都市整備委員会速記録第十一号

平成二十九年十一月七日(火曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長たきぐち学君
副委員長白石たみお君
副委員長馬場 信男君
理事小林 健二君
理事森澤 恭子君
理事神林  茂君
滝田やすひこ君
森口つかさ君
星見てい子君
木下ふみこ君
山口  拓君
藤井  一君
秋田 一郎君

欠席委員 一名

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務邊見 隆士君
次長小泉  健君
技監上野 雄一君
理事今村 保雄君
理事佐藤 伸朗君
総務部長桜井 政人君
都市づくり政策部長久保田浩二君
住宅政策推進部長佐々木秀之君
都市基盤部長中島 高志君
市街地整備部長選手村担当部長兼務山下 幸俊君
市街地建築部長青柳 一彦君
都営住宅経営部長小野 幹雄君
基地対策部長青山 忠幸君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 健君
連絡調整担当部長土屋 太郎君
都市づくりグランドデザイン担当部長五嶋 智洋君
まちづくり推進担当部長山崎 弘人君
まちづくり調整担当部長木村 宣代君
住宅政策担当部長田中 敬三君
民間住宅施策推進担当部長栗谷川哲雄君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務伊佐 賢一君
防災都市づくり担当部長安部 文洋君
多摩ニュータウン事業担当部長宮城 俊弥君
局務担当部長齊藤  敏君
耐震化推進担当部長飯泉  洋君
経営改革担当部長八嶋 吉人君
再編利活用推進担当部長渡辺 正信君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長村居 秀彦君
横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務堀   真君

本日の会議に付した事件
陳情の取り下げについて
都市整備局関係
報告事項(説明・質疑)
・築地再開発検討会議(第一回)について
・事務事業について(質疑)

○たきぐち委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、陳情の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布のとおり、二九第五六号、大和ハウス工業株式会社による「(仮称)江東区有明1丁目新築工事」に関する陳情、二九第七五号、南蒲田二丁目第2自治会への駐車場無料貸出しに関する陳情及び二九第七六号、駐輪場スペースの土地確保に関する陳情の陳情三件につきましては、議長から取り下げを許可した旨の通知がありましたので、ご了承願います。

○たきぐち委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑及び報告事項の聴取を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員の交代がありましたので、東京都技監から紹介があります。

○邊見東京都技監 去る十月六日付及び十月十六日付で異動のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長の小泉健でございます。まちづくり調整担当部長の木村宣代でございます。民間住宅施策推進担当部長の栗谷川哲雄でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○たきぐち委員長 紹介は終わりました。

○たきぐち委員長 次に、理事者から、築地再開発検討会議(第一回)についての報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議(第一回)についてご説明させていただきます。
 お手元の資料1をごらんください。十月十二日に開催した第一回の築地再開発検討会議では、会議の趣旨を説明し、座長及び副座長の選任の後、築地エリアの歴史、現状や今後の進め方について事務局から説明し、意見交換を行いました。
 今後の進め方でございますが、本年十二月ごろまでに第二回、第三回を開催し、委員等からのプレゼンテーションなどを行う予定でございます。その後、第四回から第六回でテーマ別の議論や取りまとめの方向性について議論を行いまして、来年五月ごろに予定しております第七回の会議におきまして、築地のまちづくりの大きな視点を取りまとめる予定です。
 委員の皆様からの主な意見でございますが、まず築地エリアの歴史、現状に関しましては、半円形の形は類を見ない形態である、海外では、歴史のある建物が観光の名所として多くの人が訪れている、築地ブランドの形をしっかり記録し、可能であれば、象徴となる建造物を修復するなり、残すことを考えてもよいのではないか、築地の何を残し、何を新しくしていくのかという議論を深めていくべきと思う、本物のヘルシーな和食を学び、体験する施設をつくることにより、健康文化エリアになるのではないか、江戸、明治維新以降のさまざまな文化を背負った地域であり、こうした観点も重視した再開発を考えてもよい、日常生活の中で築地に足を運ぶような魅力を盛り込むことができたらよい、経済性をとると、高層化の建物の案が出てくるが、風通しの確保といった環境的な観点などからも複数の案を並べて議論する必要がある、鉄道や道路などの基盤整備、水と緑のネットワークなど、広域的な視点から考える必要がある、一方で、地区内には地盤高などの条件があるといったご意見がございました。
 また、今後の進め方に関しましては、海外の事例についても勉強してほしい、都民や周辺に住む人に限らず、外国人旅行者や若い人など幅広く意見を聞いていただくのがよいといった意見がございました。
 説明は以上でございます。

○たきぐち委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑につきましては、後ほど事務事業に対する質疑と一括して行いますので、ご了承願います。

○たきぐち委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○桜井総務部長 九月十四日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料2、都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 目次は二ページにわたっておりまして、ごらんのとおり資料は二十件でございます。
 一ページをお開き願います。1、都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
 過去五年間の設置状況を既設都営住宅及び公社住宅ごとに年度別に記載してございます。
 二ページをごらんください。2、都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
 過去五年間の各件数を使用承継事由発生期間別に記載してございます。
 三ページをお開き願います。3、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
 都道府県及び政令市ごとに、平成二十九年十月一日現在の実施状況を記載してございます。
 四ページをごらんください。4、都営住宅、公社住宅における入居者の年齢別世帯数の状況及び単身入居者の年齢別世帯数の状況でございます。
 入居者及び単身入居者ごとに、名義人の年齢区分が六十四歳以下及び六十五歳以上別に世帯数及び割合を記載してございます。
 五ページをお開きください。5、都営住宅における期限付き入居の募集戸数でございます。
 過去十年間の募集戸数を年度別に記載してございます。
 六ページをごらんください。6、都営住宅建替えによる型別供給実績でございます。
 平成二十六年度以降の型別供給内訳を年度別に記載してございます。
 七ページをお開きください。7、都営住宅の応募状況でございます。
 (1)、世帯向けの抽せん方式による募集、(2)、単身者向けの抽せん方式による募集、八ページには(3)、ポイント方式による募集について、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
 九ページをお開きください。8、都営住宅の管理戸数、空き住戸数、募集停止戸数でございます。
 平成二十八年度末の各戸数について記載してございます。
 一〇ページをごらんください。9、公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き住戸状況でございます。
 (1)には公社一般賃貸住宅の、(2)には都民住宅の管理戸数及び空き住戸数を年度別に記載してございます。
 一一ページをお開きください。10、緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度の区市町村別実績でございます。
 (1)、特定緊急輸送道路の沿道建築物について、耐震診断、補強設計及び耐震改修等の別に、平成二十七年度及び二十八年度における都の助成実績を区市町村ごとに記載してございます。
 一二ページには、(2)、一般緊急輸送道路の沿道建築物について、同様に記載してございます。
 一三ページをお開きください。11、緊急輸送道路沿道建築物以外の木造住宅等及びマンションの耐震診断、耐震改修助成実績でございます。
 (1)、木造住宅等について、耐震診断、補強設計及び耐震改修等の別に、平成二十七年度及び二十八年度における都の助成実績を区ごとに記載してございます。
 一四ページには、(2)、マンションについて、同様に都の助成実績につきまして、件数及び戸数を区市ごとに記載してございます。
 一五ページをお開きください。12、都内の居住支援協議会設置状況と主な活動内容一覧でございます。
 協議会名、設立年月及び主な活動内容について記載してございます。
 一六ページをごらんください。13、横田基地におけるパラシュート訓練の通告状況でございます。
 過去五年間に都へ情報提供された訓練期間、訓練内容及び降下人員数を、一六ページから一七ページにかけて記載してございます。
 一八ページをごらんください。14、都内米軍基地に関係する事件等の経過でございます。
 過去五年間の航空機の緊急着陸、部品落下等及び米軍構成員による事件、事故を記載してございます。
 一九ページをお開きください。15、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数でございます。
 着陸及び離陸の延べ回数を年度ごとに記載してございます。
 二〇ページをごらんください。16、首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会でございます。
 協議会の開催日、議事及び構成員を記載してございます。
 二一ページをお開きください。17、羽田空港機能強化に関する説明会開催日程及び来場者数でございます。
 これまでに国が三次にわたって開催した説明会の日程、会場、来場者数を二一ページから二三ページにかけて記載してございます。
 二四ページをごらんください。18、羽田空港機能強化に関する説明会における意見でございます。
 これまでに国が開催した説明会における来場者からの意見を記載してございます。
 二五ページをお開きください。19、羽田空港機能強化による東京都への経済波及効果でございます。
 羽田空港機能強化により、国際線の年間発着枠が三・九万回拡大した場合に東京都に与える経済波及効果について記載してございます。
 最後に、二六ページをごらんください。20、羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会、幹事会及びワーキンググループの開催状況でございます。
 これまでに都が開催した会議の開催日及び会議名を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○たきぐち委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、報告事項及び事務事業に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○森澤委員 私からは三つのテーマについてお伺いをいたします。
 まずは、舟運の活性化についてお伺いをいたします。
 先日、私たちも会派のメンバーで日本橋周辺の川をくぐり、月島、晴海、東京港をめぐる船に乗船をいたしました。船から見る東京はまた、その場所、場所で見える顔が違い、東京の水辺の観光資源として高いポテンシャルを感じたところであり、船旅、舟運の活用の重要性を改めて認識したところであります。
 都では昨年度から舟運の社会実験を実施しているということですが、昨年度の社会実験を踏まえ、今年度はどのように取り組んでいるのかをまずは伺います。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 東京の舟運を活性化するためには、舟運事業者の取り組みを促進し、定期航路を拡充していくことが重要でございます。このため、昨年度から運航の社会実験を実施しております。
 昨年度は、九月から十二月まで、羽田から浅草に至るルートなど三つの航路で実施いたしました。その結果、船上からの景色を評価する声がある一方で、乗船時間の長さや料金の設定などに課題があることを把握いたしました。
 昨年度のこうした結果を踏まえまして、今年度は東京港の観光スポットを循環し、短い区間で乗りおりも可能な航路を設定するなど、より多くの方に利用していただけるよう工夫を加えまして、四月から社会実験を実施しております。

○森澤委員 四月から社会実験を実施しているということで、開始から半年が過ぎたわけですけれども、より多くの都民や観光で訪れた方々に対し、その存在自体、東京の舟運や水辺の魅力を知ってもらうための情報発信はとても重要であると考えます。正直なところ、そのポテンシャルや取り組みにもかかわらず、都民や来訪者の中で船というものが交通機関、あるいは観光手段として、まだ十分に認知されているとはいいがたい部分もあるかと存じます。
 そこで、その船の旅のすばらしさを広めていくべく、舟運の認知度向上に向けて、どのように取り組んでいるのか伺います。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 より多くの方に舟運を利用していただき、東京の水辺の魅力を実感していただけるように、専用のホームページやポスターなどによりまして、認知度の向上を図ってまいりました。
 また、墨田区と連携しまして、吾妻橋船着き場周辺のイベントに合わせた臨時便を運航し、来場された方々に乗船していただくなど、さまざまな機会を捉えて舟運のPRを行ってまいりました。東京二〇二〇大会、さらにその先に向けまして、舟運が身近な観光、交通手段として定着するよう取り組んでまいります。

○森澤委員 複数年にかけて行われている社会的実験ですので、実験で終わらせることなく、もともとの目的である定期航路の拡充、実際の事業につながっていくよう要望し、私たちも舟運ルートの進展についても引き続き見守ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、都市復興訓練について伺います。
 都市整備局が主体となって、平成十年度から実施されている都市復興訓練ですが、首都直下地震もいつ起こるかわからない中で、防災はもちろんのこと、その後の復興につないでいくことも必要です。せんだって私たちも会派メンバーで実際にその訓練の様子を拝見させていただきましたが、とても実務的な内容で大事な取り組みだと感じました。
 まずは、これまでの取り組みについてお伺いをいたします。

○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 首都直下地震など、大地震で被災した場合に速やかな都市復興を実現するためには、東京都震災復興マニュアルの手順に従いまして、さまざまな被害状況に対応できることが重要でございます。
 そのため、都は、復興の最前線となる区市町村職員を対象に、毎年度、木密などの地区を選定し、復興まちづくり計画を作成する訓練を実施しております。この訓練には、平成十年度から現在までに延べ約千五百人が参加しております。

○森澤委員 平成十年から十年以上にわたって行われてきた中で、改善されてきたこと、その効果についてお伺いをいたします。

○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 区市町村職員が復興まちづくり計画を作成するに当たりまして、平成二十八年度から上位計画との整合性の確保など、広域的な視点による都と区市町村との協議を行う手順を追加いたしました。このプロセスを取り入れることによりまして、都市復興の手順に即した、より実践的な訓練内容となっております。

○森澤委員 実践的な訓練をしているということで、一方で、訓練を受けた後のその後の取り組みについて、区市町村によって差があるように感じます。それぞれの職員が区市町村に戻って、地域住民と協働で訓練が実施されるようになど、地域全体に浸透させる必要があるように思いますが、そのあたりについてはいかがでしょうか。

○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 ただいま理事ご指摘のとおり、住民と協働で訓練を実施することは、災害が起きた場合に円滑な合意形成や迅速な復興に効果がございます。このため、区市町村職員がワークショップの進め方など、住民と協働訓練を立案するための研修を平成二十八年度より開始いたしました。こうした取り組みにより、復興を先導できる区市町村職員を育成し、東京全体が速やかに復興できる体制を構築してまいります。

○森澤委員 ぜひ引き続き、いつ起こるかわからない大地震に備え、防災はもちろんですけれども、その時々の要請に合わせ改善しながら、復興訓練についても取り組みを続けていただくことを要望いたします。よろしくお願いいたします。
 続きまして、先ほど報告がありました築地再開発検討会議について伺います。
 前回の都市整備委員会では、築地再開発検討会議の設置及びメンバーについての報告があり、何点か確認をさせていただきました。また、先日、会派で築地市場と豊洲市場を視察し、改めて築地市場の立地的なポテンシャルの高さも感じたところです。
 先ほど一回目の築地再開発検討会議のご報告がありました。私もインターネット中継を通じて、当日の会議の様子を拝見いたしました。築地の何を残し、何を新しくしていくのか議論すべき、海外の事例から学ぶべきなど、さまざまなご意見が出ていました。
 この後、現地視察も予定されているようですが、この最初の会合で出された意見を次にどうつなげていくのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 検討会議につきましては、年内を目途に第二回及び第三回を開催いたしまして、委員の皆様からのプレゼンテーションや意見交換を予定してございます。その後、第三回までにいただいた意見を踏まえまして、テーマ別の議論や取りまとめの方向性についての議論などを重ね、来年五月ごろに築地まちづくりの大きな視点として整理していきたいと考えてございます。

○森澤委員 検討会議の冒頭の小池知事の発言にもありましたが、築地のロケーションを最大限に生かすべく、自由な発想で幅広い議論をいただき、大きな視点から再開発のコンセプトのベースを会議においてまとめていくということが目的だと認識をしています。
 今、今後の会議についての予定をお答えいただきましたが、この検討会議の一方で、プロポーザル方式による民間委託調査を実施する予定となっています。検討会議でも築地エリア及びその周辺地域の現況や歴史、地域特性についてはまとめられています。
 調査項目など、検討会議の内容と重複するところもあるように見受けられますが、委託調査においてはどのような調査を実施するのでしょうか。

○木村まちづくり調整担当部長 本委託は、築地再開発検討会議との連携を図りながら、必要な調査検討を行うものでございます。具体的には、現況及び課題の整理を初め、開発コンセプトに係る検討の参考となる国内外のまちづくりの事例調査や検討会議にかかわる資料作成などを行いまして、会議での議論や取りまとめなどに活用していくこととしてございます。

○森澤委員 一回目の会議で委員から出た意見を踏まえ、委託調査において、どのような項目を追加したのか教えてください。

○木村まちづくり調整担当部長 都は、第一回築地再開発検討会議の委員から出た意見を踏まえまして、外国人を含む多様な人々の意見について調査することを追加した上で、築地再開発検討に係る業務委託の仕様書などを公表したところでございます。

○森澤委員 委託調査につきましては、検討会議との連携を図りながら、必要な調査検討を行うとのことでした。また、委員の意見を踏まえ、外国人を含む多様な人々の意見について調査することを追加したということでした。
 業務委託の仕様書を見ると、調査内容を検討会議に報告し、会議での議論、取りまとめなどに活用することを目的とすると記載されています。一方で、検討会議において出された意見等を踏まえて、委託調査における調査検討を行うとあります。
 委託調査の契約期間は来年三月二十七日までとなっていますが、どのタイミングで調査内容を報告するのか、どのように連携を図っていくのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 今回の業務委託で調査した内容につきましては、築地再開発検討会議へ報告し、会議での議論や取りまとめなどに活用することにしてございます。報告時期につきましては、第四回以降の検討会議におきまして、取りまとめの方向性について議論を行うこととしており、その過程で報告することとしてございます。

○森澤委員 第四回以降のその過程で報告を行っていくということですが、委託調査は三月末までで、そして検討会議においては五月までという限られた日程の中で取りまとめ、まちづくりの方針につなげていかなければなりません。しっかりと連携を図りながら取り組んでいただきたいと思います。
 八月の臨時会で成立をした補正予算では、築地の再開発に向けた検討で二千万円を計上しています。調査の予算は幾らなのか、その内訳について伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 今回公表いたしました業務委託の費用といたしましては約一千五百万円でございます。そのほか、出席委員への報償費やインターネット中継費用などでございます。

○森澤委員 一千五百万円という調査ですから、国内外のまちづくりの事例調査ほか、先ほどご答弁いただいた調査をしっかりと実施し、検討会議で出された意見が生かされるよう、アウトプットが行われるよう要望いたします。
 調査委託選定に当たっては、選定委員会の設置などはどのように進めていくのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 委託先の選定につきましては、財務局が作成した企画提案方式の活用ガイドラインに基づきまして審査委員会を設置し、業務に関する基本認識や執行体制、業務の進め方などを審査した上で、委託先を決定していくものでございます。

○森澤委員 築地再開発に向けた検討に当たっては、市場会計の持続性も重要であり、市場移転に関する関係局長会議においても、経済合理性を確保しながら、民間主導により再開発する方向で検討を進めるとあります。
 今回委託する調査には、収益性の観点、財政的な観点は含まれるのか、お伺いいたします。

○木村まちづくり調整担当部長 今回の委託調査は、築地エリアのポテンシャルや開発コンセプト、事業の手順などの調査検討を目的としているものでございまして、収益性や財政的な観点については含まれてございません。

○森澤委員 今回の調査では含まれていないということでしたが、財政面、収益性についても検討は避けられないかと思います。市場のあり方戦略本部でも試算はされていますが、調査や検討会議を踏まえ、都民にとって有益な事業になることを念頭に進めていただくことを要望します。
 最後に、豊洲市場への移転完了の後、築地市場の解体作業、二〇二〇年大会に向けた物流拠点の整備、環状二号線の建設、土壌汚染調査、埋蔵文化財調査など、再開発に向けて一つ一つ取り組んでいく必要があります。
 改めて、今後どのようなスケジュールで再開発の検討を進めていくのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 今回の委託調査におきましては、土壌汚染調査や埋蔵文化財調査などを含む事業の実施に向けた課題の抽出や、事業手法やスケジュール、都と民間事業者との役割分担などを検討することとしてございます。
 検討会議では、来年五月ごろに築地まちづくりの大きな視点として整理していきたいと考えてございます。その後、これらを踏まえまして、開発コンセプトなどを具体化しながら、来年度に都としてまちづくりの方針を取りまとめていく予定でございます。

○森澤委員 移転の時期をめぐっては、今さまざまな調整がなされていると理解をしています。早期の移転に向けて、市場当局としっかり情報共有を図りながら検討を進めていただきたいと存じます。
 一回目の検討会議では、ざっくばらんに意見が出されました。委員からは、久々に夢のある作業であるというご意見もありました。また、前回の委員会の質疑の中でも言及しましたが、市場関係者の声も踏まえながら、歴史、周辺との親和性、食文化、築地ブランドの国内外の発信等、さまざまな観点から、より具体的に二回目以降の議論が進んでいくことを期待し、質問を終わります。ありがとうございます。

○藤井委員 私からは、羽田空港関連並びに新空港線、そしてマンション対策の三点についてお伺いいたします。全部で二十問ありますので、スムーズに答弁もお願いしたいと思います。
 初めに、羽田空港の機能強化と跡地利用について伺います。
 一つは、航空機からの落下物対策です。
 本年の九月二十三日、関西国際空港を離陸しましたオランダ行きの旅客機から、重さ四キロのパネルが落下いたしました。大阪市内を走っていました自動車の屋根を直撃いたしました。幸いけが人はいないということでございましたが、また同じようなパネルが落下する事件もございました。果たしていつ空から四キロものパネルが落ちてくるかもわからない、こんなような不安の中で我々は生活をしているわけでございます。
 どのぐらいこういった落下物があるか調べましたら、二〇一六年十一月十四日に政府答弁書というのが出ております。それによりますと、全国での航空機落下物は、過去十年間で四百三十七件も発生しているんです。平均すると年間四十三件になります。
 また、二〇一五年度に全国で航空機からの落下物が報告されたのは、二〇一五年で五十四件でありました。このうち落下物で一番多いのは何かというと、レンズが一番多いそうです、十件。次に多いのはパネルの五件、そしてそのほかにライトやタイヤトレッド、こういったものが落ちてきているわけです。
 ご承知のとおり、東京は二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港国際線の発着回数をこれからふやしていくわけですけれども、都心上空を飛行する新飛行ルート問題を抱えております。そういった意味で航空機からの落下物が大変気になるところでございます。
 そこで最初に、国は飛行経路の見直しに向けて、落下物対策についてどういう取り組みをしているのか伺います。

○伊佐航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 国は、羽田空港の飛行経路の見直しに向けた航空機からの落下物対策として、外国航空会社を含めた未然防止策の徹底と事案発生時の対応強化の面から、総合的に対策を充実していくとしております。
 具体的には、未然防止策の徹底といたしまして、外国航空会社を含めた羽田空港の乗り入れ航空会社に対して整備点検の徹底を指導するとともに、空港管理者による新たなチェック体制を構築し、機体チェックの強化を図ることとしております。
 また、事案発生時の対応強化として、情報収集や原因分析の強化、落下物の原因者である航空会社に対する処分などを検討しております。
 国は今後、関係者との調整を進め、新たな飛行経路の運用開始までに、これらの対策を充実することとしているところでございます。

○藤井委員 ただいま航空会社に対する処分というのを検討されているということでございましたが、航空機から部品が落下する事案が相次いだ、このことを踏まえまして、国は新たに落下物対策を講じるというふうに聞いておりますが、その内容と都の今後の取り組みについて伺います。

○伊佐航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 委員お話しのとおり、国は航空機からの部品の落下事案が続いたことを踏まえ、先ほど答弁した飛行経路の見直しに向けた対策に加え、昨日、十一月六日に落下物防止等に係る総合対策推進会議を開催し、本年度内を目途に落下物防止対策基準案を取りまとめることとしております。
 また、羽田空港を含む国際定期便の就航が多い空港で、部品の欠落が確認された場合の報告を、外国航空会社を含む全ての航空会社から求める運用を十一月九日より開始いたします。都としては、これまでに引き続き国に対し安全管理を徹底するよう要請してまいります。

○藤井委員 ただいまありましたように、基準案を取りまとめたり、あるいは報告を航空会社から求める運用を十一月九日から開始するということでございました。こういった落下物の不安がなくなるよう、しっかり都として国に要望していただきたいと思います。
 また、飛行経路の下とか、あるいは羽田空港の近隣の地域で騒音がありますけれども、こういった騒音対策について、今後、国はどういう取り組みを進めていくのか、またそれに対して、都として今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○伊佐航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 航空機による騒音対策でございますが、国は低騒音機の導入促進を図るため、本年四月に羽田空港の国際線の着陸料につきまして、従来の重量のみに基づく料金体系から、重量と騒音の要素を組み合わせた料金体系へと見直してございます。
 また、飛行経路の見直しに当たりましては、南風時における新たな飛行経路の着陸地点を海側にずらすことにより、着陸前の高度を引き上げ、航空機の音の影響を小さくすることとしております。
 さらに、空港に近接した地域である教育施設等につきまして、防音工事の補助制度を拡充し、対象施設の工事について、平成三十年度の予算化を図ることとしてございます。都としては、安全対策と同様、引き続き国に対し騒音影響の軽減を要請してまいります。

○藤井委員 どうもありがとうございました。
 続いて、羽田空港、今、跡地の開発が進んでおります。私の地元であります羽田空港の跡地利用、大変地元大田区並びに東京都民の皆様の期待も大きいところであります。
 ご存じのとおり、第一ゾーンについては地元の大田区が開発を進めております。そして、同じく第二ゾーンといいまして、いわゆる多摩川沿いの国際線ターミナルと多摩川に挟まれました第二ゾーン、多摩川沿いに面していまして、反対側は川崎の殿町を中心とした大変夜景がきれいなところでございまして、そういう意味では第二ゾーンの跡地の開発がこれからでございます。
 そういった意味で羽田空港跡地第二ゾーンの跡地の整備予定について、まずお伺いいたします。

○伊佐航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 羽田空港跡地につきましては、平成二十二年の羽田空港跡地まちづくり推進計画に基づいて、国や大田区と連携して、積極的にまちづくりに取り組んでいるところでございます。
 このうち国際線ターミナルに近接する第二ゾーンでは、国土交通省が昨年六月に宿泊施設等の整備、運営を行う民間事業者を選定いたしまして、宿泊施設を初め複合業務施設、飲食、物販施設、バスターミナル、そして温浴施設等の整備が計画されているところでございます。

○藤井委員 ただいまありましたように、第二ゾーンの跡地、一つは、ホテルができます。今の羽田東急はもういっぱいなんですね。予約しても、なかなかとれないということですけど、今後これらの一つは超高級ホテル、高級ホテル、それからビジネス系のホテルの三つが建つというふうに聞いております。そういった、東京オリンピックに向けて、世界から多くの方が羽田にいらっしゃって、そしてそれぞれホテルに泊まっていただく準備が進められているわけでございます。
 羽田国際線ターミナルから高級ホテルまでいわゆる直接アクセスできるように、アクセス通路が設置をされるというふうに聞いておりますが、そのまま羽田国際線ターミナルから第二ゾーンのホテルまで行くのかと思いましたら、途中で三メートルぐらいの段差があるそうで、そうした意味では世界から来た海外の方が重たい荷物を持って、ガラガラ引いて、段差をどうするのか、非常に関心があるところでございます。
 これは直接は国に関連することでございますけれども、やはりバリアフリー環境をしっかり整備をして、海外の方を迎えていただきたいというふうに要望するわけでございまして、ぜひ東京都は国に対してこういったアクセス通路のバリアフリー化について、しっかり取り組んでいただきたいと要望したいと思います。
 最後に、答弁でありましたように、第二ゾーンに温浴施設ができます。ご承知のとおり、日本は温泉に恵まれた国であります。北海道から九州まで、全国あちこちに温泉があって、多くの方たちを癒やしております。
 これから羽田空港の国際線が拡大されまして、ますます多くの海外からの旅行客が羽田に来ますけれども、まさに遠方から長時間飛行機に揺られて、そしてようやく羽田に着いて、疲れた体を癒やしていただくために、私は温泉はすごくいいことだと思います。まず最初のおもてなしとして、長時間フライトで疲れた外国の方にゆっくりと温泉に入っていただく立派な温泉施設をぜひつくっていただきたいと、こう思っているわけでございます。
 もう一つは、羽田空港というのは、日本の空港の中心空港であります。ですから、羽田から毎朝、北海道から九州まで全国の飛行場に飛び立つわけでございます。そういう意味では、日本は、先ほどいいましたように温泉大国、いろんなところにいい温泉がある。そういった温泉を羽田の温浴施設に集めれば--私は全国の温泉を羽田空港に集めていただいて、海外の方たちにぜひ経験していただいたらいいのではないかと思っております。
 例えば朝、羽田空港を出発した北海道行きの飛行機、帰りにまた羽田に戻ってくるときに、北海道の温泉の源泉を積んでくる、例えば洞爺湖温泉の温泉を積んでくれば、羽田に集まります。
 あるいは羽田から第一便、九州に飛んだ、大分空港に飛んだ飛行機に、帰りがけ大分の別府温泉のお湯を積んでくれば、羽田に集まるわけでございまして、ぜひ温浴施設は日本中の温泉を毎日のように取っかえ引っかえ入れるような、こういった施設になればいいかと、このように思っておりますので、できましたら技監から国に伝えていただきたいと思います。
 温泉施設については、日本の温泉文化を発信する施設として、区民も都民も、また全国の人も楽しめる施設として期待をしておりますけれども、温泉施設、どんな概要なのか、これについて伺います。

○伊佐航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 民間事業者が計画している温浴施設は、延べ床面積が約千三百平方メートルでございまして、この施設を含めた第二ゾーン全体の平成三十年一月の工事着手に向けて、現在設計が進められているところでございます。

○藤井委員 次に、舟運の活性化について伺います。先ほども森澤理事からお話がございましたので、ダブらないようにしたいと思います。
 舟運の活性化についてですけれども、先ほど、昨年度から運航の社会実験を実施しているという答弁がございました。今年度は羽田の天空橋と臨海部のお台場、有明を結ぶ五つの路線を設定して、短い区間で乗りおりも可能にするなどのいろんな工夫をしているということも聞いております。
 そこで、東京の空の玄関口となります羽田の周辺、あるいは京浜運河を初め、東京にはさまざまな舟運の可能性を持った水辺がありまして、それを生かすことが重要であるというふうに考えます。
 多くの来訪者が見込まれます東京二〇二〇大会を契機といたしまして、多くの方に東京の魅力の一つである水辺を実感してもらうために、ぜひ舟運の活性化、これをしっかり進めていただきたいと思います。そのためには、さらに取り組みを進めていく必要があります。
 そこで、今後、舟運をさらに活性化させ、より多くの方々に東京の水辺の魅力を実感してもらうための取り組みについてお伺いをいたします。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 社会実験の運航は、本年十二月まで行いまして、乗船者にアンケート調査を実施し、航路や運航時期ごとの需要のほか、料金設定などについて検証を行ってまいります。
 また、あわせまして、最寄りの駅から船着き場までの経路における案内サインの充実に向け取り組むとともに、地元区とも連携いたしまして、船着き場やその周辺でにぎわいの創出を図ってまいりたいと思います。
 こうした取り組みによりまして舟運の利便性や魅力の向上を図るとともに、舟運事業者の取り組みを促進いたしまして、定期航路の拡充につなげてまいります。

○藤井委員 今後も引き続きこうした取り組みを進めていただきたいと思います。先ほどもありましたように、海から見た東京は大変すばらしいと私は思っております。よく私も伊豆諸島へ行きますので、船にも乗ります。帰りがけ、東京湾を船に乗りながら東京の夜景を見ますと、本当にすばらしいなというふうに実感をしている一人でございます。
 こうした東京のポテンシャルを活用するためにも、羽田空港におり立った方々に、まず私は観光船に乗っていただいて、東京の海から景色を楽しんでもらいたいというふうに思っております。
 そのため、羽田から船を使ってホテルや観光スポット、あるいはお台場、臨海部へ移動できるようにしたらどうか。現在、定期便は週に一回だけの往復となっているわけでございまして、観光バス、水上バス、これを拡大していくべきだというふうに思っております。
 そこで、羽田と臨海部を結ぶ航路を充実させていくべきというふうに考えますが、この点いかがでしょうか。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 東京の水辺の魅力を広く知っていただくためには、空の玄関口である羽田と水辺に立地するさまざまな観光資源が航路で結ばれ、舟運を気軽に利用できるように取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、今年度の社会実験では、先ほど藤井委員からもお話がございました羽田の天空橋と臨海部を結ぶ航路を設けておりまして、本年度は三月に整備されたばかりの大田区の大森ふるさとの浜辺公園の桟橋、これも活用いたしまして、定期的な運航を行っております。
 これに加えまして、空の日に近い九月と十月には、羽田空港の近くを周遊いたしまして、離着陸する旅客機を間近で眺められる臨時便を運航するという試みをやっておりまして、より多くの方々に水辺の魅力を実感していただけるよう工夫しながら進めているところでございます。
 引き続き、乗船された方々の声をきめ細かく伺うとともに、運航事業者の意見も聞きながら、羽田からの航路も含めまして、社会実験の実証を行ってまいります。これらの取り組みによりまして、舟運を活性化し、東京の水辺の魅力を世界に発信してまいります。

