委員長 | 本橋ひろたか君 |
副委員長 | 佐野いくお君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 中山 信行君 |
理事 | 神林 茂君 |
理事 | 伊藤 ゆう君 |
けいの信一君 | |
西郷あゆ美君 | |
滝田やすひこ君 | |
宮瀬 英治君 | |
両角みのる君 | |
高橋 信博君 | |
荒木ちはる君 | |
曽根はじめ君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長技監兼務 | 佐藤 伸朗君 |
次長 | 小泉 健君 | |
技監 | 上野 雄一君 | |
理事 | 今村 保雄君 | |
理事 | 中島 高志君 | |
総務部長 | 桜井 政人君 | |
都市づくり政策部長 | 久保田浩二君 | |
住宅政策推進部長 | 佐々木秀之君 | |
都市基盤部長 | 荒井 俊之君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 山下 幸俊君 | |
市街地建築部長 | 青柳 一彦君 | |
都営住宅経営部長 | 佐藤 千佳君 | |
基地対策部長 | 高原 俊幸君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
連絡調整担当部長 | 土屋 太郎君 | |
担当部長 | 小口 新吾君 | |
まちづくり推進担当部長 | 山崎 弘人君 | |
まちづくり調整担当部長 | 木村 宣代君 | |
住宅政策担当部長 | 澁谷 浩一君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 栗谷川哲雄君 | |
交通政策担当部長 | 森 高志君 | |
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 | 新谷 景一君 | |
防災都市づくり担当部長 | 安部 文洋君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 松崎 浩一君 | |
局務担当部長 | 齊藤 敏君 | |
耐震化推進担当部長 | 青木 成昭君 | |
経営改革担当部長 | 八嶋 吉人君 | |
再編利活用推進担当部長 | 中山 衛君 | |
建設推進担当部長 | 妹尾 高行君 | |
営繕担当部長 | 村居 秀彦君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 宮城 俊弥君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
事務事業について(質疑)
○本橋委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
お手元ご配布の日程のとおり、理事会におきまして申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元ご配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元にご配布してございます。
資料について理事者の説明を求めます。
○桜井総務部長 十月二十三日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
目次は二ページにわたっておりまして、資料二十件でございます。
一ページをお開き願います。1、都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
既設都営住宅及び公社住宅ごとに、過去五年間のエレベーターの設置状況を年度別に記載してございます。
二ページをごらんください。2、都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
過去五年間の各件数を使用承継事由発生期間別に記載してございます。
三ページをお開き願います。3、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
都道府県及び政令市ごとに、平成三十年十月一日現在の実施状況を記載してございます。
四ページをごらんください。4、都営住宅、公社住宅における入居者の年齢別世帯数の状況及び単身入居者の年齢別世帯数の状況でございます。
入居者及び単身入居者ごとに、名義人の年齢区分が六十四歳以下及び六十五歳以上別に世帯数及び割合を記載してございます。
五ページをお開きください。5、都営住宅における期限つき入居の募集戸数及び平均倍率でございます。
過去十年間の募集戸数と平均倍率を年度別に記載してございます。
六ページをごらんください。6、都営住宅建てかえによる型別供給実績でございます。
平成二十七年度以降の型別供給内訳を年度別に記載してございます。
七ページをお開きください。7、都営住宅の応募状況でございます。
(1)、世帯向けの抽せん方式による募集、(2)、単身者向けの抽せん方式による募集、八ページには(3)、ポイント方式による募集について、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
九ページをお開きください。8、都営住宅の管理戸数、空き住戸数、募集停止戸数でございます。
平成三十年三月三十一日現在の各戸数について記載してございます。
一〇ページをごらんください。9、都営住宅使用料一般減免の状況でございます。
過去十年間の減免件数を年度別に記載してございます。
一一ページをお開きください。10、都営住宅の使用料収入でございます。
過去十年間の調定額、収入済額、収入率を年度別に記載してございます。
一二ページをごらんください。11、公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き住戸状況でございます。
公社一般賃貸住宅及び都民住宅ごとに、管理戸数及び空き住戸数を年度別に記載してございます。
一三ページをお開きください。12、都内の居住支援協議会設置状況と主な活動内容一覧でございます。
協議会名、設立年月及び主な活動内容について記載してございます。
一四ページをごらんください。13、横田基地におけるパラシュート訓練の通告状況でございます。
過去五年間に都へ通告のあった訓練期間、訓練内容及び降下人員数を一四ページから一五ページにかけて記載してございます。
一六ページをごらんください。14、都内米軍基地に関係する事件等の経過でございます。
過去五年間の航空機の緊急着陸、部品落下等及び米軍構成員による事件、事故を記載してございます。
一七ページをお開きください。15、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数でございます。
着陸及び離陸の延べ回数を年度ごとに記載してございます。
一八ページをごらんください。16、都内のJR京浜東北線、総武線、中央線の番線数とホーム柵設置数でございます。
路線ごとに、平成三十年三月三十一日現在の番線数、ホーム柵設置数を記載してございます。
一九ページをお開きください。17、東京都の空き家数、空き家率の推移でございます。
平成十年度以降の空き家数と空き家率を五年ごとに記載してございます。
二〇ページをごらんください。18、東京都の空き家利活用等区市町村支援事業補助実績でございます。
事業区分ごとに、都が補助を行った区市町村数及び補助を行った戸数を年度別に記載してございます。
二一ページをごらんください。19、サービスつき高齢者向け住宅等供給実績でございます。
過去五年間及び累計の戸数をそれぞれの高齢者向け住宅ごとに記載してございます。
二二ページをごらんください。20、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅に係る家賃低廉化補助実績でございます。
平成三十年十月一日現在の補助実績を記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○本橋委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行いたいと存じます。
それでは、早速ですが、発言をお願いいたします。
○両角委員 私からは、大きい項目で三つほどお伺いをさせていただきたいと思いますが、まず一点目は都市計画道路についてでございます。
いうまでもなく、都市計画道路は最も重要な社会インフラの一つであります。そうした中で、東京都におきましては、一昨年の三月に、東京都における都市計画道路整備方針、いわゆる第四次事業化計画を発表されました。
そこで、この事業化計画に関連をして、まず都県間の路線整備でございますが、都県間の路線整備にはもろもろ課題もあると思いますが、この都県間の路線の現状と取り組みを伺います。
○荒井都市基盤部長 都県境を越えた道路ネットワークの形成は、近隣県との交流、連携を図るためにも重要であり、また、災害時における広域的な救援救護活動や、円滑な物資輸送にも不可欠でございます。
平成二十八年三月に策定した都市計画道路の整備方針では、隣接県市と調整の上、都県間にまたがる十五の都市計画道路を優先整備路線に選定し、このうち、所沢と清瀬とを結ぶ東村山三・四・一五の二号線など三路線を事業化しております。
また、隣接する関係自治体と協議して、都県をつなぐ四カ所についても新たな都市計画道路として検討することとしており、このうち南多摩尾根幹線と相模原、橋本方面を結ぶ町田三・三・五〇号線など、二路線の都市計画を決定しております。
こうした道路の整備により、広域的な交流、連携を図る都県境ネットワークを充実させ、東京圏全体の活発な都市活動を実現してまいります。
○両角委員 都県をつなぐ広域ネットワークは重要性も高いわけでございますので、計画段階も整備段階も都県で十分な連携を進めていただきたいと、このように思います。
引き続きまして、本年七月に東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針の中間のまとめが発表されました。これについて何点かにわたって質問させていただきたいと思います。
まず最初でございますが、このタイミングで新たな視点で都計道の見直しを進めることとした理由と背景をお聞かせいただきたいと思います。
○荒井都市基盤部長 現行の事業化計画に基づき事業を進めることで、今後、おおむね二十年で都市計画道路全体のネットワークの約八割が完成いたします。その一方で、残る計画は完成までになお時間を要することになります。
このため、整備すべきものは整備し、見直すべきものは見直すとの基本的な考え方に立った上で、優先整備路線を除く未着手の都市計画道路を対象とし、既に必要な交通機能等が確保された道路の拡幅や立体交差計画の必要性等、新たな検証項目を設けて、都市計画道路のあり方について検討を行うこととしたものでございます。
○両角委員 ありがとうございます。中間のまとめにつきましては、七月に発表された後に、パブリックコメントに付されているわけでございますが、このパブコメも終了していると思います。
そこで、パブリックコメントの状況と、寄せられた主な意見はどのようなものであったか伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長 パブリックコメントは、平成三十年七月九日から八月十日までの三十三日間実施し、約二百七十通の意見が寄せられました。
主な意見としては、検討対象についてや具体的な検証項目についてなどがあり、現在、意見の内容について整理、取りまとめを行っているところでございます。
○両角委員 今回の検討につきましては、優先整備路線として選定をされなかった未着手の幹線道路が対象ということでありますが、幹線道路以外の路線も存廃の判断が必要なのではないかと思いますが、見解を伺います。
○荒井都市基盤部長 今回のあり方検討におきましては、優先整備路線として選定されなかった未着手の都市計画道路のうち、都市のまとまった交通を受け持ち、骨格を形成する道路である幹線街路を対象としております。
日常生活に密着した道路である区画街路等については対象としていないところでございます。
○両角委員 幹線道路でほとんど、九割八分ぐらいですか、カバーができるということで伺っておりますが、幹線外についても検討が必要ではないかなというふうに思ってもおります。
続きまして、この中間のまとめの以降に、今後は個別の路線をどうするかという検討に入っていくわけでございますが、その個別検討に当たりましては、都及び特別区、市町の役割と連携はどのように考えているのか伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長 東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針策定に当たり、都と特別区及び二十六市二町は策定検討会議を設置し、協働で調査検討を進めてまいりました。
個別路線の検討に当たっては、幹線街路を広域的な道路と地域的な道路に分け、都が広域的な道路、区市町が地域的な道路を検討することを基本として、都と区市町が連携しながら協働で検討を進めております。
○両角委員 広域的な道路と地域的な道路ということで役割分担をし、さらに連携をしていくということでございますが、そこで、スケジュールでいうと、平成三十年度末にこの基本方針が具体的に定まっていくということでありますが、三十年度末に策定予定の基本方針には、具体的な廃止路線が書き込まれるということでよろしいのかどうか伺いたいと思います。
また、基本方針策定後、どのようなスケジュールで取り組みが進んでいくのか伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長 今後、個々の路線を対象として、計画存続か、計画変更かの検証を実施して、計画変更等の対応方針を基本方針で示してまいります。
基本方針を示した後は、必要に応じて路線ごとに都市計画変更手続を行ってまいります。
○両角委員 最終的に廃止すべき路線がしっかり示されるというふうに理解をさせていただきました。
都市計画道路の質問の最後になりますけれど、今、都市計画道路、都市計画決定をされてからもう何十年も、半世紀以上たつような路線が大半なわけでございますが、そうした中で、計画をされて未着手の都市計画道路の中には、地域ニーズが低いという路線もあると思います。こうした地域ニーズという視点をどのように整理をしていくのかという点について伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長 都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支えて、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
人口減少の時代にあっても、将来にわたり東京を持続的に発展させていくためには、広域的な交流、連携や高度な防災都市、個性的で活力のある地域づくりなどを支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、計画的、効率的に整備を進めるために、優先的に取り組む路線を示す一方で、都市計画道路の必要性の検証を行い、適宜、計画の見直しも行ってまいりました。
今後とも、見直すべきものは見直す一方で、地元の理解と協力を得ながら、必要な都市計画道路の整備を着実に進めてまいります。
○両角委員 見直すべきものは見直して、着実に進めていくということでございますが、都市計画道路については、計画論の視点から必要性、効果を見定めて計画をされているというふうに理解をしております。
一方で、地域ニーズという視点は、ちょっと計画論からは外れるわけではございますが、しかしそれも重要な要素だと思いますので、何らかの形で加味していただけるような、そんな方策の検討をお願いしたいと思います。
いずれにせよ、こういった今回の見直しというようなことは重要なことだと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
引き続きまして、通勤混雑緩和について何点かにわたって伺いたいと思います。
まず初めに、通勤混雑緩和政策の東京都における位置づけということで伺いたいと思います。
通勤混雑緩和は、現知事、小池知事が主要な選挙公約に掲げたものでありますが、都政の中での政策の位置づけというのはどのようになっているのか伺いたいと思います。
また、現知事が就任以前と就任後、当該政策への取り組みはどのように違ってきているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○荒井都市基盤部長 満員電車の混雑緩和は、社会の生産性を向上するために重要であり、官民が連携して解決していくべき課題でございます。
小池知事就任後、東京の未来への航路として二〇二〇年に向けた実行プランを策定し、快適通勤に向けた取り組みの推進を政策目標の一つとして掲げ、ハード施策に加えて新たにソフト施策について示しました。
また、二〇四〇年代を目指した都市づくりのグランドデザインでは、鉄道のピーク時の混雑を解消することを将来目指すべき姿の一つとして示しました。
平成二十九年度には、通勤時の混雑回避のため、オフピーク通勤を促進する時差ビズを立ち上げ、国や鉄道事業者、広く民間企業とも連携し、取り組みを進めております。
また、平成三十年度からは、快適通勤の担当を設け、体制を強化しております。
今後とも、鉄道の混雑緩和を進め、快適な通勤環境を創出するため、ハード対策に加え、時差ビズなどソフト対策も進め、相乗的に効果を上げてまいります。
○両角委員 東京都の幾つかのプランにも位置づけをして、そして所管を都市整備局に設けていただいて、今、取り組みを進められているということであります。
私は、この政策は非常に重要なものだと思います。知事が掲げているからという意味だけではなくて、これはやっぱりニーズに合っているというか、まさに都民が必要としている政策ではないかと思っていまして、この政策をしっかり組織として前進をさせていくことが重要であるということを改めてお訴えをさせていただきたいと思います。
続いて、通勤混雑緩和の中で、時差ビズについて何点かにわたって伺わせていただきたいと思います。
時差ビズの事業の検証についてでありますが、この検証は現時点でどのようなことをしているのか、さらに今後の検証の進め方について伺います。
○荒井都市基盤部長 時差ビズの検証につきましては、参加企業の業種や従業員規模、利用駅など基礎的な情報の分析を行うとともに、参加した企業と企業の従業員に対するアンケート調査、鉄道を利用して通勤する人に対する認知度調査などを行っております。
また、参加企業の多い駅などについて、改札データを分析し、ピーク時の混雑の分散状況を確認しております。
引き続き、このようなアンケート調査及び駅改札データの分析を行いながら、さらに有効な効果検証の方策も検討してまいります。
○両角委員 ありがとうございます。いろいろ検証もされているということはわかりました。
それで、東京都はまさに、もう二年を経ずして東京二〇二〇大会を迎えるわけであります。いうまでもなく、二〇二〇大会期間中は内外から大勢の方々が東京にいらっしゃる。通常の通勤通学にプラスして、そういった方々の鉄道のニーズも高まるということで、交通需要のマネジメントが非常に重要になるのではないかというふうに私は考えております。
そこで、一点目は、これまでの具体的な成果と課題を伺いたいと思いますし、あわせて、来年度事業等、東京二〇二〇大会に向けた今後の展開を伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長 昨年度のアンケート調査では、時差ビズの認知度は七割を超えております。参加した約六割の方が、通勤時の快適性、仕事の効率性、プライベートの充実について効果を実感したと回答しております。
参加企業の多い駅での改札データの分析では、一部の駅でピーク時間帯の前後に混雑が分散する傾向が見られました。
また、今年度夏の時差ビズの参加企業数は、昨年夏の約三百二十社から約二・五倍となる八百社に達しました。さらに、実際に企業で時差出勤やテレワークに取り組んだ方は十八万人程度と、昨年夏の六万人程度から約三倍増加したとアンケートからは推計でき、着実に成果を上げていると考えております。
今後、ムーブメントの輪をさらに広げ、時差ビズをライフスタイルとして定着させてまいります。
そのため、今年度は冬にも新たに取り組み期間を設け、目標としている千社の参加を目指して取り組みを進めていきます。
また、東京二〇二〇大会時に向けて、交通需要マネジメントの取り組みの一つとして、大会時の円滑な輸送と企業活動の両立に向け、混雑が予想される駅や競技会場付近の企業へ重点的に時差ビズへの参加を呼びかけてまいります。
○両角委員 参加企業も八百社ということで、かなり定着をしてきて、効果も出ているんだということで理解をさせていただきました。
また、二〇二〇大会時には、交通混雑緩和策、時差ビズ等が交通マネジメント施策の一端を担うということにもなると思いますので、引き続き、組織委員会やオリ・パラ局等々と連携をしていっていただきたいなというふうに感じました。
今伺ったように、時差ビズは都市整備局の方で取り組みをされて、そして、一定の定着をして効果も発揮しているということで、評価をさせていただくものでありますが、通勤混雑緩和の政策の中では一つのメニューです。
今、通勤混雑緩和のソフトメニューというのは、時差ビズオンリーワンの、ナンバーワンのオンリーワンで、単一メニューということになっているわけでございまして、さきの一般質問でもちょっとお話をしましたが、時差ビズ一辺倒だけでもう、通勤混雑緩和の効果を出すには限界があるだろうと、そんなふうに感じているわけでございます。
そこで、さきの一般質問では、定期券の運賃の時間帯による利用状況によって弾力化をするですとか、あるいは時差ビズに協力をしてくれる企業に、インセンティブを東京都の政策を導入して与えるとか、他局とも連携をして政策メニューを多様化していくということをお訴えをさせていただいたわけでありますが、他局とも連携をした政策メニューの多様化ということについて、どのような内部検討が進められているのか伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長 時差ビズの展開に当たりましては、ポスターや動画などを用いた広報展開に加えて、鉄道利用者がオフピーク通勤へ取り組む意欲を引き出すことが重要であります。
今年度の夏の時差ビズでは、鉄道事業者によるオフピーク通勤者へのポイントの付与などに加えて、混雑の見える化など情報の提供による鉄道利用者の誘導、早朝時間帯の臨時列車の増発も実施していただきました。
引き続き、鉄道事業者において、それぞれの路線の混雑状況や混雑緩和への取り組みの方針なども踏まえ、インセンティブとなる方策を検討していただき、都としてもその取り組みを発信、周知いたします。
また、テレワークの推進など他局の取り組みとも一層連携し、さらなる展開につなげていきたいと考えております。
○両角委員 他局とも取り組みを連携して、さらなる展開につなげていくという意欲を示していただいたわけでございます。
そもそも通勤混雑緩和という政策、知事が選挙時に公約として訴えて、それが出てきて、行政の中で政策化して実際に進めていくといったときに、何をやろうかと大変困ったのではないかなと思います。
ハード面は今までも取り組んでいることがある、じゃソフトは何をするのか。そこで時差ビズということができて、今、取り組みをされているわけでありますが、当初、通勤混雑緩和を考えるに当たって、関係局が集まって会議をやったというふうに伺ったんですが、そのときには担当の副知事がその場に出席をしてきたというふうにも聞いております。
今、実際に都市整備局の交通企画課が担当になって、一生懸命やられていますけれど、どこまで局全体の、部全体のバックアップがあるのかなというと、それはバックアップはあるんでしょうが、担当課が一生懸命、ひいひいいって頑張っているような感じもなきにしもあらず、あるいは、今、他局がどこまで絡んで、巻き込まれて一緒にやっているのかなというと、今、副知事が出てくるような局面もないでしょうし、局長クラスの皆さんが出てくるようなこともないのではないでしょうか。
ということで、この政策が重要なものというふうに認識をしていただくのであれば、他局をもう少し巻き込んだ、例えば時間を、期限を決めて、タスクフォースを組むとか、あるいは連携体制をつくっていくとか、そういうことも考えていただきたいなと、こんなふうに思っておりますので、ぜひ都市整備局の担当の部長さん、あるいは局長さんから他局へも呼びかけていただきたいと。政策企画局なんて、本来入らなきゃいけないんじゃないですかね。そんなふうに思います。
次に、最後になりますが、これは局長に伺いたいと思います。
今お話をした交通混雑緩和の推進体制は、関係局との連携体制を整え、オール都庁として取り組むべきと思いますが、局長の見解を伺います。
また、あわせまして、通勤混雑緩和の取り組みについては、一過性のイベントとしないでいただきたいんですね。ぜひ継続的にこの施策展開をしていっていただきたいと思いますが、局長の見解と決意を伺います。
○佐藤都市整備局長 鉄道の混雑緩和につきましては、都内だけではなく、東京都市圏全体の交通政策の根幹でございまして、これまでも取り組んでまいりました。その中で、働き方改革にも大きくかかわっているというふうに考えてございます。
したがいまして、交通局、産業労働局、総務局、オリンピック・パラリンピック準備局など関係局と密接に連携しまして、快適通勤の実現、働き方改革に全庁で取り組んでいるというところでございます。
昨年度立ち上げた時差ビズも、二年目となることしの夏には、参加企業が、先ほどお話ししたとおり昨年の二・五倍、八百社を超えるなど、確実に成果を上げてございます。
さらに多くの方々の共感を得て、このムーブメントの輪を広げ、時差ビズをライフスタイルとして定着させていくということを目指してまいります。
引き続き、関係各局とこれまで以上に連携し、快適通勤に資する施策のさらなる展開につなげてまいりたいと存じます。
○両角委員 ありがとうございます。関係各局ともこれまで以上に連携して、さらなる展開につなげていくというご決意をいただきましたので、ぜひともそのような取り組みをお願いしたいと思います。
鉄道の絡みで最後の質問でございますが、ラッシュ時の、例えばさきの一般質問で取り上げさせていただいた中央線のダイヤの乱れ、あるいは私の地元を通っています京王線の朝の通勤時の速達性が欠けるような状況、各路線にいろんな課題があると思いますけれど、こういったそれぞれの課題、各路線の課題について、都としても鉄道事業者へ改善要望して、場合によっては必要な支援策もとっていくべきではないかなというふうに考えますが、見解を伺います。
○荒井都市基盤部長 輸送サービスの改善は、鉄道事業者の経営と密接にかかわることから、原則として鉄道事業者が対応すべきものであると認識しております。
一方、地元区市町村等からの鉄道輸送に関する改善要望につきましては、必要に応じ鉄道事業者へ働きかけを行っております。
都は今後とも、適切な役割分担のもと、鉄道の輸送サービスの改善に努めてまいります。
○両角委員 ありがとうございます。原則は鉄道事業者が対応するものだということは理解もしております。
以前もこういった話を議会の場で質問させていただいたことがありますが、ちょっと違う答弁が返ってきた部分というのは、必要に応じ鉄道事業者へ働きかけていますと、これが通勤混雑緩和を政策に掲げた小池都政の姿、ちょっと行政の姿勢も、物によってはちゃんとつないでいくんだという、そういうふうに理解をして、今後の取り組みも期待をさせていただきたいと思います。
最後の大項目になりますけれど、都営住宅について伺いたいと思います。
きょうも、資料要求で都営住宅関連の数字をいっぱい出していただいているわけでありますが、都営住宅、管理戸数二十六万戸だということがよくいわれるわけでありますが、そもそも都営住宅の戸数というのがわかりにくい。何がわかりにくいかというと、供給戸数だとか管理戸数だとか、戸数の定義がさまざまに、物によって使われ方がさまざまなんですね。だから、何が都営住宅の数なのかというのがよくわからないと。
そこでまず、私は都営住宅の戸数について、現に存在するストックとしての都営住宅が何戸あるのか伺います。
また、現にあるストックとしての都営住宅のうち、都営住宅として現に貸し出されている戸数及び空き家として今後貸出予定の戸数は何戸であるのか、教えていただきたいと思います。
○八嶋経営改革担当部長 平成三十年三月三十一日現在、住宅として保有している戸数は、管理戸数二十五万一千六百九十三戸と募集停止戸数六千百八十戸とを合わせた二十五万七千八百七十三戸となっております。
管理戸数のうち、使用中の住戸は二十二万九千三百六十五戸でありまして、募集用空き住戸は一万二千八百四十八戸となっております。
○両角委員 この質問をするに当たっていろいろやりとりさせていただいて、初めて戸数について理解ができたんですが、今、実際に貸し出している戸数と、まだこれから貸し出し予定の、しかし募集をすれば貸し出す戸数、それを合わせて管理戸数というと。その管理戸数が二十五万七千八百七十三ということで、これがことし三月末現在ですか、それが--違う違う、管理戸数はその二つで、それと募集停止をしているのを足して管理戸数--じゃない、ストックとしての、いやいや管理戸数、わからなくなってきたな。(笑声)わかりにくいわけですよ、つまり。
それで、要は、まずストックとしての戸数が二十五万七千八百七十三だと、これはストック、要は、いわゆる公称二十六万戸というやつは、現に存在するものが二十六万あるということですね。その内訳として、今、実際には都営住宅として使う予定でない、使う予定でないというか、これは建てかえのとき等に使う、通常貸出予定でないのが六千余あると、そんな理解ができました。
次に、都営住宅の戸数というのは幾つが適正なのかなという議論がどういうふうにされてきたのか、されてきていないのか、ちょっとわからないんですが、そこで適正戸数について伺いたいと思います。
平成十四年に策定をされた第三次住宅マスタープラン以降、新規住宅の建設は行わないで、既存ストックを有効活用し、都営住宅のストック数を抑制するという方針が示されているわけでありますが、都は都営住宅の適正なストック数というのを何戸というふうに捉えているのか伺いたいと思います。
○澁谷住宅政策担当部長 ご指摘の平成十四年に策定された住宅マスタープランにつきましては、都内の住宅数が世帯数を上回る状況や将来的な人口、世帯数の減少の見込みを踏まえまして、都営住宅の長期にわたる耐用年数のもとで、将来の需要減少期に余剰ストックとなることを回避するため、現在あるストックの維持管理に重点を移し、供給、管理戸数を抑制していくこととしたものでございます。
一方で、都営住宅の応募倍率の現状に鑑み、現行の平成二十九年三月に策定いたしました住宅マスタープランにおきましても、既存ストックの有効活用を図りながら、管理戸数を抑制しつつ供給するとしておるところでございます。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅について、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
○両角委員 今のご答弁、私の理解では、二十六万戸というのが最大限、今あるストックをそれ以上はふやしませんよと、そして、今後その需要の状況によっては、今は需要があるので、それを抑制しながら提供しているけれど、今後は減らすこともあるんだというふうに理解をさせていただきました。
次に、都営住宅の立地について伺いたいと思います。
もちろん、この都営住宅、都内全域にあるわけでありますけれど、都営住宅が多いところと少ないところ、それはばらばらであります。
都営住宅、都心の三区にもあります。都心の三区の、例えば最寄り駅から数分圏内の一等地にも約四千戸の都営住宅が存在します。
現在の都営住宅の最高使用料というのは港区北青山の住宅で、月額が実際九万九百円ということで伺っております。低所得者向けに提供されるというのが法の趣旨で、都営住宅、公営住宅の趣旨なんですが、その低所得者向けに提供される住宅が都心の一等地にあるために、このような九万九百円という額になってもしまうわけであります。
先ほどの九万九百円の部屋と同条件の、インターネットで検索しますと、地下鉄青山一丁目徒歩二分、八十三平米ほどのマンションの月額家賃というのは、市場相場では九十万円です。それと比べると驚くほど低額な家賃ではあるといえ、こうした都心の駅近の一等地に立地をすれば、低所得である入居者にとっても負担の大きい使用料を支払わなければならないということになってしまうわけであります。
このように考えると、このように高い使用料を設定しなくてはならない場所に都営住宅を整備するということが、そもそも法の趣旨に合致していないのではないか、こんなふうにも感じるわけであります。
そこで、都営住宅の立地についての考え方について伺います。
○妹尾建設推進担当部長 東京におきましては、戦後の深刻な住宅難や高度成長期の人口集中に対応するため、大量の公営住宅の建設が求められました。これらの需要に応えるため、都は都有地のほかにも、旧軍用地や国有地、民有地等を建設用地として取得し、都営住宅の建設を推進してまいりました。
平成十二年度以降は新規の建設を行わず、老朽化した都営住宅の適切な更新とバリアフリー化を図るため、それまでに建設した住宅の建てかえに取り組んでございます。
○両角委員 今ご説明をいただきましたが、公営住宅法というのが昭和二十六年ですか、できているわけです。戦後、日本は焼け野原になって、この東京も焼け野原になって、住宅をいかに確保するかというのが、本当に一番の重要な課題だったと思います。
今お話があったように、そういった戦後の深刻な住宅難、あいている用地に一生懸命公営住宅を建てて、あるいはもうちょっと行けば、今度は高度成長すれば、どんどんどんどん地方から東京に人が集まってきて、公営住宅も建てれば、多摩ニュータウン開発もするわ、あるいは住宅金融公庫をつくって低利で、そして安定的に持ち家を持ってもらうような政策を国として展開をしてきたということでありますが、そうした中で、要は東京都としても、都民の住宅確保のために一生懸命やられてきたんだと思います。
ですから、あいている用地に、需要がどんどんありますから都営住宅を建てて、低所得者の皆さんが入れるような場を確保するということに、多分、昭和の二十年代、三十年代というのは追われていたのではないかな、あるいは高度成長期もそういう状況にあったのではないかなと。
すなわち、計画論でどことどこに都営住宅をつくるのがいいよねというようなことではなくて、まさに住宅をしっかりつくっていくことが大変な時代がずっと続いてきたんだろうと、そんなふうに今のご説明は理解をいたしました。すなわち、やっぱり需要に後追いをして整備してきたという歴史的経緯が、これはあるんだということであります。
しかし、今、時代が変わって、住宅事情、社会経済状況も随分大きく変わってきたわけであります。高度成長からバブルがはじけて、今は家余り時代でもあるわけであります。
ですから、需要対応後追い型の歴史的な経緯を持った公営住宅の配置についても、非常にポテンシャルの高い土地、建てかえ等に当たって今後どういうふうに対応していくかというのは、真剣に考えていくべきときが来ているのではないかと、私はそんなふうに思うわけでございます。
そこで、社会経済情勢の変化に対応した都営住宅整備のあり方ということで伺いたいと思いますが、これ以上のストックをふやさないという新規建設抑制方針のもと、老朽化した都営住宅の建設、建てかえが今行われているわけでありますが、公営住宅法によれば、この建設事業というのは、もとの土地または隣接か近接する土地で行うということが原則ということであるようでありますが、これは例外を認めないという義務づけ規定なのかどうか、都の解釈を伺いたいと思います。
また、仮に建てかえが必要と判断をした場合でも、機械的にもとの土地に建設をするのではなくて、社会経済状況や当該土地のポテンシャル等を総合的に判断をして、もちろん従前居住者へのケアを十二分にした上で、柔軟に立地の選択をすべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○妹尾建設推進担当部長 公営住宅法で定める建てかえ場所の要件につきましては、ただいま委員からもご発言のあったとおり、もとの土地または隣接か近接する土地で行うというものでございますが、この要件によらない建てかえも可能ではございます。
都は、公営住宅法の要件によらない建てかえを行う場合でも、円滑な事業の推進のため、従前居住者の生活環境に著しい影響を及ぼさないよう、もとの土地または隣接か近接する土地に従前居住者分の住戸を確保しつつ事業を推進しているところでございます。
都営住宅の建てかえ等により創出される用地につきましては、地元区市町と連携し、公共公益施設の整備の促進や民間の活力も生かしながら、都の政策目的の実現や地域経済の活性化、地域特性に応じたまちづくりなどに活用してまいります。
○両角委員 ありがとうございます。ご説明いただきまして、これは法は例外もあるんだ、この要件によらない建てかえも可能ですよという、そういうご答弁でありました。
しかしながら、東京都としては、もとの土地または隣接か近接する土地に建てかえの用地を確保して、そこで事業をしているという、実際の実態のご説明もいただいたところであります。原則どおりということであります。もちろん原則は原則として尊重して、特に居住者の状況に配慮するということは、非常に重要なことだと思っております。
しかし、一方で、その土地の持っているポテンシャルとか立地というのも総合的に考えて、これからは柔軟にいろんな考えを検討して進めるべきであると、そんなふうなことを要望させていただきたいと思います。
続いて、先ほど来お話をさせていただいたとおり、また、今ご答弁あったとおり、公営住宅法が制定された当時と現在では、住宅をめぐる状況は大きく変わっているわけであります。
現在では民間の空き家が非常にふえている。委員会要求資料でも民間空き家の状況が出ていますが、右肩上がり、今は都内で民間空き家八十二万というふうにいわれているわけであります。
こうした中で、今後は、一定の質の建物を認証して家賃の低廉化を図るなど、低所得者の住宅確保に結びつける民間住宅の積極的な活用をすることで、都営住宅の機能補完を図っていくということが重要ではないかと思いますが、所見を伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 低額所得者などの住宅確保要配慮者の居住の安定確保には、公共住宅に加えまして、民間住宅を含めた重層的な住宅セーフティーネット機能が重要と考えてございます。
都は、既存民間住宅を活用したセーフティーネット住宅の登録を着実に進めるため、本年三月に供給促進計画を策定し、住宅の面積基準の緩和を図るとともに、区市町村の意向を踏まえながら、家賃低廉化補助等の予算措置を講じてございます。
また、本年第三回定例会におきまして、手数料条例の改正案をお認めいただきまして改正させていただきまして、セーフティーネット住宅の登録申請手数料を無料化するなど、登録戸数の拡大に努めているところでございます。
今後とも、不動産団体や居住支援法人等の協力を得ながら、住宅登録を促進し、住宅セーフティーネットにおける民間住宅の活用を進めてまいります。
○両角委員 民間住宅の活用を進めていくという前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。ただ、セーフティーネット住宅については始まったばかりということで、登録の件数もまだそう多くないという状況のようでございますが、大切なことは、この目的に対して手段は幾つかあるんだ、時代の要請に合った手段をとっていって、その結果として目的を達することも十分あり得るんだという柔軟な発想で、住宅政策、公営住宅政策にも取り組んでいただきたいということを、改めて要望させていただきたいと思います。
私の質問の最後でございますが、今いった民間の空き家を活用するにしても、その前提として、どういう空き家がどのぐらいあるのかということを把握しないわけにはいかないわけでございます。
そこで、住宅対策として空き家を活用するには、まずその実態把握が必要であり、都内の空き家実態調査を早急に実施すべきと思いますが、所見を伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している区市町村の主体的な取り組みが重要でございます。
そのため、都は、平成二十七年度から、区市町村が行う実態調査、計画作成及び空き家活用のための改修等に対しまして補助を実施してございます。都内六十二区市町村のうち、平成二十九年度末までに五十区市町村が実態調査を実施してございます。
引き続き、未実施の自治体や再度の実態調査を行う自治体に対しまして、調査の実施を働きかけますとともに、都の補助制度の活用等によりまして、空き家の利活用を進めるよう区市町村を支援し、取り組みを促進してまいります。
○中山委員 初めに、区画整理事業から質問を行ってまいります。
そこでまず、都市整備局から東北などの被災地に土地区画整理事業等に係る職員を何人派遣しているのか、また、職員が被災地にどのように貢献しているのか、お伺いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 都市整備局では、被災地における土地区画整理事業等の支援のため、現在、三つの県に三人の職員を派遣してございます。
このうち、東日本大震災で被害を受けた岩手県では、沿岸部の釜石市や陸前高田市等、地元自治体が行う復興区画整理事業十九地区につきまして、技術的な指導助言を行ってございます。
さらに、平成二十八年の熊本地震の被災地である熊本県では、家屋の倒壊などの被害を受けた益城町において、復興区画整理事業の立ち上げに従事し、事業経験の少ない県の職員を指導しながら、住民の合意形成を図ってございます。
このように、派遣された職員は、都の区画整理事業で培った技術やノウハウを十分発揮し、被災地の復興に貢献してございます。
○中山委員 東京都の職員が東北や熊本などの被災地において、これまでの技術やノウハウを活用して、被災地の復興に大きく貢献されていることがよくわかりました。
私自身、何度か東北の被災の現場を訪れて、都の職員の方々が活躍され、ご苦心されている姿を目の当たりにしてきました。都を代表して、復興へのご貢献に深く敬意を表したいというふうに思います。
東京でも震災が懸念されております。被災地の復興において土地区画整理事業の役割は大きいというふうに考えますけれども、所見をお伺いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 区画整理は、これまで東京におきまして、関東大震災からの復興や戦災復興で広く活用されるとともに、近年発生いたしました阪神・淡路大震災や東日本大震災からの復興におきましても、有効な事業として利用されるなど、都市の復興に大きな役割を果たしてまいりました。
このため、予想される首都直下地震等の復興まちづくりにおきましても、区画整理等の面整備事業の役割は大きいと認識しておりまして、被災後に立ち上がる東京都震災復興本部におきましても、都市整備局が震災復興に係る面整備事業を主体的に担うこととしております。
○中山委員 東京は日本の首都として、被災した場合も一刻も立ちどまることはできません。震災後も速やかに復興をなし遂げていかなければなりません。
六町地区など都施行の土地区画整理事業が終息していく中、今後、都はどのように土地区画整理事業に関する技術やノウハウを継承していくのか、その点をお伺いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 都は、足立区の花畑北部地区や六町地区など、これまでに実施してきました多くの事業の中で、区画整理に関する技術やノウハウなど円滑に事業を進める技術力を培ってまいりました。
また、被災地への職員派遣や、区市町等が行う区画整理事業への技術的指導助言を通しまして、技術力を磨いてまいりました。
