都市整備委員会速記録第十一号

平成二十五年十一月十四日(木曜日)
第六委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長斉藤あつし君
副委員長神林  茂君
副委員長大島よしえ君
理事加藤 雅之君
理事秋田 一郎君
理事立石 晴康君
石川 良一君
白石たみお君
島崎 義司君
吉倉 正美君
中山 信行君
木村 基成君
北久保眞道君
尾崎 大介君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務藤井 寛行君
次長中嶋 正宏君
技監安井 順一君
理事櫻井  務君
理事佐野 克彦君
総務部長浅川 英夫君
都市づくり政策部長永島 恵子君
住宅政策推進部長細渕 順一君
都市基盤部長西倉 鉄也君
市街地整備部長鈴木 昭利君
市街地建築部長久保田浩二君
都営住宅経営部長上野 雄一君
企画担当部長福田  至君
連絡調整担当部長黒川  亨君
景観・プロジェクト担当部長小野 幹雄君
まちづくり推進担当部長佐藤  匡君
住宅政策担当部長加藤  永君
民間住宅施策推進担当部長山崎 弘人君
地下鉄改革担当部長牧野 和宏君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務山下 幸俊君
防災都市づくり担当部長佐藤 伸朗君
多摩ニュータウン事業担当部長太田 誠一君
耐震化推進担当部長佐藤 千佳君
経営改革担当部長桜井 政人君
再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務小野寺弘樹君
営繕担当部長妹尾 高行君

本日の会議に付した事件
都市整備局関係
事務事業について(質疑)

○斉藤委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、さきの台風二十六号によりお亡くなりになられた方々に対し、心より哀悼の意を表し、謹んで黙祷をささげたいと思います。
 皆様、ご起立をお願いいたします。
 黙祷。
   〔全員起立、黙祷〕

○斉藤委員長 黙祷を終わります。ご着席ください。

○斉藤委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者側の説明を求めます。

○浅川総務部長 九月十七日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1の都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況から12の都内分譲マンションの着工戸数の推移までの十二件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1、都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
 過去五年間のエレベーターの設置状況を、既設都営住宅及び公社住宅につきまして年度別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、平成十九年八月二十五日以降の都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
 平成十九年八月二十五日以降発生した使用承継事由発生件数及びそのうちの使用承継申請件数、使用承継許可件数及びその内訳について、使用承継事由発生期間別に記載してございます。
 三ページをごらんください。3、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
 都道府県と政令市ごとに、平成二十五年十月一日現在の実施状況を記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、都営住宅入居収入基準引き下げにより収入基準を超える現入居世帯数でございます。
 平成二十五年六月三十日現在の都営住宅入居世帯のうち、入居収入基準の引き下げにより新たに引き下げ後の基準を超える世帯数を記載してございます。
 五ページをごらんください。5、都営住宅、公社住宅における入居者の年齢別世帯数の状況でございます。
 都営住宅、公社住宅の別に、名義人の年齢区分が六十四歳以下、六十五歳以上の世帯数及び割合を記載してございます。
 六ページをお開き願います。6、都営住宅における期限つき入居の募集戸数でございます。
 都営住宅における期限つき入居の募集戸数を年度別に記載してございます。
 七ページをごらんください。7、都営住宅建てかえによる型別供給実績でございます。
 都営住宅建てかえによる型別供給実績を年度別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。八ページから九ページにかけまして、8、都営住宅の応募状況でございます。
 (1)では、世帯向けに実施した抽せん方式による募集、(2)では、単身者向けに実施した抽せん方式による募集、(3)では、ポイント方式による募集について、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、都営住宅の管理戸数、空き家戸数、募集停止戸数でございます。
 都営住宅の管理戸数、そのうち事業用及び募集用別の空き家戸数並びに募集停止戸数を記載してございます。
 一一ページをごらんください。10、公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き家状況でございます。
 公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き家状況について、管理戸数及び空き家戸数を年度別に記載してございます。
 一二ページをお開き願います。11、都営住宅、公社住宅の耐震診断、耐震改修工事の実績でございます。
 都営住宅及び公社住宅につきまして、平成二十五年三月三十一日現在の耐震診断及び耐震改修工事の実績を記載してございます。
 一三ページをごらんください。12、都内分譲マンションの着工戸数の推移でございます。
 過去五年間の都内分譲マンションの着工戸数を年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○島崎委員 それでは、私の方から大きく二点質問させていただきたいと思います。
 まず一点目として、木造住宅密集地域の整備についてであります。
 政府の地震調査委員会では、二〇〇七年からの三十年間で、南関東におけるマグニチュード七前後の直下型地震の発生確率を七〇%と推定をしております。
 先日、各会派の都議が出演をして放送されたMXテレビの番組の中でも、東大地震研の試算として、首都直下地震は今後四年以内に七〇%の確率であること、東京都防災会議が想定したマグニチュード七・三の東京湾北部地震の場合の死者は九千七百人、建物被害は約三十万棟。多摩直下地震の場合は、死者四千七百人、建物被害は約十四万棟、想定される死者の四割は火災によるものであることなどが示されておりました。
 平成二十二年一月に改定した東京都の防災都市づくり推進計画では、木造住宅密集地域が存在する地域を中心とした二十三区と多摩地域の七市、武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、小金井市、西東京市、狛江市について、防災生活圏を設定し、延焼遮断帯の整備を進めるとともに、震災時の大きな被害が想定される地域を整備地域として指定し、防災都市づくりの諸施策を展開していきますと記述をされておりました。
 その後、都は、平成二十四年一月に、木密地域不燃化十年プロジェクト実施方針を発表し、不燃化特区制度を創設したことによって、整備地域にある区部の取り組みを優先して強力に進めることになりました。
 不燃化特区の取り組みは、もちろん着実に推進していただきたいものでありますが、九月に都が公表した地域危険度測定調査によると、私の地元武蔵野市でも、火災危険度ランク四の地域を抱えていることがわかりました。この地域が火災危険度ランク四になった理由は何でしょうか。まず伺います。

○佐藤防災都市づくり担当部長 火災危険度は、それぞれの地域での出火の危険性と延焼の危険性をもとにしまして、地震の揺れにより延焼火災が生じる危険性の度合いを測定した指標でございます。
 先生ご指摘の武蔵野市の火災危険度ランク四の地域は、吉祥寺北町一丁目でございまして、この地域は、道路の幅員が狭く、周囲と比較して古い木造住宅が密集し建物棟数も多いことから、地域危険度測定では出火確率が高く算定されるということになりまして、火災危険度が相対的に高くなってございます。

○島崎委員 今回の地域危険度調査では、災害時活動困難度という指標を新たに導入していますが、この災害時活動困難度を考慮することによって、どのようなことが明らかになるのか伺います。

○佐藤防災都市づくり担当部長 災害時活動困難度は、災害発生時の避難や消火、救助活動の困難さを評価するため、生活道路や都市計画道路など災害時の活動を支える道路の整備状況を測定した指標でございます。
 これによりまして、不燃化や耐震化といった建物自体への取り組みに加えまして、道路整備などのまちづくりをあわせて行っていく必要がある地域を明らかにすることができます。
 具体的に、吉祥寺北町一丁目を例に挙げますと、この地域は道路が狭いため、災害時活動困難度を考慮することにより、総合危険度がランク二からランク三へと高くなる結果となっております。
 したがいまして、この地域では、地震発生時に出火した場合、延焼火災が拡大しやすく、緊急車両の進入が困難であることから、住宅の建てかえなどの際に、塀や柵を後退させ、狭隘な道路を拡幅していくなどの取り組みが必要となります。

○島崎委員 それでは、多摩地域においては、都としてどのような木密地域改善への支援、取り組みが行われているのか、改めてご報告をお願いします。

○佐藤防災都市づくり担当部長 都は、おおむね五年ごとに地域危険度測定調査の結果を公表いたしまして、日ごろから十分な備えと対策を講じるよう都民の意識啓発に努めております。
 また、木造住宅密集地域を抱える多摩地域の七市におきましては、都市計画道路などを延焼遮断帯に位置づけまして、沿道建築物の建てかえとあわせて都市計画道路の整備を行うことで、延焼火災の拡大を防ぐ防災生活圏の形成を図っております。例えば、現在都が整備中の都市計画道路武蔵野三・四・二四号線、いわゆる天文台通りなどでは、延焼遮断帯に該当いたします。
 さらに、多摩地域においても、防災性の向上に寄与する市街地再開発事業や土地区画整理事業などが行われてきておりまして、都は、これらを技術的、財政的に支援してきております。
 今後とも、このような取り組みにより、災害に強いまちづくりを進めてまいります。

○島崎委員 最後に、多摩地区においても防災性を高めるべき地域が存在をしております。都としても、これらに対する市町村の取り組みを積極的に支援していただきたいと申し上げておきます。これは要望とさせていただきます。木密地域に関する質問は、これで終わらせていただきたいと思います。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
 緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を推進することは、首都直下地震の切迫性が指摘される中で、震災時の避難、救急救命、消火、救援等、震災から都民の生命と財産を保護し、首都機能を維持するための極めて重要な取り組みであります。
 都はこれまで、平成二十三年四月に東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例を施行した後、同六月に特定緊急輸送道路を指定、平成二十四年四月からは、緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断の義務化と要改修建築物の改修の努力義務化などで対応をされ、徐々にその成果が上がりつつあることがわかりました。
 私の地元武蔵野市では、井ノ頭通りと三鷹通りが特定緊急輸送道路に指定され、ことし九月末現在、特定沿道建築物百七件中、耐震診断を行った物件は六十五件で、その後、診断の結果を受けて耐震設計に進んだ物件が三件、その先の改修に進んだ物件が二件、除却した物件が一件と聞きました。
 東京都全体としては、特定沿道建築物が約五千棟あり、そのうち七割を超える建築物が既に診断に着手しておりますが、残り三割弱についても、早急に診断を実施してもらわなければなりません。
 なぜ診断を受けない特定沿道建築物がまだまだ多いのか、また、耐震改修については、診断と異なり努力義務であり、かつ自己負担があるという点で状況は異なりますが、診断の結果、要改修となった物件がなぜ改修に進まないのか、都の所見を伺います。

○佐藤耐震化推進担当部長 東日本大震災以降、防災意識も高まり耐震診断に着手する件数が大きく伸び、その後の耐震改修への準備を進める建物所有者も着実にふえてきてございます。
 一方で、診断業者の選定や助成申請の手続に手間がかかることなどを理由に、実施に消極的となられているケースや診断の意向はあるものの、例えば、分譲マンションでは、区分所有者間の合意形成に時間がかかり、いまだ実施に至っていないケースなども見受けられます。
 また、建物所有者には、改修か建てかえかの判断や資金調達、相続などさまざまな事情があり、診断を改修に結びつけていくためには、個々の事情に応じたきめ細かな対応を実施することが必要だと認識しております。

○島崎委員 私も地元でそのような声をお聞きしております。
 特定沿道建築物は、そのうち一棟でも倒壊して道路を閉塞させると、緊急輸送道路の通行機能を失わせ、救急活動や消火活動、復旧、復興にも大きな影響を与えます。設計、改修になかなか進まない状況は憂慮すべきものであります。
 診断と改修はセットで進めなければ、震災時、緊急輸送道路としては機能をいたしません。首都機能を守るという東京都のリーダーシップをさらに発揮し、都内各自治体や関係団体との連携をもっと強め、沿道建築物の耐震化を着実に前進させていただきたいと思いますが、都の見解、決意をお伺いいたします。

○佐藤耐震化推進担当部長 耐震化の推進に当たりましては、首都直下地震の切迫性に鑑み、早期の耐震化の必要性を建物所有者にご理解いただくとともに、助成制度などの支援策を適切に実施することが重要でございます。
 このため、耐震診断につきましては、引き続き、区市町村とも連携して、個別訪問等を通じた建物所有者への働きかけを強め、個々の事情にも十分配慮しながら早期の診断実施を促してまいります。
 また、耐震改修につきましても、建設関係団体や金融機関との協定締結による相談体制の強化に加えまして、今年度からは、改修工事などのハード面だけでなく、弁護士や不動産コンサルタントなどのソフト面での相談に応じる専門家の無料派遣を開始しております。
 さらに、国におきましては、今月末の改正耐震改修促進法の施行に合わせまして、補助制度を拡充することといたしており、都といたしましても、国の補助制度の活用の検討などさらなる支援策の充実に努め、特定沿道建築物の耐震化に向けて全力で取り組んでまいります。

○島崎委員 条例によって義務化され罰則規定もある耐震診断については、引き続き取り組みの強化をお願いいたします。
 あわせて、最終目標である耐震化の完了に向けて、都民の理解と協力が得られるようさらなる支援策の充実を、ぜひともよろしくお願いし質問を終わらせていただきます。

○中山委員 本日は、大きく二項目について何点か質問させていただきます。
 初めに、空き家対策でございます。
 都内には、世帯数を一割以上上回る約七十五万戸の空き家が存在しております。こうした空き家を、子育て世帯や高齢者世帯など住宅確保において配慮を必要とする世帯向けに活用していくことが重要と考えます。
 都は、昨年度から、住宅マスタープランにも掲げておりますとおり、空き家活用モデル事業を実施されています。昨年度は残念ながら応募には至らなかったそうですが、本年度は一件応募があったと伺っております。
 そこで、応募があった物件について、どのような住宅をどのように活用するものなのか、また、現在の進捗状況についてお伺いをいたします。

○加藤住宅政策担当部長 空き家活用モデル事業につきましては、空き家の利活用方策の可能性を検証するために行ってございます。
 今回、応募のあった物件につきましては、高齢者などの居住支援を行っているNPO法人が、戸建て住宅を所有者から借り上げまして、高齢者五世帯の共同居住用として活用するというものでございます。
 九月下旬に応募がございまして、補助金の交付決定の手続を行いまして、現在、バリアフリー化などの改修工事を行っております。

○中山委員 ルームシェアは、一般に若者の間では盛んでございますが、個々人の人生の年輪の重みが共同生活の壁となりがちな高齢者におけるルームシェアを実現するため、対人的な折衝に丁寧さと経験を持つNPOなどが関与する実例を導いたことは、大変有意義であるというふうに思っております。
 ぜひ、都はこの芽吹きを、プライバシーや金銭トラブルの回避だけでなく、個々人の政治信条や趣味、嗜好などの相違を公平、公正に尊重し合えるルームシェアの取り組みとして成功をおさめるまで、大切に育てていただきたいと思います。
 改めて申し上げますが、都のモデル事業で応募があったような、戸建ての空き家を活用して高齢者の共同居住を行う取り組みなどは、大変有意義なことでございますが、その際には、空き家の所有者とNPOなどとのマッチングが重要となってまいります。
 いわゆる住宅セーフティネット法では、子育て世帯や高齢者世帯などの民間賃貸住宅への円滑な入居を推進するために、居住支援協議会を組織することができるものとされており、地方公共団体、不動産関係団体、NPO等の居住支援団体などがメンバーとなることが想定されております。
 都内でも、既に江東区、豊島区、板橋区の三つの区においてこの居住支援協議会が設置されており、空き家の所有者とNPOとのマッチングに取り組んでいる例もあると伺っております。
 個別事案に対してきめ細やかな対応を進めていくためには、住民に身近な区市町村において居住支援協議会を設置し、地域の特性に応じた施策を展開していくことが必要であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 地域の高齢者や子育て世代、こういった住宅の確保に配慮が必要な方々に対しまして、それぞれの地域の実情に応じたきめ細やかな支援を行うためには、基礎的自治体であります区市町村が中心となりまして、関係団体あるいはNPOなどと連携をして取り組むということが非常に重要であるというふうに考えてございます。
 そのためには、ご指摘のとおり、区市町村が居住支援協議会を設立いたしまして、主体的に活動することが効果的であると思いますので、今後、都といたしまして、区市町村における居住支援協議会の設立を促していきたいと考えております。

