委員長 | 泉谷つよし君 |
副委員長 | 滝沢 景一君 |
副委員長 | 神林 茂君 |
理事 | 田中 健君 |
理事 | 橘 正剛君 |
理事 | 遠藤 衛君 |
関口 太一君 | |
斉藤やすひろ君 | |
小山くにひこ君 | |
大島よしえ君 | |
谷村 孝彦君 | |
林田 武君 | |
川井しげお君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長技監兼務 | 飯尾 豊君 |
次長 | 目黒 克昭君 | |
技監 | 安井 順一君 | |
理事 | 藤井 寛行君 | |
理事 | 田崎 輝夫君 | |
総務部長 | 浅川 英夫君 | |
都市づくり政策部長 | 町田 修二君 | |
住宅政策推進部長 | 細渕 順一君 | |
都市基盤部長 | 石川 進君 | |
市街地整備部長 | 鈴木 昭利君 | |
市街地建築部長 | 砂川 俊雄君 | |
都営住宅経営部長 | 瀧本 裕之君 | |
企画担当部長 | 佐藤 伸朗君 | |
連絡調整担当部長 | 黒川 亨君 | |
景観・プロジェクト担当部長 | 永島 恵子君 | |
住宅政策担当部長 | 香山 幹君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 笹沼 正一君 | |
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 | 山下 幸俊君 | |
防災都市づくり担当部長 | 西倉 鉄也君 | |
防災都市づくり調整担当部長 | 加藤 隆君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 栗岡 祥一君 | |
耐震化推進担当部長 | 小野 幹雄君 | |
経営改革担当部長 | 桜井 政人君 | |
再編利活用推進担当部長 | 上野 雄一君 | |
建設推進担当部長 | 山田 雅史君 | |
営繕担当部長 | 妹尾 高行君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
○泉谷委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の付託議案の審査を行います。
これより付託議案の審査を行います。
第百六十号議案を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○小山委員 今回の都営住宅条例の改正は、公営住宅法の改正に伴い行われるもので、地方の自主性を高めるものであると承知をいたしております。
本来、都営住宅は、適切な水準の住宅を、市場において自力で確保することが困難な住宅に困窮する都民に対し供給されるものであり、その運営に当たっては、公平性が何よりも求められるものであると思います。しかしながら、近年においても、都営住宅の応募倍率は高い状況にあり、希望してもなかなか入居できないという実態がございます。
こうした状況の中で、現行の基準や取り扱いを引き続き継続し、その内容を条例で規定するというのが、今回の条例改正案であり、入居資格を条文上変更したとしても、都営住宅を取り巻く環境、状況を変えることには、なかなかならないのだと思っております。
その点で、都営住宅を真に住宅に困窮する都民に、公平かつ的確に供給するためには、入居者の管理を適正かつ効果的に実施することが必要であり、確保した空き住戸を真に住宅に困窮する都民に供給していくことが重要であると思っております。
そこで、都営住宅が真に住宅に困窮する都民に供給されているのかという観点から、収入超過者の問題について伺います。
入居収入基準を超過しているのに、都営住宅に住み続けている居住者はどれくらいいるのか、また、それに対して都はどのような対応をとっているのかお伺いをいたします。
○桜井経営改革担当部長 都営住宅入居後、収入の増加などにより入居収入基準額を超えた収入超過者は、平成二十三年三月末現在で約一万四千世帯でございます。
この収入超過者につきましては、公営住宅法は、入居後三年を超えた収入超過者の住宅明け渡し努力義務と収入超過者に対する事業主体の移転先あっせん努力義務について規定しておりまして、これらの義務につきましては、法改正後も変わっておりません。
都は、公営住宅法を踏まえ、収入超過者に対し、毎年度、住宅明け渡し努力義務について通知を行うとともに、移転候補地を具体的に提示するなど対応に努めるほか、割り増し使用料の徴収を行っております。
また、収入超過者のうち、一定の金額を超えて収入のある高額所得者につきましても、平成二十二年度には三百三十六人を認定し、東京都都営住宅高額所得者審査会の審査を行った上で、住宅の明け渡し請求や訴訟の提起を行っておりまして、都営住宅の公平かつ的確な供給に努めております。
○小山委員 ただいま東京都の取り組みについてお伺いをさせていただきました。
二十三年三月末現在で一万四千世帯ということですから、かなりの数が収入基準を超えた世帯としてあるということがわかりました。そして、こういった入居収入基準を超過しながら、都営住宅に住み続けていらっしゃる方々というのは、本来は入居資格を超えた収入のある方々でありますから、この点については、やはり都は今までも努力をされていると思いますけれども、この点は十分よく認識をしていただいて、引き続き適切な対応を行っていただくよう求めておきたいと思います。
そしてまた、都営住宅は公共の住宅でありますから、この使用を継続できるか否かについては、一定のルールが厳格に適用されることが公平性の点からも必要と考えております。その点について、都はどのように考えているのか見解をお伺いいたします。
○桜井経営改革担当部長 都営住宅の使用承継制度につきましては、公営住宅の入居者と非入居者間の公平性を確保する観点から、高齢者、障害者など居住の安定を図る必要のある者への一層の配慮を加えた上で、承継の厳格化を求める国の通知や東京都住宅政策審議会の答申も踏まえ、平成十八年に制度を改正いたしまして、平成十九年から、原則として配偶者のみを対象としております。
都は、使用承継制度につきまして、引き続き適切な運用を行い、都営住宅への入居機会の公平性の確保を行ってまいります。
○小山委員 今ご答弁をいただきましたように、こういった使用の継続ですとか、あるいはやはり収入の超過という問題は、これはやはり多くの都民から見て、納得のできる状況にならなければいけないと思っております。
そういった点で、都は、今までの対応について、いろいろ取り組みはされていると思いますけれども、より一層この対応については厳格化と、そしてさらなる一層の努力を求めておきたいと思います。
こうした公平性の確保のための取り組みは大変重要であり、先ほども申し上げましたけれども、こういったことをきちんと行っていかなければ、入居を待っている都民の理解はなかなか得られないと思います。
