都市整備委員会速記録第十八号

平成二十三年十二月十二日(月曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長泉谷つよし君
副委員長石森たかゆき君
副委員長滝沢 景一君
理事関口 太一君
理事橘  正剛君
理事神林  茂君
田中  健君
斉藤やすひろ君
小山くにひこ君
大島よしえ君
谷村 孝彦君
林田  武君
遠藤  衛君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長技監兼務飯尾  豊君
次長長谷川 明君
技監安井 順一君
理事松井多美雄君
理事藤井 寛行君
総務部長田崎 輝夫君
都市づくり政策部長町田 修二君
住宅政策推進部長鈴木 尚志君
都市基盤部長石川  進君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長砂川 俊雄君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
企画担当部長邊見 隆士君
連絡調整担当部長細渕 順一君
景観・プロジェクト担当部長永島 恵子君
住宅政策担当部長香山  幹君
民間住宅施策推進担当部長高田  茂君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務山下 幸俊君
民間開発担当部長藤塚  仁君
多摩ニュータウン事業担当部長五十嵐 誠君
耐震化推進担当部長小野 幹雄君
経営改革担当部長笹沼 正一君
再編利活用推進担当部長上野 雄一君
建設推進担当部長荒川 達夫君
営繕担当部長妹尾 高行君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十六号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百五十七号議案 東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
・第百五十八号議案 東京都再開発等促進区を定める地区計画等の案の作成手続に関する条例の一部を改正する条例
・第百五十九号議案 東京都景観条例の一部を改正する条例
・第百六十号議案 東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例
・第百六十一号議案 東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十四号議案 東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
報告事項(質疑)
・東京都住宅政策審議会答申について

○泉谷委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○泉谷委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百五十六号議案から第百六十一号議案まで及び第百八十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 本日、付託議案に上げられております都営住宅等の指定管理者の指定についての質問をさせていただきたいと思います。
 今回、都営住宅の指定管理者は住宅供給公社ということでの選定がなされておりますが、これまでもこの指定管理者においての選定は、過去二回行われているということでありますが、それぞれの選定方法、また内容について伺いたいと思います。

○笹沼経営改革担当部長 都営住宅等の指定管理者の選定につきましては、制度の円滑な導入を図るため、一部地域を公募により、それ以外の地域を特命により指定管理者を指定することとし、平成十八年度以降、二回実施してまいりました。
 第一回の選定では、区部の北区と多摩地域の武蔵野、三鷹、西東京の三市を合わせた地域で公募を実施し、公募地域以外の地域を特命地域として候補者の選定を行いました。
 公募地域では、外部の有識者等による指定管理者選定委員会におきまして、二地域とも事業計画が最もすぐれていると評価された東京都住宅供給公社を指定管理者候補者に選定いたしました。特命地域は、都営住宅等の管理業務の実績等に基づき、住宅供給公社を候補者として選定いたしました。指定期間はともに三年間でございます。
 第二回の選定では、新たに港区を加えまして三地域で公募し、指定管理者選定委員会において、三地域いずれも事業計画が最もすぐれていると評価された住宅供給公社を指定管理者候補者として選定し、指定期間は五年間でございます。
 特命地域は、それまでの実績等に基づきまして、住宅供給公社を候補者として選定し、指定期間は三年間でございます。

○田中委員 過去二回の中ではそれぞれ公募という形もとって、結果的には公社となったという経緯はあるんですが、そのような結果がある中で、今回この特命地域においては、最初から公社を特命で指定するということが決定されましたが、その理由についても伺いたいと思います。