○中山委員 私は、今後、各区市町村が設置する居住支援協議会の活動に大きな期待を寄せております。
 住宅政策は、貧困などの格差の解消や福祉の充実、また、新たな成長の原動力、子育て支援、高齢者や障害者の生活の安定、防災や防犯の充実、新たなまちの魅力の創出につながる大事な課題でありまして、民間を含め、知恵の結集が大切であります。
 しかし、そうした提案を寄せたくても、その提案を受けとめる受け皿が、これまではなかなか見当たらなかったのが現状であります。さらには、地域住民の合意形成を図る町会、自治会などの取り組みが、地域性として薄かったり、そうした町会、自治会役員への過度な役割の集中を避ける必要のある地域もあるのではないかと考えます。
 そうした意味で、区市町村における居住支援協議会の設置は、極めて重要な一つのきっかけとなるものと思います。住宅政策のノウハウの蓄積の薄い区市町村の経験不足、人材不足を補う意味で、区市町村が設置する住宅支援協議会への都の積極的な支援が必要と考えます。
 そこで、区市町村における住宅支援協議会の設置を促進するため、都においても、広域的な立場から居住支援協議会を設置し、関係団体等と連携して、区市町村における取り組みをバックアップするべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 東京都におきましては、これまで、住宅の確保に配慮が必要な方々を含めまして、全ての都民の居住の安定確保のために、関係団体とともに、東京都すまいサポート連絡協議会というものを設けまして、関係者間の情報共有などを中心に活動してまいりました。
 一方で、お話しありましたように、都内の区市町村におきましては、三つの団体で居住支援協議会が設置されるということなど、この居住支援協議会設立の機運が高まっております。
 このような状況を踏まえまして、東京都として、これまでの連絡協議会の活動を発展させ、広域的な立場として、みずから居住支援協議会を設置することは、基礎的自治体であります区市町村における居住支援協議会の設置の促進あるいはその活動を支援していくという上で効果的と考えております。
 このため、今後、都の居住支援協議会の設置に向けて検討してまいります。

○中山委員 今後、都の協議会の設置に向けて検討していくとのご答弁であり、新たな展開として都の積極的な取り組みを評価したいというふうに思います。
 空き家対策は、ルームシェアに限らず、それぞれの区市町村の住宅政策として大事な課題であります。特に賃貸住宅、集合住宅の家主や借り手を探す意思のある戸建て空き家住宅の持ち主は、まだその活用の方途を模索しているわけでございますから、情報マッチングの効果もかなり期待できるものと考えられます。
 しかし、節税目的などで、空き家戸建て住宅を、第三者の目線から見れば放置しているかのように見える持ち主の方もいらっしゃって、そうした持ち主が少なくない地域もあると伺っております。
 そうした地域の特性をよくわきまえる人々からは、地域の課題解決に役立つ開発余剰地に恵まれない地域にあっては、そうした個々の戸建て空き家の活用や、その再編整備によって生み出される空間に、大きな期待を寄せざるを得ない状況もあると聞いております。
 ただ、そうした住宅政策の展開は、都が一律的に取り組めるものではなく、何よりも地元区市町村が意欲的に問題解決に当たり、地域に応じた解決策を捻出していくことが大切であります。
 長年、住宅行政に取り組むノウハウの蓄積を重ねる機会に恵まれてこなかった区市町村に対し、住宅政策の主体者となって、人材の育成、問題解決の知恵の結集に取り組む環境を醸成していくことが、都がみずから協議会を設置することで果たされる大事な効果であると考えます。
 人事交流などの活用も含め、都が今後新たに設置する都の居住支援協議会などを通じて、住宅政策の新たなステージを切り開いていくことを期待して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、ユビキタスについて質問させていただきます。
 都はこれまで、ユビキタス技術の実証実験として、観光案内や障害者への移動支援などに取り組んできました。日本の誇る最先端技術を活用して、いつでも、どこでも、誰でも必要な情報を手に入れることができる社会、すなわちユビキタス社会を目指すものであり、都民がより機能的で快適性の高い都市生活を送る上で、大変重要な取り組みであります。
 平成十七年から始まった東京ユビキタス計画でございますが、平成十八年度から、銀座地区では、さまざまな種類のマーカ類を現実の道路等の公共空間に設置し、さまざまなサービスを提供する実証実験を行っているところであります。既に実証実験開始より八年目を迎え、その間、さまざまな技術革新に合わせて、実験内容も進化していったと思っております。
 そこで、これまでの東京ユビキタス計画の取り組みの中で、近年では具体的にどのような実験に取り組んできたのかお伺いをいたします。

○福田企画担当部長 東京ユビキタス計画では、情報通信技術を十分に活用し、まちを訪れた人が必要な情報をその場で手軽に得ることができるよう、これまで、まちの情報提供や移動支援などさまざまな実証実験に取り組んでまいりました。
 銀座地区においては、平成十八年度から実証実験を行っておりまして、近年では、平成二十三年度から普及の進んできたスマートフォンを活用して、観光名所や店舗情報を多言語で提供するシステムを構築し、平成二十四年度に行った外国人旅行者に体験いただく実験では、八割を超える人が役に立ったと回答するなど高い評価を得たところでございます。
 また、平成二十四年度には、高齢者や障害のある方などのために、道路の段差情報など移動を支援するサービスについても、スマートフォンで対応可能となるシステムを構築し実験を行いました。
 さらに、平成二十五年度からは、総務局の防災マップにユビキタス技術を連携させることで、利用者が現在地をピンポイントで特定しまして、避難場所等までのルート検索が的確にできるシステムを構築いたしました。
 一方、新宿地区におきましては、平成二十一年度から、第一本庁舎南展望室で専用端末を貸し出し、眺望などの案内情報を提供してきております。現在、スマートフォンで提供できるようシステムの再構築を行っているところでございます。

○中山委員 ただいまのご答弁から、東京ユビキタス計画は着実に進化し続けてきたことがよくわかりました。
 都議会公明党は、東京ユビキタス計画の当初から、観光振興だけでなく、障害を持つ人や高齢者への支援を訴え、その推進を積極的に応援してまいりました。私自身、専用端末での活用が可能になった際に銀座での実証実験に同僚議員とともに参加させていただきました。
 都は、平成二十年度より障害者への移動支援実験を開始し、改良を重ね、ついにスマートフォンによる移動支援実験も行われるに至っているとのことでございます。我が党からの提案が実現して大変うれしい思いがいたします。
 また、我が党は、災害時の情報提供手段としてのユビキタス技術の活用についても提案しており、昨年度の事務事業質疑では、ぜひとも具現化するようお願いしておりました。その声を踏まえ、今年度構築した総務局の東京都防災マップとの連携システムも、非常に評価できるものとなっております。
 このように、東京ユビキタス計画は、計画当初からすると随分進歩したステージを迎えております。同時に、最近のスマートフォンの普及やGPS情報の進歩などを踏まえますと、これまでは都市整備局が主体となり、実証実験を実施してまいりましたが、やがては民間や都市整備局以外の公共的部門が活用に取り組み、推進役として、その重責を果たすべきとも感じております。
 そこで、これまでの実証実験の結果を踏まえ、東京ユビキタス計画の今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○福田企画担当部長 これまで、ユビキタス技術を活用した場所情報システムを用いて、外国人旅行者への観光案内や、障害のある人などが不安を感じることなくまち歩きができる移動支援など、実証実験を重ねながらデータを蓄積し検証を行ってまいりました。
 これらの実験結果により、まちを訪れた人が必要な情報をその場で手軽に得るという当初の目的に対しまして、その効果や課題を検証できたことから、実証実験は今年度で終了とし、来年度は、今までの実験を総括及び分析して、近年の情報通信技術の進展などを十分に踏まえながら、これからのまちづくりへの生かし方など、今後の方向性について取りまとめてまいります。

○中山委員 ただいまのご答弁から、今年度で実証実験を終了し、いよいよ今後は、その活用について取りまとめていくとのことでございます。これからが大切であります。こうした分野は、民間が得意とするところだと思いますし、民間の創意工夫が最大限に発揮されますよう環境づくり等を進めていただきたいと思います。
 同時に、特に障害者への移動支援や防災の観点などからは、都市整備局単独の仕事ではないかもしれませんけれども、都としても一定の関与が今後も必要ではないかというふうに考えます。
 また、これからは、国際的なおもてなしをいろいろと考える際がふえてまいりますし、ITS、情報通信技術の活用は、一つの有効なツールとなっていくものと思います。外国人が喜ぶ情報を積極的に発信できる仕組みを、観光の目玉となるまち並みや店舗、交通機関、交差点などに組み込んでいくことも重要であります。
 これからの七年間、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの東京大会の開催に向けて、東京のまち並みは大いに活気づいてまいります。今後の取りまとめにおいても、そうした盛り上がりの中身の充実に向けて、日本の先進性がもたらしたICT活用を国内外に積極的に打ち出すことが、日本、東京のステータス向上を果たしていくことになると思います。その取り組みの参考として、使いやすいように取りまとめをお願いしたいと思います。
 また、都市整備局は、都市計画審議会案件などを通じて、東京のまち並みの再開発、一層の機能向上を担い立つ大手ゼネコンなどとの連携のパイプもございます。そうした重要なまちづくりのパートナーに、東京ユビキタス計画の実証実験の成果の活用を提案してみてはいかがかと思っております。
 さらに、我が党がさきの第三回定例会の代表質問で明言したとおり、二〇二〇年の東京大会後のビジョンを、今から英知を結集して描いていくことが重要であり、その中では、福祉先進都市東京の時代の変化にふさわしいリニューアルを図ることも大切であります。
 東京ユビキタス計画の実証実験の成果は、災害、買い物、移動、さらには自己表現や情報入手など、さまざまな面で、いわゆる弱者である人々の不利益を効果的に補っていく取り組みとして、必ず役立つはずであります。都市整備局におかれましては、そうした活用の魅力、可能性を積極的に都庁内外に説いていただいて、さまざまな方々のやる気を奮発していただきたいと思います。
 最後に、情報通信技術はまさに日進月歩で進展してまいります。東京ユビキタス計画の実証実験の成果の取りまとめに際しましては、現在ある技術だけに固執せずに、将来の変貌の可能性も取り込む柔軟性を備えた整備をお願いして、質問を終わらせていただきます。

○大島委員 私は、住宅問題、住宅政策について質問をしていきたいと思います。
 今、貸しオフィスとか倉庫として届けられていながら、実際には多くの人たちが居住して、防火関係規程や建築基準法違反の疑いのある違法貸しルーム、いわゆる脱法ハウス、この存在が大きな社会問題となっています。
 国土交通省より発表された八月三十日現在の違法貸しルームの是正指導等の状況の中で、全国調査対象物件七百三十件のうち、東京都は六百五十八件と全体の九〇%を占め、そのうち、調査済み二百四件中、何らかの違反がある物件は百七十八件という重大な事態となっています。
 違反物件として是正指導中の違法貸しルーム、脱法ハウスといわれる建築物に対して、調査の進捗状況をお伺いします。また、具体的にどのような是正指導を行っているのかお聞きします。

○久保田市街地建築部長 違法貸しルームの調査につきましては、国や地方公共団体に情報提供されたものなどを対象に、国土交通省の要請に基づき、本年六月以降、東京都や二十三区などを含む各特定行政庁が実施をしてきてございます。
 その結果を取りまとめました国の公表によりますと、調査対象物件数は増加をしておりまして、適宜、立入調査や是正指導などが進められているということでございます。
 また、具体的な是正指導につきましては、各特定行政庁におきまして、事業者等に対し、必要に応じて、建築基準法令への適合性について報告を求めるほか、法令上の違反が確認された場合には改善計画書の提出を求め、継続的に是正指導を行うなど個別事情を踏まえ適切に対応しております。

○大島委員 今回の違法貸しルームにかかわって、国交省は、シェアハウス、それからゲストハウスといわれる建築物を一律に寄宿舎として扱うという判断を示しました。違法貸しルームの規制が目的の通知でしたが、シェアハウスも同じ扱いになったことで、関係者の波紋を呼んでいます。
 寄宿舎と共同住宅との違いは何なのか。また、URの賃貸住宅では、今、ハウスシェアリング制度を実施しておりますが、これは寄宿舎という位置づけではないのかお伺いいたします。

○久保田市街地建築部長 寄宿舎につきましては、共同住宅と居住空間の構成が異なるだけではなく、国土交通省の技術的助言におきまして、入居者の募集方法に着目して建物用途を判断することが示されております。
 共同住宅は、通常、個々の居住者が利用する寝室や台所などを設けた複数の住戸から構成される建築物でございます。
 これに対して、寄宿舎は、通常、個々の居住者が利用する寝室のほかに、共同で利用する台所や便所、浴室などを集約して設けた建築物でございます。加えて、こうした建築物を管理等する事業者が個々の居住者を募集し、複数の者を居住させる場合に、寄宿舎に該当するとされております。
 また、ご質問のUR賃貸住宅のハウスシェアリング制度につきましては、住戸単位で複数の知人が申し込み、その代表者がURとの連絡窓口となり、入居後には居住者の追加や変更ができない制度ということでございます。
 このため、国土交通省からは、初めから知人同士で申し込みを行い、事業者であるURが個々の入居者を募集するものではないということから、寄宿舎には該当しないというふうに聞いてございます。

○大島委員 寄宿舎というふうになりますと、耐火性の高い間仕切りを設けたり、それから廊下の幅を広げたり、いろいろな寄宿舎用の設備というのが必要になってくるということで、これを、今いろいろ是正指導をやっているんですけれども、是正をするという、適正化していくためには、かなりのコストもかかるということで、困難があるのではないかというふうに思います。そういう意味でいうと、なかなか是正指導していても難しいというように私も思っているんです。
 今、答弁をお聞きしますと、URのハウスシェアリング制度、これは寄宿舎ではなく、住宅という考え方でよいということなんですけれども、それでいいんでしょうか。また、例えば、同じ間取りの三DKのマンションの部屋に三人の他人同士が入居している場合、入居者の募集の仕方の違いで、寄宿舎と判断されたり住宅と判断されたりするという認識でよいのでしょうか。

○久保田市街地建築部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、入居する際に、事業者が介在をして個々の居住者を募集する場合については、寄宿舎だというふうな見解がありまして、例えばURの住宅のように、複数の知人が申し込みをしている場合、一体として申し込みをしている場合については、寄宿舎ではないというふうな見解でございますので、三LDK等の住宅につきまして、何人かの方が共同で申し込んでいるURの賃貸住宅については、寄宿舎ではないということでございます。

○大島委員 なかなか難しくて、難しいというか、申し込みの方法によって、寄宿舎になったり住宅になったりするということなんだなというふうにちょっと理解をしたんですけれども、例えば同じ一つの棟の中で、この部屋は、募集の仕方が個々だったら寄宿舎になっちゃって、まとめて三人だったら住宅ですよと。つまり、同じ設備があったとしても、一方は寄宿舎、一方は住宅と、こういうふうに分かれてしまうということになるわけですよね、今のご答弁を聞いていますと。
 ですから、今、新たな住まい方という形で、シェアハウスとかグループリビング、こういったものが求められています。そして、こうした新たな住まい方がある意味ふえているんです。こういう新たな住まい方について、都としてガイドラインをつくっていく必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○加藤住宅政策担当部長 グループリビングなど新たな住まい方に関しましては、東京都の住宅マスタープランにも掲げておりますとおり、トラブル防止の観点からのルールづくりを検討していくということにしておりまして、現在、業界団体へのヒアリングなどにより、契約内容等の情報収集を行っております。

○大島委員 トラブル防止の観点からのルールづくり、これは本当に必要だというふうに思います。
 ただ、これまで民間にあった住宅として適法のシェアハウスやルームシェアなどの新しい住まい方について、入居者の募集の仕方の違いで規制が厳しくなるというのであれば、既存の施設が使えなくなる可能性もあるわけです。
 そうなると、私たちはやっぱりこの東京都、特にこういうシェアハウスみたいなものがこの東京には集中してあるんですね。その東京都が、国交省の通知、通知でこの基準が示されているんですけれども、通知よりも権限のある条例をつくることとか新たな指針を示す、こういった対策を講じることによって、行政が関与することで、脱法ハウスとか悪質な貧困ビジネス、これも淘汰されていくんではないかと考えます。ぜひこうした問題も検討していっていただきたいと思っています。
 そして、市民団体の調査によりますと、こうした違法貸しルームに住む人のおよそ八割は二十代から三十代の若者、非正規雇用でワーキングプアといわれる低所得者の単身者ということです。アパートを借りたくても、保証人になってくれる人がいない、敷金、礼金が用意できない、勤務先で交通費が支給されないので、交通の便のよい駅の近くや都心に住むしかないなどと、理由はいろいろありますけれども、結局、安い家賃で手軽に入れるということになると、劣悪な住環境でも住むしかないという状況に追い込まれているというのが現実です。高家賃や高負担の入居初期費用、それから保証人の問題などが、脱法ハウスとか貧困ビジネスが横行する原因の一つになっています。
 こうした現状を解決するためにも、高齢者住宅財団が、連帯保証人の役割を担ってくれる家賃債務保証制度、これを持っているんですが、これをぜひ若年者にも適用させるように、都として働きかけていただくことはできないでしょうかお伺いをいたします。

