都市整備委員会速記録第十二号

平成二十八年十一月八日(火曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長あさの克彦君
副委員長白石たみお君
副委員長神野 次郎君
理事栗林のり子君
理事神林  茂君
理事桜井 浩之君
やながせ裕文君
西沢けいた君
大松あきら君
松村 友昭君
山田 忠昭君
林田  武君
小磯 善彦君
高橋 信博君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務邊見 隆士君
次長別宮 浩志君
技監都市づくり政策部長事務取扱上野 雄一君
理事佐藤  敦君
理事航空政策担当部長事務取扱佐藤 伸朗君
総務部長今村 保雄君
住宅政策推進部長桜井 政人君
都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務中島 高志君
市街地整備部長選手村担当部長兼務奥山 宏二君
市街地建築部長青柳 一彦君
都営住宅経営部長営繕担当部長兼務永島 恵子君
基地対策部長山口 祐一君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 健君
連絡調整担当部長菊澤 道生君
都市づくりグランドデザイン担当部長五嶋 智洋君
まちづくり推進担当部長山崎 弘人君
住宅政策担当部長田中 敬三君
民間住宅施策推進担当部長木村 宣代君
防災都市づくり担当部長山下 幸俊君
多摩ニュータウン事業担当部長宮城 俊弥君
局務担当部長齊藤  敏君
耐震化推進担当部長飯泉  洋君
経営改革担当部長八嶋 吉人君
再編利活用推進担当部長渡辺 正信君
建設推進担当部長草野 智文君
横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務堀   真君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
事務事業について(質疑)

○あさの委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○今村総務部長 十月二十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 目次は二ページにわたっており、ごらんのとおり、資料は十九件となっております。
 おめくりいただきまして、左側一ページをごらんください。1、都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
 過去五年間の設置状況を、既設都営住宅及び公社住宅ごとに年度別に記載してございます。
 右側二ページをごらんください。2、都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
 過去五年間の件数を、使用承継事由発生期間別に記載してございます。
 三ページをお開きください。3、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
 都道府県及び政令市ごとに、平成二十八年十月一日現在の実施状況を記載してございます。
 四ページをごらんください。4、都営住宅、公社住宅における入居者の年齢別世帯数の状況及び単身入居者の年齢別世帯数の状況でございます。
 入居者及び単身入居者ごとに、名義人の年齢区分が六十四歳以下及び六十五歳以上別に、世帯数及び割合を記載してございます。
 五ページをお開きください。5、都営住宅における期限つき入居の募集戸数でございます。
 過去十年間の募集戸数を年度別に記載してございます。
 右側六ページをごらんください。6、都営住宅建てかえによる型別供給実績でございます。
 平成二十五年度以降の型別供給内訳を年度別に記載してございます。
 七ページをお開きください。7、都営住宅の応募状況でございます。
 (1)は、世帯向けの抽せん方式による募集、(2)は、単身者向けの抽せん方式による募集、右側の八ページには、(3)、ポイント方式の募集につきまして、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
 九ページをお開きください。8、都営住宅の管理戸数、空き住戸数、募集停止戸数でございます。
 平成二十七年度末の各戸数について記載してございます。
 一〇ページをごらんください。9、公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き住戸状況でございます。
 各住宅の状況につきまして、管理戸数及び空き住戸数を年度別に記載してございます。
 一一ページをお開きください。10、緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度の区市町村別実績でございます。
 (1)、特定緊急輸送道路の沿道建築物につきまして、耐震診断、補強設計及び耐震改修等の別に、平成二十六年度及び二十七年度における都の助成実績を区市町村ごとに記載しております。
 右側の一二ページには、(2)、一般緊急輸送道路の沿道建築物について、同様に記載してございます。
 一三ページをお開きください。11、緊急輸送道路沿道建築物以外の木造住宅及びマンションの耐震診断、耐震改修助成実績でございます。
 (1)、木造住宅については、耐震診断、補強設計及び耐震改修等の別に、平成二十六年度及び二十七年度における都の助成実績を区ごとに記載してございます。
 右側の一四ページには、(2)、マンションについて、同様に都の助成実績につきまして、件数及び戸数を区市ごとに記載してございます。
 一五ページをお開きください。12、都内の居住支援協議会設置状況と主な活動内容一覧でございます。
 協議会名、設立年月及び主な活動内容につきまして記載してございます。
 一六ページをごらんください。13、横田基地におけるパラシュート訓練の通告状況でございます。
 平成二十四年以降に都へ情報提供された訓練期間、訓練内容及び降下人員数を記載してございます。
 一七ページをお開きください。14、都内米軍基地に関係する事件等の経過でございます。
 航空機の緊急着陸、部品落下等及び米軍構成員による事件、事故を記載してございます。
 右側、一八ページをごらんください。15、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数でございます。
 着陸及び離陸の延べ回数を年度ごとに記載してございます。
 一九ページをお開きください。16、首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会でございます。
 協議会の開催日、議事及び構成員を記載してございます。
 二〇ページをごらんください。17、羽田空港機能強化に関する説明会開催日程及び来場者数でございます。
 平成二十七年度に国が二回にわたって開催した説明会の開催日程及び来場者数を記載してございます。
 二一ページをお開きください。18、羽田空港機能強化に関する説明会における意見でございます。
 平成二十七年度に国が開催した説明会における来場者からの意見を記載してございます。
 最後に、二二ページをごらんください。19、羽田空港機能強化による東京都への経済波及効果でございます。
 羽田空港機能強化により、国際線の年間発着枠が三・九万回拡大した場合に東京都に与える経済波及効果について記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あさの委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井委員 それでは、当委員会所管にかかわる事務事業について何点かお伺いをしたいと思います。
 最初に、都市づくりのグランドデザインについてお伺いします。
 東京を世界で一番の都市にという我が党の政策提言を実現させていくためには、高齢者が地域で安心して暮らせる幸福実感社会の実現、多様な子育てサービスによる子供の声があふれるまちの実現、災害に強い安全な東京の実現、水と緑に囲まれたクリーンな環境都市の実現など、多くの課題に対応していくことが必要になります。
 こうした多くの課題に向き合っていく上でも、一番のベースとなる最も大事なことは、東京の産業を育成し経済をさらに発展させていくこと。そして、それにより東京ににぎわいと活力を生み出し、暮らしを支えるさまざまな取り組みを行っていくために必要な財政力を強化していくことなのではないかと私は考えているところであります。
 東京の持続的な発展に向けては、めり張りのある都市づくりによって魅力ある拠点を育成し、それにより東京全体の底上げを図っていくという考え方が重要であるというふうに思います。
 その点で、都はこれまで、鈴木都政の多心型都市づくり以降、都心や副都心などの中核拠点を中心に拠点形成を進め、その結果、それぞれの拠点では超高層オフィスビルや超高層マンション、さまざまな商業施設など、いろいろな都市機能の集積が進んできたことは評価したいというふうに思います。
 ただ、その一方で、私の地元錦糸町、亀戸を初め区部に七つある副都心それぞれの状況については、業務機能などの集積の度合いに違いがあり、特に錦糸町に関しては北側に比べて南側の都市機能の集積が不十分であると私は感じております。
 そこでまず、区部の中核拠点における都市機能の集積状況について、都としてどのように分析しているのか、最初にお伺いいたします。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都はこれまで、東京の経済活力を高めていくために、都市づくりにおいて、都心、副都心などを中核拠点として位置づけ、都市開発諸制度等の容積緩和の仕組みも活用しながら、地域特性に応じたさまざまな機能集積を誘導してまいりました。
 例えば、都心においては、国際的なビジネスセンターにふさわしい中枢的な業務機能の立地が進んでおります。また、新宿、渋谷、池袋の副都心においては、ターミナル駅の利便性を生かした業務、商業機能の立地が進んでいます。
 ご指摘の錦糸町・亀戸副都心につきましては、大規模商業施設や業務、住宅機能の立地が進んでおりますが、区域面積当たりの床面積の集積量で見た場合、錦糸町・亀戸副都心は、拠点の区域のとり方は異なるものの、区部の西部に位置する新宿、渋谷、池袋の副都心と比べて低い数値となっております。

○桜井委員 ただいまの答弁にもありましたが、それぞれの中核拠点ごとに地域性を反映した特色のある機能集積が進んでおりますが、錦糸町、亀戸地区は、新宿、渋谷、池袋など西側の副都心と比べると集積密度は低いということだと思います。地域にはまだ開発の余地が多く残されておりまして、今後、地元がまちづくりの取り組みを進める場合には、都も全力で支援をしてもらいたい、そのように思います。
 さて、東京全体の発展ということを考えた場合に、これまでの中核拠点に見られるような魅力的な拠点をさらに東京全体に広げていくことが必要であります。その点では、東京には各所に魅力的な地域資源が豊富に存在しており、そうした魅力を生かした拠点形成を進めていくことも重要だというふうに考えます。
 区部東部のエリアでは、大田区などと同様に町工場的なものづくり産業が根づいており、そうした地域特性を意識した都市づくりも必要なのではないかと思います。
 九月に東京都都市計画審議会が出された今後の都市づくりに関する答申でも、新たな拠点形成について示されていたと思いますが、今後の東京の都市づくりにおける拠点形成の考え方についてお伺いをいたします。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市計画審議会の答申におきましては、本格的な少子高齢、人口減少社会の到来など、社会経済情勢の大きな変化が想定される将来においても東京が持続的に発展していくためには、新たな価値を生み出す拠点の形成などにより、経済活力の向上やイノベーションの創出を実現していくことが重要であるとされております。
 このため、従来の都心、副都心といった業務機能を重視した受け皿の育成の視点から脱却して、地域の個性やポテンシャルを最大限発揮し、競い合いながら、新たな価値を創造するという視点へ転換し、拠点を再編していくことが重要であるとしております。
 また、東京が今後一段と質の高い成長を遂げるためには、際立った特色となる芸術、文化、産業、商業など、地域特性を映し出す個性ある多様な拠点を都内各所に生み出していくことが重要であるとしております。
 今後、この答申を踏まえ、区市町村の意見も聞きながら、活力と魅力ある東京を実現していくために、個性ある多様な拠点の創出に向けた考え方を都市づくりのグランドデザインにおいて明らかにしてまいります。

○桜井委員 都市計画審議会の答申を踏まえまして、拠点創出に向けた考え方を都市づくりのグランドデザインで明らかにしていくということでありますけれども、グランドデザインの今後の策定スケジュールについてお伺いをいたします。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市づくりのグランドデザインにつきましては、都市計画審議会におきまして、有識者による約一年間の議論を経て、二〇四〇年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋についての答申が本年九月に示されたところでございます。
 今後、具体的な将来都市像とその実現方策につきまして庁内での検討を進め、区市町村の意見を聞くなどした上で、来年度中を目途に、都市づくりの基本的な方針を示す新たな計画として、都市づくりのグランドデザインを策定してまいります。

○桜井委員 来年度を目途に都市づくりの基本的な方針をグランドデザインで示していくということでありましたが、東京の産業を育成し経済を発展させていく観点からも、拠点のあり方についてぜひとも具体的に示していただきたいと思います。
 確かに、錦糸町駅の周辺では副都心として整備が進められ、新しいオフィスビルもふえてきてはおりますが、その内容については、東部エリアのものづくり産業の育成という観点との連携が十分であったかといえば、まだまだ取り組むべきことは多いのだというふうに思います。
 今後進めていく個性ある多様な拠点の形成に関して、特に産業に関する都市づくりにおいては、区部東部のエリアに限らず、どの地域でも地元自治体任せにすることなく、都市整備局が関係局とも協力しながら、都として積極的に関与してほしいということを意見として表明させていただき、次の質問に移らせていただきます。
 次に、住宅政策審議会の答申についてお伺いをします。
 十一月一日に住宅政策審議会の答申があり、豊かな住生活の実現と持続に向けて提言がなされたが、これに関連して質問させていただきます。
 我が党では、かねてから、将来を担う子育て世代に対して積極的な支援が必要との認識のもと政策を提言してきました。少子高齢化の時代背景の中、人口減少社会を見据え、結婚、妊娠、出産、育児など、それぞれのステージで支援を積極的に進めていくことが重要であります。住宅政策についてもこうした認識に立ち、将来を見据えた対応が必要と考えております。
 今回の答申でも、子育て環境の向上が目標の一番目に挙げられております。これからは、子育てがしやすい環境を整備し都民へ提供していくことが重要でありますが、今後、子育て世帯に対する支援についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○田中住宅政策担当部長 子育て環境を向上させるためには、子育てに適した住宅の供給や子育て支援施設の整備を進めていくことが重要でございます。
 このため、本年二月に取りまとめた子育てに配慮した住宅のガイドラインを関連事業者に周知するとともに、同じく本年二月に開始いたしました子育て支援住宅認定制度による認定住宅の普及促進を図ってまいります。
 また、都営住宅の建てかえに当たりましては、現在の居住者の状況等を勘案しながら、ファミリー向け住戸の整備や子育て支援施設の整備を推進してまいります。
 さらに、世代間で助け合いながら子供を育てることができるよう、親世帯との近居や多世代同居が可能となるような環境整備を検討してまいります。

○桜井委員 ただいま答弁いただいたように、子育ての環境の整備に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、少子高齢化社会では、高齢者に対する支援も重要な視点であります。高齢者が増加する中、答申では、高齢単身や高齢夫婦が、持ち家で広いところに住んでいる方も多いという状況が述べられております。こうした高齢者が、住みなれた地域の中で希望に応じて住みかえができ、安定した住まいを確保できるようにしていくことも重要であります。
 そこで、高齢者に対する住まいの支援について今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○田中住宅政策担当部長 高齢者の住まいの安定確保を図るためには、高齢者が住みなれた地域において安心して住み続けることができるよう、地域包括ケアシステムを地域の実情に応じて構築することが必要と考えております。
 都は、その実現に向け、バリアフリー化され生活支援サービスを備えた住宅など、高齢者のニーズに応じた住宅の供給を促進してまいります。
 また、近居、多世代同居が可能となるような環境整備や民間賃貸住宅への入居の円滑化に向けて、家主のリスクを軽減するための取り組み等を検討してまいります。

○桜井委員 次に、今回の答申では、災害時における安全な居住の持続が掲げられております。これまでも、さまざまな方面で防災対策の取り組みを進められておりますが、いつ起きるかわからない地震などの災害に備えて、生活の基盤である住まいの安全確保についての取り組みは喫緊の課題であります。
 都として、住宅やマンションの防災対策についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○田中住宅政策担当部長 災害時における都民の安全な居住を持続するため、自助、共助、公助の役割分担のもと、ハード、ソフト両面から公民が一体となった取り組みが必要でございます。
 このため、耐震性の不足する住宅やマンションの耐震改修や建てかえを支援するとともに、マンション管理ガイドラインの防災に関する内容の充実を図るなど、安全・安心な住まいの確保に向けた取り組みを推進してまいります。

○桜井委員 次に、豊かな住生活を送るためには、先ほど答弁いただきました耐震性の確保など、災害時の安全性はもとより、省エネへの配慮や世帯人数に応じた広さや設備を有することなど、質の高い住まいの確保が必要であります。
 日本の住宅は、かつてウサギ小屋とやゆされておりました。これからは将来に向けて質の高い住宅のストックを形成し、都民がニーズに応じて選択できるようにしていくことが重要であるというふうに思います。
 都として、住宅の質の確保に向けどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○田中住宅政策担当部長 これまでの、住宅をつくっては壊す社会から、いい住宅をつくり、きちんと手入れをして長く大切に使う社会への移行に向けて、都民が良質な住宅を安心して選択できるようにすることが重要でございます。
 そのためには、断熱、省エネルギー、耐久性等にすぐれた長期優良住宅等の質の高い住宅の普及促進や、取引の安全・安心の確保を図るための市場環境整備などにつきまして、具体的な方策を検討してまいります。

○桜井委員 これまで住宅審議会の答申に関して幾つか個別に具体的な質問をさせていただきました。
 答申では、住宅政策全般について、八つの目標ごとに施策の方向性が示されております。
 今回の答申を踏まえ、今後、都の住宅政策をどのように展開していくのか、お伺いをいたします。

○田中住宅政策担当部長 住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素であり、住宅のありようは、都民生活の質はもとより、都市の活力や景観、地域社会の維持形成とも密接に関連しております。
 また、東京の人口が減少に転じると見込まれる中、経済的活力や文化的魅力と相まって、居住の場としての魅力を高めていくことが都市社会に活力と安定をもたらし、東京の持続的な発展に寄与するものと考えられます。
 今回の答申におきましては、こうした人口減少社会を見据え、今後の住宅政策の目指すべき方向性が示されたところでございます。
 提言いただきました施策の方向性を踏まえまして、今年度内に住宅マスタープランを策定することとしております。
 今後、マスタープランの策定に向け、既存ストックの有効活用、多様な主体、分野との連携、地域特性に応じた施策の展開といった点にも留意しつつ、提言に盛り込まれた目標の実現に必要な具体的な施策を検討してまいります。その上で、生涯にわたる豊かな住生活の実現と、まちの活力、住環境の向上と持続を目指し、居住の場としても魅力的な東京を実現できるよう、総合的、計画的に施策を展開してまいります。

○桜井委員 今後のマスタープランの策定に当たりましては、答申の提言を具体化し、都としての施策の道筋を示していくことが重要であるというふうに思います。
 都の抱える課題を解決に導くよう、実効性のある具体的な施策を検討いただくことを要望して、質問を終わります。

○小磯委員 今後の都市鉄道のあり方、とりわけ多摩都市モノレールの町田延伸についてお伺いをいたします。
 多摩都市モノレールは、多摩地域における相互の連携を強化し、多摩地域の南北方向の公共交通をより充実させるため、東京都と多摩都市モノレール株式会社とで整備されたものでございます。
 全体構想は約九十三キロでございますけれども、うち一九九八年十一月に立川駅から上北台駅間が整備され、二〇〇〇年一月に多摩センター駅から立川北駅間が開業し、現在、多摩センター駅から上北台駅まで約十六キロ区間で運行をしているところでございます。
 多摩地域は四百万人もの人口を抱えながら、鉄軌道の整備がおくれている地域でございます。そのような状況の中、多摩都市モノレールは、多摩地域の発展に大きな役割を果たしております。多摩都市モノレールの多摩センターから町田方面への延伸は、業務核都市として、八王子、立川、町田市が緊密な連携をとる動脈として極めて重要な路線となっております。
 昭和六十年にこの町田では、私の先輩の谷口卓三都議が誕生しまして、そのときから、この多摩都市モノレールの町田延伸というのはずっと政策として掲げてまいりました。私も、この四期十六年間、この多摩都市モノレールの町田延伸をずっと訴えてきたわけでございます。
 そういう中で、いよいよ東京都の方針、そして国の答申等が出てきまして、にわかに、本当に町田市としては今、期待を持って多摩都市モノレールの町田延伸を見ているわけでございます。
 そこで、多摩都市モノレールの町田方面延伸について何点かお伺いをしたいと思います。
 昨年七月、都は、今後の鉄道ネットワークのあり方について、広域交通ネットワーク計画についてを公表いたしました。この中で、整備について優先的に検討すべき路線というのを五路線、そして、整備について検討すべき路線十四路線ということで都は分類をしたわけでございます。
 町田方面延伸については都内十九路線のうち、評価の高い、整備について優先的に検討すべき路線として位置づけたわけでございますが、その理由についてお伺いしたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 将来にわたり東京が持続的に発展するには、人口減少社会においても人や物の交流を促し、東京の強みである鉄道網をさらに充実させていくことが不可欠でございます。
 都は、国の交通政策審議会答申に都の考え方を反映させるため、地域や拠点間の連携強化による都市活力の維持向上や、安全、快適に移動できる都市の実現などの視点から、今後の鉄道ネットワークのあり方などについて検討を行いました。
 その検討の中で、多摩都市モノレールの町田方面延伸につきましては、移動時間の短縮による拠点間の連携強化など、整備効果が高いことなどから、整備について優先的に検討すべき路線の一つとして位置づけております。

○小磯委員 この東京都の広域交通ネットワーク計画についてを拝見させていただきますと、目標への寄与度の分析というのを細かく分析していただいて、そういう中で、目標への寄与度、それから収支採算性、費用便益比、三つともAがついているということで、町田方面延伸がこうした五つの路線の中に入った、これは本当に大変ありがたく思っておるところでございます。
 そういう中で、町田市としても、この町田方面延伸を何とか運動として頑張って成就していこうということで、町田市でありますとか、町田の市議会でありますとか、行政が一体となって多摩都市モノレール町田方面延伸促進協議会というのをつくっております。その中に我々都議会議員もおりますし、また、衆議院議員もおりますし、いろんな団体が入って、促進協議会として、これまで機運の醸成、例えば、シンポジウムでありますとか、署名活動でありますとか、いろんなイベントを通して町田市民の機運の醸成を図ってきたと、そういう努力もあるわけでございます。
 そういう中で、国において、ことしの四月に、前答申以来十五年ぶりとなる交通政策審議会の答申を公表したところでございます。
 この国の答申については、どういう書きぶりかといいますと、全体として、一番目として、東京圏の現状と将来動向について記載がございます。次に、二番目として、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について記載があります。一つ目は、東京圏の都市鉄道が目指すべき姿についてで、主に国際競争力の強化に資する都市鉄道のこと、豊かな国民生活に資する都市鉄道など六項目、二つ目は、具体的なプロジェクトについての検討結果で、東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を実現する上で意義のあるプロジェクトとして二十四の路線が選ばれた。国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクトとして八路線、地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトに十六路線が明記されている。その十六路線の中に、この多摩都市モノレールの延伸が入っているということでございます。
 今回の答申では、この路線を、東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を実現する上で意義のあるプロジェクトとして位置づけるとともに、事業化に向けて、関係地方公共団体、鉄道事業者等において具体的な調整を進めるべきと。この、具体的な調整を進めるべきというところが大変、整備の意義、また効果が高いということで、前向きな評価をされたということを認識しているわけでございます。
 そこで、国の答申に対する東京都の受けとめ方についてお伺いしたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 本年四月の国の答申におきましては、町田方面への延伸につきまして、ただいま委員からお話がありましたように、地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトの一つとして位置づけられまして、多摩地域の主要地区間のアクセス利便性の向上に寄与する路線とされております。
 このことは、町田方面延伸を、整備について優先的に検討すべき五路線の一つとした都の考え方が答申に反映されたものと受けとめております。

○小磯委員 ただいまの町田方面延伸を、整備について優先的に検討すべき五路線の一つとした、その都の考え方が答申に反映されたものと受けとめているということで、本当に、都としても国に対してこういう意見をいって、国がその意見を尊重してこういう答申を出したという認識であるということでございます。
 次に、多摩都市モノレールの町田方面延伸については、導入空間となり得る都市計画道路の整備が進んでいる区間があるが、町田市北部の丘陵地域では道路の計画すらない状況でございます。町田市は、道路の都市計画が一刻も早く決定されるよう、現在測量と環境調査を行っております。
 都も、市と連携して、導入空間となり得る道路の都市計画決定を早急に行うべきであると、このように考えますが、見解をお伺いします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 町田市北部の丘陵地域でございますが、多摩方面や町田駅などを結ぶ広域的な幹線道路が不足し、公共交通も未発達な地域でございます。また、江戸時代に栄えた小野路宿などの歴史的資源を生かしたまちづくりも踏まえつつ、南北の連携を強化する必要がございます。
 本年三月に策定いたしました東京における都市計画道路の整備方針では、こうした地域の状況や都の広域交通ネットワーク計画についての内容も踏まえ、本地域におきまして新たな都市計画道路を検討することとしております。
 今後、多摩都市モノレールの導入空間ともなり得る道路など、この地域の南北道路網の拡充について、地元町田市を初め関係機関と調整を図りながら検討を進めてまいります。

○小磯委員 導入空間について今後検討を進めていくということで理解をしたわけでございます。
 この導入空間は、全部で多摩センターから町田駅まで約十三キロでございますけれども、そのうち導入空間が確保されているのは七キロ、導入空間がまだ確保されていないうちの、道路はあるけれども幅員の検討を要する区間が二キロ、道路計画はあるが道路未整備、未着手の区間が二キロ、そして道路計画がない区間が二キロというようなことで、今、部長がおっしゃったように、この導入空間の確保をしっかりとやるということが大変これから大事な事業ということでございます。
 町田市の石阪市長も、議会の中でこのようにいっております。町田市の鉄道は、外縁部、町田市の外の方に位置していることから、鉄道駅までの交通が不便な地域も多く、このような地域で路線バスに頼った生活をしております、そのため、市内のみではなく、多摩地域の南北方向をつなぐ多摩都市モノレールの町田方面への延伸は、市内中央部の交通利便性を向上させるとともに、多摩地域における交通ネットワークの充実に大いに効果があるものと期待しておりますということで、その期待を述べているわけでございます。
 モノレール延伸が予定される沿線では、これは既にもう市街地が形成されております。沿線居住者の利用など高い需要が見込まれております。例えば、小山田桜台団地、また山崎団地、木曽団地など、こういうマンモス団地を初め桜美林大学なども沿線にございます。そして、町田市の野津田競技場、また旭町の方の町田市立体育館、また野球場などのアクセスもよくなるということで、大変高い需要が見込まれているところでございます。
 先ほど紹介したように、地元も積極的に取り組んでおり、計画の早期具体化を期待しているところでございます。
 そこで、都の広域交通ネットワーク計画、また国の答申において一定の位置づけがなされた多摩都市モノレール町田方面延伸の実現に向けた今後の取り組み、これについてお伺いをいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 多摩都市モノレールの町田方面延伸は、開業区間と一体となって多摩地域の南北方向の拠点を結ぶことで、沿線利用者の利便性はもとより、多摩地域の活力や魅力の向上に資する路線でございます。
 一方、本路線の整備に向けましては、国の答申にも、導入空間となり得る道路の整備が課題として記載されているほか、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性を見きわめながら検討を行う必要がございます。
 今後は、沿線市や多摩都市モノレール株式会社などの関係者と連携して、課題解決に向けて検討の深度化を図ってまいります。

