都市整備委員会速記録第十二号

平成二十七年十一月十二日(木曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長中村ひろし君
副委員長北久保眞道君
副委員長曽根はじめ君
理事伊藤こういち君
理事河野ゆうき君
理事鈴木 章浩君
中山ひろゆき君
白石たみお君
田中 朝子君
谷村 孝彦君
きたしろ勝彦君
藤井  一君
山田 忠昭君
立石 晴康君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務安井 順一君
次長浅川 英夫君
技監邊見 隆士君
理事榎本 雅人君
理事佐藤 伸朗君
総務部長今村 保雄君
都市づくり政策部長上野 雄一君
住宅政策推進部長桜井 政人君
都市基盤部長中島 高志君
市街地整備部長奥山 宏二君
市街地建築部長妹尾 高行君
都営住宅経営部長永島 恵子君
基地対策部長筧   直君
企画担当部長オリンピック・ パラリンピック調整担当部長兼務荒井 俊之君
連絡調整担当部長菊澤 道生君
都市づくりグランドデザイン担当部長小野 幹雄君
まちづくり推進担当部長佐藤  匡君
住宅政策担当部長加藤  永君
民間住宅施策推進担当部長山崎 弘人君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務佐々木 健君
防災都市づくり担当部長山下 幸俊君
多摩ニュータウン事業担当部長宮城 俊弥君
局務担当部長森  高志君
耐震化推進担当部長飯泉  洋君
経営改革担当部長臼井 郁夫君
再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務五嶋 智洋君
営繕担当部長青柳 一彦君
横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務堀   真君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
事務事業について(質疑)

○中村委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、東京都技監から幹部職員の紹介があります。

○安井東京都技監 去る十月二十三日付の人事異動に伴い、兼務発令のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 企画担当部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします荒井俊之でございます。
 よろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○中村委員長 紹介は終わりました。

○中村委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○今村総務部長 十月二十日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、ごらんのとおり十五件ございます。
 一ページをお開き願います。1、都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
 過去五年間の設置状況を、既設都営住宅及び公社住宅ごとに年度別に記載してございます。
 二ページをごらんください。2、都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
 過去五年間の各件数を、使用承継事由発生期間別に記載してございます。
 三ページをお開き願います。3、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
 都道府県及び政令市ごとに、平成二十七年十月一日現在の実施状況を記載してございます。
 四ページをごらんください。4、都営住宅、公社住宅における入居者の年齢別世帯数の状況及び単身入居者の年齢別世帯数の状況でございます。
 入居者及び単身入居者ごとに、名義人の年齢区分が六十四歳以下及び六十五歳以上別に、世帯数及び割合を記載してございます。
 五ページをお開きください。5、都営住宅における期限つき入居の募集戸数でございます。
 過去十年間の募集戸数を年度別に記載してございます。
 六ページをごらんください。6、都営住宅建てかえによる型別供給実績でございます。
 平成二十四年度以降の型別供給内訳を年度別に記載してございます。
 七ページをお開きください。7、都営住宅の応募状況でございます。
 (1)、世帯向けの抽せん方式による募集、(2)、単身者向けの抽せん方式による募集、右の八ページには、(3)、ポイント方式による募集について、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
 九ページをお開きください。8、都営住宅の管理戸数、空き住戸数、募集停止戸数でございます。
 平成二十六年度末の各戸数について記載してございます。
 一〇ページをごらんください。9、公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き住戸状況でございます。
 各住宅の状況について、管理戸数及び空き住戸数を年度別に記載してございます。
 一一ページをお開きください。10、緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度の区市町村別実績でございます。
 (1)、特定緊急輸送道路の沿道建築物について、耐震診断、補強設計及び耐震改修等の別に、平成二十五年度及び二十六年度における都の助成実績を区市町村ごとに記載してございます。
 右の一二ページには、(2)、一般緊急輸送道路の沿道建築物について、同様に記載してございます。
 一三ページをお開きください。11、緊急輸送道路沿道建築物以外の木造住宅及びマンションの耐震診断、耐震改修助成実績でございます。
 (1)、木造住宅については、耐震診断、補強設計及び耐震改修等の別に、平成二十五年度及び二十六年度における都の助成実績を区ごとに記載してございます。
 右の一四ページには、(2)、マンションについて、同様に都の助成実績につきまして、件数及び戸数を区市ごとに記載してございます。
 一五ページをお開きください。12、都内の居住支援協議会設置状況と主な活動内容一覧でございます。
 協議会名、設立年月及び主な活動内容について記載してございます。
 一六ページをごらんください。13、横田基地におけるパラシュート訓練の通告状況でございます。
 平成二十四年以降に都へ情報提供された訓練期間、訓練内容及び降下人員数を記載してございます。
 一七ページをお開きください。14、都内米軍基地に関係する事件等の経過でございます。
 航空機の緊急着陸、部品落下等及び米軍構成員による事件、事故を記載してございます。
 最後に、一八ページをごらんください。15、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数でございます。
 着陸及び離陸の延べ回数を年度ごとに記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○中村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、私から事務事業の質疑をさせていただきたいと存じます。
 本日、私は、三項目について質疑をさせていただきますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 まず初めに、横浜の分譲マンションでの不同沈下に端を発した旭化成建材による、くい施工データ転用等の事件についてでありますけれども、この件については、今や全国的に建築物の安全性への信頼を、根本から揺るがしかねないという問題となっております。
 我が国が今後、二〇二〇年、そしてその先に向けて都市づくりや基盤整備に邁進しなければいけない現状にありまして、このような問題によって、建設業界、さらには世界から日本への信頼が損なわれるようなことが決してあってはならないと思います。そこで、今回一連の問題の早期解決を図るべきとの観点からお伺いをいたしたいと思います。
 先月、旭化成建材から発表したデータによりますと、同社が東京都内で施工した件数は三百五十六件と、全国で北海道に次いで二番目に多い状況であります。このうち都有施設は、都営住宅十二件も含めて三十一件、区市の施設が三十二件と伺っております。
 折しも、私の地元西東京市でも、平成二十三年にオープンいたしました児童センターと保育園を一体的に整備した市の施設で、旭化成建材によります、くい施工データの転用等が判明をし、きょうプレス発表をするということを聞いておりますし、保護者にも説明をするということであります。
 都はこの問題について、建築物の安全・安心を担う立場から、これまでどのように取り組んでいるのか、まずお伺いいたします。

○妹尾市街地建築部長 都は、旭化成建材の公表を受け、直ちに同社に対し都内の三百五十六件のリストを求め、提出されたリストに基づき、都有施設については庁内所管局に、区市が所有する施設については区市に、速やかに情報提供を行っております。
 この情報に基づき、それぞれの施設所有者におきまして対象施設を特定の上、設計図書や施工記録などで、くい施工データの転用等の有無の確認を行っております。転用等があった施設につきましては、建物の傾きや構造上支障となるひび割れ等のふぐあいがないか現地の確認を行うとともに、設計図書等による調査を行った上で、当面の安全性が確認されたとして公表を行っております。
 都は、民間建築物等を含む旭化成建材が関与した物件について、同社に対し、元請への通知状況や、くい施工データの転用等の調査の進捗状況について随時報告を求め、速やかな対応を促してまいりました。
 現在のところ、三百三十件以上について同社から元請施工会社に通知され、くい施工データの転用等についての調査が行われていると報告を受けております。

○山田委員 ただいまのご説明によりますと、都は、安全性の早期確認を図るために、全国に先駆けて旭化成建材に三百五十六件の対象リストの提出を求め、庁内で情報共有を図るとともに、区市の所有施設に対しては速やかに情報提供を行い、それぞれの公共施設所有者において迅速に点検を開始したとのことであります。
 また、報道発表を見ますと、都は入手したリストをもとに、その他にも独自に所有区分別、用途別の件数を集計の上、公表していたようでありますが、そういった取り組みは、民間の建物、名称を直接公表することが、財産権との関係もあって難しい中でも、都民への説明責任として、できる限りの情報を提供する姿勢として大変重要なことだと考えます。
 また、三百五十六件の対象リストをもとに、同社に転用等の調査状況の報告を求めておることでありますが、今後も国からの情報を待つだけでなく、積極的に施工会社等による調査、検証を促していただきたいと思います。
 さて、今回のような意図的なデータの改ざんについては、通常の検査では見抜くことは大変難しいといわれております。建築基準法に基づく、くいの検査はどのように行っているのかをお伺いいたしたいと思います。

○妹尾市街地建築部長 建築基準法では、建物の構造、規模に応じて、基礎や二階の床の配筋完了時等に中間検査を受けることが義務づけられております。この検査は、工事の品質確保についての責任を担う工事監理者及び工事施工者が、くいの打設データ等をもとに作成した施工結果報告書に基づいて、現場の状況確認と合わせて行っております。
 検査員は、この施工結果報告書に基づき、くいの支持地盤等を工事監理者や工事施工者がどのように確認したか、その内容について確認しており、必要に応じて施工写真や詳細な記録等の提出を求めております。
 ただし、現実問題として、検査の段階で多数にわたるデータを全て照合するということは困難でございます。そのため、今回の事件を受け、都内の各特定行政庁及び指定確認検査機関に対しまして、検査において施工結果報告書を確認する際には、工事監理者等が詳細な記録等を適切に確認しているかについても留意して検査をするように、改めて注意喚起を行ったところでございます。

○山田委員 ただいまのお答えで、建築基準法に基づく検査内容はわかりました。
 通常の検査では、責任を担う工事監理者や工事施工者が施工結果報告書により確認しているというチェック体制はあるわけでありますけれども、このような意図的なデータ改ざんを見抜くことは困難であると思います。検査を行う側が、可能な限り丁寧に検査をすることで、このような同様な事故の抑止にもつながると思いますので、今お話がありましたように注意喚起を行ったことは、とても重要なことだと思います。
 しかしながら、今回は、都内でもデータの転用等が明らかになってしまいました。今、真っ先に行うべきことは、旭化成建材が関与した物件について問題がなかったか、しっかりと調べることではないかと思います。
 そこで、都内の旭化成建材が関与した物件のうち、これまでの調査で、くい施工データの転用等が明らかになった施設の対応状況について、お伺いいたします。

○妹尾市街地建築部長 都内の旭化成建材が関与した物件のうち、現在までに、くい施工データの転用等が明らかになったものが二十件ございまして、その内訳は、都有施設が九件、区市所有施設が十件、民間施設が一件となってございます。
 都有施設につきましては、くい施工データの転用が八件、くい施工データの欠落が一件認められております。これらの施設につきましては、それぞれの施設の所管局において、詳細な施工記録や現況調査により施工状況を確認した結果、現在のところ、安全上の問題は見られておりません。
 また、区や市が所有する施設につきましても、江東区や、先ほどお話のあった西東京市など七区一市の公共施設で、くい施工データの転用が合計十件明らかになってございます。これらの施設につきましては、それぞれの施設所有者において現地確認等を行った結果を公表しており、現段階で施設の安全性に問題があったとの報告は受けておりません。
 また、民間施設につきましては、現在のところ、横浜のマンションの現場担当者が関与した工場、倉庫一件につきまして、くい施工データの転用が判明しております。
 これを受けて、都は、元請の施工会社を通して所有者と連絡をとり、現時点で建物の傾きや構造上支障となるひび割れ等のふぐあいがないとの状況を把握しておりまして、引き続き安全性確認の調査を求めております。

○山田委員 くい施工データの転用等が明らかになっている都の施設においては、現段階では安全性の問題が見られず、区の所有施設についても、現段階で安全性に問題があったとの報告は受けていないとのことで安心をいたしましたが、今後も調査を継続し、しっかりと安全性を確認していただきたいと思います。
 公共施設については、都や区市などの施設所有者による自主調査でも状況は明らかになりつつありますが、民間施設については、旭化成建材でまだ調査中のものが多く、具体的な安全性の検証はこれからだと思われます。これからの民間施設についても、所有者の意向に配慮しながら、早急に必要な調査がなされるようお願いをするものであります。
 そこで、お伺いいたしますが、くい施工データの転用等が明らかになった場合、建築基準法上の安全性の確認をどのように行っていくのかをお伺いいたします。

○妹尾市街地建築部長 国は、十一月四日に旭化成建材がくい施工を行った工事において、施工データの流用等が判明した場合の対応についてを、都や区市町村など建築基準法を所管する各特定行政庁に通知しており、今後は、これに基づいた安全性の確認等を行っていくことになります。
 そのため、都は建築主等に対して、早急に対象建築物の現地確認を行い、傾斜、ひび割れ等のふぐあいがないか確認するよう求めていきます。
 次に、工事施工者等に対して、施工管理の状況、対象建築物の状態や施工データの流用等の内容を踏まえ、安全性を確認した結果の報告を求め、その妥当性と建築基準法違反の有無を判断してまいります。
 また、区市が特定行政庁として所管する物件も多いことから、都はそれらの区市に対し、迅速かつ的確な対応が可能となるよう、類似した事例の情報提供や、工事施工者から報告された安全性確認の内容の妥当性の判断に当たり区市からの相談を受けるなど、技術的支援を行ってまいります。
 あわせて、今後旭化成建材の最終報告がなされますと、民間建築物等のデータ転用が明らかとなった際にも、それらの建築物の建築基準法上の適合性判断が円滑に行えるよう、既に転用が明らかになっている公共施設を中心とする二十件につきまして、都と所管特定行政庁が連携して早急に対応することで事例の蓄積を図り、今後の技術的支援につなげてまいります。

○山田委員 くい施工データの転用等が明らかになった場合には、国の通知に基づいて建築基準法上の安全性確認が行われることがわかりました。
 各特定行政庁による迅速かつ的確な対応がなされるよう、東京都として、各区市町村に必要な技術的支援や助言を行っていくことは重要だと思います。ぜひ都と各特定行政庁は連携をいたしまして、この問題に取り組んでいっていただきたいと思います。
 それでは、この問題の最後でありますけれども、新聞等では毎日のように新たな施工データの転用等の報道がなされるなど、事件は広がりの様相を見せております。都はこれをどう受けとめ、どう対応していくのか、お伺いいたします。

○安井東京都技監 今回のくいの施工データの転用などをめぐる事件につきましては、どうしてそのようなことをやったのか、また、どのような経緯でそれが行われたのか、まだ明らかになってございませんけれども、少なくとも建物の施工管理に対する信頼を大きく損ねたことは事実でございます。
 幸いなことに、今までのところ、居住であるとか、また建物の安全性についての問題は出ておりませんけれども、今後、都民の不安を払拭していく取り組みを急ぐ必要があると考えてございます。
 旭化成建材が関与した建物については、今、担当部長からご説明したとおりでございますけれども、都有施設につきましては、これまでの都の独自調査と、今後、旭化成建材が国に調査報告することになってございますので、そこを重ね合わせまして必要な対応を急いでまいります。
 また、民間の施設につきましては、一件明らかになっているわけでございますけれども、まだ旭化成建材から国への調査が、ちょっと時間がかかっておって全容がまだ明らかになってございません。都としては、これを国に求めるとともに、それだけではなくて、やっぱり旭化成建材に対しても、また元請会社に対しても、強くデータを明らかにするようにというようなことで、先ほどこれもご答弁、部長がしましたが、建築基準法上の適合性の有無などを調べる必要があると考えてございます。
 今、山田委員がお話しされました、これからの事件の広がりというようなこと、これは大変、そういうご心配を持たれることは当然のことと受けとめてございますけれども、今回の問題を受けまして、国においては、有識者で構成する基礎ぐい工事問題に関する対策委員会が立ち上がってございます。
 この委員会では、基礎ぐいの工事の適正化、施工データの記録、保存、検証のあり方、さらに、必要な場合には、広く建設工事全般や制度のあり方に踏み込んで、再発防止の対策を検討するとしてございまして、これは年内に報告が出されると聞いてございます。都といたしましては、その動向を十分見きわめながら、二十三区あるいは市の特定行政庁と連携をいたしまして、適切かつ速やかに対応してまいりたいと考えてございます。

○山田委員 今、都技監からのお話をいただきました。東京都が危機感を持って、建築行政を所管する立場として、また施設所有者として、一連の問題の早期解決に取り組んでいることがよくわかりました。一刻も早く都民の不安を解消できるよう、国や、あるいは関係機関とも連携をして、引き続き迅速かつ的確な対応をお願いいたしたいと思います。
 それでは、次の質問に入りたいと思います。
 次の質問は、都市計画道路の整備方針についてであります。
 これまで都は、区部及び多摩地域における都市計画道路の整備方針に基づき、着実に道路整備を進めてまいりましたが、現在の方針は平成二十七年度、今年度までとなっております。東京を安全で暮らしやすい世界一の都市にするためには、新たな整備方針を速やかに策定して、引き続き、重要な都市基盤であります都市計画道路のネットワークを形成していくべきだと考えるものであります。
 先月二十九日でありますが、日比谷公会堂で開催されました道路整備事業推進大会に私も出席をいたしましたけれども、道路整備に対する、会場あるいは地元の強い声を直接聞いてまいりました。
 そこで、現在策定中であります新たな都市計画道路の整備方針について、優先整備路線をどのように選定しているのかをお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 将来にわたる東京の持続的発展を実現していくためには、広域的な交流、連携や高度な防災都市、個性的で活力ある地域づくりなどを支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
 新たな整備方針では、骨格的な幹線道路網の形成に加え、災害時における救援、救護ルートの確保、ゆとりのある歩行者空間の創出などの観点から、今後十年間で優先的に整備する路線を選定いたします。年内には優先整備路線を盛り込んだ新たな整備方針の案を公表し、引き続き区市町と連携しながら、幅広く都民意見の把握に努め、整備方針を策定してまいります。

○山田委員 骨格的な幹線道路の形成という観点から、優先整備路線を選定するとのことであります。
 多摩地域においては、骨格幹線道路が十分に形成されてはおりません。多摩東西道路については、新青梅街道や東八道路等の整備が進められておりますけれども、特にかなめとなっております新五日市街道の整備は、他の東西主要路線と比べて大きくおくれております。また、これら多摩東西道路と接続をする区部の道路整備をあわせて推進していくことも必要だと考えます。
 そこで、新五日市街道を初め、区部と多摩地域を連携する道路ネットワークの形成に向けた取り組みについて、お伺いいたします。

○中島都市基盤部長 新五日市街道は、多摩地域における東西方向の主要路線として、五日市街道など周辺道路の渋滞緩和はもとより、新青梅街道などと一体となって区部と多摩地域との連携強化を図る重要な路線でございます。
 新たな整備方針は、区部と多摩地域を合わせた東京全体の方針としており、区部、多摩の連携を図る道路ネットワークの形成にも配慮して、優先整備路線を選定してまいります。

○山田委員 私の地元であります西東京市におきましても、多摩南北の骨格幹線道路である調布保谷線の整備が進められ、埼玉県境までの区間が完成をいたしまして、ことしの八月二日に開通式典が行われたところであります。
 しかしながら、この調布保谷線と計画上はつながっている埼玉県側の都市計画道路であります--これは保谷朝霞線というんですが、未整備となっております。都県境を越えたこのような広域的な道路ネットワークを形成することによって、初めて骨格幹線道路としての機能は十分に発揮されると考えるものであります。
 そこで、調布保谷線の埼玉県側との接続はもとより、都県間の道路ネットワークの形成に向けた取り組みについて、お伺いいたしたいと思います。

○中島都市基盤部長 委員お話しの調布保谷線や保谷朝霞線を初め、都と埼玉県とを結ぶ道路の接続については、調整会議を立ち上げるなど県と連携して取り組んでおります。
 調布保谷線に接続する保谷朝霞線については、現在埼玉県において、早期の事業化に向け、道路線形や幅員、主要な構造物などを見直すための検討を進めていると聞いております。引き続き隣接県とも連携しながら、新たな整備方針において都県境の連絡を図るための新たな計画路線を示すなど、都県間の道路ネットワークの形成に努めてまいります。

○山田委員 ぜひ今後とも、区部、多摩地域、さらには都県間の連携を強化するなど、東京圏全体を視野に入れた広域的な視点から、道路ネットワークの形成に努めていただきますよう要望をいたしておきます。
 ありがとうございました。
 次の質問に移りたいと思います。
 次の質問については、緑の創出、保全についてであります。
 我が都議会自由民主党は、世界で一番の都市東京を実現するために、かねてから水と緑に囲まれた潤いの実感できる魅力的な都市の実現を目指し、屋敷林などの身近な緑を保全するとともに、世界一の都市にふさわしい美しいまち並みの形成や、首都東京として特色のあるまちづくりに向けて、緑の機能を活用したまちづくりを進めることを主張してまいりました。
 都市整備局におきましては、さまざまな取り組みが進められておりますが、改めて都市づくりにおける緑の保全、創出の取り組みについて、お伺いいたします。

○上野都市づくり政策部長 都はこれまで、都市づくりを通じて新たな緑の創出と既存の緑の保全を推進してまいりました。
 緑の創出につきましては、都心部では、都市開発の機会を捉え民間プロジェクトを誘導し、良質な緑空間を拡大してまいりました。また、環状七号線沿道などに位置する防災公園の拡張など、都市計画公園、緑地の計画的な整備を着実に推進してまいりました。
 また、既存の緑の保全につきましては、都市における緑の骨格となる丘陵地や崖線を保全するため、特別緑地保全地区制度を活用するとともに、身近な緑である屋敷林などを保全するため、都独自の制度である農の風景育成地区などの指定などを進めてまいりました。

○山田委員 緑施策の方向性につきまして確認をし、既存の緑の保全と創出について両面から取り組んでいることがわかりました。
 そこで、答弁にありました緑の保全という観点から、さらにお伺いをいたしたいと思います。
 私の住む多摩地域には、丘陵地や崖線、屋敷林や農地のような、さまざまな民有地の緑が多く残されております。これらの緑は、一度失われてしまいますと、取り戻すことは簡単ではありません。この点について、これは五年前になりますけれども、私は、当常任委員会の質疑で、民有地の緑の保全を進める観点から、当時策定段階にありました緑確保の総合的な方針ですが、これについてご質問をさせていただいたことがございます。
 その際のお答えでは、減少しつつある民有地の緑を対象に、区市町村が合同で東京の緑を計画的に確保していくとの考えが示され、また、さまざまな新たな取り組みを進めていくとのことでありました。
 そこで、この方針によります民有地の緑の確保について、その後の取り組み状況をお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

○上野都市づくり政策部長 都は、平成二十二年五月に区市町村合同で策定いたしました緑確保の総合的な方針に基づき、特別緑地保全地区の指定の拡大や農の風景育成地区の活用、環境活動に取り組んでいる民間基金との連携などを推進してまいりました。
 その結果、都は、区市町村とともに、十年間かけて将来にわたり確実に保全することとしておりました緑地等のうち、八割をこれまでの五年間で確保しております。この進捗状況を踏まえ、現在、区市町村と協議しながら確保対象の見直しなどを進めているところでございます。

○山田委員 緑確保の成果が上がっているという大変心強い答弁いただきました。今後も緑の保全の一層の拡大に向けて、さらに取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 今いただきました話にもありましたけれども、特別緑地保全地区について、さらにお伺いをいたしたいと思います。
 これは、私の地元西東京市では、特別緑地保全地区の指定を促進する事業が平成二十二年に創設されたことを契機として、駅前に一・一ヘクタールもの屋敷林が特別緑地保全地区に指定をされました。その指定後、市が補助事業を活用いたしまして屋敷林を買い取り、貴重な緑が次世代に確実に引き継げることとなりました。
 大変意義深いことと考えますけれども、特別緑地保全地区指定促進事業の導入効果について、都の認識をお伺いいたしたいと思います。

○上野都市づくり政策部長 特別緑地保全地区は、建築行為等の制限により民有地の緑を保全できる一方、指定を行う区市には、開発行為等を不許可とした場合に土地の買い取り義務が生ずることから、鎮守の森など限定的な指定にとどまっておりました。そのため、都は、平成二十二年度に新たに土地取得費の補助制度を設け、区市に指定拡大を促してきた結果、十二区市が補助制度を活用し、そのうち四区市におきましては、補助制度の活用後も引き続き指定を拡大しております。また、補助制度の活用によらずに自主的に指定を行う区市もふえております。
 こうした効果もあらわれまして、平成二十六年度末時点では、地区数、面積ともに制度導入前の約二倍となる四十五地区、約二百八十五ヘクタールが指定されており、東京に残された貴重な緑を保全する上で、この制度は大きな効果を発揮していると考えております。

○山田委員 この特別緑地保全地区の指定促進事業が呼び水になりまして、自主的に地区を指定し、緑を保全する区市がふえたということは、大変喜ばしいことだと考えます。
 この補助制度は、緑の確保に取り組む区市への重要な支援策として、ぜひ継続をしていただきたく思います。要望いたしたいと思います。
 また、丘陵地や屋敷林、崖線などの緑の保全が進む一方で、農地の保全については困難な課題があります。農地の保全に係る制度として生産緑地地区がありますが、これは指定後三十年が経過をした場合や農業従事者が亡くなった場合などに解除することができるものでありまして、宅地へ転換されることを前提としており、この制度だけを活用して農地を保全することは困難であると思います。
 また、税制などの制約から、農地を恒久的に保全することは極めて難しい状況にあると聞いております。
 一方、東京は今後人口減少期を迎えることから、宅地の需要は減少していくと考えられるとともに、市民農園などの農業活動を楽しみたいと思っている都民もさらにふえてくるなど、都市において農地を貴重な緑の空間として保全することがさらに重要になることも考えられます。
 こうした状況におきまして、都は、農の風景育成地区制度を創設し、農地を守る取り組みを進めてまいりましたけれども、これまでの取り組みについて、お伺いいたしたいと思います。

○上野都市づくり政策部長 都市における農地は、都市に潤いを与え、災害時の避難場所となるなど、多面的な機能を持つ都市の環境インフラとして保全していく必要がございます。このため都は、平成二十三年度に農の風景育成地区制度を創設し、農地空間を保全していくこととしております。
 この制度は、地域住民の協力を得ながら、農業関係者の自主的な取り組みにより、農地や屋敷林などを保全して、良好な景観を維持していくことを狙いとしております。将来、農業の継続が困難となった農地を区市が公園として整備することもできるものでございます。これまで練馬区の高松地区など計二地区、約八十五ヘクタールの区域を指定しておりまして、今後とも区市と連携し、同地区の指定の拡大に取り組み、都市における農地空間の保全を図ってまいります。

○山田委員 都は、都市農地の保全のために提案をしております都市農業特区におきましては、生産緑地地区の指定面積の要件緩和により、新たに小規模な宅地化農地が生産緑地地区に指定されることが想定されるとともに、市民農園として区市に貸した場合でも、相続税の納税猶予が可能ということになり、都民の関心の高い市民農園への転用が進むと考えられます。
 こうしたことから、農地の減少が食いとめられることが期待できると聞いております。ぜひ今後とも関係局と連携をして、都市づくりにおいて良質な環境形成に寄与する農地の保全を進めていただきますように要望いたしまして、私の質問を終わります。

○伊藤委員 それでは、私の方からは、まず、都営住宅における高齢化等への対応について質問をさせていただきます。
 都営住宅は、住宅セーフティーネットの中核として、都民の居住の安定に大きな役割を果たしており、多くの高齢者や障害者、さまざまな立場の方がお住まいになっております。こうした方々が安全で安心してお住まいになるために、我が党は、五階未満の中低層住宅や階段室住棟へのエレベーター設置を強く都に働きかけ、都はこれに応える形で設置を推進していただきました。
 そうした中でも、都営住宅の居住者の高齢化はますます進行しており、平成二十六年度末には、名義人が六十五歳以上の世帯が六四%となっており、高齢者世帯が一層暮らしやすい都営住宅を実現しなければなりません。
 そこで、高齢の居住者にとって大きな負担となっている団地の共用部分の管理について伺ってまいりたいと思います。
 都営住宅では、これまで自治会が中心となって団地内の共用部分の管理に熱心に取り組んできております。しかし、居住者が若いころは、団地内の草刈りや通路の掃除、高いところの電灯の取りかえなど苦もなくできたことが、お年を召していくにつれて、ままならなくなっており、都でやってもらえないかという切実な声が多く寄せられております。
 また、こうした団地共用部分の維持管理に必要な費用は、自治会などが居住者から共益費として徴収しておりますけれども、共益費の徴収も大きな負担になっているという声も上がっております。以前から我が党は、共益費を居住者から都が直接徴収するよう要望し、平成二十三年度から、コミュニティ活動活性化モデル事業を実施し、一部の団地で共益費を都が徴収しております。
 そこで、このモデル事業の実施状況と成果、そして今後の取り組みについて、まず伺いたいと思います。

○臼井経営改革担当部長 居住者の高齢化などにより自治会活動の担い手が減少し、共用部分の維持管理や共益費の徴収が難しくなっている団地も見られることは認識しております。こうした状況を踏まえ、共用設備の光熱水費に一定の事務費を加えて共益費として都が直接徴収し、自治会の負担軽減を図るモデル事業を三団地において実施いたしました。
 モデル団地の居住者からは、共益費徴収に費やしていた時間と労力がなくなり、自治会活動に注力できるようになったなど、好意的な意見が寄せられており、徴収率が向上するなど成果も出ております。
 こうしたことから、共益費を都が居住者から徴収し、共用部分の管理を行う方法につきまして、早期に実施できるよう検討を進めているところでございます。

○伊藤委員 居住者からも好意的な意見が寄せられており、成果も上がっていることから、ぜひ目に見える形で具体化されることを要望しておきたいと思います。
 ところで、モデル事業では、居住者がこれまでに加えて支払う事務費の負担は平均どのくらいになるのか、事務費の負担に対する居住者の意見とあわせて伺いたいと思います。

○臼井経営改革担当部長 モデル団地における一戸当たりの平均月額共益費は約八百円でございまして、そのうち、事務費相当分は約三十四円となっております。事務費負担につきましては、居住者には、これまで自分たちで徴収し管理してきた共益費に関する事務を東京都が行うために必要なものとして、ご理解いただいております。

○伊藤委員 ただいま答弁にあったように、共益費は約八百円と。今回このように都が徴収していただくことで、事務費の負担は三十四円ということでございます。三十四円が高いか安いか、価値観もあると思いますけれども、これまで自治会の方々が本当に苦労してこの共益費を集めていらっしゃるお姿も直接見ることもございました。ぜひ今後も居住者の理解を得た上で、事業を早期に進めていただきたいというふうに思います。
 次に、都営住宅駐車場のコインパーキング設置について伺います。
 都議会公明党は、高齢化が進む都営住宅の居住者が安心して介護を受けられるように、介護事業者が一時的に駐車できるスペースを設けるよう、これまで折に触れて要望してまいりました。これを受け、都では、昨年八月から試験的に港区北青山、荒川区町屋、足立区西綾瀬の三団地でコインパーキングを設置し、昨年の事務事業質疑における都議会公明党の質問に対し、試行を進める中で課題を整理していくと答弁をいただいたところでございます。
 そこで、コインパーキングの設置から一年以上経過したところでありますけれども、これまでの実施状況と今後の取り組みについて、伺いたいと思います。

