委員長 | 本橋ひろたか君 |
副委員長 | 森澤 恭子君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 中山 信行君 |
理事 | 神林 茂君 |
理事 | 伊藤 ゆう君 |
けいの信一君 | |
滝田やすひこ君 | |
宮瀬 英治君 | |
佐野いくお君 | |
高橋 信博君 | |
たきぐち学君 | |
荒木ちはる君 | |
曽根はじめ君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 東京都技監都市整備局長兼務 | 佐藤 伸朗君 |
次長総務部長事務取扱 | 桜井 政人君 | |
技監 | 上野 雄一君 | |
理事 | 中島 高志君 | |
都市づくり政策部長 | 小野 幹雄君 | |
都市基盤部長 | 山下 幸俊君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 安部 文洋君 | |
市街地建築部長 | 青柳 一彦君 | |
基地対策部長 | 高原 俊幸君 | |
連携・連絡調整担当部長 | 八嶋 吉人君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
担当部長 | 小口 新吾君 | |
まちづくり推進担当部長 | 吉野 敏郎君 | |
まちづくり調整担当部長 | 木村 宣代君 | |
景観・プロジェクト担当部長 | 山崎 弘人君 | |
交通政策担当部長 | 森 高志君 | |
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 | 新谷 景一君 | |
防災都市づくり担当部長 | 三宮 隆君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 松崎 浩一君 | |
局務担当部長 | 奥秋 聡克君 | |
耐震化推進担当部長 | 青木 成昭君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 泉水 一君 | |
住宅政策本部 | 本部長 | 榎本 雅人君 |
技監都営住宅経営部長事務取扱 | 久保田浩二君 | |
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 佐々木秀之君 | |
連絡調整担当部長 | 水野 剛君 | |
住宅政策担当部長 | 澁谷 浩一君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 栗谷川哲雄君 | |
経営改革担当部長 | 土屋 太郎君 | |
再編利活用推進担当部長 | 中山 衛君 | |
建設推進担当部長 | 妹尾 高行君 | |
営繕担当部長 | 金子 陽子君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
住宅政策本部関係
契約議案の調査
・第百二十二号議案 都営住宅三十一H-一〇九東(江東区辰巳一丁目)工事請負契約
報告事項(説明・質疑)
・東京都住宅政策審議会答申について
都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八号議案 東京都駐車場条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都市復興の理念、目標及び基本方針(案)について
○本橋委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたしたいと存じます。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元ご配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がございました。
お諮りさせていただきます。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○本橋委員長 異議なしと認めまして、そのように決定させていただきます。
○本橋委員長 次に、契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がございました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元にご配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和元年六月十二日
東京都議会議長 尾崎 大介
都市整備委員長 本橋ひろたか殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第百二十二号議案 都営住宅三十一H-一〇九東(江東区辰巳一丁目)工事請負契約
2 提出期限 令和元年六月十四日(金)
○本橋委員長 本日は、お手元ご配布の会議日程のとおり、住宅政策本部関係の契約議案の調査及び都市整備局関係の付託議案の審査並びに住宅政策本部及び都市整備局関係の報告事項の聴取を行います。
これより住宅政策本部関係に入ります。
初めに、過日の委員会でご紹介できませんでした幹部職員について、本部長からご紹介がございます。
○榎本住宅政策本部長 過日の都市整備委員会を欠席させていただいておりました幹部職員をご紹介させていただきます。
民間住宅施策推進担当部長の栗谷川哲雄でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者挨拶〕
○本橋委員長 ご紹介が終わりました。
○本橋委員長 次に、契約議案の調査を行います。
第百二十二号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言をお願いいたします。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○本橋委員長 ないようでございます。
それでは、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○本橋委員長 ご異議なしと認めまして、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
そこで、お諮りいたします。
本案は、異議のない旨、財政委員長に報告したいと存じますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○本橋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○本橋委員長 次に、理事者から報告の申し出がございますので、これを聴取いたします。
○澁谷住宅政策担当部長 東京都住宅政策審議会における答申についてご説明いたします。
昨年十月四日の第一回審議会で、知事が、都営住宅における管理制度等のあり方について諮問を行いました。その諮問を踏まえ、審議会や部会でのご議論、具体的施策案のご検討を経て、去る五月三十一日に同審議会より答申が出されました。
お手元の資料2がその本編でございますが、資料1として概要を用意いたしておりますので、こちらでご説明をさせていただきます。
資料1の方をごらんになってください。
第Ⅰ章で、都営住宅の管理、供給の基本的考え方が記載されており、第Ⅱ章では、都営住宅の入居者の高齢化、単身化が進行する中、住宅ストックを有効活用し、高齢者が安心して暮らせる環境整備、若年ファミリー世帯の入居促進等により、多世代共生の推進が必要との認識のもと、三つの課題が提言されています。また、第Ⅲ章では、その課題に対して具体的な施策の方向性が示されています。
具体的な施策につきましては、大きく三つの方向性をいただいております。
まず、子育て世帯等への支援でございます。
子育て世帯への期限つき募集の倍率が低下傾向、平均入居期間も約五年であることから、入居期間を子の就学期に応じ延長できるようにするほか、その対象をひとり親世帯にも拡大し、また、効果的な周知方法を検討するよう提言をいただきました。
二点目といたしまして、単身者の入居制度でございます。
いわゆる就職氷河期世代など住宅に困窮する若年単身者への支援等が課題となります。そのため、こうした方々に生活の基盤となる安定した住宅を提供するため、一定の条件を付すことにより入居資格を認め、都の福祉や就労支援策との連携のもと実施することなどの提言をいただきました。
三点目といたしまして、高齢者への生活支援サービスでございます。
既に行われている民間事業者による移動販売等のサービスのさらなる充実や、地域包括支援センター、社会福祉協議会など地域を支える主体との連携に当たり、巡回管理人が居住者のニーズをこうした団体とつなげていく役割が求められること、また、地域のイベントや居場所づくりのために都営住宅内の集会所や敷地を活用することなどの提言が示されました。
第Ⅳ章では、それらの施策の着実な推進に向け、きめ細かい情報発信や、区市町村や民間との連携強化への提言があった上で、第Ⅴ章として、引き続き検討を要する課題について、次期住宅マスタープラン策定時に合わせて検討するよう、問題提起をいただいております。
この答申を踏まえまして、今後、都営住宅における多世代共生の実現に向け取り組んでまいります。
説明は以上でございます。
○本橋委員長 ただいま報告が終わりました。
これより本件に対する質疑を行いたいと存じます。
それでは、順次ご発言の方をお願いいたします。
○滝田委員 私から、東京都住宅政策審議会の答申、都営住宅における管理制度等の在り方についてお伺いをいたします。
都では、おおむね五年ごとに住宅マスタープランの見直しを行っておりまして、その時々の都の住宅政策のあり方について見直しを図ってきたものと理解をしております。
現行の住宅マスタープランは、二〇一七年、平成二十九年三月に策定をしておりまして、その際にも住宅政策審議会に諮っているものであります。
ついては、次回の住宅マスタープランの見直しを待たずに、今回、住宅政策審議会に都営住宅における管理制度等のあり方について諮問をすることとなった政策的な背景をお伺いいたします。
○澁谷住宅政策担当部長 都は、平成二十九年三月に現行の住宅マスタープランを策定し、社会情勢の変化や人口減少による地域の衰退などが懸念される中、住宅政策の基本方針を豊かな住生活の実現と持続とし、八つの目標と将来像を設定しております。
ただ、これは、住宅政策の重要な指針となり礎となるものではございますけれども、個別特定の分野の施策を深く導き出すというようなものではない、そういうような性格のものでございます。
一方、今後も、住宅政策に大きな影響を及ぼす少子高齢化や世帯の単独化の急速な進行が予測され、とりわけ都営住宅においては顕著に進んでいるということから、都は、平成二十九年度から、都営住宅の管理等につきまして検討を進めまして、平成三十年七月には、見える化改革報告書を取りまとめまして、多世代共生を推進していく必要がある、そのような課題を示したところでございます。
この課題を解決していくためには、都営住宅の管理制度の見直しが必要でありまして、そのためには、都民共有の財産であります都営住宅につきまして、専門家の知見を含む広範な観点からの深い検討、審議を要するというふうに考えまして、そこで、東京都住宅政策審議会に、さまざまな世代がともに暮らせる都営住宅の実現に向けた管理制度等のあり方につきまして昨年十月に諮問を行いまして、このたび答申をいただいたところでございます。
この答申を踏まえまして、今後、可能なものから取り組みを進めてまいります。
○滝田委員 説明にありましたけれども、見える化改革、昨年七月に、都営住宅建設、管理について、報告書が出されておるということで、私も拝見をしております。
そこでは、多世代共生の推進に加えまして、持続的な経営、災害対応力の強化の三本が柱になっているというふうに理解をしております。
今回の審議会では、多世代共生の推進を管理制度において具体化するということを諮問しておりますけれども、見える化改革に掲げている残りの課題、持続的な経営、そして災害対応力の強化についても、一層の検討を深めて、具体的な政策を進めていただきたいというふうに思います。
また、我が会派の代表質問でも指摘いたしましたけれども、都営住宅事業の資産価値の見える化や土地の有効活用の視点、民間との連携、テクノロジーの活用など、幅広い視座で都営住宅のあり方を検討していくべきであります。
その際に答弁いただきました、今後の住宅政策審議会での議論を期待するところであります。
さて、このたびの住宅政策審議会答申では、子育て世帯への支援の一層の充実、就職氷河期世代など単身者の入居制度の拡大、そして高齢者の生活支援サービスの向上の大きく三つの施策の方向性が示されました。
それぞれの施策の効果と、特に若年単身者については入居がどのぐらい広がるのかお伺いをいたします。
○土屋経営改革担当部長 まず、子育て世帯への支援の一層の充実につきましては、同居する子供の就学期に応じた期限つき入居期間の延長などにより、子供が小中学校在学中に退去し転校を余儀なくされることがなくなるなど、子育て世帯のニーズにより的確に応じることができるようになると考えてございます。
また、単身者の入居制度の拡大につきましては、単身者向け住戸のあっせん基準の弾力化や、就労事業の事業主体との連携などにより、就職氷河期世代などの都民の居住の安定が図られ、就労や将来的な家族形成につながると考えてございます。
さらに、高齢者の生活支援サービスの向上につきましては、地域福祉や民間事業者等と連携した多様な生活支援サービスの充実、自治会活動への支援などにより、見守りの充実が図られるとともに、地域の高齢者が安心して暮らせるようになると考えてございます。
若年単身者の入居を可能とする仕組みによって入居がどれぐらい広がるかにつきましては、答申の既存の応募有資格者の入居の機会を減ずることのないように配慮すべきとの提言も踏まえまして、今後適切に検討してまいります。
○滝田委員 事前にも確認させていただきましたけれども、そもそもセーフティーネットとしまして、ひとり親を含む子育て世帯や就職氷河期世代など、どの程度の規模感で支援が必要となってくるのかということについて、あるいは都営住宅とそれ以外の施策をどのように組み合わせて実行していくのか、貴重な都有財産と予算を効果的に、真に必要な課題に対応するために使っていただくよう、検討を深めていただきたいというふうに思います。
都営住宅の役割は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸する住宅であるとされています。また、公営住宅法上の住宅に困窮する低額所得者とは、最低居住水準の住宅を住宅市場において自力で確保することが困難な者と定義されていると答申の解説にも記載がされています。
首都東京は、都心の千代田区から奥多摩まで--まあ、もちろん島しょもありますけれども、非常に多様な環境を一つの広域自治体で抱えております。また、その多くは、自治体をまたいで都市が連担した都市域となっているため、ほかの道府県とは状況が大きく異なります。
低額所得者だけではなくて、仮に中位の所得水準であっても、最低居住水準の住宅を都心部において自力で確保するということは、当然容易ではありません。
一方で、多少郊外からでも都心に通勤通学するなども可能であるのが、東京の特徴であります。
答申には、今後の課題としまして、利便性係数の再検討が掲載されております。都営住宅の入居者間での公平性の問題だけではなくて、そもそも都営住宅は都民共通の巨額の資産を活用しているということでありますので、都営住宅入居対象者だけではなく、都民全体に対しても説明のつく、公平かつ最適な資産の活用を図らなければなりません。
その点からも、住宅市場の実態と著しく乖離をするような場合において、係数は見直さなければならない課題であるというふうに指摘をいたします。
公営住宅法におきまして、市町村立地係数や利便性係数がどのように規定されているのか、また、都において特例をつくることが可能であるのかについてお伺いをいたします。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅の家賃は、法令の定めるところにより、毎年度、入居者からの収入の申告に基づきまして、当該入居者の収入及び当該公営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数、その他の事項に応じて定めることとされてございます。
このうち、市町村立地係数につきましては、国が入居者の負担能力に応じて定める家賃算定基礎額を補正する四つの係数の一つでございまして、公営住宅の存する市町村の立地条件の偏差をあらわすものとして、各市町村の地価の状況を勘案して、〇・七から一・六までの範囲内で、国土交通大臣が市町村ごとに定める数値となってございます。
また、利便性係数につきましては、事業主体が、公営住宅のある区域及びその周辺の地域の状況、公営住宅の設備その他の当該公営住宅の有する利便性の要素となる事項を勘案しまして、公営住宅法施行令に基づき、〇・五から一・三の範囲内で定める数値となってございます。
ただし、同施行令の規定により、利便性係数の上限については、一・三、または一・六を市町村立地係数で除した数字のうち、いずれか小さい数値以下で定めると定義されてございます。
このため、市町村立地係数が最高値の一・六である千代田区につきましては、区内にある公営住宅の利便性係数の上限が一・〇となることから、それを踏まえ、都営住宅の利便性係数の上限は一・〇としてございます。
都は、同施行令が定める使用料算定の係数の範囲の見直しを行うよう国に要望してございます。
また、答申におきましては、利便性係数の再検討については将来的に検討することも考えられると、このように提言されてございます。
○滝田委員 詳細に説明いただきまして、ありがとうございます。
全国一律に国で決められてしまっているということであるというふうに、まず思います。
都の実態にそぐわない部分もあるのではないかなというふうに私自身は認識しておりまして、市町村立地係数も含めまして、自治体での特例や裁量を持てるように国に働きかけていただきたいというふうに考えております。
また、現行の係数が所与の条件だとしましても、都として、公平性を高めるように都営住宅の立地を変えていくというようなことも長期的には可能であるのではないかというふうに思います。
三月の委員会でも指摘しましたけれども、都営住宅資産の見える化とともに、公平性を高めていくということ、あるいは先ほどもお話ししましたけれども、セーフティーネットをどうやって確保していくのかといった課題もありますので、ぜひともあり方をしっかりと検討していただきたいというふうに要望をいたします。
以上をもちまして、私からの質問を終わります。
○高橋委員 報告事項の東京都住宅政策審議会答申について質問をいたします。
住宅は都民生活の基盤であり、居住の安定は良好な地域社会の形成、ひいては都市の活力と成長に不可欠であります。少子高齢化が進む東京において、安心して子供を育てることができ、老いも若きもともに生き生きと暮らすことができる社会を実現していくことは大変重要であります。
今日、社会は目まぐるしく変化しております。都には、現場の実態を把握し、先々の見通しを持って施策を実行していくことが求められます。
今般、住宅政策審議会から、都営住宅における管理制度等の在り方について答申が示されました。内容を見ますと、期限つき入居制度の拡充を初め、施策の方向性が具体的に示されております。時宜を得た提言であると考えます。
そこで、少子高齢化などの社会経済状況が変化する中で、答申では、都営住宅の管理制度を取り巻く課題をどのように捉えているのか、改めて伺います。
○土屋経営改革担当部長 今回の答申では、都営住宅において入居者の高齢化、単身化が進む中、住宅ストックを有効活用して、高齢者が安心して暮らせる環境の整備、若年ファミリー世帯の入居促進などにより、多世代共生を推進していくことが求められるとし、管理制度を取り巻く課題を三点に整理してございます。
第一に、子育て世帯への支援について、期限つき入居の応募倍率が低下傾向にあることや、ひとり親世帯を期限つき入居制度の対象としていないこと、第二に、単身者の入居制度について、いわゆる就職氷河期世代など収入のふえない単身者増加や、単身者向け住戸の応募倍率が特に利便性のよい地域で高い水準にあること、第三に、高齢者への生活支援サービスについて、都みずからが提供するだけでなく、他の行政機関やNPO、民間事業者等と連携しながら、量的、質的に充実させることが望まれることなどが示されてございます。
○高橋委員 答申では、さまざまな世代がともに暮らす多世代の共生に向けて、課題を三点に整理していることがわかりました。
また、答申では、これらに対応するための施策の展開の方向性を、一つ、子育て世帯への一層の充実、二つ目、単身者の入居制度の拡大、三つ目、高齢者への生活支援サービスの向上の三本柱でまとめております。
そこでまず、子育て世帯への支援の一層の充実について伺います。
期限つき入居制度は、平成十三年度、都が全国に先駆けて導入した制度であります。若年ファミリーなど子育て世代に対して、一定の期間、都営住宅に入居できるようにするものです。限られたストックを有効に活用しつつ、真に住宅の支援が必要な都民に対して利用機会をふやすものであります。
制度の導入以来、平成二十九年度まで、約八千世帯の若年の夫婦、子育て世帯が利用し、子育て世帯の住居費負担の軽減に大きく貢献してまいりました。加えて、若年ファミリー世帯の入居は、都営住宅のみならず、周辺地域の活力の向上にも貢献しております。
では、今回の答申では、子育て世帯への支援という観点からどのような提言が盛り込まれ、都は今後どのように対応していくのか伺います。
○土屋経営改革担当部長 今回の答申では、期限つき入居制度について、子供の就学期に応じて入居期間を延長する仕組みの整備や、ひとり親世帯を対象に加えることなどが提言されてございます。
加えて、住宅に困窮する子育て世帯に対し、都営住宅の利用に必要な情報が確実に届くよう、ホームページによる募集情報の充実や効果的な周知方法の検討などについて提言されてございます。
今後、答申に示された施策について、期限つき入居制度の詳細な制度設計を含め、速やかに実施に向けた検討を行ってまいります。
○高橋委員 答申の三本柱のうち、子育て世帯への支援の一層の充実についてはわかりました。
二つ目の柱である単身者の入居制度の拡大については、さきの答弁にもあるように、いわゆる就職氷河期世代の若年単身者の増加といった新しいニーズへの対応と理解いたします。
子育て世帯への支援の一層の充実と単身者の入居制度の拡大については、都営住宅を広く都民がセーフティーネットとして利用できるよう、公平、公正に活用していくことが重要と考えます。
最後に、三つ目の柱である高齢者への生活支援サービスの向上について伺います。
確かに、都営住宅において高齢化、単身化が著しく進んでいると思いますが、少子高齢化の進行は都民共通の課題でもあります。このような課題に向き合う上で、都営住宅の中だけで解決を図るのではなく、団地の周辺地域にも目を向けて、地域の課題として対処することが必要と考えます。
答申には、地元自治体や町会、民間事業者との連携のもとで、高齢者への生活支援サービスを向上していくことが盛り込まれています。
今後、周辺地域も含めた施策への取り組みが求められると考えますが、見解を伺います。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅の課題に取り組む上で、都営住宅という公共空間を有効に活用し、入居者と周辺地域の方々の交流を図っていくという視点は重要でございます。
今後、答申を踏まえまして、地元自治体や民間事業者等と連携しながら、移動販売サービスの拡充、団地内の集会所などを利用した地域住民も利用できるイベントや居場所づくりを通じまして、多様な主体による見守りの充実を図ってまいります。
また、都営住宅の建てかえにより創出された用地を活用して、地元区市と連携し、高齢者福祉施設を整備するなど、都営住宅だけでなく周辺地域も含め、高齢者への生活支援サービスの充実に向けて取り組んでまいります。
○高橋委員 ただいま答弁にありましたように、都営住宅の団地内だけで考えるのではなく、周辺地域と一体となった取り組みをお願いいたします。
高齢者が地域で安心して暮らすことができること、多様な子育てサービスにより子供の声があふれるまちを実現していくことは、都民共通の願いであり、我が党がかねてから主張しているところでもあります。
住宅は都民生活のかなめであります。さまざまな世代がともに暮らし、支え合える東京の実現に向けて、住宅政策本部には住宅政策を着実に前進していただくようお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○中山委員 私からも、住政審の答申について質問させていただきます。
代表質問では、我が党は、期限つき入居者の期限の延長と生活支援サービスの拡大等を求めまして、前向きな答弁を得たところでございます。