今回の条例改正は、入居資格などの基準や取り扱いについて、これまでの内容を継続するものでありますが、都には、やはり先ほどから申し上げておりますように、この改正以降も、都営住宅を、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給していくよう引き続きの努力を求めまして、私の質問とさせていただきます。
○神林委員 今回は、地方分権の一連の流れの中で、東京都営住宅条例の改正が提案されました。都営住宅は、住宅に困窮する都民を対象とした住宅であり、その供給については、公平かつ的確に行うことが基本でございます。また、これからの時代を見据えますと、既存ストックの有効活用を図る観点に立って都営住宅の整備や供給を行うことが重要と考えます。
こうした観点から、今回の条例改正について、都営住宅の課題などへの対応も含めて何点かこれから質問をさせていただきます。
まず初めに、この条例改正の前提である公営住宅法改正の経緯と概要について確認しておきたいと思いますので、いかがでしょうかお願いいたします。
○桜井経営改革担当部長 平成二十一年十二月に閣議決定されました地方分権改革推進計画に基づきまして、施設・公物設置管理の基準等について、国の義務づけ、枠づけの見直しと、自治体の条例制定権の拡大を図るため、いわゆる第一次一括法が平成二十三年五月に公布されました。
この法律によりまして公営住宅法が改正され、これまで国の法令で定めていた公営住宅の整備基準や入居者資格に関する入居収入基準等を、今後は事業主体である地方公共団体が条例で定めることになったものでございます。
○神林委員 地方分権が進展し、地方自治体の裁量権が広がることは、地域に密着した行政サービスを提供していく上で好ましい方向であり、当然の流れともいえます。
こうした中で、今回の条例改正では、これまでの基準や取り扱いを変更せず維持するとのことでありますけれども、これについての東京都の考え方を伺いたいわけでございますが、質問の大切なポイントでございますので、少し詳しくご説明をいただければと思います。
○桜井経営改革担当部長 お答えいたします。
まず、入居収入基準につきましては、今回の条例改正に当たりまして、都内の民間賃貸住宅の家賃水準や家賃負担の状況、都民の世帯構成、収入の水準などについて調査検討をした結果、現行の基準は妥当な水準にあると考えております。
また、現行の入居収入基準は、平成二十一年度に引き下げを実施して間もないことなど、入居者への制度の安定的な運用の観点も踏まえ、現行の基準とすることといたしました。
次に、同居親族要件につきましては、都営住宅は、原則として、市場で適切な住宅を確保することが困難な同居親族のある世帯を入居対象としておりまして、単身者は、特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯や障害者世帯等に限り入居の対象としてまいりました。
高齢者世帯等につきましては、都内では、引き続き住宅確保が困難な状況が続いておりまして、高齢単身世帯の増加も予測されている状況にございます。これらの点を踏まえまして、同居親族要件のうち単身者につきましては、住宅の確保が困難な高齢者世帯等とする現行の取り扱いを継続することといたしました。
都営住宅につきましては、既存のストックを活用しながら、公平かつ的確に供給することを基本としておりまして、入居収入基準を上げたり、単身入居者の資格を拡大したりした場合、真に住宅に困窮する都民の入居に大きな影響を与えることから、今回の条例案では、現行の基準や取り扱いを継続することとしたものでございます。
○神林委員 ただいま答弁にもありましたとおり、やはり基本は、公平かつ的確に供給するということだと思っております。入居資格を現時点で直ちに変更することが都営住宅の安定的運営に影響を与えることは、今の答弁からも理解できるところでございます。安易に変更を行うことは、公営住宅制度の本来的な対象である家族世帯、高齢者世帯や障害者世帯に影響を与えることも、回答で理解ができるところでございます。
その点、今回の条例改正に当たり、入居収入基準や同居親族要件などは現行基準を維持するとのことで、これは妥当な方向だと私どもは考えております。
ただし、東京都は、アンテナを張って都営住宅を取り巻く状況の変化を機敏に把握し、必要があれば、早期に制度の見直しや改善を行うことができる体制を整えておくことを求めておきたいと思います。
また、先ほどのご答弁で言及があったように、特に住宅を確保することが困難な世帯に対する都営住宅の運営はどうやっていくのかといった課題もございます。例えば、高齢者世帯などからは、都営住宅の家賃は、設備や立地の差などが余り考慮されておらず、負担感があるとの話も聞くことがございます。
こうした点については、都営住宅制度の運用に当たって、それぞれの地域の実情を踏まえ、特に高齢者や障害者、小さなお子さんのいる世帯などで住宅に困窮する方々に対して、より親身に対応していただくことを、引き続き求めておきます。
次に、都営住宅には、幼児、高齢者、障害者の方々、地域住民の方々が利用する施設が併設されている住棟も多くあり、その中には、耐震改修が必要な住棟も含まれていると聞いております。
震災が発生した場合、幼児や高齢者、あるいは障害者など、いわば災害弱者ともいえる人々の安全を確保するためには、保育園や高齢者施設などが併設されている都営住宅の耐震化は、最緊急課題でございます。また、施設が併設されている住棟で、場所によっては、上の階からの落下物から保護するためのひさしの老朽化が進んでいるようなケースも、私どもも見聞きしております。
そこで、いわゆる災害弱者の施設である保育園や高齢者、障害者施設などを併設する都営住宅における耐震改修について、落下物の安全対策なども含め、都はどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
○妹尾営繕担当部長 都はこの七月、都営住宅耐震化整備プログラムを改定いたしまして、都営住宅の耐震化について、これまでの平成二十七年度までに九〇%以上とする目標に加えて、平成三十二年度に耐震化率一〇〇%とする新たな目標を設定いたしました。
保育園や高齢者施設、障害者施設などが併設された住棟につきましては、居住者のみならず、施設利用者の安心・安全のためにも、早期の耐震化が必要であると認識してございます。
こうした住棟の耐震化に当たっては、費用負担や工事に伴う仮移転、着手時期や工法などにつきまして、施設管理者の区市等と調整を図りながら、改修工事の実施に取り組んでございます。
また、都営住宅の一階などに施設が併設された住棟におきまして、上階からの落下物による被害を防止するために設置されたひさしのうち、老朽化の進行などにより改修の必要性が高まっているものにつきましては、区市等と改修内容や費用負担などを調整しながら対応してまいります。
○神林委員 これは、地元区市等との調整も含めまして、一日も早い都の積極的な取り組みをお願いしておきます。
こうした施設の併設などにより、都営住宅は地元の地域社会における福祉サービスの供給などにも貢献しているということで認識させていただいております。
