都市整備委員会速記録第三号

平成三十年三月十九日(月曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長たきぐち学君
副委員長白石たみお君
副委員長馬場 信男君
理事小林 健二君
理事森澤 恭子君
理事神林  茂君
後藤 なみ君
滝田やすひこ君
森口つかさ君
星見てい子君
木下ふみこ君
山口  拓君
藤井  一君
秋田 一郎君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務邊見 隆士君
次長小泉  健君
技監上野 雄一君
理事今村 保雄君
理事佐藤 伸朗君
総務部長桜井 政人君
都市づくり政策部長久保田浩二君
住宅政策推進部長佐々木秀之君
都市基盤部長中島 高志君
市街地整備部長選手村担当部長兼務山下 幸俊君
市街地建築部長青柳 一彦君
都営住宅経営部長小野 幹雄君
基地対策部長青山 忠幸君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 健君
連絡調整担当部長土屋 太郎君
都市づくりグランドデザイン担当部長五嶋 智洋君
まちづくり推進担当部長山崎 弘人君
まちづくり調整担当部長木村 宣代君
住宅政策担当部長田中 敬三君
民間住宅施策推進担当部長栗谷川哲雄君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務伊佐 賢一君
防災都市づくり担当部長安部 文洋君
多摩ニュータウン事業担当部長宮城 俊弥君
局務担当部長齊藤  敏君
耐震化推進担当部長飯泉  洋君
経営改革担当部長八嶋 吉人君
再編利活用推進担当部長渡辺 正信君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長村居 秀彦君
横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務堀   真君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備局所管分
・第十二号議案 平成三十年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 平成三十年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 平成三十年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 平成三十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十号議案 平成三十年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十五号議案 東京都鉄道新線建設等準備基金条例
・第四十六号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
報告事項
・岸記念体育会館の移転に関する主な経緯について(説明・質疑)
・ 築地再開発検討会議(第四回)について(説明・質疑)
・ 築地再開発検討会議(第三回)について(質疑)
・東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画(案)について(質疑)
・「地震に関する地域危険度測定調査(第八回)」の公表について(質疑)

○たきぐち委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成三十年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成三十年三月十五日
東京都議会議長 尾崎 大介
都市整備委員長 たきぐち学殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(木)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
 第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為
都市整備委員会所管分
 第十二号議案 平成三十年度東京都都営住宅等事業会計予算
 第十三号議案 平成三十年度東京都都営住宅等保証金会計予算
 第十四号議案 平成三十年度東京都都市開発資金会計予算
 第十七号議案 平成三十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
 第二十号議案 平成三十年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○たきぐち委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項の聴取を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、理事者から、岸記念体育会館の移転に関する主な経緯について外一件の報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○山崎まちづくり推進担当部長 それでは、岸記念体育会館の移転に関する主な経緯についてご説明申し上げます。
 資料1をごらんください。初めに、会館の移転にかかわります二つの地区の概要についてご説明をさせていただきたいと思いますので、恐れ入ります、資料をめくっていただきまして、後ろの二枚、参考図をつけておりますので、こちらをごらんいただきたいと思います。
 まず参考図1でございます。こちらは現在、岸記念体育会館がございます代々木公園の整備に関するものでございます。
 岸記念体育会館は、日本体育協会、日本オリンピック委員会、各種競技団体などが入居する建物でございまして、その敷地面積は約四千二百平方メートルでございます。
 隣接して、水道局のポンプ所がございます。この水道局ポンプ所の敷地につきましては、大半が国有地ということでございます。
 この岸記念体育会館の敷地及びポンプ所の敷地を合わせまして、約一・二ヘクタールございますけれども、こちらは都市計画代々木公園の区域内となっております。代々木公園の整備自体は概成しておりますが、未整備なのがこの区域のみという状況となっております。
 都は、東京二〇二〇大会の大会運営に資するオープンスペースを早期に、かつ確実に確保するため、この区域を平成二十七年十二月に優先整備区域に指定をいたしました。このうち、岸記念体育会館の敷地の部分につきまして、平成二十八年七月に事業認可を取得し、現在、事業施行中でございます。
 おめくりいただきまして、参考図2をごらんいただきたいと思います。
 こちらが、岸記念体育会館の移転先となります神宮外苑地区のまちづくりについてお示ししたものでございます。ここでは、東京二〇二〇大会までに整備をいたします主な施設などを表示させていただいております。
 神宮外苑では、国立競技場の建てかえを契機といたしまして、既存のスポーツ施設や関連施設等の更新、集約を進めるとともに、公園や街区の再編整備を図ることによりまして、スポーツ、文化、交流の魅力に富んだスポーツクラスターの実現を目指しまして、関係者が相互に連携協力して、まちづくりを進めているところでございます。
 赤色の点線の区域につきましては、都が主導してこの地区の再編を一体的に進めるため、都が施行者となりまして、土地区画整理事業を実施しているところでございます。この区域のうち、新明治公園と表示されているところにつきましては、従前は都営霞ヶ丘アパートがあったところでございます。また、都有地(仮換地)となっているところには、従前は都立明治公園の一部、通称こもれび広場といわれているところ及び民間マンションでございます外苑ハウスの敷地の一部がございました。
 国立競技場への多くの観客を安全、快適に移動させるための歩行者動線やたまり空間を早期に整備する必要がありますため、区画整理事業により、公園用地や歩行者ネットワーク形成のための空間を確保してまいります。また、約三千三百平方メートルの都有地を確保いたしまして、隣接するJSC、日本スポーツ振興センターの敷地と合わせまして、スポーツクラスターを実現する取り組みの一環として、JSC、日本体育協会などのスポーツ関連団体の本部機能の集約、整備が進められております。
 それでは、一ページ目にお戻りいただきまして、主な経緯について説明をさせていただきます。
 まず、都市計画代々木公園につきましては、昭和三十二年に都市計画決定をされておりまして、岸記念体育会館は、都市計画決定後の昭和三十九年に竣工しております。日本体育協会では、老朽化や狭隘化などを理由として、平成十六年ごろから、会館の現地での建てかえの検討を始めておりまして、都市計画公園の区域内にあることなどから、都市計画規制等について、都にも相談が寄せられていました。
 同じころ、水道局もポンプ所の更新を計画していたことから、都と日本体育協会は、国有地の活用を前提に、ポンプ所の更新と岸記念体育会館の建てかえを一体的に行うことを検討し、財務省とも協議を行っておりましたが、平成二十三年ごろには協議が不調という状況になっていたということでございます。
 日本体育協会では、その後も財務省の理解が得られるよう、現地建てかえの検討を継続し、平成二十三年十二月には、都に対しまして、最新の建てかえ案が示されるなど、しばらくは現地建てかえの検討が続けられていたと、そういう状況がございました。
 一方、神宮外苑につきましては、都が平成二十二年十二月に策定いたしました「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一及び平成二十三年十二月に策定いたしました「二〇二〇年の東京」計画におきまして、スポーツクラスターとして整備することが位置づけられております。
 国立競技場の建てかえにつきましても、平成二十三年ごろからは検討が始まっていたということでございます。
 都は、スポーツクラスターの形成に向けまして、平成二十三年九月ごろから、国立競技場の建てかえを契機として、周辺の都有地を含めた区域を再編整備いたしまして、まちづくりを進めていく、そんな検討を開始してございます。その中で、岸記念体育会館を神宮外苑に移転をさせ、スポーツ団体の本部機能を集約するとともに、跡地につきましては公園として整備するといった案も検討を始めておりました。
 恐れ入ります、二ページ目をおめくりください。
 その後、平成二十四年四月六日には、都は日本体育協会に対しまして、現地建てかえだけでなく、国立競技場の建てかえも視野に入れた検討をしてもいいのではないかとの提案を行っております。すなわち、神宮外苑への移転の検討について提案をしたということでございます。
 日本体育協会では、平成二十四年七月から、JSCと連携した移転の検討を始めていたということでございます。当初は、JSCの新しい本部ビルに日本体育協会も入居すると、そのような検討がなされておりまして、三ページの方に行っていただきまして、平成二十五年の六月に地区計画などの都市計画を決定しておりますけれども、この当初決定いたしました神宮外苑地区地区計画では、JSCのビルに日体協も入るような想定の内容ということになっていたということでございます。
 その後、平成二十五年九月には、JSCから日本体育協会に対しまして、JSC棟を先行整備し、日本体育協会の新会館を後発整備とする提案がなされております。これは、JSCや日本青年館が早期の着工を望んでいたのに対しまして、日本体育協会が、神宮外苑への移転に向けた意思決定に至らなかったことなどによるものでございます。
 これを受けまして、日本体育協会では、新会館を後発整備するという検討を始めまして、平成二十六年三月には、都に対して要望書も出されております。
 その後、都は、神宮外苑のスポーツクラスター形成に向け、必要な用地を確保するため、区画整理の検討を行うとともに、岸記念体育会館の移転先として想定をしておりました都有地の取り扱いについての検討も進めていたところでございます。
 一方、平成二十五年九月に、東京が二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の開催都市に決定をいたしましたが、国立代々木競技場がハンドボールなどの競技会場となったわけでございますけれども、競技場敷地だけでは、なかなか大会運営のための用地の確保が難しいという状況にありました。岸記念体育会館の敷地はこの競技場に隣接しておりまして、大会運営用地として適地と考えられておりました。
 恐れ入ります、四ページをごらんください。
 こうした状況を踏まえまして、都は、岸記念体育会館の敷地を代々木公園の優先整備区域に指定をし、東京二〇二〇大会までに公園として整備するとともに、その代替地といたしまして神宮外苑の都有地を売却するなど、対応の方向性を整理し、平成二十七年には関係三局から副知事に説明をしております。
 その後、平成二十七年八月七日、組織委員会からオリンピック・パラリンピック準備局に対して、岸記念体育会館の敷地の大会運営用地としての活用可能性について検討依頼があり、同月二十四日には、オリンピック・パラリンピック準備局から都市整備局に対して、運営用地の確保についての検討依頼がございました。
 都市整備局といたしましては、岸記念体育会館の敷地が、もともと都市計画公園の区域内にあり、いずれは公園として整備されるべき土地であること、また大会運営用地として適地と考えられていたことなどから、会館の敷地を含む街区を大会運営に活用できるよう、早期に事業化を図るため、平成二十七年十二月一日に優先整備区域に指定し、同月十五日にホームページで公表しております。
 前後いたしますが、神宮外苑地区におきましては、平成二十七年六月に、都とJSCと外苑ハウスがまちづくり協定を締結いたしまして、地区計画や区画整理の活用を前提に協議を開始しております。その後、同年十一月には、都と外苑ハウスで区画整理協定を締結し、同年十二月十五日には、都が区画整理事業の実施について公表をしております。
 この代々木公園の優先整備区域の指定及び神宮外苑での区画整理事業の実施の公表を受けまして、日本体育協会は、平成二十七年十二月二十二日に、都に対して、岸記念体育会館の神宮外苑への移転について、要望書を提出したということでございます。
 都は、日本体育協会からの移転要望が、平成二十五年六月に策定いたしました地区計画の方針にも沿ったものであることから、平成二十八年一月、日本体育協会に対しまして、都有地への移転の検討を進めるということを了承し、その旨文書で回答しております。
 その後、平成二十八年二月に、都は、日本体育協会の新会館に係る地区計画の企画提案書を受理いたしまして、都市計画の手続を進め、同年十月、都市計画の決定をしております。また、同月、都は区画整理事業の施行認可を取得しております。
 恐れ入ります、最後五ページ目でございますが、平成二十九年一月には、神宮外苑の都有地(仮換地)の取扱方針を決定いたしまして、以後、この方針に沿って、都は必要な手続を踏みながら、平成二十九年七月から日本体育協会に対しまして、都有地の有償貸付を開始しております。同月、日本体育協会は、新会館の建設工事に着工しているということでございます。
 説明は以上でございます。

○木村まちづくり調整担当部長 三月八日に開催した第四回築地再開発検討会議につきまして、ご説明させていただきます。
 お手元の資料2をごらんください。会議では、まず事務局から、1、第三回検討会議までの意見の概要の報告、2及び3で、ご意見等を踏まえた補足説明及び事例報告を行い、その後、4、テーマ別議論を行っていただきました。
 委員の方からいただきました主な意見についてご報告させていただきます。
 大きなプランをつくりながら時間をかけてやった方がよいのではないか。経済状況も変わってくるので、長期プランが必要と考える。時間的なスケールを考えながら具体的な案を練っていく必要がある。
 隣接している場外市場のまち並みや伝統文化をつないでいくには、老朽化に伴う大規模な整備が必要であり、この築地の再開発との連動、連携が必要ではないかと思う。
 歩行者と自転車と車のすみ分けが、将来的にも念頭に置くべきエリアであろうと考えている。
 マスタープランや地区計画の方針のような、ある程度の方針を持っておき、インフラの整備状況を見きわめながら、段階的に整備していく。その場合も各段階を通じた調整の仕組みを整えておくことが必要と思う。
 中核施設がコアになって、将来的に具体的に段階的な広がりを重ねつつ、中核というのは何かということになるが、国際ビジネス紛争の拠点といったものもよいかと思う。
 六つのキーワードは相互に関連しているが、その中ではどういう魅力を発揮するかとどういう付加価値をつけるかが中核であり、その実現の制約になるものとして、残りの三つ、つまり立地の特性やアクセス、時間軸があると捉えるのが適切と感じている。
 築地エリアの中の個別の建物同士をどうつなぐか、またその周辺とどうつなぐか。歴史と現在をどうつなぐか、未来にどうつなぐか。そういう意味でつなぐ、つながりが、全体を通してのキーワードになるかなと。
 広域で考えるとは、ここに何かが生まれることにより、周辺へのインパクトをどう考えていくか、あるいは周辺にできてくるものをどう結びつけるのかということである。
 築地自体も相当の規模であるので、単一機能でAかBかのような話とは違うのではないか。単一機能をトップダウンで決めて敷地は自己完結型で考えるのではなく、周辺にボトムアップで波及していく広域波及型の議論をしていきたい。
 かいわい性をつくっていくために、行政が最初のきっかけとなるような魅力的なオープンスペースや、緑や歩行者ネットワークを形成していくための公共空間をつくっていくのが重要な役割と思う。
 検討会議のテーマではないかもしれないが、移転する前に市場の記録を残すこと、映像だけでなく、人が実際にどう生きていたかを、オーラルヒストリーなどで残す価値が非常に高いと思うなど、それぞれのお立場から貴重なご意見等をいただきました。
 説明は以上でございます。

○たきぐち委員長 報告は終わりました。
 本件については、いずれも次に行います予算の調査、付託議案の審査及び報告事項の質疑の際にあわせて質疑を行いますので、ご了承願います。

○たきぐち委員長 次に、予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案、第二十号議案、第四十五号議案、第四十六号議案及び報告事項、岸記念体育会館の移転に関する主な経緯について外四件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○桜井総務部長 去る二月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料3、都市整備委員会資料(二月十五日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 平成三十年度当初予算案の要求資料は、1、都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績外七件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績でございます。
 都営住宅、公社住宅の別に、平成十九年度から平成二十八年度まで、年度別の建設戸数を記載してございます。
 二ページをごらんください。2、都及び区市町村が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧でございます。
 (1)の耐震診断につきましては、二ページから一三ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額または補助対象限度額、補助率を記載してございます。
 また、(2)、耐震改修につきましては、一四ページから二二ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額、補助対象限度額または融資限度額、補助率または利子補給率を記載してございます。
 二三ページをお開きください。3、分譲マンションアドバイザー派遣助成についての区市の実施状況及び実績でございます。
 耐震アドバイザー派遣事業、マンション管理アドバイザー制度、マンション建替え・改修アドバイザー制度について、区市ごとの助成制度の実施状況及び実績を記載してございます。
 二四ページをごらんください。4、首都高速道路に対する出資金・貸付金の推移(過去十年間)でございます。
 平成十九年度から平成二十八年度までの出資金及び貸付金について、年度別に記載してございます。
 二五ページをお開きください。5、基地対策に係る支出(過去五年間)でございます。
 平成二十四年度から平成二十八年度までの支出の概要及び金額を年度ごとに記載してございます。
 二六ページをごらんください。6、横田基地の軍民共用化に係る経過でございます。
 二六ページから二七ページにかけまして、平成十五年以降の主な動きの概要を記載してございます。
 二八ページをごらんください。7、答申六路線の事業費でございます。
 国の交通政策審議会答申において、事業化に向けて検討などを進めるべきとされた六路線の事業費を、路線ごとに記載してございます。
 二九ページをお開き願います。8、生産緑地地区の区市別面積(過去五年間)でございます。
 平成二十五年度から平成二十九年度までの区市別の生産緑地地区の面積を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○たきぐち委員長 説明は終わりました。
 これより、ただいまの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○馬場委員 それでは、岸記念体育会館の移転について質問をいたします。
 三月一日の本会議及び十三日の予算特別委員会におきまして、この件に関する質疑がありました。特に、予算特別委員会では、虚偽答弁、隠蔽、特定の団体への異常な優遇、政治家の関与、行政のあり方がゆがめられたなどの発言がありました。
 今、私どもがすべきことは、この都市整備委員会のこの場におきまして、所管であります都市整備局に改めて説明を求めて、事実関係を明らかにすることだと考えます。
 先ほど一連の経過についての説明がありましたが、問題として指摘された点について何点か確認をさせていただきます。
 まず初めに、平成二十八年の文書質問及び都市整備委員会の答弁と、先日の本会議代表質問での都技監の答弁が異なり、過去の答弁が虚偽答弁であるとの指摘があった点について、都市整備局の見解をお伺いします。

○山崎まちづくり推進担当部長 通常、都市計画案件につきましては、事前の相談、調整などを経て正式な都市計画の協議に進みますが、都市計画に係る常任委員会などでは、都市計画協議の契機になる文書のやりとり等についてお答えをさせていただいております。
 お話の平成二十八年の文書質問及び都市整備委員会の答弁におきましては、こうした通常の対応と同様のスタンスでお答えしたものでございます。事実をお答えしたものであり、虚偽答弁には当たらないと考えておりますが、説明に丁寧さを欠いた部分がございました。その点につきましてはおわびを申し上げます。
 今回、代々木公園の用地取得費等を予算案に計上するに当たり、改めて、関連する情報を整理いたしました。その上で、開示請求のあった事項に照らして、開示手続を踏んで資料を開示し、先日の代表質問におきましても、そうした情報の整理に基づき、具体的な答弁を行ったものでございます。
 今後とも、適切な情報開示と丁寧な説明を心がけ、説明責任を果たしてまいります。

○馬場委員 虚偽には当たらないが、説明に丁寧さを欠いた部分があったということであります。つまり、平成二十八年の質問で、移転にかかわる経緯、経過を求めたことに対して、正式な手続としての経過を答弁したものだということなのであります。
 まちづくりに当たっては、関係者への説明や調整はつきものであり、調整段階のものについての答弁の難しさについては、一定程度理解はするけれども、誤解を招く答弁であったかと思います。
 局として反省すべき点は真摯に反省して、今後このようなことのないよう、適切な情報開示と丁寧な説明を心がけていただくように、強くこの場で求めておきます。
 次に、日本体育協会という特定の団体への異常な優遇があったのではないかという点についてお伺いをいたします。
 岸記念体育会館の神宮外苑への移転は、現地での会館の建てかえが困難な状況に陥っていた日体協のために便宜を図ったと見る向きもあるようです。この点、実際のところはどうだったのか。移転の検討を提案した目的、経緯についてお伺いいたします。

○山崎まちづくり推進担当部長 都は、平成二十二年十二月に「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一を策定し、霞ヶ丘競技場一帯をスポーツクラスターとして整備することといたしました。
 平成二十三年九月ごろから、国立競技場の建てかえを契機といたしまして、周辺の都有地も含めた地区の再編整備についても検討を開始し、その中で、岸記念体育会館の移転と跡地の公園整備についても検討を始めております。
 平成二十三年十二月には「二〇二〇年の東京」計画を策定し、神宮外苑を四大スポーツクラスターの一つに位置づけ、大規模スポーツ施設を中心としたさまざまな施設の集積により、集客力の高い、にぎわいあふれるエリアを生み出し、スポーツ振興とともに、活力あるまちの再生を実現するといたしたところでございます。
 一方、日本体育協会は、平成二十三年十二月には現地建てかえ最新案を都に示すなど、平成二十四年ごろまでは、あくまで現地での建てかえを希望し、検討を進めておりました。
 そうした状況の中で、都は、スポーツ関連団体の本部機能の集約が神宮外苑のスポーツクラスターの形成に資するものと考え、平成二十四年四月に、岸記念体育会館の移転の検討を提案したものでございます。

○馬場委員 平成二十三年十二月に、当時の石原知事が「二〇二〇年の東京」計画を策定し、その中で、神宮外苑地区を、駒沢、武蔵野の森、臨海地区とともに、四大スポーツクラスターとして位置づけたことは承知をしています。もともと耐震化に課題のある岸記念体育会館の建てかえに関して、平成十六年ごろから日本体育協会が検討し、都市計画規制などについての相談がなされていたことは、本会議の答弁にもあったとおりであったと思います。
 神宮外苑への移転は、あくまでスポーツクラスターの形成という都の政策実現を主な目的として、都が提案したということでありました。
 次に、政治家の関与について。行政のあり方がゆがめられたといった主張について確認をいたします。
 都市整備局は、さきの予算特別委員会で、日本体育協会元会長の森喜朗氏に説明したことはあったと思うと答弁をしておりますが、働きかけがあったかどうかについては、記録は見当たらないとしています。先ほども指摘したように、まちづくりを進めるに当たり、政治家に事前に説明することは通常行われていることであり、そのこと自体は問題であるとは特に思いません。しかしながら、その際に、仮に政治家から何らかの働きかけがあって、それによってあるべき行政のあり方がゆがめられたというようなことがあれば、これは極めて重大な問題であります。
 そこで、改めて、岸記念体育会館の移転の件で、森喜朗氏を含む政治家からの働きかけの有無について、事実関係をお伺いします。

○山崎まちづくり推進担当部長 都は、平成二十二年十二月に「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一を策定し、霞ヶ丘競技場一帯をスポーツクラスターとして整備することといたしたところでございます。
 岸記念体育会館の現地建てかえにつきましては、当時、日本体育協会の会長でありました森喜朗氏からの相談はあったようでございますが、日本体育協会は、平成二十四年ごろまではあくまで現地での建てかえを希望していたところでございます。
 そうした中で、岸記念体育会館の移転は、都の政策でございます神宮外苑のスポーツクラスターの形成に資するものとして、平成二十四年四月に、都から協会に対して提案をしたものでございます。
 移転の検討を提案した後の平成二十四年五月に、神宮外苑地区全体の再整備について、都から森氏に説明を行ったとの記録がございますが、それを見ましても、森氏からの働きかけといえるような記述は見当たりません。また、その他の政治家からの働きかけの記録も見当たりません。
 当時の都市整備局幹部にも聞き取りを行っておりますが、岸記念体育会館の移転について、森氏を含む政治家からの働きかけはなかったとのことでございます。

○馬場委員 本日は、冒頭に申し上げましたように、虚偽答弁はあったのか、特定の団体への便宜供与はあったのか、政治家からの働きかけがあったのかという観点から、質疑を行わせていただきました。局からの答弁もあったように、過去の答弁については、都としても反省すべき点があったことは事実であります。
 今後、適切な情報開示、丁寧な説明によって、都民、議会に対して疑念が持たれないように、しっかりと説明責任を果たし、引き続き所管の事務事業を推進していただくことを強く求めます。
 最後に、都技監の見解をお伺いして、質問を終わります。

○邊見東京都技監 ただいま担当部長からるる答弁をさせていただきました。
 神宮外苑におけるスポーツクラスターの形成は、平成二十二年十二月に都の長期計画に位置づけて、国立競技場の建てかえや、オリンピック・パラリンピック競技大会の招致という国家プロジェクトと連動しながら、都の政策として従来から取り組んできたものでございます。
 日体協は、代々木における現地建てかえを検討していましたが、それに課題もある中で、スポーツクラスターの形成という政策目的の実現に資するものとして、都から日体協に対して、岸記念体育会館の移転を検討することを提案し、都は、関係者との調整を進めてまいりました。森氏からの働きかけがあって、それを契機として岸記念体育会館の移転の話がまとまったというものではございません。
 改めて申し上げますと、平成二十四年には、都から、当時の局長、技監から提案を行っているのは事実であります。森氏からの働きかけがあったとの記録が見当たらないのも事実でございます。こちらから説明に伺ったことはある、このことも否定せず、申し上げてございます。いずれも事実に基づき、これまで答弁をさせていただいてございます。
 実際に、多くのまちづくりの窓口や現場では、そして事業の窓口や現場では、日々、相談を初め、提案ですとか調整、さらには苦情、要望、これらが事前にさまざま行われてございます。おっしゃっていただいたとおりでございます。必要に応じて、関係するところに説明に伺うこともございます。
 そういった中で、どこまでできるか、あるいはできないか、合理性はきちんと成り立つか、よいものになるか。その上で、事業者も、私ども行政も、それぞれが組織として判断を加えて、申請にかかわるものであれば事業者が申請し、行政が許可をする。あるいは、都市計画に関するものであれば、事前協議に加えて、正式な手続を進めていくことになります。
 事前の相談や調整段階のものについては、実現しなかったり、変わり得るものでもありますので、都市計画に係る常任委員会などでは、都市計画協議の契機になる文書のやりとり等についてお答えをさせていただいてございます。
 平成二十八年の文書質問などでは、通常の対応と同様の形でお答えをいたしました。
 一方、今回予算案に用地取得費を計上するに当たり、改めて関連する情報を整理し、また、たくさんの開示請求を受けてございます。こういった中で、我々自身、整理された部分も、正直ございます。
 本会議や予算特別委員会では、その後整理された部分も含め、ご質問にきちんとお答えを申し上げたところでございます。
 本日は、主な経緯を整理し、改めてご報告をさせていただいてございます。いずれも事実に基づき行ってございます。したがって、虚偽答弁に当たるものではないと考えますが、結果として、丁寧さを欠く部分があったことについて、改めておわびを申し上げます。
 今後とも、より一層の説明責任を果たしながら、都民のためになる政策目的の実現に資するまちづくり行政をしっかりと進めてまいります。

○小林委員 それでは初めに、住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画案についてお伺いをいたします。
 本計画は、昨年十月より開始された住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の着実な普及のために策定されるわけですが、昨年の第三回定例会の際にも、住宅セーフティーネット法の改正に伴った議論を行っておりますので、その点を踏まえて何点か確認をさせていただきます。
 まず、賃貸住宅の供給の目標ですが、公営住宅及び住宅セーフティーネット法に基づく登録住宅の二点について、いずれも平成三十七年度を目標に、公営住宅は十三万八千戸、住宅セーフティーネット法に基づく登録住宅については三万戸を供給目標としております。
 この住宅セーフティーネット法に基づく登録住宅戸数を、平成三十七年度までに三万戸とする目標について、三万戸と設定された考え方についてお伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 登録戸数の設定に当たっては、総務省の住宅・土地統計調査をもとに推計を行いました。住宅確保要配慮者のうち、計画期間中に住居を必要とする者は、年収が著しく低く、高い家賃を負担している若年単身者が九千世帯、狭小な賃貸住宅に居住し、公営住宅の収入基準以下の高齢者世帯などが二万世帯、これらを合わせて約二万九千世帯をカバーし、居住の安定を優先的に図るようにしたものでございます。

○小林委員 次に、居住支援協議会についてですが、計画案においては、住宅確保要配慮者に対して、地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うためには、区市町村が居住支援協議会を設立し、取り組むことが重要ですと記載をされております。現在、居住支援協議会が設置されている自治体は、江東区、豊島区、板橋区、千代田区、杉並区、世田谷区、文京区の七区、調布市、八王子市、日野市、多摩市の四市に設置をされておりますが、計画案の中では、平成三十二年度までに区市の五〇%以上が、居住支援協議会が設置されることを目指すと、目標も掲げております。
 改めて確認ですが、住宅確保要配慮者への住宅確保の取り組みを推進していく中で、居住支援協議会の果たすべき役割についてお伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 居住支援協議会は、住宅セーフティーネット法に基づき、住宅確保要配慮者の居住の安定を図るため、地方公共団体や不動産団体、福祉団体等が連携して設置する組織でございます。居住支援協議会におきましては、高齢者向け住宅のあっせんや生活相談等、貸し主と借り主双方に対する支援を行う役割を担ってございます。

○小林委員 先日、ある市議会議員の方と、この住宅セーフティーネット法の改正に伴う自治体の役割について意見交換をいたしました。市議会の中でも取り上げたそうですが、まだまだ、この法改正に伴った取り組みをどう進めていけばいいのか、まさに今、都が策定を進めている住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画案の、この状況を注視しているという実情があるようでございます。
 また、特に、居住支援協議会の設立については、自治体の理解が進んでいない状況があるとも感じました。自治体で居住支援協議会の理解が進んでいない要因、これをどのように都として認識をされているのか。また、こうした状況に対する今後の取り組みについてお伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 都が区市町村に対し実施したアンケート調査では、区市町村が居住支援協議会を設立するに至らない理由として、必要な財源やマンパワーの不足が挙げられております。そのため、都は、区市町村に対して、平成二十七年度より、活動費への財政支援を行っているほか、他の自治体の事例を紹介するセミナーの開催等を通じて、協議会の設立を後押ししてございます。
 また、協議会が設置されていない区市町村におきましても、不動産団体等と連携した住宅相談や、NPO等による入居支援の取り組みなどが行われております。
 昨年十二月に、都は、住宅確保要配慮者の生活を支える居住支援法人を指定する仕組みを整えたところでございます。
 今後も、こうした取り組みを踏まえて、区市町村による居住支援協議会の設立を促進してまいります。

○小林委員 今、ご答弁にもありましたこの財源の問題、マンパワーの問題は、自治体によって状況もそれぞれ違うと思いますが、居住支援協議会の役割を十分理解し、取り組んでいこうとする意識を醸成していくためにも、都の丁寧なサポートをお願いしたいと思います。
 あわせて、既に居住支援協議会を設置した七区四市の取り組みは、これから検討する自治体においては、参考になる先行事例であると思います。
 先ほどのご答弁でも、他の自治体の事例を紹介するセミナーの開催をしているというふうにございましたけれども、居住支援協議会が設置されている、この七区四市における具体的な活動事例と、その成果についてお伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 区市町村居住支援協議会におきましては、入居あっせんや住宅相談などの活動を行っております。
 具体的には、例えば豊島区では、空き家、空き室等をシェアハウスとして活用して、住まいの提供を行うなどの支援活動を行うNPO法人等に対して、助成を行ってございます。
 また、江東区では、昨年七月から、お部屋探しサポート事業を開始し、区役所で週一回、また区内の協力不動産店では営業時間中に相談窓口を開設して、地域の高齢者などに情報を提供してございます。
 さらに、調布市におきましては、昨年四月から、調布市住まいぬくもり相談室を設置し、居住支援団体や市の福祉部門と連携しながら、住宅相談や生活相談に対応してございます。本年一月末時点の実績につきましては、相談件数が八十八件ありまして、うち二十四件が成約に至ったと聞いております。

○小林委員 豊島区、江東区、調布市での事例をご答弁をいただきましたが、残りの五区三市についても、それぞれの活動と成果があるかと思います。
 また反面、設置したことによる新たな課題も見えてきている事例もあるのではないかと思います。活動内容、成果、課題と、それぞれの事例を参考にしながら、居住支援協議会の設置が大きく促進されるよう、着実な取り組みをお願いしたいと思います。
 最後に、こうした民間賃貸住宅への入居に関する情報発信についてお伺いします。
 住宅セーフティーネット法で定める住宅確保要配慮者は、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子供を養育している者とされていますが、このうち高齢者については、既に都として、東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度を構築して、情報発信に取り組んでいるかと思います。この東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度について、これまでの都の取り組みについてお伺いいたします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、平成二十二年度、東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度を創設しまして、高齢者の入居を拒まない住宅を登録し、情報提供することといたしました。
 この制度におきましては、民間賃貸住宅のほか、公社住宅、都市再生機構住宅など、幅広く高齢者向けの住宅が登録されております。また、都は、区市町村等にリーフレットの配布や広報紙への掲載を依頼するなど、登録された住宅について広く情報提供を行っております。
 ホームページから情報を入手することが困難な高齢者には、要望に沿った物件情報を個別に郵送するなど、わかりやすく丁寧な情報提供に努めております。

○小林委員 先日、私は八十一歳のおひとり暮らしの女性の方からご相談をいただきました。現在住んでいるアパートが老朽化して、今後、耐震化をする予定もないので、管理会社より転居を検討してもらいたいとの話があったそうですが、これからどうしていけばいいのかとのご相談でありました。
 生活保護も受けず、今まで蓄えたわずかの貯蓄でつつましい生活を送り、体も元気でありますが、入居ができる物件も少なく、八十一歳、高齢という一点で入居を拒まれ、引っ越し先がなかなか決まりませんでした。私もお手伝いをさせていただく中、結果的には何とか入居できる物件にめぐり会えましたが、ひとり暮らし高齢者の入居は、昨今の時代状況の中、本当に厳しく、難しいということを改めて実感をいたしました。
 不動産業界の方とも、この点、さまざま意見交換をさせていただきましたが、やはり行政がしっかりと、こうした課題について具体的な手を早急に打っていかなければ、これからの超高齢社会に対応していけないとの認識を新たにいたしました。
 この東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度が果たしてきた役割、これを評価しつつ、今後さらに情報量を充実させていくということも大事な視点かと思いますが、住宅確保要配慮者への入居を拒まない賃貸住宅の登録制度が始まった中、情報発信が二つの窓口からなされる状況ともなり、利便性への配慮という点も考えていかなければならないと思います。
 新たな登録制度の取り組みを注視しながら、都民にわかりやすい情報発信を行っていくという点において、今後、高齢者向けの情報発信はわかりやすく整理していくということも、検討課題としてとどめておいていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、農地を守る、生かす取り組みについてお伺いします。
 公明党は先般、党内に設置した都市農業振興プロジェクトチームとして、都市農業フォーラムを開催し、多くの農業従事者の方々との意見交換を行いました。
 一九九二年に施行された生産緑地法では、三十年間の営農義務を果たすことを条件に、生産緑地として指定され、税制優遇が受けられますが、その三十年の期限となる二〇二二年が四年後に迫っております。農業従事者の高齢化や後継者難などで、この期限を節目に、生産緑地の減少に歯どめがかからなくなるのではないかとの懸念の声も多く上がっております。
 世界の各都市で、農地や農業の役割や魅力が見直され、注目されてきている中、多くの農地が存在する首都東京の農地をいかに守り、生かしていくかという使命は、極めて重要であると思います。
 国においては、昨年、生産緑地法を改正し、買い取りの申し出を十年間先延ばしできる特定生産緑地指定制度を創設しました。生産緑地を農地として存続させていくためには、特定生産緑地の指定を確実に進めていくことが不可欠であります。都の農業会議や区市の農業委員会などは、独自に農家向けのパンフレットなどを作成し、既に周知を始めていると聞いておりますが、都は、これらの団体や区市と連携しながら、農家に対し制度の周知と理解を強力に推進をしてもらいたいと思います。
 一方、相続などが発生し、後継者がいなくなった生産緑地については、営農の継続が困難となり、買い取りの申し出が出されることも予想されます。都は来年度から、都市計画公園内の生産緑地を区市が買い取る場合の補助制度として、十億円を計上しておりますが、現時点で、補助対象となる生産緑地の面積にどのくらいを想定されているのか、また、今後新たに区市が都市計画決定を行った場合にこの補助制度の対象になるのか、お伺いをいたします。

○久保田都市づくり政策部長 都は、生産緑地の二〇二二年問題に向け、区市が買い取り申し出に柔軟に対応するためのルールや体制を構築できるよう、生産緑地公園補助制度をパイロット事業として開始いたします。この制度の意義は、生産緑地を公園として整備する区市の意欲を引き出すとともに、農作業の体験の場や子供たちの遊び場など、地域に親しまれるオープンスペースとして次世代に継承していくことでございます。
 本制度の対象となる都市計画公園緑地内に存在する生産緑地の面積は、現時点で約三十三・六ヘクタールでございます。また、今後、新たに都市計画決定を行った場合でも、この事業の対象にしていく予定でございます。

○小林委員 都で、特定生産緑地指定制度のPR、普及啓発のため、新規に一千万円も計上しておりますが、都市農地、そして都市農業を守る大事な時期に差しかかっていると思います。
 都市農地を守るということと、都市農業を振興していくということは、車の両輪として施策を進めていく必要があると思います。緑を守るために、生産緑地を保全、活用していくという都市整備局の施策、そして都市農業を振興していくという産業労働局の施策、今後、両局がより緊密に連携をとって施策を推進していただきますよう、お願いをいたします。
 次に、農の風景育成地区についてお伺いします。
 昨年十一月の事務事業質疑においても、農の風景育成地区の指定の拡大に向けた今後の取り組みについて質問させていただきました。指定促進のため、普及啓発と区市町への調査費補助を予算案に計上されたことは大事な一歩であると思います。
 昨年、生産緑地法が改正され、生産緑地に農家レストランや直売所などの設置が可能となりました。私の地元練馬区の高松地区は、既に農の風景育成地区に指定されており、農業者によるマルシェを開催するなどして、にぎわいを見せております。
 そこで、来年度、計上された予算を活用して、さらなる農の風景育成地区の指定に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。

○久保田都市づくり政策部長 本制度は、農業者、地域住民、学校などが区市町と連携をし、将来に引き継ぐべき農のある風景を保全していくものでございます。地域のにぎわいや活性化にも資するものでございます。
 都は、二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、二〇二四年度までにさらに三カ所の地区指定を目指してございます。自治体みずからが、地域の農業者や住民に制度の趣旨などの十分な説明を行うとともに、魅力を持った地域であることの理解を深めてもらうことなどが必要であることから、都は区市に対し、技術的支援を行っていくことといたしました。
 そのため、今年度、区市の担当者向けに、既に指定をしてございます三区と協力し、現地見学会等を開催しており、四区十二市、延べ約三十名の担当者が参加する見込みでございます。
 来年度は、これまでの先行事例やノウハウを取りまとめ、PR用のパンフレットなどを作成するとともに、区市が指定に向けた地域の現況把握等を行うための調査費補助を実施する予定でございます。
 農地や屋敷林が持つ地域の魅力を生かした風景の保全、育成に向け、今後とも区市と連携した取り組みを進めてまいります。

○小林委員 昨年の事務事業質疑のときに、この制度の指定や運営にどのような課題があるのかをお聞きした際に、地域の合意形成の促進と関係者間の連携が課題であるとの答弁がありました。今後、さらに地区指定を促進していくためにも、こうした課題への対応については、丁寧に区市と連携を進めていただきたいと思います。
 また、農の風景育成地区の指定が進み、果物の収穫体験や新鮮な野菜を食材とした飲食を楽しむような場所がふえれば、観光面でもよい影響があるのではないかと考えます。
 昨年の第四回定例会の一般質問で、私は、農業と観光の連携について取り上げ、東京の農林水産業の魅力を国内外に発信するためのウエブサイト、TOKYO GROWNにおいて、サイトの情報量を充実させる一つとして、例えばこの農の風景育成地区を紹介し、農業のある風景を楽しんでもらうなど、観光客誘致のために、観光の視点を持った都市農業の取り組みを一層推進していくべきではないかと、産業労働局に提案をさせていただきました。
 さきにも述べましたが、こうした点についても、局を超えた連携を図っていただきますよう、昨年の事務事業質疑の際にも要望しましたが、改めてお願いをしたいと思います。
 次に、鉄道ネットワークの機能強化についてお伺いをします。
 国の交通政策審議会において、事業化に向けて検討を進めるべき六路線について、事業化に向けた検討の深度化のために、このたびの予算案に八千万円の調査費を計上しております。本委員会の委員の皆様にも、関係する路線がおありの方もいらっしゃいますが、私にとりましては、都営地下鉄大江戸線の光が丘から大泉学園町までの延伸であります。
 大江戸線の延伸については、もう数十年にわたり、練馬区、区議会、地元町会などが協力して、延伸の運動に精力的に取り組み、私も都政に送り出していただいてより、幾度となく都の要請活動に取り組ませていただいております。
 昨年、大江戸線の延伸が計画されている地域の町会の新年会にお邪魔した際に、町会長が、これまで東京都には二十回延伸のお願いに行った、ここまでしても、まだ延伸が具体的にならない、一体何なんだという思いだと、火を吐くようなご挨拶をされておりました。私も重く受けとめた言葉でありました。
 このたびの予算案における六路線の事業化に向けた調査費の計上、また将来の鉄道整備に向け、仮称鉄道新線建設等準備基金の創設は、マスコミなどでも、東京都、新規鉄道路線の検討を本格化へと報道されるなどして、いよいよ動き始めたかとの期待も高まってきております。
 その上で、この事業化に向けた検討の深度化という意味合いですが、事業化を前提としてさらに検討を進めていくという意味なのか、最終的に事業化の可否を判断していくためのものなのか、気になる点もございます。
 そこで、この事業化に向けた検討の深度化について、具体的な検討内容についてお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 都は、国の交通政策審議会答申におきまして、事業化に向けて検討などを進めるべきとされました六路線を中心に、事業費の精査、採算性などの課題につきまして、地元自治体や鉄道事業者などの関係者と連携し、検討を行ってまいりました。
 来年度の調査でございますが、この六路線を中心に、事業化に向けて必要な検討を深度化するものでございまして、具体的には、国勢調査や人口推計値、鉄道の輸送実績などについての最新の統計データを用いた需要予測、それを踏まえました需要確保策の検討、これらに基づきます採算性の検証などを行ってまいります。

○小林委員 今まで鉄道事業者や地元自治体などの関係者と連携して検討を進めてきたと。今答弁にもありましたように、最新のデータを用いて検討を行うとのことですので、事業化を前進させるための検討の深度化と受けとめたいと思います。
 また、事業化を判断するための材料の一つである採算性を精査していくとのことでありますが、こうした検討を踏まえ、今後、六路線について、具体的にどう結論を出していくのか、お伺いいたします。

○中島都市基盤部長 都は今般、新たに基金を創設することで、事業の裏づけとなります財源をあらかじめ確保いたしまして、都の取り組み姿勢を明確に示すことといたしました。
 これによりまして、事業主体や事業スキームの確立、費用負担の調整などにつきまして、関係者との協議、調整を加速してまいります。
 今後、各路線につきまして、その整備効果や採算性など課題整理の状況に加えまして、地元自治体や鉄道事業者の取り組み状況なども踏まえまして、事業実施の枠組みや支援につきまして判断していく予定でございます。

○小林委員 この六路線の事業化については、事業主体、抱えている課題、検討すべき内容はそれぞれ違いがあるかと思いますが、それぞれの地域、関係者が待ち望んでいることは、どこも共通していることだと思います。
 大江戸線でいえば、延伸予定地域の方々より、将来、ここに地下鉄が来ると聞いて家を買った。元気なうちに、大江戸線に乗って都心に遊びに行きたいとの、悲願ともいうべき数々の声もいただいております。
 ぜひとも、この六路線の事業化に向けた検討の深度化、着実に、かつスピード感を持って検討を進めていただきますよう、強くお願いをしたいと思います。
 次に、築地再開発検討会議についてお伺いします。
 この検討会議は、築地再開発に向けたさまざまな分野の有識者から、まずは特段の条件や制約を設けずに、自由な発想で幅広い意見をいただくことを目的として設置されたものと認識しておりますが、予定では、検討会議は七回開催されることとなっており、ちょうど折り返し点を迎えたことになるかと思います。
 これまで四回の検討会議において出された意見については、先日の本会議の代表質問で、これまで、まちづくりにおいて重視すべきこと、考慮すべき条件、進め方などについて、多面的なご意見をいただいているとの答弁がありました。
 初めに、これまでの検討会議において具体的にどのような意見が出されているのか、確認をさせていただきます。

○木村まちづくり調整担当部長 検討会議におきまして、理事ご指摘の点につきまして、まず、築地のまちづくりにおいて重視すべきことといたしましては、都心への近接性や、浜離宮や隅田川に面するなどの特性を生かすことや、波及効果が広がっていくようにすること、土地の付加価値をつくり出していくこと。
 また、考慮すべき条件としては、鉄道や道路など交通インフラの整備状況や計画、現状の地盤の高さと、整備される環状二号線やスーパー堤防の高さの差があること。
 まちづくりの進め方につきましては、ある時点で一気に全体を開発するのではなく、長期的な時間軸を持ち、周辺の開発の動向や、インフラの整備状況を見きわめながら、段階的に整備していく考え方や、プロセスを見える化していくことや、魅力的な地区として維持し続けるエリアマネジメントの仕組みづくりも重要など、それぞれ多面的に幅広いご意見をいただいてございます。

