都市整備委員会速記録第四号

平成二十九年三月二十二日(水曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長あさの克彦君
副委員長白石たみお君
副委員長神野 次郎君
理事大松あきら君
理事神林  茂君
理事桜井 浩之君
やながせ裕文君
西沢けいた君
松村 友昭君
山田 忠昭君
林田  武君
小磯 善彦君
高橋 信博君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務邊見 隆士君
次長別宮 浩志君
技監都市づくり政策部長事務取扱上野 雄一君
理事佐藤  敦君
理事航空政策担当部長事務取扱佐藤 伸朗君
総務部長今村 保雄君

本日の会議に付した事件
意見書について
予算の調査(意見開陳)
・第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備委員会所管分
・第十一号議案 平成二十九年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十二号議案 平成二十九年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十三号議案 平成二十九年度東京都都市開発資金会計予算
・第十六号議案 平成二十九年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第十九号議案 平成二十九年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(決定)
・第四十二号議案 東京都市計画事業北新宿地区第二種市街地再開発事業施行規程を廃止する条例
・第四十三号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○あさの委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました意見書三件につきましては、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○あさの委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査及び付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備委員会所管分、第十一号議案から第十三号議案まで、第十六号議案及び第十九号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○神野委員 それでは、都議会自民党を代表いたしまして、意見開陳をさせていただきます。
 平成二十九年度予算案作成に当たり、我が党は、二〇二〇年とその先を見据え、必要な施策は充実し、強固な財政基盤を堅持していくべきであると知事に要望いたしました。
 都は、今後も、施策の実効性、効率性を高める取り組みを進めるとともに、財源として活用可能な基金残高を確保し、都債発行額は抑制するなど、強固で弾力的な財政基盤を構築していくことを要望いたします。
 さて、平成二十九年度予算では、築地市場が豊洲に移転するのか、現在地に残るのか、大きな課題となっています。都議会自民党は、判断の公正を期すため、予算特別委員会において、豊洲と築地それぞれの適正性について知事にただしてまいりましたが、納得のいく答弁をいただけませんでした。
 このため、この件に関して、本委員会において議論を重ねてまいりましたが、これまでの委員会質疑においてもいまだ議論は尽くされておらず、豊洲への移転、築地での継続、それぞれに関する理事者の説明は、都民の皆様に十分納得いただける状況にないといわざるを得ません。
 こうした状況を踏まえ、我が党は、三月二十七日に予定されている予算特別委員会の締めくくり質疑で、市場に関係する全ての政策と予算に対して、詳細かつ重点的な質疑をさらに重ねていく必要があると考えております。
 意見開陳の冒頭に、まずこのことを申し上げておきます。
 それでは、都市整備局事業について申し上げます。
 一、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会とその先を見据え、東京を世界で一番の都市へと導くため、二〇四〇年代の都市像を示す都市づくりのグランドデザインを策定し、その実現に向けた取り組みを着実に推進されたい。
 一、外環の一日も早い完成に向け、東名高速から湾岸道路までの計画の早期具体化を国に強く求められたい。