○臼井経営改革担当部長 平成二十六年八月から、介護事業などさまざまな目的で都営住宅に車で訪れる人々の利便性を考慮し、試験的に三団地でコインパーキングを設置しております。現在、各団地のコインパーキングの稼働率は日中で七から八割を確保しており、良好な稼働状況となっております。
 利用者につきましては、都営住宅居住者の親族等や介護車両の利用が多く見られるなど居住者の利便性が増したほか、宅配便や工事車両なども利用しており、迷惑駐車の減少にも効果が見られております。
 今後は、コインパーキングの需要や効果、採算性等をさらに幅広く検証するため、試行中の三団地に加え、立地条件、居住者の年齢構成、団地規模などが異なる団地での試行を検討してまいります。

○伊藤委員 今回設置したコインパーキングには、これまで駐車場所に大変に苦慮していた介護目的で来訪する家族などの方々にもご利用いただいており、利用状況も大変良好であるということが今の答弁で確認ができました。
 今後、立地条件や団地規模などが異なる団地での試行の検討を行っていくという答弁もございましたけれども、地域によっては、都営団地のすぐ近くにコインパーキングが、民間のパーキングがいっぱいある地域もあれば、その都営住宅の近くにコインパーキングはほとんどない、こういう地域もあります。
 私の地元品川区の八潮パークタウンでありますけれども、このパークタウンの中にコインパーキングは、ほとんどありません。スーパーのところの駐車場はあるわけですけれども、大変に広いエリアのパークになるわけですから、駐車場を、その八潮パークタウンから離れたところにとめるとですね、団地に入るまで二、三十分歩いていくところであります。地域によってこういう差があるわけでありますから、どうか地域特性にも十分に配慮することが重要であると思います。いずれにしても、まずは試行の拡大をしっかりと進めていただきたいと思います。
 次に、都営住宅における駐車場の使用基準について伺いたいと思います。
 現在、駐車場の使用を認める車両については、車幅が一メーター八十センチを超えない場合に限定しております。しかし最近では、高齢者などが乗りおりしやすいように、スライドドアを搭載した車幅の広い車を購入する居住者もふえており、車幅が一メーター八十センチを超えることもあります。このため、駐車場の使用基準を緩和してほしいとの要望が、私たち公明党のところにも寄せられております。
 こうした現状を踏まえて、駐車場の使用基準の緩和をぜひ実現してほしいと考えますが、今後の対応方針について、伺いたいと思います。

○臼井経営改革担当部長 現在、平面式駐車場区画の間口は二メートル三十センチであり、隣接する区画利用者との接触トラブルを回避するため、ドアの開閉寸法として五十センチを確保する観点から、一メートル八十センチの車幅制限を設定しております。
 一方、近年、一メートル八十センチを超えるワゴンタイプの車両がふえ、居住者から基準緩和の要望が寄せられていることは、都としても認識しております。今後は、他の利用者とのトラブル防止に配慮しつつ、年度内には使用基準の緩和を周知、実施できるよう取り組んでまいります。

○伊藤委員 車幅制限の緩和について、都営住宅居住者の利便性向上のためにも、できるだけ早期に実現できるよう進めていただきたいと思います。
 次に、高齢者向けの集合住宅であるシルバーピアについて伺います。
 シルバーピアは、高齢者住宅の先駆けとして昭和六十二年度から整備が始まりました。URや区市町村住宅でも整備が進みましたけれども、都営住宅でも四千戸余りが整備され、住み込みの管理人、いわゆるワーデンが同じ団地に居住して、入居されている高齢者の安否確認や緊急時の対応などのきめ細やかなサービスが提供されております。
 都営住宅のシルバーピアでは、ワーデンが居住する住戸は都施行型都民住宅として整備されておりますが、ワーデンが区市から受け取る報酬が家賃を下回る場合も見受けられるなど、ワーデンが定着しにくい状況になっております。
 そこで、都営シルバーピアのワーデンの配置や定着に向けて対応を検討すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○臼井経営改革担当部長 シルバーピア事業は、ひとり暮らし等の高齢者が住みなれた地域の中で安心して生活できるよう、住宅施策と福祉施策が連携して運営しており、都営住宅のシルバーピアでは、都が整備した高齢者向けに配慮した住宅に、区市町が管理人であるワーデンを配置しております。ワーデンが居住する住戸は、シルバーピアと同じ住棟内に中堅所得者向けの住宅である都施行型都民住宅として都が整備しております。また、ワーデンの募集は区市町が行い、報酬を支払っております。
 ワーデンの的確な配置や定着につきましては、一義的にはシルバーピアの運営主体である区市町が対応すべきものでありますが、都といたしましても、区市町に対して実態調査を行い、ワーデンの配置、定着に向けた課題や、今後の区市町の意向を適切に把握してまいります。

○伊藤委員 まずは実態調査をしていただけるということでございます。この実態調査を踏まえて、シルバーピアで暮らすお年寄りの方々が安心して生活できるよう、区市町と協力して事業を進めていただきたいと思います。
 先ほども質問がございましたけれども、次に、旭化成建材のくいデータの流用について質問をしてまいりたいと思います。
 旭化成建材が関与したくい工事のデータ偽装でございますが、十一月十日の報道発表によれば、同社がくい工事の施工に関与した都有施設は三十件であり、そのうちの十二件が都営住宅であるということでありました。
 都の調査の結果、残念ながら、都営住宅においてもデータの一部に転用や欠落のあったものがこれまでに五件確認されております。同社が関与した建築物の安全性の証明については、当然、旭化成建材がその責を負うわけでありますけれども、同社による調査の結果が判明するまでには、もう少し時間がかかると思われます。
 そのような状況において、都が旭化成建材の発表に先んじて独自に調査を進め、現在のところ、安全上の問題は見られないことを確認したことは評価をしたいと思います。
 そこで、都が自主的に行った調査について伺いたいと思います。
 都営住宅でも都が調査を進め、流用についてプレスを行ったところでありますけれども、データ流用の有無等について、具体的に都は調査をどのように進めたのか、伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 旭化成建材株式会社の報道を受けまして、直ちに都営住宅につきましては独自の調査を開始し、過去に同社がくい施工を行った工事のリスト化を図りました。その後、旭化成建材からリストが提供されたことを受けまして、都が作成したリストと照合し、対象となる都営住宅の工事が十二件であることが判明いたしました。
 十二件につきまして、まず、地盤調査の結果とくいの設計長さを照合し、支持地盤にくいが着実に到達する長さとなっている設計であることを確認いたしました。その上で、それぞれのくい工事の施工記録の確認を詳細に行いました。
 具体的には、掘削の長さ、くい本体の長さ、注入したセメント量や強度が記載されたくい施工データ及び施工状況写真などを、複数の職員が繰り返し確認し、さらにデータの転用が疑われた場合には、隣接する住棟の工事の施工記録とも比較、照合を行いました。
 その結果、くいの先端が支持層に達したことを確認するための電流計の波形がほぼ同一で転用が疑われるものが二件、くいの先端部を固定する際のセメント注入データがほぼ同一で転用が疑われるものが二件、電流計の波形の記録に欠落があるものが一件確認されました。これらにつきまして、元請会社及び旭化成建材に照会したところ、その事実を認めたものでございます。

○伊藤委員 私は、まず都が独自に、旭化成からの情報を提示される前に、独自に都が調査をした、このことについて評価をしたいのとともに、今の部長の答弁にもありました複数の職員が繰り返し確認して、データの転用を調べたということでありましたけど、恐らく深夜まで、目を真っ赤にしてやられたんだと思います。本当に敬意を表したいというふうに思いますけれども、このような業者による不誠実な行為は、決して許されるものではないというふうに思います。
 データの転用等があったと聞けば、その建物は安全なんだろうかと疑いが生じてもやむを得ないと思います。
 しかし、データの転用等の不誠実な行為があったことが、その不誠実な行為が即、イコール不適正な工事が行われたことを示すということでは、私はないというふうに思います。先入観ではなく、都がなすべきことは、客観的に建物の安全性をきちんと確認することが、私は都の責務だというふうに思います。
 都のプレス発表では、データ転用はありましたけれども、安全上の問題は見られないという都のコメントでありました。それでは、どのように安全性の判断を行ったのか、伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 くい施工時の電流計データに転用があった都営白鷺一丁目第三アパートの二件と、電流計データに欠落があった都営東京街道アパートの一件では、設計に先立ち都が行った地盤調査の結果から、支持地盤の深さがほぼ一定であることが確認されております。さらに、施工記録から、くいはいずれも支持地盤に到達する十分な長さであることが明らかであり、全てのくいが支持地盤に到達していると判断をしております。
 都営久我山一丁目第二アパートの二件におきましては、セメント注入データの転用がありましたが、セメント注入データとは、くいの根元部分を固めるために注入するセメントと水をまぜた液の量と注入速度を均等に保つためにとるデータでございます。施工記録から、そのくいを固定するために使用したセメントの総量、時間と強度が確認できております。さらに、設計どおりのセメント量が納入されていることを納入書により確認をしておりまして、適切に施工されていると判断しております。
 いずれの住棟も、都職員による現地調査におきまして、建物の傾きや構造上支障となるひび割れ等のふぐあいは見られず、現在のところ安全上の問題はないと考えておりますが、今後も定期的に現地調査を行い、安全性の確認を行ってまいります。

○伊藤委員 今後も定期的に現地調査をしっかりと行っていただけるということでありますので、今のところ安全上問題はないということでありますけれども、ぜひこの現地調査、お願いしたいと思います。
 この問題が発覚してから、迅速に都営住宅の調査を行って状況を確認したことは、先ほど申し上げたとおり評価いたします。
 しかしながら、データ偽装は全国各地で次々と見つかり、マスコミでも連日のように取り上げられております。データ転用があった建物は、全て危険であると思い込んでしまっている方も多いのではないでしょうか。データの転用が見つかった都営住宅に住んでいる方々からすると、この建物は大丈夫だろうかと思われても無理のないことであると思います。
 一方で、不必要に風評被害を広げたり、居住者の不安をあおったりすることは避けなければなりません。これからなすべきことは、旭化成や元請会社に事実関係の説明を求めるとともに、正しい情報を居住者に提供し、不必要な心配を取り除くことであります。
 そこで、伺います。データ転用が判明した住棟の居住者に対しては、都はどのようにして対応、周知しているのか、伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 データ転用等が判明した住棟の居住者に対し、迅速かつ丁寧に説明を行い、安心していただくことが重要と考えております。公表に先立ち、都職員が現地に向かい、自治会役員に状況を説明した後、速やかに各住戸を戸別訪問し、丁寧に状況の説明を行いました。留守宅には連絡先を記載した説明文を投函し、土曜、日曜におきましても電話対応窓口を開設いたしました。
 さらに、現在、住民説明会の開催のため自治会と調整を行っており、準備が整い次第、開催する予定でございます。説明会では、データの転用の事実について資料を用いてわかりやすく説明するとともに、施工記録や現場調査から、安全上の問題は見られないことを丁寧に説明いたします。また、元請会社等も説明会に参加させる予定でございます。

○伊藤委員 都が居住者に対して、丁寧に説明しているということはよくわかりました。また、お配りした説明文も現物を見せていただきましたけれども、高齢者も中にはいらっしゃるということで、大きな字で説明文をつくっていただいているのも確認をいたしました。できればもうちょっと大きく、もうちょっと太くしていただけるといいかなというふうに思いますけれども、どうか居住者の皆さんが臆測に惑わされないように、正確、そして事実の情報が伝わるように、十分な説明を今後もお願いしたいと思います。
 さて、くい工事のデータ転用等があった住宅についても、現在のところ安全であることが都によって確認されましたが、社会の疑惑を招くようなことは避けなければなりません。まして東京都が発注する公共工事であり、多くの方々の生活基盤となる都営住宅であれば、なおさらのことであります。都としても、このようなことが再び起きないよう努力していただきたいと思います。そのような努力を続けることが、東京都が行う工事への信用となり、都営住宅にお住まいの方々の安心にもつながるものと考えます。
 そこで、伺います。現在の都営住宅の施工管理はどのように行っているのか。また、今回の問題は、一義的に元請会社に責任があると思いますが、今後の都の施工管理、品質管理への取り組みについて、伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 元請会社は、工事請負契約に基づき、受注した建築工事全体の品質、工程、安全等の施工管理を適正に行う責務があります。このため、旭化成建材によるくい工事を管理する立場にある元請会社にも、今回のように下請から提出された施工記録の作成や点検も含め、管理責任があるものと認識しております。
 都営住宅の工事におきましては、監督基準を含め、都で定めるさまざまな技術的基準に基づき、元請会社、都の監督員等の役割を定め、施工管理や品質管理を行っております。
 都の監督員は、例えば最初のくい打ちの際は必ず現地立ち会いを行い、強固な地盤である支持層への到達を確認しております。また、元請会社から施工結果の報告書を提出させて、データを確認しております。現実的にはデータを相互に照合してはおりませんが、多数のデータから適正に施工されていることを確認しております。
 今回の調査で意図的な転用が認められましたが、施工記録や現況調査により施工状況を確認しており、現在のところ、安全上の問題は見られません。
 都としては、国が現在行っている再発防止の検討状況を注視するとともに、現在着手している工事を含め、今後同様の事案が発生しないように、元請会社に対しては、下請が行う工事を常に点検し、工事の確実な実施や適正な施工記録の作成を指導徹底するよう、注意喚起を行ってまいります。さらに、問題が生じた場合には都の監督員に速やかに報告することなどについて、改めて徹底してまいります。

○伊藤委員 今回のデータの偽装については、とにかくデータの転用等あったことは、もう絶対に許せない、これは大前提でありますけれども、今、都がなすべきことは、繰り返しますけれども、客観的に建物の安全性をきちんと確認して、そして危険ならば危険だ、安全ならば安全だということをきちんと都民に対し、居住者に対し、その説明を果たしていただきたい。このことが一番重要であると思いますので、よろしくお願いいたします。
 今後とも工事を適正に行い、安全で安心な都営住宅の供給に努めていただくことをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
 住居の安全に関連して、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺いたいと思います。
 特定緊急輸送道路は、大地震の発生時に救急救命活動等の生命線となる極めて重要な道路であります。そのため都は、条例に基づき沿道建築物の耐震診断を義務づけるなど、重点的に耐震化に取り組んだ結果、対象建築物の約九割が診断に着手されたと聞いております。
 今後は、残り約一割の診断実施に向けた取り組みを継続していくことが重要であり、引き続き都が支援を行っていく必要があると思います。
 そこで、耐震診断について今後どのように都が取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 ことし九月末現在、耐震化推進条例で診断を義務づけている沿道建築物の約九三%が診断に着手しておりますが、残り七%の建築物の所有者は、耐震性能が明らかになることによる資産価値の低下を懸念していることなどの理由により、着手をしておりません。このため、引き続き粘り強く診断を働きかけるとともに、必要に応じてアドバイザーを派遣し、診断の実施につなげてまいります。
 現在、所有者への支援の継続について検討をしており、今後も全ての建築物で診断が行われるよう取り組んでまいります。

○伊藤委員 ぜひ来年度もこの支援の継続を強く求めておきたいと思います。
 さて、建物所有者が耐震診断を行った結果、必要な耐震性能を有していないことが明らかになった場合には、次に補強設計や耐震改修といった耐震化に向けて、具体的に取り組んでいかなければなりません。
 そこで、改修などの耐震化に向けた取り組みと進捗状況について、伺いたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都はこれまで、耐震改修費用の最大九割を補助することなどにより、建物所有者に耐震化を促してまいりました。また、診断を行い、建物の状況を熟知している建築士を改修のアドバイザーとしても派遣するなど、所有者が抱える個々の課題に的確に対応できるよう支援してまいりました。
 さらに、耐震工事が完了した分譲マンションで見学会を開催し、管理組合の役員から、合意形成をどのように進めたのかなどにつきまして体験談を伺う機会を設け、改修を検討している所有者へ情報提供を行ってまいりました。
 こうした取り組みによりまして、ことし九月末現在の耐震化率は八〇・六%となってございます。引き続き所有者の取り組みを支援し、耐震化を推進してまいります。

○伊藤委員 今、八〇・六%、耐震化が進んでいるというお話でございました。この残りの約二〇%近く、これが非常に重要であります。こうした大きな通りを走っていると、本当にこの家大丈夫かなって思うような建物が、道路でぽこぽこ、ぽこぽこ間にありますので、本当に大震災が起きたときに、そういうところが道路を閉塞してしまう、こうした危険性も感じるものでございます。
 引き続き、都民が耐震化を着実に進めていくことができるように、都が区市町村などと連携して支援を行い、沿道建築物の耐震化を推進していただきたいと思います。
 次に、手厚い支援が講じられている沿道以外の、一般の分譲マンションについて伺いたいと思います。
 都内において、マンションは、都心部や駅周辺など利便性の高い地域を中心に早くから供給が進み、総世帯数の四分の一以上を占めるなど、今や都民生活にとって欠かせない居住形態の一つとなっております。
 一方で、旧耐震基準で建てられ、耐震性に不安のあるマンションも相当数存在をしております。一般的にマンションは、戸建て住宅と比べ規模が大きいことから、大地震により倒壊すれば、多くの生命、多くの財産が一気に危険にさらされるおそれがあります。
 平成七年の阪神・淡路大震災から、ことしで二十年であります。私は、あの震災の翌日に現地に行きました。最初は、大きな通りを自分の足で歩いて神戸に向かいましたけれども、本当に沿道にそのまんま、積み木がひっくり返ったように倒れているビルもあったし、今申し上げているような沿道沿いではない、一歩奥に入ったところにこうしたマンションが倒壊をしている。その倒壊をしている人たちを助けに行こうにも、沿道が閉塞されているから中に入れない。その中にいる人たちは--一般の、中にあるマンションの方々は、本当に多くの方々が倒壊をした中で亡くなっていた。これを目の当たりにしたときに、私は、沿道のマンション、あるいは沿道から入ったところのマンション、これも同じように、やはり対策はやっていくべきだ、このように思います。
 これもやはり都内に目を向けますと、重点的な取り組みが必要であるというのとともに、実態を見れば、余り対策は進んでいないように私は思います。
 そこで、まず、都内における旧耐震基準のマンションの棟数とともに、耐震化の取り組み状況や進まない理由について、伺いたいと思います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 都が平成二十三年度に実施したマンション実態調査によれば、都内の旧耐震基準のマンションの棟数は約一万二千棟であり、これらの管理組合に対して実施したアンケートの結果、回答のあった約二千三百棟のうち、耐震診断実施済みは約一七%、耐震改修実施済みが約六%となっております。
 耐震診断や耐震改修を実施していない理由について、アンケートでは費用負担の問題が最も多く挙げられておりまして、そのほかには、居住者の高齢化や住戸の賃貸化が進み、区分所有者の耐震化への関心が低下していることなどが多く挙げられております。

○伊藤委員 旧耐震基準のマンションで、補助金を受けて耐震診断を実施した結果、耐震改修が必要になったけれども、高額な費用負担を聞いて検討がとまってしまったという話を多く聞いております。具体的な耐震化が実現できないでそのまま放置していれば、先ほど例に挙げた阪神・淡路大震災のように首都直下地震が発生をしたときには、大変なことになるということは明らかだと思います。
 都は、国や区市と連携しながら、耐震化の促進に向けて、より踏み込んだ支援策を早急に講じていくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、マンション啓発隊活動や耐震セミナーの開催などにより、管理組合等への普及啓発を行うとともに、区市と連携し、耐震診断や耐震改修に対する助成などを実施してまいりました。
 九月に出された住宅政策審議会の答申では、マンションの耐震化の一層の促進を図るため、啓発隊訪問後のフォローアップや技術的、財政的支援の拡充、対象の重点化と集中的な支援などについて提言がなされております。
 都は、答申を踏まえ、支援策のさらなる充実強化に向けた検討を進め、年度内に策定を予定しておりますマンション施策の推進に関する行政計画において、具体的な取り組みを明らかにしてまいります。

○伊藤委員 耐震化の究極の手段としては、改築、建てかえがあるわけであります。しかし、高経年マンションの中には、建てかえを検討すると、現行の都市計画規制に適合させる必要から、現在の建物より規模が小さくなってしまうものがあり、管理組合内でさらに検討が進まないという話も多く聞いております。都の推計によれば、おおむね築四十年以上のマンションでは、建築後の法令改正や都市計画変更等により、約四割が現行の容積率制限に適合していないということであります。
 今後、建てかえを検討すべきマンションが増加していく中で、このように建築規制などで建てかえが困難なマンションについては、特区的な制度により規制緩和を行い、建てかえを促進していくべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 住宅政策審議会の答申では、敷地条件や建築規制により、建てかえが難しいマンションが相当数存在する状況に鑑み、都市計画や建築規制の緩和等により、マンションの建てかえを円滑化する仕組みの充実を図るべきとの考え方が示されております。
 都は、こうした考え方を踏まえ、老朽化したマンションが集積し、防災や活力などの課題を抱える地域において、まちづくりと連携してマンションの再生を促進する新たな制度について検討を進めております。現在、品川区の大崎西口駅前地区など三地区において先行モデル事業に取り組んでおり、その成果も踏まえ、来年度中の制度創設を目指してまいります。

○伊藤委員 先ほど来申し上げてまいりました沿道建築物、そしてまた、一歩中に入ったところのマンション、両方とも本当に重要であります。倒壊をすれば、一気に多くの生命、一気に多くの財産が失われる、これがマンションの特徴でありますので、都市整備局さん挙げて取り組んでいただきたい、耐震化に取り組んでいただきたい、このように思います。
 最後に、首都高速における歩行者及び自転車の立ち入り防止や車両の逆走対策について質問をさせていただきます。
 首都高速では、高速道路上で歩行者や自転車運転者が死亡する事故が平成二十四年から平成二十六年度までの三年間で三件発生しております。また、首都高速で歩行者が立ち入った件数は、平成二十五年度で二百五十六件だったのが、平成二十六年度では二百十九件と少し減少しました。首都高速でさまざまに取り組んでいただいている対策の効果が出ていると思いますけれども、それにしても依然として大変な件数であります。
 また、逆走する車両が確認された件数は、平成二十五年度で二件だったのが、平成二十六年度で七件であり、どちらの対策も早急に進める必要があります。
 首都高速に限らず、NEXCOが管理する高速道路についても、逆走車両の発生は社会的に大きく取り上げられており、歩行者や自転車の立ち入り防止とあわせて、高速道路における安全性の確保が大きな課題であると思います。
 私も最近、品川の戸越の首都高速の入り口ですけど、私が首都高速に入ろうと思ったら、どうも真ん中車線を走っている自転車がおりまして、この自転車は、スーツを着てヘルメットをかぶった若いサラリーマンでございました。バックミラーを見ていたらば、案の定、何の疑いもなく首都高速を上ってきまして、バックミラーで見えていたので、私も車をとめて、ここは高速道路だよ、このように話しかけたら、その若いサラリーマンの方は、ええって驚いておりました。このまま行っちゃうと大変なことになるよということで促しまして、彼は戻っていきましたけれども、全く気がつかないで入っていってしまう方がいるというのを目の当たりとしました。
 そこで、現在、首都高速における歩行者の立ち入りや自転車、車両の逆走防止について、どのような対策に取り組んでいるのか、伺いたいと思います。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 首都高速株式会社によりますと、平成二十三年度に警視庁と合同で設置した立入者等事故防止対策検討会において、歩行者などの立ち入り対策を検討しており、これまでに出入り口での注意喚起看板や横断幕、路面文字の設置などを行っております。また、逆走車の対策につきましては、出口で、案内看板や誤進入防止のためのポールの設置などを順次行うとともに、チラシの配布による注意喚起も実施しております。
 さらに、出入り口で歩行者や逆走車をセンサーで検知し、自動的に警告表示や交通管制室への通報を行う、立ち入り、逆走検知警告システムの試行運用を平成二十七年三月から開始いたしまして、目黒出入り口、大師出入り口、護国寺出入り口において、その効果の検証を行っているところでございます。

○伊藤委員 ただいまの答弁で、これまでさまざまな対策を講じているということはよくわかりました。
 しかしながら、首都高速の施設内で、首都高速のところから対応している場合が多いようであります。私が今心配していることは、外国人観光客がかつてないほど増加をする中、外国人ナンバーで車を運転する人もいるでしょうし、レンタサイクルで東京を観光したいという人もいるでしょうし、歩いて観光したいという人たちもいると思います。
 こうした外国人の方々がますます増加することを考えたときに、今ご答弁いただいたように、高速道路に入るところに、確かに、首都高って三文字で漢字で書いてあります。それは、外国人の方にその意味が果たしてわかるでしょうか。
 例えば自転車のマークがあって、バツって書いてあれば、外国人の方であっても日本人の方であってもわかるわけであって、そうしたユニバーサルのデザインで、わかるようにやらなきゃいけないということと同時に、より効果的に対策に取り組むためには、首都高速に入る手前から、誰にでもわかりやすく目立つ注意喚起が重要であると思います。
 そのためには、首都高だけでなくて、接続する国道や都道と連携して行う必要があり、都市整備局は連携の調整役を担うべきであると考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 高速道路に接続する一般道路に看板等の設置が必要となる場合は、道路管理者間で調整を行って対応することが基本でございます。
 首都高速道路株式会社においても、必要に応じて一般道路に案内看板や誤進入防止のポールなどを設置しております。お話のありました誤進入対策につきましては、安全性確保の観点からも重要と考えております。道路管理者間で連携して取り組めるよう、今後とも適切に対応してまいります。

○伊藤委員 高速道路における歩行者、自転車の立ち入り防止や逆走車の対策は、安全性確保の点で大変重要な取り組みであります。関係機関と適切に調整をしながら対策に取り組んでいただくことを要請して、質問を終わります。

○白石委員 私からも、三テーマ質問させていただきます。
 今、質問でもありましたけれども、旭化成建材問題について質問いたします。
 横浜市の大型マンションの傾きに端を発する旭化成建材のくい打ち工事のデータ偽装は、公営住宅や学校などで全国各地の公共施設でも次々と発覚し、国民的な不安が広がっています。それだけに、建物の安全を確保する建築行政の一端を担う東京都が実態解明と原因究明、そして再発防止に全力を挙げることが求められております。
 都有施設において、昨日までに都の調査により五棟の都営住宅など八施設九件でデータの転用や一部欠落があったことが判明をしております。その中に、五棟の都営住宅が含まれており、データ転用や一部、先ほどもいいましたが欠落が認められました。
 きょうは、そのうち都が発見した都営久我山一丁目第二アパートの十号棟、十一号棟のくいを固定する根固め部分のセメント注入量データが転用されたことを中心に質問をしたいというふうに思います。
 まず初めにですが、根固め部の工事が施工不良であった場合、一般論としてどのような危険性があると都は認識をしているか、伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 一般論ですが、根固め部の工事が施工不良であった場合、根固め部の状態などにもよりますが、建物が傾いたり、構造上支障となるひび割れが生じると考えられます。
 都営久我山一丁目第二アパートの現地調査におきましては、建物の傾きや構造上支障となるひび割れ等のふぐあいは、現在のところ見られません。

○白石委員 今回の実態が発覚するに当たって、私も大手ゼネコンで技術検査に携わっている専門家にレクチャーを受けました。根固め部は断面積で支持力が決まり、建物総重量を支えられなくなると。だからこそ、根固め部の施工に欠陥があり破損した場合には、くいが下降もしくは陥没することが起こり得るんだと、このようにいわれておりました。
 その結果、首都直下地震の際に想定以上の被害が発生することも否定はできない、このように指摘をされていました。そういう危険性がある問題として、この問題、事に当たる必要があるというふうに思っております。
 当事者である旭化成建材は、なぜデータの転用を行ったのか、理由や動機について、都に説明をしているのか、伺いたいと思います。また、それはどのようなものか、当事者の証言によって得られるものなのかどうかも伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○永島都営住宅経営部長 データの転用の疑いが確認され、元請会社及び旭化成建材に照会したところ、その事実を認めましたが、その原因や動機につきましては明らかになっておりません。引き続き、本件の経緯等について詳細説明を求めております。

○白石委員 今答弁あったとおり、明らかではないということが今の現状です。
 きょう、都から提供いただいたデータ転用された、くいの位置図をパネルにして持ってきました。これを見ていただければわかりますが、十一号棟では、三十九本のうち十三本でした。裏面では十号棟のくいの配置図を示しております。十号棟は、三十一本のうち六本でデータの転用がされていたというふうな事実です。こうして見ても、かなりの量に及ぶことがわかります。
 ちなみに、赤色の丸が転用されたくいだと、青色の丸のところがデータが存在しているくいなんだというふうな--これは都から提供されたデータですけれども、わかりやすく、きょうパネルにさせていただきました。
 そこで、先ほども、どうしてこのようなデータ転用がやられたのか、旭化成からは、そこのところは明らかになっていないというのが答弁でした。根固め部分のセメント注入量のデータが転用されたことについて、都は適正に施工されていると判断し、安全性を確認したと、このようにしていますが、どのような調査が行われたのか。また、セメントの注入量が適切に入っていると判断したのはどの資料をもとにしたのか、それぞれ伺いたいというふうに思います。

○永島都営住宅経営部長 都営久我山一丁目第二アパートでは、地盤調査結果、設計図書、施工記録から、くいが支持地盤に着実に到達していることが確認されております。
 セメントの注入量につきましては、注入されたセメント量や強度が記載されたくい施工データ及び施工状況写真、さらに元請会社へのヒアリングなどで確認を行っております。
 先ほども説明いたしましたけれども、転用されたセメント注入データにつきましては、くいの根元部分を固めるために注入するセメントと水をまぜた液の量と注入速度を均等に保つためにとるデータでございます。施工記録で、そのくいを固定するために使用したセメントの総量、注入時間と強度が確認できることから、適切に施工されていると判断をしております。
 なお、現在、いずれの住棟も都職員による現地調査において、建物の傾きや構造上支障となるひび割れ等のふぐあいは見られません。

○白石委員 私も、ここをちょっと聞きましたけれども、まず初めに、説明では納入書によっても確認をしたというふうなことを聞いていますが、それは事実かどうかお聞きしたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 先ほどもご説明いたしましたが、納入書によっても確認をしております。