○小林委員 今答弁にもありましたように、さまざまな角度から意見が出されているわけですが、その中で一つ気がかりな点がございます。
 昨年十二月の本委員会で、第二回の検討会議の報告について質疑をした際に触れさせていただきましたが、第二回検討会議のときに、ある委員の方から次のような発言がありました。きょうの話を聞いていて、そもそもこれは誰を対象にした開発になるのかということを考えなければいけない、もちろん、インバウンドもあるし、地域のまちづくりという観点もあるので、この誰が対象なんだろうかということは考えなければならないポイントだろう、どういうものをつくったらいいのか、そのときにどういう注意点があるのかというお話の前に、そもそも目標として何を達成するのか、誰にとっての価値なのかといった、ちょっと青臭い議論ではありますけれども、このあたりはちゃんと軸をしっかり持っていく必要があると、今、思いました、このような発言でございます。
 そして、第三回検討会議の議事録を見ますと、別の委員の方から、概要、次のような発言がありました。誰のためにこの築地を再開発するのか、そこをもうちょっとちゃんと考える必要があるのかなと。今あるものを保存するのに価値があるとすれば、これは、その価値を認める人たちが将来の人たちということになるでしょうし、文化的なものということであれば、もう本当に長い期間、その価値が実現していくことになるでしょうし、単に鉄道を敷いて、船の運送を片づけて、きれいにして、すばらしい水辺の住まいをつくるんだということになれば、そこに住む人の価値になるでしょうし、そういったものをどこに価値を収れんして考えていくのか、根本からきちっと考え直して、築地をどんなふうにしていくかというグランドデザインを基本的に考えた方がいいんじゃないかと思いました。このような発言でございました。
 自由な発想で議論を進めていくことは大事だと思いますが、昨年の委員会質疑の際にも意見を述べましたけれども、誰のため、何のためという原点を持って議論を進めていくことが重要であり、委員の方々のご意見は、私はもっともなお話だと思います。
 委員の方々が、それぞれの専門性、見識によって、幅広い視点での意見が出される一方、どこにベクトルを向けて議論をしていけばいいのかと困惑をされているのではないかなとの懸念も抱きます。
 そこで、この築地再開発が誰のためなのか、何のためなのかということについて、具体的にどのような意見が出されているのか、お伺いいたします。

○木村まちづくり調整担当部長 検討会議では、誰のために再開発するのか考えた方がいいというご意見をいただいておりまして、具体的には、将来の都民や、都民だけではなく将来の国民に対してというご意見や、将来の人たちに向けて何が必要かなどのご意見がございます。そのほかには、外国人観光客にとって、楽しくおもしろくということがポイントというご意見や、観光客が集まる場所だけにするのはもったいない、日常生活の中で、都民として足を運ぶようにできたらいいというご意見、地元の方々に受け入れられ、家庭での生活につながっていくようなものになってほしいといったご意見をいただいてございます。
 また、何のための再開発なのかに関しては、鳥瞰的、広域的な視点から、新しい付加価値をつけていくというご意見や、築地の魅力を最大限に生かし、東京の魅力をさらに発展させていくなど、多面的に幅広いご意見をいただいてございます。

○小林委員 ありがとうございます。検討会議も、第二回、第三回のプレゼンテーションが終わり、第四回ではテーマ別議論が行われたとのことであります。第四回では、このテーマ別議論として、六つのテーマが示されたわけですが、今後の取りまとめに当たって、このテーマがベースになっていくのではないかと思います。
 そこで、今回示された六つのテーマはどのようなプロセスで整理されたものなのか、具体的にお伺いをいたします。

○木村まちづくり調整担当部長 第三回検討会議までに、委員の方々から多くの貴重なご意見をいただいてございます。築地のさまざまなポテンシャルを生かし、東京の持続的な成長につなげていく観点から、まちづくりの大きな視点の取りまとめに向けまして、いただいた幅広いご意見から、重視すべきこと、考慮すべきこと、生かすべきものなど、議論を深めていただきたいテーマについて、大きく六つに整理させていただきました。
 お示しした六つといたしましては、一つ目、立地特性、スケール、二、アクセス、周辺とのつながり、三、広がり、時間軸、四、魅力、付加価値、五、役割、機能、六、環境、防災でございます。
 第四回の会議では、それぞれのテーマに関する議論に加え、これらは密接な関係にあるため、全体を通じた議論を進めていきたいといったご意見もいただきました。
 将来の東京にとって重要な役割を担う、新たなまちづくりにつなげていけるよう、引き続き議論をしていただきたいと考えてございます。

○小林委員 次回の第五回も引き続きテーマ別の議論を重ね、五月には、いわゆる築地まちづくりの大きな視点が取りまとめられるわけですが、検討会議の取りまとめを踏まえ、その後、都として検討を進め、来年度中にまちづくりの方針を策定するという流れになろうかと思います。
 検討会議による築地まちづくりの大きな視点の取りまとめ以降、都として、どうこのまちづくりの方針を取りまとめていくのか、お伺いいたします。

○木村まちづくり調整担当部長 検討会議で取りまとめる大きな視点を踏まえまして、関係各局とも連携し、検討を進めてまいります。検討に当たりましては、民間からのヒアリングを行うなどにより、民間の知恵やノウハウを活用してまいります。
 また、再開発がよりよいものとなるために、地元中央区との連携協力も不可欠でございますため、適宜、意見交換などを行ってまいります。
 こうしたステップを踏みながら、開発コンセプトなどを具体化し、来年度中に、都としてまちづくり方針を策定する予定でございます。

○小林委員 多くの都民が関心を持って見詰めている築地の再開発だと思います。既にこの検討会議の委員の方からも指摘がされているように、誰のため、何のための再開発なのかというのは、今後、ますます根本的に問われてくることであろうと思います。
 今後の議論、また、まちづくり方針の取りまとめに際しては、こうした立ち返るべき原点に立脚して進めていただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。

○神林委員 都市整備局の皆さんは、恐らく昨年の秋口から、局としてこれからの取り組むべき課題を精査して、新年度当初予算を積み上げてきたものだと思います。
 そこで、質問の初めに、今後、局が取り組んでいく主要課題について、新年度当初予算編成に当たって込められた考え方や方針、これからの推進に向けての取り組みなどについて、初めに何点か伺わせていただきます。
 まず、平成三十年度予算案について伺います。
 平成三十年度予算案は、昨年策定された都市づくりのグランドデザインを踏まえた最初の予算案となります。都市づくりのグランドデザインで示した二〇四〇年代の都市像の実現に向けた取り組みを進め、東京を世界で一番の都市へと導いていくことが重要でございます。
 そこでまず、都市整備局における平成三十年度予算計上に当たっての基本的な考え方について伺います。

○桜井総務部長 東京が日本の成長のエンジンとしての役割を果たし、今後も国際的な都市間競争に勝ち抜いていくために、首都東京のまちづくりを進めていく必要がございます。
 このため、平成三十年度予算では、災害に強い都市づくりの推進や、国際競争力の強化等に資する市街地やインフラの整備、快適な都市環境の形成、豊かな住生活の実現等に向けた施策を積極的に展開するとともに、都市づくりのグランドデザインで示した都市像の実現に向け取り組みを推進していくことを、基本的な考え方といたしました。
 予算計上に当たりましては、耐震化や不燃化に係る経費を中心に、決算や事業の進捗状況、区市町村ヒアリングなどを踏まえ、予算総額を抑えながら、実効性のさらなる向上を図っております。あわせて、施策の構築に当たり、新たな工夫を加え、既存ストックとしての都有地を活用した木密地域の権利者等の受け皿づくりを行うとともに、国が導入した補助制度を最大限に活用し、耐震化施策の効果を高めるための助成メニューの拡充、民間賃貸住宅を活用した住宅セーフティーネット制度の活用を促す助成メニューの創設などを行っております。

○神林委員 今お話がありましたけれども、予算編成って大変なものだと思うんです。それだけに、方向を間違えずにしっかりと、これからも運営していただきたいと思います。
 引き続きまして、少子高齢化、人口減少社会や、経済のグローバル化などの一層の進展など、社会経済状況の大きな変化の中にあって、東京都が持続的に発展し、活力にあふれた都市となるよう、将来を見据えた都市づくりを着実に進めていくことが必要でございます。
 そこで、将来に向けた都市づくりを行うに当たっての来年度予算のポイントについて伺います。

○桜井総務部長 平成三十年度予算のポイントといたしまして、まず、将来を見据えた取り組みとして、都市づくりのグランドデザインで示した都市像を実現するための施策の具体化や、鉄道ネットワークの充実強化に向けた検討を深度化するための調査費を計上してございます。
 次に、災害に強いまちづくりとして、木密地域の改善に向け、先ほど申し上げました権利者等の受け皿づくりを行うほか、住宅の耐震化に向け、整備地域外を含め、所有者への積極的な働きかけを行う区市町村を対象に支援を拡充いたします。
 続きまして、都市の緑を守る取り組みとして、区市が公園として整備するために生産緑地を買い取る経費を補助するなど、都市の貴重な緑を生かす取り組みを進めてまいります。
 最後に、豊かな住生活の実現に向けた取り組みとして、空き家対策を一層推進するとともに、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援するため、登録住宅への助成を実施いたします。
 これらの施策を着実に実施して、将来に向けた都市づくりを進めてまいります。

○神林委員 大変多岐にわたりますので、ポイントを二点ばかりに絞って質問させていただきたいと思います。
 東京のまちを俯瞰すると、以前はドーナツ化現象といわれ、居住者が少なかった都心部や臨海部にも、超高層マンションなどの供給が増加し、人口の都心回帰が進む一方で、かつて子供の声が響き渡っていた郊外部においては、少子化や高齢化の進展など、まちの活力への影響を及ぼす空き家が増加しております。また、急速に進む少子高齢化の中で、高齢者などの都民の居住の安定を担う都営住宅への期待も高まっております。
 東京の住宅は、量的には既に世帯数を超え、充足しているといわれて久しいわけでございますが、住宅供給の地域バランスが大きく変化する中で、住宅ストックの有効活用が今後ますます重要となってまいります。
 こうした状況を視野に入れ、また、昨年九月策定の都市づくりのグランドデザインで掲げられた集約型地域構造など、目指すべき都市の姿を踏まえ、これからの住宅政策を進めていく必要があると認識しております。
 そこで、都が、今後の住宅政策に鑑み、来年度の当初予算において注力していく事業について伺います。

○田中住宅政策担当部長 ご指摘のとおり、東京の各地域におきましては、少子高齢化の進展や単身世帯の増加に伴う住宅ニーズの多様化、空き家の増加、また老朽マンションの増加や大規模な住宅団地の再生など、住宅に関する新たな課題に直面していると認識してございます。
 都は、住宅マスタープランに基づいて、豊かな住生活の実現と持続を住宅政策の基本方針として掲げ、各種施策を展開しております。来年度の当初予算では、住宅ストックの有効活用や住宅セーフティーネット機能の強化を進めるため、充実を図ったところでございます。具体的には、住宅ストックの有効活用として、マンションの適正管理や耐震化の促進、既存住宅の流通促進や空き家対策の推進、都営住宅の創出用地を活用したまちづくりについて、予算を拡充し、また住宅セーフティーネット機能の強化としては、住宅確保要配慮者向け住宅に係る補助を新たに計上いたしました。
 今後、都市づくりのグランドデザインで目指す、多様なライフスタイルに応じた暮らしの場を提供するため、都民や事業者、団体など、多様な担い手とともに、住宅政策を積極的に展開してまいります。

○神林委員 今、お話ありましたので、ぜひしっかりと実現していただきたいと思います。
 次に、水は私たちの日常生活に不可欠な存在であり、日本の首都である東京の発展に大きな役割を果たしてまいりました。例えば、蛇口をひねればどこでも安全な水を飲める環境は、東京が世界に誇れるものでございます。
 一方、東京を取り巻く水環境については、全てが万全であるとはいいがたいものがあります。首都圏はいまだに渇水が発生し、一昨年は利根川水系で、昨年は荒川水系で、取水制限が行われました。
 また、平成二十七年には、鬼怒川決壊により、関東を中心に大きな被害をもたらしたことは、今なお記憶に残るところであります。
 将来にわたり、東京が持続的な成長をしていくためにも、水の恵みを享受でき、水の災いを克服していく取り組みが重要であります。
 そこで、来年度の予算を踏まえて、都市整備局が担うべき利水や治水に関する施策について、二点伺います。
 初めに、水資源開発について、首都圏の利水や治水に大きな効果を発揮する八ッ場ダムの進捗と、今後の取り組みについて伺います。

○久保田都市づくり政策部長 八ッ場ダムにつきましては、将来にわたって、東京のみならず、首都圏の安定給水を確保し、洪水被害の危険性を低減するなど、利水と治水の両面から必要不可欠な施設でございます。
 ダムの整備に伴う家屋の移転や道路、鉄道のつけかえ工事は既に完了しているところでございます。ダム本体工事につきましては、平成二十七年一月に着手をし、先月末時点で堤体、いわゆるダムの本体の高さでございますけれども、百十六メートルのうち、五割を超えてコンクリート打設が進んでいるところでございます。
 また、事業費ベースの進捗率は、平成二十八年度末時点で約八割となってございます。
 引き続き、関係県と連携をいたしながら、平成三十一年度の工期厳守と、徹底したコスト縮減を、国に対し強く要請してまいります。

○神林委員 続きまして、近年増加している集中豪雨への対策について伺います。
 平成二十九年も全国各地で浸水被害が発生し、強い雨が降ると不安を覚えるのは私だけではないと考えます。一時間に五十ミリを超える降雨回数の増加については、地球温暖化やヒートアイランド現象などの影響も考えられることから、今後も続く可能性があります。
 集中豪雨による浸水被害を防止していくためには、これまでに豪雨が頻発している地域や水害に弱い地域について対策を急ぐべきと考えますが、今後どのように取り組むのか伺います。

○中島都市基盤部長 時間五十ミリを超えるような局地的集中豪雨により浸水被害が発生していることなどを踏まえまして、都は、平成二十六年に、東京都豪雨対策基本方針を改定いたしました。この方針では、目標整備水準を、これまでの時間五十ミリの降雨への対応から、区部で時間最大七十五ミリ、多摩で時間最大六十五ミリの降雨に対応するよう引き上げるとともに、甚大な浸水被害が発生している地域につきましては、九つの対策強化流域を選定して対策を強化しているところでございます。
 この方針に基づきまして、河川につきまして護岸や調節池の整備、下水道につきまして幹線や貯留施設の建設、また、浸透ますなど雨水貯留浸透施設の設置を初めとする流域対策など、来年度も予算を充実させながら対策を総合的に進めていきます。
 今後とも、都民の安全の確保に向けまして、関係各局や区市と連携いたしまして、おおむね三十年後を見通して、地域の特性に合わせた豪雨対策を推進してまいります。

○神林委員 ありがとうございました。
 引き続きまして、築地の再整備について伺います。
 これまで私は、築地再開発検討会議が本格的なまちづくりを議論する有識者の場として、後世に誇れる結論を見出すよう、私なりに言葉でエールを送ってまいりました。まちづくりの議論に当たっては、純粋に築地で育まれた文化や伝統を生かしつつ、地元の発展に、そして未来の東京の発展に貢献するまちづくりを追求することこそが、今、求められているのだと思います。
 まず、さきの本会議や予算委員会でも質疑が交わされてきました築地再整備に当たって、市場機能や食のテーマパークを再び置き込んでくるのか、こないのか。また、土壌汚染対策をどの程度まで実施するのかについては、今後の築地再整備を進める上で、その方向性を著しく左右することであり、当然、都市整備局としては、その内容を正確に把握しておく必要があります。
 そこで私の方から、この件について問題点を指摘させていただきます。
 知事は、昨年六月二十日に発表された基本方針、築地は守る、豊洲を生かすに関して、先日の予算特別委員会では、基本方針の趣旨は、豊洲、築地の両方を生かすという大きな方向性を述べたもの、築地のロケーションや長年培ってきたブランドを生かして、築地をさらに発展させていきたいという思いであるとの趣旨の発言をしております。これを聞いていますと、知事の六月二十日時点での発表のニュアンスと相当かけ離れているということを強く感じております。
 また、知事はそのとき、築地に市場機能を残すとの趣旨の発言もされたところでございます。このことについても、予算特別委員会で、豊洲市場を中央卸売市場として継続的に運営し、築地の市場跡地に都が中央卸売市場を改めて整備することは考えていない、その上で築地については、将来の東京にとって重要な役割を担う新たなまちづくりにつなげていくということであり、民間の知恵も生かして、再開発への検討を、今、自由な議論を重ねていただいているということでございますと。こういった答弁をいただいているところでございます。
 そうした答弁をいただいているところなんですが、私が強くここで感じさせていただくのは、六月二十日の基本方針発表と今回の第一回定例会では、発言の内容が明らかに食い違っているということでございます。知事が、いつ、どのような理由で訂正したのか、全くわかりません。こんな基本的で大切なことをその場しのぎに曖昧にしていて、先に進めるでしょうか。
 この場に知事は残念ながらいませんが、この場で強く抗議をし、その説明を求めたいという強い思いがございます。
 さて、都議選前に発表された基本方針は、豊洲移転派にも築地残留派にも受け入れられる玉虫色の方針であります。都議選前に、築地は守るという文言を、築地市場のありさまを保護すると解釈した人も多かったと聞いております。
 先ほど申しましたとおり、こんな基本的で大切なことを曖昧にしてきたことで、果たして責任ある仕事がこれからできるのでしょうか。築地の再整備が中途半端な再整備となり、完了も相当おくれていくことになると、大変心配をしているところでございます。
 そもそも、いずれにいたしましても、わずか二キロメートルの至近距離に市場をつくっても、二つの市場が並び立たないことは誰の目にも明らかなことであります。現実に即した議論を進め、築地再開発の方針を修正していくことが重要でございます。
 築地再開発の検討会議は、都政の最重要課題との位置づけで、昨年九月に発足しましたが、今、こうした意味で改めて生まれ変わるチャンスが到来しております。そのような認識のもとで、私は改めて確認をさせていただきます。築地再開発検討会議の目的と、今後五年間のスケジュールについて伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議は、築地の魅力を最大限に生かした再開発に向けて、各分野で活躍されている方々から幅広いご意見をいただくことなどを目的として設置しているものでございます。
 検討会議における取りまとめを踏まえ、来年度には、都としてまちづくり方針を策定する予定でございます。その後、この方針に基づきまして、民間事業者からの提案募集、それに伴う必要な設計、都市計画の手続などを進めるとともに、これと並行して、土壌や埋蔵文化財の調査を進めることなどを想定してございます。
 それらの状況によって、工事着手まで早まることも、あるいは期間を要することもあり得ますが、こうしたステップを踏みながら、五年以内に再開発に着工することを目指していくものでございます。

○神林委員 もうこれは既に申し上げたことなので、余りしつこくいいたくないんですけど、非常に大切なことなので、再度申し上げますけれども、築地は松平定信邸があったので、埋蔵文化財調査が必要です。米軍のクリーニング工場もあったので、土壌汚染のおそれもあります。仮に市場機能や食のテーマパークを置き込むならば、豊洲と同様の対策も不可欠でございます。埋蔵文化財調査、土壌汚染調査と対策、環境アセスメント、建築確認などを考慮すれば、昨年夏の臨時会で表明された五年以内の着工は非常に厳しいものになります。
 こうした課題を踏まえて、改めて築地再開発の五年以内の着工は、いつまでに着工することを意味しているのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発につきましては、昨年十月の検討会議より、幅広い観点から検討を開始しておりまして、先ほどご答弁したような一連のステップを五年以内に行うことを目指すものでございます。

○神林委員 今答弁いただいた中に、昨年の十月からということで、五年以内の着工ということでよろしいですか。ちょっとその確認だけお願いします。

○木村まちづくり調整担当部長 今お話のありましたように、昨年の十月より検討を開始しており、五年以内の着工を目指すということでございます。

○神林委員 これ以上話してもしようがない話なのかもしれませんが、築地の深刻な汚染をうかがわせる地歴について、我々の方でもさらに調べさせていただきました。
 築地市場には、米軍のクリーニング工場のほか、日本軍の軍事研究所もありました。病院施設もありました。有害物質の汚染がない方がおかしいわけでございます。
 昨年、築地当局が行った築地市場の土壌調査では、六価クロム、水銀、フッ素、鉛など、基準超えの有害物質が、これでもか、これでもかというふうに出てきた状況でございます。とても築地の土地を土壌対策もなく使える状況にはありません。築地と豊洲は違うというダブルスタンダードは許されません。
 そこで、築地再開発に当たり、築地跡地の土壌汚染の状況に鑑み、食のテーマパークの設置を見直すべきですが、見解を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地市場跡地の土壌汚染の対策につきましては、法令等に基づき適切に実施していくことが重要であると認識してございます。
 今後、実施していく調査結果等を踏まえまして、関係局と連携しながら、土壌汚染対策に適切に取り組んでまいります。
 なお、食のテーマパークにつきましては、知事は記者会見で、これまでの築地の歩んできた歴史を踏まえて、一つの考え方として申し上げたものと申し上げてございます。
 また、築地再開発検討会議では、築地の魅力を最大限に生かした再開発に向けまして、各分野でご活躍の方々から幅広い意見をいただいてございます。
 来年度、開発コンセプトなどを具体化しながら、都としてのまちづくりの方針を策定する予定です。その後、この方針を踏まえまして、民間からの提案募集など、民間主導による再開発を進めていくことになります。
 こうしたステップの中で、築地をどのような機能を持ったまちにしていくかなどが具体化されていくものと考えてございます。

○神林委員 またこれ、私の方で何度もいわなくちゃいけなくなるんですけど、食のテーマパークをめぐる議論を進める際、これまでも、豊洲に厳しく、築地に甘くといったダブルスタンダードは、食の安全・安心を考える上で許されないと、幾度となく私はいってまいりました。
 築地に食のテーマパークを設置する構想は、長い歴史の中で市場関係者が築いてきた築地ブランドをよりどころにしているようですが、それは、築地市場の汚染の実態がわからない、あるいはあえて考えたくないという心理に支えられたものでしかありません。科学的事実が判明しつつある今、その安心感には根拠がありません。
 知事は、地上で業を営む上で、法的にも科学的にも問題なしと判定された豊洲市場に、あれほど厳格な土壌調査と土壌対策を求めてまいりました。ならば、築地再開発に当たっても、豊洲と同様に、厳格な土壌調査に加え、調査結果に基づく土壌汚染対策を着実に行う必要があると考えますが、見解を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地市場跡地の土壌汚染の対策につきましては、法令等に基づき適切に実施していくことが重要であると認識してございます。築地をどのようなまちにしていくかや、まちづくりの進め方を考えていく中で、土壌汚染対策についても着実に取り組めるよう、検討を行ってまいります。
 今後実施していく調査結果等を踏まえまして、関係局と連携しながら、土壌汚染対策に取り組んでまいります。

○神林委員 これまでの築地再開発検討会議では、築地跡地の汚染について言及することなく、各委員が食の施設を設ける提案をしてまいりました。豊洲には厳しく、築地には甘く、一貫したこのダブルスタンダードがかいま見えていました。
 豊洲市場の安全性は、法的にも科学的にも安全であるにもかかわらず、小池知事自身、みずから問題を大きくし、都民の不安をかき立ててきたのであります。築地市場用地を再開発して食の施設を設けるのであれば、当然、豊洲市場に求めてきた水準が不可欠ということになります。程度の問題として、築地の土壌汚染には目をつむるのだとしたら、こんなご都合主義はございません。
 そこで、築地再開発検討会議の委員に、築地跡地の土壌汚染の現状について正確に伝えるべきであります。伝えていなければ、速やかに伝え、まちづくりの議論に生かすべきですが、見解を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地の土壌汚染の現状につきましては、環境確保条例に基づき、中央卸売市場が実施した調査がございまして、昨年十一月に公表されてございます。これにつきまして、検討会議の議論の状況も見ながら報告していくことを考えてございます。

○神林委員 今答弁で、報告していただくことを考えているというお話でございましたけれども、当たり前のことですから、一日も早く報告してください。よろしくお願いいたします。
 土壌汚染対策は、具体的なまちづくりをする上で避けては通れない問題でございます。まちづくりの検討に当たっては、大切な判断要素になると思います。検討会議でぜひ議論をしていただきたいと思います。
 今後の検討会議の議論の行方によっては、築地の土壌汚染を前提として、まとめ方も変わってくるのではないかと思います。平成三十年度末には、築地のまちづくり方針が策定されるそうです。築地の土壌調査に加え、調査結果に基づく土壌汚染対策を明確にした方針となることを期待しております。それもなくまちづくりが進められるのであれば、都民に対する背信行為であります。
 築地の土壌汚染については、真剣で現実的な議論が交わされ、都民の関心と期待を集めるようになれば、結論の出し方に一工夫、必要な場面があるかもしれません。
 築地再開発検討会議の議論の進め方、まちづくり方針のまとめ方については、議論の成り行きを見守りながら、改めて詳しくお尋ねしていきたいと思います。この件については質問を終わらせていただきます。
 次に、今回、第八回地域危険度測定調査は、建物の倒壊、火災、総合の三つの危険度について、おおむね五年ごとに、都内の市街化区域の五千百七十七町丁目を対象に、五段階のランクづけを行ったものです。まちごとのつながりの基礎的単位といえる町会、自治会別の危険度判定は、きめ細かな地域ごとの防災対策に生かすことができる利点がございます。このことをどう生かしていくかが重要な課題であり、その目的を効果的に推し進めるために、具体的な対策を進めていく必要がございます。
 まず一点目、地域危険度測定調査を行った具体的な目的は何か伺います。

○安部防災都市づくり担当部長 地域危険度測定調査は、昭和五十年からおおむね五年ごとに公表しているものでありまして、都民の地震災害に対する認識を深め、防災意識の高揚に役立てるとともに、震災対策事業を実施する地域の選択に活用することを目的としております。

○神林委員 次に、都内全体の危険性が改善する中、整備地域外の一部の地域で、宅地化が進んだことなどにより危険度が上昇しております。危険な木密地域をこれ以上増加させないためには、これらの市街地においても対策が必要でございます。
 整備地域外の木密地域における不燃化の取り組みについて、見解を伺います。

○安部防災都市づくり担当部長 今回の危険度調査では、整備地域以外の木密地域や木密地域以外の一部におきまして、危険度が高くなっている地区があることが明らかになっております。
 こうした地区では、新たな防火区域の指定によりまして不燃化建てかえを促し、市街地の耐火性能を高めるとともに、区市が地区計画などを活用し、避難路となる区域内道路の整備や沿道の不燃化、敷地の細分化防止策などを講じることが効果的でございます。そのため、都は、昨年度より、地区計画の策定について、区市に対し技術的、財政的に支援をしております。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、木密地域の悪化や拡大の未然防止を図りまして、市街地の安全性を高めてまいります。

○神林委員 この調査で、直接調べていないんですけれども、こういったこともぜひ見逃さずに、これから対策を進めていただきたいと思います。
 それから、整備地域内でも、それぞれの実態は異なり、地域特性に合わせた防災対策を講じることが重要でございます。そこで、今回の調査結果も踏まえ、整備地域内の危険度が高い地域を不燃化するための取り組みについて伺います。

○安部防災都市づくり担当部長 都は、さまざまなメニューの中から、地域特性に応じまして、区が住民に助成等を行うことのできる不燃化特区の取り組みなどによりまして、木密地域の改善を図っております。
 今回の調査結果では、木造住宅が多く、建てかえが進みにくい地域で火災危険度が高くなっております。こうした地域では、高齢者や借地借家人が多い傾向が見られまして、不燃化特区における専門家派遣による働きかけや除却、建てかえへの助成に加えまして、今年度から借地借家人の移転を進めるための引っ越し費用への支援をしております。
 狭隘道路が多い地域では、緊急車両が通れないことによりまして、災害時の消火、救援活動がおくれる可能性が高く、総合危険度が高くなっております。こうした地域では、昨年度から、狭隘道路を事業として拡幅整備する区への支援を開始しておりまして、来年度予算案では、今年度に比べ一・二倍の額を計上し、取り組みを一層加速してまいります。

○神林委員 総合的な防災対策といいますと、耐震耐火構造の不備による建物の倒壊や、延焼火災を改善していくこと、空き地や道路が狭いなどの、いわゆる従来からの都市整備が所管するまちづくりのハード面での対策と、またもう一つ、消防機能の充実や防災備品の装備、町会、自治会、消防団、市民消火隊、企業内における防災組織のようなさまざまな防災組織の充実など、ハードとソフト面の対策がございます。
 当然のことですが、こうした従前の総合対策を一日も早く進めていかなければなりません。
 まちづくりのハードの面での対策によっては、まち全体の危険度を低くするためには、相当な長い年月がかかることになります。
 その反面、防災組織や備品の充実などのようなソフト面での対策については、比較的短期間で充実効果を上げることができます。そして、そのためには、総務局の総合防災部や消防庁、地元区において対策や方針を策定し、現場の自治会、町会などと具体的、個別的な対策を進めるべきであります。
 都市整備局として、総務局の総合防災部、東京消防庁、地元の区役所と連携し、危険度の高い地域について不燃化の取り組みを進めていくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。

○安部防災都市づくり担当部長 地域の防災力を高めるには、ハード、ソフト両面から対策を講じることが重要と認識しております。このため、ハード対策に加えまして、地域危険度測定調査や避難場所の指定など、地域の防災活動にも関連する取り組みを、東京消防庁を初め、関係機関との連携を図りながら実施しております。
 また、都民へ防災情報を周知するため、総務局と連携して今月から配信を開始した東京都防災アプリに、地域危険度の情報を掲載しております。さらには、初期消火など、地域の円滑な防災活動を促すため、地元区による水利施設の設置に助成をしております。
 今後とも、関係機関と連携し、防災力向上に向けた地域の主体的な取り組みを支援してまいります。

○神林委員 都市整備局の看板事業でもあります緊急輸送道路沿道建築物耐震化促進事業や、特定整備路線の整備、木造住宅密集地域整備事業なども、長年にわたる局の努力により一定の成果を上げてきているところでございます。
 しかしながら、沿道建築物の耐震化については、平成二十四年三月で七九・一%、平成二十九年十二月で八三・八%、目標値では、平成三十一年度末で九〇%、住宅の耐震化についても、平成二十三年三月で八一・二%、平成二十七年三月で八三・八%、目標値では、平成三十二年度で九五%と、耐震化率向上が鈍化してきているのも事実でございます。
 私が従前にもお話ししたことですが、条件が整っているところでは施策が既にほぼ完了しており、この後残っている物件については、何らかの実施できない理由が内在しているものばかりでございます。当然、条件の緩和ですとか粘り強い対応が必要ですし、建物の倒壊や延焼火災を最小限に食いとめるための根本的な方策にも目を向けていくべきでございます。
 そこで、今後の建築物の耐震対策について、新規の取り組みも含め、お伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 今後の建築物耐震化の取り組みについてでございますが、特定緊急輸送道路沿道建築物につきましては、来年度から、震災時において通行機能を効果的に確保できるよう、特に倒壊の危険性が高い建築物を対象に、これまでの耐震改修だけではなく、建てかえや除却に対しても助成単価の割り増しなどを行ってまいります。
 また、現在、学識経験者などから成る検討委員会で、耐震化のさらなる促進策の検討が進められてございます。今後、その結果を踏まえ、都として実効性のある新たな施策を展開してまいります。
 戸建て住宅などにつきましては、整備地域内において改修等の助成を行ってまいりましたが、来年度からは、整備地域外においても、所有者への積極的な働きかけを行う区市町村を対象に、助成を実施してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、耐震化を加速してまいります。

○神林委員 また、木密地域を中心とした今後の市街地の不燃化対策についても、同じく新規の取り組みも含め、お伺いさせていただきます。

○安部防災都市づくり担当部長 燃えない、燃え広がらないまちを実現するには、木密地域の改善を加速させる必要がございます。
 このため、都は、引き続き、延焼を遮断する特定整備路線などの整備や、不燃化特区における老朽建築物の除却、建てかえ支援、都税の減免などを推進いたします。
 また、狭隘な道路を事業として拡幅して、地域の改善と不燃化を促進する防災生活道路につきましても、整備を加速するとともに、この機会を捉え、無電柱化を実施してまいります。
 来年度からは、これらの取り組みに加えまして、既存ストックである都有地を活用して、コミュニティを維持しながら権利者の移転を促す魅力的な受け皿づくりにつきましても、先行する地区で事業者募集などを開始いたします。
 また、都の提案も受け、国において密集市街地改善に向けた戸建て住宅の建てかえ補助が追加される予定でございまして、来年度、区と連携してこれをしっかりと活用してまいります。
 今後とも、一層の工夫を加えまして、さらなる取り組みを推進してまいります。

○神林委員 最後に、鉄道新線建設等準備基金等についてお伺いさせていただきます。
 東京都は、平成三十年度予算において、東京都鉄道新線建設等準備基金を創設いたしました。これは、一昨年四月に公表された交通政策審議会の答申第百九十八号において、事業化に向けて検討などを進めるべきとされた新空港線を含む六路線に関し、事業などの財源として活用することが目的となっております。あわせて、これら六路線の調査、検討を行うための調査費も計上されました。
 来年度予算において、これら六路線の整備に対する都の前向きな姿勢を示したことは、大変評価ができます。
 基金の創設に関しては、この先の質問の趣旨を明確にするため、質問させていただきます。先ほども質疑があったところでございますので、重複する部分については簡略で結構でございますので、このまま進めさせていただきます。
 まず、基金はどのような使途目的に適用されるのか、また調査費はどのような内容を調査するのかについて伺います。

○中島都市基盤部長 鉄道新線建設等準備基金でございますが、鉄道ネットワークのさらなる充実に向けまして、お話のありました六路線に係る事業などの財源を確保するために創設するものでございまして、例えば整備主体が補助制度などを活用して事業を実施する場合に、都の補助財源の一部に本基金を活用いたします。
 また、来年度の調査費につきましては、六路線を中心に、事業化に向けて必要な検討を深度化するものでございまして、具体的には、国勢調査や人口推計値、鉄道の輸送実績などについての最新の統計データを用いた需要予測、それを踏まえました需要確保策の検討、これらに基づきます採算性の検証などを行ってまいります。

○神林委員 来年度、こうした準備基金や調査費が計上されることによって、今後、新線計画の推進に向け、都は、国、関係自治体、鉄道事業者などとどのような経過や検討を経て取り組んでいくのか、お示しください。

○中島都市基盤部長 都はこれまで、答申で示されました六路線を中心に、地元自治体や鉄道事業者などの関係者と連携いたしまして、事業費の精査、採算性などの課題につきまして検討を行ってまいりました。
 来年度は、採算性の検証などの調査を実施し、課題の解決に努めていくとともに、事業主体や事業スキームの確立、費用負担の調整などにつきまして、関係者との協議、調整を加速してまいります。

○神林委員 新空港線については、大田区内の東西交通の分断解消を目指し、昭和六十年代から関係者間で検討が進められてまいりました。この間、羽田空港は再国際化され、今後は羽田空港のさらなる利用者の増加が見込まれ、都心や副都心を初め、東京圏の各方面と羽田空港間のアクセス向上が、今以上に求められることになります。
 新空港線が整備されると、JR、東急蒲田駅と、京急蒲田駅がつながり、東急多摩川線及び東横線、東京メトロ副都心線、西武池袋線、東武東上線との相互直通運転により、東京圏全体の鉄道ネットワークを強化することができます。
 こうしたことから、国の答申においても、新空港線は高く評価され、新空港線の整備効果の高さが証明されました。また、昨年九月には、関連十八区市連名で、早期整備着手に関する要望書が出され、都区間の協議においても、諸課題の整理が進んでおります。
 以上のことから、先ほどもちょっとございましたが、他路線に比べて最も進展している路線ということができます。
 都知事が予算公表の記者会見の中でお話しされていたとおり、この六路線を同時に整備することはできません。都の財政負担の一時的な歳出増加を避けて、平準化を図るため、準備ができた路線から進めるべきと考えますが、六路線の優先順位をどのように考えているか伺います。

○中島都市基盤部長 東京の強みであります鉄道ネットワークのさらなる充実の観点から、答申で示されました六路線の整備を促進していくことは重要であると認識しております。
 こうした新しい鉄道の整備には多額の費用を要するため、限られた財源を有効に活用し、効率的に鉄道ネットワーク整備を進めていく必要がございます。
 このため、今後、各路線につきまして、その整備効果や採算性など課題整理の状況に加えまして、地元自治体や鉄道事業者の取り組み状況なども踏まえて、事業実施の枠組みや支援につきまして判断していく予定でございます。

○神林委員 新空港線は、国の答申で示されたとおり、東急多摩川線の矢口渡から京急蒲田間の事業計画の検討熟度が高く、すぐにでも整備ができる体制が整っています。
 一日も早く新空港線の整備着手に向けた具体的な取り組みを開始すべきと考えますが、現在の協議状況と、整備に当たっての課題となっている点や、具体的な今後の取り組み、都のかかわり方についてお示しください。

○中島都市基盤部長 新空港線につきましては、国の答申におきまして、国際競争力の強化に資するプロジェクトの一つとして、事業化に向けて合意形成を進めるべきと位置づけられております。この路線につきましては、地元大田区が中心となり検討を進めてきたことや、また、区みずから基金の積み立てを行うなど、熱心に取り組んでおりまして、地元の期待が大きいことは十分承知しております。
 都といたしましては、昨年度から大田区や鉄道事業者などと連携いたしまして、事業費の精査や採算性などの課題につきまして検討を行ってまいりました。引き続き、大田区が想定しております都市鉄道利便増進事業を活用した場合の補助の対象範囲、費用負担のあり方などの課題につきまして、関係者との協議、調整を進めてまいります。

○神林委員 そこで、今回答にもありましたとおり、新空港線整備に当たり、都はどの程度の費用負担を想定しているのか、また、都市鉄道等利便増進法を活用する場合、地方負担のうち、都と区の費用負担割合はどのように考えているのか伺います。

○中島都市基盤部長 大田区は、新空港線の事業スキームといたしまして、都市鉄道利便増進事業の活用を想定してございます。この制度は、第三セクターなどの整備主体に対しまして、国及び地方公共団体が補助対象事業費の三分の一ずつを補助するものでございます。
 また、この制度では、地方公共団体間の負担割合に関する規定は定められておりませんので、今後協議していくということになります。

○神林委員 一歩踏み込みまして、新空港線を都市計画事業として実施する場合、新空港線が都市計画事業の対象となる条件は何なのか、お示しください。

○中島都市基盤部長 鉄道の新線建設を都市計画事業として実施する場合には、都市高速鉄道としての都市計画を定め、都市計画事業の認可を得る必要がございます。都市計画事業の認可に当たりましては、事業の内容が都市計画に適合し、かつ事業施行期間が適切であること、事業の施行に関しまして、鉄道事業法に基づきます許可を得ていることなどが条件となっております。

○神林委員 新空港線は、国の答申にも示されているように、現在、検討が進められている矢口渡から京急蒲田間に加え、京急空港線の大鳥居まで延伸することで、本路線の効果が発揮されます。
 京急蒲田から大鳥居間の今後の見通しについて伺います。

○中島都市基盤部長 新空港線は、東急多摩川線の矢口渡から、京急蒲田を経て、大鳥居におきまして京急空港線に乗り入れる路線でございます。
 国の答申では、このうち矢口渡から京急蒲田までの区間につきましては、事業化に向けて合意形成を進めるべきとされておりますが、残りの京急蒲田から大鳥居までの区間につきましては、軌間、線路幅が異なる路線間の接続方法などの技術的な課題があることが示されております。
 このため、まずは矢口渡から京急蒲田までにつきまして、大田区や鉄道事業者などと連携して、事業化に向けて取り組んでまいります。

○神林委員 京急蒲田から大鳥居間の整備が終わらなければ、十分な整備効果は期待できません。矢口渡から京急蒲田間の事業が完了した後にその先の事業を立ち上げるのでは--先行事業に並行して、京急蒲田から大鳥居間の整備に必要な手続を進めておくことで、全体の事業期間を短縮することができます。
 あらゆる工夫により新空港線の早期整備が実現するよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○たきぐち委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時三十分開議

○たきぐち委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○白石委員 岸記念体育会館について質問をいたします。
 この問題は、森喜朗元首相を中心にした自民党の政治家が介在して行政をゆがめ、日本体育協会という特定の民間団体を特別に優遇するという、行政としてはあってはならない問題だと、日本共産党都議団は考えております。その立場から、この問題をこれまでも追及をしてきました。
 しかし、東京都はこれまで、森元首相ら政治家の介在を一切否定してきました。日体協に対し特別の優遇をした事実も否定をしております。
 こうした事実を隠すために、東京都は、この問題は全て平成二十七年、二〇一五年十二月から始まったと、このような筋書きにして、例えば、我が党の吉田信夫前都議会議員や、そして私の本委員会での質疑に答弁をされてきました。
 我が党は、ことし二月、国会の議員会館で、日体協からのヒアリングを行っております。そこで日体協も、東京都と口裏を合わせて、全て二〇一五年十二月から始まったと説明を行いました。
 ところが、日本共産党都議団の情報開示請求によって、その筋書きが成り立たなくなり、三月一日の私の代表質問において、これまでの答弁を根底から変えざるを得なくなったのが、これまでの真相です。
 二〇一六年五月の本委員会で、私は、日体協の神宮外苑への移転について、都はいつから日体協と話し合っていたのか、経過をただしました。これに都市整備局は、二〇一五年十二月二十二日に同協会、つまり日体協ですね、同協会から要望が出されてから、日体協との協議が始まったと、このように答弁をされております。
 一方、先日、三月一日の私の代表質問への邊見都技監の答弁は、二〇一五年十二月十五日以前に、神宮外苑の都有地について、移転候補地として都から日体協に示したと。さらに、都が日体協に対して、岸記念体育会館の神宮への移転の検討を二〇一二年に提案していたと、このように答弁をされました。突然、答弁が三月一日、変わったんですね。
 そこで、まず初めに邊見都技監に伺います。
 先日、十三日の曽根はじめ都議による予算特別委員会代表総括質疑で、邊見都技監は、虚偽答弁を認めず、謝罪も訂正もしませんでした。その後、心境の変化はありましたか。依然として、虚偽答弁だったという認識はないと、謝罪する気もないと、このような立場をとりますか。いかがでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 先ほどの馬場副委員長からの質疑にもお答えしましたとおり、虚偽答弁には当たらないと考えておりますが、説明に丁寧さを欠いた部分があったことにつきましては、邊見都技監の方からもおわびを申し上げたところでございます。

○白石委員 私は山崎部長に聞いたんじゃないんです。邊見都技監に聞いているんです。邊見都技監、どうですか。

○邊見東京都技監 先ほどもご答弁申し上げましたように、虚偽答弁に当たるものではないと考えますが、結果として丁寧さを欠く部分があったことについて、おわびを申し上げたとおりでございます。

○白石委員 まだ虚偽答弁ではないと、そんなことをいっているということが明確になりました。そんな話は通用しないと、改めて厳しく指摘したいと思います。
 虚偽答弁だというのは、これまでも私、指摘してきましたが、じゃあもう少し角度を変えて邊見都技監に聞きます。
 邊見都技監に伺いますが、同じ趣旨の質問に対して異なる答弁をしたということは認めますね。どうですか。邊見都技監どうですか。

○山崎まちづくり推進担当部長 平成二十八年の文書質問及び都市整備委員会での答弁につきましては、都市計画の協議の契機となりました文書のやりとり等についてお答えをさせていただいたものでございます。
 今回、代々木公園の用地取得費等を予算計上するに当たりまして、私ども改めて関連する情報を整理し、その上で、開示請求のあった事項に照らしまして、開示手続を踏んで資料を開示し、先日の代表質問においても、そうした情報の整理に基づき、具体的な答弁を行ったものでございます。

○白石委員 私、邊見都技監に聞いているんです。山崎部長に聞いているわけではございません。
 まず、邊見都技監に改めて伺います。
 私が都市整備委員会、二〇一六年五月に質問をいたしました。その質問の趣旨と代表質問及び予特でも質問いたしましたけれども、事実と異なる答弁をしたということは認めますね。邊見都技監、どうですか。