○小磯委員 検討の深度化を図っていくということで、ぜひ積極的な検討をお願いしたいというふうに思います。
 けさ、この質問をするために多摩都市モノレールのパンフレットを私が見ておりましたら、妻が横から、私が生きているうちに延伸になればいいねと、こういうふうにいっておりまして、私が必ず生きているうちに町田方面延伸は完成させますよといったわけでございますが、そんなことで、ぜひとも、町田市民の悲願ともなっておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 次に、公社住宅についてお伺いいたします。
 私自身も町田市の木曽住宅にかつて住んでいたことがあり、公社住宅には私もさまざまな思いがあるわけでございます。また、居住者としての視点から、公社住宅をさらによりよいものにしていきたいという思いも持っております。そうしたことから、私は公社住宅に常に注目をしておるところでございます。
 公社住宅は、築後五十年以上経過するものもあり、公社一般賃貸住宅約六万三千戸のうち、昭和三十九年度以前に建設された住宅は全体の約二割になると聞いております。これらの建設年度が古く更新時期を迎えている住宅ストックは、建てかえ等による更新を行うことで居住者の不安をなくしていく必要があると考えます。
 そこでまず、現在、公社住宅における建てかえやストック活用の計画がどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 公社は、平成二十六年一月に公社一般賃貸住宅の再編整備計画を改定し、平成四十年度までの十五年間を計画期間として、昭和三十九年度以前に建設した住宅、約一万四千戸の再編整備を推進しております。
 計画では、このうち約八千戸を建てかえ対象住宅として位置づけ、順次建てかえによる再編整備を行うこととしております。平成二十六年度から三十五年度までの十年間は、昭和三十四年度以前に建設した住宅を中心に年間約六百戸の再編整備に着手することとしております。
 再編整備の事業着手までに時間を要する住宅約六千戸につきましては、ストック活用に位置づけ、耐震化や屋上防水など、適切な維持、修繕を行っていくこととしております。

○小磯委員 公社が住宅の再編整備計画に基づいて公社住宅の建てかえやストック活用を進めているということでございます。
 町田市内には公社住宅が約一万戸存在し、その大部分が昭和四十年代以前に建設されたものでございます。公社には、こうした築年の古い住宅の計画的な再編整備を要望していきたいと思います。
 また、多摩都市モノレールが延伸されますと、町田木曽住宅はまさに沿道沿いに位置するため、入居希望者がふえ、住宅の価値も高まることが見込まれ、住宅の建てかえも可能になるのではないかと思います。そうしたことも考慮して今後の推移を見守っていきたいと思います。
 次に、公社住宅の空き家についてお伺いいたします。
 居住者の要望を受けて公社住宅を訪問すると、和室中心の間取りであったり、古い内装設備であったりして、自分が住んでいた当時とほとんど変わらず、多様化する都民のライフスタイルに対応していないため、若者を中心に公社住宅が敬遠され、空き家が増加する要因になっております。そのため、空き家の解消のためには、住宅自体の魅力を高める取り組みが重要と考えます。
 そこで、ハード面での工夫により、空き家を解消する取り組みについてお伺いいたします。

○桜井住宅政策推進部長 築年数が経過した一部の公社住宅におきましては、デザインの古さや水回り設備の陳腐化など、建設当時の間取りや仕様、設備等が今日の居住ニーズに合わなくなってきており、通常の空き家補修工事のみでは空き家の解消が困難な住宅もございます。
 このため、公社では、住宅の魅力を高め入居促進を図ることを目的に、昨年度から、空き住戸の多い団地を対象として、和室の洋室化や居室とキッチンを一体化するLDK化、さらには、浴室や洗面化粧台等の水回り設備の更新などを行う空き家リニューアルを本格的に開始しております。
 今後もこうした取り組みを進めることにより、良質なストックとして公社住宅の再生を図り、入居の促進を図ってまいります。

○小磯委員 貴重な公的住宅ストックである公社住宅がさらに都民に利用されるよう、公社には魅力ある住宅の供給に取り組んでもらいたいと思います。
 昭和三十年代後半から四十年代前半に建設された公社住宅に足を運ぶと、そのほとんどが五階建ての階段室型住戸ということで、階段の上りおりなど高齢者が生活するのは困難であり、上層部に空き家が集中していると聞いております。こうした住宅の居住者からは、高齢化の進行による団地活力の低下などにつながるとの不安を聞いており、こうした空き家に若年世帯などが暮らし、多世代が住む住宅になることが望ましいと考えます。
 そこで、町田市内の公社住宅の五階部分の空き家の状況と、それらの空き家に若者の入居を促進すべきであると、こう思いますが、見解を求めます。

○桜井住宅政策推進部長 平成二十八年三月末時点の町田市内の空き家戸数は五百三十四戸でございまして、このうち五階の空き家はその四割強を占めており、二百四十五戸となっております。
 若い世代の入居につきましては、公社住宅居住者の高齢化の解消に大きく寄与することから、多世代交流型の住宅を目指すことが重要と認識しております。
 このため、公社では、平成二十七年九月から、空き家の多い階段室型住宅の上層階に入居する若年世帯を対象に、三年間家賃を二〇%減額する制度を実施しております。この制度につきましては、これまで二十九歳以下の若年世帯を対象としていたものを、この十月から対象世帯を三十五歳以下に拡大し、取り組みを強化しております。
 また、現在、学生等の入居を前提とした学校法人向けの賃貸制度を検討しております。
 今後とも、団地内への若い世代の入居の促進に向け、積極的に取り組んでまいります。

○小磯委員 現在、学生等の入居を前提とした学校法人向けの賃貸制度を検討ということで、この木曽住宅のすぐ横に小学校、中学校があったんですけれども、そこがもう統合でなくなりました。それで、そこに今度、桜美林大学の芸術学部ですかね、そこが進出してくるということが決まっております。そういったところから、そういうところに通う学生さんがこの木曽住宅に、こういう学校法人向けの賃貸制度を活用して住むということは大変有意義なことでございますし、そういう若い方々にはぜひともこの自治体活動にも貢献をしていただければ大変ありがたいなと。そういう若い方々に自治体活動に貢献してもらえるような仕組みづくりもぜひご検討いただければいいなというふうに思っております。
 若者の入居促進によって地域コミュニティが活性化するよう、公社には積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 公社住宅における高齢化対応について伺います。
 東京では高齢化が急速に進行し、二〇二五年には四人に一人が六十五歳以上の高齢者となることが見込まれており、高齢化への対応は都政の喫緊の課題となっております。
 こうした中、高齢者が生き生きと暮らすことができる社会の実現を図るため、生活の基盤となる住まいについて、高齢者の多様なニーズに応じた居住の場を確保できるようにするとともに、地域で安心して暮らすことができる環境を整備することが重要と考えます。
 公社では、地域包括ケア実現のため、公社住宅ストックを有効に活用し、地域のニーズ等を踏まえ、サービスつき高齢者向け住宅、また特別養護老人ホーム、地域の介護、医療等を担う施設の整備誘致に取り組んでいると伺っております。
 そこで、さらなる公社の地域包括ケアのための取り組みをすべきと考えますが、お伺いいたします。

○桜井住宅政策推進部長 公社は、世田谷区の千歳烏山や板橋区の向原で建てかえにより創出した用地に、地域住民の方が利用できる介護事業所や在宅療養支援診療所などの高齢者施設を併設したサービスつき高齢者向け住宅を整備しております。同様に、稲城市の平尾でも団地内の施設の跡地を利用してサービスつき高齢者向け住宅や高齢者生活支援施設等の整備を進める予定となっております。
 また、空き店舗施設の賃料を減額して介護事業所等を運営する社会福祉法人やNPO法人に賃貸する取り組みも実施しております。
 公社では、引き続き建てかえにより創出した用地や空き店舗を活用しまして、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことのできる環境の整備に取り組んでまいります。

○小磯委員 若者の入居による団地の活性化、また、高齢者の居住の安定のための取り組みをさらに進めることを要望して、質問を終わります。

○白石委員 私からも幾つか質問させていただきます。
 耐震改修促進計画などにかかわって、まず初めに質問をいたします。
 まず、いつ起きてもおかしくない首都直下地震から都民の命と財産をどのように守るかは、都の切迫した課題となっております。
 都市型震災である阪神・淡路大震災において、神戸市内で犠牲となられた方々の調査結果は、八割以上が住宅倒壊による窒息死や圧死となっております。さらに、住宅の倒壊を起因とした火災の犠牲者を含めれば、住宅の倒壊が原因で犠牲となった方は九割以上に上ります。たとえ命が助かったとしても居住継続が困難となれば、被災者にとっても、自治体にとっても負担ははかり知れません。
 このことからも、都の防災対策の柱に据えるべきは、地震直後の一撃から建物の倒壊を防ぐ建物の耐震化です。
 都として、建物の耐震化を促進するためにことし三月に改定された耐震改修促進計画の目標では、二〇二〇年までに住宅の耐震化率を九五%に引き上げるとしています。これは、前計画での調査時点から四年間で二・六%しか伸びなかったものを、六年間で一一%以上伸ばさないと達成できないという数字になります。すなわち、これまでのペースの四倍以上に引き上げなければ達成できない高い目標となっております。
 目標を達成させるために大前提となるのは、なぜ目標が達成できなかったのか、その原因を検証し、問題点や課題を明らかにすることです。そのことを抜きに今まで以上の目標を掲げて意気込んでも、絵に描いた餅となってしまいます。
 そこで、まず初めに伺いたいと思いますが、改定前の耐震改修促進計画で定めた二〇一五年三月末での耐震化率九〇%の目標が達成できなかった原因はどこにあると認識されているのか伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 ただいま副委員長のご質問で、二〇一五年三月末とおっしゃっていましたが、二〇一六年三月末での耐震化率九〇%ということだと思いますので、それで答えさせていただきます。
 改定前の耐震改修促進計画では、平成二十七年度末における住宅の耐震化率の目標を九〇%と定めてございまして、その一年前になりますが、二十六年度末時点の耐震化率の推計値は八三・八%でございます。この目標は、都が平成十八年度に耐震改修促進計画を初めて作成したときに定めたものでございます。
 都が公表している住宅着工統計によりますと、当初計画策定当時、建てかえを含む着工戸数は年間十八万戸程度だったものの、平成二十年度に発生したリーマンショックにより、その翌年の二十一年度には大幅に減少しまして年間十万戸程度になってございます。その後、回復基調にあるものの、従前の戸数までには回復してございません。こうしたことも一因となり、今回の推計値になったものと考えてございます。

○白石委員 今述べられたのは自然更新、つまり、建てかえなどが想定よりも少なかったということなどが住宅の耐震化が進まなかった要因だという認識ですが、そうした受けとめでよいのかということをまず第一点、指摘したいと思います。
 そもそも、二〇一二年三月に策定した耐震改修促進計画は、耐震化率九〇%を達成するには約五十万戸の耐震不十分な住宅を減らすことが必要で、そのうち三十万戸は自然更新で建てかわる。しかし、あと二十万戸はそれだけでは残されてしまうということになります。
 耐震促進化計画の重要な狙いの一つは、自然更新では耐震化されない住宅について何とかするというふうな計画なのですから、自然更新が進まなかったというだけでは済まされません。
 都が防災都市づくり推進計画において指摘しているように、木造密集地域の課題として、高齢化が急速に進んでいることがあります。加えて、現在、高齢者の貧困が進み、住宅耐震の費用が捻出できない世帯がふえていることが原因ともなっております。
 立命館大学教授の唐鎌直義氏は、六十五歳以上の高齢者がいる世帯の二七・四%が年収百六十万円以下で暮らしているということを調査研究によって結果を示しています。そこからも、この貧困状態となる世帯がわずか五年で三%近くもはね上がったのは初めての事態だと、このように指摘もされております。つまり高齢世帯で急速に貧困が広がっているということです。
 実際、国交省の担当者にも聞きました。想定より耐震改修が進んでいないのは、高齢者世帯を中心に費用負担が大きいと感じていることなどが背景にあると話しております。つまり、負担軽減を講じなければ、幾ら普及啓発を行っても、経済的に余裕がない世帯で住宅耐震を促進することは極めて困難となります。新たな計画の目標を達成するためには、耐震診断や改修工事への補助を拡充することが不可欠です。その点で、都の木造住宅への耐震助成は有効に機能しているのかという点を見なければなりません。
 木造住宅への耐震診断及び改修工事の助成実績、二〇一五年度の当初予算額は幾らなのか、それに対する執行率はどのくらいとなっているのか伺いたいと思います。
 また、今年度の予算額もあわせて幾らか示していただきたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 平成二十七年度の当初予算額は約七億七千六百万円でございまして、それに対する執行率は九・三%でございます。
 また、今年度の予算額は約三億二千三百万円でございます。

○白石委員 予算額も極めて不十分ですが、それにも増して執行率は過去五年間の中で最も低い水準である九%台にとどまっているということです。
 これまで都は、財政を効率的、効果的に活用するとの理由で、整備地域に的を絞って重点的に耐震化を推進していくと、このように強弁をし続けておりますが、明らかに財政的には使い残しており、助成対象地域を大きく広げた方が財政を有効に使えることは明らかではないかと指摘をしたいと思います。
 なぜこのような実績にとどまっているのかといえば、再三にわたり指摘もしてきましたが、都が、補助対象を木造密集地域の中でも整備地域に限定し、なおかつ幅員六メートル以下の道路に面する住宅でなければ対象とならないからです。二重、三重にも対象地域を絞っているため、極めて低い執行率となっていることを直視しなければならないと思います。
 そこで、特別区長会や市長会から都に対して、補助対象を整備地域以外にも広げることと、新年度予算への要望が出ております。都はこの要望をどのように受けとめているのか伺いたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は広域自治体としての役割を踏まえ、東京全体の安全性を高める観点から、震災時において特に甚大な被害が想定される整備地域を対象に、住宅の改修助成を行ってございます。こうした中、今年度からは、改修費の助成上限額を約二倍に引き上げるなど、取り組みを強化しております。あわせて、整備地域内に限らず、個別訪問や簡易診断を行う技術者を派遣する区市町村に対しまして財政的な支援を行ってございます。
 今後も、こうした取り組みにより住宅の耐震化を促し、災害に強い都市を実現してまいります。

○白石委員 特別区長会の平成二十九年度東京都の施策及び予算に関する要望では、災害対策の充実として、木造住宅の所有者の耐震化に係る資金負担の軽減を図るため、東京都木造住宅耐震化促進事業の補助対象を整備地域以外にも広げることが要望されております。また、市長会からは、多摩地域はそもそも助成対象地域に含まれていないため、耐震化が進んでいない状況が訴えられております。
 都はこれまで、区の助成制度などとも十分に連携して木造住宅の耐震化を促進する、この促進計画については、区市町村とは耐震改修促進行政連絡協議会などの場で時間をかけて丁寧な説明や意見交換を重ねた上で作成しているから、区市町村は都が考える役割分担について十分認識していると議会でも繰り返し答弁をされてきています。
 都が考える役割分担については区市町村が認識しているというふうにいっていますが、それはすなわち納得をしているかというと、先ほども紹介したように、補助対象地域を広げてほしいと、このように区市町村が今、訴えているという状況です。これをしっかりとまず受けとめることが重要だと思います。住宅の耐震化を促進するために積極的に区市町村が要望を出されているわけですから、従前、従来の姿勢を転換して、少なくとも木造密集地域にまで対象を広げることに思い切って踏み出すべきときが来ていると強く指摘をしておきたいというふうに思います。
 促進計画では、現到達を踏まえ、これまで以上のペースで耐震化を進める必要があると、このようにしていますが、具体的に、年間当たりどのぐらいのペースで住宅耐震化を促進していかなければならないのか伺いたいと思います。また、これまで以上のペースで耐震化を進めるためにはどのようなことが重要と考えているか、見解もあわせて伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 現在の耐震改修促進計画では、平成三十二年度末までに耐震化率九五%の目標を掲げておりますが、その目標の達成のためには、二十七年度から三十二年度までの六年間に約百三十五万戸、年間当たり約二十三万戸の耐震化が必要でございます。
 そのためには、まず何よりも所有者の主体的な取り組みを促すことが重要でございまして、都は、耐震キャンペーンなどの普及啓発を行うとともに、個別訪問や簡易診断を行う技術者を派遣する区市町村に対しまして財政的な支援を実施しております。また、整備地域内で実施している耐震改修助成について、今年度からは、改修費の助成の限度額を約二倍に拡充するなど取り組みを強化しておりまして、こうした取り組みを通じて耐震化を促進してまいります。

○白石委員 限度額を整備地域内ではふやしているといいますが、予算は昨年度から今年度で六割減というふうな状況になっております。やはり予算額も不十分であり、そして、昨年度の執行率では九%台ということをしっかり直視しなければいけません。
 そして、先ほども訴えましたけれども、やはり木造密集地域は高齢者が多く住まわれている。その中での高齢者の貧困が広がっているもとで、やはり経済的な支援をしっかりと拡充していかなければこの目標はなかなか達成できないということが、これまでを振り返れば明らかだというふうに思います。
 前計画よりも年間で約二・六万戸多い年間二十三万戸のペースで耐震化を図る必要があります。それだけ高い目標を達成しなければならないのに、都は、従来の姿勢の延長線上である普及啓発を中心とした取り組みを行っていくということです。普及啓発を幾ら行っても、特に木造密集地域など高齢化が進んでいる地域では、経済的な理由などにより耐震化が進まないことは先ほども述べたとおり明白です。
 知事は八月の記者会見において、住宅が倒れてしまってからでは遅い、前もって備えることの重要性を踏まえて進めていくと述べています。つまり、予防対策の重要性を前提とした考え方で耐震化を進めていくという趣旨です。予防対策を重視する立場で施策を講じるのであれば、最低限、区長会や市長会などの要望を受けとめて、極めて狭い範囲の対象地域を抜本的に拡大して耐震化を促進していくことが不可欠となります。
 知事は同会見において、少し手を加えるだけで建物の強度は増すとも発言をしております。その角度から都の耐震化施策を充実させることも重要だというふうに思います。
 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合、略称木耐協によると、新耐震基準の住宅でも八五%の住宅が耐震性に問題があることが公表されております。その要因の一つとして指摘されているのが柱などの接合部です。二〇〇〇年以前の建築基準法では、柱などの接合部について曖昧な規定であったため、ボルトや金物などで補強されておらず、釘打ち程度で接合されていることが多いこと、この調査結果でも挙げられております。それが原因となって地震の揺れにより接合部にふぐあいが生じて、住宅などの倒壊に至ることが指摘をされております。さらに、壁のバランスにも、この旧建築基準法では考慮されていないということなんです。こうしたことが阪神・淡路大震災でも被害をもたらし、二〇〇〇年の基準改正となりました。
 実際、日本建築学会の調査によれば、熊本地震では、同じ新耐震でも、二〇〇〇年以前のものは倒壊、崩壊が九・一%、二〇〇〇年以降の建物は二・九%と、ここでも大きな差が出ていることで証明をされております。
 都は現在、旧耐震基準だけを対象とされておりますが、新耐震基準でも耐震性が不十分な住宅が多く存在するとの指摘を直視して、旧耐震基準だけではなく、新耐震においても耐震診断や改修のための補助制度に改善を図るべきだと思います。
 また、部分耐震や簡易改修などにも柔軟に対応できる仕組みを充実させることや、区市町村の行う、先ほどもいっておりましたけれども、耐震キャンペーンへの支援拡充やマンション啓発隊の充実など啓発活動にもあわせて取り組むことについても要望しておきたいというふうに思います。
 次に、促進化計画を着実に進めるためには、中間的に検証を行って到達点を明らかにする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○飯泉耐震化推進担当部長 都はこれまで、国が五年ごとに実施しております住宅・土地統計調査に基づき住宅の耐震化率を推計してきてございます。
 今後も、この統計の活用も含めまして耐震化の進捗状況の把握に努めてまいります。

○白石委員 前回目標を達成できなかった教訓を生かして、確実に目標達成をする決意であるならば、中間的に進捗状況を明らかにして、耐震化が進んでいるのか、それともおくれているのかを明らかにすることは最低限必要だと思います。促進計画でも、三年を目途に定期的な検証を行って、必要に応じて計画の改定を行うと、このように明記もされております。計画でも定めているわけですから、その作業に確実に取り組んでいただきたいというふうに思います。でなければ、前計画と同様に目標を達成できず、計画の先送りを繰り返すことになりかねないということもあわせて指摘しなければなりません。
 次の質問に移りたいと思います。
 都は区市町村と協議会を開き、耐震化促進など防災を推進するために、それぞれの自治体の取り組みや課題など、意見交換をされていると思います。
 そこで、東京都耐震改修促進行政連絡会議は、年間当たり何回ぐらい開催されているのか伺いたいと思います。また、協議会で出た区市町村からの意見を政策に生かしていくことが重要と考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 お尋ねの協議会についてでございますが、年三、四回開催してございまして、都と区市町村の情報共有を図るとともに、区市町村からの現場の声を吸い上げて都の政策に生かす場として既に定着してございます。
 例えばですが、昨年度、耐震改修促進計画の改定に当たりまして、都から緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の新たな施策について説明をしたところ、設計に至る前の検討に時間を要する、これは所有者の方が時間を要する、また負担も大きいなどの意見が出たことから、改修計画作成の支援制度を創設してございます。
 引き続き協議会を活用し、区市町村と連携して耐震化を促進してまいります。

○白石委員 区市町村との協議会で出された現場の実態を都の取り組みに反映させることや、効果的な施策や課題を整理して、その蓄積をそれぞれの自治体にまた返すことは、今まで以上に区市町村の取り組みを充実する力となると思います。さらに、都としても知見や認識を深めていくことにつながるというふうに思いますので、都としてぜひ積極的にこの協議会での議論を集約して、都の政策に生かしていただきたいと思います。
 次に、都民によりわかりやすく住宅の耐震化などのメッセージを伝えるために、ホームページが、現在、東京都でも活用されていると思いますが、このホームページの改善について伺いたいと思います。
 そこで、他県の取り組みも参考に、都の耐震ポータルサイトを、より住民が見やすくするための改善を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○飯泉耐震化推進担当部長 平成二十一年度の耐震ポータルサイトの開設以来、都は、随時改善を行ってきてございます。二十五年度には、利用者が見たい情報を容易に閲覧できるようにするため、検索機能の追加やデザインの刷新など抜本的なリニューアルを行いました。
 これまでと同様、これからも、都民に見やすい、わかりやすいサイトづくりに努めてまいります。

○白石委員 都が開設をしている耐震ポータルサイトは、都民の住宅耐震化を促進する入り口となる重要なツールです。それだけに、いかにわかりやすくするかが大切だと思います。
 トップページを開くと新着情報が日付順に、箇条書きに掲載をされております。知りたいことがわかりやすく一目で見られるようにはなかなかなっていないと、私も見ましたが、情報量がすごく多いなというふうに思います。ポータルサイトには多くの情報が掲載をされていますが、ワンクリックで知りたい情報にアクセスできる改善が必要だと思います。例えば、相談はどこにすればいいのか、どのぐらいの費用がかかるものなのか、疑問や興味を持っている方がこのサイトにアクセスをしても、情報が多過ぎてわかりにくくなっていると思いますので、やはりこの改善が必要だと思います。
 静岡県の耐震ナビを開くと、診断から設計、耐震改修までの大きな流れを三つの安心住まいと名づけて、スリーステップで簡潔にわかりやすくトップページで伝えております。住宅耐震を考えている方や、どのような流れで耐震化をすればいいのかイメージが湧かない方など、この疑問に一目で答えられるように工夫がされております。
 他県などの取り組みも参考にしながら、より見やすくわかりやすい耐震ポータルナビへと改善を図るように要望して、このテーマでの質問を終わりたいと思います。
 次に、都営住宅等に住む福島県からの自主避難者の住宅支援にかかわって幾つか質問をしたいと思います。
 福島県は昨年六月、国との協議により、東日本大震災と東京電力、福島第一原子力発電所事故に伴う避難者が入居する応急仮設住宅と民間借り上げ住宅の無償提供を福島市や郡山市、いわき市など、避難指示区域以外からのいわゆる自主避難者、または区域外避難者とも呼びますが、その方々に対して、来年三月末でこの住宅支援を打ち切ることを発表しました。
 原発事故によりふるさとを追われ、全国に散り散りとなった約一万二千六百世帯、およそ三万人が、今まで住んでいた避難先の住宅からの立ち退きや家賃の負担を迫られることとなり、被害者や支援する人たちから抗議の声が上がっております。
 初めに、東京都内において、都などの公的機関が提供している応急仮設住宅や民間借り上げ住宅などに居住している区域外避難者の人数、世帯数を住宅の種別ごとに伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 都が提供する応急仮設住宅にお住まいの、原子力災害対策特別措置法に定める避難指示区域以外から避難されている方、福島県からの方でございますけれども、平成二十八年九月三十日現在六百二世帯、一千三百六十六人でございます。
 内訳ですが、都営住宅等に二百四十六世帯、六百三十一人、東京都住宅供給公社住宅等に十二世帯、四十三人、都の職員住宅に二世帯、お二人、国家公務員宿舎に二百四十一世帯、四百五十三人、民間賃貸住宅に百一世帯、二百三十七人となっております。

