委員長 | たきぐち学君 |
副委員長 | 馬場 信男君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 森澤 恭子君 |
理事 | 神林 茂君 |
滝田やすひこ君 | |
森口つかさ君 | |
星見てい子君 | |
後藤 なみ君 | |
木下ふみこ君 | |
秋田 一郎君 | |
山口 拓君 | |
藤井 一君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長技監兼務 | 佐藤 伸朗君 |
次長 | 小泉 健君 | |
技監 | 上野 雄一君 | |
理事 | 今村 保雄君 | |
理事 | 中島 高志君 | |
総務部長 | 桜井 政人君 | |
都市づくり政策部長 | 久保田浩二君 | |
住宅政策推進部長 | 佐々木秀之君 | |
都市基盤部長 | 荒井 俊之君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 山下 幸俊君 | |
市街地建築部長 | 青柳 一彦君 | |
都営住宅経営部長 | 佐藤 千佳君 | |
基地対策部長 | 高原 俊幸君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
連絡調整担当部長 | 土屋 太郎君 | |
担当部長 | 小口 新吾君 | |
まちづくり推進担当部長 | 山崎 弘人君 | |
まちづくり調整担当部長 | 木村 宣代君 | |
住宅政策担当部長 | 澁谷 浩一君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 栗谷川哲雄君 | |
交通政策担当部長 | 森 高志君 | |
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 | 新谷 景一君 | |
防災都市づくり担当部長 | 安部 文洋君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 松崎 浩一君 | |
局務担当部長 | 齊藤 敏君 | |
耐震化推進担当部長 | 青木 成昭君 | |
経営改革担当部長 | 八嶋 吉人君 | |
再編利活用推進担当部長 | 中山 衛君 | |
建設推進担当部長 | 妹尾 高行君 | |
営繕担当部長 | 村居 秀彦君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 宮城 俊弥君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
契約議案の調査
・第百八十一号議案 都営住宅三十H-一〇一東及び三十M-一〇三東(北区田端新町一丁目)工事請負契約
・第百八十二号議案 都営住宅三十H-一〇一西(世田谷区北烏山二丁目)工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百七十二号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百七十三号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・マンションの適正管理促進に関する検討会中間まとめ(案)について
○たきぐち委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
初めに、契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成三十年九月二十七日
東京都議会議長 尾崎 大介
都市整備委員長 たきぐち学殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第百八十一号議案 都営住宅三十H-一〇一東及び三十M-一〇三東(北区田端新町一丁目)工事請負契約
第百八十二号議案 都営住宅三十H-一〇一西(世田谷区北烏山二丁目)工事請負契約
2 提出期限 平成三十年十月二日(火)
○たきぐち委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の契約議案の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第百八十一号議案及び第百八十二号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○たきぐち委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たきぐち委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たきぐち委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○たきぐち委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第百七十二号議案及び第百七十三号議案を一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○桜井総務部長 去る九月十四日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料(九月十四日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
今回の資料は、1、区市町村における居住支援協議会設立状況、空家等対策計画策定状況及び住宅確保要配慮者専用賃貸住宅に係る補助の予算措置状況の一件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。
(1)、居住支援協議会設立状況、(2)、空家等対策計画策定状況、(3)、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅に係る補助の予算措置状況につきまして、それぞれ記載してございます。
居住支援協議会設立と空家等対策計画策定につきましては平成三十年九月一日現在の状況を、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅に係る補助につきましては平成三十年度当初予算として区市町村が予算措置した内容を、それぞれ記載しております。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○たきぐち委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○後藤委員 これまで私は、昨年の第三定例議会、本年の第一定例議会と、セーフティーネット住宅にかかわる審議が上がるたびに質問をしてまいりました。
また、この間に、住宅確保要配慮者の支援を行う不動産事業者や区市町村の福祉部門、住宅部門、また、住宅確保要配慮者に向けてICTで見守りなどを行うITベンダーなどなど、いろいろなところにお話を聞きまして、さまざまな角度から、どうしたら本制度が実効性のあるものになるのかという検討を進めてまいりました。
今回は、セーフティーネット住宅の登録が始まって約半年がたつということでございますので、運用面をチェックするという観点で、実際にセーフティーネット制度を活用し、住宅支援を行う複数の団体にお話を聞いてまいりました。
現時点で私が感じているポイントは、ソフトサービスの充実と各機関の連携強化だと思っています。本制度の内容充実と実際の支援機関の強化という点を踏まえつつ、三点ほどご質問をさせていただきたいというふうに思っています。
まず初めに、今回議案となっている条例改正についてお伺いをしたいと思います。
国は、セーフティーネット住宅の登録を行いやすくするために、申請書の記載事項、添付書類などを大幅に削減し、申請手続の簡略化を図ることとなりました。
本改正では登録手数料の無料化を提案していますが、こうした取り組みの背景について、改めて伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 高齢者を初めとする住宅確保要配慮者の居住の安定を図るため、民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、セーフティーネット住宅の登録を着実に進めることが重要でございます。
都は、本年三月に供給促進計画を策定し、住宅の面積基準の緩和を図るとともに、区市町村の意向を踏まえながら、この四月から家賃の低廉化補助等の予算措置を講じております。また、不動産団体等を通じて登録制度の普及に努めてまいりました。
セーフティーネット住宅の登録が進まない中、国は、不動産団体等からの指摘を踏まえ、登録申請手続の事務的負担の軽減のため、本年七月に制度改正を行い、申請手続を大幅に簡素化いたしました。
あわせて、国は、セーフティーネット住宅の福祉的側面を考慮し、登録手数料を徴収しないなど、適切に見直しを行うよう、都道府県や政令指定都市などに要請を行いました。
都は、これを受けまして条例を改正し、手数料を無料化することで登録申請者の負担を軽減し、一層の登録促進を図ってまいります。
○後藤委員 ありがとうございます。やはり大きな背景としては、登録が進んでいないというお話がございました。
確かに、きょう時点の登録戸数は、東京都においては二百十四件となりますことから、当初、目標としていた三万戸を年間目標戸数で均等に割り返すと、三千七百五十戸が年間になりますけれども、そこから割り返すと進捗率が五・七%ということで、これだけを見ると、突出して東京都が厳しいのかなというふうにも見えるんですが、ただ、これは東京だけの問題ではない状況で、全国的にも登録が伸び悩んでいるということからも、やはり抜本的な対応策が必要であるというふうに考えています。
そこで、制度の普及促進に向けては、ニーズが合致していて、制度を知ってもらえさえすれば登録が進むというケースと、ニーズはあっても利用にはなかなか至らないという層に分けて、施策を講じるべきではないかというふうに思っています。
まず、知っていただければ登録をしていただけるという層に関しては、告知の問題になりますので、しっかりやってくださいねということかと思います。現在、既にアプローチをいただいている業界団体さんなどに認識の状況、現状などを再度確認し、ボトルネックの洗い出し、そして対応をお願いしたいというふうに思います。
ただし、私はいろいろなケースを見てみると、さきのように、知っていただけさえすれば登録が進むというケースは、実際にはすごく少なく、ニーズがあっても、どこかしらにボトルネックがあって、利用に至らないという層の方が圧倒的に割合としては多いのかなというふうに感じております。
もともと、なかなか貸し手が見つからない住宅確保要配慮者と、さらになかなか借り主が見つからない空き家をマッチングするという特性からも、そう簡単に供給が促進されるものではないというふうに思っております。だからこそ、住宅確保要配慮者、空き家という、それぞれの課題を補うソフトサービスを充実させるべきだというふうに考えています。
そういった意味からも、今回、既に取り組みを行っている居住支援法人などにも意見を聞きながら、どこに課題があるのか、何をしたらより制度の普及が進むのかといったような議論もいただきながら、対応策を検討いただくことが重要だと考えます。
そこで、今後、セーフティーネット住宅の登録を進めるために、制度の普及啓発に向けて具体的にどのような取り組みを行っていくのか、見解を伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、不動産団体の協力を得ながら、貸し主に制度を周知するとともに、区市町村の窓口等を通じて、住宅相談に訪れる方々に案内チラシを配布するなど、情報提供に努め、普及啓発に取り組んでまいりました。
また、国による七月の申請手続の簡素化については、速やかに不動産団体等にお知らせするとともに、意見交換を行ってございます。各団体からは、手数料が無料になれば登録したいとの意見もある一方で、制度内容が十分理解されていない、また、入居者の見守りなどの貸し主の不安軽減策も必要などの声がございました。
今回の手数料の無料化につきましては、条例改正後、不動産団体や区市町村に速やかに周知いたします。あわせて、制度内容をより理解していただけるように、案内チラシを改定し、配布を依頼するなど、PRに努めてまいります。
加えまして、これまで指定した見守りなど生活支援を行う居住支援法人とも意見交換を重ねるなど、セーフティーネット住宅の登録促進に向けた対応策を検討してまいります。
こうした取り組みにより、本制度を普及させてまいります。
○後藤委員 ありがとうございました。まず、本制度の広報の体系について言及をいただきました。現在はチラシ等々を使って普及いただいているというふうに思いますけれども、ぜひ普及啓発に向けては、文字ばかりだと読みづらいので、わかりやすい表記の工夫をしていただきたいと思います。
これが現在、家主と事業者側に告知をされている実際のチラシなんですけれども、文字ばっかりで、すごくわかりにくいかと思います。大家さんは高齢者の方も多くいらっしゃいますので--実際これが、参考として、これはまた別の地域の社会福祉協議会が、住宅セーフティーネットの説明で作成をしているチラシですけれども、制度はともかくとして、わかりやすい図表を入れたりですとか、普及をしやすいような内容にしていると思います。
ぜひ東京都としてもこうした観点を踏まえて、わかりやすい案内チラシをつくっていただきたいなというふうに思います。
さらには、この中身を見ると、できるだけ普及に向けては、行政用語は避けていただきたいというふうに思っていまして、住宅確保要配慮者といういい回しで入っておりますけれども、一般の方からすれば、住宅確保要配慮者という言葉自体もかなりわかりにくいのかなと思っております。
せんだっても、私も委員会で言及をさせていただいておりましたが、住宅困窮者であったりとか、ハウジングプアというような通称名もぜひ使っていただいて、わかりやすい普及啓発ということを求めたいというふうに思います。
さらに、事例紹介なんですけれども、セーフティーネット住宅の登録が進むのは大阪府でございますが、こちらでは、各不動産会社の中でも住宅セーフティーネットの制度に熱心な法人や店舗を協力店として認定をしております。そうすることで、普及促進の旗振り役であったり、行政機関との調整役にもなっているというふうにお聞きをしています。
