都市整備委員会速記録第三号

平成二十四年三月二十一日(水曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十二名
委員長泉谷つよし君
副委員長滝沢 景一君
副委員長神林  茂君
理事関口 太一君
理事橘  正剛君
理事遠藤  衛君
田中  健君
斉藤やすひろ君
小山くにひこ君
大島よしえ君
谷村 孝彦君
林田  武君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長技監兼務飯尾  豊君
次長長谷川 明君
技監安井 順一君
理事松井多美雄君
理事藤井 寛行君
総務部長田崎 輝夫君
都市づくり政策部長町田 修二君
住宅政策推進部長鈴木 尚志君
都市基盤部長石川  進君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長砂川 俊雄君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
企画担当部長邊見 隆士君
連絡調整担当部長細渕 順一君
景観・プロジェクト担当部長永島 恵子君
住宅政策担当部長香山  幹君
民間住宅施策推進担当部長高田  茂君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務山下 幸俊君
民間開発担当部長藤塚  仁君
多摩ニュータウン事業担当部長五十嵐 誠君
耐震化推進担当部長小野 幹雄君
経営改革担当部長笹沼 正一君
再編利活用推進担当部長上野 雄一君
建設推進担当部長荒川 達夫君
営繕担当部長妹尾 高行君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備局所管分
・第十一号議案 平成二十四年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十二号議案 平成二十四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十三号議案 平成二十四年度東京都都市開発資金会計予算
・第十六号議案 平成二十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第十九号議案 平成二十四年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十九号議案 東京都建築審査会条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドラインについて
・「木密地域不燃化十年プロジェクト」実施方針について
・東京都耐震改修促進計画の改定について

○泉谷委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成二十四年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十四年三月十五日
東京都議会議長 中村 明彦
都市整備委員長 泉谷つよし殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(木)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
第一号議案 平成二十四年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 都市整備委員会所管分
第十一号議案 平成二十四年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二号議案 平成二十四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三号議案 平成二十四年度東京都都市開発資金会計予算
第十六号議案 平成二十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九号議案 平成二十四年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○泉谷委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十一号議案から第十三号議案まで、第十六号議案、第十九号議案及び第五十九号議案並びに報告事項、多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドラインについて外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○田崎総務部長 去る二月十七日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます都市整備委員会資料(二月十七日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 平成二十四年度当初予算関係の資料は、1の都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績から7の首都高速道路に対する出資金、貸付金の推移(過去十年間)まで、七件でございます。
 また、報告事項、木密地域不燃化十年プロジェクト実施方針関係の資料は、1の木密地域不燃化十年プロジェクト実施方針について各区から出された質問、意見から、4の木造住宅密集地域整備事業等の事業費の推移まで、四件でございます。
 それでは、まず、平成二十四年度当初予算関係の資料につきましてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。1の都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績でございます。
 都営住宅、公社住宅の別に、十年間の建設戸数を記載してございます。
 次に、三ページをごらんください。2の都営住宅型別供給の住戸の標準規模でございます。
 平成五年度、十一年度、十五年度、二十年度、二十二年度における都営住宅の住戸専用面積を各型別ごとに記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。3の都及び区市町村が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧でございます。
 四ページから七ページには、都及び区市町が実施しております耐震診断の対象となる建築物、補助限度額、補助率を、また、八ページから十一ページには、耐震改修の対象となる建築物、融資限度額または補助限度額、利子補給率または補助率をそれぞれ記載してございます。
 次に、一二ページをお開き願います。4の緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度の区市町村別実施状況及び実績(二年分)でございます。
 一二ページには、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度につきまして、区市町村別の実施状況を、診断、設計、改修、建てかえ、除却の別にそれぞれ記載してございます。
 次に、一三ページには、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度につきまして、特定緊急輸送道路と同様に記載してございます。
 一四ページには、平成二十一年度及び平成二十二年度における耐震診断件数、補強設計件数、耐震改修件数を地方公共団体ごとに記載してございます。
 一五ページをごらんください。5の緊急輸送道路沿道建築物以外の木造住宅及びマンションの耐震診断、耐震改修助成実績でございます。
 一五ページには、平成二十一年度及び平成二十二年度における木造住宅の耐震診断件数、補強設計件数、耐震改修件数を地方公共団体ごとに記載してございます。
 次に、一六ページでございます。平成二十一年度及び平成二十二年度におけるマンションの耐震診断、補強設計、耐震改修の件数及び戸数を、地方公共団体ごとに記載してございます。
 一七ページをごらんください。6の分譲マンションアドバイザー派遣助成についての区市の実施状況及び実績でございます。
 耐震アドバイザー派遣事業、分譲マンション管理アドバイザー制度、分譲マンション建替え・改修アドバイザー制度について、区市ごとの実施状況及び実績件数を記載してございます。
 一八ページをお開き願います。7の首都高速道路に対する出資金、貸付金の推移(過去十年間)でございます。
 過去十年間の首都高速道路に対する出資金及び貸付金について、年度別に記載してございます。
 次に、報告事項、木密地域不燃化十年プロジェクト実施方針関係の資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 恐縮ですが、二〇ページをお開き願います。1の木密地域不燃化十年プロジェクト実施方針について、各区から出された質問、意見でございます。木密地域の関係二十区に対し実施した説明会において、寄せられた質問及び意見の内容について記載してございます。
 二一ページをごらんください。2の各整備地域及び重点整備地域ごとの不燃領域率の推移でございます。
 整備地域及び重点整備地域における各地域ごとの平成八年度及び平成十八年度の不燃領域率をそれぞれ記載してございます。
 次に、二二ページをお開き願います。3の各整備地域及び重点整備地域内の延焼遮断帯の形成率の推移でございます。
 整備地域及び重点整備地域における各地域ごとの平成八年度及び平成十八年度の延焼遮断帯形成率をそれぞれ記載してございます。
 次に、二三ページをごらんください。4の木造住宅密集地域整備事業等の事業費の推移でございます。
 平成十八年度から平成二十二年度における木造住宅密集地域整備事業及び都市防災不燃化促進事業について、各年度ごとにそれぞれ事業費を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○泉谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○小山委員 私からは、二点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、平成二十四年度予算において、新規に事業化されております高速道路ネットワークの一元的な料金体系の検討調査についてお伺いをさせていただきます。
 高速道路ネットワークの一元的な料金体系の検討調査については、首都圏の高速道路における現行の入り組んだ料金体系を見直し、より効率的に利用できる高速道路網の実現に向けた検討を行うとしておりますが、本調査のねらいについて、まず具体的にお伺いをさせていただきます。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 首都圏の高速道路は、首都高、NEXCO東日本、NEXCO中日本の高速道路三社で、それぞれ別々の料金体系となっていることから、その入り組んだ料金体系を見直し、一体的で利用しやすい料金体系を構築する必要があると認識してございます。
 その実現を国などに要望していくため、調査を実施するものでございます。

○小山委員 今、ご答弁がありましたように、都としては、圏央道内において一元的な料金体系を目指すということで、これは多くの都民の要望にかなうものだと思っております。平成十九年の都議会の決議におきましても、高速道路料金については、単なる引き下げではなく、首都圏を一体的にとらえて道路ネットワークを最大限に利活用するとともに、利用者にとっても効率的で利用しやすい料金体系が実現されなければならないとしております。
 また、高速道路網を最大限に利活用させるためには、環状道路の利用促進、長距離利用者の負担軽減、運営主体間の乗り継ぎ割引を基本軸とする料金の引き下げに向けた新たな措置を国として講じることということで要望しております。
 また、平成十七年には、東京都市長会及び東京都町村会より、中央自動車道高井戸-八王子間の料金体系の見直しに関する緊急要望も出されております。また、当該委員であります林田委員も、昨年の予算特別委員会で、首都高速料金の見直しということで言及もいただいております。
 そこで、こういった多くの都民の要望でもある高速道路の一元的な料金体系について、都のねらいはわかりましたが、この一元的な料金体系を検討するに当たり、今般の首都高の距離別料金制についてどのように考えているのか。また、距離別料金制に合わせて導入をされましたNEXCO中日本の中央道短区間割引とあわせて所見をお伺いいたします。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 本年一月に改定されました首都高の新たな料金制度は、料金圏を撤廃し、対距離料金制を導入するとともに、NEXCOとの乗り継ぎ割引や中央環状線迂回利用割引などが措置されてございます。あわせて、NEXCO中日本におきましても、中央道の短区間割引が措置されてございます。
 これらの料金制度は、これまで都が要望してきました内容が盛り込まれており、将来の一元化に向けての第一歩となるものと考えております。

○小山委員 あくまで今回の料金の改定が、都の目指す圏央道内における一元的な料金体系の第一歩、つまり過渡的段階であり、必ず圏央道内における一元的な料金体系の実現に向けて、ぜひとも今後のさらなる取り組みを求めておきたいと思います。
 そこで、その実現の礎ともなりますこの高速道路ネットワークの一元的な料金体系の検討調査について、その調査対象及び内容について、調査結果の活用方法とあわせてお伺いしたいと思います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 本調査は、圏央道の内側エリアを調査対象に予定しておりまして、現在の料金体系の課題、法制度上の課題等を整理することにより、一元的な料金体系とした場合の効果を検証するものでございます。
 その料金体系の実現に向けまして、今後、利用者の視点に立った適切な見直しが行われるよう、国などに強く働きかけてまいります。

○小山委員 実現に向けました都の思いは重く受けとめさせていただきたいと思います。ぜひとも圏央道内における一元的な料金体系の実現に向けて邁進していただきたいと思います。
 そして、さらにその実現に当たっては、ぜひこの本調査の中におきまして、利用者である都民の生の声や要望といったものをしっかり調査していただきまして、ぜひとも反映していただきますよう、強く求めておきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、超高層建築物等に対する長周期地震動対策についてお伺いをいたします。
 平成二十四年度予算におきましては、長周期地震動の影響が大きいとされます超高層建築物等への対策に関する検討を行うとともに、建物所有者への普及啓発を行うとしております。この問題については、昨年の予算特別委員会で質疑をさせていただき、当時の河島技監より、都は関係区市や民間の確認検査機関への普及啓発を図るとともに、都民や関係団体等への的確な情報提供を行うなど、国との適切な役割分担のもと、首都東京の安全確保に向け積極的に取り組んでまいりますとご答弁をいただきました。その点で、このたびの耐震改修計画においても、関連施策として推進が図られていることについては、高く評価したいと思います。
 そこでまず、耐震改修計画改定素案における長周期地震動対策の位置づけについてお伺いをいたします。

○砂川市街地建築部長 今回の耐震改修促進計画の改定は、昨年十二月に公表した「二〇二〇年の東京」計画などとの整合を図るとともに、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進条例などの新たな施策を反映するために実施するものでございます。
 耐震改修促進計画では、これまでも地震時における建築物の総合的な安全対策として、建築物の耐震化とともに、外壁タイルの落下防止対策などを位置づけてまいりました。
 昨年三月の東日本大震災では、都内における多くの超高層建築物において大きな揺れが長い間観測されたことから、超高層建築物の構造上の安全性を確保するため、新たに取り組むべき課題として、長周期地震動対策を位置づけたものでございます。

○小山委員 ただいまご答弁いただきましたように、耐震改修計画において新たに取り組むべき課題として位置づけていただいたことは大きな前進だと思います。今後の地域防災計画を初め、関連諸施策との一体的な取り組みをしていただくように求めておきたいと思います。
 昨年十一月の都市整備委員会におきまして、質疑に対し、都は、建築士や建設業の団体、区市等の関係機関に対策の内容について周知するなど、普及啓発を行っていくとご答弁をいただきました。この二十四年度予算に新規に計上されました耐震改修促進計画においても明記されておりますが、この周知や普及啓発について具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○砂川市街地建築部長 国が平成二十二年十二月に示しました長周期地震動への対策試案では、建物所有者などに対しまして長周期地震動に対する検証を実施し、必要に応じて補強を行うよう要請することとしております。
 このため、都は、都内の超高層建築物などを対象に調査を行い、その実態を把握するとともに、専門家の知見を踏まえまして、建物の特性に適した補強方法や家具転倒防止対策などについて検討を進めております。
 今後、国の対策が決定された場合には、関係区市や民間の確認検査機関及び建物所有者などの依頼により、実際に検証などを行う建築士や建設業などの団体に対しまして、対策の内容を周知するとともに、実態調査の結果を踏まえまして、リーフレットなどを活用し、建物所有者等に対して的確な情報提供を行ってまいります。

○小山委員 今お答えのとおり、実態調査の結果を踏まえて的確な情報提供を行っていくということでございますので、ぜひとも都民への迅速かつ適時適切なる情報提供をお願いしておきたいと思います。
 ただ、一点、ご答弁に国の対策という前置きがございますが、この長周期地震動の被害を一番受けるのは東京都でございます。その点をかんがみれば、国に先んじて取り組みを行っていただくように、改めて強く求めておきたいと思います。
 東京やこの都民を守れるのは東京都しかないと私は思っております。ぜひとも、都市整備局の皆様におかれましては、施策のより一層の推進によって、都民の安全と安心につながるよう求めて、私の質疑を終わります。

○神林委員 私の方からは、三点ばかり、順次質問をさせていただきます。
 まず初めに、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は、いうまでもなく首都東京にとって重要な課題であり、四月からの診断義務化により、さらに加速した取り組みが必要でございます。
 一方、住宅などそれ以外の個々の建築物の耐震化も重要であり、昨年の予算特別委員会でも取り上げたところでございますが、今回の改正される耐震改修促進計画によってさらに耐震化を前に進めていく趣旨から、何点かこれから質問していきます。
 まず、促進計画の基本方針にある想定する地震の規模、被害想定についてでありますが、今月の七日、ちょっとショッキングなことでございましたけれども、文科省が東京湾北部でマグニチュード七級の地震が起きた場合、東京湾沿岸の広い範囲で震度七の揺れに見舞われるおそれがあることを明らかにしております。しかし、促進計画では震度六強を想定しており、文科省の想定どおり震度七の揺れが起きたとき、促進計画では、耐震性があるとされる新耐震基準の建物や旧耐震基準の建物で、診断結果がいいのか悪いのか、耐震補強した建築物は安全なのかどうか、単純な疑問が起こるところでございます。
 そこで、震度七の揺れが起きたとき、促進計画で耐震性があるとされている建物は大丈夫なのか、まず見解を伺います。

○小野耐震化推進担当部長 現行の耐震基準では、震度五強程度の中規模の地震に対してはほとんど損傷を生じないこと、極めてまれにしか発生しない震度六強から震度七程度の大規模な地震に対しても、人命に危害を及ぼすことのないような倒壊等の大きな被害を生じないことを目標としております。実際、震度七を都市部で初めて記録しました阪神・淡路大震災におきましても、現行の耐震基準で設計された建築物は、設計、施工の不備なものを除きますと、大破、倒壊といった大きな被害を受けていないことがわかっております。
 このため、現行の耐震基準に従って新築された建築物、それに準じて、耐震診断で耐震性能が確保されていると判断された建築物や耐震改修がなされた建築物につきましても、同等の効果があると認識しております。

○神林委員 そういう答弁を聞きましてほっとするところでもあるんですけれども、ただし、今の答弁によりますと、旧耐震基準においては、耐震診断の結果が判定の基準となるものであり、非常に重要になります。建物の耐震性を判断するには、建築物の形状や立地する地盤の状況などから、耐震性を総合的に判断する構造技術者の経験に基づく知識が必要になります。
 一方、建物所有者からは、専門的な知識があるわけではないので、診断を依頼した技術者が本当に信頼できるのかどうかわからないという話を聞くことがよくあります。
 そこで、信頼できる診断技術者を育成するためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○小野耐震化推進担当部長 都では、平成十八年度に木造住宅耐震診断事務所登録制度を創設し、木造住宅の耐震診断や補強設計を実施する都民に対しまして、実績や信頼のある建築士事務所を紹介しております。この制度は、都が耐震診断に関する講習を実施し、試験に合格した一定水準の技術者がいる建築士事務所を広く紹介するものでございまして、ことしの二月末現在で約五百事務所が登録しております。
 また、木造以外の建築物につきましても、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進条例にあわせまして、建築士の関係団体と協定を結び、必要な支援を行いますとともに、高い技術力と豊富な実績のある建築士事務所の名簿を作成し、紹介しているところでございます。
 今後とも、診断技術者の技術力の維持向上を図り、都民が安心して耐震診断や設計を進めることができる環境を整備し、耐震化を促進してまいります。

○神林委員 今、最後のご答弁にありましたとおり、やはり都民が安心して受けられるということが大事だと思いますので、その辺が間違いのないようにお願いしたいと思います。
 次に、今回の計画では、重点的に取り組むべき建築物として、新たに木造住宅を追加しております。木造住宅の耐震化率は現状でも低く、この耐震化を推進していかないと、目標達成は困難でございます。
 木造住宅では、高齢者の所有者も多く、耐震化には関心が余りないという方がいる一方、リフォーム工事はかなり実施されていると思います。
 耐震化の促進は、省エネ化、バリアフリー化など、リフォーム工事と連携することが有効だと考えますが、今後どのような取り組みを行っていくのか伺います。

○小野耐震化推進担当部長 耐震改修工事を、省エネ化やバリアフリー化など、内外装材をはがすことが多いリフォーム工事に合わせることで、費用や期間、施工の面で効率的、合理的に進めることができると考えております。
 このため、今後はこうした事例をホームページやパンフレット等で積極的に紹介し、リフォーム工事の機会に合わせた耐震改修工事のメリットをPRしてまいりますとともに、工務店やリフォーム業者への情報提供や関係団体と連携を図ってまいります。
 さらに、区市町村の住宅部門や高齢者福祉部門とも連携し、高齢者などの住宅改善工事にあわせた耐震改修を促進してまいります。

○神林委員 筋交いですとか耐震壁を補強する耐震改修工事は、リフォームと違って、工事の内容や効果がわかりにくいものでございます。実際に耐震改修工事を実施した所有者の声などを伝えるなど、その効果を理解してもらうことも重要でございます。
 民間では、新築住宅や中古住宅を販売する場合、オープンハウスや現地見学会を開催することで関心を呼んでお客さんを集め、住み心地、安心感などを実感してもらっております。
 PRについてはいろいろ今までも出ているところでございますが、耐震改修についても、パンフレットや展示会などでなく、こうした手法なども参考にして積極的にPRすべきと考えておりますが、いかがでしょうか。

○小野耐震化推進担当部長 都ではこれまで、パンフレットなどで耐震改修の工法や事例を紹介するだけでなく、議会棟や新宿駅西口広場などにおきまして実物を展示するなど、都民にわかりやすい情報提供を行ってまいりました。
 お話のように、耐震改修を実施しています住宅やビルの事例を実際に見てもらうことは、工事の施工過程や状況、生活への影響などを実感してもらうことができ、また、安心感といった所有者の生の話が聞けるなど、非常に効果的な手法だと考えております。
 今後、建築業界や関係団体とも連携しまして、実際に耐震改修を実施している建物の現場見学会など、都民が耐震化の必要性や効果を実感できる新たな取り組みについて検討してまいります。

○神林委員 次にします質問が一番のネックになる部分なんでしょうけれども、さまざまな取り組みにより、所有者が耐震化を進める気になっても、最終的に改修費用などの資金面で耐震化を断念せざるを得ない場合があります。特に年金で生活している高齢者にとっては大きな課題でございます。
 そこで、耐震化を促進させるための融資制度など、資金的バックアップの取り組みが必要だと考えますが、見解を伺います。

○小野耐震化推進担当部長 都では、緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修等における所有者負担を軽減するため、低利融資制度を創設し、平成二十三年度には十三の金融機関を指定しております。
 また、分譲マンション耐震改修を含む共用部分の工事費用につきましては、住宅金融支援機構が無担保で固定金利により融資を行う制度を紹介するなど、連携して所有者負担の軽減を図っております。
 今後とも、住宅金融支援機構や金融機関の融資に関するさまざまな情報を提供するとともに、区市町村とも連携し、都民のニーズや要望に応じて適切に対応してまいります。

○神林委員 今、お話がありましたとおり、やはり最終的に大きな支障となるのは資金面の問題なのかなということを、私どもも都民から多く聞くところでございます。これからある程度のスパンの中でやっていくわけですから、必要に応じてしっかりと検討を進めていただきたいと思います。
 次に、都民の耐震化の機運を盛り上げるために、我が党の予算特別委員会や代表質問に知事が答える形で耐震マーク制度が創設されることになりましたが、初めに、耐震マークのねらいについて伺います。

○小野耐震化推進担当部長 耐震性能が確保されている建築物について、一目でわかりやすい耐震マークを交付することにより、都民に適切に情報提供しますとともに、所有者の耐震化に向けた主体的な取り組みを促進していくことが大きな目的でございます。
 耐震マークを普及させることで、耐震化の機運をより一層高め、所有者の積極的な取り組みにつなげていくことを期待しております。

○神林委員 耐震化の機運を高めるためには、耐震マークのPR効果を十分に発揮し、都民に浸透させていくことが重要でございます。
 都内には、既存建築だけでも約二百六十万棟と、膨大な数の建物がございます。一度に都内全域のすべての建物に広げるのではなく、まずは条例をつくった緊急輸送道路沿道などから、重点的、段階的に進めていくことが効果的と思いますが、見解を伺います。

○小野耐震化推進担当部長 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進条例でございますが、四月からは耐震診断の義務化も施行され、所有者の耐震化へ向けた取り組みも本格的に開始されるものと認識しております。
 このため、条例と連携しまして耐震マークを進めることにより、所有者の耐震化に向けた主体的な取り組みがより一層促されるとともに、重点的にPRすることによりまして、耐震マークの普及にはずみがつくと考えております。
 副委員長のお話のように、まずは条例をつくった緊急輸送道路沿道などから、重点的、段階的に進めてまいります。

○神林委員 いずれにしましても、現場というものがあるわけですから、現場の混乱が生じないように、対応をするよう要望しておきます。
 建物の状況や所有者の事情もさまざまでございます。耐震マークを円滑に進めていくためには、所有者の理解と協力を得ながら進めることが重要だと思いますが、見解を伺います。

○小野耐震化推進担当部長 耐震マークを円滑に普及させていくためには、個々の所有者の事情や建築物の状況を勘案しながら、丁寧に進めていくことが重要だと認識しております。
 このため、区市町村や建築の関係団体、建築物を所有、管理している不動産の関係団体などに対しましては、制度の内容や今後の進め方などについて十分周知しますとともに、意見や要望にも適切に対応しながら進めてまいります。

○神林委員 次に、木密地域不燃化十年プロジェクトの実施方針について伺います。
 東京にとって、山手線外周部などを中心に広範に分布している木造住宅密集地域は、防災上の最大の弱点であり、その改善は長年の懸案課題でもあります。東京が大地震に襲われ、木密地域で大規模な火災が発生した場合、甚大な被害を引き起こすのは明白であり、その対策を急がなければなりません。
 そうした中で、都は、木密地域不燃化十年プロジェクトの実施方針を策定し、その目玉として、不燃化特区構想を打ち出しました。
 そこで、まず初めですので、不燃化特区創設の目的と制度の基本的な考え方について伺います。