○白石委員 今いろいろな、納入書であったりとか施工記録、写真もいわれました。このような形で適切に、適正に施工がされていると、このように判断したんだというふうな回答でした。
 まず一つ、セメントの納入書で--それから流量計がないというふうな今こういう状態のもとで、くい打ち工事が適正に施行されたと、このように早々に判断することは危険だということを指摘したいと思います。
 一本一本のくい打ちにおいて、根固め部分のセメント量が適切に注入されているかを確認するには、注入量を示す流量計によって確認するしかありません。それが不明なもとで、くい打ち工事が適正に行われたという判断はできない、このように思います。
 くい打ち工事において、セメントがどのように使用されているのか。私も、旭化成建材から直接聞き取りを行いました。担当者の話では、そもそもくい打ちにおいて、セメントが使用されるのは根固め部分だけではないと、このようなことをいっていました。セメントの使用量は、くいの穴を掘る掘削時に、周囲を固めながら掘るための掘削液にも使用されていると、このように話されました。
 それから根固め部、先ほども話題になっている根固め部のところにもセメントが、水と合わせたセメントミルクが使われています。くいの周辺を固定するくい周固定液にもセメントは使われております。
 もう一度申し上げますが、掘削液、そして根固め部のセメントミルク、そしてくいの周辺を固定するくい周固定液の三つの段階においてセメントは使用されていると、このような回答でした。
 担当者は、実際にどれぐらいのセメントが必要になるかは、土質によっても異なるし、工事の進捗によっても流動的になるため、セメントが予定より多く必要となり、納品された量では不足するというケースも考えられる、このようなことをいっていました。また、余るというケースも考えられ、余った場合にはどうするんですかと聞きましたら、廃棄をするか、持ち帰るかのどちらかと、こういうことでした。
 このことからも、先ほどいったように、納品書、納入書ですかね、によるセメント量をもってしても、適切に施工がされたという判断はできないというふうに思います。
 この可能性について、専門家に意見を求めました。現場では、正直何が起こるかわからない。現場で不測の事態に対応し、当初予定していた施工から変更するなど柔軟な取り組みが行われるのだから、納入書でもって適正な施工が行われたと判断することはできないと。納入書から適正な施工がされたと、このようなことがわかるのであれば、そもそも流入量のデータなど要らなくなってしまうのでないか、このような指摘がされておりました。
 日本建設業連合会が平成二十五年に、高支持力埋め込みくいの根固め部の施工管理方法の提案というのが出されております。この中で、くいについて、一般にくいの品質管理は、それが地中にあって直接見ることができないため、ほかの工種とは異なる管理手法が求められるとして、施工記録は、日々の施工管理の内容を記録するとともに、適正な施工が進捗していること、もしくは何らかの異常が発生していることを確認することが必要であると、記録と確認の重要性を強調しています。また、プロセス管理とならざるを得ないくい工事において、確実な施工と品質を証明する手段が施工記録であると。そして流量計である。施工計画段階において、施工記録の項目を洗い出し、記録用紙、記録方法、記録者、そして適否の判断の基準などを具体的に決めて、実施工時に的確に対応できるようにすることが重要であると。くい工事においての施工記録の重要性もさらに解説としてつけ加えられております。
 この点からも、施工のプロセス、すなわちくい打ち工事完了後に確認するんではなくて、日々進行する過程の中で記録を的確にとり、確認する。このことをもって、目に見えないくい打ち工事が適切に施工されたことを証明できるものだと、このように書いてあります。
 現時点で、元データ、転用されたところですね、元データというのは今お持ちになっているんですか、お聞きしたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 元データというお尋ねでございますが、現在、施工記録の中で、同様のデータが認められたというところでございます。

○白石委員 同様のデータということは、ない部分のデータがあるということですね、確認をしたいんですけれど。データが転用されて、例えば先ほど図でも見せましたが、二つのくいがありますね、この点線が転用されたと。これは三つですけれども、このうち、一本のデータはあるけれど、これが転用されているわけですよね。ここのデータはあるんですか。

○永島都営住宅経営部長 ほぼ同一のデータがあるということは確認されておりますが、どちらのデータが正しいというか、本来のくいのデータということかは、それは判明しておりません。

○白石委員 要するに、流量計のデータがないんです、転用されていますから。これが明らかになっているんです。
 現時点で、こうしたことからも、久我山住宅の、先ほど十号棟と十一号棟、全部で十九本です。そのうち、データが転用されて、ないデータというのがあるわけなんですね、流量計の記録がないわけですから。流量計の記録、データの消息が今明らかでないもとで、例えば納入書などをもって、適正に工事が行われたと断定できる材料というのは、現時点ではないということになるのではないかということを指摘したいと思います。
 現到達点は、くい打ち工事が適正に施工されたかわからないという立場に立たないといけないと、私はこのように指摘をしておきたいというふうに思います。
 そこで、伺いたいと思うんですが、都営久我山住宅など、データの転用や欠落が発覚した建物について、今後、都は原因究明をどのように進めていくつもりなのか、伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 まず、納品書のみの確認では適正であると判断できないのではないかというようなご指摘でございましたけれども、先ほどもご答弁いたしましたけれども、納品書に加え、日々の施工記録で、そのくいを固定するために使用しているセメントの総量、注入時間と強度が確認できることから、確認できております。またさらに、そのほかの施工記録ですとか、あと写真ですとか、複数のデータで確認をしているところでございます。
 また、今後の原因究明のことでございますけれども、現在、都では、元請会社と旭化成建材に対して、原因や動機も含む本件の経緯の詳細な説明を求めておりまして、引き続き求めてまいります。

○白石委員 今答弁されたとおり、納入書だけじゃないと、写真もあるんだと。だけれども、じゃあ、その一本一本のくいについて、セメントミルク、それの注入量がどうだったかというのは、流量計以外でわかるデータがあるということでよろしいんですか。

○永島都営住宅経営部長 繰り返しになりますが、日々の施工記録で一本一本のくいを固定するために使用したセメントの総量、注入時間、強度が確認できるものがございます。

○白石委員 済みません。後で、その資料をいただきたいというふうに思います。
 まず私が説明を受けたのは、今回の、このくいのデータの転用については、どのようにして都が判断をしたのかと伺いました。そのときに、判断の材料は納入書だと。今出たところは、私、正直聞いておりません。それなので、委員会後に、私、ちょっと資料要求したいというふうに思っております。
 そこで伺いたいと思うんですけれども、大手ゼネコンの技術者の方……(発言する者あり)ちょっと黙ってください。技術検査に携わり、現在も現場の検査に赴いています。経験上、データを紛失してしまうということを、一本や二本ならあり得るかもしれないけれども、三十九本中十三本です。実に三割以上が、三分の一のデータが紛失をされるというふうなことがあれば、異常事態なんだと、考えられない量だと、単に紛失したといういいわけは許されないと、このように指摘をされております。こういうふうな状態から、この実態が起きているということを念頭に原因究明に当たらなければいけないと思います。
 施工不良を隠す意図はなかったか、安全性は担保されているのか、会社や業界の体質的な問題はどうか、徹底的に洗い出していただきたいなというふうに思っております。
 くい打ちの施工報告書は、元請が管理するものです。その施工報告書は、いつ、どこのくいを打ち、根固め量がどうだったのか書かなければなりません。施工報告書には法的な規定はありませんが、業界のルールとしてやっています。本来、元請が管理する必要があり、元請の責任は追及されなければなりません。あくまでも建物の安全性や適正な施工がなされたかについての立証責任は、元請と旭化成建材にあります。ずさんな管理や紛失したなどのいい分をうのみにはせずに、徹底的な原因究明を迫っていく姿勢を堅持することを強く求めておきたいというふうに思います。
 また、元請による工事の管理がどうだったのかも、元請がセメント注入のデータ転用をなぜ見抜けなかったのかと。教訓をどのように引き出して、今後どのように対応すべきか、都としても徹底的に追及し、検証することもあわせて求めておきたいなというふうに思っております。
 次に、データ転用が判明した住棟の居住者に対しての説明会はいつなのか。説明会には、元請会社や旭化成建材も参加をさせ、詳細な資料を用いて住民に説明することが求められるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○永島都営住宅経営部長 都営久我山一丁目第二アパートにつきましては、データ転用が判明した後、速やかに公表を行いましたが、その公表に先立ち都職員が現地に向かい、自治会役員に状況を説明いたしました。その後、速やかに各住戸を戸別訪問し、丁寧に状況の説明を行うとともに、今後説明会を開催することもお伝えいたしました。
 先ほどもご答弁いたしましたが、現在、住民説明会の開催のため自治会と調整を行っており、準備が整い次第、開催する予定でございます。
 説明会では、データの転用の事実について資料を用いてわかりやすく説明するとともに、施工記録や現場調査から、安全上の問題は見られないことを丁寧に説明いたします。また、元請業者等も説明会に参加させる予定でございます。

○白石委員 この問題を受けて、私も久我山住宅にお住まいの方にお話を聞きに行きました。データが転用された住宅に住んでいる方は、データの転用はあったけど、工事はちゃんとやられているし、建物は安全だという紙が、この方は留守だったんでしょうね、ポストに入っていましたと。でも、安全だとする具体的な根拠も書かれていない、近日中に説明会を開くとも書いてあったけど、いつ開かれるのかわからないと。逆に、今不安が広がっているというふうなことを話しました。
 また、古い建物の方に住んでいる方は、東日本大震災では倒れなかったし、大丈夫だったと。東京都は、古い住宅は地震で危ないから建て直しをするといい、新しく建て直しているのに、さらに危険かもしれない都営に引っ越したくないと、このような声も上がっております。
 今、久我山住宅では不安が不安を呼んでいるというふうに私は思っております。私も実際行ったところ、歩いていてもいろんな方から声をかけられました。この住宅、大丈夫ですかと。こういうふうな今広がりがあるもとで、安全宣言を出せば住民の不安が取り除かれるわけではありません。住民が望んでいるのは、都や元請業者、旭化成建材から直接詳細な説明をする説明会こそ求められています。元請業者と旭化成建材の責任者が出席した説明会を早急に開くことを求めるものです。
 今回の問題を受けて、旭化成建材だけではなく、ほかの業者についても、同様にデータの転用や改ざんなどがされていないのか調査をする必要があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○永島都営住宅経営部長 現在、国において今回の事実の全容解明を図るとともに、再発防止対策の検討を進めていると聞いております。都としては、この再発防止策の検討を注視するとともに、現在着手している工事も含め、同様の事態が発生しないように、元請会社に対しては下請が行う工事を常に点検し、工事の確実な実施や適正な施工記録の作成を指導徹底するよう、注意喚起を行ってまいります。

○白石委員 国の動向待ちでもよろしくないというふうに申し上げたいと思います。
 群馬や滋賀県では、旭化成建材以外の業者が手がけた工事についても調査が開始をされました。その他にも、四府県が調査対象を広げることを検討しています。都市整備局においても、都営住宅の安全・安心な住まいを保障するために調査対象を広げ、開始することを求めておきたいというふうに思います。
 今回のくい打ち問題は、建物の安全にとって最も重要な基礎ぐいが支持層に届いていないという疑惑であったり、くいを固定するコンクリートのセメント量のデータ偽装をしていたと、全国でこういう問題が広がっています。
 大規模な建設現場では、百社を超える下請業者が現場で工事をする実態など、建設業界の重層下請構造などにより偽装発見を困難にして、責任の所在を不明確にしていることや、元請の期日の優先をする、こういうような形で完成を急がせることなど、下請の手抜きを助長して、偽装を見抜けなかったこと、一つの要因だというふうに申し上げたい。
 国や自治体においては、この問題の徹底解明と合わせて、再発防止に向けて安全性確保のための建築確認検査を強化するための体制整備や、中立公正な第三者による検査体制の確立など抜本的改善を図って、住まいの安全・安心を担保するための責任と役割を果たすことを強く求めて、このテーマでの質問を終わりたいというふうに思います。
 続きまして、都営住宅の空き家補修工事において、アスベスト含有建材の不適切な取り扱い問題について質問をしたいというふうに思います。
 この問題は、ことし三月、都営狛江アパートで実施された空き家補修工事において、アスベストが含有された建材が使われていることを住宅供給公社が把握していたにもかかわらず、通常の空き家補修工事として業者に発注して、発がん性物質であるアスベストを飛散させてしまったと、このような問題です。
 狛江アパートでの発覚後、過去にまでさかのぼって調査をしたところ、七十一件、七十戸の都営住宅の居室で、法律、条例違反があったことが判明をいたしました。
 アスベストへの不適切な取り扱いとは、法律や都の条例で義務づけられた届け出を行わず、飛散防止対策、適正な廃棄物の処理も同様に行わずに作業をさせてしまったと、このような問題です。
 改めて述べますが、アスベストは発がん性物質であり、人体への甚大な影響があることは科学的に証明をされています。だからこそ、取り扱いについて法律や都の条例により特別に義務づけがされております。
 この問題に対して、公社が二度とこのようなことを繰り返さないために、詳細な調査と、そして徹底的な原因究明を行って、再発防止策を講ずることを問われていることはいうまでもありません。また、都において、その立場で指導監督していくことも求められています。
 今まで提出された報告書及び六月一日、七月十日にプレス発表された資料によって、本当に十分な調査がなされたのか、詳細な調査の内容は全く記述がこの報告書ではありません。調査のあり方への評価もできない報告書となっているのが現状でした。
 なおかつ、直接かかわった関係者や居住者への健康対策など、どのように検討されているのかもわからない上に、再発防止策が十分に検討されたかというふうなところを見ると、大いに疑問があるというふうに指摘をしておきたいと思います。
 改めて伺いたいと思いますが、都は、アスベストが人体に及ぼす危険性をどのように認識をしているのか。また、アスベストが含有されている天井吹きつけひる石がどの居室にあるかを把握していながら、適切な対策をとらずに飛散をさせてしまったことについてどのような認識を持っているか、伺いたいというふうに思います。

○青柳営繕担当部長 アスベストは、天然に存する鉱物繊維でございまして、粉じんを吸引することにより、中皮腫や肺がんなどを引き起こすおそれがあるというものでございます。
 一部の都営住宅では、天井部分に吹きつけられたひる石にアスベストの含有が確認されており、その飛散防止を図るため、空き家になった時点で天井にボードを取りつける囲い込み工事を行うこととしております。
 この業務を東京都住宅供給公社に委託しておりますが、本来、囲い込み工事を行うべきところ、誤って天井吹きつけひる石を撤去する等の不適切な取り扱いをしたものが、これまでに七十一件、住宅の数では七十戸あることが判明いたしまして、本年六月一日と七月十日にプレス発表を行ったものでございます。
 都営住宅の居住者や当該工事の従事者を初めまして、都民にご心配をおかけしたことを東京都としてもまことに遺憾に思っております。都及び公社は、この事実を真摯に受けとめ、監督官庁の指示、指導に従い、直ちに当該住戸内外の空気中のアスベスト濃度測定や、当該住戸の居住者や工事従事者への説明、健康診断の案内等を行うとともに、再発防止に向けた業務手順の見直しや職員研修の充実等を図ってございます。
 このようなことが二度と起きないよう、都及び公社は連携して再発防止の徹底に努めるとともに、引き続き当該住戸の居住者や工事従事者に対して必要な措置を講じてまいります。

○白石委員 今答弁あったとおり、肺がんや中皮腫など命にかかわる問題だということです。しかも、アスベストの潜伏期間は、肺がんで二十年から三十年、中皮腫では二十年から四十年とも、このようにいわれています。一度の健康診断で人体に影響があるかどうかは判断がつきません。
 私も、アスベストの専門家に人体への影響をどのように判断するのか、聞き取りを行いました。普通の医者が対象者の胸部レントゲンを見てもわからない、アスベスト専門の医者が胸部レントゲンを経年的に見て判断しないとわからないんだと、このように話をしてくれました。たった一度の健診で判断がつくようなものではないということです。
 石綿障害予防規則第六章健康診断、第四十条健康診断の実施では、六カ月ごとに一回定期健康診断を行わなければならないと義務づけられています。法律でも、経年的に健診を受けることが義務づけられているということは明らかです。それだけ長期間にわたって健診を受けなければ人体への影響が、それじゃないと影響がわからないと、判断がつかないんだというのがアスベストの深刻さなんです。
 アスベストの危険性を認識する上で、どのような実態が全国で報告されているか、紹介をしたいというふうに思います。
 阪神・淡路大震災で瓦れき処理作業に従事した兵庫県明石市職員である四十八歳の男性は、二〇一二年に中皮腫により亡くなりました。男性は、市の環境部で勤務し、ふだんは家庭ごみの収集に従事をしており、アスベストを取り扱うことはまずなく、可能性があるとすれば、震災時の瓦れき処理によってアスベストに暴露されたというのが実態となります。従事して十七年以上たって、中皮腫によって亡くなりました。この方は、公務災害認定を受けたと報道されております。約十七年後に発症し亡くなる、それだけ長期間潜伏をし発症する危険性が、この実態によっても示されております。
 それだけ長期間にわたりリスクがある、これがアスベストの問題なんですね。この危険性を十分に認識することが、今回の問題を、まず二度と起こさないというふうになる大前提だというふうに思います。
 そこで伺いますが、今までの報告書を見る限り、どの機関が、このアスベスト飛散をさせてしまったという問題について調査をしたのか明らかになっていません。この問題を調査した機関はどの機関か、伺いたいと思います。また、構成メンバーも具体的に伺います。

○桜井住宅政策推進部長 調査を行った機関でございますが、住宅供給公社では、今回の都営住宅におけるアスベストの含有建材の不適切な取り扱いを行ったことにつきまして、社内に設置されているコンプライアンス委員会が調査を行っております。
 委員会は、理事長を委員長とし、常勤理事三名と総務部長から構成される常務委員に加えまして、今回の取り扱いに関連する住宅営繕部、窓口運営部、公営住宅管理部、総務部の担当部長五名が構成メンバーとなっております。

○白石委員 平成十九年に作成されたコンプライアンス基本方針に基づいて設置をされたコンプライアンス委員会が、今回の調査に当たったということです。これがコンプライアンス委員会の基本方針であります。
 以前からあったコンプライアンス委員会が機能していれば、こういうような重大な問題は未然に防げたのであって、チェック機能が果たせていなかったコンプライアンス委員会がこの問題を調査すること自体、公社の姿勢も問われます。
 また、それを都は追認していることは重大です。アスベストは、人体に甚大な影響を及ぼし、命にかかわる問題です。医学的知見や科学的知見を要する問題だからこそ、専門家や第三者を入れて調査に当たることが求められると思います。調査委員会は、独立性、公平性、専門性が担保されなければ、徹底した原因究明には至らないということも指摘をしておきたいと思います。
 続いて、問題となった都営住宅の七十戸、七十一件において、空き家補修工事でアスベストがどの程度飛散したかを調査されたのか、伺いたいと思います。

○青柳営繕担当部長 今回、不適切な取り扱いがあった住戸につきましては、その事実が判明し次第、監督官庁の指示、指導に従い、速やかに当該住戸、計七十戸の居住者に連絡をとりまして、その住宅の内外で空気中のアスベスト濃度測定を実施いたしました。
 屋外については七十戸全て、室内につきましては、建物が適正に解体されて残っていないものと、居住者と調整のつかなかったものの三戸を除きまして、六十七戸で測定を行ってございます。その結果は、全ての測定箇所で通常の大気濃度と同様でございました。

○白石委員 今の答弁で、終わった後に調査をしたと。私が聞いたのは、天井ひる石の、通常の空き家補修工事において、アスベストがどの程度飛散をしたのかということです。終わった後に調査をしたら大丈夫だったということを聞いているわけじゃない。もう一度お答えいただきたい。

○青柳営繕担当部長 繰り返しになりますが、この件が発覚してから、できるだけ速やかに監督官庁の指示に従いまして測定した結果、全ての測定箇所で通常の大気濃度と同様であったというのが事実でございます。

○白石委員 これは過去さかのぼったら、七年間放置をされていたということになります。今、発覚してから調べたというふうな答弁でした。今の答弁でも明らかなように、アスベストがどの程度飛散したのかという調査はされていないということです。
 同様の問題が起こった事例があるか調べました。文京区立さしがや保育園で、平成十一年に今回の問題と同様に、アスベストが含有される建材があったにもかかわらず飛散防止対策をせず、隣接する保育室の園児や職員などがアスベストに暴露するという事例がありました。
 この文京区立さしがや保育園アスベストばく露による健康対策等検討委員会は、アスベストの専門家五名、医師二名、メンタルヘルスケアを担当する臨床心理士一名、アスベストNPO代表一名、被害当事者代表二名で構成がされています。調査委員会は、それぞれの専門家など第三者によって構成がされています。その報告書は約百八十ページにわたり、詳細に調査と検討がされ、報告書がまとめられております。きょう、私も持ってきました。インターネットで見ればありますので、読んでいただきたいと思います。
 私も全部読みましたが、人体への影響がどのくらいあるか、危険性を当時の最新の知見に基づいて詳細に記されています。その前提を踏まえてリスクが評価をされています。リスク評価とは、どのくらいアスベストが飛散したか、アスベストの飛散した量を業者へのヒアリングを行って、当時の作業を詳細に時系列で記されています。現場検証も含め徹底的に調査を行った上で、アスベストの飛散した量を、推測値として最小、最大、平均を算出しています。当然、ここも飛散をした後に調査していますので、ヒアリングやさまざまな調査を行って、推測値として、このぐらいは飛散したのではないかというふうにこの報告書で書かれております。
 文京区の担当者に話を聞きました。最も重視したのが、アスベストの危険性を詳細に調査し、危険性を十分に認識することだったと。その前提で、どのような対策が必要なのかを詳細に検討したと。現在も年一回検討委員会を開催し、最新の知見に基づいて検討を積み重ねていると。また、対象者となる人には、専門の医師が来て毎年胸部レントゲンの読影会が行われ、経年的に診察をしていると、このように伺いました。
 一方で公社の調査は、どのぐらいの飛散量だったのかリスク評価もされておりません。A4の用紙一枚で報告が済まされるような問題ではないということを強く指摘します。
 そして、事の問題は重大かつ深刻なんです。人の健康や命にかかわる大問題であるという認識が欠落しているといわざるを得ません。報告書を見る限り、どのぐらいの作業員が暴露した可能性があるか、人数も明らかになっておりません。
 そこで伺いますが、幾つの業者がかかわったのか、また、直接空き家補修工事を行った作業員の人数は何人か、それぞれ伺いたいと思います。

○青柳営繕担当部長 プレス発表で示したとおり、囲い込み工事を行わずに天井改修工事を行った住戸は七十一件、七十戸でございますが、この工事に従事いたしました作業員の数は四百九名、業者数は下請を含めまして七十九社でございます。

○白石委員 工事業者三十九社、作業員は四百九名ということです。作業員だけでも四百九名の方が暴露した可能性があることが明らかとなりました。先ほどの文京区の事例では、対象者は百五十五名です。対象者に作業員は入っておりませんが、はるかに今回の方が対象者が多くなるということは明らかです。
 アスベストが飛散した作業服で家に帰れば、その家族がアスベストを吸い込んで、中皮腫などのアスベスト関連疾患の発生が過去に報告をされています。直接現場にいなくとも、家族にまで健康被害が及ぶ危険性が既に発生していることが報告をされています。
 また、作業工程で窓をあければ、隣にアスベストが入り込むことは容易に想定もできます。厚生労働省が発表している石綿含有建築物の解体などにおける労働者の石綿暴露防止対策についてでは、セキュリティーゾーンの設置を設け、人の退室時などにエアシャワーなどを使って徹底的に飛散を防ぐ対策をとることや、そして漏えいの監視など、こういうことも測定機を使用して定期的に漏れがないかを確認することも定められているとおり、徹底的に飛散させないという対策を定めております。
 今回の問題は、これほどまでに徹底して飛散防止対策しなければ防げない問題であり、事の重大性と深刻さを改めて、都においても認識をしてもらいたいというふうに思います。
 今後、公社がアスベスト対策にかかわる工事を行う上で、再発防止策はどのようにとられていくのか、伺いたいと思います。

○青柳営繕担当部長 ただいまのご質問の前に、済みません、先ほどの七十一件に従事しました作業員の数と業者の数でございますが、改めまして申し上げさせていただきます。
 工事の作業員は四百九名で、業者数は下請を含めまして七十九社でございます。
 また、これまで元請業者を通じまして、下請業者や作業員に対してアスベストに暴露した可能性があることを伝えるとともに、健康診断等の相談に応じることとしております。今日まで健康診断等の要望はございませんが、今後も要望があれば引き続き対応してまいりますので、その点につきましてはご承知おき願いたいと思います。
 続きまして、ただいまのご質問に対してお答えさせていただきます。
 七月十日にプレス発表でお示ししましたとおり、公社は、今後の再発防止策としては、アスベスト飛散防止対策マニュアルを作成し、工事に従事する職員や工事業者に対して、説明会等により周知徹底を図るとともに、住戸管理のシステムにおいて、アスベスト含有住棟の注意喚起メッセージを自動的に表示させるなど、情報管理の徹底を図っております。
 また、アスベスト対策に係る公社職員の意識向上、啓発に向けて研修等の充実を図るとともに、業務全般にわたるコンプライアンスの取り組みを強化しております。
 都は、公社に対する法令遵守の指導徹底を図るとともに、再発防止策が実施されているか、アスベスト対策が終了するまで、現場確認を含めて定期的に確認してまいります。

○白石委員 対策マニュアルの作成と住戸管理システムの向上、それから職員の研修なども行って、今後再発防止に努めていくというふうな答弁でした。それは大いに、やはり進めていくべきだというふうに思います。
 しかし、再発防止を図るには、まず、都民に徹底した情報公開が必要となります。その立場で見ると、私も所属していますが、公社評議員会は都民に非公開となっています。また、議事録も公開をされておりません。
 再発防止の大前提となる都民に開かれた公社づくりには、公社評議員会の傍聴を可能にすることや、議事録の公開を都が指導することを求めたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○桜井住宅政策推進部長 評議員会は、公社定款におきまして理事長の諮問機関とされております。公社では、評議員会は、評議員に各分野の専門的見地から忌憚のない意見をいただくために、傍聴や議事録の公開をしておりません。
 なお、評議員会の運営は、公社の自主的な判断を尊重するべきものと考えております。

○白石委員 今回のような問題が発覚し、報告とあわせて質疑が行われた場となる公社評議員会は、少なくとも公開することを検討すべきだったと指摘をしておきたいと思います。
 この問題は、公共施設で起こった問題であり、とりわけ社会的にも重大な責任があります。公社の定款の第一条、目的には、社会福祉の増進と記されているとおり、公社は住環境並びに命や健康、安全に最も注視をし、事業に取り組まなければならない責任があります。
 行政やそれに準ずる責任ある機関がこのような問題を起こせば、社会的にもコンプライアンスの低下につながる原因ともなります。だからこそ、都民に徹底した情報公開と再発防止に取り組まなければなりません。今後の評議員会の公開を都として指導することと、議事録を公社のホームページ上に掲載することを改めて求めておきたいと思います。
 都営住宅において、アスベスト対策が必要となっているのは、天井部分に吹きつけられたひる石だけではありません。この間、都営住宅では、アスベスト対策が必要となって改修工事などが中断しているということもお聞きをしております。
 まず、都営住宅のどこにアスベストが含有された建材が使用されているのか、具体的に伺いたいと思います。

○青柳営繕担当部長 都営住宅は、基準の設計を定めまして統一的な仕様で建設を行ってございます。材料にアスベストが含有されていると推定される年次から見まして、天井吹きつけひる石のほか、バルコニーの隣戸避難隔て板、コンロ台周りのボード仕上げ材、風呂釜の煙突及び外壁塗料などに含まれている場合がございます。

○白石委員 今答弁されたように、生活しているスペースや外壁の塗料などにおいても含有をされているという場合があるということです。この外壁塗料に含有されているとわかったのは、ことし環境局、改定されました建築物の解体等に係るアスベスト飛散対策マニュアルに基づいて外壁塗料を再点検したところ、一部の外壁塗料にアスベストが含有されていたということがわかったということです。
 そこで、現在、外壁の改修工事でアスベスト対策が必要となって改修工事が中断をしている都営住宅はどこか、伺いたいと思います。

○青柳営繕担当部長 本年一月に、環境局のアスベスト成形板対策マニュアルが改定されまして、外壁の塗料にアスベストが含有している場合は、非飛散性のアスベスト成形板と同様であると。つまり、通常の状態での飛散のおそれはないが、外壁補修の際は注意が必要な材料と位置づけられたことが示されております。
 このため、住棟の外壁塗料にアスベスト含有が判明した場合は、外壁の改修工事を一時中止いたしまして、アスベストの具体的な飛散防止対策を検討することといたしました。先月、関係部署との協議の結果、アスベストを飛散させずに工事を行う安全な対応方法が定まったことから、工事の再開を順次行っているところでございます。その住棟といたしましては、都営の狛江アパートなどがございます。

○白石委員 練馬区の都営南田中住宅の住民の方からも、私、聞きました。工事が中断していることについて、工事関係者にこの方が、中断しているのはなぜかと聞いたときに、アスベストによって中断しているとはいっていなかったと。アスベストにより工事が中断したということは知らなかったので、とても驚いていると。健康にかかわる問題だからこそ、ちゃんと説明会も開いてほしいというふうな声が出されております。
 このとおり、きょうアスベストの問題も取り上げさせていただきましたが、改めていいますが、アスベストは命にかかわる問題となります。この問題に対して、公社並びに東京都がどういう姿勢で住民と向き合っていくかが問われることになってくると思います。早急な、この中断をされている都営住宅には、しっかりと全住民に説明会を開いてほしいということも改めて求めておきたいというふうに思います。
 この質問を終わりたいというふうに思いますが、次の質問に移らさせていただきます。

○青柳営繕担当部長 ただいまのお話につきまして、若干ご説明させていただきたいと思います。
 外壁工事などでアスベスト対策が必要となった工事で中断したものでございますけれども、工事を中断する際には、工事の方法を検討するため工事を中断すること、また、再開のめどが立った段階で改めてお知らせすることを自治会長などに説明した上で、掲示を行って居住者に周知を図ってございます。
 先月、工事の方法が定まったことから、現在、外壁工事を再開する住棟に対し、順次自治会説明を行うとともに、掲示により住民への周知を図っているところでございます。
 また、工事を中断している間に自治会等から問い合わせがあった場合には、外壁にアスベストが含まれていること等を含めて、丁寧に状況を説明している状況でございます。

○白石委員 丁寧な説明というふうにいわれましたけれども、実際にはわからないとか、知らないとか、初めて聞いたという方もいらっしゃるという中では、しっかりとこのアスベストの問題は説明会も開いて、全住民にお知らせをしながら安全・安心を守っていくというのが都の立場でもあり、公社にそれを守らせることもとても大事だということもあわせていっておきたいと思います。
 次に、居住支援協議会について伺いたいと思います。
 最後のテーマですので、低所得者、高齢者、障害者、子育て世帯など住宅確保に特に配慮を必要とされている方々を支援するための居住支援協議会について、簡潔に伺いたいと思います。
 昨年の、私も事務事業説明の質問のところで居住支援協議会を取り上げました。その答弁で、東京都居住支援協議会のセミナーなどの活動を通じて、民間賃貸住宅への入居支援などに取り組むNPO団体の活動状況などについて情報提供を行っていくと、このような答弁をされました。
 現時点において、都協議会の活動状況と区市町村協議会の設立状況について、伺いたいと思います。

○加藤住宅政策担当部長 昨年設立いたしました都の居住支援協議会におきましては、パンフレットの作成、配布、区市町村や関係団体などを対象としたセミナーの開催、都内における協議会の取り組み状況に関する情報交換などによりまして、区市町村協議会の設立意義への理解を深めてまいりました。このうちセミナーにおきましては、四つのNPO団体に活動状況を報告していただき、参加者に情報提供を行ったところでございます。
 こうした取り組みの結果、設立済みの三つの区に加えまして、今年度、八王子市と調布市で居住支援協議会の設立に向けた準備を行っているところでございます。

○白石委員 この間、都の協議会も、セミナーなども使いまして団体にもどんどん幅広く声かけもしながらも行ってきたところ、八王子や調布の二つの市で今後居住支援協議会の設立の準備が始まっているということは大変重要であり、評価もしたいというふうに思います。
 セミナーの開催に当たっては、NPOなどに対して参加の声かけを行っているというふうにも伺っておりますが、具体的にもう一度伺いたいと思います。また、都協議会の今後の取り組みについても、あわせて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○加藤住宅政策担当部長 都の協議会におけるセミナーの開催に当たりましては、各セミナーの趣旨を踏まえまして、NPO団体、関係団体、区市町村職員等に参加の声かけを行っております。こうしたセミナーを引き続き開催するほか、全国の協議会の活動事例集などを活用しながら情報提供を積極的に行うとともに、協議会の活動経費についての補助を行うなど、区市町村協議会の設立を推進してまいります。