ぜひ東京都でもそうした制度を創設していただいて、まずは熱心な事業者を地域につくっていくということを求めたい、提案したいというふうに思っております。
また、区市町村の住宅部局にも、既にこうした制度のご案内をいただいているというお話がありましたが、住宅確保要配慮者の実際の相談窓口となっているのは福祉部門になりますので、ぜひ福祉部門の方にもしっかりと内容伝達が行き届くように、都の方からもきめ細かくフォローをいただきたいなというふうに思っております。
さらに、ソフトサービスの充実について、現場である居住支援法人からの意見も聞いていただける、聞いていくことを検討するというようなご答弁がございました。実際、私も今回お話を伺ってきた居住支援法人や自治体からは、さまざまな要望が上がってきております。
例えば居住支援法人からは、幾つもあるんですが、まず、見守りサービスを多様化してほしいというようなご意見がございました。これについては、現在、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターのあんしん居住制度と連携をして、安心機能を付加していると思いますけれども、実際にはこちら、月額費用がとても高いことから、こうした費用、利用者負担になるということからすると、なかなか進まないというお話がありました。
ぜひ、民間の低廉なサービスの導入も含めて、選択肢をふやすということも視野に入れていただきたいと思います。こちら提案をさせていただきたいと思います。
また、孤独死などの入居の事故に対してのリスク負担を求めるというようなご意見もありました。今後、都として、家主負担の軽減や家財補償制度などの追加というのも要望させていただきたいと思います。
さらに、住宅の改修費補助を受けた場合に、十年間は専用住宅として管理するというルールがございますが、こちらも実際に運用しようとすると、かなり基準のハードルが高いといったご意見もございます。こちらは国の方になると思いますけれども、ぜひ、期間撤廃に向けた緩和措置というのも、国に対して要望いただきたいというふうに思います。
また、自治体からは、計画策定のための実態調査の支援を行ってほしいという意見や、家賃低廉化に向けた補助、これは、現在は四分の一が区市町村負担でやっているかと思いますが、普及に向けては、期間を限定して都が補助率を上げるということも検討してほしいというご意見が上がっておりました。
こうした現場の要望に耳を傾けていただきながら、ぜひソフトサービスの充実ということに取り組んでいただきたいというふうに思います。
また、先ほど例にも挙げた大阪府の取り組みでございますが、ご存じのとおり、住宅セーフティーネットの登録が最も進んでいるのは大阪府でございまして、現在、二千件超の登録がございます。
東京都は二百件超でございますので、かなり大きな差がございますが、私の方で実際の担当者の方に、どうしてこんなに住宅登録が進んでいるのですかということでお話をお聞きしたんですけれども、実は住宅登録の多くが、旧雇用促進住宅を活用した家賃低廉住宅を運営するビレッジハウス・マネジメントさんという会社と連携をしているということで、セーフティーネット住宅の千を超える戸数は、こちらの住戸が該当するというようなお話がございました。
実際にこの法人にも、私からお話をお聞きしましたけれども、現在、東京都でも、同じような制度で千六百十一戸の家賃低廉住宅があるというお話がありました。そしてさらに、そのうちの百三十戸が空き家であるというお話がありまして、ぜひ、東京都でもこういったスキームがあれば活用したいという担当者の方のご意見もございました。
こうした幅広い制度との連携ということも含めて、東京都として選択肢をふやしていただく取り組みを検討していただきたいというふうに思います。
さらに、普及促進に向けて大きなハードルとなる家主のリスク軽減を考えるという観点では、住宅確保要配慮者の生活支援を行う居住支援法人や居住支援協議会、さらには行政の福祉部門など、関係機関が大きな役割を担うことになります。
居住支援法人及び居住支援協議会の重要性については、本年の第一定例議会でもたびたび申し上げたとおりでございます。福祉政策と住宅政策が融合した制度である住宅セーフティーネット制度については、こうした連携機関との強化というのが欠かせないポイントになってくると思っております。
そこで質問します。住宅セーフティーネット制度のかなめとなる居住支援法人の指定及び区市町村居住支援協議会の設立促進に向けた現在の取り組みについて伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 居住支援法人につきましては、区市町村の協力を得て、地域で居住支援の実績を持つNPO法人や福祉団体に対し、指定を受けるよう働きかけてございます。
これまで、国土交通省によると、全国三十二都道府県で百四十五団体が指定されており、そのうち都では十三団体を指定しております。
都は引き続き、複数の団体から指定に向けた相談や申請を受けてございます。
また、区市町村における居住支援協議会の設立を促進するために、都は、不動産団体や福祉団体等と連携しながら、居住支援の先進的な取り組み事例や他の協議会の設立事例などの情報を区市町村に提供しており、これまでに十二の区市で設立されております。
都は引き続き、協議会の担い手の確保や運営方法などに関し、複数の区市からの相談に応じるなど、設立を支援しております。
引き続き、居住支援法人の指定や区市町村協議会の設立を促進し、高齢者を初めとする住宅確保要配慮者が地域で安心して暮らせるよう取り組んでまいります。
○後藤委員 ありがとうございました。既に居住支援法人に関しては、十三の団体から指定があるといったご答弁でした。
本当に重ね重ねになるんですけれども、本制度のポイントは居住支援法人だというふうに思っておりまして、さらに指定となる法人がふえるように、都としても働きかけをいただきたいというふうに思っております。
現在登録されている団体は、住宅確保要配慮者の生活支援や住宅支援を既に行っている法人が大半であるというふうに認識しておりますので、今後さらに居住支援法人をふやすためには、地域で高齢者や障害をお持ちの方などに福祉サービスを提供している社会福祉法人や社会福祉協議会などにリーチをして、重要性を理解いただき、取り組みに参加をいただく必要があるというふうに考えております。
今回、居住支援法人でお伺いしたのが、町田にある社会福祉法人悠々会さんというところに伺ったんですけれども、高齢者介護を中心に特養ホームを展開する法人でございました。ただし、近年起きる地域高齢者の住まいの課題ということを捉えて、住宅支援事業を始められたというようなお話をお聞きいたしました。
私も地元で、幾つかの社会福祉法人に対して、本制度の普及に向けてお話を聞いてまいったんですけれども、話をすると、すごくいい取り組みだねと、重要な取り組みだねというふうにはいっていただけるんですけれども、やはり彼らは福祉の専門家であるというふうなことですので、不動産のノウハウであったり知識がございませんので、イメージがなかなか湧かないという事業者が多いのかなという実感がございました。
ですので、同サービス事業者の先進事例、例えば今のような悠々会さんの取り組み等々を積極的に共有していただきながら、丁寧に働きかけをいただくことも重要だというふうに考えます。
私はこれまで、高齢者介護の分野を専門としておりまして、東京都でも五百以上の施設を回って、過去いろいろお話をしてきました。いろいろ回ってみると、地域に一つぐらいの法人は、大抵、こうした地域課題に対してとても前向きで、先進的に取り組んでいる法人があるかなというふうに思っておりまして、さらにこうした法人は、大抵、行政の福祉機関であったり、あとはそのほかの地域ネットワークを持っているケースが多いということからも、居住支援法人にすごく適任であるというふうに思っておりまして、ぜひ東京都としてもこうした法人を発掘できるように、アウトリーチで取り組みをいただきたいというふうに思っております。
また、居住支援協議会については、さきの東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画で、二〇二〇年度までに区市の五〇%を目標として設置を目指していると思いますけれども、ぜひ、五〇%といわずに全区市町村で設置が進むように、周知徹底と啓発をお願いしたいなというふうに思っております。
最後にですが、私自身は、福祉政策と住宅政策が融合した住宅セーフティーネット制度においては、住まいを拠点にしたさまざまな用途の可能性があるというふうに思っております。
例えば九州では、高齢者がついの住みかとして最後まで暮らせるように、住戸を丸ごと借りて緩和ケアを行うようなホームホスピスの取り組みや、高齢者の方のシェアハウス等々、こうした取り組みが広がっております。
ぜひこうした取り組みも参考にしていただきながら、多様な住宅ニーズに対応できるような居住支援の取り組みを、福祉部門と連携をしていただきながら進めていただくことを期待して、私の質疑を終了させていただきます。
○星見委員 それでは私は、今回の建築安全条例の一部改定による重層長屋の規制強化にかかわる内容についてお聞きします。
条例改正の背景には、都内での危険な重層長屋の急増があります。本安全条例は、共同住宅などの特殊建築物については、安全性を確保するために、旗ざお敷地といわれます路地状の敷地に、原則、建物を禁止しています。
しかし、長屋には規制がなくて、二メートルの敷地内通路があれば建築可能となっています。これを利用して、共有の廊下や階段がなく、全ての住戸が一階に出入り口があれば長屋だとして、一つの建物に多数の住戸が入っているという重層長屋が建設されています。
この重層長屋ですけれども、調べてみますと、大手の不動産会社などによって、路地状敷地、旗ざお地にも建築が可能、敷地を最大限に生かせます、工数が短く投資効果がすぐれています、あるいは賃貸住宅経営の安定をもたらすことになりますなど、法規制のすき間を使って投資をあおる宣伝が次々と展開されている実情があります。こうした中で重層長屋は急激に都内全域に広がってきました。
そこでお聞きしますけれども、今回の条例改正に向けて、都は、都内の長屋の実態や建築数をどのように把握していますでしょうか。また、調査していれば、建築数の推移などお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 大規模な長屋として、延べ面積三百平方メートル以上のものについて、平成二十一年度以降に都内で建築確認があったものを把握しております。
そのうち、路地状敷地に立地している大規模長屋は、平成二十一年度に年間約百件、その後、徐々に増加し、平成二十九年度には約二百件となっております。
○星見委員 今のご報告でも、年間数でこの八年で倍、建築されるようになっていると、急激にふえているということがわかります。
六年前の調査では、二〇〇九年四月から二〇一二年三月末に建築確認を取得した延べ床面積三百平米以上の路地状敷地における長屋、これ合計で三百六十八件となっています。このとき調査の結果では、世田谷区が五十一件、練馬区が二十件、足立区十九件、江戸川区十七件、八王子市十六件、中野区十六件、杉並区十五件となっておりまして、これがさらに拍車がかかっているという状態です。
これに伴って住民からは、火災など極めて危険だとして次々と紛争になりまして、行政や、あるいは建築審査会への訴えが続いてきています。
日本共産党は、都議会で二〇一六年、二〇一七年と、足立区や練馬区での実情を取り上げて質問し、共同住宅と同じように規制するなどの見直しを求めてきました。また、国会でも、二〇一七年の二月、去年ですけれども、衆議院予算委員会で東京都内での重層長屋問題を取り上げて、国としてしっかり向き合って規制をかけるよう迫ってきました。
こうした中で、昨年、二〇一七年の三月に、国土交通省と東京都が参加して、多数の狭小住戸から成る大規模重層長屋に関する検討会が設置され、昨年七月には、火災時等における大規模重層長屋の危険性とその対応についてが出されています。
都は、この重層長屋の危険性などをどのように認識して改定を提案されたのでしょうか伺います。
○青柳市街地建築部長 平成二十四年度に、大規模長屋に関する規制のあり方について都と区で協議を行い、当時、地域により大規模長屋をめぐる状況が異なることなどから、引き続き区の間で情報交換や検討を行っていくということといたしました。
平成二十八年度に一部の区において、大規模長屋に関し再び審査請求がなされたことから、都は平成二十九年二月、区や市の建築主管部課長会に対して大規模長屋に関する見解の取りまとめを依頼いたしましたところ、平成二十九年十二月に市から、本年一月に区から、都による統一的な規制を求める内容の報告を受けております。
それを踏まえまして、都は具体的な規制内容を整理し、業界団体との意見交換や都民への意見公募なども経た上で、条例改正案を取りまとめ、必要な手続を経て本定例会に付議したものでございます。
○星見委員 今、各区との協議など実情を踏まえながら進んできたというお話でした。
足立区で大問題になりまして、区議会全会一致で意見書が東京都に対して上げられてきたと。それから、足立区の建築審査会が建議を出して、この危険性について訴えてきたという経緯がありますけれども、再度お聞きしますけれども、この危険性についてどういう認識なのかというのが非常に大事だと思っているんです。
危険性について、足立区の意見書や建築審査会、同じような認識を東京都が持っていらっしゃるのかどうか、もう一度お聞きいたします。
○青柳市街地建築部長 昨今建設されております大規模な重層長屋につきましては、従来より想定していなかったような、避難等に支障が生じるようなものが中には建設されているということは、認識しております。
○星見委員 私も、足立区の西竹の塚にある重層長屋を調査してみました。
ちょっと写真をお示ししたいと思うんですけれども、(パネルを示す)住宅の間に細い路地があると思うんですね。路地の奥に重層長屋があるんです。
どのぐらいの規模のものがあるかといいますと、幅二メートル程度、実は二メートルないんですけれども、路地の奥に、同一敷地内に木造二階建てのロフトつき、最近はやっているデザイナーハウスとかいうようなイメージのものですけれども、三十二戸と三十戸、長屋が二棟、あの路地の奥に合計六十二戸が建っているという状態でした。