○藤塚民間開発担当部長 都は、区と連携いたしまして、防災都市づくり推進計画を策定し、整備地域等を定めて、木密地域の改善に取り組み、一定の成果を上げてきたところでございますが、市街地がほとんど延焼しない水準である不燃領域率七〇%の目標達成にはさらなる取り組みを必要としております。
 首都直下地震の切迫性なども踏まえ、木密地域の改善を一段と加速するためには、これまでの取り組みに加え、特に改善を必要としている地区につきまして、従来よりも踏み込んだ施策を重点的、集中的に講じることが必要と考え、今回、不燃化特区制度を創設することといたしました。
 この制度は、木密地域の改善に積極的に取り組もうとする区からの提案を受け、期間と地域を限定して、不燃化助成の上乗せや都税の減免措置などの特別の支援を行うことにより、不燃化を強力に推進するものでございます。

○神林委員 この不燃化特区は、私どももいろいろなところでお話ししますと、非常に大きな関心とか期待を寄せられております。
 木密地域では居住者の高齢化が進み、建てかえや住みかえに消極的であることや、権利関係が複雑で合意形成に時間がかかることなど、改善が進みにくい状況が見られます。
 こうした課題に対し、実効力のある施策を的確に講じていくことが、何よりも重要でございます。一部の反対のために道路拡幅などが進まず、整備に何十年もかかるようでは困ります。
 不燃化特区ではこうした問題に対してどのように対応していくのか、所見を伺います。

○藤塚民間開発担当部長 不燃化特区では、区が主導して、建物の共同化や生活道路の拡幅整備などの不燃化を進める核となり、波及効果が期待できる事業をコア事業として実施することを要件としております。
 このコア事業においては、都市計画事業などの強制力のある手法の活用を基本とする考えでございます。
 これにより、不燃化の効果の高い事業を確実に進めることが可能となり、木密地域の不燃化が加速するものと考えております。

○神林委員 今、答弁にもございましたけれども、不燃化特区では、再開発事業や都市計画道路事業などの強制力のある事業手法を用いて、コア事業を実施することが要件ということだと聞き取らせていただきました。
 この点について、一部の区から意見が出されているようでありますが、どのような意見が出され、それに対して都はどのように考えているのか伺います。

○藤塚民間開発担当部長 不燃化特区におけるコア事業につきまして、一部の区から強制力のある事業手法の活用を前提とされると合意形成が難しいため、要件の見直しができないかとの意見も出されております。
 木密地域の主な整備手法でございます木造住宅密集地域整備事業などは、法的な強制力がなく、一部の権利者の合意が得られずに事業が進まず、結果的に事業が長期化しているようなケースも多くございます。
 こうした状況を打開するためには、住民の生活再建に手厚い支援を行うとともに、公共性の観点から強制力も担保しつつ、合意形成を図ることによって、事業を確実に推進することが必要と考えております。

○神林委員 地域はさまざまでございまして、さまざまな事情があることは十分知っておりますけれども、一部の反対によって地域全体が危険にさらされるようなことがあってはならないと考えております。
 公共の利益のためには、生活再建への十分な支援を前提に、一定の強制力を担保しながら事業を推進することも、実効性を上げる上で必要ではないかと考えております。
 また、建物所有者に建てかえや耐震改修をやりたいと思わせるような助成や規制緩和などの誘導策を設けることも大変重要でございまして、あわせて検討をお願いしたいと思います。
 さて、十年プロジェクトの実施方針では、木密地域を延焼による焼失ゼロの燃えないまちにすることを目指し、既定計画を五年前倒しして、二〇二〇年度までに整備地域における不燃化領域率を七〇%とする目標が掲げられております。
 今後、この目標の達成に向け、不燃化特区を指定し、事業を着実に推進するためには、特区ごとの到達目標やその実現に向けての段階的プロセスを明確にすることが必要と考えますが、所見を伺います。

○藤塚民間開発担当部長 不燃化特区の指定に当たっては、区が整備プログラムの案を作成、提案し、都がその認定を行うこととしております。
 整備プログラムには、不燃化特区の整備目標や整備方針、コア事業などの具体的な取り組み、スケジュールなどを記載することとしております。
 都といたしましては、整備地域における不燃領域率七〇%の達成を目指して、各特区における適切な目標設定やその実現に向けたプロセスの明確化などを国に求めてまいります。

○神林委員 不燃化特区については、今後、先行実施の取り組みなども踏まえ、制度構築を行うとのことでございますが、木密地域の状況や不燃化への取り組み方は、先ほどもお話ししましたとおり、各区にもそれぞれの事情があり、各地域にもそれぞれの事情があって、異なっているわけでございます。
 一律の要件に全部当てはめなければ不燃化特区に選定しないということではなくて、現場の状況に応じて柔軟に判断することも必要ではないかと考えております。
 制度構築に当たっては、そうした点も踏まえていただきたいと思います。
 ところで、十年プロジェクトの推進に当たっては、民間の建設業、不動産業などの関係者の協力が不可欠でございます。木密地域において建てかえや住みかえがふえれば、地元の民間事業者の仕事の創出にもつながって、これは経済効果が期待できるものでございます。
 今後、関係業者との協力についてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

○藤塚民間開発担当部長 木密地域における木造住宅の不燃化建てかえや耐震改修、また従前居住者の移転先となる土地、住宅のあっせんなどにつきまして、地元の建設業者や宅地建物取引業者等が多くの役割を担うものと考えております。
 十年プロジェクトの推進に当たっては、こうした民間事業者の協力も大変重要と認識しており、都は先般、東京商工会議所に十年プロジェクトの実施方針を説明し、協力を要請したところでございます。
 今後は、建設業や不動産業などの関係団体とも意見交換しながら、例えば、地元の関係団体と連携して、地域密着型集会の開催に合わせて個別相談会を実施するなど、十年プロジェクト推進に向けた連携のあり方や具体的な連携策について検討してまいります。

○神林委員 私どもの都市整備で扱う部分とちょっと所管は違うのかもしれませんけれども、本当に緊急にということを考えますと、消防力の充実ですとか強化ということも重要な課題になってくると思います。
 このため、市街地の整備に合わせて区が独自に防火水槽や消火栓、消防用資器材の格納倉庫などを設置したり、地元の消防団、町会、自主防災組織などによる初期消火体制の整備に力を入れているところが各地区にございます。これも、起こってしまってからのことなのかもしれませんけれども、東京の中で延焼を防いだり倒壊を防いだりという意味では、大きな効果がある、即効性のあるものでございます。
 そこで、消防水利が十分に整備され、かつ住民の防災意識が高く、初期消火体制がしっかりしている地域であれば、特例的に狭隘な敷地や道路であっても、建てかえがしやすいように容積率ですとか斜線制限などの建築規制を緩和してもいいのではないかというふうにも考えるんですが、所見を伺います。

○藤塚民間開発担当部長 狭い道路や敷地が多い密集市街地におきまして、老朽建築物の建てかえを容易にする観点からは、一部の自治体では、接道要件、建ぺい率、容積率、斜線制限などの建築規制を、地域の実情に応じて柔軟に選択、適用できる建築基準法の特例制度や地区計画制度の活用が図られております。
 例えば、京都市では、木密地域でもある祇園町南地区におきまして、歴史的なまち並みを維持しながら建てかえを円滑に進めるため、消防水利や自主防災組織が整備されていることを前提に、建築基準法による前面道路幅員の緩和や、街並み誘導型地区計画の活用による容積率及び道路斜線制限の緩和を行っております。
 都としては、こうした事例なども参考に、消防とも連携いたしまして、木密地域における建築規制のあり方を検討するとともに、区に対する情報提供や技術的な助言を行ってまいります。

○神林委員 今の質問のときにも最初にお話ししましたけれども、建物の不燃化や道路整備などのハードな対策はどうしても時間がかかりますが、消防設備の設置などは比較的早く取り組むことができる緊急対策にもなります。地震火災による被害の軽減に向け、ハード、ソフトの両面から複合的な対策を推進することが大事でありまして、東京消防庁との連携をしながら取り組みを進めていただくことも要望して、この件につきましては質問を終わります。
 次に、京王線笹塚駅からつつじヶ丘駅間の連続立体交差化及び複々線化について伺います。
 京王線は、都民の都市活動を支える重要なネットワークでございます。道路と平面交差で整備され、道路の交通の渋滞が積年の課題であり、昭和四十四年に都市計画決定されて以降、順次立体化が図られております。
 笹塚駅からつつじヶ丘駅間については、駅前商店街による推進協議会の運動が実り、現在、連続立体交差化及び複々線化の手続が進められております。
 そこで、本区間の計画概要についてまず伺います。

○石川都市基盤部長 京王線の笹塚駅からつつじヶ丘駅の間には、七本の未整備の都市計画道路と、二十五カ所のあかずの踏切があり、平成十六年六月に都が策定した踏切対策基本方針において、この区間は鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられております。
 この区間では、在来線二線と複々線化のための二線を四線並列で高架式とする都市計画が昭和四十四年に決定されておりますが、平成二十年五月の国の着工準備採択などを経て、現在、在来線二線を高架式に、複々線化のための二線を地下式に変更する都市計画手続を進めており、それにあわせて環境影響評価手続を進めております。
 この連続立体交差化により、二十五カ所の踏切がすべて除却されます。

○神林委員 今、聞いても、長年の懸案であったのだと思います。
 それでは、本区間の構造形式の選定の考え方について伺います。

○石川都市基盤部長 構造形式の選定につきましては、高架方式、地下方式及び高架と地下の併用方式の三つの案について、地形的条件や踏切の除却数などの計画的条件、事業費などの事業的条件の三つの条件から比較検討を行っております。
 地形的条件については、三案とも同等でございますが、計画的条件については、高架方式と併用方式ではすべての踏切が除却可能となるのに対しまして、地下方式では、線路が地下に潜り込む間にある三本の交差道路を遮断するため、通行できなくなってしまうという問題が生じます。
 また、事業的条件につきましては、地下方式では事業費がほかの二つの方式と比較して、約八百億円、高額となります。
 こうしたことなどから、地下方式を除いて、高架方式と併用方式を比較し、都市計画変更により新たに区域を加える範囲が小さい併用方式を最適案といたしました。

○神林委員 長い間、検討を続けてきたことでしょうから、間違いはないと思いますけれども、やはりいろいろ地域には考えのある方がいらっしゃると思います。地元の住民の中には、構造物の劣化や耐用年数などを考慮すれば、笹塚駅や八幡山駅の既存構造物を撤去して、全線地下化にした方が、地震時に安全で合理的ではないかという声も一部あると思いますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○石川都市基盤部長 笹塚駅や八幡山駅付近につきましては、補助二六号線や環状八号線などの都市計画道路との立体交差化を目的として、鉄道の高架化が既に完成しております。また、既設の橋脚に鋼板を巻く耐震補強が、八幡山駅では平成十九年度に完了し、笹塚駅では現在工事が行われるなど、構造物として適切に維持管理されております。
 こうしたことから、両駅の高架構造物を撤去し、改めて地下化することは、公共事業に対する二重投資となり、合理的ではないと考えております。
 なお、昨年の東日本大震災では、東北地方において、近年建設された在来線のコンクリート高架橋はほとんど無傷であり、また、耐震補強を実施した新幹線の高架橋の柱などには被害が生じていないなど、阪神・淡路大震災などの経験を踏まえて変更された耐震設計の考え方の妥当性が示されております。
 本計画の併用方式による高架橋も、今後、最新の耐震設計基準を用いて設計を行うことで、地震に対する安全性が十分確保されると考えております。

○神林委員 本当にそういう意味で、地域住民の不安というものを一つずつしっかり取り除いたことを、一気に聞いていきますけれども、次には、日照阻害や騒音の環境面で地下化が有利とする意見がございますが、在来線を高架化する場合についても、万全の環境保全措置を講じることで、周辺環境への影響を最小限に食いとめる努力をすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○石川都市基盤部長 本計画につきましては、環境影響評価手続の中で、事前に現況を調査し、事業の実施が周辺環境に与える影響について予測及び評価を行っております。その中で、鉄道高架橋により生ずる日影に対しましては、環境保全措置として、高架橋北側に側道を整備することにより、良好な沿道環境を確保できると評価しております。
 また、鉄道を高架化した後の騒音につきましては、環境保全措置として、遮音壁の設置やロングレールの採用、レールの重量化などを行うことにより、予測結果は現況値を上回ることはないと評価しております。

○神林委員 今お話ししたように、それこそ周辺環境への影響を取り除く技術というのは日進月歩でございます。車体の軽量化もどんどん進んでおり、京王線の高架化が完成する十年後には騒音はさらに低減されることと考えられます。踏切の交通渋滞を早期に解消して、環境の汚染要因を取り除くことこそ、環境のために重要でございます。
 次に、これも一部の意見ではありますけれども、地下方式の方が併用方式に比べ家屋補償の戸数が少なく、用地買収に要する時間も短くなり、事業期間も短縮できるとの声も、本当に一部なんでしょうけれども、あると思うんですが、都の見解を伺います。

○石川都市基盤部長 今回、都市計画を定める区域内の土地につきましては、事業実施に当たり、土地の取得や地上権の設定などを行うとともに、必要に応じて家屋補償を行っていくこととなります。
 家屋補償の戸数につきましては、今後、用地測量などを実施した上で確定していくことになりますが、航空測量により作成した地形図をもとに推計したところ、併用方式及び地下方式のいずれも約三百五十棟と、ほぼ同数になっております。
 事業期間につきましては、併用方式が十四年、地下方式が十七年であり、併用方式が優位となっております。

○神林委員 地下方式の方がメリットが大きいという声がよくあるものでございますけれども、いろいろ今聞いておりますと、大して変わらぬばかりか、むしろ逆に、併用方式の方が優位であることが多いのがよくわかります。事業費を余計にかけてもメリットに差がなければ、事業費の安い併用方式を採用するのは妥当でございます。
 また、私も地元の商店街の方からは、高架の方が電車からまちが見えて、駅でおりてくれやすいという声も聞いているところでございます。
 そこで、この計画を進めるに当たりまして、沿線住民の合意形成がかぎとなります。都は、住民の意見をどのように聴取してきたのかを伺います。

○石川都市基盤部長 平成二十一年十一月に都市計画素案説明会を、平成二十三年五月に都市計画案及び環境影響評価準備書の説明会を、それぞれ八日間にわたり開催いたしました。
 この説明会で、延べ約五千人の参加者に対して、スライドの上映などにより理解しやすいように計画の内容について説明を行い、延べ約百四十人から、あかずの踏切の早期解消を望む声や事業スケジュールなどに関する質問のほか、構造形式に関する要望や環境への配慮に関する意見などがあり、それらに答えてまいりました。
 さらに、環境影響評価準備書に対していただいた意見については、主な意見の概要と、都市計画決定権者である都の見解を平成二十三年八月に公表しております。
 引き続き、早期完成を望む地域の期待にこたえられるよう、あらゆる機会をとらえて地域の方々に対し丁寧な説明を行い、理解と協力を得ながら計画を推進してまいります。

○神林委員 連続立体交差化は単なる渋滞解消だけでなく、地域の一体性が図られ、まちづくりにも大きく寄与いたします。連続立体交差化とあわせた地元区における駅前広場計画の検討状況について伺います。

○石川都市基盤部長 鉄道の連続立体交差化にあわせて、地元区が主体となって駅前にふさわしいまちづくりを一体的に進めていくことは、交通利便性の向上や地域の活性化などを図る上で重要であると考えております。
 現在、地元世田谷区においては、連続立体交差化とあわせて、駅前広場など駅周辺のまちづくりを一体的に進めており、明大前駅及び千歳烏山駅の駅前広場計画については、来月、都市計画案の説明会を開催する予定と聞いております。
 今後とも、連続立体交差化の効果を最大限に発揮できるよう、地元区と連携を図りながら、まちづくりの具体化を促進し、連続立体交差化の推進に取り組んでまいります。

○神林委員 この問題のまとめとしまして、今後、都はこの連続立体交差化及び複々線化計画にどのように取り組んでいくのか伺います。

○石川都市基盤部長 今後の取り組みについてでございますが、来年度の都市計画決定を目指し、環境影響評価書を作成するなど、引き続き都市計画及び環境影響評価の手続を進める予定でございます。
 連続立体交差化については、平成二十五年度に事業認可取得を目指しており、その後、完成までに約十年間を見込んでおります。
 今後とも、関係機関と連携を図りながら、本計画の早期実現に向け、積極的に取り組んでまいります。

○神林委員 最後に意見を申し上げさせていただきますけれども、今までの質疑から、併用方式が地下方式に比べて、地域関係者の中でも大方の合意が得られていると聞いていること、多くの踏切が除去されること、我々の税金である工事費が節約できることなど、長年の懸案であって、間違いなく有利であることを確認させていただきました。
 そこで、具体的な計画を進めるに当たって、私は地元で京浜急行線の連続立体交差事業で長年にわたって経験しておりますので、一つだけ意見をいわせていただきます。
 これから最も大切なことは、地元の意向や工事によって生活に影響が出てしまう方々に、可能な限り最大限の誠意を持った、しかも柔軟な対応をしていただくことでございます。ただし、逆に、残念ながらそういった意向につけ込んで、無意味に計画を引き延ばしたり、地域住民をあおって反対のための反対を繰り返し、計画の妨害をするような行為が起きた場合には、断固たる態度で対応していただくことも申し上げておきます。
 工期をいたずらに引き延ばすことによって、我々の貴重な血税を投入した工事費がどれだけむだにかさんでいくのか、多くの都民や地域の方々の利便性や経済効果といったものにどれだけ目に見えない損失が出ているのかなどを十分しんしゃくしていただいて、一日も早く計画が完成することを切望しまして、私の質問を終わります。

○橘委員 私の方からは、都営住宅の居住者の安否確認、それからLCP住宅の普及について、この二つのテーマについて質問いたします。
 まず、都営住宅の居住者の安否確認についてであります。
 我が党は、一昨年、平成二十二年の第四回定例会の代表質問で、都営住宅における居住者の安否確認、特に夜間や休日の安否確認への対応を改善するよう、都に求めました。都はこれにこたえまして、住宅の管理を行っている住宅供給公社のお客様センターにおける夜間や休日の対応などについて、これを踏まえて改善を行ってきたという経緯がございます。
 そこで、具体的にどういう対策を講じてきたのか、まずその内容について確認しておきたいと思いますので、説明をお願いいたします。

○笹沼経営改革担当部長 都は、都営住宅居住者の安否確認につきまして、平成二十二年十二月から、夜間や休日における緊急の問い合わせに、より確実に対応できますよう、東京都住宅供給公社のお客様センターにおける電話問い合わせに対する音声アナウンスに、安否確認についての案内を加えますとともに、通報があった場合、現地での迅速な確認を行う手順を整えました。
 また、お客様センターの緊急問い合わせの電話番号を記載したプレートを都営住宅団地の各住棟の階段室等に掲示しますとともに、居住者向けの広報紙であります「すまいのひろば」を二十二年十二月に臨時発行し、都営住宅の全居住者に周知を図ってまいりました。
 現在、二十四時間、三百六十五日を通じて、居住者の安否確認に対応しております。

○橘委員 「すまいのひろば」、これは大きな文字で書いてありますし、高齢者でもすごくわかりやすい表示になっていると思います。それから三百六十五日、二十四時間対応というのも、これを知っておくことも居住者の安心につながっている。これはもう現実に私たちも確認しているわけでございます。
 そういう中でも、都営住宅では、毎年度、四百人を超える単身の居住者が、個室内でだれにもみとられずに亡くなっていると聞いております。先日、立川市の都営住宅におきまして、母と娘、二人暮らしの居住者の孤立死が見つかるということがございまして、安否確認の課題、改めて一部が浮き彫りになったということもございます。
 そこで、居住者の安否確認について、住宅供給公社のお客様センターには、年間、何件の問い合わせがあるのか。また、そのうち、現地で居室内に外から入って安否確認を行った件数、そのうち実際に孤立死が発見された件数についてどれくらいなのか、伺っておきたいと思います。

○笹沼経営改革担当部長 平成二十三年四月から二十四年三月中旬までの期間で見ますと、東京都住宅供給公社のお客様センターに寄せられた安否確認のお問い合わせは約五百件ございました。
 このうち、住宅供給公社や警察、消防が現地に赴き、玄関のかぎを壊して入室し安否確認を行ったものが約百件、消防隊員がベランダ側の窓から入室し安否確認を行うなどしたものが約百件となっております。
 現地で安否確認を行った約二百件のうち、居住者が室内で亡くなられていた件数は約百件でございます。

○橘委員 今の答弁で、この数字というのは、非常に私は大事だなというふうに思いました。つまり、ドアを壊して入ったのが百件、それから窓から入ったのが百件、そのうち、百件ほどの孤立死が見つかった、そういうふうになると思いますけれども、従来であれば、これはどういう対応をとったらいいのかなかなかわからなかったケースが、その中にたくさんあるわけですね。しかしながら、こういう改善した結果によって、このように迅速に対応できるようになった、これがこの数字にあらわれている、本当に努力の一つの成果ではないかと私は思います。
 一方で、今回の立川市のケースですけれども、残念ながら居住者の方が亡くなってかなりの時間が経過していたようであります。今回の出来事を受けまして、我が党は都に対して、より一層迅速な対応を申し入れるとともに、先日の予算特別委員会でも今後の対応策についてただしました。
 この予算特別委員会における我が党の質問に対して、都市整備局長からは、緊急時のマニュアルを早急に見直すなどの改善に取り組むとの答弁がございました。
 そこで、この改善の中身について、もう一歩踏み込んで、具体的にどういう対策を講じていかれるのか、その辺について伺いたいと思います。

○笹沼経営改革担当部長 緊急時の安否確認マニュアルにつきましては、現場の対応を行う東京都住宅供給公社とともに、現在、見直しに着手したところでございます。
 具体的には、安否確認の対応としまして、二人以上の世帯にも十分配慮すること、立ち入りを見送る際の判断は必ず管理職が行うこと、一たん立ち入りを見送った場合には速やかに外出情報などを収集し、外出等が確認できないときは迅速に立ち入りを実施することなどの判断基準や運用方法に改善することを検討しております。
 今後、早急にマニュアルを改訂いたしまして、一層迅速に、都営住宅居住者の緊急時の安否確認が行えるよう取り組んでまいります。

○橘委員 今の改善策、これを一つ一つ、今、言葉で聞いていますと、そういうことかとわかりますけれども、実際に現場でそれに対応するとなると大変な作業になるというのが想像できます。しかしながら、そういう細かな対応の積み重ねというのが、これは大事で、安否確認は非常に大事なことでありまして、大変だとは思いますが、ぜひこの取り組みを進めて迅速な対応をしていただきたいと思います。
 さらに、先般の予算特別委員会で、我が党の質問に対して、局長から、都営住宅のかぎの保有について、改善に取り組んでいくという答弁がございました。このかぎの保有ということについては、マスターキーというわけですけれども、これまた難しい問題がございます。新築、新しく建てかえた場合の部屋であれば、その新しく建てかえた部屋のドアの合いかぎを持てばそれで済むわけですけれども、今度、既存の部屋のかぎを直すとなると、これまた大変な時間それから費用もかかるわけでございます。そしてまた、住民の方からかぎを提供していただいて、それでまたスペアキーをつくるという、これもまた大変なことになると思います。
 だから、簡単にかぎを取りかえるといっても、これはなかなか難しい問題がかなりありますけれども、その辺について、都はどのように対応されていく考えなのか、お答え願いたいと思います。

