都市整備委員会速記録第三号

平成二十七年三月十八日(水曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長島田 幸成君
副委員長高橋 信博君
副委員長大島よしえ君
理事舟坂ちかお君
理事野上 純子君
理事神林  茂君
栗山よしじ君
白石たみお君
石川 良一君
上野 和彦君
谷村 孝彦君
菅野 弘一君
尾崎 大介君
立石 晴康君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局局長技監兼務安井 順一君
次長浅川 英夫君
技監佐野 克彦君
理事櫻井  務君
理事西倉 鉄也君
総務部長細渕 順一君
都市づくり政策部長上野 雄一君
住宅政策推進部長今村 保雄君
都市基盤部長佐藤 伸朗君
市街地整備部長鈴木 昭利君
市街地建築部長久保田浩二君
都営住宅経営部長永島 恵子君
基地対策部長筧   直君
企画担当部長福田  至君
連絡調整担当部長黒川  亨君
景観・プロジェクト担当部長小野 幹雄君
まちづくり推進担当部長佐藤  匡君
住宅政策担当部長加藤  永君
民間住宅施策推進担当部長山崎 弘人君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務山下 幸俊君
防災都市づくり担当部長佐々木 健君
多摩ニュータウン事業担当部長太田 誠一君
局務担当部長臼田  仁君
耐震化推進担当部長佐藤 千佳君
経営改革担当部長臼井 郁夫君
再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務五嶋 智洋君
営繕担当部長青柳 一彦君
横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務牧野 和宏君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備局所管分
・第十一号議案 平成二十七年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十二号議案 平成二十七年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十三号議案 平成二十七年度東京都都市開発資金会計予算
・第十六号議案 平成二十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第十九号議案 平成二十七年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十六号議案 東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 東京都市計画事業足立北部舎人町付近土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
・第五十九号議案 八王子都市計画事業由木土地区画整理事業施行規程等を廃止する条例
・第六十号議案 東京都建築審査会条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 東京都建築指導事務所設置条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
・第六十三号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例

○島田委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成二十七年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十七年三月十六日
東京都議会議長 高島なおき
都市整備委員長 島田 幸成殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(金)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
 第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中 歳出 繰越明許費 債務負担行為 都市整備委員会所管分
 第十一号議案 平成二十七年度東京都都営住宅等事業会計予算
 第十二号議案 平成二十七年度東京都都営住宅等保証金会計予算
 第十三号議案 平成二十七年度東京都都市開発資金会計予算
 第十六号議案 平成二十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
 第十九号議案 平成二十七年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○島田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十一号議案から第十三号議案まで、第十六号議案、第十九号議案及び第五十六号議案から第六十三号議案までを一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○細渕総務部長 去る二月十六日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料(二月十六日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料はごらんのとおり、十一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績でございます。都営住宅、公社住宅の別に、平成十六年度から平成二十五年度まで十年間の建設戸数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都営住宅における単身入居者の年齢別世帯数の状況でございます。年齢が六十四歳以下、六十五歳以上の世帯数及び割合を記載してございます。
 三ページをごらんください。3、都及び区市町村が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧でございます。(1)の耐震診断につきましては、診断の対象となる建築物、補助限度額、補助率を三ページから八ページにかけまして記載してございます。
 また、九ページからは(2)としまして、耐震改修につきまして、対象となる建築物、融資限度額または補助限度額、利子補給率または補助率を一四ページにかけまして、それぞれ記載してございます。
 一五ページをごらんください。4、緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度の区市町村別実施状況及び実績でございます。一五ページには、〔1〕としまして、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度についての実施状況を診断、設計、改修、建てかえ及び除却の別にそれぞれ記載してございます。
 一六ページには、〔2〕として、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度につきまして同様に記載してございます。
 一七ページには、都の助成実績のうち、特定緊急輸送道路沿道建築物に係る分について、耐震診断、補強設計、耐震改修等の別に、平成二十四年度及び二十五年度の実績を区市町村ごとに記載してございます。
 一八ページには、一般緊急輸送道路沿道建築物に係る都の助成実績を同様に記載してございます。
 一九ページをごらんください。5、分譲マンションアドバイザー派遣助成についての区市の実施状況及び実績でございます。耐震アドバイザー派遣事業、マンション管理アドバイザー制度、マンション建替え・改修アドバイザー制度について、区市ごとの助成制度の実施状況及び実績を記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。6、首都高速道路に対する出資金・貸付金の推移(過去十年間)でございます。
 平成十六年度から平成二十五年度までの首都高速道路に対する出資金及び貸付金について、年度別に記載してございます。
 二一ページをごらんください。7、横田基地の軍民共用化に係る経過でございます。平成十五年以降の主な動きの概要を記載してございます。
 二二ページをお開き願います。8、基地対策に係る支出でございます。平成二十一年度から平成二十五年度までの支出の概要及び金額を年度ごとに記載してございます。
 二三ページをごらんください。9、横田基地におけるパラシュート訓練の通告状況でございます。平成二十四年以降、米軍から北関東防衛局を通じて都へ情報提供された、訓練期間、訓練内容及び降下人員数を記載してございます。
 二四ページをお開き願います。10、都内米軍基地に関係する事件等の経過でございます。航空機の緊急着陸、部品落下等及び米軍構成員による事件、事故を記載してございます。
 二五ページをごらんください。11、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数でございます。着陸、離陸の延べ回数を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○島田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○神林委員 まず初めに、土地区画整理事業や市街地再開発事業などの市街地整備事業について、三点ほど質問させていただきます。
 二十七年度の予算案を見ますと、都施行の市街地再開発事業についてはほぼ完成してきており、事業の終息も近づいている印象を受けます。また、都施行の土地区画整理事業については、引き続き大きな予算となっておりますが、今後、完了に向けて仕上げの段階を迎えていくものと思われます。
 事業の一つ一つに目を向けてみますと、防災面で課題を抱える区外縁部の再整備であったり、重要な基盤整備を伴う都心部の再開発であったりとさまざまでございますが、いずれも今日の東京が抱える課題に対する大規模かつ広域的な取り組みでございます。
 首都東京のまちづくりは一朝一夕にできるものではなく、現在の東京が形成されるまでに東京都が行ってきた、こうした市街地整備事業が果たしてきた役割は非常に大きいものと考えております。
 そこでまず、これらの都施行の市街地整備事業のこれまでの取り組みとその成果について伺います。

○鈴木市街地整備部長 都施行の市街地整備の歴史をたどりますと、古くは震災復興、戦災復興における区画整理を初め、亀戸・大島・小松川地区における防災拠点や汐留、秋葉原の新拠点の整備などが挙げられます。
 その後、近年では、首都高速道路の大橋ジャンクションや新橋・虎ノ門地区における環状二号線など、都市の骨格を形成する重要なインフラ整備を伴うまちづくりを実施しております。
 東京都は、長年にわたりまして、こうした公共性が高く民間では実施が困難な、大規模な市街地整備事業に取り組み、首都東京のまちづくりを担ってまいりました。

○神林委員 ただいま報告を受けましたとおり、一つずつ思い浮かべてみますと、気の遠くなるような大規模で困難な事業が一つずつ着実に進めてこられたと、こういうふうに評価させていただいております。
 殊に用地買収が困難な都心部の幹線道路の整備を、面整備事業により地権者の移転先を生み出しながら進める取り組みなどは、都施行ならではの、なし得なかったことではないかと思っております。
 これまで大きな成果を上げてきた都施行の市街地整備事業でありますが、こうした従来からの事業に加えて、二〇二〇年に向けたオリンピック・パラリンピック選手村の整備や、安全な市街地を形成するための特定整備路線の整備など、新たな事業も立ち上がってきております。
 今回、都市整備局では、市街地整備に関する組織の再編成が予定されておりますが、今後さまざまな事業を抱えていく中で、より効率的、効果的に事業を遂行し、最少の経費で最大の効果を上げる体制を常に編成していくことが考えられます。そこで今回の組織改正の内容とその効果について伺います。

○鈴木市街地整備部長 来る新年度に予定いたします組織改正では、事務所につきまして、現在の第一区画整理事務所、第二区画整理事務所、再開発事務所の三つの事務所を第一市街地整備事務所、第二市街地整備事務所の二つの事務所に集約いたします。これにより、両事務所が区画整理や再開発、沿道一体街路事業など、あらゆる事業手法を駆使しまして、まちづくりに機動的に取り組む体制を整えます。
 また、本庁市街地整備部につきましては、都施行事業を担う区画整理課、再開発課と民間指導を担う民間開発課の三つの課を、事業制度ごとに区画整理課と再開発課の二つに再編いたしまして、都施行部門と民間指導部門、それぞれが持つノウハウや専門性の高い人材を最大限に活用して、官と民の課題に柔軟に対応してまいります。
 このように、現場を担う事務所と本庁の組織再編をあわせて行うことで、市街地整備事業を効率よく、より効果的に執行してまいります。

○神林委員 今ご説明いただきましたとおり、社会状況が変化していく中で行政へのニーズも多様化していく今日にあっては、行政機関も直面する課題に的確に対応できるよう、民間と同様に組織体制を柔軟に見直す不断の努力が求められております。事業の展開期に率先してスクラップ・アンド・ビルドに取り組んだ今回の組織再編成は、かねてより行財政改革の重要性を主張してきた我が党の要請にもあったものでございます。
 さて、人口減少社会の到来、国際的な都市間競争の激化、切迫する首都直下地震の脅威など、東京を取り巻く厳しい社会情勢の中で、都市の活力を維持発展させ都民一人一人が安全で快適な生活を送るためには、東京の市街地にはまだまだ多くの課題が残されていると思います。
 そこで、今後、この新たな組織体制によって、東京のまちづくりにどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○鈴木市街地整備部長 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向け、また、首都直下地震の脅威など直面する諸課題を解決し、世界一の都市東京を実現するため、今後とも市街地整備の取り組みを推進していくことが重要と認識しております。
 新たな体制のもと、現在進めております六町地区などの市街地整備事業の早期完成を図るとともに、選手村の整備とその後のまちづくりや、沿道まちづくりと連携した特定整備路線の整備に全力で取り組んでまいります。
 さらに、民間が行うまちづくりにつきましても、事業を適切に指導するとともに、地域が主体となったエリアマネジメントの取り組みなどを積極的に導入し、東京のまちづくりを強力に推進してまいります。

○神林委員 今回の組織再編成によって、東京の市街地整備がスピードを増して、より効果的に進展していくことを大いに期待しております。
 選手村については、二〇二〇年大会までの確実な整備と、その後のまちづくりについても未来の都市像を東京から世界に発信できるよう、総力を挙げて取り組んでもらいたいと思います。
 また、特定整備路線については、地権者の意向を十分踏まえるとともに、共同建てかえによる不燃化の促進や、駅前の既存商店街の活性化などにもしっかりと取り組みながら、確実に完成させることをここで強く要望しておきます。
 次に、東京都建築安全条例の一部を改正する条例案について、何点か質問いたします。
 安全条例の見直しについては、昨年の都議会第三回定例会の我が党の一般質問において質問いたしました。違法貸しルームの安全性の問題とあわせて、戸建て住宅などを転用したシェアハウスなどの新たな住まい方に対して、国は法令上、寄宿舎として取り扱うことを明確化した上で、既存ストックの活用も可能となるよう施行令を改正いたしました。
 こうした法改正を背景に、建築基準法を補完するために制定されている安全条例における寄宿舎の基準に係る見直しについての見解を伺いました。その際、局長から、国による政令改正の趣旨を踏まえ、安全条例において寄宿舎の敷地に義務づけている避難のための空地について、建築規模などに応じて不要とするなど、きめ細かい対応を検討していくとの答弁がございました。
 今回の改正条例案を見ると、寄宿舎の基準だけでなく、建築基準法の改正に伴う他の項目の見直しも含まれております。
 そこで、まず確認の意味で、条例改正の理由について伺います。

○久保田市街地建築部長 いわゆるシェアハウスやグループホームは、建築基準法上特殊建築物である寄宿舎に該当いたしまして、その寝室間などの主要な間仕切り壁につきましては、準耐火構造としなければなりませんが、国は昨年六月施行令を改正いたしまして、スプリンクラー設備を設置することや玄関等までの避難距離が短いことなどを条件に、その防火性能を不要とし、既存住宅からの転用も可能となるようにいたしました。
 また、建築基準法についても改正し、木材の利用促進を図るため、防火地域等の指定がない場所で、火災時に利用者が安全に避難することができる木造の学校等につきまして、三階建ての建築を可能とする緩和を行いました。
 こうした国の改正趣旨を踏まえまして、寄宿舎等の基準や木造建築物の建築制限について緩和する条例改正案を今回提案してございます。

○神林委員 ただいま答弁を聞いていますと、条例改正の理由として、既存ストックの活用など新たな住まい方のニーズへの対応という、建築基準法令の改正趣旨を踏まえているということを確認させていただきました。
 都の建築安全条例は、東京の市街地の特性を踏まえつつ一定の安全性を確保し、より多様な住宅ニーズなどに対応していく必要があると考えております。先ほど、寄宿舎の基準に加え、木造建築物の建築制限も緩和されるとの答弁がございましたけれども、それぞれ具体的にどのように緩和されるのか伺います。

○久保田市街地建築部長 条例改正案では、寄宿舎につきまして多数が居住することから、建物規模や形態に応じて必要な居住環境や安全性を確保しながら、政令改正との整合を図り、きめ細かい基準に見直しを提案してございます。
 具体的には、延べ面積や階数、寝室数などにより戸建て住宅と同様の形態の寄宿舎やマンションの一住戸と同様の形態の寄宿舎に分類いたしまして、政令改正での緩和条件などを前提に、避難のために義務づけておりました、いわゆる窓先空地を不要としたり、内部の廊下の幅員を制限しないなど、既存住宅からの転用を想定した基準としてございます。
 また、木造の建築物につきましては、二階をホテルや旅館、公衆浴場の用途に供するものなどにつきまして、火災時に利用者が安全に避難することができるものの建築を法改正と同様に可能とすることとしてございます。

○神林委員 安全性にも十分配慮して、社会的なニーズの高まりに対応した条例の改正を提案しているということを理解させていただきました。
 次に、昨年十一月、パブリックコメントを行っておりますが、改正案の検討段階においてどのような意見が出されているのか伺います。加えまして、建築行政を担う区市とも意見交換をしていることと思いますが、あわせまして、どのような意見などが出されたのでしょうか。さらに、また、そうした意見などに対して、条例案ではどのように対応しているのか伺います。

○久保田市街地建築部長 パブリックコメントでは、既存ストックの有効活用になるとともに、都内の入居者のニーズに即した形になるなど、設計者などから基準の緩和に賛成する多くの意見が寄せられたほか、改正条例の運用に際して、具体的な取り扱いを示してほしいという要望などがございました。
 また、区市からは、寝室の最低床面積の緩和につきまして、条件を限定すべきであるなどの意見もございました。こうした意見などを踏まえて、条例改正案では、寝室の最低床面積の緩和について、既存建築物の用途変更に限定することといたしまして、これらを含め施行時に条例運用の考え方を区市等に示してまいります。

○神林委員 今ご答弁を聞いていますと、たくさんの具体的な意見もあったようですし、また、区市の方からも、こういった意見だとかということがいろいろあったようにお伺いさせていただきました。
 今回の条例について関係者の関心も非常に高く、基準の緩和について、おおむねの賛同が証明されていることがうかがわれます。そしてまた、関係機関からの意見を踏まえて修正が行われていることも確認をさせていただきました。
 それでは最後にですが、今回の条例改正により、既存の戸建て住宅からシェアハウスなどへの転用も進むと考えられますので、都としても、違法貸しルームなど基準に適合しない建築物への対応を含め、安全性の確保など、どのように条例の運用に取り組んでいくのか伺います。

○久保田市街地建築部長 戸建て住宅から、いわゆるシェアハウスに用途変更するに当たりまして、百平方メートルを超える場合に確認申請が必要となりますが、申請の必要性の有無にかかわらず、建築安全条例を含む関係法令には適合させなければなりません。
 都は、改正の趣旨や運用の考え方を十分周知するために、条例の施行に当たり建築行政を所管する区市や指定確認検査機関のほか、設計者、事業者等に対しまして丁寧に説明をしてまいります。
 また、確認申請がなくシェアハウスへの転用が判明したものにつきましては、関係区市と連携し、事業者等に対し、建築基準法令への適合性について報告を求め、法令違反が確認された場合には、改善計画書の提出を求めるなど適切に是正指導を進めてまいります。
 今後とも、区市等と連携し多様な居住形態や木材利用の促進など、新たな社会的なニーズへの対応を考慮しつつ、都民が安心して生活できるよう本条例の適切な運用に取り組んでまいります。