○加藤住宅政策担当部長 一般財団法人高齢者住宅財団による家賃債務保証制度につきましては、子育て世帯あるいは解雇などによる住居退去世帯など、若年世帯を含む方々も対象にしているというふうに聞いております。

○大島委員 確かに、子育て世帯とか、解雇による住居退去世帯というふうに枠が広がっているということは承知しています。
 しかし、若年の単身者は、解雇という状況にならなければ対象にならないんです。働いているのに収入も低くて、まともな住居に住めないこうゆう若者、若年者は、脱法ハウスに入っていて、それが閉鎖をされてしまうと、また同じような脱法ハウスとかネットカフェに逆戻りするというか、そういう状況、悪循環が断ち切られていないんです。
 高齢者住宅財団は、東京都も出捐団体になっているわけですから、ぜひ若年者への支援を強く働きかけていただきたいと思っています。
 次に、今、低賃金、不安定雇用で働いて、まともに暮らせない若い単身者、これがふえているんですけれども、現在、若年単身者が排除されている都営住宅の入居年齢要件を引き下げていただくということはできないのでしょうかお伺いいたします。

○桜井経営改革担当部長 都営住宅は、民間賃貸住宅におきまして入居制限を受けやすい世帯を初め、住宅に困窮する都民を対象として供給することを基本としております。
 若い世代の単身者につきましては、福祉施策や雇用就業施策とともに、民間事業者等の多様な連携によって、市場において居住の確保が図られるべきと考えております。

○大島委員 市場において住居の確保が図られているというところで出てきているのが、脱法ハウスだとか貧困ビジネス、そしてそういう中に住んでいるんですよね。市場に任せておけばいいんだという考え方をずっと持っているならば、若年者の居住の確保というのがなかなかできないと、これが現実で、今、脱法ハウスといわれるような違法貸しルームがふえてきていると、そこのところをぜひ着目してもらいたいというふうに思うんです。
 入居制限を受けやすい世帯はもちろんなんですけれども、若年者の中にも、そういった市場に任せておいたら、とんでもない環境の中で暮らさなければならない方たちがいるんだということを、やっぱり東京都の住宅政策の中では考えていく必要があるというふうに思います。
 住生活基本計画では、住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保のために、公営住宅の適切な供給と民間賃貸住宅への円滑な入居を促進する居住支援協議会への支援強化、これがうたわれています。居住支援協議会は、住宅確保要配慮者と民間賃貸住宅の賃貸人に対して必要な支援を行うとともに、離職者の居住の安定確保も推進する役割を持っています。
 都として、こうした重要な役割を持つ居住支援協議会を設置する考えはないかお伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 居住支援協議会につきましては、先ほどもご答弁させていただきましたけれども、住宅の確保に配慮が必要な方々に対して、それぞれの地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うためには、区市町村が居住支援協議会を設置して、主体的に取り組むことが重要と考えております。
 都内の区市町村においては、三団体で居住支援協議会が設置されるなど、その協議会設立の機運が高まってございます。このような状況を踏まえまして、都が広域的自治体の立場として、みずから居住支援協議会を設置することは、基礎的自治体である区市町村による居住支援協議会の設置促進と活動支援を行う上で効果的と考えております。
 このため、これも先ほどもご答弁させていただきましたけれども、都の協議会の設置に向けて検討をしていきます。

○大島委員 やっぱりこの居住支援協議会、あるのとないのじゃ全然違うと思うんです。住宅政策、特に要配慮者、こういう方たちにとっては、ある意味、これが今後どうなっていくのかということが重要な問題ですので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 住生活基本計画には、先ほどもいいましたけれども、公営住宅の適切な供給というのもうたわれているんです。ところが、都はこれまで、住宅ストック数が世帯数を一割以上上回るといって、この十四年間、都営住宅の新規建設を行ってきませんでした。
 そのために、先ほどいただいた資料にも示されているように、都営住宅の空き家募集の応募倍率、これは毎回高倍率になっているんです。これで見ますと、大体一般で三十倍ぐらい、単身で四十倍から五十倍という大変高い倍率を示しています。何回申し込んでも当たらないという状況になっているんです。
 住宅に困窮する都民を支援するために、都営住宅の新規建設の再開や建てかえ住宅の戸数をふやすこと、また、借り上げ公営住宅制度の活用などによって、都営住宅を抜本的に増設する考えはないのか伺います。
 また、都営住宅に入居資格がありながら入居できず、住宅に困窮している若者に家賃助成をする考えはないのかお伺いをいたします。

○加藤住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。
 今後とも、社会経済情勢が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅について、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 また、家賃補助につきましては、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など多くの課題がございますことから、都として実施することは考えておりません。

○大島委員 都営住宅の新規建設を行っていたころの平均応募倍率というのは十一・六倍。ところが、新規建設ゼロの影響が出始めた二〇〇一年には、平均応募倍率が二十九倍にはね上がったんです。それ以後、入居困難な状況がずっと続いている。先ほどの資料で見たとおりです。
 全体の都営住宅の戸数をふやさない限り、都営住宅に入居したいという都民の願いを実現することはできません。新規建設はぜひ復活すべきと思いますし、さらに、今、空き家がすごくふえているという中で、借り上げ公営住宅の制度を活用する、これも重要だというふうに考えておりますので、ぜひご検討していただきたいというふうに思っています。
 住宅マスタープランでも、一九五八年以降、住宅ストックの増加に伴い空き家率は増加し、一九九八年の一一%以降、ほぼ横ばいで推移していると書かれています。空き家総数は、二〇〇三年の約六十七万戸から二〇〇八年には約七十五万戸と、約八万戸ふえました。このうち、賃貸用空き家は四十九万二千戸、長期不在の空き家は十八万九千戸となっています。老朽家屋の空き家対策というのも必要なんですが、今、約七十五万戸あるという空き家をどう活用していくのかということが求められています。
 東京都は、空き家活用の促進策を検討していくと以前答弁しておりましたけれども、空き家対策としてどのような活用を考えているのか、また、空き家活用モデル事業を実施しておりますが、その実績についてお伺いいたします。

○加藤住宅政策担当部長 空き家につきましては、都民の多様な居住ニーズに対応した活用が重要であるというふうに認識をしております。
 昨年度から、空き家の利活用方策の可能性を検証するため、モデル事業に取り組んでございますが、その実績につきまして、先ほどご答弁いたしましたとおり、現在のところ一件の応募がありまして、事業者が改修工事を行っているところでございます。

○大島委員 空き家活用モデル事業、なかなか啓発するのも難しいというふうに思いますけれども、一件でも今回応募してくださって、実際に改修工事が始まっているということですから、これが一つの引き金になって、さらに大きく普及をしていっていただければいいなと思います。ただ、これはモデル事業なので、いつか打ち切られてしまうのかなと、それもちょっと心配をしているところです。
 今、一方で、脱法ハウスなどに入らなければならなく、住宅に困っている人がふえている。もう一方で空き家がどんどんふえている。これは何とかしなきゃいけないというふうに思っています。
 世田谷区でも、空き家を住民同士の交流の場にするという独自の取り組みが始まっています。こうした取り組みを支援するとともに、都独自の活用方法も考えていっていただきたいと思います。
 東京都は、公営住宅施策の目的の範囲内で、可能な限りソーシャルミックスに配慮するとして、子育て世帯の当せん倍率の優遇制度や若年ファミリー向けの期限つき入居を実施して、若い世代の入居も促進しています。
 また、建てかえに当たっては、さまざまな世帯が入居できるよう整備を行っていると答える一方で、居住者の世帯構成に応じた基準を設け、これに基づく適切な規模の住宅に入居していただくと、型別供給を適用しています。
 いただいた資料を見ましても、都営住宅の建てかえによる型別供給により、一DK、二人用の二DK、これは建てかえ戸数の七三%を占めているんです。若年ファミリー世帯が入居できる戸数が少なくなっています。このままでは、単身用と少人数家庭用の住戸が大勢を占めることになり、将来を見据えますと、型別供給は再検討すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

○小野寺再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都営住宅の建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立ちまして、基準を設けまして、それぞれに対応する間取り及び規模の住宅を供給しております。
 引き続き、型別供給を適切に実施していくとともに、入居者の募集に当たりましては、若い世代の入居を促進してまいります。

○大島委員 今いったのは、型別供給をやっていると、少人数家族ばっかりが入る住宅がふえちゃって、若いファミリー層が入れる住宅がすごく少なくなっちゃうんじゃないですかということを心配しているんです。
 入居者募集に当たって若い世代の入居を促進といったって、先ほど質問しましたけれども、単身の若者は門戸を閉められちゃって入れないんです。そして、若年ファミリーは入れる住戸が少なくなっていく。これでは、どんなに東京都が、若い世代も入れてソーシャルミックスにしていきましょうというふうに考えても、現実問題として、だんだんだんだんその可能性が狭められていくということになるんじゃないかなというふうに考えます。
 高齢者世帯、本当にふえているんです。いただいた資料を見てみますと、六十四歳未満と六十五歳以上の世帯主の年齢区分で数を書いてありますけれども、昨年と比較をしてみますと、名義人が六十五歳以上の割合が五九・六%から六一・二%へ、一・六%およそ三千五百人ふえているんです。
 都営住宅の高齢化がますます深刻になっていき、自治会活動も本当に困難になっていると、こういうことが住民の皆さんから私のところにもたくさん声が上がっているんです。
 こうした高齢化に対応して、都は住宅管理者として、巡回管理人、これを配置し、希望する六十五歳以上の高齢者世帯等には支援を行っていますが、対応する巡回管理人の数と支援している世帯の数を伺いたいと思います。
 また、高齢化の進行に伴い、巡回管理人を増員する考えはないかお伺いいたします。

○桜井経営改革担当部長 平成二十五年九月末現在で、巡回管理人の数は約九十名でございまして、定期的に戸別訪問を行っている世帯は約一万九千六百世帯でございます。
 巡回管理人を増員することは考えてございません。

○大島委員 だんだん希望する世帯がふえてくる。巡回管理人がふえなければ、今まで二月に一回行けていたのが三月に一回とか、そういうふうに頻度が薄くなっていっちゃうというふうに思うんです。
 それで、今、約九十名配置しているというお話を伺いました。私、何年か前に同じ問題でお話を聞いたときには、八十五、六名ですといわれたから、大幅な増加ではないけれども、若干ふやしてくださっているのかなと、こういうふうに思います。
 ぜひ、高齢者の方々がこれからふえていく中で、希望する方もふえていくと思いますので、少なくとも今のように、せめて二カ月に一回は回っていけるような体制をとっていただきたいというふうに思っています。
 東京都は、若年ファミリー世帯や若者の入居によって、コミュニティの活性化を促すということも求められていると思います。
 二〇〇一年度から始まった若年ファミリー世帯向けの期限つき入居者のうち、本年度内の期限到来世帯数をお伺いいたします。
 また、昨年度中に期限が到来した八世帯中、都営住宅のあっせんを受け、入居したのは何世帯あったのかお伺いいたします。

○桜井経営改革担当部長 若年ファミリー向けの期限つき入居で、本年度中に期限が到来する世帯数は、平成二十五年三月三十一日現在で十七世帯でございます。
 また、昨年度中に期限が到来した八世帯のうち、都営住宅のあっせんを受けて入居したのは一世帯でございます。

○大島委員 期限つき入居というのは、十年の期間が満了した時点で、都営住宅の入居資格がある世帯には、希望によって他の都営住宅のあっせんを行っているといっていますが、実際にどんな状況なのか、実は私のところにメールが来ましたので、ご紹介をしたいというふうに思います。
 この方は、多分、ことしの七月で十年になっちゃった方なので、この八世帯の中に入っていて、あっせんを受けなかった七世帯の中に入っているというふうに類推できるわけです。
 世田谷に住んでいる方なんですけれども、定期使用住宅期間満了に伴う特別割り当て募集のご案内というのと、定期使用住宅期間満了に伴う特別割り当て住宅申込書というのを送りますから、希望の方はお申し込みくださいというのが届いたそうです。
 しかしながら、その募集の地域というのは、今自分が住んでいる居住地からはいずれも遠いと。聞いてみましたら、募集地域は多摩ニュータウン、八王子の方です。それからあと三鷹市、町田市、小平市、東村山市、東大和市、清瀬市という、そこにある都営住宅が案内されていたそうです。世田谷に住んでいる方で、お子さんもいるので、なかなか難しいわけです。いずれも遠くて、現状の生活基盤を変えなければならない地域しかなくて、現状、実情にそぐわない地域でしたので、希望することができず、申し込みはできませんでしたと。
 まさかこんな状況になるとは思ってもいなかったというんですが、この方、何もしていなかったわけじゃなくて、他の住宅への申し込みは入居五年後からできるということで、意識して考えて、自分の範囲でどうにかというので、三回応募したんだそうですが、三回とも落選をしてしまったそうです。
 収入が低くて、減免措置も受けているという方なんですけれども、この方、夫婦ともどもで頑張って働いているんですが、減免をしていただいている家計の状態で、期間満了で退去となると、どうしたらよいのかわからずにいます。一番心配なのは、この四月から小学校六年生になった長男の学校や環境が大きく変わってしまうことが、本当に本当に心配でなりません。本人も転校は絶対に嫌だし、中学もこのまま友達と一緒の学校に行きたいと強く願い訴えております。ただでさえ心の問題を抱えやすい思春期初期のこのころに、転校で環境が変わることが、母親として本当に心配で、恐怖なのですといっているんです。
 でも、結局この方、あっせんされたところには行けずに、どこか違うところに移っていて、その後どうなったのか、私、聞いていないので、これからまた聞いていきたいというふうに思いますけれども、こうした現状があるんです。確かにあっせんはしてくれるけれども、とんでもなく遠くて、今の実情に合わないところをあっせんされても、実際には行かれないですよね。
 少子化が進行する中で、子育て世帯向けに期限つきで都営住宅を供給するということは、都営住宅の利用機会の公平を確保しつつ、子育て世代の居住支援に有効であると都は考えているということですが、実際には、十年間にどんな努力をしても思うように転居先を見つけられなくて、退去できる状況でない子育て世帯をも追い出す結果となっています。
 また、いただいた資料の6を見ますと、こうした期限つきの募集戸数が毎年のようにふえていますので、今はまだ十七件とかというふうにいえるでしょうけれども、これが一千件を超えたら、一体どのくらいの人たちがこんな思いをするのかということになるというふうに思うんです。
 私は、定期借家制度、これは法律制定時の国会の答弁で、定期借家制度は公的賃貸住宅にはなじまないとされました。若年ファミリーや子育て世代を応援するためにも、期限つき入居の廃止または期限が到来しても継続居住を可能にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○桜井経営改革担当部長 少子化が進行する中で、子育て世帯向けに十年間の期限つきで都営住宅を供給するということは、都営住宅の利用機会の公平を確保しつつ、子育て世帯の居住支援に有効であると考えております。
 入居期限到来時には、他の公的住宅の募集案内を行うほか、都営住宅の入居基準を満たす世帯に対しては、希望により他の都営住宅をあっせんしております。

○大島委員 そういう立場でいるということはわかっているんですけれどもね、でも、今みたいな現実があるんだということをぜひ見ていただきたいんです。何か、都営住宅を使わせてやっているんだから、十年たったら出ていくというのを知っていて入っていたんじゃないかと、あんたが出ていけないのは自分が悪いんだというような、そんな感じがどうしてもしてしまうんです。この問題については、ぜひ今後検討していただきたいなというふうに思います。
 次に、高齢化が進行する中で、エレベーターの設置要求、これも強くなっています。東京都が敷地を貸している都営住宅の併存店舗で、建築後増築を行い増築部分が建築基準法に適合しない場合、エレベーターの設置が困難になっている住棟があります。
 都は、契約締結やエレベーター設置工事等の機会を捉えて、文書送付や戸別訪問を行い店舗所有者が増築部分を是正するよう要請していると、これまで答弁をしてまいりました。改善に向けての取り組みの状況についてお伺いをいたします。