これからの時代は、地域社会において行政が提供する福祉サービスに加えて、地域に根差したNPOやボランティアなど多様な主体による介護に代表されるように、高齢者などが必要としているきめ細かいサービスを提供し支援を行う取り組みが、一層重要になってくると思います。
一方で、現場で活躍している、こうした福祉サービスの提供を行う団体は、いわゆる近所に住む一般家庭のおじさんですとかおばさんであり、利益を全く考えていないために、組織の財政的な基盤が弱く、活動の拠点も十分に確保されていないといった状況にございます。
こうした地域における福祉サービスの提供に、公共への貢献ができるスペースを有している都営住宅が、施設提供などの活動を支援していくことも重要と考えております。
私は、従前よりこうした質問を何回かさせていただいておりますけれども、NPOなどの活動を支援するに当たっては、地元区市の主体的な取り組みが不可欠であると考えますが、東京都としても、都営住宅の建てかえなどにあわせて区市と連携し活動の場を提供するなど、さらなる実効が上がる支援ができないのか、改めてお伺いいたします。
○瀧本都営住宅経営部長 都においては、これまで都営住宅の建てかえに当たりまして、主として区市や社会福祉法人が敷地内に施設を整備する際、土地使用料の減免などの支援を実施しております。
今後、高齢化が進行していく中で、地域において、高齢者等に対して、よりきめ細かい福祉サービスを提供していくためには、公的主体だけではなく、NPOやボランティア、民間事業者など、多様な主体による活動を促進していくことが重要と考えております。
NPO等の活動の場の提供につきましては、都営住宅の建てかえに伴って区市等が施設を併設する場合や創出用地を活用した民間プロジェクトを実施する場合、地元区市や社会福祉法人がNPO等と連携して行う取り組みに、都も協力してまいります。
今後も、地域における高齢者等への支援の活動が進んでいくよう都としても取り組んでまいります。
○神林委員 こうした条例改正をよい機会にして具体的な実績がさらに上がるように、今後の都の取り組みを期待したいと思っております。
今回の住宅の整備基準も条例制定事項になったとのことでありますが、これについては、これまでの考え方や基準を継承し、引き続き環境や省エネルギー、防災や福祉など、地域のまちづくりに貢献していくことが重要と考えております。
これまでも我が党は、都営住宅の建てかえの際には、老朽化した住宅の更新とともに、敷地の有効利用を図り、東京の都市づくりを促進すべきと主張してきており、都に対応していただいております。
今回の条例改正案を見ますと、新設された第三条の二第一項には、都営住宅などは、周辺の地域を含めた健全な地域社会の形成に資するように考慮して整備することが盛り込まれております。
これは、前に質問しましたことにも関連することでございますが、建てかえなどを進めるに当たって、地域貢献を行っていく趣旨であると思いますが、これに関して、今後の都営住宅の整備や供給をどのように進めていくのか伺って私の質問を終わります。
○瀧本都営住宅経営部長 都営住宅につきましては、都民共有の財産である既存ストックを適切に維持更新しながら、有効に活用することを基本として、住宅セーフティーネットとしての機能を保持するとともに、敷地の有効利用を図って、東京の都市づくりに寄与していくことが重要と考えております。
このため、都営住宅の建てかえを推進いたしまして、老朽化した住宅の更新とともに敷地の有効利用を図って用地を生み出し、これを活用して、少子高齢化への対応、防災性の向上、緑の充実など、地域のまちづくりに寄与するよう取り組みを進めております。
また、建てかえ事業に当たりましては、地球温暖化対策としてのCO2の削減、東日本大震災を踏まえた木造住宅密集地域の整備など、良好な都市環境の形成や都市機能の更新を図っていくことが重要と考えております。
今後こうした観点も重視いたしまして、時代の状況に的確に対応しながら、住みやすい都営住宅の整備、供給を推進するとともに、地域のまちづくりに寄与してまいります。
○谷村委員 それでは引き続きまして、私からも、都営住宅条例の改正について質問をさせていただきたいと思います。
都営住宅は、申し上げるまでもなく住宅に困窮する都民の住宅、セーフティーネットの柱であり、都の住宅政策の中心としてその役割は大変に重要であります。
このたびの公営住宅法の改正につきまして、地方分権を進めるものであり、自治体による地域の実情に応じた公営住宅の整備、管理の領域を広げるものであり、自治体が施策を展開する上では大変に意義あるものと思います。
そこで、このたびの都営住宅条例の改正を受けて、都営住宅を供給する対象はどういった世帯であるべきなのか、入居資格を中心として何点か質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、今回の公営住宅法の改正により、入居資格を各地方公共団体が自主的に決定できるようになったことについて、都としてどういうご見解をお持ちなのか、まずお伺いをいたします。
○桜井経営改革担当部長 都はこれまでも、国に対し、公営住宅法の制度運用に当たりまして、入居の適正化を確保するための提案等を行ってきておりまして、地方分権が進み、地方公共団体の裁量の範囲が広がることは好ましいことと認識をしております。
今回、公営住宅の入居資格等につきましても、国が全国一律に定めるのではなく、各地方公共団体が地域の実情に応じて条例で規定できる仕組みとなったことは、都としても、適切なものと考えております。
○谷村委員 ただいまのご答弁で、都としても、今回の条例改正を積極的にとらえているということでお答えをいただきました。
しかし、そうした評価をされている一方で、今回の条例改正に当たっては、これまでの基準や取り扱いを変更することなく維持をしていく内容となっております。
この点につきましては、ある政党さんは、選挙目当ての批判のための批判をされると、必ず思いますので、実際に使用承継制度の緩和について、既にビラを配っておられます。入居者の方々はそれがまた、どこかの政党の選挙目当てのビラだということを十分にわかっておられますけれども、きょうはせっかくの質疑の機会をいただきましたので、改めて質問をさせていただきたいと思います。
都は、今回の条例改正に当たって、入居資格についてどのような検討を行ったのか、またその結果、入居収入基準について、現行基準を維持することとした理由は何かお伺いをしたいと思います。
○桜井経営改革担当部長 都は、地方分権推進計画を踏まえた平成二十二年三月のいわゆる第一次一括法の閣議決定を受け、都営住宅条例の内容につきまして、都内の居住状況のデータや国や他の地方公共団体の情報などの収集を行いつつ検討を進めてまいりました。
入居収入基準につきましては、都内の民間賃貸住宅の家賃水準や家賃負担の状況、都民の世帯構成、収入の水準などについて調査検討した結果、現行の入居収入基準であります十五万八千円は妥当な水準にあると考えております。