○野上委員 都市整備委員会の当初予算について、一、多言語対応、二、沿道建築物対策、三、居住支援協議会、四、マンション対策、五、免震装置の不適合建築物について質疑をさせていただきます。
 まず最初、多言語表記についてでございます。
 この多言語表記等に関する調査としては、来年度、約一千万の予算がついております。千客万来の東京、これは石原知事の時代からずっといわれておりましたけれども、また観光立国ジャパンとか日本とかという言葉のとおり、二〇一三年には一千三十六万人、また昨年、二〇一四年には一千三百万人を超える、外国人の旅行者が来られたということでございます。
 日本語は、外国人にとって大変わかりにくい言語であるのではないかと思っております。外国人に対する丁寧な表記が不足している現状があります。調査結果では、この外国人が移動をするときに不便を感じているという割合が四割に相当するということで、快適で便利で安心して滞在ができて、また日本に来てみたいなというリピーターになれるかどうか、これが大事な観点ではないかと思っております。
 これからますます増加する海外からの観光客や、またオリ・パラに向けて多言語表記の普及は必要であります。対応言語といいましても多種多様であり、人口別、世界で使われている語学では、中国語、英語、ヒンディー語、スペイン語、アラビア語、ベンガル語、ポルトガル語、ロシア語、日本語、ドイツ語、フランス語、ベトナム語と、六千五百種類の言語が存在するといわれている中で、公用語として英語を初めとした、よく来日する国の言語を中心と考えるわけでしょうけれども、この対応言語の種類と多言語表記に対する基本的な考え方について、まず最初にお伺いいたします。

○佐藤都市基盤部長 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向け、官民の関係者から成る多言語対応協議会が発足し、その下に、都が事務局となって、鉄道、バスなど交通事業者が参画する交通分科会が設置されております。
 この協議会におきまして、多言語表記に対する基本的な考え方が検討され、日本語、英語及びピクトグラムによる対応を基本としつつ、需要、地域特性、視認性などを考慮し、必要に応じて中国語、韓国語、さらにはその他の言語も含めて多言語化を実現することとされております。

○野上委員 あくまでも多言語対応協議会が中心となって整理をしていくということになると思います。この多言語対応協議会というのは、都あるいは国、地方自治体、民間団体、企業、六十の団体から構成されているということでございます。
 英語表記が基本とのことですが、現状として駅などにおける問題点、いろいろあると思うんですけど、及びそれに対する考え方について見解をお伺いいたします。

○佐藤都市基盤部長 大きなターミナルにおいては、例えば出口名称や路線名称の英語表記が統一されていない、あるいは乗り場への英語案内が途中で途切れてしまうなどの問題がございます。これは、複数の交通事業者や、交通広場、通路などの管理者などが、それぞれの管理区分において独自の基準などに基づいて案内サインを設置しており、お互いの連携がとれていないことが原因の一つと考えられます。
 このため交通分科会では、案内サインのあり方などについて検討し、取り組み方針として外国人旅行者が不安を感じることなく円滑に移動できるよう、必要な案内を多言語及びピクトグラムで表示するため、関係事業者間相互に連携して取り組んでいくこととしております。

○野上委員 先ほどの答弁で、外国人が不安なくという観点が非常に大事なことだと思っております。絵によって意味を伝えるピクトグラム、これこそが一九六四年の東京オリンピック・パラリンピックのレガシーで、非常口のマークとかトイレの男性、女性のマークとか日常的に当たり前に使われております。どこの国の誰でもが一目でわかる表示が大事であると思っております。
 私の地元、葛飾柴又でも、この多言語案内表示をしております。それともう一つは、ボランティアの方々がおもてなしの心と、高齢になっても、高齢になってから勉強した英語を駆使して、外国から来られた方々に対しての対応を非常に頑張っていらっしゃる例もございます。
 それから、外国人旅行者が観光スポットにスムーズに移動できるようにするには、交通機関においても適切な案内が求められております。パリとかロンドンの地下鉄、これは識別表示あるいは番号表示で非常にわかりやすく、移動がスムーズなんですね。そういった意味で、次年度以降の多言語対応に対する具体的な取り組みについて、お伺いいたします。

○佐藤都市基盤部長 先ほど申し上げた取り組み方針のもとに、来年度、新宿駅をケーススタディーとして、交通事業者や関係施設管理者、地元区などとともに、案内サインの多言語対応に関する検討会を設置いたします。
 この検討会で表記の統一や案内の連続性確保など、新宿駅におけるわかりやすい案内について検討し、その結果に基づき各事業者などが連携して取り組みを進めていくとともに、この取り組みを参考として、他のターミナルなどにも広げてまいります。

○野上委員 アラビア語やタイ語などが、理事者の中にもできる方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、普通、なかなか表記が認識しにくいというイメージを、多分持っていらっしゃると思うんです。
 それから、スペースに限界がありますので、限られたスペースの中で、アラビア語やタイ語などの少数需要に対しては、なかなか表記することが難しいと思っておりますので、これはICTを活用した音声案内などが有効ではないかと思います。
 現在市販されている、私も持っているんですけれども、日本語を入力すると、いろいろな国々の言葉で、そのまま、その国の言葉にかえて、音声で発信してくれるような機械もありますし、また最近では、スマートフォンに入れるアプリも多種多様出てきておりますので、外国人が自分のスマートフォンなどのモバイル端末を使って利用できる環境を整えていくこと、これをぜひお願いしたいと思います。
 東京に旅行された外国人に、また来たいなと思っていただけるようにすることはもちろんのことですけれども、まだ東京に旅行したことのない外国人も、一度東京に行ってみたいなと思えるような魅力をウエブページなどで情報発信していくことも重要であります。
 大事なことは、二〇二〇年のその先も見据えて、より多くの旅行者に来ていただけるようにしていくことを念頭に置いて、検討していただきたいと申し上げて、次の質問に入ります。
 次は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、都は緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について、約三百六億円でしたっけ、重点的に財源を投入し促進しております。
 震災時に重要な役割を果たす特定緊急輸送道路については、全国に先駆けた画期的な耐震化推進条例を制定し、耐震診断を義務化してから三年が経過しております。費用負担なしで診断できる助成制度とするなど、これまでの取り組みにより、条例対象建築物約五千件のうち、そのうちの約九割が診断に着手したと聞いております。これまでの区市町村等と連携した、所有者への熱心な働きかけによる成果であると大いに評価しております。
 また一方、都は先月、診断が実施されていない建築物二十三件について公表を実施いたしました。そこで、改めて公表の目的と公表までの建物所有者に対する具体的な取り組み内容について、お伺いいたします。

○佐藤耐震化推進担当部長 条例に基づきます建築物の公表につきましては、周辺住民や建物利用者等を初めとする都民の皆様に、診断が実施されず耐震性が明らかでない建築物について情報提供いたしますとともに、建物所有者に対しまして診断実施を強く促すことを目的としてございます。
 これまで、それぞれの区市は、建物所有者との折衝過程から診断の意思が見られず着手までに相当の時間を要することが想定されるものにつきまして、あらかじめ期限を示した指示によりまして、早期実施を促してまいりました。
 区市が示しました期限を過ぎたにもかかわらず診断が実施されなかった建築物につきまして、都は先月、第一回目の公表を実施いたしました。当初公表予定でありました三十四件に対しまして、公表前に改めて文書や電話による督促を行いました結果、予定件数の三割に当たります十一件が診断に着手することになったものでございます。

○野上委員 公表する前に相手に確実に届くように、内容証明の手紙送付や、電話により建物所有者への働きかけをやったことが、これまで実施しなかった所有者が診断に着手するという大きな成果につながっていったものと思われます。
 条例対象建築物約五千件のうち、一割の約五百件が診断に着手していないということになりますけれども、この残りの未診断建築物について、今後の公表を初めとする診断実施に向けた取り組みについてもお伺いいたします。

○佐藤耐震化推進担当部長 都は、今回の公表に続きまして、条例の対象となります建築物約五十件につきまして、第二回目の公表に向けた手続を開始いたしました。前回と同様の手続を経て、五月を目途に公表を行う予定としております。
 残る未診断建築物につきましては、一回目、二回目の公表に伴う診断着手の取り組みや、これまでの区市の建物所有者との折衝過程など、個別の状況を踏まえながら今後の対応を検討してまいります。
 このような公表を前提とした督促とあわせまして、助成期限を一年延長して来年度末までとすることで、一〇〇%の診断着手を目指してまいります。

○野上委員 耐震化を進めるためには、まず診断を実施し耐震性能を確認することが不可欠であります。その上で、診断結果を受けて改修に向けて取り組もうとする所有者に対して、個別の事情に応じた適切な支援を行って改修に導いていくことが重要であります。
 個別の事情が必ずあるがゆえに、なかなか、費用負担なしの制度でありながら実施しないということが考えられます。かつての事例ですけれども、ある幼稚園に対して、耐震診断が無料なのになかなか実施しなかったという園がありました。なぜ実施しないかというその理由として、多分、耐震診断をすると耐震不足が予測され、うわさが広がると、子供たちが自分の幼稚園に来なくなるのではないかという、そういう心配があって、なかなか踏み出せなかったという事例がございました。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを控え、安全・安心な都市の実現に向け、まさに首都東京の安全性を世界に発信していく機会であり、沿道建築物の耐震化を必ず実現していかなければなりません。これが、一棟でも首都直下地震で倒れてしまう、そういうような結果になれば、その周りが全て努力してきたことが水の泡になってしまうわけでございますので、どの棟もみんなで一緒に耐震をしていこうと、そういう努力をしていくことが大事ではないかと思っております。
 そしてこの取り組みが、震災時における緊急物資の輸送や迅速な緊急救護活動に資することになりますので、一人でも多くの命を守ることにつながると考えております。いろいろご苦労がおありだと思いますけれども、今後、耐震化に向けた取り組みを一層強化すべきと申し添え、次の質問に移ります。
 次は、居住支援協議会について質問させていただきます。
 昨年の都市整備委員会質疑でも、居住支援協議会について質問いたしました。現時点における区市町村の設立動向と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 都は昨年、関係団体とともに居住支援協議会を設立いたしまして、高齢者など住宅の確保に配慮を要する方々の地域における居住の安定を図るため、区市町村協議会の設立促進に努めてまいりました。
 既に設立済みの江東区、豊島区、板橋区の三区に加えまして、来年度は、八王子市、調布市の二つの市におきまして協議会が設立される予定となっております。
 今後は、区市町村協議会の活動が速やかに軌道に乗るよう、広報や普及啓発に要する費用について補助を実施してまいります。
 また、全国各地の協議会における住まいに関する相談や物件情報の提供などの活動事例集を新たに作成し、セミナーなどの場で活用するとともに、協議会での議論を踏まえ、参加団体それぞれの取り組みを促してまいります。こうした取り組みにより、区市町村協議会の設立促進及び活動支援をさらに進めてまいります。

○野上委員 来年度から、区市町村の居住支援協議会の広報活動などに補助を行うとともに、全国の協議会における活動事例集を作成し、セミナーなどの場で活用するということでございますので、これからもそれぞれの区市で居住支援協議会が速やかに発足できるように努力していただけますようお願いを申し上げます。
 次に、マンション施策について質問させていただきます。
 先月開催されました東京都住宅政策審議会において、マンション部会からの中間報告が行われました。私も報告書を読ませていただきました。都内において、分譲マンションは高度経済成長期以降、供給が拡大し、今日では、総戸数は約百六十五万戸、総世帯の四分の一が居住する都民の主要な居住形態として広く普及しております。一方で、昭和五十六年以前の旧耐震基準のマンションが約三十六万戸、棟数では約一万二千棟あり、その多くは耐震性不足と見込まれております。
 今後、マンションストックの老朽化が急速に進行していく中で、耐震化の促進とともに建てかえの円滑化を図っていくことが重要な課題となります。一つの建物を多くの人が区分所有しているという特殊性があるため、マンションの建てかえは法律的にも経済的にも金銭的にも難しい課題がひしめいています。そのため、行政による的確な支援も必要と考えます。
 そこでまず、マンションの建てかえについて何点か伺います。
 最初に、旧耐震基準のマンションにおける建てかえの検討状況について、お伺いいたします。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 都は、平成二十三年度に実施しましたマンション実態調査におきまして、旧耐震基準のマンション約一万二千棟を対象に、建てかえの検討状況につきましてもアンケート調査を行っております。
 これによれば、回答のあった約二千二百棟のうち、建てかえについて、過去に検討したと回答したマンションが五%、現在検討中が三・四%、今後検討予定が六・八%となってございます。

○野上委員 それでは、これまでの都内の建てかえ実績と都の支援について、お伺いいたします。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 民間の調査によれば、これまでに都内で建てかえが実施されたマンションは約百二十件となっております。
 都は、マンションの建てかえに関する支援といたしまして、アドバイザーの派遣、区市との連携による調査設計費や建てかえ工事費等への助成、建てかえ工事期間中の仮住居としての都営住宅の提供などを実施しております。

○野上委員 一万二千棟のうちの百二十、百分の一、これが多いと考えるのか少ないと考えるのか、ちょっと難しいところです。例えば容積率に余裕があれば、五階建てを十階建てにして新たな入居者の費用を加算し、建てかえにゆとりができますから、簡単でもないでしょうけど、できやすいんですけれども、容積率に余裕のないマンションは建てかえが難しいのが現状だと思います。
 マンション部会の中間報告の中では、築四十年以上のマンションの約四割が容積率制限に適合していないという推計値が示されています。今後このようなマンションに対して、都は、どういう対応をしていくのかお伺いいたします。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 お話の中間報告では、容積率に余裕がないなどの理由により建てかえが困難なマンションについて、都市計画制度等を活用し、敷地の統合や再編、マンションを取り込んだ都市開発など、まちづくりと連携して建てかえ等を促進する仕組みの充実を図るべきとの考え方が示されております。
 都は、こうした考え方を踏まえまして、耐震性の低いマンションが一定程度集積し、安全性や活力などの低下が見られる地域を対象に、都市計画の規制緩和が可能となる都市開発諸制度等を活用して、マンションの建てかえ等を促進する新たな制度の創設などについて検討してまいります。

○野上委員 ぜひ実効性のある制度をつくってもらいたいと思っております。
 容積率制限あるいは敷地が狭いなどの理由により、単独敷地での建てかえが困難なマンションについては、隣の敷地と共同で建てかえを行うことも有効です。都は現在、共同化建てかえのモデル事業を実施していますが、この実施状況と今後の取り組みについて、お伺いいたします。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 共同化建てかえは、ご指摘のとおり、単独での建てかえが難しいマンションにとって有効である反面、隣接地の地権者等との折衝が必要となるなど、通常の建てかえ以上に合意形成に時間と労力を要するものと考えられます。
 このため都は、今年度から二カ年のモデル事業として、共同化建てかえを検討するマンションを公募により三件選定し、管理組合に対して合意形成に向けた検討費用の補助や技術的助言等の支援を行っております。
 来年度も支援を継続するとともに、管理組合からの報告等を通じて、共同化建てかえに係る課題等を把握し、効果的な支援策の検討を行ってまいります。

○野上委員 来年度に課題整理や効果的な支援策を検討するということですので、ぜひその結果を公表してもらいたいと思っております。
 次に、マンションの管理についてお伺いいたします。
 高齢化時代に入り、さまざまな理由等から管理費や修繕積立金が支払えない世帯の増加が懸念される状況の中、マンション管理の適正化がますます重要な課題となってきております。現に、管理費が何の心配もないマンションは少ないとの報告もあります。
 マンションを安全で良好な状態に維持管理していくためには、計画的な修繕や耐震診断等を実施していく必要がありますけれども、都の実態調査では、長期修繕計画を作成していないマンション、あるいは構造計算書を保管していないマンションが相当数見受けられます。管理組合が機能不全に陥り、適切な維持管理ができなくなると、防犯や景観など周辺に悪影響を及ぼすおそれもあります。
 行政は、マンションの適正な管理の重要性について周知を図っていくべきと考えます。
 都は、平成十七年にマンション管理ガイドラインを策定いたしましたが、その後、国では数度において法改正がなされるなど、マンション管理を取り巻く状況が変わってきています。ぜひ、住宅政策審議会で本格的に議論していることもありますので、この機会に改定をしていただいて、普及啓発を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 マンションの管理をめぐっては、近年、居住者の高齢化の進行や東日本大震災を契機とした防災対策への関心の高まり、標準管理規約の改定等の国の動きなどもあり、都は、マンション管理ガイドラインについて、専門家や業界団体の意見も聞きながら内容の修正や項目の追加などの検討を行っております。
 今後、住宅政策審議会での議論等も踏まえ、ガイドラインを改定するとともに、その普及に向けまして、例えば概要版を作成し、区市やマンション管理業者等とも連携して個々のマンションに配布するなど、きめ細かく周知を図ってまいります。

