都市整備委員会速記録第三号

平成二十九年三月二十一日(火曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長あさの克彦君
副委員長白石たみお君
副委員長神野 次郎君
理事大松あきら君
理事神林  茂君
理事桜井 浩之君
やながせ裕文君
西沢けいた君
松村 友昭君
山田 忠昭君
林田  武君
小磯 善彦君
高橋 信博君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務邊見 隆士君
次長別宮 浩志君
技監都市づくり政策部長事務取扱上野 雄一君
理事佐藤  敦君
理事航空政策担当部長事務取扱佐藤 伸朗君
総務部長今村 保雄君
住宅政策推進部長桜井 政人君
都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務中島 高志君
市街地整備部長選手村担当部長兼務奥山 宏二君
市街地建築部長青柳 一彦君
都営住宅経営部長営繕担当部長兼務永島 恵子君
基地対策部長山口 祐一君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 健君
連絡調整担当部長菊澤 道生君
都市づくりグランドデザイン担当部長五嶋 智洋君
まちづくり推進担当部長山崎 弘人君
住宅政策担当部長田中 敬三君
民間住宅施策推進担当部長木村 宣代君
防災都市づくり担当部長山下 幸俊君
多摩ニュータウン事業担当部長宮城 俊弥君
局務担当部長齊藤  敏君
耐震化推進担当部長飯泉  洋君
経営改革担当部長八嶋 吉人君
再編利活用推進担当部長渡辺 正信君
建設推進担当部長草野 智文君
横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務堀   真君

本日の会議に付した事件
意見書について
都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備局所管分
・第十一号議案 平成二十九年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十二号議案 平成二十九年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十三号議案 平成二十九年度東京都都市開発資金会計予算
・第十六号議案 平成二十九年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第十九号議案 平成二十九年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十二号議案 東京都市計画事業北新宿地区第二種市街地再開発事業施行規程を廃止する条例
・第四十三号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都住宅マスタープラン(案)について

○あさの委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あさの委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○あさの委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成二十九年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十九年三月十六日
東京都議会議長 川井しげお
都市整備委員長 あさの克彦殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
 第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為
都市整備委員会所管分
 第十一号議案 平成二十九年度東京都都営住宅等事業会計予算
 第十二号議案 平成二十九年度東京都都営住宅等保証金会計予算
 第十三号議案 平成二十九年度東京都都市開発資金会計予算
 第十六号議案 平成二十九年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
 第十九号議案 平成二十九年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○あさの委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十一号議案から第十三号議案まで、第十六号議案、第十九号議案、第四十二号議案、第四十三号議案及び報告事項、東京都住宅マスタープラン(案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び報告事項につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○今村総務部長 去る二月十七日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元配布の都市整備委員会資料(二月十七日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 平成二十九年度当初予算案関係の資料として、1、都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績から、8、東京都が提供している応急仮設住宅に福島県から自主避難されている世帯数及び人数(住宅別)まで、八件でございます。
 それでは、一ページをお開きください。1、都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績でございます。
 都営住宅、公社住宅の別に、平成十八年度から平成二十七年度まで、年度別の建設戸数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都及び区市町村が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧でございます。
 (1)の耐震診断につきましては、二ページから一三ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額または補助対象限度額、補助率を記載してございます。
 また、(2)、耐震改修につきましては、おめくりいただき、一四ページから二四ページにかけまして、対象となる建築物、補助限度額、補助対象限度額または融資限度額、補助率または利子補給率を記載してございます。
 二五ページをごらんください。3、分譲マンションアドバイザー派遣助成についての区市の実施状況及び実績でございます。
 耐震アドバイザー派遣事業、マンション管理アドバイザー制度、マンション建替え・改修アドバイザー制度について、区市ごとの助成制度の実施状況及び実績を記載してございます。
 二六ページをお開き願います。4、首都高速道路に対する出資金・貸付金の推移(過去十年間)でございます。
 平成十八年度から平成二十七年度までの出資金及び貸付金について、年度別に記載してございます。
 右側二七ページをごらんください。5、基地対策に係る支出でございます。
 平成二十三年度から平成二十七年度までの支出の概要及び金額を年度ごとに記載してございます。
 二八ページをお開き願います。6、横田基地の軍民共用化に係る経過でございます。
 平成十五年以降の主な動きの概要を記載してございます。
 右側の二九ページをごらんください。7、東京都が提供している応急仮設住宅に福島県から自主避難されている世帯数及び人数(区市町村別)でございます。
 区市町村別に、平成二十九年一月三十一日現在の世帯数及び人数を記載してございます。
 三〇ページをお開き願います。8、東京都が提供している応急仮設住宅に福島県から自主避難されている世帯数及び人数(住宅別)でございます。
 住宅別に、平成二十九年一月三十一日現在の世帯数及び人数を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あさの委員長 説明は終わりました。
 これより、先ほどの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○神林委員 予算議案、報告事項の一括質疑ということでございますので、順次、何点か質問させていただきます。
 初めに、報告事項、住宅マスタープランの策定について質問をいたします。
 今回の改定は第六次ということですが、五年前、前回の第五次の改定に当たっても、私は都市整備委員として報告を受け、質疑をしたことを記憶しております。
 その後、今回の改定に向けて、住宅政策審議会で二年余りにわたり、さまざまな視点から議論が行われ、また、昨年十一月の審議会答申に当たっては、事務事業の質疑において、我が会派から、当委員会で、マスタープランの方向性について意見をさせていただきました。
 そうした経過を経て、その集大成がこの案だというふうに考えております。
 したがって、本日は、この案の内容をしっかりと実現してもらいたいという観点から、確認の意味も含めまして、その方向性について何点か伺いたいと思います。
 初めに、住宅マスタープランとは、これからの住宅政策全体の中で、そもそもどのような位置づけの計画としていくのか、まず伺います。

○田中住宅政策担当部長 都が策定する住宅マスタープランは、住宅政策の目標や基本的施策を具体化し、関連する政策分野との連携を図りながら、住宅施策を総合的かつ計画的に推進するための基本となる計画でございます。
 さらに、区市町村が地域の特性に応じた住宅マスタープランを策定する際の指針ともなるものでございます。
 策定に当たりまして、都内全体の住宅施策を取り巻く現状を幅広く俯瞰し、将来的な社会経済状況を見据え、今後十年間の施策展開の方向を示した計画としております。

○神林委員 ただいま答弁いただいたように、都のマスタープランは、今後の住宅政策の大きな方向性を示す、いうならば羅針盤というべきものでございます。
 今後、プランに基づき、都民生活に密接にかかわる住宅政策について、さまざまな課題に的確に対応し、取り組みを進めていくことになりますけれども、それでは、どのような時代とともに変動する都民生活の将来像を目指し、施策を展開していくのか、伺います。

○田中住宅政策担当部長 将来的に人口、世帯数とも減少に向かう中、都民の生活の基盤となる住生活を安定させるとともに、住環境を向上し、持続させていくことが必要でございます。
 このため、生涯にわたる都民の豊かな住生活の実現と、まちの活力と住環境の向上と持続を目指し、取り組みを進めてまいります。
 住生活の面では、子育て環境の向上、高齢者や住宅確保要配慮者の居住の安定、市場環境の整備に取り組んでまいります。
 住環境の面では、マンションや団地の再生の促進、災害時における居住継続、空き家の活用などに取り組んでまいります。

○神林委員 今お話をいただきましたけれども、それと同時に、こういった長期計画、ご存じのとおり、しっかりした着眼点というのを持って進めていかないと、変な方向に迷ってしまうということもあると思います。
 プランで掲げている施策は、どれも重要なものばかりでございますが、都が目指す将来像を実現していくためには、各施策の実現に向けて、共通する視点のもとに取り組んでいくということが重要だと考えますが、この点についても見解を伺います。

○田中住宅政策担当部長 プランでは、目標を実現していくため、各施策に共通する三つの着眼点を掲げました。
 一つ目は、既存ストックの有効活用でございます。つくっては壊すではなく、長く大切に使うという視点で、ストックの再生や有効活用に取り組んでまいります。
 二つ目は、多様な主体、分野との連携でございます。各種団体やNPOなど民間事業者と連携するとともに、防災、福祉、雇用などの関係行政分野と連携して取り組んでまいります。
 三つ目は、地域特性に応じた施策の展開でございます。地域ごとの住宅事情に応じ、都市構造全体の中での立地や地域の抱える課題を踏まえまして、施策分野や地域ごとに、めり張りのある対応を行ってまいります。
 これらの着眼点を意識しながら、区市町村等とも連携し、それぞれの施策を総合的、計画的に展開してまいります。

○神林委員 今、さっと続けて、とつとつとご答弁いただきましたけど、大変大事なことでございますので、しっかりその辺は頭に入れながら進めていただきたいと思います。
 行政計画は策定して終わりではなく、そこからが本格的なスタートでございます。目標達成に向けて、いかに施策を強力に前に進めていくかが重要でございます。そのために、マスタープランでは、施策の大きな方向性を示しておりますけれども、施策の実現段階では、それぞれの施策ごとにしっかりと実施計画を立案し、着実に施策を進めていただきたいと強く願うものでございます。
 それでは、四問目の質問でございますが、また住宅政策は、都だけで単独で進めればよいというものではなく、法制度などを所管する国や、地域の実情を把握している区市町村と連携して、おのおのが役割分担を明確にし、それぞれが責任ある役割を果たすことで、施策の効果が十分に発揮されると考えますが、見解を伺います。

○田中住宅政策担当部長 地域の住宅政策の推進に当たりましては、福祉施策やまちづくり施策の中心的担い手である区市町村の役割が重要でございます。
 都は、広域自治体として、都全域に共通する制度基盤の整備等を担うとともに、区市町村と連携し、地域特性に応じた区市町村の主体的な取り組みを支援してまいります。
 また、国との連携や協力を強化し、住宅施策を円滑に進めていく上で支援が必要な法制度の整備や税制の改正などにつきまして、積極的に提案をしてまいります。

○神林委員 ただいまご答弁にありましたとおり、やはり広域自治体である東京都が、国と区市町村の間に立って、それぞれが連携しながら、その役割が十分果たせるように、取り組みを進めていただきたいと考えます。
 住宅政策は、東京都だけでできるものではございません。国や区市町村とも十分連携して、相乗効果が上がるように進めていただきたいと要望しておきます。
 次に、役割分担ということでは、公共住宅として、都は、都営住宅を供給、運営しておりますが、この点につきましても、改めて、住宅政策における都営住宅の役割と取り組みについて伺っておきます。

○田中住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、市場において自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯への住宅供給を行う施策の中心的な役割を担ってございます。既存ストックの有効活用を図りながら、子育て世帯への支援を初め、引き続きその役割を担ってまいります。
 また、計画的な建てかえを推進しながら、地元自治体と連携し、まちづくりの視点から、都営住宅敷地の有効活用を図ってまいります。

○神林委員 これは、効率的、効果的運営を行うということはもちろんのことですけど、昨今増加しつつある都内の空き家も十分活用しつつ、住宅セーフティーネットの強化に向け、施策をさらに進めていただきたいということを要望しておきます。
 次に、少子高齢化などの現在の課題に対応した施策に取り組むことは重要でございますが、先ほどお話しした二問目と若干かぶりますが、一方で、将来的な都市像やライフスタイルの変化を見据え、これに対応する住宅市街地のあり方が重要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。また、あわせまして、今後の取り組み予定についてもあれば、お知らせをいただきたいと存じます。

○田中住宅政策担当部長 将来的には、人口、世帯数とも減少に向かう中にあって、ライフスタイルの変化による都民の価値観の多様化などに対応する良好な住宅市街地を形成することが求められております。
 こうした観点に立ちまして、水と緑に囲まれたゆとりある市街地の整備や、子育て環境の向上、駅周辺に機能集約された拠点の形成などを目指すとともに、木造住宅密集地域の改善や老朽マンションの集積する地域の再生といった、地域特性を考慮した取り組みを進めてまいります。
 今後、来年度に策定が予定されております都市づくりのグランドデザインを踏まえまして、都は、住宅市街地の更新等を重点的に図るべき地域、いわゆる重点供給地域に関する基本的な考え方をお示しした上で、平成三十年度以降に、区市町村と連携しながら、重点供給地域を見直すこととしておりまして、立地に応じためり張りのある住宅施策を展開してまいります。

○神林委員 今まで住宅マスタープランの方向性についてお聞きしてきたわけでございますが、かねてより我が党も大分いろいろな要望をこの中に入れさせていただきまして、その集大成ということだと認識しておりまして、今回の新たなマスタープラン、将来を見据えた必要な施策が盛り込まれているものというふうに判断させていただきます。
 先ほども役割分担の質疑をいたしましたけれども、住宅政策については、都が全てを担っているわけではなく、国や区市町村、そして、都民が果たしていく責務や役割もあると考えます。それぞれがお互いの役割を果たし、プランで掲げた豊かな住生活の実現と持続に向けて取り組んでいくことが重要でございます。
 計画期間である今後十年間においても、住宅政策を取り巻く社会状況も大きく変化していくものと考えられます。こうした変化にも的確かつ柔軟に対応し、施策を着実に進めていただくことをご期待申し上げまして、マスタープランについては質疑を終わらせていただきます。
 続きまして、防災関連について伺います。
 三月三日の委員会におきまして、耐震化、不燃化、それぞれの事業の平成二十八年度予算は、現実的には困難なことが多く予想されたにもかかわらず、その意欲のあらわれとして実施目標を高く設定し、積極的な予算を組んだものであり、今後も、耐震化、不燃化促進の強化に向け、積極的に取り組んでもらいたいと述べたところでございます。
 耐震化、不燃化ともに、今年度は、個別訪問による働きかけを強力に実施し、制度周知や意見啓発などに一生懸命努めてきております。その頑張りは十分認識しておりますが、実績も毎年着実に上がってきているのも事実でございます。
 来年度も、耐震化、不燃化に向けた区市町村の意欲的な取り組みに対しては、都はその意欲に応える予算を計上していると考えております。そこで、都も区市町村も困難な課題に果敢に挑戦し、しっかりと取り組んでもらいたいと考えます。
 そこでまず、平成二十九年度当初予算説明書の二七ページに記載されております耐震改修促進事業の新年度の取り組みについて伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、特定緊急輸送道路沿道建築物について、今年度から、個別訪問による耐震化の働きかけを行っており、都区職員が直接訪問している特に耐震化率の低い区間では、その沿道建築物の半数で改修計画作成に着手するなど、取り組みが着実に進んでございます。
 来年度は、これらの区間で引き続き所有者への働きかけを継続するとともに、新たに区市から要望のあった新宿通りや小金井街道などの区間についても、職員による直接訪問を通じて、所有者の取り組みをさらに後押ししてまいります。
 また、住宅につきましては、整備地域内での耐震改修助成など、これまでの取り組みに加え、都内全域において、戸建て住宅の全戸訪問を行う区市町村に対する支援を拡充してまいります。
 さらに、区市町村の意欲的な取り組みに対して着実に応えていくことができるよう、整備地域外におきましても、国費による助成の拡充について、新たに国へ要望してまいります。
 こうしたことを通じまして、建築物の耐震化を加速させ、災害に強い都市の実現に取り組んでまいります。

○神林委員 これ、読むのは長くて大変なんですが、特定緊急輸送道路沿道建築物については、職員が訪問する対象を拡大し、また、戸建て住宅については、都内全域を対象に個別訪問を行う区市町村を支援していくと、力強い答弁をいただいたわけでございます。ある意味、考えてみますと、はかり知れないほど遠大な計画ですけれども、このように、都民の皆様のもとを直接訪問し、一人一人の事情に対応していくことは、着実な成果につながると考えますので、さらに頑張っていただきたいと思います。
 次に、不燃化について、平成二十九年度当初予算説明書の一九ページに記載されております防災密集地域再生促進事業の新年度の取り組みについて伺います。

○山下防災都市づくり担当部長 都は、燃えない、燃え広がらないまちを早期に実現するため、今年度から、全戸訪問の複数回実施や防災生活道路の拡幅整備など、制度を充実し、区の意欲的な取り組みを支援してございます。
 新年度は、こうした取り組みに加え、建てかえの際に借家人などの移転が円滑に進むよう、新たに引っ越し費用への支援を行うとともに、防災生活道路の対象路線を拡大し、整備を促進することで、木密地域の改善を一層加速してまいります。
 また、これとともに、特定整備路線につきましても精力的に用地取得を進め、一部の区間では道路整備工事に着手するなど、早期完成に向けて全力で取り組んでまいります。

○神林委員 私も現場にいまして、地元の方々には容易に解決できない課題もございまして、執行率を上げるということがどんなに大変で難しいことなのかということは、十分承知させていただいています。
 そのような中でも、来年度は、引っ越し費用の助成など新たな支援策も掲げて、木密地域の改善を加速させていくとの力強い答弁が今ございました。そのほかにちょっと必要な要素としまして、やはり所有者個人の自覚をしっかり促していただいて、予算を効果的に活用する工夫を加えながら、ぜひとも都民の生命を守る大切な取り組みを強力に進めていただけますようお願いしておきます。
 次に、無電柱化、とりわけ都市整備局にかかわるまちづくりを通じた取り組みについて伺います。
 無電柱化は、我が党が長年にわたり要望してきた課題でございまして、防災機能の向上や良好な都市景観の創出など、多様な意義のある取り組みでございます。
 都はこれまで、幅の広い幹線道路を中心として無電柱化に取り組んでおります。市街地の無電柱化を拡大するためには、歩道があるなど施工条件が比較的整った幹線道路に加えて、幅員の狭い道路を含めた面的な取り組みが必要でございます。
 そのためには、土地区画整理事業や市街地再開発事業、いわゆる面整備事業などのまちづくりの機会を捉えて、沿道住民の理解を得ながら無電柱化に取り組むことが効果的と考えます。
 平成二十九年度当初予算説明書の一八ページ、都市整備における無電柱化推進検討調査が計上されておりますが、まちづくりを通じた無電柱化の取り組みをどのように推進していくのか伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都が施行します面整備事業では、これまで、瑞江駅西部土地区画整理事業や環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業などにおきまして、区道となる区画道路も含め、無電柱化を行っております。
 今後も、道路整備が本格化する六町土地区画整理事業などにおきまして、将来の道路管理者の地元区とも協議しながら、面的な無電柱化を推進してまいります。
 また、区市町村や民間が施行します面整備事業や木密地域における防災まちづくりにつきましても、それぞれの補助制度を通じて無電柱化を促進してまいります。
 さらに、来年度、地上機器の設置場所を考慮した換地設計の方法など、まちづくりの機会を捉えた無電柱化の技術や制度に関する検討を進め、その成果を区市町村や民間事業者の取り組みに活用してまいります。
 まちづくりにおけるこうした取り組みを通じて、電柱のないエリアを都内の各地で実現してまいります。

○神林委員 区画整理や再開発などを契機に、面的な無電柱化が図られていくことは大変重要でございます。ぜひ実効性のある手引を作成してもらいたいと考えます。
 説明のあった区市町村の取り組みのうち、木密地域の大変多い、私の住む大田区を初め、木密地域の生活道路は、防災上の観点からも無電柱化を進めていく必要があると考えます。
 しかしながら、幅員が狭いため、埋設物の移設や地上機器の設置場所の確保など、さまざまな課題が存在しているとも聞いております。
 そこで、木密地域における生活道路の無電柱化をどのように進めていくのか伺います。

○山下防災都市づくり担当部長 木密地域におきましては、区が防災生活道路を拡幅整備する機会を捉えて、無電柱化を着実に進めていく必要がございます。
 関係区からは、大田区の羽田地区で、空港アクセスともなる弁天橋通りなどの防災生活道路二十三路線について無電柱化の提案がなされておりまして、今月末に地区別の整備プログラムとして公表する予定でございます。
 来年度は、これらの路線につきまして、区とともに、地上機器の設置場所や地下埋設物の配置調整など、具体的な課題解決を図ってまいります。
 今後とも、普及拡大に向けて、意欲的な区の取り組みを技術的、財政的に支援し、木密地域の改善とあわせて、防災生活道路の無電柱化を積極的に進めてまいります。

○神林委員 木密地域の防災生活道路で無電柱化を実現するためには、財政的な支援のみならず、新技術の情報やノウハウの提供なども含めて、技術的に都が区をしっかりとサポートしていく必要があると考えます。安全で快適な都市空間の創出に向けて、区市町村とも連携を図りながら、無電柱化が進展するように期待をしております。
 次に、羽田空港周辺地域について何点か伺いたいと存じます。
 昨今、日本の表玄関である羽田空港周辺では、さまざまな動きがあることは、皆様ご存じのとおりでございます。
 例えば、羽田空港跡地第一ゾーンについては、国家戦略特区における都市計画法の特例を活用し、昨年二月に都市計画決定がなされ、十月には国土交通大臣からUR都市機構が事業認可を取得し、施行者として、土地区画整理事業を活用した道路、インフラ、宅地造成などの都市基盤の整備の工事に着手すると聞いております。
 また、造成された宅地を活用し、大田区が、新産業創造発信拠点整備に向けて、第一期事業予定地約五・九ヘクタールについて、事業者公募を実施しております。
 跡地第二ゾーンでは、国交省が、エアポートホテル、複合業務施設整備、高潮防潮堤整備を進めており、多摩川をまたいで、川崎市殿町と羽田を連絡する橋梁整備事業の事業認可もありました。
 また、三月十一日には、羽田空港で、小池都知事、山本内閣府特命担当大臣、松原大田区長が参加して、第一回の東京都自動走行サンドボックス分科会が開催され、最先端の自動走行システムを活用し、羽田空港周辺の公道で、さまざまな実証実験の企画実施に取り組んでいくとの発表もございました。
 そこで、このように、羽田空港周辺の活発な動きは、東京都だけでなく、日本全体の経済成長に寄与し、世界に日本の高い技術力、文化などをアピールする絶好のチャンスとも考えられます。
 こうした状況の中で、改めて、東京都としては、羽田空港跡地について、どのような連携支援を考えておられるのか、お聞かせください。

○佐藤(伸)理事 都は、羽田空港跡地につきまして、平成二十二年の羽田空港跡地まちづくり推進計画に基づいて、国や大田区と連携して、まちづくりの具体化に向けて取り組んでまいりました。
 大田区が主体となって進めております跡地第一ゾーンでは、土地区画整理事業の事業認可を今年度取得し、来年度現地着工の予定でございます。建物整備事業につきましては、区が、産業交流施設等の整備、運営を行う民間事業者を本年五月に選定する予定でございます。
 国土交通省が取り組んでいる第二ゾーンでは、昨年六月に選定された民間事業者が、平成三十年から宿泊施設等の整備を開始し、平成三十二年に開業予定と聞いております。
 都といたしましては、今後とも、空港と一体となった魅力的なまちづくりの実現に向けまして、国に働きかけるとともに、区を支援して、平成三十二年、二〇二〇年のまちづくり概成に向け、積極的に取り組んでまいります。

○神林委員 佐藤理事、期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 羽田空港周辺での自動走行の実証実験を進めることで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを見据え、我が国の最先端技術を国内外に発信するショーケースを構築するとともに、二〇二〇年以降のレガシーとしていくとしておりますが、この自動走行について、空港跡地においてはどのような展開を考えているのか、お聞かせください。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 理事お話しの自動走行サンドボックス分科会に関しまして、都市整備局直接は関与してございませんが、来年度、自動運転技術を活用した都市づくりの展開に関する調査、これに関しまして予算を計上しております。
 この調査の中では、有識者へのヒアリングや都民へのアンケートなどを実施いたしまして、その結果も生かしながら、自動運転車の普及によります人々の行動や、あるいは都市のありようの変化、また、既存の公共交通や道路交通システムに与える効果と影響などに関する基礎的な調査検討を行う予定としております。

○神林委員 実は、今後の見通しをもう少し聞きたかったんですけど、まだそこまでいっていないということなんですが、あの図面を見ましても、当然、都心方面、それから臨海方面へとコースを進めていくものだと考えておりますが、まずは都市整備局として積極的に取り組んでいただきたいことを要望しておきます。
 次に、小池都知事は、ことし、平成二十九年度予算は、めり張りをつけたと記者会見で発表されております。
 羽田空港周辺区域については、特に重要なエリアとして、めり張りをつけ、優先的、重点的に予算づけをしていただくべきと考えますが、国庫支出金の確保、事業者などへの補助金拠出などの予算編成の考え方についてお聞かせください。

○佐藤(伸)理事 跡地第一ゾーンでは、産業交流施設等の整備に合わせ、道路や公園など骨格的な施設を整備する必要がございまして、現在、土地区画整理事業の工事着手に向けた準備が進められております。
 来年度から、都は国と協調いたしまして、土地区画整理事業について助成を行うため予算を計上しておりまして、引き続き適切に財政的支援を行ってまいります。
 今後とも、区が目指す産業交流拠点等の形成に向けまして、国や庁内各局とも連携しながら、跡地第一ゾーンのまちづくりを支援してまいります。

○神林委員 しっかりとめり張りをつけていただければと思います。
 それでは次に、空港には、国内線、国際線の数時間の待ち時間を有効的に活用して、有意義な時間を過ごしたいという方々がたくさんいらっしゃいます。そうした方々が空港周辺で気軽に活動していただくためには、短時間に簡便で行き来できる移動手段が必要であり、そのことは羽田空港の跡地活用の生命線ともなると私は考えております。
 そこで、国際線ターミナルから、ホテルエリア、B滑走路延長地域、跡地を経由して、天空橋まで約二キロぐらいあると思うんですが、ここを短時間に簡便に行き来できる交通手段や手法が必要であると考えますが、見解を伺います。

○佐藤(伸)理事 跡地第一ゾーンでは、産業交流施設等の整備、運営を行う民間事業者が本年五月に決定する予定でございまして、その後、具体的な導入施設等が明らかになります。
 また、昨年六月に選定されました第二ゾーンの民間事業者から、天空橋駅のある第一ゾーンと第二ゾーン及び国際線、国内線ターミナルビルとの間を連絡するシャトルバスの運行が提案されております。
 都は、第一ゾーンに導入される施設の整備内容を見きわめながら、第二ゾーンとの連携も含めまして、交通アクセスについて必要な取り組みを国に働きかけるなど、跡地の利便性向上に取り組んでまいります。

