を及ぼす可能性があることから、都市計画公園を変更することを基本といたしました。
 変更に当たりましては、都市計画公園の開園状況も踏まえ、環境保全や景観形成機能など、公園として必要な機能の確保を前提に調整することになります。
 なお、開園している公園に都市計画道路が重複している場合は、緑や景観など既に確保されている機能に配慮し、道路構造による対応の可能性も検討することとしております。

○たきぐち委員 都市計画公園、緑地の整備方針の策定時あるいは改定時等、従前における調整は図られなかったのかなというふうにも思うわけでありますが、全て開園している公園は約三割ということで、これについては、ご答弁があったとおり、緑や景観など既に確保されている機能に配慮するということであります。
 道路構造による対応というのが、アンダーパスを指すのか、各公園の立地等で状況が異なるかと思いますので、確認をいたしませんけれども、一部開園、未開園においても、緑化保全や緑被率、景観等々、まちづくりに大きな影響がありますので、区市町との協議あるいは局間での調整をしっかりと図っていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
 基本方針案の最後に、人工知能、AIや自動運転などの技術革新による都市活動の多様化、都市計画道路に求められる機能、構造の変化について言及があります。
 私も、臨海部の夢の大橋で自動運転を体験いたしました。自動運転というのは、交通事故の削減、高齢者の移動手段、物流の確保等々、社会的課題への挑戦として期待をされておりますけれども、まずは高速道路、そして交通過疎地からということになるのかもしれませんが、自動運転時代を見据えた道路空間の検討は、既に始まっております。
 同時に、パブコメには、自転車の活用の視点がないというご意見もありました。道路構造令の一部改正によって、自転車通行空間の規定の見直しが行われました。都においては、自転車走行空間整備推進計画を進めていて、さらに、自転車活用推進法の施行に伴い、ことし三月には、自転車活用推進計画を策定されました。自転車ネットワークに関する計画との整合性をいかに図るかも、重要な視点になってくるかと考えます。
 こうした社会環境の変化あるいはニーズの変化、そして社会構造の変化に伴う都市計画道路のあり方、そして技術革新の進展に伴う都市計画道路に求められる機能等々、時代を見据えた取り組みを、今後具体的にどのように進め、大胆な見直しと着実な整備を両立させていくのか伺いたいと思います。

○山下都市基盤部長 これまで都は、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、事業化計画を策定し、あわせて見直しを適宜行ってきております。加えて、今回の見直しでは、概成道路における拡幅整備の有効性や立体交差計画の必要性など、新たな視点に基づき検証を行っております。
 今後は、基本方針案に示しておりますように、都市計画区域マスタープラン等の改定を踏まえて、地域のまちづくりに関連する道路について検証を行っていくことになります。
 ご指摘ございましたとおり、技術革新の進展や社会構造の変化など、都市のありようが変化すれば、都市計画道路に求められる機能や構造が変化していく可能性がございます。
 東京を取り巻く社会経済情勢や道路に対するニーズが日々変化し、そして多様化する中、こうした状況を的確に捉え、今後とも、見直すべきものは見直す一方で、必要な都市計画道路を着実に整備してまいります。

○たきぐち委員 きのうの本会議で、滝田委員から電動キックボードの実証実験について一般質問がありまして、官民連携での取り組みに前向きな答弁がありました。
 私も、会派のモビリティー政策研究会メンバーとして、室内でありましたのでほんのわずかな距離でしたけれども、電動キックボードに試乗いたしました。
 この電動キックボードというのは、オスロ、ストックホルム、コペンハーゲンといった北欧であったり、アメリカ、ドイツでも既に実用化されていまして、シェアサイクルのような感覚で使用されていたり、我が会派の議員が直接現場を見ている状況も、研究会の中で共有をしているところであります。自転車道が整備をされている海外では実用化されやすい状況もあるでしょうし、また、今後、安全面であったり、法令整備など、課題はあるものの、新たなモビリティーとして注目されるものだと考えております。
 先ほど申し上げた自動運転も含めて、道路に求められる機能そのものが大きく変わっていくことも予想されるわけでありまして、そうなると、道路計画の選択と集中をさらに進めていくことも重要になってくるかもしれません。
 技術革新が進むことによって、求められる道路機能はどのようなものになっているのか、道路の未来予想図について、山下部長、もしコメントがありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

○山下都市基盤部長 大変僣越なお話で申しわけございません。
 自動運転とか、ITSといいまして高度道路交通システムみたいな技術革新が進むことが予想されます。道路インフラ側も、それを受けとめるための新たな構造形態を考えていかなければならないのかもしれません。
 ITS、これはインテリジェント・トランスポート・システムと申しますけれども、道路交通に情報技術や通信技術を応用して、交通の効率化や高度化などを図るものでございまして、道路インフラと通信インフラを連携させることが、今後は必要になってくるのかなと考えております。
 また、自動運転技術の進歩によりまして、例えば、これまでなかなか外に出られませんでした高齢者の方々が気軽に自動運転車を利用するよう、利用者へのサービスをより一層向上、充実させるために、道路側のつくり込みも必要になってくるかもしれません。
 さらに、お話にありましたように、シェアサイクルを初めといたしました自転車利用の広がり、また、これもお話にありました小型次世代モビリティーの普及等が進みますと、さらに高規格の道路が求められる可能性もございます。
 引き続き、これらの動向を注視しまして、次世代に対応した東京の新しい道路づくりに反映していきたいと考えます。

○たきぐち委員 コメントありがとうございました。
 これから本当に技術革新が進む中で、今、道路インフラと通信インフラの融合等々、お話をいただきました。次世代の新しい道路というものをまた視野に入れながら、いろいろと検討していかなければいけないんだろうというふうに思います。
 例えば、自動運転時代が到来すれば、車線の認識を検知するための、走行区間における白線のかすれを常時なくすための整備であったり、道路境界部分の草木や土砂、汚れといった遮蔽物をなくしたり、こういった整備がより求められるなど、道路の維持管理のあり方も変わってくるということも考えられるのかなというふうに思っております。
 道路管理にかかわる予算は、建設局の道路管理事業の見える化改革報告書等々にも出ておりますけれども、道路の管理面積の増加などから増加傾向にあるわけでありますけれども、今後、新たな時代が到来をしたときに、こういった維持管理をどうしていくのかというところも考えていかなければいけないんだろうというふうに思っております。
 今回は、基本方針案の内容についての質疑でありましたけれども、先ほど、今後の進め方について、区域マスの改定、そして地域のまちづくりに関連する道路の検証を行っていくという方向性を示されたところでありますけれども、あわせて、第五次の整備計画についても視野に入ってくるのではないかなというふうに思います。
 繰り返しになりますけれども、さまざまな環境変化に対応しながらこれまでの検証についても不断の見直しを行って、都市計画道路の整備に向けて取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○中山委員 私からも、先月公表され、本委員会で報告されております東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針(案)について質問させていただきます。
 都内の都市計画道路の総延長は約三千二百キロメートルで、完成済み約二千キロメートル、約六割程度であります。今回、未整備の千二百キロメートルのうち、事業中路線や優先整備路線等を除く約五百三十五キロメートルが対象となった検討の結果を取りまとめたものであります。
 今回、新たに四点の視点を設けて検討を行ったと伺っておりまして、その結果、案がとれれば、ここに示された内容に沿って、今後、順次、各レベルの都市計画審議会にかかって、決定がなされていくということだと思います。
 個々の都市計画道路は、防災上、交通利便上、地元自治体との協議のもと、それぞれ必要性が認められて計画化に至って、今日まで来ているものと理解しております。特段見直しを行う必要がなければ、これは建設局の取り組みになりますけれども、着実かつ速やかに予算を獲得して、協力してくださる方々からの要望にも可能な限り寄り添って進めていけばよいと思います。
 その上で、私のもとにも見直しを求める関係者の声が届く場合があります。今回は初めての取り組みとして、あり方に関する基本方針というものをつくるということで、都市計画道路の特に未整備のものについては、見直しがこの基本方針のもとに行われているということであると思います。
 その一方で、今回の基本方針を経ても、まだ廃止とか、そういうふうにはなっていないという道路について、このまま計画を存続させていいのかということを感じている都民の方々もいらっしゃるわけであります。そうした方々にとってみると、先ほども出ておりましたけれども、問題は、この次、都市計画道路の見直しがいつ行われるのかということなわけです。
 それで、過去を振り返りますと、前回の見直しは第四次事業化計画の際に行われたもので、約三年前の見直しでありました。この事業化計画というのは、先ほどもありましたとおり、従来、結果的に大体十年ごとに行われてきたわけでありますが、じゃ次は七年後かというと、それが必ずしもはっきりと決まっているというわけでもないと。ましてや今回のあり方に関する基本方針というのは初めてのことですから、じゃ、次回があるのかというと、それが確定しているわけでもないし、また、いつ次回やるよということがはっきりしているわけでもないということであります。
 そういう意味でいきますと、こうした見直しの機会というのは、行政的に取り組んでいるわけですが、自分の土地が、建物が関係している都市計画道路についての見直しがいつ行われるんだろうかという関心を持っている都民の方々からすると、事前に、いつ行われますよということがきちっと、はっきりしていないという状態というのは、私は改善すべきことがあるなというふうに思っております。
 と申しますのは、日常的にはいろいろ行政の方とのやりとりの中で、この都市計画道路は要るのかねみたいなことは発信していらっしゃるかもしれませんけれども、いつちゃんとそれが検討されるのかというのがあらかじめわかっていないと、自分の意見がちゃんと審議されたのかどうか、審議されたんだったら、どういう理由で、例えば見直しに至らなかったということであればどういうふうな検討の結果そうなったのか、計画が存続しているという状態になったのかということがわからない、自分自身側としても取り組めないということだろうと思います。
 お話が、答弁でもありましたとおり、その計画化された時点では根拠があって計画化されたものであったとしても、社会情勢というのは大きく変わっておりますし、地域の方々の生活感覚というのも大変変わっております。A地点からB地点まで真っすぐ結ぶ道路があるといいよねということであったとしても、それが屈折した、交差点で曲がったりとかすることでたどり着く道がどこかへ確保されていれば、全然、日常生活的には問題ないですよというようなことが、大多数の方が感じている場合もあるわけでありますよね。
 今回も、パブリックコメントなどの機会が設けられておりますが、前もってこうした見直しの機会が次は何年後にありますということがきちっと伝わっていけば、そのときに、自分の側も、問題を感じている側の人も、行政の方々や地域の方々といろいろ話し合いをして、結果的に自分の声が--自分は廃止してほしいという思いであったのかもしれませんが、総合的な判断で廃止はしませんよということになったとしても、自分のそういう問題意識というのはきちっと取り上げられたという満足感だけは得ていただける可能性が高いと。私はそのことはとても大事なことだと思います。そういう事業化に異論を感じている方々の声というのは、いよいよ事業化が決まるという段階になって反対の声を上げても、もう遅いわけですよね、ある面では。
 それで、今回のあり方の基本方針策定以降、未着手の都市計画道路について、今後の見直す時期を明確に示すとともに、見直しを定期的に本来なら実施していく、そういうシステムとして確立していくべきと考えますが、見解を求めます。