○白石委員 時間もありませんので、引き続いて質問させていただきます。
 今、若者の住宅問題も深刻になっています。若年住宅困窮者の問題が深刻化している中で、今後、都の協議会として若年困窮者の住宅支援についてどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○加藤住宅政策担当部長 若年住宅困窮者につきましては、福祉施策や雇用就労施策とともに、民間事業者などとの多様な連携により、民間住宅市場において居住の安定確保が図られるべきと考えております。
 都の協議会は、引き続き区市町村協議会の設立促進、活動支援を行うことによりまして、区市町村協議会における地域の実情に応じた住宅確保要配慮者の居住の安定に関する取り組みを支援してまいります。

○白石委員 都内区市町村全てで立ち上げられるよう、引き続き頑張っていただきたいなというふうに思っております。
 あわせて、広域自治体として都が広く経験と教訓を普及していく取り組みは、なお重要です。そのため、前提となる支援団体への聞き取りや実態調査にも踏み出しながら、さらに会場や回数をふやすなど、小まめにセミナー開催や情報公開に取り組んでいただくことを要望して、質問を終わりたいというふうに思います。

○中村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十七分休憩

   午後三時三十分開議

○中村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。

○中山委員 まず初めに、重複する点も多々あると思いますけれども、端的に質問させていただきますのでご了承いただきたいというふうに思います。
 まず、平成二十六年度までの長期優良住宅認定実績について伺います。
 先ほどまで三名の委員からくいのデータ流用について質疑がありましたけれども、このような事態になったからこそ長期優良住宅制度の意義が大きくなり、これからさらに注目されるのではないかと期待を込めて質問いたしたいと思います。
 長期優良住宅認定制度は、住宅を長期間使用するために必要な性能である耐震性や耐久性、省エネ性、住環境への配慮等について一定の基準を満たす住宅を都や区市が認定する制度でありますが、都内において平成二十五年度末までに約三万七千戸認定実績があると報告を受けております。また、都における普及目標については東京都住宅マスタープラン及び東京都長期ビジョンに触れられていますが、新築住宅の着工戸数に対する長期優良住宅の認定戸数の割合を平成三十二年度までに二〇%としております。
 そこで、平成二十六年度末までの認定実績と平成二十六年度の認定割合について、伺いたいと思います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 都内における長期優良住宅の認定戸数は、平成二十六年度末までの累計で約四万四千戸となっております。また、平成二十六年度一年間の新築住宅の着工戸数に対する長期優良住宅の認定戸数の割合は五・一%でございます。

○中山委員 平成二十六年度末までの認定戸数の累計と認定戸数割合について確認をさせていただきましたが、認定戸数の割合が平成三十二年度までに二〇%と大変高い目標が掲げられておりますが、安心・安全はもちろんのこと、みずからの持ち家に対する愛着と省エネへの関心など恒久的に持ってもらえるような利点がある制度設計になっております。着実に施策を実施していただくよう期待して、次の質問に進みます。
 制度の普及を図るためには、何よりも長期優良住宅認定施策の認知度を高めていくことが重要であります。特に税制面などのメリットも含め、建築主はもちろん、施工者やディベロッパー、住宅ローンを貸し出す金融機関など、幅広く情報提供することが大事であります。そして、この制度は国の法律に基づくものですが、二十三区内では一万平米以下は区が、所管行政庁である八王子市など九市では市が認定を行っており、認知度を高めるためには区市との連携が重要であります。
 そこで、今後、区市との連携も含め、長期優良住宅の普及に向けてどのような取り組みをされているのか、伺いたいと思います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 長期優良住宅の普及に向け、都はこれまでも消費者や住宅生産者に対し、都市整備局のホームページや講習会などにより、税制優遇などのメリットも含め制度の周知を図ってまいりました。各区市におきましても、ホームページへの掲載やパンフレットの作成などによりまして制度の周知に取り組んでおり、都は区市に対して制度運用に関する必要な情報提供を行うなど、支援と連携に努めてまいりました。
 今後とも、例えば、住生活月間のイベントにおいて区市と連携して制度のPRを行うなど、さまざまな機会を通じて制度の普及を図ってまいります。

○中山委員 長期優良住宅認定施策の認知度を上げるためには、何といっても区市のやる気度が大切だと考えますし、当局もご認識いただいていることだと思います。また、あわせて、施工者やディベロッパーに特典がつくようなインセンティブをどうつくっていけるのか、あるいは、認定が受けられたことで住宅ローンにもメリットを提供するなど、さらなる施策の充実が大切であります。
 くいの偽装データから端を発し、欠陥住宅へのさまざまな事態が明らかになっている今こそ、制度の充実を求めるものであります。
 一般的な製品であれば、不良品はすぐに返品して交換できますが、マンションはそうはいかないということであります。また、消費者が施工状況を確認したりデータを見てもミスや不正がわかるものではないということであります。この品質について、監督官庁や事業者に負うところは大きいと考えます。
 実際に偽装を行った者は、当然技術者としてモラル、法的責任を問われると思います。しかし、工期厳守のプレッシャー、あるいは下請の立場の弱さなど、さまざまな背景がいわれております。技術者不足も一つですが、今回の件に限らず、横浜では他のマンションや公共施設でもくい打ちの偽装があり、青山の億ションで施工不良による取り壊しなどなど、報道ベースをちょっと見るだけでも信じられないようなことが起きております。
 今回のように、誰もが知っている大手なのに施工管理ができていないとなれば、建設業界の信用を揺るがせかねない。他の会社や業界全体に波及すれば、パンドラの箱が開き、社会は混乱し、経済も打撃を受けると考えます。
 今後、具体的なPR方法も含め、区市への情報提供を積極的に展開していただくよう要望し、次の質問に入ります。
 空き家対策について伺いたいと思います。
 ことし総務省が発表した住宅・土地統計調査の確報集計によりますと、平成二十五年の都内空き家数は約八十二万戸と増加しております。法が整備され、空き家対策が進められておりますが、実際のところ個人の所有財産なので、ちょっと危ないからでは行政が勝手に手を入れることができないというのも実感しているところであります。
 また、これだけの戸数になってきているので、本当に我々の身近な課題になってきております。そして、そうしたことから、都では平成二十四年度から空き家の利用活用の可能性を検証するため、高齢者や子育て世代などに賃貸することを要件にバリアフリー改修などの費用の一部を補助するモデル事業を実施しました。
 事業実績は数件と少なかったと聞いておりますが、事業からわかった課題と、それを踏まえた都の空き家の利活用に向けた取り組み状況について、伺いたいと思います。

○加藤住宅政策担当部長 空き家活用モデル事業を通じまして、まず空き家の利活用を積極的に考えている所有者が少ないということ、そして高齢者などへの住宅供給を検討する事業者が適切な物件を探すために時間を要することなどが課題として明らかになりました。空き家の利活用の促進には利用可能な空き家の掘り起こしが重要でございまして、地域の実情を把握している区市町村の取り組みが有効と考えております。
 このため、都は今年度から区市町村が行います空き家の実態調査や意向調査、バリアフリー改修助成などに対して財政支援を開始いたしました。
 今後とも会議の場などを通じまして区市町村に対して実態調査や意向調査などを促し、空き家の利活用を促進してまいります。

○中山委員 空き家の利活用については、さまざまな課題が明らかになったわけですが、本当に私たちの身近な地域でも空き家の問題というのが大変大きな問題になっております。
 特に特定空き家に該当するような物件も多々あるわけで、お隣が特定空き家に--相続人がはっきりしないとか、所有者が特定できないとか、今後いろんな意味での課題があると思います。
 今後も空き家利用活用施策を充実するとともに、特定空き家に対する実態調査などもさらに進めていただきまして、実態をしっかり法律に反映する、ここが一番大切だというふうに思っておりますので、国へしっかりとした要望も上げていただきたいと、そのように要望いたします。
 次の質問に移ります。
 次の質問は、観光バスの駐車場についてでございます。
 これは地元の課題として一つ質問させていただきたいと思います。
 日本政府観光局では、十月の二十一日、ことし一月から九月に日本を訪れた外国人旅行者数が前年度同期比で四八・八%増の一千四百四十八万人となったことが発表されました。私の地元台東区においては、中国人の観光客が目に見えて多くなってきております。浅草寺境内は、昼間は、大げさではなくて中国語しか聞こえないといったような状態になっているほどでございます。
 訪日外国人がふえることは、もちろん、地元経済はもちろんのこと、日本全国に経済波及効果をもたらすことは本当にすばらしいことだというふうに認識をしております。しかし、地元では、一つ観光バスの問題は大きな問題になっているわけでございます。
 浅草寺から二天門という門があるんですけれども、くぐり抜けると、左手に都が保有する都立産業センター、そして右手には浅草小学校という小学校があるわけでございます。その間の道路は二車線あるわけなんですけれども、日中は常に一車線状態で、ここにバスの停車によってもう占領されてしまっているというような状況になっております。
 都立の産業センターは、一階はバスの駐車場なんですけれども、何せ高さが低いということでありますから、今のいわゆるちょっと車高が高いバスだと入れない状況になってきているわけでございます。
 さらに、この浅草小学校という小学校が近いため、子供たちの通学、下校時は大変危険な状態になっております。学校関係者は細心の注意を促しております。また、お客さんをおろした後に、駐車スペースが区全体としては少ないために、主要道路で待機車両が駐車しているのが現状であります。もちろん、一時駐車に対して警察が注意を促している、そんな状況も私たち見ているんですけれども、どうしてもイタチごっこになっているのが今の現状でございます。
 そういったことから、区は浅草の観光バス対策に本格的に取り組むため、六月の二十五日に閉会した台東区の区議会第二回定例会で、観光バス駐車対策費八百四十万円を含む補正予算を可決し、調査や検討を開始しました。
 そこで、観光バスの駐車場整備について区は取り組みを強化しておりますが、都の取り組み姿勢について、伺いたいと思います。

○中島都市基盤部長 貸し切りで運行されている観光バスの駐車場は、観光の目的となっている施設の側で確保することが原則でございます。また、観光バスの駐車場が不足している地区については、それぞれの実情を踏まえ、基本的には地元自治体が主体となって交通管理者など関係者と連携して駐車対策を行う必要があります。
 都は、地元自治体などと連携を図りながら適切に対応してまいります。

○中山委員 確かに駐車場の整備というのは、基礎的な自治体か、あるいは事業者が整備する義務があるというご答弁でございました。
 広域行政として、お隣の墨田区でもスカイツリーがあって、ここもかなりバスが混雑しているという状況でありまして、全体的な課題としてぜひ取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 もっとも現状では、今、港湾局の方でもいろいろと、経済・港湾委員会でも議論されておりますけれども、例えば、港湾にクルーズ客船をとめるふ頭が整備されるということになっておりますけど、そこにも想像するところ、やっぱりバスがずらっと並んで、五千人から六千人になるこの船の乗客がおりてきて、バスに乗って観光地に向かうというようなことが予想されますし、もう一つには、例えばMICE政策などでも、多くの会議に集まった人たちが、会議が終わって一斉に観光地に入っていくというようなことも想定されるわけでございます。
 そういう面では都市整備局だけでどうすることもできない問題だと思いますし、これは都全体の、都有地をどこか探して、そういったバスの駐車システムをぜひ構築することが大切であり、これは二〇二〇年の東京五輪の一つの課題かなというふうにも思っておりますので、前回は一般質問でも質問させていただいたんですけれども、きょうあえて都市整備委員になりましたので質問をさせていただいた次第でございます。
 次に、天井等の落下防止対策について伺いたいと思います。
 国で、平成二十六年施行され、建築基準法に基づく天井脱落対策の規制が強化されました。東日本大震災でスポーツ施設の天井が脱落したことや都内でホテルの天井附属物が脱落したことなどは想定外であったことから、天井耐震の必要性に着目した規制強化となっております。
 そして、今回の法規制のポイントとして挙げられるのが、一つにはつり天井であって、高さ六メートルを超える天井の部分で面積二百平米を超える部分を含むもの、あるいは天井面積構成部分等の単位面積質量が一平米当たり二キログラムを超えるものなどがあります。しかし、現在、緊急輸送道路沿道建築物での耐震補強などを促しているわけでありますが、どちらかといえば、構造体の強化といえると思います。
 そこで、都は、こうした規定などを中心に紹介したリーフレットを作成、周知し、天井落下防止を促しているとのことでありますが、取り組み状況について、伺いたいと思います。

○妹尾市街地建築部長 平成二十三年の東日本大震災において、都内を含む広範囲で建物の天井が落下し、甚大な被害が生じたことを踏まえ、国は平成二十五年八月に天井落下防止対策に係る技術基準を定め、翌年四月に施行いたしました。
 技術基準では、脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある一定規模以上の天井を特定天井と定め、その構造は構造耐力上安全な構造方法を用いるものとしなければならないとしております。
 都では、天井脱落対策の技術基準や安全・安心な天井を目指すために必要な手順などをきめ細かく、かつわかりやすく紹介したリーフレットを平成二十六年三月に作成し、建築相談窓口を初め、区市町村や指定確認検査機関、定期報告受付機関などに配布し、ホームページでも広く紹介し、普及啓発を図っております。

○中山委員 取り組み状況について明らかになったわけですが、建物の多くがつり天井構造です。天井の裏には、空調、照明、換気など設備があります。また、断熱、遮音、吸音材なども含まれております。これらを収容し、その性能を維持、保持するためにつり天井構造が採用されております。
 地震時に、つり天井はブランコのように動き出すといわれております。身近な問題として、今後も周知徹底を要望し、次の質問に入ります。
 事務事業概要では、都内の特定行政庁と連携して対策を講じ、はめ殺し窓の有無、外壁タイルの維持管理状況、広告板の異常の有無等について建物所有者等に対して調査と報告を求め、是正が必要とされた建築物については定期的にフォローアップし、改善指導等を行っているとされております。
 さきの東日本大震災では、比較的新しい既存の建築物にも天井落下の被害が出てきていますが、耐震改修と比べ、その対策が進まないのが現状であります。
 そこで、都として天井落下防止対策についてどう取り組んでいるのか、伺いたいと思います。

○妹尾市街地建築部長 東日本大震災の際には、首都圏でも昭和五十六年以降の、いわゆる新耐震基準で建築された施設においても、不特定多数が利用する音楽ホールや体育館などで、死傷者こそなかったものの、天井落下による甚大な被害が出ております。
 このような被害状況を踏まえると、適切な天井落下防止対策がとられていなければ、旧耐震基準の建築物、新耐震基準の建築物いずれにおいても天井落下による甚大な被害が起こり得ることを都民に認識していただくことが重要でございます。
 都としても、平成二十六年の基準改正前の建築物を対象に、天井落下防止対策の重要性についてチラシやホームページでPRするとともに、年二回の建築物防災週間などを含め、さまざまな機会を捉えて啓発を図ってまいります。

○中山委員 天井落下対策について明らかになったわけでございますが、緊急輸送道路沿道建築物に対して当局が施策を展開しているわけでございますけれども、天井耐震を進める施策展開も大変重要と考えます。
 そこで、国家試験の中で天井耐震診断士という資格もあるそうでありまして、今後はそういった資格者の活用についても考えていただきますようにお願いをいたします。
 次の質問は、くいデータの偽装問題について質問いたします。
 旭化成のくい工事のデータ流用問題を機に、大手ディベロッパーやゼネコンなど問い合わせが殺到しているそうです。私もマンションに住んでいますが、これまで自分のマンションが、くいをどこの施工会社が打ったのかなど気にしたこともありませんでしたが、今回の問題を機に、自分のマンション、みずからの所有する物件は大丈夫かと疑心暗鬼がとまらない、そんな社会状況になっております。
 連日メディアから流れておりますが、特に欠陥マンションがクローズアップされております。行政施設でも全国的にくいの流用データが、相次ぎ明らかになっております。しかし、当局や議会にとって、この時点で大切なことは、不安をあおることではなく、事態の調査を進め、事実関係を明らかにしていくということであります。
 また、あした十三日は、旭化成建材は国に調査結果を報告することとなっており、国の調査や対策と連動することが重要だと考えます。
 特に東京都においては、道府県と比べ物にならないぐらい行政所有、民間所有の物件が圧倒的に多いことから、さらに冷静な対応が求められると考えます。
 そこで、都が先日発表したところ、旭化成建材株式会社が平成十七年度から平成二十六年度に施工したというリストに都営住宅が十二件該当しておりました。都の調査によって、そのうち四件、四棟でデータ欠落がわかったことでありますが、まずはこの調査についてチェック体制や方法など概要を伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 都営住宅工事の十二件につきまして、四件、四棟でデータ転用、一件、一棟でデータ欠落がわかったところでございます。
 まず調査の方法でございますが、地盤調査の結果とくいの設計長さを照合し、支持地盤にくいが着実に到達する長さとなっている設計であることを確認いたしました。
 その上で、それぞれのくい工事の施工記録を複数の職員が繰り返し確認し、さらにデータの転用を疑われた場合には、隣接する住棟の工事の施工記録とも比較、照合を行いました。その結果、五件の転用などが確認され、元請会社及び旭化成建材に照会したところ、その事実を認めたものでございます。

○中山委員 四件の転用等が確認されたことでありますが、都市整備局から送られた資料にこう書いてあるんです。
 都では、旭化成建材が過去十年間にくい工事を施工したものとするリストに掲載された都営十二件について調査を進めています。これまでデータ転用、欠落が認められた三件に加え、今回新たに二件について電流計データの一部が同一であったため、データ転用が疑われると同社に照会したところ、その事実を認めたのでお知らせします。なお、この二棟については、転用が疑われるデータ以外の施工記録や現況調査により施工状況を確認しており、現在のところ安全上問題が見られませんとなっております。
 データが転用されているのに、プレスでは、現在のところ安全上問題は見られませんとありますが、その詳細を伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長 くい施工時の電流計データに転用があった都営白鷺一丁目第三アパートの二件と電流計データに欠落があった都営東京街道アパートの一件では、支持地盤の深さがほぼ一定であり、くいの長さなど、施工記録から全てのくいが支持地盤に到達していると判断をしております。
 セメント注入データの転用があった都営久我山一丁目第二アパートの二件におきましては、設計どおりのセメント量が納入されていることや施工記録からセメント量や強度などが適正であることを確認しております。
 いずれの住棟も建物の傾きや構造上支障となるひび割れ等のふぐあいは見られず、現在のところ安全上の問題はないと考えております。今後も定期的に現地調査を行い、安全性の確認を行ってまいります。

○中山委員 今答弁をいただいたとおり、今回の物件については、支持地盤の深さがほぼ一定であったこと、そしてそれに沿ってくいの長さが同じであったこと、そしてセメント量の納入記録があったことから安全上問題がないと判断したとのことでありました。
 この件に関しては大変よかったことだと思いますが、区市でも同じようなデータ流用の欠落が出ております。当局から送られてきた十一月の九日の港区の物件でこう書かれております。
 先日、旭化成建材から提出されたリストのうち、公共施設を所有する区市に対して該当する施設の情報を提供したことをお知らせするところです。本日、港区から区内公共施設において、同社が施工するくい工事でデータの一部流用があったことが判明したとの報道発表がありましたのでお知らせいたします。都といたしましても、港区に対して技術支援を行っていきますと書かれております。
 都営住宅について、所有者である都として調査を進め、安全上の確認を行っていることは理解できました。今後は民間の施設も含め、くい施工データの転用ありとされた物件には建築基準法令の指導監督を行うこととなりますが、それらの対象物件には都以外の区市が所管する特定行政庁としての対応をしていくものが多いと思われます。
 そこで、今回の施工データの転用ありとされた物件は、区や市が所管の特定行政庁として対応していくものが多いと思われますが、早期の安全性の確認に向け、都として特定行政庁である区市にどのような支援を行っていくのか、伺いたいと思います。

○妹尾市街地建築部長 都内の建物の安全・安心を担う建築行政の立場からも、都内の特定行政庁が連携して建物の安全性の確認が迅速かつ的確に行われるよう取り組む必要がございます。
 そのため、都は、くいの施工データの転用等が明らかになった物件につきまして、所管の特定行政庁に対し情報提供や建築主から報告された安全性確認の内容についての技術的な相談を受けるなど支援を行ってまいります。

○中山委員 あした十三日、旭化成が国に報告する事柄によって、さまざまな状況が明らかになってくると思われます。当局においても一定の想定はされているものと認識しておりますが、国とぜひ連動した形で冷静な調査と技術的な判断を促すように要望して質問を終わらせていただきたいと思います。

○田中委員 私、小さな会派ですので、きょうのテーマもニッチなテーマと思いましたけれども、ちょっと一問だけ前のご質問と重なってしまうところがありました。ちょっとご容赦いただきまして始めさせていただきたいと思います。
 まず、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお伺いをいたします。
 首都直下地震の切迫性が指摘されている現在、震災時において避難や救急、消火活動、緊急支援物資の輸送や復旧、復興活動を支える緊急輸送道路が建築物の倒壊により閉塞されることを防止するため、沿道の建築物の耐震化を推進するこの取り組みは、震災から都民の生命と財産を保護するとともに、首都機能を確保するための重要な事業であると思います。
 東京都では、平成二十三年四月に東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例を施行し、特定緊急輸送道路を指定しました。そして、国に先駆けて沿道建築物の耐震診断を義務づけました。
 平成二十三年は、あの三・一一の東日本大震災があった年ですけれども、それ以前からこのことを検討されていた東京都の意識の高さが非常に評価できると思います。
 現在、それから四年たつわけですけれども、特定緊急輸送道路沿道建築物についての現在の耐震化の進捗状況をまずお伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は耐震改修費用の最大九割を補助するなど、沿道建築物の建物所有者に耐震化を促してまいりました。あわせて、改修に向けたアドバイザーの派遣を行うとともに、所有者が補強方法や費用などを検討できるよう、改修工法の事例について情報提供をしてまいりました。こうした取り組みの結果、ことし九月末時点の耐震化率は八〇・六%でございます。

○田中委員 今ご答弁にあったとおり、この耐震改修助成というのが、助成率が最大九〇%と非常に高いというのが特徴で、建物の所有者、ビルのオーナーさんにとっては使い勝手が非常によいと思いますけれども、この適用期間が平成二十七年度まで、ことしですね、今年度までに着手するものという条件となっています。
 また、耐震改修促進計画では、平成二十七年度末、今年度末までに耐震化率を一〇〇%にすることを目標としていますけれども、先ほどのご答弁によりますと、ことし九月末時点で耐震化率が八〇・六%ということで、残念ながらまだ達成をしていないということになります。
 当初の目標を達成できなかった理由は何と捉えられているのでしょうか。また、引き続き沿道建築物の耐震化一〇〇%を目指して取り組んでいく上で、建物の所有者が抱える課題にどのように対応をしていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、耐震化推進条例により診断を義務づけた平成二十四年度以降、区市町村などと連携した個別訪問やアドバイザーの派遣、改修事例見学会の開催など、所有者における耐震化の取り組みを積極的に支援してまいりました。
 所有者が耐震化を円滑に進めるためには、例えば分譲マンションでの区分所有者間の合意形成や事務所ビルのテナントとの交渉など、多くの困難な課題を解決する必要があり、先ほどご答弁いたしましたとおり、耐震化率は約八割となってございます。
 引き続き建築士や弁護士など、所有者が抱える課題に応じたアドバイザーを派遣することなどによりまして、沿道建築物の耐震化を推進してまいります。

○田中委員 東日本大震災から四年たったわけですけれども、こういった災害への意識というのは、災害があった直後は非常に大きくなるわけですけれども、これからもっと年月がたっていきますと、大震災への意識は当初よりも少しずつ弱まっていくというのが自然ではないでしょうか。
 しかし、それでも少しでも早く耐震化を進めて、いつ来るかわからない首都直下地震対策として耐震化率を一〇〇%達成すべきと思いますけれども、そのためには建物の所有者への大震災への意識とか、それから防災機運を、これからだんだんだんだん下がっていく可能性がありますから、それを下げることなく上げ続ける努力が必要だと思います。
 建物の所有者の耐震化に対する意識を高めるためにどのように取り組んでおられるのか、お伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、これまで耐震キャンペーンを年二回開催し、耐震セミナーの開催や個別相談会の実施などを通じて、所有者に意識の啓発を図ってまいりました。また、耐震マークについては、所有者からの申請に基づき交付をしてまいりましたが、平成二十六年度からは、普及拡大を図るため、都が耐震性を確認できた建築物に対して、申請の有無にかかわらず交付を行うことといたしました。
 こうした取り組みにより、今後も耐震化の機運を高めてまいります。

○田中委員 さまざまな取り組みをなさっているということがわかりました。しかし、先ほども申しましたとおり、どうしても大震災から時間がたつと、防災に対する意識が薄まって、耐震化の必要性、それから防災意識の向上といった観点からだけでは、耐震化のスピードアップがだんだんと難しくなってくるのではないかと思います。
 こういった耐震化の必要性、防災意識の向上といった、今までやってきたようなこれまでの観点からだけではなくて、これからは、例えばまだ耐震化を行っていない、これは行わなければならないビルのオーナーさんに耐震化や建てかえをした建物のビフォー、アフターの好事例を紹介して、耐震化をすれば、これからビルの資産価値の向上につながってテナントもふえる可能性が高いと、こういった民間の視点からの説明をする方がビルのオーナーにとっては非常にわかりやすく、耐震化の工事をしようというきっかけになりやすいのではないかと思います。
 これからは、協定を締結しているみずほ銀行やコンサルなど、民間の観点も積極的に取り入れて耐震化促進を進めるべきではないかと思います。
 今後さまざまな方法で、なるべく早く耐震化率一〇〇%を達成していただきたいと思っております。
 次の質問に移ります。エリアマネジメントについてお伺いをいたします。
 昨今、地域における良好な環境や地域の価値を維持向上させるための住民や事業者、地権者等による主体的な取り組みであるエリアマネジメントが各地で進められています。業務地、商業地では市街地開発と連動したまち並み景観の誘導、また地域美化やイベントの開催、広報等の地域プロモーションの展開といった取り組みがあります。
 東京都においても、東京都長期ビジョンにおいて東京のポテンシャルを最大限に引き出す開発プロジェクト等の推進として、エリアマネジメント活動の推進が示されています。この都市整備局においても、二〇一一年には市街地整備におけるエリアマネジメントの手引を策定していらっしゃいますけれども、これまでの都内のエリアマネジメント活動による新たな地域やまちづくりの主な好事例と、それぞれどのような成果や効果があったのかをまずお伺いいたします。

○山下防災都市づくり担当部長 都内の事例といたしまして、委員お話しの市街地整備におけるエリアマネジメントの手引におきまして、六本木ヒルズや大崎駅周辺地区などにおける先進的な取り組みを紹介してございます。
 六本木ヒルズでは、各建物の管理者間で地区全体の一体的な管理運営を行う統一管理者を定め、広報活動や地域コミュニティの支援、公開空地を活用したイベント等を積極的に実施し、地域のにぎわいや活力を創出しております。
 また、大崎駅周辺地区では、開発事業者等から成るエリアマネジメント法人が行政と連携し、歩行者デッキ等の民間施設や公共施設を一体的に維持管理するとともに、地域情報の情報発信を行い、持続的なまちの発展に結びついてございます。

○田中委員 エリアマネジメントは、地域の組織や民間の活力を生かした魅力やにぎわいを高めていく手法として、大変有効であるということが今のご説明でもわかりました。
 実際、千代田区の丸の内を初めとして、エリアマネジメント活動が活発化してきています。そして、道路や公園、また公共が管理する空間を活用したにぎわい創出の取り組みも積極的に行われようとしています。また、単にまちづくりのにぎわいの手段としてだけでなく、防災や震災対策、環境対策、まちのエネルギーネットワーク等の分野においても、エリアマネジメント活動の期待や重要性は、非常に高まってきているといえると思います。
 また、東京都では、東京のしゃれた街並みづくり推進条例による独自の取り組みを持っていらっしゃいますけれども、都において、この条例による独自の仕組みを導入した理由と目的は何でしょうか。また、都内のエリアマネジメント活動を促進するためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○上野都市づくり政策部長 地域の魅力を向上させ、にぎわいを創出していくためには、民間の創意工夫を生かしたまちづくりを促進していく必要があることから、都は地域の特性を生かした自主的なまちづくり活動を支援することを目的といたしまして、平成十五年に東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づくまちづくり団体の登録制度を創設いたしました。
 都は、大規模な開発プロジェクトにおきまして整備された広場などの公開空地につきましては、通常無料の公益的イベントなどに限り一時占用を認めておりますけれども、まちのにぎわい創出や魅力の向上のために公開空地を活用するまちづくり団体に対しましては、利用制限を一部緩和いたしまして、より幅広い活動を行えるようにしております。
 より幅広い活動といたしましては、収益活動としてのオープンカフェやフリーマーケット等の実施を可能としております。

○田中委員 現在、東京都心の新虎通りでは、マッカーサー通りですけれども、昨年三月に地域の方々を中心とした新虎通りエリアマネジメント協議会というのが発足して、新虎通り及びその沿道をより魅力的な空間とし、まち全体の価値の向上につなげるための活動をしていらっしゃいます。
 舛添知事も、新虎通りはパリのシャンゼリゼ通りに匹敵する国際色豊かなプロムナードにしたいと表明されており、これからの変化も楽しみなところです。
 新虎通りの歩道部分についての現在の整備状況はどのように進捗しているのか、お伺いいたします。

○奥山市街地整備部長 環状二号線のうち、新橋-虎ノ門間は、広域交通を担う地下トンネルの本線と地域内交通を担う地上部道路である新虎通りの二層構造となっており、昨年三月に交通開放を行っております。
 このうち、新虎通りの歩道部につきましては、現在、最終的な仕上げの工事でありますレンガ舗装や街路樹などの整備を進めており、今年度末の完成を予定しております。

○田中委員 非常に都民の皆さんの関心の高い取り組みであると思いますけれども、この新虎通りの地上部をシャンゼリゼ通りのようにしていくには、沿道の開発によるにぎわいづくりというのも非常に重要であると思います。
 新虎通り沿道のまちづくりの方針をどのように策定して、どのように住民のまちづくりの取り組みを誘導していらっしゃるのか、お伺いいたします。

○上野都市づくり政策部長 環状第二号線の新橋-虎ノ門間の沿道におきまして、都は地元のまちづくりの取り組みを支援するため、地元や区と協議しながら、平成二十五年三月、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく街並み再生方針を策定いたしました。
 街並み再生方針では、沿道のにぎわい創出のため、建築物の一階部分に商業機能を導入することなどによりまして、容積緩和を行うことで地権者等によるまちづくりの取り組みを誘導することとしております。
 これまでに、愛宕下通りと環状第二号線の交差する街区における一階にカフェを設ける開発計画など、三つのプロジェクトの具体化を誘導しております。