○邊見東京都技監 いずれも事実に基づき答弁をしているということは、再三申し上げているとおりでございます。

○白石委員 どちらも事実だったと。だから問題はないと。このような答弁でした。この虚偽答弁の事実を素直に認めて謝罪して訂正するのが本来の筋だと思います。この問題、後でもう一度ゆっくりと議論していきたいというふうに思います。
 次に進みたいと思います。
 曽根都議会議員の予算特別委員会代表総括質疑で、日本共産党都議団は、森元首相らが介在、関与していたことを示す三つの文書を明らかにいたしました。邊見都技監は、三月一日の私の代表質問でも、十三日の曽根都議会議員の代表総括質疑でも、森元首相からの相談、働きかけ、接触はあったのかとただしたのに対し、記録は見当たらないと、このように答弁を繰り返しております。しかし、私たちが明らかにしたのと同じ文書が、十六日、つまり三日前、金曜日の夜中ですね、開示がされました。黒塗りなしの全部開示となりました。
 委員長、今から配布をしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○たきぐち委員長 認めます。

○白石委員 理事者の皆さんにもお配りをしてあると思います。委員の皆さんには手元に行ったと思います。邊見都技監もお手元にあるということでよろしいですね--それでは、都市整備局に確認をいたします。今配布した文書、皆さんが開示したものに間違いないですね。お聞かせください。

○山崎まちづくり推進担当部長 ただいま配布されました文書につきましては、都が開示したものでございます。

○白石委員 予算特別委員会で曽根都議会議員が示した、私たちが示した三つの文書が、開示によって出てきたと。要するに、都市整備局が作成したものであったということが明らかになりました。私たちは三日前にCD-ROMで開示を受けましたが、その中にあった文書を、きょうはそのままコピーしたものです。ほかにも資料は入っていますが、最初の部分はその文書になります。
 時系列でいいますと、最初が平成二十四年、二〇一二年二月二十八日、霞ヶ丘競技場の建替えについて(萩生田元代議士と情報交換)という文書です。この資料の一枚目ですね。さらに二番目が、同年五月十日のV2V4レク議事メモ(部長からの聞き取り)という文書です。V2は当時の佐藤副知事、V4は同じく当時の村山副知事です。これが資料の二枚目に添付されております。そして、三番目が、同年五月十五日の神宮外苑の再整備についてという文書です。衆議院第二議員会館三〇一号室で、森喜朗衆議院議員と面談した記録と。この三つの文書が、三日前の金曜日の夜中に都市整備局から開示をされたということになります。
 改めて邊見都技監に伺います。
 この三つの文書の存在をいつから把握しておりましたか。お答えください。

○山崎まちづくり推進担当部長 来年度予算案に代々木公園の用地取得費等を計上するに当たりまして、私どもの方で改めて岸記念体育会館の移転にかかわる経緯に関する資料の整理を行いました。その中で存在を認識したものでございます。

○白石委員 邊見技監に聞きました。邊見技監、この三つの文書の存在をいつから把握をしたんですか。お答えください。

○邊見東京都技監 ただいま部長が答弁したとおりでありまして、そのころだったかと思います。

○白石委員 済みません、確認をしたいんですが、山崎部長の答弁は、この間の我が党の質問に対して、改めて整理をしたら出てきたということですか。いつこれを把握したんですか。お答えください。

○山崎まちづくり推進担当部長 議会でのご質問をいただいて整理したということではございませんで、来年度予算案の計上に当たって整理したものでございます。その中で存在を確認したものでございます。

○白石委員 具体的に述べていただきたいと思います。それは何月のことですか。お答えください。

○山崎まちづくり推進担当部長 岸記念体育会館の移転に関する経緯につきましては、昨年の十二月に、小池知事の方に都市整備局からご報告をさせていただいております。その際には、知事にもご報告をさせていただいたかと記憶しております。

○白石委員 答弁に正面から答えようとしていないんです。いつから把握をされたのかということを伺っているんです。知事のブリーフィングのときとか、そのようなことを伺っているんじゃないです。都市整備局は、この三つの文書をいつから把握をされていたのか、明確にお答えください。

○山崎まちづくり推進担当部長 必ずしもいつからというところが、明確な記憶があるわけではございませんけれども、昨年の十一月に、これは建設局の方になりますが、来年度予算に公園の用地取得費等を要求したいということで、知事に説明をしていたかと思いますが、その後、知事からも、しっかり経緯を調べて報告するようにというご指示がありまして、その中で把握したというように記憶をしております。

○白石委員 具体的にはなかなか答えられないけれども、昨年十一月以降に把握したということでよろしいんですね。
 いわば、記録は見当たらないと、このように答弁をされた私の代表質問が三月一日。このときには、この三つの文書というのを、存在を把握していたと。三つの文書は見ていたということでよろしいですね。お答えください。

○山崎まちづくり推進担当部長 先日の代表質問の際には、この文書については把握をしておりました。

○白石委員 記録は見当たらないと、代表質問、予特でも繰り返し行っていましたが、文書自体は、みずからこの三つの文書は、あったことは把握をしていたということになります。
 この問題も、あくまで虚偽答弁で隠し通そうと、このようにしておりますが、予特質疑を受けた我が党の再度の情報開示請求で、いよいよ逃げ道がなくなって、情報開示せざるを得なくなったと。そして出てきたということになります。
 それでは、文書の中身、どうなっているのかということです。
 まず、五月十五日の森喜朗衆議院議員との面談記録です。これは資料の三枚目を見ていただきたいと思います。
 文書のタイトルは、神宮外苑の再整備についてと。日時は、平成二十四年五月十五日、時間は十三時三十分から十三時四十五分。場所は、衆議院第二議員会館の三〇一号室と。先方は森喜朗衆議院議員、東京都からは佐藤副知事、安井技監と記録されております。
 文書の冒頭で、佐藤副知事が、神宮外苑の再整備について、東京都として考えているイメージをご説明に伺ったと、このように冒頭、話しております。見ていただければわかります。技監がおっしゃるように、確かに東京都から説明に行ったものだということになると思います。
 しかしですね、岸記念体育会館の移転の話を切り出したのは、これを読めばわかりますが、森衆議院議員からです。安井技監と佐藤副知事が神宮外苑の再整備について説明したのを受けて、森氏が、ここにNAASH所有、つまり今のJSCですが、このNAASH所有のテニスコートに日体協も移転させるといいと。どのくらいの規模が建つのかと、これがここに、文書に記載をされています。つまり、森衆議院議員が日体協も移転させるといいんじゃないかと。どのぐらいの規模が建つのかと持ちかけているんですね。
 これは、岸記念体育会館の移転について、森氏からの東京都への相談、働きかけではないんですか。お答えいただきたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 まず、先ほどのご質問といいますか、お話の中に、先日の代表質問で、都技監からその記録が見当たらない旨の答弁があったかのようなご発言がございましたけれども、都技監からは、働きかけがあったとの記録は見当たらないというご答弁をさせていただいたものでございます。
 また、この文書の記載の内容につきましてですけれども、まず、そもそも日本体育協会に対して都が移転の検討を提案したのが、平成二十四年の四月六日でございます。この文書の日付は、その後の日付、二十四年五月十五日でございます。また、この際、私どもの方は、神宮外苑地区全体の再整備についてのご説明に伺ったというような記録でございます。
 ここの中で、森氏から日体協の移転の話も出ているような記載はございますけれども、内容を見る限り、これが働きかけというようなものには当たらないというふうに考えております。
 以上のことから、森氏からの働きかけの記録には当たらないというふうに判断をしたものでございます。

○白石委員 今、冒頭に、働きかけというふうな認識がなかったから、そこは除外して、私たちの質問に対しては見当たらないと、このような答弁をしたということですね。じゃ、どういうことですか。お答えください。都技監、どうぞ。

○邊見東京都技監 先方からの働きかけがあったのかというご質問に対して、そういった記録は見当たらないというふうにお答えを申し上げたものでございます。

○白石委員 先方からの働きかけがあったのかということについて、それで見当たらないというふうにいったと。この文書を見れば、私たち--以前から話していたから働きかけじゃないんだといいますが、森さんからまず、日体協を移転させるといいと、どのぐらいの規模が建つのかと、このようなことが投げかけられるわけですね。こういうのを、一般的には働きかけというんです。今みたいな話、通用しないんですよ、そもそも。
 森氏がNAASH所有のテニスコートに日体協も移転させるといって、どのくらいの規模が建つのかと持ちかけて、佐藤副知事が、隣接する明治公園も敷地に使って、高さなどの規制緩和が可能と、このように答えているんですね。このやりとりが記録されているのは事実だと思います。確認しますが、どうですか。

○山崎まちづくり推進担当部長 確かにそのようなやりとりが記載されているというのは、読めばわかるわけでございますが、まず日体協の岸記念体育会館の移転につきましては、この日付よりも前に都から提案したものでありますし、さらにさかのぼって、平成二十三年の九月ごろからは、都において国立競技場の建てかえを契機とした、周辺の区域も含めた再編整備について検討をしていたと。その中には、岸記念体育会館を神宮の外苑の方に移転をさせるという案も検討をしておりましたので、そういうことも念頭に置かれての発言かと思います。

○白石委員 この文書の冒頭で、佐藤副知事が森衆議院議員に、別紙参照と記録されている資料を示して、ステップワン、ステップツーという説明を安井技監がしております。
 この別紙参照とされている資料を直ちに見せていただきたいと思いますが、いかがですか。

○山崎まちづくり推進担当部長 お話の別紙につきましては、現在、開示の手続中でございます。

○白石委員 開示の手続中だと。これはあるということになると思います。
 我が党は、この文書を五月十五日から約半月前の四月二十七日、石原知事へのブリーフィング資料の開示を既に受けております。その開示の資料の中に、ラグビーワールド杯、オリンピック開催時とオリンピック開催以降という二段階に分けて、知事にそのときに説明した図が入っております。きょう、パネルで持ってきました。
 見えにくいかもしれませんが、これが我が党に開示をされている、オリンピック開催前の資料。ごらんになってわかるように、黒塗りとなっているのはおわかりですね。
 続いて、これも開示で受けました。これがオリンピック開催以降という資料で、同じく黒塗りということです。
 この五月十五日の森氏との面会で、先ほどいったように、書いてありますが、別紙参照と資料がついております。ここに、この図面について、都は、見ればわかりますが、新競技場の敷地、競技場周辺のバリアフリー化と都市計画公園のつけかえのために、人工地盤を整備、サブトラックは競技場のほか、NAASH本部、日本青年館の移転先として、テニスコート、NAASH所有を想定としております。
 ラグビーワールド杯、オリンピック開催時の知事ブリーフィング資料でも、先ほど示しましたが、新競技場の敷地、バリアフリー化、人工地盤の整備が書かれ、テニスコートのところがスポーツ競技団体施設の整備となって、森氏への説明と知事へのブリーフィング、大体説明は一致をしております。
 また、五月、これはステップツーですね。オリンピック終了後については、五月十五日の森氏との面会では、第二球場跡地に恒久サブトラック、神宮球場とラグビー場の敷地の入れかえの利点、青山通り沿道の民間再開発の動向、外苑前駅地下道の延長可能性等などと、その詳細な説明が行われているようですが、石原知事へのブリーフィング資料として私たちに開示されたものは、先ほど示しましたが、黒塗りになっております。公にすることによって、法人の事業運営が損なわれると。未成熟な情報が確定した情報と誤解され、都民の間に混乱を生じさせるとか、さらには、公にすることにより関係権利者が信頼を失うなど、関係権利者の事業運営が損なわれることで、関係権利者と都との信頼関係も損なわれるなどと、このような理屈で、私たちが開示をしたら、ほぼ真っ黒けになっているということです。
 森衆議院議員に説明した資料とほぼ類似のものだと思いますが、違うなら違うといっていただきたいと思いますが、時期も一致をしているし、面談記録にもある話の中身、符合していますので、類似した、または同じものだろうと思いますが、いかがでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 今、手元に、その別紙の方がないもので、確認ができませんけれども、内容を見ますと、ステップワンとかステップツーといういい方は、ステップワンが、いわゆるオリンピックまでにまちづくりを進めていく区域について、ステップツーは大会後にまちづくりを進めていく区域について説明している内容かと思います。
 先ほどの知事ブリーフィングの資料ということで開示をさせていただいたものも、そのようになっていた、分かれていたかと思います。

○白石委員 少し歯切れが悪いので簡単に聞きます。類似した資料でいいと。よろしいですね。お答えください。

○山崎まちづくり推進担当部長 別紙につきまして、今、手元にございませんので、ちょっとお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

○白石委員 だったら、今、確認できますか。いかがですか。

○山崎まちづくり推進担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、その別紙につきましては、現在、開示手続中ということでございまして、その内容についてはお答えを差し控えさせていただきます。

○白石委員 大体時期も符合しておりますし、そして話している内容もほぼ一致していると。情報開示の手続中ということなので、早急に出てくるであろうというふうに思います。私たち、これ一緒のものだというふうに思っています。
 先ほど示しましたけど、私たちに開示されている資料は、ほとんど全部黒塗りなんです。森衆議院議員の説明は、明らかに黒塗りではない資料で説明をしていると思います。先ほどの五月十五日のこのメモを見ていただければわかると思います。図面を見ながら詳細なやりとりをしております。
 そして、説明を受けて、多分、この図面を見ながらですね、森衆議院議員は、佐藤さん、すばらしい案じゃないか、長生きしないとと。大喜びして、最後にもう一度、すばらしいよ、あと十五年は長生きしないとという発言で終わっている。まさか黒塗りの資料でこんな会話にはならないと思います。
 都民に対して黒塗りしか出さない資料を、森衆議院議員には黒塗りなしで見せて、詳細な説明をしたということでしょうか。いかがでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 その森喜朗氏にお示しした別紙という部分につきましては、再三ご答弁申し上げましているとおり、今、確認もできませんし、開示手続中ということでありまして、お答えを差し控えさせていただきます。
 なお、開示させていただきました知事ブリーフィングの資料につきましては、ルールにのっとって開示、非開示の判断をし、一部開示とさせていただいたものでございます。

○白石委員 開示の手続中だったらわかると思うんですよね。手続をやっているんですから、その資料を見ているわけですから。この先ほど示した資料と同じ資料、または類似している資料だということは、本来であればすぐに答弁なんかできると思います。それをなかなかごまかしていわないと。開示して出されるので、後で確認はいたしますが、ステップツー、すなわちオリンピック終了後についてですが、恐らくこっち側の図を使って説明をされたんだと思います、森氏に対してですね。
 佐藤さん、すばらしい案じゃないか、長生きしないとと。その後に、サブトラックもここがいいと。神宮球場とラグビー場の入れかえについて、ラグビー場の芝もそのとおりだし、新競技場とサブトラックに近い方がいいと、詳細に褒めたたえています。先ほどもいいましたけれども、まさか、黒塗りの図を見て、すばらしい案じゃないかみたいなことを大喜びしているということにはなり得ないと思います。
 森氏への説明が黒塗りでない場合、青山通り沿道にビルを構える伊藤忠などの法人も入ってくると思われますが、都は、公にすることにより、法人の事業運営が損なわれるとか、公にすることによって関係権利者が信頼を失うなど、関係権利者の事業運営が損なわれることで、関係権利者と都との信頼関係も損なわれると、このようにいって、我が党には非開示をしています。それが森氏になると、ラグビー議連の役員とかそのようなことをいって、黒塗りではない資料で説明に上がっていると、このようなことになると思います。
 都議会の共産党に見せたら信頼を失う可能性があるけれども、森氏に見せる分には、法人の事業運営が損なわれたり、関係者と都との信頼関係が損なわれたりはしないというようなことでしょうか。どうでしょうか。そこら辺をお答えいただきたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 繰り返しのご答弁になりますが、森氏に示したという別紙につきましては、開示手続中ということで、お答えは差し控えさせていただきます。
 また、ブリーフィングの資料につきましては、情報公開条例に基づいて、開示、非開示の判断をした上で、一部開示とさせていただいているものでございます。

○白石委員 まさに特定の政治家の意向を伺って都市行政を進める姿だということが浮き彫りになっていると思います。
 私たちへの非開示の理由は、先ほども何度もいっていますけれども、公にすることによって法人の事業運営が損なわれると。公にすることにより関係権利者が信頼を失うなどとされています。そういう資料を森衆議院議員に見せてよいのかと、素朴な疑問が湧いてきます。森衆議院議員には情報公開条例は適用されないということでよろしいでしょうか。

○桜井総務部長 情報開示請求は、東京都に対して開示の請求があった者に対して行うものでありますので、こちらから説明するというものに対して、その開示請求の手続を行うということはございません。

○白石委員 今の答弁、はっきりしました。まさに特定の政治家の意向を伺うためには、開示、私たちには黒塗りで開示をするけれども、森衆議院議員などには全て明らかに、しっかりと説明できるように白抜きで、そして詳細に説明をすると。このような姿こそ、今の東京都がこれまでやってきたブラックボックスの一部だというふうにいわざるを得ないと思います。森衆議院議員には見せられるけれども、都民にとって見せることができない内容が書かれていると。とんでもない話です。
 次に、二月二十八日、霞ヶ丘競技場の建てかえについて、萩生田元代議士との情報交換を記録した文書について伺いたいと思います。お配りした資料の一番初めになると思います。
 時間は、十四時三十分から十五時というふうに記載をされています。情報交換の場所は、自民党控室と、このように記録がされております。これは都議会自民党の控室でしょうか、お伺いしたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 普通に読めばそういうことかなと思うんですが、そこは確認できておりません。

○白石委員 一つ一つ事実確認をしていかなければいけない質問になりますので、今、確認して答弁をしていただきたいというふうに思います。確認できますね、今、どうですか。

○山崎まちづくり推進担当部長 確認をしろといわれましても、当人に聞く以外、ちょっと確認のしようがないと思うんですけれども、それはちょっと直ちにはできかねます。

○白石委員 開示するときに当然確認しているはずだと思うんですね。なので、今、直ちにはできないということになるんであれば、後で報告するように求めておきたいと思います。自民党控室は、都議会の自民党控室なのかどこなのかと、それは確認できるはずだと思いますので、後で報告してください。
 この文書で、萩生田元代議士は、ところで日体協は、岸記念体育会館の現地での建てかえは財務省との関係で難しいので、霞ヶ丘に移ってNAASHと一緒のビルに入りたいといっていると。ここでも、東京都ではなく、萩生田氏の方から、岸記念体育会館の移転を持ち出している。萩生田氏は、この文書の初めの方で、森元首相から、君が文科省、NAASH、都を横断的に調整してくれといわれていると述べています。つまり、自分がどういう立場かをまず明らかにして、それから話に入っています。
 萩生田氏の発言は森氏の意を酌んだものであることは、これを見れば明らかだと思います。これは、萩生田氏や森氏から、岸記念体育会館の移転についての相談、働きかけに当たるのではないでしょうか。いかがでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 お配りいただいた資料の中にちょうど入っているんですけれども、資料の後ろから二枚目に、安井順一前東京都技監へのヒアリングというのをおつけいただいております。その中、一番最後のところですけれども、JSCとの間では、都が移転の提案をする前に、さまざまな意見交換の中で、先方もスポーツ団体が集まった方がよいということはいっていた気がするし、こちらは、岸体の現地建てかえがなかなか難しいということはいっていたと思う、スポーツ団体同士で移転の話があっても自然だったと思うと。このようなことをおっしゃっていましたので、推測するに、都とNAASH、現在のJSCの間ではいろんな意見交換がされていたと。その中では、スポーツ団体の集約というような話もされていたようですから、岸記念体育会館の移転の話もあったのかもしれません。
 その先の日体協との関係につきましては、これも安井氏の--まあ、あくまで推測の話で、スポーツ団体同士でそういう話があっても自然だということで、それ以上のことは我々としてもわかりません。

○白石委員 今、安井氏のヒアリングの資料に基づいていわれましたが、安井氏、後でもやりますけれども、ここで萩生田氏から日体協の移転の相談を受けていないと、このように述べているんですね。
 しかし、これ見ていただければわかりますが、何というふうに萩生田氏がいっているかというと、藤原理事と我々の三人で会おう、ところで、日体協は岸記念体育会館の現地での建てかえは財務省との関係で難しいので、霞ヶ丘に移ってNAASHと一緒のビルに入りたいといっていると。NAASHが誘っているのではなく、日体協が望んでいるのかと安井氏が答えているんです。そして萩生田氏は、改めて日体協が望んでいるようだと、このように接触していると。既にヒアリングの際に、萩生田氏からは、日体協の移転の相談を受けていないと、このように皆さんは聞いたのかもしれないですけれども、完全に虚偽だということは明らかだというふうに思います。
 そもそも、当時落選中の元代議士と、霞ヶ丘競技場の建てかえについて、なぜ情報交換をしなければならないのか、明確にお答えいただきたいと。

○山崎まちづくり推進担当部長 安井前都技監とは、主に森氏など、政治家とのかかわりについてヒアリングを行ったんですけれども、その中で、JSCの話が出されたというふうに承知をしております。ただ、安井氏がうそをいっているということではなくて、人の記憶ですので、それは覚えていないこともあろうと思います。
 お尋ねの点につきましては、特に安井さんからそういったお話もありませんでしたので、こちらとしては把握はしておりません。

○白石委員 記憶がないといいますけど、記録が残っているわけですよね。萩生田氏から実際に、この移転について、日体協が一緒のビルに入りたいといっているんだと。で、安井氏が聞き直すわけですよね、日体協が望んでいるのかと。そうなんだと、実際、記録に残っているわけです。
 私がそもそも質問したのは、そもそも萩生田氏というのは、この当時というのは元代議士です。国会議員ではありません。この萩生田氏と霞ヶ丘競技場の建てかえについてなぜ情報交換をしなければいけないのかという、この必要性について明確にお答えいただきたいということで質問いたしました。もう一度よろしくお願いいたします。

○山崎まちづくり推進担当部長 お尋ねの資料の内容につきましては、開示した資料以外に、現時点で特定できているわけではございませんので、そのなぜというところの理由はわかりません。

○白石委員 ますます、やはりここにかかわっている政治家など当事者から、しっかりと聞き取りも含めて質疑をしなければいけないということを、改めて強調させていただきたいと思います。
 萩生田氏が、広いエリアで考える必要があると、このように資料の中に入っています。案の作成は、スポーツ振興局では無理だろうと発言したことに、安井氏は、競技場の事業者であるNAASHがまとめるべきだが、都が素案を実質的につくりNAASHからそのまま提案させるような形にさせたい、NAASH側に都と調整できる信頼できるパートナーはいるかと、このように応答します。萩生田氏は、藤原理事がよいのではないか、会ったことはあるかと、このように聞き、河野理事長の随行として二度会っている、信用できる方か、都市計画決定まで継続的に調整できるかと、さらに安井氏が問いただすと、萩生田氏は、信用できる、彼はこの話をまとめないと文科省に帰れないだろうと、このように発言もしております。
 森元首相に近い関係にある政治家が文科省に帰れないと、このような発言をすれば、相当なプレッシャーになるというふうに思いますけれども、このようなやりとりも聞いて、今実際、萩生田氏から森元首相に近い関係だというふうに最初に述べた上で、これを、話をまとめなければ文科省には帰れないだろうと、このような発言をしているというふうなところでは、都としては、この発言をすれば相当なプレッシャーになるというふうに思いますけれども、どのように受けとめているのか、見解を伺いたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 神宮外苑におけますスポーツクラスターの形成につきましては、国立競技場の建てかえ、あるいはオリンピック・パラリンピック大会の招致といった国家プロジェクトと連動した取り組みであったわけでありますから、都がNAASH、JSCのいろいろ相談に乗って、その実現に向けていくということは、何ら不自然なことではないというふうに思っております。

○白石委員 都がJSCと相談するのは何ら不自然じゃないと。いや、不自然じゃないですか。元代議士の萩生田氏とこのようなご相談をしてやっているわけですから、どう考えたって不自然だと思います。
 さらに、安井氏が、調整できる技術職員はいないかと聞くと、萩生田氏は、聞いてみると。藤原理事と我々の三人で会おうと答えています。自民党の元代議士が東京都と国立競技場を管理するNAASH、すなわち現在のJSCの幹部と、なぜ調整をする必要があるのかというところだと思いますが、先ほど不自然ではないというふうにお答えになりました。
 だったら答えていただきたいと思います。自民党の元代議士萩生田氏と、それからJSCの幹部と、そして東京都、なぜ三人で調整する必要があるのか、明確にお答えください。

○山崎まちづくり推進担当部長 先ほど申し上げましたとおり、神宮外苑におけるスポーツクラスターの形成は、都の政策として取り組んでいたものでございます。都といたしましては、都の政策目的あるいは目指すべき都市像の実現、地域への貢献といった観点から、まちづくりに取り組んでいるわけでございます。
 働きかけの有無によって、都の取り組みがゆがめられているようなことではなかろうかと思っておりますし、そもそもこれは働きかけに当たるような内容ではないというふうに考えております。

○白石委員 ますます聞いてわからなくなる。萩生田氏から、いないと調整ができないと。そんなことがあるのかと。誰が聞いたって、JSCと、そして元代議士の萩生田氏と、三人で会って調整することが必要不可欠だと、それが都の政策の実現のために必要なんだと、こんなことがまかり通れば、これこそまさしく、政治家が介在をしているという明確な事実になるんじゃないですか。いかがですか。

○上野技監 今、幾つかご指摘がございましたけれども、ちょっと若干丁寧にご説明させていただきたいと思います。
 まず、二十四年五月十五日ですかね、この点につきましては、これが森氏の働きかけではないかということでございます。これは今、先ほどからご説明しましたように、まず、佐藤副知事の方から、東京都として考えているイメージを説明に上がったと。東京都から説明に上がっております。
 それから、今、別紙参照ということで--開示請求中ということで、そのパネルが開示請求中のものかどうかというのはよくわかりませんけれども、何か東京都から資料を持って説明に上がっていると。その中には、恐らくこの当時、先ほど説明ありましたように、平成二十四年四月に都の方から提案した後でございます。東京都の方から日体協の方に、現地建てかえだけではなくて、日体協、こちら外苑の方に移ることも検討したらどうかと、こちらから提案したわけであって、ボールは日体協の方に行っているわけです。
 ですから、恐らくこの段階では、日体協の方で、都からの提案を受けて、どうしようかと考えている段階、そういう段階ですから、もし仮に都から絵を描いたとしても、その段階の絵の中には、日体協の部分は入っていないであろうと、そういったことは恐らく推測できます。これは第三者的にもそういうふうにいえると思います。
 そういった意味で、この森さんの真ん中のところですね、ここに日体協も移転させるといいと。こういった文脈はどういうふうに読むかと。これは恐らく、普通の人が第三者的に読めば、これは恐らく都の計画の中身を聞いて、恐らくそれがいいというふうな感想をおっしゃったのではないかというふうに受けとめられますから、これをもって働きかけだという、そういう解釈もあるかもしれませんけれども、普通の第三者的にいえば、そのような指摘は当たらないというふうに思われます。
 それから、次の、佐藤さん、すばらしい案じゃないか、長生きしないととか、その後、すばらしいよと、あと十五年は長生きしないととおっしゃっていますけれども、これは岸体育会館のことをいっているのではなくて、書いてあるように、ステップツーでございます。ステップワンとステップツーの違いは何かというと、オリンピック開催前がステップワンでございます。その開催後のまちづくりの方針をしているのがステップツーでございまして、すばらしい案じゃないかとかおっしゃっているのは、神宮外苑、オリンピック開催後のことをおっしゃっているということでございますから、これをもって岸体育館のことをいっているというふうな指摘は当たらないと思います。
 それから、萩生田さんのところでございますけれども、これにつきましては、これも第三者的に読めば、何をもって働きかけなのかという解釈はいろいろあるかもしれません。ですけれども、これを素直に読めばですね、萩生田さんは、ここは日体協がNAASHと一緒のビルに入りたいといっていると。それから、NAASHが誘っているのではなく、日体協が望んでいるのかということについては、日体協は望んでいるようだと。これは単に伝言しているだけだということで、これが一体何の働きかけに当たるのかといったご指摘については、全く疑問というふうに申し上げたいと思いますし、これにつきましては、私自身も、こういう発言がなぜ二十四年の四月の東京都の提案の前にこういう会話がなされるのかということについては疑問でしたので、先ほど部長からお話がありましたように、安井元東京都技監にヒアリングしたところで、そこは確認いたしました。
 お手数を煩わせて恐縮ですけれども、お手元にお配りされている、先ほど紹介がありましたように、ヒアリングの記録がついております。それは、何ページか、何か行方不明ですけれども……。(「最後から二ページ目です」と呼ぶ者あり)済みません。これは私の方から聞いたわけです。萩生田さんからの、日体協の移転の相談を受けているんですかと聞きましたら、受けていませんとはっきりおっしゃっていました。
 それから、JSCというか、いろいろその間があったといっているんですけれども、日体協の話題が上がり得るのかというふうなことをお尋ねしたところ、そういった話はJSCの間で話すようにしていたから、JSCと日体協の間で会話がなされていたことは十分あり得ると、そういうことを聞いておりました。
 ということで、もとに戻りますけれども、そもそもここの外苑地区の開発は一体何なのかということでございます。これは、先ほど説明ありましたように、まず平成二十三年当時、国立競技場の建てかえというものをきっかけに始まっているわけです。これは、もともと東京都が二〇一六年のオリンピック招致を目指していたわけです。そのときには、メーンスタジアムをどこにつくるかといったときに、それは晴海につくると石原さんはおっしゃったわけです。ところが、二〇一六年招致は失敗しましたし、それをもう一回やり直そうという機運がまず盛り上がる前に、国立競技場そのものの建てかえの話が浮き上がってきたわけです。それが平成二十三年当時にもう上がっているわけです。
 それでその当時から、文科省サイドからは、都の方には相談がありましたし、そういった意味で、これは何をもって働きかけかというのはあるかもしれませんけれども、文部大臣を経験された方とか、文科大臣の政務官を経験された方に、何かお話をするとか相談するということは当然あったと思いますし、あり得たと思います。
 それにつきましては、これまで答弁の中に、事前の調整などについては、相談とか調整というのはさまざまあるでしょうということはお答えしていますから、何ら虚偽ではありません。
 それから、その働きかけでございますけれども、働きかけの何が悪いのかということだと思うんですね。働きかけというのは、解釈もあるかもしれませんけれども、先ほどの続きを申し上げれば、国立競技場そのものは、まさに、初めは単独の老朽化というか、狭隘化を発端に、JSCそのものの方から、当時のNAASHの方から、建てかえたいと、そういう意向があったわけですけれども、ラグビーワールドカップの開催が決まりましたし、それは国会の方でも決議して決まったし、それについては、国の方も挙げて、国策として推進するということでしたし、その流れの中で、その前年に東京都は神宮外苑地区を、スポーツクラスターを形成する拠点として位置づけていたわけです。
 そのときに、たまたま国立競技場の建てかえという話が入ってきて、それを契機に、その神宮外苑地区のまちづくりを加速していこうではないかというのが、当時の考え方としてあったわけです。
 その中で、その加速していくときに何が課題かということであります。国会の決議でもってなされたとき、議員連盟でしょうか、決議でなされたときに、八万人規模のスタジアムをつくるということだったわけです。八万人ということは大変な数なわけです。その方々を一どきに、またラグビーだけでなくて、その後のいろんな競技に使われますし、それからあの周辺には、国立競技場だけでなくて、さまざま大規模なスポーツ施設がありますから、大勢のお客様があの地域に、一どきに来るという可能性があり得るわけです。
 そういったときに、その大勢のお客様を安全に快適に、その移動動線を確保する必要がまずある。バリアフリー動線を含めて確保する必要があると同時に、たまり空間をちゃんとつくる必要がある。そうでなければ、まさに世界規模の、世界最大の競技などはあそこでちゃんとやっていけないと、そういう意識があったわけです。
 しかも、ラグビーワールドカップは二〇一九年という時限が決まっていたわけです。となると、それはそれでもって、スピードというか、時間が決まっているわけですから、それに向けて、どうやってあそこの建てかえ、あるいは周辺のまちづくりを整備するかということは非常に大きな課題だったわけです。これは都の課題でもありましたし、国の課題でもあったわけです。
 その課題を実現するときに、これは国策でもありますし、東京都の政策でもあるわけです。その政策を実現するときに、これは東京都だけでは解決できません。当然、東京都の都議会議員の先生方のご理解とご協力、ご支援が必要です。また、これは国レベルの話ですから、国会議員の先生方、この先生方のご理解とご支援とご協力、これはやっぱり不可欠です。また、周辺のまちづくりを進める上で、ここの場所はほとんど民有地が多いわけです。その中で、東京都が持っている土地というのはほとんどわずかなわけです。
 そういった中で、このまちづくりをやるためには、JSC、当時のNAASHだけではなくて、あの周辺の関係権利者のご協力とご支援を得なければいけないわけです。ということは、それに対しての働きかけをやるのが、それは東京都の責務でありますし、それをやるのが東京都の都市づくりの責務でありますし、職務なわけです。我々の仕事なわけです。我々の仕事として、あそこのまちづくりに取り組んでいたわけです。
 必要があって、まさにそういう関係者のご協力を得ながら推進して、大会を成功させなくちゃいけない、途中でラグビーワールドカップはだめになっちゃいましたけれども、少なくともオリンピック招致は成功して、まさにこの二〇二〇年大会を、オリンピック・パラリンピック大会を成功させようと、みんなが一生懸命努力しているわけですよ。
 その中で、たまたま皆さんにご協力いただいて、いろんなことにご助力いただいて、まさに皆さんが尽力して汗をかいて、やっと何とか成功しようとしているわけですよ。そういう働きかけが、一体何が悪いのかと。まさにそこで不正があったりとか不当なことがあったら、それは問題かもしれませんけれども、それはないわけですよ。
 一体何が問題なのかと。みんなが協力して、ご支援とかご協力を求めるのが働きかけだということであれば、それは東京都だってやっているわけですし、まさにそれは必要なこととしてやっているわけじゃないですか。国に対しても、制度改正とか予算要望とかでやっているわけですよ。そういう働きかけを悪いというとすれば、そういったことは成り立たないと思います。
 東京都は東京都の政策を実現するために、必要なものは東京都として協力できることは協力するわけですし、ご協力いただける方には、まさにそういった方と、パートナーシップというか、手を連携しながら、まさに物事の解決を進めていくというのが、それは行政の仕事としても当然のことだと思いますし、我々はそういうことでやってきているわけです。
 ですから、いろいろ見解の違いはあるかもしれませんし、解釈の違いはあるかもしれませんけれども、そういったことで取り組んでいるのであって、それでまさにそこの中で働きかけがあったかないかが問題なのかどうかといえば、私は、ちゃんとした働きかけであればそれは必要だと思いますし、それはそれで求めていくことですし、それは今後もやっていくということですし、今回のことについては、まさに内部で検証して、何ら法的にも問題ないということが検証にも出ていますし、それから、またこれは別の委員会になりますけれども、そういったことで何ら不当はないということですので、何ら問題ないと考えております。
 以上です。

○白石委員 まあ長々と強弁をされましたけれども、国策なんだ国策なんだと、いろいろ説明しましたが、そもそも私が二〇一六年五月に都市整備委員会で質問したとき、今それだけ熱弁されるんだったら、そのときにそれいえばいいじゃないですか。それをあえて、二〇一四年の十二月前からのことはひた隠しにすると。しかも、これは国策なんだ国策なんだと、このように強弁しましたが、だったら関係機関、そして政治家の都議会議員、国会議員にも、これは働きかけで必要だと、協力してもらいたいというふうに、国策だから実現させなければいけないといわれました。だったら、自民党以外の政党に働きかけしたんですか。お答えください。

○上野技監 ご協力いただける方にご支援を求めているということでございます。

○白石委員 あれだけ先ほど強弁されて、国策なんだ国策なんだと熱弁されているわけですよ。そして、協力されている議員を、協力してくれる議員を募って、そこで働きかけてやっていこうと。なぜ、元代議士の萩生田氏が出てくるのか。ここ三人で会おうと。それから森氏も出てくる。後からもいいますけれども、さまざま都議会議員も出てくるわけです。全て自民党です。
 協力してくれる議員というのは自民党しかいないと、そのような認識を持って接触をしていたということでよろしいですか、お答えください。

○上野技監 ご協力いただける方にご協力を求めたということでございます。

○白石委員 突然歯切れが悪くなるんですよ。結局、核心のところを突いていこうとすると、どんどんどんどん発言がよくわからなく曖昧になってくると。
 五月十日の文書について進みたいと思います。お手元の資料の二枚目になります。
 平成二十四年、すなわち二〇一二年五月十日の文書について伺います。
 平成二十四年五月十日十三時から十三時半、都庁内の佐藤副知事執務室での打ち合わせで、佐藤副知事、村山副知事、安井技監、町田都市づくり政策部長、そして今、ずっと答弁されている上野、当時は再編利活用担当部長が会談した記録です。
 七日のパレスホテル祝賀会で、技監と内田顧問が同席した際に、森元首相に紹介され、内田顧問から森元首相に対し、岸記念体育会館も国立競技場の建てかえに合わせて移転した方がよいと発言。以前、佐藤副知事から、内田顧問、森元首相に移転の話をした経緯あり。佐藤副知事と森元首相との会談後、早目に内田顧問、高島顧問に会う方向で調整する(森元首相と内田顧問との間はあけない)と書いています。
 これはいずれも事実だということで確認したいと思いますが、今まで、ここに上野技監出ていますので、どうぞお答えください。

○山崎まちづくり推進担当部長 このメモ自体は、いわゆる組織として何か決定したようなものではありませんので、この内容が確かかといわれても、それは確かだということは申し上げられません。ただ、このような内容が書いてあるということは事実だということでございます。

○白石委員 上野技監が、当事者がいますので、これ、記載されていることは事実ですね。お答えください。

○上野技監 この部長からの聞き取りでございますけれども、この部長というのはどちらかということについては、これは恐らく所管部でつくったということだと思いますけれども、少なくともこのような記録ということについては、当時のことについては、よくは覚えておりません。

○白石委員 先ほどの強弁ではもう、国策なんだと、もう何としても実現させようと、協力してくれる政治家にもどんどん働きかけていくんだと、このように答弁して、そして記録について伺うと、記憶にございませんと。とんでもない発言です。
 これについて、さらに平成二十四年五月十日の文書についてお伺いしますけれども、以前、佐藤副知事から内田顧問に、岸記念体育会館の移転の話をした経緯ありとか、佐藤副知事と森元首相との会談後、早目に内田顧問及び高島顧問に会う方向で調整すると。森元首相と内田顧問との間はあけないとあります。この内田顧問とは、これは上野技監、覚えていると思いますが、内田茂前都議会議員、高島顧問とは、高島なおき都議会議員ということでよろしいですか。

○山崎まちづくり推進担当部長 このメモの内容の信憑性自体はちょっと申し上げられないわけですけれども、普通にこれを読めば、内田顧問、高島顧問につきましては、おっしゃった方であろうとは思います。

○白石委員 突然上野技監が立たなくなるということなんですよ。そろって自民党の、当時は落選中の元都議です。なぜ自民党の都連の役員に岸記念体育会館の移転の話をしなければいけないのかと。しかも、なぜ早目にとか、間をあけないということが必要なんですか。そこら辺、上野技監覚えていると思います。どうぞ。

○山崎まちづくり推進担当部長 この記載内容につきましては、ちょっと事実かどうかということを確認のしようもございませんので、お答えを差し控えさせていただきます。

○白石委員 さっき上野技監で二〇一二年の話とか、それより前の話ですごい覚えているんですよ。だけど、これ平成二十四年、二〇一二年五月十日、このことになると口をつぐむと。覚えてらっしゃいますよね。ぜひ質問にお答えいただきたいと思います、先ほどのように。
 改めて伺います。そろって自民党の、当時は落選中の元都議です。何でこの自民党の都連の役員に、岸記念体育会館の移転の話をしなければいけなかったのか。早目にとか、間をあけないことが必要と記録されています。森氏と内田顧問との意向にずれが生じては調整が難しくなるというふうに思われるんですけれども、当事者がいますので、上野技監、しっかりとお答えいただきたいと思います。

○上野技監 詳細につきましてというか、個々具体の局面局面のことを覚えているわけではございませんで、大きな流れとして、先ほどのようなことを申し上げたということでございます。

○白石委員 いや、だから質問にちゃんと答えていただきたいと。元都議会議員、当時は落選中であった。その人たちに、何で早目にとか、間をあけないということが必要なのかと、この人たちに話す必要性というのは一体どこにあったのかと。これは問題の核心部分に迫っていく質問です。ぜひ、先ほどのトーンで、このことをはっきりと答えていただきたいと。上野技監、どうぞ。

○上野技監 その点につきましては、先ほど部長からご答弁させていただいたとおりでございます。

○白石委員 いや、全く答弁されていないんです。そして当事者からは何もいわなくなる、本当にひどいと。
 これまでの質疑で、森氏の深い関与はもう明らかだというふうに思います。なぜこのように自民党の政治家とだけ、密室でひそひそ話し合っているのかということが、非常に疑問になります。
 そして、上野技監に改めて聞きますが、先ほど働きかけは、それは適切なんだというような趣旨で答弁されました。そして、協力している政治家には積極的に働きかけていくことも当然だと。国策だし、東京都だけでは実現できないと。だからこそ協力してくれる議員にどんどん働きかけをしていくというような趣旨の答弁されました。
 今出てきているのは全て自民党、しかも国会議員、都議会議員、当時は落選中の方も含めて、このようなことで相談、接触、ひそひそと密会しているということになっています。なぜこのようなことが行われているのか。皆さんにわかるように、都民にわかるように、明確に答弁してください。

○山崎まちづくり推進担当部長 このメモの日付の当時、森元首相につきましては、日本体育協会の名誉会長であったと思いますので、そういう観点で説明、佐藤副知事からも説明をした、話をしたということが書かれているのかなと思います。

○白石委員 押し問答になりますけど、なぜ内田氏や高島氏に会わなきゃいけなかったのかと。全く答弁不能じゃないですか。
 来年度予算には百二十三億円という都民の税金が、この岸記念体育会館の移転費、それから補償費として、用地買収費として計上されています。このような、自民党ばかりの政治家に対してひそひそひそひそと、事前に協議、相談、このようなことをやって進めてきていると。それが明らかになるのが、これまで非常に危険だと。これがばれてはいけないと思ったから、これまで私の質問に対しても、それから前都議の吉田信夫都議の文書質問についても、一貫してこの前の事実というのを隠していたということが、誰が見たって明らかだというふうに思います。
 さきの予算特別委員会でも、日体協・JOC百年史で、日体協は森元首相を建てかえの功労者と、このようにたたえております。建てかえについては政治力を発揮と。会館の土地が代々木公園の公園指定となっていることで、ビルの高さ制限が設けられるなど、複雑な問題が山積している中で、東京都を初め、文部科学省など関係諸機関と話し合いを行い、理解を求めるなど、高いハードルを越えるための調整をみずから積極的に推進したなどと、政治力で高いハードルを越えるために働いたことを、みずから堂々と書いております。
 きょうは、その資料を皆さんのお手元にも配ってありますし、パネルでもご用意いたしました。この百年史というのは、私たちが国会議員団の控室で聞いたとき、日体協の関係者の方々から、分厚い本ですね、百年史、いただきました。これつぶさに読んでいたら、結局、この会館の建てかえ、移転なんかについてもですけれども、要するに政治力を発揮したんだと。このようなことが、日体協みずから百年史で書かれております。
 また、森氏は二〇〇五年四月、日体協の会長に就任し、二〇〇九年には再任されますが、再任時のときの選考委員長は何といっていたのか。今回の重要懸案になっている岸記念体育会館の建てかえ、百周年事業の実施、財源の確保等の諸課題に対応できる者は、現会長の森喜朗氏をおいてほかに適任者が見当たらないと。このようなことまでたたえているわけです。森氏しかいないんだと。それぐらいのキーマンとなる役割を果たしてきたのが、森喜朗元首相です。日体協の皆さんはよく自覚をされているわけです。
 政治力によって行政がゆがめられることはあってはならないと、このように考えますが、百年史にあるような、森氏による話し合い、調整はあったのかどうなのか。あった場合は、いつ、どのような内容であったのか、お答えいただきたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 日体協は、この百年史が発行された平成二十三年当時は、まだ現地建てかえを希望していたことからいたしますと、記載の内容は現地建てかえについて書かれたことなのかなというふうに理解しております。
 この百年史につきましては、日体協が発行したものであり、お話の内容についてどのような事実に基づいて記載されたのか、都として承知をしていないところでございます。
 なお、当時の都市整備局幹部に、安井前都技監でございますけれども、確認したところ、現地建てかえにつきましては、森氏から石原知事に相談があったのだと思うということはおっしゃっておりました。安井前都技監は、現地建てかえについては、森氏とは直接に会っていないということもおっしゃっていまして、具体的な相談の時期とか内容というものについては承知をしていないものと思います。
 なお、当時、森氏は、政治家としてではなく、日本体育協会会長として相談、協力依頼などを行っていたものであると思います。