○藤井委員 どうもありがとうございました。ぜひひとつ取り組みをよろしくお願いしたいと思います。ほかにもちょっと意見があったのですが、時間もありませんので、割愛いたします。
 次に、新空港線の整備について、何点か伺います。
 昨年の四月二十日、国から、東京圏における今後の都市鉄道のあり方についてという答申が出されました。いわゆる交通政策審議会答申の中で、おおむね十五年後を念頭に置いた東京圏の鉄道整備指針が示されたところでございます。この答申の中で、鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトとして、事業化に向けて検討を進めるべきとされた六つの路線があるわけであります。
 新しく議員になられた方もいらっしゃるので、ちょっと細かくお話をいたしますが、第一番目の路線は、田町駅と大井町駅及び新木場から羽田空港をつなぐ羽田空港アクセス線であります。
 第二番目は、豊洲から住吉をつなぐ東京八号線、いわゆる有楽町線の延伸であります。
 第三番目は、練馬区光が丘から大泉学園町、さらに東所沢をつなぐ東京十二号線、いわゆる大江戸線の延伸であります。
 第四、第五は、上北台から箱根ヶ崎と多摩センターから八王子、同じく多摩センターから町田へ延伸する多摩都市モノレールの延伸であります。
 そこで、羽田空港アクセス線、東京八号線、東京十二号線、多摩都市モノレールの延伸について、それぞれ今、取り組み状況はどうなっているのか伺います。

○中島都市基盤部長 ただいまお尋ねのありました路線につきましては、国の答申におきまして、先ほど委員からもお話がありましたとおり、国際競争力の強化や地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトとして位置づけられておりまして、事業化に向けた検討や合意形成などを進めるべきとされております。
 このため、各路線につきまして、沿線の区市町や鉄道事業者などと連携いたしまして、課題につきまして検討を進めているところでございます。
 例えば地下鉄八号線の延伸では、事業主体の選定などについて、羽田アクセス線では、事業スキームなどについて、検討を行っております。また、地下鉄十二号線の延伸及び多摩都市モノレールの延伸では、収入確保策や採算性などについて、検討を行っております。

○藤井委員 同じくこの六路線の一つであります新空港線、いわゆる蒲蒲線の新設があります。現在、京急蒲田駅とJR蒲田駅の間の八百メーター、これがつながっておりません。
 JR及び東急蒲田駅と京浜急行、京急蒲田駅をつなぐ新空港線は、整備されれば、東横線や東京メトロ副都心線、あるいは東武東上線や西武池袋線との相互直通運転が可能となりまして、それを通じて、東京南西部、あるいは多摩地区、さらには渋谷、新宿、池袋などから羽田空港へのアクセスを強めることができます。
 また、世界一ビジネスのしやすい都市づくりに大きく貢献するといわれております。さらには、埼玉県や神奈川県を含めた首都圏の交通機能を強化することにもなります。
 昨年の答申発表から今日までの新空港線整備に向けての東京都の取り組み状況と今後の課題について伺います。

○中島都市基盤部長 新空港線でございますが、国の答申におきまして、国際競争力の強化に資するプロジェクトの一つとして、事業化に向けて、合意形成を進めるべきと位置づけられております。答申を踏まえまして、都は昨年度から地元大田区や鉄道事業者などと連携いたしまして、採算性や費用負担のあり方などの課題について検討を行っているところでございます。引き続き関係者とともに、これらの課題の解決に努めてまいります。

○藤井委員 交通政策審議会の答申で示された新空港線の新設については、答申で示された区間のうち、事業化に向けて取り組んでいる区間はどうなるのでしょうか、矢口渡から京急蒲田駅間の一・七キロメートルになるのかどうか、この点について伺います。

○中島都市基盤部長 新空港線は、東急多摩川線の矢口渡から京急蒲田を経まして、京急空港線の大鳥居までの約四キロを結ぶ路線でございます。
 国の答申では、このうち矢口渡から京急蒲田までの区間につきましては、事業化に向けて合意形成を進めるべきとされております。残りの京急蒲田から大鳥居までの区間につきましては、軌間が異なる路線間の接続方法などの課題があり、さらなる検討が行われることを期待とされております。
 現在、都は矢口渡から京急蒲田までの約一・七キロメートルの区間につきまして、関係者とともに検討を行っているところでございます。

○藤井委員 これに関連しまして、かつて東京都は都市高速鉄道東京急行電鉄東横線の渋谷駅から代官山駅の間の地下化の事業を行いました。この計画は、東急東横線の渋谷駅から代官山駅までの約一・四キロメートル区間を地下化いたしまして、都市高速鉄道十三号線と渋谷駅で相互直通運転を行ったわけでございますが、この際、東京都は地下化となった区間のうち、どこからどこまでを都市計画区間と認めたのか伺います。

○中島都市基盤部長 東急東横線を地下化する事業でございますが、東京メトロ副都心線と相互直通運転を行うため、渋谷駅を高架方式による駅から地下方式に変更いたしますとともに、地下駅への取りつけ区間となります代官山駅までの区間を改良したものでございます。事業の実施に当たりましては、渋谷駅から代官山駅までの区間全体を都市高速鉄道として、都市計画決定しております。

○藤井委員 どうもありがとうございました。
 そこで、次に課題の一つであります新空港線の整備計画については、都市鉄道等利便増進法の活用を想定しますと、総事業費が千二百六十億円というふうになっております。この総事業費千二百六十億円のスキームはどうなっているのか伺います。

○中島都市基盤部長 昨年度の検討結果では、新空港線の概算事業費でございますが、千二百六十億円となっておりまして、大田区は事業スキームとして、今お話のありました都市鉄道利便増進制度の活用を想定しております。
 この制度は、整備主体と運行主体を分離して事業を実施するものでございまして、第三セクターなどの公的主体が整備主体となりまして、国及び地方公共団体から補助対象事業費の三分の一ずつの補助を受けまして、施設などの整備を行うこととなっております。また、運行主体は、この整備主体に施設使用料を払いまして、鉄道の営業を行うことになります。

○藤井委員 ただいまのご答弁で千二百六十億円の内訳として、都と大田区の地方公共団体で三分の一の四百二十億円、国が三分の一の四百二十億円、そして整備主体が三分の一の四百二十億円ということであります。
 それでは、地方公共団体の都と区の負担割合、これはどうなるのでしょうか。

○中島都市基盤部長 都市鉄道利便増進制度を活用した場合、地方公共団体は、補助対象事業費の三分の一を整備主体に補助することとなります。この制度では、地方公共団体間の負担割合に関する規定はなく、今後協議するということになります。

○藤井委員 この新空港線、整備主体は地元の大田区と東京急行が中心になると思いますが、第三セクターの費用負担分は、大田区が五一%となり、その他の出資者である東急その他が四九%となるというふうに聞いております。
 この事業を進めるためには、事業の整備主体の設立を早く決定すべきというふうに考えますけれども、今後の計画についてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 地元大田区でございますが、新空港線の整備主体の設立のための出資金を予算計上しております。新空港線につきましては、国の答申を踏まえ、昨年度から大田区や鉄道事業者などと連携して、採算性や費用負担のあり方などの課題について検討を行っているところでございます。こうした課題の整理など、事業実施の準備が整った後に、大田区が主体となり、整備主体を設立していくということになろうかと考えております。

○藤井委員 整備主体、早く決定ができるよう、都としてご尽力をぜひお願いしたいと思います。
 この問題の最後といたしまして、ことしの九月十三日に松原大田区長を初め葛飾区、渋谷区、品川区、豊島区、新宿区、世田谷区、北区、足立区、さらに埼玉県和光市の十の区市長が小池知事に対しまして、新空港線の早期整備に着手するよう要望書を提出いたしました。
 その際、小池知事からのコメントといいますか、このようなお話がありました。東京のさまざまな課題をいかにして効率的、かつスピーディーになし遂げられるか、しっかりと優先順位などもつけながら、今の計画を練り込んでいますと。また、新空港線など六路線が国の答申にも位置づけられております、皆様と連携して、課題をさらに深掘りしていきたい、こういった知事からのお話がございました。
 まさに東京のさまざまな課題がありますけれども、これを優先順位をつけながら、計画をしっかり進めていくと知事からも話があったわけでございます。
 この六路線については、皆さんもご承知のとおり、進行状況に差があります。例えば多摩都市モノレールとか、あるいは十二号線とか、羽田空港アクセス線なんかは、これからです。今、スタートしたところです。新空港線は、地元の大田区を初め三十年前から、新空港線について検討を行い、そしてまた東京都とさまざま打ち合わせをしながら進んできた。まさに強弱がある、いわゆる取り組みの進行状況に差があるわけです。
 そういった意味で、ぜひ東京都として、早く整備をすべきものについては、整備を進めていただきたいと、こう思いますが、新空港線について、一番経験と、またご理解がある佐藤理事のご答弁をいただきたいと思いますが、この六路線を今後どのように進めていくのかについてお伺いいたします。

○佐藤理事 ただいまのご質問でございますが、人や物の交流を活発化して、東京の持続的な成長を実現するためには、東京の強みである鉄道ネットワークのさらなる充実というのは非常に重要でございます。こうしたことから、私どもは六路線について検討を進めてまいりました。
 新空港線につきましては、大田区が基金の積み立て、あるいは先ほどからお話があったとおり、整備主体の設立のための予算を計上するなど、地元の期待が大きいということは十分承知してございます。
 この新空港線を初めとする六路線について、それぞれ鉄道事業者、あるいは地元区市などと連携して、採算性や事業主体の確立、費用負担のあり方など、合意形成の課題、いろんな課題それぞれございますけれども、検討を進めてございます。引き続き関係者とともに課題の解決に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

○藤井委員 佐藤理事、元気いっぱいやってください。
 続いて、マンション対策について伺います。
 都内にある分譲マンションの戸数は約百七十万戸を超えているといわれております。これは都内の総世帯、全部の世帯数の約四分の一に相当するといわれております。そのうち二一%に当たります約三十六万戸が旧耐震基準のマンションだそうでございます。
 東京都が平成二十三年度に実施をいたしましたマンション実態調査によりますと、回答のあった旧耐震基準マンションのうち、耐震診断を実施したマンションは約一七・一%であります。また、耐震改修まで実施したマンションは約五・九%でありました。
 こういったマンションの耐震診断、耐震改修が進まない現状に対して、都は耐震改修促進計画を定めまして、マンションの耐震化を促進するためにマンション啓発隊というものをつくりました。マンション啓発隊が平成二十四年から平成二十七年度にかけまして、管理組合の個別訪問を実施しております。
 そこでまず、これまでのマンション啓発隊での成果と、それを現在の取り組みにどのように生かしているのか伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 管理組合による耐震化への取り組みを促すため、都は平成二十四年度から四年間、都内に約一万二千棟ある旧耐震基準のマンションを対象に、都及び地元区市の職員、建築士などの専門家から成るマンション啓発隊による個別訪問を行ってまいりました。
 加えまして、昨年度からは耐震化に関心のあった管理組合を対象に啓発隊が再訪問し、個々のマンションの状況に応じたきめ細かな助言などを行っております。その結果、耐震診断の実施を検討したい、また理事会を開催するので、改めて説明に来てほしいなど、管理組合の具体的な取り組みに結びついた事例も出てきております。
 一方で、マンション啓発隊の活動等を通じまして、耐震化に関心があっても、費用負担や多数の区分所有者により合意形成が難しいなど、課題が明らかとなりました。
 このため、今年度から管理組合が状況に応じた助言を受けられるよう、耐震アドバイザー派遣について、建築士に加えて、マンション管理士などを対象にするとともに、耐震診断や補強設計の助成単価の引き上げなど、助成制度を拡充してございます。こうした啓発隊の活動の成果を踏まえ、マンションの耐震化の取り組みに生かしております。

○藤井委員 次に、耐震化を進めるためには、管理組合が耐震診断や改修に主体的に取り組めるように支援していくことが重要だと考えます。老朽化などを考えた場合、建物によっては、耐震改修ではなくて、建てかえも検討したいと考える管理組合もあるというふうに聞いております。
 しかし、建てかえと改修では費用が違ってまいりますし、期間も変わってまいります。また、管理組合の負担、それぞれの場合の改善効果が異なってまいりまして、専門知識がなければ、どちらが自分のマンションに適しているかという判断が難しいというのが現状であります。
 このため、管理組合が建てかえと耐震改修、どちらを選択すべきか検討できるように、東京都は必要な支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションの耐震化に当たっては、管理組合が耐震改修、建てかえなどの再生手法を比較検討し、それぞれの状況に応じた最適な手法を選択できる環境を整備することが重要でございます。
 都は平成十四年度にマンション建替え・改修アドバイザー制度を設け、管理組合に知識と経験のある専門家を派遣するとともに、毎年十月、区市町村や関係団体の協力を得ながら、マンション管理・再生セミナーを開催し、専門家による講演や無料相談を実施するなど、建てかえや改修を検討している管理組合を支援しております。
 また、先ほど答弁いたしました耐震アドバイザー派遣につきましても、今年度から耐震改修だけでなく、建てかえに関する助言も受けられるようにしております。
 さらに、良質なマンションストックの形成促進計画に基づき、平成十八年に作成したマンション建替えガイドブックを年度内を目途に改定する予定であり、建てかえに加え、耐震改修についても記載するなど、内容を充実させてまいります。これらにより、管理組合の取り組みを支援し、良質なマンションストックの形成を図ってまいります。

○藤井委員 ただいまご答弁ありましたように、マンション建替えガイドブックを年度内に改定するということで、前向きに取り組んでいただいて、これからもぜひ進めていただきたいと思います。
 管理組合が建てかえを検討する場合、旧耐震基準マンションなどでは、容積率などで既存不適格となっているなどによって、マンション単体での建てかえが難しい場合もあります。このため、都は二年間かけまして、品川区、杉並区、多摩市の二区一市でモデル事業を実施しております。その結果を踏まえまして、マンション再生まちづくり制度というのを創設いたしました。
 そこで、新たな制度の概要について、またこの制度を活用して、今後どのようにマンション建てかえを促進していくのかについてお伺いをいたします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 容積率や絶対高さ制限により既存不適格となっているなど、単独での建てかえが困難なマンションについては、周辺との共同化などにより、まちづくりと連携して建てかえを促進することが有効でございます。このため、防災上の観点から旧耐震基準のマンションを対象に、地域の安全性や魅力の向上に寄与する建てかえを支援するマンション再生まちづくり制度を今年度創設いたしました。
 具体的には、都が対象地区を指定するに当たり、区市がまちづくり計画を検討する場合や管理組合が建てかえを検討する場合に、その費用を助成するとともに、容積率の緩和により共同化などを促進できるよう、都市開発諸制度の見直しを行いました。
 今後とも区市と連携しながら、本制度の活用や管理組合への支援を進めることにより、マンションの建てかえを積極的に促進してまいります。

○藤井委員 ただいま答弁がありましたように、耐震改修や建てかえを進めるための支援、重要ですけれども、あわせまして、地震が起きた場合の対応もさらに重要であります。今、国では災害救助法というのがありますが、これは昭和二十二年にできた法律で、当時はマンションがありませんでした。そのため、マンションを想定した規定がほとんどないというのが実情であります。
 例えば東日本大震災が起きたときに、災害救助法に基づく住宅の応急修理制度というのがありますけれども、これについて、発災当初はマンションの共用部分には適用できませんでした。しかし、発災の三カ月後に厚生労働省からの通知が出されまして、また昨年の熊本地震でも適用までかなりの時間を要したと聞いております。
 住宅の応急修理制度は、現に救助を要する者に対しまして行うものです。破損した箇所を修理して、日常生活を営むことができるようにするための応急的な救済措置であります。その後の生活再建に資する援助であるということで考えています。
 しかし、この制度は、修理対象となる共用部分の利用を必須とする居住世帯に限定して、それらの世帯が単独、または共同で修理補助を申請することになっております。
 ところが、共用部分の修理は、管理組合が行うものであり、実態に合っていません。このため、共用部分の応急修理の申請について、管理組合ができるようにすべきというふうに考えます。
 そこで、被災したマンションの管理組合が日常生活に欠くことのできない共用部分の応急修理を迅速かつ円滑に実施できるように、マンション向けに現行の応急修理制度を見直すべきと考えますが、これについての所見を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 お話のとおり、現在の国の制度では、共用部分の応急修理を円滑かつ迅速に実施することは困難であり、分譲マンション向けに制度を整備する必要がございます。
 そのため、昨年秋より国に対して、分譲マンションの共用部分が常に応急修理の対象となることを明確にするとともに、共用部分の応急修理について、管理組合が申請できるようにすることを定めた制度を創設するよう提案要求しております。引き続き関係局と連携して、国に強く働きかけてまいります。

○藤井委員 今までマンションの耐震化を中心に質問してまいりました。社会経済状況が大きく変化している中で、マンションをどのように捉え、施策を講じていくのかが重要であります。
 最後に、東京のまちづくりを総合的に進めている技監に質問いたしたいと思います。
 富士通総研経済研究所というところが二〇一六年に発表しましたレポートによりますと、マンションの老朽化と同時に入居者の高齢化が急速に進んでいると。そのため、マンションの空室化や賃貸化が進んで、マンションの管理組合の機能が低下して、維持管理や建てかえができずに、管理不全のマンションがふえているということでございます。
 さらに、国土交通省によりますと、建築四十年以上のマンションは、二〇一五年には全国で五十一万戸だったものが、十年後の二〇二五年には百五十一万戸ということで、三倍になります。さらには、二十年後の二〇三五年には二百九十六万戸というふうに、築四十年以上のマンションが六倍にふえると予想されております。
 都内にも建築四十年、五十年のマンションがどんどんふえております。今後、建物と入居者の二つの老いにどう対応していくのかが大きな課題となります。将来、管理組合の機能低下などによって管理不全に陥れば、周辺環境にも悪影響が及ぶし、大きな社会問題へと発展するおそれがあります。いわゆるマンションのスラム化です。人が住んでいないマンションがどんどんふえてくる。そのマンションをどうするかということは現実に起きてきます。
 最初に述べましたように、都内には総世帯の約四分の一に当たる百七十万戸以上の分譲マンションがあって、都はこうした事態を引き起こさないように、マンションの適正な管理の促進、耐震化や建てかえなどの再生を図る施策を進めていくことが重要だと考えますが、安全で良質な分譲マンションの形成を進めるに当たっての東京都技監の見解を伺います。

○邊見東京都技監 東京には、全国のマンションの約三割が集積する。また、委員お話しのように、都内世帯の約四分の一が居住する。こういったことでマンションは、東京という大都市における特徴的な居住形態でございます。都市や地域社会を構成する重要な要素となってございます。
 一方で、お話のとおり、建物の老朽化と居住者の高齢化という二つの老いが進行しておりまして、適正な維持管理の促進や円滑な再生を図って、将来にわたって、都民の豊かな住生活を支える安全で良質なマンションストックを形成していくことがますます重要となってございます。
 このため、都は、適正な管理の促進に向けて、都内のマンションの情報を登録したデータベースなど、管理の状況を把握するための仕組みの充実を図るほか、先ほど担当部長からご答弁申し上げましたように、まちづくりと連携したマンション再生まちづくり制度をこの四月に創設するなど、新たな施策を実施してございます。
 今後ともこうした施策を積極的に展開して、安全で良質なマンションストックの形成に向け、局を挙げて取り組んでまいります。

○神林委員 先日の委員会で私は、築地再開発検討会議が本格的なまちづくりを議論する有識者の場としての期待と都市整備局の皆さんへの励まし等を私なりに表現をしてきました。
 まちづくりの議論をするのに市場機能をどうするのか、市場会計のための収益確保をどうするのか、そんな議論をまぜ込んでしまえば、大きな視点からの議論などには到底なり得ません。純粋に築地で生まれた文化や伝統を生かしつつ、地元の発展に、そして未来の発展に貢献するまちづくりを追及することこそが今求められているのだと思います。
 そうした中で、第一回の検討会議が十月十二日に開催されました。その経過をたどれば、六月二十日の基本方針を受けて、七月二日の都議選後の九月に補正予算が成立し、この検討会議は都政の最重要課題との位置づけで発足したはずであります。いわば知事の肝いりで設置された築地再開発検討会議なのであります。
 しかしながら、知事は冒頭の挨拶だけ出席し、衆議院選の遊説のため、わずか約七分で退席したそうであります。六月二十日の日に、築地は守ると知事はみずから述べたわけですが、国政選挙を理由に築地の未来を議論する極めて重要な会議を最後まで見届けることなく去っていく姿に、残念ながら、もはや知事の関心は別のところにあることは都民の目にも明らかなのではないか、それは各種の世論調査の数字にもあらわれていると思うのであります。
 改めて確認しますが、十月十二日に開催された築地再開発検討会議の目的について伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議は、築地の魅力を最大限に生かした再開発に向けて、各分野でご活躍の方々から自由な発想で幅広いご意見をいただき、築地のまちづくりの大きな視点として整理することを目的としてございます。

○神林委員 今ご答弁いただいた中で、自由な発想で幅広い意見を聴取と、この辺が、私もひっかかる部分ですので、これから随時質問させていただきたいと思っております。
 大きな視点で築地のまちづくりを議論していくという理念は正しいと思います。これが都市づくりに携わる皆さんの本当の思いだと思います。検討会議に参加する有識者の方々が同じ思いで、地に足のついた真剣な議論を尽くし、都民にとって、東京の将来にとって、よりよい結果を導くのであれば、私は力の限り応援したいと思うのであります。そして、それはメンバーの方々の見識に大きく左右されると思います。
 そこで、築地再開発検討会議のメンバーの決定に至る経緯について、誰の推薦で、どのような経過で最終的にメンバーが決定したのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 委員につきましては、事務局でございます都市整備局と政策企画局が知事とも相談しながら候補者を選定しております。候補者は、事務局から提案しておりますし、知事からも提案がございました。

○神林委員 今、全体的なお話があったわけでございますが、九月二十二日に検討会議の設置とメンバーが公表されましたが、十月四日の報道で十月十日告示の衆議院選挙に希望の党の公認を受けて、小池知事が出馬をうわさされていた東京一区から松澤香氏が立候補すると明らかにされ、あわせてこの検討会議のメンバーであることが報じられました。
 そして、松澤氏は第一回目の会議開催を待たずして辞任してしまったわけでございます。一体何なのでしょうか。あいた口が塞がらないというふうに強く思います。
 松澤氏のメンバー選定に至るまでの経緯を明快に、いつ誰がどのような理由をもって決定したのか、答弁を求めます。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議におきましては、築地の持つ地域特性やポテンシャルなど、幅広い観点から検討をスタートさせたところでございます。会議のメンバーにつきましては、経営、文化、まちづくりなど、さまざまな分野でご活躍の方々に委員の就任のお願いをしたところでございます。そうした人選の中で、法律の分野として、弁護士である松澤香氏に委員就任のお願いをしたものでございます。

○神林委員 私の質問に的確に答えていただいていないなという気が残念ながら感じております。
 折しもことしの第二回都議会定例会において、東京都公文書の管理に関する条例が可決成立し、ことし七月から施行されています。百条委員会などで取り上げられましたが、いわゆる一連の市場問題をめぐる意思決定の経緯が不明瞭でありました。
 この反省に立ち、さまざまな政策決定、施策の実施の経緯を今後記録に残そうというのが条例制定の趣旨だったはずであります。そうであるならば、検討会議のメンバー決定経緯も詳細にわかっているのではないでしょうか。
 再度明快に、誰が推薦してきたのか、また多くの方々の中からなぜ松澤氏が選ばれたのかという推薦理由を聞かせていただきたいと思います。所見を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 検討会議のメンバーにつきましては、経営、文化、まちづくりなど、さまざまな分野でご活躍の方々に委員の就任のお願いをしたところでございます。委員の選定につきましては、事務局である都市整備局と政策企画局が知事とも相談しながら選定をしたところでございます。そうした人選の中で、法律の分野として、弁護士である松澤香氏に委員就任のお願いをしたところでございます。
   〔秋田委員「はっきり答えないと、かえってあらぬ憶測を呼ぶんじゃないの」と呼ぶ〕

○神林委員 今、秋田委員の方からも少し出ましたけど、このまま曖昧にしておくと、再開発がうまくいかなかった際に、役人である皆さんの方が責任を問われかねないわけですよ。そんたく政治はやめましょうと訴えていたのは小池知事自身でございます。局の皆さんも知事をおもんぱかるのはいいかげんにやめましょう。
 知事みずから松澤氏を選んだのではないですか、答弁をもう一度求めます。

○木村まちづくり調整担当部長 繰り返しになりますが、築地再開発検討会議のメンバーにつきましては、経営、文化、まちづくりなど、さまざまな分野でご活躍の方に委員の就任をお願いしたところでありまして、選定に当たりましては、事務局である都市整備局と政策企画局が知事とも相談しながら候補者を選定したところでございます。

○神林委員 今ご答弁で知事とも相談しながらというお話がありましたけど、その辺がもちろんみそなんだと思います。ただ、残念ながら、ここに当事者がいませんので、これ以上お話ししても同じ答弁しか返ってこないのかなという気もしておりますので、次に進ませていただきたいと思います。
 松澤氏は、ことし一月二十日に都が発表した東京未来ビジョン懇談会に委員として着任し、そのつながりで小池知事と親交を深めたのではないかと耳にしました。当時、衆議院議員であった若狭勝氏の輝照塾に参加したとのうわさも耳にしており、早くから知事と親交を重ねてきたのではないかと思います。
 希望の党の衆議院比例区の政見放送に小池知事と松澤氏の二人が登場し、親密さをアピールしながら、希望の党の政策を紹介しておりました。ためらいもなく、一党一派に属して、衆議院議員選に立候補するような方が果たして委員としてふさわしいのでしょうか。
 かつてこんなことが都の有識者会議の類いの中であったのでしょうか、都の所感を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 会議のメンバーにつきましては、経営、文化、まちづくりなど、さまざまな分野でご活躍の方々に委員の就任をお願いしたところでございます。その後、選任した委員から一身上の都合により辞任したい旨の申し出がございました。これはご本人の判断で辞退されたものと受けとめてございます。
 ほかに都が設置した会議におきまして、委員が途中辞任し、選挙に立候補した事例はございます。

○神林委員 余り進展したような答弁が出てこないというのも本当に残念で残念でならないのですが、松澤氏の指名、辞任劇にご都合主義、都政の私物化の一端をかいま見た気がしまして、残念で残念でなりません。
 ことしの五月二十七日に、建築家の森山高至氏が、元東京都顧問の小島敏郎氏が座長を務めていた市場問題プロジェクトチームの委員を辞任したことがありました。委員を辞任し、あくまで無所属で中央区選挙区から都議選に立候補することを表明したのであります。
 さきの松澤氏が検討会議の委員として実際の議論に加わっていたならば、それでも検討会議の目的は十分達成できたのか、所見を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 会議のメンバーにつきましては、経営、文化、まちづくりなど、さまざまな分野でご活躍の方々に委員の就任のお願いをしたところでございます。そうした人選の中で、法律の分野として、弁護士である松澤香氏に委員就任のお願いをしたところでございます。その後、委員から一身上の都合により辞任したい旨の申し出があったためでございます。
 お尋ねの仮定の話については、ご答弁しかねるところでございます。

○神林委員 先ほどなぜ一番最初に冒頭、目的を聞いたかといいますと、さっきもちょっとお話ししましたけれども、有識者の専門家などから自由な発想で幅広い意見を聴取し、まちづくりの大きな視点として整理すると、これが目的だというふうにお話がありましたよね。私はこれを聞いていますと、各分野の有識者が幅広く自由な発想で検討がなされるのではなくて、知事サイドの思惑や方針が強引に反映されることになりかねないと懸念しているんです。
 だからこそ、このような疑念を抱かれる人選は断じてあってはならないと考えますが、いかがでしょうか。あっていいのか、悪いのか、はっきり答えていただきたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 検討会議は、築地の魅力を最大限に生かした再開発に向けて、各分野でご活躍の方々から自由な発想で幅広いご意見をいただき、築地まちづくりの大きな視点として整理することを目的としてございます。
 会議のメンバーにつきましては、経営、文化、まちづくりなど、さまざまな分野でご活躍の方々に委員就任のお願いをしたところでございます。
 検討会議では、築地の持つポテンシャルを生かしながら、まちの魅力と付加価値を高めるため、それぞれの専門性や知見に基づいて発言していただけると考えてございます。

○神林委員 今、質問の趣旨は、こうした人選があっていいのか、悪いのかについて聞いたんですね。残念ながら、それについては答えていただけなかったことは本当に残念でございます。
 ならば、もう少し別の観点からご質問させていただきます。
 私は都市整備局の皆さんを今まで全面的に信頼してきたわけでございますが、一たびこのような報道がなされると、その他のメンバー、他の会議での選考に、このような作為が働いていないのか心配になってしまいます。そのようなことは決してないでしょうね。この際、私は信じたいと思っているんですよ。あえて確認させていただきます。所見を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地の再開発におきましては、築地の地域特性やポテンシャルなどを十分に生かしながら、東京の魅力を高め、持続的な成長につなげていくことが重要でございます。
 築地再開発検討会議は、築地の再開発に向けた第一歩として、そうした観点から自由な発想で幅広いご意見をいただき、築地のまちづくりの大きな視点として整理することを目的として設置したものでございます。
 会議のメンバーにつきましては、経営、文化、まちづくりなど、さまざまな分野でご活躍の方々に委員の就任のお願いをしたところでございます。

○神林委員 都市整備の皆さんに質問するのは、この辺が限界なのかなという気がしまして、本当の意味での当事者がここにいないわけですから、本当に残念で残念でなりませんでね、私、こうやっていわせていただければ、こういったことが本当にこれから全くないようにぜひ心がけていただきたいということを強くお話しさせていただきます。
 次に、こうした事実の発覚後、十月六日、松澤氏から小池達子氏に検討会議のメンバーが変更されました。小池達子氏は、どのような経緯でどのような理由でメンバーに選ばれたのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 松澤香氏から辞退したい旨の申し出がございましたことから、同じく法律の分野から都政改革本部の特別参与でもある小池達子氏にお願いいたしまして、お引き受けいただいたところでございます。

○神林委員 小池達子氏は、東京都顧問であります。東京都顧問として、既に宇田左近氏が委員として着任しているわけですが、知事に助言する立場の東京都顧問が二人も委員に着任しているということに対し、大きな視点からまちづくりを議論するこの会議の趣旨から違和感を感じざるを得ません。
 小池達子氏は検討会議の中でどのような視点からまちづくりの所見を述べられたのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 小池委員からは、日常生活の中で築地に足を運ぶような魅力を盛り込むことができたらよい、俯瞰の目線での考えで何か魅力を打ち出すことができればよい、長期的な視野でこの築地エリアのためになるような知恵を出していきたいなどのご意見を第一回検討会議の中でいただきました。

○神林委員 実は私も都市整備局のホームページに掲載されている第一回検討会議の動画を拝見いたしました。議事録が局のホームページに掲載されていましたので、小池達子氏の発言を紹介したいと思います。
 これは私の見たところですから、全く一〇〇%正確ということではないけれども、趣旨はご理解いただけると思いますが、小池さんの発言で、私自身の築地、もしくは築地エリアとどのような関係があるか、ちょっとけさから考えてみたのですが、特別ございません、残念ながら、将来のまちづくり、都市計画の知識があるわけではございませんが、一般的な一人の都民としての関係であることがわかりました、そこで、私はこの会議におきましては、一般的な一人の都民として、一般的な一人の市民としての視点からの考えをお話しできればなと決心するに至りましたと、このような発言をされているわけでございます。
 もちろん謙遜もあるのかもしれませんが、失礼ながら、今まで築き上げました経験とか、先ほど弁護士の方は法律の分野としてというようなお話もありましたけれども、培われた経験や見識を十分発揮されて、大きな視点からまちづくりを語っていただくことを期待しておりますので、よろしくお伝えいただきたいと思います。
 次に、検討会議の内容について、第一回の検討会議は、会議の設置の趣旨、築地の歴史的経緯などを詳細に紹介されたようでございます。委員の方々からは、大変わかりやすかった、興味深いとの声もあったと聞いております。
 そこで、検討会議で示された会議の趣旨説明、築地エリアの歴史、現状などについて、具体的にどのような説明がなされたのか、改めて伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議の趣旨といたしましては、築地の魅力を最大限に生かした再開発に向けて、各分野でご活躍の方々から自由な発想で幅広くご意見をいただき、築地のまちづくりの大きな視点として整理するものであることを説明いたしました。
 また、築地エリアの歴史、現状などにつきましては、築地エリアの地域の資源や銀座などへの近接性、環状二号線など交通アクセス、水辺の利活用、オリンピック・パラリンピックを初めとした周辺のまちづくりの動向などについて説明いたしました。

○神林委員 今ご答弁にあったように築地エリアをめぐる話を、歴史をひもときながら、概括的にお話をなさったということは理解できたところでございます。
 築地のことで、とりわけ私の関心があるのは、前回もお話しさせていただきましたが、築地の土壌汚染と埋蔵文化財のことであります。検討会議の配布資料を確認しましたが、戦後直後に築地市場用地に米軍のクリーニング工場があったことや、戦中には海軍の技術研究所があった事実の記載は見当たりませんでした。唯一築地エリアの歴史の年表に海軍関係用地との記載があったのみでございます。
 こうした中で築地エリアの土壌汚染、埋蔵文化財の歴史や現状について、どのような説明を行い、この件について委員の中から何らかの質問、意見、資料要求などがあったのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 第一回の検討会議におきましては、かつて松平定信邸の下屋敷として浴恩園が存在していたことなどの歴史や、周辺にある緑などの現状について説明し、委員からさまざまなご意見をいただきました。
 第一回の会議では、委員から土壌汚染、埋蔵文化財に関する質問やご意見、資料の要求などはございませんでした。