こうした取り組みを継続するとともに、今後は、大規模な交通結節点の再編など、重要な都市基盤整備を伴う事業や街路事業と連携した沿道まちづくりなど、さまざまな事業におきまして、区画整理手法の積極的な活用を検討してまいります。
今後とも、区画整理に係る技術力を都民共有の知的財産として、あらゆる機会を捉えて向上させ、着実に継承することで、首都東京の都市づくりや災害への備え、都市復興に活用してまいります。
○中山委員 ぜひ今後も、区画整理の手法を活用されて、さまざまな都政の問題、課題の解決に役割を果たしていただきたいというふうに思います。同時に、技術継承を進めていただいて、大事に備えていただくことを要望いたします。
一方、私の地元足立区でも、六町地区で都施行の区画整理事業が佳境を迎えております。その中でも、六町駅と綾瀬川を挟んで対岸の加平地区とを結ぶ補助第二五八号線とその六町加平橋の供用開始は、環状七号線に平行した補助線として、地元住民や足立区当局が待ち望む事柄となっております。
一日も早い開通を望むものでありますが、都の見込みをお伺いいたします。
○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 補助第二五八号線、六町加平橋につきましては、橋梁部を足立区が整備することとなっております。既に歩行者と自転車の通行に供されておりまして、区は今年度、取りつけ部の工事に着手する予定でございます。
都は、橋梁工事の支障となる建物等の移転を区画整理事業により完了しておりまして、今後、橋梁に接続する平面道路を整備することになります。
補助第二五八号線の平成三十二年度の工事完了を目指し、引き続き区と連携し、取り組んでまいります。
○中山委員 現場は大変だと思いますけれども、ぜひ最後までよろしくお願いいたします。
次いで、まち並みの防災機能の強化について質問します。
平成二十三年の都条例に基づいて、緊急輸送道路の沿道建築物のうち、旧耐震建築物につきましては耐震診断が義務づけられており、既に平成三十年六月末現在で九七・四%が耐震診断を実施されています。
一方、特定緊急輸送道路の沿道建築物は、二〇一九年度末で九〇%、二〇二五年度末で一〇〇%の耐震化完了を目指していますが、現状の完了率は八四・三%にすぎません。さらに問題なのは、現段階の八四・三%には、もともと耐震化が不要な新耐震の建築物が含まれているという点にあります。旧耐震に限っていえば、耐震化の完了は四〇%にすぎません。
そこで、まず質問しますが、何%まで耐震化できれば、崩壊が発生しても何とか迂回できる、目的地に到達できる九〇%の完了率に到達するのか、はっきりとお答えをいただきたいというふうに思います。
○青木耐震化推進担当部長 新耐震基準の建築物を含めた耐震化率の目標九〇%を達成するためには、さらに約一千五十棟の旧耐震基準の建築物を耐震化する必要があります。
旧耐震基準の建築物約四千八百五十棟のうち、耐震性を満たす建築物は約千九百棟、四〇・〇%であります。これに耐震化をする必要がある約一千五十棟を加えた約二千九百五十棟、六一・九%、これが目標となります。
○中山委員 旧耐震建築物で現状約四〇%が耐震化済みのところ、全体で九〇%の耐震化完了に到達するためには、六一・九%の完了をさせることが必要であるとの答弁でございました。今後は、こういうポイントを押さえた、実態に合った数字というものが必要となってくると思います。
あと二〇%ほどの上乗せ、先ほどご答弁いただきましたけれども、棟数に置きかえると約千棟の上乗せが必要になると思われます。しかし、一口に千棟といっても、一つ一つの案件がそれぞれ困難を抱えた困難事例であることを考えますと、年度末の達成はかなり厳しい状況にあるのではないかと思います。
そこで、困難事例への対処は現状どういった段階にあるのか。指導や助言、命令や指示といった、一般的にはその違いが理解しにくい法律用語が絡んでくるわけでありますけれども、わかりやすくお示しいただきたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 現在、改修に至っていない建物の所有者に対し、個別訪問などを通じ、助成制度を紹介するなどの助言を行っています。
耐震化推進条例では、助言の次の段階として、耐震化すべきことなどを所有者に示し、取り組みに導く指導、さらに、特に必要と認めるときは、耐震改修等を実施するよう求める指示を行うことができるとしておりまして、さらに、正当な理由なく指示に従わないときは、その旨を建物名とともに公表するということができるとされています。
なお、耐震診断については条例で義務化していますことから、指導を行い、それにもかかわらず診断を実施していない建物の所有者に対し、期限を定めて診断を実施するよう指示を行ってきました。
さらに、診断結果の報告がない所有者に対し、都は耐震改修促進法に基づき報告を求める命令を行いまして、その旨を氏名とともに公表し、社会的責任を自覚するよう求めているところでございます。
○中山委員 ぜひそうした取り組みが実を結びますよう願っているところでございます。
そして、当面、今後効果を期待していきたいのは、店子、テナントさんへの直接的なアプローチであると思います。
営業利益を前提として維持管理されている建物であれば、先にテナント同士の間で合意が形成されて耐震化を求められたり、店子が共同歩調で耐震化を求めてくるということになれば、家主等を動かす効果が大きいと考えます。
テナントに着目した取り組みを強く推進すべきと考えますが、見解を求めます。
○青木耐震化推進担当部長 本年五月、学識経験者などから成る耐震化促進に向けた検討委員会から、耐震化推進条例に占有者の責務や所有者による占有者への協力依頼規定を位置づけることなどの施策の方向性が示されています。
この施策が実現しますと、所有者が協力を依頼する際に建物の耐震性能などを説明することから、入居するテナントなどが耐震化の必要性を十分に知ることとなりますので、ご指摘のようなテナント側から所有者に耐震化を促すといった効果も期待できるものと考えております。
現在、こうした取り組みの具体化に向けて検討を行っております。
○中山委員 今ご答弁いただいた取り組みを今後行っていただくという前提で、ただ、既に公表しても効果が上がらないという案件も出てくるものと思われます。現に都の職員さん等の訪問自体を断って、面会さえ困難な事例があるというふうに聞いております。
そうした没交渉状態の案件は、旧耐震、耐震化未了案件のうち何%ぐらい占めているのか、件数と割合を教えていただきたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 平成二十八年度に、耐震化されていない約二千五百棟について個別訪問を実施いたしました。連絡がとれた約一千六百九十棟のうち、約四百棟の建物で訪問を断られておりまして、その割合は約二四%になります。
○中山委員 これまで、都市整備局の耐震化の担当者の方はかなり努力をされてきているというふうに思います。正確には、義務化の対象は診断までで、耐震化工事ということにはなっていないわけですけれども、既に条例の上では、耐震改修の実施指示や立入検査といった項目もあって、実質義務化に近い状態を確保していただいた上での取り組みとなっています。
今後は、罰則に建物の使用禁止の裁判命令取得につながるような項目を設けるなどの改善をしてあげないと、私は、現場で目標の達成に取り組む職員がかわいそうな気がしてならないという思いがあります。そうした点についての局の見解をお伺いしたいと思います。
○青木耐震化推進担当部長 耐震化は、建築物に対する責任と権限のある所有者が努めるものでありまして、都はこれまで、費用助成などを通じて所有者の取り組みを促してきました。
今後は、こうした支援や助言等にもかかわらず耐震改修等を進めようとしない所有者に対しましては、指導や指示の規定を積極的に活用し、働きかけを強化することにより、耐震化を促進してまいります。
○中山委員 面談拒否といった事例が四百棟ぐらいあって、それが耐震化未了のうちの二四%を占めているという状況にあるという厳しい状況であることは、よく理解できました。
検討委員会で示された施策の方向性をしっかりと今後実行に移しながら、次の対策を練っていただきたいというふうに思います。
続いて、防災の取り組みで二つ目の視点として、液状化対策を取り上げます。
都議会公明党は、東日本大震災で市内の約八割が液状化した浦安市の視察などをもとに、東日本大震災後の質問で都民に対する正しい情報の発信を求め、都は積極的に求めに応じて、パンフレットやポータルサイト、液状化マップなどを製作し、対策の強化に努めています。
そこでまず、改めて都は液状化対策として都民に対しどのような情報提供を行っているのか、お伺いします。
○青柳市街地建築部長 液状化による建物被害に備えるためには、建築主や設計を行う建築士が、敷地の地盤状況についてあらかじめ把握しておくことが重要でございます。
都は、都内の土地の履歴図、液状化予測図、公共施設の地盤データ、対策工法等について、ポータルサイトなどで情報提供を行うとともに、都及び区市町村などが設置している相談窓口を活用いたしまして、対策の手引やリーフレットを配布しております。
○中山委員 こちらが今答弁ございました手引であって、こちらがリーフレットかと思います。液状化に関する碩学の最高峰にご協力いただいて編集されたもの、力作というふうに聞いております。リーフレットには事前事後の取り組みの概要が、手引には具体的な工法が、都民がとり得る選択肢として紹介されています。
液状化の発生を回避するための事前の策と発生してしまった後の対策、こういうことがあるわけですけれども、液状化は一たび発生すると、上下水道やガスなどのライフラインが寸断され、電柱も傾いて電気が通じなくなり、地域全体の活動が崩壊、停止してしまいます。したがって、できることなら液状化の発生を未然に防ぐ対策が効果を上げていくことが望ましいと思います。
とはいえ、建築技術の専門知識を持たない多くの都民にとっては、選択肢だけ示されても、判断のしようがない面もあります。
都は、我が党の提案に応え、液状化対策アドバイザー制度を設置していますが、どのような相談を実際に受けているのか、お伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 地震による液状化の発生の可能性や地盤状況の把握、対策工法の選定などにつきまして、都民が安心して相談することができるよう、平成二十五年六月に液状化アドバイザー制度を創設いたしました。
相談内容といたしましては、現在住んでいる建物への液状化による影響、購入予定の土地の液状化の可能性や対策などの問い合わせがございまして、建築士などの専門家が地盤情報などを活用して対応しております。
○中山委員 アドバイザーの一層の活躍に期待したいと思います。
相談のアフターフォローもよろしくお願いします。電話一本で結構ですので、親切味が全然変わってきますし、実際に工事に結びついたかどうかもわかりますので、よろしくお願いします。
先ほど申し上げましたように、私が視察した浦安市では、市として一歩踏み込んだ取り組みを想定して、事後の復旧に向けて対策を打ち出そうとしていました。しかし、私はこの質問を行うために、発生当時から対策に取り組んできた地元の我が党の同僚議員にその後の状況を教えていただきましたけれども、なかなか難しい課題もあるようであります。
都としては、浦安市などの教訓をよい材料に、液状化対策を進めていくべきと考えますが、都の現状の対策は事前対策で、全額自己負担で取り組む選択肢を示す、事後も含めてですけれども、そうしたものであります。
今後の液状化対策においては、事前対策を中心に可能な限り進めていくべきと考えますが、どう進展させていくのか、見解をお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 液状化に備えるためには、地域の実情を踏まえ、地盤情報のさらなる充実化を図っていく必要がございます。
そのため、既に公開しております公共施設の地盤データに加えまして、民間建築物の地盤データの公開に向けて、その方法、時期などについて、現在、関係部署との協議を行っているところでございます。
さらに、区市等とも連携いたしまして、建築士に対し、液状化判定における地盤調査方法や対策の実例に関する講習会を行うとともに、引き続き、よりわかりやすい情報発信に努めてまいります。
○中山委員 今ご答弁のありました地盤データの有用性というのは、私も大変大事なことだと思います。その公開を急いでいただきたいと願うものであります。問い合わせにもぜひ積極的に丁寧に対応していただきたいと思います。
アンケートなども活用していただいて、具体的な工法として手引などに紹介されているもの、これは今とり得る最高の選択肢だそうですけれども、これが具体的に進められていくためには何が課題なのか、何がネックなのか、そうした事柄もよく探っていただきたいというふうに思います。
以上、要望申し上げて次の質問に移ります。
防災に関連して、免震、制振のダンパーの偽装問題について質問いたします。
十月十六日、国土交通省より問題の状態についての発表がありまして、翌日付で都市整備局から第一報となる文書が発せられたところであります。
人々の生命、財産に危険が及ぶ偽装行為でありまして、信頼を根こそぎ奪う意図的な犯罪的行為ではないかと私は思っております。
震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれはないという第三者機関からの見解を国土交通省が発表しているところでありますが、地盤事情や構造設計上の条件は建物ごとに異なりますので、それによって倒壊の危険はないという評価が変わってくることはないのかとか、あるいは倒壊はしなくても機能損壊に至る危険性はないのかとか、あるいは具体的に、本来の状態に回復されるんだろうかとか、その場合の費用や時期はどうなるんだろうかと、当事者の方の不安の種は尽きることがないわけであります。
こうした点におきまして、都は現状をどのように認識し、今後どう対応していくのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
○青柳市街地建築部長 建築行政を所管する立場からお答えさせていただきます。
今回の免震、制振用オイルダンパーの検査データの書きかえなどをめぐる不正事案につきましては、建築物の安全・安心に対する都民の信頼を大きく損ねるものでありまして、あってはならないことであると考えております。
ご指摘の国の公表資料によりますと、大臣認定不適合品が設置されました建築物に関するサンプル的な検証の結果、震度六強から七程度の地震に対しても倒壊するおそれはないともいわれておりますが、事実確認をした上で、必要な対応を迅速に行うべきと認識しております。
このため、都は、既にメーカーに対しまして速やかな報告を求めておりまして、今後、国や都内特定行政庁と連携して、建築基準法上の適合性の有無や是正措置の状況等を確認するとともに、都民の不安を払拭できるよう、所有者や関係者に対する適時丁寧な情報提供をメーカーに求めていく考えでございます。
なお、国におきましては、今回の問題を受けまして、専門的見地から再発防止策等について提言することを目的に、免震材料及び制振部材に関する外部有識者委員会が設置されておりまして、都は、こうした国の動向を踏まえて、必要に応じて適切に対応してまいります。
○中山委員 ぜひ今のご答弁にありました取り組みを進めていただいて、原因究明や、現状の被害や影響の正確な把握、今後の是正策や再発防止策の明確化に向けまして、国や都内特定行政庁とも連携していただいて、速やかに対処をお願いしたいというふうに思います。
続きまして、東京都建築安全条例の改正後の取り組みについて質問します。
近年、狭隘な通路の先の旗ざお地などの空き地に大規模な長屋などが建設されることが起きておりまして、消防上の懸念や災害時の避難などに不安の声が高まっております。
私は、本年三月二十六日の予算特別委員会でこの問題を取り上げ、前の局長から、建築安全条例の改正について見直しに向けて取り組んでまいりますとの答弁をいただいたところでありました。
都市整備局は、その後、真摯に対応してくださいまして、さきの第三回定例会におきまして、大規模長屋に係る東京都建築安全条例の改正が行われたところであります。その際、佐藤局長からは、我が党の代表質問に対し、ホームページ等により都民へ周知するなどの答弁を頂戴しておりました。
そこで、都条例の改正後の都市整備局の今後の具体的な取り組みについてお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 都は、大規模長屋に係る東京都建築安全条例の改正後、速やかに改正内容をホームページに公表いたしまして、都民や業界団体へ広く周知を図っております。
また、今月上旬に予定されております関係団体が主催する建築士向けの研修会を活用いたしまして、条例改正の内容について丁寧に説明いたします。
さらに、条例施行日である平成三十一年四月一日に先立って、条例改正の運用についてわかりやすく解説した技術的助言を発出し、区市等の取り組みを支援してまいります。
これらの取り組みを通じまして、都民の安心と安全の確保を図ってまいります。
○中山委員 これ以上、不適切な建築物がふえないように、逆にいえば、ルールにのっとった開発が自信を持って堂々と行われていくように、そういった環境を導いていただきたいというふうに思います。
続きまして、さまざまな人々に優しいまち並み、住まいの形成に向けた質問を何項目かに分けて行ってまいります。
まず、宅配ボックスの設置促進に向けた取り組みでございます。
宅配ボックスの設置促進は、働き方改革という視点から、宅配業者にとってメリットがあるだけでなく、ひとり住まいや共働きの家庭がふえている中で、仕事と生活の両立を目指すご苦労をされている全ての都民にとって有益であると考えます。
国は、物流事業者の労働生産性を二〇二〇年までに二割アップさせることを目指し、宅配ボックスの設置促進をそのための施策の柱の一つに据えております。
また、再配達の減少は、二酸化炭素の排出量の抑制につながる効果も期待されておりまして、現に、私もお会いしましたけれども、ある宅配ボックスの大手メーカーさんでは、昨年、環境大臣表彰である環境保全功労者表彰を受賞されています。
そのような背景もありまして、国土交通省の住宅局の市街地建築課は、昨年十一月に、宅配ボックスの設置場所、これはまず共同住宅ですけれども、共用廊下の一部に宅配ボックスを置いても、そこは容積率のカウントの対象外とするという通知を発表しました。さらに、本年九月七日には、共同住宅以外の建築用途や設置場所を問わず、宅配ボックスの設置部分を一定の範囲内で容積率規制の対象外とするということを発表し、政令改正を行っております。これは画期的な内容の改正であります。
都は、国土交通省が政令改正などに至った背景をどのように認識し、それを受け、具体的に今後どのような対応を行っていくのか、お伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 今般、商品の宅配ニーズの増加により普及が進んでいる宅配ボックスを建築物に設置しやすくするため、このたび建築基準法の政令改正が行われたものでありまして、これにより、再配達の減少、働き方改革の実現、物流生産性革命の推進にも寄与するものと認識しております。
都は、今般の政令改正を受けまして、宅配ボックスの設置に係る建築基準法上の取り扱いについて、都市整備局ホームページに国のリンク先を掲載するなど、広く都民や事業者に周知をしてまいります。
また、本年十一月上旬に予定されております関係団体が主催する建築士向けの研修会を活用いたしまして、政令改正の内容について丁寧に説明し、規制緩和の積極的な活用を促してまいります。
今後、宅配ボックスの設置状況を踏まえまして、設置促進に向けた取り組みについても検討してまいります。
○中山委員 この点も大事な答弁をいただいたというふうに思っております。建築士さんに周知を図るということは、とても効果のある取り組みではないかと思います。
宅配ボックスの設置自体は、いかにそれが社会的に有益であっても、基本的には民間部門が動かなければ、どうにも進めようがない問題ではあります。
その意味で、国が今後も設置の促進を図る立場に立っていることを踏まえまして、東京都及び都市整備局におかれましては、他局、具体的には環境局や産業労働局とか交通局とかになるのかもしれませんけれども、そういったところと連携して、都内の多くの地域で、荷物を運ぶ側も受け取る側も、再配達の不便から解放される利便性を享受できるよう、さらなる検討を進めていただきたいというふうに思います。
続きまして、住宅確保要配慮者、自力では住まいの確保が困難な都民の方々への対策について質問いたします。
都議会公明党は、この問題について、大変大事な取り組みであるということから、賛同する意味でさまざまな提案を重ねてまいりました。
その上で、さきの第三回定例会の代表質問では、登録申請手数料の無料化を図る条例改正を評価させていただいた上で、制度普及に欠かせない居住支援法人を利用する際の費用負担の緩和や、不動産事業者へのインセンティブの付与を提案したところであります。
また、昨年末には、平成三十年度予算編成に向けた我が党としての予算要望を直接小池知事にお渡しした際に、住宅セーフティーネット法の直接の対象とはならない公社住宅においても、法の趣旨を踏まえ、同様の対策を講ずるよう求めたところであります。そうしたところ、東京都住宅供給公社は、公社住宅として、住宅に困窮するひとり親世帯に対する支援策の取り組みを公表いたしました。
公社住宅におけるひとり親世帯向けの入居支援は、どのような目的で実施することに至ったのか、お伺いをいたします。
○佐々木住宅政策推進部長 住宅供給公社の住宅では、入居者の高齢化が進んでいることから、子育て世代の入居促進を進めておりますが、その一環といたしまして、お話のように、ひとり親世帯向けの入居支援策を実施いたします。
これは、子育て世帯の中でも比較的低所得でありますひとり親世帯の入居審査時の月収基準に、社会保障給付金の一部であります児童扶養手当及び児童育成手当を所得として算入することを認めるものでございます。これによりまして、対象者の方々は、公社住宅の中からより多くの住宅を選択できるようになってまいります。
あわせまして、空き住戸を活用しまして、子供が満十八歳になるまで家賃を減額する、こどもすくすく割もあわせて実施をいたします。
公社では、こうした取り組みによりまして、住宅確保要配慮者でありますひとり親世帯の住まいの確保を支援いたしますとともに、公社住宅における多世代共生を進めていくこととしております。
○中山委員 公社住宅に通じて、都がひとり親世帯の支援を開始した点は高く評価したいと思います。
ただ、住宅確保要配慮者はひとり親世帯だけではありませんので、そのほかの住宅確保要配慮者に対しても、今後、支援の門戸を広げていただくことを検討願いたいというふうに思います。
補助に取り組む自治体をふやしていくためには、セーフティーネット住宅に関する認識や期待感といったものを、自治体が想定している枠を超えて急ピッチに都民の中に広めていくことが一番よい方法であると私は思っております。
その意味で、住宅確保要配慮者の当事者にかかわっている居住支援法人、そして、賃貸住宅の家主の方々に深くかかわっている不動産事業者の方々の活動を活発化させていくことが、結局は、社会的に自治体の決断を促す機運を高めるということでの近道であるというふうに私は訴えておきたいと思います。
ぜひ我が党の提案を認めていただいて、ご検討をお願いしたいと思います。
続きまして、サービスつき高齢者住宅についてお伺いをさせていただきます。
都は、二〇二五年までに二万八千戸のサービスつき高齢者向け住宅等整備を目標に、平成二十九年度末で約一万九千七百戸まで整備を進めており、現在のペースで整備が進めば十分に目標到達は可能であると、所管の方からお伺いしているところであります。
そこでまず、二万八千戸という目標設定の根拠についてお伺いしたいと思います。
また、都は、サ高住の整備に対し、国補助に加えて都の補助を実施していますが、既に整備済みのサ高住の約三分の一が都の補助事業を活用しているとの説明でございました。
現在都が行っているこの補助事業の概要と、それによって整備が推進された戸数の内訳をお伺いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 サービスつき高齢者向け住宅等の供給目標は、国が平成二十三年三月に作成した住生活基本計画などを参考に、二〇二五年の都内の高齢者の人口予測から推計して必要戸数を算出し、二万八千戸と設定しております。
都は、国が行っている整備費補助に加えまして、東京都サービス付き高齢者向け住宅整備事業により、地域住民へ貢献できるよう、地域密着型サービス事業所との連携を行う事業者に対し直接補助を行っております。
また、知事の認定を受けた供給計画に基づき住宅を整備する事業者に整備費及び家賃減額費用等を補助する区市町村に対し、補助を行っております。
平成二十九年度末時点のサービスつき高齢者向け住宅の登録実績は一万三千三百八十三戸であり、そのうち、この補助事業による実績は、交付決定済みのものも含め、事業者への直接補助が四千四百八十二戸、区市町村への補助が百五戸となってございます。
○中山委員 今後は、サービスつき高齢者住宅の整備状況が、都内自治体ごとに偏りはないか、また、自治体が望んでいる数値との乖離はないかといった点にまで、細かな目配りをお願いしたいと思います。そうした分析を行うことによって、二万八千戸という目標達成の上方修正の必要が生じてきた場合には、積極的にご対応をお願いしたいというふうに思います。
先ごろ都は、一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業の今年度第Ⅲ期の事業者を決定したとの発表をされました。本事業では、これまでの決定も含めますと七事業者が決定されています。この事業によるサ高住の整備数は六百六十九戸と伺っております。
そもそも一般住宅を併設したサ高住の整備事業を、税金を投入して進めていく意義や目的は何か、また、第Ⅲ期の事業者はどんな点が評価されて選定されたのか、見解をお伺いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、多様なニーズを持つ高齢者が、多世代との触れ合いや地域とのつながりを通じて、安心して生きがいを持って住み続けられる住宅の整備の促進を図るため、一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業により補助を行っております。
先月決定いたしました事業者につきましては、多目的ホール、大浴場、屋上無農薬有機菜園など、多世代の居住者や地域住民との交流に資する施設の整備や、災害時に地域住民も使えるかまどベンチの設置等、周辺の地域に対する公共貢献を有する取り組みなど、さまざまな提案を評価して選定してございます。
○中山委員 一方、本事業では、二〇一四年度から三カ年間、モデル事業が実践され、今年度本格実施に至った。本格実施というのは、モデル事業ではなくて、毎年予算当局との折衝は必要だけれども、継続的に予算を確保していくということだと思いますけれども、本格実施に至ったわけでありますが、その間の経緯をお伺いしたいというふうに思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 平成二十六年度に開始されたモデル事業では、六事業者からさまざまな提案がなされました。
このうち、既に開設されている三住宅におきましては、事業者や入居者に聞き取りを行ったところ、まち開きイベントやレストランにおける高齢者や子供を対象とした読み聞かせイベント、防災訓練等での炊き出しなど、さまざまな交流の機会が持たれ、入居者からは、若い人たちとの触れ合いで元気が出る、多世代との交流は貴重であるなどの声がございました。
こうしたことが、入居者である高齢者の生きがいや安心感のみならず、周辺の地域住民との交流にも寄与することから、今年度から本格実施することといたしました。
○中山委員 これまでの選定内容を見ますと、併設された施設の中身は、介護施設や医療施設あるいは地域交流の空間、そして保育所などがございます。
保育施設は都内全体で不足しておりまして、ある程度理解できるわけでありますけれども、介護施設や病院等は、数自体は都内はむしろ、飽和感とはいいませんけれども、豊穣感があるようでございます。問題は、医師だとか看護師とか、そうした方がきちっといるかどうかとか、あるいは、そこで提供されているサービスの質、そういったことが大事だと思います。
都は、補助事業を通じて、都内全体で不足している、どういったサービスの拡充を狙っているのか、この点は非常に大切でして、不断の見直しを求めておくものであります。
私は、そうした都内全体でまだまだ不足しているサービスの中身として、高齢者の住まいの安心、医療費の増大化傾向に歯どめをかけるみとりの推進を提案しておきたいと思います。
特に、そうした加算などによって導かれる、いろんな加算があるわけですけれども、都民にとって有益な事業者独自の取り組みやサービスの中に、現状、みとりの推進は含められているのか、お伺いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 サービス付き高齢者向け住宅整備事業には、みとりに対する加算メニューはございませんが、みとりに対する補助制度といたしまして、福祉保健局によるみとり期まで対応する小規模な地域の住まい支援事業があり、サービスつき高齢者向け住宅も一定の要件のもと補助対象となっております。
なお、サービスつき高齢者向け住宅におけるみとりの対応につきましては、平成二十九年度に実施した既に開設している二百六十六住宅を対象とした実態調査におきまして、約三分の二の住宅がみとりに関する指針やマニュアル等を設けて対応しており、また、これらのうち約七割でみとりの実績があるとの回答がございました。
○中山委員 みとりの問題は、やはりその施設として恒常的にみとりの実践を進めているのかどうかという点だと思います。
特別養護老人ホーム等に我が党の議員がいろいろお邪魔してお伺いした感触としては、特別養護老人ホームは体制加算、配置医師という制度を持っているわけですけれども、それでも実際には入居者のみとりというのは一割に満たない、そういう現状があります。
ところが、名前を申し上げると恐縮なわけでいいませんけれども、あるサ高住の推進母体においては、入居者の方の七割ぐらいがみとりをされていると。これは大変ご苦労があったようですけれども、入居者のご家族等に対する理解促進に努めて、やはり自己の尊厳というものを持ちながら、家族との交流をしながらお亡くなりになっていける、そういう空間というものを整備されて、一つの特色とされているようであります。
そういう面で、やったことがあるということと、実際にそこを目指して取り組みに力を置いてやっているということは、ちょっと違うということをご認識いただきたいというふうに思います。
都のサ高住整備事業におきましては、補助金を受けるまでの申請時だけでなく、受けた後の十年間においても、家賃設定額の妥当性の担保に関する検査などが義務づけられています。そういった経理的な妥当性などとともに、サービスの質を、補助を行ったサ高住に対して確認していくことも重要であります。
その点に関しては、何より利用者の声に耳を傾けるべきであります。利用者の声を参考に、本事業の改善に生かしていくことも可能になってまいります。
そこでまず、現状、利用者アンケートのようなものは実施しているのか、また、検討すべきと考えますが、見解を求めます。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 サービスつき高齢者向け住宅におきましては、緊急時対応、安否確認、生活相談などの生活支援サービスの質の確保が重要であり、都は独自に高齢者向けの住宅における生活支援サービス提供のあり方指針を定め、その遵守をサービスつき高齢者向け住宅の登録条件にするなど、事業者を指導してございます。
また、入居者からの苦情や相談があった場合には、その内容を十分に確認し、必要に応じ、事業者への聞き取りや現地確認を行い、入居者等の声が運営の改善につながるよう指導しております。
加えて、定期的な立入検査の際に、住宅の状況について確認するとともに、関係団体が実施する入居者アンケートを活用するなど、入居者の声の把握に努め、運営の改善につなげてまいります。
○中山委員 アンケートの中身のブラッシュアップにつきましては、福祉保健局との連携も必要だと思いますので、都市整備局としては、ご苦労もあるかもしれませんが、ぜひ実施を目指して頑張っていただきたいというふうに思います。
続きまして、地球に優しい、住む人に優しい環境に貢献する建築物、とりわけ民間住宅における省エネ化について質問いたします。
都行政における省エネの取り組みの重点は、今、企業向けよりも家庭部門に移ってきています。都内のエネルギー消費量の約三割から四割を占める家庭部門が、企業部門に比べ一向に際立った進展を見せていないからであります。
一方、環境局では昨年度から、既存住宅に高断熱窓を設置した都民などにその費用の一部を助成する事業を開始しております。
同じ建築物でも、オフィスビル等は企業の省エネ対策として盛んに先進技術が導入され始めています。コンクリートやアスファルトなどに昼間の間に熱が蓄積されれば、夜間、日が沈んだ後も構造部材から蓄積された熱が放出されて、外気温が容易に下がらない要因になっています。
家庭部門においても、その進捗を図るために、新築住宅を初め既存住宅においても、遮熱塗装などの普及を含め熱対策を進め、空調機等に要する電気量の低減を図るべきであります。
この点、都市整備局はどう取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 環境に配慮した住まいの実現に向け、住宅における省エネルギー化、長寿命化などの取り組みを進めていくことが必要であると認識してございます。
これまで都は、すぐれた省エネ性能も備えた長期優良住宅の認定取得促進に向け、税制面のメリットなどを掲載したパンフレットやホームページを用いて、消費者への普及を図ってまいりました。
また、既存住宅につきましては、高反射率塗料の活用など、省エネリフォーム事例をまとめたガイドブックを作成し、都民向けのセミナーやイベント等で配布し、PRに努めてまいりました。
本年三月には、事業者が省エネ性能にすぐれた住宅の建設を消費者へ推奨する取り組みなどを記載しました既存住宅の流通促進に向けた指針を策定し、不動産、建設、建築士事務所などの事業者へ各団体のホームページに掲載を依頼するとともに、説明会などを通じて周知を図っております。
今後とも、広く都民や事業者に対して積極的に情報発信し、環境に配慮した住宅の普及に向け、取り組んでまいります。
○中山委員 今後とも広く推進をお願いしたいと思います。
私はかつて、環境局に対して環境建築フォーラムという取り組みを提案させていただいて、毎年、議会棟庁舎の一階ホールで開催されているところであります。都市整備局としても関心があっていただきたい分野であると思いますので、この点は改めて機会を設けて質問させていただきたいと思います。
都が建設し、管理責任を有する都営住宅は、環境配慮という点でも、投入経費に見合う効果を得られるという点で、リーズナブルな実践を模範として行っていくべきと考えます。
その点、都営住宅では、特に最上階などを中心に、屋上の建築部材や壁などに日中蓄積された熱によって、夜間も室温が下がらないなどの苦情や相談が、私のもとにも数多く寄せられております。
都は、平成二十年にも一つの取り組みを実施していただいて、その後、二十六年、二十八年と年度を重ねるごとに、そうした対策を強化していただいて、二十八年度は、改質アスファルト防水断熱工法にプラスして、高反射率トップコートの仕様での大規模改修の方針を決定していただいております。
こうした都営住宅経営部の取り組みを評価するものでありますが、今後はより本格的に、都営住宅などを舞台に、家庭部門の省エネ化に通じる対策の強化を図るべきと考えます。見解を求めます。
○村居営繕担当部長 都営住宅におきましても環境への配慮は重要であり、老朽化したストックの建てかえにより、建物の屋根や壁、床の高断熱化を図ることで、省エネルギー化を進めております。
また、既存住宅につきましても、屋上の断熱工法や高反射塗料の耐久性、効果等について検証を行いまして、より省エネ効果のある仕様への改善を図ってきております。
今後も引き続き、技術開発の動向を踏まえながら、さらなる省エネルギー化に取り組んでまいります。
○中山委員 続きまして、高齢者や障害者に優しい住宅の推進について質問をさせていただきます。
このたび都市整備局は、去る十月十九日付の文書で、同日から十一月十九日までの一カ月間、建築物バリアフリー条例における宿泊施設の規定整備の考え方についての意見募集を行うことを公表されました。
段差の解消や出入り口の幅などの最低限の基準を設けるということでありまして、車椅子利用者の方も含めて、室内の移動に要する動線部分の幅の確保にもつながるという点で、評価したいと思っております。
二〇二〇年東京大会に向けた外国人旅行客の増加も含め、観光ニーズの急増に応じた民泊の増加要請もあり、都が客室としての住まい環境の整備へ乗り出すことは大いに賛成であります。
そこでまず、今後、パブリックコメント後に、都はどのようなスケジューリングでこの問題への対処を進めていくのか、見解を求めます。
○青柳市街地建築部長 建築物バリアフリー条例における宿泊施設の規定整備の考え方につきまして、現在、十一月十九日までの期間でパブリックコメントを行っているところでございます。
いただいたご意見を踏まえまして、条例の改正案を取りまとめ、平成三十一年第一回都議会定例会に提案を予定しておりまして、可決いただいた場合には、平成三十一年九月の施行を考えております。
○中山委員 来年の一定で条例改正が提案され、九月の施行をお考えということとお伺いいたしました。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
高齢者への配慮、障害者への配慮、その最新の動向を踏まえて、あえて提案を絞って行わせていただきたいと思いますけれども、決して宿泊施設という分野に限定されるものとは私は考えておりません。住まい環境全体に対して、当然そうした取り組みは普及されていくべきというふうに考えております。公社住宅や都営住宅というものを通じて、民間住宅の質の底上げを進めてもらいたいというふうに思っております。
まず申し上げたいのは、転んでも骨折しない畳床の問題であります。
これは、介護保険の中でフローリングが前面に打ち出されまして、段差解消が進められました。大変すばらしいことなんですけれども、私も区役所で介護保険の仕事をしておりましたので、また母親も、室内で転んで骨折したということが原因となって、最後は亡くなりましたが、転んでしまったときに床がかたいと骨折に至ります。それが原因で大腿骨の手術を行って、寝たきりになるとか、亡くなる方が非常に多い。
畳業界でこれを考えまして、JIS規格もとって、転んでも骨折しない、衝撃を緩和する緩衝型の畳床というのを開発しました。こうした事柄というものも新たな知見としてはございます。
平成二十九年七月には介護保険のテキストが改正されて、これも介護保険の住宅改修の給付対象に認められました。床材からそうした衝撃緩和型の畳に変更することも、衝撃緩衝型じゃない畳から緩衝型の畳に変更することも、介護保険の住宅改修の対象となっております。
また、福祉便座というものがあります。これは、座っているお尻の部分が非常に幅広くて、前の開口部のところが非常に広がっている、そういうものであります。
これはどういうものかというと、オストメイトの方々がパウチを身につけていらっしゃいますけれども、誰でもトイレ等で洗浄するときに、その洗浄台の高さというのが平均的な仕様になっていますから、人の腰の高さは差がありますので非常に苦労されています。腰かけて、前が広いところでパウチから排せつすれば、汚れずに、腰を痛めることもなくできる。
また、女性の方が病院にかかったときの採尿などにも便利ですし、また、介護する側の方が障害者や高齢者の方のお世話をする際にも、洗浄する際にも非常に使いやすいということになっております。
こうした事柄も、バリアフリーの団体の方から東京都にトイレの便座の寄附がございまして、先日、東京都財務局の方で本庁舎の方に設置するということを決定してくださったようであります。
こうした畳床、今申し上げたのは畳床とかの例であったり、便座等の例でありますけれども、こうした取り組みを都は率先して、いろいろな形で取り組んでいくべきというふうに思っております。
そこでまず、この点、公社住宅では、衝撃緩和型の畳床や福祉便座などの新たな見地から開始された、また確立された、バリアフリーのための最新技術について、それらへの認識を伺うとともに、今後、取り組みの方向性としてどう対応していくのか、お伺いいたします。
○佐々木住宅政策推進部長 公社住宅においても、高齢者や障害者に配慮した住まいづくりは重要でございます。
公社では、公社住宅の建てかえを通じ、住戸内での手すりの設置や段差の解消、車椅子が通行可能な廊下幅の確保とともに、外構部も含めましたバリアフリー化を推進してまいりました。
また、既存の公社住宅におきましても、手すりの設置や浴室扉の改修などの住戸内の設備改善工事のほか、敷地内通路へのスロープ設置や段差の解消などに取り組んでまいりました。
お話の衝撃緩和型の畳床、畳材や福祉便座のように、居室におけるさまざまなニーズに対応した設備が開発されていることは認識をしてございます。
今後とも、公社が高齢者や障害者などに優しい住宅づくりを進めるため、居住者ニーズの把握に努め、区や市の施策とも連携しながら、着実にバリアフリー化の取り組みを促してまいります。
○中山委員 ぜひ、畳やトイレに限らずですけれども、バリアフリーの進展を幅広く都として実践されますよう、よろしくお願いいたします。
続きまして、都営住宅の設備改善、これについて何点か質疑をさせていただきたいと思います。
まず取り上げますのは防犯カメラであります。
さまざまな観点から、今、都内の体感治安の向上というものが求められておりまして、都庁全体として、都市整備局であれば交通網整備、市街地整備、建築規制、いろんなところを通じて、体感治安の向上に役立つ取り組みを心がけていくべきと考えます。中でも、直接都の責任が生じる都営住宅におきましては、なおさら模範となる取り組みが求められています。
その点、都市整備局は、都議会公明党の要望や質問に応え、平成十九年に新築エレベーターでの防犯カメラの設置を標準仕様化され、平成二十年には、既存住棟でも同様の取り組みを行うに至ったという点を高く評価したいと思います。
そこでまず、既存住棟のエレベーターで防犯カメラの設置が未整備のエレベーターがまだあるのかどうか、この点、まず確認させていただきたいと思います。
○村居営繕担当部長 お話のとおり、エレベーター内の防犯カメラにつきましては、平成十九年度から建てかえ住棟に、先ほどお話ありました二十年度からは既存住宅に設置しておりまして、現在、全てのエレベーター内に設置されております。
○中山委員 私は、真顔で都営住宅の防犯カメラはダミーだといわれた方がおられまして、資料を取り寄せて説明して、喜んでいただいたんですけれども、ご答弁を聞いて安心いたしました。
ただ、自治会からは、エレベーターだけじゃなくて、いろんなところに暗がりがあって非常に危険がある、そういう声を頂戴しております。
区市の補助スキームもあるんですが、主にカメラの映像が公道、区道とか市道とか、そういったところを映していないと補助対象にならないので、映像の範囲が敷地内だけだと、それは大家さんの側でやってくださいという話になります。都営住宅の大家さんは当然、東京都ということになります。
そうした面で、これから団地自治会や住民の総意で、エレベーター以外に、都営住宅の団地内の敷地内に防犯カメラの設置を望む場合には、負担の公平性に配慮しながらも、これを実現に結びつけるための工夫を都として検討すべきと考えますが、体感治安に向けた考えをお伺いいたします。
○村居営繕担当部長 都営住宅の敷地内における安全確保につきましては、まず、建設時の出入り口と駐輪場などの整備に当たりまして、防犯対策として見通しを確保し、加えまして、その後、樹木の成長などによる見通しの低下に対しましても、照明の増設などで対応してございます。
