委員長 | 本橋ひろたか君 |
副委員長 | 森澤 恭子君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 中山 信行君 |
理事 | 神林 茂君 |
理事 | 伊藤 ゆう君 |
けいの信一君 | |
滝田やすひこ君 | |
宮瀬 英治君 | |
佐野いくお君 | |
高橋 信博君 | |
たきぐち学君 | |
荒木ちはる君 | |
曽根はじめ君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長技監兼務 | 佐藤 伸朗君 |
次長 | 小泉 健君 | |
技監 | 上野 雄一君 | |
理事 | 今村 保雄君 | |
理事 | 中島 高志君 | |
総務部長 | 桜井 政人君 | |
都市づくり政策部長 | 久保田浩二君 | |
住宅政策推進部長 | 佐々木秀之君 | |
都市基盤部長 | 荒井 俊之君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 山下 幸俊君 | |
市街地建築部長 | 青柳 一彦君 | |
都営住宅経営部長 | 佐藤 千佳君 | |
基地対策部長 | 高原 俊幸君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
連絡調整担当部長 | 土屋 太郎君 | |
担当部長 | 小口 新吾君 | |
まちづくり推進担当部長 | 吉野 敏郎君 | |
まちづくり調整担当部長 | 木村 宣代君 | |
景観・プロジェクト担当部長 | 山崎 弘人君 | |
住宅政策担当部長 | 澁谷 浩一君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 栗谷川哲雄君 | |
交通政策担当部長 | 森 高志君 | |
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 | 新谷 景一君 | |
防災都市づくり担当部長 | 安部 文洋君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 松崎 浩一君 | |
局務担当部長 | 齊藤 敏君 | |
耐震化推進担当部長 | 青木 成昭君 | |
経営改革担当部長 | 八嶋 吉人君 | |
再編利活用推進担当部長 | 中山 衛君 | |
建設推進担当部長 | 妹尾 高行君 | |
営繕担当部長 | 村居 秀彦君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 宮城 俊弥君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備局所管分
・第十二号議案 平成三十一年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 平成三十一年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 平成三十一年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 平成三十一年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十号議案 平成三十一年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十六号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例
・第五十八号議案 東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例の一部を改正する条例
・第九十八号議案 高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京における土地利用に関する基本方針について
・東京都住宅政策審議会中間のまとめについて
○本橋委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
○神林委員 この際、小島敏郎元市場問題プロジェクトチーム座長及び市場関係者を本委員会に参考人として招致を求める動議を提出いたします。
これより理由をお話しさせていただきます。
初めに、本日の理事会において提案した当委員会への参考人招致に関する動議について申し述べます。
築地市場跡地の有償所管がえについては、三月六日に平成三十年度最終補正予算の中で中途議決がされました。これにより、築地跡地は市場用地ではなくなること、かつ築地に市場はつくらないことが確定いたしました。
今後、当委員会では当該用地を活用したまちづくりについて審議をしていくことになりますが、今回の所管がえをめぐっては、市場責任者である小池知事に対し、都民から強い不信感と厳しい批判の声が上がっております。
そして、三月十三日の予算特別委員会で明らかになったように、ここまで事態がこじれたのは、当時東京都顧問として、市場関係者の方々に、築地に市場をつくる、豊洲は物流拠点であるなどと説明していた現都民ファースト都議団事務総長、小島敏郎氏の言動が大きく影響していたことが判明いたしました。
本問題の核心を明らかにし、築地まちづくりそのものに強い疑念を抱いている都民や事業者の皆さんの疑問を払拭し、本委員会に求められる責務を果たしていくためには、小島敏郎氏及び市場関係者を参考人として招致し、真相を解明することが求められております。
これに対し、都民ファーストの会からは、市場問題PTの座長であった小島顧問の考えは本PTの報告書に記載されているとおりであり、参考人招致は必要ないという主張でございました。これは全く的外れであり、疑惑隠しのいい逃れといっても過言ではありません。
そもそも小島氏の言動が市場関係者の皆さんに大きな誤解と混乱を与えたのは、平成二十九年七月十八日に東卸会館で、小島氏みずから出向いて説明した内容そのものであります。これは、市場問題PTとは全く関係のない小島氏個人としての見解や構想を述べたものであり、これが都民や市場関係者へ大きな誤解と混乱を生じさせた元凶であることは明らかであります。
よって、小島氏本人を参考人として招致し、このときの発言の趣旨や根拠などを都民の前につまびらかにすべきであること、また、築地まちづくりに関する質疑を本委員会でこれから進めていくに当たり、築地市場で長年にわたって市場業務を営んできて、小島氏の発言により今日まで翻弄された市場関係者の意見や主張も聞くべきであると考え、動議を提出したものであります。
最後に、これは総括的になりますが、小池知事が、就任以来、オリンピック・パラリンピックの候補用地も入札制度もそうでしたように、知事の思いつきや選挙目当てのパフォーマンスによって多くの関係者に多大な迷惑をかけ、都民に莫大な税金による損失を与えてしまいました。
東京都における都民に向けた多くの各施策については一定の理解はできるものの、今回のような築地から豊洲市場への移転、そして築地再開発に向けた一連の施策には、目に見えて思いつきや選挙目当てのパフォーマンスによる過ちが露見しております。理事者の皆さんも、与党の皆さんも、役目柄、知事をかばおうという気持ちは理解できないわけではありませんが、しかしながら、何でもかんでも盲目的に多数決の横暴で議決してしまおうというのは、独裁主義と何ら変わりがありません。
正しいことは正しいでいいのです。でも、今回のように、都民から見てどう見ても間違ったことに、その調査活動すら、数の力だけで強引に議決して何もさせないということが、本当に許されてよいのでしょうか。委員の皆様の賢明なる判断をご期待しております。
以上でございます。
○本橋委員長 ただいま神林理事から小島敏郎元市場問題プロジェクトチーム座長及び市場関係者を本委員会に参考人として招致を求める動議が提出されました。
この際、発言の申し出がございますので、これを許可いたします。
○和泉委員 今回、本委員会には築地まちづくり方針の素案が報告をされています。その内容は、一昨年六月二十日に知事が発表した基本方針とは大きく隔たりがあるものです。多くの都民、市場関係者の皆さんや築地女将さん会の皆さん、また新聞や各種メディアも方向転換であると指摘しています。
この間の質疑を通じて、今や基本方針と築地まちづくり方針素案が、その内容において別のものであることは誰の目にも明らかです。しかし、知事は、大きな考え方、方向性は変わっていないといい続けています。
今定例会がこの築地問題をめぐって紛糾し、いまだ混乱が続いているのは、この問題が知事の基本的な政治姿勢にも大きくかかわる問題だからです。
よって、日本共産党都議団は、知事が発表した市場問題プロジェクトチームの座長であり、勉強会で市場関係者に基本方針の説明に当たった小島氏に、基本方針の真意を確認し、発言したとされる内容の真偽について確認することなく、この問題、そして混乱の解決をすることはできないと考えます。
議会が、少数意見も含め、それぞれの立場、考えを尊重しつつ、議論を深め、都民の負託に応える、このことこそが私たちの責任だということは、本委員会の委員だけでなく、全ての都議会議員が共通してその胸のうちにしっかりと持っていると承知しています。
この重要な問題でも議論を十分に深めることが重要との立場から、参考人招致の動議に賛成いたします。
○宮瀬委員 ただいまの動議でございますが、市場関係者を本委員会に参考人として招致することは、予算審議や事実確認のために、大いに賛成するところであります。
一方、皆さんで議論の上、小島敏郎氏を呼ぶことになるのはよいことだと感じておりますが、このたびの動議は、この都市整備にいきなり小島敏郎氏を指定でお呼びすることに対しては慎重な対応が求められることから、反対をさせていただきます。
なお、小島敏郎氏をかばうといったことではないので、そのことは一言申し上げておきます。
以上です。
○森澤委員 築地まちづくり素案に対する調査を深めたいという趣旨は、理解はするものの、来年度予算を審議するに当たっては、代表質問、一般質問、予算特別委員会、本委員会における質疑で十分であると無所属東京みらいは考えるものです。
加えて、現在、小島敏郎氏は都民ファーストの会東京都議団の事務総長を務められていらっしゃいますが、その都民ファーストの会東京都議団から、小島氏の考えはプロジェクトチームの報告書以上でも以下でもなく、小島氏への追及は適当ではなく、その責任は任命権者である知事が負うべきというお話もありました。であるならば、小島氏を招致することは適当ではなく、小池知事を招致すべきとの議論が出てくるかと存じます。
しかし、私どもは、経済・港湾委員会における小池知事との一問一答を通じて一定の理解と納得をしたことから、補正予算にも賛成をしたところであり、本定例会においてさらなる質疑を求めるものではありません。
最後に、築地市場跡地については、これから十年以上の長期的なスパンでまちづくりを進めていくものであり、お話のあった方々を初めさまざまなステークホルダーのご意見に真摯に耳を傾けていただくことを要望いたします。
動議には賛成をいたしません。反対です。
○本橋委員長 それぞれ発言がただいま終了いたしました。
早速ですが、これより採決を行いたいと存じます。
神林理事の動議に賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕
○本橋委員長 起立少数と認めます。よって、神林理事の動議はただいま否決されました。
○本橋委員長 それでは次に、予算の調査について申し上げます。
平成三十一年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長より調査依頼がございました。
公文の写しはお手元にご配布してございます。
朗読は省略いたします。
平成三十一年三月十四日
東京都議会議長 尾崎 大介
都市整備委員長 本橋ひろたか殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(水)午後五時
(別紙1)
都市整備委員会
第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 都市整備委員会所管分
第十二号議案 平成三十一年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三号議案 平成三十一年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四号議案 平成三十一年度東京都都市開発資金会計予算
第十七号議案 平成三十一年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十号議案 平成三十一年度東京都都市再開発事業会計予算
(別紙2省略)
○本橋委員長 本日は、お手元ご配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑をそれぞれ行いたいと存じます。
これより都市整備局関係に入らせていただきます。
第一号議案、平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案、第二十号議案、第五十六号議案から第五十八号議案まで、第九十八号議案及び報告事項、東京における土地利用に関する基本方針について外一件を一括して議題といたしたいと存じます。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取してございます。
その際要求いたしました資料は、お手元にご配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○桜井総務部長 二月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
初めに訂正をさせていただきます。表紙に平成三十年三月十八日と記載がございますが、大変申しわけございませんが、平成三十一年三月十八日の誤りでございます。申しわけございませんでした。
続きまして、お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。資料は八件でございます。
一ページをお開き願います。1、住宅関係当初予算額の十年間の推移でございます。
一般会計、特別会計の別に、平成二十二年度から平成三十一年度まで年度別の当初予算額を記載してございます。
二ページをごらんください。2、都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績でございます。
都営住宅、公社住宅の別に、平成二十年度から平成二十九年度まで年度別の建設戸数を記載してございます。
三ページをお開き願います。3、首都高速道路に対する出資金・貸付金の推移(過去十年間)でございます。平成二十年度から平成二十九年度までの出資金及び貸付金について年度別に記載してございます。
四ページをごらんください。4、都及び区市町村が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧でございます。
(1)の耐震診断につきましては、四ページから一〇ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額または補助対象限度額、補助率を記載してございます。
また、(2)耐震改修につきましては、一一ページから一九ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額、補助対象限度額または融資限度額、補助率または利子補給率を記載してございます。
二〇ページをお開きください。5、都が支援する区市町村の耐震化促進普及啓発活動事業一覧でございます。
二〇ページから二二ページにかけまして、今年度都の助成対象事業となっている区市町村の普及啓発事業を、緊急輸送道路沿道建築物を対象とした事業とその他の事業の別に記載しております。
二三ページをごらんください。6、生産緑地地区の区市別面積(過去五年間)でございます。
平成二十六年度から平成三十年度までの区市別の生産緑地地区の面積を記載してございます。
二四ページをお開きください。7、都内区市のマンション管理条例(又は要綱)と都条例(案)との比較でございます。
都内区市のマンション管理条例または要綱と都条例案の名称、制度開始年月、対象、管理状況届け出または登録制度の有無等を記載してございます。
二五ページをお開きください。8、高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例改正に当たっての障害者団体、宿泊施設関係者、設備メーカーの主な意見等でございます。
条例改正に当たって障害者団体、宿泊施設関係者及び設備メーカーと意見交換を行った際の主な意見等を記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○本橋委員長 ただいま説明が終了いたしました。
これより、ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
それでは、発言を順次お願いいたします。
○たきぐち委員 それでは、私から、条例案三件を中心に伺ってまいりたいと思います。
初めに、第五十七号議案、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例について伺います。
マンションの建物自体をハードとすると、管理体制はソフトといえ、ハードを適切に管理するソフトがあって初めて、良好なマンションストック、良好な居住環境が整備できます。
昨年九月の都市整備委員会で、検討会の中間まとめについての質疑が行われましたので、マンション管理を取り巻く環境について詳細に言及はいたしませんが、国が実施したマンション総合調査によりますと、マンションに永住するつもりがある人が、平成五年の三一%から平成二十五年には五二・四%までふえるなど、永住意識が年々高まっており、マンションの適正管理を促進して管理不全を予防することが、都民生活の安定及び市街地環境の向上を図る上で重要な課題となっていると認識をしております。
マンションの基本法であります建物の区分所有等に関する法律は、昭和三十七年に制定をされましたが、今回、東京都から提示された条例案は、区分所有法が改正された昭和五十八年以前に建築された六戸以上の分譲マンションを対象に、一定事項の報告を求めることとしており、届け出情報はデータベースに蓄積すること等を内容としております。
今回の取り組みを、老朽化マンション対策のみならず、今後増加が見込まれる空き住戸対策として、魅力的な中古市場の形成につなげていくことも重要だと考えます。
条例制定によって、例えば、都に届け出をしたことに対して、新たに整備するデータベースを活用し、管理不全のおそれのある中古マンションの管理の適正化を図ることによって資産価値を向上させ、中古市場を活性化する流れにつなげるなど、届け出制度を活用する視点も重要と考えますが、見解を伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 管理状況の届け出制度は、昭和五十八年以前に建築された戸数六戸以上のマンションを対象として、把握した管理状況に応じた助言、支援等を実施することで、管理組合の機能を強化し、管理不全の予防を図るものでございます。
都は、管理組合の負担を軽減するため、オンラインにより届け出できるよう、データベースを構築いたします。届け出情報はこのデータベースに蓄積し、区市町村と共有して、管理組合の個別の状況に応じて助言、支援を行うほか、電子メールを活用した支援制度などの迅速的確な周知等に活用いたします。
こうした取り組みを通じて、適正な管理や維持、修繕等を促進し、良質なマンションストックの形成を図ることで、既存マンションの流通市場の活性化にもつなげてまいります。
○たきぐち委員 都として積極的にデータベースを活用していくということだと思います。第三条四項の規定では、データベースに記録したマンションの管理状況その他の情報について、都は、区市町村に提供するとともに、区市町村に対しても提供の協力を求めることができるとしています。
このため、新たに整備されるデータベースが有効に活用されるためにも、都と区市町村の連携は不可欠であり、しっかりと共有して進めていただきたいと思います。
次に、都と区市町村との関係について、既に同様の条例を制定している区との関係について伺います。
昨年の委員会で、我が会派の木下委員から、既に先行してマンションの適正な管理の促進に関する条例を制定している豊島、墨田、板橋の三区との調整状況について質問があり、都からは、二重の届け出義務が生じることを避ける必要があるという答弁がありました。
条例案の第二十一条は、区市町村の条例との関係等を規定する内容となっておりますけれども、この規定によって、先行三区の条例とどのように調整されるのか伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 豊島区、墨田区、板橋区の三区は、都の条例案と同様の条例を既に制定しており、都条例の施行に当たっては、三区との調整が必要でございます。
このため、有識者による検討会での議論や三区との意見交換を踏まえ、第二十一条の調整規定を整備したものでございます。
具体的には、当該区においては、都条例の管理状況の届け出に関する第十五条から第十八条までの規定は適用を除外することを原則とした上で、当該区がその地域の実情に応じて、区の申し出により、都条例の適用を受けることができるようにしております。
これにより、管理組合には都と区への二重の届け出義務が生じることはございません。
○たきぐち委員 先行三区に立地するマンションの管理組合には、二重の届け出義務が生じないということがわかりました。
こうした調整規定を設けることによって、都より先行して取り組んでいる区の条例にも配慮することについては、都と区市町村との関係においても区の自主的な取り組みは尊重されるべきであるとする点からも、評価をしたいと思います。
マンションの適正な管理に取り組むには、法律、技術などの専門的な知識が不可欠であって、近年はその専門性が増しているところであります。この状況を踏まえれば、条例を施行するに当たって、管理組合への支援策において、マンション管理士などの民間の専門家を積極的に活用することが必要と考えますが、見解を伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、専門家の活用策として、管理組合の求めに応じてマンション管理士や建築士を派遣する管理アドバイザー制度、弁護士や建築士による専門相談、専門家の団体との共催によるセミナーなどを実施してまいりました。
建物の老朽化と居住者の高齢化が進行する中、都は、区市町村と協力しながら、より一層積極的に管理組合の機能強化を図る必要がございます。
そのため、今回の条例案では、管理状況の届け出を義務化し、それにより把握した状況に応じて、きめ細かく助言や支援等が行えるようにしたものでございます。
助言、支援には専門的な知識が不可欠であり、また、管理不全の兆候があるマンションに対しては、その改善に向けて、継続的な支援が必要でございます。
都は、区市町村と協力し、マンション管理士を初め建築士、弁護士など専門家と連携しながら、施策を積極的に推進してまいります。
○たきぐち委員 さまざまな専門家とも連携しながら、管理不全の予防に向けて、万全の体制で取り組んでいただきたいと思います。
今回の条例による届け出制度は、来年四月からのスタートとなりますけれども、都と区市町村が適切に役割分担をすることで、管理状況に応じた助言、支援等を行っていくことが重要であります。
十分に調整を図りながら、都によるマンションの適正管理の取り組みがこれまでよりも前進することを期待いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
第五十八号議案、東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例の一部を改正する条例に関連して伺います。
まず初めに、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率について、特定緊急輸送道路と一般緊急輸送道路のそれぞれを確認いたします。
○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率は、平成三十年十二月末時点で八四・八%でございます。一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率は、耐震改修促進計画の改定時に推計しておりまして、平成二十七年三月末時点で七九・七%でございます。
○たきぐち委員 特定緊急輸送道路が八四・八%、一般緊急輸送道路が推計で七九・七%ということでありました。特定緊急輸送道路については半年ごとに数値が発表されておりまして、ここ三年間で四ポイント弱上昇しているという状況かと思います。
これまでの取り組み、ローラー作戦、個別訪問を行ったり、ヒアリングを実施したり、細かな実態把握に努められてきたことに敬意を表したいと思いますが、来年度までに九〇%という目標というのは、数字だけを見るとなかなか難しい状況かなというふうに感じるところであります。
今回の条例改正案には、占有者の責務を明記したほか、所有者の占有者に対する通知及び協力依頼の努力義務、さらに、都が占有者への助言や協力について指導等ができるよう新たな項目が設けられたところでありますが、この改正による効果について伺います。
○青木耐震化推進担当部長 建物の耐震化は所有者が行うものであることから、条例は専ら所有者の取り組みを促す規定を定めておりました。しかし、沿道建築物にはテナントビルも多く、これまでの調査によりますと、賃借人との合意形成が耐震化を進めるに当たっての課題となっております。
こうした状況などを踏まえまして、今回の条例改正により、新たに占有者の責務などを規定し、占有者の協力を得やすい環境を整備することで、これまで進みにくかったテナントビルなどの耐震化が進みやすくなると考えております。
○たきぐち委員 沿道建築物には、個人住宅や自己所有の事務所、分譲マンションのほか、今ご答弁がありましたとおり賃貸マンションや賃貸の事務所、店舗など、さまざまな建物用途があろうかと思います。
このうち賃貸建築物については、賃借人や区分所有者との合意形成の困難さが耐震化を進める上での課題となっておりまして、都の意向調査によりますと、賃貸建築物の約四九%、賃貸事務所、店舗の約四七%が、合意形成の困難さが障害になっていると回答しているところでもあります。
耐震化は、今ご答弁がありましたとおり、原則として建物所有者が行うものでありますけれども、賃貸建築物の場合は、占有者の協力なくして実施することはできないわけであります。
しかし、借地借家法によりますとテナントを含む賃借人保護が最優先とされており、また本来は民民の関係であるところに、今回都が、テナントや賃借人など占有者からの協力を引き出すことができるよう規定したことは、重要なステップだと考えております。
ただ、耐震化の必要性を理解したとしても、占有者、テナント等が耐震工事中に仮移転をしたり補強工事をすることによって店舗機能を維持することができない場合には、別の場所への移転が避けられない事態が生じることも想定されるわけでございます。
この場合、移転にかかわる必要経費などを支援することによって、耐震工事を促していくことも必要だと考えますが、見解を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 昨年度実施した学識経験者などから成る耐震化促進検討委員会から、占有者の移転費用等に対する支援についての仕組みを検討すべきとの提言を受けております。
この点につきましては、既に占有者が移転している場合などとの公平性にも留意する必要があるため、どのような支援が可能か、さまざまな観点から検討を進める必要があると考えております。
○たきぐち委員 長期契約のテナントも多く、耐震化による営業停止が致命的で現実的ではないといったような声に対して、どのような対応策がとれるか、今、公平性という観点のお話もありましたけれども、ぜひ検討を進めていただきたいというふうに思います。
耐震改修促進法等では、旧耐震基準の建物の耐震指標の判定基準をIs値〇・六以上としています。加えて、建物の形状や累積強度からも判断されるわけでございます。
しかし、実際にIs値〇・六までの補強が困難な建物もあると聞きます。
こうした場合、Is値〇・三未満の建物を解消することを最優先の目的とし、まずは〇・三以上に補強して、その後〇・六以上を目指していくといったように、段階的に改修を進めることによって倒壊リスクを減らすことも重要だと考えますが、見解を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 先ほど申し上げました検討委員会の報告書では、段階的な耐震改修について、建物倒壊によって道路が閉塞する確率を低減できることから、震災時における緊急輸送道路の一定の機能を確保する上で有効であるとされております。
これを踏まえまして、耐震化の取り組みの加速に向けて、区市町村とも調整しながら、段階的な耐震改修も促進してまいります。
○たきぐち委員 現在でも、都としては段階的な改修を認めていて、最初の改修で〇・六に行かなくても最終的に〇・六までやるという条件であれば、助成金を出すということになっているけれども、区市町村が制度化しているところが少ないといった現状がネックになっているということが、今ご答弁がありましたその検討委員会の中でも、そういった議論がなされているのを確認いたしました。
最初の計画段階で工程表を作成することによって、段階的な改修を促進していけるように、区市町村との連携を強化していただきたいと思います。
この検討委員会につきましては、昨年の三月まで一年二カ月、七回にわたって開催をされ、さまざまな観点から議論がなされたようであります。当該事業の目的は、緊急輸送道路沿道の建物等が倒壊しないようにすることでありますけれども、耐震改修に視点が置かれ過ぎているのではないか、つまり、建てかえや売却という選択肢をあわせて示していくべきで、その際沿道建築物全体に容積率緩和ができないかという問題提起もあったかと思います。
先ほど合意形成の難しさが障害になっていると言及いたしましたが、コスト負担の大きさというのが一番の課題であることから、建築士を中心とした耐震化の専門家だけではなく、ファイナンシャルプランナーや弁護士などの活用を図って、アドバイザー制度を充実させることで、今後の取り組みを加速させていただきたいと要望をいたします。
東京都耐震改修促進計画は、平成十九年に策定をされ、直近では平成二十八年に改定をされました。社会情勢の変化や計画の実施状況に合わせて、おおむね三年ごとに検証を行い、必要に応じて改定すると定められております。
現在の計画から三年目を迎えるに当たって、東京都耐震改修促進計画の改定に向けて新たに検討委員会を設置するということでありますが、その目的について伺います。
○青木耐震化推進担当部長 都は、耐震化のさらなる促進のため、建物所有者への個別訪問などこれまでの取り組みに加え、条例改正を踏まえて占有者への働きかけを強化するほか、段階的改修も促進してまいります。こうした耐震化の加速策を効果的に推進するため、東京都耐震改修促進計画を見直すこととしております。
その際、緊急輸送道路の通行機能確保の観点から、これまでの取り組みの達成状況等を検証するため、都市防災などの学識経験者から成る検討委員会を設置いたします。
○たきぐち委員 来年度までの目標達成がなかなか難しいという状況の中で、都市防災の観点からどのような目標設定をされるのか、これまでの議論を踏まえた上で取り組んでいただきたいと思います。
緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進事業が新規に予算化されたのが平成二十年度であります。
前回の委員会で、平成三十年度予算についての減額補正の議案について質疑がなされたところであります。耐震改修促進事業全体の当初予算九十四億三千二十四万円に対して、六十四億六千五百万円の減額でありました。
三十一年度の予算、これは緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進事業の予算でありますけれども、六十七億九千万円を計上しておりますけれども、予算についての考え方を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 平成三十一年度予算の計上に当たっては、決算や事業の進捗状況、区市町村ヒアリングなどを踏まえ、実効性のさらなる向上を図り、真に必要と見込まれる額を計上しております。
○たきぐち委員 必要と見込まれる額を計上されているということでありますが、平成二十年度に四億四千八百六十万円の新規予算が計上されてから、この十一年間で七回減額補正がされているわけであります。予算規模は、東日本大震災後の二〇一二年、平成二十四年度から、百億円を超える予算となったわけでありますけれども、執行率は補正を考慮しなければ、補正を考慮しなければというのは予算に対する決算額の比率ということも踏まえて申し上げると、おおむね三〇%前後、十数%から四〇%ぐらいというのが毎年の実態であろうかと思います。執行額が最大だったのは二十七年度の五十億円余ということかと思います。
昨年度も、森口委員の方からこの減額理由を伺って、合意形成などに時間がかかり、多くの建築物で改修などに結びつかなかったことによる執行見込みのない予算を減額したということでありました。
冒頭に、一般緊急輸送道路の耐震化率についても伺ったところでありますけれども、自衛隊や警察、消防機関、災害拠点病院や災害拠点連携病院など医療機関などへの輸送経路の確保も重要でありまして、これらの施設が必ずしも特定緊急輸送道路沿いに立地しているわけではありません。
現状、特定緊急輸送道路と一般緊急輸送道路との沿道建築物に対する耐震化の助成率は異なります。
こうした施設に至る経路確保の重要性と毎年の当該事業の執行率などから鑑みて、一般緊急輸送道路の耐震化を促すための支援拡充を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路は、震災時において、救急救命活動や緊急支援物資の輸送などの大動脈となることから、特に沿道建築物の耐震化を進める必要があり、重点的な取り組みを行うために必要な予算措置を行ってきております。
また、一般緊急輸送道路沿道建築物についても、耐震化を促進するため、建物所有者への啓発や耐震改修等の費用助成、アドバイザー派遣などを行っております。
今後も、引き続き区市町村と連携し、所有者等への働きかけや支援を通じて耐震化を促進してまいります。
○たきぐち委員 仮に一般緊急輸送道路の耐震化の助成率を上げたとしても、特定緊急輸送道路と同様の課題、コストの負担であったりとか合意形成の困難さであったりとか、そういった課題が解決するとはなかなか想定ができないわけであります。
ただ、自己負担が小さくなれば耐震工事を実施したいとする声は少なからず聞いているところでもありますし、建築士の方からも同様の意見は聞くところでございます。
引き続き一般緊急輸送道路の沿道建築物についてもアドバイザー派遣や耐震改修の費用助成を行っていくということでありますけれども、その重要性であったり公平性なども含めて、ぜひ今後、助成率、助成の支援のあり方についても検討していただきたいと要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、第九十八号議案、高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例、建築物バリアフリー条例の一部改正案について伺います。
二〇二〇東京大会を控えると同時に高齢化がますます進む中で、バリアフリー社会の実現に向けた取り組みは社会的要請ともなっております。
また、都では昨年、東京都障害者差別解消条例を成立させ、民間事業者に対しても合理的配慮を義務づけたところであります。
国は一昨年、ホテル又は旅館のバリアフリー客室基準の見直しに関する検討会が設置されました。また、バリアフリー法による床面積二千平米以上かつ客室総数五十室以上のホテルまたは旅館を建築する場合の、車椅子使用者客室の設置数が、政令改正によって、これまでの一室以上から建築する客室総数の一%以上となって、ことし九月一日に施行をされます。
東京都におきましては、床面積一千平米以上の宿泊施設を対象に、車椅子使用者用客室の整備等を進めてきましたけれども、今回、国内で初めて宿泊施設における一般客室の整備基準を条例化するものであります。
先日の我が会派の代表質問、そして一般質問でも取り上げたところでありますが、一般客室まで踏み込んで規定することは、ユニバーサルデザインを広く浸透させる契機ともなり、その取り組みを評価するものであります。
まず、国交省が改正しようとしているガイドライン、また二〇一七年三月に取りまとめられた組織委員会のTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインでは、出入り口や経路幅についてどのような基準となっているのか伺います。
○青柳市街地建築部長 国が現在検討しておりますガイドラインでは、一般客室における望ましい基準といたしまして、客室出入り口の有効幅員を八十センチ以上、浴室等の出入り口幅を原則七十五センチ以上、浴室等の出入り口付近における通路の幅員を百センチ以上とする予定と聞いております。
一方、アクセシビリティ・ガイドラインでは、二つの客室タイプについて基準が示されております。
一つは、さまざまな障害のある人や高齢者が利用可能なアクセシブルルームでございまして、客室及び浴室等の出入り口の推奨基準は九十五センチ以上、経路幅についての規定はございませんが、室内に車椅子の転回、方向転換スペースを設けることとなっております。
もう一つは、アクセシブルルームの要件を全てクリアできなくても、幾つかの整備しやすい対応策を講じることで利用できる車椅子使用者に配慮した客室でございまして、これは主に既存施設の改修による対応を想定しております。この客室の基準は、客室及び浴室等の出入り口とも八十センチ以上とし、経路幅についての規定はございませんが、室内に車椅子の方向転換のためのスペースを設けることとなっております。
○たきぐち委員 それぞれご説明いただきましてありがとうございます。
今回の条例改正案では、客室の出入り口幅八十センチ以上、便所及び浴室等の出入り口幅七十センチ以上と規定したわけでありますけれども、その根拠について伺います。
○青柳市街地建築部長 客室の出入り口幅につきましては、バリアフリー法の政令におきまして、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に出入りするための配慮から、移動等円滑化経路を構成する出入り口を八十センチ以上としており、条例改正案におきましても八十センチ以上としたものでございます。
浴室等の出入り口幅につきましては、車椅子の製品カタログや車椅子メーカーへのヒアリング等を参考に、最低限の基準といたしまして七十センチ以上を規定いたしました。