○神林委員 今、ちょっとシャトルバスという話もありましたけど、やはり具体的に短時間に簡便に気軽にということを考えますと、ちょっとシャトルバスでは、その意味には即さないのかなという気がしております。
 やはり従前の基準だとか価値観だとか、そういうものに余りとらわれずに、このルートに対して、未来志向ね、未来志向で、短時間に簡便に行き来できる移動手段、こういうものをぜひ、新しい都市でもありますので、検討していただきたいなということを強く要望させていただきます。
 以上で私の質問を終わります。

○小磯委員 私からは、公社住宅における子育て支援策からお伺いをしたいと思います。
 我が党は、子育て支援の充実、これを大変重要な課題として位置づけております。公共住宅においても子育て世帯を積極的に受け入れるということを主張してまいりました。
 これまで都営住宅においては、子育て世帯の入居拡大に関して、さまざまな提案をし、子育て環境向上の取り組みは、いわゆる東京都の住宅施策のみで対応するのではなく、都政の現場を支えている住宅供給公社においても積極的に取り組む必要があると、このように考えます。
 公社はこれまでも、子育て世帯の入居支援として、新築住宅の募集に際しては、当せん確率を引き上げる優遇措置、また、子育て世帯を対象とした優先申込制度を実施しておりますが、子育てしやすい環境を整えるために、より一層の取り組みが必要であります。
 親子が支え合うことができる近居というライフスタイル、これは子育てにおいて重要であり、東京都が先月公表した東京都住宅マスタープランでは、公社住宅において、子育て世帯と親世帯等との近居の支援に取り組むこととしております。
 そこで、公社住宅における近居の取り組みについて、これまでの取り組みと今後の展開についてお伺いいたします。

○桜井住宅政策推進部長 都政を支えるパートナーである公社が、子育てや介護しやすい環境の整備として、親子が互いに行き来できる距離に暮らす近居を促進することは重要でございます。
 公社は、建てかえに伴う新築住宅の入居者募集に当たりまして、親と子が近居となる場合には、当せん確率を通常の五倍とする優遇措置を設けまして、ことし一月のコーシャハイム田端テラスから開始をいたしました。
 その結果、この制度を活用して入居する世帯が募集戸数の四分の一を占めることとなりました。
 加えて、本年四月から、既存住宅の募集におきましても優遇措置を設けます。子育てなどにより近居を始める方につきましては、通常の先着順受け付けに加え、希望住宅を事前に登録し、あきが出たら入居できる制度を新たに導入いたします。
 都といたしましても、こうした時代のニーズに合った取り組みがさらに充実するよう、引き続き公社と連携をしてまいります。

○小磯委員 いわゆる公社住宅の子育て支援のそういう取り組みというのは、知事の目指すダイバーシティーの実現のためにも、非常に重要であるというふうに思っております。
 そういった意味では、公社住宅の近居の制度も積極的に行っていただきたいと思いますし、もう一歩進んで、URの方では、近居の人の割安というんですか、家賃の割安をしたりしていますので、そういったところまでぜひ検討していただければなと、要望しておきたいと思います。
 それから、公社住宅の建てかえを通じた子育て支援施設の整備ということでお伺いをいたします。
 公社住宅には、五十年以上経過した住宅がありまして、公社一般賃貸住宅約六万三千戸のうち、昭和三十九年度以前に建設された住宅は全体の約二割ということでございます。こうした建設年代が古く更新時期を迎えている住宅の建てかえにおいて、公社は、創出した用地の活用や住宅への併設によって、子育て支援施設の整備を進めております。
 保育所の整備促進を目指すにも、地価の高い東京においては、その用地の確保が困難な状況であるわけでございまして、こうした公社の取り組みというのは、保育所の待機児童解消に直結する、大変有意義な取り組みであると、こう考えます。
 そこで、公社住宅の建てかえにより創出される用地を活用した子育て支援施設の整備、誘致に取り組むことが大事でありますが、これまでの取り組みと今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○桜井住宅政策推進部長 公社は、住宅の再編整備計画に基づき、老朽化した住宅の建てかえを実施しておりまして、その際、住宅の高層化などにより創出した用地や住棟内のスペースを活用し、子育て支援に係る施設の整備や事業者の誘致に取り組んでまいりました。
 平成二十六年度には、板橋区のコーシャハイム向原など二住宅において、延べ百四十名分の保育所を整備いたしました。
 現在、世田谷区の千歳船橋住宅においては、ことし十月の開所を目指し、定員二十四名の保育所の併設を進めております。さらに、平成三十一年に竣工予定の中野住宅でも、住棟内に子育て支援施設を計画しております。
 今後とも、公社は、地元区市町村を通じ地域のニーズを把握しながら、住宅の建てかえに合わせ、子育て支援施設の整備を推進してまいります。

○小磯委員 ただいま答弁ございましたように、公社の積極的な取り組みを今後もよろしくお願いをしたいと思います。
 住まいにおける子育て環境の充実には、入居支援といったソフト面と、それから、施設整備といったハード面、その両面から進めることが重要と考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、公社住宅における防災対策について質問いたします。
 私の地元町田市には、神奈川県との境を流れる境川という川がございます。この川は、歴史のある川でございますけれども、一方、自然の猛威を振るう川でもあり、過去何度も、台風であるとか集中豪雨などで浸水被害があった川でございます。
 私も、都市整備委員会とか環境・建設委員会等で、境川の洪水対策というか、河川整備は、本当に十数回質問して今日に至っております。
 この境川を中心とした、町田市が作成した洪水ハザードマップの浸水予想区域というのがございます。これは、平成十二年九月に発生した東海豪雨の降雨を想定して作成されたものでございますけれども、この境川に隣接する森野団地と境川団地、この二つは公社住宅でございますけれども、浸水が深さ二メートル以上になると予測される、そういう浸水区域に含まれているわけでございます。
 そういうことで、ここの団地の会長さんから、いざ、境川があふれた、溢水した場合に、どういうふうに対処すればいいのかということの問題提起を私も受けておるわけでございます。
 災害時の対応では、行政による公助の前にやるべきこと、また、自助と共助も重要であるということでございます。町田市には大規模な公社住宅もあり、こうした日々生活を送るところからの防災への備えとか、また、取り組みというのが非常に重要であると考えます。
 我が党の要望に応えて、公社では平成二十五年六月から、自治会などの自主防災活動を実施する団体に防災資機材とその保管場所などを提供する事業を開始し、公社住宅における防災組織の設立や育成を促しておりますけれども、その取り組みの概要と、その後の状況についてお伺いいたします。

○桜井住宅政策推進部長 災害発生直後の消火活動、救出救護活動には、地域や身近にいる人同士が助け合う共助の取り組みが重要でございます。
 このため、公社では、居住者が担い手となり、自主防災活動を行っている自治会等に対し、発電機などの防災セットを提供しております。
 また、水害時における土のうを初めとした防災資機材の購入費用の助成や、防災組織の設立に向けた相談や情報提供などを行い、共助の取り組みを後押ししております。
 その結果、この取り組みを開始した平成二十五年六月から本年二月末までに、六十四団体が自主防災組織として公社の承認を受けております。

○小磯委員 ただいま答弁ありましたように、地域における防災活動は大変重要でございます。日ごろから、災害時における居住者の共助がいかんなく発揮されるよう期待するところでございます。
 昨年十二月、公社は、我が党の要望に応え、住民の共助による防災力向上のため、防災コミュニティ活動支援事業のメニューに、救護用AED、自動体外式除細動器の助成制度、これを始めました。
 AEDは、命を守るための非常に重要な機器であり、公共施設などに置かれているAEDを一般市民が使い、救った命は、九年間に約八百人に上るとの報告もあるわけでございます。
 そこで、誰もがAEDを使うことができるようにするために、自主防災組織でAEDをどのように活用しているのか、お伺いいたします。

○桜井住宅政策推進部長 病院の外で起こる心臓疾患などが原因で貴重な命が失われることを防ぐため、AEDを利用することなどにより救命率を高めることは重要なことでございます。
 公社では、発災直後の円滑な救助活動が迅速に行えるよう、自主防災組織による救護用AED導入費用について、昨年十二月から、新たに助成対象に追加いたしました。
 その結果、現在、四つの自主防災組織がこの助成制度を活用し、AEDを導入しております。
 また、自主防災組織は、設置したAEDなどを活用し、東京消防庁が行う救命講習を受講することにより、居住者に対するAEDの使用方法の普及に取り組んでおります。
 公社は、この救命講習における受講費用の助成制度を設け、こうした取り組みを支援することとしております。

○小磯委員 ただいまの答弁のとおり、受講費用の助成制度、これも大変大事だなと。ハードだけじゃなくて、ソフト面の助成もしっかりやっていただくということで、大事だというふうに思っております。
 ただ、二百四十団地ある公社住宅において、AEDの設置はまだ十分な状況じゃないと、このように考えます。
 そこで、AEDの普及を公社住宅において一層拡大すべきと考えますけれども、取り組みについてお伺いいたします。

○桜井住宅政策推進部長 AEDの普及に当たりましては、居住者による自主防災組織の設立を促すほか、設置にあわせて居住者に使用方法を習熟していただくことが重要でございます。
 このため、公社は、自主防災組織に対する資機材の提供などの支援内容や、実際の取り組み事例を居住者向け広報紙で定期的に紹介し、防災組織の設立を促進しております。
 また、公社は、団地に配置している住宅管理員に指示し、既に設置されている自主防災組織や消防署と連携し、防災訓練を定期的に実施しておりまして、その際には、AEDの使用方法についても普及啓発をしております。
 こうした取り組みを通じて、自主防災組織の設立の機運の醸成に取り組むとともに、AEDの普及を促進してまいります。

○小磯委員 災害時の共助の基盤となる居住者の防災コミュニティ形成に向けて、今後とも尽力していただくことを要望したいというふうに思います。
 公社住宅でAEDの設置を促進するということでございますので、予算立てをしっかり考えていただいて、やがては都営住宅にもこうしたAEDの設置を支援していく取り組みも、ぜひご検討いただきたいなというふうに思います。
 それから、続きまして、都営住宅における高齢者対策についてお伺いをいたします。
 都営住宅は、住宅セーフティーネットの中核として重要な役割を果たしております。特に、多くの高齢者や障害者などがお住まいであることから、都営住宅はバリアフリーの模範を示すべきと考え、機会を捉えて、都営住宅のバリアフリー化について働きかけをしておるところでございます。
 我が党が提出した平成二十九年度の東京都予算編成に関する要望書においても、都営住宅居住者の高齢化に対応するため、エレベーターの設置を推進することを強く要望しておるところでございます。
 まず、これまでの既存住棟へのエレベーター設置の取り組みと設置基数についてお伺いいたします。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 都営住宅の既存住棟へのエレベーター設置につきましては、まず平成三年度に、四階から五階建てで二十四戸以上の廊下型住棟を対象として、九人乗りのエレベーターの設置を開始いたしました。さらに、平成十二年度からは、五階建てで三十戸以上の階段室型の住棟を対象に追加いたしました。
 その後、それまで採用が困難であった小型の四人乗りエレベーターの廊下型住棟への導入について、住宅部品の認定機関やエレベーターメーカーとともに、技術、コストの両面から検討を実施いたしました。
 その結果、平成二十二年度からは、廊下型については三階から五階建てで十戸以上、階段室型につきましては、五階建てで十戸以上の住棟を新たに対象とするなど、設置の裾野を拡大してまいりました。
 平成三年度から二十七年度までの既存住棟へのエレベーターの設置基数は、約千四百基でございます。

○小磯委員 東京都は、平成三年度から既存住棟へのエレベーター設置の取り組みを始め、これまでの二十四年間で約一千四百基設置してきたということでございます。
 特に、取り組み当初は順調に設置を進めてきたようでございますが、このところ、例えば平成二十六年度は三十三基、二十七年度は三十四基と、当初の勢いと比べ設置基数が落ちております。
 どのような点が設置における課題になっているのか、お伺いをいたします。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 設置における課題でございますが、住棟が特殊な階段室型である場合や構造的に壁の撤去ができないなど技術的な困難が伴うことや、設置スペースがない、日影規制などの法規制を満たすことができない、さらには、居住者の複数から同意が得られないなどが課題となってございます。

○小磯委員 都営住宅のエレベーターというのは大変要望が多く、また、強くそういう要望を我々にもしてこられるわけでございます。
 例えば、今まで三階まではつかなかったのが、都営住宅では三階までつくようになりましたので、それまでつかなかった住民の皆さんが大変喜ばれているという、そういう実態がございます。
 また、なかなか町田ではまだできていないんですけど、階段室型の都営住宅についても、これも本当に今エレベーターをつけることができるようになって、それも大変喜ばれているわけでございます。
 いろいろ課題があるのは理解いたしましたけれども、居住者が待ち望んでいるエレベーターの設置を工夫して進める必要がございます。
 都でもご努力いただき、二十六年度、二十七年度で着手した団地の中で、例えば西新井本町二丁目アパートとか辰沼町アパートなど、課題があったが取り組みを進めることができたというふうに伺っております。
 それぞれの状況を伺うとともに、高齢化も進んでいることから、いろいろな課題があると思いますが、今後とも、階段室型の既存住宅も含めて、エレベーターの設置をしっかりやっていただきたいと思いますが、都の取り組みをお伺いいたします。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 お話の西新井本町二丁目アパートにつきましては、日影規制上の課題がございましたが、区の建築指導関係部署と調整を行い、既存建物を調査の上、建築審査会に付議し、法に基づく許可申請を行うなど、一つ一つ取り組みを進め、現在は工事に着手をしております。
 辰沼町アパートにつきましては、階段室型住棟で四カ所の階段があり、それぞれの階段にエレベーターを設置した場合、増築面積の合計が五十平米を超えるという課題がございました。これは、建築基準法では、増築面積に応じて既存部分に異なる規制が適用され、増築部分の面積が五十平米を超える場合、増築部の建築基準法の適用に加え、既存の住棟に対しましても、構造耐力や建築設備の安全性、外装材の耐久性などについての規定が適用されるというものでございます。
 そのため、関係部署と事前に協議を重ね、既存の住棟に対し求められる安全性、耐久性などを一つ一つ確認する作業を努力して進めてまいりました。その上で、条例に基づく標識を設置し、現在は建築基準法に基づく手続を進めております。
 今後とも、一つ一つ課題解決を図り、既存住棟へのエレベーター設置の推進に着実に取り組んでまいります。

○小磯委員 それでは、続きまして、町田の地元の問題についてお伺いをしたいと思います。
 町田市の小田急線鶴川駅周辺のまちづくりでございます。
 鶴川駅というのは、小田急の鶴川駅でございまして、都県境、いわゆる東京都と神奈川県のすぐ近くに位置しており、川崎市や横浜市などにまたがる一帯の拠点として、町田市の文化交流の核となる、東の玄関口でございます。
 しかし、この地域では、小田急線を挟んで南北の往来がしづらい上、道路などのインフラが不足をしております。また、鉄道とバス、タクシーとの乗りかえが不便であることに加え、駅舎が古いなど、利便性に欠けております。
 こうした課題があることから、町田市は昨年十月、鶴川駅周辺再整備基本方針を策定して、駅周辺の再整備により、安全で便利な交通と快適でにぎわいのある駅前空間を実現することとしております。
 鶴川駅南口の東側エリアについては、昭和四十三年に土地区画整理事業の都市計画が決定されているものの、事業化に至っていなく、道路や下水道が未整備であり、駅前にふさわしい土地利用が図られていない状況でございます。
 このため、市の基本方針では、当該エリアで土地区画整理事業を実施して、住環境の向上を目指すとしておりますが、都は、この市の取り組みをしっかり支援していくべきと、このように考えますが、見解をお伺いいたします。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 鶴川駅周辺のまちづくりにつきましては、都市計画区域マスタープランでは、商業、文化機能の集積などによる都市機能の充実、良好な都市型住宅の誘導などを図り、にぎわいと多世代の交流が生まれる生活拠点を形成するとしております。
 このうち、ご質問の鶴川駅南口の東側エリアにつきましては、町田市の鶴川駅周辺再整備基本方針では、土地区画整理事業による面的な市街地整備を進め、商業、業務、中高層住宅等の土地利用を誘導していくことで、生活環境の増進を目指すとされております。
 町田市では、現在、この基本方針に基づき、本エリアの土地区画整理事業の事業化に向けて検討を進めております。
 都は、このような市の取り組みにより、鶴川駅前の立地を生かした住環境の形成が実現されるよう、必要な支援を行ってまいります。

○小磯委員 次に、まちづくりに関連した鶴川駅の駅舎改良、この取り組みについて伺います。
 駅は、単に乗降場として機能するだけでなく、周辺のまちづくりと連携して、安全、便利、快適に日常生活を送る上での拠点として機能させていく必要がございます。
 町田市では、鶴川駅を市の東の玄関口にふさわしい駅とするため、新たな駅前広場整備、また、南北自由通路整備に合わせて、駅舎の改良に取り組んでいくこととしております。
 鶴川駅は、現在の駅舎が昭和四十四年に整備された後、大きな改良は行われておりません。一日当たり約六万九千人ある駅利用者の利便性を高めていく上で、駅舎改良の取り組みを着実に実現していく必要がございます。それには都の積極的な支援が欠かせません。
 この鶴川駅の周りのまちづくりという点では、大変新しい住宅がどんどんできておりますし、マンション等もできておりまして、鶴川駅を利用する乗降客数というのは、本当に近年拡大をしていると、こう思います。
 そういった意味で、鶴川駅の駅舎改良に向けた今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 鶴川駅は、駅の北側、南側、それぞれに地上駅舎を持つ駅でございまして、改札からホームへ移動するためには、改札内に線路をまたいで設置されている連絡橋を渡る必要がございます。
 昨年十月の町田市の基本方針では、駅利用者の快適性、利便性を向上させるため、自由通路の整備に合わせ駅舎を改良するとの方針が示されておりまして、現在、町田市と鉄道事業者が連携して、駅舎の改良を検討しております。
 都といたしましても、国の補助制度の活用など、事業の実施に向けた技術的な助言を行い、市の取り組みを支援してまいります。

○小磯委員 次に、鶴川駅周辺地域のさらなる発展のためには、駅前広場の再構築が必要であると考えます。
 特に、南口広場の整備に当たっては、広場までのアクセス路が都県境をまたぐことが想定され、川崎市との調整も必要であることから、事業の実現には大きな課題となります。
 今後、東京都も広域的な自治体として、積極的にこの事業について支援していただきたいと思いますが、都の見解をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 町田市の基本方針では、鶴川駅への路線バスの発着を分散させることを目的に、南口広場の整備を計画しております。
 また、同方針におきまして、町田市は、南口広場へのアクセス道路の整備について川崎市と進めていくとしておりまして、今後、両者において協議が開始されるものと考えております。
 都といたしましても、鶴川駅周辺の課題は承知しておりまして、今後、周辺道路ネットワークの状況を見ながら、南口広場へのアクセス道路につきまして、町田市に対し、技術的な助言を行うなど適切に対応してまいります。

○小磯委員 今、鶴川駅ということでございましたが、今度は駅のホームドアについてお伺いをいたします。
 鉄道駅のホームドアの整備については、我が党が中心となって、鉄道事業者、また国に要望活動を行うとともに、鉄道事業者の取り組みを支援する補助金の確保に尽力をしてまいりました。都といたしましても、平成二十三年度から試行として始めた補助制度が活用されることにより、着実に整備が進んできたと考えます。
 鉄道駅のバリアフリー化の中でも、特にホームドアの整備は、鉄道駅での転落防止策として有効であり、極めて重要な安全対策であります。
 昨年十二月、我が党は、新型ホームドアを試験的に導入しているJR町田駅を視察いたしました。関係者と意見交換を行ったところでございますが、設置の工期短縮と工事費削減が期待をされている。一刻も早くこれを本格導入すべきだと考えます。
 JR町田駅について、全ホームにホームドアを設置すべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 JR町田駅の新型ホームドアは、山手線などにある従来型に比べまして簡易な構造となっております。JR東日本は、昨年十二月に一両分の整備を行いまして、この夏には、ホーム一列分まで整備し、安全性、耐久性、作動の安定性など、実用化に向けた検証を行うと聞いております。
 今後、実用性が確認された場合には、補助を通じまして事業者の取り組みを積極的に支援してまいります。

○小磯委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 一方、小田急線の町田駅についてでございますが、乗りかえ駅として乗降者数が大変多いわけでございますけれども、十万人を超えているということでございますが、いまだにホームドアが設置されておりません。整備予定や、また検討状況、これも公表されていないということでございます。
 小田急線町田駅について、ホームドア整備を促進すべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 小田急線町田駅では、普通列車とは扉の位置や数、車両の長さが異なります特急ロマンスカーが停車いたします。
 小田急電鉄では、ホームドアが設置できるよう、普通列車の扉位置を踏まえた新型ロマンスカーの導入を検討しておりまして、都として、こうした会社の取り組みや、また、今後の技術開発動向などを踏まえまして、適切に対応してまいります。

○小磯委員 確かに、ロマンスカーは、ほかの急行とかの車両と随分違うというのは、私も利用している者の一人として十分承知をしておりますけれども、今は、ドアの違いを勘案した、そういうホームドアも技術開発されているようでございますので、一刻も早い検討を都としてもよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、最後の質問でございますけれども、国土交通省がこのほど、改正踏切道改良促進法に基づいて、危険だったり渋滞の原因となったりしている改良すべき踏切道として、新たに全国五百二十九カ所を指定して、町田市で四カ所対象になっているわけでございます。この踏切については、道路管理者や鉄道事業者などに対して、二〇二〇年度までの対策ということで義務づけているわけでございます。
 このうち、小田急線柿生四号踏切というところは、大変交通量が多くて危険な踏切で、私も何回かここを、何とかするようにいろいろと知恵を絞ったり、いろいろと意見交換をしているわけでございますが、そこの安全対策を実施していく必要がございます。
 都の取り組みについてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 小田急線柿生四号踏切は、都の踏切対策基本方針におきましても、重点的に対策を実施、検討すべき踏切に位置づけておりまして、これまで、道路管理者や鉄道事業者によりまして、歩道のカラー舗装化や横断時間を確保するための警報時間制御などの対策が実施されてきております。
 さらに、今年度、鉄道事業者が、踏切内の異常を接近する列車に知らせて停止させるための非常ボタンを増設しておりまして、これにより安全性の向上が期待されます。
 こうした対策による効果を見ながら、関係者の取り組みを支援してまいります。

○小磯委員 今回の改正踏切道改良促進法には、改良方法を検討するための協議会制度の創設など、ソフト、ハード、両面から、地域の実情に合わせた対策を求めているということでございまして、通っている道路は市道でございますけれども、すぐ十数メートル先には都道がございます。そういった意味では、東京都も、こういった協議会制度の創設など、いろんな手法を用いて、ぜひとも、ここの踏切の渋滞解消でありますとか、安全対策にしっかり今後とも取り組んでいただきますことを要望して、私の質問を終わります。

○西沢委員 私からも、まず最初にホームドアについてお伺いをしていきたいというように思います。
 ホームドアの設置は、今も議論がありましたが、これ、誰しもが早くつくってほしいというところでは一致しているんだというように思います。
 昨年の八月には、視覚障害者の方の事故が相次いだことで、たびたびこういう事故が起こるのは、大変残念ですけれども、起こります。そのたびにホームドアを早目につくろうよという議論になるんですけれども、じゃあどれくらい、どのように取り組んでいくのかというところになってくると思います。
 このホームドアについては、今、着実に進めているんだという話もありましたけれども、私自身はまだまだ十分ではないというように思っています。
 「十年後の東京」実行プログラムという、石原都政のときにつくった、その後十年間の東京の長期ビジョンですね、つくっていますが、ちょうど十年前の平成十八年のときには、ホームドアを、「十年後の東京」、つまり、平成二十八年度でいうともう今月末までに、都内全域にやるんだというようなことが書かれていますが、これはなかなか現実的には難しいと。
 数年前、これは私も取り上げましたけれども、東京都としては、ホームドアを、全部には無理だけれども、検知マットであったり、それから内方線という形で、どっちがホームで、どっちが線路かというようなところがわかるようなもの、そういった工夫をいろいろ凝らした上で、全駅には対応しているということでありましたが、いずれにしても、全駅にホームドアを設置するという道は、半ばであるというようなところでは間違いないんだと思います。
 こうしたことを含めて、来年度の予算は大体三倍ぐらいにふやすというようなことでございますが、私は、オリンピックを見据えてとよくいいますけれども、オリンピックを見据えるだけじゃだめだと思うんですね。つまり、オリンピックの二〇二〇年以降にもし完了していなければ、これは進まないということを認めてしまうようなことにもなると思います。だからこそ、オリンピック、二〇二〇までにやりましょう、もちろんその目標を定めるのはいいんですけれども、現実的に着実に進めていくというような取り組みが必要だと考えます。
 こうしたことも含めて、東京都はどのように取り組んでいるのか、まず最初にお伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 利用者の安全性確保のため、ホームドア整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 都は、事業者の取り組みを支援するため、地下鉄の駅、あるいはJRや私鉄の利用者十万人以上の駅を対象といたしまして、国や地元区市とともに補助を実施しております。

○西沢委員 現実としては整備が進んでいないところがあるというふうには思います。
 今答弁ありましたけれども、JR、それから私鉄、ホームドアの整備がどのようになっているのか、進捗とそれから課題ですね、どのような課題があると認識しているのか、お伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 都内におきましては、鉄道事業者による自主的な取り組みも含めまして、これまでに、JR及び私鉄を含め、約三割の駅でホームドアが設置されております。
 整備に当たりましては、扉の位置の異なる列車への対応や、狭隘なホームでの設置スペースの確保、また、多額の費用などのさまざまな課題がございます。

○西沢委員 いずれにしても、民間鉄道事業者との連携が不可欠というようなことだと思います。
 民間鉄道事業者、JRだとか私鉄だとか、イメージとしては、連携をすると一口でいっても、例えば月に一回こういう会議を開いていますとか、補助のメニュー、いろいろあると思います。こうしたメニューをどうしていくのか。それから、東京都としても重点的に、先ほども議論がありましたけれども、こういう駅にはこうしていきましょう、それから、一日の乗降客数が十万人を超える駅はこうしましょうと、いろいろ目標があると思うんですね。
 そうした意味も含めて、民間鉄道事業者との協議体制、これがどのようになっているのかお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 都は毎年度、鉄道事業者からのヒアリングの場を設けまして、今後の整備予定について確認いたしますとともに、事業者の積極的な取り組みを促しております。
 また、補助を実施するに当たりまして、地元区市とも連携して、鉄道事業者との協議を行っております。