 一、平成二十八年三月策定の東京における都市計画道路の整備方針に基づき、区部の環状道路や多摩地域の軸となる幹線道路など、都市計画道路ネットワークの充実強化を図るとともに、整備方針に位置づけられていない都市計画道路のあり方の検討を進められたい。
 一、鉄道ネットワークの充実、羽田空港の一層の機能強化や国際化及び空港アクセスの整備等、公共交通網の充実に向けて積極的に取り組まれたい。また、水の都東京の魅力を高めていくため、舟運の活性化に向けた取り組みを進められたい。
 一、首都圏の高速道路は重要な都市インフラであることから、平成二十八年四月に導入された新たな料金体系の影響などを検証し、一体的で利用しやすい料金体系の実現に向け、積極的に取り組まれたい。
 一、木密地域不燃化十年プロジェクトを強力に推進されたい。また、延焼遮断帯内側の市街地の改善をさらに進めるため、特定整備路線の推進、区における防災生活道路整備事業への支援拡充に取り組まれたい。
 一、区市町村等と連携し、緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断結果を、改修や建てかえ工事に確実につなげられたい。また、東京圏全体で、緊急輸送道路の機能確保に向け、周辺自治体との広域的連携にも取り組まれたい。
 一、首都圏における住民の生命や財産を守るために、極めて重要な施設である八ッ場ダムの早期完成を国に強く要請されたい。
 一、地域の特性に応じた良好な市街地の形成を図るため、土地区画整理事業、市街地再開発事業などの市街地整備事業を積極的に推進されたい。
 一、防災上の課題や少子高齢化に伴い多様化する都民のニーズ等に対応するため、区市町村と連携し、空き家の利活用を促進されたい。また、空き家所有者に管理の重要さを周知するとともに、専門家を活用した適切なアドバイスを行える相談体制整備などの支援を行われたい。
 一、新たに策定する東京都住宅マスタープランに基づき、子育て支援、空き家を活用した高齢者の入居支援、良質な既存住宅の流通拡大、マンションの適正管理や建てかえなどによる再生など、区市町村とも連携し、住宅政策を総合的に推進されたい。
 以上をもちまして、意見開陳を終わります。

○大松委員 都議会公明党を代表し、当委員会に付託された平成二十九年度予算関連議案について意見開陳を行います。
 平成二十九年度一般会計予算案は、男女や教育機会の格差とまちの段差をなくす施策を初め、必要な施策には思い切った予算措置を行うと同時に、財政構造改革の一層の推進を図った結果、一般会計の規模は五年ぶりに減となるなど、めり張りのついた予算案となっています。
 具体的には、二〇二〇年に向けた実行プランに掲げる事業を一〇〇%予算化するとともに、都議会公明党が強く求めてきた待機児童対策の充実や、高等学校の授業料における公私格差の解消、無電柱化など、都民の生活の質を高める取り組みに財源を重点的に投入するなど、都民福祉の向上を図る施策が随所に盛り込まれています。
 一方で、都財政は、景気変動に大きく影響を受けやすい不安定な歳入構造であることを踏まえ、安定的かつ継続的な行政サービスを提供していくための強固な財政基盤の構築を図ることが不可欠であります。
 今回、全ての事業に終期を設定し、終期を迎えた事業について事業評価を行うシステムを導入するなど、施策の効率性や実効性を高める取り組みを徹底し、事業評価の取り組みを通して昨年度比約二・四倍となる七百二十億円の財源を生み出していることは、財政構造改革の取り組みが力強く前進したものと高く評価します。
 また、都債や基金を計画的かつ戦略的に活用していることは、社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費、さらには、二〇二〇年東京大会に向けた需要増など、中長期的な視点に立った財政対応力の強化にしっかり取り組む姿勢をあらわすものであり、評価します。
 なお、我が党がこれまで積極的な活用を求めてまいりました複式簿記・発生主義による新たな公会計制度を、今後の財政運営により効果的に生かすことを求めておきます。
 今後とも、いかなる状況にあっても都民生活を守ることを第一に考え、将来に向けて、責任ある堅実な財政運営に努めることを強く望みます。あわせて、予算の執行に当たっては、都民の負託に的確に応えられるよう、より効率的に行うとともに、効果の高い施策を早期に展開させていくことを強く求めておきます。
 都市整備局関係について申し上げます。