○田中委員 いろんな取り組みの誘導をなさっていることもわかりましたけれども、この新虎通りの地上部を先ほど来から申し上げているように、シャンゼリゼ通りのようにしていくには、従来の規制にとらわれない思い切った規制の緩和が必要であると考えます。
 先ほどのご答弁にもありましたように、この地域の一部ではこれまで認められなかった歩道上のオープンカフェなどの取り組みも行っているとお聞きをいたしました。エリアマネジメント活動を維持するには、こういった活動を続けるために財政面の支援が重要であると思います。
 そのような中で、東京における沿道のにぎわいづくりや地域の活性化のために屋外広告物条例ではどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○上野都市づくり政策部長 都は、道路などの屋外広告物の禁止区域におきましても、良好な景観形成や地域の活性化を図るため、自主的なまちづくりに取り組む地域の団体に対しましては、一定条件のもと、条例による特例許可を行い、その活動を支援しております。
 この特例許可により、大・丸・有地区などにおきましては、地域のまちづくり団体が道路におけるフラッグ広告や広告板などの広告料収入を、道路清掃や緑化の推進などの公益的な取り組みに充当しております。
 新虎通りにつきましては、現在地元におきまして特例許可を受けるための準備を進めていると聞いておりまして、今後、地元の検討状況等に応じまして適切に対応してまいります。

○田中委員 このエリアマネジメント活動における屋外広告物事業、エリアマネジメント広告というのだそうですけど、これは、一番、現行規定では掲出禁止となる屋外広告物についての規制緩和、それから二番目、広告事業による地域活性化及びまちづくり財源の確保の推進、この二つを目的とするものとなっています。
 今のご答弁にもあった大手町、丸の内、有楽町の大・丸・有エリアでは、この景観形成とエリアマネジメント組織の財源確保の両立を目指して、東京都屋外広告物モデル事業の仕組みを活用として、丸の内仲通りにおいて屋外広告物の掲出事業に取り組んでいらっしゃいます。
 自主ルールをつくって、屋外広告物ガイドラインというのですけれども、それにのっとって、自主審査会の審査を経て、まち並みに合ったバナーやバナーフラッグ--これは柱に旗がぶら下がる、なかなかきれいな、ちょっと外国風なものですけれども、あと街区案内サイン、ポスターなど、現行規定では禁止の屋外広告物をさまざま掲出できるようにしています。
 今ご答弁にあったとおり、新虎通りのエリアマネジメントに東京都屋外広告物モデル事業の仕組みが適用されるのは、まだこれからのようですけれども、ぜひこのシャンゼリゼプロジェクトに合った、この地域に合ったエリアマネジメント広告事業にしていただきたいと思います。
 また、屋外広告物の規制緩和の観点からは、近年、多くの人を引きつけている屋外空間でのイベントの促進のためにも、広告物の大きさなどについては、これまでよりも柔軟な運用が求められているのではないかと思います。
 例えば、普通に通常ある広告物と、それからイベントのときの広告物を区別して、また別の規制緩和をして扱うことも考えられるのではないでしょうか。
 広告事業というのは、エリアマネジメントによるまちづくりの重要な財源です。持続可能な地域活性化の取り組みにするためにも、ぜひ柔軟な屋外広告物の規制緩和を要望いたします。
 また、このエリアマネジメント活動というのは、それぞれ別の地域、日本中、いろんなところでエリアマネジメント活動をやっているわけですけれども、しかし、地域に根差している活動でありながら共通の課題が存在をします。これは大きな課題が、先ほども触れましたけれども、活動財源の確保となります。特に防災や震災対策、環境対策を行うようなエリアマネジメント活動を推進するには、安定した財源が必要であるのはいうまでもありません。
 欧米では、民間が行うエリアマネジメント活動の資金を自治体が再配分し、公共空間の管理も一体的に任せてまちづくりを推進するBID制度というのがあって、それで財源を確保されているわけですけれども、ことし四月からは、日本でも大阪市のうめきた地域で大阪版BIDというのが日本で初めてスタートをいたしました。
 東京都では、まだこのBID制度というのは取り入れてはいらっしゃらないようですけれども--このBID制度が日本にとっても合うというわけでもないんです。法律を改正しなければできないところもあるんですけれども、このBID制度に限らず、エリアマネジメント活動のための安定した財源確保のための取り組みというのを講じることが必要だと思いますので、ぜひ財源確保の取り組みについても都として新たな仕組みを検討していただきたいと思います。
 これからのまちづくりというのは、エリアマネジメントの成否がエリアの命運を握っているといっても過言ではありません。ぜひ東京都では先進的なエリアマネジメント活動を支援していって、そして日本のまちづくりを変える原動力となっていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

○河野委員 私からは、四点質問をさせていただきたいと思います。
 先般、我々自由民主党議員団で、七名でニュージーランド・オークランドと、あとはオーストラリアのシドニーに視察に行ってまいりました。北久保副委員長を副団長として七名で行ってまいりまして、大変有意義な視察をさせていただきました。
 そこで気づいたことや感想等も含めて、交通政策についてお伺いしたいと思います。
 ちょっと話はずれるんですけど、これはモノクルというイギリスの月刊誌なんですけど、これの七月、八月号に生活の質ランキングということで、世界ランキングでこういう形で東京がナンバーワンになりました。去年はコペンハーゲンが一位だったらしいんですけど、ことしは東京が一番、二番がウィーン、三番がベルリン、四番がメルボルン、五番がシドニーということで、我が東京の方がシドニーよりも上にランキングされていてナンバーワンということなんですけど、ここで書いてあることをちょっとだけ紹介させていただきたいと思います。
 抜粋をします。東京が一位ということで、東京は訪れる者をさまざまな要素で魅了する。清潔さ、寛容さ、礼儀正しさや異質さ、そして規模の大きさ。何百万の人が毎日ぶつかり合いながら生活をし、働き、移動する大都市。普通なら恐らく、物すごい醜い場所になるはずだ。果てしなく続く衝突と耐えがたい混乱、絶え間なく起こる犯罪、容認しがたいほどの格差。だが、日本の首都はほかの都に巣くらう病魔を寄せつけない。公共交通機関は安価なのに定時運行し、食事は一流なのに値段が手ごろ、数百万の住民は肩を寄せながら暮らしながらお互いに礼儀を忘れない。そして飛ばしまして、複雑に絡み合って曲がりくねった道は、東京が単にいいかげんな計画でできた都市ではなく、積極的に選んだ結果なのだということを示している。迷路は人々が選んだ結果でき上がったものだ。そこは人の住む環境として最適だと認識されている。日本人はイギリス人と同じように小ぢんまりとした空間を好む。だから、新しい東京も古いロンドンのように道が曲がりくねっているのだ。ネオンやコンクリートは誰にでも目がつく。だが、華やかな外観の後ろには狭い路地あり、路地をぶらつけば、そこには小さくて居心地のよいバーがびっしりと軒を並べている。訪れた者は、この活気あふれるパワフルなまちに魅了されずに去ることなどはできないというふうに書いております。
 本当に皆さんのことを褒めていただいているのかなというぐらい東京は、世界で一番。この雑誌では評価をしていただいております。
 これは、交通体系でも私はそう思います。本当にこれだけ複雑な事業者がたくさんいる中で、これだけスムーズな乗りかえ等ができるのは、本当に東京都の皆さんや事業者の皆様方が頑張っている成果ではないかと私は感じております。
 そこで比較をしますけど、シドニーではシティーレールといわれる鉄道システムがあります。これは地下鉄と、あとは長距離の鉄道と、それともっと遠いほかの州に行くような地下鉄と、三つの構成でできているんですけど、それが全て一つの事業者で成り立っております。
 これはニューサウスウェールズ州が全て直営をしておりまして、これをシドニー市内では大体八十万人の方が一日使われているといいます。シドニーには、また二百八十七のバス路線があり、約五十二万人の方が一日使われている。プラス、ライトレール、いわゆるLRTですけど、これが最近これから進めていこうとしている政策として一万二千人。まだ一つの路線しかありませんけど、LRTがあります。そしてフェリー、これが三万八千人、一日に使われております。
 我々東京では想像ができないほど、三万八千人もの方がフェリーで通勤等をされたりということであります。
 この一つとして、先ほどいいましたLRT、これはシドニーではLRTの拡張計画というのがあって、我々視察したときに、道路がこれから、あした実はここが閉鎖されますというふうな話で、そこにはLRTの工事が始まるというところも、現場も見てまいりました。
 シドニーは二〇〇〇年にオリンピックを行いまして、その際には四百万人だった人口が四百六十三万人と今膨れ上がっております。そこには、都市を持続的に成長、発展させるため、魅力ある都市づくりの視点から快適な移動手段を計画するということで、これからは都心部ではLRTをふやしていこうというような政策があるそうです。
 一方、東京は、振り返りますと、首都圏、東京圏には約八百以上の駅があり、そして百以上の路線があって、三十程度の事業者があります。そして、首都圏ですけど、四千万人の乗車数があって、約八百六十六万人の利用者がいるといわれております。
 ここで私が感じたのは、シドニーということと東京と比べると、比べ物にならないほど東京の方が複雑に入り組んでいるわけなんですけど、やはりそこで一つ学ぶことがあるのかなと思わせていただきました。
 それは、例えば一事業者だからできることといえばそれまでなんですが、船に乗りかえるときも、地下鉄から船に乗りかえるそのスムーズさといったら、そういったところを我々東京としては学ばなければならないのかなと。さまざま努力していただいているわけですけど、そういう観点で、ぜひとも、シドニーに負けてはいないと思いますが、いいところを学んでいただいて、その利便性を東京は高めていただきたいと思っております。
 シドニーでは、鉄道、バス、舟運をニューサウスウェールズ州が一括所管し、交通モード間の乗りかえ利便性が高いと実感しました。東京では、複数の事業者による鉄道整備が進み、世界に類を見ないほどの充実したネットワークがありますが、ターミナル駅では鉄道やバスを乗り継ぐ際に案内サインが連続していないなど、誰もが利用しやすいものとはなってないと感じます。多くの交通事業者が存在する東京においても、シドニーのように利便性の高い交通を実現すべきだと思います。
 そこで、交通結節点の拠点となるターミナル駅について、利用者の視点から、わかりやすく利用しやすいものへと改善していくことが必要であると考えますけど、所見を伺いたいと思います。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 複数の鉄道やバスなどが乗り入れますターミナル駅では、高齢者や外国人旅行者を含む誰もが利用しやすくなるよう、交通事業者や施設管理者などが垣根を越えて改善に取り組むことが重要でございます。このため、都は、例えば新宿駅では関係者が一堂に会する協議会を設置いたしまして、地元区とも連携し、東西自由通路整備後の駅の望ましい姿を見据え、乗りかえルートのバリアフリー化、案内サインの連続性確保や表示内容の統一などを進めております。
 今後、同様の取り組みをほかのターミナル駅にも拡大し、利用者の視点に立って安全で使いやすい交通体系を実現してまいります。

○河野委員 今答弁にあったように、複数の事業者の垣根を乗り越えて、ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
 次に、シドニー市では舟運が発達して魅力的であります。東京も港湾局が、もしくは河川であれば建設局の舟運の船着き場があるわけですけど、これからきたしろ先生が多摩地域のこともお話しされるかとは思いますけど、船着き場もやはり駅から近いところとか、そういったところをぜひ活用しながら、ほかの交通、もしくはそういう施設との連携をうまくとることが必要だと思います。
 東京でも舟運を活用するために船着き場を利用するとともに、まちとのつながりを高めていく必要があると考えますが、どのように取り組みをしていくのか、伺います。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 舟運の活性化の観点から現在の船着き場を見ますと、最寄りの駅からの案内サインがわかりにくい、利用者に対する周辺の観光施設の情報提供が不足しているといった課題がございます。
 このため、都は本年八月に台東区、墨田区などの地元区を含めました関係者による検討の場を設置しておりまして、この中で駅から船着き場へのアクセス改善や船着き場と周辺観光施設の連携による回遊性の向上などについて検討を進めてまいります。

○河野委員 ありがとうございました。
 二〇二〇年の大会に向けて、東京の鉄道、バス、舟運の利便性向上といった交通政策の推進について、ぜひとも、今後とも積極的に進めていただきたいと思います。
 ちょっと余談になりますが、国交省の方でオリンピック・パラリンピックに向けた鉄道分野の対応ということで、例えばICカード、要するにPASMOとかだと思いますけど、観戦チケットとの統合や磁気カードなどの利用により、一枚のチケットで競技観戦と都内の公共交通機関を利用可能とするというようなことも国交省は考えているみたいです。
 シドニーに行ったときに、やはりシドニーにも同じようなオパールカードというものがありまして、そのカードでスポーツの観戦をするとシドニー市内の交通機関を全て乗ることができるというようなカードになっておりますので、そういうふうな取り組みもぜひともお考えいただきたいと思います。
 次に、またこの雑誌なんですが、この雑誌に衝撃的な写真が載っておりまして、これは何かというと、こういう写真なんですけど、高層ビル、いわゆる普通の高層マンション、一見普通なんですけど、全部木造でできております。全て木でできております。RCを使ってません。こういうような取り組みがヨーロッパの方では進んでいるということで、これからそれについて質問させていただきたいと思います。
 まずメルボルンには十階建ての集合住宅、これは今現在の世界で一番高い木造住宅といわれているそうです。そして、これから二〇一七年の秋に完成を目標としているのが、カナダのバンクーバーで十八階建ての学生寮が全て木造ということです。そして、ノルウェーでは十四階建て五十一メートルの木造が建てられている。それと、また構想ではあります、まだ決定はしていないんですけど、計画としては三十階建ての高層木造ビル、これはバンクーバー。また、スウェーデンのストックホルムでは三十二階の高層ビルということで、これから高層木造ビルが世界でラッシュになるというふうな流れがあるそうです。
 これは、建築材料が革新されたからということだと思います。建築材料というのは、いわゆる構造材と--ですからRCということで、構造材が壁や塀を構造躯体として使われるわけですけど、中の仕上げ材として内装材だったり外装材、これは木造で使われているということがあるわけですけど、高層住宅になると、やはりRCが基本であると。そして、その素材というのは石材だったり木材、また鉄鋼材だったりガラス材、もしくは粘土材といわれるタイルだったりれんが、またセメント、コンクリート、石こうボードというようなものがありますけど、CLTという、これはクロス・ラミネーテッド・ティンバーということで、欧州で開発された工法。CLTというのはクロス・ラミネーテッド・ティンバーですので、日本語直訳しますと直交集成板というそうです。CLTは、板の層を各層で互いに直交する。互いに直交させるということで、これがCLTなんですけど、互いに直交をするように積層接着し、厚型パネルのことを呼びますと。これは平成二十五年十二月に日本農林規格、JASとしてもこれは制定されております。よくいわれる集合材は、張り合わせる板の繊維の方向が平行なんですけど、これは直交にするのが特徴ということです。
 そして、このCLTの特徴というのは、直交積層のため、高い寸法安定性が得られる。九十ミリから二百十ミリ程度の厚みが一般的で、耐熱性にすぐれ、大判のパネルとして利用することで高い耐震性を確保することができるということであります。
 日本でも幾つかもう使われておりまして、日本ではここ数年、二、三年で普及をしているということですけど、ヨーロッパでは大体十数年です。日本でも幾つかの二階、三階建ての方ではこれが普及されております。
 ですから、これは構造材としても使えますし、いわゆる躯体だけではなくて内装材、いわゆる仕上げ材としても使えるということです。
 竹中工務店のホームページには、CLTが欧州で開発された建材で、海外ではマンションや商業施設の壁、床に使用されるなど急速に普及が拡大しております、CLTのJASが二〇一三年に制定をされ、さらに林野庁と国交省がCLTの普及に向けたロードマップ、これを二〇一四年の十一月に公表して、その普及に向けた施策を推進しております、ということです。
 これから木造をさらに使っていくためには、このような新たな工法が発明されたわけなんですが、国内でCLTを活用した中高層住宅を建築する際、建築基準法上どのようなことが障害になるのか、規制になっているのか、お聞かせください。

○妹尾市街地建築部長 建築基準法では、建築物の規模や用途により、所定の耐震性能や耐火性能を有することが求められております。
 ただいまお話のCLTのような、現在の法律で想定していない特殊な材料を使用して建築物を建築するには、計画に応じた個別の手続が必要となります。
 耐震性能につきましては、計画している建築物ごとに地震時の建築物の挙動について高度な構造計算を行った上で、国土交通大臣の認定を受けることが必要となります。
 また、耐火性能につきましても、一定規模以上の建築物につきましては耐火建築物とすることが求められるため、国土交通大臣の認定等の手続が必要となります。

○河野委員 ありがとうございました。
 このCLT、日経新聞でも大きく取り上げられておりまして、日経新聞の一面に、木造ビルで林業再生ということで、これは八月の新聞なんですけど、テーマパークの長崎のハウステンボスでは、九州産の木材を使ったCLTで建設したホテルが完成をする。客室は七十二で延べ床面積は約二千平方メートル、建築費は八億七千万円のうち、約一億円は国が助成をするということであります。
 このように今注目されてるわけですけど、今お話しのとおり、問題は耐火性ということであります。耐火性は、モルタルや石こうボードなどのいわゆる自鎮可能な、自分で鎮火することが可能なものとしておりまして、法のクリアを目指していると。三階以下の場合は、一時間の準耐火仕様となり、着火しても燃えしろ--一分間に一ミリずつ炭化するので、六十ミリ以上確保しておけば設計ができるという法律が来年には成立する予定だというふうに、協会の方たちはおっしゃっております。これは一般社団法人としてCLT協会というものがつい最近にでき上がったそうですけど、もう会員が二百四十九社、そして特別賛助会員として、大学や行政、もしくは独立行政法人等が加盟しておりまして、これがもう五十七団体、加盟しております。
 ぜひこういったことも東京都としても、多摩産材を普及するためにも、こういった取り組みをぜひとも進めてもらいたいと思います。
 このCLTによって、中高層の建築物だけではなくて、構造材やもしくはRCとの混合の構造物としてやることも可能だと思いますので、ぜひともご検討いただきたいと思いますが、内装材として、もしくはRCとの混合での使用の可能性について、伺いたいと思います。

○妹尾市街地建築部長 建築基準法では、建築物の用途や規模に応じ、壁や天井の内装材を所定の不燃性能を有する材料としなければなりませんが、一般的な戸建て住宅等、その制限を受けない建築物や床材であれば、内装材として使用することが可能でございます。
 制限を受ける建築物であっても、個別に難燃材料、準不燃材料等として国土交通大臣の認定を取得すれば使用することは可能でございます。
 お尋ねの鉄筋コンクリート造との混構造につきましては、先ほどお答えいたしましたように、所定の耐震性能や耐火性能につきまして、計画に応じた個別の手続をすることによって使用が可能でございます。

○河野委員 これは独立行政法人日本スポーツ振興センターがことしの九月一日に新国立競技場の整備事業の業務要求水準書ということで、新国立を建てる際にこういうふうな仕様にしてほしいということで公募をするための仕様書があるんですけど、その中に木材利用ということで、公共建物における木材の利用の促進に関する基本方針の趣旨にのっとり、木材使用の促進を図り、製材、CLT等の集成材、合板等の木材を可能な限り利用する計画とするというふうに入っています。
 新国立競技場では、そういうふうな形で九月一日にスポーツ振興センターの方がこういう仕様を書かれておりまして、これからCLTの活用ということで、恐らく国立競技場の中にもこういったものが使われてくると思います。
 そこで、東京都としては、選手村等、二〇二〇年に向かってさまざまな整備をするわけですけど、選手村における活用の可能性について、お聞かせいただきたいと思います。

○奥山市街地整備部長 二〇二〇年東京大会の競技施設、選手村等におけます木材利用につきましては、現在、都、国、大会組織委員会で構成されますワーキングチームにより検討が開始されたところでございます。
 この第一回会議の中では、お話のCLTも施工技術の一つとして国から紹介されております。選手村の施設建築物は、市街地再開発事業の中で特定建築者制度を活用して整備することとしており、CLTに限らず、木材の利用につきましては、このワーキングチームによる検討状況や工期、事業費等も踏まえ検討してまいります。

○河野委員 日本のもったいないの一つとして、森林資源を使わないのは本当にもったいないと思いますので、ぜひとも森林資源を使う、また多摩産材を使うためには、これが加速度的にふえていくことが可能となると思っておりますので、ぜひともさまざまな部分で活用いただきたいと思います。
 次に、マンション問題について伺います。
 私もマンションに住んでおりまして、今マンションの理事をやっておりまして、月に一回ぐらい理事会に出たりして、やってみると本当に大変だなと思います。私の住んでるマンションは六十戸ですので、中規模でそんなに大きくないので、そして比較的新しいマンションですので、滞納者がいたりとか、そういったことはないんですけど、そういうところで本当に、これからマンションというのはいろいろ合意一つとるにしても大変だなというふうに思っております。
 都内では、一般的な住まいとしてマンション居住が定着しておりますけど、管理組合が主体となって、日常的な管理はもちろん、大規模修繕の計画的な実施などを行い、住宅として資産価値を維持向上させていかないと市場で評価されなくなってしまいます。魅力を失ったマンションでは空き室が増加し、管理費や修繕積立金の滞納が発生したり、管理活動が停滞し、維持管理が困難になると負のスパイラルに陥る可能性があります。
 このような管理不全のマンションが放置されれば、居住環境はもちろん、防犯や景観など周辺市街地にも悪影響を及ぼしかねません。
 このような事態を招かないためには、行政はマンションの状況を把握し、管理不全が疑われるマンションについては必要に応じて管理組合等を支援、指導していく必要があると思いますけど、見解をお聞かせください。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 マンションにおける建物の老朽化や居住者の高齢化等が進行する中で、手をこまぬいていれば今後管理不全に陥るマンションの増加が懸念されますことから、九月に出された住宅政策審議会の答申では、管理状況を的確に把握し、管理不全の予防や改善を図るための措置を講ずべきとの提言がなされております。
 具体的には、管理組合が行政に対し、管理状況を定期的に報告する制度の創設や管理不全の兆候のあるマンションに対する支援、指導等について条例化も含め検討すべきとされておりまして、都は答申を踏まえ、年度内に策定を予定しておりますマンション施策の推進に関する行政計画において、今後の取り組みを明らかにしてまいります。

○河野委員 老朽化したマンションでは、資産価値向上のための究極の手段として建てかえがあります。都の調査によれば、都内では旧耐震基準で建設されたマンションが約一万二千棟あります。これまでに建てかえが実施されたマンションは百二十件、一%にとどまっているといいます。
 そこで、まず老朽化マンションの建てかえが進まない理由について、伺います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 都が平成二十三年度に実施したマンション実態調査によれば、建てかえを検討したことのあるマンションの管理組合からは、建てかえ検討時の課題として、居住者の高齢化や費用負担の問題、容積率等の建築制限などが多く挙げられております。

○河野委員 私の地元であります板橋区においては、ことし三月に絶対高さを定める高度地区が指定されました。良好な居住環境や市街地環境を確保する点では有効な施策でありますけど、一方で既存建物の建てかえに当たっては制約となる場合もあり、特に既存不適格の老朽マンションについては、建てかえが困難になる可能性も考えられます。
 今後、築年数の経過したマンションの急増が見込まれる中で、十年先、二十年先を見据え老朽マンションの再生を促進していかなければ、老朽マンションの廃墟化を招き、都市としての魅力を大きく失うおそれがあります。
 建てかえの困難な老朽マンションの再生をどのように促進していくのか、都のご見解を伺います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 住宅政策審議会の答申では、お話のような建築規制により建てかえが困難なマンションについて、まちづくりと連携して再生を図るべきとされておりますほか、改修による再生や昨年のマンション建替え法の改正により創設されましたマンション敷地売却制度の活用などについても提言されております。
 都は、まちづくりと連携してマンションの再生を促進する新たな制度の構築に向け、現在、三地区で先行モデル事業を実施しており、その成果も踏まえ、来年度中の制度創設を目指すとともに、改修や敷地売却に対する効果的な支援策についても検討を進め、具体化を図ってまいります。

○河野委員 ありがとうございました。
 最後にもう一問、特定整備路線の整備、補助二六号線についてお伺いしたいと思います。
 国の事業認可取り消し訴訟というのが、板橋区の補助二六号線大山地区と北区の八六号線志茂地区というのが訴訟が起こされており、また審査請求ということで、十路線程度、反対のための訴訟等が起こされております。
 我々、この地元板橋区の補助二六号線という道路は、いわゆる中野からずっと来る中野通りといわれるところが川越街道の大山の入り口のところまで来ておりまして、そこから東武東上線の踏切の東京都健康長寿医療センターがある、養育院通りといわれるところにつながっていく、たった五、六百メートルの道路整備なわけですけど、そこにはハッピーロード大山商店街という、皆さんも一度や二度は耳にしたことのある商店街があります。
 我々地元では、この商店街というのは、もともとこの補助二六号線が整備されるという計画の中で、それをその商店街の方たちがさまざま商店街を盛り上げようと。そして、この整備計画には、当初三十数年前はほとんどの方たちは反対の立場にいたような状況でした。そこで、アーケードの商店街をつくって商店を盛り上げていこうということでできている、そういう成り立ちのある商店街です。
 しかしながら、今は時代が変わって、この道路計画というのは、私も区議会、十二年前から入らせていただいて、さまざま商店街の方たちと話していると、もうこれからは新しいまちづくりをして、そしてこの商店街もにぎわいを継続しながら、ぜひともこの道路を通していこうというふうな方向に変わりました。ほとんどの方がそういう形で賛成をしておる中で、寝耳に水でその訴訟が起こされております。
 そして、一番私が懸念しているのは、商店街の中で駅がありますけど、駅前で反対に対する署名運動をされたりとか、もしくは、署名運動でしたらまだしも、商店の中に個別にサインを求めて署名運動をされてる方たちがいるんです。そういうやり方されると、お店忙しい中で、商店街が分断されます、反対ですか、書いてくださいなんていわれてしまうと、思わず書いてしまうことってあると。そういうふうなことで商店街の方たちが非常に懸念をされております。
 そういう動きがあって、ただ、これは商店街の中を分断する道路ですので、板橋大山地区のにぎわいが損なわれてしまっての道路計画では私も賛成しかねるわけですけど、にぎわいを創出しながら、よりよいまちにしていくという前提での道路計画は私は大賛成で、ぜひとも平成三十二年までの完成を一緒になってやっていきたいと思っております。
 そこで、質問をさせていただきたいと思います。
 補助二六号線大山区間は、首都直下地震から都民の生命、財産を守り、地域の安全性を高める上で、特定整備路線として重要であり、一刻も早い整備が求められております。
 本区間はハッピーロード大山商店街が道路の計画線とクロスしているため、都は地元の要望に真摯に耳を傾けながら、道路整備と一体的なまちづくりに取り組むことが重要であると考えます。
 改めて特定整備路線である同区間の整備について、都の見解を伺いたいと思います。

○山下防災都市づくり担当部長 補助第二六号線大山地区は、震災時に発生のおそれのある大規模火災による延焼を遮断するとともに、避難経路や緊急車両の通行路となる特定整備路線でございます。
 計画線内には商店街が含まれていることから、地元の意見を丁寧に聞きながら整備を進めていく必要があり、都といたしましては、区と連携し、二つの再開発準備組合への支援等を通じまして、歩行者の流れにも配慮され、商店街の振興にもつながる沿道のまちづくりを促進してまいります。
 都民の生命と財産を守ることは待ったなしの課題でございまして、都といたしましては地元の理解と協力を得ながら、予定どおり平成三十二年の完成に向けまして特定整備路線でございます本路線の整備を積極的に進めてまいります。

○河野委員 ありがとうございます。
 ぜひとも地域の商店街等の意見も聞きながら、この路線の整備を進めてもらいたいと思います。
 地元の商店街からは、このにぎわいというのは、商店街の組合の皆さんが今までずっと努力されてきて成り立っているこのまちです。このアーケードの撤去費用の負担だったり、また再開発事業によって設置を期待されるペデストリアンデッキの設置やその維持管理について、もしくはペデストリアンデッキの下の横断歩道の設置、要するに回遊性を持たせる、そういう商店街のつくり方をぜひともしてもらいたい。また、東武東上線の立体化の完了までは、そこに踏切ができることによって商店街のど真ん中に交通渋滞が起こらないような交通規制等も考えていただきたいと、そのようなことを要望させていただきまして私からの質問を終わらせていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。

○藤井委員 私からは、不燃化特区と羽田空港跡地問題について質問させていただきます。
 二年二カ月ぶりに質問ができるので、もっとたくさん聞こうかと思ったんですが、あんまり多くやるなといわれたものですから絞りました。
 まず最初に、不燃化特区について伺います。
 私の地元であります大田区では、大森中という地区と、それから羽田地区、ここが不燃化特区、あともう一つ補助第二九号線沿道地区というのが不燃化特区に指定をされておりまして、市街地の不燃化が進められております。
 そこで、まず、大田区内にあります不燃化特区であります三地区について、それぞれの取り組み状況について、伺います。

○山下防災都市づくり担当部長 大田区内の不燃化特区のうち、大森中地区では、コア事業である糀谷駅前の市街地再開発事業について、来年度の完成に向けまして順調に工事が進められているとともに、主要生活道路の整備や、その沿道の不燃化建てかえが進められております。
 羽田地区では、羽田小学校周辺に位置する三区間の生活道路を重点整備路線として位置づけ、緊急車両の相互通行が可能となる幅員六メートルまで拡幅整備するため、用地買収に着手してございます。
 また、大田区東馬込の補助第二九号線沿道地区では、特定整備路線の整備にあわせて沿道の老朽木造住宅三十軒について戸別訪問を行い、建てかえを働きかけるなど、不燃化を促進しております。
 いずれの地区につきましても、都は区や地元の取り組みを支援して、地域の改善に積極的に取り組んでまいります。