また、自治会から、エレベーター以外の場所への防犯カメラの自主的な設置要望があった場合には、プライバシーの保護などを条件に設置を承認しております。
なお、防犯カメラをエレベーター以外の場所に幅広く設置する場合は、プライバシー保護や居住者の合意形成に加えまして、録画装置の設置場所の確保や屋外の配線方法といった技術的課題、経費負担など、検討すべき課題がございます。
引き続き、居住者の安全確保のための対応に取り組んでまいります。
○中山委員 続きまして、駐輪場整備でございまして、基本的には高齢化が進んで、あるいは単身世帯になっていくということで、数多くの駐輪場は要らないという団地も多いわけですけれど、中には多子世帯の方が多くいらっしゃる団地もあって、現状の駐輪場の台数規制というものでは足りないというお声も頂戴しています。
子育て支援ということも含めて、多子世帯への対応というものをお考えいただきたいというふうに思うんですけれども、この点のご見解をお願いいたします。
○村居営繕担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、入居者の自転車保有台数を把握した上で、団地の戸数に一定の割合を乗じて得た数値を限度に設置台数を定めて、自転車置き場を整備しております。
一方、既存住宅の中には、居住者の世帯構成が建設当初と変わり、自転車の保有台数も変わっている場合が想定されます。
団地自治会からの要望があった場合につきましては、適切な対応を図ってまいります。
○中山委員 続いて、エレベーターのストレッチャー対応についてお伺いします。
これは、ある年次以降の都営住宅のエレベーターは、トランクルームがあって対応できていますけれども、それより前の都営住宅においてはそれがないために、特に高層階の団地などでは、救急車が来た場合も、救急隊員の方も、患者の方も寄り添う家族の方も大変苦労されています。そうした際にどう対応しているのかということが一つ。
それから、あわせてお伺いしますけれども、そうした対応の仕方というのは、救急隊員の方はわかっているんだけれども、一般の住民の方は知りません。そういう面で、事前にお知らせしておかないと苦情の原因になったりしますので、そうした事柄についてもあわせてお答えいただきたいというふうに思います。
○村居営繕担当部長 都営住宅におきましては、東京消防庁の要請を受けまして、昭和五十六年度以降に建てられた住棟では、各住棟一基のエレベーターはトランクつきのストレッチャー対応となっております。
また、昭和五十五年度以前に建設された住棟で、当初からエレベーターが設置されているもの及び建設後四人乗りエレベーターを追加設置した階段室型住棟の計約四百棟につきましては、構造上設置が困難なため、ストレッチャー対応とはなっておりません。
なお、ストレッチャー対応となっていないエレベーターが設置されている住棟におきましては、座った状態で搬送できるサブストレッチャーや布担架などを利用して、傷病者を搬送していると聞いております。
先ほどお話あったように、サブストレッチャーや布担架というのは、なかなか一般の方々はご存じでないと思いますので、今後は、団地で行われます自衛消防訓練時に、防火管理者であります東京都住宅供給公社や地元消防署と連携しまして、入居者への搬送方法の説明などに努めてまいります。
○中山委員 設備改善に関してもう一点、浴槽と給湯設備でございます。
これは、古くから入居されている方々は、自分でそれらを買って設置していました。ある年次以降の入居者の方々は、入居の際に全て、給湯設備が新しいものを都側で買って設置されています。
古くから入っている方々は、設備が故障したり老朽化した場合に、もともと自分が買ったものだから、その買いかえを自分でやりなさいといわれます。古くから入っている方々は当然、大抵は高齢化していて年金生活とか、非常に都営住宅の中でも生活が大変な方々が多い。そうした方々に対しては自分で買いなさいといいながら、隣の、例えば空き家があった場合には、そこには最初から給湯設備が設置されて入ってくる。どうして、不公平だと、こういう声がある。
公社住宅では、既にそのことに対応していただいておりますけれども、この点について東京都としてどう思われているのか、お伺いいたします。
○村居営繕担当部長 平成二十九年度末時点で、都営住宅に都が浴槽、風呂釜などを設置した住戸数は約十八万三千戸で、設置していない住戸数は約六万八千戸となっております。
昭和四十年代までに建設した住棟の建てかえを行う際に、バリアフリー化されたまたぎの低い浴槽の設置や、浴室、洗面、台所の三点への給湯が行える設備を整備しております。
また、お話のとおり、空き家となった住戸につきましても、年間平均して二千二百戸程度設置しております。
今後も、浴槽等の設置を推進してまいります。
○中山委員 今はそういうご答弁しかできないわけでありますけれども、私はこの点については、恒常的ではなくて短期集中であってもいいから、一般会計の投入をしてでも問題解決を図らないといけないというふうに思っております。腹を決めて私どもも臨んでまいりますので、都市整備局としてもそのおつもりでいていただきたいというふうに思います。
最後になりますが、局長にお伺いしたいと思います。
きょう、いろんな視点から伺ってまいりましたが、その中心的な視点は人に優しいという点であります。都市整備局本来は、法に基づく行政、規制官庁でありますから、いわゆる情実とか利益誘導などに流されては絶対いけないし、そういう誤解があってもいけないわけでありますけれども、公平といっても、それは血が通っていないという意味ではありません。
単に法や条例を無機質に適用している、運用しているということではなくて、超高齢化をどうするか、少子化をどうするか、都民の健康寿命をどう延ばしていくか、そうした視点から、都市整備局内のさまざまな施策を動員して、その広範な都政課題に対処していくべきと思います。
具体的には、直接的にはハード面の政策を担われているわけでありますけれども、目線の先としては、ソフト面でのいろいろな転換というものも視野に入れて、それにつながるハード対策というものを目指していくべきと思います。
そのためには、都市整備局で行うお仕事が、机の上だけの行政だけに通用する論理の中で進められていてはなりません。民間の取り組みの現場から発せられる声に耳を傾けて、民間と協調しながら問題の解決を図るべきであります。
そこで、本日の議論を聞いていただいての、これからの都市整備局の運営に寄せられる佐藤局長の決意をお伺いしたいと思います。
○佐藤都市整備局長 ただいま、さまざまな観点からご議論いただきました。
東京は、首都として政治、経済、文化など多様な機能が集積し、日本の成長のエンジンとしての役割を果たしておりまして、今後も世界の中で輝き続ける東京のまちづくりを進める必要がございます。
また同時に、そこに暮らす一千三百万都民が安全に快適に生活していける都市を目指していくと、そういう必要もございます。
局としては、昨年九月に都市づくりのグランドデザインを策定いたしまして、国際競争力の強化等に資する都市基盤の整備、高度な防災性を備えた安全・安心な都市づくり、成熟社会にふさわしい都市環境や住生活の実現などについて、ソフト施策とも連携しながら取り組んでいるというところでございます。
さらに、都民や企業などの幅広い民の力を生かし、連携して都市の魅力を創出し、効果的、合理的な都市づくりを進めております。
今後とも、計画部門と事業実施部門とが一体となった当局の組織の特性を十分に生かしながら、現場感覚と新たな発想で都市づくりに全力で取り組んでまいりたいと存じます。
○中山委員 さらにすばらしい都市整備局の運営がされていかれますことを心から願っております。ありがとうございました。
○本橋委員長 運営について申し上げます。
この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたしたいと存じます。
午後三時八分休憩
午後三時二十九分開議
○本橋委員長 それでは、休憩前に引き続きまして委員会を再開させていただきます。
質疑を続行いたします。
それでは、発言をお願いいたします。
○神林委員 本日は質問が多岐にわたっておりますので、進行やむを得ず、重複するような質疑が出ましたら、答弁の方は同様だということで省略して結構でございますので、順次よろしくお願いしたいと思います。
初めに、築地再開発に関連して幾つか質問をいたします。
小池知事が都議選直前に表明した、築地は守る、豊洲は生かすなる基本方針に端を発し、豊洲市場が開場された今になっても、築地に戻ってくることができる、築地で市場が続けられるといった期待を関係者に持たせたことで、混乱を引き起こしております。
一方で、築地市場跡地は二〇二〇年大会の輸送拠点となることから、解体工事は待ったなしの状況でありますが、アスベストが使われていることが判明している建物が少なくとも五十五棟、八万平米以上存在いたします。現場で作業する方や近隣の方々に健康被害が及ぶことがないよう、しっかりと対策を講じる必要がございます。
そして、築地の土地については、土壌汚染や埋蔵文化財対策などへの対応も想定されております。
このように、慎重かつ丁寧に対応すべき課題が山積しているのは事実でございます。こうした一つ一つの課題は、今後の築地再開発に当然無縁ではなく、ボディーブローのように影響が出てくることを私は懸念しております。
知事は、築地再開発に関し、五年以内に着工と述べておりますが、こうした状況を踏まえると、非常に困難といわざるを得ないと考えられます。
そこで質問させていただきます。
知事の思いつきに振り回される局の皆さんのご苦労には頭が下がる思いではございますが、築地まちづくり検討委員会、築地まちづくり庁内検討会を主催する都市整備局として、築地を取り巻く今の現状と知事が約束した再開発の五年以内の着工について、どのように認識をしているのか、見解をお伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 築地市場跡地につきましては、環状第二号線の整備及び東京二〇二〇大会の車両基地整備に向けまして、所管局から予定どおり解体工事が始まったと聞いてございます。
築地再開発については、まちづくり方針の策定後に、民間事業者からの提案募集、それに伴う必要な設計、都市計画の手続などを進めるとともに、これらと並行して土壌や埋蔵文化財の調査を進めることを想定してございます。
こうしたステップを踏みながら、五年以内に着工することを目指してございます。
○神林委員 ただいま答弁いただいた中で、築地を取り巻く現状の環境についてのお答えがなかったんですね。
私、今、報道等でも強く感じさせられるのは、いまだに営業権があるかのように主張して、粘り強く居残る人たちもいますし、アスベストの除去については、私もいろいろ調べたり聞いたりしたんですが、飛散の危険性によっては、長期間にわたる周到な事前調査とか対応が必要になってまいります。もしこの解体工事が周辺地域住民の反対や反発を受けたら一体どう解決していくのかと。今起きているこうした課題に対して、もう少し具体的な見解を、再度お聞きしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○木村まちづくり調整担当部長 築地市場跡地につきまして、解体工事につきましては予定どおり始まったと所管局から聞いてございます。
まちづくりを進めるに当たりましては、環状第二号線、築地市場の建物解体、東京二〇二〇大会の車両基地整備などの状況の情報把握に努めてまいります。
○神林委員 木村部長の部分で、なかなかいいづらい部分もあるのかもしれませんけど、特にさっきお話ししましたアスベストの除去、これはやっぱりそう簡単なものではないという気がしておりまして、ぜひその辺については、先ほどお話ししましたとおり、健康被害等が及ばないようにしっかりとやっていただきたいと思っています。
今答弁を聞いていまして、結局は現時点で再開発のスケジュールを変える考えはないようですけれども、余りにも無理があると思わざるを得ません。くれぐれも知事が示した五年以内という約束、それに縛られることでむちゃな工事着工が行われること、あるいは知事の五年以内という言葉にこだわって体裁だけを取り繕うような、形だけの無駄な工事着工が行われないよう、一言あえてくぎを刺させていただきます。
次に、確かに業者の居残り対策は市場当局の問題、輸送拠点はオリ・パラ局、埋蔵文化財に至っては教育庁の所管といったように、個別に見れば都市整備局ではなく他局の問題かもしれませんけれども、この間、先ほども申しましたとおり、まちづくり検討委員会、築地まちづくり庁内検討会を開くなど、今後の築地市場跡地のあり方を主体的に検討し、議論をリードしていくのは都市整備局でございます。
ぜひとも縦割りになることなく、まちづくりの当事者として関係各局を束ねていく、その当事者意識をしっかり持っていただきたいと考えますが、見解を伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地のまちづくりに当たりましては、環状第二号線、旧築地市場跡地の建物解体や、東京二〇二〇大会の車両基地整備等の工事の状況など、情報把握に努めるとともに、まちづくりを所管する局の立場から、築地まちづくり庁内検討会などを活用するなど、関係部署と連携を密にしながら、リーダーシップを発揮して適切に取り組んでまいります。
○神林委員 今、リーダーシップを発揮してというお言葉がありましたので、ぜひそういう意気込みで認識を持って頑張っていただきたいと思います。
知事は、先月二十六日の定例記者会見で、築地跡地の活用方針及び市場会計のあり方などについて、年度内に判断を示すと述べられました。現在行われているまちづくり検討会議での議論、結論を踏まえ、総合的に判断するとしておりますけれども、築地跡地をどのように活用していくか、残念ながら議論の中身は昨年から一向に進んでおりませんし、何も報告を受けておりません。
都政の見える化を一体誰がいっているんだと思うんですが、まちづくりの具体化の内容をできるだけ早く都民の前に明らかにしていくことが重要と考えますが、所管局の所見を伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 提言いただきました大きな視点では、築地再開発に当たっての基本的な方向性や考え方をお示しいただいてございます。この提言を受けまして、より具体的な内容に関する検討につきましては、行政として策定するまちづくり方針の検討などにおいて行うこととしております。
お示しする時期は、年明けには、まちづくりの方針の素案につきまして広く都民のご意見を伺った上で、年度内に方針を取りまとめていく予定でございます。
○神林委員 今、年明けというようなご回答もありましたけれども、これからのことでございますので、本日はこの程度にさせていただき、今後も必要に応じてしっかりと質疑、意見を申し上げさせていただきます。
次に、二点目に入ります。
我が国は、恵み豊かで景観の美しい国土を有しておりますが、その一方で、災害のデパートと呼ばれるほど、地震や火山、洪水など多種多様な災害が多発する国でもあります。
特に、ことしは身をもって感じる年でありました。首都東京にとって、大阪府北部地震や北海道胆振東部地震は他人事ではございません。
阪神・淡路大震災では、建物倒壊による圧死や延焼火災による焼死が死因の九割近くを占め、都民の生命を守るという点からも、首都直下地震に備え、災害に強いまちをつくることは、都政の重要な課題の一つでございます。
そこでまず、木造住宅密集地域の不燃化についてお伺いをいたします。
いわゆる木密地域は、大震災が発生すれば、大規模な火災が発生するだけでなく、避難や救急救命活動が妨げられるなど、人命に大きな影響を及ぼしかねない要素を持っております。
東京は広域自治体として、整備地域を指定し、延焼遮断の機能を持つ特定整備路線の整備に加え、不燃化特区のように、区部の危険性の高い地域に的を絞り、各種の木密改善に向けた対策を実施してまいりました。限られた財源を効果的に活用するという視点では、理にかなったことであるといえます。市街地の燃えにくさをあらわす不燃領域率も上昇を見せるなど、徐々にではありますが、効果が確実に上がってきていると思います。
そこで、整備地域の不燃化に向けたこれまでの取り組みと進捗状況について伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 都は、震災時に特に大きな被害が想定される整備地域におきまして、主として不燃化と延焼遮断帯の形成に取り組んでおり、平成二十三年度からは、重点的、集中的な取り組みとして木密地域不燃化十年プロジェクトを開始し、不燃化特区の指定を通じて踏み込んだ施策を展開するとともに、特定整備路線の整備を全力で進めております。
不燃化に向けましては、狭隘な道路を拡幅し、地域の改善と不燃化を促進する防災生活道路の整備に取り組むとともに、不燃化特区では、都税の減免に加え、老朽建築物の除却、建てかえや区による各戸への訪問を支援しております。
燃焼遮断帯につきましては、特定整備路線を初めとした都市計画道路の整備を進めるとともに、都市防災不燃化促進事業の活用などにより、沿道建築物の不燃化を推進しております。
これらの取り組みにより、平成二十八年度末の整備地域における不燃領域率は六二%と、二十三年度末から四ポイント上昇し、同様に、延焼遮断帯形成率は六四%と、二十三年度末から二ポイント上昇するなど、着実な進展が図られております。
○神林委員 今ご報告いただきまして、着実に進んでいるということを感じさせていただくのですが、実はこれからが大変なんですよね。
建てかえ改善できるところは先行して進む一方で、経済的理由を初め、高齢世帯や所有者不明の物件の増加など、さまざまな課題を抱え、建てかえ改善に至らないところが多く残されているわけでございます。このような課題の解決には、原因究明からのアプローチ策も必要かと思います。
一部のエリアでも燃えるところが残れば、火は燃え移ります。広いエリアで不燃領域率が上がっても、難しいところは、何もしなければ最後まで改善されないといった懸念がございます。
このような問題の解決策の一つとして共同化が考えられると思います。例えば至近な例でいえば、私の地元でもあるんですが、大田区の京浜急行空港線糀谷駅周辺地域は、地域危険度測定調査では、最も危険度の高い地域が存在するエリアでありましたが、昨年、駅前に交通広場や区道など、公共施設を含めた市街地再開発事業が完了いたしました。
本事業により、小規模木造住宅が密集し防災面での課題が指摘されていた当地区は、住宅を核に商業施設や保育園、高齢者支援施設を併設した利便性の高い複合施設となり、近隣からも待望の声が寄せられております。駅前広場は住民の憩いの場として、地元のイベントにも使用され、新しい住民も数多く迎え、地域がますます活気づいております。
このような、地域の活性化とあわせて地域危険度の改善も期待されることから、危険度の高い地域での事業展開を進めていくべきと考えます。
あわせて、不燃化に向けて、高齢者を初めとした課題を抱えた方々の円滑な移転などにつきましても、考慮していくことも必要かと思います。
そこで、整備地域の改善に向け、再開発など共同化を含めた今後の取り組みについて伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 木密地域では、道路に接していない狭小な敷地が存在することなどにより、建築物の個別建てかえが円滑に進みにくい状況にありまして、こうした課題の解決には、密集市街地の一体的整備が可能な市街地再開発事業や防災街区整備事業などを活用し、共同化を図ることが有効でございます。
現在、整備地域における市街地再開発事業につきましては、八地区で事業中のほか、五地区で事業化に向けた取り組みが進められており、防災街区整備事業につきましては、二地区で事業中のほか、二地区で事業化に向けた取り組みが進められております。
今後とも、地元区と連携し、組合などに対し技術的支援などを行い、共同建てかえを促進してまいります。
不燃化に向けた事業の実施には、理事お話しのように住民の円滑な移転が重要でありまして、不燃化特区では昨年度から、建てかえに際して借家人などに対し引っ越し費用などへの支援を開始しております。
また、今年度からは、木密地域の改善に向け、都有地を活用して、コミュニティを維持しながら入居できる魅力的な移転先の整備を民間活力により進めるとともに、学識経験者により構成される防災都市づくり推進計画検討委員会などを活用しながら、円滑な移転など課題の解決に向けた検討に取り組んでおります。
燃えない、燃え広がらないまちの実現に向け、今後とも工夫を加え、さらなる取り組みを推進してまいります。
○神林委員 今ご答弁いただいたとおり、共同化はある意味、理想的にうまくまちづくりができているなという気がするんですが、どこでもできるわけではございませんので、そういう意味じゃ、条件の整ったところからしっかりと--各地でも、今ご報告があったとおり着実に進んでいるということでございますので、その取り組みに対して期待をしております。
都では昨年度、都市づくりグランドデザインを公表いたしました。このグランドデザインでは、将来の都市像として、二〇四〇年代の木密地域の解消をうたっております。
解消のためには、課題を抱えた困難な地域を最終的には改善しなければなりません。そのためには、さらに地域の実情や個々の住宅が抱える問題にきめ細かく対応したり、あるいは規制緩和だとか、助成支援の幅の拡充など、新たな施策や事業の導入を検討していくことも、今後必要なのではないかと思います。
引き続き、木密地域内の建物の不燃化について取り組みを推進されることを強く期待しているところでございます。
木密地域の改善には、延焼遮断の機能も重要であります。
都は、震災時に特に甚大な被害が想定される木密地域を対象に、災害時に延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、地域の防災性向上に大きな効果が見込まれる都市計画道路を特定整備路線として、全二十八区間、約二十五キロメートルで整備を進めております。
阪神・淡路大震災発生時の神戸市長田区においては、幅員十二メートル以上の道路で延焼防止率が一〇〇%であったと国が報告しており、震災時の大規模な市街地火災に対して、燃え広がりを防ぐなど極めて高い防災効果を発揮しました。まさに、特定整備路線は都民の生命と財産を守る重要な道路といえます。
昨今、反対のために反対する方もいらっしゃるようでございますが、そのために道路整備が進まず、地域全体が危険にさらされるようなことは、あってはならないことだと考えております。
特定整備路線の早期整備には、着実な用地取得が不可欠ですが、ご協力をいただく関係権利者の皆様にとっては、かけがえのない住宅と生活に直結することはいうまでもございません。
都市整備と道路整備とあわせて、権利者の受け皿ともなる市街地再開発事業など、沿道のまちづくりを一体的に進め、権利者の皆様が引き続き地域で安全に暮らせるまちづくりを行うことも重要でございます。
そこで、都市整備局が所管する五区間の特定整備路線の今後の取り組みについて伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 特定整備路線は、震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域において、延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、地域の防災性向上に大きな効果を有する道路でございます。
都市整備局では、五区間で沿道のまちづくりと一体となった道路整備に取り組んでおりまして、このうち、戸越公園駅周辺地区など商店街を有する地区では、にぎわいの維持向上を図りながら整備を進めるため、区とともに地元の勉強会に参加するなど、取り組みを支援しており、昨年度、二地区で市街地再開発事業が都市計画決定されるなど、沿道のまちづくりが具体的に動き出しております。
また、用地取得に当たりましては、関係権利者に事業の必要性や補償の考え方を丁寧に説明するとともに、民間事業者等のノウハウを活用した相談窓口を設置し、関係権利者の生活再建をきめ細やかに支援しております。
今後も、地元区と連携し、権利者の理解と協力を得ながら、全力で道路整備を推進してまいります。
○神林委員 次に、耐震化について伺います。
特に、特定緊急輸送道路沿道の建築物では、震災時にこれらが倒壊し、道路を閉鎖するような事態となったとき、救急救命活動、その後の復旧、復興活動にも支障を来し、首都機能に大きな影響を及ぼしてしまうものでございます。
こうした観点から、都はこれまで、沿道建築物の耐震化を強力に推進してまいりました。対象となる建物の耐震診断がほぼ終わり、耐震改修も着実に進むなど、一定の成果が上がる一方で、耐震改修などに進んでいない建物では、それぞれ課題を抱えているものと考えます。
先ほどもご質問があったところでございますが、そこで、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化のこれまでの取り組みと達成の状況、また、耐震改修などが進んでいない建物における課題について伺います。
○青木耐震化推進担当部長 都はこれまで、耐震診断を義務づけるとともに、耐震改修などの費用に対する助成やアドバイザー派遣などを通じ、建物の所有者の取り組みを促してまいりました。こうした取り組みの結果、平成三十年六月末現在、耐震化率は八四・三%となっております。
耐震改修などが進んでいない建物では、建物用途や所有者形態による個々の困難な課題を有しております。具体的には、テナントとの調整や区分所有者間の合意形成などでございます。
○神林委員 先ほどもいろいろ質問がございましたけれども、本当にこれは何としても早く進めていかなければならない課題だと思います。
耐震改修などに対する助成や専門家派遣など手厚い支援にかかわらず、耐震化が進んでいない建物では、それなりの理由や事情があるということでございます。こうした課題に的確に対応していかなければ、今後の耐震化の進捗は厳しいものになってしまいます。これまでの施策に加え、もう一歩踏み込んだ施策が求められます。
そこで、さらなる耐震化促進のための課題解決に向けた今後の取り組みについて伺います。
○青木耐震化推進担当部長 さらなる耐震化促進のための課題解決に向けて、本年五月、学識経験者などから成る耐震化促進に向けた検討委員会から施策の方向性が示されております。
テナントとの調整につきましては、耐震化推進条例に耐震化に対する占有者の責務を位置づけるなど、占有者からの協力を得やすくするための環境整備に向けた検討を進めております。
また、区分所有者間の合意形成につきましては、これまで実施しているアドバイザーの派遣を充実させまして、建築士だけでなく、弁護士など課題に応じた専門家を的確に派遣できるよう、制度を充実いたします。
耐震化の意思を有していない建物所有者に対しましては、今後、条例に基づく指導や指示を積極的に活用し、働きかけを強化してまいります。
こうした取り組みの具体化に向けた検討を進め、耐震化をさらに促進してまいります。
○神林委員 もうこれは当然のことなんですけど、それぞれ皆さん事情があるわけで、個々の課題にきめ細かく的確に対応して、建物の耐震化がとどまることなくさらに進むように、ぜひよろしくお願い申し上げます。
また、災害時における緊急輸送道路の機能を確保するためには、建物だけではなくて、無電柱化などの対策もあわせて進めていく必要がございますので、関係局とも連携して取り組んでいただきたいと思います。
次に、宅地造成の安全性について伺います。
東日本大震災を初め、本年六月の大阪府北部地震以降も、西日本を中心とする集中豪雨、台風二十一号など、これまで日本各地で大規模な災害が頻発しております。その中でも、大地震の際には、大規模な盛り土造成地において、道路や宅地に大きな亀裂や沈下が発生する場合があります。
そこで、地震時に大規模な盛り土造成地における宅地の安全性の確保について、どのように取り組んでいるのか伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 多摩地域などでは、都市計画法や宅地造成等規制法などに基づき審査し、整備された大規模盛り土造成地が約千五百カ所存在しております。
大規模盛り土造成地の中には、避難所や病院、緊急輸送道路など重要な施設が存在している箇所もあり、東日本大震災などによる被害を踏まえ、基礎的な調査を行い、大規模盛土造成地マップとして公表しております。
今後、最新の技術的知見を反映した国のガイドラインも踏まえ、大規模盛り土造成地について、対策の必要な箇所の絞り込みを行うなど、地域の防災意識をより高め、地元自治体の取り組みを促す方策を検討してまいります。
○神林委員 従来から、盛り土造成地などの開発行為に対しては、適正な行政指導のもと、宅地の安全性は確保されているものと思われますが、昨今の自然災害を見ると、想定外の事象が起こり得ることを念頭に置かなければなりません。
今後、既に擁壁の再点検や新たな盛り土造成地への指導を強化するなど、住民の安全を第一に確保していただきたいと思います。
自然現象としての地震や台風の発生を阻止することはできません。しかし、適切な対策によって災害の影響を軽減することは可能なはずでございます。引き続き、安全で安心な首都東京の実現に向け、防災都市づくりに対する取り組みの一層の強化をお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、総合的な治水対策について伺います。
近年、地球温暖化やヒートアイランド現象などが影響していると思われる想定外の豪雨が頻発しており、ことしも、平成三十年七月豪雨や台風二十一号などによる浸水被害が全国各地で発生をしております。
都内でも、いつ発生するかわからない、こうした豪雨災害から都民を守るために、都はどのように総合治水対策に取り組んでいるのか伺います。
○荒井都市基盤部長 都は、局地的な集中豪雨に対応するため、平成二十六年に改定した東京都豪雨対策基本方針に基づき、河川や下水道の整備、流域対策などの総合的な治水対策に取り組んでおります。
この方針では、これまでの浸水被害や降雨特性を踏まえ、区部で時間最大七十五ミリ、多摩部で時間最大六十五ミリの降雨に対応するよう、対策の目標整備水準を引き上げるとともに、甚大な浸水被害が発生している地域については、九つの対策強化流域を選定して豪雨対策を強化しております。
○神林委員 本当にここ一、二年すごいですよね。時間百ミリを超える降雨が都内でも頻発している現実を踏まえて、今後、都はどのように取り組むのか伺います。
○荒井都市基盤部長 豪雨対策基本方針の新たな目標整備水準の達成に向けまして、河川の整備において、河道に加えて、一時的に雨水を貯留する調節池を整備しております。その際、複数の流域の調節池をトンネルで連結し、その容量を各流域間で相互に融通させる広域調節池を整備することにより、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮していきます。
あわせて、整備水準を超える雨が降った場合においても、都民の生命の安全を守るため、河川の水位や降雨情報を発信することなどにより、自助や早期の避難行動を促進してまいります。
○神林委員 ただ、総合治水対策といいますと、ハード対策だけではなくソフトの対策も重要でございます。
東京のターミナル駅周辺では、地下街や鉄道駅のコンコース、駐車場などが複雑につながり、おのおのの施設と地下でつながっている隣接ビルも多いといわれております。こうした大規模地下街における浸水対策の促進に向けた取り組み状況を伺います。
○荒井都市基盤部長 集中豪雨から地下街やこれに接続する施設の利用者の安全を確保し、施設などの被害を軽減するためには、地下施設の管理者全てが連携して浸水対策に取り組むことが極めて重要であります。
このため、都は、都内十二地区の大規模地下街等において、地下街や隣接ビルの管理者、鉄道事業者、地元区などの関係者と連携し、浸水対策に取り組むための協議会及び地区ごとの部会を設置しております。
この協議会を通じて、各地区ごとに緊急連絡体制や避難誘導方法などを定めた浸水対策計画を作成し、これに基づき、各地区の施設管理者の連携を強化するため、毎年、情報伝達訓練を実施しております。
今後も、浸水対策に対する各施設管理者の意見等を踏まえ、浸水対策計画の充実を図り、各施設管理者の浸水に対する自助、共助の意識を醸成し、地下街利用者の一層の安全確保に取り組んでまいります。
○神林委員 都内における近年の浸水実績を見ますと、区部を流れる中小河川流域や扇状地に被害が集中する傾向がございます。
想定外の豪雨が全国各地で頻発している現状を踏まえ、東部低地帯も含めた都内全域での総合治水対策を積極的に進めていく必要がございます。
また、都民の生命の安全を確保する避難方法を地域特性に応じて強化し、今後も万全を期して取り組んでもらいたいと思いますが、見解を伺います。
○荒井都市基盤部長 総合治水対策を推進していくには、地域の状況に応じて、国や関係各局、地元自治体など関係者が協力して対策を講じることが重要であるため、引き続きしっかりと連携して取り組み、都民が安全・安心に暮らせる東京を実現してまいります。
○神林委員 よろしくお願いいたします。
次に、都市計画道路について伺います。
都市計画道路は、交通機能や防災機能など、さまざまな機能を有する都市の骨格を形成する基本的なインフラであり、都市計画道路ネットワークの一刻も早い完成が望まれます。
都市計画道路ネットワークを形成することにより、常時においては、東京の最大の弱点である交通渋滞が解消され、活力ある東京へと導くことができます。また、災害時においても、先ほど申し上げましたとおり、地震や火災の際の避難や救護活動を担うなど、防災性の向上が期待できます。
一方、都内の都市計画道路の整備率は現在六割を超えたところであり、さらなる整備促進が急務と考えます。
そこで、都市計画道路の整備の必要性と計画的な整備に向けた取り組みについて、改めて伺います。
○荒井都市基盤部長 都市計画道路は、都市活動を支え、交通の円滑化や災害時の救急救援活動などに大きな役割を果たす重要な都市基盤であります。
加えて、歩道や自転車走行空間の整備、植樹帯の設置などによる道路の緑化を行うことで、環境、景観の向上などにも寄与するものであります。
都はこれまでも、都市計画道路の事業化計画をおおむね十年ごとに策定してきており、道路の計画的、効率的な整備の推進に努めてまいりました。
現行の計画は平成二十八年三月に策定しており、今後十年間で優先的に整備すべき路線として、地域間の連携強化や防災拠点へのアクセス向上に資する路線などを選定し、ネットワークの早期形成に取り組んでおります。
今後とも、地元区市町とも連携し、東京の持続的な発展を支えるために必要な都市計画道路の整備に積極的に取り組んでまいります。
○神林委員 私は、それこそ現場で都市計画道路の地権者に当たる方々とも多く接触してまいりました。
そういう皆さんの思いを含めて次に質問させていただきますけれども、都市計画道路のあり方検討についてでありますが、四次事業化計画で優先整備道路に選定されなかった都市計画道路は、優先整備路線よりも後回しになるため、整備になお期間を要することになります。
都市計画道路の整備は、渋滞緩和や防災性の向上など、道路の利用者や周辺住民にとっては大きなメリットがもたらされますが、都市計画道路に関係する地権者は、長期にわたって建築制限を受け続けることになるわけでございます。
このため、都市計画道路が整備されるのか、具体的にいつ行われるのか、あるいは整備されないのかは、その方の人生設計にかかわる一大関心事にもなるわけでございます。
このように、都市計画道路が計画されている現場で現実的に起きていることに目を向け、整備すべき都市計画道路と見直すべき都市計画道路を精査し、地権者に理解を求めるとともに、仮に整備すべき都市計画道路と整理されていない場合でも、いつ具体的に整備をするかをはっきりさせるべきだと考えております。
そこで、現在進められている優先整備路線に選定されなかった未着手の都市計画道路のあり方の検討について、今後の進め方を伺います。
○荒井都市基盤部長 優先的に整備すべき路線を除く未着手の都市計画道路は、お話のとおり、事業着手までになお期間を要することとなり、都市計画法による建築制限が長期化することは、都としても想定してございます。
こうしたことを背景に、社会経済情勢や都民ニーズの変化などを踏まえ、現在、既に必要な交通機能等が確保された道路の拡幅や立体交差計画の必要性等、新たな検証項目を設け、区市町とともにそのあり方について検討を進めております。
本年七月には、中間のまとめとして検証の視点などを公表し、パブリックコメントを行っております。
今後、これを踏まえ、個々の路線を対象とした検証を実施し、計画変更等の方針を示してまいります。
○神林委員 次に、羽田空港への交通アクセスの充実について伺います。
羽田空港の機能強化やインバウンド需要の増加などにより、国内外の人、物、ビジネスの活発な交流を支える羽田空港の役割が大きくなっております。
増加する空港需要に対応して、羽田空港の機能を最大限に発揮させるためには、都内各地と羽田空港とを結ぶ鉄道アクセスの充実を図ることが重要でございます。
東京圏における今後の都市鉄道のあり方を示した交通政策審議会答申では、国際競争力の強化などに向けた具体的なプロジェクトが示されております。
この中で、事業化に向けた検討や合意形成などを進めるべきとされた六つの路線が示されており、空港アクセスの向上に資するプロジェクトとして、新空港線と羽田空港アクセス線の二路線が位置づけられております。
まず、羽田空港アクセス線の意義と課題、今後の取り組みについて伺います。
○荒井都市基盤部長 羽田空港アクセス線は、りんかい線や上野東京ラインなど既存の鉄道ネットワークと接続することで、広範囲にわたる空港アクセスの利便性が向上する効果が期待されております。
一方、国の答申では、他の空港アクセス路線との補完関係を考慮しつつ、事業計画の検討の深度化を図るべきとの課題が示されております。
引き続き、具体的な事業スキーム等について、国や鉄道事業者など関係者との協議、調整を進めてまいります。
○神林委員 羽田空港アクセス線に一定の効果があることはわかりますが、もう一つの路線である新空港線は、地元の強い要望を受け、長年にわたり取り組んできた路線であることを忘れてはなりません。
これまで約三十年間、大田区が中心となり、関係者間での検討が進められ、六路線の中でも検討の熟度が最も高い路線でございます。さらに、大田区は、基金の積み立てや整備主体設立のための費用を計上するなど、事業化に必要な準備が整っております。
新空港線についての一番の問題は、中途半端な状況が続くことでございます。事業化に向けて速やかに取り組んでいく必要がございます。
そこで、改めて、国の答申に示される新空港線の矢口渡駅から京急蒲田駅間の意義と事業化に向けた課題について伺います。
○荒井都市基盤部長 国の答申では、新空港線の矢口渡駅から京急蒲田駅間について、東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線との相互直通運転を通じて、国際競争力強化の拠点である新宿、渋谷、池袋等や東京都北西部、埼玉県南西部と羽田空港とのアクセス利便性が向上するとの効果が示されております。
一方、関係地方公共団体、鉄道事業者等において費用負担のあり方等について合意形成を進めるべきとの課題が示されております。
○神林委員 今ご答弁で、関係地方公共団体、鉄道事業者等において費用負担のあり方等について合意形成を進めることが課題と、こういうお話がありましたけど、そのほかの部分も含めまして--本当に決してこの先無理難題があるわけじゃないんですよ、東京都が中心になって、この課題解決に向けた関係者の協議を一日も早く調える必要がありますので、ぜひお願いしたいと思います。
そこで、現在の協議状況と今後の取り組みについて伺います。
○荒井都市基盤部長 新空港線につきましては、大田区が基金の積み立てや整備主体の設立のための予算を計上するなど熱心に取り組んでおり、地元の期待が大きいことは十分承知しております。
都としては、大田区や鉄道事業者などと連携して、事業費の精査や採算性などの課題について検討を行ってまいりました。
引き続き、大田区が想定している都市鉄道利便増進事業を活用した場合の補助の対象範囲、費用負担のあり方などの課題について、関係者との協議、調整を進めてまいります。
○神林委員 再度申し上げますよ。都は、地元の強い思いを受けとめ、新空港線の実現に向けた関係者との協議、調整を加速させ、新空港線を一日も早く実現してもらうよう強く要望をいたします。
また、現在検討が行われている矢口渡駅から京急蒲田駅までの区間が整備されても、羽田空港を初めとする京急線沿線への移動には、京急蒲田で乗りかえを伴うなどの課題がございます。
そこで、京急蒲田駅における新空港線と京浜急行線との乗りかえはどうなるのか伺います。
○荒井都市基盤部長 大田区の検討では、新空港線の駅は地下に設置することを想定しております。
一方、京急蒲田駅はホームが上下二層の高架駅となっております。このため、京急蒲田駅における新空港線と京浜急行線との乗りかえは、高低差を伴う垂直方向の移動が必要になります。
具体的な計画は、事業の実施段階において、事業主体が乗りかえ利便性の確保などに配慮しながら検討していくこととなります。
○神林委員 今ご答弁いただいたように、ホーム上下二層、非常に高さの違いが出るわけですから、本当の意味で整備効果を上げるためには、今お話しするように、どうしてもやはり矢口渡から直通で空港線に乗り入れるようなことが必要になるわけでございます。
ですから、ここで私が一番いいたいのは、新空港線は、矢口渡駅から京急蒲田駅間だけを整備しても不十分でございます。
京急蒲田駅における乗りかえを解消し、移動の利便性を高め、新空港線の整備効果を最大限発揮するには、矢口渡駅から京急蒲田駅間の整備に加えて、大鳥居駅までの延伸を一体的に進めていく必要がございます。
京急蒲田駅から大鳥居駅までの延伸には、線路幅が異なる路線間の接続方法などの技術的な課題があることは承知しておりますが、新空港線の整備効果を高めていく上で重要な取り組みであるため、こちらの区間についても一日も早く取り組んでもらうことを要望して、この点については終了をいたします。
次に、住宅政策の現在の取り組みについて伺ってまいります。
現行の住宅マスタープランが平成二十九年三月に策定されるに当たり、私は、この都市整備委員会で今後の住宅政策の方向性について質疑を行いました。そのマスタープランは、昨年三月策定とはいっても、その体系を検討するための住政審の諮問からは既に四年が経過しております。
それから今までの間にも、住宅政策を取り巻く社会経済状況は大きく変化し、空き家問題の顕在化など、都民ニーズや課題も目まぐるしく変化しており、まちの状況や少子高齢化などの人口動態も適切に見据え、住宅施策を総合的、機動的に進めていく必要がございます。
また、子育てしやすい住宅の整備や、かつて大量供給されたマンションストックの維持管理といった問題も重要であり、適切な対応が必要であります。
そのような問題意識のもと、まず、現行の住宅マスタープランに基づき、これまでどのように住宅施策を展開してきたのか、改めて伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 東京都住宅マスタープランは、住生活基本法及び東京都住宅基本条例に基づき策定してございます。
直近では、平成二十九年三月に現行の住宅マスタープランを策定し、社会情勢の変化や人口減少による地域の衰退などが懸念される中、住宅政策の基本方針を豊かな住生活の実現と持続とし、八つの目標と将来像を設定してございます。
これに基づきまして、住まいにおける子育て環境の向上、高齢者など住宅確保要配慮者の居住の安定、良質なマンションストックの形成、空き家対策の推進などの諸施策を総合的に展開してきているところでございます。
○神林委員 ただいま空き家についてのお話がありましたけれども、そういった空き家の問題も昨今クローズアップされております。もうニュースでおなじみだと思いますが、地面師による詐欺事件なども発生しており、世間を騒がせております。