○桜井経営改革担当部長 都は、都営住宅に併設されている店舗との間で、土地賃貸借契約の締結更新時や借地権の譲渡時におきまして、適切な建物の維持管理を行うための建物の維持管理に関する契約を締結しております。
 都といたしましては、契約締結やエレベーター設置工事等の機会を捉えまして、都営住宅に併設された店舗の増築部分が建築基準法に適合しない場合には、区を初め関係団体と連携したさまざまな働きかけを通しまして、文書通知や戸別訪問を行い、店舗所有者が増築部分を是正するよう要請をしております。

○大島委員 いつもの答弁と同じだなと思うんですが、全然進んでいないのかしらと、一体どんな努力をしてきたのかしらと疑問になってしまいます。
 土地の賃貸借契約の締結更新時や借地権の譲渡時において、適切な建物の維持管理を行うための建物の維持管理に関する契約締結時に、是正に向けた指導を店舗権利者に行うという、こういう答弁をしたこともありました。しかし、借地契約の更新というのが、昭和五十五年以前の団地については旧借地借家法の法定更新になっていて、契約更新というのはほとんど結んでいないということがわかりました。なかなか指導の機会もないと思います。
 私の地元にも、こうした店舗つき住宅の違反増築のために、エレベーターが設置できずに困っている住宅があります。足立区にあります花畑第三アパート、この十五号棟というところに八区画の併存店舗があるんですけれども、ここは、財団法人首都圏不燃建築公社が店舗権利者と土地の賃貸契約を締結しています。
 都は、財団法人首都圏不燃建築公社に対し、法に適合しない増築部分がある場合には、是正に向けた指導を行うよう要請するとしていました。その後の進捗状況をお伺いいたします。

○妹尾営繕担当部長 都は、一般財団法人首都圏不燃建築公社に対し、借地契約の更新等の機会に、法に適合しない増築部分がある場合には、是正に向けた指導を店舗権利者に行うよう要請しております。
 花畑第三アパートにおける十五号棟の八区画の併存店舗についても、都は同公社に対し、法に適合しない増築部分がある場合には、是正に向けた指導を行うよう要請を行っております。

○大島委員 これも前と全く同じで、私はその後の進捗状況はどうなっているんですかと聞いているんですけれども、相変わらず、公社に対して是正に向けた指導を行うように要請をしていると。大体どのくらい要請しているんですか。

○妹尾営繕担当部長 都は、一般財団法人首都圏不燃建築公社に対しまして、昨年、要請を行っております。

○大島委員 昨年要請、何回やったのかわからないですけれども、その後の結果も今ご答弁なかったんですけれども、要請はしたけれども、全然動きがないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
 東京都が要請をするというのは、ある意味、エレベーターを設置するというバリアフリーの考え方に立って、今、東京都の都営住宅全体でエレベーターをつけていこうという方向があるからだと思うんです。それがいろいろな障害があってできないというところはありますけれども、その一つがこの併存店舗の違反部分なんです。だから、それを是正するのに、もっと積極的に取り組んでいただきたいなというふうに思うんです。
 高齢者の方、一日も早いエレベーターの設置を待っているんです。今、高齢化が進んでいる団地の中で、同じ都営住宅に住みながら、ほかの棟にはエレベーターがついているのに、自分の住む一棟だけが設置できない、それが放置されていると、本当に不公平だという声も高まっているんです。ぜひ、引き続き問題解決に向けての取り組みを積極的にお願いしたいと思います。
 次に、都営住宅の使用承継について伺います。
 都営住宅の使用承継については、二〇〇六年八月から、原則として名義人の配偶者のみ認める制度に変わりました。一部例外を除いて六十歳未満の子供たちは承継できず、深刻な問題となっています。
 病弱者については、特別な事情があると判断される場合に例外として認められる。しかし、二〇〇八年四月から、都立病院か東京都保健医療公社病院の診断書でなければ認められなくなったんです。
 都は、都立病院または公社病院の医師は、使用承継制度の趣旨を理解した上で、客観的で的確な診断を行い、診断書を発行できるものと考えていると答弁していますが、この特別な事情にあるかどうかの判断というのは、一体どういうものなんでしょうか。

○桜井経営改革担当部長 特別な事情にあるかどうかにつきましては、承継しようとする方または同居者の中に、疾病により当該都営住宅に継続して居住しなければ生活の維持が困難であると認められる方がいるかどうかによります。

○大島委員 その特別な事情を診断するのに、都立病院や公社病院の先生でなければならないというのがどうも不思議でならないんです。
 東京都も、診断書は、医師法に基づいて、患者からの求めに応じて、個々の患者の病状を踏まえ、医師の判断により発行される文書と答弁しています。しかし、病名だけでは、使用承継の対象であるところの特別な事情にあるかどうかが判断できません。最終的には、都において使用承継の行政的な判断を行っているということですが、診断書に病名や病状がどんなに詳しく書いてあったとしても、それを見ただけで、医療の専門家でない行政が承継が必要かどうかを判断するというのは難しいというふうに思います。
 でも、それをいうならば、患者を一番よく知っているのはかかりつけ医なんです。実はこの承継問題では、やはりいろいろ相談がありまして、足立区に住んでいる方なんですけれども、五十三歳の方ですが、名義人のお母さんが亡くなって、この方は肝臓が悪くて、近くの医者にずっとかかっているんです。承継の手続をしようとしたら、かかりつけ医の診断ではだめといわれて、都立駒込病院に行ったんです。肝臓の専門外来ということで、肝臓の問題で診てもらったんですが、その先生は、診ただけでわかるわけじゃないからと、全部の必要な検査をやったんですって。それで診断書を書いてもらったんだけれども、相変わらず病名と病状、これの診断書なんです。普通、先生はそうやって書きますよね。だから、特別な事情というのがそこには書かれていなかったんです。
 それで、これでは通らないということで、医療相談室に相談してみたらどうですかと、東京都はこういう問題について、いろいろ、同じ東京の中なので協議しているということだから、わかるでしょうといったんですが、その医療相談室で相談したんだけれども、その相談室の方も、お医者さんて専門家ですよね。お医者さんに特別な事情というのを書いてくれなんていうことはいえませんといわれてしまったんです。
 それで、この方困っちゃいまして、結局、ほかの都立病院にかかるしかなかったんです。それで墨東病院にかかったんですけれども、そのときに、かかりつけ医からの紹介状に病状等を本当に詳しく書いてもらったんです。それを持っていって、ようやく、承継について都の行政判断に合うような診断書を書いてもらったということなんです。時間もお金も本当に大変だったんです、この人、病人なのでね。
 二〇〇八年の四月まではかかりつけ医の診断で認めていたのに、どんな不都合があって変更したんですか。

○桜井経営改革担当部長 病弱者についてでございますが、難病患者や公害病認定患者など以外につきましては、病名だけでは、使用承継の対象であるところの特別な事情にあるかどうかは判断できません。
 このため、承継の判定に当たりましては、都が設置をした都立病院または都が中心となり設立した東京都保健医療公社が設置した病院の医師が的確に診断し、その医師の診断書を踏まえて行うこととしたものでございます。

○大島委員 じゃ例えば、大学病院のお医者さんなんかが、非常勤で都立病院に来て勤務しているという場合があります。そういう方が承継に関する診断書を、都立病院で書く場合はオーケーで、自分の勤務先の大学病院で書く場合は認められないということですか。

○桜井経営改革担当部長 都といたしましては、これまで都立病院または東京都保健医療公社が設置した病院に対しまして、病院経営本部と連携して、同本部を通じて、都営住宅の使用承継制度の趣旨、承継の際に必要な診断書の記載事項やそれらを記載する理由などについて十分に説明を行ってきております。
 こうしたことを行うことによって、都立病院または公社病院の医師は、使用承継制度の趣旨を理解した上で、客観的で的確な診断を行い、診断書を発行していただけるものと考えております。

○大島委員 同じお医者さんでも、都立病院にいるとき発行する診断書はオーケーで、自分の本来の勤務先のところで発行する診断書はだめということですか。的確な判断というのは病院によって違うんですか。病院のいる場所によって違うんですか。そういうことをいっているんですか。

○桜井経営改革担当部長 先ほどもご答弁いたしましたが、東京都はこれまで、都立病院、公社病院に対しまして、都営住宅の使用承継制度の趣旨、承継の際に必要な診断書の記載事項やそれらを記載する理由などについて説明を行ってきております。
 こうしたことから、都立病院、公社病院に勤務する医師は、使用承継制度の趣旨を理解し、客観的、的確な診断書を書いていただけると考えておりますので、診断書はこれらの病院のものに限らさせていただいております。

○大島委員 つまり、公社病院とか都立病院にはよく趣旨を説明しているから、書いてもらえるよというんでしょう。でも、さっき私、事例で話ししましたけれども、都立病院ではお医者さんがそれを知らないんです、特別な事情を書くというのを。そして、お医者さんは割と権威がある方だから、こうやって書いてくださいなんていわれて、そうやって書くなんてことはまずないですよね。よく趣旨を説明しているというなら、医療相談室なんかでも、そういうことをお医者さんにいってもらうことができるんじゃないかと思うんだけれども、それもできなかったんですよ。
 大体、何回聞いても同じ話になっちゃうと思うんですけれども、都立病院や公社病院に勤務している、そのとき非常勤でも、そこにいたらその先生の診断書はオーケーで、その先生がそこから出て自分の病院で診断書を書いたらだめと。すごくおかしくて、すごく矛盾していると思います、同じ患者さんを診ているんだから。
 承継の問題の特別な事情というのを書けるかどうかというのは、病院によってじゃないじゃないですか。趣旨を理解している医師ならば、どこにいたって書けるじゃありませんか。そういうその診断書のことについて、そこまでこだわらなければならないのかというのは、本当に疑問に思います。
 都立病院や公社病院の医師ならば、特別な事情にあるかどうかの判断のために、客観的で的確な診断を行って診断書を発行できるというのは、それ以外のお医者さんには失礼な話だと思います。
 私は、以前のように、かかりつけ医の診断でも認めるべきであるということを強く求めておきます。
 次に、二〇〇九年四月一日より入居収入基準が引き下げになりました。しかし、それ以前から入居していた世帯については、五年間の経過措置がありまして、この経過措置が本年度で終了するんです。
 資料を見ますと、新たに引き下げ後の基準を超える世帯数というのは、推計だと書いてありますが、約一万一千九百世帯となっています。来年度以降、このことによって、収入超過とか明け渡しなどでの居住者への影響はどのようにあらわれるのかお伺いいたします。

○桜井経営改革担当部長 入居収入基準引き下げに係る経過措置が本年度で終了することによりまして、新たに収入基準を超過する世帯は、本来入居者の使用料に割り増し使用料が加算されるとともに、住宅の明け渡しに努めなければならないという努力義務が発生をいたします。
 また、収入超過者のうち、一定金額を超えて収入のある高額所得者につきましては、東京都都営住宅高額所得者審査会の審査を行った上で、住宅の明け渡しを請求していくということになります。

○大島委員 推計で一万一千九百人という数が出ていて、これが全部というふうにはならないと思いますけれども、収入超過者は近傍同種の家賃になりますし、明け渡し基準に該当する世帯は転居しなければならなくなると。これまでの基準が必ずしも高かったわけでもないと思うんですけれども、都営住宅から出ていかざるを得ない世帯や家賃が高額になる世帯がふえて、ますます厳しい状況に追い込まれるということになります。
 本来なら、全国一律の基準に合わせるのではなくて、都民の暮らしの実態に合わせて、せめて改正前の基準に東京都として戻すべきだと考えています。
 次に、都営住宅の耐震化プログラムでは、二〇二〇年度までに耐震化一〇〇%の目標を掲げ、耐震改修により五万三千戸、建てかえにより二万九千二百戸の耐震化を図るとしています。
 ところが、今、昭和四十年代前半に建設された住宅に住んでいる住民は、自分が住んでいる住宅が耐震改修で存続できるのか、それとも建てかえになってしまうのかが示されていないために、将来への不安が大変大きくなっています。二〇二〇年までには、建てかえ、耐震改修のどちらかで耐震化を図るということなのですから、あと七年なんです。
 今後、耐震化が必要な住宅のうち、建てかえ、耐震改修のどちらによって耐震化を図るのかを居住者に示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○妹尾営繕担当部長 都営住宅の建てかえ事業は、建物の老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案しながら進めておりまして、計画がまとまり次第、居住者に対して説明を行っております。
 耐震改修を行う個々の住棟につきましては、その住棟を含む団地の建てかえ計画との整合を図りながら、改修計画がまとまり次第、居住者に対して説明を行っております。

○大島委員 計画がまとまり次第知らせると、こういっているんですけれども、例えば杉並の天沼アパート、これは建てかえによって、来年二月転居してくださいということが求められているんですけれども、肝心の建てかえ計画については何も示されていないということでした。建てかえの時期とか仮移転先も示されないということは、入居住民の生活を無視したやり方ではありませんか。
 このように、建てかえの直前になっても、一体どうなるのかわからないという状況では、将来の計画すら立てることができないんです。ぜひ、こうした、計画がまとまり次第というのは早めていただきたいというふうに思うんです。建てかえの時期については、なるたけ早くに居住者に示していただきたいと思います。何せこの直前ではなくて少なくとも二年くらい前に、今、割と直前なんですよね。二年くらい前には示していただきたいなというふうに思っています。これは要望しておきます。
 いろいろ住宅問題で質問してまいりましたけれども、住宅マスタープランでも、低所得者層については、低家賃の住宅が減少していることなど、安定した居住の場を確保することが困難な状況が見受けられると書いてあるんです。困難な状況を克服し、都民に安定した居住の場を確保することや新たな住まい方への対応などを求めまして、質問を終わります。

○尾崎委員 私は、最初に空き家問題について、ついさっき中山先生が質問したので、かぶらない範囲で質問させていただきたいと思います。
 僕も昨年、本会議で、空き家対策については質問させていただいたんですけれども、その後いろいろ調べてみますと、全国で空き家対策条例というものがめじろ押しで制定をされておりまして、空き家を何らかの形で規制する条例を設ける自治体というのは、全国で二百七十二自治体あるという調べになっております。
 都内では、新宿と大田と渋谷、中野、杉並、足立、八王子、小平と、八自治体に上っているわけでありますけれども、これらの条例の対象となるのは、賃貸用で一時的にあいているものであったり、売却用のものではなくて、長期にわたり適正に管理がなされない結果、老朽化が進んでしまって、倒壊や資材の剥離、落下等、建物自体の危険性があって、また治安上の問題や不法投棄などによる生活環境の悪化等、近隣に悪影響を及ぼすものであるわけであります。
 こうした老朽化のおそれがある長期間不在になっている空き家というのは、都内にどの程度あるものか、まず最初にお伺いしたいと思います。

○加藤住宅政策担当部長 平成二十年の住宅・土地統計調査によりますと、都内の空き家は約七十五万戸でございますが、このうち長期に不在となっているものが約十八万九千戸でございます。
 ちなみに、この内訳を申し上げますと、戸建て住宅が六万六千戸、約でございますが、そのほとんどは木造でございます。それから、戸建て以外の共同住宅等が十二万三千戸で、そのほとんどは鉄筋コンクリート造など木造以外の構造の建物ということになっております。

○尾崎委員 今のご答弁の中にもありましたけれども、長期不在の空き家の中で、共同住宅というのは非木造であったりするわけでありますけれども、一戸建ての場合は、やっぱり木造の空き家が多いわけでありまして、これは火災だとか倒壊だとかという危険性があるわけでありますから、僕、調布なんですけれども、三多摩の方でも、相続で、例えば息子さんがもう家を持っていて、親は別のところに住んでいて、その親が亡くなっちゃったんですけれども、自分はもうほかのところに家を買っちゃっているので、その親の家を処分するなりなんなりというのができないまま、空き家になったりしている状況があるわけでありまして、こうした老朽廃屋みたいな形をさせないためには、やっぱり適正に管理をすることが重要であると思っています。それには賃貸住宅としてどんどん市場に出していく、活用することが有効であると考えます。
 東京都は、昨年度から空き家活用モデル事業というのを実施しておりますけれども、今年度から戸建て住宅を対象とした事業の拡充を行っていると聞いております。今回の拡充内容とその趣旨についてお伺いをいたします。