実は、加えて、この建っている状態を見ると、表側は全て出入り口が一階に並んでいるんですね。ですから、何か倉庫のドアがだあっと並んでいるような異様な感じなんですけれども、それに加えて私が驚いたのは、次の写真なんですけれども、この二棟が背中合わせに建っているんです。この背中合わせの中、ちょっとわかるでしょうか、手前がガスですね、奥の方は室外機が、とにかくあの狭いところに背中合わせで、猫は通るかな、猫が通ると危ないかなというところにびっしりと、こういう形で六十二戸が密集しているという状態になっていました。
恐らく、この狭い路地の奥に、少なくとも戸数からいくと六十人以上、若いカップルなどが入っているというふうに考えますと、百人近くの住民が住んでいる可能性があるのではないかというふうに思いました。もし住民が就寝しているような夜に火災が起きたら大惨事になるのではないかという、現地を見て一番思った点です。
この建設計画が住民の皆さんに知れ渡る中で、住民たちは、区や建築審査会に確認許可の撤回を求めておりました。しかし、区の建築審査会は、東京都建築安全条例、そしてまた区の行っている業務との関係で合致しているということで、住民の訴えは退けられて、私が見たような、この異常な重層長屋は建設されてしまったという経緯です。
しかし、この審査を行いました足立区建築審査会は、この事態を見て重大であると判断して平成二十九年一月三十日付で都知事宛てに、大規模長屋の適切な規制・誘導についてという建議を出しています。都知事に出されたその内容、主な内容、どのようなものか、お伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 平成二十八年度に足立区において、大規模長屋に関し審査請求がなされ、その後、平成二十九年一月に足立区建築審査会から建議書が提出されております。
建議の主な内容は、大規模かつ高密度な長屋住宅の建設計画が進行していることから、都においては、東京都建築安全条例の改正を実施すべきというものでございます。
○星見委員 今、非常に簡素な、柱だけのご答弁でしたが、少し中身を見てみたいと思います。
(パネルを示す)ちょっと小さいので、目に入るかどうかと思うんですけれども、赤い線のところ、私、重要だと思って、きょうは持ってきたんです。
読み上げて、少し簡略に要旨でいいますと、この足立区建築審査会の建議の中で書かれている、乳幼児や高齢者などの入居も予想されることから、火災時の避難及び消火、救済活動に大きな困難が生じるおそれがある、このような建築物の蓄積は、地域の防災力の低下をもたらすほか、健全なコミュニティの形成という点からすると好ましくないと述べ、さらに、社会資本としての良好な住宅ストックの形成という観点からすると、大きな社会的損失をもたらすものと考えると主張されています。
そして、特に下の部分の赤いところですけれども、東京都建築安全条例の改正を述べて、低層集合住宅に関しては、共同住宅か長屋かの違いは本質的な要素ではなく、敷地内の戸数密度ないし絶対戸数を問題とすべきである、こういう指摘をされています。まさに住民の安全を確保する上で大変大事な考え方だと思います。
そこで、この観点から、今回の条例改正の内容について幾つかお聞きしていきたいと思います。
まず、今回の建築安全条例第十条では、原則--特殊建築物は、路地状部分のみによって、道路に接する敷地に建設してはならないと、この特殊建築物というのは、住宅でいうと共同住宅を指しておりますので、共同住宅の建設は規制していますが、その理由をまずお聞きいたします。
○青柳市街地建築部長 東京都建築安全条例におきまして、共同住宅を含む特殊建築物は、火災発生のおそれが大きく、なおかつ廊下、階段等を各住戸で共有するなどしており、避難上の制約があることなどのため、安全上及び防火上の観点から、路地状敷地の建築制限をしているものでございます。
○星見委員 では、現在の建築安全条例で、共同住宅と同じく多くの人が住んでいる重層長屋が、路地状敷地で同様に規制されていない理由はどうなっているかを伺います。
○青柳市街地建築部長 長屋は共同住宅と異なりまして、廊下や階段等を各住戸で共有せず、容易に各住戸の出入り口から直接屋外へ出られることに加え、各戸の主要な出入り口を道路または道路に通ずる敷地内の通路に直接面するように規定することで、避難上の安全性が確保されていることから、路地状敷地に建設可能となっております。
○星見委員 しかし、今のご答弁のとおりの理由で、現在は建築可能なんですが、足立区の例を見ても、現在の条例での重層長屋が、出入り口から直接外に出られれば安全性が担保される住宅とみなされるというのは、現状とは全く、現実とは異なった違いがあるのではないでしょうか。
今回の改正で、都が長屋について第五条を改定し、共同住宅と同様に、長屋の主要な出入り口は道路に面して設けなければならないと、原則では路地状敷地に建てられないという考えを示しました。
その上で、例外がどのような考え方になっているかが重要だと思います。
先ほど述べましたように、今回の改正では、これまで規制がなかった重層長屋が、同じ低層集合住宅である共同住宅に比べてどのような規制が強化されたのかということが大切な点です。
そこでお聞きしますけれども、この本建築安全条例十条では、今述べられましたように、特殊建物である共同住宅については例外規定を設けています。
一つ目は、路地状部分の幅員が十メートル以上で、かつ敷地面積が一千平方メートル未満である建物の場合、二つ目は、階数が三以下であって、延べ面積が二百平方メートル以下で、かつ、住戸または住室の数が十二を超えない共同住宅で、路地状部分の長さが二十メートル以下となっています。
この路地状部分の幅員が十メートル以上あるいは長さ二十メートル以下、そして延べ床面積が二百平米以下という、この考え方は安全上どのように設定されたのか、まずお伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 共同住宅に係るこの例外規定は、平成二十七年の条例改正により規定したものでございまして、当時の認識といたしまして、防火性能等の向上などにより、建築物の安全性が高まってきているため、敷地の形態や計画上の配慮などにより、安全上支障がないと認められるものについては、建築できることとしたものでございます。
○星見委員 今回、長屋についても、建築規模や敷地内の通路の長さに応じて、通路幅の規制を強化することが盛り込まれました。
主要な出入り口が道路に面しない住戸部分の延べ面積三百平米を超える、または住戸が十一戸以上の場合、敷地内の通路幅は、現行二メートル以上から三メートル以上に引き上げる。住戸の最低床面積が四十平米を超える場合は、延べ面積四百平米までは二メートル以上に据え置く。また、道路から最も遠い住戸の主要な出入り口から道路までの距離が三十五メートルを超える場合、この道路幅は四メートル以上とする。そして、建物規模にかかわらず、住戸の窓など主要な出入り口以外の開口部から道路まで、幅五十センチ以上の避難上有効な通路を設けることも新たに義務づけるなどの内容です。
そこでお聞きします。今回の条例改正では、長屋は、共同住宅の例外規定で設けられました長さ二十メートル以下などと比べまして、今述べましたように、幅員二メートルまたは三メートル以上、長さは三十五メートル以内、少し共同住宅より緩和されているのかと思います。床面積も、共同住宅は二百平方メートルまでしか建てられませんが、長屋は条件つきで、四百平方メートルまでは現行どおり、二メートル以上で建築が可能になっています。この違いはなぜなのか、お伺いいたします。
○青柳市街地建築部長 長屋は共同住宅と異なりまして、廊下や階段等を各住戸で共有せず、容易に各住戸の出入り口から直接屋外へ出られることに加え、各戸の主要な出入り口を道路または道路に通ずる敷地内の通路に直接面するように規定することで、避難上の安全性が確保されていることによります。
○星見委員 今お話ありましたように、今改定は、長屋への規制をかける内容ではありますが、共同住宅の現行の安全条例と比較すると、同等の規制まではなっていないというのがわかりました。
横浜市では、長屋に対して、避難に役立つ窓からの通路幅は一・五メートル以上と、裏の路地もしっかり確保する内容です。東京都の今回の条例では、これが五十センチというふうになっています。また、路地に面した住戸が六戸以下なら、路地状の部分は幅員が四・五メートル、そして十戸以下なら幅員は六メートルと、厳しい規制を設けています。道路に面しない住戸が十一以上では、路地状敷地に長屋はつくれませんから、大規模な長屋はそもそもつくれません。
横浜市は、重層長屋規制の根底に、長屋は利用形態が共同住宅に類似している、だから避難及び通路の安全を確保するよう定めるという考え方があるからです。
以上、挙げましたように、火災の危険度の高い路地状敷地に建つ大規模な長屋の解消を進めるには、低層住宅では長屋も共同住宅も本質的に違いはない、また、敷地内の住戸の混みぐあいや戸数を問題にすべしという先ほどの足立区の建築審査会の考え方、そしてもう一つ、今お話ししました、長屋は共同住宅に類似しているから、避難及び通行の安全を確保するよう定めるという横浜市の考え方及びそれに導かれた規制など、非常に学ぶことが重要だと考えます。
そして、都としてもさらに規制強化を図ることを求めておくものです。
また、道路に準ずるとはいっても、その道路が、建築基準法第四十二条二項に基づくいわゆる二項道路、このような細い、狭い道路に通ずる袋状敷地では、道路の部分で避難が難しくなります。
袋状敷地に建つ長屋対策についても、今後、建築安全条例で強化することを求めておくものです。
次に移ります。次は、市区町村での独自条例について伺います。
今回の建築安全条例の第一条の三で、区市町村がこの条例と同等以上の制限の付加等を講ずることとなるよう定めている場合は、該当区市町村条例の規定に相当するこの条例の規定、該当区市町村区域内においては適用しないと書かれています。
この文言なんですけれども、区市町村が独自条例を持つ場合は、今回の改定内容と同等あるいはより厳しい規制をかけるものでなければならないとの認識でよいかどうか伺います。
○青柳市街地建築部長 委員ご認識のとおりでございます。
○星見委員 今のご答弁で、この第一条の三の意味は、区市町村の独自条例は、今回の改定内容と同等あるいはより厳しい規制をかけるものでなければならないということを示していると確認できました。大事な改定内容です。
次に、知事が安全上支障がないと認める場合について伺います。
第五条の三項は、知事が安全上支障がないと認める場合においては適用しないとあります。また、区市への委任事務として、行政手続条例でも同様に、安全上支障がないと認める場合、本条例の適用除外ができるとなっています。この場合の適用除外の考え方を伺います。
○青柳市街地建築部長 本条例改正案では、建築物の周囲の空地の状況、その他土地及び周囲の状況により、知事が安全上支障がないと認める場合、適用を除外する規定を設けております。
適用除外につきましては、個別具体の計画ごとに、東京都建築安全条例に基づき、特定行政庁である区や市などが判断することとなります。
○星見委員 この安全上支障がないと認める場合との関係で、新宿区下落合の通称たぬきの森事件というものがあります。本条例である東京都建築安全条例の委任事務として、新宿区長が安全上支障がないと認める場合として建築確認を出した重層長屋の許可が取り消しになったものです。
その建物は、三十四メートルの路地状部分により道路に接する敷地上マンション建設計画です。地上三階、地下一階、延べ床面積二千八百平米、三十戸と、一見マンション風の重層長屋、これが完成間近で、最高裁判決によって確認申請が取り消されました。
控訴審判決では、この場合の安全上支障がないと認める場合とはどういう場合かということが書かれております。接道の基準を満たすことで確保されると同程度に、平常時の円滑な通行のみならず、災害時における避難、消火及び救助活動に支障を来さない状況にある場合という判断基準を示しています。そして、敷地状況と利用計画も勘案すべしとしています。
この判断基準に基づく具体的な例として、例えば、敷地に公園などの公共的空間、空地が接していて、道路に出なくても直接避難できる場合、また、道路に出なくても避難できる広い空地が敷地内にある場合を挙げています。
この判決を見ますと、東京都建築安全条例の適用除外になる安全上支障がないと認める場合は、しっかりとした高い安全性が求められる内容だということだと思います。
ぜひ、行政や事業者などの関係者が、この規定を安易な規制緩和と考えることのないように、徹底するよう求めます。
最後に、改正条例施行後、既存不適格となる長屋が、将来建てかえを行った際、改正後の条例の適用がどうなるのかということを伺います。
○青柳市街地建築部長 条例改正後に建てかえを行う場合は、改正後の条例の規定が適用されることとなります。
○星見委員 これ、なぜお聞きしたかといいますと、紛争が起きている住民から、安全上支障がないと認める場合が適用されて、また同じものを行政が許可するのではないかと、不安の、疑念の声がありました。
今回の改正で、既存不適格になる重層長屋は、例えば隣接地に公共的空間ができるなどで、もともとの東京都建築安全条例で示されている安全レベルは、クリアしない限りは、次の建てかえでは同等なものは建てられないということだと思いますが、再度確認をお願いいたします。
○青柳市街地建築部長 重ねての答弁となりますが、条例改正後に建てかえを行う場合は、改正後の条例の規定が適用されることとなります。
○星見委員 今回の建築安全条例の改正は、重層長屋を規制しようという新たな取り組みです。この改定内容を施行しながら、安全上問題が生じた場合は、都として現状を機敏に掌握し、必要に応じた重層長屋の規制をさらに改正、充実させていくことを意見として申し述べまして、私の質問を終わります。
○山口委員 それでは、私からは、第百七十二号の手数料条例の一部を改正する条例から、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