一方、先日の住宅政策審議会でも取り上げられていましたが、世帯の単身化、少子高齢化の急速な進行など、喫緊の対応すべき課題は山積しております。私は、そのような住宅政策に関する喫緊の課題について、後追いではなく、時宜にかなった対応が必要だというふうに考えております。
そこで、こうした課題についてどう取り組むのか、東京都としての見解を伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 住宅マスタープラン策定後も、少子高齢化や世帯の単独化が急速に進展し、また、東京の人口は二〇二五年に、世帯数は二〇三〇年に、それぞれ減少に転じることや、後期高齢者の単独世帯の顕著な増加が予測されるため、それらの課題に早期に対応する必要があると認識してございます。
そこで、例えば分譲マンションの適正な管理の促進に向けた検討会を立ち上げまして、居住者の高齢化が進む高経年マンションの管理適正化のための新たな施策の検討、立案をすること、それから、住宅セーフティーネット法改正を踏まえて住宅確保要配慮者の居住の安定を図る取り組み、そして、空き家対策といたしましては、区市町村への支援の充実や都民への相談窓口の整備など、こうした適宜必要な取り組みを展開しているところでございます。
さらに、こうした社会情勢の変化を踏まえた都営住宅の管理制度等のあり方につきましても、本年十月四日に住宅政策審議会に諮問し、検討を開始したところでございます。
今後とも、社会経済情勢や都民ニーズの変化に即応し、住宅政策に関する喫緊の課題に適時的確に対応し、必要な施策につきまして着実に推進してまいります。
○神林委員 ただいま、都営住宅の管理制度などのあり方について住宅政策審議会に諮問したとのお話がございました。
都営住宅は都民共有の財産であります。そのため、公営住宅法や都営住宅条例に基づき、市場において自力での住宅確保が困難な低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を供給するために、今あるストックを最大限に活用しながら、一方で、制度面においても、公平性や効率性などを踏まえて運用して、セーフティーネットとしての役割を果たしていくことが重要でございます。
これまで、その時々の社会経済状況に対応しながら、都営住宅事業を展開してきましたが、今回、住宅政策審議会に諮問するに当たって、都が認識している課題と今後の取り組みについて伺います。
○八嶋経営改革担当部長 都は、都民共有の財産である都営住宅を、真に住宅に困窮する者の居住の安定を図るために公平、的確に供給する必要がございます。
これまでも都は、子育て世帯を支援するため、期限つき入居制度の導入や収入基準の特例の対象拡大のほか、入居機会の公平性を確保するため、使用承継制度の厳格化などの管理制度改革に取り組んでまいりました。
しかし、都営住宅においても高齢、単身化が進んでおり、高齢者が安心して暮らせる環境整備、若年ファミリー世帯の入居促進等により、多世代共生を推進していく必要がございます。
これらの課題に対応し、さまざまな世代がともに暮らせる都営住宅の実現に向け、東京都住宅政策審議会に都営住宅の管理のあり方について諮問を行ったところでございます。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅につきまして、既存ストックの有効活用を図り、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
○神林委員 都営住宅で進行している高齢化、単身化など、都営住宅を取り巻く環境の変化の中で、これからも住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるような管理のあり方について諮問したという答弁がありましたけれども、このことを私は非常に重要なことだと思っております。ぜひこうした時代を先読みした管理のあり方を構築するよう、大いに期待するものであります。
そこで、今般の住宅政策審議会で具体的にどのように検討を進めていくのか伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 十月四日の住宅政策審議会におきましては、諮問をさせていただいて、それがより具体的、専門的な検討を行うための企画部会の方に付託をされました。そこで早速、十月二十六日に第一回目となる企画部会を開催し、都営住宅の管理制度等に関しまして具体的な検討を開始したところでございます。
来年二月ごろに開催予定の第二回住宅政策審議会において、中間のまとめ素案をご審議いただいた上で、公表をする予定でございます。
また、平成三十一年第一回定例会におきましては、これまでの検討結果につきまして報告をさせていただく予定でございます。
これらを踏まえまして、来年五月ごろには、審議会より答申をいただく予定としてございます。
○神林委員 ありがとうございました。住宅政策審議会での検討結果について、第一回定例会で報告予定との答弁がありました。現状と課題を踏まえつつ、実りある答申がなされることを期待しております。
最後に、住宅政策につきましては、人口、世帯数の減少など、将来を見通した大所高所からの幅広い視点での議論が必要と考えますが、住宅政策を所管する局長の決意について伺います。
○佐藤都市整備局長 住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素でございまして、住宅のありようは、都民生活の質はもとより、都市の活力や景観、地域社会の維持形成とも密接に関連してございます。そうした意味で、都の住宅政策は、首都東京とそこに住み、働く都民にとって、大変重要な施策と考えてございます。
住宅マスタープランでは、その目指す方向として、生涯にわたる都民の豊かな住生活の実現、まちの活力、住環境の向上と持続を掲げております。
住宅政策審議会におきましても、学識経験者、業界団体の代表、自治会の長及び都議会議員の委員の方々から、お話にありましたような幅広い視点に立ったご意見を伺いながら施策を展開してきておりまして、現在も、都営住宅の管理制度等のあり方について検討いただいております。
少子高齢化の進行、近い将来の人口や世帯数の減少など、社会経済情勢がただいま大きな変化を迎えております。そんな中で、長期的な視点を持ち、喫緊の課題にも的確に対応しながら、使命感を持って住宅政策を着実に推進していく覚悟でございます。
○神林委員 静かな口調でございましたけれども、一つ一つの言葉に非常に力強さを感じさせていただきました。
住宅は都民生活のかなめでございます。ぜひしっかりと住宅政策を前に進めていただくように心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○和泉委員 私からは、まず、駅のホーム柵について伺いたいと思います。
資料を出していただきましてありがとうございます。
この出していただいた資料16、JR京浜東北線、総武線、中央線の都内の全ての番線数とホーム柵の設置数ですけれども、やはりまだまだ圧倒的に少ないなという状況です。
都のホーム柵設置促進への計画というのはどのようになっているのか、まず初めに伺います。
○荒井都市基盤部長 利用者の安全性確保のため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
都は、国とともに、地下鉄の駅に加え、利用者十万人以上のJRや私鉄の駅を対象として補助を行っております。
また、東京二〇二〇大会の会場周辺駅については、利用者の規模によらず補助を実施しております。
○和泉委員 オリンピック・パラリンピックに向けて、それが契機となってバリアフリーが進む、これは歓迎すべきことだというふうに思います。
しかし、大会のためにということにとどまらずに、東京に暮らす人たちにとってのバリアフリーが進む、これが最も大事なことだというふうに思います。
この間の進捗、現在の設置状況、どうなっているのか伺います。
○荒井都市基盤部長 都内七百五十五駅のうち、平成三十年三月末現在、都内の三分の一を超える駅でホームドアが設置されております。
○和泉委員 駅の数で見ていくと進んでいる、これは間違いないというふうに思います。
しかし、資料にあるように、番線数で見ていくと、なお一層加速させる必要があるというのもわかると思います。いただいた資料を見ても、JRの設置が進んでいない、この状況が浮き彫りになっています。
都は、ホーム柵設置促進のためにどのように取り組むのでしょうか伺います。
○荒井都市基盤部長 JR東日本についてでありますが、現在、山手線や京浜東北線においてホームドア整備を推進しているほか、総武快速線の新小岩駅や、東京二〇二〇大会の会場周辺駅である総武緩行線の千駄ケ谷駅、信濃町駅において工事を実施中であると聞いております。
さらに、ことし三月には、平成四十四年度までに総武線や常磐線を含む東京圏在来線の主要路線全駅において、ホームドアの整備を完了させることを公表しております。
引き続き、鉄道の安全性を高めていくため、国や地元区市とも連携して、鉄道事業者の取り組みを支援してまいります。
○和泉委員 今、新小岩駅のホーム柵設置のことをご紹介いただきましたけれども、葛飾区でホーム柵が設置されているのは、JRと京成電鉄、合わせて区内に十三ある駅のうち、答弁にあったように、新小岩駅の総武快速線だけなんです。
新小岩駅の総武快速線は、成田に向かう電車がホームを猛スピードで通過していくところへ身を投げて自殺する人が急激にふえ、自殺の名所とまでいわれるようになってしまったことから、構内の連絡通路工事に合わせて、特殊な事例としてホーム柵が設置をされたという経過があります。
一方で、JR金町駅では--それでももちろんホーム柵が設置されること、これは視覚障害のある方たち、それから、利用する方たちの安全確保のためにはとても重要なことです。
JR金町駅では、理科大の移転や高層マンション群の建設などで急速に利用者がふえて、二年前から乗降客数が十万人を超えています。JR東日本管内で八番目に乗降客数がふえている駅だということが報告をされています。
都が積極的に支援してホーム柵の設置を進めるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○荒井都市基盤部長 利用者の安全性確保のため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
JR東日本によりますと、JR金町駅を含む常磐緩行線は、平成三十七年度末までに整備をする路線に含まれております。
○和泉委員 もう設置が予定をされている、整備をする路線に含まれているというお話でした。
金町駅周辺は、理科大が新たに薬学部を新設する予定です。二〇二一年夏には、南口、北口、合わせて八百戸のマンションがまた新たに建設をされます。
今後の開発も考えれば、地域の皆さんにとって、このホーム柵の設置というのはまさに緊急の課題となっているんです。鉄道事業者の取り組み、もちろん不可欠でしょうけれども、都の強いイニシアチブはどうしても必要だというふうに思います。ぜひ地域住民の安全の確保に向けて取り組みを強めていただくことを求めておきたいと思います。
続いて、都営住宅についてです。
まず、建てかえの問題です。
この間、昭和四十年代以前に建設をされた都営住宅の建てかえについてはどのように進めてきて、建てかえが済んでいない住宅があとどのくらいあるのか、まず伺います。
○妹尾建設推進担当部長 都営住宅につきましては、公営住宅法上の耐用年数を超えないよう、着実なストックの更新を図るため、平成二十年度からは、昭和四十年代に建設された住宅も建てかえの対象に加え、順次、建てかえ戸数を拡大しながら事業を進めてまいりました。
この結果、平成二十九年度末時点で、昭和四十年代以前に建設された住戸数は約十万戸となっております。
○和泉委員 公営住宅法の耐用年数を超えてしまっている住宅、これがまだ十万戸残っているということなんだというふうに思いますが、そのうち高層棟、これについてはどれくらいあるのでしょうか。
○妹尾建設推進担当部長 今の答弁の前に一つお答えいたしますが、十万戸というのが、公営住宅法の耐用年数を超えないようにこれから建てかえていくべき住宅でございまして、耐用年数を超えているわけではございません。
ただいまのお尋ねでございますが、昭和四十年代以前に建設された六階建て以上の高層棟の住戸数は、約三万戸でございます。
○和泉委員 耐用年数を超えているわけではないという答弁でした。
一応、公営住宅法の耐用年数は、耐火構造だと五十年ということで合っているでしょうか。七十年でしたでしょうか。--七十年ですね。その二分の一を超えると建てかえを進めていく必要があるよということになっていたかというふうに思います。
今ご答弁の中でも、昭和四十年代以前に建設された高層棟の住戸数は約三万戸というご答弁でした。建てかえていない高層棟については、今後どのように取り組んでいくのでしょうか。
○妹尾建設推進担当部長 これまでは、バリアフリー化や耐震化を促進する観点から、エレベーターが設置されていない中層棟を中心に建てかえを進めるとともに、高層棟についても必要に応じて建てかえに取り組んでまいりました。
引き続き、高層棟については、周辺の中層棟と一括した建てかえ計画等の検討を行ってまいります。
○和泉委員 高層棟についても建てかえ計画等の検討を行っていくという答弁をいただきました。
バリアフリー化や耐震性の観点というのはもちろん重要だと思いますし、最優先だというのも理解できます。ただ、そうはいっても、世間一般に住宅の設備として求められている水準、これは昭和四十年代当時と現在とでは、まるっきり違うはずだというふうに思うんです。
例えば葛飾にある青戸三丁目アパート、ここは古いものは一九七五年に建設をされていますが、契約アンペア数は二十アンペア、そして最大でも三十アンペアまでしか変更できません。
そこで伺いますが、現在建てかえが進んでいる都営住宅に関して、建てかえ後のアンペア数、これはどのようになっているでしょうか。
○朝山企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 建てかえ後の各住戸の電力会社との契約電流は、標準として二十アンペアでございます。
○和泉委員 私、二十アンペアというのは、ちょっとやはり余りにも低いんじゃないかというふうに思うんです。アンペア数をふやすことや、住宅附帯設備の仕様を今の時代に合ったものにする必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○朝山企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 建てかえ住宅につきましては、平成十四年度以降の工事案件からは、一DKタイプは三十アンペア、それ以外の部屋タイプは四十アンペアまで対応できるようになっております。
住宅附帯設備につきましては、昨今の状況を考慮いたしまして、設備の仕様変更を行っており、例えば、平成二十二年から高効率給湯器を、平成二十六年度からはLED照明機器を採用しております。
○和泉委員 平成十四年以降では、ファミリー世帯なら四十アンペアまで引き上げられているという答弁でした。やはりそのぐらいまで必要なんだというふうに思うんです。
既存建物に長年住んでいる方たちは、アンペア数の不足から、炊飯中にレンジや洗濯機を同時に使わないなど、気を使いながら生活しているのが現状です。けれども、ことしのような猛暑のもとでは、熱中症を防止しようとすれば、親と子はそれぞれの居室でエアコンを使わざるを得ません。
公社が都営住宅に住む方向けに出している「すまいのひろば」の七月号でも、熱中症は室内や夜間でも多く発生しているとして、必要に応じてエアコン等を使う、これを呼びかけています。ところが、必要なときにアンペア数が足りないためにエアコンが使えないとしたら、これは命にもかかわる深刻な問題です。
建てかえ計画そのものを拡大して、もちろん早急に進めていただくべきだと思いますし、当面、建てかえ計画のないところでも、すぐに、全てとはいいませんけれども、高齢の方と一定の年齢に達した子供さんが一緒に住んでいる世帯、あるいは子供さんが受験生で、子供と親が別の部屋を使わざるを得ないような世帯など、緊急性、必要性なども考慮しながら、希望があれば四十アンペアに引き上げる工事ができるような対応を強く求めておきたいと思います。
建てかえが完了しているところでも、さまざまな問題点があって相談を受けることが多いんです。
高砂都営住宅は十一階の高層で、階段の踊り場の蛍光灯が天井に設置をされています。(パネルを示す)こういう状態なんです。十一階建て、階段踊り場の先端に蛍光灯が設置をされています。この蛍光灯が切れたら、脚立に乗って取りかえることになるんです。
九階、十階で脚立に乗って作業する、これはもう私でも大変な恐怖を感じます。ましてや高齢化している住民がそれをやらなければならないことは、余りにも危険なんじゃないでしょうか。何らかの工夫が必要だというふうに思いますが、いかがですか。
○村居営繕担当部長 階段の照明につきましては、階段部分と踊り場の照度を適切に保つため、踊り場の天井に設置しております。
また、階段中央の壁状の柱に照明器具を設置した場合であっても、蛍光灯を交換しようとしますと、階段の部分に脚立を置くような形になりますので、その上で作業することになり、平たんな踊り場での脚立上の作業に比べますと、転倒の危険性が増すと考えております。
なお、都営住宅におきましては、階段を含む共用部の照明のLED化につきまして、二〇三〇年度末の完了に向けて現在取り組んでおりまして、LED化後は電球の交換頻度は大幅に減少すると考えております。
○和泉委員 LED化によって電球の交換頻度を減少させる、これは重要だと思います。住民の皆さんは高齢化していますから、ぜひ、二〇三〇年度末といわず前倒しで取り組みを急いでいただくよう求めます。
また、LEDに既に取りかえた団地では、共益費がかなり安くなっていると聞いています。
その一方で、取りかえがおくれる団地では、いつまでも高い共益費を払わなければならない。そうすると余りに不公平だというふうに思います。負担の格差を是正する措置についても検討していただくことを強く要望するものです。
高砂都営住宅の住民から寄せられている相談は、これだけではありません。もう一枚パネルをごらんいただきたいんですが、四十九号棟の浴室です。この四十九号棟の浴室は、洗い場をこのように十二枚のグレーチングがぐるっと囲むという特殊な様式になっています。
このために、洗い場は、この写真で見ますと、横が六十センチ、縦が九十センチ、このわずかなスペースしかないんです。高齢になると低い椅子では不便なことから、このような四つ足の、下にラバーのついた、滑りどめのついた椅子を使われる方が多いんですけれども、この中央のわずかなスペースを外れて、グレーチングの一部に力がかかると、このグレーチングがもろくて壊れてしまうんです。そのため、住民の方は、グレーチングを全て外して使ったりしています。
けれども、この溝の深さは約六センチあります。そのような状態で使ったり、壊れたところに無理やり別のグレーチングを不自然な状態ではめ込んでいたりするなど、大変な不便を強いられています。
なぜこれ、別なグレーチングをはめると不自然な形になるかというと、それぞれに補強するために、この裏に鉄の補強が、金具の補強がついているんです。補強する場所がそれぞれ違いますから、それぞれに別な仕様になっているということなんですね。
しかも、このグレーチングですけれども、十二枚セットで交換しなければなりません。一枚壊れるたびに十二枚全部を取りかえなければいけないんです。
このような状況を、四十九号棟一部の住民だけが強いられているということについては、何らかの対応をとっていただくこともあわせて求めておきたいというふうに思います。
続いて承継問題です。
親の介護のために戻ってきた方が、親の死亡後、住み続けることができず行く当てを失う、そういうケースの相談を受けることがあります。個々の事情に応じた柔軟な対応が求められるのではないかというふうに思いますが、これに対する都の見解を伺います。
○八嶋経営改革担当部長 都営住宅への入居は公募が原則となっております。
公募の例外である使用承継によって、長年にわたり同一親族が居住し続けることを認めることは、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なうことになります。
このため、真に住宅に困窮する低額所得者に対して的確に都営住宅が供給されるよう、使用承継を認める範囲を、配偶者、高齢者、障害者及び病弱者に限ることとしております。
使用承継の対象とならない方でございますが、直ちに退去を求めるのではなく、六カ月の退去猶予期間を設けますとともに、公社住宅の募集情報の提供や区市町の相談窓口の紹介などを行ってございます。
また、特に生活保護受給世帯につきましては、区市町の福祉部門と連携して住宅の確保に努めるなど、きめ細かい対応に努めているところでございます。
○和泉委員 都営住宅は、真に困窮する低額所得者に対して的確に都営住宅が供給されるよう、使用承継を一定の範囲に限定しているという答弁でした。
生活保護を受けている方でも承継の要件に当たらないという答弁でしたけれども、伺いますけれども、真に住宅に困窮する低額所得者、この真にという文言は、公営住宅法、東京都営住宅条例、規則、東京都住宅基本条例、東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画、このどこに記載がある文言なんでしょうか。
また、真に住宅に困窮している低額所得者とは、どういう状態の方をいうのか、その定義、基準についてもあわせて伺います。
○八嶋経営改革担当部長 まず、住宅に困窮する者でございますけれども、これは公営住宅法の第一条に規定してございます住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸するというものでございまして、こちらの定義でございますけれども、最低居住水準の住宅を住宅市場において自力で確保することが困難な者とされてございます。
そして、今お話のございました真にという部分でございますけれども、今、例示として出された法令等については規定はございません。
こちらの真にという言葉でございますけれども、一番最初に出てきましたのが、平成八年の建設省からの各都道府県知事宛ての通知であったというふうに記憶をしてございます。
この平成八年でございますけれども、公営住宅法で非常に大きな改正がございまして、それまで第一種、第二種ございました公営住宅、それを一つに、一くくりにしたというようなこと、それから、家賃を応能応益家賃に変更したというようなもろもろございました。
こちらの改正の理由でございますけれども、その通知の前文のところに書いてございまして、急速な高齢化等に伴う社会経済状況の変化に伴って改正をする必要があるということでございます。
こちらの法改正で、またもう一つ大きな柱が、高齢者や障害者等につきまして、収入基準につきまして、新たに裁量階層、これを認めるというものが大きな柱の一つとなってございまして、こうしたことから、真にというのは、障害者、高齢者等、自力で住宅を確保することがさらに困難な方というふうに考えてございます。
○和泉委員 平成八年に公営住宅法の改正があったと。そのときに初めて、真に住宅に困窮する低額所得者という概念が出てきたということですけれども、平成十七年には国の通知も出ています。ここにも確かに、真に住宅に困窮する低額所得者に対して的確に公営住宅を供給できるようにとなっていて、そこで承継が認められるのは、原則として配偶者、高齢者、障害者等となっています。
でも、平成十七年の国の通知の場合ですと、それで終わっているわけではないんです。障害者など、この後に、特に居住の安定を図る必要があるものとするというふうになっているんです。平成八年の通知よりも後に出された国の通知です。
そして、さらにその後、住宅セーフティーネット法ができて、第二条第一項で住宅確保要配慮者、これが定義をされました。その中に、その収入が国土交通省令で定める金額を超えない者と、収入の要件を書いているわけですけれども、この国土交通省令で定める額、これは月収十五万八千円、さらに、給与所得控除、配偶者控除、扶養親族控除を行った上で月額換算したものということになっています。つまりこれは、公営住宅に入居可能な収入基準ということです。
真に住宅に困窮する低額所得者というのは、本来、この収入を超えない人をいうのだと思いますけれども、これについては都の見解はいかがでしょうか。
○八嶋経営改革担当部長 繰り返しになりますけれども、都営住宅への入居は公募が原則でございます。
公募の例外である使用承継によりまして、長年にわたり同一親族が居住し続けることを認めることは、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なうこととなると考えてございまして、国土交通省は平成十七年の通知におきましても、使用承継を認める範囲を厳格化しているというところでございます。
なお、東京都におきましては、高齢者、障害者のほかに、病弱者も例外として加えてございます。
○和泉委員 住宅セーフティーネット法が住宅確保要配慮者として規定をしている、その基準よりもさらに高いハードルを東京都は承継の人には設定しているということになるんじゃないでしょうか。本来だったらば都営住宅に入れる収入基準の人まで、承継という理由で追い出される、これが今の東京都の承継のあり方ということになるんじゃないでしょうか。
そもそも住宅セーフティーネット法では十五万八千円、都営住宅に入れる世帯、入っている世帯は、住宅確保要配慮者である低額所得者としているじゃありませんか。そのもとにさらに大変な世帯があって、その人に譲らなくちゃいけないというのは、法の精神に反するダブルスタンダード、おおよそ許されることではないと思います。まずそのことを強く指摘しておきたいと思います。
その上で、都民の中には、市場においては自力で適正な水準の住宅を適正な負担で確保することが困難と見込まれるような低収入の方がいらっしゃるといういい分をとったとしても、それならば、都営住宅で名義人である親に先立たれ、残された子供たちの中にもそのような低収入の人がいるんじゃありませんか。そのような方が都営住宅から追い出され、自力で適正な水準の住宅を適正な負担で確保できる確証はあるでしょうか。
使用承継できなくなった方の中には、住居を見つけられず、一旦はホームレスになったという人までいるんです。低収入の方が都営住宅に入れるように全力を尽くすのは当然です。
だからといって、そのかわりに低収入や無収入の方を追い出すというようなことは、市場において自力で適正な水準の住宅を適正な負担で確保することが困難な状況である以上、やってはならないと強く主張しておきたいというふうに思います。
少なくとも、同居していた人が住宅確保要配慮者に該当する場合には、引き続き住めるようにするべきだと思います。
公募で高い倍率で待っている人がいるのは、決して居住者のせいではなく、供給量が足りないせいです。新規の建設も含めて供給量を大幅にふやすことを求めておきます。
民法改正法が昨年成立したことを契機に、国交省は賃貸住宅標準契約書を改定しました。これは、民間賃貸住宅の賃貸借契約をめぐる紛争を防止し、借り主の居住の安定や貸し主の経営の合理化を図るために、その参考になるようにつくっているものです。
この改定では、契約期間中の修繕について、畳表の張りかえ、裏返し、障子紙やふすま紙の張りかえ、LED照明への取りかえ、給水栓、排水栓の取りかえは、貸し主、つまり大家の負担と位置づけられました。
公的賃貸住宅であるURは、この標準契約書に沿って修繕区分の見直しを進める、必要な措置をできるだけ速やかに講じたいと国会で答弁しました。また、公社住宅についても、我が党の星見議員の質問に対して、都は、公社が法改正、制度改正に適切に対応していくものと認識していると答弁をされています。
都営住宅の畳についても、自分で取りかえるお金が捻出できないため、長年使い続けて、ふかふかになっている、ぜひ都の責任で取りかえるように制度を変更してほしい、そういう声が絶えません。
都は、都営住宅について、この賃貸住宅標準契約書、どのように対応するのか伺います。
○村居営繕担当部長 都営住宅でございますが、公営住宅法第二十一条に事業主体の修繕義務というものが示されておりまして、都営住宅の修繕につきましては、都営住宅条例第十六条に基づきまして、構造上主要な部分や設備は都の費用負担、それ以外は居住者の費用負担で行うことと区分しております。
民法改正を契機とした対応につきましては、国や他の自治体の動向に注視してまいります。
○和泉委員 民法改正を契機とした対応については、国や他の自治体の動向を注視していくということでしたから、明確な否定はされませんでした。
URや公社などの公的賃貸住宅は、標準契約書の変更を踏まえた対応をしようとしています。都は、周りの様子を見てからということにとどまることなく、住民の方の要望を踏まえ、率先して修繕の負担区分の見直しに取り組んでいただくよう求めておきたいと思います。
都営住宅は、きょういただいた資料を見ましても、入居者の年齢別世帯数は、六十五歳以上が六七%を占めています。単身入居者はさらに高齢化率が上がって、六十五歳以上が八一%に及んでいます。
高齢者世帯が圧倒的に多くなっている要因、都はこれをどのように分析しているのでしょうか。
○八嶋経営改革担当部長 昭和四十年代以前、高度成長期の時代に都営住宅に入居した世代が一斉に高齢化しているためと考えております。
○和泉委員 年金生活になった高齢者にとって、安い家賃で住み続けることができる都営住宅は、より文化的な生活を送る上でもとても重要だと思います。
高齢者がそのまま住み続けているということは大いに結構なことです。しかし、建てかえに伴い、単身者あるいは夫婦二人向けの面積の小さい住戸がふえ、子育て世帯が入れるような二DKや三DKの住戸が減らされていることが問題なのではないんでしょうか。
核家族化が進み、分断され、孤立しがちなそれぞれの世代をつないで、子育て中の世帯が経験豊かな高齢者世帯に相談に乗ってもらったり、子供が遊んでもらったり、あるいは高齢者が体力的に弱っている部分を若い世代が補ったり、都営住宅は、そのような地域コミュニティとしての重要な役割を担ってきたのではないでしょうか。
各世代がバランスよく居住していること、これは地域コミュニティとして重要だと思いますが、この点の都の見解を伺います。
○八嶋経営改革担当部長 東京都住宅マスタープランにおきましては、若年ファミリー世帯の入居や多世代同居を促進し、世代間で助け合いながら安心して生活できる環境の整備を進めるとしております。
このため、都営住宅では、具体的な取り組みとして、子育て世帯の当せん倍率の優遇制度や、若年夫婦、子育て世帯向けの期限つき入居を年二回、約一千五百戸の募集を行っております。
また、昨年十一月からは、都営住宅の入居収入基準を引き上げる特例の対象を高校修了期までの子供のいる世帯に拡大をしております。
さらに、本年一月から、期限つきでない若年ファミリー世帯向けの毎月募集を行っており、こうした施策を通じ、若年世帯の入居促進に努めているところでございます。
○和泉委員 多世代同居を促進するんだ、世代間で助け合いながら安心して生活できる環境の整備を進めていく、そのためにいろいろやっていますよというご答弁でしたけれども、世代間で助け合うといっても、型別供給実績、いただいた資料を見れば、圧倒的に一DK、二DKが多いわけです。
子育て世代などの若い世代が入れるような住宅そのものをふやす必要があると思いますが、都の見解を伺います。
○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、東京都住宅マスタープランに基づき、現在の居住者の状況を勘案しながら、ファミリー向けの住戸の整備を進めるなど、若年夫婦、子育て世帯に対する支援拡大を図っております。
○和泉委員 住宅マスタープランには、確かにファミリー向けの住戸の整備を進めるとうたってはいます。
先日の我が党の質疑でも明らかになったように、ではどのくらいの数のファミリー向け住戸をつくるのかということになると、その目標すら都は持っていないではありませんか。これでは看板倒れになりかねません。
根本的には、都営住宅の大規模な新設が必要だと思います。同時に、型別供給の見直しも待ったなしのところまで来ているんじゃないでしょうか。
都政改革本部会議に都市整備局が提出をした見える化改革報告書、都営住宅建設・管理という資料でも、二〇〇五年度以降の建てかえでは、一DK、二DKが合わせて二万一千五百三十九戸に対し、三DKはわずかに二千七百六十戸、率にして一一%です。これでは、建てかえられた団地の世代間のバランスは崩れ、高齢化し、コミュニティの形成や自治会の運営が困難になるのは当然ではありませんか。
家賃の調定額は、二〇〇一年の八百十二億円から二〇一六年の六百六十二億円まで減って、収入額もそれに合わせて七百六十二億円から六百四十六億円へ、百億円も減少しているんです。
さまざまな要因もあるでしょうけれども、単身高齢者世帯がふえてきたことも大きな要因をなしているのではないでしょうか。
先ほど挙げた見える化改革の資料では、多摩地域では、ファミリー世帯向け住戸に単身者が住むことも必要ではないかというような記述もあります。このようなことを都が認めるなら、建てかえにおいても、ファミリー向け住戸を計画的に一定数確保して、従前の居住者が単身者であっても、希望すればファミリー向け住戸に入れるようにしておく。空き部屋になったときにはファミリーが入れるようにして、世代間のバランスが次第にとれるようにしていく、そうした取り組みができるはずです。型別供給の見直しを強く求めておきます。
東京都住宅基本条例では、前文の冒頭に、住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素である、住宅のありようは、都民生活の質はもとより、都民の活力や景観、地域社会の維持形成とも密接に関連しているとうたい、東京にふさわしい住宅政策の目標とその基本方向を明らかにするために、この条例を制定するとしています。
そして、基本的施策として、都は、都営住宅の供給に当たって、多様な世帯が居住する活力ある地域社会の形成を促進するよう配慮することが求められています。
この立場から、都営住宅供給の抜本的な見直しと強化を求めて、私の質疑を終わります。
○宮瀬委員 では、私の方から質問をさせていただきたいと思います。
都議になりまして二期目、六年目でございまして、都民のためを思いまして、時に大変厳しい指摘と、指摘だけではなく、きょうもいろいろご提案しようと思いますが、具体的な政策提言をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、防災についてお伺いしたいと思います。
ことし八月、岡山県倉敷市真備町に行ってまいりまして、現場の方を見てまいりました。本当に一つ一つお伝えしていくと切りがないんですが、皆さんに一枚お見せしたいパネルがございまして、実際、一番被害がひどかった地域の真備町の中でございます。
この中に、災害避難場所、公民館服部分館と書いてありまして、掲示板がございます。ここの横に建物があるわけなんですけれども、実際に、この横にありました建物は、こちらが中でございます、もう片づけが中は終わっていまして、要は何がいいたいかというと、天井まで浸水しちゃっているということでございます。
この地区でも相当な方が亡くなっておりまして、そのあたりはもう全て水に流されてしまったので、実際、この災害避難場所で何人の方が亡くなったかというのは統計はとれておりません。ただ、この全体の地域で何人の方が亡くなったというのは統計が出ております。
こういった現場で物を見ていったとき、では東京都の避難場所といったものはどうなっているのかなということをまず確認したいと思います。
都が指定しました避難場所及び地区内残留地区ですね、いわゆるこの地域はどこにも避難せずに、この場所に残留してくださいとしている地域があると聞いております。そこの標識ですとか、どのような形、仕様になっているのか、都市整備局でこういったパンフレットをつくってやっていると聞いておりますので、まずそこをお伺いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 都は、東京都震災対策条例に基づきまして、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するため、区部の避難場所等を指定しております。
避難場所につきましては、指定と標識の設置を都が行う一方で、発災時における運用や標識の維持管理などを区が担っております。
標識には、避難場所を示すピクトグラムや避難場所の名称、避難場所の範囲を示す案内図などを表示しております。
また、避難場所に設置している標識の形状は縦長の長方形で、幅三十センチメートル、高さ三メートル、奥行き約五センチメートルであり、表示板の材質にはアルミニウム板を使用しております。
なお、地区内からの避難を要しない地区内残留地区には、現地に標識を設置しておりません。
○宮瀬委員 さまざまお話しいただきまして、あくまで都市整備局としましては火災を想定しているということと、地区内残留地区は何もやっていないということでございます。
実際にご答弁ありました避難場所の標識がこちらになると思っておりまして、避難場所のマークがあって、特に火災がどうと書いていないといったことでございます。
つまり何がいいたいかといいますと、私、さまざまな場所を捉えまして議会で質疑してまいりましたが、都が指定しておりますこういった避難場所が水害を想定していなくて、例えば、浸水想定区域図の中に避難場所があったりするわけでございます。
つまり、この表記ですと、火災を想定していると、今、局の答弁がありましたけれども、間違えて水害でこの避難場所に逃げてきてしまう人も、当然、この表記だけだったらいるわけでございます。そういったことから、平成三十年第一回定例会ですとか平成二十七年第四回定例会の方で、さまざま質疑、やりとり、提言をさせていただきました。
こういった状況の中で、こういった取り組みや標識では、火災だけではなく水害にも対応した避難場所や地区内残留地域であると世間は誤解してしまうわけでございます。改めて、改善すべきと提言しますが、見解をお伺いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 平成二十八年三月に内閣府より、避難場所の標識の整備や更新の際には、日本工業規格に新たに位置づけられた災害種別のピクトグラムの表示に努めるよう通知がございました。
それを受け、都は、平成三十年六月の第八回指定見直しの際に、避難場所の新規指定及び拡大を行った箇所を対象に、大規模な火事を示すピクトグラムも表示した標識を設置することといたしました。
設置工事は発注済みで、今年度末までに完了する予定でございまして、これにより、火災に対する避難場所であることをわかりやすく示すことができるようになります。
また、地区内残留地区につきましては、避難場所とあわせて、都や区のホームページへの掲載、パンフレットの頒布などによりまして、幅広く周知に取り組んでおります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。ご答弁をしっかり聞かせていただくと、今後はちゃんと火災の表記をつけるといったご答弁の趣旨でございました。これによって、先ほどの看板を見た方々が、水害の際に、ここは火災のマークがついているので違うんだなといったことで、誤解が生じることは減ると思いますので、ぜひ、新たな答弁だと思いますので、お願いをしていただきたいと思います。
今年度末までに実施完了するというご答弁でございましたので、また地区内残留地域につきましても、広く周知に取り組んでいただけるというご答弁でしたので、お願いいたします。
一方で、先ほどお見せした絵ではありませんけれども、もう既に看板が立ってしまっている標識の、避難場所の表記がある看板が都内にたくさんあるわけですが、これはどういう対応をするのか、お伺いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 先ほども申し上げましたとおり、避難場所につきましては、指定と標識の設置を都が行う一方、発災時における運用や標識の維持管理などを区が担っております。
このため、避難場所等の第八回指定見直しの公表後、各区に対しまして、既存の標識に大規模な火事を示すピクトグラムをシールなどによりまして表示するよう依頼を行っておりまして、一部の区において取り組みが始まっております。
表示が速やかになされるよう、引き続き区の取り組みを促してまいります。
○宮瀬委員 ご答弁ですと、この看板のこのあたりに火災のマークがつく、シールを区にお願いしていくというご答弁でございましたが、ぜひ、災害はいつ起こるかわかりませんので、早急に進めていただきたいと思います。
一方で、国は昨年八月、新たなステージに突入したと洪水浸水想定区域図を出したわけでありますが、やはりどこに逃げていけばいいのかよくわかっていない都民の方も多くいるのが実態ではないでしょうか。
私の地元の話で恐縮ですが、防災訓練というと、みんなで町会の人が集まりまして、同じメンバーが同じ学校の校庭で毎回避難訓練をするわけでございます。ただ、それは災害の中でも、火災ですとか地震災害を想定した避難訓練になっているケースが多くて、水害の際はどこに逃げるのかといったことが、都民はなかなかわかっていない方も多いと思います。
例えば、先ほど申し上げましたが、私の地元高島平という地域は地区内残留地区になっているんですけれども、ここは災害のときはその場にとどまっていてくださいと。でも、新たな浸水想定区域図ですと、その場所は、荒川区が氾濫しますと二週間以上、五メートルから十メートル水が引かないわけであります。
このように、避難場所の選定、指定に当たっては、水害を初めとしたほかの災害も考慮しているのか、お伺いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 都は、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するため、避難場所を指定しておりまして、洪水による浸水被害につきましては対象としてございません。
前回の第七回避難場所の指定見直しでは、東日本大震災での被害などを受け、液状化の可能性があるところや津波による浸水被害のおそれのあるところは、避難場所の指定から除外しております。
今回の見直しでは、崖などの土砂災害特別警戒区域等が含まれる避難場所については、その警戒区域を除いても避難場所として有効に機能することを確認し、指定しております。
○宮瀬委員 状況は大体わかりました。
直接的な答弁というのは、例えば水害を想定した避難場所をつくってくださいといっても、なかなか急には答弁が出ないのはわかっておりますが、ちょうど先月二十三日の政府の中央防災会議有識者会合で、南海トラフ震源域の場合、十四都県百三十九市町村を対象に、全住民が事前避難する地域をちゃんと指定しなさいという有識者会議の政府の発言といいますか、記事が出ております。
いずれにせよ、間違いなく都は入っておりますので、今後、国の通達等が都におりてくると思います。
都市整備局は専門的な知見を持っていることから、火災における避難場所の選定、発表を今まで行ってきたと思います。都の方でいろいろ、どの部署がやるのかといったことがあると思いますが、同様に、建物の高さやまちづくりなど、専門的な観点から水害を想定した避難場所の選定を、区市町村とともに都市整備局の皆さんで進めていっていただきたいということを要望いたします。
次に、長周期地震動対策ということで質問したいと思います。
こちらのパンフレットでございますが、都内には、特にこの新宿周辺には超高層ビルがたくさんありまして、地震が起きた際にはビルが揺れるということでございます。残念ながら、旧耐震基準といいますか、築年数の古い超高層ビルですとか、そういったビルが倒壊するリスクがあるのではないかということで、長期にわたって振動が起きる、この対策を、ビル自体が揺れてしまうということをどう抑えていくのかという部署かと思います。
ビルが倒壊したら大変でございますので、確認したいと思いますが、国が公表しました長周期地震動の影響を受けるおそれのある建物の定義とはどういったものでしょうか。