○白石委員 都内には合計で六百二世帯、一千三百六十六名の区域外避難者が避難生活を送っております。避難を決断するまでには、子供の鼻血や下痢などが続いたことが避難を決意した直接の理由など、被曝から子供や家族を守るためにふるさとを離れる苦渋の決断をしております。住宅の無償提供の打ち切りによって、再び短期間のうちに福島県に帰省するのか、それとも都内に残り生活を続けるのか決断を迫られております。
 その中で、福島県が、住宅無償支援の打ち切り対象となる約一万二千六百世帯のうち、借り上げ住宅で暮らす九千九百四十四世帯を対象にして住まいに関する意向調査を実施しております。回答した世帯のうち約七割が来年四月以降の住宅が決まっていないと回答されております。中でも、福島県外に避難している世帯では七八・五%が次の住宅が決まっていないと回答をされております。
 原発事故がいまだ収束をしていない状況で、ふるさとに帰れないことや、短期間で次の住宅を確保することが困難となっている状況がこの調査結果でも示されているというふうに思います。
 福島県からは、区域外避難者を受け入れている都道府県に対して、公営住宅等の確保等に格別の配慮を求め、その際、様式、ひな形を定めて、必要な国への要望事項を知らせるよう求めています。
 東京都はこの要望に対してどのように答えたのか、伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 避難者の受け入れ自治体に対する福島県からの公営住宅の提供要請を受けまして、都では、避難指示区域外からの避難者に対しまして、都独自の支援策として三百戸の専用枠を設け、都営住宅の募集を行ったところでございます。
 国への要望につきましては、県から文書が送付される以前から、適時、県と協議を行っておりまして、県から送付された様式での回答は行っておりませんが、都の要望は県にお伝えをしてございます。

○白石委員 つまり、福島県から送付されたこの用紙では回答していないということです。私も確認をさせていただきましたが、区域外避難者を受け入れている都道府県で福島県に回答しなかったのは東京都と大阪府、わずか二つだけです。事前に福島県からの応急仮設住宅の供与終了に伴う住宅確保等についての依頼書を私も入手させていただきましたが、この文中には、供与期間終了後もなお避難先での生活の継続を望む避難者が多いことから、避難先における住宅の確保は極めて重要と記されております。公営住宅等の確保に格別の配慮をお願いするとも要請されております。
 県からの要望に都は真剣に応えることが、福島原発などから電力の供給を受け続け支えられてきた東京都としての責務です。それにもかかわらず、住宅の確保策の実施に伴って必要となる国への要請事項を知らせてほしいとの県からの求めに都が応えていない姿勢は理解に苦しみます。
 では、都として、区域外避難者への無償提供打ち切りに伴って、国に対してどのような要望を行ったのか伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 都は、発災直後からこれまで、被災県からの応援要請に基づきまして、都営住宅や国家公務員宿舎等を活用し、希望する避難者全員に無償で応急仮設住宅を提供しております。特に、国家公務員宿舎に居住する避難者の方へは、必要に応じて国への連絡調整等に努めまして、日常生活への支援など、きめ細やかに対応させていただいております。
 都といたしましては、避難者への支援にかかる国への要請は、被災県である福島県を通じて行うべきものだと考えておりまして、これまでも、福島県に対して支援策の拡充について国と協議を進めるよう求めてきたところでございます。その結果、復興庁が実施する交付金を財源として県が実施する民間賃貸住宅の家賃補助制度の対象拡大などにつながったものと考えております。

○白石委員 事前に説明も、この点では受けさせていただいております。そこの説明によりますと、避難者からの意見は伝えていると、福島県に。都みずから、福島県からの依頼に沿っても、そしてそれ以外についても国に対しては物をいっていないというふうな冷たい姿勢だという状況だと思います。
 福島県から、国への要望をまとめてほしいという依頼があったのには理由があると思います。つまり、区域外避難者の居住の安定を図るには、国からの支援の強化が欠かせないんだということだと思います。
 実際、他県はどういう要望を国に出しているかといいますと、一つは、区域外避難者に公営住宅への特定入居を適用してほしいということです。釈迦に説法となりますが、特定入居を認められなければ抽せんで住居を決めることになり、区域外避難者が強く求めている、今住んでいるところに引き続き住みたいという願いに応えられないというふうになります。二つ目に、家賃や引っ越し費用など、区域外避難者の方への経済的支援の充実も要望をされております。三つ目に、国が提供している国家公務員宿舎について、供与期間が過ぎても住み続けられるようにしてほしいというふうなことも挙げられております。どれも、数多くの苦難を経験し、ようやく落ちついた居住をしている区域外避難者が、今後も住まいの安定を図るには欠かせない措置ではないかと思います。
 東京都も、区域外避難者の苦難に思いをいたす、思いをはせるなら、この三つのことを国に要望するのが当然の姿だと思います。都として国に求めるよう、再度強く要望をしておきたいと思います。
 これまでに、区域外避難者に対する都と福島の個別面談が行われておりますが、区域外避難者の方からは、この面談や電話は、区域外避難者の意向や生活状況に寄り添うものではなく、一方的に転居や区域外避難者向けの都営住宅の申し込みを迫るものとなっていると、このように聞いております。それが原因で、電話や訪問が怖い、眠れない、ぐあいが悪くなったなどの声が少なからず寄せられております。個別相談においては、区域外避難者の実情と願いに親身に寄り添うことや、相談を求めていない区域外避難者に面会を強要しないことが大切だと思います。
 都は、委託している東京都住宅供給公社などに対して、どのような指導をしているのか伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 戸別訪問は、福島県の避難指示区域以外からの避難者への応急仮設住宅の供与期間が平成二十九年三月末で終了することを見据えまして、福島県が主体となって、自宅等の恒久的な住宅への円滑な移行、避難者の意向に沿った生活再建への支援を行うために実施しているものでございます。
 都は、東京都住宅供給公社とともに福島県の戸別訪問に同行しております。訪問に当たりましては、避難者の方ができるだけ不安を感じないよう丁寧な対応を心がけているところでございます。
 なお、避難者団体、避難者支援団体から、訪問した職員の対応についてご意見がありましたことを受けまして、福島県、東京都、東京都住宅供給公社の全職員に確認を行いました。
 その結果、訪問に際しましては丁寧な対応を心がけておりますけれども、電話は一日二回、二日連続までというルールを超えて電話したことや、訪問の際に呼び出しベルを押しても応答がない場合に、扉をたたいてお知らせするといった事実が一部ありましたことを確認しております。
 このため、より相手の気持ちに沿った丁寧な対応を心がけますとともに、電話のルールを徹底すること、訪問の際は呼び出しベルを押しての在室確認をすることを改めて周知徹底し、改善を図ったところでございます。
 引き続き避難者の方の住居確保のため、全ての職員が使命感を持って取り組んでまいります。

○白石委員 今、確認をされたというふうなところで、一部、電話であったり訪問のやり方においてルールを超えるやり方があったというふうな答弁をされました。
 実際私もさまざま聞きました。どういう実態だったか。百人町都営住宅に避難されている方は、朝十時過ぎ、帰宅後二時、そして四時、一日に三回の電話により、睡眠剤を飲んでも夜眠れず、じんま疹や持病の狭心症の発作も起こるなど体調の悪化を訴えております。また、繰り返しの訪問などで浴びせられた言葉は、出ていかなければならないのはわかっているのかなど、脅迫のようで恐怖感を覚えるとも訴えておりました。
 シングルマザーの区域外避難者は次のように話します。ことし五月の末ごろから、電話、戸別訪問が行われ、不在時は何回も来てメモを入れていく、電話でも脅かされる、恐ろしくて出られない、電話でいわれただけで夜も眠れない、六月ごろぐらいから訪問があり、一度断ったが、繰り返し戸別訪問でチャイムが鳴りドアをあけると、足を入れ強引にこじあけて中に入ってくる、携帯にはショートメールで、出なければいけないことを知っているのかとメールが来たと、このように訴えております。さらに、一次募集のときに申し込みをしなかったら、なぜ都営住宅に申し込まなかったのだ、最後の申し込みだったのに、今後は事故住宅しか申し込めない、もう出ていくしかない、出なければ訴訟も考えている、どうするのだと一方的にまくし立てられ、ここにはいつまでも住まわせるわけにはいかない、ここは都民の住宅だ、避難民のものではない、都営住宅は都民しか申し込めないのだと何度も大声でいわれた、本当に怖い思いをしたと話しておられました。支援団体からの意見を受けて聞き取りを行ったということですが、この対応は見過ごすことができません。
 都はこのことを確認しているか伺いたいと思います。また、確認していないのであれば、早急に事実確認を行うことを求めますが、いかがでしょうか。

○八嶋経営改革担当部長 先ほどご質問にありましたような訪問をしている担当職員の言動についてでございますけれども、現在、そのような事実は確認はできてございません。
 戸別訪問でのご意見といたしましては、丁寧な対応、親切な対応に感謝しているといったような声も多く聞こえてきてございます。そのような事実はなかったというふうに考えてございます。

○白石委員 今いったことは実際に聞き取ってお話を伺いました。メールも来ているということなんです。このような事実があるのかどうなのか、しっかりと確認を再度行うことが必要だというふうに思います。このようなことが行われているということは、行政として、こんな脅迫まがいな対応をとって区域外避難者に対応しているということが本当にあるのかどうなのか、これは非常に大きな問題だと思います。早急に事実確認を行っていただきたいと思いますが、いかがですか。

○八嶋経営改革担当部長 支援団体の方々からの声を受けまして、先ほど申し上げましたように調査をいたしました。全職員からの確認を行ったところでございます。
 繰り返しになりますけれども、電話は一日二回等のルールを超えて電話をしたとか、それから呼び出しベルを押しても応答がない場合に扉をたたいてしまったとか、そういうような事実が一部ありましたことを確認しておりますけれども、それ以外の事実は確認はできてございません。
 ただ、こうした戸別訪問におきまして、そうした言動により、これは受けとめる側の感じ方ということもございます。そのときに、改めてルールを徹底すること、それから、訪問の際、在室確認は呼び出しベルで行うことなどを改めて周知徹底して改善を図っているというところでございます。

○白石委員 感じ方、受けとめ方によって違うんだというようなことですが、実際にこのような声が出されているわけですから、早急な事実確認をお願いしたいというふうに思います。それをもとにして、やはりどういうふうな対応がなされてきたのかというのを明らかにすることが求められると思います。
 先ほどの答弁では、職員からは聞いたということだと思います。このように訴えている都営住宅にお住まいの方なども含めて、実際に確認をとっていただきたいと強く要望しておきたいと思います。
 質問を続けます。
 福島県からの区域外避難者の都営住宅専用枠募集において、対象者を、ひとり親世帯、高齢者世帯、心身障害者世帯、多子世帯、特に所得の低い一般世帯、小さな子供のいる世帯としておりますが、その理由についてそれぞれ伺いたいと思います。また、都として行っている区域外避難者の居住支援の取り組みもあわせて伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 まず、都が実施いたしました専用枠の募集についてでございますけれども、避難者の方のうち、ひとり親世帯、高齢者世帯、心身障害者世帯等は民間賃貸住宅への入居制限を受けやすく、自力で新たな住まいを確保することが困難な可能性があるため、都として特に住宅確保の配慮をすべき人と考え、支援を行うこととしたものでございます。
 避難指示区域外の避難者への都の居住支援の取り組みでございますけれども、平成二十七年五月から、都は、避難者の居住先の選択肢をふやし、生活の安定に寄与するため、福島県からの避難者等を対象に、都営住宅の募集におきまして入居要件の緩和や当せん率が一般の五倍となる優遇措置を実施しております。あわせて、東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅への紹介やあっせんなども行ってきているところでございます。
 同年六月に、福島県は、避難指示区域外からの避難者への応急仮設住宅の供与終了を決定いたしました。その後、九月、県は供与終了に当たりましては、県への帰還を基本としながら、避難者の方の意向を尊重し、県外での生活を希望する低所得の避難者に対しての住宅支援として民間賃貸住宅の家賃補助を決定いたしました。
 これを受けまして、都は本年七月に、特に自力で住宅を確保することが困難なひとり親世帯などにつきまして住宅支援が必要な世帯と考え、都営住宅の専用枠二百戸の公募を行いました。さらに本年八月、福島県が避難者への民間賃貸住宅の家賃補助制度の対象を拡大したことにあわせまして、都も九月に都営住宅の申し込み対象を拡大し、専用枠百戸を追加して二回目の公募を行ったところでございます。

○白石委員 済みません、確認ですが、自力で新たな住まいを確保することが困難な可能性があるというのは、低額所得者についてもそうだというふうな認識でよろしいでしょうか。

○八嶋経営改革担当部長 先ほどご説明申し上げましたとおり、特に自力で新たな住まいを確保することが困難な可能性があるという対象に入ってございます。

○白石委員 都営住宅については、自力で新たな住まいを確保することが困難な可能性がある方については専用枠を設けて都営住宅の支援をしています。しかし、それ以外の方には、さまざまな住居を紹介しているくらいというふうになっております。
 島根県は、福島県と国が打ち切ろうとしているもとでも、県独自負担などによって入居期限を二〇一八年度末まで延長することを決断しました。新潟県は、福島県が予定している民間賃貸住宅への家賃補助に上乗せを行っております。
 東京都でも、区域外避難者の居住の継続を基本に据えて、こうした独自の支援に取り組むべきではないかと強く求めたいと思います。
 その中で、現在、都営住宅にお住まいになっている方への継続居住への支援についてもお尋ねをしていきたいと思います。
 我が党に、町田市の都営住宅にお住まいの高齢の自主避難者の方からお手紙が寄せられました。この方はもともと脳梗塞で左半身不随となっておりましたが、原発事故で着のみ着のまま二〇一一年四月一日に町田市に避難し、ほどなく体調不良で意識不明となり、三日後には救急搬送で入院。長距離の避難での疲労、食事療法ができなかったことで急激に腎臓が悪化したことが要因と推察される末期の腎不全と診断されました。その後も再入院するなどして、もう治療は人工透析しかないといわれる中で、人工透析を週三回も受けております。それゆえ転居となった場合、かかりつけのクリニックで透析治療が受け続けられるのか、強い不安の中に現在おられます。透析を受ける日は体調がとても悪く、今は団地を通る循環バスがあるから通院ができているが、もし今の都営住宅を出ていかなければならなくなると、それも難しくなる危険性があり、命にもかかわりかねないという状況です。こうした方というのは少なくないというふうに思います。
 ある県では、今現在県営住宅に住んでいる自主避難者の方については、その団地と住居数を把握して、専用枠での公募をするに当たっては、その団地に一定数を確保して、当せんしたら同じ住戸に住み続けられるようにするなど配慮がされております。こうした努力は非常に重要だと思います。
 都においても、専用枠の当せん者については、継続して住めるような配慮が必要だというふうに思いますが、都の見解を伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 これまでも都は、応急仮設住宅の入居に当たりましては、希望する団地の地域や世帯の個別事情に配慮し、きめ細かく都営住宅等の提供を行ってまいりました。
 ご質問の、継続して住み続けられるようにということに関しましては、避難者の方の生活実態などを踏まえながら住宅支援に丁寧に取り組んでいくこととしております。

○白石委員 都営住宅からの移転という点では、新国立競技場の建設をめぐって都営霞ヶ丘アパートが廃止となり、お住まいの方はことし一月三十一日までに転居を求められました。この無理もたたって、私たちが把握しているだけでも八月までに六人の方が亡くなっております。それだけ高齢者の方が引っ越すというのは大変なことだと思います。
 私は、この教訓を重く受けとめなければならないと思います。高齢者の方、子供が四回も転校してようやく落ちついた生活を送っている家族、こうした区域外避難者の方の苦難に思いをはせて、継続居住の努力を尽くしていただきたいと思います。
 そのためには、現在の都営住宅の居住に即して、同じ団地に当せんしたら引き続き住み続けられるようにできるよう、さらなる三次募集を行うこと、専用枠については、他県では一般住宅と同じような基準しか設けていないところもあるということですから、少なくとも対象基準を大幅に拡大することなどについても強く求めまして、質問を終わりたいと思います。

○西沢委員 私からはまず、この首都圏空港機能強化、特に羽田空港のルート変更、このことについてお伺いをしていきたいと思います。
 要求した資料をつくっていただきましてありがとうございます。
 この羽田空港の強化ということでルート変更があるわけですが、この資料にもあるとおり、経済効果が、資料の最後のページですか、大体三千七百五十二億円、東京都の方であると。国土交通省の方で発表しているのが六千五百億円ということですから、その半分以上は東京都に、当たり前かもしれませんけれども、効果があるものだということで、大変重要な位置づけになっているのかなというように思います。
 改めて、この羽田空港の機能強化のメリットが何なのか、お伺いしたいと思います。

○佐藤(伸)理事 都心に近く、二十四時間利用可能な羽田空港は、国内外に豊富なネットワークを有する基幹的なインフラでございまして、その機能を十二分に発揮させることが、東京、ひいては我が国の国際競争力の向上につながってまいります。
 羽田空港の機能強化により、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会や、その後の航空需要を見据えた国際便の増便が可能となります。

○西沢委員 二〇二〇年を見据えてやるというようなご答弁でございました。当然、国際競争力の向上というものであったり、国際便を増便することによって外国人観光客もたくさん来るということを進めていくというのは、これは東京の悲願でもございますから、進めていくことには何ら問題はないのかと思いますが、さまざまな意見があるのも当然確かでございます。
 そもそも、これは国の事業なのかというようなことですが、きょうは事務事業の質疑ということですから、当然東京都の事務事業のこの青い冊子の中にも書かれているわけであります。
 改めてここで、この、国が提案をした飛行経路の変更による羽田空港の機能強化について、東京都の立場、それから東京都の役割は何なのか、お伺いいたします。

○佐藤(伸)理事 都は、羽田空港の容量拡大を必要不可欠と考えておりまして、かねてから国に対して機能強化の推進を要請してまいりました。
 国からは、機能強化方策といたしまして、時間帯を限定した飛行経路の変更が提案されたため、都は国に対して、二〇二〇年までの容量拡大に向け、住民への丁寧な説明と騒音の影響を軽減する方策の検討や、徹底した安全管理の取り組みを要請するとともに、地元区とも連携し、都民の理解が深まるよう国の説明会開催に協力いたしたところでございます。

○西沢委員 東京都の役割は、今の答弁ですと、住民への丁寧な説明と、それから安全管理に取り組むこと、これを要請すると、国に対して。住民に対して丁寧な説明をしてくださいということと、安全管理をちゃんとしてくださいというのを国に要請すると、これが東京都の一つの役割と。それから、国がやる説明会に対して協力をすると。この二つが東京都の役割なんだというような答弁、これを確認させていただいたわけであります。
 これだけなのかというふうに私は思うわけですが、答弁の中にありますが、二〇二〇年に向けてということですけれども、この新ルートを含めた羽田空港の増便のロードマップ、今後どうなっていくのか、これまでどうしてきたのかというのを確認したいと思います。

○佐藤(伸)理事 平成二十六年八月に、国は、飛行経路変更などによる容量拡大案を提案しまして、関係自治体とも協議を進めるとともに、昨年度には説明会を開催いたしました。
 都の要請や説明会等における住民の意見を踏まえまして、国は本年七月に、騒音影響軽減方策や安全対策の考え方を示しております。
 今後、国は、引き続き地元に対して丁寧な情報提供を行いながら、騒音影響の軽減や安全管理の徹底に取り組むとともに、新飛行経路の運航に必要な航空保安施設や誘導路などの施設整備を実施し、二〇二〇年までに容量拡大を実現したいとしております。

○西沢委員 二〇二〇年までに容量拡大を実現していきたいということですが、安全対策なんかはことしの七月にやりました。だから、平成二十六年、二年前からこの話というのが進んできているというようなことがわかるわけです。
 その中で、東京都の役割は、さっきいったように国に要請することと、国がやる説明会に協力するということでしたが、何よりもやはりこの問題は、改めて確認すると、私なんかの中野区だと、大体千メートル上空から飛行機が着陸していくと。渋谷区ぐらいになると大体六百メートルぐらいで、スカイツリーにぶつかってしまうぐらいですね。そうすると、やっぱり不安に思われる方、騒音であったりとか、落下物であったりとか、後々確認しますけれども、そういった声が出てくるのは当然だと思うわけであります。
 二〇二〇年までにロードマップがあるというようなことでございますけれども、ではなぜ今このルート変更が必要なのかということです。
 政府のこれまでの方針というのは、海から入って海に出るというようなこと、つまり東京湾から着陸をしてきて、東京湾に向かって離陸をしていくというような形で、市街地を避けていたんじゃないかというように私は思うわけです。その方が安全面も含めてあると思うんですね。海から、東京湾がせっかく羽田空港の場合はあるわけですから、今まであえて東京湾側から入ってきたわけですね。しかも、ルートを見ていただくとわかりますが、ぐるっと回って着陸をするというような形になっているわけですから、これをずっと守ってきたんだろうと。海から入って、海から出る、これを守ってきたと。
 今回ルート変更するには、市街地を避けていたと思うんですけれども、そういう認識でまずいいのかどうか、お伺いしたいと思います。

○佐藤(伸)理事 現在運用されている羽田空港の飛行経路は、陸域での騒音影響を可能な限り軽減する観点から、東京湾を最大限に活用して設定しているものと聞いております。

○西沢委員 騒音の問題があるから、可能な限り海から入って海に出るというような形にしているということを確認してきました。
 であれば、これを破るわけですね、今回の案は。市街地を突っ切る。特に、渋谷、新宿といった、この都庁の上も通るということですから、多くの住民が住んでいる、もしくは働いている真上を飛んでいく、飛んでいくではなくて、着陸していくというような形になりますから、当然そこに住んでいる住民の方々との意見調整であったり、それから協議、それから意見の集約、これをどのようにやってきたのかということになると思いますが、どのようになっているのかお伺いいたします。

○佐藤(伸)理事 飛行経路の変更に関する提案内容につきまして、より多くの住民から理解をいただくため、国は、昨年七月から九月にかけてと、十二月から本年一月にかけて、都内十六カ所で延べ七十日間にわたりオープンハウス型の説明会を開催したほか、特設ホームページや特設電話窓口、日刊紙への広告掲載などを通じて幅広く情報提供や意見の聴取を行うことに努めております。
 その後、国は、説明会等における住民からの意見を取りまとめた上で、その要旨を特設ホームページなどで公表しております。
 国は、都の要請や、こうした意見も踏まえ、本年七月に騒音影響の軽減方策や安全対策の考え方を示しました。

○西沢委員 説明会をやってきましたよということで、それはきょうの要求資料にありますけれども、これまでの説明会の開催日程であったり、それから来場者数がどれくらいなのかというものをまとめていただきました。
 説明会というと、教室の中、もしくは体育館の中で説明をやるイメージ、いわゆる教室型方式というものを想像するわけですが、今回、オープンハウス型の説明会を開催したということであります。このオープンハウス型の説明会というのはどういうものなのかお伺いいたします。

○佐藤(伸)理事 オープンハウス型説明会は、説明パネルを展示し、参加者が自由に閲覧するとともに、担当者と質疑応答を行うものであり、きめ細やかに情報提供でき、参加者から意見、質問などを丁寧に聴取することが可能でございます。
 国は、羽田空港の機能強化に係る理解促進のための具体的な手法のあり方について、オープンハウス型のメリットが大きいとの専門家からのアドバイスを踏まえ、説明会を開催しております。

○西沢委員 オープンハウス型の資料なんかも私、確認をさせていただきましたが、参加者の方がオープンハウス、展示場みたいなイメージで半日ぐらい、大体五時間から六時間ぐらいやっていると聞いていますけれども、自由に行って、そこで現場を見て、パネルであったり説明を聞いて、必要があれば職員の人にもそこで説明を聞くことができるというような形になっていて、確かに気軽に行けるような形になっているし、説明も聞けると。自由に出入りもできるということで、敷居が下がるような、そんな印象が持てるわけでありますが、私のところに来ている意見の中では、あえてそういうことをやって、その方は比較的この新ルート案には否定的な方でありますけれども、教室型であると一堂に会して多くの方がおかしいんじゃないかということで同調して意見をする、それを防ぐためにあえて囲うような説明会にしているんじゃないかと、こういうふうな声もあるわけです。
 オープン型の説明会自体が悪いということではなくて、私はこの教室型方式、こういうのも開催してほしいという声があるわけですから、この方法を、国の方が説明会をやっているということですから、働きかけるべきなんじゃないかというふうに思いますが、見解をお伺いいたします。