○神林委員 土壌汚染対策や埋蔵文化財調査は、具体的なまちづくりを進める上で避けては通れない問題でございます。まちづくりの検討に当たっては、大切な判断要素になると思います。検討会議でぜひ議論をしていただきたいと思います。
 数人の委員からは、現在の築地市場を形成する象徴的なアーチ状の建造物を残すべきとの意見も出たとの報道もありました。その趣旨を確認したいのですが、築地市場の建築物は全て解体し、一旦更地にすると聞いています。その前提で、そこにオリンピック・パラリンピック向けの輸送拠点をつくるという話であったと思います。
 検討会議でアーチ状の建築物を残すという発言の趣旨は、現在の建物をそのまま残すということなのか、どう理解すればよいのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 検討会議では、半円形の形は、非常に類を見ない形態である、海外では、歴史のある建物が観光の名所として多くの人が訪れている、そういうイメージがつくれるならば、日本人のアイデンティティーや誇りをもう一段高めるような施設になるのではないかというご意見や、築地ブランドの形をしっかり記録し、もし可能であれば、修復するなり、何か残すことを考えてみてもよいのではというご意見がございました。
 また、半円の形を何らかの形で守っていただく必要があるのではないかというご意見もございました。

○神林委員 そもそも論になりますけれど、六月二十日の基本方針では、築地市場の建物は解体し、築地市場跡地を環状二号線、そしてオリンピック・パラリンピックの輸送拠点として利用していくことになっていますが、検討会議がこの方針を変えるまでの議論が可能であるのか、ないのか、お答えください。

○木村まちづくり調整担当部長 基本方針を都としての具体的な取り組みにつなげていくため、関係局長会議におきまして、第一に、築地市場の豊洲市場への早期移転の円滑な実施、第二に、二〇二〇年東京大会に向けた環状二号線や輸送拠点整備、第三に、築地の再開発に向けた検討について、取り組みの方向性などを整理いたしまして、その具体化に向け、都庁一丸となって取り組んでいるところでございます。
 この関係局長会議での整理に沿って、築地再開発につきましては、その第一歩として、築地再開発検討会議を設置し、議論を開始したところでございます。

○神林委員 六月二十日の基本方針が維持されるとすると、築地市場のアーチ状の建物を完全に保存するということになれば、整備予定の環状二号線とぶつかることになります。このことは、ことし六月十三日に元東京都顧問の小島敏郎氏が座長として取りまとめた市場問題プロジェクトチーム第一次報告書でも触れていますが、そこでも都市計画の変更が必要になるとされております。
 都市計画に造詣の深い検討会議の委員の皆様方は、こうした都市計画の変更の必要性を理解した上で発言なさっているのでしょうか。
 仮にというと、またお答えしていただけないのかもしれませんが、そこで、仮に築地のアーチ状の建物を完全に残すということになれば、環状二号線の都市計画変更は必要となるのか、変更に要する期間はどの程度となるのか、所見を伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 現在のアーチ状の建造物の一部と環状第二号線の都市計画線は、重なってございます。恐縮ですが、お尋ねの仮定の話については、ご答弁しかねるところでございます。

○神林委員 なぜ私が--仮にといったら、仮定の話として答弁してもらえないかと思ったんですけれども、ここは大事なことなんですよ。これによって、本当に計画全体がずれてきちゃうんですよ。だから、この辺はちょっと冷たいですね。ですから、今いったように、あえて仮にということで質問させていただいて、ぜひ大事なことだということをご認識いただきたいと思います。
 これまでに私は、埋蔵文化財調査や土壌汚染対策を勘案すると、局が目的に掲げている築地再開発五年以内の着工は難しいですよとお話ししてきましたが、そこでアーチ状の建物を完全に残すとなると、都市計画の変更が必要となり、時間がかかる要素がまた一つふえそうでございます。
 加えて、保存となれば、耐震補強、アスベスト対策、雨漏り対策を含めて、抜本的な大規模改修が必要でございます。よって、お金もかなりかかります。お金は、都民の税金で賄うのでしょうか。
 そもそも地元の方々は、それを望んでいるのでしょうか。唯一地元築地に関係する委員、築地本願寺代表役員の安永雄玄氏は、地元の声をしっかり聞くべきだとの趣旨の発言をなさったと伺っております。地元の声を聞くことは大変重要です。
 こうしたことを意識して、検討会議に地元中央区をオブザーバーとして加えているのだと思いますが、その趣旨を改めて伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議は、築地の魅力を最大限に生かした再開発において、各分野でご活躍の方々から自由な発想で幅広いご意見をいただき、築地のまちづくりの大きな視点として整理することを目的として設置しており、中央区にはオブザーバーとして参加していただいてございます。
 再開発の検討に当たりましては、地元区との連携協力が不可欠でございまして、中央区とは適宜意見交換を行うなど、区の意見を踏まえて、検討を進めてまいります。

○神林委員 まちづくりには、地元の声をしっかり聞いていただくことが欠かせません。安永氏が地元の声を聞くべきだと主張されたこと自体、その発言は重いものがあると思います。
 今後、具体的なまちづくりや都市計画の手続を進める中で、地元と接する機会がふえていくと思いますが、局はぜひ地元重視の姿勢を貫いていただきたい、そう要望しておきます。
 もちろん従来型の発想にとらわれていては、魅力あるまちづくりができないことも事実であります。幸いにも外国人の委員も検討会議には加わっておいででありますが、私はビジネスライクに制約や縛りを設けて会議を進めることは、好ましいことだとは決して思っておりません。現実に検討会議の中では、海外の事例や外国人旅行者や若い人など、幅広い意見を聞いていくという意見が出ているようであります。
 こうした外国人や若い人などのさまざまな意見を、この検討会議の中ではどのような形で反映させていくのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 検討会議におきまして、委員の方々から、開発コンセプトについてどうやってポテンシャルを活用するか、どうやって付加価値をつけるかといったことについて、若い人、東京に住んでいる外国人やツーリスト、海外に住んでいて築地に詳しい人、築地の周辺に住んでいる人、中央区の住民から、幅広く意見を調査してはどうかというご意見をいただいてございます。
 また、調査した意見は、検討会議でまちづくりの大きな視点を取りまとめる際に参考にしていきたいというご意見もございました。
 そうした委員の方々のご意見も踏まえながら、具体的な調査の対象や実施時期、方法等について今後検討していくこととしてございます。

○神林委員 先ほど触れましたが、今後、築地のまちづくりを検討する上で海外のまちづくりの事例を研究することも大切なことだと思います。
 先月、小池知事は公務としてパリを訪れていますが、その際にパリ郊外にあるランジス市場を視察しております。シャネルのコラス委員も言及していますが、ランジス市場は手狭になった市街地の市場レ・アール中央市場を郊外に移転してできた経緯があります。
 ランジス市場への移転は、豊洲市場への移転と共通点があるわけです。そうした観点から、築地のまちづくりを考える上で、旧市場跡地の様子も確認しておく必要があります。
 ランジス市場への移転後のレ・アール中央市場跡地には、市場機能を残したのでしょうか。まちづくりはどのように行われたのでしょうか。今さらという思いもありますが、小池知事はランジス市場にどのような目的でどのような視察を行ったのでしょうか。あえてここは質問いたしません。
 お尋ねしたいことは尽きないわけでございますが、今もいいましたとおり、残念ながら、本日の当委員会には知事は出席されておりません。よって、知事に直接お尋ねすることができません。まことに残念なことでございます。こういったことについて、どんどん質問したいという気でいっぱいでございます。
 ニューヨークのフルトン魚市場も、まち中から郊外へと移転したわけであります。世界の主要都市が市場移転後のまちづくりをどのように進めてきたのか、局はよく調べておいてほしいと思います。
 この築地再開発検討会議から来年、平成三十年五月ごろ答申が出されることになります。私は、最終答申は、さまざまな観点から幅広く自由な発想で意見が盛り込まれ、夢や希望のあるものになってほしいと期待しております。
 そこで、都は検討会議で示された答申について、まちづくりの大きな視点として整理するとのことでありますが、最終的にまとめられる答申を実際に今後、築地再開発を進める上で貴重な参考意見として活用させていくのか、築地再開発に向けての具体的な基本指針として活用させていくのかなど、どのような位置づけと重さを持たせて活用していきたいと考えているのか伺います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議でいただいたご意見は、来年五月ごろに築地のまちづくりの大きな視点として整理いただき、築地のまちづくりのコンセプトのベースとしていく予定でございます。
 この整理を踏まえ、開発コンセプト等を具体化しながら、来年度に都としてまちづくりの方針を取りまとめる予定でございます。

○神林委員 検討会議のまとめ方について伺いましたが、今後の検討会議の議論の行方によっては、まとめ方も変わってくるのではないかと思います。活発な議論が交わされ、文字どおり世間の大きな注目を集めるようになれば、結論の出し方に一工夫必要な場面があるかもしれません。議論の進め方、まとめ方については、議論の成り行きを見守りながら、適宜改めて詳しくお尋ねしていきたいと思っております。
 次に、先日の経済・港湾委員会で都民ファーストの議員が築地再開発について質問されたことを伺いました。大変驚いたのですが、それというのも、豊洲市場への移転にかかわる市場問題は経済・港湾委員会で、築地のまちづくりの問題は都市整備委員会で議論すべきもので、二十期最初の八月の第一回臨時会で特別委員会を設置する必要はなく、おのおのの常任委員会で議論していけばよいとの主張をしたのは、ほかでもない第一会派の皆さんだったからであります。
 これまでの間に会派の方針を変えられたのでしょうか。仮にこうしたことが許されるならば、私も都議会議員の一人として、本当に聞きたい大切なことが一つあるんです。
 それは、築地は守る、豊洲を生かすという知事の方針の問題点として、工期や財源のほかにも、築地と豊洲の市場というわずか二キロ程度離れた場所に、二つの市場機能と二つの食をテーマとしたにぎわいの施設を併設するという困難な課題があります。共存は極めて難しく、非効率的だと考えますが、どのように考えているのでしょうか。
 そして、現場の声として、一旦豊洲市場に移った仲卸さんたちが築地に戻るということは一体どういうことなのか、機能が二つに分散するし、両方に店舗を持てということなのか、こうした点も検討会議の中では議論の対象となるのかどうなのかということを考えてしまいます。
 本当は関係する局を全部集めて、このようなことを聞きたいんです。しかし、都市整備局の所管外のことなので、やめているのでございます。なぜなら、この都市整備委員会は、市場のためのまちづくりではなく、東京のまちづくりそのものを議論する場であると考えているからでございます。
 委員長、恐縮でございますが、委員長も第一会派のご出身でございます。都市整備局の所管事業はどこの委員会で議論すべきなのか、まちづくりはどこの委員会で審議すべき事柄なのか、こうした点を含めて、常任委員会の議論の範囲について、会派の中でしっかり確認していただけないでしょうか、要望させていただきます。
 さて、十分な相談もない中で、上からの一方的な困難な方針やスローガンを提示され、局の皆さんは困惑されていることだと推察しております。
 しかしながら、これからの築地再開発について、間違いなく実現させることの責任は皆さんにもかかってきます。前回も申し上げたとおり、間違いなくおかしいことや無理なことには、はっきりとノーといえる気概を持って取り組んでいただきたいと思います。
 そして、何よりも知事におかれましては、みずからの心を国政から都政へ戻していただいて、都民のために全力で頑張ってくださいますようお願いいたします。
 JR新橋駅に近接する旧国鉄汐留貨物駅跡地からJR浜松町駅付近まで広がる汐留地区の再開発地区の面積は約三十一ヘクタールでございます。ここも平成七年に再開発が始まって以来、平成二十年に汐留ビルの商業ゾーンがオープンするまで長い時間がかかり、今の活況へとつながっています。
 翻って、築地市場の跡地も約二十三ヘクタールと広大な土地が広がっています。既に日比谷線や大江戸線の駅が至近距離にある上、環状二号線が隣接する予定となっており、交通の利便性は汐留以上だと思われます。この将来性のある貴重な土地を都民のため、東京都の未来のため、どのように都市づくりに活用していくのかが今問われております。
 東京においても、東京オリンピック・パラリンピック後を見据えて、大都市としての課題解決や新たな魅力をつくり出していく上で、大変重要な機会だと思います。
 この検討会議も大きな視点でまちづくりを語ってもらうことが期待されています。そして、我々都議会も本格的な東京の都市づくりを議論していくことが、都民の負託に応えていくことだと思うのであります。
 そのためにも都技監に伺います。現在東京が抱える大都市としての課題を解決していくためには、都市づくりとはどのようにあるべきなのか所見を伺って、この件については終わりたいと思います。

○邊見東京都技監 東京が持続的に発展していくためには、長期的な視点を持って、よりよい都市づくりを進めていくことが重要でございます。その際、目指すべき新しい都市像の実現に向けて、広域的な視点から、それぞれの拠点や地域が果たすべき役割を明確にする。拠点や地域の個性を生かしながら、都民や民間事業者など、さまざまな主体が連携して、魅力的なまちづくりを進める。こういったことで東京全体の活力を向上させていくことが重要でございます。
 築地の再開発につきましても、都心への近接性や浜離宮、水辺などのさまざまなポテンシャルを生かしながら、まちの魅力と付加価値とをそれぞれ高めるため、幅広い観点からまちづくりを検討してまいります。
 そして、諸外国の事例なども参考にしながら、また諸課題にも対応、工夫を加えながら、将来の東京にとって極めて重要な役割を担うエリアとなるよう、しっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。

○神林委員 次に、建物の耐震化について何点か質問いたします。
 都は、耐震改修促進計画に基づき、特定緊急輸送道路沿道建築物や住宅、防災上重要な公共建築物などについて、耐震化を進めております。このうち、まず特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
 平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災では、建築物の倒壊によって、幹線道路が閉塞したことにより、緊急車両の通行が停滞し、消火活動や緊急支援物資の輸送などに大きな支障を来しました。
 このことを教訓として、都は緊急輸送道路、とりわけ沿道建築物の耐震化を図る必要がある特定緊急輸送道路について、その沿道建築物の耐震化を重点的に進めているわけでございます。
 そこでまず、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に関するこれまでの取り組みと進捗状況について伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は平成二十三年三月、全国に先駆けまして、耐震化推進条例を制定し、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断を義務づけるとともに、平成二十五年度に入り耐震改修等の費用に対して最大九割を助成するなど、耐震化を促進してまいりました。
 平成二十七年度末時点で条例対象の旧耐震建築物約四千八百五十棟のうち、約九四%で診断が実施されておりまして、診断の取り組みについては、完了のめどが立ちつつありました。
 このため、平成二十八年度からは、耐震化への次の段階である補強設計や改修等に軸足を移し、改修等を促進するための個別訪問による働きかけや改修計画の作成を支援する専門家の派遣を開始するとともに、設計費の助成上限額を約二倍に引き上げるなど、建物所有者の取り組みを促してまいりました。
 この結果、平成二十九年六月末現在、条例対象の旧耐震建築物の耐震診断実施率は約九七%、耐震性を満たす割合は約三七%となってございます。また、沿道の新耐震建築物を含む耐震化率は八三・六%となってございます。

○神林委員 私も当初この施策を進めようとしたときに本当大変だなと思ったんですけど、沿道建築物について診断は九七%と、あともう少しで一〇〇%ですよね。引き続き所有者による設計や改修工事などの取り組みがなされるよう、重点的に進めていただくようお願いしておきます。
 次に、住宅の耐震化について伺います。
 地震による住宅の倒壊を防ぐことは、居住者の生命と財産を守るだけではなく、倒壊による道路閉塞を防ぐことができ、円滑な消火活動や避難が可能となり、市街地の防災性の向上につながります。こうしたことから、住宅の耐震化も進めていかなければなりません。
 そこで、都はこれまでに住宅の耐震化をどのように進めてきたのか伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、防災都市づくり推進計画に定める整備地域内において、耐震診断や耐震改修等に対する助成を行い、区の取り組みを後押ししてまいりました。
 平成二十八年度からは改修等の助成上限額を約二倍に引き上げるとともに、耐震改修や建てかえによる不燃化、耐震化に関して助言を行うアドバイザー制度を創設いたしまして、建築の専門家を派遣しております。
 整備地域外においても、国費を有効に活用して、住宅の耐震化を促進してきております。また、建物所有者がみずからの問題として認識し、備えていくことが重要であることから、これまで相談会やイベントの開催など、普及啓発の取り組みを行う区市町村に対して、その費用を助成してきてございます。
 さらに、平成二十九年度からは全ての戸建て住宅の訪問に要する普及啓発費の助成額を上乗せし、耐震化に積極的に取り組む区市町村を支援してございまして、こうしたことを通じまして、住宅の耐震化を進めてきてございます。

○神林委員 私も長い間、都市整備でこういった住宅の耐震化を見てまいりましたけれども、ともかく住宅は数が多いですから、これを一つずつやっていくということは、本当に至難のわざだと思います。
 ただいまの答弁にもあったとおり、住宅の耐震化を進めるためには、所有者それぞれがみずからの問題として主体的に取り組んでいく必要がございます。また、個々の住宅を直接訪問して、その所有者に耐震化の働きかけを行う個別訪問の取り組みは、大変なことだと思いますが、大変有意義でもあるものでございますので、ぜひ引き続きお願いしたいと思っております。
 そこで、東京都は平成二十九年度から全ての戸建て住宅への訪問に要する普及啓発費の助成金を上乗せし、耐震化に積極的に取り組む市区町村を支援しているとのことですが、このことにより、幾つの自治体が個別訪問の取り組みを行うことになったのか伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都が平成二十九年度から普及啓発費の助成額を上乗せしたことにより、新たに八王子市や府中市など五市が戸建て住宅を対象に全戸訪問を行うようになりました。今後も訪問を行う区市町村がふえるよう、働きかけを行ってまいります。

○神林委員 都が助成金を上乗せしたことにより、新たに五つの市が今年度から全戸訪問の取り組みを始めたとのことでございます。こうした取り組みが今後都内全域に広がり、住宅の耐震化が促進されることが必要であると考えます。
 こうしたことから、耐震化に向けて普及啓発などに積極的に取り組む市区町村に対しては、都として、さらなる支援を検討するなど、都内全体において、住宅耐震化の加速につなげていただくことをお願い申し上げまして、この項については終了させていただきます。
 質問の最後に、新空港線について伺います。
 先ほど新空港線については、藤井委員より取り組み状況や課題、負担割合や今後の見通しなどの質問があったので、極力重複を避けて、追加の質問を何点かさせていただきます。
 この新空港線整備について、一番問題なのは、中途半端な状況が続くことでございます。この新空港線は、整備するなら早く進める必要があることを強く要望するため、これから何点か伺います。
 新空港線は、これまで約三十年、大田区が中心に取り組んでおり、検討の熟度の高い路線です。大田区は既に基金を積み立てるとともに、今年度予算に新空港線の整備主体の設立費用を計上するなど、実現に向けて積極的に取り組んでおります。
 また、国の答申では、新空港線も含めた六路線を事業化に向けた検討や合意形成などを進めるべきと評価しております。
 そこで、都は、新空港線について、どのように受けとめているのか、まず伺います。

○中島都市基盤部長 都は、昨年十二月に策定いたしました二〇二〇年に向けた実行プラン、これにおきまして、国の答申で事業化に向けた検討や合意形成などを進めるべきとされた六路線を中心に、関係者とともに具体化に向けまして、事業スキームなどの検討を実施することとしております。
 このうち新空港線につきましては、地元大田区や鉄道事業者などと連携いたしまして、採算性や費用負担のあり方などの課題について検討を行っているところでございます。引き続き関係者とともにこうした課題の解決に努めてまいります。

○神林委員 現状、我々が感じるのは、関係者とともに問題解決に向けて取り組んでいることはわかるのですが、答申路線の実現に向けた都の役割が少し見えにくいんですよね。ですから、その点についてお答えをお願いいたします。

○中島都市基盤部長 都は、国の答申に備えまして、今後の鉄道ネットワークのあり方などについて調査検討を進めまして、平成二十七年七月でございますが、広域交通ネットワーク計画についてという形で取りまとめを行いました。
 この計画を、国の交通政策審議会のヒアリングの場において説明するなど、答申に反映するよう求めた結果、都が要望いたしました十九路線全てが答申に位置づけられております。この答申を踏まえまして、現在、都は、事業化に向けた検討や合意形成などを進めるべきとされた六路線を中心に、関係者とともに課題の解決に取り組んでいるところでございます。
 また、国に対しまして、答申路線の整備に向けた方針を明確にすることや財源の確保など、必要な措置をとるよう要望しております。
 なお、今後、事業を実施する場合には、都は都市計画の手続や事業主体に対する補助などを行うこととなります。

○神林委員 こういう計画というのは極めて公共性が高いわけですから、やっぱり国、東京都、大田区、さらには鉄道事業者、こういうところがみんな一致団結して、同じ思いでやっていかないと、早く進まないわけですから、東京都も自分の役割を超えた部分まで含めて、積極的にぜひ対応していただきたいと思います。
 新空港線は、都市活動に重要な役割を果たす公共機関であり、鉄道の機能を発揮するためには、必要となる範囲について、都市計画を定めることが望ましいわけでございます。
 先ほど藤井委員の方からもございましたが、観点が若干違いますので、新空港線の矢口渡から京急蒲田駅間の全区間をまずは都市計画に位置づけるべきということが大切と考えますが、所見を伺います。

○中島都市基盤部長 都はこれまで、道路内に縦断的に敷設する地下鉄の整備や連続立体交差事業の実施などに当たりまして、都市高速鉄道としての都市計画を定めてきております。
 新空港線につきましては、東急蒲田駅付近から京急蒲田駅間で鉄道施設を道路内に縦断的に敷設することなどを踏まえまして、都市高速鉄道としての区間につきまして、地元大田区など関係者と協議いたしまして定めることとなります。

○神林委員 新空港線整備については、地域からの思いも大変強いものがあります。大多数の区民からの賛同を得、大田区が豊島区を初め十四区と和光市を初め三市と協力をいただいて、先ほどもありましたが、都にも要望を提出しているところでございます。このまま中途半端な状態が続けば、今でさえどうなっているのかという声を聞く中で、いつまでも検討するとばかりいえない限界まで来ております。
 地域からは、大田区はもちろん、都の信頼も失いつつあります。都市整備局として、一体いつまでに新空港線の実施を判断するのか、はっきりしてもらいたいと切望して、伺います。

○佐藤理事 人や物の交流を活発化いたしまして、東京の持続的な成長を実現するためには、東京の強みである鉄道ネットワークのさらなる充実というのは大変重要だというふうに認識してございます。
 新空港線につきましては、これまで地元の長い取り組みがあったり、大田区が基金の積み立て、あるいは整備主体の設立のための予算を計上するということで、地元の期待が大きいということは十分承知してございます。
 いずれにしましても、この六路線というのは、早期に整備するということが必要だという認識でございますが、まず新空港線を初めとする六路線につきましては、鉄道事業者、地元区市などとそれぞれ連携して、採算性、事業主体の確立、費用負担のあり方など、合意形成などの課題について、るる検討を進めているところでございます。
 新空港線につきましても、引き続き関係者とともに課題の解決に向けまして、誠実に都の役割をしっかりと果たしていきたいと考えてございます。

○神林委員 大変期待しておりますので、早く順番を上位に上げていただいて、少しでも早く実現できるようにと考えております。
 一番大切なのは--中途半端な状況が続くことなんです。新空港線が一日も早く整備されるよう、再度強力に要望いたしまして、私の質問を終わります。

○たきぐち委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十三分休憩

   午後三時四十一分開議

○たきぐち委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○星見委員 それでは、私から、都営住宅問題と分譲マンションでの民泊問題の二つについてお聞きいたします。
 初めに、都営住宅問題からです。
 この十一月募集から、若年ファミリー世帯向けの入居について、対象となる子供の年齢を小学校就学前から高校修了期へ緩和するなど、子育て世帯への支援拡大がされたことは重要でありまして、さらなる支援の拡充を求めるものです。この観点から幾つか質問をいたします。
 まず第一に、来年一月から始まる若年ファミリー世帯向けの期限なし住戸の毎月募集についてです。毎月募集が行われることは大きな前進です。しかし、その一方で、現在年四回の通常募集が行われておりますけれども、この戸数が減っては問題だと思います。この間、五年間の募集戸数の実績はどうなっているのかをまずお伺いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 過去五年間の募集実績でございますけれども、平成二十四年度八千百七十六戸、平成二十五年度八千二百四戸、平成二十六年度八千三百十七戸、平成二十七年度八千五百八十五戸、平成二十八年度八千六百二戸となってございます。

○星見委員 今、五年間の全都の都営住宅の応募状況を聞きました。おおよそ八千二百戸程度から八千六百戸程度の実績があるということだと思います。
 来年一月から、毎月五十戸程度の若年ファミリー世帯向けの制限なし住戸の募集が始まりますけれども、毎月五十戸程度とした根拠をお聞きします。

○八嶋経営改革担当部長 若年夫婦、子育て世帯を対象としました今回の新たな募集は、これまで年二回実施してまいりました期限つきでない若年ファミリー世帯向けの募集にかえて毎月実施するものでございまして、一回当たりの募集戸数につきましては、高齢者の住宅返還戸数の増加なども勘案しながら、これまでと同じ五十戸としたものでございます。

○星見委員 これまでの期限なし住宅、若年向けの募集は、年二回でしたから、年間百戸程度ということだったと思います。これに加えて、毎月募集ですから、年間、おおよそ少なくても五百戸程度かなと思います。
 しかし、その一方で、今確認しました年間の通常募集で行われている約八千二百戸から八千六百戸、これが減ってはならないということで質問しているわけですから、通常のこの募集と毎月募集で、総計で、年間の公募戸数が五百戸程度ふえるというふうに考えてよいのかどうか、改めてもう一度お聞きします。

○八嶋経営改革担当部長 今回の毎月募集は、高齢者の住宅返還戸数の増加なども勘案しながら、居住者の転出入期間の圧縮などにより、これまで以上にストックの有効活用を図るものでございまして、全体の募集戸数を拡大するものでございます。
 毎月募集の戸数につきましては、空き住戸の状況などにより変動する要素はございますが、仮に月五十戸程度の募集が十二カ月続けば、年間で六百戸程度となり、これまで年二回実施してきた募集戸数の合計百戸を差し引けば、五百戸程度となります。

○星見委員 今のご答弁でもありました都営住宅の空き家ストックの有効活用を図る。そして、応募戸数をふやす取り組みというのは、これは都民からも歓迎されるものです。さらに、こうした努力を強めていただきたいと思います。
 その上で、毎月募集の地域や団地の問題です。ファミリー向けの性格からいいますと、通学や通勤に困難にならないような配慮をするとともに、都心区、それから三多摩、偏りなく募集の必要があると考えますが、その点はどうなるでしょうか。お願いします。

○八嶋経営改革担当部長 今回の毎月募集は、若年夫婦、子育て世帯の入居希望時期に応じた申し込み機会を拡大するものでございまして、住宅マスタープランで定めているとおり、子育てに適した広さの住戸の中で、比較的低倍率のものを期限つきでない若年夫婦、子育て世帯向けとして募集を行うものでございます。
 したがいまして、区部、市町部にかかわらず、比較的低倍率の住戸について募集を行ってまいります。
 なお、利便性の高い場所に立地する住宅につきましては、若年夫婦、子育て世帯向けの期限つき住戸として引き続き募集を行ってまいります。

○星見委員 今、比較的低倍率の住戸という言葉が出てまいりました。確かに、住宅マスタープラン、私も読んでみました。そこには、比較的低倍率の住戸と書かれていますが、しかし、もともとこの比較的低倍率のところだけでよいのかということだと思うんです。
 住宅マスタープランのもとになっています住宅審議会に、これちょうど答申も読んでみましたけれども、この中では、都営住宅については基本的な考え方を変えて、子育て世帯向けに立地のよい場所を供給すべきという意見が出ておりまして、最終答申では、次代を担う子供を育てる若年ファミリー世帯に対して、利便性の高い場所など、ニーズに応じた地域に所在する都営住宅への入居促進を一層図るべきであるという文章が盛り込まれておりました。
 ところが、この答申を受けてつくられた都の住宅マスタープランでは、都営住宅で引き続き期限つき入居を実施し、募集に当たっては、子育て世帯のニーズに応じ、利便性の高い場所などに存在する住宅への入居促進を図っていきますと。
 要するに、利便性の高い場所についての都営住宅の供給は期限つきに限定するんだということが書かれていることになっているわけです。
 先ほどいいましたように、住宅審議会の考え方は、これまでの都が行ってきたこうした基本的な考え方を変えなさいと。子育て世帯に立地のよい場所を提供しようというのが出発点になっていまして、何も期限つき入居に限定して立地のよいところを出しなさいといっているわけではないと思うんです。
 私は目黒区選出です。例えば目黒区では、調べてみましたが、直近の八月募集はわずか二戸でした。うち一戸の倍率は三百十六倍です。比較的低倍率の地域や団地が対象だといいますと、これ、資料で、都営住宅の平均募集が載っておりますが、七ページにありますね。大体、平均応募の、単身者向きでも倍率五十七倍、抽せんの、普通の世帯向けは二十二倍ぐらいが平均ですから、この目黒のように、三百倍、四百倍になるところは、どう考えても比較的低倍率の地域ではないわけです。
 そうしますと、目黒区のファミリー世帯は、区内での毎月募集のファミリー向けの住戸はゼロということになるのではないでしょうか。せっかく毎月募集の制度ができても、二十三区の中心区などでは、応募倍率が高く、同様に毎月募集がない地域になる可能性があります。私、これ、公平感に欠けるのではないかと思いますけれども、この点についてはどう思いますか。

○八嶋経営改革担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、毎月募集、これは住宅マスタープランに掲げてございますけれども、多くの若年夫婦、子育て世帯が入居を希望する時期に入居できるように、比較的低倍率の住戸を対象に募集を行うという制度でございまして、倍率の高いところにつきまして、全て期限つきの住宅を募集するということではございませんで、一般の募集もございますけれども、利便性が高い場所については、主に期限つき住戸として募集を行っていくというものでございます。

○星見委員 若年ファミリー世帯が、都内、どこに住んでいようが、同じ所得で生活条件が同じなら、同じ住宅施策を受けることができるというのが、自治体が保障すべき公平というのではないかなと私は思います。
 公平や地域バランスという言葉が、東京都、この住宅政策の中で、都営住宅はよく使うんですけれども、私はこの使い方はゆがんでいると思うんです。
 そして、特定の地域やエリアが人口比で都営住宅が少なくて倍率が高いのは、そこに住んでいる若年ファミリー世帯の責任ではなくて、まさに東京都の責任だと思うんです。
 都が、住宅政策審議会の答申のもともとの理念に立ち返っていただきまして、この毎月募集の若年ファミリー世帯向けの入居募集の改善、これはまだ一月から実施で、もうそろそろ選定に入ると思いますけれども、ぜひ、そういうことについても改善を求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次の質問については、都営住宅の建てかえ用の事業用空き住宅と、募集用空き住宅についてです。
 資料請求いたしました九ページに全体の数が出ております。何度応募しても都営住宅に入れない住民からは、地域に何年もあいている部屋があることに不信の声が出てきます。
 事業用空き住戸については、時々の建てかえ計画の進捗状況を勘案しながら精査し、供給できるものは募集用に変更することが重要だと考えますが、この間どのように進めているのかをお聞きいたします。

○妹尾建設推進担当部長 建てかえを円滑に進めるためには、居住者の皆様からの移転先についてのさまざまな要望にお応えできるよう、必要かつ十分な事業用の空き住戸を確保しておくことが不可欠でございます。
 この事業用の空き住戸につきましては、その必要性について随時検討を行い、募集用住戸への変更を行うなど、適切に対応してございます。

○星見委員 建てかえ自身は円滑に行うことが非常に大事だと思います。それで、今ご答弁にありました、必要性に応じて随時検討を行いながら、募集用住戸に変更を行っているというお話でしたけれども、この随時の検討というのは、どのくらいのペースで行われているのかお聞きします。
 事業用の空き住戸の確保数は、先ほどいいましたように、このきょうの都市整備委員会の資料で資料請求しました九ページに載っていますとおりで、住戸用空き戸数が九千八百四十八戸となっています。
 この住戸数は、出していただいたんですけれども、団地単位で算定されているのか、それとも、区とかあるいは幾つかの区を集めたりブロックを設けて計算しているのか、それぞれお答えいただければと思います。

○八嶋経営改革担当部長 年度末現在のデータということになりますけれども、事業用空き住戸数、それから募集用空き住戸数でございますけれども、おのおのの住戸別のデータを足し上げた合計が空き住戸数ということになってございまして、特に今、区市町別等では整理はしてございません。