都は、住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅、いわゆるセーフティーネット住宅の供給を平成三十七年度までに三万戸を目標とするとともに、平成三十二年度までに、区市の五〇%以上で居住支援協議会が設置されることを目標としているわけであります。
今回、資料要求もさせていただきましたが、このセーフティーネット住宅に係る補助も、例えば国などと合わせて四万円を補助する家賃の低廉化について、平成三十年度予算では、十区市町村で各五十戸を見積もっていたわけであります。
しかし、セーフティーネット住宅の登録は思うように進んでいないのが現状であります。この原因はどのようなところにあると認識をされているでしょうか、お伺いをしたいと思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 これまで都は、昨年十月の制度発足以来、本年三月に供給促進計画を策定し、住宅の面積基準の緩和を図るとともに、四月には、区市町村の意向を踏まえながら家賃低廉化補助等の予算措置を講じております。あわせて、区市町村や不動産団体等を通じた制度の周知を行うなど、登録促進に向けた取り組みを行ってまいりました。
しかしながら、賃貸住宅の所有者など関係者に制度が十分に浸透していないこと、また、事務や手数料の負担感について、国が不動産団体から指摘されており、都も同様の声を聞いてございます。こういったことが登録の進まない要因と考えてございます。
○山口委員 ことし三月十九日の都市整備委員会においても、セーフティーネット住宅については、るる質問させていただいたところでございますので、多くをお聞きはいたしませんが、今回の条例改正において、事業登録申請手数料を八百円から非徴収にするということでありますが、それだけでは供給の大幅増は見込めないと考えます。
今回の改正を契機に、区市町村や不動産など関連団体に対して、さらに積極的なPRや働きかけを行うことに加えて、こうした制度があることを住宅に困窮する都民に周知をするなど、セーフティーネット住宅の供給に向けて、さらに積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、都の居住支援協議会の場などにおいて、区市町村や不動産団体、福祉団体等と意見交換を行いながら、引き続き登録促進に向けて取り組んでまいります。
今回の手数料の無料化につきましては、条例改正後、区市町村や不動産団体に速やかに周知いたします。これとあわせて、制度内容をより理解していただけるように、案内チラシを改訂し、配布を依頼するなど、貸し主等へのPRに努めてまいります。
また、借り主となる方々に対しましては、区市町村や地域の関係団体と連携して、住宅相談や生活相談の機会を通じ、制度についてお知らせするとともに、ホームページ等を活用して、広く制度の周知に努めてまいります。
あわせて、ホームページで住まいに係る情報をみずから入手することが困難な方などに対しましては、福祉団体と連携して、登録住宅の情報について丁寧にお知らせしてまいります。
こうした取り組みを通じて、関係する方々にこの制度の趣旨の理解を広め、セーフティーネット住宅の登録を促進し、住宅確保要配慮者の居住の安定に努めてまいります。
○山口委員 住宅確保要配慮者、すなわち住宅に困窮する都民の皆様への周知方法として、提案というか要望でございますが、都営住宅の募集案内というのは、非常に小まめにチェックをされていると思いますので、この都営住宅の募集案内の際に見ていただけるように工夫をしていくなど、必要としている方にしっかり情報を届ける努力というのをぜひ重ねていただきたいと、このように切に願うところでございます。
供給が少ないから周知をしない、借り手がいないから登録数がふえないという、いわば鶏と卵のような状況をなくしていって、全ての都民が安心して住める東京にしていただきたい。貸し主、また仲介業者、福祉関係者等、あらゆるチャンネルで取り組んでいただくよう強く申し上げておきたいと思います。
今後も進捗状況について注視をしてまいりますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
続いて、百七十三号の東京都建築安全条例の一部を改正する条例についても質問させていただきたいと思います。
建築基準法の基本原則は、一敷地一建築物であるため、多数の人が住まう共同住宅は、特殊建築物としてさまざまな規制がかけられているところでございます。長屋においては、共同住宅と比較をして規制が緩く、延焼防止や消火活動、避難のしやすさといった観点から見ると、長屋居住者ばかりでなくて、近隣地域の安全性低下にもつながりかねないと指摘を続けられてきたところであります。
近年、長屋が大量供給されたため、今回の改正になったというところでありますが、長屋の建築確認申請数について、まずはどのように変遷をしてきたのか伺いたいと思います。
○青柳市街地建築部長 大規模な長屋といたしまして、延べ面積三百平方メートル以上のものについて、平成二十一年度以降に都内で建築確認があったものを把握しております。
平成二十一年度は年間約四百件、その後、徐々に増加いたしまして、平成二十五年度以降は年間約六百件となっております。
○山口委員 生命安全確保のためにも、不燃化延焼防止のための取り組みを進めている一方で、相続等に伴って一軒家が長屋に建てかわるような例も非常に多いと。それによって地域の安全性に影響をもたらす事態は、これは当然避けなければならないわけであります。
一方で、東京の実情に鑑みると、確保できる敷地にも限りがある中で、リーズナブルな賃貸で住めれば、ある程度の狭小さ、採光や風通しの悪さは許容するという居住者側のニーズが一定程度存在することは、これも事実であるわけであります。
低廉な家賃で生活をしたい都市居住者が住める賃貸が足りなくなる、また、不動産の利活用が滞るといった別の都市問題につながる事態が起きるようなことは、果たしてないんでしょうか。
もちろん安全確保、これはもう当然第一であるわけでありますが、今回提案の窓側への通路設置、通路幅を拡張する規制による家賃へのはね返り、土地の利活用などと、安全とのバランスに細心の注意が必要と考えるわけでありますが、この点について都ではどのように検討されたのか伺いたいと思います。
○青柳市街地建築部長 東京都建築安全条例は、建築基準法に基づき、建築物の敷地、構造などに関し必要な制限を付加するものでございます。
近年、大規模かつ狭小な住戸から成る長屋が複数の区において建設され、圧迫感や防災上の問題など周辺への影響が増大していることに加え、敷地内からの避難、救助活動等が困難となることの危険性が懸念されております。
そうした長屋を一部の区市が規制しても、他の区市で同様の長屋が建設される可能性があるため、都内において統一的な規制を行うものでございます。
なお、改正案につきましては、区市の見解や業界団体との意見交換、都民への意見公募などを踏まえまして、都として取りまとめたものでございます。
○山口委員 高度利用ができる地域であったり、そうでない地域でもまとまった敷地なら、低層マンションなど恒久化した共同住宅にできるわけでありますが、敷地が狭かったり形状が悪い、接道などの課題がある土地などにおいては、建築コストが抑えられるということもあって、いわゆるテラスハウスのような長屋の供給が進んでいると聞いているところであります。
本来、良好な住環境を確保するための建築規制が逆効果をもたらしており、最低居住面積などの規制が必要でないかという意見も伺うわけでありますが、一方で、昔からある長屋を長屋として更新できなくなることによって、結果として居住者の追い出しにつながるようなことがあってはならないわけであります。
そうした場合には、火災リスクを低減するための消防設備の整備など、別の選択肢での危険性をカバーできれば、四メートルのところ、三メートルでも大丈夫というケースも考えられるのか、また、隣が公園であるとか、学校のグラウンド、墓地あるいは河川などに隣接をしているであるとか、いろんな周囲の状況に応じて、延焼や避難の観点から考慮してもいいような土地もあると考えるわけでありますが、それぞれどのような判断になるのか、確認をさせていただきたいと思います。
○青柳市街地建築部長 本条例改正案では、建築物の周囲の空地の状況、その他土地及び周囲の状況により、知事が安全上支障がないと認める場合、適用を除外する規定を設けております。
適用除外につきましては、個別具体の計画ごとに、東京都建築安全条例に基づき、特定行政庁である区や市などが判断することとなります。
○山口委員 長屋といっても、イギリス、アメリカなどで見られるような歴史あるタウンハウスのように、都市居住のニーズに合致し、かつ良好な景観や居住環境に資する建築もあり、江戸時代の長屋のように、急激に増加した都市人口の受け皿として発達してきたものもあるわけであります。
現代の東京の長屋は、共同住宅とほとんど変わらないような規模の土地につくられる重層長屋もあるため、安全性を確保するための規制に理解をしつつも、その土地の特性や技術による安全確保などもしっかりと考慮し、学生さんであるとか所得の低い方が東京に住めなくなってしまうことがないようにしていただくよう要望し、質問を終わりたいと思います。
○馬場委員 先ほど、我が会派の後藤委員の方から第百七十二号議案に対する質疑がありましたので、私からは、第百七十三号議案の東京都建築安全条例の一部を改正する条例について、地元足立区の問題でもありますので、お伺いしたいと思います。
表通りから細い路地を経て奥に広がる土地、路地状敷地もしくは旗ざお地と呼ばれているようですけれども、この奥の土地を有効利用しようということで、大規模な長屋の建設が相次いでいるわけなんですけれども、先ほど星見委員の方からの質疑の中でパネルが提示されましたけれども、竹ノ塚駅から本当に近い、徒歩一分かかるかどうか、小走りだと一分かからないぐらいの非常に駅近の物件でありますから、多少居住環境が悪くとも、人気が高いから、多分、入居は円滑にあっせんされるんじゃないかなというふうに思われます。
そういったところの土地は、非常にディベロッパーも注目しているところではないかなと思いますが、あの入り口、確かに狭いです。二メートルあるかないか。非常に危険というか、実際に通ってみると、狭いなというような気がします。
この通りの向かいの焼き鳥屋さんに何回か通っていた関係で、よくのぞいてはいたんですけれども、確かに地震なり火災があったときにはと考えますと、非常に危険を感じるような狭さでありますし、そういった狭い危ないところがあるということは、地域の住民にとっても、非常に地域の安全を脅かすというような存在になっていますので、今般の条例改正に至ってきたのかなというふうに思うわけでございます。
同様のケースとして、足立区におきましては、ワンルームマンションの建設のラッシュが同じような形でありました。少しでも多くの土地を有効活用しようということで、例えば新線が通ったときに、その駅近に少しでも多くのワンルームマンションを建てたいというような建て主と地域住民とのいさかいが結構あったわけなんですけれども、従来は、足立区では環境整備基準という緩やかな基準しかなかったものですから、もともと交通の便の悪い土地柄で、そういった条例が必要なかったんですけれども、やはり交通網が整備されますと、そういった規制をかいくぐってワンルームマンションが続出してきたということもありましたので、条例をつくって強化されました。
先ほどの大規模長屋と同じように、一気に、ひとり暮らしなりワンルームマンションがたくさんできますと、地域コミュニティがやはり非常に低下するというか、地域住民にとっては、新しい人が一気にふえるとコミュニケーションをとりづらくなるということ等、よくありますね。外国人の方が来たりすることによって、ごみ出しの日を守らないとか、挨拶をしても、ちょっと新しい人が多過ぎると雰囲気が変わるというようなことと、地域の行事の参加とかもやはりなくなってきてしまうというような不安なところがありましたので、こういった大規模な長屋に関しましても、今回、条例の改正で、今まで戸数制限がなかったところの定めができたことは、大変いいことかなというふうに思います。
今回の西竹の塚の件もそうなんですけれども、我々、ワンルームマンションと長屋とはどう違うんですかとよく聞かれるんですけれども、基本的なところなんですけれども、この辺の説明を改めてお願いします。
○青柳市街地建築部長 東京都建築安全条例の運用上、隣接する、または上下で重なり合う各住戸が独立している建築物のうち、廊下、階段等を各住戸で共有しない形式のものを長屋、廊下、階段等を各住戸で共有する形式のものを共同住宅としております。
したがいまして、ワンルームマンションは共同住宅として扱っております。
なお、共同住宅は、長屋と比べまして、より安全性を求める規定が整備されております。
○馬場委員 それと、今回の都条例改正案では、区市町村が都条例に上乗せして規制を強化する条例を制定することができて、その場合には都条例の適用除外というふうになるそうですけれども、建築基準法上の制限については及ぶという認識でこれはよろしいのかどうか、お聞きします。
○青柳市街地建築部長 都及び区市町村の条例の有無にかかわらず、建築物は建築基準法の適用を受けることになります。
区市町村は、建築基準法に定められた規定だけでは、安全、防火または衛生の目的を十分に達しがたいと認める場合、建築基準法に基づいて、条例で建築物の敷地等に関し、安全上などの必要な制限を付加することができます。
なお、今回の建築安全条例の改正により新設いたします第一条の三の規定は、区市町村が都の条例と同等以上の規制を定めた場合、都の条例の適用について除外するものでございます。
○馬場委員 今までは通路の幅が二メートルでも建築が可能であったということで、近隣住民の方に説明するに当たって、例えば二メートルの場合の集合住宅は、確かにかなり狭いわけですけれども、三メートル以上になった場合には、どの程度の建築規模のものが建てられるというふうに説明したらよろしいのか、改めてお聞きします。
○青柳市街地建築部長 長屋の建築に当たりまして、これまでは、建物規模にかかわらず、建築安全条例において敷地内の通路幅は二メートル以上必要でございました。
近年、大規模かつ狭小な住戸から成る長屋が複数の区において建設されていることを踏まえまして、避難の安全性を確保する観点から、住戸の主要な出入り口が道路に面しない住戸部分の床面積が三百平方メートルを超える大規模長屋の場合、または主要な出入り口が道路に面しない住戸が十を超えるような場合は、敷地内の通路の幅を三メートル以上とする規定を設けます。