期限つき入居につきましては、一つはひとり親等への拡大は大事なことですので、ぜひ早急に実施していただきたいということと、あわせて、自治会活動の主体となっている若手の居住者である場合が多くて、当然、都営住宅に申し込むことも、ある時期を過ぎると可能になるわけですけれども、ただ、ほかの団地に行ったのではその団地の自治会としての若手の担い手ということで用を果たさないところがありまして、そういった点では、より一層工夫が必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
それから、既に転居してしまった方々についてはどうしようもないんですが、実施時期にもよりますけれども、できる限りさかのぼって、年度内とかそういった中でさかのぼって適用できるように、事前の周知の仕方なんかも、どうしても役所は正式に決まらないと発表しないというのはあるんですけれども、そういったあたりでこういうことを検討していますよということをあらかじめ発表しておいて、正式に決まってお知らせできるときには、もし可能であればさかのぼって適用できるような、そういった工夫もお願いしたいというふうに思います。
それから、生活支援サービスにつきましては、拡大していくということでご答弁いただきましたけれども、区市町村のどこのセクションがこれを受けて、事業者あるいは東京都側と協定を締結するかということは大事な視点です。やはりフレイル予防ということでの介護部門であるとか、あるいは買い物難民対策等をしているセクションとかいろいろありますので、区役所、市役所の中も縦割りになっておりますから、どこに発信するかということで、住宅部門だけが発信しているとなかなか積極的な反応が出てこない可能性もありますので、周知の方もよろしくご検討いただきたいと思います。
それでは、本日は、同じく住政審にございました単身者の入居制度の拡大について質問したいと思いますので、よろしくお願いします。
答申では、いわゆる就職氷河期世代などの若年単身者向けに、一定の条件を付すなどして既存の応募有資格者の入居機会を減ずることがないように配慮した上で、入居資格を認めることが必要との提言もありまして、委員会ではこの点を取り上げてまいります。
これまで入居対象としてこなかった者を対象とすることになりますと、住宅の数が不足するという懸念から、都営住宅の戸数をふやすべきという議論が出てまいります。
私も、ふやせるものであればふやしたいという思いは強く持っているんですけれども、しかしながら、都内には当然八十万戸を超える民間賃貸住宅の空き住戸がございますし、また、かつて北海道の夕張市においては、財政破綻に直面する中、公営住宅を、人口が多いときには大量に整備したわけですけれども、その後、人口流出等により大幅に入居率が下がって、その維持管理経費が市の財政を圧迫したという事例がございました。
これは、当時の夕張市長の鈴木直道さん、今、北海道知事になりましたけれども、この方がまとめた資料でございますが、その中にも、閉山後、炭鉱が閉山した後の急速な人口減少により、老朽化した膨大な公営住宅を抱え、再編集約が急務となっているということで、団地の再編整備に大変苦労したということが書かれております。
また、冬場においては、入居者が少ない中で、水道管や排水管の凍結対策、浄化槽のメンテナンスなどに大変な行政コストがかかって、そのことが大変負担になっているということも指摘されておりました。
夕張市の事例と東京都の事例は必ずしもイコールではありませんけれども、ただ、基本的には、人口減が始まったときには大変な、大きな問題になっていくことは間違いのないことでございますので、安直にただ都営団地をふやせばいいということだけにはならないということは、私もそのとおりだというふうに思っております。
ちなみに、平成二十七年度の夕張市の市営住宅の入居率は五八・一%ということでしたので、四割以上があいてしまっているという状態でございました。
今回の答申で提言されている、就労支援策と連携して低収入で住宅に困窮する若年単身者の入居を進める取り組みは、大変有意義であるというふうに思っております。
現在、住宅政策本部が福祉保健局と連携して、TOKYOチャレンジネットの支援を受けている離職者に対して住居を支援している取り組みがございますが、都営住宅の提供戸数や地域について実績をお伺いしたいと思います。
○土屋経営改革担当部長 TOKYOチャレンジネットは、住居を失った不安定就労者や離職者に対して、生活支援、居住支援、資金貸付や就労支援などのサポート事業を実施するもので、同事業の利用者に対しまして、一時利用住宅が現在百戸提供されてございます。
そのうち、都営住宅につきましては、介護人材の育成確保事業に協力するため、公募予定のない住戸を活用して、介護職場での就労を目指す離職者を対象として、平成二十一年度から提供を開始いたしまして、平成二十八年度以降、二十戸を提供してございます。
現在、介護職の研修場所などの利便性を勘案いたしまして、北区の桐ヶ丘アパートを提供してございまして、平成三十年度の利用実績は六十九人となってございます。
○中山委員 介護職に限定はしているけれども、都営住宅を、福祉保健局と連携して、目的外になるわけですけれども提供して、就労とあわせた取り組みとして住まいの確保を果たしているということで、実績も上がっているということで喜ばしいことだと思います。
介護職の人手不足ということに対しても一定の役割を果たして、問題解決につながっているのではないかと思います。
そこで、最近になりますけれども、渋谷区で、児童養護施設を退所された方がネットカフェなどを転々とされて、逆恨みといっていいのかどうかわかりませんけれども、もといた施設の施設長さんを殺傷するという痛ましい事件が発生したことがございました。
児童養護施設の退所者の方は、なかなか仕事を見つけるのも大変ですし、それからまた、お住まいを確保するということも大変苦労しているということで、仕事とお住まいセットで、いってみれば社宅つきの就労先に就職するという場合が多くございまして、ところがやはり、一般の大学を卒業された方でも三年以内に離職する方々の比率は非常に高いわけでして、就職したところで定着するということはなかなか難しい現状もある。しかし、離職してしまうと、仕事を失うだけじゃなくて住まいも失ってしまう。
その渋谷区の事件でもネットカフェを転々とされていたという報道がございましたけれども、そうした中で不安が募って、精神的に追い詰められた状況もあったのかもしれないと思っております。
就職氷河期世代とそうした方々と、また一緒の状況ということはございませんけれども、やはり介護職に限らず、仕事の再チャレンジをする、安定雇用につながる、そういう仕事を見つけるための資格を得る、そうした必要性というのは同じでございまして、そういう面では、東京都は、介護職に限って現在都営住宅をTOKYOチャレンジネットで提供しているわけでございますけれども、今後は、介護職に限らず、広く就労支援と連携して取り組みを拡大するべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅ストックを有効活用して、政策的な観点から、福祉や就労など都のさまざまな施策との連携のもとで、低収入で住宅に困窮する若年単身者の入居を進めることは重要でございます。
今後、答申を踏まえまして、福祉保健局と連携しながら、TOKYOチャレンジネットへの提供戸数の拡大を図るとともに、対象者を介護職場での就労を目指す離職者以外の同事業の利用者にも広げるなど、制度の拡充を検討してまいります。
○中山委員 前向きな答弁、ありがとうございました。ぜひ早急に制度を整えて、実施に移していただきたいというふうに思います。
先ほど、都営住宅の実施場所ですが、介護職の研修場所等の利便性を勘案して、北区桐ヶ丘のアパートを提供しているとございました。都営住宅が多い地域の一つに北区もございますけれども、足立区も多くございまして、いろんな地域で少しずつではあっても都営住宅を活用した制度が、それぞれの自治体の取り組みとも連携して活用されることを、ぜひご検討いただきたいというふうに思います。
また、きょうは住政審の対象が都営住宅でございますので、民間賃貸住宅の話は直接質問いたしませんけれども、例の住宅確保要配慮者の取り組みというのも、ある面では似たようなベクトルを持った取り組みでございますので、民間任せの、ニーズに委ねているだけではなくて、都施策としてのそうした取り組み、就職氷河期世代に対する対策ということ。
そして、自治体にも呼びかけて、そうした方がたくさんいらっしゃるんですよと。その方々が、放っておくとその地域でもしかしたら生活保護世帯になるかもしれないと。そうしたものを未然に防ぐための取り組みとして、民間賃貸住宅というところも、空き家対策という側面もあって、この取り組みができるように呼びかけていただきたいし、また、私どもも必要な提案を重ねていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○和泉委員 私も、答申について伺いたいというふうに思います。
この答申ですけれども、都営住宅の管理で起きているさまざまな課題について、現状をよくつかんで前向きの改善提案も多く、全体として評価できるものだというふうに思います。
この改善提案が一日も早く実現をするように、そしてさらに改善が進むように、その立場から質疑をさせていただきたいと思います。
答申は、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居についても、満期の十年を待たず子供の小中学校の就学の節目までに退出する世帯が多く見られることや、低所得の子育て世帯の多くが同じ収入分位のまま退去している実態があるなど、子育て世帯の実情に合っていないということを指摘しています。
そもそも、この若年ファミリー世帯向け住居に十年という期限を設けたのはなぜなんでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 期限つき入居制度は、十年間の入居期限を設けることで、真に住宅に困窮している都民に対し、都民共有の財産である都営住宅の利用機会の公平の確保を図るために導入いたしました。
導入に当たりましては、若年ファミリー世帯が、入居期間中に所得を増加させ、都営住宅の退去後の生活を含めて将来の生活設計ができることを前提としてございます。
○和泉委員 国の法律改正で定期借家制度ができたときに、期限つき入居制度のように公営住宅にあらかじめ期限を切って入居するという制度を導入することについては、公営住宅は住宅に困窮する低額所得者のための賃貸住宅なので、入居者の困窮の事情が変わらない限りは引き続いて居住が継続することが目的の一部であり、定期借家の制度はなじまない、このように国は国会で説明していたんです。
それを都は、若年ファミリー世帯は十年で一定の経済成長が期待できる、十年間で安心して子育てができ、かつ住みかえを含めた将来設計ができる、そういって強引に導入してしまいました。
しかし、結果はどうだったでしょうか。やはり、非正規雇用の圧倒的な増加のもとで、格差社会が拡大し、いつまでも収入がふえていかないという状況が厳然としてある。若年ファミリー世帯は、十年で一定の経済成長ができるというような状況にはないわけです。十年間は安心して子育てできるといっていましたけれども、答申でも、入居期間の平均は約五年ということで、期限の半分で退出しています。
さらに、国の指摘するところの入居者の困窮事情が変わらないにもかかわらず、出ていかざるを得なくなってしまっている。公営住宅にあってはならない事態だというふうに指摘しなければいけないと思います。
都営住宅に期限つき入居を導入した前提が崩れてしまっている。これは、答申の指摘からも明白です。こういう実態を都はどういうふうに受けとめているんでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 期限つき入居制度は、都営住宅の利用機会の公平を確保しつつ、子育て世帯への居住支援を図るため実施しておりまして、導入された平成十三年度から平成二十九年度までの十七年間に約八千世帯が入居するなど、着実に実績を積み重ね、子育て世帯の住居費負担軽減に大きく貢献してございます。
平成二十九年度に退去した期限つき入居の世帯のうち、約四分の一は持ち家の購入を理由としております。また、約四割の世帯は、退去時の収入分位が入居時を上回るなど、制度の所期の目的を達しているものと考えてございます。
退去する世帯につきましては、都では、入居期限が到来する際に、他の公的住宅の募集の案内を行うほか、都営住宅の入居資格がある世帯に対しては、希望により他の都営住宅をあっせんし、退去後の居住の安定を図ってございます。
○和泉委員 都営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸する住宅であり、住宅セーフティーネットの中核だと答申は書いています。にもかかわらず、その低額所得者が、低所得のまま満期よりもずっと前に、子供の小中学校の就学の節目の前に退去せざるを得なくなっているんです。そのことに向き合った答弁とは思えません。
子育て世帯が子供のことを優先に考えるのは当たり前のことです。本来まだまだ入居し続ける条件があるのに、子供のことを考えて、低所得の世帯が退去しなければならない。そういう方たちは一体どんな住宅に引っ越したんだろうか。子供が育つのにふさわしく、しかも低家賃の住宅を確保できたんだろうか。そういうことが本当に心配になります。一番、低所得の方たちの負担軽減に貢献していないということになりませんか。
審議会はそういう実態を正面から受けとめて、都に答申を出しているわけですよ。撤廃も含めて抜本的に見直すことが必要だと思いますが、いかがですか。
○土屋経営改革担当部長 このたびの住宅政策審議会答申におきまして、子育て世帯への支援を一層充実するため、現在十年を限度としている期限つき入居制度の入居期間を子供の高校修了期まで延長する、また、ひとり親世帯を期限つき入居制度の新たな対象にするとの方向性が示されてございます。
この答申を踏まえまして、子育て世帯への支援の一層の充実に向けて、今後、期限つき入居制度の拡充について詳細な制度設計を早急に検討してまいりたいと考えてございます。
○和泉委員 期限つき制度を導入した前提条件が崩れてしまった。都は、その事実に向き合って、制度そのものの撤廃を含めた抜本見直しをするよう改めて要求しておきます。
そうはいっても、私たちは、期限つき入居制度が存続するもとでは、高校修了時までに期限を延長することや、ひとり親世帯に門戸を開こうとしている、このこと自体は前向きに評価をします。
同時に、期限を高校修了時に区切れば、子供が高校三年生の三月までには今住んでいる住居から退去しなければならなくなるわけですから、入居世帯は子供の大学受験という人生でも重要な時期に転居について考えなければいけないことになります。
使用承継できない同居家族が転居先を探すのには六カ月という一定の猶予期間があるわけですから、高校修了時についても、機械的に三月までとしてしまうのではなく、受験や進学準備という時期を配慮した一定の柔軟な制度設計を検討するべきだというふうに思いますけれども、都の考えをお聞かせください。
○土屋経営改革担当部長 先ほどご答弁申し上げましたけれども、期限つき入居制度につきましては、都営住宅の利用機会の公平を図りつつ、子育て世帯への居住支援を図るために実施してございまして、二十九年度の、退去した期限つき世帯の例で申しますと、約四分の一は持ち家の購入を理由とするなど、目的を達成しておると考えてございます。
その上で、先ほどお話しになりました退去する世帯につきましても、都として、例えば都営住宅の入居資格がある世帯につきましては、希望により他の都営住宅をあっせんするなど対応しているところでございまして、今回の答申を踏まえまして、子育て世帯への支援の一層充実に向けまして、期限つき入居制度の拡充について、今後詳細な制度設計を早急に検討してまいりたいと考えてございます。
○和泉委員 答申を踏まえて、高校修了時まで延長すると答申は対応を求めているわけですけれども、これを踏まえて詳細な制度設計を早急に検討するというご答弁ですから、ぜひ私が今申し上げた高校修了時、この時期の柔軟な対応についても検討していただきたいというふうに思います。
子育て世帯だけでなく単身者についても、答申は重要な提言を行っています。
収入がふえない単身者が増加したと述べて、男性の場合には収入と未婚率に負の相関関係が見られることも明らかになっており、生活の基盤づくりや家族形成に資する観点から、都の住宅政策においても対応が求められると、このように指摘しています。
この指摘についてはどのように受けとめ、どう対応するんでしょうか、伺います。
○土屋経営改革担当部長 答申では、いわゆる就職氷河期世代の方々などにつきまして、安定した住宅の確保が就労や将来的な家族形成につながると考えられることから、団地のコミュニティの維持や住宅ストックの有効利用といった視点も考慮しながら入居資格を認めることが適切とされてございます。
あわせて答申では、その場合、低倍率の住戸の活用、入居期限の設定など一定の条件を付すなどして既存の応募有資格者の入居の機会を減ずることのないよう配慮すべきとされてございます。
都としましては、答申を踏まえ、単身者向け住戸の確保に努めるとともに、都などにおいて実施している就労支援策、TOKYOチャレンジネットなどと連携いたしまして、低収入で住宅に困窮する若年単身者の入居を進めるなど、都営住宅ストックの有効活用を図ってまいります。
○和泉委員 間口を狭めないで、ぜひ拡充していただけるようにお願いしておきたいと思います。
また、学生が入居できるようにするための条件を整える必要についても述べられていて、これもまた重要な指摘だというふうに思います。
若年ファミリーへの支援強化、この点でも、若年層の増加による団地コミュニティの維持、活性化、この点でも、収入要件を、月額十五万八千円という全世帯で見たとき低い方から二五%以内、この要件を緩和して、月額二十一万四千円、低い方から四〇%までにする裁量階層を認める対象、ここに、新婚世帯をここまで広げることを検討するよう求めるものですけれども、いかがですか。
○土屋経営改革担当部長 都は、一定の所得がある場合でも、民間賃貸住宅において適切な賃貸住宅を確保することができないため、公営住宅において特に居住の安定を図る必要がある方を対象に、裁量階層制度を設定、運用してございます。
新婚世帯につきましては、一般募集とは別に、期限つき入居による若年ファミリー世帯の入居制度によって対応しておるところでございます。
○和泉委員 今回の質疑に当たって調べてみましたら、地方分権改革を通じて、公営住宅において裁量階層を自治体ごとに条例で定めることが可能になる中で、この裁量階層に新婚世帯を加えている県が、北海道、京都、兵庫、福岡、こういった大都市を抱える道府県でもふえています。都は、これを認識しているでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 一部の自治体におきまして、新婚世帯を裁量階層の対象としていることは承知してございます。
新婚世帯を裁量階層の対象に加えるかどうかの判断は、各自治体の事情によるものと認識してございます。
都は、先ほど答弁いたしましたとおり、期限つき入居による若年ファミリー世帯の入居制度によって新婚世帯に対応しておるところでございます。
○和泉委員 新婚世帯を裁量階層に加えた自治体の導入の経過を見ますと、入れるか入れないかで結構激論が交わされているんです。
しかし、新婚世帯は将来の子育て階層だということ、あわせて、若い世帯の入居促進を通じたコミュニティ形成は、高齢化の進展によるコミュニティの弱体化の懸念が解消される、こうした二つの観点から、踏み出しているんです。
住宅政策審議会への知事の諮問にもあるように、都も、高齢化によるコミュニティの維持が困難である、こういう実態を認めているわけですから、裁量階層の考え方もそれに合わせて発展をさせ、新婚世帯を加えることを求めておきたいと思います。
答申は、都営住宅の高齢化、単身化を抑制して、さまざまな世代が暮らせるようにすることが必要だというふうに指摘しているわけですが、そのために若年層の入居をふやそう、こう思えば、ファミリー向け住戸をふやすことが欠かせないというふうに思います。
住宅マスタープランにもその旨が書かれていましたけれども、改めて、どのようにふやすつもりなのか、都の意向をお答えください。
○妹尾建設推進担当部長 住宅マスタープランでは、都営住宅の建てかえに当たっては、現在の居住者の状況を勘案しながら、ファミリー向けの住戸の整備を進めるなど、若年夫婦、子育て世帯に対する支援拡大を図るとしております。
都営住宅の建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯規模などの状況を勘案しつつ、必要なファミリー世帯向け住戸の整備を進めております。
○和泉委員 出産、子育てを経ながら、年齢を重ねて家族の形が変わっても住み続けることができる。このことは、答申案が示す多世代共生を進めるために重要だと思います。
今のような型別供給は、多世代共生が進まない要因になっているのではないかというふうに思いますが、都の見解を伺います。
○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯人数に応じた住宅を適切に確保する観点に立ち基準を設け、それぞれに対応する間取り及び規模の住宅を供給しております。
あわせて、建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯規模などの状況を勘案しつつ、必要なファミリー向け住戸の整備を進めております。
先日の代表質問でもご答弁いたしましたが、一例として、現在、建てかえ対象としている昭和四十年代以前に建設された都営住宅では、居住者が三人以上の世帯の割合は平均して約一一%となっておりますが、今年度に発注する建てかえ事業におきましては、建設戸数の約二五%を三人以上の住戸として整備する計画としております。
○和泉委員 ファミリー向け住戸の増加に、今後もさらに努めていただきたいというふうにお願いをしておきます。
また、ファミリー世帯向け住戸をふやすには、世帯の人数で入れる住戸を固定してしまう今のこういった型別供給の制度についても見直しが必要だというふうに思います。
答申が指摘する都営住宅の管理に関するさまざまな課題の根源、これは、数が足りないということにあるんじゃないでしょうか。
そもそも新規建設を凍結したままでは、住宅に困窮する人たちをさらにより分けて、より一層困っている人たちに入居資格を絞り込んでいくということになります。
使用承継を厳格化して、家族が住み続けられないのはほかにも入りたい人がいるから公平性が保てないからだ、このように都はいいますけれども、私はそうではないと思います。
入りたい人の数に供給量が見合っていないんです。多世代が住めるようにファミリー向けをふやしても、配分を変えるだけでは、単身世帯向けの応募倍率が今度は高くなってしまうという結果になるんじゃないでしょうか。
高齢化、単身化を招き、自治会活動が困難な状況をつくり出してきた大もとの原因に新規建設凍結があるんじゃないかと思いますが、都の認識を伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも、既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や適正な管理に努めてまいりました。
少子高齢化の進展など社会経済情勢が変化する中で、今後とも、都営住宅につきまして、既存ストックの有効活用を図りながら、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
○和泉委員 では、適切な供給や適正な管理を行ってきた、今ご答弁にありましたけれども、これまでのやり方でいいんだということなんでしょうか。もう一度伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 繰り返しの答弁になりまして恐縮でございますけれども、都営住宅につきましては、これまでも、既存ストックの有効活用を図りながら、適切な供給や適正な管理に努めてきたところでございます。
少子高齢化の進展など社会経済情勢が変化する中で、今後とも、都営住宅につきまして、既存ストックの有効活用を図りながら、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるように取り組んでまいります所存でございます。
○和泉委員 住政審に、適正な管理のあり方を改めて諮問したんですよね。さまざまな課題が答申では出されて、見直しを求められているわけです。確かに、住宅ストックを有効に活用してと諮問で前提条件をつけているので、その枠の中で議論されていますけれども、それでも、指摘されたさまざまな課題については、突き詰めて考えていけば、新規建設を凍結してきた、このことが一番の根本的な原因ではありませんか。