○佐藤(伸)理事 国は、住民の理解を促進するため、専門家の意見を踏まえ、きめ細やかな情報提供ができるとともに、参加者から意見、質問等を丁寧に聴取することが可能なオープンハウス型説明会を開催することとしてきました。
 都としては、国に対し、引き続き地元への丁寧な情報提供を求めてまいります。

○西沢委員 丁寧な情報提供を求めていくということですので、改めて、さまざまな方式、これにこだわらなくても、住民の声に応えるような説明会をしてもらうよう要請してほしいというように思います。
 この住民の意見集約、協議ということですけれども、資料要求の中で、ある説明会の日程は書いてあるんですけれども、雑誌なんかを見ると、特に大田区の方では、町会長さんが集まる連合協議会にて説明を続けているというようなことを聞きました。私は中野区ですけれども、中野区の町会の方に聞くと、知っている方も多いんですが、特にそういった、何か説明を求められているというようなことはないそうですね。
 ですので、この資料要求でない、出てこない、つまり公にしていない説明なんかをやっているんじゃないかと思いますが、この中野区を含めたほかの自治体へはこうした町会単位での説明というのは行っているのか、それからまた、今後行う予定があるのかどうか、お伺いいたします。

○佐藤(伸)理事 国は、空港からの距離が近く影響が大きいと想定される地域において、地元協議会等に説明を行っていると聞いております。
 引き続き国は丁寧な対応を行っていくこととしております。

○西沢委員 空港から距離が近いということなので、今の答弁だと中野区は入っていないよというようなことなんじゃないかというように思いますね。中野区が入っていないということは、多分練馬区も入っていないでしょうし、イメージ的には千メートルとか六百メートル、八百メートル上空を飛ぶということですから、すごく近いようなイメージを持っているわけですね、私なんかは。
 そうした中で、近隣の自治体というと、きっと多分、その大田区であったり品川区であったり、そういった部分を指すんだと思うんですけれども、だから、そっちの方だけはさらに丁寧に説明しているよということだと思うんですが、私はそれだけの合意ではなくて、その上を通るところは特に丁寧な説明がさらに必要なんじゃないかと思います。
 先週、私の集会では、地元の集会で大体四、五十人ぐらいの集会、二回ぐらいちょっとありまして、この話知っていますかということを聞いて、大体知っている人、多いです。飛行ルートの変更というのはニュースで見たことあるよという方も多いんですけれども、実際に、じゃ説明会に行って話を聞いたりとか、自分でホームページを見て細かく知っているよという方はほとんどいませんでした。九割ぐらいの方は知らないというようなこともありました。
 なかなかまだ住民の理解というものがそこまで余り進んでいないようにも感じられるわけですが、今後、住民にどのように説明していくのか、お伺いをいたします。

○佐藤(伸)理事 国は、機能強化方策の実現に向けまして、ホームページや特設電話窓口の活用に加え、新たに市民窓口を設置するなど、さまざまな手法を組み合わせ、より多くの住民に幅広い理解が得られるよう、丁寧な情報提供に努めるとしております。
 あわせまして、国は、機能強化方策の進捗状況について、今後とも引き続き関係自治体に情報提供を行っていくこととしております。
 都は国に対して、引き続き地元への丁寧な情報を求めてまいります。

○西沢委員 先ほどからの答弁は、やはり国が国がということだと思うんですね。当然、最初の質問の中で、東京都の役割は何なのかというと、国がやる説明会に協力すること、それから国に対してちゃんとするようにと要請することとありました。ですけれども、私は、東京都の事業として、空港の強化というものを事業として掲げて、悲願でもやっているわけですし、国というよりも、住民の代表者、住民の意見というものはやっぱり東京都がやるものなのかなと思っていたので、少し違和感を感じるんですね。この説明会であったりとか、住民への説明はやってくださいという今の質問に対しては、国がそうやると聞いています、国がやるべき、国に対し働きかけますというようなことばかりですから、本来は自治体の役割として、さらにいうと基礎自治体ですけれども、広域自治体としての東京都の役割としてはもう少し住民に寄り添った形に、私、するべきなんじゃないかなというようなことを申し上げておきたいというように思います。
 さらに、先ほど空港の近隣自治体の話がございましたけれども、ほかの空港の例なんかをとると、近隣では、例えば、空調機であったり防音サッシに対して補助制度なんかがありますね。そういった補助制度、今回の新ルートによって補助対象となる可能性があるエリアがあるのか、自治体はどのようになるのか、お伺いをいたします。

○佐藤(伸)理事 新飛行経路は限られた時間帯で運用するため、航空機騒音障害防止法に基づく防音工事の助成対象となる施設はない見込みと聞いてございます。
 ただ、今回示されました軽減方策では、国は、地元からの要望も踏まえ、学校、病院等への防音工事について、空港に近接した地域を対象に、制度の運用を弾力化することとしているということでございます。

○西沢委員 現状では助成対象となる施設の見込みはないということなので、新ルートになったとしても補助になる場所はないですよという答弁だと思います。ただし、地元からの要望があれば制度の運用を弾力化するよということですから、可能性がゼロではないですよいうことだと思います。
 ですから、繰り返しになりますけれども、やっぱり地元の要望、住民の方々の意見というものが非常に重要だというように思います。都の役割はさらに大きなものがあるんじゃないかということを改めて申し上げておきたいと思います。
 それで、この不安、懸念材料が幾つかある、説明会の中でも幾つか出ている、要求資料の中でも、さまざまな説明会でも意見があったわけですが、やはり大きくは落下防止策、物が落ちてくるんじゃないかとか、さらには、最大の懸念だと思いますが、墜落の防止策であります。
 この墜落防止策というのは、これはもう絶対でありますが、過去の例などを見ますと、絶対に墜落は一〇〇%ありませんということは当然いえないわけですね。どうしても墜落事故というものは起きてしまうわけであります。
 特に飛行機、私は詳しくないですけれども、燃料は羽根に入っているそうで、着陸するルートだから、燃料はそんなに多く入っていないから落ちても大丈夫という説明は聞いていないですけれども、燃えませんというような話がありますけれども、決してそんなことはなくて、着陸する際にはどうしてももう一度、着陸に失敗した際にもう一度やる、チャレンジするために燃料は残しておかなければいけませんし、そういった意味で、過去の、私、いろいろと事故のやつを見てみますと、燃えます。燃えている映像がよくあります。
 さらに、今回は、海から入って海から出るのではなく、陸路を通って市街地の上空から着陸していくわけです。魔の十一分間というのがいわゆる事故の最も多い時間、つまり離陸するときの三分間と、それから着陸するときの八分間、このときが一番危険があるといわれている、その魔の十一分間の中に市街地があるわけですから、当然墜落の危険というものを、住民の方々が不安になるのは当然だと思います。
 国土交通省、これからの、羽田のホームページなんかを見ても、その対策はきちんとやりますよと、整備もきちんと強化してやりますよということは書かれているんですけれども、それでもなおかつ、やはり説明会でもこういった不安の声が起こるわけです。
 東京都はこれでよしと、この国土交通省が大丈夫ですよといってるものでよしとするのか、私は、それ以上の策を求めていくことで安心を得られることになると思うわけですが、見解をお伺いいたします。

○佐藤(伸)理事 本年七月、国は、羽田空港の機能強化に係る安全対策の考え方を示しました。その中で、新飛行経路は市街地上空を飛行することを踏まえ、乗り入れ航空会社に対しまして安全対策の徹底を改めて要請することとしております。また、部品の脱落や氷塊の落下防止のために、航空会社に対して点検整備などの未然防止策の強化を指導するとともに、国の職員みずからが駐機中の航空機をチェックする仕組みを新たに構築することとしております。
 都は、この提案を、これまでの都や地元の意見を踏まえ安全性に配慮したものとして評価する一方、国に対して、引き続き最新の技術開発の動向なども踏まえ、安全管理の徹底に取り組むことを要請しております。

○西沢委員 そうですね。絶対ということはないかもしれませんが、最新の技術開発の動向等を踏まえて安全管理の徹底に取り組むことを要請しているということです。
 こうしたことで、その当時は大丈夫だったものが何年かたつと古いものになっていくと、大体こうした事故が起こるときというのはヒューマンエラーが多いものですから、技術的なものはもちろんですけれども、そうしたエラーが起こらないような仕組み、これは技術開発と並んで、そうしたエラーが起きない取り組み、日々これは変わっていきます。エンジンが昔四つついていたら安全という話が、今はエンジンが二つついているというような、二つの方が逆に安全とか、いろいろ時代の背景によって、もしくは技術の進歩によって変わっていくわけですから、これで終わりということではなく、この安全対策は何よりも重要だということを申し上げておきたいというように思います。
 これまで、羽田空港のこの新ルートについて質疑をしてまいりましたが、地元の自治体として国へ意見を伝えるべきだと。これまでの意見というものも、資料を読むと、余り私が読める、情報公開されているものはそんなに多くないんですね。日々要請をするとか、区も働きかけるという答弁をたくさんいただいていますけれども、じゃどれだけ働きかけているんだというようなことがちょっと見えづらいと思います。見えている部分は本当に一部なんだろうと思うんですね。
 小池知事になって情報公開が叫ばれている中で、きょういただいたたくさんの答弁、国に働きかける、国に要請をしていくというようなことですが、これまでどのように意見を伝えてきたのかというのはもちろんですけれども、今後どのように意見を伝えていくのかお伺いいたします。

○佐藤(伸)理事 国が提案した羽田空港の飛行ルート変更につきまして、都は、国と関係都県市等との協議会に参加し、国に対して、住民への丁寧な説明と騒音の影響を軽減する方策の検討や徹底した安全管理に取り組むことを要請してまいりました。
 都の要請を受けまして、国は昨年度、都内十六カ所で延べ七十日間にわたり説明会を開催し、寄せられた意見も踏まえ、国は本年七月に、騒音影響の軽減方策や安全対策の考え方を示したわけでございます。
 今後とも、都は、国に対しまして、あらゆる機会を捉えまして、引き続き地元への丁寧な情報提供と騒音、安全対策の取り組みを求めた上で、二〇二〇年までに必要な施設整備や環境対策を着実に推進していくことを要請してまいります。

○西沢委員 引き続き安全管理に取り組むよう要請していくということでありましたが、ぜひそれも情報公開でわかるように、安心につながると思います、住民の方々にとっても。これまでのご答弁いただいたことを踏まえて国に要請していくものなんかはわかるようにぜひしていただきたいということ、それから、今後とも都は国に対してという答弁でしたけれども、今後とも都が地元住民に対して、私は説明をしていく機会を捉えてもいいんじゃないのかというように思います。
 当該自治体は、品川区、大田区、渋谷区、新宿区、中野区、練馬区、いろいろとありますけれども、東京都が音頭をとるということがこうした基礎自治体の枠をまとめて伝えていける、私はそういう役割をまさに都が担っているんだろうというように思います。改めてそのことを申し上げて、要求をして、次の質問に行きたいと思います。
 次の質問、次のテーマで終わりですけれども、都市計画道路についてお伺いをいたします。
 これは本年三月に策定されたいわゆる第四次計画、東京における都市計画道路の整備方針、これにおいてはさまざまな観点から都市計画道路の必要性の検証を行うとともに、今後十年間で優先的に整備する優先整備路線の選定が行われているわけであります。
 この整備方針の優先整備路線の項目の中に、地元の中野駅周辺の自転車ネットワークが掲載をされております。この優先道路整備路線の話と、この自転車ネットワークがこの整備方針に書かれているわけであって、私、この間、特に自転車ネットワークというのは私の家の裏を走る場所なんです。ここはかなり、そんなに広い場所ではなくて、そこが自転車ネットワークということにすごく違和感を覚えたわけですね。当然、中野区に話を聞くと、中野区は中野区で考えがあるわけですけれども、東京都のこの計画の中にこれが入っているということですから、改めて、この優先整備路線、それからこの自転車ネットワーク、どのような関係にあるのか、お伺いをいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 自転車走行空間ネットワークの形成は、歩行者と自転車がともに安全で安心して通行できる交通環境の実現に寄与するものと考えております。
 委員からお話のありました図は、中野区が平成二十六年三月に改定いたしました中野駅地区整備基本計画に示された自転車ネットワークの将来イメージ図を引用したものでございまして、都市計画道路などでネットワークが構成されております。
 その中には、補助第七十四号線など、第四次事業化計画において示した優先整備路線三路線が含まれておりまして、中野区が目指す自転車ネットワークの形成に寄与するものと考えております。

○西沢委員 中野区が目指すものだということを確認できました。ただ、東京都の方に入っていますから、ぜひ地元自治体とよく協議をして進めていただきたいというふうに思います。今、中野区、狭いという話をちょっとしましたけれども、道が、道路がどうしてもそういう狭隘な道路があるということは、特に二十三区にある課題の一つだと思いますが、この道路の整備ですが、中野区の都市計画道路の完成率というのは平成二十五年度末で約四九%という形になっています。
 比較をしたいわけでして、この計画の前の計画、平成十六年に策定された三次事業化計画の期間内に中野区内の都市計画道路の整備、これはどの程度進捗したのか、お伺いをいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 都はこれまで、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、地元自治体とともに都市計画道路の計画的、効率的な整備に努めてきたところでございます。
 その結果、第三次事業化計画の策定以降、中野区内では、補助第六十二号線や警察大学校等跡地開発に伴う都市計画道路など約四キロメートルが完成し、都市計画道路の完成率は、策定当時の平成十六年度末の約四〇%から平成二十五年度末の約四九%へと、九ポイント上昇しております。

○西沢委員 四〇%の計画だったのが四九%と。数字で出していただいたのはちょっと初めてだったので、パーセントにすると九ポイント上昇しているという形で、ちょっとわかりやすく感じるわけですが、一定程度、三次計画から今回の四次計画に移るまでで四〇%から四九%になったというようなことがわかったわけであります。ですが、区部全体の進捗を見ると約六五%と、数字で見ると著しく低くなって、また二十三区の中では下から二番目という形になっています。
 こうした状況を踏まえて、中野区内の都市計画道路整備をどのように進めていくこととしているのかをお伺いします。この優先整備路線の完成後の完成率というのは、都全体では約八割になると聞いていますが、中野区内ではどう見込んでいるのか、お伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 平成二十八年三月に策定いたしました第四次事業化計画では、中野区内において、放射六号線や補助第二十六号線などの都施行の六路線、約三・七キロメートル、また、連続立体交差事業が進められております西武新宿線に交差する道路やまちづくりが進められております中野駅南口駅前広場など、中野区施行や土地区画整理事業による八路線、約三・六キロメートルを優先整備路線として選定いたしました。これら道路の完成後、中野区内の都市計画道路の完成率は約七割になると見込んでおります。
 今後とも、中野区と連携しながら、第四次事業化計画に基づきます都市計画道路の整備推進に向けて取り組んでまいります。

○西沢委員 今回の四次計画が完成すれば、区部全体では約八割になるところ、中野区内ではそれでも七割を進捗するという予定だという答弁をいただきました。
 そもそも、三次計画、平成十六年のときからおおむね十年置きにつくっている計画で、最初は平成十六年のときに四〇%、それで四九%、今回約七〇%になると、段階を踏んでかなり、最初九ポイントの上昇だったのが一気に今回二十ポイント以上上がるというような、数字で見るとかなり進むのかなというような印象を持つことを確認させていただきました。
 着実にぜひ進めていただき、これは具体的には建設局になっていくと思うんですけれども、都市計画そのものというものは国家百年の計であります。きょう中野区のことを確認しましたが、きょうの質疑全般を通してですけれども、地元の自治体と協議をしつつ、ただ、広い視点から整備をしていく、各自治体そのものというよりも、東京都全体を通した広い視点で整備をしていくべきということを申し上げて、私の質問を終わります。

○あさの委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時二十六分開議

○あさの委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○やながせ委員 私からも何点か事務事業について質問をしていきたいと思います。
 それで、きょう七十分という通告をしているんですけれども、できるだけコンパクトに、かぶらないようにしていきたいというふうに思います。
 まず最初に、首都直下地震対策ということでありますけれども、今都政がオリンピックの話とか豊洲の話ということばかりが取り上げられているわけですけれども、やっぱり非常に首都直下地震にいかに備えていくのかというのは本当に大きな課題だろうと、都政にとって一番の課題といっても過言ではないぐらいの課題なのではないかというふうに考えているんですが、なかなか報道されないということで、これは残念に思っているんですけれども、その中でも緊急輸送道路の沿道建築物耐震化促進事業、そして木造家屋密集地域の不燃化事業、この二点についてお聞きしていきたいというふうに思います。
 これは、先般の予算の審議のときも私、この都市整備委員のメンバーでございまして、そのときの追っかけ質問であるということであります。
 この沿道建築物耐震化促進事業についてでありますけれども、これは事業の問題があったというふうに認識をしています。事業の進め方に問題があったということで、先般も、昨年度は二百五十億円の減額補正ということで、各会派から、これおかしいじゃないかといったさまざまな声が聞こえてきたわけであります。
 事業の執行の推移を見ると、二十二年度は執行率は二二%、二十三年度二一%、二十四年度二八%ということで軒並み非常に低い、低調な執行率で来ていたということで、それをちゃんと、これを改めていこうじゃないかという観点から、この目標の設定を変えたというふうに認識をしています。
 これまでの事業の進め方には二つの問題があって、この目標の設定の仕方、ここに大きな問題があったと。過大な目標だったということです。
 それから、目標が大きくても、そこに至るまでにプロセスがあるわけですけれども、そのプロセスの見直し、これがなされなかった。そのために、毎年過剰な予算を計上して毎年減額補正するという非常に大きな無駄をしてしまったということ、この二点が大きな問題だったというふうに思います。
 これを反省点として、ことしは百億円という現実的な予算を組んでいるわけであります。そして目標の設定も、三十一年度末に九〇%を達成するということでありますけれども、まずこの事業の進捗、三十一年度末までに耐震化率九〇%という目標に対して現状どうなっているのか。また年度ごとにどのように進捗を把握していくのかという、この点についてお伺いをしたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 平成二十八年六月末時点での特定緊急輸送道路沿道建築物における耐震化率は八一・九%でございまして、その前になりますが、平成二十七年十二月末時点の八〇・九%から耐震改修促進計画の改定を挟んだ半年間で一・〇ポイント上昇いたしました。
 このペースで推移いたしますと、目標年次である三十一年度末の耐震化率は約八九%であり、これに加えて、改定後の計画に基づく施策の効果が発揮されることで九〇%という目標は達成可能と判断してございます。
 耐震化の進捗状況につきましては、区市町村からの報告を毎月集計することにより把握してございまして、この状況を取りまとめ、毎年二回、六月末時点と十二月末時点において、沿道建築物全体の耐震化率や緊急輸送道路同士が交わる交差点の区間ごとの耐震化率などを公表してございます。

○やながせ委員 ありがとうございます。
 二十七年の十二月末時点から六月末、半年間で一ポイントの上昇ということで、このペースでいけば、三十一年度末には八九%に到達するであろうということで、九〇%というのは非常に現実的な目標であるということで、これは軌道修正が成功しているということはいえるというふうに思います。何とかこの九〇%の目標を達成していただきたいというふうに思うわけですけれども、そのためには先ほど申し上げたとおり、この事業の進捗をしっかりと管理していくということが必要なんだというふうに思います。
 そういった意味では、これ、資料でいただきましたけれども、皆さんご存じだと思うんですけれども、どこの道路が上昇しているのか、しっかりと、整備は進んでいるのか進んでいないのかということが一目瞭然になるような資料でございまして、こういった資料をお示しいただくと事業の管理がしっかりなされているんだなということはよくわかります。ぜひこの取り組みを前に進めていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、耐震化を効果的に進めていくためには、優先して取り組む路線を定めるなど、めり張りをつけて事業展開を行うことが重要だというふうに考えています。
 九〇%に到達すると、ある一定の効果は得られるということのようでありますけれども、そうすると、じゃ、全部薄く広くで八八%のところがたくさんあるということよりも、九〇%の地域ができて、またこちらも九〇%の地域ができていくというふうに、めり張りのある事業展開、こちらの方がより効果は高いということは、これは明らかであります。
 このような観点から、優先順位をつけて耐震化に取り組んでいくべきというふうに考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 計画に定める目標を達成するためには、特に倒壊の危険性が高いIs値〇・三未満の建築物や耐震化率が低い区間の沿道建築物を対象といたしまして、重点的に耐震化を進める必要がございます。
 このため、今年度から取り組みを開始した全棟訪問におきましては、Is値〇・三未満の建築物を優先して訪問し、早期の耐震化を働きかけてございます。
 また、耐震化率が低い区間でございます青梅街道の一部の沿道におきましては、都や区の職員が直接訪問し、所有者それぞれの状況に即した丁寧な啓発を行っております。
 こうしたことを通じまして着実に耐震化を図り、安全・安心な都市を実現してまいります。

○やながせ委員 それで、この事業が生まれ変わって順調に進んでいっているという、そのさまはよくわかるんですけれども、そもそもの話として、これちょっと質問通告してないんですけれども、九〇%の目標を掲げているということであります。この三十一年度末に九〇%ということを目標にしているわけですけれども、九〇%に到達すると、どういった効果が得られるというふうなお考えで九〇%と設定しているのかと、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 ことし三月に改定いたしました耐震改修促進計画では、特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化の目標といたしまして、委員お話しの平成三十一年度末までに九〇%以上と、かつIs値〇・三未満の建築物の解消というものも定めてございます。
 昨年度行いましたシミュレーションにおきましては、この目標が達成されますと、震度六強の地震が発生いたしましても、都外から入ってきました緊急車両が特定緊急輸送道路のみを通行し、回り道をしてでも都内各地の防災拠点にほぼ通行が可能となることが明らかになってございます。このような状況を東京二〇二〇大会開催前までに実現するため、この目標を定めたものでございます。

○やながせ委員 ありがとうございます。この九〇%というのは、特定緊急輸送道路の、救急車とか消防車とかがある地点に行くのに、そこの、ある特定の道路に建物の倒壊があっても、ほかの、回り道をすることによって、そこに到達することができるんだという効果を生むことができるのがこの九〇%であるという答弁ですよね。そうですよね。
 ただ、ちょっと私がこれ不安に思うのは、じゃ、九〇%達成して、本当に救急車があらゆる地点まで到達することができるのかということを考えたときに、これは都市整備局だけの話ではないんですけれども--東日本大震災がありました。私もこの都庁にいて、都庁から歩いて帰ったわけですけれども、ほとんど車が動いていないわけです。特に幹線道路、特定緊急輸送道路に指定されているような道路は、もう車がいっぱいで動かないというような状況にあったわけであります。
 その中で、沿道の建物を耐震化するということは非常に重要なことなんですけれども、事業の目標としている救急車両がいろんなところに到達するというその目標そのものは、目的ですね、そのものは、達成することはなかなか、この事業だけでは難しいのではないかというふうに考えます。
 事業の目的が、救急車両があるところまで到達するということを目的としているわけですから、これはさまざまな交通の問題であったりとか、場合によっては救急車両が、よく公明党の伊藤先生なんかはおっしゃってますけれども、バイクで救急車両が走っていくというようなこととか、そういったことを複合的に考えてこの目的を達成するんだということを考える必要があるのではないかと、そのように考えています。
 これは部長が考えることではないかもしれないですけれども、ただ部長のやってらっしゃるこの事業というのは、その事業の一環であるという認識を持ちながら、この事業をやっていただきたいというふうに思うんですけれども、何か答弁はありますでしょうか。

○飯泉耐震化推進担当部長 実際の震災では、委員お話しのとおり、一般の車両の渋滞ですとか帰宅困難者によって緊急車両が通行できなくなる場合も想定されます。
 そのようなことにならないように、行政の各部門ですとか都民の方々、民間事業者がそれぞれの役割を果たしていくことが重要であると考えてございまして、沿道建築物の耐震化を担っている都市整備局といたしましては、震災時においても建物倒壊による道路閉塞を防ぐという役割を担っておりますので、耐震改修促進計画に基づきまして着実に沿道建築物の耐震化を促進してまいりたいと考えております。