さらに、建物規模にかかわらず、主要な出入り口から道路までの敷地内の通路延長が三十五メートルを超える場合、その通路幅を四メートル以上とする規定を設けます。
○馬場委員 今回、この条例改正に至った経緯は、足立区議会からの意見書があったからだというふうに思います。
平成二十八年に都知事宛てに長屋規制の見直しを求める意見書を出しておりまして、この意見書が出る前にも、東京都の方は、危険な大規模長屋の存在を当然承知はしていたと思います。意見書が出てから--このたびの第三回定例会で条例が改正されるわけですけれども、この間にも、残念ながら大規模長屋が数多く建てられてしまっているんじゃないかというふうに思うわけです。
今回のこの条例改正まで、日数がかかり過ぎているような気もするんですけれども、その点に対して東京都の認識はどうか、お伺いします。
○青柳市街地建築部長 平成二十三年度に世田谷区で大規模長屋に関する紛争が起き、規制のあり方が問題となった経緯がございますが、地域により状況が異なることや、独自条例の制定により事態の鎮静化が見られましたことから、引き続き各区で対応することが副区長会で確認されております。
ここ数年、一部の区におきまして、再び大規模長屋に係る紛争が起きているとともに、平成二十八年十二月に足立区議会から意見書、平成二十九年一月に足立区建築審査会から建議書が提出されました。
これらを契機に、大規模長屋に関する状況を改めて確認などする必要があることから、都は平成二十九年二月、区や市の建築主管部課長会に対して、大規模長屋に関する見解の取りまとめを依頼したところ、平成二十九年十二月に市から、本年一月に区から、都による統一的な規制を求める内容の報告を受けたところでございます。
それを踏まえまして、都は具体的な規制内容を整理し、業界団体との意見交換や都民への意見公募なども経た上で、条例改正案を取りまとめ、必要な手続を経て本定例会に付議したものでございます。
○馬場委員 時間は少しかかりましたけれども、良好な住宅環境が促進されることを願って、きょうの質問を終わります。
○たきぐち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たきぐち委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○たきぐち委員長 次に、報告事項、マンションの適正管理促進に関する検討会中間まとめ(案)についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○木下委員 早期の条例の制定も視野に検討に当たっている東京におけるマンションの適正な管理の促進に向けた制度について質問させていただきます。
日本において、特に都市部において、マンションは、都市形成や地域社会を構成する重要な要素でございます。
国土交通省が五年に一度行っているマンション総合調査によりますと、マンションへの永住意識は年々上昇し、一九九三年の調査で、永住するが三一%、いずれは住みかえるつもりが四一%であったこの割合から、一九九九年度にはこれが逆転し、二〇一三年度には、永住するが五二・四%で過半数を占め、いずれは住みかえるつもりとおっしゃっている方が一七%と、少数派となっております。かつての人生すごろく、住みかえていずれは戸建てという考え方は消え去り、マンションをついの住みかと多くの人々が認識するようになっているということでございます。
東京都においては、総世帯数の四分の一が現在マンションにお住まいになっており、その過半数がマンションをついの住みかと考えているというふうに考えますと、少なく見積もって、マンション一戸に平均例えば二名の方が住んでいるとしますと、概算にはなりますが、千三百万都民のうち三百四十万人以上もの方々が、マンションにずっと住み続けたいとお考えになっているということになります。
都民にとって、マンションの適正な管理による快適で安心な暮らしを担保することは、都政の重要課題であると認識をしております。
また、老朽化対策も急がれております。二〇一五年時点での調査でございますが、全国のマンションは六百二十三万三千戸、うち築三十年以上のマンションは百六十二万戸、全体の三分の一が築三十年以上ということになります。
ここから十年たちますと、それは二〇二五年になりますが、築四十年以上の物件は、当たり前ではございますが百六十二万戸となります。また、二十年たちました二〇三五年には、さらにふえて三百十六万戸となり、全体の半数が築四十年以上と、本格的なマンション高齢化時代がやってまいります。
少子高齢化、低成長時代におきまして、マンションの適切な管理を推進し、良質なストックを形成することは、ついの住みかと考える都市住民の増大とも相まって、喫緊の課題であると私は考えております。
そこで、初めに、今回の取り組みに至った経緯について、改めてお伺いしたいと思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 東京の分譲マンションは約百八十一万戸あり、全国の約三割、都内総世帯数の約四分の一に相当するなど、都民の主要な居住形態となってございます。
現在、マンションでは、建物の老朽化と居住者の高齢化という二つの老いが進行しており、管理組合の役員のなり手がいないなど、管理上の問題が増加する傾向にございます。このままでは、居住環境はもとより、防災や防犯、衛生などに影響を及ぼすおそれがございます。
管理不全を予防してマンションの適正な管理を促進するため、行政が管理組合に対し、より積極的に関与し、管理組合の機能強化を図る、より踏み込んだ施策を実施していくことが必要でございます。このため、本年三月に有識者による検討会を設置し、マンションの適正な管理の促進に向けた実効性のある施策について、具体的な検討を行うこととしたものでございます。
○木下委員 ありがとうございました。
これまで五回にわたる検討会での議論がなされてきました。その結果、昭和五十八年の区分所有法改正以前に建設されたマンションのうち、人の居住の用に供する独立部分の数が六以上あるものが、今回の制度において要届け出マンションとなるとのことでございますが、これはどのような考えのもとに設定し、また、対象のマンションの数はどのくらいになるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 今回の検討会報告書案においては、制度を発足するに当たり、管理状況の届け出を求めるマンションは、管理組合の設置に関する明確な規定がなかった昭和五十八年の区分所有法改正以前に建築されたものを対象とすることとしております。
その上で、戸数については、住戸の少ない小規模マンションは、その管理が比較的容易であることや、周辺への影響が軽微であることを勘案し、届け出対象を六戸以上としてございます。
なお、それ以外のものにつきましても、管理不全の兆候が疑われるものには、届け出を求めることとしております。届け出対象マンションの数は、都が平成二十三年度に実施いたしましたマンション実態調査の結果によれば、約一万四千棟となってございます。
○木下委員 ありがとうございました。今回の制度において、まずは、都としててこ入れの対象になるのが、そのうちでも管理不全の兆候が疑われるマンションということになるかと思います。
そこで、管理不全の兆候が疑われるマンションの要件はどのようなもので、これはどのような考えのもとに設定されたのでしょうか、改めてお伺いしたいと思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 今回の報告書案においては、管理状況の届け出項目として考えている項目のうち、管理不全の兆候を判断するものといたしまして、管理組合のありなしを初め、管理者、管理規約、総会の開催、管理費及び修繕積立金の設定、大規模修繕工事の実施の計七項目のありなしが挙げられてございます。
これらは管理不全を予防するための必須項目として設定されているものでございます。
このうちのいずれかが一つでもないとの届け出があった場合には、管理不全の兆候が疑われるマンションの要件に該当するものと考えてございます。
その他、適正な管理を行う上で重要な事項についても検討を行うこととしてございます。
○木下委員 ありがとうございました。
例えば、二〇一一年の都市整備局のマンション実態調査によりますと、管理組合の設置がないマンションの実に九七%が耐震診断を受けておりません。全体の場合で割合が八七%であることから見ても、例えば管理組合の設置は、マンションの適正管理を判断する要件として適切であると感じております。
今回の取り組みにより、要届け出マンション、先ほどのご説明によりますと約一万四千棟のうち、一定数の管理不全の兆候があるマンションが発掘されることが期待されます。これらを適正な管理に導くための具体的な方策についてお伺いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都はこれまでも、管理組合の自主的な取り組みを後押しするため、区市と連携しながらアドバイザー派遣等を実施し、一定の効果を上げてまいりました。
今後は、さらに、届け出によって管理不全の兆候を把握したマンションに対して、行政が管理状況に応じて継続的に関与し、管理不全の予防、改善を行うことが求められてございます。
そのため、今回の報告書案などを踏まえながら、マンション管理士などのアドバイザーを管理状況が改善するまで派遣し、課題解決に向けた助言に結びつけるなどの効果的な支援策について検討することとしてございます。
○木下委員 ありがとうございました。これまでのアドバイザー派遣というのは、一回のみの助成になっていたということから、その有効性について、検討会の中でも疑義が上がっておりました。そういった点で、継続的に派遣できる制度を検討されている点は、大いに評価させていただきたいと思います。
マンション管理士等のアドバイザーの継続的派遣及び課題解決への効果的支援につなげるモデル事業の検討もされているとお聞きしております。
来年度の予算編成においてしっかりと予算を確保し、問題解決に向けての体制整備をされることを申し添えさせていただきたいと思います。
また、現状案に限らず、検討会議で出ていた効果的な支援策に関するさまざまなアイデアや、現在実施中のパブリックコメントで寄せられてくるアイデアなど、広範に検討し、課題解決につながる有効なインセンティブ策を制度に盛り込まれることを強く希望させていただきます。
最後に、既に先行してマンションの適正な管理の促進に関する条例を制定している、例えば私の地元板橋区、また豊島区、墨田区の三区がございますが、この三区との関係、調整について、都はどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの適正な管理を促進するため、豊島区、墨田区、板橋区の三区におきましては、管理組合等に管理状況の届け出を義務化することなどを定めた条例を制定してございます。都が条例制定による届け出制度を開始する場合には、三区に所在するマンションの管理組合に二重の届け出義務が生じることを避ける必要がございます。
今回の報告書案では、都と区市町村との適切な役割分担が必要であると示されておりまして、このため、検討会での議論を踏まえながら、並行して三区とは情報交換を行っており、今後とも適切に対応してまいります。
○木下委員 ありがとうございました。この制度の発足によって、マンションの適正管理の取り組みが前進することを大いに期待をいたします。
また、先ほど昭和五十八年以前のまず建物からというお話がございましたが、今後は、昭和五十九年以降に建てられたマンションにも届け出の対象を広げていくというようなお話も伺っております。
そこで、メディア報道に多くございますように、バブル崩壊後から昨今に至るまで都内で林立しているタワーマンションにおいて、しっかりとした修繕計画が立てられていないケースがあり、修繕積立金の不足から、将来管理不全に陥るリスクを抱えたタワーマンションが少なからず存在するという課題がございます。
例えばこちらの日経新聞、マンション七五%修繕不安、全国のマンションの七五%が修繕不安であるという記事でございますが、タワーマンションは特に値上げ、最初に決めました修繕積立金を値上げすることに非常に不安があると、管理不全予備軍の増加は大きな周辺への悪影響を及ぼしかねないというような記事がございましたり、また、こちらの日経新聞でございますけれども、修繕金の穴埋めということで、住宅金融支援機構から管理組合が借りている金額が、大規模修繕向け融資として百億円を超えたという記述がございます中、機構の担当者の方のお話として、毎月の積立金の徴収額を計画どおりに上げられず、借り入れに頼る管理組合がふえているというお話を報道されていたりします。
また、こちら週刊誌でございますけれども、住民が悲鳴を上げた、修繕費が足りない、夢のタワーマンションから真っ逆さまというようなセンセーショナルな見出しのもと、多くのタワマンで修繕費が足りず、スラム化のおそれすらあるというような中見出し、さらに、建物診断設計事業協同組合の理事の方のお話として、日本の建築業界の技術力があれば、タワマンを建てることは十分可能であったが、大規模修繕については、業界全体の経験値が低く、幾らかかるのか予測が立てられていませんということで、非常に不安があるというような報道がございます。
またさらに、主に投資用として建設されていることから、利回り重視の余り、維持管理にお金をかけない傾向にある賃貸物件があるなど、これも課題でございます。建築年度の比較的新しい物件の中にも多くの課題が潜んでいるということになります。
これらの課題解決に向けても、都の取り組みの今後の進化を期待させていただきたいと思います。
今回の制度が条例化されれば、都道府県としては全国初となり、先例となります。実際、神奈川県のマンション管理士の方からは、都の条例制定に大変期待しているとのお話を伺っております。
先般の東京都受動喫煙防止条例のように、都での制定をきっかけとした全国への検討機運の広がりがあるように、都が先鞭をつけることで、今回、全国に老朽化マンションの適正管理が広がり、欧米のように住宅ストックを丁寧に長く住み継いでいく文化、こういったものが日本に広まることを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○神林委員 ただいま基本的な部分の質問が二、三出ましたので、私の方からは、肝心なというか、ちょっと気になる部分について、何点か質問させていただきたいと思っております。
