都市整備委員会速記録第二号

平成二十四年三月五日(月曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十二名
委員長泉谷つよし君
副委員長滝沢 景一君
副委員長神林  茂君
理事関口 太一君
理事橘  正剛君
理事遠藤  衛君
田中  健君
斉藤やすひろ君
小山くにひこ君
大島よしえ君
谷村 孝彦君
林田  武君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長技監兼務飯尾  豊君
次長長谷川 明君
技監安井 順一君
理事松井多美雄君
理事藤井 寛行君
総務部長田崎 輝夫君
都市づくり政策部長町田 修二君
住宅政策推進部長鈴木 尚志君
都市基盤部長石川  進君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長砂川 俊雄君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
連絡調整担当部長細渕 順一君
景観・プロジェクト担当部長永島 恵子君
住宅政策担当部長香山  幹君
民間住宅施策推進担当部長高田  茂君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務山下 幸俊君
民間開発担当部長藤塚  仁君
多摩ニュータウン事業担当部長五十嵐 誠君
耐震化推進担当部長小野 幹雄君
経営改革担当部長笹沼 正一君
再編利活用推進担当部長上野 雄一君
建設推進担当部長荒川 達夫君
営繕担当部長妹尾 高行君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
契約議案の調査
・第百二十一号議案 都営住宅二十三H-一〇七東(葛飾区高砂四丁目)工事請負契約
・第百二十二号議案 都営住宅二十三H-一〇四西(世田谷区下馬二丁目)工事請負契約
報告事項
・東京都耐震改修促進計画の改定について(説明)
・東京都住宅マスタープラン(素案)について(質疑)
付託議案の審査(質疑)
・第百三十号議案 平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 都市整備局所管分
付託議案の審査(決定)
・第百三十号議案 平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 都市整備委員会所管分

○泉谷委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十四年三月一日
東京都議会議長 中村 明彦
都市整備委員長 泉谷つよし殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百二十一号議案 都営住宅二十三H-一〇七東(葛飾区高砂四丁目)工事請負契約
第百二十二号議案 都営住宅二十三H-一〇四西(世田谷区下馬二丁目)工事請負契約
2 提出期限 平成二十四年三月五日(月)

○泉谷委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の契約議案の調査、報告事項の聴取並びに中途議決に係る付託議案の審査を行います。
 なお、本日は報告事項、東京都耐震改修促進計画の改定についてにつきましては、説明を聴取し資料要求をすることにとどめ、質疑は後日、委員会で行い、報告事項、東京都住宅マスタープラン素案についてにつきましては、要求資料を含め、質疑を終了まで行い、付託議案については質疑を終了まで行った後、決定まで行います。ご了承願います。
 次に、理事者の欠席について申し上げます。
 邊見企画担当部長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百二十一号議案及び第百二十二号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大島委員 それでは、二議案一緒で、ほぼ同じですが、葛飾区の方の高砂四丁目の工事請負契約についてお聞きいたします。
 この高砂団地の建てかえの住宅戸数なんですが、資料にありますように、型別供給で1DKが六十戸、二人用の2DKが六十戸で、少人数用の戸数が全体の六八・五%を占めています。
 これまでも、この建てかえ住宅の問題では、従前居住者の居住の確保とそれから型別供給の実施によりまして住戸数を決めてきたという経過があります。しかし、これは私も何回もいっているんですが、このような少人数世帯用の供給戸数をふやしていきますと、今後、ここが空き家になった場合でもやはり少人数世帯しか入れないので、ファミリー世帯とか子育て世帯の入居できる住戸というのが少なくなってしまいます。これでは、今、居住者の中でも大変大きな問題になっています世代間の均衡、これを保つことが一層困難になってしまいます。
 今、都営住宅では、高齢化とか、高齢者のみの世帯、単身世帯、こういうものが多くなっているために、孤独死もふえています。また、高齢化が進むと、団地内の清掃活動とか自治会活動を維持することが難しくなるということや隣近所とのつき合いも減ってコミュニティ育成も難しいという状況も広がっています。
 以前は、建てかえる場合は戸数をふやすということもしていたんですが、現在は、従前戸数以下に抑えたり廃止したりして、供給戸数を抑制しているという現状があります。従前戸数の確保を図るとともに、新規募集も行えるように増戸を行う必要があると思います。また、東京都が限界集落をつくらないためにも、将来を展望して建てかえの間取りや戸数を考えていくべきだと思いますが、都の見解をお伺いいたします。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立ちまして、基準を設けて、それぞれに対応する規模の住宅を供給しております。
 ファミリー世帯などに対しましては、家族向け住宅の募集を継続して実施しているほか、若年ファミリーや多子世帯向けの期限つき入居を実施し、対応しているところでございます。

○大島委員 それは今までいってきたことと全く同じで、私は、そういう状況で従前戸数を確保する、世帯数を確保するということは当然なんですけれども、それ以上に、やっぱりファミリー世帯などに重点を置いた建築戸数というものを考えていく必要があるということを申し上げているわけです。
 今、年間東京都は三千戸程度の建てかえを行っておりますけれども、建てかえ後の住宅で、一人用の1DKそれから二人用の2Kとか2DKの部屋というのは、全体の九〇%を占めるという状況です。これでは、将来ファミリー世帯も住める広さの住宅というのは本当に少なくなってしまいます。
 型別供給のやり方を改めて、本人の希望に沿って、多少家賃は高くなっても、せめて子どもが来て泊まれることができるようなスペースの住戸を選ぶことができるようにすれば、空き家になったときでも、ファミリー世帯の入居可能な住戸が保障できると考えます。建てかえ住宅の中で世代間の均衡が保てるような政策に、ぜひ転換していただきたいと思います。
 また、この高砂四丁目地区は今後も建てかえが進んでいきますが、今後、建てかえ対象となる住宅の一階部分に郵便局や診療所が入っていて、自治会の方や居住者の方からぜひ残してほしいという要望があるとも聞いています。今回の契約案件とは違いますが、こうした公共的な施設はぜひ残す方向で考えていただきたいと思います。
 以上、要望いたしまして質問を終わります。

○泉谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○泉谷委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、東京都耐震改修促進計画の改定についての報告を聴取いたします。

○小野耐震化推進担当部長 東京都耐震改修促進計画の改定素案につきまして、ご報告させていただきます。
 当初計画は、耐震改修促進法に基づき、平成十九年三月に策定しておりますが、「二〇二〇年の東京」や住宅マスタープラン等、関連する計画との整合を図るとともに、最新の統計調査などを踏まえ、内容を改定するものでございます。
 お手元に資料1と資料2をお配りしておりますが、本日は資料1の概要によりまして、青い文字の箇所、今回の改定で変更、追加する部分を中心にご説明させていただきます。
 資料の左側をごらんください。
 まず、1の目的と位置づけでございますが、被害の軽減を図るため、都内の住宅、建築物の耐震化を促進し、災害に強い東京を実現するとしております。
 計画期間でございますが、当初計画では、平成十八年度から平成二十七年度となっておりましたが、今回の改定では、平成二十三年度から平成三十二年度までの十年間に変更いたします。
 次に、2の基本方針でございます。耐震化率の現状でございますが、平成二十二年度末で、住宅が八一・二%、民間特定建築物が八二・三%、防災上重要な公共建築物が九〇・三%となっております。
 一方、目標でございますが、平成二十七年度の目標に加え、新たに平成三十二年度の目標、住宅で九五%、民間特定建築物で九五%を設定しております。また、大規模な百貨店、ホテル等、緊急輸送道路沿道建築物につきましては、平成二十七年度までに一〇〇%を耐震化することにしております。
 資料の右側をごらんください。
 3の耐震診断、耐震改修の促進を図るための施策でございます。(2)の重点的に取り組むべき施策として三つ挙げ、当初計画にはなかった新たな施策を追加しております。
 まず、アの幹線道路沿いの耐震化でございますが、東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例に基づき、耐震診断を義務づけるとともに、耐震診断、改修助成を実施いたします。
 次に、イの木造住宅密集地域の不燃化、耐震化でございますが、木造住宅密集地域の改善を一段と加速するため、木密地域不燃化十年プロジェクトを推進いたします。
 ウの重点的に耐震化を図るべき建築物でございますが、区分所有者の合意形成が難しい分譲マンションにつきましては、マンション啓発隊による普及啓発などに取り組んでまいります。また、木造住宅につきましては、新たに項目として追加し、耐震診断の速やかな実施、リフォーム工事との連携などにより耐震化を促進してまいります。
 (3)の普及啓発と環境整備につきましては、普及啓発や情報提供に加え、耐震マーク表示制度を新たに創設し、都民の耐震化への意識や機運を高めてまいります。
 最後に、4の総合的な安全対策でございます。昨年三月十一日に発生しました東日本大震災の教訓から、新たに大規模空間の天井落下対策、液状化対策、長周期地震動対策について取り組んでいくことにしております。
 以上が概要でございます。
 なお、本案につきましては、本日三月五日から三月二十二日まで、都民の皆様のご意見を募集し、その結果等も踏まえ、年度内に最終的な取りまとめを行いたいと考えております。
 説明は以上でございます。

○泉谷委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○泉谷委員長 次に、報告事項、東京都住宅マスタープラン素案についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○田崎総務部長 去る二月十七日の当委員会でご要求のございました東京都住宅マスタープラン(素案)につきましての資料について、ご説明を申し上げます。
 お手元に配布しております資料3、都市整備委員会資料(二月十七日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。1の都内区市町村が実施している家賃助成制度から、6の多摩産材の住宅等への使用量の推移(平成十六年・二十一年)まで六件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。一ページから三ページにかけまして、1の都区内市町村が実施している家賃助成制度でございます。区市町村が実施している家賃助成制度につきまして、制度名及び助成対象を記載してございます。
 四ページをお開き願います。2の都内全世帯及び子育て世帯の最低居住面積水準未満、誘導居住面積水準以上の世帯の割合(民間住宅・公共住宅別)でございます。都内全世帯及び都内子育て世帯につきまして、民間住宅、公共住宅別にそれぞれ、最低居住面積水準未満の世帯の割合、誘導居住面積水準以上の世帯の割合を記載してございます。
 五ページをごらんください。3でございます。3の居住用の住宅取得に占める既存住宅取得の割合(平成十年・十五年・二十年)でございます。平成十年、十五年、平成二十年の居住用の住宅取得に占めます既存住宅取得の割合を記載してございます。
 次に、六ページをお開き願います。4の都心地域(センターコアエリア)の住宅建設戸数(平成十八年度から二十二年度までの五年間)でございます。都心地域、センター・コア・エリア内における平成十八年度から平成二十二年度までの五年間の住宅建設戸数を記載してございます。
 次に、七ページをお開きください。5でございます。5の滅失住宅の平均使用年数の推移(平成十年・十五年・二十年)でございます。平成十年、十五年、二十年の滅失住宅の平均使用年数を記載してございます。
 最後になりますが、八ページをお開き願います。6の多摩産材の住宅等への使用量の推移(平成十六年・二十一年)でございます。平成十六年及び平成二十一年の多摩産材の住宅等への使用量を記載してございます。
 以上でございます。

○泉谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小山委員 このたび報告されました東京都住宅マスタープランにつきましては、首都東京にふさわしい高度な防災機能を備えた居住の実現を目指して、今後の住宅政策展開の視点や目標を示し、住宅施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画として策定されたものであり、計画期間は二〇一一年度から二〇二〇年度までの十年間となっています。
 また、住宅マスタープランは、住生活基本法に基づく住生活基本計画としての性格をあわせ持つものとなっています。改めて申し上げるまでもなく、住生活基本法では、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上と社会福祉の増進を図るとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的としており、東日本大震災後の本年に策定されることは大変大きな意義があります。
 そこで、東日本大震災を経た経験と教訓が十二分に生かされ、反映されたマスタープランとなっているか、以下、質問をいたします。
 まず、本マスタープランは、東京都住宅政策審議会の答申を受けて策定されたものでありますが、昨年三月十一日の東日本大震災以降の審議会において、どのような意見が出され取りまとめられたのか、お伺いをいたします。

○香山住宅政策担当部長 昨年三月十一日の東日本大震災発生後、東京都住宅政策審議会は四回開催されております。いずれの会議におきましても、委員から、震災の被災経験を踏まえ、防災機能の向上に向けた住宅政策を行うべきであるという趣旨のご意見をいただいております。
 多くのご意見をいただいておりますが、例えば、木密地域の耐震化、不燃化が喫緊の課題であり、強制力を持った取り組みを含め踏み込んだ対策を行うべき、マンション居住者に耐震化の必要性やそのための方策について周知をするべき、震災を踏まえ、エネルギー問題も重要な課題となっており、家庭におけるエネルギー削減に向けた努力が重要である、震災によりマンションのエレベーターがとまったことで、高齢者や障害者などが自宅に戻れない事態が生じたことに対し、取り組みが必要である、火災、水害、液状化、津波など、さまざまな危険度を示したマップを作成し周知すべきなどの意見が上げられてございます。

○小山委員 今のご答弁から、震災後にさまざまな対策、対応について意見が述べられたことがわかりました。その中で、特に震災後の喫緊かつ重要な課題であるエネルギー対策について、お伺いをしたいと思います。
 住政審においても、エネルギー対策として、複数の審議会の委員から、今回の震災ではエネルギー問題が重要な問題との意見が述べられ、答申においては、高度防災都市づくりに向けてとして、東日本大震災及びその後の東京電力福島第一原子力発電所事故による電力不足の経験から、過剰に電力を消費する生活様式の見直しや技術革新と対応した災害時にもエネルギーが途絶えないまちづくりに取り組むべきであるとし、このため、地域での自立的なエネルギー供給や省エネルギー機器等を活用したエネルギー源の多様化、自立化、分散化を目指す先進的な取り組みについて検討すべきとしております。
 さらに、災害発生時の高層マンションにおけるエレベーター停止への対応や生活物資の備蓄など、生活を継続するための取り組みや高齢者、障害者など災害弱者への災害時における情報提供や生活支援のあり方等の検討が必要としております。
 そこで、住宅マスタープランにおいて、生活継続に必要な最小限のエネルギーを確保した集合住宅のモデル事業の実施が記載されておりますが、その事業の意義と事業の詳細についてお伺いをいたします。

○鈴木住宅政策推進部長 地震等の災害が発生した際に、多くの方が避難することなく自宅で生活を続けられるようにすることが重要であると考えております。
 このため都は、災害により停電となった場合にも、エレベーターや給水ポンプを動かす発電設備を備えた集合住宅のモデルプロジェクトを、既存のマンションや公社住宅等において実施いたします。また、民間事業者を活用して、災害時にも一定の電力を確保するマンション開発モデルプロジェクトを実施いたします。

○小山委員 今、それぞれご答弁をいただきましたが、特に、このマスタープランの中で、東京都として初めての取り組みになろうかと思いますが、東京都のLCP住宅が記載されております。
 東京都LCP住宅においては、都が認定するマンションに関して、震度六強程度の大規模な地震が発生しても建物が倒壊をせず、電気が復旧するまでの間、エレベーターを稼働させ、水道水を各戸に供給できる、新築及び既存の物件を想定されているのだと考えております。この東京都LCP住宅について、先日、東京都において基本方針が示されたとのことでございますが、具体的な認定の要件がどのようなものになっているのかお伺いをいたします。

○鈴木住宅政策推進部長 ただいま、東京都LCP住宅の要件というお尋ねでございます。基本方針の中では、耐震性を有する建物であること、あるいは電力供給が途絶えても、水の供給、エレベーターの運転を行う最小限の発電能力を備えることなどを考えておりますが、具体的な登録基準につきましては、現在検討中でございます。

○小山委員 今ご答弁をいただきましたのは、恐らく概括的にお答えをちょうだいしたのだと思うんですが、先般、一月二十三日付で、東京都LCP住宅情報登録・閲覧制度に係る基本方針というものが、局の方から示されております。
 この基本方針の中で、東京都LCP住宅に関しては、目的として、当然高度防災都市づくりを進めていく、そして防災対応力を強化して都民生活の安全性の向上を図ることを目的とされて、それぞれの制度が施行されております。
 特に、登録基準に関してはこの中でしっかり明記されておりますので、今概括的にお答えいただいたものですから、私の方から具体的に五点述べさせていただきます。
 まず条件の中には、一九八一年に改定された建築基準法で定める耐震基準を満たすということが第一点、そして第二点としては、水の供給及び一基のエレベーターの運転を同時もしくは交互に行う発電能力があり、燃料が安定継続して供給可能で、住宅外からの電力供給が途絶した場合でも、運転可能な常用発電機が設置されていること、そして三点目は、その常用発電機が、発電に伴い発生する熱の利用に努めることとし、熱の利用に必要な機能を備えること、そして四点目は、東京都LCP住宅としての登録に必要となる設備の設置、運営に当たっては、居住者、住宅所有者にとって、原則として新たな負担が生じないこと、そして五点目は、設備の設置、運営を委託する場合、委託契約期間を十五年以上とし、住宅所有者が受託者の業務や納税、財務の状況、委託終了後の住宅の管理等を考慮の上、契約を締結しているということ、この五点が恐らく登録の基準になろうかと思っております。
 今、検討中とお答えいただいたのは、その他の制度についてはこれから定めるということでございますので、ぜひともその点については今後の取り組みを求めたいと思いますが、特にこれらの条件を満たし認定を受けた物件が、東京都LCP住宅とPRができ、売却に際して安心の住宅であることがアピールされることがメリットと考えられます。
 実際大きな地震が発生いたしまして、電気の供給が一時ストップしたとしても、しばらくの間は認定マンションの中であれば、生活を営むことができることが何よりの価値でもありましょう。
 しかし、これにはデメリットとなる課題もございます。常用発電機設置による新たなコストが価格に上乗せされることや東京都LCP住宅制度自体の認知度が低く、コストに対してPR効果が低いなどという懸念と課題がございます。
 これらの課題を克服するためには、今回の東京都LCP住宅制度が社会的な価値を持って、当制度の認知度や品質を高め、ブランドとしての権威を確立できるかどうかということにかかっているといえましょう。
 現在、デベロッパーの中には、新築で認定を取るためには、コストが上昇し競争力が落ちるという声や、既存マンションにおいても、認定マンション以外の物件に対する地震対応力を必要以上に不安がらせる負の影響が強いという、否定的な声が多いと聞いておりますが、さきの条件が満たされれば、そのような心配も杞憂に終わるものだと思っております。
 ぜひとも、東京都LCP住宅制度の認知度、ブランド力を高め、制度そのものがしっかりと確立が図られるように取り組むことを求めて、次の質問に移ります。
 続いては、さきの住政審の委員から、節電対策という点でも効果が大きい太陽光発電システムや太陽熱利用システムを取り上げるとともに、住宅の断熱改修工事など、既存住宅の省エネ改修工事を促進するための誘導策なども検討すべきであるという意見や、省エネ機器をいかにして地域全体のエネルギーシステムとネットワークさせるかという課題も重要であり、例えば、太陽光発電装置が家庭の中だけで使われるものなのか、都市全体のエネルギーの供給元と関連して使用されるものなのかなど、個別のグループだけでは対応できないような課題もあり、広く検討すべきであるという意見が述べられております。
 そこで、再生可能エネルギーの利用拡大や断熱改修、省エネ工法の情報提供など、環境負荷に配慮した住宅の普及促進についてどのように取り組んでいくのか伺います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 都はこれまでも、都民向けあるいは事業者向けの講習会やセミナーの開催、省エネリフォームの技術情報や効果を取りまとめた住宅の省エネリフォームガイドブックの配布などを通じまして、環境に配慮した住宅の普及啓発を行ってまいりました。
 また、省エネ性能を備えた長期優良住宅を普及させるため、事業者への講習会などを通じまして、その必要性や優遇制度など、情報を提供するとともに、都有地を活用した長寿命環境配慮型住宅のモデル事業におきましては、太陽光発電や太陽熱利用の住宅を供給し、見学会なども通じて広く都民に紹介してまいります。
 今後も、このような活動を通じまして、再生可能エネルギーの利用拡大や省エネ住宅の普及を促進してまいります。