○山下都市基盤部長 これまで都は、先ほど理事の方からもお話がありましたように、おおむね十年ごとに事業化計画を策定しまして、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、優先整備路線を選定する一方で、都市計画道路の必要性の検証を行い、見直しを行ってまいりました。
 必要性の検証に当たりましては、その時々の社会経済情勢やニーズを踏まえた検証項目を設定した上で、未着手の都市計画道路全てを対象として検証を実施し、平成十六年の第三次事業化計画では約六キロ、平成二十八年の第四次事業化計画では約五キロの見直しを行うべき路線を示してきております。
 このように、都市計画道路につきまして、見直すべきものについては着実に見直しを行ってきております。

○中山委員 ぜひ、次は都市計画区域マスタープラン等の改定を踏まえた地域まちづくりに関連する道路についての検証ということになるかもしれませんけれども、ぜひその時期をきちっとわかるように発信していただきたいというふうに思います。
 あわせて、繰り返しになりますけれども、PDCAサイクルといいますか、そういう見直しを行うのは何年ごとに行うんですよということを、きちっと私は確立した方が、都民的にもすっきりするし、その方が私はいいというふうに思いますので、ご検討をお願いしておきたいと思います。
 一方で、こうした行政側としてしっかり地域の方々の意見も踏まえながらですけれども行っていく見直しの検討の機会に加えて、住民の側から、個々の道路に関してになると思いますが、見直しを求めることも制度的には可能だと理解しております。
 そこで、都市計画提案制度というものがあるわけですが、それはどんな内容で、どの部署が所管していて、過去にどんな提案があった実例があるのか、そういうことをご説明いただきたいと思います。

○山下都市基盤部長 都市計画提案制度につきましては、都市計画法第二十一条の二に規定いたします住民等によるまちづくりの取り組みを都市計画に反映させる制度でございまして、都市計画区域マスタープランや都市計画再開発方針などを除く都市計画に対しまして、土地所有者等の三分の二以上の同意などの要件を満たした場合に提案できるものでございます。
 手続に当たりましては、具体的な提案内容に応じまして、所管の部署が提案を受けることになります。
 都では、平成十五年三月より運用を開始しておりまして、これまでの実績としまして、区域区分に関するものが一件、都市計画道路の廃止に関するものが一件、計二件の提案を受理しておりますが、いずれの提案も、都市計画審議会に付議の上、都として計画の変更をする必要がないと判断しております。

○中山委員 ありがとうございました。土地所有者等の三分の二以上の同意が提出の要件ということで、ある意味、高いハードルではあると思います。
 しかし、一個人や一企業の利害だけで、公的な観点から整えられた計画というものが見直されてよいというわけにもいきませんし、ある程度、地域在住の方々、関係者の方々の賛同の広がりが、数として証拠立てられていることが必要という考え方は、私も納得できます。
 その一方で、高いハードルであるとはいえ、こうした住民側からの提案制度が整えられていて、そういうチャンスがあるということは、とても大事なことだと思います。実例が二件しかないとか、結果的にそれは実りませんでしたよとか、そういうことだからといって、決して形骸化させてよいというものではないと思います。
 都市整備局の担当の方、道路によってはですけれども、なると思いますが、こうした都市計画提案制度についての相談があった場合には、相談者に寄り添っていただいて、丁寧に応対していただいて、対応のそっけなさから気持ちが折れてしまったというようなことをいわれたりしないように、ご注意願いたいと思います。
 また、今回の基本方針案の決定などの公的な検討が行われた後の関係者、問い合わせなどに対する事後の対応も、とても大事だと思います。
 区市町村道路などの地域的な道路に関する検証は、既設の道路によって、代替可能性に基づいて行うとのことでありますが、見直しを求めていたのに行えなかったなと思っている方々、そうした方々が、ちゃんと検証が行われたかどうかわからないとかということの疑問を持っていらっしゃる方から問い合わせがあった場合に、誰が対応するのか。この基本方針案に関する問い合わせを含めて、未着手の都市計画道路で、地元からの見直しの声が上がっているような路線について、なぜ見直しがなされないのかなど地元から説明を求められた場合、誰が主体となって説明するのか、そのことについて見解を求めたいと思います。

○山下都市基盤部長 原則といたしまして、未着手の都市計画道路に関し、地元から説明を求められた場合は、都市計画決定権者が対応することになります。
 また、本方針に関するお問い合わせにつきましては、東京都と特別区及び二十六市二町が協働して検討を行っているため、都と地元区市町が協働で電話等で対応してございます。
 また、地元から説明を求められた場合は、地元区市町とも調整し、適切に対応してまいります。

○中山委員 ぜひ丁寧に対応していただきたいと思います。
 その場合に、今回こういう理由で廃止はしなかったんですよと、あなたは廃止を求めているかもしれないけれども、廃止に至らなかったんですよという説明を行うと同時に、次期はいつ見直しをしますよということも、聞かれなくても答えてあげていただきたいんですね。聞かれなかったから教えなかったというんじゃなくて、聞かれなくても教える、そういうことがとても私は大事なことだというふうに思います。
 あとは意見になりますけれども、いろいろ都市計画道路について、きょうも委員会資料をいただきました。全国と東京を比べての数字が出ておりますが、確かに地方は廃止されたりしているものが非常に多いと。東京はそういうのが少ないということは数字的には明らかなわけですけれども、地方は地方でいろんな理由があります。人口減の問題ですとか、コンパクトシティーの問題ですとか、いろんなことがあったり、既に代替的な手段で整えられたりとか、いろんなことがあるのかもしれません。東京都は、やはり人口も集中していますし、都市計画道路の必要性というのは非常に高いというのが前提だということは間違いないと思います。
 ただ、都市計画道路の見直しや廃止を求める声というのは、個人的な利害に端を発するものである場合が多いとは思いますけれども、それを、余り社会的に必要性が高い声ではないというふうにむげに退けないで、限られた経費を効果的に投じていく取捨選択を行うチャンスというふうに受けとめていただいて、また、法的な取り組みも含めて、廃止を含めた必要性の検討は積極的に行っていただきたいというふうに思います。
 一つは、なかなか進まないという、都市計画道路が実現しないというやつについては、単にまちを変えないで道路だけをどんと通すということだけじゃなくて、本当にその地区計画の必要性なども含めて、まち並みをどうしたいのかということも、やはり地元に問わなきゃいけないと私は思うんです。
 ある面では、この五百三十五キロ、今後何回か見直しが行われて少しずつ減っていくのかもしれませんけれども、または着手されたところも入ってくると思うんですが、その中で当然、優先整備路線とかは除いているわけですから、その上でまだ残っているところについては、むしろ地元が、今もこういう理由から必要なんですということをきちっと立証しなきゃいけないと。それぐらいの高いハードルを与えてもいいんじゃないかなというふうに思います。その上で、地区計画とかでまち並みをこう整えたいということの必要性からいって、この道路は必要なんですというようなことが、やはりそれぐらいの汗をかいてもらわなければいけない点もあろうかと思います。
 それから、そういった面でしっかりと、都市計画道路の見直しに関しては、計画を存続させておくことに最大の価値を置くという視点だけではなくて、やはり取捨選択をきちっと行っていくということの必要性をよく、いわゆるかち取り目標として掲げていただいて、取り組んでいただきたいと思います。
 国においては、私どもの党から国交大臣がここしばらく出ていますので、これからも予算獲得に向けての党内の努力は、皆様と一緒にしっかり汗をかきたいと思うんですけれども、全国的に見れば人口減も進みますし、いろんな国力の問題等もあって、予算獲得の道というのは、より一層、どんどん困難度が増していくと思うんです。
 そうした中で、地元が改めて、今この都市計画道路五百三十五キロのうち、この道路はどうしても必要なんですというふうに立証できないような道路のために、ずっとかかわっていくことよりも、例えば木造密集地域の解消ですとか、あるいはあかずの踏切の解消ですとか、そうしたことの方をさらに優先させていかなきゃいけないとか、そういったことも私は大事な選択肢だと思います。
 地方は地方で、廃止していけばいいというだけじゃなくて、本当はドイツみたいに、マスクメロンみたいに道路をきちっと整えてこそ地方の発展があるというのが本来はあったはずですので、それはそれとして、この都市計画道路の問題については、一つは、きょう申し上げた個々の住民からのいろんな問い合わせとか違和感、異議に関しては、丁寧に対応していただきたい。きちっと次の見直しのチャンスを示してあげていただきたい。そうしたことと、やはり廃止することということは、ある面ではマイナスの評価ではなくて、積極的な評価を与えて、その取り組みを進めていただくことを希望して、質問を終わります。

