委員長 | たきぐち学君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
副委員長 | 馬場 信男君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 森澤 恭子君 |
理事 | 神林 茂君 |
後藤 なみ君 | |
滝田やすひこ君 | |
森口つかさ君 | |
星見てい子君 | |
木下ふみこ君 | |
山口 拓君 | |
藤井 一君 | |
秋田 一郎君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長技監兼務 | 佐藤 伸朗君 |
次長 | 小泉 健君 | |
技監 | 上野 雄一君 | |
理事 | 今村 保雄君 | |
理事 | 中島 高志君 | |
総務部長 | 桜井 政人君 | |
都市づくり政策部長 | 久保田浩二君 | |
住宅政策推進部長 | 佐々木秀之君 | |
都市基盤部長 | 荒井 俊之君 | |
市街地整備部長選手村担当部長兼務 | 山下 幸俊君 | |
市街地建築部長 | 青柳 一彦君 | |
都営住宅経営部長 | 佐藤 千佳君 | |
基地対策部長 | 高原 俊幸君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 朝山 勉君 | |
連絡調整担当部長 | 土屋 太郎君 | |
担当部長 | 小口 新吾君 | |
まちづくり推進担当部長 | 山崎 弘人君 | |
まちづくり調整担当部長 | 木村 宣代君 | |
住宅政策担当部長 | 田中 敬三君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 栗谷川哲雄君 | |
交通政策担当部長 | 森 高志君 | |
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 | 新谷 景一君 | |
防災都市づくり担当部長 | 安部 文洋君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 松崎 浩一君 | |
局務担当部長 | 齊藤 敏君 | |
耐震化推進担当部長 | 青木 成昭君 | |
経営改革担当部長 | 八嶋 吉人君 | |
再編利活用推進担当部長 | 中山 衛君 | |
建設推進担当部長 | 妹尾 高行君 | |
営繕担当部長 | 村居 秀彦君 | |
横田基地共用化推進担当部長 | 宮城 俊弥君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
意見書について
付託議案の審査(質疑)
・第百二十九号議案 東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
・第百五十号議案 土地の売払いについて
報告事項(質疑)
・築地再開発検討会議(第五回)について
・築地再開発検討会議(第六回)について
・築地再開発検討会議(第七回)について
・「築地まちづくりの大きな視点」について
・「震災時火災における避難場所等の指定(第八回)」の公表について
○たきぐち委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たきぐち委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○たきぐち委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、佐藤局長から紹介があります。
○佐藤都市整備局長 過日の都市整備委員会を欠席させていただいておりました幹部職員をご紹介させていただきます。
都営住宅経営部長の佐藤千佳でございます。
どうぞよろしくお願いします。
〔理事者挨拶〕
○たきぐち委員長 紹介は終わりました。
○たきぐち委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第百二十九号議案及び第百五十号議案を一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○滝田委員 私からは、地元市の案件であります、八王子市鑓水の都有地土地売却に関しまして質問をいたします。
けさも現地に立ち寄りをしてまいりましたけれども、当該土地は多摩ニュータウンの中でも最西部に当たり、リニア新幹線の停車駅と予定されている橋本駅から約二キロ、徒歩ではやや距離がありますけれども、二十分から三十分の位置にあります。
十二ヘクタールの広大な土地、開発影響は大きいものですので、周囲の閑静な住宅街や大学などとの調和に努めなければなりません。地元八王子市にとり、良好な住宅街を形成しているニュータウンの一角として、地域生活に資する機能が求められております。同時に、八王子バイパス至近の事業適地としても機能発揮が求められています。
こうした立地特性から、まちづくり観点での地元要望の強い地域となります。ついては、今後事業が適切に実施をされ、地元との連携がしっかりとなされることを期待する中で、一者応募となった経緯、また今回ニュータウンでの都市整備局の土地売却として初めて定期借地を利用したスキームでの開発となることなどの観点から、幾つかの確認を行いたいと思います。
最初に、多摩ニュータウン事業における土地の販売の基本的な考え方を伺います。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウンは、住む、働き、学ぶ、憩うという機能を備えたまちを形成していくことを基本としており、このため、住宅、業務、商業、教育、文化等の諸施設を計画的に誘致し、立地していくことが重要であると認識しておりまして、バランスのとれたまちづくりを進めることを目指してまいりました。
都は、土地の販売を通じて、地域にふさわしい機能の施設の誘致を図り、居住している方たちがより快適な生活を享受できるよう努めてございます。
今後とも地元市とも連携しながら、多摩ニュータウンのまちづくりを進めてまいります。
○滝田委員 続けてお伺いいたします。今回の事業予定者はどのような手続を経て決まったのか、お伺いをいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本事業用地の売り払いにつきましては、昨年七月に公募を開始し、八月には現地説明会を実施して、十一者が参加、十月には日本商業開発株式会社一者から応募がございました。
これを受け、多摩ニュータウン事業用地等処分要綱に基づきまして、事業予定者を選定するために、都市計画、建築に関する学識経験者、公認会計士、八王子市職員の外部委員及び都職員を委員とする多摩ニュータウン事業用地管理処分委員会を、昨年十一月と本年一月の二回開催し、審議を行いました。
この委員会において、多摩ニュータウン事業用地商業業務施設用地事業予定者選定審査基準に基づきまして、資力、信用、事業計画の内容、購入希望価格の各事項について審査を行い、日本商業開発株式会社を事業予定者として選定いたしました。
これを受け、都は本年二月九日、同者を事業予定者として決定し、公表するとともに、平成三十年東京都議会第二回定例会において議案が可決された後、土地売買契約を締結する旨の仮契約を三月一日に締結してございます。
○滝田委員 応募が一者にとどまったということで、比較となる選択肢がありませんので、その点では残念であります。しかしながら、先ほどもご説明にありましたけれども、応募のあった事業者の事業計画については、学識経験者と地元市も入った事業用地管理処分委員会にて審議されたものと経緯を理解いたしました。
次に、選定された事業予定者から提出されている事業計画はどのような内容であるのか、具体的にお伺いいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 事業計画では、物流施設と商業施設の建設及び運営が予定されてございます。物流施設については、企業活動を支え、地域経済の発展に寄与することで、多摩地域のイノベーション創出への貢献を目指し、商業施設については、地域住民の利便性向上に向け、取り組みを進めるとしてございます。
また、施設配置につきましては、既存住宅地との敷地境界に沿って緑地帯を確保したり、敷地内に自動車待機スペースを設置するなど、周辺環境や道路交通に配慮した内容となってございます。
さらに、地元地域への貢献として、コミュニティ広場の設置、スポーツ施設の併設、ハイパーレスキュー隊や多摩美術大学と連携した催し等の取り組みも予定してございます。
○滝田委員 ご説明いただきました事業計画は、募集要件を満たした計画であるものと理解をしておりますけれども、売り払いに際して地元の意見はどのように反映しているのか、お伺いをいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本件土地の売り払いに当たっては、平成十七年度に都と八王子市で本件土地の利用に関する検討会を立ち上げ、平成十九年度に業務、商業、住宅の用途を誘導していくという方向性を確認してございます。
この方向性を基本にして公募条件を定め、その詳細について八王子市に意見照会の上、平成二十九年度に募集要項を決定いたしました。
地元住民につきましては、公募に先立ち、八王子市と連携し説明を行ってきており、商業施設へのアクセス通路の確保など、いただいたご意見は募集要項に織り込んでございます。
また、公募後も、応募状況や事業予定者決定などについて情報提供を行ってきており、今後とも市とともに地元の意見の把握にも努めてまいります。
事業者には今後、事業計画や建設工事に関して随時説明会を開催するなど、地元住民に対して丁寧にきめ細かな説明を適切に行うよう、都としても申し入れてまいります。
○滝田委員 ご説明ありがとうございます。
今回、土地売却に先立ちまして、都市計画も住居系からの変更を行い、地区計画の策定も行っております。用途変更や地区計画の策定は、地元市の都市計画権限ですので、その際の審議でも地元市の意向が議論されていると理解をしております。
その点も反映された事業が今後展開されていくものと思いますけれども、改めて地元市民の皆様との連携を丁寧に行っていただくよう、事業者への申し入れをお願いいたします。
これまでニュータウンでの都市整備局の土地売却では、売却先の事業者がみずから施設建設まで担うことになっていたと理解をしております。今回初めて定期借地として、事業者が貸付先のテナントを誘致し、テナント側が施設建設を行うというスキームを認めています。
今回の応募条件で、初めて事業用定期借地によって事業者以外の者が建設等を行えるようにした理由はなぜか、お伺いをいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本件土地は、面積十二ヘクタールであり、民間向けの土地では既に処分済みのものも含め最大となっており、建設する施設の面積や運営規模も大きなものとなります。
このため、土地購入者みずからが建設から運営管理まで全て手がけるのは困難であると受けとめる企業もあるのではないかと考え、当地への事業者の進出を後押しするため、土地購入者みずからが全てを手がける方式に加え、新たな二つの方式を認めることといたしました。
一つは、事業者が複合施設を建設し、事業者以外の者に施設運営を行わせる方式でございます。もう一つは、事業者が事業者以外の者に土地を事業用定期借地等により貸し付けて、施設の建設及び運営を行わせる方式でございます。
これにつきましては、平成二十年の借地借家法の改正により、事業用定期借地の期間が十年以上二十年以下から十年以上五十年未満に変更されたことも踏まえたものでございます。
○滝田委員 今回、事業予定者に決定された日本商業開発株式会社は、実際に二者に土地を貸し付け、物流施設と商業施設の建設をそれぞれ任せるとのスキームに基づく企画書で応募し、選定されたと伺っています。
実際に建設や運営を担うことになる当該貸付先二者につきまして、事業予定者選定時には審査をされているのか、お伺いいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウン事業用地管理処分委員会においては、多摩ニュータウン事業用地商業業務施設用地事業予定者選定審査基準に基づきまして、応募事業者の資力、信用、事業計画の内容、購入希望価格の各事項について審査を行い、事業予定者を選定いたしました。
定期借地を受ける企業は、都の契約の相手方ではないため、事業予定者選定の時点では審査の対象としてございません。
なお、都が事業予定者と三月一日に締結した仮契約におきましては、本契約締結後、事業者が土地に事業用定期借地権等を設定するときには、あらかじめ都の承認を受ける必要があると規定してございまして、今後、事業者から借地権設定の承認申請が提出された場合には、その時点で審査を行う予定でございます。
○滝田委員 地域に長期的に影響のあるまちづくりの観点では、実際の建設、運営を担う主体の長期的な事業遂行能力は重要であります。
一方で、公募要件において、五年間の用途指定について記載がありますけれども、その後の縛りは、要件上はないものと理解をしております。その観点でも、事業者の事業遂行能力の確認は重要となるかと思います。
先ほどのご説明で、当該貸付先の二者については、事業予定者選定時には審査を行っていないとのことでありましたけれども、今後はどのようなプロセスで当該二者につきまして審査が行われるのか、またどのような観点で審査を行う予定なのか、お伺いをいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 都と事業予定者が平成三十年三月一日付で締結した仮契約では、事業者が土地に事業用定期借地権等を設定するときに、あらかじめ都の承認を受ける必要があると規定してございます。
今後、事業者から事業用定期借地権等の設定について申請が提出された場合は、企画提案や施設建設計画等の事業計画を確実に実施することが可能かという観点から、定期借地を受ける企業の財務状況や施設運営能力等について審査し、承認の可否を決定してまいります。
○滝田委員 応募要件における予定価格、約四十九億円に対して、今回の事業予定者は七十二億円での応募、仮契約をされています。民間事業者による買い付け希望価格でありますので、事業を回していく責任は当然民間にあるかと思います。
しかしながら、地元への長期的な影響力の大きさに鑑み、事業の実現性、今回は貸付先を含めた事業主体の実行力についての注視が必要だと思います。今回初めてのスキームということですので、適正に審査を行うほか、事業者との丁寧なコミュニケーションをしていくことを改めて要望いたします。
最後に、もう一点確認をいたします。募集要項には、施設の建設に関し、やむを得ない理由により計画に変更が生じた場合には、都の承認を得るとありますけれども、どのような変更が許容されるのか、イメージを持ちたいと思います。
過去、計画変更を認めた事例ではどのような変更内容であったのか、お伺いをいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本件土地の事業予定者は、応募時の事業計画に基づき、複合施設を建築することになりますが、この事業計画について、やむを得ない事情がある場合には、都の承認のもと、変更を認めることとしてございます。
これまで、変更後の計画の評価が応募時の計画の評価を大幅に下回ることのないケースにおいては、変更を承認してまいりました。
多摩ニュータウン宅地販売で過去に建築の計画変更を承認した事例といたしましては、どの住宅からの雨水をどの雨水管に流し込むかという雨水の排水計画につきまして、詳細設計を行った結果、特定のエリアの雨水流量が過大だと判明したため、戸建て住宅の配置を一部変更する必要が生じ、承認したという例がございます。
また、事業者が歩行者専用道路を整備して、市に移管する計画におきまして、当初は植栽ますの設置を予定していましたが、市との協議により、歩行者の安全確保のために、植栽ますの設置は行わないという変更について承認したという事例もございます。
○滝田委員 ありがとうございます。
私としては、地元市民や地元市のまちづくりに資する事業が民間事業者の工夫と発想によって高度に実現することを純粋に望んでおります。募集段階での公平な競争環境が保たれていることに加えて、事業実施に当たっては、都、地元市、事業者、地元関係者のそれぞれの協力姿勢が不可欠です。
本件土地は約十二ヘクタールと、多摩ニュータウンの宅地の中でも非常に大規模であり、ニュータウンのまちづくりに与える影響は極めて大きいものであります。また、施設建設により生じる周辺環境や周辺道路交通への影響に対しても、十分な対策が必要となるものであります。
こうした観点から、都として、事業予定者に対して地元市や関係者に対する十分な説明をすること、地元意見への適切な配慮を促すように努め、本件土地の売り払いの後も多摩ニュータウンの発展と魅力向上につなげていただくよう要望いたします。
以上の意見をもちまして、私からの質問を終わります。ありがとうございます。
○神林委員 我が党からは、第百五十号議案について、一点だけ意見を申し上げます。
本議案につきましては、土地売買契約後の手続において、都は地元町会など地域の要望の趣旨を尊重して対応されることを強く望みます。
以上でございます。
○小林委員 私からも、第百五十号議案、土地の売払いについて意見を述べさせていただきます。
本件土地は約十二ヘクタールと、多摩ニュータウンの宅地の中でも非常に大規模であり、今回この土地が売却され、事業予定者により地域の拠点ともなり得る施設が建設されることは、多摩ニュータウンのまちづくりを大きく前進させると考えます。