○藤井委員 指定から二年以上経過しました大森中地区については、不燃化特区に指定した効果があらわれてきていると。その他の二地区についても、着実に取り組みは進められているということでございますが、この木密地域の改善に当たって、不燃化特区制度によって老朽木造住宅の建てかえを促していくことに加えまして、建物の共同化を進めていくことが重要であると考えます。
 私の地元であります大田区の蒲田に、ちょうど京急蒲田近辺に多くの木造密集の地域がありますけれども、ここの共同化を進めておりますNPO法人があります。その法人は、密集住宅地区整備促進協議会というNPO法人でございますが、六十五団体が加入をしておるそうです。
 このNPO法人は、平成七年に起きました阪神・淡路大震災の教訓を生かして、この木造住宅密集地域において建物の共同化、あるいは住環境と防災面に配慮した建物の建てかえを目的として設立をされた特定非営利活動法人であります。
 このNPO法人が共同化事業ですばらしい実績をつくっております。これはアイリスタウン計画という計画でありますけれども、この計画はどういうものかといいますと、京浜急行の蒲田駅--今再開発しておりますけれども、京急蒲田駅からJR蒲田駅の多摩堤通りに面したところでございまして、一度皆さんも来ていただいて見ていただければと思いますが、ここの地域は木造住宅密集地域だったんです。古い木造アパート、あるいは一軒家で、もう本当に古い住宅が密集をしておりました。この地域を共同化するというのがこのアイリス計画なんですが、なぜアイリス計画といいますかというと、蒲田というのは、昔ショウブ、花のショウブがいっぱい生えていたんです。ショウブを英語でいうとアイリスといいますからアイリス計画というんですけれども、具体的には、この約二十年間で、木造住宅密集した地域を何とこの約二十年間で五棟の共同化事業で、マンションを、建物を建てたんです。
 具体的にいいますと、平成九年にアイリス壱番館というマンションを建てました。十一階建ての八十戸のマンションです。平成十七年にはアイリスタワーという、これも二十階建ての二百七戸のマンションでございます。そして、平成十九年にはアイリススクエアという、これも十二階建ての四十二戸のマンション。高級マンションです、みんな。平成十九年には、同じく京急蒲田の駅のすぐ隣に面したところに調理師専門学校、ここももう木造住宅密集していたんですが、このNPO法人が入って説得をして、あっという間に調理師専門学校八階建てを建てました。
 現在、同じ地域に、十四名の地権者を持っている地域を、共同化マンションで今現在建築中です。来年には完成する。ですから、ぽんぽんぽんぽんと並んでるんです、呑川沿いというんですけれども。
 この地域は、先ほどいいましたように、木造の古いアパートがもうたくさんあって、特に高齢者の方たちがたくさん住んでました。
 この阪神・淡路大震災を契機に、やっぱりこのままじゃ、もう真っ先に潰れちゃうということで共同化の機運が高まりました。
 まず最初に、先ほどいいましたアイリス壱番館のところ、十六名地権者がいたわけですけれども、わずか三カ月でこの地権者を説得したんです、このNPO法人。そして、二年間かけてアイリス壱番館を完成させました。
 具体的にどういうことかというと、地権者がいます。自分が持っている土地があります。あなた、そこどいてね、ここに立派なマンション建てますから、あなたの面積はこれだけの面積だから、マンションが建てば、あなたには三つの部屋を提供しますよと。自分が一つ住んで、あと二つは貸せますよと、こういうような感じです。あるいは、いろいろごねる人もいたそうですけれども、そういうごねる人のできるだけ意見、要望を聞いて柔軟に対応した。なかなか行政にはできないことですよね。
 また、次に建てましたアイリスタワーというのは、地権者が三十三名いたそうでございますが、ここの三十三名の地権者を全部説得して、その後、五年間かけて、先ほどいいましたように二百七戸のまさにすばらしい高級なマンションを建てかえたと。こういう形で次々と共同化を進めてきたわけでございます。
 また、この地域は容積緩和が一・三五倍しかできないところだったわけですので、容積では大きなものが建たないということで、事業採算ベースには合わないという地域でございました。
 そこで、このNPO法人は東京都とかけ合いまして協議をしまして、容積緩和を一・三五倍から一・五倍に拡大をしたわけでございます。
 また、二十一世紀都市居住緊急促進事業というのがある。また、都心共同住宅供給事業と、この二つの補助金を引き出しまして共同化を進めてきたそうであります。
 これを中心的に進めてきたのは、民間のアイリスコーポレーションという会社の代表、田村文男氏という方でございます。この田村さんとも私知り合いで、いろんな話を聞きました。
 概略いいますと、共同化を進めるに当たって大事なことは、まず一点目、まず地権者をしっかりと説得することが大事だと。二番目は、事業収支を地権者にとって有益な組み立てをするためのスポンサーを探すことだと。三番目は、先ほどのああいう補助金のように、行政への対応とか、あるいは近隣の人たちのいろんな声がありますので、誠心誠意しっかり当たることだと。最後にこういってました。共同化でまちを変えたいという、こういう思いで、また地権者に喜んでもらうという信念を持って取り組んでまいりました、このように語っておりました。
 なかなか行政の対応と違うと私は感じております。やはり行政の場合は、決まった基準で補助--何といいますか、立ち退き料で、なかなか地権者の要望に柔軟に応じられないという、そういう中で、まさにこういった民間でやる気のある民間のノウハウを活用して、今後、東京都も共同化を進めるべきだと、このように考えるわけでございます。
 これを安井技監に質問しようと思ったら、それはやめてくれということだったので、折れまして、そこで建物の共同化について今後の都の取り組みについて、まず伺います。

○山下防災都市づくり担当部長 不燃化特区におけます建物の共同化につきましては、既存の助成制度に加えまして、事業化前の合意形成を進めるため、まちづくりの専門家派遣を支援しておりまして、例えば、品川区東中延地区などで取り組みが進められております。
 さらに合意形成が進展した段階で、共同化コーディネーターの派遣を支援し、円滑な権利関係調整やニーズに合った再建計画策定など、共同化へ向けた取り組みを加速させてまいります。
 ただいま委員の方からもお話しいただきましたとおり、建物の共同化は市街地の不燃化に非常に効果が高いため、今後とも都といたしましては、民間事業者とも連携を図りつつ、技術的、財政的支援により建物の共同化を促進し、木密地域の改善を図ってまいります。

○藤井委員 次に、羽田空港跡地利用について伺います。
 羽田空港跡地利用については、平成二十二年十月に、国と東京都、そして地元の区とともに羽田空港跡地まちづくり推進計画というものが策定されまして、跡地をどのように利用していくかについて具体的な方向性が示されました。
 その後、国土交通省と東京都、そして地元大田区と連携しながら、土地利用の具体化に向けた検討を行い、まちづくりに必要な基盤整備については土地区画整理事業の手法を活用して進めるということになったと聞いております。
 そして、本年九月十一日に羽田空港跡地第一ゾーンにおける土地区画整理事業の基本協定というのが締結されました。この協定によって、この事業の基本的な方針及び役割分担を定めたということでございますが、まずこの協定の締結者、主な締結内容について、お伺いいたします。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 基本協定につきましては、東京都、大田区、国土交通省及び独立行政法人都市再生機構の四者により締結しております。
 その主な内容は、事業区域、公共施設整備などの事業内容のほか、都市再生機構が土地区画整理事業を施行すること、大田区が保留地については都市再生機構から、宅地の一部については国から譲渡を受け、官民連携により施設を整備することなどでございます。

○藤井委員 今答弁にありましたように、大田区は保留地や宅地について譲渡を受けると。官民連携によって施設を整備するということであります。
 羽田空港跡地の第一ゾーンは、面積が約二十ヘクタールということでありますが、土地区画整理事業の面積は約十六・五ヘクタールというふうに聞いておりますが、大田区が取得する面積と価格はどれぐらいになるのか伺います。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 保留地と宅地の面積は、土地区画整理事業の区域から道路等の公共施設を除いた約十一ヘクタールでございます。このうち、大田区が取得する土地の範囲などにつきましては、平成二十七年七月に区が策定した羽田空港跡地第一ゾーン整備方針を具体化する中で、決定していくものと聞いております。

○藤井委員 まだ金額もわからないということですけれども、地元大田区は、もう早くからこの跡地利用計画を定め、そして着々と準備を進めております。そういった意味では、ぜひ東京都は大田区の計画を後押ししていただきたい。このように安井技監にお聞きしたいと思いますが、時間がないので聞きません。
 次に、都市再生機構による土地区画整理事業は、都市計画決定が必要であります。第一ゾーンのまちづくりを進める上で、これは大変重要なプロセスであるということですけれども、タイミングよく今月の十一月五日に大田区は土地区画整理事業などの都市計画素案説明会というのを地元羽田小学校で開催いたしました。
 地元でもこのことについては大変関心が高く、約百四十名が参加をされたというふうに聞いております。
 この説明会において地元から出た主な意見、何か、どんなものか。また、今後の都市計画の予定はどうなっているのか、伺います。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 大田区が開催した都市計画素案説明会では、都市計画に関する直接的な意見はなかった一方で、羽田空港跡地の歴史を伝承することへの要望、建物建築に当たっての日当たりや風通しの影響の心配などの意見があったと区から聞いているところでございます。
 大田区では、本日十二日から都市計画案の公告、縦覧を行いまして、都市計画審議会などを経て、平成二十七年度中に都市計画を決定する予定と聞いております。

○藤井委員 今年度中に都市計画が決定されることから、いよいよまちづくりも事業化の段階に入るわけです。さまざまな課題がございますので、早目の対応をしていく必要があるというふうに考えます。
 そこで、次に羽田空港跡地の第一ゾーンにおけますライフラインの整備について伺います。
 羽田空港跡地の第一ゾーンには、いろんなものが入ります。一つは、中小企業やベンチャー、大手企業などの研究開発拠点やオフィスが入ると。二つには、多目的ホール、会議室が入ると。三番目には、日本の食文化を楽しむことができる飲食店舗が入ると。四番目は、水辺と緑を生かした公園が整備されるというようなことが大田区によって構想をされております。
 これらの施設を整備するためには、今後、その地域に電気も必要だ、電話も必要だ、ガスも必要だ、上下水道など、こういったライフラインを整備しなければなりません。
 特に下水道については、最近羽田空港、ご存じのように国際化になり、増便になり、海外から多くの人たちもふえております。そういった意味で、空港内の汚水がふえているというふうに聞いております。羽田跡地の開発が進めば、さらに汚水がふえるということから、この汚水を処理するには、現在の羽田ポンプ所では処理容量が不足するというふうに心配されております。今後何らかの増強、拡充が必要になるというふうに思います。
 そこで、羽田空港跡地の開発に伴う下水道整備について調整状況等を伺いたいと思います。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 下水道整備につきましては、大田区、下水道局、国土交通省が中心となって調整を行っておりまして、跡地開発に伴う汚水量の増加に対応するための排水系統の変更につきまして、現在検討を進めていると聞いております。

○藤井委員 続きまして、羽田空港周辺の道路整備について伺います。
 本年の五月十八日、国と東京都、大田区、川崎市などで構成されます羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会という恐ろしく長い名前の委員会におきまして、羽田空港周辺並びに京浜臨海部の連携強化の取り組みといたしまして、この羽田空港跡地と、多摩川を挟んだ川崎市の殿町地区との中央部に、新たな橋をつくることが合意されました。
 あわせまして、国道三五七号多摩川トンネルについて、事業着手に向けて必要な調査、設計が終わり次第、平成二十七年度内に事業着手することも合意されたと伺っております。
 私も地元で多摩川トンネルについては早急に整備するよう訴えてまいりましたが、今までは隣の川崎市が多摩川トンネルについては消極的といいますか、なかなか進まなかったわけですが、今回、先ほどいいました羽田と殿町の連絡橋をつくるということで川崎市も了承したというふうに聞いております。
 この国道三五七号は、発着枠が増大し国際化が進む羽田空港への円滑なアクセスを確保するとともに、東京港、川崎港、横浜港の広域的な物資の流動を確保し、京浜三港の連携を深めていく上で重要な路線であります。
 しかし、平成二十二年度に東京港トンネルの工事に着手したものの、多摩川トンネルはいまだ整備されていないために、東京臨海部の連携は不十分だと。加えて、主要道路との交差点付近などでは渋滞が発生をしております。
 こうした状況から、国は東京港トンネルや多摩川トンネルなど、国道三五七号の整備を最優先に進めるべきだと考えますが、国道三五七号の整備促進に向けた都の取り組みについて、伺います。

○中島都市基盤部長 国道三五七号は、東京臨海部における広域的なネットワークの形成のみならず、委員からもお話ありましたとおり、羽田空港へのアクセス向上や物流の円滑化にも寄与する重要な路線でございます。
 都内区間では、臨海副都心から羽田方面へとつながる東京港トンネル及び都県境をまたぎ川崎市につながる多摩川トンネルなどが未整備であり、都はかねてからさまざまな機会を捉えて整備推進を国に要請してまいりました。
 このうち東京港トンネルで現在工事が進められておりまして、平成二十七年度に神奈川方面のトンネルが、平成三十年度には千葉方面のトンネルが開通する予定となっております。
 都は、引き続き東京港トンネルの早期開通とともに、多摩川トンネルやその他の未整備区間の早期事業着手を国に働きかけてまいります。

○藤井委員 今答弁にありましたように、広域的な道路ネットワークの形成に大きく効果を発揮する国道三五七号の整備推進を、都として国に積極的に働きかけるよう要望したいと思います。
 次に、舟運について伺います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会、さらにその先を見据えまして東京の魅力を倍増させるためには、観光資源としても大いに活用できる舟運の活性化が重要であります。舛添知事も舟運の活用を訴えているところでありますけれども、そのために、東京都は本年八月から地元の区や学識経験者、舟運事業者とともに具体的な検討に着手しているということであります。
 その検討の中で、羽田から臨海部を経由して浅草に至るルートなど、複数のルートを設定した調査運航を十一月から十二月にかけて実施すると聞いておりますが、この調査運航の目的と内容について、まず伺います。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 今回の調査運航は、舟運活性化に向けて必要となる基礎的な情報を把握するために実施するものでございます。
 具体的には、都民公募コースや訪日旅行を扱う旅行会社などを対象としたインバウンド関係者コースなど複数のコースを設定いたしまして、参加者の印象に残った船からの景観や船着き場の利用環境などにつきまして、アンケートを実施することとしております。
 初回は十一月七日、先週土曜日でございますが、行っておりまして、インバウンド関係者コースの二便を運航いたしておりまして、乗船された方からは、ふだんとは違った東京の魅力を実感できて、観光資源として大いに活用できるといったご意見を多くいただいておりまして、関心が高うございました。

○藤井委員 舟運の活性化に当たりましては、羽田におり立った、まさに外国から最初におり立つのは羽田でございますので、こうしたすばらしい水辺を楽しんでいただくということが何よりもおもてなしになると思います。
 例えば、羽田空港周辺だけ見ても、海外の方に非常に人気のあります築地市場が非常に外国の方多いですけれども、この周辺には大田市場があります。また、さらにその大田市場のそばに、今後オリンピックで野球、ソフトが正式種目になれば、硬式野球場であります東海スタジアムもありますし、さらにはオリンピックのホッケー会場となります大井ふ頭中央海浜公園もあります。さらには、その先にはしながわ水族館というような、まさに魅力的な観光スポットがあるわけであります。
 一方、羽田空港船着き場を発着する舟運の状況を見ますと、定期航路というのは、日曜日に四便しかない。私この前申し込んだら、欠航になってしまいました。あんまりきちんとやらないんですね。ほかは単発的なクルーズ船という状況で、毎日のように船が行き交う状況にはありません。
 東京の舟運を活性化するためには、東京の玄関口であります羽田の周辺の船着き場を大いに活用して、東京に来られる方々の水辺の魅力を実感してもらえるように取り組んでいくことが重要だというふうに考えます。
 今後の舟運の活性化に向けた都の取り組みについて、伺います。

○堀横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務 舟運の活性化に当たりましては、今いろいろお話ございました水辺に立地する観光資源、たくさんございます。これが航路で結ばれ、舟運が身近な観光交通手段として気軽に利用できるように取り組んでいくことが重要でございます。
 今回実施いたします調査運航で得られましたアンケート調査の結果などを生かしながら、委員からお話もございました羽田空港と都心、臨海部を結ぶ具体的なルートの検討、検証を進めまして、来年度の社会実験につなげてまいります。
 今後とも実験的な取り組みを重ねながら舟運を盛んにさせまして、東京の水辺の魅力を高めてまいります。

○藤井委員 この羽田から臨海部や都心へ船を走らせるとなりますと、多摩川とか海老取川のルートを通らなければならないと思います。
 そこで、この二つの川の護岸整備について伺います。
 多摩川や海老取川の河川は、羽田空港跡地第一ゾーンの土地区画整理事業の区域外です。この護岸整備については、この事業の対象外ということで、関係者で連携して実施するというふうになっております。
 先ほどいいましたように、羽田におり立った多くの方々が船に乗って最初に目にするのは、これらの護岸になるわけです。しかし、現在の多摩川並びに特に海老取川の護岸はみすぼらしいといいますか、古いといいますか、景観がよくありません。
 先ほど触れていただきましたけど、今月の五日に水上タクシーというのが試験的に走るというふうに出ておりました。二〇二〇年五輪大会に向けて、東京港内と周辺河川に水上タクシーが運航を始めると。
 その桟橋というか、決定をいたしました。その中に天空橋が入っております。あと明石町とか両国とか吾妻橋とか桜橋、ほかにも全部で十二カ所の船着き場で乗りおりができるというふうな予定だそうですけれども、その水上タクシーに舛添知事も五日に試乗したそうでございます。黄色い船ですよね。東京ウオータータクシーって出ておりますけど。
 その船着き場、まさに羽田空港の真ん前の船着き場、天空橋には地元の大田区がつくりました防災船着き場が、きれいな船着き場がございます。そして、そこから水上タクシーに乗ったら海老取川が、護岸が見えるんですが、まさにさっきいったようにみすぼらしい、古い、景観がよくない、こういった海老取川の護岸が目立つわけでございます。
 そこで、この第一ゾーンにおける多摩川及び海老取川の護岸整備の今後の取り組みについて、お伺いしたいと思います。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 多摩川や海老取川の護岸整備につきましては、冒頭委員からお話のございました羽田空港跡地まちづくり推進計画で、多摩川は国が主体的に検討し、海老取川は東京都が主体的に検討することとしております。
 今回、土地区画整理事業の範囲が明らかになり、今後整備が進んでいきますことから、まちづくりに合わせた護岸整備の着実な実施に向けて、現在、都として両河川の管理者などと調整を行っております。

○藤井委員 最後に、東京都技監にお聞きしたいと思います。
 今後、海外から多くの来客を迎える玄関口となります羽田空港、この周辺は、おもてなしの場として重要であり、ポテンシャルが高いと思います。この羽田空港の跡地は第一ゾーンだけではなく、国が整備を予定している第二ゾーンもありますし、また東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年のまちづくりの概成を目指しております。
 今いろいろ質問してまいりましたが、羽田空港跡地のまちづくりや海老取川などのインフラ及び舟運の活性化など、羽田周辺に関する課題はまだまだ多く残っております。
 これらは、国及び東京都の各局にわたって所管されております。先ほどの第一ゾーンの中の下水の処理どうするのか、あるいは海老取川の護岸はどうするのか。これは建設局、下水道局、さらには他局にかかわることがたくさんあります。
 そこで、こういった横断的な調整が必要でありますので、羽田のまちづくりの推進に当たっては、都市整備局長並びに東京都技監の果たす役割は大変大きいと、このように思いますが、これに対する技監の決意をお伺いいたします。

○安井東京都技監 羽田空港周辺のまちづくり、とりわけ跡地利用につきましては、これまでも、いわゆる三者協といいまして、国、都、で地元区には品川も入ってございます。それから東京都で、もうさまざま課題を調整しながら進めてきたわけでございまして、私も跡地利用再開に向けた当初の、事務局を行った担当課長としてかかわりまして、そのときには、なかなか二百ヘクタール全体が、たしか、もし間違えていたらご訂正いただきたいんですが、四十八時間以内に出ていくようにといわれた大田区民の思いであるとか、それからまた国際化を当初まだ要求していて実現していなかった、何とかそういうことの文脈の中で、土地利用したい東京都であるとか、できるだけ航空施設のエリアを確保したい国だとか、さまざまないろいろ立場がありまして、そこを何とかうまく調整して推進計画をまとめられたんだと。そういった過程の中では、例えばゾーニングであるとか、面積であるとか、導入機能、それから環八をどういうふうにつくり直すか、それから護岸の整備、これ誰がどういう形でやるかというようなことがまとめられた、そういった過程の中では、三者協の事務局である東京都は一定の役割を果たしてきたんじゃないかなというふうに思ってございます。
 今後は、その計画に基づきまして、いよいよ区画整理という具体的な事業になるわけでございまして、そこは羽田空港、これからまたさらに機能が強化を図られることになりますけれども、その隣接地にふさわしい土地利用がぜひ実現できるように、またそのときには、先ほど申し上げました、かつてそこに多くの区民の方が住んでいらっしゃったというような思いも区からは伝わってきてますので、そういったこともよく交わしながら、できることならば、ものづくり産業がたくさん立地していた、そういうところでございますので、何かそういうことと羽田空港が結びついて跡地が生かされていくような、そんな計画に向けて、東京都も、今私の決意というようなことでお尋ねされたんですけれども、積極的に取り組んでいきたいなと思ってございます。
 あとは、その後オリンピックということが来て、舟運を活性化しようとか、また三五七、また川崎からの橋の話もございますから、そういった羽田を取り巻くいろんな事業につきまして、その中心になって積極的に調整を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○曽根委員 できるだけ私も簡潔に質問していきたいと思います。
 最初に、都内の分譲マンション対策について質問いたします。
 先ほどもお話あったように、東京都住宅政策審議会から、東京におけるマンション施策の新たな展開についてと題する、恐らく初めての総合的なマンション施策の提言があり、年度内に計画をつくるという、この都としての具体化をどう進めるのかが問われていると思います。
 この答申には、都内分譲マンションの実態把握の必要性とともに、これまでは管理運営中心の支援でしたが、居住者の高齢化などへの対応や建物の改修や建てかえの支援のあり方など、具体的な提言が盛り込まれております。
 そこで、まず、答申で触れているように、老朽マンションを初め、都内の分譲マンションの正確な実態把握は焦眉の課題だと思います。管理組合の調査にとどまらず、区分所有者や居住者の高齢化、単身化、また低所得化や借家化などの実態把握に努めることが重要です。
 そこで、私は、都が取り組んできたマンション啓発隊の実績や成果、ノウハウを生かすことが重要だと思います。
 そこで、耐震診断補強への支援制度の普及に取り組んでおりますマンション啓発隊の訪問について、都内マンションのうち、どれぐらいの割合を訪問し、どういう成果を上げているのかをお聞きします。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 マンション啓発隊活動は、平成二十三年度の実態調査により把握した旧耐震基準の全てのマンション約一万二千棟を対象に平成二十四年度から実施しており、先月末までの実績は全体の約九割に相当する約一万三百棟でございます。
 この啓発隊活動では、管理組合の役員などから直接話をお伺いいたしますので、各マンションの事情をきめ細かく把握することができますとともに、助成制度の周知が図られ、利用増加につながるなどの成果があらわれております。

○曽根委員 九割を訪問しているということで、もう一万件を超えているということですので、この啓発隊の実績は大変貴重だと思います。
 東京都は、住政審答申に先立って平成二十三年度にマンション実態調査を管理組合のアンケート調査という形で行いましたが、困難を抱えたマンションほど回答が来ていないという傾向があるんじゃないかと思うんです。
 このように回答が来ていないマンションについては、啓発隊による直接訪問などの機会を捉えて管理組合の状況についても具体的に調査をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 マンション啓発隊では、耐震に向けた助言などを行いますとともに、管理組合の運営状況についても可能な限りヒアリングを実施しております。

○曽根委員 ぜひ引き続きお願いしたいと思います。
 こうしたリアルな実態をつかみながら、都内に一万棟以上あるマンションの実情に見合った対策が行えるように条例化を検討すべきですが、実態に見合った条例化という点での都の今の考え方をお聞きします。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 アンケートなどによる実態調査では管理組合の協力が得られない場合も多いことなどから、九月に出された住宅政策審議会の答申では、管理組合が行政に対して管理状況を定期的に報告する制度の創設について、条例による報告の義務づけなども含め検討を行うべきとの提言がなされております。
 今後、答申を踏まえ、必要な検討を行ってまいります。

○曽根委員 先ほども質問があったので、以下要望にとどめておきますけれども、私、条例化に当たっては、報告や登録をある程度義務づけを行うという場合に、それに見合った管理組合のメリットも必要じゃないかと。例えば、専門家の無償派遣や管理や修繕の相談にも応じたり、また設計図書が失われて大規模改修が困難なマンションには、設計図書の復元の援助など、公的な支援をあわせて検討することをお願いしたいと思います。
 もう一つは、マンション管理ガイドラインを充実させて、今後はマンション白書などグレードアップを検討することもお願いしておきます。
 もう一つは、マンションの防災対策についてお聞きしたいと思うんです。
 私もマンション族の一人で、上の階のお宅が火災になった際には、消防の水をかぶりまして大変な思いをしたことがありますが、今総務局が各マンションに講師を派遣して、マンション防災の学習交流を行っております。
 その中で、マンションは規模によっては一つの大きな地域を形成し、災害の被害が、例えば地震で外壁材や窓ガラスが大量に落下する危険など、周辺地域に思わず二次被害をもたらす場合もある。にもかかわらず、ほとんどの自治体は管理組合との直接のパイプがなく、そのために区市町村が自治会、町会に行っている防災資器材や防災活動への支援などがマンションには届きにくいと。この点での防災力の向上への公的支援のあり方が、課題になっているといわれております。
 そこで、都として関係各局が連携し、区市町村や関係諸団体と協力をして、マンション居住者による防災対策として、例えば組織づくり、計画づくり、備品や水、食料の確保、防災訓練定期化など、マンションの防災対策が大きく前進するよう、例えばガイドラインを充実させるなども含めて取り組む必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 マンションの防災力を高めるためには、管理組合が防災訓練の実施や物資の備蓄などの防災対策に主体的に取り組むことが重要であり、都では関係各局が区市町村や関係団体とも連携し、管理組合等への支援を行っております。
 都市整備局といたしましては、平成十七年度に策定したマンション管理ガイドラインにおいて震災への備えなどについても記載し、管理組合への普及啓発に努めてまいりましたが、近年、防災対策への関心が高まっていることなどから、審議会の答申におきまして内容の充実を図るべきとの提言もなされております。都はガイドラインの改定に向け、既に検討を始めているところでございます。

○曽根委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 あとはマンションの大規模改修についての支援については、先ほども質問がありましたので要望にとどめさせていただきますが、現行のマンション改良工事助成は、今利子補給なんですが、ぜひ直接助成に充実させていただきたい。また、今回起きた偽装事件の再発を防ぐためにも、マンションの大規模改修や建てかえ工事に対して公的な資格を持った専門家を派遣し、計画段階から設計や入札、工事監理まで一貫して支援する、こうした信頼できる専門家の派遣制度を設ける必要もあるんじゃないかと。
 また、緊急輸送道路沿道耐震化助成については、なかなか資金繰りが難しくて段階的な工事を行うという場合にも十分適用されるように、また一般道沿道のマンションにも何らかの助成対象として広げていただきたいことをお願いして、次の質問に行きます。
 都営住宅整備についてお聞きします。
 都営住宅の新築募集が打ち切られて久しく、新規建設も十六年間とまっております。しかし、毎回の都営住宅募集の状況を見ても、募集する団地がだんだん不便なところになっているなという私の印象なんですが、応募倍率は上がってきております。
 きょうは、いろんな問題があるんですが、建てかえ事業の進捗の中で生み出された住宅を新規募集に活用し、新築、もしくはそれに近い都営住宅の都民提供を可能にできるんじゃないかという可能性について質問させていただきます。
 東京中の建てかえ状況の調査は困難ですから、私の住んでおります北区内の都営住宅についてちょっと調べていただきました。ご足労おかけしましたが、北区内で継続的に都営住宅建てかえが進んで、毎年一定規模の住宅が建設されておりますが、この十年間でトータル何戸が整備されたでしょうか。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 北区におきまして、平成十七年度から二十六年度までの十年間に、建てかえに着手した都営住宅の戸数は合計で約三千二百七十戸でございます。

○曽根委員 昭和四十年代以前の団地が今建てかえの対象になっておりますが、これも大分減ってきて、建てかえ対象とされる--まあ中層住宅ですよね、今やっているのは。これは十一団地ぐらいが残っているかなと思います。
 建てかえ中の団地は十ぐらいですが、五千戸規模の桐ヶ丘団地も含まれるので、建てかえた戸数の方がはるかに多くなってきています。建てかえ事業中の団地内でローリングをしていきますが、もう最終期に入ってきていると。最後の建物が、その一部でも新築募集ができる余地が生まれてきているんではないかと思いますが、状況を伺います。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 北区におきまして、昭和四十年代以前に建設された都営住宅のうち、まだ建てかえに着手していない団地は二十団地以上ございます。建てかえ事業を引き続き円滑に進めていくために、団地の建てかえにおける最終期の住棟は次期建てかえ団地の居住者移転先として活用することとしております。

○曽根委員 まだ大小、団地が残っていることは承知しておりますが、建てかえ後の戸数の方がかなり大きくなってきていることから、今後の課題として、私は建てかえ後の住宅の活用というのは、ぜひ今から考えていただきたいと思います。
 例えば、私、都市整備局さんからいただいた資料の十年間の建てかえ事業対象団地のこの区域について、建てかえ後の戸数は三千二百七十戸ぐらいなんですが、従前戸数を実は調べてみました。これはちょっと古い台帳が私どもの会派の奥にしまってあったもんですから、十年以上も前の団地の戸数が載っておりますので、それで調べたら、従前戸数の合計は約二千六百五十戸でした。したがって、建てかえを通じて約六百戸以上がふえているんです。
 このうちには、大きな団地である桐ヶ丘団地が九百三十三戸を建てかえて千百九十五戸、二百六十戸ぐらいふえておりますので、これがかなり大きいんですけれども、したがって、他の団地や他地区からの転入、転出もあり、また今後団地によっては建てかえのほかの団地に使うということもあるでしょうけれども、これだけ六百戸以上ふやしてきている、この新しい建てかえ後の住宅を、一部でも新規募集に活用する可能性はあるんじゃないか。都内各地でそういう余地は今後ふえてくると思われますので、ぜひ今後の検討をお願いしておきたいと思います。
 それから、新規の団地建設についても、福祉施設整備とあわせて可能な地区で取り組むべきではないかと思いますし、今回整備される予定のオリンピック選手村跡地についても、民間のマンションなどばかりではなく、都営住宅も含めたソーシャルミックスのまちづくりを考えるべきだと思いますが、都心部でも条件があれば新規建設についても検討すべきですが、いかがでしょうか。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 先ほど建てかえ事業の中で戸数がふえているというご指摘がございましたので、一言ご説明させていただきます。
 北区内の都営住宅の管理戸数といたしましては、十年前の平成十七年度末時点で約一万四千四百戸、平成二十六年度末の時点で約一万三千五百戸と管理戸数は減ってございます。これは、建てかえのほかに集約団地もございまして、建てかえそのものではふえていたといたしましても、トータルでは減っているというものでございます。

○加藤住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。今後とも社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。

○曽根委員 私どもは一貫してこの間、新規建設の再開を求めてまいりました。そうしない限り、東京の高い地価と住宅費の一方で、都民の平均所得や年金収入は下がり続けている中で、公営住宅を必要とする都民は、高齢者のみならず若い世代にまで広がりつつあるこの状況に応えることはできないんじゃないかと考えております。
 同時に、新規建設については確かに困難がありまして、大体入居者が高齢者に集中してしまい、高齢者団地を新たにつくることになりかねませんので、だったらば今区や市で進めているように、最初からシルバーピアとして整備する方が合理的ではないかということで、北区はそういう道を進んでいますが、コミュニティを保障できるソーシャルミックスを進めるためには、新規建設と同時に収入基準の緩和が私は避けられないと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それから、桐ヶ丘団地は、約五千戸から、最初の段階では六千戸を目指すという計画だったわけです。その計画はその後変更されておりますが、現在、創出用地を福祉施設に活用しても、最終の六期目の住宅建設で六千戸を実現できる可能性が生まれてきております。
 そこで、ここに中堅所得層や若年世帯を含む広い階層への公共住宅を検討し、桐ヶ丘は高齢化が七割近くになっておりますので、こういうところにソーシャルミックスを目指すという新しいモデルの団地を目指すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○加藤住宅政策担当部長 中堅所得者階層向けの住宅につきましては、民間住宅市場において適切に供給されることが基本でございまして、都として新たに直接供給する考えはございません。
 なお、都営住宅につきましては、入居者の募集に当たりまして、子育て世帯の当せん倍率の優遇制度、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を実施するなど、公営住宅施策の目的の範囲内で可能な限りソーシャルミックスに配慮しております。