条例改正案の取りまとめに当たりまして、障害者団体やホテル業界などと意見交換を行い、利用実態等も聞いた上で、パブリックコメントでの意見や国のガイドラインの検討状況等を踏まえまして、浴室等の出入り口幅については、七十センチ以上の最低限の基準に加えまして、望ましい基準として七十五センチ以上の努力規定も設けたものでございます。
○たきぐち委員 昨年十月の規定整備の考え方が発表された後に、障害者団体が二回にわたって実証実験を行って、案の基準では電動車椅子を利用することが難しいということが判明をし、都に対して要望書が出されたと聞いております。
我が会派におきましても障害者団体を交えた協議を行って、都に対して要望を行った結果、便所及び浴室等の出入り口幅の望ましい基準として、今ご答弁いただきましたけれども、七十五センチ以上の努力義務が規定をされたこと、さらに、条例施行後三年以内に、さまざまな状況を勘案して検討を加えることが盛り込まれたことは評価をいたしたいと思います。
客室の出入り口幅は、国のガイドライン案、そしてアクセシビリティ・ガイドラインの車椅子使用者に配慮した客室と同様の、八十センチ以上と規定をしておりますけれども、便所及び浴室等の出入り口幅については、七十センチあればバリアフリー客室としての基準を満たすという誤った認識が広がってしまうのではと団体の方々が懸念を表明されているところであります。
車椅子の製品カタログや車椅子メーカーへのヒアリング等を参考に、最低限の基準として七十センチ以上を規定したということでありました。私もカタログをざっと見させていただいたところ、大柄な方向けの物以外は、その大半が六十から六十七センチぐらいがボリュームゾーンとなっている印象がありました。また、製品の九割以上が六十五センチ以内という状況であることも聞いたところであります。ただ一方で、JIS規格においては、手動車椅子は幅が七十センチ以下、電動車椅子は七十センチ、手動及び電動のISO規格は七十センチとなっておりまして、こうしたことからも、車椅子利用者にとってのこの五センチの違いというのは大きな意味を持つものではないかと考えるところであります。
今回、一般客室の規定をすることで、どのような利用者を想定しているのか伺います。
○青柳市街地建築部長 今回の条例改正は、東京二〇二〇大会に向けまして、法で設置が義務づけられている車椅子使用者が円滑に利用できる客室とは別に、法の義務対象ではない一般客室を対象に、段差の解消や出入り口の幅等に関する基準を設けるなど、早期に宿泊環境を整えていくこととしております。
これによりまして、障害者や高齢者のほか、ベビーカーを使用するお子様連れの方、大きなキャリーバッグを持った旅行者など、より多くの方が一般客室を利用しやすくなると考えております。
○たきぐち委員 バリアフリーを進めることは、障害者や高齢者、ベビーカーの利用者、さらには、インバウンドが増加する中でキャリーバッグを持った方にとっても有効であろうかと思います。
国が実施したホテルのバリアフリー化の現状等に関するアンケート調査によりますと、一般客室の出入り口は、段差なしが九八%、ドアの幅が八〇%以上が五七%であるのに対して、浴室出入り口については、段差ありが七八%、浴室ドアの幅は六十五センチ未満が五七%となっておりまして、客室出入り口についてはさらなる改善が図られると同時に、とりわけ浴室出入り口については段差の解消とドア幅の拡充による利便性向上が図られると期待されるものだと思います。
ただし、車椅子使用者、中でも重度障害者にとっては、車椅子使用者客室、すなわちバリアフリールームでないと使用することはなかなか難しいといえるかと思います。
本来のユニバーサルデザインを目指すのであれば、こうしたことを包含する内容にならなければいけないと考えるところでありますが、将来的な望ましい整備のあり方については、二〇二〇大会の利用状況や社会環境の変化等を勘案しながら検討していくということでありますので、ぜひ、車椅子使用者や有識者など関係者との協議を進めていただきたいと要望をしておきます。
誘導基準に向けての容積率の緩和等を求める我が会派の代表質問に対し、実施する旨の答弁がありましたが、具体的にどのように取り組んでいくのか、実施時期も含めて伺います。
○青柳市街地建築部長 建築基準法には、都道府県等におきまして、バリアフリーに配慮した建築物等について容積率を緩和できる許可制度がございます。
七十五センチ以上の出入り口幅を確保する浴室等を整備する計画に対しましてこの制度を活用できるよう、年度内に許可基準の見直しを行う予定でございます。
○たきぐち委員 年度内に許可基準を見直すということであります。
容積率の緩和に加えて、新築時の補助率拡充などによって、建築主等への支援を強化していただきたいと思います。
最後に、今後、普及啓発をどのように行っていくのか伺います。
○青柳市街地建築部長 許可基準の改正後は、ホテルの建築主などの関係者に説明会やホームページ等を通じまして速やかに周知するなど、活用を促してまいります。
○たきぐち委員 当初示された客室出入り口からの経路幅については、最終的に盛り込まれなかったところであります。都として最低限の基準を示したものが、その基準を満たせば十分だと受け取られることに配慮したものと推察をするところであります。
しかし、二〇二〇大会のレガシーとして、また今後のユニバーサルデザインを基本としたまちづくりを進めるためには、ユニバーサルデザインの意義やCSRを訴えていくことも重要だと考えます。
客室の基準見直しというのは、経営という観点からは困難な、ハードルが高い部分もあろうかと思いますけれども、都市整備局としてでき得る限りの周知をしっかりと行っていただきたいと要望をして、次の質問に移りたいと思います。
最後に、住宅の確保と就労支援について伺います。
障害者やひとり親家庭の保護者、ひきこもりの人たち、刑務所からの出所者など、国内には多くの適切な就労につくことができない人たちがいます。就労困難者を就職に結びつける上で重要な取り組みの一つは、安心して暮らせる住宅が確保されていることだと考えます。
大阪府では、ニート、失業中の若者に府営住宅の部屋を提供する住宅つき就職支援プロジェクトを行い、世田谷区では、児童養護施設の退所者である若者を区営住宅に入居させ、就労支援を行っております。
就労において、誰ひとり取り残さないという国連のSDGsの考えも踏まえ、都においても、就労困難者支援に住居確保を結びつけて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 東京都においては、住宅確保要配慮者の居住の安定の確保のため、住宅セーフティーネット法などに基づき、公的賃貸住宅に加え、民間賃貸住宅を含めた重層的な住宅セーフティーネットの構築を図っております。
その際、入居支援だけでなく、見守りや就労支援などの生活支援も重要となっており、それらを担う居住支援法人を指定し、活動を促進しているところでございます。現在、都が指定する居住支援法人は十六者で、多様な居住支援を展開しており、その多くが就労の支援も行っております。
また、住宅政策審議会の中間のまとめでは、都等において実施している就労支援策と連携し、低収入で住宅に困窮する若年単身者の都営住宅への入居を進め、その充実を図るべきと提言されてございます。
今後も、これらの取り組みを一層促進するなど、住宅確保要配慮者について、就労支援と連携した居住の安定化にも取り組んでまいります。
○たきぐち委員 一昨年、住宅セーフティーネット法の改正に合わせて、住宅確保要配慮者向けの登録制度が始まり、昨年三月に、東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画が策定されたところであります。
しかし、例えばご高齢者が亡くなった後の残地処理をどうするかなどさまざまな課題があって、なかなかマッチングが進まないという状況がある中で、局横断的な取り組みが必要だと、先日の社会福祉審議会でも私から申し上げたところでありますけれども、ご答弁のとおり、入居支援だけではなくて、就労支援などを含めた活動を促進していく居住支援法人の取り組みに期待をしたいと思います。
また、住宅政策審議会の中間まとめにおいても、例えば新卒時に非正規で雇用されてから離職や転職を繰り返し、収入がふえない就職氷河期世代など、住宅に困窮する若年単身者に対しても、都営住宅への入居と就労支援を連携していく必要性が提言をされており、ぜひ、その充実に努めていただきたいと思います。
私自身、保護司をしておりまして、再発防止と就業、居住環境というのは密接なかかわりがありまして、実際、無職の刑務所出所者の再犯率は、仕事がある人と比べて約四倍というデータもあります。
近年、ソーシャルファームという考え方も広まりつつありますけれども、引き続き、就労困難者の支援と住居の安定確保を結びつけて取り組んでいただくことを要望いたしまして、私からの質問を終わります。
○中山委員 私からは、まず最初に、平成三十一年度予算案について質疑をさせていただきます。
その中で、東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度についての取り扱いにつきまして質問させていただきます。
昨年三月の都市整備委員会におきまして、我が党の練馬区選出の小林議員から、東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度について質問をさせていただいて、一昨年の平成二十九年十月に、住宅セーフティーネット法に基づく住宅の登録制度が新たに開始されたことを受け、賃貸住宅への入居に苦慮している都民向けの支援制度で、シニア円滑入居制度と住宅セーフティーネット法に基づく制度との二つが並立する形となっている課題を指摘させていただいたところであります。
その際、小林委員は、高齢者向け住宅の情報提供制度が二重にこのまま存続していくことについては解消されるべきであり、今後、わかりやすく整理していくべきと問題提起をさせていただきました。
その後、セーフティーネット住宅の登録制度につきましては、申請手続の簡素化や手数料の無料化が行われ、今後の進捗を期待したいところでありますが、登録件数の伸びはいまだ安心できる状況ではなく、今後、制度の一層の定着を図るために、あらゆる手だてを講じていくべきと考えるところであります。
そこで、シニア円滑入居賃貸住宅制度をセーフティーネット住宅の登録制度に一元化することによって、制度に関する都民への情報提供手段も一本化していくべきではないかと考えます。
また、その際には、これまでシニア円滑入居賃貸住宅制度に協力をしてくださってきた賃貸住宅のうち可能な限り多くの住宅が、セーフティーネット住宅の登録制度に移行できますよう配慮をしていくべきと考えますが、あわせて見解を求めます。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 高齢者が多様なニーズに応じた居住の場を選択でき、住みなれた地域で安心して暮らせるよう、高齢者の入居を拒まない住宅の情報をわかりやすく提供することは重要でございます。
こうした考えのもと、平成二十二年度から、都は独自の取り組みとして、東京シニア円滑入居賃貸住宅制度を開始し、高齢者の入居を拒まない住宅に関する情報提供を行ってまいりました。
その後、平成二十九年十月からは、新たに国の住宅セーフティーネット制度が創設され、高齢者を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の情報提供を行ってございます。
来年度中には、民間のシニア円滑入居賃貸住宅のうち基準を満たす物件をセーフティーネット住宅の登録制度に移行させ、シニア円滑入居賃貸住宅制度を終了させてまいります。
なお、旧耐震基準の住宅などセーフティーネット住宅の基準に合わない物件につきましては、事業者への個別訪問やパンフレットの活用などにより、改修費補助制度等を積極的にPRし、移行を促してまいります。
あわせて、都のホームページに住宅の概要を一定期間掲載し、情報提供を継続してまいります。
○中山委員 わかりやすく明快なご答弁をありがとうございました。
似通った事業の一本化によります執行体制のスリム化と都民へのPR効果の強化をぜひ今後も推し進めていただきたいというふうに思います。
また、今のご答弁でありましたとおり、現状、耐震基準の点や広さなどの点において、シニア円滑入居賃貸住宅制度の対象にはなっても、住宅セーフティーネット制度の対象にはならない住宅が一部に存在しています。
このままでは、シニア円滑入居制度が廃止されることによりまして、都事業に協力する意欲をせっかく示してきたのに、協力のすべを失う方々も出てきてしまうということになってしまいます。
しかし、打開策がないわけではありません。リフォームによって広さを拡充する、いわゆる二戸一を目指したり、都の補助制度を使って耐震化を図る、または区市町村の制度もあわせて使う、そうしたことも可能でございます。
こうした制度の活用を丁寧に導いていただいて、答弁にありましたように、粘り強くセーフティーネット住宅の登録制度への移行を促す取り組みを進めていくことを改めて要望させていただきましたので、よろしくお願いをいたします。
続きまして、第五十七号議案、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例案について質問をさせていただきます。
我が国では今後、高経年マンションがふえ、老朽化しても建てかえが進まず、空き室化が進んだり、売却価格が極端に下がったり、あるいは買い手がつかないという事態も想定されてまいります。その結果、取り壊しも行われず、果てはスラム化するおそれさえあります。
加えて、高経年マンションの問題は、早期からマンション建設が進んだ都市部、中でも首都東京においてこそ、最も深刻な課題となっているともいえます。したがって、国内では先行事例の少ない課題に、都が全国に先駆けて直面するわけでありまして、周囲の状況を見ながら自分たちの取り組みを調整するとか、あるいは前例踏襲で臨むといったやり方が効かない課題であります。
その結果どうなってしまうかというと、行政体質としては、ともすればそうした問題の先送りが選択されがちになりまして、次の世代への責任を放棄する結果になりかねません。
その点、都は、都議会公明党の提案に応えて、全都道府県で初めてマンション課を設置し、マンション白書も発行し、マンション啓発隊も活動させてまいりました。こうした姿勢は大いに評価したいと思います。
その上で、マンション問題は、規制官庁が法規に従う事務を執行するというだけでは解決できない課題であります。民間の知恵とノウハウを積極的に募るべきであり、断じて癒着に陥るようなことがあってはなりませんけれども、民間の力をよりよく引き出すよう、民間と協力できるための行政体としての体質改善が求められる課題であることをあらかじめ申し上げておきたいと思います。
その上で、マンションをめぐる諸課題の解決に役立つ共通の基盤は、管理組合の活性化、合意形成力の強化という点にあります。
そのため、我が党は、昨年の第四回定例会におきまして、本条例案の趣旨を評価するとともに、第一回定例会での提出、今の提出ですけれども、先駆けて、条例施行の成否を握る鍵は管理組合が実質的には存在していない分譲マンションへの対応にあるとし、その推進を求めたところであります。
条例が成立すれば、二〇二〇年四月から、全国で初めて、管理状況の届け出制度が開始されることになります。しかし、我が党がさきに指摘しましたように、管理組合が機能していないマンションでは、恐らくはこの届け出もなされないでありましょう。こうした管理組合が機能不全状態にあるマンションこそ、建てかえなどに必要な合意形成が進みにくく、公的な支援の必要性が最も高い状況にあるといえます。
そこで、こうした管理不全の兆候があるマンションに対する支援策については、仮に試行的にではあったとしても、急ぎ来年度からでも、専門家による管理機能の強化に向けたアウトリーチ支援などの取り組みを開始すべきと考えますが、見解を求めます。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 今回の条例案では、マンションの管理状況を把握し、管理状況に応じて助言、支援等を行うこととしております。ご指摘の管理組合が実質的に存在しないマンションにつきましては、管理不全に陥る可能性が高いため、その改善に向けて支援していくことが特に重要でございます。
このため、都は来年度から、管理組合が機能していないマンションに対してマンション管理士を継続的に派遣し、管理組合の設立に向けて、規約の作成、総会開催の補助、長期修繕計画作成などを支援するモデル事業を実施いたします。
今回の条例制定を契機に、こうした取り組みを通じて管理不全を予防し、適正な管理を促進するより実効性の高い支援策を講じてまいります。
○中山委員 マンション管理士の派遣を継続して行うモデル事業を来年度から実施するということでありまして、期待したいと思います。
マンション管理士の活動が好意的に受け入れられるためには、親しみやすく、信頼感を醸し出せる接遇上の心がけが重要であると同時に、マンション住民の方々の意欲を効果的に引き出すための魅力ある将来像を、いかにそれぞれのマンションが抱える課題に即して提示できるかという点にあるものと考えます。そのための、マンション管理士への都や国のさまざまな施策に関する情報提供や、研修の充実を求めておきたいと思います。
また、モデル事業の成果を踏まえた本格実施がやがて行われると思いますけれども、その本格実施の際には、より多くのマンションで、居住者あるいは管理組合が気軽に手を挙げることができますように、エントリー的な初期の派遣費用については無料にするべきと改めて提案しておくものであります。よろしくご検討をお願いしたいと思います。
続きまして、第五十八号議案、東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例の一部を改正する条例案について質問します。
特定緊急輸送道路に面する建築物の耐震化は、災害時の建築物の倒壊による交通遮断を防ぐために極めて重要であります。
そのため、都は、高さがおおむね道路幅員の二分の一以上である建築物の耐震化に向けて、我が党の提案などにより、耐震診断は十割、耐震工事費は最大十分の九まで助成する制度を構築し、当面の目標である九〇%まで、今は八〇%台の半ばまでこぎつけております。
しかし、残る未耐震の建築物の多くは、その克服が困難な、深刻な課題に直面しています。
その点、本改正条例案は、建築物をテナントとして占用をする事業者などに当該耐震化条例の内容を説明する義務を建築物の所有者に課すものであり、評価したいと思います。
我が党は、今回の第一回定例会での改正条例案の上程に先立ち、改正の実効性を高めるため、昨年末の第四回定例会の代表質問で、ビル所有者や管理者がテナントなどのビル占有者に説明や周知を行う際の助言、もしくは同行して説明に当たるなどの対策が必要です、急ぎ体制を構築し、条例改正の実効性を高めるべきと提案を行ったところであります。
これに対して佐藤都市整備局長からは、アドバイザー派遣制度を拡充し、専門家が説明の場に同席できるようにするなど、所有者を支援する体制の強化も検討しているとの答弁があったところであります。
そうした質疑を経て、具体的に改正条例案が上程されています。我が党の提案に対する取り組みの進捗状況について見解を求めたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 これまで都は、所有者への働きかけにつきましては、アドバイザーの派遣なども活用して実施してきております。特に、今後派遣するアドバイザーの役割が増しますことから、今年度より、弁護士や金融関連の専門家による法律や資金計画などの講習会を開催することで、アドバイザーの皆さんのスキルアップを図っているところでございます。
お尋ねの体制の強化につきましては、所有者が占有者に適切かつ的確な説明を行い、耐震改修等を円滑に進められますよう、アドバイザー派遣制度を拡充するため、昨年十二月中ですけれども、建築関係団体との協議により派遣協定の運用を変更しまして、専門家が説明の場に同席することを可能とするなど、所有者を支援する体制を整えておるところでございます。
こうした仕組みの充実により、耐震化を促してまいります。
○中山委員 今ご答弁がありましたアドバイザーのスキルアップは極めて重要であります。ぜひ、テナント側の方々にとっても魅力のある提案、関心を呼べる提案を行えるだけのスキルアップをお願いしたいと思います。また、建築物の所有者によるテナントなどの占有者への説明にアドバイザーが同席できるよう、派遣協定の運用を変更するとのことであり、期待したいと思います。
率直な意見交換を行い、場合によっては考え方を変えていただいて説得を試みることになるかもしれない場面に同席するというのは、もしかしたら、アドバイザーの方々にとってみるとかなりしびれるような場面に直面することになるかもしれません。
しかし、説明だけはしますよ、納得するかどうかは相手方次第ですよといったさめた感覚ではなくて、せっかく貴重な公費を投じているわけですから、アドバイザーとなる方々にも当事者意識を持っていただいて、わかりやすくいえば、我が事として取り組んでいただきたいと思います。もちろん、冷静な専門家としての言動が信頼を呼ぶ場面もあるかと思いますけれども、何事も熱意なくしては困難な課題の解決は望めません。
さらに、本事業で得られるアドバイザー側の経験は、他の地域で今後の同様な取り組みを進める上で、極めて有益なノウハウを提供することになると考えます。
こうした分野、耐震を進める分野等でアドバイザー業界というものが存在するのかどうかわかりませんけれども、ぜひ、アドバイザーの皆さんの横の連携の上からも、ミッションの達成に向けた情報交換、創意工夫を導いていただいて、アドバイザーが都と一体となって意欲を高められるようにお願いしたいと思います。場合によっては成功報酬を上乗せしてもよいのではと提案しておくものであります。
続きまして、報告事項の、東京における土地利用に関する基本方針について質疑を行いたいと思います。
都市づくりのグランドデザインでは、二〇四〇年代を見据えた都市像を示しておりますが、都は、その都市像の実現に向けて、都市づくりを着実に進めておかなければなりません。
また、先般都市計画審議会から答申のありました東京における土地利用の基本方針の中で、この基本方針の主要な考え方を都市計画区域マスタープランに位置づけることが示されております。
都市づくりのグランドデザインで示された都市像を実現するには、都は、この答申の内容などを都市計画区域マスタープランに位置づけ、区市等と共通認識を持って都市づくりに取り組む必要があると考えますが、今後どのように進めていくのかお伺いしたいと思います。
○久保田都市づくり政策部長 都市づくりのグランドデザインは、東京全体の行政計画であり、目指すべき都市像とその実現に向けた都市づくりの基本的な方針等を示しております。また、都市計画審議会の答申でございます土地利用の基本方針は、これを土地利用の面から誘導していく方向性を示しております。
こうしたグランドデザインの都市像、答申で示された新たな拠点や骨格的な緑のあり方、地域の将来像などを実効性のあるものにしていくため、法定計画である都市計画区域マスタープランに位置づけていく必要がございます。
都は、都市計画区域マスタープランの二〇二〇年度改定に向け、地域の将来像などについて、地元のまちづくりに主体的に取り組む区市等と共通の認識を持てるよう、綿密に調整を図るとともに、その実現に向けた取り組みについて区市等と連携して進めてまいります。
○中山委員 行政計画でありますグランドデザインを都市計画に位置づけ、区市等と共通認識を持った上で都市づくりを進めていくことは大変重要であります。
このため、まちづくりを進める主体であります区市等の意見をよく聞いていただいて、都市計画区域マスタープランの改定を進めていただきたいと思います。
土地利用の基本方針で示されております拠点を都市計画マスタープランに位置づけていくとのことでございますが、例えば、私の地元の足立区では、綾瀬駅や竹ノ塚駅周辺などで、区が主体となってまちづくりが進められております。竹ノ塚駅周辺でも、また綾瀬駅周辺でも、拠点に位置づけられることで、まちづくりや開発が進むことが期待されております。
都は、こうした拠点の形成をどのように今後誘導していくのか、この点をお伺いしたいと思います。
○久保田都市づくり政策部長 竹ノ塚駅周辺につきましては、区において、道路と鉄道の連続立体交差事業に合わせ、駅東西が一体となったまちづくりに取り組むとともに、綾瀬駅周辺については、区において、重要な交通結節拠点として、交通機能の整備やにぎわいの創出を図ることとしてございます。
また、土地利用の基本方針では、竹ノ塚駅周辺が地域の拠点として、また綾瀬駅周辺が活力とにぎわいの拠点として示されております。都は、こうした状況を踏まえ、引き続き、区と調整を図り、法定計画である都市計画区域マスタープランに拠点を位置づけるとともに、将来像などを示してまいります。
また、土地利用の基本方針を踏まえ、容積率の緩和が可能となる都市開発諸制度の活用方針等を今年度末に改定いたします。
具体的には、諸制度の適用エリアを見直すとともに、交通広場の整備などを容積緩和の評価項目として追加し、また、地域の特性に応じて誘導すべき用途を区が設定できるようにするなどの改定を行います。
これらにより、都は区と連携して、民間開発を適切に誘導してまいります。
○中山委員 綾瀬駅周辺では、やはりバスロータリー的な広場の機能の充実ということが大きな課題になっておりますし、竹ノ塚駅周辺では、連続立体交差化事業が功を奏して、東西通路ができ上がります。あわせて、かたくなでしたUR住宅も方針を変えてまちづくりに協力していくということになっておりますから、足立区には大規模な集客が図れるホール機能というものがないもので、そうしたものをURの協力なども得て実現していきたいというような希望がございます。
また、さらには、日暮里・舎人ライナーの江北駅と環状七号線が交差する江北地域では、水道局の調節池等の設備もございまして、スポーツと健康の拠点として整備したいという考え方を持っております。
そうした事柄をきちっと書き込んでおかないと、いざというときに制度の柔軟な活用ということができなくなるわけでございますので、そうした点を区市ともしっかり連携していただいて、なかなか区市町村にはまちづくりの専門家とかそういうのは実際にはいらっしゃいませんので、そうした点の気づき、ノウハウというものを東京都からよく協力をしてあげていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
最後になりますけれども、報告事項の東京都住宅政策審議会の中間のまとめについて質問させていただきます。
今回の中間のまとめでは、大要三点の重要な改善の方向性が打ち出されておりまして、都議会公明党はその趣旨を大いに歓迎するものであります。すなわち、子育て世帯への支援、単身者の入居制度、高齢者への生活支援サービスの三点の視点であります。
その中でも、さきの第一回定例会の本会議の中では、十年間という期限つき住宅の期限の見直しという点を強調させていただきました。
本日は、単身者の入居制度を取り上げたいと思います。
都営住宅における単身者の入居資格は、障害者では単身でも可能でありますけれども、その他の方々は年齢が六十歳以上とされておりまして、若年の単身者には入居が認められておりません。しかし、就職氷河期に代表される若年単身者の方々の中には、学校を卒業したときに、自分は強く望んでいたんだけれども、求人が限られていたために正規の職につくことができなかった、新卒で正規の職につけないと、その後もなかなか正規職につくというチャンスは恵まれない、転職、離職を繰り返したり、結果、キャリアアップの機会に恵まれず、思うように収入が上がらない中で、ステップアップも図れないで苦労している若者がいます。
これからの少子高齢社会の社会保障費を支え続けていくためには、かつて一億総中流社会といわれていた時代もありましたけれども、そうした時代、余裕のある時代の活力を取り戻すための工夫が必要であります。
その意味で、経済的苦境から脱却するために何らかの自助努力に取り組むこれらの若年都民に対しては、公的にその自助努力を応援する手だてを講じるべきであり、例えば就労事業等と連携して、生活の基盤となる住宅を提供するべきと考えます。見解を求めたいと思います。
○八嶋経営改革担当部長 住宅政策審議会の中間のまとめでは、都営住宅における単身者の入居制度の拡大につきまして、都が実施している就労支援策と連携し、低収入で住宅に困窮する若年単身者の入居を進め、その充実を図るべきと提言をされてございます。
現在、福祉保健局が実施しておりますTOKYOチャレンジネットにおきまして、介護職場での就労を目指している離職者に対する居住支援といたしまして、都営桐ヶ丘アパート二十戸を提供してございます。対象者には、三カ月間安定した居住環境を提供し、介護職員になるための研修や介護関係の求人を紹介して就職を支援することにより、生活の安定を図っており、平成二十九年度には延べ六十九名が利用しております。
都は、五月に予定する答申を踏まえまして、こうした福祉や就労事業との連携を強化しながら、若年単身者の入居について検討してまいります。
○中山委員 ただいまのご答弁の中で、答申を踏まえまして、福祉や就労事業との連携を強化しながら若年単身者の入居を検討していくということでありまして、具体的に拡充が進んでいくことを期待したいと思います。
いずれにしましても、都市整備局におかれましては、民間とも連携しながら、また各局とも連携しながら、都庁の総力を挙げて、都民が抱える課題の解決に向けて、都市整備局というセクションを通じて貢献できる力を大いに発揮していただきたいという願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○神林委員 先ほどは、委員会冒頭に行いました動議は一方的に否決され、参考人招致は実現しませんでしたが、今後の築地まちづくりを審議していくためには解明しなければならない重要な課題であることをまず指摘し、質問に順次入ってまいります。
まず、築地再整備と昔はずっといっていたんですが、最近は急になぜか築地再開発といういい方に変えられてしまいましたけれども、この件につきまして、順次、お話をさせていただきます。
まず、今日までの論議を整理していきますと、二〇一七年六月に小池知事が発表した基本方針では、よく聞いてくださいね、築地は守る、豊洲を生かす、五年後をめどに築地は食のテーマパーク機能を持つ新たな場として、築地に戻る市場業者の支援を検討すると示されておりますが、この件は基本方針の中にしっかり書かれているのかどうなのか、確認をさせていただきたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 知事が一昨年六月の基本方針を発表いたしまして、そこで示したものは、築地と豊洲の両方を生かすという大きな方向性でございます。すなわち、日本の新たな中核市場としての可能性を持つ豊洲と、都心に近く、さまざまなポテンシャルを有する築地、この両方を生かすことで、東京全体の価値を高めていくものでございます。
こうした基本方針の方向性につきましては、変わっていないものと知事が申し上げてございます。
○神林委員 これはもう、相も変わらずなんですけどね、今私が質問したこととご答弁の回答が全く違うんですよ。
さっき、よく聞いてくださいねといいましたよね。私は、築地は守る、豊洲を生かす、五年後をめどに築地は食のテーマパーク機能を持つ新たな場として、築地に戻る市場業者の支援を検討する、この言葉があるのかどうなのかということをお聞きしていて、全く変わっていないとか、何も私は質問しておりません。もう一度お願いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 知事が一昨年六月の基本方針を発表いたしまして、そこで示しましたものは、築地と豊洲の両方を生かすという大きな方向性でございます。築地ブランドをこれまで培ってこられた方々が育んでこられた食文化を担う多くの方々の努力で、長い歴史の中で育まれた築地ブランド、これをしっかり守っていくという意味で、築地を守ると申し上げたと知事はご答弁してございます。
○神林委員 そういわれると思いまして、私ももう、いい加減はっきりしてくださいといったんですけれども、小池知事の知事の部屋という形で、記者会見した平成二十九年の六月二十日の文書がここにあります。これまでまさか間違っているとはいわないでしょうね。この中にも、抜粋になりますけど、次の世代への思いと、これから日本一の世界に誇る築地ブランドからの食に魂を込めまして、この築地を再開発するという基本方針を判断するに至ったところでございますと書いてあるんですよ。これすら、うそですか。確認をします。
○木村まちづくり調整担当部長 知事が一昨年六月の基本方針を発表し、記者会見をしてございますが、そこで示したものは、築地と豊洲の両方を生かすという大きな方向性でございます。先ほどお話のありました五年の件につきましては、六月二十日の基本方針におきまして、五年を目途に再開発するというようなことを知事が発言されてございます。
○神林委員 もう、これ以上押し問答しても同じ答えしか多分返ってこないんでしょうからね。ここに書いてあるんですよ、知事の発言として。後でよく読んでください。平成二十九年六月二十日、小池知事記者会見って書いてあります。この二ページ目に、今もいったように、次の世代への思いと、これから日本一の世界に誇る築地ブランドからの食に魂を込めまして、この築地を再開発するという基本方針を判断するに至ったところでございますと書いてあるんですよ。
これがうそだというんだったらいいですよ、今の発言でね。でも、これ本当でしょう。だから、そのとおりといってくれればいいんですよ。いかがですか。もうこれ以上はいいませんから、最後ですから、しっかり答えてください。
○木村まちづくり調整担当部長 一昨年六月の基本方針を発表し、知事が記者会見でさまざまなことを述べたということは事実でございますが、築地と豊洲の両方を生かすという大きな方向性……(神林委員「それ以上は聞いていません」と呼ぶ)
○本橋委員長 最後までどうぞ答弁していってください。
○木村まちづくり調整担当部長 こうした基本方針の方向性については変わっていないと知事が申し上げてございます。
○神林委員 次に、また、二〇一九年の一月に都が発表した築地まちづくり方針(素案)や、三月の四日、我々は残念ながらこの委員会には参加できなかったんですが、あそこの委員会の中に都市整備の皆さんがたくさん出席をされておりました。
そこで確認をさせていただきたいんですが、三月四日の経済・港湾委員会での小池知事の発言では、国際会議場など大規模集客交流施設を建設し、括弧してですけど、豊洲市場との近接性を考えれば、築地に改めてフルスペックの卸売市場を整備することはないと発言したと聞いておりますが、当日の小池知事は、こうした内容の発言を本当に行ったのか伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 先日、三月四日の経済・港湾委員会の中で、知事からそのようなことを答弁されておりますが、基本方針で示したのは、築地と豊洲の両方を生かすという大きな方向性でございまして、基本方針の方向性については変わっていないと受けとめてございます。
○神林委員 私、答弁席の方に木村さんがいらしたのを見ていますので、確かにご本人聞いていますよね、その言葉をね。
今、お話で述べました二つのことを、これ、事実をつなぎ合わせますと、築地には市場機能を整備することなく、国際会議場など大規模集客交流施設を建設するとなり、これはもう、まさに大幅な変更以外の何物でもありません。これまでのこの二つの事実を比べただけでも、築地再開発が大きく方向変換されたことが明白でございます。
それでも小池知事は、あくまでも方向性は変わりないと、今、木村さんがいっていたとおりですね、あくまでも方向性は変わらないと譲らず主張しておりますけれども、誰が見ても、この二つの事実関係を客観的に判断すれば、知事や都市整備局の皆さんが幾ら変わっていない変わっていないといっても、都民の多くの皆さんは、間違いなく大きな方向が変わったと判断してくれると確信しております。
その影響を大きく受けた築地や豊洲の市場関係者を初め多くの都民は、小池知事が二〇一七年六月に発表した基本方針にだまされ、翻弄され、期待や思い、生活再建の道を打ち砕かれることになりました。
小池知事は、市場関係者や都民に対して、こうした多くの方々の期待を裏切った方向変換について、しっかりと説明責任を果たし、謝罪すべきと考えますが、局長に改めて見解を求めます。
○木村まちづくり調整担当部長 知事がこれまで申し上げてきたとおり、一昨年六月の基本方針で示しましたのは、築地と豊洲の両方を生かすという大きな方向性でございまして、この方向性につきましては変わっていないことから、謝罪の必要はないと考えてございます。
○神林委員 私は局長にお願いしましたので、お願いいたします。
○佐藤都市整備局長 前回の委員会でも同様の議論がございましたけれども、その際にも申し上げておりますが、一昨年の六月の基本方針ということで、築地と豊洲の両方を生かすという方針が示されまして、その中で私どもは、築地の再開発、どういうものにすべきかという検討を、その後進めてきたわけでございます。
その中で、専門家の方々から、築地のブランドあるいは食文化というのは非常に重要な要素であると。そういうことをしっかりと入れたものにしないといけないというお話がありました。その大きな視点を踏まえまして、庁内の検討会、あるいは検討委員会の中で、まちづくり方針の素案を取りまとめてきたわけでございます。
したがいまして、基本方針で考えてきた知事が示した考え方を踏まえて、私どもとして、いろいろとるる検討してきた、その成果がまちづくり方針ということでございましたので、そのため、私どもとしては考え方は一貫しているということで、謝罪をする必要はないと考えた次第でございます。
○神林委員 局長も木村さんも真面目な方ですからね、これ以上の答弁ができると私も思っておりません。お役目柄だと思って、大変なことだと思っておりますが、要は市場関係者、物いわぬ人が、本当に多くの都民が、このことについて怒っているんですよ。いずれこの反動は、これから選挙のときにもしっかりとあらわれてくると私は確信しております。
ですから、局長におかれましては、知事に間違いなく、こういう委員会での報告で質問があったということをぜひお伝えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それではちょっと、この件につきまして、土壌汚染の問題について次は伺わせていただきます。
予算書の中に、築地再開発検討経費約七千万円が新規計上されておりますが、その内容と使い道について、まず伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地まちづくり方針の策定後、事業実施方針の作成、事業者募集要項の公表、民間事業者の募集などを順次進めていく予定でございます。