また、現行の入居収入基準は、平成二十一年度に引き下げを実施して間もないことなど、入居者への制度の安定的な運用の観点も踏まえまして、現行の基準とすることとしたものでございます。
○谷村委員 今ご答弁いただきましたように、入居収入基準について、都として十分な検討を経て、今回の結論に至ったということでありますが、改めて確認いたしますけれども、現在、都営住宅の応募倍率は、抽せん方式による世帯向け募集で毎年約三十倍、単身者向け募集で五十倍から六十倍という高い水準にとどまっております。
また都の資料によりますと、法令改正に伴う平成二十一年度の都営住宅の入居収入基準の引き下げにより、その収入基準を超えることとなった、現在入居されて、その当時から入居されていた方は約一万三千九百世帯もおられるとの都の試算があります。このときは、私どもも都に対しまして、きちんとした対応をお願いしたいと要望を繰り返しまして、五年間の経過措置と、そして激変緩和対策がしっかりと進んでいるわけであります。
仮に今回の条例改正において入居収入基準を、この政令による引き下げ前の二十万円に戻したとすると、こうした世帯数の規模で応募者が逆に増加をすることになるわけであります。都営住宅に入っていらっしゃったこの二十万円の方と、都営住宅に入っておられなかった二十万までの方というのが全部入るわけであります。
こうしたことから、繰り返しになりますが、仮に現時点で入居収入基準を上げれば、真に住宅に困窮し都営住宅を必要としている方々に多大な影響を及ぼすということとなり、今回、入居収入基準を変更しないという都の対応は理解できるわけであります。
現在入居されている方に対しては、使用承継基準を見直して、ずっと都営住宅にいられますよ、いられるようにしますよといいながら、これから都営住宅に入れるかなと思っている人に対しては、収入基準を上げて、あなたの収入でも入れるようにしますよというダブルスタンダードをどこかの政党がいって回っていることのないように、この真に住宅に困窮する都民の方々への都営住宅の供給という観点からは、使用承継制度の適切な運用により、入居の公平性を確保することも必要であります。
平成十九年度に使用承継制度の見直しが行われスタートいたしましたけれども、その使用承継制度の見直しによって新たに年間約六百戸の公募戸数がふえたという結果が出ております。こうした取り組みによりまして住宅の供給に努めていくことも重要であります。
ただし、使用承継制度の見直しに当たっては、高齢者あるいは障害者、また、病弱など特別な事情があると判断された方には、この例外規定を認めることや、またその対象者の拡大を図る措置が私ども公明党の強い要請を受けて講じられているわけであります。
確認するまでもありませんけれども、平成十八年八月の見直しをなされたときは高齢者それから知的障害、精神、身体とあったわけですけれども、これが高齢者といっても、承継者が全員六十歳以上でなければだめだとか、あるいは知的障害の場合、一度、二度まで、精神の場合は一級、身体の場合は一級、二級ということになっておりましたけれども、再度私ども公明党は強い要望をさせていただきまして、平成二十年二月からの運用につきましては、高齢者は承継者のうち一人が六十歳以上超えていればよい、そして知的障害につきましては一度から四度まで、精神につきましては一級から三級、そして身体につきましては一級から三級と例外規定の拡大をしていただいたわけでございます。
このように、今回の改正で現行の基準を継続しつつ、また、都には、引き続ききめ細かい配慮を行っていただくよう改めてお願いをしておきたいと思います。
また、この入居資格に関してもう一つ同様に重要になってくるのが、今回の法改正で、同居親族要件が廃止になったことであります。この点、同居親族要件が廃止になったんだから、若年単身者などにも入居対象を拡大すべきだと主張する向きもありますけれども、都は、単身入居者の資格につきましても、現行の取り扱いを維持することとしておりますけれども、その理由につきまして確認をさせていただきたいと思います。
○桜井経営改革担当部長 都営住宅は、原則として市場において自力で適切な水準の住宅を確保することが困難な同居親族のある世帯を入居対象としておりまして、単身者は特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯や障害者世帯を対象としてまいりました。
同居親族要件の検討に当たりましても、都は、若年単身世帯や高齢者世帯の居住実態等の調査を実施し検討を進めてきたところでございますが、都内では、高齢者世帯等は、住宅確保が困難な状況が続いておりまして、高齢単身世帯の増加も予測されている状況にあることから、これらに適切に対応する必要があると認識をしております。
これらの点を踏まえまして、同居親族要件のうち、単身者につきましては、住宅の確保が困難な高齢者世帯等とする現行の取り扱いを継続することといたしました。
○谷村委員 全くおっしゃるとおりでございまして、この単身世帯、同じ単身世帯といっても、若年単身者と比べてより高齢単身者の方の方が、住宅困窮度が高いのはもちろんのことであります。高齢単身者の方が全部入れて、余裕があれば、若年単身者の方もさまざまな事情によって、入れることであれば入っていただきたいという思いはありますけれども、政治あるいは行政というのは、このプライオリティーをどこに置くかということで判断をしていかなければならないわけでございまして、今回、住宅困窮度が高い高齢単身者、そこに優先対応していくというのは、ある意味で当然のことであるわけであります。
そこで、この単身入居者の資格につきまして、東京都以外の道府県及び政令市における状況が、どういう対応になっているかという状況がもしわかれば教えていただければと思います。
○桜井経営改革担当部長 単身入居者の資格について、各団体の条例及び規則の規定を見ますと、道府県では四十六団体中三十七団体において、都と同様に、現行の取り扱いを継続しており、長野県、愛知県、京都府、岡山県の四団体では、単身入居者の資格を追加をしておりまして、また大阪府、奈良県、高知県、鳥取県、鹿児島県の五団体では、同居親族要件を廃止しております。
また政令市におきましては、二十団体中十七団体で、都と同様に現行の取り扱いを継続しており、大阪市、岡山市、熊本市の三団体におきましては、単身入居者の資格を追加しております。
単身入居者の資格を追加した政令市の三団体につきましても、例えば大阪市では、災害により住宅を失った者等を単身入居の対象者に追加し、岡山市では、一定の応募倍率以下の住宅に限って、二十歳以上六十歳未満の者を単身入居の対象者として追加をしております。
○谷村委員 よく調べていただきましてありがとうございます。
ただいまのご説明で、この単身入居者の資格につきましては、道府県の八割、都市部が主となります政令市では、九割の自治体が、都と同様に、現行の取り扱いを維持しているということで確認をさせていただきます。