都が議長都市として開催したUrban20ですけれども、公営住宅を整備するための財源を増加させることを提言しています。議長都市として取りまとめたこの提言は力強いメッセージと、知事自身が所信表明で胸を張ったわけですから、私は、答申の指摘する課題を根本的に解決しようと思ったら、新規建設で都営住宅の戸数をふやすことが必要だと改めて求めておきたいと思います。
高齢者が住みやすい都営住宅の環境を維持するためには、住宅のバリアフリーも重要です。
住政審答申には、都営住宅のストックの状況について、高齢化に対応できるよう住宅のバリアフリー化を進めるとともに、修繕も計画的に行い、ストックを有効に活用、このような記述がありますけれども、居住者みずから浴槽を設置した住戸では、旧式のバランス釜とあわせて敷居の高い浴槽が深刻なバリアになっています。
私は昨年の事務事業質疑でも取り上げましたが、高齢者の方は浴槽に入るのに椅子に乗って入るという、一歩間違えば深刻な大けがをしかねないような大変な状況、危険な状況なんです。
居住者が自己負担で浴室の設備を設置している住戸について、都負担による改修の検討状況はどのようになっているでしょうか。
○金子営繕担当部長 都が建設当初、浴室の設備を設置していなかった住戸数につきましては、建てかえや空き家修繕の際に設置を行ってきた結果、この十年間で約十二万一千戸から約六万五千戸まで減少しております。
一方、入居の際に居住者がみずから設置した浴室の設備の更新につきましては、居住しながら効率的に工事を行う方法などの検証を行っております。
これまでの建てかえや空き家修繕の際の設置に加えまして、入居中の住宅におきましても、効果的な進め方について検討してまいります。
○和泉委員 ぜひ一日も早く進めていただくようお願いしておきます。
今回の答申に合わせて、改めて、区営住宅での扱いはどうなっているのか二十三区に問い合わせしました。そうしたら、港区、新宿区、目黒区、大田区、板橋区などで、居住者みずからが設置した給湯、浴槽についても、経年劣化したり一定年限経過したものについては区の責任で取りかえるようになっていると。そのほとんどは、もともと都営住宅だったものが区に移管されたものです。
お話を伺うと、都公社住宅が二〇一六年末に公社の負担に踏み切ってから後に、そういう制度変更に踏み切ったところが多いんです。
その理由には、多くは、既に区の負担でつけている住居との不公平を是正すること、特に区営住宅にお住まいの方は低所得で高齢なので、配慮が必要だという話でした。
また、目黒区は、バリアフリーの観点から改修を進めたということでした。
先ほど、居住しながら効率的に工事を行う方法などの検証に入っているということでしたけれども、既に区営住宅で取りかえの経験が生まれ、一日、二日くらいは入浴ができないので夏場を避けて工事しているなど、いろいろな工夫がなされています。ぜひこうした区の取り組みも検証に加えて、早期に都の負担による取りかえを実現していただきたいと思います。
最後に、全体として前向きの重要な管理制度の変更を提言した今回の住宅政策審議会答申ですが、応募倍率の差について、受益と使用料負担の相対的アンバランスが間接的要因であるとして、地価や設備を要素とする利便性係数の設定について将来的に検討していくことが提案されていることは、懸念をしています。
そもそも、既に地価を考慮に入れた立地係数という形で、都内の多くの地域で家賃値上げの要素が入っています。この上、駅に近いなどの利便性を理由に高倍率の住戸の家賃が値上げされれば、低額所得者はそうした住戸には入れない、もしくは入れても生活が困窮するということになって、公営住宅の制度の趣旨から外れていくことになります。
交通が不便で人気がない地域の家賃を値下げして募集意欲を高めるのに使うなら理解できますけれども、値上げにつながるものは導入すべきではない、そのことを主張して、質疑を終わります。
○宮瀬委員 では、よろしくお願い申し上げます。
このたびの東京都住宅政策審議会答申の概要の方が出まして、概要でありますので、なかなか数字が入っていないので、数字の観点から少し確認したいと思います。
今回は、高齢化、単身化、多世代共生、ひとり親等ありますが、ちょうど都営住宅はポイント方式といって、世帯向けは、ひとり親世帯、高齢者世帯、心身障害者世帯、多子世帯、特に所得の低い一般世帯ということで分類分けされておりますが、入居世帯数とその内訳、割合--全部で分母が二十二万世帯だと思いますので内訳を教えていただければと思います。
○土屋経営改革担当部長 平成三十年三月末日現在における都営住宅の入居世帯数は、約二十二万世帯でございます。
その内訳と割合について、現在のポイント方式の募集で用いている申し込み区分によって入居時点で分類いたしますと、ひとり親世帯が約一万八千世帯で約八%、高齢者世帯が約一万二千世帯で約五%、心身障害者世帯が約九千世帯で約四%、多子世帯が約三千世帯で約一%、生活保護などの特に所得の低い世帯が約五千世帯で約二%でございます。その他一般募集などによる世帯が約十七万二千世帯で約七八%となってございます。
なお、この内訳と割合は入居時点で分類したものでございまして、経年による世帯員の状況変化は反映されていないほか、制度改正などに伴う過去の申し込み区分がその他一般募集などによる世帯に含まれていること等にご留意いただければと存じます。
○宮瀬委員 ほぼ、今入っている方の内訳で間違いないということでございますが、ひとり親世帯の方は全体の一・八万世帯で全体の八%を占めていると。この答申の中で、ひとり親世帯の拡充をしていくということなんですけれども、一・八万世帯の母子家庭、父子家庭の方が入っていて、一方で、そこで入れていない人が当然いるのではないかと。その入れていない人が今回の制度改正で恩恵を受けることができるのではないかなという仮説を持っております。
そこで、今は入っている人を聞きましたけれども、募集をして、申し込んで、当せん世帯、つまり、どれぐらい申し込んで実際に入れているのかお伺いいたします。
○土屋経営改革担当部長 平成三十年に実施いたしました年四回の定期募集における申し込み世帯数は、約十二万三千世帯でございます。
その内訳と割合は、ひとり親世帯は約一万二百世帯で約八%、高齢者世帯は約五万八千四百世帯で約四七%、心身障害者世帯は約一万三千六百世帯で約一一%、多子世帯は約八百世帯で約一%、生活保護などの特に所得の低い一般世帯は約二万三千世帯で約一九%、その他の世帯は約一万七千世帯で約一四%となってございます。
当せん世帯ですけれども、当せん世帯数は約七千五百世帯で、その内訳と割合は、ひとり親世帯は約一千三百世帯で約一七%、高齢者世帯は約二千二百世帯で約二九%、心身障害者世帯は約八百世帯で約一一%、多子世帯は約二百世帯で約二%、生活保護などの特に所得の低い一般世帯は約一千世帯で約一三%、その他の世帯は約二千世帯で約二七%となってございます。
○宮瀬委員 済みません、数字を確認させていただきまして。この辺の数字はなかなかどの資料を見ても出ておりませんので、議事録の方にあえて残させていただきました。
長くご説明を種別にいただきましたので、今回確認のとれたひとり親世帯のところを抜き出して私の方で再度いいますと、平成三十年ではひとり親世帯は約一万二百世帯が申し込んで、結果、千三百世帯が当せんしていると。ということは、引き算していきますと、一万人近いひとり親世帯の方がぜひ入りたいと申し込んでも千人ぐらいの方しか入れていないということで、大変、正確にいうと八千九百世帯の母子、父子家庭の世帯が困っていると、これはもう、いい切ってもいいと思います。
つまり、八千九百世帯をどうケアしていくのか、ひとり親の八千九百世帯をどう埋めていくのかが、ニーズの最大値ではないかなと思っております。
そういった中で、今回ひとり親世帯を期限つき入居の対象とすることで、実際どれぐらいの方が入居できるようになるんでしょうか。
○土屋経営改革担当部長 このたびの答申では、子育て世帯への支援の一層の充実として、ひとり親世帯を期限つき入居の対象とすることが適切であるとしてございます。
今後、この答申を踏まえまして、期限つき入居制度について詳細な制度設計を早急に検討してまいります。
なお、平成二十七年度の国勢調査によれば、都内でのひとり親世帯数は約六万七千世帯ということでございます。
○宮瀬委員 これから検討ということでありますが、先ほど申し上げました八千九百という数字は、入りたい人がいて、入れなかったひとり親世帯の数でありますので、そこはひとつ、ベンチマークの数字の基準としていただきたいと思います。
都内でのひとり親世帯の数が大体六万七千世帯で、先ほど冒頭に聞いた都営住宅に既に入っているひとり親世帯の数が一・八万世帯、約二七%を占めていまして、希望して当たっていない方が一三%に上る八千九百といったことでありますので、ひとり親の方は年収が大体四百万円未満が七三・五%と都の最新の調査結果で平均年収が出ておりまして、とりわけ年収二百万未満の方、大体三六%ぐらいの方が二百万以下の年収で頑張っているわけであります。
ここはもう間違いなく二百万未満でありましたら都営住宅の入居条件に入ってくる数字になってくると思いますので、ぜひここはお願いをしたいと思います。
一方で、先日、私の事務所の方にも、旦那さんのDVで暴力を受けて離婚をして、当然経済的に厳しいので家に困っている、どうすればいいですかということでご相談を受けまして、都営住宅というのはあるのは聞いているけどよくわかりませんといった声も聞いています。
そういった中で、今回の住政審で、期限つき入居について知られていないから応募が少ないという側面もあるのではないかということが、この中で指摘をされております。となりますと、今の認知率はどれぐらいだと本部は把握しているのかお伺いします。
○土屋経営改革担当部長 お話の認知率につきましては現在把握してございませんが、平成十九年度までは十倍を超えていた期限つき入居住宅の応募倍率が現在は二倍程度で推移しており、一般募集に比較して相対的に低い倍率でございます。
これまで、電車、バスなどへの広告掲載や区市町村の窓口でのチラシ配布など、期限つき入居制度のPRを行ってまいりました。
今般の答申で、住宅に困窮する子育て世帯に必要な情報が確実に届くよう、期限つき入居制度の概要や同制度の住宅の応募倍率が現在比較的入居しやすい状況にあることについて、広告媒体の設定やホームページでの情報提供内容など効果的な周知方法を検討し、実施すべきであるとしてございます。
今後、答申を踏まえまして、この制度の効果的な周知方法を検討してまいります。
○宮瀬委員 冒頭、認知率わかりませんということなんですけれども、相対評価での比較ということです。
実は、過去、サンプル数、千件ぐらいで、私モニター調査かけたことがありまして、都営住宅の認知率というのは相当低く出ておりました。
東京都の方で、生活文化局で都政モニターという調査を毎月サンプル五百ぐらいでやっていますので、ぜひここは、頑張りました、こういうのをやっていますではなくて、せっかく皆さん頑張っていただいているので、それが伝わらないとやっぱり意味がなくなってしまうということですので、ぜひ生活文化局等と連携をして、まず、現状の数値を把握していただきたいなと思います。
その上で、区市町村の窓口や電車、バスのところで、ホームページでやっていくということなんですが、これは提言で、質問にはしませんが、ぜひDVの相談窓口ですとか民間のシェルター、あとはハローワークもございますし、あと最近では、私もよく子供食堂行くんですけれども、東京都の支援が入っている子供食堂というのが、大体補助金が、包括支援も含めて百六十カ所ですので、半分東京都がお墨つきをつけているような百六十の子供食堂には、お母さんもよく来ているケースが多いので、母子家庭の方が多いケースもありますので、ぜひそういうところですとか、あとはひとり親交流イベント、ひとり親支援団体とか、そういったところにアプローチしていかないと十分ではないんじゃないかなと思っていますので、ぜひ検討していただければと思います。
また、次ですが、この答申の中で、就職氷河期世代という単語が出てきまして、実際単身者がいる、単身者を支援していかなきゃいけないということでありますが、では、実際に今はどれぐらい入居されていて、将来的にそうした単身者がどの程度都営住宅に入居できるようにするのかお伺いします。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、単身者の入居資格を六十歳以上の者、生活保護受給者、心身障害者など、条例で定めてございます。
答申では、いわゆる就職氷河期世代におおむね相当する年齢を三十五歳から五十四歳としてございますが、都営住宅に入居しているこの年齢の単身者は約六千人でございます。
答申では、単身者の入居制度の拡大について、団地のコミュニティの維持や住宅ストックの有効活用といった視点も考慮しながら、低倍率の住戸などの一定の条件を付すなどして既存の応募有資格者の入居の機会を減ずることのないよう配慮した上で、入居資格を認めることが適切と考えるとしてございます。
今後、答申を踏まえまして、単身者向け住戸のあっせん基準の弾力化などを検討してまいりたいと思ってございます。
○宮瀬委員 大体三%ぐらいなのかなと思いますが、ここで一つ指摘したいのが、就職氷河期世代の年齢区分が、ご答弁ですと三十五から五十四歳というご答弁でございました。となりますと、いろいろ辞書等でいわゆる超氷河期世代の定義といいますか、少し出ていまして、今は三十代半ばから四十代半ばがいわゆる就職氷河期世代、ロストジェネレーション世代ということになっていますので、私も今回の住政審に入っていましたが、そこに特化していただかないと本来の意図と全く変わってしまいますので、年齢のところは、ぜひ一般的に思われている氷河期世代の方にしっかりと光が入るようにリーチをふやしていただきたいなと思います。
さて、今までは属性の方からの切り口でいろいろ数字を確認してきましたが、次は、年齢や量について一応確認をしておきます。
現在、都営住宅入居者、名義人でありますが、年齢階層別の人数と構成比を伺います。
○土屋経営改革担当部長 平成三十年三月末日現在におきます都営住宅の名義人の年齢階層別の人数と構成比でございますが、お手元の答申三〇ページにございますように、二十九歳以下が約一千七百人で全体の約一%、三十歳代が約八千三百人で約四%、四十歳代が約二万一千人で約一〇%、五十歳代が約二万六千人で約一二%、六十歳から六十四歳までが約一万五千人で約七%、六十五歳から七十四歳までが約五万七千人で約二六%、七十五歳以上が約九万一千人で約四一%となってございます。
○宮瀬委員 確認でありましたが、やはり六十五歳から七十五歳以上の方が全体の六七%を占めると。七割近くが六十五歳以上の方であるといった数字で、さきの質疑でもやりましたが、高齢者層のターゲットは、これから、人口が減っていく東京の時期と比べて、二〇五〇年をピークに高齢者人口が最大値化するということは、ここの数値がどんどんふえていくことをやはり認識しないといけないと繰り返し私の方は述べております。
やはり今回は、今あるものの質をどうやっていくかというのはもちろん大事でありますが、この答申の冒頭にもあります、将来単身の高齢者がどんどんふえていくんですよといった問題の指摘に対しまして、実は、答申の中でその解答はほとんど出ていないといった状況でございます。先ほども、入れない方がどんどんふえていく状況がある中で、入っている人のケア、属性を変えていくというのはもちろん大事なことでありますが、その観点を見過ごしてはいけないと思っております。
こういった単身高齢者向けの応募倍率が高どまりしているといった状況、先ほど質問ありましたのでここは割愛しますが、応募倍率が平成三十年で最高二百九十八倍、平均倍率が四十六・二倍といった人たちが入れていないといったことを、やっぱりしっかりと認識をしてほしいと思います。
その中で、私もちょっと提言をしたいんですが、今回の議案で建てかえの議案が出てまいりました。昨年の十二月にも、今回と隣接する敷地での契約案というのが出ましたが、実際に、今回の契約案の敷地との合計で、建てかえ前と建てかえ後の型別の戸数、増減がどうなっていたのかお伺いしたいと思います。
○妹尾建設推進担当部長 辰巳一丁目アパートの事例でございますが、今回の契約案と昨年十二月の契約案で対象としております敷地を合わせますと、建てかえ前にはその中に、二DKが百六十戸、三DKが六十戸、計二百二十戸の住宅がございました。
これを、建てかえ後は、戸数を確保することによりまして、現在お住まいの皆様の早期移転を図るために、同じ敷地で比べますと一DKが八十五戸、二人用の二DKが百三十五戸、三人用の二DKが四十三戸、合計二百六十三戸とする計画でございます。
○宮瀬委員 端的にいいますと、二百二十から二百六十三にふえているわけであります。都営住宅、なかなか急に新規建設はできないという事情も皆さんあるのは、もう一年間やって十分わかっているんですけれども、このように、間取りをうまく工夫して、これは福祉インフラ用地を確保した上での建てかえの数字でありますが、二割ふえているわけであります。
こういった都営住宅そのものは、建設をすぐはできなくても、間取り等の変更で今回のように二割ふえているわけでありますから、ぜひこのやり方でふやしていただきたいなと。
また、今回は、質疑を前回やりましたのでいいませんが、空き家の活用ですとか民間賃貸住宅の補助、これもこの前数字を確認しましたが、一桁台であると。ぜひスピード感と量を確保していただかないと、倍率からいうと四十五人が落ちて一人しか入れない状況がますます今後悪化していくと思いますので、ぜひ強く要望したいと思います。
そういった中で、今回の答申の次の課題として、多分審議会の方でもここの問題を十分把握していると思います。少し読ませていただきますと、住宅困窮者に対し社会情勢の変化に応じて的確に供給していく観点から、その対象の設定については都の政策課題に沿って総合的に検討する必要があると。また、これに基づき、施策の実施規模や対象の範囲、優先順位等を検討しながら既存ストックを有効活用していくといったことが、次の課題として挙げられております。
審議会での課題がこれだともう出ていますので、これについては、具体的にどうやっていくのか、本当に困っている人にどう住宅を供給していくのか、そのことが問われていると思うんですけれども、具体的にどのように進めるのかお伺いします。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅の施策の対象者や優先順位などにつきましては、これまでも、国の法改正を踏まえ、社会経済情勢の変化に応じて見直してまいりました。
例えば、対象者につきましては、公営住宅法の定めにより、当初は同居親族がいないと入居できませんでしたが、昭和五十五年の法改正にて、高齢者など一定の単身者も対象となりました。
また、都営住宅の募集におきましては、入居機会の公平性を確保するため、公募を原則とした上で、都営住宅条例に基づきまして、高齢者や障害者、子育て世帯など特に居住の安定を図る必要がある世帯に対して抽せん倍率を優遇するとともに、より住宅困窮度が高い世帯が入居できるポイント方式による募集を行ってまいりました。
このたびの答申では、引き続き検討を要する課題におきまして、都営住宅は、住宅困窮者に対して社会情勢の変化に応じて的確に供給するという視点が必要であり、その対象の設定に当たっては、今後も都の政策課題に沿って総合的に検討する必要がある、これに基づき、委員からお話がありましたように、施策の実施規模や対象者の範囲、優先順位などを検討しながら、既存ストックを有効活用していく必要があるというふうにしてございます。
お尋ねの点につきましては、この答申を踏まえまして、次期住宅マスタープランの策定時に合わせて検討していく考えでございます。
○宮瀬委員 次期住宅マスタープランの策定時に合わせて検討していくということでありますが、これではいつこの問題が具体的な解決案を持って解答が出ていくのかといったところがやはり一番気になるところでありまして、答弁では、次期住宅マスタープランの策定時に検討していくということでありますが、では、次期改正はいつなのか伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 東京都住宅マスタープランは、住生活基本法に基づく住生活基本計画の都道府県計画としての性格をあわせ持つものでございまして、十年間の計画期間を持つ住生活基本計画の全国計画、これに即して策定されるものでございます。
都におきましては、社会経済情勢の変化に的確に対応し得るよう、これまではおおむね五年ごとに見直しを行ってきております。
平成二十八年度に策定した現行の住宅マスタープランにつきましては、現段階におきましては次の改定時期は未定でございます。
○宮瀬委員 未定だと、この答申がいつ具体的な政策に落ちてくるのかというのがわからないと、やはり不安なわけであります。
ただ、今ヒントはいただきまして、過去の実績からいうと五年ごとに見直しているということで、前回の十年プランの際のことを参考にすると、二〇二二年の三月には恐らく過去の実績からは改定になるのかと思っております。ぜひ、都営住宅というのは福祉の要素が大変強いもので、福祉を当せんですとか、くじ、運に任せるような要素というのは、私はいかがなものかと思っています。
これは最後質問しようと思いましたが、意見にしますが、実際にじゃあ反映されるんですかといった一番大事なことを聞きました。検討はするけれども、反映するかどうかはわからないといった声も一部聞きました。
住政審、真剣にずっとやってきて、専門家の先生が集まってやってきているものです。その中で、一言一句詰めてきた文言だと思っております。検討はするけれども策定はするかどうかわからないといったことが極力ないように、ぜひ現実、こういった専門の方々の声を極力反映していただくようお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○森澤委員 私からも、答申について、具体的な事項について幾つかお伺いをいたします。
まず、単身者の入居制度拡大の方向性の中で記載があります、学生の入居による住宅ストックの活用について伺います。
その中で、全国各地で、公共賃貸住宅の事業主体と教育機関、とりわけ大学と連携をして学生向けに空き住戸を活用する動きが見られると言及があり、都営住宅においても、場合によっては学生が入居できるようにするための条件を整えることが必要となるとあります。
兵庫県明石市に、学生との連携により活気を取り戻した県営住宅が存在します。そういった事例から、高齢者が多いコミュニティにあって、若い大学生が参画する有効性というのはわかるものの、住民側と大学間の調整が難航するというふうに聞いております。
誰が大学側との調整を行っていくのか伺います。
○土屋経営改革担当部長 答申では、高齢化が進む都営住宅における多世代共生の実現に向け、建てかえ用に確保している住戸について、建てかえ事業で使用するまでの間、大学と連携して、学生を団地内の地域活動に参加させることなどを条件として学生が入居できるようにする取り組みにつきまして提言をいただいております。
課題としましては、大学側のニーズの把握や、都営住宅を大学に使用許可する場合の条件の調整などがありまして、答申で示された施策の実現に向けましては、都が大学側との間で検討、調整を進めていくものでございます。
○森澤委員 都が率先して調整を進めるということですので、ぜひ住宅政策本部のリーダーシップを期待したいと思います。
その際、大学側、つまり学生の大学側と住民側のリーダーのコミュニケーションが円滑となるよう、ぜひファシリテーターとしての役割を果たしていただくよう期待します。よいモデルをつくっていただきたいというふうに思っております。
大学等との連携で学生の入居を検討していく中では、外国人留学生等についても進めていくべきと考えておりますが、一方で、外国人の入居については、生活、文化の違いによるトラブル等も想定されます。
外国人の入居についてはどのように対応しているのか、そしてどのように対応していくのか、見解を伺います。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、入居説明会におきまして、住まい方のルールや自治会活動等について、日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語で記載した冊子「住まいのしおり」を配布してございます。
また、本年四月から、毎月入居者向けに配布している広報紙「すまいのひろば」を同じく四カ国語にして東京都住宅供給公社のホームページに掲載し、収入報告などの手続や生活マナーなどを周知してございます。
さらに、今後速やかに、ごみ出しなど日常生活上のマナーなどを記載したチラシを入居前に配布し、周知徹底を図っていくこととしてございます。
こうした取り組みを通じまして、都営住宅における外国人居住者への対応を適切に行ってまいります。