○野上委員 平成十七年度のガイドライン、これは防災のことについて余り記載されていなかったんですね。その後、東日本大震災とかもございましたので、改定するガイドラインには、防災面も詳しく具体的に入れていただいて、多くの方々に活用していただける内容にしていただけますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 マンション管理には、専門的な知識やノウハウが必要であり、マンション管理に精通した専門家による支援も有効です。そうした支援を必要としている管理組合にとって、都のマンション管理アドバイザー制度は大変よい取り組みと思いますが、余り知られていないようでございます。利用促進に向けた取り組みについて、お伺いします。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 マンション管理アドバイザー制度は、管理組合の運営や計画的な修繕等への取り組みを支援するため、管理組合等の求めに応じて、マンション管理士や建築士などの専門家を派遣し、マンションの良好な維持管理に資する情報提供やアドバイスを行うものでございます。
 制度を利用した管理組合からは、長期修繕計画や管理規約の見直しを行うことができた、あるいは滞っていた大規模修繕を実施することができたなどの評価をいただいておりまして、一定の成果を上げているものと考えております。また、区市の中には、アドバイザー派遣費用の助成を行ったり、独自のアドバイザー制度を設けているところもございます。
 今後、住宅政策審議会の意見や管理組合のニーズ等を踏まえまして、支援メニューの充実などを図るとともに、区市との連携を強化し、制度の一層の周知及び利用の促進を図ってまいります。

○野上委員 マンション管理アドバイザーに関しては知らないという方も多いので、区市との連携強化をよろしくお願いしたいと思っております。
 アドバイザー制度を活用するのは、管理についての意識の高い管理組合であると思っております。その一方で、居住者が高齢化等により、管理上の問題に対してみずから行動しようとしない、またはしたいけれどもできない管理組合の増加が懸念されます。今後、その対策が重要になると考えます。
 都は、昨年度に管理組合活動が不活発であるマンションを五件選定し、マンション管理士を派遣して、管理組合の取り組みを支援するモデル事業を実施しましたけれども、この実施状況とその成果、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 お尋ねのモデル事業において選定いたしました五件のマンションに対して、都は、マンション管理アドバイザーである経験豊富なマンション管理士を派遣し、区分所有者との話し合いを重ねることにより、管理に関する問題認識の共有化を図るとともに改善に向けた助言などを行いました。
 その結果、各マンションにおいて、管理組合の組織体制の見直しや長期修繕計画の策定、管理費や修繕積立金の適正化等が図られるなど、一定の成果を得ることができました。
 今後、このモデル事業の成果や住宅政策審議会の意見等も踏まえ、管理組合の活動の活性化を図る、実効性のある施策を検討してまいります。

○野上委員 このモデル事業の成果は、他の同様のマンションにとっても参考になると思いますので、この成果をホームページ等に載せるなど広く周知してもらいたいと思っております。
 マンションは、私有財産であり民間の建物であるので、行政が管理組合に物申すのは難しいのですけれども、防災の観点では、必要に応じて行政が積極的に関与していくことが重要だと思っております。
 耐震化や備蓄倉庫の整備など、みずからのマンションの防災対策はもちろんですけれども、最近では、豪雨や津波などの水害時に近隣の人が避難するための協定や帰宅困難者の受け入れに関して、地元区市と協定を締結したりする例が見られるようになっております。現に私が住んでいるマンションも協定を結んでおります。オートロックマンションですけれども、緊急時にはそれを解除して対応するようにしております。
 協働という言葉がございます。いざというときに、行政の力だけでは隅々まで支援は行き渡りません。民間の力、またNPO、各団体、企業等が連携して協力して事に当たる、このことが大事であると思っております。
 最後に、免震不適合建築物について質問させていただきます。
 会社の名前をいっていいかどうか、まあいいですね。東洋ゴム工業株式会社は、建築物の免震装置について、国土交通大臣の認定を不正に取得し、認定の内容に適合しない製品を販売したことが判明し、新聞等で報道されております。こうした不適合建築物が都内にも五棟あるということですけれども、都としては、建物の名称や所在地などの公表はしないんでしょうか。

○久保田市街地建築部長 国は、昨日三月十七日に、不適合の建築物五十五棟のうち、不特定多数の利用者が出入りをいたします公共建築物十五棟についてのみ、その名称や所在地を公表いたしました。
 都内の五棟は全て民間建築物でございまして、これらを所管する特定行政庁である区市も公表していないことから、都といたしましても、現段階で公表を差し控えているところでございます。
 なお、現在、国の指示に基づきまして、東洋ゴム工業株式会社が構造安全性の検証を行っておりまして、国は検証の結果、危険性が確認された場合に、一般住民が住むマンション等の民間建築物について公表するとしているところでございます。

○野上委員 建築物の免震装置は、建築物の地震に対する安全性を確保するためのものであります。その免震装置が、求められる機能を満たしていないということは、メーカーの責任は大変重大であると考えます。
 早急に構造安全上の検証を行い、必要なものについては速やかに対策を実施し、安全性を確保していくことが求められると思いますけれども、都として今後どう対応していくのかを質問して、質問を終わります。

○久保田市街地建築部長 国は、東洋ゴム工業株式会社に対しまして、今月中に構造安全性の検証を行うよう指示をしたというふうに聞いてございます。また、関連する特定行政庁に対しまして、東洋ゴム工業株式会社からの報告を受けて、建築基準法上の適合状況を確認いたしまして、検証結果を踏まえた是正指導を行うよう要請したところでございます。
 都といたしましては、今後の国の動向を踏まえまして、関係する特定行政庁に対する技術支援など必要に応じて対応してまいります。

○大島委員 私からは、まず最初に、ふえ続けている空き家の対策、空き家活用などについて質問をさせていただきます。
 二〇一四年十一月に空家等対策の推進に関する特別措置法が、これは議員立法で成立をいたしました。昨年の四月一日現在で、空き家に関する条例を制定している自治体は三百五十五の県と市区町村に上り、全自治体のおよそ六分の一を占めています。
 東京の空き家数については、二〇一三年で五年前よりも七万件ふえ八十二万戸となりました。このふえ続ける空き家対策として、特定空き家といわれる、いわゆる老朽化して危険な空き家対策を進めることと、もう一つは、この特定空き家とまではいかない空き家を利活用していく、それを促進する、この二つの対策が必要だと考えています。
 東京都も二〇一二年度から、空き家活用のモデル事業を行ってまいりました。私は、さきの事務事業質疑の中でも、このモデル事業を実施している中で見えてきた課題は何なのですかという質問をいたしましたところ、一つは、積極的に利活用を考えている所有者が少ないこと、そして高齢者などへの住宅供給などを検討する事業者が、所有者の意向も含めた適切な物件を探すために、相当の時間を要することだと答弁をいただきました。
 今度、来年度からは、東京都はこのモデル事業から区市町村への補助事業ということで施策を変えるわけですが、都として、こうした課題を踏まえて、どのように空き家対策を今後進めようとしているのか、お伺いをいたします。

○加藤住宅政策担当部長 空き家の利活用を促進するためには、その立地や所有者の意向など地域の実情を把握している区市町村の役割が重要でございます。
 空家等対策の推進に関する特別措置法では、区市町村が、活用を含めた空き家に関する対策を総合的に実施するための計画を定め、実施することとされております。
 都は、来年度から、区市町村に対しまして、空き家の実態調査や計画の作成、高齢者や子育て世帯などに民間が賃貸する住宅への改修助成について、財政支援を行ってまいります。

○大島委員 確かに、空き家の売却とか賃貸化ということに対してネックになっているのは、親の世代が亡くなって空き家となったケースがその典型だといわれています。
 例えば、帰省したときの滞在や宿泊先、また従前から置いてあった仏壇とか家財道具の処分、これに大変手間がかかるということで、また心理的にもなかなか処分に踏み切れない、こういった場合が多くて、そのまま空き家として放置されてしまうという、そういう期間がかなり長くなりがちなんですね。長くなればなるほど老朽化は進んでいきますので、これを利活用するというのには、かなりの力が必要になってまいります。
 また、一旦、じゃあ賃貸するよというふうに決めたとしても、今度はそれを返還を求めるということが困難になるんではないかと、こういうことを考えている所有者も大変多いと聞いています。ぜひ空き家が危険な状態になるのを未然に防ぐための相談体制なども強化していただきたいと思います。
 一口に空き家といっても、老朽化の進みぐあいなどでその対応はさまざまです。空き家の深刻さも地域によって違います。区市町村による取り組みに、ばらつきが出るということも考えられます。国は、地域の実情に応じた空き家対策のためのヒントをおさめた空き家対策関係資料集、こういったものを作成しておりますし、日本建築行政会議は、老朽危険建築物対策事例集、これを出しまして、空き家対策の取り組みを推進しようとしています。
 こうした国のガイドラインなどを受けまして、山形県では、県内の空き家の状況や課題などわからない状態からスタートをしまして、空き家対策検討会というのを設置し、先進自治体の事例の収集とか課題の洗い出し、そして県内の市町村へのアンケート調査による状況把握から始めまして、約一年かけて空き家対策の対応指針というものを作成したと聞いています。この対応指針策定後に実施いたしましたアンケートでは、ほぼ全ての市町村に一つ以上の、空き家対策を実施している考えがあるということがわかりましたし、多くの自治体で条例を制定するという回答を得ているということでした。
 東京でも、渋谷、杉並、中野、足立、大田、新宿、墨田、小平、八王子、この七区二市で何らかの空き家条例が制定されていると聞いておりますが、全ての自治体に空き家関連の条例があるわけではありません。国の空家対策の推進に関する特別措置法では、都道府県は市町村に対して技術的な助言、市町村相互の連絡調整など必要な援助をすることになっておりますが、都としても、この区市町村との協議会とか検討会とかを設けて、情報交換なども行って空き家対策を進める必要があるのではないかと思いますが、お伺いをいたします。

○加藤住宅政策担当部長 都は、これまでも、法の制定の動きなどを踏まえまして、空き家の利活用などに関しまして、さまざまな会議などの場を通じて区市町村と情報共有や意見交換などを実施してまいりました。引き続き、このような形で連携を図ってまいります。

○大島委員 ぜひ、こういったばらばらになりがちな取り組みとか、地域の実情がいろいろ違うことによって起きてくる問題、課題、こういったものがあるわけですから、空き家対策を進めるといっても、一律に進めることはなかなか難しいと思うんですね。
 そういう意味で、これまでもやってきたということですけれども、情報共有をするとか意見交換をするとか、こういう場をなるたけ設けるようにして、引き続き区市町村との連携を図っていっていただきたいと思っております。
 また、今後、空き家の増加に歯どめをかけていく、このことも必要な手だてではないかなというふうに思うんですね。空き家を含む中古住宅の利活用を促すということが必要ですし、中古住宅を購入した場合の改修費の補助とか住宅ローン減税などで、新築よりも中古を購入した方が手厚くなるような仕組みに変えていくということも効果的だろうと考えられております。
 住宅金融支援機構の関連では、中古住宅の取得とリフォーム費用を一体にしたフラット35が実施される見込みと聞いております。
 福岡県では、中古住宅一般の購入者に対して、改修費用を補助するという全国で初めての制度を創設しております。これは県の建設住宅センターというところが、住宅性能検査、これは住まいの健康診断といっているそうですが、これを行いまして、これを受けた中古住宅を対象に、改築費用の二〇%、最大で二十万円ですが、これを補助するという制度です。
 中古住宅の流通ということも視野に入れて、中古住宅購入者への改修費用の補助を実施すべきと思いますが、見解をお伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 既存住宅の改修につきましての各自治体の助成制度につきましては、その目的や内容がさまざまでございまして、それぞれが地域の実情に応じて取り組んでいるものと考えております。
 都といたしましては、従来から、まちづくりの観点からの耐震改修助成あるいはマンション共用部分を対象とした改良工事への助成などを実施しております。

○大島委員 今、一戸建ての空き家丸々一戸を借りるというと、かなりの金額になってしまうので、なかなか借り手がつかないんだけれども、部屋貸しをする、シェアハウスとかグループリビング、こういった形態ならば借り手がつきやすいということで、空き家所有者にとっても部屋貸しの方がトータルの家賃収入が高くなるというメリットもありまして、シェアハウスに改修する動きもあります。
 また、分譲マンションの空き室や利用しなくなった社宅や寮などもシェア居住として活用可能であることや、若者の間で今、シェア居住のブームもありまして、さまざまなタイプのシェアハウスが登場しています。
 こうした新たな住まい方について、都はトラブル防止の観点からルールづくりに取り組むとしてまいりましたが、現在の到達点はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 都は、これまで事業者にヒアリングを行いまして、契約内容などの情報収集を行ってまいりました。
 ヒアリングによりますと、事業者は契約に先立ち、入居希望者に対して居住に当たっての留意点を説明し、理解を得た上で契約をしているということでございます。また、契約後も居住者間のトラブル防止のために、事業者は、それぞれの住まいの形態に応じたルールづくりに努めているところでございます。
 このようなヒアリングの結果を踏まえますと、現在のところ、都が重ねてルールをつくる状況にはないというふうに考えております。

○大島委員 これまでの取り組みの中で、事業者の間でいろいろ、そこのシェアハウスなりを貸している相手との関係で納得がいくような形でのルールがつくられているだろうということなので、現在のところはといっておりますので、そういったところで、またトラブルなどが出てきた場合、東京都が乗り出さなければならないというようなこともあるんじゃないかというふうに思っておりますが、ぜひ推移を見守るということで理解をしておきたいと思います。
 空き家は、今後、住宅弱者向けの住宅として活用し得る余地も大変大きいと思っています。一方、高家賃や高負担の入居の初期費用、保証人の問題など住宅弱者に対する支援が手薄いことを逆手にとって、劣悪な脱法ハウスとか貧困ビジネスというゆがんだ形での住宅供給が横行する原因にもなっています。
 国は、これまで、住宅セーフティーネット整備推進事業を実施いたしまして、住宅確保要配慮者の入居を条件として、空き家のある賃貸住宅のリフォームに要する費用の一部を国が直接、補助してまいりました。来年度には、空き家を活用し、一定の質が確保された低廉な家賃の賃貸住宅を供給する住宅確保要配慮者安心居住推進事業の創設も考えていると聞いています。
 東京都は来年度から、高齢者や子育て世代などへの賃貸を目的とした空き家の改修助成に対し、財政支援を行うと先ほど答弁もありました。この国の事業ともあわせまして、こういったことをぜひ周知していくように要望しておきたいと思います。
 今、住宅は、つくって壊す時代から、よいものをつくって長く使うという長寿命化時代に入っています。人口減少社会が予想される中で、長期優良住宅として認定される長寿命化住宅がふえれば利用可能な中古住宅がふえていくことにもなります。深刻な空き家問題の解決に向けて、都として積極的な対策を構築することを要望しておきます。
 次に、都営住宅の問題についてお聞きいたします。
 東京都は、二〇〇一年策定の住宅マスタープランで、公共住宅の新規建設を中心とした住宅政策から大きく方向転換し、市場の活用や既存ストックの有効活用を重視した住宅政策へと踏み出しました。しかし、都営住宅の応募倍率は、毎回高倍率が続いています。住宅セーフティーネット機能を果たす都営住宅以外に、市場において自力で住宅を確保することが困難な世帯に対して、適正な規模の住宅供給は難しいのではないでしょうか、お伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 高齢者や子育て世帯など住宅確保要配慮者の居住の安定確保には、公共住宅に加え、民間住宅を含めた重層的なセーフティーネットの機能が重要であると考えております。
 都はこれまで、都営住宅などの公共住宅ストックを有効に活用するとともに、民間住宅においては、高齢者などの入居を拒まない住宅に関する情報提供や、東京都居住支援協議会による区市町村協議会の設立促進及び活動支援などを行ってきたところであり、今後とも、こうした施策の充実を図ってまいります。