単身入居者の資格を新たに追加し、または廃止した府県の場合、例えば県内に、日本を代表するような自動車製造業が多く、そのために、この円高あるいはデフレ状況によって離職者がふえた方が集中している、そういう地域では、この離職者を対象者に追加をしたり、あるいは県内の過疎地域、これが一定程度指定されたり、それぞれ特有の事情を抱えているのではないかと推察をされるわけであります。また大阪市や岡山市では、災害により住宅に困窮している場合など、要件を限定して単身入居が可能なものに追加しているとのことであります。
このように各自治体によって状況が異なるために、単身入居者の資格について、都と他の自治体を単純に比較することは難しい面もあるわけであります。比較をしても無意味なわけでございます。よく予算特別委員会等なんかの議論を聞いていますと、あそこの県ではこうだから東京都はこうしろとか、あそこではこういうことができるんだから東京都はこうしろとか、そういう比較というのは全く無意味な議論をされていることが多いわけであります。東京というこの首都であり、人口が集中する大都市では、この現行の取り扱いをしばらくは維持をすることは妥当であるといえると思います。
本定例会の我が党の代表質問でも、少し違う形で触れましたけれども、若年単身者につきましては、もちろん住宅の問題も解決をしていかなければならない課題の一つでありますけれども、まずは就労を安定していく。非正規就労だったりすることが一番の問題である場合が多く、就労支援、あるいは第二のセーフティーネットというものを、国あるいは東京都で検討していかなければならないわけでございます。
都営住宅においては、特にこの住宅の確保が困難な高齢者あるいは障害者の方々の入居を優先すべきであると思うわけであります。
また、特に高齢者や障害者の方々に対しましては、都営住宅の使用を優先していくだけではなく、入居後の安心の確保、これも大変に重要であります。
先般、立川市で残念ながら孤立死の事案が発生をしました。我が党は、居住者の高齢化がますます進行している中で、都営住宅は、安否の確認がしっかりできるようにしていただきたい、より一層きめ細かい対応を行っていただきたいという申し入れをさせていただくとともに、さきの予算特別委員会の質疑でも取り上げさせていただいているところであります。
これを受け、都及び東京都住宅供給公社では、早速マニュアルを見直ししていただきまして安否確認に取り組んでいただいておりますけれども、このマニュアルを見直した結果、また、取り組みをしっかりとしていただいた結果の成果をここで確認させていただければと思います。
○桜井経営改革担当部長 都及び東京都住宅供給公社は、緊急時の安否確認マニュアルについて、四月中旬に改定を行い、安否確認の対応として、二人以上の世帯への十分な配慮、立ち入り見送り時の管理職による判断、速やかな調査と迅速な立ち入りなど、判断基準や運用方法の改善を行いました。
また、地元区市町との連携につきましても、情報交換の体制づくりや連携策の協議を推進しているところでございます。
こうした取り組みにより安否確認を行った結果、居住者を救出できた件数は、平成二十三年度は一年間で二十四件でございました。平成二十四年度は、四月から八月までの五カ月間で二十九件と、既に昨年度一年間の実績を上回っております。
今後も、地元区市町を初め警察、消防、団地自治会と連携協力しながら、緊急時の安否確認などに的確に対応し、都営住宅の居住者が安心して生活できるよう努めてまいります。
○谷村委員 大変にすばらしい成果を出していただきまして、この場で改めて御礼を申し上げる次第でございます。
都営住宅におきましては、高齢者の方々がこれから増加していく、こうした状況を踏まえて、今後ともぜひ、居住者の安全、安否確認への取り組みをさらに進めていっていただきたいと思います。
そして、居住者の安心とともに重要になってまいりますのが、この都営住宅入居の公平性の確保であります。使用の適正化や、先ほど出ましたけれども、使用承継制度など、都営住宅が都民の皆様に、公平かつ的確に供給されることこそ重要であると思うわけであります。
都営住宅への入居を長年希望しておられてもいまだに入れない、例えばこの収入基準、これも合致をしているけれども入れない、あるいは優遇抽せんの対象となる高齢者世帯、難病患者の方、ひとり親世帯、心身障害者世帯、多子世帯、準多子世帯、あるいは生活保護世帯等々の方々でも、何度申し込んでも入れないという方がたくさんおられるわけであります。入居機会の公平というのはしっかりと守っていただきたいと思うわけであります。
また今回の条例改正は、都営住宅の維持管理や建てかえなど、都営住宅事業の取り組みを都みずからが再確認をする好機であるとともに、今後、時代状況の変化に応じてさまざまな基準については、柔軟に見直しをしていく取り組みも必要になってくると思います。
そこで、今回の条例改正を契機に、都営住宅事業を今後どのように力強く推進していくのか、都としての見解をお伺いしたいと思います。
○瀧本都営住宅経営部長 少子高齢化が進行し、厳しい経済状況が続く中、住宅に困窮する世帯に対して、都営住宅を公平かつ的確に供給し、居住の安定を確保していくことは重要でございます。
このため、都営住宅の建てかえを推進いたしまして、良質な住宅を供給するとともに、建てかえに当たりましては、敷地の有効利用により、道路、公園などの整備や緑の充実、保育所や高齢者施設の整備を図るなど、地域のまちづくりに寄与してまいります。
また、既存の都営住宅につきましては、居住者の高齢化が進行している状況を踏まえまして、エレベーターの設置などバリアフリー化を進めながら、適切に維持活用を図るとともに、使用の適正化、使用承継制度の適切な運用など、公平性の確保に向けて、都営住宅の的確な管理に取り組んでまいります。
今後も、今回の改正条例の運用状況や社会経済状況の変化を踏まえまして、都営住宅事業のあり方に常に留意し、必要な見直しを行いながら、都営住宅が、都民の住宅セーフティーネットの中核として一層の役割を発揮していくよう事業を推進してまいります。
○谷村委員 都営住宅は、住宅に困窮する都民の方々にとって大変に重要なものであり、今ご答弁いただきましたけれども、都の住宅政策の中心であるということを重ねて強調させていただきたいと思います。
その点で今回の条例改正も踏まえ、都営住宅が、住宅を真に必要とする都民の皆様にとって、今後とも十分に役割を果たしていくよう都の積極的な取り組みを改めて求めまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大島委員 私からも、都営住宅条例の一部を改正する条例についての質問をさせていただきます。
今回の条例改正は、地域主権一括法により公営住宅法の一部改正が行われ、このことによって住宅整備基準や入居収入基準を条例で定めるということが地方自治体に義務づけられたと、こういうことによるものです。
地域主権改革は、地方自治体への仕事の押しつけを基本的な性格としているものなのですが、同時に、地方自治体の裁量権を容認し、各自治体が地域の実情に応じて条例で基準を設定することを認めており、都民の切実な願いを反映した条例改正が求められています。