商業施設により地域住民の利便性が向上することや、物流施設が企業活動を下支えすることで、地域経済発展が見込まれることなど、地元の期待も高まっております。
一方、本件の土地は広大であり、多摩ニュータウンのまちづくりに与える影響は極めて大きいものだと思います。また、施設建設により生じる周辺環境や周辺道路交通への影響を防ぐため、十分な対策も必要になってくるかと思います。
こうしたことから、都としても事業予定者に対して、市や住民など地元に対する十分な説明や地元からの意見への適切な配慮を促すよう努め、本件土地の売り払いにより、多摩ニュータウン事業を着実かつ円滑に進めるよう意見を表明させていただきます。
以上でございます。
○星見委員 私からは、多摩ニュータウンの都有地の売り払いについて質問をいたします。
八王子市内の多摩美術大学の東側に広がる約十二ヘクタールの土地を売り払うもので、事業者の提案では、物流施設とショッピングセンターをつくる提案ですが、事業者は土地を購入しますが、建物は定期借地契約をほかの事業者と結び、この業者につくらせ、運営させるというプランを提案しています。
そもそも多摩ニュータウンの事業は、一九六五年に東京の急速な人口増加による住宅難への対応と乱開発を防止し、良好な住宅市街地の形成などを目指して計画されたものです。
該当地域は、東京都が健全な住宅市街地の開発とともに、住宅に困窮する国民のための居住環境の良好な住宅地を大量に供給することを目的とした新住宅市街地開発事業という手法をとって行われました。
近年、東京でも全国でも深刻な問題になっている一つは、住宅に困窮する方々が急増していることです。住宅セーフティーネットもつくられ、都も対策を立てています。多摩地域も例外ではありません。
特に我が党にも寄せられているのは、URの団地に住む方々の切実な声です。
大量につくられたURの団地に若いころ入居したものの、今は退職され、収入が激減。ところが、家賃の方は制度が改悪され、近傍同種家賃という近隣の民間住宅並みの家賃に引き上げられたため、生活が大変苦しくなった。何とか家賃の低い都営住宅に移りたいけれども、なかなか当たらない。都営住宅をふやして入れるようにしてほしいというものです。
このような都営住宅の新規建設は切実な願いです。同時に、多摩ニュータウン全体で見た場合、老朽化した都営住宅の建てかえを早急に進めていくことも求められています。
東京都が新住宅市街地開発事業として開発したこの用地を事業用用地として募集する前に、新規都営住宅や多摩ニュータウンの住宅建てかえ用事業用地として活用する検討をしたのかどうか、まず伺います。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本件土地を含む地区の土地利用につきましては、平成二十八年度に八王子市が地区計画を決定し、商業サービス機能、業務機能、良好な住環境の形成等の多様な機能が効率的に発揮されるよう、一体的かつ複合的な土地利用を図るとしてございます。
これを受けて、八王子市と協議の上、募集要項を定めてございまして、都営住宅の建てかえ用地などとして活用するということは検討してございません。
○星見委員 多摩ニュータウンには、昭和四十年代に建設されただけでも約三千九百戸の都営住宅がありまして、老朽化などが問題になっています。都は、二〇二〇年に向けた実行プランに基づき、多摩ニュータウン地域再生ガイドラインを本年二月に策定し、例えば都営諏訪団地では、福祉施設との合築も行いながら、先行的に建てかえに取り組み、そして二〇二〇年までにその一部を竣工するとしています。さらに、都営和田、愛宕団地等についても、順次建てかえに着手し、二〇二四年までにはその一部を竣工するとして、こうした取り組みが始まっているところです。
しかし、こうした老朽化しました都営住宅には多くの高齢者の方が住んでおりまして、良好な住環境とはとてもいいがたい日常生活の中で苦しんでいます。例えば、建てかえ計画が始まった都営諏訪団地があります諏訪永山地区では、人口が約二万七千人、これが三十年後には三割以上減って、約一万九千人となり、高齢化率は四二%、後期高齢者率も二六%と推計されています。
この地域の団地は、エレベーターのない住宅が大半です。階段の上りおりもヘルパーが必要になり、日常生活を支える買い物も大きな負担になっているという状況です。こうした状況は多摩ニュータウンの都営住宅に広がっています。
二〇四〇年に向けて、多摩の新しいニュータウンをという計画ですけれども、早急に高齢者の生活を支えられる都営住宅に建てかえする必要があるのではないでしょうか。
また、全都では石原都政以来、都営住宅の増設がストップする中で、都営住宅の新築、増設を求める声はますます大きくなっています。保育園や特養ホームも不足しています。多摩ニュータウンで東京都が開発した都有地は、都民や地元住民にとって切実になっている福祉施設や都営住宅の建設などに優先して活用すべきだと思います。
その上で、今回の都有地の売り払いについて、地元町会長名で当事業地に関する要望書が出されたと聞いていますが、内容を確認されていますか。
また、その内容を都市整備局としてはどのように受けとめているのか、お聞きいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 地元町会長からいただいたご要望は、地元町会や地域住民の理解を得ながら事業を進めてもらいたいというものでございまして、事業者には今後、事業計画や建設工事に関して随時説明会を開催するなど、地元住民に対して丁寧にきめ細かな説明を適切に行うよう、都としても申し入れてまいります。
○星見委員 今ご答弁で、事業者に東京都が申し入れ、事業者任せにはしないということだというふうにお聞きしました。
また、この要望書には、物流倉庫につきましては、当町会との調整がつくまで開発の事前協議を受け付けないでほしい旨の要望を、八王子市宛てに文書で提出する予定であることを申し添えてということがあります。
都は、事業予定者の決定に当たって、住民が住環境などへの影響に不安を持っていることを把握していたのでしょうか。事業用地の開発計画について、地元の住民の意見をどのように反映しているのか伺います。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 地元住民に対しましては、公募に先立ち、八王子市と連携し説明を行ってきてございまして、商業施設へのアクセス通路の確保など、いただいたご意見は募集要項に織り込んでございます。
また、公募後も応募状況や事業予定者決定などについて情報提供を行ってきており、今後とも市とともに地元の意見の把握に努めてまいります。
○星見委員 市とともにぜひ丁寧な対応を進めるよう求めます。
次は、この売却契約のあり方についてお伺いいたします。
今回の都有地売却は、新住宅市街地開発法に基づく造成地のため、制限行為がついています。購入者は五年以内に計画された建築物を完成させることや、都知事の承認を得ずには土地及び建築物を第三者に所有権等の移転ができないなどです。
そこで、これまでに用地を売却した事業者に対して、事業進行中に用地等の所有権などの移転を求めた契約はあったのかどうか伺います。それぞれどのような内容であったのかもお聞きいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 都から所有権移転を受けて五年経過するまでの間に他者へ所有権を移転する場合は、あらかじめ都の承認を受けることを条件としてございます。過去の多摩ニュータウンの宅地販売の事例では、この承認を行った事例は二件ございます。
一つ目は、事業者が会社更生法の適用を受けた事例でございまして、売却先企業の事業計画や資力、信用を審査し、承認を行いました。
二つ目は、事業者から分譲宅地の販売を受託していた子会社に所有権を移転した事例でございまして、子会社が当初の事業計画を完全に引き継ぐ内容であったため、承認を行ったものでございます。
○星見委員 今お話のありました二件は、倒産など特別な事情が発生したために、東京都が計画途中で所有権の移転などを許可したものだというふうに思います。しかし、今回、都は事業者について、初めから定期借地させた他企業に建物の建設と施設運営をさせることを承知の上で決定しています。
新住宅市街地開発事業の多摩ニュータウン売却用地で、これまで計画当初から権利移転を前提にした売却例はありましたか、その点お聞きいたします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本件土地は面積十二ヘクタールであり、民間向けの土地では既に処分済みのものも含め最大となっており、建設する施設の面積や運営規模も大きなものとなります。
このため、土地購入者みずからが建設や運営管理まで全て手がけるのは困難であると受けとめる企業もあるのではないかと考え、当地への事業者の進出を後押しするため、土地購入者みずからが全てを手がける方式に加え、今回新たに二つの方式を認めることにいたしました。
一つは、事業者が複合施設を建設し、事業者以外の者に施設運営を行わせる方式でございます。
もう一つは、事業者が事業者以外の者に土地を事業用定期借地等により貸し付けて、施設の建設及び運営を行わせる方式でございます。
○星見委員 今ご答弁ありましたように、計画当初から定期借地で所有権などの移転を前提に認めたのは初めてということです。そもそも土地を売却するということをビジネスモデルにしている企業に売却することは、これまでにはなかったということです。
また、今ご答弁がありましたように、この募集要項の事業者の資格にかかわって、ちょうど四ページに載っていますけれども、これを読みますと、新たに事業者以外の者に施設の管理運営を行わせる場合、そしてもう一つ、事業用定期借地等施設の建設及び管理運営を行わせる場合、これを二つ追加して、緩和が行われているということです。
このため、今回の土地売り払いの相手先事業者については、第三者の審査会でその資格が審査されていますけれども、定期借地を受ける企業については、土地の売却後でなければチェックできない仕組みになっています。この売却契約後に事業者から定期借地の承認申請が提出された際、定期借地を受ける企業の審査を行い、施設を建設、運営するにふさわしくない事業者であった場合は、都はどうするのですか。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 資力、信用、施設運営能力については、今後、事業者から定期借地権等を設定する申請が出てきた場合に、事業計画を確実に実施することが可能かという観点から審査を行い、承認の可否を決定いたします。
○星見委員 今ご答弁があった、都有地を購入した企業が申請してから審査になるというのはわかっています。その可否ではなくて、これが否、ふさわしくないとなった場合はどうするんですかというふうに質問しています。もう一度お願いします。
○松崎多摩ニュータウン事業担当部長 審査の結果、承認を行わないことになった場合は、事業者がみずから施設建設や運営を行うか、または他の定期借地権等事業者について、新たに承認申請を行うこととなります。
○星見委員 今お話がありましたが、今回の事業者の募集で事業者資格を緩和したために、土地の売却時に定期借地予定企業については、建物建設や運営にふさわしい企業なのかどうかチェックするのが難しくなったのではないでしょうか。
この本用地の開発目的は、本来、新住宅市街地開発法という法の趣旨にのっとり、住宅に困窮する国民のための住環境の良好な相当規模の住宅地の供給を図り、もって国民の生活の安定に寄与することにあります。もちろん、地域の住民の利便に供する商業施設や、職場や住居が近くにあって通いやすい職住接近を実現するための業務施設などがつくられることを否定するものではありませんが、そもそも都民生活が厳しくなり、都営住宅の新規建設が切実に求められているという状況の考慮は必要です。
そしてまた、今ご答弁いただきましたように、借地して実際に土地を利用し、建物をつくったり運営することを予定していながら、その企業の審査もないままで、用地を売却することも、この法の本来の目的、趣旨からも逸脱する可能性があります。
今回の売却にはこうした問題点があり、懸念が拭い切れないもと、地元で生活している方々からもさまざまな疑問の声が上がっているのではないでしょうか。
都と地元、都として、地元や都民に対して理解、そして納得を十分に得るための説明責任をしっかり果たすよう要望して、私の質問を終わります。
○山口委員 私からも、百五十号議案、土地の売払いについて意見を申し上げます。
多摩ニュータウンにおいて、都が新住宅市街地開発事業で造成し、売り払った事業用地は、住宅のほか、首都大学東京などの教育施設、企業の事務所や研究所、商業施設などの立地に活用されてきました。
今回の用地には、商業施設と物流施設が予定されているとのことでありますが、期待が高い一方で、町会を初めとして、地元皆様からはさまざまなご要望、ご懸念が出ていると聞いております。
ぜひ都としても、事業予定者に対して、地元に適切に配慮しながら事業を進めるよう促すよう努めていただきたいと思います。
○たきぐち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たきぐち委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○たきぐち委員長 次に、報告事項、築地再開発検討会議(第五回)について外四件に対する質疑を一括して行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○滝田委員 私から、築地再開発検討会議の報告案件について質問をいたします。
五月二十一日の築地再開発検討会議にて、築地まちづくりの大きな視点が示されました。段階的な整備、公益的な価値の最大化、交通結節点の戦略的形成など、大きな方向性が提言され、検討会議は役目を終えました。
先日、当都市整備委員会の委員にて築地の現地視察をいたしましたけれども、私も含めて、所管する委員として、改めて築地市場の二十三ヘクタールという敷地の広さ、規模感を感じたところであります。
銀座からも徒歩圏のこの貴重な土地、開発地で閉じて考えるのではなくて、東京の広域的、長期的な価値を高めるための工夫として、これらの提言を評価いたします。
提言を受けて、今後は行政としてのまちづくり方針をどのように策定していくのかが焦点となります。
一昨日、私たちの会派の代表質問でも、このまちづくり方針を策定していくためのロードマップを確認させていただきました。代表質問の答弁にて、庁内横断的な検討体制に関しまして言及がありましたけれども、具体的な構成なども含めて説明を伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議により取りまとめられた大きな視点については、長期的時間軸に立った築地再開発の今後の検討と実施の枠組みとして、築地再開発に当たっての基本的な方向性や考え方が提言されたものでございます。
提言には、例えば舟運ネットワークの形成や環状第二号線の整備、歩行者ネットワークの形成など、複数局にかかわる内容があることなどから、今後、行政としてのまちづくり方針を検討していくため、都市整備局長を会長とし、政策企画局、財務局、建設局、港湾局などの部長級をメンバーとする庁内検討会を立ち上げたところであり、事務局は都市整備局が担ってございます。必要に応じまして、環境局や中央卸売市場など他の局についても協力を依頼いたします。
今後、学識経験者も交えた会議も立ち上げまして、区のまちづくりとの調整も行いながら検討を進め、年明けには方針の素案について広く都民の声を聞いた上で、年度内に方針を取りまとめていく予定でございます。
○滝田委員 築地の跡地再開発の規模感は、市場移転の問題でおさまる開発でも、敷地内でおさまる開発でもありません。二〇二〇大会後の東京を牽引する重要なエリアとして、また都心部と臨海部をつなぐエリアとして、東京の未来をつくっていく開発になります。
ご説明いただきました検討会を中心に、部局間の連携をしっかりと行い、そのポテンシャルの最大化に努めていただきたいと思います。
最初に述べましたとおり、開発地で閉じて考えるのではなく、東京の将来像を見据えた時間軸と立地特性を踏まえた広域的な観点で方針を定めていく必要があるかと思います。
大きな視点にも記載のある築地と銀座や豊洲など周辺地域とのつながりは重要であります。周辺とのつながりについて、大きな視点ではどのように提言されているのか、お伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、周辺との有機的つながりの強化といたしまして、より価値を高めるため、周辺のさまざまな資源とのつながりを重視すべきとの提言をいただいております。
具体的には、浜離宮恩賜庭園や築地本願寺、竹芝地区の再開発や銀座など、周辺の特徴ある地域を結びつけ、連携を強化することができるよう、楽しく周遊できる歩行者のネットワークなど形成していくべきとしております。
また、広域交通ネットワークなども考慮した、より広い地域との連携も考えるべきであり、時間をかけて展開が進む個別開発とも有機的つながりを図りながら、相乗効果を生み出していくことが重要であるとしております。
特に、東側には晴海、豊洲など臨海部が広がっており、環状第二号線などが整備されることにより、交通ネットワークが強化され、一体性が高まっていく。中でも築地と豊洲が双方に生かし合えるような開発を進めることが必要であるとしております。
○滝田委員 築地再開発と晴海、豊洲を含む臨海部との一体性、双方を生かし合うことをぜひまちづくり方針の中でも掘り下げていただきたいと思います。