○やながせ委員 ありがとうございます。
 事業は複合的な事業があわさって一つの目的が達成できるということだというふうに思うんですけれども、その事業ばかりに目が行っていると、本当にそれが目的達成のためのものなのかどうかということを見失ってしまうということもありますから、そういった、この事業の本来の目的というのは何なのかということをしっかりと考えていただきながら事業に取り組んでいただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。
 もう一つは、木密地域を改善していくという不燃化特区の取り組みについてであります。
 先般の予算の審議のときには、この事業も私は問題があるなというふうに思っていて、それは事業の進め方というよりも住民の意識です。先ほど白石委員は、啓発ばかりやっていても、やっぱり中身の問題があるので、それは進まないんじゃないかという観点から質問されていました。ただ、私は不燃化特区の地域の戸別訪問をしたんです。まあ、大田区でありますけれども、一軒一軒ピンポンを押して、まずそういった地域であるということをご存じですかということを聞くと、いや知らないという方が大半です。
 じゃ、その地域だからどういうことになるのかということを知っていますかと。その地域であることは知っているという方に対して、じゃ、その地域だから何か助成が受けられるとか、そういったことをご存じですかということを聞くと、それは知らないという答えがほとんどでありました。二日間ぐらいしか、五十軒ぐらいですか、しか、戸別訪問をして調査活動していませんので、これがどれだけ一般化できるのかというのはわからないですけれども、これは啓発がまだまだ足りていないというふうに私は考えています。
 まず、その意識が醸成されなければ、当然そんなお金を出そうなんていう発想にもなりませんから、だから、まず入り口の部分をやっていくということが重要なんだというふうに思うんです。
 その意味で、予算審議のときに、もうちょっと広報物をせっぱ詰まった広報物にするべきじゃないかということを申し上げたところ、都の皆さん、非常に工夫をしていただいて、この燃えているまちを写真として、つくっていただいたということです。これは私の提案の一つの成果だろうと勝手に思っているわけですけれども、それはよろしいですか。
 やっぱり、関係ない、人ごとだというふうに思っていらっしゃる方がほとんどです。でも、その皆さんの家が燃えてしまって、実際お亡くなりになるということですから、この事業というのは非常に重要な事業です。
 どうお伝えしていったらいいのかといったら、やっぱりあなたの住んでいる地域は燃えてしまって、そこでたくさんの死人が出るんですよということをしっかりとお伝えしなければいけないのではないかというふうに思うんです。
 そういった意味では、こういったお取り組みをしていただいてありがたいなというふうに思っていますけれども、もう一点は、これ、中身を見ていただくとわかるんですけれども、この制度というのは一般の方から見るとわかりづらいです。特に、先ほどお年寄りの方が大部分だということがございましたけれども、特にお年寄りの方は資料を見ないです。
 それで、これも提案をさせていただいたんですけど、まず老朽建築物の除却費、除却費を助成しますと。除却って何だというところです。こういったところを、これはかなりリニューアルしていただいて、以前に比べたら大分わかりやすくなっているんですけれども、こういったさらにわかりやすい取り組み、これをしていただきたいというふうに思いますけれども、見解を伺います。

○山下防災都市づくり担当部長 これまで都は、区が実施している全戸訪問を支援し、住民に対して不燃化の制度周知や機運醸成に取り組んでまいりました。
 今年度はそれに加えて、区との共催による不燃化セミナーを二地区で開催し、学識経験者から木密地域における延焼シミュレーションなどを住民に説明するとともに、区の防災訓練等に都も参加し、制度について広く周知を図っております。
 今後とも区と連携しながら普及啓発活動を推進し、不燃化への理解が得られるよう努めてまいります。

○やながせ委員 済みません、ちょっと私が順番どおりの質問をしていないものですから、ちょっと答弁が食い違ってますけれども、済みません。
 次の質問に行きたいと思います。
 次に、住宅供給公社についてであります。
 東京は巨大な肥満都市であるというふうに、知事、小池知事がおっしゃっていたということで、これは私も同じ認識でありまして、都庁組織が肥満状態にあるのではないかというふうに考えています。それは、本来都がするべき事業は何かということを問うことなく、歴史的な役割を終えた事業を温存してきた。私は、都庁のスリム化、これを目指して官と民の役割分担、これをもう一度明らかにし、問い直す作業が必要なのではないかというふうに考えています。
 その意味では、民でできることは民でという大原則をもとに都が行う事業の守備範囲、これを決めるべきというふうに考えるわけでありますけれども、この肥満化という意味でいうと、東京の皮下脂肪に当たるのが、多数存在する東京都の外郭団体なのではないかと。そして、そこには天下りの問題があると。民間でできることを都が行って、その業務は競争にさらされることなく、その外郭団体が独占すると。そして、その外郭団体は都の職員の天下りの受け皿となっている。これこそが私は肥満化していく構造的な問題ではないかというふうに考えて、これまでもさまざまな質問をしてまいりました。
 そして、この住宅供給公社についてでありますけれども、私はこの住宅供給公社のやっている事業そのものに対して疑義があるということをまず申し上げておきたいというふうに思います。
 マンション事業をやっているわけですけれども、都は、都営住宅等々合わせて三十三万戸もの住宅を提供しています。この役割というのは、そもそも高度経済成長期に東京の人口が急激に増加したと。その中で住宅面での受け皿という役割を果たしてきた。これは確かに意義のある事業だったというふうに思います。それが今はどうなのかと考えたときに、民間賃貸住宅の市場は成熟している。かつ都内には空き家が八十二万戸もある。これは、空き家問題というのは今非常に大きな問題となっているわけです。
 そこで、この都の監理団体である東京都住宅供給公社は、賃貸住宅を約七万五千戸所有しているわけですけれども、私、この公社住宅を何軒か見てきました。私の知り合いが入っている、入居しているところもあるんですけれども、場所場所によって全然姿が違うというのはよくわかるんですけれども、中にはタワーマンションで家賃が二十万円を超えるといったものもあるわけであります。これは、民間のマンションと何が違うのかといわれたときに、この違いはわかりません。
 そこで私は、東京都もこれから人口が減少していくという中で、この公社住宅なるものはダウンサイズしていくべきではないかというふうに考えているわけです。
 それで、この住宅供給公社がこれからどういう方向性を持っているのかということを確認したところ、これをふやしていくのか、現状維持なのか、減らしていくのかということに関しては、これ目標戸数の設定などを行っているということではないということを確認できました。もし違ったらいってください。
 先ほどもありましたけれども、この公社住宅、これをどのように建てかえをしていくという方針を持っているのか。これは建てかえに伴い建設される公社住宅の供給の考え方、これについて、まずお伺いをしたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 公社は、公社一般賃貸住宅の再編整備計画によりまして、昭和三十九年度以前に建設した住宅約一万四千戸の再編整備を推進しております。
 計画では、このうち約八千戸を建てかえ対象住宅として位置づけ、順次建てかえによる再編整備を行うこととし、平成二十六年度から三十五年度までの十年間は、昭和三十四年度以前に建設した住宅を中心に年間約六百戸の再編整備に着手することとしております。
 建てかえによる住宅の供給に当たりましては、少子高齢化の進行や将来的な人口減少、地域の賃貸住宅需要の動向等を見据えるなど、住宅ごとの実情を踏まえ、適切に対応することとしております。

○やながせ委員 それは、現状を維持するという考え方を持っているということでよろしいんですか。要は古くなったものは建てかえをするんだという中で、現状の六万三千戸、公社住宅のです。一般の賃貸住宅というのは六万三千戸ですけれども、これを維持していくという考え方に基づいているのかどうなのか。

○桜井住宅政策推進部長 公社住宅の立地は、場所によりさまざまでございまして、それぞれの地域の事情がございます。したがいまして、それらの地域の需要の動向を見据えるなど、住宅ごとの実情を踏まえて、そういった数も含めまして適切に対応するということでございます。

○やながせ委員 つまり、一戸一戸、これが必要なのかどうなのかということを考えて、これは必要だから建て直そう、これは必要でないという考え方ということですよね。
 そうすると、JKKは住宅供給に対する大きなビジョンというものをどう持っているのかということを問いたいというふうに思うんです。
 これは東京都の住宅政策ということになると思うんですけれども、先ほど申し上げたとおり、民間賃貸住宅市場というのは成熟していると。その中で空き家が八十二万戸もあるという現状があるわけですよね。その中で三十三万戸もの公営住宅、公共住宅、公共的な住宅を提供している。都営住宅というのは、これは福祉政策として低所得者の皆さんに入っていただくという、この政策はよくわかるものでしょう。ただ、じゃ、この公社住宅というのは違う位置づけにあるものですよね。
 そういった意味で、トータルの戸数に対するビジョンというものは、どのようにお考えになっているのかという点について教えていただきたい。

○桜井住宅政策推進部長 先ほど委員のお話がありましたけれども、公社は公社住宅の住戸数につきまして総数の目標というものは定めておりません。おりませんが、先ほど申し上げましたとおり、建てかえによりまして少子高齢化の進行とか将来的な人口減少、地域の賃貸住宅需要の動向を見据えまして、それらの実情を踏まえ、適切に、それらの数につきましても対応していくということでございます。

○やながせ委員 部長のおっしゃっていることはよくわかるんですけど、私は非常に不満があるということです。
 これは何のための事業なのかと。先ほども目的ということをいいましたけれども、やっぱり住宅が足りないという中で、官がある程度の住宅を供給する必要があるという中で生まれてきたのがこの公社住宅だというふうに私は考えているわけですけれども、その目的というのは正しいですか。

○桜井住宅政策推進部長 住宅供給公社は、一般の賃貸住宅を供給するという目的もあります。大きな目的がございますけれども、それ以外にも団地内に保育所等の公共施設を整備するなど、東京都の政策課題の解決にも大きな役割を果たすと、このような目的がございます。

○やながせ委員 そういうことでいうと、東京における住宅市場というものが今どのような状況にあるというふうに認識されているのかということを聞きたいというふうに思います。今飽和状況にあるというふうに考えているのか、それとも不足しているというふうに考えているのか。それはどうなのかということです。
 これは、私がなぜこういうことをいうかというと、私は大田区の選出なんですが、とにかく町工場がたくさんありました。比較的広い敷地であります。町工場はもうからないですからどんどん廃業していくわけです。すると、そこにどんどんタケノコのようにマンションができるわけです。マンションだらけなんです。ある意味マンションだらけになっていて、その一方で普通の一戸建ての家は空き家になっていると、そんな状況があるわけです。
 マンションが計画なくぽんぽんぽんぽんと建つものですから、ある一定の地域ではインフラが足りないということで慌てて学校をつくったり、そういうことをやっておるという状況があるわけです。
 民間の住宅供給を、これをとめることはできないというふうには思っています。ある程度はできるかもしれませんけれども、基本的にできないと。ただ、この住宅供給公社というのは半官半民であるといった観点からすれば、これを抑制する、政策調整をするといったことはできるであろうというふうに考えるわけです。
 そういった観点から、将来的な人口減ということも含めて、現在の住宅市場がどのような状況にあるというふうにお考えになっているのか、この認識をお伺いしたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 都におきましては、既に住宅数は世帯数を上回っております。
 今後もこの傾向が続くものというふうに考えております。

○やながせ委員 ありがとうございました。
 僕は、やっぱり事業一つ一つのものを根本から問い直していく作業というのが必要なのではないかというふうに思うんです。歴史的なさまざまな経緯があって事業というのはできてきたのだろうというふうに思うんですけれども、じゃ、その終わり方というのはなかなか難しくて、いつまでもそれが形を変えた目的で生き残っていく、かつそこにはやっぱり天下りの問題があって、変な話をすると、これは天下りの受け皿として、この事業を温存しているんじゃないかというような疑義が生じてしまう、そういった問題もあるんだということなんです。
 ですから、こういったそれぞれの事業が本来何を目的としてやってきたものなのかということを再度問い直す作業というのが必要なんじゃないかというふうに思うわけであります。
 この公社住宅は近傍同種家賃制度ということで、近隣の同じようなマンションと同じような家賃の設定にしているということでありますけれども、これを安くして福祉的な意味を持たせるとか、そういったことをお考えということではないんですよね、これは。

○桜井住宅政策推進部長 公社住宅の家賃は、地方住宅供給公社法施行規則で近傍同種の家賃と均衡を失しないように定めるとされておりますので、今委員お話しのようなことはできないということでございます。

○やながせ委員 ありがとうございます。
 私は、もう一度この事業はゼロベースで見直しをするということが必要だと思います。ただ、今お住まいの方も当然いらっしゃいますから、当然必要なものは必要だということもあると思います。ですから、建てかえの際に、それを、この地域ではこれは必要ないかなといった判断も必要なのではないかと。今、これまでの建てかえを見ていると、ほとんどが残ってますよね。残ってますよね。ただ、私、この幾つかを調べましたけれども、その周辺には同じようなマンションが、似たような同じようなマンションが幾つも並んで建っておるというような状況があるわけです。だから、この公社住宅の意義というのは本当にあるのかどうかということは、再度問い直されるべきだということ、これを申し上げておきたいと思います。
 この住宅供給公社というのは、税金払っていないですよね。これは住宅供給公社法に基づく特別な法人ということですから、これは税金を納めていないわけであります。ただ、同じように同じようなマンション事業を展開しておるところはしっかりとこの税金を納めておるということであります。そういった民間企業と競合をしていると。民業を圧迫しているということも、これは、ある人から見ると、そういうふうに見えてしまうという側面もあるのではないか、こういったこともつけ加えておきたいと思います。
 そういった意味から、この公社住宅に関して、建てかえの際にダウンサイズするべきではないかというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 先ほどもお答えいたしましたけれども、公社は住宅供給の戸数につきまして目標というものは定めておりませんで、地域の実情に応じまして、それらの数を定めていくというふうに考えております。

○やながせ委員 それは、やっぱり住宅供給公社という企業体がどういった方向性を目指していくのかということ、これはしっかりと住宅供給公社の中と、それからそれを所管している都市整備局の中でしっかりとしたビジョンを持つことがまず大事なのではないかということ、これはまず申し上げておきたいというふうに思います。
 続いて、都営住宅……(桜井住宅政策推進部長発言を求む)どうぞ。

○桜井住宅政策推進部長 先ほど来、一般の住宅、都の公社住宅の比較という面でお話がございました。
 公社住宅は法律に基づき設置されますけれども、これは公共住宅という位置づけになっておりまして、高齢者や子育て世帯などの居住の安定に寄与する住宅というふうにされております。
 まだまだ高齢者に対する民間賃貸住宅の入居拒否ですとか、また、子育て世帯に適切な広さの住宅などはまだ少ないという状況がございまして、公社住宅はそれらの東京都の住宅セーフティーネットの一翼を担っているということでございます。
 これらに加えまして、公社は都の住宅政策を推進する上での重要なパートナーといたしまして、少子高齢社会とか環境問題への対応、災害時における避難者の公社住宅への受け入れなど、採算面において民間事業者にはなじまない取り組みも実施し、都の政策に大きく貢献をしております。
 このように、公社は住宅事業を通じて広く地域社会に貢献しておりまして、今後も公社はこうした公的役割を果たしていく必要がございます。

○やながせ委員 だから、近傍同種の家賃ということだと、セーフティーネットということにはならないですよね、それは。ほかのマンションと同じ家賃で同じぐらいの広さなんですよね。若干広いというような話を聞いたこともありますけれども。それがセーフティーネットだという根拠というのは、なかなか薄弱なんではないかというふうに思います。
 ちょっとこの議論は尽きませんので、また次回も引き続き、これをやらせていただきたいと思います。次回というのは、予算審議のときです。二月ですか。二月か三月の予算審議。
 誠実なお答えをいただきまして、本当にありがとうございます。余り通告してないことを聞いて、しっかりと答えていただいたので、それはありがたいというふうに思います。
 都営住宅の指定管理者の選定、維持管理もです。指定管理者の選定についてでありますけれども、都は都営住宅を二十六万戸所有していると。これは低所得者向け住宅で、都が設置する意義というのは理解できると。しかし、その維持管理が競争することなく、特命随意契約で住宅供給公社が独占的に行っているということに対して私は疑義を持っています。
 これは平成十九年度の包括外部監査では、競争原理を導入するよう検討すべきという意見が出たと。そこで、都は一般民間企業も入れて公募をしたということでありました。そのときに、民間企業がこの公社よりも安い金額を提案したにもかかわらず、いろんな理由があって、公社が再び受注を獲得したということでありました。
 そして、今はこの公募すらもやめてしまって、特命随意契約に後戻りをしているということであります。
 そこでまず、この維持管理の指定管理者の選定の経緯についてお伺いをしたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅等の指定管理者の選定につきましては、制度の円滑な導入を図るため、平成十七年度に行いました第一回の選定では二地域、平成二十年度に行いました第二回の選定では三地域で公募を実施いたしまして、その結果、第一回、第二回の選定とも、全ての地域において東京都住宅供給公社を選定いたしました。
 その後、平成二十二年三月に都の指定管理者選定等に関する指針が改正となりました。
 都営住宅は、住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給する必要があるなどの都の政策との連動性を有し、また、居住者の事情に応じた福祉的サポートの必要性などの管理運営の特殊性も有していることから、平成二十五年度に行いました第四回の選定では、都の指針に基づき、全地域を対象に住宅供給公社を特命で指定管理者として選定したところでございます。

○やながせ委員 今のご答弁にあったように、指定管理者制度を導入した当初は、この民間企業も入れた公募を行っていたということでありますけれども、これが平成二十五年度には全地域を一括して、特命で東京都住宅供給公社を選定しているということであります。
 これは、その前に指摘をされた、包括外部監査で指摘をされた競争性確保等々を鑑みて、これは後戻りをするものではないかというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 都は、都民共有の財産であり住宅セーフティーネットの中核である都営住宅を、住宅困窮者の居住の安定を図るために、公平、的確に供給する必要がございます。その管理者には、安定したサービスの提供に加え、区市の福祉部門と連携したサポートや災害時の緊急対応など、公的な役割を適切に果たすことが求められております。
 都の住宅政策の一翼を担う住宅供給公社は、そういったノウハウを蓄積し、安定した経営基盤と執行体制を整えてきております。
 これらのことから、都は指針に基づき、外部委員による選定委員会で、事業計画の内容と、それに基づくサービスや効率性の向上を確認して公社を選定したところでございます。
 制度の変更に伴いまして適切に選定をしたものでございまして、後戻りしたとは考えてはございません。
 引き続き指定管理者の選定を適切に行ってまいります。

○やながせ委員 それで、これは以前も申し上げたんですけど、都営住宅の管理というのは、ほかの自治体も民間企業をどんどん導入してるわけです。それはコストを低減化するという意味であります。
 私は、このサービスというのは、住宅の維持管理ということを考えたときには、やっぱり民間でできる事業なのではないかというふうに考えます。
 それで、ちょっと一つ聞きたいのは、これ、安定した経営基盤ということが結構いわれているわけでありますけれども、その公募の際にも民間企業は倒産のリスクがあるというようなことがあったと思うんです。そうすると、住宅供給公社は、これは経営基盤がしっかりしているというのは当然そうなんですけれども、民間企業は経営基盤がしっかりしていないと。その倒産のリスクがあるということだけを捉えて、経営基盤がしっかりしてないというふうにいえるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。

○八嶋経営改革担当部長 民間企業は経営基盤が安定していないのかというご質問だと思いますけれども、必ずしもそうということはないというふうに考えてございます。
 安定的な経営基盤を有していることということも指定管理者を選定する際の一つの基準でございまして、幾つかの基準がございます。こちらは都営住宅条例等に規定されているものなんですが、そのうちの一つとして安定的な経営基盤を有していることということがございます。
 また、実際の指定管理者の選定委員会におきましても、さらに細かく評価項目がございます。そのうちの一つということで考えてございまして、必ずしも民間が必ずそこで劣るというところではないというふうに考えてございます。

○やながせ委員 そうすると、前回、民間企業が安い金額を出したにもかかわらず、住宅供給公社がとったといったことがあったわけです。つまり、維持管理費を民間企業の方が安くやるよということだったわけです。ただ、トータルの評価として住宅供給公社の方がすぐれているということで住宅供給公社になったといった経緯がありました。これはどういったことなんですか。

○八嶋経営改革担当部長 先ほども若干触れましたけれども、選定基準にはさまざまな要素がございます。例えば、都営住宅等及び共同施設の管理を効率的かつ適正に行うために必要な執行体制、それから安定的な経営基盤もございます。それから、法令遵守をした上で適正な管理を行うことができる等々でございます。
 また、それらを評価項目といたしまして、例えば夜間、休日の時間外の居住者への対応ですとか、災害発生時の連絡調整の体制、それから保守点検業務、それらを適切に行えるのか等々。さらに申しますと職員に対する研修体制。そのほかにもいろいろございますけれども、さまざまな評価項目に沿って評価をするということでございますけれども、これまでの公募の中では住宅供給公社がこうした中で高い評価を得ていったと、そういうことでございます。

○やながせ委員 それで、まあ、そうですね。だから、住宅供給公社に落とすためのさまざまな理由をつけているのではないかというふうに、これは私なんかからすると、私はうがった見方をしますから、これはそういうふうに見えてならないということなんです。
 民間企業の方は安いコストを出している。にもかかわらず住宅供給公社に決まったということでありました。それは住宅供給公社は、ずっとこの間、この経営をして、まあ、維持管理の事業をしてきていますから、それはなれてます。だから安定している、やりやすい。だから、都としても使いやすい。それはよくわかるんですけれども、これは公募によってコストを低減していく。
 住宅供給公社の事業も公募を行うことによって、これは効率化が図られるといった観点もあるわけですから、これはぜひその次の、現在の指定管理期間は平成三十年度までということになっているようであります。ですので、次回の指定管理者の選定に当たっては、そういった点をよく考えて、特命随意契約ということではなくて、この公募ということをしっかりと取り入れていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○八嶋経営改革担当部長 先ほども若干申し上げましたけれども、平成二十二年に東京都の指針が改定になってございます。その中で、管理の特殊性、それから都政との連動性、そういったようなものが認められる場合、これは総務局との協議で認められてございますけれども、そうした場合においては監理団体を特命で指定管理者に指定することができるということに改まっているということでございます。
 現在のところ、都営住宅に関しまして、住宅供給公社は安定したサービスの提供ですとか区市の福祉部門との連携したサポート、それから災害時の緊急対応など、公的な役割を適切に果たしていくことが求められているということで都の住宅政策の一翼を担っているということがいえるかなというふうに思ってございます。そうした中で、前回は公社を特命で指定管理者に選定したということでございます。
 平成三十年度に、また選定の機会ということがございますけれども、引き続き適切に行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○やながせ委員 これは平成三十年度までということですので、次回の指定管理者の選定に当たっては、ぜひ適宜適切に選んでいただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいというふうに思います。
 ホームドアについてであります。
 先般も視覚障害者の方が駅から転落してお亡くなりになるといった事故がございました。このホームドアのお話は、交通局で、都営地下鉄に関しては、かなり私も質疑をさせていただいたんですけれども、都市整備局ではなかなかこのホームドアの整備ということ、これ事業局でありながら、なかなか質疑はされていないと。過去の議事録を見てもされていないようでありますので聞かせていただきたいというふうに思います。
 この都内駅のホームドアの整備率について、まずお聞かせいただきたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 利用者の安全性確保のためホームドア整備を促進するためには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 都は、事業者に対して、整備を進めるよう積極的に働きかけを行うとともに、事業者の取り組みを支援するため、地下鉄駅への補助に加えまして、平成二十六年度からは利用者十万人以上のJR及び私鉄駅を対象として補助を実施しております。
 これまでに、鉄道事業者の自主的な取り組みも含めまして、約三割の駅で整備がされております。

○やながせ委員 現状これは約三割、都内三割であるということでございました。これは、数多くの議員が早期設置をするべきということでこれまで議論をしてきたわけでありますけれども、非常に課題が大きいということで、扉の位置が特に異なる列車、乗り入れをしている電車なんかは扉の位置が異なるわけですけれども、これに対応しようとすると、膨大な投資費用がかかってしまうということです。これが多分一番の大きな問題なのではないかというふうに思います。
 そういった意味でいうと、近年、各鉄道事業者が、軽量化したホームドア、簡易なホームドア、私も見ましたけれども、上からウィーンとおりてくるということで、それはかなり幅があるものですから、ドアがある程度どこにとまっても、おりてくるものによって転落を防止することができるというようなものもございました。こういった新しい取り組みを進めていく、こういった新しい技術が進んでいくことを促していくことというのが、重要なことなんだろうというふうに思います。
 やはり、ホームドアの設置費というのは非常に高額になるものですから、これをいかに簡便な、だけれども安全なものにすることができるのかということが、この事業の進捗にまさにかかっているんだろうというふうに思います。
 そういったことも含めて、この二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを契機に、東京のバリアフリーのまちづくりを推進し、鉄道の安全性をさらに高めていくということ、これがレガシーであるということから、ホームドアの整備、これを一層加速すべきというふうに考えますけれども、今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 都は、二〇二〇年大会に向けて整備を加速させるため、平成二十七年度から制度を拡充いたしまして、競技会場周辺のJRや私鉄の駅について、利用者の規模によらずに補助を実施しております。こうした補助の活用によりまして、JR信濃町駅や千駄ケ谷駅などで整備が実施される予定でございます。
 また、ホームドアの設置に当たり、委員からお話のありました課題の対応につきまして、現在、東京メトロ東西線の九段下駅におきましては、開口部が広いホームドアの試行が行われておりまして、またJR町田駅においては、軽量化したホームドアの試行が進められるなど、各事業者が新技術確立に向けた取り組みを行っております。
 都といたしましては、こうした新技術の実用化の動向なども踏まえながら、国、地元区市及び鉄道事業者と連携して、引き続きホームドアの整備を促進してまいります。