○森澤委員 取り組みについては理解をいたしました。ただ、チラシを配るだけで十分なのか、冊子、チラシを配布することで、どれほど外国人の入居にかかわるトラブルの解消、もしくは未然防止につながっていくのか、ぜひ検証をしていただきたいと考えます。
チラシや冊子をもとに丁寧に説明していくことや、外国人居住者をケアしていくような人手も必要ではないかということも申し述べておきます。
さて、高齢者が安心して暮らせる環境整備をしていく中で、高齢者への生活支援サービスは、区市町村の福祉部門や関連団体等により提供する場合があるとあります。
多摩ニュータウンでは、包括支援センターの支援員が全戸訪問する中で、八十歳、九十歳と、その居住者の悩みに加え、同居しているひきこもりの子供の問題、いわゆる八〇五〇問題等も相談されることも多いといいます。あるいは、医療の話で回ったのに、子供の就労先を相談されたり、一人が抱え切れないほど相当負担が大きいという現状もあるそうです。
また、高齢者世帯のごみ出しをしたり掃除をしたりという高齢者世帯の世話が、ボランティア任せになっているというような状況もあります。
都営住宅では、こういった課題に対してどう支援をしていくのか伺います。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、六十五歳以上の高齢者世帯や障害者世帯で希望する世帯に、巡回管理人が二カ月に一回程度の定期訪問を実施してございます。主な業務としましては、都営住宅入居に伴う各種申請、収入報告書、修繕などに関する相談や取り次ぎのほか、福祉に関する福祉関係部門への紹介などの支援を行ってございます。
また、十六カ所の公社窓口センターにおきましても、日常的にさまざまな相談を受け付けて、必要に応じて福祉に関する関係部門につないでおります。
今後、答申を踏まえまして、巡回管理人について、福祉の知識、経験を有する者の採用や福祉的な知識を身につける研修、講習会の実施などを検討しております。
○森澤委員 今までもさまざまな取り組みを行い、福祉部門への紹介、そして今回、巡回管理人の役割、機能を向上する、図るという点は理解しました。
一方で、地元区市の負担が大きくなっているという点も認識し、地元区市とともにこの課題をどう解決していくのかという点も、ぜひ関係者と協議していただきたいと考えます。
また、高齢者の生活支援においては、都みずからが生活支援サービスを提供するだけでなく、ほかの行政機関やNPO、民間事業者等と連携しながら、生活支援サービスを量的、質的に充実させることが望まれるとあります。
そういった意味では、既に始まっている移動販売サービスのみならず、配食サービス等も有効であると考えます。
ひとりで暮らす高齢者には、孤食の問題やフレイル予防等の観点からも支援が必要であると考えます。民間側にも、そういったサービスを都営住宅に提供することでのスケールメリットもあります。
事前のやりとりの中で、個々の契約によるものだという認識をされているということは理解していますが、ぜひ居住者のニーズを把握し、地域や民間から声が上がった場合には適切に対応してほしいということを要望いたします。
次に、都営住宅の建てかえ等により創出した用地の活用についてお伺いをいたします。
創出用地の活用については、民間事業者の、ある意味投資を呼び込む発想というのを持っていただきたいと考えています。ここでいう投資とは、単なる資金面でのことをいっているのではありません。企業価値や社会の信頼を高めるという観点から、必ずしも利益の大きくない事業、福祉やまちづくりなどに資金を投入する企業がふえているという現状に鑑み、幅広い意味での投資を呼び込む可能性をみずから狭めないでいただきたいということです。
一つのエリアに多数の住民の方が暮らしているということに加えて、経済面などで何らかの困難を抱えている方がいらっしゃるということは、そこに解決の種、ビジネスチャンス等があるともとれるわけです。
この答申の中では、民間事業者の資力、知見、ノウハウを活用していくとありますが、具体的にはどのように民間事業者の参画を促しながら取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○中山再編利活用推進担当部長 都営住宅の建てかえによる創出用地は、都民共有の貴重な財産であり、効果的に活用し、都の政策目的の実現や地域の課題解決を図ることが重要でございます。
これまでも、地元区市と連携し、子育て支援施設や高齢者福祉施設などを整備するほか、民間活用プロジェクトにより、商業、医療、福祉等の生活支援機能を誘導してきました。
特に民間活用プロジェクトにおいては、事業者の創意工夫を生かし、効果的に事業を進めるため、事前にヒアリングを実施し、参加しやすい応募条件とした上で、一般公募型プロポーザル方式により、広く事業者を募集しております。
例えば、昨年度事業者を決定した八王子市の長房団地においては、このような取り組みの結果、四グループからの応募があり、三十年の定期借地により、地域ニーズを踏まえた商業施設整備と宅配サービス、在宅療養支援機能を備えた診療所の設置、地域団体と連携した地域活性化のイベントの実施などの提案が選定されました。
今後も、民間事業者のノウハウを生かしながら、生活支援サービスの向上など、地域特性に応じた創出用地の活用を推進してまいります。
○森澤委員 八王子の具体的な事例についても触れられました。ぜひこういった取り組みをさらにブラッシュアップして、次の事例へとつなげていただけますよう要望いたします。
次に、自治会活動への支援についてお伺いをいたします。
とある都営住宅の自治会役員からは、自治会を運営するメンバーが固定化、高齢化しているため、今後の運営がますます厳しいものとなるというふうに聞いています。
これは正直、都営住宅だけの話ではないと思うんですけれども、各地で起こっている現象だと考えます。
コミュニティ運営のために、学生や若年層、あるいはNPOや社会福祉法人の参画を促す必要があると思いますが、見解を伺います。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅の自治会は、団地内におけるコミュニティの核として重要な役割を担っておりまして、共用部分などの管理、相互扶助、イベントなどの自主的な取り組みを行ってございます。
近年、入居世帯の高齢化、単身化が急速に進行する中で、自治会活動での支障、機能低下が顕在しつつございます。
このため、都は、共益費を代理徴収する制度や、巡回管理人を通じた自治会から寄せられる相談への対応、自治会同士が情報交換できる場の設置による自治会間の橋渡しなど、自治会活動への支援を行ってまいりました。
今後、答申を踏まえ、地元区市町の福祉部門や、NPOなど地域を支える団体、民間事業者、周辺地域の町会など、多様な主体と連携し、団地内の集会所などを利用した地域住民も参加できるイベントの開催や居場所づくりなどの取り組みを通じまして自治会活動を支援してまいります。
○森澤委員 ありがとうございます。多様な主体との連携について前向きに検討しているということで、ぜひ進めていただきたいと思います。
その際、地域という視点のみならず、防災や見守りなどのテーマごとのつながりにもぜひ目を向けていただきたいと思います。
例えば、町田市のある町会では、タブレットを活用した高齢者の見守りをテーマにコミュニティづくりを進めているそうです。
具体的には、高齢単身者世帯にタブレットを配布し、朝起きたらちゃんと起きましたよということをタッチしてもらったりとか、困り事があったらタッチしてもらったりすることで、それを受信した現役世代が駆けつけたりとか、後で伺ったりとか、そういったことで現役世代が高齢者の見守りに参画できるような仕組みを目指しているということです。
ぜひ、こうした取り組みを起点に新たなコミュニティが形成されることも期待されることを指摘しておきます。
引き続き検討を要する課題として、単身者の新たな住まい方についてのシェア居住について言及がされています。どのような議論があって、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか、見解を伺います。
○土屋経営改革担当部長 シェア居住につきましては、審議会において、既存の都営住宅ストックを活用してなるべく多くの住宅困窮者の居住の安定を図れるようにする、また、複数の高齢者が入居してお互いに見守りができるようにするなどのご意見がございました。
このような意見を踏まえ、答申では、単身者の新たな住まい方として、応募割れしている住戸を活用したシェア居住の試行導入について、引き続き検討を要する課題としてございます。
○森澤委員 引き続き検討を要するということですが、試行導入ということで、そもそもの公募の仕方、ルール設定など、ぜひ入念な準備を進めて、行っていただきたいということを要望しておきます。
一方で、都営住宅の一般的な間取りを考えると、互いに知らない者同士、特に人生経験を重ねてきた高齢者が居住するということは、人間関係のトラブルがちょっと容易に懸念されてしまうんですが、シェア居住は、生活スタイルが近い人たち、大学生など若者の方がしっくりくる事業であるのではないかということを指摘しておきます。
一人一人の費用を抑えるという観点だけでなく、価値観の近い者同士が一緒に住まうことでイノベーションを起こそうという取り組みもあります。ぜひ、そのような取り組みですとか、事業者の意見なども伺いながら、そういった方向でのモデル事業なども検討いただきたいというふうに考えております。
最後に、入居者層への変化への配慮という点から、同性パートナーの入居についてどう考えていくのか伺います。
豊島区や渋谷区などでパートナーシップ条例が導入され、都内各自治体でもそういった制度が広がりつつある中、こういった同性パートナーについて証明書が発行されたりしているわけですが、そういった証明ができる人たちだけでも入居について認められないものなのかどうかということをお伺いいたします。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、使用者の資格の一つとして、都営住宅条例で、現に同居し、または同居しようとする親族があることと規定しており、入居の際、親族関係については住民票により確認してございます。いわゆる内縁関係の方も、住民票上で確認できれば同居親族として都営住宅への入居は可能でございますが、同性パートナーにつきましては親族関係の記載がないため、入居資格を確認できません。
パートナーシップ証明を受けた方だけでも入居できないかとのお尋ねにつきましては、一部の自治体のみで発行される証明書をもとに都営住宅の入居資格を認めることは、特定の自治体に居住している者を特別に扱うことになるなど、公平性を欠くものと考えてございます。
○森澤委員 現状については理解をいたしました。
一方で、昨年制定された東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の第四条では、都、都民及び事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的扱いをしてはならないとされています。
現在、都営住宅の入居資格については住民票により確認しているということであり、現在のルールでは同性パートナーの入居資格を確認するすべがないということは認識したところです。であるならば、同性パートナー向けの入居資格の確認方法を検討することが、ダイバーシティーを進める東京都のあるべき姿であると指摘し、ぜひ早急な検討をしていただきたいと要望して、質問を終わります。
ありがとうございます。
○本橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りさせていただきます。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○本橋委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で住宅政策本部関係を終わります。
なお、申し上げます。この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたしたいと存じます。
午後二時五十一分休憩
午後三時十分開議
○本橋委員長 それでは、休憩前に引き続きまして、委員会を再開させていただきます。
これより都市整備局関係に入らせていただきます。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百八号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行いたいと存じます。
それでは、発言の方をお願いいたします。
○滝田委員 東京都駐車場条例の改正についてお伺いをいたします。
昨年七月の都市再生特別措置法の改正において、都市再生緊急整備地域内で駐車施設配置計画を定めた場合の特例が設けられました。今回の条例改正によりまして、附置義務によらずに、配置計画に基づいた駐車施設の設置が可能となります。
まず、今回の条例改正の内容の前に、現行の駐車場条例について確認をいたします。
現行の東京都駐車場条例における附置義務について、基準の概要及び平成二十六年に改定をした際の附置義務台数の見直しの根拠を、区部、市部に分けてお伺いをいたします。
○青柳市街地建築部長 現行の駐車場条例における附置義務基準は、地区や建物用途に応じて定めた基準床面積で建築物の延べ床面積を除して附置義務台数を算出することを基本としております。
平成二十六年の条例改正では、区部の共同住宅及び大規模事務所の附置義務基準を緩和する改正を行いました。この改正では、所有者や管理者等に対するアンケート調査のほか、駐車場の実台数や附置義務台数、最大利用台数など、利用状況調査を根拠といたしました。
同調査では、共同住宅について、区部では附置義務台数に対する駐車場の最大利用率が平均して七五%程度であったのに対し、市部では附置義務駐車場が十分利用されているという結果でございました。また、大規模事務所について、区部では六千平方メートルを超えるものでは平均七〇%程度の利用率でありましたが、市部については地域によって利用率にばらつきがあり、一定の傾向は見られませんでした。
○滝田委員 ありがとうございます。平成二十六年に改定した際には都におきまして調査を行いまして、一定程度、附置義務の緩和は可能であろうということで改定をしたということであります。
そのころの調査につきましては、区部、市部全体の大まかな把握であるというふうに理解をしておるのですけれども、地域ごとの状況の詳細な把握、それに沿った対応というのも重要であるというふうに考えます。
個別地域の事情等に応じました駐車施設の整備も必要ではないかと考えますけれども、現行の取り組みをお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 個別の地域の実情に応じた駐車施設の整備につきましては、既に平成十四年の条例改正で、行えることになっております。
具体的には、都心、副都心など公共交通網が発達している一定の地区において、区市が地域特性に応じた駐車施設の位置や規模等の地域ルールを定めた場合には、条例の附置義務基準によらず、当該計画に基づき駐車施設を整備できるというものでありまして、現在、四つの区で適用しております。
さらに、平成二十六年には、区市が一定の区域について都市の低炭素化の促進に関する法律に基づく低炭素まちづくり計画を作成し、車に依存しないまちづくりがなされると認められる場合、条例の適用を除外し、当該計画に沿って附置義務台数の低減が可能となっており、現在、一つの区で適用しております。
○滝田委員 今ご説明にありましたとおり、これまでの施策におきましては、附置義務を緩和する取り組みというのができたのは全部で五つの区であるということで、一部にとどまっているものかなというふうに思います。
続けて伺いますけれども、今回の条例改正によりまして期待される効果を伺います。
○青柳市街地建築部長 今回の条例改正は、都市再生特別措置法の改正を受けて、都市再生緊急整備地域内で、当該区域の整備に関して協議を行うための都市再生緊急整備協議会が、駐車施設の位置や規模に関する計画を定めた場合には、条例の附置義務に関する規定にかかわらず、当該計画の内容に即して駐車施設を設けるとするものでございます。
これによりまして、活発な都市開発が想定される都市再生緊急整備地域内においても、地域ルールを定めることが可能となります。
また、現行の条例に既に位置づけられている地域ルールでは、策定主体が公的機関に限られておりますが、今回の条例改正で加わる地域ルールでは、民間が主体的に地域ルールの作成に取り組めることになり、地域の実情をより踏まえた駐車施設配置計画を定めることが期待できます。
○滝田委員 実質的に都心に限られるわけでありますけれども、都市再生緊急整備地域内におきましては、民間も参画して、より柔軟に駐車施設配置計画を定められるということであります。
法改正に当たりまして国土交通省が分析をしておりますけれども、特に東京二十三区におきましては、平成二十八年までの過去十年間で、駐車場台数が約一・二五倍増加している。一方で、自動車保有台数は約〇・八九倍と減少しているということです。中でも八重洲地区での分析につきましては、乗用車の駐車場に関して、供給量に対する需要量が六割から七割であったとのことです。今回の条例改正で、こうした場所での制度活用による改善は期待をするところであります。
他方で、私の地元の八王子市では昨年、駐車場整備計画を策定しまして、地域ルールの導入も検討をしております。その際の調査では、八王子駅周辺の中心市街地に五千六百五十台の駐車場があるのに対して、ピーク時でも七割程度しか需要がないということが明らかとなっています。
先ほどの答弁にもありましたとおり、今回の条例改正以前より、区市において駐車場整備計画を策定する、あるいは低炭素まちづくり計画を定めた場合には、附置義務によらず、駐車場施設の設置が可能でありましたけれども、取り組みは一部の区にとどまり、市では取り組みが見られませんでした。
駐車場の附置義務により、都市部に駐車場が過剰に整備され、社会的損失が発生している可能性がある中で、実態の把握、整備計画の策定、余剰の駐車場を別の用途に転換するなどの駐車場をマネジメントするための区市の取り組みを支援するべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○青柳市街地建築部長 駐車施設附置に関する地域の実情に即した地域ルールの策定や適切な運用を行っていく上で、地元区市が担う役割は重要でございます。
このため、都は、区市に対し、地域ルールに関する情報提供や技術的助言を行うなど、引き続き、区市の取り組みを支援してまいります。
○滝田委員 引き続き区市の取り組みを支援していくという答弁がありましたので、しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、国土交通省の資料によりますと、駐車場について、まちづくりの観点から、実態調査から計画策定、整備、転用まで一体的に支援することにより、駐車場の量と配置の適正化や有効利用を誘導するとの大きな方針が書かれています。
条例と附置義務の基準を定める都としても、八王子市のように新たに取り組みを進めようとしている自治体がほかの自治体のモデルとなるように、後押しを強化していただきたいと要望をいたします。
また、既存の駐車場につきましても、備蓄倉庫や荷さばきスペース、二輪車の駐車場など不足する用途への転用を図るなど、都として、区市が取り組むことへの支援をしていただきたいと要望をいたします。
人口増加や車がふえていくモータリゼーションの時代からはもう移り変わっております。今後は、人口減少も見据え、また車離れも一層進んでおります。そのような中で、一律の附置義務があることがベースとなっているというのも、時代にそぐわなくなってきていると思います。
国の法改正を待つのではなくて、駐車場や荷さばきスペースなど、都におけるあり方を検証しまして、魅力的で効率的な都市を構築していただくように取り組んでいただくことを要望いたします。
私からの質問を終わります。
○高橋委員 それでは、東京都駐車場条例の改正について伺います。
これまで、道路交通の円滑化に向けて、この条例により、建築行政の観点から自動車等の駐車施設の整備が進められ、都内の路上駐車対策に一定の役割を果たしてきたものではないかと思います。
条例制定からこれまでの間、社会情勢等に対応するため、何度か条例の改正が行われてきたわけですが、今回の駐車場条例改正は、都市再生特別措置法の改正に伴うものとのことで、まず、都市再生特別措置法改正の主な内容と条例改正の内容について伺います。
○青柳市街地建築部長 駐車施設に関係する昨年の都市再生特別措置法改正の主な趣旨は、都市の遊休空間の活用による安全性、利便性の向上を図るものでございます。
具体的には、都市再生緊急整備地域内で、当該地域の整備に関して協議を行うための都市再生緊急整備協議会が、商業・業務施設などの集積状況、公共交通機関の利用状況などを勘案し、駐車施設の位置及び規模に関する計画を定めた場合に、条例の附置義務に関する規定にかかわらず、当該計画に基づく駐車施設の附置を可能とするものでございます。
今回の条例改正は、この法改正を踏まえて必要な規定を新たに設けるものでございます。
○高橋委員 都市再生特別措置法及び東京都駐車場条例の改正の概要についてはわかりました。
先ほどの答弁では、都市再生緊急整備協議会が、地域特性に応じた駐車施設に関する計画を作成することが可能となったとありましたが、この協議会とは一体どのようなものか伺います。
○青柳市街地建築部長 協議会は、都市再生特別措置法において都市再生緊急整備地域ごとに設置され、当該地域の整備に関して協議を行う組織でございます。
国、都及び区のほか、当該都市再生緊急整備地域内において都市開発事業を施行する民間事業者や建築物の所有者、管理者もしくは占有者、鉄道事業者、道路管理者等により組織することができるものでございます。
○高橋委員 今回の改正によりまして、民間事業者や地元権利者も含めた協議会が駐車施設の地域ルールの作成主体となることができるようになったということは、地域の魅力あるまちづくりを進めていく上で有効と考えますが、都の認識を伺います。
○青柳市街地建築部長 現行の駐車場条例が規定する地域ルールの作成主体は、公的機関に限られております。
今回の法改正により、駐車施設の地域ルールの作成主体が協議会となり得ることで、駐車施設の計画案の作成や調整等の場面に民間事業者や地元権利者等も主体的に参画し、駐車施設の位置や規模の適正化が図られることが期待できます。
また、地域ルールの作成や運用を通じて、例えば地域内に散在している駐車施設の集約など、まちづくりと一体となった附置義務駐車施設の整備が進み、良好な歩行者環境の整備やまち並みの形成など、質の高いまちづくりに貢献することも期待できます。
○高橋委員 今の答弁にあったような可能性や期待されることを、実際のまちづくりの現場で実現させていくことが必要であると思います。
そのためには、従来の地域ルールの作成主体であった区市のほか、新たに計画作成の担い手となり得る民間事業者や都市再生緊急整備地域内の建物所有者などの関係者が取り組みやすい環境を整えていくことが重要であると考えますが、都の見解を伺います。
○青柳市街地建築部長 今後、都市再生緊急整備地域において魅力あるまちづくりを進めていく上で、地域の実情も踏まえて、民間事業者や地元権利者が主体的に取り組める環境を整えていくことは重要でございます。
このため、本制度を活用して、地元権利者や民間事業者、関係行政機関などさまざまな主体が意見を出し合いながら計画の策定や運用に積極的に取り組めるよう、地元自治体とともに情報提供を行うなど、支援に努めてまいります。
○高橋委員 駐車場施策については、路上駐車を防止し道路交通を円滑化するとともに、中心商店街の振興など、都市機能の維持及び増進を図っていく上でも大変重要でございます。
荷さばき駐車場については今回取り上げませんでしたが、やはりまちづくりを進めていく上で重要な要素となるため、地域の需要に応じて適切に整備していかなければならないと思います。
地域のことをよく知っている地元の方々も参画して、駐車場の整備やまちづくりが一体となって進められることにより、今回答弁にもありましたが、良好な歩行者空間がつくられるなど、まちの魅力を高めていくことにもつなげていただきたいと思います。
都は、地元自治体とともに、民間事業者や地域の方々が主体的にまちづくりに取り組めるよう積極的に取り組んでいただくことを強く要望して、質問を終わらせていただきます。
○曽根委員 私からも、第百八号議案、駐車場条例の一部改正について何点か質問しますが、もう既にお二人の方の質問がありますので、ダブりを避けて簡潔に行いたいと思います。
お聞きしますと、今回の条例改正というのは、都市再生特別措置法の改定に合わせて、既に十年以上前から地元の区市などの裁量で地域設定をすれば認められている駐車場台数の附置義務の緩和による地域ルールを、都市再生緊急整備地域については協議会をつくって設定することができる、そういう条例改定を行うものだと聞いています。