○星見委員 今、住戸別を足し上げたと。大変な努力だと思いますけれども、住戸別に足し上げれば、当然団地ごとに、地域全部というのはなかなか大変な労力だと思いますが、恐らく団地ごとにはまとめていらっしゃるのかなと思います。
 そこでなんですけれども、この都営住宅の空き住戸について、住民団体が新宿区で調査をいたしまして、住民の皆さんが、一戸ずつそれこそ数えたんですね、あいていると思われる窓を見ながら。この結果、六百七十三戸のあきがあるであろうということが、住民調査では判明しまして、四月に都営住宅経営部と交渉しています。この後、新宿区では五月に約百戸の募集が行われております。
 この四月の時点で、必要だった事業用空き住戸戸数は幾つであったのかをお聞きいたします。

○八嶋経営改革担当部長 平成二十九年四月時点における新宿区内の事業用空き住戸の戸数でございますけれども、約二百五十戸となってございます。なお、平成二十九年五月募集における住戸の数は、あらかじめ計画的に定めたものでございます。

○星見委員 事業用空き住戸、新宿区内だけですけれども、この時点では約二百五十戸だということが、今、わかりました。それで、そうすると、この時点で、当然これさっきいったように、一戸ずつであろうが何であろうが、足し上げていくと九千八百四十八、そのうちの、ちょっと時期がずれていますけれども、新宿部分だなと思うんですが、この時点で応募用空き戸数は、この六百七十何戸からこの二百五十戸を引いた残りだというふうに想定していいですか。

○八嶋経営改革担当部長 恐縮でございます、私どもの持っているデータが三月末時点ということでございます。そういうことで申しますと、この時点で事業用の空き住戸で二百四十二戸と。
 システムの中での分類ということでございますと、募集用は四百六十二戸という形になってございまして、ただ、この中で、過去に既に募集をしているという住戸も、まだ居住する方が入っていないという状況のままでは空き住戸というふうにカウントされてございます。
 その中で実際に公募用として、住宅変更用とかを除いたものにつきましては三百二十五戸というふうに、その当時のデータでは記録が残ってございます。これで、先ほど申し上げましたけれども、既に募集を行っているもの、大体、募集から入居の期間まで最低で半年ということでございますので、二十八年八月の募集から、その時点で行ったのが二十九年の二月の募集、これらを引いた数、それらの数を引いた数ですので、約百戸程度ですか、それでいきますと、二百二十五戸程度が公募用で残っていたというか、存在していたということになります。
 その後、五月募集で百八戸、八月募集で三十二戸、十一月募集では六十七戸を予定してございまして、これら募集のもの全てを含めると三百十戸という形になり、差が十五戸生じているというところでございます。

○星見委員 ちょっと数がわかりづらかったんですけれども、今のは要するに、何から順番に引いていった数でしょうか。事業用の残りが四月段階で二百四十戸だけれども、三月末の時点で、今、三百二十五戸が--ちょっともう一回順番にいっていただけるといいんですけれども、平成二十八年八月から平成二十九年の二月の分を、三月末時点の分から引くという考え方をされていると。それはまだ入居が定まっていないのでというふうに、もう一度確認したいのと、その平成二十八年の八月から平成二十九年二月の分というのは、済みません、何戸あったのかというのを、もう一度お願いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 三月末時点で、募集用として登録されている空き住戸数が四百六十二戸でございます。これから空き家の補修中のものですとか、それから既に入居をあっせんしている最中のもの、こういったものを除くと三百六十一戸になります。
 それから、住宅の変更が必要な方というのも、ご高齢の方とかいらっしゃるというようなことで、こういったものを除くと三百二十五戸というのが、三月末時点で現にあいているという対象になります。
 そこから、その以前に募集していた、二十八年の八月から二十九年の二月までの三回分、これを足し上げますと百三戸になります。ですから、四月以降募集は可能だということは、三百二十五から百三を引いた二百二十二戸という形になります。よろしいでしょうか。

○星見委員 今のお話だと、募集が四百六十二戸、入居あっせん中が三百六十一戸、そして平成二十八年から平成二十九年の間に募集されていて、まだ入っていない皆さんというふうに考えていいですね、まだ入っていない皆さんの戸数が百三戸等々引くと、二百二十二戸が残っていたということですね。
 そうすると、五月の募集で百戸、八月で三十戸、十一月で約七十戸の募集が、その後ありますから、二百戸弱かなというふうになります。ただ、四月時点で、逆にいうと、今あった二百二十戸に対して、それからまたさらに半年たっていますので、当然また空き住戸が出てくるという形で、空き住戸が積んでくるんだというふうに思います。
 今回、住民の皆さんが自発的に調査をして、それでどうなっているかを調べたいということで経営部と一緒にやった中で見えてきている数字ではあるんですけれども、数十戸ぐらいはさらに空き戸数があるんだろうなというふうに思います。
 この新宿の例に見られるように、事業用住戸を精査していくと、実際にはまだ募集用空き戸数が数十ぐらいの単位で出てくる可能性というのは、区市や団地、あちこちにあるのではないかというふうに思うんです。建てかえ新築団地で、何年にもわたり、三割くらいの規模で空き家があり、納得できないという都民の皆さんの声も、共産党都議団に寄せられております。
 これは多分、皆さんからいうと、事業用の空き住戸として確保しているんですということになるんだと思いますけれども、低収入の家庭が激増する中で、やっぱり都営住宅で安定した住生活を送りたいという世代の願いは、もう全てのところに広がっている状態です。
 都内の全ての地域で募集増をどう進めるかと。そういう意味では、この住宅用空き住戸のさらなる精査をどんどん進めていただきたいと思います。
 また、その結果について、先ほど一戸ずつ積み上げているとはいっていましたけれども、新宿の場合は、聞くと出てくる、わかるということだと思うんです。そういうのが都民の目線から見えるように、区の単位なのか、団地の単位なのか、その都度、確かに瞬間風速で戸数が変わるというのは十分わかるんですけれども、例えば年度末ごとに、どのぐらいの住戸がどうなっているかが、ぜひわかるようにしていただきたいということを強く要望いたします。
 今取り上げました、毎月募集で始まる若年ファミリー世帯向けの住戸募集についても、それから建てかえ用で空き住戸にしている、この確保が生まれている、さまざまな問題というのは、石原都政以来、十八年間も都営住宅の新築建設をしてこなかったから、そういうところに矛盾が集中して、都民の目線からも、不公平じゃないかとか、何であいているんだという声がどんどん出てくるという状態になっているんだと思います。
 そういう意味では、ぜひ都営住宅の新規建設に足を踏み出すよう政策変更を、住宅マスタープランにはさまざま書かれておりますけれども、都民のそういう今の住宅要求にしっかり応えていただきたいことを強く求めます。
 次に、都営住宅の最後の質問になりますけれども、用地の活用問題についてお伺いをいたします。
 都営住宅、今、毎年三千五百戸から四千戸程度を目標に建てかえが行われています。この建てかえ事業で生まれた用地について、地元区市町村の要望と連携し、速やかにこの用地活用の事業を進めていくべきだと思っておりますけれども、現在、建てかえにより創出された用地について、都の基本的な考え方について質問いたします。お願いします。

○渡辺再編利活用推進担当部長 都営住宅の建てかえによる創出用地は、都民共有の貴重な財産でありまして、まちづくりに効果的に活用し、都の政策目的の実現や地域の課題解決を図ることが重要でございます。
 この用地を活用し、これまでも福祉施設や道路、公園の整備など、地元区市の要望も踏まえ、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 今後とも、都営住宅の建てかえにおいては、地元区市と連携し、地域の特性や個々の土地の状況などを勘案しながら、創出用地の活用を図ってまいります。

○星見委員 建てかえの場合については、地元要求を取り入れるということで、要綱も東京都がつくって、年間に、保育園であるとか福祉施設等について順次対応しているというのは、さらにぜひ拡大していってもらいたいなと思っています。
 それで、もう一つご質問したいのが、既存団地において活用可能な用地を地域要求に基づいて活用できるよう、とうきょう保育ほうれんそうという情報提供システムがあります。
 実は私の地域でも、あそこの都営住宅の用地、使えるのではないかという問い合わせがあったりしていますが、残念なことに、いろいろ調べてみると、このとうきょう保育ほうれんそうの情報提供にはもちろん載っていなくて、載っていない理由がやっぱりありました。建築基準法上の問題が、古い都営住宅なんかを建てたときと今が違っているために、さまざまな問題をクリアしないと、せっかく用地があっても、提供できないという物件がまだあるんだなということがわかりました。
 建築基準法だけじゃないと思うんですけれども、こういう問題をクリアすべき問題がある用地についても、ぜひ地元の自治体から問い合わせがあった場合には丁寧に対応して、もちろん法令をクリアできるものについては、さまざまな工夫もして提供すべきと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。

○渡辺再編利活用推進担当部長 既存の団地の空きスペースを活用する場合には、建築基準法を初め、関係法令への適合や住民の理解が必要でありまして、地元区市と協力して適切に対応してまいります。

○星見委員 保育所の増設はいまだに緊急課題、各自治体、大変な思いをしています。
 都営住宅の用地活用も、解決のための一つの手段として、いろいろな理由で解決が難しい用地についても、ぜひ、今お話があったような地元の自治体とともに、利用できる可能性を追求していただきたいということを申し上げて、都営住宅についての質問は終わります。
 続きまして、分譲マンションの問題について入ります。
 住宅宿泊事業法、略して民泊新法が施行になるということで、分譲マンションの管理組合の対応についてお聞きいたします。
 来年の六月に民泊新法が施行されますが、その前、来年三月からは、既に事業者の届け出の受け付けが開始されます。
 民泊事業は、オリンピック開催との関係でも、東京都が一時期は最も集中する可能性があるかと思われます。特に、分譲マンションでは既に民泊でのトラブルが発生しています。
 これは、目黒区内の十二階建てのワンルームマンションで、外国人観光客らを泊める民泊が一室で行われていることが発覚し、訴訟になっています。
 報道によりますと、住民から、エントランスに旅行者風の外国人がいると管理組合に通報があり、組合の調査に対して、部屋の所有者は社員寮などと説明していましたが、旅館業法の許可を得ず、一泊五千円で旅行者らを宿泊させていたことが発覚しました。
 管理組合は、居住目的以外の使用を禁じるとする管理規約に反していると提訴をしました。しかし、部屋の所有者は、ことしの六月十六日の弁論で、近く民泊新法が施行される、届け出制になることが決まっており、旅館業法上の実質的な違法性は失われるんだと主張していると。これはまだ続いているわけですね。こういう問題が実際に出てきています。
 都として、この民泊新法の施行に向けて、分譲マンションの管理についてどのようなことに留意が必要と考えているのか、まずお聞きいたします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 住宅宿泊事業法が来年六月に施行され、一定の要件を満たす住宅において、住宅宿泊事業、いわゆる民泊事業が可能となります。
 住宅宿泊事業は、旅行者の多様なニーズに応えることが期待される一方で、施設の衛生や防火、また、ごみ出しや騒音などによる住民生活への影響など、多岐にわたる課題が懸念されております。
 こうしたトラブルを防止する観点から、分譲マンションにおける民泊については、事業の届け出が開始される来年三月十五日までに、住宅宿泊事業を許容するか否かについて管理組合でよく議論した上で、管理規約上、明確にしておくことが望ましいと考えております。

○星見委員 民泊利用なんですけれども、こうした住民トラブルだけでなく、これまでに犯罪グループの滞在拠点などに悪用されるケースが出ています。
 これもまた目黒区なんです。六月に目黒区で、民泊を悪用した覚醒剤密輸事件が発生しています。これ、民泊のマンションの一室に容疑者の知人男性宛てにアメリカから覚醒剤を送り、ここから転送するというやり方をしていたということです。
 また、七月には、福岡市のワンルームマンションを使った民泊に宿泊した外国人女性が性的暴行を受けたという事件も起きてくるなど、危険が現実のものになっているということは重大だと思っています。
 民泊新法の対応は、分譲マンションでのトラブルを避ける、こういう管理の問題とともに、マンション住民の安全と、それから生活の安心を確保することが住環境として大事だと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 国が示しているマンション標準管理規約では、専有部分の用途について、区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならないとしております。
 先ほども申し上げましたが、住宅宿泊事業の届け出が開始されるまでに、管理組合が、事業の可否判断を行い、管理規約上明確にしておくことに加え、住宅宿泊事業を許容する場合には、マンションの管理に関するルールを住宅宿泊事業者に明示しておくことが望ましいと考えております。

○星見委員 今ご答弁があったのは、国土交通省の民泊新法の規約改正との関係での考え方だと思います。もちろんこれ自身は、分譲マンションの管理組合がどうするのかを判断していくものになります。
 国土交通省は、この民泊新法も考慮したマンション標準管理規約の改正を行いまして、マンション管理センターなどと協力して、民泊新法対策のセミナーを開催しています。
 しかし、多くの管理組合では、規約改正といいますと、権利者の四分の三が必要なこともありまして、管理組合自身が管理会社とよく提携されているところなんかは、この夏から順次やられているところもありますけれども、多くの管理組合では、本年度の総会は既に終了していて、臨時総会の開催が困難な組合からは、戸惑いの声が上がっているのが実際です。
 一方で、インターネット上では、賃貸住宅を民泊に使うとどのぐらい収益が上がるとか、それから、委託を受けて、一括で面倒がないように民泊にさせるサイトがあったりとか、どんどん今こういうものがあふれている状態です。加えて、日本でも最大規模の大手銀行、都市銀行が、世界で最大の民泊事業者と締結をして、事業を始めるということが報道をされております。
 そういう意味では、三月、東京都では、これは産労が受け付けになって、届け出が始まるんですけれども、民泊業者が届けを出すときには、分譲マンションの規約がどうなっているか、許されているかどうか、改正されていない場合は、分譲マンションの許可をもらって書類を出しなさいとなっているんですが、この書類は誰がつくるんだというのを、ちょっと私は、ここは産労じゃないのであれですけれども、聞いてみましたが、まだわかりませんと、国がどう判断するかはまだこれからですというような段階です。
 それでも三月から届け出が始まってしまうと。一度始まれば、何もマンションが対応しないまま民泊事業が始まれば、先ほどの目黒区で起きているような裁判に突入せざるを得ないというような事態も出てくるかもしれません。
 そういう意味で、この民泊対応は、来年三月の届け出開始までに周知徹底して、管理組合が判断できるようにすることが重要だと思うんです。
 その上で質問ですけれども、都として、市区での周知の取り組みをどのように進めているのか伺います。
 また、三月の届け出開始に向けて、市区任せにせず、都独自の情報収集など、対応を集中して進めるべきだと思います。この点いかがでしょうか。お聞きいたします。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 住宅宿泊事業に対する管理組合としての方針を議論してもらうためには、マンション標準管理規約などの情報を速やかに管理組合に周知することが重要でございます。
 このため、都は、国からの通知を踏まえ、標準管理規約の改正について、既に区市町に対し管理組合への周知を依頼しており、多くの区市で取り組みが進められております。
 また、各管理組合における管理規約の改正、住宅宿泊事業の可否判断の重要性などについて、東京都マンションポータルサイトに掲載しております。
 さらに、先月開催しましたマンション管理・再生セミナーにおいて、マンション管理ガイドラインに記載している、いわゆる民泊への対応について、最新の情報も含め、管理組合等に説明しております。
 今後とも、関係団体を通じて情報収集を図るとともに、国の動向等を踏まえて周知するなど、適切に対応してまいります。

○星見委員 東京都としても、今ご答弁ありましたように、市区町村に周知を依頼する書面を送っています。
 私、目黒区がどうなっているのかを調べてみました。この内容が区のホームページに載っています。住宅宿泊事業、民泊に伴うマンション標準管理規約の改正について掲載されているんですが、掲載されたのが十一月六日、昨日なんです。ホームページを次々クリックしていかないとたどり着きません。私、見つけられなくて、実は担当者に、画面を見ながら、どこを押すんだと聞きながら、ようやくたどり着いたということです。
 担当者に話をして問い合わせる中で、早急にお知らせのトップに出すように話しておりました。東京都の周知依頼が市区町村でどのように具体化されているのかというのは、ぜひつかんでいただきたいと思います。
 また、足立区では、十一月二十日まで、現在、環境整備基準、同細則とワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例、これを統合した新しい集合住宅の建築及び管理に関する条例の素案のパブリックコメントが行われています。この素案では、努力義務として、民泊新法に基づく民泊の可否について、管理規約に定めるよう求めています。また、大田区は民泊特区として条例改正ですね。
 市区町村ごとに状況と対策は大きく違っているなというのを感じています。分譲マンションでの良好な住環境の確保の立場から、ぜひ、市区町村の対策の進捗状況を都独自としても把握し、情報収集を大切にしながら、周知を進めていただきたいということ、それから、当面、市区町村と協力して、三月までにどれだけ周知できるかが第一関門の部分かなと、その後もたくさんやらなきゃいけないことは出てくると思いますが、ぜひその辺で、東京都としても集中した取り組みを求めまして、私の質問を終わります。
 以上です。

○山口委員 せっかくの事務事業の機会でございますので、多岐にわたっていろいろお伺いをさせていただければと思っております。
 まず、鉄道駅におけるホームドアの設置についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 以前、私も、ニューヨークを初めとして、各国の地下鉄を初めとして鉄道運行を視察させていただく機会がありました。比較をすると、改めてこの日本の鉄道、これは技術も運行も本当にすばらしいということが実感できるわけであります。
 さらに、日本の鉄道は、定刻どおりの運行に限らず、とりわけ定位置にしっかりと停止ができる運転技術や、そのための支援装置があるからこそ、実現ができるんだなということを再認識したところでもあります。また、こうしたソフト、ハードにわたる技術の裏づけがあるからこそ、ホームドアが整備できるということを強く感じたところでもあります。
 さて、オリンピック・パラリンピックの開催がもう千日を切ったところでありますが、この大会を通じて、世界中の方々に日本のすぐれた鉄道技術を利用していただいて、すばらしさをしっかりと感じていただくことも重要であると考えております。
 東京の鉄道においては、さらに駅における安全性を高めるために、バリアフリーの取り組み、特にホームドアの整備が都内の各地でも進められているところであります。
 我が党のマニフェストでも、安全・安心、快適な鉄道の実現という視点で、駅のホームドアの整備促進を掲げてきたところでもあり、オリンピック・パラリンピックを契機として、バリアフリーのまちづくりを推進していく必要は、より高まっていると考えているところです。
 そこで、このホームドアについて、まずお伺いしたいと思います。
 都内の鉄道駅のホームドアの整備でありますが、これまでの都の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○中島都市基盤部長 利用者の安全性確保のため、ホームドア整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。都は、事業者の取り組みを支援するため、平成二十三年度から地下鉄駅への補助に加えまして、国や地元区市とともに利用者十万人以上のJRや私鉄の駅を対象とした補助を試行的に実施いたしまして、平成二十六年度から本格実施しております。

○山口委員 平成二十三年度からの試行を経て二十六年度から本格実施ということで、整備が利用者十万人以上の駅の整備から促進されたということは、これはもう非常に評価できることだと思います。
 しかしながら、まだまだ駅はたくさんあるわけでありまして、都内には利用者十万人以上の駅を含めて七百五十を超える駅が存在をしているわけであります。
 私の地元世田谷区にも、鉄道路線でいえば七路線、利用者十万人に満たない駅が多数あるわけでありますが、こうした駅も含めてホームドア整備にかかわる取り組みによるこれまでの進捗状況についてもお伺いをしたいと思います。

○中島都市基盤部長 利用者十万人以上の駅を対象として補助を実施することによりまして、各鉄道事業者の自主的な取り組みが加速されております。
 例えば、世田谷区では補助対象とはなっておりませんが、東急大井町線の等々力駅、また小田急線梅ヶ丘駅などにおいても平成三十一年度までの設置を目指しております。
 こうしたことによりまして、都内の駅のうち、平成二十八年度末までに約三割の駅でホームドアが設置されております。

○山口委員 着実な実施が進んでいるというところをお伺いさせていただいたところでございますが、鉄道事業者の自主的な取り組みを促していく、また今お話もいただいた大井町線でいえば、上野毛駅など利用者が十万人に満たない駅にもホームドアが設置をされるようになったということは、地域の皆様の安全性、また利用者の方々の安心等ということについても、どれをとっても非常に好評であり、評価が高いところであります。
 千日後に迫ってきているオリンピック、続いてパラリンピック大会も開催をされるという話をしたところでもありますが、この推進というものは本当に皆さんが望まれているところだと思います。
 そこで、このホームドアの整備について、今後はどのように進められていく予定でしょうか、お伺いをしたいと思います。

○中島都市基盤部長 都は、平成二十七年度から、二〇二〇年東京大会の競技会場周辺駅などに対しても、利用者の規模によらず補助を実施するなど制度を拡充してきております。これによりまして、競技会場の最寄り駅でありますJR中央線の信濃町駅や東急田園都市線用賀駅などでも整備が進められております。
 今後とも二〇二〇年東京大会を契機として、またその先も見据えながら、鉄道の安全性を高めていくため、国や地元区市とも連携いたしまして鉄道事業者の取り組みを支援してまいります。

○山口委員 当然のことながら、鉄道事業者の方々のご協力、また理解、そして利用頻度と、さまざまな視点から設置をしていく駅、また路線等々の選択というものはあるんだとは思いますが、利用の頻度に限らずとも、しっかりとさらに充実した整備をしていただくよう強く要望して、次の質問に移っていきたいと思います。
 続いて、空き家対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 この空き家問題については、全国で放置空き家が問題視をされている中で、平成二十六年十一月に、国会において空家等対策の推進に関する特別措置法、通称空家対策特別措置法が成立をし、より関心とその行方に注目が集まってきているところです。
 この空家対策特別措置法施行によって空き家の実態調査、空き家の所有者への適切な管理への指導、空き家の跡地についての活用促進、適切に管理されていない空き家を特定空き家に指定をすることができるようになりました。
 これにより、自治体も特定空き家に対して助言、指導、勧告、命令ができる、また罰金や行政代執行を行うことができるなど、より具体的な対応策を講じることができるようになったわけであります。
 空き家が発生する最も一般的な原因として、自宅を所有する高齢者の方々が老人ホームなどの高齢者住宅や子供宅に転居をする、こういったことが原因として挙げられています。
 今後、団塊の世代を含めた高齢者の方々が急激にふえていきます。それに伴い空き家もどんどんふえてしまうことは、これはもう間違いがないところでありまして、都も既にそのように想定をされているところです。
 空き家が生まれるこの原因として、所有者の高齢化に限らず、老朽化や基準外のために住めない、貸せない、売れないなどの理由、また固定資産税の問題、また相続や複数地権者の問題など、その問題というのは多岐にわたるところであります。
 都内には八十二万戸の空き家が既に存在をしており、今後も少子高齢化により、この増加が見込まれる。ふえ続ける空き家に対応するために、市区町村や民間事業者との連携も欠かせないと考えるところでありますが、都はどのような役割分担のもと、この空き家対策に取り組んでいるのか、お伺いをしたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している区市町村の主体的な取り組みが重要であり、空家対策特別措置法におきましても空き家の実態調査や空き家等対策計画の作成などの役割につきましては区市町村が担うこととされております。
 都は、区市町村に対しまして、空き家対策に係る必要な情報の提供や技術的な助言、財政的な支援を行うとともに、民間事業者や関係団体と連携しながら相談体制を整備するなど、広域自治体として東京都全体の空き家対策の取り組みを推進しております。

○山口委員 この空き家と呼ばれるものにも、さまざま種類があるわけでありますが、中でも問題になっているのが売りにも貸しにも出されていない、定期的な利用がされていない状態の物件、管理が行き届いていない物件が非常に問題となってくるわけでありますが、このいわば所有者もどうしたらいいのかわからなくなってしまっている空き家というのが、これは一番問題になるわけでありまして、この所有に関して悩まれている方も多いというのが現実だと思います。
 そこで、空き家を今後ふやしていかないための取り組みが重要だと考えるわけでありますが、その点に関してはどのように取り組んでいるのか、お伺いをしたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 空き家の発生を抑制するためには、不動産や法律などの専門家を活用して、所有者に対する適切な助言を行うとともに、空き家に関する課題を広く周知していくことが有効でございます。
 平成二十八年三月から順次、不動産業、弁護士、建築士などの十二団体と協定を締結し、空き家所有者が日常的に専門的なアドバイスを受けられる無料相談窓口を設置しております。また、平成二十八年四月からは、都民が身近な区市町村で専門家による相談を受けられるよう、窓口の設置経費の一部を区市町村に対して支援しており、これまで九区市が窓口を設置しております。
 さらに、平成二十八年十二月から、モデル事業として、都が選定した民間事業者がワンストップ相談窓口を設置し、空き家の所有者の相談に幅広く対応するとともに、空き家の利活用に関するガイドブックの配布や、相続、管理、活用に関するセミナーの開催などを実施しております。
 そのほか、各種リーフレットの配布やホームページでの公表などを通じまして、空き家に関しまして広く情報提供を行っております。

○山口委員 さまざまな団体や士業の先生方とも連携をしていただいて、どのように対応するのか、相談をしたらいいのかという、その窓口、対応、さまざまご用意いただいているということでありましたが、空き家といっても、まだまだ使える空き家については、積極的に都としても活用を進めていくことが重要だと考えていますが、この活用についての取り組みについてもお伺いをしたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 空き家につきましては地域の資源として捉え、積極的に活用を促していくことが必要でございます。
 そのため、都は平成二十七年度から地域の実情を把握している区市町村が空き家を有効活用できるよう、高齢者等に賃貸するためのバリアフリー改修を行う場合や、集会所など地域活性化に資する施設に改修する場合の費用の一部について支援を実施してまいりました。
 本年度からは、都と都内全区市町村による空き家対策連絡協議会を立ち上げ、空き家の有効活用に関する先進的な取り組みや具体的な事例などにつきまして情報共有や課題解決に向けた検討を行っております。
 さらに、本年十月二十五日から住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅の登録制度を開始したところであり、空き家の有効活用が図られるよう関係団体の協力を得ながら制度の周知に努めてございます。

○山口委員 空き家問題の大きな問題点というのは、建物の老朽化によるさまざまな危険性があるということ、また防災上の問題、当然防犯上の問題もあるかと思います。また、景観や衛生の悪化の問題と、地域や近隣にとっても深刻な課題となってしまうことはいうまでもないわけであります。
 所有者がそう思っていなくても、何かが起こってからでは、これはもう遅いわけで、ここは行政として指導、勧告していかなければならない重要な点だと私も考えています。
 であるからこそ、この空き家を悪いものとして捉えるだけではなくて、どう活用していくか、そういう点から考えていくことも重要だと思っております。
 そこでお伺いをしたいんですが、空き家の発生抑制や有効活用の取り組みについて伺ったところでありますが、老朽化した空き家などは行政の関与もこれは非常に重要だと思います。今後、空き家対策についてどのように都として取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 空き家が放置されますと、防災、衛生等の面から周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼすだけでなく、地域活力やコミュニティの衰退等につながることから、発生抑制や有効活用の取り組みに加えて適正管理の取り組みも重要でございます。
 区市町村におきましては、所有者に対して適正な管理を促すとともに、必要に応じ、空家対策特別措置法に基づく行政代執行等の措置を講じており、都は、先ほど申し上げた空き家対策連絡協議会におきまして、区市町村の取り組み事例などにつきまして情報共有を行っております。
 今後とも、発生抑制、有効活用、適正管理の三つの観点から、区市町村や関係団体等と連携しながら空き家対策の取り組みを一層促進してまいります。

○山口委員 最初にお話をしましたけれども、空家対策特別措置法によって、空き家を放置してしまうと命令違反による罰金や特定空き家への指定という制度も設けられているところであります。また、この特定空き家に指定されてしまうと固定資産税の優遇などがなくなって、税金も最大六倍になってしまう可能性なども含まれているわけであります。そうならないためにも、所有する空き家はきちんと管理をしていくということが、いうまでもなく大切になってくるわけであります。
 しかし、この特定空き家に指定されたらどうしようと不安に思われていたり、悩まれている方は実は非常に多いと思うんです。きちんと所有者の方々に管理をするという認識を持っていただくことに、また、そこを取り巻くさまざまなことを知っていただくということがまずは第一なのではないかというふうに考えています。
 そういった所有者の立場に立って考えてあげてみても、適正管理の助言、指導、勧告、こういった命令と手順を踏みながらも、行政として適正管理を促していかなければいけないんだなというふうに思っている反面、行政がこれをどこまで把握して働きかけをしていかなければいけないのかという疑問も、実は質問しながら私自身も持っています。
 しかしながら、自治体にとっては、単に費用補助をするだけでは目覚ましい効果を得られることはなくて、一歩踏み込んだ施策によって、この空き家対策を進めていく必要があるということは、これはもう事実であろうと思います。
 しかし、空き家の適正管理は、あくまでこの義務は所有者にあるわけです。建物が老朽化して倒壊しそう、庭の草木が成長して道路まではみ出してしまう、ごみ捨て場になってしまっている、獣害が発生しているなど被害が出てしまっている場合は、所有者はその状況をすぐに改善するという義務が当然あるわけであります。
 空き家問題は空き家を持っている人の問題ではなくて、管理されていない空き家の近隣に住んでいる人の問題という考え方も、いわばできる側面もあるわけでありますから、その原点、あくまで管理している人の責任であるというこの原点をしっかりと忘れることなく、ぜひともこの安全・安心のためにも取り組んでいただければありがたいと思います。
 そして、この分野こそ私は民間活用だと思っています。
 先ほどたびたび答弁にもいただいたところでありますが、都も都度都度ご協力をいただいている不動産関連団体や士業の先生方、また専門である不動産業者の方々ほど、この空き家対策に対して具体策を持ち合わせているところはないわけであります。当然個人情報の問題や課題はありますが、行政が把握した情報を所有者に確認やどうしたいかなど適切に取り扱い、現実的に相談に乗り、処理、処置をしていけるのは、免許を持った専門家になっていくわけであります。
 ぜひとも情報の共有化により、具体、個別の事案解決に民間を活用することで膨らんでいくこの空き家問題の解決をしていただくよう強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
 続いて、災害にかかわる課題について幾つかお伺いをしていきたいと思います。
 まずは、豪雨対策の取り組みについて質問をいたします。
 都内では、これまで局所的な集中豪雨などにより、甚大な水害被害が発生をしてきております。記憶に新しいところでは、平成二十五年七月に、目黒区を初め世田谷区、大田区、品川区など城南地域で一時間五十ミリを超える降雨があり、目黒区内の観測所では最大百二ミリの降雨が記録されました。この豪雨によって、都内全体で五百棟の浸水被害が発生をしたとされているところでもあります。
 国土交通省が公表した平成二十五年の東京都における洪水、内水、高潮、津波、土石流、地すべり等の水害被害の総額は二百十七億円とされています。これに対して、都は、東京都豪雨対策基本方針に基づいて、都民が安全に安心して暮らせる東京を実現していくとして、これまで努力を積み重ねられてきており、そこは高く評価をしたいと思います。
 現実的には、気象状況が年々と変化をし、わずか十年前には考えられなかったような災害が東京都に、また都民に被害として及ぼされる可能性が高まっているのが現状であります。とりわけ、この豪雨の発生は、もはや異常ではなく、これほどに国内各地でも、また都内でもゲリラ的に発生する状況には、可能性のレベルを引き上げていく、そして可能な限り備えていくということを確実に進めていくしかないのではないかと思っています。
 さて、これを前提としてお伺いをしたいのですが、これまでに甚大な浸水被害が発生をしている地域における豪雨対策の目標についてお伺いをさせていただきたいと思います。

○中島都市基盤部長 都は、これまでの浸水被害や降雨特性などを踏まえまして、平成二十六年でございますが、東京都豪雨対策基本方針、これを改定いたしまして、甚大な浸水被害が発生している地域につきまして九つの対策強化流域を選定して、豪雨対策を強化しているところでございます。
 対策の目標整備水準につきましては、これまでの時間五十ミリの降雨への対応から、区部で時間最大七十五ミリ、多摩部で時間最大六十五ミリの降雨に対応するよう引き上げております。

○山口委員 これまでの時間五十ミリの降雨への対応と比べて、高い目標を定めて備えていることがわかりました。さらに、河川や下水道の整備を積極的に進めていくことを強く望むところであります。
 一方、都内では、再開発などによって都民の利便性がますます向上していく反面、雨水を浸透させる機能が失われ、雨水の多くが河川や下水道に短時間に集中して流れ込み、そのことが水害発生の大きな要因になっているともいわれているわけであります。これについては、河川や下水道への雨水の流出を抑制する対策が極めて重要であり、都民や区市町村が浸透ますや一時貯留施設を設置して豪雨対策に貢献をしていると聞いているところでもあります。
 これについても積極的に進めていくべきであると考えているところでありますが、そこで今の答弁にもいただいた対策強化流域における雨水貯留浸透施設の設置促進に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 都は、雨水貯留浸透施設の設置を促進するため、これまで実施してきました個人住宅への設置に要する費用の補助に加えまして、平成二十七年度からは学校などの公共施設への設置に対しても補助を行っているところでございます。
 また、区市町村と連携いたしまして、都民に対して浸水対策施設の見学会などの機会を活用いたしまして、雨水貯留浸透施設の設置促進に向けたPRを行っております。