○西沢委員 年一回ですかね、毎年度ということで、日々のやりとりはされているんだと思います。今答弁で、積極的に取り組みを促すという答弁がありましたから、ぜひ取り組んでいただきたいというように思います。
 東京都の交通局に関しては、別の委員会でも指摘をさせていただいておりますけれども、やはり東京都内、ホームドアを設置しようというようなことになれば、民間の鉄道事業者との連携というのは、これは欠かすことができません。ぜひ積極的に取り組みを促していただきたいというように思います。
 それで、異なる扉の位置、それから費用の問題というのが懸念事項であるというようなことであります。
 ホームドアにもさまざまなタイプが当然ありますけれども、先ほども議論がありましたが、場所によって、なかなかホームドアの設置が難しいというのをクリアできるような技術が最近は出てきておりますし、シャッター型であったり、それから、QRコードで場所、位置を判断するというような、こういった先進技術があります。
 この先進技術の開発について、私は、ここも含めて補助をしていくというようなこと、単純に設置をするだけの補助だけではなくて、自主的に、民間事業者もかなり技術を持っていますし、当事者ですから、メニューがありますよだけではなく、自主的に取り組みを促す一環として、私は、こういうホームドアの技術というものを開発してくださいという、こうしたメニューも含めて補助すべきだというように考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 平成二十七年三月からでございますが、JR八高線拝島駅におきまして、昇降式ホーム柵の実証実験が行われております。また、昨年十月には、京急久里浜線三浦海岸駅におきましてマルチドア対応型ホームドアの、また、昨年十二月には、先ほどもお話がございましたが、JR横浜線町田駅におきまして、フレーム構造型のホームドアの実証実験が開始されております。
 これらの技術開発によりまして、ホームドアの軽量化による費用低減や、扉の位置の異なる列車への対応が可能となることが期待されておりまして、今後、実証実験を通して、安全性、実用性、耐久性などを検証すると聞いております。
 このように、既に鉄道事業者によりましてさまざまな取り組みが行われておりまして、都としては、その動向を踏まえ、新たな技術が実用化された場合には、補助制度により適切に対応してまいります。

○西沢委員 動向を踏まえて検討していくというようなことでありました。こうした技術の進歩というものは、いろんなところに使えますし、もう一つは、海外についての輸出であったり、技術の進歩そのものにもつながると思います。ぜひ取り組みをさらに加速させていっていただきたいということを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 住宅政策についてです。来年度予算という部分もありますし、報告事項ということもございますが、一緒にあわせてお伺いをしていきたいというように思います。
 私は、住宅政策のポイントとしては既存住宅の流通というところ、つまり、中古住宅ですね、中古住宅の流通というものを加速させる必要があるという観点から、幾つかお聞きをしていきたいと思います。
 リノベーションであったりリフォームに対しては、助成とか補助があります。このリノベーションとかリフォームというのは、最近、道を歩いていても看板をよく見かけると思います。リフォームだとかリノベーションに関して、これは補助とか助成とかが、国も含めて出てきているから、今まではつくったら壊すというような考え方が変わってきているんだろうというように感じるわけであります。そうした中で、リノベーションとかリフォームという部分が、私は、住宅政策、既存住宅の流通の肝であり、それから、かなめになるというように感じます。
 リフォームとかリノベーション、今までは、肝とかかなめではなく、附属的といいますか、おまけ的のような形で取り上げられていたことがありますけれども、長く使っていこうという文化の中では大変重要であるということを、まず指摘させていただきたいと思います。
 まず最初に、住宅政策審議会でも同じような議論がありましたが、来年度予算での取り組みについてお伺いいたします。

○木村民間住宅施策推進担当部長 このたびご報告いたしました東京都住宅マスタープラン案におきましては、ストックの有効活用の観点から、質のよい住宅を長く大切に使うことが重要と位置づけまして、既存住宅のリフォームや流通を促進することとしております。
 住宅の質を保ちながら長く使用していくためには、経年変化やライフステージなどに応じて、適切に維持管理やリフォーム等を実施することが必要でございます。
 都はこれまでも、住宅の取引やリフォームに関するガイドブックを活用しセミナーを開催するなど、普及啓発に取り組むとともに、工務店などの事業者団体が実施する技術力向上のための講習会に助成を行っており、引き続き来年度もこうした取り組みを行ってまいります。

○西沢委員 適切な維持管理やリフォームを実施していくことが必要だというご答弁をいただいたわけですが、住宅を長く使っていくというためには、維持管理、リフォームは当然必要になります。
 ここで、中古自動車の流通システムを例にとりたいんですけれども、前知事は、中古自動車の流通システムというものが、一つは住宅の流通の参考にできるんじゃないかと、こう発言したことがあります。
 中古自動車は、耐用年数が、あれ七年ぐらい……(「七年」と呼ぶ者あり)七年ぐらいですよね。ところが、私も去年八月に十六年前の中古自動車を買いました。けれども、がんがん走っています。きょうもそれで来ました。
 この中古自動車をなぜ私が買ったのかというと、走行距離であったり、メンテナンスの状況であったり、それからエンジンがどうであったりとか、そういう記録がついているわけですね。その中で、これは、耐用年数というか、物が古いかもしれないけれども、でもそれだけの価値があるんだという形で買ったというようなことになります。
 中古自動車というのは、インターネットでも今検索できますし、業者さんなんかでも、そうした情報を履歴ですぐ見られるようになっていますね。それを参考にして見ると、七年たったら価値がゼロになるということでは当然ないというものが、市場としても形成されているわけです。
 不動産と動産を一緒くたには扱えないですが、住宅についても、ようやくそうした部分が来ているんだろうと。つまり、リフォームをいつやりました、リノベーションを行いました、こうしたことをメンテナンス履歴としてやれば、十分に市場価値として、住宅も流通できるんじゃないかというように思うわけであります。
 今後のこうした既存住宅の流通については、住宅履歴だったり、ホームインスペクションで、実際、専門家がそれを見て、建物としては、やっているよというようなものを、こういった部分が、住宅の価値が適切に評価されていくと。ここが重要なんじゃないかと思いますし、例えば、私は、東京都がお墨つきを--国で少しずつ始まっています。東京都がお墨つきを与えるようなシステムですね。この住宅は中古住宅だけれどもしっかりしていますよというようなもの、そんな制度があってもいいと思いますが、見解をお伺いいたします。

○木村民間住宅施策推進担当部長 既存住宅の流通市場におきましては、住宅の維持管理状況などにかかわらず、一定の年数がたつと建物の価値がゼロになる慣行がございますが、今後は、維持管理や住宅リフォーム等が適切に評価されることが重要でございます。
 消費者が品質を把握し、安心して既存住宅を購入するためには、建物状況調査、いわゆるインスペクションの普及や、住宅履歴情報の蓄積、活用等が有効でございます。
 国におきましても、宅地建物取引業法の改正を行い、インスペクションを実施した場合、結果を重要事項として購入者に説明することなどを定めたところでございまして、また、耐震性など基礎的な要件を備えた既存住宅についての情報提供制度についても検討していると聞いております。
 こうした動きなども踏まえながら、適切に維持管理されている良質な住宅が、その価値を評価され、安心して売買等が行われるよう取り組んでまいります。

○西沢委員 かなり重要なご答弁をいただいたと思っています。リフォームなどが適切に評価されることが重要ということを東京都としてしっかりとご答弁いただいたことは、大きかったのかなというように思います。
 リフォームであったりとか、こうしたリノベーションみたいなものが評価される仕組みというのは大事だという認識はだんだん高まってきているということがいえますが、そもそも固定資産税であったり耐用年数の考え方が、私はもう限界に来ているというように思います。
 木造住宅だったら、二十二年たったら価値がゼロに近くなるというような話ですけれども、実際、木造住宅で二十年たっても十分に住めますし、逆に、以前も取り上げたことがありますけれども、十年間ほったらかしにしている住宅や湿気がたまっても何も換気もしない住宅と、毎年しっかり換気もして、リフォームもして、畳もかえて、あれもしてこれもしてとやっている住宅だったら、確実に後者の方が資産価値は高いはずなんです。
 ところが、固定資産税関連でいくと、買ったときから〇・八になるわけですね。つまり、八〇%、買った瞬間八〇%になるといわれるのはこれが理由で、これは国税庁の方でやっている固定資産税の基準というようなものがそれになっていることに由来しているわけで、ここが最終的にこの価値を決めていることにつながっていく、弊害になっていると私は思っています。この耐用年数の考え方、限界に来ているし、固定資産税の基準の考え方というものも限界に来ていますが、当然、国のことになります。
 私は、こうした既存住宅の履歴や価値を適切に評価し、流通の活性化を図る必要があるため、こうした考え方を変えていくべく国に要望すべきと考えますが、取り組みについてお伺いをいたします。

○木村民間住宅施策推進担当部長 既存住宅につきまして、消費者が安心して選択できるものにしていくためには、維持管理やリフォーム等により品質や性能が確保され、その価値が評価される必要がございます。
 国の既存住宅の価格の評価手法につきましては、維持管理状況が反映されるよう改善されておりますが、内容が複雑でございますため、事業者が使いやすいものにするよう、都としては国に提案要求を行っております。
 また、住宅所有者による適切なリフォーム等を促進するよう、税の優遇などについても要求してまいりました。
 今後も、既存住宅が適切に評価される市場の形成に向け、取り組んでまいります。

○西沢委員 これは国の話だということだと思いますが、要望していくことは大変重要だと思います。
 さらに、東京都という形で要望することは、極めて大きな効果を生むと思っておりますので、今、事業者が使いやすいものにするようとか、リフォームの促進とか税の優遇ということでしたけれども、ぜひ、耐用年数であったり、税の方は主税局かもしれませんけれども、制度そのものについての議論が必要だということを要望していっていただきたいということを申し上げたいというように思います。
 住宅政策でありますけれども、公的賃貸住宅についてお伺いをしていきますが、きょうも、都営住宅であったり都民住宅、住宅供給公社についての議論がありましたが、まずは、都営住宅に入りたい低所得者の方、ここは極めて重要です。不公平感があっては、やはりいけないと思います。
 そうした中で、まず最初に、都営住宅であったり区市町村営住宅、UR、それから公社住宅、さまざまなソリューションがあると思いますが、それぞれの住宅の違い、国とか東京都含めて果たす役割、この分担がどのようになっているのかお伺いをいたします。

○田中住宅政策担当部長 都営住宅及び区市町村営住宅は、公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低所得者を対象として、それぞれ都と区市町村が供給する住宅でございます。
 これらの公営住宅につきましては、国が、地方公共団体に対する財政支援や技術支援等を行っているほか、都におきましても、区市町村営住宅の供給に当たりまして、区市町村に対し整備費等の一部を補助しているところでございます。
 これに対しまして、公社住宅は、地方住宅供給公社法に基づき、中堅所得者を対象として、東京都住宅供給公社が供給する住宅でございます。
 また、UR賃貸住宅は、独立行政法人都市再生機構法に基づきまして、中堅所得者を対象として、独立行政法人都市再生機構が供給する住宅でございます。

○西沢委員 それぞれさまざまな役割があるということですけれども、やはり一番重要なのは、低所得者向けの住宅は、これは絶対なくしてはいけないということだと思います。
 そうした中で、さまざまなサービス、さまざまな住宅があるものを、どこに応募して、どこに自分が住めるような要素があるのか、そして、自分はどういった形でその応募の仕方を考えていったらいいのかというところが、私は、なかなか都民の皆様にわかりづらくなっているんじゃないのかというようにも思います。
 そうした状況の中で、こうした、国がやっていることであったり、東京都がやっていること、もしくは別の団体がやっているところを一体的に考える必要があるんじゃないのかというように思います。
 さらに、ここでポイントなのは、東京都内に八十万戸以上あるといわれている空き家の対策でもあります。
 空き家、空室も含めてですけれども、東京都内は大体一〇%前後ぐらいで推移していますが、欧米諸国とかに比べれば、空室率というのは極めて高いです。ニューヨークなんかほとんどあいている部屋はありませんから、住むことができないというようなところでありますけれども、今、東京都内、人口、今でも過密しているところはありますけれども、でも大体住めるところはあります。いわゆる空室というのは必ずあるものです。住む場所自体が見つからないというようなことは、基本的にはありません。
 そうした中で、空き家対策というものが社会問題にもなって、クローズアップされているところであります。これを有効に使わない手はないだろうというように考えるわけであります。
 そこで、都営住宅に応募しても入居できないというような方々、こうした方が不公平感なく円滑に入居できるような仕組みというものを、今いったような、国であったり東京都、それからUR、公社住宅、さまざまなこういったサービスであったり果たす役割を一体的に捉えて、仕組みを構築すべきだというように考えますが、見解をお伺いいたします。

○田中住宅政策担当部長 低所得者の住宅確保要配慮者の居住の安定確保のためには、公共住宅と民間住宅の住宅ストック全体を活用して、重層的な住宅セーフティーネット機能の強化を図ることが重要でございます。
 都営住宅に入居できない住宅確保要配慮者の居住の安定確保のため、都は、居住支援協議会の活動を通じた借り手への入居あっせんや、貸し主への家賃債務保証制度の紹介などのほか、入居を拒否しない住宅の登録制度の活用を促進しております。
 また、空き家を子育て世帯や高齢者世帯などの住宅確保要配慮者に賃貸する場合、区市町村を通じて、バリアフリー化などの改修費への補助を行う制度を設けております。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、セーフティーネット機能の強化に取り組んでまいります。
 なお、民間賃貸住宅の空き家につきましては、現在、国が、入居を拒まない住宅の登録などを内容とする制度の検討を行っているところでございまして、都は引き続き、国の動向を注視してまいります。

○西沢委員 今までやっていることはやっていますよというような感じだと思いますし、最後に、国の方では、入居を拒まない住宅の登録などを内容とする制度の検討を行っているということでございました。
 この問題、大きな問題になりますから、引き続き動向を注視するということですけれども、ぜひご注視いただく上に、東京都としても、これは考えていただきたいというようなことを申し上げたいと思います。
 そして、続いて住宅政策ですが、CLTについてお伺いをします。
 CLTというのは、クロス・ラミネーテッド・ティンバーという、都市整備委員会でも数年前に取り上げられたこともあります。議会でもたまに出てきたりしますし、CLTは、国の地方創生という観点で注目をされている技術でもあります。
 CLTというのは、木造住宅です、簡単にいうと。知らない委員の先生もいらっしゃると思いますが、木造住宅。(資料を示す)これはイギリスの七階建て住宅ですが、木造というような形で、こういう木を固めたもの、板を固めたもので高層が建つというような技術であります。
 それはイギリスの例ですけれども、日本では、これはそもそも、余り普及はまだまだされていないと。ただし、日本独自の木造での建築技術というのは極めて、私は着目をするべきなんじゃないのかというようにも思います。
 なぜ国がこれを進めているのかというのは、一つは、林業であったり地方創生という観点から、これは注目されているわけです。つまり、東京都ではなくて、違う別の地方の活性化というようなところ、林業が盛んな地域であったりとかで、木をいっぱい使うというような観点から、国が少し力を入れて補助を出すという制度になっています。
 東京都では多摩産材も使えるんじゃないかという議論もありますが、私は、そもそもこのCLTという技術を使うことそのものが、東京にとっても前に進めることができる技術につながるんじゃないかというような思いを持っています。
 というのは、これからは、三階以下であれば、建築確認で普通に建てることができるようになってきたと。こういう高層のものはできないけれども、三階までは木造でつくれると。木造というか、CLTでつくれると。それ以上のものになれば、大臣認定というものを受けなければできなかったわけですが、三階以下のものについては、そうではなく、普通につくることができるようになってきた。少し進んできたわけでありますね。
 そうした中で、CLTの普及状況ですけれども、東京都がこれを使っていくということで、私は、先ほど申し上げましたけれども、木造であったりとか、もしくは住宅そのものについての活性化が図られていくと。
 東京都も、かなりそれが取り入れられて普及しているんじゃないかというように思うわけですけれども、現在の普及状況をまず最初にお伺いいたします。

○佐々木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 お尋ねの普及状況についてでございますが、日本CLT協会によりますと、CLTを利用して竣工した建築物は、全国でも約六十棟でありまして、都内ではまだ事例はございません。

○西沢委員 まだ全然進んでいないということですね。
 この技術自体が比較的新しいですけれども、新しいといっても、こういった形で建築が進められていますから、技術的には、それはかなり蓄積のあるものです。
 今、CLTの促進については、推進協議会なんかが発行しているパンフレットにありますが、補助金を合わせれば、鉄筋コンクリートの住宅と大差なく建てられるぐらいにまでなってきているというようなところがあります。
 さらに、コンクリートみたいに乾かす必要、固まる時間が要らないですから、工期がもう少し圧縮できるという部分から、この技術については、かなり潜在的に可能性が高いものがあるんじゃないかということがいえるんじゃないかと私は思います。
 この技術がさらに進んでいけば、東京都の方が、住宅が、やっぱり建築件数も多い中で進んでいけば、さらに費用も圧縮が見込めるんじゃないかという部分があるんですね。今は普及が余りされていないですし、都内でも実績がないと。そうすると、工務店さんだったり設計士さんも限られてきますから、やっぱりそれは高くなってしまう部分がありますけれども、こうした木材を使った中高層も建てられる技術というものは、大変注目をされるべきだと思います。
 私は、都市整備局の事業も含めて、こうしたCLTの導入を検討すべきだと考えますが、どのような課題があるのかお伺いをいたします。

○佐々木企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 CLTにつきましては、先ほど委員からお話がございましたように、昨年の建築基準法関係告示により、三階以下の建築物につきましては大臣認定の手続がなくなりましたが、それを超える中高層建築物の場合には大臣認定が必要でございます。
 また、今もお話がありましたが、鉄筋コンクリート造などと比較しますとコストが高いこと、またさらには、関東にはCLT製造工場がなく、多摩産材の活用に結びつきにくいことなどが課題となっております。
 CLTの都市整備局事業における導入検討に当たりましては、これらの状況を踏まえつつ、今後も国の動向などを注視してまいります。

○西沢委員 もう終わりますけれども、CLTについては、かなり可能性があるということです。答弁がありましたけれども、関東にはこうした工場もなくて、なかなか多摩産材の活用にも結びつきにくいということもありました。
 私が申し上げたいのは、多摩産材を活用しろということでもなく、二〇二〇オリンピック大会などでシンボリックな建物に使うべきということでもなく、普通に住宅政策の一つとして、こういった技術を広く認めて使っていくというようなことが、建築技術の向上であったり、それから、世界に向けて日本の木材技術というものを広めていくことにもつながると思いますし、何よりも住環境が、都民に対して上がっていくということにつながるんだろうというように私は思っております。
 ぜひ、こうしたCLT、課題はあるものの、導入に向けてさまざまな角度から検討を進めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○あさの委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十四分休憩

   午後三時開議

○あさの委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○白石委員 私からも、本日報告事項になっている住宅マスタープラン及び予算関連で、何テーマかに分けて質問をさせていただきます。
 まず初めに、新しい住宅マスタープラン案について質問したいというふうに思います。
 現在、ロンドン市長選挙やオーストラリアの国政選挙などで、各国の住宅問題が選挙の争点になっております。それは、世界規模で弱肉強食の新自由主義が横行し、貧困と格差が広がり、住宅の確保が大変深刻な問題になっているという状況だからです。
 日本、そして東京も同じ問題を抱え、富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困の拡大が進んでおります。今回のマスタープラン案にも、その姿が書かれております。
 例えばマスタープランの一〇ページでは、一九九八年に約四割だった年収四百万円以下の低所得階層が、最新の調査で見ますと四八・三%、都民の家庭の半数近くに上っている。低所得者層が増加していると、このように明記もされております。
 すぐその下には、二人以上世帯の平均年収が二〇〇〇年からの十五年間で約一割、八十万円も減ってしまったことがグラフで示されています。まさに中間層の疲弊、低所得者層の増加が広がっていると。
 そんなときに、生活の根幹である住宅をどう都民が手に入れられるようにするのかというのが、マスタープランは今後十年間の住宅政策を定めるものとなっておりますから、非常に強く問われていると思います。
 今回の案では、東京に暮らす全ての方々の豊かな住生活の実現が必要だとしまして、豊かな住生活とは、一、世帯の人数と構成、居住者の身体機能に応じた適切な規模、機能を備え、災害に対する安全性が確保された住まいが得られていること、二点目、日常的な生活関連サービスや、医療、介護サービスが十分に確保されるとともに、通勤通学の利便性を享受できること、三点目が、地域における良好な人間関係と快適な住環境の中で、安心して暮らすことができることと、このように記されております。この目標は、大変立派なものだというふうに思います。
 しかし、先ほど紹介したように、中間層の疲弊、貧困の拡大の中、安価で適度な費用で購入もしくは借りられる良質な住まい、いわゆるアフォーダブルな住宅がなければ、東京で暮らす全ての方に豊かな生活を実現するといっても、それはいわば絵に描いた餅になってしまいます。
 そこで、お尋ねをしたいというふうに思いますが、適度な費用で入手できる良質な住宅であるアフォーダブル住宅の意義についての都の認識を伺いたいというふうに思います。

○田中住宅政策担当部長 いわゆるアフォーダブル住宅に関する統一的な定義は定められておりませんが、公共住宅等や民間賃貸住宅への入居の円滑化が一層進むなど、重層的なセーフティーネット機能が強化され、中堅所得者層も含めた住宅確保に配慮を要する都民が、世帯の人数や構成などに応じた規模や性能を持った住宅に居住できる社会が実現されることが重要と認識しております。

○白石委員 アフォーダブル住宅の定義はないものの、中間層も含めて適切な住宅に入居できる社会の実現に向けた取り組みが重要だとの認識が示されたと思います。
 では、現在、中間層、低所得者層の住宅事情はどのようになっているのかという点で見ていきたいというふうに思います。
 まず、中間層です。
 都内の分譲マンション一戸当たりの平均分譲価格の年収に対する倍率はどのようになっているのかという点、また、勤労世帯のうち、民間賃貸住宅にお住まいの方の住居費、つまり、家賃などが一カ月の支出に占める割合はどのようになっているのか、それぞれ伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 住宅の間取りや広さ等の差を考慮しない、全ての新築分譲マンションを対象とした単純平均となりますけれども、都内の分譲マンションの年収に対する倍率につきましては、株式会社不動産経済研究所の全国マンション市場動向及び東京都生計分析調査をもとに、平成二十七年時点で約九倍と推計しております。
 また、民間賃貸住宅に居住する勤労世帯において、住居費が一カ月の支出に占める割合につきましては、平成二十七年時点で二〇・一%となっております。

○白石委員 今ご答弁でもあったとおり、マンションの平均価格の年収倍率が九倍と。民間賃貸住宅の支出のうち、住宅費が占める割合が二割というふうなことです。
 この状況について、都はどのように考えているのか、都としてマンションの価格の年収倍率や民間借家の住居費が収入に占める割合について、どのぐらいの水準が適切だと考えているのか、伺いたいというふうに思います。

○田中住宅政策担当部長 マンションの価格の年収倍率や、民間賃貸住宅に居住する勤労世帯の支出のうち住居費が占める割合につきましては、住宅価格や家賃などが景気の動向や建築資材の単価、地価などの影響を受けるものであることから、数値そのものの評価や適正な水準の設定は難しいものと考えてございます。

○白石委員 今、なかなか答弁できなかったと。要するに、どの水準が適切か都としての考えを持たないというふうな答弁であります。これは、都民の苦しみに対して目を向けない姿勢だといわざるを得ません。
 今月四日付の日経新聞では、都心マンション高値の花というタイトルで、高い峰ではなく高い値段ですとして、東京二十三区の坪当たりの単価が、一般世帯が購入可能な単価を四割も上回っていると、このように報じています。また、七十平米の家族向け物件で七千万円になり、実質賃金が伸び悩む中、簡単には手を出せない水準となったと、このようにもこの日経新聞では報じております。
 分譲が大変なら、賃貸も同様に大変だということになると思います。このマスタープラン案でも、八割が五十平米未満で十分な面積の確保が難しいと。それなのに、持ち家と比べ住居費は月二万円も高くて、持ち家と比べ生活費は一月に十万円近くも節約しているにもかかわらず、住居費が支出に占める割合は持ち家の一・五倍だと。このような状況ですから、持ち家世帯以上に大変厳しいといわなければなりません。
 子育て世帯に対する住宅供給について、続けて質問をしていきたいというふうに思いますが、プラン案では、東京の出生率は全国最低水準だが、理想の子供数を持たない理由の一つは家が狭いことであり、特に年齢が若いほど、家が狭いことを理由に挙げる割合が高くなっているとしています。
 プラン案は、子育て世帯向け住宅の供給促進を目指しておりますが、手軽で一定の水準のあるアフォーダブル住宅を必要としている子育て世帯の数はどの程度と認識しているのか。また、そのためにどのぐらい供給目標を持っているのかという点を伺いたいと思います。
 さらに、民間住宅の販売価格や家賃を下げるための政策は持っているのかもあわせて伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 先ほどもご答弁いたしましたが、いわゆるアフォーダブル住宅につきましては、統一的な定義が定められておりませんことから、こうした住宅を必要としている子育て世帯の数は把握しておりませんが、子育て世帯向け住宅の供給を促進するため、住宅マスタープラン案におきましては、子育て支援住宅認定制度に基づく認定住宅の戸数や、子育て世帯向け公共住宅の募集数などに関する政策指標を設定してございます。
 子育て世帯向け住宅の供給に当たりましては、都は、子育て支援住宅の認定を受けた住宅に対し、区市町村を通じて財政支援などを行っているほか、空き家を子育て世帯などの住宅確保要配慮者に賃貸する場合、区市町村を通じてバリアフリー化などの改修費への補助を行う制度を設けております。
 また、都営住宅や公社住宅におきまして、子育て世帯に対する優先入居などを行っているほか、都営住宅におきまして、子供の成長とともに教育費の家計負担が重くなることを勘案し、入居時の収入基準を緩和する世帯要件につきまして、同居の子供の年齢を、現在の小学校就学前までから引き上げることを検討してまいります。
 なお、民間住宅の販売価格や家賃につきましては、景気の動向や建築資材の単価、地価等の影響を受けるため、価格の水準につきまして行政が関与することは困難と考えております。