○荒川建設推進担当部長 現在、東京都では都営住宅につきまして、一つの住棟すべての住戸のかぎを解錠できるかぎ、いわゆるマスターキーや各住戸の予備のかぎ、いわゆるスペアキーなどの合いかぎを保有してございません。
 このため、緊急時の安否確認に際しましては、玄関が施錠されている場合、迅速な方法としまして、玄関のかぎを壊して入室しているほか、ベランダの窓ガラスを壊すなどして入室しているところでございます。
 今後は、緊急時の入室をより容易に行うという観点から、合いかぎの保有の実施に向けまして具体的な検討を進めてまいります。

○橘委員 今、まだ検討段階でありまして、具体的にはお答えできないというのはよくわかりますけれども、例えば、ちょっと時間はかかるかもしれませんけれども、現在住んでいる方が転居されて、また退出されて、新しく入居されるときには、必ず室内をリフォームされるわけですね。そのときに取りかえるというか、そういったこともまた一つの方策として考えられると思いますので、それも含めて、合理的なやり方で検討していただければと思います。
 いずれにしても、このかぎの問題というのは、居住者の協力があって成り立つことでございまして、この居住者の協力、理解を十分に得るということ、これを心がけていただきたいと思います。そして具体的に検討を進めていただきたいと思います。
 一方、単身の高齢者を初め、都営住宅の居住者の安否確認に当たっては、地元区市町を初め、警察、消防、それから団地自治会とも連携した取り組みが非常に大事であります。今回の立川市のケースでは、住宅供給公社と立川市の連携が十分でなかったとの報道も一部なされております。とかく問題が起きるとき、さまざまな事例が発生するときというのは、この連携の部分、つなぎの部分、これがあいまいだったがゆえに発生するケースが非常に多いんですね。
 今後、この高齢者世帯などが都営住宅で安心して暮らしていけるように、地元区市町との連携に向けて、これは都で具体的に詰めて、つなぎの部分、連携の部分、このあいまいな部分をなくすということが非常に大切になってくると思いますけれども、この点について考えを伺います。

○瀧本都営住宅経営部長 都営住宅において、居住者の緊急時の安否確認につきましては、住宅の管理者である都が、見守りを初めとした福祉サービスを提供する地元区市町と連携いたしまして、対応を図っていくことが必要と考えております。
 居住者の安否確認を行うに当たって、住宅に立ち入る判断が難しい場合には、地元区市町と速やかに情報交換を行って迅速に対応するなど、連携の強化を図ってまいります。
 今後も、地元区市町を初め、警察、消防、団地自治会と連携、協力しながら、緊急時の安否確認などに的確に対応し、都営住宅の居住者が安心して生活していけるよう努めてまいります。

○橘委員 都営住宅の安否確認についてはこれで終わりまして、次に、LCP住宅について伺います。
 我が党は、震災時でも生活を継続できる性能といいましょうか、機能といいましょうか、そういった性能を持った住宅、いわゆるLCP住宅を、震災時の避難者対策の観点から注目しております。大きな災害が発生しますと、避難所に避難する方が大勢いらっしゃいますけれども、それは、今どこの区でも、どのぐらい発生するのかわからない、実態はつかめないというのが現状のようであります。マンションまた大きな集合住宅の中で、待機できれば、生活することができれば、避難所に行かなくても済むわけですね。そういう観点からこの避難者の対策として、非常に大事だと思います。
 LCP住宅については、昨年の四定の当委員会で、我が党の斉藤委員が質問いたしましたし、さらに先日の予特でも我が党が取り上げまして、普及を促進する立場から質疑を行いました。事業実施は来年度からということでありますけれども、本日の委員会では、これまでの議会答弁を踏まえまして、もう少し細かい内容について確認しておきたいと思います。
 まず、LCP住宅として認定されるには五つの登録基準がありますね。そのうちの一つには、居住者、住宅所有者に新たな負担が生じないこと、これが一つの登録基準となっているわけです。新しくコージェネレーションシステムを導入するのに、通常であれば助成金を出して、そしてそれの普及を図っていくというのが通常のやり方であります。
 このLCP住宅については、助成金はなしそれから居住者負担もないと。これは本当に理想的な方式かと思いますけれども、具体的に、負担がないというのは、どういうふうな仕組みで成り立つのか、説明をお願いします。

○香山住宅政策担当部長 LCP住宅でございますが、これはガス発電と東京電力等から供給される電気を併用して、災害時に必要な電力の確保を行うものでございます。
 このシステムの設置運営を行う事業者は、マンション全体で高圧一括受電の仕組みを活用することにより、通常の家庭向け電気料金よりも安価に電気を購入することが可能となります。
 この電気料金の差額を活用することによりまして、ガスコージェネレーションシステムの設置運営を行うことで、居住者の負担を求めることなく、停電時においてもエレベーターや給水ポンプの運転を行うことが可能となると考えております。

○橘委員 従来であれば、電力会社もしくはPPS、そこにマンションそれから住宅供給公社もあるでしょう、居住者は、個別に契約して電気料金を払っていた。これを一括で契約することによってその分料金が安くなる。安くなった分を、ガス供給システムそれから熱供給システム、そのシステムを構築するためにそれを投入することができる。概略はこういうことだと思います。理論的にはそれは成り立つんですね。けれども、いろんな事情が結構出てくるわけです。
 戸数によって、じゃあ、五十世帯でもそれが成り立つのかというと私はちょっと難しいかなと。その差額がそんなになりませんので、差額の分を振り向けることは、金額が少ないということで難しいかなと。二百戸、三百戸ぐらいだったら可能性があるかなと思いますけれども、そういった課題がまず一つ。戸数はどのくらいからこの方式が成り立つのか。
 それからもう一つは、このガス供給システムを、コージェネレーションシステムとしてガスによって発電するというシステムをつくるわけですけれども、そうしますと、このガス、LPG、これが国際価格で高騰する場合がありますね。現在も高騰しつつあります。と同時に、じゃあ、それを併用するから、電力会社の電力と併用するから可能だという理屈も成り立つんですけれども、ところが、これから東電にしても、火力発電が中心になってきます。火力発電というのはLNGが中心になるわけですけれども、そうしますと、このLNGも電力の発電コストとしてこれがまた高騰する。両方高騰するということは、これはまた厳しい状況--負担がなしというのもこれは果たしてどうかなという疑問もわいてくるわけですけれども、この辺の課題、これから実験をやってみて検討されるわけですけれども、まず、どのくらいの戸数がいいのか。
 新築の場合は、初めからそれをコストとして計算して価格を決めればいいですから、改めて利用者、買った人に負担が生じることはないですけれども、この防災対策の観点からいったら、既存の住宅にこれを導入してこそ意味があるわけですね。そうしますと、既存の住宅でどのくらいの戸数以上が対象になり得るのか、それから、さまざまな課題に対してどういうふうな対策を講じていかなければならないのか、そういったことも含めまして、現在お答えできる範囲で結構ですので、お願いいたします。

○香山住宅政策担当部長 居住者の負担なくシステムが導入されるマンションの規模、あるいは事業実施に当たっての各種の課題についてのお尋ねでございますが、ご指摘のように、こういった規模につきましては原料の価格に加えまして、居住の形態や、それぞれのマンションに設置されるエレベーターや給水ポンプなどによっても異なりますので、一概には申し上げることは難しいと考えております。
 今後、住宅公社等でモデル事業を実施してまいりますので、この事業を通しまして、具体的な事例による事業の採算性、課題等を明らかにしてまいりたいと思います。

○橘委員 大いに期待し、注目しておりますので、よろしくお願いします。
 このマンションの性能、機能という観点では、東京都優良マンション登録表示制度というのもございます。それから、来年度から開始しようとしているこの東京都LCP住宅登録閲覧制度というのもございます。一般的に、ちょっとぱっと聞きますと、どっちもマンションの性能をあらわすんだから一緒にしたらいいじゃないかというふうに思いがちなんですけれども、私なりに考えてみましたら、この優良マンション登録表示制度というのは、やはりいろんな基準が結構高いですね。ハードルが高いように思いました。それを今回のLCP住宅にその基準を当てはめるとなると、これはなかなか普及はしづらいなというそんな気もいたしました。
 そういうことで、この制度としては、別の制度として、別の仕組みとして構築したのかなというふうに思いましたけれども、この二つの制度について違いを伺っておきたいと思います。

○鈴木住宅政策推進部長 まず、優良マンション登録表示制度でございますが、建物の構造と管理の両面から、具体的に申しますと、耐震性能あるいは構造躯体や設備の劣化状況といったもの、さらには管理組合や長期修繕計画の状況といったもの等々、総合的に一定の水準を確保している分譲マンションを登録いたしまして、都民が安心してマンションを購入できる、ひいてはマンションの流通を促進していくということを目的としております。
 一方、LCP住宅でございますが、分譲マンションのほか、賃貸マンション等も対象としております。また、ガスコージェネレーションによる自家発電設備を備えていること、これにより、災害で停電になった場合におきましても、水の供給あるいはエレベーターの運転に必要な最小限の電力を確保できるという性能に着目して登録いたします。特に中高層マンションにお住まいの方が、災害時にも避難を余儀なくされることなく、ご自宅で生活を継続できるような住宅の普及というものを目指しております。
 ご指摘のように、こちらは災害対策ということで緊急性もございますので、早く普及するようにということでターゲットを絞っているものでございます。
 今後、それぞれ混乱を生じさせることなく、それぞれの制度の趣旨に沿って、その特性が生かされるよう、両制度を適切に運用してまいります。

○橘委員 いずれにしましても、今、これからマンションを購入するまた住宅供給公社住宅に入ろうという方もいらっしゃると思います。それから、今現在住んでいるマンション住民の方それぞれに共通するのは、切迫性が指摘されております首都直下地震に対して、どう備えるかということに非常に関心が高まっています。
 そうした中で、少しでも安心できる体制、そしてまた慌てて避難しなくても済めばそれにこしたことはない、そういった住民の心情、これも配慮しながら、このLCP住宅というのは防災面から強力に推進していっていただきたい。
 これからいろんなテストパターンをやってみて、データをとるということも聞いておりますけれども、その作業についても迅速に進めていただいて、これはいつ発生するかわからないという事態でございますので、早急に手際よくやっていただければと思います。それを要望して、質問を終わります。
 以上です。

○大島委員 私からも、都営住宅の孤立死の問題から質問させていただきたいと思います。
 最近のマスコミなどを見ておりますと、東京だけでなくて、各地でこうした孤立死、孤独死というのが紙面をにぎわしているということで、大変心痛む状況が見られます。
 先ほどもお話がありましたけれども、立川市内の都営住宅で九十五歳の母親と六十三歳の娘さん、一緒に住んでいるということで亡くなられた、発見がおくれた、こういう痛ましい事件がありました。過去三年間で毎年四百人前後の高齢者が、部屋の中でだれにもみとられずに亡くなって発見されているということです。
 私はこれまでも、都営住宅における孤独死対策などを要望してまいりました。都営住宅の直接受け付けで理由のところを見ますと、本当に心痛む状況がかいま見られます。
 三月十八日付の産経新聞は、都営住宅では六十五歳以上の世帯が約四三%に上る、これまでも危険性があると判断した場合は、警察立ち会いのもと入室して安否確認をしてきた、ただ、だれにもみとられず部屋で死亡していた人が毎年約四百人、これは自殺者を含むとなっておりますが、四百人見つかるのに対し、ドアのかぎを破壊して入室に踏み切ったのは毎年約百件、ベランダから窓を割るなどして入ったものも約百件にとどまっているとこう報道されていました。先ほどもご答弁がありましたけれども、この中で百人が亡くなっていたということです。
 こうした都営住宅における孤立死とか孤独死について、東京都として、都の責任はどのように考えているのか、またその対策について今後どのように考えていくのか、お伺いをいたします。

○笹沼経営改革担当部長 先日の予算特別委員会でお答えしましたとおり、今後は、都営住宅の居住者の安否確認につきましては、緊急性がある場合には、迅速な入室により対応する方針としております。
 この方針に基づきまして、緊急時の対応マニュアルを早急に見直しますとともに、住宅のかぎの保有につきまして改善に取り組むこととしております。

○大島委員 この孤独死、孤立死ということが発見されるという点で、それまでの対応がどうだったのかということも含めて、この都の責任というのはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○笹沼経営改革担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、私どもは今現在、二十四時間、三百六十五日、安否確認に対応できる体制を整えてございます。今回のケース、いろいろ報道はございますが、今後は都営住宅の居住者の安否確認につきまして、緊急性がある場合には迅速な入室によりまして対応してまいりたいということでございます。

○大島委員 私は、この高齢者の単身者とか、それから認知症のひとり暮らし、こういった方がふえていく中で、今、巡回管理人の方たちが回っているんですけれども、この方たちの役割は大変重要だといってきました。訪問希望者が約二万世帯いて、現在おおむね二カ月に一回程度、訪問しているということですが、少なくとも今の巡回相談員を倍加して、月一回程度は訪問できるようにすべきではないか、こういう提案もしてまいりました。
 今、孤独死とか孤立死というのが社会問題化する中で、六十五歳以上の高齢者のみの世帯とか障害者世帯に限らず、希望があれば月一回程度の訪問ができるように、巡回管理人の増員を再検討する考えはないか、お伺いいたします。

○笹沼経営改革担当部長 見守りサービスや介護サービスなどの福祉的な対応につきましては、基本的には地元区市等が実施するものでございます。
 都営住宅におきましては、都は住宅管理者として巡回管理人を配置し、六十五歳以上の高齢者世帯等に対する支援を行っております。
 巡回管理人は、希望するすべての世帯に対しまして定期的に戸別訪問を行い、書類の取り次ぎやさまざまな相談に応じ、巡回により確認した居住者に関する状況や事実につきまして、必要に応じて地元区市等の福祉部門に提供しております。巡回管理人を増員することは考えておりません。

○大島委員 今、全体で回っているのが八十五、六人とか聞いておりますので、それを倍加してそういう対応もできれば、本当にもっともっと綿密にコミュニティもはぐくめますし、そういう方たちとの対応というのも十分にできるようになるのかなというふうに思っております。
 孤独死対策とか認知症などの高齢者対策というのを強化するには、まず、地域のコミュニティとか団地内のコミュニティの強化、これも必要だと考えています。今、せっかく子育て世代が入居できるようなさまざまな手だてを考えているということで、この間もいろいろご答弁がありましたけれども、期限つき入居では、実際にコミュニティの育成というのが十年で中断してしまいます。また、ソーシャルミックスが進んでいないというこの原因には、都営住宅の建てかえ時に入居している今の居住者の世帯に合わせた型別供給を行っているということで、一DKとか、それから二人用の小さい二DK、こういった少人数の部屋ばかりが多くなっていて、結果として子育て世代とかファミリー世帯、こういう人たちが今度は入ろうと思ったら、余りにも狭過ぎて入居できなくなっている。
 原則として、また配偶者しか、今、都営住宅の使用承継が認められなくなっておりますので、収入基準というのは都営住宅の入居収入基準をクリアしているにもかかわらず、若者世代の子どもたちが実際には承継できずに都営住宅から追い出されるという承継問題の弊害、こういったものもあると考えますけれども、いかがでしょうか。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の型別供給基準は、従前居住者の世帯構成に応じて住宅を適切に供給するものでございます。また、使用承継制度は、公平な入居機会を確保するため実施しているものでございます。
 これらの制度の変更は考えてございません。

○大島委員 今、団地の中では大変な事態になっているということです。もちろん、これは地域コミュニティの希薄化とか孤立化するというのは、都営住宅だけの問題ではありません。だけれども、今、団地の自治会の役員のなり手もいないとか、団地の清掃もなかなかできないなどと、多くの問題が噴出しています。
 全都を挙げて、こうした問題解決のためにぜひ取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、耐震改修促進計画についてお聞きをいたします。
 この計画の目的と位置づけには、地震により想定される被害の半減を目指し、東京都地域防災計画と整合が図られるとあります。現在、東京都では地域防災計画の見直しの検討がされておりますし、これは八月ごろ発表されると聞いています。
 また、今、被害想定の見直しも進められておりまして、これは四月には出されるという状況のもとで、なぜ今この改定を行うのか、そして、この地域防災計画の見直しが行われた後は、この促進計画の改定案とどのように対応するのか、その点についてお伺いをいたします。

○小野耐震化推進担当部長 今回の耐震改修促進計画の改定でございますが、昨年十二月に公表しました「二〇二〇年の東京」計画などと整合を図りますとともに、平成二十年の住宅・土地統計調査等をもとに推計しました最新の建築物の耐震化の状況を踏まえて実施するものでございます。
 また、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進条例などの新たな施策や、東日本大震災の教訓なども、都内の建築物の総合的な安全対策の推進に向けて重要なことから、これらを反映するものでございます。
 今後、地域防災計画の見直しが実施された場合には、必要に応じて適切に整合を図ってまいります。

○大島委員 この計画には、東京都の地域防災計画と整合を図ると位置づけられているんですよね。「二〇二〇年の東京」というのは東京の中長期計画ですから、これと整合を図るというのも必要でしょうけれども、この本計画の目的と位置づけからいって、地域防災計画の改定を待つべきではないかと思います。
 少なくともこの被害想定に対応する計画が必要だというふうに思うんです。当然ながら、この第二章の想定する地震の規模、被害の状況というのは、平成十八年五月の被害想定がそのまま載っています。少なくとも東日本大震災の教訓を反映したとはいえません。
 また、本計画は、区市町村が策定する耐震改修促進計画の指針とするという位置づけもされています。五年も前の被害想定に基づいて、こうした計画を東京都が改定版だといって指針として発信しましたら、それを参考にして区市町村は計画をつくっていくわけなんですね。そして、防災計画の見直しの後に必要に応じて整合を図るというのならば、もう少し待ってきちんとした計画をつくるべきではないかと思いますが、なぜできないんでしょうか。

○小野耐震化推進担当部長 地域防災計画でございますが、検討内容を九月までに素案として取りまとめ、パブリックコメントを実施すると聞いておりまして、少なくとも半年以上先でございます。首都直下地震の切迫性が指摘される中、耐震化を一刻も早く総合的に進めることが重要でございまして、耐震改修促進計画を速やかに改定するものでございます。

○大島委員 最終的な地域防災計画ができるのは、確かに八月とか九月とかもっと遅い時期になっていくというのはわかるんですけれども、被害想定というのが大体四月ごろには出るだろうと今いわれている中で、被害想定をもとにしてさまざまな対策というのを考えているというふうに、この計画の中に位置づけられていると私は思っているんですけれどもね。
 これまでも被害想定というのは震度六強で考えられておりますけれども、東日本大震災の教訓から、震度七の対応も検討されているというふうに聞いています。
 今回の改定では、対象建築物はこれまでと同じ新耐震基準導入前に建築された建築物が前提になっています。しかし、この新耐震基準というのは震度六強に対応し、震度七には対応していないと。震度七対応にする必要があると思いますけれども、見解を伺います。

○小野耐震化推進担当部長 先ほどもご答弁しましたが、現行の耐震基準では、震度五強程度の中規模の地震に対してはほとんど損傷を生じることがないこと、極めてまれにしか発生しない震度六強から震度七程度の大規模な地震に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の大きな被害を生じないことを目標としております。
 現行の耐震基準に従って新築された建築物、それに準じて耐震診断で耐震性能を確保されていると判断された建築物や耐震改修がなされた建築物につきましては、適切に施工がしてあれば、大規模な地震に対して、人命に危害を及ぼすような倒壊等の大きな被害は生じないものと認識しております。

○大島委員 この一ページの下のところに、欄外のところなんですけれども、新耐震基準ということで、その説明が書いてあるんですよね。これでも、大地震というのは震度六強程度と書いてあって、震度七というのは書いていないんですよ。だから、普通に読めば。この欄外のところの新耐震基準の説明に、震度六強程度ではなくて、震度七にも対応するとかというふうに書くべきではないかというふうに思うんですね。
 今のご答弁でも、現行の耐震基準は人命に危害を及ぼすような倒壊等の大きな被害を生じないと書いてあるんですけれども、新たな被害想定が今度出されたときに、じゃあ倒壊とか全壊とかというように建物が倒れる、そういう危険性はないと。新耐震基準ならばないというふうに考えているということなんでしょうか。

○小野耐震化推進担当部長 繰り返しになりますが、先ほど答弁しましたように、現行の耐震基準に従って新築された建築物、それに準じまして、耐震診断で耐震性能が確保されていると判断された建築物や耐震改修がなされた建築物につきましては、大規模な地震に対して、人命に危害を及ぼすような倒壊等の大きな被害は生じないものと認識しております。

○大島委員 震度七の被害予測というのは出ていないので、何ともいえないんですけれども、震度七ではやっぱり倒壊する家屋というのはふえるんじゃないかと。人命も失われる人たちが多いのではないかというふうに、私は思うんですね。
 それは見てみないからわからないとはあるんですけれども、だから、そういうことで考えていくと、今のご答弁では、人命に危害を及ぼすような倒壊等の大きな被害を生じないと。これはあくまで目標としているという答えしか、実際はされなかったわけなんですね。目標と、実際に倒れないということについては、大きな違いがあるというふうに私は思うんです。
 耐震改修促進計画では、従来のままの対象建築物を、新耐震基準導入以前に絞り込むだけでなくて、新耐震以降の建築物の耐震性能強化についても考慮するなど、その対象建築物に入れるということを求めるものですが、その点についてはいかがでしょうか。

○小野耐震化推進担当部長 現行の耐震基準でございますが、震度六強でも震度七でも考え方は同じでございまして、こうした基準に従いまして耐震化を一刻も早く進めていくことが重要であると認識しております。

○大島委員 新しい耐震基準というのができたという以降については大丈夫よと。震度六でも七でも同じですよというご答弁ですけれども、私はやっぱりやや心配だなと。震度七の方が倒壊する家屋がふえちゃうんじゃないかなというふうに思っています。
 次に移りますけれども、子どもの安全を守るために、公立小中学校、幼稚園については、平成二十四年度までに校舎の耐震化率を一〇〇%にするということを目標としています。これについては評価します。
 しかし、公立保育所の耐震化一〇〇%の達成目標年度はちょっと書いていなかったもので、お聞きしましたら、平成二十七年度だということでした。現在の公立小中学校とか保育所の耐震化率というのは何%ぐらいあって、あと何校、何園ぐらい残っているのか、それぞれお伺いをいたします。

○小野耐震化推進担当部長 公立小中学校の耐震化率でございますが、文部科学省の調査結果によりますと、平成二十三年四月一日現在で約九四%、残りは四百八棟となっております。
 また、厚生労働省の調査結果によりますと、調査回答のあった公立の認可保育所における耐震化率は、平成二十二年四月一日現在で約七七%、残りは二百十六棟となっております。