○やながせ委員 ぜひ設置の促進をお願いしたいというふうに思います。
 ただ、そうはいっても、やっぱりなかなかこれは簡単には進んでいかないだろうというふうに思います。その中で、同じような事故が繰り返されるというような現実を考えたときに、これはホームドアだけでなくて、人の動線管理だったり、さまざまな、ホームドアでないやり方というのもあると思いますので、そこも含めてしっかりと検討をしていっていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、その中で、東京メトロについて何点かお伺いをしたいというふうに思います。
 都市整備局は、鉄道など東京の交通政策を所管していて、東京メトロを初めとする鉄道事業者とは、業務上密接なかかわりを有しているということであります。この各鉄道事業者は、安全確保やバリアフリーの取り組みを着実に進めるべきであり、そのためには、都も鉄道事業者に対し、そのことをしっかりと求めていく必要があるというふうに考えています。
 特に、東京メトロというのは都が大株主であると、筆頭ではないけれども二番目の株主であるという顔も持っているわけであります。
 都は、東京メトロに対して、この安全確保やバリアフリーの取り組み推進のため、どのような働きかけをこれまで行っているのか、また、それに対してどのような成果が得られているのかという点について、お聞かせをいただきたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 都は、都市交通政策を推進する観点から、鉄道利用者の円滑な移動や安全性の向上に資する施策を実施しております。
 具体的には、国と協調いたしまして、地下鉄駅のホームの延伸や拡幅、ホームドアやエレベーターの設置など、駅の大規模改良工事に対して補助を行う制度を設けておりまして、お尋ねの東京メトロに対しましても、こうした制度を活用して安全確保やバリアフリーに向けた取り組みを推進するよう働きかけや情報交換を行っております。
 さらに、都は、東京メトロの株主としても徹底した安全対策やバリアフリー化の推進を東京メトロに対して促しておりまして、例えば、株主総会などの機会を捉えまして、施設設備面での改善や工夫、ヒューマンエラーの防止など、ハード、ソフト両面からの取り組みを求めてきております。
 こうしたことなども踏まえまして、東京メトロは、ホームドアの設置工程の前倒しですとか、あるいはエレベーターによるバリアフリーのワンルート整備など、そうした方針を明らかにしております。

○やながせ委員 ありがとうございました。
 これまでも、猪瀬さんの時代には、かなり強烈に東京メトロに対してさまざまな要請をしたといったような実績もありました。私は、あの姿勢をどのように局長は評価されているかわからないですけれども、私は、株主として、やっぱりこの経営にどんどんコミットしていくということも必要なのではないかというふうに考えています。
 都は、もちろん、この都市交通政策の都市整備局は所管部署であるということも当然そうなんですけれども、また株主として、東京メトロとしっかり向き合うことが必要なのではないかというふうに考えています。
 都は、東京メトロの株主として、株式の配当収入を得ています。これは結構大きな額であります。ちょっと今資料が手元にないのであれなんですけど、五十億ぐらいですかね、大体六十億ぐらいの株式配当を得ているということで、これは非常に大きな収入だなというふうに考えております。
 東京メトロは、かつては営団地下鉄でありましたけれども、現在は民間事業者として経営努力を積み重ねていくことが非常に大事だということで、この経営効率化をしっかりと進めて、東京メトロの利益がふえていくということ、これは株式の配当もふえて、株主である都にも大きなメリットをもたらすことになるのではないかというふうに考えています。
 そこで、株主でもある都は、どのようなスタンスで東京メトロに臨んでいくのかという点について伺いたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 都は、都市交通政策を推進するという行政としての立場からはもちろんのことでございますが、株主という立場からも、東京メトロに対しまして、利用者の利便性向上に資する取り組みなどを積極的に進めるよう求めてきております。
 また、今お話のありました株主還元、配当につきましても、都が保有する東京メトロの株式は、都民から負託された貴重な財産であるという認識のもと、積極的な還元を求めてきております。
 今後とも、東京メトロに対し、行政としての立場、また、株主としての立場も踏まえまして適切に対応してまいります。

○やながせ委員 ありがとうございました。
 都の都市交通政策を所管する立場というところから、利用者の利便性の向上に対して、取り組みを積極的に進めるよう求めてきたというのはよくわかります。ですので、これは株主という立場というのも、もうちょっと意識をしていただきたいというふうに思うんです。これは報告団体であると。また、国が筆頭株主であるということから、どこまでこれに口を出していくのかというのは非常に難しい問題でありますけれども、この経営が効率化していくということは、ひいては、それが安全・安心対策にお金が回るということであり、それは株主配当に返ってくるということであり、都民の利益ということに大きく寄与していくことになるということは間違いないというふうに思います。
 ですから、都は、もうちょっと株主としての意識というものをしっかりと持っていただきたいというふうに思います。でも、今のご答弁ですと、そういった意識もしっかり持っているんだよということだったと思いますので、ぜひ、引き続き東京メトロの経営に対しても、しっかりと目配りをするようにお願いを申し上げておきたいと思います。
 これで準備した質問は全て終わりでありますけれども、UCRってありますね、UCR。報告団体、UCR。きょうはこの質問はしませんけれども、この、やっている事業を見ると、非常にこれはどうなのかという疑義を私は感じています。これは邊見局長も取締役として入っている報告団体ということでありますので、これは二月にしっかりとこの疑義について問いただしていきたいということを予告しておきたいというふうに思いますけれども、やっぱり報告団体だから、都の指導監督のもとではないんだよといったスタンスは、私は間違っているというふうに思います。
 報告団体と監理団体の仕分けというのは、これは都が便宜上しただけのことですから、やっぱりこの報告団体に対しても、指導監督をしっかりとしていくということが大事だろうというふうに思いますし、また多分、小池都政においては、上山顧問等々がこれまでやってきたことを考えると、こういった外郭団体の仕分けというものが多分なされていくだろうというふうに思います。
 ですので、ぜひ、自主自立改革という点が、まずは大事なことだというふうにいわれているわけですから、ぜひこの事業の見直しを、局長を筆頭にしてやっていただきたいということを申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。

○神林委員 初めに、羽田空港の機能強化について質問をさせていただきますけど、先ほども質問がございましたので、ただし、最も影響を受ける、受けやすい区で地元区でもございますし、主張をする視点も違いますので、私の方では、なるべく大づかみで質問をさせていただきます。ご答弁においては、重複する部分については割愛していただいて結構でございますので、ぜひ質問をさせていただきたいと思います。
 過去にも何度も私は申し上げてまいりましたけれども、羽田空港周辺の地元住民は、戦後GHQの接収により、四十八時間以内の強制退去や、その後も長年にわたる航空機騒音の影響に苦しんでまいりました。
 この経緯を踏まえ、羽田空港の機能強化、国際化、跡地利用を進めるに当たっては、地元と共生を図り、騒音対策や環境対策、あるいは安全対策などについて、最大限その影響を低減する方策を実現していくことが重要と考えております。
 まず羽田空港の機能強化について伺います。
 一昨年七月に、国から羽田空港の飛行経路を変更することで、発着容量を拡大させる案が提案されました。昨年度、夏と冬に、国による住民説明会が開催され、大田区においても、多くの区民が説明会場である大田区役所や羽田文化センターに来場いたしました。
 そこで、まず初めに、国が提案している羽田空港の飛行経路変更による容量拡大案について、最新の取り組み状況と今後の見通しについて伺います。

○佐藤(伸)理事 羽田空港の機能強化につきましては、委員からお話があったとおり、国は、二〇二〇年までに実現し得る方策といたしまして、平成二十六年八月に、時間帯を限定して飛行経路を変更するという案を提案いたしました。それによりまして、関係都県市等と協議を進めるとともに、昨年度、一連の説明会を開催しております。
 その上で、本年七月の関係都県市等との協議会におきまして、国は、騒音影響の軽減方策や安全対策の考え方を提示してまいりました。
 都といたしましては、この提案を、これまでの都や地元の意見などを踏まえたものということで評価した上で、国に対して、引き続き地元への丁寧な情報提供と、騒音及び安全対策の取り組みを求めるとともに、二〇二〇年までに必要な施設整備や環境対策を着実に推進していくということを要請しております。
 これを踏まえまして、今後、国は、引き続き地元に対して丁寧な情報提供を行うということにしておりますけれども、それを行いつつ、二〇二〇年までの容量拡大に向けまして、騒音影響の軽減、あるいは安全管理の徹底に向けて、引き続き取り組むとともに、運航に必要な航空保安施設、あるいは誘導路などの施設整備を実施していくということを聞いてございます。

○神林委員 ただいまいただきました答弁で、国の提案を都がうのみで評価されても、これはまだまだ課題が残されては困りますので、ぜひうのみではなくて、しっかりとこれからも対応していただきたいと思います。
 そこでですが、先ほどと若干重複してしまいますが、国が示した騒音対策、安全対策についての考え方の内容を具体的に伺っていきたいと思います。
 さきに申し述べましたとおり、羽田空港周辺地域は、長年にわたり航空機騒音の影響で苦しんできた歴史がございます。昨年六月には、地元の自治会や町会で組織する連合協議会から国土交通大臣宛てに、羽田空港の機能強化に当たっての安全対策や騒音軽減などについて要望書を提出いたしました。機能強化を進めるに当たっては、こうした地元住民の声を特に重視して取り組むべきであると考えております。
 第一に、国の提案した新飛行経路案は、市街地上空を飛行することから、安全を最優先に取り組むべきことは明白でございます。
 そこで、国が示した今後の安全対策の考え方は、具体的にどのようなものなのか、重複する部分は結構でございますので、お答えをお願いいたします。

○佐藤(伸)理事 現在、航空会社におきましては、航空機の運航に当たって、出発前の点検に加え、飛行時間などに応じて定期的に徹底した点検整備を行っているところでございます。
 国は、七月に公表した羽田空港の機能強化に係る安全対策の考え方の中で、新飛行経路が市街地上空を飛行することを踏まえまして、羽田に乗り入れる各航空会社、これは外国の航空会社も含めまして、安全対策の徹底を改めて要請することとしております。
 また、部品の脱落、あるいは氷塊の落下防止のために、航空会社に対して点検整備などの未然防止対策の強化を指導するとともに、国の職員が、みずから駐機中の航空機をチェックするという仕組みを新たに構築するということにしております。
 都は、引き続き技術開発の動向なども踏まえて、徹底した安全管理の取り組みを国に対して求めてまいります。

○神林委員 実は、私の家の上は毎日通っているんです、何便もね。ただし、航空機事故は、やっぱり万が一が発生すれば、これは取り返しのつかない大惨事になるわけですから、安全の上にも万全を尽くしていただくことは、当然のことだと思っております。
 安全対策については、国が新たな位置づけを行ったこと、都が国に対して引き続き取り組みを求めていくこととのことですけれども、今後も安全管理の徹底に全力を注いでもらいたいと思います。
 次に、騒音対策についてでありますけれども、国が提案している新飛行経路案においては、新たにB滑走路からの西向き離陸が設定されており、この影響により周辺の住宅地である穴守稲荷駅付近では、騒音レベルが瞬間最大で七十デシベル前後と予測されております。さらに、今後開発されていく空港跡地では、それをはるかに超える耐えがたい騒音レベルが予測されているところでございます。
 また、私がこれまで廃止を訴えてきたA滑走路、北向き離陸、左旋回についても、いまだ一日最大三便の運航が継続されており、この問題が解決されないまま新飛行経路によって新たな騒音の負担を受けることは、地元にとって、とても容認できるものではないと受けとめております。
 そこで、国が示した空港周辺地域に対する騒音対策の考え方は、具体的にどのようなものか伺います。

○佐藤(伸)理事 国は、七月に公表した騒音対策の考え方の中で、各滑走路の使用便数を調整し、環境影響の特に大きい南風時にB滑走路から出発する便の数を、当初平成二十六年の提案の一時間当たり二十四便から二十便に削減するということを示しております。
 あわせて、低騒音機の導入を促進するため、国際便の着陸料につきまして、騒音の要素を加味した料金体系に見直すとともに、学校、病院などへの騒音影響について配慮するため、防音工事の助成制度について、空港に近接した地域で運用を弾力化することを示しております。
 また、国は、現在一部運航されております、委員からもお話のありました北向き離陸時の左旋回経路につきまして、機能強化に先立ちまして負担軽減策を行うという旨を示しております。
 都は、今後とも、最新の技術開発の動向なども踏まえまして、騒音影響の軽減に取り組むことを国に対して求めてまいります。

○神林委員 ただいま、国は現行経路の負担軽減策を示したとの答弁がございましたが、私がこれまで廃止を訴えてきたA滑走路、北向きの離陸旋回の左旋回については、国がようやく廃止を行うこととなったと確認をさせていただいております。ぜひ、もう一度確認をしていただきたいと思います。
 ちょっと飛んでいますが、まだまだあるんです。まだあるんです。国が、空港周辺地域に対する騒音対策について取り組みを進めていることがわかりましたけれども、先ほどもいろいろ聞いておりまして、十分なものとはいいがたいと私は判断しております。地元の生活環境を守るため、引き続き騒音の影響を最小限にするための努力をお願いしておきます。
 また、国が騒音や安全に対する取り組みを進めている一方で、羽田空港の飛行経路変更案については、まだまだ知らない住民も多いことから、今後も丁寧な情報提供を行い、周知を徹底してもらいたいと要望しておきます。
 また、羽田空港沖合展開事業以前の騒音状況を記憶している住民が少なくなる中、新たな騒音レベルがどの程度のものなのか、住民が体感する手段として、新飛行経路のテスト飛行を実施するなどの検討も、これから必要になってくるのではないかと思います。
 羽田空港の発着容量の拡大は、東京のみならず日本の発展につながるものであり、可能な限り協力して、空港と地元の共生、共存を図っていくべきものであると考えるべきですが、実際にどのような影響がこれからあらわれるのか、はかり知れませんので、都においては、丁寧な情報提供と最大限の騒音、安全対策の取り組みを求めるよう、引き続き国に対して強力に働きかけていってもらいたいと強く要望いたします。
 次に、羽田空港の跡地の利用について伺います。
 さっきの答弁は、またありましたときに、ぜひあわせて答弁をお願いしたいんですが、羽田空港跡地は、空港の沖合展開事業の経過によって生じた約五十三ヘクタールの土地であり、空港に隣接するポテンシャルの高い地域でございます。
 跡地のまちづくりについては、国、東京都、大田区により土地利用の具体化に向けた検討が進められ、今般、開発を行う民間事業者が公募されるなど、その整備が始まることとなっております。
 そこで、羽田空港の跡地のまちづくりについて、これまでの進捗状況を伺います。では、二つまとめてお願いいたします。

○佐藤(伸)理事 まず最初に、先ほどの北向き離陸時の左旋回経路につきましてでございますけれども、負担軽減策ということの内容といたしましては、今回、機能強化に先立って、この経路を廃止するということで確認をしております。
 また、羽田空港跡地のまちづくりの進捗状況でございますが、都は、羽田空港跡地につきまして、平成二十二年の羽田空港跡地まちづくり推進計画に基づいて、二〇二〇年のまちづくり概成を目指して、国や大田区と連携して積極的に取り組んでまいりました。
 空港跡地のうち、天空橋の駅付近の第一ゾーンでは、土地区画整理事業により道路や公園を整備することとしております。国家戦略特区の特例措置を活用し、本年二月に都市計画決定をした後、先月、独立行政法人都市再生機構が施行者として事業認可を取得しております。
 これに合わせて行う建物整備事業につきましては、大田区が産業交流拠点やクールジャパン発信拠点の整備、運営を行う民間事業者の募集要項を先月公表いたしました。
 また、国際線ターミナルに近接する第二ゾーンでは、国土交通省が、本年六月に宿泊施設等の整備、運営を行う民間事業者を選定し、先月、民間事業者が設立した特別目的会社と事業協定書を締結したところでございます。

○神林委員 今、左旋回のお話がありました。私の家の上空を毎日飛んでいるんですよ。朝七時半ごろでしょうかね、三便ぐらい毎回飛んでいきますので、私はもうちょっと早く起きますからいいんですが、本当に朝ゆっくりされている方にとっては、本当に大きな音でございますので、今しっかり答弁いただいたので、さらにしっかりと私も確認をさせていただきました。これは本当に大きな、やっぱり譲歩案であり、成果だとも思っております。
 次に、羽田空港の跡地は、第一ゾーン、第二ゾーンともに、いよいよ事業が実施される段階となりました。
 そこで、羽田空港跡地の二〇二〇年のまちづくり概成に向けた今後のスケジュールについて伺います。

○佐藤(伸)理事 跡地第一ゾーンでの土地区画整理事業では、今後、土地区画整理審議会の設置や仮換地指定の手続などを経て、来年度に現地着工の予定でございます。
 建物整備事業につきましては、平成二十九年五月に大田区が民間事業者を選定した後、平成三十年九月末から民間事業者へ土地を順次貸し付け、整備が進められる予定でございます。
 一方、第二ゾーンでは、今後、民間事業者が設計を行い、平成三十年から整備を開始し、平成三十二年六月には全施設が開業される予定と聞いております。

○神林委員 本当にいよいよ始まったということだと思いますが、これまで長年にわたって空港と共生し、その発展に協力してきた地元へ貢献するためにも、環境対策や跡地における人のにぎわいの創出と交通アクセスは大変重要でございます。
 そこで、跡地第一ゾーンについて、国際線ターミナルとの間で多くの人々が行き交うための交通アクセス向上や、多摩川、海老取川の護岸整備に向けた都の取り組みについて伺います。

○佐藤(伸)理事 跡地の交通アクセスにつきましては、第二ゾーンの民間事業者から、第一ゾーンと第二ゾーン及び国際線、国内線ターミナルビルとの間を連絡するシャトルバスの運行が提案されておりまして、第一ゾーンのにぎわい創出に向けて利便性向上を図るため、その着実な実施を国に働きかけてまいります。
 また、まちづくりに合わせた多摩川や海老取川の護岸整備の着実な実施に向けて、河川管理者と調整を行ってまいります。
 こうした取り組みも含めまして、都としては関係者と連携し、二〇二〇年のまちづくり概成に向け、積極的に取り組んでまいります。

○神林委員 羽田空港の跡地にとって大きなコンセプトというのは、やっぱり人のにぎわいなんですよ。この第一ゾーンと第二ゾーンの間を、仮に飛行機が離発着するということになりますと、やはりそこで大きな障害ができてしまうわけです。
 だから、今ちょっとシャトルバスの運行という話も出たのかもしれませんけど、やっぱり常時、手軽に行き来できるような、そういう方向性がなければいけないのかなというふうに思っていまして、そういう意味では、私の提案でもあるのかもしれませんけど、共生するためのまちづくりとして、常時たやすく往来可能にするためには、多少景観も考慮していただいて、半地下通路をつくって、その下に動く歩道をつくったり、そうすればいつでも行き来ができるわけですよ。かなり距離もありますけれどもね。
 そういうことも、やっぱり地元の還元策だとか、空港跡地のポテンシャルを生かすためには大変重要で必要なことでございますから、安全性だとか快適性の実現を含めて、国に対してさらに強く、そういったことも含めて、ぜひ働きかけをしていただければと思います。
 それとあわせまして、今回の新たな開発に伴って、地元の環境を改善するためには、例えば、緑化とか防災対策なども、地元のまちを視野に入れて、地元のまちづくりの推進のために、いろいろと働きかけをしていただきたいと思っております。ぜひそれらの実現に向けて、東京都としても積極的に取り組んでもらいたいことをお願いしまして、これについては終わって、次に行きたいと思います。
 次に、これも羽田空港に関連することではございますが、都市計画道路について伺います。
 羽田空港跡地では、ただいま答弁にあったように、第一ゾーン及び第二ゾーンにおいて、まちづくりの取り組みが進められておりますが、この空港跡地と川崎市殿町を結ぶ補助第三三三号線、いわゆる連絡道路の都市計画手続が進められております。
 そこでまず、連絡道路の目的について伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 先ほどもやりとりがございましたけれども、羽田空港跡地地区の第一ゾーンでは、大田区におきまして、新産業創造、発信拠点の形成を目指した取り組みが、第二ゾーンでは、国におきまして、宿泊施設や複合業務施設等の整備に向けた取り組みが進められております。
 一方で、多摩川対岸の川崎市殿町地区におきましては、ライフサイエンス分野などのイノベーション創出拠点の形成が進められております。
 こうした状況を受けまして、平成二十六年九月に設立されました、国、都、大田区、川崎市などで構成いたします羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会におきまして、羽田空港周辺地域と京浜臨海部の連携強化に向けまして、両地区の中央部を結ぶ連絡道路の事業の実現を目指すことといたしまして、連絡道路の都内区間を補助第三三三号線として計画したものでございます。

○神林委員 ただいま答弁にありましたとおりならば、羽田空港周辺地域と京浜臨海部の連携強化とは、具体的にどのようなことなのか伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 補助第三三三号線連絡道路の整備によりまして、羽田空港跡地地区と川崎市殿町地区の人、物、ビジネスの交流が活性化し、両地区の強みを連動させることで相乗効果の発現が期待されます。
 例えば、大田区の高度なものづくり技術と川崎市側のライフサイエンス分野におけますイノベーション創出や新産業創出のニーズを、羽田空港跡地地区の産業交流施設にてマッチング、支援することによりまして、新製品の開発や製品化が見込まれます。

○神林委員 ぜひ将来に向けて発展していただけるといいなというふうに強く感じております。
 さらに、連絡道路は多摩川を渡る橋梁として計画されており、計画位置には多摩川の生態系保持空間がございます。
 そこで、環境対策についてはどのように配慮されているのか伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 連絡道路の橋梁形式の検討に当たりましては、環境や景観などに配慮して行っております。
 具体的には、橋脚の位置を多摩川水系河川整備計画におけます生態系保持空間を改変しない位置に計画するとともに、河川内の橋脚を極力少なくすることで、橋脚の設置によります干潟や漁場への影響を低減しております。
 さらに、橋梁上部のケーブルをなくすことによりまして、鳥類の飛翔への影響にも配慮してございます。
 あわせまして、橋桁の厚さを可能な限り低減することで、景観にも配慮した構造としております。

○神林委員 ちょっと話が前後するのかもしれませんけれども、羽田空港跡地は、平成三十二年のまちづくりの概成を目指しております。
 連絡道路の整備スケジュールについても伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 連絡道路補助第三三三号線は、現在、都市計画の手続中でございます。
 今後は、今年度内に都市計画決定を行い、平成二十九年度に工事着手する予定としておりまして、必要な取り組みを進めてまいります。

○神林委員 羽田空港周辺においては、国道三五七号多摩川トンネルの整備が、どっちかといえばこちらの方が重要だと私は考えているんですが、大変重要なものでございます。
 都においても、これまで多摩川トンネルの整備推進を国に働きかけてきていると思いますが、多摩川トンネルの取り組み状況について伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会におきまして、国道三五七号多摩川トンネルの早期整備に向けて必要な取り組みを推進することとしております。
 このトンネルの整備に向けまして、国土交通省は本年二月、多摩川トンネルの地質調査に着手したところでございまして、今年度は設計を開始する予定と聞いております。
 今後とも、神奈川、東京、千葉を結びます広域的な都市基盤として、国に国道三五七号の早期整備を求めてまいります。

○神林委員 今ご答弁にありました国道三五七号線は、神奈川、東京、千葉を結ぶ大動脈でございます。最優先課題であることを決して忘れてはいけません。一日も早い開通に向け、整備を働きかけていただくことを要望しておきます。
 また、羽田空港跡地は、国際化が進展する羽田空港と一体となった新たな拠点として、今後の発展が大いに期待されるのみならず、東京全体の発展にとっても極めて重要なエリアであると認識しております。引き続き関係者で連携を図り、羽田空港跡地のまちづくりや空港周辺の基盤整備に取り組んでいただくことを、あわせて要望させていただきます。
 次に、外かく環状道路について伺います。
 外環の関越道-東名高速間は、東京二〇二〇大会開催までの開通を目指して整備が進められていますが、残る東名高速以南の計画は定まっておりません。先ほどお伺いした羽田空港へのアクセス強化とともに、高速道路へのアクセスが不便な地域を解消するためにも、計画を早期に具体化する必要がございます。
 超党派による外かく環状道路建設促進議員連盟は、東名高速以南の具体化について、国土交通大臣への要請を重ねてまいりました。そのかいもあって、国、都、川崎市で構成される外環の東名高速-湾岸道路間の計画検討協議会が立ち上がりました。
 そこで、外環の東名高速以南の必要性を改めて伺うとともに、計画検討協議会でどのような議論がなされたのか伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 外環の東名高速-湾岸道路間をつなぐことによりまして、東京圏全体の交通の円滑化はもとより、羽田空港や京浜港へのアクセスの向上や、災害時において、日本の東西交通の分断を回避させるなどの効果が期待されます。
 このため都は、先ほど理事のお話にもありましたけれども、外かく環状道路建設促進議員連盟と連携いたしまして、東名高速以南の早期具体化を国に要請してきた結果、具体化に向けた計画検討協議会が設立されました。
 協議会におきましては、三環状道路の整備効果はあらわれてきてはいるものの、第三京浜の起点が高速道路ネットワークと接続していないことや、また、環状八号線で慢性的な渋滞が発生していることなどの課題につきまして、関係者間で確認したところでございます。

○神林委員 ただいま答弁で、外環本来の整備効果を最大限に発現させるためには、外環を湾岸道路までつなげる必要があることを確認させていただきました。裏を返せば、環状八号線が慢性的に渋滞している原因は、本来あるべき外環がないためともいえるのではないでしょうか。
 このため、外環の東名高速以南の計画を一日も早く具体化すべきと考えますが、現在の検討状況と今後の進め方について伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 外環の東名高速以南につきましては、ルートや構造などが決まっていない状態となっております。
 現在、計画の具体化に向けた検討の進め方につきまして、国や川崎市と議論を行っているところでございまして、今後、計画検討協議会の場を活用して、早期に取りまとめを行っていきたいと考えております。