そのためには、交通ネットワークだけではなくて、空間的にも機能的にもさまざまな観点から一体性やあり方を整理すべきと考えます。
次の論点に移ります。
大きな視点の中でも、交通結節点を戦略的に形成するべきとあるのは、非常に重要な観点であると考えます。
長期的にエリアの価値を上げていく上で交通網を整備する意味は大きい。特に銀座や大・丸・有地区からの築地へのアクセス、鉄道網の薄い晴海、豊洲、臨海部への動脈を通すこと、さらには羽田も視野に入れた鉄道のあり方は、築地再開発のまちづくり方針作成と一体的に検討していくべきと考えます。
築地付近を通る構想路線としては、国の交通政策審議会答申にある都心部・臨海地域地下鉄構想が考えられます。当該構想の具体化に向けた考えを伺います。
○荒井都市基盤部長 築地まちづくりの大きな視点では、交通結節点の形成に関連いたしまして、都心と臨海副都心とのアクセス利便性向上のため、都心部・臨海地域地下鉄構想が挙げられております。この路線は、臨海地域と銀座、東京など都心部を結ぶことで、臨海地域の拠点機能を一層強化するとともに、ネットワークの面からも東京全体の公共交通のさらなる利便性向上に寄与することが見込まれております。
一方、交通政策審議会答申では、この路線は事業性に課題があり、検討熟度が低く、関係者間において事業主体も含めた事業計画について十分な検討が必要とされております。今後は答申を踏まえるとともに、臨海地域等における開発動向などを勘案しながら、構想をより具体化するために関係者間で連携して取り組んでまいります。
○滝田委員 国の答申においては、当該路線は臨海地域と銀座、東京等の都心部を結ぶとの記載となっており、築地は明確には位置づけられておりません。おととしの答申の段階では、築地再開発は特別に考慮されていたわけではないのだろうと思います。
一方、本日は一歩踏み込んで答弁をいただきましたと思います。築地再開発を見据えて、事業性や整備効果など、関係者と検討を深めていただきたいと思います。
今年度は六路線の事業化に向けた検討体制が整ったところでありますが、築地再開発の重要性に鑑み、当該路線の調査を深めていただくことを強く要望いたします。
築地再開発に加え、晴海、豊洲、臨海部に至るエリアにおいては、市場整備やオリンピック・パラリンピック関係でも多くの開発プロジェクトが進んでおります。官民の多額の投資に見合う東京の魅力づくりにつなげていただきたい。さまざまな新しい都市づくりのコンセプトを実現するエリアとして位置づけていただきたいと思います。
例えば、これまでなかなか進んでこなかった、東京の水辺を人の手に取り戻すということについても、本腰を入れて取り組むべきと考えます。大きな視点には、舟運、水辺活用の言及がありますが、観光利用にとどまらず、通勤や日々の足として使える舟運を目指すべきではないでしょうか。先日の都市整備委員会での現地視察の際にも藤井委員が発言されていた観点でもあります。
私は先般、ニューヨークに視察に訪れましたけれども、商業の中心、マンハッタンのウォールストリートから対岸のブルックリン地区まで、船で簡単に行き来することができます。昨年五月にニューヨーク市が始めたフェリーサービスですけれども、片道二・七五ドル、約三百円になりますけれども、対岸まで約五分、十分から二十分間隔で運航しています。
地下鉄のない不便地域の足にもなるということで、料金や運航間隔が設定をされています。とても便利で、舟運は日常使いができるということを再確認いたしました。
今回、大きな視点にあります舟運ネットワークを形成する上で、舟運活性化を推進する取り組みは重要であると考えております。鉄道やバスなどの陸上交通との接点をどのように構成するか、これまでの東京にない新しい挑戦となりますが、課題について伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地まちづくりの大きな視点では、立地条件を最大限活用すべきであると提言されてございます。築地地区に計画されている防災船着き場を、地域のにぎわいを創出し、舟運ネットワークのかなめとなるよう整備、運用すべきであると提示されてございます。また、海、川、陸のルートが交差する要所にあり、舟運、道路、バス、地下鉄などの広域性の高い交通インフラから成る交通結節点を戦略的に形成するべきであると提言されてございます。
なお、舟運活性化の取り組みにつきましては、これまで運航に関する社会実験などを実施しておりまして、引き続き舟運の利便性、認知度の向上を図る検討など、舟運が身近な観光、交通手段として定着するよう取り組むこととなってございます。
○滝田委員 舟運を進める上で、航路や築地以外の船着き場をどのように整えていくのか、舟運のネットワークの検討に加えて、また、舟運とほかの交通をどのように結節させていくかということは、重要な検討課題と理解をしています。
これまでの都市づくりにおいては、水辺は利用されず、まちの裏側となってしまっておりました。これを転換して、生活の中に水辺空間のある東京を形成する、東京の水辺を人の手に取り戻す、そのような大きな転換を、この築地再開発を一つの契機に進めていただきますよう要望いたします。
最後に、土壌汚染、埋文に関しまして、前回三月の委員会においても、私たちの会派の森澤都議が質問しておりますけれども、改めて築地地区の土壌、埋文調査に関しまして、昨年度都市整備局が実施をした委託調査の検討内容と今後の取り組みについて、お伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 昨年度は、既存施設が活用中であることも踏まえまして、中央卸売市場などが過年度に実施した土壌調査や埋蔵文化財調査などの資料収集などを行うとともに、検討会議の検討状況も見ながら、検討会議で示されました段階的整備の考え方を念頭に、一般的な土壌汚染調査、埋蔵文化財調査や対策などを含めまして、一連の手続の流れを整理いたしました。
今後、大きな視点での提言を踏まえまして、東京二〇二〇大会までの状況なども勘案しながら、再開発の具体化に向けまして、調査スケジュールの整理や民間事業者の役割分担などを検討するとともに、関係局協議を進めてまいります。
○滝田委員 ご説明ありがとうございました。再開発に至るまでのスケジュールには引き続き細心のご留意をいただきながら、一つ一つ課題をクリアしていただくようお願いを申し上げます。
また、最後に、私からの意見となります。
本日の質疑の中でも触れておりますけれども、築地の再開発そのものは、東京の未来に向けての明るい話であります。地元や関係者の皆様への配慮、スケジュールへの留意等ありますけれども、ぜひとも前向きな話となるよう、小さくまとめずに、東京の未来図を体現する場として考えていただきますよう再度お願いをいたします。
二十年後、三十年後によいまちづくりができたというふうにいってもらえるように、当委員会でも引き続き検討を深めていければと思います。
以上、意見を申し上げまして、私からの質問を終わります。
○神林委員 私からも、何点か質問させていただきます。
六月七日に開催されました関係局長会議における築地再開発の検討状況、これは都市整備局分ということだと思いますが、この資料から順次質問させていただきます。
今回の築地再開発検討会議は、約七カ月をかけて、築地まちづくりの大きな視点として、これからの築地のまちづくりの夢やアイデアやまちづくりの方向性などを自由な発想で示唆いただいたものであります。
しかしながら、自由な発想とはいえ、その大きな視点が逐次取り交わされている制約条件や約束事を逸脱したものであったり、非現実的な設定や具体性に乏しいものであっては、せっかくの提案であっても意味を持たないものになってしまいます。
そこで、まず一つ目でございますが、第七回の築地再開発検討会議において、築地まちづくりの大きな視点がまとめられ、知事に手渡されましたが、この取りまとめは今後の築地再開発を進める上で、どのような位置づけのもとに活用され、取り扱われていくのか伺います。また、その際、留意すべき点がありましたらお示しください。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議より取りまとめられた大きな視点につきましては、長期的時間軸に立った築地再開発の今後の検討と実施の枠組みとして、築地再開発に当たっての基本的な方向性や考え方が提言されたものでございます。
この大きな視点では、具体的な内容に関する検討は、行政として策定するまちづくり方針の検討など、今後のステップに委ねることとしておりまして、また、この提言を生かし、まちづくり方針の策定を初め、都民の期待に応えるまちづくりにしっかり取り組んでほしいとしてございます。
今後、いただいた提言を踏まえながら、都としてのまちづくり方針を策定していくことと考えてございます。
○神林委員 次に、検討の前提として、再開発の具体化に当たっては、豊洲市場と一体となったにぎわいを創出する千客万来施設事業のコンセプトとの両立や相乗効果を図ることとされております。
そもそもこの点については、混乱を招く発端となったのは、小池知事が昨年の六月、東京都議会議員選挙直前に、築地は守る、豊洲は生かすという双方に迎合した玉虫色の発言をしたことに始まります。
まず、この発表で述べられた、築地跡地は売却せず、都が保有し、再開発して民間に貸し出すということと、再開発に際して食のテーマパークを掲げられましたが、その後、知事からは方針の転換の撤回や謝罪などがあったのでしょうか、伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 市場会計の健全性を含めた財政的な視点につきましては、別途庁内で検討していくこととしてございます。
また、食のテーマパークにつきましては、築地のポテンシャルを生かした再開発の一つの考え方である旨が答弁されてございます。
○神林委員 今ちょっとお話の中にも出ましたけど、実際の言葉、私の質問というのは、知事からの方針転換の撤回や謝罪があったんですかということをお聞きしたんです。
ずっとここのところ、本会議でも議論になっているところでございますけれども、いいことについてはどんどんどんどん報告をするんですが、ちょっと報告しにくいことについては全然報告がないんですよね。情報の見える化、見える化と知事はいっているんですよ。それは皆さん方にも浸透していることだと思うんですね。ですから、そういうちょっと報告しにくいことについても、しっかりと報告をしていただきたいと思います。
そこで、当然反論を唱えたのは、豊洲市場の地元区である江東区と、それから事業計画が競合する万葉倶楽部でございます。一般的な報道によって伝えられるだけで、都民や我々には全く正確な情報が伝えられておりませんが、小池知事と市場移転を受け入れる条件が地元のにぎわいであった江東区との話し合い、そして自社計画と競合する万葉倶楽部との話し合いは、どのような結論や課題をもたらしたのか。中央卸売市場が所管局となりますので、ここでは詳しく求めませんが、都市整備局としては少なくともどのように認識されているのか伺います。
この件については、質疑は、本会議で大分質問も闘わされました。先ほども申したとおり、情報の見える化を標榜する知事からは、残念ながら明快な答弁はほとんどありませんでした。しかしながら、豊洲再開発を左右する重要なやりとりでございますので、改めてしっかりとお答えいただきたいと存じます。
○木村まちづくり調整担当部長 本年六月七日に開催されました市場移転に関する関係局長会議におきまして、中央卸売市場より、本年五月三十一日、事業者から公募時に提案した施設の工事着工時期を変更し、東京二〇二〇大会後、速やかに着手することにしたいという提案があったと報告されました。
また、この提案を受け、事業実施に向けた課題の整理、必要な調整を進め、今後、諸課題の整理や江東区の理解を得た上で、事業者と最終的な合意をしていきたいと考えていると、この局長会議におきまして中央卸売市場から説明がございました。
○神林委員 木村部長のお立場もありますでしょうから、なかなかいいづらい部分もあるのかもしれませんけれども、それではちょっと都市整備局としてお答えしやすいような形に質問を変えさせていただきますと、小池知事と江東区や万葉倶楽部の話し合いの結果が、築地再開発にどのような影響を及ぼすことになったのか伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発は、再開発の具体化に当たっては、豊洲市場と一体となったにぎわいを創出する千客万来施設事業のコンセプトとの両立や相乗効果を図ることを前提としておりまして、築地まちづくりの大きな視点におきましても同様のことを前提としてございます。
また、大きな視点におきまして、周辺との有機的つながりの強化の方向性の一つといたしまして、築地と豊洲が双方に生かし合えるような開発を進めることが必要としてございます。
なお、築地再開発に関する都の考え方や築地再開発検討会議の検討状況につきましては、中央卸売市場から千客万来施設の事業者である万葉倶楽部に対し、これまで丁寧に説明し、理解を求めてきたと聞いてございます。
○神林委員 何かよくわからないですね。
もう一つ聞きます。メーンテーマである食のテーマパークについては、築地再開発にどのような影響を及ぼすのか、続けて伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 再開発の具体化に当たりましては、千客万来施設事業のコンセプトとの両立や相乗効果を図ることを前提としてございます。
その上で、提言では、周辺とも連携しながら人々が集う交流拠点のコアとしていくため、築地再開発の導入機能について、東京や日本にとって重要な役割を担うことや、新たな築地ブランドを創出することなど、具体的な検討を進めるに当たり、重視する視点を示していただきました。
この提言を踏まえ、築地をどのような機能を持ったまちにしていくか、庁内検討会議等におきまして検討してまいります。
○神林委員 質問、食のテーマパークについてですけれども、その部分についてほとんど具体的な回答がないんですよね。食のテーマパークは、もう築地卸売市場当局の所管だけではなくて、築地再開発を所管する都市整備局のメーンテーマなんですよ。これからの築地と、豊洲の千客万来施設事業の、両立と相乗効果を生み出していくという方針の、これもまさにメーンテーマになるわけです。ですから、人ごとではなくて、しっかりとした方向性や意見を持って、これから進めていただかなければならないと思っております。
なるべく早い時期に、じゃあせめていつごろになったらそういう答弁ができるんですかということも、ぜひ腹の中に入れておいていただきたいと思います。
このように曖昧なままで、果たして万葉倶楽部や江東区が納得するのかということが次の疑問として出てまいります。
そもそも千客万来施設事業のコンセプトとの両立や相乗効果を図るとしていますけれども、万葉倶楽部では、自社の計画と競合して採算がとれないおそれがあると主張しているのであって、この約二キロメートル離れた築地と豊洲の間で両立や相乗効果を、口でいうのはたやすいことなのかもしれませんけれども、とても理解できることではないので、具体的にどのように図っていくのか伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 再開発の具体化に当たりましては、千客万来施設事業のコンセプトとの両立や相乗効果を図ることを前提としてございます。
その上で、提言では、周辺とも連携しながら人々が集う交流拠点のコアとしていくため、再開発の導入機能について具体的な検討を進めるに当たり重視する視点を示していただきました。
今後、この提言を踏まえまして、検討してまいります。
○神林委員 質問と大分答弁が離れていますので、この部分についてはこの辺にしておきたいと思いますけれども、ともかく主役は、もう築地再開発については都市整備局なんですから、そのことをしっかり頭に置いて、これからも活動していただきたいと思っております。
私どもが危惧しているのは、約二キロメートル離れた築地と豊洲の間では、卸、仲卸、関係者は二つの地域に分断されたり、一方は繁盛して、一方は衰退するなんていうことになりはしないかという心配もございます。
具体性のないまま、双方に期待を持たせるだけ持たせて、中途半端で玉虫色の対応を長引かせることになれば、都民の不利益を増大させるとともに、双方ともに不十分な結果をもたらす懸念があることを、この際あえて指摘をしておきます。
次に、検討会議の役割として、長期的時間軸に立った築地再開発の今後の検討、また築地まちづくりの大きな視点の要点の二番目の中では、中長期的な段階的開発とありますが、具体的にどのような背景を想定し、どの程度の年月を想定しているのか伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 開発期間の具体的な年月などにつきましては、現段階では想定はしてございませんが、検討会議の提言を踏まえまして、今後、都において検討してまいります。
○神林委員 今回の豊洲市場移転延期によって、都民にはかり知れない莫大な損失を与えたように、実施期間が長期に延ばされたことによって、維持管理費や、あるいは工事期間の長期化に伴うさまざまな経費、都民が享受できるはずだった多くの便益が失われることになります。こうした時の利益も十分考慮し、計算に入れて進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、将来の東京全体の成長に寄与するよう、中長期的な開発により、東京全体としての価値の最大化を追求すべきであり、それは将来の都民にとっても最善のやり方であるとしてございます。