私、常識的に考えれば、都市再生緊急整備地域ですから、例えば大・丸・有のような極めて公共交通が至便の地域は別としても、開発によって発生する自動車交通の増大に対応して、当然必要だからこそ駐車場の附置義務台数が定められているんじゃないかというふうに思っているんですが、今回、この都市再生緊急整備地域でも、条例改正によって、地域ルールが必要になる、附置義務台数から調整する必要があるという、その必要性の根拠が具体的にどういうことにあるのかを伺いたいと思います。
○青柳市街地建築部長 都市再生緊急整備地域において、附置義務駐車施設の配置計画に関する地域ルールを導入することにつきましては、都市再生特別措置法の改正によるものでございます。
国によりますと、都市再生緊急整備地域は、これまでの旺盛な民間開発の増加に伴い、多くの附置義務駐車施設の供給がなされてきた一方、公共交通機関が発達していること等により、駐車施設の一部で稼働率が低い区域が存在していることから、地域の実情に応じて附置義務駐車施設の規模、配置を適正化するための計画を作成できる制度が創設されたものでございます。
○曽根委員 確かに今回は法の改定に伴うものですけれども、緊急整備地域が集中しているのは、何といっても東京都の、しかも都心地域ですので、都としては、例えば国がいっているような、一部に駐車施設の稼働率が低い区域が存在しているという国のいい分をうのみにするのではなくて、都として独自に、例えば、この地域では緊急整備地域だけれどもだぶついているんだとか、ずれが生じているんだとかということについての調査は行っているんでしょうか。
○青柳市街地建築部長 先ほどお答えいたしましたとおり、都市再生特別措置法の改正によりまして、都市再生緊急整備地域内で地域の実情に応じた附置義務駐車施設の台数や位置を適正化する配置計画を作成できる制度が創設されました。
これを受けまして、配置計画が作成された場合にその内容に即して駐車施設を設けなければならない旨を条例で定める必要があることから、今回条例を改正するものでございまして、都として調査は必要のないものでございます。
○曽根委員 国の改定を、ただ都として条例で受けとめるというだけにしてしまうのはどうかという疑問があります。特に、東京都として国の改定に伴って枠組みをつくる、地域ルールがつくれますよという枠組みをつくるんだから調査は必要ないというのは、実態からしていろいろ疑問が湧くんですね。
私もいろいろ調べてみたんですけど、十年ぐらい前から、地域ルールがぽつぽつつくられてきている。先ほど紹介した大手町、丸の内、有楽町、いわゆる大・丸・有の地域の地域ルールがどう運用されているかについては、これは大分ちょっと古い論文ですけれども、東大の工学部の木下さんという方が論文を出していまして、これによると、大・丸・有地区では、附置義務台数でいえば四千七百二十台必要なところを、三千八十台で地域ルールをつくって、つまり六五%ぐらいで済ませているわけですよね、台数を。これによって浮いたお金を、六割はこの地域内の交通安全環境を整備するために提供し、あと残り四割は千代田区に提供して、千代田区としてはその周辺地域の交通安全対策にも使うというようなことで、おおむね順調にいっているというようなことをこの学者の方は分析しているんですけれども、ただ、ここでこの方が指摘しているのは、駐車場全体としては余裕があっても、貨物車の荷さばきスペースが不足しているなど、局所的に問題が発生していることもわかったと。ただこれは、地域ルールの問題というよりは、荷さばきスペースは建物の規模がどれだけ大きくても十台を上限としてよいとする東京都駐車場条例そのものの問題だともいえると。地域では、いろいろ工夫して、荷さばきスペースを臨時に公共の道路でやっているところに警備員を配置するとか、建物の中に独自に整備するとかして解決をしているというふうなことも指摘をされています。
今回、駐車場条例の改定ですから、こういったことも調べれば、実態としては都としてもつかめるわけなので、たとえ実際に現場で起きている問題をつかんだ上で枠組みをつくるのであっても、そういう一定の調査や検討が必要ではないかということも指摘しておきたいと思います。
それから、今回の条例改正で一番気になるのは、今回は協議会が地域ルールを策定すると。ここには、国と、東京都や地元区市などの自治体と、それから民間事業者、また地権者などが加われるということになっているんですが、開発についての資料や情報を最も握っているのは当然ながら開発事業者ですから、全体として地域ルールづくりの結論を出していく上で、民間事業者が優位に立つというか、それが主導になっていく可能性が極めて高いと思うんですけれども、そうなる危険性、まあ、可能性については、都としてはどう考えているんでしょうか。
○青柳市街地建築部長 今回の法改正によりまして、駐車施設の配置計画の作成において、民間事業者や地元権利者なども参加することが可能となり、これまで以上に地域の実情を踏まえた駐車施設の計画作成が容易になることが期待できます。
一方、駐車施設の配置計画につきましては、駐車施設の配置計画の作成主体である都市再生緊急整備協議会が決定するに当たり、その構成員である国、都、区の全員の合意が必要とされております。
○曽根委員 全員合意は当然だと思います。こういう協議会形式ですから。
ただ、どうしても情報やノウハウを集中的に把握している民間開発事業者が中心にならざるを得ないんだというふうな危惧を抱かざるを得ないわけです。
公が最終的に責任を持つというのはかた苦しいように見えるかもしれませんが、例えば、名古屋市でこうした駐車場台数の調整のルールを新たにつくる中では、市職員自身がその地域の駐車場台数の実態を調査し、そしてそれについての民間事業者も集めてルールづくりの中心に座っているというようなこともやられているようで、その自治体ごとにやり方は工夫する必要がありますが、全体として、条例によってきちんとルールを決めるという条例主義は、私、この問題についてもきちんと貫く必要があるというふうに考えますので、今回の条例改正については、一点は、情報といいますか、都による調査や検討が十分ではないということと、協議会の設置方法などについての今回の新しい枠組みは時期尚早といわざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。
○本橋委員長 ほかにご発言がなければ、お諮りさせていただきます。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○本橋委員長 ご異議なしと認めまして、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○本橋委員長 次に、報告事項、都市復興の理念、目標及び基本方針(案)についてに対する質疑を行いたいと存じます。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元にご配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○桜井次長 去る五月三十日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料(五月三十日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
このうち、報告事項、都市復興の理念、目標及び基本方針(案)について要求がございましたのは、1、「都市復興の理念、目標及び基本方針(案)」と震災復興グランドデザインにおける「復興の理念・目標と基本方針」の比較表の一件でございます。
一ページをお開き願います。
都市復興の理念、目標及び基本方針案と、震災復興グランドデザインにおける復興の理念、目標と基本方針を、比較表形式で一〇ページまで記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○本橋委員長 説明が終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
それでは、発言の方をお願いいたします。
○滝田委員 報告案件であります都市復興の理念、目標及び基本方針案につきまして、質問をいたします。
都では、平成十三年、西暦では二〇〇一年に、震災復興グランドデザインを策定しておりますが、その後、中越地震、東日本大震災などがありまして、策定当時には想定されていなかった課題が多数明らかとなりました。都の大規模災害時の復興のあり方について、大きな見直しが必要であると認識をしております。
まず初めに伺いますが、今回、震災復興グランドデザインそのものを見直しするのではなくて、復興の理念、目標と基本方針のみを改定する理由についてお伺いをいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 平成十三年に策定しました震災復興グランドデザインは、直下型地震による被害を想定し、被災後に作成する復興の理念、目標と基本方針や広域インフラと市街地整備の計画、実現方策をあらかじめモデルプランとして示したものでございます。
その後、全国各地で発生した地震、火災、浸水被害などの大きな被害からの復興におきまして、さまざまな被害に柔軟に対応できるように準備をしておくことが必要との教訓が得られました。
こうしたことを踏まえまして、都市復興の基本的な考え方である都市復興の理念、目標及び基本方針を改めて策定することとしました。
広域インフラと市街地整備の計画や実現方策につきましては、今後も活用できるものでございまして、変更しておりません。
○滝田委員 以前の震災復興グランドデザインのように一つのモデルプランとするのではなくて、さまざまな被害状況を想定して、柔軟に対応できるようにしていくことを重視すると。そのような観点で、さまざまな被害想定をもとに訓練あるいはシミュレーションを行って、成果を蓄積していくということは重要であるというふうに思います。
大規模災害においては、どこでどのような被害が起こるのかある程度の予想はできても、必ず想定外の被害ということも起こり得ます。大きな被害を受けた地域では、従前に戻す復旧ではなくて、英語ではビルディング・バック・ベターというふうにいうようですけれども、創造的復興というのを行うことを考えなければいけません。
ついては、都市復興における都市像や計画をあらかじめ定めておくものなのか、もしくは被災後に策定するものなのか、都の見解をお伺いいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市復興における都市像などをあらかじめ定めることは、都民と行政との間で共有することによりまして、被災時における迅速かつ計画的な復興につながると考えております。
今回の基本方針等では、被災時の都市復興に当たりましても、平時と同様に、都市づくりのグランドデザインで示した都市像や都市計画区域マスタープラン、すなわち区域マスの実現に取り組んでいくことを明確にいたしました。
一方、近年の大災害では想定を超える被害が発生している場合もあることから、今後の災害の状況によっては、被災後の都市復興で区域マス等を実現するだけでは同程度の被害を受けるおそれがあると判断される場合には、都市づくりのグランドデザインで示した都市像を目指しつつ、必要に応じ、人口等の将来見通しや土地利用の方針の見直しも視野に入れて検討を行いまして、区域マス等を改定するとしております。
○滝田委員 今、想定を超える被害というふうにありましたけれども、大規模に被害を受けてしまった場合、そもそもそういうことが起こらないようにしていくということも、もちろん重要なんですけれども、そういった場合には、例えば防災性を抜本的に向上させるような区画整理であったりとか、盛り土をする、道路の拡幅、緑や公園のネットワークをつくっていくといったようなことも必要でありまして、マスタープランに書かれたこと以上の取り組みも必要となることもあり得るというふうに考えます。
また、我が会派の代表質問でも触れましたけれども、例えば、関東大震災におきましては、後藤新平によります帝都復興構想がもととなりまして、靖国通りや明治通りなどの幹線道路の整備、隅田公園や清澄公園などの公園の整備、あるいは区画整理が進みまして、防災力が大いに向上したと、近代都市に東京を生まれ変わらせたというような事例もあります。
そうしたことも過去にはありますけれども、さまざまな被害が想定されますし、そうした大規模な被害を受けてしまったときというのは、都市をどうしていくのかということを考える一つの機会にはなるということでありますので、柔軟に対応できるようにその場合にも整えていただきたいというふうに思います。
昨年五月に、私たち都民ファーストの会東京都議団の当時の都市整備部会のメンバーで、東日本大震災の被災地を訪問いたしました。復興時の経過や課題をお聞きしましたけれども、例えば、復興が早かった地域は、もともとコミュニティ内の連携がよかったことに加えまして、被災後も避難所や仮設住宅などにおきましてコミュニティを維持できる形であったというふうに聞いております。それによりまして、復興期の連絡や合意形成が比較的スムーズに行われたということでありまして、ほかにもさまざまな教訓が東日本大震災ではあったかというふうに思います。
ついては、東日本大震災などの過去の大災害におけます都市復興の教訓について、どのように反映していくのかお伺いをいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 近年の大災害におきましては想定を超える被害が発生したために、被災を繰り返さないよう既定の都市づくりの計画を見直し、復興を進めている事例がございます。
そのため、今回の基本方針等では、都市づくりのグランドデザインで示した都市像を目指しつつ、それだけでは同程度の被害を受けるおそれがある場合において、必要に応じ、人口等の将来見通しや土地利用の方針の見直しも視野に入れて検討を行いまして、区域マスなどを改定するとしております。
また、早期に住民の生活の安定確保を図るため、復興住宅政策の果たす役割の大きさが確認されました。
そのため、被災後の住宅の供給、復興が適切に図られるように、住宅の復興と連携して都市復興を進めるとしております。
さらに、被災後、当該地区やその周辺で地区住民を初め多様な主体が連携しながら生活再建に取り組んだ地区では、都市復興が早く進んでおります。
そのため、被災者や被災企業を初め、NPOやボランティアなども含めまして、関係者の連携により都市復興に取り組むとしております。
○滝田委員 最後にご説明いただきましたポイントですけれども、都民や企業などとの共助であったり連携については、実際の取り組みとして何ができるのかということを、ぜひ具体策の検討を整理していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
また、復興の初期においては、被害状況の早期の把握であったり、建築制限などの権利関係の整理が大変重要となることも、東日本大震災などにおける大きな課題であったと理解をしております。
この点については、都市復興基本計画検討委員会におきましても学識者の皆様にご意見をいただいて、議論されていると理解をしています。
さて、都市復興の理念、目標及び基本方針案の作成とあわせまして、東京都震災復興マニュアル復興施策編の都市の復興部分の修正を行っているというふうに理解をしておりますが、両者の関係についてお伺いをいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の基本方針等は、被災後の都市復興の基本的考え方を示すものでございます。
一方、復興手順や執行体制を示した東京都震災復興マニュアル復興施策編の都市の復興につきましては、今回策定する基本方針等を踏まえまして、被災後の都市復興手順や都と区の役割分担など執行体制を修正していくこととなります。
○滝田委員 先ほども触れましたけれども、復興初期における被害状況の早期把握や建築制限などの権利関係の整理は、震災復興マニュアルの改定においてしっかりと整えていただくように要望をいたします。
ここまでの質問でお答えいただいたこと、また事前にお伺いしていることなどからしますと、二〇〇一年のころとは異なりまして、一つの都市復興グランドデザインを定めるという形ではなくて、新たな形で都の復興のあり方を整えるという方向性であるというふうに感じています。
今回報告案件となっております都市復興の理念、目標及び基本方針の策定、あるいは都市づくりのグランドデザインやマスタープランとの整合性、今年度の震災復興マニュアルの大規模な改定、また、今後訓練やシミュレーションを重ね蓄積していくこと、こうしたことを段階的に行って、都の復興のあり方について統合的なものを形づくり、都民にもわかりやすく示していくということが今後必要であろうというふうに思いますので、ぜひとも検討をお願いいたします。
今回の基本方針策定を皮切りに、どのようなスケジュール感を持っているのか、今後の方針をお伺いいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回お示ししております基本方針等の案につきましては、都民の皆様からのご意見などを踏まえまして、六月下旬に公表する予定でございます。その後、来年度改定予定である区域マスに反映しまして、実効性を持たせてまいります。
震災復興マニュアルの修正につきましては、今年度、総務局が主体となりまして、都市整備局も連携して行う予定でございます。
また、今回の基本方針等を活用しまして、都市復興に係る図上訓練を継続的に実施しまして、都や区市町村の職員の実務能力を向上させてまいります。
あわせて、都民への普及啓発を図るため、震災復興シンポジウムの開催や都市復興にかかわる展示を継続的に実施するとともに、都民が都市復興プロセスを学ぶ民間団体などによるセミナー等の開催を、今年度創設した補助金を活用しながら促してまいります。
○滝田委員 私もおととし、基礎自治体職員を対象としました復興訓練を見学させていただきました。その後も復興訓練については強化をしているというふうに理解をしております。
こうした復興訓練や、あるいはシミュレーションをして蓄積していくということもあるというふうに思うんですけれども、どういった内容を訓練しているのか、あるいは訓練からどういった課題が明確となったのかということについて、なかなか公表されている資料等では把握することができません。
こうしたことも広く共有することで、都内の自治体だけではなくて、全国の自治体の参考であったりとか、あるいは学識者も含めて分析に役立つものだというふうに思います。例えば、年に一度など定期的に取りまとめて、もちろん公開できない情報もあるかもしれませんけれども、一定の課題を整理しまして公表するべきであるというふうに考えております。シミュレーションの蓄積が、都の事前復興の取り組みにおいて重要であるということを鑑みまして、ぜひとも検討をお願いいたします。
都市が成熟しまして、都市づくりに直接かかわる現場の機会が減っているということは、都のみならず、基礎自治体や、あるいは都市計画等の専門家におきましても課題であるというふうにいわれています。
佐藤都技監が昨年就任された際には、技術職の育成の重要性というものを、インタビューの記事で述べられていたというふうに私の方でも記憶をしております。
今回の基本方針等の策定を踏まえまして、今後、都市復興に関する訓練を積み重ねていき、いざというときに復興まちづくりを考えられる職員を育成していくことが大変重要と考えますけれども、都技監の意気込みをお伺いいたします。
○佐藤東京都技監 技術職員ということで、技術の継承というのは常に永遠の課題といいますか、そういうことがあると思いますけれども、特に東京の都市づくりというものは、都市計画道路などの基盤整備、あるいは土地区画整理事業、それから市街地再開発事業といった面整備、さらには地区計画による誘導手法など、いろんなまちづくりのやり方がございます。
そこには、地元の協力はもちろんそうなんですが、行政の職員がそこに関与して、それでまちづくりの職員が頑張ってきたということで、東京のまちがつくられてきたと考えてございます。
東京が被災した場合に、東京の早期の生活再建、それから経済の再生を図るためには、こうしてこれまでに蓄積した都市づくりのノウハウ、技術力を活用しながら、地域特性や被災状況に応じて、都市復興に向けて各種の事業をできるだけ短期間に進めていく、そういうことが求められます。
ですから、例えば仮に、もしあした大地震が起こって、直下型地震が起こって、そうしたら私ども東京都の技術職員はすぐさま復興に向けて取り組む、そういう覚悟がございます。ただ、できればまだ起きてほしくない、もう少し技術を磨いていきたい。
ちょっと話が脇にそれますが、震災復興事業がございました。後藤新平の計画があって、震災復興をやったわけですけれども、それから二、三十年後に戦災復興事業というのをやっております。
そのときには、かつて震災復興事業に携わった若い職員がすっかりベテランになって、でも、まだいて、その職員たちが戦災復興の立ち上げに相当貢献したという話は伺ったことがあります。
それで、私なんかが新規採用で入ったころは、まだ戦災復興をやったことのある人が残っていて、おまえらこういうふうにやったんだぞと、あるいはそういう人たちから話を聞いた人たちもいて、みんなこういうふうに頑張ってきたみたいだよという話をじかに聞いて、しかも戦災復興の事業の図面なんかも目の当たりにして、本当にこんな大変なことをやってきたのかと、そういう肌感覚で仕事をしてきたのを覚えております。
そういう意味では、そういう技術をどうやって継承していくのかということで、平時から面整備などに携わる職員一人一人の専門技術を高めるというのは非常に大事ですし、今後は、東京都だけが頑張るというのではなくて、区市町村の職員のまちづくり技術を高めていく必要がございます。
ですから、平時から区市町村の職員も巻き込んで都市復興の訓練に精を出しているということでございまして、区市町村のまちづくりに対する技術支援も行わなければいけない、そういうことで、技術力の向上を促してまいっております。
その上で、これからの都市復興は、関東大震災みたいに一遍に燃えるのではないかもしれない、あるいは複合災害が来るかもしれない、いろんなパターンも想定して準備を進めなければいけない。
つまり、これまでの平時のまちづくりの技術を磨くだけではなくて、想定外を想定するといいますか、練習を積み重ねていくということが大事だと思っていますので、そういった図上訓練を日ごろから積み重ねていく。
その中には、当然、住民の合意形成についても大事な技術になってまいります。そういった全体が、多分復興の技術ということになってくると思いますので、それを訓練していきたいと思います。
その上で、今もう一つ大事なのは、防災都市づくりでございます。市街地の不燃化、耐震化、そういうことを今のうちにどんどん進めていく、いざというときに被害がなるべく少ないように抑え込む、それがまさに事前復興だと思っておりますので、その事前復興についても、引き続き精いっぱい取り組んでまいりたいと思います。
以上です。
○滝田委員 ありがとうございます。都技監の意気込み、あとは課題認識をしっかりとお伺いすることができまして、私たちとしましても、震災復興については一丸となって取り組んでいかなければいけないというふうに思いますので、しっかりと後押しをできるようにしていきたいなというふうに思います。
職員の皆様方一人一人の宿っている力というものにつきましては、なかなか目に見えるものではありませんけれども非常に重要でありますし、いざというときに本当に発揮されるというものでありますので、しっかりと瞬発力というんでしょうか、高めていただくということを取り組んでいただきたいなというふうに思います。
最後に意見となりますけれども、首都東京における都市復興のあり方は、大変重要かつ都民の関心もとても高いものであるということはいうまでもありません。特に都市整備にかかわる部門の専門的な知見というのは、大きな要素であります。
今回、基本方針におきましてはこの都市整備委員会で審議をされておりますけれども、残念ながら、マニュアルの改定につきましては都市復興のパートも含めて総務委員会での審議となる見込みであると伺っています。
この都市整備委員会でマニュアル改定の都市復興のパートを審議しないということでありますので、本日の委員会でこの後も多数意見が出るというふうに思いますけれども、都市整備局の責任で、しっかりと総務局を通じて総務委員会に伝わるようにしていただきたいなというふうにお願いを申し上げます。
また、首都東京の復興でありますので、国の側でも首都での大規模災害への備えということについては強化をしてもらう必要があると思いますので、今後の各種改定のプロセスの中で、国との情報交換や連携を密にしていただくように重ねて要望いたします。
以上で私の質問を終わります。
○高橋委員 それでは、私の方からは、都市復興の理念、目標及び基本方針案について伺います。