○曽根委員 都営住宅の今の若年ファミリー世帯向けの制度では、なかなか安心して若年世帯が都営住宅に暮らせるという点では狭き門かなと思います。
 また、一般的に住宅市場で若い世帯や中堅所得層に負担可能な住宅費で、この都内、特に二十三区内で住宅が提供されている状況とは私はいえないと思います。
 このままでは都心を中心に階層が大きく分離してしまって、高額所得層か低所得層に分かれて中間層がいなくなってしまうんじゃないかと。これを大変心配するわけで、その中間層が住める住宅を都内二十三区にいかに確保するかは今後の東京の発展にも大きくつながる問題だと思いますので、ぜひ、私どもも提案をしてまいりますし、検討をお願いしておきたいと思います。
 最後に、横田基地問題について幾つか質問します。
 これは、後日、二十七日に請願陳情審査がありますので、きょうは基本的な点に絞ってお聞きします。
 この基地対策というのは昨年都市整備局に移管されたものですが、もともと知事本局などが担当しておりました。横田初め、米軍基地の存在によって生じる都民との間のさまざまな問題に対応していくためには、例えば、環境問題や、それから米軍の兵士が起こす犯罪や交通事故の問題だとか、道路計画や上下水道など都市基盤にかかわる問題、そのほかさまざまな問題がありますので、これらを関係各局と連携して対処することが必要になると思います。
 そして、最終的には国の防衛省や米軍関係者との一部外交分野にもわたるやりとりもあるでしょうから、極めて重要かつ厳密さが要求される仕事になることをぜひ覚悟して、それでもなお、あくまで都民と都政の安全と利益をしっかり守る立場で今後対処していただくことをまず要望しておきたいと思います。
 その上で、せっかく都市整備局が担当するんですから、一貫して東京都が米軍基地や施設に対して掲げてきた整理、縮小、返還を推し進めるために、まちづくり、都市計画のプロとしての権限、能力をフルに生かしていただきたいんですが、都市整備局は返還に向けてどういう取り組みを考えておられるのかをお聞きします。

○筧基地対策部長 米軍基地は日米安全保障体制の一翼を担うものでございますが、日米地位協定第二条においては、必要でなくなった場合は返還されなければならず、その必要性を絶えず検討することとされております。
 都といたしましては、都内の米軍基地について返還の可能性が検討され、基地の整理、縮小、返還が促進されるよう国への提案要求や渉外知事会等の活動を通じて国に要請してきており、今後も必要な働きかけを行ってまいります。

○曽根委員 そこで、横田基地の現状についてなんですが、横田基地配属の米軍には、少なくともこれからオスプレイ部隊四百人余りが加わる計画です。また、資料にもいただきましたが、三年前からパラシュート訓練も繰り返されております。
 したがって、横田の基地機能そのものは、この間事実上強化されてきたんではないか。すなわち、都が掲げてきた整理、縮小、返還の可能性は遠ざかっているんではないかというふうに思われますが、いかがでしょうか。

○筧基地対策部長 横田基地は西太平洋地域の米軍の空輸ハブ基地としての役割を担っておりまして、輸送部隊が駐留しています。国は横田基地へのオスプレイ配備は、こうした輸送拠点としての機能の範囲内で行うものとしており、配備後においても横田基地の空輸基地としての役割は変わらないものと認識しております。
 また、人員降下訓練等についてでございますが、横田基地からは、空輸ハブ基地として人員や物資を空輸する能力を保持するための通常の訓練として行われているものと聞いております。

○曽根委員 今、人員降下訓練、つまりパラシュート訓練について人員や物資を空輸する能力を保持するための通常の訓練だと、そういうふうに説明されたということですが、私、米軍の横田基地のホームページを見てみましたら、二〇一二年からこれが始まっていますが、このパラシュート訓練というのは実戦的な訓練で、サムライサージという名前もついているようですけど、つまり、米軍による襲撃の作戦という意味ですが、これについて、なぜこれを三年前から突然始めたのかということについて、この横田基地が西太平洋における唯一の輸送航空団の中継基地である。このことから、世界のどこにでも展開する準備を整えている遠征部隊として、それが大規模な訓練を行っている理由であるというふうに書かれています。つまり、世界のどこにでも出撃できる軍事体制づくりの訓練だという点でパラシュート訓練が始まったことは、私は深刻な問題があるんじゃないかと思います。
 これは以前は全くやってなかったものですので、それが今や通常の訓練というふうにお話にあったように、年間でもう十回以上、昨年はやっているわけです。
 これは、今後オスプレイも配置されることとあわせて考えると、明らかに実戦さながらの、輸送任務自体が実戦さながらのものにレベルアップしているということじゃないのかというふうに思われますし、また輸送機能以外にも、例えば五年ほど前になりますでしょうか、航空自衛隊が移転して横田に入った後に、日米共同の訓練指揮所が地下に設置されました。
 今後、ここを司令部として日米航空部隊による共同作戦もできるようになっていくんじゃないかと。単なる輸送拠点じゃなくなっていくんじゃないかということも懸念されますが、いかがでしょうか。

○筧基地対策部長 先ほど答弁申し上げたとおり、国からはCV22のオスプレイの配備につきましては、横田基地が有している輸送拠点としての機能の範囲内で行われると聞いております。輸送拠点としての機能が強化されるのではないかというお話でしたが、国からはオスプレイの配備で横田基地の輸送拠点としての機能の強化になるとは説明を受けておりません。
 また、人員降下訓練につきましては、先ほども説明申し上げたとおり、横田基地から空輸ハブ基地として人員や物資を空輸する能力を保持することが必要不可欠でありまして、そのための通常の訓練で行われているというふうに聞いております。

○曽根委員 後日また議論をいたしますが、国からは基地の強化とは聞いていないとおっしゃっても、これだけの事実が積み上がっていけば、単なる輸送基地にとどまらず、訓練基地としても、司令部基地としても日米が一体となった機能の拡大が着々と進んでいるという実態が出てきているということを申し上げておきたいと思います。
 それともう一つ、きょうどうしても聞いておきたいのは、この間、九次にわたり繰り返されている騒音公害裁判の結果、繰り返しこの騒音が違法と認められ、賠償を命じる判決が出ていながら、同じ趣旨の裁判が繰り返されてきている。
 このことについて、どう考えているのか、打開の道はないんでしょうか。

○筧基地対策部長 横田基地騒音公害訴訟におきましては、一定の騒音レベルを超える地域の居住者に対して、過去の騒音被害に対する損害賠償を認める判決が出されております。
 基地に起因する騒音につきましては、国が法律の枠組みに基づき、適切に対処すべきものと認識しております。
 都といたしましては、これまでも国への提案要求や渉外知事会による基地対策に関する要望などによりまして、基地周辺の騒音被害の軽減を図るよう国に求めていたところでありまして、今後も必要な働きかけを行ってまいります。

○曽根委員 私、実は十年前にもこの問題を取り上げた際に、当時の高裁判決で読んだんですけれども、ここには非常に厳しく国、行政に対する指摘がされておりまして、ちょっと読み上げますが、横田基地の騒音についても、最高裁判所において、受忍限度を超えて違法である旨の判決が示されて久しいにもかかわらず、騒音被害に対する補償のための制度すらいまだに設けられず、救済を求めて再度の提訴を余儀なくされた原告がいる事実は、法治国家のありようから見て、異常の実態で、立法府は、適切な国防の維持の観点からも怠慢のそしりを免れないと。
 つまり、もう賠償の仕組みがいまだにできてないじゃないかといわれて、その後も繰り返し裁判を起こされて九次になっているわけです。そして、その中で決定的な問題として私、思ったのは、この裁判の判決でも、結局は騒音の測定をどこでどれだけやるのかということが争点になっておりまして、このときの裁判でも、昭和五十二年の百五十カ所測定したのに対し、平成十年には十三カ所しか測定しないことで被害の認定が減っちゃったということを原告が厳しく批判しているわけです。
 そこで、東京都の騒音の測定点は、何でも常設の場所が四カ所しかなくて、あとは短期のものだということで、裁判上よく出てくる拝島二小、拝島第二小学校ですね、そこの測定点は東京都のではなく、地元の自治体がつくっている。これが裁判では決定的な役割を果たしているようです。
 地元の自治体からも東京都の測定点をふやしてほしいと、この騒音の実態がリアルにつかめるように協力してほしいという要請が来ていると思いますが、いかがですか。

○筧基地対策部長 騒音調査地点の増設に関する要望についてのお尋ねですが、東京都市長会から横田基地周辺における航空機騒音の調査地点の増設に関する要望がかつてあったことは承知しております。
 騒音調査は都市整備局の所管ではございませんが、環境局からは基地周辺の環境基準の達成状況を把握するに必要な数の調査地点を設けていると聞いております。

○曽根委員 私、環境局の測定点の置き方と、地元の住民や自治体からの要望が完全にすれ違っていると思います。つまり、地元の方々は、騒音が集中的に起こっている--現在は周回訓練という形で楕円形を描きながら横田の周辺をぐるぐる回るんですけれども、そういうところには、今東京都の測定点は余りないと。大体直線コースで飛ぶことが前提となっていると。しかし、そういうところにこそ測定点が欲しい。しかし、環境局は満遍なく平均的に測定点を置いて全体の状況がわかればいいという立場ですので、これはかみ合ってないなと思います。
 したがって、東京都としては地元住民の要望に応える形で測定点についても今後検討することを環境局とも連携して進めていただきたいと思います。
 最後に、先ほどちょっと答弁がありましたCV22オスプレイの任務についてですが、これはどういう部隊をどういう場所に運ぶものなんでしょうか。

○筧基地対策部長 横田基地に配備されますCV22オスプレイは、各種事態が発生した場合に、アジア太平洋地域に所在する米軍の特殊作戦部隊などを作戦地域まで輸送することを主な任務としていると国から聞いております。また、大規模災害が発生した場合には、特殊作戦部隊を被災地に急行させ、CV22の高い能力を生かして捜索救難などの活動を迅速かつ広範囲にわたって行うことができるとしております。

○曽根委員 つまり、有事の際に奇襲作戦を行う部隊ですよね。そういう攻撃性の高い部隊だということは、これは事実として確認をして、議論は次の機会にやりたいと思います。
 それから、今災害救出の話がありましたが、これを期待しているかのようですけれども、ご存じのように、ネパールの大地震の際には、ネパールに一旦沖縄配備のオスプレイが出動したんですけれども、現地で風圧のために民家の屋根が破壊されたために、ネパール政府から救援を拒否されて帰還したという経緯があります。
 また、先日のような鬼怒川の集中豪雨の中で取り残された人を例えばホバリングをして下からつり上げる、救出するということはオスプレイではできないわけです。オスプレイは単なるヘリコプターではなく、下にジェット噴射をしておりますので、つり上げようとしたらやけどしちゃうわけですよ。したがって、オスプレイの災害救出は極めて条件が限られるということを曖昧にしたまま、災害救援に使えるなどという甘い期待を持ってはならないということだけは、この際指摘をしておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○中村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後六時八分休憩

   午後六時二十分開議

○中村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。

○鈴木委員 お疲れの色が濃くなってまいりましたので、少しでも時短につながるように頑張っていきたいというふうに思っております。
 きょうは、都営住宅の建てかえ、そしてバリアフリー等さまざまご質疑があったわけですけれども、私の方からは都営住宅の建てかえに伴うまちづくりについて質問させていただきます。
 都の住宅政策というのは、昭和三十年ごろより、特に量の不足という社会問題に対応するために本当に直営でスタートしたのが始まりなわけですけれども、それから今六十年が過ぎたわけです。超高齢社会といわれる中で、単に量の不足を補うだけでなく、地域のまちづくりの中で取り組んでいくことが、これからは本当に不可欠なことであるというふうに思います。
 私は都営住宅、今回調べさせていただいて、都内に二十六万戸ある、ストックがあるわけですけれども、その敷地面積の合計というのは一千八百ヘクタール以上もありまして、これは新宿区の面積の一千八百二十三ヘクタールに匹敵するぐらい、それぐらい広大な土地を持っているということに初めて気づかせていただきました。
 私たちは、東京を世界で一番の都市にするために、高齢者や障害者が地域で安心して暮らせる幸福実感社会の実現や多様な子育てサービスにより子供の声があふれるまちの実現を掲げさせていただいております。
 これらを実現させるためには、都民が住みなれた地域で子育てができたり、高齢者が安心して暮らせるよう福祉施設の整備を進めることが重要なことであるわけですけれども、都内では地元自治体等にとって用地の確保というのが本当に容易なことではございません。
 一方、都営住宅は、昭和四十年代以前に建築され、老朽化しつつある中で、十万戸以上の住宅ストックを計画的かつ効率的に建てかえていくことが求められております。その際には、高層化することによって創出される用地をいかに活用するかということが本当に大切なことであり、子育て支援施設や高齢者福祉施設の整備を進め、地域の福祉ニーズに応えていくことが重要であるというふうに思います。
 東京都は、昨年の十二月に私たちの提言を踏まえて、東京都の長期ビジョンにおいて、都営住宅等の建てかえに伴い創出される用地を福祉インフラ整備の候補地として提供するというふうにお話をされておりますが、そこでまず都営住宅の建てかえにおいて、福祉インフラの整備の取り組み状況について、お伺いいたします。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都内における福祉インフラの整備促進に当たりましては、用地の確保がより一層重要となることから、長期ビジョンでは理事お話しのように、都営住宅等の建てかえに伴い創出される用地を福祉インフラ整備の候補地として提供することとしております。
 長期ビジョンを公表した昨年十二月から本年十月までの間で、都営住宅の建てかえに伴い創出される用地を活用して、子育て支援施設五件、障害者福祉施設二件、高齢者福祉施設一件の計八件において福祉施設が開設されたほか、さらに五件におきまして福祉インフラ整備事業の事業者公募を行っております。
 今後も福祉インフラの整備促進に向けて、候補地の提供に積極的に取り組んでまいります。

○鈴木委員 今初めて利活用の実績が示されたわけですけれども、福祉インフラ整備を促進するというために、本当に積極的に進めていただいていることは、本当に評価いたします。さらに、福祉ニーズへの対応に加えて、東京を世界で一番の都市にしていくためには、質の高い業務、そしてまた商業の拠点をつくることや安全で潤いがあり利便性の高い住宅地をつくることで都市としての魅力を高め、海外から有能な人材を呼び寄せて経済活動を活発化させていくことが、大変重要になるわけでございます。
 この点で、都営住宅の計画的な建てかえに伴うまとまった規模の創出用地というのが適切に民間活力を導入して活用することで、地域の魅力向上につながっていくわけであるわけですけれども、空地の活用--そして例えば空地の活用もそうですけれども、駐車場もいかに再活用していくかということも含めて、緑化とか、そしてまた緑化といった環境整備、そして防災拠点、そしてまた地域の憩いの場として、ぜひこれからもそうした観点を持って民間活力を導入して取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。
 都営住宅の建てかえに伴い創出されるまとまった規模の都有地において、民間活力を生かしながら地域の魅力を高め、東京の都市力を向上させていく進め方について、都の考え方をお伺いいたします。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都営住宅の建てかえで創出するまとまった規模の創出用地は都民の貴重な財産であり、民間事業者の創意工夫を生かしながら地域特性に応じてまちづくりに活用していくことが重要でございます。
 これまでも、例えば渋谷区宮下町アパートにおける文化、ファッション産業拠点の形成や世田谷区池尻アパートにおける道路事業への協力者向け住宅分譲による防災都市づくりの推進など、都の政策目的の実現に資するまちづくりを進めてまいりました。
 今後も創出用地を活用し、質の高い商業施設や文化、流行発信拠点の形成、駅前拠点の整備、誰もが暮らしやすい生活中心地の形成など、地域特性に応じたまちづくりを積極的に展開し、東京の魅力向上に寄与してまいります。

○鈴木委員 今ご答弁いただきましたけれども、地域の魅力を高めて東京の都市力を向上させるまちづくりを積極的に活用するということは、本当にこれからもぜひ進めていただきたいなというふうに思っておりますし、都営住宅の建てかえの考え方も少し変えていった方がいいのかなというふうにも私は思います。本当に民間のさまざまな知恵を活用しながら、この地域、この有効な空間を、敷地をどのように活用していったら、これからこの東京がさらに都市力が向上していくのかという発想を持って、これからも取り組みを進めていただきたいなということを要望いたします。
 また、さて、この都営住宅の建てかえによるまちづくりに関連して、地元の話を二点要望としてさせていただきます。
 私の地元大田区には、池上五丁目にある都営堤方アパートというのがあるわけですけれども、こちらは東急池上線池上の駅から三百メートルという至近距離で商業地域なわけです。これがまた池上通りに建ち並んで、そしてまた池上本門寺に向かう参道との交差点に面している大変利便性が高く、まちづくりの肝といわれているところに立地しているわけですけれども、この堤方アパートは昭和四十年に建設された老朽化が著しい建物であり、建てかえのために居住者は二年以上前に、平成二十五年の七月に既に移転済みなわけであります。ところが、この建物の一階には、いわゆるげた履き店舗っていうふうにいわれるらしいんですけれども、店舗を併存した都営住宅なわけですけれども、げた履き店舗が入居しており、幾つかの店舗はいつまでたっても退去しない。退去しないどころか、先月の池上本門寺のお会式という年間、毎年三十万人ぐらい来る大きなイベントがあるわけですけれども、このお祭りに合わせて新装オープンするお店もあらわれるという事態が今起こっております。
 老朽化した都営住宅の建てかえが進まないことで、池上地域のまちづくりに対して大きなデメリットを与えており、また、地元からも一日も早く建てかえを始めてほしいという切実な声が聞こえております。
 また、これまちづくりのデメリットだけでなく、都営住宅の今入居者の高齢化が進んでいる中で建てかえが二年以上も滞っているということは、住宅セーフティーネットとしての重要な機能を果たせないでいるということであるわけですので、このことからも私は大きな損失だろうというふうに思っております。
 店舗つき住棟というのは、昭和三十年ごろから東京都や一般財団法人の首都圏不燃建築公社が営業者を誘致するなどして分譲して転売されたとか、いろんな部分で関係利権者が多岐にわたっているという現実があるわけですけれども、地代は賃料として支払っていて、賃貸借契約の更新の際に違法建築も含めて、そういったものをしっかりと取り組んでいくことが私は本当に今求められているんではないかなというふうに思います。
 この建物の堤方五丁目アパートは、高齢者が本当に今たくさんいらっしゃる中で、バリアフリーのエレベーターもついてないという状況です。昭和四十年に建てられた建物ですので、五十年近く、五階建てなんですけれども、エレベーターもない中で皆さん生活をされている中で--今エレベーターも小型化にされたりとか、さまざまな部分でエレベーターが設置できるようになったにもかかわらず、げた履き店舗の違法増築によってそれすらできていないという状況を私はしっかりと皆様に受けとめていただきたいということと、同じ賃料でこういった状況を見過ごしているということ自体は、地域の方からも公平性も含めて、住民の不利益ということも考えると、これはこれからしっかりと看過できないこととして、皆様方に取り組んでいただかなくてはいけないなというふうに思っております。
 このことは、げた履き店舗の違法増築についても、法的手段も含めた取り組みを早く進めていただきますよう要望して、次の質問に移らせていただきます。
 次は、都内の空き家対策について質疑をさせていただきます。
 二〇一四年七月に総務省から五年に一度発表する住宅・土地統計調査の中で、都内の空き家というのがもう八十二万戸、空き家率はもう一〇・九%に達したといわれております。今後東京都においても人口減少が見込まれている中で、さらに空き家が増加することは、もう本当に想像するにかたくないわけですけれども、こうした中、ことしの五月に全面施行された空家等対策の推進に関する特別措置法では、区市町村が空き家対策に主体的に取り組むというふうに規定されております。
 長期間使われていない空き家の増加、これは長期間使われていない空き家というのは、この調査でも十万戸以上あるというふうにいわれているわけですけれども、地域の住環境の悪化や地域活力の衰退などにつながることはもとより、空き家の実態を踏まえて、地域の安心・安全なまちづくりのためにも、この対策は本当に早急に取り組んでいかなくてはいけないというふうに思います。
 そのために、まず空き家の立地や設備、所有者の意向などを把握した上で、それぞれの地域や意向に応じた対応を行うことが必要でありますけれども、空き家の実態把握に向けた東京都の取り組み状況についてをお伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 空き家対策につきましては、今お話がございました空家等対策特別措置法などに基づきまして、区市町村が実態を踏まえて計画的に取り組むことが重要と考えております。
 このため、都は今年度から区市町村が行います空き家の実態調査や意向把握、あるいはバリアフリー改修助成などに対して財政支援を開始したところでございます。
 今年度は、都の補助事業を活用して四自治体で実態調査を行っておりまして、法施行前の実施も含めますと、全体で三十二の自治体で何らかの実態調査を行っているところでございます。
 今後とも会議の場などを通じまして、区市町村に対して都の補助事業を活用した実態調査や意向調査などを積極的に促してまいります。

○鈴木委員 この空家等対策特別措置法の中では、区市町村が空き家に対して除去の勧告などを行えるというふうに定められているわけですけれども、ただ取り壊すという視点だけでなく、リフォームして賃貸する、または売買するといった利活用を促進することが重要ではないかなというふうに思います。
 しかし、空き家の所有者の中には、例えば空き家を相続により取得して、その後どうしたらいいのかわからないという方もたくさんいらっしゃいます。
 こうした実情を踏まえますと、空き家の実態調査をまずしっかりとして、その所有者の抱える課題に対して適切にアドバイスを行えるような、そうした体制整備が必要だというふうに思いますけれども、都の見解を求めます。

○加藤住宅政策担当部長 特別措置法におきましては、区市町村が空き家所有者等からの相談に応じる体制を整備するということとされております。個々の空き家を見てみますと、老朽度や立地、市場ニーズ、さまざま状況が異なります。また、空き家所有者の抱える課題は、維持管理や相続、売買、賃貸など多岐にわたるものでございます。このため、区市町村が相談体制を整備するに当たりまして、不動産など各分野の専門家を活用することが有効と考えられます。
 都は、こうした専門家の協力を得ながら、区市町村が空き家の相談窓口を開設できますように、不動産や建築などの団体との連携体制の整備に取り組んでまいります。

○鈴木委員 木密地域などでは、空き家に対しての固定資産税の課税の仕方も随分変わってきた中で、空き家に対して今後どうしたらいいのかというような、そうしたお悩みも持たれている方もたくさんいるという中では、しっかりとこれからも把握をしていただいて、アドバイスを与えて、本当にまちづくりに寄与できるような、そうした取り組みにしていただきたいなというふうに思います。
 例えば、一戸建ての住宅を子育て世帯向けの住宅として活用することとか、空き家の構造や規模によっては、保育園などの施設としても活用ができるのではないかなというふうに考えられます。
 また、今外国人観光客が二千万人に到達しようとしている状況の中で、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックに向かって、これからますます外国人観光客が来るというふうに予想される中で、大田区では旅館業法の特例によって、外国人に住宅に宿泊していただく、いわゆる民泊を可能とする条例制定の動きも今あります。
 今こそ空き家の住宅ストックを有効活用して、少子高齢化や人口減少が進んでいく中で、地域の活力を持続するために、地域に必要なさまざまな施設として活用することも私は本当に大事だというふうに思いますが、東京都の見解を求めます。

○加藤住宅政策担当部長 人口減少が見込まれる中で、地域の活力を持続させることは大変重要と考えております。空き家を地域の資源と捉え、地域の課題解決に生かしていくことは有効と考えられます。
 空き家を改修して、高齢者を含めた地域住民の交流の場として活用するような事例も出てきております。
 都は、こうした取り組みが広がるように、住宅としての活用にとどまらず、空き家を地域の活性化に資する施設に改修する費用への助成について検討してまいります。

○鈴木委員 今ご答弁いただいて、本当にぜひお願いしたいわけですけれども、法律の制定によって、区市町村が主体になっているわけですけれども、しっかりと東京都も不動産業者を管轄する行政として、責任を持って前向きに取り組んでいただきたいなということを要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
 本当に自然の猛威というのは、時には人々の想像を超えた災害をもたらすこともあり、私は政治というのは人々の生命と生活を守る、そして財産を守る、本当にその大事な役割を担っているというふうに思うわけですけれども、昨今の自然環境や社会状況の変化に応じて、本当にたゆまぬ努力をこれから続けていく必要があるんだろうというふうに思います。
 記憶に新しい、九月に発生した台風十八号による鬼怒川の氾濫の被害は、本当に甚大なものでありました。この台風十八号というのは、愛知県に上陸して、日本列島に来たときには温帯低気圧になったわけですけれども、太平洋上にあった台風十七号などの影響によって、各地域に、特に関東地方北部や東北南部に豪雨をもたらした。そうした状況の中で、死者八名、負傷者四十九名、住宅全壊二十四、そして半壊十二、一部損壊が九十四、そして床上浸水が七千二百八十床、床下浸水が一万二千三十五戸というような状況で、この関東地域においては近年まれにない大きな災害をもたらした台風だなというふうに思うわけです。足立区も中川の増水で避難勧告をするかしないかというような状況にまで至ったわけですけれども、本当に今でも現地では不自由な生活を余儀なくされている中で、一日も早くこの復興が進むように私たち都議会自民党もできる限り協力していきたいというふうに思っているわけです。
 この鬼怒川の災害では、残念ながら多くの被害が生じたわけですけれども、もし上流にある四つのダム群がなかったら、さらに約一億立米の洪水が鬼怒川に流れ、氾濫水量は約一・五倍に、そして浸水戸数は二倍に及んだと国から私たちは聞かされているわけですけれども、一昨年の台風では、水位もこのダムがあったことによって五メートル以上下げられたというふうにいわれております。
 利根川というのは、古くから日本一の大河といわれている中で、坂東太郎と呼ばれて、本当に東京の発展に欠かすことのできない大きな川だったわけですけれども、この流域人口も一都五県にまたがって一千二百万人という本当に大きな川なわけです。
 私たちも先月末、都議会自民党の有志で、利根川上流部のダム郡を視察させていただき、施設の状況や管理運営について、国や水資源機構と意見交換を行わせていただきました。
 近年の異常気象に伴う局地的豪雨の被害というのは、鬼怒川に限らず、本当に日本各地で発生しております。
 利根川上流部に大雨が降ることによって、本当に昭和二十二年のカスリーン台風のときのような洪水が、東京をまた襲う可能性も否定できないわけでございます。
 そこで、改めて八ッ場ダムの役割が出てくるわけでございますけれども、この必要性について、改めてお伺いいたします。

○上野都市づくり政策部長 近年、異常気象が顕著になっている中で、利根川水系では少雨化傾向による渇水リスクとともに、極端な豪雨の発生による洪水リスクの高まりが懸念されており、治水、利水両面の対応が必要不可欠となっております。
 八ッ場ダムでは、利根川上流部の三流域のうち、唯一洪水調節機能を持つダムがない吾妻川流域に初めて建設されるダムでございまして、利根川上流域にある既存六ダムの合計の約六割に相当する洪水調節容量で計画されております。
 このダムが完成すれば、洪水調節施設の空白地帯を補うことができ、既存ダム群と相まって地域分布や時間分布など、さまざまな降雨のパターンに対しまして洪水調節効果が得られるようになることから、利根川の治水上重要な役割を担っております。
 一方、都の水源の約八割を占める利根川水系では、ダムの供給能力が当初計画より約二割低下しており、また近年三年に一回程度の割合で取水制限を伴う渇水が発生しております。
 最近では、平成二十五年に五十七日の取水制限が課せられる厳しい渇水が発生いたしました。仮に八ッ場ダムが完成していれば取水制限を回避できたとの試算があり、八ッ場ダムは利水上も重要な役割を担っております。

○鈴木委員 蛇口をひねれば当たり前のように水が出て、本当に安心・安全な水というのが私たちはもう当たり前のようになってしまっているわけです。そしてまた、この環境も、いざ大きな災害とか、また今いろいろ自然災害があちこちで発生しているわけですけれども、本当に直面したときに改めてインフラの大事さというのを私たちは気づくわけです。この利根川水域の治水、そして利水というのは本当に東京の私は生命線であるというふうに思っておりますので、こうしたことも含めて、これからもこの八ッ場ダムは吾妻川に計画されて洪水調整を行う唯一のダムであり、ダムの完成によって利根川上流六ダムと渡良瀬川上流の草木ダムを加えると、単純計算でダムによる洪水調整容量が約四八%ふえることになるというふうにいわれている中で、利水面でも首都東京の渇水リスクを軽減させるためにも、本当に重要な施設だということを改めて認識させていただきます。
 このため早期の整備が必要なわけですけれども、この事業の状況の今後の取り組みについてをお伺いいたします。

○上野都市づくり政策部長 八ッ場ダムにつきましては、ダム本体工事が中止となった後、ようやく本年一月に本体建設工事に着手する運びとなりました。
 現在、ダムの基礎部の掘削を進めておりまして、来年六月ごろから堤体のコンクリート打設を開始し、平成三十年九月にダム水門設備の据えつけを完了する予定でございます。その後、試験湛水などの工程を経て、平成三十一年度末に事業が完了する予定になっております。
 一方、現地ではJR吾妻線のつけかえ鉄道が既に開通し、国道及び県道のつけかえもほぼ完了するとともに、共同浴場や旅館も代替地での営業を順次再開するなど、ダム湖を前提とした生活再建がようやく形となって見えてまいりました。
 鬼怒川での例を見るまでもなく、八ッ場ダムの効果を早期に発現させるため、一日も早いダムの完成を関係県とともに引き続き国に強く求めてまいります。