○加藤住宅政策担当部長 戸建て住宅につきましては、共同住宅と比較して床面積が大きなものが多いということから、空き家となっております戸建て住宅を賃貸住宅として活用することができれば、多世代同居の世帯あるいは子育て世帯、こういった方々の居住ニーズに適合するものと考えられます。
 こうしたことから、今年度は、戸建て住宅を多世代同居、子育て世帯向けの賃貸住宅として活用することを条件にバリアフリー化改修などを行う場合に、お話ございました空き家活用モデル事業として、新たに補助をするということにしたものでございます。これによりまして、戸建ての空き家の利活用方策の可能性を検証していきたいというふうに考えております。

○尾崎委員 ぜひ、戸建て住宅の利活用というのを進めていただきたいと思います。
 次に、ゼロゼロ物件についてお伺いをしたいと思います。
 私も、二〇〇九年十一月に、各会計決算特別委員会で、当時、貧困ビジネスがかなりちまたの話題となっておりまして、このときに、要は敷金、礼金を取らないで鍵を貸与して、少しでも家賃の滞納があると、これを強制的に追い出してしまうという、いわゆるゼロゼロ物件というのが問題になったのであります。ゼロゼロ物件は、社会問題として当時本当に大きな問題となっていたんですが、これは、退室の立会費などをさまざまな名目で料金を徴収していって、敷金、礼金のある通常の物件と比べても必ずしも安くないわけであります。
 ただ今の社会経済状況の中で、失業者や低所得者にとっては、わらをもつかむ思いで契約をして、あげくの果てに、わずか一日の家賃滞納でも莫大な違約金を請求する、無断で鍵を交換してしまって入れないようにしてしまったりするとか、家財やペットを売却とか廃棄をするなどの不法行為にさらされている状況が今でもあるわけであります。業者側が幾ら法律の穴を抜けるような説明と理論でこれを正当化しようとしても、これは、私は紛れもない貧困ビジネスだと思っているわけであります。
 このようなゼロゼロ物件による被害は、私が質問をしてから、この間の話だと少し減っているような話は聞いたんですけれども、まだ私のところにも相談が来たりしている現状を見ますと、後を絶っていないのかなというのが正直な実感であります。
 いわゆる家賃などの悪質な取り立て行為の禁止と家賃債務保証業者等に対する規制を主な内容とする賃貸住宅居住安定法案の法制化というのは、国の方でやっていたんですけれども、結局これは頓挫をしてしまいましたが、東京都としては、適切な対応をしっかりと図っていくべきだと考えております。
 そこで、都市整備局における最近の家賃債務保証会社に関する相談件数の推移についてお伺いをしたいと思います。また、これまでのゼロゼロ物件に対する対応の状況についてお伺いをしたいと思います。

○細渕住宅政策推進部長 家賃債務保証会社に関する相談件数でございますけれども、平成二十一年度に九十三件、これをピークに減少傾向にございまして、平成二十四年度は約六割の五十三件となっております。
 いわゆるゼロゼロ物件に対する当局の対応についてでございますが、賃貸住宅相談員による窓口相談や弁護士による法律相談により、内容に応じた適切な助言に努めてございます。また宅地建物取引業法上の違反行為がある場合には、同法に基づき適正に対処しているところでございます。
 具体的には、借地借家法の借り主保護の規定が排除されます一時使用賃貸借契約を繰り返していた業者、これもいわゆるゼロゼロ物件の一形態でございますけれども、この業者に対しまして、重要事項説明書の不交付等の宅建業法違反により業務停止処分としたなど、二件の処分を実施しているところでございます。

○尾崎委員 ゼロゼロ物件に対する都側の実質的な対応としては、宅地建物取引業法違反で業務停止処分にしたということでありますけれども、それもわずか二件にとどまっているわけであります。これもやっぱり、局として可能な範囲で対応しているとの回答でありますけれども、所管する宅建業法による対応だけでは、これは問題は解決できないものだと考えるところであります。
 当時、僕の質問に対して、都市整備局長は、今後の対応について生活文化局と連携をして適切な対応を図っていくと。つまり、宅建業法違反というのは都市整備局の管轄ですけれども宅建業法って--生文の管轄で、ばらばらにこうやって進めていると、どうしても限界があるのかなというところで質問させていただいたんです、そのときにですね。それから生活文化局とどのような連携をとってきたのか、お伺いをしたいと思います。

○細渕住宅政策推進部長 生活文化局との連携についてでございますが、消費生活対策推進会議に参加するほか、定期的に消費生活総合センターと連絡会を開催してございまして、その中で、家賃債務保証会社に関するクレームや家賃滞納時の取り立て等に関する事例検討などを行っているところでございます。
 また、日常の相談業務におきましても、宅建業法では対応できない相談事例をセンターに情報提供するなど、緊密な連携に努めているところでございます。
 今後とも、消費生活条例を所管いたします生活文化局と連携しながら、適切に対応してまいります。

○尾崎委員 処分をされた二件の会社のうちの一つは、同じ地番に、その後、別の社名で今も営業しているんです、社名は申し上げませんけれども。結局、そうやって法の網を抜けています。その後、同じようなことをやっているかどうかというのはわかりませんけれども、そんなにすぐ変わるものじゃないと思うんです。
 だから、そうした生活文化局と都市整備局と二つの部署が対応していくというのは、やっぱり処分件数が二件というのは、どうも僕が受けている相談の中の感じだと、ちょっと少ないんじゃないかなと。全体的な相談件数が減ってきているというのは、これは局の不断の努力の成果だと思いますけれども、最終的に、実際そういう悲惨な状況があるということも認識をしていただいて、今後も全庁的な対応をお願いしたいと思います。
 次に、都営住宅の使用承継、さっきも出ましたけれども、お伺いしたいと思います。
 二十六万戸、都営住宅がある中で、これはやっぱり都民の居住の安定を図るセーフティーネットとして、都営住宅というのは大きな役割を果たしているわけでありますけれども、この共有財産を何世代にもわたって居住し続ける、そういうことは、これは都民のごく一部の者がその利益を享受し続けることになってしまって、公平性の観点からは問題があるというご指摘もあると思います。
 都営住宅は、原則として公募により入居するものでありますけれども、応募倍率も三十倍ぐらいになっているわけでありますから、真に住宅に困窮している者が入居すべきというのもこれはわかるんです。
 一定のルールが必要だということも、もちろんわかりますけれども、今、これから質問させていただくんですけれども、使用承継ができる同居者の範囲は、配偶者のみとなっているわけでありますけれども、その経緯を最初にお伺いをしたいと思います。

○桜井経営改革担当部長 都営住宅の使用承継制度につきましては、公営住宅の入居者と非入居者間の公平性を確保する観点から、承継の厳格化を求める国の通知や東京都住宅政策審議会の答申も踏まえまして、平成十八年度に制度を改正しまして、平成十九年から原則として配偶者のみを対象としております。

○尾崎委員 どんな法律にもやっぱり原則と例外があって、使用承継の制度でも、もちろん原則と例外があると思っております。
 僕がこの間受けた相談だったんですけれども、娘さん、五十代ぐらいの方が名義人で、その方は二人の子供さんがいて、未成年のお子さんがいらっしゃって、二人とも障害者だったんです。結局、障害者の子供の面倒を見ていたんですけれども、その娘さんが亡くなってしまって、娘さんのお母さんが、事実上同居はしていたんですけれども、子供たちを見ているような状況の中で娘さんが亡くなってしまって、結局、使用承継の制度というものをお母さんは知らなかった部分があって、娘さんが亡くなった三日後ぐらいに知って、相談に行ったんですけれども、ちょっとタイムラグがあって、なかなかうまくいかなかったケースがありました。
 今も、もちろん相談させてもらって対応していただいているんですけれども、市のケースワーカーも入ったりなんなりして。でもやっぱり一概に法律の原則の中で対応することができない、そういったところもあるわけでありますから、これは役所だから、なかなか柔軟な対応というのは難しいのかもしれませんけれども、そういった一部の困窮者の中には、今の使用承継の制度を知らないで、結局、二、三日の本当にタイムラグの中で、そのまま承継することができなくなってしまうというようなケースも、ごくまれであると思いますけれども、存在をするわけであります。
 このような特別な事情を持つ人たちへの対応というのを確認させていただきたいと思います。

○桜井経営改革担当部長 配偶者以外の同居者のうち、高齢者、障害者及び病弱者につきましては、居住の継続に配慮いたしまして、特別な事情により必要があると認められる場合には、例外として名義人の三親等親族まで承継を許可しております。

○尾崎委員 その例外の中で、三親等までということで、今回のケース、私が相談を受けたケースなんかは、その例外の規定の中に僕は入ると思うんです。それは窓口とかで真摯に相談に乗ってくれる局の方もいるんですけれども、今回の場合は乗っていただいていますが、そうじゃないケースもあるものですから、ぜひその辺のところは、そうした困窮者の方々には、柔軟な対応というのは難しいかもしれませんけれども、真摯な対応をお願いしたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○石川委員 四点につきましてお伺いいたします。
 まず、多摩ニュータウンの住宅の建てかえ問題でございます。
 本年十月二十五日に、雨の中、多摩ニュータウン内の多摩市諏訪二丁目で、国内で最大級のマンションの建てかえの竣工式が行われました。私も参加させていただきましたけれども、当初の建設住宅六百四十戸の約二倍の千二百四十九戸に建てかえられたわけでございます。加藤輝雄諏訪二丁目住宅マンション建てかえ組合理事長を初め関係者の皆さんからは、言葉に尽くしがたい充実感と高揚感が伝わってまいりました。
 多摩ニュータウンは、昭和四十六年三月に初入居を開始したわけでございますが、多摩丘陵の豊かな緑やプライバシーに配慮した新しい住宅のニーズに応えていく、まさにニュータウンとしてまちづくりが進んできたわけでございます。
 諏訪二丁目住宅も最も古い分譲住宅で、昭和四十六年に入居が開始された住宅に当たります。しかし、時間が経過することで、住区ごとの商業施設の衰退や車社会の到来による駐車場不足、また、建物の耐震基準の変更、高齢化が進行してもエレベーターがつけられない住宅構造の問題や、地域コミュニティを充実させる必要等多くの課題を抱えるようになったわけであります。
 これらの問題解決のために、建てかえの必要性は以前から叫ばれていたわけでございますけれども、具体化するためには多くのご苦労があったものと思われます。
 まず、建てかえに至るまでの経緯についてお伺いをするものでございます。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 諏訪二丁目住宅は、昭和四十六年に入居が始まりましたが、子供の成長等に伴い、住戸の狭さなどが切実な問題となり、平成三年には管理組合内に建てかえ委員会が設置され、建てかえに向けた具体的な検討が開始されたと聞いております。
 建てかえの検討におきましては、法的な規制などが支障になっていましたが、平成十四年に区分所有法が改正され、団地の建てかえにおける決議要件が緩和されるとともに、マンション建替え円滑化法が制定され、建てかえ組合が主体となって建てかえ事業を行う方式が法的に整備されました。
 さらに、平成十八年には、建てかえ推進の観点から、都と多摩市が協調して都市計画の見直しを行いました。
 これにより、建てかえ計画が大きく前進いたしまして、平成二十二年に区分所有法に基づく団地一括建てかえ決議が成立し、マンション建替え円滑化法による認可等を経まして、平成二十三年十二月より本体工事に着手し先月竣工いたしました。

○石川委員 東京都は、多摩市と連携しながら、特に都市計画上の支援をしてきたというような実態にあるわけでございますけれども、多摩ニュータウンが生まれ変わるということは、地元多摩市にとりましても、また、ニュータウン事業を担ってきた他の自治体にとっても、新しい一歩を踏み出したといえるわけでありまして、まちづくりの上で重要なメルクマールになるものと考えております。
 東京都として、二十年以上の歳月をかけて建てかえ事業が実現したことの成果と意義についてお伺いいたします。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 建てかえ前の諏訪二丁目住宅は、旧耐震基準の建物で耐震性が不足しており、エレベーターも設置されていないといった状況でございましたが、今回の建てかえにより、建物の耐震化やバリアフリー化が図られるなど、居住環境が大きく改善いたしました。
 また、建てかえ前は居住者の高齢化が進行しておりましたが、建てかえ後は、三十代、四十代の若い世代が多く入居する予定でございます。地域に開かれたコミュニティ施設や広場なども整備され、多様な世代が暮らすにぎわいのあるコミュニティの形成や地域の活性化にも寄与するものと考えております。
 今回の建てかえ事業は、国内最大規模のマンション建てかえを実現したものであるとともに、他の団地の建てかえ等への取り組み意欲を高め、多摩ニュータウン再生の契機になるものと考えております。

○石川委員 今回の事業の完成によって、まさにまちが生まれ変わると、そういうことが実感できるわけでございます。
 今回建てかえが完成しました理由といたしましては、建てかえ組合の皆さんのご努力は当然のことといたしましても、地元多摩市、都市再生機構、東京都が、おのおのの役割をしっかりと担ってきたことが重要だというふうに思っております。あわせて、諏訪二丁目住宅は駅に近かったこと、また分譲住宅を拡大する用地的な余地があったことなどが指摘をされております。
 この条件に最も近いのが永山住宅でございます。諏訪二丁目住宅同様に、昭和四十六年に入居が始まったところでございますけれども、永山地区の建てかえに対する都市整備局の基本的な姿勢をお伺いするものでございます。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 永山地区には、諏訪二丁目住宅と同じ昭和四十六年に入居が始まった分譲マンションが約六百戸ございます。
 建設後四十年以上が経過していることから、市と連携するとともに、適宜、情報交換を図りながら適切に対応してまいります。

○石川委員 今回の建てかえの住民側のまとめ役を務められました加藤理事長さんと直接お話しする機会がございました。
 その中で最も印象的でしたのが、団地であるにもかかわらず、おみこしを住民みずからつくって、あるいはまた運動会を行ったりということでも、コミュニティ活動を活発に行ってきたと、このことが今回の成功の一つの大きな要素であるというふうにおっしゃっておりました。住民同士の信頼感や結束を強めていく上で、非常にコミュニティ活動が重要だったということでございます。
 また、裁判で訴えられる、住民同士の裁判というものも、もちろん行政ともあったわけでございますけれども、裁判もあったということもございまして、まさにコミュニティ力が重要で、行政中心でやっていきますと、どうしても要求型になってしまうと。ですから、建てかえ計画の基本的な考え方、説明などは、住民の方みずからが出席して、中心になって説明すると、こんなようなやり方ができたということが、そしてまた、多摩市や東京都あるいは都市再生機構等のしっかりとしたフォローがあったからこそ完成ができたと、こういうお話だったわけでございます。
 そういう意味からしますと、この永山地区も、住民組織がしっかりとしておりますし、また、条件も駅に非常に近いわけでございますし、また用地的にも、諏訪二丁目と全く同じような時期につくられているわけでありますので、余裕もあるわけでございます。
 多摩市では、多摩ニュータウン再生検討会議が発足をして、現在、どちらかといいますと総論的な議論が始まっております。これは都市整備局からも委員さんが出て、議論に参加をしているわけでありますけれども、諏訪二丁目に続く建てかえを具体的に進めていくことが極めて重要だというふうに私は考えております。都も、市としっかりと役割を分担しながら、具体化に向けた支援をお願いしたいというふうに思っております。
 最後に、多摩ニュータウン事業は終わったわけではありません。再生ということもございますし、また、これからも処分をしなきゃならない用地もあるわけでございまして、これからも進んでいく。さらに、我が国の住宅のモデルとなるような事業として進んできた、そういう意味もまだあるわけでございますので、ニュータウン事業はまだ終わったわけではないと、こういう認識をしっかりと持っていただきたいということを改めてお願いしておきたいと思います。
 続きまして、鉄道、新交通システムの整備につきましてお伺いいたします。
 多摩地域は、道路網も鉄道網も、南北方向の整備の事業化が比較的おくれてまいりました。そんな中で、多摩地域一丸となって促進のための協議会をつくり、多摩都市モノレールの実現のために努力をし、平成十二年、上北台、多摩センター間の全区間の開通が図られたところでございます。
 当初、経営は厳しい状況にありましたが、沿線の開発事業なども後押しをして、学生利用の定期券の割引などを積極的に図り、経営も改善をされつつあると聞いておりますけれども、最近の経営状況につきまして、まずお伺いをしたいと思います。