 一、東京の都市インフラや施設更新を効果的に進めながら、日本の経済発展を牽引する首都東京の国際競争力を一層強化し、あわせて環境先進都市の創造に取り組むこと。
 一、街区の大型化と公共施設や都市インフラの再編を進め、活力と魅力に満ちた東京の再構築を実現するため、都市再生の開発プロジェクトを推進すること。
 一、木造住宅密集地域の整備事業を推進するために、木密老朽住宅の建てかえ、住環境の整備を強力に推進すること。木密地域不燃化十年プロジェクトにおける不燃化特区制度については、地域住民の声もよく踏まえ、地元区とも十分連携し、有効性のある使いやすい制度運用となるよう改善し、木密地域の不燃化をさらに強力に推進すること。
 一、緊急輸送道路沿道建築物について、新たな目標と施策、耐震改修促進計画に基づき、耐震化を促進すること。また、所有者の個別課題に柔軟に対応し、共同化や街区再編などを含めて積極的に耐震化を図ること。
 一、都市の機能や利便性を高めるため、鉄道交通網整備やBRT等の地域交通網整備の促進に向けて、都の役割を強化すること。また、運河を含めた舟運の活性化に向けて、積極的に取り組むこと。
 一、羽田空港の機能強化とさらなる国際化を推進し、羽田が二十一世紀のインフラとして十二分に活用されるよう、空港アクセスの強化を急ぎ、促進させること。また、航空機の騒音、落下物等、都民の安全・安心のための対策を国に求めること。
 一、鉄道駅におけるバリアフリー化を推進するため、ホームドアやエレベーター等の整備を促進すること。
 一、局地的な集中豪雨が多発し、浸水リスクが高まっていることから、浸水被害の危険性の高い地域においては、公共施設等を活用して一時貯留施設等を積極的に設置していくこと。
 一、豊かな住生活の実現と持続に向け、新たに策定する住宅マスタープランに基づき、住宅施策を総合的かつ計画的に推進すること。
 一、良質なマンションストックの形成促進計画に基づき、マンション施策を総合的かつ計画的に推進し、老朽マンション等の再生を一層加速すること。
 一、マンション管理ガイドラインを防災面の対応を含めて早期に改定すること。また、マンション管理アドバイザー制度の一層の周知及び利用の促進を図ること。
 一、震災時でもマンション居住者等が建物内で生活を継続できるよう、エレベーターの耐震性向上や早期復旧等を進めること。
 一、都営住宅については、耐用年数を超える住宅が大量に発生し、住宅のセーフティーネット機能が損なわれ入居難が深刻化することのないよう、建てかえ事業を大幅に加速させること。また、建てかえにより創出された用地については、子育て施設、サービスつき高齢者向け住宅等を含む複合高齢者施設の設置促進等、少子高齢化対策等に活用すること。さらに、同様の施策を東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅においても進めること。
 一、高齢者が住みなれた地域で安心して住み続けられるように、サービスつき高齢者向け住宅の一層の供給促進に取り組むこと。
 一、都営住宅の間取りや住宅設備については、高齢者にとってより使い勝手のよい内容への改善を進めること。また、高齢化による自治機能低下を補うため、共益費の回収負担の軽減や団地内コミュニティ機能の維持向上のための支援策を具体的に推進すること。あわせて、安否確認のため、地元自治体との協力協定締結の促進を図ること。
 一、都営住宅における親世帯と子世帯の近居を可能とする親子触れ合い住みかえ募集制度については、比較的需要の見込まれる地域で募集するなど、制度の拡充に努めること。
 一、少子化の進展に対応するため、現居住者の円滑な転居を優先しながらも、都営住宅の建てかえ後の住宅の一部を子育て世帯向けの募集住宅とすること。
 一、区市町村が実施する空き家実態調査や空き家の利活用等の取り組みを支援すること。
 以上をもちまして、意見の開陳を終わります。

○西沢委員 私は、東京改革議員団を代表して、当委員会に調査を依頼された平成二十九年度予算案に係る議案について意見の開陳を行います。
 平成二十九年度予算案は、小池知事就任後、初の本格予算となります。
 予算規模は、前年度比〇・八%減の六兆九千五百四十億円となりました。トランプリスクによる世界経済への影響等による税収の下振れなど懸念材料を踏まえると、東京改革議員団が繰り返し提案してきた、徹底した無駄の排除と行財政改革の推進など、より一層の財政基盤の強化が求められているものと考えます。
 歳出面では、基金積み立てや公債費等を除く一般歳出が、前年度比〇・六%減となりました。将来の成長に向けた戦略をしっかりと描き、その戦略に基づく新産業の育成や環境、エネルギー施策の充実、子育て、福祉の充実などに集中して予算を投じ、めり張りをつけることが重要です。