平成三十一年度一般会計予算案に計上しております約七千万円は、それらに向けました準備のための経費でございまして、内訳としては、委託費として約六千万、その他経費として審査に係る報償費などがございます。
○神林委員 また、原因者負担の観点からすれば、中央卸売市場会計の中に土壌汚染調査委託、埋蔵文化財試掘調査委託が約八千万円超計上されておりますけれども、これは当然、築地再開発にかかわる工程の一環でもありますので、所管外といわずにしっかりと答弁をお願いいたします。
築地再開発の工程の中で、当然、再開発前に着工されることだと考えておりますが、まず、具体的にいつごろ、どの時点で土壌汚染調査を行うのかお伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 お話の土壌汚染調査につきましては、先行整備を予定してございますゲートゾーンのうち、主としてⅠ期エリアにおいて実施することを想定してございます。
調査時期等につきましては、市場跡地における解体工事やデポの整備工事とのスケジュール調整を進める中で設定することとしてございます。
○神林委員 調査時期は、今、回答の中にも解体工事や整備工事とのスケジュール調整、こういうお話が出るくらいですから、おおよその時期はわかるはずだと思います。どのような内容の汚染調査を行うのか、具体的な調査内容や規模、経費、どの程度の評価結果を求めているのかお伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 土壌汚染調査の対象エリアといたしましては、ゲートゾーンのうち、主としてⅠ期エリアを想定してございます。土壌汚染調査に係る費用といたしましては約二千八百万円を計上してございます。
調査に当たりましては、土壌汚染対策法などの関係法令に基づきまして適切に対応してまいります。
○神林委員 この数字を見てわかりましたけど、二千八百万円というのはどうなんでしょうね、豊洲に比べて。
そこで、次の質問をいたしますけれども、小池知事によって開場を延期した豊洲市場での土壌汚染は、平成二十八年当時、それまでのモニタリング調査では環境基準値以下という土壌汚染の現況の中で、豊洲市場への移転延期という判断が下されました。
この汚染状態であれば、翌年の専門家会議で、現状で豊洲市場を開場しても運営することに何ら問題がないという見解を得たにもかかわらず、小池知事は、二年間もの長い期間を延長して、約二百億円超の損失を都民に与えて、やっと開場にこぎつけたわけでございます。
豊洲市場での土壌汚染に対する判断基準を参考にするならば、今回の築地再開発では、どの程度の期間と規模で土壌汚染対策が行われ、環境基準がどの程度満たされる段階でまちづくりの着工がされるのかお伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 先般公表いたしましたまちづくり方針の素案の中で、段階的整備の進め方を示してございますが、各段階の整備に向けまして、土壌汚染対策を順次実施していくこととしてございます。
各段階における工事に伴う土地の改変を行う際に、土壌汚染対策法などの関係法令に基づき適切な対策を講じることになると考えてございます。
○神林委員 それじゃ、ちょっと比較しましょうね。先ほど二千八百万円ということでございましたが、改めて確認でございますが、豊洲市場のときは、追加対策も含めて総額幾らぐらいだったのか、お答えをお願いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 豊洲市場につきましては、豊洲を市場として整備するということで必要な金額を経費として計上し、その工事を、対策を行ったというふうに認識してございます。
築地につきましては、関係法令に基づき適切に調査及び対策を講じていくこととしておりまして、三十一年度につきましては、解体工事などとの調整をした上で、可能な範囲を、調査を行っていくということを考えてございます。
○神林委員 まあ、いきなりいったから数字もはっきり出ないというのは、それは理解しますけど、少なくてもね、何百億という単位が出ているんですよ。これに対して、二千八百万ですよ、今回の築地。これを後でしっかりと比較していただきたいと思っております。
築地は残念ながら、築地市場機能が整備されなくなりましたが、知事がたびたび……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。(発言する者あり)だからさ、発言したいんでしたら、伊藤さん、手を挙げて自分で発言してください。だから、質問の趣旨を妨げるようなことはしないでください。
○本橋委員長 神林理事、どうぞお続けください。
○神林委員 委員長もお願いします。
○本橋委員長 はい。
○神林委員 築地は残念ながら市場機能が整備されなくなりましたが、知事がたびたびご発言されているとおり、食文化を中心に開発を進めていかれるとの方針が打ち出されております。同じ食文化を提供する、開発を行うという観点からすれば、築地再開発も当然、豊洲市場と同等程度の土壌汚染対策が必要ということになると思いますが、お考えをお聞かせください。
○木村まちづくり調整担当部長 豊洲では、新市場を整備するために、食の安全・安心を確保する観点から、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議の提言を受けた上で、土壌汚染対策を行うこととしたものでございます。
築地の再開発におきましては、民間主導で市場跡地を活用し、再開発を行うものでございまして、これまでの都有地活用の事例と同様に、土壌汚染対策法などの関係法令に基づきまして適切に対応してまいります。
○神林委員 素朴な疑問としましてね、何で豊洲には厳しくて、築地にはこんなに甘いんですか。同じ食文化を扱う開発じゃないですか。見解を伺いたいと思います。
豊洲には、約二年もかけて約四十億円超という莫大な追加土壌汚染対策も行っているにもかかわらず、豊洲に厳しく、築地に甘い理由を教えてください。
○木村まちづくり調整担当部長 繰り返しになりますが、豊洲では、新市場を整備するために、食の安全・安心を確保する観点から、技術会議の提言を受けた上で、土壌汚染対策工事を行うこととしたものでございます。
築地の再開発におきましては、都としては、卸売市場を整備することは考えてございません旨は、これまでご答弁したとおりでございまして、これまでの民間の力を活用した都有地活用事業の事例と同様に、土壌汚染対策法などの関係法令に基づきまして適切に対応してまいります。
○神林委員 それこそ私も繰り返しになるんですけど、それでは、豊洲で二年間もの長い間をかけて約四十億円超の追加汚染対策を行ったのは、一体何のためだったんでしょうか。その根拠をお示しください。
これでは、土壌汚染に対する一貫性が全く見えてまいりません。自分たちに都合のよいときだけ甘かったり、厳しかったり、適当な判断をされるのか、まさにご都合主義そのものじゃないでしょうか。考え方に全く一貫性がないのはおかしい話でございますので、ご回答をお願いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 豊洲では、新市場を整備するために、食の安全・安心を確保する観点から、技術会議の提言を受けた上で、土壌汚染対策を行うこととしたものでございます。
築地再開発におきましては、これまでの民間の力を活用した都有地活用事業の事例と同様に、土壌汚染対策法などの関係法令に基づきまして適切に対応してまいります。
○神林委員 今、ちょっといいこといってくれたんですけど、我々は、豊洲市場も地下水汚染だけが取り沙汰されていましたから、私たち自民党では、肝心なのは、豊洲市場の土壌汚染対策は、地上で安全な営業をすることや食材や食品が人の口に入るまでの安全性がしっかりと確保できるならば、さらなる土壌汚染対策はこれ以上必要なしと、かねていってきたわけですね。
にもかかわらず、今回の判断を聞いていますと、小池知事の築地の食文化を生かしたいという考え方からすれば、少なくとも豊洲市場並みの土壌汚染対策が必要なはずでございます。余りにも一貫性がない。まさにご都合主義だと考えるわけでございます。
そこで、今日の築地再開発での土壌汚染対策について、明快なる根拠と理由を伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地市場跡地につきましては、かつて日本海軍施設や米軍の洗濯工場、ガソリンスタンドなどが設置されておりましたことから、土壌汚染のおそれがあるとされてございます。土壌汚染対策が必要であるということは認識してございまして、土壌汚染対策法などの関係法令に基づきまして適切に対応してまいります。
○神林委員 ですから、私ら、土壌汚染対策、正直いいまして豊洲以上に築地の方が危険性をいろいろはらんでいるというふうにも思っているんですよ。前からいっていますとおり、クリーニング工場の件だとかね。ちょっと一、二点、それじゃ、少し方向を変えますけれど、要は我々がいいたいのは、余りにも一貫性がない、まさにご都合主義だということがいいたいわけでございます。
それではちょっと質問を変えますが、さして効果も上がらなかった追加汚染対策を講じただけで豊洲市場を中止から開場に向けた当時の知事の判断は、一体どのような根拠に基づいて延長されたのか、甚だ疑問でございますので、この点についてはひとつはっきりさせていただきたいと思いますので、答弁をお願いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 豊洲市場への移転延期を決断した理由につきましては、安全性への懸念、建設費の増大、情報公開の不足など、豊洲新市場をめぐる疑問が解消されない中で移転を進めることは、都民の納得を得られるものではないと考えたためということでございます。
○神林委員 それじゃ、仮定の話だとまたお答えできないという話になるのかもしれませんけど、調査の結果、判断基準を超えた結果が出された場合、具体的な対策の手法、対策期間や費用をどの程度見込んでいるのかお伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発では、これまでの都有地活用の事例と同様に、土壌汚染対策法などの関係法令に基づきまして適切に対応してまいります。
関係法令に基づく土壌汚染調査により、基準を超える汚染が認められた場合には、掘削除去や封じ込めなどの対策を実施することが通例でございます。
○神林委員 それじゃ、もう一つ聞きます。席に着いてからで結構です。
豊洲と同じように、地上は安全ですよ、地下は上回るような値で危険ですよといわれた豊洲と、全く同じ状況だったときにはどうするんですか。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発では、これまでの都有地活用の事例と同様に、土壌汚染対策法などの関係法令に基づきまして適切に対応してまいります。
○神林委員 これ以上いっても仮定の話ですから、その都度いろいろな結果が出た時点で、一つずつまた判断をさせていただきたいと思っております。
この二年間の小池知事の延長宣言は、築地から豊洲市場移転への混迷を招いていた全ての発端であり、なぜ知事が、プロジェクトチームの設置ですとか市場業者への補償などですね、開場まで二カ月に迫った段階において、二年間豊洲市場の延期を発表した真意や状況を、また、迷惑をかけた市場事業者や都民に対してこのことについてしっかりとした説明をし、これも謝罪することを要求しておきます。
知事の判断についてですので、局長にはあえて答弁は求めませんが、少なくともこの意向をしっかりと知事に伝えていただくことをお願いしておきます。
続きまして、小池知事がことしの一月に築地まちづくりの方針素案を発表し、その後、築地跡地のまちづくり方針を年度内にまとめるとの発言がございました。この間、議会からの意見や指摘を初め都民からのパブリックコメントなど、さまざまな声を聞いてきたと思います。
こうしたさまざまな指摘や声を踏まえて、年度内にまとめられる、もうあと十日ちょっとしかありませんが、築地まちづくりの方針の中に、新たな方針や考え方の取り込みがあったのか伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 パブリックコメントの意見につきましては、内容を精査の上、年度内に公表する予定のまちづくり方針に適切に反映させてまいります。
○神林委員 これ、もうあるようで、時間ないんですよ。土曜、日曜を含めたり、あるいはほかの審議の結果を踏まえてやらなくちゃいけないことですから、本来はもうまとまっているはずだと私どもは想定しています。
最後に、これももう一度最後の再確認でございますが、五年以内とされた方針に、埋蔵文化財でのおくれも含めて影響しないのか、改めて確認をさせていただきます。
○木村まちづくり調整担当部長 五年以内の着工につきましては、先行整備いたしますゲートゾーンのⅠ期エリアを想定してございます。五年以内の着工に向けまして、先ほど申し上げた土壌汚染調査に加えまして、埋蔵文化財調査もあわせて進めていくこととしてございます。
土壌汚染、埋蔵文化財の調査の進め方につきましては、試掘の状況なども勘案しながら、五年以内の着工を目指しまして、民間の知恵やノウハウも活用しながら検討してまいります。
○神林委員 それでは、質問の項目を変えまして、来年度の都市整備局の予算案について幾つか質問をさせていただきます。
先日二月十五日の都市整備委員会で局長から説明があったが、来年度の都市整備局予算は、大きく二つの柱から構成しているとのことでございました。
一つ目は、東京二〇二〇大会の開催準備の総仕上げを着実かつ効率的に進めること。二つ目は、都市づくりのグランドデザインで描いた東京の将来の都市像実現に向けた道筋を確かなものにすることでございます。
そこでまず、東京二〇二〇大会の開催準備の総仕上げという視点から幾つか質問をさせていただきます。
来年度予算は、東京二〇二〇大会前の実質的な最後の予算でございます。都市整備局は、東京二〇二〇大会の開催に向けて大きな役割を担っております。万に一つも、その準備がおくれ、大会開催に支障を来すようなことがあってはなりません。
まず一つ目は、選手村の整備でございます。
選手村については、都市整備局が道路などの基盤整備を行い、特定建築者が建物の整備などを行っているところでございます。オリンピック競技大会まで五百日を切り、組織委員会による仮設工事も本格する中、工事車両の増加やふくそう、労務や資材の確保が困難といううわさも、最近ねじなんかも含めましてね、建設ねじが足りないとかですね、そんな懸念も耳にするところでございます。
こうした状況において、年内目途に東京二〇二〇大会に必要な部分の整備を完了させ、大会側に引き渡すこととなっている選手村の整備について、現在の進捗状況と期限までにきちんと引き渡しができるのか、今後の見通しについて伺います。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 都は、平成二十八年度、選手村地区の市街地再開発事業に着手いたしまして、道路などの都市基盤の整備と民間事業者による選手の宿泊施設となる住宅棟などの整備を都の一体的な工程管理のもとで推進してございます。
現在、工事は東京二〇二〇大会に向けまして順調に進められておりまして、道路などの基盤整備は、大会時に必要となる部分はおおむね完成してございます。
また、民間事業者によります住宅棟など全二十二棟におきまして地上躯体工事が予定どおり行われており、住宅棟では組織委員会による大会内装工事が並行して進められております。
これらの工事に加えまして、大会時にバス乗降場となる選手村モールの整備など、今後ますますふくそうする工事の調整と安全管理に引き続き取り組むとともに、広報紙であります工事かわら版などによりまして進捗状況を広く周知し、地元の理解を得ながら、年内に予定されています組織委員会への引き渡しに向けて、着実に整備を進めてまいります。
○神林委員 どこのオリンピック大会もそうですけれども、日本は何とかそれをクリアしていただきたいんですけど、最近、工事がふくそうしたりだとか、あるいは資材が足りなくなったりとか、結構心配な要因を聞くんですよ。
肝心なことは、不測の事態が起こらぬように万全の注意を払う必要があると。そして、懸念する要因についてはゆとりを持って当たるようにしてほしいと。これが要望でございますので、引き続き、安全に十分気をつけながら、着実な整備をお願いいたします。
次に、BRTについてでございます。
BRTについては、二〇二〇年の大会開催前から先行的な運行を開始し、大会期間中も一部区間で運行することとなっております。来年度予算は、今年度に比べて大幅な増額になっており、いよいよ準備が本格化していくことになると思います。
BRTについて、大会時にどのような目的で運行するのか、また、これまでの取り組み状況と来年度以降の取り組みについて伺います。
○森交通政策担当部長 都心と臨海地域とを結ぶBRTにつきましては、昨年八月、運行の開始時期や運行ルートなどを示す事業計画を改定いたしました。この中で、東京二〇二〇大会時におきましても、臨海地域の交通需要の増加に対応するため、大会前から、虎ノ門と晴海との間で先行的な運行を行うこととしております。
また、これまで、車両やサインのデザインに関する検討、停留施設の設計などを行ってまいりました。来年度は、停留施設の整備に着手するとともに、運行開始に向けた関係者との調整などを行う予定でございます。
今後とも、東京の新たな輸送システムとして臨海地域の発展を支える公共交通機関となるよう、着実に取り組みを進めてまいります。
○神林委員 これも同様のことでございますけれども、やはりオリンピック・パラリンピックという出発点があるわけでございますので、ぜひ、ゆとりを持って進めていただきたいと思います。
次に、鉄道駅のバリアフリーについて伺います。
東京二〇二〇大会は、海外からも多くのお客様が東京に参ります。安全で快適に移動していただくためにも、大会時の需要増に対応できるよう、ホームドアやエレベーターなど、鉄道駅のバリアフリー化を進めていくことは非常に重要なことでございます。
都市整備局はこれまでもしっかりと取り組んできていることは、十分私も承知しているところでございますが、まずは、これまでの取り組み、現在の到達点について伺います。
○荒井都市基盤部長 都は、国とともに、地下鉄駅に加えましてJRや私鉄の駅を対象に、バリアフリー化の補助を行っております。特に、東京二〇二〇大会の会場周辺駅につきましては、利用者の規模によらず補助を行っており、大会時の需要増を考慮し、エレベーターの増設や大型化、ホームドアの整備を実施しております。
こういった取り組みによりまして、現在、都内の三分の一を超える駅でホームドアが設置されております。
また、都内の九割を超える駅において、出入り口からホームまで段差なく移動できる経路が少なくとも一つ整備されてございます。
○神林委員 来年度予算でも約十四億円ほどの予算を計上しておりますけれども、具体的にどのくらいの規模で実施するのか、どのような駅を想定しているのか伺います。
○荒井都市基盤部長 来年度予算は鉄道事業者からヒアリングを行いながら計上しておりまして、ホームドアは、JR蒲田駅など十四駅に加えまして大会会場周辺駅の京王線飛田給駅などの七駅、エレベーターは、東京モノレール天空橋駅など八駅に加えまして大会会場周辺駅のJR有楽町駅などの九駅を想定してございます。
○神林委員 ありがとうございました。
来年度は、東京二〇二〇大会前の最後の予算でございます。駅のバリアフリー化には多額の費用がかかるため、鉄道事業者は国の補助を入れて事業を進めていると考えます。きちんと国にも財源の確保を働きかけ、国費を確保できるよう鉄道事業者をサポートして、事業をしっかりと進めていただくよう要望して、次の質問に入ります。
鉄道ネットワークの充実について伺います。
東京を利便性が高く豊かで活力ある都市にしていくには、東京の公共交通の基幹となる鉄道ネットワークのさらなる充実を図っていく必要がございます。
とりわけ、国内外の人、物の活発な交流を支える羽田空港の機能を最大限に発揮させていく上で、羽田空港へのアクセス路線の充実を図っていくことが重要でございます。東京圏の鉄道ネットワークの充実に向けた取り組みは、国の交通政策審議会答申において事業化に向けた検討や合意形成などを進めるべきとされた六つの路線を基本に、現在、関係者間での検討や協議が進められております。都においても、来年度予算で一億円の調査費を措置し、検討を深度化していくこととしております。
この六路線のうち、空港アクセスの向上に資するプロジェクトには、羽田空港アクセス線と新空港線の二路線が位置づけられており、羽田空港アクセス線については、本年二月、JR東日本が整備に向けて取り組んでいくことを表明するなど、動きが見られます。
そこで、羽田空港アクセス線の現在の状況と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
○荒井都市基盤部長 羽田空港アクセス線は、現在、鉄道事業者が中心となり事業スキームの構築に向けて検討を進めるとともに、田町駅付近から空港に接続するルートにつきまして、環境影響評価手続の実施に向けた準備を進めております。
都は今後、本ルートの事業計画が早期に策定できるよう、鉄道事業者が行う公共施設管理者との占用協議等につきまして必要な協力を行ってまいります。
また、その他の大井町駅付近及び東京テレポート駅から空港に向かう二ルートにつきましても、事業スキームの具体化に向けて、国や鉄道事業者など関係者との協議、調整を進めてまいります。
○神林委員 今聞いていますと、財源がたっぷりあるから自前でやると、こういうことになるのかなという、うらやましい限りでございますね。
羽田空港アクセス線については、JR東日本が中心となり、田町駅付近から羽田空港に至るルートについて、環境影響評価手続の実施に向けた準備が進められるなど、事業化に向け、動きが始まったとのことでございます。
もう一方の空港アクセス路線である新空港線については、これまで約三十年間、大田区が中心となり検討が進められてきた路線でございます。また、大田区は、関係者間の合意形成が図られた後、速やかに整備主体を設立できるようにするため、平成二十九年度予算より整備主体の設立のための予算を計上し、引き続き来年度予算でも計上するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。
このため、新空港線についても、羽田空港アクセス線に引き続き、一日も早く整備着手に向けた具体的な取り組みを開始すべきと考えます。
そこで、新空港線の矢口渡駅から京急蒲田駅間の現在の状況と今後の取り組みについて伺います。
○荒井都市基盤部長 大田区が今年度、新空港線の基金につきまして、当初予算で積み立てた十億円に加えまして補正予算でさらに十億円を積み立てるとともに、引き続き来年度予算で整備主体設立のための予算を計上するなど、熱心に取り組んでいることは承知しております。
都としましては、大田区や鉄道事業者などと連携して、事業費の精査や採算性などの課題について検討を行ってまいりました。
引き続き、大田区が想定している都市鉄道利便増進事業を活用した場合の補助の対象範囲、費用負担のあり方などの課題や、JR蒲田駅を中心としたまちづくりにつきまして、関係者との協議、調整を進めてまいります。
○神林委員 このことは、何度も何度も私、繰り返し質問をさせていただいているところでございますが、新空港線は、大田区が検討を始めてからもう三十年経過しているんです。区民の関心も高く、早期実現を待ち望んでおります。一日も早く具体化できるよう、関係者との協議や課題解決を進めてもらうことを強くお願いしておきます。
また、新空港線は、国の答申にも示されているとおり、羽田空港へのアクセス改善を図る上で重要な路線でございます。
しかし、現在、検討が進められている矢口渡駅から京急蒲田駅間を整備するだけでは、京急蒲田駅で新空港線と京急空港線間の乗りかえを伴うなどの課題がございます。要は、乗りかえが不便で利用する人も少ないと、経済効果にも影響するということでございます。
新空港線の羽田空港へのアクセス効果を最大限に引き出すには、矢口渡駅から京急蒲田駅間の整備に加え、大鳥居までの延伸を間を置かずに速やかに取り組んでいくことが重要でございます。
このため、改めて、新空港線の大鳥居駅までの延伸について着実に取り組んでもらうことを要望して、この項についての私の質問は終わります。
続きまして、防災関連について質問をいたします。
近年、北海道胆振東部地震の震度七を初め、日本全国で震度五を超える地震が発生しております。首都東京では今のところはないものの、いつ起こってもおかしくない状況でございます。
一たび大規模な首都直下地震が発生すれば、犠牲者は約一万人にも及ぶとされております。
このため、震災が起きたときに犠牲者をいかに少なくするか、被害を抑えるようにするかが大変重要であり、最も被害規模が大きくなるといわれている木密地域の改善に都が特に力を入れているのは、誰もが知っているところでございます。
そのような状況の中、不燃化特区による支援がスタートしてから六年目を迎え、老朽建築物の建てかえなど一定の成果を上げているところでございます。しかし、資金が不足しているとか、老人世帯で建てかえの意欲がないとか、意欲があっても借地人と土地所有者間で同意が得られない、るいは土地が狭小や接道していないなどの理由から、老朽化した建物が取り残されている状況でございます。
都や区が連携して進める不燃化特区では、このような困難な課題に適切に対応していくことも求められております。その中で、地域危険度における総合危険度が最も高いエリアなどを対象として重点的に取り組み、より効果を上げていくことが必要だと私は考えております。
そこで、目標年次まで残り二年となり、今後このような課題に対しどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 都は、不燃化特区におきまして、区が行う老朽建築物の除却、建てかえなどへの助成や全戸訪問による制度周知に対する支援とともに、地権者などへの都税の減免も実施しておりまして、不燃化は着実に進んでおります。
一方で、理事お話しのように、資金面の不安や敷地が狭小であることなどによりまして建てかえが進みにくいなど、課題の多いエリアが存在しております。
このため、区の委託を受けて各戸を訪問して働きかけを行うコンサルタントの活用につきまして、来年度、訪問回数の上限を撤廃し、建築プラン、資金計画の提示や建てかえ支援メニューの紹介など、住民の資金面の不安を解消できるよう対応を行うことなどによりまして、老朽建築物の建てかえを促進してまいります。
また、まちづくりの機運醸成を行う専門家の活用につきましても、来年度、支援期間の制限を撤廃し、狭小敷地を含めた共同化等に結びつけてまいります。
こうした制度を課題の多いエリアを中心に積極的に活用するよう区に促しながら、今後とも、不燃化を強力に進めてまいります。
○神林委員 もうこれだけやってきて、この段階まで来れば、やはりはっきりした方針を示していかないといけないと考えておりまして、先ほども申し上げましたけれども、震災における被害を最小限に抑えるという本来の目的を考えれば、総花的に実施していくことよりも、地域危険度のより高い地域に重点的に取り組んだ方が、より効果的になると考えておりますので、ぜひその点についてもご検討を願いたいと存じます。あわせまして、ぜひ区とともにも、全力で不燃化に取り組んでもらいたいと思います。
その不燃化とともに重要となるのが、被害場所に向かう安全な避難路の確保であります。熊本地震や大阪北部地震などで注目を集めましたが、道路沿いの宅地の擁壁やブロック塀が倒壊し、道路の閉鎖を初め大きな被害が生じました。
六月の委員会でも取り上げましたけれども、大規模火災から身を守る上で、避難場所が確保されていても、高齢者や子供たちが倒壊物を避けながら向かうことはなかなか大変なことでございます。このためにも、避難路沿いの宅地の擁壁が安全かどうかについて、事前に確認することが重要であると考えられます。
そこで、このような避難路沿いの擁壁などについて、災害時の崩壊などによる被害を防止するため、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 平成二十八年の熊本地震や昨年の大阪府北部地震などでは、宅地擁壁の崩落などによりまして避難路が閉塞し、避難や緊急車両の通行に支障が生じました。
都内におきましても、避難路沿いや木密地域における防災生活道路沿道におきまして、擁壁の安全性を確保することが重要でございます。
このため、こうした場所におきまして、区市町村が実施する擁壁等の危険度調査に対して来年度から助成を行い、調査の促進や擁壁のある宅地所有者の防災意識の向上を図ってまいります。
また、特に木密地域では、円滑な消火、救援活動が重要であることから、来年度から新たに、防災生活道路沿いの危険な擁壁等の撤去に対し、区を通じて助成を行ってまいります。
今後とも、区市町村と連携しながら、避難路や防災生活道路の機能確保に努めてまいります。
○神林委員 今、いろいろとしっかりとした万全対策について伺ったわけでございますが、避難場所までの安全性を高めるためには必要な支援でございますので、ぜひとも住民の意識が高まることを期待しております。
不燃領域率、耐火率を上げることも大切でございますけれども、先ほども述べたように、東京に大規模な地震が発生した際に死傷者を出さないこと、あるいは被害を最小限にすることが基本でございます。
ハードの取り組みとあわせて、前にもお話ししたことはございますが、それぞれの地域で出火を抑える、家具類の転倒防止などのソフトの対策もしっかりと進めてもらいたいと思います。
そのためには、不燃化特区のような延焼につながりやすいエリアはもとより、比較的危険度が低いエリアにおいても、消火器などの十分な配備による初期消火対応の強化、感電ブレーカーの配布、設置による通電火災の防止、町会などの自主防災組織への支援を行うことが重要でございます。
区と連携をして、このような取り組みを通して、それぞれの地域で個人個人がしっかりと火を出さないように防災意識を持ってもらう、心がけてもらうことが最も大事なことでございます。
そこで、このような取り組みや支援について、所管でないことは重々承知しておりますが、防災まちづくりの所管としてどのように認識しているのか、目的は一緒のはずでございますので、ご見解をお願いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 震災から都民の生命と財産を守るためには、不燃化特区を初めとしたハード面の取り組みに加えまして、地域の防災力向上に向けたソフト面の取り組みを進めることが重要でございます。
都は、地元区と連携し、木密地域に住む方々を対象に、専門家の講演などにより防災まちづくりの意識啓発を図る不燃化セミナーを平成二十八年度から三十七回開催しております。
その中では、テーマに応じまして、地域危険度測定調査結果の周知による地域の防災意識の向上や、家具類の転倒防止など出火防止に向けた普及啓発の取り組みも行っております。
こうした取り組みを拡大していくなど、今後とも、関係機関と連携し、地震に強い都市の実現に取り組んでまいります。
○神林委員 何度も何度も繰り返すようですけど、東京を襲う首都直下地震は、安全な市街地が形成されるのを待ってはくれません。引き続き、困難な課題に挑戦して、都区の総力を結集してしっかりと防災に取り組んでもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
質問の最後に、パラリンピック東京大会及び高齢者や障害者などに配慮した宿泊施設のバリアフリー化に係る要望について伺います。
私ども都議会自民党といたしましても、先日、小池知事宛てに要望書を提出させていただいたところでございます。
東京都では、二〇二〇年東京大会と今後の超高齢化社会の進展を見据え、高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例、いわゆる建築物バリアフリー条例を改正し、宿泊施設の全ての一般客室を対象に、段差の解消や出入り口の幅などの基準を設け、車椅子を利用される方を初め多くの宿泊客が利用しやすい環境を整えるとしております。
二度目のパラリンピックを開催する世界で初めての都市として、開催時に世界各国から訪れる選手や関係者及び旅行者に対して環境を整え、さらに、将来を見据え、お年寄りや障害者に優しいまちづくりを目指すため、全国に先駆けて、宿泊施設の一般客室を対象にバリアフリーに取り組むことについては、高く評価するものでございます。
なお、同一の課題で各会派からも質問がございましたので、回答にダブりがありましたら遠慮なく省略していただいて結構でございます。
まず初めに、国は今後、一般客室においても、浴室、トイレの出入り口の望ましい基準を原則七十五センチ以上とすると聞いております。今回の条例改正において、国の基準に準拠した改正の必要があると考えますが、見解を伺います。
○青柳市街地建築部長 都の条例改正の検討と並行いたしまして、国におきましても、一般客室の望ましい基準となるガイドラインの検討が行われ、先日までパブリックコメントが行われておりました。その国のガイドラインの案におきまして、浴室等の出入り口幅は七十五センチ以上と示されたこと等を踏まえまして、今回の条例改正案におきましても、望ましい基準として浴室等の出入り口幅を七十五センチ以上と示したところでございます。
○本橋委員長 神林理事、そろそろおまとめください。
○神林委員 あと二問で終わります。
当然、望ましい基準で整備するためには、ホテルの建築主などへの支援策を講じることが重要でございます。先ほど述べました要望書では、ホテルの建築主などへの支援として、容積率緩和の許可基準の早期見直しについて要望しておりますが、この対応について伺います。
これについては、先ほど、答弁の中でも、年度内に許可基準の改正ということがございましたので、答弁は結構でございます。
最後の質問になりますが、基準改正後も関係団体などと協議を進めながらその都度の見直しを行うなど、レガシーとして将来に誇れる取り組みを進めるため、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○本橋委員長 端的にお答えください。
○青柳市街地建築部長 今回の建築物バリアフリー条例の改正は、東京二〇二〇大会に向けまして、法の義務対象ではない一般客室を対象に、段差の解消や出入り口の幅等に最低限の義務基準を設けることなどにより、早期の宿泊環境の整備を図るものでございます。
今後、東京二〇二〇大会時の宿泊施設の利用状況や客室のバリアフリー化の動向等を勘案し、将来的な望ましい整備のあり方につきまして、客室の規模や構造等も考慮の上、障害者団体やホテル業界など関係者とも協議しながら検討を行い、誰もが利用しやすい宿泊環境の実現を目指してまいります。
○本橋委員長 簡潔にお願いします。
○神林委員 一方、要望に応えればよいのではなく、双方が納得したものをつくり上げていくことが重要でございます。
東京二〇二〇大会のレガシーとして、また、今後の超高齢化社会を見据え、多くの方が利用しやすい宿泊施設が一日も早く実現できるよう、着実な対応をお願いしまして、私の質問を終わります。
○本橋委員長 この際、運営について申し上げます。
議事の都合によりまして、おおむね二十分間休憩いたしたいと存じます。
午後三時二十八分休憩
午後三時五十一分開議
○本橋委員長 それでは、休憩前に引き続きまして委員会を再開いたしたいと存じます。
質疑を続けますので、ご発言の方を。
○曽根委員 私からは、まず、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化に向けての、この間、今回の条例改正含めた事業についてお伺いしたいと思います。
今回、何度目かの沿道耐震助成制度の改定となるわけですけれども、私たちは最初、平成二十三年にこれができたときに、非常に助成制度が不十分であるということから、これは賛成できないという対応でしたが、その後、やっと幾つかの改善が行われまして、制度の普及の働きかけや診断の促進のための一〇〇%助成などの改善が進んできました。
この間の発足以来の沿道耐震助成制度の経過について、大まかな変更点を伺いたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 平成二十三年三月に耐震化推進条例を制定しまして、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断を義務づけたその後は、特定緊急輸送道路沿道建築物の助成制度の拡充を図ってまいりました。
平成二十四年度にはご指摘のとおり耐震診断費用の全額助成、また、平成二十五年度には耐震改修等の助成割合のさらなる割り増し、そして、平成二十八年度には補強設計費の助成上限額を約二倍に引き上げますとともに、特に倒壊の危険性が高い建築物につきましては耐震改修の助成単価を一・五倍に引き上げるなどの拡充を図ってまいっておるところでございます。
○曽根委員 都としては、ほかの耐震助成などに比べてもかなり思い切った対策を打ってきたと思いますけれども、しかし、大きな道路の沿道の建物ということで、多くが商売で使っているということから、なかなか進まなくなっている。そのネックが今テナントビルの問題だというふうにいわれております。
今回は、テナントビルの所有者からのテナント占有者に対する働きかけや、東京都の勧告や指導の権限を強化するものだと聞いていますが、現在、耐震補強が未実施の建物で、この沿道のものでですね、テナントビルの割合というのはどれぐらいになっているんでしょうか。
○青木耐震化推進担当部長 現在、特定緊急輸送道路沿道建築物のうち、耐震補強等が未実施の建物は、平成三十年十二月末時点ですけれども、約二千八百棟となっております。そのうちテナントビルなどの賃貸建築物の割合は、約六割程度と推測しております。
○曽根委員 確かに半分以上のテナントビルが耐震補強未実施で残されているということから、やはりここを大きく前進させないと、大型道路の沿道建物の安全、また道路の緊急輸送の確保はできないということは間違いないと思います。
それで、ちょっと卑近な例で、私の地元北区の特定緊急輸送道路で、環七はもちろんなんですが、北本通りというかなり古くに拡幅された大型道路がありまして、これは特定緊急輸送道路に指定されていると思うんですが、この中で、耐震性が不十分で耐震補強が必要な建物というのはどれぐらいあるというふうに数えられていますか。
○青木耐震化推進担当部長 ご質問にありました北本通りにつきましては、北本通りに加えまして王子駅前から北区役所までの区間を合わせまして、特定緊急輸送道路として指定してございます。この区間におけます耐震基準を満たさない建物は十九棟でございます。
○曽根委員 私、毎日のようにこの北本通りを通っているものですから。
北区にとっては東側の大動脈なんですね。最近も、埼玉方面向きの沿道で建物を一つ改修していたので、恐らくこの沿道耐震の工事に当たると思うんですが、大変なんですよね。車線一つ潰して、道路側から起重機、クレーンを上げまして、壁をやっているわけです。埼玉方面向きの車線ですから、朝方でないとできないんですね。これが夕方になりますと埼玉方面に帰る車がもう大混雑しますので、午前中が勝負というような工事をやっていました。それにしても、車線一つ潰しますので、工事は大変難しいだろうなというふうに思います。