○西倉都市基盤部長 多摩都市モノレール株式会社は、開業以来、多摩地域の重要な公共交通機関としての役割を果たしてまいりましたが、初期投資に伴う借入金の返済が経営を圧迫し、債務超過に陥ったことから、平成二十年に、沿線自治体や都による財政支援などを受け、財政再建を図りました。
 その結果、平成二十年度決算におきまして、累積欠損金を解消するとともに、黒字を計上しております。
 その後も、沿線自治体との連携や地元の観光資源を生かした利用促進など、会社のこれまでの努力の積み重ねにより、平成二十四年度決算まで五期連続の黒字を達成しております。
 一方で、まだ多くの長期債務を抱えるとともに、今後、設備更新の増加が見込まれることなどから、引き続き、会社の経営状況を注視していく必要がございます。

○石川委員 五期連続の黒字ということで、会社の努力、あるいはまた東京都あるいは各自治体もそれなりの支援をしてきたわけでございますけれども、このことは非常に次につながっていくんだなという実感を持たせていただいているところでございます。
 一方、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、多摩地区は、平成二十七年、二〇一五年、四百十九万人をピークに人口減少を迎えると見込まれております。私の地元の多摩市は、二〇四〇年には、二〇一〇年と比較をいたしまして一三・七%、二万人も人口が減少するという推計値が出されております。
 今後、まちの活力をどのように図っていくのか、活性化をどう図っていくのか、今まで以上に重要な時代に入ってきたわけでございます。まちの活力を維持するためにも、鉄道網の整備は欠かせない課題であります。
 本年三月に出されたばかりの多摩の長期計画ともいえる新たな多摩のビジョンの中でも、多摩地域の今後の発展を支える交通ネットワークのさらなる充実の中で、都市間の連携を強化する鉄軌道ネットワークをさらに充実強化するため、多摩都市モノレールの延伸やJR中央線の複々線化など、平成十二年の運輸政策審議会の答申で位置づけられた路線の整備について、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、国や関係自治体、鉄道事業者とともに検討していくと位置づけられております。
 武蔵村山や瑞穂町等は、鉄道系交通がないことや、多摩センターは計画的につくられたまちで多摩の核都市を形成しておりまして、潜在的なポテンシャルは高いまちというふうに考えております。
 多摩都市モノレールの延伸計画について、都の見解をお伺いするものでございます。

○西倉都市基盤部長 多摩都市モノレールの延伸につきましては、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、箱根ケ崎方面が二〇一五年までに整備着手することが適当な路線、また、町田及び八王子方面が、今後整備について検討すべき路線として位置づけられております。
 箱根ケ崎延伸につきましては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況や周辺の開発動向を踏まえ、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性など課題解決に向けて知恵を絞ってまいります。
 また、町田、八王子延伸につきましては、需要動向や事業採算性、投資効果などさまざまな角度からそのあり方を検討することが必要であると考えております。

○石川委員 注目をされておりますリニアモーターカーの新駅は、相模原市に計画をされておりまして、将来の輸送手段として大変な期待が持たれております。小田急線の唐木田駅を延伸させることによる交通網の整備を図ることによりまして、多摩地域南西部の将来の発展力を担保することも重要な課題でございます。
 小田急の多摩線の延伸について、都の見解をお伺いいたします。

○西倉都市基盤部長 小田急多摩線の横浜線、相模線方面への延伸につきましては、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、今後整備について検討すべき路線として位置づけられております。
 これまで、地元町田市及び相模原市が、延伸についての調査検討を行っており、その中では、事業費や採算性の確保、沿線のまちづくりとの整合性などを実現に向けた課題としております。
 都としては、さまざまな課題があることから、今後とも、このような地元市の取り組みなどを踏まえ適切に対応してまいります。

○石川委員 鉄道網の整備は、多摩地域発展の重要なファクターというふうにいえるわけでありますがゆえに、人口減少に多摩地域は二年後に突入するわけであり、そのことはもうわかっているわけでありますけれども、新たな多摩のビジョンの中でも、モノレールの延伸を取り上げているというふうに思っております。実現に向けて、しっかりと地元自治体等と情報交換を進めていくことを求めていきたいと思っております。
 三点目に、首都圏の新たな高速道路料金についてお伺いいたします。
 首都高速道路は、東関東、京葉道路、常磐道、東北道及び中央自動車道と接続をいたしております。しかし、中央自動車道を除きますと、千葉県、埼玉県、神奈川県の県境まで首都高速道路となっております。ところが、都心部から中央高速道を利用する場合、中央高速道均一区間料金と首都高速道路料金を別々に支払わなければならないわけでありまして、多摩地域の住民を中心に不公平感を強く感じているところでございます。
 そこで、三鷹料金所を含む高井戸から八王子までの区間が均一料金となっているわけでありますが、そもそも、中央道になぜ均一区間があるのかお伺いをしたいと思います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 高速道路会社によりますと、中央道は、昭和五十一年に高井戸から調布間を供用し、首都高速道路につながりましたが、その建設当時、三鷹の本線上に料金所を設置する計画でございました。
 しかし、上下線に計画どおりの本線料金所設置ができなかったため、八王子に本線料金所を設置し、料金収受の方法を検討した結果、高井戸から八王子までの区間を均一料金にしたと聞いてございます。

○石川委員 都内の高速道路は、ほとんどが首都高速でカバーをされておりまして、ETC搭載車は、利用料金が五百円から九百円の対距離制となっております。先ほど来、指摘をしておりますように、中央道を利用する都民等は、首都高速と中央道の二つの高速道路を使うために、利用料金が高くなっています。
 現在、国等では、将来の高速道路料金の検討がなされておりますけれども、中央道の均一区間の解消なども一緒に解決できる課題と考えております。都の認識をお伺いいたします。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 中央道を含めた首都圏の高速道路の利用につきましては、複数の高速道路会社により運営されていることなどから、乗り継ぎに伴う割高感がございます。
 そこで、都は、これまでも、国への提案要求などの機会に、圏央道の内側において利用の効率性が極めて高く、高速道路網を最大限利用する一体的で利用しやすい料金体系の構築を要望してまいりました。
 今後とも、都は、関係自治体と連携しながら、ご指摘の中央道の課題も含め、国や高速道路会社に対しまして、適切に対応していくよう強く求めてまいります。

○石川委員 ETCもかなり普及をしてきております現在、おのおのの高速道路会社で料金を取られるのは大変おかしいというふうに感じております。
 都としては、圏央道圏内を一体とした料金体系に移行する方向で国に要望しておるということでございますけれども、東京都市長会や町村会の強い要望でもございます。議会、行政一体となって国に働きかけをしていきたいと思っております。
 最後になりますけれども、たまリバー五十キロについてお伺いいたします。
 多摩川は、東京と神奈川県にまたがる自然豊かで美しい景観を持ち、潤いを与える大空間でありまして、河川敷はウオーキングやジョギング、サイクリングなどを楽しむ都民、県民に日々利用されているところでございます。
 上流部から下流部までつなぐたまリバー五十キロということで、実際は五十三キロあるようでございますけれども、つなぐコース設定がなされております。これは左岸なわけでございますけれども、左岸だけではなくて、右岸をも含むコース設定を図るべきと考えますが、都の考え方をお伺いいたします。

○西倉都市基盤部長 たまリバー五十キロは、多摩川の左岸側の河川敷等で、羽村の取水堰から大田区の大師橋まで連続して散策等が楽しめる約五十三キロのコースを設定したものでございます。
 都は、案内板、距離標、分岐標などの案内施設の設置やコースの案内マップの配布を行っており、道路等の管理は、河川を所管する国や沿川区市が行っております。
 多摩川の右岸側につきましては、通路が整備されていない区間があり、また、浅川など多摩川の支川によりコースが分断されるなど、コースの連続性が確保できないなど制約がございます。
 今後、現地の状況や地元市などの動向を踏まえ、研究すべき課題であると認識しております。

○石川委員 多摩川、特に川崎市側は、ほとんど右岸も整備をされているわけであります。また、東京都側も部分的に、一気通貫で羽村から川崎まで全てつながるわけではありませんけれども、しかし、同じように右岸側の都民も多摩川を利用しながら、また、サイクリング等々でも活用しているわけでありまして、たまリバー五十キロという一つの大きな枠の中に取り込んでいくことは、十分可能だというふうに思っております。
 特に、場所によっては、橋を渡って迂回をして、また戻るというような方法をとることも可能ですし、また浅川などについても、若干奥の方まで入ってまた戻るというような、こういうコース設定も十分可能なわけでありまして、特に、神奈川県であります川崎市と東京都が連携して、こういった事業を図っていくということについても、非常に意義があるというふうに思っておりまして、ぜひ神奈川県ともしっかりと協議をしていただきたいと思います。
 また、地元自治体とも協議をしていただいて、そんなにお金のかかる話でもないと思いますので、ぜひ、いろんなレベルがあります、ウオーキングでしたら今でもつなげられるわけでありますので、たまリバー五十キロについて、右岸側の取り込みについても、ぜひ積極的に進めていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

   午後三時三十分開議

○斉藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○神林委員 私は、外環の地上部に計画されている道路について伺います。
 過去に当委員会でも、この件については私は質問したことがございます。しかし、若干の月日が経過しまして、私ども委員も改選によって多くのメンバーが交代し、関係理事者や地元の方々にも変動があったかと思います。
 そこで、今後の取り組みが円滑に進むことを再確認させていただくために、改めまして基本的なことだけ三点、質問をさせていただきます。
 高速道路の外環は、首都の渋滞解消や環境改善のみならず、災害時には救命復旧活動を支えるなど、その早期整備が不可欠でございます。
 昭和四十一年に高架構造で計画決定されたものの、平成十九年に沿道環境などに配慮するため、大深度地下を活用したトンネル構造に変更されたところであります。
 平成二十一年に事業化し、現在、鋭意、用地取得を進めるとともに、トンネル立て坑工事などに取り組んでいると聞いております。
 オリンピック・パラリンピックの東京開催の決定を受け、円滑な大会運営を支えるためのインフラとしても、二〇二〇年早期の完成が望まれるところでございます。
 一方、同じ昭和四十一年に計画決定された地上部の街路、いわゆる外環ノ2についてですが、地元ではさまざまな意見があり、意見を聞きながら検討を進めていると聞いております。
 そこでまず、改めまして、この地上部街路の計画の意義について伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 外環の地上部に計画されている道路は、昭和四十一年に高速道路の外環と同時に都市計画決定されており、当時、外環と一体になって、自動車交通に対処するとともに、地域の利便性向上や沿線まちづくりへの寄与など、都市計画道路ネットワークの一部として機能するように計画されてございます。
 平成十九年に、外環を地下方式に変更した際、外環の地上部に計画されている道路につきましては、関係区市等から出された要望を踏まえて、環境、防災、交通、暮らしの四つの視点で、必要性やあり方などについて検討を進めてございます。

○神林委員 今ご回答にありましたとおり、交通だけではなく、防災や環境、さらには暮らしの視点に至るまで、都市計画道路の幅広い機能に着目して検討を進めているとのことでございまして、今後も沿線区市はもとより、広く多くの方々の生活向上に役立つよう計画を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、現在の検討状況について伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 この道路につきましては、平成二十年に検討の進め方を公表し、広く意見を聞きながら検討を進めることとしてございます。
 具体的には、沿線区市ごとに沿線の町会などの代表者とともに、公募による地域住民などで構成する話し合いの会を開催してございます。
 練馬区におきましては、平成二十二年六月から平成二十三年八月まで、話し合いの会を計六回開催して終了してございます。
 さらに、話し合いの会の構成員以外の地域住民からも意見を聞くため、平成二十三年十一月には、三日間にわたり広く意見を聴く会を開催しております。
 杉並区におきましては、平成二十三年から八回、武蔵野市におきましては、平成二十一年から十七回、話し合いの会を開催しており現在も継続中でございます。
 三鷹市におきましては、話し合いの会の開催に向けた調整を進めております。

○神林委員 今、ご回答にありましたとおり、地元の意見を聞きながら丁寧に取り組んでいるということだと思っております。
 しかしながら、地元の意見の一部には、沿道環境の悪化などを懸念する声もあると思います。私は、基本的に地元が実際にこうむる不利益や生活再建については、可能な限り誠意を持って対応すべきと考えております。しかし、広域的な視点で見ると、道路がないことにより、環七や環八など、既に整備が完了した道路に交通が集中し、その沿道のより多くの住民に負担がかかっていることも認識すべきでございます。
 時代の要請により、道路の整備に当たっては、地域住民への説明が必要なのは当然のことでございますが、道路を適正に分散化するためには、都市計画道路ネットワークが必要であります。今の答弁にもありましたが、練馬区では話し合いの会が終了しており、広く意見を聴く会の開催以降、既に丸二年が過ぎております。
 地域によって、検討のスピードに差があるのは当然かと思いますが、地域のためにも条件が整ったところから進めることも必要かと思います。
 そこで、練馬区における地上部街路の今後の取り組みについて伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 外環の地上部に計画されている道路につきましては、平成二十年に示しました検討のプロセスに従い、必要性を検討するためのデータをもとに、話し合いの会などで意見を聞きながら検討を進めてきたところでございます。
 引き続き、この道路のあり方を複数案公表し、広く意見を聞きながら検討を進め、都市計画に関する都の方針を取りまとめてまいります。

○神林委員 都市計画道路の整備率を見ますと、区部ではようやく六割を超えたところですが、練馬区の西部地域では三割にも満たないなど、極めて整備がおくれている状況でございます。
 東日本大震災の経験から明らかになったように、道路は、災害時において迅速かつ円滑な救命復旧活動を支える命を守る道路として機能いたします。切迫する首都直下地震に備えるためにも、都市計画道路の整備を推進すべきであります。
 練馬区の外環の地上部街路については、既に高速道路の整備に伴い、大泉ジャンクションの約一キロメートルについて事業化したとのことですが、残りの区間についてもあり方の複数案を早急に打ち出し、整備に向けた取り組みを進めるべきと考えます。
 道路は、ネットワークとしてつながってこそ、その効果が広く都内全体に発揮されます。引き続き、地元の意見を聞くことも重要ですが、早期整備を望むたくさんの方々の声なき声、いわゆるサイレントマジョリティーにも配慮することを要請し、私の質問を終わります。

○吉倉委員 私からは、鉄道駅のホームの安全対策について何点か伺います。
 ホームからの転落事故や列車との接触事故を未然に防ぐために、最も効果的な対策は、鉄道駅にホームドアを整備することであります。そこで私は、機会あるごとに、このホームドアを早期に整備すべきと主張してまいりました。
 こうした議会からの要望や社会的な要請を受けて、都は、平成二十三年度からホームドア整備促進のための予算を地方自治体で初めて計上しております。これは、ホームドアの整備に多額の費用がかかることに対して、国と都と事業者がそれぞれ三分の一ずつ負担をし、整備の促進を図るものであります。
 この補助スキームを導入した結果、小田急線新宿駅地上急行ホームでは、昨年九月に、さらに京王線新宿駅では、本年三月に三番線、十月に一番線にホームドアの使用が開始されました。
 このように、都が積極的に関与してホームドアの整備を前に進めようとしていることを高く評価しております。
 そこでまず、現在の都内の地下鉄駅とJR及び私鉄の駅でのホームドア等の整備状況についてその割合を伺います。

○西倉都市基盤部長 都内の駅におけるホームドア等の整備状況でございますけれども、平成二十四年度末で、地下鉄駅におきましては、百二十三駅でホームドア等が整備され、総駅数二百二十六駅に占める割合は約五四%でございます。
 また、JR東日本及び私鉄では、七十四駅で整備されておりまして、総駅数四百八十駅に占める割合は約一五%でございます。

○吉倉委員 答弁がありましたとおり、地下鉄駅におけるホームドアの整備率は約五四%、また、JR東日本及び私鉄では、約一五%という状況であります。
 都内の整備状況は、まだまだおくれております。安全性が向上するという点で最もすぐれているにもかかわらず、なぜ整備が進まないのか。その大きな理由は、技術面や輸送面の課題、そして多額の事業費だと指摘されております。
 そこで、特に、技術面の課題に対応するものとして、新しいタイプのホームドア、すなわちロープ式、あるいは戸袋移動型等の試験運用が実施されている、このように報道されておりますが、新技術に関する動向と都の考え方について伺います。

○西倉都市基盤部長 本年八月には、西武新宿線新所沢駅におきまして戸袋移動型ホーム柵、十月には、東急田園都市線つきみ野駅におきまして昇降ロープ式ホーム柵、相鉄いずみ野線弥生台駅におきまして昇降バー式ホーム柵の実証実験が開始されました。
 これらのホームドアの開発により、扉の位置の異なる列車に対応が可能となることやホームドアの軽量化などが期待されており、実用化が進めばホームドアの整備が進むことが期待されております。
 今後、実証実験を通して、安全性、実用性、耐久性などを検証すると聞いております。
 都といたしましては、その動向を踏まえ、実用化された場合には適切に対応してまいります。