○白石委員 まず、アフォーダブル住宅を必要とする子育て世帯の数というのは、統一的な定義がないからつかんではいないというふうなことを踏まえて、いろいろ東京都として、こういう施策をやっていますよというふうな答弁でした。
 都営住宅の入居収入基準の緩和というのは、私どもも評価をしたいというふうに思います。しかし、都営住宅の募集は数千規模ですし、空き家改修は始まったばかりで、しかも、この空き家改修制度というのがない区市町村の方が多数というのが今の現況です。都内の何百万という子育て世帯から見ると、到底カバーできないというのは明瞭だというふうに思います。
 プランが、東京に暮らす全ての方々の豊かな住生活の実現というのを中心目標に掲げているならば、国が定めている誘導居住面積水準、これは国がいうところの、世帯の人数に応じて豊かな住生活の実現の前提として、必要と考えられる住宅の面積に関する水準を満たす住宅をどこまでふやすのかという計画を持つことは不可欠だというふうに思います。
 ところが、今回のマスタープラン案には、誘導居住面積水準の住宅について、現状がどうなっているのか、目標はどうするのかというのが全く触れられておりません。九一年に初めてマスタープランをつくって以来、都は、二十一世紀の初頭には、誘導居住面積水準を満たす住宅を過半数にするということをこれまで掲げていたということなんですね。しかし、これから、案の状態ですが、このマスタープランでは全く明記もされていないというふうな状況です。
 そこで、伺いたいと思いますが、誘導居住面積水準の意義について、都としてどのように考えているのか、そしてなぜ政策指標に入れないのかという点を伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 土地の高い東京におきまして、民間での供給が主体である住宅について、居住面積が狭くても、都心等の利便性の高い場所に住む方もあり、過去の住宅政策審議会の議論におきましては、個人の選択にかかわる内容の目標を設定することについては見直しを検討すべきものとの意見があったことから、現行マスタープラン及び新たなマスタープランでは、誘導居住面積水準につきまして政策指標として定めておりません。

○白石委員 今の答弁では、住政審の議論で見直し検討すべきと意見があったから入れないんだというふうなことを述べられました。つまり、土地が高い東京で民間に任せれば、利便性が高いところでは狭い家しか選べないと。だからいっそのことなくしてしまえというようなことをいっているのと同じような意味になります。
 そもそも誘導居住面積水準は、一般型と都市居住型の二種類あって、東京のような大都市では、地価が高くて住居費が高くなることに配慮して、一般型と比べてずっと狭い都市居住型でいいよと国も定めております。四人家族向けで比べると、都市居住型は、一般住宅よりもおよそ三十平米、約十八畳も狭くていいよとしているのは、よくご存じだというふうに思います。それすら土地が高くて民間主体ではできないから外そうというふうな意味に、先ほどの答弁もとられてしまいます。
 これで、東京に暮らす全ての方々の豊かな住生活の実現と、このように声高らかに叫んだとしても、実は魂が入っていないということは明らかだなというふうに思ってしまいます。
 加えて、住政審の議論でそういう意見があったから外したということですが、我が党の委員が、住政審で、アフォーダブル住宅の重要性と施策を盛り込んでほしいという意見を出しましたが、この意見はマスタープランには反映されていません。自分たちに好ましい主張については喜んで採用して、住政審で意見が出たからと口実にするのは、全くのご都合主義と厳しく指摘しておくものです。
 次に、低所得者の住宅問題についてです。
 プラン案でも、低所得者は、経済的理由から自力で適正な水準の住宅を確保することが困難だと。産業構造や雇用形態の変化により、就労が不安定な単身世帯なども住宅の確保に不安を抱えていますとの認識が明記をされていること自体は重要だというふうに思います。
 この状態に手を差し伸べるには、まず、どのぐらいの人がそうした状態で苦しんでいるのかをしっかりとつかまなければ、新たな手を加えたり政策を講じたりすることはできません。人数がわからなければ、施策の適否もわかりませんというふうなことになってしまいます。
 そこで、お尋ねをしたいと思いますが、低所得者が経済的理由で自力で適正な水準の住宅が困難な場合とは、端的にいえば、収入に対して家賃が高いということだと思いますが、都は、民間賃貸住宅の場合、収入に対してどの程度の家賃のことをいうのか、また、その家賃以上で生活している都民はどのくらいいるのか、伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 収入に対して、どの程度の家賃負担が困難かということにつきまして基準は定められておりませんが、例えば国の検討会におきましては、公営住宅を除く借家に居住する世帯の状況を示すに当たり、民営借家に居住する年収二百万円以下の世帯について、月収に占める家賃の割合が、平均家賃負担率三七・三%以上の場合を高家賃負担としている例がございます。
 都内におきまして、家賃負担率三七・三%以上の民営借家に居住している年収二百万円以下の世帯の数を推計いたしますと、約三十八万九千世帯となります。

○白石委員 ちょっと確認をしたいというふうに思いますけれども、今、都の方では認識をしていないけれども、国の検討会では年収二百万円以下の平均家賃負担率が三七・三%というのが高家賃だとしていますというふうな答弁をされました。
 都は、この国の立場に準じる立場になるのですか、そこら辺ちょっと確認をしたいというふうに思います。

○田中住宅政策担当部長 国の立場に準ずる立場なのかということでございますけれども、高家賃負担率というのを、同じように、国の考え方に基づいて試算すると、この数になるということでございます。

○白石委員 今の答弁だと、準ずるというふうな理解でよろしいということになるというふうに思います。その認識はすごく重要だというふうに思っております。
 年収二百万円の場合、月の収入は約十六万七千円、そこから税や社会保険料を引くと、手取りは約十四万円です。収入に占める家賃が三七・三%となりますと、家賃は六万二千円になります。そうすると、残りの生活費はわずか七万八千円。住宅費を除いた生活保護費すら下回るというのがこの額です。その中から、生活保護の場合は無料となる医療費も、この方々は払わなければなりませんし、そして食費を初め、最低水準の生活をさらに削らなければならないということなんですね。
 年収二百万円でもこういう状況だと。まして年収が、例えば五十万、百万というふうになった場合に、三七%というこの家賃負担というのは、到底生活は成り立たないということは、誰もがわかるというふうに思います。
 老朽化した木造の共同住宅、いわゆる木賃アパートが減少する中で、低家賃の住宅が減り、低所得者が安い家賃の住宅を探そうとしても困難な状況が広がっていると思います。
 現行のマスタープランでも、都内の低家賃住宅が減少していると、このように明記されています。低家賃とはどのぐらいの金額の家賃をいうのか、また、減少しているという認識を引き続き新しいマスタープラン案ではお持ちになっているのかどうか、伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 低家賃の住宅につきまして、統一的な基準はございませんが、生活保護制度の区部の住宅扶助基準額につきましては、単身世帯で五万三千七百円、二人世帯で六万四千円、三人から五人世帯で六万九千八百円などとなっております。
 平成二十五年住宅・土地統計調査によりますと、三人から五人世帯の住宅扶助基準額程度である家賃七万円未満の住宅につきましては、平成二十年時点と比べ増加しているところでございます。

○白石委員 現行では低家賃住宅が減少していると、このようなマスタープランになっていますけれども、案ではふえていると。大変驚きました。単身者世帯では、生活保護の住宅扶助、生保基準の住宅扶助は五万三千七百円ですが、三人世帯なら約七万円であり、七万円未満の住宅はふえているよというようなことだというふうに理解します。
 しかし、五万円から七万円未満の住宅のうち、三人向け以上の住宅はわずか一割強にすぎないんですね。大半は単身者向け住宅です。単身者にとって五万円から七万円というのは、先ほど年収との関係で述べましたけれども、低家賃住宅ということにはならないと思います。目安にするならまあ五万円ですよね。しかし、今の答弁では、五万円から七万円という幅を出しまして、これでふえているんだという認識を示されました。
 では、その低家賃の住宅で、果たしてプラン案が目標とするような適切な規模、性能、災害に対する安全性が確保されているという、こういう視点で住宅政策を見ていきたいというふうに思います。
 伺いたいと思いますが、月額家賃五万円以下の民間賃貸住宅で、耐震性を満たす住宅はどのぐらいあると推計をされておりますか。

○田中住宅政策担当部長 住宅・土地統計調査におきましては、家賃と耐震性の有無の関係を整理したデータはございませんが、一般財団法人住総研の平成二十四年の研究論文集におきましては、賃貸住宅情報サイトから二十三区の家賃五万五千円以下の物件データを分析した結果、新耐震以前の物件が二四・三%となっているというデータがございます。逆に、新耐震基準を満たす住宅は七五・七%となるところでございます。

○白石委員 つまり、低家賃住宅といっても、四分の一は耐震性に不安があるということです。私、都が今紹介したと思われる論文ですね、多分これだと思いますが、論文を持ってきましたが、全体で見ても四分の一は耐震性に不安のある旧耐震の住宅ですが、さらに細かく書かれているんですね、論文で。
 それで見てみると、二万五千円から三万円の住宅は七割以上、三万円から三万五千円の住宅は五割近く、三万五千円から四万円の住宅は三分の一くらいと、低家賃になればなるほど耐震性に不安のある旧耐震の住宅が多数となっている。災害に対する安全性が確保されない住宅に住まざるを得ないというのが、この論文には書かれております。
 さらに、今、都が紹介されたこの論文ですけれども、これらの住宅のうち、どれぐらいが最低居住面積水準を満たしているかという点についても調べられています。最低居住面積水準とは、単身者では六畳の部屋と三畳の台所がある住まいですが、これすら満たさない住宅は、何とですね、割合でいけば九三・三%なんです。ほとんどの住宅が最低居住面積水準未満であると。最低居住面積水準未満の住宅は、住宅マスタープランでも、一貫して近い時期になくすといってきたものですが、五万五千円以下の低家賃住宅では、最低居住面積を満たさない低水準の住宅が、先ほどいいましたが、九割以上に上っているということなんですね。
 そうなると、低所得者が新しく都内で自分たちでも借りられるような低家賃の住宅を探そうとしても、ほとんどが最低居住面積水準も満たさない、しかも、四分の一が耐震性にも不安があると。都のいう適切な規模、性能を備え、災害に対する安全が確保された住まいを手に入れるには、この結果からも大変厳しい状況に置かれていることになります。
 そして、それなりの規模を備えて安全な住宅に住もうとしたら、もう生活費を削るしかないと。貯金を切り崩す、このようなことをして家賃の高い住宅に住まざるを得ないというふうになると思います。
 さきに紹介した論文は、民間の賃貸住宅紹介のホームページのデータをもとにしたものです。SUUMOですね。新しい居住者を募集している区内の単身者向け低家賃の空き家、一万七百件のデータというふうになっております。新規の都内の低家賃空き家では、九割以上が最低居住面積水準以下ですよと、このように書かれております。つまり、新しく東京でひとり住まいの借家を探そうとしたら、低家賃で満足のできる水準のものはないよといっても過言ではありません。
 では、既に居住者のいる住宅も含めたらどうかというふうな視点で見ていくと、事前に都からいただいたデータで私も調べましたが、それでも低家賃住宅のうち半分の住まいは、最低居住面積を満たしていない。都から提供された資料を見ても、半分の住まいは最低居住面積を満たしていないということが書かれています。
 最低居住面積水準を満たす住宅は、民間借家総数二百四十万戸のうち、わずか十二万戸余りです。五%程度にすぎないということなんですね。
 改めて伺いたいというふうに思いますが、都において、経済的理由から自力で適正な水準の住宅を確保できていない世帯数の推計は可能なのか。可能な場合は、どのくらいと推計しているのですか。その内訳と推計方法をあわせてお答えいただきたいと思います。
 また、プランでは、市場で自力で適正な水準を確保できない世帯を重層的セーフティーネットを通じて救済するとしています。個々の政策によって、新規に何世帯分の住宅を確保できる見込みかという点もあわせて伺いたいと思います。

○田中住宅政策担当部長 今のご質問にお答えさせていただく前に、冒頭申し上げさせていただきたいのは、先ほど、住宅政策審議会におきまして、ご都合主義でまとめられたのではないかというようなご発言がございましたけれども、住宅政策審議会におきまして、多くの委員の皆様からの意見を伺って、それを踏まえて審議会としての答申がまとめられたものでございまして、決してご都合主義でまとめたということではございません。
 また、高家賃負担率に関するご質問がございましたけれども、こちらにつきましては、先ほどもご説明しましたけれども、国において、月収に占める家賃の割合が平均家賃負担率以上の場合を高家賃負担率としている例があったということで、それに基づいて都においても仮に試算してみたというものでございます。
 ただいまのご質問にお答えいたします。
 平成二十八年三月に閣議決定されました住生活基本計画、全国計画におきましては、公営住宅の供給の目標量につきまして、市場において自力では適正な水準の住宅を適正な負担で確保することが困難と見込まれ、公的な支援により居住の安定の確保を図るべき世帯の数を把握した上で、当該世帯の居住の安定の確保のため、必要な公共住宅の供給の目標量を設定することとされているところでございます。
 この考え方に基づきまして、住生活基本計画、都道府県計画である住宅マスタープランの計画期間の十年間におきまして、公的な支援が必要となる世帯を約十三万七千世帯と推計しております。この十三万七千世帯とは、民営借家等に居住している世帯で著しい困窮年収未満の世帯のうち、最低居住面積水準を満たす住宅が確保されていない世帯、これが七万五千世帯あります。それと、最低居住面積水準は満たしているけれども、家賃負担率が高い世帯のうち特に支援が必要と想定される世帯、これが二万一千世帯ございます。これを合わせた九万六千世帯が、新たに対応が必要となる世帯でございます。これに、建てかえによる戻り入居等の四万一千世帯を加えたものが十三万七千世帯となります。
 また、住宅マスタープラン案におきましては、都内の公営住宅における空き家募集の戸数、建てかえ、新規建設等の戸数の合計として、平成三十七年度までの十年間で十三万八千戸を供給することを政策指標として設定しております。
 なお、民間賃貸住宅につきましては、現在、国が入居を拒まない住宅の登録などを内容とする制度の検討を行っているところでございまして、都としては、引き続きその動向を注視してまいります。

○白石委員 今、答弁の前に、先ほどの答弁での訂正なのかちょっとよくわかりませんけれども、要するに年収二百万円以下の平均家賃負担率三七・三%以上の場合を高家賃負担だというふうに国が定めていますよと、国の検討会でいわれていますよと。これは、要するに都としては準じないと、そういう認識はありませんということですか。ちょっと確認をしたいと思いますが。

○田中住宅政策担当部長 重ねてのご質問でございます。
 準じる、準じないということではなくて、国の検討会において出された同じ考え方を採用して試算した結果をお示ししたということでございます。

○白石委員 試算をしたということなので、やはりこの高家賃負担がどのぐらいのラインなのかというところを、やっぱり都としてもしっかりと認識しなければ、この住宅マスタープランというのは、今後十年間の住宅政策の柱にもなるというふうなことですので、しかもマスタープランには、低所得者がどんどんふえているというふうなことも書かれているわけですから、じゃあ、その低所得者に対してどういう住宅政策が必要なのかというふうなことを考えたとき、民間賃貸住宅の適正な家賃水準というのはどのぐらいなのかと定めるのは当然だというふうに指摘をしておきたいというふうに思います。
 先ほどの答弁に対してもいいますが、必要となる世帯数は十三万七千世帯であると、このような答弁でした。これは、都のマスタープランの上位計画である国の住生活基本計画で、都道府県などに対して出すようにしている数字でもあります。
 この数を出した考え方について資料をいただきましたが、率直にいって、相当値切った数だといわざるを得ないなというふうに思います。
 どういう考え方で出したかということですが、これを見ると、一つは、最低居住面積を満たさない民間借家に住んでいる世帯で、なおかつ著しい困窮年収未満の世帯の数ですよと、このように示しています。そして、この著しい困窮年収とは、例えば単身世帯では年収二百三十七万円ということでした。都営住宅に応募できる年収は、給与所得者なら年収三百万円近くですから、それよりも相当に低い年収ということになります。
 そもそも国は、都営住宅に応募できる収入について、最低居住水準の住宅を市場において自力で確保することが困難な収入だといって決めてきたということはご存じだと思います。それなのに、都営住宅に応募できる年収、市場において最低居住面積水準の住まいに住めないような収入でもまだ高い、もっともっと低いと。これが著しい困窮年収未満の世帯でなければ、マスタープランで公営住宅に入るように配慮する数には入れないよということですから、これはとんでもない考え方だと厳しく指摘せざるを得ません。
 十三万七千世帯に入っている世帯のもう一つの基準が、民営借家にお住まいの世帯のうち、最低居住面積水準は満たしているものの、先ほど紹介された国の考える高家賃住宅、すなわち家賃負担率が三七%以上で住んでいる世帯となります。こっちの方はさらに厳しくて、先ほどの著しい困窮年収世帯のうち、さらに高齢者や障害者、子育て世帯だけを数に入れるというふうになっています。つまり、著しい困窮年収で高家賃に苦しめられていても、現役の単身者ではカウントから排除されてしまうというふうなことになります。低所得で住宅問題に苦しむ方々に非常に冷たい姿勢だなというふうにいわざるを得ません。
 それでは、こうした国や都によって厳しく切り詰められた真に困窮する十三万七千世帯は、十年間でみんな公営住宅に入れるのでしょうかという点です。先ほど、公営住宅で十三万八千世帯を提供しますといいますから、いかにもみんなが入れそうだというふうに思いますが、これも算出根拠の資料をいただきましたが、なかなかそうはいかないのではないかというふうに思います。
 十年間で十三万八千用意するといいながら、そのうち四万世帯分は今ある都営住宅の建てかえ分で、新規入居者用は十万戸だけだというふうなことなんですね。そうすると、四万世帯もの方が著しい困窮年収でごく狭い家に住んでいる、あるいは大変な高額家賃の家で生活費を削りながら暮らしていると。市場では適正な水準で低家賃の住宅を確保できないにもかかわらず、十年待っても公営住宅に入れないというふうなことになってしまいます。こういう計画でよしとするのかという点をちょっと伺いたいというふうに思います。

○田中住宅政策担当部長 九万六千世帯、九万六千戸というのが新規入居者用というような供給量でございまして、それが不十分なのではないかというようなご質問かというふうに理解しておりますけれども、先ほどのご答弁の繰り返しになりますけれども、新たに対応が必要となる世帯は、私どもの方で九万六千世帯というふうに見込んでおりまして、それに対して、新たに供給する住宅は約九万六千戸ということで、そちらに対しては需要に見合った供給をする計画となってございます。それ以外に、建てかえによる戻り入居の戸数四万一千戸を供給するというものでございます。

○白石委員 九万六千戸だということなんですが、やはり先ほど私も指摘しましたが、そこに入らない対象者がいるというふうな中で、やはりこの試算というのは非常に甘いと、今の実態に見合っていないということを指摘せざるを得ないなというふうに思います。
 都も、このマスタープランで認めているような中間層の疲弊、低所得者層の増加という抜き差しならない現実が進んでいるという状況にもかかわらず、満足な手だてを示せない根本には、都の住宅政策が、やはり石原都政で大きくゆがめられた問題が横たわっていると思います。
 つまり、二〇〇二年の住宅マスタープランで、都内の住宅は問題山積みであるにもかかわらず、住宅政策のビッグバンなどと称して、これまでの公的供給中心型の政策を放棄して、市場中心、民間を中心とした住宅の供給にかじを切ったということが大きな問題だと思います。そして、住宅を専門的に取り扱う住宅局もなくしてしまったということなんですね。
 そして、その結果どうなったかというと、都内のマンションの平均価格の年収倍率は、二〇〇二年当時の五・九倍から、現在では九倍にまで上昇しています。住宅に困窮する低所得者を対象とする都営住宅の応募倍率は、収入基準を二十万円から十五万八千円に引き下げて数多くの都民を応募から締め出したものの、倍率は、先ほど紹介したように世帯向けで三十倍近く、単身者向けで五十倍近くに高どまりをしているというのが状況です。
 そして、何より市場中心でうまく回っているとしたいがためだと思いますけれども、住宅をめぐる問題がしっかりと目に入ってこないというような状況ではないかというふうに指摘せざるを得ません。
 過去のマスタープランを見返してみれば、例えばマンションの価格は年収の五倍以内にしたいという意思があったんですね。住宅費負担率は、民間賃貸住宅で二三%と特に高いというふうに過去では定めていました。都民が重い負担をしている状況は改善されていないという認識も示していました。
 こういうふうな形で、二三%でも重い負担の状況だという認識がありましたが、二十一世紀の初頭までには誘導居住面積水準を目指すとしていたことも、きょうの質疑でも明らかになったように、こうした認識や目標は今日では抜け落ちているということなんです。
 私は、市場に委ねる立場を転換すること、住宅局を復活させ、都として、主体的に住宅問題に取り組むことを強く要望したいと思います。
 住宅政策についての具体的な提案は、この間、本会議場の一般質問なんかでも提案をさせていただきましたが、まずは若い世代を中心に住宅問題の詳細な調査を行うこと、国も検討している住宅確保要配慮者などへの家賃補助に取り組むこと、都営住宅の新規供給を再開するとともに、ファミリー世帯などが入居しやすいように戸数をふやして、収入基準も緩和していただきたいこと、居住支援協議会を全ての区市町村で立ち上げることを改めて要望もしておきたいと思います。
 また、住宅確保要配慮者に提供するための空き家リフォームについては、バリアフリー化や省エネ化にとどまらず、広く住宅の改修を対象にしていただきたい。市区町村の空き家リフォーム制度の創設を都として支援するとともに、区市町村の負担軽減のために助成割合を引き上げること。
 このようなことをしっかりと踏まえていただいて、さらにこのプランも、まだ案の状況ですから、やはり盛り込んで、この都民の住まいの貧困をしっかりと解決する。そして、中間層も含めた幅広い住宅政策の拡充というのを要望して、このテーマの質問を終わりたいというふうに思います。
 続いて、予算関連について質疑をしていきたいというふうに思います。
 初めに、木造密集地域における無電柱化について質問したいというふうに思います。
 首都直下地震はいつ起きてもおかしくないと。都民の命、財産を守るための防災対策は、緊急性を要する課題だということはいうまでもありません。特に、震災時に家屋の倒壊や火災などの被害が甚大であると想定される木造密集地域への防災対策は重要です。
 来年度予算案では、防災生活道路を軸とした木密地域や区市町村道などに無電柱化を促進していくための調査費用として一千三百万円の予算が新規に提案をされております。
 これまで無電柱化については、主に幹線道路などの景観や緊急輸送などの観点から整備が進められてきましたが、一方で防災の視点で考えれば、木造密集地域での無電柱化は非常に重要だと思います。
 木密地域における無電柱化の重要性について、改めて都の所見を伺いたいと思います。

○山下防災都市づくり担当部長 震災時には、電柱の倒壊による道路閉塞が懸念されるため、木密地域においては、幹線道路と同様、生活道路につきましても無電柱化を進めていく必要がございます。
 都は、区が防災生活道路を拡幅する機会を捉えまして無電柱化を支援し、推進してまいります。

○白石委員 木密地域の無電柱化は重要との認識を示していただきました。私も、木密地域などの無電柱化を図ることは、まちの防災性を向上させるために非常に有効だと考えております。
 昨年十二月に新潟県糸魚川市で発生した市街地大火では、火元から強風にあおられて大量の火の粉が風下側に舞い、次々と新たな火元がふえて、東京ドーム約一個分に近い面積が焼失するという大火災となりました。
 私も松村都議とともに現場視察に行き、消防署や、そして現地の市議などから聞き取り調査を行いました。現地の消防署長は、消火活動の際に電線が障害となり、はしご車での消火活動に困難が伴ったと、このように話しておりました。
 この教訓からも、木密地域での無電柱化の重要性を改めて私も確認いたしました。その上で、木密地域が抱える特性を踏まえ、無電柱化を促進していくには、多くの課題を克服していかなければならないと思います。
 例えば、無電柱化するには、工事や万一の停電時に電気の流れを切りかえる多回路開閉器というものや、家庭用の電圧へ変換する地上用変圧器などの設備を地上部に設置することが不可欠となります。木密地域では、その用地確保が、都道と比べて幅員の狭い区道では確保が難しく、課題となるというふうに思います。
 木密地域では、これまで修復型の取り組みによって、各地にポケットパークがつくり出されています。こうしたスペースを有効に活用することが、無電柱化の推進に役立つと思いますが、いかがでしょうか。

○山下防災都市づくり担当部長 防災生活道路の無電柱化に当たりまして、地上機器の設置場所の確保は重要な課題の一つでございます。
 無電柱化を既に行った路線では、道路幅員内の設置のほか、ポケットパークや公園などの事例がございます。
 これらの事例を踏まえ、区とともに技術的な検討を進めてまいります。

○白石委員 地上機器の設置場所は、木密地域が抱える構造的な課題により困難さを伴うと思いますので、今後、ぜひ区などとの協議を具体的に進めていっていただきたいなというふうに思っております。
 地上機器の設置場所だけではなく、やはり住民合意を得ることは不可欠となります。そのためにも、公園などの公共スペースを活用することは有効であるなというふうに思います。地上機器というのは、高さ一メーター四十センチですので、私の大体顎ぐらいの高さ、幅一メーター十センチの四角い箱型の装置というのが、地上部でも、たまに大きな道路の脇にありますが、この地上機器も有効に活用できるのではないかというふうに思っております。
 例えば、広域避難場所までの経路を知らせる地図などをこの地上機器に載せるなど、まちの防災性の向上に資する活用の仕方もあるかと思いますので、そういう観点も踏まえて、住民合意が不可欠ですので、ぜひともこういう提案も踏まえて、今後、無電柱化を進めていっていただきたいなというふうに思っております。
 次に、木密地域での無電柱化を進めるために、都として、やはりこれから都市整備局としてはまた新しい取り組みになりますので、モデル地区をつくって進めることが有効というふうに思いますが、見解を伺いたいと思います。

○山下防災都市づくり担当部長 既に防災生活道路二十三路線につきまして、区から無電柱化の提案が出されております。
 今後、区の取り組みを支援し、防災生活道路の拡幅整備の機会を捉えて無電柱化を推進してまいります。