また、建物の困難性というか、北本通りはかなり古い道路でして、沿道の建物の中でここは耐震性ちょっと不十分だろうなと思う建物は、どちらかというとテナントビルが多いというのが私の印象なんです。しかも、古くてせいぜい五、六階程度の中小ビルなんです。
そういうビルというのは、所有者の財政的な力も十分ではないと同時に、入っているテナント、中小企業が多いと思うんですけれども、こういうところの財政力もかなり乏しいんじゃないかと。
都は、こういうテナントに協力を要請するに当たって、テナントへの支援策というのは今回の制度の改定の中に入っているのかどうか、またどういうテナントへの支援策があるのかということをお聞きしたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 昨年度実施しました学識経験者などから成る耐震化促進検討委員会から、占有者の移転費用等に対する支援についての仕組みを検討すべきとの提言を受けております。
この点につきましては、既に占有者が移転している場合などとの公平性にも留意する必要があるため、どのような支援が可能か、さまざまな観点から検討を進める必要があると考えているところでございます。
○曽根委員 二〇一七年、おととしから去年にかけて、この問題について協議してきた検討委員会ですね、議事録も私、ホームページからとって、報告書を見させていただきました。
この中に、賃貸建築物等の占有者から協力を引き出すための方策として、やはり所有者にとっては、賃借人から賃料の引き下げを要請されたり、もしくは耐震改修の協力が得られないということでちゅうちょしているという場合があって、賃貸建築物などにおいて耐震化を進めるためには占有者の協力を得ることが不可欠であるという点で、そのための方策の一つとして、テナントに対する支援策というのを東京都に検討するべきであるということが提案されていますよね。
私も、もちろん所有者を通じて援助するという方法もあると思います。建物を建てかえるなどで、建てかえが必要な場合には当然、テナントを仮移転しなきゃなりませんので、私、お話をちょっと聞いてみたら、仮移転ということになると、店舗の賃貸料なども含めて大体一千万はかかると。これが負担できないとテナントも動けないし、所有者もそれを負担はできないと。
こういうネックがやっぱり大きいなというふうに感じましたので、これについてはぜひ早期にテナントへの支援策、公平性を確保するという問題はもちろんなんですが、そういうことをクリアできる新たなテナントへの支援策について、具体化を急ぐべきだと思いますが、来年度にはこの点についての検討ができるのかどうかを確認しておきたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、専門家委員会から提言をいただいておりますので、これについて都として検討してまいります。
○曽根委員 この課題は、いつ来るかもわからない直下地震などに備えて、住宅の耐震などと同時に、一気に沿道耐震も進めることが重要だと思います。
そして、あわせて東京都も個別訪問も取り組んで、大変この間熱心に取り組んできたことは大変評価できますが、そのためにも体制の強化が必要ではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○青木耐震化推進担当部長 これまで、所有者への働きかけにつきましては、アドバイザーの派遣なども活用して実施してきたところでございます。所有者が占有者に適切かつ的確な説明を行い、耐震改修等を円滑に進められるよう、アドバイザー派遣制度を拡充し、専門家が説明の場に同席を可能とするなど、所有者を支援する体制を整えてまいりました。
済みません、先ほど、仕組みを検討すべきという提言を受けまして、検討してまいりますというご答弁を申し上げましたけれども、最初のご答弁のとおり、どのような支援が可能か、さまざまな観点から検討を進める必要があるというふうに考えてございます。失礼いたしました。
○曽根委員 ちょっと何か答弁が変わってしまいましたが、さまざまな角度から検討している間についに地震がやってきましたということのないようにお願いしたいと思います。
それでは次に、木造住宅の耐震助成の拡充について幾つかお聞きしたいと思います。
首都直下地震では、建物の倒壊で今の予測で最大七千人の死者が出るとされておりまして、全壊棟数は実に十一万棟が想定されています。
建物の倒壊を防止することは、都民の命を守ると同時に、経済や社会の機能麻痺を最小限にとどめて、速やかな復興を実現する上でも決定的に重要であり、都民はもちろん、日本社会に対する東京都の責務ともいうべき課題であります。
しかし、都の耐震改修助成は、わずか三百件程度、毎年三百件程度で、住宅の耐震強化が思うように進んでいないことは、現行の都の耐震改修促進計画でも認められており、抜本的な改善が急務です。
それで、東京都の木造住宅の耐震改修助成のおくれというのは、例えば年間の耐震改修助成件数を年間八十六件から千五百六十八件に十年間で実に十八倍にふやした高知県などの取り組みと比較してみると、この違いははっきりしていると思います。
それで、私たちはさきの代表質問で、高知県の取り組みがなぜこれほど飛躍的な成果を上げてきたのかということの中心点として、一つは、定額助成という制度に踏み切ったということが大きいということを紹介させていただきました。
東京都も、今年度については、助成の対象を都内全域で、区市町村が全戸訪問などを行うことを条件に、それに上乗せするということで広げて、予算もかなりふやしたわけですけれども、成果は不十分だったわけです。
今年度の対象範囲はかなり広げたと。しかし、制度は十分活用されなかった。この実績が振るわなかったことの原因についてはどのように分析をしているかお聞きします。
○青木耐震化推進担当部長 都は、ご指摘のとおり、今年度より制度の充実を図りまして、戸建住宅等耐震化促進事業を開始し、所有者への積極的な働きかけなどを行う区市町村を対象に耐震診断や改修等に対する助成などを実施しております。
初年度でありますことから、速やかに制度実施に対応できた十自治体の利用にとどまったと考えておりまして、今年度は、各自治体とのブロック会議などを通じて本制度の活用を促してきましたけれども、今後も働きかけを引き続き続けまして、住宅の耐震化促進に結びつけてまいります。
○曽根委員 今年度、十自治体の利用にとどまったというお答えでしたが、当然ながら、都内各区市町村に対するこの制度の普及、何か個別に、全戸訪問をやらないと自治体の制度に上乗せしないかのような狭い範囲の適用という受けとめがあって、そうではなくて、全戸規模でこの制度を適用しようとする区市町村にはかなり広く適用できるということが、やっとわかりつつあるということらしいですが、その制度の普及と理解を広げることもさることながら、都の制度の大きな限界という点で、先ほど紹介したように、私たちは、高知などの例に学んで、大体百万円程度の全額支給の定額助成によって、多くが高齢化している木造住宅のオーナーの負担をできる限り少なくする、この改善が必要だということを求めたわけです。
この点で、助成制度の定額制について、都はどのように検討したかをお聞きします。
○青木耐震化推進担当部長 都内の戸建て住宅等の所有者ごとの事情によりまして、改修の方法や規模などが大小さまざまであることから、定額制では公平性を欠く可能性があると考えております。
そのため、都は、区市町村に対して定率制により助成を行っております。
○曽根委員 都内にはさまざまな木造住宅がありますので、全てに適用が十分可能という制度をつくるのは大変難しいことは確かですけれども、しかし、今残されている耐震補強が必要だけれどもなかなか進まないという木造住宅の多くは、高齢者が住んでいる場合が非常に多いわけです。北区でもそういうところがネックになっているということははっきりしています。
そういうところに、例えば高知県などの場合、訪ねてみると、もう年も年だし、この年になれば地震が来たら助からなくてもしようがないよというお年寄りの諦めの言葉が返ってきて、それで終わってしまうということが多かったので、そこで、自治体の職員が、実はそんなに簡単には死ねないんだと。阪神の例を見ても、このままでは、建物が壊れて大けがをしたり、長い時間建物の下敷きで苦しんだりすることになりかねないよと。そうならないように、せめて寿命を全うできるだけの住宅にしておくことが大事じゃないかということを懇切丁寧に説明しながら、同時に、そういう工事がそれほどご自身の費用をかけずにできるようになったと説明して、ここで一気に十八倍に工事がふえたと。
多くの場合、大体百万から百二十万ぐらいで木造住宅の工事ができるそうで、そのうち、高知では九十二万五千円を定額で補助すると。すると、ご本人の負担が大体なくて済むか、もしくはせいぜい二、三十万で済むということが、大きく障害を乗り越えて制度の普及に力になったということを、現地の担当者の方が話してくれたわけです。
そういう点では、木造住宅の耐震化を進める上で、実際には、ほとんど全額を公費で負担する覚悟を持って取り組むということが必要だということは強調しておきたいと思います。
それで、もう一つ、工事業者の側にも大きなネックがありました。古い木造住宅の場合、診断や設計を行うには、床下に潜って基礎のところでどうなっているかというのを調べないとまともな診断や設計はできないわけですけれども、そこまで潜り込んで調べて診断や設計をする業者と、実際に工事をやる場合にはまた別の制度になって、大手に持っていかれてしまうという場合が少なくないということを、中小の工務店が非常に嘆いていたという話を聞きました。
業者の方々からは、木造住宅の耐震補強について、設計した工務店が施工まで一体で担うというようなことがぜひ必要だというような声が上がっていますけれども、この点ではどうお考えになりますか。
○青木耐震化推進担当部長 耐震改修等の契約の仕方につきましては、戸建て住宅等の所有者などにおいて判断すべきと考えてございます。
○曽根委員 今のご答弁ですと、設計する設計士の側と、それから工事をする会社が同じ事業体であってもいいようになりますけれども、制度が違うものですから、私の地元の北区の場合でも、それぞれに助成金が出ているわけです。
したがって、これを一体で手続をして、床下まで潜って調べて、これはこうすれば最も費用が安くて合理的な工事ができるという、工事の仕方まで含めて一体で工務店が担うという制度が、実際に行いやすくするように、制度のきめ細かい改善を求めておきたいと思います。
では次に、マンションの管理条例に関する質問をさせていただきます。
今回、東京都が、マンションの管理不全を防止するために、初めての条例を制定することは、重要だと考えております。
同時に、条例の目的を実現するためには、先進例に学んで、マンションに対する行政の上からの押しつけを避けること、マンション居住者にとってこの条例がメリットになることをわかりやすく伝えながら協力を求めること、またそのためにも、関係者の参加による協議会などが必要であると考えます。
まず、管理不全の予防というこの条例の目的に欠かせない、管理不全とは何かという点ですけれども、この条例には、管理不全についての定義がありません。この定義はかなり大まかなものになるとは思いますけれども、定義の規定の条項が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都が昨年条例の検討に当たって設置した有識者による検討会の報告書では、管理不全とは、維持管理や修繕が適切に行われず、居住環境はもとより周辺にも悪影響を与えている状態としてございます。
管理不全の具体的な状況や判断基準はマンションによってさまざまであり、また社会経済の状況によって変化していくものであるため、条例で規定することは、制度の運用になじまないものと考えてございます。
都は今後、条例に沿って、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進するため、把握した管理状況に応じて、行政がこれまでより積極的かつきめ細かに助言、支援を実施し、管理組合の機能強化に向けて取り組んでまいります。
○曽根委員 確かに、マンションによって、管理不全といってもさまざまな側面があるのは事実です。
それらを整理して、本条例がどういう問題に焦点を当てているのかというのを明確にする必要があると考えます。
しかも、この条例では、管理不全になることを未然に防止するという趣旨で条例が組み立てられておりますので、あなたのマンションは管理不全ですと決めつけるような条例の適用にはなっていないと。この点は大事だと思うんですよね。
ですから、管理不全に陥らないように今何をするかという条例の組み立てですから、管理不全とは何かの定義を行うことがそのマンションの状態を決めつけることにはならないという点でも、定義を置くことは何ら矛盾もないし、また大きな意味での条例の方向性を決める上で大事だと思います。
それから次に、マンション関係団体などの責任と権限の規定については、私たちは分譲事業者の規定に疑問があります。
第八条の、マンション分譲事業者に対して、管理組合の設立及び円滑な運営に配慮したマンションの供給に努めるという努力義務を課していますけれども、具体的にはどういうことを指すのでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 分譲事業者には、良質で分譲後の管理にも十分配慮したマンションを供給することが求められてございます。
このため、条例案では、区分所有者による管理が円滑に行われるよう、管理組合の設立に対する助言、支援や管理規約案の作成などを想定してございます。
○曽根委員 実際上に、マンションを購入して入居してくる区分所有者が、最初からマンションの区分所有者としての法律も含めた意識をちゃんと持っているかどうかというのは、これはなかなかそうはならないわけです。
したがって、管理組合を結成して、最初の理事長に誰になってもらうのか、それからどういう管理組合の規定を持つのか、月々の積立金をどうするのかは、事実上はマンション分譲事業者が最初設定をつくって、そして入居者の誰かに理事長をお願いするようなことを実際上やって、スタートするわけです。
したがって、分譲事業者がどういう設定で管理組合をスタートさせるのかというのは、非常にその後のマンションの管理組合運営に関して大きな力を持ちます。
ところが、二〇〇九年の都の報告の中に、分譲事業者が最初に設定する修繕積立金が低過ぎる傾向があって、十年ほどたつと修繕積立金が足りなくなってくると、工事がなかなか難しくなってくるというようなことが指摘されておりますが、この点は最近改善されたんでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 国が五年ごとに実施しているマンション総合調査によれば、完成後三年以内のマンションの修繕積立金の平均月額は、平米当たり、平成二十年度では百十二円でございましたが、平成二十五年度では百三十二円となってございます。
なお、修繕積立金の額は、均等積み立てや段階増額積み立てといった積立方式の違いや修繕積立基金を設けるかなど、マンションによって異なるため、新築当初の設定金額だけをもって単純に比較することは難しいものと考えてございます。
○曽根委員 金額的に見ればそれほど大きな改善にはなっていませんし、今お話のあった修繕積立基金を設ける、このやり方が今一般的に非常に多いんです。
要するに、月々の積立金は割と低いわけです。しかし、十年後に大体大規模改修が来ますので、そのときに必要な工事資金には足りなくなるわけですね。そのために、入居のときに修繕積立基金を積ませるわけです。これにはローンが組めますので、そういう形で用意しておいて、十年後の大規模改修に間に合わせると。
しかし、それは、基金を使っちゃいますとその次の大規模改修には積立金を増額しないと間に合わなくなっていくという、管理組合にとっては、十年ぐらいたつと管理組合の運営に支障を来してくる、もしくは修繕積立金の値上げという大変難しい課題に直面しなきゃならないということになります。
そういう点では、分譲事業者の中には、売らんがために、月々の積立金を低く抑えて買いやすくするようなやり方で--実際には後で困難が来るというようなことを抑制するために、条例の規定が必要ではないかという点で、私たちは修正の文章で、若干の修正ですけれども、こういうことを防止するための修正を提案しようと考えております。
次に、第十五条に、要届け出マンションの管理組合が規則で定める事項の届け出を行う義務を負うとされていますけれども、現在のところ、どういう項目を届け出、報告するということになっているんでしょうか。それをお知らせください。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 管理組合の設立や管理者の設置、規約の作成、総会の開催、管理費及び修繕積立金の設定、修繕の計画的な実施など、条例案の第九条から第十三条に規定している事項については、管理不全を予防するために必要な事項として、届け出を求める予定でございます。
これに加えまして、第十四条に規定しているマンションの適正な管理の推進及び社会的機能の向上に資する取り組みについても、届け出を求める予定でございます。
○曽根委員 要届け出義務を負うマンションというのは、昭和五十八年以前に新築された、いわば耐震制度がまだ甘い状態のときのマンションですから、東京都として心配なのはわかりますけれども、くれぐれも上からの管理、締めつけにならないようにする必要があるということと、この十年ぐらいですか、マンション啓発隊の直接訪問を行って、東京都はかなりのマンション情報を既に保持しているわけで、この活用も含めて、情報を十分に検討することが必要だと思います。
それから、東京都は、場合によっては立入調査権を行使するということも規定があります。第十七条。これはどういう場合なのかということと、それからやっぱり立入調査権を持つとすれば、当然ながら、濫用防止の規定は当然ではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 条例案の第十七条に規定する調査は、管理組合や区分所有者の協力を得た上で、マンションを個別訪問して、未届けの理由や管理状況の詳細をヒアリングすることを考えてございます。
例えば、督促をしても管理状況の届け出がなされない場合や、管理組合が設立されていないなど管理不全の兆候があることが明らかになった場合に、実施することを想定してございます。この場合の調査は、第十七条第四項に、犯罪捜査のために認められた権限として解釈してはならないと明確に規定しており、行使の条件が整えられていると考えてございます。
○曽根委員 確かに犯罪捜査には使っちゃいけないということは書かれていますけど、じゃ、それ以外のどういう場合に立入調査をすることが必要なのかというのは、条件が全く記載がないので、濫用防止ということだけでも明記するというのは、都民の側からすれば、条例上必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
それから、私たちの修正点として、提案の一つに、今後条例の実施に当たって、このマンションの問題を関係団体の代表などが集まって協議を進めていく協議会を設置すべきであるということを提案させていただいております。
東京都は、既に東京都マンション施策推進会議というのを持っているから、これが進めていくんだよということのようですけれども、この条例の実施を効果あるものにしていくために、条例上規定した形で、まあ、この中に入っているかもしれませんが、マンションの住民側のですね、管理組合側の代表や、それからマンション管理士の代表など、それぞれマンションにかかわるさまざまな分野の力を結集できる形で、改めて協議会を設置することを提案したいと思います。
最後に、この新設条例で多くの関係者の知恵を結集する必要があったり、また今後の時代の変化に対応する必要があるものとして、私、防災の問題をぜひこの条例の実施の大きなテーマの一つに据えていただきたいということをきょうは申し上げたいと思います。
というのは、もう五年近く前になると思いますが、国の総務省から、マンションの管理組合で自治会がない場合、大きなマンションであっても防災に対する行政の支援が届かないという場合があって、東京都内でも、かなり大規模なマンションでも自治会が設立されていないために、行政からの防災に関する情報や資材の提供などが行われていない、防災の穴になっているという場合が少なからず起きているというふうに聞いておりまして、そのため、国の方は、自治会、町会と同じ、同等の扱いで防災の支援をしなさいということを自治体に求めております。
こういう点で、区市町村の段階で防災活動の支援を充実させたというこの間の取り組みについてお聞きしたいと思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 委員お話しのとおり、総務省が平成二十七年五月に各都道府県宛て通知、都市部を初めとしたコミュニティの発展に向けて取り組むべき事項におきまして、都市部では、マンションの管理組合も自主防災組織として位置づけることが有効であると考えられるとしてございます。
都が区市に対しまして平成二十六年度から行っている防災施策に関する調査では、管理組合向けの防災マニュアル作成の手引を作成している区市は、平成二十六年度が十八区市だったのに対しまして、平成三十年度には二十四区市となるなど、都内の区市の取り組みは着実に進んでいるものと考えてございます。
○曽根委員 六区市ふえたというのは、着実な前進といえばいえるんですけれども、都内には六十近い区市がありますので、ちょっと間尺に合っていないんじゃないかという印象です。
私もマンションに住んでおりまして、実は防災の責任者をやっておる関係で、昨年度と一昨年度は、この通知に基づいて東京都がマンション防災という講座や、講師の派遣をするようになりましたので、それを活用して、おととしはセミナーに参加をさせていただき、去年は講師が来てくれて、ワークショップ、つまり、私の住んでいるマンションで何が防災上の最大のネックなのかということをみんなに考えさせるというなかなかいい企画がありましたので、活用いたしました。残念ながら今年度はお呼びがかからなかったので、もうちょっと本腰を入れてマンション防災の問題に取り組むよう、東京都自身もさることながら、区市町村への働きかけをお願いしたいと。
その上で、例えばマンションの問題で防災の手引のようなもの、この間、前の知事のときに「東京防災」という黄色い冊子が出まして、小池知事になってから「東京くらし防災」という冊子が出て、今も無料で配布しているんですよね。
私、防災訓練のときに両方を十冊ずつ置いたんですよ。皆さん、自由にお持ち帰りくださいと。こっちだけなくなったんですね、黄色い方は全部残ったんですけど。
これを読んでみたら、なかなかいいんですよ、実際的で。特に女性の視点が重視されていましてね。まあ、小池さんがやること、何でもあれだといっていないので。(笑声)こういう結構役立つものも出ているということ。
それで、こういうものでマンション版というのがあっていいんじゃないかと。エレベーターの問題、階段の問題、中間階の備蓄の問題、高置水槽の問題など、さまざまマンション特有の問題がありますので、そういった問題で、マンションの防災のマニュアル的なものをぜひ検討いただきたいと。
今聞いてもお答えあんまりよくなさそうなので、要望にしておきますけれども、ぜひ検討をお願いして、私の質問を終わります。
○宮瀬委員 では、私の方からは、住宅と満員電車、あとは時間がありましたら耐震の件で質問したいと思います。
なかなか厳しいご指摘もさせていただくこともあるかもしれませんが、敬意を持って質疑したいと思いますので、よろしくお願いします。
まず、前回の事務事業質疑の際に、都営住宅の件で途中で時間がなくなってしまいまして、その件を引き続きやりたいと思います。
前回の事務事業におきましては、私の主張をまとめますと、住宅に困っている方々が都営住宅に入れていない現状がいて、実に倍率、高齢者の単身ですと四十七・一倍、平成三十年度でございます。その数というのは、毎年延べ約十三万人ほどの方が抽せんで漏れていると。
その人数は、人口動態からいってますますふえることが予想されておりまして、にもかかわらず、都は、都営住宅の戸数はふやさないと。代案として、民間住宅を活用した家賃低廉化補助制度は、実績は今のところゼロでありまして、実績がフルで出ましても、予算規模は最大で五百世帯分だと。
また、空き家活用事業は、そもそも空き家の抑制を目的にしながら、前回質疑で確認をいたしましたが、平成二十八年度の削減数は三件、平成二十九年度は六件といった状況で、都は空き家の実態を正確に把握されていないのではないかといったところでございました。
きょうは、いろいろご提案でございまして、二つございます。
まずは、入れていない方がいる一方で、いろんな事情で、都営住宅に申し込んだ際には大変生活が苦しい、いろんな状況があって、わらにもすがる思いで住宅へ申し込まれて入られている方も多くいたと思います。
困っている方々、落ちている方が多いので、入りたいという方がいても、だんだん生活が改善していって、その収入超過世帯がずっと残ってしまわれますと、なかなか新規で入ってこれないと。
先般、文書質問させていただきまして、過去五年の推移をお聞きしますと、平成二十五年度が九千四百三十三世帯、収入超過世帯でございます。平成二十九年度が一万二千八百七十二世帯ということで、実に一万世帯を超える方が収入超過世帯になっている。また一方で、高額所得による明け渡し請求対象世帯の過去五年は、平成二十五年度が九十七世帯、五年後の平成二十九年度は三百四世帯となっておりまして、こういった方々がいらっしゃると。
入れない方がたくさんいる中で、収入超過者が一万三千世帯といった形になってしまいますと、困っている人がたくさんいることを考えますと、そういった方々は、やはり十分説明をして退去していただかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
○八嶋経営改革担当部長 ご答弁に入る前に一つご説明させていただきたいと思います。
今、高額所得による明け渡し請求対象世帯数五年間の推移ということでございますけれども、平成二十五年度が九十七世帯に対しまして、平成二十九年度三百四世帯というお話がございましたけれども、実は、平成二十五年度までで高額所得の定義が変わって、その経過措置が終了したということで、二十六年度、実は五百九十六世帯と非常に多くなりまして、その後で明け渡しを進めてきて、二十九年度三百四世帯になったという経緯がございます。
ご答弁申し上げます。
収入超過者は、都営住宅に三年以上入居し、収入の増加などにより入居収入基準を超えた者であり、平成二十九年度末現在で約一万三千世帯が対象となっております。
公営住宅法では、収入超過者は住宅明け渡し請求の対象となっていないことから、自主的な退去を促進するため、都は、収入超過の度合いに応じて、一定期間後に、近傍同種家賃となる割り増し使用料を徴収するとともに、毎年度、住宅明け渡し努力義務について通知を行うほか、移転先を具体的に提示するなどの対応に努めているところでございます。
○宮瀬委員 不適正使用につきましては、入居者から相談、通報があった場合には、公社の窓口センター職員が現地に行きまして、直接会って話を聞き、内容を十分把握した上で必要に応じて指導を行うなど、問題の解決に努めていると思いますが、通報や相談は全体で何件ぐらいあって、その内容や内訳はどのようなものか、また改善実績をお伺いいたします。
○八嶋経営改革担当部長 平成二十九年度の通報や相談等による不適正使用者への指導実績は一千三百三十四件でございます。これは、前年度からの繰り越し分と当年度の発生分の合計でございます。
是正指導の内訳は、不正入居、不正同居、長期不在や無断退去などでございまして、また、これらの指導により退去して空き住戸となりました実績は、平成二十九年度で七百十件でございます。
○宮瀬委員 そのご答弁を聞いた後に、こちらの平成十九年度包括外部監査報告書で、都市整備局の都営住宅に対するご指摘が十年前にされておりまして、この中で指摘がありましたのは、その通知を郵送するのみで、網羅的に、個別にアプローチをしていないと。改善すべきなんじゃないかということでございました。つまり、不適正使用に関しまして、書面だけを送っていて、実際に個別のアプローチというのが当時はなかったそうでございます。
現在はどういった状況でしょうか。理解を求めた上で、個別に会いに行ったりアプローチするなど、きめ細かい対応をすべきだと思いますが、ご答弁をお願いします。
○八嶋経営改革担当部長 収入超過者は、都営住宅に三年以上入居し、収入の増加などにより収入基準を超えた者でございまして、公営住宅法は、明け渡し努力義務をご本人に課しているということでございます。
収入超過者の自主的な退去を促進するため、都は、収入超過の度合いに応じて、一定期間後に、近傍同種家賃となる割り増し使用料を徴収するとともに、毎年度、住宅明け渡し努力義務について通知を行うほか、東京都住宅供給公社及び都市再生機構から賃貸住宅の割り当てを受け、収入超過者に対しあっせんを行うなどの対応に努めているところでございます。
○宮瀬委員 そうなりますと、実際に個別にアプローチしている件数はどれぐらいでしょうか。
○八嶋経営改革担当部長 収入超過者に対しましては、明け渡し努力義務の通知の際に、公社賃貸住宅と都市再生機構賃貸住宅のあっせんを行うことを周知しておりまして、希望者に対しては、あっせんのパンフレット、冊子ですね、これを配布いたしまして、あっせんを行っているところでございます。
平成二十九年度は百五十二世帯から希望がございまして、そのあっせんのパンフレットを配布いたしまして、十世帯に対して住宅のあっせんを実際に行ったところでございます。
○宮瀬委員 収入超過者が一万七千ぐらいありまして、実際アプローチしているのが百五十二になりますと、相当少ない、実に一%しかアプローチしていないということがわかったわけであります。
ここは厳しくいいませんが、デリケートな問題でもありますし、ぜひしっかりと個別にアプローチしていただきたいと。十年前から指摘を受けているわけでありますので、お願いしたいと思います。
また、私、ちょっと最近まで不勉強で知らなかったんですが、都営住宅というのは、収入に対しての入居要件があって、資産というのは実際に加味されていないと。例えば、この包括外部監査報告書の中でも、株式の有価証券の配当金が多く入っている人ですとか、いろいろ単年度の収入が少なくても数千万円の貯金がある方も、入居要件等には加味されないといったことでございます。
貯金が全くなく収入が二百万の人と、貯金がたくさんあって収入が二百万の方だと、実際に困窮度というのは大きく変わってくるのではないかなと思っております。そういったことも十年前に指摘されておりまして、見解をお伺いいたします。
○八嶋経営改革担当部長 公営住宅法は、入居者資格を住宅に困窮する低額所得者としておりまして、現在の住宅の状況を把握することは重要であると考えてございます。
都営住宅の募集におきましては、申込書に、現在住んでいる住宅の種類や間取り、家賃などの記載を求めております。
その後の入居資格審査におきまして、住宅の賃貸借契約書や家賃の支払いを確認できる通帳の写しなどにより住宅困窮者に該当することを確認するなど、厳正な審査を行っております。
一方、平成十七年に国は、入居者資格につきまして、住宅を所有しながら公営住宅への入居を希望している者や、住宅の取得が可能な預金を保有している者は、住宅困窮者に該当しないことを示しましたけれども、公営住宅法では資産の取り扱いを明記しておらず、その調査権限に関する規定もございません。資産の取り扱い及び調査権限につきまして、公営住宅法上明確に位置づけるよう国に対して提案要求しているところでございます。
今後とも、都営住宅を一層的確に供給できるよう十分検討していくとともに、現状に即した法制度の整備を国に要求してまいります。
○宮瀬委員 国のマターだということでございますが、この中でも、実際にじゃあ実態がどうなっているのかということで指摘がございました。千件のサンプル抽出調査で五十六件の本来そぐわない方々がいるといったご指摘で、その中で千件で五十六件でございますと、都営住宅は二十六万ありますので、掛け算していくと約九千世帯あるのではないかとこの中に書いてありした。
そうなりますと、包括外部監査報告書の中でも示されていましたとおりしっかりと、毎年というのは難しいと思いますが、五年に一回なり、三年に一回なり、数年に一回、しっかりと実態調査を全てにおいてすべきだと思いますが、見解を伺います。
○八嶋経営改革担当部長 平成十九年度の包括外部監査で指摘された不正入居者の把握につきましては、住民票及び住民台帳閲覧調査並びに居住年数の長い団地のサンプル調査を毎年行うことで対応しておりまして、これらをあわせますと、おおむね毎年約三千件となってございます。
お話の調査の拡大の件につきましては、特に実態調査につきましては、住民票をとった上で現地に赴いてその状況を確認するというような個別訪問等の手続もございまして、マンパワーやコストなどの課題がございます。こうした課題やその必要性の検討などを含め、今後適切に対応してまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。収入超過者だけではなくて、実際どういった形で都営住宅にお住まいの方が、悩んでいたり、苦しんでいたりといった方、さまざまいろいろあると思います、そういった住民の方のニーズをしっかりと酌み取るためにもぜひ検討していただきたいと思います。
また、都営住宅での質疑になりますと必ず倍率の話になりまして、都営住宅入居者募集のご案内というのが毎回出てくるわけでありますが、私も地元板橋にいまして、都営住宅のご相談をたくさん受けるんですけれども、高齢者の方が自分の一番近い都営住宅の場所にいつも申し込まれていて、でも実はそこの都営住宅の倍率は七十倍だったりするわけであります。
しかし、一方で、過去ご答弁もたくさん出ていますが、大分離れると倍率がぐっと下がったりするといった状況の中で、自分の今のお住まいの近くを選ぶのか、遠くになっても当たりやすいところを選ぶのか、そういったことというのは大変重要だと思っています。
過去、前回の事務事業でお手紙を読みましたが、ずっと二十六年当たらないおばあちゃんも、実はこっちだったら当たるよといったことがしっかりと伝わればよかったんじゃないかなと。
しかし、これの中を見ていきますと、いろいろ募集枠あるんですが、実際にどの物件がどれぐらい当たりやすい、まあ、当たりやすいといってはいけないですけど、倍率が低いかは書いていないと。唯一後ろの方に各区市町村別の倍率が書いてあるんですが、これは実はお住まいの方からしてみると余り参考には--もちろんなるんですけれども。
実際、今回申し込む際の物件の過去実績がしっかりとわかれば、この冊子の中にその倍率がきちっと書いてあれば、これを見たご高齢者の方も、あ、前回はこの物件で何倍だったんだ、だったら、こっちじゃなくてこっちで申し込んでみようかなと。そういった高齢者の方はホームページも、インターネットを使えなかったりするわけであります。
こういった都営住宅の募集で、高齢者の方も希望が多いことから、冊子で見られるように、今の倍率の平準化といいますか、やっていくべきだと思いますが、所見をお伺いします。
○八嶋経営改革担当部長 現在、都営住宅の募集パンフレットには、前回の区市町別の倍率を記載してございます。また、各回の募集における住戸ごとの応募倍率は、申し込み受け付け期間終了後に東京都住宅供給公社のホームページに掲載をしてございます。
応募倍率に関する情報は、個別の住戸の間取りや広さ、また優遇倍率の申し込み状況など多岐にわたるため、今後、公社のホームページに記載しているこれまでの応募倍率等の情報の充実について、公社と検討してまいります。
○宮瀬委員 私のご答弁でめったに検討してまいりますというのは出ないんですけれども、本当にありがとうございます。あの、ありがとうございます。ちょっとなれないので。(笑声)
次に、都営住宅は当たるか当たらないかというのが結構要素が大きくて、ゼロか百かということで、その差が激しいわけであります。都営住宅の入居に関しましては、単身高齢者は収入基準が裁量階層まで認めておりまして、収入に幅があると。例えば、単身向けの入居資格は、六十歳以上であることと年収が二百五十六万八千円未満の方々、こういった二点があるわけでございます。当然、原則階層で収入の低い方の方が、裁量階層での高い収入である方より住宅の困窮度が高いと思うんです。
年齢は変えようがありませんけれども、収入はゼロ円であっても二百五十万円の年収であっても、その中から抽せんになってしまうと、当然収入の低い人の方が困窮度が高いわけです。そうなりますと、そういった方々を優先させるような取り組みというのが必要だと思いますが、見解をお伺いします。
○八嶋経営改革担当部長 都営住宅は、住宅に困窮する低額所得者へ住宅を提供するものでございまして、公営住宅法施行令で定める最低居住水準の民間賃貸住宅を確保することが可能とされる政令月収に基づき、東京都営住宅条例により入居収入基準を定めております。
しかし、特に居住の安定を図る必要のある高齢者や障害者等につきましては、この収入基準について、原則階層を超える裁量階層まで範囲を拡大し、入居資格を有することとしております。
この裁量階層までの収入の方につきましては、入居資格を付与し、等しく抽せんで入居を決定しているところでございます。
○宮瀬委員 直接のご答弁、なかなかないと思うんですけれども、ここはさらには問いませんが、福祉施策を、抽せんといいますか、くじ引きでどこまで決めていいのかといった議論になると思います。とりわけ落選、抽せんから漏れている方が延べ十二、三万世帯いるということですので、ここはぜひお願いしたいと思います。
若いときは、私、高島平団地が出身なんですけれども、当時は憧れの高島平団地といったそうでありますが、働き盛りのときはばりばり働いて賃貸でやっていって、しっかりと家賃も払っていた中で、仕事をリタイアされるとなかなか体も動かなくなり、そうしますと年金生活になる中で副収入がなかなかなくなってくると。そういった中で、実はURなんですけれども、家賃が八万とか九万にどんどん上がっておりまして、このままだと生活ができないので、都営住宅どうなんだといった声も受けます。ぜひそういった方々が最終的にホームレスになるようなことがないように、困窮度の高い方から救いの手を差し伸べていただきたいと思っております。
また、もう一つは意見にいたしますが、さきの中途議決の議案で、三件、都営住宅の建てかえの話がございました。諏訪五丁目団地等でございますが、実際に建てかえ前と建てかえ後の一DK、二DK、三DKという間取りを全て、どういう間取りからどうなったのか戸数を確認しましたら、一つのところでは、建てかえ前は百八十世帯のところが、建てかえ後は二百六十八世帯まで、八十ふえているわけであります。もう一つは、建てかえ前は九十世帯だったものが二百三十五世帯まで拡大しているわけであります。