○小山委員 大変前向きなご答弁をいただきましてありがとうございます。
 ご答弁いただきましたその施策は、「二〇二〇年の東京」におけます十二のプロジェクトでありますスマートシティプロジェクトとの整合が極めて重要になってくると思います。エネルギーマネジメントシステムを導入して、住宅の省エネとエネルギーの最適化を図ることによって、環境負荷に配慮した住宅の普及に直結すると思っております。
 その点からいえば、前提となるスマートメーターの設置ということが大きな課題になってくると思いますが、これはまた別途、他の局の課題でもありますし、ここではあえてその点は触れませんが、ぜひとも、本プランで掲げますエネルギー自立型で低炭素な住宅市街地の整備促進のために、局横断的な連携協力のもとに目標達成を図っていただくことを要望しておきたいと思います。
 次に、液状化対策についてお伺いをいたします。
 東日本大震災では、東北地方はもとより、都内を含め関東地方の広範な地域において、液状化による被害が発生いたしました。
 この住宅マスタープランにおいても、液状化の備えについて言及されておりますが、本プランでの液状化対策の位置づけについてお伺いをいたします。

○香山住宅政策担当部長 マスタープランでの液状化対策の位置づけについてでございますが、昨年三月に発生いたしました東日本大震災の際、東京では臨海部に加え、内陸部でも液状化により住宅に被害が発生しております。
 こうした被災経験を踏まえ、災害に強く安全で安心な住宅や住宅市街地の形成に向け、住宅マスタープランにおいて液状化対策を位置づけることとしたものでございます。
 災害に強い住宅や住宅市街地を形成していくためには、住宅の所有者や建て主が液状化に備え、事前に対策を講じていくことが重要でございます。
 このため、住宅マスタープラン素案では、液状化への備えとして、東京の液状化予測図の見直しや住宅などの建築物における液状化対策を掲げております。

○小山委員 ただいま、検討委員会での状況についてお伺いをいたしました。液状化の対策ということに関しては、いろんな知見があろうかと思っております。また、この知見ということに関しても、さまざま専門家の皆さんによって意見を集約して、検討委員会として一つの方針を示すには、若干時間がかかろうかと思っております。
 しかしながら、都民の液状化対策に対する関心は大変高いものがございます。ぜひともそういった点から、この液状化対策がどのように進んでいくのか、そして、東京都としての液状化対策検討委員会の今後のスケジュールと取り組みについて、お伺いをしておきたいと思います。

○砂川市街地建築部長 都は昨年七月に、地盤工学の専門家などから成ります建築物液状化対策検討委員会を設置いたしまして、これまでに液状化により建物被害が生じた地区におきまして、ボーリング調査などを実施してきました。
 直近の第四回検討委員会では、この調査結果について報告を行い、液状化が発生した地域の地盤特性についての意見を伺っております。
 また、建築物の所有者や建て主が建築する際に実施する具体的な地盤調査の方法や、都、区市、関係機関などが所有する地盤データを活用した情報提供のあり方などにつきまして検討を行いました。
 液状化対策検討委員会におけるこのような今年度の検討の成果や液状化予測図の見直しの検討状況を踏まえまして、都民にとってわかりやすい液状化対策の指針を作成していくために、液状化の可能性や具体的な地盤改良の事例などにつきまして、来年度も引き続き検討を進めてまいります。

○小山委員 ただいまのご答弁の中で今後のスケジュール、取り組みがわかりました。大変重要な課題だと思いますし、また、これを来年度も引き続き、多角的な視点から検討を進められていくということでございますが、都民からすると、東京都の液状化対策というものがどのように進んでいくのか、また、検討委員会の途上の段階でも結構だと思いますので情報提供というものを、随時、適宜、都民に周知していただく、しっかりと情報提供していただくということが大変重要だと思っております。ぜひともその点をご検討いただきたいと思います。
 また、この検討委員会におきましては、液状化対策として、スウェーデン式サウンディング試験による調査も行われ、その有用性や都民への情報提供が待たれているところでもあります。ぜひとも液状化対策を含めまして、やはりこの都民の安全・安心という視点から、この住宅マスタープランそのものが都民の安全・安心にかなうような、そして各取り組みの一層の推進を求めて、私の質疑とさせていただきます。

○神林委員 私の方では、十年先を見据えた住宅政策の展開ということについてお伺いいたします。
 この新たな住宅マスタープランは、今後の東京都における住宅政策の基本的な計画として策定されるものですが、住宅は、衣食住といわれるように、都民生活の最も基本となるものでございます。
 また、東京の活力と魅力を向上させ、ますます激化していく国際都市間競争を勝ち抜いていく上で、住居環境の整備向上は非常に重要な要素であると考えております。そうした認識のもとで質問をいたします。
 今回の住宅マスタープランは第五次の策定ということですが、新たなマスタープランの策定は、これまでの成果の検証の上、行われているものと思います。
 まず、これまでのマスタープランについてその実績と成果をお伺いいたします。

○香山住宅政策担当部長 マスタープランの実績と成果についてでございます。
 東京都住宅マスタープランは、平成三年七月に第一回の策定が行われ、その後、おおむね五年ごとに見直しを行い、これまで四次にわたり策定してまいりました。
 このうち、第三次マスタープランにおきまして、それまでの公的住宅の新規供給を中心とする住宅政策から、ストックの活用や市場の整備を重視する住宅施策に大きく方向転換がなされました。
 その後、都営住宅ストックを活用し、民間事業者を誘導するプロジェクトにより、高齢者福祉施設の整備、子育て支援機能の誘導、木密地域の整備改善などに取り組んでまいりました。
 また、分譲マンションの管理適正化、戸建て住宅の省エネリフォーム推進、民間賃貸住宅における紛争防止など、民間住宅市場の整備等にも取り組んでまいりました。
 これらの取り組みを通じまして、ストックの活用や市場の整備を進めてまいったものでございます。

○神林委員 これまでに供給蓄積された住宅ストックを背景に、直接供給を中心とする住宅政策から、ストック重視、市場重視の住宅政策に大きく転換してきたということでございます。
 今もお話がありましたけれども、さて、変化の時代といわれる現在、マスタープランの計画期間である十年の間には、社会経済情勢が大きく変化していくものと考えられます。
 社会の高齢化は急速に進んでおります。十年後には、都内の六十五歳以上の高齢者は、現在に比べて五十万人以上増加することが予測されております。また、少子化の進行により、東京においても、十年後には全体の人口が減少に転じるといわれております。
 一方、地球温暖化や都市のヒートアイランド現象を食いとめる必要性も増大していくと考えられ、住宅についても、短期間で壊してはつくり、あるいは市街地を拡大しながら右肩上がりでつくり続けるのではなく、これまでに蓄積されたストックを有効に活用していくことが、より求められるようになると考えられております。
 さらに、先ほどもちょっと質問でございましたけれども、昨年発生した東日本大震災の経験により、東京の都市の防災上の弱点が浮き彫りとなりましたが、こうした弱点を早急に克服し、防災面でもすぐれた安心できる住環境を整えていく必要がございます。
 まさに成長のステージから成熟のステージへの転換点に立っている東京において、十年後の都民のライフスタイルの変化を見定めながら、課題を先読みし、豊かな住生活が築かれていく住宅政策を展開していく必要があると考えております。
 そこで、新たな住宅マスタープランを策定するに当たって、都としてのこうした課題への認識と、それを踏まえた今後の住宅政策の基本的な考え方を伺います。

○香山住宅政策担当部長 今後の住宅政策の基本的な考え方でございますが、まず、従来から住宅に求められてきた単体としての住宅の質の向上に加え、高度な防災機能など市街地の構成要素としての質や都民の生活を地域、社会の中で支えていく観点からの住まいの質の向上が求められております。
 また、これまで蓄積されたストックが、更新時期を迎えている中で、既存の住宅、住宅市街地を適切に維持管理、更新、再生することにより、資産として将来世代に継承していくことが必要でございます。
 さらに、企業、地域ボランティア、NPOなど多様な主体が市場においてそれぞれの役割を果たしつつ、都民が安心して住宅取引を行える市場へと誘導していくことが重要であるとともに、こうした多様な主体や福祉、医療、雇用などの分野とも連携し、さまざまな世帯に適切に対応できる住宅セーフティーネットの確立が必要でございます。
 今後の住宅政策においては、こうした視点に立ち、都民の高度な安全が確保され、かつ充実した住生活を送ることができる居住の実現を目指し、施策を展開してまいります。

○神林委員 今まで総体的なお話を聞いてまいりましたけれども、これより個別的なお話にちょっと移らせていただきます。
 東京の住宅の大きな特徴として、約四割もの多くの都民がマンションに暮らしているということが挙げられると思います。また、東京には早くからマンションが立地していたこともあり、まち中には古くなったマンションも多く見受けられております。
 これらのマンションについての十年後の姿を考えたとき、老朽化が一層進み、また住居者の高齢化も並行して進んでいくことから、適正な管理が行われなかった場合にはマンションの老朽化に拍車をかけ、居住環境だけでなく、周辺の住環境にも大きな影響を与えることにもなりかねません。
 修繕や建てかえに向けた計画的な資金の積み上げなども含め、マンションの適切な管理誘導について、都としてどのように考えているのかお伺いいたします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 今後、さらに、建築後相当の年数を経過したマンションが増加していく状況の中で、マンションの適切な管理や再生に向け誘導していくことが重要であると考えております。
 都はこれまでも、マンション管理ガイドラインの作成、セミナーの開催やアドバイザーの派遣などにより、マンション管理組合の主体的な取り組みを誘導してまいりました。
 国におきましても、本年一月、マンションの新たな管理ルールに関する検討会を設置し、検討を始めたことから、今後そうした動向も踏まえながら、マンション関係団体や専門家、管理組合などのご意見をお聞きし、現実に即した適正な管理のあり方を検討し、マンション管理ガイドラインを充実するなど、管理組合による適切な管理を誘導してまいります。

○神林委員 今ご説明いただきましたけれども、つまるところは、マンションの修繕とか建てかえを含めて適正な管理を行っていくためには、最終的には十分な資金が確保できているかどうかによってしまうものですから、マンション対策の実効性を上げていくためには、資金計画や融資などについてもぜひ検討を進めていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、十年後の住宅政策を考えたとき、ふえ続ける高齢者に対して、どのように安心して暮らしを提供していくことができるのかということは、大変大きな課題でもございます。
 都は、緊急時対応や安否確認サービスのついたサービスつき高齢者向け住宅の供給を促進していくこととしています。このことは、ひとり暮らしの高齢者などが安心して居住できる住まいであり、積極的に供給促進を図っていただきたいと思っております。
 一方、十年後には七十五歳以上の後期高齢者が前期高齢者の数を上回るとともに、要介護認定者がふえ続けていくことが見込まれております。こうしたさらなる高齢化の進展を踏まえると、安否確認や食事などのサービスに加えて、より手厚いケアが受けられる住宅もふやしていくことが必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 高齢化が急速に進行する中、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことに加え、多様なニーズに応じた居住の場を選択できるようにすることは重要でございます。
 そのため、従来のサービスつき高齢者向け住宅の建設費の補助に加え、医療施設や介護事業所を併設する住宅につきましては、新たに来年度から都単独の補助加算を行うことといたしました。
 これによりまして、高齢者が要介護や医療を要する状態になりましても、二十四時間安心して暮らすことができる住まいを誘発することが可能になると考えております。
 今後も、福祉保健局と連携を図りながら、高齢者の居住の安定確保に努めてまいります。

○神林委員 今、最後にご答弁がありましたけれどもね、福祉保健局との連携、こういうものもしっかりとしていただければと思っております。
 次に近年、核家族化、単身世帯の増加など、家族構成の変化や少子高齢化の進展などにより、支援を必要とする人の生活を地域、社会で支えていく住まいと仕組みが必要になっていることが、素案にも示されておりますけれども、この傾向は今後さらに強まっていくものと思います。
 こうした社会の変化に対応し、高齢者介護や子育て支援などの地域におけるサポート活動を行っていくためには、区市などの行政が提供する福祉サービスに加えて、地域に根差したボランティアやNPOなど、多様な主体によるきめ細かいサービスを提供することが必要になると考えております。私も本会議やあるいは委員会の質問等で、この問題については何点か触れさせていただいております。
 都営住宅の建てかえに際しても、敷地を有効活用し、スペースを確保して、福祉施設の整備とともに、こうしたボランティアやNPOの活用拠点をあわせて整備することが重要であると考えますが、見解を伺います。

○瀧本都営住宅経営部長 都営住宅の建てかえに際しましては、バリアフリー化を図るとともに敷地の有効利用を図り、地域のニーズに対応した福祉施設等の整備を進めることが重要でございまして、これまでも地元区市と連携し、高齢者在宅サービスセンターや認知症高齢者グループホーム、高齢者福祉センター等の高齢者福祉施設や保育所、学童クラブ等の子育て支援施設の整備を行ってまいりました。
 ご指摘のございましたとおり、今後、よりきめ細かい福祉サービスを提供していく上では、公的主体だけではなくNPOやボランティア、民間事業者など多様な主体による活動が行われることが重要であると考えてございます。
 今後、NPO等の活動が円滑に行われるよう、区市と連携いたしまして、都営住宅の建てかえを実施する際に、都といたしましても積極的に取り組んでまいります。

○神林委員 実態を申し上げますと、資金のないボランティアとかNPOなどは、やはり基本的に活動する拠点というものが一応重要になってきて、不可欠なものなんですよね。ですから、実効性を上げるために、当初、モデル事業か何らかの形で、まず実施して、そういった形態が進むように、ぜひ強く私の方でも要望させていただきたいと思っております。
 次に、こうした用地のまちづくりへの活用など、公共住宅が地域において果たす責務は重要であるとともに、公共住宅としての役割を踏まえた運用が必要でございます。
 都営住宅には、公共賃貸住宅であり、特定の世帯が永住するのではなく、住宅に困窮する低所得の都民に対して公平に供給されなければなりません。高額所得者や家賃滞納者など、公共住宅の供給の趣旨に沿わない居住者への粛然とした対応も必要でございます。
 都民共有の貴重な財産としての都営住宅の役割を十分果たすために、利用機会の公平性を確保し、管理の適正化を図るべきと考えますが、取り組みについて伺います。

○笹沼経営改革担当部長 都営住宅につきましては、住宅に困窮する都民の居住の安定を確保する役割を担っており、公平かつ的確に供給する必要があると認識しております。
 こうした観点に立ちまして、子育て世帯に対する期限つき入居募集の実施や使用承継の範囲の見直しなどにより、公平な入居機会の確保を図りますとともに、高額所得の居住者に対する明け渡しの請求や住宅使用料の滞納者への法的措置を含む厳正な対処など、管理の適正化に努めております。
 今後とも、こうした対応によりまして、都営住宅の公平かつ的確な供給に取り組んでまいります。

○神林委員 今、私の質問した趣旨というのは、公共住宅の本来の責務ですとか役割は何なのかということをしっかり認識していただいて、対応していただきたい、こういうことでございますので、お願いをしたいと思います。
 次に、公共住宅においては、居住者が費用負担しなくても、計画的な修繕や耐震化を含めたリフォームなどが行われます。一方で民間住宅や個人住宅では、修繕やリフォームはみずからが負担して行わなければならず、そうした負担感もあることから、結果としてなかなか広がってまいりません。
 東京の住宅全体の底上げを図っていくためには、民間住宅での修繕やリフォームを進める工夫が必要だと思います。民間住宅や個人住宅にお住まいの方が行う修繕やリフォームを促進するための取り組みを伺います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 お話しのとおり、民間住宅での修繕やリフォームを促進することが重要であると認識しております。
 特に、民間住宅につきましては、公的住宅と相違し、リフォームを行うに当たっての環境整備に力を入れることが重要でございます。
 都はこれまで、民間住宅のリフォームにつきまして、耐震改修やマンション共用部分を対象とした改良工事への助成を行うことや相談窓口の設置やリフォームガイドブックにより、適切なリフォーム工事を進めるための情報提供や普及啓発を行っております。
 リフォームには、耐震改修や省エネリフォームがあり、そこで機をとらえて同時にリフォームを実施することは、費用や工期等において負担が少なく効果的であると考えます。
 都民が安心して身近な地域の工務店に工事を依頼できるよう、住宅生産事業者が参加する耐震化や省エネ化をテーマとした技術講習会での普及啓発など、さまざまな機会をとらえて、区市町村や関係団体の協力も得ながら、民間住宅におけるリフォームを促進してまいります。