○大島委員 住宅セーフティーネット機能の強化をいうのであれば、都民の住宅セーフティーネットの中核として重要な役割を果たしている都営住宅の既存ストックの有効活用とともに、新規建設とか建てかえ時の戸数をふやすとかして、住宅に困窮する都民を救済すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○加藤住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてきたところでございます。
 今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきまして、住宅セーフティーネット機能の中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。

○大島委員 既存ストックの有効活用といっても、そのストックがだんだん少なくなってきて、それ以上に入りたい人がいるというところが、やっぱり一つ問題ではないかというふうに思っているんですね。もう何回申し込んでも当たらないとか、宝くじに当たるようなものだとか、こういう話も本当によく聞くんですね。何とか都営住宅に入れないでしょうかという相談もたくさんあります。
 都営住宅に入りたいという人がふえているんですね。都営住宅の戸数がふえないままでは、住宅に困窮する都民を救済できないと考えます。民間の空き家住宅がふえておりますが、この民間空き家を今後、住宅弱者向けの住宅として活用し得る余地も大きいのではないかと思っています。
 国は来年度から、先ほどもいいましたが、住宅確保要配慮者安心居住推進事業、これを創設するとしております。空き家のバリアフリーの改修工事や耐震改修工事、そして共同居住のための改修工事に補助するという制度ですが、こうして改修された空き家に入居できる対象者は、収入分位二五%以下の住宅に困窮している高齢者、障害者、子育て世代で、居住支援協議会が認める場合には、条例で定める公営住宅の入居収入基準以下にできるとなっています。家賃も公営住宅の家賃に準じたものとなっているんですね。
 都は、市場の活用とか住宅ストック重視というのであれば、こうした空き家を都が借り上げて公営住宅として、住宅困窮者に貸し出していく必要もあると思いますけれども、いかがでしょうか。

○加藤住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、先ほども申し上げましたとおり、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてきたところでございます。
 都営住宅の供給手法につきましては、市場動向に左右されず安定的に供給することが重要であることから、借り上げによらず計画的な建てかえを進めてまいります。

○大島委員 空き家対策にもなり、都営住宅に入りたくても入れない都民を救済できる施策が、今回の施策ではないかなというふうに思っておりますので、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 そして、住宅は借り上げによらないで、計画的な建てかえを進めていくということなんですが、この建てかえの住宅というのも、またなかなか大変な問題があるというふうに思うんですね。
 きょうも資料をいただいておりますが、前回、事務事業質疑でいただいた資料で、私、質問をいたしましたけれども、六十五歳以上の名義人の世帯というのが一般のところでは十四万一千九百五十三世帯、六二・七%でした。今回いただいたこの資料を見ますと、これは単身入居者ということではありますけれども、さらに深刻だなと思うんですね。六十五歳以上の世帯が六万六千四百二十九世帯、七八・一%、ほとんど八割近くが六十五歳以上の高齢者ですよね。しかも、年代ごとにずっともらっているやつを調べてみましたら、毎年一・五%程度、高齢世帯がふえているんですよ。
 確かに毎年、年をとるわけですから、そうなるのは当たり前だと思いますけれども、結局、だんだん老齢化している。これが、都営住宅の入居者の高齢化に伴って、自治会活動を困難にしているとか、掃除するのも大変だとか、草むしりなんかもなかなか出る人がいないとか、本当に問題が大きくなっているということや、それから、孤独死解消など早急に取り組まなければならない重要な課題も多いと思います。
 こうした課題解決のために、都はどのように取り組もうとしているのか、お伺いをいたします。

○臼井経営改革担当部長 都営住宅の入居者の高齢化への対応につきましては、巡回管理人を配置し、窓口にみずから出向くことができない高齢者に対する相談や申請書類の取り次ぎなどを行っております。
 緊急時の安否確認につきましては、平成二十四年四月に安否確認マニュアルを改正いたしまして、緊急の確認が必要となった場合に、より迅速に住戸に立ち入ることとし、地元区市町、団地自治会などとの連携協力に努めてまいりました。
 この結果、平成二十三年度においては、入室による救出件数は二十四件でございましたが、安否確認マニュアル改正後の平成二十四年度におきましては、前年を大幅に上回る八十八件となっており、平成二十五年度、二十六年度も同様に推移しております。
 また、入居者の募集に当たりましては、子育て世帯の当せん倍率の優遇制度や若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を実施し、若い世代の入居を促進しております。

○大島委員 安否確認マニュアルを改善したことによって、かなりの命が救われたというのは本当によかったことだというふうに思いますし、巡回管理人を回していただいているということは前からわかっておりますけれども、この管理人さんが回る人数なんですけど、多くふやしてもらえないかわりに、来てほしいという方がふえているというために、なかなか大変な事態になっているということも聞いております。
 そして、建てかえに頼って、こうしたことをやっていくという先ほどの答弁もあるんですけれども、実はこの建てかえ住宅の戸数は、型別供給により一人、二人暮らしの少人数世帯用の住宅が圧倒的に多いということがもう一つの問題なんです。
 実は、私の地域というか、足立区の上沼田団地というところで今建てかえをやっているんですね。(資料を示す)建てかえ後の住宅について、これはベランダ側を見た図なんですけれども、このピンクの部分がひとり暮らし用の一DK住宅なんですよ。黄色い部分が少人数、二人用の二DK、この白いところが三人用の大き目の二DK、そして三DKというのは、この斜線を引いた部分だけ、十五戸しかないんですね。これは全体で五百十二戸が建てかえになっているんですけれども、見た瞬間に、ピンクのところと黄色いところを合わせた数、これが先ほどいった六十五歳以上が六割、七割、八割近くいる場所なんだなというふうにわかるんですね。
 確かに建てかえ前の従前の居住者の方を全部入れるということですから、そのときの世帯数に応じて型別でつくっていくんですけれども、そうすると、建てかえによって、結局、この一DKとか二DKの小さいやつに入った方が、例えばお亡くなりになったときに、次に入る人もやっぱり、ひとり暮らしか二人暮らしの人しか入れないんですね。
 今、ひとり暮らしの単身者の入居はどうなっているかというと、六十歳以上じゃないと応募できないんです。確かに障害者とかいろいろ別の問題はありますけれども、六十歳以上、ちょっと前までは五十歳以上の方が申し込めたんですね。つまり、六十歳になってから入る人たちが入れる場所というのがこれだけふえているということは、いつまでたっても、この団地の高齢化から抜け出すことができないというように、私は率直に思いました。
 先ほど、確かに一般のファミリー世帯の方たちも入れるということで答弁がありましたけれども、この五百十二戸のうち一DKは三百九戸、六〇・四%、二人用の二DKが百四十一戸、二七・五%、三人用の二DKは四十七戸、九・二%、四人用の三DKは先ほどもいいましたけれども、わずか十五戸で二・四%しかないんですよね。
 つまり、少人数用の住戸が八八%。こういう状況では、仮にですよ、これは事業用として最初は使うんでしょうけれども、一般空き家という形で募集になっても、ファミリー世帯が応募できるという住宅が少な過ぎると思いませんか。
 大体四DKは今つくっていないですからね。だから、三人以上、四人以上、大きな、ファミリー世帯といわれる夫婦と子供二人ぐらいいるというと、もうなかなか入れないですよ、これでは。
 だから、こういう点では、住宅ストックというのを有効に活用するためにも、型別供給は見直す必要があるというふうに思いますし、できれば、建てかえのときに戸数を従前の世帯数に合わせるということに、プラスアルファ、ファミリー世帯用というのを加えて、少し戸数をふやすぐらいは考えてもいいんではないかなというふうに思うんです。この型別供給を見直す必要があるかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都営住宅は、都民共有の住宅セーフティーネットとして機能するよう、現在のストックを適切に維持更新し、公平かつ的確に供給することとしております。
 都営住宅の建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立ちまして、基準を設け、それぞれに対応する間取り及び規模の住宅を供給しております。
 引き続き、型別供給を実施していくとともに、入居者の募集に当たりましては若い世代の入居を促進してまいります。

○大島委員 今の答弁では、結局変わらないと思うんですよ。そして、こういう建てかえ住宅しか今やっていないので、建てかえれば建てかえるほど、少人数の世帯しか入れない住宅を東京都はつくっているということになるんですよね。
 若い方を入れたいといっても、夫婦で入ってきて最初は小さい二人用でいいかもしれませんよ。でも、お子さんが生まれたら、三人用、四人用というのが必要になってくるんですよね。住みかえができますという方もいるかもしれませんけれども、そう簡単に住みかえできないですよね。それは皆さんよくご存じのことだというふうに思います。
 こうした今、高齢化してしまった都営住宅の対策ということを本当に考えていくためには、まず若い世代の入居を促進することが必要なんです。そのためには、ファミリー世帯が入居できる広さの住宅をふやしていく必要があると思うんです。
 現在、新規住宅の建設を行っていないのが残念なんですけれども、建てかえのときに、従前居住者の世帯数に応じた住宅の規模に応じた戸数に加えて、先ほどもいいましたけれども、ファミリー世帯が入居できる規模の住戸をふやすことをぜひ検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それでは次に、特別緑地保全地区の指定促進事業について、お聞きいたします。
 東京都は、都市の緑として重要な役割を持っている民有地の緑の保全を促進するために、特別緑地保全地区指定促進事業というのを実施してまいりました。その結果、指定地区がふえ、民有地に残る緑を保全する重要な役割を果たしていると聞きましたけれども、その実績と効果についてお伺いをいたします。

○上野都市づくり政策部長 特別緑地保全地区につきましては、土地の買い入れに係る補助制度の創設から平成二十五年度末までの四年間で、青梅の森地区など延べ十地区、約七十三ヘクタールを対象に助成を行っております。また、町田市などでは、補助制度の活用後におきましても、引き続き指定を拡大しております。
 こうした効果もあらわれまして、平成二十五年度末時点では、地区数、面積ともに制度創設前の約二倍となる四十一地区、二百八十一ヘクタールが指定されております。

○大島委員 やはり大分効果が上がっているということですよね。
 この特別緑地保全地区に指定しますと、開発行為を規制する一方で、地権者から土地の買い取り請求があった場合には、これに応ずる義務が生じるために、区市の財政負担はかなり大きなものとなると聞いています。今年度で、この事業は終了というふうに聞いていたんですけれども、その理由は何なんでしょうか。

○上野都市づくり政策部長 都は、特別緑地保全地区の指定の促進に向けまして、緑確保の総合的な方針に基づき、平成二十二年度から五年間におきまして、土地取得費の一部を区市に補助する制度を創設したものでございます。
 補助制度は、平成二十七年度におきましても継続する予定でございまして、今年度で終了するものではございません。

○大島委員 事業を継続するということは大変重要だと思うんですが、それではお聞きしますけれども、二〇一四年度の当初予算では、この事業は六億八千六百万円ついていたんですね。ところが、来年度の予算を見ますと、一億八千五百万円に大幅減額になっているんですよ。その理由は何ですか。

○上野都市づくり政策部長 補助対象につきましては、年度ごとに対象地区などが変わってきますので、年度ごとによって規模は違ってまいります。

○大島委員 年度ごとに規模が違うといっても、その前とかいろいろ比較してみますと、今回は何か随分、激減しているなという感じを受けたものですから、事業継続ということですから、その点はいいんですが--東京都市長会からも、来年度の予算要望に、この特別緑地保全地区指定促進補助金を二〇一四年度までの時限措置とするのでなく、恒久的なものになるよう財源措置を講じられたいとあるんですね。この要望を取り入れて、この事業を継続するということになったんでしょうか。

○上野都市づくり政策部長 東京都市長会からの平成二十七年度要望に対しましては、都は既に、平成二十七年度も継続する予定であると回答しているところでございます。

○大島委員 市長会の要望にもありますように、こうした効果が上がっている事業については、時限措置とするのでなくて恒久的な事業として継続されることを要望しておきます。
 また、都市化が急速に進む地域では、将来にわたって農地または緑地等として残すべき土地を自治体が生産緑地地区に指定することにより、本来緑地が持つ地盤保全や保水などの働きによる災害の防止や、良好な環境をつくり守ることができる。こうした生産緑地地区が、一定の条件のもとで自治体に買い取り請求がされた場合、自治体が買い取りをせずに生産緑地として買収する者がいない場合には、生産緑地の指定が解除されて、指定解除後には再び生産緑地の指定を受けることができなくなります。
 私は、緑を確保するためにも、区市町村が積極的に買収できるような買い取り費用の一部を補助する制度を設けることなども、ぜひ検討して、そして緑の保全に引き続き取り組んでいただきたいと思っています。
 最後に、第六十二号議案の東京都建築安全条例の一部を改正する条例について、お聞きします。先ほど神林理事の方からも質問がありまして、重複する部分もあるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 このシェアハウス等は、建築基準法上、寄宿舎に分類されています。寄宿舎は、戸建て住宅等の一般的な建築物と比較して高い性能が求められてきました。都の安全条例では、避難のための窓先空地を確保することなどが規定されておりましたけれども、今回、寄宿舎に求められる空地の基準などを緩和するということです。建築安全条例を見直す理由は何なのか、お聞きします。

○久保田市街地建築部長 国は昨年六月、建築基準法施行令を改正し、寄宿舎等につきましてスプリンクラー設備を設置することや玄関等までの避難距離が短いことなどを条件に、間仕切り壁の防火性能を不要とし、既存住宅からの転用も可能となるようにいたしました。
 こうした国の改正趣旨を踏まえ、寄宿舎等の基準につきまして政令改正との整合を図りつつ、建物規模や形態に応じて緩和する条例改正案を提案したものでございます。

○大島委員 昨年三月の委員会で、私は寄宿舎と一般住宅の違いについて質問をいたしました。
 寄宿舎は、建築基準法上、特殊建築物と位置づけがされておりまして、住宅等の一般的な建築物に比べて防火対策など規制が強化されている。具体的には、火災時等の停電に備えて、廊下や階段などに非常用の照明装置を設けることや、延焼防止に配慮して、防火上主要な間仕切り壁を準耐火構造で小屋根裏または天井裏に達する壁とすることなど必要になりますと、そういうことが必要でありますというふうに答弁をしていただきました。
 また、都の安全条例では、東京の特殊性により制限を付加するとして、屋外に直接避難できる窓先空地を確保してきたといっていました。今回の見直しについて、今後、安全性というのはどのように担保できるのでしょうか。また、防災上支障がない場合とはどのようなことをいうのか、お聞きします。

○久保田市街地建築部長 まず、防火上支障がない場合とは、条文案では、防火上支障がない建築物等と定義をしてございまして、大きく二つの場合がございます。一つは、従来の政令のとおり、準耐火構造で間仕切り壁を設置した上で、火災に早く気づくことができるよう自動火災報知設備等を設置する場合で、もう一つは、スプリンクラー設備を設置するなど、政令改正における間仕切り壁の防火性能を緩和するための条件を満足する場合でございます。
 今回の条例改正案では、こうした防火上支障がない場合を前提といたしまして、延べ面積や階数、寝室数等を制限することによりまして、建物規模や形態に応じ、必要な安全性を確保するよう基準の見直しを行っているものでございます。

○大島委員 説明資料を見ましたら、緩和条件の規模や形態というのは、階数二以下、延べ面積百平米以下、寝室数六以下など、この小規模な戸建て住宅と同様の形態としています。しかし、この百平米未満の建物は、もともと用途変更の手続は不要なために、無届けで寄宿舎等への用途変更ができるのではないでしょうか。その場合、防火上支障がないかどうかを確認できないのではないですか。

○久保田市街地建築部長 戸建て住宅からいわゆるシェアハウスに用途変更するに当たりまして、申請の必要性の有無にかかわらず、建築安全条例を含む関係法令に適合させなければならないことは当然でございます。
 都は、改正の趣旨や運用の考え方を十分周知するため、条例の施行に当たりまして、建築行政を所管する区市や指定確認検査機関のほか、設計者や事業者等に対しまして丁寧に説明をしてまいります。
 また、確認申請がなくシェアハウスへの転用が判明したものにつきまして、関係区市と連携し、事業者等に対しまして建築基準法令への適合性について報告を求め、法令違反が確認された場合には改善計画書の提出を求めるなど、適切に是正指導を進めてまいります。