こういった形で、都営住宅を新たにつくっていく方針はないとしても、うまく間取りの工夫ですとか仕様の変更で、より多くの方を受けとめていただきたいと思います。
また、もう一つの意見としますが、やはり課題となっておりますのは、空き家が八十万に上っていると。その空き家の活用事業というのが、なかなか都では実績が今上がっていない状況の中で、一方で、住宅困窮者の方は多くいらっしゃいます。
そういったことから、空き家を活用したいわゆる住宅のクーポンに近いものを支給して、都営住宅を用意するよりも、空き家を活用して住宅困窮者の方に空き家に入っていただくような仕組みを新たに提案したいと思っております。
我が会派はいつもその提案をさせていただいていまして、いつも同じ答弁ですので、今回は強く意見とさせていただきたいと思います。
次に、満員電車の取り組みについて伺いたいと思います。
満員電車は、昨年の予算特別委員会で我が会派の西沢けいた都議会議員の方から質疑をさせていただきました。かいつまんでいいますと、知事の掲げた満員電車ゼロといったものはどういったものなのかといった問題提起でございます。満員電車の混雑率を指標とするのか、満員電車というのは何なのか、そして満員電車の方は今後どれぐらい減っていくのかという質疑でございました。
そこで最後に知事の方に、満員電車ゼロについて、国が定めたものではなく、今、東京都がやったグランドデザインでもなく、やっぱり知事がリーダーシップを発揮して、民間事業者と鉄道事業者との連携や、テレワークだとか車両とか、それから働き方改革とか、いろんなものがあります、これをセットにして、しっかりと知事がリーダーシップを持って目標を定めることが必要ですといったことで、ぜひご検討いただきたいという旨の質問をいたしました。
これに対しまして、知事から、もっとスピードアップしていきたいというご答弁がありましたが、現在の進捗状況をお伺いいたします。
○荒井都市基盤部長 鉄道の混雑緩和に当たりましては、二〇四〇年代を目指した都市づくりのグランドデザインにおきまして、都市づくりの挑戦の一つとして、鉄道のピーク時の混雑を解消することを提示し、ハード、ソフトの両面から取り組みを推進しております。
混雑率は、さまざまな要因が複合的に作用するものであり、その低減には中長期的な取り組みが必要でございます。
引き続き、輸送力強化などの観点から、鉄道ネットワークのさらなる充実や駅改良など、必要な対策を推進するとともに、快適な通勤の実現を図るムーブメントとして、時差ビスも定着させてまいります。
なお、おおむね二〇三〇年ころを念頭に置いた国の答申では、東京圏におけるピーク時間の主要区間の平均混雑率を一五〇%にするとともに、個別区間の混雑率を一八〇%以下にすることを目指すとしておりまして、この数値も混雑緩和の一つの目安と考えております。
○宮瀬委員 西沢都議の意図は、議事録を読んでいただければわかるんですけれども、しっかりと数値でいろいろ証明してほしいといった趣旨でございました。しかし実際、今のご答弁を聞いておりますと、数字に関するところが予算特別委員会の答弁と全く同じなわけであります。
取り組みをスピードを持って進めてくださいという意味ではなくて、しっかりとその取り組みを数値化して、どれぐらい進んでいくのか、それを数字でしっかりとあらわしてくださいといった趣旨でございましたので、ここは指摘をさせていただきます。
また、知事は、過去、私も本会議で事業評価のことについてお伺いしたときに、全ての事業に対して終期を設けると、都の全ての事業に対して終期を設けるといったことがございました。満員電車ゼロといった形は実際、終期というのはいつなんでしょうか。
○桜井総務部長 平成二十九年度の予算編成から、都の行う全ての事業について期限を定めることを原則としております。事業期間につきましては、財務局とも調整の上、特段の理由がある場合を除きまして、原則五年間としております。終期を迎える事業につきましては、必要な見直し、再構築を行うこととしております。
都は、満員電車ゼロに向けて、鉄道ネットワークの充実に向けた検討調査や時差ビズに取り組んでおりまして、来年度からは、快適通勤の実現に向けた方策の検討調査にも取り組みます。
それぞれの事業の終期につきましては、鉄道ネットワークの検討調査は、終期を平成三十三年度、時差ビズは、終期を平成三十二年度、快適通勤の実現に向けた検討調査は、平成三十五年度としております。
○宮瀬委員 満員電車ゼロの終期をお伺いして、各事業の終期を教えていただいたんですけれども、当然わずかあと二、三年では満員電車ゼロにはならないですよね。皆さんも電車に乗っている方は多いと思いますけど。そうなってきてしまいますと、満員電車ゼロという事業の終期とゴールはどこなのかといった議論になるわけでございます。
改めてお伺いしますが、都の満員電車ゼロというのは実際の混雑率が何%であり、目標数値というのは、どういった状況が満員電車ゼロなんでしょうか。
○荒井都市基盤部長 まず、先ほど申し上げた終期でございますが、これは、ワイズスペンディングの視点により、自律的な都政改革を不断に推し進める、全ての事業の評価時期をルール化する、施策の新陳代謝を促進するなどの観点から設定しているものでございまして、中長期にわたる事業で目標年次が必ずしも明確でない事業については、事業期間を原則五年間としておりまして、各政策が目標とする年次とは考え方が異なっております。
その上で、満員電車ゼロの状態でございますが、都としましては、二〇四〇年代を目指した都市づくりのグランドデザインにおきまして、都市づくりの挑戦の一つとして、鉄道のピーク時の混雑を解消することを提示しております。
混雑率は、さまざまな要因が複合的に作用いたします。また、その低減には中長期的な取り組みが必要であり、短期的な議論は難しいと考えており、都としての数値目標は示してございません。
先ほど申し上げたとおり、国の答申では、平均混雑率一五〇%、個別区間の混雑率一八〇%、こういった数字も示しておりまして、この数値も混雑緩和の一つの目安と考えてございます。
○宮瀬委員 私も他党でありましたけれども、知事の満員電車ゼロという政策は大変期待をしておりまして、誰しもすぐできるということは思っていなかったと思いますが、しかし、せめてロードマップはしっかりと示していただいて、それを達成するしないは、皆さんいろいろ関係者も多いので、すぐにはいかないと思いますよ。
でも、ここまで、今満員電車ゼロというのは何%の状態ですかとお伺いし、ご答弁が、都としての目標数値は示していないといった答弁になってしまいますと--今ご答弁の中にあった国の目標は、平均混雑率一五〇%、個別区間の混雑率一八〇%以下ですと部長お話しいただきました。都のところに関しましては、二〇四〇年代に鉄道のピーク時の混雑を解消することを提示とあります。
もう一回聞きますが、都の、二〇四〇年代というしっかりと年代が、数字が入っているんですけれども、鉄道のピーク時の混雑を解消するといったことはどういった状態でしょうか。
○荒井都市基盤部長 混雑の解消ということなんですが、都としては数字は示しておりませんが、国の答申に示されている一五〇、一八〇という数字は、一つの目安としていきたいと考えております。
○宮瀬委員 となりますと、国の答申の中でいうと、私は都営三田線を使っているんですけれども、この前、予算特別委員会で混雑率の推移を出していただいたときに--都の事業でございます、都営ですので--三田線、平成二十八年度、一五六%混雑率でございます。二十九年度も同様でございます。またほかの、新宿線に関しましても一五〇は超えている状況でございます。となりますと、実際に一八〇以下にしていくということで、混雑率は既に三田線は一五六であります。
もう一回いいますけれども、わかりづらいと思いますので。この個別区間は、混雑率を一八〇%にしていくと。今の三田線の話もそう。しかし、三田線はもう一五六なわけであります。しかし、実際に通勤しているからわかりますけど、今の混みぐあいが、とてもではありませんけど新聞なんか広げられる混雑状況ではありませんし、実際に体感として、もうぎゅうぎゅう詰めの状態です。
その状態ということは、皆さんからすると満員電車じゃないということですか。満員電車ゼロという政策の大きな見出しをつけて、それは混雑解消の対象にはならないということですか。
○荒井都市基盤部長 国の混雑率の目安では、混雑率一五〇%は、広げて楽に新聞を読める状態、混雑率一八〇%は、折り畳むなど無理をすれば新聞が読める状態とされております。
国の混雑率は、最混雑時間帯一時間における平均値でございまして、そのため、乗車する列車や車両位置によって、実際に体感する混雑の状況はまた異なってくると思います。
そういったことで、まずは個別路線において混雑率が一八〇%を超える区間を減らすことが重要と考えております。
○宮瀬委員 ちょっと個別の話過ぎちゃうとよくないので、もう少し広い観点からいいますと、では、プラン、ドゥー、シーの東京都が挙げているドゥーのところでございまして、都は、混雑緩和に向けて、時差ビズやテレワーク、鉄道ネットワーク等のさまざまな施策を展開しております。
そうなりますと、いろいろ打ち手をやっている中で、今までのそういった取り組みで混雑率がどれほど下がったんでしょうか。今後いつまでにどのようなそれぞれ施策の目標を達成しようとしているのかお伺いします。
○荒井都市基盤部長 混雑率の低減につきましては、鉄道ネットワークの充実や時差ビズなど、ハード、ソフト両面からの取り組みが複合的、一体的に成果としてあらわれてくると考えております。
昨年夏の時差ビズ時の主な二十駅の改札データの分析では、実施前の一昨年の同時期と比較し、ピーク率が一・三ポイント減少し、混雑が分散したことを確認しております。また、昨年の国の調査では、混雑率一八〇%を超える個別路線が、平成二十八年度の十二路線から、十一路線に減少してございます。
こうしたことから、着実に取り組みの効果はあらわれていると認識しておりますが、個々の取り組みが混雑率をどの程度引き下げているかを把握し、それぞれの目標を設定するものではないと考えております。
○宮瀬委員 結局、東京都がやっております満員電車ゼロという取り組みがあって、その目標の数値がなかなか曖昧であると。実際、満員電車ゼロにしていくためのいろいろな取り組みがあって、その中で、それぞれ目標の数字が今のご答弁だと一個もないわけであります。
やっぱり都民の皆さんも、知事の満員電車ゼロという、表現を変えれば解消には大変期待を持っておりまして、今のご答弁だとやっぱり、スローガンを掲げて、これをやっている、あれをやっている、でも効果はよくわかりませんだと、実際じゃあいつ混雑が緩和になっていくのかの道筋が見えないわけであります。
一応確認しておきますが、時差ビズですとかテレワーク、終期だけは、今回確認させていただき、鉄道ネットワークに関してのハード対策の終期も確認させていただくと。終期があるということは当然、それに向けての事業があって、それに対する成果がやっぱり問われるわけでありますので、念のため終期を確認しておきます。
○荒井都市基盤部長 終期の確認ということでよろしゅうございますでしょうか。(宮瀬委員「はい」と呼ぶ)先ほどご答弁した終期と、加えましてテレワーク等の終期ということでよろしゅうございましょうか。--先ほどお答えした当局で所管しております事業の終期でございますが、鉄道ネットワークの検討調査は平成三十三年度、時差ビズは平成三十二年度、快適通勤の実現に向けた検討調査は平成三十五年度というふうにしてございます。
○宮瀬委員 再度その期限が来たときに、いろいろまた問い合わせたいと思いますが、やはり総括的な質問をしますと、改めて都として、誰もがわかる適正な目標数値を設定していただいて、達成する時期を示すべきだと思っております。
満員電車の混雑率という最もわかりやすい指標がある中で、私、予算特別委員会で数値を全部いただいたんですが、過去十年の混雑率の推移、ちゃんと出ていますよ。じゃこれが二十年たてば一五〇になるのか、またこのペースでいくとあと二十年なのか、いろんな推測は立つわけでありますが、やはり民間企業でしたら、ある程度の仮説と目標数値、そしてそれに届くようにあらゆる打ち手を組んで、その数字を達成しようとしてみんなやっているわけでありますが、改めて数値の設定、達成すべき時期を示すべきだと思いますが、見解を伺います。
○荒井都市基盤部長 繰り返しになりますが、混雑率はさまざまな要因が複合的に作用いたします。その低減には中長期的な取り組みが必要でございまして、短期的な議論は難しいと考えております。
中長期的には、都としては、二〇四〇年代を目指した都市づくりのグランドデザインにおきまして、都市づくりの挑戦の一つとして、鉄道のピーク時の混雑を解消することを提示してございます。
なお、都として具体的な数値目標は示してございませんが、先ほどお話があったように、同じ混雑率でも乗車する列車や車両位置によって混雑の状況が異なる場合もあります。
時差ビズの取り組みでは、鉄道事業者が、細かい三十分とか十分刻みの時間帯で混雑率を提示したり、それから混雑する車両を、前の方はすいているとか後ろの方は混んでいるとか、そういったことを明示する取り組みも進んできております。
また、最近では、さらに限られた線区ではございますが、リアルタイムで列車の混みぐあいを示しているようなアプリも出てきております。
こういった取り組みも含めまして、また国の数字は一つの目安としまして、総合的に快適な通勤を実現していきたいというふうに考えてございます。
○宮瀬委員 結局、きょう一問目に聞いたご答弁に戻って、さらに、一年前に西沢都議が聞いた答弁に戻っていってしまうわけであります。ぜひここは都民の皆さんの期待も高い分野でありますので、引き続き、私、注視していきたいと思いますので、ご指導いただければと思います。
次に、最後になりますが、賃貸住宅の耐震化についてお伺いしたいと思います。
私も首都直下地震対策で大分六年間取り組んでまいりまして、改めて大学の先生のところに行って、震災対策で一番大事なことは何ですかとお伺いしました。そうしましたら、やはり建物が倒れないことだと。倒れると、そこから火が出て、火事が出て、多くの人が死ぬといったことで、特に耐震化のことをおっしゃっていました。
その耐震化、さまざま皆さんも取り組みしていると思いますが、まずは、現状の住宅の耐震化率、耐震性を満たさない住宅数、住宅全体と、戸建て住宅、共同住宅別の状況について伺いたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 前回の耐震改修促進計画の改定の際に推計しました平成二十七年三月末時点の値でございますけれども、住宅全体の耐震化率は八三・八%、耐震性を満たさない住宅数は約百八万戸でございます。
戸建て住宅、共同住宅の別ですけれども、戸建て住宅の耐震化率は七九・二%、戸建て住宅で耐震性を満たさない住宅数は約四十一万戸、共同住宅の耐震化率は八五・七%、耐震性を満たさない共同住宅は約六十七万戸でございます。
○宮瀬委員 改めて、先ほどのお話ではありませんが、耐震化の目標と期限、解消すべき戸数をお伺いします。
○青木耐震化推進担当部長 今申し上げました耐震改修促進計画に示しました住宅の耐震化の目標ですけれども、平成三十二年度末までに耐震化率九五%とすることを目指してございます。平成三十二年度末までの目標を達成するためには、自然更新なども考慮しまして、約五十九万戸の耐震化を図る必要があると推定しております。
○宮瀬委員 基本を確認した上で、阪神・淡路大震災のときに亡くなった年齢分布図のグラフでございます。(パネルを示す)実は、高齢者の方の山が大きくなるのはわかるんですけれども、二十から二十四歳の方々が多く亡くなっています。大学の生協によりますと、神戸大学学生三十九人など、三十一の大学に通っていた百十一名の大学生が亡くなっていると。
これは、その多くが地震に弱い賃貸の木造アパートに暮らしていて、つまり、家賃が安いから築年数が多いところに住んでいて、当然耐震ができていないので、多く亡くなったと。
また、熊本県での地震に関しましても、日本建築学会の方が調べたところ、旧耐震で建てられた木造住宅は三二・一%が倒壊していたんですが、新耐震の住宅はわずか九・一%の倒壊状況だったといったことでございます。
つまり、耐震化、耐震化といった議論の中で、賃貸のアパートというのが実は盲点になっているのではないかと私は思っておりまして、未来を担う若者が多く亡くなっていると。
まさに東京も大学が多くありまして、安い賃貸アパートに田舎から出てきてひとり暮らしをしている若者はたくさんいると思います。
こういった状況の中で私が問題提起させていただきたいのは、まず耐震化そのものを上げていかなきゃいけないといったときに、賃貸の耐震を満たさないのは六十七万戸あるといった状況で、多くの人が、七十万人がそこに住んでいると。
しかし、一方で、あと二年で六十万世帯といいますか、耐震化を本当に九五%までできるのかといった疑問があるわけであります。
そこで提案でありますが、先ほど曽根委員からもありましたが、なかなか高齢者の方が耐震補強しない理由は、もう長くないからとか、そういう方もいるかもしれませんが、そういった方でもバリアフリーに関しての意向は高いと。墨田区では、バリアフリーの助成と耐震をセットにしまして、耐震化の促進を進めているといったことでございます。その実績が実に三百件ほども超えているそうで、墨田区の耐震化率は、平成十八年の七三・九%から、わずか十年に満たないところ、平成二十七年で八八・七%まで上がったそうでございます。
このように、バリアフリーの意向というのは、高齢者の方々は多いので、耐震補強とセットで提案していくべきだと思っております。こういった取り組みを都も取り入れて、展開をして、耐震化を進めていくべきだと思いますが、見解をお伺いします。
○青木耐震化推進担当部長 所有者への耐震改修等の支援につきましては、区市町村がそれぞれの事情を踏まえ、あるいは工夫を凝らした助成制度を運用しております。
墨田区の取り組みにつきましては、高齢者などが取り組む際のきっかけとなるなど、有効な方策の一つと考えております。ですので、区市町村との連絡会議等の場におきまして、他の区市町村とも情報共有を図ってまいります。
○宮瀬委員 墨田区の取り組み、大変有効な方策で、ほかの区市町村にも広げていきたいといったご答弁でございました。ぜひお願いをしたいと思います。
時間もわずかになってきましたので、ちょっと飛ばさせていただきますと、その中で、私は、実際にこの建物が危ないのか危なくないのか、今、賃貸でアパートを借りようとすると築年数が書いてありますが、築年数が古いと危ないんじゃないかなという想像はつくわけであります。
実際に、耐震の診断がどのようなものかというものがわかると、私はこの耐震の状況で危ないけれども、そのかわり家賃が低いものを選んでいるんですと。私は家賃は多く払うけれども、そのかわりに安心の耐震性が高いところに住んでいるんですと。しっかりとそれを入居者が判断して選ぶということが大事だと思っています。
そういった中で、都が昨年三月に行いましたいわゆる商業施設等のビルの建物の耐震診断の結果の公表といったものは、どういったものだったんでしょうか。同時に、公表後に実際に建てかえや建てかえ予定になったものはどれぐらいあったんでしょうか。
○青木耐震化推進担当部長 建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づきまして、耐震診断が義務づけられている特定緊急輸送道路沿道建築物や不特定多数の方が利用する大規模建築物などを対象として、東京都が所管する建築物の診断結果について公表したものでございます。対象の約八百五十件について、それぞれの建物名や住所、安全性の評価などの公表を行ったものでございます。この公表したことによりまして、耐震改修工事等に結びついている例もございます。
これまでに、耐震改修工事が完了し、耐震性能を満たしたものが七件、現在工事中のものが六件、改修工事や補強設計の予定が決まったものが三件、建てかえなどのために取り壊したものが五件などとなっております。
○宮瀬委員 報道にもありましたけど、例えば109の建物が実は倒壊しやすいと。そういった場所が八百五十件公表されたら、当然公表された側は一生懸命耐震補強工事をやらなきゃと思ったり、実際に件数はまだ少ないですが、いろいろ取り組みがスタートをしているわけであります。
しかし、話をぐっと戻しまして、大学生とかが賃貸のアパートを借りるときに、実際耐震診断の状況、耐震状況ってどうなっているのかといったところが最大のポイントでございます。
きょう、不動産屋さんが実際に賃貸を貸すときに、重要事項説明という、これはいわなきゃいけませんよという紙がありまして、その中に、ちょっとちっちゃくて恐縮なんですが、耐震診断の内容はいわなきゃいけませんと。その中で、まず耐震診断の有無、ある場合とない場合。ある場合は、その中に状況を書きましょうと。しかし、診断していないところは、なしに丸をしてしまえばそれで終わりとのことでございます。こうなると、説明を受けても、なしとなっていて、実際耐震がすごい行われているのか行われていないのか--実際は行われていないケースがとても多いと思いますけれども。
こういった状況ですと、実際に、大学生とか賃貸を借りる方が、この住宅は危ないかどうかがわからないわけであります。危ないけれども家賃が安いから自分で選んで住んでいるのか、それがわからなくて、いきなりこのおうちに住んでいるかは、雲泥の差があると思っております。
こういった状況では、なしというだけだと、耐震性がいずれにせよわからないと思いますけれども、所見をお伺いします。
○佐々木住宅政策推進部長 旧耐震基準の住宅の賃貸借契約などの際には、宅地建物取引業法等によりまして、契約の成立までに、重要事項説明におきまして耐震診断の有無について記載をし、なしの場合にはその旨を説明し、ありの場合にはその内容を記載し説明することが、宅地建物取引業者に義務づけられてございます。
この義務づけでございますが、平成十七年の改正耐震改修促進法の審議での参議院の附帯決議において、重要事項説明の中に耐震診断の有無及び耐震診断に基づく耐震性の状況について記載するよう検討することとされ、平成十八年三月の宅地建物取引業法施行規則改正により実施されたものでございます。
今後とも、都としましては、宅地建物取引業団体の研修の場などさまざまな機会を通じまして、重要事項におけるこれらの義務を周知してまいります。
○宮瀬委員 要は、国で決まっていることなのでこれは正しいことなんですということでございましたが、実際に私、ここからは意見とさせていただきますが、首都直下地震が起きた際に最も影響を受けるのは東京都でございます。東京は、各大学が集まって、若者がたくさんいるわけであります。若者は、なかなかお金がありませんので、ぼろアパートという表現は正しくないですけれども、築年数が古い、耐震ができていないところに住んでいる可能性が高いわけであります。
そうなりますと、一つご提案なのが、私はNGOをやっていますけれども、カンボジアという国は危険度が一でございます。逆にアフガニスタンという国は危険度が四でございます。外務省が一から四段階まで危険度を公表して、その中で、自分の責任で判断して、行動を慎みなさいなり、そういった判断をするわけであります。
そういったことを考えますと、東京都が独自に各建物の危険度を、一から四とまでいいませんけれども、しっかりと公表していただき、公表を義務づけるような形をしていただき、その借り手がしっかりと自分の判断と自分の責任でその賃貸アパートを借りられるように私はすべきだと思います。それがわからずに、震災の際に亡くなってしまうようなことがあったときに、私はこの重要事項説明書のありなしだけでは十分に伝わらないと思っております。
民間の商業施設等は八百五十件公表したということもございますし、今後は、賃貸の共同住宅につきましてもしっかりと耐震性を表示していただき、借り手側がそのリスクをしっかりと認識した上で借りていただけるような耐震施策、また、それをやることによって、貸し出し側もみずから、このままいくと危ないから、もしくはこのままいくと入居者が集まってこない可能性があるかもしれないから、しっかりと建てかえをしようといった促進にもつながると私は思っております。
質問をしても多分答弁は出ないと思いますので、これは追っかけていきたいテーマだと思っておりますので、以上、意見を述べまして、質疑を終わります。
○森澤委員 まず、高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の改正、建築物バリアフリー条例について伺います。
国内初、一般客室のバリアフリー基準を制定するということで、ふだん車椅子で各地を飛び回っているような方からも、一般客室までのバリアフリー化基準を設けられるのは画期的で、利用の幅が広がり、本当にすばらしいことだと評価の声もいただいております。
一方で、最低限の必要な項目は入っていますが、スペースの関係で、車椅子使用者の中で体幹のない方はベッドへの移乗が難しい可能性があり、ベッド片側の移乗スペース最低八十センチメートルとTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインに記載があるように、ベッドの片側に一カ所移乗スペースを設ける配慮があると、より利用しやすくなるという声もいただいております。
今後、引き続き、利用状況を踏まえ、こういったこともさまざま検討していくということですので、引き続きよろしくお願いいたします。
障害のある方が利用しやすい宿泊環境を整えることは、結果、高齢者や乳幼児を持つ家族連れにとっても使いやすい施設となるわけです。この条例が起点となって、まさに二〇二〇年のレガシーとして、都内における宿泊施設のバリアフリー化、そしてユニバーサルデザインのまちづくりが一層進んでいることを期待するものです。
また、都が先進的なよいモデルとなって、この取り組みが全国に広がってほしいというふうに思います。
今後、条例改正の内容をどのように周知し、事業者の理解と協力を得ていくのか、取り組みを伺います。
○青柳市街地建築部長 今回の建築物バリアフリー条例の改正は、先ほども答弁させていただきましたが、多くの方が利用しやすくなるよう、一般客室を対象にバリアフリー化に係る基準を設けるものでございまして、障害のある方はもちろん、ご質問にございました高齢者や乳幼児を持つ家族連れにとりましても使いやすいものになると考えております。
宿泊施設のバリアフリー化を進めるためには、ホテル業界や開発事業者、設備メーカーなど業界関係者の理解と協力が不可欠でございまして、条例案の検討に当たりましては、ヒアリング等を通じて意見交換を実施してきたところでございます。
条例改正後も、説明会などにおきまして、事業者に対して条例の趣旨や各種基準の考え方などを丁寧に説明するとともに、技術的な相談に応じるなど、関係各局とも連携いたしまして、事業者によるバリアフリー化の取り組みを積極的に支援してまいります。
○森澤委員 二〇一八年の統計では、体や心などに障害がある人の数は約九百三十六万六千人で、全人口に占める割合は約七・四%、六十五歳以上の高齢者は三千五百五十七万人で、二八・一%、ベビーカーに乗るような三歳未満の子供は二百九十三万人、全人口の二・三%、こういった方々を合わせて全人口の三七・八%、約四割に上ります。
例えば旅行するときは、一人でなく、家族も一緒だったりするわけです。そういった意味では、大きなマーケットがここにあるともいえると思います。ある結婚式場では、車椅子でチャペル形式の式や披露宴に参加できるように、徹底的なバリアフリー化を進めたところ、高齢の祖父母にも参加してもらえるということで利用者がふえ、収益が上がったという事例も聞きました。
バリアフリー整備をすることは、コストではなく、経済性とも両立するもので、施設の収益向上にもつながっていく可能性があること、こういったことを事業者には理解していただくことも大事かと思います。
先ほどご答弁もいただきましたが、ハード整備を推進される都市整備局のみならず、宿泊施設のバリアフリー化にかかわる関係局と連携して、ハード面、そしてソフト面からのバリアフリー化の取り組みを推進していただきますよう要望いたします。
続きまして、東京における土地利用に関する基本方針についてお伺いをいたします。
都市づくりのグランドデザインでは、地域の個性やポテンシャルを最大限に発揮し、各地域が競い合いながら新たな価値を創造することなどが示されております。
これを踏まえ、土地利用の基本方針では、中核的な拠点や活力とにぎわいの拠点などを位置づけ、地域特性に応じた都市機能の集積を図る必要があることが示されました。
そこで、都として今後どのように、この中で示された拠点の実現に向け、主体的にかかわっていくのか、見解を伺います。
○久保田都市づくり政策部長 都市計画審議会の答申である土地利用の基本方針に示された新たな拠点や地域の将来像などを実効性のあるものにしていくためには、法定計画である都市計画区域マスタープランに位置づけていく必要がございます。
このため、都は、都市計画区域マスタープランに位置づける地域の将来像などについて、地元のまちづくりに主体的に取り組む区市等と共通の認識を持てるよう綿密に調整を図ってまいります。
また、土地利用の基本方針を踏まえ、都市開発諸制度の活用方針などを今年度末に改定をいたします。
具体的には、諸制度の適用エリアを見直すとともに、交通広場の整備などを容積緩和の評価項目として追加し、また地域の特性に応じて誘導すべき用途を区市等が設定できるようにするなどの改定を行ってまいります。
これらにより、都は、区市等と連携をし、将来像の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
○森澤委員 来年度の予算では、稼ぐ力の強化がポイントの一つとなっています。国際競争力の向上という視点から、まちづくりの中でも稼ぐ力を意識していくことが重要だと考えます。
今回の都市づくりのグランドデザインを踏まえた土地利用のあり方においても、土地の使い方によって、都の稼ぐ力、持続的な成長を生み出すベースとなるということをより一層意識していただき、取り組んでいただけたらと思います。
来年度の予算では、国際金融都市、経済都市の実現が大きなテーマとなっています。先ほどの稼ぐ力という点から、外国企業を誘致する上では、外国人にとって暮らしやすい住居を初め、教育や医療などの生活にまつわる環境を整備していくことが欠かせません。
実際に、ある企業があるプロジェクトを率いる外国人を海外から招致しようと考えたときに、ご本人ではなく家族が、東京での生活環境が整っていないことに不安を持ち、駐在招致が実現しなかったという事例も聞きました。
国際金融都市の実現、東京の国際競争力を向上していく中では、優秀な外国人に来ていただくというところで、機会創出となり得ます。
都として、外国人にとって暮らしやすい生活環境をどのように推進していくのか、見解を伺います。
○久保田都市づくり政策部長 東京と日本の持続的な経済成長を牽引するため、区部中心部において、充実した鉄道網などを生かしながら、世界や日本をリードする国際金融等の高度なビジネス機能などを集積させることが重要でございます。
特に国際ビジネス交流ゾーンでは、インバウンドを呼び込む交流機能や宿泊機能の誘導など、国際競争力の強化に向けた機能の一層の導入などを促進する必要がございます。
都はこれまで、都市再生特別地区などを活用して、インターナショナルスクールや国際水準の居住、宿泊、医療施設などを整備し、外国人の生活環境の充実を図ってきているところでございます。
今後とも、都市再生特別地区を活用していくとともに、さらに、今年度末に都市開発諸制度の活用方針等を改定し、外国人向けの住宅や生活支援施設の整備などの促進を図ってまいります。
○森澤委員 人、物、お金、情報が集まる東京となるためには、教育、医療など、家族が暮らす上での生活環境もポイントとなってきますので、先ほどご答弁いただきましたが、生活環境の充実とともに、住宅を整備推進していただけますようお願いいたします。
土地利用の基本方針では、拠点ネットワークの充実強化に加え、厚みとつながりのある緑の充実、緑の量的底上げと質の向上もポイントとなっています。まさに、量だけではなく質という側面が重要だと考えております。
そういった中で、民間開発等においても、できるだけ生物多様性に配慮していくべきと考えます。
都は、今後のまちづくりにおいて、質の高い緑の創出についてどのように考えているのか、見解を伺います。
○久保田都市づくり政策部長 都市づくりのグランドデザインでは、東京の緑の総量を減らさないという目標を掲げるとともに、生物多様性にも配慮した緑の積極的な創出や豊かな自然環境の保全、再生、活用を進めることとしております。
これまで、大手町や虎ノ門、神田駿河台などにおいて、都市開発諸制度や都市再生特別地区を活用した民間開発により、生物多様性に配慮した質の高い緑が創出されております。
また、都は、都市開発諸制度等の活用に係る公開空地等のみどりづくり指針について、昨年四月に改定をいたしました。在来種の植栽や生物の生息空間の整備など、生物多様性への配慮事項を加え、質の向上の誘導を図っているところでございます。
今後とも、指針に基づく誘導などを通じて、都市開発諸制度等の活用による質の高い緑の創出を一層推進してまいります。
○森澤委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
先日、多摩センター駅にある京王電鉄が運営するサテライトオフィスを視察した際に、多摩ニュータウンは、もともと都心に働きに出ることが前提で、暮らすためにつくったまちであるが、サテライトオフィスなどで働く機能をプラスすることで、働き、暮らせるまちにし、職住近接をかなえていきたいという担当者のお話がありました。地元市でもそういった模索をしているというふうに伺いました。
時代が急速に移り変わり、IT活用により、必ずしも働くために都心に出ていく必要がなくなっているという状況もございます。
このように、暮らすためにつくったまちに働く機能を持たせていくことについて、都はどのように考えているのか、見解を伺います。
○久保田都市づくり政策部長 東京が成熟した都市として持続的に発展していくためには、地域の実情に応じて、歩いて暮らせるまちへの再構築を図るとともに、多様な世代やライフスタイルにも対応した複合的な土地利用を進める必要がございます。
多摩地域などでは、拠点となる駅周辺におきまして、住居専用地域が広範に指定をされ、建築基準法によりオフィス等の立地が制限されている区域がございます。
都は、こうした区域において、市などと連携をして、緩和型の特別用途地区の指定や地区計画の策定に合わせた用途地域の変更などにより、サテライトオフィスやSOHO、生活利便施設などの立地を誘導することで、多様なライフスタイルに対応した快適に暮らせる住宅市街地の形成を目指してまいります。
○森澤委員 引き続き、時代の変化、ライフスタイルの変化に応じたまちづくりを随時検討していただければと思います。
都市整備局では昨年度から、自動運転技術を活用した都市づくりへの展開に関する調査を行っています。来年度、政策企画局でも、自動運転の便益に関する調査も行われます。また、ソサエティー五・〇の都市のあり方といった議論も必要不可欠になってまいります。
技術革新、時代の変化により、今後、大きく都市のあり方が変わってきます。ますますスピードを増して変化が起きていく中で、今後、こういったことを踏まえた土地利用のあり方もしっかり考えていただきたいと考えます。
また、来年度の予算には、臨海地域のまちづくり調査が計上されています。こちらは港湾局の方で質疑をという話もありましたので今回質問はいたしませんが、東京ベイエリアビジョンにつきましては、港湾局が主体となって、政策企画局、そして都市整備局の三局が連携して、検討がなされています。
一月末に三つの官民連携チーム、魅力あるまちづくりワーキンググループ、活力と躍動感のあるまちワーキンググループ、最先端技術のまちワーキンググループ、それぞれから第一回の提案がなされました。拝見していますと、自由な発想で、さまざまな魅力的な要素が詰め込まれているように見受けられます。
民間の知恵を生かすという意味では、これをどう扱っていくのか、とても重要です。都市整備局としても、この官民連携チームの提案を生かし、東京ひいては日本の成長戦略につなげていく、このエリアの持つ成長戦略に寄与するポテンシャルを生かすよう、各局と連携して行っていただきますよう要望いたします。
さて、都営住宅についてお伺いをいたします。
都営住宅の名義人は、六十五歳以上の世帯が約六六%で、そのうち七十五歳以上の世帯が約四〇%と高齢化が進んでおります。これまで都は、夫婦が四十歳未満の世帯向けに十年間の定期使用住宅を年間千五百戸募集するなど、多世代共生の推進に向けた取り組みを行っています。
ただ、例えば多摩市からも、地域の活性化という意味でもさらに若いファミリー世代が入居するよう促してほしいという要望をいただいていると聞いています。
都として、若いファミリー世帯の入居が進み、多世代共生の都営住宅を実現するよう、さらに踏み込んだ取り組みを進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○八嶋経営改革担当部長 安心して子供を産み育てることができ、子供たちが健やかに成長できるよう、都営住宅において子育て世帯を支援することは重要でございます。
住宅政策審議会の中間のまとめでは、若年ファミリー向けの定期使用住宅につきまして、子供の安定した就学環境を確保するために、就学期に応じて入居期間を延長する仕組みの検討が提言されております。
また、経済的に困窮するひとり親世帯につきましては、働きながら子育てをするため、交通利便性の高い住宅に関する要望が増加してきていることから、新たに定期使用住宅も対象とすることが適切であると提言されております。
今後、五月に予定する答申を踏まえまして、多世代共生の実現に向け、施策を推進してまいります。
○森澤委員 多世代共生の実現、施策をしっかりと進めていただきたいと思います。
また、今後の課題となっていますが、都営住宅建てかえ時においては、現在の世帯構成のみならず、多様な世帯向けに魅力的な間取りの住戸をふやすとともに、地域の住民や多世代の交流が生まれるような仕掛けもあわせて考えていただきたく、要望をいたします。
続きまして、済みません、どんどん話題が変わっていきますが、引き続きまして、時差ビズの取り組みについて伺います。
先ほど申し上げました、私が視察をいたしました多摩センター駅にある京王電鉄が運営するサテライトオフィス、こちらは産業労働局のサテライトオフィス設置等補助事業の第一号でもあります。
昨年のテレワークデーズ等で新規の利用もそれなりにあったと聞いていますが、まだまだ活用してほしいというような声もありました。申し上げるまでもなく、都心にオフィスがあったとしても、サテライトオフィスを活用すれば、長時間通勤をする必要がなくなり、通勤電車の混雑緩和に貢献するものです。