○神林委員 ご答弁いただいた中で、身近な地域の工務店に工事を依頼できるようにというようなお話がございましたけれども、これは東京の経済政策にも通ずるものでございますので、ぜひ活発にお願いしたいと存じます。
 次に、都内に七十五万戸も存在する空き家について伺います。
 この空き家の積極的な活用については、後ほど我が党の遠藤先生の方にご質問をお譲りしまして、私からは、防災の観点からの空き家の活用についてお尋ねいたします。
 東京で三十年以内に大地震が発生する確率は、いろいろ諸説あるようでございますが、七〇%といわれましたけれども、東日本大震災による影響でさらにこの確率が高まっているのではないかと東大の地震研究所が発表するなど、大地震発生の逼迫性は非常に高くなっております。
 東京のような大都市で大地震が発生した場合、極めて多くの避難者が発生し、大量の応急仮設住宅を早急に用意する必要が生じると考えられます。そのような場合に、東京に大量に存在している民間住宅の空き家を活用することが有効だと考えられますが、民間事業者との連携など、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○鈴木住宅政策推進部長 都におきましては、平成十四年に、震災時における民間賃貸住宅の提供に関する協定を、東京都宅地建物取引業協会、全日本不動産協会東京都本部及び東京共同住宅協会と締結しております。
 この協定は、都におきまして震災が発生した場合に、おおむね一万戸の民間賃貸住宅を確保することを目標に、空き家など利用可能な住宅についての情報提供や住宅提供の協力について取り決めたものでございます。この協定に基づきまして、ご協力をいただける宅地建物取引業者の方あるいは家主の方など、各団体の会員の登録を行っております。
 また、東日本大震災におきましては、被災県の意向を踏まえながら、これらの団体の協力をいただきまして、都が民間賃貸住宅を借り上げ、応急仮設住宅として避難者の方々の受け入れを行ったところでございます。
 今後は、東日本大震災の教訓も踏まえながら、震災時における民間賃貸住宅の活用について、一層の充実を図ってまいります。

○神林委員 最後でございますけれども、住宅は人々の生活の基礎となるものであり、仕事や地域活動への活力の源となる最も重要な要素でございます。
 都民の皆さんそれぞれが、十年後のライフ設計において夢と希望を持つことができる、そういった住宅政策を展開していただきたいということを期待申し上げ、私の質問を終わります。

○谷村委員 それでは、報告事項でございます東京都住宅マスタープラン素案につきまして、質問をさせていただきます。
 私ども公明党は、今回の本定例会の代表質問で、住宅政策としてかなり具体的に踏み込んだ主張もさせていただきました。この代表質問を迎えるまで、都市整備局の皆様にもご協力をいただきまして、都議会公明党の住宅政策プロジェクトチームにおけるさまざまな調査にもご協力をいただきましたことを、まずもって感謝を申し上げる次第でございます。
 政策について、時には論議にもなったり、さまざまな資料をご提供いただいたりということになりましたけれども、その代表質問で私ども公明党は、結論的には住宅局の復活をしていただきたいと、このような要望も、最後には質問もしたわけですけれども、組織改編の問題ですので、該当局というよりも総務局長がお答えになりました。平成十六年四月に都市計画局とそれから当時の住宅局が一緒になって、都市整備局という新しい再編統合された組織体でスタートしているわけでございます。しかしその結果として、都の住宅政策というものが新たな時代への転換に対応していくのに、ちょっと体制としては難しいのではないかという趣旨も込めて、この住宅局の復活を求めたわけでございます。
 この点につきまして何かご感想をいただけるようであれば、まずお願いしたいと思います。

○田崎総務部長 現在、先生から住宅局の復活をというお話のご質問でございます。これは組織の問題でございましたので、総務局長が一たんご答弁を申し上げております。
 それで、私どももなかなかその範囲を超えてというご答弁、申し上げにくいんですが、私どもとしても、やはり十六年四月に、先生ご指摘のように住宅局それから都市計画局、それから建設局さんの一部、これも入れて現在の都市整備局をつくらせていただいて、特に、今、ご質問ありました住宅部門につきましては、その中で二つの部、住宅政策推進部、それから都営住宅経営部、二つの部合わせて九つの課、それから、営繕あるいは建設担当など六名の担当部長を置かせていただいてですね、確かに住宅局は、局名としては都市整備局の中に入ったわけでございますが、住宅局が持っておりました課題につきましては、できる限りきちんと対応できる体制を組んで進めてきたところでございます。
 ただ一方、きょう、今先生からお話のございました住宅行政の中では、社会経済情勢の変化の中でセーフティーネットの機能を強化すべきであるという議論が強く求められるなど、多くの課題が出ていることも認識してございます。
 そのため、答弁としては大きな枠を超えるわけにはまいりませんが、十六年四月に現在設けている組織を、まず最大限に生かして、直面している課題に、今の組織を生かしつつもできるだけ迅速に対応させていただくよう進めていきたい、それから、今後の展開に合わせて、また組織のあり方をその中で検証を進めてまいりたい、そのように考えてございます。

○谷村委員 ありがとうございます。本会議での答弁は総務局長が立たれましたけれども、平成十六年四月から七年が経過しております。その際の総務局長答弁では、再編統合した局のメリットを最大限に生かしつつ、今後も直面する課題により、今、総務部長がおっしゃったような、迅速かつそういうふうに取り組んでいくというお話がございましたけれども、この新たな都市整備局ができた、住宅行政という視点からにおける都市整備局ができたメリットというのは、総務局長が答えておりますけれども、具体的に何を指しているのか、どういうことがいえるのかということについて確認をさせていただきたいと思います。

○田崎総務部長 こちらは当時、組織の再編のときに、これは総務局の方で多分ご説明をされたのではないかと考えてございますが、大きなそのまちづくりの権限を持っている都市整備局と、それから住宅局が一緒になることで、例えば都営住宅の建てかえ等の場合に、現在も地元の区とご相談をさせて、建てかえ時いろんな道路のつけ方ですとか、あるいは実際の都営住宅の建設に当たって、地域の皆さんと一緒になって、都営住宅をいい形で再度そこに建てかえていくという意味で、まちづくりの視点から一緒になった住宅政策を進めていくという視点が、大きなメリットではないかと考えてございます。

○谷村委員 きょう私が質問させていただく趣旨は、その住宅政策というものが、まちづくりの視点の中にのみ位置づけられているようなきらいがありまして、特に都営住宅の再編整備については、住宅政策というよりも、まちづくりという大きな枠の中でのみ、再編が進められようとしている、あるいはこの七年間進められてきたのではないかということでございまして、メリットは裏を返せばどんなことでもデメリットになるのでしょうけれども、そういう角度でちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回、報告事項として出されております住宅マスタープランの素案と、それから住宅政策審議会の答申、これの関係性といいますか、位置づけというのはどのようなものになるでしょうか。いわゆる、わかりやすくいいましたら、住政審でのものというのはすべて反映されるものなのか、あるいは住政審で取り上げられていないことはマスタープランには反映されていないのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 住政審と今回お示しいたしましたマスタープランとの関係でございます。
 住宅政策審議会につきましては、一昨年六月、知事より諮問を行いまして、それから約一年半をかけまして、今後の住宅政策のあり方についてご審議をいただきました。昨年十一月には答申という形で、今後の住宅政策の大きな方向性を示していただいております。
 現在作成しております住宅マスタープラン素案につきましては、この住政審での議論を最大限尊重しつつ、行政計画としての住宅マスタープラン、これを都民からのご意見、また関係区市町村とのご意見等と調整しながら、策定をしているものでございます。

○谷村委員 では、もう少し端的にお伺いいたしますけれども、住政審で議論されていないことが、このマスタープランの中に内容として、あるいは政策として盛り込まれるということはあるのでしょうか、ないのでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 ご承知のように、住宅政策審議会におきましては、学識経験者の方々あるいは関係する区市町村の方々、関係業界の方々含めて、大きな住宅政策の方向性についてご議論をいただいたものと理解しております。
 一方で、住宅マスタープラン、これにつきましては、今後十年間の行政計画としてのマスタープランでございますので、その大きな方向については、住宅政策審議会の方針を最大限尊重しつつ、具体の施策については、必ずしも審議会で個別に取り上げられていない面についても言及しているものもございます。

○谷村委員 済みません、端的にお答えいただきましてありがとうございます。
 それではちょっとストレートにお伺いしたいと思いますけれども、マスタープラン素案の八九ページに出ております、引き続き管理戸数を抑制していると。抑制というふうになっておりますけれども、これは住政審で議論されたのでしょうか。あるいはされなくて、されていないで、都市整備局の住宅政策の方向性として記載されたのか。この点についてお答えいただきたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 住宅政策審議会の答申におきましても、公共住宅ストックの有効活用という項目を設けまして、公共住宅についてご議論をいただいてございます。
 この中では、公共住宅ストックの適切な維持更新を図り、公共住宅ストックの都市づくりでの有効活用を図っていくことが重要であること、また、ストックの再編や活用等に関する方針を作成し、有効活用していくべきこと等が言及されてございます。

○谷村委員 済みません、ですから、都営住宅の管理戸数を引き続き抑制するということについては、住宅政策審議会ではご議論があったのでしょうか。なかったのでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 お答えいたします。
 審議会答申におきまして、供給戸数そのものについては言及されておりません。

○谷村委員 ありがとうございます。
 この住宅マスタープランにおいて、供給あるいは都営住宅の管理戸数、これを抑制するというふうな表現が出てくるのは、第三次マスタープラン、十四年二月に策定されたものですけれども、この際にも住宅政策審議会で議論された形跡はないんですね。で、石原都知事の公的な発言等も確認いたしましたところ、確認できる範囲ではそういうことの言及はないわけで、この都営住宅の管理戸数の抑制というのは、だれがどこで検討してお決めになっているのか。あるいはこの住宅マスタープランに記載されていらっしゃるのか。教えていただければと思います。

○香山住宅政策担当部長 平成十三年五月に出されました東京都住宅政策審議会答申、いわゆる住宅政策のビッグバン答申でございますが、この中では、公共住宅の直接供給から、民間の活力や賃貸住宅を活用した手法にシフトし、都営住宅については将来の余剰ストックとなる事態を回避するため、既存ストックを有効活用し対応していくことを基本とすべきという答申がなされております。
 この答申を受ける形で、平成十四年二月に策定されました東京都住宅マスタープランにおきまして、都営住宅については、現在あるストックの維持管理に重点を移し、供給、管理戸数を抑制していくということが明らかにされております。

○谷村委員 住宅ストックを供給していく、しっかり活用していくということと、管理戸数を抑制するというのは、必ずしもイコールにはならないと思います。
 今お話がありました十四年二月に策定された住宅マスタープランの中では、都営住宅の管理戸数の抑制という項目立てをして、東京の人口について予測を立てています。二〇一〇年、平成二十二年をピークに減少過程に入り、世帯数も二〇一〇年、平成二十二年には横ばいとなり、二〇一五年、平成二十七年以降は減少していくと見込まれています、云々とあるわけですね。
 「十年後の東京」も、二〇一六年には東京都の人口は減少していくという見込みで、さまざまな東京都のプラン、計画等を立てましたけれども、今は「二〇二〇年の東京」では、二〇二〇年までは人口は伸びていくというようなこともあるわけでございまして、最初に、その住宅マスタープランで都営住宅の管理戸数の抑制をしていくというふうに決められたというか、記載された際の人口の増減に関する移動というのは必ずしも正しかったわけではないともいえるわけでございまして、今お答えいただきましたけれども、都営住宅のストックを活用していくことと、それから都営住宅の管理戸数を抑制するということは全く、似ているようですけれども同じではないということを申し上げておきたいと思います。
 そして、このマスタープランの三三ページの中に、住宅の需要側と、また供給主体のことについて触れられておりますけれども、住宅供給主体についても、戦後から高度経済成長期にかけての住宅不足の時代において、都や区市町村、東京都住宅供給公社、旧日本住宅公団、現在の都市再生機構など、公的主体がファミリー向け賃貸住宅などの住宅供給における主要な役割を担い、住宅の質や仕様の水準を高め、地域における防災性を備えた豊かな住環境を形成する上でも重要な役割を負っていましたが、近年では、こうした公的主体による新規の住宅供給は少なくなり、かわって民間の事業主体が住宅供給の中心的役割を担うようになっていますというこの最後の三行ですけれども、近年ではこうした公的主体による新規の住宅供給は少なくなり、かわって民間の事業主体が住宅供給の中心的役割を担うようになっていますと、まるで人ごとのように書いてあるわけです。
 これは、東京都が書いたわけですよね、住宅マスタープランというのは。ちょっとこうした第三者的ではなくて、第一人称としてこうしたことはここには書かれていないわけでして、この都営住宅の管理戸数抑制というスタンスと、何かあたかも民間の事業主体が中心的役割になっているから、公的主体による新規の住宅供給が少なくなっているんだということの、この一人称と客観的な評価というものがちょっと非常に混同されている面があるわけです。
 その同じページの上に、約七十五万戸空き家住宅があるとありますけれども、例えばこれを賃貸にした場合、あるいは売却した場合の価格帯というのは、掌握されているんでしょうか。こういう七十五万戸の住宅があるから、都営住宅の管理戸数というのは抑制するべきなんだと、あるいはわかりやすくいえば、東京都は住宅余りの状況なんだという話の中で、よくこの七十五万戸が空き家という数字が出てきますけれども、実際に活用できるのか、例えば賃貸にする場合だったら幾らぐらいの賃貸価格のようなものになる、あるいは売却する場合だったら、これだけの中古住宅として販売できるというようなことは掌握はされているんでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 現在、七十五万戸の空き家でございますが、これは最新の住宅、土地統計調査による集計でございます。
 この空き家といわれるものの中には、多くは分譲用あるいは賃貸用で市場にさらされているものもございます。こうしたものに加えて、老朽化、破損などによって使用ができないというものも相当数ございます。
 現在、市場には出回らずなおかつ使用可能な住宅というものについては、約十万戸ではないかというふうに考えて推計してございます。

○谷村委員 で、七十五万戸が空き家、空き家といっても今お話にいわれたのは、八八ページに書かれている内容を今ご答弁いただいたんだと思いますけれども、この活用可能と考えられる腐朽、破損のない空き家のうち、全く利用されていないと考えられる空き家が都内で十万戸近くあると。こういう空き家の保有コストのあり方云々とかあるわけですけれども、ではこの十万戸の空き家が、賃貸した場合は大体幾らぐらいの価格として提供され、所得層でいうとどういう所得層に提供できる数があるのかというのは掌握されているんでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 十万戸あるいは七十五万戸という数字でございますが、これは住宅、土地統計調査等に基づく統計データとして把握してございます。
 個別にその十万戸がどういう家賃分布、あるいはもちろん持ち家もございますので、どういう規模ということについては、今この場では詳細にはちょっとお答えできかねますが、今後、住宅、土地統計調査等を行う機会もございますので、そういった機会を通じて把握してまいりたいと思います。

○谷村委員 平成十四年から出ておりますこの都営住宅の管理戸数を抑制するということについて、住宅余り状態だとずっと出てくるわけですけれども、じゃあ、実際に余っている住宅が、都営住宅の入居を希望している方のニーズにこたえることができるのかということについてはお答えがないんだなということを、今一点確認をさせていただきます。
 住宅が余っているから都営住宅をこれ以上ふやすことができない、じゃあ、ふやすことがないのであれば、都営住宅に入居しようと希望されている方が入る民間の住宅があるんですかと。必ずしもお答えが来ないわけですね。
 このような状況で、それで、かつていただきました家賃が七万円未満の住宅というので、今度価格帯がわかる資料をいただいておりますけれども、これが八十四万戸というふうに、まずデータとしていただきましたけれども、この家賃七万円未満の東京にある住宅八十四万戸というのは、住宅環境としてどのようなレベルのものなのかということについても、掌握されていらっしゃるかどうか、お尋ねをしたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 七万円以下の家賃の民間賃貸住宅は八十四万戸ございますということをご説明させていただきました。これも統計調査に基づいて分析しております。
 個別にその家賃、設備の状況、広さ等については、この場ではちょっと詳細にお答えできませんけれども、従前から住宅、土地統計調査等の機会を通じて、極力その実態を把握するように努めているところでございます。

○谷村委員 ですから、七万円以下の家賃の住宅が八十四万戸仮にあるとしても、その住宅の状況が、間取りだとか築年数だとか、あるいは住宅履歴というものがわからないで、一応七万円未満の家賃が八十四万戸あるんだと。片や、東京都では住宅が余っているんだと。質の面どうなのか、金額の面どうなのかということに対するその確認がなされないまま数字的なものだけを合わせて、これ以上都営住宅をふやすことはできませんと、管理戸数を抑制しなければならないという話に、全部確認をさせていただくとなっているわけであります。
 例えば、家賃三万円以下の民間賃貸住宅というのは、今の中でいうと約十万戸含まれているわけです。家賃三万円以下の住宅が十万戸あるんだから、都営住宅を希望する方はこの家賃三万円の中に入ればいいじゃないかという意味にも、このぐっと、いろいろ数値的な重ね合いをしてみると、そういうふうにも聞こえてくるわけですけれども、こうした住宅もカウントした上で、東京都の住宅は余っているのだから、都営住宅の管理戸数は抑制するべきなんだというお考えなのかどうかだけ、お答えいただけますでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用によりその施策を展開してまいりました。
 一方で、民間賃貸住宅との関係で申し上げますと、より公平な入居機会を確保するために、より困窮度の高い世帯が入居できるよう、ポイント方式による募集、あるいは子育て世帯が優先的に入居できる募集を実施するなど、都営住宅の適切な供給や管理の適正化に努めております。
 今後、社会経済情勢が変化していくことが予想されますが、引き続きその重要な役割を果たしていく都営住宅につきまして、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいりたいと考えています。