○山口委員 都民や区市町村に対して雨水流出抑制対策を促してくださっているということもよくわかりました。
 先ほども述べたとおり、これまでと違ってここ近年を見ても、当たり前のように都内でも時間百ミリを超える雨が降る可能性が常にあるわけであります。
 気象庁発表のデータによると、昨年夏の台風では、対策強化流域以外の地域においても、時間百ミリを超える異常な豪雨を記録し、浸水被害がもう既に発生をしています。
 このようなことが起きている現実を踏まえて、豪雨対策の実現に向けて、どのように取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。

○中島都市基盤部長 平成二十六年に改定いたしました豪雨対策基本方針では、対策強化流域について目標整備水準をレベルアップしたところでございまして、その達成に向け、区市町村と連携して河川整備や下水道整備、また流域対策などを進めているところでございます。
 その際、複数の流域の調節池、これは大雨が降った際の河川の雨水を一時的にためるものですが、その調節池をトンネルで連結いたしまして、その容量を各流域間で相互に融通する広域調節池を整備することによりまして、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮していきます。
 あわせて、整備水準を超える雨が降った場合におきましても、都民の生命の安全を守るため、河川の水位や降雨情報を発信することなどによりまして、自助や早期の避難行動を促進していきます。
 なお、豪雨対策基本方針では、異常な豪雨の発生状況について継続的にモニタリングいたしまして、目標降雨と降雨データとの間に乖離が生じた場合には、必要に応じて基本方針を見直していくこととしております。

○山口委員 この豪雨対策は、都民が安全に安心して暮らせる東京としていくために喫緊かつ重要な施策であると私は考えています。答弁にあったとおり、取り組み、特に継続的なモニタリングを確実に実施することを切望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 住宅の耐震化の促進についてもお伺いをしたいと思います。
 東京都耐震改修促進計画によって東京都の防災力の強化が図られているところであります。平成二十八年から平成三十七年までの十年間を計画期間として、耐震化に関する基本的な方針や具体的な施策の方向性を示しているところであります。
 とりわけ、この耐震化の目標を見てみますと、特定緊急輸送道路沿道建築物の整備が現状八三・六%で、三十一年度末には耐震化率を九〇%に、また十年後には一〇〇%を目指すとしています。住宅も現状八三・六%を三十二年度末には九五%に、十年後には、おおむね全てを解消するとされてきているところであります。これは、なかなか大変な数字と目標だと思います。しかし、都民の安全と安心のために掲げられたこの目標に向けて、ぜひともこの改修促進に取り組んでいただきたいと思うところであります。そして、その中でも緊急輸送道路の機能を確保し、道路閉塞ゼロを実現していかなければならないわけであります。
 そこで、お伺いをいたしますが、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するために、都は所有者に対してどのようにご支援をしているのでしょうか、お伺いをしたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都はこれまで、特定緊急輸送道路沿道建築物の所有者に対する支援といたしまして、耐震改修等の費用に対して最大九割の助成を行うとともに、耐震化に係る相談などに対応するため、アドバイザーとして建築士の派遣などを行ってまいりました。
 平成二十八年度からは、改修計画の作成を支援するための専門家の派遣を開始するとともに、補強設計費の助成上限額を約二倍に引き上げるなど、取り組みを強化してきております。引き続きこうしたことを通じまして所有者を支援し、耐震化を促進してまいります。

○山口委員 答弁から大変な意気込みを感じたところでもありますが、早期復旧には避難や救急、消火活動、緊急物資輸送、防災拠点や他県との連絡の大動脈ともなる緊急輸送道路の機能確保というのは重点課題であると私は思っております。都も当然その認識のもと、既に平成二十八年度末までに六千六百六十一件、約百八十億円の都の補助をもって耐震化に努めていただいているところでありますが、一〇〇%に向けて、改めて沿道建築物の所有者の皆様への働きかけを要望しておきたいと思います。
 さて、先ほどもお話をした住宅も同様であります。首都直下型地震等による東京の被害想定を見ても、あらゆる時間帯において建物の倒壊等による被害は甚大と予想されているところであります。東京都としても、これまでこれを前提にあらゆる住宅の耐震化の促進に尽力をされてきたところでありますが、中でも防災都市づくり推進計画に定める整備地域内の住宅の耐震化についても、防災生活道路沿道の不燃化建てかえや耐震改修等の促進により、道路閉塞を防止するという方針のもと進められていることと思います。
 そこでお伺いをいたしますが、都は整備地域内の住宅の耐震化促進に向けて、どのように取り組まれてきているのでしょうか、お伺いをしたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、防災都市づくり推進計画に定める整備地域内におきまして、耐震診断や耐震改修等に対する助成を行い、区の取り組みを後押ししてまいりました。平成二十八年度からは、改修等の助成上限額を約二倍に引き上げるとともに、耐震改修や建てかえによる不燃化、耐震化に関して助言を行うアドバイザー制度を創設いたしまして建築の専門家を派遣してまいりました。
 今後も、こうした取り組みを通じまして区と連携し、整備地域内の住宅の耐震化を促進してまいります。

○山口委員 より具体的に一点お伺いをしたいのですが、地震発生時に命を守るためには、部分的な耐震改修や耐震シェルターなどが有効的であると考えるわけでありますが、これらをより広く知っていただき普及に努めていくことは大変重要なことであると考えておりますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 震災時に住宅の倒壊から人命を守るためには、建物全体の耐震補強を行う必要がありますけれども、次善の策といたしまして、倒壊時に一定の空間を確保する対策も重要でございます。
 このため、都は、一部屋だけの部分的な改修にも活用できる工法や耐震シェルターなどの装置につきまして安価で信頼できる事例を募集、選定いたしまして、パンフレットやホームページで都民に情報提供してございます。
 また、毎年、夏と冬に開催している耐震キャンペーンでの展示会や区市町村が開催するイベントなどで実物に触れることができる機会を設けてございます。
 引き続き、これらの工法や装置につきまして周知や展示を積極的に行い、普及に努めてまいります。

○山口委員 答弁でさまざまいただきました改修に対する大変大きな補助であるとか助成であるとか、アドバイザー制度の創設で専門家の派遣をされているであるとか、より具体的に、また意識を持たれた方に対しては非常に高い支援がされているんだなというふうに認識をしておりますが、まだまだそこに着手ができない、意識はあっても、なかなか取り組みに自分が積極的にいけない、そういう方もたくさんいらっしゃるわけであります。
 必要とされている東京都にしっかり協力をしたいと思う意思をしっかり達成をしていける、そういった体制をより一層強化をしていただくようにお願いをして、また私も東日本大震災の際には、たびたび仙台に、また石巻に、気仙沼に車で行っていたわけでありますが、道路があるということがどれだけ重要かということの認識を改めてしたところであります。
 強い道路があるということ、そして物が運べるというだけで、どれだけの環境が整うかというのを非常に直接実感をしたところでもありますので、この緊急輸送道路沿道の整備というものは非常に大きな意味合いを持つと思います。皆様のご努力、本当に大変だとは思いますが、ぜひともお願いをしたいと思います。
 また、引き続き集合住宅の耐震化、とりわけ分譲マンションの耐震化への取り組みについても、私もお伺いをしたいと思います。
 東京都震災復興マニュアルの整備は、全国に先駆けて私はすばらしいものだと思っております。一般都民向けの復興プロセス編と行政職員向けの復興施策編に分かれていて、都度の改正を繰り返しながら、都民の皆様にとってもとても理解しやすく、復興の道筋がわかるように示されているものであります。
 有事に際し常に準備を整え、意識を高く持っておくと。さらに混乱を最小限にとどめ、再建、再興をできるだけ速やかに進めていくための備えを一人でも多くの都民、事業者を初め、あらゆる皆様にご理解とご協力、そしてより高く意識をしていただくことが何よりも今後求められてくることだと思います。
 都内には、分譲マンションが約百七十万戸あり、総世帯数の約四分の一に相当するなど、東京の主要な居住形態として広く普及をしています。そのうち約二割に相当する約三十六万戸が昭和五十六年以前の旧耐震基準で建築をされたものとなっています。
 その上で幾つかお伺いをしたいと思います。
 分譲マンションは、戸建て住宅と比べ規模が大きいことから、大地震により倒壊すれば、多くの生命が危険となるおそれがあります。しかし、都の実施した実態調査によると、耐震化を実施しない理由として、費用負担の問題や区分所有者の耐震化への関心が低いことなどの課題が挙げられています。私自身も住んでいるマンションの管理組合の理事を長く、つい最近まで務めていたわけでありますが、常に関心を持ってもらうこと、実施に向けて説得をしていくことの苦労をこの数年間体験をしたところでもあります。
 それをもとにお伺いをしたいのですが、都は管理組合や区分所有者に対して具体的にどのような普及啓発を行ってきているのか、お伺いをしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 管理組合による耐震化への取り組みを促すため、都は平成二十四年度から四年間、都内に約一万二千棟ある旧耐震基準のマンションを対象に、都及び地元区市の職員、建築士などの専門家から成るマンション啓発隊による個別訪問を行ってまいりました。
 加えて、昨年度からは耐震化に関心のあった管理組合を対象に啓発隊が再訪問し、個々のマンションの状況に応じたきめ細かな助言などを行っております。
 また、リーフレットやホームページにより耐震化の進め方や区市の相談窓口などの情報提供を行うとともに、管理組合の役員や区分所有者などを対象に、夏と冬の耐震キャンペーンの一環として年二回、マンション耐震セミナーを開催し、耐震化の必要性などについて説明を行っております。

○山口委員 大地震、震災に対する意識は都度災害が起こるたびに高まり、上がっているとは思います。しかし、現実に我が身にどのようにかかわってくるかを認識していただくことで、復興に当たり、対応も、意見集約も全くこれは変わってくると思います。
 まずは何といっても備えでありますから、早い段階から、この耐震化への取り組みをしっかりご理解をいただいて、ご理解をいただいている方は、進めてくださっていることだと思いますので、まだご存じない方、また、わかっているけれども踏み出し切れない、また意見集約に踏み切れていない方々や組合に対して、今答弁をいただいたマンション啓発隊などにもよって、さらなる普及啓発に努めていただくよう改めて要望しておきたいと思います。
 さて、この大地震の発生後は、都民の耐震化への意識は高まるわけでありますが、一定の期間を経過すると、その関心は低下をしてしまう傾向にあります。
 ある団体が実施をしている耐震化セミナーでは、熊本地震後はセミナーの参加率はぐっと増加をしたものの、回を追うごとに参加者が減ってきていると聞いています。これは、東日本大震災以降、繰り返し起こっている現象でもあります。
 そこで、今答弁をいただいた都が実施をしている耐震セミナーの具体的な内容についてお伺いをしたいと思います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 耐震セミナーでは、建築技術者等を招き、耐震化の必要性や進め方を説明するとともに、耐震改修に当たってのさまざまな疑問に答えるなど、耐震化に取り組む管理組合を支援しております。
 また、多くの方に来場していただくため、セミナー参加者に対してアンケートを実施し、次回以降の内容に生かしてございます。
 例えば、ことし九月に開催したセミナーでは、実際に耐震改修を行ったマンションの理事長や役員の方を講師として、工事費の確保や区分所有者間の合意形成のポイントについてご説明していただきました。また、セミナーとあわせまして耐震改修を行ったマンションの見学会も開催してございます。
 今後も管理組合等のニーズを踏まえた内容となるよう工夫を凝らし、耐震化の意識が高まるよう努めてまいります。

○山口委員 被災から一年半が経過をする熊本地震の現状を伺っていても、大変この点について困難な状況にあることがわかります。中でも、損傷した分譲マンションの復旧、修繕というのは、なかなか進んでいないのが現状だそうです。
 課題は、罹災証明に伴う市の被害認定調査で修繕工事をしたり、工事の見積もりを終えた、できたというのは、まだ四割程度でしかないそうであります。
 保険会社に一部損と判定をされて、補償額が少ないために修繕に着手できないケースが目立つんだそうでありますが、損壊したマンションが、建てかえが必要なのか修繕で居住可能なのかの被災度区分判定の仕組みも十分に周知をされていなかったり、作業も大変で、復興のおくれにつながっているとの指摘もあるほどです。
 資金不足であったりだとか、仕組みの理解不足が原因となっているというふうに考えられるところでありますが、これらについては東京都においてもこれから非常に重要になってくると思うんですが、公的制度への平時からの徹底理解をしていただくことが何よりも私は大切だと考えています。
 また、合意形成等の事前承諾等、あらかじめできることはたくさんあるはずであります。さらに、これまでの国内各地での実例を踏まえてアドバイスを周知、事前からしていけば、スムーズに復興につながっていくものと考えます。
 例えば、自治体判定の大規模半壊の建物、住民が修繕して居住する場合、被災者生活再建支援法に基づいて、一世帯当たり最大百五十万円の支援金が出る。そのほか、災害救助法に基づく応急修理制度で、一世帯当たり五十七万六千円を上限にして、修理費が補助されるとか、こういった情報をちゃんとあらかじめ知っておく、理解をしていただくことも復興における訓練の、これは一環になると思います。
 自分の住まいがどのような災害のときに、どのようになったら、その要件を満たすのか。例えば、災害により住宅半壊、また大規模半壊の被害を受けたとか、全壊の場合でも、応急修理をすることによって居住が可能になった場合は対象になるとか、しっかりと考えておくこと、これも大切な訓練の一つだと私は思います。
 もちろん、まず命を守り、自分が避難をする訓練ということも当然大事なわけでありますが、こういうことをしっかりと考えておくことも重要だと思いますので、こういった部分にも取り組んでいただくよう強く要望して、私からの質問を終わります。

○木下委員 私からは主に五つのテーマ、全体で十一問の問いを立てさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、ユニバーサルデザインのまちづくりについてお伺いいたします。
 私も一人娘がおりまして、ベビーカーに乗っていた--もう十五年も前になりますけれども、産休、育休を取得中にはよく、当時自宅がありました田端から上野公園までベビーカーを押しながら散歩に出たり、地下鉄で銀座などにたまの買い物に出たり、山手線に乗って港区のオフィスまで同僚に娘の顔を見せに行ったりと、都内を電車と徒歩で、よくベビーカーを押して出かけておりました。
 当時、既にユニバーサルデザインという言葉はあったかと思いますけれども、段差のないフラットな動線がまだまだ少なく、大分重くなった娘を抱きかかえ、折り畳んだベビーカーと大きな荷物を持って、大変な思いで階段を上りおりした記憶が鮮明に残っております。
 あれから十五年、東京都の段差解消の取り組みがどこまで行っているのか、そんな視点。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催も予定されております。九月には、パラリンピック開催に当たり、多くのパラリンピック選手が観客としてもいらっしゃいますし、選手としても、観客としても、障害を持った方々の訪日が見込まれております。
 また、ご存じのとおりの高齢化社会の進展もあります。車椅子での移動者もさらにふえてくることが予測されると。子育て中の親子のベビーカーでの移動は、変わらずあるニーズであり、さらにその重要性は増しております。まち、駅、公園、施設内での段差のないスムーズな移動の確保、この点についてご質問してまいります。
 まず最初に、都内各地で都市整備局が実施している再開発事業により整備される商業施設など、不特定多数の人が使用する空間に関して、誰もが使いやすくなるようなユニバーサルデザインへの対応をどのように行っているのか、お伺いいたします。

○安部防災都市づくり担当部長 再開発事業におきまして一定規模以上の物品販売店舗など不特定多数の人が利用する施設を整備する場合には、平成二十一年度に改正されました福祉のまちづくり条例に基づき、ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりが行われております。
 具体的には、本年度開業しましたギンザシックスを初め、それぞれの再開発事業におきまして、エレベーターやスロープに加え、標識や案内設備などの設置によりまして、誰もが目的の場所に容易に到達できるような対応が行われております。
 今後とも、都市計画決定や組合の設立の認可の機会を捉えまして、区市とも連携しまして、周辺のまちづくりにも配慮したユニバーサルデザインが再開発事業において確保されますよう、適切に対応してまいります。

○木下委員 ありがとうございました。
 私の地元の板橋区には、都営三田線、そして東武東上線の二路線がございます。日々電車や自転車で区内各地を回っておりますが、大きな荷物があるときや疲れ切っているときは、ベビーカーを押している立場ではないですけれど、階段での上りおりがたくさんあると、正直疲れてしまいます。
 エレベーターやスロープなどを設置されているとは思うのですが、正直どこにあるのか、行きたいホームにスムーズに行けるのか、なかなかわかりづらいなというのが実感でございます。
 そこで、鉄道駅のエレベーターの整備など、段差のない移動にかかわる都の駅での取り組みと進捗状況についてお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 都は、国や地元自治体と連携いたしまして、鉄道事業者のエレベーター設置に対する経費のうち、国が三分の一、都と区市で六分の一ずつ補助を行うなど、駅のバリアフリー化の促進に努めてきております。
 これによりまして、平成二十八年度末現在、都内の九三%の駅で、出入り口からホームまで段差なく移動できる経路が少なくともワンルート確保されております。

○木下委員 ありがとうございます。
 駅の出入り口からホームまで段差なく移動できる経路を少なくともワンルートはおおむね確保できているというお答えでした。
 しかしながら、駅によってはワンルートの確保だけでは、必ずしも利用者の皆様の円滑な移動が確保できない状況があると考えております。
 例えば、地元都営三田線板橋区役所前駅は、国道一七号線という大きな幹線道路と区役所前からの王子新道に抜ける道路とで縦横に分断されたところに三カ所の出口がありますけれども、エレベーターがあるのは一カ所でございます--まあワンルートということですから、そこがエレベーターでつながっているということをわかっていればいいんですけれども。さらにいいますと、上下線のホームレベルが異なっているんです。なので、利用した出口によっては、自分がどちらの方向に行くか、最短の動線でたどり着くのが難しくなっているというようなことを個人的には考えています。
 特に初めて訪れる場合、スムーズな平行移動をエレベーターで行い、自分の行き先方向のホームにスムーズにたどり着くのは難しいのではないかなと。
 そんなこともございますので、都内各駅におけるエレベーターの設置をワンルートにとどまらず、さらに促進する必要がある駅がまだまだあると考えておりますが、都の見解、取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○中島都市基盤部長 都は、ワンルート整備に加えまして、複数の出入り口が離れた位置にある駅、あるいは路線相互の乗りかえルートに段差のある移動を伴う駅でのエレベーターの設置に対しましても補助を実施して支援しているところでございます。
 これによりまして、例えば昨年度は京王線初台駅で二ルート目が確保されておりまして、また現在、東急田園都市線三軒茶屋駅などで二ルート目の整備が進められております。
 今後とも、国や地元区市と連携いたしまして、鉄道事業者の取り組みを支援してまいります。

○木下委員 エレベーターの整備を促進していくことで、段差のない移動を確保していくことは、とても大切なことだと思いますので、今後もしっかりと進めていっていただきたいと思います。
 一方、エレベーターがせっかく整備されていても、どこにあるのかわかりにくく、使われにくい場合もあるように感じます。特に初めて訪れる場所でバリアフリーの動線がどうなっているのか、車椅子の利用者、ベビーカー、さらにはスーツケースなどの荷物を引いた人にとって、外国の方も含め、一目でわかるようにすることも必要ではないかと考えております。
 そのような方々が初めて訪れた際にもわかりやすいよう、しっかりと案内サインを整備する、バリアフリー動線がどうなっているのかのマップをつくって配布するなどの告知等、こういったものが必要と考えておりますが、都の取り組みについてお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 初めて訪れる人も含めまして、誰もが利用しやすく、わかりやすい駅を実現するためには、案内サインの整備が重要でございます。
 このため、多くの鉄道が乗り入れている新宿駅におきまして、案内サインの連続性や表示内容の統一などにつきましてのルールを定め、これに基づき、案内サインの整備を進めますとともに、乗りかえ経路を確認しやすくした案内マップなどを作成し、配布しているところでございます。
 こうした先駆的な事例を踏まえまして、他の駅につきましても、鉄道事業者や区市町村に整備を働きかけておりまして、今後とも、誰もが円滑に移動できるよう取り組んでまいります。

○木下委員 ありがとうございます。新宿の取り組みを都内に広げていくというお答えでした。広げていく際の優先順位も大切だと考えております。
 乗降客数が多く、複数路線の乗り入れがある新宿のようなターミナル駅から順次展開し、及び並行してほかの駅も取り組むというお話も伺っておりますけれども、パラリンピック開催との関連で優先して進める駅を決めるなどの観点、また板橋区内には障害者の福祉施設、そういったものが非常に多いんですが、例えば、そのような施設の最寄り駅を優先するとか、お年寄りのご利用が多い駅、例えば巣鴨駅のような駅を優先するなど、バリアフリーな移動を必要としている人の率が高い駅からの優先整備という視点も欠かさず今後進めていっていただけたらと思っております。
 また、ワンルートを確保したからとか、ツールート目をつけたからオーケーということではなく、利用者へのアンケートの実施など、常に評価、アセスメントしていく姿勢、仕組みの導入を考えていただければと思います。
 次に、舟運の活性化についてお聞きしたいと思います。
 先ほども森澤理事からもございましたけれども、先日、我が都民ファーストの会の都市整備部会のメンバー六名で日本橋発着東京湾をめぐる一時間二千円コースに乗船いたしました。日本橋を初めとする各橋が頭上ぎりぎりのところで船が通り抜けていく、そういったコースでございまして、屋根もない、すごくスリルのある、また、たまたまでございますが、好天のもとでしたので、ベイブリッジを初めとする水辺からの景観の美しさ、頬をなでる風の爽快さなど、舟運観光の魅力は想定以上でございました。
 また、ガイドの方の説明がすごくおもしろくて、江戸から現代に続くさまざまなうんちくが楽しさをさらに広げてくださいました。
 近年、インバウンド、日本を訪れる外国人の観光客が増加しております。このような方々にとっても、東京の水辺はいわずもがな魅力的でございまして、東京の景観を水上から堪能できる船旅、国内はもちろん、外からの観光客へのおもてなしのコンテンツになり得ると考えております。
 しかしながら、このガイドの方による案内は、お尋ねをしたんですけれども、日本語しかやっていないと。定期船には外国語対応はしていないという、現状舟運をされている民間事業者さんのお答えでございました。
 団体客がまとまった場合にやるかどうか、それもなかなかそんなによくやるわけではないというようなお答えでした。
 そこで、現在取り組まれている舟運の社会実験があるということは、先般からの質問の中にございました。特に外国人観光客等の来訪者へのご対応について、都の方でどのように取り組んでいるのか、お伺いさせていただければと思います。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 東京の水辺の観光資源が航路で結ばれ、国内外から訪れる多くの方々にとって舟運が観光を交通手段として気軽に利用できるように取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、今ご指摘にございました現在進めております社会実験におきましても、外国から訪れた方々に利用していただけるよう専用のホームページや電話において、英語で運航の案内と予約の受け付けを行っております。
 加えて、都内の観光案内所を初め、船着き場の周辺の駅の窓口などにおきまして英語のパンフレットを配布するなどの取り組みを行っております。
 また、最寄りの駅や船着き場までの経路において、多言語対応の案内サインの整備について検討しております。
 今後とも、外国人観光客も含めまして、より多くの方々に舟運を利用していただけるよう取り組んでまいります。

○木下委員 ありがとうございました。ホームページで英語のご案内、電話でもご案内、それからパンフレットを英語化したり、多言語化をした案内をつくるなどのお話がございました。
 さらに踏み込んで、先ほども申しましたけれども、単なる日本人向けのガイドの内容を例えば英語化する、多言語化することにとどまらず、それぞれの言語圏の方々の文化や興味にひもづいたオリジナルのガイド内容の開発も、多くの方に本当に楽しんでいただくためには必要ではないかと考えております。
 そのようなコンテンツ開発につきましても、制度や補助等の行政としての支援促進を考えていっていただけたらさらによいのではないかというふうに思っております。
 次のテーマに移らせていただきます。
 時差ビズについてお伺いいたします。
 日本の生産性ということで、日本生産性本部が出している二〇一六年の結果によりますと、OECD諸国の中で日本の生産性は、何と下から数えた方が早い二十六位と大変低いことが課題となっております。
 また、過労自殺がきっかけの一つともなり、働き方改革が過去になく問われているのは、皆様ご案内のとおりでございます。
 具体策としてテレワークの推進、副業を採用するなどの雇用スタイルの多様化、また夫婦間、家族間の役割分担の見直しなど、官、民、企業、地域、家庭内さまざまなレベルで取り組みが進んでいるというふうに認識しております。
 特に日本の都心部では、満員電車が外国人の方々からの風物詩となっておりますけれども、サラリーマン、会社員である多くの都民にとっては、日々の満員電車の闘いが大変な負担であることはいうまでもございません。
 ロンドンのオリンピックのレガシーとして進んだテレワークのような位置づけで、東京オリンピックのレガシーとして、この時差ビズを進めていきたいという意欲のもと、本年七月の十一日から二週間、鉄道の混雑緩和に向けた取り組みが都主導で行われました。大変価値あるものというふうに考えております。
 そこで、時差ビズの取り組みの内容の具体的な部分について、改めてお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 満員電車の混雑緩和は、社会の生産性向上のための重要な課題でございまして、快適に通勤することのできる環境づくりを進めていくことが重要でございます。
 そこで、ことしから夏の一定期間に多くの方々に快適な通勤を実感してもらう取り組みとして、七月に時差ビズを実施いたしました。
 この期間中、企業などには時差出勤やテレワークなどの利用により働き方を見直し、オフピーク通勤を実施していただきました。
 また鉄道事業者には、早朝の時間帯などオフピーク通勤者に対する特典の付与や、混雑している時間帯や列車を知らせる混雑の見える化などを実施していただきました。

○木下委員 ありがとうございました。
 それでは、今回初の試みということで、この時差ビズの結果についてお伺いいたしたいと思います。

○中島都市基盤部長 時差ビズへの参加を民間企業に広く呼びかけますとともに、普及啓発のためのポスターやPR動画の作成などの広報展開を実施したことによりまして、七月の時差ビズには約三百二十社もの企業に参加していただいております。
 民間の実施するインターネット調査によりますと、約七割の方々が時差ビズという言葉を認知するとの結果が得られております。
 また、期間終了後に実施いたしました参加企業の社員に対するアンケート調査におきましても、回答者の約六割が通勤時の快適性や仕事の効率性などの効果を実感したとの結果となっております。

○木下委員 ありがとうございます。初の試みでアンケートでの回答者の七割が時差ビズを認知し、また六割がメリットを実感したということで、初年度の結果としてはすばらしい内容であったというふうに感じております。
 今後もさらに広げ、定着をさせていき、東京二〇二〇オリンピックのレガシーとしてもきちっと認知される、いえるようになるためには継続的な実施が必要と思われますが、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○中島都市基盤部長 アンケート調査におきまして、参加企業からは、他社の取り組みを知る機会が欲しい、また実施期間が短いなどの意見がございました。
 これを踏まえまして、先週、快適通勤プロモーション協議会を開催し、時差ビズ期間中に積極的に活動した企業を時差ビズ推進賞として表彰いたしまして、あわせて、その取り組み内容を紹介していただきました。
 今後、専用のホームページなどを通じて取り組みを広く紹介してまいります。
 また、来年度は、時差ビズの実施時期や日数の増加を検討しております。
 今後とも、企業や鉄道事業者などと連携いたしまして、さまざまな工夫を取り入れながらムーブメントの輪をさらに広げてまいります。

○木下委員 ありがとうございました。今年度の結果の検証をしっかりと今後に生かしていくというお答えで、レガシーとして国民に定着していくように進めていただくことを改めてお願いしたいと思います。
 次に、都市整備局で行われている都市整備に関する、特に地域住民の参加等の視点、それから民間活用の視点ということでご質問させていただきます。
 都市整備局では、都市づくりのグランドデザインの策定や東京中の都市計画づくりなどを所管していらっしゃいます。地域で暮らし働く人々にとって、こういった都市整備計画が与える影響は、多大、甚大であるというふうに考えております。都市整備にかかわる皆様には、常に住民の視点、それから地域の皆様の視点を忘れずに日々の業務を進めていただきたいと強く思っております。
 さて、再開発といえば、一つの手法として、小規模住宅等を集積して大規模商業ビル、タワーマンションを建て、周りに公開空地をつくり、憩いの空間を備える形での大規模開発というのが多く見受けられるように感じております。
 そこで危険だなと思うのは、建てて終わりということにならないかと。建てて終わりではなく、にぎわいの継続的創出については、地域主体の活性化の施策の実施や情報発信の取り組みを促すことが重要であるというふうに考えております。
 いわゆるエリアマネジメントの視点ということにもなるかと思いますが、都の取り組み、見解、それから成功例の例示も踏まえてお伺いしたいと思います。

○安部防災都市づくり担当部長 再開発事業完了後も良好な環境を維持し、まちの価値を高めるためには、計画の段階から事業完了後の管理運営を見据え、地権者や企業、開発事業者など民間が主体となって取り組むエリアマネジメントを実施していくことが重要でございます。
 例えば、六本木ヒルズでは、各建物の管理者間で地区全体の一体的な管理運営を行う統一管理者を定めまして、広報活動や地域コミュニティの支援、公開空地を活用したイベントなどを実施し、地域のにぎわいや活力を創出しているところでございます。
 今後とも、再開発事業におきまして民間が主体的に行うエリアマネジメントの促進に向けまして、進め方や先進事例を紹介した手引のさらなる普及や、セミナーの開催など、取り組みを行ってまいります。

○木下委員 ありがとうございました。
 最後に、板橋区の大山地区の再開発についてご質問させていただきたいと思います。
 大山地区で進められているまちづくりについてでございます。
 全国有数のアーケード商店街がございます板橋区大山では、現在、皆様都市整備局が所管されている特定整備路線の整備、そして東京都建設局所管の東武東上線の連続立体交差事業、そして板橋区による駅前再開発と、所管の異なる行政によるまちづくりが同時進行で進められております。
 特定整備路線補助二六号線の整備に際しましては、その日本有数のアーケード商店街のアーケード大半を壊して再開発ビルを中心としたにぎわい広場を二つつくる方向で区との協議を進め、うち、一つのクロスポイント地区におきましては、都市計画決定が本年十月に告示されるなど、いよいよ再開発が動き出すタイミングであります。
 そこで、計画地区には、今申し上げましたとおり、商店街がたくさん含まれてございますため、営業継続やにぎわいの維持向上の視点をしっかりと持って整備を進める必要があると考えております。
 ここでは都市整備局ということですので、都市整備局所管の補助二六号線の整備に伴う新たなまちづくりへの都の取り組み状況についてお伺いいたします。

○安部防災都市づくり担当部長 特定整備路線である補助第二六号線大山区間は、延焼遮断帯として木造住宅密集地域における火災の拡大を防止するなど、都民の生命と財産を守るため必要不可欠な路線でございます。
 本区間では、計画線の区域内に商店街が含まれることから、店舗などの営業継続やにぎわいの維持向上を図るため、区と連携し、沿道のまちづくりと一体となった道路整備を進める必要がございます。
 都はこれまで、商店街を中心とした勉強会に専門家を派遣するなど地元の取り組みを支援してまいりました。
 区は、勉強会の成果も踏まえ、大山まちづくり総合計画を策定しておりまして、これに沿って道路整備に伴い移転される方の受け皿ともなる二つの市街地再開発事業のうち、委員からお話のありましたように、大山町クロスポイント周辺地区につきましては十月に都市計画決定がされるなど、沿道のまちづくりが進展しております。
 引き続き区と連携し、沿道建物共同化や歩行者の流れの確保など、商店街のにぎわいに配慮したまちづくりにつきまして技術的、財政的支援を行いながら補助第二六号線の整備に取り組んでまいります。

○木下委員 ありがとうございました。区と連携してやっているというお話でございました。ですが、一方で、地元のハッピーロード大山商店街振興組合の皆様からは、区、都、そして各部署で窓口が縦割りになっているため対応が負担になっており、地区全体についての相談をどうしたらよいかわからず困っているとのお話も聞いております。
 また、大山地区全体を考えたまちづくりの視点、三者が三様で、まあ三様ということはないんですけど、それぞれの計画の中でやっていく事業者の多分委託もばらばらになっていく可能性が高いというところで、全体を考えたまちづくりの視点が欠けてしまわないかとの不安もあるというふうに聞いております。
 そこで、大山地区の全体のまちづくりについて、縦割りにならないように総合的に推進するための都のご対応をお伺いしたいと思います。