○吉倉委員 実証実験の結果を踏まえて、実用化された場合には、ぜひ積極的に対応していただきたい、このことを要請しておきたいと思います。
 また、新技術の開発が進められるなど、ホームドアの整備が少しずつ前へ進んでいることを評価しております。しかし、一方では報道されているとおり、ホームからの転落事故は後を絶ちません。
 そこで、改めて都内における人身障害事故の中で、ホームから転落して列車と接触した事故及びホームでの接触事故の件数について伺います。

○西倉都市基盤部長 国土交通省関東運輸局の発表によりますと、平成二十四年度に発生した人身障害事故のうち、ホームから転落して列車と接触した事故は、全国で四十八件発生してございまして、そのうち都内での発生件数は二十三件でございます。
 ホームで列車と接触した事故は、全国で百七十五件発生しておりまして、そのうち都内の発生件数は八十七件でございます。

○吉倉委員 今ご答弁いただきましたが、ホームからの転落事故、そして列車と接触した事故が、これほど多く発生していることに改めて驚かされるわけであります。
 私は、ホームドアの整備は、究極のバリアフリー施策だと考えております。ホームドアが整備された駅では、転落事故は一件も発生しておりません。冒頭申し上げたとおり、新たな補助スキームを活用することで、小田急線新宿駅そして京王線新宿駅にホームドアが整備されたことは、大変すばらしい成果だと考えております。
 そこで、この試行的な補助スキームをさらに拡大し、今後、本格的な運用を図り、都内の鉄道駅へのホームドアの整備を一層加速すべきであります。
 最後に、都技監の見解をお伺いいたします。

○藤井東京都技監 ホームドアについてですけれども、駅ホームにおける転落事故などが繰り返し発生しており、その整備についての社会的要請も強いと、こういうふうに認識してございます。また、ユニバーサルデザイン先進都市を目指すという観点からも、ホームドアは一つの重要な要素ともなっております。
 駅ホームからの転落防止策につきましては、原則として、鉄道事業者みずからが取り組むこととなっております。
 しかしながら、これまで、整備に慎重な鉄道事業者に対しまして、その取り組みを促すため、都として試行的に補助を行ってきておりますが、今後の取り組みにつきましては、技術開発の動向などを踏まえて、現在検討を行っているところでございます。
 オリンピック・パラリンピック開催に向けて、東京の強みである充実した公共交通の安全度をさらに高めていくことは、極めて重要でございます。そのためにも、引き続き、積極的に鉄道事業者に働きかけを行い、国や地元自治体と連携しながらホームドアの整備の促進に取り組んでまいります。

○吉倉委員 ありがとうございました。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催が決定し、今後、東京の魅力の一つである安全対策について、さらに取り組みを進めていくことが必要だと、このように考えております。特に、パラリンピックの開催に当たり、東京で鉄道を利用する全ての人が、安全で安心して駅を利用できることが求められております。
 これまで実施してきた試行的な補助スキームによって得られた成果を参考にし、都は引き続き、積極的に鉄道事業者への支援をすべきと、強く要望して質問を終わります。

○白石委員 私からも、まず可動式のホーム柵でありホームドアの質問をさせていただきます。
 まず、誰もが安心・安全で鉄道駅を利用できるようにしていくことは、現在緊急の課題になっています。ホームドアや可動柵の整備を進め、転落事故防止対策を推進していく立場で幾つか質問をさせていただきます。
 まず初めに、ホームドア、または可動柵も含めての位置づけと重要性について、都の認識を伺います。

○西倉都市基盤部長 駅ホームからの転落防止策につきましては、鉄道の安全な運行の責任を負う鉄道事業者みずからが取り組むことが基本でございます。
 しかし、駅ホームにおける事故が繰り返され、社会的要請が強いこともあり、整備に慎重な鉄道事業者の積極的な取り組みを促すために、都では平成二十三年度から三年間に限り試行的に補助を実施してございます。

○白石委員 鉄道事業者がホームドアや可動柵を整備していくことは、大前提だと思います。その上で、公共性の高い鉄道において、年齢や性別、国籍、個人の能力にかかわらず、誰もが安全で安心して鉄道を利用できるようにしていくために、都として、ホームドアや可動柵など転落防止対策の整備を推進していくことは都の責任だと思います。その中で、モデル事業として三駅に設置したことは重要な前進だと思います。
 それでは、続いて、ホームドアや可動柵などの現在の整備状況についても伺わさせていただきます。

○西倉都市基盤部長 都内の駅におけるホームドア等の整備状況は、平成二十四年度末で、地下鉄駅におきましては百二十三駅でホームドア等が整備され、総駅数二百二十六駅に占める割合は、約五四%でございます。
 また、JR東日本及び私鉄では七十四駅で整備され、総駅数四百八十駅に占める割合は約一五%でございます。

○白石委員 ホームドア設置などの転落防止対策は、進んでいるとはいえないのが現在の状況です。そのことも踏まえて、「十年後の東京」では、駅を中心としたまちのバリアフリー化、そして安全対策を確実に完了させ、誰もが安心で、そして快適に移動できるようにすると明記をしています。
 あわせて、ホームドア、またはホーム柵、転落検知マットなどを都内全ての駅に設置し、ホームから転落による事故を防止すると具体的に目標も掲げています。この見地で都が取り組むことが現在必要となっています。
 また、これから新たに策定する長期ビジョンでも位置づけるなどして、都として抜本的推進を図るための計画も、同時に策定すべきだと強調をしておきたいと思います。
 視覚障害者の方から、私も聞き取りをさせていただきました。視覚障害者の方にとって、駅のホームはどういうところかというふうに伺いますと、まず、ホームは落ちるところだというのが現在常識になっているという声でした。
 また、点字ブロックに沿って歩けば安全という意見もあるが、そんな簡単なことではないと。人とぶつかったり物が置いてあったりするなどして、そんな簡単に歩けないんだという声もありました。そして、人とぶつかって反転したところ、自分が立っている位置がわからなくなり、ホームに転落して骨折してしまったと、こういうケースや反対側の電車の音を自分が待っている電車と勘違いしてホームから転落したと、深刻な転落事故になったというふうな実態も現在出されています。
 ホームドアの必要性は、今日高まっています。そして、ホームへの転落事故の増加傾向が続いていることはもちろんですが、何より障害を持った方が自由に安心して、鉄道を利用して移動できるようにしてほしいという願いが、現在切実さを増しています。
 都はモデル事業として三駅にホームドアを整備促進しましたが、これにとどまらず一層の制度拡充が求められていることや、そして、都内鉄道駅への設置計画を策定する必要があると考えますが、都の所見を伺います。

○西倉都市基盤部長 ホームドアの整備につきましては、社会的要請が強いことから、その必要性については認識してございます。
 今後の取り組みにつきましては、現在検討中でございますが、引き続き、国や地元自治体と連携しながら、ホームドアの整備の促進に取り組んでまいります。

○白石委員 重要な答弁だったと思います。転落防止対策として最も有効なホームドアや可動柵の設置を都として促進するために、JRや大手私鉄にも都として働きかけを強めていくことも、あわせて求めておきます。
 そして、ホームドアを整備すべき駅の選定に当たっては、視覚障害者団体などへの聞き取りや実態調査を行うことが重要であると考えます。また、都の障害者施設が多く集積し、都の施設との関連で、障害者施設が多く利用する駅などへの設置などの視点も重要であると思われますが、都の所見を伺います。

○西倉都市基盤部長 ホームドア等の転落防止対策の優先整備駅の考え方につきましては、国におきまして開催されましたホームドアの整備促進等に関する検討会で議論され、平成二十三年八月に中間取りまとめとして整理されております。
 その中で、視覚障害者からの要望が高い駅につきましては、駅周辺の視覚障害者の関連施設やホームの状況等を勘案し、優先度や必要な対策等を検討することが望ましいと記載されてございます。
 一方で、一駅当たりの事故発生件数が多い利用者数十万人以上の駅につきまして、優先して速やかに実効性の高い転落防止対策を実施することが望まれると記載されております。
 都といたしましては、このような国の考えを踏まえてまいります。

○白石委員 今、答弁では、国交省がまとめたホームドアの整備促進などに関する検討会の中間まとめを踏まえていくというふうな答弁でした。また、視覚障害者団体などからも、聞き取りや実態調査をしていくことの重要性も否定をしませんでした。ぜひ、その立場で進めていただきたいと強く要望します。
 なぜ、そこまで視覚障害者の方たちからの聞き取りや実態調査を求めるかというと、一番不安を感じ、命の危険を感じながら電車に乗っている当事者の人たちだからです。当事者が一番必要としている駅はどこなのかということや、ホームドアをつけるに当たっても、どのようにつけるのが望ましいのかをよく聞き取り、実態調査を行うことは、今後有効に整備を進めていく土台になると思います。
 私も、きょうの質問で、このホームドアを整備していく上で重要なのは、聞き取りや当事者の方々にしっかりと話を聞いたり相談をして進めていくことが大事なんだということを改めて強調もしておきたいと思います。
 障害を持った方がよく利用する駅では、例えばJR池袋駅です。池袋の駅からは、東京都障害者総合スポーツセンターの送迎バスが運行しています。しかし、山手線のホームの可動柵は片側にしかありません。
 また、JR山手線の大崎駅も、同じく片側のみの設置となっています。視覚障害者の方から、せっかく設置されたのに、これでは安全が半減してしまうと、切実な要望が出ています。
 さらに、視覚障害者の方から、可動柵でもワイヤー式やバー式の可動柵では、一般的な可動柵に比べて扉がどこにあるかわからない、幅が広過ぎて電車の扉の位置がわからないという声も出されています。
 きょう私も持ってきましたけれども、朝日新聞の報道でも、この駅ホームドア、死角ありというような報道も現在されています。だからこそ、視覚障害者の団体や当事者の方と相談して、どこに設置すべきなのか、そして、どういう形で設置した方がいいのかということを聞くことが大切だというふうに思います。
 二〇二〇年には、オリンピック・パラリンピックが東京に招致をされます。最終プレゼンテーションに登壇したパラリンピアンの佐藤真海さんは、帰国後にインタビューで、パラリンピックを日本で開催できればバリアフリーにつながると思っていると、招致に携わった動機を話しています。
 都は、オリンピック招致の際に、成熟した都市の姿を示すと明言もしています。世界各国から、さまざまな国籍や人種、そして文化を持った人たちが訪れる中で、障害の有無によって安全が保障されず、行動が制限されることはあってはなりません。
 全ての人が安心して暮らし、そして移動できる都市にするためにも、当事者の方からの意見を丁寧に聞き、積極的に取り入れ、ホームドアや可動柵の整備の拡充をしていくことを重ねて強く求めて、このテーマでの問題の質問を終わります。
 引き続いて、首都直下型地震から都民の命と財産を守るために、防災対策は急務の現在課題となっています。現在、都内のマンションの中で旧耐震の分譲マンションは約一万二千棟あり、都内の分譲マンションの二割以上は、旧耐震の分譲マンションです。
 旧耐震の分譲マンションに、耐震診断や耐震改修を都として援助していくために、幾つか質問をさせていただきます。
 まず初めに、平成二十三年度、そして平成二十四年度の分譲マンションの耐震診断及び耐震改修助成の実績について伺います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションの耐震化助成の実績でございますが、まず耐震診断助成は、平成二十三年度が九十六棟、六千五百九十三戸、平成二十四年度が百七十九棟、七千六百九十三戸でございます。
 次に、耐震改修助成につきましては、平成二十三年度が八棟、九百九十二戸、平成二十四年度が三十棟、千九百九戸でございます。

○白石委員 二〇一一年度と昨年度を比べても、耐震診断では一・八倍、耐震改修では三・八倍に実績では伸びています。
 東日本大震災以降、防災意識が高まり、自分の住んでいるマンションがどのくらいの耐震性があるのか確認をし、そして診断の結果も踏まえて、耐震改修に踏み出すケースに至っていることは大変重要だと思います。
 しかし、一方で、都が実施したマンション実態調査の結果では、耐震診断実施状況では、回答したうち八割を超えるマンションが未実施と回答をしています。
 そこで伺いたいと思います。分譲マンションの耐震化を促進していく上で課題と考えていることは何か伺います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションの耐震化に当たりましては、区分所有者の合意形成が一番の課題と考えております。
 都が実施いたしましたマンション実態調査によれば、合意形成が困難な理由として、耐震診断や耐震改修にかかる費用への懸念や、耐震化への関心の低さなどが挙げられております。

○白石委員 居住者の中で合意形成に至るまでには、いろいろなハードルがあると思います。例えば、アンケート結果でも最も多いのが耐震改修費用がないため、次いで、耐震診断費用がないためという費用の面で、居住者の中で合意がとれないというものが一番多くなっています。また、耐震化への関心が低いという回答や、実施方法がわからないという回答なども少なくありません。こうしたさまざまな課題に対し、丁寧なサポートが現在求められていると思います。
 そのような状況の中で、都が行っているマンション啓発隊の取り組みについて伺います。マンション啓発隊の目的、そして人員構成、訪問件数はどのようになっているのか、また、啓発隊の取り組みを通じて、改めて明らかになった問題は何か伺います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 マンション啓発隊は、旧耐震基準の分譲マンションの管理組合の役員などを個別に訪問し、耐震化に向けた助言などを行うことによりまして、分譲マンションの耐震化を促進することを目的としております。
 都の職員、地元区市の職員、専門家の三人一組で啓発隊を構成しておりまして、平成二十四年度は、約千百棟を対象に実施いたしました。今年度は、約二千五百棟の訪問を計画しております。
 啓発隊の取り組みを通じまして、耐震診断の実施による資産価値低下への懸念や耐震化の必要性についての認識の低さなどが改めて明らかになっておりまして、都は区市と連携し、耐震アドバイザー派遣などの支援制度を周知しその活用を促しております。

○白石委員 耐震化を進めるには、さまざまな課題を整理して、どのようにすれば耐震診断や耐震改修に至れるかというイメージを管理組合や住民の方に持ってもらうこと、そして、初めの一歩を踏み出せるようにするというのが大切だと思います。
 そのために実際に足を運んで説明をしに行く、まさしくアウトリーチ型のこのマンション啓発隊は、非常に大切な取り組みだと思います。
 昨年度からまとめられた都のマンションの実態調査報告書を拝見しても、合意形成まで至ったケースでは、管理組合や理事会がきめ細かく住民への説明を行い、区の耐震アドバイザーなども活用して、話し合いを積み重ねて住民の合意形成をとり、診断に踏み切るということを行っているだけに、この取り組みには、根気強い丁寧な取り組みが必要です。
 そのために、不安に応え背中を押すマンション啓発隊の役割は大きいと思います。このマンション啓発隊はどのようにやっているのかと私も伺ったところ、例えば一日二十件から二十五件回ることもあるという中で、足を使って草の根で、耐震診断や耐震改修につなげる取り組みで大変苦労をされているだけに、取り組みをさらに広げるといった上でも、マンションにお住まいの方の要望に応えられるように、体制の拡充も強く要望しておきたいというふうに思います。
 そして、耐震アドバイザーの派遣制度の活用を促すとの話でありますが、この耐震アドバイザーは、どのような人たちで、どのように選定をされているのか、伺いたいと思います。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 耐震アドバイザー派遣事業は、区市が国の補助制度を活用して実施しているものでございまして、アドバイザーの選定につきましては、各区市が地元の建築士等の団体との協力を得て行っている事例が多くなってございます。