○大島委員 今問題になっている、いわゆる違法貸しルームといわれるような脱法ハウス、シェアハウスといわれるものなんですけれども、大体が無届けで用途変更をしてしまっているというのが多いんですね。
 都は、既存ストックの活用も想定して、多様な住まい方に対応できるように、グループホームやシェアハウスなどへ住宅からの転用を容易にするために今度の改正を行うのだといっているんですけれども、この用途変更の届け出を義務づけるなど安全性の確認を徹底することや、そのための体制強化も必要ではないかというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○久保田市街地建築部長 国による寄宿舎の判断の明確化とあわせまして、政令の改正と今回の条例の改正によりまして基準が明確になることから、設計者等によります施設の計画やそれに対する建築確認審査が円滑になるほか、基準に適合しない建築物につきまして、個別事情に配慮しつつ適切に是正指導を進めやすくなるというふうに考えてございます。
 今後とも、区市等と連携をいたしまして、多様な居住形態など新たな社会ニーズへの対応を考慮しつつ、都民が安心して生活できるよう本条例の適切な運用に取り組んでまいります。

○大島委員 違法貸しルームなどと呼ばれる、防火面での安全基準を満たさない格安の賃貸住宅というのが社会問題になっているんです。
 今、国交省が統計をとっております違法貸しルームの是正指導等の状況というのが毎月出ているんですけれども、これを見ますと、二〇一四年十二月三十一日現在の主な違反の内容というのは、非常用照明装置の関係というのが最も多くて七五・三%、防火上主要な間仕切り壁の関係が五三・七%、採光関係が三二・三%なんですけれども、そのうち是正された件数というのは四%程度なんですね。是正指導はしていても、是正されない。是正されなくてもそこに人が住んでいる。こういう状況が放置されるようなことがあってはならないというふうに思っております。
 今後、適切に是正指導を進めやすくなると先ほどご答弁ありましたので、ぜひこうした是正指導を行う体制も強化しながら、条例の適切な運用に取り組んでいただくことを強く要望して質問を終わります。

○尾崎委員 私も、先月二十六日に空家対策特別措置法、これは一部を除いて施行されたわけでありますけれども、これに伴いまして二点だけ質問させていただきたいと思います。
 空き家を放っておいた方が固定資産税が六分の一に軽減されるという、この税制上の問題については、都議会の場でもこの間、たびたび問題視されてきておりまして、木密不燃化特区では一部是正をされておりました。
 今回の改正にあわせまして、二十七年度の税制改正では、特定空き家については撤去を促進するために、固定資産税の軽減を適用しないということが盛り込まれております。また、この法律では、区市町村が空き家対策計画を策定することとしておりまして、そのための空き家への立入調査権を付与したとなっております。
 都道府県には、区市町村への支援が定められているわけでありますけれども、既にこの管理条例の制定や空き家活用などに取り組んでいる区市町村もありますけれども、空き家問題が深刻化してからの対策では、非常に遅いと思っております。
 東京都として、区市町村に対して、この空き家対策の推進を今よりも一層支援をしていくべきだと思いますが、見解を伺います。

○加藤住宅政策担当部長 空き家の対策を進めるためには、その立地や住民のニーズなど、地域の実情を把握している区市町村の役割が大変重要だと考えてございます。
 お話の空家等対策の推進に関する特別措置法におきましては、区市町村が活用を含めた空き家の総合的な対策のための計画を作成し、これを実施することとされてございます。都といたしましては、このような区市町村の取り組みに対しまして、財政支援を実施してまいります。

○尾崎委員 空き家対策として、利用とか再生が見込めないというような空き家については、撤去促進でありますが、まだまだ利用可能な空き家については、その活用方策が求められているものでございます。
 もともと賃貸用として建てられていない戸建て住宅なんかでは、特にその利活用が難しいわけでありますけれども、東京都が取り組んできた空き家活用事業について、私も平成二十五年に何度か質問をしてきましたが、なかなか実績がまだ上がってこなかったと思っております。
 今年度の平成二十七年度予算では、空き家活用支援事業が計上されておりますけれども、早目の活用につながる取り組みを進める必要があると思います。
 例えば、これは私も前に質問したんですけれども、不足している保育所なんかについても、小規模で家庭的な保育であれば、十分に活用できる物件も多いわけであります。あとは、高齢化に伴ったグループホーム等々もそうであります。地域の活性化というさまざまな使い方が考えられる中で、この地域の課題解決と空き家問題の解決というのは、有機的に連動させて取り組みを行っていくことで、非常に効果が出ると思っておりますが、積極的に取り組むべきと考えますけれども、東京都の見解をお伺いをいたします。

○加藤住宅政策担当部長 空家等対策の推進に関する特別措置法は空き家に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的としております。
 空き家の増加によりまして、地域社会の衰退や生活環境の悪化が懸念されているために、区市町村においては、地域特性に応じた空き家の活用を進めていくことが重要となっております。
 このため都は、来年度から、区市町村に対し、空き家の実態調査や活用を含めた総合的な対策を定める計画、高齢者や子育て世帯に民間が賃貸する住宅への改修助成について、財政支援を行ってまいります。

○石川委員 まず初めに、南多摩尾根幹線について伺います。
 南多摩尾根幹線は、調布市の多摩川原橋を起点として、稲城市、多摩市、八王子市、町田市の町田街道をつなぐ全長十六・六キロメートル、幅員標準四十三メートル、最大五十八メートルの、多摩ニュータウンを貫く幹線道路であります。
 昭和四十年、一九六五年に多摩ニュータウンの都市計画が決定され、それに伴い昭和四十四年、一九六九年に南多摩尾根幹線も都市計画決定がなされ、当初は掘り割りとか平面交差とかいう形式については、特に決まってはいなかったわけであります。
 その後、多摩ニュータウンの入居が昭和四十六年、一九七一年から始まり、昭和五十四年、一九七九年には工事用道路を一般道として開通をさせました。さらに、道路整備を進める話し合いを地元住民の皆さんと進めてきたわけでありますけれども、騒音や排ガス、振動問題など住環境が悪化するとのことから反対運動が活発化し、事業は進みませんでした。
 その後、沿道の環境への影響を配慮して、尾根幹線の構造を掘り割りとする都市計画変更を平成三年十月、一九九一年十月に行いました。このことで、唐木田から稲城市百村までの区間を全て掘り割りとトンネルでつなげることになったわけであります。
 平成十九年四月、多摩川原橋から町田街道までの間については、一部、四車線で開通をしました。しかし、平成十八年に決定した東京都の十カ年計画の優先して整備すべき都市計画道路から尾根幹線は外され、整備は進みませんでした。
 しかし、その後、多摩市議会からも昨年十一月に尾根幹線の早期整備の要望なども出され、舛添知事の策定した東京都長期ビジョンにも、多摩ニュータウンの再生のためにも尾根幹線の整備を推進することが位置づけられたわけであります。私も本委員会で尾根幹線の早期整備着手を訴えてきておりまして、整備の促進が図られることは喜ばしいことだというふうに思っております。
 そして本年、尾根幹線の整備方針が具体的に東京都から示されました。それによると、渋滞の緩和、広域的な幹線道路の機能を確保するために、全線四車線とすること。沿道のアクセスやまちづくりとの一体性などから平面構造とする。現在の道路用地を活用し、沿道環境に配慮した道路形態とすること。多摩市及び稲城市の市境付近はトンネル構造とし、環境保全地域に配慮したルートの検討を行うという四つの基本指針が示されたわけであります。
 そこでまず、尾根幹線の側道が昭和五十四年に開通してから工事が進まなかった理由はどこにあるのか、お伺いをいたします。

○佐藤都市基盤部長 ただいま委員からもお話しいただきましたけれども、南多摩尾根幹線は、これまで宅地開発に合わせて段階的に側道を中心に整備を進めてきたものの、本線につきましては、大半の区間は未整備となっております。
 この間、本線の整備については、多大な事業費や長期の事業期間を要することなどから、平成十三年の行政評価におきまして、構造形式などの抜本的見直しとの評価を受け、整備形態等について検討を進めてまいりました。
 これまでの検討状況や昨年五月の知事視察を踏まえ、昨年十二月に策定した東京都長期ビジョンにおいて、本路線の早期整備を位置づけ、本年二月に平面構造を基本とする整備方針を策定、公表したものでございます。

○石川委員 今回の都市計画変更の最も重要な内容は、掘り割りを平面交差とするという点であります。多摩、稲城市民への説明会は、二月二十七日から始まりました。その中で、南野や鶴牧の多摩市民の方から、平成三年、一九九一年、掘り割り構造でふたかけをする案で住民としては意見がまとまり、要望が出されたはずということで、平成三年当時、東京都に要請をしたということでございますが、その内容について都としてはどのような認識をしているのか、お伺いいたします。

○佐藤都市基盤部長 平成三年当時、多摩市鶴牧・南野地区道路沿線住民の会から、南多摩尾根幹線の整備開通に際して、鶴牧、南野地区を地下化し住環境に配慮を求める旨の要望書をいただいております。本要望は、沿線住民の方からのさまざまな意見の一つとして認識してございます。

○石川委員 ふたかけ、あるいは掘り割りということで認識しているということでございますけれども、この説明会では、一方的に掘り割り構造から撤退するのはおかしいという意見が相次いで出されたわけであります。また、騒音、排ガス、振動等の環境対策として、平面交差は後退ではないかと、こういう厳しい意見も多く出されたわけであります。
 稲城市の掘り割り構造部については、沿道利用をする上での用地は、もうほとんど利用されておりまして、ほとんどないわけであります。また、トンネルまでの間も通過交通をスムーズに流すことが環境対策としても、あるいはまた交通対策としてもよりよいというふうに考えられるわけでありますけれども、都の認識を伺います。

○佐藤都市基盤部長 本路線につきましては、地元市及び地元市議会などからも早期整備の要望を受けるとともに、今般の整備方針の説明会におきましても、平面による早期整備や沿道環境に配慮した道路形態を求める意見もございました。
 平面構造は、掘り割り構造に比べまして大規模な構造物が不要となり、工期短縮やコスト縮減が図られ、また沿道アクセスが向上し、まちづくりの促進も図られます。さらに、既存の道路用地を有効活用して、幅広い歩道や植樹帯を整備し、低騒音舗装の採用などにより沿道環境への配慮も可能であると考えております。本年二月から計五回、地元説明会を行い、今週末もオープンハウスを三回開催する予定でございます。
 引き続き、多摩市や稲城市と連携し、都市計画変更や環境アセスメントの手続を進め、本路線の早期整備に努めてまいります。

○石川委員 工事費のコストの圧縮と早期完成ということが主眼となった都市計画の変更というふうにいえるわけでありますけれども、しかし都市計画変更の手続のための環境アセスメントが必要となりまして、それだけでも三年から五年の時間がかかってしまい、しかも住民の皆さんと余計なあつれきを生じることになると、かえって完成までの時間がかかってしまう懸念もあるわけでございます。今後も住民の皆さんとしっかり話し合い、理解を求めながら進めていただくことをお願いをして、次の質問に移ります。
 都営住宅の建てかえについて伺います。
 都営住宅は、現在約二十六万戸あり、昭和四十年代以前に建てられたものは十一万戸、この建てかえが当面喫緊の課題といえるわけであります。都は、建てかえ対象に昭和四十年代建設の住宅を加え、順次、建てかえ戸数を拡大していくこととしており、平成二十一年度から二十五年度まで一万七千三百三十三戸の建てかえを実施し、平成二十六年度は三千八百戸の建てかえを予定しております。
 一方、稲城市の公的住宅の概況を見ると、平成二十四年三月三十一日現在、都営住宅が千百六十四戸、都民住宅が百四十五戸、市営住宅等市借り上げ高齢者住宅が十戸供給されております。このうち昭和四十年代に供給された大丸地区の都営住宅は、建設してから約五十年が経過しております。
 稲城市の都営稲城アパート、これは建てかえると名称が大丸アパートというふうに変わるようでありますけれども、この都営住宅の建てかえの進捗状況についてお伺いいたします。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 建てかえ前の稲城アパートは、昭和三十九年度から五十五年度にかけて建設された三階から五階建ての十七棟四百六十六戸の団地でございました。このうち、昭和三十年代及び四十年代に建設された四百五十戸の老朽化が進んでいたことから、平成十六年度から建てかえ事業に着手し、新たに大丸アパートとして、これまでに四百三十戸を建設いたしました。

○石川委員 大丸の都営住宅は、戦前は陸軍の火工廠として弾薬製造を行う職員のための寮だったものを、戦後は大陸から引き揚げてこられた人たちの寮として使われていた木造の建物を昭和四十年から都営住宅として建て直したという歴史的経過もあることから、高齢化率も特に高い住宅といえます。
 稲城市の平成二十七年の予想高齢化率が一九・五%のところ、大丸地域を二五・九%まで引き上げる要因となっておりまして、都営住宅の存在が大きいわけであります。ですから、住宅の建てかえによって得られた空間の、高齢者対策を含めた土地利用が求められるわけであります。
 建てかえによって生じた用地の確保状況と活用の方向性について、お伺いいたします。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都営住宅の敷地及び周囲の道路や水路には、平成十七年一月に大丸団地地区地区計画が定められ、約二・五ヘクタールの中高層住宅地区と約一・六ヘクタールの複合市街地地区に区分されております。地区計画で定められているとおり、都営住宅を建てかえにより中高層住宅地区に集約し、複合市街地地区とされている位置に用地を創出することとしております。
 また、この用地につきましては、既に地区計画の土地利用方針といたしまして、広域幹線道路に面する立地条件を生かし、地域の生活の中心地として、商業、業務、居住施設など多様な用途が集積したにぎわいのある複合市街地を形成すると定められております。

○石川委員 既に、空地で置かれてかなり時間が経過しておりまして、早期の活用を望む声をたくさんいただいているわけであります。また、地元稲城市ともよく協議を図って早期に進めていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
 また、先ほども指摘をしたとおり、大丸は高齢化率も高い地域で、大丸アパートも高齢者が多く居住しております。居住者への対策が必要だと考えますが、対応策について伺います。

○臼井経営改革担当部長 これまでも、都営住宅の入居者の募集に当たりましては、子育て世帯の当せん倍率の優遇制度や若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を実施して、子育て世帯の入居促進を図っております。
 また、都営住宅では、巡回管理人を配置し、窓口にみずから出向くことができない高齢者に対する相談や申請書類の取り次ぎなどを行うとともに、安否確認における地元区市町、団地自治会などとの連携協力に努めることによりまして、高齢者世帯に対する支援を行っております。

○石川委員 この質問の最後に、昭和四十二年から建てられました稲城第二アパートが二百四戸あるわけでございますけれども、これも老朽化が進んでいますけれども、どのような計画となっているのか、お伺いいたします。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 お話のあった稲城第二アパートは、昭和四十二年度から五十年度にかけて建設された四階から五階建ての四棟二百四戸の団地でございまして、このうち昭和四十年代に建設された二棟は、平成十五年度及び十六年度にスーパーリフォームを実施済みでございます。
 都では、スーパーリフォームを実施した住棟や、昭和五十年代以降に建設した住棟については、適切に維持管理しながら有効活用することとしておりまして、稲城第二アパートは、当面建てかえの予定はございません。

○石川委員 了解しました。次に……(発言する者あり)まあ、建てかえも、これはいずれにしろ、どこかの段階では視野に入ってくるでしょうね。今はとりあえずスーパーリフォームということで、しっかりとやっていただきたいと思います。
 次に、都の公的住宅の空室利用について伺います。
 今回、介護保険の見直しの中で、介護保険で生活支援、介護予防サービスの充実を進めていく方針が打ち出されました。単身世帯が増加し支援を必要とする軽度の高齢者が増加する中、生活支援の必要性が増加しております。
 ボランティアやNPO、民間企業、協同組合等の多様な主体が生活支援や介護サービス、介護予防サービスを提供することが必要となってきています。
 また、高齢者の介護予防のためにも、社会参加や社会的役割を持つことが、生きがいや、ひいては介護予防につながるといわれております。多様な生活支援や介護予防サービスが利用できるような地域づくりを市町村が支援することについて、制度的な位置づけの強化を図ることになっております。具体的には、生活支援、介護予防サービスの充実に向けて、ボランティアの育成や地域資源の開発やネットワーク化などを行う生活支援コーディネーター、地域支え合い推進員の配置などについて、介護保険法の地域支援事業に位置づけることが決定しております。そこで、地域サロンの開催や見守り、安否確認、外出支援、買い物、調理、掃除などの家事支援などを行うことになっています。
 住宅の空室は最も地域密着で、これらの事業を進める拠点ともなると考えられます。そして市町村は、これらの事業支援体制の充実強化をバックアップし、都道府県は市町村をバックアップすることになっています。これらの生活支援、介護予防サービスの充実のための都営住宅及び公社住宅の空室の活用について、都の考えを伺います。