○安部防災都市づくり担当部長 大山駅周辺地区全体のまちづくりにつきましては、地元板橋区が主体となり、商店街、町会を中心とした地元のまちづくり協議会からの提言などを踏まえまして、先ほどもご答弁申し上げました大山まちづくり総合計画を平成二十六年に策定しております。
 区では、この総合計画の実現に向け、地区計画や再開発事業など、地区全体のまちづくりを推進しております。
 一方、東武東上線の大山駅付近の区間につきましては、本年四月に国から連続立体交差事業の着工準備採択を受け、現在事業化に向けて取り組んでおります。
 引き続き区と情報連絡を密にし、また地元のまちづくりとかかわりを持つ他の事業とも調整を図りながら、商店街の活性化にも配慮した道路整備を推進してまいります。

○木下委員 ありがとうございました。建設局さん主管の高架の連続立体交差事業とも連携していくというお答えだったというふうに理解しております。
 最後に、開発の成功は、この地域での今回の開発にかかわる成功は何なのかということを、考えを述べさせていただきたいと思います。
 それは、商店街でご商売をしている方々、そして商店街を利用している人々にとっての生活が今より豊かになる、金銭的にはもうかるなど、プラスの価値を見出すことにあるというふうに私は考えております。
 ただ道路が整備されればよいということではもちろんございません。商店街は、連続的に店が並んでいることで顔見知りのコミュニティが生み出す日常の回遊性が魅力の一つというふうにも理解しております。それが分断されていくということは、地域の皆様にとって大きなリスクをはらむ大チャレンジであるというふうに思っております。
 ですので、商店がたくさん存在する地域の再開発ということで、今回、都市整備局としても分断、商店街が分断するというような形は初めてのケースであるというふうに伺っておりますが、過去の事例や、また先進事例などをしっかり収集していただきまして大山地区のまちづくりに生かすことを切にお願いしたいと思います。
 また、さきの質問で、私、エリアマネジメントのお話をお伺いさせていただきました。今度、この地区に入ってくるであろう開発業者の皆様に対しても、このエリアマネジメントの手法からのにぎわいの活用といったことでも、都や、また区と連携していただきまして、そういった業者が前向きに検討できるような、そんな機運の醸成もしていただけたらなということを思いまして、私の質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。

○たきぐち委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十七分休憩

   午後五時五十五分開議

○たきぐち委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小林委員 私からは、事務事業について六つのテーマ及び報告事項について質問をさせていただきます。
 初めに、都営住宅についてお伺いいたします。
 平成二十一年に私も都政に送り出していただいており、今日まで数多くの区民相談をいただきましたが、その中でも、大変多くのご相談をいただくのが、都営住宅に関する内容でございます。居住者の方々からも、バリアフリー化や防災対策などさまざまなご要望をいただきますが、自治会の皆様と意見交換をする中で、自治会の抱える課題、特に役員の高齢化などに対する今後の自治会の運営についてもお話をいただくことが多くございます。
 本日提出をされた資料の入居者の年齢別世帯数の状況を見ますと、名義人が六十五歳以上の世帯が全体の六六・六%と、都営住宅の高齢化は如実であります。都営住宅を維持し、その制度を適切に運営していくために、自治会の果たす役割の重要性は論をまちませんが、超高齢化社会に突入していく中、都営住宅における自治会の運営も、そうした時代に対応していくための新たな展開、取り組みが必要ではないかと考えます。
 まず、都営住宅における自治会の役割と高齢化に対する現状認識について、都の見解をお伺いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅の居住者を会員とする自治会は、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立され、居住者が共同で使用する施設の運営や団地内の管理に大きな役割を果たしてございます。
 しかしながら、居住者の高齢化などにより、自治会の担い手が減少し、その活動に影響が生じている実態があることは認識してございます。

○小林委員 都議会公明党は、全議員がそれぞれの地域で自治会の方々と懇談をし、都営住宅の抱える課題をお聞きし、改善に向けた提案を議会の中で重ねてまいりました。
 そうした中の一つに、自治会の役員の方々がご苦労されている共益費の徴収について、都が直接徴収する制度の創設にも言及してまいりました。都では、共益費の徴収方法についてモデル事業を実施し、検討を重ねてきたと思いますが、共益費の直接徴収の現在の状況と実績についてお伺いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 都は、都営住宅の共用部分について、これまで居住者がみずから行ってきた作業の負担を軽減するため、都が共益費を徴収する仕組みを昨年度創設いたしました。
 昨年十一月から申し込みを受け付けまして、都営住宅全自治会の約一割に当たる約二百の自治会から直接徴収の申し込みをいただいてございます。このうち、ことしの四月一日から十一団地で、十月一日から二十七団地で徴収を開始しております。残りの約百六十自治会につきましては、平成三十年四月一日の徴収開始に向け準備を進めております。

○小林委員 この共益費の直接徴収については、自治会の方々も大変に注目し、期待されていた制度でもありますので、今後も着実な推進をお願いしたいと思います。
 また、先ほどの答弁でも、高齢化に伴い自治会活動に影響が生じている実態があることは認識しているとのことでしたが、まさに、こうした現状をどう打開し、自治会活動をサポートしていくのか、真剣に知恵を絞っていかなければならないときに入っていると考えます。
 今後の自治会に対するサポートについて、都の見解をお伺いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 自治会活動への支援といたしましては、東京都住宅供給公社の巡回管理人が年一回以上自治会を訪問して、自治会が抱える多様な問題の相談を受け、対応を行っております。
 また、都内に十六カ所ある公社の窓口センターごとに、自治会代表者との懇談会を開催いたしまして、各団地における課題や対応策について意見交換を行っております。
 さらに、高齢者の見守り活動に熱心に取り組むなど、活発に活動している自治会を紹介し、他の自治会においても参考としてもらえるよう、公社において事例集として取りまとめ、全団地の自治会に配布をしております。
 加えて、今年度からは、先ほど申し上げました共益費の都による直接徴収を開始したほか、公社におきまして、居住者同士の交流を深める取り組みなど、他の自治会の取り組みを紹介する広報誌「すまいのきずな」を、これも今年度から独自の提案で作成をしてございまして、全自治会の会長に配布をしてございます。
 今後とも、これらの取り組みを通じ、自治会の活動を支援してまいります。

○小林委員 私のいただく相談の一つとして、都営住宅の居住者間のトラブルに関することも多くいただいております。騒音や大量のごみ、ペットなど近隣トラブルに発展する原因はたくさんありますが、居住者間では解決が難しい事例も散見されます。
 今まさに私がいただいているご相談も居住者間のトラブルで、自治会の方が公社に相談しましたけれども、それは自治会で解決してくださいといわれ、どうすればいいかと私のところにお話がありました。迷惑行為により精神的に参ってしまった方、また体調を崩して入院された方も数多くいらっしゃいます。
 公社にも数々の相談案件が寄せられていることと思いますが、都営住宅における近隣トラブルの原因者に対する指導実績についてお伺いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 近隣トラブル、不正入居等、都営住宅の不適正使用について、入居者からの相談や通報等があった場合には、まず公社の窓口センター職員が現地に赴き、対象者や相談者と直接会って話を聞き、内容を十分に把握した上で、必要に応じて指導を行うなど、問題解決に努めております。
 また、悪質、深刻なルール違反で、再三の指導などによっても改善されない場合には、困難案件として、公社本社の担当部署に引き継ぎ、解決を図っております。
 公社におきまして、平成二十八年度に受け付けた苦情相談等の件数は五千八百七十五件でございます。そのうち公社本社が同年度中に指導を行うことにより問題が解消した件数は七百七十三件となってございます。
 今後とも、研修等を通じて、各窓口センターの担当職員の対応力の向上に努めてまいります。

○小林委員 今、こうした近隣トラブルの原因者に対する指導実績、お答えをいただきましたけれども、それでは、近隣トラブルの原因者に対して、都としてどのように対応されているのか、お伺いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅の住まい方につきましては、入居説明会におきまして、全世帯に対し基本的なルールを掲載した冊子「住まいのしおり」により説明をいたしますとともに、毎月発行する居住者向け広報紙「すまいのひろば」や各団地内の掲示板で周知をしております。
 また、住まい方のルールを守らない居住者に対しましては、自治会等と連携をとりながら指導を行ってございます。具体的には、巡回管理人が事実確認の調査や初期指導などを行い、その指導に従わない場合には、担当の公社職員が指導に当たってございます。さらに、こうした指導によっても解決が見込めず、法的措置が必要と判断した場合には、都におきまして、文書により明け渡しを求める手続を経た後、明け渡し訴訟を提起しております。

○小林委員 公社の職員の方々もさまざまご努力をされていると思いますが、公営住宅という性質上、今ご答弁にもあった法的措置をとって、明け渡し訴訟にまで提起していくためには、越えなければならないハードルも多いかと思います。私がいただいた相談の中でも、公社だけでは解決が難しい課題もたくさんございました。
 居住者間のトラブル解決に向けて、基礎的自治体や警察などの関係機関との連携を一層強化していく必要があるのではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅における騒音等の入居者間のトラブルにつきましては、自治会のサポートを受けるなどしながら、まず当事者間で話し合いにより自主的に解決することが望ましいことから、必要に応じて、公社において、自治会とも連携しつつ、話し合いの場を設定しております。一方、当事者が自主的に解決を図ることが困難な事例につきましては、公社において、区市のケースワーカーや地元の警察署と連携しながら指導を行うなどの取り組みを行ってございます。
 今後も引き続き、入居者間のトラブル解決に向け、関係機関や自治会と連携をしてまいります。

○小林委員 時代の変遷とともに、都営住宅に関する課題も大きく変わってきていると思います。特に、昨今の痛ましい事件などの報道等によって、居住者の方々もそうしたことに敏感になられている現状もあるかと思います。
 一方で、都営住宅の役割、期待が高まっている現状もあります。私も、今後とも一層、居住者の方々、また自治会の方々との意見交換を重ねながら、よりよい都営住宅のあり方を模索していきたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、先ほど来も触れられておりましたが、住宅の耐震化についてお伺いをいたします。
 都は、東京都防災都市づくり推進計画に定める整備地域を対象に、住宅の耐震診断、耐震改修などに対して助成を行い、耐震化を進めております。整備地域は、老朽化した木造住宅が密集し、細街路も多いため、地震時に大規模な市街地火災の発生や、建物倒壊により道路が塞がれるなど、避難活動や消防活動の妨げとなるおそれがあります。
 こうした状況については、一刻も早く改善をしなければなりませんので、整備地域内での取り組みは大変重要な取り組みでございます。
 まず、整備地域内で行っている住宅耐震化の事業について、これまでの取り組み、そして過去三年間における耐震診断及び耐震改修などの助成件数の実績について、それぞれお伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、防災都市づくり推進計画に定めます整備地域内におきまして、住宅の耐震化を促進するため、耐震診断や耐震改修等に対しまして助成を行い、区の取り組みを後押ししてまいりました。
 平成二十八年度からは、改修等に対する助成上限額を約二倍に引き上げるとともに、耐震改修や建てかえによる不燃化、耐震化に関して助言を行うアドバイザー制度を創設いたしまして、建築の専門家を派遣するなど、支援を強化してまいりました。
 この結果、まず、耐震診断の助成件数でございますけれども、補強設計の件数を含めまして、平成二十六年度が四百九十件、二十七年度が五百八件、二十八年度が五百九十件、三年間の合計は千五百八十八件でございまして、二十八年度の件数は二十六年度の約一・二倍となってございます。
 また、耐震改修等の助成件数は、除却工事や建てかえ工事の件数を含め、平成二十六年度が二百五十六件、二十七年度が三百二十三件、二十八年度が三百二十二件、三年間の合計で九百一件でございまして、二十八年度の件数は二十六年度の約一・三倍となってございます。

○小林委員 ありがとうございます。
 一たび大地震が発生すると、整備地域内では甚大な被害の発生が想定されます。平成二十八年度に設計費に対する助成上限額を引き上げるなど、取り組みを充実させたとのことであり、今後も地元区と連携を図り、整備地域内における住宅の耐震化を着実に進めてもらいたいと思います。
 一方、都はこれまで、先ほどの神林理事の質問の答弁でもありましたが、整備地域外においても、国費を有効に活用し、耐震化を促進する取り組みも行っているというふうにございましたけれども、都として助成をしていないので、概数で結構でございますけれども、整備地域外において、過去三年間における耐震診断及び耐震改修などの助成件数についてお答えをいただきたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 平成二十六年度から二十八年度までの過去三年間において、整備地域外で国費が活用された助成件数についてお答えさせていただきます。
 まず、耐震診断は、補強設計を含めまして約六千九百件、耐震改修等は、除却工事や建てかえ工事も含めて約四千百件でございます。整備地域内の件数と比較いたしますと、整備地域外の件数は、耐震診断が約四・三倍、耐震改修等が約四・六倍となってございます。

○小林委員 整備地域外で過去三年間に国費が活用され、診断、設計、改修などを合わせて、助成が約一万一千件あったとのことでございますが、引き続き整備地域内の住宅の耐震化に取り組むとともに、都内全域において住宅の耐震化を加速するため、非常に大事な取り組みでございますので、ぜひとも支援のさらなる拡充に向けて検討していただくよう要望したいと思います。
 次に、歴史的建造物の活用についてお伺いをいたします。
 歴史的建造物の保存、活用や、それらを生かした景観形成について、私も何度か、今まで議会の中でも取り上げてまいりました。
 ヨーロッパ諸国では、二十世紀初頭より、歴史的建造物とその周辺地域を、歴史的環境として一体と捉えて施策が講じられてきました。この東京においても、数々の歴史を感じる建造物が存在する中で、過去、現在、そして未来のそれぞれの息吹をいかに共存共栄させていくのかが、東京の魅力を高めていくための大切なテーマであると考えます。
 都では、歴史的景観を特徴づけ、地域のイメージの核となる景観上重要な歴史的建造物を選定していますが、これまでの選定の状況について確認をいたします。

○久保田都市づくり政策部長 都は、東京都景観条例に基づき、重要文化財などを除く歴史的な価値を有する建造物のうち、景観上重要なものを東京都選定歴史的建造物として、平成十一年度から現在までに、伊勢丹本店本館を初め九十件を選定しております。
 また、同条例に基づき、重要文化財など歴史的な価値を有する建造物や庭園等のうち、これらを含む周辺の良好な景観の形成に特に重大な影響を与えるものを、特に景観上重要な歴史的建造物等として、平成十三年度から現在までに、ニコライ堂を初め三十九件を選定してございます。

○小林委員 こうした歴史的財産の保存のためには、行政が積極的に取り組んでいくことはもちろん非常に重要なことでございますけれども、歴史をひもとくと、こうした歴史的財産の保存のために、私財を投じて文化遺産を守り抜くエピソードにもしばしば出会うことがございます。
 都は、選定した歴史的建造物を保存するため、民間の協力を募る東京歴史まちづくりファンドを設立していますが、これまでのファンドへの寄附やファンドによる助成の状況についてお伺いいたします。

○久保田都市づくり政策部長 都は、歴史的建造物の保存や修復を社会全体で支援していくことを目的に、平成二十二年度に東京歴史まちづくりファンドを設立し、このファンドを活用して、歴史的建造物の修繕に必要な費用の一部について助成を行ってまいりました。
 このファンドは、都民や企業から広く寄附金を集めることとしており、これまでに四千二百八十七の個人や団体から一千九百万円を超える寄附をいただいております。
 また、助成の状況につきましては、これまでに十一件の建造物に対し助成を行っており、今年度も、東久留米市内の自由学園初等部食堂外二件に助成をする予定でございます。

○小林委員 歴史的建造物は、こうした保存とともに、多くの都民に親しまれるよう、その活用を図っていくことも重要であります。産業労働局が中心となって、こうした歴史的建造物を活用したユニークベニューの取り組みなどがありますが、都がこれまで行ってきた歴史的建造物を活用した取り組みの状況についてお伺いをいたします。

○久保田都市づくり政策部長 都は、多くの方々に関心を持ってもらい、地域を初め、都民や企業など社会全体で歴史的建造物を守り、生かしていく機運を醸成していくことを目的に、平成二十五年度から、所有者の協力を得ながら、歴史的建造物を会場とした講演会やコンサートなどを開催しております。これまでに計十二回開催し、延べ三千四百人を超える都民の皆様にご参加いただいており、来月三日にもファンド助成による修繕工事を終えたばかりであります東久留米市内の自由学園において見学会を開催する予定でございます。
 また、参加者からは、歴史的建造物を身近に感じることができた、楽しい時間を過ごせたので続けてほしいなど、好評をいただいてございます。

○小林委員 今ご答弁のありました歴史的建造物を活用したコンサートなどの取り組みは、歴史の息吹を感じながら、非日常的な雰囲気を醸し出す価値ある取り組みであると思います。このように、活用できる建造物は限定的になってしまうかもしれませんが、知恵を絞りながら、今後とも、都民に喜ばれるユニークな企画を、ぜひとも推進をしていっていただきたいと思います。
 あわせて、都が作成をしておりますこちらの「東京都選定歴史的建造物と特に景観上重要な歴史的建造物等」というパンフレットもございますけれども、私も全部見させていただきましたけれども、ややおかたいつくりになっているかなという、非常に印象を受けます。より都民に親しんでもらえる、関心を持ってもらうために、その歴史的建造物を実際に見てみたいと思わせるような、わかりやすいパンフレットにつくりかえていくべきではないかなと思います。
 例えば、東京都教育委員会では、毎年、東京文化財ウイークを実施し、都内の文化財を紹介するガイドブックを作成しております。歴史的建造物と文化財では施策展開が違うかもしれませんが、歴史という大きなテーマのもとで連携していくことも大事ではないかと思います。
 いずれにしても、都の取り組んでいる大事な事業ですので、都民にわかりやすい情報発信の一助として、パンフレットの充実もぜひとも検討していただければと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、農の風景育成地区制度についてお伺いをいたします。
 私は、本年三月の予算特別委員会で、都市農業振興を取り上げ、私の地元練馬区が二〇一九年に開催を計画している世界都市農業サミットについて触れました。先日、明治神宮で開催された東京都農業祭にもお伺いをしましたが、大都市東京における農業の魅力を改めて再認識するものでありました。
 都は、減少しつつある農地を守り、農のある風景を将来に引き継ぐ仕組みとして、農の風景育成地区制度を推進していますが、この制度の目的と、これまでの指定状況についてお伺いをいたします。

○久保田都市づくり政策部長 東京の都市農地は、環境や防災などの機能を有する貴重な緑の空間であるとともに、付加価値の高い農業生産の場として活用していくことが極めて重要でございます。
 このため、都は、平成二十三年度に農の風景育成地区制度を創設し、農地空間を保全していくことといたしました。
 この制度は、地域住民の協力を得ながら、農業関係者の自主的な取り組みにより、生産緑地などの農地や屋敷林などを保全し、良好な景観を維持していくことを目的としております。将来、農業の継続が困難になった農地を、区市町が都市計画公園、緑地として決定した上で、整備することも可能でございます。
 これまでに、練馬区の高松地区など、計三地区、約百六ヘクタールの区域を指定しておるところでございます。

○小林委員 それでは、この指定した農の風景育成地区では、実際にどのような取り組みが行われ、地域住民などからどのように評価をされているのか。また、平成二十三年の制度創設から指定は三カ所となっておりますが、指定や運営にはさまざまな苦労があると思いますが、どのような課題があるのかを、あわせてお伺いいたします。

○久保田都市づくり政策部長 農の風景育成地区では、その地域に合わせた特色のある取り組みが行われております。例えば、練馬区の高松地区では、農業者による発意でマルシェを開催し、都市農業の魅力を積極的に発信するなど、地域のにぎわいの創出や活性化が図られ、好評を得ております。
 また、世田谷区の喜多見地区では、区が地区内の生産緑地などの農地を相続等が発生した際に買い取り、住民とのワークショップを経て農業公園として整備するなど、将来にわたり確実に保全することを積極的に進めていることで評価されております。
 一方、課題につきましては、地区指定に当たり、区市町が主体的に地域の農業者や住民に制度の十分な説明を行うとともに、魅力を持った地域であるということについて理解を深めてもらい、合意形成を促進することが挙げられます。
 また、指定後に、農業者、住民、学校等が一体となって取り組みが進められるよう、区市町が地域の関係者間での連携を強めていくことが課題となっております。

○小林委員 この制度は、地域の方々と区市町が共同で、将来に引き継ぐべき農のある風景の保全を進めていく、価値ある制度であると思いますので、多くの自治体に関心を持ってもらい、拡大をしていくべきと思います。
 今後の農の風景育成地区の指定への取り組みについて見解をお伺いいたします。

○久保田都市づくり政策部長 都は、二〇二〇年に向けた実行プランに掲げた目標に向け、二〇二四年度までにさらに三カ所の農の風景育成地区の指定を目指しております。
 地区の指定に向け、区市町が先ほどの課題に対応し、地域住民の合意形成や関係者間での連携を深められるよう、都は、既に指定をしております練馬区、世田谷区、杉並区の三区と協力して説明会を開催し、先行事例のノウハウ等の情報提供を行ってまいります。
 都は、今後も区市町と連携をし、農のある風景を将来に継承するため、農の風景育成地区の指定を促進してまいります。

○小林委員 今、世界的にも、こうした大都市における都市農業振興は非常に注目をされておりますし、また、この大都市の中にこれだけの農地が残っている東京というのは、非常に世界的にも魅力ある都市であるというふうに思います。
 こうした形で、農の風景という形の一つの地区を指定していく、非常に重要な取り組みでございますので、ぜひとも、例えば産業労働局なんかとも連携をしながら、ひとつ観光としても何か発信をしていけないか、こうしたことも、ぜひとも今後、検討を進めていただければと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、西武新宿線の連続立体交差化事業とまちづくりについてお伺いをいたします。
 東京都内には、いまだに千カ所以上の踏切が残されており、踏切とその周辺では、道路渋滞の発生、地域の分断による生活の不便やまちづくりのおくれ、踏切事故の危険性など、さまざまな問題が発生をしております。
 踏切対策は、道路交通の円滑化や都民生活の安全・安心の観点から重要であり、都は、踏切対策基本方針に基づき、踏切問題の改善に取り組んでいるかと思います。
 私の地元の練馬区においても、西武新宿線の上石神井駅付近などについて、あかずの踏切が残されています。踏切対策基本方針におけるこの区間の位置づけと、現在の検討状況についてお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 都が平成十六年に策定いたしました踏切対策基本方針では、鉄道立体化の検討対象区間を二十区間抽出しておりまして、西武新宿線の上石神井駅付近を含みます井荻駅から東伏見駅付近までの区間はその一つに位置づけております。
 本区間では、関連する道路計画が具体化するとともに、地元区市によるまちづくりが進められていることから、都は平成二十八年三月、新規に着工を準備する区間に位置づけまして、現在、構造形式や施工方法の検討を進めるなど、事業化に向けて取り組んでおります。

○小林委員 鉄道の立体化は、多数の踏切の除去と都市交通の円滑化ばかりでなく、まちづくり及び都市の発展などの面で大きな効果が期待できるものであります。そのため、鉄道の立体化を契機として、練馬区においても、上石神井駅周辺、西武新宿線沿線のまちづくりの取り組みが進められております。
 都としても、このような練馬区の進めるまちづくりの取り組みについて、よく連携しながら支援を推進していくべきと思いますが、見解を伺います。

○中島都市基盤部長 鉄道立体化につきましては、地域におけるまちづくりと大きく連動することから、地元区市が主体となり、鉄道立体化を契機としたまちづくりを具体的に検討することが重要でございます。
 現在、地元練馬区では、駅前広場の整備や駅周辺のまちづくりなどについて検討を進めており、都はこれまでに事業化してきた区間の事例なども踏まえまして、技術的な支援を実施しております。
 今後とも、都として、区によるまちづくりの検討がさらに促進されるよう、積極的に働きかけてまいります。

○小林委員 上石神井駅は、私も頻繁に行きますが、駅周辺はバス、タクシー、一般車両、自転車、歩行者が入り乱れ、よく大きな事故が起きないなというほどの状況がございます。
 上石神井駅周辺では、南北方向の幹線道路が未整備のため、歩行者と自動車がふくそうし、またバスやタクシーの乗降スペースが不足するなど、安全性や利便性の確保が課題となっております。これらの解決には、外環ノ2の整備が必要であり、練馬区や地元が進めるまちづくりと連携を図りながら取り組んでいく必要があると思います。
 そこで、上石神井駅周辺における外環ノ2の現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 上石神井駅周辺におきます外環ノ2は、地域の幹線道路ネットワークを形成し、南北方向の交通の円滑化などに寄与する都市計画道路でございまして、駅前広場の確保や商店街の活性化など、地元練馬区のまちづくりと連携して整備を進めていく必要がございます。
 これまで都は、地元区とともにオープンハウスや説明会を開催して、地元の意見を聞いており、それらを踏まえまして、まちづくり手法を活用した道路整備の検討を行っております。現地では、事業認可の取得に向けて用地測量を進めており、引き続き早期に事業化できるよう取り組んでまいります。

○小林委員 上石神井駅周辺の町会や商店会にお邪魔をしますと、一日千秋の思いで高架化と駅周辺のまちづくりを待ち望む声を多数いただいております。
 練馬区においては、西武池袋線の高架化が進む中で、西武新宿線のおくれが際立っておりまして、平成二十七年一月に、練馬区長を会長として、沿線住民の方々も参加した西武新宿線立体化促進協議会が結成され、東京都に対しても要請活動を行っているところでございます。早期の事業化に向けた取り組みを加速度的に進めていただきますよう、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、建築物の検査機関登録制度についてお伺いをいたします。
 この件については、平成二十四年の本委員会でも取り上げさせていただきました。平成七年の阪神・淡路大震災で、施工の不備が原因と考えられる建築物の被害があり、これを契機に建築基準法が改正され、建築物の中間検査制度が創設をされました。
 都では、中間検査の際にも、コンクリートや鉄骨、鉄筋などの材料や接合部の試験及び検査の結果を提出することを義務づけており、試験、検査に必要な資格を持った技術者を備えるなど、一定の技術力を有する試験機関及び検査機関を都知事登録機関として登録する制度を平成十四年に創設をされました。しかし、当時の登録制度では、工事現場で行うことができる超音波探傷検査などのいわゆる非破壊検査を行う検査機関の登録は鉄骨だけで、鉄筋を登録する制度がないことについて指摘をさせていただきました。
 その後、都は、登録制度に、鉄筋の継ぎ手の非破壊検査を行う検査機関を追加し、登録を開始したことは認識をしておりますが、平成二十四年度以降の検討の経過と現在の状況について確認をいたします。

○青柳市街地建築部長 平成二十四年当時、建築物の高層化に伴う太い鉄筋の使用や工事の合理化を目的としたプレキャスト工法などが増加しておりました。これに伴い、鉄筋継ぎ手の品質確認方法も、従来の引っ張り試験に加え、超音波探傷検査などの非破壊検査によって継ぎ手の性能を確認する方法が広まってきておりました。
 このような状況を背景に、都は、鉄筋継ぎ手に関する検査機関の業務の執行体制や、検査業務に必要な施設などに関する基準について検討を進めてまいりました。この検討結果を踏まえ、平成二十六年二月、鉄筋継ぎ手検査機関の審査基準を定め、非破壊検査を行うに当たって、正確かつ公正な検査を実施することができると認められる機関を東京都知事登録制度に追加いたしました。
 平成二十七年度に鉄筋継ぎ手検査機関の登録を開始し、現在、十九機関が登録されております。
 引き続き、本制度も活用しながら、都内建築物の安全性が確保されるよう努めてまいります。

○小林委員 今まで私も、この非破壊検査の業界の方々ともさまざま意見交換を重ねてまいりましたが、業界の方々は、この登録制度を非常に高く評価をされております。
 一方、今後、東京五輪に向けてさまざまな建築物が建築されていく中で、安全性を高めていくためにも、こうした登録検査機関の役割は重要であるとともに、登録検査機関も拡大していく必要があるのではないかとのご意見もありました。もちろん、登録機関をただふやせばいいというものではありませんが、安全性を確保していくために、この制度のさらなる充実に努めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、報告事項、築地再開発検討会議についてお伺いをいたします。重複した質問もございますので、それについては割愛をさせていただきたいと思います。
 築地再開発に当たって、かねてより指摘をされているのは、埋蔵文化財の調査についてであります。検討会議においては、築地エリアの歴史についても触れられたようですが、東京都教育委員会が提供しております東京都遺跡地図情報インターネット提供サービスを見ますと、築地市場エリアは、江戸遺跡の範囲内とされております。
 また、築地市場の周辺においても、既に発掘の実績が確認できました。例えば、築地五丁目遺跡では、武家屋敷の跡地として、土杭、建物基礎が発掘され、陶磁器類、瓦類、木製品、魚の骨、貝類などが出土されておりました。また、築地本願寺周辺では、人骨、墓石、木簡、土器などが出土をしております。
 実際に掘ってみなければ正確なところは不明であるということは重々承知をしておりますが、築地市場エリアは、埋蔵文化財調査という観点からどのようなエリアとして位置づけられるのか。また、過去の地歴からどのような埋蔵文化財の発掘が考えられるのか。先ほど、江戸時代の江戸幕府の老中の松平定信邸のお話もありましたけれども、現時点でわかる範囲でお伺いをいたします。

○木村まちづくり調整担当部長 都におきまして埋蔵文化財調査を所管しております東京都教育委員会は、江戸市中の範囲を江戸遺跡と称し、埋蔵文化財として扱う対象としておりまして、築地市場の敷地は、ご指摘のように、この江戸遺跡の範囲内となってございます。
 また、本年四月に開催された第二回市場のあり方戦略本部におきまして、文献等の資料から、江戸幕府の老中であった松平定信邸などの大名屋敷等があったことが知られており、地下に埋蔵文化財が発見される可能性が高い土地であるとされてございます。
 こうしたことから、事業の実施に当たりましては、地元区や都の教育委員会と相談しながら、試掘調査等を実施いたしまして、埋蔵文化財の有無を確認していくことになると想定してございます。

○小林委員 また、来年五月ごろに検討会議での議論を整理して、来年度にはまちづくり方針を策定するとしておりますが、こうした一連のプロセスの中で、市場関係者など、築地の文化をつくり、守ってきた人たちの意見を聞く機会を設ける必要があると考えますが、現時点でのお考えをお伺いしたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議でいただきましたご意見は、来年五月ごろに築地まちづくりの大きな視点として整理いただき、築地まちづくりのコンセプトのベースとしていくこととしております。この整理を踏まえ、開発コンセプト等を具体化しながら、来年度に都としてまちづくりの方針を取りまとめる予定でございます。
 民間からのヒアリングなどの対象者や実施時期、方法などにつきましては、検討会議での議論なども踏まえながら、今後検討してまいります。

○小林委員 今回は第一回目の検討会議ということもありますので、今後、回を追うごとに具体性を帯びてくるかなと思います。
 衆目を集める重要な課題でもありますので、しっかり本委員会で議論を深めていけるようご協力をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○白石委員 まず、私からも、十月十二日に開催された第一回築地再開発検討会議について、質問を幾つかさせていただきたいと思います。
 そもそも、我が党は築地を更地にして再開発することは反対です。築地市場の現在地再整備こそ、食の安全の確保と、築地の地域が持つポテンシャルをさらに高めると考えております。
 築地市場は世界最大の水産市場であり、五百を超える仲卸が全国から集まる鮮魚を目ききの力で仕分けをして、日本のみならず、世界にまで提供をしております。私もすし屋の見習いとして働き、築地に通っておりましたので、築地のその市場の価値と、そして仲卸の目ききの力というのは実感をしております。
 仲卸というのは、季節ごとの旬や産地によっての味の違いを熟知し、時代によって求められる食材や進化し続ける調理法にも的確に応じてきました。八十年以上にわたり脈々と継承され、磨いてきたその技量は、国境を越えて、世界からも注目と信頼を得るまでに至っております。このようにして積み上げてきた信頼こそが、築地ブランドを築いたのです。
 知事は、築地再開発検討会議で、築地のポテンシャルを生かしていくための話し合いをすると、このようにしておりますが、築地のポテンシャルで最も中核をなすのは、この信頼の置ける築地市場です。市場関係者を入れずに幾ら自由に論じても、真の築地の価値を引き出すことはできません。少なくとも築地市場の関係者を検討会議の委員に入れるべきであると、このような立場から、具体的に質問をしてまいりたいと思います。
 初めに、検討会の委員の人選にかかわってです。
 先ほど来から質問がありますので、私も割愛しますが、出ているとおり、検討会議の設置当初に選任された委員が、第一回の検討会議開催までに、一身上の都合により辞任し、新たに委員を選任し直すということが起こりました。この一身上の都合というのは、小池知事が立ち上げた代表を務める希望の党から総選挙に出馬するためということです。これまでも報道でも明らかとなっております。
 ここで問われるのは、新たな委員を選んだ基準です。
 そこで伺いたいと思いますが、新たに選任された委員は、誰がどのような基準で選任したのか伺いたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 新たに選任いたしました小池達子氏につきましては、辞任した松澤香氏と同じ法律分野から、都政改革本部の特別参与でもある小池達子氏とすることで、知事とも相談し、決定したものでございます。