○谷村委員 ですから、平成十四年二月から都営住宅の管理戸数を抑制するというふうにずっと来ているわけですけれども、そのときの策定等の根拠の数、今回の住宅マスタープランの素案で出てくる数を、比較して、都営住宅は二十六万戸の管理抑制をするんだというふうに、どう見ても大丈夫だというふうにはならないんですね。
 ちなみに、現在の都営住宅の申込者数の状況というのはどんな感じになっていますでしょうか。

○瀧本都営住宅経営部長 今手元に細かい資料、ここに見ておりますけれども、毎年、空き家募集全体で七千戸から八千戸程度を募集しておりまして、その中で、世帯向けとしましては大体三十倍程度の応募がございます。それから、単身向けでは六十倍程度の応募倍率があるという状況でございます。

○谷村委員 今のお答えを、数値にすると、世帯向けは大体五万から五万数千人の方が抽せん方式による募集、単身者向けになりますと大体一万から一万五千、ポイント式による募集というのが一万五千人から一万七千人、年間では二十万人、当たらないからそうなるんだと思いますけれども、こういう数の方々が都営住宅を必要とされているわけですね。
 で、必要とされているけれども、あいている住宅があるからいいじゃないかというわけです。じゃあ、あいている住宅が、いざ賃貸として貸される場合は幾らぐらいになるのかということも余り明らかになっていない。あるいは安い家賃の住宅があると、じゃあ、それがどういう住宅環境になっているのかも明らかではないと。
 こういう状況下で、一応念のためにもう一回確認させていただきますけれども、なぜ都営住宅の管理戸数というのは抑制されるのでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 現在、公営住宅については、住宅に困窮する低額所得者の都民の方々を対象にその供給を行ってございます。
 このうち、現在都内で、公営も含めてですけれども、賃貸住宅に居住される方々は約百九万世帯と考えてございます。
 一方で、先ほど議員のご指摘がございましたけれども、七万円未満の民間賃貸住宅は約八十四万戸と推定しております。これに加えまして、区市町村営住宅と都営住宅、約二十八万戸ございます。
 住宅政策におきましては、これら全体で、民間賃貸住宅を含めました全体のストックを活用しながら、住宅に困窮する都民の方々の居住の安定確保を図ることが重要かと考えてございます。

○谷村委員 ですから、そういうご答弁をされると、じゃあ、この八十四万戸の民間賃貸住宅の状況はどうなんですかという話に戻るわけです。七十五万戸あいているけれども、じゃあ、どういう価格帯になるんですか。家賃七万円未満の住宅があるけれども、住環境どうなんですかと。三万円未満の住宅が十万戸あると。そういうところに吸収されるべきなのかという話になるので、もうこれ以上繰り返しませんけれども、その都営住宅の管理戸数を抑制するということについて、平成十四年から繰り返し、だれがどこで議論をして、数字的にはどういう根拠でお決めになっているのかというのは、極めてあいまい、不明朗であるということをちょっと確認させていただきたいと思います。
 次に、これはお名前は申し上げませんけれども、住宅政策審議会の委員、今回の住宅マスタープランの答申、住政審の中にお名前が入っている方が、ある場所でこういうふうにおっしゃっていたんですね。都営住宅の建てかえによって創出される空地には、タックスイーターではなくタックスペイヤーを受け入れていきたいと--タックスイーター、イートだから食べるということですね。税金をどんどん吸収してしまう人ではなく、タックスペイヤー、税金を払えるぐらいの所得の人に入ってもらいたいと。都営住宅を建てかえると空地が創出されます。その空地にはタックスイーター、税金を食べてしまうような人ではなくて、税金を払ってもらうような人に入ってもらいたいという、これはある会合でおっしゃっていまして、たまたまそこにある都営住宅の自治会長がいらっしゃって、後で電話で、追いかけて随分抗議をしたというお話がありますけれども、こうした発言についてどのように思われますでしょうか。

○松井理事 都営住宅の建てかえと、そこで創出された用地の活用についての都の基本的な考え方でございますけれども、都営住宅は都民の住宅セーフティーネットの中核でありまして、住宅に困窮する都民を対象として、公営住宅法等に基づき整備し供給するものでございます。
 住宅セーフティーネット機能を適切に保持するためには、老朽化した都営住宅の建てかえを推進し、バリアフリー化された住宅に更新するとともに、ストックの維持管理を着実に行うことが必要でございます。
 公営住宅法におきましては、建てかえ事業により新たに整備する公営住宅の戸数は除却する戸数以上であることを原則としております。福祉施設等の併設を行う場合などは、従前居住者世帯に対応した住戸数を確保することという定めがございますけれども、基本的には、建てかえ事業により新たに整備する公営住宅の戸数は除却する戸数以上であることを原則としております。
 今後、都営住宅の建てかえを進めるに当たりましては、公営住宅法の規定ですとか、あるいは住宅マスタープランを踏まえまして、都民共有の財産である都営住宅ストックをより有効に活用する観点に立ちまして、住宅に困窮する都民の居住の安定確保を図るとともに、敷地の有効利用により、創出した用地につきましては、高齢者福祉施設や子育て支援施設などの生活支援機能の導入や木密地域の整備改善など、地域のまちづくりなどにも活用していくこととしております。

○谷村委員 ありがとうございます。
 こういう発言をするような人が住宅政策審議会の委員にいて、その住政審の答申を受けてこの住宅マスタープランができて、その住宅マスタープランの中に都営住宅の管理戸数を抑制するというようなことになっていると思うと、ちょっと唖然とするわけですけれども、ただ、実際に都営住宅を抱える基礎的自治体の中では、その入居基準の課題からいって、国保あるいは生保、介護といった大きな課題を抱えるわけでございます。でも、都営住宅を建てかえして、そこにできた空地に都営住宅を建てないのは、そういったことに対応するために担税力のある人に入ってもらって、それが新たなまちづくりになるんだというようなお考えがあるのかどうかだけ、お答えいただけませんでしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 私どもは、都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットの中核として重要な役割を果たしているというふうに考えておりますので、都営住宅の建てかえに当たって、まず住宅に困窮する都民の居住の安定を図るということがございます。
 そして、敷地の有効活用を図って、生み出された用地については、高齢者施設ですとか子育て支援施設といった生活支援機能の導入、あるいは木密地域の整備改善等の高度防災都市づくり、こういったものに活用していくということとしております。

○谷村委員 東京都が住宅政策を進めて、それを受け入れるのは基礎的自治体、区であったり市町村であったりするわけですけれども、入居者数の状況によってはその負担が重く基礎的自治体にのしかかっているという状況はあると否めない面もあると思います。
 都としても、今後、こうした東京都の政策として都営住宅をしっかり抱えてくださっている基礎的自治体、市区町村に対して、何らかの支援策というのも検討するべきときにきているのではないかということだけ、申し上げておきたいと思います。
 で、ちょっと話題を変えたいと思いますが、三〇ページに、都営住宅の建てかえによって創出された空地に、これが第一号になるというのも書いてあると思いますけれども、東村山市本町地区プロジェクトを通じた低廉で良質な住宅供給というのが、この社会経済情勢の変化に即した住宅のあり方の中で触れられております。
 これは、三割安い住宅を提供する、東京都の住宅建築費というのは全国平均に比べて二割高い、それを三割下げることの実証実験をするというふうに、これは石原知事が公の場で発言されて、そして実証実験として行われた経緯があります。
 この東村山市本町プロジェクトが実証実験として行われて、成功したのか、あるいは成功じゃなかったのかということは余り語られていないわけですけれども、この三割安という低廉な住宅、あるいは良質な住宅を提供するということについてお伺いしたいと思います。まず、この三割安というのは、実際に実証実験としてできて成功だったのでしょうか。どうだったんでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 ご指摘の実証実験でございますが、建築本体の価格を当時の都内の平均よりも三割程度安く、つまり、当時の都内の平均坪単価が、住宅金融公庫の規模規格調査における東京都下個人住宅建設融資の平均建築単価である七十二万円の三割程度安く、坪単価五十万円以下に抑えるという条件のもとで、さらに質の向上や一層の価格低減を事業者に提案させ、実現したものでございます。
 一定の目的は達成したものと考えてございます。

○谷村委員 しかし、ということを申し上げたら本当に恐縮なんですが、実際には五十万円を超える、今おっしゃった部分だけで申し上げますと、第一期から第七期までの建物本体工事費の坪単価の推移を見ますと、第一期は五十万を切っておりますけれども、それ以降は五十二万、五十三万、五十四万、五十四万、五十万、五十五万と、超えているわけですね。
 これは全体の建築費とか資材コストが上がるので、全体も上がれば三割安という意味では上がるから、それは仕方ない面があると思うんですけれども、住宅マスタープランの二二ページに、この建築費の増減のグラフが出ております。これによりますと、建築費の推移は一九九一年、平成三年に、これは平米単位ですけれども、二十四万二千円まで上昇したけれども、二〇〇一年には平米十八万二千円に下がったと。しかしまた二〇〇九年、平成二十一年に向かって二十一万三千円まで上がっているという表記になっているんですね。
 これを坪単価で換算しますと、一番高くなっているといわれる二十一年の坪単価というのは七十万三千円ぐらいになると思うんです。その二十一年になる前の第七期は、平成二十年十月に建築費として出ておりますけれども、このときの計算が七十九・四万円を基準にして、その三割安というのが五十五万六千円だったので、四十万から五十五万円の価格帯で販売していると。
 この数字でいくと、今申し上げた坪七十万というのは平成二十一年のものですので、その前の二十年からもう少しちょっと下がるわけですけれども、実際に二十一年の上がった坪単価でやっても、この五十五万六千円というのは三割安にはなっていないんですね。計算してみると二割安程度だったんです。
 こうしたことも踏まえて、事業者に確認すると、決して安くできたわけではないということを漏らしている方もいらっしゃいました。この三割安というのは、本当に実証実験として成功したのでしょうか。もう一回確認をさせていただきたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 ご指摘のマスタープランの統計でございますけれども、これは建築統計年報に基づいて算出したものでございます。一方で、当時の実証実験を行った際に使用いたしましたものは、当時の住宅金融公庫の調査結果の単価をもとにしてございます。実態として融資をされたものでございます。
 一方で、この実証実験におきましては、住宅金融公庫の融資の対象となる住宅と等価な住宅の質というものを求めておりますので、実際に都内で建築された住宅と同様の質のものが、当時の住宅金融公庫に基づく単価の三割安程度で供給されることを考えてございます。

○谷村委員 この住宅マスタープランにこう建築費を出すわけですから、そのもとになされている実証実験ですので、基本的には三割安というふうに宣言される場合は、同じ資料を使ってされるべきではないかというふうに申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、質の面ですけれども、良質で低廉な住宅を供給したところは三社、四社あったようなんですけれども、この東村山市本町地区プロジェクトにまとめられた冊子を拝見しますと、これは各会社が書いたものをまとめられているものなんですが、必ずしも良質でないというふうに受けとめられるような表現が書かれているんです。
 例えば、木の香る家というところですが、五段階方式で数字がいいほうが評価が高い、数字が低いと悪いんです。高齢者等への配慮というところがあるんですけれども、ここの評価が五段階で一なんですね、みずからおっしゃっている。耐震等級についても、三段階で一であるというふうになっております。
 それから、これは東京新世紀住宅21世紀のふるさとというところの住宅居住性能も、同じように耐震等級というのが三段階で一、それから、高齢者等への配慮というのも五段階で一と。これは安くした、安いからどうだったかというのも評価は割れるとしても、けれどもその分を性能に、今一番求められている耐震化だとか、あるいは高齢者に対応した先取りをしなければいけない住宅の部分の評価が、最低評価で自己申告をされているわけです。この点についてはどのように受けとめられたのでしょうか。実証実験、本当に成功したのかという疑問を持つわけですけれども。

○鈴木住宅政策推進部長 本件につきましては、企業努力によりまして合理化を図ってコストダウンしたといった事業者もいれば、さまざまなノウハウを持ってコスト実現できたという事業者もいるかと思います。いずれにいたしましても、七期にわたって販売を行いましたけれども、私どもの課した質の面、質の確保の面、あるいは価格の面で条件をすべて満たしてきたということも、また事実でございます。
 この実証実験で得られたいろいろなノウハウ、例えば間取りの工夫ですとか、既製品の活用ですとか、あるいは工務店同士での材料の共同購入、こういった手法につきましては、地域工務店のための安くて質のよい家づくりの秘訣ですとか、あるいは地域工務店から消費者への情報提供の手引といったようなものに取りまとめて配布いたしますとともに、ホームページで公開いたしております。また、こうした手引等を活用しまして、事業者向けの講習会といったものも実施することができております。実証実験を行った住宅の見学会というものも開催しておりまして、さまざま、普及啓発に努めているところでございます。
 こうしたことができているというのも、一定の成果が得られたということではないかなというふうに考えております。

○谷村委員 ちょっと時間がもう過ぎたようですので、この同じ手法が東大和市向原地区プロジェクトでも行われるようですけれども、そこに並べる、そこに手を挙げてというか、落札された業者が同じような、東村山市本町プロジェクトで行われたような会社が名を連ねているようです。向原地区プロジェクトにおきましても、きちんと、低廉な価格等を標榜しているわけですので、それがどんな資料からアプローチしても実証されるような、そういう取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 最後に、再三にわたりましてお尋ねしましたけれども、住宅マスタープランで都営住宅の総戸数抑制の方針についてですけれども、都営住宅事業について、こういう総戸数抑制の方針が打たれる中で、どのように進めていかれるのかという点についてお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。

○瀧本都営住宅経営部長 少子高齢化が進行し、厳しい経済状況が続く中、住宅に困窮する世帯に対しまして都営住宅を的確に供給し、居住の安定を確保していくことは大変重要でございます。
 このため、都営住宅の建てかえを推進し、年齢や世帯構成に応じた良質な住宅の供給を図るとともに、子育て世帯の入居機会を拡大することなどによりまして、住宅セーフティーネットとしての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 また、既存の都営住宅について、居住者の高齢化が進行している状況を踏まえまして、エレベーターの設置に加え、またぎやすい高さの浴槽の設置など、きめ細かい取り組みを行うことにより、バリアフリー化を進めながら適切に維持活用を図るとともに、公平な入居機会の確保に向けまして、管理制度の改善を図ってまいります。
 建てかえに当たりましては、老朽化した住宅の更新とともに、道路、公園などの整備や緑の充実、保育所や高齢者施設の整備など、少子高齢化への対応、木密地域の整備改善などによる防災性の向上など、地域のまちづくりに寄与するとともに、東京の都市再生につなげてまいります。
 今後も、公営住宅法や住宅マスタープランを踏まえまして、以上のような取り組みを行いながら都営住宅事業を推進してまいります。

○大島委員 まず、今回の住宅マスタープランというのは、昨年起きた東日本大震災からの教訓を引き出して、東京都の住宅政策に生かし、高度な防災機能を備えた安全で安心な居住の実現が求められています。
 そこで、この住宅マスタープランをつくるに当たって検討を進めてきた住宅政策審議会の答申がどのように生かされているかということも、大変重要な問題と認識しています。
 今回、先ほど、耐震改修促進計画の改定というのもされるということで、次の委員会でこの議論はされるということなんですけれども、今回のこの住宅政策審議会の答申では、今後の住宅政策における取り組みに即して、重点的に講ずべき施策内容として、耐震化を進めるためにリフォームや建てかえに合わせた耐震化など、より効果的に進めるための方策、これを検討する必要があるというふうに提言をされています。
 こうした提言内容は具体的に盛り込むべきと思いますが、この住宅マスタープランにはどのように盛り込まれているのか、お聞きいたします。

○香山住宅政策担当部長 東京都では、これまでもリフォームに合わせた耐震改修につきまして、事業者や消費者に対するセミナーでの事例紹介や省エネリフォームガイドブックの配布などを通じまして、普及啓発を行っております。
 現在策定している東京都住宅マスタープランにおきましても、既存住宅のリフォームに関する相談体制といたしまして、都が財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターなどに設置している耐震化総合相談窓口の活用について記載しており、この窓口におきまして、リフォームの機会に合わせた耐震化に関する技術的な助言を行っております。
 今後とも、耐震化をより効果的に進めるため、リフォームに合わせた耐震改修の周知を図ってまいります。

○大島委員 この答申の中では、特にそのリフォームとか建てかえ、これが耐震化をするのに絶好の機会だと、また、そういうときにやることがより耐震化を進める、容易になるんだというような意味で書かれているというふうに理解しているんですが、今のご答弁では、こういったことについて普及啓発をするとか、技術的な助言とか、それから耐震改修を周知するというようなことが中心でありまして、実際にはこのリフォームや建てかえにあわせて具体的にどういうふうに支援していくのかということについては、今回のマスタープランの中には書かれていないということなんですね。
 また、この答申では、耐震性能を向上させる部分改修、それから段階的改修を耐震化として取り扱っている区もあると。そのような区市町村における先進的な取り組みに対する取り扱い方などを検討すべきであるというように書かれてあります。この点について、マスタープランにはどのように反映されているのか、お聞きいたします。

○香山住宅政策担当部長 現在策定を進めております東京都住宅マスタープラン素案におきましても、区市町村が行っている耐震化を促すための個別訪問や簡易耐震診断といった耐震化の先進的な取り組み事例を紹介することなどを通じまして、耐震化を推進するとしております。
 また、東京都といたしましては、建物全体として耐震性が確保される段階的改修への助成は行っておりますが、改修を行っても十分な耐震性が得られない部分改修への助成は考えておりません。
 今後とも、区市町村との適切な役割分担のもと、耐震化の促進に取り組んでまいります。

○大島委員 実際に先進的な取り組み事例の紹介とか、区市町村がやっている部分を、やっぱり東京都もより積極的に取り入れていくということが、どうしても必要だというふうに思うんですね。
 今度の促進計画の改定のところでも、また質問をさせていただこうとは思っておりますが、部分改修などについて、自治体でやられているというところがあるわけですから、そういうところからもぜひ教訓を引き出して、住宅マスタープランに反映させていただきたいなというふうに思っています。
 それでは、今、この整備地域における重要な都市計画道路の整備というのは一〇〇%達成する、こういうことをいっておりますけれども、公共住宅の耐震化促進では、おくれている都営住宅と公社住宅の耐震化率は、この目標で見ますと、二〇二〇年度までに九五%以上という目標値になっています。なぜ、一〇〇%という目標が持てないのか。私は一〇〇%にすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 昨年十二月に公表となりました「二〇二〇年の東京」におきましても、二〇二〇年度、平成三十二年度までに住宅の耐震化率を九五%以上に向上させるということとなっております。
 これにあわせまして、東京都住宅マスタープランの素案におきましても、都営住宅及び公社住宅につきまして、平成二十七年度までに耐震化率九〇%以上を達成し、平成三十二年度までに耐震化率九五%以上とすることを目標として、計画的に耐震化を進めるということとしております。