この問題については、いかに現実的に効果を上げていくのかと、この辺が本当の意味での主題になってくるんだと思っております。
今回は、条例化を視野に検討を進めていくとのことでございますが、実効性のある施策を推進するため、まずは東京都としての責務と役割を現在どのように考えているのか、お伺いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 現在検討を進めている制度においては、都は広域自治体としての立場から、マンションの適正な管理の促進を図るために必要な施策を推進する役割を担うことになります。
そのため、都は、施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画や、マンションの管理にかかわる者が適正に管理を行う際の基本となるべき指針を定めます。
また、届け出などの制度を構築した後、制度にかかわりのあるマンション管理業者やマンション管理士などの各主体や区市町村と連携協力しながら、制度を円滑に実施することを考えてございます。
○神林委員 今、ご答弁聞いていましても、ある意味、強いやる気というのを感じさせていただくんですけれども、ただ、現実の現場に戻りますと、具体的にはお金がないですとか、あるいは中心になって動く人がいないんですよとか、さらには協力してくれないとか、こんな現実的な悩みがどんどんどんどん噴出してくるのかなということを、実は強く感じさせていただいております。
そこで、これまでより踏み込んだ施策を実施していくということがうたわれているわけでございますから、改善が見られないマンションに対する指導に実効性をどのように確保していくのか。あわせて、管理組合に対する支援のあり方についてどう考えているのか、お伺いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 届け出制度により把握した管理不全の兆候のあるマンション等に対しては、管理状況に応じた助言やマンション管理士等の専門家の派遣などの支援を粘り強く行ってまいります。
今回の検討会報告書案においては、支援を行っても管理状況に改善が見られず、周辺にも影響を与えているようなマンションに対しては、区市町村と連携して指導を行うことを想定してございます。
なお、罰則やマンション名の公表等の強制力のある措置につきましては、示されてございません。
一方、管理組合に対する支援につきましては、管理組合の状況を把握することで、管理の適正化から再生まで切れ目なく支援することも可能となることから、効果的な支援策について今後検討を進めてまいります。
○神林委員 都内には、それこそ総世帯数で、そのほかにも賃貸マンションですとか小規模なマンション、いろいろあると思うんですが、ちょっと皆さんの中の届け出の対象になっていない部分で気になるのは、小規模マンションなどについても、良質なマンションストックの形成ですとか、良好な居住環境の形成だとか、マンションの周辺への悪影響とか、これはもう同じように、都民生活の安定向上にさまざまな悪影響が生じるということがありますので、こうしたものが、悪影響が生じた場合には、何らかの対応策が必要と考えますが、この点についての見解を伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 今回の報告書案においては、管理不全の兆候を判断する項目として、管理組合のありなしを初め、管理者、管理規約、総会の開催、管理費及び修繕積立金の設定、大規模修繕工事の実施の計七項目のありなしが挙げられてございます。これらは管理不全を予防するための必須項目として設定されているものでございます。
管理状況の届け出を求めるマンションの戸数につきましては、住戸の少ない小規模なマンションは、その管理が比較的容易であることや、周辺への影響が軽微であることを勘案し、届け出対象を六戸以上としてございます。
ご指摘の届け出対象外としている五戸以下のマンションにつきましては、管理不全の兆候が疑われると認められる場合には届け出を求め、状況に応じた助言、支援等を実施していくこととしてございます。
○神林委員 ここがちょっと私の見解と違うんですけど、今ご答弁の中で、小規模のマンションについては、その管理が比較的容易であり、周辺への影響が軽微といわれているがということでございますが、一方、現実を見ますと、小規模の方がやっぱり再生力というのは乏しいんですね。しかも、建物が老朽化していたり空き家も非常に多いというような、こうした実態もいろいろあるわけです。
ですから、私はある意味では、小規模マンションの方が管理不全について深刻だと思う部分もありますので、ぜひ状況に応じた助言とか支援などを十分実施していただきますよう、ここで要望をしておきます。
次に、近年問題視されている権利者さえ不明の空き家情報を初め、マンションの維持管理に必要な実態把握にどの程度まで踏み込んでいけるのか、お伺いをいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンションの空き住戸や賃貸化住戸の増加に伴い、マンションに居住している区分所有者が減少し、建物の維持管理や管理組合の運営に対する無関心化が進み、管理組合の機能の低下に結びつくことが考えられます。
このため、先ほどお答えした管理不全を予防するための必須項目のほか、空き住戸や賃貸化住戸の数につきましても、適正な管理を行うために管理組合に届け出を求めることも検討してまいります。
○神林委員 それから、この辺の都市整備局としての狙いの部分でございますが、都市整備局としては、防災対策やコミュニティ形成など、マンションの社会的な機能を具体的にどこまで期待しているのか、お伺いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 東京において、分譲マンションは、地域のまちづくりやコミュニティ等とも密接に関連する社会性の高い住宅ストックでございます。
今回の報告書案においては、区市町村と連携しながら、マンションの社会的な機能を高めるため、例えば、防災訓練やイベントなどを通じて、管理組合と町会、自治会を初めとした地域社会との連携を強めることが期待されており、こうした点も踏まえ、取り組みへの支援を今後検討してまいります。
○神林委員 今ご答弁いただいたとおり、ちょっと昨今問題になっているのは、新しくできたマンション等が、自治会だとか町会だとか地域社会となかなか、一緒に協力して、連携してまちづくりをしていただけない部分も随所に出ていますので、やはりその点も十分加味する中で施策を推進していただきたいと思います。
次に、マンションは、一度建てれば四十年、五十年、建築技術の発展や長寿命化を実施していけば、さらに数十年は間違いなく延命することができます。
一方で、東京に住む多くの方々が、交通が至便で、食料、衣料、雑貨などの生活関連施設や子育て施設、福祉施設、医療施設など全てを内蔵した超大型マンションを好む傾向も、日々強くなっております。
また、近い将来、人口減少やロボット革新を初めとするIoTの急速な発展の中で、住まいやまちづくりの概念自体までもが、短期間に大きく変化してくるものと考えられております。
分譲マンションの建物自体の寿命と、このような短期間で移り変わる時代の志向や変化、さらには、まちの移り変わりをこの中にどのように取り入れていくのか、お伺いをいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 東京において、分譲マンションは、都民の主要な居住形態であるとともに、ついの住みかとしての意識も高まっております。したがって、都市や地域社会を構成する要素として、マンションの社会的な役割は、今後ますます重要になるものと認識してございます。
現在検討中の制度の目的には、地域の特性に応じた安全で良質なマンションストックを形成することも含まれており、今後到来する人口減少社会においても、マンションに暮らす都民が、都市の利便性や快適性を享受しながら豊かな住生活を営むことにつなげていく必要がございます。
都では、マンションを取り巻く状況に的確に対応しつつ、長期的視点に立ってマンション施策を推進しており、お話のようなマンション居住とそれを取り巻く住環境の変化も念頭に、現在検討している制度により、マンションの管理状況を把握し、状況に応じた積極的な支援を行うことにより、管理組合の取り組みを後押ししてまいります。
○神林委員 私が指摘したんですけれども、住民の志向だとか変化というのは早いですよ。まちもあっという間に移り変わっちゃうんですよ。ですから、こうした急速な変化に柔軟に対応しながら、施策を進めていかなければならないわけです。取り巻く住環境の変化に立ちおくれることのないように取り組んでいただくことを、ここで要望させていただきます。
今回、マンションにおける二つの老い、建物と居住者についてでございますが、この進行が管理不全に陥る大きな要因であることが検討会の中でも明らかにされております。
世帯主の高齢化が進めば、相続によってマンションの区分所有権が継承されないおそれもございます。
また、長年にわたり管理組合に任せ切りにして管理業務を委ねてきた管理業者が廃業してしまうなどの場合には、管理組合の運営に混乱が生じることになります。
二つの老いの進行によるこうした懸念を払拭するには、都が検討を進めている届け出を初めとした新しい制度が実効性あるものとなることが必要であり、加えて、一定の法や条例の整備、資金力を伴う相当な強制力や指導力が必要となってくることも考えられます。
今後、現実に直面するこうした厳しい課題に対しても、逃げることなく検討がなされ、十分応えられるように要望して、私の質問を終わります。
○たきぐち委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十三分休憩
午後三時六分開議
○たきぐち委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○小林委員 それでは、私からも、基本的な事柄について端的にお伺いをさせていただきたいと思います。さきのお二方の質疑と重複する点もありますので、その点については割愛をさせていただきたいと思います。
平成二十九年における分譲マンションのストック数は約百八十一万戸、全国の約三割、都内総世帯数の約四分の一相当とのことですが、住まいの重要な形態の一つであるマンションの役割を重視し、いかに適正に末永く維持管理する仕組みをつくっていくのか、そのためにマンションの管理を行う組合を強固にしていく実効性のある取り組みが、今回の枠組み案の眼目であると思います。
初めに、東京のマンションの管理組合に対し、都としてどのような現状認識を持っておられるのか、お伺いします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 東京において、分譲マンションは、都民の主要な居住形態であるとともに、都市や地域社会を構成する要素として重要であり、地域のまちづくりやコミュニティとも密接に関連する社会性の高い住宅ストックでございます。
一方、現在、マンションでは、建物の老朽化と居住者の高齢化の二つの老いが進行しており、将来に向けても加速していくものと考えております。
加えて、築年数の経過したマンションほど役員のなり手がいないなど、管理上の問題が増加する傾向にあり、管理組合の自主的な取り組みだけでは、こうした二つの老いに的確に対応していくことは困難になっていくものと認識してございます。
○小林委員 ありがとうございます。
今ご答弁のありましたそうした現状認識のもと、都としてこれまで取り組んできたマンション施策について、改めて確認をいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、管理組合等の求めに応じて、必要な情報提供等の措置を講ずるよう努めると規定したマンション管理適正化法を踏まえ、管理組合の自主的な取り組みを後押しするため、マンション管理ガイドラインやセミナーなどの情報提供による普及啓発や、アドバイザー派遣などの支援を行ってまいりました。
しかしながら、これらの施策は、区分所有者が管理に無関心で、管理組合が機能していないようなマンションには届きにくいという課題もあると認識してございます。
このため、管理組合の自主的な取り組みへの支援に加えて、行政が積極的に関与し、管理組合の機能強化を図るため、より踏み込んだ施策を実施していく必要がございます。
○小林委員 今のご答弁の中にもありましたが、行政がこれまでよりも積極的に関与していくということでございますけれども、具体的に支援の仕組みとして考えているものはどのようなものがあるのか、お伺いをいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、普及啓発や技術的支援の実施はもとより、マンションの共用部分を計画的に改良、修繕する管理組合や、建てかえ等による防災性の向上や良質な住宅供給等を行う事業に対し、財政的な支援を実施してまいりました。
例えばマンション改良工事助成は、大規模修繕工事等を実施する管理組合が住宅金融支援機構からの融資を受ける際に、都が利子補給をする制度であり、近年では多くの管理組合が利用してございます。
今後は、現在検討を進めている届け出制度の実施により、管理組合の状況を把握することで、管理の適正化から再生まで切れ目なく管理組合を支援することが可能となることから、効果的な支援策について今後検討を進めてまいります。
○小林委員 先ほど、管理組合の自主的な取り組みだけでは、建物の老朽化と居住者の高齢化の二つの老いに的確に対応していくことは困難とのお話がありましたが、現状を放置していると、居住環境はもとより、防災や防犯、衛生、景観など、地域の生活環境や市街地環境にも影響を及ぼすとされています。
こうした点において、悪影響を与えないような取り組みの方向性はどのように検討されているのでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 現在検討している制度の目的の一つは、地域の生活環境や周辺の市街地環境に悪影響を及ぼすような管理不全に陥らないよう、管理組合の機能強化を図ることでございます。