○白石委員 耐震アドバイザー派遣事業は、派遣費用を国、都、区市が三分の二補助をし、マンションの耐震化を支援する制度になっています。
 多岐にわたる住民の不安や疑問に寄り添いながら丁寧に相談に乗り、応えていくだけの豊富な知識とともに、管理組合としっかりとした信頼関係を築いていく力量も同時に求められます。
 アドバイザーのスキルアップや制度の活用と充実を広げることが、マンションの耐震化を進める大事な要素になると思います。
 住民の方に聞き取り調査をする中で、築三十九年の分譲マンションに住んでいる方から、耐震アドバイザー派遣事業について声が出されました。住民の中では、どこからどうやって耐震化していけばいいかわからなく、イメージも湧いていない、その中で、初めの一歩として耐震アドバイザー制度を活用して、理事会でアドバイザーを呼びレクチャーをしてもらった後、活用するに当たり、改善点もあるけれども、行政が積極的に耐震化へのアドバイスを行うことは大切だというような声でした。
 また、現場からは、派遣される耐震アドバイザーが管理組合と信頼関係が築けず、うまく機能していない事例も出ています。区市主体の取り組みとはいえ、希望するアドバイザーに相談できる仕組みや人材育成の観点から、研修などアドバイザーのスキル向上の取り組みを行うことを、都は区市に働きかけるべきだと思いますがいかがでしょうか。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 都は、区市とのマンション施策推進行政連絡会などを通じまして、耐震アドバイザー派遣事業の実施状況についても情報共有を図っているところでございます。
 今後とも、耐震アドバイザー派遣事業が、より効果的なものとなるよう区市と連携して取り組みを進めてまいります。

○白石委員 区市と連携して取り組みを進めていくという答弁でした。大事な姿勢だと思います。
 都として耐震化につなげる重要な事業と位置づけ、現在の改善点も明らかにして、住民が活用しやすい耐震アドバイザー派遣事業の制度にするよう、区市と必要な連携も図っていくことを求めておきます。あわせて、区市と連携を深める観点から、積極的に提案も私からも行いたいと思います。
 マンション啓発隊の取り組みによって、この得られた知見を取りまとめて、区市にフィードバックしていくために、白書などにまとめていくことを提案しますがいかがでしょうか。

○山崎民間住宅施策推進担当部長 啓発隊の取り組み状況につきましては、先ほども申し上げました区市との行政連絡会などを通じまして、適宜、情報共有を図っており、お話のような白書などを作成する予定はございません。

○白石委員 使いやすい制度にすることを、東京都がイニシアチブを発揮して区市と連携をとりながら拡充と、そして改善を図ることを改めて求めておきます。
 マンションの長寿命化がこれからの東京と日本にとって、大きな課題になっています。今あるマンションを建てかえてしまうのではなく、改修し長く使うことができれば、除去や建てかえ費用の負担が困難な年金生活者などが、住宅難民になってしまうことを防ぐことができます。そして、除去に当たっての産業廃棄物を減らし、建てかえに当たってのコンクリート、鉄などを生産する際のCO2の排出を減らすこともできるという点では、環境の保全にも大きな貢献をすることができると思います。
 日本では、三十年、四十年すると建てかえが問題になりますが、ヨーロッパでは、長く使い続けるのが当たり前で、戦前に建設されたマンションや団地を補修して使い続けているケースが数多くあります。
 百年以上も使い続けている団地もあり、ドイツのベルリンにある団地は、世界遺産に登録までされています。その際に大切にされていることは、エレベーターの設置やテラスの増築、バリアフリー工事などで、既に長く住んでいる人がさらに長く住み続け、また新しい世代にとっても入りたくなるように快適性を改善すること、もう一つは、断熱工事や太陽光パネルの設置など、省エネとCO2排出削減を目指すエコ化も大切にしているそうです。
 東京都内における築四十年以上のマンションは、今年度は十二万戸程度ですが、十年後には約四十三万戸へと大幅にふえていきます。
 東日本大震災でマンションの耐震に関心が高まっているとともに、居住者自身が老後の居住生活への関心を高めているときだけに、今こそマンションの長寿命化に向けた取り組みを思い切って強化すべきときだと思います。
 マンションの全棟調査や啓発隊の取り組みは、その面で貴重な取り組みです。さらなる発展を求めて、この問題での私の質問を終わりたいと思います。

○加藤委員 初めに、ヒートアイランド対策に関して質問します。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催は、先進都市東京を世界に向けてアピールする絶好の機会となります。都市整備局としては、福祉のまちづくりを進める上でのバリアフリー対策や環境に優しいまちづくり対策を今まで以上に目指していく必要があります。
 そして、オリンピック・パラリンピックの開催時期が真夏ということを考え合わせると、都市におけるヒートアイランド対策には、特に力を入れていかなければなりません。
 地球温暖化による気候変動で、七年後においても、今夏の、異常ともいうべき猛暑の中で開催されることは十分予想され、熱中症にも注意が必要です。
 これまでに都は、ヒートアイランド対策として、道路、公園では緑樹の整備や保水性舗装、遮熱性舗装の導入、建物では屋上壁面の緑化や排熱の少ない設備機器の導入など、さまざまに取り組んできたことは承知しております。
 現に、都有施設では、屋上緑化を進めていただいておりますが、コスト面や二重維持管理の問題があって、全てにわたって導入とはいかない状況であります。この課題を克服するものとして、私は、遮熱性塗料に注目をしております。
 コストや重さだけを比較すると、緑化よりも塗料の方が断然有利です。都のヒートアイランド対策取り組み方針にも、建築物の被覆の対策が入っているのですが、まだまだ導入が進んでいないのが実情であります。
 一般に建築物については、断熱だけが重視されているように思います。確かに、断熱は、建物内にいる人にとっては外熱の影響を受けにくく、室内温度を一定に保つにはすぐれておりますが、肝心の熱自体は、外壁や断熱材の中に吸収、蓄熱されていて、これがゆっくりと時間をかけて放出されて熱帯夜の一因となっています。
 これに対して遮熱は、太陽光線の多くを遮蔽、反射して、室内への影響を抑えると同時に、屋根や外壁にも熱だまりを少なくすることによって、ヒートアイランド対策に資するものと聞いております。
 断熱に加えて、建物表面の蓄熱を抑制する対策、いわゆる遮熱も今後重要視していく必要があります。断熱構造プラス遮熱対策が、先進都市東京のトレンドにしていくべきと考えます。
 遮熱に効果のある材料として、太陽光のうち高いエネルギー量を占める近赤外線領域を効果的に反射する高反射率塗料があり、建物の屋上にこの高反射率塗料を塗布することは、ヒートアイランド対策に資する一つの方策であります。
 高反射率塗料の利用については、費用対効果やライフサイクルコストなどについて考慮しなければならないことは承知しておりますけれども、ヒートアイランド対策を一層進めていくために、利用を促進させる必要があると考えますが、現在の都の取り組みについて伺います。

○永島都市づくり政策部長 都では、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律、いわゆるグリーン購入法に基づいて、平成十六年に東京都環境物品等調達方針を定めております。
 この方針では、公共工事における資材、建設機械、工法などを環境物品として定め、都が施工する起工額が五百万円以上の建設工事等に使用することを推進しております。
 お尋ねの高反射率塗料につきましては、ヒートアイランド対策を図るため、環境物品としてこの方針に位置づけておりますが、原則として使用する品目ではなく、使用に当たって検討を要する品目としておりまして、事前に検討の上、採用の可否を決めることとしております。
 今後とも、高反射率塗料を含めた建設資材などに関する最新の技術動向を踏まえて、東京都環境物品等調達方針を充実させてまいります。

○加藤委員 今、答弁ありましたように、都においては、東京都環境物品等調達方針、これに位置づけているとのことであります。
 残念ながら、現時点においては、高反射率塗料の利用については、この東京都環境物品等調達方針においては、原則使用ではなく、使用に当たって検討を要する品目とされているわけでありますが、一方で、決算特別委員会の第一分科会の質疑でも私申し上げましたが、技術革新の動向に十分注視し、環境負荷の少ない都市の実現に向けた取り組みを進めていくことの重要性を主張しましたところ、局が取りまとめる仕様を技術革新の動向を十分注視して充実させるとの答弁を得ました。
 今や高反射率塗料は、屋根用高日射反射率塗料としてJIS規格も定まり、エコマーク認定やカーボンオフセットつきの商品も出ております。
 都市整備局としても、ぜひ今後、技術革新の動向を注視し、そしてまた、みずからも先進的に検証を行いながら、調達方針の位置づけを見直していっていただきたいと思います。
 そこで、都としても、こうした技術革新の動向を踏まえ、ヒートアイランド対策の一環として、高反射率塗料について、例えば都営住宅の屋上を使って、モデルケースとして技術検証を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○妹尾営繕担当部長 都営住宅におきましては、建てかえや屋上防水の改修工事におきまして、屋根の断熱性を高める仕様とすることにより、室内の熱環境の向上と環境負荷の低減を図っております。
 そうした中で、近年の技術革新により、ヒートアイランド現象の軽減にも寄与するよう、断熱材料以外の新たな材料も開発されてきております。
 高反射率塗料のような新材料につきまして、環境負荷の低減効果の検証を行うに当たりましては、費用対効果や施工性、性能面などの課題がございまして、こうした課題に関する評価、検討も行えることから、実証的な実験を行うことは有意義であると考えております。
 そこで、高反射率塗料に関する実証的な実験につきまして、まずは関係機関等と調整を行いながら、有効な実施方法などについて検討してまいります。

○加藤委員 都としても、しっかり検証を行って効果を確認していただきたいと思います。
 私が調べたところによりますと、コストは一般塗料の値段が一としますと、高反射率塗料は一から一・五程度、耐久性は、基本的には一般塗料と変わらないようですけれども、日中と夜間の温度変化の幅が小さくなるため、塗膜の劣化が抑制され、屋上などでは十五年から二十年の耐用年数があると聞いております。
 屋上防水もそれぐらいの期間ではなかったかと思いますけれども、そうしたことで、今後、都営住宅の改修や建てかえにおいて、高反射率塗料が導入されていけば、棟数が多いだけにヒートアイランド対策の効果が発揮されると期待をしております。
 次に、都営住宅事業について、都の取り組みを確認しさらにその一層の充実に期待する視点から何点か伺います。
 いうまでもなく、都営住宅は、住宅セーフティーネットの柱であり、都民の居住の安定確保に大きな役割を果たしています。特に都営住宅には、高齢者が多くお住まいになっており、こうした方を含めた多様な居住者が、安心して快適に生活できる都営住宅の建設管理が極めて重要です。本日の要求資料五ページにも、六十五歳以上の名義人が六一・二%となっております。
 そこで、都営住宅における高齢化が進む中での多様な世帯の形成策、すなわち若年世帯の入居促進について伺います。
 都営住宅における居住者の高齢化は年々進行しており、単身高齢者世帯等の増加に伴う安否確認や地元区市町と連携した対応、バリアフリー化など、都営住宅事業においても、さまざまな取り組みが必要となっています。
 同時に、居住者の高齢化がこのまま進行すれば、自治会活動の担い手不足によりコミュニティ活動が困難に陥り、ひいては住宅セーフティーネットという都営住宅の役割にも影響を与えかねないと危惧しています。
 この点、多様な世帯、特に若年の子育て世代の入居を進めることは、少子高齢化対策に都営住宅が貢献するとともに、団地コミュニティの活性化にも資すると考えます。
 そこで、団地の活性化を図る上でも、少子化への対応を図る上でも、家族世帯、とりわけ若い子育て世代の入居を促進することが重要と考えますが、都の見解及び取り組み状況について伺います。

○桜井経営改革担当部長 少子高齢化が進行する中、都営住宅において、子育て世帯など若い世代の支援を図るとともに、コミュニティの活性化を図ることが重要と認識をしております。
 都営住宅では、これまでも入居者の募集に当たりまして、子育て世帯の当せん倍率の優遇制度や若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を実施し、若い世代の入居を促進してまいりました。
 若年ファミリー世帯向けの期限つき入居につきましては、制度開始時の平成十三年度に、募集戸数が三十七戸であったものを順次ふやし、平成二十五年度は、千四百五十戸の募集を行っております。

○加藤委員 要求資料の六ページにも、そのことが一部出ておりますけれども、都として若年ファミリー世帯の入居促進に取り組んでいることはわかりました。
 先ほど期限つき入居についての議論がありましたけれども、期限つきでもいいから入りたいというファミリー世帯もいらっしゃいます。
 そこで、こうした若年ファミリー世帯向けの入居機会を一層充実させることが重要と考えますが、今後、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

○桜井経営改革担当部長 都は、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居の募集戸数を拡大しながら、若い世代の入居を促進してまいりました。
 今後も、事業全体についてこれまで以上に工夫を行いながら、子育て世帯向けの募集戸数拡大に取り組んでまいります。

○加藤委員 子育て世帯など、若い世代の入居を進め都営住宅の活性化を図ることは、都営住宅事業にとって待ったなしの課題であります。
 我が党の中山議員も、ことしの予算特別委員会で、少子化対策という社会的課題に応えるためにも、また、団地コミュニティの活性化を図る上でも、若い子育て世帯の入居を一層促進すべきとの問いかけに対しまして、当時の局長は、今の答弁と同じように、これまで以上に工夫を行って、空き住戸の確保を進め、子育て世帯の募集戸数の拡大を図ると答弁をされました。
 そして実際に、期限のないファミリー世帯向けの一般募集枠が設けられました。十一月の募集でも、この若年ファミリー向け一般募集は五十戸出ておりました。
 今後も、都は、若い世代の入居を促進するため、引き続き若年ファミリー向け一般募集の拡大を図りながら、都営住宅における少子高齢化対策と、コミュニティの活性化に積極的に取り組んでいくよう強く要望をしておきます。
 次に、最近の都政を取り巻くさまざまな出来事に照らしたとき、地域における防災の取り組みと都営住宅の関係も重要となってきていると考えます。
 そこで、防災に関して、私の地元の墨田区を含めた既に六区におきまして、大規模な水害時に都営住宅を緊急避難先とする覚書が、先般、都区間で締結されたことについて質問をします。
 東日本大震災を受け、海抜が低く平地の多い区部東部地区におきましては、水害時の避難について、都営住宅居住者を初め地域住民の関心は極めて高まっております。
 その点この覚書は、大規模な水害時に時間的余裕がない場合の緊急の避難について、都区間で確認したもので、都営住宅の居住者や地域住民の日ごろの不安に対応したものと考えます。
 そこで、この覚書締結の背景、経緯について伺います。

○桜井経営改革担当部長 東日本大震災を契機とし、大規模な水害の発生時における緊急時の住民の安心を高めるため、昨年、東部地区の各区から都営住宅を緊急避難先とできないかとの打診があり、協議を重ねてまいりました。
 その協議を踏まえまして、本年五月、江東区との間で水害時の緊急避難に関する覚書を締結いたしました。
 これに続き、本年十月、墨田区、足立区、葛飾区、江戸川区の東部四区とともに、大田区との間でも覚書を締結したところでございます。

○加藤委員 覚書締結の背景、経緯が、墨田区も含む各区の都営住宅居住者や区民の期待に応えるためのものである点はわかりました。
 一方、都営住宅は、居住者にとっては各自の住まいであります。こうした取り組みも、居住者の方に理解と協力を得ながら進めることが重要と考えます。
 この点で、覚書の内容はどのようなもので、かつ締結に当たって居住者の方にどのように周知、説明等を行ったのか伺います。

○桜井経営改革担当部長 覚書は、河川の氾濫などの大規模な水害が発生したときに、区が地域防災計画で定める避難場所等に、区民の方が避難する時間がない場合、緊急的に、都営住宅を避難先とすることを内容としております。
 また、都営住宅の廊下などの共用部分に、都営住宅の居住者と区民の方がともに避難できること、区の避難施設として指定するものではないことなどを覚書では確認をしております。
 覚書の締結に当たりましては、区と連携し、事前に、団地自治会や居住者の方への説明を実施するなど、都営住宅居住者の方への周知を図っております。

○加藤委員 覚書の内容や区と連携した都の周知、説明の取り組みについて理解をいたしました。
 私の地元の墨田区でも、都営住宅居住者の方は、こうした地域防災への関心は極めて高く、自助、共助、公助の中で、みずから積極的に活動するとともに、都区の取り組みにも非常によく協力をしてくださっております。
 その点この覚書も、都区連携のもと、都営住宅がその居住者を初め地域住民の安全・安心に大きな役割を新たに果たすことが期待できるものとして評価できます。
 最後となりますが、都営住宅は、住宅に困窮する都民の住宅セーフティーネットの柱であり、都の住宅政策の中心として大変重要な役割を果たしているのみならず、防災やまちづくりなどの観点からも地域社会に大きく貢献しております。
 都においては、都営住宅をめぐるさまざまな課題に、さらに積極的に取り組み、都営住宅居住者の方と、地域社会双方にとって一層有意義な都営住宅事業の展開をしていっていただくよう要望しまして質問を終わります。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十一分散会

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