○鈴木委員 今回の豪雨災害もそうですけれども、東日本大震災を通しても、私たちはインフラというのは本当に命を救う大切な基盤であって、それが五十年後、百年後を見据えた取り組みでなければならないというふうに思います。
 先月、本当に私たちが矢木沢ダムなどの視察を通して、ダムという巨大プロジェクトの裏で建設に従事した多くの方々のとうとい犠牲と、そして下流都県のためのダム建設を認めた地域住民の方々の理解と協力があって、初めて利根川下流の我々が安心して生活を送れるということを改めて、私は感慨を覚えて感謝の念を抱かせていただきました。
 今、八ッ場ダム建設のために、昨年で五億四千万円、これは水没関係住民の生活の再建とか、生活環境や産業基盤の整備という予算なわけですけれども、この予算が大きいか少ないかというのではなくて、本当にそうした方々にしっかりと応えていけるような取り組みを合わせてしていくことが大事だろうというふうに思います。
 現在、八ッ場ダムは、ダム本体の掘削工事を進めているということでありますけれども、できるだけ早く完成させて、東京を初めとした首都圏の治水、そして利水の安全度を高めるよう、また特に地元の方々の生活再建をしっかりと進めていただきますよう要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、私も地元の羽田空港の機能強化についてお伺いいたします。
 先ほど跡地の整備について技監が力強いご答弁をいただきましたので、本当に技監にもお答えしていただきたいぐらいなわけですけれども、羽田空港はご承知のように、本年十月でD滑走路及び国際線ターミナルの供用開始から五周年を迎えまして、今や世界有数の拠点空港となりました。
 振り返れば、先ほど技監のご答弁にもありましたけれども、本当にそうしたそこに至るまでには紆余曲折さまざまな歴史があるわけでございます。成田空港が開港して以来、国際線は成田空港、国内線は羽田空港と国より役割分担され、東京都は羽田空港の機能強化と国際化について、国に強く働きかけてまいりました。あわせて横田空域の返還についても国に要求してまいりました。
 こうした取り組みによって、都は国に対して一千億円を超える無利子貸付を行い、その結果、四本目の滑走路であるD滑走路の整備が実現するとともに、平成二十年には横田空域の一部返還が実現して、羽田空港の再拡張に伴う容量拡大に対応する完成が可能となりました。
 これにより羽田空港は本格的な国際空港となり、発着枠は年間約三十万回から四十五万回へと一・五倍に拡大しました。首都圏の空港容量というのは、成田空港が三十万回でありますので、あわせて七十五万回となったわけです。
 しかしながら、近年、訪日外国人旅行者の増加に伴いまして、政府目標の、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、二千万人にもう達成目前となっているんですね。
 こうした状況の中で、国土交通省の予測では、おおむね二〇二〇年前半には、首都圏空港の空港容量はほぼ限界に達するだろうと見込まれている中で、羽田空港のさらなる機能強化が必要となってくるわけです。
 こうした状況の中で、東京都の羽田空港機能強化に向けての見解を改めてお伺いいたします。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 都心に近く、二十四時間利用可能な羽田空港は、国内外に豊富な航空ネットワークを有する基幹的なインフラでありまして、その機能を十二分に発揮させ、東京、ひいては我が国の国際競争力の向上につなげていくことが重要でございます。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会や、その後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためには、新たな飛行経路の設定など、理事ご指摘ありましたように羽田空港の容量拡大が必要不可欠であると考えております。

○鈴木委員 そうした状況の中で、昨年八月にいよいよ国から二〇二〇年までの対策として、羽田空港の現実的な機能強化の強化策が提案されたわけでございます。
 これに伴って、羽田空港については、飛行経路の見直しなど発着容量を拡大させる案が示されたわけでございますけれども、国の提案について東京都はどのように取り組んでいくのかを改めてお伺いします。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 都では関係区市の連絡会を設けまして、新たな飛行経路案に関する国からの情報を共有するとともに、意見交換を行っております。都は、関係区市からの意見も踏まえ、国に対して二〇二〇年までのスケジュールを勘案し、必要な施設整備などの着実な準備とともに、地元への丁寧な説明と騒音の影響を軽減する方策の検討や徹底した安全管理に取り組むことなどを求めております。
 今後とも都民の理解が深まりますよう積極的に取り組み、羽田空港の機能強化を図ってまいります。

○鈴木委員 羽田空港というのは、先ほどの技監の答弁にもあったわけですけれども、戦後、四十八時間の強制退去や、そしてまた昭和五十六年に騒音問題で沖合展開事業というふうな形につながって、本当にいろいろな部分で地域の方々のご苦労のもとに羽田空港というのがずっと活用されてきているわけでございます。
 今回、ご答弁にはありましたけれども、飛行経路の見直しによって新たに市街地上空を航空機が飛行するようになるわけでございます。それに伴って騒音の問題とか、懸念するさまざまな声が今あるわけですけれども、そうした声に対してもしっかりオープンハウスといった、そういった説明会も通して対応をしていただきたいということと、何よりも安全対策というのが最優先にされなきゃいけないというふうに私は思っております。この問題においても、しっかりと説明責任が果たせるように取り組んでいただきたいなというふうに要望いたします。
 国の提案では、今回の飛行経路の見直しによって約四万回の発着枠が拡大されて、全て国際線の増枠に振り向けられるということになっております。
 そこで、この安全対策の中で落下物対策など、航空機の運航における安全対策というのが、今後ますます重要になってくるんではないかなというふうに思いますが、どのような対策がとられているのかをお伺いいたします。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 航空会社に係る安全確保につきましては、第一義的には、所属国の航空当局の責任でございます。各国において、過去の事故からの教訓や新たな技術を踏まえた国際航空条約を満たす基準を定め、それに基づき、航空会社が日常的に航空機の整備点検を行うとともに、航空当局による安全監査が行われております。
 我が国におきましても、国内航空会社に対してこうした安全監督が行われております。また、海外の航空会社が乗り入れる際には、国が航空法に基づき、運航の安全が確保されていることを確認した上で事業許可を行うほか、駐機中の航空機に対して随時立入検査を行っております。
 都といたしましては、国から提案された新たな飛行経路案が市街地上空を飛行することから、今後とも徹底した安全管理に取り組むことなどを国に対して求めてまいります。

○鈴木委員 羽田空港というのは、世界的にも、これだけ過密な空港はないというふうにいわれている中で、これからさらに容量拡大のためにさまざま市街地も飛ぶような形になるわけです。こうした海外の航空会社に対する安全確認や検査というのが、例えば抜き打ちで検査ができるようなランプインスペクションという取り組みもできるわけでございますので、しっかりとこうしたことが担保できるように、引き続き安全管理の徹底を国に働きかけていただきたいというふうに思います。
 羽田空港は東京の玄関口であり、本当に日本の玄関口ともいえます。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会成功のためにも、来訪者をおもてなしする、本当に私は最初の場面がこの羽田空港だというふうに思っております。
 そうした中では、やはりそこの地域の人たちがしっかりとおもてなしの気持ちになれるような、そうした機能強化につながるよう、本当に東京都の役割は私は大きいというふうに思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げまして次の質問に入らせていただきます。
 我が国というのは、国土の七割近くを山々が占めておりまして、その中で、今でも活火山として注視されている山もあり、有数の火山国家、地震国家といわれています。
 そうした中、東日本大震災から四年が過ぎて、今後も首都圏において震度七以上の直下型地震などの大規模な地震災害に見舞われる可能性が、ますます高くなってきたといわれております。大切なのは、そうした現実をしっかりと受けとめて、首都東京の防災都市づくりを本当に喫緊の最重要課題として取り組んでいくことでありまして、あわせて、それを通して国際都市東京のポテンシャルを高めていくような取り組みにしていくことが、私は大切だろうというふうに思います。
 東京都は、これまで予想される首都直下地震等の大震災による被害を最小限に抑えるために、この事務事業質疑の中でも緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化や木造住宅密集地域の不燃化などに取り組んできたわけでございます。
 そこで、まず特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化について何点かお伺いいたします。
 私の地元大田区でも、羽田と環八通りや環八通りと大田区役所を結ぶ区道などが特定緊急輸送道路に指定されておりまして、沿道建築物の耐震化が着実に進められております。
 その区道の沿道において、耐震改修中の工事現場にことしの九月から仮設の枠組み足場に耐震マークが入ったシートが掲示され、都民にとっても耐震化が進んでいるんだなという目に見える形で周知する取り組みが行われております。
 こうした普及啓発を含めてさまざまな取り組みが行われているわけですけれども、これまでの成果を着実に耐震化に結びつけていくためには、現在の耐震化の状況をしっかりと把握した上で効果的に進めていくことが必要であるというふうに思います。
 耐震診断は、先ほどのお話でも九三%、そして耐震改修も八〇%以上にまで進んできたわけですけれども、この事業というのは一〇〇%達成こそ緊急輸送道路の確保につながるわけでございます。そして、一〇〇%を目指すことは当然なわけでございますけれども、そのために越えなきゃいけない課題がたくさんある中で、この緊急輸送道路としての機能を確保するということが、さらに大切になっていくんだろうというふうに思っております。
 東京都は、現在、耐震化の状況を踏まえたシミュレーションを実施していると伺っておりますが、まず初めにシミュレーションを行う意義についてをお伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 耐震化推進条例で診断を義務づけております特定緊急輸送道路の沿道建築物のうち、診断に着手している割合は、理事お話しのとおり、今月九月末現在で約九三%に達しておりまして、路線ごとに耐震化の状況がほぼ把握できてございます。
 この状況をもとに、大規模地震が発生した場合のシミュレーションを行うことによりまして、緊急輸送道路としての機能を確保するためには、どの程度の耐震化が必要となるのかを明らかにすることができるようになりました。
 このため、今回シミュレーションを実施することにしたものでございます。

○鈴木委員 今お話しいただいたシミュレーションの内容というのは大変難しいですが、本当に重要な内容でございますので、都民にわかりやすく発信していただくようにお願いをさせていただきます。
 また、このシミュレーションの中で、これは都道だけでなく区道も検討に入れていかなければいけない中で、建設局や、そして当該区市町村としっかりと連携をとって取り組んでいくことと、またこの区道においては、倒木や電線などの道路上の閉塞物の取り除きも必要とある中で、この関係する事業者とも連携が必要ではないかなというふうに思っております。
 このシミュレーションをしっかりとした取り組みとしていっていただきたいなというふうに思うんですけれども、最後にシミュレーションの結果はいつごろ明らかになり、また、その結果をどのように生かしていくのかをお伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 現在シミュレーションを実施しておりまして、来月には結果を出したいと考えてございます。また、結果が出ましたら、シミュレーションの内容も含めまして、理事お話しのとおり、都民にわかりやすく発信していきたいと考えてございます。
 シミュレーションの結果については、今年度末に改定予定の耐震改修促進計画に反映し、沿道建築物のさらなる耐震化につなげ、最終的には一〇〇%の耐震化を目指してまいります。

○鈴木委員 ぜひしっかりとした取り組みにつながるように、これからも努力をしていただきたいなというふうに思います。
 最後に、木密地域の改善について質問させていただきます。
 災害に強い安全な東京を実現するために木密地域を改善していくことは、本当にいうまでもなく重要な課題であります。
 東京都は、これまで延焼遮断帯の整備に加えて、広域自治体として、木密地域のうち、震災時に大きな被害が予想される整備地域を対象に重点的、集中的に木密対策を実施しておりますが、東京都のこれまでの取り組みと到達状況について、お伺いいたします。

○山下防災都市づくり担当部長 都は、防災都市づくり推進計画におきまして、延焼遮断帯の形成と、ただいま理事からお話ありましたとおり、震災時に特に大きな被害が想定されます整備地域の不燃化を取り組みの主要な柱に位置づけ、木密地域の改善に取り組んでおります。
 平成二十三年度からは、重点的、集中的な取り組みとして、木密地域不燃化十年プロジェクトを開始し、特区の指定を通じて、従来より踏み込んだ施策を展開するとともに、平成三十二年度までの特定整備路線の整備を精力的に進めております。
 延焼遮断帯につきましては、都市計画道路の整備と沿道建築物の不燃化を進めた結果、着実に形成が図られており、二十六年度時点で六二%の形成率となっております。
 一方、延焼遮断帯の内側の市街地につきましては、道路や公園の整備、老朽建築物の除却、建てかえ等を進めた結果、二十三年度時点で市街地の燃えにくさをあらわす不燃領域率が整備地域全体で五九%と十八年度から三ポイント上昇してございます。

○鈴木委員 本当に東京都と区が連携しながら、しっかりと木密地域の改善に取り組んで一定の成果を上げてきたんだろうというふうに思います。
 特に不燃化十年プロジェクトによりまして、従来より踏み込んだ特別の支援ができるようになり、不燃化特区及び特定整備路線の整備を進めてきたことは本当に評価できるというふうに私は思います。
 この延焼遮断帯となる特定整備路線については、平成三十二年度までに整備を着実に進めていただきたいというふうに思いますし、また延焼遮断帯の内側の市街地については、平成三十二年度までに不燃領域率の七〇%を目標にしているわけですけれども、そのためにはさらなる取り組みが必要となるわけですけれども、今後の都の見解をお伺いいたします。

○山下防災都市づくり担当部長 延焼遮断帯の内側の不燃化をさらに進めるため、これまでの取り組みに加え、二十八地域全ての整備地域を対象に、各区に対しまして生活道路網計画の策定を促すとともに、幅員六メートル以上の道路につきましては、地区計画等の活用による整備を働きかけてございます。
 また、市街地の耐火性を高める新防火区域の指定等を条件に、地域特性を踏まえつつ、建蔽率や道路斜線制限を緩和することで建てかえを促進し、道路用地の確保を図る取り組みも進めてございます。
 今後、こうした施策を今年度末に改定を予定している防災都市づくり推進計画に盛り込み、区と連携しながら、平成三十二年度までに不燃領域率七〇%の目標達成に向け、市街地の安全性の向上に取り組んでまいります。

○鈴木委員 本当に一定の成果は評価しますけれども、今後、この延焼遮断帯の内側の木密地域の改善に向けては、道路整備をしていく中で、区市の事業の中で地域の皆様の、地区計画を立てたりして、この総意を形成していかなければいけない状況があるわけです。この生活道路を地区計画に位置づけて取り組んでいくということは、住民全体の総意を図っていくためには極めて困難なことが本当にあるんだろうというふうに思います。
 私は、今回のこの取り組みが平成三十二年度までに着実に進めていかなくてはいけないという状況の中では、生活道路を地区計画から都市計画道路に位置づけてスピードアップしていく必要があるんではないかなというふうに思っております。
 都市計画道路の第三次事業計画が平成二十七年度に終了となって、次期事業計画がこれから立てられるわけですけれども、その計画に私はぜひ、のせていただきたいなというふうに思います。
 平成三十二年度には、目標が達成されて、燃え広がらない、燃えないまちが実現するように実効的な施策をしっかり防災都市づくり推進計画に位置づけて着実に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 これまで緊急輸送道路沿道建築物の耐震化と木密地域の改善に向けた取り組みについて答弁いただいたところですけれども、本当に二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会を控えて、世界一の都市として災害に強い安全な東京を実現していくことが、今東京にとって急務であるというふうに私は思います。
 この事業というのは、東京だけでなく、この進捗が国の内外からも注目をされている中で、東京の取り組みが私は大きく全国に影響していくんではないかなというふうに思っております。
 そこで、最後に、防災都市づくりに取り組んでいく決意について、改めて局長から見解をいただきたいなと思います。

○安井東京都技監 今、鈴木理事の方から世界で一番の都市というお言葉が出たんですけど、我々も知事のもとで東京を世界のトップに押し上げようということを一生懸命毎日努力しているわけでございますけれども、その世界一という都市の根底にはやはり安全・安心ということが必ずなきゃいけないというふうに考えてございます。
 防災都市づくりということですけれども、安全・安心ということでいえば、先ほど八ッ場ダムについてのご質疑がございましたが、これも私、恐縮ですが、ちょうど政権がかわったときからずっとかかわっておりまして、つい先日私も見てまいりました。
 来年の六月には、先ほど担当部長からご答弁申し上げましたように、いよいよダム堤体のコンクリート打ちが始まる。おくれましたけれども、何とかオリンピック・パラリンピックまでに間に合うということで、治水、利水の両面からこの事業が大きな大会に間に合うような形で進んでいってよかったなと思っているわけでございます。
 それから、防災都市づくりということで申しますと、我が局の柱は緊急輸送道路沿道建築物の耐震化、それから木密の不燃化、それから特定整備路線の整備ということで、これは単にその地域の安全性を高めるだけではなくて、そういったことで大規模な延焼や救急救援活動を妨げられることによる二次災害を防ぐという意味で、これはなくてはならない取り組みだと考えてございます。
 今緊急輸送道路沿道耐震化につきましても、木密の不燃化につきましても、またマンションの建てかえにつきましても--こういうことは余りないんですけれども、都の職員が区の職員と一緒になって一軒一軒訪問して、何とか達成率一%を上げるという努力をやっていて、なかなか達成率が悪いじゃないかというようなことをお叱りを受けるわけでございますけれども、これは我々として何とか励ましだと思って日夜取り組んでいるところでございます。
 それから、特定整備路線、これにつきましては、特に我が局は沿道のまちづくりと一緒になってやらなきゃいけないような、そういう難しい路線を抱えているわけでございます。先ほどちょっとご質疑にもありましたけれども、反対のための運動と思われるようなことが繰り広がられているというような話を聞きますが、ここはやっぱり不退転の決意できちっとつくっていくということを考えてございます。これは何よりも東京全体の防災力を強化する上で、極めて重要だからというふうに考えているわけでございます。
 改めて申すまでもございませんけれども、東京は一千三百万の都民だけでなくて、日本の首都として政治、経済、行政の中枢機能が集積しております。したがいまして、都は都民や東京に集まる、活動する人々の生命と財産を守ることとともに、首都東京の機能を維持させるということ、その強い使命感を持って、これからも防災都市づくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。

○谷村委員 それでは、初めに、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎への延伸につきまして質問をさせていただきます。
 昨年九月になりますが、多摩都市モノレール上北台・箱根ケ崎間の延伸整備の早期実現に関する請願、これが地元住民の皆様の一万人以上が署名された請願が提出をされまして、昨年の第四回定例会におきまして全会一致で採択をされました。この請願の紹介議員として、ご賛同をいただきました各党、各会派の皆様に改めて御礼を申し上げます。
 そして、この質疑をした際に、本委員会で当時の佐藤都市基盤部長からは、今回一万人以上もの方々から請願を提出いただいたことも受けとめ、国の次期答申に向け、都の検討結果が適切に反映されるよう国に求めてまいりますという力強いご答弁もいただいたところでございます。
 こうした経緯も踏まえていただきまして、都が本年七月に取りまとめました広域交通ネットワーク計画につきましては、本路線、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎への延伸が最上位である、整備について優先的に検討すべき路線に位置づけられたところであります。
 そこで、鉄軌道交通は豊かで快適な都市活動を支える基幹的かつ必須のインフラであり、その整備に向けましては国の答申に位置づけられることが大変大きな意味を持つわけであります。
 現在、国の交通政策審議会におきまして、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について検討が行われております。
 そこで、今年度中には次期答申を取りまとめる予定となっておりますが、交通政策審議会の取り組み状況と、それに対する都の対応について、お伺いいたします。

○中島都市基盤部長 国の交通政策審議会は、次期答申に向けて昨年度より検討を進めておりまして、本年七月から九月にかけて、自治体と鉄道事業者に対しヒアリングを実施いたしました。
 都は、七月、このヒアリングの場において、先ほど委員からお話ありました都が発表いたしました広域交通ネットワーク計画について説明し、その内容が次期答申に反映されるよう求めたところでございます。
 審議会では、今後ヒアリングの結果も踏まえ、次期答申の内容について議論していくものと聞いております。

○谷村委員 ただいま東京都も七月に行われたヒアリングにおいて、都の計画が次期答申に反映されるよう求めてきたというご答弁でありました。
 整備について優先的に検討すべき路線の一つとして選定された多摩都市モノレールの箱根ヶ崎への延伸につきましても、次期答申への位置づけを強く求めていただいたものと思います。
 そこで、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎への延伸について、今後都としてどのように取り組んでいただくのか、お伺いいたします。

○中島都市基盤部長 本路線は開業区間と一体となり、多摩地域の南北方向の拠点を結ぶことで沿線利用者の利便性はもとより、多摩地域の活力や魅力の向上に資する路線でございます。
 一方で、本路線の整備に向けましては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況や土地区画整理事業の進捗など周辺の開発動向を踏まえ、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性などを見きわめながら検討を行う必要がございます。
 今後は、次期答申に基づき関係者間で連携し、検討の深度化を図ってまいります。

○谷村委員 箱根ヶ崎へ、そして武蔵村山市への多摩都市モノレールの延伸は、都民、あるいは市民、そして町民の皆様の悲願であります。
 超高齢社会を迎える中、活力にあふれ、誰もが生き生きと暮らせるまちを実現するために、多摩都市モノレールの延伸は欠かせないものであります。沿線市町による土地区画整理事業も進捗しており、導入空間となる新青梅街道の拡幅事業も進められております。都として、しっかりと取り組んでいただきますよう改めて強く要望いたしておきます。
 次に、東大和向原団地、そして東京街道団地の創出用地について質問いたします。
 都は、平成二十三年に東大和向原プロジェクトを開始しましたが、その後、事業予定者の構成会社に法令違反が出たため、プロジェクトが休止となり、結果として十年以上、更地のままとなっております。
 昨年の事務事業質疑におきまして、都からは創出用地の活用について改めて検討を行うとの答弁がありましたが、あれから一年がたちますけれども、東大和向原団地の創出用地の活用について、その後どのように検討を進めておられるのか、現在の状況について、お尋ねいたします。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都営東大和向原団地の創出用地につきましては、平成二十三年七月に東大和向原地区プロジェクトの事業者を公募し、同年十二月に事業予定者を決定いたしましたが、その後、委員のお話のとおり、事業予定者構成員に法令違反が判明したため、平成二十四年十一月、事業者決定手続を取りやめいたしました。
 前回プロジェクトの提案募集から四年以上が経過し、社会状況が変化していることから、創出用地の活用内容につきまして改めて検討を行うこととしており、今年度、民間活力の導入を想定した土地活用方策案の調査を進めております。

○谷村委員 結果的には、このプロジェクトが中止になってよかったのかなと思っております。もともと、この向原都営住宅で行われようとしていたプロジェクトのモデルとなりました東村山本町プロジェクトそのものが、必ずしも成功とはいえなかったからであります。
 少子高齢化が急速に進行する中、安心して住み続けられ、子育てができるまちにしていくためには、この創出用地を活用して高齢者福祉サービスや子育て支援サービスの充実を図ることが必要であります。
 また、医療や日常の買い物など生活利便施設を整備し、地域住民の日常生活を支えていただく観点も重要であります。
 そこで、東大和向原団地の創出用地の活用に当たり、どのような方向で検討を進めていくのか、改めてお伺いいたします。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 周辺区部や多摩地域における大規模な都営住宅団地の建てかえで創出したまとまった規模の用地につきましては、地域特性に応じて、商業、医療、福祉等の機能の集積を図りまして、身近な地域においても交流やにぎわいのある誰もが暮らしやすいまちづくりを誘導していくことが重要でございます。
 東大和向原団地の創出用地につきましては、東大和市駅から北へ約四百メートルにある利便性の高い立地を生かして、民間事業者の創意工夫も引き出しながら、地域における生活の中心地となるよう検討を進めてまいります。

○谷村委員 ぜひご検討をよろしくお願いいたします。
 次に、東京街道団地についてでありますが、ここの創出用地につきましては団地居住者の高齢者の方が利用できる医療、メディカルの方の医療、食料の生活支援センターや福祉施設の整備が必要と考えます。
 具体的にどのような施設の整備を検討しているのか、お尋ねいたします。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都営東京街道団地は、建てかえ後には約二千百戸となる大規模団地であり、最寄り駅へは、通常バス等を利用する立地にあることから、身近な地域におきまして安心で利便性が高く活力やコミュニティの維持向上が図られたまちの実現が求められております。
 このため、地域のニーズに応じた福祉や医療サービス、日常の買い物などの生活支援機能を誘導し、民間の活力も活用して、誰もが暮らしやすいまちづくりを進めてまいります。

○谷村委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 最後に、公社住宅におけるストック活用について質問をいたします。
 平成二十五年、第二回定例会における私の公明党の代表質問を踏まえまして、公社は平成二十六年一月に公社一般賃貸住宅の再編整備計画を改定しました。この計画では、昭和三十九年度以前に建設した一万四千五百戸を対象に、約八千五百戸は建てかえを行う団地とし、当面建てかえない約六千戸についてはストック活用として耐震化や計画修繕などを実施することとしております。
 ストック活用においては、屋上防水や外壁補修などの大規模改修に加え、設備の更新などの維持や修繕を計画的に実施して、住環境の維持と向上を図るとしております。
 建物の耐震性を確保しながら計画修繕などを適切に行っていくことは、重要であります。しかし、こうした団地以外にお住まいの方からも、建物の老朽化、あるいは居住者の高齢化に伴い、住戸内の設備改善に一層力を入れてほしいという声が私のところにも寄せられているわけであります。
 そこで、ストック活用に位置づけられていない昭和四十年代に建設された団地においても、居室内設備の向上、居住者の高齢化に対応した取り組みをさらに進めていただくべきと考えますが、ご見解をお伺いします。

○桜井住宅政策推進部長 公社では、昭和四十年代以降の団地におきましても、六十五歳以上の高齢者や障害者が居住している住宅では、希望に応じ、手すりの設置や浴室扉の取りかえなどの住宅設備改善を公社負担で実施をしておりまして、また上層階にお住まいの高齢者などには、空き家があった場合、希望によりまして一、二階への階層変更に対応しております。
 また、団地内の居住者が空き家補修後の住戸に入居を希望する場合、募集時における収入要件を除外して団地内での住みかえを支援しております。
 ことし十月、団地内での住みかえにおける収入要件緩和の案内を公社の広報紙に掲載したところでございますが、今後もこれらの内容や階層変更の案内を継続して公社の広報紙に掲載するなど、居住者の利用を高めるため、情報提供を丁寧に行ってまいります。
 さらに、空き家の多い住宅におきましては、通常の空き家補修に加え、和室の洋室化や水回り設備の更新など、室内のリニューアルを行う取り組みも推進してまいります。

○谷村委員 ありがとうございます。
 ただいまご答弁のありました取り組みにつきまして、制度そのものを知らない居住者の方々も多いことと思います。今後、さらに周知を図ることで居住者の方の不安を取り除き、満足を高めていただくよう要望いたしておきます。
 次いで、公社が分譲した住宅における建てかえ等の取り組み姿勢について質問いたします。
 住宅供給公社は昭和二十九年から分譲住宅を提供し、その数は延べ百六十団地の約二万三千戸余りと聞いております。高度経済成長期における住宅不足の時代に、鋭意都民に住宅を提供してきたものでありますが、平成十二年度をもって分譲を終了しております。
 このうち、昭和三十年代から四十年代に分譲した住宅団地につきましても、建物の老朽化や居住者の高齢化が例外なく進んでおります。費用負担や建築制限等の問題から建てかえが困難な状況にあるようですが、このような分譲住宅にお住まいの方々からは、建てかえに対するニーズが私のところにも寄せられております。
 そこで、最後の質問になりますが、公社はこうした分譲住宅の建てかえ等の取り組みについて積極的に居住者の方々を支援していくべきと考えますが、ご見解をお伺いします。

○桜井住宅政策推進部長 公社では、建てかえや大規模改修などの分譲住宅の再生に向け、公的機関として公平中立な立場で区分所有者の合意形成を支援しておりまして、管理組合の意向を踏まえ、検討段階から事業完了までの各段階に応じたコンサルタント業務を受託しております。
 分譲住宅と公社賃貸住宅が混在する大規模団地では、公社が分譲管理組合と協力して協議会を設立いたしまして、建築物の規模、形態等のルールづくりや道路や公園などの整備に係る検討を進めまして、分譲住宅の建てかえに向けた支援を実施しております。
 公社におきましては、今後とも分譲管理組合の意向を踏まえ、建てかえなどの取り組みを支援してまいります。

○谷村委員 公社が分譲住宅を供給しなくなってから十五年が経過しておりますが、過去に公社が分譲した住宅におきましては、居住者の多くが高齢者となり、さまざまな面において支援を必要とされております。公社には、こうした居住者の方々に対しましても、きめ細かいサポートをぜひとも進めていただきますよう強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○きたしろ委員 最後になりますと非常に難しい立場でございますけれども、できるだけ短時間で終わらせたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。(「トリ頑張って」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京、これをつくるというのが私の一つの政治使命だと思って政治活動をしてまいりました。
 今、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向け、東京のさまざまな地域でまちづくりが進められております。品川・田町エリアは、まさにこれから本格的な開発が動き始めようとしているところにあります。
 当エリアには、リニア中央新幹線やJR新駅といった鉄道基盤の計画のほか、羽田アクセス線、都心部から乗り入れる品川地下鉄計画の構想もあります。あわせて、環状第四号線や駅前広場の整備再編等道路基盤の充実を図ることで、広域交通結節拠点、日本らしい新たな表玄関へと品川駅が成長することが求められていると思います。
 現在、当エリアではJR車両基地跡地の再編が進められており、さらに泉岳寺駅周辺でも都が市街地再開発事業を実施することが先日公表されました。私も、これまで地元から、港区、あるいは関係者の地元の人と話を聞くなど、この件にはかかわってまいりました。
 そこで、まず泉岳寺駅周辺で、なぜ都が市街地再開発事業を実施することにしたのか、改めてお伺いいたします。

○奥山市街地整備部長 泉岳寺駅は、品川駅、田町駅周辺地域における重要なターミナルの一つであり、今後、利用者の大幅な増加が見込まれることから、安全性の向上や交通結節機能の強化を図るため、ホームの拡幅などの大規模改良を進めてまいります。
 この改良工事に当たりましては、駅が国道一五号の下に位置し、道路空間内のみではホームの拡幅が困難であるため、道路に隣接する市街地との一体的な整備が必要であります。
 これらの整備は、平成三十六年に想定されますJR新駅周辺のまち開きまでに確実に実施する必要があり、本整備の重要性、緊急性から、実績やノウハウのある東京都が第二種市街地再開発事業を実施することといたしました。

○きたしろ委員 当初、この泉岳寺駅の件は、港区が表に出て東京都がバックで支えていたわけですけれども、それがすっきりして、ノウハウを持っている東京都がまちづくりにかかわるということは大切なことだと私も思います。
 そういった意味で、この地はオフィスや民間マンション、区営住宅などさまざまな建築物が混在しており、生活再建など事業化に向けた課題も多いのではないかと考えております。
 事業化に向けて、都はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○奥山市街地整備部長 市街地再開発事業の事業化に向けましては、各権利者の生活再建や補償など、事業実施上の不安を解消し、合意形成を図っていくことが重要と認識しております。
 このため、今後、地元区と協働して、速やかに地元権利者との勉強会を立ち上げ、事業の進め方、スケジュール、仕組みなど、事業に対する理解を深めるための取り組みを進めてまいります。
 来年度からは具体の設計に着手し、平成二十九年度の都市計画決定に向けて国際交流拠点品川にふさわしい計画案を取りまとめ、平成三十六年度の完成を目指して鋭意事業化に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 生活再建という人がいらっしゃいますので、その辺のところは十分に配慮をして対応していっていただきたいというふうに思います。
 都のまちづくりガイドラインは、二〇四五年のリニアの大阪開業までを念頭に置いていることとのことでありますけれども、将来的にこの品川地域は泉岳寺も含めて東京の表玄関になると私は思っているんです。そのためのまちづくりを必ずしなければいけないというふうに思うわけですけれども、私なりの解釈で、ガイドラインの実現を推進する立場から、田町・品川エリアのビジョンも描いているところでございます。
 この地域は六百三十ヘクタールという大きな敷地です。その中には、歴史のある高輪地域、山の手といいます--そしてまた埋め立てた港南、海の側、海の手のゾーン、そして鉄道のある鉄道ゾーン、この三つに分けられると思うんです。この三つをそれこそ有機的に連携をして、表玄関にふさわしいまちづくりをしなければいけないというふうに私は思っております。
 そういった意味で、皆さん方との、まちづくりを担当する皆さんと連携をしながら、すばらしい東京をつくっていきたいなというふうに思います。後藤新平がまさに東京のまちをつくったという、あの情熱を皆さんとともに共有をして、五十年、百年先の東京の表玄関品川をつくっていきたいというふうに考えております。そういった意味で、皆さん方とともに協力をするということでお願いして、私の質問は終わります。

○中村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中村委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時三十三分散会

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