このため、総会の開催や管理規約の有無など管理状況の届け出を義務化することで、管理不全の兆候があるマンションを把握し、マンション管理ガイドラインなどを活用した普及啓発や、適正な管理に向けて、管理組合の機能強化のための助言、支援を行うことが可能になるものと考えてございます。
これにより、マンションの管理不全を未然に防止し、まちの活力や魅力、防災力の形成などの強化につながっていくものと考えてございます。
○小林委員 私の地元でも、日ごろ区内を回っておりますと、あちこちでマンションが建設されているなという印象を受けます。そうした中で、よく町会の方などとお話をすると、町会内にマンションが建っても、最近はオートロックのマンションも多く、なかなか会うこともできず、町会への加入も進まないといった声が聞かれます。
今回の枠組み案の中では、適正な管理を行う上で重要な事項の一つとして、防災対策やコミュニティ形成など、マンションの社会的な機能を高めるために必要な取り組みということも指摘をされております。
こうしたマンションと地域との連携については、先ほど神林理事の方からも質疑がございましたので、割愛させていただきますが、先ほどもご答弁にありましたとおり、区市町村との連携を深めていきながら、ぜひとも実効性のある支援をご検討いただきたいというふうに思っております。
最後に、都は、現在この中間まとめをもとにパブリックコメントを実施しておりますが、今後のスケジュールを含めた予定についてお伺いをいたしまして、質問を終わります。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 パブリックコメントは十月二十四日まで実施し、いただいたご意見を踏まえ、十一月下旬に開催予定の検討会において、最終の取りまとめを行う予定でございます。
その後、その結果などを踏まえ、都として条例による制度の構築を目指して検討を深めてまいります。
○星見委員 では、続きまして私からも、マンションの適正な管理の促進に向けた制度の基本的な枠組み案についての質問をさせていただきます。
この間、東京都は、マンション施策の中でさまざまな調査に取り組みまして、特に都は、平成二十三年度に実施したマンション実態調査により把握した旧耐震の全てのマンションを訪問するマンション啓発隊活動で、どのくらいのマンションを訪問し、どのような成果を上げたのかを伺います。
また、この取り組みへの区市との連携はどのように進んだのかも伺います。お願いします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 管理組合による耐震化への取り組みを促すため、都は平成二十四年度から四年間、都内に約一万二千棟ある旧耐震基準のマンションを対象に、都及び地元区市の職員、建築士などの専門家から成るマンション啓発隊による個別訪問を行ってまいりました。
加えて、平成二十八年度から二年間、耐震化に関心のあった管理組合を対象に啓発隊が再訪問し、個々のマンションの状況に応じたきめ細かな助言などを行っております。
その結果、耐震診断の実施を検討したい、また、理事会を開催するので改めて説明に来てほしいなど、管理組合の具体的な取り組みに結びついてございます。
また、区市とは、マンション啓発隊の活動等を通じて、マンションの耐震化に関する課題を共有することができてございます。
○星見委員 このマンション啓発隊の活動なんですけれども、私、豊島区の取り組みを少し聞かせていただきました。
そうしますと、東京都がやったこの四年間の調査活動で、外観から管理がとれていないところの確認であるとか、それから郵便受けがないところ、管理会社がわからない、さまざまなところがわかったことについて、四年間についての取り組みでしたから、既に終わっているんですけれども、豊島区ではこれを受けて、さらに昨年度は、管理会社が今いったようなところについて今度は回ったと。そしてまた今年度については、さらに本格的に手を差し伸べられるように、管理不全の兆候が見られるところをピックアップしつつ、手を広げようとしているというお話を聞くことができました。
東京都が四年間、一万二千棟、旧耐震マンションに挑んだ内容というのが、私は、市区との取り組みという中で、それぞれさまざまな後押しをする成果を生んでいるんじゃないかなというふうに思います。そういう意味では、これをさらに市区町村とともに、どう前に進めていくかというのが大事だと思っています。
そういう意味で、今回出されています促進に向けた制度の基本的な枠組みなんですけれども、この中で、管理組合の自主的な取り組みだけでは、二つの老い、建物の老朽化と居住者の高齢化の問題ですけれども、的確に対処することはなかなか困難だという内容が書かれておりまして、こうした中で、条例化を目指して制度の構築を進めるというふうに書かれておりました。
管理状況を定期的に報告する制度の創設、これは二〇一五年、平成二十七年度の住宅政策審議会での答申で出されておりましたが、今回改めて条例化を含めて検討することになった、この経緯を伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 平成二十七年九月の住宅政策審議会の答申において、新たな条例を制定し、管理組合等の責務を位置づけるとともに、管理組合等に対する管理状況の報告の義務づけ、行政による調査、指導権限等について定めることを検討すべきとの提言がございました。
これを受けて都は、平成二十八年三月に策定した良質なマンションストックの形成促進計画の中に、マンションの適正な管理の促進に関する新たな条例の検討を位置づけてございます。
これらを踏まえ、本年三月に有識者による検討会を設置し、マンションの適正な管理の促進に向けた実効性のある施策について、条例化も視野に、具体的な検討を行うこととしたものでございます。
○星見委員 今お話がありました東京都住宅政策審議会からの初めての総合的なマンション施策の提言があったことから、大きく施策の充実が始まっていると思います。
マンションについてのさらなる充実を図るために、日本共産党としても、マンションの実態把握というのが焦眉の課題であるということを訴えてきました。
今回、届け出対象として、昭和五十八年以前に建設された六戸以上のマンションというふうに対象が出されているんですけれども、この棟数あるいは戸数、どのくらいになるか、お聞きします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都が平成二十三年度に実施したマンション実態調査の結果によれば、届け出対象となるマンションの棟数は約一万四千棟、戸数は約五十二万戸となってございます。
○星見委員 今、対象が約一万四千棟というお話でしたので、先ほどの答弁で、マンション啓発隊が対象にした耐震改修対象、旧耐震棟が一万二千棟ですから、それから少し外に広がるというイメージだなというふうに思います。
また、もう一つは、これまで蓄積してきた訪問部隊によって、この一万二千棟のうち、かなり頑張って訪問をしながら、実態把握も市区町村と一緒にしてきた部分であるのかなというふうに思います。
それにしても、今回、各マンションの管理状態を届け出させるという作業は、かなり大変な作業になるのではないかなと思います。
東京都のマンションの実態調査の回収率は一七%程度だったと。これはアンケート調査ですから、条例をつくって届け出をしてもらうのとはまた違う位置づけですけれども、それにしても、全体数から見ると、どの程度までしっかりとした把握ができるかというのが焦眉の課題になるかなと思います。
その意味で、マンション管理組合が、条例化された場合、この届け出義務のある管理の届け出書というものをそのまま放置して提出しなかった場合、例えばどういうような行政処分があるのかどうか、お聞きいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 届け出がなされないマンションに対しましては、まずは行政が直接粘り強くアプローチすることが必要でございます。
例えば、電話や文書による督促を行い、必要に応じて個別訪問を実施して、区分所有者から管理の状況について伺うなど、当該マンションが抱える課題の的確な把握に努めてまいります。
検討会の中間まとめでは、督促等を行っても届け出がなされない場合は、指導を行うとともに、管理組合等の協力を得た上で必要な調査を行うことも検討すべきということが示されてございます。
なお、検討会の中間まとめでは、罰則やマンション名の公表等の強制力のある措置については示されてございません。
○星見委員 条例で届け出を義務化した場合、管理組合がなく管理者もいない場合、誰に届け出の義務が生じるのか伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 区分所有法においては、実態として機能していない場合であっても、管理組合は、管理に関して区分所有者の団体として法律上の地位を有しているため、現在検討している制度においても届け出についての主体となります。
このため、現在検討中の制度での届け出主体は管理組合であって、管理者などは、届け出の履行を補助し、代行するものであると考えてございます。
○星見委員 今これを重ねて聞いていますのは、区分所有法が改正される以前のマンションについて今回対象にして、その実態、管理がどうなっているかをまず調べるところからスタートしようというときに、当然、こうしたマンションについて、管理自身が管理組合によって行われていないという場合が多いことが想定されると思うんですね。
そうすると、こうした届け出義務自身がどういうふうに履行されるかというのは、それぞれの区分所有者、管理組合がないところでも、住んでいる方がいれば、区分所有者にとっても知りたい中身だというふうに思って聞いています。
今度のこの案の中では、届け出がない場合の監督指導、それから、管理組合の協力を得て必要な調査も行うことで、届け出を出させるようにしていきたいということがあるんですけれども、この届け出がない場合の監督指導は誰が行うのか。
それからまた、管理組合の協力を得てといいますけれども、ほとんどないから、多分、届け出が出てこない場合が多いと思うんですけれども、必要な調査というのは誰が行うのか、この点もお願いいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 検討会の中間のまとめでは、督促等を行っても届け出がなされない場合は、行政が口頭や文書による指導を行うことを検討すべきと示されてございます。
また、管理組合等の協力を得た上で、必要に応じて建物の状況や管理組合の運営体制の整備状況など、管理不全を予防するための必須事項について調査を行うことも検討すべきと示されてございます。
なお、管理組合が機能していないマンションでは、届け出がなされないことも考えられるため、まずは行政が粘り強くアプローチすることが必要であると考えてございます。
○星見委員 今ご答弁で、行政が粘り強くアプローチすることが必要というお話がありました。私もまさにそのとおりだと思います。
条例で届け出を義務化した場合、管理組合に、もしくは管理組合がない区分所有者にも届け出をする義務が生じるわけです。ただ、それを、上から懲罰的なやり方であるとか、出さないと不利益が出ますよというような、そういうやり方をしてしまうことは絶対やってはいけないなと思います。
ぜひ、管理組合側の協力をどうやったら得られるのか、そして一緒に進んでいくという立場で、この取り組みも進めてもらいたいと思います。
その上で、この枠組みの案の中には、それぞれ問題になっている点について書かれておりました。その言葉の中で、私もちょっと聞いてみたいなと思ったのは、なぜマンション住民の中で管理について無関心なのか、なぜ役員のなり手が少ないのか、なぜ修繕計画がないのか、これをマンション住民の生活実態を把握して検討していらっしゃるのかどうか、また、これらを克服した取り組みはどのようなものがあったのかをお聞きいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 検討会の資料にも示されている、都が平成二十五年度に実施した管理組合活動活性化モデル事業では、活動状況が不活発であるマンション管理組合を選定の上、その課題をヒアリング等を通じて顕在化させるとともに、解決に向けた支援を実施してございます。
この事業による取り組み事例でございますが、管理組合がなく、長年、実態的な管理を任されていた区分所有者が高齢になり、管理ができなくなった途端、管理不全に陥ったマンションに対しまして、都がマンション管理士である管理アドバイザーを派遣いたしました。アドバイザーが他の区分所有者に管理の重要性などについて根気よく説明したことにより、管理組合の設立を行うことができたなど、実態の分析とともに、改善に向けた方策が示されてございます。
○星見委員 今お話がありました、都がマンション管理士、管理アドバイザーを派遣する中で、困難であった具体的な管理組合を支援しながら再生させてきたという、こういう実績を持っているということは、とても大事なことだと思うんです。
そういう意味では、今回の管理の適正化に向けて、都のアドバイザー派遣支援や耐震化や修繕への助成など、こうした支援も使いやすいように抜本的に見直しながら、条例化を進めるべきと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都はこれまでも、アドバイザーの派遣メニューの見直しや派遣する専門家の分野の拡充、マンション改良工事助成の利子補給期間の延長など、必要に応じ制度の見直しを図ってまいりました。
今後、今回の検討会の報告も踏まえながら、効果的な支援策についても検討してまいります。
○星見委員 私も、東京都があくまでも支援の立場から進めることが全てについて大事だと思っています。先ほどの実態把握でもそうですし、相談あるいは改善問題、全過程の中で、そういうのがより一層、伴走型で進んでいくという意味では、このアドバイザー制度、そしてその他の効果的な施策をどう進めるかというのは、とても大事な点だと思います。