○大島委員 都営住宅とか公社住宅というのは、東京都が持っている住宅ですよね。ある意味自己責任ということでね、今耐震化促進なんかでは、自分の家を自分で改修するということは非常に重要なことで、そこへのさまざまな施策はありますよというようなことが説明されているんですけれども、今私が聞いたのは、そういう公営住宅、都営住宅を持っている、ある意味大家さんとしての東京都が何で一〇〇%という目標を持てないのかと。ここを聞いているんですね。九五%以上にするというのはここに書いてあるので、別に聞かなくたってわかる話なんですけれども、それを、今お答えいただけないかということで再度お聞きします。

○鈴木住宅政策推進部長 住宅について一〇〇%できないかというお尋ねでございますが、これは全体の、建築物全体の中で住宅をどうするかということで考えておりまして、私どもといたしましても重要なことということは考えてございますが、諸般、総合的にいろいろ勘案しまして、「二〇二〇年の東京」の耐震化率の目標に合わせているものでございます。

○大島委員 「二〇二〇年の東京」の目標値に合わせているというお話なんですけれども、でもこの都営住宅については、責任を持っているのはこの都市整備局じゃないかなというふうに私は思うんですね。それが東京都の二〇二〇年の目標値に合わせなければならないっていうのもおかしな話ですし、全体の耐震化率と合わせなければならないというのもおかしい話です。まず都営住宅に入っている方のことを考えれば、自分のところの耐震の診断を今やって、耐震があるというところはまだいいんですけれども、ないというところはいつ建てかえてくれるのか、いつ補強工事やってくれるのかって心配ですよね。
 ことし三月までまだ耐震については診断しているということで、全容は明らかになっていないんですけれども、それでも耐震化しなければならない住宅というのはかなりあるということで、むしろそちらの方が私は心配なんですね。そういう点で考えたら、都市整備局として、大家さんとしてのこの住宅をどうするのかというので、一〇〇%にするという目標がなぜ持てないのか。二〇二〇年に合わせるというんだったら、二〇二〇年のときに都営住宅は一〇〇%ですよといってしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 繰り返しになりますが、全体の建築物の全体の中で考えまして、そういう目標が定められているわけでございます。都営住宅、公社住宅につきましても、精いっぱいやっているわけでございますが、こういう目標ということでございますので、ご理解いただきたいと思います。

○大島委員 なかなか理解できないんですね。だって、やる気になればやれるというふうに私は思っているんですよね。どういうふうにやるかというのはまた別の問題ですけれども。
 全容が明らかになった上で、再度これについてはまた質問していきたいと思いますが、私は一〇〇%という目標にすべきだというように思っております。
 次に、子どもの安全確保とか保育サービスと連携した良質な子育て世帯向け住宅の供給に取り組むということが書かれています。これは非常に重要なことだというふうに私も思っています。今回このいただいた資料でも、この資料の1には、都内区市町村が実施している家賃助成制度の一覧がありますけれども、この中でも、千代田、新宿、文京、台東、目黒、渋谷、豊島、北区では、この少子化対策とか定住化対策のために子育て世帯へ何らかの家賃助成を実施しているんですね。東京都ではこうした家賃助成というのはありません。
 都営住宅において、また期限つき入居制度の実施等で若年世帯の入居の促進を図るということにして、期限つき入居を促進しようとしています。こうした若年ファミリー向けに期限つき入居制度をそのままにしておいて、子育て世代の居住者支援になるのでしょうか。非常に疑問に思うんですね。
 まず、小学校就学前の子どものいる世帯の入居収入基準の緩和とか優先入居の実施、こういうことについては歓迎しますが、公共住宅の利用機会の公平を確保するといって、期限つきですから十年たったら出ていかなければならないということになるんですね。そうすると、この十年という期間がですね、お子さんがどの程度のところまで成長しているかということは、そのとき入る、入居のときの年齢によって違うんですけれども、成人してひとり立ちしているという状況ではなくて、どちらかというと、まだ小学校や中学校に通っている。つまり転校の問題だとか、そういうことにもなってきますし、高校大学に通っている方がいらっしゃる時期だと一番お金のかかる時期に入ってくるんですね。それから、何よりも、子どもを通じて地域の皆さん方とようやくはぐくんだ地域のコミュニティから離れてしまうということにもなりかねません。
 子育て世帯の居住支援ということを考えるならば、こうした定期使用住宅の制度はやめるべきだと思います。少なくともですね、今もう既に入居されている方がいらっしゃるわけですから、こういう方たちについては再契約も可能にすべきではないかと考えますが、東京都の見解をお聞きします。

○笹沼経営改革担当部長 都営住宅におきましては、子育て世帯を支援する観点などから、若年ファミリー世帯向け等の期限つき入居を実施しております。
 この期限つき入居につきましては、制度導入当時の建設・住宅委員会の質疑においてご答弁申し上げたとおり、十年の期間が満了した時点において都営住宅の入居資格がある世帯に対しまして、希望により他の都営住宅をあっせんしております。
 今後も、子育て世帯の居住支援のため、若年ファミリー世帯向け等の期限つき入居を推進してまいります。

○大島委員 子育て世帯支援の観点からということなんですけれども、都営住宅の入居資格があれば、十年たっても、希望でほかの都営住宅をあっせんしますよということですが、でも、あっせんして入居させるんだったら、今のところにいさせたっていいんじゃないかと思うんですよ。その方が費用対効果から考えたってずっと能率もいいし効果もあると。先ほどいったコミュニティの問題やお子さんの転校の問題だとか、さまざまな問題を考えても、あと十年とか、再延長というのかな、契約の再延長をした方が、ほかの住宅に移ってくださいといわれてどこかに移されてしまうよりは、ずっとその方たち子育て世帯にとってはいい制度だというふうに私は思うんですね。
 ですから、この期限つき入居というのは、ぜひやめてもらいたいと思うんですが、きょういただいたこの資料の2を見てみますと、この最低居住面積水準未満の世帯の割合なんですけれども、都内全世帯で見て、そして都内子育て世帯というところで見て、ここを出していただきました。民間住宅では八・八%の割合でこの最低基準面積以下のところに、未満の世帯があるということなんですね。また、公共住宅でも一九・三%、まだこれだけあるわけなんですけれども、こうしたところで、より、二〇二〇年にはこれを解消するとなっているのかな、このマスタープランではね。
 ですからそういうことを考えると、せっかく都営住宅等に入った方たちを追い出す必要は全くないというふうに私は思っております。ぜひその点では、再度このことについては考えていただきたいというふうに思います。
 さらに高齢者向け住宅の供給促進とか、入居の支援というのも掲げられておりますが、これについてはどんな方策があるのかお伺いをいたします。
 また、高齢者に対する居住差別というのは結構根強くありまして、保証人が得られないという方もふえていて、このことで社会問題ともなっています。
 こうした事態を解決するための公的な保証制度があるかどうかを伺います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 高齢者向け住宅の供給や入居支援の方策についてでございますが、バリアフリー化され、緊急時対応などが確保されたサービスつき高齢者向け住宅や、高齢者の入居を拒まない東京シニア円滑入居賃貸住宅の供給促進や情報提供を実施するとともに、高齢者が終身にわたり住み続けられる終身建物賃貸借制度の普及などを行っております。
 また、公的な保証制度といたしまして、財団法人高齢者住宅財団で、保証人が得られない高齢者に対し、家賃債務保証制度を実施しているところでございます。

○大島委員 この家賃債務保証制度というのは、保証人が得られない高齢者、障害者にとっては大変助かる制度だというふうに思います。民間でも同様のサービスがあるんですけれども、高齢者などは公的な事業主体が実施しているということで、より安心できるのではないかと思っています。
 お聞きしたところによりますと、この保証期間が二年の場合、月額家賃の三五%を保証料として一括払いをしなくてはならないということなんです。これも結構負担が大変だなと思うんですけれども、聞きましたら、何かこの保証料分を助成してくださっている区もあるということでした。ですから、こういう区などを支援するということも必要なのかなと思います。
 またもう一つ、この高齢者の入居負担を少なくするという点では、財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターのあんしん居住制度というのがあるというのを聞きました。この制度を利用しますと、高齢者の見守りサービスとか葬儀の実施とか、亡くなった後の家財の片づけまでやってくれるということで、ひとり暮らしの高齢者にとっては大変ありがたいかなと思うんですね。
 ただ、これはいろんなサービスがあるんですけれども、組み合わせで自分で選ぶことができるんですが、この今いった三つのサービスを全部契約しますとですね、何とその必要な費用は五十一万八千円ということになるんです。申し込みの時点で一括して払わなければならないんですね。そうすると、確かに安心という点では必要な制度だと思うんですけれども、お金がないとなかなか踏み切れない、しかも一括で払うということになるとかなり負担が重い、こういう気持ちをお持ちの高齢者の方も多いと思うんです。
 ですから、どのくらいの利用率があるのかということで聞きましたら、利用実績、平成二十三年三月末現在で四百九十二件だというんですね。こんなに安心できるということで宣伝しているのに、何でこんなに少ないのかなというふうに思うんです。
 ですから、このあんしん居住制度というのをもっと利用しやすく改善していくということが必要だと思いますが、そういうことについてのお考えをお聞かせしていただきたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 あんしん居住制度についてでございますが、本会議でもお答えしたとおり、契約時に費用を一括して支払う従来の方式に加え、新たに、保険制度を活用し利用者の一時的な負担を軽減する月払い方式を導入することにつきまして、事業主体であります財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターと既に協議を行っております。

○大島委員 高齢者、子育て世帯について、かなり力を入れようというのはよくわかります。
 ただ、今、単身高齢者だけではなくて、生涯未婚率というのが増加しているということですね。これは国立社会保障・人口問題研究所の推計では、二〇三〇年には単身世帯は三七%に増大すると予測されています。また、今若い世代の雇用と所得の安定というのが損なわれておりまして、なかなか就職もできない、非正規労働者が多くて低賃金の不安定雇用、こういったものも増加している中で、こういう方たちが入れる低家賃で良質な住宅というのがかなり不足しています。
 この青年単身者など若い世代の住宅政策というか、住宅対策がですね、高齢世帯とか子育て世代に比較して少ないのではないかなと感じたんですが、今回のこの住宅マスタープランでは、どのような対策が盛り込まれているのかお伺いをしたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 今日、都民の家族構成や生活様式は大きく変化しております。これに伴いまして、都民の居住ニーズも多様化してございます。
 そうした中で、マスタープラン素案におきましては、青年単身者などを含めまして、さまざまなライフスタイルやライフステージなどに対応した良質な住まいに居住することを選択でき、消費者が安心感を持って取引できる住宅市場の形成の必要性を位置づけてございます。
 住宅への多様なニーズに対応するため、さまざまな主体がその役割を果たしつつ、良質な住宅が供給される市場の形成や空き家の活用に努めてまいります。

○大島委員 先ほどの資料の1ページの、いろんな家賃助成の制度を見てみますと、新宿区では民間賃貸住宅家賃助成制度というのがありまして、これは十八歳から二十八歳までの学生及び勤労単身者向けに、月額一万円、最長で三年間の家賃補助をしています。渋谷区でも、来年度から定住対策家賃助成事業というのを実施し、結婚したばかりの夫婦のみの世帯にも月額三万円の家賃補助を八年以内で行うということです。
 こうした若い世代の定住化を支援するということも大変必要だというふうに思っています。地域主権一括法で、公営住宅法の一部改正も行われまして、公営住宅の入居の要件から同居親族要件が廃止されたということもありまして、ぜひ、この若者の単身者にも都営住宅の入居資格を与えることも検討すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○笹沼経営改革担当部長 都営住宅は、民間賃貸住宅におきまして入居制限を受けやすい世帯を初め、住宅に困窮する都民を対象として供給することを基本としております。
 こうしたことから、都営住宅では、居住の安定確保を図る必要性がより高い高齢者世帯や障害者世帯、子育て世帯等への適切な住宅供給に努めております。
 若い世代の単身者につきましては、福祉施策や雇用就業施策とともに、民間事業者等の多様な主体との連携によりまして、市場において居住の確保が図られるべきと考えております。

○大島委員 定住ということで、居住の安定確保ということは非常に重要ですし、そういう意味でも、若い世代の方たちも都営住宅に入れるようにする必要がぜひあるというふうに思っています。
 ただ、公営住宅の供給目標というのがここに掲げられていますが、十年間で十二万五千戸としているんですね。ただし、その中身を見ますと、空き家募集の戸数に加えて建てかえの戸数とか、それから区市の新規建設戸数を加えたものなんです。
 現在、先ほども答弁がありましたけれども、都営住宅の応募倍率というのが三十倍、四十倍という高い値を示している中で、東京都もこの公営住宅の供給目標に、区市の新規建設戸数だけじゃなくて、東京都の都営住宅の新規建設、これも盛り込むべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図ることとしております。今後、社会経済情勢が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。

○大島委員 新規建設なども含めまして、住宅セーフティーネットの中核としての機能をぜひ的確に果たしていただきたいというふうに思います。
 都内の住宅ストック数、先ほどもありましたけれども、世帯数の一割以上上回っているということで、空き家は今後も増加することが予想されています。既存住宅の流通活性化方策を検討するとしておりますけれども、今、社会経済状況にもこれは大きく左右されるのではないかと考えます。賃貸住宅として活用することも含めまして、借り上げの公営住宅とか家賃補助、こういったものも検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 空き家につきましては、市場の中で適切に活用されるよう、利活用の促進策を検討していくこととしております。借り上げ公営住宅としての利用や家賃補助の対象としては考えておりません。

○大島委員 空き家戸数、しかもその賃貸などでふえていくということを、やっぱり活用するということであれば、ぜひ借り上げ公営住宅として利用することとか、家賃補助の対象ということでは考えていただきたいというふうに思います。
 今回の住宅マスタープランというのは、この序というところに書かれておりますように、都民の世帯構成、生活スタイル、雇用環境が大きく変化し、住宅に求められるニーズの多様化、高度化するもとでの東京の住宅政策の方向を決めるということ、そして、昨年の東日本大震災からの教訓を引き出して、住宅政策に生かすということが求められています。また、国の住生活基本法に基づく住生活基本計画となるものです。
 私、質疑の中でも取り上げてきましたが、住宅の耐震化の実効性を高めることとか、東京都が事業者である都営住宅と公社住宅の耐震化のおくれを克服することなど、防災対策と一体化した住宅政策の取り組みの強化が求められています。
 また、格差社会の進展がハウジングプア問題を顕在化させています。ハウジングプアに陥る人の中には、単身、貧困、高齢、障害などの不利な条件を持っている人が少なくありません。こういう人たちに対してセーフティーネットの機能を持つのが、公営住宅や家賃助成など、民間任せでない公的セクターの支援、これが不可欠です。
 東京の住宅政策においても、都営住宅の新規建設が行われなくなってから十三年になります。応募倍率が三十倍、四十倍という高い値を示し、改善されないことからも、不足している都営住宅の新規建設や建てかえ住宅の戸数をふやすこと、住宅が余っているというのなら、都が借り上げて住宅弱者に貸し出すことがどうしても必要と考えます。こうした住宅政策の転換を求めて、質問を終わります。

○泉谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時三十分開議

○泉谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○関口委員 私からは、既存住宅の流通促進に関して質問いたします。
 私は、昨年の三月及び十一月の当該都市整備委員会におきまして、既存住宅地を取り上げて、その拡大あるいは活性化について議論してまいりました。そこには、次の二つの理由がございます。一つは、アメリカやイギリスと比べて著しく小さい日本の既存住宅市場を活性化させていくことで、都民の資産価値向上につなげたいという点、そしてもう一つは、既に東京では住宅ストックが世帯数を上回る状況があり、既存ストックを有効活用していく政策が必要であるという点であります。
 前回の質疑において局からは、新規住宅着工戸数に対する既存住宅の取引割合が、東京ではアメリカやイギリスなどと比べて大変低い状況にあり、消費者が安心して既存住宅を購入できる体制を整備することなどにより、その流通を活性化させていくことが、都においても重要課題の一つであるという認識に基づいた答弁及び既存住宅の取引における安心確保に向け、引き続き、消費者、事業者双方に対する普及啓発はもちろん、今後出される住宅政策審議会の答申を踏まえ、既存住宅市場の活性化に向けた取り組みをさらに進めていく旨の答弁、以上この二つの答弁をいただきました。
 問題意識を共有し、課題に向き合っていただいていることを大変心強く思っておりますが、このたび、新たな住宅マスタープラン素案が出されました。この中においても触れられている既存住宅に関して、幾つかお尋ねをしてまいりたいと思います。
 まず、政策指標、目標でありますが、平成十九年三月に策定した今ある現在の住宅マスタープランにおいては、既存住宅流通シェアを、二〇〇三年の九%から二〇一五年には二五%に拡大させるとしております。しかし、今回提示されている新たな住宅マスタープラン素案では、二〇〇八年の実績が既に三五%となっており、それを二〇二〇年に五〇%までに引き上げる目標となっております。
 これまでの質疑では、都側から、現時点での既存住宅流通シェアは一一%程度あるとのお答えをいただいておりますが、今ある住宅マスタープランの一一%という目標、当初の数字と今回の素案の三〇%の違い、これは何であるかをまずお尋ねしたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 これまでは、既存住宅取得率を計算する際、分母を新設住宅着工戸数全体と既存住宅の流通戸数の合計、分子を既存住宅の流通戸数とし、分母の新設住宅着工戸数には賃貸物件や社宅等が入っておりました。
 これは、国における算出方法と同様でございまして、特に賃貸物件の多い東京におきましては、実態にそぐわない面がございまして、住宅政策審議会におきましても同様のご指摘をいただいたところでございます。
 このため、今回の住宅マスタープランの策定に当たりまして、実態により近い政策指標とするため、算定方法の見直しを行い、算定の基礎となる分母を一年間に入居した持ち家総数に変えて計算したところ、二〇〇八年度の実績が三五%となりました。