○白石委員 日体協・JOC百年史という、百周年事業に位置づけられて、団体の歴史を正式にまとめた記録に、事実と異なることが書かれているかもしれないというふうなことで、今答弁では、実際に、お話の内容がどのような事実に基づいて記載されたものなのか承知していないと、このようにもいっております。
 仮に森会長が政治力を使って東京都を動かしたということが事実でないなら、事実ではないなら、このような都民、国民に重大な誤解を招く内容は、直ちに訂正を求めなければいけないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 先ほども申し上げましたとおり、現地建てかえにつきましては、森氏から石原知事に相談があったのだと思うというのが、安井前都技監からのお話としてございました。
 なお、現地建てかえにつきましては、主に検討されていましたのは平成二十三年度以前の話でもありますし、実現に至らなかった事業でもありますので、訂正を求めるというようなことの必要性はないかと考えております。

○白石委員 よくわからないというふうなことだと思います。どういう事実をもとに書いたのか、だったら確認をすべきだと、日体協に対してですね。別に日体協、連絡すればいいわけですから。なぜこういうふうなことで森氏が政治力を発揮したんだというふうな記載があるんですかと、どのような根拠をもってここは書かれているんですかと、確認をすればいい話だと思いますが、これを確認するという意思はありますか、どうですか。

○山崎まちづくり推進担当部長 この百年史は、日体協が発行しているものでありますし、そもそも現地建てかえについて記載された内容だと思いますけれども、その現地建てかえ自体が実現に至らなかったものであるわけですから、そのような確認をする必要はないと考えております。

○白石委員 これからもやりますけれども、現地建てかえができなくなったから移転に移っていったんです。これは流れなんですよ。現地建てかえが実現しなかったから確認する必要はないんだとか、日体協が書いたものだから東京都は関知しませんよという話にはならないんです。訂正を求めるのであれば、しっかり求めなければいけない。どうやって書かれたのか確認もしないということは、事実だといっているのと同じ意味になるわけですよ。本来、新聞や報道に対してだって、重大な誤認を招くような報道があれば、それは抗議するなり訂正するなりして、その報道をやはりしっかり訂正してくださいと、確認も含めてやるはずなんです。
 しかし、今の答弁は、ここの百年史には、森氏が政治力を発揮したんだと、森氏しかいないんだと、このように書かれているが、現地建てかえではないと。実現もしなかったし、都からは確認する必要も、考えもないと。このような認識が示されました。簡単にいえば、確認すればいい話なんです。
 先ほど紹介した日体協百年史ですが、改めて--だったら読み上げたいと思います。
 会館の土地が代々木公園の公園指定となっていることで、ビルの高さ制限が設けられるなど、複雑な問題が山積している中で、東京都を初め、文部科学省など関係諸機関と話し合いを行い、理解を求めるなど、高いハードルを越えるための調整をみずから積極的に推進したということです。
 公園指定となっていることで、ビルの高さ制限が設けられるなど高いハードルがあったということですが、都市計画公園の計画区域内には、どのような規模の建物までなら建設できるのか。また、岸記念体育会館の敷地はほかにどのような都市計画の規制がかかっているのか、伺いたいと思います。

○久保田都市づくり政策部長 都市計画公園の区域内で建築物を建築する場合は、都市計画法第五十三条に基づく区市等の許可が必要でございまして、同法五十四条により、二階建てまでで地下がない木造、鉄骨造等の移転、除却が容易なものは許可されるところでございます。また、区市が定めた同法第五十三条の許可基準等に基づき、体育館や美術館、宿泊施設など、都市計画公園にふさわしいものとして許可される場合もございます。
 また、他の都市計画の規制につきましては、用途地域の第二種中高層住居専用地域で、建蔽率六〇%、容積率二〇〇%でございます。また、最高限度二十メートルの第二種高度地区、準防火地域、第二種風致地区となっているところでございます。

○白石委員 きょう、パネルを持ってきました。今質問した、この岸記念体育会館の敷地というのは、どれだけ高いハードルなのかということで、見ていただければわかると思いますが、まず、先ほど部長が答弁されました。現在、岸記念体育会館の敷地に、階数は二階までですよと。そして、高さは二十メーターまで。容積率は二〇〇%と。しかし、このハードルを越えないと、その当時、現地建てかえで動いていた日体協は到底できないんです。
 計画の中には何が書かれていたか。こちらを見ていただければわかります。日体協三十八階、そして高さ約百五十メートル、そして容積率九五〇%。まさにこの都市計画公園区域内に入っていればですよ、絶対に建てられない計画なんです。日体協百年史が書くように、まさに高いハードルが都市計画規制でかかっていたということなんです。
 これほど規制が厳しい土地に、日体協は、このようにして三十八階建ての高さ百五十メーター、延べ床面積四万三千六百平米で、容積率は九五〇%。しかも、その半分は収益施設にして、ディベロッパーから地代を得ようという、まあ何ともがめつい計画を立てておりました。
 そもそも先ほど確認をしたように、都市計画公園内にこのような高さのオフィスビルは到底建てられないはずですが、都は一体どのように考えていたのか、取り組んできたのか、伺いたいと思います。そもそも現地建てかえが行われれば、都市公園として、現在、区域内に岸記念体育会館の敷地は入っていますから、都市公園としての整備は困難になると思いますが、それぞれお答えいただきたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 冒頭ご説明申し上げましたとおり、岸記念体育会館の敷地に接して、水道局のポンプ所がございます。ポンプ所につきましても、水道局の方で更新の計画を考えていた時期ということもありまして、都と日本体育協会では、岸記念体育会館の建てかえと水道局ポンプ所の更新について一体的に取り組むと。土地の交換や都市計画公園区域のつけかえ等により一体的に行うと、そのような検討をしていたということでございます。
 お話の建てかえ案につきましては、水道施設の部分を含めて、日体協の方で作成していたものでございます。容積率につきましては、再開発等促進区の運用基準に基づいて、ベースとなる用途地域、容積率の変更、国有地、ポンプ所敷地からの容積移転等を考えていたようでございます。
 また、現地建てかえが行われれば、公園としての整備が困難になるのではないかということでございますが、制度上、あくまで制度上でございますけれども、再開発等促進区と都市計画公園との重複は可能でございます。一方で、日体協の方では、主に事務所用途の建物の建設を考えておりまして、それを可能とする方策として、会館の敷地を都市計画公園から除外して、つけかえを行うというような検討も行っていたようでございます。
 このため、都は、その公園区域のつけかえを含め、検討を行っていたというのは事実でございますが、それについては、都市計画変更の合理性などの課題があったようでございます。

○白石委員 はっきりと、もう少しちゃんと確認したいんですが、東京都はこの岸体の現地建てかえについて、都市公園区域を、これは除外することを都が検討していたということでよろしいでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 当時検討されていた内容としましては、岸記念体育館、それからポンプ所のところについては、公園区域から除外をし、別のところにつけかえといいますか、公園の区域変更を行うというような検討がなされていたようでございます。

○白石委員 日体協の高層ビル建設のために、今ご答弁あったように、都市計画公園から外すと。つまりこの場所を公園にするのはやめてしまおうというふうなことですから、日体協にとっては願ったりかなったりと。しかし、都民にはとんでもない計画です。
 これは公園から外しただけじゃ、先ほどのパネル、ありますけれども、三十八階、九五〇%の容積率の超高層ですね、高層ビルを建てるということは、公園から外しただけじゃ無理なんですね。
 容積率が九五〇%もの超高層ビルを建設するには、ウルトラCを考えると。隣に国有地が、先ほどいったようにあります。水道局のポンプ所のところですね。これがほとんど国有地です。その国有地の使っていない容積率を、日体協のビルを建てるために移転して、超高層ビルにすると。そのために、東京都が財務省とかけ合うと。安井氏が、後でいいますが、ヒアリングに財務省に行ったと、このように記述があります。それはこのためだったんだというふうだと思います。
 つまり、日体協は、都立公園の計画地に指定され、厳しい制約のある土地の中に超高層のビルをつくろうとしたと。しかし、これをクリアするには、一つには公園の指定を外す必要があるということですね。
 先ほども示しましたが、一つは、まず都市計画公園の区域指定から外す必要があると。そのために東京都は汗をかいていたと。その交渉が、窓口もですね、東京都だったと。
 もう一つが、隣にある国有地から、使っていない容積率をもらってくる必要もあるんですね。二〇〇%ですから、外しただけじゃ、これ建ちませんから。それを国に対して交渉もするのが、窓口が東京都だったということなんです。一団体に対して、都市計画規制を外して、交渉役にもなって、計画実現のために東京都は奔走すると。本来、普通で考えれば、通常は、まああり得ないと。懇切丁寧な支援をしていると、現地建てかえのときは。これははっきりとしています。しかも、その行動に自分たちでも、先ほども答弁ありましたけど、合理性があるのかなというふうに考えていました。
 しかし、この現地建てかえ、もう皆さんご承知だと思いますが、うまくいきません。お配りした四つの文書の最後の二〇一一年八月十九日の、岸記念体育会館に係る今後の方向性について(V2、V4メモ)に少し立ち返りたいというふうに思います。
 メモにも書いてあるとおりだとは思いますけれども、この二〇一一年のV2、V4メモ、これ、資料では五枚目になります。こちらですね、お配りしているの。ここに立ち返りたいというふうに思います。
 ここで見ていただければわかりますが、佐藤副知事、村山副知事、安井技監、町田都市づくり政策部長、そして、本日もいますが、上野再編利活用推進担当部長等ですね、が参加した会議です。
 この、今開示されている文書では、一番最も初期の開示資料になります。黒塗り、これ東京都が開示をしていますので、黒塗りになっているところ、資料では、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕と、このように五種類、番号を振っておきました。
 端的にお答えいただきたいんですが、〔1〕と〔2〕の非開示理由だけを教えていただきたいと思います。--ちょっとすぐには出てこないということなので、私、いいますので、それでいいかどうか確認したいと思います。
 〔1〕は、公益財団法人日本体育協会にかかわる個人の役職及び氏名。〔2〕は、会館建てかえ検討にかかわる建設費、未利用容積活用にかかわる費用、収益及び前払い地代の想定値と。〔1〕は、日体協にかかわる個人の役職や氏名ですよと。名前ですよと。〔2〕は、未利用容積活用に係るまあ費用ですね。それから収益及び前払い地代の想定値だと。お金ですね。この理解でいいのかどうか、確認したいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 大変失礼いたしました。非開示理由につきましては、そのような内容となっております。

○白石委員 今、非開示理由のところで、〔1〕は、改めていいますが、日体協にかかわる個人の役職及び氏名だと。〔2〕は、会館建てかえ検討にかかわる建設費、未利用容積活用にかかわる費用、収益及び前払い地代の想定値。全て金額にかかわることですよということになります。
 そうすると、こうなると思います。
 まず、冒頭ですが、これ見ていただければわかりますが、安井技監、財政の見通しが示されないと財務省は話を受けてくれないと思うと、このように、冒頭、いっております。V2、つまり佐藤副知事、そうだろうなと。財務省は事業計画を気にするだろうなと。日体協はそのことはちゃんと認識しているのか。安井技監、認識していると思う。
 ここで出てきます。佐藤副知事、〇〇は、すなわち日体協の役員は、まず自分たちで使用する部分の建設費〇〇円、上乗せ容積については、金がかかるなら無理となるのではないかと、このように黒塗りのところを〇〇と、私、いいましたけれども、つまりこういうことです。日体協の財政の見通しが示されないと、財務省は話を受けてくれないと。特に、国から日体協に移す上乗せ容積については、金がかかるなら無理になるのではないかと、このように書いてあります。
 さらに次にいきます。佐藤副知事、日体協が次の目標を平成二十五年三月としているのだとすれば、水道局はそこまで待てないのではないかと。財務省にとっても、そこまで待たせて、結局日体協からお金は払えないということになると、何のために待っているのかとなると、このように書いてあります。そして佐藤副知事、国からの容積移転は難しいとなると、やるなら水道企業用地として都が取得してということも考えられるが、未利用容積活用はそれでも同じ〇〇だよと。そこは国でも都でも変わらないと。そうなると計画潰れます……だよなと。このようにリアルな話がされております。
 つまり、いいかえるとこういうことです。日体協が財政の見通しを出すのは、日体協の新会館建設と合わせて、施設の増強を考えていた都の水道局や、容積率を売ろうとしている国が待っているが、結局、日体協がお金を払えないなら待っている意味はないと。都が国から土地を買い取って救済しようとしても、日体協に容積率を移転するためには、やっぱり日体協に同じ額のお金、恐らく何十億あるいは百億円というくらいのお金ではないかと思いますが、お金を出してもらわなければ、結局、この現地での建てかえ計画というのは潰れるだろうと、このようにリアルに話がされています。
 つまり、通常ならば、容積率のお金がかかったとしても、同じかそれ以上の額を稼げばいいのだから、日体協の場合、ディベロッパーからオフィスの地代として、それより少ない額をもらうだけだと。これでは国からの容積率移転は難しいだろうなというふうなことが、読んでいただければ、リアルにこれ書いてあるんですね。
 先ほどいったように、番号というのは、〔1〕は個人名、〔2〕は金額ということでの非開示理由になっていますので、それぞれ番号が振ってありますので、何で非開示かというのははっきりすると思います。
 先ほどもいったように、要するに日体協がお金を、例えば国有地を活用しようと思ったら、この容積率の移転のための費用を日体協が支払わなければいけないと、しかし、それはなかなか難しいだろうと。日体協というのはなかなかお金がないと、ずっとこれ苦しんでいたと、建てかえも、そして移転のときも、やっぱり費用が一番のネックになるんだというのは、私たちの調査でもわかっております。
 そこで、とうとう森元首相の登場となると思います。これ、我が党の調査によって、大体名前は、森元名誉会長というのははっきりとしております。
 ここ、〔1〕ですね。森元名誉会長としては、新会館は小さな規模では納得いかないはずだと。これ、我が党の調査では、森元名誉会長だということは判明をしておりますので、森元名誉会長としては、新会館は小さな規模では納得いかないはずだと。高層ビルを、次のページに行きます、建てたいと思っていると。とすれば、〇〇--億円でしょうね--を〇にするような働きかけをするということはあり得るのか、そこを都に何とかしてくれとか、〇〇億円は圧縮してくれということになると、慎重にならなければならないなと。でも、そういってきそうだよなと、このようにいっております。
 先ほどいったように、〔2〕というのは金額だと。これ、森元名誉会長がいろいろ出てきて、森元名誉会長としては、新会館は小さな規模では納得いかないと、高層ビルを建てたいと願っていると、村山副知事が発言しているんですね。とすれば、〇〇億円を、これ一文字です。数字ですから、ゼロから九の間のどこかになります。
 そこで、大体一般的に、二とか三とか五とか六とか七とならないと思います。多分ゼロにするような働きかけをするということはあり得るのかと、このようにいっているわけですね。そこを都に何とかしてくれとか、何十億、それから百億、あるいは百億円の、この金額を圧縮してくれということになると、慎重にならなければならないなと。でも、そういってきそうだよな、森元名誉会長はと、このように、この資料の中で話をしています。つまり、金目の話が出ております。
 この黒塗りも、容積率移転の価格だというふうに思います。先ほどもいったように、恐らく数十億円あるいは百億円という金額でしょうと。
 一方、その後、黒塗り、先ほどもいいましたが、ここは本当に一文字だけの黒塗りですので、そして金額だとわかっていますので、ゼロから九までの一桁の数字しか入らないと。一般的に考えてゼロということになると思います。つまり、村山副知事は、森首相が、日体協は何十億あるいは百億というお金を払えないから、ゼロにするような働きかけを、何とか都にできないかといってきそうだなと、このようにいっているわけですね。リアルなそんたくの現場です。
 このような形で、上野技監も実際いますので、このような話がされていたというご記憶はありますか。

○上野技監 当時、私は、再編利活用推進担当部長の職にありまして、これは今、この開示請求の過程の中で、改めて過去にこういうものがあったということを思い出したところですけれども、私がかかわったのは、まさに都営住宅に絡む建てかえ関係でしたので、そこの場面だけ出席いたしまして、あとは退席しておりますので、そういった具体的にやりとりがあったということについては存じ上げておりません。当時は存じ上げておりません。

○白石委員 途中で抜けてしまったからちょっと記憶がないと。確かに途中で抜けていればわからないかもしれないと。ただ、森元名誉会長がこのような発言をするというようなことは考えられるような、そういう間柄だったのかというところではいかがでしょうか。

○上野技監 その辺についても、当時はよく存じ上げておりませんでした。

○白石委員 わかりました。
 ここに気になる記述があるんですね。それが八月八日です。最後のページを見ていただければわかりますが、いずれにしろ、八月八日の森名誉会長への報告結果や日体協側の判断を聞かないことには始まらない、〇〇にでも聞いてみる。このようにいっています。
 事実を確認したいんですが、いずれにしろ八月八日、森名誉会長への報告結果はされたのかどうなのか。そして、日体協側の判断を聞かないことには始まらないと、このようにいっておりますが、そのときに日体協側の判断も聞いたのか。
 まず、誰がこの森元名誉会長への報告をしたのかどうなのか、それを伺いたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 お尋ねの八月八日の文書につきましては、今、開示請求を受けているところでございまして、現時点で、文書の存否も含め、お答えすることはいたしかねます。

○白石委員 これから開示で出てくるということを、私も今、初めて知りましたので、それは開示請求で出てきた際に見させていただきたいというふうに思います。
 一連の会話から見えてくるのは、つまり、一つには森首相が高層ビルを建てたいと切望していることを都の副知事が知っていたと。そして、実際の行動で見ても、都はそのために公園の規制を外してしまおうとしたり、国に許可をもらえるよう財務省に出かけていったり、懸命に汗をかいていると。
 そして、もう一つには、森氏だったら何十億あるいは百億というような容積率を国から買う費用をゼロにするとまでいってきかねないと、それを東京都にやらせると、そういうことを副知事が予想するような間柄、関係が、森氏と東京都の間につくられていたのであろうというふうに思います。
 こういうふうな間柄、リアルなそんたくの現場ですね。何十億、そして百億、このような容積率を国から買うこの費用を、森元首相は東京都に対して、ゼロにしてくれと、こういうような働きかけもやってくるんじゃないかと。このようなそんたくをしていることが、そういう間柄だと。これこそ行政のあり方として異常だというふうに思います。
 まちづくりと、このように皆さん結構いうんですけれども、かかわっているのは、現地での建てかえのときは、日体協以外には水道局と、そして国だけなんです。しかも、都立公園の計画を外すプランだったということは、先ほどもいいました。
 ですから、この文書の三枚目の真ん中ぐらいになりますけれども、見ていただきたいと思いますが、七枚目ですね、七枚目の真ん中あたり、V4と書いてある。何といっているか。V4、つまり村山副知事が、都市計画を外すことは、地域にとってよいことは何もないと。大義名分がなさ過ぎる(笑)と書いてある。
 都は、副知事を先頭に、地域にとってよいことは何もないプランを進めようとしてきたと、それを笑って話していると。余りにも不謹慎ではないのかと、厳しく指摘したいと思います。
 先ほど邊見技監、私の質問じゃないですが、決意語られました。今後も都民のためになる政策実現を行っていくと、このようにいいましたが、実際これ、都民にとって何のいいこともないと、大義名分もなさ過ぎると、こんなことがこれまで議論されていたわけです。
 邊見技監、これを見てどう思いますか。

○山崎まちづくり推進担当部長 岸記念体育会館の現地建てかえに当たりましては、隣接するポンプ所と合わせて、一体的な更新ができないかということを検討していたことも事実としてございますし、都市計画公園の区域を変更する、つけかえるという検討をしていたことも、事実としてはあったようでございます。
 一方で、都市計画公園の変更につきましては、この副知事の言葉でいえば、大義名分がないということで、そこは難しいということで、当時も都としては認識していたということでございます。

○白石委員 今、だから現地建てかえができなくなったんだといわんばかりのことをいいましたけれども、東京都は財務省に日体協の代弁者として行っているわけです。交渉しているわけです。ここに書いてあるように、都市計画を外すことは、地域にとってよいことは何もない、大義名分がなさ過ぎる(笑)、その後に、水道局にとっても、敷地が北側の方がよいという理屈はつくれるとは思う、ただ、都市計画規制は外さなくてよいよな(笑)と。
 いずれにしても、現地建てかえ、この策動していたとき、都市計画公園区域で厳しい規制もかかっていたと。このような中で、この都市計画公園、この区域から、先ほど答弁では外すことを検討されていたと。しかし、内情はどうかといえば、大義名分がないと、このようなことを、皆さん認識しているわけです。そして、地域にとってよいことないと。都民にとって何もいいことないと、このようなことまで、笑いながらいっていると。とんでもないというふうに思います。
 最初に、森氏から石原知事に働きかけると。そして、都市計画公園という厳しい規制のある敷地に、百五十メーターもの超高層のビルを建てようという無理な計画をつくり、そのために都を動かすと。国からの容積率を移転する価格はゼロにせよといってきかねないと、都の副知事がおそれると。そんな関係ができていたということが、この文書を見て読み取れるんです。
 森氏は二〇〇五年四月に日体協の会長に就任し、二〇〇九年には再任されますが、再任時のときの選考委員長は、先ほども述べましたが、何といったか。今回の重要懸案になっている岸記念体育会館の建てかえ、百周年事業の実施、財源の確保等の諸課題に対応できるのも、現会長の森喜朗氏をおいてほかに適任者は見当たらないと、このようなことまでいっております。
 ここから見ても、森氏の働きかけが強烈に働いて、現地建てかえを何とかしようと東京都が動いて、しかし日体協がお金がないと。国有地を、このあいている容積率を買おうと思っても、何十億あるいは百億かかると、だけれども、それを捻出できないと、そういうふうなときになったときにどうするかと。そういう流れの中で、ここを断念して、さて、じゃあ次は移転だと、そのようにかじを切っていくということが、この間、きょうの質疑の中でも、流れを見ればもうはっきりしているというふうに思います。
 そしてもう一つ、皆さんが、ずっとスポーツクラスター論を述べております。スポーツクラスターでスポーツ施設を、この神宮外苑に集積させると。これが都の政策であり、提案だと。だから、この神宮外苑、岸記念体育会館、すなわち日体協を移転させるよということは適切であり、そして都からの提案で、その実現のために動いているんだと、このようにいいました。
 しかし、二〇一一年八月十九日の文書について、これ先ほど出していますけれども、伺います。
 神宮外苑エリアの状況について、安井技監、実はここに岸記念体育会館も絡ませて、例えばスポーツのメッカをつくるというようなことでの検討を行いたいと思っていると、このように発言をしております。今、皆さんが見ているところですね、書いてあります。これを受けて、佐藤副知事が、日体協のもとの敷地はどうなるのかと尋ね、安井技監は、例えば都が買うということもと。村山副知事、それで日体協は神宮外苑の土地を確保すると。佐藤副知事、うまくいくか、はてなマーク、こういうやりとりをしているんです。このやりとりの線で、実際にここまで動いてきたわけです。
 そこで伺いますが、ここで安井技監が発言した、スポーツのメッカと、後に東京都の方針となる神宮外苑のスポーツクラスター構想とは、関係があるのかどうなのか聞きたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 スポーツクラスターといういい方をして、スポーツのメッカという言葉は、行政計画等では使っていないかと思いますけれども、スポーツクラスターを形成していく上で、スポーツ関連団体の本部機能を集約していくというようなことが、スポーツクラスター形成に資するんじゃないかというようなことは考えていたということでございます。

○白石委員 今の答弁だと、要するに安井技監が発言している、ここで資料の五枚目の下から六行目になりますかね。実はここに岸記念体育会館も絡ませて、例えばスポーツのメッカをつくるというようなことでの土地の回しの段取りを、現実性があるかどうか検討を行いたいと思っていると、このようにいっております。今の答弁でも、スポーツのメッカとスポーツクラスター構想、そう大して変わりはないということでよろしいですよね。はい、確認いたしました。
 要するに、この安井都技監が、当時の都技監がいったのは、スポーツのメッカ、これが後にスポーツクラスターとなるということです。安井技監は、神宮外苑に岸記念体育会館も絡ませて、スポーツのメッカをつくるようなことを検討したいと、このように先ほど発言しているといいました。スポーツのメッカが進化してスポーツクラスターになったと。
 つまり、皆さんは、スポーツクラスターの都の方針に沿って、岸記念体育会館を神宮外苑に移転させたと、ずっと先ほどからいっていますけれども、実際これを見ると、実際は岸記念体育会館の神宮外苑への移転の理由づけのために、スポーツのメッカとか、それからスポーツクラスターと、このようなことがいわれたのではないのかということを伺いたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 この文書の日付は二十三年八月十九日ですけれども、スポーツクラスターというのを都の行政計画で位置づけましたのは、平成二十二年の十二月の「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一でございます。そちらの方が先にあって、こういう話が後から発想されたと。実際はそういう順番でございます。

○白石委員 今、この発言の前に、先ほど都からも資料がありました。平成二十二年、都は「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一、ここでスポーツクラスター構想をやったと、このようにいっておりますが、何をいっているのかと改めていいたいと思います。
 そもそも都が神宮外苑地区をスポーツクラスターにするとはっきりと宣言したのが、二〇一〇年十二月が最初です。きょうお配りされております。この平成二十二年、すなわち二〇一〇年十二月十七日、都は「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一を策定、霞ヶ丘、武蔵野の森、駒沢などのスポーツ拠点を整備、霞ヶ丘競技場一帯は神宮スポーツクラスターとして、特区制度の活用などにより整備と、このように書いてありますね。
 そのとき東京都は、日体協ビルを現地建てかえで、汗をかいている真っ最中じゃないですか。このときにスポーツクラスターをやったから、このときから入っていたと。それは全く事実誤認です。そのときには現地建てかえでした、日体協は。何とかここでやりたいと、先ほど答弁されました。都市計画公園の区域の範囲も外そうと検討していたと。そして、日体協のかわりに財務省に行って、そして窓口になっていろいろ交渉する。東京都があそこにスポーツクラスター構想ではなく、現地建てかえのために汗を流していたというのが、このときなんですよ。
 それを、後からいろいろと事実が明るみになってくると、何とか理由をつけなければいけないと。ここで出てくるのがスポーツクラスターです。このようなことを使って、今までスポーツクラスター構想で、あの神宮外苑にスポーツの施設を集約するんだと。そこに日体協は入っているんだと。だから、都の提案だ、都の政策だと、スポーツクラスター論をずっと振りかざしていましたけれども、そもそも東京都は、最初の時点では、日体協はあそこに現地建てかえでやろうと、このように全力で取り組んでいたんです。
 それを、今になって、スポーツクラスター構想実現のために、都の政策のために全力を挙げるんだと。このようなことをいって、最初の起点をねじ曲げていくと。結局、今までいってきたこのスポーツクラスター論も破綻をしているんです。
 そして、見ていただければわかります。安井技監だって、この日体協を、現地建てかえが無理になったらどうするかと。そうしたら、移転構想だと動いて、かじを切っていくんです。この筋ができてきたんです。だからこそ、この流れがすごく重要になってくるんです。
 今まで私たちにひた隠しにした、二〇一五年十二月以前のこの一連の経過というのは、実際には私たちには全く明らかにされず、そして私たちが、都市整備局、かかわっている建設局、オリ・パラ準備局、組織委員会、日体協、多くの関係団体にも一つ一つヒアリングをしていく中で、その中で事実が積み重なって、情報開示をやって、いよいよ逃げ切れなくなって、この情報開示の資料が出てきたと。そうしたら、もう答弁変えるしかないということで、これまでやってきた、二〇一五年十二月以前には何もなかったと。日体協の要望を受けてから、これから始まっていくんだという答弁を覆して、その以前の経緯を説明し出すというのが、これまでの、今までの流れだということを、改めて強く指摘したいと思います。(山崎まちづくり推進担当部長発言を求む)まだ質問もしておりません。
 次に、安井前技監からのヒアリングについて伺います。
 何かいいたいことがあるんだったら、どうぞいってください。

○山崎まちづくり推進担当部長 スポーツクラスターというのは、基本的にはスポーツ施設の集積している場所のことを指していまして、神宮外苑というのは、当時から国立競技場、神宮球場、秩父宮ラグビー場などが、大規模なスポーツ施設が集積していた場所なわけですから、そこに会館があろうがなかろうが、スポーツクラスターであるということにはかわりないかと思います。

○上野技監 多少補足させていただきます。今まで説明しておりますけれども、まず東京都が、平成二十二年に「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一を策定して、そこに競技場一帯は神宮スポーツクラスターとして位置づけたと。それはまずしょっぱなでございます。
 それで、それと前後して、先ほど申し上げたように、二十三年ごろに国立競技場の建てかえの動きが出てきたと。そういったものの中で、国立競技場の建てかえを契機として、神宮外苑地区のまちづくりを加速していくんだというのが当時の考え方だったというふうに、先ほども申し上げたところでございます。
 ですから、スポーツクラスターをつくるという話がまずあって、それでそのスポーツクラスターを形成するときに、競技場だけではなくて、まさに競技場をつくるときにはその周辺の、お客様を受け入れるためのたまり空間とか、歩行者ネットワークが必要だとか、そのような再編整備をするということと、それからスポーツ施設を順次、段階的に計画的に建てかえていくという考え方があって、それがまずスポーツクラスターの基本でありますけれども、あわせて、そのスポーツクラスターを形成する取り組みの一環として、必要な機能をそこに集約するというのが、その当時の考え方だったわけです。
 その必要な機能として、まさに日本のスポーツ界を統括する本部である日体協が来るのは、それは自然だねという話ですし、それからJSCの本部そのものは、従来の国立競技場の中にあったわけですけれども、それ自身を、競技場の建てかえに合わせて、こちらに、もとのテニスコートのところに移転させると。
 そういう中で、スポーツを支える事務所機能ですとか、そういう必要な機能はその中に集約する。それはあわせて、それに関連する宿泊施設だとか、そういうのも必要でしょうから、そういうものも含めて、あるいは場合によっては、大勢の方が来られますから、スポーツ施設だけではなくて、にぎわい施設とか、店舗施設とかも必要でしょうから、そういうもので複合的なものとしてスポーツの拠点をつくるというのがスポーツクラスターであって、単に運動場だけということではないということでありました。
 まさにそういうことからすると、先ほど、もともと二十四年四月に、都から、現地建てかえだけではなくて、国立競技場の建てかえも視野に入れた検討をしたらどうかと投げかけたわけですけれども、その投げかける前段の出発点が、まさに八月十九日の会話の中にあらわれていて、そのころからやっと都が先導して、そういったことを一つの可能性として検討を始めたきっかけが、この八月十九日ごろであって、これだってスポーツクラスターをつくるための都の取り組みの、率先的な取り組みの考え方の一つであったと。
 まさにそのときに、日体協は、当然、二十三年十二月に、まだそのときは現地の建てかえ最新案などというものを都に提示していますから、現地の建てかえにこだわっていたのはそうで、まさにそうであるからこそ、逆にそれについて私どもは、森氏からの働きかけはあり得なかったというふうなご説明の根拠として、それは申し上げたのであって、何か、ただいまの話はちょっとそういう説明が、立場によって解釈の違いというようなことかもしれません。

○白石委員 立場によって解釈が違うと。都民の立場から見れば、この一連の流れ、情報開示も見て、萩生田氏も、そして森氏も、そして内田顧問、そして高島都議会議員、自民党のそれぞれの議員にお伺いを立てて、その意向に沿ってやっていくと。そしてそれを、要するに開示でも明らかになってきたら、結局は、何か理屈をつけなければいけない。さあスポーツクラスター論だと。
 でも、振り返ってみれば、当初、スポーツクラスター論、スポーツクラスター構想を考えていたときには、実際、東京都はこの岸記念体育会館の現地での建てかえを、都市計画公園の区域も外して、厳しい規制も外して、これで何とかしようというふうになっていたんです。そういう一連の流れを見れば、はっきりとするわけですよ。
 しかも、一番のこのかかわる中心人物、安井前都技監からのヒアリングです。きょうは資料で九枚目にお配りをいたしました。
 これは事前に、私たちの予算特別委員会などの答弁でも、いわゆるエビデンスといわれる、皆さんの証拠ですね。根拠として、この安井前技監にヒアリングをしたということです。
 まず確認したいと思いますが、この問題で、安井前技監からの聞き取りは、三月九日が初めてですか。どうでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 この岸記念体育会館の移転の件で、安井前都技監にヒアリングをしたのは、この三月九日だけでございます。

○白石委員 じゃ、続いて伺います。なぜ三月九日までの間に聞き取りをしなかったのですか。

○山崎まちづくり推進担当部長 このヒアリング、代表質問で、働きかけの有無について問われたわけでございます。私どもといたしましては、その時点で、残っていた記録を見る限り、そうした内容に当たるような記録はないと。見当たらないということで、ご答弁していたわけでございます。
 それで、答弁としては、答弁といいますか、働きかけはなかったということ、なかったであろうということは申し上げたつもりではありますけれども、念のため、当時携わっていた安井さんからもヒアリングをしたということでございます。

○白石委員 では、三月九日に安井前技監から、森氏の関与について聞き取りをしたのは、その理由は、もう一度明確にお答えいただきたい。

○山崎まちづくり推進担当部長 先ほどと同じような答えになりますけれども、代表質問で、森氏からの相談、働きかけの有無について聞かれまして、文書で、文書といいますか、私どもの方に残っていた記録を見る限りは、そういった記録は、働きかけがあったと読み取れるような記録はないと。見当たらないということを申し上げておりましたけれども、記録だけではなく、念のために、当時の担当、携わっておりました安井さんからも聞き取りをしたということでございます。

○白石委員 では、続いて、三月九日に安井前技監から萩生田氏の関与について聞き取りをしたのはなぜでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 代表質問の際、問われましたのは、森氏からのということではございましたけれども、私ども、ここにもおつけされておりますメモですね、この存在は認識しておりましたので、その中に萩生田氏の名前が出てまいりましたので、その点についても、念のために確認をさせていただいたということでございます。

○白石委員 続いて伺いますが、安井前技監は、現地建てかえについては、最初は森氏から石原知事に話があったのだと思うと、最初に述べていますね。そこで、当然、森氏から石原知事にどういう話があったんですかというふうに、切り返すと思うんですね。これは聞いたんですか。

○山崎まちづくり推進担当部長 安井氏からは、ご本人は森氏に、この建てかえ、現地建てかえの件ではお会いしたことがないということをおっしゃっていましたので、当然、相談の具体的な時期や内容については承知をしていないだろうというふうに考えたところでございます。

○白石委員 済みません、確認ですが、森氏に、最初、森氏から石原知事にあったと思うと、安井前技監がその場でいいましたと。要するにヒアリングの場で、安井前技監がですね。現地建てかえについて、最初は森氏から石原知事に話があったのだと思いますといいました。そして、上野技監や山崎部長は、それに対して、その話はいつだったんですかとか、その内容はどういうものだったんですかというふうなことを、しっかりと聞き直して確認をしたのかどうなのかというのを聞きたいんです。いかがでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 安井さん本人は、森さんにお会いしていないということでもありましたし、かなり記憶がその辺はあやふやだったようでございます。(白石委員「聞いたの」と呼ぶ)確認はしていると思いましたけれども、森さんから石原知事というのもあったんだろうというようないい方でございましたので、記憶はかなり曖昧だったということでございます。(白石委員「聞き直して、確認はそれでしたの」と呼ぶ)実際、その場でどういうやりとりをしたかは覚えておりませんが、そもそも森氏から石原知事に話があったのだと思うとのいい方でありましたし、安井氏ご本人は、この現地建てかえの件では森氏と会っていないということでございましたので、具体的な森氏から石原氏への相談の件について、いつごろということまでは確認していなかったかと思います。

○白石委員 これ聞き取りをしているので、こういう証言があったら一つ一つ確認をするというのが当然だと、普通は思います。
 しかし、まず最初に、冒頭に、最初は森氏から現地建てかえ、日体協の現地建てかえについては、森氏から石原知事に話があったんだと。それに対して、実際、本当に何も聞いていないということですよね。記憶が曖昧で薄れているから、だからここはスルーしようというようなことですよね。確認をしたんですか。もう一度改めて。

○山崎まちづくり推進担当部長 安井氏本人は、現地建てかえについては森氏とはお会いしていないということをはっきりおっしゃっていましたので、それ以上の確認はしておりません。

○白石委員 それでは何のためにヒアリングをしたのかということになりますが、このヒアリングの目的及び理由はどういうものだったのか、伺いたいと思います。

○山崎まちづくり推進担当部長 ヒアリングの目的につきましては、岸記念体育会館の移転または現地建てかえに関して、森氏またはそのほかの政治家の方からの働きかけなり接触なりがあったかどうか、これについてヒアリングをしたということでございます。

○白石委員 実際、見ても、萩生田氏と接触していたりというようなことも、実際記録には載っているわけですよね。しかし、ここのヒアリングでは、萩生田氏から日体協の移転の相談を受けていないと。実際に見れば、でも相談を受けているわけですよね。
 先ほどいろいろと述べられましたけれども、また、往々にして--実際にこういうふうにヒアリングをして、そうしたら一つ一つ確認をして、自分たちの思っていることを、本当にそうかどうかというのを、根拠をまずしっかりと把握しなければいけないと。しかし、現地建てかえについては、最初は森氏から石原知事に話があったんだと思うということについて、余り突っ込んで話も聞かないと。そういうふうなヒアリングを幾らやったって、全容解明なんかできないと。安井氏からいわれたことをそのままうのみにしているだけと。しかも、行動をともにしていた上野技監が聞いているわけですから、上野さんは知っていると思うんですけれどもね。
 実際にこのヒアリングをやって、これをもとにして、私たちの予算特別委員会の代表総括質疑で、見当たらないとか、それからまた、そういう働きかけはなかったと。これが一つの大きな根拠になっています。
 しかし、今もいったように、一つ一つを確認していくと、何でヒアリングをやったけれども、全く確認もとれないような、ただ単に安井氏がいったことをうのみにして、それをただ書いたということがありありだというふうに、改めていわざるを得ないというふうに思います。
 そして、その中に、安井氏は財務省にも行き、国有地の活用は困難な話であることを確認したと、このように述べていますが、ここで、この安井氏が何でわざわざ、都の技監がわざわざ財務省に出向いて確認する必要があるのかということは、安井氏からは何か理由をちゃんと聞いたのでしょうか。

○山崎まちづくり推進担当部長 安井前都技監がおっしゃっていましたのは、この現地建てかえについては、森氏から当時の石原知事に話があったのだと思うということでございまして、実際、安井さんが石原知事から何か指示を受けたというようなことはいっていません。
 ただ、当時の担当副知事に、恐らく石原知事から何らかの話があって、その話がまた安井さんの方に来ていたということだったかと、そのようなことを話していたかと思います。
 当然、そういった中で、本件につきましては、水道局のポンプ所の更新も絡んでいるわけでございますし、そもそも財務省から土地を借りておりますのは、日体協ではなくて、東京都水道局でございますから、都が国有地の活用について財務省の方に相談をしていくということは、そんなに不思議なことではなかろうかと思います。
 もともとその国有地の活用、土地の交換ですとか余剰容積の利用というようなことを、日体協の方は想定をされていたようですけれども、そういう話はもともと非常に難しい話だという認識は、安井氏はお持ちだったということはお話をされていました。

○白石委員 今、安井氏からるるお話があったんだと、このように述べましたが、実際、やはり当事者にしっかりと、私たちが抱いている疑問も含めて、実際働きかけがあったのか、なかったのか。それも含めて、直接聞かなければよくわからないということが、今の答弁でも明らかです。
 私もいっぱい、いろいろ聞きたいことがあります、安井氏に。だからこそ、今度の、これからの、この岸記念体育会館を全容解明していくには、やはり森氏や安井前都技監や佐藤副知事など、しっかりと参考人招致もして、ここで語ってもらわなければいけないということを、改めて強調したいと思います。
 そして、先ほど邊見都技監は、虚偽ではなかったとずっといい張りました。この虚偽答弁問題、最後に伺いたいと思います。
 これまでの質疑で明らかになったように、森元首相や萩生田現在衆議院議員、内田茂前都議会議員など、自民党の政治家ばかりに説明や協議が行われ、政治家の意向に沿って日体協の新会館建設が進められてきたことが明らかとなりました。一連の経緯が都民や議会に明らかとなれば大問題となると。それをおそれて、都市整備局はその事実をひた隠しにすると。そのために、先ほども何度も申し上げておりますが、この都市整備委員会で、二〇一六年の五月に、私は質問した。そして、我が党の吉田前都議への文書質問においても、繰り返し虚偽答弁を行ってきているというふうに思います。
 予算特別代表総括質疑で、我が党の曽根はじめ都議が虚偽答弁についてただしましたが、先ほど来から邊見都技監は、丁寧さに欠けていたと。虚偽については認めませんよという立場を貫きました。
 虚偽答弁というのは、そもそも議会への背信行為であり、このようなことがまかり通れば、議会のチェック機能は破綻します。それだけ重大な問題だと。このことをそのまま見過ごすわけには、断じていきません。
 改めて、当時、私の質問に答弁をいたしました上野技監にお尋ねをしたいと思います。
 日本体育協会、日体協とJOCの会館を神宮外苑地区に移転することについて、都とどのような協議が行われてきたのか。いつ、どのような内容で、何回、協議、話し合いがされたのか、具体的に経緯を説明していただきたいと思います。

○上野技監 まずは、この都市計画の案件でございますけれども、お話しになっているものは、平成二十八年五月二十七日の都市整備委員会、この私の答弁、私は当時、都市づくり政策部長事務取扱をしておりましたので、そうした立場でお答えをしたものでございます。これは、その年の九月の都市計画審議会に付議する案件の報告をさせていただきまして、その質疑をする場でありました。その中で質疑をいただいたものでございます。
 それで、この案件は、まさにこの神宮外苑地区の、一回、競技場に関する都市計画が決まった後の、第二段階目の変更の案件でございました。ちょうど今、お話の出ている岸記念体育館とかの建てかえの整備計画をつくるための都市計画の案件でございました。
 この手法につきましては、先ほども若干出ていましたけれども、もう二十三年当時から、再開発等促進区を定める地区計画という、そういう手法を使って、ここは都市計画を進めていくということを決めていましたので、そういう意味からして、当初の国立競技場の整備計画に絡む、地区全体の六十ヘクタールに及ぶ地区計画の方針と、それから競技場にかかわる、あるいはJSCの本部棟の建設にかかわる地区整備計画を、当初決定していたわけです。
 それで、その地区計画の方針などが明らかになっていて、それに沿った形で、この事業者から提案が出されて、都市計画の手続が進んでいくと。その段階での常任委員会での報告というものでございました。
 通常、その民間プロジェクトの都市計画案件につきましては、事前の相談、調整などを経まして、提案事業予定者の都市計画の協議に進むわけですけれども、都市計画案件を報告して、それで質疑をいただく常任委員会などでは、都市計画協議の契機になる文書のやりとりについてなどを、通常、お答えさせていただいているところでございます。
 そういったことで、平成二十八年の五月二十五日に回答させていただきました文書質問、その二日後の五月二十七日の都市整備委員会の答弁におきましては、いずれもこうした通常の対応と同様のスタンスでお答えしたものでありまして、それぞれ事実をお答えしたものでございます。

○白石委員 今、私が質問したのを改めて伺いたいと。日本体育協会とJOCの会館を神宮外苑地区に移転することについて、都とどのような協議が行われてきたのか。いつ、どのような内容で、何回、協議、話し合いがされたのか、具体的に経緯を説明していただきたいという質問です。そのときにどういう立場だったかとか、そのようなことをいっているわけではありません。上野技監、もう一度お答えください。