○白石委員 今の答弁でも、区から二十三路線の取り組みをしたいと手が挙がっているということです。先ほどもいいましたが、都市整備局として、木密地域における区道などの無電柱化を支援する新たな取り組みというふうになるので、モデル地区などを指定して、無電柱化の先行実施を進めることによって、課題の洗い出しや経験の蓄積など新たな知見がやはり得られると思います。その知見を他の自治体などに普及することで、無電柱化を一層促進する大きな力となると思いますので、ぜひその立場でこの無電柱化、木密地域で進めていっていただきたいなというふうに思います。
 今も述べましたけれども、これから区との連携を深める上で大切なことは、やはり課題の整理、そして進んでいる経験など他の自治体の取り組みを区が共有できる仕組みが重要というふうに考えております。
 広域自治体である都として、専門家の意見なども反映できる無電柱化促進のための協議会であったり専門部会などを設置することが非常に有効と考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○山下防災都市づくり担当部長 都と関係区では、防災都市づくり推進協議会を設置し、木密改善に向けまして、さまざまな意見交換や情報共有等を行っておりまして、この協議会の中で、防災生活道路の無電柱化などを進めるための専門部会を既に設置しております。
 都では、この部会を活用し、地上機器の設置場所や地下埋設物の配置調整など、専門家の意見も聞きながら、区が進める無電柱化への技術的な支援などを行ってまいります。

○白石委員 現在、既に設置もしていると。そして専門部会もあるので、こういう、現在、既存の会議体を活用して、これからさらに専門家の意見も取り入れながら進めていきたいというふうなご答弁でした。ぜひその立場で進めていっていただきたいなというふうに思っています。
 東京の無電柱化率は、国交省の調査によると、二〇一三年度末で五%という状況です。
 一方で、ロンドンやパリでは一〇〇%が地中化をされていると。ソウル市では四六%となっています。世界の主要都市と比較しても、東京の現状は極めておくれているというふうに思います。良好な景観形成だけではなく、地震大国である日本において無電柱化を推進していくことは、都民の命と財産を守るために非常に重要です。
 先ほどの答弁では、防災都市づくり推進協議会において、無電柱化などを進める専門部会があるということですので、これまで無電柱化を進めるために活動してきた、例えばNPOとか、私もネットでいろいろ見ましたが、そういう団体もありますし、それから防災都市づくりの専門家などを部会にもオブザーバーとかで参加をしてもらって、先駆的な取り組み、経験や知見をですね、この協議会であったり専門部会に反映をするようなことも検討していただいて、効果的、そしてスピーディーに取り組みを進めていっていただきたいなということを要望いたしまして、次のテーマに移りたいというふうに思います。
 次に、都営住宅にかかわり質問をさせていただきます。(「簡単にいってくれよ」と呼ぶ者あり)簡単に。ぜひ聞いていただきたい。
 安定した生活を送る上で、住まいは最も基本的な基盤となりますが、社会保障の相次ぐ切り捨てや非正規雇用の拡大による低賃金化などにより、住まいの貧困が広がっています。そのもとで、住宅のセーフティーネットである都営住宅の社会的役割がさらに求められております。
 来年度予算案では、都営住宅の新規建設は盛り込まれず、十七年間新規建設ゼロが継続されることになってしまいます。このことにより、都営住宅の応募倍率は極めて高く、昨年度の単身者の平均応募倍率は五十七・八倍、世帯向けで二十七倍となっています。あくまで平均ですので、個々の応募倍率を見れば、高いところでは二千倍を超える住宅もあります。都営住宅の入居条件が満たされていても、この高倍率をくぐり抜けていかなければならないのが今の現状です。
 都営住宅の供給量も少な過ぎますが、現在の入居者を追い詰める使用承継制度の厳格化も大変深刻な問題を生み出しています。
 そもそも使用承継制度とは、同居親族の継続入居を認める基準を定めたものです。具体的には、名義人が亡くなった場合、原則配偶者以外は認めず、例外として六十歳以上の高齢者、障害者、病弱者に限り認める制度となっております。
 そこで、使用承継制度の運用にかかわって幾つか質問をしたいというふうに思います。
 使用承継で例外として認められている病弱者については、都立病院、公社病院の医師の診断書を踏まえ、住環境の病状への影響状況に基づき、居住の継続が必要とされる場合としてきました。
 そして、都立病院、公社病院に限定する理由については、病院経営本部と連携して、同本部を通じて都営住宅の使用承継制度の趣旨、承継の際に必要な診断書の記載事項やそれらを記載する理由などについて十分に説明を行ってきたことを理由としてきました。具体的にはどのような説明や通知文書を出してきたのか、伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅の使用承継制度につきましては、病院経営本部と連携し、都立病院、東京都保健医療公社病院の医師に対しまして、当局において、住環境の変化が病状に与える影響を踏まえて、居住の継続が必要かどうかを判断するため、病名や検査データだけでなく、疾患の程度、ぐあいや日常生活に与える影響などを可能な限り記載するよう依頼をしてございます。

○白石委員 関連文書について開示請求を行いましたが、留意事項として書いてあるのは、今答弁ありましたが、病名、検査データだけでなく、疾患の程度、ぐあいや日常生活に与える影響などを可能な限り記載してくださいということと、あと、わずか五問の診断書関係QアンドAにすぎません。きょう手元に持ってきましたが、つまり、診断書の記載内容に、病気などによる日常生活の関係を書ける範囲で記載してくださいという程度の話です。
 この程度なら、都立病院や公社病院の医師でなくても周知は可能だというふうに思いますが、いかがですか。もし周知が困難とするなら、その理由を示していただきたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 公募の例外としての使用承継により、都営住宅への継続居住を認めるかどうかは重要な判断でございます。
 この判断を行うために、都が設置した病院または都が中心となり設立した東京都保健医療公社が設置する病院の医師に、制度の趣旨を踏まえた上で的確に診断を行っていただいているものでございます。
 その他の病院に対しましては、組織的に周知徹底することは必ずしもできないと考えてございまして、制度の趣旨について、全ての医師に理解をいただくことは非常に困難でございます。

○白石委員 その他の病院に対して、組織的に周知徹底することは必ずしもできないというのは、ちょっと意味がわからないので、どういう意味なのかということを改めて伺いたいと思います。
 また、先ほど答弁なさらなかったので、改めて伺いますが、周知徹底できない理由というのを具体的に説明をしていただきたいなというふうに思います。

○八嶋経営改革担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、都立病院、公社病院で勤務する医師に対しまして、病院経営本部と連携をしてございます。制度の趣旨を踏まえた診断ができるよう、組織的に周知を図るということで徹底をしているというところでございます。

○白石委員 ちょっとよくわからないんですけれども、できないわけはないと思います。開示請求で得た資料というのは、周知についての依頼書と、先ほどいった五問のQアンドA方式が書かれたペーパーなど、A4用紙三、四枚程度です。
 答弁では、組織的にも周知徹底は必ずしもできないと、このように述べておりますが、病院経営本部の担当者にヒアリングを行いました。この方に伺うと、都立病院、公社病院に対しては数枚の文書を送っただけで、ほかには特に説明会を開いたりして詳しい説明はしていないと、このようにしております。しかも、この依頼書というのは、二〇〇八年に一度送付され、その後六年もの間、空白があり、その後、二〇一四年に再通知として送付した、これまで二回のみだということです。
 今日まで、カウントしますとおよそ十年間で二度、数枚のペーパーを送るだけで周知徹底というのであれば、その他の病院についても、希望する病院にペーパー数枚を、例えばファクスをしたり郵送すればできるんじゃないか。つまり、できないのではなくて、やらないということだと思うんですね。
 そして、このQアンドAには、診断書については、あくまで医学的見地から患者の病状を記載していただくものであるが、都営住宅を所管する都市整備局が、都営住宅に継続して居住しなければ生活の維持が困難になるのかを判断する際の参考となるよう、疾患の程度、ぐあいや日常生活に与える影響などを可能な限り記載していただきたいと、このように記されております。
 つまり、診断書に反映されるのは、あくまで医学的見地であり、都営住宅に関する知見が必要とされているわけではないんですね。この点からしても、都立病院や公社病院だけではなく、ほかの病院での診断書でも不都合はないというふうに思います。
 しかも、制度の趣旨について全ての医師に理解していただくことは非常に困難であると、このようにご答弁をされたというふうに思いますが、病院経営本部が病弱者の使用承継について出している文書の中に、制度の趣旨であるものの記述はないんです。診断書については、あくまでも医学的見地で記載していただくと、はっきり書いてあります。医学的見地に制度の趣旨の理解度は影響するものなのかといったら、そんなことあるわけないんです。
 診断書は医師法に定められており、医学を学び、医師免許を持った医師が患者を診断した結果を記載するものですから、制度の理解度で何か診断書が変わるというようなことはありません。具体的に、いつも以上に丁寧に書いてくださいという程度の話なんですね。
 ふだんから通院しているかかりつけ医の診断書は認められず、都立や公社病院だけの診断書しか認めないことによって、やはりここで対象となる都民の人たちにどういう負担になるのかということを改めて訴えたいというふうに思います。
 都立病院は区部で九カ所、多摩部で三カ所しかありません。例えば練馬区の東大泉にある都営住宅から都立豊島病院や大塚病院、松沢病院まで行くとなると、これは私も調べましたが、徒歩や電車を乗り継いで約四、五十分かかる。病気を抱えていれば、身体的にもさらに負担となることはいうまでもありません。このような負担を押しつける姿勢こそ、早急に改めるべきだと強く申し上げたいというふうに思います。
 病院経営本部を通じて十分な説明を受けた都立病院や公社病院に勤務する医師だから診断書を認めるとしていることに対し、我が党の大島都議が、他病院に勤め、都立病院や公社病院に非常勤として出勤している医師は周知されているはずなので、もとの病院でも診断書を出せるのはないかとただしたことに対して、当時、都は、十分な説明を受けたことによって、都立病院または公社病院の医師は、使用承継制度の趣旨を理解した上で、客観的で的確な診断を行い、診断書を発行していただけるものと考えており、診断書はこれらの病院のものに限らせていただいておりますと、このように答弁されました。
 都立病院、公社病院に非常勤で勤める医師がほかの病院で診断を行う場合は、これらの説明を踏まえた診断ができると考えますが、説明を踏まえた診断ができないという場合は、具体的にその理由も伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 都立病院、公社病院で勤務する医師に対しまして、病院経営本部と連携し、制度の趣旨を踏まえた診断ができるよう組織的に周知を行っているところでございます。
 都立病院、公社病院の医師の業務として、使用承継の判断に必要な診断書の作成を行っており、他の病院の医師として作成した診断書につきましては、使用承継の判断に必要な診断書としては受け付けておりません。

○白石委員 先ほどもいいましたけれども、診断書というのは、医師法で定められていると。医学的知見に基づいて、医師が患者の診断をした結果を記すものです。医師が同一人物であれば、病院の違いによって診断書が変わるということはあり得ません。つまり、都立病院や公社病院でなければならない理由というのは、医師の問題ではないということだと思うんです。
 改めて伺いますが、医師の問題ではなく、単に手続上の問題という理解でよろしいでしょうか。

○八嶋経営改革担当部長 お話のとおり、医師の問題ではなく、使用承継制度の申請の手続上の問題でございます。

○白石委員 都立や公社病院でなければならない理由というのは、医師の技術的な問題や専門的な診断が必要になるわけではないということです。使用承継制度を申請する上での手続だけが問題であるのであれば、手続を柔軟にすればいいわけであって、少なくとも都立病院にかかわった医師については診断書を認めるべきと強く指摘するとともに、改善を行うよう要望し、このテーマでの質問を終わります。
 最後の質問になります。(「意味がわからない」と呼ぶ者あり)意味はわかります。
 次に、都営住宅のエレベーター設置にかかわり質問をいたします。
 都営住宅の高齢化率は、毎年一・五ポイントずつ上がっております。昨年三月時点では、全都営住宅で六十五歳以上の高齢者は六五・六%に及んでおります。単純計算で、五年以内に七割以上が高齢者となります。また、単身世帯に限り高齢化率を見ると、昨年とうとう八割を超えました。このことからも、都営住宅の高齢化はますます深刻となっており、住まいのバリアフリー化の要求は切実さを増しております。
 そこで伺いますが、近年の自治会から都へのエレベーター設置要請は幾つで、何基分になるのか伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 自治会から都へのエレベーター設置の要望書の提出でございますが、平成二十六年度は二十五件、六十基でございまして、平成二十七年度は十八件、四十四基となってございます。

○白石委員 時間もかなり厳しくなってきたので、ちょっと飛ばしますけれども、近年の都営住宅のエレベーター設置の予算や決算も執行率も事前に伺わせていただきましたが、エレベーターの設置基準が満たされていても、未設置となっている住宅数は約四百三十棟というふうなことを事前に伺いました。
 技術的な側面や法的な側面から設置困難とされている住棟もありますが、だからといって、放置できる問題ではないなというふうに思います。
 五階建ての、エレベーターが設置されていない都営住宅にお住まいの七十代の方は、買い物に行けば、帰りに買い物袋を持ちながら階段を上っていくのが大変で、途中途中の踊り場で休みながら家に戻ると、このように話します。ほかにも、冬に石油ストーブを使用されている方は、灯油の移動販売車が下まで来ても、重過ぎて家まで運べないので、さらにお金を加算して家まで届けてもらうようにしていると、経済的にも非常に大変と話をしておりました。
 この問題というのは、生活面だけの問題ではないということです。厚生労働省の人口動態統計では、一年間で日本人の死因がどのような原因かを調査しております。それを見ると、不慮の事故のうち、転倒、転落による死者は増加を続けて、二〇一二年では七千七百六十一人となりました。何と交通事故の年間の死亡よりも上回っているという状況です。転倒、転落による死者のうち、八五%が六十五歳以上の高齢者となっております。
 死亡に至らなくても、転倒をきっかけに寝たきりとなる深刻なケースも多くなりますし、それから、高齢者が介護が必要になる主な要因としては、転倒、骨折は、脳卒中や認知症と並び上位を占めていると、これが厚生労働省の調査でも示されています。また、転ぶかもしれないと外出をおそれて家にこもるようになって認知症が進む人も少なくないとしています。安全や健康を維持するという側面からバリアフリーは重要となっていることを、これらの調査が示しているのではないかと思います。
 来年度の予算案では約二十二億円ですが、都営住宅の高齢化状況は深刻であり、自治会からの要望も多く、執行率も高いことを鑑みれば、エレベーター設置の予算を抜本的に引き上げるとともに、単価も実態に見合った額に引き上げて、都営住宅におけるバリアフリー化を進めていくことを要望しておきたいと思います。
 階段室型の都営住宅について緩和がされて、十戸以上の住戸がある階段部分にはエレベーターがつくことになりました。先ほども質問がありました。一つの階段に二戸ありますから、階段室型でも五階以上の建物ならつけてもいいよというふうなことだと思います。
 しかし、一つの建物に階段が三つまでの住棟にはエレベーターは現在設置されていますが、四つ以上の階段がある住棟については、建築基準法など法的な違いから、設置が進んでいないというふうに伺っております。建築基準法上のどのような違いがあるのか、伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 まず、都営住宅のエレベーター設置につきましては、委員お尋ねの既存都営住宅に合わせて後づけのエレベーターを設置するととともに、現在、建てかえに合わせて、またエレベーターを設置しておりますので、順次取り組みを進めているところでございます。
 また、予算につきましても、平成二十六年、二十七年度に比べまして、二十八年、二十九年度につきましては増額しているところでございまして、取り組みを進めてまいります。
 ただいまのお尋ねでございますけれども、建築基準法では、増築の面積に応じまして、既存部分に異なる規定が適用されます。増築部分の面積が五十平米以下となる場合、これは都営住宅の階段室型住棟におきまして、一棟当たり三カ所以下の階段にエレベーターを増築する場合でございますが、既存住棟と増築部分との間にエキスパンションジョイントなどを設けることで、増築部分に対しては現行の建築基準法が適用されますが、既存の住棟については適用が及ばないものでございます。
 また、一方、増築部分の面積が五十平米を超える場合、これは階段室型住棟におきましては、一棟当たり四カ所以上の階段にエレベーターを増築する場合でございますが、増築部分の建築基準法の適用に加え、既存の住棟に対しても構造耐力や建築設備の安全性、外装材の耐久性等についての規定が適用されます。

○白石委員 ご丁寧な答弁、ありがとうございます。
 簡単にいえば、法的に建物全体の耐震性などの確認作業や手続が、三階段分よりもずっと大変になるということなんですね。
 その上で、足立区の辰沼町アパートで四階段の住棟でのエレベーター設置の検討が進んでいるというふうに私も聞いております。そこで、進捗状況を改めて伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 辰沼町アパートのお話の住棟は階段室型でございまして、エレベーター設置については、増築部分の面積が五十平米を超える場合に当たります。
 繰り返しになりますけれども、建築基準法に基づきまして、五十平米を超える増築につきましては、増築部分の建築基準法の適用に加え、既存の住棟に対しても構造耐力や建築設備の安全性、外装材の耐久性などについての規定が適用されることから、区の建築指導関係部署と事前に協議を重ね、既存住棟に対し求められる安全性、耐久性などを一つ一つ確認する作業を努力して進めてまいりました。
 その上で、平成二十七年七月七日に条例に基づく標識を設置し、現在、建築基準法に基づく手続を進めております。

○白石委員 この経験は非常に重要だというふうに思います。辰沼町アパートで設置への動きに進展があったのは、理由もいろいろあると思います。また、今後困難なケースを解決した事例を積み重ねることは大切だというふうに思います。引き続き、その教訓をまとめ、さらに設置される住棟をふやしていくことが求められているというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 これまでも、日影規制などの建築基準法令の問題につきましては、建築指導部署と調整を行い、既存建物の調査や建築審査会に付議し、法に基づく許可申請を行うなど、一つ一つ取り組みを進めております。
 先ほどご答弁をいたしました五十平米を超える増築となる場合につきましても、求められる耐久性の確認を行うなど、課題の解決に取り組んでおります。また、設置スペースの条件から、従来型のエレベーターが設置困難な場合には、二方向に出入り口のあるエレベーターを採用するなど、対応を工夫してきております。
 今後とも、一つ一つ課題解決を図り、既存住棟へのエレベーター設置の推進に着実に取り組んでまいります。

○白石委員 やはり四階段の設置もさらに促進していくために、辰沼町アパートの経験も含め、関係部署との連携もより深めていただいて、やはり高齢化が深刻になるもとで、エレベーターが未設置である都営住宅において、ぜひ設置促進のためにしっかりと進めていっていただきたいということを要望して、質問を終わりたいと思います。

○やながせ委員 私からは、予算について何点か聞いていきたいと思います。
 順番は、駅のトイレの洋式化、それから自動走行運転、その後にUCRの話を聞いて、最後に選手村の話を聞いていきたいなというふうに思っています。ちょっと長目の時間設定をしているんですけれども、これは答弁によって、大体一時間ぐらいで終えたいなというふうに思っていますので、ぜひ協力をよろしくお願いします。
 最初に、駅のトイレの洋式化についてでありますけれども、和式のトイレというのは必要なんですかね。それがちょっと、私、よくわからなくて、学校トイレの洋式化推進議員連盟というのがあって、私、それに入っているんですけど、学校のトイレなんかの場合には、ここが災害拠点にもなると、災害のときの拠点になるということもあって、洋式化を進めてきたといった事例があります。
 今回の予算に、鉄道駅洋式トイレ整備促進事業ということで一千四百万円計上されているということであります。
 これは知事が、高齢者の増加や訪日外国人向けに、和式トイレの洋式化を進めていくという考え方で、これを進めているということなんですけれども、まず最初に、駅の和式トイレ、これは現状どれくらいあるのか、また、トイレを洋式化する必要性、これについてどのような認識があるのか、これを聞きたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 二〇二〇年大会の開催に向けまして、今お話がありましたように、高齢者や外国人観光客など全ての人々にとりまして優しいまちづくりを進める上で、駅のトイレを洋式化することは重要だと考えております。
 競技会場周辺駅や空港アクセス駅などに限っての数字でございますけれども、現時点で四割が和式トイレとなっております。

○やながせ委員 今、四割とおっしゃったんですね。結構多いなという認識なんですけれども、もう一つ聞いておきますと、トイレ洋式化の補助事業はどのような駅が対象で、平成二十九年度に洋式化する駅はどこなのか。また、二〇二〇年東京大会までに、全体でどれくらいの駅を予定しているのかということを聞いておきたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 これまでも、鉄道事業者によりましてトイレの洋式化が進められてきておりますが、二〇二〇年大会を踏まえ、都として整備を加速させるため、競技会場周辺駅や空港アクセス駅などを対象に、平成二十九年度から新たに補助制度を設けるものでございます。
 今後、鉄道事業者と協議を行ってまいりますけれども、平成二十九年度は、日暮里駅など八駅での洋式化を予定しております。
 二〇二〇年大会時には、事業者による自主的な取り組みも含めまして、競技会場周辺駅などにおきまして、約九割での洋式化を予定しております。

○やながせ委員 ぜひ進めていただきたいと思うんですけど、この八駅とか、全体の二十駅程度でしょうか、この中に京急蒲田とか蒲田駅という、我が大田区の誇る駅が入っていないということで、これはゆゆしき事態だなというふうに思っておりまして、大田区というのは、隣に神林先生がいらっしゃいますけれども、国際都市宣言というのをやっておりまして、羽田空港は大田区なんですね。羽田空港におりられてから、蒲田、京急蒲田、そこから乗りかえられるという方が大勢いらっしゃるという意味では、非常に重要な拠点となる駅でございますので、ぜひこちらもご検討いただきたいという、地元の話をちょっとさせていただきたいというふうに思いますけれども、お願い申し上げたいと思います。
 今四割ということをおっしゃったんですけど、私は、和式四割というのは非常に多いなというふうに思いました。
 昨年、地方に、長野県に息子と旅行に行きまして、息子というのは中学三年生なんですけどね、行って、長野県のローカル線の駅でおりまして、息子が大がしたいということでトイレに行ったわけですけど、そこは和式しかなかったんですね。残念なことに、息子は和式ですることができなかったということでありまして、和式教育ってしてないんですよね、今ね。
 じゃあ、おまえはできるのかといわれたら、やり方も忘れてしまったというぐらいの状況でありまして、高齢者の増加、訪日外国人向けということも、もちろんそうなんですけれども、今ほとんどの人が、和式、洋式ということでいくと、洋式を選ばれるんではないかというふうに思うわけですね。
 つまり、和式は誰のために必要なのかといったら、これは便器につけたくないというような方もいるんだみたいなロジックが一部あるようなんですけれども、これは極めて不確定なロジックでありまして、洋式化というのは非常に重要なことだなというふうに思っています。
 そういう意味でいうと、首都直下地震等々踏まえて、やっぱり駅というのは、非常にさまざまな意味で拠点となってくるわけでありまして、今回、おもてなしということで、この補助対象駅を決めてやっていこうということなんですけれども、補助対象駅以外についても、こういった洋式化を進めていくべきではないかというふうに考えるわけですけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 トイレの洋式化につきましては、現在、鉄道事業者みずからが積極的に取り組んでおります。
 都といたしましては、二〇二〇年大会の開催を踏まえ、競技会場周辺駅や空港アクセス駅などについて、重点的に整備を促進してまいります。

○やながせ委員 ありがとうございます。ぜひこれは積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 各事業者さんが基本的にはやっていくことですので、都が今回、おもてなしということで対象駅を絞ってやられるということなんですけれども、将来的には、しっかりと全ての駅が洋式化となるような方針を示していただきたいなというふうに思います。これ、一問目ですね。
 次に、自動運転技術について聞いていきます。
 昨年十二月の二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、自動運転技術の活用に向けた取り組みについて調査検討を進めていくとされています。それで、今回、予算には調査費用として五千万円が計上されているということであります。
 そこでまず、自動運転とはいかなるものなのか、そしてどのような調査検討を行うのかという二点についてお伺いをしたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 自動運転でございますが、その技術レベルによりまして、レベル一からレベル四までの四段階に定義されております。アクセル、ブレーキ、ハンドルのいずれかの操作をシステムが行うレベル一、複数を組み合わせて操作するレベル二、それから全ての操作をシステムが行いまして、必要に応じてドライバーが対応するレベル三、そしてドライバーが全く関与しないレベル四までに分けられておりまして、現在、高速道路上での走行でございますが、レベル二まで実用化されております。
 二十九年度の調査では、レベル四の技術の普及を見据えまして、有識者へのヒアリングですとか、あるいは都民へのアンケートなども実施しながら、人々の行動や都市のありようの変化、また、既存の公共交通や道路交通システムに与える影響と効果などに関します基礎的な調査検討を行うこととしております。

○やながせ委員 この自動運転の定義としては、レベル分けをして、レベル四まであるということで、レベル二ですね、システムの複合化といったところまで今来ているということであります。
 この技術が、極めて急速に進歩をしておるということで、この技術自体も、この二年間で急速に発展してきた、イノベーションが起こってきたということでありまして、これからも、これは加速度的に進んでいくであろうという、期待される技術なんだろうというふうに私は思っているんですね。
 そういった意味でいうと、これから、この技術で、東京でこれを運行していくためには、先ほど羽田で実証実験するという話もありましたけれども、やっぱり道路の幅の広さとか曲がり方とか、カーブのあり方とか、あと、信号機のあり方とか、そういったことが極めて複雑に絡んでくるんですね。
 ですから、こういった先の、レベル四に到達するのが、二〇二五年にはこれを市場化したいというのが目標とされているということであります。レベル三は二〇二〇年ですね、国が努力目標としているということでありますから、これは、これから加速度的に発展していく技術ということを考えると、私は、こういったことを見据えた道路のあり方、まちづくりをしていかなければいけないんではないかというふうに考えております。
 そこで、この自動運転技術、これの導入のメリット、また懸念事項、これについてどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 自動運転導入のメリットといたしましては、交通事故の低減や渋滞の緩和、高齢者や子育て世代など交通弱者の移動手段の確保、公共交通や物流の効率化などが期待されております。
 また、自動運転の導入による懸念といたしまして、内閣府によりますと、例えば、サイバー攻撃による不正操作や乗っ取りなどといった安全性やセキュリティー上の懸念があるとされております。