○関口委員 今のご答弁におきましては、賃貸分を計算式から除外することで数値が変わったということ、これが、より東京都の住宅使用の実態に合っているというお話でございましたが、それでは、今あるマスタープランでは、最終目標値を二五%にまで、既存住宅流通シェアをふやしていくというふうにうたっております。今回のマスタープラン素案における計算式で、この二五%を算定するとどういう数字になるのかお尋ねします。
 また、今回の素案では、五〇%までに既存住宅流通シェアを上げていくという目標を掲げておられますが、この五〇%の数値の根拠はどこにあるのか、あわせてお尋ねします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 既存住宅取得率につきまして、これまでの目標である二五%を計算し直しますとほぼ五〇%になります。
 国におきましても、既存住宅の流通量を二〇二〇年までに現在の一・五倍とすることとしておりまして、これを都の流通量に当てはめますと五〇%になります。
 これらによりまして、五〇%と設定したものでございます。

○関口委員 ということになりますと、このたびの素案における五〇%という目標値は、現在のマスタープランに存在している二五%という目標値といわば同様の実態だという点、また国の目標値とも足並みをそろえた点というのを確認することができました。そこで、この五〇%というこの素案に掲げられた目標値について詳しく見ていきたいと思います。
 今回の素案の目標は、現在のシェア率三五%から、八年後の二〇二〇年には五〇%を目指すというものでありますが、過去における既存住宅の売買実績を調べてみますと、今から十四年前の一九九八年には二・一万戸であったのに対し、それから十年後の二〇〇八年においても、変わらず二・一万戸にとどまっております。つまり、九八年から二〇〇八年の十年の間には、既存住宅の売買実質はふえていないことがわかります。
 一方、全住宅取得数のうちに占める既存住宅の割合を見てみますと、同じく九八年で二六・三%であったものが、二〇〇八年には三五・一%となり、シェア率は大幅にふえています。これは、この間、新築住宅の流通量が、同じく九八年八万戸だったのが、二〇〇八年には六・一万戸へと減少している一方で、既存住宅の流通量は現状維持であったため、結果として既存住宅の流通割合が上昇したということになります。つまり、五〇%という高い理想を実現するためには、既存住宅の売買実績そのものをふやしていかなくてはなりません。
 そこで伺いますが、一九九八年から既存住宅の売買実数がふえていない要因がどこにあると考え、そして、新たなマスタープラン素案においては今後どのように取り組むこととしているのか、お伺いします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 基本的な考え方といたしまして、消費者の既存住宅に対する不安を解消し、売り手、買い手の双方が納得した取引を行えるようにするため、住宅の流通にかかわる事業者等が連携し、品質や性能に関する適正な情報の開示による取引を誘導する仕組みが必要としております。
 その上で、国内外の既存住宅流通市場や不動産流通業界、消費者の意識などの実態を踏まえ、既存住宅流通の活性化に向けた方策を検討することとしております。
 既存住宅の売買実績が伸びない原因につきましては、新築の方が気持ちがよいからとか、耐久性や品質に不安があるからなど、さまざまな理由が挙げられてはおりますが、明確とはなっておりません。このため、来年度、特に消費者の意識など流通のネックになっている原因などにつきまして、これまでにない詳細な調査をすることとしております。

○関口委員 消費者意識について、今後、これまで以上に、より一層詳細な調査を行っていくことで、市場の実態、課題を見きわめていただき、より効果のある誘導策を講じていただきたいと思います。
 私はこれまで、既存住宅を購入する際に消費者にとって必要な情報の一つとして、その住宅品質情報の重要性を指摘してまいりました。つまりは第三者による住宅検査、すなわちインスペクションが必要であるということです。
 インスペクション初め、現在考えておられる具体的な取り組み内容について、局の見解をお尋ねいたします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 第三者の目で住宅の躯体や設備などを検査する、いわゆるインスペクションは、既存住宅流通の活性化において重要であると考えており、先ほど申し上げました調査結果も踏まえ、検査項目の標準化を進めております。
 また、売り手、買い手が安心して納得できる売買取引を行うためには、インスペクションを含め、住宅履歴情報が蓄積され、継続的に管理されることが重要でございます。
 このため、住宅履歴情報の内容の標準化を進めるとともに、売買時における情報提供方法の確立等、関係団体とも連携しながら、新たな実効性ある施策を実施いたします。

○関口委員 インスペクションについては、今ご答弁にございましたように、検査項目の標準化等々をより今後具体的に進めていく旨のご発言だったと思います。極めて重要なことだと私も考えておりますし、また、さらには既存住宅の取得率を上げていくためには、住宅市場の実態がどうなっているのかということを細かく見きわめて、その課題がどこにあるのかということも、発見していくことが必要不可欠であるのはいうまでもありません。そのためには何が必要であるのかといえば、住宅市場関係者やあるいは関連団体との連携や情報交換が必要であります。
 このたびの素案におきましては、この点に関して、東京都中古住宅流通促進連絡会と連携すると記されておりますが、この連絡会とはどういうものであり、また今後どのように連携していくおつもりか、お尋ねいたします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 東京都中古住宅流通促進連絡会は、東京都と東京都宅地建物取引業協会や全日本不動産協会東京都支部などの住宅市場関係者の協働により、安心して取引できる既存住宅市場の整備、充実を図るため、都の施策等の情報提供や市場での流通促進に向けた意見交換を行う場として設立したものでございます。
 この連絡会での検討を経て、安心して住宅を売買するためのガイドブックを策定し、現在、既存住宅流通に向けた普及啓発を進めております。
 今後、この連絡会とも連携し、情報交換、意見交換を通じまして、不動産流通市場や住宅検査の実態などを把握した上で、実効性ある施策の確立に向け検討を行ってまいります。

○関口委員 今ご答弁ありましたように、今後、こうした東京都中古住宅流通促進連絡会というものを大いに活用していただきまして、よりマーケットがどうなっているのか、あるいは消費者のニーズがどこにあるのかというのを見きわめていただきたいと思います。
 今回素案で、この既存住宅についても大いに触れられておりまして、あるいは今回の質疑で明らかにいたしましたように、目標数値を市場の実態に合わせたり、あるいは国の方針にも合わせ、より現実に即したものになっておりますし、また、来年度の予算案にも市場の調査費を計上しているように、局としての意気込みを極めて感じます。私も後方支援に汗をかいてまいりたいと思いますが、ただ、この既存住宅の売買実績が、この十数年でほとんどふえていないということを、きょう明らかにいたしましたが、目標を五〇%に引き上げるということはそう簡単に実現できるものではないと考えております。
 私も、これまで幾つか市場関係者からヒアリングを行っておりますが、既存住宅市場を活性化させていくためには、三つの重要な要素があると感じております。一つはストックの流動化、一つは空き家の保有コストのあり方、これは空き家を流動化していくためです。そしてもう一つは買いやすさという視点であります。そのうち、ストックの流動化と空き家の保有コストについては、今回の素案の中でも明記されておりますゆえ、研究をさらに進めていただきたいと思います。
 また、最後の三つ目、買いやすさについて申し上げたいと思いますが、消費者が既存住宅ではなく新築住宅を選ぶ理由の一つとしてのこの買いやすさ、これは税制がどうであるのかとか、あるいは金融機関の融資条件がいいか悪いのかということを意味します。
 これまでも質疑におきまして、過去、金融機関が物件の担保価値をはかる際には、住宅の経年変化を重く判断する傾向が強く、その結果として、既存住宅の融資条件は新築のそれに比べてどうしても悪くなってしまうということを指摘してまいりました。
 素案で記されております東京都中古住宅流通促進連絡会には、金融機関も含まれていると聞いておりますので、金融の面、あるいは税制の面にも課題があるのではないか、こういうことも、この連絡会との情報共有、連携を通じてぜひ研究していただきたいと思っております。
 以上、既存住宅市場拡大に対する局の今後の取り組みに大いに期待し、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○遠藤委員 私からは空き家の活用について質問させていただきます。
 都内の空き家は平成十五年から五年間で八万戸以上も増加し、平成二十年には七十五万戸に達する、この七十五万戸というのは、私の選挙区は調布と狛江でありますけれども、その両市を足して、三倍強の戸数、いかに多いかということが想像つくと思います。
 そういう増加した中で、まちの中にこのような空き家が多くなるということは、治安あるいは環境などの面から地域全体にマイナスの影響が出かねません。しかし、発想を転換して、この空き家を一つの資源としてとらえれば、住宅政策に有効に生かしていくことができると思います。住宅に苦労されている方には大変大きな期待が持てるのではないかというような思いもいたしております。
 例えば、ひとり暮らしの高齢者や高齢者世帯、子育て世帯など、家賃の支払いに対する不安、居室内での死亡事故等に対する不安、住宅の使用方法に対する不安などから、入居者制限を受けている例が見られるわけであります。こうした高齢者や子育て世帯を空き家への入居対象者とすることを条件に、国は平成二十四年度から、民間賃貸住宅の空き家のバリアフリー改修工事に対して助成を行うことを開始したところであります。
 このように空き家を適切に流動化させていけば、さまざまな都民の住宅ニーズに対応できるのではないかと思っております。まずそこで、空き家の活用に関する都の基本的な考えをお聞きいたします。

○香山住宅政策担当部長 空き家活用についての基本的な考え方でございます。
 都内には、世帯数を一割以上上回る約七十五万戸の空き家が存在いたします。このうち、賃貸用や売却用として市場に流通しておらず、腐朽、破損がなく利用可能と考えられる空き家は約十万戸存在すると推計されます。
 こうした空き家が市場に流通することで、都民のニーズに対応した住宅の選択機会の拡大につながるほか、空き家の増大による治安や環境の悪化防止、さらには、住宅市場が活性化することによる経済的な波及効果も期待できるものと考えております。
 また、木造住宅密集地域の整備改善、住宅セーフティーネット機能の向上など、空き家の活用により住宅政策を進めることができるのではないかと考えております。
 このため、空き家の市場における流通促進に向け、空き家の実態を踏まえて、利活用の促進策などを検討してまいります。

○遠藤委員 空き家の活用に関しましては、二月十五日の日経新聞に、空き家、高齢者共同住宅に都が補助、木密地域の転居先にもという記事が掲載されておりました。高齢者がそれぞれの個室を持ち、プライバシーを確保しつつ、リビングやダイニングなどの交流スペースを共有し、お互いに見守り合いながら暮らすという共同住宅は、高齢者にとって安心感があり、注目すべき住まいのあり方だと思います。
 一方、木造住宅密集地域の整備を進めるためには、道路の拡幅など、引っ越しを余儀なくされる居住者の移転先の確保が重要であります。特に高齢者は居住環境が変わらない、同じ地域内に引っ越すということが、非常に抵抗感が少なくていいのではないかという声も聞いております。こうした意味から、地域内の空き家を移転先として活用することは有効であると考えます。
 都は、国が行う民間賃貸住宅の空き家改修工事に助成を行う事業に上乗せした形で、平成二十四年度にモデル事業として実施するということでありますが、空き家活用を具体的に始める第一歩として、大変すばらしい内容だと思いますけれども、そこで、今後の具体的な事業展開についてお聞きいたします。

○香山住宅政策担当部長 東京都では、平成二十四年度のモデル事業といたしまして、三十戸程度の空き家の改修に対して助成を行うことを予定しております。
 実施に当たりましては、事業実施方針を公表し、広く募集を行うとともに、区市町村と連携を図り、モデル事業にふさわしい取り組みを選定してまいります。
 モデル事業を通じまして、高齢者の新しい住まい方である共同居住や木造住宅密集地域における従前居住者対策についての先進的な取り組みを、都民、事業者へ紹介し普及促進を図ってまいります。
 あわせまして、モデル事業の成果を検証し、空き家の活用方策につきまして広く検討を行ってまいります。

○遠藤委員 モデル事業の成果を検証して、空き家の活用方法を広く検討するという答弁でございましたが、空き家を有効な資源としてとらえ、幅広い活用を期待いたします。
 古い農家の空き家を資料館等にして観光資源などに活用するなど、住宅以外の用途にも活用する例もあります。
 一つ、私の選挙区の狛江に、小田急線の線増工事のために、江戸時代からの農家が、移転をしなければならなかったんですね。それが非常に歴史のある農家であり、ぜひそれを残してほしいという市民の声から、場所を変え移築しました。農家の昔の草ぶき屋根がありますよね。あれをこの辺ではカヤではなくて麦わらを使うんですね。で、むいから民家園という名がついていますけれども、これを活用して、狛江を学ぶということで、狛江をもっと知ろう、小学生の体験学習として昔の暮らしを勉強する。そしてイベントとしては、むいから寄席、そこで芸人が来ていろいろ寄席をするそうであります。それとかあとは草もちつき、学習会としてそば打ち講習、渋ガキ染めの講習、自主サークル事業として子どもの将棋サークル、そして狛江の昔の食を考える会、こういう催しをしております。狛江は人口七万八千程度でありますけれども、年間二万八千人がそれを利用するという例があります。ぜひ、こういう形でも利用を広めて幅を広げていただきたいというふうに思います。
 それから、空き家を利用する例でありますけれども、またお年寄りがお友達同士として、あるいはいろいろ散歩等しておりますけれども、そういう方がぶらっと立ち寄れる憩いの場所的なものをつくる、それが交流の場となり生きがいにもつながるということで、空き家が地域の福祉の向上や活性化にも役立つのではないかというふうに考えておりますので、ぜひひとつ、一考をお願いしたいというふうに思っています。
 しかし、こうした取り組みを促進するには、都市整備局だけではなく、高齢者福祉を所管する福祉保健局、観光を所管する産業労働局、地域の実情を把握している区市町村との協力が欠かせないわけであります。空き家のさまざまな用途への活用推進に向けて、局や自治体の枠を超えて、しっかりと連携をとっていただきたいと思っております。
 最後になりますけれども、空き家の活用には、一般都民といいますか、民間事業者の方々の持つ斬新なユニークなアイデア、あるいはノウハウを生かすことが、新たに入居といいますか、利用される皆さんに喜ばれる住宅、これが今風でいえば都民ニーズにつながるというふうに考えます。そうなることがこの空き家の利用価値がふえるということにつながるというふうに思いますので、ぜひ、こうした点を十分考慮して事業の推進に当たっていただきたい、このことを要望して質問を終わります。

○斉藤委員 私の方からは、住宅マスタープラン素案におけます都営住宅政策、谷村委員と同じ会派でございますので、重なるところは省略させていただくこともございますけれども、都営住宅政策、そして子育て世帯への居住支援策について質問をしたいと思います。
 まず、私の地元目黒区でございますが、大変都民の皆様の中には、住みなれた目黒区に住み続けるにも家賃負担が重く、住まいの問題に悩んでいる方が多いのが実情でございます。区議会議員からのご相談も、東京都議会議員に対するご相談、何かないかというと、そういった住まいの問題が大変多く見られるところであります。たとえ新婚で目黒区内にとどまったとしましても、家族をふやして子育てをする環境には目黒は厳しいということで、転居していかれる方ですとか、先日もご相談がございましたけれども、商店街で生鮮食料、肉屋さんを営んでいた方が、売り上げ不振で自営業を廃業して仕事を失った、奥さまのパートの収入だけなんですけれども、家賃を払い続けることができないということで、転居先を探して困っている、こういった住まいに関するご相談が絶えないわけでございます。
 また、ひとり暮らしの高齢者の方が、目黒区内の都営住宅に何回応募しても当選しない、都営住宅ですから都全体から応募があるわけでございますので、区民住宅ではないものですから倍率も高い、それは当然でございますが、蓄えがなくなるまで挑戦する、生活保護のお世話にはなりたくない、こういったお声もあるわけでございます。
 このように収入が少なく、都営住宅の入居要件に合致している多くの目黒区在住の都民の方からは、目黒区内の都営住宅に入居したいんだけれども、なかなか抽せんに当たらない、どうして目黒区は都営住宅がこんなに少ないのでしょうか。同じ税金を払いながら目黒区内に住んでいて何ら政策的な恩恵、住宅的には浴さないでいる。このような素朴な庶民のお声があるわけでございます。
 都営住宅の戸数を人口で割って、東京の分布をちょっと手元で調べたところ、人口千人当たりの都営住宅の戸数を二十三年三月末時点で見ましたところ、目黒区は二・三戸、千人当たり二・三戸と最も少なく、次いで文京区、青梅市、これが二・九戸となっていました。また、最も多い自治体としては武蔵村山市の六十・六戸、目黒区の約二十六倍強、二十三区では足立区の四十六・九戸で約二十倍強と、このような数字になっているわけでございます。こういった数字を見る限りにおきましては、都営住宅の偏在というものがいかに大きいかということを実感するわけでございます。
 私は、この住宅のセーフティーネットともいうべき都営住宅の偏在は、できるだけ小さい方がいいと考えているものでございます。まさに社会経済情勢の変化が激しい中にありまして、例えば、高齢化の問題一つとりましても、地域包括ケアシステム、これは今大変注目されていますけれども、住まいがやはりベースになってくる時代ではないかと思っております。住まいは、こういった行政サービスの土台となるものでございます。在宅医療、在宅介護、この在宅のあり方は今後、都営住宅という住まいのあり方とも密接に関係してくると私は思いますし、基礎自治体がどのようなまちづくりをしようとしていくのか、今そこに住んでいる方々に対して、限られた財源の中でいかなる行政サービスを提供するかといった観点からも、この都営住宅の偏在、これは縮小、解消していくことは重要な視点であると考えております。
 そこでまず、今回の住宅マスタープラン素案に関連しまして、住宅政策審議会の審議の中で、都営住宅の偏在問題についてご意見があったと仄聞しておりますけれども、どのようなご意見があったか、まずお伺いをしたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 昨年開催されました住宅政策審議会におきまして、都営住宅の都内区市町村における偏在に関しまして、次のようなご意見がございました。内容は、区市町村によって都営住宅の配置に偏在がある、財政負担が重くのしかかっている、都営住宅を再配置し、全区市町村が公平に負担を担うべきというものでございます。