○山崎まちづくり推進担当部長 都は、平成二十二年十二月に「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一を策定し、霞ヶ丘競技場一帯をスポーツクラスターとして整備することと位置づけております。また、これも何度か答弁を申し上げていますけれども、平成二十三年の九月ごろからは、国立競技場の建てかえを契機として、周辺の都有地も含めた地区の再編整備について検討を開始し、その中で、岸記念体育会館の移転と跡地の整備、公園整備についても検討を始めております。
 同年の十二月には「二〇二〇年の東京」計画を策定し、神宮外苑を四大スポーツクラスターの一つに位置づけ、スポーツ振興とともに、活力あるまちの再生を実現するとしております。
 一方で、日体協につきましては、平成二十四年ごろまではあくまでも現地での建てかえを希望し、検討を進めていた、そういう時期でもございます。
 そうした中で、都は、スポーツ関連団体の本部機能の集約が神宮外苑のスポーツクラスターの形成に資するものと考え、平成二十四年四月に、岸記念体育会館の移転の検討を日体協に提案したものでございます。
 都は、移転提案後、日体協から適宜、検討状況の報告を受けるとともに、土地の取り扱いや都市計画、スケジュールなどについて相談を受けておりました。資料で確認できるものといたしましては、平成二十四年十月と平成二十五年十一月に、協会から、移転先として都有地を活用することなどについての問い合わせを受けております。また、平成二十六年三月には、日体協から都市計画の変更、あるいはその土地の交換、そういった内容の要望を受けております。それから、平成二十七年二月には、移転に向けた進め方などについて、日体協と相談を行う中で、都から協会に対して、移転先として想定していた候補地についても伝えております。

○白石委員 今質問したのは、平成二十八年、すなわち二〇一六年五月二十七日の都市整備委員会での私の質問を、そっくりそのまま聞きました。当時の質問も今の質問も、答弁したのは上野技監です。今、比較すると、当時の答弁は何だったか。日本体育協会の会館の移転につきましては、日本体育協会から都に対しまして、平成二十七年十二月二十二日に要望が出されております。その要望を踏まえて、同協会などによる整備の方針が平成二十五年六月に決定した本地区計画の方針に沿ったものであることと確認できたことから、都は平成二十八年一月七日に同協会が検討を進めることを了承したものでございますというものでした。それが当時の答弁。
 つまりですね、いつからかと。当時の答弁は、平成二十七年、すなわち二〇一五年十二月二十二日に、日体協から要望を出されてからと、ここを起点にしたんです。
 しかし今の説明、答弁はどうだったか。平成二十四年に、つまり二〇一二年ですね、二〇一二年に都から日体協に対して提案したとの答弁でした。全く違うじゃないですか。
 二〇一六年の都市整備委員会では、二十七年十二月二十二日からだと。しかし、今は二十四年に都から日体協に対して提案したと。まあ事実が全然違うと。
 岸記念体育会館の移転をめぐり、全容解明を行うには、都がいつから検討し、日体協など関係機関との協議などがいつから始まったのかと、ここが明らかにされるかされないかでは大違いなんです。一連の経過をたどることができないんですね。二十七年十二月の二十二日以降ですよと、それ以前はありませんでしたというような趣旨を答弁されれば、その後に行けないんです。
 つまり、どういうことかというと、足取りをつかませないように、意図的に平成二十七年十二月以前の出来事は隠したということは、これは揺るぎようのない事実だというふうに思います。
 そしてきょう、最後のパネルになりますが、持ってきました。先ほどの答弁の中で紹介されたこの五つの事実ですね。ここに書いておきました。平成二十四年、都は岸記念体育会館の移転の検討をすることを提案。二十四年十月、日体協から、協会から移転先として都有地を活用することについての問い合わせ。二十五年十一月、日体協から都に移転先として都有地を活用することについての問い合わせ。平成二十六年三月、日体協から都に都市計画の変更、土地の交換などについて要望を受ける。二十七年二月、移転に向け、進め方などについて相談などを行う中で、都から日体協に、移転先として想定していた候補地について伝えると。
 この前の二〇一六年の五月の答弁は、ここから下です。二十七年十二月の二十二日以降からの起点になります。今答弁されたのは、この五つの事実です。
 そこで、上野技監にお尋ねしますが、上野技監、この二〇一六年五月、私の委員会の質問のときに、この五つの事実のうち、一つでも知っていたことがあると思いますが、全て知っていたのか、それとも何も知らなかったのか、お答えいただきたいと思います。

○上野技監 繰り返しになりますけれども、通常、その民間プロジェクトの都市計画案件につきましては、事前の相談、調整などを経て、提案事業予定者との都市計画の協議に進むわけですけれども、都市計画案件を報告してご質疑をいただく常任委員会などにおきましては、都市計画協議の契機となる文書のやりとり等についてお答えをさせていただいておるところでございまして、その平成二十八年五月二十七日の都市整備委員会の答弁におきましては、こうした通常の対応と同様のスタンスでお答えしたものでございまして、事実をお答えしたということでございます。

○白石委員 そうしたら伺いたいんですけれども、私、そのときの質問で、正式な都市計画の協議に入る契機となったという限定で、協議や話し合いについて答えてほしいと質問しましたか。正式な協議に入る契機となったと、そこから何回話したんですかとか、そんな限定をつけて質問をしたんですか。お答えいただきたい。

○上野技監 たびたび繰り返しで恐縮でございますけれども、本案件につきましては、白石副委員長もよくご存じのとおり、再開発等促進区を定める地区計画に定める都市計画を質疑いただくというものでございまして、通常、民間プロジェクトの都市計画案件につきましては、事前の相談、調整などを経て、提案事業予定者との都市計画の協議に進むわけですけれども、都市計画案件を報告してご質疑をいただく常任委員会などでは、都市計画協議の契機となる文書のやりとり等についてお答えをさせていただいているところでございまして、そういったことから、通常の対応と同様のスタンスでお答えしたものでございます。

○白石委員 いろいろいうんですけれども、邊見技監も首をかしげるんですけれども、先ほども私、いいましたけれども、この二〇一五年十二月以前の、明らかにならないというのは、この岸記念体育会館の移転をめぐる問題の全容解明、実態解明、私たち、以前からおかしいなと思っていたんです。
 なぜならば、例えばですよ、日体協が説明会を--そのときいいました私。説明会をとると。四谷ホールというのがあります。それを情報開示請求で、都民の方がその資料提供を受けました。しかし、何の計画も決定も方針も要望もされていない段階で、日体協は既に新会館の建設の説明会の、このホールの予約がされていたと。こういう痕跡がいっぱいあったんです。だから、私たち、なぜそんなこと、普通だったら予知能力がなきゃできないです、こんなこと。何も決まっていない、何も要望もしていない、その段階から、日体協は新会館建設の説明会のために四谷ホールの予約をしていた。その当時、私、指摘しました。
 そこについても、本来であれば、そんなことできるわけないだろうと。だから、いつからこの協議、何回始まったんですか、検討が始まったんですかと、このように質問したんです。しかし、東京都、二〇一五年十二月以降の話しかしなかったと。だから足取りたどれないんです。ここにまず一つ重大な問題があると、改めて指摘したいと思います。
 私がどういう問題意識を持っていたかも、そこの質問を見れば、上野技監だってわかりますよね。この四谷ホールの問題も指摘しました。それだけ不可解な行動が、その当時からあったと。
 そして私も、そして前都議会議員の吉田信夫都議会議員も含めて、公の場で、この議会で質問したんです。しかし、今、都がずっといっているのは、正式な協議に入る契機となったときからが起点なんだと。これも事実だと。しかし、今明らかになったら、その以前も事実なんだと。このようなことを繰り返し答弁して、この虚偽答弁というのを免れようとしているのは、重大な問題だといわざるを得ません。
 そのときから私たちはおかしいと思っていた。それを覆い隠したいと。だから足取りを追わせないように、この十二月二十二日を起点にしたということは、もう極めて明らかだといわざるを得ません。質問して、答弁されたんだからわかるでしょう、その意図が。なぜそういう質問をしているのかというのは、改めて質問を読めばわかります。
 そして、邊見都技監に改めて伺いたいと思います。
 虚偽答弁を行ったということ、そして議会への謝罪と、当時の答弁の撤回をこの場で正式に行うように求めますが、いかがでしょうか。

○邊見東京都技監 さまざまご質問いただきました。森氏からの働きかけがあったとの記録は見当たらない。契機とするものではない。このことも事実であります。こちらから説明に伺ったことはある。このことも否定せず、申し上げてございます。
 先ほども答弁させていただきましたが、さまざまなまちづくり、日々、相談を初め、提案、調整、こういったことが事前にさまざま行われてございます。関係するところに説明に伺うこともあります。
 私ども、わかり得る事実に基づいて行っております。お答えをしております。こういった中で、どこまでできるのか、できないのか、都民のために合理性はきちんと成り立つのか、政策目的の実現に資するよいものになるのか。そういったことを考えてきてございます。実際に、こういった点で実現に至らなかったものもあったわけであります。
 お話のホールの予約に関してもということであれば、これも先ほど答弁申し上げたとおりであります。いろんなさまざまなステップを経て、私どもも事業者側も、それぞれ組織として判断を加えて、申請にかかわるものであれば申請をしますし、あるいは都市計画に関するものであれば、事前協議に加えて正式な手続を進めていくことになります。そういった途中段階で、事業者として、そういった予約をすることもあろうかと思います。
 いずれも事実に基づいて行わせていただいてございます。虚偽答弁に当たるものではないというふうに考えます。
 本日は、さまざま、主な経緯も含めて整理をし、改めてご報告をさせていただいたものであります。いずれにしても、今後とも、より一層の説明責任を果たしながら、都民のためになる、政策目的の実現に資するまちづくり行政をしっかりと進めていく。改めて、このことに変わりはございません。

○白石委員 説明責任なんて果たされていないんですよ。
 これまでだって明らかにしてまいりました。これで終わるわけには断じていかないと。
 ここまで、岸記念体育会館、一連にわたって質問してきました。まだまだ解明すべき問題は山積しています。現地建てかえについては、森元首相から石原知事に話が持ちかけられた事実が、きょう初めてわかりました。その具体的内容やその後の経緯は、現在、全くわかっておりません。日体協・JOC百年史に記述された森会長の政治力行使の実態も、全く解明されていません。現地建てかえが破綻して以降、都営霞ヶ丘アパートの撤去、住居追い出し、こもれび広場や、民間マンション、外苑ハウスとの不自然な土地区画整理事業など、都市整備局がなぜこれほどまでして、日体協、岸記念体育会館の移転に執着したのかという全容は、まだ解明の緒についたばかりだと申し上げたいと思います。
 そして、邊見技監も、真摯に取り組んできたと、このようなことをいったり、これからも都民のために尽くしていくと、このようにいいますが、だとするのであれば、この岸記念体育会館移転をめぐる問題、現地建てかえも含めて、しっかりと全容解明しなければなりません。
 三つの文書、私たちは開示、この前受けましたが、その前に独自に調査もいたしまして、そしてその中で、この三つの文書、予算特別委員会の代表総括質疑で示しました。この三つの文書の開示はゴールではありません。ようやくスタートラインについたにすぎないというふうに思います。
 日本共産党都議団は、この問題について百条委員会または特別委員会を設置して、徹底解明を進めることを改めて呼びかけたいと思います。
 そして、この不可解な動き、政治家、特に自民党の政治家に、水面下でどんどん交渉し、協議し、ほかの政党には一切、そんな説明も受けていないと。そういうふうなことも、今回、改めて明らかになりました。
 こういうふうな中で、全容解明をするには、安井前技監、佐藤元副知事及び森喜朗元首相の参考人招致を本委員会で求めたいと思いますが、委員長、理事会で協議をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○たきぐち委員長 続けてください。

○白石委員 理事会でやはりこのことをしっかりと協議して、この全容解明、徹底的にやっていかなければ、都政のブラックボックスといわれるのを、そしてこの都政の闇を解明することができないということを改めて強調して、質問を終わりたいと思います。

○たきぐち委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時十八分休憩

   午後六時四十分開議

○たきぐち委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山口委員 さて、大切なこの委員会の質疑でございますが、大変長丁場になり、理事者の皆様にも大変なご迷惑をおかけしますが、しかし、とはいえ、これからの東京都政、しっかりとこの都市整備という大切な分野において、一つ一つご確認をしていかなければならないところでございますので、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げたいと思います。
 さて、いろいろお伺いをしていきたい中で、まず空き家対策についてお伺いをしたいと思います。
 この東京都内、全体で八十二万戸の空き家があるといわれておりますが、六十万戸ぐらいが、賃貸用として確保されているものと。残すところの、問題となるところは、おおむね十五万戸ぐらいが取り壊しを待っている、非常に厳しい長期不在の状況にあるという空き家の状態が、都内では問題になっているところでもございます。
 今年度も大きく予算措置をされ、この空き家をどのように今後に生かしていくかというところが、大切な課題として残っているところでございますが、まずお伺いをしたいのが、空き家の活用を進めていくためには、この空き家がどこにあって、どのように存在をしているのかということを、まずはしっかり実態を把握していく必要があるかと思います。
 都は、区市町村の実態調査の取り組みを支援してきているわけでありますが、これまでの取り組み状況についてお伺いしたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 都は、空き家対策を進めるため、平成二十七年度から、区市町村が実施する実態調査に対して補助を行ってまいりました。今年度はこの補助を用いて、十三区市町村が実態調査を行ってございます。
 これまでに実態調査を行った自治体は約八割と、取り組みが進んでいるところでございます。

○山口委員 区市町村では大分実態調査が進んできているというところでございますが、空き家がどこにあるのか、実態が判明をしてきたと、そういうところでもあるかと思います。空き家の場所が把握をできれば、老朽化したもの以外に使えそうな空き家は、そのままにしないで活用していくことが、ストック活用の重要な視点になるかと思います。
 空き家の活用に当たっては、さまざまな分野の専門家や、地域の情報に詳しい不動産業者など、民間の力をしっかり生かしていくことが重要だと思いますが、取り組みを進めていく上において、この点について見解を伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 空き家の有効活用を進めるためには、住宅の売買等に携わる民間事業者や、相続等の問題を扱う法律家等の専門家と連携し、所有者に働きかけることが有効でございます。
 区市町村では、空き家の実態調査により、所有者に関する情報を把握しており、都は、区市町村が所有者の了解を得た上で、こうした情報を空き家の有効活用に役立てる取り組みを支援してまいります。具体的には、所有者の意向確認や空き家の状況調査等を行うための費用に対して、五百万円を上限に補助いたします。
 今後とも、民間事業者等と連携した取り組みを進めてまいります。

○山口委員 大変実効的な補助をされるというところで、頼もしい答弁だと思いますし、またこの空き家の、お持ちになられている方の立場にしてみると、自分が持っているけれどもどのようにしたらいいのかわからない、また、どのように生かしたらいいかわからない、こういう方がたくさんいらっしゃると思いますので、そういう方に、より有益な情報、また協力ができる民間の活用というものは、非常に大きな鍵を握ってくると思いますので、ぜひとも強力に進めていただきたい、このように思うところでもあります。
 さて、今後もふえると見込まれているこの空き家を活用して、地域のまちづくりにしっかりと生かしていくべきであろうと、違った視点からも考えるところでありますが、見解を伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 都は、平成二十八年度から、空き家を集会所等の地域の活性化施設へ改修する区市町村の取り組みに対して支援を行ってまいりました。
 今年度からは、全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会を立ち上げ、先進的な取り組み事例の情報共有や、都の支援事業の活用を促してございます。
 来年度からは、空き家を、移住、定住や近居、同居等を目的とする住宅に改修する場合にも補助を開始することにより、地域コミュニティの維持や活性化に向けた区市町村の取り組みを支援してまいります。
 こうしたさまざまな取り組みを通じて、空き家の地域のまちづくりへの活用を促進してまいります。

○山口委員 空き家を生かした新たな取り組みが、今年度からもまたスタートしていく、来年度からもスタートしていくということでございますので、そこに期待もしつつ、またしっかりとこの都市の形成について、この空き家というものがどのように活用されているのかも、しっかり私たちも提言をしながら見守っていきたい、このように考えているところでございます。
 続いて、新たな住宅セーフティーネットについてもお伺いをしていきたいと思います。
 昨年十月に、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録制度が創設をされました。今回、東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画案が示され、平成三十年度予算案には、家賃低廉化補助、改修費補助、家賃債務保証など、関連する予算が計上されました。私たちも繰り返し要望してきたものであり、取り組みをよしとしたいと思います。
 新たな住宅セーフティーネット制度に係る具体的な取り組みについて、改めて確認をしたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、昨年十月に、入居を拒まない住宅の登録制度を開始いたしました。また、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録を促進するため、本年三月末に供給促進計画を策定し、東京の実情を踏まえた面積基準の緩和や、住宅確保要配慮者の範囲の拡大等を盛り込んでまいります。
 さらに、登録制度を着実に進めるため、国が導入した住宅の改修や家賃低廉化、家賃債務保証料への補助制度を最大限活用してまいります。具体的には、来年度から、区市町村が貸し主等に対して行う補助の二分の一を助成いたします。加えて、高齢者や障害者の専用住宅に改修する場合には、都独自に改修費への補助を上乗せし、貸し主が負担する費用をさらに半減する措置を行ってまいります。

○山口委員 最大で月額四万円までの家賃低廉化補助が受けられるこの取り組みというのは、ぜひ多くの自治体で事業化されるように、しっかりと進めていただきたいと思います。
 また、近年、この基礎的自治体の仕事がふえていく中で、住宅確保要配慮者やその方々が必要とする支援について、しっかりと人員配置できる自治体は限られており、自治体の中での機運が高まらないことも懸念をされます。世田谷区には制度があっても、一歩区を出て隣に行ったら、何なんでしょうそれはと、知らないというのではまずいわけであります。
 できるだけ多くの自治体で制度が実施されるよう、広域自治体である都として働きかけをしていただきたいと、このように強く要望しておきたいと思います。
 続いて、供給計画案では、二〇二五年までに三万戸の住宅登録を目指すということでありました。基礎自治体で事業化されるところが少ないと、難しい面はあります。
 住宅確保に困難を抱える方が利用できるようにするためには、制度を周知して、登録数をふやしていかなければなりません。三万という目標が必要十分かという議論もあろうかとは思いますが、目下、登録がない中で、制度がきっちり回るように育てていかなければなりません。
 来年度からスタートをする制度を含め、入居を拒まない住宅の登録制度について、わかりやすく周知し、都としてしっかりと効果的に取り組んでいくべきと考えますが、都としての見解を伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 都は、都内不動産団体九団体にヒアリングを行い、貸し主に対する制度の効果的な周知の方法について検討してまいりました。
 これを踏まえ、制度の趣旨や活用のメリット、登録の手続などについて周知に努めております。具体的には、ホームページや案内チラシの作成、配布に加えて、団体の機関紙を活用し、記事を掲載するなどの取り組みを行ってございます。
 あわせて、新年度から開始する住宅の改修や家賃低廉化等への補助についても、区市町村と連携しながら周知してまいります。

○山口委員 住宅確保に困難を抱える方に貸す家主さんにとっての不安に対する答えとして、家賃低廉化、また改修費に加えて、債務保証への助成も行われると。保証のメニューに、万が一の孤独死対策が入っているサービスもあるということです。
 管理会社や不動産会社に任せっきりという大家さんも大変多く、個々にこうした情報を収集して、制度活用しようとまでならない方も非常に多くいらっしゃるのではないかと思います。民間と連携をして事業スキームを組み立てていただけるように、しっかりとした取り組みをお願いしておきたいと思います。
 さらに、借り手に対する働きかけも重要となります。住宅に困ったら、あなたの入居を拒まないこんな制度があるんですよ、そういったお知らせは、不動産屋はもちろん、不動産屋にはなかなか行かないような方にも、効果的にお知らせをしていく必要があるわけでありますが、具体的な取り組みについてお伺いしたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 借り主となる方々に対しては、不動産団体や福祉団体、区市町村と連携して、住宅相談や生活相談の機会を通じ、制度についてお知らせするとともに、ホームページ等を活用して広く制度の周知に努めてまいります。
 あわせて、パソコンなどをお持ちでなく、みずからホームページで住まいに係る情報を入手することが困難な方などに対しましては、福祉団体と連携して、登録住宅などの情報につきまして丁寧にお知らせしてまいります。

○山口委員 供給促進計画案によると、現在、居住支援協議会があるのは七区四市とのことでありますが、借り手へのサポート体制を強化していくため、都内のどの自治体でも居住支援協議会が設置されるようにしていただきたいと思うところでありますが、都として、今後の取り組みはいかがでしょうか、お伺いしたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 居住支援協議会は、住宅セーフティーネット法に基づき、住宅確保要配慮者の居住の安定を図るために設置される組織でございます。
 住宅確保要配慮者に対して、地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うためには、区市町村がこの居住支援協議会を設立し、取り組むことが重要でございます。
 都は協議会の立ち上げや活動費への財政支援を行っているほか、セミナーを開催して、他の自治体の事例を紹介するなどしてございます。
 今後もこうした取り組みを通じて、区市町村による居住支援協議会の設立を促進してまいります。

○山口委員 市場原理だけでは成立しない部分だからこそ、こういった制度が発足をするんだと認識をしています。
 国や都で制度を用意したので、あとは基礎自治体次第ですということでは、なかなか登録数も、事業化する自治体もふえていかないことが懸念をされます。
 都として、積極的に事業化を働きかけたり、事業の意義、必要性について理解を得ていくなど、いわば手とり足とりやっていくことが、これは求められていくと私は思います。
 生活の基盤となる住居を確保できない方が多くなれば、就労や子供の進学など、生活全般が不安定化する方も多くなってきます。社会にとっても望ましいことでは当然ありません。さまざまな事情を抱えて、住宅確保に困難のある方、空き物件をお持ちの方、また仲介する事業者にとって、全てにおいてウイン・ウインになると考えて、都としても取り組む意義は高いと思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきますよう要望して、次の質問に移りたいと思います。
 さて、地震に関する地域危険度測定調査に関連して、幾つかお伺いをしてまいりたいと思います。
 平成三十年二月、第八回目の調査結果が公表されました。建物倒壊危険度、火災危険度及び総合危険度の三つの危険度が、町丁目ごとに五ランクに分けて相対的に評価をされました。また、災害時の活動のしやすさ、困難さをあらわす災害時活動困難度を想定し、本指標を考慮した危険度も評価をしています。
 これをもとに、自然災害に対する備えということが求められているわけで、さらには、東京都防災ガイドマップ、これは総務局から出されているものでありますが、こういったものや、さまざまな被害概要なども、これがもとになっているところでもございます。「東京くらし防災」もそうですが、この中にも記載をされているところでございます。こういったガイドブックも同じでありますが、これらの中に全てこの地域危険度測定調査も記載をされているところでございますが、この数値は五年ごとに精度が上がり、重要な参考になるものになっているわけであります。
 さて、平成二十三年三月に発生した東日本大震災から、はや七年がたったところでございます。その間にも、平成二十八年四月には熊本大震災も発生をし、発災後三日間で千五百回を超える揺れを記録するなど、観測史上例のない事態に見舞われました。南関東においても、マグニチュード七程度の大地震が発生をする確率は、国の地震調査研究推進本部でも、今後三十年以内に七〇%程度と予測をされており、東京はいつ大震災が発生してもおかしくない切迫した状況下にあるといえるのは、もう誰もが認識をするところであるかと思います。
 災害に強い都市づくりを進めるためには、自治体による道路、公園などの整備とともに、都民一人一人が、建物の耐震化や不燃化を含め、日ごろから十分な備えと対策を講じていくところが重要です。
 この調査は、都民の防災意識の高揚を図り、自分たちが住んでいる地域の危険性を認識してもらい、自分たちのまちは自分たちで守るという意識を持つ大きな動機につながるものと、私は高く評価をしているところでもあります。
 さて、東京都は、おおむね五年ごとに行ってきた調査、四十年以上の年月が経過をし、測定の調査の手法も、回を重ねるごとに改善を図られてきていることと思います。
 そこで、今回の第八回目の調査について、どのように精度を上げられ、その調査結果を都としてどのように評価をされているのか、見解を伺いたいと思います。

○安部防災都市づくり担当部長 地域危険度測定調査は、地震に対する建物倒壊、火災、総合の三つの危険度を、都内五千百七十七町丁目ごとに測定しておりまして、最新のデータと知見を反映し、より精度の高い測定方法へ改善いたしました。
 具体的には、建物倒壊危険度では、建物診断結果が基準値以上の旧耐震建築物は、新耐震基準の建築物として評価することとしました。火災危険度では、シミュレーションの延焼時間を六時間から十二時間に延長し、火災の燃え広がりによる延焼遮断帯の焼けどまり効果をより反映できるようにいたしました。また、総合危険度では、避難や消火、救助活動に資する生活道路の整備状況を加味し、評価しております。
 こうしたことによりまして、市街地の実態をより反映した測定が可能となったものと受けとめております。

○山口委員 繰り返しますが、建物倒壊危険度、火災危険度、総合危険度のこの三つの危険度が、町丁目ごとに五ランクに分けて相対的に評価をされたと。また、災害時の活動のしやすさ、困難さをあらわす災害時活動困難度を想定し、本指標を考慮した危険度も評価をしている。これをもとに、自然災害に対する備えということが求められているわけでありますが、さらには、東京都防災ガイドマップの被害想定や、これらのもとになって記載をされてきた今回の測定調査によって、地域の傾向や課題などが明らかになってきたかと思います。この調査結果を、木密地域などの危険度の高い地域の防災都市づくりに反映させていくことが重要であります。
 次に、精度を上げて測定調査をした結果を踏まえて、木密地域の改善をどのように反映していくのか、見解を伺いたいと思います。

○安部防災都市づくり担当部長 本調査の結果では、生活道路や都市計画道路などの道路整備が進んでいない地域で、災害時の活動が困難な状況にあり、また、整備地域以外の一部でミニ開発が進んだことによりまして、火災の危険性が高まる地域もあるなど、各地域の防災上の課題が明らかになっております。
 今後、整備地域内では、狭隘な道路を事業として拡幅する防災生活道路の整備、整備地域外では、不燃化建てかえを促しまして、市街地の耐火性能を高める新たな防火区域の指定や地区計画の活用など、各地域の改善に必要な防災まちづくりを、地元区市町と連携しながら、一層促進してまいります。

○山口委員 私も、東日本大震災の被災直後から、被災地にはたびたび足を運び、つい先日も伺ってきたところでありますが、東日本大震災により被災者となり、避難生活を余儀なくされた方々は、災害に対して心の中に深く刻みつけられていることがあると思います。一方、震災を経験しながら無事であった人々の中にも、その記憶が薄れつつあることを、被災地の方々からも伺っているところであります。
 震災対策には、地域の住民がその危険性を正しく認識して備えていくことが必要であります。特に、木密地域のように危険性の高い地域では、生命と財産を守るには、住民の皆様がまちづくりを主体的に検討することや、防災訓練などの防災活動を実施、さらには建てかえなどによって、自宅の耐震性や耐火性を向上していくことが重要であります。
 このように、都民一人一人の防災に対する主体的な取り組みを促していくためにも、今回の測定調査の結果が効果的に周知され、地震に伴う延焼火災等への危険意識を啓発する必要があると考えますが、見解を伺います。

○安部防災都市づくり担当部長 地域危険度測定調査は、都民の防災意識の高揚に役立てることを目的の一つとしておりまして、先月の公表後、ホームページでの報告書の公開やパンフレットの頒布により、調査結果の周知を図っております。
 また、最新の地域危険度の情報を都民が容易に入手、活用できるよう、今月から東京都防災アプリの配信とともに、オープンデータの形でも提供を開始しております。
 今後とも、本調査で明らかになりました結果を活用し、防災都市づくりを効率的、効果的に進めてまいります。

○山口委員 ぜひしっかりと、こういった周知についても進めていただきますように要望いたしまして--続いて、少し細かくなってまいりますが、建築物の耐震化についてもお伺いしていきたいと思います。
 東京は、いうまでもなく政治、経済、文化、情報が集積をされ、我が国の基幹、中枢が高密度に集積をした、世界でも有数の大都市であります。この都市をいかに魅力ある都市として発展をさせていくかということは、都政において重要な役割であり、我が国において重要な意味を持つことはいうまでもありません。
 さらに、東京の魅力はいうまでもなく、世界においてその評価も高く、注目を集めているところであります。
 アメリカの富裕層向けの旅行雑誌、コンデ・ナスト・トラベラーが行った読者投票ランキングにおいて、世界で最も魅力的な都市を決める、アメリカを除く世界各都市のランキングで、東京は二年連続一位に選ばれています。これは、東京の観光PRや旅行者の受け入れ環境整備など、行政と民間が力を合わせたさまざまな取り組みの成果が反映されたものであろうと、評価をされているところでもあります。その上で、この東京が、住んでも安全--誰でも住まいと暮らしに安心ができるという都市政策を構築していくことが大変重要であろうというふうに考えております。
 そこで、建築物、とりわけ低層の住宅の耐震化についてお伺いをしたいと思います。
 その魅力ある東京の最もの脅威は、先ほどからお話をしている首都直下型地震であります。そして、その被害の大きいところは、先ほども答弁があったとおり、建築物等の倒壊による被害の拡大、瓦れきによる大量の負傷者が発生する、その負傷者は約八四%といわれておりますが、ここが一番の懸念とされている倒壊の危険性といわれるところであります。
 その倒壊のプロセスでありますが、震度、加速度、揺れている時間、震源の深さ、建物の構造、旧耐震、新耐震なのか、そして地盤、こういった要因が複雑に入り組み、起こるとされています。熊本地震のように、短期間で二回の震度七の揺れが起こった場合、一回目の揺れには耐えられた建物も、二回目の揺れでは耐え切れずに倒壊してしまった建物が多くありました。一九八一年以前の旧耐震基準の建物はほとんどが倒壊をし、倒壊や全壊の被害、また一九八一年、二〇〇〇年の新耐震基準の建物も多くが倒壊、半壊と、その被害は甚大なものでありました。
 旧耐震基準のものの耐震化を進めていくことは重要なのはいうまでもありませんが、新耐震基準のうち二〇〇〇年以前のものについてはこうしたリスクがあることを、十分に都民の皆様にさらに周知をしていく必要があると思いますが、都の見解を伺いたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 熊本地震での被害を踏まえ、国が設置した委員会の報告では、倒壊した木造建築物の多くが旧耐震基準によるものであり、耐震化の一層の促進が必要であるとしてございます。
 新耐震基準の木造建築物の中でも、平成十二年以前の建築物の一部で倒壊などの被害があったことから、国は、所有者みずからが構造上の弱点となる接合部の安全点検を行うことを推奨してございます。
 これらのことを踏まえ、都としても、まずは旧耐震基準の木造住宅の耐震化を促進していくことが重要であり、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅では、所有者による安全点検を行うよう促していくことが必要であると認識してございます。

○山口委員 熊本において、二〇〇〇年以降の新耐震基準の住宅でさえも、倒壊した建物がありました。やはり、不動産を持っていらっしゃる、また維持をしていくからには、しっかり知っていただく、理解をしていただくところから全てが始まっていくんだろうというふうに考えています。
 一般の方は、こういった実態を知らないというのは普通であって、周知や普及啓発、支援などは十分に取り組んでいただきたいと、このように要望しておきたいと思います。
 さて、日本の建築業界のいいところでもあり、悪いところでもあると思いますが、到達点が、より余力を持たせようとか、より安全・安心をとか、教訓を生かそうとかではなくて、建築確認がおりればいいじゃないかと、大半でというところで落ちついてしまっているのが現状であるというふうに認識をしています。
 多くの都民は、耐震性があるかないかの二択であると思い込んでしまっているところが、私はさらに多いと思っています。耐震性があれば、地震に耐えられると受けとめ、それ以上求めなくなってしまいますし、知る機会も失ってしまう可能性があります。
 平成十二年に、住宅品質確保法に基づく住宅性能表示制度が創設をされましたが、この制度に耐震等級という項目があり、等級一から等級三までの三段階で評価をされます。この等級一の意味、定義は、最低等級で、数百年に一回の地震の際に住民の命を奪うような倒れ方をしないというものであり、壊れないというものではないということを知らない方が多くいるのではないでしょうか。そもそもこの等級自体があることを知らない、認識をしていない方も多いのではないかと思います。
 ましてや、耐震等級一の住宅で、普通地盤なら倒壊しないものであっても、軟弱地盤の上では、地震の揺れ方が増幅されるなどして倒れる可能性があるなんていうことは、考えもしていない方が大半いらっしゃるのではないかと思います。
 だからこそ、結局、この耐震等級一でいいのではないかと。数百年に一度、数十年に一度のことにお金をかけるより、つい躯体や地面よりも水回りなどにお金をかけてしまうと。これは購買の意欲のあるときにこっちに目が向いてしまうことは、これはもう仕方がないことなのかもしれませんが、こういったところに、さらには震災を振り返っていったときに、こういった原因から被害が及ぶんだと。
 さらに被害に遭わないようにと、一瞬、震災の後には意識が高まっても、こういった意識が地盤や真の耐震というところに意識がいかない。これでは、これからの先、成り立たないのではないかと思います。
 この耐震等級一を最低限守っていらっしゃる。この一から一・二五倍割り増しをしたものが二であり、これをさらに一から一・五倍増すと三という等級になるわけでありますが、この震災に強いまちづくりを進めていく上において、ここの意識をしっかり高めていかなければいけないと、このように考えるところであります。
 そのためには、まず、住宅性能表示制度といった制度の存在を、都民の皆様によく知っていただく必要があると思います。この制度は、耐震等級だけではなくて、火災時の安全に関する耐火等級もあり、住宅の性能を把握し、防災への意識を高めるだけでも大変有用なものであると考えます。
 そこで、都としては、本制度の普及に向け、どのようにこれまで取り組んでいるのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 住宅性能表示制度は、国の登録を受けた第三者機関が、お話の防災関係の項目も含めて、客観的な基準に基づき住宅の性能を評価し、わかりやすく表示するものでございます。
 都は、この制度を消費者や事業者に対し広く普及させるために、ホームページやパンフレット等を活用し、情報提供を行っております。
 都内の新築戸建て住宅における住宅性能評価の実施率は、平成十二年度の制度創設以降、徐々に増加しており、平成二十八年度において約二一%となっております。引き続き、評価の実施率向上に努めてまいります。

○山口委員 実施率二一%というところでございますが、さらにしっかりと伸びていくように、強力に推進をしていただきたい、このように願うところでありますが、確かな減災を実現していくためには、東京がより精度の高い情報発信をしていく、そして、その情報をもとに、災害に対する意識、認識を高め、生かしていただくことが重要だと思っております。
 特に、ほとんどの方が一生の買い物をして購入される土地建物、また自分の資産を正しい情報をもとに、いざというときのために認識を高く持って購入、建築をできるように努めていくのは、今後、区市町村ではなく、東京都の大切な役割になっていくだろうと考えます。
 国の基準、制度の中で施策を打ち出していかなければならないのは十分理解できますが、生かせる、生かすべきデータを都民がより判断をし、自身の身は自身で守る意識啓発を高めていくことこそが最大の減災であることを、都民の皆様にも理解をしていただくことが大切だろうと私は思います。そのためにも、建物だけではなくて、地盤や自分が住んでいる場所、特性、そして可能性をしっかり把握してもらうことこそ、最大の減災、そして耐震であるというそのもとを、都がつくっていく必要があるんだということを申し述べておきたい、このように思うところであります。
 さて、熊本の震災において、この等級一の一・二五倍の強度を持つ住宅性能表示制度の耐震等級二の基準をとった長期優良住宅も倒壊をしてしまいました。これは、これまでの常識を見直さなければならないであろう衝撃的な光景であったわけであります。
 ここには直下率の数値が、建物の耐震性に大きく影響することがわかってきました。この直下率とは、一階と二階がつながっている柱や耐力壁の割合のことでありまして、構造的なバランスを評価する重要な指標として使われてきています。
 熊本において、一例でありますが、倒壊した住宅の壁量をとってみても、耐震等級二の必要量を満たしていましたが、柱の直下率が、適正直下率六〇%以上のところが四七・五%であったり、耐力壁の適正直下率が五〇%以上であるところが一七・八%であったりと、下回っていたわけであります。特に、この耐力壁の直下率が小さいプランが、倒壊に大きく影響しているのではないかという懸念が持たれたところであります。
 上下階の柱と壁のいわゆるのりのいい建物、掘りの浅い家は、なかなかデザイン的にも全国的に売れないというのも、現実的にはわかります。しかし、デザイン重視になってしまっては、リスクコントロールのことを考えていくと、こういった点に注目をしていく必要が、今後あるのではないかと考えます。
 直下率という視点から見ると、耐震性に影響が大きいことは、数字で出てきているところでもありますし、倒壊は複合的な要因があるとはいえ、都としては、こういった熊本で起こった事実や実態を、今後、東京都でどう生かしていくか、反映をしていくべきか、さらに、都民の皆様にしっかり伝え、知っていただくよう努めていくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 耐震性に関する基準は、過去の地震被害についての技術的知見を踏まえて、国が法律で定めていることから、お話の直下率については国が判断すべきものであると考えてございます。
 都としては、先ほど答弁させていただきましたとおり、まずは旧耐震基準の木造住宅の耐震化を促進していくことが重要であり、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅では、所有者による安全点検を行うよう促していくことが必要であると認識してございます。

○山口委員 当然やるべきことには順序があって、今取り組むべきは、まさにおっしゃられたとおりだろうと思います。
 しかし、国の判断がどうなっていくのか、これから見守っていかなければならないところだと思いますが、首都直下型地震にこの直下率が大きく影響していくのではないかという懸念は、これは拭い去れないところであるかと思います。
 どうかしっかりこれから先も研究を重ね、都政に生かしていただくよう、ご要望はしておきたいと思います。
 さて、さらに地盤についてもお伺いをしたいと思います。
 他の自治体では、地盤調査会社がしているような、自治体によって地盤の情報を蓄積している自治体も出てきております。こういった地盤の公開をされている自治体というのは、私自身は、重要事項にしっかり明記をされてもいいぐらいの内容であって、用途地域のように、きちっと調査項目として、せめて必ず調べる項目として近隣地盤の状況を入れていく必要があるのではないかと、このように思うところでもありますが、閲覧はできるけれどもコピーや写しをもらうことはできない、他自治体の例では、こういった自治体もあるところでもあります。
 仮にこれを有料にしても、行政にビッグデータを集約することによって、住んでいる人、住もうとされている人にとっては、この地盤の情報というのは非常に有益な情報になると考えます。
 本来ならば国土交通省がやるべきことでありますが、首都東京として、災害、防災、耐震、このように考えていくと、独自に取り組む価値も必要性も、私は高いと思います。
 さらには、東京都でも区市町村でも閲覧ができるようにしていく必要があるのではとも思うところであります。
 熊本地震では、地盤の揺れにより多くの戸建て住宅の被害が生じています。地盤によって被害が異なっていたのが実態であります。住宅の購入や建築を検討する際、所有者は地盤の状況を確認していくことが、今後はさらに不可欠となっていくわけであります。
 そして、こういった閲覧が簡単にできるようになり、こういったことが必要なんだということを都民に周知されていくことが重要だと考えます。
 災害に強い都市を構築していくためには、都みずからが地盤情報を提供し、都民が活用できるようにするなど、住宅の安全性を向上させるための環境を整備していくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○青柳市街地建築部長 地盤の揺れなどによる建物被害に備えるためには、建築主や設計を行う建築士が、敷地の地盤状況などについての情報を得る機会をふやすことが重要でございます。
 このため、都民が地盤データを容易に入手することができるよう、平成二十五年五月から、都や島しょを除く全ての区市町村の窓口において、土地の履歴図や公共施設の地盤データの閲覧を開始しております。
 平成二十六年五月からは、これらの情報に液状化予測図などを加えた上で、ホームページでも公開し、都民が容易に地盤データを収集できる体制を構築しております。

○山口委員 東京都が積極的に、これまで情報提供に努められてきたというところはわかりました。建物の耐震性、耐久性にも大きくかかわり、安全性、経済性を踏まえた設計、施工にも寄与するこの地盤情報というのは、広く収集をして損はありませんし、提供していくことは大変重要なことだと私は考えます。
 今後とも、ぜひ充実を図っていただきたいと思いますし、ホームページ等で、公共施設等の地盤を見れば、自分の土地がどのようになるかと、広域的に考えられる、そんな考え方もよくわかりますが、広く、より細かく、詳細に、自分に係る地盤はどのような状況にあるのか、どのような将来性を持っているのかということを知っていただくというのは非常に重要だと思いますので、ぜひともこの点の議論を深めていけるように、今後も質疑を重ねていきたい、このように思うところでもあります。
 都が蓄積しているデータと民間のデータをあわせて活用を図っていける仕組みというものも、ぜひ私は必要だとも考えています。
 民間と協力をして、オープンデータ化、さらにはデータの活用の仕組みを構築していくべきとも考えますが、見解を伺いたいと思います。

○青柳市街地建築部長 公共施設の地盤データにつきましては、ただいま申しましたとおり、既にホームページで公開しております。地盤データをより充実させるためには、公共施設に加えまして、民間建築物の地盤データも収集、公開する必要があると考えております。
 現在、民間建築物の地盤データの収集を進めておりまして、引き続き、戸建て住宅などの被害に備える取り組みを充実させてまいります。

○山口委員 民間でも、日々地盤調査が行われて、データが蓄積をされております。地盤の対策を考えるときに、地層の連続性が大きくかかわる、その境目、不連続の状況が、あらかじめ、ある程度把握できているかいないかが、地盤調査に大きく影響していくところでもあります。
 この地盤調査の精度や方法についても、私なりの調査、見解があるところでもありますが、この点についても、今後継続して議論をしていきたい、このように思うところであります。データの精度や濃淡については、さまざまあるのは十分承知をしておりますが、そのことはビッグデータを活用する上で克服すべき課題であって、活用に向けた検討を妨げるものではないと申し上げておきたいと思います。
 これも、本来ならば国土交通省がやるべきことだと、皆さんにしてみれば思われるかもしれません。しかし、先ほども申し上げたとおり、首都東京として防災、耐震、減災を考えていくとなると、都として独自に取り組む価値も必要性も、これも高いというふうに思います。
 さらには、都でも、各自治体においても、閲覧が簡単にできるようになり、こういったことが必要なんだということを都民の皆様に自覚していただくということ、周知をされることが重要なわけであります。
 地盤に対する認識、意識を行政、業者、ユーザーが高く持っていいし、今ここに注目が集まってきているのは間違いありません。そして、特に、ユーザーが高く意識を持つことで、業者を動かすことにもなりますし、ここはどういった土地なんですか、地盤なんですかと、どういった可能性があるんですかと問えるようにしていくことが、本来であれば当たり前なわけであります。
 さらにいえば、説明するまでもなく、しっかりと明記をされていく、説明することは当たり前の時代が来るように、環境を整えていかなければならない時代になってきています。戸建てを買うときも、どういう土地で、どういう基礎を打ったかということを確認していくことが当たり前にならなければなりませんし、また、もうこうなってきているわけであります。
 都民は、より細かな情報を収集し、こういったところまで関心を高め、判断基準として求めていったときに、では、耐震、減災を唱える東京都はと問われたときに、答えられないようではいけないのではないかと思います。
 誤解がないように、改めて申し上げておきますと、業者が独自に求めていく情報で、こういった大切な判断がなされるばかりではなくて、あくまで都民が、安全とは、安心とはという総合的な判断ができる環境整備をしていくべきだという観点で、まずはいいとは思いますし、それは近い将来、必ず建築基準だけでなく、地盤や地域特性までもが問われてくる時代が来るから、こういった質疑をさせていただいているところであります。
 そして、この意識向上と啓発こそが、真の減災と耐震向上につながり、これは一個一個の問題ではなくて、町丁目、地域と広がりを持っていく、つながりを持っていくことだと考えています。
 東日本大震災や熊本地震を経験して、耐震に関する知見が飛躍的に変わってまいりました。進化してきたといった方がいいのかもしれません。地震に対して、どうしても全てを完璧に守り切ることはできないわけであります。
 しかし、できる限りの減災のためにも、あらゆる技術、情報を活用し、意識を共有していくべきであります。そのためには、政府、自治体、民間企業、事業者、専門機関、そして都民一人一人が意識高く、これを共有していく必要があります。
 そこで、行政と民間が連携をして、この耐震化に取り組んでいくことが重要であると考えておりますが、都の見解を伺いたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 耐震化を進めていくためには、都民一人一人がみずからの問題として認識し、備えていくことが重要でございます。
 このため、都は、耐震キャンペーンにおいて、相談会や耐震改修工法の展示会を開催するなど、民間とも連携し、普及啓発を図ってまいりました。例えば、相談会では、建築関係団体所属の専門家に、都民からの相談に対応していただいてございます。
 今後もこうしたことを通じまして、耐震化の取り組みを進めてまいります。