○やながせ委員 ありがとうございます。
 これは、おとぎ話のように聞こえるかもしれないんですけど、二〇二五年にレベル四の市場化を目指すというのが国の努力目標であります。ですから、私は、こういったことを東京がしっかりと、この先端都市となるという中で、いち早くこの市場化に貢献していくという姿勢が必要なんではないかというふうに思います。
 いわずもがなでありますけれども、日本の基幹産業は自動車の製造であります。やっぱり市場があるところのメーカーがいち早く発展していく、イノベーションが起こっていくというのは当たり前のことでありまして、この首都東京が自動運転に適したまちとなるということが、自動車のイノベーションを加速させることになる、成長戦略の中で大きな部分を担っていく、寄与していくことになるんではないかというふうに思います。
 今、この自動運転技術のメリットと懸念事項について話をいただいたんですけど、こういった新しい技術が入ってくるときというのは、当然、抵抗勢力なるものがあらわれるわけでありまして、この自動運転技術についても、これが行われると、当然ドライバーが必要なくなってくるということになるわけですね。
 ただ、これから労働力人口は急激に低下していくという実態を考えると、それを補う上でも非常に重要な技術であるということなんですけれども、いやいや、そんな雇用がなくなってしまうではないかみたいな、そういった反論による抵抗、それによって技術がなかなか進んでいかないといったことが考えられるわけでありまして、国は当然やっていくんでしょうけれども、都としても、これがどれだけ交通事故を減らすことに寄与するのか、また、労働力を確保していく上で重要な技術なのか、こういったことをしっかりと広報していくということも重要ですので、これにもぜひ配慮をいただきたいということを申し上げまして、二点目の自動運転技術については終わりたいと思います。
 三点目、UCRについてお伺いをしていきたいというふうに思います。
 UCRというのは何ぞやというと、株式会社建設資源広域利用センターという東京都の出資団体でありまして、報告団体ですね。東京都の出資比率は二七・二七%で、都市整備局の所管の報告団体ということであります。
 現在の社長の小林さんは元主税局長でありまして、技監も取締役として入られているということでありまして、都と非常に結びつきの強い報告団体であるということであります。
 まず最初に、このUCR、これからUCRと省略させていただきますけれども、の業務内容についてお伺いをしたいと思います。

○上野技監 UCRは、首都圏の公共事業などから生じる大量の建設発生土の有効利用を進めることによりまして、河川、道路など公共事業等の円滑な推進や環境対策に寄与しております。
 主な事業といたしまして、UCRは、建設発生土につきまして、発生事業者と受け入れ事業者の間に立ちまして広域的に利用調整を行っております。
 具体的には、建設発生土の発生事業者のニーズに合わせて、首都圏域にバランスよく受け入れ地を確保するとともに、受け入れ地の公共事業などが円滑に進捗するよう、あっせんする建設発生土の質、量、時期など受け入れ条件についての調整、受け入れ時の土質確認などを行っております。

○やながせ委員 これは簡単にいうと、都内で、民間事業、また公共事業で発生する建設発生土を有効活用するためのあっせん、仲介をしておるということであります。首都圏にある複数の受け入れ地とのマッチングをしているという事業なんだろうというふうに思います。
 これが、どれくらいの事業がこのUCRを経由しているのかということなんですけれども、これは局の方に確認をしたところ、都内の工事の約二〇%がUCRを経由していると、公共工事の三〇%がUCRを経由しているというふうに聞きました。もし間違ってたら、また後でいってください。そういうことであります。
 つまり、これ逆を返していきますと、その他の七〇%、公共事業に関して七〇%は、このUCRを通していないわけであります。つまり、建設発生土が出る事業者さんと受け入れ側が直接やりとりをして、おたくで受け入れられますか、受けられますよということをやって、直接建設事業者さんがこの発生土の受け入れ地に持っていくということであります。
 ところが、このUCRに関しては、その工事事業者と受け入れ側の真ん中にあって、あっせん、仲介をしているということでありますけれども、それで二問目ですね、このUCRが工事事業者と建設発生土の受け入れ地との間に入るメリット、これについてお伺いをしたいと思います。

○上野技監 数値関係でございますけれども、まず、都内の建設発生土の発生実績、平成二十四年度分でございますけれども、そのうち公共事業の四〇%が、UCRの方に搬出関係で受け入れという形で回っております。
 ただいまのご質問の、UCRが間に入るメリットでございますけれども、UCRを活用するメリットにつきましては、建設発生土の発生事業者にとりましては、みずから受け入れ地を探したり、土質や受け入れ時期等の条件を調整する手間などが省ける上、大量の土を安心して再利用場所に搬出することができます。また、受け入れ事業者にとりましては、品質が保証された大量の土を計画的、安定的に確保できるなどのメリットがございます。

○やながせ委員 発生事業者にとっては、受け入れ地を探したり受け入れ条件を調整する手間が省ける。受け入れ事業所にとっては、品質が保証された大量の土を安定的に確保できるということがメリットであって、このUCRを通しているということなんですね。
 私は、UCRは受け入れ側から一立米当たり三百円の手数料を取っている、この手数料収入で事業をやっているということをあらかじめ申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、私は、このUCRの成り立ちを考えたときに、これは設立が平成三年ということで約三十年前にできたんですけれども、そのときには、さまざまな受け入れ地を探さなければいけなかったということで、今は三十五カ所ぐらいの受け入れ地があるということでありますけれども、そういったさまざまな受け入れ地があって、電話して、おたく、今あいてる、あいてないのとやって、これぐらいの土が欲しいんだ、こういう土質が欲しいんだ、これぐらいの量が必要なんだということで間に入るということ。これも必要だったのかなというふうに思うわけでありますけれども、それから三十年がたって、この仕事の仕方というのも大分変わってきているんではないかというふうに思うんですね。
 受け入れ地は三十五カ所あるわけですけど、でも今、急速なIT化が進んでおりまして、この三十五カ所から必要な情報をしっかりと登録をしていただく等のことによって、あっせん、仲介作業なるものは必要ないんではないかというのが私の考えであります。
 だから、UCRが間に入らずに、直接発生側から受け入れ先に運搬させればよいのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、これについての見解を伺いたいと思います。

○上野技監 ただいまお話がございましたように、UCRは、発注者側と受け入れ地側の間に入ったあっせん、仲介をやっているわけですけれども、それにつきましては、特に出す方の土の質と量と出す時期、それから受け入れる方の欲する土の質と量と受け入れ時期、これが合わないといけません、基本的には。そのときに、受け入れ時期などにつきましては、なかなか双方が合わない場合がございますので、一時ストックヤードに確保しておく必要などもございますから、あらかじめ電子的にマッチングだけで済むという状況にもなかなかございませんで、基本的には、UCRが介在することによって、そこら辺の調整が円滑に進んでいるというところでございます。
 このUCRは、発生事業者のニーズに合わせまして、首都圏域にバランスよく受け入れ地を確保しております。発生事業者におきましては、UCRを活用することによりまして、みずから建設発生土の受け入れ地を探したり、受け入れ時期等の条件を調整する手間などが省けまして、その分、建設コストの縮減が可能となるなどのメリットがございます。
 都としても、建設発生土の円滑なリサイクルを推進するために、UCRの活用を促進してまいります。

○やながせ委員 僕は、全く今の話は逆なんではないかなと思うんですね。それは、そもそも今、公共事業の四〇%はUCRを通っているということでありまして、残りの六〇%は直接やっておるということなんですね。つまり、UCRを通さなくても、六〇%の公共事業は可能であるというのが、まずあるわけですね。
 この四〇%に関しては、手数料が発生しているわけであります。それが一立米当たり三百円ということでありまして、これ、少ないかどうかといわれると、私は大した金額だなというふうに思っているんですね。建設発生土というか、土を販売する価格が、大体、市場価格が一立米当たり二千円から三千円だというふうに聞いているわけでありまして、それから考えると、一立米当たり三百円の手数料がかかるということは、これは非常に大きなインパクトだなというふうに思うんですね。
 先ほど建設コスト、公共事業のコストが、このUCRがあることによって下がるんではないかと、下がっているというようなお話がありましたけれども、私は逆に、この三百円の手数料が上乗せされるということによって、公共事業の価格を押し上げる一つの要因になっているんではないかということを考えるわけであります。
 そこで、このUCRの手数料、建設発生土一立米当たり三百円ということでありますけれども、この三百円の根拠についてお伺いをしたいと思います。

○上野技監 手数料につきましては、UCRによれば、受け入れ地の確保、受け入れる土の質と量、受け入れ時期、料金など受け入れ条件の調整、受け入れ時の土質の確認などに要する経費を見込んでいるとのことでございます。
 その手数料につきましては、UCRが受け入れ事業者と協議を行いまして、双方合意の上で受け入れ事業者が設定しております受け入れ料金の内数となっております。受け入れ事業者にとりましては、UCRを活用しない場合には、必要となる質や量の土の確保のために、みずから営業活動や発生事業者との調整などを行う必要がございまして、その手間に相当するものとして、手数料につきましては、受け入れ事業者がUCRとの協議を通じて了承しているものでございます。

○やながせ委員 この三百円という金額が妥当なのかどうかということでありますけれども、これは当然、UCRを通さなければこの三百円はかからないわけですね。さっき、内数になっているんだということでありますけれども、当然受け入れ側としては、この三百円も含んだ金額でのコスト設定になるわけですから、ほかで、直で建設事業者さんが受け入れ地に受け入れてもらう金額というのがありますよね。UCRを通して受け入れしてもらうパターンという、この二つのパターンがあると思うんですけど、UCRを通じて受け入れてもらう場合には、当然三百円上乗せされるということ、これは当然のことですよね。
 UCRを通すとコストが高くなるということ、先ほどちょっと申し上げたんですけど、これはそういった認識に対してどうでしょうか。

○上野技監 先ほども申し上げましたとおり、受け入れ事業者にとりましては、確実に品質が保証されている大量の土を計画的、安定的に確保できるなどのメリットがございますから、そういったことと、それから、みずから営業活動をして、発生事業者との調整などを行う必要があるところを、UCRを介在することによって、その手間分が省かれるわけですから、そういったもののコスト縮減のメリットがある、受け入れ事業者にとってもコスト縮減のメリットがあるというふうに、そういう仕組みになっておりまして、それにつきましては、受け入れ事業者とUCRが協議した形で受け入れ料金の設定をしているというものでございます。

○やながせ委員 今のは、ちょっと私の質問が悪かったですね。
 三百円がその営業コスト分に当たるんではないかということでありますけれども、この三百円の根拠は何だろうということなんですね。この三百円が、これが妥当であるということをどのように私たちは考えていったらいいのかということを思うわけであります。
 なぜこういうことをいうのかというと、UCRが非常にもうかっているからなんですね、UCRが。UCRの事業を見てみますと、非常に少ない人数でやっておりまして、営業収益が、売上高が約四十三億円であると。売上総利益は六億円で、経常利益が二・四億円ということで、これは極めて優良企業であるということがいえると思います。
 そういった意味でいうと、内部にため込んでいるお金というのがたくさんありまして、定期預金に十一億、投資有価証券が十九億持っているということで、これは都債とか県債を買っていると。しかも、その配当がですね、配当の利益というのがあるんですけど、配当の利益が、大体一年間に二千八百万円もの配当利益を受けているということでいうと、極めてこれはもうかっている企業だなというふうに思うわけです。
 この人たちは何でもうけているのかというと、その三百円の手数料によって、この会社は成り立っているということなんですね。売り上げというのは、受け入れてもらう受け入れ側からのお金で、原価というのは発生事業者からのお金ということですかね。
 非常に好調な収益がこの三百円によって発生しておるということでありまして、この三百円が、公共工事の費用の中に入ってくるということを考えたときに、この手数料の妥当性について、一度これは検証するべきなんではないかというふうに思うわけでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○上野技監 先ほども申し上げましたとおり、手数料につきましては、UCRにおきまして、受け入れ地の確保、受け入れる土の質と量、受け入れ時期、料金など受け入れ条件の調整を受け入れ地と行う。それから出し地の方と、搬出事業者の発生側との調整を行う。また、受け入れ時の土質の確認など、そういったものに要する経費を見込んでいる。それに対応する経費として見込んでいるというものでございます。
 また、この手数料につきましては、UCRが自立的な経営判断の中で適切に設定すべきものでございます。

○やながせ委員 私は、根拠として挙げたいのは、公共事業の四割がこのUCRを通っているということでありまして、公共事業の六割はUCRを通さずに同じ事業をやっているということなんですね。であれば、この四割も手数料を払わずにできるんじゃないのということ、これがまず一点あるわけであります。
 その四割は、三百円、手数料を払っていると。その払ったお金によって、UCRというのは非常に法外なですね、法外といっていいのかどうかわからないですけれども、極めて高い利益を上げているということであります。それは外形的に見ると、ここの社長というのは、歴代東京都の天下り先であるということ。こういったことを考えると、この事業が本当に必要なのかどうか。これ、私はうがった見方をするんであれなんですけど、まさに天下り先を確保するためにこの事業を温存しているんじゃないのというようなことを私は考えてしまうわけであります。
 先ほど、マッチングだけじゃないんだというような話もありましたけれども、私がこの事業を検証する限りでは、やっぱり一番大きなものはマッチングですよ、マッチング。それほど難易度の高いマッチングであるというふうには思えないわけでありまして、この三百円の手数料のあり方、これを都市整備局としては、UCRにもう一度検証し直してみるということ、これを検討されてはいかがかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○上野技監 手数料そのものにつきましては、先ほど申し上げたとおり、UCRが自立的な経営判断の中で適切に設定すべきものでございます。
 現在、建設発生土の需給動向などを踏まえまして、UCRがみずからの経営責任のもとで設定をしているものでございます。今のところUCRにおきましては、手数料を見直す予定はないと聞いております。
 今後も手数料の設定につきましては、需給動向などを踏まえ、UCRにおいて適切に対応するものと考えております。

○やながせ委員 ありがとうございました。ぜひこういったこと一つ一つを見直していっていただきたいなというふうに思います。
 多分、外郭団体のあり方というのは、これから小池都政の中でさまざまな見直しがされていくんだろうというふうに私は期待しているんですけどね。そういった中で、やっぱり過去から--これは三十年前にできた会社ですよ。三十年前には、確かにこれ意義があった会社なんだろうというふうに思うんですけれども、ただ、やっぱり時は流れて、事業のあり方、必要性というのは大きく変わってきているというふうに思うんですね。
 そのことを考えると、マッチングビジネスみたいなものは、今はもうほとんどこういった会社を通さずにできるのではないか、そういったことを都市整備局としてしっかりと検証、考えていただきたい。そして外郭団体のあり方ですね、これについてもしっかりと考えていただきたいということを申し上げたいと思いますけれども、何かございますでしょうか。

○上野技監 若干補足させていただきたいと存じますが、まずは建設発生土につきましては、もともと都内で大量に建設発生土が発生していることから、みずからの発生抑制、あるいはみずからの現場での再利用だけでは対応できない、そういう状況がございまして、大量の土を外に持っていかなければいけない、そういう実情がございました。
 その際、通常、土を外に持っていきますと、これを自由の裁量に任せる場合には、不法投棄ですとか、あるいは盛り土した土砂の崩壊などによる環境破壊を招くおそれなどがあったことから、受け入れ地を指定する指定処分をするということを、都の場合は建設リサイクル推進計画に基づき行っております。その指定先の中には、このUCR以外にもあるわけですけれども、その中には民間もございます。
 そういった幾つかの指定受け入れ機関がある中で、発生事業者におきましては、その指定先を選ぶときに、受け入れ機関を選ぶときにですね、先ほど申した土質など、そういった受け入れ条件を満たした上で、これは品質を確保する必要がございますから、それを満たすことが前提になります。それを満たした上で、運搬距離、処分費等の経済性を考慮した上で、相手先を、受け入れ地を指定することになっております。そういったことの中で、UCRがそういった条件の中で選ばれて、先ほど四割という比率になっているというのが現状だと思います。
 それから、UCRそのものにつきましては、これは首都圏から大量に発生する建設発生土を広域的に計画的に有効活用することで、建設発生土の適正処理、自然環境への負荷低減に寄与しておりまして、これによって循環型社会づくりに貢献しているところでございます。
 また、建設コストの縮減、社会資本整備の促進にも寄与しているものでございまして、UCRとしては、こうした社会的使命の達成に向けまして、安定的に事業を継続していく必要がございます。
 都としても、全体の建設リサイクル推進のため、促進のため、循環型社会の持続的成長を確保するためにも、このUCRの活用を図ってまいりたいと考えております。

○やながせ委員 るる、ありがとうございました。
 まあ、見解が違うということといってしまえばそうなんですけれども、確かに指定するということは必要だと思いますし、それで建設発生土をリサイクルするということも必要だというふうに思います。
 ただ、なぜUCRを使わなくちゃいけないのかということは、やっぱりいまいちよくわかりません、今のは。それで、そのコストが、三百円というのが妥当なのかどうかということであります。
 だから、少なくともこのUCRに天下りをやめたらいいんじゃないかというふうに僕は思うんですよ。僕はずっと天下りの問題、外郭団体の問題、きょうは多分最後の質問になるので申し上げますけれども、ずっと取り組んできたという中で見ると、やっぱりこういったトップに元主税局長が座っておるというような会社を見ると、ここに何か、これは存続意義があるんではないかと、天下りをすることそのものにですね、というふうなうがった見方をしてしまうということでありまして、そういったことを一つ一つ検証していくということが必要なんではないかなというふうに私は考えているところであります。何かありますか、大丈夫ですか。
 邊見さんも取締役として入っていらっしゃるわけですから、しっかりとこれ取り締まっていただきたいなというふうに思いますけど、ぜひそれは要望として申し上げておきたいというふうに思います。で、UCRの話はこれで終わりにしたいと思います。
 続いて、選手村の話をしたいと思います。
 ことしの予算にも、オリンピック・パラリンピック選手村の整備ということで百億円が計上されています。これは昨年から非常に話題になっているわけですけれども、十三・四ヘクタールの晴海の土地、オリ・パラ選手村予定地になっているわけですけれども、昨年の九月にこれが売却をされたということであります。その金額が百二十九億六千万円でありました。この価格が、疑義があるんじゃないかということ、これを検証していきたいというふうに思うわけであります。
 この百二十九億六千万円、十三・四ヘクタール、晴海といったことを考えたときに、これは坪単価三十二万円であるということで、付近の晴海三丁目、地価公示価格によれば、坪単価四百三十六万円というのがございますので、それを考えると、近隣の価格より約十分の一以上の安さになっているということであります。これがなぜ十分の一なのかということですね。
 これはいろんな事情があるということだと思うんですけれども、まず最初に、この選手村の土地価格の鑑定委託、土地価格が百二十九億六千万円が妥当であると、この土地を売るのには百二十九億円ではないかということを決めた鑑定があったわけですけれども、その鑑定委託、これはどのような会社が行ったのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村の土地価格の算定に当たりましては、前例のない特殊な条件下での評価実績を豊富に有することが求められ、最も信頼性の高い一般財団法人日本不動産研究所に特命随意契約を行っております。

○やながせ委員 済みません、ちょっと通告はしていないんですけど、この話をわかりやすくするために、何でこれ十分の一なのかというのを簡潔に話をしていただけるとありがたいなというふうに思いますけど、大丈夫ですか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村の特定建築者、民間事業者でございますが、への敷地の譲渡の価格調査につきましては、国土交通省の不動産鑑定評価基準で示されました評価手法と手順に基づき実施しております。
 当該の用地につきましては、晴海地区地区計画などで容積率や建築物の高さなどの土地利用計画が都市計画として定められており、評価に当たりましては、これを前提としております。
 その上で、選手村としての仕様に対応した建物を整備すること、また、整備期間の途中に選手村としての一時使用がありまして、大会後、分譲または賃貸により資金を回収するまでに長期間を要することなど、通常の住宅開発とは異なった条件があることを考慮して評価しております。

○やながせ委員 今のご説明で理解されたというふうに思うんですけれども、いろんな--まず選手村を建てるということですね。そこに選手の方が入られて、一回使用される。そこからリニューアルをして、マンションとして整備をして売り出すということで、資金回収までかなりの期間がかかる。また、そういった二度手間がかかってしまうということから、この土地の価格は、この近隣よりも十分の一以下の価格になったんだということだというふうに思います。
 私は、まず最初に、やっぱりなぜこれが特命随契なのかということ、これに不信を持ってしまうんですね。この一般財団法人日本不動産研究所というところが、この百二十九億の鑑定をしたわけでありますけれども、これは特命随契であります。私がもしこの土地を高く売りたいと思ったら、やっぱり複数者に依頼をかけて、どれだけ高く売れるのかということを考えるわけでありますけれども、これは日本不動産研究所に特命随契ということなんですね。
 この不動産研究所がかなり高度な力を持っているということは、私は調べてわかりました。ただ、同じような案件を、ここしかできないのかというと、本当にそうなのかというふうに思うわけでありますけれども、この鑑定ができる会社、これは一者しかないというふうに都市整備局は断定ができるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村の土地価格の算定に当たりましては、先ほどご説明いたしましたように、一般の開発とは異なる特殊な条件を考慮して調査を行う必要がありました。
 具体的に申し上げますと、建物につきましては、オリンピックの施設要件のみならず、パラリンピックの施設基準、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドライン、これを満たす高いバリアフリー性能を有する住宅を建設することを要件としております。
 加えまして、事業スキームにつきましては、先ほどもご説明しましたように、事業期間が長期に及びます。この間に、費用支出や資金回収が複数回にわたり発生すること、また、金利や市場動向の見きわめが必要となることなどの特徴がございます。
 このようなことから、土地価格調査を委託する会社には、前例のない特殊な条件下で評価実績を豊富に有します最も信頼性の高い同社に随契を行ったところでございます。

○やながせ委員 今の話を聞いていると、最も信頼性が高いということで、これはじゃあ、この日本不動産研究所にしかできないというものではないという見解でいいですかね。日本不動産研究所以外でも、この価格の鑑定というのはできるけれども、信頼性が高かったから、ここと特命随契をしたということでよろしいですか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 不動産研究所でございますけれども、国や地方公共団体等から不動産鑑定依頼件数、これは全国で最も多い会社でございます。また、例えば不動産取引の市場が存在しないような非常に特殊な事例、例えば尖閣諸島の用地取得、そういった特殊な鑑定などもやっております。また、本件と同様に、二〇二〇大会関連の調査研究等の実績もございます。
 こういったことから、最も信頼ができる会社ということで随意契約を行ったところでございます。

○やながせ委員 この日本不動産研究所というところがかなり高度な、いろんな、難易度の高いテクニックが必要な鑑定をやっているということはよくわかるんですよ。ただ、ここにしかできないからこれは随契をしたのかということ、それを聞きたいわけです。
 つまり、この鑑定は、日本不動産研究所にしかできないのかどうかということ、これについて見解をいただきたいと思いますね。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 繰り返しになりますけれども、不動産研究所が最も信頼性が高いという理由で随意契約を行っております。

○やながせ委員 ということは、これは不動産研究所以外でもできるということでよろしいでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 不動産研究所以外の会社の可能性でございますけれども、実際にこの会社以外では、本案件は委託しておりませんので、その辺はわかりませんけれども、信頼度については、やはりかなりの違いがあるだろうというふうに考えております。

○やながせ委員 だから納得度が高いと。つまり、この日本不動産研究所以外に幾つかの選択肢を考えられたのかどうかということですね。その中で順位づけをして、日本不動産研究所がいいねということでされたのかということですね。
 特命随契をするときというのは、僕の理解では、そこにしかできないこと、そこにしかできない技術を持っているということで特命随契をするということなんだろうという理解をしているわけですけれども、その特命随契の理由というのは、信頼性が高いということでよろしいんでしょうか。
 つまり、ほかの事業者でもできるけれども、ここが信頼性が高いからここにしたんだということでよろしいですか。

○今村総務部長 契約の担当の部長ということで、一言補足をさせていただきます。
 やながせ委員おっしゃいましたとおり、特命随意契約というのは契約の方式の例外でございまして、基本的には、その会社にしかできない場合に、その理由を明らかにして行うものというのが原則でございます。
 ただ、この場合におきましては、先ほど奥山部長から申し上げましたとおり、極めて異例なケースであること、それから長期間にわたる評価であり、特殊な評価要素が非常に絡むということで、それを理由といたしまして、この場合は、この日本不動産研究所にしかできないという判断を局として下して、ここの会社に特命随契をしたというふうに私は記憶をしております。
 以上でございます。

○やながせ委員 この晴海の土地鑑定が極めて異例なことはよくわかるんですけれども、ただですね、これはこの一者にしかできないというようなものではないと。これは、都市整備局もそういう認識であるというふうに私は理解をしました。ここにしかできないものではないけれども、特命随契をしたというふうに理解をしたわけですが、それでよろしいですか。

○今村総務部長 一般論といたしましては、不動産鑑定士、それこそ先生おっしゃるとおり、いろいろいらっしゃるわけですから、その中から引っ張ってくれば、いろんな方ができると思うんですけれども、これを発注するときにおきまして、この案件を子細に見たときに、この場合は日本不動産研究所しかその能力がなかったという判断のもとに、私どもは特命随契をしたということでございます。
 その一つの要素としまして、先ほどから奥山部長から申し上げている、信頼性が高いですとか、実績を豊富に有するというような要素が入っていることは確かでございます。

○やながせ委員 僕が何でこんなことをいうのかというと、この百二十九億の妥当性というのは、僕にはわからないんですよ。都民を代表してチェックをしていくとなったら、その手続は妥当なのかどうかということを僕たちは見ることしかできないわけです。
 私は、不合理な理由による特命随意契約、これはこの都庁の大きな問題だなということで、これまでずっとこの追及をしてきました。特段の理由もないのに特命随意契約をしてしまうと。それが、例えば天下り先であったりとかするというケースが、これまで多々あったわけですね。
 そういったことが、私は、この都庁のさまざまな事業をゆがめてきたんではないかという問題意識を持っておりまして、そういった意味では、この日本不動産研究所がどうということではないですけれども、こういった今の特命随意契約のあり方というのは問題があるというふうに私は思います。
 この手続を一つ一つ私は見ていっているわけですけれども、敷地処分予定価格を保留床等処分運営委員会という委員会で、次のところに移るわけですけれども、この運営委員会で、念のためこの百二十九億が妥当なのかどうかということを審議しているという、そういう委員会があるんです。この委員会で審議をしているわけですけれども、この議事録というのはないのかどうなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村の特定建築者に敷地処分を行うに当たりまして、その予定価格は、平成二十八年四月二十二日に開催いたしました保留床等処分運営委員会で決定されております。
 同委員会の議事録は、開催後速やかに、主な質疑内容や審議結果につきまして、正確かつわかりやすい表現で取りまとめております。
 なお、審議結果につきましては、同年七月二十八日の特定建築者予定者を決定した際に、ホームページ等で公開、公表しております。