○青柳市街地建築部長 平成二十八年六月二十四日、国の技術的助言、超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動対策についてが示されました。
それによりますと、その技術的助言に示された対象地域内にある建築物のうち、平成十二年五月に国の告示によって示されました超高層建築物等の新たな構造計算基準によらずに設計された高さ六十メートルを超える建築物または地上四階建て以上の免震建築物となります。
○宮瀬委員 高さ六十メートル強の超高層ビルで、平成十二年五月以前の建物などでございます。
では、都内におきましてそういった建物は何棟あるのでしょうか。
○青柳市街地建築部長 都内におきまして検証が必要となる棟数でございますが、都市整備局で発刊しております建築統計年報などをもとに推計いたしましたところ、対象となる超高層建築物の総数は約七百四十棟、免震建築物の総数は約百七十棟でございます。
○宮瀬委員 今、初めてご答弁になりましたが、合計九百十棟ございますと。その中で、このパンフレットにありますオイルダンパーですね、地震を免震させていく、揺れを免震させ、軽減させていく対策等、いろいろ書かれておりますが、では九百十棟ある中で、しっかりと対策をしたという実績はどれぐらいでしょうか、お伺いします。
○青柳市街地建築部長 長周期地震動対策は法的な義務づけがございませんので、対策済みの建築物の実数については把握しておりません。
○宮瀬委員 これは大変矛盾したご答弁で、七百四十という数字と百七十、約ですけれども出していて、わからないといったことになりますと、それが正しい表現かどうかわかりませんが、わずか九百十棟でございます。あす来るかもしれない巨大災害に対しまして、至急コンタクトをとって対応をお願いしないといけないと思います。
都の方では、このパンフレット自体を業界団体の方々や区市町村の方の窓口に置いているということ、あとホームページにも掲載しているといったことでありますが、実際どれぐらいの分母、九百十棟の方々が見ているかわからないわけであります。
対策も知らない建設主もいると思いますので、直接リーフレットを送付して普及啓発したりとか、直接対応する必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 ただいま委員の方からお話がございましたが、都は本年三月、超高層建築物等の所有者等に向けましたリーフレット、長周期地震動対策を進めるためにを作成いたしまして、都及び都内特定行政庁の窓口で配布するとともに、ホームページにも掲載するなど、普及を進めているところでございます。
過去に、建設会社や設計事務所に対策の普及方法につきましてヒアリングを行いましたところ、建築士などの専門家から所有者に対して対策の必要性について説明した方が理解が得られやすいとの意見がございましたことなどから、建築関係団体に対しまして、リーフレットを活用し、所有者等へ対策の周知をお願いしているところでございますが、ただいまご質問にございましたように、直接的な所有者に対する周知方法につきましても検討してまいります。
○宮瀬委員 ありがとうございます。直接的な所有者に対する周知方法も検討するといったご答弁でございましたので、ビルは、建物は、見ればわかるわけでありますから、ぜひ所有者にコンタクトをとっていただきまして、ビルが倒れないようにお願いをしたいと思います。
一つポイントが、これはパンフレットをよく見ますと、南海トラフを想定したもので、実は首都直下地震を想定したものではないといったことでございます。
地震がどこで起きるのかといったこともございますが、首都直下地震が起きたときの長周期地震動対策というのはないわけで、このパンフレットの中にはないわけでありますから、ぜひ、人類の歴史を見ていったときに、これだけ超高層ビル群が建ち並ぶ中で巨大地震が起きたといった歴史は、過去ないそうでございます。どういったことになるかわかりませんので、想定外ということがないように対策をお願いしたいと思います。
次の質問ですが、この中に、ビルが揺れるわけでありますから、家具が倒れないようにといったことの告知も書かれております。
それで、家具が倒れないようにするためには、家具を固定しなきゃいけないわけでありますが、いろいろ調べまして、大阪北部の地震のときには、転倒した家具の下敷きで亡くなった方がいるそうでございます。
実は賃貸に住んでいる人は、壁に穴をあけることに対して、原状復帰義務というのがあり、家具転倒防止器具をつけることにちゅうちょしている人もいると。当然、家具を固定するために壁に穴をあけたりするわけでありますから、出ていくときに補償してくださいと大家さんからいわれてしまうということでございます。
そこで、命を守る取り組みだと思うんですけれども、都営住宅においては、こういったお部屋の中に家具等の転倒防止のためにそういった穴をあけたときに、退去時に原状回復義務が必要だということで自己負担になっているそうでございます。
命を守るといったことが、災害の中での初動、一番大事なことでありまして、都も、家具を転倒しないように器具を取りつけてくださいと、常々、総合防災部もいっていると思います。でも、つけようとしたときに、都営住宅で、壁に穴をあけたらお金を払ってくださいということでございますので、ここはどうして自己負担させるのか、お伺いします。
○八嶋経営改革担当部長 居室内に工作をした場合、これは公営住宅法上で模様がえといっております。住宅の模様がえにつきましては、退去時に原則として原状回復を求めております。
段差解消のために設置したスロープや、トイレ、浴室の手すり等、バリアフリーや付加価値が加わり、引き続き使用可能なことが確認できた場合には、例外的に原状回復を免除することとしております。
また、家具類等を固定する際に、L字型の金具等を使用して、ねじ等で簡易に転倒防止を行う場合等、小さな傷や穴につきましては、原状回復は求めてございません。
しかし、家具類等の固定でも、壁等にドリルで穴をあけ、中に鉛を挿入してビスを差し込む、カールプラグを使用する場合等、室内に一定程度の傷が生じる場合は、原状回復の対象とさせていただいております。
○宮瀬委員 ありがとうございます。あける穴の大きさに応じて違いますよということでありますが、ここはあえてご提言に対するご答弁を求めたわけではなくて、どうしてこういう状況なのかということの質問にしております。
何がいいたいかといいますと、すぐ提案を受けてやれるようなこと、費用がかかることでありますし、都営住宅の経営を圧迫する要因にもなりかねませんので、ここはあえて意見としますが、ぜひ検討していただくように要望をさせていただきたいと思います。
といいますのも、港区では、家具転倒防止対策を強化するとして、助成金を出しているだけではなくて、高齢者、障害者、妊産婦、ひとり親世帯においては、器具の取りつけ支援もしていると。また、二〇一七年四月からは、区営住宅、区立住宅等、原状復帰義務を免除しております。
これに続きまして昭島市でも、家具転倒防止器具の取りつけ、原状回復義務を免除するといったことも漏れ聞いております。
都営住宅もぜひ、各区市町村は都の動きもしっかり見ていると思いますので、都が率先して取り組んでいただきたいと思います。
次に、大規模地下街等の水害対策についてお伺いします。
私の方で、ことしの第一回定例会におきまして一般質問させていただきまして、実際にいろんな駅を見て、止水対応も確認してまいりました。
都営地下鉄は止水対応を全百一駅でやっているといっていたんですが、実際は地下でつながる民間のビルのところは把握していませんといった状況で、このままいきますと、答弁出ておりますが、都営百一駅のうち四十の駅が浸水すると国が予想しています。十分の四が浸水ですね。
一方、都営地下鉄だけではなく百駅が水没するといわれておりまして、都市整備局の中でこの対策事業があると思いますが、概要と目的についてお伺いします。
○荒井都市基盤部長 大規模地下街等浸水対策の事業概要と目的でございますが、集中豪雨から地下街やこれに接続する施設の利用者の安全を確保し、施設などの被害を軽減するためには、地下施設の管理者全てが連携して浸水対策に取り組むことが極めて重要であります。
このため、都は、都内十二地区の大規模地下街等において、地下街や隣接ビルの管理者、鉄道事業者、地元区などの関係者が連携し、浸水対策に取り組むための協議会及び地区ごとの部会を設置しております。
協議会の取り組みとして、各地区ごとに緊急連絡体制や避難誘導方法などを定めた浸水対策計画を作成しており、これに基づき、地下街等の浸水被害の軽減を図ることを目的としております。
○宮瀬委員 今お伺いしまして、関係者との協議会、部会を置いていくということでございますが、では、今回、十二地区という指定がありまして、ちょっと意地悪な質問で恐縮かもしれないんですが、大規模地下街十二地区の出入り口の数と、あわせて聞いてしまいますが、各施設の止水対策の把握がどうなっているのか、お伺いします。
○荒井都市基盤部長 地区ごとの部会の構成員において出入り口の位置を共有しており、その数を数えますと、地下施設同士が接続する出入り口といったものも含めまして、十二地区全体で約六百カ所ございます。
そういった出入り口におきまして、各施設管理者の方で止水板や土のうなど、各施設における浸水防止のための資材の準備状況を、これも地区ごとの部会において把握して、構成員で共有しているところでございます。
○宮瀬委員 つまり、六百カ所ありまして、実際に各六百カ所、止水対応がされているのか、都は把握しているのか、お伺いします。
○荒井都市基盤部長 各地区の浸水対策計画において、地下空間を有する施設管理者は、みずから管理する出入り口などから浸水が確認された場合、または浸水が予想される場合には、止水板や土のうなどを速やかに設置することになっております。これに基づきまして、各施設管理者がみずから適切に対応することになっております。
○宮瀬委員 済みません、六百カ所出入り口があって、その六百を分母としたときに、止水対応しているのはどれぐらいなのかといいますか、現状、数を把握されていますか。
○荒井都市基盤部長 各施設管理者が管理している出入り口について、全て止水対策がとられているかどうかまでは把握してございませんが、各地区の浸水対策計画において、各施設管理者は、浸水の可能性がある場所には土のうなどの資材を準備し、保管管理を行うように定めてございます。
○宮瀬委員 ご答弁ありましたように、ここは、都は、六百カ所という場所を把握しながらも、その六百カ所それぞれがどういう対応になっているのかは、全て協議会の方にお願いしていて都はわかっていないと、ちょっと意地悪な感じで受けとめればそう受けてしまいます。
では、実際に私も民間のビルを回ってみたんですけれども、平日は警備員さんがいて、防災センターがあって、大雨が来てしまったときに止水板を設置できますと。ただ、土日の連絡体制、土日は休みなので誰もいませんという民間ビルもあるわけでございます。そういった連絡体制はどうなっているのか、お伺いいたします。
○荒井都市基盤部長 地区ごとの部会におきまして、土日を含め二十四時間連絡可能な体制づくりに取り組んでいるところでございます。
大部分の地下施設において、二十四時間連絡可能な状況でありまして、残りの施設についても、引き続き連絡体制の構築に向け取り組んでまいります。
○宮瀬委員 六百カ所あれば、雨ですので、水ですので、必ず水が防げるとは私も思っておりません。
連絡をとり合って、どうやって避難をしていくのかといったところが大事だと思っておりますが、都としてどう認識してサポートしていくのか、お伺いします。
○荒井都市基盤部長 地下空間を有します施設への浸水時または浸水が予想される場合には、止水板の設置などとともに、地下施設利用者の避難を最優先に行うことも重要でございます。
このため、都は、地区ごとの部会を通じて、地下施設利用者が安全に避難できるよう、緊急連絡体制や避難誘導方法などを定めた浸水対策計画の充実に向けた取り組みや、各地区の施設管理者の連携強化のための情報伝達訓練の実施などを支援いたしまして、各施設管理者の浸水に対する自助、共助の意識の醸成を図っているところでございます。
○宮瀬委員 私は、この答弁、最初お伺いしたときに違和感がありまして、要は協議会の自助、共助の意識の向上を図ると。つまり、先ほどの出入り口の数もそうですけれども、最初に、冒頭に目的を聞いたのは、都の今回の事業概要と目的のところで、協議会及び地区ごとの部会を設置して連絡体制を強化していくんですよというのが目的になってしまって、肝心な都民の方々の生命、財産をどうやって守っていくのかが主となる目的になっていないんじゃないかなと。つまり、自助、共助の意識向上を図るではなくて、しっかりと都が主導して浸水対策も避難対策も行ってほしいなと。
実際にやっていただくのは、当然、当事者の皆さんでありますが、それまでの間、ぜひ、都がお金を出すのか会議体だけではなく音頭をとっていただきたいなと。その下には何万人もの利用者の方がいるわけでありますので、こちらもお願いしたいと思います。
次に、さまざまな論議を聞いてまいりましたが、住宅確保についてお伺いしたいと思います。委員の先生の皆さんのいろんな質疑を聞かせていただいて、少し切り口が違いますので、お伺いしたいと思います。
都の住宅セーフティーネットの制度の目的と取り組みといったところでお伺いします。
○澁谷住宅政策担当部長 少子高齢化が急速に進展する中、低額所得者や高齢者など住宅確保要配慮者の居住の安定確保が必要でありまして、重層的な住宅セーフティーネット機能が重要でございます。
都営住宅は、こうした住宅セーフティーネットの中心的役割を担うものであり、既存ストックの有効活用を図りながら、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給してまいります。
一方、都は昨年十月から、民間住宅を活用したセーフティーネット住宅の登録制度を開始いたしました。本年三月には供給促進計画を策定し、住宅の面積基準の緩和などを行いました。
また、住宅改修費や家賃低廉化補助等の予算を措置するとともに、本年第三回定例会におきましては、手数料条例改正案を通していただきまして、手数料条例を改正し、登録申請手数料を無料化いたしました。
また、都は、平成二十六年に居住支援協議会を設置し、住宅確保要配慮者の居住の安定を図るため、福祉保健局とともに不動産団体や福祉団体等と連携し、区市町村の居住支援協議会の設立促進、活動支援や啓発活動などを行っているところでございます。
○宮瀬委員 少し時間も押しているので、ちょっとまとめて聞いていきたいところもあるんですけれども、ここをあえて聞いたのは、住宅確保要配慮者の居住安定確保が必要ですよ、そのために都営住宅、民間住宅を活用した改修費や家賃低廉化補助等の予算措置というのが二つあるんですよと。などという言葉もありましたけど、その二つですよと。
では、まず、住宅に困っている方は、都営住宅と民間の賃貸だと、そのあっせんですということですが、都営住宅ですが、和泉委員からさきの委員会で資料要求がありましたので私は資料要求しませんでしたが、七ページ、八ページを見ると、倍率が、単身者向けは五十倍なわけでございます。ほとんど当たっていないといっても過言ではないと思っていまして、ここはあわせて聞きますが、昨年度ですが、都営住宅に申し込んだ人、当せんした人、実際入れなかった人の人数というのはどれぐらいなんでしょうか。つまり、今の高倍率になっている状況をどう認識していて、実際何人の人が落ちているのでしょうか、お伺いします。
○八嶋経営改革担当部長 平成二十九年度における単身者向け募集の応募倍率は、最高三百十六倍、最低二倍、平均五十二・五倍となってございますけれども、地区によりさまざまでございまして、公共交通による利便性や住宅の建設年度などによるものと考えてございます。
また、応募された方の数等でございますけれども、これも平成二十九年度、都市整備局における都営住宅募集への応募者は、延べ十三万五千五百六十三人、当せんされた方は七千三百十五人、落せんされた方は、延べ数でございますけれども、十二万八千二百四十八人でございます。
○宮瀬委員 毎年、十二万から十三万人の方が入れていないわけで、倍率が、約六十倍がずっと続いていると。
端的に聞きますけど、課題だと思っておりますか。
○八嶋経営改革担当部長 繰り返しになりますけれども、平成二十九年度における単身向け募集の応募倍率、開きがございまして、地区によりさまざまでございます。公共交通による利便性、住宅の建設年度などによるものというふうに認識をしてございます。
○宮瀬委員 倍率、さまざまな地域があるわけですが、平均が確実に五十二・五というご答弁があって、延べでありますが、落ちている方も十二、三万人毎年いると。私は課題であるという認識を持っておりますが、そういう認識でよろしいでしょうか。
○八嶋経営改革担当部長 また繰り返しで恐縮でございますけれども、単身者向け募集の応募倍率、さまざまでございまして、今後とも、既存ストックの有効活用を図って、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでいくことが肝要であるという認識でございます。
○宮瀬委員 セーフティーネット機能を果たしていくことが重要だというのは私も認識しておりまして、一方で、平均値で倍率が五十二・五倍ですと。これは私は課題だと思っているんですけれども、同じ答弁が続いているんですが、課題じゃないということなんですかね。
ずっと多分同じ答弁になると思うんですけれども、要は、高倍率な状況が続いているこの状況で、これだけ落ちている方がいるのに、都は、課題だと認識しているということを確認しているんですが、その答弁がないわけであります。つまり、課題ではないと受けとめられても仕方ないんじゃないのかなと、私はここ強くいいたいところであります。
普通の常識で考えれば、住宅に困っている方がたくさんいて、五十二・五倍だという平均値があって、それは課題なんですかと聞いたときに、それが明言できないということが一番大きな問題だと思っています。
私は、都議会議員になりまして、多分、各委員の先生もそうだと思います。都営住宅の相談、本当にたくさん受けていると思います。特に私の地元高島平は、昔は、ばりばりに働いて、憧れの団地を買って、築年数が四十五年とかになっているわけですよ。家賃が上がって家賃が払い切れないと。年金は据え置きなので払い切れないといった中で、みんな住宅に困っているわけです。だから都営住宅があるということなんですけれども、倍率があって全然当たりませんと。
私は、こういう文書は一回も読んだことないです。こういう文書はもう、この先、もう嫌なので読みたくないんですが、代読してほしいと一年前にいわれたので、ちょっと簡単ですが、代読させていただきます。
拝啓。私、板橋に住んで三十年、都営住宅に二十五年以上申し込みましたが当たりません。国民年金で生活しています。年金六十四歳まで掛け、六十九歳から受け取っていますが、家賃、公共料金を支払うと一万五千円しか残らず、生活は成り立ちません。せめて都営に住ませていただければ生活できます。後期高齢者で体調を崩し、働くこともできず、夜も眠れず考え込む毎日です。知人から都議会に住宅政策会があるので相談するよう勧められました。都議会議員の方々は、都民の暮らし、幸せのため日々活動され、ご多忙のところまことに申しわけございません。この苦しい現実を知っていただきたく、私にはほかの方法が見つかりませんという手紙でございます。
こういう方がいて、もう一回聞きます。課題でないと思っていますか。
○八嶋経営改革担当部長 単身者向け募集の応募倍率でございますけれども、平成二十九年度で最高が三百十六倍である一方で、最低で二倍というような住宅もございます。地区によってさまざまでございまして、利便性等によるものだというふうに考えてございます。
○宮瀬委員 ちょっと同じ答弁の繰り返しで、全く質疑が進まないんですけれども、こういった手紙、僕は読んだこと一回もないです、今まで。でも、もう本当に余りの状況が続いていて、実際、年金が下がって家賃が上がって、住むところに困ってしまって、URからは出ていってほしいと、そういった方はホームレスになるしかないわけであります。
都営住宅に申し込む、でも当たらない、居住支援協議会を通じて民間賃貸住宅の入居あっせんということがありますが、後で確認しますが、民間賃貸の入居あっせんの数ってどれぐらいなんですかというところであります。
都営住宅の枠や戸数をふやすつもりはないんですかといった議論が、先ほどもありました。そこは、ふやすという答弁、なかったのはわかっていますので質問としませんが、そのときの答弁を聞いていますと、社会経済状況が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅について、既存ストックの有効活用を図り、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たすということでございます。
このご答弁の中で、社会経済状況というのはどういうことなのかなと、いろいろヒアリングさせていただきまして、人口が減っていく中で新たな建設となってしまうと、維持管理コストですとか、空き家が生じてしまうといったことだと私は捉えています。
でも人口動態が、二〇二五年が都内ピークだと、よくご答弁に出ているんですけれども、今回の都営住宅の入居条件であります六十歳以上の単身者のボリュームが本当の人口動態、社会経済状況だと思います。
今、二〇二〇年だとして、二〇二〇年、六十五歳以上の人口が三百二十二万人、ピークが、実は四百二十九万人まで上がります。その年度は実は二〇五〇年であります。これは都が出した資料に、年代別の人口推移が出ております。つまり、二〇二五年、都内の人口がピークを迎えるといっていますが、実際、都営住宅、六十歳以上の入居要件に当たる人の人口のピークは二〇五〇年なわけであります。
つまり、あと三十年間どうするんですかと、これからどんどん都営住宅が必要になってくる高齢者の方がふえていくでしょう、母数がふえていくわけですから。その中で供給が全く追いついていないのは明らかであります。
そういった中で、私も委員をやっていますが、東京都住宅政策審議会が平成二十八年の答申の中で、空き家の掘り起こしを行って、空き家を活用して、住宅確保要配慮者向けの住宅として活用を促進すべきだという答申が出ています。
そこで、都の空き家対策ということが出てくるわけでありますが、都の方では、空き家対策の目的を適正管理、有効活用、発生抑制の視点というふうに定めております。つまり、空き家を減らしていくんでしょうか。それとも、発生抑制というのは、空き家は少なくともふやさないということでよろしいんでしょうか、お伺いします。
○澁谷住宅政策担当部長 空き家を減らしていくのかどうかという直接のお尋ねでございますけれども、空き家対策につきましては、やはり目的といたしまして、単純に減らしていくということではなくて、都民の生活環境の保全、それから空き家等の活用を図ることなどを目的としておりまして、先ほどご指摘もいただきましたとおり、適正管理と有効活用と、それから発生抑制と、そのような三つの視点を持って取り組みを進めさせていただいているところでございます。
○宮瀬委員 そこで、今回資料要求させていただきました一九ページ、二〇ページの空き家の発生抑制ということなんですけれども、年々、この五年で六万件ふえていて、東京都の方で実態調査をしてほしいと、六年前の一般質問でもお伝えしているんですけれども、実際、区市町村を通じて調査のお願いをしていても、東京都は空き家の実態を把握していないと思います。
この資料要求の資料にありますが、実際、空き家は何件減ったんですかといったことの回答だと思いますが、この二〇ページにあります平成二十九年度の括弧のところですね。改修、除却等と、これは東京都が空き家のモデル支援事業をやって、確実にいえる空き家の数を減らした数は、平成二十八年度が三件、平成二十九年度が六件であります。これで本当に抑制になったといえるんでしょうか。所見をお伺いいたします。
○澁谷住宅政策担当部長 空き家対策でございますけれども、この空き家対策につきましては、やはり区市町村の役割が重要でございまして、都内の区市町村におきましては、地域の実情に応じて空き家対策に取り組んでいるところでございます。
今後も増加が見込まれるであろう空き家の問題に的確に対応するため、地域の実情を把握している区市町村の取り組みを都が支援をしているところでございます。
具体的には、こうした区市町村の取り組みに資するよう、都は全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会を立ち上げまして、都の補助を活用して改修や除却を行った事例も含めまして、先進的な取り組みについて情報共有を行っているところでございます。
引き続き、こうした取り組みなどを通しまして、都の支援事業の活用を促しながら、区市町村の空き家対策への支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○宮瀬委員 ちょっと失礼があってはいけないんですけれども、大変立派な答弁があるんですけれども、結果は、もう皆さんが資料要求で出していただいた数値、四件とか三件とかなので、都の住宅審議会が出しております、空き家を活用して住宅に困っている人に提供していくという施策が、皆さんの中に存在していないといったところで、私はこの数字を見ると思ってしまうわけでございます。
一方で、冒頭に聞きました、住宅に困っている人たちのために都営住宅がある、あとは民間賃貸住宅を活用するといったお話がありました。その中で、民間住宅の賃貸を活用するというのが、セーフティーネット住宅の家賃低廉化補助だという認識であります。もう時間がないので自分でいいますけれども、その実績が、この巻末二二ページの、期中でありますが、ゼロであります。
実際に予算規模を確認しましたら、大体六千万円ということですので、月一万都が負担する、家賃を補助すると年間十二万円です。六千万円の規模でしたら、これの恩恵にあずかれる方は約五百世帯であります。
つまり、東京都は、住宅に困っている方々に対して都営住宅を提供するということをいっていて、民間の賃貸住宅も活用しますといっていますが、量も、まずは活用してもらっていないと。活用してもらうことと、その規模を拡大することが大変重要だと思います。
この後ずっと提言をしようと思っていたんですが、提言はまた次の機会もありますので、具体的にどういう案があるのかといったことは次回にしようと思いますが、私の主張をまとめますと、住宅に困っている方々が都営住宅に入れておりません。その数は毎年約十三万、延べ人数ですと。その人数は、人口動態からいってますますふえることが予想されます。にもかかわらず、都は都営住宅の戸数をふやさない。代案として民間住宅を活用した家賃低廉化補助制度は実績がない。実績が出てもその規模は最大わずか五百世帯。住宅審議会で空き家を活用すべきという提言に対して、そもそも空き家の削減数はわずか数件といった状況で、空き家の実態を把握されておりません、都は。
そういった状況の中で、都の住宅政策、都市整備局の住宅政策は、やはりほかの委員からもありましたが、一度立ちどまって見直していくべきだと思っております。
提言は五、六個ありましたが、次の委員会で提言させていただきます。
以上でございます。
○本橋委員長 ここで運営に関して申し上げます。
この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたしたいと存じます。
午後六時八分休憩
午後六時三十九分開議
○本橋委員長 それでは、休憩前に引き続きまして委員会を再開させていただきます。
質疑を続行いたします。
それでは、発言をお願いいたします。
○滝田委員 今回より都市整備委員会のメンバーが大きく変わりましたが、私の方は二年目も引き続き担当してまいりますので、よろしくお願いいたします。
これまでの都市化の流れの中で犠牲にされてきた水辺、緑、空を都市に取り戻す、人の手に取り戻す転換点に来ていると考えています。東京の新たな活力と魅力を高めるため、水辺や緑や空を生かす次世代の都市空間の形成を関係各局と協力して進めていただきたいと思います。
具体的には、例えば水辺を生かす舟運や河川空間の利用、緑を生かす公園や都市農地の多面的活用、空を生かす無電柱化や首都高速道路の地下化など、取り組みの加速を期待いたします。
一方で、道路、鉄道、防災などのハード整備には、新規整備と老朽化施設の更新と両面で引き続き巨額の費用が必要となります。安全、快適、効率を高め、東京の成長を実現していくこととともに、二〇二五年以降は東京でも人口減少時代を迎えるといわれる中で、どのように財政面で都市経営を持続させていくか、ワイズスペンディングの観点で都市整備局の担う立場は重要です。
加えて、技術革新の進展により、都市の構造もこれまでと大きく前提が変わる可能性が高まっています。大きな変化をどのように把握して取り入れていくかは、都市整備行政の戦略を左右する鍵になると考えています。
こうした観点に基づいて、本日は八つのテーマを質問いたします。
見える化改革について、快適通勤と多摩地域のホームドアについて、多摩都市モノレールについて、舟運と水辺空間の活用について、防災施策について、多摩地域の取り組みについて、屋外広告物規制について、技術革新に関する調査について、順に伺います。分量が多いので、やや早口で伺ってまいりますが、ご容赦をお願いします。
初めに、見える化改革について伺います。
本年度より都政改革本部が職員主体の自律改革に移行したことで、より一層改革の中身が問われています。特別顧問によらなくても、職員主体で改革を進められると証明していくことに都市整備局としてもご尽力をお願いしたいと思います。
都市整備局では、見える化改革において、六つの事業ユニットを担当しており、総務部が取りまとめた上で、各担当の部課にて対応したと事前の確認で伺っています。
そのような中で先日、十月十七日に報告された交通政策に関する報告書を拝見しましたが、道路や鉄道ネットワークではなくて、かなりバリアフリーに特化した内容でありました。その背景についてお伺いをいたします。
○荒井都市基盤部長 交通政策におきまして、例えば都市計画道路につきましては、定期的に整備方針や事業化計画を策定し、必要性を検証の上、優先順位を定めて、計画的、効率的に整備を進めているところでございます。
また、鉄道ネットワークにつきましては、既に世界に誇るべきネットワークが形成されておりますが、さらに国の交通政策審議会答申第百九十八号に基づきまして、事業化に向けた検討を進めるべきとされた六路線を中心に、国や鉄道事業者などと連携して、課題解決へ向け、調整、検討の深度化を図っているところでございます。
一方、鉄道駅のバリアフリー化は、交通政策の事業費の中でも高い割合を占めている上、少子高齢化の進展や東京を訪れる外国人旅行者の増加などを踏まえ、利用者にとって、身近で高いニーズがある一方、課題や工夫が見えにくいという面もあります。
そのため、交通政策の中から鉄道駅のバリアフリー化の取り組みに着目し、その現状分析、課題整理と今後の方向性について、見える化を図ったものでございます。
○滝田委員 都政改革本部の資料によりますと、見える化改革とは、局レベルの改革として、各局等の主要事業について、適正な予算、人員、サービス水準となっているか、ほかにより有効な政策がないかといった観点から、分析、評価することにより、その実態と課題の見える化を図り、主体的な経営単位である各局等が従来の自律改革のレベルにとどまらず、経営戦略改革のレベルで局事業の自律的かつ総合的な見直しにつなげていく改革であると定義しています。
また、どのような分析を行うべきかについてもフレームワークが示されています。
私の感覚としては、今回の交通政策の報告書が経営戦略改革のレベルとは正直感じられず、厳しいいい方になりますが、既存事業の一環にすぎないレベルであったと評価しています。委員の皆様にも同報告書は後ほどごらんになっていただきたいと思います。
ちょうど先週、私は公営企業会計決算特別委員会の委員として、下水道局について審査をいたしました。同局が昨年度に作成した報告書では、日々の事業ではなく、老朽インフラの更新や浸水対策などの長期的課題に対し、持続的な経営が可能かどうかを検証していました。
私の感覚としては、そうした内容が経営戦略改革のレベルであります。質疑においても評価しているとの発言をいたしました。
鉄道駅のバリアフリー化の話は、政治要件の話であります。一兆円、一千億円規模の桁の話である交通ネットワークの大きな枠組みの検証をし、都市整備局の本気度を都民やほかの局に示すべきであったと思います。
見える化改革並びに自律改革そのものについて、今後議会のさまざまな場で検証されていくことになりますが、私からはこの点は強く指摘せざるを得ないと思っています。
次に、同報告書で力点を置いている内容について質問いたします。
同報告書の筋立てでは、外国人旅行者を含む訪都旅行者の増加に対応するため、移動円滑化の取り組みが必要であるとしています。
しかしながら、同報告書の中には、外国人旅行者などの目線での対策はほとんど記載がありません。ホームドアとエレベーターの整備によったものとなっています。
外国人旅行者などの目線での対策であれば、例えば経路情報などのソフト的な対策も含めて、もっと多様な移動円滑化のアイデアが検証されるべきと考えます。今後の移動円滑化の取り組みについて見解を伺います。
○荒井都市基盤部長 鉄道駅におけます移動円滑化の取り組みには、ハード対策とソフト対策がございます。
ハード対策としましては、エレベーター整備によるワンルートに加え、複数ルートや乗りかえルートの確保が求められております。
また、ホームドアの整備は、現在三割である整備率をさらに高めていくことが求められております。このため、見える化改革で示した考え方に基づき、着実に取り組みを進めてまいります。
一方、ソフト対策としては、新宿駅など大規模ターミナルにおいて、関係者間で連携し、表示内容やデザインを統一し、外国人にも対応した案内サインの整備や、バリアフリー情報を掲載した多言語対応の案内地図の配布等の取り組みを進めております。
誰もが安全で円滑に移動できる環境の整備に向け、ハード対策とソフト対策をあわせて推進してまいります。
○滝田委員 ご説明いただきました新宿駅で行ったターミナル駅の案内サイン改善の取り組みにおいて、どのような課題やニーズがあり、それに対してどのような解決策をとったのか検証し、ほかの駅に横展開できるものは実施していく。今回の見える化改革の報告書では明らかにされていませんが、そういったことにも早期に取り組んでいただきたいと思います。
ほかにも、例えば点字ブロック、有益性はいうまでもありませんが、段差ともなりますので、キャリーバッグや車椅子、高齢の方との相性は実はよくありません。誰もが安心して快適に移動できる移動円滑化と銘打つのであれば、点字ブロックを必要とされる方と、逆に障害と感じてしまう方をどのようなルートで移動させられるかといった検討をすることや、両立するためのデザインに関しても事例や研究がありますので、それらを検討するといったことも必要ではないでしょうか。
ついては、見える化改革の報告書において、新たに示している分析結果や課題並びにそれらに基づく施策の方向性は何か、お伺いいたします。
○荒井都市基盤部長 今回の見える化改革における分析において、エレベーター整備には、膨大な整備箇所、新たな用地や空間の確保などの課題があるとしております。
また、ホームドア整備には、多数の整備箇所、高い整備コストなどの課題があるとしております。
このため、鉄道事業者等と事業促進及び情報共有の場を設け、バリアフリー化の推進に向けた考え方や、駅ごとに異なる課題をヒアリング等により把握するとともに、ホームドアに関する新技術の情報共有を図ってまいります。
また、区市町を通じまして、利用者ニーズなどを把握してまいります。
これらの取り組みを踏まえ、エレベーターやホームドアの優先整備の考え方を整理することにより、限られた事業費を効果的に投入して、鉄道駅のバリアフリー化について整備の促進を図ってまいります。
○滝田委員 移動円滑化の観点では、ホームドアやエレベーター整備だけではなく、ぜひ多角的に方策を検討して進めていただきたいと思います。
ホームドアの整備については、後ほどの質問でも触れてまいります。
いうまでもないことですが、見える化改革で報告書を出して終わりということではありません。今回厳しい評価をお伝えしましたが、都政改革において、都市整備局が全庁の模範とされるような取り組みを行うことを委員として強く要望いたします。
次に、快適通勤の取り組みについて伺います。
先ほどの両角委員と重複するところもありますので、少し端的に聞いてまいります。
快適通勤のターゲットは、近年横ばいとなっている主要三十一区間の平均混雑率一六三%を緩和することであります。都民の皆様が実感として混雑率の緩和を体感するほど、快適通勤施策の成果を上げるためには、現在の時差ビズ加盟企業の募集やPRなどの機運醸成の取り組みだけでは十分とはいえないのではないでしょうか。
通勤者やその雇用企業に対して、時差通勤を取り入れるインセンティブとなる仕組みを設計する必要があります。
そのような中で、オフピークポイントなどのインセンティブの取り組みが民間鉄道事業者や東京メトロ、都営地下鉄において始まってきております。
こうした時差通勤のインセンティブの仕組みについて、取り組みを支援するべきと考えますが、見解及び課題を伺います。
○荒井都市基盤部長 満員電車の混雑緩和には、鉄道利用者、鉄道事業者双方の取り組みが重要であります。そのため、時差ビズの展開に当たりましては、ポスターや動画などを用いた広報展開に加えて、鉄道利用者がオフピーク通勤へ取り組む意欲を引き出していく必要がございます。
今年度の夏の時差ビズでは、鉄道事業者によるオフピーク通勤者へのポイントの付与などに加えて、混雑の見える化など、情報の提供による鉄道利用者の誘導、早朝時間帯の臨時列車の増発も実施していただきました。
引き続き、都としては鉄道事業者に対し、それぞれの路線の混雑状況や混雑緩和への取り組み方針なども踏まえたインセンティブとなる方策の検討を働きかけるとともに、広報や快適通勤プロモーション協議会、専用ホームページなどを通じて、それらの情報を利用者に発信、周知することで支援してまいります。
○滝田委員 時差通勤をするインセンティブの仕組みづくりは、通勤混雑の解消並びに働き方改革に通じるものであり公益性が高い一方、鉄道事業者にとって、必ずしも収益性が高まるものではないことから、都として、インセンティブの仕組みに対する支援策を真剣に検討するべきと指摘いたします。
また、オフピークポイントの取り組みに関して、効果や課題など、実施事業者からの情報収集を行うよう要望いたします。
一方、経済団体、企業、鉄道事業者などの巻き込みについて、一層の強化をしていく必要があると考えます。東京都食品ロス削減パートナーシップ会議では、民間事業者と有識者を交えて、民間での対応策から政策的な課題抽出まで幅広く議論していると理解しています。
他局の取り組みですが、そのような形態も参考として、経済団体、企業、鉄道事業者とともに、課題解決のための知恵を出し合う機会を設けるべきと考えますが、快適通勤プロモーション協議会の現在の役割機能についてお伺いいたします。
○荒井都市基盤部長 快適通勤プロモーション協議会は、時差ビズの認知度向上や機運醸成、混雑緩和や働き方改革に効果的な取り組みの報告を行うことを目的として、平成二十九年度から四回開催し、都内に路線を持つ十二の鉄道事業者や東京商工会議所も参加し、時差ビズの普及促進について連携協力した取り組みを実施しております。
協議会では、ポスターや動画を活用した広報による機運醸成に加えて、先進的な取り組みを行った企業の取り組みの紹介や表彰を行っております。
さらに、ことしの七月に開催した協議会では、時差ビズサロンとして、働き方改革の取り組み等について、情報共有、意見交換を行う場を設け、参加企業間の交流の促進や時差ビズのノウハウの交換、共有などが行われました。
また、時差ビズ参加企業を対象にアンケート調査を行い、都の取り組み内容等に対する意見を集め、改善に活用しております。
引き続き、協議会の場を効果的に活用しながら、時差ビズのムーブメントの場をさらに広げてまいります。
○滝田委員 私、議員になる前まで、まさに企業人でありましたので、その実感から申し伝えますが、一従業員や一企業の意識だけでは実践できないものがたくさんあります。実際に影響を受ける従業員や雇用企業の抱える課題を把握しなければ、効果の高い施策を展開することはできません。
普及活動にとどまらず、快適通勤プロモーション協議会の抜本的な機能強化を図るべきと改めて指摘をいたします。また、具体的な混雑率の緩和目標についても掲げるべきであるということを指摘します。
時差ビズ参加企業の数だけではなく、参加企業の従業員数、参加企業における実施割合など、総合的に向上させていくことで、初めて政策の成果、アウトカムである混雑率の緩和に結びつきます。
続けて、ホームドア整備について伺います。
現在の都の支援メニューは、東京二〇二〇大会の会場周辺地域及び国の駅ホームにおける安全性向上のための検討会の答申に基づき、利用者数一日十万人以上を対象としています。
しかしながら、ホームの危険性を論じるには、本来、駅全体の利用者数ではなく、ホームの構造や通勤ピーク時のホームごとの乗降数など個々に見なければなりません。
個別の駅の状況を把握していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
○荒井都市基盤部長 お話のとおり、国の駅ホームにおける安全性向上のための検討会では、一日当たり利用者十万人以上の駅については、ホーム転落、接触事故の件数が五から十万人の駅に比べて約三・七倍発生していることが明らかになっているため、都は利用者数が十万人以上のJR、私鉄の駅について補助を行っております。
本検討会の方針では、利用者十万人以上の駅において、車両の扉位置が一定している等の整備条件を満たしている場合、平成三十二年度までに整備することになっております。
また、東京二〇二〇大会競技会場周辺駅等に対しては、利用者の規模によらず、補助を実施しております。
平成三十二年度以降につきましては、見える化改革にもありましたように、周辺の福祉施設へのアクセス性等、個別の駅ごとの状況を把握しながら、優先整備の考え方に反映してまいります。
○滝田委員 国の取りまとめによると、件数ベースで約三・七倍との説明がありましたが、利用者十万人以上の駅には、一駅で百万人を超える駅なども含んでいることから、この件数は利用者数やホーム数当たりで事故割合が多いかをあらわしているわけではありません。やはり個別の駅や個別のホームについて、状況把握をしていく必要があると指摘をいたします。
加えて、都は効率的に状況把握を行うため、さきの検討会における分析については、もとのデータが入手できないか、国土交通省と確認いただきたいと思います。
見える化改革の報告書において、優先整備の考え方を示すとありますが、今後のロードマップについてお伺いをいたします。
○荒井都市基盤部長 見える化改革における鉄道駅バリアフリーのロードマップで示したとおり、平成三十年度末に優先整備の考え方を示し、平成三十一年度以降、これに基づき、鉄道事業者において、着実な整備が実施されるよう働きかけてまいります。
あわせて、都費の効果的な投入を検討し、鉄道事業者の取り組みを促進いたします。
また、鉄道事業者等を対象として、情報連絡会を適宜実施し、都内各駅の状況を把握しながら、平成三十二年度以降も切れ目なく、鉄道駅のバリアフリー化を進めてまいります。
○滝田委員 ご説明ありがとうございます。JRが三月に発表した二〇三二年までの整備計画によると、二〇二五年度末までに整備する区間に立川以西の駅が含まれておりません。私の地元八王子駅や西八王子駅は、利用客も多く、事故も発生していることから、都として優先整備の考え方を整理する際にも状況把握をして、早期整備の可能性を検討するよう申し添えます。
次に、多摩都市モノレールに関連して幾つか伺います。
二〇一六年に国の答申で位置づけられた六路線を中心に、検討を具体化するべく、広域交通ネットワーク形成等に関する調査として、本年度、八千万円の予算を計上しています。
当該調査の検討状況をお伺いします。特に多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面、町田方面への延伸についても説明を願います。