長期的時間軸を意識した戦略的な段階的整備により、中長期的に都民にとっての価値を向上させていくことができると提言されておりまして、この提言を踏まえまして、具体的にどのように開発を進めるかにつきまして、今後、都において検討してまいります。
○神林委員 築地まちづくりの大きな視点の四点目のところに、先ほどもちょっと出ましたけれども、人々が集う交流拠点を形成するとありますけれども、ここでいう交流拠点とは具体的にどのようなものを指していっているのか、伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、交流拠点につきまして、築地では二十三ヘクタールをコアとして、海に開かれている立地や今後整備される交通結節点など、利便性も生かしながら、浜離宮恩賜庭園など周辺の観光資源と連携し、文化的価値やにぎわいを発展させるとともに、将来の価値を生み出す先進的な取り組みなどを展開することにより、人々が集う交流拠点を形成すべきとしてございます。
○神林委員 あえてお伺いいたします。人々が集う交流拠点を形成するというところで、たびたびくどいかもしれませんけれども、食のテーマパークという位置づけはどのようになるんでしょうか。
○木村まちづくり調整担当部長 交流拠点につきましては、大きな視点では、築地の立地や利便性なども生かしながら、周辺と連携し、文化的価値やにぎわいを発展させるとともに、将来の価値を生み出す先進的な取り組みなどを展開することにより、人々が集う交流拠点を形成すべきとされてございます。
○神林委員 木村部長の部分で、今、これについて、食のテーマパークについて触れるわけにはいかないのかもしれませんけれども、今まで再開発の検討会議の皆さん方にいただいたご意見、こういうものを勘案していきますと、人々が集う交流拠点を形成するという部分には、この辺の要素が十分入ってくるのかなということを、私は強く感じ取らせていただきました。
次に、従来までの説明によれば、豊洲市場建設の負債は、築地跡地を民間に貸し出し、地代収入を得ることで解消していくとのことでございますが、五十年間もの長い間、年間百六十億円もの地代収入を得続けていくことは極めて困難であるとして、我が党では有償所管がえを提唱してまいりました。
築地まちづくりの大きな視点の五点目に掲げられた、一貫した方針のもとでのマネジメントが重要であり、ガバナンス組織の設定を含め、体制を検討することとありますが、収入見通しや経営手法、官民の役割分担などにどのようなイメージや思いを持たれて、検討報告がなされているのか伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、将来の東京全体の成長に寄与するよう、中長期的な開発により、東京全体としての価値の最大化を追求するため、長期的観点から個別開発などをコントロールしていくことが重要であり、ガバナンスが必要であるとしてございます。
ガバナンス組織の検討については、学や民とも協調して、より効果的にマネジメントしていけるよう、長期的な視点から本来の目的が達成されるような体制の整備について検討すべきであるとの提言をいただいております。
公民のパートナーシップなどにも関係する新たな取り組みとして提言したものと受けとめてございます。
○神林委員 次の質問は、若干先ほど質問でも出されましたけれども、今後の取り組みについて、速やかに庁内検討会を設置しとありますが、そのタイムスケジュールと、構成する関係局はどこが入り、それぞれの局がどの分野を担当し、主管局はどこになるのか再度伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 提言には、例えば舟運ネットワークの形成や環状二号線の整備、歩行者ネットワークの形成など、複数局にかかわる内容があることから、今後行政としてのまちづくり方針を検討していくため、都市整備局長を会長とし、政策企画局、財務局、建設局、港湾局などの部長級をメンバーとする庁内検討会を立ち上げたところでございまして、事務局は都市整備局が担ってございます。必要に応じて、環境局や中央卸売市場など他の局についても協力を依頼することとしております。
提言いただきましたさまざまなテーマについて、担当する局とともに検討を進めていくと考えてございます。
今後、学識経験者を交えた会議も立ち上げまして、区のまちづくりとの調整も行いながら検討を進め、年明けには、方針の素案につきまして広く都民の意見を聞いた上で、年度内に方針を取りまとめていく予定でございます。
○神林委員 ずっと築地再開発の検討状況について何点かにわたって質問してきましたけれども、計画を前進させていく上では、詳細な説明は十分得られなかったし、非現実的な具体性のない提案が多く見受けられたことは残念なことでございます。
報道ベースではございますが、遅過ぎた小池知事の万葉倶楽部への謝罪と、万葉倶楽部側が数十億円分の負担が減る処置を提示して、ようやく千客万来施設の工事を進める話が前向きになったとのことでございますが、これらもまたみんな都民に降りかかる税金の無駄遣いとなり、都民の便益も失われたことになります。
都政は日々大きく動いております。築地市場から豊洲市場への移転にかかわった二年間近くを通して考えても、一旦立ちどまって見直したことによって、どれだけ都民に莫大な損失や不利益を与えたのか、決して見逃すわけにはまいりません。
市場移転が延期されたことによって、卸、仲卸関係者の皆さんを商売の存亡にかかわる混乱に陥れ、都民には、二年のおくれによる豊洲市場や築地再開発の持つ便益が奪われることになりました。
都民の税金で賄わざるを得ない膨大な市場の維持管理費や事業者の損失補償負担が上乗せされ、また築地市場解体のおくれによる環状二号線の工事のおくれや無駄な追加工事予算など、知事の判断一つによってはかり知れない損失を噴出することになりました。
恐ろしいことに、こうしたことは都民には全く知らされておりません。理事者の皆さん、こんなことで本当によいのでしょうか。私たち都市整備委員会でも築地再開発を所管しており、今後こうした都民に与えた不利益や損失についても、逐次明確に包み隠さず交渉していくことが不可欠でありますので、改めてここで要望させていただきます。
次に、築地市場付近の環状二号線の工事については、築地再開発に大きな影響を与えますので、この際、危惧される点について、要望も含めて、何点か意見を申し上げます。
築地市場付近の環状二号線の工事については、平成二十七年十月に九十七億円で契約がなされていますが、築地市場の豊洲への移転のおくれにより、工事は大幅に遅延しています。環状二号線は、臨海部と都心部を結ぶ幹線道路であり、物流機能の強化や地域交通の円滑化に大きな役割を果たしています。
環状二号線が整備されれば、周辺の交通渋滞が緩和され、車両走行時間の短縮や走行費用の減少により、四十年間で二千億円を超える便益が発生します。都民は二〇二〇年にこの多大な便益を享受できるはずでありました。
また、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックのときには、この築地市場跡地の部分の環状二号線は、本来、地下本線トンネル四車線と地上側道の二車線の合計六車線で迎える予定でありました。ところが、市場移転がおくれたことにより、現実は二車線の地上部道路により、オリンピック・パラリンピックを迎えることになりました。
このような環状二号線の開通のおくれは、都民に多大な損失をもたらしております。本路線は、都心と臨海副都心地域を直結する主要幹線であり、計画変更による交通渋滞が懸念されます。二〇二〇年予定の本線トンネル開通までの期間と、特にオリンピック・パラリンピック時の交通渋滞が非常に心配であり、しっかりした予測や対応策を検討していただきたいと思います。
環状二号線の工事のおくれは、これからの築地再開発に大きな影響を与えることになりますので、都市整備局としても、この影響を最小限に食いとめるための情報把握や対応策の協力が必要だと考えます。特に、下り暫定迂回道路は、片側一車線でカーブもきつく、上り勾配が急であり、まさに渋滞の温床となる可能性が強いと考えられます。種地となる築地市場跡地を活用するなどして、何か有効的な渋滞緩和対策ができないのか、検討していただきたいと要望しておきます。
また、計画実施に当たっての前提条件となっている市場の解体工事が六カ月程度で完成するのか。土壌汚染対策は行わないとのことでございますが、埋蔵文化財調査などによって工事におくれが出ないのか、しっかりと検討、対応していただくことも申し添えておきます。
次の質問に移ります。
このたび五年ぶりに避難場所、地区内残留地区などの見直しが行われ、先日公表されました。
つい先日、大阪府北部を震源に震度六弱の地震が起きております。お亡くなりになられました方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
さて、今回の地震でも、インフラの被害だけにおさまらず、火災や死者も発生するなど、被害は大きなものとなっております。この東京でも、首都直下地震発生の逼迫性が叫ばれている中で、地震火災から住民を安全に保護するための避難場所などの存在は極めて重要なものであります。
二十三区という広い範囲の避難場所一つ一つに都が目を配ること自体、難しいこととは思いますが、現場や住民側から見た実情と計画、対策との間に若干の誤差が生じている部分もありますとの思いもあり、質問をさせていただきます。
まず最初に、地区内残留地区について伺います。
今回の見直しでは、区部でおよそ千百ヘクタールの地区内残留地区が増加し、避難場所への避難が必要なエリアが減りました。住民が地震火災におびえることなく、逃げないで済む地区内残留地区が拡大しているということは、地震に対して安全なまちづくりが広がっているということであり、防災都市づくりの上で好ましいことであるといえます。
そこで、今回どのような変化が都市にあり、地区内残留地区が拡大されたのか。また、今後、残留地区の拡大に向け、都はどのように取り組んでいくのかについて伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 都は万が一、大震災により火災が発生しましても、地区内に大規模な延焼火災のおそれがなく、広域的な避難を要しない地区を地区内残留地区に指定しております。
この五年間で市街地再開発事業等の都市再生の取り組みによりまして、市街地の不燃化が進んだことから、今回の見直しで品川区の五反田地区や大田区の平和島地区などで拡充するとともに、新たに港区の青山、麻布地区など三地区を追加指定しまして、約千百ヘクタールを拡大いたしました。その結果、区部の地区内残留地区は、区部全体面積の約一八%、約一万一千ヘクタールとなっております。
今後とも、避難を要しない地区内残留地区をさらに拡大できるように、市街地再開発事業等によりまして、不燃化や空地の確保に積極的に取り組んでまいります。それを踏まえまして、学識経験者の助言をいただきながら、安全性を確認の上、地区内残留地区の指定を行ってまいります。
○神林委員 こういうことは地道な対策ですが、各地域の実情によって、市街地再開発事業などによる都市再生や不燃化を一つずつ積極的に進めて、万が一地震による火災が発生しても、市街地火災が広がるおそれがなく、広域的な避難を必要としない地区内残留地区の拡大に一層努めてもらうことを要望して、次の質問に移ります。
今回、避難場所についても見直しが行われ、新たに十七カ所の避難場所が追加されました。また、既存の避難場所も十七カ所で面積が拡大したとのことで、地震火災から住民の生命を守るための避難場所がふえているというのは、地域の住民にとっては、より近い場所に避難場所ができたということであり、全体としてはよい傾向に進んでいるといえます。
しかし、地域によっては、指定した避難場所から二キロ以上歩かなければならないところもあります。鉄筋コンクリートなどの燃えにくい建物がふえている昨今ではございますが、大規模な火災や避難の可能性は、以前より低くなっているとは思いますが、仮に震災に伴う大規模な市街地火災が発生し、遠方の避難場所に避難しなければならなくなったとき、地割れや倒壊物を避けながら、高齢者の方々や子供たちが指定された避難場所に行くことはなかなか大変だと考えます。このような課題を解決するためにも、避難場所をできるだけ近いところに設けていくことが重要であると考えます。
そこで、避難場所への遠距離避難を解消するために今後どう対応していくのか伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 避難場所につきましては、大規模なオープンスペースのうち、拡大する火災からの輻射熱の影響を考慮し、安全性が確認できる場所を土地所有者や施設管理者と協議の上、避難場所として指定しております。
今回の見直しにおきまして、既存の避難場所のさらなる拡大や新規避難場所の指定などにより、二キロメートル以上の避難距離地域を要する避難場所は、前回の三十三カ所から二十八カ所へ五カ所減少するなど、安全性が高まっております。
今後とも、不燃化特区や都市防災不燃化促進事業などによりまして、木造建築物の除却、建てかえを進めるとともに、新たな防火規制や防災街区整備地区計画などの規制誘導策を重層的に実施し、避難場所周辺の不燃化を図ってまいります。
あわせて、公園整備事業や市街地再開発事業などの機会を捉え、事業者と連携し、避難場所の拡大や新たな避難場所の創出に取り組んでまいります。これらによりまして、避難場所への遠距離避難を解消してまいります。
○神林委員 現場ですと、本当に三十分ぐらい歩かなきゃいけないところがいっぱいあるんですよ。ぜひそういう部分を、現場を見ていただきながら、いろいろと改良していただければと思います。
前回の平成二十五年の見直しのときに、元禄型関東地震と同様の地震が発生した場合、津波の遡上により浸水被害が発生するとのことで、多摩川を初め荒川の河川敷の一部が避難場所指定の廃止を受けております。
しかし、多摩川を初めとしたこうした河川は、緊急物資などの運搬も水運により可能であり、広い河川敷は、有事の際に災害情報が把握できれば、貴重なオープンスペースであり、救急活動などの場として、有効な活用が図れるのではないかと考えます。
避難場所の指定は廃止されましたが、有事の際、河川敷のこのような広大な敷地の有効活用について、都の見解を伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 理事お話しのように、前回、平成二十五年の避難場所指定の見直しの際に、平成二十四年四月に公表された首都直下地震等による東京の被害想定を踏まえ、津波による浸水被害のおそれのある河川敷などの避難場所の一部を廃止いたしました。
こうした河川敷の一部は、避難場所として指定はしておりませんが、区部における広大で貴重なオープンスペースであることを踏まえまして、津波などによる被災状況を速やかに把握した上で、関係機関が相互に連携して、情報共有、調整を行い、使用の可否を決定することで、状況に応じたさまざまな活動に活用できるものと認識しております。
例えば、六郷橋周辺の多摩川河川敷緑地につきましては、地域防災計画において、救助物資の輸送や救急活動等の場となるヘリコプターの離発着の臨時候補地として位置づけられております。
○神林委員 これは確率の問題なんですけれども、延焼火災が起きたりだとか、さまざまな災害が起きる確率と、やはり浸水被害のおそれという部分では、確率の度合いが全然違うんですよね。
だから、もちろん万が一のことがあってはいけないことですけれども、しっかりと情報を把握した中で、これだけ有効な貴重なオープンスペースですから、ぜひこれからも有効活用を図っていただきたいと思います。
避難場所に指定された場所は、公園などの公有地ばかりではなく、私立学校用地や社有地のように民有地も多くあります。例えば大田区の避難場所には、羽田空港内に存在するものもあり、周辺はフェンスで囲まれ、出入り口も通常は施錠されております。有事の際には開錠され、間違いなく避難住民が出入りできる体制となっているのか不安があります。
災害時避難場所が適切に使用できるよう、出入り口の鍵を地元地域の住民代表や出先の公的機関に預けておくなどの対策が必要かと思います。これは一例ではございますけれども、羽田空港内にある避難場所のように、通常出入りがされていない、施錠されているような避難場所における震災時の円滑な使用について、都の見解を伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 避難場所の運用は、地域防災計画に基づき、地元区が行うこととなっております。
お話の羽田空港天空橋周辺の避難場所につきましては、安全管理上、フェンスで囲まれておりまして、平時は出入り口が施錠されております。緊急時の際には東京空港事務所に出入り口の開錠を依頼する取り決めとなっていると聞いております。
避難場所を新規に指定するに当たりましては、区とともに、あらかじめ土地所有者や施設管理者と震災時における避難場所としての円滑な使用について事前協議を行っておりまして、今後とも区による運用を支援してまいります。
○神林委員 今回五年ぶりの見直しとなったわけですけれども、住民の中には、依然として、避難場所と避難所はどう違うのか、地区内残留地区とは何か、いざというときに自分はどこの避難所に向かったらいいのかなど思いがあり、まだ十分に理解、周知されているとはいえないところでございます。
住民を安全に保護するための避難場所が近くに確保されていても、肝心の住民がその場所を知らなければ、いざという緊急時に役に立ったとはいえません。避難場所や地区内残留地区の意味や位置を住民にしっかり理解してもらい、その周知を図ることも大切でございます。
地域住民への効果的な周知のために、例えば町会や自治会の広域連合会でもある東京都町会連合会への働きかけなども有効かと思います。