今、そういう意味で、都内のマンション管理士というのは、登録では何人いらっしゃるんでしょうか。それから、東京都防災・建築まちづくりセンターに登録しているマンション管理、建替え・改修アドバイザーは何人でしょうか。そして、制度の利用で派遣されているのは、大体、現在どの程度なのか、お聞きいたします。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 平成二十九年度末時点において、都内在住の登録マンション管理士は約五千八百人となってございます。
また、東京都マンション管理アドバイザー制度の登録アドバイザーは三十八人、建替え・改修アドバイザー制度の登録アドバイザーは二十九人となっております。
平成二十九年度のアドバイザーの派遣実績でございますが、管理アドバイザーが二十一件、建替え・改修アドバイザーが二十件となってございます。
○星見委員 今お聞きしましたマンション管理士の登録が五千八百人いらっしゃるというのは、この皆さんたちがフルにマンション施策の中で有効に機能していくと、大きな変化が起きる可能性を持っているなと思います。
一方で、現在のマンション管理アドバイザー登録の中でのアドバイザーが三十八名、そして改修アドバイザーの方の登録アドバイザーは二十九人と。ちょっと桁が違うなというふうに思います。本格的に今回のマンションの適正な管理の促進に向けた制度をつくっていく枠組みの中で、こうした専門家をどれだけ行政と一緒に、マンション住人と協力しながら活用できるかというのが、一つの大きな力になるのではないかと思うんです。
そういう意味で、管理不全の兆候のあるマンションに対して、個別訪問を行い、管理運営の相談に乗るなどして、継続的に支援を強めるためには、一つはやっぱり行政内の担い手、都庁の中でのマンション対策チームの確立と、それから、やっぱり専門家のアドバイザーを養成していく必要があると思うんですけれども、都はこの取り組みについてはどのような検討をされているのでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 検討会の中間まとめにおいて、都は、施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画を定めることとされております。
このため、本検討会の最終取りまとめを経た後、区市町村や関係団体とも連携しながら、必要な施策の検討を行ってまいります。
○星見委員 この専門家との協力問題では、先ほどお話を伺いました豊島区の取り組みについて、私は奮闘しているなというふうに思いました。
訪問活動なんですけれども、東京都と一緒にやった啓発隊の活動を通じて得たやり方をさらに発展させていまして、訪問活動に参加する専門家は、マンション管理士会の城北支部、建築士の豊島区の協会と税理士会と協定を結び、協力を得ていると。また、主にマンション管理士が参加している活動になっています。
訪問は二人一組で職員と専門家。ただし、マンション管理士の場合は区の職員抜きでも回ることがあると。こういう専門家と一緒の対応の中で引き続き活動を強めているというのが、豊島区の特徴だと思いました。
それからもう一つ、京都市の取り組みも調査してみました。
京都の取り組みでご紹介したいのは、京都市が平成二年以前に建築された市内の分譲マンションを対象に実態調査を行ったときのお話です。強制ではないので、回収率が非常に心配されたんですけれども、回収率は四五・六%と高いです。東京都のマンション回収が先ほどの一七%に比べても倍以上あるということになります。
これどうやっているかというと、調査票を郵送で送って、回収は全て足で行っているんですね。一つ一つ訪問して、その場で回収する用紙を見せてもらいながら、必要なところは、空欄がある場合は聞き取りながら、そこも埋めて行った。それから、相手がいないときも外観の調査は行ったので、外観調査では九九%状況を把握しているというやり方になっています。
これは膨大な人の手が要るということだと思うんです。それも、やはり専門的な知識がある方と一緒にやる中で、一つ一つの施策が前に進んでいっているなというふうに思います。
そういう意味では、こうした管理組合への、あるいは管理組合が不全になっている、なかなか管理不全の兆候があるマンションに対する支援というのは、こうした専門家との、どう育成し一緒に進んでいくかというのが、もう一つ大事な点ではないかと思います。ぜひ強化をしていただきたいと思います。
次に、古くなっている高経年のマンションで、一つ大きな問題になっているのは、どこでも賃貸化が進んで所有者が異なる、そして、意思の疎通やコミュニティの形成が難しくなっているという点にあると思うんです。
まず、居住者や組合員の名簿を持っているかを把握することが大事だと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都のマンション管理ガイドラインでは、マンションを適正に管理していくためには、区分所有者等の居住状況を把握しておく必要があり、そのため、区分所有者名簿を常備し、常に最新の情報に更新していくことは重要と示してございます。
また、災害発生時の緊急連絡や居住者間のコミュニティ形成を図るため、居住者名簿を常備していくことも重要と示しております。
なお、検討会では、区分所有者名簿及び居住者名簿の有無について、適正な管理を行う上で重要な事項として、管理組合に届け出を求めることが議論されてございます。
○星見委員 この辺、とりわけ今回届け出対象にするところについては、実際に区分所有者が誰なのかということが一つ一つはっきりする中で、管理組合の活動自身を活発化させていくということも必要になるかと思います。ぜひ大事な点として受けとめてください。
それからもう一つ、当然、大規模修繕について、これは良好な適正な管理をする上でも、これがどうなっているのか、あるいは計画がどうなっているかということが問われてくると思います。
その有無と直近の時期について届けることとしていますけれども、大事なのは、建物、設備それぞれについて、適切な時期に適切な修繕が行われているかを把握することだと思うんです。経年ごとにどこに修繕をしてきたかを把握することが大切だと思うんですが、どのようにこれは把握していくおつもりでしょうか。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都のマンション管理ガイドラインでは、大規模修繕工事にかかわる書類や記録は、次回の大規模修繕工事のための貴重な資料となるため、保管しておくことが必要と示してございます。
なお、検討会では、修繕履歴の有無について、適正な管理を行う上で重要な事項として、管理組合に届け出を求めることが議論されてございます。
○星見委員 今、適正管理の促進に向けた部分で、とりわけ必要かなと思う部分だけ聞きましたけど、数限りなく、たくさんのことを解決していかなければならない課題があるかなと思います。
その際、ぜひ、先ほど豊島とか京都の例も出しましたけれども、訪問し、対面し、顔の見える関係を築いている、こうした経験をぜひ重要だというふうにして、教訓を導き出してくださるといいなと思います。
とりわけその際に、マンション所有者側を支援するという、その信頼関係をしっかり築くやり方をするということ、また、そういう力を持っているスペシャリストを、専門家の中からも、また、今、行政の中にいらっしゃるマンション担当者の皆さんの中からも育てていくことが大切だと思いますし、まさにここは経験の蓄積と、住民と、そして専門家との交流が一つの大きな力になると思います。
実態調査は、かなりきめ細かな把握がないと調査した意味がないというふうになるかと思います。かなりご努力は必要だと思いますが、ぜひこの実態調査、しっかりやる中で施策を進めていっていただきたいと思います。
最後に、マンションの適正管理の問題なんですけれども、これは平成十二年にマンションの管理の適正化の推進に関する法律ができて、その中で新たに、国や地方自治体がマンションに積極的にかかわっていくという方向が打ち出されたことの流れの中での具体化だと思います。
私、この法律の目的になっている第一条が、とても大事なことが書いていると思いますので、最後に読み上げておきたいと思います。
第一条、この法律は、土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化に伴い、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることに鑑み、マンション管理士の資格を定め、マンション管理業者の登録制度を実施する等マンションの管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とすると書かれております。ぜひこの観点から、さらにマンションの適正管理の促進、進めていただければと思います。
繰り返しになりますが、ぜひマンション居住者の顔が見える施策をつくっていただきますことをお願いします。
以上です。
○山口委員 さて、私どもは、二〇〇〇年ごろから、民間マンションストックの建てかえなどを含めた老朽化対策が社会的要請として高まることは確実に想定をされるため、東京の都市づくりの重要なテーマとしてしっかり取り組んでいくべきと考えて、提言を繰り返してきたところでございます。具体的には、管理や改修、建てかえなど、分譲マンション対策に総合的に取り組むことを求めてきたわけです。
都も、都市づくりビジョン等において、老朽化マンションの問題については重要なものと位置づけ、現行制度上できないことについても道を開いていく方向性でいろいろな努力をしていくと、当時は都市・環境委員会でありましたが、お答えをいただいたように、大都市特有の問題として取り組みを進めてこられました。
今回、条例化を含めた制度構築に向けた中間まとめが報告をされました。管理不全の予防とともに、既に管理不全に陥っていたり、その予備軍で、行政の働きかけに応答がないような分譲マンションへの対策を進めることが喫緊の課題であるわけであります。
中間まとめを拝見すると、届け出制度によって、多くのマンションでは、管理不全の予防としてかなり機能するだろうと期待をし、ぜひ取り組みを進めていただきたいと考えるところでありますが、一方で、もちろん行政としては、区分所有者への個別訪問や個別の働きかけは、これは難しいでしょうから、あくまで制度、条例の対象は管理組合という団体になるものというふうに理解をしているところでありますが、そもそも、だとすると、管理組合がなかったり、理事長もいるかどうか怪しいような、管理組合が機能していないという一番問題となりそうなマンションに対して、受け手のない働きかけとなってしまう可能性が高いのではないでしょうか。
こういった危惧を覚えるわけでありますが、そこで、組合不在の、または休眠状態から、どうこの制度の要請に対する受け手を立ち上げていくのか、まずモデルケースとしてどのような形を考えているのか、ご教示をいただきたいと思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 今回の報告書案において、管理組合は、マンションの管理の主体として適正な管理を行うこととされてございます。
管理組合が機能していないマンションにつきましては、行政が粘り強くアプローチすることが必要であると考えてございます。
例えば、管理状況の届け出がなされない場合におきましては、電話や文書による督促を行い、必要に応じて個別訪問を実施して、区分所有者から管理の現状について伺うなど、当該マンションが抱える課題の的確な把握に努めてまいります。
こうしたことから、今後、検討会の最終取りまとめを経た後、先行して取り組んでいる区の事例なども参考に、その課題や状況に応じて、マンション管理士等の専門家の派遣など、効果的な支援策を検討してまいります。
○山口委員 東京都が、行政が直接、所有者個々にアプローチすることに限界があるのであろうということは、当然理解ができるところであるわけでありますが、課題の把握から先、実際に動かしていくには、やはり助成制度などの構築とあわせて、民間の専門家などによるきめの細かい取り組みが推進されるような方策も検討していく必要があるように感じます。
こうした取り組みを推進する方策等については、どのようにお考えになられているのか伺いたいと思います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 管理組合を支援するに当たっては、行政が行う支援策だけでなく、管理組合支援の実績のあるマンション管理士等の民間の専門家を活用することが効果的であると考えてございます。
都は、平成二十五年度に、管理組合の活動が不活発な管理組合に対して、マンション管理士を継続的に派遣するモデル事業を行い、管理組合の活動が活性化するなどの成果がございました。
モデル事業で得られた成果なども踏まえ、現在検討を進めている制度の実効性を高めるための支援のあり方について検討してまいります。
○山口委員 質問が繰り返されておりますので、これ以上しつこく聞くことはやめますが、この問題を解決していくためには、まず行政が課題を抽出、意識づけを行って、民間の専門家にバトンタッチをして、しっかりと管理組合を機能させていく、この流れをしっかりと確立していくこと。管理不全など、居住者はもとより、近隣にも影響を与える老朽マンションへの支援を行っていくことが重要だと考えておりますので、ぜひその点を重要視して行っていただきたいというふうに思うところであります。
耐震性に問題があっても、管理組合が機能不全では、耐震補強、改築もできない。衛生問題、治安悪化など、いろんな問題につながっていきかねないわけでありますので、管理組合が空中分解してしまうのは、単に無関心という以上の込み入った問題があったり、困難を伴うと思いますが、ぜひともお願いをしたいところであります。
何から、誰がどうすればいいのかということがわからない方々がたくさんいらっしゃるんだと思いますので、しっかり機会をつくっていくことが重要だと思いますので、これはもう皆様というよりは、民間の専門家の方々、たくさんノウハウを持っているはずですから、しっかりと連携を図り、進めていただくよう要望して、質問を終わります。
○たきぐち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たきぐち委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時五十一分散会
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