○本橋委員長 この際、運営について申し上げます。
 この際、議事の都合によりまして、二十分ほど休憩を入れたいと思います。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時二十分開議

○本橋委員長 それでは、休憩前に引き続きまして質疑を再開いたします。
 それでは、ご発言の方をお願いいたします。

○神林委員 ただいまいろいろたきぐちさんだとか、中山さんの質問を聞いていまして、この都市計画道路については、大体考えることっていうのは一緒なのかなと。一体この都市計画道路はいつできるんでしょうかとか、あるいはどんどんどんどん技術が進歩していく中で、それから都市計画道路の持つ意義っていうのはどういうふうに変わっていくのかと。こんなことが焦点だと思いますけれども、若干同じような発想なんですけど、切り口が違いますので、順次かち合う部分は省略しながら、一つずつお聞きをさせていただきたいと思っております。
 当然、主な目的だとか、その必要性、どのような効果が導き出されるのか、こういうことについては既にいろいろと聞いているところでございますが、我々もやはり地域の中でどんな声が出ているかということを中心に、これから一つずつ質問させていただきたいと思います。
 都市の骨格を形成する基盤施設である都市計画道路は、区部においては、その原型が昭和二十一年に決定され、その後迎えるモータリゼーションの進展の中においても、我が国の高度経済成長を支えてきました。
 一方で、当初の計画決定から七十年以上の月日が経過した今、経済の荒波を経験したまちのにぎわいの様子や時代の要請が変化し、未整備の都市計画道路が、その地域の実態にそぐわないものになっております。
 都市を形成する重要な基盤施設でありながら、いまだ完成率が約六割程度に滞っており、多くの未整備区間が残されております。余りに遅い未整備路線についての今後の考え方や整備方針について、まず伺います。

○山下都市基盤部長 都はこれまで、おおむね十年ごとに事業化計画を策定しまして、都市計画道路の計画的かつ効率的な整備に努めております。現在までの進捗状況といたしまして、約六割が完成し、約一割が事業中となっています。また、第四次事業化計画で優先整備路線に選定された路線が約一割でございます。
 引き続き優先整備路線の整備を推進することで、都市づくりのグランドデザインの目標時期である二〇四〇年代には、都市計画道路の約八割が完成する時代を迎える一方、残る二割の都市計画道路につきましては、事業着手までに期間を要することになります。
 この残る二割の都市計画道路につきまして、今回の検討におきまして、概成道路における拡幅整備の有効性の検証や立体交差計画の必要性等、新たな検証項目を設け、検証を行っております。
 これに引き続き、基本方針案に示しておりますように、都市計画区域マスタープラン等の改定を踏まえまして、地域のまちづくりに関連する道路につきまして検証を行ってまいります。
 今後とも、必要な都市計画道路は着実に整備するとともに、都市計画道路の検証を不断に行ってまいります。

○神林委員 もう既に質問も出て、あとどのぐらいだというお話も来ていますけれども、それこそあと二十年後以上の部分で、まだ二〇%残っているっていうんですね。一体この道路は全部完成するのにいつごろできるのかなっていう疑問がまず地域の皆さんにとっては出てしまうわけでございます。
 じゃあどういう現況にあるか、ちょっと私の方の実例で一、二点お話をさせていただきたいと思っております。
 あえて名前は申しませんけれども、例えば、私の近隣を見回してみますと、多摩川に橋のかかる計画が全くないため終点が行きどまりである路線であり、現状、道路も交通量に見合う道路幅や、十分ではありませんが一定程度の歩行者スペースも確保されており、現実に必要性が全く感じられない路線がございます。また、両側の沿道にはぎっしりと住宅が建ち並び、沿道立ち退き関係者に多くの迷惑と混乱が生じるばかりか、莫大な費用と年月が費やされることになります。
 そして、もう一点目の事例で申し上げますと、現状、地元の商店街でにぎわいを見せている路線であり、建築物が老朽化してきており、都市計画道路の建築制限がかかわっていて思い切った改築、改修ができないため、このままではまちのにぎわいを大きく阻害することになります。さらに、人の集まる商店街で老朽化した建物が倒壊する危険性が高く、防災面でも大きな課題として残っております。仮に開通されたとしても、現況のまちや人のにぎわいを分断することになり、夕方には商店街の買い物通りとして通行禁止ゾーンになっており、車自体もほとんどその道路を通行する必要性はなく、地域の交通の流れに全く支障があるわけではございません。
 今お話ししたとおり、現状の日本では、一本の都市計画道路を通すには莫大な費用と労力と年月が費やされます。あわせて、沿道の立ち退き関係者にとっては、建築基準法の適用を受け堅固な建物を建てることもできず、老朽化して、防災面でも危険性が高まっております。
 いい方はどういう表現をするかはわかりませんが、まさに蛇の生殺し状態であり、やるならやるで、実施計画をはっきり説明すべきですし、廃止するならするで、一日も早く決定して建築制限などの撤廃を進めてほしいと思うのが当然と考えますが、こうした実態をどう受けとめ、解決していこうと考えているのか伺います。

○山下都市基盤部長 都市計画道路は、ネットワークが形成されることで、交通機能や防災機能など、さまざまな効果を発揮しております。
 都は、おおむね十年ごとに、これまで四次にわたる事業化計画を策定し、都市計画道路の計画的かつ効率的な整備に努めるとともに、あわせて見直しを行ってまいりました。
 また、平成十六年からは、地権者の負担軽減策といたしまして、計画区域内に三階建てまでの建築を認める建築制限の緩和も行ってきたところでございます。
 今後とも、必要な都市計画道路の整備を着実に進めるとともに、今回の検証など、都市計画道路の見直しを不断に行ってまいります。

○神林委員 今お話ししたのは、当然そういうお話になるとは思っていますが、今いったようにいつできるかわからないという部分と、膨大な労力や費用がかかるわけでございます。
 今申し上げたように、現状の日本では、一本の都市計画道路を通すには莫大な費用と労力と年月が費やされることについて、その重要な判断基準となるこのことについて、未着手都市計画道路の整備に当たっての費用対効果の基本的な考えについて伺います。

○山下都市基盤部長 都は、限られた財源の中で都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、事業化計画を策定し、必要性を検証した上で優先的に整備すべき路線を選定しております。
 これらの路線の事業化の際には、整備による効果を考慮し、コスト縮減にも努めております。

○神林委員 簡単に、整備による効果を考慮し、コストの縮減というお話をしましたけれども、それこそ十メートル、二十メートルの両側の沿道で拡幅のために退いていただくためには、莫大なお金がかかるわけですよ。
 だから、それだけのお話じゃなくて、もう少し一律ではなくて、要は、柔軟なめり張りをきかした対応をしていただきたいなというのが次の質問になりますが、整備方針に当たっては、未整備区間全部を一律ではなくとも、例えば渋滞の温床など整備の必要性の高い箇所については一部分だけでも重点的に整備するだとか、住宅の密集している地域はコースを柔軟に変更するとか、そういった基本的に莫大な労力や資金がかからない部分を極力抑えて、一律ではなくて、めり張りをつけた柔軟な手法を検討する取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。

○山下都市基盤部長 先ほどもご答弁いたしましたように、都市計画道路の整備に当たりましては、整備による効果を考慮するとともに、コスト縮減に努めながら、事業化を行っております。
 その上で、例えば概成道路におきまして、交差点部に右折車線等を整備することで、円滑な交通を確保いたします交差点すいすいプランを推進するなど、整備効果を早期に発揮させる工夫も行っております。