最後に、当然皆さんからの質問もあるところでございましょうが、今回の避難場所等の見直しについて、地域の住民に対してどのように周知を図っていくのか伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 都は、避難場所のホームページへの掲載に加え、パンフレットを作成し、都や区の窓口に備えるとともに、防災関連イベントなどで頒布いたします。
また、区が避難場所の記載された防災地図を作成し、各戸に配布できるよう、都として避難場所の地図データを区に提供するとともに、緊急時に生徒や児童を適切に避難誘導できるよう、小中学校の防災担当教職員など、関係する部署への説明を行ってまいります。
また、現地における標識の設置や東京都防災アプリによる配信を行うなど、さまざまな手法、手段により、幅広く周知に取り組んでまいります。
お話のありました東京都町会連合会につきましては、常任理事会の場に都として参加し、町会、自治会への周知を図ってまいります。
○神林委員 所管は若干ずれますけれども、一つだけこの点についての要望を述べさせていただきたいと思います。
地域の防災性の向上のためには、建物の不燃化や耐震化、道路や広場の整備といった被害抑止のためのハード面の対策も確かに重要であります。
一方、被害軽減のための事前準備、発災後の対応に必要な備品を整えたり、災害対応に関する人的活動能力を高めたりするといったソフト面からの対策も重要であり、ハード、ソフト両面が充実されて、初めて防災対策の向上に結びつきます。
実際、この防災におけるソフト面を担うのは、地域に暮らす住民一人一人であり、この地域の住民の力がそろわなければ、防災訓練一つとっても、うまく運営できるものではありません。
災害時に地域の住民をまとめ、適切な指示を行い、避難や救助に当たる地域の防災を担うべき人材も、地域の現場では高齢化が進み、その活動にも支障が出つつあります。せっかく避難場所が近くにあっても、そこにたどり着かなければ、元も子もありません。このようなことがないためにも、地域の防災の担い手の若返りも急務となっております。これからのことも考え、例えば地域の中学生、高校生を防災の担い手として育てていくことも真剣に考えていかなければなりません。
これは防災のソフト対策を所管する総務局や、教育現場を所管する教育庁に伝えるべきことかもしれませんが、この際、私の意見として最後につけ加えさせていただきまして、私の質問を終わります。
○小林委員 初めに、震災時火災における避難場所等の指定についてお伺いをいたします。
大規模な延焼火災が鎮火するまでの待機する場所として、今回八回目となる避難場所の指定でございますが、指定する避難場所として、土地利用状況が都営住宅団地、公園、学校などの場所が挙げられております。
私の地元練馬区においては、南田中アパート、上石神井アパート、光が丘団地などの都営住宅や石神井公園、城北中央公園、光が丘公園、大泉中央公園といった都立公園など、練馬区民の避難場所として、区外も含めて計十三カ所の避難場所が指定されております。
先日、練馬区内のある都営住宅の自治会の方々と、防災の取り組みについて意見交換をする機会がありました。自治会として、防災隊を結成し、綿密に災害時の体制を整えていましたが、自治会の方のご意見として、都営住宅の防災対策は、団地住民のためだけではなくて、地域における共助の観点からも、都営住宅を防災のとりでとして活用できないだろうかとのお話がありました。
このように、地域の防災に関心の高い都営住宅団地の住民の方がいらっしゃる中で、住民の方々の理解を得つつ、安全性を担保しながら、都営住宅団地を積極的に避難場所に指定できないかと考えますが、都の見解を伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 避難場所につきましては、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するために指定しているものでございます。お話の都営住宅団地につきましては、今回新たに八団地を加え、合わせて六十八団地を避難場所として指定しております。
今後とも地元区の意向を確認しながら、都営住宅団地の敷地を含めて、避難場所となり得る大規模なオープンスペースを調査し、安全性を確認した上で、避難場所の拡大や新たな避難場所の創出を図ってまいります。
○小林委員 避難場所の指定にあっては、広いスペースがあるから、無条件で避難場所に指定できるわけではなく、輻射熱の影響など、避難空間として安全性をしっかり考慮していかなければならないと思います。
今ご答弁にもありましたが、専門的な見地から安全性を確認した上で、新たな避難場所の創出を積極的に進めていただきたいと思います。
また、避難場所の指定に当たっては、あわせて避難道路の指定も行われております。練馬区においては、避難場所に指定されている都立大泉中央公園一帯への避難道路として、西武池袋線大泉学園駅を起点として、区道を北上する形で避難道路が指定されています。
避難場所のほかに、指定された避難道路はどのような位置づけを持ち、どう指定されたのか、また、今後、都の避難道路についての取り組みについてお伺いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 東京都震災対策条例におきまして、知事は、広域的な避難を確保する見地から、震災時に都民が安全に避難するため必要な避難道路をあらかじめ指定しなければならないと定められております。
避難道路は、避難場所までの距離が三キロメートルを超える遠距離避難の地域、また、延焼危険性の高い場所を通過して避難せざるを得ない地域を対象に、沿道の不燃化状況や道路幅員などを考慮し、安全に避難できる道路を指定しております。
今回の見直しでは、前回同様、十四ルート、総延長五十四・一キロメートルを指定しておりますが、避難場所の拡大により遠距離避難が解消された地域がございます。
今後とも、都は市街地の不燃化を進めることで、避難場所の拡大や新たな避難場所の創出を図り、これに合わせて避難道路を見直し、遠距離避難地域の解消に努めてまいります。
○小林委員 避難場所までの距離が三キロメートルを超える遠距離避難の地域を対象にしているとのことですが、先ほどの大泉中央公園の例で申し上げると、避難道路の起点となる大泉学園駅周辺から大泉中央公園までは、徒歩で避難するとなると、そこそこの時間を要すると思います。
遠距離避難地域の解消のためには、避難場所の拡大や新たな避難場所の創出が必要とのご答弁でありますが、先ほどお尋ねした都営住宅団地の活用が検討されますと、例えば大泉学園駅の周辺から大泉中央公園に向かう避難道路の付近には、都営住宅団地もあります。
繰り返しになりますが、避難する際の労力、時間をできる限り軽減し、いち早く都民の安全を確保するためにも、今後とも避難場所の拡大、創出を進めていただきたいと思います。
次に、築地再開発検討会議が公表しました築地まちづくりの大きな視点についてお伺いいたします。
この築地まちづくりの大きな視点を踏まえ、今後、都において年度内を目途に築地まちづくり方針が策定されるわけですが、六月十二日に都市整備局長を会長として、関係各局の幹部で構成される築地まちづくり庁内検討会の第一回会合が開催されたとお聞きをしております。
築地まちづくりの大きな視点を軸に、これから具体的な検討が始まると思いますので、現段階ではこの大きな視点の内容を超える話は難しいかとは思いますが、大きな視点で示された五つの基本的な考え方について確認をさせていただきたいと思います。
まず、一つ目として、立地条件の最大限活用、戦略的に交通結節点を形成についてでありますが、二十三ヘクタールという広大な土地の再開発ですから、当然のことながら、交通網の整備は極めて重要な取り組みであります。築地へのアクセス、また、築地から新たな豊洲市場へのアクセス、国際的な拠点としての価値を視野に入れた築地と羽田との連携、さらに中央区民の方々の交通網の利便性を踏まえ、海、川、陸のルートなど、交通結節点との意味合いは多岐にわたり検討が進められなければならないと思います。
この交通結節機能ということについて、今後どのように考えていくのか、お伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、立地条件を最大限活用すべきであると提言されてございます。築地地区は隅田川が東京湾に広がるところに位置し、隅田川や海からの見え方、見られ方を考慮した開発を進めていくべきとしており、計画されている防災船着き場を、地域のにぎわいを創出し、舟運ネットワークのかなめとなるよう整備、運用すべきであるとしてございます。
また、国の審議会答申におきまして地下鉄構想路線が位置づけられるなど、海、川、陸のルートが交差する要所にあり、舟運、道路、バス、地下鉄などの広域性の高い交通インフラから成る交通結節点を戦略的に形成すべきであるとしております。
大きな視点を踏まえまして、地元である中央区とも連携しながら、都としてのまちづくりの方針について検討してまいります。
○小林委員 今ご答弁にもありましたが、地元中央区とも連携していくとのことですが、庁内検討会において、中央区はオブザーバーとして参加されていると思いますが、中央区にとっては、この再開発による交通網の整備は極めて重要な課題であると思います。
豊洲市場への移転の際も同様ですが、地元区との信頼関係の構築は非常に大切になってまいりますので、都としても丁寧な調整をお願いしたいと思います。
次に、二点目、時間軸を見据えた周辺との有機的つながり強化、段階的整備と広域的な価値の向上についてですが、大きな視点の中では、二十三ヘクタールの開発において、時間軸を意識しながら、適切なものを順次整備していく。また、築地地区の開発を、一気にではなく、段階的開発により、価値の最大化を図るべきであると触れられております。
確認ですが、再開発全体の方針を決めた上で、その後、段階的整備を示していくということになるのでしょうか。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、段階的な開発を進めるエリアの区分、各エリアの範囲、進める順番、整備手法、整備主体、費用負担のあり方などについて検討した上で、それらをまちづくりの方針に示し、順次具体化を図っていくべきであるとしてございます。
その際、築地の二十三ヘクタールのうち一定のスペースにつきましては、将来の具体的機能、用途を固定的なものとして決定せずに、将来のニーズ喚起などのための余力を持たせるスペースとして戦略的に確保していくことが重要であるとしております。
段階的な整備は、社会、経済情勢の変化、将来の社会ニーズにも柔軟に対応が可能となることからも有効であるとしております。
こうしたことから、段階的整備につきまして、全体像を一どきで具体的に示すことは想定されていないところでございます。
なお、提言では、まちづくりの方針は開発の進捗状況に応じて、適時適切に見直すこととしております。
○小林委員 ご答弁にもありましたが、段階的整備について、全体像を一どきで具体的に示すことは想定されていないとのことですが、段階的整備を行うということで、何かばらばらな統一性のない開発になってしまわないかとの懸念もあるかと思います。
一貫性という点において、最終的な築地再開発のゴールがどこにあるのか、また連関性という視点で再開発に隣接する場外市場とのつながりはどうしていくのか、これらの点についてどのように考えていくのでしょうか。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、将来の都民にとっての価値を最大にすることなど、三点を目標といたしまして、築地の二十三ヘクタールをコアとして、海に開かれている立地や今後整備される交通結節点などの利便性も生かしながら、浜離宮恩賜庭園、築地本願寺など、周辺の観光資源とコアとが連携して、文化的価値やにぎわいを発展させるとともに、将来の価値を生み出す先進的な取り組みなどを展開することにより、新たな築地ブランドを創造しながら、人々が集う交流拠点を形成すべきであるとしております。
また、長期的時間軸を意識した二十三ヘクタールの戦略的な段階的整備を進めるべきとされており、その際、地区全体として、一体的に機能発揮させることが重要であり、適切に進めていくために、一貫した方針のもと、周辺地域も含めたガイドラインを作成し、それに基づきマネジメントを行っていく必要があると提言されております。
また、周辺との有機的なつながりの強化の方向性の一つとして、場外市場については、現在多くの来訪者でにぎわい、築地の食文化の拠点の一翼を担っており、にぎわいの維持増進を図っていくことも重要であるとされております。
○小林委員 次に、三点目に、地域のブランド価値の再構築、交流拠点の形成と新たな価値の創出についてですが、築地地区の開発に当たっては、将来の都民にとっての新たな価値を創出していくべき、新しい東京のブランドの創造に寄与していくべきと記載をされております。これらブランド価値の再構築についての考え方についてお伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、海に開かれている立地や利便性なども生かしながら、文化的価値やにぎわいを発展させるとともに、将来の価値を生み出す先進的な取り組みなどにより、新たな築地ブランドを創造しながら、人々が集う交流拠点を形成すべきであるとしております。
また、潜在的ブランドを顕在化させる努力も行いながら、場所性や、都心の大規模なまたとない土地の希少性に鑑み、長期的視点から、現在のみならず、将来の都民にとっての新たな価値を創出していくべきであるとしております。
さらに、より広域的に発展する周辺との連携を強化しながら、民間の知恵を生かし、新しい東京のブランドの創造に寄与していくべきとしております。
○小林委員 次に、四点目の新たな築地が持つべき機能と空間のあり方、大規模な敷地特性に応じ戦略的に機能を導入についてでありますが、大きな視点では、インフラの整備や周辺地域などとの関係などの地域特性に応じた空間イメージの基本的な考え方として、四つのイメージが示されています。
今後、まちづくり方針を策定するに当たって、大きな視点で示された空間イメージのA、B、C、Dという四つのエリアを踏襲して開発を進めていくことになるのか、お伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議により取りまとめられました大きな視点は、長期的時間軸に立った築地再開発の今後の検討と実施の枠組みとして、築地再開発に当たっての基本的な方向性や考え方が提言されたものでございます。
大きな視点では、スーパー堤防や環状第二号線の整備など、インフラの整備や周辺地域等との関係などの地域特性に応じた空間イメージの基本的な考え方をお示ししてございます。
いただいた提言を踏まえまして、具体的な空間のあり方につきましては、今後行政としての検討を行ってまいります。
○小林委員 最後に五点目、ガバナンス体制の構築、ガイドラインに基づく中長期的開発のマネジメントについてですが、二十三ヘクタールという大規模な開発において、戦略的な交通結節点の形成、段階的な整備、ブランド価値の再構築、敷地特性に応じた機能の導入という考え方を具現化していくためには、全体を俯瞰してコントロールしていくことが重要になってくると思います。
大きな視点の中で、ガバナンス体制の構築について触れられていますが、どのような狙いでこれらが提言されているのか、確認をいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、将来の東京全体の成長に寄与するよう、中長期的な開発により、東京全体としての価値の最大化を追求するため、長期的観点から個別開発などをコントロールしていくことが重要であり、ガバナンスが必要であるとしてございます。
ガバナンス組織の検討につきましては、学や民とも協調して、より効果的にマネジメントしていけるよう、長期的な視点から本来の目的が達成されるような体制の整備について検討すべきであるとの提言をいただいたところでございます。
公民のパートナーシップなどにも関係する新たな取り組みとして提言いただいたものと受けとめてございます。
○小林委員 今回の大きな視点については、まだまだいまいちイメージが湧きづらい部分もあるかと思いますけれども、今後のまちづくり方針の策定に向けた議論というものをしっかりとまた深めていきたいというふうに思っております。
築地は、一六五七年の明暦の大火以降に埋め立てられたところであり、文字どおり海岸に築いた土地ということで、築地という地名となったとのことですが、三百六十年の時を経て、まさに海岸に築いた土地の上にこれから何を築くのかが問われる一大事業であると思います。
築地まちづくりの大きな視点の「おわりに」において、築地まちづくりの大きな視点を具体化することは、新たなまちづくりの挑戦になると思われると述べられております。
今後、私たち議会もさらに議論を深めていかなければなりませんが、都民共有の財産としての築地の新たな歴史を紡ぐためにも、都庁の総力を挙げ、都民の知恵を生かし、関係区の意見を大切にしていただきたいと思います。
また、昨年十二月、また本年三月の本委員会における築地再開発検討会議の報告に際しての質疑においても触れましたが、誰のための、何のための築地再開発なのかという点を基本に、まちづくり方針策定に取り組んでいただくよう要望いたしまして、質問を終わります。
○たきぐち委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後二時五十六分休憩
午後三時二十分開議
○たきぐち委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○星見委員 私は、築地の再開発について質問いたします。