○大島委員 公立の保育所についても、より幼い子どもたちを保育する園舎の耐震化ですから、一日も早く一〇〇%にするような取り組みをしていただきたいというふうに強く要望しておきます。
 同じ子どもの安全を守るとしながら、私立の小中学校については平成二十五年度までに、私立の高等学校、特別支援学校、幼稚園、保育所については平成三十二年度までに一〇〇%にするという目標になっておりますが、その理由はどんなものでしょうか。
 また、公立と同様に平成二十四年度までに一〇〇%目標にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○小野耐震化推進担当部長 私立の小中学校や高等学校、幼稚園、保育所、特別支援学校につきましては、平成十九年の当初計画では、民間特定建築物の位置づけとして、平成二十七年度までに耐震化率を九〇%とすることを目標としております。
 このうち、小中学校につきましては、平成二十年に発生した中国四川省の大地震の状況を踏まえまして、平成二十一年三月に耐震改修促進計画を部分的に変更し、目標とする耐震化率を当初計画の九〇%から一〇〇%に引き上げますとともに、達成時期につきましても平成二十五年度に前倒ししたものでございます。
 一方、私立の高等学校、特別支援学校、幼稚園、保育所につきましても、子どもの安全を守るという観点から、このたび目標とする耐震化率を一〇〇%に引き上げるとともに、達成時期を平成三十二年度とする目標を新たに加えまして、耐震化促進に向けて取り組んでいくものでございます。
 なお、耐震化率の目標と達成時期につきましては、建築物の性格や位置づけ、耐震化の取り組み状況、現状や見通しなどを総合的に勘案して設定することが重要であると認識しております。

○大島委員 耐震化率の目標を前倒ししていくということについては、非常に重要だと思いますし、今回、私立の高等学校とか特別支援学校、幼稚園、保育園についても、新たに平成三十二年度までに一〇〇%にするよというふうに目標を決めたというのは、その点では評価するものです。
 ただ、私たち日本共産党都議団が昨年の七月に、私立の保育園とか幼稚園とか、それから障害者の通所施設、特養ホーム、こういうところに震災、電力、放射能対策に関するアンケートを行ったんですけれども、その中で、耐震強化に関して私立の保育園から次のような声が寄せられたんです。都営住宅の一階にある保育園ですが二年前に都が耐震診断をしたにもかかわらず、その結果が現在も知らされていない、耐震工事をする場合、案分で工事費を負担するようにとの話があった、都営住宅の場合、全面的に都が行ってほしい、早く工事に取りかかってほしいというものでした。私立の場合は、相手があることですから、首都直下地震が切迫しているときだけに、都としてもこうした耐震化のための助成制度などを拡充して、公立も私立も同じ子どもの安全を守るために、東京都としての対応については要望しておきます。
 こうした都営住宅併設の私立の保育園などについて、何の連絡もないとか、案分でというのはどういうことなんでしょうか。

○妹尾営繕担当部長 私立の保育園を含めまして、都営住宅の耐震診断の結果につきましては、管理者の方と調整した上で、公表していくこととしております。

○大島委員 わかりました。じゃあ、管理者の方に聞けばわかるということですよね。
 それで、六ページの表の二のところにある主な公共住宅の耐震化の現状というのを見ますと、耐震性を満たす住宅が四千五百四十棟、十七万八千七百四十一戸で、耐震化率は、棟数で六八・四%、戸数で六八・一%となっています。私、これと同じものが二〇〇七年に出ていましたので、その計画のものと比較してみたんですね。そうしたら、耐震性を満たす住宅数が二〇〇七年度では四千七百棟、十九万戸となっていて、棟数では百六十棟、戸数では、一万一千二百五十九戸も耐震性を満たす住宅が少なくなっているんです。耐震化率も棟数で二・一%上がっておりますが、戸数では三・五%も後退をしています。
 分母になる住宅総数というのが四百四十六棟、二千八百九十六戸も減っているので、こうしたことが原因なのかなとも思うんですけれども、都営住宅等で、この改定前よりも耐震化率を満たす住宅が少なくなっているというのはなぜか、お伺いをいたします。

○妹尾営繕担当部長 現行の東京都耐震改修促進計画におきましては、耐震性を満たす都営住宅の戸数につきましては、推計値によっております。これに対しまして、今回の改定の素案におきましては、これまでの耐震診断の結果を踏まえたことによるものでございます。

○大島委員 耐震診断の結果が、何か今年度末までやった後で発表されるということなので、まだ結果が出ていないということですから、実際の数というのはわからないわけなんですけれども、どの程度耐震化したらいいのかというのがわからない中でいうというのも何なんですが、いずれにしても、耐震診断をしたら予測を上回る耐震改修が必要な住宅があったと、こういうことではないかと思うんですね。
 それで、来年度の予算では、今年度のほぼ二倍の一万五千三十七戸分の耐震改修予算が計上されています。また、三千六百戸分の建てかえ住宅の予算もありますし、二〇一五年度末の九〇%目標は達成できるのかなというふうに、計算上、計画なんでしょうけれども、諸般総合的な見地から、「二〇二〇年の東京」目標に合わせているということでしたが、都営住宅の耐震化は東京都の予算措置で幾らでも前倒しで実施することは可能なんですね。しかも、こういった生活密着型の関連事業ですから、今のこの景気低迷で仕事がないという方たちに対して、仕事を出すこともできますし、景気浮揚策にもつながる、こういう公共事業だというふうに思っています。
 私は一日も早く、少なくとも大家さんである東京都が、都営住宅の耐震化一〇〇%にするように強く要望しておきたいと思います。
 次に、日本共産党都議団では、二〇一〇年のときにも、この委員会でも私はお話ししたんですけれども、今回も、都内区市町村に対して、木造住宅の耐震化を進める上での東京都への要望などについて調査をしました。やはり前回と同様、耐震化促進事業の補助金の増額と、補助対象地域を整備地域に限定しないで助成してほしいという要求が、二十三区のおよそ七割から寄せられていました。また、市の要望としては、木造住宅耐震化促進事業を、区だけでなくて市も対象にしてほしいという要望もありました。
 木造住宅の耐震診断、耐震改修の促進のために連携を図るべき区市町村から、こうした要望が出ておりますけれども、こうした要望を受けとめ、改善する考えはないのか、お伺いをいたします。

○小野耐震化推進担当部長 都は、防災都市づくり推進計画に定める特に老朽化した木造建築物が集積した区域が連担するなど、震災時に大きな被害が想定される整備地域を対象としまして、重点的に施策を展開しております。
 このような地域では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあることから、区とも連携し、耐震診断や改修に対する公的助成を行っております。
 都としましては、引き続き整備地域に的を絞り、重点的に木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
 なお、区市町村が実施します個別訪問や簡易診断などの事業にも活用できる区市町村耐震化促進普及啓発活動支援事業を創設しておりまして、こうした財政的な支援を行うとともに、情報提供や技術的な相談への対応など、区市町村の取り組みを幅広く支援してまいります。

○大島委員 今のご答弁にありました区市町村耐震化促進普及啓発活動支援事業というのは、これにも書いてあるんですけれども、これは建物所有者等への個別訪問とか、啓発文書を配布するとか、建物所有者へのアンケート調査などの意向調査、意向の把握というのはできますけれども、それによって耐震診断や改修に進んだ場合でも、整備地域以外では都の助成の対象外となってしまい、結局、それをやるかやらないかというのは区市町村の独自事業ということになってしまうわけです。だから、こういったところに助成をしてもらえれば、その分をまたほかに回すことができるということを、区市町村からの強い要望として挙げられているというふうに理解をしているんですね。
 同時に、木造住宅の前面道路の幅員が六メートル以内の要件というのも外してほしいという要望もあったんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○小野耐震化推進担当部長 都は、地震発生時の住宅の倒壊による道路閉塞や大規模な市街地火災を防止することを目的に、六メートル以下の道路に面している住宅を対象に耐震改修助成を行っております。
 都としましては、燃えない、壊れない、震災に強い都市の実現に向け、木造住宅密集地域整備事業などとあわせて、引き続き整備地域内の道路閉塞のおそれのある木造住宅を対象に耐震化助成を行ってまいります。

○大島委員 燃えない、壊れない、震災に強い都市をつくっていこうという点では、みんな一致していると思うんですよね。そういう点で、助成というのを、先頭に立って今やっている区市町村に対して、東京都はもっとバックアップする必要があるのではないかというふうに思っています。
 住宅の耐震化率の問題でお聞きしますけれども、この十年間で八一・二%から九五%にするという政策指標が示されております。平成二十七年度までに九〇%にするためには、自然更新を除いて、五年間に十九万戸以上の耐震化が必要で、耐震化率を九五%にするためには、さらに五年間で三万五千戸の耐震化が必要と推計されています。
 今回の推計値では、住宅総数は、平成二十二年度と比較しますと、平成二十七年度までに五十万戸ふえ、さらに平成三十七年度までにはまた五十万戸ふえて、合計百万戸もこの十年間の間にふえるという推計値なんですね、分母が大きくなってくれば、そのパーセンテージが上がっても、実際に耐震化の改善をしなければならない住宅数というのは、ある意味薄まってしまうのではないかというふうに思うんです。
 都の耐震改修助成実績を見てみますと、木造住宅で二〇〇六年から二〇一〇年までの五年間で三百二件しかないんです。マンションについて見れば、二〇〇八年度から二〇一〇年度までの三年間でわずか七件しかありません。来年度の予算案では、木造住宅耐震改修は千八百十戸、マンション改修は二千六十戸となっておりますが、予算どおりに執行するというのには相当の取り組みが必要だというふうに思います。
 耐震化の実効性を高めるためにも、耐震診断とか耐震改修の助成額を引き上げること、また助成対象の地域を拡大することとか、一部屋改修などの簡易改修も含めて、制度の拡充を図るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○小野耐震化推進担当部長 都は、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるなど、公共性のある場合に公的助成を行っております。
 耐震化を促進するためには、まず所有者みずからがその必要性を認識し、主体的に取り組むことが不可欠でございます。東日本大震災を受け、都民の関心も高まっていることから、この機をとらえまして、区市町村とも連携して、住宅の耐震化に総合的に取り組んでまいります。
 なお、一部屋改修など簡易な耐震改修につきましては、住宅全体の耐震性能が十分に向上せず、倒壊し、道路閉塞を起こす可能性がございますことから、補助対象としては適切でないと考えております。

○大島委員 区市町村とも連携して住宅の耐震化に総合的に取り組んでいく、こういうご答弁でした。
 先ほどいただいた資料の中で、各区市町村の耐震化改修の助成のあり方などについて書いてあるんですけれども、その中で、割と簡易改修というのをやっているところが多いんですね。
 一部屋改修などの簡易改修では住宅全体の耐震性能が十分向上しないというふうにいわれましたけれども、墨田区などでやっている簡易改修工事というのは、改修工事前に比較して耐震性能が向上する工事、それから東京都が選定した安価で信頼できる木造住宅の耐震改修の工法とか装置、これの耐震改修工法部門の工法によって、改修工事前に比較して耐震性能が向上する工事を対象にしているというのです。墨田区の担当者の方にお伺いをいたしましたら、墨田区の簡易改修制度は、一部屋とか一回だけとかいうことを主眼にしたものではなくて、全体として耐震性が強化されることを目的にしているとこういっていました。
 耐震改修においては、偏心率を下げないということが前提です。ねじれが強くなれば、部分的に弱いところに力がかかって倒壊しやすくなる。偏心率を改善すれば、むしろ低減率が改善されて、全体の強度が三割上がっていく。だから、簡易改修では偏心率を悪くさせない、むしろ偏心率を向上させることによって、総合評点を上げて、倒壊しにくくなるということを重視しているとこうおっしゃっていました。
 こうした墨田区のような先進的な取り組みも否定するということですか。

○小野耐震化推進担当部長 住宅の一部屋改修や部分改修につきましては、構造上のバランスを崩すことで、住宅の耐震性能が十分に向上するとは限らず、地震発生時に倒壊し、道路閉塞を引き起こす可能性があることから、助成対象としておりません。
 今、お話になった墨田区のものは、全体の計画を踏まえて対象にしていますので、問題はないとは思っていますが、一部屋改修につきましては、全体のバランスとの関係がございますので、助成対象にしておりません。
 なお、全体の計画と整合をとりました段階的な改修につきましては、建築物の倒壊による道路閉塞の防止や建築物全体の耐震性が将来的に確保されることを前提にしており、住宅の耐震化と地域の安全につながると認識しております。
 こうしたことから、都におきましても、段階的な改修につきましては平成二十二年度から既に助成を開始しております。

○大島委員 墨田区のように、やっぱり先進的にいろんな工夫をしながら取り組みを進めていて、それで何とか耐震化を図っていこうというふうに努力しているんですよね。やっぱりそういうところをぜひ東京都としても応援していっていただきたいなというふうに思っています。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断というのは、延べ面積一万平米以下ならば、区市町村の負担なしでも、自己負担なしで実施できています。耐震改修でも条件はいろいろありますけれども、自己負担は六分の一と大変軽減されています。
 一方、この緊急輸送道路沿道の耐震診断とか耐震改修については違うんですね。ですから、特定の緊急輸送道路沿道建築物と同じように支援をしてほしい、こういう要望も出されているんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○小野耐震化推進担当部長 都では、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進するため、耐震診断や改修について手厚い助成制度を始めております。
 条例に基づきます特定緊急輸送道路は、緊急輸送道路のうち主要な防災拠点、空港や港湾、他県等と連絡する、特に沿道の耐震化を一刻も早く推進する必要がある道路を指定したもので、その沿道建築物に耐震診断を義務づけするとともに、原則、所有者負担がなくなる新たな助成制度を整備し、また、改修助成につきましても拡充したものでございます。
 今後とも、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化につきましては、特に重点的かつ強力に推進し、災害に強い東京を実現してまいります。

○大島委員 緊急輸送道路、そのうちの特定緊急輸送道路だけ、特別に重点的にというお話なんですけれども、緊急輸送道路としての活用というのはそれぞれの地域でやっぱりあるわけですよね。だから、そういう点では、できるだけそこの沿道の建築物の耐震化を図るということで考えるならば、やっぱり同じように自己負担の軽減というのをやったらもっと進むのではないかというふうに思います。
 次に、店舗とか事務所とかが併設されているマンションでは、都の耐震化助成が住宅部分しか対象になりませんけれども、国は、住宅部分が二分の一以内なら全体面積が対象になるというふうに聞きました。補助対象面積基準を国と同様にしてほしいという要望もあります。
 また、現在、マンションの実態調査を行っておりますが、これは分譲マンションに限らず、賃貸マンションについても実施しているんですね。マンション耐震化促進事業について、賃貸マンションについても適用してほしいという要望があるんですが、これらの要望について、それぞれ都の見解をお伺いいたします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 合意形成が困難な分譲マンションにつきましては、耐震診断や耐震改修に一定の助成を行っておりますけれども、分譲マンションに併設されている店舗とか事務所等や賃貸マンションにつきましては、事務所ビルなどと同様、基本的には事業者がみずからの責任で耐震化を行うべきと考えております。

○大島委員 賃貸のマンションの持ち主、オーナーさんも、割と高齢の方とかが多くて、なかなか自力で耐震改修をやるには莫大なお金がかかって大変というような、そういう声も聞いているんですね。
 入っている人のことで考えれば、居住者にとっては、やっぱり安心なところで過ごしたいという気持ちもあるのでしょうから、ぜひその点については考えていただきたいなというふうに思います。
 次に、今回の耐震改修促進計画に新しく盛り込まれたという点では、液状化対策と長周期地震動対策があります。
 昨年六月の補正予算では、液状化対策については、震災対策のための基礎データをつくる上での調査、検討予算ということで計上されまして、液状化対策とか長周期地震動対策についての調査検討が進められてきました。引き続き、来年度予算にも、この液状化対策、長周期地震動対策の推進予算が計上されています。
 私、事務事業質疑のときもお聞きしましたけれども、東京都はこれまで液状化対策検討委員会というのを設置しまして、液状化による建物被害の状況や地盤状況の検討を進めているというふうに答弁がありました。現在までの検討状況と、来年度予算に向けて今後の進め方はどのように考えているのか、お聞きいたします。

○砂川市街地建築部長 都は、昨年七月、地盤工学の専門家などから成ります建築物液状化対策検討委員会を設置し、これまでに液状化により建物被害が生じた地区において、ボーリング調査などを実施し、液状化が発生した地盤の特性について検討を行ってきました。
 また、建築物の所有者や建て主が地盤調査を実施する場合の具体的な調査方法や、都、区市、関係機関などが所有する地盤データを活用した情報提供のあり方などにつきまして検討してまいりました。
 今後も検討委員会におきまして、専門家の知見を踏まえながら、建物所有者や設計者が適切に液状化対策を講じることができるよう、検討を行ってまいります。

○大島委員 私もこの液状化対策検討委員会、何回か傍聴させていただいたんですね。議論はなかなか専門家の方たちなので、理解しにくいところもあったんですけれども、その議論の中で、都とか区市町村が蓄積している地盤調査のデータを活用することなども検討されておりました。
 こうした地盤調査データとか検討委員会での検討成果について、都民の皆さんにはどのように情報提供しようと考えているのか、お伺いをいたします。

○砂川市街地建築部長 液状化に備えるためには、建築物の所有者や建て主が敷地の状況を把握し、建物の安全を確保することができるよう、地盤や液状化対策に関する情報を的確に提供していくことが必要でございます。
 このため、都は、建築物所有者等に対しまして、都や区市などが所有する地盤データに関する情報を提供していく仕組みや、地盤の特性に応じた具体的な対策などにつきまして、委員会での検討を踏まえ、都民にとってわかりやすい液状化対策の指針を作成し、広く都民に情報提供してまいります。

○大島委員 長周期地震動対策についてもお聞きします。
 超高層建築物等における長周期地震動への対策も、液状化と同様に、来年度予算に計上されています。
 都内には六十メートルを超える超高層マンションが三百五十棟ありますけれども、都は、都内における超高層建築物等の構造について実態を調査しているとお聞きしましたが、これまでどのような調査をしてきたのか、お聞きいたします。

○砂川市街地建築部長 国は平成二十二年十二月、長周期地震動への対策試案を示しましたが、昨年の大震災を踏まえまして、さらに検討が必要であるとしております。
 都としては、今後示される国の対策に的確に対応していくため、都内の超高層建築物などを対象に調査を行い、階数、高さ、床面積などの規模や、用途、構造などについて、実態を把握いたしました。

○大島委員 今後の検討課題に取り組む上での基礎データをしっかりつくって、都民のための具体的な防災対策が進められることを強く要望しておきます。
 次に、不燃化十年プロジェクトについてお聞きいたします。
 今回の不燃化十年プロジェクトの目玉は、整備地域内で未整備の幹線道路を十年間ですべて整備するというものです。また、大幅な支援を行うという不燃化特区も、〇・五ヘクタール以上の法的拘束力を持つ再開発事業などを必須要件としています。
 我が党は今定例会の代表質問で、幹線道路建設や再開発の推進で住民追い出しにつながりかねないとして、地元との信頼関係を全く考慮せず、強制事業を要件とすることには、事業者である区として違和感を持たざるを得ないなど、多くの区からの批判の声が寄せられていることを示したことを、まず指摘しておきます。
 これに対して、都は、このプロジェクトは地元の理解を得るとしながらも、スピード感を持って進める必要があるということ、区の意見については、従来よりも踏み込んだ取り組みを行う区に対し、期間という地域を限定して都が支援を行うというものであり、地区の設定や具体的な事業内容については区の提案によるという旨の答弁をいたしました。
 しかし、実際には、幹線道路整備と強制力のあるコア事業への支援というように方向づけを限定してしまい、区が現場の実情に即し難しいハードルを乗り越えるために、住民とともにさまざまな知恵と工夫を凝らして取り組んでいる事業が支援の対象から外れていないでしょうか。
 例えば墨田区では、高齢化が進み、耐火建築への建てかえが困難な中で、老朽建築物の防火性能と耐震化を向上させる防耐火改修、これを促進する防耐火改修助成事業を実施するということです。これは、老朽木造建築物を準耐火構造と同等に、かつ耐震性を向上させる改修を行う場合に、工事費の一部として、改修工事費以内ですが、一律百万円助成するというものです。
 また、不燃化促進事業を拡充し、不燃化建築物への建てかえの建築費の一部を助成し、建てかえを前提とした老朽建築物の除却費用も三十万円加算するということです。
 対象地域は、不燃化促進区域とあわせて、主要な生活道路沿道についても助成されているものです。不燃化促進地域による延焼遮断機能と木造密集地域における防火性が同時に向上することによって、いざというときの避難や防火活動時間を確保することにもつながるとしています。
 不燃化特区では、市街地の不燃化を促進するために新たな防火規制を導入するということですが、建てかえ時にこれまで以上の資金が必要になると思います。
 そこで、延焼遮断となる道路に面するという条件をつけずに、特区内すべての不燃化建てかえに助成すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○藤塚民間開発担当部長 都はこれまでも、延焼を防止するという公共性の観点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建てかえや老朽住宅の共同建てかえ等に対し、地元自治体と連携して費用の一部を助成してきたところでございます。
 今後ともこうした必要な支援を行ってまいります。

○大島委員 いつ起こっても不思議はないといわれる大地震の備えは重要です。とりわけ倒壊や火災の被害が大きくて危険度が高い木造密集地域の改善、市街地の不燃化促進は急がれる課題です。
 今回、従来より踏み込んだ取り組みを行う区に対して、不燃化特区制度を実施するといいますが、区が提案する整備プログラムの中には、都市計画事業などの強制力のある手法を活用することを基本にしたコア事業を一つ以上含むことが認定要件となっています。
 地元の理解を得ながら実施しようというのに、こうした強制力を持つ事業を含むとした理由は何か伺います。
 また、コア事業の面積要件は〇・五ヘクタール以上ということですが、区の取り組みなどとあわせて緩和する考えはないか伺います。

○藤塚民間開発担当部長 コア事業は、都市計画事業など強制力のある手法を活用することを基本とし、不燃化を進める核となり、波及効果が期待できる事業でありまして、限定された期間内に、確実な改善を図るために行うものでございます。
 コア事業の面積につきましては、事業の合意形成、時間管理、コスト管理などを考慮しつつ、周辺への波及効果などを勘案いたしまして、おおむね〇・五ヘクタール以上を目安としております。

○大島委員 市街地の不燃化というのは、ある程度スピード感を持って取り組むということが必要だというふうに思うんです。だからといって、住民の合意形成なしで強権的に行うということは許されません。不燃化を強力に推進するといって、十年間で不燃領域率七〇%を達成する、延焼遮断帯となる主要な都市計画道路を一〇〇%整備する、こういう目標は、住民との合意形成も十分に行うことも含めますと、その期間というのは十年では短過ぎるのではないかと思います。
 誘導策として特別な支援は必要ですけれども、この支援があるうちにやり切るということに重点が移りますと、地域のコミュニティを破壊し、結果として強権的な住民に理解されない事業になってしまいます。
 十年で達成できなかった場合はこうした特別な支援を打ち切る考えなのか、お伺いをいたします。

○藤塚民間開発担当部長 本プロジェクトは、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえ、木密地域の改善を一段と加速する必要があることから、十年間の重点的、集中的な取り組みとしたものでございまして、地域とともに期間を限定することにも大きな意味があると考えております。