○神林委員 今、交差点すいすいプランでありますか、もちろんいいことだと思うんですが、ちょっとそれだけじゃ寂しいですよね。もう少しいろいろな工夫をして、さっきいったように、要は整備効果が上がるような形を一日も早く築いていただくためには、もう少し柔軟で、一律ではなくても、いい取り組みがいろいろあると思うんです。
 私も今、一、二例挙げましたけど、それが全て正しいとはいいませんけれども、やはりそういうものを柔軟に考えていただいて、今後も進めていただければと思う次第でございます。
 続いて、先ほど申し上げました沿道の立ち退き関係者にとっては、建築基準法の適用を受け堅固な建物を建てることもできず、老朽化して、防災面でも危険性が高まっていると。
 このことについて、本文中の背景と基本的な考え方の中で、都市計画道路をつなぐ必要性を検証ということで示されておりますので、この点については我が党も大いに賛同するところでございますが、問題なのは、この基本的な考え方に沿って、一日も早く未着手都市計画道路の検証を行い、関係者や地域住民に明快な判断を明示していくことでございます。
 また、本文中、整備すべきものは整備しについて申し上げれば、できるだけ早い時期に、計画がおよそいつから整備が始まっていつごろまでに完成するのか、少なくとも沿道立ち退きの対象地域の皆さんや関係者には早急に告知する必要がございます。
 また、本文中、見直すべきものは見直すについては、計画縮小や廃止に伴う告知を関係者に行い、建築制限を初めとするさまざまな規制を一日も早く解除すべきであります。
 さらにいわせていただければ、さらにおおむね十年ごとの事業化ということであれば、その検証作業には莫大な資金や労力がかかると思いますが、時代の移り変わりの速さを考慮すれば、今回あり方検討により存続となっている未着手都市計画道路全てについて、しっかりと検証していただくことを要望いたしますが、見解を伺います。

○山下都市基盤部長 今回の検討につきまして、七月に計画変更などの基本方針案を示したところでございまして、年内を目途に方針を取りまとめ、それに基づきまして、必要な都市計画手続を行ってまいります。
 さらに、基本方針案に示しておりますように、今後、都市計画区域マスタープラン等の改定を踏まえまして、地域のまちづくりに関連する道路について検証を行ってまいります。
 こうした見直しを進める一方で、地元の理解と協力を得ながら、必要な都市計画道路を着実に整備してまいります。

○神林委員 ちょっと質問と答弁が若干かみ合っていないんですが、それから、それじゃ具体的な数値っていうことを聞くんですが、さっきいろいろと出ておりましたので、十二キロ、今回見直しを行って、あと五百二十五というようなことも聞いておりますが、じゃあこのペースでいくと、もちろんいろんな手続が大変なのはわかりますが、全部完結するのに一体何年ぐらいかかるのか。
 既にもう七十年かかっているんですよね。じゃ今後何年ぐらいで全部できて、今、八〇%と二十何年後にと書いてありますが、じゃあ一体いつにできるんですかという話ですね。例えば、小池知事に聞けば、もっとスピード感を持ってやってくださいと、こんな答弁が返ってくるんじゃないですか。見通しをどういうふうに考えておられるんでしょうか。

○山下都市基盤部長 今回のあり方検討の検証結果に基づき、都市計画道路の廃止、縮小の手続を行った場合、約五百二十五キロメートルが未着手の都市計画道路として残ることになります。
 今回の検討に引き続きまして、今後は、基本方針案に示しておりますように、都市計画区域マスタープラン等の改定を踏まえまして、地域のまちづくりに関連する道路について検証を行っていくことになります。
 これらの検証におきまして、計画を存続することとした道路につきましては、第四次事業化計画の計画期間の終了後、その取り扱いについて検討することになると考えます。

○神林委員 今ご答弁を聞いていますと、着実に見直していくとか、不断の努力をすると、こんな言葉がたびたび出てくるわけですけれども、やはりいろいろな判断がつく部分で、必要性の検証と地域の合意さえつかめれば、これは判断っていうのはほとんど大体つくはずなんですよね。
 もちろんいろいろ手続が大変なのも十分わかっていますが、十年もの長い年月を費やしてこうした作業を完結するのは、残りの部分についても全て検討しても十分な時間だというふうに私は判断しているわけでございます。
 当然、拡幅整備の有効性、めり張りをしっかりつけた上で、それこそ今後は未着手道路を一日も早く、都市計画道路の継続案件を次のときには残さないぐらいの意気込みでぜひやっていただきたいと思うんですが、その辺の意気込みと見解についてお伺いいたします。

○山下都市基盤部長 これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定しまして、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、優先整備路線を選定する一方で、都市計画道路の必要性の検証を行い、見直しを行ってまいりました。
 必要性の検証に当たりましては、その時々の社会経済情勢やニーズを踏まえた検証項目を設定した上で、未着手の都市計画道路全てを対象として検証を実施いたしまして、平成十六年の第三次事業化計画では約六キロメートル、平成二十八年の第四次事業化計画では約五キロメートルの見直しを行うべき路線として示しております。
 加えまして、今回の見直しでは、概成道路における拡幅整備の有効性や立体交差計画の必要性など、これまでの事業化計画とは異なる新たな視点に基づき四つの検証項目を設定しまして、約十二キロメートルの見直しを行うべき路線を示してございます。
 今後とも、必要な都市計画道路の整備を着実に進めるとともに、今回の検討など、都市計画道路の見直しを不断に行ってまいります。

○神林委員 今ご答弁いただいた中ですと、第三次事業化計画では約六キロ、それから平成二十八年の第四次事業化計画では約五キロ、今回約十二キロと。このペースでいったら本当、何年かかるんですかっていう話になっちゃうんですね。
 そうすると、先ほどたきぐちさんがいった将来的な道路のあり方についての課題になっちゃうんですよ。だから、それこそスピード感をもう少し持って、ぜひ対応していただいて、何とかしっかりした判断を対象者の方々に一日も早く伝えていただきたいと思います。
 そういう中で、特に緊急性の高いものがございます。どうしてもこういう緊急性の高いものについては廃止できないということであれば、例えば倒壊のおそれのある建築物ですとか延焼火災が起きやすい木造住宅密集地域、こういうところは、少なくとも緊急性が非常に高いわけです。
 ですから、こういうところについては、少なくとも建てかえ時に残地に建築基準法上の容積率だとか建蔽率などの緩和ですとか、税制上の優遇など特例的な緩和処置を検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○山下都市基盤部長 木密地域における都市計画道路につきましては、平時の交通機能に加えまして、災害時には延焼遮断機能のみならず、緊急車両の通行路や消防活動等の救援、救助活動の空間や安全な避難路の確保など、大変重要な役割を担っております。
 このため、地元の理解と協力を得ながら、今後とも、着実に整備を進めてまいります。
 木密地域におきまして、地権者のニーズを受けとめる制度といたしましては、例えば、不燃化特区における老朽建築物の解体費用に対する助成制度や、固定資産税の減免措置などがございます。
 ご指摘のあったさらなる建築制限の緩和や税制優遇などにつきましては、ご意見として承っておきたいと思います。

○神林委員 これは先ほどたきぐち委員がいったのと全く同じなんですが、さっきも話したとおり、ともかく実際の人々の暮らし方だとか、生活実態だとか、交通手段っていうのは、どんどんどんどん速く動いているわけですよ。にもかかわらず、こういったスピードで都市計画道路が進んでいるわけですね。
 もう自動運転なんて既に実用化されているんですよね。それから、私いつもいうんですけど、例の再開発事業のときもお話ししたんですけれども、やっぱり車だって空を飛ぶ時代も、もう近々まで来ているんですよ。
 そうしたら一体、都市計画道路の意義だとか、これからどうするんですかっていう形になっちゃうんですよね。これは決してはるか未来の夢物語じゃなくて、もたもたしていると道路がほとんど整備される前に道路のあり方自体が問われるような状況になってくるということが一つでございます。
 それから、今、たきぐちさんがお話しになったことと同じようなんですが、例えば自転車道路だとか、歩行者道、それから長い期間の工事中の代替交通ルート、こういうものでは非常に地域にも大きな不便や混乱がかかるわけですが、自転車道路の整備については、所管が都市整備じゃないといわれるのかもしれないけれども、やっぱりしっかりとしたスペースを確保しなければ、自転車道路の整備なんてできるわけないわけですから、この設計の段階でやっぱり責任を持って都市計画の中で検討していくことが考えとして必要だと思っております。
 この二点についてご質問をいたします。

○山下都市基盤部長 今後、人工知能、AIや自動運転などの技術革新によりまして、中長期的には人々に利便性の向上や豊かさがもたらされ、都市活動はこれまで以上に多様化し、都市計画道路に求められる機能、構造が変化する可能性がございます。
 東京を取り巻く社会経済情勢や道路に対するニーズが日々変化し、そして多様化する中、こうした状況を的確に捉え、今後とも、見直すべきものは見直す一方で、必要な都市計画道路を着実に整備してまいります。
 また、自転車のお話がございました。今回の検討におきましては、自転車や歩行者の空間を考慮して検証を行っております。ご指摘の課題につきましては、関係局と連携して、適切に対応したいと考えております。

○神林委員 今、現状、我々が現場を見て心配であることを一つずつお話しさせていただいたので、これからまた検討に入るということもあるでしょうから、ぜひそういった課題について、心配していることに対して、本当に指摘が当たらないような形で、事前事前にしっかりと見直しを行っていただきたいと思っています。
 総論として最後に、この見解についてお伺いしたいと思います。
 都市計画道路建設計画の目的が大方達成されるまでの全体像やビジョンという大きな視野を常に持ち合わせながら、時代の要請やまちづくりの変化、現場の実情をしっかりと把握して、適宜適切に見直しを図るべきと考えますが、最後に都の見解を伺います。