○山口委員 東日本大震災から七年がたちました。私の聞く限り、調べた限りでは、幾つかの相談会やセミナーの実施状況や参加者数の方を把握させていただきましたが、その数というものも、年々、やはり意識とともに減ってきているのが実態です。そして、震災が起こった後、何かどこかで地震が起こった後にはぐっと上がりますが、やはり減少していく傾向にあると。
 セミナー参加や相談から耐震化の実施に結びついたケースは、またさらに少ないわけでもあります。今の広報にプラスアルファの工夫、取り組みの強化が、これは必要であろうと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、耐震化の機運を盛り上げるため、毎年、耐震キャンペーンを開催しており、耐震改修が行われた事例の見学会や、民間が行うセミナーなどを通じて、都民への普及啓発を行っております。
 これまで耐震キャンペーンの周知に当たっては、耐震ポータルサイトや区市町村の広報紙など、さまざまな媒体を活用し、積極的な広報に努めてまいりました。
 来年度は、よりわかりやすく情報を発信していくため、ポータルサイトのリニューアルを行ってまいります。また、より多くの都民に参加してもらえるよう、耐震改修の事例と防災体験が可能な施設を組み合わせて見学するなどの取り組みも行っており、今後も、このような工夫を加えながら、普及啓発に取り組んでまいります。

○山口委員 新たなポータルサイトの開設、そして新たな見学の取り組みなど、非常に期待もしているところでありますが、何といっても、どんな方に、どんな団体に、専門家の方にご協力を依頼するとしても、主体であるのは東京都であって、東京都が積極的な働きかけや呼びかけに尽力をしていかなければ、聞く方のところに届かない。本来聞いていただきたい方に届かない。ここをしっかりと踏まえて、ぜひ普及啓発にも努めていただきたい、さらに広報にも努めていただきたい、このように考えるところであります。
 明らかに大震災以降、国民の、都民の意識は変わってまいりました。そして、危険度、さらに可能性の予測への調査、検知も格段にその精度を増してきているところであります。その成果にいかにして意識を高め、ルールを変え、自治を高めていくかが、都市整備局の皆さんにかかっている、問われていると思います。
 ぜひこれまでの経験と英知を、取り組みをさらに生かしていただくよう要望して、質問を終わりたいと思います。

○滝田委員 私からは、予算案に関連しまして、四つのテーマについて質問をいたします。一点目は都市づくりのグランドデザインの実現について、二点目は緑の確保について、三点目は鉄道ネットワークの整備について、そして四点目は鉄道駅のバリアフリー化について、順にお伺いをいたします。本日は長時間の審議ですので、少し早口で進めていきます。
 まず一つ目のテーマ、都市づくりのグランドデザインの実現に関連して、五点伺います。
 昨年九月に策定されました都市づくりのグランドデザインは、挑戦的なアイデアや将来都市イメージが多数含まれた意欲的な内容であるとの評価をしております。
 来年度は、このグランドデザインに基づいて具体的なまちづくりをどう展開していくのか、具体策を動かしていく最初の年、大事な第一歩を踏み出す年になります。特に、グランドデザインで掲げている課題の多くが部局をまたがる横断的なものであり、プロジェクトの推進体制が重要な鍵を握ると考えています。
 十一月の都市整備委員会事務事業質疑の際には、プロジェクト型の都市づくりによって分野横断的に問題解決をしていくとご答弁をいただきました。組織経営において、プロジェクトとして部局内の従来の仕事や評価と異なる軸ができることは、行政に限らず、民間企業においても、一般に難易度の高い事柄であります。工夫が必要となります。
 一方、パイロットプロジェクトとして示されている、水辺に顔を向けたまちづくりや、緑、都市農地の保全活用など、それぞれ来年度に向けて、推進体制の検討も含めて、庁内で具体的な動きが進んでいると理解をしております。
 そこで伺います。分野横断的な考えに基づいて、部局をまたいだ関係者で連携して取り組みを進めることが重要と考えますが、来年度、どのような体制でパイロットプロジェクトを進めていくのか、具体的な体制の例を伺います。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市づくりのグランドデザインにおきましては、分野を横断する課題について、特に重点的に進めるべきテーマをパイロットプロジェクトとして掲げ、部局をまたいだ関係者で連携して取り組むこととしております。テーマごとに、施策の組み合わせ方や課題への対応策が異なるため、それぞれのテーマに応じた体制を整え、取り組みを進めてまいります。
 例えば、テーマの一つである、水辺に顔を向けたまちづくりにおきましては、河川や運河などを生かした魅力ある都市空間を創出するため、水辺や建築敷地との一体利用による質の高い公開空地の誘導や、船着き場の整備による船旅が楽しめる舟運ネットワークの形成など、さまざまな施策に関係者が連携する体制を構築し、一体的に取り組んでまいります。
 具体的には、水辺への公開空地の確保を誘導する都市開発諸制度の改定や、河川敷地や水域の占用に係る規制緩和などの検討を、民間開発の誘導などを担う都市整備局と、河川や港湾、運河の管理者である建設局や港湾局とが連携し、必要な体制を整えて進めてまいります。

○滝田委員 ただいまご答弁いただきましたように、局をまたぐ連携体制を構築していくわけです。プロジェクトのオーナーシップを誰が握るのか、つまり責任の所在をしっかりと定めること。また、プロジェクトメンバーの所属部署がしっかりとサポートを行って、業務管理や評価においても配慮することなど、しっかりと対応をお願いいたします。
 次に、具体的なプロジェクトの一つとして、都市計画区域マスタープランの改定があり、来年度予算には一千万円が計上されています。長期の都市像を描いたグランドデザインは、法定計画ではありませんので、都市計画上に落とし込むことは大切な段階と理解をしております。
 繰り返しとなりますが、グランドデザインの内容は、挑戦的あるいは野心的であります。中でも、記載のある集約型地域構造への再編は、コンセプトは単純なのですが、日本の都市計画が長年実現できなかった、相当に難易度の高い挑戦になります。
 東京から変えていくという気概で、グランドデザインに込めた思いや志を区市町村と共有していただきたいと思います。そして、広域的見地から、必要な規律は緩めずに、区市町村とのコンセンサスを形成していただきたいと期待をしています。
 質問に入りますが、都市計画区域マスタープランの改定に当たり、グランドデザインの内容について、具体的な地域への落とし込みを図らなければなりません。区市町村との調整をどのように進めていくのか、お伺いします。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市計画区域マスタープランは、都市計画法に基づいて都が定める法定計画でございます。グランドデザインで考え方を示した中核的な拠点や地域の拠点について、具体的に拠点を位置づけ、土地利用や都市施設の整備等の主要な都市計画の決定の方針などを定める改定を行います。
 改定に当たりましては、それらの内容を区市町村に提示し、意見交換を行い、調整を図ってまいります。特に、個別の拠点や地域の将来像につきましては、区市町村がまちづくりを進める主体となることから、東京全体の都市づくりとの整合性を勘案しながら、綿密に調整してまいります。

○滝田委員 これから各区市町村との考え方など、さまざまな意見が出てくると思いますが、ご答弁の意気込みを応援いたしますので、ぜひ志の高いものの策定をお願いいたします。
 グランドデザインの記載を引用しますが、人口減少社会においても、生活を支えるさまざまな都市機能や居住機能を、大小さまざまな拠点に再編集約し、地域特性に応じた集約型の地域構造を構築していくことを、都としても今後目指していくとあります。
 一方で、平成二十六年に都市再生特別措置法が改正され、立地適正化計画の策定が制度化されました。集約型の地域構造への再編には、区市町村における取り組みが重要、そして、取り組みを推進する上では、立地適正化計画を活用することは有効と考えられます。
 東京の区市町村では、集約型の都市を目指すことに対して、地方都市と比べるとまだ意識が薄いと感じます。しかしながら、東京全体でも、二〇二五年には人口減少が始まるといわれています。多摩地域では既にピークに達し、人口減少が始まる局面にあります。喫緊の課題となりつつあります。
 そのような中、都は、集約型の地域構造への再編に向け、立地適正化計画等の策定を促進するための指針を作成するとしていますが、どのような指針を作成するのか、お伺いします。また、都内の区市町村における立地適正化計画の策定状況をお伺いします。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 グランドデザインでは、少子高齢、人口減少社会の到来を見据え、駅周辺などに生活に必要な機能を集積させ、その徒歩圏に住宅市街地を誘導し、歩いて暮らせるまちへの再構築を図る、集約型の地域構造への再編を掲げました。
 区市町村の行政界を越えて、市街地が連担しているなどの東京ならではの特性を踏まえた上で、区市町村が立地適正化計画を作成するよう誘導していく必要がございます。そのため、広域的な観点から、居住機能や商業、医療、福祉等の都市機能の配置のあり方、バス等の地域の公共交通サービスの提供のあり方などを示した指針を定めます。
 なお、立地適正化計画につきましては、都内では八王子、府中、日野、福生の四市が、策定、公表に向けた取り組みを行っております。この四市とは、東京の特性を踏まえた集約型の地域構造につきまして、意見交換や調整を行っております。
 その他の区市町村におきましても、都が定める指針に即して計画を作成するよう、誘導してまいります。

○滝田委員 今、ご答弁を述べていただきましたとおり、都市が連担している東京においては、区市町村の境界を越えた広域的な計画性は必要と考えます。都市計画の分権化と広域調整の両立という、古くて新しい課題に粘り強く取り組んでいただきたいと思います。
 さて、都は、昨年九月に多摩の振興プランを策定しました。知事も、多摩地域の振興の重要性を、就任以来、強調しています。多摩地域の具体的な都市づくりをどのように進め、地域振興を図っていくのか、他局の計画や施策とも連携して推進していただきたいと思います。
 グランドデザインにおいて、多摩をイノベーションの創出できる地域としていくとあります。具体策に落とし込むことが次のステップと理解をしております。
 来年度予算案として、多摩地域の整備に関する基礎調査、千六百万円が計上されていますが、どのような目的で、どのような内容の調査を行うのか、お伺いいたします。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 多摩地域の整備に関する基礎調査は、グランドデザインで示しました、多摩においてイノベーションを創出する拠点を形成する取り組みを取りまとめることを目的としております。
 グランドデザインでは、日本と東京の活力を牽引するエンジンの一つとして、多摩イノベーション交流ゾーンを設定いたしました。そのゾーン内では、企業、大学、研究機関やものづくり産業といった既存の集積などを生かして、新たなビジネスチャンスを生み出すこととしております。
 今年度、まず、イノベーション創出の鍵となる産官学連携の活動状況や、参考となる国内外の先進事例などの調査を行いました。
 来年度は、これまでの成果を踏まえ、ベンチャー企業の立地を誘導する施策や、ビジネスマッチングを促進する施策等を検討し、地元市町などの関係者との調整を図ってまいります。

○滝田委員 まだ基礎調査段階というようなところもあるかとは思いますけれども、多摩地域選出の議員を代表しまして、できる限り早く具体策を示していっていただきたいと申し述べておきます。
 また、現段階では指摘にとどめますけれども、九〇年代から二〇〇〇年代の産業クラスターなどの以前からの計画に対して、冷静な評価も必要かと思います。
 次に、物流政策に関して質問します。
 昨年九月の委員会で意見を述べましたけれども、物流政策は、平成十八年の総合物流ビジョンに基づいており、策定から十年以上が経過しています。その間に物流環境は大きく変わってきていると認識していますが、今後はさらに、自動運転やAIなどの技術革新にも強く影響を受ける分野であり、民間事業者もさまざま取り組みを図っていると理解をしています。
 来年度予算案には、物流政策に関する調査として四千万円が計上されています。調査に当たり、ヒアリングするべき対象は、不動産事業者だけではなく、むしろ物流事業者や小売流通事業者に対して、環境の変化や将来ニーズを確認していくべきと考えます。
 ついては、来年度予算案の物流政策に関する調査において、どのような課題認識を持っているのか、また調査検討の概要をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 都市づくりのグランドデザインでは、物流施策につきまして、高度成長期に建設された物流施設の老朽化への対応や、また駅周辺の商業地等における円滑な荷さばきの実施などの課題に対応するため、老朽化した物流施設の計画的、一体的な機能更新や、まちづくりに合わせました地区物流の効率化などに取り組むこととしております。
 このため、来年度は、これらの施策の具体化に向けまして、お話にありましたような技術革新の動向などを踏まえ、物流関係事業者へのヒアリングも行いながら、臨海部等におけます物流施設や市街地における荷さばき駐車施設の実態などについて調査する予定でございます。
 加えて、熊本地震等の経験を踏まえまして、災害時にも機能する広域的な輸送体制の構築が求められていることから、圏央道、中央道等の沿道におけます民間物流施設の立地や、輸送路の確保に関します調査を実施する予定でございます。

○滝田委員 ありがとうございます。グランドデザインにつきましては以上になります。
 今後も、適宜、取り組み状況を伺っていきますので、よろしくお願いいたします。
 次のテーマとしまして、緑の確保について伺います。
 都市づくりのグランドデザインでは、二〇四〇年代までの中長期で、東京の緑を総量としてこれ以上減らさないということを掲げています。
 まずは、政策目標である緑の定義を確認いたします。グランドデザインで述べている、緑を減らさないにおける緑の指標は何か、お伺いをいたします。

○久保田都市づくり政策部長 都は、緑の指標として、みどり率を使用してございます。みどり率とは、地域全体に占める緑と水の面積割合でございます。その緑と水は、公園・緑地、農用地、水面・河川・水路、樹林・原野・草地の四つに分類をしてございます。このうち、樹林・原野・草地の中には、街路樹や公共施設の緑、屋敷林に加え、開発によって生み出される公開空地の緑などが含まれます。環境局が五年置きに公表しており、算出に当たりましては、航空写真や土地利用現況調査などのデータをもとにしてございます。

○滝田委員 航空写真からマクロで把握している指標と理解をいたしました。
 まず、これまでの状況を確認したいと思います。みどり率の推移について、その概要をお伺いいたします。

○久保田都市づくり政策部長 みどり率は、これまで平成十五年、平成二十年、平成二十五年に公表されてございます。島しょ部を除く都内全般では、それぞれ五二・四%、五〇・七%、五〇・五%となっており、十年間で一・九%減少しているところでございます。
 区部では二〇・〇%、一九・六%、一九・八%となっており、十年間で〇・二%減少しており、農地の減少が継続してございます。
 一方、最近の五年間では〇・二%増加して、増加に転じており、都立公園等の拡張や、都心部や臨海部における民間開発によって生み出された公開空地等の緑が寄与しているところでございます。
 多摩部では六九・八%、六七・四%、六七・一%となっており、十年間で二・六%減少し、特に樹林地や農地が減少してございます。

○滝田委員 ご説明いただきましたこれまでの推移では、ペースは穏やかとなりましたけれども、減少傾向は変わっておらず、さらなる施策の強化が求められると思います。
 施策の方向としては、緑をふやすか、もしくは緑を残すかの両面を考える必要があります。緑をふやす方の取り組みについては、例えば、壁面緑化などの技術革新が進んでおり、導入実績もふえてきております。
 みどり率は、マクロで緑の量を把握する手段としては効率的ですが、壁面緑化などの緑については捕捉することができません。東京のような都市では、平面的に緑を創出するには限界があります。また、ふだんの生活で目にする、あるいは身近に接することのできる都市的な緑が、都民の生活環境の向上にとって重要です。
 そのため、壁面緑化のように、都心部でも創出できる立体的な緑は、今後ますます重要性を高めると考えています。このような緑を含めた緑の総量を把握することは、難易度が高いとは理解しますけれども、今後の課題として指摘をしておきます。
 一方、緑を残す方の観点では、まず、都市地域以外の緑をしっかりと保全するよう、関係部局と強調して、グリップをきかせる必要があることはいうまでもありません。その上で、都市地域内において、緑の確保をさらに進める必要があります。
 都は従前から、都市計画公園・緑地の整備方針や緑確保の総合的な方針を、区市町と合同で策定し、行政による公園緑地の整備及び民有地における緑の保全や創出の取り組みを推進しています。
 そこで、来年度の予算案で計上されている緑確保の総合的な方針改定に向けた検討について伺っていきます。
 緑確保の総合的な方針は、平成二十二年に、都と区市町が合同で策定し、その後、確保地を追加して現在に至っています。民有地における緑の確保地として、樹林地と農地に着目し、平成三十二年を目標に、保全の諸制度を活用し、確保に取り組んでいると聞いています。
 まず、緑確保の総合的な方針の改定理由及び樹林地と農地ごとに確保地に位置づけた面積とこれまでの実績についてお伺いいたします。

○久保田都市づくり政策部長 緑確保の総合的な方針は、減少傾向にある民有地の緑の保全を推進していくことを目的として、都と区市町村が合同で策定したものでございます。
 本方針におきまして、民有地の屋敷林や農地など、保全すべき緑を確保地として位置づけ、特別緑地保全地区などに指定することにより、その確保に取り組んでおります。
 都は、昨年策定した都市づくりのグランドデザインにおいて、東京の緑の総量をこれ以上減らさないという目標を示しました。この目標の実現に向け、緑確保の総合的な方針を改定することといたしました。
 今後、区市町と合同で確保地をさらにふやすとともに、取り組みの充実を図ってまいります。
 現在の方針における確保地の面積につきましては、平成二十八年三月に確保地を追加した結果、樹林地が約四百二十八ヘクタール、農地が約十一ヘクタールであり、合計約四百三十九ヘクタールとなってございます。これに対しまして、平成二十九年四月一日時点の確保済み面積は、樹林地が約二百九十六ヘクタール、農地が約四ヘクタール、計約三百ヘクタールでありまして、その割合は約六八%となってございます。

○滝田委員 位置づけた面積に対して進捗していることはわかりました。
 一方で、農地の確保地が、かなり数字としては少ないのではないかと感じています。東京都の農地面積は、平成二十六年の統計で約六千百ヘクタールあるとされています。また平成二十七年の都市農業振興基本法の成立や、昨年の都市緑地法や生産緑地法の改正等を見ても、都市農地の役割が高まっているところであります。
 ついては、来年度の緑確保の総合的な方針の改定に当たっては、確保すべき農地をさらに位置づけていくことが重要であると考えますが、所見を伺います。

○久保田都市づくり政策部長 都市農地は、農業生産の場であるとともに、環境や防災などの多様な機能を有してございます。都市農業振興基本法の制定や都市緑地法の改正により、都市にあるべきものとして位置づけられたところでございます。
 都市農地のうち、その大半を占める生産緑地につきましては、いわゆる二〇二二年問題への対応として、生産緑地を存続させていくことが課題となっております。改定に当たりましては、生産緑地を確保地に位置づけ、都市計画公園緑地や特定生産緑地に指定することなどについて、区市町と連携し、検討してまいります。

○滝田委員 来年度の予算に、生産緑地公園の補助制度として十億円を計上し、新たな枠組みを新設したことは評価をしています。一方で、買い取りできる量には限界があり、宅地化を防ぐには、やはり生産緑地を引き続き農地として継続させていくことが重要であります。
 昨年五月に生産緑地法の改正がされましたが、二〇二二年に指定から三十年を迎える生産緑地は二千六百ヘクタールあり、その全てについて土地所有者の意向を確認し、特定生産緑地に指定していくというのは、大変な作業であります。
 そこで、都は、区市が特定生産緑地の指定を円滑かつ確実に進めるため、積極的に支援していくべきであると考えますが、所見を伺います。

○久保田都市づくり政策部長 国は生産緑地法を改正し、買い取りの申し出を十年間先延ばしできる特定生産緑地制度を創設いたしました。
 特定生産緑地の指定は、生産緑地の指定後、三十年が経過するまでに確実に手続を完了させなければなりません。二〇二二年に買い取り申し出が可能となる生産緑地は約二千六百ヘクタールあり、指定に当たっては、この土地の所有者と利害関係人全員の同意を得るなどの手続を、区市は短期間で進める必要がございます。
 このため、都は、区市との意見交換会などを開催し、指定の手続において想定される課題等を集約し、国とも連携して対応を検討しているところでございます。
 今後、都が中心となって手続を効率的に進めるマニュアル等を整理し、自治体間で共有してまいります。
 今後とも、積極的に区市を支援することにより、特定生産緑地の指定に向けた取り組みを推進してまいります。

○滝田委員 都市農地につきましては、二〇二二年までの限られた時間の中で対応が求められます。
 先ほど小林理事も言及しておりましたけれども、農業振興策とも連携して、迅速な取り組みをお願いいたします。
 次に、鉄道ネットワークの整備について伺います。
 都では、来年度予算案において、新たな基金として、鉄道新線建設等準備基金を新設、おととし四月の国の答申で位置づけられた六路線を中心に、検討を具体的に進めていくという方針を、具体的な財源を確保するとともに、明確に打ち出しました。大きな前進と評価をしております。
 また、この件に関して、本定例会において、私たちの会派都民ファーストの会東京都議団増子幹事長の代表質問に対して、知事からも、事業の裏づけとなる財源をあらかじめ確保して、都の取り組み姿勢を明確に示すこととし、関係者との協議、調整を加速していくと、力強い答弁がありました。今後、具体的な検討、調査を進めていくに当たり、まさにキックオフとして、改めて鉄道整備の意義や課題を整理したいと思います。
 これまでも、東京には世界有数の鉄道ネットワークが形成されてきましたが、国の答申においては、さらに質の高いネットワークの構築を目指して、具体的なプロジェクトが示されています。ついては、今日の東京の鉄道ネットワークが抱えている課題についてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 東京は、高密度で安全な鉄道網が形成されておりますが、ピーク時の混雑率が一八〇%を超えている区間がございまして、引き続き混雑緩和に向けた取り組みが必要でございます。
 また、国際競争力の強化に向けまして、空港や主要な拠点へのアクセス利便性のさらなる向上を図る必要がございます。
 さらに、超高齢社会におきましても、公共交通などを通じて、誰もが快適に移動できるような都市を実現していくことが求められております。

○滝田委員 いまだ混雑率は高く、首都東京の生産性、快適性を高める上で、満員電車ゼロ、快適通勤の各種取り組みを進めていく必要があります。現在実施をしている時差ビズによる乗客、需要面での工夫とともに、必要な鉄道整備は実施し、供給面の拡充を進めるべきと考えています。
 また、海外とのビジネスや交流など、国際的に開かれた都市を志向している中で、空港へのアクセスは重要です。ビジネスや観光面での経済効果も大きいと想定され、特に早期の整備を期待します。
 また、超高齢化社会を迎え、自動車に頼らない都市づくり、地域の足を整えることも必要です。特に多摩地域においては、いまだ交通空白地帯がありますし、また、先ほど取り上げました産業集積をイノベーションにつなげていくためにも、多摩地域の域内交通網の強化が必要となります。
 ここで、答申におきまして、事業化に向けて検討等を進めるべきとされた六路線の整備をした場合、それぞれどのような効果があるか、お伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 答申六路線を整備した場合の主な効果でございますが、羽田空港アクセス線及び新空港線の整備につきましては、既存の鉄道ネットワークと接続することで、広範囲にわたる空港アクセス利便性の向上が図られます。
 地下鉄八号線の豊洲から住吉間の延伸につきましては、地下鉄東西線等の混雑緩和や、臨海部へのアクセス性の向上などの効果が見込まれます。
 大江戸線の大泉学園町への延伸につきましては、区部北西部と都心部とのアクセス利便性向上が図られます。
 また、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎及び町田方面への延伸につきましては、開業区間と一体となり、多摩地域の南北方向の拠点を結ぶことで、多摩地域の活力や魅力の向上が期待されます。

○滝田委員 次に、事業費の観点について確認をいたします。
 都の予算案の中で、答申六路線の総事業費は一兆円ともなると記載があります。これは、国の答申の中で言及された試算と理解しますが、路線ごとの整備費用は幾らか、お伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 平成二十八年七月に交通政策審議会が公表いたしました、鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果によりますと、各路線の事業費といたしまして、羽田空港アクセス線は約三千四百億円、新空港線の矢口渡から京急蒲田間は約一千三百億円、地下鉄八号線の豊洲から住吉間は約一千五百億円、大江戸線の光が丘から大泉学園町間は約九百億円、多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎間は約八百億円、同じく多摩センターから町田間は約一千七百億円となってございます。
 なお、この事業費につきましては、検討の深度化を行う中で、引き続き精査してまいります。

○滝田委員 多額な事業費でありますので、来年度予算として八千万円が計上されている、広域交通ネットワーク形成等に関する調査において、事業費の精査を進めるとともに、今回創設する基金により、財源の確保にしっかりと努めていただきたいと思います。
 六路線の整備を実現するためには、財源以外にもさまざまな課題があると認識をしています。
 例えば、多摩都市モノレールの町田方面への延伸に関しては、導入空間となる道路整備の課題もあると聞きますが、今後どのように取り組むのか、お伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 多摩都市モノレールの町田方面への延伸は、国の答申におきまして、地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトの一つとして、事業化に向けて具体的な調整を進めるべきと位置づけられております。
 本路線の整備に向けましては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況を踏まえ、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性を見きわめながら検討を行う必要があり、また、お話の導入空間となり得る道路整備も課題となっております。
 これらの課題につきまして、都は、沿線市や多摩都市モノレール株式会社とともに検討を進めております。
 今般、都は、検討を深度化するための調査費に加えまして、鉄道新線建設等準備基金を創設し、鉄道新線整備に対する都の取り組み姿勢を明確に示すことといたしました。
 引き続き課題の検討を進めるとともに、今後、関係者との協議、調整を加速してまいります。

○滝田委員 町田方面への延伸以外の路線についても、それぞれ路線ごとに、事業採算性を初めとして、課題があるはずです。来年度の調査において、それらもしっかりと精査をしていただきたいと思います。また、適宜調査検討の状況報告もお願いをいたします。
 関係する事業者や自治体との議論、連携を深めていくことは重要です。一方で、整備手法やルートの検討などは、さまざまな意見があると思いますけれども、事業効果を高めていくこと、整備費用を抑制することの両面から、冷静に検討を進めてほしいと思います。
 また、鉄道ネットワークの整備は進めるべきと考えますが、知事のいうワイズスペンディングの観点は常に意識し、二〇二〇年代の東京にふさわしい整備の仕方を検討、追求していただきたいとお願いをいたします。
 最後のテーマとなりますが、鉄道駅のバリアフリー化についてお伺いをいたします。
 都では、東京二〇二〇大会を契機として、ホームドアの整備、エレベーターの整備、トイレの洋式化といった鉄道駅のバリアフリー化を進めています。知事の掲げる三つのシティーのうちダイバーシティーをハード面で実現するものであり、都民ファーストでつくる「新しい東京」二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、二〇二〇年に向けての具体的な整備目標を定めて進めています。
 そうした中で、来年度予算案では、鉄道駅におけるホームドア、エレベーター、トイレの洋式化などに対する補助メニューである鉄道駅総合バリアフリー推進事業は、前年度比六七%増の二十億円と大幅に拡充しております。さらなる整備の前進を期待しております。
 また、来年度から、鉄道駅での多目的トイレの整備補助事業が、福祉保健局から都市整備局に所管がえされることになったと聞いています。既に、都内全域の九割の駅で、何らかの形で多目的トイレが整備されている状況ではありますけれども、今後は、更新改修やアクセシビリティ・ガイドラインにのっとった整備などに対応が必要と理解します。所管は変わりますが、引き続きしっかりと対応をお願いしたいと思います。
 本日は、バリアフリー化の中でも、ホームドアを中心に質問していきます。
 まず、ホームドア整備の現状の進捗状況についてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 利用者の安全性確保のため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 都は、国とともに、地下鉄の駅に加えまして、利用者十万人以上のJRや私鉄の駅を対象として補助を行っております。東京二〇二〇大会の会場周辺駅につきましては、平成二十七年度から、利用者の規模によらずに補助を実施しております。
 こうしたことによりまして、現在、都内の三分の一を超える駅で、ホームドアが設置されております。

○滝田委員 二〇二〇大会では、国内外から多くの人々が東京を訪れる。広く都民の皆様やさまざまな来訪者が安心して駅を利用できるようにすることが必要と考えます。また、東京の進める都市像を世界に見せていくという意味でも重要です。
 東京二〇二〇大会開催までに、都内の駅において整備はどのように進むのか、お伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 現在、鉄道各社とも取り組みを加速させておりまして、東京二〇二〇大会までに、JRでは、山手線や京浜東北線などの六十二駅、東急電鉄では、東横線、田園都市線、大井町線の全駅、また東京メトロでは、銀座線や千代田線の全駅などにおいて、整備を完了させるとしております。

○滝田委員 区部におきましては、東京二〇二〇大会を契機に、ホームドアの整備の取り組みが進んでいますが、一方で多摩地域では、調布市内の京王線三駅や吉祥寺駅においてホームドアが整備されているにとどまっている状況です。ほかにも、多摩地域において整備するべき駅は多くあると思いますが、おくれているといわざるを得ません。
 現在の都の支援メニューでは、東京二〇二〇周辺地域及び利用者数一日十万人以上を対象としております。しかしながら、駅の構造や乗りかえ客の数、通勤ピーク時のホーム上の状況など、駅利用者数での一律の考えではなく、必要な駅やホームというのを見ていくべきではないでしょうか。多摩格差に関して、何が格差で、どの件は差を埋めるべきかという議論はさまざまありますけれども、本件は利用者の安全にかかわる部分であり、都心と多摩との間で安全の側面に差が広がることは好ましくないと考えます。
 多摩地域においても、八王子駅や立川駅などの拠点駅を中心に、ホームドアの整備を促進していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 多摩地域におきましては、例えばJRでは、平成三十七年度までに、中央快速線の東京-立川間、青梅線の立川-拝島間、南武線などのほぼ全駅において、ホームドアの整備を完了させることを、今月公表しております。また、東京二〇二〇大会の会場周辺駅となります京王線飛田給駅において、ホームドアの整備がなされる予定でございます。
 今後とも、東京二〇二〇大会を契機として、またその先を見据えながら、鉄道の安全性を高めていくため、国や地元区市とも連携して、鉄道事業者の取り組みを支援してまいります。

○滝田委員 民間事業者において、多摩地域も含めて、取り組み意向が高まっていることはわかりました。また、技術面での改善により、整備コストや工期も削減されてきております。広く普及が進む土台は整いつつあると感じております。
 今後、各種計画において、二〇二〇大会の先を考え始める時期に差しかかってきていると思います。
 今後のホームドア整備の計画を検討していく際には、多摩地域のホームドア整備促進について、また新たな支援基準の考え方とあわせて検討をお願いしたいと思います。
 最後に一言申し添えます。
 先日、私は一般質問において、公園を都市戦略として位置づけ、多面的活用や民間ノウハウの活用を推進するべきと発言し、知事からも前向きな答弁を得ました。
 魅力ある都市づくりに向けて、本日伺った話とあわせて、公園の活用についても、建設局と連携し、都市戦略として取り組みを深めていただきたいと思います。
 以上で私からの質問を終わります。ありがとうございます。

○星見委員 では初めに、私は、第四十六号議案の都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例についてお伺いします。
 これは、二級建築士試験及び木造建築士試験の手数料、現行一万六千九百円を一万七千七百円に改定して、四・七%の値上げをするものです。これは、地方分権推進計画に基づき、これまで政令で、原則三年ごとに見直しが行われてきました。
 そこで質問いたします。本条例改正は、政令第十号、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部を改正する政令、この標準手数料の見直しに基づくものですけれども、この標準手数料とはどういう意味なのかをまずお聞きします。

○青柳市街地建築部長 地方自治法におきまして、地方公共団体の手数料は、条例に定めなければならないとされております。手数料の標準とは、同じく地方自治法におきまして、政令で全国的に統一して定めることが特に必要とされている手数料のことでございます。

○星見委員 今、お話ありましたけれども、地方分権改革推進法で各種権限が都道府県に移譲されたんですけれども、その中で全国的に統一すべき各種手数料などは、政令で標準を示すことになっているというお話でした。今回の建築士試験の手数料は、全国統一の試験料にすべきものということだというふうに理解しました。
 そうすると、この政令で、今回、条例改正されている額が、問題は妥当かどうかということだと思うんです。
 そこで、次の質問ですけれども、この政令第十号の改正内容を見ましたところ、改正に当たっては、人件費単価または物価水準の変動に伴い、現行の手数料の標準額との乖離が大きくなっている手数料の改定を行うというふうにありました。しかし、この三年で二級建築士試験及び木造建築士試験の手数料を値上げしなければならない、この算定の根拠というのは出ていませんでした。
 都として、今回条例を出していますから、この算定内容を把握されているかどうか、お聞きします。

○青柳市街地建築部長 都に対しても、手数料の算定の根拠は具体的には示されておりません。なお、国によりますと、手数料の標準額につきましては、経済情勢等を鑑み、適切な金額となるよう、定期的に見直しをしているとのことでございます。

○星見委員 私も今回調べてみて思ったんですけれども、今、ご答弁から、国が実際に条例で手数料を改定する都道府県に算定根拠も示していないと。また、都も知らない。こういうのが地方分権改革の立場なんだろうかと思いました。問題点だと思います。
 今回の国の手数料改定では、意見募集が行われていますが、この中でも、改定する手数料の標準額の積算根拠を公表してほしいという意見が書かれておりました。しかし、国の回答は、現在の手数料と改定の比較だけ算定根拠として公表しているというもので、中身がありません。
 それに加えて、二級建築士試験及び木造建築士試験はどういう方が受験しているのかなというので、調べてみました。すると、大学や専門学校を修了された方が受験していると思われる、学歴のみでの受験資格者が、全体の七三・二%でした。手数料改定は、この政令にも書かれているとおり、人件費単価であるとか物価水準の変動で動かしていると書いてありましたけれども、こうした受験の実態を見ると、若者の就労を支援するための資格取得や、あるいは就労の観点から、受験手数料自身は低廉化を進めるべきではないかというふうに思います。
 今回の各種試験等の手数料改定、法令に基づいて全国一律で定めるべきものと考えますけれども、ぜひ都から国に対して、政令での標準手数料の改定根拠の公開と、それから資格試験手数料の低廉化、これを検討するよう、ぜひ要望していただきたいということを求めて、次の質問に入ります。
 それで二つ目は、前回の委員会でありました、セーフティーネット法に基づく東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画案、これについて幾つかお聞きいたします。
 まず、住宅の供給目標についてです。
 要配慮者対応の賃貸住宅の供給目標について、東京都全体の要配慮者数をどのように想定しているか。とりわけその中で、セーフティーネット法に基づく民間賃貸住宅の供給目標三万戸、これはどのような考え方から設定したのかを、まずお聞きいたします。

○田中住宅政策担当部長 登録戸数の設定に当たりましては、総務省の住宅・土地統計調査をもとに推計を行いました。住宅確保要配慮者のうち、計画期間中に住居を必要とする者は、年収が著しく低く、高い家賃を負担している若年単身者が約九千世帯、狭小な賃貸住宅に居住し、公営住宅の収入基準以下の高齢者世帯などが約二万世帯、これらを合わせて約二万九千世帯をカバーし、居住の安定を優先的に図るようにいたしました。

○星見委員 今回、この計画で要配慮者ということで、住宅に入れるようにという考え方が国から出されて、これの計画をつくるというふうになっていますけれども、私も今のご答弁を聞いても、一体、東京都全体でどのぐらいの要配慮者といわれる方がいるのか、そのうち、住宅に本当に困っている方はどれぐらいなのかというのは、全くわかりません。
 先ほどの、年収が低くて高い家賃を負担している、これ若者の部分ですね。それからもう一つが、狭小な賃貸住宅、公営住宅の収入基準以下の高齢者世帯。とりあえずここを優先的に入れるということで目標を持たれたということについては、一定評価はいたします。ただ、二万九千などという、そんな数ではいけないんじゃないかな、もっと本当はふやしていく必要があると思います。
 民間賃貸の登録申請、昨年十月二十五日から既に始まっていますが、先日確認しましたら、まだ申請はないというふうに聞きました。
 今回の促進計画のこの民間賃貸の登録がどのように進むのかというのは、これからよく検証も、そして進める立場からも、何が必要かというのを、どんどん内容的にも発展させていただきたいと思っています。
 一方、公営住宅については、十三万八千戸が供給目標になっています。このうち都営住宅の目標は幾らでしょうか、お聞きします。

○田中住宅政策担当部長 住宅マスタープランの計画期間におきましては、公営住宅の供給目標を十三万八千戸としてございます。このうち、空き家の募集の戸数、建てかえの戸数を合わせた都営住宅の戸数につきましては、十二万四千戸でございます。

○星見委員 今、ご答弁ありまして、都営住宅は平成三十七年、二〇二五年までに、新年度から八年間で十二万四千戸の供給と答弁されました。すると、年平均で一万五千五百戸の供給が必要になります。
 しかし、今回出してもらいました、予算特別委員会に提出された資料を見ますと、都営住宅の募集戸数の実績は、新たにファミリーの毎月募集、ことしからやりましたので少しふえているんですけれども、それでも全ての住宅、一般、単身、ポイント方式、この募集全部入れても、三千四百十八戸しかありません。
 計画案では、公営住宅の供給目標は、先ほどご答弁ありましたけれども、空き家募集、それから建てかえ、新規建設などの戸数の合計となっています。しかし、空き家募集戸数と、実際に建てかえ、新規建設戸数を足し上げると、一部ダブることがあります。
 また、東京都は今、建てかえ住宅を、事業用空き家としてストックしているため、実際の供給戸数として出てこないという部分もあります。
 ですから、公営住宅の供給戸数の内訳を、実際に毎年供給している空き家募集戸数としなければ、せっかくつくった計画の、この十二万四千戸というご答弁がありましたけれども、絵に描いた餅になる可能性があります。
 これ、結構な数でして、都営住宅については、この年平均一万五千五百戸の供給に見合う募集戸数を確保するとなりますと、当然、石原都政以来十九年間も新築しないとしてきた方針を転換して、ぜひ、今回出されている計画に都営住宅の新築を盛り込むよう求めます。
 次に、東京の実情に合った登録基準の問題についてお聞きします。
 今回の計画案、これ、実はつくらなくても、登録住宅を募集することはもちろんできるんですけれども、なぜつくらなければいけないかというと、登録基準を規制緩和する場合は計画が必要であるというふうになっているために、東京都はつくられたんだということです。
 何を規制緩和したかというと、各住宅の床面積です。国土交通省の政令で定める登録住宅の各戸の床面積の基準は、二十五平米以上になっています。これを、なぜ国の基準を緩和したのか、また、計画案で提示されました内容は、着工に応じて、平成七年までは十五平米以上、十七年までは十七平米以上、そして十八年度以降は二十平米以上の、この根拠は何なのか、お聞きいたします。

○田中住宅政策担当部長 国によれば、都道府県は、供給促進計画で面積基準等の登録基準の緩和等を行うことができることとされております。
 東京都におきましては、国の床面積の基準に満たない民間賃貸住宅が多く存在する状況にあることから、このたび、住宅確保要配慮者のニーズに応えるため、国の基準を緩和し、既存ストックを有効活用することといたしました。
 また、基準の緩和につきましては、最低居住面積水準が段階的に引き上げられてきたことを踏まえ、古い建設年次ほど緩和の幅を大きくしてございます。
 それから、先ほど公営住宅の供給目標量につきましてお話がございましたけれども、これにつきましては、住宅マスタープランの期間である十年間の戸数となってございますので、念のため申し上げさせていただきます。

○星見委員 今、ちょうど住宅マスタープランのお話が出ました。この今回の計画は、東京都の住宅マスタープランに基づき、整合性を図るとしています。そのマスタープランで、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の供給促進に向けた取り組みを掲げた民間賃貸住宅への入居支援のところの政策で、政策指標が書かれています。目標ですね。
 それでは最低居住面積水準未満、これ要するに二十五平米より上にすると。これが未満になっているところは、二〇一三年度末で八・〇%で、この到達を、二〇二五年度末までほぼ解消の目標を掲げています。
 計画案で、最低居住水準二十五平米を緩和するというふうになると、この目標指標の達成を妨げるものになるのではないかと思いますが、この点についての見解を伺います。

○田中住宅政策担当部長 国の住生活基本計画におきましては、最低居住面積水準が定められております。ただし、既存住宅を活用する場合など、地方公共団体が地域の実情を勘案して面積を定める場合は、これによらないことができるとされてございます。
 今回の供給促進計画の策定に当たりましては、東京の実情を踏まえ、住宅確保要配慮者のニーズに応えるため、既存住宅を活用する場合に限定して、面積基準を緩和することとしたものでございます。このため、住宅マスタープランに掲げる目標の達成を妨げるものではございません。
 なお、都内の民間賃貸住宅の床面積は、徐々にではありますが、増加してきてございます。
 都は、住宅マスタープランに定めた最低居住面積水準に係る政策指標の実現に向け、良質な住宅ストックの形成を図ってまいります。

○星見委員 今、ご答弁ありました。既存の住宅を活用するに限ってというご答弁でした。
 ただ、計画案では、平成十八年度以降は二十平米以上というふうに書かれておりまして、この既存住宅を活用する場合に限ってとのご答弁、最初のところに少し書いてあるんですけれども、ぜひ本計画で平成三十年四月、計画ができた後の新築については二十五平米以上になるという考え方でいいのかどうか、もう一回ちょっと確認させてください。

○田中住宅政策担当部長 供給促進計画の策定日以前に着工された住宅を、既存住宅として取り扱ってまいります。

○星見委員 それであれば、ぜひ計画に、平成三十年四月以降は二十五平米以上、ここの計画以降の新築は二十五平米だということがわかりやすく、どこかに加えてくださるといいなと思います。
 そもそもこの最低居住面積水準というのは、憲法二十五条、全て国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。これに規定されて、健康で文化的な住生活の基本とし、必要不可欠な住宅面積に関する水準を保障するということで、各年度、そのときの中から少しずつアップしてきたものです。
 ですから、この中にありましたように、先ほどお話ありましたように、平成七年までは十五平米、平成十七年までは十七平米ですが、どちらも中高年の単身は二十五平米になっています。そして、十八年以降は二十平米が、最低居住面積水準になっています。
 ワンルーム、二十三区の場合はさまざまなワンルーム規制がほとんどの区でありますけれども、これも今、区内二十五平米以上というふうになっています。
 私、生活相談で、高齢者の家探し、転居、時々手伝うんですけれども、高齢者はとにかく寝たきり予防と、介護があったりするために、ベッドを入れる方が最近は多いんですね。そうしますと、狭隘な部屋では生活が本当に困難になるという実態があります。
 特に、今、議論していますこの計画案で示した一番小さい平米は、十五平米というふうに書かれているんです、東京の場合は。これは、先ほどいいました平成七年以前の最低居住面積水準すら満たしていないというふうになっています。高齢者が生活をするときに、私はこれ不向きだと思うんですね。再度、この最低居住面積水準、これ何かというところにぜひ立ち返っていただきまして、計画での居住面積、検討し直していただくことを求めたいと思います。
 次に、同計画案についてなんですけれども、対象住宅の拡大についてお聞きしたいと思います。
 先ほどいいましたように、一つは民間賃貸住宅の登録住宅、そしてもう一つはこの公営住宅、もしくは公社も入りますけれども、そういう住宅となっているんですが、もう一つ、今回の法改正で入った住宅があります。それは、特定優良賃貸住宅、これが活用できるというふうになっていますが、東京都がつくったこの計画案には、東京でいうと都民住宅です。これが、活用する方策が入っていませんでした。
 都内では、生産緑地法の改正に伴って--既に三十年近くたつわけですけれども、小規模な農地が次々と宅地化する中で、この特定優良賃貸住宅制度を利用して、都民住宅であるとか、それから区がつくったものについては区民住宅ができていますが、既に家賃補助の期間が終了して高どまりになっているものが多くて、空き家がどんどんふえている現状があります。
 一般民間の登録住宅、先ほどもちょっといいましたが、まだ、これもできていないのもありますけれども、十月から登録が始まりましたが、ゼロという実態もあります。せっかく法改正を受けて、都民住宅も活用できる可能性が開けたわけですから、ぜひこの計画案の中に、都民住宅の計画についても盛り込んでいただけないかと思うんですが、見解を伺います。

○田中住宅政策担当部長 都民住宅につきましては、本来の入居対象である中堅所得者の入居機会を妨げない範囲であれば、法律に基づき、基準を緩和し、低額所得者や同居親族のいない者の入居が可能となってございます。これに基づき、現在、一千戸を超える都民住宅において、この制度が活用されております。
 お話の住宅セーフティーネット法に基づく登録住宅としての活用につきましては、今後の登録状況などを見ながら適切に対応してまいります。