 このような観点から予算案を見ると、財政構造改革を推し進めるとともに、事業の必要性や経費の内容などを検証しつつ、未来への投資を積極的に行っております。また、予算編成過程の透明化が図られた点についても評価しています。
 さらに、保育士の処遇改善、高校生を対象とした給付型奨学金の創設、働き方改革の推進など、都政改革、子育て支援、労働分野での積極的な取り組みは、私たちが提案してきた内容が盛り込まれていると考えます。
 今後も、施策のあり方を不断に検証しながら、東京の特性を踏まえた費用対効果の高い施策を展開するよう要望するものです。
 さらに、公文書の管理徹底、監理団体、報告団体も含めた外郭団体改革についても、引き続き強く求めておきます。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、都市整備局にかかわる事項について申し上げます。
 一、木造密集地域整備事業、都市防災不燃化促進事業などを推進すること。また、木造住宅密集地域の整備を促進するため不燃化特区制度を推進すること。民間木造住宅の耐震診断及び耐震改修等への支援については、多摩地域まで補助対象とするよう補助制度の拡充を図ること。
 一、特定沿道建築物の耐震診断、耐震改修一〇〇%達成のため、改修による有効面積の減少を抑える、営業を継続しながら施工するなど、所有者が改修に取り組みやすいよう、技術面での支援や情報提供を行うこと。
 一、マンションの管理不全を防止する観点から、区市町村ともしっかりと連携して取り組みを推進すること。
 一、マンションの耐震化促進のため、取り組みを推進すること。
 一、良好な自然的環境や景観の保全を行うこと。また、CO2削減や緑確保など、環境に配慮した都市づくりを行うこと。
 一、空き家対策については、発生抑制、利活用支援など、総合的に取り組みを推進すること。
 一、CLTの普及については、国の動向も踏まえて、引き続き注視していくこと。
 一、既存住宅の流通促進に向けて、ホームインスペクションや住宅履歴情報の普及など、住宅の価値が適切に評価されるよう取り組みを進めること。
 一、低所得者の居住安定確保のため、民間住宅のストックを有効に活用し、住宅のセーフティーネット機能強化を図ること。
 一、総合的な治水対策を着実に進めるとともに、緊急豪雨対策として一時貯留施設の設置促進を図ること。
 一、主要な駅やその周辺におけるバリアフリー化を進めること。また、駅ホームからの転落事故防止のため、鉄道駅のホームドア設置を早急に促進するとともに、先進技術の開発を支援すること。
 一、多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎への延伸を初め、多摩地域における鉄道交通網の充実に向けて積極的に取り組むとともに、羽田空港のアクセス改善に向けて取り組みを進めること。
 一、都営住宅の建てかえにおいては、敷地の有効利用を図り、地域に必要な子育て施設や高齢者施設の整備など、一層促進すること。
 一、米軍基地による騒音対策など生活環境問題の解決に努めるとともに、各基地、関連施設の返還や横田空域の全面返還に、国、地元自治体とともに積極的に取り組むこと。
 以上で、東京改革議員団を代表しての意見開陳を終わります。

○白石委員 日本共産党都議団を代表して、本委員会に提出された予算関係について意見開陳をいたします。
 この間、大企業や富裕層の利益は大きくふえましたが、都民生活は向上していません。実質賃金は、この五年間でも年額十八万円も低下し、家計消費は十六カ月連続で前年を下回っています。国の二〇一六年度の税収は予算見込みを大きく割り込み、国債発行額は消費税増税以降の三年間で最悪となっています。二〇一七年度も、所得税、消費税は前年度当初を下回る見込みとされ、国も、国民の所得、消費が減ると予想せざるを得ないところまで経済が行き詰まっています。
 この二十年間で、富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大が進行し、日本経済は大きなゆがみが生じています。そのもとで、都民の暮らしや中小企業などの経営はさらに厳しい環境へと追い込まれ、都として、格差と貧困を正すことは重要な課題となっています。
 今、都に求められていることは、不要不急の巨大開発や住民合意のない道路などの事業を極力抑制し、十七年間新規建設がゼロとなっている都営住宅の増設に踏み出し、福祉、医療、教育などの暮らし応援に重点を置くべきです。