まず、再開発検討会議が五月に出しました築地まちづくりの大きな視点について伺います。
小池知事は、昨年六月の記者会見で市場の基本方針を発表する中で、長い間、築地市場の方々、都民ならず、日本が育てて守ってきた築地の伝統やブランドを私は守っていく、築地ブランドからの食に魂を込めて、築地を再開発するという基本方針を判断するに至ったと語り、築地について、市場としての機能が確保できるための方策を見出していきたいと宣言しました。
再開発の決意は、築地ブランドから食に魂を込めるのだと。市場の機能を確保する方策を見出す、大変重要な観点と決意だと思います。
ところが、築地まちづくりの大きな視点には、地域のブランド価値の再構築として、真っ先に、豊洲に築地市場が移転し、築地ブランドを引き継ぎつつ、新たな豊洲ブランドができていくと書いてあります。
築地ブランドを引き継ぐ、新たな豊洲ブランドができていくという、この議論は、知事がいう伝統、豊富な品ぞろえ、目ききの力、活気やにぎわい、何よりも築地市場で働く事業者の方々の努力が生んだものである築地ブランド、これをそっくり豊洲に移されてしまうような表現です。
このような意見は何回目の検討会議で、どの委員から出されたものなのでしょうか、誰の見解でしょうか、お伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 これまで築地ブランドの中核を担ってきた、築地市場が豊洲へと移転することが決定しており、そういった状況を踏まえて、検討会議における議論などを経て、大きな視点に盛り込まれたものでございます。
○星見委員 今のご答弁ですと、こうした意見がどの検討会議で、どこの場所で、どのメンバーから出されたのか、全然はっきりしたお答えがありませんでした。この大きな視点というのは、全体をまとめたものであるというふうにいわれているわけですから、もう一度お尋ねいたしますが、この視点は、いつ、どのメンバーから出されたものをおまとめになったんでしょうか、もう一度お聞きします。
○木村まちづくり調整担当部長 築地市場が豊洲へと移転することが決定しており、そういった状況を踏まえて、検討会議における議論などを経て、大きな視点に盛り込まれたものでございます。
○星見委員 いつ、どのメンバーかということも全く出てきません。私も検討会議の議事やその他見てみましたけれども、検討会議の中では見受けられなかったと思います。それどころか、築地の市場機能については、各委員のプレゼンテーションや識者への意見聴取で、例えば、東京は、水産業を中心とする全国の一次産業が、何段階かの流通と加工を経て最終消費に向かう場所である、その地方にとって貴重な拠点であることを基本に、日本全体の産業と流通が見える拠点とするという提案や、ただの見せ物、にせものではないことが非常にポイント、本物を見ることができることが価値が高い、本物の市場文化を残すのは一番大きなところじゃないかなど、市場機能を築地で維持すべきだとの意見がありました。
しかし、先ほど読みましたように、築地のまちづくりの大きな視点では、築地ブランドを守ってきた市場機能については触れられていません。なぜ反映しなかったのでしょうか、お聞きします。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議より取りまとめられた大きな視点については、長期的時間軸に立った築地再開発の今後の検討と実施の枠組みを提示するものであり、個別具体の内容を示すのではなく、築地再開発に当たっての基本的な方向性や考え方が提言されたものでございます。
導入機能についても、その具体的な内容については、この提言を踏まえまして、庁内検討会などにおいて検討してまいります。
○星見委員 今ご答弁ありましたけれども、なぜ本物の市場文化を残すという意見が反映されず、それとは逆の文言がさりげなく、しかも具体的に、築地ブランドを引き継ぎつつ、新たな豊洲ブランドができていくと書き込まれているのですか。この点再度お聞きします。非常に具体的に書かれているかと思いますが、いかがですか。
○木村まちづくり調整担当部長 築地市場につきましては、豊洲への移転が決定したことを踏まえまして、大きな視点もそのことを前提としてございます。築地再開発検討会議より取りまとめられた大きな視点については、長期的時間軸に立った築地再開発の今後の検討と実施の枠組みを提示するものであり、個別具体の内容を示すのではなく、再開発に当たっての基本的な方向性や考え方が提言されたものでございます。
○星見委員 この点につきまして、検討会議の近藤座長は、記者に昨年六月の知事基本方針で築地市場の高いブランド力が資産、築地ブランドの中核は仲卸を中心とした目ききのわざとしたが、市場にも仲買にも言及がなかったと聞かれまして、基本的方向性を示したことにとどめた、それ以上踏み込むのは我々の役目ではないということで、指摘の点はあえて言及しなかったと、当初から市場機能を外したことを述べています。
大きな視点の名のもとに、市場機能を外すというようなことにつながるような意見は外した。一方で、委員からは、検討会議に出されていることが確認できないような、築地ブランドを豊洲に移すという言葉を、都と委託を受けたコンサルタントが水面下で盛り込んだ、そういうことではないでしょうか。
検討会議を利用し、東京都が自分のやりたい方向を入れ込む、こんなやり方は許されないということを厳しく指摘しておきたいと思います。
そして、これからは、東京都が築地の場所での市場機能や仲卸業者をどうするのか、しっかり検討する必要があるということを指摘します。
そこで、東京都が庁内横断的な検討体制でつくった築地まちづくり庁内検討会についてお聞きをします。
まず、構成メンバーを教えてください。
○木村まちづくり調整担当部長 築地まちづくりの大きな視点で示された提言には、例えば舟運ネットワークの形成や環状第二号線の整備、歩行者ネットワークの形成など、複数局に係る内容があることなどから、都市整備局長を会長とし、政策企画局、財務局、建設局、港湾局などの部長級をメンバーとする庁内検討会を立ち上げたところでございます。必要に応じ、環境局や中央卸売市場など他の局についても、協力を依頼することとしております。
○星見委員 今のお話ですと、中央卸売市場長が必要に応じてということで、メンバーに入っていません。これはなぜですか。もう一回お聞きします。
○木村まちづくり調整担当部長 いただいた提言の中に、例えば舟運ネットワークの形成や環状二号線の整備、歩行者ネットワークの形成など、複数局に係る内容があることから、建設局、港湾局などの部長級をメンバーとする庁内検討会を立ち上げてございます。環境局や中央卸売市場など他の局についても、必要に応じて協力を依頼すると考えてございます。
○星見委員 この必要に応じてという位置に市場長を置くということは、市場の機能全体についての位置づけをどうするのかというのが非常に軽いのではないかというふうに思います。築地市場の持ち主である中央卸売市場の長、これを庁内検討会のメンバーに正式に入れずに検討を進めていくと、当然、市場機能や卸売業者の状態がどうなっているかなど把握しないまま、再開発のまちづくり案が作成される可能性があります。ぜひ市場長をしっかり加えるよう求めます。
それから、今回出されました有識者による築地再開発検討会議、このときには、当事者である築地市場関係者から委員に加えてほしいという声がありましたけれども、都は委員にしませんでした。検討会議はさまざまな意見が調査されていますが、仲買など築地関係者の意見は一度も聴取されませんでした。
小池百合子知事は、今後について代表質問で、仲卸業者の要望なども踏まえながら検討していくと答弁しました。どのようにつかみ、検討するのか、お聞きいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 まちづくり方針につきましては、民間からのヒアリングも行いながら、市場移転後の状況も踏まえまして検討を進めていくこととしてございます。
○星見委員 今ご答弁で、民間のヒアリングも行いながらというのがありましたが、もう一回確認したいんですけれども、民間の対象に仲卸業者も当然入っているという認識でよいですか。
○木村まちづくり調整担当部長 ヒアリングの方法や対象などにつきましては、今後検討してまいります。
○星見委員 先ほど申しましたように、知事から仲卸の要望も踏まえてと答弁したにもかかわらず、今、民間のヒアリングの対象に仲卸業者が入るかどうかも答えることができない。ちょっと異常だと思いますね。
ところで、築地再開発検討会議の今回出された大きな視点は、案づくりを、委託を受けた日建設計が準備をしておりました。
今度は庁内組織としてまちづくり方針を策定するわけですけれども、この方針作成に当たっては業務委託を行うのでしょうか、お聞きします。
○木村まちづくり調整担当部長 まちづくり方針の策定に当たりましては、業務委託を行うこととしてございます。
○星見委員 この業務委託、どの会計から歳出ですか。それと、築地再開発で委託に係る予算は幾らになっていますか。お願いします。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発に関する委託の予算につきましては、中央卸売市場会計で措置されてございまして、予算額は四千八百六十万円でございます。
○星見委員 四千八百六十万円という額が、今、予算が出されました。築地のまちづくり方針案の作成のための予算が、仲卸の皆さんの使用料が入っている市場会計から出されているのに、現在、築地を使用している仲卸業者の声は聞く予定があるのかどうかもはっきりしない、こんなことは許されません。
これではまるで、お金は出させるが、声は出すなといっているようなものではないでしょうか。
改めて、小池百合子知事が今後について、代表質問で仲卸業者の要望なども踏まえながら検討していくと答弁した重さをしっかり踏まえて、要望をどうつかむのか、十分に局内で検討するよう求めます。
そして、この庁内検討会ですけれども、六月十二日に第一回目が開催されています。今後どのように検討していくのか、お聞きいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 まちづくり方針につきましては、今後、学識経験者も交えた会議も立ち上げまして、区のまちづくりとの調整も行いながら検討を進め、年明けには方針の素案について、広く都民の意見を聞いた上で、年度内に方針を取りまとめていく予定でございます。
○星見委員 この築地まちづくり庁内検討会の内容は、都民や議会に公開になりますか、お聞きします。
○木村まちづくり調整担当部長 まちづくり方針は、都として策定する行政計画でございますので、その過程の情報をオープンにすることにより、未成熟な情報で混乱を生じさせるおそれなどがあるため、会議は非公開としてございます。
ただし、会議後には、会議次第や議事概要を公開することとしており、過日開催いたしました第一回築地まちづくり庁内検討会の会議次第及び議事概要につきましては、既にホームページ上で公開してございます。
また、まちづくり方針の公表後は、会議資料及び議事録をホームページで公開する予定でございます。
○星見委員 今、この会議の資料だとか議事録は、方針決定後というふうにおっしゃったかと思うんですけれども、小池百合子知事、情報公開は都政改革の一丁目一番地、これがとにかく都民の頭にはこびりつくぐらいスローガンになっているんですけれども、都政の最重要課題である、築地の検討会、どうするのかというところですけれども、基本的に非公開というのはどういうことなんでしょうか。
この会議資料や議事録すら、まちづくり方針ができた後じゃなければ出せないというのはおかしいんじゃないですか。
都民に対して、それから都議会に対して、しっかりと公開する必要があるんじゃないですか、もう一回聞きます。
○木村まちづくり調整担当部長 会議につきましては、次第及び議事概要を公開することとしております。過日開催した第一回会議につきましても、既にホームページで公開してございます。
まちづくり方針は、都として策定する行政計画でございますので、その過程の情報をオープンにすることにより、未成熟な情報で混乱を生じさせるおそれなどがあるため、会議は非公開としてございます。
○星見委員 今、未成熟な情報が出ると混乱、誤解されるというご答弁がありましたけれども、この間、有識者による再開発検討会議は、映像も含めて公開してきたではありませんか。
それから、今、都市整備局では優先整備路線、これから外れた都市計画道路のあり方について、今、検討の真っ最中ですけれども、ここでの議事録も出した資料も全部ホームページに堂々と出しているわけですよ。築地だけそんな理由は通用しないんじゃないですか。
先ほど、今回のまちづくりの方針策定に当たっても、業務委託を行う予定だと答えていらっしゃいました。結局都民の目の届かないところで、東京都の内部とコンサルタントが再開発方針を練り上げる。それでは従来のブラックボックス、こういう形になっていくんじゃないですか。
この会議については、しっかり公開するということを原則として進めるべきだと思うんですよ。とりわけ都議会に対しても、会議録とか資料も速やかに公開を求めるものですが、いかがですか、再度お聞きします。
○木村まちづくり調整担当部長 まちづくり方針につきましては、都として策定する行政計画であるため、会議は非公開としてございます。方針の公表後は、会議資料及び議事録をホームページで公開する予定でございます。
○星見委員 都民ファーストというスローガンがあるのなら、情報公開というのは本当に欠かせないことだと思います。情報公開を通じて、行政の活動を都民に説明する責任が果たされ、都民の的確な理解と批判のもとで公正な行政が推進されていくからです。都知事の都政大改革は、ここでは進んでいないといわざるを得ません。
次に、都民の意見の反映についてもお尋ねいたします。
昨年七月二十一日に開催された市場移転に関する関係局長会議、これでは築地再開発に向けた検討について、都民から広くアイデアを募るとしています。
しかし、一方で、都民のアイデア募集は行われていません。一体、いつ、どのようにしてアイデアを募るんでしょうか、お聞きいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 まちづくり方針の検討過程におきまして、年明けには方針の素案につきまして、広く都民の意見を聞くこととしてございます。
○星見委員 今、年明けには都民の皆さんから意見をいただくと答弁がありましたけれども、ではパブリックコメントを行う予定ですか。どのような方法で意見を求めるのか、その内容はどのように反映されるのか、もう一度お聞きします。
○木村まちづくり調整担当部長 意見聴取の具体的な方法につきましては、今後検討してまいります。
○星見委員 会議の中身は原則非公開。そして大事な都民やさまざまな皆さんの意見聴取についても今はわからない。これでは、知事と関係局長で集まって、都民のアイデアを広く聞くといったものの、実際には結局素案をつくってから、すなわち方向性を定めた後、それについてどう思うか意見を募るにすぎないものになる可能性があります。
資料も出されていません。築地のまちづくり方針の政策決定と議論の経過をオープンにする、それとともに築地市場関係者や都民の意見をしっかり反映できるよう、都市整備局として早急に検討することを強く求めます。
最後にお聞きします。
築地女将さん会による築地市場の水産仲卸業者への築地市場の移転についてのアンケート調査の結果、この内容では、豊洲と築地、どちらで商売をしたいか、この問いに対して、当然築地が六一%、できれば築地が三二%、合わせて九三%に及びます。
こうした仲卸業者の意向を再開発について検討する都市整備局、どのように受けとめているのでしょうか、お聞きいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 築地ブランドの継承、発展のためには、築地で働く事業者の方々が希望を持って事業を営める環境を整えることが何よりも大切であり、市場当局において、まずは豊洲市場への移転を円滑に行い、早期に事業が軌道に乗るよう取り組んでいるものと受けとめてございます。
○星見委員 今のお答えを聞いて、今、苦しんでいる築地市場の事業者や、そしてアイ・ラブ築地の都民の思いとは、全くかけ離れているというふうに感じます。築地ブランドを引き継ぎつつ、新たな豊洲ブランドができていく、これに立った受けとめだとしか聞こえてきません。
本日の議論を通じて明らかになったのは、小池知事の、築地について、市場としての機能が確保できるための方策を見出していきたいという方針はどこに行ったのかといいたくなるような都の姿勢です。
そして、都民にも都議会にも非公開で議論を進め、ヒアリング相手も事前に明らかにすることもなく、仲卸業者の要望を聞くと明言できず、自分たちの都合で相手を選び、都民のアイデアを募るといっても、このままだとせいぜい自分たちの引いた路線に対する意見を聞くくらいだという感触です。これでは都のブラックボックスの今の体質、変えることができない計画になっていくんではないでしょうか。
しかし、私は、この都知事の発言は、重要な都民への公約だと思っています。本会議での我が党の質問に対する知事の、仲卸業者の要望を踏まえて検討する、この言葉もありました。
今度こそ築地再開発検討会議と、大きな視点で果たされなかった市場業者の参加をしっかり保障し、築地の市場機能を守る検討を行うべきだと思います。強く求めます。