○山下都市基盤部長 これまで都は、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、事業化計画を策定し、あわせて見直しを適宜行ってまいりました。
 加えて、今回の見直しでは、概成道路における拡幅整備の有効性や立体交差計画の必要性などの新たな視点に基づき検証を行っております。
 今後は、基本方針案に示しているとおり、都市計画区域マスタープラン等の改定を踏まえて、地域のまちづくりに関連する道路について検証を行っていくこととなります。
 ご指摘がありましたとおり、技術革新の進展や社会構造の変化など、都市のありようが変化すれば、都市計画道路に求められる機能や構造が変化していく可能性がございます。
 東京を取り巻く社会経済情勢や道路に対するニーズが日々変化し、そして多様化する中、こうした状況を的確に捉え、今後とも、必要な都市計画道路を着実に整備すると同時に、都市計画道路の不断の見直しを行ってまいります。

○曽根委員 私からも、都市計画道路のあり方の基本方針案について、少し時間をいただいて質疑をしたいと思います。
 我が党は、代表質問でも述べましたけれども、今回の検証で新たな基準を設けて、都が必要性を認めた路線についても、現道や、もしくは代替道路に振りかえできないかと検討にかけ、部分的に見直しや廃止の方向を出したこと自体は、これまでこうした見直しは全くしてこなかったことから比べれば前進だといえると思います。
 ただ、大きく見れば、第一に、特定整備路線--これは既に事業化されているものです、また、優先整備路線の中で見直すべき路線があるにもかかわらず、今回一切対象から除外していること、それから、第二に、それ以外の路線で五百三十五キロメートル残されているというこの中で、見直しや廃止の候補とされたのはわずか十二キロ、全体の三%弱にとどまり、到底本格的な見直しとはいえない、あくまで第四次事業化計画の枠内にすぎなかったことなどは、極めて不十分な見直しといわざるを得ません。
 大体、資料に出していただきましたが、東京都の計画廃止路線は、これまでわずか二路線、一・八キロメートルにすぎません。これがいかに少ないか。
 ちょっとパネルをつくってきましたが、これは資料にあるものですけれども、東京が一・八キロに比べて、大阪府の四百六十九キロを初め、兵庫県百九十四キロ、福岡県百八十四キロ、京都府百三十七キロ、神奈川、千葉、埼玉などの首都圏でも三十キロから七十キロの見直しをしているのと比べれば、余りにも東京が少ないということは一目瞭然です。
 しかも、今回出していただいた資料は平成二十九年三月時点のものですが、その三年前の平成二十六年の資料と比較しますと、大阪府では八十キロ、兵庫県でも百キロ、福岡県で五十キロほど、平成二十六から二十九の三年間だけでも、各都市は数十キロ程度の路線を廃止していることから見ても、今回の十二キロという東京の見直しが、小池都知事が都議会で繰り返し表明していた見直すべきものは大胆に見直すという到達点としては、余りに寂しいものといわざるを得ません。
 代表質問でも申し上げましたけど、例えば首都圏の千葉市の検証ですけれども、ここも今、検証しておりまして、千葉市は検証を通じて、未整備の都市計画道路九十六キロのうち三十七キロ、実に四割近くの廃止、変更を提案しています。
 こういうのであれば、大胆な見直しといえるかもしれません。道路にかかる都民や付近の住民、商店から、東京の見直しはがっかりしたと、期待外れだという声も上がっております。
 質問としては、大胆な見直しと知事がいったことについて、大胆というならば、広辞苑でいえば普通と違った思い切ったことをするさまだというふうにされておりますが、今回の検証は、都としてどこが大胆といえるのか、どこが普通と違った思い切ったことだといえるのか、この点をまずお聞きします。

○山下都市基盤部長 これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定いたしまして、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、優先整備路線を選定する一方で、都市計画道路の必要性の検証を行い、見直しを行ってまいりました。
 必要性の検証に当たりましては、その時々の社会経済情勢やニーズを踏まえた検証項目を設定した上で、未着手の都市計画道路全てを対象として検証を実施し、平成十六年の第三次事業化計画では約六キロメートル、平成二十八年の第四次事業化計画では約五キロメートルの見直しを行うべき路線を示しております。
 加えて、今回の見直しでは、概成道路における拡幅整備の有効性や立体交差計画の必要性など、これまでとは異なる新たな視点に基づき四つの検証項目を設定いたしまして、学識経験者から意見も聞きながら、道路構造条例等に基づき検証を行い、約十二キロメートルの見直しを示したところでございます。
 このように、都市計画道路について、見直すべきものにつきましては着実に見直しを行ってきたところでございます。

○曽根委員 長々とお答えありましたが、どこが知事のいう大胆といえるのかという話は一切なかったと思います。
 むしろ最後の方でおっしゃったように、着実に見直しを行っているという言葉がありましたが、少しずつは見直しますよという皆さんの考えが透けて見えたかなというふうな答弁でした。
 しかも、第三次で約六キロ、第四次で約五キロの見直しとおっしゃいましたけど、これは廃止じゃないんですよね。廃止は一・八キロしかないんです、今までトータルで。お金もかけて、また道路は手間暇かかってもつくるんだという立場に頑固に立っているからではないかというふうに思います。
 実際、検証に当たっての専門家、専門アドバイザー委員会、八回行われているようですけれども、専門家の皆さんから、本検討において実現性や費用対効果の観点を含めないのかという声が出されました。
 しかし、この議事録を読みますと、都は、この意見に対して、東京の人口が二〇二五年まで増加すると予測されることや、道路整備財源も当面横ばいと予測されていること、国際的な都市間競争に勝ち抜く必要があること、首都直下地震に備える必要があることなどから、首都東京の持続的な発展及び安全・安心の都市づくりのためには、時間や費用がかかったとしても都市計画道路の整備が必要で、本検討では財政面は考慮しないとまで答えています。
 時間や費用がかかっても都市計画道路は整備する、財政面は考慮しないという考え方は、事実上、都市計画道路を聖域化するものであって、小池都政のいっている財政のワイズスペンディングという考え方にもかなっていないんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。

○山下都市基盤部長 都市計画道路は、交通、物流機能の向上により、経済活動や日々の生活を支え、災害時には緊急救護活動を担う重要な都市基盤でございまして、着実に整備をしていくことが必要でございます。
 こうした考えのもと、都は、限られた財源の中で都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、事業化計画を策定し、必要性を検証した上で優先的に整備すべき路線を選定してございます。
 これらの路線につきましては、整備による効果を考慮し、コスト縮減に努めながら事業化を行っております。
 今回の検討では、必要性が確認されている路線を対象に、概成道路における拡幅整備の有効性など、計画のあり方に関する新たな視点から見直しについて検討したものでございます。お話にありました都市計画道路を聖域化しているというご指摘には当たらないと考えます。