○白石委員 知事と相談をして、都政改革本部の特別参与である小池達子氏を任命したと、このような答弁でした。前任者は、知事が代表を務める党から立候補して、辞任をする。後継者は、特別参与から選ばれると。これでは、知事のお気に入りの方が常に選ばれているといわれてもおかしくありません。
 先ほどの答弁で、辞退された委員は法律の分野から選んだから、新たに選任する委員も法律の分野から選んだのだと、このような答弁ありました。知事の記者会見、九月二十二日でも、法律家を選ぶ理由が説明をされておらず、不透明な状況です。法律家を委員にする意義を具体的に説明をしていただきたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議では、築地の魅力やポテンシャルなどにつきまして、自由な発想で幅広いご意見をいただくこととしております。会議の委員については、そうした観点から、経営、文化、まちづくりなどさまざまな分野でご活躍の方々に就任を依頼したものでございます。
 法律につきましては、基本的な分野でございまして、全体のバランスを見ながら、法的な観点からも意見をいただくことも必要でございまして、その分野の方に委員の就任を依頼したものでございます。

○白石委員 今答弁で、法律については基本的な分野で、全体のバランスを見ながら、このようなご答弁でしたが、少し意味がわからないので、この全体のバランスの全体とは何を指すのか、お答えいただきたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議におきましての議論の全体を見ながら、ご意見をいただくということを想定してございます。

○白石委員 議論の全体を見ながら、小池達子氏は参加をするということですか。もう一度いいですか。

○木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議では、築地の魅力やポテンシャルなどについて、自由な発想で幅広いご意見をいただくこととしております。法律の分野につきましては、基本的な分野でございますので、会議の議論の全体のバランスを見ながらご意見をいただくということも必要であると考えてございます。

○白石委員 ちょっと説明がまどろっこしくてよくわからないんですけれども、就任された都政改革本部の特別参与である小池氏がどういう立場で会議に参加しているのかということで、検討会議の発言を聞けばよくわかるなというふうに思います。先ほども述べられました。
 会議では、私と築地はどのような関係があるか、朝から考えたが、特別関係はないと。まちづくりの知識や都市計画の知識があるわけではない、一人の都民の視点として考えを述べていきたいと、このように発言をされております。つまり、選ばれた基準の法律の観点も、この発言を見るとなかったことに、私も非常に驚きました。
 そこで伺いたいと思うんですが、新たに委員を選ぶときに、ほかに候補者は複数いたのかどうか伺いたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 候補者の検討段階の状況につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。

○白石委員 候補者が複数いたかどうかも明らかにできないということです。知事のいわれる、この間の都政の透明化や情報公開とかけ離れた姿勢です。
 私は今、質問で、別に名前を教えてくれといっているわけではなくて、一人なのか複数なのかというふうな質問についても、答弁は差し控えたいということです。まさにこの人選のところでは、ブラックボックスならぬグリーンボックスがつくられていると、このようにいわざるを得ません。
 人選の実態は、知事のお気に入りや側近のための枠はちゃんと確保はするんだけれども、一番の当事者である市場関係者は一人も選ばない。余りにも偏った選び方です。これは行政として遵守しなければいけない公平性や公正性が余りにも欠如した人選と指摘せざるを得ません。
 次に、第一回築地再開発検討会議の招集に当たり、十人の委員への日程調整はいつされたのか、具体的に日時を伺いたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 第一回検討会議の日程につきましては、九月中旬ごろから委員と調整を行いました。

○白石委員 委員への日程調整は九月中旬にされたと、このようなことです。この日程は、当然、知事とも相談の上で決定されたのだというふうに思います。
 ところが、知事は初めての検討会議の冒頭、七分程度の挨拶を終えると、すぐに退席をして、国政選挙の応援演説に出かけております。知事の発表した方針に基づき、知事の肝いりでつくった会議でありながら、早々に中座し、議論も聞かず国政選挙活動とは、余りにも失礼な姿勢だと、都政軽視の姿勢であると、厳しく非難されなければなりません。
 先ほど委員の交代で、いずれも都知事に近しい人物であることを指摘しましたが、一方で、この検討会議の委員には、築地の当事者である築地市場関係者が一人も入っていないということも、再三にわたり指摘をしております。築地を守ると知事は表明し、また、再開発後に希望する仲卸業者が戻れるようにする意向を明らかにしたにもかかわらず、そのメンバーが一人も、現在入っていないと。しかも、今後の築地のあり方を検討する委員に選ばれないというのは、余りにも異常な状況だと、やっぱりいわざるを得ません。
 次に、委託調査について質問を進めます。
 検討会議の中では、現在の築地市場を残す場合に、築地市場の建物の現況調査が必要不可欠との意見が出され、調査事項に追加してほしい趣旨の要望が出されました。しかし、調査委託内容の仕様書を見ても、その項目が入っておりません。なぜ調査事項に含まれなかったのか、このことについて理由を伺いたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 建物の現況等に関する調査につきましては、まず、建物を管理する市場当局が所有する図面など、既存の資料を活用して、事務局が情報収集を行うこととしております。

○白石委員 所管である市場当局が築地市場の現況資料を持っていると、このように思うから、あえて委託調査の項目には入れなかったということだと思いますね。
 今答弁で、事務局が情報収集すると、このようにいいましたが、情報収集した後は検討会議に提出をされるのかどうなのか伺いたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 建物の現況等につきましては、築地再開発検討会議の議論の状況を踏まえながら、必要に応じて状況を見ながら、必要があれば報告するということになると考えてございます。

○白石委員 必要があるから、委員の方がぜひ資料をいただきたいというふうにいっているので、ぜひ、これは事務局として、しっかりとすぐにでも情報収集して、提出をしていただきたいというふうに要望したいと思いますが、築地市場の現況を知る資料は、市場当局が既に持っております。ことし六月の市場問題プロジェクトチームの第一次報告書の三四ページでは、十六棟の建物の診断を行ったと、このように記載もされているとおり、詳細な現況調査は既にされております。
 この現況調査の資料があることは明確なので、直ちに市場建物の図面や耐震診断結果の詳しい資料など、築地の建物を残すことを検討するときに必要な資料を速やかに提出をするよう、改めて要望もしておきたいというふうに思います。
 検討会議では、築地を詳しく知る人にもっと意見を聞きたいと、声が出されておりました。委託調査仕様書の委託調査内容の(2)に記載されている、開発コンセプトにかかわる検討では、外国人を含む多様な人々の意見について調査すると、このようにしております。具体的に誰に調査を実施するのかについては今後の検討になると、このように思いますが、検討する対象に市場関係者は含まれているのかどうか伺いたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 現時点では、検討する対象について、まだ決定していないところでございます。
 なお、検討会議におきまして、委員の方々から、開発コンセプトについてどうやってポテンシャルを活用するか、どうやって付加価値をつけるかといったことについて、若い人、東京に住んでいる外国人やツーリスト、海外に住んでいて築地に詳しい人、築地の周辺に住んでいる人、中央区の住民から幅広く意見を調査してはどうかというご意見をいただいてございます。
 そうした委員の意見を踏まえながら、調査の対象者や実施時期、方法等については、今後検討してまいります。

○白石委員 検討する対象に含まれているかどうかもいえないということです。当然ながら、市場関係者の意見は都として具体的に調査すべきだと、強く求めておきたいと思います。
 結局、検討会議の委員でも、委託調査でも、一般的な市場関係者の意見の反映について聞いても、市場関係者から話を聞くという言葉は、都市整備局の皆さんからは、一言もこれまで出てきておりません。
 築地を支えてきた仲卸業者を初めとした市場関係者から話を聞く姿勢が全く示せないようでは、世界に誇る築地ブランドや食文化を守ると知事がいったことが生かされる保証はないと、厳しく指摘しておきたいと思います。
 次に、誰の意見を調査するのかは、仕様書にはもちろん記載はされておりません。
 そこで伺いたいと思いますが、誰の意見を聞くかなど、具体的な調査対象を決定するのは誰になりますか。

○木村まちづくり調整担当部長 委託を発注しているのは東京都でございますので、委託調査においてどのようなことを調べていくのかということを最終的に決定するのは、東京都になります。なお、委託調査は、再開発検討会議と連携をしながらというものでございますので、再開発会議の議論も踏まえながら検討していくことになると考えております。

○白石委員 つまり、委託調査内容を最終的に決める意思決定機関は東京都であるということがわかりました。
 次に、開札予定日時と委託調査の履行期間はいつとされているのか伺いたいというふうに思います。

○木村まちづくり調整担当部長 開札予定日は本年十二月二十一日でございまして、契約の履行期間は来年の三月二十七日まででございます。

○白石委員 今答弁あったように、委託調査の履行期間、すなわち完了する期間ですね、最終日というところでは、二〇一八年の三月というふうにされております。検討会議の最終取りまとめは二〇一八年の五月ごろと、このようにされております。つまり、検討会議の最終取りまとめの二カ月前ぐらいには複数の案が調査され、比較検討されているというふうなことになるんですね、この委託調査の仕様書を見ると。
 本当にちょっとここについては、もう少し詳しく私も聞いていきたいというふうに思うんですけれども、この委託調査は、落札日から年末を挟んで、まず実質四カ月にも満たない期間で、土壌汚染や埋蔵物の課題の整理を行って、幅広い意見を調査し、事業の進め方を複数案提案し、比較検討まで行うと、このようにされております。わずか四カ月にも満たない期間で、委託調査の内容を履行できるようにするところというのは、もう既に調べた実績がないと請け負うことができないのではないかと疑問を抱いてしまいます。
 仕様書をつぶさに見ると、検討会議では議論されない調査事項が多く含まれております。例えば、仕様書の委託内容(3)、事業の進め方の概略検討との項目があります。そこには、民間主導による再開発を前提として、想定される事業の進め方、事業手法、街区構成、手順、スケジュール、都と民間事業者との役割分担を複数案検討し、それぞれ比較検討などを行うと、やけに詳しく調査事項が記載をされております。
 それぞれどのような調査なのか、具体的に説明をしていただきたいというふうに思います。

○木村まちづくり調整担当部長 想定される事業の進め方のうち、事業手法につきましては、一般論といたしましては、例えば、都市開発に関する都市計画の手法や区画整理などの開発手法が考えられます。
 街区構成につきましては、二十三ヘクタールと規模が大きいことから、一般論でございますが、区画道路との関係なども考慮しながら、工区分けなどについて複数のやり方が考えられます。

○白石委員 今、一般論としてざっくりと説明がされました。
 特に私が注目したのが、街区構成の部分です。例えば、この街区構成って何なのかということを私も調べました。例えば、二〇一四年三月に都市整備局が日本設計に行った築地地区まちづくりの調査検討業務委託という報告書があります。私、持ってきましたが、ここの中に、三つのケースで再開発プランがまとめられております。それに即して、街区のイメージも書かれています。
 これを見ると、例えばコンサート会場をつくるとか超高層オフィスをつくるとか、そういうふうな構想が入っています。それらの施設に何人ぐらいの人が入るのか、容積率はどのぐらいになるのか、このような想定がされて、それに基づいて街区割りも、そして開発のステップも定まっていくという仕組みになっております。
 ところが、今回の検討会議の仕組みからすれば、この開発コンセプト、築地のまちづくりの大きな視点を整理して、まとめるのは来年の五月ごろと、このようにしております。本来、そういうコンセプトなどが見えてきてから調査をしていくというのが、本来のあるべき手順だと思います。
 ところが、今度の委託調査の仕様書の内容を見ると、この街区構成なども含めた委託調査は、それよりも、最終取りまとめが出るよりも二カ月前の、来年の三月末までにまとめられるということになっております。これでは、検討会議を差しおいて、民間による委託調査が先行的に築地の再開発の姿も描いていくことにならざるを得なくなるのではないかというふうに、非常に疑問を持ってしまいます。
 こうしたことも見てくると、現在、都市整備局の進めている方向は、築地の市場関係者はそっちのけにして、民間のディベロッパーの意見を重視してまちづくりの計画を進めていこうというようにしか見えないというふうに指摘せざるを得ません。
 次に、今示しましたけれども、政策企画局や都市整備局が築地地区まちづくりの調査やヒアリングを、昨年度までの数年間にわたって調査検討がされております。この内容は、海外のVIP向けの高層ホテルやオフィスビル、国際会議場など、建設する具体的な計画が盛り込まれております。
 九月二十九日の検討会議に関する質問で、日本設計などが調査し、検討された資料はどのように取り扱うのかと都市整備委員会で質問したところ、都は、過去の委託の成果について生かせるものは生かしていくと、このように答弁されました。
 今回の委託調査において、このような過去の成果物、築地地区のまちづくりをずっと調査検討されてきました。この資料というのは、例えば、委託調査を受託したこの事業者に参考資料として渡すようなことは考えているのかどうか伺いたいと思います。

○木村まちづくり調整担当部長 今回、現在発注の手続を進めております委託調査におきましても、これまでの調査の結果など、生かせるものにつきましては必要に応じて活用していくということを考えてございます。

○白石委員 今の答弁でも、結局、過去にこのように、かなり資料は私たちも情報開示請求かけて全部とりましたけれども、過去の高層ホテルやオフィスビルなども下敷きにして、市場関係者の声も、検討会議の委員で、第一回で出された声では、あの築地エリアというのは水辺が近いと、高層ビルはやめてくれと、このような声も出しておりました。このような指摘にも背を向けて再開発を進めていくことは断じて許されないと強く指摘しておきたいというふうに思います。
 第一回検討会議の開催後に、中央卸売市場当局に対して、検討会議で出された意見などは、まず報告されたのか。委託調査の内容なども含めて、これまでに市場当局と相談協議はその都度行われているのかも伺いたいというふうに思います。

○木村まちづくり調整担当部長 市場当局とは、築地再開発検討会議の資料や議事概要を送付するなど、適宜、情報共有を行ってございます。

○白石委員 適宜行っているということです。そもそも築地市場は市場当局の所有であり、都市整備局だけで築地をどうするのかを考えること自体、筋違いだというふうに思います。ましてや、過去に調査検討された高層建築物などの計画が下敷きとなって再開発を進めていくことは、改めて絶対に許されないというふうに思います。
 我が党にも、市場関係者からさまざまな声が届けられています。市場関係者が、今、一番不安に思っているのは、築地ブランドをどのように残すのか、築地に市場機能がどのように残されるのかです。
 知事は、築地は守る、市場機能を確保すると、基本方針で説明していたにもかかわらず、肝心な部分がより不透明となっているのが今の現状です。
 改めて、この検討会議において、当事者である市場関係者や、市場機能について責任を負う市場当局を入れること、そして当事者もしっかりと入れることを改めて強く求めまして、このテーマでの質問を終わりたいと思います。
 次に、米軍基地の横田基地について質問したいというふうに思います。
 米軍基地と都民生活の安全について、これから幾つかお尋ねします。
 首都東京にある横田基地は、米軍再編のもと、自衛隊航空総隊司令部及び関連部隊の移設、日米の共同統合運用調整所や軍軍間調整所の設置など、平時からの日米が統合司令部の中核としての機能強化が、これまでに進められております。パラシュート降下訓練も頻繁に行われ、延期になったものの、米空軍の特殊作戦用のCV22オスプレイの配備も引き続き狙われております。特殊作戦の訓練や出撃の拠点の動きも現在進んでおります。横田基地に隣接してステルス戦闘機のF35の整備拠点もつくられました。
 横田基地は、従来の輸送基地から大きな変貌を遂げようとしており、住民は、騒音、落下物の危険、墜落の危険に日常的にさらされ、不安を抱えております。都民の命と安全を守る自治体としての役割の発揮が、東京都には一層求められています。
 そこで、認識をお尋ねします。
 都は、二年に一度、東京の米軍基地という冊子を発行しておりますが、そこでは横田基地及び厚木飛行場について、航空機による事故が発生した場合、どのような危険性があると記述をされているか伺いたいと思います。

○青山基地対策部長 お尋ねの東京の米軍基地二〇一六では、横田及び厚木飛行場は市街地に位置しており、航空機による事故が発生すれば、周辺住民の生命や財産に被害を与えかねないだけに、安全の確保が重要であると記述してございます。

○白石委員 一旦事故が発生をしたら、市街地に位置しているだけに、被害を与えるというふうな認識であります。
 この記述ですけれども、二〇一四年版では、事故が発生すれば、周辺住民の生命や財産に直接損害を与える大惨事になりかねないと書いてあります。被害を与えかねないのではないということです。大惨事になるんですね。
 横田基地の機能強化や、危険な訓練が増大しているにもかかわらず、それに逆行して、東京都が危険性に対する認識を意識的に弱めているということは、厳しく指摘をしておくものですが、それでも被害は与えるとの認識でした。
 今答弁あったように、一度事故が発生すれば、その被害は甚大になることは間違いありません。とりわけ、欠陥機オスプレイが横田基地に飛来を繰り返し、再来年の十月にも配備されようとしていることは重大で、都の毅然とした姿勢が求められるというふうに思います。
 昨年十二月、沖縄の普天間基地配備のMV22オスプレイが名護市沖で墜落事故を起こしました。その際、小池知事を会長とする横田基地に関する東京都と周辺市町連絡会が、沖縄県名護市沖合でのオスプレイ事故について、国に対して要請をしております。その内容を具体的に説明をしていただきたいというふうに思います。

○青山基地対策部長 平成二十八年十二月十三日に発生いたしました沖縄県名護市沖でのMV22オスプレイの不時着水について、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会は、同月十五日に、外務大臣、防衛大臣及び北関東防衛局長に対し、要請を実施いたしました。その内容は、横田基地へのCV22オスプレイの配備計画が発表されている中での事故であり、周辺住民のオスプレイに対する安全性への懸念が大きくなっているため、事故の原因究明と再発防止策について米軍に申し入れるとともに、客観的事実に基づき、都及び横田基地周辺市町に対し、事故に関する迅速かつ正確な情報提供を丁寧に行うこと、事故に係る原因究明により安全性が確認されるまでMV22オスプレイの飛行を行わない旨、米軍に申し入れることを要請したものでございます。

○白石委員 今ご答弁あったとおり、私、この要請は非常に重要だと思います。我が党が繰り返しオスプレイの配備や飛行の中止を求めてきましたが、これまで都は、安全保障に関することは国の専管事項でありますと、このようにして、米軍の運用に際しましては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要と繰り返す、こういう程度だったんですね。
 しかし、今ご答弁あったとおり、昨年十二月の申し入れが示したのは、安全保障に関することは国の専管事項という事実はあったとしても、広域自治体である都として、国に対し、場合によっては米軍機の飛行を行わないよう米軍に国から申し入れてくれと、このようにいえるということです。本当にこれは大事だなというふうに思います。
 この小池百合子都知事名で、事故にかかわる原因究明により安全性が確認されるまでという限定つきですけれども、このオスプレイの飛行を行わないよう国が米軍に申し入れると、はっきりとこのようにいっているということは、これからも、こういう立場で国ないしは米軍に対して、都民の命、そして安全、財産を守る、こういう立場で毅然とした態度で行っていってもらいたいというふうに思います。
 しかも、要望書の中に入っていた理由も重要なんです。横田基地へのCV22オスプレイの配備計画が発表されている中での事故であり、周辺住民のオスプレイに対する安全性への懸念が大きくなっているためと、このようにいわれております。住民の命と暮らしを守る自治体の役割にふさわしく、周辺住民が安全性への懸念が大きくなっているからには、事故にかかわる原因究明によって安全性が確認されるまではオスプレイは飛行するなと、そういう理由で飛行差しとめを申し入れることができるわけですね。
 それでは、このような住民の不安な状況は、現在解消をされているのかというと、ますます高まっているというふうに思います。
 私どもの機関紙「しんぶん赤旗」が海兵隊に問い合わせたところ、MV22オスプレイの最も重大な事故率が、九月三十日付で三・二七となり、海兵隊の航空機全体の事故率平均二・七二を大きく上回りました。五年前にオスプレイが普天間基地に配備される、このちょい前ですね、防衛省は、オスプレイの事故率は一・九三で、当時の海兵隊平均の二・四五を下回っていると、だから安全なんだと。このような根拠にされておりました。
 しかし、先ほどいったように、現在、この重大な事故率というのは三・二七と、海兵隊の航空機全体の事故率を大きく上回っているということになります。
 普天間基地配備のオスプレイは、ことし八月五日、オーストラリア沖で揚陸艦への着陸に失敗し、海中に墜落する事故も起こしております。そして三人が亡くなるという、国内配備機初めての死亡事故となりました。わずか五年で普天間基地に配備された二十四機のうち二機が失われるという異常事態となっております。
 改めて伺いたいと思いますけれども、東京都として、日本政府や米軍に国内でのオスプレイの飛行をしないよう、今、現時点でもするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○青山基地対策部長 安全保障は国の専管事項でございまして、米軍の運用に関することは国の責任で対応すべきものでございます。
 アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、日米安全保障体制は、地域の平和と安定に重要な役割を果たしておりまして、米軍基地もその一翼を担っているところでございます。
 米軍機の運用につきましても、国の責任で安全確保を行うべきものでございますが、都は、都民の安全・安心や生活環境を守る立場から、米軍の運用に際して、地元住民の生活に最大限の配慮がなされるよう、安全対策の徹底などを国に要請しているところでございます。

○白石委員 防衛省のホームページに、オーストラリアで発生した第三十一海兵機動展開隊所属のMV22オスプレイによる事故についてという、こういう記事がありますが、米軍はMV22に安全な飛行を妨げるような機械的、構造的及びシステム上の欠陥はないと認識している、このように書いてあったりとか、防衛省の知見に照らして合理的な処置がとられていると見られ、米軍がMV22の安全な飛行は可能であると説明していることは理解できるなどの記述は、確かにあるんですけれども、事故原因についてはどうかというと、調査中であるとはっきりと書いてあるんですね、ここには。
 先ほどの要請文でも、原因究明によって安全性が確認されるまでは、オスプレイの飛行は中止をしてくれと、禁止をしてくれと、このようにいっております。そういうふうな立場から、現在、このオスプレイの安全性というのは確認をされていないというふうな状況ですから、しっかりとそういう立場で都民の命、そして財産を守ると、安全を守るという立場で、国、そして米軍に対して、しっかりと申し入れ、ないしは毅然とした態度で臨んでいただきたいというふうに思っております。
 航空機による事故が発生すれば、周辺住民の生命や財産に被害を与えかねないと、こういうふうな記述もありました。実際に、先月、沖縄県高江で大型ヘリコプターCH53Eが炎上いたしました。スーパースタリオンといわれていますね。民家まで三百メーターという大事故であり、現場視察した翁長雄志沖縄県知事は、日常の生活が一転してこういう恐ろしい状況になるということに違和感があると。悲しい、悔しい、そして怒りだと述べております。沖縄県にとって、国難とはこういう状況だと語りました。
 都民にとって重大なのは、この炎上したCH53Eスーパースタリオンは、八月二十九日に横田基地に飛来し、九月一日に離陸していたということです。その一カ月後、重大な事故が都内で発生した可能性は否定できないと思います。
 それだけではありません。FA18戦闘攻撃機、ホーネットという機体ですね。これも昨年十二月に横田基地に飛来した米海兵隊の四機、そのうち一機は、何と三日後に高知沖に墜落し、パイロット一名が死亡するというふうな事故になっております。そして、昨年十二月に名護市沖で墜落したこのオスプレイということで、もう本当に横田基地に飛来し、二カ月たたないうちにどんどん墜落をしているということなんです。
 このように、この一年間余りで横田基地に飛来した米軍機が、短期間のうちに三機も墜落事故を起こしているんですね。
 そこで伺いたいと思いますが、最近事故を起こしているオスプレイ以外の米軍機の安全性について、都はどういう認識を持っているか、改めて伺いたいと思います。

○青山基地対策部長 安全保障に関することは国の専管事項であり、米軍機の安全の確保は、国が責任を持って行うべきことでございます。
 国からは、米軍機の安全確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であり、引き続き万全を期していくと聞いてございます。
 都は、国への提案要求などにおきまして、米軍機の運用について、安全対策の徹底や地元への情報提供などを要請しており、今後も必要な働きかけを行ってまいります。
 また、先ほどのオスプレイにつきましては、国においては、平成二十四年の沖縄配備に当たり、過去の事故の各調査結果の分析評価や、日米合同委員会合意などを総合的に勘案し、我が国におけるMV22の運用の安全性を確認したとしておりますし、また、平成二十八年の不時着水後の飛行及び空中給油の再開に当たって、日米間で原因究明と対策について協議を行い、米側から得た情報などを踏まえ、事故を起こした要因についてあらゆる可能性を分析した上で、防衛省、自衛隊の専門的知見及び経験に照らし、それらの要因を幅広く網羅する再発防止策を米側が全て実施したことを確認したとしているところでございます。

○白石委員 インターネットもあると思いますので、見ていただきたいんですけれども、調査中というふうなものも書いてあるわけです。本当に、先ほど紹介したように、横田基地に飛来して、その後墜落している機体が、一年間で三機です。東京都内に墜落事故が起こってもおかしくないというふうな状況は想定できるんです。そういうふうな状況の中で、今いわれたような姿勢でいいのかというのが問われているのではないでしょうか。
 CH53Eスーパースタリオンは、先月突然不調になったわけじゃないんです。六月一日には沖縄の久米島空港に、訓練中にふぐあいを示すランプが点灯して、緊急着陸をしているんです。その後に横田基地に飛来して、そして高江で落ちるというふうなことになるんです。大惨事と紙一重にある今の都の実態を、本当に直視をしていただきたいと。事故が起こってからでは遅いんです。しっかりとこのことを認識していただいて、先ほど来からいっているように、しっかりと国に対し、米軍に対しても毅然な態度で向かってもらいたいというふうに思います。
 しかも、重大なのは日米地位協定です。都心で仮に事故が起こっても、調査する権限すら与えられておりません。そのため、CH53E炎上事故でも、沖縄県では、CH53Eに放射性物質が使用されている可能性があるとして、土壌の採取を要請したものの、米軍は立ち入りを拒否しました。
 都は、調査権限もない日米地位協定をどのように認識しているのか。また、このことに都として厳しく抗議すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○青山基地対策部長 日米地位協定は、日米安全保障条約の目的達成のために我が国に駐留する米軍との円滑な行動を確保するため、米軍による我が国における施設、区域の使用と、我が国における米軍の地位について規定したものでございます。
 日米地位協定を初めとする安全保障に関することは国の専管事項でありますが、米軍の運用に当たっては、安全面に最大限考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきでございます。
 このため、都は、地域に影響を及ぼす米軍の運用について、日米地位協定の見直しなどを含め、他の自治体とも連携しながら、国や米軍に要請を行っております。
 今後も、都民の生命と安全・安心を守る立場から、必要な申し入れを行ってまいります。

○白石委員 日米地位協定の改正もされなければ、オスプレイが首都圏で大事故を起こしても調査もできないということなんです。自治体として住民の命を保障できないというこのような状況からも、都はオスプレイの配備撤回と飛来差しとめを要求すべきですし、日米地位協定の改正を強く求めていくべきだと、改めて指摘をしたいと思います。
 本日は、横田基地や国内の米軍機の飛行をめぐる問題について質疑をさせていただきましたけれども、首都圏の実態は今、大変危険であることを共有できたというふうに思います。ぜひ都と都議会各会派で力を合わせて、この横田基地の整理、縮小、返還というところでしっかり取り組みを進めることを、改めて呼びかけたいというふうに思います。
 そして、最後の質問に移りたいというふうに思います。
 次に、共同住宅におけるエレベーター設置促進について質問いたします。
 近年、高齢化が急速に進み、高齢者などへの対応のため、バリアフリー化の必要性が高まっております。東京都の高齢者人口は、ことし九月の調査では三百五万二千人、高齢化率は二三・三%と、ともに過去最高を更新しております。都内でも急速に高齢化が進むもと、バリアフリー化を促進する重要性はますます増しているものと思います。とりわけ、生活をする上で最も基礎的な基盤である住宅のバリアフリー化は喫緊の課題です。
 そこで伺いたいと思いますが、都内の共同住宅ではエレベーターの設置状況はどのくらいになっているのか伺います。また、都は現状をどのように認識をされているのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 平成二十五年の住宅・土地統計調査によりますと、都内の共同住宅におけるエレベーター設置率は、持ち家で八二・三%、借家で四四・三%、全体では五四・二%となっておりますが、平成八年以降に建設されたものにつきましては、持ち家、借家とも設置率が高まっており、全体では七割を超える状況となっております。
 高齢者等が安全、快適に居住するためには、現状の共用部分のバリアフリー化は十分な水準に達していると必ずしもいえません。
 なお、これは、建物の階数や戸数、築年数、所有関係など、個々の共同住宅がさまざまな状況に置かれているためと考えております。

○白石委員 エレベーターが設置されていない都内の共同住宅は、土地統計調査によると、約二百七万戸近くあるというふうな状況です。先ほどの答弁でも、この現状について、バリアフリー化は十分でないと、このような認識を示されました。
 共同住宅へのエレベーターの設置促進を具体的に進めるには、適切な現状認識がなければ進まないので、先ほどの認識というのは本当に重要だと思います。その上で、誰もが安心・安全に住み続けられるためのバリアフリー化を進めるには、都営住宅や公社住宅など、公共住宅において、まずは改善が重要だと考えます。
 そこで、公社一般賃貸住宅におけるエレベーター設置率を伺いたいと思います。

○佐々木住宅政策推進部長 公社の一般賃貸住宅は、平成二十九年三月末日現在で六万四千九百四十九戸ございまして、そのうち二万七千七百六戸においてエレベーターが設置をされておりまして、設置率は四二・七%でございます。

○白石委員 今答弁があったとおり、公社一般賃貸住宅のエレベーター設置率は四二・七%、先ほど答弁で、全都の都内の設置率は五四%台ということで、やはり低いということですね。さらに、民間賃貸住宅よりも、この四二・七%というのは低い水準となっております。
 公社住宅は、都内の借家全体の一割以上を管理しており、とりわけ公共住宅を供給する公社住宅の改善は待ったなしの課題だというふうに思います。
 公社の中で一番大規模な団地である町田木曽住宅の十月の募集空き室を見ると、七十四戸が募集をされておりました。一、二階の空き室は全て満室になっていると。約六割は、エレベーターのない五階部分となっているということなんです。バリアフリー化とあわせて、管理している既存ストックを有効に活用する観点からも、このエレベーターの設置というのは大変重要だというふうに思います。
 エレベーター設置など、バリアフリー化を促進する重要性をどのように認識をされているのか。また、エレベーター設置の促進を図るためにはどのような課題があると認識をしているのか、それぞれ伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 少子高齢化や単身世帯の増加などに伴う都民のライフスタイルの変化により、住宅に対するニーズの多様化が加速しているとともに、ライフステージに応じて必要とする住宅の規模や性能が変化する中で、それぞれの都民のニーズに応じた住宅の確保が必要でございます。
 居住者が安全、快適に生活できるよう、住宅のバリアフリー化を進めていくことは重要であると考えており、近年建築された共同住宅についてはエレベーター設置率が向上しております。
 なお、既存の共同住宅にエレベーターを設置するに当たっては、建物の構造や設置スペース、設置費用、日影規制等の法規制、居住者の同意など、さまざまな課題があると認識しております。

○白石委員 居住者が安全で快適に生活できるよう、住宅のバリアフリー化を進めていくことは重要であると、このような認識でした。
 高齢者など基本的な行動が衰える人や障害者などへの対策として、エレベーター設置などバリアフリー化を促進することは、もちろん重要だと思います。また、子育てしているお父さんやお母さんにとっても、エレベーターの設置は重要です。ぜひこの認識を深めていただきたいと思います。
 きょうの質疑に当たって、三十代のお父さん、お母さんから、エレベーターの重要性について聞き取り調査を行いました。七歳、五歳、三歳の三人の子供を育てるお母さんからお話を伺ったところ、子供を連れて外出するときの荷物は、ベビーカー、だっこひも、子供の着がえ、哺乳瓶、お湯を入れた水筒、お水、予備の哺乳瓶などですね。さらに自分の荷物もあるので、これを全て持って外出をしなければならないと。外出前の準備をしている段階から、きょうのお散歩はもうやめようかなと思うぐらい、外に出るのは覚悟が要ると、このようにお話をしてくれました。
 それに加えて、エレベーターがなかったら、子供と全ての荷物を両手に抱えながら下におりなければいけないということになると。万が一転んだりしたら子供の命にかかわるし、そんな危険なところでは子育てなんてできないと、このように話をしておりました。
 国交省が、公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会の取りまとめにおいても、子供連れの保護者は、外出時に荷物の重さはベビーカーを含めると二十キロになると、このように指摘をしております。
 また、妊娠中のお母さんからもお話伺いました。妊娠八カ月ぐらいになるとおなかが大きくなり、足元が見えないと。特に怖いのが階段をおりるときと、このように話します。
 厚生労働省が、妊娠中や出産後に制限すべきものの一つに、頻繁な階段の上りおりを伴う作業を挙げております。つまり、階段の上りおりは、母体などに非常にリスクが伴うという注意喚起です。実際にエレベーターのない住宅に住まわれていた三十代のお母さん、日常生活で階段の上りおりなどによって流産の経験を話してくれた方もいらっしゃいました。
 このように、エレベーターの設置促進は、高齢者など特定の人だけに重要なのではなく、子育て世代など、全ての世代にとって重要だというふうに思います。
 そこで伺いたいと思いますが、階段室型の共同住宅にエレベーターを設置促進するために、都としてどのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 共同住宅にエレベーターを設置する際には、先ほど答弁したようなさまざまな課題について検討を行うことが重要でございます。
 階段室型の共同住宅は、昭和四十年代ごろまでに建設された公営住宅などにおいて多くの例が見られますが、都営住宅におきましては、既存住棟へのエレベーター設置に当たり、例えば日影規制などの建築基準法令の問題について建築指導部署と調整を行い、既存建物の調査や、建築審査会に付議し、法に基づく許可申請を行うなど、一つ一つ課題解決を図りながらエレベーターの設置を進めてございます。
 また、民間の分譲マンションにおきましては、階段室型に限らず、エレベーター設置など、共用部分のバリアフリー改修など性能の向上を促進するため、管理組合等への普及啓発や利子補給等による支援に取り組んでございます。