さまざまな問題の根本にあるのは、都民の命と健康にかかわる食の安全・安心を守る、そして世界に誇る食の築地ブランドを守り、育んでいく、この視点が外されてきているということです。この視点をしっかり守って進めば、無害化を達成できていない豊洲への移転を強行するという道ではなく、女将さん会のアンケートに示された、築地に残りたいという多くの仲卸業者の思いを据えて、築地を生かした現在地再整備、これを誠実に市場業者の皆さんと検討することは欠かせません。
このことを強く求めて、私の質問終わります。
○山口委員 それでは、私は、まず築地再開発検討会議についてを初めとして、築地関連の質疑からさせていただきたいと思います。
五月十六日に示された築地再開発検討会議の取りまとめを受けて、六月七日の関係局長会議で、知事からは、速やかに庁内横断的な検討会を設置し、まちづくり方針の今年度内の策定に向け、検討を進めるとの指示がありました。
検討会議の取りまとめで示された築地の将来像は、築地のまちづくり方針がより具体的に示されることを期待するものであります。
既に六月十二日に第一回の検討会が開催をされたわけでありますが、次回以降、どのように進めていくのでしょうか。次回開催の予定、全体で何回程度開催をする予定であるのか。年度内の策定に向けた具体的なスケジュールについて、まずお伺いしたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議より取りまとめられた大きな視点につきましては、長期的時間軸に立った築地再開発の今後の検討と実施の枠組みとして、築地再開発に当たっての基本的な方向性や考え方が提言されたものでございます。
提言には、例えば舟運ネットワークの形成や環状二号線の整備、歩行者ネットワークの形成など、複数局にかかわる内容があることなどから、今後、行政としてのまちづくり方針を検討していくため、都市整備局長を会長とし、政策企画局、財務局、建設局、港湾局などの部長級をメンバーとする庁内検討会を立ち上げたところでございまして、事務局は都市整備局が担ってございます。必要に応じて、環境局や中央卸売市場など他の局についても協力を依頼することとしてございます。
今後、学識経験者も交えた会議も立ち上げまして、区のまちづくりとの調整も行いながら検討を進めまして、年明けには方針の素案につきまして、広く都民の声を聞いた上で、年度内に方針を取りまとめていく予定でございます。
○山口委員 昨日、庁内検討会の委員名簿も発表されました。そこで、私は築地のまちづくりに関する各課題に対して、深い検討を期待する立場から、幾つか確認をさせていただきたいと思います。
委員名簿には、財務局がメンバーに名を連ねているわけでありますが、まちづくりの整備スケジュールは市場会計の土地処分、有償所管がえの時期にも大きな影響を与えるものと考えています。
そこで、検討の視点には、市場会計の健全性も含めた財政的な視点は入るのか、土地の評価額を踏まえた有償所管がえなどまで検討を深めていくのか、見解を伺いたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 立ち上げました庁内検討会は、まちづくり方針の策定が目的でございまして、市場会計の健全性を含めた財政的な視点につきましては、別途庁内で検討していくこととしてございます。
○山口委員 これはぜひ検討を深めていただきたいと思います。
さて、築地のまちづくりの基本的考え方では、交通結節点を戦略的に形成することも掲げられています。BRTもさることながら、検討会ではまだ具体的なルートや時期さえ定かではない。都市部と臨海部を結ぶ地下鉄新線にも言及がありました。
委員名簿には、都市整備局の都市基盤部長の名も連ねられているわけでありますが、都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線についても、より具体的な検討が必要であると考えますが、そのルート、見通しも含め、見解を伺いたいと思います。
○荒井都市基盤部長 築地まちづくりの大きな視点では、交通結節点の形成に関連して、都心と臨海副都心とのアクセス利便性向上のための都心部・臨海地域地下鉄構想が挙げられてございます。
この路線は、臨海地域と銀座、東京など都心部を結ぶことで、臨海地域の拠点機能を一層強化するとともに、ネットワークの面からも東京全体の公共交通のさらなる利便性向上に寄与することが見込まれております。
一方、国の交通政策審議会答申では、この路線は事業性に課題があり、検討熟度が低く、関係者間において、事業主体を含めた事業計画について十分な検討が必要とされており、ルートなどにつきましてもまだ未定でございます。
今後は、答申を踏まえるとともに、臨海地域等における開発動向などを勘案しながら、構想をより具体化するために関係者間で連携して取り組んでまいります。
○山口委員 まさにこれからというご答弁でありましたが、また交通結節点という視点からも、舟運の活用が求められているところであります。
現在、都市整備局、建設局、港湾局とが連携をして、舟運の活性化に向けた社会実験を実施しているところでありますが、需要予測や新たな航路の設定なども含めて、舟運についてはどの程度検討を深めていることになるんでしょうか、お伺いします。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、計画されている防災船着き場を、地域のにぎわいを創出し、舟運ネットワークのかなめとなるよう整備、運用すべきと提言されてございます。
今後、この提言を踏まえまして検討してまいります。
○山口委員 また、ちょっと視点を変えまして、築地の市場跡地についてでありますが、米軍のドライクリーニング工場があったことから、土壌汚染も指摘をされてきたところであります。さらに、埋蔵文化財が出土する可能性が高いとも指摘をされています。
これらは環境局や教育庁が所管をする課題でもあるわけでありますが、これらの部署は委員名簿には連ねられてはおりません。これら課題については、どのように検討することになるのでしょうか、お伺いいたします。
○木村まちづくり調整担当部長 土壌汚染や埋蔵文化財など、法令に基づく課題につきましては、方針を検討する過程におきまして、関係局と個別に協議をしてまいります。
○山口委員 現状の検討のレベル感としては、よくわかりました。
ところで、中央区など地元区はオブザーバーとして名を連ねられているわけであります。
平成二十九年六月に策定された新宿の新たなまちづくりでは、東京都と新宿区とが共同でまちづくりの将来像の指針を策定していました。本来であれば、こうした共同での取り組みが望ましいわけでありますが、ここにあるオブザーバーとはどのような立場になるんでしょうか。単なる陪席か、委員と同様、意見を述べられる立場にあるのか、お伺いしたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 庁内検討会は、都庁内の関係部署から構成されるため、地元区にはオブザーバーとしての参加をお願いしたところでございます。検討会におきましては、議論の状況によりましては意見を求めるということも想定されると考えてございます。
まちづくり方針の策定に当たりまして、地元区との連携協力は不可欠であるため、地元区とも適宜意見交換を行うなど、検討を進めてまいります。
○山口委員 進めていく上において、大変重要なところだと思いますので、地元区との連携協力をぜひとも徹底していただきたいと強く思うところであります。
平成十三年に策定された豊洲一~三丁目地区まちづくり方針では、開発者負担の考え方、負担の方式、開発者負担を導入する主な施設についても明記をされておりました。
中央区でも開発協力金の負担などを求める市街地開発事業指導要綱があり、こうした地域貢献、地域への対応についても、まちづくり方針の中でしっかりと明記すべきと考えますが、見解を伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、周辺地域との相乗効果や機能分担を図りながら、二十三ヘクタールの開発において、時間軸を意識しながら適切なものを順次整備していくことにより、周辺地域の付加価値の向上、ひいては広域的な価値の向上に結びつけていくことが重要であるとの提言をいただいております。
また、開発主体に関しましては、民間の知恵やノウハウを最大限に生かす観点から、民間事業者の分担範囲や条件など、官民の役割分担について都において検討し、まちづくり方針に示した上で適切に対応していく必要があると示されてございます。
民間事業者との役割分担などの具体的な内容につきましては、提言を踏まえまして、地元区とも意見交換なども行いながら、今後検討してまいります。
○山口委員 今、強くお話をしてきた地元区との連携、また協力に加えて、さらには隣接する築地場外市場商店街からの意見聴取は欠かせるものではないと考えています。築地場外市場商店街は、築地市場をご本尊とする門前町として、東京の食文化の拠点の一翼を担われてきたわけであります。
検討会の設置要綱では、必要があると認めたときは委員以外の者を会議に出席させることができると記載されています。そこで、隣接する築地場外市場商店街からの意見、要望についても、必要に応じて方針の中に生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○木村まちづくり調整担当部長 まちづくり方針につきましては、民間からのヒアリングも行いながら、市場移転後の状況も踏まえまして、検討を進めてまいります。
方法や対象などにつきましては、今後検討してまいります。
○山口委員 市場跡地がどうなっていくのか、場合によっては、関係者皆様にとっては死活問題になるわけでありますから、ぜひとも意向をしっかりと酌み取れるよう取り組んでいただきたいと思います。
また、検討会の設置要綱では、検討会の下にワーキンググループを設けることができるとも記載されています。私は、都議会の付帯決議にもある築地での食文化の拠点継承については、ぜひ議論を深めていただきたいという立場でありますが、このワーキンググループというのはどのような場合に設置をすることができると想定をしているのか、お伺いしたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 庁内検討会の設置要綱におきまして、検討会を円滑に運営するために、検討会のもとにワーキンググループを設けることができるとしてございます。
個別課題に応じまして、チームを編成し、実務的に精査を行う必要がある場合などを想定してございます。
○山口委員 聞いていても、わかったような、わからないような、何ともいえない答弁ではございましたが、この件では最後の質問にさせていただきたいと思いますが、小池知事は、さきの本会議において、年明けにはパブコメを実施する旨の答弁がありました。
検討会の設置要綱では、会議資料及び議事録は、まちづくり方針の策定、公表後に公開をするとなっているわけでありますが、私は、都民からより有意義な意見が寄せられるよう、パブコメ実施前に会議資料及び議事録を可能な限り公開することを求めますが、見解を伺いたいと思います。
○木村まちづくり調整担当部長 庁内検討会につきまして、会議後には会議次第や議事概要を公開することとしており、過日開催した第一回築地まちづくり庁内検討会の会議次第及び議事概要につきましては、既にホームページ上で公開してございます。
また、まちづくり方針の公表後は、会議資料及び議事録をホームページで公開する予定でございます。
なお、まちづくり方針は、都として策定する行政計画でございますため、その過程の情報をオープンにすることにより、未成熟な情報で混乱を生じさせるおそれなどがあるため、会議は非公開としてございます。
○山口委員 今お話をしたとおり、都民の皆様からより有意義なご意見、また時にはお知恵を拝借しようというのであれば、より多くの意見を寄せていただけるように、ぜひともさまざまな工夫を凝らして、都民の英知を集結させて、魅力的な築地のまちづくり方針が具体的に示されることを願いまして、この質問を終わらせていただきたいと思います。
続いて、震災時火災における避難場所等の指定の公表について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
今週月曜日の朝、大阪府北部を襲った震度六弱の地震は、まさに突然の出来事であったわけであります。壁の倒壊による死者の発生を初め、ガスや水道などのインフラの損傷、交通機関の混乱など、都市部における地震の怖さを改めて私たちも目の当たりにしたわけであります。
有事の際、降りかかる災害から身を守り、住民一人一人の安全を確保するためにも、避難場所の確保は大変重要であります。七年前の東日本大震災では、津波により小学校の生徒が犠牲となった石巻市市立大川小学校の惨事もありました。もし適切な避難が行われていれば、児童七十四人が犠牲になることはなかったのではないかともいわれております。
地震に伴う津波と火災で異なりはしますが、危険から身を守るために、有事の際に安全な避難場所にしっかりと避難をするということの大切さに変わりはありません。
今回見直しが行われました避難場所等の指定は、震災時に拡大する火災から住民を安全に保護するためのものと聞いております。東京の市街地は、さまざまな取り組みにより、防災性は着実に向上してきているとは思いますが、いざ有事の際には何が起こるかわかりません。
最新の市街地の状況や人口の変動等を考慮した避難場所等の見直しが行われたわけでありますが、まず、今回の避難場所及び地区内残留地区等の指定の見直しの概要についてお伺いしたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 避難場所は、震災時に火災から都民を安全に保護するために都が指定しているものでございます。
今回の指定の見直しでは、市街地の不燃化の進捗などにより、周囲の安全性が高まったことから、駒場地区など新たに十七カ所を避難場所に追加するとともに、土地利用の変更に伴い、一カ所を廃止しておりまして、その結果、避難場所が前回の百九十七カ所から二百十三カ所に増加しております。
また、避難場所の拡大などによりまして、全ての避難場所で避難計画人口一人当たりの避難有効面積、一平方メートル以上を確保し、防災都市づくり推進計画の目標を達成しております。
広域的な避難を要しない地区内残留地区につきましては、都市再生の取り組みを進めてきた結果、これまでの約一万ヘクタールから一万一千ヘクタールへと拡大しております。
○山口委員 避難場所の指定に関する業務は、地元町会や地域の防災組織と関係の深い、いわば住民により近い立場の基礎的自治体である区市町村が、その役割を担うのが適切ではないかと思っているところであります。
多摩地域につきましては、市町村が避難場所等に関する指定やその対応を行っていると伺っているわけでありますが、そこで、次に区部において、都が避難場所等を指定している理由について、その経緯も含め、お伺いしたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 昭和四十六年に施行されました東京都震災予防条例におきまして、知事は、震災の発生時に都民を安全に保護するため必要な避難場所の確保に努めなければならないと定められました。
区部におきましては、木造住宅密集地域が広範に連檐し、震災時の火災被害が各区の区域を越えて広がるおそれがあることから、安全かつ迅速な避難を可能とするため、都は条例に基づき、昭和四十七年からおおむね五年ごとに区部の避難場所を指定してきております。
一方、多摩地域におきましては、東京都地域防災計画の中で、各市町村における避難場所の指定は市町村が行うとされておりまして、市町村もそれぞれの地域防災計画に基づき、独自に避難場所を指定しております。
○山口委員 区部における避難場所の指定については都の役割であるとのことで、その理由は理解をしたわけでありますが、先ほどもお話をしたとおり、町会を初め避難場所を利用する地元住民の皆様とより密接な関係にあるのは、やはり地元の区役所であるわけであります。仮に避難場所が地域に指定をされていても、いざというときに避難をされる方々が利用できるように適切に管理、対応が行われていなければ、意味がないわけであります。
指定した後の避難場所の適切な利用管理が行われ、有事の際に確実に住民が避難場所として利用できるかどうかが肝心なわけであります。
このように、指定した後の役割にも重たいものがありますし、都と区とでそれぞれの役割を明確にして、適切な対応ができるように備えておかなければならないと思います。
そこで、避難場所における都と区の役割分担は一体どのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 昭和四十六年の東京都震災予防条例の施行後、昭和四十九年の都区協議におきまして、避難場所の標識の保守管理について区に移管され、さらに昭和五十三年に区と協議の上、策定した第二次東京都震災予防計画におきまして、避難場所の利用管理にかかわる管理者との協議及び発災時の避難場所での対応は、原則として区が対処することとされました。
このような経緯を経て、都は避難場所の指定と標識の設置を行い、区は発災時における避難場所の運用や標識の維持管理などを担当しております。
○山口委員 避難場所は昭和四十七年に条例に基づく指定を行い、五十六年に一回目の指定変更を行い、その後、第六回の見直しは平成二十年二月、第七回目の見直しは二十五年五月に行われているわけであります。
今回、それから第八回目の見直しとして、五年ぶりに行われたということになるんだろうと思いますが、避難場所や地区内残留地区等の指定の見直しについて、おおむね五年置きに行われている理由についてお伺いしたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 避難場所の指定は、土地利用や建物の状況、人口動態の変化などに鑑みて見直しを行っております。見直しに当たりましては、都市整備局が実施しております土地利用現況調査を活用して、火災の延焼範囲や輻射熱の影響についてシミュレーションを行っております。