○大島委員 東京都は防災対応指針で、住民、事業者等の地域の連帯に根差した防災隣組の構築を盛り込んでいます。
 地域のきずなとか地域コミュニティの育成ということは重要なことです。特定整備路線に係る地権者等の生活再建支援のために、特別の支援を実施するといいますが、住民合意の機運を高め、地権者も借家住まいの方たちも住みなれた地域に住み続けられるように、都として生活再建のために都営住宅の建設などにも踏み出すということを要望しておきます。
 最後に、両国シティコアの住宅等についてお伺いをいたします。
 この住宅は、東京都が評価額六十二億五千三百万円の都民の貴重な財産である土地を、住友、みずほ、三菱UFJの三つの大手信託銀行に信託し、この三つの大銀行が百七十六億九千百万円を資金調達、提供して、オフィス棟、共同住宅、体育館、文化施設、店舗などを建設し、収益の一部を信託配当として都が受け取るという土地信託方式で建設されたものです。ことし七月二十八日で二十年の土地信託契約が満了するんですが、何と三十億円もの借入残金を残したまま、東京都にこの土地と建物が戻ってくるということです。
 財務局は、信託期間満了後の取り扱いの検討で、土地信託でつくられた六十戸の都民住宅だけは信託契約を終了し、都に返還後、財務局から公共住宅として都市整備局が受け入れ、引き続き管理するということです。借入金債務の約三十億円のうち、十七億円の都民住宅以外のオフィス部分は、この信託契約を五年延長し、信託銀行が返済し、残る十三億円は都が負担するとしました。
 財務局から都市整備局への有償所管がえをするということですが、この予算が十三億五千万円、都営住宅等事業会計に入っていると聞きました。都市整備局が十三億五千万円を支払って、都民住宅を引き取り、土地信託でできた十三億円の債務を財務局が清算するというこういう構図です。
 今後、JKK東京の借り上げ型都民住宅だったこの両国シティコアの住宅棟なんですけれども、都施行型の都民住宅にかわり、引き続きJKK東京が管理するということですが、現在居住している方たちの家賃はどのように決められているのか、また今後の家賃はどのように決められていくのか、お伺いをいたします。

○笹沼経営改革担当部長 現在、両国シティコアの都民住宅にお住まいの方の家賃は、市場家賃をもとに設定しております。
 今後の家賃につきましては、現行の家賃を継続し、その後は二年ごとに、市場家賃をもとに同様に設定することとしております。
 なお、今、委員がお話しの有償所管がえの件ですが、これは会計間のルールに基づくもので行っているものでございます。

○大島委員 居住者にとってはこれまでと変わらぬ家賃で、二年ごとの検討というのはあるのでしょうけども、入居できるということで理解しました。
 財務局は税金を投入せずに借入金の債務を解消するスキームが成立したといっておりますけれども、都営住宅等事業会計は、もともと都営住宅とか公社住宅、都民住宅などに入居している人たちの家賃収入とか、一般会計からの繰入金も入っている会計です。都民の税金を使わないスキームなどあり得ません。
 この土地は、聞くところによりますと、当初は都営住宅用地として購入したということですし、JKK東京の借り上げ型都民住宅ということで、借り上げ賃料として二十年間で約四十二億円を信託受託者に支払ってきたと聞きました。このような負担をしながらこの土地を提供して、東京都が受け取る予定だった約八十三億円の予想配当に対して、配当実績は六億円、七・七%しかなかったんです。
 その一方で、銀行が受け取った信託報酬は四億四千七百万円、利払いは五十四億六千三百万円、合計六十億円を超え、土地を貸している東京都の十倍もの利益を得ています。その上、借入金三十億円の返済ができず残したまま、都がその後始末までするなどということは許されるものではありません。
 都が土地信託銀行でもうけようとした結果、銀行は確実にもうけましたが、都民は大きなリスクを負うというとんでもないことになったわけです。
 我が党は、当時から、この都有地は都が直接都民サービスに提供することを主張してきました。東京都は、こうした事業に手を出したことの失敗を認め、反省すべきことを申し上げまして、質問を終わります。

○泉谷委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十一分休憩

   午後三時三十六分開議

○泉谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○関口委員 私からは、まず、民間の分譲マンション耐震化について、何点かお尋ねしてまいりたいと思います。
 東京都都市整備局の耐震化促進事業というものは、緊急輸送道路、木密、そしてもう一つがこの民間マンションの耐震化でありますが、現在策定中の住宅マスタープランによりますと、マンション居住世帯は都内世帯の約四割を占め、都内の一般的な居住形態となっております。私もマンション住民でありますが、都民の安全で安心な居住環境を確保する上で、マンションの耐震化を進めることはまさに喫緊の課題であります。
 都はこれまで、昭和五十六年以前に建築された旧耐震基準の分譲マンションについて、耐震アドバイザーの派遣、あるいは耐震診断、そして、耐震改修工事に係る助成制度を創設、支援してきましたが、残念ながら、過去の実績を見ておりますと、なかなかその効果が上がっておりません。
 まず、このマンション耐震化助成事業の助成実績が低い要因について、どのようにとらえているのかお伺いをします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 マンション耐震化助成事業の助成実績が低い要因につきましては、多数の区分所有者間の意見調整が難しいというマンション特有の課題があること、耐震化の進め方などの情報が不足していること、耐震化の検討には専門的知識が必要なことなどが挙げられます。

○関口委員 例えば、この実績は、平成二十一年度で申し上げると、耐震診断の執行率は七・六%、その後に進むであろう耐震改修工事の実施執行率は二・二%、アドバイザーも一・九%ということになっておりまして、二十二年度の予算ベースでは、その執行率が低かったせいもあったのでしょう、予算ベースで大幅に額が低くなっております。
 来年度の予算案には、耐震改修工事に向けての予算額が、大幅に倍増しているということから、都市整備局としては、このマンション耐震化についてさらに力を入れていこうという姿勢のあらわれであろうと思いますが、今のご答弁では、助成実績の低い要因について、多数の区分所有者間の意見調整が難しい等々が述べられました。なかなか実績が上がっていかない理由についてはいろいろとあろうかと思いますが、来年度に向けてこのマンション耐震化をさらに促進していくために、具体的に都はどのような取り組みを行っていくつもりなのか、お伺いいたします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 都はこれまでも、マンション耐震化セミナーの開催、耐震改修事例のホームページでの紹介や相談窓口の開設などの普及啓発活動を実施してまいりました。
 また、昨年十一月には、国に対しまして、耐震改修をする場合の合意要件緩和などの法制度の改正に関する緊急提案を行っております。
 今後、セミナーや個別相談会を地域ごとに開催するほか、マンション啓発隊を派遣し、啓発や助言を行うなど、耐震化の促進に取り組んでまいります。

○関口委員 これまでの取り組み、そしてこれからの取り組みということで、マンション啓発隊を派遣するというような新事業についても今言及がございました。いわばこれらの事業というものは、区分所有者等に対する意識啓発、耐震化が大事ですよ、必要だよという意識啓発に向けた取り組みであろうかと思います。しかしながら、意識啓発は大事でありますが、何よりも次なる段階、つまりは耐震補強工事に結びつけていくことが必要であろうかと思います。
 耐震の診断を受けたマンション管理組合が、さらに階段を上ってもらって、改修工事までいってもらう、これが都市整備局としての目的であろうかと思いますが、そのためには合意形成、これが難しいんだというような答弁もありました。
 平成二十二年度の耐震診断実績は五十三件なんですね。それが耐震改修は七件ということになりますから、実際五十三件の耐震診断の中で、耐震に問題がないとされている物件がいろいろあって、それはまあいいんでしょうけれども、実際耐震診断の結果、問題がありとなったマンションの中で、どれぐらい二階に上ってくれたか。つまり改修工事に進んだか進んでいないか、こうしたことも細かく調査をして、至らなかった、階段を上らない組合は、どういう理由、課題があるのかというのを事細かくその原因を把握することが、いわゆる耐震改修工事に階段を上がってもらう、二階に上がってもらうためには必要不可欠であると思いますが、局の見解をお伺いいたします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 現在実施している実態調査では、旧耐震基準マンションにつきましては、所在や規模、築年数などの基本的な情報だけでなく、耐震化の合意形成の状況を調査しております。
 今後、実態調査の結果を分析し、効果的な施策を検討してまいります。

○関口委員 実態調査は、今、細かく行っているということであります。聞くところによりますと、三月末が締め切りということで、細かく情報収集できるように、このアンケート回収をしっかりと行っていただきたいと思います。
 さて、新年度の一つの事業でありますマンション啓発隊、これは、今後、これから出てくる実態調査の結果に基づき、効果的に派遣していくことになろうかと思いますが、このようなマンション管理組合、あるいは区分所有者への意識啓発とあわせ、耐震化を促進していくために、もう一つ重要な要素として、私は、地元自治体の役割があろうかと思います。
 例えば、先ほどの耐震助成事業の助成実績ですが、耐震診断と耐震改修の助成実績にも、先ほども申し上げたとおり、かなりの差があります。その原因を把握することも耐震化促進に有効でありますが、それを一番把握できるのが、いわば耐震助成の主体である地元自治体であろうかと思います。地元自治体が情報を収集し、把握した情報を東京都と共有していくことで、より実効性のある耐震化施策を打ち出していけると考えます。
 マンションの耐震化を促進するためには、区分所有者の意識向上を図るとともに、地元自治体の積極的な取り組み、東京都との情報共有など、これが不可欠であろうかと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 耐震改修工事の実施に当たりましては、区分所有者の四分の三以上の賛成が必要とされておりまして、区分所有者間の意見調整には時間を要することが、耐震改修にすぐには結びつかない原因になっており、セミナーや耐震化のパンフレットなどによりまして、区分所有者の意識啓発を図ってまいります。
 また、ご指摘のように、マンション耐震化の促進には地元区市町村の役割が重要でございます。
 このため、実態調査で得られた結果を反映したデータベースシステムでは、区市町村がいつでも費用負担なく参加できるよう設計するなど、都と区市町村が情報を共有でき、かつ区市町村が情報を活用しやすい環境をつくることなどによりまして、積極的な取り組みを促してまいります。

○関口委員 地元自治体との連携という意味では、今ご答弁にありました情報の共有、東京都がデータシステムを構築して、地元自治体、区や市もそこに新たな情報を入れる。それを東京都も即座に共有することができる、これによって、なぜ合意形成に結びつかないのか等々、さまざまな地域ごとの要因もあろうかと思いますが、共用していくということをぜひ来年度、推し進めていただきたいと思います。
 また、昨年十一月、東京都は、国に対して合意要件緩和の法制度改正の緊急提案を要望しました。当然四分の三というこの合意要件緩和、この緊急提案には過半数ということが記されておりますが、この問題意識は私も共有しております。
 現在実施されている実態調査を踏まえ、今後、診断を実施しない、あるいは診断はしたけれど改修に至らなかった原因をしっかり把握して、地元自治体と連携して、効果的な対策がとられていくことを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
 東京都施行の市街地再開発事業について、取り上げたいと思います。斉藤さんの地元の目黒区の大橋地区のことも少し触れたいと思っております。
 大橋地区の再開発事業は、首都高の大橋ジャンクションといった根幹的な道路整備にあわせ、従前権利者が入居する再開発ビルの建設や周辺のまちづくりを一体的に進めた事業であり、高く評価しております。
 道路事業協働型再開発事業という名称だそうでありますが、この事業の予算を見てみますと、平成二十四年度のこの大橋地区、予算上では、敷地等処分原価、いわゆる事業コストになるんでしょうけども、約二百三十一億円に対して、営業収益は約百八十五億円になっており、差引収支は四十六億円のマイナスということに、予算上にはなっております。これは平成二十四年度のみのコストと収益とはいえ、この当地区の事業収支が厳しい状況であるとうかがわれます。
 そこで、この大橋地区の事業収支が厳しい状況となっている主な要因と、この事業収支の均衡に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 お話の大橋地区を初めといたします都施行の再開発事業におきましては、再開発ビルの建設に民間の資金やノウハウを活用する特定建築者制度を導入し、事業を進めてきてございます。
 大橋地区では、お話にございましたように、首都高のジャンクション整備に協力した権利者の生活再建を早期に図る必要があったことから、平成二十年度、現在建築中の再開発ビルについて特定建築者の募集を行ったところ、折からのリーマンショックによりまして急激な景気の悪化が生じ、その影響を受けた敷地譲渡価格とならざるを得なかったものであります。
 このため、事業収益の確保に向けまして、不動産市況に対応した国の緊急の補助金制度の活用や、市況が回復した場合に、譲渡価格を増額変更する景気スライド条項の適用、また、都が所有する保留床の戦略的かつ機動的な販売など、さまざまな取り組みを実施してきているところでございます。
 このような収支改善に向けた取り組みを、今後とも積極的に進めてまいります。

○関口委員 今ご答弁にございましたように、収支均衡に向けた取り組みを、来年度進めていっていただかなくてはならないと考えます。
 この予算上に乗っております約八十五億のいわゆる営業収益でありますが、内訳を見てみますと、施設建築物処分収益、これが都が持っている保留床等の販売であったり、あるいは目黒区さんにお売りする公共施設であったり、こうしたものが百九億というふうに出ておりますが、その中で不確定要素の高いのが保留床の販売であろうかと思います。
 現在の不動産市況を見てみますと、民間の調査機関である不動産経済研究所が発表した市場動向によれば、契約率が七〇%を若干超えるあたりで推移しており、いわば完売には至っておりません。こうした状況下では、都の保留床販売も苦戦し、マンション完成後に売れ残るということが懸念されるわけです。
 売れ残った部屋というのは、皆さん方もご案内のとおり、値下げになる可能性も高く、マンションデベロッパー等々にすれば、売れ残ったものをそのまま置いておくコスト、人の配置であったり管理コストを省くために早く売り切る。そのためには値下げも辞さない。こういうことが民間のマンション販売では、時々行われていると私も聞くわけでありますが、この東京都が持っている保留床を、早期に適切な値段で、今の値段で、予算ベースにのっている値段で売り切ることが重要であり必要不可欠であろうかと思います。東京都の保留床の早期販売に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 都の保留床につきましては、これまで、特定建築者と協定を結びまして、電車の車内モニターやインターネットを通じた広告をタイムリーに打つなど、戦略的かつ機動的な販売活動を展開してまいりました。また、ジャンクション施設の現場見学会を開催したり、渋谷や中目黒の駅頭で、都の担当職員みずからが朝夕チラシを配布するなど、積極的に販売活動に取り組んできたところでございます。
 今後は、建物の建築工事が進み、完成、入居まで一年たらずとなったこと、耐震性にすぐれ防災性に十分配慮された建物であることを、より一層アピールするとともに、現場内の見学会や目黒川沿いの桜の開花に合わせたイベントを実施するなど、早期完売に向けて、引き続き精力的に販売活動を推進してまいります。

○関口委員 収支均衡を図るために必要不可欠な一つが、来年度、東京都のこのマンションのお部屋、保留床を早期に完売していくということが極めて重要な要素だと、私はこう思っているわけでありますが、それに向けた取り組みについて、実際、都市整備局の職員の方々が、駅頭で私が朝やるようにチラシを配っておられたり、さまざまな努力をされているということ、これが実を結ぶように私も祈っているところでございます。
 また、この収支均衡のためには、前段のご答弁にもありました国の補助金、都市・地域再生緊急促進事業という名目だそうでありますが、この国の補助金獲得についても我々も汗をかいていかなくてはいけない、このように思っておりますし、ディベロッパーとの景気スライド条項に基づいた協議、これも当然しっかりやっていただきたい。少しでもこの収支が均衡に図れるように、この努力をされるということを強く要望したいと思います。
 さて、この都市再開発事業会計は、今議論させていただいています大橋地区以外にも二地区ございますが、北新宿地区、そしてもう一つが環状第二号線新橋・虎ノ門地区、この二つの地区でございます。これらも事業完了が平成二十六年度というふうに伺っておりますが、この大橋地区以外の二地区、これらの収支見通しについてお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 二地区でございますけれども、北新宿地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区でございます。これらにつきましても、特定建築者制度を導入して実施しておりまして、すべての街区におきまして予定を上回る敷地譲渡価格をもって契約してございまして、事業採算が確保される見通しでございます。

○関口委員 事業採算が確保される見通しであるという力強いご答弁がございました。ということは、この都市再開発事業会計におきましては、三地区全体では収支がプラスになると推察されるわけであります。
 そこでこの会計上生まれてくる剰余金、これはそのまま会計を閉じてしまいますと一般会計に流れるというようなことが常であろうかと思いますが、都市整備局単体で考えますと、例えば、今後、木密地域不燃化十年プロジェクトなど、大型の事業というものがございまして、それらの重要施策への活用も、さまざまな方策を使い検討することも一つであろうかと考えておりますし、また、何よりも会計上の剰余金のみならず、これら三地区で行った事業によって得られたノウハウ、地元の合意形成であったり、さまざまな権利調整、そうした局として培ってこられたノウハウ、これらのノウハウをどのように使っていくのかも、これは極めて重要な課題であろうかと思います。これら都施行再開発事業のノウハウを、局として今後どのように活用していくのか、お伺いをいたします

○遠藤市街地整備部長 都施行再開発事業の三地区は、いずれも権利者を初めといたします地元の合意を図りながら、根幹的な幹線道路の整備とあわせて、従前権利者が入居する再開発ビルの建設や周辺のまちづくりを一体的に進める、こういった点に、際立った特色があるわけでございます。
 とりわけ北新宿地区は、幹線道路であります放射第六号線の整備にあわせまして、神田川沿いの木造住宅が密集し権利関係が複雑な地域におきまして、地権者の土地や建物を付加価値の高い再開発ビルに権利を変換することで、新宿副都心にふさわしい土地利用へと転換を図ったものでございます。
 このような都みずから再開発事業を実施してきた経験やノウハウは、木密地域の不燃化を初め、東京のあらゆるまちづくりに活用できるものと考えてございます。

○関口委員 これら三事業等々で培われた都市整備局としてのノウハウというものは、いわばプライスレス、お金で買えない価値のある貴重なノウハウであると私も認識をしております。ぜひとも、今後、局として進めていかなくてはいけない木密地域プロジェクトであったり、あるいは緊急輸送道路沿道の耐震化事業であったり、さまざまな事業についてのノウハウ、この活用を徹底的にやっていただいて、局全体で共有していただくよう要望いたしまして、私からの質問を終わります。
 以上です。

○林田委員 それでは、今都が進めております木密地域の不燃化、耐震化対策について、自分の思いを込めまして、何点か質問したいと思います。
 十日前、三月十一日、東日本大震災から一年が経過し、各地で追悼行事が行われました。東京でも国立劇場で追悼式が厳粛に挙行され、天皇陛下からみたまへの追悼の言葉をいただきました。陛下の熱きお言葉に感動いたしました。
 私たちは改めて、地震、津波、原発事故の恐ろしさを再認識いたしました。そして一層被災地の復旧、復興を急がねばならないと思いました。
 東日本大震災はマグニチュード九・〇という巨大地震でしたが、亡くなられた方々の九〇・七%が津波によるものでした。平成七年に起きた阪神・淡路大震災では、犠牲者の七二・六%が建物の倒壊によるといわれております。東京に、今、大地震が起こったら、そのシミュレーションによりますと、犠牲者の五七%は火災によるもの、建物の倒壊によるもの二八%と推定されております。
 先日、首都直下型地震を検討している文部科学省の研究チームの研究結果が公表され、これによりますと、震源の深さが従来より浅いことが判明し、マグニチュード七・〇、震度七という地震の可能性を示唆されました。千三百万人という人口を抱える私たち東京都民の生命をいかに守るか、犠牲者を最小限にするためにはどうするか、今、三・一一大震災の教訓の中で、東京都の最大の行政課題となりました。
 震災対策、防災対策は当然、東京都全局を挙げて取り組むことですが、その中でも都市整備局は中心局の一つだと思っております。建物全体の耐震化、特に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化、それに加えて、木密地域の不燃化、耐震化、どれも大変な作業であります。
 木密地域を十年間で燃えない倒れないまちにする、これは並大抵のことではありません。相当なマンパワーと、そして財源をもって邁進していかなければでき得ないことだと思っております。
 計画がスタートする、木密地域にお住まいの人たちが理解して、はいそうですかといってくれるのか。あなたの家の費用を負担するから不燃化を、耐震化をといっても協力していただけるのか。数々のハードルがあるかと思います。
 しかし、いつかは地震が来ます。このままでいいわけではありません。だれでもそれはわかっております。まず住民の皆様の理解を得、自主的な取り組みを促していく、木密地域の地元区にも働きかけ、町会や自治会を通じて地域の住民みずから地震の怖さ、恐ろしさをより認識してもらう、防災や安全なまちづくりに対する意識を共有していく、このことはまず必要だと思います。
 この意図のもとで、都は先月、木密地域の現地で、地元密着型の集会を開催したと聞いておりますが、この集会では地域住民にどのようなことを伝え、住民からどのような意見が出たのか、お伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 都は、先月、葛飾区内など五つの地区で地域密着型の集会を開催し、町会や協議会のリーダーの方を初め、住民の方々の声を聞いてまいりました。
 集会では、阪神・淡路大震災のとき神戸市消防局の職員であり、その後の復興まちづくりにも携わった講師の方から、同時多発的に発生した火災や建物の倒壊によって道路が閉塞され、消防車が向かえなかったこと、地域の自主防災組織が救助活動や消火活動を行い功を奏したこと、日ごろからの備え、自助、共助が重要であることなどが語られました。
 参加された住民の方々からは、建てかえの際には税金を減免してほしい、建てかえ時の建築規制を緩和してほしい、防災まちづくりのために、あいている都有地を有効活用すべき、個々の建物を建てかえるだけでなく、行きどまり道路を解消するような地域全体の計画を考えるべきなど、さまざまなご意見が出されたところでございます。

○林田委員 確かに住民の皆さんの声はいろいろだろうと思います。当事者である人たちのご意見はもっともなことばかりであります。十年で目標のすべての家屋が不燃化、耐震化できればいいけれども、意見を伺っていると、現実には厳しいというのが実感だと思います。だとするならば、不燃化、耐震化を促進すると同時に一方で、木密地域内に火災を起こさないためにはどうしたらいいのか、万一火災が起きたとき、自分の命をどうやって守るのかということも、対策が必要だと思っております。
 集会で、今お話しのように、元神戸市の消防局の職員のお話の中に、阪神・淡路大震災のとき、木密地域に火災が発生しても消防車は来られなかった、それよりも、隣近所の人たちによって多くの人命が救われたと、そういうお話を伺いました。
 地震が起きたとき被害を少しでも減らしていくためには、住民の意識に訴えていくこととともに、住民自身の自助、共助を促していくこと。自分の命は自分で守る、そのための判断、行動ができることが何よりも大切であります。
 このことはもちろん、都市整備局だけでできることではありませんが、全局で総力を挙げることが大事だと思っております。住民の意識改革、いわゆるソフト面での防災対策を、やはり大切な取り組みの一つとして、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、十年プロジェクトでは、今後、住民の意識改革をどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 地域密着型の集会につきましては、来年度も引き続き、区と連携して現地に出向いて、順次実施してまいります。
 また、地域の危険性や避難場所の位置などを記載した地図、東京危険度マップでありますが、これにつきまして、随時更新をしながら提供し、意識啓発、危機意識の共有に努めてまいります。
 毎年、都庁において開催している震災復興シンポジウムにつきましては、災害に強い都市づくり、震災後の復興まちづくりのあり方を都民と行政が共有する場として、内容の充実を図ってまいります。
 加えまして、今後、建築や法律の専門家による個別相談を実施いたしまして、まちづくり施策や税制、建てかえ等の情報を提供するなど、きめ細かく対応してまいります。