首都直下地震等の発生確率が三十年以内に七〇%と逼迫する中で、我が党は、平時からの準備としての防災まちづくりのみでなく、被災した後の復興まちづくりをどのようにしていくかを考えておくことが必要であると主張してまいりました。
都は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、あらかじめ都民と行政が震災復興時の都市づくりのあり方を共有しておくため、平成十三年度に震災復興グランドデザインを策定し、その中で、復興の目標、理念及び基本方針を示しています。
その後、全国各地で自然大災害が発生したことを踏まえ、今回改めて都市復興の理念、目標及び基本方針案を策定し、意見募集を実施しているとのことです。
東京が被災し、都市復興を行う際には、どのような都市を目指して復興を行うのか、都民とイメージを共有することが大切です。
そこで、都市復興に当たっては、どのようなイメージのまちにしていくことを目指すのか伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の都市復興の理念、目標及び基本方針では、近年の大災害の教訓を考慮するとともに、都市づくりのグランドデザインを踏まえ、都市復興において目指すべき都市像を描いております。
具体的には、都市復興の理念としまして、安全でゆとりある都市や世界中の人から選択される都市、持続的な発展を遂げる都市、さらには共助、連携の都市を目指すとしております。
また、都市復興の目標としましては、都市復興の理念を踏まえ、被災を繰り返さない、活力とゆとりある高度成熟都市の実現を目指すとしております。
○高橋委員 ただいまの答弁、そのようなイメージのまちを目指して復興を進めるに当たって、今回の基本方針等を復興の手順の中で具体の計画などに反映し、復興が着実に進むようにしなければならないと考えます。
そこで、都市復興を行う際に、基本方針等をどのように活用するのか伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 首都直下地震等の発災後の都市復興の手順や体制につきましては、東京都震災復興マニュアルに定めてあります。東京都震災復興マニュアルでは、被災後二週間以内に東京都都市復興基本方針を、二カ月以内に東京都都市復興基本計画の骨子案を策定することとしています。
東京都都市復興基本方針では、復興の理念、目標など復興に当たっての基本的な考え方とともに、被災した都市基盤施設やライフラインの復旧、復興などに関する大まかな方向性を定めることとなります。
東京都都市復興基本計画では、復興の目標や土地利用方針、都市施設の整備方針、市街地復興の基本方針などを定めることとなります。
今回の基本方針等の内容は、被災後のこれらの方針や計画の策定に当たっての指針となります。
○高橋委員 今回作成した基本方針等は、被災後の計画を作成する際の指針になることは理解いたしました。
次に、基本方針等に、迅速かつ計画的に復興を行うとありますが、復興事業をできるだけ短期間で実施するためには、被災状況や地域によって最適な都市復興のまちづくり手法を採用する必要があると考えています。
そこで、近年の災害ではどのような場合にどのような復興に向けたまちづくりの手法を用いているのか伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 近年の大災害におけるまちづくり手法の例としまして、道路などの都市基盤が不十分な地域で大規模に被災した場合には、復興を進める際に、平時から活用されている土地区画整理事業や市街地再開発事業などのほか、復興時に活用できる自由度の高い手法であります津波復興拠点整備事業などによりまして、都市基盤の整備が進められております。
また、部分的な修復や自立再建による復興を進める場合には、住宅市街地総合整備事業や優良建築物等整備事業による共同化、さらには地区計画などの規制、誘導手法が活用されております。
○高橋委員 被災後の都市復興に当たっても、平時のまちづくりで活用されている土地区画整理事業や市街地再開発事業などが活用されているということを理解いたしました。自助、共助、公助の三本柱が重要であり、行政の力だけでは復興まちづくりは進まないと考えます。
東京は、多くの民間企業が集積し、民間活力が旺盛である点に特徴があります。
そこで、東京の都市復興では、民間の活力を生かして復興を促進することが重要と考えますが、都の見解を伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市復興を迅速かつ計画的に進めるためには、民間事業者のまちづくりの経験やノウハウを活用することが重要でございます。
今回策定する基本方針等におきましても、多様な被災者、被災企業の意向等に応えるとともに、都民、企業などによる復旧、復興の取り組みを促進するため、復興都市づくりに係るさまざまな都市計画の諸制度などを効果的に活用するとしております。
例えば、駅周辺の拠点におきまして、都市開発諸制度などを活用しながら、民間事業者による都市開発を誘導してまいります。
都は、こうした民間事業者によるまちづくりを促進するため、技術的助言や補助金等による支援を行ってまいります。
○高橋委員 都市復興のまちづくりの基本を円滑に進めるため、平常時と異なり、建築制限など、都民の財産に制約を課すことになります。
そこで、都市復興の事業を進めるに当たっては、こうした制約も含め、都民の理解、協力を得ながら進める必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市復興を円滑に進めるためには、平時と被災時のそれぞれにおきまして、都民に理解、協力を得られるよう取り組むことが重要でございます。
平時には、今回策定している基本方針を初め、復興時特有の制限、制約を含めた都市復興の手順を都民に理解していただくため、毎年開催しています震災復興シンポジウムや都市復興に関する展示の場などにおいて説明するとともに、民間団体や区市町村が行うセミナー等へ支援してまいります。
被災時には、都市復興の過程で建築制限などの制約が想定される中でも、被災者がそれぞれの状況に応じた生活再建の道を選択できるようにすることが重要でございます。
このため、本格的な都市復興に着手するまでの間、事業予定地内の被災宅地を活用して仮設住宅や店舗を確保することにより、従前の居住地等の近くで生活再建の道を選択できるようにする、いわゆる時限的市街地の取り組みなど、多様な支援策によりまして、都民の理解と協力を得ながら都市復興を円滑に進めてまいります。
○高橋委員 合意形成を円滑に進めることをぜひよろしくお願いしたいと思います。
都市復興を着実に進めていくためには、都だけではなく、復興まちづくりの主体となる区市町村の役割が大変重要となります。また、国からの支援や協力も欠かせません。そのためには、平時から区市町村や国と連携を密にしておく必要があると考えます。
そこで、今回の基本方針等を含めた都市の事前復興について、区市町村への支援や国への働きかけはどのように行っていくのか伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 都は、今回の基本方針等につきまして、来年度に改定を予定しています都市計画区域マスタープランに反映するとともに、区市町村に対しても、都市計画マスタープランを改定する際に反映するよう促してまいります。
また、区市町村や地元住民が都市復興に関する理解を深められるよう、区市町村職員向けの研修、訓練の実施や区市町村によるワークショップなどの開催に対する支援を行ってまいります。
国に対しましては、広範囲に被害が発生した場合に、被災自治体がみずからの責任において迅速かつ機能的な復興が進められるよう、事前復興の取り組みも含めた総合的な財政支援の制度、仕組みの創設を、引き続き求めてまいります。
○高橋委員 首都直下地震など、東京が大規模に被災した場合、都だけで進めていくことはできず、自衛隊を初め国の関係省庁や自治体はもちろんのこと、被災者自身を初めNPO、ボランティア、専門家、企業などの幅広い参画が必要であります。
そのためには、今回の基本方針等のように、平時から、被災時に都民等と協働し、連携して都市復興に取り組むための準備を行っていくことが重要だということを強調いたしまして、私の質問は終わります。
○中山委員 それでは、私からも質問させていただきます。
基本方針を都民の皆様に全体として理解していただくことはとても重要でございますので、基本方針の内容について、基本的な事柄を質問させていただきたいと思います。
まず、風水害と大地震による被害の違いは、事前に発生を予測して行動をとれるかどうかという点に大きくはあろうかと思いますが、風水害は、直接建造物破壊などの被害が少なくて、水が引けば外観上はもとの生活に戻るというイメージを抱きやすいわけでございます。
大規模な堤防決壊、例えば、埼玉県内、さいたま市、川越市、上尾市に二〇三〇年の完成予定で、荒川第二、第三調節池、これを今、東京都も多額のお金を出して建設を進めておりますが、治水容量五千百万立方メートルという途方もないものでございますが、これが完成する前に荒川上流が大規模な堤防決壊に遭えば、都内の被害がどの程度になるかは想像がつかないところであります。
そこでまず、お伺いいたしますが、堤防決壊などの大規模な風水害などによって、水が引けばもとに戻るという程度の枠にとどまらない被害を受ける可能性がありますが、風水害による被害も今回の都市復興の理念、目標及び基本方針の対象となっているのかどうか、この点を教えていただきたいと思います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の都市復興の理念、目標及び基本方針では、近年の大災害を考慮するとともに、都市計画区域マスタープランの都市防災に関する方針において記載されている災害と整合を図る観点から、地震や火災、津波、風水害、土砂災害、火山などの自然災害を対象としておりまして、風水害による被害も対象となります。
○中山委員 対象となるということでございますので、電気設備等に多く発生するであろう被害というものが、復旧、復興のあり方等にも影響を及ぼすことは間違いのない事実でありますし、また木造家屋を中心に壊滅的な打撃を受けるだろうことも間違いないと思います。
そうしたことをしっかり踏まえていただいて、基本方針にこれからも書き込んでいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、東京で首都直下地震等の災害が起きた場合、どの程度の被害を受けたならば、都市復興の理念、目標及び基本、今回のものですね、適用していくのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 東京都震災復興マニュアルによれば、都市復興は、被災後の都市をほぼ従前の状態に回復する復旧にとどまらず、被災前の水準を超えた新しい価値や質が付加された都市空間を生み出すための措置を講じることとされています。
今回の基本方針等では、基本的には被災した地域を主な都市復興の対象地域としておりますが、被災の程度が低い場合でも、被災を契機とした新たな都市づくりや近隣で行われる復興事業、さらには広域的な都市づくりの観点などを勘案しまして、対象地域とする場合がございます。
○中山委員 それでは、被災後の都市整備におきまして、復旧と都市復興、どちらを選択していくのか、この判断は、いつごろどのようにして行っていくのかお伺いしたいと思います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 首都直下地震等により被災した場合は、東京都震災復興マニュアルに基づき、被災から一週間程度までの間に、都と区市町村が家屋被害の概況を調査することとなっております。
その結果を踏まえまして、都と被災区市町村が調整の上、都市復興が望ましいと判断した場合には、都市復興基本方針の策定作業に入ることとなります。
○中山委員 都市復興を行う際、例えばまだ着手されていない延焼遮断帯となる道路の拡幅ですとか、あるいは未整備の都市計画道路の整備等も、念頭に置くというか、対象にしなければならないわけですけれども、どの程度の被害でそうした計画上のものを実際に整備していくという判断を行っていくのか、その点について考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 東京都震災復興マニュアルによれば、被災後二週間以内に公表する都市復興基本方針を踏まえ、被災から一カ月以内に家屋の被害状況の詳細を調査することとなります。
その調査結果を踏まえまして、街区ごとに、全壊や半壊等の被害を受けた家屋の割合によりまして、被災状況を四段階に分けて把握することとしております。
具体的には、被害を受けた家屋の割合がおおむね八〇%以上の街区が連担した地区は大被害地区、五〇%以上八〇%未満の街区が連担した地区は中被害地区、それ未満の割合で部分的に被害が見られる地区は小被害地区、被害がほとんど見られない地区を無被害地区として定めます。
そのうち大被害地区と中被害地区におきましては、都市計画道路などの都市基盤施設の整備について検討することとなります。その検討結果を踏まえ、発災後二カ月以内に都市復興基本計画骨子案を公表しまして、都市施設の整備方針等を明らかにいたします。
○中山委員 そういうご答弁、ございました。
例えば都市計画道路というのは、計画上はあるけれども既に必要なくなっていますよというものについては、順次都市計画審議会で見直しをして、計画の廃止とかをしているところでありますけれども、まだそこまでいっていないけれど非常に地元としては疑念が持たれているとか、そうしたものもあろうかと思います。
そうした意味で、区市町村に対して、しっかりとこの考え方を周知して、実際に復興、復旧を決定していく上で区市町村の意見というものが反映されるように、また、具体的な計画を実現させていくのかどうかということも問われてきますので、合意形成という点も含めて、都は今後どう取り組んでいくのか明らかにしていただきたいと思います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の基本方針等の案の作成に当たりましては、これまで、学識経験者を交えた都市復興基本計画検討委員会などにおきまして、区市町村の意見を反映するため、区及び市から各一名、委員として参加していただいております。また、今回の基本方針等の案につきまして、区市町村に意見照会を行っているところでございます。基本方針等の策定後は、都と区市町村の都市復興の担当者連絡会で説明してまいります。
また、基本方針等は、来年度改定予定である都市計画区域マスタープランに反映させるとともに、区市町村マスタープランにも反映を促してまいります。
さらに、区市町村職員向けに実施しております都市復興にかかわる各種訓練の場などにおきましても、基本方針等を紹介してまいります。
今後とも、区市町村と連携を図りながら、都市の事前復興に取り組んでまいります。
○中山委員 あとはちょっと意見を述べさせていただきますけれども、一つは、しっかりと都市復興というものに取り組んでいくためには、時間的なものを確保しなければなりません。
その上で大事なことは、首都としての東京の代替機能をきちっと事前に定めておいてもらわなくては、これは東京が勝手に定めるわけにいきませんけれども、国と連携して、そこら辺をきちっと定めておかないと、時間的な余裕がなくなってくるということだと思います。
また、公のものであれ民間のものであれ、東京にしか存在していない役割を代替する機能というものもきちっと想定しておかないと、落ちついた--落ちついたといっても、現実に大変な生活をしていらっしゃる避難民が大量に発生しているわけですからのんびりとやるわけには当然いきませんけれども、ある程度はきちっとした冷静な判断ができるような取り組みの時間的余裕を確保しなければなりませんので、そうしたものをきちっと事前に確保しておく。そのための取り組み、協議を国ともしっかり重ねておくということであろうかと思っております。
その上で、一つは、やはり先ほど都技監のお話にもございましたけれども、人、人材という点が非常に大事で、私も東北の震災のところに何回も行かせていただいて、いろんなことを感じました。
一つは、都庁内の人材という点では、やはり被災地で今回まちづくりというものを経験してきた方々のノウハウというものを、きちっと生かしていただきたいと。単に資料として残すということだけではなくて、その人たちが感じてきた、毛穴から感じているものを伝えるための方法というものを、いつ起きるかわからないし、ずっと先かもしれませんので、伝えるためのことを工夫していただきたいと思います。
それから、東北のまちに行ったときに、本当に、被災したまち全体をかさ上げしてその上に新たな土地をつくるですとか、あるいはそこはもう見放してしまって、高台を削って新たなまちをつくるですとか、いろんなパターンがありました。
そういうところで、都市計画を実際にやったことのある民間のプランナーとか、そうした人材がいかに必要かということが、合意形成という上でも、本当につぶさに感じた次第であります。
そうした方々を都としてあらかじめ採っておくとか、そういうことはとてもできません。ただ、そういう経験のある方々に一定的な評価を与えて、予備的に、いつでも活動していただけるようなリストアップといいますか、そういうものは、これからいろんなものを経て積み重ねておかないと、または更新しておかないと、いざというときに都庁マンだけで東京全体の復興のいろんな地域の相談事をやるのはとてもできる話ではありませんので、そうしたことをきちっとリストアップをして、枠組みをつくっておくということがとても大事だと思います。
それから、先ほども、滝田委員でしたが、ご指摘ありましたけど、権利関係のスリム化、これはとても大事なことで、足立区でも、花畑という地域から埼玉県に渡る橋をかけかえるときに、既存の橋がすごく狭くて双方通行できないような橋で、そこを何とかかけかえようと努力してきたわけですけれども、権利関係が複雑で、そばにいない権利者の方がいらっしゃったりとかして、どこに行っちゃったかわからないということで、長年そこに取り組んでいたんだけど結局諦めて、近くの別のところに橋をかけかえるという方法を選択せざるを得なかったわけです。
権利関係のスリム化のためにどういうふうに着実に進めていくか、地籍調査とかそういった事柄も含めて、これを同時にやっておかないと大変なことになってしまうということは明らかですので、よろしくお願いしたいと思います。
シミュレーションですとか、ワークショップですとか、いろんなことがとても大事になってまいりますが、何をやるのかということが明らかになった上でのシミュレーション、ワークショップじゃないと、ほとんど何もできませんので、そうした面でこれからもこの基本理念というものをしっかりつくり上げていただいて、私どもも今回は代表質問で取り上げませんでしたが、代表質問で取り上げるときには今申し上げた点の取り組みをどういうふうにお考えなのかということも含めてお尋ねすることになると思いますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
以上です。
○和泉委員 私も質疑をさせていただきたいと思います。
現在の震災復興グランドデザインですけれども、平成十三年五月に発表されましたが、それ以降も、震度七の地震だけでも新潟県中越地震、東北地方太平洋沖地震、いわゆる東日本大震災です、熊本地震、北海道胆振東部地震と相次ぎました。震度六強の地震も日本各地で起きています。
首都直下地震に備えて、木造住宅密集地域を初め、倒れない、燃えないまちづくりのために、全力を挙げることがまず重要だと思います。同時に、その努力をもってしても首都直下地震への備えが間に合わず、被害が生まれたときは、復旧と復興が欠かせません。
よって、そのための一定の考え方や仕組みを、あらかじめ都として、関連自治体や都民とともに準備すること自体は大切なことです。
今回出されているのは、その理念、目標、基本方針というごく骨格の部分です。現行の震災復興グランドデザインの中にも、復興の理念、目標と方針という部分がありますが、全体の一割程度を占めるにすぎません。
理念と目標、基本方針だけが全体像から切り離されて出されることには疑問を持ちますけれども、とりあえず、まず、現在の復興グランドデザインの復興の理念、目標と方針と今回出されたものとの違い、比較表は出していただいていますが、大きなポイントについてご説明願います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の都市復興の理念、目標及び基本方針案につきまして、震災復興グランドデザインの方針等と異なる主な点でございますが、今後の災害状況によりましては、被災後の都市復興において、都市計画区域マスタープランなどを実現するだけでは同程度の被害を受けるおそれがある場合におきましては、都市づくりグランドデザインで示した都市像を目指しつつ、必要に応じ人口等の将来見通しなども視野に入れて検討を行い、区域マスを改定するとしていることでございます。
また、住宅や産業の復興との連携、多様な主体との連携につきまして、今回新たに示しております。
さらに、近年の大災害からの教訓を踏まえまして、地震だけでなく、風水害なども対象となる災害として加えております。
○和泉委員 三つの点が大きく分けて違うと。まず、都市づくりのグランドデザインで示した都市像を目指しつつ、それだけで不十分と思われる場合には、いろいろ改変もあると。連携も考慮に入れる必要があると。そして、地震以外の自然災害も対象にしたということです。
平成二十九年に策定された都市づくりのグランドデザインでは不十分なケースもあるといいつつも、基本はこれをベースにするということです。
都市づくりのグランドデザインは、開発地域を環状七号線内側の地域にまで拡大をして、これまでの都市開発方針にさらに輪をかけて開発を進めていくことを柱にしている。この点で重大な問題があると私たちは考えています。
そして、そうした開発の考え方についても、細々と書いてある地域ごとの開発の姿についても、都民はそもそもその詳細を知らされてはいません。ですから、納得も合意もされていない。
そういう都市のグランドデザインをベースにしようとすること自体に無理がある。それをもとに強引な開発型の復興をやってはならない。まず、このことを強調しておきたいと思います。
しかし一方で、都民の暮らし、多様な人々の尊厳を守る、この点では、注目すべき提案も散見されます。例えば、木造住宅密集地域では東京ならではのまち並みに再生されているとして、建物の不燃化、耐震化を進める中で、外壁や外構に難燃化の技術を活用した木材を取り入れるなど、下町の持つ路地の風情や木造のよさを残すまちづくりを誘導しますなどというところです。
これは、今回の理念を策定した東京都都市復興基本計画検討委員会の委員を務めている加藤東大准教授が墨田区の震災対策に携わったときに推奨してきた方針で、私たちも、こういう方針が貫かれるならば、居住者が地域に住み続けられる、コミュニティを維持しながらまち並みも保存され、防災力も向上する、いいことばかりで大いに歓迎です。こういう木造密集地域のまちづくりなら、ぜひ進めていただきたい。
都は、木造密集地域の防災では、広い幅の幹線道路をつくって延焼遮断帯だとして、住民や商店を立ち退かせ、まちを分断しようとしています。
しかし、新潟県糸魚川市の大火からの復興では、糸魚川らしいまち並みを再生しながら延焼遮断帯をつくろうという計画が進められています。
具体的には、市の中心商店街のある本町通り、雁木といわれる黒色の瓦でふかれた軒がアーケードのように連なっているんですが、この通りの両側の建物を奥行十二メートルまで耐火、もしくは準耐火の建物にすることで、景観と不燃化を両立しながら延焼遮断帯をつくろうとしているんです。本町通りそのものの幅員は十メートルにすぎません。
このように、巨大な幹線道路ばかりに頼らない、まち並みを生かした修復型の延焼遮断帯は可能だということを示す事例だと思います。
この取り組みについては、国も助言を行い、地方中小都市では初めてとなる都市防災推進事業、不燃化促進による延焼遮断帯の形成と雁木の再生による糸魚川らしいまち並みづくり等を位置づけたとアピールしてもいるんです。
都は、近年の大災害の教訓をうたうなら、こうした経験にも大いに学びつつ、木造密集地域の防災まちづくりを進めていただきたいというふうに思います。
都市づくりのグランドデザインに書いてある、木密地域において下町の持つ路地の風情や木造のよさを残すまちづくりの誘導、これはやっていただけるということですね。いかがでしょうか。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市復興に当たりましては、被災地の状況を踏まえまして、それぞれの適切な手法に応じて、区画整理事業であったり、場合によっては優良建築物整備事業であったり、地区計画、規制、誘導などをそれぞれの状況に応じて対応することとなると考えております。