○やながせ委員 それで、私はこの議事録を読んで、この百二十九億が妥当かどうかということがいかに審議されたのかということを検証しようとしたわけでありますけれども、局の方から議事記録ということでもらったのが、このペーパーなんですけれども、これには主な質疑内容ということで、これはかなりはしょった内容のものになっておるということなんですね。
 私は、議事録を見せてくださいということで申し上げたんですけれども、局の方としては、議事記録しかないと。そこにあるのは主な質疑内容で、かつ若干黒塗りというものでありました。
 そこで、私は、これで問いたいわけでありますけれども、都市整備局の委員会での議事録作成、これはどのようなルールで行っているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○今村総務部長 やながせ委員おっしゃる委員会の代表的存在としましては、附属機関等がございます。この附属機関等の議事録につきましては、これまで、なるべく前向きな姿勢で情報公開に努めてきたところでございます。
 今年度は、局の自律改革に取り組む中で、平成二十八年四月時点、局所管の附属機関等三十七ございましたが、そのうち、当初十一機関について要旨のみ議事録を公開としておりましたが、それを全部公開するなど公開の範囲を拡大しております。
 このほか、これに準ずる委員会につきましても、議事録の公開を初めとする附属機関等の運営に準じまして、個別の状況に応じ、委員長などと意見交換をしながら適切に判断し、決定しておるところでございます。

○やながせ委員 今、附属機関とおっしゃったのは、さまざまな、例えば都計審であったりとか審議会、さまざまな審査会、景観審議会とかですね、そういったものについては全文の議事録があると。ただし、公開するかどうかというのは、個人情報等に鑑みて、要旨を公開したり全文を公開したりということをしておると。ただ、今はできるだけ情報公開ということがいわれているわけで、全文公開をするように努力をしておるということなんだろうというふうに思います。
 今回の百二十九億が妥当であるかどうかということを議論した保留床等処分運営委員会に関しては、主な質疑しかないわけでありますが、これは確認ですけれども、その全文の記録ですね、誰がどういう発言をしたのかという記録はないということでよろしいんでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回取りまとめました主な質疑内容のほかの記録としては、録音の状態で保管されております。

○やながせ委員 それで、先ほどから私、一つ一つの手続を見て、百二十九億が妥当なのかどうかということを検証しているわけですけれども、さっきは特命随契であったということであります。
 今回は、その百二十九億が妥当かどうかという委員会の議事録があるのかといったら、ないと。主な質疑内容というものしかないということ。今、録音があるというお話がありました。これ、主な質疑内容というものが、本当に議事録としてこれを採用していいのかどうかというのは、私は極めて問題があるんじゃないかというふうに思うんですね。
 というのは、担当者が、どれが主な質疑と思うかどうかというのは、それは主観ですから、主観が入るわけです。取捨選択できるということですね。つまり、これは必要な情報だろう、これは必要じゃないだろうということで取捨選択ができる、主観が入ってしまうと。もうちょっとうがったいい方をすれば、表に出したくないような質疑は出さないというような選択もすることができるわけであります。
 そういった点から考えると、この主な質疑内容しかない議事録について、局としてどのように考えているのか、見解を伺いたいと思います。

○今村総務部長 局としてということでお尋ねでございますので、私の方からお答え申し上げます。
 昨年四月二十二日に開催しましたお尋ねの委員会の議事録につきましては、要旨という話で先生からございましたが、こちらでもう一回点検しましたが、内容をわかりやすく正確に反映し、記録としては、基本的に必要な要件を備えていると考えております。
 ただし、先ほど申し上げましたとおり、昨年十月に総務局通知がございまして、附属機関等の議事録につきましては、原則として全文を作成し、でき得る限りで公開するというような原則になっております。
 したがいまして、今お話しのような委員会、これは附属機関等ではございませんけれども、今後は局の事業を、都民により丁寧に説明していくという観点につきまして、この附属機関等の新しい取り扱いに準じて対応してまいりたいと考えております。

○やながせ委員 ありがとうございます。
 この委員会が行われたのが昨年の四月であるということで、十月には総務局通知なるものが出て、これは原則として全文を作成して公開することとなったと。附属機関等ということで、これが入るのかどうかというのは微妙ですけれども、今後はこの取り扱いに準じて、こういった委員会でも全文を作成して、公開をしていくという見解であるということでよろしいですかね。

○今村総務部長 失礼しました。原則はそのとおりでございます。
 ただ、総務局通知にもございますが、要旨による公開の場合は、審議の過程がわかるようにすること。
 また、例えばうちで申しますと、附属機関でも、例えば都営住宅の高額所得者審査会というのがございまして、こういったものは個人のプライバシーで全部議事録が覆われているものですから、こういったものについては、済みませんが、ちょっと公開していないような仕組みになっております。そういったものについては、それでも当該会議の概要の公開に努めると。例えば議事次第とか、こういうものはオープンにしろというような幾つかの段階がございます。
 あと、先生からもお話がありました個人情報の侵害に当たらないかとか、あるいは我々が一番気にしているのは、例えば第三者情報の権利、これを侵害しちゃいけないというような、いろいろ配慮しなければいけない側面がございますので、そういったものを総合的に勘案して、その上で、なおかつ公開できるものは公開するというような姿勢で臨みたいと考えております。
 以上でございます。

○やながせ委員 ありがとうございました。
 個人情報等々にかかわるところは公開しないというのはよくわかります。
 ただ、今回のように百二十九億という価格づけが正しいのかどうかといった、非常に都民の税金の使い道にかかわってくるような審査内容ということですので、こういったものに関しては、しっかりと全文記録をつくって公開していくというこの原則を、今後徹底していただきたいというふうに思うわけであります。
 それでは次に、この百二十九億が妥当かどうかということを検証するこの保留床等処分運営委員会の内部委員、外部委員、これの構成があるわけですけれども、これの決め方をどうやって決めているのかということであります。
 この委員会のメンバーを見ると、十名の委員会メンバーがいるわけでありますけれども、このうちの六名は都の職員なんですね。都の職員が六名入っている委員会であるということであります。これは、何で内部委員が六名で、外部委員が四名という構成になっているのか、これはどうやって決めたのか、この決め方の妥当性はどうなのかということについてお伺いしたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 前例のない特殊な条件を考慮した敷地譲渡予定価格の審議となることから、不動産鑑定評価に知見を持つ学識経験者など外部委員四名を入れております。また、市街地再開発事業を所管します都市整備局職員四名、その他、これは同じ庁内ではありますけれども、都有財産の管理、処分を所管する財務局の職員一名、また、選手村を担当しますオリンピック・パラリンピック準備局の職員一名、合計十名の委員で構成することといたしました。

○やながせ委員 私が申し上げたのは、この百二十九億が妥当かどうかということを判断する委員会なんですね、これは。じゃあ、これは妥当じゃないという結論をどうやって出す可能性があるかといえば、それは過半数の多数決によって、そういう可能性というのは出てくるわけですよ。つまり、数が重要なんですね。
 今回は、その十名のメンバーのうち六名が内部委員、都の職員であるということ、これの妥当性をどう考えるのかということ、これについてお伺いをしたいというふうに思います。メンバーの割合についてですね。なぜこの割合なのかということです。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 委員の割合という考え方ではなく、それぞれ、学識経験者、また、庁内の必要な部署の職員に入ってもらうということで十名を構成いたしました。

○やながせ委員 ちょっとこれも通告していないんですけど、こういうメンバーを決めるときの、何か定めってあるんですか、ルールは、都市整備局として。委員の中の半分以上は都の職員にするとか、そういったルールがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。

○今村総務部長 局全体としての考え方のお尋ねだと思いますので、私の方で答えさせていただきます。
 先ほどの附属機関に準じて考えるという話になってくると思うんですけれども、基本的にはケース・バイ・ケースで考えていくということになると思います。
 ただ、附属機関等の委員の選任につきましては、現行の通知によりますが、具体的な議論の充実と迅速化を図るため、合理的な人数とすること、特定の団体に偏らないこと、幅広い年齢層とすること、また、附属機関等の場合におきましては、外部委員を主とすること並びに女性委員の登用に努めることなどが示されております。
 この保留床処分委員会につきましては、晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業規準を根拠として設置されておりまして、その十条の四、一号で、次長、技監及び理事並びに部長またはこれに準じる職にある者、同二号で、学識経験を有する者というふうにされており、これに従って選定されたものでございます。
 外部委員を過半数にすべきであったのではないかというご意見でございますが、それも一つのお考えだとは思います。ただ、今回の委員の選定につきましては、先ほど市街地整備部長からもお答えしましたとおり、行政の各担当の理事級や部長級から、必要な部署からその委員を選任するということ、並びに不動産、会計、法務の観点から、それが適正かどうかということでチェックを行っていただくために外部委員に参加していただいたものでございます。過半数ではございませんが、会長と副会長には外部委員の方に就任していただき、運営上の適切さを保つように努めております。
 なお、これは一般論になりますが、外部委員をこのように登用して、その専門的知見を主に、その委員会の中身を審議し運営していく場合、その外部委員の所見で疑義が呈されたり、あるいはそれに対して反対の意見が出された場合、それを押し切って多数決を行って事を決するということは、通常想定できないと考えております。

○やながせ委員 若干反論はあるんですけどね。であれば、全文の議事録がないと、それが確認できないわけですよ。もしかしたらこの、わからないですよ、この四人のメンバーが、これはおかしいじゃないかというような議論をしていて、わあわあいっていると。でも、六人で押し切って、いや、百二十九億、正しいんだということで決をとったということがあったとしてもですよ、あったとしても、この議事録、主な質疑ですね。主な質疑では、これは事務方がどうにでもできるから、取捨選択することができるから、これを本当にそういったことがないということは、この議事録を見た限りではいえないということなんですね。だからそのために、僕は議事全文をしっかりとつくっていただきたい、それを公開するべきなんではないかということを申し上げたわけであります。
 それから、委員のあり方に関していうと、やっぱり都の職員というのは、これは利益関与をしている人たちですからね。つまり、都の職員が入る必要性というのは、私はほとんどないんではないかというふうに思うわけであります。
 都の職員が入る必要性、必然性というのは何なんですかね、これは。さらに、その過半数を占めなければいけないという理由というのは、これはどのように考えればよろしいんでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 都の職員六名いるわけでありますけれども、この選手村を進める上で、あるいは土地の評価をするという目的に照らし合わせて、その専門の部署、そこに入ってもらうという、そういう観点から財務局、またオリ・パラ局に入ってもらったということでございます。そちらの専門性という、あるいは専門的な部分を所管する部署に入ってもらったと、そういう目的でございます。

○やながせ委員 でも僕は、都の職員が百二十九億という価格に対してどれだけの知見があるのかと。この百二十九億が妥当かどうかということを、どれだけ判断基準、物差しを持ってこの委員会に臨めるのかという意味でいうと、これは極めて私は不適任なんではないかというふうに思います。
 あと、法律の専門家、不動産鑑定士等々、そういう人たちの集まりで構成されているわけですよね。そういう人たちに諮問を出す側が東京都なのであって、その話し合いに加わるメンバーとしては、私は極めて不適格なんではないかというふうに思います。
 そういった意味では、この外部委員と内部委員のあり方というのは、これはよく検証していただきたいと思いますし、これからですね、これはここだけの話ではないんですね。これは都庁内のあらゆるこういった内部委員会においては同様な傾向が見られるわけでありまして、これはおかしなことだということ、これをしっかりと申し上げておきたいというふうに思います。
 そこで、次に、この公募におきまして、敷地処分予定価格百二十九億六千万円だよということを公表しているわけですけれども、これを公表した理由というのは一体何なのか。これは、どのようなルールに基づいて公表したのかということについてお伺いをしたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村の市街地再開発事業の実施に当たりましては、都市再開発法第七条の九に基づきまして、敷地の処分など事業を施行する際の基本的事項を記載しました規準、これを定めております。
 敷地譲渡の予定価格の公表方法につきましては、この規準に基づきまして、別途定めた特定建築者公募要綱で公表することができると規定しております。予定価格は、この要綱に基づきます特定建築者募集要領において、あらかじめ公表しております。

○やながせ委員 この予定価格を公表する必要性があったのかということを、これを私は問いたいわけでありますけれども、これ、つまり、公表しても公表しなくてもいいというルールになっているということでよろしいでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 ルールということでいいますと、先ほどご答弁しましたように、法に基づく規準、それに基づく要綱で公表することができるというふうに定めているわけであります。
 都市整備局の市街地再開発事業や区画整理事業におきます同様な土地の処分、こちらにつきましても、予定価格を公表するということでこれまで実施してきております。

○やながせ委員 その規準というのは都がつくるものですよね。都市整備局がつくるものですよね。だから、規準というのは、要は公表するという規準をつくることもできれば、公表しないという規準をつくることもできるという認識でよろしいでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 これは公表することができる、それ以外の方法、これは決めでございます。どちらでも可能でございます。
 本件につきましては、先ほど答弁いたしましたように、これまでの事例を参考に、予定価格を公表するということといたしました。

○やながせ委員 つまり、予定価格というのは、公表してもいいし、公表しなくてもいいと。でも、今回は公表したということですね。これはなぜ公表したんでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 繰り返しになりますけれども、これまでの当局の再開発事業、区画整理事業での実績、また、工事の入札等でも、都庁の場合は公表をしております。
 このような事例を参考に、また実績を参考に、本件につきましても公表することといたしました。

○やながせ委員 これ、結果としてお伺いしたいんですけど、これは一者しかこれに応募されなかったということでありますけれども、その金額というのは、この百二十九億六千万円ということでよろしいんですかね。
 つまり、公表した金額で一者だけが同じ金額で申し込んできたということでよろしいですか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 今回決定しました特定建築者は、公表しました予定価格と同額で応募して、それで決定しております。

○やながせ委員 そういう結果を見ると、これは結果論でしかないわけですけど、一者が申し込んできて、最低価格でこれを落としているということ。これ外形的に見るとですよ、これはどういうことなんだというふうに、これは、私は議会としてのチェック機能を果たしたいというふうに思っているわけですけれども、やっぱりこれはおかしなことだなと、この結果を見るとですね。結果論的にはおかしなことだなというふうに思うんです。
 これは、公表しないことによって、この価格が、高く売れたという可能性があるんじゃないかというふうに思いますけれども、その可能性についてはいかがお考えでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 公表しない場合のその可能性については、わかりかねます。

○やながせ委員 可能性は可能性ですから、可能性があるのかどうかということですけれども、私は、これは公表しないことによって、これよりも高い値づけで売れた可能性というのはあるんじゃないかというふうに思うわけであります。
 百分の通告ですので、もう時間が大分迫ってまいりましたので、ちょっとこの件について申し上げますと、まず最初に、特命随契でこの百二十九億という金額を決めたということですね。これはやっぱり複数者で、この金額が、どれだけ高く売れるのかという努力をするべきだったんではないかということが、まず一点ですね。
 かつ、この日本不動産研究所なるところが特命随契でこの鑑定を行ったわけですけれども、それ以外にもできるところはあったということだったというふうに思います。だから、この特命随意契約というのはおかしいというふうに私は思うわけですね。
 それから次に、この百二十九億が妥当かどうかということを考える運営委員会というのがあるんですけれども、その議事録は全文が残されていない。主な質疑しかないということであります。それで、その委員会のメンバーというのは、十人中六人が都の職員であるということですね。
 かつ、この処分予定価格百二十九億六千万円ということ、これは公表しても公表しなくてもよかった。でも、都市整備局は公表をしたということであります。その結果として、一者がこれに応募して、この最低価格である百二十九億六千万円で落としているということ。
 これだけを見ると、私はとてもちょっと--これは非常にグレーだなというふうに思わざるを得ません。当初、私がこれで何をしようとしたかというと、これは十分の一といわれているけれども、さまざまな事情があるから問題ないんだろうということを、まず、きちんとこれは最後、立証しておきたいという思いでこの解きほぐしを始めたわけでありますけれども、第三者がこの状況をチェックしたときに、じゃあ、これで白ですと、これで正当にこの値づけは行われてきましたねということは、とてもいえないような状況であるということ、これは申し上げておきたいというふうに思います。
 今、森友学園とか、また、瑕疵担保責任がついていなかったじゃないかとか、いろんな話がされているわけでありますけれども、この選手村というのは、これから非常に大きな--晴海の土地ですよ、この晴海の土地というのは、僕たちは今から七年前に、ここで築地の再整備の仮移転ができないかというふうにも考えたような場所でありまして、極めて貴重な都有地であるといえるでしょう。これが将来、この取引に疑義があったというようなことがいわれないように、しっかりとこれは対処をしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、これ追加の質問なんですけれども、今八十分ぐらいですね、ちょっとスピードアップをしたいというふうに思います。
 この選手村の話で、特定建築者が確実に建物を完成させるために、どのような方策をとっているのかということ、これを押さえておきたいというふうに思います。
 これは、建築コストがこれから高騰していく、去年からことしにかけても非常に高騰しています。そうした中で、例えばこの事業者が、建築コストがどんどん上がっていくことによって、この事業を放り出したりとか倒産等、事業継承が困難となったりした場合に、この選手村の建築はとても今スピード感が求められていて、完成まで時間がない事業だというふうに認識をしているわけであります。そうした中で、このようなリスクヘッジをどのようにしているのかということ、この点についてお伺いしたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 本事業では、東京二〇二〇大会の選手の宿泊棟となる建物を平成三十一年十二月までに確実に整備を完了させることが条件となっております。
 このため、この建物を整備する特定建築者を公募する際には、必要な整備スケジュールを公募条件として示しており、同者の選定に当たっては、信用力や財務体力等の審査により、履行能力の確認を行っております。
 事業への着手後は、都は、市街地再開発事業の施行者として、特定建築者の工程管理に万全を期して臨んでおります。
 なお、特定建築者の構成員の中で、倒産等により事業継続が困難となる会社が発生した場合は、履行に関して構成員の連帯責任において責任を負う旨の協定書を提出させております。

○やながせ委員 ありがとうございました。
 次に、この選手村で整備する住宅供給なんですけれども、これは選手村で使った後に、一般の住戸としてこれは販売をするということなんですが、これが事業計画で約五千六百五十戸ということで、非常に大規模なものとなっているわけであります。
 二十三区で年間、マンションの供給量が約二万戸ということを考えると、このインパクトというのは非常に大きなものだなというふうに思うわけです。
 これだけ大規模な住宅供給が市場に影響を及ぼすのではないかという点が考えられるわけですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村の整備におきます供給する住宅戸数は、お話のとおり五千六百五十戸と定めております。これは、分譲住宅、賃貸住宅、またサービスつき高齢者住宅等で構成されておりまして、このうち、分譲住宅は約四千百六十戸でございます。
 この分譲住宅の販売期間につきましては、大会前から大会後の五年程度にわたり住宅供給量は分散されるものと想定しておりまして、近隣の住宅市場に及ぼす影響は少ないものと考えております。
 なお、特定建築者の敷地処分に関します土地価格調査、これは先ほどの不動産鑑定士によります調査でございますけれども、ここにおきましては、住宅の大量供給が当該敷地の価格に与える影響はないと評価されております。

○やながせ委員 最後に確認しておきたいんですけれども、この晴海の最寄り駅というのは勝どきなんですね。勝どき駅というのは、非常に今、渋滞、混雑しておるということで、この周りにタワーマンション等々がたくさんできていて、非常に勝どき駅が混雑して、これを何とか解消しなければいけないみたいな状況になっているということであります。
 そういったところに、六千戸近くの住戸がぼっとできることによって、こういった交通基盤に影響はないのかどうか、この点について聞いておきたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村の整備に当たりましては、開発ボリュームに対応する開発交通量を定め、将来交通量予測を行っており、周辺の道路や交差点、歩道の円滑な通行に支障がないことを検証しております。
 また、最寄り駅となる大江戸線勝どき駅では、現在、ホームの増設や地上出入り口の増設などの改良工事を行っており、これにより駅施設の容量が大幅に向上することが見込まれております。
 選手村への交通アクセスにつきましては、選手村を経由して都心と臨海副都心を結び、速達性、定時性の確保が期待できるBRTが計画されており、これらにより新たな交通需要への対応は可能となります。また、晴海地区におけます既存の路線バスのネットワークも活用してまいります。

○やながせ委員 ありがとうございました。
 BRTというのは、これは環二を通るんですよね。環二を通るということでよろしいですかね。--はい。環二を通るということであります。
 ただ、環二はでき上がっていないんですよね。環二は、皆さんご存じのとおり、これは築地市場をぶち抜いてつくられるものでありますので……(発言する者あり)いや、一言だけいっておきたいということで、これはあれですよね、だから、築地をどうするかということによって、この選手村への交通アクセスには非常に大きな影響を与えるものであるということ、これも一応申し上げておいて、次の方につなぎたいと思います。
 以上です。

○あさの委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時四十二分休憩

   午後六時開議

○あさの委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○神野委員 三月十四日の予算特別委員会における我が党の崎山知尚委員の質問に対して、小池知事は、豊洲市場について、法令等につきましては、徐々に変わっていくことでございまして、それに適合するような、そのような建築を進めてきたというふうに聞いておりますという答弁をされています。
 そこで、豊洲市場に影響を及ぼす建築基準法の改正にはどのようなものがあったのかを伺います。

○青柳市街地建築部長 建築基準法第三条第二項の規定によりまして、既に建築確認済み証の交付を受けて着工した場合は、着工後の法改正の影響は受けません。
 このため、整備に影響を与えるような建築基準法の改正はございません。

○神野委員 建築確認の後は、変更があっても影響を受けないということでした。
 念のために聞いておきたいんですけれども、建築確認の後に何か改正といったものはございましたでしょうか。

○青柳市街地建築部長 整備に影響を与えるような建築基準法の規定の改正等はございません。

○神野委員 三月十五日の予算特別委員会において、我が党の小松大祐委員が、市場問題プロジェクトチームの権限が行政に及び得るのかという質問をした際に、多羅尾総務局長は、建築基準法上の直接の法定手続上の権限とは結びついていないとの答弁をされました。
 そこで、確認させていただきますけれども、市場問題プロジェクトチームは建築基準法上の法定手続に関して間接的な権限はあるのでしょうか。

○青柳市街地建築部長 市場問題プロジェクトチームは、建築基準法上の手続に関しまして権限はございません。
 なお、同プロジェクトチームの設置要綱によりますと、築地市場から豊洲市場への移転及び市場のあり方に関し、都庁の関係部局と協力し、情報を公開し、関係者からの意見を聞くとともに、専門的見地からの知見の集約を行うものとしておりまして、豊洲市場の土壌汚染、施設及び事業に関する事項などについて検討し、その結果を知事に報告することとしております。
 同プロジェクトチームから知事へ豊洲新市場施設の安全性等について報告がありまして、これを受けまして、確認、完了検査等の手続がなされたものと受けとめております。
 当局といたしましては、この申請を受けまして、建築基準法上の規定にのっとって行政処分を適正に行ったものでございます。

○神野委員 それでは、豊洲市場の検査済み証の交付について伺います。
 建築基準法第七条、建築物に関する完了検査の第一項では、建築主は、第六条第一項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならないとありますが、豊洲市場の工事は建築基準法第六条第一項の規定による工事に該当するのか、また建築主事は誰になるのかを伺います。

○青柳市街地建築部長 豊洲新市場施設の建築工事は、その着工に先立ち、五街区は平成二十五年十二月、六街区、七街区は同年十一月に建築確認済み証の交付を受けており、建築基準法第六条第一項の規定による工事に該当いたします。
 また、建築主事は、都市整備局市街地建築部長でございます。

○神野委員 建築基準法第七条第二項では、検査の申請は、工事が完了した日から四日以内に建築主事に到達するように、しなければならないとあります。
 中央卸売市場のホームページには、平成二十八年五月に豊洲市場の水産卸売り場棟、水産仲卸売り場棟、青果棟、管理施設棟の建設工事完了との記述があります。
 そこで、完了検査の申請はいつ行われたのか、そして申請を受理したのはいつだったのかを伺います。

○青柳市街地建築部長 完了検査につきましては、建築主より、五街区が昨年十二月九日、六街区、七街区が十二月十三日に検査申請されたため、これを受理しております。

○神野委員 では、水産卸売り場棟、水産仲卸売り場棟、青果棟、管理施設棟の建設工事完了から四日以内に完了検査の申請がなされていない理由、これはご存じでしょうか。

○青柳市街地建築部長 申請がなされていない理由につきましては、建築主からは聞いておりません。

○神野委員 豊洲市場は、十一月七日に開場する予定だったということから考えますと、十二月になるまで全く何も申請がなかったというのは不自然に感じますけれども、全く何も申請がなかったということでしょうか。

○青柳市街地建築部長 いわゆる仮使用認定というものが申請されてございます。

○神野委員 仮使用の認定というのは、ちょっと手元にある資料によりますと、検査済み証の交付を受けた後でなければ建築物等を使用できないという場合でも、特定行政庁が、この場合は都庁ということになると思うんですが、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めて承認したときに仮に使用することができるといった制度と聞いております。これは、この内容で間違いがないのか。
 そして、あと、実際に申請がいつなされて、いつこの申請が認められたのかということを伺います。

○青柳市街地建築部長 改めてご説明申し上げます。
 建築基準法第七条の六の規定によりまして、工事が完了する前や検査済み証の交付を受ける前においても、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認める場合には仮使用認定を建築主が取得することによりまして当該建築物を使用することができるとされております。
 豊洲市場におきましては、仮使用認定につきまして、建築主より、五街区の青果棟は平成二十八年三月、六街区の水産仲卸売り場棟、七街区の水産卸売り場棟、管理施設棟につきましては同年四月に申請が行われておりまして、同年五月に認定がなされております。

○神野委員 建築基準法第七条第四項では、完了検査について、建築主事が申請を受理した場合において、建築主事等は、その申請を受理した日から七日以内に、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければならないとありますが、完了検査はいつ開始したのか。そして、どれぐらいの期間にわたって行ったのかを伺います。

○青柳市街地建築部長 五街区、六街区、七街区、いずれも昨年十二月十四日より実地検査を実施いたしまして、十六日及び二十二日にも検査を実施しております。

○神野委員 建築基準法第七条第五項では、建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済み証を交付しなければならないとあります。
 検査済み証の交付は、平成二十八年十二月二十八日であったことが公表されておりますが、豊洲市場の建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していると認めたのはいつだったか、伺います。