○臼井経営改革担当部長 都営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対しまして、低廉な家賃で賃貸することを目的として整備された住宅でございます。
 都営住宅の住戸を住宅目的以外で使用させるには、案件ごとに国に協議を行い承認を得る必要がございますが、都営住宅は応募倍率が非常に高く、現在恒常的な空き家はございません。また、公社住宅は、地方住宅供給公社法におきまして、現に住宅に困窮している者に対し賃貸することとされており、住戸を住宅目的以外で使用しておりません。

○石川委員 多摩ニュータウン向陽台六丁目団地の都施行型都民住宅の一階部分には空き住戸がありますが、こうした空き住戸を地元市が地域の在宅介護等のサービスを提供する場として活用することは時代に見合ったことといえますが、都の考えを伺います。

○臼井経営改革担当部長 お話の向陽台六丁目団地の都民住宅は、中堅勤労者等のファミリー世帯を対象に、国の補助金を受け都が設置し管理する都施行型都民住宅でございます。
 都施行型都民住宅につきましても、先ほどご答弁申し上げた都営住宅と同様に、住戸を住宅目的以外で使用させるには、案件ごとに国に協議を行い承認を得る必要がございます。
 なお、空き住戸につきましては、入居者の確保に向け入居者募集のPR強化や家賃の見直しに取り組んでおります。

○石川委員 介護や医療等の政策ではなく、住宅政策の一環として対応していくことが求められていることを指摘をしておきたいと思います。今後、重要な課題であり、モデルケースとして実現していくことを願っております。
 耐震改修促進事業等について伺います。
 東京都耐震改修促進計画は、地震により想定される被害の半減を目指し、都民の生命と財産を保護するため、都内の住宅建築物の耐震診断及び耐震改修を計画的かつ総合的に推進し、災害に強い東京を実現することを目的としています。また、区市町村における耐震改修促進計画の策定の指針となるものであります。
 大震災では、建築物が地震により倒壊した場合、倒壊した建築物が道路を閉塞すれば、震災時の避難、消火活動等を妨げることになりかねません。そのために、都市における建築物の所有者は耐震性能を確保する社会的責務を有しており、耐震性能が明らかでない建築物について耐震診断を行い、耐震性能が不十分な場合には、耐震改修等を行うことが不可欠であります。とりわけ幹線道路は大地震の発生時に、救急救命活動の生命線となり、主要な幹線道路を緊急輸送道路に指定して整備を進めてきました。
 首都直下型地震の切迫性も指摘されている中、こうした緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化が十分に進んでおらず、緊急輸送道路の機能を確保することが喫緊の課題となっています。そして、特別区及び市町村との役割分担のもと、都民と連携して緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化を推進する必要があります。そこで、耐震改修促進事業の緊急輸送道路沿道建築物耐震化促進事業等の平成二十七年度予算案の内容や考え方について伺います。

○佐藤耐震化推進担当部長 今回の予算案では、沿道建築物の耐震化に取り組む所有者に対する区市町村を通じた助成事業や専門家をアドバイザーとして派遣する耐震化支援事業など、合計約三百六億円を計上しております。
 これらの予算案は、区市町村へのヒアリング等における耐震化事業の実施予定を踏まえつつ、東京都長期ビジョンや東京都耐震改修促進計画で定めております来年度末における耐震化完了の目標に向けまして、必要な事業規模、件数等を勘案し計上しております。
 その中で、所有者が確実に耐震化に取り組めますよう、助成期限を延長し、来年度中に完了する診断、設計や来年度中に着手する改修工事につきましても、助成の対象とすることとしております。

○石川委員 緊急輸送道路沿道建築物耐震化促進事業の過去の予算の執行状況が余り芳しくないわけであります。耐震化事業は、所有者が実施主体となるという事業の性格から予算の想定どおりに事業が進捗しない場合があることも理解はできるわけでありますが、予算を執行し、着実に耐震化を進めるための取り組みについて伺います。

○佐藤耐震化推進担当部長 耐震化を進めるためには、所有者の耐震改修に関する理解を深め、個々の事情に応じたきめ細かい支援を実施していくことが重要でございます。
 そのため、都は、耐震キャンペーンや現場見学会の開催など、所有者の意識を高めるための積極的な普及啓発活動に取り組んでまいります。
 また、診断に関与し建物の状況をよく把握しておる建築士をアドバイザーとして改めて派遣するとともに、例えば、仮移転せずとも改修可能な工法の施工実績が豊富な建設業者に、工事内容や費用等の具体的な相談に応じてもらうなど、適切な情報提供を行ってまいります。
 引き続き、こうした取り組みによりまして耐震化の具体的な検討を強力に支援し、速やかに設計、改修へと結びつけてまいります。

○石川委員 次に、整備地域に的を絞って公的助成を実施しております木造住宅の耐震化のための助成制度についても、過去の予算の執行状況が芳しくないわけでありますけれども、予算を執行し、着実に耐震化を進めるための取り組みについて、伺います。

○佐藤耐震化推進担当部長 委員お話しの木造住宅の耐震化につきましては、所有者が主体的に耐震化に取り組めますよう、区市町村や関係団体等とも連携した耐震化キャンペーン等におけるセミナーや展示会、個別相談会のほか、パンフレットやホームページを通じて安価で信頼できる改修工法や、技術力のある設計事務所の情報提供などを実施しております。
 今後、区市町村や関係団体主催の耐震イベントやセミナーの場におきましても、都みずから改修工法をご紹介するなど普及啓発を強化してまいります。あわせて、震災時に大きな被害が想定されます整備地域におきまして、耐震キャンペーンの案内の各戸配布をふやし重ねて周知を図るなど、木造住宅の耐震化の一層の促進に取り組んでまいります。

○石川委員 ここ数年でも予算の執行率が極めて低いわけであります。
 平成二十五年度は、緊急輸送道路は百五十七億円の予算に対して、四十四億円の執行であります。また、木造住宅についての補助も六億二千万円の予算に対して七千六百万円の執行と、低迷をしているわけです。
 いずれの事業も急がなければならないものであります。目標を達成するためにも少しでも執行できるように、さらなる努力を求めておきたいと思います。
 次に、オリンピック・パラリンピックの終了後の選手村のまちづくりについて伺います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村は中央区晴海に計画をされており、住宅棟については、選手の宿泊施設として一時使用した後に、住宅等として生まれ変わる計画となっております。具体的な整備手法については、市街地再開発事業における特定建築者制度を導入して、民間事業者の活力や開発ノウハウを活用して、建物の整備を進めていく予定になっております。
 都では、多様な人々が交流し快適に暮らせるまちづくりを目指して、大会終了後の選手村予定地の基本的な考え方を、選手村大会終了後における住宅等のモデルプランとして取りまとめました。
 今後、このモデルプランをもとに環境影響評価条例、都市計画法等の諸手続を進めていき、平成二十八年春の市街地再開発事業の事業認可を目指していくとしておりまして、イメージ図や土地利用のゾーニングなども、さきのオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会に示されたところでございます。
 総戸数が六千戸で学校も建設予定となっておりまして、大会開催後、新しいまちができ上がるわけでありますけれども、そのタイムスケジュールをまずお伺いをしたいと思います。

○鈴木市街地整備部長 現在、モデルプランを基本に、環境影響評価手続を開始するとともに、選手村の整備及び大会開催後のまちづくりについて、都と共同して検討する事業協力者を公募中でございまして、今月中に選定いたします。
 その後、選定した事業協力者と共同し、おおむね一年かけまして、地域の魅力を高めるまちづくりのあり方について検討するなど、レガシーの具体化に取り組む中で、大会開催後のタイムスケジュールにつきましても整理してまいります。

○石川委員 私は、多摩ニュータウンのまちづくりの一角を担った経験からしますと、まちはなるべく時間をかけてつくる方が、人口のバランスも地域のニーズも必要に応じて吸収していくことができるというふうに考えております。
 また、まちづくりが完成しても、公的にプランニングをされてつくられるまちは、一定のリザーブ用地を残していくことが必要だというふうに考えております。これらまちづくりの考え方について、都市整備局の考え方をお伺いいたします。

○鈴木市街地整備部長 まちづくりにおいて、人口のバランスへの配慮、地域のニーズの把握などは重要でございまして、柔軟な検討が必要と認識しております。
 公的にプランニングされてつくられるまちは、一定のリザーブ用地を残しておくべきとのご意見でございますが、大会開催後のまちづくりは、選手村が大規模な住宅に生まれ変わることや、周辺を勝どきなどの既成市街地に囲まれていることなどを踏まえて、新しいまちの価値と魅力を高めていくことが必要であると認識しております。
 今後、事業協力者とともに、まちの魅力を高める事業計画を作成し、多様な人々が持続的に暮らせるまちづくりを確実に進めてまいります。

○石川委員 民間のよさを発揮することは非常に大切なことでありますけれども、民間は時間との戦いでもあります。しかし、計画的なまちづくりには、拙速は避けねばなりません。このことをしっかりと認識されまして、公的セクターであります都と区がよく協議して、オリンピック・パラリンピックのすばらしいレガシーであると、後から呼べるようなまちづくりを進めていただくことを求めまして、終了いたします。
 ありがとうございました。

○島田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十二分休憩

   午後三時二十九分開議

○島田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○立石委員 似たような質問になるかもしれませんけれども、また微妙な違いを認知してご答弁いただけたらありがたいなと思います。
 私は、住宅政策について何点かお伺いいたします。
 先月、総務省から平成二十五年の住宅・土地統計調査の結果が発表されました。この調査によると、都内には八十一万七千戸の空き家があり、五年前と比べると六万七千戸ふえております。全国でも空き家は増加しており、国では昨年、空家等対策の推進に関する特別措置法が成立し、二月二十六日には一部が施行されました。
 こうした空き家に関する動きを踏まえて、来年度の都と区市町村の取り組みについて、まずお伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 空き家に関する取り組みについてでございますが、都は、区市町村が実施いたします実態調査や総合的な対策を定める計画の作成、高齢者や子育て世帯などに民間が賃貸する住宅への改修助成に対しまして補助を行うことといたしまして、来年度、平成二十七年度は一億円の予算を計上したところでございます。
 区市町村におきましては、来年度、練馬区や調布市を初めとする十以上の区市町村で実態調査や改修助成など、利活用に向けた事業を実施する予定であり、都といたしましては、このような区市町村の空き家対策の取り組みを支援してまいります。

○立石委員 区市町村では来年度に向けた取り組みが開始されており、都は来年度一億円の予算を組んで、区市町村の支援をするとの答弁でございました。ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 私は、このように空き家の問題が行政の課題となったことは、よいことだと考えております。なぜなら空き家問題は、東京がたどってきた住宅問題の縮図であります。これからの住宅のあるべき姿を考えて、住宅政策を推進していくための契機となると考えます。
 戦争によって廃墟となった東京は、勤勉な都民の力でよみがえり、清潔で安全で活力に満ちた都市となりました。ロンドンやニューヨークと肩を並べる世界有数の大都市となり、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催を五年後に控えております。
 しかし、勤勉な都民の暮らしの土台である住宅を見たとき、果たしてこのままでよいのだろうか。戦後、国や都は、公庫融資による持ち家の取得促進、公営住宅の建設、公社、公団による住宅供給を柱とした住宅政策を推進して、一世帯一住宅を実現いたしましたが、それでも日本の住宅は、ウサギ小屋とやゆされてきました。
 その後、国や都の住宅政策も良質な住宅ストックの供給へと方針は変わったものの、今もなお新たなマンションやアパートが大量に建設されております。それが空き家の増加の原因ともなっています。
 空き家問題は、短期間で建てかえられてしまうような質の低い住宅を量産してきたことも原因の一因ではないかと思います。東京の経済的な活力は旺盛なのでありますから、その担い手である都民の住まいは、もっと豊かにならなくてはいけないと考えます。
 現在、東京都住宅政策審議会では、今後の住宅政策のあり方を議論しておりますが、この機会に、ぜひさらに質を重視した住まいづくりへの転換を図るべきであります。そこで、審議会では、こうした住まいの質についての検討はなされているかどうか、お伺いをいたします。

○加藤住宅政策担当部長 お話にございました住まいの質の問題につきましては、住宅政策審議会における重要な検討事項の一つとされているところでございます。
 二月九日の審議会におきましては、今後の住宅政策は、豊かな住生活の実現と持続を基本方針として、生涯にわたり都民の豊かな住生活を実現するとともに、まちの活力と住環境を向上させ持続させていくことを目指すべきとの基本的な認識が示されました。
 住まいの質につきましては、良質な住宅を安心して選択できる市場環境の実現などを目標といたしまして、住宅をつくっては壊すということではなく、質のよい住宅を長く大切に使うことを目指し、そのための方策を検討することとしております。

○立石委員 住宅政策審議会における検討の状況についての答弁が、ただいまありました。ぜひこの点を深めてもらいたいと思います。質の問題です。
 私が見たスウェーデンのストックホルムの北、ウメオを含むベステルボッテン県という県がございまして、この八階建ての分譲住宅は、木の寿命だけ、二百年ならば二百年の木の寿命だけ長もちさせる質を備えた木造の、耐火性もある、快適な住宅でありました。つくり方や住まいの様式など、東京でも、もっと豊かに多くの工夫ができるのではないだろうかと、そのとき思いました。
 住宅はもちろん私的財産であり、個人の持ち物であります。公的な介入には慎重であるべきとのご意見もあります。また、面積が広くなり、よりよい部材を用いれば、値段は上がり家賃も上がるとの批判があるかもしれません。しかし、長い目で見れば、良質な住宅をつくれば、修繕やリフォームなど、手をかけ大切に使うようになります。そうした住宅は、住み手はかわっても代々受け継がれていくことになります。
 こうした住宅がふえていけば、安全で快適な市街地を形成し、美しい景観を構成することになり、やがて地域全体として社会的な財産となっていきます。その視点に立って、今後の住宅政策を立案し、工夫に満ちた施策をどんどん実行していくべきであります。
 今後こうした考え方を持って、次の住宅マスタープランを策定していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 住宅は、生活の基盤であると同時に都市を形づくる基本的な要素でございます。お話のとおり、単なる私的財にとどまらず、社会的な性格を有していると考えております。
 こうした認識を持って東京を見てみますと、木密地域の防災性の向上、マンションや団地の再生、さらに、世代を超えて住み続けられる優良な住宅ストックの形成などの重要な課題が改めて明らかになります。
 新たな住宅マスタープランの策定に向けては、住宅政策審議会から平成二十八年八月ごろに最終答申をいただく予定であり、住宅の持つ社会的な側面を重視し、審議会における検討やマスタープランの策定に生かしてまいります。

○立石委員 ウサギ小屋とやゆされて育った世代として、現在、直面している空き家が増加している状況を質が高く世代を超えて受け継がれていく住宅に変えていく絶好のチャンスと捉えます。住宅マスタープランが策定されることを期待して、よろしくお願いをいたします。
 次に、選手村につきましても、先ほどほかの委員さんからご発言がありました。重なる部分はありますが、それはそれとして、質問させていただきます。
 平成二十七年度予算要望において、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村関連の予算が計上されています。選手村は、私の地元、中央区に整備が予定されており、また、私はオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会の委員でもあることから、幾つか質問いたします。
 昨年十二月に大会後の選手村のモデルプランを公表されましたが、このプランによれば、レガシーとなるまちは、多様な人々が交流し快適に暮らせるまちとなることを目指すとともに、さまざまな住まいに対応するよう、板状棟と超高層タワー棟のほか商業棟、学校予定地を配置し、街区内には緑豊かな広場空間を設ける計画になっています。
 このプランに基づき、都市整備局は、どのように整備を進めていこうとしているのか、所見をお伺いをいたします。