○林田委員 木密地域の不燃化、耐震化というハードの面と住民の防災意識の向上というソフト面の両面から、しっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。
 東日本大震災の一つの教訓として、運よく命を取りとめた人たちの話の中に、まさかという言葉がたくさんありました。まさか津波がここまで来るなんてといって避難をしなかった、避難がおくれた、そのために多数の人が亡くなられたわけであります。木密地域にお住まいの方はそういうことはないと思いますけれども、日ごろからの防災意識、万一、避難場所をしっかり自分の体で知っておくことは必要だと思っております。
 避難場所ですが、特に木密地域の人たちの避難場所はどのような考えで指定されているのか、またどのような指定状況になっているのか伺います。

○藤塚民間開発担当部長 都は、東京都震災予防条例に基づき、震災時に拡大する火災から都民の安全を保護するため、防災の専門家で構成いたします検討委員会の意見を聞きながら、区部の避難場所として公園やグラウンド、耐火建築で囲まれた空地などを指定しております。
 特に木密地域におきましては、震災時に大規模な市街地大火が発生するおそれがあることから、避難場所の確保が重要でございまして、都はこれまで、白鬚地区の防災拠点再開発などにより、その確保に努めてきたところでございます。
 また、木密地域の避難場所におきまして、区が避難場所に通じる生活道路の整備や避難場所周辺建物に対する不燃化助成を行うなど、住民が安全に避難できるよう努めております。
 避難場所は、当初、昭和四十七年に百二十カ所を指定いたしましたが、その後、おおむね五年ごとの見直しを行いまして、公有地に加え大規模民有地の協力を求めることなどにより、箇所数の拡大を図っており、現在、木密地域を含め、区部全域で百八十九カ所となってございます。

○林田委員 くどいようでございますけれども、木密地域は、震災時には火災が本当に予想されます。いざというときの避難場所が日ごろから周知徹底され、すぐ行動に移すことが大事だと思います。木密地域の住民たちが今本当に避難場所がわかっているかということが心配であります。避難場所の位置や避難経路を周知する、また、災害時にそれは住民以外の人たちも多数いるでしょう。住民だけではなく、そのまちを訪れた人たちにも避難場所が一目でわかるようにしておかなければなりません。ぜひ、都と区市町村と協力、連携し、進めてほしいと思っております。
 そこで、今後避難場所に関する情報提供や住民への周知について、都として一層取り組んでいくべきだと思いますが、都の所見をお伺いいたします。

○藤塚民間開発担当部長 委員ご指摘のように、木密地域では、いざというときのために避難場所の位置、避難経路などについて、住民に対し、これまで以上の情報提供、周知が必要であり、地元区のきめ細やかな取り組みが重要と認識しております。
 これまで都は、避難場所について、区と連携いたしまして、パンフレットやホームページへの掲載、標識の設置、避難場所が記載された区の防災地図の各戸配布など、都民への情報提供、周知に努めてまいりました。一方、地元におきましても、定期的に避難訓練などを実施しているところでございます。
 避難場所については、現在、五年ごとの見直しを進めているところでございまして、これにあわせて、木密地域における避難場所の効果的な情報提供等についても、今後、区に働きかけながら検討を進めてまいります。その際、ご指摘のございました来街者にもわかりやすいものとする点に十分留意しながら、だれもが円滑に避難できるよう取り組んでまいります。

○林田委員 質問はもう終わりましたけれども、一言申し上げます。
 東日本大震災では、未曾有の地震といわれました。想定外という現実が実際に起こりました。いつ起こるかわからない、一年先か十年先か、私たちはこのことにおびえてばかりはいられないわけでありますが、震災対策、防災対策をまず着実に、一歩から、千里の道も一歩からという言葉がありますけれども、その方法しかないわけであります。
 私の私見になりますけれども、ハードの面とソフトの面、両面作戦が必要と申し上げましたけれども、ソフト面において、ただマニュアルをつくって配るだけではなくて、避難場所一つについても、日ごろから目につく場所、まちの人たちが集まる場所、電柱を利用するのもいいと思います。要するにいざというとき外に出たら、一目で避難場所、避難経路がわかるような標識、看板等をくまなく設置する、こういうことも大事だと思っております。また、消火器も常備しておくことが必要ではないのかなと思っている次第であります。
 いずれにしても大事なことは、一にも二にも都民の命であります。耐震化のできる人、できない人も命を守らなければならないわけであります。都市整備局として、飯尾局長初め担当部局の皆さん、大変でございますけれども、ご健闘を祈って質問を終わります。ありがとうございました。

○斉藤委員 林田委員と全く同じ感想を持っておりまして、私もこの大震災に備えるには、ハードとソフトの連携というものが極めて重要だと思っておりまして、なかんずく、このソフト面が減災に非常に効果がある。災害は避けて通ることができないものですから、そういったものに備える上では、的確な情報をまず公開すること、そしてそれを、リテラシーといいますか、住民がそれをしっかり正しく正確に行動に反映できるように訓練をしていくこと、そういった情報リテラシーというものが非常に重要であるというふうに、全く林田委員のお話を伺って思っておりました。
 私の方からは、きょうは東京都の耐震改修促進計画の素案につきまして、何点か質問させていただきます。木密のプロジェクトについて数点質問します。
 今回の計画の改定は、平成十八年の改正耐震改修促進法に基づきます改修促進計画策定以来、初めて本格的な改定作業になると伺っております。
 特筆すべきは、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進の条例が、昨年の、これは、発災した三月十一日に議会で可決し、三月十八日に公布されたことでございます。ある都庁の幹部OBは、これはもう本当にすばらしい条例で、三十六年間都庁に勤務した自分、私たちにもできなかったことを現役の方々が成し遂げてくださったということで、賛辞を送っておられました。
 この条例によりまして、いよいよこの四月から全国で初めて耐震診断の義務化がスタートいたします。条例にあわせて、いまだかつてない助成制度の拡充も図っておりまして、特に耐震診断につきましては、原則所有者負担がなくなる制度となっております。診断は加速されるものと期待しております。問題は、先ほど他の委員からもありましたが、この耐震診断を耐震改修にいかに結びつけていくかということになるかと思います。
 区市町村におきましても、条例にあわせて耐震診断はもとより、設計、改修の助成制度を整備していると聞いております。
 設計、改修につきましては区市町村の負担がありますけれども、東日本大震災の影響もありまして、建物の規模によりますが、二十三区では相当数が最大六分の五まで助成できるようになっているとのことでございます。ぜひ、緊急輸送道路の路線全体で耐震化が一体的に進みますように、できるだけ区市町村に、助成制度の差が出ないように、引き続き働きかけを強化していただくよう要望させていただきます。
 さて、首都東京を災害に強い都市にするためには、緊急輸送道路の沿道の建築物だけでなく、木造住宅やマンションなどの建物、建築物の耐震化を推進しなければなりません。そのためには、耐震改修促進計画を着実に進めていく必要がございます。
 住宅や建築物の耐震化を促進するためには、まず建物所有者が耐震化の必要性や重要性について十分認識することが重要でございます。そのためには、都民が求めている情報をいかに早く発信するかということが重要になります。
 現在、都では、都民が知りたいことや聞きたいことに対しまして、ホームページ上で、耐震ポータルサイトや耐震化総合相談窓口などによりまして、すぐに対応できるような環境整備をしているところでございます。特に、この耐震ポータルサイトは、我が党が前々から都民への情報提供の手段として要望してきたものでございまして、都民の耐震化に対する意識の向上に大変効果的なものだと考えております。
 そこで、まず、耐震ポータルサイトの利用状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○小野耐震化推進担当部長 耐震ポータルサイトでございますが、建築物の耐震化の必要性、診断や改修の方法、助成制度など、耐震化に関する幅広い情報を一元的にわかりやすく、広く都民に迅速に提供することを目的としまして、平成二十二年一月に開設しております。
 月平均のアクセス件数でございますが、平成二十二年度は約二千件でございましたが、平成二十三年度は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進条例の施行や東日本大震災を受け、都民の関心も高まったことから、約一万六千件と約八倍に大きく伸びております。
 利用者からは、電話での問い合わせの際に、都の担当者と互いにポータルサイトを見ながら、緊急輸送道路の路線の位置や区市町村ごとの助成制度などについて説明を受けることで、非常にわかりやすいとの好評をいただいております。
 今後とも、都民のニーズや要望を踏まえ、必要な情報を的確に提供できるよう、耐震ポータルサイトの充実を図ってまいります。

○斉藤委員 私もこのポータルサイトを拝見しておりますけれども、大変情報が多くそこに掲載されておりまして、やはりお電話でお話をしながら、同じ画面を見ながら説明を受けると、より一層効果的であるのではないかと実感しております。
 これだけアクセス件数がふえているということは、やはり都民の皆様が耐震化のことについて知りたいという状況になったときに、頼りになる方法だということが裏づけられているというふうに思います。今後とも都民のニーズを踏まえまして、ぜひ必要な情報を随時掲載していただくようによろしくお願いいたします。
 次に、事例や工法についての情報提供でございますが、都では、木造住宅の耐震改修工法、装置の事例紹介、こういったパンフレットでそういった紹介をしておられます。また、ビル、マンションの耐震化読本といったパンフレットを作成しております。
 耐震改修をしようと考えている都民にとりましては、大変貴重な情報が入っているわけでございますけれども、私も、隅々というか、大変専門的ですので内容も難しいんですけれども、興味深く読ませていただきました。
 いろいろ工夫されておりますけれども、二、三点気づいた点をこの機会に申し上げておきますと、木造の方では数が多い。非常に事例が多いものですから、どれを選んでいいのかわからないということもあるのではないかと感じました。もう少しめり張りをつけて都民が選択しやすい工夫なども必要ではないかと思いました。
 また、ビル、マンションの方ですが、感想ですけども、技術的な内容が非常に多い感じがいたしました。非常に有名な企業が紹介されているわけですけれども、こういったものにつきましても、技術の内容よりもむしろ、実際に改修を実施した方々のお声など、どんな結果であったかという所有者の立場に立った視点が必要ではないのかなというふうに感じたわけでございます。
 そこで、都民の目線に立ちましたより活用されやすいパンフレットにリニューアルをしていただく必要を感じているわけでございますが、局のご見解を伺いたいと思います。

○小野耐震化推進担当部長 都は、安価で信頼できる木造住宅の耐震改修工法、装置の事例紹介と、ビル、マンションの耐震化読本の二つのパンフレットを作成し、耐震改修に関する工法や事例を紹介しております。
 作成した当初からは多くの工法や事例が追加され、内容が充実した一方、委員からもご指摘ございましたが、利用者からは、技術的な説明などの情報量が多く、どの工法や事例を参考にしてよいのか迷ってしまうという意見もございました。
 このため、改修工事を検討している都民が容易に工法や事例を選択できるよう、費用や期間、住み心地への影響、建物を使いながら工事ができるかなどの情報にポイントを絞るとともに、利用者の意見や評価などもあわせて掲載するなど、紙面を改善、工夫してまいります。
 今後ともご指摘を踏まえまして、耐震化を検討している所有者が、主体的な取り組みをしやすくなるよう、都民の立場、目線に立ったわかりやすい情報提供に努めてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。今後都民がより活用しやすいように、内容を改善、工夫されていくというご答弁をいただきました。情報発信は、常に活用する都民の側に立つことが大事だと思います。耐震改修促進のためにも、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、二つ目の大きなテーマでございますが、この木密地域の不燃化十年プロジェクトの実施方針について、数点質問させていただきます。
 首都直下地震によります被害想定を見ますと、東京の場合には同時多発的な火災によりまして、大規模な市街地火災が発生するおそれがあるというふうに認識されます。そのために、東京の最大の弱点といわれております木造密集地域の改善が喫緊の課題であります。
 都は、防災都市づくり推進計画を策定いたしまして、これまで、燃えない、倒れないもありますけども、燃えないまちづくりを目指してまいりました。さらに、整備促進を重点的、集中的に講ずる必要があることから、今回の木密地域不燃化十年プロジェクトができたと認識しております。
 私からは、特にこの地域における防災まちづくりの機運醸成、これはソフトのお話でございます林田委員と同じ視点でございますけれども、数点を質問させていただきます。
 先ほど、地域密着型集会につきましてはご質問がございましたので、この点は省略させていただきますけれども、来年度以降も継続するとのことですが、葛飾区を初めとして五つの地域でこの集会が行われたと伺っておりますが、関係するすべての区以外の区の開催も、ぜひそれをお願いしたいと思っているわけでございます。行政区だけでなく、直接住民に接することによりまして、確実に地域の危険度の認識も深まりますし、各自治体に対する不燃化に向けた住民の声も、また問題意識も大きくなっていくと思うわけでございます。
 地域密着集会では、参加者に、先ほどご答弁にありましたけれども、これが配られたようでございます。東京危険度マップ、こういったものも配布したようでございますが、これは、燃える地域と倒れる地域と、避難所とそれから避難路と、さまざまに集約的に書いてあり、各地域別に一瞥できるようなものなんですけれども、こういった資料も配布したそうでございます。
 こうした情報は多くの都民が関心を持っておりまして、こういった本だけでなく都庁のホームページ上でも、こういったマップを公開すべきであると私は考えております。
 また、耐震化促進につきまして、先ほどやりとりさせていただきましたけれども、ポータルサイトが設けられております。そこを見れば、関連するさまざまな情報を得ることができますけれども、この不燃化につきましても、こうした取り組みは有効であると考えます。
 そこで、木密地域の不燃化に関する情報を、ポータルサイトなどを使いまして広く情報提供すべきと考えますが、局の所見を伺います。

○藤塚民間開発担当部長 現在、都のホームページでは、木密地域に関連する情報といたしまして、今お話しの地域危険度、防災都市づくり推進計画、都有地を活用した木密地域整備促進プロジェクトの事例などを公開しております。
 特に東日本大震災以降、地域危険度につきましては、多くの都民の方から問い合わせをいただいているところでございます。
 今後、木密地域の不燃化に関する情報を広く都民に知っていただくために、広報などによりホームページの案内を行うとともに、よりアクセスしやすい画面へと改善を図ってまいります。

○斉藤委員 これから、どのようにアクセスしやすい画面にするかは、検討するかと思いますが、ぜひともこの危険度マップにつきましても、こういったものをネット上で公開していただけると、大変に都民の方は喜ばれると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。うなずかれたので、検討いただけるというふうに考えています。
 次に、不燃化特区についてお伺いしたいと思います。
 不燃化特区につきましては、区の取り組みや意見なども踏まえながら、来年度中に制度構築を図るとされておりまして、現在、先行実施地区の募集が行われていると伺っております。
 既に先行実施地区につきましては、区からの提案を受けて、地域の課題解決への効果的な取り組みや他の地区への波及効果なども総合的に検討し、本年八月ごろに三地区程度選定するとのことでございます。
 そこで、区にとって魅力のある不燃化特区制度とするためには、先行実施地区に選んだ区の意見だけではなく、関係するすべての区の意見を幅広く聞くべきであると考えるところでございますが、局の所見をお伺いしたいと思います。

○藤塚民間開発担当部長 不燃化特区制度では、整備地域の中でも特に重点的、集中的に改善を図るべき地区を対象に、区からの提案を受け、期間や地域を限定いたしまして、都が特別の支援を実施することとしております。
 この制度では、先例を示すことによって他地区の不燃化を促すことなどをねらいとして、先行実施を行うこととしておりまして、今後、区の意見も聞きながら支援策の具体化を図ってまいります。
 また、制度構築に当たっては、先行実施地区の取り組みも踏まえるとともに、実務者による連絡会などの場を通じて、広く木密地域を抱える区からの意見を聞いてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。不燃化特区は、整備地域の中でも特に改善を必要としている地区が対象とのことでございますけれども、二十八ある整備地区を見ますと、その半数は、単独の区におさまっているのではなくて複数の区にまたがっているという傾向がございます。
 私の地元目黒区でも、整備地域としまして、林試の森周辺、荏原地区、これは品川区や大田区にまたがっておりますけれども、これらの地域では、既に、例えば、東急目黒線の西小山駅という駅がございますが、この駅を挟んで手前が目黒区、反対側が品川区という、そういう関係でございますけれども、商店街では、この区をまたいで人の交流といいますか、人の回遊性に注目しまして、共同の取り組みなども、まちの活性化のためにやっている、努力をしているところでございます。
 こうした隣接する地域では、不燃化のまちづくりに関しましても、隣接する区同士が共同で不燃化特区の提案をするということも可能とするべきであると考えますが、局の見解をお伺いしたいと思います。

○藤塚民間開発担当部長 今委員お話しのとおり、二十八ある整備地域のうち、半数に当たります十四が複数の区にまたがって指定されておりまして、隣接する区同士が相互に連携し、不燃化の取り組みを進めることは重要な視点でございます。
 今後、制度の具体化に当たりましては、共同で不燃化特区を提案できるよう検討してまいります。

○斉藤委員 火災の延焼は、区の境界に関係なく延焼していくものでございます。こういった木密地域を考えますと、この区境を挟んで面全体で、不燃化が少しでも推進されるように、制度の具体化、これからよろしくお願いしたいと思います。
 我が党の代表質問でも取り上げましたけれども、木密地域には約百五十万世帯の都民が居住しております。この危険な地域の不燃化につきましては、過去三十年以上も前からの課題でありながら、なかなか解決に至らない非常に難しい課題でありました。
 都は、さまざまな特区支援メニューを用意いたしまして、意欲のある地元区と連携をして、不燃化を推進しようとしております。しかし、意欲はあるけれども財政が厳しい区や執行体制が脆弱な区におきましては、意欲がないとその地域は置き去りにされかねません。結果として、各整備地域の取り組みがまだら模様になってしまうおそれもございます。都民にとりましては、区は財政難だから不燃化に取り組めないでは、その命、財産を守ることができないわけですので、それでは済まされないわけでございます。都は地元自治体の意欲の多寡にかかわりなく、必要のあるなしを最優先に判断すべきであると考えるわけであります。
 そこで、木密地域不燃化十年プロジェクトの推進に当たりまして、都がリードして区を引っ張っていくべきであると考えますが、局の所見をお伺いしたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 木密地域の整備、改善に向け、都はこれまで、区と連携して防災都市づくり推進計画を策定し、整備地域等を定め、延焼遮断帯となる道路の整備や建物の不燃化、耐震化を促進し、一定の成果を上げてまいりましたけれども、計画に掲げる目標の達成にはさらなる取り組みを必要としてございます。
 首都直下型地震の切迫性などを踏まえますと、都民の生命や財産を守ることはもとより、東京の都市機能を十全に発揮させるためにも、木密地域の改善を一段と加速させていかねばなりません。
 このため、特に改善を必要としている地区につきまして、従来よりも踏み込んだ取り組みを行う区に対しまして特別の支援を行う新たな特区制度を構築し、区と連携して不燃化を推進してまいります。また、生活再建のための特別な支援を行うことにより、都施行の都市計画道路の整備を加速していくことといたします。
 これらを柱として、木密地域不燃化十年プロジェクトの実施方針を定め、先月から不燃化特区の先行実施区の募集を開始したところでございます。
 今後も、関係局と十分に連携を図りながら、十年プロジェクトの推進に総力を挙げて取り組んでまいります。

○斉藤委員 質問は以上でございますけれども、最後に私も決意を申し上げたいと思います。今回の東日本大震災、大変な大災害でございましたけれども、これの何十倍もの被害が想定される首都直下型地震、この首都の大震災に備えるべきは、議員も、また執行機関の皆様も、全く一緒の立場だと思います。
 日本は国土が風光明媚で、本当に四季折々ですばらしい国土でございますが、大変厳しい、その危険なところに成り立っているのが日本列島であります。いわば自然から挑戦を受けている。また、一たび災害が起こると、原発の事故もそうですけれども、日本は世界最先端の技術立国でございますが、そのテクノロジーが逆に生命を奪う勢いで向かってくるというそういったテクノロジーの挑戦も受けていると思います。
 また、少子高齢化、これは地球全体も生老病死の中で変化して病んでいるところもございますが、日本全体の社会もその青年の勢いというよりも、成熟し、そして、今いろんなところで病んでおります。
 こういった危機、挑戦に対して応戦する、対応する能力というものが、今の議会にも問われております。もう本当に、執行機関と一体となって、東京の危機に挑戦をしていきたい、このように思い、決意を述べまして私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

○滝沢委員 私からは生活に身近な事柄から質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず初めに、バス走行環境改善システムの整備事業についてお伺いをしたいと思います。
 路線バスは、駅を中心に張りめぐらされた身近な生活の交通手段でもあります。近ごろは低床バスの導入なども進み、高齢者などについても優しい公共交通機関でありますけれども、しかしながらその最大の弱点は、道路交通事情による定時制の確保が難しいということでもあります。バス優先道路の時間指定の道路もありますけれども、一般車の通行などにより渋滞になっている箇所もあると聞いています。通勤や通学時などには、利用者はいつバスが来るのかを待っているということが多い状況でございます。
 そこで、バス走行環境改善システム、いわゆるバスロケーションシステムは、バスの走行位置情報を把握して、停留場、案内表示盤、インターネット、携帯電話などを通じて、バスの到着予測時刻やバスの位置情報を提供するものであります。このシステムの導入により、バスを待つ際のいつ来るのかの不安を減らし、下車した後の予定も立てやすくなることで、生活の交通手段である路線バスの利便性が大いに向上することと考えられます。
 そこで、都内の路線バスにおけるバスロケーションシステムの導入状況と、その普及に向けた本事業の当初予算の使途について、お伺いをしたいと思います。

○石川都市基盤部長 東京バス協会の調査によりますと、平成二十三年三月末現在で、都内にある二十六の事業者が運行しているバス路線約二千三百系統のうち、バスロケーションシステムを導入しているものは約一千五百系統であり、およそ三分の二の路線で導入されております。
 また、このシステムの車載機を搭載しているバスは、事業者が保有している車両約五千五百台のうち、約四千三百台であり、およそ八割の車両に搭載されております。
 平成二十四年度当初予算におきましては、西東京バスなど四事業者が行うバス接近表示機やシステムの車載機の設置に対しまして、都として対象事業費の五分の一を上限に助成を行う予定でございます。

○滝沢委員 このシステムの導入では、バス事業者の判断にもよるということを聞いておりますけれども、生活に身近な交通手段である路線バスの利用促進を図るためにも、バスロケーションシステムの普及に資する本事業を、本格的にぜひ運用していただきたいと思います。
 バス事業者によってはIC、PASMOだったりとかSuicaでしたりとか、ああいう機械をバスに設置すると、設備投資面でもやはり苦慮しているところもあるようですけれども、効果的な運用を今後ともお願いして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、八王子駅北口旭町・明神町地区開発についてお伺いをしたいと思います。
 この地区は、多摩の拠点整備基本計画において核都市八王子における整備プロジェクトの一つに位置づけられています。
 ここは京王八王子駅とJR八王子駅北口を結ぶ空間、まさに駅前の場所で、旭町と明神町地区の整備や中心市街地の活性化のために非常に重要であります。
 この地区の開発を着実に推進していくためには、地元八王子市のみならず、東京都としての積極的な支援が不可欠であることが重要であります。
 これまで東京都と八王子市による検討会が設置されるなど、互いに協力して推進したと聞いていますが、旭町・明神町地区開発計画の現在までの検討状況についてお伺いします。