○星見委員 今、都民住宅が、低所得の方や単身者など、対象外でも既に一千戸を超えて使われているという、こういう答弁がありました。これはとても大切な点だと思います。法の適用を使えばできるということだと思うんです。
 実は、区部では既に補助が終わり、高家賃になり、空き家が多く出た区民住宅を解除しているという例もあります。私は本当にもったいない状況だと思うんです。こうした区民住宅、都民住宅として使われている特定優良賃貸住宅というのは、先ほどお話ししました最低居住面積水準、必ずこれ以上の立派な賃貸住宅になっているものがほとんどです。登録状況を見ながら適切に対応とのご答弁でした。ぜひ、市区の状況も把握していただきながら、住宅セーフティーネット法に基づく登録住宅としての活用を盛り込むよう、重ねて提案いたします。
 次に、同じセーフティーネット住宅の件で、居住支援協議会の設立促進と活動支援についてお伺いいたします。
 既に何人かが先ほど質疑をしておりまして、現在七区四市になっていると。逆にいうとそれしかないということです。新年度に新たに設置される予定の自治体数を入れると、どこまで区市町村で設立が広がる予定であるのか。そしてもう一つ、居住支援協議会がないところについては、実際にはもう住宅登録の制度が動いているわけですから、どういうふうに支援を進めていかれるのかをお聞きいたします。

○田中住宅政策担当部長 本年一月の実行プランの政策の強化版におきましては、二〇二〇年度までに五割以上の区市で居住支援協議会が設立されることを目標とし、来年度には五区市で協議会が設立されることを見込んでございます。
 都は、区市町村に対し、協議会の立ち上げや活動に対する財政支援や各種相談に応じているところでございます。
 協議会が設立されていない場合、これまでも、区市町村が不動産団体等と連携し、住宅相談を行っているとともに、NPO等による入居支援の取り組みなどが行われているケースもございます。
 また、昨年十二月には、住宅確保要配慮者の生活を支える居住支援法人を指定する仕組みを整えたところでございます。
 こうした取り組みも踏まえながら、区市町村の居住支援協議会の設立促進につなげてまいります。

○星見委員 この住宅困難な皆さんというのは、実際には相談機能がないと住宅確保につながらないという意味では、今、居住支援協議会の設置というのは大事な役割があると思っています。目標自身が、私は意外に低いと。二〇二〇年までに五割以上ということなので、本当は一気に必要な区市につくり上げるという努力が必要なんじゃないかと思うんです。
 そういう意味では、ぜひこの居住支援協議会、地域に合った施策をそれぞれつくり、それから実際に相談機能を持って、マッチング機能を発揮できる、そういう重要な役割があると思いますので、全都で、全域で早急に立ち上げるよう、支援をぜひ強めていただきたいと思います。
 次は、同じこの計画案の中で、住宅確保要配慮者、とりわけLGBTについてご質問させていただきます。
 今回の計画案の中では、このLGBTの対応が加わりました。都市整備委員会で、ちょうど住宅登録手数料条例のときに、この問題を私、取り上げまして、ぜひ対象にしてほしいという提案をして、今回の計画案、要配慮者の対象が、セーフティーネット法及び国土交通省で定められた範囲を超えて、都が広く設定したということは、非常に私は評価しています。
 しかし、LGBTの同性パートナー入居というのは、公的認定の創設だとか、あと差別の解消、そして差別の禁止など、さまざまな条件整備がないと、現行、公営住宅にも入れず、民間住宅でもトラブルが心配されるというふうになります。
 そういう中で質問なんですけれども、一つ目は、都営住宅に同性パートナーが入居できない理由と、今後の対応について伺います。
 あわせて、時間もちょっと短くするのに--対象にしただけでは、今、住宅確保、民間では難しい可能性があると思うんですね。このLGBTについて、さらなる環境整備の検討が必要と思いますが、この見解、あわせてお聞きしたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 ただいまのご質問にお答えする前に、公営住宅の供給目標量のご質問のところで、募集の戸数とそれから建てかえの戸数ですね。それとの関係で、若干補足させていただきたいと思うんですけれども、現在、公営住宅、返還戸数も多いということ、それから返還から募集までの期間を短縮すること等により、毎月募集もその一環でございますけれども、募集戸数をふやしているということをしてございます。それから建てかえ戸数、これらを合わせることによって、供給目標量を達成する計画というふうになってございます。
 続きまして、都営住宅で同性パートナーが入居できない理由、それから今後の対応策についてでございますけれども、都営住宅では、使用者の資格の一つとして、条例で現に同居し、または同居しようとする親族があることと規定してございます。入居の際、親族関係につきましては、住民票により確認してございますけれども、同性パートナーにつきましては、住民票で親族関係の記載がないため、入居資格を確認できません。
 今後、庁内で総合的な調整を行う担当組織を設け、庁内各局がLGBTに関する情報を共有し、連携して施策を推進する体制の整備を図っていくことと聞いておりまして、このような動向を踏まえながら、都営住宅における対応について検討してまいります。

○田中住宅政策担当部長 LGBTの方々の住宅確保の環境整備に関するご質問でございますが、今般の供給促進計画案では、LGBTの方々を含め、住宅確保要配慮者の範囲を広く設定したところでございます。都は、不動産団体等の協力を得て、各種媒体を活用し、住宅セーフティーネット制度全般につきまして、周知に努めているところでございます。
 引き続き、こうした取り組みを通じて、LGBTの方々を含めた住宅確保要配慮者の入居の円滑化を図ってまいります。

○星見委員 今、ご答弁を聞いて、全体の検討を、全庁的な検討をする中で、都営住宅においても対応をどうしていくのかというのを検討していくというふうになったのは、私、すごく大事なことだと思うんです。もともと、やっぱり東京都が今回の住宅確保要配慮者賃貸住宅供給計画案の対象者に入れたと、足を出したということが、その流れをつくる一つになったのではないかなというふうに思います。
 しかし、足を出したからには、現実問題として、一つ一つ具体化を進める必要があると思います。今、私、都営住宅の要件を聞いたのは、今回、東京都が広くした住宅確保要配慮者の対象の中で、所得要件を満たしていても都営住宅に入ることができないのは、この同性パートナーだけです。まさに私は、これはある意味では差別になってしまうとしかいいようがないと思うんですね。
 今ご答弁がありましたように、早急に都営住宅に入居できる条件を整えていただきたいと思います。そして、それが整うと、民間でも大きな改善を進めることになるのではないでしょうか。
 今、環境整備、総合的に進めることが大事だというお話もありまして、そのとおりです。ぜひその点を強調して、このセーフティーネット住宅の供給計画案についての質疑を終わります。
 次に、都営住宅の空き家の精査で、募集枠をぜひ拡大していただきたいということで質問をさせていただきます。
 東京都での格差拡大が進む中で、都営住宅に入居を希望する住民の生活実態は、本当に困難な状況に追い込まれています。こうした中で、都民の有志が、都営住宅の空き家調査を行いまして、都営住宅の空き家活用を進めてほしいと、東京都への要望が相次いでいます。
 そこで、都民が調査した団地について、その一部ですけれども、品川区と目黒区での空き家の状況をお聞きします。それぞれ、管理戸数と空き家戸数と、その内訳をお願いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 お話の品川区の団地につきましては、管理戸数が三千四百六十六戸、空き住戸が三百五戸であり、その内訳は、公募用が百四十八戸、建てかえ事業用のものが百十一戸、公共事業向けの特別割り当て等が四十六戸でございます。
 目黒区の団地につきましては、管理戸数六百五十二戸、空き住戸は百十五戸であり、その内訳は、公募用が二十五戸、建てかえ事業用のものが八十戸、公共事業向けの特別割り当て等が十戸でございます。
 なお、これらの戸数は、平成二十九年十二月三十一日現在のものでございまして、建てかえ事業の進捗や公募の実施状況によって変動するものであります。

○星見委員 今ご答弁ありましたけれども、対象になった品川区での募集住宅の十年間での数を見てみましたら、七百六戸が募集されていました。年平均で約七十戸です。平成二十八年度で、全ての募集を入れた応募倍率、全都的では三七・一倍です。それに比べても倍ぐらいになっていると。
 しかも、昨年十一月の募集結果では、東品川地区の一般募集で、公募で百五十一倍、もう一個は百二十三倍と、大変な状況があるなというふうに思います。
 ただいまの答弁で、品川区の事業向けの特別割り当て等という住宅が四十六戸あるとのことですが、空き家は募集にぜひ回してほしいというのが、調査をした区民の要望でもあります。
 そこで、この特別割り当てとはどういうものなのか、募集に回すことができないのか、これ全都でどうなっているか、用途別にどれだけあるのか、お伺いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅の入居者の決定方法には、一般向けの公募と、特定の行政施策のために行う特別割り当て等がございます。一般向けの公募につきましては、高齢化に伴う住宅返還戸数の増加などを勘案しながら、本年一月から毎月募集を実施するなど、募集機会の充実に努めております。
 また、特別割り当て等は、例えば、道路事業などの実施に伴い、現在の住居からの移転を余儀なくされる方などに限定して募集を行うものでございます。その必要性については精査を行い、必要に応じて、一般向けの公募用への変更を行っております。
 こうした特別割り当て等向けの空き住戸は、平成二十九年十二月三十一日現在、都全体で四百四十八戸でございます。その内訳ですが、公共事業用が百五十七戸、自立支援施設などの福祉施設等からの退所者用が百九十四戸、公社住宅やUR住宅等の建てかえ用等が九十七戸となっております。

○星見委員 これまで委員会の資料で出されてきました公募用の空き家住戸について、特別割り当て住戸というのが含まれていたのには驚きました。全く知りませんでした。
 今ご説明を受けて、とりわけUR住宅の建てかえ用というのが入っていましたけれども、なぜ都営住宅でストックする必要があるのか、まず理解できません。UR自身、膨大な賃貸住宅を持っているわけでもありますから、こういうことも含めて、ほかも含め、ぜひ、この特別割り当てについても最大限精査をして、公募に回していただきたいと思います。
 また、品川区と目黒区の例で今、聞いているんですけれども、ご答弁の中に、一般向け公募は、本年一月から毎月募集を実施するなど、公募機会の充実に努めているというご答弁がありました。これ、全体としては、私、評価しているんですけどね、ファミリー向け住戸を毎月募集するようになったのは、評価しているんですけれども、ただ、品川と目黒でこの住戸を募集してもらえるんですかと聞きたいわけです。
 このファミリー向けは、高倍率のところは入れないというふうになっておりまして、駅から離れた交通の不便な低倍率の団地でしか募集していないとしています。本当は、ですから品川区や目黒区でも毎月募集の対象になっているこのファミリー向け、ぜひ空き家を精査して、毎月募集も入れてもらえたらうれしいなと思います。
 次に、目黒区の都営アパートについて伺います。
 区部の自治体で、世帯比で最も都営住宅の少ないのが目黒区です。管理戸数は六百五十二戸です。このうち、先ほどのご答弁でありましたように、空き家が百十五で、全体の一七・六%が空き家になっています。全都の都営住宅の管理戸数に対する公募用、事業用空き戸数、計算してみましたら、平均で八・四%ですから、二倍以上も空き家になっているということです。
 一方、目黒区内の都営住宅の募集、これも十年間で調べましたら、九十戸しかありません。年平均でわずか、何と九戸しか募集がないと。
 目黒区民からは、目黒区内での空き家の精査で、応募住戸、ぜひふやしてほしいという、切実な要望が出ています。
 例えばですけれども、今回、目黒区民が調査した区の北東部、大橋ジャンクションの近くには、大橋二丁目アパートがあります。これは建てかえが終了したところですけれども、このアパートは、総戸数百十四戸の規模ですが、現在四十戸以上も事業用空き家として残っています。また、目黒一丁目アパートの六棟の団地でも、二十七号棟は除却予定ですけれども、三十戸以上の空き家があります。
 ぜひ新年度は、こうした空き家、精査するなどして、応募住戸をふやす努力、求められていると思いますが、いかがでしょうか。質問いたします。

○八嶋経営改革担当部長 申しわけございません、先ほどの答弁で少し補足をさせていただきたいと思います。
 UR住宅への建てかえ用ということで、公社住宅と合わせて、数字で九十七戸ということで述べさせていただきましたけれども、これはUR住宅が建てかわった後で、非常に家賃が高くなるというケースがございます。そういった方用のために、新築のUR住宅に居住できなくなる方への救済用ということで、その数にしましても、UR等からこれだけの数が欲しいということで、依頼は受けますけれども、その数も十分精査して、協議して決めているというものでございますので、ご説明をさせていただきました。

○妹尾建設推進担当部長 答弁の前に、ただいま委員の方から、空き家率が一七・六%というご指摘がございました。
 先ほどの質問で、経営改革担当部長からもご答弁申し上げましたけれども、空き家率というのは、測定する時点時点によって大きく変わるものでございます。例えば、委員の目黒区では、今、移転を控えている住棟がございます。そうすると、その行く先の空き家というのも確保された状態になっておりますので、移転の直前が空き家率というものが非常に高い状態になっております。移転後は空き家率は下がると。
 目黒区の場合は、総戸数が少のうございますので、率でいいますと余計それが大きくなってくると。そういう状況もあることをご理解いただければと思います。
 それで、答弁の方でございますが、建てかえ事業等におきまして、居住者の移転を円滑に進めるためには、例えば移転先住戸の立地、間取り、家賃に加え、居住者によっては、病院や学校の継続、まとまって同じ住棟へ移転したいなど、さまざまなケースに対応し得るよう、複数の移転先を提示していく必要がございます。
 移転していただけない居住者が一人でもいらっしゃいますと、建てかえ事業等に支障を来すこととなるため、事業着手に先立ち、団地ごとの状況を勘案した事業用住戸の確保に努めているところでございます。
 また、事業用住戸につきましては、都営住宅全体として、より効率的な活用を図るため、その所在する区市のみならず、周辺区市で建てかえ等を行う際の居住者の移転にも活用してございます。
 このような状況におきまして、事業用住戸については、立地する区市のみならず、周辺区市の事業の状況もあわせて、必要性を随時検討し、募集用住戸への変更を行うなど、適切な対応を図ってまいります。

○星見委員 今、目黒区での都営住宅応募が少ないこと、空き住戸が多いこと、いろいろ理由があるご答弁でしたけれども、異常な事態であることは、私は変わらないと思います。全都どこだって建てかえがあるんですよ。目黒だけじゃないですよ。それでも平均が八・六%なんですよ。実際に今、もう大橋は終わっています。そして、これから除却になるという予定の三十戸も、三十戸も埋まっていません、どんどん移転していますから。百十五なんて残す必要がどこにあるのか、全く理解できません。
 区部では、世帯数で目黒区、実は区営住宅を入れても、公営住宅が最も少ない地域になっていまして、どうしてこんなところに空き住戸を、空き家を集中させるのか。一七・六というのは、まさにそういう数だというふうに思います。
 昨年十一月の目黒区の公募では、一般住宅募集で三百七十九倍になりました。これは全都トップの倍率でした。しかも、その直後の十二月三十一日現在で、先ほどの数が、東京都、出しているんですね。ですから、百十五戸あいているんですよ。これは、応募した目黒区民、本当に知った方は怒っています。一体どうなっているんだろうと。
 いろいろ一般論を、今、聞かせていただきましたけれども、まずきちっと精査をして、この目黒区の応募戸数をふやすよう、要求しておきたいと思います。
 それから、二つ目についてですけれども、目黒一丁目都営住宅の二十七号棟ですが、老朽化と耐震補強の困難な状況などがありまして除却される、そういうふうになることが自治会にも説明されました。区民からは、現地調査をした上で、ぜひ建てかえしてほしいという強い要求があります。
 都市整備局の事業概要では、都営住宅の建てかえ対象住宅の規定に、百戸以上というふうに書かれています。二十七号棟は、先ほどいいましたように、もともとの戸数は三十戸ですけれども、一丁目都営住宅全体二百九戸ありますので、この点では、これ一棟だけだとしても建てかえ条件に合致しているのではないかと思いますが、この点についての見解を伺います。

○妹尾建設推進担当部長 目黒一丁目団地は、お話の二十七号棟も含めて、全体では百戸以上ありますことから、都営住宅としての建てかえ対象となり得ますが、この住棟が建設された昭和四十一年当時とは異なり、日影規制を初め、現行法令の基準に基づくと、元戸数の三十戸を確保する計画は困難であること、加えて、敷地が狭小であることに加え、高さ約三メートルの擁壁の上に敷地が位置し、既存擁壁の改修も含め、施工上の困難を伴うことなど課題が多く、今後、適切に対応してまいります。

○星見委員 これ、三十戸といえども、六百二十戸しかない目黒区で三十戸なくなると、ついに六百戸を切っちゃうんですよね。非常に区民の皆さん、貴重な戸数だと思っています。
 今、物理的に難しい条件、クリアできるのであれば、ぜひ建てかえをしてほしいと思いますし、実は隣に道路を一本挟んですぐ、郵政宿舎が建てかえされて、今、建っています。だから、建物が建たないという場所ではないわけです。それがもし物理的に困難な場合があるときは、今、保育園であるとか福祉施設、目黒区でも大変少なくて大変な思いをしていますので、ぜひその辺は区ともよく相談をして、活用していただければということを要望しておきたいと思います。
 最後に、分譲マンションについて質問をさせていただきます。
 まず、マンションでの民泊対策についてです。
 これ、昨年私もやりましたけれども、ちょうど三月十五日から民泊新法に基づく届け出の受け付けが始まりまして、東京都は、既に十三日から事前相談をして、特別区、そして八王子、町田市を除く地域で、民泊事業の届け出受け付けを始めています。
 二十三区では、十九区が条例を設けて対応するなど、地域に応じた規制をとる自治体が多数になっています。都は、国のガイドラインそのままで、マンションの管理規約に民泊の可否のない場合、誓約書を事業者が提出をすれば申請できるというふうになっています。
 東京都は事業者に、周辺住民への事前周知をするようにというふうにはなっているんですけれども、住戸の同一階と真上、真下の居住者及び管理組合または管理者というふうになっていました。この間、ごみやエントランスの使い方など、共用部分でのトラブルが発生していることを考えますと、マンション内での公表が必要ではないかということや、また、事前に周知をしたものについて記録を書いて出すようになっているんですね。それを見ましたら、周知方法はポスティングというのもあるんですね。この程度で大丈夫なのかというのが心配で、トラブルが予想されるのではないかとも思います。
 こうしたさまざまな問題解決が、これから実際には六月十五日から、民泊の営業そのものがマンション内、もし入ってくると始まることになります。マンションでの同意のないままの闇民泊であるとか、許可を受けていてもさまざまな問題が出てきた場合の、相談窓口は今、産業労働局になります。
 マンション担当課としても、管理組合からの相談対応や、そして産業労働局の相談窓口に、マンションにかかわる専門性が高い相談が来た場合など、ぜひ産労とも協力をして、丁寧に相談に当たっていただくことが必要かと思いますが、その点について見解を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 住宅宿泊事業、いわゆる民泊について、管理組合から相談があった場合は、管理規約の改正の重要性について説明するなど、必要な情報提供や助言を行っております。
 また、産業労働局の相談窓口に、マンションに関する専門的な知識を必要とする相談があった場合には、都市整備局も協力して対応することとしてございます。
 今後とも、産業労働局に協力しながら、適切に対応してまいります。

○星見委員 初めて民泊が制度化される中で、さまざまな問題、これから何が出るかわからないという状態です。産業労働局との連携を密にしながら、ぜひ丁寧な対応をお願いします。
 それと、もう一つご質問したいのは、分譲マンション内での民泊を行う場合はマンションでの同意が必要ですけれども、トラブルを避けるためには、管理規約での民泊への可否の検討が行われていないマンションについては、早急に管理組合に対して検討を行うよう、さらに都や自治体の支援を強めるべきだというふうに思います。この見解についてもお伺いいたします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションにおける民泊については、居住者とのトラブルを防止する観点から、住宅宿泊事業を許容するか否かについて、管理規約上明確にしておくことが望ましいと考えてございます。
 このため、都は、国の通知を踏まえ、標準管理規約の改正について、昨年九月に区市町に対し、管理組合への周知を依頼し、現在、多くの区市で取り組みが進められております。
 また、住宅宿泊事業の可否判断の重要性などについて、マンション管理ガイドラインに記載するとともに、セミナーで説明しております。
 加えまして、マンションポータルサイトを随時更新し、最新の情報提供に努めており、今後とも適切に対応してまいります。

○星見委員 民泊問題、ぜひ丁寧な対応を重ねてお願いしておきます。
 次に、同じマンションですが、良質なマンションストックの形成促進計画について伺います。
 この計画では、目標6として、まちづくりと連携した老朽マンション等の再生を述べています。この一環としてだと思うんですが、東京都は昨年十一月に、国の予算編成に対する東京都の提案要求の最重点事項として、マンション建替え円滑化法に基づく敷地売却制度について、まちづくりの観点から、除却の必要性の高いマンションに対する適用や、耐震性不足に加えて、まちづくりの観点から建てかえ等が必要なマンションに対する五分の四の特別多数決要件の緩和を要求していますが、どのようなまちづくりを想定して、この建てかえや除却が必要な場合としているのか、お聞きします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 マンション敷地売却制度は、建てかえが困難なマンションを再生する有効な手段であると考えられますが、対象は耐震性不足のマンションに限定されてございます。
 一方で、マンションの建てかえや除却により、例えば高齢者福祉施設や子育て支援施設などの公益的な施設や、地域の防災拠点となる公園や広場を整備することが可能となり、市街地環境の改善が期待されます。
 このため、国への提案要求におきまして、こうしたまちづくりの観点から、建てかえ等が必要なマンションについても本制度の対象とすることや、決議要件を緩和することを求めております。

○星見委員 マンションの敷地売却制度というのは、マンション建替え円滑化法に関するこの法の改正で、二〇一四年にできていました。それまで、民法の原則によって、敷地売却というのは全員の合意が必要だったものを、五分の四、八〇%以上の特別多数決議によって、老朽化マンションを一括で売却できるようになりました。
 これに加えて、そこに新たにマンションを建設する場合には、容積率の緩和特例もついています。これは、震災で再建が困難になったマンションであるとか、それから著しく老朽化が進んでいて問題があるマンションの解決の一つの手段としては、使えるものだというふうには思います。
 しかし、今回東京都が国に要望しているように、まちづくりの観点から除却や建てかえが必要とされるというものに拡大した場合、何が起きるかというのは心配です。もし、都や自治体の都市計画や都合で、今住んでいるマンションを、除却が望ましいと判断された場合、マンション住民にとっては、突然上から降ってきたような問題になってしまいます。
 この敷地売却というのは、区分所有を全部解除するということになりますから、あくまでも区分所有者であるマンション住民の合意を最重要にする必要があると思います。
 安易な規制緩和、私、これはマンション管理組合に混乱を持ち込むものになるのではないかと思いまして、東京都に対して、この問題については慎重に扱うようにというふうに求めたいと思います。
 そしてもう一つ、この同じ計画の中にありますマンション再生まちづくり制度を創設するとして、都は、昨年四月に制度を立ち上げて、現在三地区を選定しています。新年度の取り組みはどのようになっていくのか、お聞きします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 容積率や絶対高さ制限などにより、単独での建てかえが困難なマンションにつきましては、周辺との共同化など、まちづくりと連携して建てかえを促進することが有効でございます。
 このため、都は、昨年四月、マンション再生まちづくり制度を創設し、区市がまちづくり計画を検討する費用などに助成してございます。現在、三地区において支援を実施してございます。
 来年度は、新たな地区を加え、引き続き区市を支援してまいります。

○星見委員 私、この先行モデル地区、三つあったので、少し調べてみたんですが、一番最初の一つになっている大崎西口駅前地区、これ、近隣が結構今大変なことになっているんだなというふうに思います。隣接の、ちょうどこれ大崎駅前開発地域になっているものですから、F南地区には、住友不動産によって百四十九メートル、地上三十九階、地下二階、五百戸のタワーマンション建設が進み、大問題になっています。
 都市計画の公示縦覧では、品川区宛てに二百四十一通の意見書が出され、賛成が六十一、反対は百八十通に上っていると。昨年、本委員会にも陳情が出ておりました。中身は、日照、風害、圧迫感、そして交通渋滞、百三十ぐらいの車がふえるのかな。まちの住環境が悪化するという住民の声が、そういう反対の声が出ている内容です。
 モデル地区のすぐ南側になりまして、このF東地区、これがこの今回のモデル地区になりますけれども、今、問題になっているこの住友地域のほぼ二倍、地域で駅に面しているというふうになっています。
 私これ、都と区が上から計画を押しつけるととんでもないことになるなと。地域住民と一緒にまちづくりをするはずの考え方がゆがんでいくのではないかという心配を感じています。マンション居住者の地域の住民の皆さんや、それから地域にいる皆さん、住民合意を大切にするような形で、ぜひ考えていただきたいということを求めておきます。
 最後に、意見だけですけれども、第四十五号議案の東京都鉄道新線建設等準備基金条例について述べさせてもらいます。
 これまで東京メトロの株主配当金は、社会資本等整備基金に積み立てられ、道路や橋梁の修繕や改修など、都市基盤整備の財源として使われてきました。今回、この株主配当金を、多摩モノレール延伸などの事業化に向けた事業用として、事業用費として新たに鉄道新線建設等準備金の基金を創設することは、公共交通の改善に向けた議論と具体化を促進する契機になるものであり、評価します。
 しかし、指定の六路線の中には、地域住民から反対の声が上がっているものもあります。特に、羽田空港アクセス鉄道として位置づけられています新空港線、蒲蒲線は、商店街からは、人の流れが都心にとられてしまうという声や、地下から地上に乗りかえ案で利便向上とはいえない、多摩川線沿線の人にはデメリットしかないと。そのほかにも、東急多摩川線は、今でも朝は猛ラッシュで、満員率が一三五%、増便すると、途中はあかずの踏切になるのではないかと、交通問題の指摘もあります。住民からは疑問の声が次々出ている状況です。
 しかも、わずか八百メートルの連携のために、一千三百億円もの事業費が拠出をされています。住民合意が得られていない不要不急の路線については事業化を行うべきではないことを指摘して、私の質問といたします。

○たきぐち委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後九時九分休憩

   午後九時二十分開議

○たきぐち委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○木下委員 私の方からは、住宅政策、交通政策、そして防災まちづくりの三テーマに関してご質問させていただきます。
 まず、住宅政策についてですが、空き家対策について。都内の空き家約八十二万戸、その半分以上は、先ほど山口委員のご指摘にもございましたように、ほとんどが集合住宅、でも、戸建ても少なくない数存在いたします。
 私の地元板橋区を初め、東京二十三区内でも空き家の増加は、防犯上も、地域の非常に困った課題として顕在化されているのが現状でございます。
 空き家に関しては、都は、有効活用、発生抑制、適正管理に取り組む区市町村を助成するとして、一・五億を新規計上しています。平成二十七年度の空家対策特別措置法の全面施行以来、都は、区市町村に対する支援事業を立ち上げて、取り組みを進めていますが、これまでの補助の実績についてお伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 都は、空き家対策を進めるため、平成二十七年度から、区市町村が実施する実態調査や計画策定等に対して補助を行ってまいりました。これまでに、この補助を用いて、三十一区市町村が実態調査を実施し、また、二十三区市村が計画を策定いたしました。
 また、平成二十八年度から開始いたしました地域活性化に資する施設への空き家改修につきましては、三件の補助を実施してございます。

○木下委員 ありがとうございました。空き家、特に戸建ての活用に当たっては、住宅用途だけでなく、他の用途へも活用していくべきと考えますが、特に地域活性化の視点から、どのような用途への活用が考えられるとお考えか、見解をお伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 空き家を地域の資源として捉え、住宅以外の用途に活用することは、地域住民のサービス向上のためにも重要でございます。世田谷区、大田区、練馬区や日野市など先進的に取り組んでいる自治体では、地域デイサービス、民間学童保育、コミュニティカフェなどに空き家を活用しております。
 こうした取り組みをさらに進めるため、都は、区市町村に対して補助を導入したところでございます。

○木下委員 三月十三日の予算特別委員会での我が会派、都民ファーストの会の伊藤ゆう議員の質問に対するご答弁では、これまでに都の補助、改修補助を活用した事例として、大田区における障害者のグループホームへの活用や、小児入院患者の付き添い家族のための宿泊所への活用についてお話しいただきました。
 このように大田区では、都の補助による活用が進んでいるようですが、このような成功事例について、他の区市町村への共有はどのように行っているのか、お伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 先進的な事例の情報を各自治体が共有し参考にすることは、空き家対策を進める上で重要でございます。そのため、都は、今年度、都内の全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会を設立いたしました。
 この協議会におきましては、先ほどお話しの、大田区におけるグループホームへの転用事例や、日野市における学生と子供たちの交流の場づくりなどの事例を紹介してまいりました。
 協議会は、これまでに四回実施してきたところでございまして、今後とも、この協議会を活用いたしまして、積極的に先進事例の情報共有を図ってまいります。

○木下委員 少し観点を変えてまいります。
 地元板橋区には旧中山道などを初め、昔ながらの商店街がたくさん残っております。このような昔ながらの商店街には、一階が店舗、二階が住居というタイプのものをよく見受けます。
 現在はご高齢の店主が何とか商いを行っているが、後継ぎはなく、早晩空き店舗になってしまうのでは及び空き住居になってしまうのではと心配になる店舗も少なくございません。
 実際、一階の店舗が閉まっている場合も多く、これらの空き店舗が新しい担い手によって活用されたらと願ってやみません。
 そこで、一階店舗、二階住居といったこれらのタイプの建物は、都の改修費用補助の対象となるのか、また、対象となる場合の補助の内容をお聞きしたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 都の区市町村に対する改修費補助は、住宅等で、居住がなされていないものを地域活性化施設として改修する場合に対象としてございます。
 お話の店舗兼住宅につきましては、二階の住居部分に居住者がいる場合は、補助の対象となりませんが、いない場合は対象となります。
 改修費につきましては、家主が改修に要する総事業費のうち、国が三分の一、区市町村が六分の一、都が六分の一を負担しており、都は、区市町村負担分の二分の一、かつ五十万円を上限として補助してまいりました。
 来年度からは、用途変更を伴う改修につきましては、間仕切りの増設などの費用がかかることがあることから、補助の上限を百万円へと二倍に引き上げるところでございます。

○木下委員 商店街の活性化の視点からも、商店街にある空き店舗兼住宅の利活用は大変重要と考えます。また、商店街での空き店舗住宅を活用した地域のテレワークセンターの設置や、新たなコミュニティビジネスを立ち上げる起業家を応援するといった取り組みも重要と考えまして、産業労働局とも情報を共有しながら、しっかり事業を前に進めていってほしいと考えております。
 次に、来年度、都民提案として事業化されました空き家の貸し庭支援事業、一千万円が予算化されておりますが、区市町村に対してどのような支援をしていくのか、お伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 今回の都民提案は、空き家の庭を活用していくことで、地域の緑化や景観の美化が図られるとともに、住民同士の交流の促進や、まちの安全を実現していくことを趣旨としてございます。
 都はこの提案を踏まえ、空き家の庭を家庭菜園やガーデニングなどに活用する場合、区市町村に対して、その事業費の三分の二、もしくは二百万円を上限として補助することといたしました。
 具体的には、庭の整地、畑にする場合の土壌改良、ベンチや柵の設置などに要する費用につきまして支援してまいります。

○木下委員 これまで地域活性化施設や貸し庭など、空き家の有効活用に関する質問をしてまいりました。活用を進めるためには、所有者と利用希望者をしっかりと結びつける取り組みが必要であります。
 大田区、先ほど活用が進んでいるというお話がありましたが、こちらでは相談窓口の設置や、区のまちづくり公社への委託を行い、所有者と利用希望者の双方から利用条件を聞き取り、アドバイスや紹介を実施したことが活用に結びついたとのことでございました。
 来年度から区市町村がこうしたマッチング体制を整備する際の費用の助成を開始するということで、区市町村との連携をしっかりし、空き家の有効活用を進めていただきたいと思いますが、ここで一言申し上げます。
 平成二十七年度の空家特別措置法施行以降に都の助成を活用した事例は、住宅改修の大田区の三件であることが、さきの予算特別委員会でも、そして本日も明らかになりました。
 したがいまして、商店街に散見されます店舗併用型での適用事例は現在ゼロ件ということで、大変少ないんだなということを感じざるを得ません。多くの都の助成のメニューにおきましては、区市町村が予算化し、推進しなければ利用されないという現状がございます。
 私、板橋区役所の方に確認のお電話をさせていただきまして、お聞きしましたところ、板橋区では二十七年度からの助成ということに関係なく、空き家の実態調査や計画づくりは既にやっていたと。既に実施済みで、意識を持って進めている区でございますけれども、来年度の予算の大半は強制代執行にて、危険度の高い空き家を除去する費用ということで充てていて、利活用まではなかなか考えられていないような状況でありました。
 補助メニューがあるのに、なぜ利用が少ないのかもしっかり検証していただき、空き家の利活用が前に進むよう、市区町村とのさらなる連携の強化、制度のさらなる磨き上げも含め、取り組んでいただきたいと考えます。
 次に、既存住宅の流通についてお聞きいたします。
 既存ストックを活用した住宅政策の推進は、人口オーナス期、低成長時代において大変重要でございます。一代限りのスクラップ・アンド・ビルドではなく、社会の資産として、将来に住み継いでいく視点で新築を促すことはもちろんでございますが、特に現在、流通されにくい戸建ての既存住宅市場の確立は急務であります。
 国、特に国土交通省でございますが、安心R住宅制度も、認証機関の選定を終え、この四月から既存住宅への指定が始まるとお聞きしております。
 そこで、既存住宅流通の活性化として四千万円が拡充されておりますが、都として来年度、既存住宅の流通促進にどのように取り組むのか、見解をお伺いしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 既存住宅の流通を促進することは、空き家の発生抑制にも資するものであり、消費者が安心して売買できる市場環境を整備することが重要でございます。
 お話のように、国におきましては、本年四月から、耐震性や防水性など、一定の基準を満たす既存住宅を売却する際に、安心R住宅のマークを付与する制度を開始いたします。
 都もこれに合わせ、来年度から新たに事業者グループの登録を開始し、宅地建物取引業者や建設業者などと連携して、既存住宅の売買に関する消費者の多様な相談にきめ細かに対応を行ってまいります。また、既存住宅の品質を確認するための建物状況調査、いわゆるインスペクションへの補助を実施いたします。これらの取り組みを通じ、既存住宅の流通促進を図ってまいります。

○木下委員 既存住宅の流通の活性化ということで取り組みをされるということで、大変頼もしいと思っております。今年度を初年度として、こういった既存住宅の市場確立に向けてどのようなマイルストーン、すなわち、指標を設けて進めていくのか、お伺いしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、住宅マスタープランにおきまして、既存住宅を安心して売買等ができる市場の整備を主な施策の一つとし、建物状況調査、いわゆるインスペクションや瑕疵保険、住宅履歴情報の活用を進めることとしております。
 既存住宅の売買に当たり加入する瑕疵保険は、ふぐあいがあった場合に補償を行うことで、住宅の品質への消費者の不安を軽減することができます。国は、住生活基本計画において、この瑕疵保険に加入した住宅の割合を指標としており、都もこれに合わせ、二〇一四年度に八・五%である加入割合を二〇二五年度までに二〇%まで高めることとしております。
 新年度から、宅地建物取引業法の改正により、インスペクションに関する消費者への説明が義務化される機会を捉え、瑕疵保険への加入が促進されるよう、都は、インスペクションへの補助を開始し、安心して売買ができる環境整備に取り組んでまいります。

○木下委員 次に、交通政策におけるICT活用という視点でご質問させていただきます。
 まずは、時差ビズについてでございます。当委員会でも継続してご質問している時差ビズでございます。なぜなら、働き方改革は、日本社会の生産性向上に大きく貢献する大切な課題であり、満員電車による通勤を減らすことは、その点でも重要な役割を果たすと考えるからでございます。
 今年度から始まった時差ビズでは、時差通勤やテレワークの利用により、働き方を見直し、オフピーク通勤が一斉に実施されました。
 時差ビズの普及啓発のため、ポスターやPR動画などを作成し、時差ビズへの参加を広く呼びかけた結果、約三百二十社の企業の賛同を得ることができ、また、インターネット調査では、時差ビズという新しい言葉の認知率が七割と、大変普及いたしました。
 今後はこの取り組みをさらに広げ、定着させていくためにも、継続的な実施が必要でございます。
 三十年度予算では、四千百万円増の一億一千万円が予算化され、知事と都の当事業への意気込みが感じられるところであります。
 先日の我が会派、都民ファーストの会の代表質問に対しても、都はこの機運を醸成させるため、来年度は、夏と冬の二回実施していくことや、実施日数をふやしていくこと、また、鉄道事業者にはオフピーク通勤者に対する特典付与や、早朝における臨時列車の運行など、取り組みの拡大を働きかけていくとの答弁をされました。
 ぜひ来年度もさらに参加企業をふやし、二〇二〇年までに一千社など、目標達成に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、私はこうした取り組みに、日進月歩で発展するICTを導入して、効果的に活用することが非常に有効であるとも考えております。小池都知事の各所での発言でも、ICTの都政への活用を重視するとされております。
 そこで、今、ここが混んでいるなどの鉄道の混雑情報を携帯のアプリで利用者に提供し、混雑を避ける行動を促すなど、時差ビズの取り組みにICTを活用することが効果的であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 鉄道の混雑緩和に資するICTを活用した取り組みといたしまして、例えばJR東日本では、平成二十六年から山手線におきまして、列車の運行情報や車両ごとの混雑状況を確認できるアプリを提供してございます。
 また、東急電鉄では、今年度より、早朝時間帯の駅利用者に対しまして、携帯電話の位置情報をもとに、商品などに交換可能なポイントが自動的にたまるアプリを提供するなど、順次サービスを拡大しております。
 こうしたICTの活用は、時差ビズの取り組みを推進する上で効果的でありまして、今後、通勤、通学者が求めます情報やサービスを把握するための意向調査なども行いながら、鉄道事業者にさらなる取り組みを促してまいります。

○木下委員 まずは、通勤、通学時に鉄道を利用する乗客にとって、どんな情報があれば利用者の分散につながるのか、利用者のニーズ、意向調査によって把握をしていこうというお話でした。ぜひ進めていただきたいと思います。
 また、同じ公共交通機関である路線バスにおける取り組みも必要だと考えております。
 都では、バス走行環境改善システム整備事業として、バスロケーションシステム導入について支援を行っていますが、この概要及び導入状況、今後の予定についてお伺いしたいと思います。

○中島都市基盤部長 バスロケーションシステムは、GPS等により把握いたしましたバスの位置情報を停留所の表示器やスマートフォンなどを通じて即時に提供することで、バス利用者の利便性向上を図るシステムでございます。
 都は平成十三年度から、バス事業者が実施いたします停留所の表示器やバスの車載器などの設置に係る費用に対しまして補助を行ってまいりました。
 また、二十五年度には、システムの導入が進みつつあることから、補助事業の終期を平成三十年度に設定いたしました。
 その結果、東京バス協会の調査によりますと、平成二十九年三月末現在、都内にある二十六の事業者が運行しているバス路線のうち、約九五%の路線でシステムが導入されておりまして、車載器につきましては約九七%の車両に搭載されております。
 都は補助事業の最終年度である来年度におきまして、バス事業者の意向を踏まえ、その取り組みが進捗するよう、予算を大幅に増額した上で、九事業者に対して補助を行う予定でございます。

○木下委員 都内では、バスロケーションシステムの普及が非常に進んでいる状況がわかりました。
 さて、二〇一二年のロンドン・オリンピック大会では、公共交通機関の運行情報提供が進み、オリンピックレガシーとしてのテレワークの推進に寄与したとお聞きしております。
 東京では、民間事業者も多く、交通に関して、データの扱いに課題があることは認識しておりますが、運行情報や乗りかえ情報は、都民や利用者にとって公共性の高いデータであり、東急線だけ、JR線だけという閉じた情報ではなく、行く行くは情報を一本化する方向で推進することが重要ではないかと考えております。
 交通情報のオープンデータの実用化を推進するための産官学共同の協議会として、公共交通オープンデータ協議会が設立されていますが、その協議会が昨年十二月から先週まで、東京公共交通オープンデータチャレンジを開催していました。
 この期間中に、本協議会に参画する交通事業者は、それぞれ保有するデータを一般の開発者に対して公開し、さまざまなアプリケーションやアイデアを募集するコンテストとして実施されました。
 このようなことも念頭に置いていただきまして、ユニバーサルにアクセスできる無料のプラットホームの提供に向けて、都としてできる取り組みについて努力を進めていただきたいとお願いいたします。
 最後に、地震に関する地域危険度測定調査(第八回)についてお伺いしたいと思います。
 東日本大震災からこの三月十一日で丸七年がたちました。被害に遭われた方々には心よりお悔やみを申し上げます。
 首都直下型地震は今後三十年で七〇%の確率で発生するといわれております。大災害が東京に暮らす我々にとっても人ごとでないことは、先ほどからの委員会質問、討議にも出ておりますが、自明でございます。
 そこで、五年に一度改定をし、発表している地域危険度測定調査について、改めてお伺いしたいと思います。
 この調査、現在、相対評価による五段階の危険度に分かれて、地域ごとに、町丁目ごとに評価をしている指標でございますけれども、やはり今後は危険度のランクを相対評価ではなく絶対評価にしていく必要があるのではないかというふうに考えますが、そのお考えはあるのか、お伺いしたいと思います。

○安部防災都市づくり担当部長 地域危険度測定調査は、都民の防災意識の高揚に役立てることを目的の一つとしております。このため、地域ごとの地震に対する危険性の度合いを相互に比較して、五段階のランクに分けることで、都内全体の中で相対的にどの程度危険かをわかりやすく示しております。
 加えて、今回の調査では、新たに、お話のような趣旨で、建物の倒壊及び延焼の絶対量としての危険量を公表しておりまして、前回の調査と比較して、都内全体において市街地の防災性が向上していることを明らかにしております。
 今後、地域の改善状況も見きわめつつ、絶対評価の示し方につきまして、学識経験者らの意見も踏まえながら検討を進めてまいります。

○木下委員 地域危険度測定調査で示した危険度のデータ、非常に有効なデータではあるというふうに考えておりますが、都民の震災対策に向けた行動、アクションを促していく、そのためにどのようにこれを活用していくのか、見解をお伺いしたいと思います。

○安部防災都市づくり担当部長 都民がみずからの問題として認識し、備えるためには、防災に関する必要な情報を提供することが重要でございます。
 このため、今月から、都民が地域危険度で示した情報を容易に入手できるよう、東京都防災アプリを配信しております。
 また、民間の力を活用してわかりやすい情報提供が可能となるよう、地域危険度の情報をオープンデータの形でも提供を開始しておりまして、一時期、ダウンロード数が第一位になるなど、多くの方に利用していただいております。
 こうした情報やデータの提供などによりまして、都民の主体的な取り組みを引き出し、防災まちづくりに向けた行動を促してまいります。

○木下委員 防災アプリでの提供など、また、ダウンロードも進んでいるということで、大変喜ばしいことかと思います。私も実は、この防災アプリをダウンロードした一人ではありますが、若干データ量が大きく、自分のスマホの空き容量が消費してしまって、ちょっと大変だったなというようなこともございました。
 地域危険度測定調査については、自分の地域の危険度を知ることはできますが、それまでの情報でもありました。まだまだ進化が必要と思いますが、取っかかりの取り組みとしてはすばらしいと感じております。引き続き、関係の皆様には頑張っていただきたいというふうに思っております。
 この地域危険度測定調査のデータと、それから消防団の管轄地域と公営の避難所の情報を組み合わせて防災マップをつくって、自分の住む区に提供しようというような知人もいます。
 このような民間の方たちの取り組みも誘発できるように、先ほどもご提供されているということでございますが、CSV形式での情報提供や、またコンテストの実施など、一般の方々の取り組みがさらに進むよう、施策の展開も、総務局などとの連携なども含め、進めていただけるようお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