○鈴木市街地整備部長 今回、モデルプランでお示ししました選手村予定地の整備は、第一種市街地再開発事業により整備を行う予定でございます。
 都市整備局は、この再開発事業の事業者として、これまで蓄積したまちづくりのノウハウなどを生かし、特定建築者制度の活用など限られた期間内での選手村の整備や、大会後のまちづくりに取り組んでまいります。具体的には、新たなまちに導入する機能などレガシーとなるまちづくりを検討して事業計画を策定しまして、事業推進に努めてまいります。

○立石委員 オリンピックまであと五年となり、早期の取り組みが重要と考えられますが、具体的にその取り組み状況について、重ねてお伺いいたします。

○鈴木市街地整備部長 現在の取り組み状況でございますが、モデルプランに基づき環境への影響を予測評価しました環境影響評価書案を一月に提出し、先月には地元において説明会を開催したところでございます。
 今後、評価書案にかかわる見解書、環境影響評価書の作成など、環境影響評価条例に基づく手続など事業化に必要な手続を進めてまいります。
 また、整備に向けて基盤が必要でございますが、現在、基本設計を行っておりまして、引き続き工事の準備を進めてまいります。
 あわせて、選手村の整備及び大会後のレガシーとしてのまちづくりについて、都と共同して検討する事業協力者を公募中でございまして、今月中に選定いたします。

○立石委員 事業協力者とレガシーを検討するとのことでありますが、今後検討するレガシーとはどのようなものかをお伺いいたします。

○鈴木市街地整備部長 今後、事業協力者と共同し、地域特性を踏まえた魅力あるまちづくりに関する検討や多様な住まいの実現に関すること、生活利便施設、医療福祉施設の導入などに関すること、水素エネルギーや太陽光発電の導入策など、環境、エネルギーに関することなどの検討を行いまして、おおむね一年かけて事業計画を作成してまいります。
 これらを経て、平成二十八年春に市街地再開発事業の認可を取得する予定であるなど、選手村及びそのレガシーとなるまちづくりについて、都市整備局が主体的に取り組んでまいります。

○立石委員 これまでの答弁で、選手村整備に向けた都の取り組みについて理解いたしました。選手村を単なる大規模住宅街とするのではなく、国内外の多様な人々が集い、交流し、文化、技術、芸術など新たな価値を創造し、世界一の都市東京の実現に向けた等身大のショーケースとなる取り組みをしてほしいものです。
 先般、晴海の将来を見据えた取り組みを促す観点から、超高層タワーについては苦言を呈しましたが、その趣旨は、大規模な開発により新たに誕生するまちにどのような機能を導入し、その価値と魅力を高めていくのかが課題だということであります。住宅や生活利便施設だけでなく、あくまで例えでありますが、現在マンションを借りているような各国の大使館を誘致するなど、国際交流拠点としての機能の導入など、幅広い検討が必要であります。
 晴海地区、選手村の開発が次世代の都市像を国内外に示すものとなり、新たなレガシーとなることを期待して、質問を終わります。

○上野委員 私からは、都営住宅条例の一部を改正する条例について質問いたします。
 東日本大震災の発生から四年がたちましたが、被災者は今もなお全国で約二十二万九千人、東京都内においても七千五百人余りの方々が避難生活を送っておられます。
 都は、震災発生直後から迅速に被災者支援に取り組んできたと思っております。一日も早く避難所から住居での生活に移れるようにと、震災から三週間足らずの四月一日には都営住宅等への入居を開始いたしましたし、現在も都営住宅などにおいて、千五百世帯余りの避難者に応急仮設住宅を提供しております。こうした都の取り組みにつきましては、私は高く評価しているところでございます。
 一方、震災からはや四年が経過し、多くの避難者の方々は、今後の避難生活の先行きに不安を感じているのも事実であります。そうした中で今回提案されている都営住宅の条例の改正は、福島県の避難指示区域から都内に避難されている方々が、これまでの応急仮設住宅での仮住まいから都営住宅の一般募集に応募し、正式に都営住宅に入居しようとする場合の特例措置を設けるものと承知しているところであります。
 この条例改正により、これまで正式に都営住宅に申し込みができなかった収入基準を上回る方や若年単身者も応募が可能となることは、大きな前進であると思います。そこで改めて、条例改正を行うその背景を説明していただきたいと思います。

○臼井経営改革担当部長 都は、発災直後からこれまで、被災県からの応援要請に基づきまして、都営住宅等を活用し、希望する避難者全員に無償で応急仮設住宅を提供してきております。一方、福島県の避難指示区域におきましては、復興状況等に応じまして、一部地域で避難指示が解除されるなど、避難者を取り巻く環境も変化してきております。
 こうした状況を勘案し、避難者の居住先の選択肢をふやし、生活の安定に寄与するため、福島復興再生特別措置法に規定する居住制限者の入居資格の特例を都営住宅条例に反映させ、現に住宅に困窮していることが明らかである場合に、同居親族要件及び収入基準を満たすものとみなすこととしたものでございます。

○上野委員 都内での避難者の生活状況は、年齢や家族構成などによってさまざまでありますので、それぞれの事情に応じた選択ができることは大変結構なことだと思います。
 しかし、一方で、都が都内避難者に対して実施しましたアンケートによりますと、応急仮設住宅が無償で提供されている間は、応急仮設住宅に住むと回答している避難者も多いわけでございます。そこで、現在の応急仮設住宅の提供期間と、いつ延長が判断されたのか、お尋ねします。

○臼井経営改革担当部長 福島県からの避難者に対します応急仮設住宅の供与期間は、現在のところ平成二十八年三月末までとなっております。
 被災県におきましては、被災地の復興状況や被災者の実情等を踏まえまして、被災者の住宅需要に応ずるに足る適当な住宅が不足する場合に、一年を超えない範囲で応急仮設住宅の供与期間の延長を判断した上で、関係都道府県に応援要請を行っております。
 昨年の福島県の応援要請は五月に、宮城県及び岩手県につきましては六月に行われており、都は各県から応援要請を受け、応急仮設住宅の供与期間の延長を八月に決定しております。

○上野委員 被災県からの応援要請が継続された場合は、これまでどおり都も引き続き応急仮設住宅を提供していただくよう要望しておきます。
 では、応急仮設住宅として住んでいる場合と、都営住宅に改めて応募して入居する場合との違いについて、確認のためお尋ねいたします。

○臼井経営改革担当部長 応急仮設住宅は無償で提供されておりますが、被災県において一年ごとに期限延長の可否が判断され、延長されなかった場合は期限までに退去することが求められます。
 一方、今回の条例改正によりまして、改めて都営住宅に入居した場合には、毎年の収入に応じて決定される使用料を支払う必要がございます。
 また、都営住宅の入居時には収入基準は適用されませんが、入居後は一般の入居者と同様に、入居から一定の年数が経過し基準を超えた収入があるときは、収入超過者として明け渡し努力義務が課されます。さらに、高額所得者の基準を超えた場合は、明け渡し請求の対象となります。

○上野委員 ただいまの答弁は、私はもう大事なことだと思っております。誤解がないようにしなければならないと。
 このたびの条例改正で都営住宅の入居資格の基準が緩和されたことによって、例えば、収入基準を上回る方が応募できるわけですね。それで当せんして入居したとします。しかし、入居後は収入超過者に対する明け渡し努力義務が課され、明け渡し請求の対象となり、出ていかなければならなくなる事態も発生することが懸念されるわけでございます。
 また、条例改正が決まれば来月から応募が可能となります。例えば、五月の申し込みで当せんし、秋ごろ入居できたとします。その時点から家賃を支払うことになるわけですけれども、仮の話ですけれども、ことしの、例えば八月ごろに応急仮設住宅のさらなる延長が決定した場合には、同じ避難者でありながら、無償の方と家賃を払う方が同じ都営住宅内でも出てくるということが想定されるわけであります。
 今回の条例改正の内容だけでは、避難者の方々には、先ほどの説明いただいた内容はわからないわけであります。都営住宅にこれからも住み続けたいと思っている方は、こうした内容を知った上で賢明な判断をすることができるように、都は、避難者の方々に対し、応募に当たっては丁寧に説明すべきであると思います。今後、避難者の方々には、そのことをどのような形で周知されるのか、お尋ねいたします。

○臼井経営改革担当部長 都営住宅の募集案内に対象者専用のページを設け、入居資格や入居に伴い負担する使用料、収入超過者の明け渡し努力義務、高額所得者への明け渡し請求など、入居後の注意事項等を丁寧に記載し、ご案内するなど、避難者の方々への周知に努めてまいります。

○上野委員 答弁をお聞きして若干は安心しましたけれども、そのあたりについては本当にわかりやすいように、しっかりと説明をしていただきたいと思います。あくまでも避難者の方が誤解することがないように、丁寧な案内に努めていただきたいと思います。
 最後に、都営住宅における東日本大震災による都内避難者全体への対応について質問いたします。
 都内には、福島県の避難指示区域以外の地域からの自主避難者や、宮城県、岩手県からの避難者も多数おられます。都内への定住を希望している方も多いと聞いております。
 そこで、今回の条例改正は福島県の避難指示区域からの避難者に対する特例措置でありますが、宮城県、岩手県等からの避難者も含めて、東日本大震災の被災者に対して都営住宅への入居に当たっての優遇措置を講ずるべきと考えますが、都の見解を求め、私の質問を終わります。

○臼井経営改革担当部長 今回の条例改正によりまして、福島県の避難指示区域からの避難者に対しましては、福島復興再生特別措置法に基づきます特例措置を実施いたします。
 また、被災者の生活支援等を目的とした、いわゆる子ども・被災者支援法に基づく国の通知を踏まえまして、避難指示区域を除く福島県の浜通り地方、中通り地方からの自主避難者で、世帯の一部が都内に避難しているような場合には、収入認定及び使用料の算定に当たりまして、収入を二分の一として扱う特例措置を設ける予定でございます。
 加えて、都独自の支援策といたしまして、福島県の避難指示区域からの避難者及び浜通り地方、中通り地方からの自主避難者につきまして、都営住宅の当せん率が一般の五倍となる優遇措置を実施いたします。
 さらに、宮城県、岩手県を含むその他の東日本大震災の都内避難者のうち、住宅が全壊、流出するなど一定の要件に該当する者につきましても、同様の優遇倍率の措置を講じることとしております。こうした対応を本年五月の都営住宅の一般募集から実施いたします。

○白石委員 私からも幾つか質問させていただきます。
 二十七年度予算案では、地域と連携した延焼遮断帯形成事業に二十六年度で計上された予算約一億二千万円から二十七年度予算案では約二十一億円となり、十九億円の増額が提案をされています。この事業の対象となっている特定整備路線、補助二九号線の都市整備局所管区間について、幾つか質問をさせていただきます。
 まず初めに、都がことしの一月十四日に、国に事業認可申請を提出した書類について伺いたいと思います。
 特定整備路線、補助二九号線の都市整備所管区間の四百六十メーターについて、事業認可申請書類に記した申請理由について伺います。

○佐々木防災都市づくり担当部長 本路線の整備により交通の円滑化が図られるとともに、安全で快適な歩行空間が確保されること、また、延焼遮断帯である本区間の整備により、地域の防災性が向上することを申請理由としております。

○白石委員 今答弁されたように三つの理由が挙げられています。交通の円滑化、安全で快適な歩行空間、地域の防災性、この三つの理由を挙げて、道路建設の理由が挙げられているということになります。
 この二九号線の道路計画は、東急大井町線戸越公園駅を横断する計画となっており、四間通りまでの約二百メーター区間だけを見ても、信号、踏切があり、さらに信号を設置しなければいけない箇所も存在しています。
 十二月十九日の当委員会で、踏切待ちや信号待ちによって深刻な交通渋滞が懸念されるが、都は、交通シミュレーションなどを行って具体的に調査検討をしたのかという私の質問に、都は、鉄道や道路との交差部の交通処理については、今後必要に応じて検討していくと、このような答弁でした。要するに、十二月十九日の時点では必要性はまだ認識していないので、シミュレーションなどを行って具体的調査検討はしていないと、このようになります。
 この区間の事業認可申請を国に提出したのが一月十四日となりますので、十二月十九日の質疑から二十五日後に申請をしたということになります。この二十五日間に具体的調査検討が行われた上で、公的な書類である申請書類にその理由を書き込んだものと考えるのは、私だけではないと思います。
 そこで、交通の円滑化や安全で快適な歩行空間を申請理由としているならば、それを裏づけるシミュレーションや調査検討を行っているのか、お答えください。

○佐々木防災都市づくり担当部長 お尋ねのシミュレーションや調査は行っておりません。そもそも、都市計画道路は交通の円滑化、安全で快適な歩行空間の確保とともに、地域の防災性の向上を図るために整備するものでございます。

○白石委員 具体的調査検討はしていないということですね。
 都市計画道路は一般的に、交通の円滑化や安全で快適な歩行空間や防災性なんだと、このようにいっていますが、認可申請書類に書かれている道路建設の理由の根拠、シミュレーションは行っていないというふうにいっていますけれども、どこにその根拠が存在するのかが問われることとなります。
 そこで伺いますが、認可申請書類では、交通の円滑化、安全で快適な歩行空間が図られるというふうに書いてあります。その具体的根拠を示していただきたいと思いますが、いかがですか。

○佐々木防災都市づくり担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、そもそも、都市計画道路は交通の円滑化、安全で快適な歩行空間の確保とともに、地域の防災性の向上を図るために整備するものでございます。
 補助二九号線につきましては、平成十六年度策定の区部における都市計画道路の整備方針においても、混雑緩和への貢献、震災時の甚大な被害が想定される地域の防災性向上、延焼遮断帯の形成の観点から、その必要性を確認しているところでございます。
 また、本路線の整備により、歩道と車道を構造的に区分すること、また、無電柱化を行うことにより、当然、安全で快適な歩行空間が確保されるものでございます。

○白石委員 今答弁で、一般論的なところで述べているんですが、公的な書類に、安全で快適な歩行空間や交通の円滑化と、このようにはっきりと明記されています。
 これは具体的に、今の答弁は根拠にならないんですね。なぜなら、現在の交通状況は時間当たり何台の車が走行して、二九号線が仮に通ったとしたら、車両が何台増加するのか。また、自転車、歩行者の交通量なども調査して、二九号線を通したら、それぞれどのぐらいの交通量となるのか。この予測シミュレーションを行わなければ、交通の円滑化や安全で快適な歩行空間とは、本来いえないものだというふうに、私は強く指摘をしておきたいと思います。
 同時に、ここの区間では、先ほどもいいましたが、信号待ち、それから踏切待ちにどのくらいの時間がかかって、自動車などがどの程度滞留するかなど、交通渋滞の分析、検討もされていないというのが今の現実です。
 裏づけするデータを持ち合わせていないのですから、本来であれば、都の道路建設理由である交通の円滑化、安全で快適な歩行空間が確保されるなどと、現時点では本来説明できないはずなんです。それにもかかわらず、あたかも二九号線を通すと、交通の円滑化や安全で快適な歩行空間が確保されるかのように描き、道路を推し進めようとしていることが今の質問でも鮮明となりました。
 このもとで対象となっている地域住民や商店の方からは、住民に納得のいく説明がされていないと、このような声が出されています。この道路計画が再び起こってから、一日たりとも落ちついて生活ができず、不安な毎日を過ごしているという方もいらっしゃいます。七十年前の計画を何も見直すことなく進めることなど到底納得できないと、現実を無視した道路は不要だと、このような声も広がっています。こういうふうな声が噴出しているんですね。
 長年住んできた家や商店が、具体的根拠も示せない理由を並べられて立ち退きを迫られるなど、到底納得できないことは当然であり、怒りの声が広がるのは必然です。既にこの事業認可に対して、住民や商店の方では、不服審査請求の準備がもう始められています。
 次に、戸越公園駅周辺がどういう地域なのかについて質問していきたいと思います。
 先ほどもいいましたけれども、交通の円滑化や安全で快適な歩行空間の確保と聞くと、現在この地域は渋滞が深刻で、安全で快適な歩行空間が確保されていないかのような印象を受けますが、そこで伺いたいと思いますが、戸越公園駅周辺の地域において、自動車の交通渋滞などが慢性的に起こり、現在問題となっているのでしょうか。お答えください。