○笹沼経営改革担当部長 都営住宅は、低所得者や高齢者等への住宅セーフティーネットとしての役割を果たす施設であることに加えまして、少子高齢社会への対応に向けた活用や、震災時等における応急仮設住宅等としての活用を図る施設でございまして、都の政策との連動性を有する施設でございます。
 また、個人情報を厳重に管理しつつ、法、条例に基づいて適正かつ公平に居住者管理を行うことが求められますとともに、高齢者等の状況に応じた福祉的サポートが必要な施設でございまして、管理運営の特殊性を有する施設でございます。
 さらに、特命先としての東京都住宅供給公社は、地方住宅供給公社法に基づいて設立された特別法人でございまして、少子高齢社会への対応など都の住宅政策の一翼を担う重要なパートナーとして、管理業務の豊富な経験やノウハウを蓄積し継承しているほか、東日本大震災等による避難者の受け入れにおきましても、的確な対応を行っている実績がございます。
 このように、都営住宅の施設の特性、住宅供給公社の適格性を踏まえまして、公社を特命で指定することといたしました。

○田中委員 これまで公募を含め行ってきた結果、最終的にこの公社に委託するということ、さらに特命ということで、さらに今回は、この地域は二十三万戸に及ぶ大変大きな地域であるということでありますので、この理由というのは今聞いてわかったわけですが、それでは中身についての質問をしていきたいと思っております。
 今回のこの事業計画におきまして、中身を見ますと、特にコスト、コストということが何回も出てきます。効率的業務によるコスト削減、人件費削減、さらには業務の削減、さまざまなコストという言葉がこの事業計画書の中に入っておるんですが、このコストというのもですね、簡単にいえばコスト削減、いいことだと読めばそのようにわかるんですが、どのようにコスト削減を図るのか、具体的にお聞きしたいと思います。また、平成二十三年度に、公社が提示した特命地域の提示金額と、また、今回の、公社が提示した金額の比較についても、あわせてお聞きしたいと思います。

○笹沼経営改革担当部長 東京都住宅供給公社は、これまで、指定管理業務の執行に工夫を凝らすなどして、コストの縮減に取り組んできております。
 公社は、都営住宅等の約二十六万戸とは別に、公社一般賃貸住宅等、約七万八千戸を管理しておりまして、これらを一体的に管理することによるスケールメリットを生かして、施設管理費や人件費等のコストの縮減を図っております。
 具体的には、居住者への発送物の印刷部数の見直しや郵送料の縮減を行っているほか、公社住宅等と都営住宅等を数ブロックごとにまとめて、保守点検業務を発注することによりコストの縮減をしております。
 このようなコスト縮減策を進めることによりまして、特命地域における指定管理業務について、住宅供給公社が提示した金額ですが、平成二十三年度が約七十三億六千三百万円、二十四年度が約七十三億一千万円であり、約五千三百万円の縮減がなされております。

○田中委員 今、総額の七十三億六千三百万円余と、今回七十三億一千万余ということでお聞きをさせていただきました。今回やりとりをさせていただく中で、具体的に、じゃあ、どのコストがどのようにして、今回、指定管理の中で削減が図れるのかということを何度かやりとりさせていただきましたが、なかなかそれはわからないというか、この総額でしかわからないということが繰り返されておりました。
 やはり指定管理で、今回さらに特命ということで指定するにしても、皆さん、どのぐらいのコストが削減されているのか、また、特に今回はこの事業計画ということでありますから、一般的に事業計画と申しますと、どのくらいの、何パーセント減、もしくは幾ら減ということが示されて、それに基づいてその事業計画がなされていくのであろうと思いますが、私たちの手元にある事業計画には抽象的な言葉が並ぶだけでありましたので、今、コスト削減、もしくはこの指定管理も厳しく問われている中、もう少しわかりやすく、ないしは都民にもしっかりと理解していただき、納得してもらえるような事業計画書をこれからは提示してもらい、このコスト削減に向けてもさらなる努力をしていくことを要望したいと思っております。
 それでは、その中身についてでありますが、事業計画の中には今回新しく提供するサービスについての提案ということもなされておりました。その具体的な内容について伺います。

○笹沼経営改革担当部長 今回の東京都住宅供給公社の事業計画では、居住者サービスの一層の向上を図るため、高齢者世帯等への定期訪問履歴を既存のネットワークシステムで一元管理し、きめ細かい居住者対応や緊急時の親族等への速やかな連絡を可能とすることが提案されております。
 また、使用料の減免手続の更新を失念している居住者に対しまして、更新の期限が到来する前に注意喚起を促す案内を行うことが提案されております。