○曽根委員 聖域化しているに当たらないといいますけれども、結局必要とみなした道路は着実につくると。ただ、その上で、つくると決まったら、実際に整備するときのコストは考えていくというようなお話だったと思うんです。
 しかし、専門アドバイザー委員会で、先ほど紹介したように、都がコストを考えないといったのは、例えば人口が二〇二五年までふえ続けるからだというと、これはとても変な話じゃないかと私は思います。
 今回検証したのは、優先整備路線から外れて、これから少なくとも十年以上先まで整備しない路線ですから、つまり、二〇二五年の人口のピークを超えて東京の人口が減り始めたときに、整備するかどうかが問われる路線ですよ。二〇二五年まで人口がふえ続けるということとは、もっと後の時期じゃないですか。
 それから、道路整備財源も当面は横ばいと予測されているということも発言していますが、これも非常に不可解なことなんですね。今後、急速に社会インフラが老朽化していき、そのため維持補修費がふえていくことは、東京都自身が明らかにしていることです。
 平成二十九年、おととしの十一月に、国の不当な収奪に反論する東京都の文書が出されました。この中でも、この直近の十年間の間に維持補修費の推移が十年前の一・五七倍にふえていますと。毎年かかる補修費が約六割ふえていると。今後もふえ続けるということも明らかにしているわけです。
 したがって、他の道府県と比較しても顕著な伸びだとまでいっているわけですから、今後、平成二十八年から平成五十年まで、平均値で見れば現在よりも毎年千四百億円も増加するだろうとも書いてあります。
 いわゆるハード分野といわれる社会資本の整備において、維持更新の部分がぐんと伸びてくると。それなのに、新しく道路をつくる予算は横ばい、つまり減らさなくても構わないとどうしていえるかということなんですよ。
 もう一回千葉市の例を紹介させていただきますと、千葉市では、三十六キロ、約四割を廃止するという提案によって、千葉市は千五百億円もの将来的な負担が縮減できると試算しています。しっかり見直しをすることは、大規模な税金の節約につながるということです。
 こうした都の論理の幾つかをとっても、どうにも道理が通らない主張をして、都市計画道路を聖域にしているとやっぱりいわざるを得ないんじゃないかと思います。
 それで、実際の検証でもこういうことが次々と出てくるわけです。さまざまな条件をつけてなるべく道路は見直ししなくてもいいようにしたと思わざるを得ないような検証が行われています。
 幾つか例を挙げますが、第一に、概成道路の見直しです。つまり、計画線のところに既に現道があると。そして、計画の幅まではできていないとはいえ、それなりの幅を持っている道路について検証したと。
 他県の検証では、計画幅までいかなくても、現道で十分交通機能を果たせるじゃないかとみなして、相当な廃止を行う例が数多く出ています。
 ところが東京都は、現道でいいんじゃないかというのは今回の検討でわずか十二区間、九キロメートルにとどまりました。
 私、見直しが進まない原因として、歩道幅などを相当広くとる方針にしたことが原因の一つにあると思います。見直すからには一定の限度というものがあってしかるべきです。
 都の方針は、ちょっとでも歩行者が多いとみなせば、歩道が片側三・五メートル、植樹帯も入れますと歩道部分だけで両側で九メートルにもなると。車道と合わせると十八メートルの幅がなければ、計画は見直さないと。したがって、十八メートルまでは広げるということです。
 しかし、歩道は片側二メートルあれば車椅子の人もすれ違うことができますし、これで二メートルでいいとするならば、十五メートルの幅があればオーケーになります。見直せる道路はずっとふえるんじゃないでしょうか。実際、北海道などでは、幹線道路でも歩道幅二メートルでよいというふうにしています。
 東京都の概成道路の見直しで、歩道幅を三・五メートル幅にこだわるというのは、どれぐらいの人数かということで見てみましたら、(パネルを示す)一分間に十人、片側でいうと五人程度の人が歩行するというものです。
 大体百メートル当たりに換算しますと、ある瞬間にその歩道に八人ぐらいの人が歩いていたら、これは歩行者が多いということで、片側三・五メートル確保しなさいというのが東京都の出した基準なんです。
 これは国の方は道路構造令はありますが、歩行者が多い道路というものの基準はないそうなので、これは東京都独自に定めた基準なんですね。
 ところが、いわゆる市街地再開発などで、開発の中でつくる歩道についての基準は、これも国から来ているんですけれども、こちらの方は大規模交通マニュアルというのがあって、自由に歩けるとされる基準は、百メートル当たり約八十人の人が通る--図にするとこれぐらいわかりやすいんですけど、これぐらいであれば、これ以下であれば、自由に通行できると。東京都の今回の見直しでの歩道の基準の十倍以上の緩やかな基準で歩道をつくらせているんですよ。こういう違いがあるわけです。皆さんご存じと思いますけど。
 ここまでなぜ差をつけなければならないのかという点ですね、明らかにダブルスタンダードじゃないかと。都市計画道路の見直しは、できるだけ見直さなくて済むように歩道をうんととりなさいと。
 しかし、再開発はこれからつくるわけだから、歩道を広くし過ぎると建物の面積が少なくなってしまうということから、ダブルスタンダードになっているんじゃないかというふうに思いますけれども、今回のように都市計画道路見直しでの歩道幅にこだわる理由は何でしょうか。

○山下都市基盤部長 道路構造条例等で規定されています歩道幅員は、歩行者交通量が多い場合は有効幅員三・五メートル、それ以外の場合は二メートルとされております。
 今回の概成道路の歩道幅員を検証するに当たりまして、歩行者交通量が多い場合の目安につきまして、専門アドバイザー委員のご意見も聞きながら、現在供用されている道路の状況も踏まえて、歩道の両側で十二時間当たり四千人以上といたしました。
 なお、お話にありました大規模開発マニュアルの基準は、大規模な都市開発計画に対して定められたものでございまして、ある限られた局所的なエリアでの適用を想定しており、ネットワークといたしまして歩道幅員を評価する今回の検証にはなじまないと考えております。

○曽根委員 全く答えになっていないと思うんです。再開発だって、一旦でき上がれば外からも交通は入ってきますよね。歩行者も入ってくる。普通の道路の歩道と機能的には基本的に変わらないはずなんですよ。
 それから、アドバイザーの意見も聞いたというふうにいっていますけれども、私はアドバイザー委員会の議事録に目を通しましたけど、およそ専門家はそういう考え方を示していないんじゃないかというのが率直な感想です。
 例えば、ある委員は、何カ所か現地を見た印象として、歩道部が歩行者の交通量が多い道路のスペックを満たしていない場合でも、必要なスペックを満たしている場合は、少しでも多く現道合わせの方向に整理できればよいと思います、こういう発言をしています。つまり、道路構造条例の基準からいえば三・五メートルか二メートルとなっているけれども、現状で歩行者の通行に全く支障がないということであれば、現道をわざわざ両側を広げるとかいうことはしなくていいんじゃないかという意見なんです。なるべく現道に合わせるようにしてほしいといっている意見が大半だと思います。
 大規模マニュアルが開発地区であり、今回の検証は歩行者が一定の距離を歩くから違うというのも、全く理解不能な説明です。このマニュアルはそもそも開発地区を対象にして導かれたものではなく、市街地でどのような人数なら人がスムーズに動くかと実証的な研究に基づいて、国のマニュアルは開発地域について出しています。買い物の人のスピード、オフィスに向かう人のスピード、男女の違い、こうしたものを測定して出した数字をもとに、その後、マニュアルがつくられたという関係です。
 人がスムーズに動くのに、開発地区と都市計画道路の違いがあるはずがないというふうに私は思います。百歩譲っても、多少の違いがあったと認めるにしても、十分の一の人数で道路の方は多いとみなすというのは、余りに極端じゃないかと思います。都の検証の基準は、大型道路計画はそのまま残すという意図がありありだとみなさざるを得ません。
 もう一つの問題は、近くにかわりになる道路が既にある場合、これを代替道路と呼びますが、この場合には、新しく道路をつくる計画を見直すことにした、代替道路の検証の問題なんですね。周辺にあるのが都市計画道路である場合は、代替道路とは一切認めないという今回方針にしました。
 しかし、都市計画道路以外に広い道路は都内にほとんどありませんから、この方針では実際に活用はほとんどできません。
 実際に、東京都から代替道路の検証についてお伺いしましたが、そもそも都市計画道路を抜かしてしまうと、ほとんど細い道路ばっかりになってしまって、結局町田市に通る道路一本だけしかなかったということでした。
 ところが、やっぱり千葉市など他の自治体は、周辺の県道や国道などの都市計画道路を代替道路として扱うことで、必要性が薄れた道路計画は次々と廃止しています。
 対象となる道路の交通量を十分のみ込める場合でも、都市計画道路はなぜ代替道路にできないのか、改めてお聞きします。

○山下都市基盤部長 都市計画道路は、計画的かつ効率的にネットワークを形成することで、その機能が発揮されます。
 第四次事業化計画では、こうした観点から、改めて将来都市計画道路ネットワークの検証を行い、個々の路線についての必要性を確認しております。都市計画道路の代替路の検証は、それを踏まえて実施しており、都市計画道路以外の現道をその対象としております。

○曽根委員 都市計画道路は、ネットワークを形成してこそその機能を発揮するから、既にネットワークの検証はやって、必要だと確認されているから、第四次事業化計画でそれをなくすことはあり得ないと。しかし、本当になくしたらだめなのかどうか、それこそ今回検証することが必要なんじゃないでしょうか。
 例えば、都市計画道路のネットワークが必要と検証された場合、その区間がなくなった場合、ネットワークとしてどのような支障が生じるのか、具体的に示していただきたいと思います。また、その区間がなくなった場合に回復不可能なほど深刻な打撃をネットワークは受けることは避けられないと都は判断しているのかどうか、それぞれお答えいただきたいと思います。

○山下都市基盤部長 都市計画道路ネットワークが形成されることで、交通機能や防災機能など、さまざまな効果を発揮できます。
 例えば、交通機能に関しましては、都市計画道路ネットワークの一部が欠けますと、周辺の道路への負荷がかかり、交通渋滞が発生することになり、ひいては周辺の生活道路に通過交通が進入いたします。
 防災機能に関しましては、都市計画道路ネットワークの一部が欠けますと、延焼遮断効果が低減するとともに、迂回を余儀なくされて、救急救援活動や避難に支障が出ることになります。