既に、法改正から一年以上経過をしておりますし、他県では、県民の声も取り入れた積極的な条例改正も行われており、こうした取り組みから学ぶということも大切だと思います。都営住宅の入居収入基準、同居親族要件、住宅の整備基準、これは都営住宅の入居者や入居希望している都民にとっては大変重要な問題です。
今回の条例改正について、都としてどのような検討を行ってきたのか、その経過について伺います。また、こうした重要な改正を行うに当たって、都民意見を聞くパブリックコメントなどを実施すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
○桜井経営改革担当部長 都は、地方分権推進計画を踏まえた、平成二十二年三月のいわゆる第一次一括法の閣議決定を受け、都営住宅条例の内容について、都内の居住状況のデータや国や他の地方公共団体の情報などの収集を行いつつ検討を進めてまいりました。
今回の条例改正は、こうした検討を行った結果、現行の取り扱いを変更せず、引き続き継続するものでございます。
○大島委員 都民の意見を聞くという考え方は全然なかったということですか、今の答弁の中にはなかったんですけれども。そういう都民の意見を聞く必要がないと考えておられたということで解釈してよろしいですか。
○桜井経営改革担当部長 今回の条例改正に当たりまして、パブリックコメントは実施をしておりません。今回の条例改正は、さまざまな検討を行った結果、現行の取り扱いを変更せず、引き続き実施をするものでございます。
○大島委員 兵庫県では、県に住宅審議会というのがありまして、住宅、まちづくり、福祉などの学識者と、それから県会議員の方は約三十名近くの方が参加しているそうですけれども、この審議会の中に小委員会というのがありまして、ここで事前に協議をしてもらい、その上で住宅審議会にかけて、さらにパブリックコメントも行ったということです。
今回の条例改正は部分的ではありますけれども、これまで全国一律の法律によって決められていたものを、各地方自治体が、その地域住民の住生活の実態に即して自主的に決めることができるようになったわけです。ですから、現在の都営住宅が抱えている課題をできるだけ解消できる方向へ条例改正すべきだと思います。
都営住宅の現状について、どのような課題があると考えているのかお伺いをいたします。
また、他府県で、今回の公営住宅法の一部改正を受けまして、課題解決に向けて、独自の入居資格とか、整備基準を決めているというところがあります。
しかし、都は、いずれも現行の取り扱いを継続と判断したということですが、その理由は何かお伺いをいたします。
○桜井経営改革担当部長 先ほどもお答えをしましたとおり、入居収入基準につきましては、今回の条例改正に当たり、都内の民間賃貸住宅の状況、都民の収入の水準などについて調査検討した結果、現行の基準は妥当な水準にあると考えております。
また、入居者への制度の安定的な運用の観点も踏まえ、現行の基準とすることとしたものでございます。
次に、同居親族要件につきましては、都営住宅は原則として、同居親族のある世帯を入居対象としておりまして、単身者は、特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯や障害者世帯等に限り入居の対象としてまいりました。
高齢者世帯等につきましては、都内では引き続き住宅確保が困難な状況が続いており、高齢単身世帯の増加も予測されていることから、同居親族要件のうち単身者につきましては、現行の取り扱いを継続することといたしました。
都営住宅の課題は、既存のストックを活用しながら都民に公平かつ的確に供給をすることでありまして、入居収入基準を上げたり、単身入居者の資格を拡大したりした場合、真に住宅に困窮する都民の入居に大きな影響を与えることから、今回の条例案では、現行の基準や取り扱いを継続することとしたものでございます。
○大島委員 今回の中で、都民の入居に大きな影響があるということは、つまり入りたくても入れないという人たちがますますふえていってしまうからと、こういう考え方ですか。
それで、例えばその課題の問題でいえば、今、都営住宅の中では、高齢者世帯が非常に多くなってしまって、自治会の運営などもなかなかできない、それから孤独死の問題なんかも、こういう問題も出ているということも、大きな問題になっているというふうに思います。
地方独自の基準事例というのかな、これがいろいろ内閣府のホームページで紹介をされておりまして、私たちもそれを見ました。そして兵庫県の担当者に話を聞いたんですけれども、ここでの問題意識というのも、高齢化対策でした。自治会の運営とか、共益費の徴収が進まないとか、こうした問題を解決して、世代間のバランスをとるためにコミュニティの中にできるだけ若い方を入れようと考えたそうです。さまざまな構成の世帯及び年齢の者が入居できるようにするために、形式というか規模ですね、仕様が異なる住宅を組み合わせるということで整備基準で明確化しているんですね。京都府でも同様の条例改正を行っていました。
都としても、ソーシャルミックスを視野に入れて、形式や仕様が異なるような住戸を組み合わせて、さまざまな構成の世帯や年齢の者が入居できるように考えるべきではないでしょうか。
また、新規建設が今行われておりませんが、その中で専ら建てかえ住宅の建設が行われています。しかし、型別供給というのが同時に行われているために、従前の住宅に居住している世帯が、単身者とか二人世帯とか、こういう人たちが多くなってきているわけで、そのために建てかえ後の住宅も、単身用の一DKとか、二人用の二DK、小さい方ですけど、これが主流になりまして、この方たちが例えば亡くなったり転居したりという形で空いてもそこに入れる世帯というと、やっぱり単身者とか小家族ということになってファミリー世帯とか子育て世帯、こういう人たちが入居できるような、三人用の大きい二DKですとか三DK、こういう戸数が結局少なくなっているんですよね。これではいつまでたっても、子育て世帯が入居できるような住戸はふえていかないのではないかというふうに思うんです。
型別供給は当然廃止すべきだというふうに考えておりますが、その点についてお聞きします。
○山田建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立ちまして、基準を設け、それぞれに対応する規模の住宅を供給しております。
入居者の募集に当たりましても、子育て世帯に対する当せん倍率の優遇制度や若年ファミリー世帯向けの期限つきの入居を実施しております。
これによりまして対応しているところでございまして、型別供給の廃止は考えておりません。
○大島委員 今、少子高齢化が叫ばれておりまして、これに対する対応というのも、当然この住宅部門から迫っていくということが今求められているんではないかというふうに思うんですね。