せっかく都もテレワークを推進しているわけですから、ただ時差ビズキャンペーンに参加してくださいと呼びかけ、ポスターを張り出すだけでなく、こういった利用できる施設も一緒に告知するなど広く情報発信をすることで、利用者の意識も高め、さらに時差ビズへの参加を促していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○荒井都市基盤部長 この冬の時差ビズ期間におきましては、郊外のサテライトオフィスを活用して、混雑時間帯の都心部への通勤者の流入を避けるため、鉄道事業者と連携して、利用時のポイント加算や入会金不要キャンペーンを実施いたしました。その内容や利用できる施設については、時差ビズの公式ホームページなどを通じて、鉄道利用者に周知をしたところでございます。
お話の多摩センター駅のサテライトオフィスでは、出勤前の時間にビジネスパーソン向けの朝活講座の取り組みもあわせて行い、地域の方々にご利用いただきました。
引き続き、都としては、鉄道事業者や参加企業に対し、インセンティブ策などの実施を働きかけるとともに、広報やホームページなどを通じて、それらの情報を広く発信してまいります。
○森澤委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
続きまして、舟運についてお伺いをいたします。
東京都では、東京二〇二〇大会に向けて、舟運を活性化させて水辺の魅力を引き出し、舟運を水の都東京にふさわしい観光交通手段として定着させることを目指しておりますが、二〇一六年、二〇一七年の社会実験を踏まえ、今年度、実際の航路拡充にどのようにつながったのかを伺います。
○森交通政策担当部長 都は、舟運の活性化に向けた社会実験として、平成二十八年度から二年間、民間事業者と連携し、羽田と臨海部、浅草を結ぶ航路や東京港を循環する航路、お台場、日本橋での周遊航路など、複数の航路で運航を実施してきました。
その結果、二年間で延べ約四千人の方に乗船いただき、利用者の多い区間などを把握いたしました。このうち、お台場発着の周遊航路、朝潮運河と有明とを結ぶ航路などで、民間事業者による運航が開始されております。
また、その他の複数の航路につきましても、民間事業者により、運航に向けた具体的なダイヤなどの運航計画の検討や関係者との調整が進められております。
○森澤委員 社会実験を生かして、幾つかその航路が実現した、開始したということですが、二〇一六年、二〇一七年の社会実験等を踏まえて、その過程でどのような課題があって、そして来年度はどのように取り組もうとしているのか、見解を伺います。
○森交通政策担当部長 これまで実施しました舟運の社会実験におきまして、利用者の多い区間が明らかになる一方、認知度の低さや船着き場のわかりにくさなどの課題を把握いたしました。
このため、都は、動画の配信やパンフレットの配布、水辺のイベント等と連携した臨時便の運航などにより、舟運の周知を図るとともに、船着き場への案内サインの試験設置や、ポータルサイトによる運航や船着き場などの一元的な情報発信などに取り組んでおります。
来年度も引き続き、こうした認知度や利便性の向上に向けた取り組みを行うほか、新たな航路創出に向けた調査も行うなど、民間の運航を促進するための環境整備を図ってまいります。
○森澤委員 ありがとうございます。
認知度向上には、先ほどの動画配信やパンフレットという話もありましたが、SNSの活用等も取り組まれてきたと認識していますが、例えば東京舟旅のインスタなどを見てみますと、フォロワー数がちょっとまだまだ物足りないかなというふうに感じます。気になる方は、ぜひインスタを開いていただければと思うんですが、水辺からの景色は、インスタとの親和性も高いと考えますので、非常にもったいないなというふうに感じております。例えば、ハッシュタグに、ハッシュタグ東京、あるいはウオーターフロントなど、英語で加えて、工夫していくことも一つです。現存するアカウントをしっかり管理し、育て、フォロワーを伸ばして、東京の舟運の認知度向上に向けてよりSNS等も積極的に活用すべきと考えます。
さて、平成二十七年度の水辺空間活用(舟運)ワーキンググループが舟運の課題を分析した都市整備局の報告書の中では、平成二十五年の外国人行動特性調査を踏まえて、訪日中に利用した交通機関としては、船は全体の二・九%と非常に少ない結果と分析していますが、これは平成二十九年の同じ調査を見てきたところ、二・一%と特に変動がないというか、上がってはいませんでした。
外国人観光客というのも、舟運を利用する大きなポテンシャルの一つかなというふうに考えるところではあるんですが、ことしはラグビーワールドカップがございます。来年には、いよいよオリンピック・パラリンピックでございます。
来日する訪日外国人観光客の増加の契機を捉え、先ほど申し上げましたSNSなどを活用し、舟運のPRに積極的に取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○森交通政策担当部長 都は、外国から訪れる方々にも利用していただけるよう、ポータルサイトにおいて、舟運の情報提供を多言語で行っております。
また、舟運や水辺の魅力を誰にでもわかりやすく伝える動画を作成し、観光案内所での放映や動画サイトでの発信などを行っております。
来年度は、お話のSNSの発信におきまして、より工夫を凝らすなど、さまざまな媒体を効果的に活用して、舟運や水辺の魅力をPRしていきます。今後とも、外国人観光客も含め、より多くの方々に舟運を利用していただけるよう、認知度の向上に取り組んでまいります。
○森澤委員 せんだって地元品川にて、夜間帯に目黒川の冬の桜、ピンクのLEDライトで桜の幹を、枝を飾るという、ライトアップを楽しむクルーズに参加をいたしました。夜、川から眺める景色はまた一味違い、また、川面に映るライトアップはとてもきれいでした。
都は、来年度、ナイトライフ観光を推進していこうという中で、夜間帯の舟運も大きな可能性を秘めているというふうに考えます。
夜間帯の舟運について、さらに各地で取り組みを進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○森交通政策担当部長 これまで実施した舟運の社会実験におきまして、お台場や日本橋などの航路で、夜間の運航を行いました。その結果、スカイツリーやライトアップされたレインボーブリッジなど、船上から見える景色に高い評価をいただきました。
これを踏まえ、昨年十一月に大田区のイベントと連携して、会場内の船着き場から発着し、羽田空港周辺の夜景や離着陸する飛行機を間近で眺めるクルーズを実施いたしました。
来年度は、橋のライトアップや船着き場周辺の観光などを楽しめる夜間の臨時便を企画し、多様な乗船機会を提供する予定でございます。
東京二〇二〇大会、さらにその先に向け、舟運が身近な観光交通手段として定着し、水辺のにぎわいを創出するよう取り組みを進めてまいります。
○森澤委員 最後に、羽田空港アクセス線についてお伺いさせていただきます。
先ほども質問が出ましたけれども、地元にかかわることですので、私からも改めてお伺いさせていただきたいと思います。
昨年の一般質問でもさせていただきましたが、森記念財団が昨年十月に発表した世界の都市総合ランキング二〇一八年でも、世界の都市と比べて空港へのアクセス時間の長さに弱点があり、この点は長年指摘されているところで、東京の国際都市力というところで、そこが指摘されているところであります。
今回の羽田空港アクセス線については、東京モノレールが乗りかえで二十八分かかるところ、東京-羽田空港間が十八分になるというふうに、非常に短縮されるというようにもいわれております。
羽田空港アクセス線については、JRが中心となり、事業スキームの構築に向けて検討を進めるとともに、田町駅付近から貨物線を使って羽田空港に接続するルートについて、環境影響評価手続の実施に向けた準備を進めているということです。
この羽田空港アクセス線では、私の地元である品川区の大井町や大崎を通るルートも想定されています。今後、都は、どのような形でこの事業を推進していくのかについてお伺いをいたします。
○荒井都市基盤部長 羽田空港アクセス線については、都は今後、田町駅付近から空港に接続するルートの事業計画が早期に策定できるよう、鉄道事業者が行う公共施設管理者との占用協議等について、必要な協力を行ってまいります。
また、そのほかの大井町駅付近及び東京テレポート駅から空港に向かう二ルートにつきましても、事業スキームの具体化に向けて、国や鉄道事業者など関係者との協議、調整を進めてまいります。
○本橋委員長 運営について申し上げます。
ここで、おおむね二十分ほどの休憩をとりたいと思っております。
午後五時五十九分休憩
午後六時二十分開議
○本橋委員長 それでは、休憩前に引き続きまして委員会を再開いたします。
質疑を続けたいと思いますので、発言の方をお願いいたします。
○滝田委員 来年度予算案等につきまして、私からも幾つか質問をさせていただきます。
一つ目は、住宅政策についてです。
来年度、住宅政策本部が新設をされます。設立に当たりまして確認をしていきたいと思います。
まず、新しい本部が取り組むべき、解決すべき課題について伺います。また、新組織においてどのように取り組むのか、あわせて推進体制をお伺いいたします。
○桜井総務部長 平成十六年度、都は、現場の感覚を反映した迅速な都市づくりを進める組織として都市整備局を設置いたしました。以来、今日まで、都市の確実な安全と安心の確保を初めとし、多岐にわたる行政分野に関して、計画から現場管理に至るまで多様な事務事業を推進してまいりました。
近年、世帯の高齢、単身化と住宅ストックの老朽化が進行しまして、また人口減少社会の到来も見込まれる中、老朽マンションや空き家への対策、住宅セーフティーネットの構築など、多岐にわたる施策を早急に進めることが求められております。
こうした行政課題に的確、迅速に対応し、東京都住宅マスタープランに定める目標を達成するため、これまで築き上げてきた都市づくり政策との連携をさらに発展させながら、住宅行政の体制を強化する必要があります。
このため、住宅政策本部を設置し、本定例会に提案している条例に基づくマンション施策や区市町村との連携が求められる空き家施策、民間住宅及び都営住宅における高齢化対策などを担任する管理職を新設することで、執行体制を強化し、課題解決に向けて一層加速して取り組んでまいります。
○滝田委員 人口減少時代を見据えまして、今から体制を整えていくということ自体は、必要なことだというふうに思います。基本的には、民営、都営ともに住宅ストックが十分にふえてきた、その中で空き家も増加してきたというところで、それらを生かしながらどう対応していくのかということが課題であるという説明であったというふうに思います。
一方で、かつて平成十六年に旧住宅局と旧都市計画局を再編統合しまして、今の都市整備局が誕生しました。そのときには、住宅や市街地整備の現場と計画部門を一体的に運営をしまして、計画に実効性を持たせるまちづくりを行うということが目的であったというふうに理解をしております。
今回新しい本部ができますが、当時の考えであります計画部門と事業実施部門の連携は現在でも一層求められているという状況であります。
今回新しくできる住宅政策本部、あるいは局としては別の局ではありますけれども建設局や港湾局など、密接な関係にある部局同士での連携は、これまで以上に意識をして進めていただきたいと申し述べます。
次に、予算における住宅政策費の過去十年間の推移と背景、また来年度予算における内訳を伺います。
○桜井総務部長 過去十年間の一般会計住宅政策費の当初予算額の推移でございますが、十年前の平成二十二年度、二十三年度は八百億円程度、その後の平成二十四年度以降は四百八十億円から三百五十億円程度で推移をしております。
減少している主な理由といたしましては、都と東京都住宅供給公社の債権債務関係の見直しに伴いまして、公社が当時の住宅金融公庫からの借入金等により調達した資金について、その償還時に、都が行っていた貸し付け等が平成二十三年度で終了したこと、バブル期に土地、住宅価格、家賃等が急激に上昇したことを背景として創設されました都民住宅制度について、所定の期間が経過したため制度を縮小していったことに伴うものなどによるものでございます。
平成三十一年度当初予算額約三百五十三億円の内訳でございますが、第一目の管理費は都営住宅等事業会計繰出金など約二百九十一億円、第二目の区市町村住宅供給助成費は約十一億円、第三目の民間住宅政策費は空き家施策推進事業など約四十一億円、第四目のマンション政策費は約七億円、第五目の宅地建物取引業等指導費は約三億円となっております。
なお、都営住宅等事業会計繰出金二百七十億円は、国の三位一体改革により地方に税源移譲された国庫補助金相当分や職員費などについて、一般会計から繰り出すものでございます。
○滝田委員 東京の住宅政策は、時代の状況に合わせて大きな変化をしてきました。バブル期を経まして、現在では、民間の住宅供給が十分にあり、公的な住宅政策の役割も変わってきた。これは予算にもあらわれているものというふうに思います。
一方で、現在の住宅政策の総予算額約三百五十三億円というご説明がありましたけれども、八割の二百七十億円は都営住宅への繰入金であります。
先ほどご説明ありましたけれども、民間住宅やマンション、空き家、あるいは調査研究といったこれから取り組んでいかなければいけない課題について、かけている予算というのは合計で五十億円程度であります。
限られた予算の中で実効性のある政策を打っていけるのか、あるいは今後予算をふやしていかなければいけないのか。まずは新しい本部の戦略をしっかりと練っていただきたいというふうに思います。
来年度、住宅政策本部となることで増員となると聞いておりますが、増員数とその内訳を伺います。
○桜井総務部長 住宅政策本部は、住宅企画部、都営住宅経営部、東部、西部住宅建設事務所の二部二所体制で、定数は三百八十九名となります。
都市整備局からの移管分、三百七十一名を差し引いた職員数は十八名でありまして、その内訳は、老朽マンションや空き家への対策など事業実施部門の強化で十名、人事、経理など内部管理部門の設置に伴う増員で八名でございます。
○滝田委員 管理部門の分配などもありますので、純粋な事業部門の増員数は十名という説明でありました。増員となる分で、しっかりと先ほど申し上げました新しい本部の戦略の柱、こちらをつくっていただきたいというふうに思います。
次に、都営住宅に関して伺います。
将来的な人口減少の到来が明確となったことや、民間の住宅が十分に供給されるようになってきたという背景から、平成十四年に改正された住宅マスタープランにおきまして、都営住宅は既に保有するストックの維持管理に重点を移して、新規の供給戸数は抑制することというふうになったと理解をしております。
基本的には、行政が直接住宅建設をし、供給していかなければならないという事情はなくなっているというふうに現状を理解しております。
住宅セーフティーネットの観点では、民間の住宅ストックも有効に活用して対応をしていくことが重要です。
そのため、本日は、都営住宅の供給戸数そのものではなくて、都有地として、つまり資産としての都営住宅敷地の活用について質問をいたします。
公表されております東京都公有財産表には、都の公有財産がリストにされており、リストには現在価値も記載されています。
ついては、都営住宅敷地の区部、多摩部それぞれにおける平米単価の最高価格と最低価格は幾らか伺います。
○中山再編利活用推進担当部長 東京都公有財産表に記載の現在価格は、当該土地の取得価格に対して、取得時点からの東京都基準地価価格の対前年度変動率により算定した区市町村別の改定倍率を乗じた価格となっておりまして、取得時点以降の接道条件の変化など、実際の画地状況に即した土地評価を行った価格とは異なるものでございます。
したがいまして、直近三年間に都営住宅の敷地で実際に土地評価を実施した約九十件から、相対的に高い価格と低い価格の代表的な事例を紹介いたしますと、区部では平米単価が約百五十五万円と約三十一万円の土地、多摩部では平米単価が約四十万円と約十一万円の土地がございます。
○滝田委員 そもそも公有財産表の評価額はかなり簡易な方法で計算されているものでありまして、正確性は余り高くないということであります。今答弁の中でいろいろと配慮していただいたところだと思いますけれども、地名は挙げられませんでしたけれども、要するに、区部の、都心の高いところ、平米当たりで百五十万円程度、区部の地価の安いところで約三十万円、多摩地域に関しては大体十万円から四十万円というような地価の範囲であるという説明でありました。多摩地域の安いところと都心の高いところを比較しますと約十五倍違うということであります。
都営住宅として徴収する家賃は、皆さんご存じのとおりですけれども、それほどの差はありません。少し単純化しますけれども、市町村立地係数というものがありますが、〇・七から一・六の幅で計算をしますので、奥多摩と千代田区で、これは二・三倍しか差がないということになります。
よくいわれますのが、都営住宅、都有地だから、どこで建てても建設費が大差ない、だから変わらないというような論がありますけれども、これは資産の考え方として正しいものではありません。
都営住宅、都有地だからといって、お金がかかっていないということではありません。民間的な考えでいうのであれば、誰かに貸したり違う用途で収益を上げたりした場合に見込まれる収益に対して賃料収入との差は、機会損失であります。その差の分というのは、都営住宅を成り立たせるための政策的な経費であるというふうに考えるべきであります。
今回、住宅政策本部が立ち上がり、住宅政策、都営住宅の事業全体が、よりはっきりと見やすくなるということでありますので、これを機会にしっかりとこうしたことも取り上げて議論していくべきであると指摘をしておきます。
なお、先ほどの公有財産表のリスト、都営住宅の合計でどれぐらいの規模があるかということをご紹介いたしますけれども、土地で千八百万平米、新宿区全体と同じくらいの面積、そして世帯数になります。
また、土地の価格は一兆二千四百億円というふうにされていまして、先ほどご説明もありましたけれども、土地所有時には接道条件なども満たしておらず、周りも開発されていない土地も多かったということでありますので、恐らくはこの簡易の評価額以上に現在の資産価値は上がっているものというふうに思います。
正しい政策判断を下していくために、本部もできることでありますので、一度資産評価をすることを考えるべきではないでしょうか。膨大な作業量ではあると思いますけれども、一度検討することを提案いたします。
この一兆二千四百億円、非常に大きな金額でありますので、この膨大な資産をうまく活用できるのか、それとも眠らせておくかで大きな違いが生まれます。仮にこの土地の価格、こんな単純ではないかもしれませんが、一%分収益を上げられるだけで百二十億円になります。最初にお伺いをしました都営住宅以外の住宅政策の予算額約五十億円ということでありましたけれども、これを上回ってしまいます。
ついては、区部や多摩地域でも、立地のよい場所など土地のポテンシャルが高いところを中心に、土地をより効果的に活用することができないかと考えるわけです。
都営住宅の建てかえに当たりまして、民間との合築など都営住宅以外の用途の導入についてどのような考え方で取り組んでいるのかお伺いをいたします。
○中山再編利活用推進担当部長 老朽化した都営住宅の建てかえに当たっては、住棟を高層、集約化するなど敷地を有効利用し、地元自治体のまちづくりの方針とも整合させながら、都の政策目的の実現や地域の課題解決を図っております。
具体的には、地元区市からの要望を受け、都営住宅の低層部に、合築で子育て支援施設や高齢者施設などの整備を進めております。
また、建てかえで創出した用地を活用し、福祉インフラ整備を促進しているほか、民間活用プロジェクトにより、商業、医療、福祉などの機能を持つ生活中心地の形成や最先端の文化、流行の発信拠点の形成などを推進しております。
なお、都営住宅と民間施設との合築についてでございますが、低層部に店舗を配置した住棟を建設していた時代もございましたが、建てかえに当たり区分所有建物特有の権利関係の複雑さや調整の困難さなどの課題があることから、現在は行ってございません。
○滝田委員 公益的な福祉用途については、合築等をしているということでありました。また、北青山のプロジェクトであったりとか、あるいは私の地元八王子市の長房団地のように、建てかえ時に用地を創出して、そこに民間のプロジェクトを導入していくと。そして、民間の住宅や商業施設、公益的な福祉施設、文化施設などを導入していくということに挑戦をされているという説明がありました。これは、今後も取り組みをふやしていただきたいと思います。
一方で、事前に確認をさせていただいたところでは、都営住宅の敷地において容積率をどのくらい使っているのかというと、最近建てかえた区部の物件でも、おおむね七割から八割程度ということでありました。もちろん周辺の住環境などにも配慮が必要ではありますけれども、容積率をかなり余らせているというのは、基本的には、土地の活用度合いとして余力があるということです。
現在都で定めている都営住宅の設計基準における標準的な間取りは、建物全体の構造に対しても縛りとなっていると感じております。土地の形状によっては、容積率を使い切れない要因にもなっているのではないかと思います。
また、先ほど都営住宅と民間の施設の合築については現在行っていないとの説明がありました。
しかしながら、もし民間の施設を組み合わせることで建物の構造に柔軟性を出せるのであれば、容積率をもう少しうまく使うといった事例も生み出し得るのではないでしょうか。
これらは個々の用地の状況を見ていく必要がありますので、本日は指摘にとどめますけれども、都有地、都有財産としての都営住宅敷地の活用を広げるという観点で考えると、工夫の余地はまだまだあるのではないでしょうか。ぜひ今後、検討、研究をしていただきたいと要望をいたします。
さて、次のテーマに変わります。
ポスト二〇二〇大会を見据えた次期実行プランについて、来年度は検討を始めていかなければなりません。現在の実行プランでは、多くの目標が二〇二〇年度をめどとしておりまして、もう来年に迫っております。
特に防災については、非常に重要な観点ですので後で個別にお伺いしたいと思いますけれども、それ以外の分野に関して、実行プランの現時点での進捗状況について、評価と目標達成に向けた課題についてお伺いをいたします。
○朝山企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 実行プランの推進に当たりましては、三つのシティーの実現に向け、局としても事業実施状況のレビュー等を行っております。
例えば、セーフシティーの政策目標のうち空き家対策の目標として、二〇二〇年度までに、対策計画を策定する区市町村の割合を五〇%以上と設定しておりますが、今年度末にも達成する見込みでございます。
引き続き、都と全区市町村で構成する空き家対策連絡協議会などを通じて計画策定を働きかけるとともに、来年度からは新たに、区市町村の企画提案への財政支援を開始するなど、取り組みを広く促進してまいります。
ダイバーシティーにおける鉄道駅のバリアフリー化では、二〇一九年度までに、地下鉄駅出入り口からホームまで段差なく移動できるワンルートの確保を目標にしてございます。
二〇一七年度までに約八九%が完了し、着実に推進しており、駅の構造的な制約など、課題となる場合もございますが、引き続き、整備を促進してまいります。
スマートシティーにおける民有地の緑の保全、確保につきましては、二〇二〇年度四百ヘクタールの目標値に対し、二〇一七年度末で約三百ヘクタール確保しております。来年度中に、緑確保の総合的な方針を改定し、保全すべき緑地を緑の確保地に選定して、保全を推進してまいります。
また、都市計画公園、緑地の整備着手につきましては、二〇二〇年度目標値四百三十三ヘクタールに対しまして、二〇一七年度末で約三百ヘクタールとなっております。来年度中に、都市計画公園・緑地の整備方針を改定いたしまして、優先整備区域を拡大することで、整備を加速してまいります。
今後とも、各事業の確実な実施に向けまして、積極的に取り組みを進めてまいります。
○滝田委員 ご説明ありがとうございました。それぞれの施策で課題ももちろんあると思いますけれども、一定程度の進捗があると。そして、二〇二〇年の目標達成に向けて進めているというような説明でありました。
都市整備局、住宅政策本部に関しましては、二〇四〇年度を見据えました都市づくりのグランドデザインがあります。私もこの委員会で何度か申し上げておりますけれども、このグランドデザインは、とてもチャレンジ精神があって、野心的な内容を含んでいるということで、私自身とても高く評価をしております。この野心的なグランドデザインで書かれたものについて、政策目標への落とし込みをしていくということが次期実行プランにおいて求められることだというふうに思います。
また、次期実行プラン、あるいは、知事が方針を表明しましたけれども、長期計画におきまして、政策のアウトカムを政策目標とすることにご尽力をいただきたいというふうに思います。
目標として設定することの難易度の高さはわかりますけれども、例えば、先ほども質疑で出ましたけれども、電車の混雑率、あるいは自動車の平均運行速度、緊急車両の到達時間、緑化率などをターゲットにしていくべきというふうに提案をいたします。ご検討をよろしくお願いいたします。
次に、先ほど実行プランの中で別枠といたしました災害対策について伺います。
災害対策においても、二〇二〇年をめどとしました目標が多くあります。一方で、災害対策は、やろうと思えば際限がありません。ポスト二〇二〇大会の財政運営を考える上で、めり張りや、何をどこまで整備するべきなのか検証することは重要であります。
そこで、東日本大震災以降、これまで建築物の耐震化がどの程度進んできたのか、主要な取り組みである特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化につきまして、目標の進捗状況を伺うとともに、二〇二〇年以降に向けた取り組みについて伺います。
○青木耐震化推進担当部長 都は、耐震改修促進計画に基づき、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を重点的に促進しております。
耐震化の目標は、特に東京二〇二〇大会までの取り組みとして、平成三十一年度末までに耐震化率を九〇%以上とすることなどを掲げております。この九〇%は、特定緊急輸送道路の都県境の進入地点から都立公園など大規模救出救助活動拠点まで、迂回はするものの到達は可能とするために必要な耐震化率でございます。
これまで、改修費用の助成や条例による耐震診断の義務づけなどの取り組みを重点的に進めてきました結果、耐震化率は平成三十年十二月末時点で八四・八%となっておりまして、平成二十三年度末時点の七九・一%から五・七ポイント上昇しております。
二〇二〇年以降に向けまして、耐震改修促進計画を見直し、条例改正を踏まえ、占有者への働きかけを強化するほか、区市町村とも調整しながら、効果的な改修方法であります段階的改修も促進するなど、耐震化の取り組みを加速してまいります。
○滝田委員 ご説明いただきましたとおり、耐震化率が九〇%以上となりますと、災害時に緊急車両が防災拠点まで、迂回はするものの到達ができるという状況になるということであります。
これに対しまして、今、既に約八五%まで数字は上がってきておりまして、いま一歩というところまでは来ております。東日本大震災前と比較しますと、数字的には大きな前進があるということでした。
こうした災害対策がしっかりと前に進んでいるということに関しては、都民にわかりやすく成果として見せていく、見える化していくということも必要であります。
例えば、先ほどの平成二十三年度の数字であれば、どの程度の地域が迂回をしても緊急車両が到達できない地域であったのか、それが二〇二〇年にどう変わっているのかということは、地図などで一目瞭然に見せることも可能ではないでしょうか。
ほかの方法もあると思いますけれども、どうやって都民に見せていくのかということをぜひとも検討をしてみていただきたいというふうに思います。
東日本大震災の直後は、とにかく災害対応だということで、都民や国民のコンセンサスはとれていたというふうに思います。あれから八年がたちました。時間と費用をかけて取り組んできたことによってどれだけ改善をしているのか、あとは何が課題なのか、わかりやすく共有をしていくこと、そして今後はどうするべきなのかということを都民と新たなコンセンサスをとっていく時期にあるのではないでしょうか。
また、今定例会に上程されております条例案におきまして、占有者の責務が定められまして、施策が強化されること、これを支持いたします。
先ほど我が会派のたきぐち委員からも申し述べましたけれども、引き続き、粘り強い取り組み、こちらを、現場の皆様方のご尽力お願いをいたします。
次に、木造密集地対策についても、東日本大震災以降、不燃化がどの程度進んだのか、不燃化の指標と進捗状況について伺うとともに、二〇二〇年以降に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 都は、不燃化の指標としまして、阪神・淡路大震災の知見などに基づく延焼しにくさの代表的な指標でございます不燃領域率を用いております。この指標では、不燃領域率七〇%の場合、延焼による消失がほぼゼロになるとされております。
都は、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえまして、平成二十三年度から、木密地域不燃化十年プロジェクトを開始しておりまして、不燃領域率七〇%を目指し、不燃化特区制度などを活用しまして、木密地域の改善に取り組んでまいりました。
その結果、整備地域の不燃領域率は平成二十八年度末現在で六二%と、平成二十三年度から五年間で四ポイント改善しております。
一方、道路に面していない敷地が多い街区などでは、老朽建築物の建てかえが進まず、改善がおくれております。不燃化の一層の促進には、都有地を活用した民間による魅力的な移転先のさらなる展開や、公有地を活用した無接道敷地の整序など、一歩踏み込んだ方策を実施する必要がございます。
このため、これらの方策をより効果的に展開できるよう幅広く検討を行いまして、防災都市づくり推進計画を二〇二〇年度に改定し、その後、この新たな計画に基づき取り組みを進めてまいります。
○滝田委員 木造密集地対策については、平均的には数字が上がってきているということでありましたけれども、比較的民間活力を呼び込みやすい対策が進んでいる場所と、停滞している場所との差が明らかになってきている状況というふうに理解をいたしました。
停滞している場所につきましては、個々の地区ごとの対策を強化するとともに、一方で、対策が進む前に災害が発生してしまう可能性にも十分配慮いただきたいというふうに思います。人的被害を最小限に食いとめるように、ソフトの施策の重点的な強化も、総務局や基礎自治体と連携して行っていただきたいというふうに思います。
今定例会では、昨年六月に成立をしました所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に関連して、手数料条例の改正が提案されております。こちらも防災政策の一環になるものと私は考えておりまして、続けて質問したいと思います。
まず、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法で新たに創設された地域福利増進事業の内容と、その要件についてお伺いをいたします。
○久保田都市づくり政策部長 地域福利増進事業は、地域住民などの共同の福祉または利便の増進を図るため、道路、教育、福祉、医療施設、公園、被災者用住宅、購買施設などを整備する事業でございまして、時限的な利用が考えられるものが対象となります。
こうした事業を実施しようとする者からの申請に対し、都道府県知事が裁定することによって、最長十年間の土地の使用権を設定できます。
対象となる土地は、登記簿や住民票、戸籍などの公的書類を調査しても所有者がわからない土地で、堅固な建築物などのない未利用地でございます。
裁定に当たっての要件は、資金計画が事業を確実に遂行するために適切であることや、事業者が事業を遂行する十分な意思と能力を有することなどでございます。
○滝田委員 この制度、私はかなり画期的なものというふうに考えておりまして、所有者不明でも一定のプロセスを踏めば、十年間ではありますけれども、第三者が活用できるという仕組みになります。
ただし、利用できる施設が、例示がありましたけれども、ある程度公益的なものに限られるということでありますので、利用が本当に進むのかということは、今後の検証が必要であろうというふうに思います。
一方で、昨年、私たち都民ファーストの会東京都議団の当時の都市整備委員会のメンバーにて、東北の震災復興の状況、釜石などを視察してまいりました。その際にもさまざまな話を聞きましたけれども、やはり復興の際のハードルとして、所有者の不明な土地、相続人が見つからないといったものがありました。
所有者の所在が把握できない土地が復興事業の支障となり、事業が長期化したということであります。東京でも、大規模災害の発生において、土地を復興事業や仮設住宅などに使おうとしたときに問題が顕在化する可能性があります。
今回の所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の施行により、震災後の復興事業などにおいて事業が円滑に進む効果が期待できますが、見解を伺います。
○久保田都市づくり政策部長 震災時においては、仮設住宅用地や復旧、復興のためのまちづくりの用地に所有者不明土地が含まれる場合に、地域福利増進事業の活用により、復興事業の円滑化が期待できます。
それに加えまして、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法では、道路や公園などの整備などの公共事業における所有者不明土地に係る収用手続に関し、用地取得期間の短縮を図ることができる制度が設けられたことから、復興事業の迅速化が期待できるところでございます。
○滝田委員 災害時の復興計画やマニュアルなどにも、今回の法改正を踏まえまして対応を盛り込んでいただきたいというふうに思います。
また、そもそもふだんから所有者不明土地を新たに生まないということも必要です。国の制度整備や基礎自治体の協力も不可欠ですけれども、引き続き、連携して、体制構築をお願いいたします。
次に、今回報告案件として上がっております東京における土地利用に関する基本方針について伺います。
都市づくりのグランドデザインを踏まえまして、先般、東京都都市計画審議会により答申が示されたところです。この答申では、拠点の位置づけや考え方を再編し、新たに中核的な拠点等を位置づけております。また、都市開発諸制度などを活用しまして、育成用途を適切に設定することで、地域特性を生かした用途の導入や、めり張りのある機能集積を促進するという考え方が示されていると理解をしています。
答申を踏まえまして、都では、都市開発諸制度の活用方針の改定においてどのようにこの育成用途を見直し、拠点形成を進めていくのかお伺いをいたします。
○久保田都市づくり政策部長 都は、都市開発諸制度の活用に当たっては、地域特性に応じ、市場では供給されにくい保育所等の福祉施設などを育成用途として位置づけ、開発事業者にその整備を求めております。
地域の個性やポテンシャルを最大限発揮し、各地域が競い合いながら新たな価値を創造していけるよう、今年度末に都市開発諸制度の活用方針を改定し、育成用途に関する取り扱いの見直しをいたします。
具体的には、育成用途の導入を義務づけるエリアを拡大するとともに、特に重点的に育成すべき用途を新たに位置づけ、国際競争力の強化のために必要性が高いにもかかわらず事業性の観点から導入が難しい芸術文化施設、産業支援施設などについて、より積極的に誘導できるようにしてまいります。
○滝田委員 まず、多摩地域では、この育成用途を導入できるエリアが大幅にふえました。また、区市がみずから育成用途を選定し、マスタープラン等にも位置づけることで、それぞれの固有の特性を伸ばすということを推奨できる仕組みであるというふうに私は理解しております。
また、答申では、拠点ネットワークの充実強化と緑の充実確保、両方を一体的に進めていく、そのことで、東京全体の魅力と活力を一層高めていくという視点が示されています。
このための主な取り組みの一つとして、郊外部における緑地や農地の保全、創出や空き地、空き家の有効利用を図るために、都市再生特別地区や都市開発諸制度を活用するという考え方が示されています。
郊外部の保全に対して、都心部や多摩の中核的拠点における開発インセンティブを組み合わせるということは、非常に画期的な政策であるというふうに考えます。実現する仕組みが整えば、人口減少社会を見据えためり張りのある都市構造を実現するに当たりまして、大きく貢献する可能性があります。
ついては、今後こうした取り組みについてどのように進めていくのか伺います。
○久保田都市づくり政策部長 崖線や丘陵地、まとまりのある農地などの骨格の緑に厚みとつながりを持たせて、骨格的な緑を充実させるとともに、都内全域で、身近な都市公園や屋敷林などの地の緑の量的な底上げと質の向上を総合的に推進することが重要でございます。
都市計画審議会の答申である土地利用の基本方針では、駅周辺等における開発に合わせた都市機能の誘導と、骨格的な緑の保全、創出や住宅地で発生する空き家、空き地の有効利用を連動させ、一体的に都市づくりを進めていく方向が示されたところでございます。
来年度中に、緑確保の総合的な方針を改定し、骨格の緑の位置づけなどを行ってまいります。
さらに、都市開発諸制度の活用方針の見直しを行うことなどにより、区市町村が策定する緑の基本計画や立地適正化計画などとも連動を図りながら、開発の機会を捉えた緑の保全、創出を図ってまいります。
○滝田委員 ありがとうございます。
民間のディベロッパーなどが、例えば郊外の適地をどうやって探すのかと。特に、都心部の容積の価値に対して相応の価値の土地というのは、郊外ではかなり大規模になるはずです。この施策推進に当たっては、行政、土地所有者、仲介事業者などが連携をして仕組みを整えることが必要というふうに考えます。
また、行政側としては、公益性の観点から、保全すべき緑の場所の優先順位があるはずですし、自治体間での競争も起こるはずです。例えば、立地適正化計画の策定などがあると優遇されるといった、都市づくりのめり張りや個性づくりに前向きな自治体を支援することも必要ではないでしょうか。
いずれにしましても、この取り組みはとても意欲的で大きなチャレンジだというふうに思います。分野横断でもありますので、都市整備局の総力を挙げて、実現に向けて政策の中身づくりに取り組んでいただきたいと期待を込めまして、申し添えます。
次に、昨年の事務事業質疑で取り上げたテーマについて、来年度の取り組みを確認させていただきます。時間が限られますので、どんどんいきたいというふうに思います。
見える化改革において、バリアフリーの複数ルートの整備やホームドア整備を進めるべく、新たに優先整備の考え方を示し、取り組みを加速化するとしています。
また、特にホームドアに関して、私、昨年も指摘をいたしましたけれども、現在整備を優先し、都が補助を実施しているのは、乗降客一日十万人以上の駅を中心としております。これは、ホームごとの実際の危険性などを考慮しているわけではありません。