○和泉委員 それぞれの状況、さまざまな方法でというご答弁でしたけれども、そもそも都市づくりのグランドデザインに沿って都市復興を進めていくんだというふうにおっしゃっているわけですから、こうしたまち並みづくりを否定はされなかった。重要だというふうに思います。
また、都市づくりのグランドデザインでは、持続的なまちづくりに向けてということで、いわゆるSDGs、持続可能な開発目標に力を充て、誰ひとり取り残さない社会の実現を目指し、貧困撲滅や格差是正や気候変動対策などの国際問題の解決を進めていくことが強調されています。
このSDGsについては、小池知事が今定例会の所信表明において、新たな長期計画についてSDGsを踏まえながら検討を進めると述べています。
改めて確認しますけれども、都市づくりのグランドデザインでも知事の所信表明でも強調されているSDGsについては、都市復興においても重視する、これを踏まえたものにするということになりますね。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の基本方針等では、都市復興の理念におきまして、安全でゆとりある都市及び持続的な発展を遂げる都市を目指すこととしております。
これは、SDGsの十七の目標のうちのゴール十一、包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市を実現などの達成につながるものと考えております。
○和泉委員 達成につながるというのは、随分と弱々しいいい方だというふうに思います。
基本方針には、持続的な発展を遂げる都市というところで、ESG、Eはエンバイロンメント、環境への配慮、Sはソーシャル、社会への貢献、Gはガバナンス、都市のマネジメントということで、この概念を取り入れた都市づくりを進めるとありますが、都市づくりのグランドデザインでもESGとSDGsの両方が紹介されており、多くの文献でもこの二つにつながりがあることが書かれています。
復興においてもSDGsを目指していらっしゃいますね。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 先ほども申し上げましたが、今回の基本方針等では、都市復興の理念におきまして、安全でゆとりある都市及び持続的な発展を遂げる都市を目指すとしております。
これは、SDGsの十七の目標のうちのゴール十一、包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市を実現などの達成につながるものと考えております。
○和泉委員 包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市の実現とおっしゃいますけれども、そのためには何が必要か、国連総会で採択をされた計画書、アジェンダでは、全ての人々の適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保するんだと書いています。
これは、都市の復興、特に大規模な住宅の倒壊や火災被害が想定されている首都直下地震からの復興において、極めて重要な課題だというふうに思います。ぜひ持続可能な都市という点では、このSDGsを実現する、その立場に立つことを書き入れていただくように求めるものです。
次に、復興のまちづくり計画を住民参加型で進めていくことについてお尋ねします。
阪神・淡路大震災の復興では、まちづくりを住民参加型で進めたところが、最初の検討には時間がかかったとしても、住民の納得と合意があるので、その後はスムーズに進んでいく。一方、上から強引に再開発を押しつけたところは、住民からも強く反発をされ、その上、地域の実態にも合っていないので、住民や業者は地域に戻れないわ、再開発ビルにテナントが入らないわ、時間もかかって破綻してしまう。これは、重要な教訓です。
具体的な事例を紹介させていただきますと、阪神・淡路大震災で大きな被害のあった芦屋市若宮地区、当初は四つの街区にそれぞれ一棟の集合住宅を建てるという計画でしたけれども、住民の反対で、小規模に分散配置をした集合住宅と戸建てによる存置住宅から成る修復型の計画に変更されました。
また、神戸市湊川地区の事業では、全域共同化という自主的なまちづくりの動きから出発して、戸建てを目指す住民との深刻な対立の中で、神戸市が調整に入って、現実的なミニ区画整理事業に到達しました。
また、震災後数年経た時点で、神戸市は、幅員四メートル未満の細街路でも、住民の合意で道路中心線を確定すれば、舗装整備を行うという事業を密集事業地区でスタートさせました。
いずれも住民合意を大切にしたこと、それから全面改造にこだわらずに、必要に応じて部分改善とすること、大規模なエリア設定よりも小規模のエリア設定の方が進みやすいことなどが共通しています。
尼崎市築地地区や芦屋市西部地区などにおいても、住民主体で復興を行って成功しています。
私は、東京の震災復興もこのような事例に学ぶべきだというふうに思います。こういうボトムアップ型のまちづくり計画の重要性、これについては、先ほど佐藤都技監からも住民合意が重要というお話がありましたけれども、今回の基本方針等を策定した東京都都市復興基本計画検討委員会でも、委員の方から強調されていることなんです。
例えば佐々木委員、この方は元国土交通省のキャリアで、阪神・淡路大震災のときに被災市街地復興特別措置法案を立案された震災法制の第一人者ですけれども、この方は、法律は上からおりてくる感じになっている、これではマスタープランはだめだ、本来は、都と区市町村との関係とか現場の関係がトップダウン的な形ではなく、ボトムアップによって計画も変えていくことが、最近のマスタープランの議論としても常識になっている、そういうことをいろんな現場の区市町村の復興計画とか、そういう地区の計画も踏まえて、また大きなマスタープランを変えていく話が若干欠いていると思いますので、それを強調したらいいと思いますと、こういうボトムアップで計画を充実させていく提案をしています。
こういう発言があったことは事実で、間違いないですね。いかがでしょうか。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 当該委員会におきましては、今回の方針等につきまして議論していただいておりまして、今、副委員長のお話のご意見もいただいておりますし、それ以外にもさまざまな意見をいただいているところでございます。
○和泉委員 佐々木委員からそういう発言があった。そして、それを受けて中林委員長は、状況に応じた柔軟な対応ということを位置づけてほしいと事務方に求めています。
しかし、どうも今回示されている基本方針等を見ても、そのようなボトムアップに応えた柔軟な対応ということが読み取れません。
この基本方針には、計画の柔軟な見直しとか、関連計画の調整、融合という文言はありますが、ここに佐々木委員や中林委員長が指摘した柔軟な見直しの考え方は入っているんだと、それも含んだものなんだということでよろしいんでしょうか。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 副委員長からのお話のご意見等につきましては、今回の基本方針等の中におきまして、特に区市町村との関係ということで、関連計画の調整、融合による円滑な都市復興の実現の中におきまして、区域マスと区市町村の計画との関係を整理させていただいたところでございます。
○和泉委員 それでしたら、ぜひともその旨がもっとわかるような明解な記述を方針の中にも含んでいただきたい、書き入れていただきたいと思います。
かつて震災復興グランドデザインが総務委員会で質疑をされたときに、東京都は、地域の住民が主体となった形の復興を行政がしっかりと支援していくという枠組みをつくったと、住民の参加と協働によって、それと行政が一緒になって考えていく仕組みをつくったと答弁しています。
震災復興グランドデザインの中身そのものは問題だというふうに思いますが、さまざまな問題を抱えていると思いますけれども、少なくとも当時の都には、住民の参加と協働によって、行政が一体となって復興を考えるという姿勢は見られていたんです。
私は先ほど、佐藤都技監の、入られたときに戦災復興に当たられた先輩の職員の皆さんがいた肌感覚の話を聞き、資料を見てご自分がそれを追体験されて、まちづくりに当たってこられた、そういう方たちが都庁の中にたくさんおられた、それが震災復興グランドデザインの議論のときに思いとなって出たんだろうというふうに思います。
最後に、改めて理念についてです。
都は、近年の大災害の教訓を踏まえるといっています。ならば当然、岩手県の東日本大震災津波復興計画、復興基本計画、これに目を通していらっしゃるはずだというふうに思います。
この計画にも、復興に向けたまちづくりのグランドデザインという章があって、まちづくりのグランドデザインは、その地域の歴史や文化、地理的、社会的条件や被災状況に応じたものでなければならず、何よりも被災住民がその地にとどまり、あるいは一時的に離れたとしても戻ってきて、まちづくりに主体的にかかわり、希望を持って生活再建を進められるものとする、こう書いてあるんです。
地域の歴史や文化、地理、社会的条件に応じたものでなければなりませんよ、何よりも、地域の住民がその地にとどまって、戻ってこられる、まちづくりに主体的にかかわって、希望を持って生活再建を進められるものでなければなりませんよと。
そういう文言が、都がつくる復興グランドデザインの基本理念には少しでも書いてあるでしょうか。書いてあるのはむしろ、世界からどう選んでもらうか、そのためにどう東京を変えるかということです。
しかし、復興は何よりもそこに住む人が第一にされ、そして主役にならなければならない。地域の歴史や文化や地理を踏まえなければならない。そうしてこそ、また世界からも魅力あるまちになるんじゃないでしょうか。
現在都が進めている復興地域の想定でも、東京で想定される代表的な被害パターンで挙げられているのは、木造密集地域、老朽中小ビル密集地域、区部東部低地帯、多摩の丘陵部の盛り土造成地であり、いずれも住宅地だったり、中小事業者の地域です。
そういう地域で求められるのは、岩手県が復興計画のまちづくりグランドデザインで示した姿勢です。
今、都市復興の理念、目標及び基本方針案には、震災で住むところを失い、生活の再建で必死な人たちのせっぱ詰まった状況に寄り添って、あすの展望を持たせよう、支えようという行政としての温かさが感じづらい。それが率直な私の感想です。
東京が日本の政治経済の中心地としてふさわしい役割を果たせるよう、まちづくりを進めることは重要です。
しかし、そればかりが重視され、そこに住む人のことが軽視されてはいないか、住民参加でまちづくりの計画を練り上げていく姿勢がしっかり書き込まれているか、SDGsへの配慮や木造住宅密集地域のまち並みの風情を生かした復興も位置づけられているかなど、現在の基本方針は正すべきところ、深めたり書き加えたりしなければならないところが数多くあります。
そのことを指摘して、私の質疑を終わります。
〔安部市街地整備部長選手村担当部長兼務発言を求む〕
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の基本方針等の中では、国や、都県、区市町村などの自治体はもとより、被災者、被災企業を初め、NPO、ボランティア、専門家、企業、近隣県市などの幅広い関係者が連携し、心を一つに総力を結集して取り組んでいく必要があるとしております。
また、多様な被災者、被災企業の意向等に応えるとともに、都民、企業などによる復旧、復興の取り組みを促進するため、復興都市づくりにかかわるさまざまな都市計画の制度等を効果的に活用するとしております。
こうした都市復興を円滑に進めるためには、平時から、都民に今回の基本方針等を初め都市復興の手順を理解していただくための取り組みを進めてまいります。
被災時におきましては、時限的市街地の取り組みなど、多様な支援策によりまして、都民の理解と協力を促し、都市復興を円滑に進めてまいります。
○和泉委員 答弁を求めませんでしたけれども、今そういうお話でしたから、最後に一言申し上げておきます。
そうであるならば、今回の理念、それから方針の中に、住民参加と協働で進めていくんだ、まず何よりもそこに住む人を大事にするんだ、それをしっかりと書き込んでいただくことを求めておきたいと思います。
○宮瀬委員 では、よろしくお願いいたします。
皆さんの質疑も聞かせていただきまして、重複するところは割愛させていただきます。
質疑の中で、近年の災害における復興の教訓や課題といったことは聞いていたんですけれども、私、この質疑に当たりまして、やっぱり首都直下地震の際に一番参考になるのは阪神・淡路大震災だということを、他党ですがほかの先輩からちょっと教えていただきまして、ぜひ神戸市にある、人と防災未来センターに行ってこいというアドバイスをいただいて、今回ちゃんと行ってまいりました。
その現場で得てきたことというのをしっかりと都政に少しでも貢献できればうれしいかなと思っております。
そこでまず、大前提として、阪神・淡路大震災、都市型災害でありますので、その教訓、都市型災害といえば大きいものは阪神・淡路ですので、その教訓というのは何で、どう反映されているのかお伺いします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 阪神・淡路大震災では木密地域に被害が集中したことなどから、防災都市づくりをより強力に推進すべきとの教訓を得ました。
また、阪神・淡路大震災よりも首都直下地震は甚大な被害が想定されたことから、被災した場合の計画的な復興の進め方につきまして、日ごろから準備しておくべきとの教訓も得ました。
これらの教訓から、被災した場合の計画的な都市復興に向けて、あらかじめ行政と都民が震災復興時の都市づくりのあり方を共有するため、平成十三年度に震災復興グランドデザインを策定しました。
その後、全国各地で大災害が発生し、その教訓等を考慮し、今回改めて都市復興の理念、目標及び基本方針を策定いたしました。
○宮瀬委員 木密の被害と日ごろの準備ということで、グランドデザインをつくりましたということだと思います。
先ほどのご答弁の中で、ほかの災害に関しては想定を超える被害ですとか、事前に関係団体との連携が重要ですよと、そうしますと復興が早く進むんですよというのを聞きました。
本題に入る前に、この基本方針の中で、復興にかかる期間というのが五年から十年と書いてあります。実際に、東日本の現場も参りましたし、熊本も見てきた中で、例えば、さきの議会でもありましたが、被災地の方が東京に避難されている方もまだいるといった状況の中で、あれから八年たっているわけです。
本当に五年から十年というものが妥当なのかというのをちょっとお伺いいたします。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 各県の復興計画における復興の目標年次までの期間は、阪神・淡路大震災における兵庫県で十年、東日本大震災における岩手県で八年、宮城県で十年、福島県で同じく十年となっております。熊本地震における熊本県では、発災から四年までに実施する事業とその後も継続する事業を記載しております。
こうした各県の復興計画における目標年次までの期間を参考に、今回の基本方針等では、早期の本格的な生活再建を図るとともに、首都東京の国際競争力を維持、発展させていくことが必要であるとした上で、生活再建や経済再生に係る復興事業を中心に、おおむね五年から十年のできるだけ短期間で都市復興を達成することを目指すとしております。
一方、将来に備える幹線道路など、中長期的な取り組みを必要とする計画につきましても、着実に推進することとしております。
○宮瀬委員 急がないといけない部分が多分にあるので、挑戦的な数字を挙げられているといったことであります。ここは、いろんな要素ありますけれども、私は、なかなか現実的には、ほかの被災地を見て、本当に五年でできるようには到底思えないような大きな災害ではないかなと思いますので、ぜひそこは一度指摘をさせていただきます。
さて、兵庫県の、人と防災未来センターのところに参りますと、なかなかやっぱり都市型災害を経験したまち、都市ですので、ほかにはない展示物や教訓、シアターがございました。
例えば、3D眼鏡をかけて、実際のリアルな映像ですとか、ジオラマもあって、実際に等身大の被災時の状況を再現していると。また、阪神・淡路だけではなく、水害も、南海トラフがありますので、水かさ二十センチだとこれぐらいこう歩きづらいんですよという体験ができるもの、またシアターですね、本当に、ビル二棟分ですが、さまざまなものがございました。
その中で私、注目しておりますのが、交流サロン、ワークショップというのがございまして、阪神・淡路大震災の行政実務者や市民、企業など、そういった交流ネットワークの機能があるということで、こういったその事前の交流や連携というのがとれるスペースがあるわけであります。ほかにも、展示、資料収集、保存、災害対策の専門職員の育成、実践的な防災研究と若手防災専門家の育成、災害対応の現地支援、政策提言等ございます。
こういった教訓を生かしてやっているわけですが、もちろん各関係機関との連携は、災害後だけではなく、ふだんの事前の連携が大切だと考えています。
こういった当たり前のことが、実はこの中で、事前にというのがなかなか目に入ってこないんじゃないかなと思っているんですが、改めて、平時の対応というのは大事だと思いますが、いかがでしょうか。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の基本方針等では、被災者、被災企業を初め、NPO、ボランティア、専門家、企業、近隣県市などの幅広い関係者が連携し、心を一つに総力を結集して取り組んでいく必要があるとしておりまして、平時から多様な主体の連携による取り組みが、迅速な復興につながると認識しております。
このため、今回の基本方針等を、毎年開催しています震災復興シンポジウムや都市復興に関する展示などでわかりやすく説明することなどによりまして、都民や企業、NPO等の理解を促進してまいります。
また、今年度創設しました補助制度も活用しながら、民間団体等が行う、都民が都市復興プロセスを学ぶセミナー等の開催を促しまして、都民や企業、NPO等の理解の醸成をより一層図ってまいります。
こうした取り組みによりまして、多様な主体の連携による都市復興につなげてまいります。
○宮瀬委員 平時の連携というのは大事ですよといったことで、平成十三年度五月、震災復興グランドデザインの中でも、平時においての連携強化というのは非常に大事だと書いてあります。
しかし、ここで問題提起したいんですが、今のご答弁ですと、NPOや企業、ボランティア、また都民の皆さんへの意識啓発、つまり、一方的な、こういうものがありましたと展示をしたり、セミナーやったり、シンポジウムやったりということでワンウエーでありまして、連携がないのではないかということであります。
もちろん、事前の連携というのは大事だというお互いの認識がありまして、実際に連携が本当に事前に今できているのか、啓蒙だけではなく、普及啓発ではなく、連携が、今本当に企業、NPO、ボランティアの方とできているのかといったことを確認したいと思います。そういった組織は都にあるんでしょうか。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市の復興に関しましては、専門的な見地から意見または助言を得るため、学識経験者等から成る東京都都市復興基本計画検討委員会を設置しておりまして、必要に応じNPOなどの参画も可能となっております。
○宮瀬委員 復興基本計画検討委員会やっていますよと。じゃ、そのメンバーと、今まで開催した累計の開催回数は何回でしょうか。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 東京都都市復興基本計画検討委員会は、現在、学識経験者七名、国の都市計画行政経験者一名、区市の担当部長各一名の計十名で構成されております。
当委員会につきましては、震災復興グランドデザインの策定や東京都震災復興マニュアルの修正の際に必要に応じて開催しておりまして、開催回数は、平成十一年一月二十日に当委員会が設置されて以降、累計十一回でございます。
○宮瀬委員 大体二年に一回のペースで、参加者メンバーを確認すると、皆さん学識経験者と区市町村の担当者のみといったことがわかるわけであります。これだけ震災復興グランドデザインでは事前の連携が大事ですよと、改めて答弁で、事前の連携は大事ですねと、大事ですといったご答弁をいただいて、じゃ、それを具現化し、体現化しているのは何ですかといったことで、検討委員会がありますと。検討委員会のメンバーを確認しますと、そこには企業の人と都民とボランティアさんが入っていないわけであります。
ということは、今、後から私もちょっと答弁見ましたけど、必要に応じてNPOなどの参加も可能ですとぽろっとおっしゃっていましたが、NPOの皆さんに呼びかけたことはあるんですか。また、NPOの方が参加されたことはあるんですか。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 当委員会におきましては、これまで、企業、NPOの参加した実績は確認されておりません。
○宮瀬委員 ご答弁聞いていると、都民の皆さん、ボランティアの皆さん、企業の皆さんと連携をやっていくと。それがやっぱり事後に偏っていて、災害が起きた後の連携というのももちろん最重要でありますが、やはり災害をどう減災にしていくかということで、事前の連携も大きな課題であると思っております。行政の皆さんとの連携も必要ですし、学識経験者の皆さんとの連携も必要でありますが、先ほどの質疑の中にもありましたように、そこに事前に、企業の皆さんやボランティアの皆さん、また神戸市の皆さん、行政の皆さんも呼んで、そういったその実体験のある方々の声を聞くということが大事なのではないでしょうか。
そこで提案しますが、住民、ボランティア、企業、NPOなどは、やはりこういった連携に、事前のところで連携するように、参加していただくようにした方がいいと思いますが、見解を伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 当該委員会は、都市復興のあり方などに関し、専門的な見地から意見または助言を得るために開催するものであることから、委員は学識経験者等を中心に構成されているところでございます。
今後、検討テーマによりまして必要に応じて、今、委員からお話のありましたNPOなどの参画を検討してまいります。
○宮瀬委員 NPOなどという中に、ボランティアですとか、皆さんが掲げている都民、企業、NPO、ボランティアさんというものは入るんですか。一応念のため確認しておきます。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 先ほどもご答弁申し上げましたが、基本方針等におきましては、多様な主体の参画を図ることが重要だと認識しておりまして、平時からもそういった方々との連携を図っていくことは重要だと認識しておりまして、今後、検討テーマによりまして、必要に応じてそういった方々などの参画を検討してまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございました。しっかりと事前の段階で連携していきましょうと。それを企業も、都民も、ボランティアさんも、ほかの自治体含めて、私は個人的にはやはり兵庫県も入れていただきたいなと思いますが、ぜひそれは検討を前向きにしていただきたいと思います。
その中で、阪神・淡路大震災の教訓を受けて、人と防災未来センターが、大都市大震災における復興政策総合評価システムの構築といった研究プロジェクトをやっていたり、同じビルに、国際機関の国連国際防災機構、国際防災復興機構、アジア防災センター、また兵庫県立大学の防災教育センターと、こういった組織が同じビルの中に入っていて連携がとれるということで、大変有意義なものになっておりました。ちょっと通告していませんが、部長は行かれたことってありますか、神戸の。(安部市街地整備部長選手村担当部長兼務「ないです」と呼ぶ)やはり部長はお忙しいと思いますので、ご担当の方でも構いませんので、一度ぜひ。一日じゃ見られないぐらいの、本当に勉強になる施設で、ぜひそこのご担当者と議論していただいて、復興をどうすればいいのか、実際にどう復興してきて、どう課題があったのか。
局長からも、経験がある方が減ってきたと、都内に。ただ、阪神・淡路の方でありましたらまだたくさんいらっしゃる可能性が高いと思いますので、ぜひ人脈を広げていっていただきたいと思います。
一応最後になりますが、念のためなんですけれども、事前の住民の参加というのはとても大事だと思います。