子育て世帯については、例えば期限つきということですと、一定の年齢、まあ十年ということで過ぎてしまいますと出ていかなければいけないんですよね。そこで住宅の中でなかなかコミュニティがとりにくかったり、それから、子どもたちが、ちょうど小学校から中学校に行くぐらいのところで出ていかなければならなくなったりとか、さまざまな逆な意味での問題も抱えてしまうというのが今の現状ではないでしょうか。
もう一つ、都営住宅の単身者用の床面積なんですけれども、一DKで今三十五平米、条例では、居室が二室以下で、条例施行規則では住戸専用面積が三十九平米未満となっているんですね。ですから、最低でも二部屋、そして住戸面積は、都市居住型誘導面積水準の単身用で四十平米、これは確保すべきではないかというふうに思っています。少なくても、施行規則にある住戸面積の上限まで引き上げる考えはないでしょうか。
○山田建設推進担当部長 都営住宅の建てかえで供給する住戸につきましては、都営住宅が都民共有の住宅セーフティーネットであることから、入居対象世帯の人員に応じた最低居住面積水準を確保しますとともに、バリアフリーなどを考慮して面積を設定しておりまして、単身者用住戸の基準について変更は考えてございません。
○大島委員 少なくても、今の都の条例の施行規則の中では、先ほどもいいましたように、住戸専用面積が三十九平米、二部屋ということで書かれているんですよね。ですから、その基準の上限まで広げるということは十分可能だというふうに思うんです。それで、やっぱり床面積が小さい、小さな住戸ばかりがふえてしまうと、ファミリー世帯が次に入ることができないというこの矛盾が、結局、都営住宅の中の高齢化、それから単身高齢者がふえるということにつながっていくというふうに思うんですね。ですから、少なくとも住戸面積、施行規則の上限までは引き上げられると思うんですけど、再度お願いいたします。
○山田建設推進担当部長 都営住宅の建てかえで供給する住戸につきましては、都営住宅は都民共有の住宅セーフティーネットであるということでございまして、入居対象世帯の人員に応じた最低居住水準を確保しますとともに、バリアフリーなどを考慮しまして面積を設定しておりまして、単身者用住戸の基準について変更は考えてございません。
○大島委員 結局、同じことしか答えないのかなというふうには思うんですがね。それで、もう一つ都営住宅、だから、規則で定めているところまででもせめて引き上げてほしいというのが都民の要望なんですね。
もう一つ、都民の環境問題への関心というのは非常に今高まっています。環境に配慮した取り組みも、兵庫県とか岡山県では、整備基準に明確にしているんですね。特に再生可能な資源の活用とかエネルギーの消費の抑制など、こういうものを盛り込んでいます。
兵庫県では、整備基準について、今後新たに建てかえをするときの基準になるということが前提で考えられたということなんですけれども、三・一一で電力需要が悪化したときに、共用のエレベーターだけでも動かせるようにしたいということから始まっているということでした。太陽光パネルを設置し、共用部分の電源、具体的にはエレベーターと機械室で水道ポンプの電源として使うということを想定しているということです。
都も、今、建てかえ住宅などでは太陽光パネルなど設置しておりますけれども、この環境に配慮した取り組みとして、太陽光発電などこの再生可能エネルギーの活用や省エネ対策の推進、こういったものを整備基準の中で明確にすべきだと思いますがいかがでしょうか。
○山田建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、これまでも、断熱性能の向上などによる省エネルギーの対策のほか、太陽光発電設備を設置いたしまして、再生可能エネルギーの活用にも取り組んでおります。
今後も、これまで行ってきた都営住宅整備の基本的考え方を継承し、条例等に定める整備基準及び詳細な基準設計に基づきまして、環境に配慮しながら整備することとしております。
○大島委員 わかりました。ぜひよろしくお願いいたします。整備基準の中で、この太陽光発電など再生可能なやつに取り組んでいただけるということですから、よろしくお願いしたいと思います。
二〇〇七年の十二月に公営住宅法施行令が改定になりまして、二〇〇九年四月から入居収入基準が二十万円から十五万八千円に、裁量階層も二十六万八千円から二十一万四千円に引き下げられまして、入居対象者を狭めてしまいました。
入居収入基準が十五万八千円というのは、収入分位で二五%ということですけれども、実際には、勤労者世帯の収入の少ない方が十数%程度カバーするにすぎません。高い家賃の負担に苦しむ現役世代の方が、都営住宅に申し込むことさえできない状況となっています。入居収入基準を少なくとももとの月収二十万円に戻すべきではないかと。
また、子育て支援とか世代構成の多様化、これを図るという観点から、裁量階層については、入居収入基準の上限額を、政令月収二十五万九千円に引き上げるとともに、兵庫県などで実施したように、裁量階層の対象範囲、これを、中学生以下の子どものいる世帯とか多子世帯、新婚世帯などにも拡大すべきではないかと思いますがいかがですか。
○桜井経営改革担当部長 入居収入基準につきましては、都内の民間賃貸住宅の家賃水準や家賃負担の状況、都民の世帯構成や収入の水準などについて調査検討した結果、現行の十五万八千円が妥当な水準であると考えておりまして、入居収入基準を二十万円に引き上げる考えはございません。
今回、本来階層につきまして、引き続き現行どおりの基準とすることから、裁量階層につきましても、入居収入基準、対象範囲とも現行の取り扱いを継続することといたしました。
なお、高齢者、障害者、小さな子どものいる世帯など、市場での住宅確保が特に困難を伴う世帯につきましては、現行基準で既に裁量階層の対象となってございます。
○大島委員 他県の例を出すと、それはどうなんだというような話もありますけれども、やっぱり他県がそこに住んでいる住民の皆さんのところの実情に目を向けていろいろな知恵を出しているというところをぜひ東京都としても学んでいただきたいというふうに思うんですね。
例えば兵庫県の場合、共働きの場合ですけれども、収入分位で四〇%では、それを超えてしまう方が出てくるということで、夫婦両方働いていたら入れないと。こういう声にこたえて、新婚家庭とか中学校を卒業するまでの子どものいる世帯の裁量階層という政令の上限の収入分位五〇%ですね、二十五万九千円にしているんです。本当に高齢者世帯、それから子育て世代を応援しようというなら、こういう視点にぜひ立っていただきたいというふうに思うんです。
ほかにも子育て支援や住宅の世帯構成の多様化を図るという観点から、福井県とか岡山県とか岐阜県、こういったところも裁量階層の範囲を、未就学児童がいる世帯から中学生以下の児童がいる世帯に拡大しているんです。こういう方向に進むべきではないかと思います。
政令で、今回、同居親族要件が廃止されました。その中では、入居資格要件を緩和するということも十分可能になったわけです。