○青柳市街地建築部長 昨年十二月二十八日付で、五街区、六街区、七街区、いずれも建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認め、検査済み証を交付しております。

○神野委員 では、次にBRT、バス高速輸送システムについて伺います。
 三月十八日付の朝日新聞の夕刊に、東京都と京成バスがBRTの運行会社の設立は延期する方針を固めたという記事がありました。
 その記事の内容ですが、環状二号線を経由して、新橋と勝どきや晴海、豊洲を結ぶルートで一九年に運行を始め、二〇年大会後は虎ノ門と有明、晴海などを結ぶルートを加える予定だった、小池百合子都知事が築地市場の移転延期を決めたため、環二の開通時期やルートが見通せず、京成バスや都は、官民出資で一七年春ごろを予定していた新会社設立の延期を決めた、都によると、設立時期や計画は今夏以降とされる市場移転の判断次第、都都市整備局によると、二〇年大会までのBRT開業を目指す方針は同じだが、市場の動向次第では一九年中の開業がおくれる可能性は否定できないというものでしたが、この記事の内容は事実でしょうか。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 平成二十八年四月に都と京成バス株式会社が策定いたしました都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画、これにおきましては、平成二十九年春ごろ、BRTを運行するための新会社を設立することとなっております。
 一方、築地市場から豊洲市場への移転の延期に伴いまして、環状二号線本線の整備時期が不確定となったことから、昨年十二月に都が策定いたしました二〇二〇年に向けた実行プランでは、環状二号線の整備状況に合わせてBRTの運行を順次開始するとしております。
 このため、新会社の設立も今後これに合わせて行うことになります。

○神野委員 都と京成バスとの間では、平成二十七年十一月十九日付で基本協定書が交わされていますが、今回の延期が基本協定書の内容に抵触するのかどうかを伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 二十七年十一月の基本協定書は、BRTの平成三十一年度中の運行開始に向けて必要な事項を定めることを目的として交わしたものでございますが、新会社の設立の具体的な時期は定めておりません。
 このため、設立時期の変更は基本協定書の内容に直接抵触するものではございません。

○神野委員 BRT事業は二〇二〇年大会がゴールではなく、それ以降も重要な役割を担う交通インフラとして計画をされていますが、環状二号線の開通を前提としたものであると思います。
 今回の延期は環状二号線の完成が見通せないためであり、その原因をつくったのは、都市整備局ではありませんが東京都です。京成バスの東京都に対する信頼が大きく毀損されたのではないかと懸念していますが、見解を伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 平成二十七年十一月に京成バス株式会社と基本協定書を締結して以降、平成二十八年四月に事業計画を都と京成バス株式会社との連名で作成しております。
 また、二十八年十二月に都が策定いたしました二〇二〇年に向けた実行プランでは、京成バス株式会社にも確認をした上で、環状二号線の整備状況に合わせてBRTの運行を順次開始するとしております。
 このように両者で調整をしながら運行準備を進めておりまして、信頼関係を毀損するということにはならないと考えております。

○神野委員 現状では環状二号線の開通時期が見通せないために、有効的な打開策というものは存在しないと思います。ただ、環状二号線の開通が決定した際には迅速に取りかかっていただきたいということをお願いしまして、私からの質問を終えます。

○松村委員 最後の質問者なので、ご協力よろしくお願いいたします。
 まず初めに、不燃化特区について伺います。
 不燃化特区の説明で、不燃化特区は二〇二〇年、平成三十二年度までの特別な支給、支援を有効に活用して、区と連携して住民に不燃化の建てかえを一層促進し、整備地域全体にその改善効果を普及していく。震災時に延焼や建物倒壊のおそれが特に高い整備地域の改善を加速させるとしています。ちょうど一年前の昨年の、今年度予算、二〇一六年、平成二十八年度の予算審議でこのように説明されておりました。
 これまでの全戸訪問などで得られた住民の意向を踏まえたきめ細かな対応を図ることにより、設計費や除却費の助成件数の向上を見込み、不燃化特区の予算として四十四億円を計上したと考え方を述べております。
 しかし、結果は、既に当委員会で減額補正を決めたとおり三十億。四十四億円の計上に対して三十億八千二百万円もの不用額というか、その時点での減額補正となったわけであります。
 来年度、平成二十九年、二〇一七年度の予算は、不燃化特区、四十億一千八百万円余でありますが、前年に比べて四億円低くなっておりますけれども、どう達成するのかを改めてお聞きします。達成見込みの根拠をご説明いただきたいと思います。

○山下防災都市づくり担当部長 不燃化特区を実施しています区は、平成二十九年度の予算計上に当たりまして、目標と実績を勘案した上で、建てかえを希望する人に助成できるよう積極的な予算を組んでございます。
 具体的には、今年度から開始した全戸訪問の複数回実施や防災生活道路の拡幅整備に加え、さらに来年度は、建てかえの際に借家人などの移転が円滑に進むよう新たに引っ越し費用の支援を行い、着実に建てかえ実績に結びつけていく予定でございます。
 都は、こうした意欲的な区の取り組みに応えるため、今後とも工夫を加えて必要な予算を計上し、さらなる取り組みを推進してまいります。

○松村委員 実は、さらにその前年、二〇一五年、平成二十七年度の不燃化特区の当初予算は三十七億円でした。それに対して執行額が十一億円で、二十六億円の執行残、これも減額補正をやった。
 それで、今年度は若干執行率は上がっているようですけれども、そしてまた先ほど幾つか、全戸訪問をさらにふやすとか引っ越し助成とか、それから防災生活道路の位置づけですか、それを緩和するなどの答弁がありましたが、私は、もうこれ三年というか、しかも、この不燃化特区はあと二〇二〇年までという期限を区切った特別支援体制というんですけれども、また同じ繰り返しにならない新たな取り組みをさらに抜本的に考えていく必要があるんではないかというふうに思いますけれども、再度この点について答弁いただきます。

○山下防災都市づくり担当部長 先ほどもご答弁いたしましたように、区は、平成二十九年度予算におきまして、目標と実績を勘案した上で、建てかえを希望する人に助成できるよう積極的な予算を組んでございます。
 区は、目標に向けまして創意工夫を凝らして粘り強く住民と向かい合って取り組んでおりまして、その結果、建てかえ件数の実績は年々右肩上がりに増加しております。
 都は、こうした意欲的な区の取り組みに応えるため必要な額を精査し、予算を計上してございます。
 今後とも、各区の取り組みを強力に支援し、不燃化に取り組んでまいります。

○松村委員 私どもの立場も、積極的な予算を組んで、いつ起きてもおかしくない、向こう三十年で七〇%以上の確率があるという首都直下などに備えることにおいては、同じ目標というか、思いを持っているというふうに思います。
 その点で、先ほど、今のこの制度のやり方を検証する中でも、例えば、糸魚川大火がありました。先日の質問で、我々は代表質問でそのことをいいましたし、また補正予算の審議のときにも私の方からも、こういう教訓があるじゃないかということも指摘したので繰り返しませんけれども、また先ほど理事からも提案があったとおり、やはり木密地域の無電柱化を精力的にやる。ここには、防災生活道路の整備をしていくということもありますから、こういう予算がせっかく組まれながらも、また使い残しというか、区もいろいろあると思いますけれども、さらに前進させる努力はどうしても必要だというふうに思います。
 この点では、糸魚川だけではなく、そういう教訓からだけではなく、東京も、これも既に事例を挙げましたけれども、墨田地区、京島のまちづくりなどは参考になりますし、そこではみんなが住み続けられるんだ、そういうまちをつくるという都と区の協議会を設置しての努力が始まっていることは多としますけれども、やはりそこに住む住民の方々やそういう専門家を含めたまちづくりの一つの合意形成体、ただ派遣して建てかえをやりなさいとか、難燃化だ不燃化だというようなことじゃなくて、きめ細かな当事者の要望を聞きながら、また、まち全体のコミュニティなどが醸成されるやり方もさらに加味していただきたいということ、このことを要望したいと思います。
 というのは、私は練馬なんですけれども、私の地域においても、貫井とか富士見台という地域があるんですけど、明らかに消防車が入れない、そういう木密地域があって、大変区としてもそこを何とかしなければならないと。
 それで東京都が持ってきた提案は、四小通り、その道路拡幅一本だったんです。私も二回の住民説明会に出たけど、道路を拡幅するという提案だけの説明が繰り返し行われた中で、すごい反対というか、意見がさまざま起きて、結局、それはまとまらずに、東京都からの提案そのものももう消えてしまって、まだ全体の、木密地域でありながらも整備地域や、この不燃化特区の重点地域には当然入っていないと。
 ですから、私は、そういうことも考えた場合、同じ木密地域が都内にも多数あるわけですから、重点的にそこをまずやろうという皆さん方の捉え方もわかりますけれども、こういう予算があるんだったら、使い残すというようなことであってはならないし、さらにそういう地域を広げた臨機応変な対応も必要なんじゃないか、そういうことも検討すべきじゃないかということをこの点については申し上げて、次に住宅耐震化についても伺わせていただきます。
 二〇一六年、二十八年度、それから二〇一七年、平成二十九年度の耐震診断、耐震改修の計画目標は千八百五十戸と変わらないのですが、予算額は三億二千三百万円から五億一千万円にふえております。その理由について伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 昨年十月、国は、地方自治体が緊急的に住宅の耐震化を促進すべき区域を定め、その区域で所有者への意識啓発などを実施する場合は、耐震改修助成について国と地方自治体で一戸当たり三十万円を加算する制度を創設いたしました。
 都は来年度、この制度を有効に活用することなどによりまして、住宅の耐震化を促進することとしておりますことから、平成二十九年度は平成二十八年度よりも多くの予算を計上しているところでございます。

○松村委員 耐震化のための自己負担が二分の一というのは、やはり重いと。だから、国も新たに自己負担二分の一に三十万円、国、それから都、そういう自治体負担でやろうという、一見、一見というか裏返せば、もっと自己負担を減らして、経済的な困難にかかわらずやることが耐震化率を伸ばしていく。また、やる側もそれを受けとめるということになるというふうに思うんです。
 しかし、私、今回の国の新たな考え方、予算のつけ方を見て、そのために国は今までの負担率、ほぼ自己負担が二分の一で、残りを国、それから都、区という今までの制度を、今度のこの三十万円、新たに自己負担を軽くするという助成をやるかわりに、国は今までのほぼ四分の一ですか、負担をさらにその半分に減らして、その分を都や区が財源を持ち出しというか、ふやさなければならないという制度の改正の中身を見て、それが、このように予算が、同じ耐震、それから改修事業費の目標計画に対して予算がふえているという中身だというふうに伺いました。
 そういう意味では、耐震助成の中身を引き下げて、何か三十万円という形で逆に国が予算を減らすというか、そういうことではないことを国にもっと強く求めるべきだということがまず第一点。
 それから、お聞きしますけれども、今お答えいただいた二十八年度の耐震改修助成の執行見込み件数について、私が前回の三月三日の都市整備委員会で減額補正の審議のときに伺ったときに、千件との答弁がありました。
 しかし、改めて耐震改修助成の執行見込みの今年度の件数は何件かを伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 ただいまの委員の答弁の前に補足させていただきます。
 先ほどの答弁で、一戸当たり三十万円の加算の制度を有効に活用するなどして住宅の耐震化を促進するというお答えをいたしました。
 この、などの中には、ただいま委員がお話しになった、国費の助成率が引き下がるというものが含まれてございます。これは、もともと国の本来の制度では国費が全体工事費の一一・五%でございまして、それを今まで東京都は国に要望いたしまして、高い助成率であります国費の助成率二二・五%というのを適用してくれということで、その適用をしてきたわけなんです。しかしながら、今回、二十九年度からは、国の指導によりまして、本来の一一・五%というところに戻しなさいという指導がございました。
 しかしながら、所有者の自己負担二分の一を、二分の一の負担というのは広がらないように都と区でその分を持つということも予算額が増加した一つの要因でございます。
 国費の助成率が減ったことと、一戸当たり三十万円の加算の話は、ちょっと関係がございませんので補足させていただきます。
 ただいまの委員からの二問目の質問にお答えさせていただきますが、平成二十八年度における耐震改修助成の執行見込み件数につきましては、約四百件でございます。

○松村委員 前段の、国費は変わらないといっても、実際都の予算が三億二千三百万円から五億一千万円にふえているんですけど、そのふえた理由は、今、助成額をさらにふやすとか、目標件数をさらにふやしたという数字ではないことからも、私の捉え方といいますか、今説明がありましたけれども、さらに改善、国に対しても、都の中身についても検討し直さなきゃいけないということも重ねて申し述べたいと思います。
 それで、今四百件という答弁がありましたけれども、平成二十九年度予算では八百五十件を計上していますよね。予算の執行を高めるようにするにはどのような取り組みを行っていくのか。この四百件、さらに前年も同じような数字、三百二十三件、その前の年でした。若干三百二十三件よりも耐震改修助成は四百件にふえておりますけれども、来年度、平成二十九年度予算で八百五十件、これを計上しておりますから、本当にこれは目標達成できるのか、その点についての取り組みをお答えください。

○飯泉耐震化推進担当部長 ただいまの答弁に入ります前に、今回国の指導によって国費の助成率が下がったということにつきましては、来年度から新たに国費の助成率を拡充するよう要求してまいる予定でございます。
 ただいまの委員のご質問、整備地域内についてのお尋ねでございますが、区の意欲的な取り組みを支援するために、耐震改修助成やアドバイザー派遣などのこれまでの取り組みに加えまして、来年度からは、整備地域の内外を問わず、先ほどもご答弁させていただいた、一戸当たり三十万円を加算する国の制度を有効に活用するとともに、戸建て住宅の全戸訪問を行う区市町村に対する支援を拡充してまいります。
 こうしたことにより、住宅の耐震化を着実に進めてまいります。

○松村委員 今、都内の木造住宅の耐震化率というのは七七・五%です、直近でも。これを引き上げていく。整備地域内でも、毎年今のような耐震化の状況。予算をつけても、さまざまな要因が、木密地域に住まわれる方々、やらなきゃならないと思っても、経済的にも高齢化したりとか、いろんなことで進まないと。
 だから、訪問回数をふやすとか、若干の取り組みの強化だけじゃ私は済まないと思うんです。都内全体の木造の建てかえの七七・五%をどう今引き上げていくか、九〇%にするのかと。整備地域以外は自己責任というか、みずから建てかえをやらなきゃいけないということにだけ頼っていては上がらないというふうに思います。この点でも、ほかの全国調査を見ても、国の制度においても、整備地域以外でも、国、区、自己負担を今まで二分の一の中でも、制度はあるんです。ほかのほとんどの自治体は、東京のように整備地域内と限っているようなケースはありませんから、これを広げて予算を有効にというか、意欲的に使うためにも、今のような整備地域内だけの重点化の建てかえということを、ぜひ本当に枠を広げていただきたい。都民の税金というか財源ですし、それで今の、みんなそういう防災--何とかやらなきゃならないという意識はあるわけですから、それに応える取り組みに、私たちその点は、もう繰り返し指摘しておりますので、再度検討していただくようにお願いいたします。
 私、最後に意見を申し上げると、今の耐震化については、木造住宅の耐震化助成の対象地域の都内全域への拡大とあわせ、助成額を抜本的に引き上げること。簡易改修助成についても検討すること。それから、高齢者や障害者がいる世帯への上乗せ補助を行うこともあわせて要望しておきたいと思います。
 最後に、これも意見だけ申し上げますけれども、私は、都の防災の推進体制のあり方を検討していただきたい。東京都の地域防災計画、それから震災対策事業計画、耐震改修促進計画とか防災都市づくり推進計画、本当にいろいろあるわけですよね。全部メニューがあるといっても過言ではないし、実際専門家に聞いても、よくできていると。
 しかし、なぜそれが有効に生かせないかというと、やはり縦割り行政の防災対策だということを指摘する多くの専門家というか、方々の意見も私たちは聞いております。
 その点では、前もその事例を挙げましたけれども、横浜市では二〇一三年四月に地域防災戦略を策定し、戦略全体の進捗管理と定期的な見直しや追加対策の決定などのため、各局長で構成する地震防災戦略推進プロジェクトを立ち上げています。さらに、防災戦略を具体化する地震火災対策方針を策定し、副市長をトップとする地震火災対策推進プロジェクトを設置し、同様の推進体制となっています。
 このように、重要なことが東京都のように各局ばらばらではなく、二つのプロジェクトは局長級の陣頭体制をしき、担当課長十五名が兼務で発令されていて、一年間の進捗状況を点検、報告し、一同の共通認識のもと推進しているという話を聞きました。
 また、そこには、消防局が推進体制に入ることによって、住民の防災に対する意識と事業の受けとめが変わったと、そういう声も聞きました。ぜひ都としても、こうした推進体制を検討されるように強く求めて、防災についての質問は終わります。
 ちょっと残された時間で、なるたけ、もう時間が大分、皆さんお疲れでしょうから、終わりたいと思いますけれども、先ほど選手村の質問がございました。私からも、先ほどの質問もありましたから、それを受けて簡潔にしたいというふうに思います。
 まず、都市整備局の来年度、平成二十九年度の選手村整備予算百一億円の内容は、どのようなものかをお聞きいたします。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村は、昨年四月に市街地再開発事業に着手しておりまして、五月には都による道路等の基盤整備工事、本年一月には特定建築者による建物工事にそれぞれ着手しております。
 平成二十九年度の予算は、都が直接実施する基盤整備工事に係るものでございまして、今年度に引き続き、道路、下水道等の整備、また建物の敷地の整備に必要な費用を計上しております。

○松村委員 この基盤整備、インフラや土盛りなどをやる工事だということですけれども、事業費全体はどのぐらいの資金計画になっているんでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 選手村の市街地再開発事業の事業計画では、総事業費五百四十億円となっております。

○松村委員 ほかのいろいろなものも入れて五百何がしと今ありましたけれども、実際基盤整備は、私もこのあれを持っていますけれども、三百七十八億円だというふうに認識しております。
 実際先ほども質疑がありました。この土地が、大体今の近辺の売買の時価総額のまさに十分の一ということで、特定建築者、一者ですけれども、それは企業グループ体といいますか、特定建築者には名だたるディベロッパーや不動産会社が入っております。
 ですから、その十分の一といいますから、一千億円と、今の基盤整備費含めて莫大な都民の財産、財源がそういうディベロッパーや不動産会社の利益に資するような、そういう都民からの批判を招くような進め方というものは徹底的に正さなければならないというふうに思います。
 先ほどの質疑でもありましたけれども、東京都の公有財産を適正な価格で処分というか、売り渡したり買う場合に財産価格審議会があると思います。なぜ財産価格審議会の議を経ないんでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 市街地再開発事業におきましては、都市再開発法に基づく形で実施しております。財産価格審議会の対象からは外れております。
 都市再開発法のルールに基づきまして実施しているものでございます。

○松村委員 それでは、なぜ第一種市街地再開発事業でこの選手村の整備を実施するのでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 大会までの限られた時間の中で選手村の整備を確実に実施するためには、道路や盛り土などの基盤整備工事と宿泊棟となる建築物の工事を都が一体的に工程管理する必要があります。
 これを実現するために最もふさわしい制度であります市街地再開発事業により、東京都施行として整備を行うこととしたものでございます。
 本事業のうち、建築物の整備につきましては、特定建築者制度を活用し、民間事業者であります特定建築者に実施させることとしております。
 これによりまして、都による事業全体のコントロールのもとに民間事業者の資金と豊富なノウハウを活用し、確実な選手村の整備と大会後のレガシーとなる魅力的なまちづくりが可能となります。

○松村委員 市街地再開発整備事業でも、なぜ第一種なんですか。だって、この地権者というのは東京都で、普通、例えば第一種、民間の市街地再開発事業だと多くの権利者がいて、それを再開発で権利者の権利床、処分床などを移しかえるということですけれども、この場合の、晴海の西のオリンピック選手村の地権者は東京都一人ですよね。だったら、なぜ第二種の市街地再開発事業でやらないのか。
 だって、民間地権者はいない。それなのに第一種の市街地開発計画の装いをとって、東京都、一人の地権者が全部転出すると。そして、全体が保留床。そこをいわゆるさっきいったディベロッパーなどの特定建築者を公募して、わざわざその権利を買ってもらう。しかも、その値段が地価の十分の一と。だから、第一種市街地再開発に基づいて、本来でしたら厳正な都民の財産の処分を誰の目が見てもわかるように明らかにするということが、先ほど論議ありましたけど、まさにスルーされて、この第一種市街地再開発事業会計なるもの、私は、地権者が一者で、しかもそれが公共というのをやるような事例がもしほかにあったら、ぜひご説明いただきたい。
 確かに、さっきいった二つの特殊な要因があって異例なんだという説明を皆さん方るるするわけですけれども、少なくとも公共の第二種市街地再開発事業計画にして、都民にわかるような--後でオリンピックのレガシーとか、これまでもさんざんほかの委員会でも議論してきましたし、私たちも党からその点はこれまで指摘してきたのでここでは繰り返しませんけれども、先ほどの質疑の疑問点なども、こういう手法を使って非常にわかりにくくされたと。私、皆さん方がかかわる、ちょっと別の案件だから余り深入りはもちろんしませんけれども、まさに豊洲も区画整理をやることによって換地と従前所有者が曖昧になって土壌汚染対策も極めて不透明になったという、私はそういう問題意識を持っているわけですけれども、同じく今回のオリンピックの選手村に関しても非常に不透明な展開だというふうにいわざるを得ないというふうに思います。
 重ねて、選手村ですから、当然東京都の責任で、同じ市街地再開発をとるにしても責任持って、後から民間のノウハウとか、いろんなことをいうんだったら、いろいろ変えられると思うんです。民間地権者が後々売買を考えても--加味したということを盛んにいっていますけれども、東京都が今までの過去のオリンピックのさまざまな、ロンドンだとか今度リオデジャネイロだとか、どういう選手村をつくったのかもあれして、本当に歓迎できる、東京都みずからの責任でやり、それでそれを地元区と協議--終わった後、売却なり処分して、その資金を回収するという手だてもいろいろあるというふうに思うんです。
 少なくともなぜ第一種市街地再開発事業を適用したんですか。それにしてもいろいろなパブコメだとか、いろんな手続があるはずですよね。しかし余りにも、確かに急がなきゃならないという理由はわかりますよ、今も目前に迫って。しかし、そういう手続が一切--もう本当に超スピードでやっていると。さっき聞いたら、既にもう基盤整備も手をつけていると。この経過の年表を見ても本当にひどいし、先ほどの日本不動産研究所が価格調査の報告したのが二〇一六年二月二十三日。そうしたら、もう四月二十二日は再開発事業の認可と。そして、先ほど出された保留床等処分運営委員会、これが平米当たり十万円ということを決定したのが同じ日ですよね。
 それで、既に四月二十六日には再開発事業の権利変換計画が決定して、これ十万円ですよね。五月の十三日には、それが公表されて特定建築者が公募されているというような、やはり不透明というか--本当に都民、国民が心から歓迎して納得ができるオリンピックにしていくためにも、私がいったのが全て、それの指摘がどうかということじゃないんですけれども、もっとそれは小池知事が--先ほどの委員会の記録も余り定かではないというんだったら、私もそれも明らかにして都民の判断を仰ぐべきだと思いますし、我が党は、いわゆるもう一度この選手村のあり方については、再検証というか再検討すべきだということを申し述べておきまして……

○あさの委員長 質問しないんですか。

○松村委員 はい。終わりたいと思います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 先ほどのお話の中で、まず第一種市街地再開発事業で何で行ったのかということでございます。
 委員お話しのとおり、これまでも再開発事業、第二種で行っている例が多々ありますけれども、これは、道路等の基盤整備工事、それから木密地域等のまちづくりの課題を解決する、収用適用事業という形で、一回買収をして、またそこに再建するという方法で、第二種を採用しております。
 今回の選手村につきましては、お話しのとおり、地権者が東京都一人。その地権者の立場で個人施行として実施しているものがあります。これは第一種市街地再開発事業で行うものでございます。
 それから、不透明ではないか、急ぎ過ぎではないかというお話もございました。選手村の整備契約等々を節目節目で決定する際に、情報公開に努めて、オープンにして進めているところでございます。
 それから、十分の一の価格ではないかというお話が何回かありましたけれども、先ほど来ご説明しておりますように、土地の評価につきましては、国土交通省の基準に示された評価手法に基づきまして、地区計画、また選手村としての特殊な条件を考慮して行っております。通常の住宅開発とは大きく異なった条件により適正に評価を行っているものでございます。
 また、ディベロッパーの利益になっているというお話もございました。選手村は、大会までに確実に整備しなければならない事業でございます。
 また大会後は、レガシーとして多様な人々が交流し、快適に過ごせる魅力的なまちに生まれ変わらせる必要がございます。このためには、民間事業者の資金や豊富なノウハウを活用することが非常に重要でございます。ディベロッパーのための計画ということでは決してございません。

○松村委員 先ほども随意契約で一者の不動産鑑定。特殊事情だといっても、それをやって、じゃあ、東京都にある財産価格審議会、都有地というか、都の財産は公正な価格で販売されなければ、販売というか、されなきゃならないという大前提があって財産価格審議会があるんです。それが、本当に見えないような、法に基づく--民間地権者だったらいいですよ。そうじゃない処分の委員会で決めているという、まことに不透明なことが数々ある。その根源が今いった第一種、少なくとも第二種にしなければいけないのをやっている。しかも、それが私、もう余りいいませんけど、東京都の責任で選手村をつくって、そしてその後、それをどう売却するか地元区と--地元区だって、今このモデル案が出されて、いろいろな意見もありましたけれども、さまざまあるわけです、その開発がどうなったのか。それがその地域にふさわしい、将来オリンピックのモデルのまちづくりになるのかどうかとか、いろんな議論があることです。
 それを東京都がしっかり受けとめて事業計画を展開するということも十分でき得たんじゃないですかと。今、それは後からいうというか、でも、さまざまなそういう疑問や批判があるわけですから、それにしっかり応えられるようなことは今後ともやっていただきたい。
 今後とも、私は、私たち党としても、選手村についてはただしてまいりたいというふうに思っています。
 以上です。

○あさの委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あさの委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時五十八分散会

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