○荒井都市基盤部長 鉄道ネットワークにつきましては、都は国の答申において、事業化に向けて検討などを進めるべきとされた六路線を中心に、採算性などの課題の解決に向け、地元自治体や鉄道事業者などの関係者と連携して、検討を進めております。
現在、事業化に向けて必要な検討の深度化を進めており、今年度の委託調査において、国勢調査や人口推計値、鉄道の輸送実績などについての最新の統計データを用いた需要予測、それを踏まえた需要確保策の検討、これらに基づく採算性の検証などを行っております。
次に、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面及び町田方面への延伸についてでありますが、事業化に向けては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況を踏まえるとともに、事業採算性の確保に向けたコスト縮減策や収入確保策などの検討を行う必要があります。
また、町田方面延伸につきましては、導入空間となり得る道路整備の課題もございます。
都は沿線市町、多摩都市モノレール株式会社とともに連絡調整会議を設置して、これらの課題について検討を行っており、引き続き関係者との協議、調整を進めてまいります。
○滝田委員 引き続き検討を進捗するようお願いいたします。
一方、以前の委員会でも指摘しているとおり、多摩都市モノレールは、延伸や今後の設備更新などを見据えて、経営体力を高めていくことが重要であると考えます。
本年六月には、新たに中期経営計画を策定し、これまでの経営再建から軸足を移し、自立と持続的成長を目指す新しいステージに進んでいくとされています。
安全の確保は大前提として、人材の育成、サービスの向上、沿線地域との連携についても具体的な目標を立て、施策を矢継ぎ早に実行してほしいと思います。
そこで、沿線地域、大学、企業等との連携について、取り組みをお伺いします。
○荒井都市基盤部長 多摩都市モノレール株式会社ではこれまで、沿線の大規模商業施設等と連携した割引券つき乗車券の販売、ワイン列車等の企画列車の運行、自治体等と連携したスタンプラリーやウオーキングイベントなどの開催、沿線イベント情報の発信などを実施してきました。
今年度も沿線五市の利用者を対象としたプロ野球観戦を含む企画乗車券の販売や、明星大学と連携した五行歌と呼ばれる詩のコンテストなどを実施しております。
ことし六月に会社が公表した中期経営計画では、沿線自治体を初め各種関係機関と意見交換などを行うことで、地域の声を生かした新たな連携の可能性についても検討していくとしており、会社では地元自治体との調整の場を設けるとともに、沿線地域や企業、団体等が実施するイベントへのさらなる参画を検討するなど、取り組みを進めております。
○滝田委員 先般九月に大手ビール会社と組んで実施された企画列車に個人として乗車し、現場のご努力を一利用者の立場から見させていただきました。こうした挑戦を通じて、社内ノウハウの蓄積を進めていただきたいと思います。
一方で、東京メトロとぐるなびが共同運営しているレッツエンジョイ東京では、学園祭グランプリなるものを主催しておりまして、本年度は東京メトロを含む私鉄八社と共同でキャンペーンも実施しているようです。
多摩都市モノレールの経営リソースは限られている中で、自前で企画するだけではなくて、こうした企画への参画なども検討するべきと提案をしておきます。
ところで、切り口を変えますが、本年七月に多摩都市モノレールに対してサイバー攻撃があり、業務系のファイルサーバーが被害に遭ったと伺っています。
輸送システムは、別系統で切り離して運営されており、安全運転には支障がなかったと理解しておりますが、このサイバー攻撃で受けた被害並びに対策につきお伺いします。
○荒井都市基盤部長 多摩都市モノレール株式会社では、ことし七月に社内の一般業務に使用しているファイルサーバーが外部からのコンピューターウイルスに感染し、保存していたデータが使用できなくなる被害が発生いたしました。
なお、列車の運行に係る輸送システムや定期券購入などを管理する営業システムは、別系統で管理されていることから、影響はなく、またこれまで情報の漏えいも確認されておりません。
会社では、今回の被害を受けて、情報セキュリティーの専門会社を活用しながら、セキュリティー体制の見直し、強化に取り組むとともに、全社員を対象とした研修により、意識向上を図るなど、会社を挙げて対策を進めております。
また、都市整備局では、本件について総務局に報告するとともに、所管の監理団体に対し、情報管理や緊急時の速やかな初動体制を徹底するよう通知するなど、危機管理の点からの取り組みも進めております。
○滝田委員 業務の復旧にも大変なご苦労があったかと思いますが、これを糧にして、セキュリティーの体制強化にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
また、今回の学びを局内にとどめるのではなくて、全庁の監理団体での対策に生かしていくべきです。ほかの監理団体で同様の情報セキュリティーの穴が起こらないよう、総務局と連携して、ノウハウの共有を図るようお願いいたします。
次のテーマ、舟運と水辺空間の活用に移ります。
今後の都市づくりは、これまで都市化の流れの中で犠牲にされてきた水辺、緑、空を取り戻す転換期にあると最初に述べました。東京の本来豊かな河川や海などの水辺空間をまちづくりの資源として、より活用していくべきと考えています。
これまでも私や我が会派の議員は、委員会質問などにおいて、一貫して舟運の活性化や水辺空間の活用について推進するべきと述べてまいりました。
都では舟運の活性化を目指して、運航の社会実験などに取り組んできておりますが、これまでの成果について伺います。
○森交通政策担当部長 都は、舟運の活性化に向けた社会実験として、平成二十八年度から二年間、民間事業者と連携し、羽田と臨海部、浅草を結ぶ航路や東京港を循環する航路、お台場、日本橋での周遊航路など、複数の航路で運航を実施してきました。
その結果、二年間で延べ約四千人の方に乗船いただき、利用者の多い区間が明らかになるとともに、舟運の認知度の低さや船着き場のわかりにくさなどの課題を把握いたしました。
社会実験で需要を確認した航路のうち、お台場発着の周遊航路につきましては、ことし七月に民間事業者による運航が開始されております。
また、その他の複数の航路につきましても、民間事業者により、海上運送法に基づく一般旅客定期航路事業の許可の取得に向けて、具体的なダイヤなどの運航計画の検討や、関係者との調整が進められております。
○滝田委員 社会実験で得られた知見を生かし、引き続き取り組みを前進していただきたいと思います。
前回の委員会においても例示をしましたが、海外、例えばニューヨークでは、都心のマンハッタンと対岸のブルックリン地区との間で、舟運が通勤も含めた日常の足となっている事例もあります。
東京においても、観光としての舟運だけではなくて、今後、日常的な移動手段としての舟運についても可能性を検討するべきと考えますが、見解を伺います。
○森交通政策担当部長 舟運を活性化し、航路を拡充していくためには、観光に加え、日常生活での移動など、船のさまざまな活用方法について検討することが重要です。
このため、今年度、船着き場の整備状況や周辺の公共交通網、開発動向などを踏まえ、舟運を日常の移動手段として活用するための課題を整理し、実現可能性のある航路を検討する調査を実施しています。
○滝田委員 日常の移動手段として活用するための課題整理についても今年度行っていくとの力強い答弁をいただきました。ぜひニューヨークの事例なども参考に、航路や利用形態など検討していただきたいと思います。
また、築地再開発におけるテーマの一つとしても舟運が取り上げられています。前回の委員会で意見したとおりでありますが、鉄道やバスなど、ほかの公共交通網と舟運との交通結節点の形成は、これまでにない新しい取り組み課題であり、築地まちづくり方針をまとめていく過程においても、しっかりと検討を深めていただくように改めてお願いをいたします。
舟運に関する一つ目の質問で回答いただいた内容に戻りますが、舟運は民間事業者による運航を基本にしていると理解しています。事業者ごとに国及び関係各局の許可を受けて事業を実施するわけですが、その際に懸念されるのは、事業者間の連携がなく、運航計画や船着き場の運用などがばらばらになされてしまい、利用者の総合的な利便の向上につながらないケースであります。
より魅力的で利用者の利便性の高い舟運ネットワークをつくるためには、舟運全体として、わかりやすい運航ダイヤ、運航航路とすること、それらのわかりやすい情報発信や案内表示がなされること、適切に船着き場が整備されることなどの要するにインフラが必要になります。
個々の民間事業者に任せるだけでは課題があると考えますが、どのようにして舟運全体の利便性を高めていくのか、見解を伺います。
○森交通政策担当部長 舟運全体の利便性を高めるためには、利用者の視点に立って、わかりやすい案内や情報提供を行うことが重要でございます。
このため、船着き場周辺において、最寄り駅から利用者を円滑に誘導するよう表記ルールを統一するなど、案内サインの改善に取り組んでおります。
今年度は、吾妻橋や有明など六カ所の船着き場周辺で案内サインの試験設置を行い、効果や課題を確認していきます。
また、ホームページやスマートフォンアプリを活用し、事業者ごとに提供されている航路や運航ダイヤ、船着き場へのルートなどの情報を一元的に発信することや、船での移動を含む経路の検索を可能にすることで、舟運の利便性を高めてまいります。
○滝田委員 都民に利用しやすい舟運事業が運営されるよう、必要なインフラづくりに関しては、都としても主体的に進めてほしいと思います。
なお、公的に費用を賄うのか、あるいは事業者からの一定額の利用料などを納めてもらう中でこのようなインフラ整備を行うのかは、関係各局とも連携して、規律を持って検討いただくよう申し添えます。
一方、利便性の向上に加え、水辺空間をまちづくりへ活用する観点から、舟運により水辺へ人を集め、にぎわいを創出していくべきと考えますが、見解を伺います。
○森交通政策担当部長 水辺のにぎわいを創出するためには、船着き場周辺などで地域と連携した舟運の取り組みを進めていくことが効果的です。
このため、舟運とまち歩きを組み合わせたツアーなど、広く舟運の魅力を実感していただけるよう、さまざまな機会を提供しております。
今年度は大田区のイベントと連携して、会場内の船着き場から発着し、羽田空港周辺の夜景や離着陸する飛行機を眺めるクルーズを実施するなど、地域と連携したさまざまな臨時便を運航する予定でございます。
東京二〇二〇大会、さらにその先に向け、舟運が身近な観光、交通手段として定着し、水辺のにぎわいを創出するよう取り組みを進めてまいります。
○滝田委員 船着き場周辺は、河川空間は建設局の所管、臨海部エリアは港湾局の所管、防災船着き場などで基礎自治体の管理となっている場所もあります。舟運が水辺空間を生かしたまちづくりにつながるように、関係各局や自治体と連携しなければなりません。
また、繰り返しとなりますが、築地再開発のまちづくり方針や東京ベイエリアビジョンなどにおいて、舟運の活用と水辺空間の活用を明記して、部局間、自治体間、地域間にて連携して推進していけるように、計画に位置づけることを要望いたします。
次に、防災施策について一点伺います。
不燃化領域率や特定緊急輸送道路の沿道耐震化など、各種の目標設定がなされており、実行プランにある現行の目標が実現した場合には、相当程度、災害時の被害軽減となっているものと理解しています。
防災施策に際限はないのだということではなくて、何にお金を使うのか、どこまでお金を使うのかは、費用対効果と都市経営の持続性の観点から冷静に見ていかなければなりません。
都市整備局で主に担っているハード面での防災施策については、実行プラン以降の長期的なあり方を考えていく上で、議論の土台をつくる時期に来ているのではないでしょうか。
例えば、都が五年置きに公表している地震に関する地域危険度測定調査は、これまで相対評価で各地域の危険度をあらわしていますが、相対評価では、どこまで改善すればいいのか、まさに際限がありません。
加えて、各地域が努力をして改善しても、他地域との比較で改善したように見えないということもあり、指標として課題があります。
今後、地域危険度測定調査は絶対評価としていくべきと考えますが、今回、二月に公表した調査で実施をした改善点とあわせて見解を伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 地域危険度測定調査は、都民の防災意識の高揚に役立てることを目的の一つとしておりまして、地震に対する建物倒壊、火災、総合の三つの危険度を町丁目ごとに測定し、五段階のランクに分けることで、都内の中で相体的にどの程度危険かをわかりやすく示しております。
本年二月に公表しました今回の調査では、新たに建物の倒壊及び延焼の絶対量としての危険量を総合化した危険量を公表しておりまして、前回と比較して、都内全体において、市街地の防災性が向上していることを明らかにいたしました。
さらに、火災危険度で延焼シミュレーションの時間を六時間から十二時間に延長し、火災の燃え広がりによる延焼遮断帯の焼けどまり効果をより反映できるようにするなど、前回に比べ、市街地の実態をより反映した精度の高い測定方法へと改善しております。
今後、地域の改善状況も見きわめつつ、絶対評価の示し方につきましては、学識経験者らの意見も踏まえながら、検討を進めてまいります。
○滝田委員 三月の委員会における我が会派の木下委員の質問に対しても、絶対評価としていくことに前向きに答弁をいただいておりました。学識経験者の方と知見を結集し、地域危険度測定調査の絶対評価化を進めるとともに、各種の防災施策について、長期的なあり方を検証していただくようお願いいたします。
次に、多摩地域の取り組みについて幾つか伺います。
都市づくりのグランドデザインの具体化の一つとして、今年度、多摩地域の整備に関する基礎調査を行うこととしていますが、取り組み状況を伺います。
○久保田都市づくり政策部長 多摩地域の整備に関する基礎調査につきましては、グランドデザインで示した拠点を形成する取り組みを取りまとめることを目的としており、昨年度までは多摩地域の人口動向や産業動向などの基礎的な調査を実施してまいりました。
今年度は、これまでの調査結果を踏まえ、例えば中小企業振興公社が主催した新技術創出交流会に参加した企業のほか、地元の大学などにもアンケートやヒアリングを行い、立地環境など、まちづくりの側面におけるニーズを把握した上で、企業立地の誘導施策などを検討してまいります。これにより、イノベーションの創出や交流の促進を図ってまいります。
○滝田委員 イノベーションの創出や企業立地の誘導などに関して、都市計画的な手法から検討していくというかなり難易度の高いことをやろうとしているので、担当している方の頭を悩ませているだろうなと想像するところです。
グランドデザインの記載から特別用途地区の活用などが想定されていると見受けられます。
しかしながら、例えば新技術の実証フィールドとして、規制のサンドボックスとなる特区を定めることや、ニュータウンなどの、都心に比べてゆとりのある道路空間を活用して、新たなモビリティーを実現すること、イノベーションハブとなる集積拠点の整備をすることなど、せっかくさまざまな企業等にヒアリングをするのでありますから、都市計画的な手法ではなくとも、都市空間を生かすアプローチは多角的に検討し、他局と共同で実現していく目線が必要なのではないかと提案いたします。
多摩地域の中でもニュータウンの話に移ります。本年二月に多摩ニュータウン地域再生ガイドラインを策定していますが、策定後の具体化に向けた取り組み状況について伺います。
○齊藤局務担当部長 まず、都は、地域のまちづくりの主体となる地元市に対しまして、多摩市ニュータウン再生推進会議や八王子市の多摩ニュータウンまちづくり方針の策定に係る懇談会に委員等として参画し、広域的なまちづくりの観点から、ガイドラインの具体化に向けた検討を支援しております。
また、高齢者等の移動円滑化に向け、地元市の意見を聞きながら、最適な交通手段について検討するなど、各市共通の課題について取り組んでおります。
さらに、地元市等の催しでブースを設け、ガイドラインの取り組みをPRするなど、地元市民の機運醸成に努めるとともに、多摩ニュータウンのブランドアップに向けた効果的な情報発信についての検討も進めております。
都は、地元市などと連携しながら、豊かな暮らしと活力に満ちた多摩ニュータウンへの再生に取り組んでまいります。
○滝田委員 区画が広く、移動距離が長い、また高低差があるなど、ニュータウンのもともとのよさが、高齢化が進む中でバリアとなってしまっていることが課題です。
一方、ニュータウンの方から、駅までの道のりの途中にちょっと座って休めるところがあれば歩けるのになという声も聞きます。交通手段に加えて、歩けるための工夫も検討を願います。
説明中にもありましたように、私の地元でも八王子市多摩ニュータウンまちづくり方針を策定中であります。先般、市民とのワークショップも見学させていただきました。都の地域再生ガイドライン策定に地元市が呼応しています。引き続き、具体策の実現に都として後押しされることを要望いたします。
一方、ニュータウンは複数の自治体にまたがって市域が連担しており、加えて生活圏として、神奈川県相模原市も市民にとって関係が深い。
また、都市づくりのグランドデザインなどにも記載があるとおり、二〇二七年に開業を予定しているリニア中央新幹線も同市の橋本駅に停車予定であり、ますますつながりを生かす必要があります。
ついては、市をまたいだ広域の連携、県境をまたいでの連携について、都としての取り組みを伺います。
○久保田都市づくり政策部長 都は八王子市、町田市、多摩市、稲城市、UR都市機構とで構成をいたします多摩ニュータウンまちづくり協議会を設置いたしまして、多摩ニュータウンのまちづくりにおける共通課題の解決に向けた協議を行い、施策の展開を図っているほか、随時、市からの相談に応じるなど相互に連携を図りながら、まちづくりを進めております。
また、リニア中央新幹線が二〇二七年に名古屋まで開通し、橋本駅周辺に新駅が整備されることなどを念頭に、隣接する相模原市とまちづくりの意見交換会を実施するなど、広域的な連携も図っております。
引き続き、広域的な視点に立ち、関係市との連携を深めながら、多摩ニュータウンや周辺地域のまちづくりを推進してまいります。
○滝田委員 自治体間の広域連携に関しては、都がファシリテーターとなって、新たな連携体制を構築していくような支援を行っていただきたいと思います。
特に県境をまたぐ神奈川県や相模原市との情報交換について強化していくようにお願いをいたします。
次に、屋外広告物規制に関して質問をいたします。
まず、プロジェクションマッピングに関する現在の制限の内容についてお伺いをいたします。
○久保田都市づくり政策部長 プロジェクションマッピングは、建築物等に光で投影する方法により表示される投影広告物でございまして、都は平成二十四年度に新しいタイプの広告物として、屋外広告物条例における投影広告物の取り扱いを定めております。
主な内容として、イベント等で企業名、商品名等の営利内容が映らない映像を一時的に投影するものは、規制の対象外としております。
また、営利内容を含む映像を投影するものは、道路等の禁止区域では投影できないこととし、商業地域等の許可区域では、広告板に準じた面積等の一定の規格内は許可を受けることにより投影できることとしております。
さらに、東京二〇二〇大会の機運醸成に寄与するものなどにつきましては、禁止区域や面積等の基準を超える場合であっても、安全性等を確保することを条件に、特例許可ができることとしてございます。
なお、道路等をまたいだ投影はできないこととしております。
○滝田委員 本年三月に国土交通省がプロジェクションマッピングに関する条例ガイドライン及び事業者向けの実施マニュアルを発表いたしました。都においても、屋外広告物条例の修正、または投影広告物条例の制定などにより、プロジェクションマッピングの活用を推奨しつつ、適切な運用がなされるような新たなルールづくりを早期に検討していただきたいと思います。
また、実施マニュアルの中には、道路を挟んで高所から高所へ表示し、禁止行為に該当しないプロジェクションマッピングについては可能であるとの記載もあることから、道路をまたいでの投影についても可能としていくための条件整理を行うよう要望いたします。
プロジェクションマッピングに関して、国のガイドライン策定を受けた今後の取り組みについて伺います。
○久保田都市づくり政策部長 プロジェクションマッピングにつきましては、平成三十年三月、国が投影広告物条例ガイドラインを策定してございます。
国は、このガイドラインは屋外広告物条例の改正等を行う場合の参考であり、具体的には、地方公共団体が景観への影響等も考慮の上、地域の実情に応じて定めるべきとしており、都は年度当初より、景観及び周辺環境への配慮など、課題整理等を進めてまいりました。
今後、広告物審議会の意見も聞きながら、道路等をまたぐ場合を含め、屋外広告物条例における投影広告物の取り扱いについて、都として検討してまいります。
○滝田委員 道路等をまたぐ場合を含めて、投影広告物の取り扱いについて検討を進めるとの方針を伺いました。
東京都の場合は、地域によって求められるものが大きく異なりますので、特ににぎわいづくりにふさわしい地域においては、事業主体が取り組みやすい、柔軟で簡便な運用が行えるよう検討していただくように要望いたします。
景観や環境への適切な配慮の一方で、国際競争の中で首都東京の魅力を高める攻めの施策として位置づけていただきたいと思います。
続いて、屋外広告物規制において、屋外壁面における看板やデジタルサイネージの広告表示面積や高さなどの制限の内容並びに民間からの提案を取り入れ、規制を緩和する手法について伺います。
○久保田都市づくり政策部長 屋外広告物条例では、許可を受けることにより、屋外広告物を掲出できる許可区域等を定めるとともに、当該区域における広告物の面積、高さ等の規格を設定してございます。
例えば商業地域におきましては、表示面積は百平方メートル以下であること、広告物を表示し、または設置する壁面における各広告物等の表示面積の合計は、当該壁面面積の十分の三以下であること、広告物の高さについては五十二メートル以下であることとしてございます。
また、スポーツ振興など公益目的に資する屋外広告物につきましては、面積等の基準を超えるものについても、地元区市町からの依頼に基づき、広告物審議会の審議を経て、特例許可により掲出を認めております。
さらに、企業名等の営利内容を含む広告物であっても、その広告料収入を東京二〇二〇大会に向けた体験イベントなど、公益的な取り組みに充当する活動では、禁止区域での掲出を認めるなど、屋外広告物条例の柔軟な運用を図ってございます。
○滝田委員 プロジェクションマッピングのような投影広告物ではなく、通常の看板やデジタルサイネージについての考えを伺いました。
海外の事例なども鑑みて、民間のアイデアや活力を生かせるよう、都としてもニーズを把握しながら、特例許可の柔軟な運用を重ねてお願いいたします。
最後のテーマとして、技術革新に関する調査について伺います。
本年第一回定例会の一般質問においても質問いたしましたが、自動運転車時代の都市づくりについて、都で行っている調査検討について、簡潔に状況を伺います。
○森交通政策担当部長 都は、自動運転が都市に与える影響や効果を把握し、今後の都市づくりに生かしていくため、昨年度から調査検討を開始し、基礎調査として、自動運転技術の動向、都民へのアンケートのほか、道路空間に及ぼす影響などの調査をいたしました。
今年度は、有識者や民間事業者等に対してヒアリングを行うほか、国等と連携した実証実験により、都内における自動運転技術の導入可能性について検討を行います。
加えて、自動運転技術が道路交通や道路空間に与える影響や効果などの詳細調査を行い、東京の地域特性に応じた活用のあり方について検討を深めてまいります。
○滝田委員 当該調査は、自動運転車が都市構造に及ぼす影響に関して、都がほかに先んじて調査研究をしているものであり、そのような挑戦に取り組んでいることを高く評価しています。
一方、都市間競争の相手となる主要海外都市では、自動運転だけではなく、さまざまな新しい取り組みが行われています。
シンガポールでは、国土全土を3D化するプロジェクトが既に進行しています。サンフランシスコなどでは、パーソナルモビリティーとして、乗り捨て自由の電動キックボードが市民の足として既に定着しています。
AI、ビッグデータ、新しいモビリティーの誕生など、新技術がかつてないスピードで革新し、都市づくりの前提が大きく変わりつつあります。
そのような中で、都市整備局は今後どのようにして技術革新を捉えて、まちづくりを行っていくのか、見解を伺います。
○久保田都市づくり政策部長 都市づくりのグランドデザインの目標年次でございます二〇四〇年代には、人工知能、AI、自動運転、環境技術などが普及、浸透し、社会を支えていくことが見込まれ、これらを都市づくりの中で積極的かつ柔軟に受け入れていくことが重要でございます。
このため、進展するIoT、ICTなどの情報技術の活用とあわせ、蓄積されたさまざまなデータをオープンに使うことで、都市活動の利便性や安全性が飛躍的に向上した情報都市空間の実現を目指してまいります。
具体的にはビッグデータを活用して渋滞をなくし、自動運転技術を活用して、あらゆる自動車交通の定時性、速達性、安全性を高めてまいります。
また、ICTを活用して都市インフラの管理や災害時の対応を的確に行います。
さらに、省エネルギービルの普及や街区単位でのエネルギーの面的利用を促進してまいります。
こうした先端技術を駆使した取り組みを進め、東京を高度に成熟した都市として、持続的に発展させてまいります。
○滝田委員 技術革新は、かつてない速さで進み、先が見えない面もあります。しかしながら、国際競争力を高め、世界をリードする都市となるためには、この技術革新を取り込むことが不可欠であります。
一方で、行政の中だけでこの変化を捉えて対応していくことはできるでしょうか。最先端の技術革新を取り込むためには、都民や民間の議論を喚起し、巻き込みながら、ともに都市づくりをしていくことが不可欠ではないでしょうか。
さきの質問で伺った自動運転時代の都市づくりについての調査のように、既存の延長にないものについても調査研究を進めるべきであります。
また、新技術や新しいコンセプトをつくっていくようなものに関しては、都民や民間を巻き込んでいくために、随時、調査研究情報の公表や共有をしていくよう今後検討いただきたいと思います。
特に既に実施をしていて、来年度以降も予算が計上されるであろう自動運転に関する調査については、その適切性を評価するためにも、中間報告の公開などを要望いたします。
最後に、ホームページ上での資料公開については、閲覧性の向上など、随時進めていただきたいと思います。重要な計画の中に一括でダウンロードができないものや、テキスト検索ができないものなどもいまだにあります。昨今の情報公開では基本でありますので、早急に改善を願います。
以上、多様な質問となりましたが、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○けいの委員 私は、二点質問させていただきます。
初めに、都民住宅について質問します。
最長二十年の管理期間である都民住宅は、平成三十八年度には全ての住宅でその使命を終えることとなっております。
まず、都民住宅制度を創設した趣旨と新規供給を終了した理由について、確認の意味で、お伺いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都民住宅制度は、土地や住宅価格、家賃等が急激に上昇したバブル期の社会情勢を背景に、中堅所得者層が適切な家賃負担で入居できる賃貸住宅を供給する目的で、平成三年度から事業開始したものでございます。
その後、家賃水準や住宅価格の低下など、社会経済状況の大幅な変化等を踏まえ、当初の目的を達成したとの判断から、平成十五年度で新規供給は終了してございます。
○けいの委員 この都民住宅制度で供給した住宅には、住宅供給公社が建設したものなど、幾つかのタイプがありますが、このうち民間の土地所有者が建設した都民住宅の住宅数と戸数、現在管理している住宅数と戸数は幾つあるでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 民間の土地所有者が建設した都民住宅は、累計で九百三十五住宅、二万三千百六十四戸となっております。
管理戸数は、最長二十年間の都民住宅としての管理期間の終了に伴い減少しておりまして、平成三十年三月三十一日現在で三百七十一住宅、八千七十六戸となっております。
○けいの委員 ありがとうございました。都民住宅は、これまでに累計で九百三十五住宅、二万三千戸以上の供給があったとのことでした。総中流社会といわれた時代背景や、バブル期の急激な地価の上昇などの社会経済の中、多くの都民が安心して、適切な家賃負担で入居してこられました。
しかし、今ご答弁いただいたように二十年間の管理期間が終了し、現在の管理戸数は三百七十一住宅、八千七十六戸となっております。約一万五千戸が民間の一般賃貸住宅へ移行されたことになります。
先日、都民住宅に新築時から入居し、二十年間、都民住宅に住み続けた方から相談が寄せられました。管理期間が終わった途端、その住宅は第三者へと売却された上、管理会社もたびたび変更されました。住民には何の説明もなく、一通の書面のみで知らされたとのことでした。
その内容は、物件を買い取るか、家賃の値上げに応じるかを迫る二択の質問状でもあったそうです。しかも、入居者同士が書面を持ち寄って確認し合うと、通知内容も入居者によって違いがあり、入居住民が動揺するのも当然です。
民間の一般住宅に移行したわけですから、家賃設定について、都の指導権限が及ばないのは十分承知しておりますが、都民住宅の管理期間終了時に今回のような住民トラブルが起きるようなことがあってはなりません。
新規供給は既に終了し、今後は全て管理終了に向けた事業となっております。
近年ではどのくらいの住宅が管理期間を終了しているのか、また、今後管理期間が全て終了するまでの見込みもあわせてお伺いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 平成二十七年度から管理期間が終了する住宅がふえ、昨年度は二千八百八十二戸の管理期間が終了し、以降、平成三十一年度までは毎年度、おおむね二千五百戸以上が終了する予定でございます。
平成三十八年度までには全て終了する見込みであり、終了後は一般の賃貸住宅に移行することとなってございます。
○けいの委員 平成三十八年度に全ての管理期間が終了するまで、来年度までは毎年度二千五百戸以上の管理が終了し、一般賃貸に移行していくというご答弁でした。家賃が据え置きになってきた二十年の間に、地域によっては周辺相場が大きく変わったところもあります。
世田谷区のある都民住宅として管理されてきた物件では、民間移行のタイミングで月額五万円の家賃値上げを要求されたと相談がありました。近傍同種に照らし合わせて、現在の相場としては、妥当な金額との主張があり、その件は理解できます。
しかし、東京都がかかわってきた都民住宅ということに信頼と安心を感じて入居したという方は少なくないはずです。しかも、この事業が終わる平成三十八年度とは、つまり二〇二六年です。団塊の世代が後期高齢者となる、いわゆる二〇二五年問題の渦中にあります。
バブル経済対策や中堅所得者向けといった事業開始時の時代からは、誰も想像できなかったような超高齢社会へと社会情勢は変化しております。入居者の中には、二十年の間に引退して、年金暮らしになったり、高齢単身の世帯になったりと生活環境が変化した方もたくさんおられます。
二〇二五年問題の渦中で、都民住宅が民間移行されるタイミングで住民が買い取りを迫られたり、急激な値上げを要求されても、それぞれ対応は極めて困難なはずです。多くの住宅の管理期間が終了しても、引き続き入居者が安心して居住できることが大切です。
都はこのためにどのような取り組みを行っているのか伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都では、住宅の所有者に対して、入居者と締結した契約は都民住宅終了後も引き続き遵守し、あわせて、入居者へ管理期間が終了しても現在の契約が継続することを周知するよう通知しております。
また、都民住宅の管理会社に対しましては、あらかじめこれらの内容を管理事務の手引に記載し、周知するとともに、終了時期には個別に連絡し、きめ細かく指導を行っております。こうした取り組みにより、一般の賃貸住宅への円滑な移行を図ってございます。
なお、管理期間終了後は、都民住宅としての指導権限は及ばないものの、入居者から問い合わせ等があった場合には、具体的な内容を伺いながら、丁寧に相談に応じております。
○けいの委員 これまでも丁寧な対応に努めてきていただいているとのことで安心いたしました。ありがとうございます。
私が紹介した事例は、あくまでも特殊な件だと思いますが、今後、管理終了する住宅がふえていくことがわかっているわけですから、これまで以上に丁寧な対応、それから、もしくは都営住宅にあっせんするなど、さまざまな対応をお願いしていただきたいと思います。
続いて、都営住宅の住宅用火災警報器設置について質問いたします。
本年二月に荒川区南千住の都営住宅で火災が発生いたしました。住民が寝静まった深夜二時過ぎの火災だったため、発見、避難がおくれ、出火元の住民二名が亡くなりました。
まず、都営住宅の住宅用火災警報器設置の状況、そして設置の経緯についてお伺いいたします。
○村居営繕担当部長 住宅火災による犠牲者の増加を背景に、消防法が平成十六年六月に改正され、住宅用火災警報器の設置が住宅の所有者等に義務づけられ、平成十八年六月に施行されました。
東京都では、これに先立ち、火災予防条例の改正によりまして、新築の住宅については、平成十六年十月一日から住宅用火災警報器の設置が義務づけられました。
また、既存の住宅につきましては、平成十八年三月三十一日の条例改正により、平成二十一年度末までの設置が義務づけられております。
それらを受けまして、都営住宅では、建てかえ住棟については、条例改正に合わせ、平成十六年十月から警報器を設置し、既存住棟においては平成十九年度から平成二十一年度の三カ年で約二十万の住戸に電池式警報器を設置しております。
○けいの委員 この南千住アパートの火災発生時、深夜二時、三時という時間でしたけれども、私もすぐに現地へ駆けつけて、消火に当たる隊員たちと被害状況を確認いたしました。逃げおくれて亡くなられたのは、七十代の男性と四十代の男性の親子でした。
ご高齢者だけでなく、四十代の方がいて、決して広いわけではないアパートでなぜ逃げおくれたのか、父親の避難介助に手間取ったのか、熟睡していて、火災に全く気づかなかったのか、火災警報器は本当に機能したのかと疑問が残りました。残念ながら、火災警報器自体が焼かれてしまい、警報器の作動状況は検証できなかったそうです。
先ほどのご答弁では、既存の都営住宅へは平成十九年度から三カ年で電池式の火災警報器を設置したとのことです。十九年に取りつけた住宅では、既に十一年が経過したことになります。
しかし、電池式の住宅用火災警報器は、設置から十年が交換の目安とメーカーもうたっております。しかも、製品の構造上、電池のみの交換はできず、本体ごと交換しなければならないと聞いております。
本体の故障はもとより、電池切れという事態で火災発見がおくれるようなことがあっては、被害を最小限に食いとめることはできません。
既存住宅棟に設置した警報器の更新への都の取り組みについてお伺いします。
○村居営繕担当部長 既存住棟に設置しました電池式の住宅用火災警報器につきましては、設置後十年を経過する昨年度、平成二十九年度から平成三十一年度の三カ年で、計画的に機器の更新を進めているところでございます。
また、入居者に毎月配布している広報紙「すまいのひろば」で、取りかえ工事に対する協力をお願いするとともに、警報器が鳴った場合の対応と機器の取り扱いについてお知らせしているところでございます。
○けいの委員 ありがとうございます。設置後十年の経過に合わせて、更新を進めているとのことでありました。使用環境や電池性能の個体差によっては、寿命が前後することもあると聞いております。
十年というのはあくまでも目安であり、日ごろの作動確認が重要であると考えます。機器により異なるようですが、作動チェックのためのテストボタンがついているタイプや、ひもがついているタイプがあります。
例えば月に一回、自治会で全戸の作動チェックを行う機会をつくったり、各自で定期的にテストすることを促したりしながら、ハード、ソフトの両面で火災対策を進めていくべきと考えます。
さらに、聴覚障害者世帯については、聴覚障害に配慮した機器を配布するなど、火災を早期に発見することで、初期消火や通報等の行動が早まり、近隣への延焼被害も軽減できるよう取り組んでいくべきです。
所管は違いますが、消防庁など一般住宅も含めて住民の状況を鑑みた対応で、都民の生命と財産を守っていけるよう要望し、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○高橋委員 初めに、健康都市づくりについて伺います。
都が昨年公表いたしました都市づくりのグランドデザインによると、二〇四〇年代には、都民の約三人に一人が高齢者となる時代が到来すると予測されております。こうした超高齢社会に対応するためには、多くの高齢者が地域において活動的に暮らせるとともに、助けが必要な高齢者に対しては、地域全体で生活を支えることができる社会を構築することが必要であります。
このような社会の実現に向け、都市政策の取り組みに当たっては、健康、医療、福祉の視点から必要な事業や施策へ大きくかじを切っていく必要があります。
こうした認識のもと、国は平成二十六年に健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドラインを策定いたしました。国のガイドラインでは、まちを歩くこと及びコミュニティ活動といった生活活動に着目し、これらの活動を高めるためのまちづくりに速やかに着手し、スピード感を持って取り組んでいくことが必要としております。
健康寿命を延伸し、生涯にわたり健やかで心豊かに暮らせる社会を実現するため、都民一人一人の主体的な健康づくりを、まちづくりの面からも推進することが重要であります。
今後、都として、都民の健康の維持増進に向けた都市づくりをどのように進めていくのか、所見を伺います。
○久保田都市づくり政策部長 都市づくりのグランドデザインでは、都民一人一人の希望にあふれる未来に向けて、高齢者の健康寿命がさらに延び、幅広く活動している姿や、多様な人々がコミュニティを支え生き生きと活躍している姿を描いております。
その実現に向け、駅周辺等に生活に必要な機能を集積させ、その徒歩圏に住宅市街地を誘導し、歩いて暮らせるまちへの再構築を図るとともに、スポーツを身近に楽しめる都市空間を形成してまいります。
例えば、道路や公園をランニング、ウオーキングの場としても活用できるよう、更衣室や休憩所等のスポーツ支援施設を適切に配置するとともに、身近な地域において、体育館やプール等の健康増進施設の立地を促進してまいります。
こうした健康の維持増進に資する都市づくりを推進するため、お話の国土交通省のガイドラインも踏まえ、都といたしまして、集約型の地域構造への再編に向けた指針を策定し、区市町村による立地適正化計画等を活用した具体的な取り組みを適切に誘導してまいります。
○高橋委員 平成二十九年、国の発表によりますと、百歳以上の方が六万七千八百二十四人、人生百年時代、いかに健康寿命の延伸をさせるか、元気高齢者をふやせるかが課題であります。
ぜひ、区市町村とともに緊密に連携しながら、都民の健康増進に資する都市づくりを進めていただくようお願いをいたします。
次に、都市農地について伺います。
都市づくりのグランドデザインでは、四季折々の美しい緑と水を編み込んだ都市の構築に向け、農地を保全するとともに、農空間を都市の中の魅力のある貴重な資源として活用することとされております。
しかしながら、東京の農地は年々減少が続いており、これに歯どめをかけていかなければなりません。特に今後迫りくる生産緑地の二〇二二年問題への対応が課題であり、そのためには、生産緑地法の改正により、新たに創設された特定生産緑地制度の活用が必要であることから、私は昨年の第二回定例会の代表質問において、農家の方々に対し、この制度の周知を図り、理解を深めてもらうことが極めて重要であることを指摘いたしました。
これにより、現在、地元区市が農業委員会やJAなどと協力し、農家向けの説明会が開催されていると聞いておりますが、引き続ききめ細やかな対応により、二〇二二年までに着実に特定生産緑地の指定を進めていただきたいと思います。
さて、昨年の法改正では、特定生産緑地指定制度の創設以外にも、いわゆる生産緑地の道連れ解除に対応し、小規模な都市農地の保全を図るための改正も行われていることから、生産緑地地区の指定規模要件の引き下げについて伺います。
生産緑地地区の指定の規模要件は五百平方メートル以上とされておりましたが、昨年の法改正に伴い、区市が条例で定めることにより、指定要件を三百平方メートルに引き下げることが可能となりました。
そこで、これまでの区市における条例の策定状況と策定後の動きについて伺います。
○久保田都市づくり政策部長 生産緑地地区の指定面積要件を五百平方メートルから三百平方メートルに引き下げる条例は、平成三十年九月末現在で九区二十一市において策定されてございます。
条例の施行に伴う三百平方メートル以上、五百平方メートル未満の生産緑地地区の指定につきましては、現在手続中のものを含め、九月末現在で三区八市におきまして、合計三十八カ所、一・四八ヘクタールでございます。
今後、さらなる生産緑地地区の指定に向け、都は区市への技術的支援などに取り組んでまいります。
○高橋委員 都と区市で連携して、引き続き積極的に条例の制定と追加指定を進めていただくようお願いしておきます。
次に、田園住居地域について伺います。
国において、都市農地が都市にあるべきものとして明確化され、昨年、都市計画法の改正により、用途地域に田園住居地域が創設されたことは大変意義があることと考えております。
田園住居地域は、一定規模以上の開発が規制され、農地の保全が図られるとともに、農家レストランなどの立地が可能となることから、農業の活性化にもつながると考えられますが、指定に向けた都の取り組み状況を伺います。
○久保田都市づくり政策部長 田園住居地域は、新たな用途地域として追加されたもので、指定には都市計画の変更が必要でございます。適切に変更を行っていくため、田園住居地域の指定の考え方など、土地利用のあり方について、本年二月に都市計画審議会に諮問がなされました。
本年九月の中間報告では、営農意欲や農地活用の機運が高く、市街地の中に農地や屋敷林が特徴ある風景を形成している地域、住宅と農地が共存し、将来にわたって良好な居住環境と営農環境を維持していく地域などに田園住居地域を指定する方向性が示されました。
来年二月の答申を受け、都といたしましては、用途地域等に関する指定基準等を改定いたしまして、区市町や農業委員会等とも連携をして、田園住居地域の指定を進め、居住環境と調和した営農環境の形成を図ってまいります。
○高橋委員 平成二十七年、都市農業振興基本法、その後、基本計画、二〇二二年からの特定生産緑地制度、そして都市農地の貸借円滑化法案など、国の制度がいよいよスタートいたしました。
今後も、都市整備局としても、さまざまな制度を、都の実態に合わせ適宜適切に活用し、東京の農地の保全、活用に取り組んでいただきたいと思います。
次に、先ほど滝田委員からも質問がありましたけれども、私の方からも多摩ニュータウンのまちづくりについて伺います。
多摩ニュータウンは、昭和四十一年に事業が始まって以来、半世紀にわたり、まちづくりが営々と続けられてきました。現在では、住宅や道路、公園などが計画的に整備され、業務や商業、教育など、多様な施設も進出して、二十二万人が住む多摩地域の拠点都市に発展しております。
一方で、住宅の老朽化や少子高齢化などの影響により、オールドタウンになるのではないかという心配の声も聞こえてまいります。
こうした中、都では、本年二月に策定した多摩ニュータウン地域再生ガイドラインに基づき、再生のまちづくりを促進していくと先日の委員会で説明がありました。