○白石委員 今答弁ありましたように、設置促進するにはさまざまな課題の検討が必要です。例えば、エレベーターの設置の事業費の平均では、九人乗りのエレベーターで約五千万円程度とされております。四人乗りでは四千万円程度と。公社住宅には、階段室型の住棟にエレベーター設置のための補助制度はありません。もちろん、公社がみずから設置を促進していくことが大事です。しかしながら、公共住宅をというふうな観点から見たときに、このバリアフリー化の促進のためにも、この補助の仕組みも含めて検討していただきたいというふうに思います。
 また、事業費だけの問題ではありません。古い住棟は、設置スペースを確保することが困難であったり、先ほど答弁あったように、日影規制など、法律上エレベーターが設置できないなどの課題もあります。だからこそ、階段室型の共同住宅にエレベーターを設置促進するために、都として、全国の階段室型の住棟に設置された事例の収集や、学者や専門家なども含めた対策チームを都の中でも設けたらどうかと。さらに、居住支援協議会などの作業部会をつくって、こういうところにこの共同住宅のエレベーターの設置促進、バリアフリー化の観点からも、こういうふうな具体的な取り組みもやってみてはどうかということも提案をいたしまして、質問を終わりたいと思います。

○森口委員 私からは、まず、今後三十年間に七〇%の確率で発生するといわれています首都直下型地震に対しまして、セーフシティーを目指した都市整備として、不燃化そして耐震化の取り組みについてお伺いをしていきたい、そのように思います。
 首都直下型地震の際に、木密地域を中心に、建物の倒壊または火災が発生をし、燃え広がることで、人的にも一万名に近い大きな被害想定がされております。不燃化、耐震化といった実効性のある対策が急務となっています。
 都としましても、震災時に特に甚大な被害が想定をされています地域を整備地域と指定をし、建物の不燃化、そして耐震化を推進してまいりました。二〇二〇年度を達成目標とした木密地域不燃化十年プロジェクトにつきましては、区市町村とともに、不燃化特区の区域を重点整備地域と指定をし、木密地域のさらなる改善に向けた対策を進めております。
 また、昨年三月に、整備地域の取り組みをさらに推進をするべく、防災都市づくり推進計画を改定し、新たに二〇二五年度の達成目標として、延焼遮断帯の形成率七五%、整備地域全地域にて不燃領域率七〇%以上を目標設定とするなど、不燃化、耐震化を加速する整備プログラムも策定をしております。
 セーフシティーを目指した都市整備を進め、震災に強い安全・安心な東京を実現するために、まずは二〇二〇年までに道路の拡幅、そして建てかえ、除却などを推進し、燃えないまちづくりとして、不燃領域率七〇%を達成することが急務であるというふうに思っております。現状、指定されている二十八の地域、そして五十三の地区ごとに、目標達成の進捗に差があることからも、それぞれの特性を踏まえた目標達成に向けた取り組みを推進していかなければなりません。
 そこで、都民の命や首都機能を守る防災都市づくりを推進する上で、目標達成に向けた整備地域における都の取り組みについてお伺いをいたします。

○安部防災都市づくり担当部長 都は、整備地域の中でも特に重点的、集中的に改善を図るべき不燃化特区において、都税の減免や老朽建築物の除却、建てかえなどの支援に加えまして、区が行う全戸訪問による制度周知への支援を行っており、昨年度からは、複数回訪問による建てかえプランの提示を行えるようにいたしました。
 また、地域の特性に応じて住民への働きかけを強化するため、区と共同して行う不燃化セミナーや個別相談会の開催地区を今年度からふやすとともに、建てかえに際し、借家人などの移転が円滑に進むよう、新たに引っ越し費用の助成も開始しております。
 このような助成や誘導に加えまして、延焼遮断帯内側の市街地の不燃化を加速させるため、防災生活道路に位置づけた狭隘道路を事業として拡幅整備するとともに、沿道建築物の不燃化を進めております。
 都は、今後とも一層の工夫を加えまして、二〇二〇年度の目標に向けて、不燃化を強力に推進してまいります。

○森口委員 燃えないまちづくりについて、都の考え方を伺いました。現時点において、地域ごとの取り組みの進捗に差があることからも、都が掲げている二〇二〇年度の目標達成に向けて、都と区がさらなる連携を図り、それぞれの地域の特性を踏まえた取り組みを推進していただきたい、そのように思います。
 次に、燃え広がらないまちづくりについて質問をいたします。
 東京都では、市街地の延焼を遮断する特定整備路線の全線整備を目標に事業を推進しているところであります。その効果と、都市整備局が所管をしている路線の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○安部防災都市づくり担当部長 特定整備路線は、大規模火災による延焼を遮断するとともに避難経路や緊急車両の通行路となるなど、地域の防災性向上に大きな効果を有する道路でございます。
 都市整備局では、全二十八区間のうち、沿道のまちづくりと一体となって道路を整備することが必要な五区間で事業を進めております。
 商店街を有する補助第二六号線大山中央地区や、補助第二九号線戸越公園駅周辺地区などでは、にぎわいの維持向上を図りながら整備を進めるため、区とともに地元の勉強会に参加するなど、検討に協力しておりまして、沿道のまちづくりが具体的に動き出しております。
 引き続き、地元区と連携するとともに、関係権利者に対して事業の必要性を丁寧に説明するなど、権利者の事情に応じたきめ細かな対応を行いながら、道路整備を全力で推進してまいります。

○森口委員 ありがとうございます。燃えないまち、そして燃え広がらないまちづくりについて、二〇二〇年度の目標達成に向けた都の取り組みや課題を伺ってまいりましたが、次に、倒れないまちづくりについて質問をいたします。
 一九九五年、阪神・淡路大震災では、死者のうち約九割が家屋の倒壊、そして家具等の転倒によるものでありました。また、昭和五十六年以前の建築をされた旧耐震基準の建物では、多くの建物で被害が見られておりました。
 首都直下型地震が発生した場合、都内の被害というのは、阪神・淡路大震災に類似する、そのように想定がされております。
 そこで、都は二〇二〇年度末までに住宅の耐震化率九五%を目標としていますが、耐震化の現在の進捗と課題についてお伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 住宅の耐震化については、これまで耐震改修等への助成を行い、区の取り組みを後押しすることなどによりまして、推計値でございますが、平成二十七年三月末現在の耐震化率は八三・八%となってございます。
 住宅の耐震化を促進するためには、建物所有者がみずからの問題として認識し、備えていくことが何よりも重要でございまして、耐震化に向けた所有者の主体的な取り組みを促すことが課題でございます。このため、これまで相談会やイベントの開催など、普及啓発の取り組みを行う区市町村に対しまして、その費用を助成してきてございまして、平成二十九年度からは、全ての戸建て住宅の訪問に要する普及啓発の助成額を上乗せし、支援の充実を図ってきているところでございます。

○森口委員 次に、震災時において避難、救急、消火活動、そして緊急支援物資の輸送及び復旧復興活動を支える緊急輸送道路沿道の耐震化についてもお伺いしたいと思います。
 建物倒壊によって幹線道路が閉塞することにより、緊急車両の通行が停滞をし、そして消火、救助活動、緊急支援物資の輸送などに大きな支障を来すことになります。
 二〇一一年六月に、緊急輸送道路二千キロメートルのうち、特に沿道の建築物の耐震化を推進する必要があるものを特定緊急輸送道路と指定をし、条例により耐震化を進めてまいりました。首都直下型地震の切迫性が指摘をされている中、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進していますが、二〇一九年度末耐震化率九〇%の目標達成に向けて、現在の進捗と課題についてお伺いをいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、平成二十三年三月、全国に先駆けまして、お話の耐震化推進条例を制定いたしまして、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断を義務づけるとともに、耐震改修等の費用に対して最大九割の助成を行うなど、耐震化を促進してまいりました。平成二十八年度からは、改修等を促進するための個別訪問による働きかけや、補強設計費の助成上限額を約二倍に引き上げるなど、取り組みを強化してまいりました。
 こうした規制誘導方策によりまして、建物所有者の取り組みを促してきた結果、平成二十九年六月末現在、新耐震建築物を含む耐震化率は八三・六%となってございまして、着実に耐震化が進んでございます。さらなる耐震化に向け、所有者の主体的な取り組みを促していくことに加えまして、個別訪問を通じて明らかとなった所有者個々の事情や状況に応じてきめ細かく対応いたしまして、耐震化につなげていくことが課題であると認識してございます。

○森口委員 お答えいただきました特定緊急輸送道路沿道の耐震化につきましては、二〇二五年度末に一〇〇%達成の目標を掲げております。
 東京のさらなる防災力強化のために、次なるステップとして、災害直後、避難、救助を初め、物資供給等の応急活動のために緊急車両の通行を確保すべき重要な路線であります一般緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化も推進をしていく必要があるかと思われますが、一般緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化のこれまでの取り組みの内容や、現時点の耐震化率、そしてまた今後の東京都の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、特定緊急輸送道路沿道建築物とともに、一般緊急輸送道路沿道建築物についても耐震化を促進するため、建物所有者への啓発文書の送付や、耐震改修等の費用に対して助成を行ってまいりました。
 また、平成二十八年度からは、耐震化に係る所有者の相談などに対応するため、アドバイザーとして建築士などの派遣を開始いたしております。
 耐震化率についてでございますが、平成二十七年三月末時点で七九・七%と推計してございます。
 今後も、引き続き区市町村と連携し、所有者への働きかけや支援を通じまして、耐震化を促進してまいります。

○森口委員 一般緊急輸送道路沿道の建築物につきましては、特定緊急輸送道路とは異なり、耐震化の状況、報告を義務づけていないため、そもそも正確な耐震化率や建物ごとの取り組みの進捗状況が把握できていないというふうに伺っております。沿道建築物の耐震化状況を個々に把握するための方法を検討する必要があるというふうに考えております。
 以上、燃えないまちづくり、そして燃え広がらないまちづくり、また倒れないまちづくりにつきまして、都の取り組みを伺ってまいりました。
 不燃化対策、特定整備路線の整備、そして耐震化といった取り組みにつきましては、直接その建物に住み暮らす人々の命を守るだけでなく、二次災害を防ぎ、その地域全体の安全性を高めるという意味でも、非常に重要な事業だというふうに考えております。首都東京がセーフシティーを実現し、このまちに住み暮らし、そして働く方々の命を守るためにも、官民一体で防災、減災に対する意識を高めることが必要というふうに考えております。
 二〇二〇年度の目標達成に向けて、区とさらなる連携をし、現在行っている不燃化、耐震化の取り組みについて、都民の理解や共感というものを広げていかなければならないというふうに考えております。都民に対して、この取り組みがどの程度、実際、被害の軽減につながっていくのか。また、私たちの安全性がどの程度高まるのか。そういった都民の目線でわかりやすく、取り組みの効果を伝えていくことが重要というふうに考えております。
 都民の共感、そして都民とともに進める安全・安心のまちづくりが必要です。政治家の役割も非常に大きい、そのように思っております。
 私は、一九九五年、阪神・淡路大震災の際に、木造の家屋がほぼ倒壊いたしまして、そのとき、当時十四歳の兄を亡くしております。世界一の都市として、この東京が災害に強い、そして安全なまちづくりをしっかりと実現をし、そしてこの取り組みが日本中に広がるセーフシティーの実現というのを、しっかりと私も皆さんとともに進めていきたい、そのように思っております。
 次の質問に移ります。次の質問は、ことし九月に公表されました都市づくりグランドデザインについて伺いたいと思います。二〇四〇年代、東京の都市像、そして世界一の都市東京の実現についてであります。
 近年、圧倒的なグローバリゼーションによって、人、物、金の流動性が非常に高まっております。国連の調査でも、二〇五〇年には世界人口の三分の二が都市部に集約をされる、そのようにいわれております。世界の都市間競争を勝ち抜いていくためには、人、物、金を引きつけていける、そういった都市、選ばれる都市でなければならないというふうに思います。
 世界の都市間競争で東京とよく比較をされる、多様性にあふれ、伝統と歴史があるロンドンであるとか、また自由と活気にあふれたニューヨーク、そして芸術や文化の都であるパリ、またアジアの主要都市と比べましても、私たちの東京が世界から選ばれる都市でなければならないというふうに思っております。
 先月十月に発表されました森記念財団の二〇一七年度世界の都市総合ランキングにおきましては、東京はロンドン、ニューヨークに次ぐ世界三位という結果でございました。経済、研究開発、文化交流、そして居住、環境、交通アクセス、全ての項目においてバランスがよく、機能として総合力は高いのですが、ランキング一位のロンドンと比べましても、東京は突出した特徴がないのではないか、そのような指摘もございました。
 東京は、世界一の都市を目指す上で、ソフィスティケーテッド・アンド・サムシング・エッジを目指すべき、そのような結論もございました。つまり、高い都市の総合力とともに、突き抜けた都市のアイデンティティー、そういったものをこれから築いていく必要がある、そのような結論でした。
 東京が、今後、世界一の都市として、東京の強みを今よりさらに伸ばすとともに、東京ならではの個性をしっかりと発揮をさせ、世界の都市間競争において、戦略的に都市づくりを進めていかなければならないと考えております。
 そこで伺います。二〇四〇年代に向けて、都市づくりグランドデザインとして、東京はどのような戦略を持ち、都市づくりを進めていくのでしょうか。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市づくりのグランドデザインにおきましては、二〇四〇年代に向け、活力とゆとりのある高度成熟都市を都市づくりの目標とし、目指すべき新たな都市像を実現するため、将来を見据えた大きな七つの戦略に基づいて、具体的な都市づくりを進めていくこととしております。
 例えば、持続的な成長を生み、活力にあふれる拠点を形成の戦略のもと、大・丸・有地区、品川、新宿など複数の国際ビジネス拠点の機能更新を順次進めてまいります。また、人、物、情報の自由自在な交流を実現の戦略のもと、羽田空港の機能強化と空港アクセスの充実、三環状道路など道路ネットワークの着実な形成、高密な鉄道ネットワークの一層の充実などを進めてまいります。さらに、芸術、文化、スポーツによる新たな魅力を創出の戦略のもと、都市開発の機会を捉えて歴史的建造物の保全を図るなど、伝統と先進が融合する東京らしさを感じられる空間の創出などを進めてまいります。
 こうしたグランドデザインに示した戦略に沿って都市づくりを進め、東京が持つ強みを伸ばしながら、世界をリードする都市の実現を目指してまいります。

○森口委員 ありがとうございます。東京の都市としての機能を高めるとともに、江戸からの四百年の歴史であるとか、河川や運河に囲まれた地理的な魅力、また自然と対峙せず融和をしてきた、そういった精神性など、東京らしさ、都市のアイデンティティーとして、そういったものを際立たせ、都市づくりを行い、世界中の人々から選ばれる、そういった東京を実現していかなければならないというふうに考えております。
 最後の質問として、二〇四〇年代の新宿についてもお伺いをしたいと思います。
 活力とゆとりある高度成熟都市を目指す東京において、まちづくりの方向性を官民で共有しながら、拠点としての機能更新が順次進んでおります。
 また、成熟社会における機能更新のモデルとして、新宿のような多様な機能の集積をする拠点の再編が必要不可欠と考えております。
 東京の成長を牽引し、国際競争力を高めていく上で、新宿の新たな拠点づくりについて、東京都はどのように取り組んでいかれますでしょうか。

○久保田都市づくり政策部長 東京が世界をリードする都市としてさらなる成長を遂げ、持続的に発展していくためには、国際ビジネス拠点の一つであり、世界一の鉄道ターミナルを有する新宿の再整備を進めることが必要でございます。
 都は、区とともに、ことし六月、二〇四〇年代の新宿駅周辺が目指すべき将来像とまちづくりの方向性を示す指針を策定、公表いたしました。その中では、かつて時代を先取りして整備をした立体的な駅前広場を、将来に向けて誰もが使いやすい施設につくりかえ、それにつながる歩行者優先の空間を創出することにより、地域の回遊性を高めるとともに、駅周辺建物の更新などを通じて、観光、商業、業務など多様な機能の充実強化を図っていくこととしてございます。
 今後、都は、区や事業者等とともに、将来像を踏まえ、先行して整備する駅直近地区について具体的な整備方針を取りまとめ、当地区の再編を促進し、その効果を周辺地区に波及させ、機能更新を進めながら、国際交流都市新宿の実現に向け取り組んでまいります。

○森口委員 お答えにもありましたが、世界一の乗降客数である新宿駅、そして日本最大級のバスターミナル、西口のビジネス街や大型のホテル、駅周辺から東口にかけての商業施設、歌舞伎町の娯楽街、新宿御苑から、また中央公園といった緑の憩いの場、また周辺にある住居、そういった既に際立ったアイデンティティーを兼ね備えた多様な都市機能が集積をしている新宿駅周辺の地域におきましては、新宿駅を中心として、東西南北の人の回遊性を高め、そして緑豊かなオープンスペースを形成し、各都市機能の相互の連携、そして融合を進め、人中心のまちづくりを進めていくことで、世界からさらに選ばれるまちになるというふうに確信をいたしております。
 二〇四〇年、現在、私の娘、三歳ですけれども、二十五歳になっているかと思います。世界一の都市東京、そして東京の成長を牽引しているここ新宿、またそれぞれ魅力あふれた拠点、またまちづくりが進んでいる二〇四〇年、非常に楽しみにしております。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。

○滝田委員 私からは、四つのテーマについてご質問をいたします。
 まず、一つ目のテーマとして、本年九月に策定された都市づくりのグランドデザインについて伺います。
 先ほど森口委員からも質問ありましたが、私からは、このグランドデザインをどう実現していくかという観点からお伺いをいたします。
 このグランドデザインは、二〇四〇年代を目標時期とした東京の将来都市像と基本的な方針を示した長期計画ですので、既存の政策、事業の延長線にとどまるのではなく、二〇四〇年代に向けてチャレンジをしていくことが重要です。その意味では、今回のグランドデザインには、東京が魅力を高めていくための挑戦的なアイデアや、将来都市イメージが多数含まれた意欲的な内容となっていると思います。いかにこの挑戦的な大方針を具体的なものに落とし込み、実現に向けて前に前に進めることができるのかということが次の課題だと考えます。
 つきましては、グランドデザインで示す都市像の実現に向けて、今後、どのように取り組みを進めていくのか、お伺いをしたいと思います。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市づくりのグランドデザインに基づき、今後は、具体的なまちづくりをどう展開していくかが重要となります。その際、取り組みを有効に進めるには、個別の施策をそれぞれに実施するだけではなく、複数の施策にまたがる分野横断的な課題を同時に解決できるようなテーマについて、関係者で共有し、連携しながら、さまざまな施策に一体的に取り組むプロジェクト型の都市づくりとして進めることが必要でございます。特に重点的に進めるべきテーマである、ストックを生かした道路空間のリメークや、緑、都市農地の保全、活用などをパイロットプロジェクトとして推進してまいります。
 また、都市計画区域マスタープランや用途地域等に関する指定方針など、取り組みの具体化に必要となる個別の法定計画や各種方針等を策定、改定し、政策誘導の仕組みも充実させてまいります。
 二〇四〇年代を見据えて、今なすべきことに工夫を加え、よりよい都市づくりを展開し、活力とゆとりのある高度成熟都市の実現につなげてまいります。

○滝田委員 ご説明ありがとうございます。私からの意見となりますが、魅力ある都市をつくっていく上で克服しなければいけないのは、分野横断的な政策課題をどのように進めていくかということではないかと思います。
 グランドデザインの将来都市像の絵の中には、例えば河川空間を活用したにぎわいの場づくりや舟運活用などが描かれています。これらを実現するためには、治水や河川管理といった従来の河川行政の機能はしっかりと果たしつつ、規制を緩和して、まちのにぎわいづくりのために利活用の幅を広げるということが必要になります。
 規制でブレーキを踏むことと、にぎわいを生むために新たな活用をするというアクセルを踏むこと、特に分野横断している領域において、こうしたアクセルとブレーキが対立して進まないということがないように、既存の部局の枠組みだけではなくて、横断的に人を集めたプロジェクトとして政策課題に取り組むということは、有効な進め方と思います。ぜひともご説明いただいたようなプロジェクト型の都市づくり、実践して取り組んでいただきたいと思います。
 また、政策誘導型の都市づくりですが、グランドデザインに掲げていることを着実に前に進捗していくためには、各種のより具体的な計画に落とし込むことが必要だと思います。こちらの進め方については、今後検討が進んでいくと思いますので、適宜進捗をお伺いしてまいります。
 次に、二つ目のテーマとして、地下鉄について幾つかの観点でお伺いをいたします。
 まず、東京メトロと都営地下鉄の経営状況についてお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 東京メトロ、都営地下鉄とも経営状況は黒字で推移しておりまして、直近の平成二十八年度における東京メトロの決算につきましては、企業の売上高に相当いたします営業収益が三千八百二十九億円、経常利益が八百四十一億円、当期純利益が五百九十九億円となっております。また、同年度におけます都営地下鉄の決算につきましては、営業収益が一千四百六十八億円、経常利益が三百二十九億円、当期純利益が三百二十九億円となっております。

○滝田委員 ご回答いただきましたとおり、東京メトロ、都営地下鉄ともに、直近の決算状況は黒字であることがわかりました。特に都営地下鉄について調べてみますと、長く厳しい経営が続いておりましたが、大江戸線の乗客の伸びなどもあり、近年は十一年連続で黒字となっています。累積の欠損金や長期債務等を見ても、財務体質は改善をしてきております。
 個々の経営としては良質化が進んでいると思いますので、今後も関係局とともにご尽力をお願いしたいと思います。
 一方で、個々の良質化とは別に、東京の地下鉄網を構成する東京メトロと都営地下鉄の二者が一体となることで実現できることも少なくないと思いますが、地下鉄一元化に向けた認識についてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 地下鉄の一元化につきましては、最近では、平成二十二年度に、都が国や東京メトロとともに設置いたしました東京の地下鉄の一元化等に関する協議会、この場におきまして検討を行いました。この検討におきまして、平成二十三年二月に今後の取り組みを整理しておりますが、地下鉄の経営一元化は、東京の地下鉄のサービス改善、一体化を進める上で有効な方策ではあるものの、国は経営一元化には課題が多いとしております。また、関係者間で意見の隔たりが大きく、協議を継続することとしております。
 こうしたことから、二〇二〇年東京大会の開催に向けまして、まずは都民や外国人観光客の利便性向上に直結いたしますサービス改善、一体化を進めているところでございます。

○滝田委員 経営の一元化には固執せずに、まずは利用者目線でのサービスの一体化に取り組んでいること、理解いたしました。
 そこで、現在、両地下鉄が進めているサービス改善、一体化について、取り組み内容をお伺いしたいと思います。

○中島都市基盤部長 地下鉄の利便性を高めるため、都営地下鉄と東京メトロでは、改札通過サービスの導入、両地下鉄を自由に利用できる旅行者向けの割安なTokyo Subway Ticketの発売、列車の増発や区間延長による最終列車の繰り下げなど、さまざまな取り組みを連携して進めてまいりました。
 このほか、二〇二〇年東京大会の開催に向けまして、多言語に対応した券売機の共同開発、乗りかえルートのバリアフリー化など、東京の地下鉄が利用者にとってより一層使いやすいものとなるよう取り組んでおります。

○滝田委員 ご説明ありがとうございます。将来的に地下鉄の経営一元化を進めていくべきと私は考えておりますが、それに向けたステップの一つとして、利用者の利便性向上を図るサービスの改善、一体化の取り組みは着実に進めていただきたいと思います。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を一つの期日目標とすることは、取り組みを進捗させる上で有効と思いますので、両地下鉄がしっかりと連携して進めるべきだと思います。
 一方で、サービス改善、一体化を目指してきた経緯や、社会的な意義の大きさを考えると、事業者任せではなくて、都としても進捗を見ていくべき事柄と思います。何をいつまでにどこまで進めるのか、目標の設定、そして進捗管理をどのようにするか定めた上で、モニタリングしていくことをお願いいたします。
 最後に、少し異なる論点となりますが、地下鉄駅空間の質的向上についてお伺いをいたします。
 地下鉄駅は、多くの人が利用する重要な施設であり、周辺のまちづくりとも連携して、地下鉄駅の質的向上に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 東京が持続的に発展するには、東京の強みである発達した鉄道ネットワークを生かし、駅を中心に誰もが移動しやすいまちをつくることが重要でございます。特に、都心部の地下鉄駅では、出入り口がわかりにくい駅や、複数路線の乗り入れなどにより乗りかえが不便な駅がございます。
 今後、自治体や鉄道事業者など関係者と連携を図りまして、都市再生や開発に関するさまざまな制度も活用して、駅と一体となった開放的な地下広場や、駅とまちをつなぐバリアフリー化された歩行空間の整備などを誘導することによりまして、地下鉄駅を中心としたまちの顔づくりを進めますとともに、便利でにぎわいのある空間の創出に取り組んでまいります。

○滝田委員 鉄道駅と異なりまして、これまで地下鉄駅とその周囲は、乗降客数の割に拠点性が低く、いわゆるまちの顔となれていませんでした。今後は、まちづくりの観点から、地下鉄駅の拠点性を高めていく取り組みをぜひ進めてほしいと思います。
 虎ノ門の新駅開発などは、周囲の再開発が計画されており、一体的な整備ができるよい事例づくりの機会になると思います。都として、こうした観点から後押しをしていくことも期待をいたします。
 また、既存駅においては、ご説明いただいたような不便のある駅や、周囲での再開発機会がある駅などを中心に、取り組みを優先的に進めるべき地下鉄駅を選定するといった具体的な方針を立てて推進いただきたいと思います。
 三つ目のテーマは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村地区の整備におけるモデル的な事業である水素エネルギーの活用と、BRT、バス・ラピッド・トランジットの整備についてお伺いをいたします。
 選手村地区の開発において、新たな都市コンセプトとして、水素を地域エネルギーとする方針が示されています。まず、選手村地区で水素エネルギーを活用することについてどのような意義があると考えているか、お伺いをいたします。

○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 水素エネルギーは、利用段階で水しか排出しない環境性能、また災害発生時に独立したエネルギー源とできることなど、多くの利点を有し、その普及が期待されております。
 快適性とエコな暮らしの両立を目指す選手村地区のまちづくりにおきましては、この水素を先導的に導入し、東京二〇二〇大会を契機に、環境先進都市のモデルとなる取り組みを推進していくことに意義があると考えております。

○滝田委員 ご説明をいただきました意義に対して、当該選手村地区のまちづくりにおいては、具体的にどのような取り組みを行っていくのか、お伺いをいたします。

○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村地区におきましては、水素ステーションを整備し、燃料電池バス等の車両への供給のほか、実用段階としては日本初となる住宅などの街区への供給を進めてまいります。この取り組みを通じまして、水素のすぐれた貯蔵性を生かし、災害時においても電気や熱の供給を行い、まちの自立性を確保してまいります。

○滝田委員 当該水素エネルギーの活用に当たっては、都としては、インフラ整備のためのスペースの提供や環境分野での補助はしている。しかしながら、基本的には民間事業の資金にて事業運営を行うものと理解しています。
 その上で、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーづくりの観点では、都としての役割は重いと考えますが、当該事業において都としてどのようにアピールを行っていくのか、お伺いをいたします。

○山下市街地整備部長選手村担当部長兼務 水素社会の実現には、都民や民間企業など、多様な人々の理解や利用促進が必要でございます。
 都は、世界中から多くの人が集まる東京二〇二〇大会時に、エネルギー事業者の協力を得ながら、実際の水素供給システムの展示やパビリオンの設置などのプレゼンテーション事業を実施することといたしました。この機会を捉え、水素の普及に向け、その有用性や、我が国の最新技術を広く国内外に発信してまいります。

○滝田委員 整備段階で都が事業としてできるのは、国内外への発信などが中心ではありますが、選手村でのモデル的な事業を踏まえて、将来的な横展開のための検証や知見を蓄えること、これは都が率先して行っていただきたいと思います。
 整備コストの削減や、安全かつ効率的な精緻なインフラシステムを構築できるように、民間事業者とともに、将来につながる取り組みを目指していただくことをお願いいたします。
 続いて、BRTの整備について、概要と意義についてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 BRTは、定時性、速達性を確保した、バスをベースとする都市交通システムでございます。連接バスなどの運行によりまして、路面電車に遜色のない輸送力と機能を有し、鉄軌道のシステムと比べ、導入も容易でございます。
 BRTの導入によりまして、地域の公共交通の利便性向上、利用環境の改善が図られます。

○滝田委員 選手村周辺においては、鉄道系の交通網がありませんので、導入コストの低いBRT導入は意義あるものと考えます。また、基盤となる道路網等も整備されていく予定であり、導入適地と考えます。
 一方で、BRT導入は、当該地域だけではなくて、今後、他地域への広がりも想定されるモデル的な意味合いも大きいと理解しております。今後、BRTを導入する上で想定される課題についてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長 BRTは、定時性、速達性を確保した交通システムでございます。その導入に際しましては、BRT、その機能が発揮できますよう、運行ルートの設定や走行空間の確保、一般の自動車交通への影響、事業採算性など、さまざまな課題に対応する必要がございます。
 なお、都は、選手村の周辺でございますが、臨海地域の交通需要の増加に対応するため、環状二号線を活用いたしまして、都心と臨海副都心とを結ぶBRTの導入に取り組んでいるところでございます。

○滝田委員 説明ありがとうございます。今後、選手村周辺地域での整備を進める中で、こうした問題を着実にクリアできるよう、論点を整理して、想定をしっかりした上で進めていただきたいと思います。一方で、当該地域での整備、運用を検証し、知見を蓄えていただきたいと思います。
 BRTが、既存のバス交通と鉄道交通の間の中規模輸送をしっかりと担えるとなれば、現在、十分な交通網がない地域においての選択肢となります。当該事業で終わらせず、試金石とできるように、整備段階から将来的な横展開を意識して動いていただけますよう、お願いを申し上げます。
 最後のテーマとなりますが、自動運転車と都市づくりについてお伺いをいたします。
 近年、自動運転の技術開発が進んでいることに注目が集まっております。ドライバーが運転に全く関与しない完全自動走行の領域、いわゆるレベルフォーを、二〇二五年をめどに技術的に実現する方針と発表する本邦大手自動車メーカーもおります。
 政策的な対応においても、遠い未来の話ではなくなってきていると思います。特に、都市整備の領域は長期の取り組みであることから、整備を進めているうちに、自動車や交通を取り巻く技術革新によって都市構造の前提が大きく変わってしまう、そんな可能性も出てきたと思います。そのような時代を迎えつつあるものと、私は捉えております。
 一方で、これまでの国内での議論は、自動運転の実現に向けた技術的な話や制度論的な話が中心であり、都市構造もしくは都市像がどのようなものになるのか、議論が深まっていないと認識をしています。
 そのような中で、都として本年度に調査を実施する予定であることは、大変意義深いと考えています。平成二十九年度予算の調査委託の内容及び今後の調査方針をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 都は、二〇二〇年に向けた実行プランを踏まえまして、自動運転技術が都市の道路交通や道路空間に与えます影響や効果、都市づくりへの活用方法などについて調査検討を進めていくこととしております。本年度は、基礎調査といたしまして、自動運転技術に関します国やメーカーなどの取り組みの調査や都民への意識調査などを行いますとともに、東京の地域特性に応じた都市づくりへの活用について検討を行っているところでございます。
 次年度以降も、自動運転技術が普及した東京の将来を見据え、検討を深めてまいります。

○滝田委員 長期的な都市整備の方針を左右する可能性のある技術革新だと考えております。東京都が、都市づくりの観点からは、率先して国内の議論をリードしていくべきと考えております。
 ご説明いただきましたとおり、単年でできるものではないと思いますので、自動運転技術が普及した社会における東京の将来像の具体的な検討をしっかりと進めていただきたいと、私から強く要望をいたします。
 以上で私からの質問を終わります。

○たきぐち委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○たきぐち委員長 異議なしと認め、報告事項及び事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時二十分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る