○曽根委員 交通機能という点で見れば、ネットワークの一部が欠けると周辺道路に負荷がかかる、これは事実だと思います。しかし、周辺道路に負荷がかかったときに必ず交通渋滞が発生するとか、必ず生活道路に車が入ってきてしまうとか、必ずそうなるとはいえません。
 だから、それをシミュレーションをかけて調べることが大事になるわけです。シミュレーションで周辺道路に渋滞が発生する場合は、計画は残すと。しかし、周辺道路に渋滞が発生しないならば、計画は廃止の方向に持っていくと。この二つの取捨選択は、今回なぜやられなかったのかと。
 ほかの県はどこでもこれを丁寧にやって、見直しをしています。多くの場合は、周辺道路の混雑度が一・〇から一・二五を一つの基準として、それを超えなければ周辺道路に渋滞や混雑は発生しないので、代替道路と扱って廃止にしていると。これで千葉市などは相当計画廃止に持っていっているわけです。
 東京都は、とにかくネットワークの一部が欠ければ渋滞が発生し、ひいては生活道路に通過交通が進入するというふうに決めつけて、検証はしないと。この態度は、私どうしても納得できません。
 ちゃんと検証して渋滞が発生しないことがわかれば、道路を新たにつくらずに済んで、税金が節約できて、ほかの分野にもお金を回せ、インフラの維持改修にも回したりすることができます。
 数十年にもわたって、いつ自分の家を道路のために壊して立ち退きしなくちゃいけないのかとおびえ続けている地権者の方に、安心してもらうこともできます。それが行政としての当たり前の姿勢じゃないかと思います。
 三つ目の問題ですが、検証の中で非常に私驚いたのは、都市計画道路が公園の計画と重なっている場合、道路を優先し、公園は削るということです。その中には、既に開園したり、一部開園している公園も数多くあります。
 先ほど都市計画道路はネットワークで、一部でも欠けると大変なことになるというようなお話でしたが、公園の場合は、道路によって分断して一体性が欠けても構わないというのかと。
 東京都は国際競争に勝ち抜かなければならないというふうにいつもいいますが、公園こそ世界の大都市と比べて東京が大きくおくれをとっている分野で、都民一人当たりの公園面積は、東京で五・六九平米、畳四畳にも満たない広さですが、ニューヨークは十八・六平米、パリは十一・六、ロンドンは二十六・九平米と、東京の二倍から五倍近くあります。
 これでは公園に対して道路ファーストだといわれても仕方ないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○山下都市基盤部長 今回、公園と道路の重複箇所につきましては、公園の区域を避けて道路線形を変更した場合、新たに都市計画道路の区域に含まれる箇所が広範囲に発生するなど、周辺地域により大きな影響を及ぼす可能性があることから、都市計画公園を変更することを基本といたしました。
 変更に当たりましては、都市計画公園の開園状況も踏まえ、環境保全や景観形成機能など、公園として必要な機能の確保を前提に調整することとなります。
 なお、開園している公園に都市計画道路が重複している場合は、緑や景観など既に確保されている機能に配慮し、道路構造による対応の可能性も検討することとしております。

○曽根委員 いろいろ配慮は苦心されていますが、しかし、必要と検証された道路は、基本的に何がなんでもつくると。その場合、ほかのところに新しい道路をつくったら迷惑だから、今計画している公園の中に道路を通させてくれと、これが基本ですよね。
 今回の方針案の中にも、都市計画道路は、原則として都市計画変更は行わないと。重複する公園の方を計画を変えるというふうにはっきり書かれているわけです。ここでもとにかく、必要性があると都が認めれば道路はとにかく確保するという考え方で、今あるほかの道路で代替して、廃止するという考えが一切ないわけです。そして、そこのけそこのけ道路が通るというような扱いで公園を突っ切っていくと。
 こういう論理が今、現場では次々と問題を起こしていまして、私の地元の北区の補助八六号線では、自衛隊の元駐屯地だったところが、片側は自然観察公園、湧き水を利用してなっていて、もう片方はスポーツ科学センターの近くですからスポーツの森公園という、この間に道路用地が眠っていたわけです。しかし、今は草っ原です。緑地です。ここを道路用地として昨年度さっさと東京都が買収してしまったわけです。
 ところが、この道路はどういうつくり方を工夫しても、都内で湧水百の中に入る貴重な湧水を壊しかねないですし、その湧水の池にやってくるカワセミを初めとする野鳥を追い出すことにやっぱりなってしまうと。また、子供の貴重な遊び場を奪うということはやっぱり考慮されないわけです。
 ここでは配慮というふうにお答えになっていますけど、実際には、現場では配慮しようがなく、道路が通れば自然がかなり壊されてしまうわけです。この点を私は地元で痛感しております。
 それで、具体的な個別の路線についてもただしておきたいんですけれども、同じく私、地元ですけれども、北区の田端新町、この付近に環状五号線、つまり明治通りが通っていまして、もちろん概成道路なんですけれども、残る両側拡幅計画は、今回見直しされませんでした。両側合わせて六メーターほどの拡幅が必要だということだそうです。
 両側には、数が減ったとはいえ金属機械加工の工場が数十軒並んでおり、いずれもものづくり産業のため、ぎりぎりの厳しい経営です。セットバックしろということになれば、相次いで廃業になりかねません。
 ところが、同じ並びに田端中央病院というのが何年か前に経営難などで撤退したんですが、その後に高層のワンルームマンションが今建設中です。そうすると、北側の戸建て住宅が軒並み日陰になるため、今、裁判まで起きています。こうしたものが、例えば道路に面している機械工業の工場などが撤退した後に次々起こることを、地元は危惧しているわけです。
 車道も歩道も交通量は減っており、渋滞もありません。歩道を広げなくても、自転車道は車道側に確保できます。計画を続行することは、全くまちの実情とかみ合っていないと私は見ていていつも思うんですけれども、それでも計画どおりの道路が必要だとする理由は何でしょうか。

○山下都市基盤部長 お話にありました環状五号線、明治通りは、四車線道路でございます。今回の検討におきましては、道路構造条例等に基づき、四車線の評価幅員を車道部で十六メートル以上としておりますが、北区田端新町付近の環状五号線、明治通りの車道幅員はこれを満たしておりません。そのため、計画の存続と評価いたしました。

○曽根委員 現地で例えば交通渋滞が頻繁に起きているというんなら別ですけど、今、明治通りでも渋滞はほとんどありません。ですから、東京都は、道路構造条例は見ても、現場の都民の営業や暮らし、営みを何ら見ようとしていない、ここが都の最大の弱点だというふうにいわざるをえません。
 北区内の補助八一号線という道路がまたありまして、一部は特定整備路線の候補に二〇一二年になりました。しかし、地元の強い反対があって、特定整備の候補段階で取り下げられました。この理由は何だったか、また、今回ここも見直しされていませんが、その理由は何でしょうか。

○山下都市基盤部長 今回の検討におきまして、広域的な道路の現道のない区間につきましては、個々の路線の検証項目のいずれにも該当せず、検証を行っていない区間がございます。北区内の補助第八一号線につきましては、それに当てはまっております。

○曽根委員 つまり、八一号線は東京都が広域的な道路として位置づけて、広域的な道路の場合は、今回、現道がないということになっていますから、見直しはしないと。検証の対象にならないということですよね。しかし、それは東京都が第四次の計画で必要性を認めたということですね。
 しかし、これは路線が特定整備路線候補から除外するときに、北区長の東京都への要望書というのが出されています。ここには、この路線を実質あと八年間のプロジェクトで完成させるということは困難だと。その理由は、地元の状況や周辺環境の条件などからだというふうなことが明記されています。地元の状況というのは、関係自治会長や道路で本堂と墓地をとられる無量寺という古刹、古いお寺が反対署名を積み上げたという事実がありまして、また、周辺環境というのは、この路線が急なのり面をおりていくという計画であるため、そののり面の道路の両側には既にマンションが建ち並んでおり、そのマンションの玄関先が、道路に面して崖になってしまうと。玄関から出られなくなるという問題もあると。
 到底、八年どころか、この問題は十年、二十年、どれだけ時間をかけても無理筋の道路だということが余りにも浮き彫りになったために、区長が取り下げざるを得なかったわけです。
 都のいう必要性では、この地元の状況を絶対に克服できないということは明らかであります。
 しかも、この八一号線はその北側で補助九一号線に接続しているんですが、この九一号線も、今回見直しされませんでした。上中里駅を挟んで、その北側は足立まで線路と川を越えて抜けていくという大がかりな道路計画ですけど、一旦計画を廃止して、長期にわたる建築制限などについて一回撤廃すべきじゃないかと、地元では何十年も到底できそうもないという道路としていわれているものですが、いかがでしょうか。

○山下都市基盤部長 ご指摘のありました補助九一号線は、広域的な道路でございまして、概成区間と現道のない区間に分かれてございます。概成区間につきましては、拡幅整備の有効性の検証を行い、道路構造条例等に基づく評価幅員として、道路幅員が十五メートル以上必要であるところ、現況の道路幅員は十一メートル未満であることから、計画の存続となりました。
 現道のない区間は、北区内の補助第八一号線と同様、個々の路線の検証項目のいずれにも該当せず、検証を行っておりませんが、現行の第四次事業化計画において、その必要性が確認されております。