○森口委員 平成二十五年住宅・土地統計調査によりますと、空き家は都内で約八十二万戸、全住宅ストックの一割を超えております。今後、団塊世代が後期高齢者となる二〇二五年には大量相続時代が本格化し、大量の住宅ストックが空き家となる可能性が懸念をされております。
 都としましては、地域の実情を把握している区市町村と一体となり、取り組みを進めていくことが重要とし、来年度も空き家対策を推進するべく、空き家の適正管理、発生抑制、有効活用、普及啓発に関してさまざまな計画をしております。
 東京都住宅マスタープランや二〇二〇年に向けた実行プランによりますと、空き家対策の政策指標につきましては、空き家等対策計画を策定した区市町村数の全区市町村数に対する割合としており、平成三十二年度末五〇%以上、平成三十六年度末八〇%以上にすることを目標に掲げております。
 空き家対策を推進する上で、まずは都内の空き家の実態調査と、それを踏まえた対策計画の策定が必要不可欠であるわけですが、各区市町村の空き家の実態調査の実施や計画策定につきまして、現時点での進捗をお伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 区市町村による空き家の実態調査は、全区市町村六十二のうち、五十区市町村で実施されており、約八割が既に取り組んでいるところでございます。
 また、空き家対策計画につきましては、約五割、二十九の区市町村で策定されております。

○森口委員 空き家には特定空き家のように、除却するべきものから、管理が十分でなく周囲に迷惑を及ぼす可能性があるもの、また、多少の改修等を行えば利活用が見込めるもの、資産価値があって市場に流通できるものなどさまざまであります。
 空き家の所有者につきましても、相続で取得し、遠隔に住んでいて管理ができない。また、認知症等により意思決定が困難な方が所有している。また、そもそも所有者がわからないなど、さまざまであるわけです。
 空き家対策を進めていく上で、まずはその地域ごとの現状の実態調査が必要不可欠です。国は調査費用二分の一、都も上限一千万円で、区市町村の負担の二分の一を補助しており、現状八割の区市町村が実態調査を進めております。
 ですが、ご答弁のように、二割の区市町村におきましては、空き家対策の大前提ともいえるこの実態調査が行われておりません。また、半数の区市町村で、対策計画の策定が行われていないわけであります。
 このように、空き家対策につきまして、区市町村ごとの取り組みに差が出てきているわけでありますが、都の見解をお伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 都内の区市町村におきましては、地域の実情に応じて、空き家対策に取り組んでいるところでございます。
 今後も増加が見込まれる空き家の問題に的確に対応するため、地域の実情を把握している区市町村が実態調査や計画策定に取り組むことが望ましいと考えております。
 都は広域自治体として、こうした区市町村の取り組みを支援していくことが重要と認識しております。平成二十七年度から、区市町村に対して、空き家の実態調査や計画作成、有効活用のための改修の補助を開始するなど、取り組みを進めてまいりました。
 さらに、今年度からは、全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会を立ち上げ、先進的な取り組み事例について情報共有を行うとともに、都の支援事業の活用を促しているところでございます。
 引き続き、実態調査や計画策定を初めとした区市町村の空き家対策への支援に取り組んでまいります。

○森口委員 空き家対策連絡協議会につきましては、各自治体の空き家対策に関する課題を共有するとともに、先進的な取り組みを横展開していくなど、全区市町村参加で、空き家対策を検討し、推進をしていく重要な取り組みであると理解をしております。
 実態調査を経て、既に策定をされている空き家対策計画を幾つか拝見しましたが、内容に関しまして、国のガイドラインに基づきつくられているわけですけれども、区市町村ごとに差があるように感じております。
 既に策定されている各区市町村の計画につきましても、運用しながら更新をされていくものでありますので、よりよい計画がつくられ、運用されていくよう、都として、空き家対策連絡協議会などを通じて、日本全国のすぐれたノウハウやベストプラクティスの共有を促していただきたいと思います。
 次に、空き家対策の新たな取り組みについて質問をいたします。
 空き家対策につきましては適切な管理が行われていない老朽空き家などを除却し、防災、衛生、景観など、地域の生活環境を改善していくほか、これからの人口減少社会を見据え、流通を中心としたストックの利活用こそがこれからの大きなテーマであります。
 来年度、都は、新たな空き家対策の取り組みとして、空き家所有者情報等の外部提供に向けた調査費用の助成を行う予定でありますが、その予算額と具体的にどのような取り組みなのか、お伺いをいたします。

○田中住宅政策担当部長 空き家の利活用を進めるためには、住宅の売買等の取引に携わる民間事業者と連携し、所有者に働きかけることが有効でございます。
 空き家の実態調査を行った区市町村は、所有者に関する情報を把握しており、都は、区市町村が、所有者の了解を得た上で、こうした情報を、空き家の有効活用に役立てる取り組みを支援してまいります。
 具体的には、所有者の意向確認や、空き家の状況調査等を行うための費用に対して、五百万円を上限に補助してまいります。

○森口委員 都内の空き家総数約八十二万戸のうち、賃貸や売却などの予定がないものは約十五・二万戸とされております。また、耐震性や老朽、破損の観点から、利用可能なものがそのうち約十一万戸あると推計されております。
 これまで、活用可能な十一万戸の空き家につきましては、買いたい人や借りたい人がいても、そもそも所有者が特定できず、利活用が進まないという点も課題の一つでありました。
 国の特措法の施行により、区市町村は空き家所有者に関する情報を把握することができるようになり、行政側から空き家所有者の意向確認を行った上で、宅建業者など民間事業者が空き家を不動産として市場に流通させていくことが可能になっております。
 本年度、都内では、青梅市にて、まさにこのスキームで利活用が行われております。民間事業者にとっても、新たなビジネスモデルになるわけで、取り組みの広がりが期待をされております。
 次に、空き家の有効活用の新たな取り組みとして、来年度、地域コミュニティの維持、活性化に資する住宅への改修費の補助を行うことになっておりますが、この新たな補助メニューの趣旨はどのようなものなのか、お伺いをいたします。

○田中住宅政策担当部長 都は、平成二十八年度から、空き家を集会所等の地域活性化施設として改修する区市町村の取り組みに対し支援を行ってございます。
 来年度からは、これに加えて、空き家を移住、定住や近居、同居等を目的とする住宅に改修する場合にも、補助を開始いたします。これにより、地域コミュニティの維持や活性化に向けた区市町村の取り組みを支援してまいります。

○森口委員 本年度までの空き家の改修への補助の実績は大田区で行われた三件のみと伺っております。空き家の利活用につきましては、なかなか取り組みが進んでいないのが実態であります。
 空き家の利活用は既存住宅を活用し、マイホームとして住み、暮らすという利用と、民間事業者等が事業として、施設や集合住宅、寄宿舎に改修、利活用するという両面があるわけですけれども、前者に関しましては、これまで既存住宅に関して、実際に購入してから雨漏りが発生をする、安全性にかかわる構造上の欠陥が後でわかるなど、隠れた瑕疵が購入後に認められるといった品質や性能に関する不安が大きく、流通が進んでこなかったという点が課題でありました。
 これは宅建業法が改正をされ、本年四月以降、既存住宅に関して安心R住宅制度が始まるなど、今後、インスペクションの普及や、瑕疵保険の普及が進んでいくという点で、利活用が促進されることが期待をされております。
 後者の民間事業者等が事業として空き家を改修、利活用する場合、用途変更が必要となり、建築基準法や東京都安全条例など、建築規制への適合に高いハードルがあると伺っております。
 国も戸建て住宅の用途変更の規制を緩和するなど、建築基準法の改正案が今月閣議決定されております。安全性を確保しつつも、用途変更等が円滑に行われるよう、建築規制が合理化されることが、求められているのだと思います。
 次に、空き家の有効活用に向けた普及啓発について質問をいたします。
 来年度、新たな普及啓発の取り組みとして、四千万円が予算化されております。空き家のワンストップ相談体制を備えた民間事業者等による普及啓発の取り組みとは具体的にどのようなものなのか、お伺いをいたします。

○田中住宅政策担当部長 都は平成二十八年度からモデル事業として、不動産事業者や建築業者と連携したワンストップ相談窓口を備えた民間事業者を選定し、この窓口において、相続等の課題を抱える所有者からの相談に対し、きめ細かく対応してまいりました。
 モデル事業者は、相談窓口の利用促進に向けてさまざまな広報活動を行っておりますが、必ずしも空き家所有者等に十分に浸透していない状況でございます。所有者は、相続等の問題を抱え、すぐには売却、賃貸等の検討を進めることができなかったり、あるいは、空き家をそのままにしておくと具体的にどのような問題が生じるかについて、必ずしも十分な知識を得られない状況にございます。
 そこで、来年度から三年間、改めて民間事業者を選定し、都内各所におけるセミナー等の普及啓発事業と、ワンストップ相談窓口での相続等の相談事業を一体的に実施し、空き家の有効活用につなげてまいります。

○森口委員 ご答弁のように、空き家につきましては、相続を契機として放置されているものが多いわけであります。所有者に対して、空き家の適正管理や利活用を促していくためにも、空き家管理に関する周知啓発、さまざまなサポート体制の充実が有効であると考えます。
 空き家の適正管理、発生抑制、有効活用、そして、普及啓発、相談体制の整備につきまして、来年度、平成三十年度の取り組みにつきまして伺ってまいりました。
 都としては今後ますます増加が見込まれております空き家問題に対しまして、引き続き着実な取り組みを進めていただくことを要望して、次のテーマに入ります。
 次は、耐震化の来年度の予算について幾つか質問をいたします。
 都がことし一月に公表した平成三十年度主要事業におきまして、耐震改修促進事業の普及啓発は、平成三十年度予算として、九千九百万円が計上されておりますが、平成二十九年度当初予算の一億四千六百万円と比べると減少となっております。
 まずは普及啓発事業の内訳とそれぞれの平成三十年度予算額についてお伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 普及啓発事業の内訳とそれぞれの平成三十年度当初予算額についてでございますが、区市町村耐震化促進普及啓発活動支援事業が約五千四百万円、耐震マーク表示制度が約一千八百万円、耐震ポータルサイトの運営等が約二千七百万円でございます。

○森口委員 内訳としてお答えいただきました耐震ポータルサイトの運営等の来年度予算額は二千七百万円とのことでありますが、耐震ポータルサイトの運営以外にどのような事業が含まれているのか、お伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 耐震ポータルサイトの運営等には、都民がインターネットで耐震化に関する情報を容易に入手できる手段である耐震ポータルサイトの運営のほか、耐震キャンペーンの実施や耐震改修工法の事例の情報提供が含まれております。

○森口委員 次に、耐震化促進事業の普及啓発の項目の一つであります区市町村耐震化促進普及啓発活動支援事業につきまして、平成二十九年度の当初予算は、九千三百万円でありましたが、平成三十年度の予算が五千四百万円に減少となっている理由をお伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、地域の実情に即した取り組みを促すため、所有者からの相談に応じるアドバイザーの派遣など、普及啓発を行う区市町村に対しまして、その費用を支援してきました。
 今年度は、区市町村の要望の有無にかかわらず、島しょを除く五十三自治体全てが、普及啓発費の支援を受けられるよう予算を計上しており、約三十の区市に対して支援を行う見込みとなってございます。
 平成三十年度は、普及啓発の取り組みを予定している三十六区市が着実に事業を実施できるよう、必要な予算を計上してございます。

○森口委員 都は今年度、耐震化促進の新たな取り組みとして、区市町村耐震化促進普及啓発活動支援事業として、全戸訪問を行う区市町村に対する支援を拡充してきたわけであります。
 この取り組みが今年度、どのような結果であったのか、また、その結果をどのように来年度に生かしていくのか、お伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は今年度から、戸建て住宅の全戸訪問を行う区市町村に対して、普及啓発費の助成額の上乗せをしてございます。その結果、新たに、八王子市や府中市などの五市が、全戸訪問を行うようになりました。
 平成三十年度からは、区市町村による普及啓発をさらに進めるため、全戸訪問を行う場合に加え、一部の地域で、戸別訪問を行う場合であっても、助成額の上乗せを行ってまいります。

○森口委員 都はセーフシティーの実現に向け、耐震化など、防災まちづくり事業につきまして、昨年十二月に、都政改革本部で議題とし、これまでの取り組みの実態と課題の見える化を行い、改革案の検討が行われました。
 都は先月、それらを取りまとめ、二〇二〇改革プランの素案を公表いたしております。その見える化改革報告書によりますと、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の課題の一つとして、区市町村職員と連携した個別訪問の実施を上げております。
 この点につきまして、これまでどのように取り組んできたのか、お伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は平成二十八年度から、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するため、区市町村の意見を聞いた上で、耐震化率の低い路線の中から、重点的に取り組むべき区間を設定し、都と区市町村の職員が直接訪問して、所有者へ働きかけを行ってまいりました。
 昨年度に訪問した建築物の半数以上で、改修計画作成のためのアドバイザーの派遣に結びついており、着実に成果があらわれているものと認識してございます。

○森口委員 ご答弁いただきました区市町村職員と連携した個別訪問の実施とともに、二〇二〇改革プランにも取りまとめられている取り組みとして、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進のため、今年度、学識経験者等から成る検討委員会で、促進策の検討を行っております。
 促進策の取りまとめにつきましても、今月末の最終回を経て行うとのことですが、この検討委員会で検討された促進策は、来年度の耐震化の取り組みにどのように生かされていくのか、お伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物を対象とした個別訪問を通じて、賃貸ビルの所有者がテナントからの協力を得られず、耐震化を進められないなどの課題が明らかになってございます。このため、委員お話しの検討委員会では、現在テナントからの協力を引き出す方策など、さらなる促進策の検討が進められてございます。
 今後、検討委員会での結果を、実効性のある新たな施策に反映してまいります。

○森口委員 次に、耐震化の普及啓発の取り組みである耐震マーク表示制度につきまして、これまでの取り組みと実績についてお伺いをいたします。
 あわせて、平成三十年度の予算は、平成二十九年度の当初予算と比較をして減少しているわけですが、その理由につきましてもお伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、建築物の耐震性に関する都民の安全意識の向上を図るため、建物利用者などが耐震性を有することを直接確認できるよう、建築物の入り口などに耐震マークを表示する制度を平成二十三年度に創設し、公共建築物を対象に交付を開始いたしました。
 平成二十四年度からは、民間建築物にも対象を広げ、公共建築物を含め、これまで三万件以上に交付をしてございます。
 平成三十年度の予算については、過去の実績などを踏まえ、計上してございます。
 今後、ハウスメーカーに交付申請の協力を求めるなど、さらなる普及の促進を図ってまいります。

○森口委員 耐震改修をより一層進めていくためにも、耐震マークの交付とともに、改修済みの建物など、耐震性を有する建物につきまして、耐震ポータルサイトで掲載していくことも、所有者のインセンティブにつながり、有効ではないかと提案をしたいと思います。
 最後に、耐震化の普及啓発の取り組みとして、耐震ポータルサイトの運営等につきまして質問をいたします。
 これは先ほどのご答弁で、耐震ポータルサイトの運営や耐震キャンペーンの実施などとのことでありましたが、これらの今後の取り組みをお伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 耐震ポータルサイトについては、平成二十一年度に開設しており、二十八年度のアクセス数は約二十三万三千件となってございます。
 来年度は、イベントの開催情報や助成制度の内容などをよりわかりやすく発信していくため、高齢者、視覚障害者への配慮やスマートフォンへの対応などを含め、ポータルサイトのリニューアルを行ってまいります。
 また、耐震キャンペーンでは、耐震改修工法の展示会や、耐震改修が行われた事例の見学会、民間が行うセミナーなどを通じて、都民の啓発を行っております。
 今後もこうしたことを通じまして、耐震化の取り組みを進め、安全・安心な都市の実現につなげてまいります。

○森口委員 耐震化促進事業の普及啓発につきまして、本年度当初予算額と比較をすると、平成三十年度の予算につきまして、減少している項目が多く、耐震化の目標達成に向けて、取り組みのペースが落ちるのではと憂慮をしておりましたが、それぞれの取り組みにつきまして確認をさせていただき、来年度もしっかりと進めていただく旨のご答弁をいただきました。
 引き続き、効果的な普及啓発を進めていただくことを要望し、質問を終わります。
 以上です。

○後藤委員 私からは住宅セーフティーネット法について、まずご質問させていただきます。
 既に各会派の皆様からも、セーフティーネット法については、多くのご質問がございましたので、なるべくかぶらないようにご質問させていただきたいというふうに思います。
 住宅セーフティーネット法につきましては、本年度二月に東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画において、計画目標や登録住宅の基準などのガイドラインがお示しをされることになりました。
 そこでは、平成三十七年度までに三万戸の登録目標を掲げられております。その算定根拠につきましては、先ほど小林理事や、星見委員からのご質疑でご答弁がございました。今回の促進計画では、前回、私がご質疑をさせていただいた際に要望しておりました具体的な数値目標というのが、各項目にて設定をされることになりました。
 一都三県の中でも、こうした住宅セーフティーネット法に基づく登録住宅の具体的な目標というのが示されているのは、現状、東京都のみであります。他県では、詳細の制度設計については、来年度末ということで持ち越されている中、東京都が先駆けて、しっかりと具体的な目標数値と、その達成のためのマイルストーンを描くということは、非常に重要な取り組みであると考えており、これは高く評価するのであります。
 ただし、一方で、今回目標とされている平成三十七年度末までの七年間の間で三万戸という目標については、平均で割っても、一年当たり四千二百戸超の登録住宅を供給するという計算でございます。
 しかし、登録制度のスタートからいまだ登録件数はゼロ件というふうに伺っており、現時点で登録数ゼロというのは、一都三県の中でも東京都だけでございます。
 これでは本当に七年間で目標が達成できるのかなというふうに、私自身ちょっと心配をしておるところですけれども、ここでご質問でございます。
 登録住宅の普及に当たり、各関係団体に向けては、具体的に何団体に向けて、どのような働きかけを行い、その結果、どのような周知をされているのか、また、区市町村においても、どのような周知の方法をいつ行ったのか、その結果、どのような対応となったのか、具体的な取り組みの進捗を教えていただければと思います。

○田中住宅政策担当部長 都は、都内不動産団体九団体にヒアリングを行い、貸し主に対する制度の効果的な周知方法について検討し、これを踏まえて、制度の趣旨や活用のメリット、登録の手続などにつきまして周知に努めているところでございます。
 具体的には、ホームページや案内チラシの配布に加えて、団体の機関紙に記事を掲載するなどの取り組みを行ってございます。
 また、区市町村に対しては、昨年十月の登録制度の開始に当たり、説明会を開催して、住宅の登録の手続等について情報提供をしたほか、窓口等を通じた案内チラシの配布を依頼してございます。
 こうした周知を受けまして、現在二百件を超える問い合わせをいただいているところでございます。
 また、都は、住宅確保要配慮者のニーズに応えるため、今回の賃貸住宅の供給促進計画、経過期間は八年間となってございますけれども、東京の実情を踏まえ、面積基準を緩和しております。
 あわせて、改修費等への補助制度も用意しており、今後とも、登録の促進に向けて一層取り組んでまいります。

○後藤委員 先ほど、目標の期限というところが七年間というふうに、私の方から質疑させていただきましたが、八年間ということで、私からも訂正させていただきます。
 また、普及に当たっては、どんなによい制度であったとしても、知られずに終わってしまっては意味がありません。この二百件超の問い合わせをぜひ登録につなげるべく、まずは関係各所の周知というものを徹底していただきたいというふうに思います。
 また、登録住宅の普及に関しても、まだまだ課題があるというふうに感じております。私は、今回、なぜ、なかなか登録住宅の普及が進まないのかという理由を考えるために、地元の足立区で、年間約五百名超の方々の住宅確保要配慮者向けに住宅の紹介を行っている不動産業者にお話を伺ってまいりました。
 お話を聞いたところ、やはり現に空き家であったとしても、家主の拒否感というのはまだまだ強く、お話を伺ったところでいくと、内覧できるのも、働きかけをして、五十件に一件あればいいというレベルだそうです。
 こちらの不動産屋では、病院や福祉事務所へ直接本人を迎えに行って、一緒に部屋探しを行うそうです。
 例えば視覚障害者の方であれば、電話での本人確認ができないことや、訪問してもチャイムに気づかず、本人であるということがわからないことであったり、家主が入居者とコミュニケーションがとれないということ、また、火災発生時に火災報知機に気づかないこと、賃貸契約書を読んでも聞こえず、意思確認ができない等々の理由で、なかなか貸し手が見つからないという状況でございます。
 そこで、その不動産会社は、契約関係書類の電話確認を代行したりとか、あとは、実際に家主と相談をして、来客時や火災報知機の作動音を光に変える装置につけかえたりと、かなり手間暇をかけて、一件当たりの成約に結びつけているというような実態がありました。
 やはり家主が登録を進めていくということに当たっては、ここまでやらないと動かないというような実態を目の当たりにいたしました。実際一人当たりの対応コストがこれだけ高いという現状を踏まえますと、なかなか住宅確保要配慮者からの入居希望があったとしても、不動産事業者が家主に働きかけるインセンティブが働きにくいのかなというふうに感じました。
 そうしたことからもぜひ、東京都としては、貸し主のリスク軽減となる実効性の高い施策というものをご検討いただきたいというふうに思っております。
 例えば、住宅セーフティーネット法に基づいた登録住宅が現在二百件超の登録がなされている大阪府の取り組みでございます。
 実際に、貸し主の不安を解消する病気などの緊急対応、また、家賃の滞納や連帯保証人の確保、そして、死亡後の原状回復や残置物処理などのサービスを一体的に組み合わせて活用できる、大阪あんしん住まいるサポーターという制度を民間企業と連携して商品化して、府の基金も活用しながら、実態の価格よりも低価格で使えるような仕組みをつくってございます。
 実際に東京都では、公益財団法人の東京都防災・建築まちづくりセンターが既に見守りサービスのみ提供している現状があると認識をしておりますが、費用面、実態の平均よりもかなり高い金額の提供となっており、ぜひサービスの拡充やサービス費用の助成も含めて、ご検討していただきたいなというふうに思っております。
 ぜひ、貸し主にとってもメリットが感じられ、入居希望者の住宅提供を実質的に行っている不動産事業者にとっても、案内がしやすくなるような体制構築に向けて、さらに力を入れていただきたいというふうに思います。
 また、もう一つ家主の不安解消という点において非常に重要な役割を担うのは、居住支援協議会や居住支援法人が行う生活支援や居住支援でございます。
 住宅確保要配慮者の多くは、同居家族がいない、経済的に頼れる人がいないなど、社会的な孤立と深い関係にあったり、さらには、高齢により認知症の発症で、日常的な見守りが必要だとか、あとは、障害のためにバリアフリーの住宅でないと住めないといったような居住支援、通常の住宅よりも手厚く必要になるようなケースが存在をしております。
 そうした課題に対して居住支援法人が、きめ細かいサポートをして、初めて家主も安心して空き家を提供できるのかなというふうに考えております。
 そこで、私からは、居住支援法人についてお伺いをしたいと思います。
 居住支援法人の認定基準に関してですが、都では、四つの基準を設けております。一つ目が、登録住宅に入居する住宅確保要配慮者への家賃債務の保証を行うこと、そして二つ目は、住宅相談など賃貸住宅への円滑な入居にかかわる情報提供、相談を行うこと、そして三つ目は、見守りなど要配慮者への生活支援を行うこと、そして四つ目は、上記業務に附帯する業務。もう一つが定められておりますが、この四つの業務を行う備えがある場合においては、当該全ての業務を行わなくても可とされると記載がされております。
 前回、私からのご質問でも、全ての基準を満たす団体が指定の基準となってしまいますと、なかなか全てを網羅する居住支援法人の手が挙がらないということでございまして、指定団体に名乗り出る機関がいなくなってしまうのではないかということが懸念されるという意見を述べさせていただきました。
 この当該全ての業務を行う備えという表記が私にとっても、一般的な都民の感覚としてもよく理解ができないのかなというふうに思っております。これが具体的にどういう状況を指すのか、ご教示をいただけますでしょうか。また、こうした居住支援法人の登録促進に向けた取り組みについて、都としての見解を伺います。

○田中住宅政策担当部長 昨年十二月に開始いたしました居住支援法人の指定についてでございますが、現在、申請があった団体につきまして、審査を行っているところでございます。
 お尋ねの業務を行う備えとは、国によれば、定款等におきまして必要が生じた場合には全ての業務を実施する旨が記載されていることとされております。また、家賃債務保証につきましては、保証業者と連携を図ることとすれば、業務を行う備えがあるとされております。
 居住支援法人の指定促進に向けては、現在、居住支援を行っている団体など、一定の実績のあるNPO法人や福祉団体に対し、区市町村の協力を得て、指定制度に係る情報提供や、申請の働きかけを行うなどのPR活動を行ってまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。認定基準については、必ずしも明記されているサービスを行わなくても、定款などで必要の際には、業務を行う備えがあるという文言が入っていれば、問題ないと解釈できるご説明でございました。
 ぜひこうした解釈がなかなか難しい規定に関しては、わかりやすく伝えていただく工夫をしていただいて、周知徹底を行っていただきたいと思います。
 また、ソフトサービスの充実こそが、本制度の運用成功のかなめであり、居住支援法人の指定促進についても、ぜひ設立目標を定めるなどして、積極的に働きかけをお願いしたいと思います。
 また、区市町村の居住支援協議会の設置に関しては、二〇二〇年度末までに区市の五〇%以上で設置されることを目標とされています。それに当たっては、各区市町村での需要予測などを含む実態把握がやはり必要となってくると思っております。ぜひそうした実態調査に関しても、都として、区市の後押しをしていただくような取り組みを期待して、次の質問に参りたいと思います。
 次に、子育てに配慮した住宅の供給促進についてご質問をさせていただきます。
 東京都では、子育てに適した住まいの広さ、安全性の確保や家事のしやすさなどに配慮された住宅で、子育て支援施設等の設置や子育て支援サービスの提供に配慮した優良な住宅を認定する東京都子育て支援住宅認定制度を行っています。
 良質なファミリー向け住宅が不足をしている東京都においては、子育てに配慮した住宅の普及促進を行うことは非常に重要であると思っております。
 そこで、ご質問ですが、東京都では、平成三十七年度末までに一万戸の認定を目標と掲げておりますが、平成二十七年度末に創設した本制度において、改めてこの制度の目的と住宅の特徴について伺いたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 少子高齢化が進行していく中で、住宅政策においても、子育てに配慮した取り組みを進めていくことが重要でございます。子育て支援住宅とは、お話のとおり、子育てに適した基準を満たした住宅を都が認定するものであり、認定マークによる広告効果や、信頼度の向上による他物件との差別化が期待できます。こうした効果により、その供給の促進を図ることを目的としてございます。
 認定に当たりましては、ベビーカーを置けるスペースの設置、柱の角の面取り、バルコニーにおける子供の転落防止のための工夫など、子育て世帯が安心して生活できる配慮がなされていることを条件としております。

○後藤委員 ありがとうございました。私も先日、地元足立区で、本制度初認定の分譲マンションである物件のモデルルームに行ってまいりました。実際に物件を拝見して、子供を育てる私自身、母の視点からも、こうした住宅がもっとふえるべきだなというふうに感じたところでございます。
 認定については、子育て世帯が安心して生活できる配慮がされていることが条件というお話がありましたが、実際にこの認定基準を見てみますと、先ほどありましたように、ベビーカー置き場や子供の感電防止のためのコンセントシャッターなどの設置、キッズルームなどの子育て支援施設の整備など、何と必須項目だけで六十二項目、選択項目でも全三十一項目のうち、十二項目以上適合していないと認定が受けられないという、大変厳しい基準となっております。
 同様に制度をスタートしている埼玉県と比較をしても、こちら、東京都の基準はかなり厳しいというふうな実感をしております。
 そういったことから、現状の認定状況を見てみましても、平成二十七年度から制度が始まって約三年間に、新築集合住宅で六件、既存集合住宅で七件というふうになっており、やはり、子育て世代が、そうした子育て住宅に優しい、そういった制度を選ぶに当たっては、まだまだ市場での認知度が高まるほどの戸数が供給されていないのかなというふうに感じます。
 そこで、一点ご質問ですが、制度の普及や、住宅の供給促進に向けて、都としてどのような取り組みを行っているか、お伺いしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は現在、子育て支援住宅の普及や供給を促進していくため、認知度の向上に向けた取り組みや、住宅の整備に対する支援を行っております。
 具体的には、住宅の建設や管理を行う事業者を対象として、説明会や竣工した住宅の見学会を実施しております。これらを通じまして、子育てに配慮した設備や間取りなどの認識を深め、制度を活用していただくよう取り組んでおります。
 また現在、都の補助制度と合わせて三区市が行っている助成については、他の区市町村に対しても、導入を働きかけております。
 今後とも、子育てに配慮した住宅の供給の促進に向け、積極的に取り組んでまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。認知度の向上に向けてさまざまな取り組みをされているというご答弁がありました。
 東京都は認知度の向上に向けて、例えば、子育てに配慮した住宅のガイドラインという冊子を配布されておりますが、配布場所が限られていたりですとか、私も拝見しましたけれども、なかなか、内容が読みづらかったりと、まだまだ改善点があるなというふうに感じています。
 実際に足立区内で子育てをしている、そして、そういった住宅を探している世帯の方々十名に、本制度を知っていますかというようなお話を聞いたところ、認知をされていらっしゃる方は、残念ながらお一人もおりませんでした。
 今後は、メディアに向けたPRだったり、あとはSNSなどによる子育て世代に向けた発信など、そういったものを通じて、より一層の工夫をお願いしたいというふうに思います。
 また、認定住宅の登録促進については、東京都のお墨つきというものだけでは数多くの認定基準のハードル、こうしたものをクリアしようという事業者側のインセンティブには、なかなかなりにくいのかなというふうに感じておりまして、やはり財政支援の活用、これが重要であるというふうに考えております。
 補助制度の執行者である区市町村にも丁寧なご説明をいただきながら、制度の普及に努めていただきたいと思います。
 コンセプト自体はとてもよい制度でございますから、今後はまず都民の皆様に認知をしていただいて、東京都子育て支援住宅のブランド力というものを上げていくこと、そしてさらに、もっと多くの事業者の方々を積極的に巻き込んでいただきながら、さらなる子育て支援住宅の供給促進に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 そして最後に、LGBTパートナーの都営住宅申し込みの資格ということについてご質問させていただきます。
 本件に関しては、先ほど星見委員から同様のご質問がございましたけれども、我々都民ファーストの会としても、大事な問題でございますので、重ねてご質問をさせていただきたいと思います。
 誰もが生き生きと活躍できる都市東京の実現に向けては、セクシャルマイノリティーの方々も安心して東京に住み続けられる環境の整備が大変重要でございます。
 我々都民ファーストの会東京都議団としても、こうした差別解消に向けた取り組みを積極的に行っております。先日、我が会派の龍円都議からの提案に対しても、小池都知事は、十二月六日に行われました定例会の中で、LGBTの差別禁止も含めた五輪憲章の精神を実現する条例の制定を検討するとご答弁されました。
 さらには、本年の第一定例議会において、LGBTの方々について、課題は多岐にわたり、さまざまな部署で対応が求められるとご答弁をいただいた上で、総合的な調整を行う担当部署の設置が、我々からの提案によって検討されることとなりました。
 各局でLGBTの方々が感じる課題解決に向けた対応が求められる中、LGBTの方々の住まいの課題の一つに、LGBTカップルの都営住宅における入居資格というものがございます。
 こうした方々は、世帯向けの都営住宅の申し込みができないという現状がございます。そこで改めて、現状、世帯向けの都営住宅の申し込みにおける入居基準というものをお伺いしたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅では、使用者の資格として、条例で東京都内に居住していること、現に同居し、同居しようとしている親族があること、現に住宅に困窮していることが明らかであること、収入が一定の金額を超えないこと、暴力団員でないことを規定してございます。

○後藤委員 ただいまのご答弁で、入居基準について触れていただきましたけれども、現状、LGBTのパートナーの方々は、この基準に該当していても、実際は都営住宅の申し込みができないという現状がございます。
 そこで、LGBTの同性カップルの方々が、都営住宅の入居資格を満たさないと判断される理由と、LGBT同性カップルへの都営住宅における今後の対応について、ご見解を伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅では、使用者の資格の一つとして、条例で、現に同居し、または同居しようとする親族があることと規定してございます。
 入居の際、親族関係につきましては、住民票により確認をしておりますけれども、同性カップルについては、親族関係の記載がないため、入居資格を確認できません。
 LGBTの方々への対応につきましては、今後、庁内各局が情報を共有し、連携して施策を推進する体制の整備を図るため、総合的な調整を行う担当組織が設けられることとなってございます。
 このような動向なども踏まえながら、庁内での連携も強化しながら、都営住宅におけるLGBTの方々への対応については検討を進めてまいります。

○後藤委員 都営住宅における対応についてもご検討いただけるという前向きなご答弁がございました。東京都男女平等参画基本条例では、性別による権利侵害の禁止というものがうたわれておりまして、こうした性差によって、住まいに関する権利が侵害されてはならないというふうに感じております。
 今回については、親族関係の証明をどのように行っていくかということがポイントとなってくると思っておりますが、例えば渋谷区では、渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例、世田谷区では、世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱に関する要綱及び世田谷区営住宅管理条例の改定というものを行い、各区が発行するパートナーシップの証明書、これを区営住宅の入居審査にも適応できるというような制度になっております。
 東京都としても、こうした区市の事例を参考にしていただきながら、ぜひ前向きに議論が進むような制度の構築に努めていただきたいと要望し、私からの質疑を終了いたします。

○森澤委員 長時間にわたる質疑となりまして、最後となります、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、端的に三つのテーマについて伺います。
 まず、昨年の事務事業質疑でも伺いました舟運の活性化について伺います。
 舟運の活性化に向けて、昨年度、今年度と二年間にわたる社会実験の結果、認知度の低さなどの課題を把握したと聞いています。ホームページやポスターだけでなく、SNSを活用した動画の拡散などで、若者や外国人観光客に対するPRをしていくことが必要であると考えますが、課題となった舟運の認知度向上に向けて、来年度、どういったことに取り組んでいくのか伺います。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 この二年間実施いたしました社会実験におきまして、より多くの方に舟運を利用していただけるよう、専用のホームページやポスターなどによりPRを行ってまいりました。
 また、昨年八月、東京ビッグサイトで開催されましたコミックマーケットに合わせまして、有明から秋葉原への運航を行うなど、さまざまな方に船旅を実感していただきました。
 来年度は、舟運や水辺の魅力を伝える動画を作成いたしまして、ホームページや、お話のございましたSNSによりまして、効果的に発信してまいります。
 さらに、水辺のイベントと連携した新たな臨時便の企画などによりまして、多様な乗船機会を提供し、舟運の認知度向上を図ってまいります。

○森澤委員 イベントなどの連動もいろいろと企画されているということで、ぜひとも認知度の向上にしっかりとつなげていっていただきたいと思っております。
 来年度、都は、ナイトライフ観光の推進に関する調査や情報発信の予算を計上しております。東京の夜の観光資源の一つとして、舟運は、まだまだポテンシャルがあるのではないかと感じるところであります。
 私も先日、地元品川区から屋形船に乗りましたが、夜のお台場やライトアップされたスカイツリーなど、船の上から眺めるのは、また違った風情がありました。東京の美しい夜景を水上から楽しむことができる舟運は、国内外からの観光客からも喜ばれ、魅力を実感していただけるものと思われます。
 また先ほども水辺のイベントと連携した企画という話もありましたけれども、お台場の花火を初め、川沿いの施設のライトアップ、プロジェクションマッピング、イルミネーションなど、夜間も周辺のイベントとの連携が有効であると考えます。
 夜間の舟運も含めて、舟運の活性化と定着を目指していただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 今年度の社会実験では、民間事業者と連携し、羽田や臨海部などを結ぶ複数の航路で運航いたしまして、夜間につきましても、お台場や日本橋で運航を実施いたしました。
 その結果、スカイツリーやライトアップされたレインボーブリッジなど、船上から見える景色に高い評価をいただきました。
 来年度は、社会実験を通じて、需要を確認できた航路で、民間事業者によりまして、昼間に定期的な運航が開始され、夜間には、お話のございましたイベントと連携した臨時便などが運航される予定でございます。
 都は、舟運のさらなる周知を図るとともに、船着き場への案内サインの試験設置を拡大するなど、利便性を高めてまいります。東京二〇二〇大会、さらにその先に向けまして、舟運が身近な観光、交通手段として定着するよう取り組んでまいります。

○森澤委員 ビヨンド二〇二〇を見据えた、まずは東京二〇二〇大会までの舟運の認知度向上、定着についての取り組みに大いに期待し、次のテーマに移ります。
 次に、都心と臨海副都心とを結ぶBRT整備事業について伺います。
 臨海部と都心部を結ぶ公共交通の解決策として大いに期待されているところであります。もちろん、運行回数も大事でございますが、地域の方からは、とにかく走らせ始めてほしいという声もあると聞いています。来年度予算で運行開始に向けて具体的にどういったことが進んでいくのか、お伺いいたします。

○中島都市基盤部長 BRTに関しましては、来年度の予算では調査費を計上しております。この調査では、運行開始に備えまして、上屋や照明などを含めました停留施設等に関する設計、定時性を確保するためのBRTの通行方法や車両、停留施設等のデザインに関する検討などを行います。
 これらの結果を踏まえまして、今後、施設工事などに着手していくこととなります。

○森澤委員 運行開始に向けて、具体的な準備が進んでいくということで、新たな公共交通としての顔として期待されているところでもありますので、しっかり準備を進めていただきますよう、お願いいたします。
 BRT、この到着時間が読めるということを実現するために、バスの運行の所要時間が変化する要因の一つである停留所での停車時間を短くするための取り組みがなされるということですけれども、停車時間を短くするための簡便な運賃支払い方法とは具体的にはどういったものか、お伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 BRTにつきましては、定時制確保の観点から、スムーズな乗降を実現するための運賃収受方法を工夫していきます。
 具体的には、交通系ICカードを導入するとともに、カードを持たない利用者につきましても、停留施設において、事前に券売機等で乗車券を購入してもらうなど、車内での現金収受は実施しない方向で検討しております。

○森澤委員 現状のバスとの違いとして、電車のように事前に料金を決済することにより、スムーズな乗車が可能になるということですので、こちらにも期待していきたいと思います。
 さて、二〇一六年度内予定だった新会社が設立されていないということで、本当に運行開始されるのかといった懸念を示す声がありますけれども、今後、どのようなスケジュールで、どのような取り組みを進めていくのか、お伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 BRTにつきましては、臨海地域での交通需要に対応するため、現在、環状第二号線の整備状況を踏まえまして、早期に運行を開始できるよう、運行事業者と調整を進めております。
 これに合わせまして、必要な施設の整備や関係機関との協議等を進めてまいります。

○森澤委員 運行業者としっかりと調整を進めて、早期の運行開始実現に向けて、取り組んでいただけますよう、よろしくお願いいたします。
 さて、東京二〇二〇大会の選手村の跡に建設されるマンションの大事な交通インフラともなりますこのBRTでございますが、購入を検討する方にとっては、一番気になる大きなポイントの一つは、生活の足となる交通利便性であります。
 最後に、運行計画についてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 平成二十八年四月に策定いたしました事業計画では、平日のピーク時一時間当たり、全路線合計で二十便程度の運行を想定しております。
 臨海地域での交通需要に対応するため、現在、環状第二号線の整備状況を踏まえまして、早期に運行を開始できるよう、運行事業者と調整を進めており、また、運行開始後は、環状第二号線の整備状況等に合わせて順次運行を拡大していく予定でございます。
 運行間隔や運行時間帯など、運行計画の詳細につきましては、各路線の運行開始に合わせまして、今後、事業採算性や地元ニーズも考慮しながら、運行事業者とともに検討を進めてまいります。

○森澤委員 地元の方々の声も丁寧に聞きながら、ぜひ、随時情報提供していただき、進めていただけますようお願いし、次のテーマに移ります。
 最後でございますが、築地再開発について伺います。
 第二回、第三回検討会議では、七名の委員からプレゼンテーションが行われました。これを受けて、第四回会議において、先ほどご報告があったとおり、事例報告の後、テーマ別の議論がなされました。
 私もインターネットで会議の様子を見させていただきましたが、海外の事例を参考にした段階的な土地利用計画、すなわち、用途未定地を定めながら、徐々に価値を上げていくといった議論は興味深いものでした。
 そこで、この段階的整備とはどのようなものと受けとめているのか、メリットや、進めるに当たって注意すべきことについてお伺いいたします。

○木村まちづくり調整担当部長 検討会議においては、まちづくりの進め方についてもご意見をいただいてございます。段階的整備につきましては、築地市場跡地が都心に近く、二十三ヘクタールという大規模な敷地であることから、ある時点で一気に全体を開発するのではなく、長期的な時間軸を持って、周辺の開発の動向やインフラの整備状況を見きわめながら、計画的、段階的に整備していくという考え方であると受けとめております。
 会議でいただいているご意見の中で、段階的な整備のメリットにつきまして、将来の種地として活用できること、経済状況などの変化に対応できること、徐々に土地の価値を上げていけることなどが挙げられてございます。
 一方、進めるに当たり注意すべきことについていただいているご意見といたしましては、全体としてばらばらなものにならないようにするために、ある程度の全体の方針をあらかじめ持っておき、各段階の調整を行うことが必要であることなどが挙げられております。

○森澤委員 検討会議では、ここ十年ほどで予定されている近隣の開発、竹芝や浜松町、芝浦など、そのほとんどが事務所と商業施設であることが指摘されていましたが、築地のポテンシャルをいかに生かすのか、その進む方向性を見きわめながら、長期的な時間軸を置いて、段階的に整備をしていくということは重要な視点の一つと考えます。
 その際、どこが主導するのか、シンガポールのマリーナベイでの都市再開発庁を引き合いに、調整の組織を整えていくことの必要性にも言及がありましたが、段階的に整備するとなると、二十三ヘクタール全体が竣工する新たなまちが完成するまでは、着工から十年、二十年、さらにはもっと長期間のスパンの時間軸を考えていくことも想定されます。
 ぜひ今後の数十年先を見通したまちづくりに向けて検討を積み重ねていただきたいと思います。その際には、あくまでも段階を経ることでばらばらにならないよう、先ほどもありましたけれども、しっかりと全体の方針に沿った整備が必要だと考えます。
 さて、再開発のスケジュールについては、昨年の我が党の本会議での質問に対し、五年以内のできるだけ早い時期に再開発に着工することを目指すとの答弁があり、先日の予算特別委員会でも同様の見解が示されたところで、先ほどもございました。
 また、都市整備委員会におけるこれまでの質疑の中で、着工までの目標時期を五年以内と設定したのは、大規模民間開発や都有地を活用した開発の事例を参考にしたものとの考え方が示されています。築地市場の敷地は二十三ヘクタールと広いことから、一度に二十三ヘクタール全体を対象として着工することは想定しづらいと考えます。
 この五年以内の着工とは、ある程度敷地を区切った上で、先行するところに着工する時期という理解でよいのか、見解を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 進め方につきましては、これから検討していくこととなりますが、着工までの手続などの状況によっては、早まることも、あるいは時間を要することもあり得ますが、先ほどご答弁したようなステップを踏みながら、五年以内に先行する部分で再開発に着工することを目指していくものでございます。

○森澤委員 先行するところから早期に着工するためにも、民間の意見や関係者、そして地元の方々の意見を聞き、市場移転後の状況も見きわめながら、まちづくり方針策定に向けて、十分な庁内検討を進めていくことが重要であると考えます。
 あわせて、土壌汚染や埋蔵文化財などの不確定要素への対応に早期に取り組むことが必要だと考えます。
 そこで、来年度予算に計上されている委託業務において、土壌汚染や埋蔵文化財調査を円滑に進められるよう、調査を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 来年度は、土壌や埋蔵文化財の調査計画の検討など、調査の実施に向けた準備を進めていく予定でございます。
 今後必要となる現場での調査が円滑に進められるよう、委託業務も活用しながら、土地の使用履歴の調査や、調査スケジュールの整理、環境局や所管の教育委員会などの関係機関との協議などを進めてまいります。

○森澤委員 予算特別委員会で我が会派のひぐち委員からも、第二回市場のあり方戦略本部の資料では、事前に把握をしておけば、建物などで既に破壊されている場所で地下施設をつくる場合など、埋蔵文化財の調査は必要ないとされていることなどを踏まえ、前倒しで不確定要素を取り除いていく取り組みを求めたところです。
 先行事例や、民間のノウハウを参考に、準備を進めていただくことを求めて、質問を終えます。ありがとうございました。

○たきぐち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たきぐち委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十時五十一分散会

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