○神林委員 外環は、東京だけではなくて首都圏の、ひいては我が国にとって重要な道路であり、多くの方々が外環の早期完成を待ち望んでいると思います。計画策定のプロセスを明らかにして、広く都民の声に耳を傾けながら取り組んでいただきたいと思います。
 また、外環は、単に通過道路とするのではなく、地元にとっても利便性の高い道路とすべきですが、計画検討協議会には、本来空港と直結するルートに当たる世田谷区や大田区が入っておりません。
 都は、地元自治体の意向が十分反映されるように働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 計画の具体化に当たりまして、地元自治体の意向を把握することは重要だと認識しております。
 外環の関越道と東名高速間の具体化に当たりましても、地元自治体と意見交換を重ねて、理解と協力を得ながら進めてまいりました。
 東名高速以南につきましても、世田谷区、大田区など地元自治体の意向を十分に踏まえながら、国や関係機関とともに取り組んでまいります。

○神林委員 今、積極的に答弁いただきましたけど、やっぱりそうした会議に、例えば、大田区だとか世田谷区が出ていって、ご自分たちの意見を発表する場があっても決しておかしくないことだと思いますので、そういう機会がとれましたら、ぜひお願いしたいと思っております。
 大田区では、環状八号線や第二京浜の沿線に高速道路へのアクセスが不便な地域を抱えております。外環にインターチェンジを設置することにより、交通利便性が飛躍的に向上するのではないかと期待する声もございます。計画の具体化に当たっては、都が地元自治体の意向をしっかりと受けとめ、それを国にしっかりと伝えていただくよう強く要望しておきます。
 最後に、都営住宅の建てかえに伴い創出される都有地の活用について伺います。
 東京都では、老朽化した都営住宅の建てかえにより、バリアフリー化や防災性の向上を図るなど住環境の整備を進めてきており、その規模は年間三千八百戸程度と聞いております。また、建てかえに当たっては、敷地の有効利用などを図ることで新たな用地を創出しており、これまで保育所や特養などの福祉施設を初め、各種の公共施設を整備しております。
 平成二十六年に、東京都長期ビジョンでは、こうした創出用地のうち福祉インフラ整備への活用が見込まれる用地を選定し、平成三十六年度末までに三十ヘクタールを超える候補地を提供することを目標に定め、現在も取り組みを進めているとのことでございます。
 昨年の都市整備委員会では、福祉インフラ整備についての我が党からの質問に対し、都営住宅の建てかえで創出される用地の活用が着実に進んでいるとの答弁をいただいているところでございます。
 そこで、都営住宅の建てかえに伴い創出される用地を活用して、昨年十一月以降、どの程度福祉施設の整備が進んでいるのか伺います。

○草野建設推進担当部長 昨年十一月から本年十月までの間で、都営住宅の建てかえに伴い創出される用地を活用して、子育て支援施設二件、障害者福祉施設一件、高齢者福祉施設二件の計五件におきまして福祉施設が開設されたほか、さらに新規の二件において福祉インフラ整備事業の事業者公募を行っております。
 その結果、長期ビジョンを公表した平成二十六年十二月からこれまでに、計十三件の福祉施設が開設されております。

○神林委員 ただいまの答弁から、着実に福祉施設が整備されていることは理解できました。今後とも、一歩一歩、着実に取り組みを進めてほしいと思います。
 一方、待機児童の解消、高齢化対策は、いずれも都政の最重要課題の一つでありますが、都の現状を踏まえると、福祉施設の整備にとどまらず、多様な都民からの要望に対応していくことが求められているのではないかと感じております。
 地域にはさまざまなニーズがあり、行政サービスに加えて、NPOやボランティアなど多様な主体によるきめ細かいサービスを提供し、支援を行う取り組みが一層重要になってきております。こうしたサービスの提供を行う団体は、組織の財政的な基盤が弱く、活動の拠点も十分に確保されていないといった現状も見受けられます。
 私は、公共への貢献ができるスペースを有している都営住宅において、こうした活動を支援していくことも重要と考えており、これまでも機会を捉えて主張してまいりました。
 NPOなどの活動を支援するに当たっては、地元区市の主体的な取り組みが不可欠であると考えますが、都としても都営住宅の建てかえなどに合わせて、区市と連携して活動の場を提供するなど、さらなる取り組みができないのか伺います。

○草野建設推進担当部長 都としましても、地域ごとのニーズに対し、地元区市とも連携しながら、NPOなど多様な主体による活動を支援していくことは重要と考えております。
 都営住宅の建てかえに際しては、団地周辺の地域住民も利用できるホールや会議室などを備えた交流施設を敷地内に併設するなど、これまでも取り組んできたところでございます。
 今後とも、建てかえに伴って区市等が施設を併設する場合や創出用地を活用した民間プロジェクトを実施する場合に、地元区市や社会福祉法人がNPO等と連携して行う取り組みに、都も積極的に協力してまいります。

○神林委員 ただいま答弁いただきまして、都も積極的に協力していただくということでございますので、引き続きしっかりと協力していただくよう心からお願いしまして、私の質問を終わります。

○大松委員 私からは、まず大規模水害対策について質問します。
 近年の気候変動によりまして、雨の降り方が局地化、集中化するなど大きく変わってきているわけでございます。昨年九月に発生した関東・東北豪雨では、鬼怒川が決壊いたしました。
 この集中豪雨は、線状降水帯が原因でありますけれども、その線状降水帯の発生する場所によっては、利根川、江戸川、荒川などの流域で大きな洪水が発生し、都内で甚大な被害に見舞われていたかもしれないと指摘をされているところでございます。
 東京都は、首都直下型地震の切迫性が指摘をされているわけでありますけれども、この大規模水害の危機につきましても顕在化しているということを、このように認識をしていかなければならないと考えます。
 この大規模水害対策で大切なことは、堤防、下水道などの施設整備とともに、やはり何よりも住民の皆様方が逃げるべきときに逃げていただくこと、逃げおくれることのないようにすることでありまして、その避難体制を整えていくことが重要でございます。地震と比べまして、水害の場合は、前もって災害発生を予測できるわけでございますし、避難することも可能でございます。
 こうした観点から、都議会公明党は、台風発生時、また、台風が上陸するときなどの時間軸に沿いまして、行政、事業者、住民などが実行するべき防災行動を事前に決めておくタイムライン、これを流域ごとに作成すること等を提言させていただいているところでございます。
 この避難体制のうち、特に重要なのは大規模地下街でございます。東京都心部のターミナル駅周辺では、地下街や地下鉄が大規模な地下空間をつくっているわけでございまして、大規模水害時には、大量の水がこの地下空間に流入いたしまして、多くの人々の生命に危険が及ぶ可能性があるわけでございます。
 また、地域、場所によって心配される地下街への浸水パターン、これも異なってまいります。例えば、集中豪雨の内水によるもの、高潮によるもの、河川の決壊によるものなど、さまざまな浸水パターンを想定した避難誘導体制を構築していかなければならないと考えております。
 こうした観点から、私もことしの予算特別委員会におきまして、避難誘導体制の構築に向けての都の取り組みを求めてまいりました。
 そこで、大規模地下街における避難誘導体制の構築に向けた、これまでの都の取り組みについて伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 都は、昨年、新橋地区など九つの大規模地下街におきまして、地下街や隣接ビルの管理者、鉄道事業者、地元区など、関係者が連携して浸水対策に取り組むための協議会を設置いたしました。
 地区ごとの取り組みといたしましては、昨年七月に、渋谷地区で、緊急連絡体制や避難誘導方法などを定めました浸水対策計画を策定いたしました。
 これを参考に他の地区でも取り組みを進めまして、この夏までに全地区で計画を策定するとともに、これにあわせまして、迅速かつ的確に避難誘導を行うための情報伝達訓練を実施しております。

○大松委員 昨年の水防法改正によりまして、想定し得る最大規模の降雨を前提にいたしまして、河川からの洪水に加えまして、下水道からの内水氾濫や高潮による浸水想定が行われることになるわけでございます。
 それを踏まえた確実な避難誘導を確保するための対策が求められるわけでありますけれども、都の取り組みについて見解を求めます。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 水防法の改正を踏まえた対応についてでございますが、計画で定めました緊急連絡体制や避難誘導方法などは、浸水想定が見直された場合にも有効であると考えております。
 一方で、今後、浸水想定が見直された場合には、改めて浸水リスクを検証し、計画に反映させてまいります。
 水防法の改正以降、本年五月に、荒川の洪水浸水想定区域図が見直されましたが、これを受けまして、影響を受ける地区におきまして、浸水範囲及び浸水深さに関する情報を即地的に整理いたしまして、関係者間で情報共有を図ったところでございます。
 今後は、これを踏まえまして、必要に応じて避難経路の見直しなどを行ってまいります。

○大松委員 引き続き関係者が連携をしていただきまして、継続的に取り組んでいくことが重要であります。
 地下街の浸水対策につきまして、今後の東京都の取り組みについて所見を求めます。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 これまで取り組みを進めてきました大規模地下街に加えまして、今年度から、多数の店舗などが地下通路に接しています大手町、丸の内、有楽町などの六地区を新たに協議会に加えております。この六地区につきまして、現在、関係者が連携して検討を進めており、年内を目途に浸水対策計画を取りまとめます。
 これらの地区も含めまして、今後、新たな事業者が地下街へ接続する場合や管理者の変更があった場合などにつきまして、適宜、連絡体制の見直しなどを行ってまいります。また、来年の梅雨どき前に、全地区で情報連絡などの訓練を実施する予定でございます。
 今後とも、地下街の利用者の一層の安全性確保に取り組んでまいります。

○大松委員 特に地下街については、本当に、浸水が広がってしまいますと大惨事になってしまいますので、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、都営団地の駐車場について質問いたします。
 近年、高齢者が乗りやすいスライドドアを搭載した車幅の広い車の利用希望がふえてきております。このため、昨年の事務事業質疑におきまして、公明党から、車幅が広い車が駐車できるように、それまで百八十センチまでと定められておりました駐車場の使用基準を緩和するよう求めましたところ、他の利用者とのトラブル防止に配慮しつつ、年度内に使用基準の緩和を実施するとの答弁をいただいております。
 一年が経過いたしましたので、現在の状況について伺います。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅の駐車場の利用につきましては、本年二月以降の申請から、隣接区画に支障がないよう十分注意する旨の誓約書を提出していただくことを条件に、駐車可能な車両の車幅を百八十センチから百八十五センチとする使用基準の緩和を行っております。
 件数でございますが、本年九月末までの累計で四百十八件の申し込みをいただいております。

○大松委員 これまで、車幅が百八十センチを超えるために、都営住宅敷地内の駐車場に駐車できず、やむを得ず近隣の民間駐車場を借りていた居住者の皆様方が、この緩和で都営住宅の駐車場を使用することができるようになりまして、大変喜ばれているとの声も伺っているところでございます。車幅の拡大が進む中、柔軟に対応していただいたことにつきましては評価をするものでございます。
 しかしながら、この現在の対応は、あくまでも基準の緩和でありまして、駐車場の区画そのものが広くなったわけではありません。
 ファミリー世帯が大型の車を購入するケースもふえておりまして、今後は、より安全で使い勝手が向上するよう、区画そのものを拡大することが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○八嶋経営改革担当部長 車幅の広い車両の増加に伴い、駐車場利用者の安全性や利便性向上の観点から、区画の幅自体の拡大を検討することは必要であると考えております。
 一方、区画幅の拡大に当たりましては、敷地面積に限りがある中、実際にどの程度の割合でニーズがあるのか、また、駐車場附置義務への影響などを検証する必要がございます。
 このため、今後、駐車場の改修計画があり、駐車場附置義務に影響を与えないなどの条件を満たす団地での区画幅拡大の試行を行ってまいります。

○松村委員 初めに、都市づくりグランドデザインなどについて伺います。
 都市整備局は、都市計画審議会の答申を踏まえ、二〇四〇年代の都市の将来像を描き、その実現に向けた取り組みを示すため、都市づくりのグランドデザイン、仮称ですが、この行政計画を策定しますと、本年度の主要事業の概要で明らかにしています。
 グランドデザインの行政計画策定に当たっての工程表は、先ほど他の委員の質問で、来年度中を目途に取りまとめる答弁がありましたので、質問は省きますが、その中で、庁内での検討を進め、区市町村の意見を聞くとありました。
 都民意見はどう聞くのですか。当然、パブリックコメントはやると思いますが、その考えをお聞きします。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市づくりのグランドデザインにつきましては、本年九月に都市計画審議会から答申をいただいたところでございます。この答申を踏まえまして、委員からご指摘のありましたとおり、来年度中を目途にグランドデザインを取りまとめてまいりますが、今後、庁内での検討を進め、区市町村の意見を聞くとともに、パブリックコメントを行うなど、都民の意見も聴取した上で策定を進めてまいります。

○松村委員 二〇二〇年に向けた実行プラン、これは仮称ですが、既にこの策定がスタートし、十一月中旬にパブリックコメントの実施としていますが、この都市づくりのデザインと実行プランとの位置づけ、関連性などをお示しいただきたいと思います。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 二〇二〇年に向けた実行プランは、今後の都政の具体的な政策展開を示すため、長期ビジョンの現行の三カ年の実施計画にかわる新たな計画として、平成二十九年度から平成三十二年度までの四カ年を計画期間として策定するものでございます。
 都市づくりのグランドデザインは、都市計画審議会からの答申を踏まえまして、二〇四〇年代を見据えた都市像と、その実現方策や方向性を示すものであり、実行プランで示される四カ年の政策展開との整合も図りながら、その内容を検討してまいります。

○松村委員 具体的な事業量などを示す性格のものではないということですが、もちろん今、答弁にありませんでしたけれども、私、それぞれということで、一つは今の二〇二〇に向けた実行プラン、これはもちろん事業量とか示すんですよね。あとは意見を述べますので、そのことについてもう一回確認しておきます。だって今つくる、三カ年に向けた実行プラン、それもないんですか、事業量というか、その二つを聞いたんです。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 今のご質問は、二〇二〇年に向けた実行プランに事業量が示されるかというご質問かと思いますが、都市整備局の所管の事業ではございませんので、答弁することは差し控えさせていただきたいと存じます。

○松村委員 当然、例えば、今、現に進めてきた長期ビジョンにおいても、これは十年計画ですけれども、それのやはり三カ年事業計画というのがありまして、その事業量というか、都市整備局の所管にかかわるものなども含めて出しますよね。当然それを受けた実施だというふうに思いますから、やはり都市整備局として今示せないとか、示す性格ではないというグランドデザインとは違うでしょうということを今お聞きしたんですけれども、その点を指摘しておきます。それはやっぱり、どういう事業量にするかということは、しっかり示すべきだというふうに思うんです。
 私は、二〇四〇年代までに実現する都市構造は、答申には、ここに持っていますけれども、環状メガロポリスを発展させ、さらに、より広域的に交流、連携、挑戦を促進する都市構造への転換と。具体的には、環状方向の道路ネットワークに加え、放射方向も含む道路、鉄道ネットワークを最大限活用、進化させ、網の目状の交通網を形成すると。
 それから、国際競争力などの観点から必要な道路--既に都市計画道路の四次、見直すチャンスがあり、ほかの他府県では見直しているのが、全部いろいろな項目を設けて、いろんな住民や関係する区市の自治体、行政すらが意見をいっているのに、それを進めるというような態度をとっているから、非常に心配されるというか、懸念される問題として指摘したいんです。
 私も都市計画審議会委員として、この答申の取りまとめに当たって、中間のまとめでも、最終答申でも、意見は既に出しましたけれども、この答申を検証なく、まともにやったら、どんな都政になるのかということです。
 既にこの間の都政のお金の使い方を見てもはっきりしています。東京都の普通会計決算で見ると、十年前を一〇〇%とすると、二〇一五年、平成二十七年の歳出総額の決算額は一〇六%、つまり歳出予算は六%しか伸びてないんです。ところが、一方、普通決算事業費は一一五%となっています。
 つまり、予算の歳出の伸びが六%であるのに対し、建設事業費は一五%も伸びているのです。結局、外環道などの大型道路や都市計画の再開発などを優先して事業費を投入してきた結果であるといえます。
 さらに、舛添前都政の長期ビジョンは、三カ年の事業費として、大型道路整備や都市の再開発などに事業費全体の二六%を投入する。一方、福祉の充実の事業費はわずか八%にすぎないものでした。
 今、都政に求められているのは、これまでの大型開発優先路線を見直し、都民の福祉、暮らしを最優先に転換することです。なぜなら、都民生活の現状を見れば、保育園や介護施設の大幅な不足、保育士や介護士の担い手不足、非正規労働者の若者や実質賃金の目減りによるワーキングプアの増大など、さまざまな課題に直面し、これを打開していくのにどう全力を挙げているかということが都政に求められているのです。
 ところが、先ほども申し上げましたけれども、答申された都市づくりのグランドデザインには、この答申を検討してきた専門委員会からも、生活者の視点からの都市づくりは余り検討されていないと。中に入って検討してきた専門委員からも、都市づくりというのは、何もハードの都市構造だけじゃないんだ、都民生活の現状もあるんだ、検討されてきていない、余りにも弱いという懸念の心配が最終答申をするに当たって出されるような状況でした。
 全体として強調されていることは、概成する環状メガロポリス構造を最大限活用した、さらなる都市づくりです。新たな幹線道路や開発事業に財源を使い続けるならば、当然都民生活を守る福祉の充実は進みません。
 加えて、都は年次財務報告で、第三者機関の推計値として、社会資本ストックの推進維持経費は、今のつくられたものを維持更新するだけでも、今後二十年間の増加額の累計は約二兆三千億円になると将来推計値を公表しています。
 新たな都市づくりなどをやっている場合ではありません。都市整備局の計画も、新規の開発や投資は極力抑制し、維持更新を中心に据えるまちづくり、再生修復型のまちづくりともいえるものに全力を挙げるべきだとの意見を述べて、次の質問に移ります。
   〔五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長発言を求む〕

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 二〇四〇年代は、これまで経験したことのない少子高齢、人口減少社会の到来、グローバル化の一層の進展など、国内外の社会経済情勢は大きく変化していることが想定されます。
 そうした中にあっても、東京が、世界における役割や日本の首都としての役割を担い続け、世界や日本の活力をリードするとともに、自由自在な交通ネットワークのもと、ゆとりを楽しみ、ライフスタイルの多様化に柔軟に対応できる都市を目指さなければならないと考えております。
 そのためには、将来を見据えた長期的な視点からの都市づくりを進めていく必要があり、二〇四〇年代の都市像とその実現方策や方向性を示す都市づくりグランドデザインを策定し、取り組んでまいります。

○松村委員 さまざまな捉え方や考え方や、都民の求める方向を、四〇年代にはこういう東京をつくっていくということは結構で、大いにこの答申案も都民と議論して、充実させたいという意見も出されておりました。
 しかし、だからといって、財源、財政を、無限にというか、今までのようなやり方で使い続けるということにはならないと。ハード局の仕事をやると、都市整備局の意欲はわかりますけれども、全体を見ながら、先ほどいった維持更新にもお金がかかるんだし、限られた財源ですよ。そういうことを繰り返しいっているわけだから、そういうことを中心にしたやり方に都民とともに進むべきだと。
 少なくとも、例えば、都市計画の優先整備路線、幾らでも見直すチャンスはあったじゃないですか。それをいろんな、人口減少時代だから道路は要らないというような都民世論が起きないように、いかにそのことを隠しながらということはいい過ぎだから、いいませんけれども、そういう形で進めたということが、後で私たちが情報開示請求で、都民とともにとった中にそういうことがはっきり裏づけられているということも強く指摘しておきたいというふうに思います。
 次に移ります。
 築地市場の豊洲移転に関連して、豊洲区画整理事業について質問します。
 もともと都市整備局もかかわる豊洲、晴海開発計画は、一九九八年、平成十年の改定計画で、ほぼ区画整理事業の換地計画が合意されていました。それが、築地市場の豊洲移転を二〇一一年、平成十三年に決定したことから、これを受けて、豊洲、晴海計画も再改定されました。
 そして、土地区画整理事業計画の変更を行っております。新たな市場を前提とした換地を見ると、豊洲駅前の、それまで港湾局の土地であった一、二街区が先端部の六、七街区に移り、逆に東京ガスが豊洲駅近くの一等地を取得しています。
 そこで、平成十年の計画では、換地設計がどのように合意されていたのか。それが、築地市場が豊洲に移転することによって、どのような考え方で換地設計を行ったのか伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 豊洲土地区画整理事業における換地設計につきましては、各地権者の意向を踏まえ、平成十年一月に都と民間地権者で締結した豊洲地区開発計画に係る基本合意におきまして、概略の換地設計として合意されております。
 その後、平成十三年に市場の移転が決定したことを踏まえまして、新市場が本区画整理事業地内に移転することを前提に各地権者等で協議を行い、平成十四年七月に都と民間地権者で締結した豊洲地区開発整備に係る合意におきまして、改めて概略の換地設計として合意したものでございます。

○松村委員 平成十四年の権利者の合意とはどういう中身だったのか、重ねて伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 平成十四年七月に都と民間地権者で締結しました豊洲地区開発整備に係る合意においては、新市場が五、六、七の各街区に移転することを前提とした換地設計案である概略換地図により合意されております。

○松村委員 この換地図、換地前を見ると、これが港湾局というか東京都の一街区ですよね。ところが、新たに換地--それでこちらが東京ガス、子会社の豊洲開発。ガス製造工場の跡地だったものがこちらに移り、そして豊洲開発がこちらに移り、港湾局とかがこちらに移ったというのが今のご答弁ではっきりしたというふうに思うんですけれども、ここに平成十四年七月三十一日、東京都と民間地権者、民間地権者というのは東京ガス、その子会社の豊洲開発、それから東京電力株式会社、東京鉄鋼埠頭株式会社の四者が豊洲地区の開発を着実に推進していくため、次のとおり合意するとの合意書を交わしています。
 この中の基本的事項には、「ゆりかもめ」の延伸や防潮護岸整備とともに概略換地図に基づき、現行事業計画の変更を行い、土地区画整理事業を着実に推進するとあります。このとき既に市場の位置も合意されているんです、市場はここですよという。
 ところが、換地図を見ると、わざわざ東京都の土地がさっきの市場予定地に移されて--関係権利者が合意すれば、何でも成り立つということなんでしょうか。なぜそういう不利な合意をしたのか。合意の理由を都民に説明する責任があると思います。
 それは港湾局の土地で、他局のことはわからないのであれば、そういっておりましたから、平成十年の計画では保留地は都市整備局が受け取ります。都市整備局の所管ですから、どこに配置されていたか。さらに、市場を前提として、都市整備局が保留地として取得した場所が市場予定地内に配置された理由を伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 土地区画整理事業で生み出される保留地は、公共の利用やまちづくりに活用されるとともに、その処分費用は事業の財源に充当されます。
 平成十年一月に合意しました都と民間地権者による基本合意では、本地区の保留地は、二、三、四、六の各街区に配置する案でありました。
 その後、平成十四年七月に市場移転を踏まえて合意されました概略の換地設計に基づき、豊洲新市場用地として中央卸売市場に売却することを想定し、五街区内に配置いたしました。

○松村委員 今の市場が来ない前の各地権者、もちろんこれは東京都も入っておりますけれども、そこでの合意の保留地は、二、三、四、六街区。だから、土壌汚染のない二、それから三、四ですか、あと一部、六街区ということですから東京ガスの汚染地域ですけれども、そういうふうに明らかに話し合って、私は公平じゃないけれども、納得のいくというか、都民が見ても、そういう換地だなというのがわかるんですけれども、わざわざ今度、新たな保留地というふうになったのは、ここですよね、東京ガスのまさにガス製造工場の跡地そのもののところにやはり移されている。
 もともと、だから何でそういうことをやったのか。市場が来ることになっているわけですね。その市場が東京ガスから用地を買えばいいのに、わざわざそれを区画整理だからといって、換地をやって、しかも東京都が、貴重なというか、そういう処分をして、事業費に充てる保留地をそういう汚染の強いところに持ってこなければいけないか。私は、理解できない換地に合意したわけですから、全く都民には説明になっていないというふうに思います。
 さらに、最大の問題は、深刻な土壌汚染の問題です。換地に当たって、土壌汚染がどう評価されたのか全く不明瞭です。
 土地の評価に当たって、土壌汚染をどう考慮されているのか伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 豊洲地区内の汚染土壌対策につきましては、平成十四年七月に締結されました豊洲地区開発整備に係る合意におきまして、各地権者は、環境確保条例に基づき、従前の所有地に対して必要な土壌汚染対策を実施することを確認しております。土地区画整理事業の実施に当たりましては、このことを前提としており、換地設計における土地の評価に当たりましては、土壌汚染に関する事項は考慮しておりません。
 なお、平成十四年七月の確認以降、土壌汚染対策の実施につきましては、土地区画整理事業とは別に、従前と従後の地権者の間で必要な協議が行われ、これに基づき適切に履行されているものと認識しております。