私の地元の八王子駅や西八王子駅、大変残念ながら、都内でも有数の事故数の多い駅となっております。対策は急務でありまして、地元市民からも強い要望があります。
また、多摩地域全体としても整備率は低く、十万人以上の駅に絞っても、区部で五五%、これに対して多摩部は一五%の整備率であります。
都が、各駅の状況を把握しながら新たに優先整備の考え方を検討していることに、八王子と多摩地域における対策の進捗を期待しております。
ついては、優先整備の考え方を示すための現在の取り組み状況と今後の進め方を伺います。
○荒井都市基盤部長 駅のバリアフリー化を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。鉄道駅のエレベーター整備には、膨大な整備箇所、また新たな用地や空間の確保などの課題があり、ホームドア整備には、多数の整備箇所、高い整備コストなどの課題がございます。
そこで、安全で円滑な鉄道輸送を充実する視点から、乗降人員に加え、高齢者や障害者、子育て世代の利用が多い施設、また主要な観光拠点を抽出するなど、個別の駅ごとの特徴を分析して、優先的に整備すべき駅の考え方を整理しているところでございます。
年度内に、鉄道事業者との情報連絡会を立ち上げ、優先整備の考え方について意見交換を行い、来年度は、国や区市町などの意見を聞いた上で公表していく予定でございます。
○滝田委員 鉄道事業者との間で、個別の駅ごとに課題を見える化しながら進めていくということは有効であります。
私はJR中央線に乗って都庁に来ておりますけれども、実は毎日のように遅延が発生をしております。郊外方面では唯一の複々線化がされていない路線が中央線であります。追い越しのできる駅が限られているためにスピードが上がらず、定時性も低いと。その意味でも、ホームドアの整備は、安全性だけではなくて、事故減少による遅延の減少にもつながるものです。
そうした観点からも、優先性を鉄道事業者と分析してもらいたいと要望をいたします。また、技術や工法の進化に見合った推進策も練っていただきたいというふうに申し添えておきたいと思います。
次に、プロジェクションマッピングにかかわる屋外広告物規制について伺います。
前回、景観や環境への適切な配慮をしながら、国際競争の中で首都東京の魅力を高める攻めの施策として位置づけてほしい、事業主体が取り組みやすい、柔軟で簡便な運用が行えるように改正を検討することをお願いいたしました。
先月プレスリリースをされましたプロジェクションマッピングにかかわる屋外広告物規制の改正案について、ポイントを伺います。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 プロジェクションマッピングにつきまして、現在は屋外広告物条例に基づき、イベント等で、企業名や商品名などの営利内容が映らない映像を一時的に投影するものを除き、例えば、商業地域などにおいて、通常の広告板等に適用される高さや面積等の規格を超えて表示しようとする場合には、特例許可を受ける必要がございます。
近年、まちの活性化やにぎわい創出のため、プロジェクションマッピングを活用する取り組みが広がっていることなどを踏まえまして、都は、プロジェクションマッピングに係る屋外広告物規制の取り扱いの見直しに向けて検討を行っておりまして、先月には、条例改正も視野に新たな取り扱いの案を取りまとめ、公表いたしました。
この新たな取り扱いの案では、公益イベント等において、一定の条件を満たして表示するものについては、届け出のみにより企業広告を含めて表示できることとし、十四日程度以内の短期間であれば、通常の規格を超える表示も可能としてございます。
また、公益イベントに限らず、まちの活性化等のためにプロジェクションマッピングの活用が望ましい地区については、知事が地元区市町の意見を聞いて地区を指定し、地域で作成するルールに基づいて、通常の規格を超えて表示できることとしております。
○滝田委員 ご説明ありがとうございます。
続けてお伺いしますけれども、今後、どのような流れで条例改正をするのか、また、地元区市町の意見を聞いて知事が指定する地区について、具体的にどのようなプロセスを経て指定することを想定しているのか伺います。
○山崎景観・プロジェクト担当部長 まず、改正までの流れでございますが、新たな取り扱いの案につきまして、景観や周辺環境などへの影響等を検証するため、本年八月末までの間で実証実験を行い、その検証結果も踏まえ、広告物審議会の意見を聞き、条例の改正案を作成することとしております。
また、知事が地元区市町の意見を聞いて指定する地区につきましては、まちの活性化等のためにプロジェクションマッピングを活用しようとしている地域のまちづくり団体等からの提案を受け、指定することを想定しておりまして、今後、実証実験も踏まえ、区市町の意見も聞きながら、地区指定の要件等の検討を進めてまいります。
○滝田委員 これから検討していく部分でもあると思いますけれども、地元の区市町の協力が不可欠です。プロジェクションマッピングの活用を推進するとの立場から、区市町や事業者の活用を促すように、情報交換やガイドラインの作成をするべきと考えます。
また、例えば六本木、お台場、新宿などのように、特に推進していくべきと考えられる地域については、都が率先しまして意見交換等を実施するべきだと提案をいたします。ラグビーワールドカップや二〇二〇大会に向けて、成功モデルをつくり、大会のレガシーとしていただきたいと思います。
ちょっと時間の関係で一問用意していたものを飛ばしますけれども、事務事業質疑の際に、都市整備局は今後どのようにして技術革新を捉えてまちづくりを行っていくのか、見解を伺いました。
答弁で、人工知能、自動運転、環境技術などが普及浸透し、社会を支えていくことが見込まれ、これらを都市づくりの中で積極的かつ柔軟に受け入れていくことが重要であると答弁がありました。
また、先週、私、予算特別委員会におきまして、同様の観点から知事の姿勢を伺いました。知事は、二〇二〇年以降の持続的な発展のため、職員が世界に目を向けることは重要である、また、大会後の東京のさらなる進化に向けた政策全般の道筋を示すことが喫緊の課題、そこで、新規事業の立案や既存事業の見直しを着実に進めるため、国際競争力強化プロジェクトを立ち上げると答弁いたしました。世界基準のベストプラクティスを職員みずからが現地に赴き調査研究することで、各政策分野の課題解決を図る、全ての政策分野で実施をしていくということでありました。来年度には、五百名の職員を海外に送り出すことを予定しているということです。
また、別途、職員の海外出張にも積極的に予算を確保するよう指示があったと理解をしております。
ぜひともこうした機会を、都市整備局として率先して活用していただきたいというふうに思います。
ついては、職員の海外出張、調査研究の推進について、都市整備局としてどのように考えていくのか、見解を伺います。
○桜井総務部長 都市整備局ではこれまでも、施策の立案や事業の実施過程で国内外の先進事例を調査し、場合によっては現地に職員を派遣し、得られた知見を東京のまちづくりに生かしてまいりました。
海外出張につきしては、平成二十七年度以降、延べ十八名の実績がありまして、例えばヨーロッパでの都市交通政策や環境に配慮したまちづくりなどの現地調査を実施しております。
また、都政の課題について世界の先進事例を学ぶ政策課題プログラム研修には、これまで計十二名の局職員が参加をし、国際感覚や都市づくりのプロとして、素養を磨いてまいりました。
今後、技術革新や国際交流の活発化などにより、都市活動もこれまで以上に多様化していくことが見込まれます。このような変化に的確に対応し、東京の新たな成長につなげられるよう、お話の国際競争力強化プロジェクトも活用して、国際感覚を身につけ、新たな発想で政策立案できる職員を育成してまいります。
○滝田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
私、前職、総合商社でしたので、三カ月に一回ぐらいは海外出張に行っておりまして、やはり必ず何かしらの発見があって、次のビジネスにつながるということでありました。ぜひとも皆様も海外に行っていただいて、新たな発見を政策につなげていただきたいと思います。
そして最後に、築地の土壌汚染対策について伺います。
先ほど、豊洲市場整備に当たっての土壌汚染対策と同程度の対策を、築地においても行わないのかといった質問がありました。
私の理解では、築地においては、食に根差した築地ブランドを守る再開発であって、中央卸売市場をつくるわけではありません。ですので、土壌汚染対策法に基づく対策がしっかりととられればよいということであると思いますが、都の見解を伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地におきましては、民間主導で市場跡地を活用いたしまして、食に根差した築地ブランドなどのポテンシャルを生かし、東京の魅力をさらに高めていく再開発を行うこととしてございます。
都として、卸売市場を整備することは考えておらず、これまでの都有地活用の事例と同様に、土壌汚染対策法などの関係法令に基づき適切に対応してまいります。
○滝田委員 豊洲におきましては、中央卸売市場をつくるという前提で安全・安心を求めることから、その基準を、新たに土壌汚染対策法を上回る形で石原都政時代につくられていたというふうに理解をしております。その理解でよろしいか、さらには、その基準をつくったのは何の会議体であったのかお伺いをいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 豊洲市場に関しまして、土壌汚染対策等についての会議体といたしましては、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議という名称のものと、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議というものがございまして、それぞれ平成二十年、二十一年に提言を受けてございます。
東京都といたしましては、専門家会議での東京都がとるべき対策の検討や、技術会議での具体的な技術工法の評価、検討を踏まえまして、都として、新しい中央卸売市場をつくるということで、豊洲新市場予定地につきましては、土壌汚染対策法で求められる水準を上回る手厚い内容の対策をとることにしたというものでございます。
○滝田委員 明快な説明で、ありがとうございます。よく理解できました。豊洲市場においては、東京ガスの跡地であったとの地歴に加えまして、中央卸売市場であることから、専門家会議が設置されて、その答申に基づいて対策工事が行われたということでありました。
以上をもちまして私からの質問を終わります。
ありがとうございました。
○けいの委員 まず、ブロック塀などの安全対策についてお伺いいたします。
一九七八年六月の宮城県沖地震、このときの地震は大災害でしたけれども、マグニチュード七・四で、仙台市などの最大震度は五でした。この震度五の地震で住宅の全壊、半壊合わせて七千棟を超える、そういう被害が出たわけです。時代背景もありますけれども、この震度五の宮城県沖地震、これによる死者二十八名のうち、十八名がブロック塀の倒壊によって下敷きになって亡くなったという、こういう悲惨な事故が起きました。
これを契機に、三年後の八一年には建築基準法が改正されまして、住宅やブロック塀の耐震基準がはるかに強化をされることになりました。
以来、震度六、七、こうした揺れに耐えられる住宅がふえていった一方で、ブロック塀による犠牲者はいまだなくなっていないというのが現状であります。
東北工業大学の最知教授は、こういうふうにおっしゃっていました。自治体は、たかがブロック塀との認識を改めるべきだ。このように強く指摘されております。
昨年六月に起きた大阪北部地震、四年生の女児が事故で亡くなった。このことを踏まえまして、学校施設のブロック塀安全対策や通学路の安全対策、こうしたことも我が党は訴えてまいりました。特に、民間住宅における安全対策についての補助金拡充を求め、都は、昨年の四定で補正予算を提案し、可決後速やかに補助制度を開始したことを高く評価いたします。
まず、補正予算を組んでまで始めたこの制度、確認ですが、補助制度のスキームについて説明をお願いいたします。
○青柳市街地建築部長 都の補助制度は、民間のブロック塀等の撤去や新設などを行う者に補助金を交付する区市町村に対し都が補助するものでございます。基本的な補助のスキームは、ブロック塀等の所有者に対し、区市町村が設定する補助額のうち、国が二分の一、都が四分の一、区市町村が四分の一をそれぞれ負担することとなっております。
○けいの委員 ありがとうございます。区市町村が負担するうちの補助四分の三行っていくということですけれども、全体でいうと四分の一に当たるわけですけども、区市町村が行うもの。これは、私の地元荒川区でも約十年前から既に独自で行ってまいりましたブロック塀の安全対策補助制度、荒川区に先日確認してまいりました。十年間での平均、毎年一件だそうです。というのは、さまざまな、何事もない中で、先ほど申し上げた、たかがブロック塀、ここにどうしてお金を使っていくのかという、安全意識がそもそも足りていない上に、補助制度、各自治体の金額、いろいろ調べましたら、ほとんど変わりはありませんでしたが、荒川区も一メートル当たりわずか六千円なんですね。それに対して東京都が四分の一補助するということは、千五百円入ってくるという補助制度になります。
まずは、補正を組んでいただいてこのスキームができた、小さく生んでいただいたことには感謝しつつ、これを大きく拡大、育てていかなければいけません。
工務店さんとやりとりをして、金額の確認をしてまいりました。ブロック塀、一・二メートル以上は危険ですけれども、仮に、目隠しができるよう一・八メートルぐらいのブロック塀がお宅の前に五メートル、横まで五メートル、こんな十メートルぐらいの除却に、どのぐらいかかるかといったら、そもそもの解体、除却工事に手数料がかかる上に、その廃材を三トントラックに積んでいく、二トントラックに積んでいく。今、東京近郊の廃材の処分費用というのは、一立米当たり一万円から一万二千円するそうです。
五メートル、十メートルというブロック塀を解体して、除却して、ダンプカーに積んで、除却していくと、これだけで十万、十五万とかかっていく。そもそも六千円とか千五百円とかの助成金をもらったところで、全然そんなのは進まないんだということで、十年間荒川区はやってきたけど、一件しかない。
そして、昨年六月の大阪北部地震を受けて、東京都も一緒になってやっていきましょうとなりました。昨年の下半期どれだけできたのかと荒川区に問い合わせしたところ、十五件内定があったそうですけれども実行できたのはわずか八件、このわずか八件も、本当に間口の小さなお宅の弱く建っているブロック塀をちょっととっただけというような案件であったそうです。
こうした中で、この補助制度が開始して、東京都が補助を四分の一入れるようになって三カ月が経過しようとしておりますけれども、この間の東京都の補助、進捗状況について教えてください。
○青柳市街地建築部長 昨年十二月二十日の補助制度の開始後、二十の区市からブロック塀等の撤去と新設を合わせて三百件を超える交付申請があり、都は、申請内容を審査し、それぞれ交付決定を行っております。
現在、ブロック塀等の撤去や新設などの安全対策に係る工事が順次行われておりまして、工事が完了したものにつきましては、都においても検査を実施しております。
○けいの委員 都民の安全意識の向上とその意識が高まっていくのに合わせて、この制度をどうか大きく拡大してもらいたいと思います。今申し上げたように、除却業者の作業料、それからブロック塀、ごみになった産廃の廃棄、これだけで十万円を超えてしまうという状況の中で、数千円の補助が出ても、なかなか進まない。
この制度を東京都は来年度も予算要求しておりますから、この制度は継続されていくと思いますけれども、この三カ月の状況を踏まえて、明らかになってきた課題と来年度に向けたさらなる取り組みについてお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 道路の幅員が狭く重機が使えないなど、ブロック塀の設置場所等により撤去工事に係る工期が当初見込みに比べ時間を要するケースも見受けられました。
そのため、来年度は、補助申請の手続期間や工期を十分に確保するため、より早い段階から周知を行うとともに、広報誌やチラシなどを活用して効果的な周知を行っている事例を他の区市と共有し、取り組みを促すなど、より一層の制度の活用につなげてまいります。
来年度も、区市町村の主体的な取り組みを技術的、財政的な側面から支援し、ブロック塀等の安全対策を引き続き促進してまいります。
○けいの委員 ありがとうございます。
大阪北部地震以降、私も大慌てで荒川中を歩いて、改めて歩いて感じたんですけれども、本当にブロック塀というのが多いんだなと。それまで全く意識しないで生活しておりましたけれども、ブロック塀を探して歩くとこんなにあるんだと。ある高さのところのその上からわざわざブロックを積んであるような、そういう学校施設もたくさんありました。
一気にその除却が進んだ東京都とか区の施設ではすぐにできますけれども、民間の住宅では、そう簡単に何事もないのに突然リフォームとか除却とかっていうのは進まないという課題が浮き彫りになりました。今答弁いただいたように、設置環境、どういうところにブロック塀があるのか、そもそも人が歩けないようなところにブロック塀が配置されていたり、工期の問題、予算の問題、さまざまな課題、見えてまいりました。
改めて申し上げますけれども、東京都はもとより、都民一人一人が、たかがブロック塀というような認識を改めていけるような、そうした啓発に努めて、安全なまちづくりをますます進めていっていただきたいと、このように期待するところでございます。
続きまして、木密、木造住宅密集関連について質問させていただきます。
木造住宅密集地域不燃化、特に不燃化についてお伺いいたしますけれども、私の地元荒川区は、広く木密地域が広がっております。区内の面積の六割が、震災時に特に甚大な被害が想定される地域である整備地域に該当しております。六割が木密地域。
一年前に公表されました地震に関する地域危険度測定調査におきまして、私がまさに四十年間住んでいる町屋四丁目、この町屋四丁目が、東京都で最も危険なまちとわざわざ発表していただいて、私の近所、町会、住民たちは、こうした中で、危険だからこそどうやって自分の身を守っていくべきなのか。
荒川区というのは、すぐそこに隅田川が流れていて、その先には荒川が流れております。いざというときに水にのまれる、地震が起きたら全部崩れる、火がついたらみんな燃え広がるということで、こうした第一位という評価をいただいている町屋四丁目、荒川六丁目、こうした地域を初め総合危険度上位にランクをされているのが荒川区、滝口委員と私たちの荒川区なんですけれども。
こうした中で、総合危険度、市街地の防災性向上を強く求められている中で、都はこれまでも、不燃化特区における支援を初め、地元区と連携協力し、不燃化に向けたさまざまな取り組みを行っていただきました。
地元住民にとっては、事業の成果が今どこまで来ているのかということが大変気になっております。
そこでまず、荒川区におけます不燃化の取り組み状況についてお願いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 荒川区内には整備地域が約六百ヘクタールございまして、地元荒川区は、市街地の不燃化を加速させるため、防災生活道路に位置づけた狭隘道路を事業として拡幅整備するとともに、沿道建築物の不燃化を進めておりまして、今年度一路線、拡幅整備が完了しております。
また、防災性の向上とあわせまして、居住環境の改善を図るため、公園、広場の整備に取り組んでおり、空地の確保が進んでおります。
都は、これらの施設整備などに対しまして助成などの支援を行っております。整備地域のうち特に不燃化特区に指定しております町屋、尾久地区と荒川二、四、七丁目地区におきましては、区が行う老朽戸建て住宅の除却、建てかえなどへの助成に対する支援とともに、地権者への都税の減免も特別に実施しております。
その結果、整備地域である荒川地域の不燃領域率は、平成二十八年度末現在で六八%と五年間で四ポイント上昇しておりまして、市街地の不燃化は着実に進んでおります。
今後とも、地元区と連携しながら、地域の不燃化に積極的に取り組んでまいります。
○けいの委員 ありがとうございます。
地元区、荒川区連携だけじゃなくて、どんどんこちらから、ここ大丈夫ですか、ここもっと進めませんかというふうに後方支援を矢継ぎ早に行っていただきたいと思います。
今ありましたように、道が狭い、広げなきゃいけないというところが、本当に私の住宅の周り、家の周りにたくさんあります。私のこの体だと真っすぐ歩けない道の方が多いぐらいで、本当に横に、斜めに歩かないと行けないようなところに長く住んでいらっしゃる方がいて、子供はもう出ていっちゃった、独立しましたというご高齢の方が、古い、狭い道路のその先に、そもそも道に面していないような、人の家の前を通ってやっと自宅にたどり着くというような地域に、たくさんの方が住んでいらっしゃいます。
市街地の不燃化に当たって、燃えやすい老朽木造建築物を耐火建築物や準耐火建築物のような燃えにくい建築物に建てかえていくことが有効なのは、こんなの百も承知なんですけれども、私の地元荒川区は、今申し上げたように六割が、多くのところがぎゅうっとそのまま木密地域である上に、これは正確な数字ではないですけれども、荒川区の全体の六割から七割が、実は数名の地主さんが持っている借地であるというようなデータも、正確な数字は今用意しておりませんけれども、ほとんどが借地。
もともと長屋だったところにばばばばばばっていっぱい住んでいるから、一軒が建て直すといっただけで--例えばそこに水道管を引く。下の古い水道管、水道局に確認しました、もう図面が残っていないと。どこがどうつながっているかも掘ってみなきゃわかりません。そうすると、事件の発生者が近隣住民の家の水道管まで引き込み線まで全部工事してあげなきゃいけないと。そんなこと、五坪、十坪というような小さな木造住宅を高齢の方がもし建て直すとなったときに、裏まで回って、全部の家の引き込み線みんな改修工事するのは私の責任ですとなったら、それだけでもうちゅうちょしてしまう。
何で電気もガスも引いてくれるのに、水道管だけは東京都がやってくれないんだというような声も、これは全然別件の話ですから膨らませませんけれども、こういうように、どうしたら耐火性が上がっていくかという方法はわかっているんです。
だけど現実問題、借地である、それから小さなおうちが、一軒一軒相続によって、お亡くなりになってあいていったからといって、地主さんはそこをすぐに空き地に、空地にしません。
これはもう皆さんご承知のように、税金の問題、固定資産税の問題とか、こういうケアをしていかなくてはいけないんですけれども、やっぱり地主さんとしたら、十坪ぐらいの家が相続されたからといって、そこに建て売りを建てようとはしません。
これは、多く隣が十年後、二十年後、三十年後と広く全体がまとった一塊の土地になってから活用した方がいいと考えるのが普通なので、昔の長屋の残りでちっちゃな間口一間しかないようなお宅がたくさん残っていたとしても、それは--まして接道していない家が奥の方で、亡くなった、空き地になった、空き家になったからといって、何十年もの間活用されていない。これが、空き家問題になる、相続問題になる、所有者不明土地になるというように、悪循環がどんどん繰り返されているのが、六割が木密地域、六割に借地権がついているといった、下町の古きよき伝統を残しつつもそうした課題が今まさに浮き彫りになってきているのが、私の地域。
何か荒川のネガティブキャンペーンみたいになっちゃってますけれども、本当にいいところなんです。いいところだからこそ、どういうふうにしていったらいいか。このような、今、私がつらつらいった課題に対して、有効な一つの手法として、共同化というのがあると思います。
この共同化というのは、多くのそうした自発的には事を起こせないような数軒の家を束ねて、共同住宅にしてあげて、安心・安全な暮らしを担保してあげようという共同化というのがありますけれども、木密地域の改善に向けた共同化、これについて都がどのように取り組んでいるかお伺いします。
○安部防災都市づくり担当部長 木密地域では、借地や道路に接していない敷地が存在することなどによりまして、建築物の個別建てかえが円滑に進みにくい状況などがございます。
こうした課題の解決には、密集市街地の一体的な整備が可能な市街地再開発事業や防災街区整備事業などを活用しまして、土地所有者や借地権者の権利を新しいビルの床に変換して共同化を図ることが有効でございます。
整備地域における市街地再開発事業につきましては、先月、豊島区東池袋五丁目地区で工事が完了し外八地区で事業が進行中でございます。
また、防災街区整備事業につきましては、先月、品川区中延二丁目旧同潤会地区で工事が完了するなど、各地区で面的な不燃化が進められております。
今後とも、地元区と連携し、施行者である組合などに対しまして技術的支援などを行い、共同建てかえを促進してまいります。
○けいの委員 ありがとうございます。
地元区連携ではなくて、後方支援をどんどん自発的に、ここはこういう提案ができますよ、こういう建てかえが可能ですよというように荒川区を応援していただきたいと思います。
総合危険度トップテンの中に、何個も荒川区何丁目、何丁目というふうに入っております。これは悪口でいうのではなくて、荒川区、特に私の自宅のある町屋四丁目が東京都で最も危険だというのであれば、荒川区の安全性が飛躍的にアップしていく、荒川区が安全だと誇れるまでに東京都が整備を推進していくことで、東京都全部が平和になっていくといっても過言ではないというふうに思います。
荒川だけの話をしてはいけないのは百も承知ですけれども、荒川区が危険一位なら、荒川区が一番安全だとなるまで、都市整備局の責任によって、安全・安心なまちづくりを進めていただくことが、東京の安心・安全にイコールするということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○高橋委員 私からは、付託議案第五十七号、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例案について伺います。
分譲マンションの適正な管理の問題については、これまでも我が党は、昨年の第二回定例会や第四回定例会での質疑の中で、都に積極的な取り組みを求めてきました。本定例会の代表質問でも、今回の条例案とあわせて、管理が優良なマンションに対する取り組みについて取り上げております。このたび条例案の提案に至ったことを評価するものです。
マンションは、都民の主要な居住形態であるとともに、市街地の構成要素として、まちの活力や魅力、防災力の形成とも密接に関連するなど、地域のまちづくりやコミュニティ形成にとって重要な存在であります。
このため、良好な市街地環境を形成するためには、マンションの管理組合と地域の町会、自治会が連携して防災や防犯、コミュニティ活動などの取り組みを強めていくことが大変重要であります。
今回の条例の目的は、管理組合の機能を強化することで、管理不全の予防のみならず、良質なマンションストックと居住環境の形成を図り、もって市街地環境の向上につなげていくこととしています。
都は、これらを踏まえ、管理組合に対してどのような支援を行っていくのか伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの管理組合が町会、自治会との連携によって地域社会に貢献することは重要でございます。
具体的な取り組みとしては、管理組合と地元自治会がマンションの敷地を活用して行う防災訓練や日常的な防犯活動、地域の美化、清掃活動などがございます。
都はこれまで、マンション管理ガイドラインによってこうした活動を奨励するなど、管理組合の取り組みを促してまいりました。
今後はさらに、条例案による管理状況の届け出制度を活用し、区市町村と連携しながら、マンションの管理組合による地域の安全・安心や居住環境の向上に寄与する取り組みに対し、効果的な支援策を検討してまいります。
○高橋委員 新たに創設する管理状況の届け出制度を活用して、管理組合が行う地域の安全・安心や居住環境の向上に寄与する取り組みに対して、支援につなげていくというものでございます。その効果に大変期待をしております。
この条例案の管理状況届け出制度の対象となる昭和五十八年以前に建築された戸数六戸以上のマンションは約一万四千棟もあり、その中には、必要な修繕が行われていないマンションや実態として管理組合がないマンションもあると思われます。
このため、この制度を円滑に開始し、定着させていくには、都は、管理組合、区分所有者、関係事業者、専門家、区市町村と協力し、総力を挙げて取り組んでいくことが必要でございます。
とりわけ、この制度において届け出の義務化を実効性のあるものとするためには、マンションが立地する地域の実情を把握している地元区市町村の協力が欠かせません。
都は、二〇二〇年四月の届け出制度の開始に向けた取り組みをどのように進めていくのか伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションは都内に広く立地しており、管理状況の届け出制度や管理組合に対する助言、支援等を円滑に実施するためには、広域的な役割を担う都と地域の実情に精通した区市町村が連携して取り組んでいくことが重要でございます。
そのため、都は、管理組合の機能強化に向けた施策を推進するための総合的な計画や指針を策定し、その中に、関係事業者や専門家の協力について盛り込んでまいります。
また、管理組合への制度周知や業界団体等との調整を行ってまいります。
一方、届け出の受理や助言、指導等の事務につきましては、区市町村と緊密に協力して進めることとしております。
今後とも、届け出制度の運用や管理組合に対する支援策等について区市町村と丁寧に意見交換、協議を重ね、制度の円滑な実施につなげてまいります。
○高橋委員 マンションは東京を象徴する居住形態であり、マンションの問題は、東京において最も先鋭的にあらわれる問題です。
この届け出制度を定着させるには相当な苦労があると思いますが、都が、区市町村を初め関係者と一丸となってこの問題に取り組み、良好な居住環境を形成し、市街地環境の向上につなげていくことを要望いたします。
次に、付託議案五十八号、東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例の一部を改正する条例について、賛成の立場から意見を表明いたします。
今回の改正は、緊急輸送道路沿道の建築物の占有者の協力を得やすくするよう環境を整備し、所有者の耐震化の取り組みを促そうというものでございます。この改正により、テナントとの調整が進まなかったビルなどで取り組みが促されていくことが期待されます。今後、区市などと連携して、所有者だけでなく占有者に対して、耐震化への助言や働きかけを進めていただきたく思います。
特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化の目的は、震災時に、建物の倒壊による道路閉塞を防ぎ、大動脈となる道路の通行機能を確保することです。今回のこの改正により、テナントビルなどの耐震化が進捗する一方で、困難な課題を有する建物が残る状況となるでしょう。
こうした中、目的の早期実現に向けては、倒壊した場合に影響の大きい建物などから重点的に手だてを講ずるなど、めり張りのきいた対策が必要です。今後、最大限の効果が得られるような施策の展開を要望して、意見表明とさせていただきます。
最後に、報告事項の東京都住宅政策審議会中間まとめについて意見を表明させていただきます。
住まいは家庭生活の基盤であり、家族の居住の安定を図ることは、未来を担う子供の健やかな成長に不可欠であります。少子高齢化が進む東京にあっては、安心して子供を産み育てることができ、老いも若きもともに生き生きと暮らすことができる社会の実現を図っていくことが重要であります。
そうした中で、市場において子育てに適した住宅を確保することが難しい若年ファミリー世帯の都営住宅への入居を促進することは、我が党が推進する、子供が健やかに育ち、女性が活躍できるまちの実現に寄与するとともに、地域コミュニティの活性化にも資するものです。
今回の東京都住宅政策審議会中間のまとめでは、子育て世帯への支援策として、期限つき入居制度の充実が提言されております。この期限つき入居制度は、我が党の要望に応え、都が全国に先駆けて導入したものであり、平成十三年度から平成二十九年度までの十七年間の間に約八千世帯が入居するなど着実に実績を積み重ね、子育て世代の住居費負担軽減に大きく貢献してきました。
中間のまとめでは、具体的には、期限つき入居制度の対象に新たにひとり親世帯を加えるとともに、在学中に子供が転校することのないよう就学期に応じて入居期間を延長することができる仕組みを検討するべきとの提言がなされており、これらは子育て世帯への支援に資するものであり、評価をいたします。
今後とも、都営住宅のストックを最大限有効活用し、子育て世帯の入居を一層促進することを要望し、意見表決とさせていただきます。
○和泉委員 まず最初に、バリアフリー条例についてです。
この条例改正によって、国のバリアフリー法に基づく車椅子使用者用客室だけでなく、一般客室の整備基準が全国で初めて規定されることとなります。このこと自体は、より多くの方にとって一般客室が使いやすいものとなる改善ですし、前向きな評価をしたいというふうに思います。
しかし、障害者団体の皆さんからは、室内の浴室やトイレの出入り口幅の義務づけが七十センチとされたこと、通路幅七十センチとされたことに、これでは車椅子が入れない、通れない、そういった声が上がっています。
なぜ室内の浴室、トイレの出入り口幅、通路幅、これを七十センチ以上で義務づけたのでしょうか、伺います。
○青柳市街地建築部長 浴室等の出入り口幅につきましては、車椅子の製品カタログや車椅子メーカーへのヒアリング等を参考に、最低限の基準として七十センチ以上を規定したものでございます。
○和泉委員 先ほど来、質疑の中でも出てきていますけれども、車椅子の幅はJIS規格が七十センチとなっていることから、室内での移動やトイレ、浴室の出入り口の幅が七十センチでは車椅子が使えない、そういう声は、東京都が昨年の十月十九日から十一月十九日まで行った高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例における宿泊施設の規定整備の考え方案へのパブリックコメントでも出されています。
室内は最低でも七十五センチを義務づけるべきだったというふうに思いますが、なぜ努力義務にとどめたのでしょうか。
○青柳市街地建築部長 先ほども答弁申し上げましたが、今回の条例改正に当たりまして、障害者団体やホテル業界などと意見交換を行い、利用実態等も聞いた上で、パブリックコメントでの意見や国のガイドラインの検討状況等を踏まえ、七十センチ以上の義務規定に加え、望ましい基準として、七十五センチ以上の努力規定を設けたものでございます。
○和泉委員 せっかく全国で初めての一般客室向けの規定ができるわけですから、実際に効果的なものをつくってほしい、これは当事者の皆さんの当然の要望だというふうに思います。私たちが聞き取りを行った中でも、室内の移動、出入り口、ともに八十センチにという要望が聞かれました。
都は、八十センチ以上にすると車椅子使用者用客室と同じ基準になってしまうというふうに私も説明を受けていますけれども、都内の車椅子使用者用客室、これはどのくらい整備されているんでしょうか、伺います。
○青柳市街地建築部長 福祉保健局の統計によれば、平成三十年三月三十一日現在、都内におけるホテル、旅館の客室数は約十五万五千室となっております。
車椅子使用者用客室数につきましては、統計等の数字はございませんが、バリアフリー法施行令にて車椅子使用者用客室の設置が義務づけられているホテル等から、約五百室と推計されます。これらから、車椅子使用者用客室の総客室数に占める整備率は約〇・三%と推測しております。
○和泉委員 あくまで推計ということですけれども、たった〇・三%の整備率なんです。国交省も一昨年十月から十二月にかけて調査を行ったようですけれども、その結果は、回答があった六百六施設のうち、車椅子使用者用客室を備えた施設はわずか三割、しかもその施設でも一室か二室という実態です。
では、この車椅子使用者用客室、どのくらい使われているんでしょうか。利用率は、都はつかんでいるんでしょうか。
○青柳市街地建築部長 二〇一七年十月に国土交通省が行ったアンケート調査では、車椅子使用者用客室の平均稼働率について、不明との回答が最も多く三六・一%、次いで、六〇%以上八〇%未満が一五・三%となっております。
なお、今回の条例改正に当たりまして、都において、ホテル事業者にヒアリングを行いましたところ、車椅子使用者用客室に車椅子を使用される方が宿泊するのは、月に一回程度、一般の方の利用を含めた場合でも稼働率は六割程度との回答が多うございました。
○和泉委員 実際には余り利用がされていないと。国の見直しの検討でも、コストが、利用料ですね、高くなることが、施設管理者側からも障害者団体側からも実態として出されています。利用率が上がらないのは、そのようなことも背景にあるのだというふうに思います。この利用率の低い実態についても改めて調べる必要があると私は思います。
そういう実態であればなおさらのこと、今回の都の条例改正で、より多くの車椅子利用者が利用しやすい客室整備が進むということは重要だと思います。
さらに、必要としているのは、車椅子を使用している方たちだけではありません。国交省の高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準、平成二十八年度に出されていますけれども、これが示す基本寸法等、ここでは車椅子の使用者だけではなく、つえを使う方の基本動作寸法も、一本のつえの場合には七十センチから九十センチ、二本のつえだと九十センチから百二十センチの基本動作幅が必要だというふうになっています。
七十センチというのは、車椅子の方だけではなく、つえを使う方にとっても、室内の移動が困難な寸法ということになってしまいます。
パブリックコメントでは、室内の出入り口幅は少なくとも七十五センチ以上を求める意見、車椅子で直角に曲がるためには室内通路幅が八十センチ以上必要、こういった意見が見られました。
本当に障害者や高齢者が安心して使えるバリアフリーの宿泊設備の整備を進めるなら、八十センチ以上を努力義務とすべきではないでしょうか、いかがでしょうか。
○青柳市街地建築部長 ご指摘のバス、トイレ入り口等を含めました室内の出入り口幅八十センチ以上と申しますのは、車椅子使用者が円滑に利用できるものとして、法で設置が義務づけられている車椅子使用者用客室の基準と同じでございます。
車椅子使用者用客室につきましては、都は、対象となる宿泊施設の床面積を引き下げるなど、国を上回る基準により、引き続き、整備の拡大を図ってまいります。