○斉藤委員 先ほどの谷村委員の質疑のときにも、同じようなお話でございますけれども、今のお話は、都営住宅の偏在によって財政負担が重くのしかかっている。あるいは、都営住宅を再配置して、全区市町村が公平に負担を担うべきとのことですけれども、こういった言葉の背後には、その偏在について、まるで都営住宅がお荷物であるかのような、そういったようにも聞こえるわけでございます。都営住宅居住者に対して大変失礼な意見であると私は認識をしたわけでございますが、しかし、別の角度からとらえますと、従来の都営住宅の建設、これは昭和三十六年から十カ年計画で十万戸といった勢いで、私が生まれたのが昭和三十八年でございますので、約五十年前、そういった勢いの中で都営住宅の直接供給というものが、東京都の主導で行われた。これは住宅難で大変な状況でありましたので、東京の努力もそこにあったと思いますけれども、こういった建設はできるところに建てていった、直接供給していった結果、現在のような偏在する結果になったともいえるのではないかと私なりに思っているわけでございます。
 確かに、その自治体によっては、そういったことによってさまざまな財政的な負担が多くのしかかっているという事実があれば、こういった都営住宅に起因するそういったものにつきましては、何らかの支援が必要ではないかということは、谷村委員とも認識を共有するものでございます。
 いずれにいたしましても、目黒区は大変少ない地域、そして大変多い地域は地域でまた悩んでいるという、そういったことが、ここで事実が確認できるわけでございます。
 今回の住宅マスタープラン素案では、そういったことにかんがみまして、都営住宅について再編と活用に関する方針、ストック再編活用方針を作成いたしまして、ストックを都市再生に戦略的に活用しますと明記されているわけでございます。
 マスタープラン素案を読んでいきますと、既存住宅のストック活用ですとか、都市づくりに有効に活用、あるいは都営住宅のストック再編により用地を創出し、民間事業者による住宅供給の促進をするなど、住宅施策以外の再開発プロジェクトや、施策推進のために柔軟かつ効果的に活用するといった記述が多く見られるわけでございます。
 先ほどの谷村議員の質疑のときに、こういった活用につきましては、決して都営住宅の総数を減らしていくものではない、そのようなご答弁の中で私はそれを伺っていたわけでございますが、例えば、こういった都営住宅は公営住宅法に基づいて整備されているものでございますので、その建てかえに当たりましては、建てかえ事業により新たにつくる公営住宅の戸数は除却戸数の数を上回る、それ以上であることを原則としているとか、そういった歯どめがさまざまついているということを、先ほどのご答弁で確認をさせていただきました。
 さはさりながら、そういった基準になるのは従前居住世帯数に対しての住戸数の確保を規定しているということでございますので、空き家状態が大変ふえた中で建てかえが起こりますと、従前居住者は数が減っているわけですから、全体的にそれを上回るといいましても、次第に数が減っていく、そういったおそれもないわけではございません。
 現に、平成十九年からの約二十六万戸といわれるその都営住宅の総数を出していただきましたけれども、ここ二十二年、三年ぐらいまでの間に、増減はありますけれども、約一千戸近く数字は落ちている数字でございます。建てかえの最中ということがあって、それがまたふえたりするということもあると思いますが、この一千戸という数字は、目黒区内にある都営住宅を倍近く上回る数でございますので、そういった変化が二十六万戸の中にも起こっている事実がございます。
 公営住宅法では、このように除却戸数以上であるという原則もあることはわかりますけれども、決してこういった二十六万戸を安易に減らすということがないような、そういった有効活用をしっかりとお願いしておきたいと思います。
 さて、その減らすということではなく、逆にふやすということは可能かという問題意識でございますが、都営住宅の敷地をまちづくりや都市づくりに戦略的に活用していくことは重要でございますけれども、自助ではいかんともしがたいこの住まいの問題を、第一に有効活用するべきだと考えるところでございますが、果たしてこの都営住宅が少ない地域にこういった都営住宅をふやすことは可能なんでしょうか。
 例えば、目黒区で都営住宅をふやすことは、その偏在の解消にも資することになると思いますけれども、そういったまた望む声も地域の都民から強く寄せられているわけでございますが、その際にネックとなるのが、先ほどの同僚委員の質疑でも問題になったこの都営住宅の総管理戸数の抑制という考え方でございます。
 繰り返しのご答弁は結構でございますが、ちょっと演説が長くなってしまいますけれども、この昭和四十年代の後半から、住宅戸数が世帯数を逆転いたしまして、その後も住宅数がふえ続ける中で、平成十二年十二月の第四回定例都議会で、石原知事は所信表明でこのように述べられておりました。東京都の住宅政策は、これまで都営住宅など公共住宅の整備に重点を置いてまいりました。しかし、世帯数を上回る住宅戸数が確保され、居住形態が多様化した現況では、住宅政策は市場の活用を重視すべきであり、抜本的な見直しが必要である、このように述べられたわけでございます。
 これは、その後に書かれましたマスタープラン、住宅政策のビッグバンといわれるこのエポックにつながっていく所信でございましたけれども、この中には、先ほど確認しましたけれども、総管理戸数の抑制という言葉は、知事のご発言の中にも見つけることができなかったわけでございます。これは、平成十四年のマスタープランにその記述が見られまして、それが二回の改定を経まして、今回の新たなマスタープラン素案でも、引き続き管理戸数を抑制しつつと継承されているということを、先ほどの質疑で確認をさせていただきました。
 果たしてこの住まいの問題、都政はどこまで政策と責任を持つべきかという問題でございます。これはとても重要なテーマだと思います。平成十八年に制定されました住宅生活基本法のこの全国計画には、豊かな住生活は、人々のニーズが反映される市場において、一人一人がみずから努力することを通じて実現することが基本、いわゆる住まいは自助というふうにも聞こえるわけでございます。またそのようにも活用される部分でございますが、先ほど申し上げましたように、住宅難の時代に、大変大きな強い勢いで住宅建設をしてきた歴史もございます。
 質問を早くしないかという感じだと思うんですけれども、質問をかなり飛ばしておりますのでご理解ください。
 この住まいという問題ですけれども、最近では、首都直下地震発生時には極めて倒壊や焼失の危険が高い住まいに、ひっそりと暮らしている都民が現に存在しております。このような民間賃貸住宅の居住者を、より安全で快適な住環境へと誘導していくことも、また行政の責任の一端だと思うものでございます。総管理戸数抑制の考えのもとには、見かけの量の比較で、都内の住宅は充足しているという認識があると思いますけれども、現状の民間住宅の質を考えますと、数がとても足りているというふうには思えないのは、先ほどの谷村委員の質疑でも認識を共有したものでございます。
 また、昨今の問題では、超高齢社会化、人口減少社会化、歴史的な超円高における貿易立国の我が国のメーカーの凋落など、日本経済は低迷したままであります。貧困から失業の不安が社会全体を覆っている。こういった社会情勢の激しい変化の中で、再び公共住宅や公共住宅政策の重要性が増していると思います。
 そこで、この厳しい都政の歳入状況で、政策コストを意識することは、これはとても重要でございますけれども、この総管理戸数の抑制の方針に関しましては、もっと柔軟に、この社会情勢の変化に対応するような形で考えていくべきでないかと思うわけでございますが、局の見解をお伺いしたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 お答えいたします。
 都営住宅につきましては、これまで既存ストックの有効活用を図ってまいりました。また、公平な入居機会を確保するため、より困窮度の高い世帯が入居できるポイント方式による募集や子育て世帯が優先的に入居できる募集を実施するなど、都営住宅の適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。
 今後、社会経済情勢が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。

○斉藤委員 総管理戸数抑制という方針は、都営住宅の戸数を減らさない、そういった基準であるという一面がありますけれども、都営住宅をふやさないことのそういった根拠ではない。私はそのようにも思うわけでございます。
 目黒区のように極端に都営住宅が少ない地域におきましては、コスト抑制の仕組みをしっかり考えた上で、例えば、木密地域も目黒もございます。そういった政策目的に裏づけられた借り上げ都営などの考え方も、可能ではないかと考えているわけでございますが、大事な視点は、そういった住まいで困窮している方が、現にそういった都営住宅が少ない地域にたくさんおられるという事実でございます。そういったことに対応できるような都営住宅の政策のあり方、これをぜひとも研究してまいりたいと思っているところでございます。
 都営住宅を我がまちでどのように位置づけるか、これは、区市町村にとっても重要な問題であります。それは都の直営する直接供給の住戸でありますけれども、そこを任されている区市町村の行政からすれば、そういった都営住宅というのは住宅政策部門としてはとても重要な存在であるわけでございます。
 新たな住宅マスタープラン素案では、都は、住宅政策をこれから推進していくために、さまざまなところでこの区市町村との連携が非常に重要である、このように記されているわけでございますけれども、課題は、今度その区市町村の中に住宅政策への取り組み体制がしっかり十分とれているのかどうかという点でもございます。
 そこで、都の住宅政策推進のためには、都みずからが区市町村に出向いていきまして、そういった住宅政策の支援をするべき場面もあるのではないかと考えます。区市町村への都の支援につきまして、局の見解を伺います。

○鈴木住宅政策推進部長 ご指摘のように、公営住宅、住宅セーフティーネットの問題は、地元区市町村にとっても重要な問題であると考えております。
 また、新たな住宅マスタープランに基づき、住宅政策を実現していくためには、住宅セーフティーネットを初めとして、高齢者の居住の確保やマンションの問題等、多くの分野において、ご指摘のとおり、区市町村と密接に連携していくことが不可欠であるというふうに考えております。
 これまでも、都道府県で初めて制定をいたしました東京都住宅基本条例を契機といたしまして、島しょ地域を除くすべての区市町村で住宅マスタープランが策定されるなど、都が区市町村の住宅政策への取り組みを促してきた成果もあったものと考えております。
 さらに、区市町村の参画を得まして、東京都地域住宅計画協議会を組織いたしまして、地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅や民間住宅の整備等に関する地域住宅計画を立案し施策を実施するなど、区市町村を支援し都との連携を強化する取り組みを進めております。
 今後、これまでにも増して区市町村との緊密な連携を図り、また、積極的な働きかけを行いながら、新しい住宅マスタープランの実現に向けて、住宅政策に全力で取り組んでいきたいと考えております。

○斉藤委員 これまでにも増して区市町村と連携をしていくという決意をお伺いすることができました。
 それでは、都営住宅から子育て世代のための民間賃貸住宅の支援策について、質問を移していきたいと思います。
 こういった子育て世代のための民間の賃貸住宅の支援、これもまた連携の一つでございまして、区市町村との連携、また民間事業者の連携、こういったソフトとハードという新しい取り組みが、これからの社会の変化に対応するためには非常に重要であると考えるわけでございます。特に少子化が進行していく中にありまして、住宅政策の果たすべき役割、これはますます重要になってくると考えます。
 この住まいと子どもの関係でございますが、例えば東京消防庁のデータによりますと、子どもの事故防止対策検討委員会の調査結果を見ますと、ゼロから五歳児の救急事故の発生場所は、実は七割が住まい、住宅で起こっているというデータがございます。住宅の安全面への配慮も必要だということで、例えば、東京都ではこのような子育てに配慮した住宅のガイドブックなどをつくって、各事業者にも啓発、啓蒙もしている。こういった取り組みもしております。
 また、子育てには一定程度の広さの住まいが必要であるとともに、育児を行いやすい環境づくりに配慮することもまた重要でございます。そこで都は、二十二年度から子育て世帯向けの整備などを備えまして、子育て支援施設の併設にも配慮した民間住宅、賃貸住宅をモデル的に供給する事業を行っておりますけれども、現在の進捗状況をお伺いしたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 進捗状況についてでございますが、これまで二回の募集を行い、五事業、七十戸について、事業予定者を選定しておりまして、子育て施設を併設する新規建設型の第一号となる住宅につきましては、本年末に完成する予定でございます。来年度も引き続き事業者の募集を行ってまいります。

○斉藤委員 第一号が本年末ということでございますので、どのような施設になるか、実際に見てみないとわからないと思いますが、ぜひこの第一号完成の折には教えていただきまして、視察などもさせていただきたいと思っております。
 この事業を行った上で、子どもの安全面への配慮とともに、大切なことは、どのような子育て支援サービスを提供していくかということでもございます。選定した事業ではどのような併設施設の提案があったのか。また、こうした施設を提供するためには、保育や育児のニーズに最も身近に感じている区市町村との連携がやはり重要であると思いますけれども、そこで、区市町村との連携方策についてどのように行っているかをお伺いしたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 選定しました併設施設につきましては、グループ型小規模保育施設、親子交流施設、学童を対象とした基礎教育施設などの提案がございました。子育て支援施設は地域の実情に応じたものである必要があり、区市町村との連携は最も重要でございます。
 本事業の提案に当たりましては、提案者が区市町村の住宅部門や児童福祉部門との調整を図ることを条件としております。都は、その提案者の取り組みをバックアップするため、区市町村との連携を緊密に図り、事業を行っております。

○斉藤委員 都市整備局が区市町村と連携を緊密に図りまして、現場に時には足を運んで、一生懸命汗をかきながら、この事業を推進していることは大変評価させていただきたいと思います。
 また、私は、都市整備局が福祉関係の業務との連携を図ること、今後のインフラ整備を考える上で、とてもハードとソフトの連携ということで重要であると、このように主張してきたわけでございますが、第三回定例会で私が提言をさせていただきましたが、高齢者向けの賃貸住宅の促進に向けた区市町村や事業者への効果的かつ積極的なPRにつきましても、その後さまざまなところから、積極的にそれが行われているという話が私の耳にも届いております。
 サービスつき高齢者向け住宅につきましては、二十四年度から、医療、介護への加算補助が開始される。これまで福祉保健局と都市整備局で、二元的に行ってきた窓口を、財団法人の東京都福祉保健財団に一本化するとも聞いております。私がこれまで強く主張してきた都市整備局と福祉保健局との連携が一層強化されている、進んできた結果でありまして、超高齢社会を迎える体制、これはとても大切な連携であると評価したいと思います。
 そこで、子育て世帯向け優良賃貸住宅供給助成事業、大変長いんですけれども、この高齢者向けの賃貸住宅のように、民間事業者や区市町村との連携を図りながら、供給促進を今後も図っていただきたいと思います。そのためにも、モデル検証に当たりましては、民間事業者や区市町村が魅力を感じられるように、そういったものにする必要があると考えますが、今後どのような取り組みをしていくのか、お伺いをいたします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 今後の取り組みについてでございますが、都が行うモデル住宅の効果検証を行うとともに、民間事業者のさまざまな先駆的、先進的な事例調査を開始したところでございます。また、子育て世帯向け賃貸住宅の供給に伴う地域の経済に与える影響や新たな雇用創出など、経済波及効果についての調査研究を首都大学東京の協力を得ながら行っております。
 今後、子育て世帯向け賃貸住宅の供給が促進されるよう、こうした内容を踏まえたガイドラインを作成し、民間事業者や区市町村の積極的な取り組みを誘導してまいります。

○斉藤委員 モデル事業を行うだけでなくて、今後民間の先駆的な取り組みの調査、あるいはその経済波及効果、こういったものを含めましたガイドラインの作成、これは区市町村や民間事業者にとってとても興味を引くものになると期待しております。サービスつき高齢者向け住宅はもとより、子育て世帯向けの優良賃貸住宅の供給促進につきましても、事業者、利用者、行政のニーズ、新たな事業の創設による雇用促進、経済波及効果など、一石二鳥、三鳥にもなる取り組みであると思います。私も区議会議員、市議会議員などとも連携をとりまして、各地域でそういったものが促進されるように全面的に協力いたしますので、一緒に頑張ってまいりたいと思います。
 以上でございます。

○田中委員 本報告事項であります住宅マスタープランの素案について、質問させていただきたいと思います。
 本マスタープランの素案は、昨年出された住宅政策審議会の答申を踏まえて策定したものであります。かなり多岐にわたる答申の内容を反映しているようでありますが、それについてお聞きしたいと思います。
 私は、昨年の十二月の本委員会において、エネルギー政策の観点から、省CO2住宅の誘導についての質問をしました。今回のマスタープランにもそれがかなり書かれております。
 東日本大震災から一年がたとうとしておりますが、首都東京におけるエネルギーの対策は、この私たちの所管する都市整備だけでなく、さまざまな再生エネルギーの活用の議論は活発にされているものの、根本的には、解決に至るにはまだまだ長い道のりであり、緒についたばかりの感があります。
 こうした中、私は、住宅分野での省CO2化を図るため、都内にある既存の戸建て住宅の省エネ改修を進めることの重要性を訴えてきました。前回の委員会では、この分野での都のこれまでの取り組みと、答申を踏まえた今後の施策展開についてを伺ったところであります。そのときに、都側からは、昨年度、この既存住宅の省エネ化のための調査を実施して、この中で戸建て住宅に住んでいらっしゃる三十のご家庭に専門家を派遣して、住宅の省エネ性能調査、また概算の費用も含めた改修計画案を作成するなど、アドバイスを実施していること、また、そして、今後はこの調査の成果をもとに省エネ改修を行うに当たっての事前の調査方法や効果的な改修方法を取りまとめ、広く情報提供を行うほか、事業者や消費者に対するセミナーや講習会を実施するなど、普及啓発も図り、既存住宅の省エネ化を促進していくという旨の答弁をいただいたところであります。
 答弁は答弁として、私はそうした現在進行形の取り組みを含めて、ぜひ都民の暮らしのためには、実効性のある新たな住宅マスタープランを策定していただいていることを強く申し上げました。
 そこで、今回、新たなこの住宅マスタープランの素案において、省CO2住宅の普及促進が行政のこの計画の中でどのような形で具体化されていくのか伺っていきたいと思います。
 まず最初に、この施策のベースとなる省CO2住宅の普及促進に向けた基本的な考え方について伺います。