 新年度予算案は、保育園の待機児童解消目標を、来年度一万八千人、四年間で七万人としたこと、中でも保育士の給与を一人当たり二万一千円相当引き上げることや、保育園を建てるために、二十三区内で土地を貸し出す方に対する固定資産税及び都市計画税の減免措置の創設は、我が党が求めてきた方向と合致するものであり、重要な前進です。
 高齢者政策でも、特別養護老人ホーム整備資材の高騰に対応した加算を行い、認知症高齢者グループホームの整備のため、土地、建物の所有者と事業者の紹介を行うことなどの前進があります。
 その一方で、住民生活を破壊し、住民の強い反対がある特定整備路線を初め、不要不急の幹線道路計画は継続されており、こうした大型開発の抜本的見直しを進めることが求められています。
 次に、都市整備局関係について申し上げます。
 鉄道駅総合バリアフリー推進事業が今年度比二・八倍の大幅増額提案となっていることは重要な前進です。
 一方で、国際競争力強化を口実に、大規模再開発をさらに推し進めるための調査費用や住民追い出しの特定整備路線を引き続き推進する姿勢は改めるべきです。
 また、住宅費は、住まいの貧困問題などを解決するための家賃補助制度などの予算は盛り込まれず、極めて不十分であると指摘せざるを得ません。
 さらに、首都直下地震から都民の生命と財産を守る防災対策では、倒壊や火災の危険地域とされる木密地域の解消が急務です。しかし、木密地域における木造住宅の耐震化助成予算は増額提案となっていますが、その理由は、国庫負担が減額されることにより、減額分を都と区が負担する国の制度変更に伴う増額です。
 これまでも指摘してきましたが、毎年のように予算が使い残されている原因は、木密地域内のごく限られた地域に対象が絞り込まれているからです。首都直下地震が差し迫る中、防災の大原則である予防対策の重要性を真摯に受けとめ、予算の抜本拡充とともに、対象地域を少なくとも木密地域全体に拡大することを強く求めるものです。
 日本共産党都議団は、環状道路や大型開発優先から、都営住宅の新規建設、公共施設や木造住宅の耐震化など、生活密着型の公共事業優先への転換を図り、誰もが安心して住み続けられる災害に強い東京の実現を求め、以下、主要な点について要望します。
 一、巨大道路や超高層ビル優先の都市づくりを改め、都市としての成長をコントロールする成長管理型の都市計画、都市づくりの転換を進めること。
 一、外かく環状道路の本線工事を中止し、外環ノ2の道路計画は撤廃すること。東名高速道路以南の計画化は撤回すること。
 一、木造住宅密集地域の安全化対策は、幹線道路の整備や再開発優先でなく住民合意を基本に進めること。
 一、住宅の耐震化は、所有者の自己責任という都の基本姿勢を改め、都民の生命、財産と地域、まちを守るための重要課題として位置づけること。
 一、木造住宅の耐震化を促進するために、助成対象地域を都内全域とし、助成額を抜本的に引き上げること。
 一、所得に応じた適切な家賃、費用で入居できるアフォーダブル住宅の供給に向けた施策を実施すること。また、都として家賃補助制度の実施を検討すること。
 一、都内に約三十六万戸ある旧耐震基準のマンションの耐震化促進のために、分譲マンション耐震化助成を拡充すること。また、賃貸マンションについても、マンション耐震化助成の適用を検討すること。
 一、総合的なマンション相談窓口を都として設置するとともに、マンション白書、マンション防災マニュアルの発行及び管理組合育成支援事業を実施すること。また、区市町村が実施するマンション支援事業に対する財政支援を実施すること。
 一、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化助成においては、補助金や低利融資制度は、区市町村や銀行とも連携して、工事後の助成ではなく、段階的に助成するなど制度を使いやすくすること。
 一、住宅政策の専管部局として、住宅局を復活させること。住宅統計調査などに基づく都民の住宅実態を把握するため、東京都住宅白書を再発行すること。
 一、都営住宅の建てかえで生まれる都有地は、都営住宅増設や保育園、特養ホームなど福祉施設の整備、都民のための公共施設の整備を最優先して活用すること。
 一、都営住宅の新規建設を再開するとともに、建てかえ時に戸数をふやすこと。借り上げ公営住宅制度を活用し、UR住宅や民間賃貸住宅などを借り上げて都営住宅として提供すること。
 一、都営住宅のバリアフリー化、給湯器、風呂釜、浴槽の改善を促進し、畳取りかえの公費負担など修繕負担区分を見直し、居住者負担を軽減すること。