○永島景観・プロジェクト担当部長 都は、八王子駅前の旭町・明神町地区におきまして、産業交流拠点の形成とともに、核都市八王子の顔となる市街地整備に向けて取り組んでおります。
 これまで、当該地区を対象に、産業交流機能のほか、まちの活性化を図る業務・商業機能の導入や、地元市の意向を踏まえた広場の確保などにつきまして、事業手法も含めた調査検討を行ってまいりました。
 また、当該地区を含むJR八王子駅と京王八王子駅に挟まれた区域において、昨年度、地元市が中心となり、都も参画して検討を進めてきた旭町・明神町地区周辺まちづくり構想がまとまり、まちの将来像や土地利用の方針などが明らかにされました。
 現在、都は、このまちづくり構想を踏まえつつ、地元市と連携して、当該地区の街区割りや導入施設、事業手法などの考え方を明らかにする全体計画を取りまとめております。引き続き、計画の具体化に向けて取り組んでまいります。

○滝沢委員 以前にもこの地区についての開発については質問をさせていただきましたけれども、まちづくり構想がまとまり、引き続き、計画の具体化に向けて取り組んでいただいているということで、核都市となる市街地の形成をぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、市町村の下水道耐震化についてお伺いをしたいと思います。
 平成二十四年度の予算では、首都東京の防災力強化として、防災隣組の構築、帰宅困難者対策、消防救援機動部隊の設置、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化、公共建築物などの耐震化、木密地域不燃化十年プロジェクト、津波、高潮対策など、二千二十五億円を計上しておりますけれども、そこで、多摩地域の下水道についてお伺いしたいと思います。
 昨年三月の東日本大震災では、未曾有の被害に見舞われ、下水道についても各地の多くの施設が損傷したというふうに報告がされています。
 先日、地元の方々と震災の話題で議論した際に、地震によって下水道管など施設が損傷した場合においても、マンホールトイレが使用できるかなどの話が出ました。被災後に住民が生活する上で一番困るのが、トイレが使えなくなることではないかと思います。下水道を計画的に耐震化し、震災時においてもその機能を確保することは重要なことであります。
 国は、新潟県中越地震を踏まえ、二〇二一年、下水道総合地震対策事業の補助制度を創設し、国や都道府県の補助のもとに市町村が下水道耐震化事業を行う仕組みをつくっています。これによれば、耐震化事業を行う際には、まず市町村が下水道総合地震対策計画を策定することになっており、下水道管でいうならば、市町村の判断で、避難所の周辺や緊急輸送道路や避難路の道路下に埋設された下水道管の箇所を重点化し、下水管とマンホールの接続部の耐震化や下水管の補強などの対策を進めていかなければなりません。
 都は、市町村下水道事業補助により、多摩地域の下水道の耐震化を支援してきておりますけれども、下水道管の耐震化の進捗状況と二十四年度の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○石川都市基盤部長 多摩地域では、お話の制度が導入された平成二十一年度からこれまでに、十五市が下水道総合地震対策計画を策定し、既設の下水道の耐震化事業を推進してきております。
 この中で、下水道管の耐震化のうち、十一市が実施している下水道管とマンホールの接続部の耐震化につきましては、平成二十二年度末時点で、計画対象の約二千二百カ所に対しまして、約四百カ所が完了し、進捗率は約一九%となっております。
 また、五市が実施している老朽化した下水道管の補強につきましては、同じく計画対象の約十一キロメートルに対しまして、約九百メートルが完成し、進捗率は約八%となっております。
 平成二十四年度は、八王子市など十四市の事業に対して補助をしていく予定でございまして、引き続き、市町村下水道の耐震化の促進を図ってまいります。

○滝沢委員 いつ起きるかわからない地震に備えて、市町村の下水管の耐震化は着実に進めていかなければならないと思います。さらなる東京都の支援を要望して、次の質問に移りたいと思います。
 身近な避難場所として、多摩地域の公園についてお伺いしたいと思います。
 政府の地震調査委員会によれば、東日本大震災の影響で、立川断層での地震発生確率が高くなっている可能性があると報告されています。多摩地域においても、いつ大きな地震が起きるかわからない中、避難場所の確保などの対策を急ぐ必要があります。特に、広域的な避難や救助、救援の拠点となる大規模な都立公園は、多摩地域においても重要な役割を担うものであります。
 そこで、多摩地域において防災機能強化を図るため、都は、公園整備をどのように推進していくのか、お伺いいたします。

○町田都市づくり政策部長 昨年の十二月に改定いたしました都市計画公園緑地の整備方針におきましては、多摩地域において新たに、約六十八ヘクタールの避難場所となる公園等の整備に重点的に取り組むことといたしました。
 具体的には、神代公園の優先整備区域を約四ヘクタール拡大いたします。これを、多摩地域における大規模救出救助活動拠点としての機能強化を図ってまいります。
 また、避難場所に指定されております八王子市の陵南公園を、新たに優先整備区域に指定するとともに、西東京市の東伏見公園や東久留米市の六仙公園につきまして、全域を事業化し、早期完成を目指すことといたしました。
 都といたしましては、市町村とも緊密な連携を図り、多摩地域の公園整備を推進いたしまして、首都東京の防災機能の強化を図ってまいります。

○滝沢委員 ぜひ、防災機能の強化の姿勢ともに、今後とも多摩地域の公園整備をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 次に、多摩ニュータウンについてお伺いをしていきます。
 さきの都市整備委員会では、住宅施策を総合的かつ計画的に推進し、十年先までの期間で、住生活基本法に基づく住生活基本計画として、東京都住宅マスタープランが示されました。そこで、多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドラインが、多摩ニュータウン大規模住宅団地問題検討委員会の検討結果をもとに、再生の方向性や取り組み方法などが示されました。
 振り返れば、昭和四十年に都市計画決定を受けた多摩ニュータウン事業は、八王子市域だけでも計画面積千百十五ヘクタール、計画人口は約十一万五千人で、事業収束まで約四十年を要した大事業でありました。
 当初の開発目的は、住宅の大量供給と良好な市街地の整備でありました。丘陵や農地を宅地化して、グレードの高い道路や公園、そして小中学校、上下水道等の都市基盤整備を先行し、その後に住民が入居するという理想的なまちづくりが進められてきました。そして、これらの公共施設を引き取ることになった地元市は、その維持管理費や再構築の財政負担が膨大になってきています。一方で、二世帯住居や若い世代への入れかわりが少なく、一時に大量の住民が入居してきたことから、地域の高齢化は一挙に進み、空き住戸もふえ、地元商店の撤退や小学校の廃校等も生じています。ガイドラインにも記載があるとおり、居住人口の減少や住民の高齢化、住宅や都市基盤の老朽化など、開発時には想定されなかった問題に直面しているということも現実であります。
 そうした中で、多摩ニュータウンの特別会計は今年度で終わりを迎え、次年度から一般会計に移行することになるわけですけれども、いまだ未処分の宅地がどのぐらいまだ残されているのか、お伺いしたいと思います。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 造成いたしました約四百九十ヘクタールの宅地のうち、これまでに九割ほどに相当いたします約四百四十四ヘクタールの宅地を売却いたしまして、残りの約四十六ヘクタールを一般会計に引き継ぐ予定でございます。

○滝沢委員 四百九十で、九割で四百四十四、四十六ヘクタールに近い土地が残されるということですけれども、この宅地については、引き続き、多摩ニュータウンのまちづくりや活性化に大いに活用していただきたい、これは多摩ニュータウンに残された重要な課題の一つと考えております。
 次に、防災上の向上についてお伺いしたいと思いますが、昨年の東日本大震災では東京においても震度五弱の揺れに見舞われ、東京湾岸では液状化により大きな被害も発生いたしました。報道の中では、液状化が千葉県などでは内陸部においても発生しているとの内容もありましたけれども、逆にニュータウンの地盤が固いという報道もされております。
 多摩ニュータウンは、四市にまたがり、面積が約二千八百五十四ヘクタールに及ぶ広大な面積で、広域になるわけです。そこで確認をしておきますけれども、多摩ニュータウンの中では、地震による液状化になる危険の地域はあるのか、お伺いしたいと思います。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 東京都土木技術支援・人材育成センターが公表している東京の液状化予測図におきましては、多摩ニュータウンのほとんどのエリアは最も液状化が発生しにくい地域とされておりまして、昨年の東日本大震災におきましても、地元の四市に確認いたしましたところ、多摩ニュータウンのエリアにつきましては、液状化はなかったとの報告を受けてございます。

○滝沢委員 今ご答弁の中で、東日本大震災でも液状化は発生しなかったということをお聞きいたしまして、一安心する一方、今後、首都直下型地震など、いつ起こるかなどを想定したこうした多摩ニュータウンの強み、また、残された宅地の販売も積極的に取り組んでいくことも必要でしょうし、その最新の液状化に対する予測図など、情報収集にもぜひ力を入れていただきたいというふうに思います。
 多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドラインの策定に当たっては、学識経験者や多摩ニュータウンの地元の副市長などで構成する検討委員会で議論が行われたと聞いておりますけれども、この意見を受けて作成されたのが今回のガイドライン、この検討委員会において多摩ニュータウンの地元自治体からどんな意見があったのか、お伺いしたいと思います。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 都は、このガイドラインを策定するに当たりまして、学識経験者等による検討委員会を設置いたしまして、幅広く意見を聞いてまいりました。
 その中で、地元市の委員からは、高齢者などの移動に当たって段差やスロープなどのバリアが存在すること、若者世代を呼び込むことにより、にぎわいを創出すべきこと、インフラの維持管理に財政負担の圧迫感があること、近隣センターの衰退に対して活性化が必要なことなどの意見が述べられております。

○滝沢委員 地元自治体からの意見も、ハード施策からソフト施策に至るまでにわたる大きな問題もあれば、問題を有しているところも多々あるような感じです。これは、ニュータウン建設の当初想定されなかった問題でもあります。
 地元自治体では、道路や公園など都市インフラの維持管理が重荷になっているわけですけれども、例えば、民間活力を利用したPPP方式やアセットマネジメントなど、維持管理費の負担軽減に向けた市の取り組みに対して、都としても、しっかりとした支援を行っていただきたい。
 また、地元では多摩ニュータウンのまちづくりに起因するこうしたハード、ソフトにまたがる問題も抱えており、都は広域自治体として、地元の自治体の課題を総合的に調整することも東京都の役割だと思い、要望をしておきます。
 次に、ガイドラインにおいて、そうしたさまざまな問題を抱える地元自治体が、地域のまちづくりの主体として団地再生を担うこととされていますけれども、多摩ニュータウンにおける分譲団地の建てかえで、地元市が住民とともに再生に取り組んだ場合に、住民に具体的な成果、効果等はあるのかどうか、お伺いいたします。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 現在、多摩市の諏訪二丁目におきまして、多摩ニュータウンにおける初めての分譲団地の建てかえが行われております。
 地元の多摩市は、建てかえのネックとなっておりました一団地の住宅施設の都市計画にかえまして、地区計画を策定いたしますとともに、建てかえ組合に対して工事費等の一部を助成しております。
 また、住宅市街地総合整備事業の事業主体といたしまして、団地周辺の公園や児童館、歩行者道路などのインフラの改良をあわせて行うこととしております。
 このように、地元の自治体によって、円滑な建てかえや周辺のまちづくりが促進され、地域の魅力増進が図られるものと考えております。

○滝沢委員 団地の再生に向けて、あわせて地域のまちづくりをするということですけれども、地元自治体が果たす役割というのは、今後もさらに重要性が出てくるということですけれども、地元自治体の意見の中には、身近な商店街である近隣センターの活性化についても、団地の中だけを対象とした近隣商店街とするのか、また、再生する団地の周辺住民まで商圏に入れた商業施設とするのかなどについても、地域のまちづくりにとって重要な問題であります。
 都としても、広域な自治体としての観点から、地元自治体などと協働して検討を行っていくことが、この地域にとって将来にわたっての課題であり、既に整備されている鉄道や道路、公園や緑豊かな都市環境も備えるさらなる発展が期待できるまちにしていかなければならないと思います。
 しかし、質問の中でも明らかにされましたように、多摩ニュータウンでは開発当時には想定されなかったさまざまな問題が生じております。また、四市にまたがる広域な視点から取り組む問題もあると思います。
 多摩ニュータウンのこうしたさまざまな問題に対して、今後、都はどのように取り組んでいくのか、改めて見解をお伺いして、私の質問を終わります。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 都は、多摩ニュータウンにおきまして、昭和四十一年の事業開始以降、住宅のほか、業務・商業、文化施設の充実など、多様な機能を備えた先導的なまちづくりを計画的に推進してまいりました。
 この結果、多摩ニュータウンは、都市活動を支える鉄道や道路、人々に潤いと安らぎを与える緑あふれる都市環境、新たな価値を創出する教育、研究施設など、さらなる発展が期待できる豊かな資源に恵まれた魅力あふれるまちになってございます。
 都は、多摩ニュータウンが有するこうした資源を生かしながら、今回策定したガイドラインや東京の都市づくりビジョンなどを踏まえ、地元市などとの適切な役割分担のもとに、広域自治体として、引き続き、多摩ニュータウンのまちづくりに取り組んでまいります。

○谷村委員 それでは、十分という申告をさせていただいておりますけれども、場合によっては、橘理事、我が党の斉藤委員の残余の時間もいただくかもしれませんので、あらかじめご了承願いたいと思います。
 初めに、西武線東村山駅付近の連続立体交差化計画についてですけれども、これは本委員会で前回の質問からまだ五カ月もたっておりませんけれども、事業計画の一層の促進をお願いしたいとの思いから、本計画のその後の進捗状況と都の今後の取り組みについてお伺いいたします。

○石川都市基盤部長 西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差化計画につきましては、一昨年十一月に都市計画素案の説明会を開催し、その後、昨年十月に都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を開催いたしました。
 これらの説明会では、住民の方々から、踏切での慢性的な交通渋滞や鉄道による地域分断の早期解消を望む声や、連続立体交差化を契機とした東西の駅前広場を結ぶ通路の整備を期待する意見などを数多くいただき、本計画に対する期待の高さを改めて感じたところでございます。
 その後、環境影響評価書案に対していただいた意見につきましては、事業者の見解を示した環境影響評価書案にかかわる見解書を作成し、本年一月に公表し、縦覧に供しました。
 引き続き、来年度の都市計画決定を目指し、環境影響評価書を作成するなど、都市計画および環境影響評価の手続を進めてまいります。
 今後とも、地域の熱い期待にこたえられるよう、関係機関と連携を図りながら、本計画の早期実現に向け、積極的に取り組んでまいります。

○谷村委員 引き続き、積極的な取り組みを、改めてお願いしたいと思います。
 次に、多摩ニュータウン等大規模団地再生ガイドラインについてお伺いいたしたいと思います。
 基本的なことで大変恐縮でございますけれども、このガイドラインにつきましては、多摩ニュータウンの再生のためにつくられたものなのか、それとも、広くこの多摩ニュータウンの事例を生かしつつ、都内にある大規模団地、これを再生するためのガイドラインとされたものなのか、どちらの位置づけなのかをまずお伺いいたしたいと思います。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 このガイドラインは、多摩ニュータウンをモデルといたしまして、その特性を踏まえて、再生のための検討の手引として策定いたしましたものでございます。
 それぞれ都内の大規模団地は、開発された経緯や現在の状況など、特性が異なっておりまして、再生に当たりましては、それらに的確に対応した取り組みを進めていく必要があるというふうに考えてございます。
 このため、このガイドラインが必ずしもそのまま適用できるとは考えておりませんが、施設の老朽化や住民の高齢化、コミュニティの衰退、こうした大規模団地には共通する課題もあるというところから、それぞれの再生、大規模団地の再生を検討する中で、このガイドラインを参考として活用していければということで、このガイドラインを策定させていただいたものでございます。

○谷村委員 本委員会で多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドラインのご説明の際に、今のようなお話を伺ったわけですけれども、今、滝沢副委員長からの質疑の中でもございましたけれども、もともとは、多摩ニュータウン大規模住宅団地問題検討委員会というものが、有識者によって、集まって検討されて、ガイドラインができたときは、多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドラインというふうに答申がなされて、それがそのまま、資料14で出していただいておりますけども、多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドライン、東京都として位置づけられております。
 当初としては、今、先ほど滝沢副委員長の質疑の中で、多摩ニュータウンのために、この多摩ニュータウンの再生のためにつくられたのかなというふうに受けとめがちなんですけれども、中身を拝見すると、多摩ニュータウンのことについて触れられているのは、はじめにというところとそれから三ページ、多摩ニュータウン、多摩ニュータウンというふうに、こういわれているわけですけれども、それ以降のページは、どのページを開いても、主語あるいは目的語というのは、大規模住宅団地についてのことが、ずっと記載されているんですね。
 このガイドラインそのものが、多摩ニュータウンを初めとする大規模住宅団地の再生ガイドラインなのか、それともこの多摩ニュータウンを再生するためのガイドラインなのか、ちょっともう一度この位置づけを明確にしていただきたいんですが。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 先ほどご答弁いたしましたとおり、このガイドラインは、多摩ニュータウンをモデルとして策定しているという経緯がございます。
 このガイドライン自体をほかの団地に適用するのかどうかということに関しましては、先ほどご答弁したとおり、ほかの団地には直ちには適用しないというふうに考えてございます。
 このガイドライン、多摩ニュータウンをモデルとしているという意味合いに込めておりますのは、多摩ニュータウンをモデルとしていますけれども、それぞれの大規模団地に共通する課題もある。で、それぞれのほかの大規模団地におきましても、その再生の検討に当たりましては、こうした課題を共通するという意味合いにおきまして、このガイドラインを活用できるところは活用していただきたいとそういう趣旨で策定しております。

○谷村委員 ということは、この多摩ニュータウンのモデルになってる箇所がなければいけないんですけれども、その多摩ニュータウンに関する記載というのは三ページしかないんですね。提供された資料14の中では。具体的に多摩ニュータウンの何をモデルにされたのかという疑問が、非常に大きくわいてくるわけです。
 このガイドラインを検討する際に比較分析の対象というのを使われて、多摩ニュータウンだけではない大規模団地を、多摩ニュータウン以外に四つ並べて、七つのもので比較検討をされているわけで、必ずしも多摩ニュータウンだけをモデルにしてるわけではないと思うんですが。
 で、これちょっとお答えになれるかどうか結構なんですけれども、この比較対象にした団地っていうのが、四つのうち三つがURのもので、東京都の都営住宅は戸山ハイツだけ一つ入っているわけですけれども、多摩ニュータウンの再生をモデルにして比較検討、分析をする際に当たって、なぜ、多摩地域の大規模住宅団地もこの比較検討の中に、分析の中に入れられていないのか。非常に大きな疑問を持つわけです。これはお答えは結構ですので、お答えいただくのは結構きついと思いますので。多摩ニュータウンをモデルにした箇所の文面というのは、この中では基本的に見当たらないと思うんですけれども、この受けとめ方どうでしょうか。もう一回確認をさせていただきます。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 このガイドライン、いろいろなことが書いてございまして、このガイドラインの主眼とするところは、もしお手持ちでしたらページを申し上げますけれども、一四ページ以降の分野ごとの検討項目、ここの部分が、私どもといたしましては、最も大切なところだというふうに考えてございます。
 このそれぞれの分野ごと、ここでは都市づくり、まちづくりであるとか、住機能であるとか、そういう四つの観点から検討しているわけですけれども、そういう検討をするに当たって、具体のモデルとなるところを想定しながらということでないと、なかなか地に足のついた検討ができないのではないかというふうなことを考えまして、多摩ニュータウンをモデルにしたという経緯でございます。

○谷村委員 私もそう思って期待して読んだんですけれども、一四ページに出てくるのは、大規模住宅団地は、大規模住宅団地における六十五歳以上云々、一方大規模住宅団地にはといって、ずっと、一六ページを開いても、入居から既に四十数年が経過している大規模住宅団地では、一七ページに移っても、大規模住宅団地の再生に当たっては、大規模住宅団地にはと、主語と目的語が全部大規模住宅団地になっていて、多摩ニュータウンにおいてはこういう経緯だったけれどもこうだったという展開には必ずしもなっていない提案で、むしろ多摩ニュータウンを再生するためのものというよりは、この多摩ニュータウンを初めとして大規模住宅団地を再生するためのガイドラインになってしまっているのではないかというおそれがあるので、確認をさせていただいているわけです。先ほど来の答弁では、そうではないということを繰り返しおっしゃっていただいているので、それでよろしいということでいいですね。はい。
 続きまして、この資料14のページ1のところなんですけれども、一番下のところですが、このガイドラインをもとにそれぞれの大規模住宅団地において、地元自治体や住民、次がそのポイントですけれども、住建三者、都市再生機構と東京都住宅供給公社と東京都、これがさまざまな主体による取り組みをするというふうに書いてあるわけです。
 この資料14の一番最後のページをごらんいただきますと、もうよくご存じの話ですけれども、地元自治体を中心にして、住民、住建三者、NPO、それから東京都とこうなっております。この住建三者、いわゆる本文一ページで書いてある住建三者というのは、東京都と明確に書いてありますけれども、この検討会議である円卓会議の構成については、住建三者と東京都とこう別途ありますけれども、この住建三者でいう東京都と、それからこちらの左に出てくる東京都というのはどのような違いがあるのか、大変私どもにとっては重要なことなので、確認をさせていただきたいと思います。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 このガイドラインにおきます住建三者というのは、先ほど委員お話しのとおり、東京都、それからUR、JKK、で、この場合の東京都というのは、都営住宅の設置管理者としての東京都でございます。JKKの指導という立場もありますけれども、そういう東京都が含まれております。
 それから、この住建三者とは別にしている東京都という記述がございますけれども、こちらの方の東京都は、広域的な自治体として都市づくり、まちづくりを担う主体としての東京都、そういうような区分けをしてございます。