そこでまず、都は多摩ニュータウンの再生に向けたまちづくりの課題などをどのように認識しているのか伺います。
○齊藤局務担当部長 多摩ニュータウンの初期入居地区では、入居から四十五年以上が経過し、かつては先駆的でございましたが、今では古くなった住宅や生活基盤などのストックを時代のニーズに合わせてリニューアルすることが課題となっております。
一方、今後、南多摩尾根幹線の整備やリニア中央新幹線の開通など、道路交通ネットワークの充実により、多摩ニュータウンのポテンシャルがさらに高まってくることから、新たな産業等の立地を促進するまちづくりが求められてございます。
こうした多摩ニュータウンの将来のまちづくりに影響を及ぼす社会変化にも的確に対応することが課題となっております。
○高橋委員 ただいま多摩ニュータウン再生の課題について、都の認識を伺いましたが、古くなった団地の活性化などは、全国のニュータウンにおいても解決に苦労している問題であり、今後の都の取り組みが注目されていると思います。
一方、道路交通ネットワークの充実は、多摩ニュータウンの再生にとっては、まさにチャンスであり、時期を逃さず、しっかり取り組むべきと考えます。
そこで、都は多摩ニュータウンの再生に向けた課題の解決にどのように取り組んでいくのか、具体的に伺います。
○齊藤局務担当部長 ガイドラインの主な取り組みといたしましては、まず、駅周辺や道路沿道に商業、医療など、生活を支える都市機能を再配置し、誰もが生活しやすいまちに転換してまいります。
また、老朽化した団地の建てかえや改修により、子育て世帯などの入居を促すとともに、福祉、子育て、交流などの拠点を確保し、多様な世代が安心して暮らせるまちにしてまいります。
一方、交通インフラの整備の進展による多摩ニュータウンのポテンシャル向上を見据え、イノベーション創出に資する新たな業務機能を誘導して、職住が近接するまちを実現してまいります。
都は、地元市や関係事業者などと連携しながら豊かな暮らしと活力に満ちた多摩ニュータウンへの再生に取り組んでまいります。
○高橋委員 都は、ただいま答弁にありましたように取り組みを着実に進め、多摩ニュータウンの再生に向けたまちづくりをリードしていってほしいと思います。
また、多摩ニュータウン再生の取り組みが、他のニュータウンのモデルとなることを期待し、最後の質問に移ります。
最後に、横田基地の軍民共用化について伺います。
横田基地の軍民共用化について、地域の活性化という視点で、多摩の総合的な交通体系を考えると、道路、鉄道に加えて、航空も重要な要素であることから、平成二十七年第一回定例会において質問したところでございます。
多摩地域の経済界も、横田基地の民間利用の実現を目指して、平成二十七年二月に多摩地域経済団体横田飛行場民間利用促進協議会を設立するなど、地域において、共用化に寄せられる期待は大きいものとなっております。
また、多摩地域の人々にとっても、羽田空港や成田空港へ行くよりも、格段に利便性が高まります。横田基地の軍民共用化は、地域の活性化のみならず、空港容量の拡大や首都圏西部地域の航空利便性の向上など、首都圏航空機能を補完し、多摩の活性化だけではなく、首都圏、ひいては日本経済の発展に資するものであると考えます。
そこで、東京都として、多摩地域の発展に資するため、現在の取り組み状況はどのようなものになっているのか、所見を伺います。
○宮城横田基地共用化推進担当部長 横田基地の軍民共用化は、首都圏西部地域の航空利便性の向上や多摩地域の観光など、産業の振興にも資するものでございます。
毎年国への提案要求等の機会を捉えて、共用化に向けて、日米協議を進めることを国に求めております。
また、昨年九月に策定した都市づくりのグランドデザインと多摩の振興プランの中でも、取り組みとして掲げてございます。
○高橋委員 共用化の実現には、日米協議が進められることが重要であります。引き続き、国への働きかけに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
さて、現在、東京二〇二〇大会の機運が高まってきております。東京二〇二〇大会時には、多数の来訪者が見込まれ、羽田空港や成田空港だけで、これら来訪者をさばき切れるかとも危惧しております。
訪日外国人は近年急激に増加し、二〇一六年は二千四百万人、二〇一七年には二千八百六十九万人を超えています。国では、二〇二〇年には訪日外国人旅行者数を四千万人とする目標を掲げており、都においても訪都外国人旅行者数を二千五百万人としております。
さらに、東京二〇二〇大会時には、海外から多くのビジネスジェットやチャーター機が飛来することが予想されております。
これら航空需要に応えるため、東京二〇二〇大会時には横田基地を活用することが必要であると考えますが、所見について伺います。
○宮城横田基地共用化推進担当部長 東京二〇二〇大会開催時には、海外から多くの来訪者が見込まれ、多摩にとっても大勢の人々を迎える機会となります。
横田基地でのビジネス航空の受け入れを含めた民間航空の利用については、外交、安全保障にかかわることから、国と連携して取り組んでいくことが不可欠でございます。
引き続き、地元の声を聞きながら、国に日米協議の進展を働きかけてまいります。
○高橋委員 軍民共用化に向けた第一歩として、東京二〇二〇大会を契機に、横田基地でのビジネス航空の受け入れを含めた民間航空の利用に向けて、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
以上、要望して、質問を終わります。
○曽根委員 私からは、まず、都市計画道路見直しの中間まとめについて質問していきます。
我が党は、東京都の都市計画道路について、他の道府県や政令市に比べて、この都市計画道路の廃止や見直しが余りにも少なく、二〇一六年の第四次の整備計画でも、新たな廃止や見直し路線はごくわずかだった問題を指摘してきました。
これに対して、本会議や予算特別委員会で小池知事は、計画を厳しく精査し、見直すべきは大胆に見直すという答弁を行ってきています。今回、都市計画道路見直し方針の中間まとめについても、この知事の発言の立場を貫けるかどうかが問われていると思います。
ところが、中間のまとめを見ますと、多くの地域で問題になっている、住民や商店街などの声を聞いていないとか、まちづくりやコミュニティへの影響について検証していないなどの問題点が相変わらず残されています。
しかも、中間まとめに対して、八月十日までにパブリックコメントがかなり寄せられたと思いますが、その内容については公表されておりません。
そこで、以下、質問いたします。
この中間まとめのパブリックコメントの件数は、先ほど二百七十件という答弁がありましたが、この内容の特徴はどういうものかお聞きします。
○荒井都市基盤部長 平成三十年七月九日から八月十日までの三十三日間実施したパブリックコメントにおきまして、主な意見といたしましては、検討対象についてや具体的な検証項目についてなどがありまして、現在、意見の内容について整理、取りまとめを行っているところでございます。
○曽根委員 内容についての特徴は全く答弁ありませんでした。しかし、八月十日の締め切りから間もなく三カ月が経過をいたします。内容の整理ぐらいは集約されて当然のところです。
いつごろパブリックコメントの内容と、これに対する行政側の見解は公表するつもりなのか。少なくとも、見直しの基本方針についての議論を深めるためには次の方針案を策定、公表する前に、パブリックコメントでどんな意見が都民から寄せられたのかを公表すべきだと思います。あわせて、基本方針案の公表はいつごろになる予定なのか、お聞きします。
○荒井都市基盤部長 現在、パブリックコメントの意見の内容と見解について整理、取りまとめを行っております。あり方検討は、都と区市町が協働で検討しているため、その意見の内容と見解につきましては、区市町と調整した上で、速やかに公表していく予定でございます。
また、基本方針案につきましては、今後、都と区市町が連携して、個々の路線を対象とした検証を実施し、計画変更等の対応方針を取りまとめた後、公表する予定であります。
○曽根委員 私がこういうことを聞くのは、二〇一六年四月の第四次の整備方針のときは、最終方針と方針案に対するパブリックコメントの集約結果が同時に公表されたわけです。公表されてみると、道路反対の意見が集中した小金井や荒川の道路計画などについては、三桁の人数による反対意見が事実上、黙殺されて、どちらも優先整備路線とされてしまいました。
驚くべきことに、パブリックコメントに対する東京都、二十三区、二十八市町の考え方、対応の項目には、例えば、荒川区の補助九二号線のパブリックコメントは、この先の区間についてを廃止されていくのに当該地域との違いがわからないとか、当該地域の交通の円滑化のために有効な対策はほかにもある、また、補助九二号ができると環状四号線道灌山通りの渋滞がかえって悪化する、渋滞が悪化して、生活道路に流れ込む通過交通がふえてしまうことを懸念しているなど、道路整備のデメリット、道路整備にかわる提案を具体的にパブリックコメントで出しているにもかかわらず、都はそれには応えることをせず、補助九二号線は田端二丁目付近土地区画整理事業の区域が一部重複しており、区画整理事業によるまちづくりを踏まえた道路整備の必要性や、本郷通りと道灌山通りをつなぐ道路ネットワークの形成が図られ、交通の分散による渋滞の解消や、通過交通の流入抑制による地域の安全性向上を図るとともに、地域の防災性向上に資するとして、その必要性を確認し、優先整備路線としていますなどと、自分たちが必要だと決めた内容を一方的に記述しているわけです。
都民が何をコメントしようと、東京都の都合を押しつけるだけならば、パブリックコメントはただの形式となってしまいます。今回、このようなやり方は絶対に行ってはならないと思いますし、都民の意見にきちんと耳を傾け、意見に呼応した都や区市町村の見解をしっかりと述べて、応えていくことを強く求めておきたいと思います。
そして、圧倒的に廃止や見直しを求める意見が多く出された路線については、真摯に都として再検討すべきことを強く求めておきます。
それから、都市計画道路の見直しの問題で、もう一つ大変問題なのは、見直しのやり方の問題です。
都のやり方には、根本的な欠陥があるといわざるを得ません。国土交通省の方が昨年七月に出した都市計画道路の見直しの手引き、この冊子には、見直しの流れについて、一、見直し対象路線の抽出、二、道路の必要性の検討、三、道路の実現性の検討、四、変更、廃止した場合の影響の確認というふうになっています。
こういうふうに見直しを進めている都道府県、政令市が大半であるというふうに書かれていました。
わかりやすいように、きょうはパネルをつくってきました。このように、これは国の文章をそのまま拡大したものです。
見直し路線の抽出の後、必要性に関する評価がありますが、その後に実現性に関する評価という項目があって、その評価項目は、道路整備にかかわる環境への影響、また、まちづくりへの影響、道路整備の施工性、沿道住民の意向、道路整備の事業性などの項目で、この道路が実現可能かどうかということをちゃんと評価してから、次に変更、廃止の影響を確認しなさいというふうな、こういう見直しの流れが全般的に各都道府県や、それから政令市などで行われていますよということが紹介されているわけです。
にもかかわらず、東京都は実際には見直しの基準として、道路の実現性についての判断基準を事実上、設けていないと思います。この理由についてお答えいただきたいと思います。
○荒井都市基盤部長 まず、お話の国の見直しの手引でございますが、これは全国の都道府県、政令市が策定した見直しガイドラインについて、見直しの手順や観点等を整理し、都市計画道路の見直しの具体的な進め方などを事例集として取りまとめたものであると聞いております。
そして、国からも、都市計画道路の見直しは、都市計画決定の主体である地方公共団体が都市計画道路の必要性や事業内容等を総合的に勘案し、適切に判断するものであると聞いております。
ここで都の取り組みでございますが、平成二十八年三月に策定した整備方針においては、優先整備路線を選定する一方で、廃止や縮小など計画を見直すべき路線や、地形地物の状況を踏まえた事業の実現性などの観点から、計画内容を再検討する路線を示しております。これを踏まえまして、現在、複数の路線について廃止の手続を進めております。
加えて、これらの路線以外の未着手の都市計画道路は、事業着手までに期間を要することから、そのあり方について現在検討を進めております。
今後とも、都市計画道路の不断の検証を行う一方、必要な都市計画道路は、地元の理解と協力を得ながら、着実に整備を進めてまいります。
○曽根委員 今の答弁で、実現性の判断については、地形地物などの状況は配慮するという程度です。これは先ほど紹介した国のガイドラインに書かれているような実現性に関する評価では、道路整備によって、環境がどうなるのか、まちづくりに影響はないか、沿道住民の意向はどうなっているか、そういった角度からの検証が、全く都の場合なかったことが今の答弁でも改めてはっきりしたと思います。
これは他の地方では大変重視されていまして、例えば兵庫県では、歴史的まち並みや文化財への影響、商店街への影響、学校や病院など公共施設等の存在、中心市街地の空洞化、地域コミュニティの分断を実現性の評価項目に入れて検証しています。つまりそこに住んでいる人の暮らしに道路が差しさわりがないかということに心を配っているわけです。
さらに、鳥取県では、地域住民の意向を非常に重視して、少しでも地域住民の反対の声があれば、実現性に課題があるとしています。
東京都は、こうした住民の暮らしや意向への視点がそもそもないわけです。ですから、国の道路見直しのガイドラインでも、東京都は実現性の検証をしているとカウントされていません。検証していない七都県の一つに東京都は分離されております。
私は、国の手引で強調しているように、これまでは道路計画を見直しすることに余りに慎重過ぎたという点を、知事がいうように大胆に見直すべきことを求めておきたいと思いますが、しかし東京都の場合、必要性の検証に合格すれば、実現性の検証は大体やらないわけです。
多くの県は、たとえ必要性が高いと判断しても、その後に実現性の検証で、実現性が低い、つまり住民の声に反対が多かったり、商店街に影響があったり、そういう問題があれば、変更や廃止に進んでいくわけですが、東京都の場合は、検証のたびに十数項目も検証項目を設けて、そのうち一個でもひっかかるものがあれば必要だと決めて、存続させるということにしています。
中には、二車線道路に必要とされる交通量の半分しか交通量が予想されなくても、車が通ると見れば、全て残すと。これでほとんど大半の道路は残ってしまいます。
さらには、駐車場もなくて、車で来てくれるなといっている名勝へのアクセス道路をつくるという項目まであります。一度決定した道路を何としても存続させるための検証という批判が、これに対して強く寄せられているわけです。
必要性があると声高に叫ぶ一方で、実現性は顧みない、こういうやり方を反省し、実現性の検証に踏み出すことを強く求めておきたいと思います。
それから、国の手引で、もう一つ、見直しに消極的過ぎるために、どういう問題が起こるかについても示しています。
国の見直し手引の中で、計画決定から六十年の長期間を経過した路線について、最高裁の中で損失補償の必要性について意見がついた例を挙げていますが、この点は都はどういうふうに受けとめていますか、また東京都の場合、長期に計画決定から経過した住民への対策として、どういうことを行っていますか。
○荒井都市基盤部長 お話の盛岡裁判の事例だと思いますが、都市計画道路の区域内に土地及び建物を所有する原告が盛岡市を被告として提訴して、最高裁の判決で原告の上告を棄却したということを存じております。
また、その際、一人の裁判官より、六十年にわたって制限を課せられている場合に、損失補償は必要ないという考え方には大いに疑問があるという補足意見があったことを存じています。
都では、これまでおおむね十年ごとに事業化計画を策定し、計画的、効率的に事業を進めるために、優先的に取り組む路線を示す一方で、都市計画道路の必要性の検証を行い、都民の意見も聞きながら、適宜計画の見直しを行ってきたところでございます。
またあわせて、都市計画道路区域内の建築制限の緩和も行ってきたところでございます。
○曽根委員 東京都は十年ごとに必要性の検証をしていると。しかし、その道路をつくることがいかに大変かという実際上の実現性の検証をしていないために、実際はやろうと思っても、なかなか道路はできないまま、長いものでは戦後間もなくからですから、七十年以上が経過していると。そこで、やむなく建築規制の方を緩和すると。
そうすると、そのまま道路がつくられないまま、最終的に廃止か見直しになるんだったらいいんですけれども、そうしないまま規制だけ緩和するとどういうことが起きるかというのが、私、以前、この委員会でも取り上げましたが、三階建てまで建てられるわけですよね、今、道路に入っているものでもね。
ちょっと敷地のある自宅だとか、工場跡地なんかで、工場を廃止した後に、三階建ての集合住宅、つまり賃貸アパートを建てて、その家賃収入で借金を返しながら暮らすという方も出てくるわけです。
そこに後で道路計画が事業化されるとどうなるかと。その方は間違いなく破産しちゃうんですよ、時期によりますけどね。土地の価格が激しく乱高下している時期にそういうことをやった場合、そうした悲劇まで生み出してしまうという問題が起きてしまうと。
私は、東京都が今回も見直しの対象として、既に事業化した路線や、それから優先整備に指定された路線は、対象から最初から除外しているわけですけれども、今後もそういう道路の見直しはあり得ないのかどうか。こうした道路でも、やはり長期にわたって、問題を残している場合は、思い切って見直さなきゃならない場合があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○荒井都市基盤部長 事業中路線や優先整備路線は、東京が目指すべき将来像の実現に向け、都市の活力、防災性の強化、安全で快適な都市空間の創出などの観点から、重要性、緊急性が高い路線として選定しております。
このため、あり方検討においては、事業中及び優先整備路線については対象外としております。
今後とも、都市計画道路の不断の検証を行う一方、必要な都市計画道路は、地元の理解と協力を得ながら、着実に整備を進めてまいります。
○曽根委員 今お話のあった事業化した路線の中には、特定整備路線に指定されて、このうち五つの路線については、裁判も始まっているわけです。それはそれだけの住民側の理由があるからで、道路問題がいかに住民にとって深刻な影響をもたらすかをきちんと東京都は受けとめるべきです。
例えば裁判となっている五つの特定整備路線は、いずれも計画決定から七十年以上、長期間経過していますが、その間に、私にいわせれば、道路の実現性も、道路の必要性も薄れてしまっていると。
例えば実現性の指標であるまちづくりへの影響という国の手引に基づきますと、道路が有力な商店街を分断してしまうとか、こういう問題が起きているし、住民の移行の問題でも、立ち退き住宅軒数が余りに多過ぎて、住民合意が困難などの問題を、いずれの道路も抱えています。
ところが一方で、道路の必要性という点でも、裁判になっている道路は疑問があるわけです。私の地元北区では、事業化を急いだ理由の延焼遮断効果について、もともとその道路の地域は木密地域ではなかった場所だとか、それから延焼遮断帯が既に別に存在するなど、多くの問題があります。
国の手引に照らせば、もっと以前に計画の見直しをすべきだったというべきです。これらの裁判で司法の判断がどう下されるかによっては、都の道路方針が根本から問われることになると思います。
したがって、都は今回の中間まとめに対するパブリックコメント、さらに基本方針案に対するパブリックコメントも含めて、都民からの切実な声に真摯に耳を傾け、他の大都市自治体にも学んで、道路の実現性、必要性をしっかりと見きわめ、知事の答弁どおり、大胆に見直すべきは見直すように求めておきたいと思います。
次に、米軍基地対策について、何点か質問します。
十月一日、CV22型のオスプレイが横田基地に正式配備されました。我が党の国会議員や都内の地方議員が基地を抱える福生市の職員と懇談した際に、市の担当者は、正式の配備が十月一日だというより、それ以前からなし崩しの配備と昼夜を分かたぬ訓練が繰り返されているというのが実態だと述べています。
余りにも我が国と国民、都民をばかにしたやり方、無法なやり方であるといわなければなりません。
一方、こうした米軍の横暴に対しては、かねてから米軍基地が置かれていた自治体のみならず、米軍基地がない自治体からも厳しい批判の声が上がってきているということは大変重要なことです。
その象徴的な出来事は、全国知事会が去る七月に日米地位協定の見直し、改定を求める意見書を全会一致で採択したことです。この知事会の地位協定見直しの提言では、米軍基地の飛行については、航空法を初めとする国内法の適用を求めていると思いますが、いかがでしょうか。
○高原基地対策部長 お話のとおり、本年七月、全国知事会では、日米地位協定の見直し等を国に求める米軍基地負担に関する提言を全会一致で決議してございます。
提言では、日米地位協定は締結以来一度も改定されておらず、補足協定等により運用改善は図られているものの、依然として十分ではないことから、米軍機の飛行への航空法の適用等、抜本的な見直しを求めております。
また、都は、国への提案要求や米軍基地所在の都道府県で構成する渉外知事会要望等でも、日米地位協定の見直しを要請してございます。
○曽根委員 国内の航空法を適用したら、オスプレイの訓練なんかどだいできないと私は思いますよ。しかも、知事会の意見書には、全部で四つの点が強調されています。
第一には、低空飛行訓練などについて、ルートや時期を事前に情報提供し、不安を払拭した上で実施するよう配慮すること、また、第二に、日米地位協定を抜本的に見直し、国内法を原則として適用させることです。
第三には、米軍による事件や事故の具体的かつ実効的な防止策を提示し、進め、また航空機騒音については、負担軽減を図られる運用を行うとともに効果を検証すること、第四に、基地の整理、縮小、返還を積極的に促進すること、この四つが提言をされているわけです。
しかし、CV22オスプレイの配備とそれに伴う訓練は、この決議の方向に文字どおり逆行するものです。
今年度になってからのオスプレイの横田基地への飛来情報について、都はどういう情報源からどこまで把握しているのかお聞きします。
○高原基地対策部長 オスプレイの横田基地への飛来については、北関東防衛局から離発着の時間や機体数等の情報が提供されており、これによれば、本日、委員会資料としても提出したとおり、本年四月から九月までの間の離発着回数は、着陸が百三十五回、離陸は百三十回でございます。
○曽根委員 この資料を見て、私もびっくりしたんですけれども、羽村市の平和委員会という市民団体は、自分たちの観測や周辺市町の情報などをもとに集約して、CV22オスプレイの日本上陸後から都と同じ九月末までに五百五十一回の飛来を確認しています。
つまり、国からの情報をはるかに超える離着陸が横田基地で行われているわけです。米軍や国からまともな情報提供が寄せられていないことは、こういう数字からも明らかです。
それから、騒音の負担軽減という点では、とんでもない事態が進んでいます。私たちが現地でヒアリングした話では、結果では、基地のすぐ近くに住んでおられる方から、オスプレイが基地のフェンスのすぐ近くで、つまり基地の外にある住宅からも目の前に見えるところで午後から夜間までにかけて、断続的にですけれども、四時間にわたって、ホバリング訓練を行ったということでした。
計測すると百デシベルを超える爆音が続き、会話も当然成り立たないそうです。静かな人間らしい暮らしは、オスプレイの配備と傍若無人の訓練によって、突然奪い取られてしまったわけです。
別の方からも、深夜十時くらいまで飛んでいると。その間は携帯電話もテレビもだめだということでした。また、別の方からは、窓を閉めていても会話ができない、テレビも聞こえないという話も聞きました。
こうした異常な事態が現に起きていることを東京都はご存じでしょうか。
○高原基地対策部長 オスプレイなどの飛行情報は、米軍の運用にかかわるものでございまして、国の責任において情報を取得し、提供すべきものでございます。
先ほども申し上げましたが、オスプレイの離着陸や飛行については、国が横田基地隣地において、目視により監視、情報収集を行っており、都としては、それ以外の情報は承知してございません。
一方で、オスプレイの飛行に関し、周辺住民の皆様が不安を感じていることは承知してございます。
安全保障に関することは国の専管事項ではございますが、米軍の運用に当たっては、安全面や基地周辺住民の生活に最大限の配慮が払われなくてはならず、このため、都は、四月の配備計画発表以降、地元自治体とともにオスプレイの運用に関して、低空飛行を行わないことや、夜間の訓練等を行わないことなど、安全対策の徹底等を国や米軍に対して要請をしてきてございます。
○曽根委員 国や米軍に対して安全や、また夜間の訓練を行わないこと、住民の不安を払拭することを求めていることは大変重要だと思います。
しかし、住民の深刻な実態に心を寄せて取り組むには、現にこういう事態が起きていることを、基地周辺の住宅を訪ねて、丁寧に話を聞き取らなければ、住民の福祉を増進するという自治体の精神に根差した、国や米軍に断固として物をいうことは難しいんじゃないかと。ぜひ住民の声を直接東京都も聞いてほしいということを求めておきたいと思います。
それから、もう一つ、一部で報道されているように、横田配備のオスプレイが都心の麻布ヘリポートに飛来する危険性があるという問題です。
オスプレイが麻布ヘリポートに飛来する可能性について、東京都はどう見ていますか。
○高原基地対策部長 先ほども申し上げましたが、米軍の運用に関することは国の専管事項でございまして、国の責任において、周辺住民や地元自治体に十分な情報が提供される必要がございます。
お尋ねの件につきましては、関連する報道もございましたことから、国に確認をいたしましたが、CV22オスプレイが赤坂プレスセンターに飛来する可能性については、米軍の運用に関することであり、承知していない、なお、お知らせできる情報が米側から得られれば、地元自治体に対して情報提供を行うなど、適切に対応するとのことでございました。
○曽根委員 では、可能性がゼロではないということだと思いますので、ゼロではない以上は、都はオスプレイの横田基地にもちろん反対すべきだと思いますが、同時に、まさか都心へのオスプレイの飛来は絶対に許されないという立場で、未然に防ぐための手だてをとる必要があるんじゃないでしょうか。
○高原基地対策部長 繰り返しになりますが、安全保障に関することは国の専管事項でございますが、米軍機の飛行運用に当たっては、飛行先がどこであるかにかかわらず、常に安全面に最大限配慮するとともに、住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきでございます。
そのため、都は、横田基地に配備されたオスプレイの運用に関して、本年四月の配備計画発表以降、国や米軍に対して安全対策の徹底や生活環境への配慮等を要請してまいりました。
さらには、先ほども冒頭答弁を申し上げましたが、航空法の適用を受けず、自由に米軍の施設、区域間の移動をできるとしている日米地位協定について、他の自治体とも連携をし、米軍機の飛行への航空法の適用や、基地以外の演習、訓練についての事前協議を明記することなど、抜本的な見直しを要望してございます。
○曽根委員 ご存じのように、麻布の米軍施設は、極めて狭く、ヘリポートは西側の外れに近い位置にあります。ヘリポートの東側には大学があり、南東側には六本木ヒルズなどの超高層ビルがあり、したがってヘリが飛来するのは、決まって西側の青山霊園の上空を通ってくるわけです。
オスプレイがもし麻布に飛来するとすれば、青山霊園の上空から既に飛行モードからヘリモードになっていないと、それは不可能です。これはまさにMVオスプレイも今回のCVオスプレイも、米軍施設内でのみヘリモードにするという日米合意に違反の行為ともなります。
ルール破りを承知で飛来するなど絶対に許せません。都の断固とした対応を求めておきたいと思います。
オスプレイ配備で、横田基地は日米の軍事拠点として、格段に強化されることになると思います。このオスプレイは、いわば横田基地機能強化の象徴ともいえるものです。都はこれに対して、米軍や政府に物申すとともに、五市一町を初め、基地から離れた都内の区市町村や他県も含めて連携を強めて、横田基地の整理、縮小、返還に向け、改めて努力すべきですが、いかがですか。
○高原基地対策部長 横田基地は、西太平洋地域の空輸ハブ基地としての役割を担っており、輸送部隊が駐留している基地でございます。
オスプレイは、米各軍の特殊作戦部隊の人員や物資等を輸送する任務のほか、その能力を生かした大規模災害時における被災地での捜索救難活動なども想定をされており、今回の配備については、横田基地が有している輸送拠点としての機能の範囲内で行われたものと国からは聞いております。
都といたしましては、配備後においても横田基地の空輸基地としての役割は変わらないものと認識してございます。
引き続き、基地の返還の可能性が検討され、基地の整理、縮小、返還が促進されるよう国には要請してまいります。
○曽根委員 CⅤ22オスプレイが配備された後も、横田の空輸基地の機能に変化はないという認識は余りにも甘過ぎます。改めて、五市一町を初め、基地周辺の住民の声をちゃんと聞いてもらいたいんです。五年前にはパラシュート訓練が始まり、これも空輸基地で、なぜパラシュート訓練で人員や物資を投下していく訓練が横田で必要なのかと私たちは懸念を持ちましたが、次から次とパラシュート訓練がふえています。
さらに今度は、オスプレイが訓練を始めると、先ほどいったようにホバリングだけじゃなくて、夜間の無灯火訓練も始まっているわけです。真っ暗な、これは当然国内法に違反します。全くの無灯火で上空を夜間飛び回ると。住民の方が住宅から出て、空を見上げると、オスプレイからサーチライトを浴びたという話もありました。
これは、オスプレイはただ特殊作戦の兵員を輸送するだけではなくて、オスプレイ自体が奇襲作戦を担っているからだということは明らかです。つまり、戦地でやるようなことを、基地の周辺の遠いところは、八王子とか、そこらにも行って、訓練をしているじゃないかという懸念があるわけです。
私は横田基地を十年少し前に視察で訪ねまして、米軍の広報官から話も聞きましたが、当時はパラシュート訓練もありませんでしたし、もちろんオスプレイもありませんでした。
しかし、当時から自衛隊の航空部隊が横田に移駐して、米軍の施設と自衛隊施設をつなぐ地下のトンネルがつくられ、共同の司令部が建設中だということは広報官もいっていました。
それが今日、パラシュート訓練も始まり、オスプレイも配備されて、中東でもどこでも特殊奇襲作戦に出撃していくと。そういう訓練なども基地内でどんどん行われているということだとすれば、これは機能強化以外の何物でもありません。
こういう現実を見据えて、東京都には、オスプレイ配備の断固撤回を求めるとともに、横田の本当の整理、縮小、返還、これを求めるために具体的に行動していただきたいことを求めて、質問を終わります。
○本橋委員長 運営に関して申し上げます。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたしたいと存じます。
午後八時四十三分休憩
午後八時五十九分開議
○本橋委員長 休憩前に引き続きまして委員会を再開いたします。
質疑を続行いたします。
それでは、発言をお願いいたします。
○伊藤委員 それでは初めに、築地の跡地について、まずお伺いをしたいと思います。
既に知事は昨年の六月二十日、築地は守る、豊洲を生かすと表明をされて、その後、食のテーマパークも一つの考えと表明をされました。実際に十月十一日に豊洲新市場が開場して、豊洲は生かされることになり、新たな豊洲ブランドへと昇華していくことが期待をされております。
一方で、築地再開発検討会議が立ち上がり、既に知事に提言書、築地まちづくりの大きな視点が報告をされております。この中で築地のブランド価値としてのポテンシャルが言及をされておりますので、この点について、まずお伺いをしたいと思います。
都はこの提言を受けて、築地の食という面でのブランド価値をまずどのように受けとめているのか、お伺いしたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地まちづくりの大きな視点では、日本人の伝統的食生活、習慣の中核に根差す世界にも知られたブランドを十分に生かせるよう、先端技術も活用しながら、後世に伝える工夫をすべきとの提言をいただいてございます。
また、ブランド価値の創出について、施設などのハードと文化などのソフトに分け、江戸から未来への時間軸で整理した図の中でも、食文化を位置づけてございます。
こうしたことを踏まえながら、まちづくり方針の策定に向けて検討を進めてございます。
○伊藤委員 今、答弁をいただいたように、伝統的食生活、習慣の中核に根差す世界、これをブランドとして十分に生かしながらも、先端技術を活用して後世に伝えていく工夫をしていくんだということでありました。
八十三年にわたって築かれてきた築地の食のブランド力に対する今のご答弁が都の見解であると認識しております。築地の食ブランドを守り、生かし、新たなブランドへ進化させていくということがこれから期待をされております。
その上で、知事はそのポテンシャルを守るべく、これを売却せずに、都が主体的に開発を進める方針を打ち出しております。築地が築いてきた食のブランド力は当然、未来の築地再開発において欠かせないコンテンツであります。
この築地の再開発については、本当に多くの議論を呼びました。そしてまた、多くの方々が今もって注目をされております。特にこの八十三年間築かれてきた築地における食のブランドは、今後の再開発において大事なテーマになるものと思います。
そういう意味では、築地再開発が、市場ではないとしても、そのブランド、あるいは食の文化という意味では、築地は守られていくことにつながっていくものと考えております。
築地については、東京二〇二〇大会を挟んで、一旦は十五ヘクタールのデポになるものの、その後の再開発は、まさに今後の東京の経済を左右する規模といっても過言ではありませんし、またその再開発の行方は、東京の将来の命運を分けるものと認識いたしております。
五十年後の都民から、あの再開発は東京二〇二〇大会後の東京の経済を支え、そして東京という都市の磁力をいかんなく高めたといわれるものにしていかなければいけません。
そういう意味で、買い値だけが問われる方式で、民間に売却されることなく、都が主体的に開発コンセプトを築けるようにしたことは、率直に評価をいたしたいと思います。
そこで、具体的な開発の方向性でありますけれども、具体的な開発の方向性という意味では、今後発表されるとして、現段階において、都として築地のまちづくりに向けてどのようなコンセプトを描いているのか伺いたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、コンセプトにかかわることといたしまして、東京の魅力を国内とともに世界へ明確に発信できる拠点とすることなどを目標とし、築地の立地条件を最大限活用し、交通結節点を戦略的に形成すること、周辺とのつながりを強化し、人々が集う交流拠点としてにぎわいを生み出していくこと、さらには長期的時間軸を意識した段階的整備により、価値の最大化を図るべきであるということなど、さまざまな提言をいただいたところでございます。
こうしたことを踏まえながら、まちづくり方針の策定に向けまして検討を進めてございます。
○伊藤委員 多分、売ってしまうという方向で議論をしていたら、こうした例えば交通結節点であったりとか、あるいはまた立地条件を生かした戦略的な開発、コンセプトづくりというところに至っていなかったというふうに思います。
そういう意味では、これを売却しないと、そして都として主体的に開発をするという方針のもとに、さまざまな専門家の方々から今皆様の方でも知見を得ているところと思います。
私は、ちょっと前までは、行政機関がまちづくりをすることに対して収益性が落ちる、むしろ民間に任せた方がいいという議論が盛んだったように認識していますけれども、しかし一方で、隣接する、民間に売却をして開発していただいたまちづくりなんかを見ていますと、容積率いっぱいにして、ビルが本当に林立しているというような状態のまちづくりも散見いたします。
いってみますと、効率的というんですか、機能的であったり、利便性は高いかもしれませんけれども、やっぱり小さな土地の中にビルを林立させることによって、いわゆる公益性とか、文化性というものがどうしても損なわれてしまって、回遊性なんかにも欠けているまちづくりというのが見てとれます。
そういう意味では、今回のこの築地再開発というのは、私は収益性ということに必ずしも拘泥せずに、むしろ周辺街区への波及効果というものを考慮して、文化性と公共性の高いまちづくりにしていただきたいということをここでまず申し上げておきたいと思います。
今、文化性については、この後も触れるといたしまして、公共性について、ここで伺ってまいりたいと思います。
公共性のあるまちづくりとしてのよい例が、二〇一一年に都市整備局が主体となって開発した子育て支援マンション、アパートメンツタワー勝どきではなかろうかと思います。まず、この取り組みについて概要をご説明いただきたいと思います。
○中山再編利活用推進担当部長 都営住宅の建てかえに伴い創出した用地は、都民の貴重な財産であり、民間事業者の創意工夫を引き出しながら、地域特性に応じたまちづくりを進めています。
勝どき一丁目地区プロジェクトは、その一つであり、都営勝どき一丁目アパートの建てかえによる創出用地を活用し、地元区とも協議しながら、活気とにぎわいにあふれた、子育て世帯が安心して快適に暮らせるまちづくりを目的として、平成十七年から実施したものです。
理事お話しのアパートメンツタワー勝どきは、このプロジェクトで整備された複合施設であり、ここでは子育て世帯向けの良質で低廉な家賃の民間賃貸住宅のほか、幼稚園と保育所一体型の認定こども園、病後の子供を預かる保育室、難病の子供の入院治療に付き添う家族のための低廉な料金の宿泊施設などが一体として整備されております。
○伊藤委員 今ご説明いただきましたが、私も行ってきたんですけれども、あの点、築地の今の市場の、元市場になるんですかね、跡地のすぐ近くの勝鬨橋のそばに、本当に美しい新しいビルが、マンションが建っております。
もとは、今お話にあったとおり、都営アパートだったということでありまして、このアパートの建てかえで、アパートというよりは、今は高層マンションになっていますけれども、その建てかえに当たっては、東京都として、もともと地主ですから、積極的に主体的に開発にかかわられたということで、今お話のテーマ性、子育て世帯が安心して快適に暮らせるまちづくりというテーマ性を持たせて、その開発者を選定したということで間違いないかと思います。
非常にすばらしい取り組みだと思うんですが、ご説明のとおり、このマンション建設に当たっては、都が主体となって、民活事業によって開発したことから、都として必要と認める公益的な施設をマンション内に設置されています。
その公益的な施設の中にNPOファミリーハウスというのも入居されているんですけれども、このファミリーハウスが、この開発に当たって、当初から入居することになった経緯と意義をお伺いしたいと思います。
○中山再編利活用推進担当部長 本プロジェクトは、公募型プロポーザル方式により実施しており、平成十七年に募集要項を公表し、十八年に提案を受け付けました。
お話のファミリーハウスは、難病治療のために親子が滞在できる宿泊施設でございますが、子育て世帯向けの良質で低廉な家賃の民間賃貸住宅のほか、認定こども園や病後児保育室など、さまざまな子育て支援施設や地域活性化施設とともに、民間事業者の創意工夫により提案されたものです。
この提案が審査の結果、最もすぐれていると評価され、事業者として決定し、施設は平成二十三年に完成しました。このような取り組みが地域の子育て環境などの向上につながるものと考えております。
○伊藤委員 写真も何もないので、ちょっとイメージがわかりにくいかもしれませんが、この建てかえられた新しい高層マンションの中にファミリーハウスというものが入居することになりました。今、経緯はお話しいただいたとおりですが、ちょっと説明させていただくと、築地の市場の目の前に国立がんセンターがあるんですよね。
このがんセンターは、特に小児がん治療では世界最高水準といわれていて、日本全国どころか、今は世界から小児がんにかかったお子さんを連れて、親御さんたちがこのがんセンターに治療に行かれています。治療どころか、小児がんの中でも特に末期のお子さんがそこに入院をされて、治療されて、中には亡くなる方も多数いらっしゃいます。
そういう中にあって、NPO団体が当初から小児がんのお子さんたち、あるいはその親を支えようということで、がんセンターのそばにいわば宿泊施設をNPOとして、つくっていったと。
しかし、治療費だけでもばかにならないがん治療ですので、できるだけ低廉な価格で泊まれる、そういうファミリーハウスをつくろうということで、もう十年以上活動されているそうであります。
私もちょっと見てきたんですけれども、勝どきの高層マンションの中につくっていただいているファミリーハウスは、三部屋から四部屋ぐらいあったかと思いますが、ホテル並みにきれいなお部屋があり、また子供同士で遊べるようなプレールームなんかも用意をされていました。
一泊千円で泊まれるということであり、小児がんを患ったお子さんを育てているお母さんやお父さんからすると、大変心強い宿泊施設になっています。
というのも、病院の中では、なかなか添い寝する場所も、今は残念ながらお父さん、お母さんたち用のベットが足りないということで、末期がんになっているようなお子さんのそばで親も寝られないというような病院の事情もあるようです。
そういう中で、こうしたファミリーハウスが親子の支えになっているということは、大変意義のある取り組みではなかろうかと思います。
末期がんをみとった親が、子供にとって最後の二カ月間をここで過ごせたことは大変幸せだったと、こう施設関係者にいったこともあるそうです。行ってみて、私も実感をいたしました。
一方で、がんセンターのそばにないと、いわば治療に行ったり来たりの毎日ですから、利便性の高い施設にはなりません。
そういう意味で、今ここの勝どきの中のスペースも決して足りているというわけではなくて、毎日、実は足りなくて、多くの親御さんから、より多くの施設を望まれているということでもございました。今後もこういう可能な用地を確保していただいて、都として貢献していってほしいなというふうに思います。
いずれにしても、こうした公益性の高いファミリーハウスのようなものを、都営アパートの建てかえに当たって、入居してもらった、あるいはそれをもとに事業者を選定したということは大変意義のある取り組みであり、都民にかわって、都市整備局の皆さんには心から感謝を申し上げたいと思います。敬意を表したいと思います。
実はこのファミリーハウスの取り組みというのが一つの公益性を高める、あるいは公共性を高める取り組みとして、いい例になるのではないかなと。そして、築地の再開発に向けて、最も参考にすべき例ではないかなというふうに思うんですが、この点を踏まえて、築地再開発のまちづくりを検証していただきたいと思うんですが、所見を伺いたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発につきましては、築地のポテンシャルを生かし、魅力と付加価値を高め、東京の持続的な成長につなげるよう、築地まちづくりの大きな視点として提言をいただいてございます。
この大きな視点では、築地地区は都心の大規模で貴重な都民共有の財産であり、将来の都民にとって文化的、経済的価値を含む総合的価値を最大にすること、世界一の環境都市東京の実現に寄与すること、東京の魅力を国内とともに世界へ明確に発信できる拠点とすることを目標として掲げており、これらにより、公共性、公益性の重要性が示されてございます。
こうしたことを踏まえながら、まちづくり方針の策定に向けまして検討を進めてございます。