○佐々木防災都市づくり担当部長 現在、戸越公園駅周辺地域においては、自動車の交通渋滞などは問題となっていないものの、この地域は防災都市づくり推進計画において、震災時に大きな被害が想定される重点整備地域となっております。
 このため、特定整備路線に選定した補助二九号線を整備することによって、延焼遮断帯を形成するとともに、避難や救急救援活動の空間を確保することで、早急に防災性の向上を図る必要があります。また、本路線の整備により、幹線道路を補完し地域内の交通を効率的に集散させるとともに、歩道と車道を分離するなど快適な歩行空間を創出するものでございます。

○白石委員 今答弁があったように、渋滞の問題は発生していないんですね。また、安全で快適な歩行空間の対策がされていないかのような、そんなことを答弁されていますけれども、そんなことはありません。
 戸越公園駅中央商店街や戸越公園駅前南口商店街は、平日十六時から十八時、休日は十三時から十八時に自動車の進入を規制して、安全で快適にお買い物ができるように、対策をしているんですね。
 商店街が歩行者やお買い物客の皆さんに安心してお買い物ができるように、対策が現時点で取り組まれています。そこに二九号線を通せば、車の増加により、逆に歩行者は安全や快適ではなく、交通事故の危険性が増加するなど、本当にこういうことが起こってくる危険性が広がるということはいうまでもありません。
 また、この戸越公園駅周辺は、品川区内で一番踏切が多い地域となっております。区内に東急大井町線の踏切は十カ所ありますが、そのうち六カ所の踏切が連続しているのが、この戸越公園駅周辺の地域なんですね。
 戸越公園一号踏切というのがありますが、これは二九号線に係る踏切です。この踏切は、既に歩行者の通行が多く、歩行者の踏切待ちが課題となっている歩行者ボトルネック踏切として、国の緊急に対策の検討が必要な踏切となっています。
 二九号線の整備を強行すれば、ここに新たな問題が加わります。二九号線の交通量は、最大で一日約一万台というキャパシティーです。東急電鉄に私、問い合わせをいたしました。戸越公園駅周辺の踏切の警報機が鳴っている時間は、問い合わせたところ、一日で約八時間前後というふうな回答でした。
 自動車交通量に踏切遮断時間を掛け合わせて出される一日当たりの踏切自動車交通遮断量が、五万台時以上を超えると、国の緊急に対策の検討が必要な踏切の要素として、自動車ボトルネック踏切に加わるおそれがあるというふうになります。
 自動車交通量、この二九号線は一日最大で一万台だと。警報機が鳴って閉まっている時間が八時間前後ですので、一万掛ける八で八万台時となり、ここで、今まではなかった自動車ボトルネックの踏切、こういうような問題が新たにこの地域に、負担が押し寄せるということになるんですね。
 歩行者に加え自動車もボトルネックとなる危険性があるので、これでどうして交通の円滑化に貢献するための道路と、こういうことをいえるのか、お答えいただきたいと思います。

○佐々木防災都市づくり担当部長 委員からただいまご指摘ございました踏切の遮断時間等踏切の状況、また当該地域につきましては、地元品川区で本年一月に戸越公園駅周辺のまちづくりビジョンを策定しているところでありまして、まちづくりについても今後動き始めようとしているところでございます。
 こういった現場の状況、あるいは事業の進捗状況を踏まえまして、今後、道路整備に当たり、交通管理者や鉄道事業者等の関係機関と十分に協議し、必要に応じ検討してまいります。

○白石委員 質問に答えていただいていないんですね。
 今回、二九号がかかって、先ほどいったように、八万台時というふうな形で、国の緊急に対策の検討が必要な踏切として新たな項目として加わり、こういうふうな交通渋滞が懸念されるということが単純計算でもわかるんですね。
 そういった上で、都は、この二九号線が通れば交通の円滑化になりますよと、安全で快適な歩行空間が生まれるんですよと、このようにいっているんですけれども、今の事実からして、交通の円滑化に貢献するための道路となるというふうにいえるんですか。お答えいただきたいと思います。

○佐々木防災都市づくり担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、本路線の整備によりまして、幹線道路を補完し地域内の交通を効率的に集散させることによりまして、地域の交通の円滑化が図れるものと考えております。

○白石委員 それはめちゃくちゃな答弁なのですよ。
 今、私が聞いたのは、この踏切の問題で交通渋滞が生まれるんじゃないんですかと。本来は、こういうふうな懸念がある際には、シミュレーションなどして、どういうふうになるのかということを本来はやってから、理由が掲げられるというのが当然の行政の責任だと思います。
 戸越一号から四号までの踏切までは、重点踏切として指定されています。特に二九号線のかかる、先ほどいった戸越一号踏切が指定されている理由は、また改めていいますけれども、歩行者と自転車の交通量が多いことと、それから防災面で課題となる踏切としての指定なんです。車の交通量が多いことでの指定ではありません。その中で二九号線が通されてしまえば、今までこの地域には存在していなかった交通渋滞が新たに加わって、この地域にさらに負担がのしかかるという可能性が極めて高くなるんですね。
 また品川区がことし一月に発表した、先ほどもおっしゃられました戸越公園駅前周辺まちづくりビジョンの概況には、この地域は高齢化率が区平均より高くて高齢化が進行していると、このように記載されています。
 七十五歳以上の後期高齢者率は、品川区の平均が九・九五%に対して戸越五丁目は一〇・二八%、戸越六丁目は一一・九三%と、それぞれ区の平均よりも上回っているとおり、高齢者が多い地域に、自動車の走行が増加するということになると、交通事故などの新たな危険性が高まるのは当然です。
 内閣府が発表しています平成二十六年度の交通安全白書では、高齢者の交通事故、死者数は十二年ぶりに増加をしたと、このように書いています。交通事故が起こる最も多い状況は、どういうケースかというデータもあるんですね。そうすると、歩行中という結果となっています。
 二九号線が通されれば、安全で快適な歩行空間など、こんなことは確約されないんです。また、騒音や排ガスなど人体への健康被害の懸念だって増加していくと、このような状況を本当に都は全く見ていないというふうに強く指摘したいと思います。
 このようなことが示されても、なお二九号線を通す理由として、交通の円滑化、安全で快適な歩行空間が確保されると、住民や、そして議会に説明されるんですか。お答えください。

○佐々木防災都市づくり担当部長 ただいま委員から、歩行者の安全についてのお尋ねがございました。先ほどもご答弁申し上げたところでございますが、本路線の整備により、歩道と車道を構造的に区分することによりまして、歩行者の安全、それから実際の事業に当たりましては、交通管理者と、横断歩道の位置等を適切に配置することによって、安全を確保してまいりたいと考えております。

○白石委員 全くめちゃくちゃなんですね。現時点で商店街は、お買い物道路の、時間も指定して車の流入規制をしているんですよね。本当にこういうふうな、今、安全対策という形でやっているということなんですよ。全く都に、道理がないということなんですね。
 しかも、この四百六十メーター区間だけで、どのくらいの税金がつぎ込まれるのかというと、事業費は約百十四億円という、莫大な税金が、この四百六十メーター区間だけで投入される計画となっています。当然、原資は、国民、都民の税金です。
 特定整備路線は、国からも補助が出る事業となっております。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律が適用されるということであります。この法律は、第一義的には、事業主体が守る法律となっております。この法律の三条の二には、関係者の責務が次のように定められています。補助事業者は、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われることに留意して、誠実に補助事業を行うよう努めなければならないんだと、このように規定しています。
 その観点からも、今の都の姿勢は、全く根拠も示せない道路建設の理由を並べて、地域住民や商店から納得のいく説明がされていないんだと、このような声が上がっているにもかかわらず、何らみずからの姿勢を改めることもせずに事業を進めようとしていること、事業主体の責務など果たしていないこと、さらに誠実さのかけらも全くないことを強く申し述べておきたいなというふうに思います。
 それでは次に、補償の問題について質問いたします。(発言する者あり)ちょっと委員長、とめてくれますか。
   〔発言する者あり〕

○島田委員長 ご静粛に願います。

○白石委員 いいですか、静粛にしてください。
 次に、補償の問題について質問をいたします。
 都市整備局所管分で確保している都営住宅の戸数と代替地はどのくらいの面積で、場所はどこにあるのか、伺いたいと思います。

○佐々木防災都市づくり担当部長 まず都営住宅のあっせんにつきましては、都市整備局所管分の公共事業のための移転先として、入居資格を満たす方々の意向を踏まえて、これまでもあっせんしてきておりまして、平成二十六年度は六十六戸の都営住宅の枠を確保しているところでございます。
 また、代替地につきましては、墨田区に約一千二百四十平方メートルを保有しているほか、建設局が区部に保有する約八十画の代替地についても、建設局と連携して紹介していく予定にしております。
 なお、生活再建につきましては、都営住宅のあっせんや代替地の提供だけでなく、相談窓口の設置、優遇金利による移転資金の貸し付けなどのさまざまな支援策を実施し、きめ細やかにサポートしてまいります。

○白石委員 六十六戸の都営住宅を現在確保されているというふうに、今答弁でありました。二九号線だけで確保されているわけではないので、土地区画整理事業、公共事業とあわせて、さらには目黒区の四六号線の特定整備路線や北区の八六号線など、こういうふうな特定整備路線の事業もありますので、その中で六十六戸というふうな状況です。
 代替地も関係局と連携しながらと、建設局さんなどだと思いますけれども、連携しながら紹介をしていくとしていますが、現在、墨田区には千二百四十平米が確保されているというふうな話です。品川区内の代替地は、今現在は都市整備局としては持っていないというふうなことですね。確保されている都営住宅六十六戸以上の申し込みがあった場合、どのような対応をするのか伺いたいと思います。

○佐々木防災都市づくり担当部長 特定整備路線の生活再建につきましては、関係権利者の移転や再建の意向等を伺う中で、都営住宅への移転を希望される方も含め、お一人お一人のご事情やご要望を確認した上で対応してまいります。
 また、都営住宅のあっせんや代替地の提供だけでなく、相談窓口による地元民間の賃貸物件や不動産の紹介、不動産協会等を通じた幅広い情報収集など、個々の権利者の事情に合った生活再建を支援してまいります。
 なお、過去の都営住宅のあっせん実積を見てみますと、予定戸数を下回っており、十分に対応できているところでございます。

○白石委員 きめ細かな対応をしていくと、このように繰り返しおっしゃってはいるんですけれども、補償の中身に、従来の道路計画と比べ新たに加わったのは、地域に相談窓口を加えることと、融資の際に利子をわずかに引き下げることのみだということです。
 低所得者には都営住宅をあっせんするとしていますが、確保されている住戸は今年度ベースで、先ほど述べられた六十六戸です。しかも、全ての都営住宅がこの事業に充てられるものではありませんので、この地域からすれば、高齢化が進んでいる中で、まさにこのように都営住宅を希望されても入れない状況が、この地域だけではなく北区の路線であったりとか、目黒区の路線でも生まれるということが容易に考えられます。
 このように、道路建設の理由を根拠も全くなく、しっかりと対応もすることもなく進めようとすることは、絶対許すわけにはいきません。この特定整備路線は白紙撤回をするということを強く求めて、この質問を終わりたいというふうに思います。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について質問をしたいと思います。
 初めに、特定緊急輸送道路沿道建築物について、都は、耐震診断を義務化して取り組んでいますが、診断の実施状況について伺いたいと思います。

○佐々木防災都市づくり担当部長 済みません、先ほどご答弁の中で、正確さに欠ける部分があったので訂正させていただきたいと思います。
 都営住宅のあっせんについてでございますが、都市整備局所管分の公共事業につきましては、特定整備路線と、あと土地区画整理事業という二つの公共事業ということでございます。おわびして訂正させていただきます。

○佐藤耐震化推進担当部長 特定沿道建築物の耐震診断につきましては、これまでの取り組みにより、本年一月末現在、対象建築物約五千件のうち約九割が診断に着手しております。
 都は、区市が期限を示して指示したにもかかわらず診断を実施しない建築物につきまして、本年二月に第一回の公表を実施いたしました。これに先立ちまして、文書や電話で督促を行いました結果、公表を予定しておりました件数の三割に当たる十一件が、診断に着手することとなりました。
 引き続き、残る未診断建築物の所有者に対しまして、区市町村と連携した個別訪問等により実施を強く促してまいります。

○白石委員 現在対象の建築物約五千棟のうち、約九割が耐震診断を行っているのが現状ですから、次のステージとして、耐震改修を本格的に進めていくことが求められています。
 改修の助成実績を見ると、資料でも出していただきましたが、平成二十五年度で百十九件というふうな実積となっています。耐震診断に比べ耐震改修が進んでいないというのが現状です。
 そこで、診断の結果、必要な耐震性能を満たしていない建物について、耐震化に向けてどのように都として取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○佐藤耐震化推進担当部長 耐震改修を進めるには、所有者の改修に関する理解を深めることが重要でございます。このため、現場見学会等を通じて耐震改修を実現した所有者から、調整の経緯や工事中の状況などにつきまして、参加者が直接話を聞く機会を設けております。また、アドバイザー派遣により仮移転せずとも改修可能な工法等の提案など、適切な情報提供を行っております。
 所有者の負担を軽減するための施策としまして、都は平成二十六年一月、改修の助成率を最大十分の九にまで拡大いたしました。さらに、改修の助成期限を延長し、来年度中の工事着手分までを対象とすることといたします。
 あわせて、低利融資制度を実施しております十二の金融機関や住宅金融支援機構とも連携いたしまして、耐震化セミナーでの説明会や個別相談会等を通じて、助成制度と各種融資制度の周知に努めているところでございます。

○白石委員 耐震診断はしても改修に進めない理由は、居住者間の合意形成とか資金の問題だということは、この間も幅広く議論されています。
 きょうここで私が一番いいたいことが、一つあります。私のところにあるマンションの理事長さんから相談が寄せられました。そのマンションは、特定緊急輸送道路の沿道にあり、十四階建て築四十年のマンションです。すなわち緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の助成対象となる建物となっております。
 耐震診断を受けたところ、診断が六・八で倒れる危険性があるというふうな結果に、理事長さんを先頭に、どのようにして震災からマンションや居住者の命、財産を守るのか、建物の耐震化をどのようにして図るのか、繰り返し話し合いの場を持ち、居住者の合意形成に努力してきました。
 マンションの居住者の構成は、高齢世帯が四〇%、賃貸として住まわれている世帯が四〇%、残りの二〇%が若い世帯というふうな構成となっており、合意に至るまでには非常に、容易ではなかったと、このように話します。しかし、繰り返し、話し合いや勉強会も開くなどして説得し続けた結果、何とか合意形成にまで至ったと、このように話しております。
 区に対して補助金が幾ら出るのかとか、それから融資を紹介してほしいなどの資金面の相談をしたところ、融資では低利融資制度があることや補助金などの相談も受け付けてくれ、具体的に、検討をその段階ではされていたそうです。
 低利融資では当然、つなぎ融資もしてくれると思い、相談窓口でも、つなぎ融資は受けられると話していたので、具体的に検討を進めていこうというふうな段階に入りました。そうしたら、補助金も低利融資も、工事の完了後に受けることとなることが明らかとなりました。そのことを知ったときの理事長さんは、もうやる気にさせておきながら、現在の制度はマンションの実態とかけ離れた使いにくいものとなっていると、全く意味がないんだと、行政に裏切られた気分だと、このような怒りをあらわにして話をしてくれました。
 工事業者には、工事の着工時に全体の費用の三〇%、中間で三〇%、最後に四〇%の工事費を支払うこととなっており、工事費の全額の資金を持っていなければ、たとえ補助金があろうとも低利融資があろうとも、耐震改修の工事に踏み出せないというふうなことでした。
 都は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修等支援融資制度を取り扱う十二の指定銀行と契約、提携を結んでいます。私が調べた範囲では、十二銀行中つなぎ融資を行っている銀行は一銀行しかありません。これでは、耐震改修に踏み出そうとしても、資金面から断念せざるを得ない状況が広がってしまいます。
 この理事長さんは十二銀行全部に電話して、何とか一銀行、つなぎ融資をやってくれるというふうにこぎつけて、今耐震改修に向けて具体的に取り組まれています。都として少なくとも、補助金やつなぎ融資を工事完了後ではなくて、工事を着工するときや途中であったりという段階を踏んで受けられるような、使いやすい制度設計に拡充して、一刻も早く耐震改修を、この緊急輸送道路沿道建築物でも広げていくよう、強く要望いたしまして質問を終わります。

○島田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島田委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十分散会

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