○谷村委員 この検討会議、円卓会議のくくり方については、ちょっと大きな誤解を招きやすいので、今後は検討いただきたいと思います。
 前回の住宅マスタープランの際にも質疑をさせていただきましたけれども、住宅政策ということと、まちづくりを進めていることというのがこの都市整備局、まあ住宅局がなくなって都市計画局と一緒になって、都市整備局になってここ数年間で、一体化というふうな説明をされると聞こえはいいんですけれども、必ずしも、まちづくりという取り組みと、それから住宅政策を持ってやっていく取り組みというのは、視点は一緒ではないところが多分にあるのだろうと思うんです。
 しかもそれはセーフティーネットとしての住宅政策の役割というものがあるわけでして、今回のこの円卓会議の問題は何かといいますと、この東京都の役割というのが、広域自治体として地元自治体だけでは解決できない調整や誘導等の支援、国等への働きかけだという表現になっていて、地元自治体が、すべて、住民と住建三者と、あるいはNPOという、東京都の、本来都営住宅として、あるいは公社住宅として活用してきている、活用してきた土地というものも全部、地元に丸投げをして、で、その地元が調整が難しかった場合は、東京都が広域自治体として出てきて、解決をしますよというような、この一歩引いたような受けとめ方を、どうしてもこの絵づらを見てもそうですし、それから、円卓会議の基本的な役割分担の東京都のところを見てもそんなわけです。
 都営住宅あるいは公社住宅を持っている東京都の役割と、それからもう一個東京都が出てくる役割というのを、うまくちょっと表現を変えて違う役割にされているというところに、その主体を投げているというような受けとめられ方をしてしまいますので、これはちょっと意見を申し上げさせていただきたいと思います。特によろしいですね。答弁は求めませんので、それだけ申し上げて私の質問を終わらせていただきます。

○田中委員 最後の質問になりましたのでよろしくお願いします。
 まず、三点大きく聞きますが、一点目は空港鉄道のアクセスについてお伺いします。
 羽田空港が国際化をして四月で約一年半になろうとしております。羽田の跡地がアジアのヘッドクオーター特区に位置づけられて、その跡地の議論も現在進んでいるところであります。羽田の国際化、また跡地の議論と並んで、将来、この空港の需要がさらに増大するであろうというその対応のためには、羽田空港へのアクセスの向上というのは大変重要であることはいわずもがなであります。そこでまず、新空港線といわれます蒲蒲線について伺います。
 現在、この新空港線蒲蒲線の議論はどのように進んでいるのか、また、これまでの経緯を踏まえて伺います。

○石川都市基盤部長 お話の新空港線、いわゆる蒲蒲線は、東急蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ路線であり、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線に位置づけられております。
 地元大田区では、平成十九年度に、本路線の需要や事業性について検討するため、勉強会を設置しており、この勉強会に、都は、国や鉄道事業者などとともにオブザーバーとして参加しております。
 これまでにこの勉強会が十七回開催されておりまして、その中で、本路線の概算事業費や需要、事業性のほか、整備の効果や今後の課題などを検討してきております。この間、平成二十一年八月、平成二十二年八月、平成二十三年八月に、それまでの検討結果を調査の取りまとめとして公表しております。

○田中委員 今いってもらいました調査の取りまとめの中で、直近の昨年の八月に出されました、区の方が出したこの蒲蒲線調査によりますと、新空港線の整備によって、蒲田地域や東急、京急線の沿線の活性化に寄与するというのが一つ。また、羽田空港アクセスが不便な東京の西南部からの航空アクセスが改善するというのが二点。効果が指摘されて、また、事業の採算性の面からも、費用の便益分析においても事業性が認められたという結果にはなっております。
 これはあくまで区の調査の結果でありますが、このような現状を踏まえつつ、都としての見解を伺いたいと思います。

○石川都市基盤部長 都といたしましては、本路線の一定の効果につきましては理解しているところでございますが、一方で、多額の事業費や事業採算性の確保のほか、東急と京急の線路の幅が違うことから乗りかえが必要となることなど、さまざまな課題があると認識しております。
 こうした具体的な課題につきまして、勉強会を通じて、引き続き、区と議論を重ねるなど、必要な対応を図ってまいります。

○田中委員 この新空港線の蒲蒲線というのは、東急東横線、また東京メトロ副都心方面への直通運転が可能な計画でありまして、羽田空港から蒲田、渋谷、新宿三丁目、池袋、また東京のそこから西部へと結ぶ広域な交通網が形成されて、東京都全体の都市機能の向上につながると考えております。
 もちろん、まだ乗り越えていかなくてはならない課題はあると思いますが、かなりその課題も具体的な課題となって、先ほど述べてもらったとおりでありますので、どうすれば実現可能というか、前に進めるかという前向きな議論を今後も重ねてもらい、この羽田空港の空港アクセスに寄与していただきたいと思います。
 次に、この羽田空港と今度は成田空港を結ぶ短絡線の構想についても伺いたいと思います。
 昨年の末に、国交省が都に対して、都営浅草線の押上駅と泉岳寺の間に短絡線を整備して、東京駅丸の内側に新東京駅を置くという構想に協力を都の方に求めたというこれは報道でありますが、出されておりました。どういう経緯でこの短絡線の構想が進められてきたのかを伺います。

○石川都市基盤部長 短絡線構想の経緯についてでございますが、国は、平成十九年五月に示したアジア・ゲートウェイ構想におきまして、羽田、成田両空港のアクセス改善などを図りつつ、両空港を戦略的、一体的に活用することを位置づけ、平成十九年度から、成田スカイアクセス線など既存の鉄道ストックを最大限活用することを前提に、首都圏空港としてふさわしいアクセス改善方策について調査を行っております。
 その後、平成二十二年五月に出された国土交通省成長戦略において、両空港の一体的活用を推進するため、両空港から都心へのアクセス及び両空港間のアクセスを改善し、利便性の向上を図ることを掲げ、羽田と成田両空港間及び都心と両空港間を結ぶ短絡線構想について、国が調査を進めております。

○田中委員 平成十九年から国の方で考えられてきたということでありまして、何年かかかってきたと思うんですけど、具体的にはこの構想の内容というのはどのようになっているのかをお聞きします。

○石川都市基盤部長 国が検討しております構想は、平成二十二年七月に開業いたしました成田スカイアクセス線を活用することを前提に、東京から羽田空港へ二十分台、東京から成田空港へ三十分台、両空港間を五十分台でアクセスできることを目指して、都営浅草線の押上駅付近から泉岳寺駅付近を結ぶ延長約十一キロメートルの短絡線を整備し、途中の東京駅丸の内側に新東京駅を設けるものでございます。

○田中委員 この構想に対して、これも報道でありますが、都としては難色を示したとか、また東京都には技術性の高い事業を抱えている等々の報道が多々されておりましたが、実際東京都の見解は今のところどうであるかをお聞きします。

○石川都市基盤部長 本構想は、国際空港へのアクセスの強化に資するものでございまして、国の事業として検討を進めるべきものと考えております。
 課題といたしましては、費用対効果や膨大な事業費の確保、都営浅草線への影響を含めた事業採算性などがあると考えております。

○田中委員 東京は、鉄道では世界一の交通網を持っております。このネットワークをつなぐことで都市の機能は飛躍的に向上するものと思います。特に、羽田空港、成田空港というのを一体的に活用していかなければ、これから世界じゅうから来る人々、また、東京がアジアヘッドクオーターとして世界の主要な本社を受け入れるのには、まだまだ受け入れが足りないと思っております。
 しかしながら、今いったように採算性の面、またこの財政厳しき折に、何でもできるというわけではありません。都市をこの東京だけで考えるのではなくて、首都圏全体としてとらえることが必要であります。
 そのためには、鉄道ネットワークの整備はさらに必要であると考えますが、もう一度、全体的な考えを述べさせてもらいましたが、都としての見解を伺います。

○石川都市基盤部長 都市の機能や利便性を高めていく上で、鉄道ネットワークの充実を図ることは重要でございます。
 首都圏全体における鉄道ネットワークの整備につきましては、運輸政策審議会答申第十八号が基本的な計画として策定されております。
 この答申の中で、平成二十七年までに開業することが適当とされた都内の十六路線につきましては、既にすべて開業または事業中となっております。
 一方、平成二十七年までに整備着手することが適当とされた路線につきましては、事業主体や採算性などの課題があり、現時点では未着手となっております。
 都といたしましては、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、これらの未着手路線の整備について、国や関係自治体、鉄道事業者とともに検討してまいります。

○田中委員 鉄道について述べましたが、次は空についてお伺いしたいと思います。
 成田空港では、この三月三十一日にビジネスジェットの専用ターミナルがオープンすることとなりました。これは、国交省の航空局が二〇一〇年十二月から、ビジネスジェットの推進に関する委員会を立ち上げ、これを、特に、昨年出された中間報告の中で述べられてきたものが進められたということであります。
 おくれていたビジネスジェットの受け入れも前進することとなりましたが、私たち東京都の方もですね、先ほどから述べておりますアジアヘッドクオーター構想を掲げて、アジアの人たちを、特に本拠地または本社を東京に集めるということでありますので、そのためには、ビジネスジェットの受け入れ体制というのは強化が急務であることはこれもいうまでもありません。
 その中で、今回の特区の提案の中で、都は、ビジネスジェットの利用促進に向けてこの提案をしているとも聞いております。今回のビジネスジェットの利用促進に向けた提案の内容、また今後の取り組みについてを伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 都は、平成二十二年度に、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制強化に向けた取り組み方針を公表し、羽田や横田へのビジネス航空の受け入れ推進について、国や関係団体などに働きかけを行ってまいりました。
 お話の昨年指定されましたアジアヘッドクオーター特区の中でも、羽田空港において、ビジネス航空の駐機制限の緩和や利用者の出入国手続の簡素化など、必要な改善策を国に提案してございます。
 今後とも、都は、特区制度も活用しながら、羽田空港におけるビジネス航空の受け入れについて積極的に国等に働きかけてまいります。

○田中委員 昨年のこの委員会の中で、隣にいる関口委員が、このビジネスジェットについて、横田基地への利用とともにヘリコプター輸送についても伺ったところであります。
 横田基地へのビジネスジェットの受け入れというのも、羽田とあわせて今進めているところでありますが、しかし横田にビジネスジェットでおりたとしても、そこから都心に行くのに渋滞してしまっては何の意味もないと。であるならば、そこに、ヘリコプターが活用できなければならないということでありまして、都としては、今の渋滞緩和を求めて整備をしていくというようなことも伺いました。ヘリコプターの活用は今後の検討課題の一つであるという答弁も、その中で伺ったところであります。
 現在、都内において民間ヘリコプターの輸送をしている会社というのはまず幾つあるのか、また、民間の利用ができるヘリポートというのは都内で幾つあるのかお伺いします。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 国土交通省によりますと、東京に本社が所在し、ヘリコプターによる運送事業許可を受けています民間事業者は九社でございます。
 また、都内で民間利用が可能なヘリポートは、東京ヘリポートやアークヒルズなど四カ所でございます。

○田中委員 そのヘリポート、四カ所というように、やはり現状は大変少ないと感じるところであります。
 この旅客運送に関して、一九八八年から九一年まではシティ・エアリンク社というのが、成田空港と羽田空港、さらに横浜の間で営業運行をしてきた実績があるというのは勉強してわかりました。しかし、さまざまな制約、また、今いいましたヘリポートの未整備のため、結果的に中止を余儀なくされて現在では行っておりません。
 ヘリコプターの輸送の促進には、まだまださまざまな課題があると思いますが、昨年から本日まで、関口委員の質問の中で、この検討課題の一つということで取り組んできたことかと思いますが、どのような検討がなされてきたのか、またどのような課題がまだ残っているのか伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 都では、空港と都心を結ぶヘリコプター利用につきまして、先行事例などの調査を行いました。
 それを踏まえますと、ヘリコプターの利用につきましては、悪天時の就航率の低下や都心でのヘリポート不足、さらには騒音問題など、さまざまな課題があると認識してございます。

○田中委員 先ほど、ヘリポートの中でありましたアークヒルズなんですが、これにヘリポートを持っています森ビルのヘリコプター事業会社のシティ・エアサービスというのは、ことし一月に、業界では初めて、震災時のヘリコプターシェアサービス、震災対策フライトプランをスタートさせたということが報道されていました。
 これは、震災時の移動手段はどうしても道路や鉄道は寸断されてしまう。あいているのは空だということで、空を使ったシェアをする初めてのサービスでありますが、特に首都直下型地震においては三十キロ圏内が被災地になるということで、三十キロを離れますとそこから鉄道も動いていたり、また、成田も空港も使えるというようなことでですね、大変に盛況でありまして、もうほとんど完売のようであります。
 これはあくまで企業のBCPの取り組みではあるんですが、恐らくビジネスジェットが、成田がこのようにして整備されて、羽田の整備も進めますと、ヘリコプターを組み合わせた利便性が高まることは当たり前に考えられまして、さらにそれによってニーズも高まってくると思います。今まだニーズがないので、どうしてもヘリコプターの整備も民間ベースでも進みませんし、またそれに対する事業者も少ないかと思いますが、このようなことを考えますと、まだまだこれから需要はふえてくるかと思います。ぜひとも羽田、横田においては、ビジネス航空の利用促進に向けて引き続き国を後押しして、また国と連携して取り組みを進めてほしいと思いまして、要望をさせていただきたいと思います。
 最後に、東京ユビキタス計画について伺います。
 皆さんは東京ユビキタス計画をご存じですか。これは私の言葉ではなくてですね、ホームページで都知事が冒頭に掲げている文章であります。私は知りませんでした。あいさつでは、いつでもどこでもだれでもが必要な情報を手軽に得ることのできるユビキタス社会を、近い将来実現することを目指した東京都の取り組みですと続いております。これを聞いてもよくわかりませんでした。
 東京ユビキタス計画の取り組みというホームページにも載っております都の資料を見ますと、ユニバーサルデザインのまちづくりに向けた取り組みとあり、東京をさらなる成熟に導くため、ユビキタス技術を活用した都市づくりを進め、快適で利便性の高い都市生活、だれもがまちを楽しむ社会を構築するとあります。
 多くの都民はもちろんのこと、ここにいる委員の皆さんも、大変今いった抽象的であって、わからないことかと思います。しかしこの計画は、今回の予算でも約一億五千万円が計上されて、実はこれ平成十八年度からですね、銀座地区での実証実験が行われて、これまで九億円のコストがかけられてきたということであります。
 このユニバーサルデザインのまちづくりを目指すということでありますが、具体的にどのようなことを行うか、東京ユビキタス計画について、根本的にまず目指すところを伺いたいと思います。

○邊見企画担当部長 都では、ユビキタス技術を活用した場所情報システムを用いまして、外国人やそのまちを初めて訪れる人、障害のある人などが不安を感じることなくまち歩きができるよう、ユニバーサルデザインのまちづくりを目指してございます。
 具体的には、街路灯などにICタグなどを取りつけ、これとコンピューターとを無線で結び、日本語、英語、中国語など多言語で、まちの歴史や店舗情報などを携帯情報端末により提供すること、また、高齢者や障害のある方などのために道路の段差情報の提供や音声による道案内を行うシステムを構築することなどでございます。
 これらによりまして、観光やまちの活性化、安心して歩けるまちづくりを目指しているところでございます。

○田中委員 この取り組み実績を見ますと、どちらかというとこの携帯の情報端末、今独自の端末なんですが、これを開発していった歴史ともいえます。
 これは、四回リニューアルされて開発してきたのでありますが、今述べてもらったように、この二十三年度からはその端末をスマートフォンに変更したということで、このスマートフォン、今では多くの人が手にするものであります。このスマートフォンに変わったというのは大きな変化であると思います。
 さらにこのスマートフォンは日進月歩の発展をしておりまして、さまざまなことができるようになりました。今回のユビキタスの目標の中では、観光でも、だれもが多言語で案内ができるようにするというんですが、例えば、調べてみますと、奈良県葛城市は、そのようなことは一切してこなかったのでありますが、突然スマートフォンを使ってこのマップをつくりました。このマップにスマートフォンを照らしますと、多言語ですべて説明をしてくれます。また、このマップを持って現地を歩くと、またその現地でスマートフォンをかざすと、さらに多言語で詳しい説明があって、さらにボーナスがつくなどといって、もうこのようなことが実際に利用されております。
 さらに、道案内という面であれば、JALでありますが、このアプリの中でJALエアポートナビというのを十二月に始めたばかりでありまして、今、第一、第二ターミナルで使われております。これは、毎日使っている人はわかりやすいんですが、使わない人はどこに搭乗口があるのか、どこでチェックインしたらいいのかというのがなかなかわからないんでありますが、これはチェックインをした後、そのスマートフォンに搭乗口と預ける手荷物のあるなしを入力すると、現在の位置をそのスマートフォンが確認しまして、搭乗口まで最短ルートを道案内してくれるというものであります。
 さらには東京メトロも、ヤフーと組んで表参道の駅の案内、表参道もたくさんの路線が乗り組んでいまして、二階、三階に構造が分かれますので大変にわかりづらいということで、この道案内もしております。
 どれもですね、都のように長年取り組んでいなかったのでありますが、現在のこのスマートフォン技術によっていろんなことができるようになってきて、さまざまな事業が始まっているのが現実であります。
 これまではその携帯の情報端末を使った実験というのを主に行ってきたかと思いますが、実際、だれもが手にできるこのスマートフォンというものに、今回は、東京都としても大きくその端末を変えたということであります。これは大きな一つの転換点かとは思いますが、都の見解を伺います。

○邊見企画担当部長 銀座地区におきまして、お話のように平成十八年度から、観光や店舗案内等のまちの情報提供のほか、障害のある方などへの移動支援に取り組んでまいりました。
 今年度はこれまでの取り組み、これはICタグ等で結構ピンポイントで正確な位置情報を提供できるとかですね、お話のように貸出端末等でまち案内、まちを楽しんでもらうとか、そんな取り組みをこまめにしてきたわけですが、今年度はこれらに加えまして、位置特定技術の汎用性をより高めるという取り組みを進めてございます。
 これまではそのツールとなる、いわばまちに持ち出せるコンピューターを携帯情報端末として貸し出ししてきたわけでございますが、お話のように、近年普及の進んできたスマートフォンを市販されている携帯情報端末として活用できるようになったことでございます。
 また、実験に必要なコンテンツにつきまして、スマートフォンのココシル銀座というアプリケーションを民間と連携して開発して、一般に提供することが可能になったことでございます。
 これらの理由から、スマートフォンを活用した実験に取り組んでおりまして、場所情報システムの汎用性を高める上で一歩前進したものであるというふうに考えてございます。

○田中委員 今、銀座でさまざまな民間とも連携して行って実験をしてきたということでありますが、もう少し詳しく、銀座での民間との連携の取り組み状況についてを伺いたいと思います。

○邊見企画担当部長 平成十九年度から、銀座の実験フィールドを民間にも開放して、民間企業の技術開発やビジネスモデルの構築を促すことなどを目的としまして、民間のアイデアを募った実験を実施してございます。
 これまで、システムやサービスなどの面からさまざまな主体で実施してきてございます。
 例えば、ICタグを電子ポスターや店舗の製品見本に取りつけて情報を配信するなど、新しい視点による民間の技術開発、それから、グルメ情報サイトと連携して、民間の持つ多様な情報の提供などがございます。

○田中委員 さらに、この民間との連携と、もう一つ不可欠なのは地域との連携かと思いますが、これも銀座地区だけでこれまで取り組んできたということでありますから、銀座地域しかないかと思うんですけど、銀座地域のこの地域との連携というのはどのようにして行ってきたんでしょうか。

○邊見企画担当部長 銀座地区におきまして、実験に当たって銀座の地区協議会を設置してございます。
 地元からは、町会、地域商店街などが加盟する全銀座会、それから中央区、東京地下鉄株式会社を含めまして、道路管理者などさまざまな主体が参画し連携してございます。
 ユビキタス技術をまちの中で活用していくためには、地元の商店街、民間企業等が主体的にシステムにかかわることが重要と考えてございます。
 今後も、こうした各主体との連携を図りながら、より汎用性や実効性のあるシステムの構築に向けて取り組んでまいります。

○田中委員 今、これまでのユビキタスの取り組みと、また、実際に民間と地域との連携を聞いたんですけれども、私はですね、いろんな質問してきたんですが何がいいたいかというとですね、スタート時には恐らくスマートフォンもなく、東京都の取り組みというのは最先端であって意義のあったものと思うんですけれども、今、スマートフォンを中心に毎日のように技術進歩が進んで、いろんなことができるようになってきた今、東京都の役割というか、やるべきことは変わってきているのではないかと思って質問をさせてもらいました。
 例えば、今、このユニバーサルデザインでなくてピープルデザインという考え方があります。これは、ピープルデザイン研究所という研究所の須藤シンジさんという代表が提唱している概念でありますが、どうしてもユニバーサルデザインとか、もしくはバリアフリーとかいうと、障害者向けの機能性の話ばかりになってしまいますが、しかしそれでは一般の人に広がらないと。
 そういうことで、ファッション性をその概念の中に入れていこうということで、三つの概念があるんですが、第三者への配慮、共存、共生への気づきがある、ハンデを解決する機能やサービスがある、ファッション、インテリアデザインとして洗練されている、この三つの二つを包含するものが、そのピープルデザインとしていろんなものに転用していこうという概念なんですが、それを先日三月十四日、十五の二日間で、これを渋谷で実践しようということで、これは実証実験とはいわないんです、イベントが行われておりました。
 そこではどのようなことが行われているかというと、例えば、これはそのときに私がもらったコミュニケーションカードというんですけれども、これを持っていれば、渋谷に来た例えば高齢者の人が、ちょっと足が悪かったら手を持ってあげるとか、もしくは、車いすに乗っていたら押してあげるよという意思表示なんですね。何かあったら声かけてくださいと。海外の人であれば、これは全部文字でなく絵なんですが、電話、病院、トイレというのを指してもらえばそこに案内したりというようなことであって、このコミュニケーションツールも同じように、いつでもだれでもそのまちにバリアがなくて過ごせるような、快適なまちを目指す取り組みであります。決して、ユニバーサルデザインもピープルデザインも、バリアをなくすのではなくて、バリアがあってもですね、こういった心遣いや、もしくはこういったちょっとした思いで、だれもがまちを過ごしやすいようにできないかといった取り組みであります。
 ぜひ東京都が進めるべきはですね、ハードはもちろん東京都がやらなければならないんですがハードだけではなくて、冒頭に述べた、東京がどういうユニバーサルデザインによって住みやすいまちになるかといった、もう少し理念的な、もっと未来があるというか、もっとこういうふうな未来をつくりたいという東京の姿をぜひ発信してもらって、そうすれば、もういろんな事業体やNPOや活動体はやってますから、東京都がその一つの技術をつくって、端末をつくってというのは、ちょっともうそういう時期ではないのではないかと思って質問をさせてもらいました。
 もっと大きくいえば、こういうものをみんなが、これではなくても何でもいいんですが、持っていて、東京に来ると、だれもが親切に声をかければ手伝ってくれる、また道を案内してくれる。いろんな課題はもちろんあるかと思うんですが、そういうホスピタリティのあるまちになれば、アジアにとっても単にハード競争、先ほどは鉄道とか空のハードの話をしましたけれども、ハードだけではなくてソフトの面からも魅力あるまちにできるんじゃないかなと。
 それをいえばさらに、オリンピックででも、招致においても、東京はほかの都市とは違って、こういったすべての人がお客様も迎え入れる、もしくはだれもが手助けしながら過ごせる都市だというのをアピールできるのではないかなと思って、質問をさせていただきました。
 今回からスマートフォンになったということで、恐らくいろんな可能性があるかと思い、今まで使ってきた多額のコストを違ったものに転用できる可能性があるかと思っておりますので、ぜひともこの取り組みですね、私は決して悪いとかどうだったということではなくてこれからであると思いますので、これからの発展を期待しまして、質問を終わります。
 以上です。

○泉谷委員長 ほかに発言がなければお諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十六分散会

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