○松村委員 土壌汚染は評価されていない、考慮されていないということなんですが、ちょっとこれを見ていただきたいんです。ここが今、都が取得した保留地ですよね。ここはまさにコークス炉。石炭、ガス製造時にはコークス炉が--ここがさらに触媒、ヒ素化合物使用箇所と。これが実際の航空写真というか、なんですけれども、ここにそういう建物、清掃工場が、第一コークス炉、第二コークス炉、それから油ガス発生装置とか、ボイラー低圧のだとか、集中している。
 だから、ここからは高濃度の汚染物が出るということが明らかで、ここを何で保留地に配置されて、はいそうですかと合意したのかということがまずけしからんというか、おかしな問題だと。都民の立場から見れば、そう思うわけですけれども、先ほどいいましたように、さらにこの土地を保留地として受け取っても、それを評価していない。
 次の質問です。
 保留地の土壌汚染対策を東京ガスがどのように行って--汚染されていないことを確認して、土地を取得するのが私は当然だと思うんですよ。その点はどうでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 本地区の土地区画整理事業におきましては、保留地の設定に当たって、先ほど答弁いたしました換地設計と同様に、土壌汚染に関する事項は考慮しておりません。

○松村委員 それは、汚染原因者が全て取り除いて処理をすると、そういうふうになっているということを前提とした今の換地設計。もしくは換地されても、そこを次に売り渡す、例えば、市場に買ってもらうという場合には、既に汚染がないんだと。だから、そういう、ないものとして土地の売買契約になっている。私も財産価格審議会の当時の議事録というか、読みましたけれども、既に土壌汚染が処理されているものとしての取引だから、その点は考慮していないんだと。もしくは全然環境汚染に触れないで、土地の鑑定評価を行っているというものです。
 石原元知事は、中央区長に対する回答で、新市場予定地の土壌汚染については、汚染原因者である東京ガスの責任により処理を行うと。東京ガスが、環境確保条例に定める汚染土壌処理基準の十倍を超える汚染土壌については、全て処理基準以下となるように処理する。また、十倍以下の汚染土壌についても、条例で定める土壌汚染対策指針に基づき、用地全体を覆土し、飛散を防止することとしていることから、安全性に問題ないと。
 特に市場は生鮮食品を扱うものであり、安全をより一層確実なものにするため、少なくとも盛り土後の地盤から四・五メートルの深さまでは全て処理基準以下とする。処理基準以下となっているかについては、環境大臣が指定する指定調査機関が調査を行う。処理が適切に行われているかについては、東京都が確認を行う。これらの処理は、仮換地として地権者に引き渡されるとき、または保留地として処分されるときまでに完了することとしていると。その後、中央卸売市場は地権者から土地を取得すると明確に述べております。
 それでは、都市整備局は、この五街区の保留地七・二四ヘクタールを平成十七年度と十八年度に四百五十億円で市場に売っていますが、このとき土壌汚染の有無をどのように確認したのですか。この金額、四百五十億円は汚染土壌がないとの前提にした額ですか、お答えください。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 本土地区画整理事業におけます保留地は、市場の移転予定地の一つであります五街区の一部であり、従前の地権者は東京ガス豊洲開発株式会社であります。
 平成十四年七月に締結されました都と民間地権者による合意においては、各地権者は、環境確保条例に基づき、従前の所有地に対して必要な土壌汚染対策を実施することとしております。これに基づき、東京ガス豊洲開発株式会社などは、環境確保条例に基づく汚染土壌の処理を行い、平成十八年三月に完了し、知事に完了届を提出しております。
 土地区画整理事業者であります都市整備局は、この完了を確認した上で、五街区の保留地を中央卸売市場に売却いたしました。四百五十億円の売却額については、土壌汚染の件については考慮していない前提で算出しております。

○松村委員 処理を行ったということを確認したという今の答弁でしたけれども、私は改めて、この完了確認書というんですか、完了届書、これは写しですけど、たくさんの完了確認書があるんですけれども、これは汚染処理じゃないんですよ。確かに環境確保条例に、拡散させないとか、そういうことがあるんでしょうけれども、汚染拡散防止措置、つまり盛り土をしたとか、そういう類いでしょう。完了届には汚染処理、そして汚染拡散防止措置という二つがあるけど、わざわざ汚染処理は消して、それが完了したと。
 だったら、結果というか、後から見れば、四万三千倍のベンゼンだとか、シアン化合物が八百倍、九百倍出たということから考えれば、この完了届で確認したからということで、それを市場に売るということは問題があるのではないかですか。そもそも、もしそれが--だから土壌が完全に大丈夫だと。
 市場という食の安全・安心が最も求められる市場に売って、もし出たならば、当然その処理を汚染原因者の東京ガスに私は求めるべきだと思いますけれども、その点については再度、今現在でも、やはり保留地を取得して市場へ売却した、そういう立場からはいかがでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 先ほど委員からお話がありました完了届、これは環境確保条例に基づく処理の完了届でございます。先ほど答弁いたしましたように、平成十四年七月に締結されました都と民間事業者の合意では、環境確保条例に基づき、従前の所有地に対して必要な土壌汚染対策を実施するということでございます。これに基づいた処理でございます。
 それから、もう一つ、土壌汚染対策につきましては、平成十四年七月の確認以降、土地区画整理事業とは別に、従前と従後の地権者の間で必要な協議が行われ、これに基づき適切に履行されているものと認識しております。

○松村委員 環境確保条例をよりどころとしていますけれども、そもそも東京ガスは、大変な処理費用がかかるということで、売る意思はないということをはっきり表明していたんですね。それを濱渦副知事が、年表を見ると、日参して、それで基本合意。東京ガスがその一カ月前に、高濃度の、あのときは一千四百倍でしたか、ベンゼンがとか発表した。その二月に、これからいよいよ協議を開始すると。東京都は豊洲を市場にするということを決めて、基本協議を始めるという基本協定をやったんですよね。
 それで、最終的には、ちょっと年表が今あれですけれども、合意書が、さっきいった地権者同士でやったときに出てくるんですよ。土壌汚染の対策はどうするか、環境確保条例に基づく処理をするという。だから、環境確保条例というのは、盛り土等で飛散、拡散しないだけの処理を、今の答弁によって、それをやればいいんだと、それで恐らく、恐らくという言葉は使いたくないですけれども、合意になったと思うんです。
 といいますのは、ここに、東京ガスが当時どういう認識を示していたのかをもう一つ紹介したいんですけれども、東京ガスの当時の副社長から都への質問に対する回答書、これは当時は福永副知事の名前で出しております。そこに、平成十二年六月二十七日に当時の福永副知事から出されていますが、その中で、当社、東京ガスは現時点で先端部譲渡の意思はありませんとした上で、豊洲用地は工場跡地であり、土壌処理や地中埋設物の撤去などが必要ですと。
 弊社では、土壌の自浄作用を考慮した、より合理的な方法を採用し、長期的に取り組む予定でありますが、譲渡に当たり、その時点で処理ということになれば、大変な改善費用を要することになりますと、土壌汚染に莫大な費用がかかることも理由に挙げて、譲渡の意思はありませんという、こういう認識を示しているんですね。
 ところが、東京都の土壌汚染に対する認識が全く欠如し、恐らく環境確保条例、飛散、拡散しないように土盛りすれば、それでオーケーというような、合意を行う中でずっと始まってきている。
 結局、東京都の土壌汚染対策に対するそういう認識のもと、またはそういうことを東京ガスと約束しながら、原因者責任である東京ガスの汚染対策をうのみにして、用地買収を進めたという結果です。それが二〇〇七年の都知事選で大問題となり、石原知事は豊洲の汚染問題の再調査を主張し、その後、専門家会議が設けられました。
 都が専門家会議の発足後の二〇〇八年に行った調査結果で、ベンゼンが基準値の四万三千倍、シアンが八百六十倍検出されました。その後、専門家会議から盛り土案などが提案されましたが、敷地全体の四分の一に当たる建物下には、それすらやっていなかったことが我が党の調査で明らかになりました。
 また、土壌汚染対策費も、本来原因者責任であるにもかかわらず、八百五十八億円執行されたにもかかわらず、東京ガスの負担は七十八億円にとどまっています。これも今後解明し、都民が納得できるようにただしていかなければならないというふうに思います。
 もう一つ、地中、地下の埋設物はどう処理されたのでしょうか、この件についても伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 地下の埋設物でございますが、保留地に関して申し上げますと、本区画整理事業におけます保留地の価格の算定に当たりまして、土地評価額から地下埋設物の撤去費用相当額を差し引いた額として定めております。

○松村委員 先ほどの保留地をちょっと拡大したものですね、この保留地に一番から三十三まで振ってありますけれども、これは残置された地中障害物。この建物を見ると、先ほども紹介したように、コークス炉とか、ここに本当にめじろ押しになっているんですよ。ちょうど保留地のところです。
 さらに、どのぐらいか。建物の配置図は、全体でこれだけの建物があったところですから、当然地中、地下の埋設物があると。これも資料を私、手元にあるわけですけれども、地中埋設物だけでも、保留地に残されていたのは五千九百八十本。コンクリート基礎とか、PC杭とか、鋼管杭、五千九百八十本残っている。あと、地下埋設物の、これもどういうものがあるか--合計一万七千九百十一本の、そういう地中、地下の埋設物があるということです。
 これを東京ガスが、または豊洲開発株式会社がやらずに、それを、この場合だったら保留地を受け取った都市整備局、そうでなければ港湾局というような処理になったという合意書なんです。合意で、来ているわけですよね。
 じゃあ先ほどもいいました、これを市場に五百五十八億円で売ったわけですけれども、失礼、今のは土壌汚染対策費の総計でした。
 この地下埋設物の金額、除去した処理費用というのはどのように積算されて、その金額が先ほど示した数字から差し引かれたのでしょうか。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 保留地の売却に当たりまして、地中障害、地下埋設物の処理の相当額、これを算定しております。この保留地に関しましては約十一億円になりまして、この十一億円を差し引いた額、四百五十億円として、中央卸売市場に売却したものでございます。

○松村委員 市場予定地を、もとは東京ガスのガス製造工場跡地、四十ヘクタール近くが、全部市場に既に売られたわけですけれども、例えば、民間会社だと東京鉄鋼埠頭などがあります。あと、港湾局とか、さっきいった保留地。
 しかし、その一平米単価、買収の面積と金額が既に委員会資料に出されております。その一平米単価がまちまちというか、財務省が出てきて、どこが財務省なのかよくわかりませんが、一平米百万と。それから大体今の保留地は割り返しますと五十一億だとか、そういう金額です、たしかね。それが今いった十一億ですか、その中に入っているんだといっても、確かな根拠なのかどうか、さらに私どもも詳細な調査を行って、都民が納得できる、都民の税金ですから、解明していかなければならないということを申し上げておきたいというふうに思います。
 もう一つ、最後に、まだ時間は大丈夫ですね、簡単にやります。
 もう一つ重要なこの土地の開発には防潮護岸が欠かせません。防潮護岸についても、当初東京ガスなどの開発者負担であったものが、市場と港湾局が負担することになった問題です。
 防潮護岸は当初、土地区画整理の中で開発者負担により整備するスキームだったはずが、なぜ結果的に市場と港湾局が負担し合うことになり、開発者負担を求めなくなった理由を伺います。

○奥山市街地整備部長選手村担当部長兼務 防潮護岸の整備につきましては、当初、土地区画整理事業区域に編入する予定でありました。
 その後、平成十三年に築地市場の豊洲移転が決定したことに伴い、土地利用に大幅な変更が生じたこと、また、中央卸売市場が新市場予定地の前面部の防潮護岸の所有権を取得することとなったことなどによりまして、防潮護岸は土地区画整理事業に編入されないこととなりました。

○松村委員 もともと、豊洲、晴海開発計画にとって、とりわけ豊洲は、高潮対策のため防潮護岸が大前提だったんです。それをやらなければ、ここは開発ができないということで、全て合意して、しかもその土地を最大持っている東京ガスが、防潮護岸、もしくは道路をつくりますから、そういう意味では減歩で土地区画整理事業を成り立たせようと。しかし、そこは明確にスキームとしてはやっぱり開発者負担になっていたわけなんですよ。
 それがいつの間にか、今いった全体の区画整理事業から外すというような、こういうことになってきたということについては、全くこの問題でも、開発者負担を免罪するなどということは、都民が納得できるものではありません。この問題も引き続きただしていかなければならないということを申し上げて、質問を終わります。

○栗林委員 最後の質問になりますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、都市づくりのグランドデザインについて伺います。
 二〇四〇年代には高齢化率が三割を超えるなど、本格的な少子高齢、人口減少社会を迎えることになります。二〇二〇年東京大会というこのチャンスを活用して、東京を持続的に発展させていくためには、都民のライフスタイルや技術革新など、今後のさまざまな社会の変化を視野に入れて、長期的で広域的な視点で取り組む必要があります。
 事業概要の中の二六ページにも、都市づくりの目標、二つの大きな理念と、それを実現するための七つの分野の横断的な目標を掲げていらっしゃいます。経済、災害、環境、文化、芸術、スポーツなどを盛り込まれて、非常に注目しております。特に私は五番、六番、七番ですね、ここに注目しております。
 二〇四〇年代を見据えた将来の都市づくりに関して、ことしの九月、都市計画審議会から答申が出されました。今後は行動計画の策定に向けて取り組んでいくとのことですけれども、将来を見据えた都市づくりを今から考えていくことは大変重要なことでございます。緑豊かな健康的な東京を実現させていただきたいと思います。
 そこで、六番にございます四季折々の美しい緑と水を編み込んだ都市の構築とございます。そうした観点から質問させていただきます。
 まず、緑あふれる豊かな都市環境の創出についてです。
 将来、東京のまちが、住んでいる人も、働いている人も、また時々訪れる人、全てにとって潤いを感じさせる美しい都市であってほしいと願うところでございますが、そのためには緑が果たす役割が非常に大きいのではないかと考えます。住宅地はもちろんですけれども、都心の繁華街であっても、緑豊かな都市環境をつくっていくことが重要でございます。
 また、緑は、人々の生活に潤いを与える効果を持つだけではなくて、猛暑時には熱中症対策、ヒートアイランド対策など、環境対策としても有効です。そうした緑の効用を十分に意識しながら、都市のあらゆる場所で緑を創出し、活用していくべきであります。
 緑あふれる豊かな都市環境の創出をどのように進めていかれるのか、まず伺います。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市計画審議会の答申では、都市づくりの目標の一つに、四季折々の美しい水と緑を編み込んだ都市の構築が掲げられ、人々の暮らしにゆとりや潤いを与えるとともに、四季折々の美しい風景を創出していくべきとしております。
 具体的には、緑や水を都市の骨格として位置づけ、広域的なネットワーク化を図ることや、緑が充実した街路や公開空地の整備、屋上、壁面緑化の推進などにより、ヒートアイランド現象の緩和や、ゆとりや潤いの創出を図ることが重要としております。また、郊外部においては、公園や農地などの地域の資源を生かして、ゆとりや憩いを生み出し、都民の快適で豊かな生活に寄与する空間を確保すべきとしております。
 今後、答申の内容を踏まえて、地域における身近な緑や都市開発におけるまとまった緑、道路、公園等の公共空間における緑など、さまざまな都市空間の中に緑を編み込むことで、東京を潤いある都市としていけるよう、具体的な取り組みについて、都市づくりのグランドデザインの中で検討してまいります。

○栗林委員 よろしくお願いいたします。
 私の地元世田谷は、みどり三三という運動を展開しております。バッジもちょっと今つけ忘れて失敗したと思ったんです。バッジもつくっておりまして、みどり率三三%を目指しましょうということで、都市農地の保全とか、また、屋敷林の保全等々、そういったことにも取り組んでまいりましたので、大変期待をするところでございます。
 インドで緑の父といわれているスワミナサンという博士がいらっしゃいまして、インドの緑の父といわれている方です。この方がこういう言葉を紹介していらっしゃるんですけれども、アメリカの先住民族の言葉の中に、樹木は天を支えている、この樹木を伐採すると、天が落ちてきて、人は皆死んでしまうという、とてもわかりやすい自然界との関係をあらわしている先住民族の言葉ですけれども、それだけ緑というものは、最大の防災にも、そういう役割も果たしていると思っております。ぜひグランドデザインの中にしっかりと織り込んでいただきたいと思います。
 そして、次が五番、七番のところなんですけれども、生活を支える拠点の集約化と多様なコミュニティの創出ということが五番です。七番が文化、芸術、スポーツによる都市の新たな魅力の創出というものが盛り込まれております。大変重要な視点であり、公共空間をさらに活用していくことが重要でございます。
 特に健康増進とコミュニティの創出という点から、公共空間の活用による健康的な都市づくりについて伺います。
 日本人の平均寿命が男女ともに八十歳を超えまして、女性は世界二位、男性も世界四位の長寿国であることは大変誇らしいことであります。これからますます高齢化が進み、高齢人口がふえる中で、健康寿命を延ばすことが大変大事になると思います。その点で道路や公園などの公共空間の活用のあり方は、まだまだ工夫の余地があるのではないかと思います。
 海外では、よく民間団体が、道路などを使って、自由にさまざまなイベントなどを行っている光景も見受けられますけれども、道路や公園の使い勝手をよくして、さまざまなイベントを実施し、東京に暮らす、また訪れる人が楽しく集い、体を動かし、スポーツを行い、語らう場として活用していくことが、健康寿命にもつながるのではないかと思います。こうした取り組みは、丸の内仲通りなど、東京でも既に一部では始まっていますが、さらに都内全体に広げていくようにしていただきたいと思います。
 将来の都市づくりにおいて、さまざまな公共空間をどのように活用していくのか伺わせていただきます。

○五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市計画審議会の答申におきましては、二〇四〇年代には高齢化が進展する一方で、高齢者の健康寿命がさらに延びることや、人々のライフスタイルや価値観が多様化することを想定しており、こうした状況に柔軟に対応できる都市を目指すべきとされております。
 例えば、将来の道路ネットワーク形成により、円滑な交通が実現する地域において、道路空間を再編することで、歩行者の回遊空間などを確保し、ゆとりやにぎわいなどの機能を高め、付加価値の創出を図るべきとしております。
 また、道路、公園などの公共空間の活用に際しては、地域コミュニティと連携した民間主体が管理運営できる仕組みをつくることで、芸術、文化、スポーツの活動の場等として活用することも、東京の魅力として発信すべきとしております。
 今後、答申に示された方向性を踏まえまして、高齢者を初めとする、人々の多様なライフスタイルにも対応しながら、公共空間を新たな魅力創出の場としても活用できるよう、さらに具体的な方策を検討し、都市づくりのグランドデザインの中で示してまいります。

○栗林委員 国土交通省も二〇一四年に、国土のグランドデザイン二〇五〇を発表されていますが、そこにも少子高齢化、グローバル化、巨大災害、インフラの老朽化等と危機意識の共有というものがうたわれています。その中で国も、コミュニティの再構築という、そういう項目も挙げています。
 こういうところがありました。価値観が多様化し、単身世帯の急激な増加も予測されている中、住民同士をつなぐコミュニティを、必要に応じ再編することも含め再構築するとともに、多世代循環型のサステーナブルなものにしていく必要があるというふうにいわれておりまして、全く本当そうだなと思います。
 十五、六年ぐらい前になりますけれども、そのときサステーナブルコミュニティというまちづくりの考えが非常に話題になりました。緑を中心とする広場とか、公共空間を利用したコミュニティスペースとか、そういうものを各所に設けたり、人が集まりやすくするまち。また、住宅街の道路は抜け道に利用されないように歩行者優先の道路とするため、ところどころには道路に花壇をつくったり、スピードを抑制する地区、工夫をしたり、また中には車道を一方通行にして、スペースの半分は自転車専用道路、こういったものにするなど、そういう取り組みを推進する、まさにヒューマンスケールのまちづくり、こういったことが話題になっていました。
 なかなか今日まで具体化するのは難しかったんですけれども、今後、高齢社会、また人口減少社会になることを考えますと、少しゆったりと、ゆっくりとした社会、そういうサステーナブルコミュニティ、この実現が可能になるのではないかなと思います。
 都市整備局さんが進めていらっしゃる三環状道路が整備されて、都市計画道路など、そういった基幹道路が整備されて、道路交通のネットワーク化が図られると、危険がいっぱいの狭隘道路とか、住宅街など、そこが抜け道等で利用もされなくなり、暮らしの道ゾーン、今、ゾーン三十とかいわれていますが、ゾーン二十でもいいんじゃないかなと思うぐらいなんですが、そういう暮らし優先の道路に、また昔のような道路がよみがえってくるのではないかなと思います。
 そして、子供の遊び場になったり、また高齢者の語らいの場になったり、また認知症になって徘回しても心配のないまちという、そういったものがつくられてくるのではないかなと思いますので、どうぞ東京の未来に安全と安心を感じるグランドデザインに期待させていただきます。
 次に、住宅に移らせていただきます。
 東京都住宅政策審議会の答申について伺います。
 人口減少社会を見据えた住宅の基本的な考え方から何点か伺います。
 都内で住まいの安定を図ることは簡単ではございません。土地や建物、また賃貸の場合でも家賃などは高額です。東京で住むということは大変なことです。だからこそ、子育て世代にとっても安心して産み育てられる環境、それには住宅の確保が大変重要です。また、高齢者にとっても、自分の健康状態に合わせた住まいというものが大事になってまいります。
 初めに、少子高齢化が進展する中、豊かな住生活の実現のためには、住宅セーフティーネットの役割がますます重要となると考えますが、見解を伺います。

○田中住宅政策担当部長 住宅は生活の基盤であり、都民の居住の安定確保は極めて重要でございます。中でも、高齢者や子育て世帯等に対しては、特に配慮が必要であると考えております。
 都営住宅におきましては、セーフティーネットの中核としての機能を果たすことが重要であり、これまでも、こうした配慮が必要な世帯に対して、優先入居などを実施してまいりました。
 一方、少子高齢化などの社会情勢の変化を的確に踏まえるためには、民間賃貸住宅の活用を進めることが重要であり、都はこれまで、区市町村居住支援協議会の設立や活動への支援等を通じ、住宅確保要配慮者の入居の円滑化を図ってまいりました。
 今後とも、少子高齢化の進展など社会経済情勢の変化に応じ、公共住宅に加え、民間住宅も含めた重層的なセーフティーネット機能をさらに強化し、都民の居住の安定の確保を図ってまいります。

○栗林委員 私もいろんな高齢者の方からいろいろご相談を受けるときに、自分の資産を活用した居住の安定、答申の一七ページにありましたけれども、やはり利用しやすいリバースモーゲージだとか、そういうことも必要ですし、またこの間は、七LDKの家に一人で住んでいる高齢者の方、自分は一部屋でいいから、あとの残りの部屋は誰かに使ってもらいたいとか、でも、なかなかその手続、高齢者の方が一人でやるのは難しくて、実現に移せない。
 そういう広い住宅の単身高齢者がいる一方で、子育て世帯で適切な規模の住宅になかなか入居できないという状況もあったりと、そういったものを、行政として、住宅のマッチングを支援することが必要と考えます。
 こうした取り組みに当たっては、区市町村居住支援協議会の役割が大変重要です。この協議会の設置が不可欠ではないかと思います。
 都として、区市町村協議会の取り組みを支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○田中住宅政策担当部長 住宅の確保に配慮が必要な方々に対しては、区市町村が居住支援協議会を設立し、地域の実情に応じて主体的に取り組むことが重要であると考えております。
 都の居住支援協議会では、これまで、不動産団体を通じた移住・住みかえ支援機構のマイホーム借り上げ制度のPRなど、住宅確保要配慮者のマッチングに係る他都市の事例等の情報提供を行うなどの普及啓発等を通じまして、区市町村による居住支援協議会の設立、活動促進を図ってまいりました。現在、四区二市におきまして、居住支援協議会が設立済みでございまして、今年度、世田谷区、杉並区、日野市におきまして、居住支援協議会の設立が予定されております。
 今後も、こうした取り組みの充実を図るとともに、活動費等に対する助成等を通じて、区市町村協議会の設立を促すとともに、その活動を支援してまいります。

○栗林委員 私の地元の世田谷もやっと設置ということで、今、今年度、取り組んでいるところでございますが、まだまだ未設置が多い状況でございます。これが設置されたところから動き出すなというものを実感いたしますので、引き続きの強力な支援をお願いしたいと思います。
 答申では、既存ストックの活用がやはり着眼点として挙げられていますけれども、空き家を有効活用していくことがやはり重要でございます。八十二万戸といわれている、これをどう活用していくか、今後の取り組みについて伺います。

○田中住宅政策担当部長 空き家の利活用等を進めていくためには、地域の実情を把握している区市町村の役割が重要でございます。
 都は、空き家を、子育てや高齢者世帯に賃貸する場合にバリアフリー改修などを行う場合の区市町村に対する補助を昨年度から開始しております。また、今年度からは地域住民の交流の場など、地域の活性化に資する施設に改修する場合も補助対象に追加しております。
 今後、空き家の利活用等を一層促進するため、所有者等への意識啓発や相談体制の整備などにつきまして、区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。

○栗林委員 東京都でつくっていただいている居住支援協議会についてという、とてもわかりやすいパンフレットで、皆さん読まれると、ぜひこういうのはつくってほしいと誰もが思うような内容になっておりますので、まだ未設置のところには、さらに設置できるように、目標を立てていただくぐらい、ノルマを達成しないと、どんどん営業に行っていただけるぐらいの計画を持って、ぜひこれは設置に向けて頑張っていただきたいと思います。
 やはり住まいこそ、一番の安心確保できるものは、まず住まいから始まると思いますので、この八十二万戸といわれている都内の空き家、知恵と技術と斬新なアイデアを駆使していただいて、都の住宅環境が向上するよう取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。

○あさの委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あさの委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十九分散会

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