○伊藤委員 この後、東京の今、既に備わっている魅力と、そしてまたこれから求めていかなければいけない魅力については議論していきたいと思いますが、おっしゃっていただいたように、この築地の地区というのは、文化的、そして経済的価値を含むところであり、そして、それを最大化していくことが私たちの使命でもあろうかと思います。
特にこれは私の持論ですけれども、東京の都心というのは、昔に比べてどんどん南下しているんじゃないかなというふうに思います。というのも、臨海がどんどんどんどん開発されていって、今もう既に中央防波堤も今度海の森競技場になっていくと。
あそこに建物が建つのは数十年先かもしれませんが、しかし、かつてウオーターフロントだったところが今はある意味では内陸になっていて、どんどんどんどんウオーターフロントがまさに中央防波堤の方に寄っていっているという意味では、東京のまさに中心部というのがどんどん南下してきているようにも感じます。
そういう中にあって、築地というのは、いわば環状線である大江戸線であったり、また日比谷線であったり、あるいは今度は南北を結ぶ線なんかも、今、地下鉄や、また地上部の鉄道で検討されていると思いますけれども、まさに南下してきた東京の中心地の交通の結節点になるという意味では、今後の開発次第で東京の将来は大きく変わるというふうに思います。
今回そういう意味で立ちどまって、築地の再開発を都が主体となって、文化的、あるいは公共的、公益的に検討いただいていることは、都民にとって大変意義のあることではないかと思っております。
そういう意味で今、文化的な話をさせていただきましたが、一つ文化性の議論をする前に確認をしておきたいんですけれども、先ほど他の議員から、築地の再開発に向けて、五年以内に本当に着工できるのかというお尋ねがありました。
私は、かつて東京都の方から示されている五年以内着工、ぜひ頑張って、約束どおりその着工を果たしていただきたいと思っていますが、まず五年以内着工の定義、どういう位置づけで着工とするかということを確認させていただきたいと思います。
当たり前ですけれども、二十三ヘクタールある築地が一回はデポになり、そして今度はデポのいってみれば床をはがしながら、埋蔵文化財調査並びに土壌汚染対策工事を同時に行っていくと、こういうことだろうと思います。
ただ、二十三ヘクタール一遍にできるものとは到底思えない広さですので、部分的に、ローリング的にというんですか、施工したり、調査をしていくことになろうかと思います。
そういう意味では、部分的に開発も進んでいくんだろうなというふうに考えているのですが、その点を確認させていただきたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発の進め方でございますが、まちづくり方針策定後に民間事業者からの提案募集、それに伴う必要な設計、都市計画の手続などを進めるとともに、これと並行して、土壌や埋蔵文化財の調査を進めていくことを想定してございます。
このようなステップを踏みながら、五年以内に先行する部分で着工することを目指していくものでございます。
○伊藤委員 ということで、今確認をさせていただいたように、五年以内に先行する部分で再開発に向けて着工すると、こういうことでよろしいですよね。よろしいですね、はい。
ですので、これがまさにこれから皆さんの方で準備をしていただくことと思いますので、ぜひ滞りなく開発を進めていただきたいというふうに思っております。
先般、森記念財団が発表した世界の都市ランキングにおいて、ランキングとは別におもしろい分析が報告をされました。お配りをさせていただいたお手元の二枚の資料がそれであります。
都市に対する世界の人々の持つイメージが一瞬にして見てとれるというおもしろいものでありますけれども、これを見ていただくとわかるように、ロンドンはヒストリーとか、カルチャーとか、エクスペンシブとか、パリはロマンチックとか、エッフェル塔とか、ファッションとか、対して東京は、クラウディッドとか、ビジーとか、モダンとか、かなり都市によって、その持たれているイメージが大きく違うことが見てとれます。
これは都市の名前を消して、じゃあ都市の名前がわからない中で、このイメージ図を見ながら、どこのまちに行きたいかと思うと、やっぱりヒストリーとか、カルチャーとか、それからファッションとか、ビューティフルとかという文字が並ぶようなところに行ってみたいと思うのが人間の心理じゃないかなというふうにも思います。
もう一つは、訪問経験の有無による比較分析というのもありまして、東京に対して非常に残念なのは、訪問経験がない方がファー、遠いというイメージがあったり、ノイジーであったり、クラウディッド、逆に来られた方はきれいとか、安全だとか、またファッションだとか、フード、来た人と来ていない人のイメージの差というのも大きくここで色濃く出ています。
そういう意味では、訪問したことのない人ほど、東京のイメージがネガティブなのは大変残念であります。
かつて名高いディベロッパーの会長の方から、都市の魅力というのは、帰りの飛行機に乗って離陸するときにわかるんだということを伺ったことがあります。離陸するときにもう一度来たいと思う都市とそう思わない都市の差こそが、都市の磁力だというふうにもおっしゃっておりました。
その磁力は簡単に解析も、それからまた創作もできるものではないからこそ、飛行機に乗るまでわからないのだろうと思いますが、人間が何かに対して魅力を感じるというのは、機能性や効率性といったことばかりではなくて、そこに伝統とか、歴史とか、芸術など、文化性に触れたときではないでしょうか。
翻って、東京が世界の都市に比べて欠けているものがあるとすれば、やはり文化性の高いまちづくりという視点ではないかと思います。
現在、築地とともに臨海ベイエリアに対しても、都は庁内の若手職員と民間有識者の混成チームを組み、開発コンセプトづくりに着手をされました。築地を含めた開発構想こそ、東京、日本の成長を牽引するものにしていかなければならない中で、文化性の高い都市づくりは大事な視点ではないかと思います。
例えば有明レガシーエリアですけれども、現在、民間企業から開発アイデアを募るサウンディング調査という大変珍しい手法をとって、さまざまな発想を民間から取り込もうとされております。これは都市整備局と港湾局が中心になられていると思います。
特に同エリアは、東京二〇二〇大会でスケートボード会場として使われることから、跡地利用にはアーバンスポーツ会場として期待されていると聞いています。
その運営主体は、オリンピックが終わった後ですから、民間になることが十分に予想されることから、底地を東京都が所有して、民間が借り受けて、民間がスポーツ施設を運営するということが予想されるわけであります。
しかし、ここで検証したいのは、実は固定資産税の取り扱いであります。都が公園などスポーツ施設や、あるいはまた美術館など文化施設を運営する場合には、固定資産税は減免、免除されるわけでありますが、民間が開発する場合には、当然固定資産税が商業施設としてかかってきてしまう。
このコストは民間事業者にとって決して小さくありません。民間にとっては文化性の高い都市開発の足かせにならないとも限りません。
文化性の高い都市づくりを民間事業者と行う際には、新たな税制上の配慮も今後検討に値するのではないかと思いますので、この点については要望し、また今後、さまざまな機会を通じて議論をさせていただきたいと思っております。
税制と同様に、時代の変化とともにまちづくりを考えるに当たっては、制度の適正化を絶えず図っていかなければならないのはいうまでもありません。その一つが駐車場の附置義務ではないかと思います。
現在、都内の駐車場附置義務のルールについて、まずお伺いしたいと思います。そしてまた、このルールができたのはいつなのかも伺いたいと思います。
○青柳市街地建築部長 現在の附置義務基準は、東京都駐車場条例に基づき、地区や建物用途に応じて定めた基準床面積で建築物の延べ床面積を除して、附置義務台数を算出することを基本としております。
この条例は昭和三十三年に制定されておりまして、それ以降、駐車場利用を取り巻く社会情勢の変化に対応して、適用地区や対象用途の拡大、基準の見直しを行ってきたところでございます。
○伊藤委員 今、昭和三十三年に制定をされ、その後、社会情勢に応じて基準が見直されてきたということなので、スタートは昭和三十三年ということですから、随分昔の制度設計になります。要するに一定の法則を係数にする形で、画一的に駐車場の附置義務台数を割り出していることがわかりました。
しかし、制度設計から随分年数もたっておって、また、まちには今やコインパーキングがあふれています。そしてまた、自動車の台数も昨今ではさほどふえているとはいえません。少しまちを俯瞰してみますと、周辺に駐車場がいっぱいあって、必ずしも画一的に割り出された駐車台数を必要としない開発エリアも多数あることと思います。
そこで、駐車場の需要と供給量を検証した中で、エリア特性を考慮して、駐車場の附置義務台数を算出することはできないのかということをお伺いしたいと思います。
○青柳市街地建築部長 平成十四年の条例改正で、都心、副都心など、公共交通網が発達している一定の地区におきまして、区市がその地域特性に応じた附置義務基準を定めた場合には、地域の実情に応じまして、附置義務台数を低減できる仕組みを設けております。大・丸・有地区、銀座地区などで活用されております。
また、平成二十六年には、区市が一定の区域について低炭素まちづくり計画を作成し、車に依存しないまちづくりがなされると認められる場合、その区域について、都条例の適用を除外し、計画に沿って附置義務台数を低減できる仕組みも設けております。
さらに、利用特性などから、駐車需要が少ないことが明白な建築物につきましては、附置義務台数の確保が不要であると知事が認定することにより、建築物単位での緩和も可能となっております。
都は、引き続き区市と連携しながら、これらの仕組みの積極的な活用を図るとともに、今後とも、駐車場利用を取り巻く社会情勢の変化等を踏まえ、必要な見直しを行うなど、適切に対応してまいります。
○伊藤委員 必要な見直しなど、適切に対応していくということなので、大変前向きな答弁をいただきました。ありがとうございます。
何で附置義務の話をするかというと、何年か時代を追うごとに附置義務を低減できる仕組みはつくられたということですけれども、しかし事業者の皆さんに聞くと、周辺の地域の方々の合意を得なきゃいけないとか、やはり今ある仕組みも必ずしも簡単に使えるものではないようでありますので、おっしゃっていただいたように必要な見直しをぜひ行っていただきたいと思います。
というのも、駐車場にこれまでなってきた地下空間というのは、夏は涼しくて、冬は暖かいという特性がありますし、また特に夏場は空調を考えてもエコな空間といえます。
さらにいうと、防音効果にもすぐれていて、コンサートホールやライブハウスなど、特に最近東京において足りないといわれているナイトライフに適した施設整備にも転用可能で、まさに都市の文化性と集客性を高めることができるスペースだというふうに考えます。
そのため、地下空間の有効活用を一層高めるために、今おっしゃっていただいた駐車場の附置義務基準の見直しは検討に値すると思います。
そこで、地下空間を駐車場以外に有効利用した都市開発の事例を伺いたいと思います。
○久保田都市づくり政策部長 建築物の地下空間をにぎわい創出にも資する文化施設に利用した事例といたしましては、都市再生特別地区を活用し、昨年四月に開業した銀座六丁目十地区のギンザシックスがございます。
ギンザシックスでは、日本の伝統文化を発信する文化交流施設として、階高約八メートル、広さ約一千六百平方メートルの能楽堂を整備いたしました。この能楽堂は、能以外にも落語やコンサートなど、さまざまなイベントに活用されてございます。
また、計画中のものといたしましては、ことし六月に都市計画決定をいたしました歌舞伎町一丁目地区がございます。多様な大衆娯楽文化を世界に発信する施設として、階高十メートル、広さ約三千二百平方メートルのライブホールを整備することとしており、事業者からは防音、振動にも配慮し、地下を利用する計画としたというふうに伺ってございます。
○伊藤委員 ありがとうございます。まさに銀座とか、歌舞伎町で一千六百とか、三千二百平米のコンサートに適する土地をとるというのは大変難しい中で、地下を有効活用して、コンサートホールなどをつくられているということであります。
特に今出てきたのは、防音性に加えて、振動にも配慮してこうした設計がされたということでありますので、地下空間の有効利用は、まさに東京の文化性を高める上で非常に重要だというふうに申し上げておきたいと思います。
次に、話題は変わりますけれども、ことしの三月の予算質疑でも私から指摘をさせていただいた空き家対策について伺いたいと思います。
八十二万戸ともいわれる空き家対策は、都のまちづくりを考える上で極めて重要であります。最近ではリノベーションを施して、空き家を生かすケースも目立ってくるなど、そのポテンシャルは高くなっている一方で、不動産業界からは空き家のオーナーを特定できずに調査のコストばかりがかかると嘆きの声も聞かれております。
国も空き家の利活用の促進を図る上で、民間事業者などとの連携が重要との観点から、ガイドラインを策定していると聞いています。
都は所有者情報の提供についてどのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。
○澁谷住宅政策担当部長 都は、平成二十九年度に都と区市町村による空き家対策連絡協議会を設置し、ご指摘の国のガイドライン等の情報提供はもとより、自治体が空き家の所有者情報を宅地建物取引業者等に提供し、連携して、空き家の流通、利活用を促す取り組みにつきましても、情報提供しているところでございます。
こうした取り組みにおいて、区市町村が空き家の所有者情報を外部に提供するためには、国のガイドラインにも示されているとおり、空き家所有者の同意を得ることが必要となります。
そのため、都は、平成三十年度から新たに区市町村に対しまして、所有者の特定や所有者の意向確認に必要な調査費用等への補助を開始し、取り組みを促進しておりまして、今年度は八王子市に補助しているところでございます。
引き続き、空き家の流通、利活用の促進に向け、区市町村への働きかけ、補助制度の活用等によりまして、区市町村と民間事業者等と連携した取り組みをさらに促進してまいります。
○伊藤委員 不動産業の事業者が迅速に所有者情報を把握できることが、空き家対策を進めていく上で最も重要だと思います。事業者の声を丁寧に聞いていただいて、運用の改善を常に行っていただくように要望をしておきたいと思います。
次に、私の地元の目黒区、中目黒駅についてお伺いをしたいと思います。
実は中目黒駅周辺では、東京都と目黒区とで所有しておりました土地に新たに東京音大が誘致をされて、来年四月から開校いたします。
ともなって、今、既に桜祭りですとか、それからまたライトアップ事業なんかが冬場には行われていて、中目黒の駅前は、始終多くの人でにぎわっていますが、何といっても出入り口が山手通りを挟んで一カ所しかないということもあり、わずかな横断歩道の時間を競うようにして横断をされている方々がたくさんいらっしゃいます。
大きな事故にならないことを常に願っていますけれども、いよいよこうした中目黒の駅の出入り口をふやしてほしいという声が高まっており、今後、中目黒駅の出入り口の増設というものも検討をしていかなければいけない時期に来ているというふうに思います。
こうした出入り口をふやす際に、エレベーターの設置補助など、都としての支援策としてどのようなものがあるのか伺っておきたいと思います。
○荒井都市基盤部長 新たな出入り口を整備するに当たり、鉄道事業者がエレベーターを設置する際には、鉄道駅エレベーター等整備事業に基づき、その経費のうち、国が三分の一、都と区市で六分の一ずつ補助を行う制度がございます。
○伊藤委員 ありがとうございます。これから出入り口をふやしていこうということになった際には、ぜひ東京都として、今答弁をいただいた支援をしていただくように要望いたしておきたいと思います。
最後に、東京二〇二〇大会後の東京の景気の腰折れ感が懸念されている中で、力強く東京の経済を牽引していけるのは、国内マーケットが小さくなる分だけに、インバウンドを引き込む都市の磁力であることを申し上げておきたいと思います。
そのまちづくりをまさに担うのが都市整備局の皆様方の取り組みであります。東京、日本の景気の行方を左右するといっても過言ではありません。
先ほどこの図の中でも例示させていただいたように、何といっても文化性、やっぱり映画館とか、美術館とか、広場など、一見すれば収益性が決して高くはないけれども、しかし経済波及効果、あるいはまた集客性の高い施設こそ、多くの外国人旅行者を呼び込むものと思います。
私も一回ロンドンに行ったんですけれども、まちのど真ん中にトラファルガー広場があったり、また大英博物館が君臨するように配置されているというか、そういうまちづくりがなされていました。
そういう意味で、都市の磁力を高め、世界の都市間競争レースに勝ち抜く文化性の高いまちづくりに対して、最後に局長の決意を伺って、質疑を終えたいと思います。
○佐藤都市整備局長 世界の都市間競争に関しましては、さまざまな民間シンクタンクなどによる比較調査があることは承知してございます。先ほどのシティー・パーセプション・サーベイにつきましても興味深く拝見させていただきました。
東京がこれまでどの都市も経験したことのない少子高齢、人口減少社会を迎えるものと予測されている中で、持続的に発展していくためには、日本はもとより、世界をリードする都市として、さらなる成長を遂げ、世界の誰もが憧れ、多様な人々が集まって、イノベーションを誘発する、活力があふれる都市とすると、そういったことが必要になってくると存じます。
このため、二〇四〇年代の都市像を示す都市づくりのグランドデザインに基づきまして、国際ビジネス交流拠点の育成、あるいはそれを支える三環状道路や鉄道といったインフラの充実、活用、こういったことをさらに進めていく必要がございます。
一方で、高度な成熟都市として、文化、芸術の側面も欠かせないと存じます。
江戸東京の歴史に支えられた伝統文化の上に新たな魅力を生み出すため、歴史的価値の高い建物や庭園などの保全などによって、魅力的な景観を形成していく、加えて都市開発の機会などを捉え、歴史的建造物などの保全や質の高い建築デザインの誘導を図るとともに、地域のニーズに合わせて、ホールなどの整備を誘導し、芸術文化への接点を増加させ、都市の魅力を創出していく。
こうした取り組みによりまして、欧米の都市にはない独自の伝統と先進が融合する多様性、多義性を持った東京らしさの感じられる都市空間というものを未来に継承していくということが必要だと考えてございます。
○伊藤委員 ありがとうございました。最後に、今お話しいただいた歴史的価値の高い建物や庭園などの保全などに努めていくということで、まさに都市整備局の仕事だと思います。
東京の中には、多分この図にあらわされるよりも、もっと大きなカルチャーというんですか、文化だったり、ヒストリーがいっぱいあるはずなんですけれども、そしてまたそれを都市整備局の皆さんにも大変なご尽力で守っていただいていると思うんですが、この間、前田邸も改修工事が終わりましたけれども、ああした建物が今度はより発信されていくということも大事で、これはぜひ局を超えて、産業労働局、特に観光部さんなんかとも連携をしていただいて、やっぱり歴史的な建物を見つけていただくということも非常に重要なことなので、局をまたぐ取り組みもぜひお願いを申し上げて、質疑を終えたいと思います。
○西郷委員 私からは、まず臨海地下鉄構想についてお伺いをします。
勝どき周辺は、平成十三年に晴海のトリトンスクエアが建設されて以降、近年ではザ・トーキョー・タワーズなど、二千戸を超える多くの超高層住宅などが建設されており、まちは活気にあふれています。
一方で、大江戸線勝どき駅は、一日利用者数が十万人を超え、非常に混雑しており、八時台に通勤客がトリトンスクエアに向かう時間帯は、駅に警備員を配置しないと危険な状況になっています。
また、地上部の晴海通りの歩道についても、多くの利用者であふれかえっており、ベビーカーを利用する人や車椅子の方は通行できないといっても過言ではありません。
この勝どき駅の混雑緩和対策として、都は駅の容量を増加させ、混雑緩和をするために、都市計画を定め、勝どき駅の改良工事の実施をしていると思いますが、どのような考え方に基づき都市計画を定めたのか、またいつごろの完成を目指しているのか、まず伺います。
○荒井都市基盤部長 勝どき地区や晴海地区では、複合市街地の形成が進み、その玄関口となっている大江戸線勝どき駅におきましては、平成十二年度の開業当初、約三万人だった乗降客数が大幅に増加し、混雑が激しくなっていました。
こうした状況を踏まえ、駅の利便性向上を目的として、勝どき駅のホームの増設及びコンコースの拡張などを変更内容とした東京都市計画都市高速鉄道第十二号線の都市計画変更を実施いたしました。
その後、二十三年度、交通局において駅改良工事に着手しており、今年度中に供用開始する予定と聞いております。
○西郷委員 勝どき駅の改良計画についてはわかりましたが、ほかの交通も便利とはいえません。私も勝どき駅周辺の晴海通りを走行する都バスを利用していますが、満員で乗れないことも多く、新たな交通手段が早期に必要だと感じています。
勝どき周辺を含む臨海地域ではBRTが計画されていますが、今後、BRTの運行予定はどのようになっているか伺います。
○森交通政策担当部長 都心と臨海地域とを結ぶBRTにつきましては、東京二〇二〇大会前に虎ノ門と晴海との間で先行的な運行を開始し、大会後に有明や豊洲などへ運行系統を拡大する予定でございます。
環状第二号線本線開通後には、速達性、定時性を確保したBRTの本格運行を実施するとともに、選手村地区の再開発などにも対応していきます。これにより、鉄道の利用が不便な地区を初め、開発が進む臨海地域での交通需要に速やかに対応してまいります。
○西郷委員 BRTが二〇二〇年度から段階的に運行していくとのことで、勝どき周辺など、沿線の地域では都心部へのアクセスがよくなり、交通の利便性が高まっていくのではないかと期待しています。計画どおり実行するよう着実に進めてもらいたいです。
さらに、将来の臨海地域の発展を見通すと、バス交通だけでなく、より多くの人を運ぶことができる地下鉄を導入することが効果的であると考えます。
地元においては、長年にわたり地下鉄路線の導入に向けた運動を展開してきましたが、そのかいもありまして、平成二十八年四月に国が示した交通政策審議会答申第百九十八号でも、初めて都心部・臨海地域地下鉄構想が記載されました。これは地元のこれまでの交通不便を改善してほしいという強い思いが結実したものと考えます。
去る十月五日には、中央区と晴海をよくする会が主催し、都心・臨海地下鉄新線推進大会が開催され、私も参加してきたところでございます。推進大会では、構想の計画内容や実現に向けた活動方針が示され、地域の機運が大きく高まっていることを切に感じました。
地元においては、関係機関との連携、協働、推進大会の継続開催、関係機関への要望活動に取り組んでいくやに聞いています。
そこで、交通政策審議会に新たに示された都心部・臨海地域地下鉄構想の具体化に向け、今後どのように取り組んでいくのか、考え方を伺います。
○荒井都市基盤部長 都心部・臨海地域地下鉄構想につきましては、平成二十八年四月の国の答申において、国際競争力強化に資する鉄道ネットワークを形成するプロジェクトとして位置づけられております。
この路線は、臨海地域と銀座、東京など都心部を結ぶことで、臨海地域の拠点機能を一層強化するとともに、ネットワークの面からも東京全体の公共交通のさらなる利便性向上に寄与することが見込まれております。
一方、答申では、この路線は事業性に課題があり、検討熟度が低く、関係者間において、事業主体を含めた事業計画について、十分な検討が必要とされております。
今後は答申を踏まえるとともに、臨海地域等における開発動向などを勘案しながら、構想をより具体化するために国や地元区など関係者間で連携して取り組んでまいります。
○西郷委員 それぞれにご答弁ありがとうございます。地元中央区の強い願いでありますので、実現に向けて、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
次に、銀座一丁目駅のバリアフリーについてお伺いをします。
銀座一丁目駅は大変便利な場所にあり、平日はもとより、週末にはさまざまな年代の方々がさまざまな目的で利用している駅であります。
この駅では、ホームから改札口まではエレベーターが整備されているため、車椅子利用者にとっても、買い物帰りに大きな荷物を持って移動するにも不便はないですが、改札口から地上へ移動しようとすると、階段やエスカレーターしかない上、唯一設置されているエレベーターは地下一階までしか行けず、地上へは駅員の介助が必要な昇降機での移動となります。
私もベビーカーを押して、よく利用している駅ではありますが、ベビーカーの利用者は、駅員さんから声をかけていただいて、駅員さんにベビーカーを持ってもらって、階段を上がることになります。また、階段をおりるときには、わざわざ駅員さんに来てもらう必要があるため、心苦しくてお願いするのをためらうこともあります。
このようにみずからの意思で簡単に移動ができない大変不便な状況を改善するためには、改札口から地上へ向かうエレベーターの整備を急ぐ必要があると考えますが、オリンピック・パラリンピックを迎えるタイミングでもあり、銀座一丁目駅のエレベーターの早期の整備について、都としても鉄道事業者に働きかけるべきだと考えますが、都の姿勢を伺います。
○荒井都市基盤部長 都は駅のバリアフリー化を推進するため、国と連携して、補助を実施し、鉄道事業者によるエレベーター設置を支援しております。
銀座一丁目駅は、現在、階段昇降機により対応しておりますが、東京メトロとしても、改札口から地上へ向かうエレベーターの設置に向け、出入り口の用地の確保を含め検討を進めていると聞いております。
引き続き、高齢者や障害者なども含め、誰もが円滑に移動できるよう積極的に鉄道事業者の取り組みを支援してまいります。
○西郷委員 車椅子利用者のみならず、高齢者や子育て世代にとっても、地上からホームに至るまでの円滑な移動が可能となるために、エレベーター整備による一ルート整備が促進されるよう鉄道事業者を支援していただきたいと思います。
また、銀座一丁目のお隣である有楽町駅では、地上から改札階である地下一階まで移動するエレベーターと改札口からホームへ移動するエレベーターは離れて設置されているため、かなりの距離を移動しなければなりません。
このような不便な状況が改善されるよう、ぜひ鉄道事業者による二ルート目の整備など、利便性向上に向けた取り組みについても、引き続き都としても支援していただくよう申し上げます。
以上で質問を終わります。
○佐野委員 それでは、大きく四項目について質問をさせていただきたいと思います。どれも今週二十九日に東京都市長会から三十一年度の予算編成に係る重要要望事項、これは五十項目あるんですけれども、この中に含まれる内容ということになっていますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
まず第一に、緑確保の仕組みづくりについてお伺いいたします。
都は平成三十年度予算の中で緑確保の総合的な方針の改正に向けた検討を行うとしておりますが、その進捗状況についてお伺いいたします。
○久保田都市づくり政策部長 緑確保の総合的な方針は、減少傾向にございます農地など民有地の緑の保全を目的として、平成二十二年度に区市町村と合同で策定したものでございます。
三十一年度までの目標として、保全すべき緑を約四百三十九ヘクタール確保することとしてございます。平成三十年四月一日時点で、特別緑地保全地区の指定などによりまして、これまでに確保した緑の面積は約三百九ヘクタールでございまして、その割合は約七〇%でございます。
こうした進捗状況や昨年策定をいたしました都市づくりのグランドデザインを踏まえ、緑を保全する取り組みの充実を図っていくため、本方針を改定することといたしました。
現在、区市町村との間で改定に係る検討会の立ち上げに向け、これまでの取り組み状況の確認や今後の進め方などの調整を行ってございます。
○佐野委員 今後の進め方などの調整を行っているということでございますので、今後、私も注視をしていきたいと思っています。
次に、同じく今年度予算の新規事業として、生産緑地公園制度が創設されまして、二〇二二年に急速に減少が見込まれる生産緑地を保全するためのルールや体制を構築するため、都市計画公園区域内における生産緑地を区市が買収する際の支援を行うこととしています。
私の地元の小平市内にも鎌倉公園など都市計画公園区域内に生産緑地が存在する事例があり、本制度の活用が期待されるところでございます。
そこで、年度が半分経過した現時点での進捗状況についてお伺いしたいと思います。
○久保田都市づくり政策部長 生産緑地は環境や防災などの機能を有する貴重な緑の空間でございまして、本制度は都市計画公園区域内の営農が困難になった生産緑地を買い取る区市に対し、都が二〇二二年度までのパイロット事業として助成を行うものでございます。
現時点で対象となる生産緑地は、三区十九市の合計約三十三・六ヘクタールでございます。今年度につきましては、現在、板橋区が制度の活用に向けた手続を進めているところでございます。
都はこの対象地を確実に緑の空間として保全していくため、区市が本制度を積極的に活用するよう、引き続き制度の周知を行ってまいります。
○佐野委員 今後、引き続き活用の周知を図っていくということでございまして、板橋区で今手続が進められているというふうに伺いました。小平市でもこの制度の活用がされるようにぜひ期待をしたいと思っています。
同じく新規事業として、生産緑地問題協議会の設置運営について予算化をしております。二〇二二年問題に向けたルールづくりの進捗状況はいかがか、お伺いをしたいと思います。
○久保田都市づくり政策部長 生産緑地問題協議会につきましては、二〇二二年問題に対応するため、生産緑地公園補助制度によって得られた技術的知見を集積し、区市が所有者からの買い取りの申し出に柔軟に対応するためのルールや体制の構築について検討するため設置することとしてございます。
本協議会は、学識経験者などの有識者を交えて検討を進めることとしており、現在、本協議会の設置に向け、関係局等との調整を行っているところでございます。
○佐野委員 この事業につきましても、調整中ということでございますので、取り組みを今後期待したいと思っています。
先ほど述べましたけれども、市長会からの要望、四十番に緑の保全に対する施策の充実という項目がありまして、四項目六点の要望、全体で十二の項目があるんですが、この中でやはり大きくは財政措置や支援制度の創設、拡充、こういうものが求められているわけでございますので、特段の配慮をお願いして、この質問、一点目については終わりにしたいと思います。
続きまして、市街地整備と無電柱化についてお伺いしたいと思います。
まず、小平市内では市街地整備として、小川駅西口駅前再開発事業や小平駅北口地区再開発事業、小川四番区画整理事業などが進められようとしていますが、これらの事業の進捗状況について、都の把握している範囲で結構でございますので、お伺いをしたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 小平市内の市街地再開発事業につきましては、小川駅西口地区において、市が本年八月に都市計画決定を行い、現在、準備組合が来年度の組合設立認可に向け、事業計画案の作成や権利者との合意形成に取り組んでおります。
また、小平駅北口地区におきましては、準備組合が市と協力しながら、来年度の都市計画決定を目指して関係機関との協議や権利者との合意形成に努めております。
一方、土地区画整理事業につきましては、平成二十九年十月に組合設立を認可した小川四番地区が施工中でございまして、工事につきましては、本年四月に着手し、来年度内に完了する予定でございます。
○佐野委員 ありがとうございます。今、取り上げました三つの事業についての進捗をお伺いいたしました。
この三つの事業についてでございますけれども、当然都市計画の手続、あるいは事務的な支援、法に基づく財政的な支援等を都は行っていると思いますが、それらを含めて、今後の都の支援についてお伺いできればと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 これまで都は、人事交流を通じた支援のノウハウ提供など、技術的支援を行うとともに、小川駅西口地区及び小川四番地区につきましては、今年度から補助金を交付しております。
今後とも、各地区における事業の促進に向け、市及び組合などの取り組みに対しまして支援を行ってまいります。
○佐野委員 ありがとうございます。
ところで、この市街地整備についてですけれども、都では電柱のない安全・安心な東京を目指して、東京都無電柱化計画に基づき、無電柱化に取り組んでおります、ご存じのとおり。この中で、まちづくりにおける無電柱化の面的展開の一つとして、これらの市街地整備の機会を捉えた無電柱化に取り組むとしています。
小平市内のこれら市街地整備事業においては、小川四番土地区画整理事業では、事業の進みぐあいと補助のタイミングが合わず、残念ながら無電柱化が実現しなかったと伺っていますけれども、ほかの二つの再開発事業は大丈夫なのでしょうか。また、今後も含めて、このような課題にどのように対処し、無電柱化を図っていくのか、所見をお伺いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 土地区画整理事業や市街地再開発事業などでは、区域内の幹線道路から区画道路まで、道路の新設と同時に面的に無電柱化を進めることによりまして、低コストで効率的に整備を行うことが可能でございます。
このため、土地区画整理事業におきましては、今年度から補助の対象を区域内全ての道路に拡充し、各地区に活用を働きかけておりまして、市街地再開発事業におきましては、高度利用地区などを活用する場合、無電柱化を実施するよう指導しております。
小川四番地区につきましては、既に一定程度事業が進んでおり、無電柱化の工事により、予定していた保留地の販売時期がおくれることなどから、組合として断念することとなりました。
一方、小川駅西口地区におきましては、事業区域内の全ての道路で無電柱化を実施する予定でございまして、小平駅北口地区につきましても、無電柱化を進める方向で検討すると聞いております。
今後、無電柱化を積極的に推進するため、地元自治体と連携しながら、計画の早い段階から事業者に働きかけを行ってまいります。
○佐野委員 四番の区画整理事業では残念でしたけれども、ぜひほかのこういう面的な開発については、無電柱化をどんどん進めていただければと思っています。
ところで、一方では、市内では相続によって、農地が宅地化をしています。そして、いわゆる小規模な開発行為が相次いでおり、これらの開発では道路が当然整備されるのですが、ほとんどの道路は、後に市に譲渡され、議会の議決を経て、市道に認定をされる手続がとられます。
既存の道路から電柱をなくそうということで今努力しているわけでございますけれども、電線を地中化して、無電柱化を進めようとしている一方で、このような開発で新たに整備する道路に新しい電柱が建って、結果として、電柱のある新しい市道がふえる結果ということになってしまっています。
一例を写真でちょっとお見せしたいと思っていますが、このように開発の宅地造成が行われている道路に電柱がどんどん建つんですね。まだ電線が引かれていないんですけれども、これを見ると残念だなというふうにやっぱり思いますよね。
無電柱化を進めているんですから、せっかく新しい道路ができる、こちらは小川町一丁目の方のいわゆる農地が宅地化されている状況で、こちらもど真ん中に電柱がまず建っていくという状況を忍びないなというふうに見ているわけなんですけれども、そこで安心・安全の東京のまちづくりを担う都市整備局として、このような状況は何とかならないものか、見解をお伺いできればと思っています。
○安部防災都市づくり担当部長 開発行為における無電柱化につきましては、コストがかかることや時間を要することに加え、道路幅員が狭いことから、地上機器を設置する場所の確保が難しく、無電柱化されている事例は少ない状況にございます。
今後、開発行為における無電柱化を進めるため、課題解決に向けた検討を行ってまいります。
○佐野委員 今後、課題の検討を行っていくということでございますので、ぜひ地元の区市町村と協議をしながら、行政ができることというのは規制をかけるか、インセンティブを与える、補助制度をつくるとか、こういう何らかの方法をとることができるのかなというふうに思いますので、ぜひ検討していただければと思っております。
市街地開発事業に係る補助制度の充実ということで、市長会からも四十七番で要望いただいておりまして、土地区画整理事業について三点、そして市街地再開発事業に一点要望がございますので、これらの内容についても特段のご配慮をお願いできればと思っています。
三点目は、鉄道の連続立体化と踏切対策についてお伺いしたいと思っています。
都内には、いまだに千カ所以上の踏切が残されております。踏切による交通渋滞が発生するとともに、周辺では地域の分断による生活の不便やまちづくりのおくれ、踏切事故の危険性などの課題があります。
踏切対策は、道路交通の円滑化や都民生活の安全・安心の観点から重要でございます。都は、踏切対策基本方針に基づき、踏切対策に取り組んでいると認識はしております。
私の地元小平市内には、西武線が四路線あります。特に西武新宿線は、都心や新宿と連絡する非常に重要な路線ですけれども、踏切対策の一つである連続立体交差化がおくれているのではないかと感じています。
そこで、現在、西武新宿線の連続立体交差化について、取り組み状況を伺えればと思います。
○荒井都市基盤部長 都が平成十六年に策定した踏切対策基本方針では、鉄道立体化の検討対象区間として、西武新宿線については、中井から野方駅付近、野方から井荻駅付近、井荻から東伏見駅付近、田無から花小金井駅付近、東村山駅付近の五区間を位置づけております。
このうち、中井から野方駅付近、東村山駅付近の二区間については、事業に着手しております。
また、野方から井荻駅付近、井荻から東伏見駅付近につきましては、地元区市のまちづくりが進められていることから、平成二十八年三月に新規に着工を準備する区間に位置づけており、現在、事業化に向けて取り組んでおります。
○佐野委員 この連続立体交差化についてですけれども、小平市内では、田無から花小金井付近が踏切対策基本方針において、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられておりますけれども、その中で六カ所が重点踏切とされて、そのうち三カ所が小金井街道や青梅街道などの自動車交通量が非常に多い踏切となっています。
早期整備を期待しているところでありますけれども、都の今後の取り組みの考え方について見解を伺えればと思っています。
○荒井都市基盤部長 鉄道の立体化につきましては、地域におけるまちづくりと大きく連動することから、地元市が主体となり、地域の将来像や鉄道立体化を契機としたまちづくりの方針などを検討することが必要でございます。
また、田無から花小金井駅付近の区間につきましては、未整備の都市計画道路と二カ所で交差しており、道路整備計画との整合を図る必要もございます。
都といたしましては、地元市のまちづくりの取り組みを支援しつつ、その状況や道路整備計画の具体化などを踏まえ、適切に対応してまいります。
○佐野委員 適切に対応していただけるということでございますので、期待をしたいと思っています。
先ほどの東京都市長会からの要望の中でも、十九番に連続立体交差事業等鉄道整備と駅周辺の総合的なまちづくりの推進ということで、三ページにわたりまして、大きく四項目で要望が挙がっております。
その中の連続立体交差事業等と周辺まちづくりという副題の中に七項目ございまして、その七番目に踏切対策基本方針における鉄道立体化の検討対象区間のうち、事業候補区間以外の西武新宿線(田無駅から花小金井駅付近)及び西武池袋線大泉学園駅以西の事業化の推進を図られたいと要望が挙がっておりますので、この要望についてもぜひご配慮をお願いできればと思っています。
最後に四点目で、建築行政事務の移管についてお伺いをしたいと思います。
建築行政事務は、地域の実情に即し、都市計画行政と一体的に処理することが望ましいことから、基礎的自治体である区市町村がみずから行うべきと考えております。
私も市議会時代にこの主張をしてまいりまして、また今、立場としては都でございますけれども、都にとっても権限移譲や行政改革の一環ともなって、必要ではないかと考えています。
多摩地域については、人口二十五万人以上が義務化されているほかは協議による対応となっておりますが、既に幾つかの市において、順次、建築行政事務移管が進んでいると認識しています。
しかし、建築行政に伴う新たな財政負担や人材確保は、市にとって大きな負担となるため、事務移管を円滑に進めるためには、都の支援が必要と考えます。
そこで、多摩地域の事務移管の状況について、まずお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 ただいま副委員長のお話にありましたとおり、建築行政事務は建築基準法上、本来的には市町村の事務でありまして、市町村が地域の実情に即し、都市計画行政と一体的に処理することが望ましいとされております。
そのため、都は、多摩地域におきまして、主に人口十五万人以上の市への事務移管を進めており、現在、十市が特定行政庁として建築行政を担っております。
これまでの事務移管に当たりましては、建築行政事務に係る財政的支援のほか、市からの研修生受け入れや移管前後における都職員の派遣など、技術的、人的支援も実施してまいりました。
都は、今後も事務移管を希望する市に対し適切に支援してまいります。
○佐野委員 私の地元小平市においても、都から建築行政の事務移管を受ける協議が行われていると聞いておりますけれども、都における小平市との協議状況はどうなっているのか、お伺いをいたします。
○青柳市街地建築部長 都は平成三十三年度の小平市に対する建築行政の事務移管に向けまして、本年三月、小平市との間で具体的な協議を進める旨の覚書を締結いたしました。
今年度からは覚書に基づきまして、人材育成の観点より、多摩建築指導事務所に小平市から研修生二名を受け入れております。
また、事務移管を検討するための協議会を設置し、事務レベルでの事前の調整を進めております。
都は、引き続き小平市と研修計画について協議を行うなど、円滑な事務移管が進むよう取り組んでまいります。
○佐野委員 ありがとうございました。円滑な事務移管が進むように取り組んでいくというお言葉をいただきましたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
なお、東京都市長会からも五十番に建築基準行政事務の市移管に伴う各種支援措置の拡充という要望が寄せられておりまして、財政的支援措置について、そして人的、技術的支援措置について、詳しい内容は省きますけれども、人件費や物件費の算定基準の改正とか、行政データの電子化、管理システムの構築など、新たな財政負担が生じるというような中身になっていますので、また研修プログラムも三年を限度としているというような制限があるようでございますので、十分な期間が確保されていない、要望でございますので、ぜひこれらもしっかりと配慮していただければと思います。
よろしくお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。
○本橋委員長 以上で発言予定者のご質疑が終了したところでございます。
ほかに発言がなければ、お諮りさせていただきます。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○本橋委員長 ご異議なしと認めまして、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
午後十時十七分散会
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