例えば島根県の美郷町では、障害者等を支援するという観点から、親族のほかに、介護を行うという人も、同居親族に追加をしたりしています。また京都府では、犯罪被害者については、単身での入居を可能にするということが盛り込まれました。
また、雇用や失業対策等の地域の課題に対処しようということで、愛知県では、首切り等に伴って住居を失った単身の方の入居を可能にしています。
こうした地域の実情に目を向けるということになれば、東京都でも、当然同じような事態が出てきているわけです。
都としても、今回のこの条件、入居資格要件をぜひ緩和して、若年単身者とか離職単身者にも拡大をしていくべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
○桜井経営改革担当部長 都営住宅は、民間賃貸住宅において入居制限を受けやすい世帯を初め、住宅に困窮する都民を対象として供給することを基本としております。
都内では、高齢者や障害者の世帯は、住宅確保が困難な状況が続いておりまして、高齢単身世帯の増加も予測されております。
若い世代の単身者につきましては、福祉施策や雇用就業施策とともに、民間事業者等の多様な連携によって、市場において居住の確保が図られるべきと考えております。
こうしたことから、今回の条例改正では、同居親族要件のうち単身者につきましては、住宅の確保が困難な高齢者世帯等とする現行の取り扱いを継続することといたしました。
○大島委員 今、自力でなかなか適切な水準の住居を確保することが困難というのは、高齢者に限ったわけではないんですね。やっぱり今雇用の不安定な中で若者やまた解雇されてしまった人たちが、本当に行く場所を失っているというのも現実にあるわけなんです。そういうところにぜひ目を向けた住宅政策というのが必要だというふうに私は思います。
特に使用承継についても、原則配偶者ということに限定したために、住みなれた住居を失い、行き場がなくなるという深刻な不安も生まれています。現役世代や子育て世代などの世代間のバランスをとるということを考えても、二〇〇七年八月二十五日から原則配偶者となっております使用承継の基準をもとに戻して、せめて一親等まで承継を認めるべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
○桜井経営改革担当部長 先ほどお答えいたしましたとおり、都営住宅の使用承継制度につきましては、公営住宅の入居者と非入居者間の公平性を確保する観点から、高齢者、障害者など居住の安定を図る必要のある者への一層の配慮を加えた上で、承継の厳格化を求める国の通知や東京都住宅政策審議会の答申も踏まえまして、原則として配偶者に限ることとしたものでありまして、もとに戻すことは考えてございません。
○大島委員 入居者と非入居者間の公平の確保という点ですけれども、入りたくても入れない、また入居資格があるのに、幾ら申し込んでも当たらないという声はたくさんあるわけですよね。そういう人たちをどうしていくのかということが、もう一方で考えられていないといけないというふうに思うんです。今の枠を全然ふやさないで、そしてその中だけで、どうにかしようというふうに考えるからそういうことになってしまうというふうに思うんですね。
この間の都営住宅の応募倍率というのを見てみますと、ことし五月の一般世帯向けの募集は、平均倍率で二十九・六倍、最高倍率は何と一千八十五倍でした。単身者向けでは、ことし八月の募集で、平均倍率が四十七・六倍、最高倍率は三百八十四倍というすさまじい数字です。
公営住宅法第三条では、地方公共団体は、常にその区域内の住宅事情に留意し、低額所得者の住宅不足を緩和するため必要があると認めるときは、公営住宅の供給を行わなければならないと書いてあるんですね。
都営住宅の応募倍率が高い状況が解消されない中で、都営住宅の新規建設や建てかえによる戸数増に取り組むということはどうしても必要ではないかと思います。
また、供給する住宅の戸数が著しく少ない場合には、借り上げ公営住宅制度、こういったものを積極的に活用して借り上げ住宅を供給すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
○香山住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも既存住宅ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。
今後とも社会経済情勢が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅につきまして、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
○大島委員 既存ストックの有効活用を図ると言っているんですけど、結局、今の戸数をふやすという考えは全くないんでしょうか。その点についてお伺いします。
○香山住宅政策担当部長 本年三月に住宅マスタープランを策定いたしましたが、この中でも、都営住宅につきましては既存住宅の既存ストックの有効活用を図りながら、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給することとしております。
○大島委員 都営住宅をふやさないという理由の一つが、今、市場にある住宅が、空き家が一割以上、世帯数の一割を超えてあるというようなことが最大の理由とされています。でも、その空き家が減らないんですよね、何年たっても空き家の率というのは、ほとんど一割というのは変わってないんです。その空き家の有効に利用するということも必要なわけです。
もう一方で、都営住宅に入りたくても入れない、入居資格があっても入れないという人がふえていて、もう一方で空き家がふえるというのであれば、当然借り上げ住宅というこの制度を利用することも考えていかなければいけないと思うんです。そういう意味で、やっぱりこの都営住宅の今の状況、課題を解消していくという方向を検討する必要があるというふうに思うんです。
公営住宅法の第一条には、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、または転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する、こうこの目的が明記されているんです。国の制度改悪と都営住宅の新規建設を怠るなどの今の都の措置によって生じた深刻な事態をそのまま維持するような原則改定ではなくて、今、都営住宅が抱えている課題を解決することや都営住宅に入りたくても入れない都民の状況に目を向けた都民の声を踏まえた、そうした積極的な条例改正を行うことを求めまして質問を終わります。
○泉谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○泉谷委員長 異義なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時十五分散会
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