 一、都営住宅の入居収入基準及び使用承継の基準をもとに戻すこと。多様な世帯が入居できるよう三DK、四DKなどをふやし、型別供給はやめること。エレベーター設置を促進すること。
 一、若年単身者にも都営住宅の入居資格を認めるとともに、若年向け都営住宅を整備すること。若者への家賃助成に踏み出すこと。
 一、都営住宅及び公社住宅の一般公募の期限つき入居制度はやめること。期限つき入居者に対して一方的な退去を強行せず、契約更新を認めること。
 一、東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅家賃の設定は、近傍同種ではなく、応能を基本とした制度に改めるとともに、三年ごとの見直しをやめること。
 一、低所得者の住まい確保や保証のために支援してきた貧困ビジネスとは無縁な良識的なNPO法人や団体を東京都居住支援協議会の構成員に加えること。
 一、都内約八十二万戸の空き家対策を進めるため、区市町村との連携を密にし、空き家の実態を把握すること。利用可能な十一万戸近くの空き家の有効活用を促進するために、改修費助成などを一層強化すること。
 一、全ての都民の交通権、移動権を保障する総合的な地域交通政策を確立し、推進すること。区市町村による地域交通計画の策定及び地域交通整備の取り組みに対し、財政的、人的支援を行うこと。
 一、駅ホームからの転落事故、列車との衝突事故を防止するため、都内全ての駅への可動式ホーム柵、ホームドア設置を進めること。あかずの踏切解消に向けた対策、踏切の安全対策をさらに強化すること。
 一、東日本大震災による福島からの区域外避難者の住まいを保障するため、都として、都営住宅等への入居、民間住宅借り上げを支援すること。
 一、選手村の用地費について改めて適切な評価を行い、特定建築者に不適切な価格で譲渡しないこと。
 一、羽田空港の機能強化に伴う都心上空を低空で飛行する経路について、騒音、落下物や墜落事故の危険性、大気汚染などについて、都民にどのような影響があるか調査を行い、公表すること。
 一、横田基地へのオスプレイ配備計画を撤回させる対策を進めるための事業費を計上すること。オスプレイ飛来訓練については、厳しく反対すること。
 一、横田基地への米軍機の危険な飛行、パラシュート降下などの訓練、騒音の解決を求めること。
 一、横田基地、赤坂プレスセンター、多摩サービス補助施設など都内米軍基地の整理、縮小、返還を強力に推進すること。基地機能の強化、恒久化につながる横田基地の軍民共用化は中止すること。
 以上で意見開陳を終わります。

○やながせ委員 私は、日本維新の会を代表して、当委員会に付託されました平成二十九年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 平成二十九年度予算は、改革を強力に推し進め、明らかな未来への確かな道筋を紡ぐ予算と位置づけられています。都民ファーストの視点で、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーを実現し、新しい東京をつくるという知事の基本理念には賛同するものでありますけれども、一方で、それを実現し、持続していくためには、自己改革と経済成長への取り組みを加速させることが必要ではないかと考えます。
 今後、急速な高齢化で莫大な財政需要の増加が見込まれる中、都税収入の先行きは不透明です。二〇二〇年大会までの基金が七千三百億円、それ以外の基金が一兆一千億円となっていますが、過去一年間で一兆円の税収減を体験した都政において、盤石な基盤とは到底いえないものであります。
 長期財政計画の策定や、都債発行額にキャップをはめるなど、財政規律を保ち、歳出の膨張を抑える仕組みが必要だと強く要望しておきます。
 また、歳出を抜本的に削減する改革は進んでいません。新しい事業を始めるには、既存の事業をやめなければならないはずです。しかし、好調な税収のもと、事業をスクラップすることへのモチベーションは低く、自主的な改革で大なたを振るうことはできません。目標もなく、改革の方向性が示されていないことが問題だと考えます。
 天下りし放題の外郭団体には、さまざまな理由をつけて一千億円を超える特命随意契約が続いています。監理団体の経営目標管理制度は、前年度より低い目標を設定し評価を高く見せかけるなど、骨抜きの状態でありました。民でできることは民でという思想のもと、まずこの外郭団体のあり方から正すべきであります。