土地利用現況調査は、都市計画法第六条におおむね五年ごとに行うものと規定されている都市計画に関する基礎調査の一つでございます。
このため、避難場所の指定見直しもおおむね五年ごとに行っております。
○山口委員 有事の際に震災、火災から身を守るために、住民はその手順に沿った避難を行わなければ、安全は確保できなくなる場合もあるというふうに考えます。誤った手順により、かえって身を危険な状態に置くことも考えられるわけであります。
災害時に住民が避難すべきところとして、避難場所のほか、いっとき集合場所、避難所などがあるわけでありますが、仮に首都直下地震が発生した場合、住民が延焼火災から身を守るために、どのような手順で避難場所への避難が行われることになるのか確認しておきたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 避難場所への避難誘導は、東京都地域防災計画に基づき、基礎的自治体である区が行い、避難誘導の手順として、地震による火災が近隣で発生した場合は、まずいっとき集合場所に集合させ、災害の状況を見きわめることとされております。
また、いっとき集合場所に火災の危険がある場合は、指定された避難場所へ誘導し、火災が鎮火し、危険がなくなるまで待機させます。
なお、火災の危険があり、いっとき集合場所に行けない場合は、直接指定された避難場所に避難する場合もあるとされております。
○山口委員 震災、火災から身を守るために、避難者が避難場所に移動し、周囲の火災が鎮火をするまで、それ相応の時間の経過が必要かと思います。
一昨年、新潟県糸魚川市で発生した市街地火災は、まだ記憶に新しいところでありますが、出火から鎮火までおよそ三十時間を要したと聞いております。
市街地の火災が鎮火するまで、避難場所に一定時間にわたり待機する必要があるならば、待機する避難者に何らかの対応がなされることが望ましいと考えます。特に、都が管理をする公共施設では、地域からの期待も大きなものがあると推察するところです。
そこで、都が管理をする避難場所に指定されている都立公園では、待機をしている避難者のためにどのような設備を備えているのか、お伺いしたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 東京都地域防災計画では、都建設局は防災活動拠点や避難場所に指定されている既設公園において、震災時に必要となる臨時のヘリポート、避難した都民や帰宅困難者のための防災トイレ、非常用照明設備、避難誘導灯、公園の入り口からの園内の拠点への車両動線の確保など、防災関連施設を整備してきたと記載されております。
○山口委員 今回指定された避難場所についてでありますが、区によっては、広域避難場所と呼ばれているなど、名称が各区によって異なっているところがあり、わかりにくいと思われることがあるのではないかと考えるところであります。
次に、区によって避難場所の名称が異なっているわけでありますが、区部における避難場所の名称について、都の見解を伺いたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 東京都震災対策条例第四十七条におきましては、広域的な避難を確保する見地から、必要な避難場所を指定すると規定しておりまして、各避難場所に設置している標識に避難場所と表示しております。
一方、各区におきましては、全域が地区内残留地区である千代田区を除きまして、十区で避難場所、十一区で広域避難場所、一区で避難広場という名称がそれぞれ使用されております。
区によって名称は異なるものの、いずれも条例に基づく避難場所の機能を有しておりまして、各区がそれぞれ適切に周知に努めているものと認識しております。
○山口委員 当然それぞれの区も名称の使用については、歴史もあり、区民の皆様への周知、認知も含めて、この名称を統一していくということは大変難しいところもあるんだろうと思いますが、都内で引っ越しをされたときに、自分が避難する場所が、前思っていた場所と違う名称になるというのは、やはり少しの混乱はあるのではないかとも思うところもあります。
こういったところもしっかりと工夫をしながら、東京都としてもこういった名称の周知、または統一も検討していくべきではないかという視点から、先ほどの質問をさせていただいたところでございます。
また、ちょっと視点を変えまして、現在、都内には五十万人近い外国人の方々が居住しているともいわれております。グローバル化の進展に伴い、今後ますます多くの外国人の方々が東京に生活の基盤を置かれることが当然予想されます。
また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会までいよいよ二年と迫り、東京を訪れる外国人旅行者の数も、近年飛躍的に増加をしてきております。
しかし、日本は地震大国であり、初めて東京を訪れる外国人に対しても、いざというときの対応がなされていなければならないわけであります。標識において、わかりやすい表示を心がけるなど、外国人に向けた対応も必要です。
今回の避難場所の見直しについて、外国人に向けどのような対応を今後行っていくのか、お伺いしておきたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 都はこれまでも、避難場所に関するホームページやパンフレットにおきまして、外国人に向けて、英語、中国語、韓国語の表記を行っております。
避難場所の標識につきましても、英語の表記を行っておりますが、今後、都が新たに避難場所の標識を設置する際には、表記を見やすくするとともに、中国語、韓国語の表記も行ってまいります。
また、既存の標識につきましては区が管理しておりまして、同様の表記がなされるよう区の取り組みを促してまいります。
○山口委員 この質問を機に、避難場所に指定されている場所の表記、看板を幾つか見てまいりました。私のすぐ近くにも、私の子供も通う学校が避難場所に指定をされているわけでありますが、その看板の中にも、ちょっと目で見てわからないぐらいの英語の表記がちょこっとされているだけで、これを一目見て、外国人の方々は、恐らくここが避難場所を表記されている看板だということはまずわからないわけであります。
これにはしっかりと一目でわかるようなピクトグラムであるとか、矢印であるとか、避難場所はここなんだというふうにしっかりわかるように表記をしていくのは、これは当然時代として求められていくところになろうかと思いますので、ぜひ今お話しになられていたことを、区も協力をしっかりしていただいて、表記をしていくように努めていただきたいと、このように強く要望しておきたいと思います。
避難場所は、いざというときに都民の安全を守る上で極めて大きな役割を果たすものであることを改めて認識した質疑をさせていただいたわけでありますが、住民一人一人が、みずからの命はみずからで守るといった自助の意識を高めるためにも、自分はどこにどのように避難するのかという基本的なことを、まずしっかりと理解してもらわなければなりません。指定した避難場所の周知が大変重要になってくるかと思います。
最後に、今回見直しを行った避難場所等について、どのように都民に周知を図っていくおつもりでしょうか、お伺いしたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 都は、避難場所のホームページへの掲載に加え、パンフレットを作成し、都や区の窓口に備えるとともに、防災関連イベントなどで頒布いたします。
また、区が避難場所の記載された防災地図を作成し、各戸に配布できるように、都として避難場所の地図データを区に提供するとともに、緊急時に生徒や児童を適切に避難誘導できるよう、小中学校の防災担当教職員など関係する部署への説明を行ってまいります。
さらに、現地における標識の設置や、東京都防災アプリによる配信を行うなど、さまざまな手段により、幅広く周知を図ってまいります。
○山口委員 都関係各所の皆様が、与えられた厳しい条件の中で本当に必死の思いで災害に取り組まれていること、その姿勢については、私は高く評価をするべきだと思っておりますし、あらゆる自治体、世界の中で見ても、これだけ厳しい条件、状況の中で、これだけの取り組みをされているというのは、本当にすばらしいことだというふうに思っています。
しかしながら、今回の大阪北部の地震を見ても、あのときにもう少し取り組みができていればとか、起こってから気づく、これさえやっておけば、あれができていればと思うことが一つでもないように、やっぱり取り組みに見落としがないようにやっておくというのが非常に重要なことだと思います。
避難場所を指定するのに五年間かかる、これは本当に緻密に綿密に皆様が準備、計画をし、そして取り組まれて、安全に指定をしていく、この取り組みに五年がかかっているということも、実はやりとりをする中で十分に私も理解させていただきました。
これからも、より一層、都民の皆様が一人も命を落とすことがないように取り組みを強化していただくことを切にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○木下委員 さて、私からも、震災時火災における避難場所の指定の見直しについて質問をいたします。
まず、このたびの大阪北部での地震でお亡くなりになられた方々、被害に遭われた方々に心よりお悔やみを申し上げます。
避難場所等について、今回の指定ですが、都はどのような目的で指定を行っているのでしょうか。また、どのような手続を経て指定を行っているのか、確認のためお伺いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 避難場所につきましては、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するために指定しているものでございます。
都は、地元区の意向を確認しながら、避難場所となり得る大規模なオープンスペースを調査し、火災の延焼範囲や輻射熱の影響についてシミュレーションを行い、学識経験者の助言をいただきながら、安全性を確認しております。
その上で、地元区とともに土地所有者や施設管理者と協議し、避難場所として指定しております。
○木下委員 都は指定に当たり、住民の近くにいる地元自治体、区とともに指定を行っているという、またその経過についてのご報告をいただきました。ありがとうございます。
私の地元板橋区における指定の状況と今回新たに指定された避難場所と、その理由についてもお伺いしたいと思います。
○安部防災都市づくり担当部長 今回の指定見直しで、板橋区の避難場所は九カ所から十二カ所となっております。そのうち新河岸東公園一帯、城北公園一帯及び都営成増五丁目第二アパート一帯の三カ所につきましては、市街地の不燃化の進捗に伴い周囲の安全性が高まったことなどにより、避難場所の要件を満たしたため、今回新たに指定したものでございます。
都はそれぞれの避難場所につきまして、一人当たりの避難有効面積を一平方メートル以上確保することを目標としておりますが、板橋区内では一人当たりの避難有効面積の平均は約三・六平方メートルから約六・六平方メートルに増加いたしました。
○木下委員 ありがとうございます。先般、都民ファーストの会都市整備部会のメンバー七名で、東日本大震災の被災地である岩手県釜石市、大槌町に伺い、災害時の避難所運営、また復興まちづくりにおける行政のあり方、その反省点や平常時の備えなどを、現場を見、また住民や市民の声を聞きながら、視察をさせていただきました。
その中で浮き彫りになったのが、地域の力の重要性でございました。町会など地域のコミュニティの力が強いところほど、避難所運営でも復興まちづくりへの合意形成でもうまくいき、復興が早く進んでいるという厳然たる事実がございます。
避難訓練は、都内各所で学校中心のものと、町会、自治会中心のものが、行政とのコンビネーションによって頻繁に行われていると存じますが、その参加率の低迷、参加する方々がいつも同じ顔ぶれといった課題が指摘されているところだと考えております。
避難場所の指定で避難場所がふえていき、一人当たりの避難有効面積がふえ、避難距離が減り、避難時間が短縮されることは大変喜ばしいことでありますが、いざというとき、有効に活用されなければなりません。板橋区で行われている避難訓練では、必ずしも避難場所で実施しているわけではないようです。
今回の避難場所の指定が、防災活動における地域住民の自主性を促し、地域力の向上にもつながるよう、避難訓練による避難場所の活用など、地元区と連携して効果的な周知を図っていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 お話のように、地域住民の避難場所に対する認識を深めていただくことは重要でございまして、避難場所を活用した避難訓練は、その一つの方策であると認識しております。
今後、区は地域住民に対して、見直し後の避難場所が記載された防災地図を作成し、各戸に配布を行うこととしております。
都としましては、区による防災訓練などの際に、参加者に対して都作成のパンフレットの配布や東京都防災アプリの活用を促すなど、区と連携し、周知に取り組んでまいります。
○木下委員 ありがとうございます。区と連携し、避難場所での避難訓練等の活用も前に進めていくようご要望させていただきたいと思います。
災害は、いつどこで起こるかわかりません。災害防災に対する住民の意識啓発や地域コミュニティ基盤の強化につながる町会、自治会、消防団活動の意義、周知、参加の促進など、都の部局横断的かつ不断の取り組みを強くお願いし、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○森口委員 私からも、震災時火災における避難場所等の指定(第八回)の公表につきまして質問をいたします。先ほど来多くの質問が出ておりまして、重複している質問は割愛をさせていただきます。
今回の避難場所及び地区内残留地区の指定の見直しですが、具体的に私の地元区であります新宿区内におきましては、どのような見直しがなされ、また見直しによって、どのような点が変わるか、お伺いをいたします。
○安部防災都市づくり担当部長 新宿区内の避難場所の数は十一カ所と、前回と変わっておりませんが、哲学堂公園一帯につきましては、目白大学を加え約三ヘクタール拡大し、一人当たりの避難有効面積の改善や避難距離の短縮が図られました。
また、避難場所への避難を要しない地区内残留地区につきまして、これまでの西新宿地区に加え、南元町の一部を今回新たに指定しました。
○森口委員 ご答弁のように、新宿区内におきましても、避難場所が三ヘクタール広がり、地区内残留地区も新たに広がっているなど、防災力や安全性が高まっていることがわかりました。
先日も大阪北部にて最大震度六弱の大きな地震が発生をしております。私のまさに生まれ育った兵庫県南東部から大阪北部の北摂エリアに被害が出ておりまして、この東京におきましても、首都直下地震や南海トラフへの備え、また防災対策の推進に関しまして、強く思いを持ったところであります。
地震発災直後は、火災による延焼や建物の倒壊だけではなく、家具の転倒、落下物、通電火災、余震によるさらなる被害の拡大など、さまざまなリスクが考えられます。その瞬間に避難をするべきか、待機をするべきか、判断が必要となります。
また、避難する場合、どこに一時的に避難をするのか、被災者一人一人判断が問われるわけであります。都民一人一人がみずからの日々の生活におきまして、自宅や職場、ふだんよく訪れる場所について、避難場所や避難経路を理解しておく必要があります。
新宿区におきましては、一日三百六十万人が利用する新宿駅もありまして、在住者だけではなく、多くの人々が集っております。
区民はもちろんのこと、各事業者や鉄道会社などに対しましても、こういった避難場所につきまして効果的な周知を行うべきと考えますが、見解を伺います。
○安部防災都市づくり担当部長 委員お話しのように、新宿のような多くの人々が集う場所は、住民だけでなく、従業者等への周知も重要でございまして、東京都地域防災計画では、事業者は顧客、従業者等について、その安全の確保に努めなければならないと明記されております。
地元新宿区では、大型商業施設、商店街振興組合、鉄道会社、地下街、ホテルなどで構成される新宿駅周辺防災対策協議会におきまして、防災セミナーを随時開催するなど、事業者に対する周知を図っております。
今後、区は地域住民や事業者に対して、見直し後の避難場所が記載された防災地図を作成し、各戸に配布を行うこととしております。
都としましては、区の防災セミナーなどの際に、地域住民や事業者に対して都作成パンフレットの配布や東京都防災アプリの活用を促すなど、区と連携し、周知に取り組んでまいります。
○森口委員 新宿区民や事業者に対しまして、新たな防災地図が各戸に配布されるとともに、防災セミナーなどを通じて、広く周知がされることがわかりました。
私自身も、地元で行っている報告会や集会などの際に、都の防災ブックや防災アプリとあわせまして、この新たな避難場所につきましても皆さんに周知を行い、地域の防災力の向上に努めていきたいと思います。
以上で終わります。
○たきぐち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○たきぐち委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時三十五分散会
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