なお、今回の条例改正は、法で設置が義務づけられている車椅子使用者用客室とは別に、法の義務対象ではない一般客室を対象に段差の解消や出入り口の幅等に関する基準を設け、より多くの高齢者、障害者等が利用できるようにしていくものでございます。
○和泉委員 より多くの高齢者、障害者等が利用できるようにしていくもの、十分承知しています。そうであればなおさらということで申し上げているんです。車椅子使用者用客室は八十センチ以上が国の基準でも義務づけられているわけですから、それを努力義務の基準にするべきではないでしょうかと申し上げています。
義務化が七十センチでは、車椅子やつえを使う方たちの室内での移動が困難です。そこをクリアできてこそ、バリアフリーなのではないんでしょうか。多くの方にとって使いやすい宿泊施設の基準を東京から広げる、それに十分ふさわしい基準にすることを改めて求めておきたいと思います。
続いて、住宅についてです。
石原都政の都心居住推進政策によって、六本木の再開発や汐留地区の開発など、圧倒的多数の都民は住めないような高額所得者向けの住宅の建設が推進される一方で、都営住宅の新規建設は凍結をされ、都営住宅の空き家募集の倍率は高くなりました。
我が党は、二〇〇四年に都市計画局、住宅局及び建設局の市街地整備部門が再編統合された際にも、低所得者のための住宅政策拡充が強く求められている中で、住宅局の果たすべき役割の重要性を指摘して、再編統合に反対しました。以来一貫して、都への予算要望でも、住宅局の復活を求め続けてきましたから、今回の住宅政策本部の設置は歓迎するものです。
住まいは人権であり、都民の生活の安定とより豊かで文化的な生活の確保のために、住宅がその基盤であることから、都の住宅政策の充実を求める立場で質疑をします。
まず初めに、都の住宅政策の目標は何でしょうか。
○澁谷住宅政策担当部長 都の住宅政策の目標は、全ての都民がその世帯の構成に応じて良好な住環境のもとでゆとりある住生活を享受するに足りる住宅を確保できるようにすることにあるものとしております。このことは、東京都住宅基本条例第一条に示されております。
○和泉委員 全ての都民がその世帯の構成に応じて良好な住環境のもとでゆとりある住生活を享受するに足りる住宅を確保できるようにすること、これが都の住宅政策の目標だということです。ただいまの答弁は、住宅基本条例の第一条、ここに、答弁もありましたけれども、明確に記載をされています。ということは、住宅政策は常にこの政策目標に向かって取り組まれる必要があるということだと思います。初めにその点を確認した上で、質疑を進めたいと思います。
国は、住生活基本法を制定し、国の住生活基本計画、いわゆる全国計画を策定しています。一方、都は、住宅マスタープランを策定しています。
この都の住宅マスタープラン、そして国の全国計画との関係はどのようなものでしょうか。
○澁谷住宅政策担当部長 住生活基本法におきまして、都道府県の住生活基本計画は、国の全国計画に即して定めることとされております。住宅基本条例に基づく東京都住宅マスタープランは、住生活基本計画の都道府県計画としての性格もあわせ持つものでありまして、同法の規定に基づきまして、全国計画に即して定められております。
○和泉委員 住生活基本法に基づく全国計画、これに即してつくられているものだという答弁でした。
では、住生活基本法の目的は何かというと、ちょっと長くなりますけれども、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策について、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体並びに住宅関連事業者の責務を明らかにするとともに、基本理念の実現を図るための基本的施策、住生活基本計画その他の基本となる事項を定めることにより、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上と社会福祉の増進を図るとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするというふうになっています。
つまり、住生活の安定の確保、向上を進めることで、生活の安定向上と社会福祉の増進を図る、あわせて国民経済の健全な発展に寄与する、これがこの法律の目的ということになります。そのために、国は全国計画をつくり、それに即して都道府県計画がつくられる。都の住宅マスタープランは、この都道府県計画としての性格をあわせ持つという答弁でしたから、当然全国計画に即してつくられているということになります。この法律が掲げた目的に照らしても、都営住宅が都の住宅政策において大変重要だということはいうまでもありません。
住宅セーフティーネットとしての都営住宅の役割、これを都はどのように認識しているのか伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 少子高齢化が急速に進展する中で、高齢者や子育て世帯など、都民の居住の安定を確保していくことが重要でございます。
都営住宅は、市場において自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯に、安定的に適切な住宅を供給する住宅セーフティーネットの中核としての役割を担うものと認識してございます。
そのため、これまでも、既存ストックの有効活用を図りながら、適切な供給や適正な管理に努めてまいりました。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で、都営住宅が住宅セーフティーネットとして重要な役割を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
○和泉委員 東京都の住宅マスタープランには、都営住宅は、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給するというふうになっています。
この真にという用語について、事務事業質疑でも取り上げ、公営住宅法、東京都営住宅条例、規則、そして東京都住宅基本条例、東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画、このいずれにも出てこない用語であるということは確認をしました。
では、法律や条例に出てこないにもかかわらず、わざわざ真にとつけた住宅に困窮する都民、これを都はどのように定義しているのでしょうか、改めて伺います。また、どのように適切な供給が行われているのかについても、あわせて伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 東京都住宅マスタープランにおけます真に住宅に困窮する都民とは、公営住宅法の第一条に規定する住宅に困窮する低額所得者と同様の意味でありまして、最低居住水準の住宅を住宅市場において自力で確保することが困難な者を意味すると考えてございます。
真にという用語につきましては、平成八年の建設省からの、当時の建設省でございますけれども、公営住宅法改正の施行通知から使われ始めたものと承知してございます。
その公営住宅法の改正におきましては、第一種、第二種の種別区分を廃止し、入居収入基準が低い方に一本化されたほか、高齢者、障害者など一定の要件を満たす者につきましては、事業主体による裁量で入居収入基準を引き上げることができることとされたものでございます。
真に住宅に困窮する都民とは、こうした裁量階層を含め公営住宅の入居資格を持つ世帯を指しているものと考えております。都におきましても、平成十四年二月に策定した第三次住宅マスタープラン以降の住宅マスタープラン等におきまして、この真に住宅に困窮する都民という表現を用いてございます。
公平かつ的確な供給を図るため、都営住宅におきましては、入居資格者に入居の機会が公平に付与されるよう、公募を原則とし、入居者の選考に当たっては、抽せん方式によるほか、住宅困窮度の高い者から順に入居させるというポイント方式を併用してございます。
なお、抽せん方式におきましても、困窮度がより高いと考えられる高齢者世帯、障害者世帯、多子世帯、ひとり親世帯等につきまして、倍率を優遇してございます。
○和泉委員 つまり、法改正で、所得については低い方に一本化をされた。その中でも、高齢者や障害者、多子世帯、ひとり親世帯など、さらに困難な状況の人という絞り込みを行った。これが、東京都における都営住宅の供給の適切なやり方だというわけです。
このような絞り込みを行ってもなお、都営住宅の応募倍率は高くなっています。
何度も何度も申し込み続けている都民にとって、都営住宅の入居は、まさに生活がかかった深刻な要求です。
入居者の実態を見れば、使用料の減免を受けている世帯は、この十年で約八千世帯ふえています。そして、使用料の年間の調定額は約八十七億五千万円減っています。このこと自体も、とりわけ都営住宅の入居者の状況が大変厳しいものだということを示していると思います。
私は、東京都がここに正面から向き合う必要があると思います。先ほど答弁があったとおり、文字どおり都営住宅が住宅セーフティーネットの中核としての機能をしっかりと果たすことが求められています。そのためには、まず、都が都民の住宅困窮の実態をつかむ必要があると思います。
先ほどの国の住生活基本計画、全国計画では、公営住宅の供給目標量を設定する際の考え方について、新規建設及び買い取り戸数、建てかえ戸数、民間住宅等の借り上げ戸数並びに既存公営住宅の空き家募集の戸数を合計した戸数として、居住の安定の確保を図るべき世帯に対して必要な住宅供給を行う観点から設定するとされています。
都は、全国計画が示す公営住宅の供給の目標量は設定しているんでしょうか。
○澁谷住宅政策担当部長 平成二十八年三月に閣議決定されました住生活基本計画の全国計画におきましては、今お話もございましたけれども、公営住宅の供給の目標量の設定の考え方が示されております。
この考え方に基づきまして、住生活基本計画の都道府県計画であるところの現行の東京都住宅マスタープランにおきまして、その計画期間である二〇一六年度から二〇二五年度までの十年間で、都内の公営住宅における空き家募集の戸数、建てかえ、新規建設等の戸数の合計といたしまして、十三万八千戸を政策指標として設定してございます。
○和泉委員 ただいま空き家募集の戸数、建てかえ、新規建設等の戸数の合計として十三万八千戸という答弁をいただきました。それぞれの内訳、どうなっているでしょうか。
○澁谷住宅政策担当部長 都営住宅と区市町村営住宅の合計の数字でございますけれども、空き家募集の戸数が約九万六千七百戸、建てかえによる建てかえ後の戸数が約三万九千八百戸、それから新規整備につきましては、全て区市町村営住宅でございますが、約千四百戸となってございます。
○和泉委員 これらの公営住宅の供給目標量が、いわゆる全国計画が示す公的な支援が必要な世帯に対して供給されなければいけない住宅数だということになるはずなんですよね。
都は、居住の安定の確保を図るべき世帯というのは、市場において自力では適正な水準の住宅を適正な負担で確保することが困難と見込まれ、公的な支援により居住の安定の確保を図るべき世帯であるとしていますけれども、その具体的な世帯数についてはつかんでいるんでしょうか。
○澁谷住宅政策担当部長 平成二十八年三月に閣議決定されました住生活基本計画の全国計画におきましては、公営住宅の供給の目標量について、市場において自力では適正な水準の住宅を適正な負担で確保することが困難と見込まれ、公的な支援により居住の安定の確保を図るべき世帯の数を把握した上で、当該世帯の居住の安定の確保のため必要な公共住宅の供給の目標量を設定することとされております。
この考え方に基づきまして、住生活基本計画の都道府県計画でありますところの現行の東京都住宅マスタープランの計画期間、これは二〇一六年度から二〇二五年度までの十年間でございますけれども、この間に公的な支援が必要となる世帯を約十三万七千世帯と推計いたしております。
○和泉委員 全国計画では、この公的な支援が必要な世帯を的確に把握した上で公営住宅の供給量を設定することを求めているわけですけれども、ただいまの答弁の中で、どのように積算してこの数字がはじき出されたんでしょうか。
○澁谷住宅政策担当部長 先ほども申し上げましたけれども、平成二十八年三月に閣議決定された住生活基本計画の全国計画で示されました公営住宅の供給の目標量の設定の考え方に基づき推計をしたものでございます。
まず、民営借家等に居住している世帯で著しい困窮年収未満の世帯のうち、最低居住面積水準を満たす住宅が確保されていない世帯、これが七万五千世帯となります。それから、最低居住面積水準は満たしているけれども家賃負担率が高い世帯のうち特に支援が必要と想定される世帯、これが二万一千世帯になります。その二つを合計したものが、新たに対応が必要となる世帯ということになります。
これに建てかえによるモデル入居等の四万一千世帯を加えまして算出をしたものでございます。
○和泉委員 住生活基本計画で示された考え方に基づいて、都が推計したということで、幾つかの推計の考え方が示されました。
このパネルのようになると思います。建てかえによる戻り入居の方以外、すなわちこれまで民間賃貸住宅などに住んでいて新しく都営住宅に入る方は、上の段になります。
これを見ると目につくのが、著しい困窮年収未満、まずこれをクリアしない人は、この必要量の中にカウントをされないということになります。あくまでこの方たちのうちということになるわけです。
この著しい困窮年収未満の世帯というのは、住生活基本計画には書かれていない考え方ではないでしょうか。著しい困窮年収とは具体的にどのような年収を指すのでしょうか、伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 著しい困窮年収についてのお尋ねでございますが、これは世帯年収と地域の民営借家市場の実態から、自力で最低居住面積水準を達成することが著しく困難な年収の世帯ということでございます。
○和泉委員 今後十年間で公的な支援が必要な方たち、そういう世帯の数を、全国計画では的確に把握しなさいということになっているわけです。そこで、東京都に示してもらった基準が、この著しい困窮年収未満、まずはここをクリアしないといけない。
公営住宅にどうしても入ることが必要です、そういう方たちの世帯の数を計算するという重要な数値になるわけですよ。ですから、根拠を曖昧にするということは許されないと思うんです。
それぞれで違いますというふうにいいますけれども、まず、東京都は、著しい困窮年収未満の世帯というのはどこで線引きをしているんですか、もう一度伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 今申し上げました世帯年収と地域の民間借家市場の実態から、自力で最低居住面積水準を達成することが著しく困難な年収ということは、国の方から考え方として示されております。
私ども東京都といたしましては、その考え方に基づきまして、住宅・土地統計調査等既往の統計を使いまして、適切に推計をさせていただいております。
○和泉委員 では、角度を変えて聞きますけれども、著しい困窮年収と現在の都営住宅の入居収入基準である政令月収十五万八千円、これは同じ考え方に基づいているんでしょうか、それとも違うんでしょうか、違うとしたらどういう点で違っているかもお答えください。
○澁谷住宅政策担当部長 公営住宅制度におきましては、今、各事業主体が条例で入居収入基準を定めておりますので、東京都も都営住宅条例で定めておりますけれども、そこで年収要件で見ますと、収入分位の下位二五%以下、これは本来階層になります。裁量階層で四〇%ということでございます。
ここでの著しい困窮年収というものは、そこのラインとは異なります。それよりも低いラインでございます。それは、先ほど来申し上げましたけれども、世帯年収と地域の民間借家市場の実態から、自力で最低居住面積水準を達成することが著しく困難な年収ということでございますので、その考え方に基づきまして推計をいたしているものでございます。
○和泉委員 都営住宅の入居の際の応募資格、この収入基準は十五万八千円ということになっているわけですよね。十五万八千円以下の方たちが都営住宅に申し込む資格がある、収入要件では資格があると。けれども、公営住宅の提供が必要な人たちの絞り込みのときには、それよりももっと低い年収で縛りをかけているというのがただいまの答弁ということになるんですよね。
なかなかその水準をしっかりと私どもの方に明確に示していただけないわけですけれども、全国には、住生活基本計画に基づいてこれからどのぐらいの数の公営住宅が必要か計算した方法を具体的に公表している自治体もあるんです。
例えば仙台市です。このパネルは、仙台市が今後、公営住宅をどれくらい必要としているか考え方を示した図、これをもとにつくりました。仙台市によると、公営住宅が必要とされるのは、青色の一から四までです。
そのうち、四は現在公営住宅に住んでいる人たちですが、それ以外はまず、公営住宅に入れる階層の収入、収入の低い方から二五%である政令月収十五万八千円以下、このパネルでいう赤いライン、ここから、以下、その下の人ということではなくて、そのさらに下にある黄色いライン、著しい低年収以下の方たちだというふうに、仙台市は収入の低い方から十五%、政令月収十二万三千円以下で線を引いているんです。
さらにここから、低い方たちの中からこういった選別を行って、それが今後公営住宅の提供が必要な人たちだというふうにいっているんです。
そうしますと、先ほどの東京都のパネルと合わせますと、〔1〕、最低居住面積水準未満の民間住宅に居住する世帯、〔2〕、最低居住面積水準を満たしているが高い家賃負担を余儀なくされている世帯、〔3〕、一、二以外で民間賃貸住宅に居住する高齢者世帯、東京都の考え方と比較しますと、こちらの東京都の示したAが仙台市でいうところの〔1〕、Bが仙台市でいうところの〔2〕に相当します。
そして、本来なら公営住宅は、収入分位二五%、収入の低い方から二五%以下に相当するなら入る資格があるはずなのに、こうやって対象が大幅に狭く絞り込まれた結果、パネルでいえば、一から三に入る方以外の部分、本来十分にその要件を満たしている人たち、こういった方たちが、公営住宅を提供しなければいけない対象から外されてしまっているというのがわかります。
東京都も、このような特別な計算をして公営住宅に入るべき収入の方の数を計算するのではなく、対象を狭く絞り込んでいるというのが先ほどの答弁ですよね。それで間違いないでしょうか。
○澁谷住宅政策担当部長 繰り返しの答弁になりまして恐縮でございますけれども、考え方といたしますれば、世帯年収と地域の民間借家の市場の実態から、自力で最低居住面積水準を達成することが著しく困難な年収というものに相当するものとして、住宅・土地統計調査等をもとに適切に推計をしたものでございます。地域の実情を踏まえて推計をしたものでございます。
ただ、入居資格そのものではございませんで、支援の対象となるべき者ということで推計をさせていただいているものでございます。
○和泉委員 ただいまの答弁、結局こういうことなんです。何がはっきりしないかというと、どこで線を引いているかという数字がはっきり出てこないというだけで、考え方としては、この仙台市が出している考え方と同じことだということなんですよね。
本来入居資格がある方たちを、わざわざまたそこに著しい困窮年収という言葉を使って計算する。さらに、最低居住面積水準未満か高い家賃負担率の世帯しか対象としない。このやり方、仙台市と一緒だと思うんです。
今後十年間で公営住宅にどうしても入ってもらわないと困る、そういう世帯の数を、思い切り絞り込んで、都営住宅を新しく建てることは一切しないで、これから十年間で都営住宅をふやさない。けれども、都営住宅に入りたい都民は膨大にいて、政令月収十五万八千円以下なら募集することができるんです。
先ほどのパネルでいえば、青色だけでなく、黄色や赤色の人は、みんな応募することができる。その結果、全く都営住宅は足りず、何十倍、時には百倍を超える倍率になる。これは当然の結果だと思うんです。
そして、その結果、東京都がいう公営住宅の新規の対象、最低居住面積水準を満たす住宅が確保されていない世帯、最低居住面積水準を満たしているけれども家賃負担率が高い世帯のうち特に支援が必要だとされる世帯ですらも、高い応募倍率に阻まれて、何度応募してもはじかれる、十年たっても入れないということにならざるを得ないんです。
都営住宅が住宅セーフティーネットの中核だというなら、自力で住宅を確保することが困難な方たちがどのくらいいるのか、まず的確に把握をして、必要量を出すべきです。その上で、供給量を設定し直すことが必要だということを指摘しておきたいと思います。
そして、住宅セーフティーネットの中核たり得る供給量を確保し、その役割を果たす上で、新規建設に踏み出すことは本当に必要です。都営住宅の新規建設は、若年世代が安心して子育てできる環境をどのようにつくっていくのかという喫緊の課題にも応えるものです。
東京都住宅マスタープランには、理想の子供の数を持たない理由に家が狭いと答えている夫婦が約一割と記載されています。妻の年齢が三十四歳までの夫婦で見ると、二割近くに上るんです。子育てできる広さと払える家賃という両方の条件を満たす住宅を提供することが切実に求められているということを示していると思います。
都は、都営住宅の建てかえでファミリー向け住戸の整備を進めるなどの施策を行っているということですけれども、総戸数をふやさなければ、当然ファミリー向け住宅をふやした分、単身者向けの戸数が減るということになると思いますが、いかがでしょうか。
○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立ち、基準を設け、それぞれに対応する間取り及び規模の住宅を供給しております。
なお、建てかえにおきましては、居住者の世帯規模などの状況を勘案し、地元自治体との協議を行いながら、団地ごとの特性を踏まえて、必要なファミリー向け住戸の整備を図ることとしております。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきまして、既存ストックの有効利用を図り、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
○和泉委員 結果的に総戸数をふやさないと、総戸数の中の比率を変えるというだけでは、どこかが結局減ってしまうということにならざるを得ないと思うんです。単身者向けの住宅というのは世帯向けよりも応募倍率も高いですから、総戸数の比率を変えるということではなくて、どのタイプもふやす、この点でも新規建設が必要だというふうに思います。
住宅政策審議会が都営住宅における管理制度のあり方中間のまとめを発表しましたが、都営住宅内の世代間のバランスを整えることが良好な管理を確保する上でも必要だ、そういう観点から、期限つき入居の期間を延長するとか、学生や若年単身者なども入居できるようにするとか、さまざまな提案がされています。
二月十五日に陳情審査が行われた足立区の都営住宅の自治会の皆さんも、団地内の自治会活動が困難になってきていることから、使用承継の範囲を拡大してくれということを求めていました。
それぞれの世代がバランスよく入居しているということは、団地の活気や住民相互の支え合い、コミュニティの構築のためにも、また地域防災のためにも、大変重要だと思いますが、都の認識を伺います。
○八嶋経営改革担当部長 入居者の高齢化、単身化が進行する中、都営住宅ストックを有効活用して、子育て世帯の入居促進や高齢者が安心して暮らせる環境整備等を進め、多世代共生を実現することが求められております。
住宅政策審議会の中間のまとめでは、子供の期限つき入居の延長など、子育て世帯への支援の充実が提言されております。また、就労支援策と連携した住宅の提供、さらには、高齢者に対する地域福祉等と連携した多様なサービスの充実なども提言されております。
都は、五月に予定する答申を踏まえ、多世代共生の実現に向け施策を推進してまいります。
○和泉委員 今のように、より厳しい状況の方たち、一層低所得の方たちに厳しく入居資格を絞り込んで、入居希望者をふるい落としているという状況では、このような要求に応えることはできないし、全ての都民がその世帯の構成に応じて良好な住環境のもとにゆとりある住生活を享受するに足りる住宅を確保するという、住宅政策の目標にも到底届かないと思います。
都営住宅という住宅セーフティーネットの網目からこぼれ落ちて住宅に困窮している都民が余りにも多いという実態にしっかりと向き合って、政策目標に向けた取り組みを強化していただくよう求めておきたいと思います。
最後に、東京における土地利用に関する基本方針について意見を述べます。
都市計画審議会でも同じように意見を述べさせていただきました。
この土地利用に関する基本方針ですけれども、副題に都市づくりのグランドデザインを踏まえた土地利用のあり方というふうにありますが、グランドデザインは、東京一極集中を極度に進めた石原都政以来の東京の都市づくりを引き継ぎ、さらに肥大化させるものです。中央環状線の内側をセンターコアエリアと位置づけ、開発の網かけをしたやり方を、さらに中枢広域拠点域と新しい名称をつけて環状七号線の内側の区域まで大幅に拡大するばかりでなく、これまで生活拠点と位置づけられていた中野や葛飾の立石などを開発対象に引き込みました。
このような極端な東京一極集中は、大手デベロッパーのもうけをさらに増大させるでしょうけれども、環境破壊や地方の衰退、都市の過密化など、さまざまな問題を発生させます。このようなグランドデザインをベースに土地利用を考えることそのものに、問題があると思います。
この結果、基本方針では、歴史と文化を育んできた築地市場をなくして再開発にかけることなど、さまざまな問題のある開発を奨励しています。
主な取り組みとして掲げられているのも、緑の保全を理由に区部中心部の開発や容積率の上乗せを認める、超高層ビル建設を推進するための都市開発制度を適用できるエリアを拡大する、交通結節点であることを理由に容積率をさらに拡大する、日影規制を緩和するなど、開発を容易にするための規制緩和のオンパレードです。
緑の保全は重要ですけれども、都の責任で保全地域の買い取りを進める、市町村が行う特別緑地保全地区の買い取りに都として支援するなど、できることはたくさんあります。しかし、基礎自治体が制度の拡大や存続を認める要望を都に上げているにもかかわらず、これらの施策は拡大せず、特別緑地保全地区の買い取りに至っては廃止しています。
容積率は、それぞれの地域の用途に沿ってまちづくりを進めるために定められます。安易に上げれば、まち並みを壊します。民間の開発は、税金を投入せずに、安上がりな印象を与えますが、実際には、新たな自動車交通を発生させ、交通の円滑化を名目に毎年千数百億円の都市計画道路整備予算が組まれていますから、民間頼みの都市づくりが果たして財政的にも効率的かどうかは検証が必要です。
制度を緩和し、開発を促進する方策については、撤回、見直しを求めるものです。
開発優先の土地利用施策の一方で、空き家対策、木造住宅密集地域の改善についての方策はまだまだ極めて貧困です。専ら民間開発に付随するものになっています。外国人のためのサービスアパートメントなどの充実には熱心ですが、低所得者のための住宅整備を推進するための施策は全くありません。
東京都が力を入れるべきは、こうしたことに資する土地利用施策の策定であることを強調し、基本方針の見直しを強く求めて、私の質疑を終わります。
○佐野委員 それでは、私からは、平成三十一年度予算案について二件、報告事項について一件、質問をさせていただきたいと思います。
まず、予算案の公園、緑地についてです。
ご存じのとおり、海外主要都市における都市公園の現況を見ると、例えばロンドンでは一人当たりの公園面積が二十六・九平方メートル、ニューヨークが十八・六平方メートル、パリが十一・六平方メートルでございます。これに対し東京は、何と五・七平方メートルとなっています。
このように、海外の主要都市と比べると、東京は公園が不足しています。公園の整備はまだまだ必要であると考えます。特に自然災害の多い日本の都市においては、その必要性は諸外国の都市よりも高いのではないでしょうか。また、世界一の都市を目指すという上でも欠かせないのがこの公園という基盤整備であると思います。
そこで、東京都及び区市町は、都市計画公園・緑地の整備方針に基づき、都市計画公園、緑地の整備に取り組んでいると聞いておりますけれども、まず、現在の整備方針における取り組み状況について伺いたいと思います。
○久保田都市づくり政策部長 公園、緑地は、都市にゆとりと潤いを与えるとともに、ヒートアイランド現象の緩和、震災時の避難場所など、多様な面において都市活動を支える重要なインフラであり、都は、区市町村と連携し、より一層公園、緑地の整備を進めていく必要がございます。
公園、緑地の整備につきましては、現在、都と区市町が合同で平成二十三年に改定いたしました都市計画公園・緑地の整備方針に基づき、計画的に取り組んでいるところでございます。
整備方針では、平成三十二年度までの十年間に事業に着手する優先整備区域を百五十四公園、総面積約四百三十三ヘクタールで設定しており、平成三十年四月一日現在、その約七割に当たる約三百ヘクタールにおいて、事業に着手をしてございます。
また、十五区市では全ての優先整備区域について事業に着手しているところでございます。
○佐野委員 現在の整備方針の進捗状況についてはわかりました。
それで、整備方針では平成三十二年度までとなっているようですけれども、今回の予算案の資料、この主要事業の四八ページなんですけれども、都市計画公園・緑地の整備方針の改定ということで九百万円が新規計上されております。
説明としては、都市計画公園・緑地の整備方針の改定に向けた検討を前倒しで行い、優先整備区域を拡大することで、都及び区市町の公園整備を促進すると記載されています。
具体的にはどのように改定を進めていくのか伺いたいと思います。
○久保田都市づくり政策部長 都市づくりのグランドデザインでは、緑の総量を減らさないことを掲げ、地域の防災性の向上や生物多様性の保全等に寄与する公園、緑地の整備を進めるとしてございます。
また、都市計画審議会の答申である土地利用の基本方針では、丘陵地や公園、緑地などが一体となった厚みとつながりのある緑を充実させる必要があることが示されております。
これらを踏まえ、都と区市町は合同で、昨年十二月に、都市計画公園・緑地の整備方針を改定するための検討会を立ち上げ、現在検討を進めているところでございます。
この中で、防災性の向上や生物多様性の保全、水と緑のネットワークの形成などの観点により評価をし、二〇二〇年度、平成三十二年度から十年間に整備に着手をする優先整備区域を選定してまいります。
年内には、整備方針の改定素案についてパブリックコメントを実施し、来年度中に、新たな整備方針を策定する予定でございます。
○佐野委員 冒頭申し上げましたように、東京の公園、緑地はまだまだ不足しています。まずは都市計画決定をした都市公園の整備を都市政策として優先順位を上げて取り組む必要があるのではないかと思っています。
なかなか難しい状況だというのは理解しておりますけれども、そのような状況の中で、私も都内、さまざまな現場を見てまいりましたけれども、区部では、新たに開発された湾岸地域などは比較的公園、緑地が多いのかなと思いますが、古い、いわゆる木造地域、先ほど荒川区の例が出されましたけれども、非常に少ないということで、整備を急ぐ必要があるのかなと感じています。
今回の改定では、これらのエリアに重点を置く必要があるのではないかというふうに思っています。
また、多摩地域についてですけれども、それぞれ事情はあるかと思いますけれども、方針では位置づけられなくても、今回の改定では区市町等の情報を集約するということでございますけれども、例えば小平でいえば農地など相続が発生したり、企業が所有する比較的大きな土地が売却されるなどの情報に素早く対応していただき、都市計画変更などで公園、緑地とするなどさまざまな都市計画手法や国の制度などを活用して--特に財源を生み出す手法など、都はたくさんのノウハウをお持ちだと思います。先ほど中山理事からもですね--都が持っているノウハウをしっかりと地域や区市町にアドバイスをお願いできればと思っています。
これを一つ要望させていただいて、次の質問に入りたいと思います。
次は、これも予算の中に含まれる内容でございますけれども、昨年十一月の当委員会の事務事業質疑において取り上げた問題ですけれども、私の地元小平市では、相続により農地などが宅地化する、いわゆる小規模な開発行為が相次いでいます。このような開発では、新たに道路が整備され、そこに新しい電柱が建ち並んでしまうというわけです。
この様子、写真を前回お見せいたしましたけれども、都として無電柱化を進めているさなかで、このような状況は非常にがっかりしてしまうということでございます。何とかならないのかという質問をさせていただきました。そのときの答弁としては、安心・安全の東京のまちづくりを担う都市整備局として、この問題に対し、課題解決に向け検討を行っていくとのことだったと記憶をしております。
そこで、今回の予算案について、この検討の一環と思われる事業として、予算案、先ほどの資料でございますけど、五三ページに、開発行為における無電柱化推進方策検討調査七百万円というのが新規計上されています。
この説明として、都市計画法に基づく開発許可制度において無電柱化を推進するために、制度や施工における課題等の整理、検討を実施するとありますが、開発行為の無電柱化について今後どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 開発行為における無電柱化につきましては、道路幅員が狭く、地上機器設置場所の確保が難しいことに加えまして、開発事業者のコスト増や工事期間が長くなるなどの課題がございます。
そこで、来年度は、無電柱化する場合のコストや工期、開発事業者の事業採算性の分析などを行いまして、課題解決に向けた検討を進めてまいります。
あわせて、地元自治体と連携し、PR用のパンフレットの作成や説明会の開催などによりまして開発事業者の意識啓発を図るとともに、道路管理者や電線管理者への理解を求めてまいります。
○佐野委員 答弁を聞きまして、私、事務事業質疑で要望したことが一歩前進するのかなというふうに感じました。聞くところによると、民間の開発行為においても無電柱化が実施された例もあるとのことです。
これらができた理由、そして小平の例のようにできなかった理由、これなどの事例をできるだけたくさん集めていただき、課題を整理し、要件を整理し、どこに手を入れれば無電柱化が進むのか、実現するのか、しっかりと研究し、新たな補助策や支援の仕組みづくりにつなげ、開発行為における無電柱化が進むことを要望したいと思っています。
また、一方で、電柱をなくすということは、電柱製造業者にとっては電柱が売れなくなるということにほかなりません。電柱製造は、かなりの高度なプレキャストコンクリートの技術なんですね、遠心分離を使ってつくっていく、非常に技術が発達しているわけなんですけれどもね。こういう蓄積された技術で、一つの産業になっているのかなと思っています。この技術や産業を今度は地中化に生かせるような段階的な進め方とか、企業の育成支援なども同時に必要なのではないかなというふうに思います。
ぜひ今回の調査段階において、無電柱化を広く受け入れられるような産業界への支援策なども視野に進めてもらえればなというふうに要望して、この質問を終わりたいと思います。
最後に、今回の報告事項の住宅政策審議会中間まとめのことにつきまして、一問質問させていただきたいと思います。
中間まとめでは、都営住宅において、近年、入居世帯の高齢化、世帯の単身化が急速に進行する中、自治会活動での支障、機能低下が顕在化しつつあり、高齢化により団地内の地域社会としての活力が失われることも懸念されていると指摘されています。
実際に、都営住宅の現場に入りますと、入居者が高齢化し、自治会の担い手がいないという話をよく聞きます。地元小平市内にも多くの都営団地があります。近所の約四百世帯ほどの団地では、長年夏は盆踊り大会を開催していたのですけれども、五、六年前にやめてしまった例は、まさに高齢化で自治会の担い手が不足したのが主な原因だと思っています。
一方で、同じくすぐ近くの別の四百から五百世帯の団地でございますけれども、都の地域底力発展事業を活用して、イベントを始めました。ここはたまたま女性のパワフルな会長さんになってから始まったようでございますけれども、どちらもやはり人、入居者、あるいは都の支援が決め手になるということではないでしょうか。
今後も入居者の高齢化は進むことから、自治会活動が停滞することがないように、都として支援が必要と考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○八嶋経営改革担当部長 都営住宅の自治会は、居住者の高齢化などにより、その担い手が減少し、活動に影響が生じている実態があることは認識しております。
そのため、自治会役員の負担を軽減する仕組みといたしまして、昨年度から、都による共益費の直接徴収を開始しております。
また、東京都住宅供給公社の巡回管理人を通じて、自治会が抱えるさまざまな問題について相談を受けているほか、都内に十六カ所ある公社の窓口センターにおいて、自治会代表者との懇談会を開催しております。
さらに、高齢者の見守りなどに熱心な自治会の活動を参考にしてもらえるよう、公社において事例集や広報誌「すまいのきずな」を作成し、全自治会に配布をしております。
来年度からは、共益費の直接徴収の取り組みを未実施の自治会に積極的に提案していくほか、自治会が直面しているさまざまな課題について相談に応じるため、要望のある自治会の役員会等に公社の職員が出向くこととしております。
加えて、各自治会の自衛消防訓練の実施の有無を把握いたしまして、未実施の自治会には、来年度新たに作成する訓練実施の手引を配布し、実施に向けた具体的なサポートを行うなど、自治会活動への支援を強化してまいります。
○佐野委員 今の答弁で、都が自治会の支援にさまざまな方法で取り組んでいること、そしてこれからも取り組んでいくことがよくわかりました。
最後に意見でございますけれども、今回は中間まとめということでございますので、審議会としてこれから最終取りまとめ作業を行うことになろうかと思いますが、きょうも含めて、議会のこれまでの都営住宅に関するさまざまな議論や提案、パブリックコメント等の意見など、広く意見を収集、集約して取りまとめがなされることを期待したいと思います。
また、今答弁のありました自治会活動への支援の取り組みを、東京都住宅供給公社と連携をいたしまして、着実に進めていただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。
○本橋委員長 一通り発言予定者のご質疑が終わりました。
ほかに発言がなければ、お諮りさせていただきます。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○本橋委員長 異議なしと認めまして、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時四十三分散会
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