○曽根委員 今、現道がありませんから、この道路がもし完成したとすれば、京浜東北線を西側から東側に渡る幹線道路というのは、赤羽から王子までの間には五本か六本ありますけれども、王子駅より南側、田端までは一つもないということから、JRの上中里駅を挟んで、京浜東北線、上野東京ラインなど、地上の線路を越え、その先にある東北・上越新幹線の高架の下をくぐり、そして明治通りに平面交差した後に、その先にある梶原銀座商店街という古くからの商店街を全部のみ込む形で、そして隅田川を渡って足立に来ると。当然、隅田川には道路橋をかけなきゃならないと。できたら相当、地域の東西交通は便利になることは間違いないと思います。
 しかし、商店街を一個丸々のみ込んで立ち退かせなきゃならないことと、跨線橋と、それから道路橋の隅田川を越える橋を一本かけるということを考えれば、一千億円以上に軽く費用がかかると予想されます。
 実は、現在区長をやっておられる花川與惣太氏が以前都議会議員のときに、推進の文書質問を出したのを私は知っていまして、そうしたら物すごい反発が地元からあって、その後、全く沙汰やみになっているんですよ、この道路は。
 それぐらい費用対効果が大問題になっている道路ですから、また、商店街との関係でもバッティングもありますから、これは当然ながら計画を根本から考え直さなきゃならない道路だと思っております。
 具体的に幾つか地元の例を出しましたが、今回の質疑で私、時間もお金も幾らかかっても道路は整備するという、道路を聖域とするような東京都の姿勢の非常識といいますか、また、個々の検証項目でも他県ではやっていないような条件をつけたり、逆に他県でやっているようなシミュレーションもしなかったりと、検証とはいいながら実際には、道路をいかに残すのかと、計画を残すのかということを考えているとしかいわざるを得ないようなやり方の異常さ、個々の路線をとっても、どう見ても道理のない計画を維持し続ける愚かさ、こういうのを私は指摘してまいりました。
 全体として、改めて大胆な見直しというのとは今回の基本方針はほど遠いもので、他県にない、道路にこだわり続ける姿勢が浮き彫りになったのではないかというふうに思います。
 この姿勢で犠牲になるのは、やはり都民です。そして緑環境です。何十年も権利制限された上に、立ち退かされる。本来道路をやめれば生まれる財源も活用できない。数少ない貴重な公園が削られる。これで果たしてよいのかという問題です。他県の事例にも学びながら、大胆な検証を行うことを強く求めておきます。
 それから、先ほどもちょっとありましたが、パブリックコメントの期間が過ぎてからの都民の意見が十数通あったと聞いています。今回のパブリックコメントの期間は、世間の夏休みにもかかったことも考慮されなければなりません。八月いっぱいの意見については、パブリックコメントに準じて扱うべきだということと、また、自分の地域の道路がどうなるのか、要望があれば個別の説明会はきちんと行うということも含めて求めまして、質問を終わります。

○森澤委員 済みません、最後になります。よろしくお願いいたします。
 都市計画道路の完成率は約六割程度で、多くの未整備区間が存在しているというのが現状ということです。計画され、事業化されていても、土地の収用が進んでいなかったりして、住民の方からすれば、長い間、虫食い的に空き地になっていて、いつ完成するのだろうということであったり、協力したもののなかなか完成しないということを憂慮するような声も聞かれます。
 都民ニーズの変化と多様化から、見直すべきものは見直すとしていますが、やはり実際の地域のまちづくりの変化とともに、住民の方のライフスタイルの変化、生活実態も考慮していくことが重要なのだと考えます。
 先ほど来、取捨選択、選択と集中、めり張りをきかせるべきという意見が出ていましたが、私もそういった必要性を強く感じるものです。第四次事業化計画で二百二十六キロを優先整備として推進し、二〇四〇年代には都市計画道路ネットワークの約八割を完成していくということです。
 一方で、約二割の都市計画道路は、事業着手までに期間を要するということです。
 現時点でいまだ多くの未着手区間が存在しているわけですが、その主な理由についてお伺いをいたします。

○山下都市基盤部長 都市計画道路は、交通機能、空間機能、市街地形成機能を有しておりまして、計画的かつ効率的にネットワークを形成することで、その機能が発揮されます。都内には、こうした都市計画道路が約三千二百キロメートル決定されております。
 都は、都市計画道路の計画的かつ効率的な整備を図るため、おおむね十年ごとに、これまで四次にわたる事業化計画を策定し、取り組んできておりますが、その事業量は多く、現在までの整備率は約六四%となっております。

○森澤委員 基本的には、そもそも計画されている量、ボリュームが多いということで、特に都心部は道路整備に必要な土地を収用するコストもかかるということが要因として挙げられるということだと認識します。
 一方で、都市計画道路は昭和二十年代に原型があり、それから今に至るまで、都度新たな決定がなされ、現状の三千二百十三キロメートルに至っているということです。戦後七十年以上かけて整理されてきているということ、そう考えると、公共交通網も発達してきていたり、ライフスタイルやまちづくりのあり方も随分と変化をしてきています。
 そういった中で、今回、その事業着手までに期間を要する、長期化すると考えられる二割を見直した基本的な考え方、どのような課題認識を持っているかとともに、優先整備だけを事業化し、残りについては必要となったときに再度計画していくというような考え方はできないのかどうかお伺いいたします。

○山下都市基盤部長 第四次事業化計画で優先整備路線として選定されなかった残る約二割の都市計画道路につきましては、その必要性を確認しているものの、事業着手までに期間を要することになり、都市計画法による建築制限がさらに長期化することが予想されます。
 また、少子高齢化の進展など、東京を取り巻く社会経済情勢や道路に対するニーズは日々変化し、そして多様化しております。
 こうした状況を的確に捉え、都市計画道路の検証を不断に行っていく必要がございます。
 こうしたことから、優先整備路線を除く未着手の都市計画道路を対象として、都市計画道路のあり方について検討を行うこととしたものでございます。
 なお、これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、優先整備路線を選定する一方で、都市計画道路の必要性の検証を行い、見直しを行ってきており、平成十六年の第三次事業化計画では約六キロメートル、平成二十八年の第四次事業化計画では約五キロメートルの見直しを行うべき路線を示しております。
 このように、都市計画道路について、見直すべきものについて着実に見直しを行いながら、必要な都市計画道路の整備を進めてきております。

○森澤委員 都市計画道路は、交通の円滑化、防災性の向上などに寄与するということは理解しますが、優先整備にならない場合、長年にわたって、いつ実現するかわからない計画のまま地域で置かれることになり、建築制限がさらに長期化することが想定されるとご答弁にありましたが、それにより住民の主体的なまちづくりや地域の防災対策を阻害してしまう可能性もあるのではないかと危惧するところです。
 長年事業化されないことのデメリットも改めて認識していただきつつ、計画の存続の有無について、引き続き検証していただきたいと期待するものです。
 今回、どの項目にも当てはまらなかったものが五十キロあるということで、これについての今後の検証についてお伺いしたかったんですが、先ほども出ましたので、今回新たな検証を行っていないが、第四次事業化計画においてその必要性が確認されているということでした。
 五十キロというのは、約一割ということになります。必要性は確認されているものの優先整備とはなっておらず、今回の検証項目に当てはまらなかったということで、そのまま放置されてしまうのではないかということも危惧するところであり、先ほども申し述べた観点から、その間どのように活用していくか等も含め、しっかりと考えていただきたいというふうに思います。
 今回の検証で計画の存続となったものについての事業化に向けてのスケジュール感と、今後の新たな見直しの可能性についてお伺いをいたします。

○山下都市基盤部長 今回の検討で計画の存続とした箇所につきましては、第四次事業化計画の期間内では原則として事業化の予定はございませんが、計画期間の終了後、事業化について検討することとなります。
 また、今回の検討後に都市計画区域マスタープラン等の改定を踏まえて、地域のまちづくりに関する道路について検証を行ってまいります。

○森澤委員 これも先ほど来出てきていますが、地域の実情に応じた検証を引き続きお願いしたいと思います。
 さて、見直すべきものは見直すというのはとても大事なのですが、一方で、見直された場合、長年計画がされているなどして、そのつもりで生活設計などしていた場合、その地域の住民の方が困ってしまうのではないかなというところも心配になるところなんですが、今後、見直しにより廃止されたり変更された路線の周辺に住む地権者や権利者の扱いはどうなるのかお伺いをいたします。

○山下都市基盤部長 道路の都市計画の変更によりまして計画から除外された区域では、建築制限が外れる一方で、固定資産税等の減免措置がなくなることになります。
 また、都市計画道路に沿いました用途地域が指定されている場合には、用途地域等が変更になる場合もございます。
 なお、都市計画変更に当たりましては、地元説明会を開催するなど、地権者などの理解と協力を求めながら手続を進めてまいります。

○森澤委員 これまで廃止されたのは一・八キロということもありまして、これまで訴訟になっていたりということはないと聞いていますが、今後、見直すべきものは見直すといった中で、廃止という決断も出てくることを期待しつつ、そういった場合の丁寧な説明と手続を引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 さて、今後、自動車に乗る人が減る一方で、自動運転化が進み、また、BRTやコミュニティバスなどの公共交通機関のさらなる発展、地域にはシェアサイクルもふえていくとともに、よりパーソナライズされたモビリティーの活用性の可能性も出てきています。
 あるいは、バリアフリー化も進み、車椅子ユーザーの方が行き来する機会もふえていく中で、自動車中心ではなく、歩行者や自転車、そのほかの多様なモビリティーが行き交う場としての道の役割の変化を考慮に入れて、スピーディーに考えていかなくてはいけない時代に来ています。
 先ほどたきぐち委員からもご質問がありましたが、私からも改めて、こういった社会やライフスタイルの変化の中で今後都市計画道路をどう考えているのか伺い、質疑を終わります。

○山下都市基盤部長 今後、技術革新の進展や社会構造の変化など、都市のありようが変化すれば、都市計画道路に求められる機能や構造が変化していく可能性がございます。
 東京を取り巻く社会経済情勢や道路に対するニーズは日々変化し、そして多様化する中、こうした状況を的確に捉え、今後とも、見直すべきものは見直す一方で、必要な都市計画道路を着実に整備してまいります。

○本橋委員長 一通り発言が終わりましたので、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○本橋委員長 異議なしと認めまして、東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針(案)についてに対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十分散会

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