○香山住宅政策担当部長 地球温暖化の問題に対処するため、低炭素社会の実現が世界的に求められており、再生エネルギーの導入や住宅の省エネルギー化、長寿命化など、環境に配慮した住まいの実現に向けた取り組みが必要であると認識しております。
 このため、住宅の省エネルギー化のための技術の普及、再生可能エネルギーの利用拡大により、省CO2住宅の普及を促進することとしております。
 具体的には、太陽光や太陽熱などの再生エネルギーの利用、太陽光や風の流れを阻害しない空間づくりなど、環境負荷の小さい住まいづくりに関する技術の普及、また、東京都地域住宅生産者協議会等と連携した、中小住宅生産者に対する省エネルギー化などの技術の普及などにより、省CO2住宅の普及を促進してまいります。

○田中委員 今の発言の中で、太陽熱、太陽光の再生エネルギーの利用、また環境の負荷の小さなこれからの住まいづくり等々、これについては必要であることは、ここにいらっしゃるだれもがそう思われているし、認めることだとは思うんですが、しかし、実際はやはりその普及というのは難しく、今回のマスタープランの一九ページの中にも、この住宅の省エネルギー設備等の設置割合というのがありますが、ここには、これは平成二十年の時点だということでありますが、二重サッシまたは複数ガラスを窓に一部でも設置してきている住宅は、全体の七・八%、また、今述べられております太陽光や太陽熱等の再生可能エネルギーを利用した設備を設置している住宅は、それぞれ全体の〇・四%、〇・九%と、大変低い現状にあります。
 ですので、基本計画、また考えというのは理解はしましたが、実際これからどういうふうに進めていくかということで、先ほどの三十の家庭を対象として、これまでモデル実験を行ってきたということでありまして、これを具体的にこれから生かすということでありますが、どのように生かしていくのかを伺います。

○香山住宅政策担当部長 東京都ではこれまで、省エネ住宅を普及させていくため、合理的な断熱工法、リフォーム時における省エネ改修など、環境負荷の小さい快適な住まいのリフォームのための設計手法、工法や事例を集めた住宅の省エネリフォームガイドブックを活用し、都民に対しまして情報提供等を行ってまいりました。
 今後は、昨年度三十のご家庭を対象に実施いたしました既存住宅の省エネ化の実証実験での調査結果を踏まえ、より身近な例で、都民が省エネ化に関する知識、ノウハウについて習得できるよう、住宅の省エネリフォームガイドブックを改訂し、活用することで、さらに普及啓発を進めてまいります。

○田中委員 それでは、ちょっと視点を変えまして、政策指標のこのリフォームについてお聞きをしたいと思うんですが、住宅の省エネルギー化率について、二〇二〇年度には新たに着工するものに、この政策指標では一〇〇%を達成するということになっております。今回の政策指標、数多く挙げられておりますが、完璧に一〇〇%というのは、唯一この指標だけであります。
 私は前回の委員会で、中古住宅の流通性や、先ほどこの詳しい議論は私たちの関口委員からも質疑がありましたが、このシェアを例にとって、現行のマスタープランの目標と現実の数字には大きな乖離があり、都民のための高い理想はいいけれども、一方でかけ離れた数値を指標として設定するのは、せっかくのマスタープラン自体の信憑性や信頼性も下げてしまうおそれがあるのではないかということを委員会でも申し上げました。
 今回、この住宅の省エネルギー化率、二〇二〇年までに一〇〇%という、ある意味完璧な数値目標を掲げておるわけでありますが、これについて本当に達成できるのか、伺います。

○香山住宅政策担当部長 住宅の省エネルギー化を進めるためには、住宅の生産者はもちろん、都民一人一人が省エネルギーに対する正しい理解と知識、そして高い意識を有することが大切でございます。
 このため、先ほど申し上げました再生エネルギーの利用、太陽光や風の流れを阻害しない空間づくりなど、環境負荷の小さい住まいづくりに関する技術の普及、また、東京都地域住宅生産者協議会などと連携いたしました中小住宅生産者に対する省エネルギー化の技術の普及を図ってまいります。
 また、既存住宅の省エネ化の実証実験での調査結果を踏まえまして、新たなガイドブックによる普及啓発に努め、平成三十二年度には新規着工住宅の次世代省エネ基準適合率一〇〇%を達成できるよう、国とも連携しながら取り組んでまいります。

○田中委員 先ほども三十のモデル事業もありましたが、モデル事業も、実施するだけでは単にやってみたというだけで、ある意味の自己満足にすぎないわけでありまして、このプロジェクトが都民全体の生活に結果的にプラスになるような影響を与えてこそ、このモデル事業ないしはさまざまな取り組みが、私たちの都民から預かった貴重な税金を使っての実験する意味があると思っております。
 そういう意味では、このモデル事業については、その調査結果を踏まえて、現在のガイドブックを改訂し、より積極的に情報提供や普及啓発に取り組んでいくという答弁を、今いただいたところではありますが、だれが見てもこれは改定されたな、よかったな、こうすればCO2を削減できることに寄与できるんだなと。思いは皆さん、CO2も削減したいし、地球のためになりたいし、またそういうことは大事だと思っているんですが、先ほどもいったように、なかなかそれは実現が難しいというのが今の現状でありますから、うなずけるようなものを、今、これからつくっていくということでありますので、丁寧につくっていっていただきたいと思います。
 また、リフォームに関しては、それに先立つ資金が必要であることは他の委員からもいわれておりましたが、いうまでもありません。都そして市区町村の中でも、それぞれにリフォーム助成の制度はありますが、このリフォーム、今回の省エネだけではなく、耐震助成もそうなんですが、なかなか使いづらいというのが実際であり、そういう声も多々聞きます。省CO2住宅の誘導を、今回強く推進していくということが挙げられましたので、この新たなガイドブックの改訂の作成とともに、あわせて助成制度のさらなる充実を要望しまして、そしてここに掲げました一〇〇%というある意味かなりの理想を掲げました目標を実現していただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
 以上です。

○橘委員 私の方からは、空き家対策について質問いたします。
 これまでの質疑の中で、都内の七十五万戸の空き家、それから全く利用されていない空き家が十万戸もある、そういった基本的な数字は答弁で示されました。これを踏まえまして、都の空き家の基本的な認識、これを中心に幾つか質問いたします。
 まず一点目、都の住宅政策における空き家対策の位置づけ、これについてまず伺います。
 二〇〇七年三月、前回改定されたマスタープランでは、空き家住宅についてこのような認識を示しております。将来の人口減少社会においては、住宅市街地が全体として魅力が乏しく、管理が不十分であったりするならば、個々の住宅も住み継がれることなく、居住者が減少し、空き家、空き地が増加していき、地域社会の持続可能性すら損なわれることが懸念される、こういう認識を示しているわけであります。
 そして、今回のマスタープランの素案でどういう認識を示しているかといいますと、住宅数が世帯数を大きく上回る中で、約七十五万戸に上る空き家が存在している、有効な対策が講じられなければ、将来、東京の居住環境の悪化や防災機能の低下を招くことが懸念される、こういう認識を示しております。
 前回の地域社会の持続可能性を損なう、今回の居住環境の悪化や防災機能の低下を招く、こういう表現の違いはありますけれども、空き家の増加については、いずれも良好な地域社会の維持発展を妨げる懸念要素として指摘しているわけであります。
 前回、今回、いずれも空き家問題は将来的な課題との認識に立っているというのが、私はちょっと印象に残るんですけれども、このことが、空き家対策が具体的にこれまで進んできていない一つの要因ではないかとも受け取れます。
 このマスタープランにおける空き家対策、私は、早急にこれは取り組まなければならない重要な課題になってきているというふうに考えますけれども、都は将来的な課題としてとらえているのか。それから、現実的に早急に取り組まなければならない課題ととらえているのか。この素案からはその意思が明確に伝わってこない、私はそんな印象を受けました。
 まず、住宅政策における空き家対策の位置づけについて質問します。

○香山住宅政策担当部長 空き家の発生とその増加は、まちの活力低下、あるいは防犯、防災面での地域への悪影響など、さまざまな懸念が考えられます。また、都内には既に七十五万戸の空き家が存在し、今後とも増加することが予想される中、その有効活用は大変重要な課題だと認識しております。
 こうした課題に対しまして、今から有効な対策が講じられなければ、居住環境の悪化や防災機能の低下を招くおそれがあることから、早急に取り組むべき課題と認識しております。

○橘委員 早急に取り組まなければならない課題、この認識は私もやはりそのとおりだと思います。ただ、現状、この空き家と一口にいいましても、戸建てもありますし、それから集合住宅の賃貸、分譲、さまざまな形態があるわけですね。その形態を考えますと、一つの方策ですべてが解決するわけでは当然ございません。幾つかの施策を積み重ねていかなければ、この空き家対策というのは効果を上げることはできないと思っております。
 大きく考えるならば、今まで日本の景気対策といいますと、まず、住宅政策が挙げられました。住宅金利の引き下げであるとか、それから住宅ローンの減税であるとか、そういった誘導策を通じて住宅を建設する、それによって景気を浮揚させる、そういった効果を期待してきました。これは今までの我が国の景気対策の一つの大きな柱になってきたことは間違いありません。そしてまた、この景気浮揚効果も確かにありました。一戸の住宅が新築されれば、家具であるとか電気器具であるとか、さまざまなものの購買力を向上させますので、そういった効果は確かにありました。
 今、社会状況、経済状況は変化しているわけですけれども、二十代、こうした住宅の購買力のある方、また中古住宅でもそうです、購買力のある世代というのは二十代から四十代というふうにいわれております。ところが、この二十代から四十代の世代が、今、給料がもう伸びなくなっている。そしてまた同時に、この購買力の一番旺盛な世代が、今、少なくなっている。ということは、住宅政策として住宅は供給される、また空き家もある。けれども、その購買する側の世代が、今、少なくなっている、購買力がなくなっている。ということは、必然的に空き家が発生していく、こういう構造的な問題があるかと思います。
 したがって、これが現在でも大きく格差が広がっている。それをどんどん続けていけば、大きく広がって、格差がどんどん大きくなっていく。ゆえに、今答弁にありましたように、対策を講じなければならないという認識にならざるを得ないんです。
 ところが、ちょっとうがった見方をして申しわけないんだけれども、この今回のマスタープランの素案を見ますと、なかなかそんな感じでは受けとめられない箇所が幾つかあります。この空き家対策についての表記を見ますと、例えば三三ページに、既存住宅ストックや住宅市街地が適切に維持管理や更新、再生されるように誘導し、これらのストックを負の遺産としてではなく、資産として将来世代に継承していくことが重要、確かに大事な認識であります。そしてまた三七ページには、住宅数の増加とともに、空き家も増加していくと見込まれる、空き家の活用方策の検討が必要という認識です。三八ページには、空き家が市場に流通される誘導策が求められる、それから八八ページには、空き家の市場への流通促進のため、空き家の実態を把握し、空き家の保有コストのあり方、利活用の促進策などを検討する、こういった表記が見受けられます。
 いずれも、この書き方は、今後の検討課題として受けとめられなければならない、そういう内容になっておりまして、具体策は示されていない。強いていえば、高齢者の共同居住、それから住みかえの促進、これに空き家を活用するという政策、施策、この記述はあります。けれども、こういう表現を踏まえると、民間住宅の空き家の流通というのはあくまでも市場の原理に任せるべきであって、行政はそんなに関与しなくてもいい、こんなうがった見方も、ちょっと受け取れるような内容になっているのかなというふうに、私は思いました。
 この空き家対策について、都の関与、つまり行政としてどの程度まで関与していくべきなのか、その辺の認識について伺います。

○香山住宅政策担当部長 策定中の住宅マスタープランにおきましては、既存ストックの有効活用を重視する四つの視点の一つとして掲げております。
 既存ストックを有効活用するためには、約七十五万戸存在する空き家の有効活用が極めて重要な課題であると認識しております。このため、今後、市場において空き家の流通促進を促すため、モデル事業の成果なども活用しながら、その促進策と活用の方針を早急に検討することにより、施策に取り組んでまいりたいと思います。

○橘委員 モデル事業、これはやはり大きな期待が寄せられておりますので、これが着実に成果を上げられるようにと期待している一人であります。
 この空き家等入居希望者、あるいは購入希望者ともいいましょうか、このマッチングさえうまくいけば、多くのこの空き家問題というのは解決するんですけれども、そのつなぎ目の施策が、妙手がないといいますか、幾つか積み重ねていかなければならないという作業がありますので、これが大変な部分になると思います。
 例えば、今この素案に掲げられております共同居住であるとか、グループホームへの活用であるとか、そういった幾つかの手法、これを積み重ねていく、これが大事だとは私は思います。
 ところが、数年前のことですけれども、地域の中に高齢者のためのグループホームがつくられまして、そして視察した折には、これは生まれ育った地域でも老後を過ごすことができるし、また安心して住むことができる。これはいいなと思いまして、幾つかのこういった、私の地元板橋はまだ若干土地もありますので、そういったところに地主の方がこういったグループホームをつくってくれれば、また、そしてそれを宅地建物取引業者が仲介してくれれば、これほどいいことはないなと思いまして、幾つかの政策懇談会を通して提案してみました。ところが、驚いたことに、もうプロですから、そういうことはてっきり知っていると思った、そしてまた制度も知っていると思った。ところが、そういった民間の業者の方々はほとんど知らなかったという、私は逆に驚いた経験がございます。そして、一々説明をしなければならなかったということもありました。
 ということで、今もその状況というのは、この質問に当たっても何人かからお聞きしましたけれども、やはり認識がそんなに余りないんですね。
 つまり、どういうことかというと、情報が提供されていない。共同居住であれ、それからグループホームであれ、こういった活用の仕方がありますよという情報が提供されていないんです。私たちは、プロだからわかっているだろうというそういった思いが、逆にそういった人たちは、プロ意識が強いがゆえに、そういった細かいことには余りいかないという面もあるかもしれない。私はこういう制度がある、こういうやり方がある、こういう工夫がある、そういったものを教えていく、また知らせていく、こういう情報を届けることが重要ではないかと思いますが、この辺についての見解を伺います。

○香山住宅政策担当部長 東京都におきましては、平成二十四年度から、都民がそれぞれのニーズに合った住まいを確保し、地域で安心して暮らすことができるよう、地主家主協会などの不動産関係団体や、区市町村等により構成する連絡協議会を立ち上げることとしております。
 この協議会におきましては、関係者間で空き家の活用方策、関連する施策等についての情報の共有、発信などを行うこととしております。
 賃貸住宅の所有者に対しましても、こうした場を活用して情報を発信してまいります。

○橘委員 最後の質問になりますけれども、今、地方では空き家バンクというのがすごくふえているんですね。都会から、例えば定年退職後に田舎で暮らしてみたい、そういった方が住むところの空き家、古民家なんかがありますけれども、空き家、それから古民家、古い建物を地域の博物館として残したい、いろんな使い方がある。また、Uターンしてくる方のために空き家を活用して提供する。そういったところに補助金を出して誘致する、そして地域の活性化を図りたいといった趣旨があるようでございます。ただし、これは人口減少に悩む、また高齢化に悩む地方の小さな集落であるとか、またはまちであるとか、そういったところが比較的多いようでございますけれども、これも大きく見れば空き家対策の一つであります。
 同じように、東京は別の意味での空き家がふえているわけですけれども、活用という面では同じ考えであってもいいのかなというふうに思います。つまり、東京というのは、空き家については比較的、まだ地方に比べれば借り手、あるいは買い手がまだつきやすい。だからまだそんなに焦ってやることはないという考え方もあるようですけれども、この空き家対策ということを考えたならば、地方で取り組んでいるバンク的なもの、これを東京に応用することはできないのかという発想でございます。
 例えば、宅地建物取引業者であるとか、NPOであるとか、そういったところで、自分は市場流通には出したくないけれども、そういったところに役立たせたいといった考えもあるでしょう。それから、価格が安いので、こちらのバンクの方に登録した方がいいという考えもあるかもしれないというさまざまな発想の方がいらっしゃいますので、そうした方々の意思をくんで、またこの空き家対策のもっともっと多重的な発想から考えて、この東京でも、東京版の空き家バンクといったもの、こういうことも工夫してみてはどうかと思いますけれども、見解を伺います。

○香山住宅政策担当部長 東京都におきましては、平成二十四年度に、地域の住環境向上等の取り組みを行っている地域ボランティアやNPO等の団体につきまして、その活動内容、活動の状況、抱える課題などについて調査を行い、効果的な連携の方策についても検討することとしてございます。
 この調査の中で、ご指摘のありましたような効果的な、また先進的な空き家の活用事例についても検討してまいりたいと存じます。

○泉谷委員長 ほかに発言がなければお諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○泉谷委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百三十号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、都市整備局所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○大島委員 意見を申し上げます。
 我が党は、最終補正予算において、税収減による一般財源の減収分を補てんするための減収補てん債を発行することや既定予算の執行状況を精査し、現時点での不用額を減額することを否定するものではありません。今回の補正予算も、一般財源の不足分を都債、減収補てん債の発行によって当て込んでおりますが、どの事業で幾ら都債を発行するかは、財務局の指示によるものということです。
 今回の補正予算で、首都高速道路整備事業出資金への都債発行は十一億八千三百万円ですが、これは当初予算で一般財源で充てることにしていたものと同額で、これにより、今年度の首都高速道路整備事業への出資金は、すべて都債を発行して充当することになります。
 二〇〇五年十月一日から首都高速道路公団が民営化され、株式会社になったにもかかわらず、相変わらず事業費については国と地方自治体からの出資金等で賄われています。聞くところによりますと、当初から二〇一〇年度末までの都の出資金総額は二千六百三十一億円となり、巨額の投資を続けています。
 しかも出資割合は、いろいろな理由をつけて引き上げられてきています。現在事業中の中央環状品川線の工事そのものは、本来国が行う事業であるにもかかわらず、二本の道路のうち一本二千億円は、街路事業として都が建設し、さらにもう一本は出資比率がこれまでの二五%をさらに一〇%も引き上げられて、国と都で三五%もの資金を負担するという整備費を税金に大きく依存した事業になっています。
 税収が落ち込んで都財政が厳しいからと都債を発行し、借金をふやしていくよりも、首都高速道路事業出資金など、本来都が負担する必要のないものこそ精査し、やめるべきという立場から、本補正予算には反対いたします。

○泉谷委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 第百三十号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、都市整備委員会所管分を採決いたします。
 本案は起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○泉谷委員長 起立多数と認めます。よって、第百三十号議案、平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、都市整備委員会所管分は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十五分散会

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