一個だけ気になったのが、安全でゆとりのある都市ということで書いてあるんですけれども、ちょっと常識的な質問で恐縮ですが、ゆとりをつくるということは、焼き出されてしまった人とか、住まいがなくなっちゃった人がいるわけでありますが、そこが公園等に変わっていくと、まち全体はゆとりはできると思いますが、そこで暮らしていた人はどうなってしまうのかといったことがあります。お答えいただけますでしょうか。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 安全でゆとりある都市とは、例えば木造住宅密集地域におきまして基盤整備が不十分な地区が被災した場合、都市復興におきましては、延焼遮断帯となる都市計画道路や生活道路の整備に加えまして、防災活動拠点にもなる公園等のオープンスペースを確保することが想定されます。その際には、被災者の生活再建への配慮としまして、建物の共同化を図ることなどが考えられます。
○宮瀬委員 スペースを縦に使って共同のビル、住宅をつくっていって、そっちに住んでいただき、スペースをつくって、公園なり道路をつくるということであります。だからこそ事前に、どこで災害がどの地域で起きるかはわかりませんが、町会、住民の連合会の会もございますし、事前のところから意見交換をぜひしていただければ復興も早く進むというのは、冒頭の教訓を教えていただいたところの大きな教訓の一つだと思いますので、ぜひお願いをします。
最後に、震災復興グランドデザインの中には、財源がしっかりとこの中に書いてありまして、今回は、財源の文字が一つも入っていないわけであります。やはりお金があって何ができるかという現実的な話でありますので、九・一兆円財源がかかるというお話もちょっと聞いておりますので、ぜひ、財源の記載は物事の根幹にかかわるところでありますので、ぜひ財務局と連携をしながら検討されることを望みまして、質問を終わります。
○森澤委員 私からも幾つか質問いたします。重複しているところは割愛をいたします。
首都直下地震等の被災後においては、首都であり経済の中心であることを考えると、東京においては、都民の生活再建や産業の振興が迅速に行われるように準備することが重要です。
そこで、都市復興を早期に実現する観点から、幾つか質問をいたします。
今回、都市復興の理念、目標及び基本方針を策定することで、都市復興を早期に実現する観点から、どのような効果が得られるのか伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 首都直下地震等により被災した場合に必要となる復興時の都市づくりの考え方をあらかじめ都民と行政との間で共有することによりまして、被災時における迅速かつ計画的な都市復興につながると考えております。
○森澤委員 ありがとうございます。
案には、都市復興の諸事業をできるだけ短期間に実現することを基本とするとあります。
先ほど、五年から十年が妥当かというお話もありましたけれども、どのように短期間で実現しようと考えているのか見解を伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市復興を短期間で実現するためには、被災時だけでなく、平時から復興時を想定した取り組みを進め、地元や区市町村の意識を高めておくことが重要でございます。
このため、平時におきまして、毎年、異なる地域の被害を想定し、復興まちづくりの計画を検討する区市町村職員向けの訓練を行っております。
また、区市町村が地元住民と協働して復興まちづくりを検討する訓練を促進できるよう、区市町村職員向けの研修を開催し、能力向上を図るとともに、今年度創設した補助制度によりまして都市復興に関する都民向けの訓練等を支援してまいります。
こうした取り組みを積み重ねた上で、都市復興時におきましては、合意形成を円滑に進めながら、計画的に都市復興が進むよう建築制限を活用することや、一団地の復興拠点市街地形成整備事業など柔軟なまちづくりを可能とする復興時特有の制度も含めまして、適切な手法を効果的に活用してまいります。
○森澤委員 以前私も、区市町村職員とともに行う復興訓練を拝見して、実践的に計画を立てていく取り組み、その際に、都と区市町村との役割を把握するとか、そういった取り組みもありましたが、とても大事かつ有効な取り組みだというふうに感じました。短期間での復興を実現することも非常に重要だと感じます。
ぜひ地元住民と区市町村、そして都民向けに訓練が広がっていくよう促進していただきたいと思います。
また、先ほど言及がありました復興時特有の制度の事前共有も非常に大事だと思いますので、訓練の機会を捉えて共有いただけますようよろしくお願いいたします。
そして先ほど、複数の委員から言及がありましたけれども、東日本大震災の経験について昨年釜石市でお伺いした際には、新たなまちづくりにおいて権利者との合意形成が難しかったというお話がありました。どこに誰がいるかわからない状況があり、権利者、所有者、事業者の追跡調査に時間がかかったというお話でした。
新たなまちづくりが必要な地区において、権利者がほかの地区に散在してしまっていたためまちづくりがおくれた事例というのがありましたが、そういった対応をどのように考えているのか、都の見解を伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 都は、復興過程における独自の取り組みとしまして、時限的市街地を設けることを東京都震災復興マニュアルにおいて位置づけております。これは、本格的な都市復興に着手するまでの期間に、事業予定地内の被災宅地を活用して仮設住宅や店舗を確保することなどによりまして、被災者がそれぞれの状況に応じて従前の居住地の近くで生活再建の道を選択できるようにする取り組みでございます。
今回お示ししています都市復興の理念、目標及び基本方針におきまして、共助、連携の都市を目指すことと軌を一にするものでございまして、これによりまして、地区内権利者のコミュニティを維持しながら迅速な市街地の復興が図られると考えております。
○森澤委員 ありがとうございます。
実際、釜石市で聞いたお話では、避難所から仮設住宅の移動において、地域ごとではなく、入居基準の優先順位等で入居を進めていったため、生活習慣の違いや、もともと全く知らない人たちが集まったため信頼関係のなさがさまざまな生活トラブルにつながったということもお伺いいたしました。
今ご答弁にありました地区内権利者のコミュニティを維持しながら迅速な市街地復興が図られることで共助、連携の都市を目指すということは、非常に重要なポイントであると考えます。
最後に、多様な主体の連携による都市復興とありますが、平常時からの連携が大事で、どういうふうにそれを理解してもらうんですかというご質問をしようと思いましたが、宮瀬委員と随分やりとりがありましたので、割愛をさせていただきます。
最後に一言申し述べさせていただきます。
震災時の都市復興は、東京都震災復興本部が設置され、その本部のもとで実施されるということで、体制づくりの所管は総務局等ということですが、震災からの早期の都市復興を目指すには、被災後のリソース、人やお金を優先順位をつけて合理的に活用することが重要であり、また、例えば想定していたトップがいない場合でもリーダーシップが発揮されるよう、二重三重の想定や準備をしていくべきと考えます。
また、先ほど宮瀬委員からも要望がありましたが、いざというときに本理念、目標及び基本方針を実現するには、財政面の裏づけ、費用の想定や、それに合わせた基金の積み立て等が必要です。財務局を初めとして関係各局で連携して備えを進めていただきますよう要望し、質問を終わりにいたします。
ありがとうございます。
○たきぐち委員 それでは最後、私から質問させていただきたいと思います。
今回発表されました都市復興の理念、目標及び基本方針は、平成十三年に策定された震災復興グランドデザインを修正、改定するものではなくて、近年の大災害の教訓を踏まえ、改めて作成したものと先ほど来の質疑の中で認識をいたしました。
先ほども少し触れられていましたけれども、まず、基本的な対象とする災害について伺いたいと思います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の都市復興の理念、目標及び基本方針では、近年の大災害を考慮するとともに、都市計画区域マスタープランの都市防災に関する方針において記載されている災害と整合を図る観点から、地震や火災、津波、風水害、土砂災害、火山などの自然災害を対象としております。
○たきぐち委員 区域マスに記載されている地震、津波、水害などに加えて、火災、土砂災害、火山などを対象にしたということでありました。
先ほども和泉副委員長からも話がありましたけれども、平成二十八年に、約三十時間、約四万平米にわたって燃え広がった新潟県の糸魚川市の火災がありました。これは、木密地域でありました。
平成二十六年八月豪雨では、広島市で土砂災害が百六十六カ所発生をして、七十名以上が犠牲となりました。都内にも、土砂災害警戒区域が一万四千五百カ所余指定をされているところであります。
また、平成二十六年の九月には、御嶽山の噴火で六十三名が犠牲になったということがありました。
こうした災害だけではなくて、阪神・淡路大震災以降さまざまな大災害が発生をしたということは、これまでの質疑の中でもいろいろと話が出ております。
昨年一年を見ましても、六月に大阪北部地震、七月に西日本の豪雨、九月には北海道胆振東部地震と続けざまに大規模災害が発生して、多くの人命が失われたところであります。
六千人を超える方々が犠牲となった阪神・淡路大震災以降、都においては、防災都市づくり推進計画の作成、震災対策条例の制定、震災復興マニュアルの策定等と対策が講じられてきたところでありますけれども、今回の基本方針等の策定に当たって、阪神・淡路大震災から二十年以上にわたる期間の中で積み上げてきた知見等をどのように反映させたのか伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の基本方針等は、近年の全国各地で発生した大災害からの教訓を考慮するとともに、学識経験者を交えた東京都都市復興基本計画検討委員会でご議論いただきながら策定しております。
大災害からの教訓としましては、例えば、想定を超える被害が発生したために、被災を繰り返さないよう既定の都市づくりの計画を見直し、復興を進めている事例がございます。
そのため、今回の基本方針等では、都市づくりのグランドデザインで示した都市像を目指しつつ、それだけでは同程度の被害を受けるおそれがある場合におきまして、必要に応じ人口等の将来見通しや土地利用の方針の見通しも視野に入れて検討しまして、都市計画区域マスタープランなどを改定するとしております。
また、検討委員会におきまして、学識経験者から、迅速な都市復興を図るためには多様な主体の連携により取り組むことが必要であることや、被災後に地域のコミュニティを育むためにオープンスペースを確保することが必要であることなどのご意見がありまして、こうした知見を今回の基本方針等に反映しております。
○たきぐち委員 検討委員会におきましては、今、災害復興の第一人者である中林教授を委員長として、都市防災や都市計画、建築、市街地整備などを専門とする学識経験者の方々による議論がなされたところでありますので、これまでの大規模災害の被災状況であったり、復旧、復興の事例等を研究されてきた知見が反映をされてきたものということだと思います。
あわせて、東日本大震災では、先ほど中山委員からも指摘がありましたけれども、都の職員が復旧、復興支援等で多く派遣をされておりまして、正確な数字では確認はしておりませんけれども、現在も五十名ほどの職員が派遣をされていて、延べ人数では四千人以上が復旧、復興に携わっていて、都市整備局からも、仮設住宅の建設や被災建築物応急危険度判定であったり、あるいは区画整理関係業務などの支援で派遣されているかと思います。
こうした活動は、毎年、活動報告書として取りまとめられて、冊子として私たちにも配られているところでありますけれども、先ほど佐藤都技監からも、職員の育成ということについて大変熱い思いを語られたところでありますが、こうした被災地での経験が庁内で共有をされて、都職員の知見が、今回の基本方針のみならず、今後予定されている復興手順や執行体制を示した震災復興マニュアルの修正であったり、あるいは訓練であったり、こうしたところにしっかりと生かされていくことを期待するところでございます。
今、答弁にありましたけれども、報告資料の中において、想定を超える被害があった場合には、被災を繰り返さないよう、現在の都市づくりの計画変更も検討し、さらに強靱化と記載があります。想定を超える被害とは何か伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 近年、想定していない災害が発生し、被災後の都市復興におきまして、既定のまちづくり計画を変更することがございます。例えば、東日本大震災では津波による大きな被害を受けたために、被害を繰り返さないよう既定の計画を変更し、まちを高台へ移転することとした地区がございます。
このように、既定計画を実現するだけでは防ぐことが難しい被害を、想定を超える被害と捉えまして、今回の基本方針等では、想定を超える被害があった場合には、被災を繰り返さないよう、現在の都市づくりの計画変更も検討し、さらに強靱化していくとしております。
○たきぐち委員 基本方針の中では、想定を超えるという言葉は使われていないわけであります。想定というのが、平成二十四年に東京都防災会議で決定した被害想定の規模や数なのか、複合型災害のような災害の種類のことなのか、あるいは二次災害の現象、停電とか原発事故であるとかそういったことであるのか、明確でない印象があります。
今のご答弁ですと、想定をしていない災害ということになりまして、東日本大震災時の想定を超える被害を教訓としているということになりますけれども、二万人以上の犠牲者を出した未曾有の災害だった東日本大震災の教訓というのは、想定外は通用しない、想定外を想定内とするということだったのではないかと思います。
基本方針に記載をされています区域マス等を実現するだけでは同程度の被害が生じるとするこの区域マスは、平成二十六年に改定されたものであります。
また、先ほど来話が出ております検討委員会におきまして、平成二十九年度に都市づくりのグランドデザインを策定したけれども、被災した場合の二〇四〇年に目指すべき姿と被災していない場合の目指すべき姿はイコールではなくて、被災した場合には、今ある都市づくりのグランドデザインよりももっと先を行くような将来像が震災復興グランドデザインに描かれてもよいのではないかという問題提起があったかと、議事録で確認をいたしました。
これに対して、基本的に、被災した場合も被災していない場合も目指すべき姿はイコールだというのが都の考え方だと理解をしているわけでありますが、それであるならば、平時のうちから区域マス等やマニュアルに、考え得る想定を盛り込むべきではないかと考えてしまうところであります。
先ほど都技監も、想定外を想定するということをおっしゃられました。想定に政策の執行が追いつかないということはあるかもしれませんが、想定を超える、想定外をつくるということはあってはいけないんだということを改めて都技監のご答弁を聞いて感じたところでありますけれども、言葉尻を捉えるつもりは全くありませんけれども、例えば甚大な被害へとつながる可能性のある震災と大型台風という複合型災害しかり、あらゆる事態を想定すべきということを述べさせていただきたいと思います。
ただ、さまざま起こり得る事象に対して、計画やマニュアルを固定化せずに柔軟に対応していくという趣旨が重要な点であるというところは理解をするところであります。そのことも申し上げておきたいと思います。
次に、大都市東京における復興の連携のあり方について、どのように取り組んでいくのか伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の基本方針等では、他分野の復興との連携としまして、住宅の復興との連携、産業の復興との連携を示しております。
住宅の復興との連携につきましては、近年の大災害からの復興では、早期に住民の生活の安定確保を図る必要がありまして、復興住宅政策の果たす役割の大きさが確認されたため、被災後の住宅の供給、復興が適切に図られるように、住宅の復興と連携して進めるとしております。
産業の復興との連携につきましては、被災後早期に住民の生活の安定確保を図るため、また世界中の人から選択される都市を実現するためにも、産業を迅速に復旧、復興することが求められます。そのため、産業の復興との連携、調整を図りながら進めていくとしております。
こうした方針を踏まえまして、都市の事前復興におきましても、住宅分野や産業分野との連携を図りながら取り組んでまいります。
○たきぐち委員 連携以外にも、首都東京の特性を踏まえて都市復興を進めていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の基本方針等では、世界有数の大都市圏である首都圏と、その中核となる東京が、今後も都市としての繁栄を続けるとともに、あらゆる人が活躍、挑戦でき、豊かで安定、充実した生活ができるよう、都市復興の理念としまして、世界中の人から選択される都市を目指すことや、長期的な観点から、最先端技術も活用しながらESGの概念を取り入れて都市づくりを進めることによりまして、持続的な発展を遂げる都市を目指すことなどを理念として示しております。
また、首都東京の国際競争力を維持、発展させていくことが必要であるため、都市復興の諸事業をできるだけ短期間に実現することを基本としております。
○たきぐち委員 兵庫県立大学の減災復興政策研究の室崎教授は、災害復興に関する論文の中で、復興とは、旧態に戻す復旧とは区別され、従前よりも質の高い状態にすることが大事であって、復興の戦略として、都市、住宅、福祉、経済、教育など、多様な復興の課題の遂行をいかに連関させて効果的に復興を図るかが課題と述べられております。
先ほど来、滝田委員からも話がありましたけど、釜石市に訪問した際に、復興公営住宅の整備状況や入居状況、また核となる商業施設や飲食店街の復興の様子などを視察いたしまして、住宅の復興、産業の復興との連携の一端を確認することができました。
もちろん、地方都市と世界有数の大都市圏である東京とは同一ではありませんので、首都圏、東京圏全体としての復興方針を検討していくことが重要だと考えます。答弁いただいた理念に実効性を持たせるべく取り組んでいただきたいと思います。
首都東京の国際競争力を維持発展させていくためには、都市復興の諸事業をできるだけ短期間に実現することを基本としています。迅速な復興を実現するためには、さまざまな被災現場をイメージしたマニュアルの策定、それに基づいた訓練による復興手順の熟度の向上に加えて、区市町村による地区計画の事前策定や地籍調査の事前実施などを進めることが重要だと考えます。過去の大災害を見ても、とりわけ地籍調査の進捗状況が復興の期間の長短に影響しているケースもあるやに聞いております。
そこで、都市復興を迅速に進めるための鍵となる地籍調査の現在の実施状況を伺います。また、財政支援を強化するなど区市町村の取り組みを促すべきと考えますが、見解を伺います。
○小野都市づくり政策部長 地籍調査は、土地の境界や権利関係を明確にし、災害後の迅速な復興やまちづくりの推進を図る上で重要であり、都内では、島しょ地域を除き、区市町村が主体となって事業を実施しております。
現在、四十一の区市町村が事業に着手しておりますが、平成三十年三月現在、全国の約五二%の進捗率に対し、土地が細分化され権利関係もふくそう化している都におきましては約二三%にとどまっております。
このため、都は、国と連携し財政支援を実施しますとともに、一筆ごとの境界確認にかわり、道路など官民の境界で囲まれた街区単位で先行させるなど、東京の実情を踏まえた事業実施を促しているところでございます。
今後とも、財政支援の拡充を国に要望しますとともに、区市町村を対象とした技術力向上のための講習会の開催や、担当者会議等の場を通じて調査の促進を働きかけるなど、地籍調査のより一層の推進に努めてまいります。
○たきぐち委員 区市町村の取り組み状況はまちまちであるということも確認をしております。
実は、区部におきましては、私の地元の荒川区、けいの委員の地元でもありますけれども、荒川区の進捗状況が最も低くなっておりまして、これは、従前より区道の区域調査を先行して独自に実施していたという事情もあるようでありまして、今後地籍調査を進めていくという意向は聞いております。
いずれにせよ、復興のスピードにかかわるこの地籍調査の都の進捗率が全国と比べて低い状況にある中で、財政支援とともに、都の実情を踏まえた事業実施を促進していただきたいと思います。
最後になります。
今回の基本方針等は、被災後の都市復興にかかわる計画作成の方向性を示したものと考えます。被災後に基本方針等を効果的に活用できるようにするためには、平時から基本方針等を用い、さまざまな被害を想定して都市復興にかかわる計画作成等の図上訓練を行うことが有効と考えますが、見解を伺います。
○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回の基本方針等に基づき、あらかじめさまざまな被害を想定して都市復興にかかわる計画作成等の図上訓練を行うことは、迅速かつ計画的な都市復興につながるものと考えております。
都は、平成二十九年度から、都職員向けに首都直下地震等の被災後に都が作成することになっています東京都都市復興基本方針や、東京都都市復興基本計画骨子案を作成する図上訓練を行っています。
今後の訓練におきましては、今回の基本方針等に基づきまして、復興基本方針や計画の作成をしていくこととなります。
区市町村に対しましても、都が行う訓練への参加を受け入れるとともに、今後、今回の基本方針等に基づき、区市町村復興基本方針や区市町村復興基本計画骨子案などを作成する図上訓練の実施を促してまいります。
○たきぐち委員 この図上訓練というのは、平成十年から、都が主導して都市復興図上訓練を実施されてきたわけであります。これは、復興マニュアルに基づいて、区市町村職員の震災復興手順の熟度を上げること、また復興プロセスにおける都と区の連携強化を図るべく実効性を高めることなどが目的だと認識をしております。
この復興プロセスというのは、先ほども質疑の中で安部部長から細かく説明がありましたけれども、復興初動体制から復興事業の推進までの五段階の中で、家屋被害概況調査から都市復興基本方針の策定、第一次建築制限や復興地区区分の設定、都市復興基本計画、復興まちづくり計画の策定までを目標としているものだと思います。
こうした従前の訓練を現実的な想定に基づいて改善をして、そしてブラッシュアップをされて、今ご答弁があった都職員向けの図上訓練の実施につながったものと、私はそう考えているところであります。一番重要なのは、やはり都と区の連携の深化をどこまでできるかというところかと思います。
先ほど都技監から、区市町村の職員のまちづくりの技術を高めていく、巻き込むというお話がありました。この平成十年から行われている図上訓練を、代表質問の中でも都市復興に関する図上訓練を充実させるという答弁がありましたので、区市町村を巻き込んで、今のご答弁ですと、区市町村に対しても都が行う訓練への参加を受け入れるとともにということで、余り積極的でないようなご答弁でしたけれども、ぜひ区市町村の職員を巻き込んで、この図上訓練を現実的で実効性のあるものにしていただきたいとお願いをしたいと思います。
私自身、東日本大震災直後の釜石、気仙沼、石巻、仙台、塩竈など、何度も被災地を訪問いたしました。昨年、倉敷市の真備町にも行きまして、水害による被害の甚大さも確認をしてまいりました。阪神・淡路大震災については、その被災現場を見ることはできませんでしたが、先ほど宮瀬委員が行かれたという神戸の、人と防災未来センターには行ってまいりました。
こうしたさまざまな教訓を生かしながら、今後のスケジュールについては、先ほどもお話がありましたけれども、区域マスの改定、そして次には復興マニュアルを修正していく、そして基本方針を活用した図上訓練を実施していくということで進めていくんだろうと思いますけれども、過去の大災害からいかに被災のイメージを持つことが重要だというふうに考えております。
ぜひ、今回の基本方針の作成を受けまして、都市整備局として、局横断的な情報、意識の共有も図りながら、マニュアルについては総務委員会が所管になりますので、局横断的な意識の共有も図りながら、首都東京の迅速で計画的な都市復興計画、そして事前復興に結びつけていくことを期待いたしまして、質問を終わります。
○本橋委員長 一通りご発言が終わりました。
お諮りさせていただきます。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○本橋委員長 異議なしと認め、都市復興の理念、目標及び基本方針(案)についてに対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十九分散会
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