 今、享受している豊かさが将来世代の犠牲の上に成り立つということがあってはなりません。都政においては、その事業は未来への投資となっているのか、また、将来の負担をふやすものとなっていないかを物差しとして、ゼロベースで事業を見直すことが必要です。
 民間でできることは民間に任せる。コスト削減を徹底し、大胆な規制緩和と成長分野への投資で富を生み出し、真の弱者への支援、次の世代への投資を強化することを強く望むものであります。
 なお、豊洲新市場の移転問題について一言申し上げておきますが、日本維新の会は、都民ファーストのリスクコミュニケーションと題する、豊洲市場移転問題に関する提言を取りまとめ、三月九日に知事宛てに提出をしたところであります。
 小池知事には、本提言を踏まえ、速やかに豊洲移転を決断することを強く要望しておきたいと思います。
 都市整備局関係について、主な点を申し上げます。
 監理団体や報告団体など出資団体については、天下りをやめるとともに、その事業内容を精査し、その存在意義をゼロベースで検証することを求めます。
 首都機能の強化、国際競争力の強化、未来への投資という観点から、三環状道路などの広域幹線道路ネットワークの形成、鉄道ネットワークの充実、羽田空港の一層の機能強化や国際化及び空港アクセス整備等、公共交通網の充実が必要であり、都市機能を高め再構築を実現するための都市開発とともに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、来るべき首都直下地震から都民の命を守るために、木密地域の改善、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化については、計上されている予算を余すことなく、着実に目標を達成していただきたいと思います。
 駅ホームからの転落事故を防止するために、都内全ての駅への可動式ホーム柵、ホームドア設置を進めること。あかずの踏切解消に向けた対策、踏切の安全対策を強化することを求めます。
 以上です。

○あさの委員長 以上で予算案に対する意見開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において取りまとめの上、調査報告書として議長に提出いたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○あさの委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第四十二号議案及び第四十三号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 第四十二号議案及び第四十三号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あさの委員長 異議なしと認めます。よって、第四十二号議案及び第四十三号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○あさの委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あさの委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○あさの委員長 この際、邊見東京都技監から発言を求められておりますので、これを許します。

○邊見東京都技監 一言、御礼のご挨拶を申し上げます。
 このたびの定例会に提案をいたしました議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。
 あさの委員長を初め委員の皆様方には、熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございます。
 ご審議の過程でいただきましたご意見、ご指摘等につきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させて、万全を期してまいりたいと考えてございます。
 今後とも、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、大変簡単ではございますが、御礼のご挨拶とさせていただきます。まことにありがとうございました。

○あさの委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十四分散会

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