○田中委員 今の、新しい提案ということで二点、今回のある意味で目玉というか、指定管理を受けるに当たっての提案でありますが、お聞きした内容は、システムの一元化、大変にいいことではあるんですが、これまでずっと、指定管理の前からも公社が行ってきて、高齢者世帯の定期訪問の履歴さえもですね、逆に一元化されていなかったのかと答弁をお聞きすると感じてしまいます。また、この減免措置の更新を失念している居住者に対しても、これも、見守りのネットワークや訪問等は、これまでも行われていたんですが、それでは、じゃあこれまで行われていなかったのかというふうにも思ってしまいますので、ぜひ、今回新しく提供するこの二つが具体的だということでありますが、さらにこのようなことを当たり前としてとらえて、サービスの提供を、都からも、都との政策との連携ということを先ほども強調されておりましたので、強くサービスの向上を図ることを要求したいと思います。
 その中で、やはり皆さんが気になっているのは、今回の震災を受けての災害対策、また、直下型地震に対するこの公社の備えであります。
 この公社の事業計画書の中にも、都との連絡調整等の体制の項目の中に、特に災害時の連絡調整体制というのが入っておりますが、この体制というのはどのようになっていますでしょうか、具体的に伺いたいと思います。

○笹沼経営改革担当部長 台風や火事などの災害発生時における東京都住宅供給公社の連絡調整体制等につきましては、居住者や自治会等からの電話による通報を、お客様センターが受け付けた後、所管の窓口センターの所長等に報告され、速やかに窓口センターで現場対応が行われることとなっております。
 一方、お客様センターで受け付けた通報は、その重大性により住宅供給公社から都に対し迅速に報告が行われ、都が適宜指示を行うことのできる連絡調整体制を整えてございます。

○田中委員 今、提示してもらったのは、一般的に、台風や火事などの災害を仮定して、お客様センターに届け、さらにそれが窓口センター所長に行って、さらにそれが東京都に行くという連絡体制であります。これは一般的なその災害ではいいかと思いますが、今回のような首都直下型、東京全土を襲うような地震が起きた場合には、このようなことをしている場合ではなく、迅速な対応が求められます。
 今回の指定管理者候補の選定委員会の議事録等の中にも、今後、東京都自身が大規模な災害を受ける可能性があることから、候補者は都と連携をとりながら居住者等に対して、緊急時の対応ができるよう準備をしておくことという要望が出されております。
 東京で災害が発生した場合に、都営住宅等の指定管理業務が円滑に行われるためには、さらに今までの都との体制を含め、新たに緊急対策も必要かと思いますが、どのような対応を考えているのか、伺います。

○笹沼経営改革担当部長 首都直下型地震の発生など、東京が直接被災するような大規模災害が発生した場合、初動期の応急復旧等の対応が重要と考えてございます。
 東京都住宅供給公社は、大規模災害発生時には、理事長をトップとする災害対策本部を設置いたしまして、全社的な即応体制を構築することとしております。
 また、居住者等からの電話通報を受け付ける公社のお客様センターは、自家発電設備を装備し、免震構造を採用したビルに設置されておりまして、災害発生時には、このセンターを情報連絡拠点として機能させる計画となってございます。
 さらに、住宅供給公社は、東日本大震災により都営住宅等で発生したエレベーター内での閉じ込め事故等に対しまして、都への報告を行いながら現場での対応を迅速かつ的確に実施しております。
 東京での大規模災害発生時にも、公社は都の指示のもとで、現場での判断も行いながら、適切に対応することとしております。

○田中委員 この公社のあり方、ないしは都営住宅のあり方については、各委員、各党からもさまざまな要望が出されていることかと思っております。
 都営住宅はもともと、先ほどもありましたが、低所得者、もしくは高齢者へのセーフティーネットというところから、さらには災害にも、また一般住宅とのこれから共同もということで発展が望まれているところであります。と同時に公社の管理のあり方ということも、三年前ですか、外部監査報告の中でも多く指摘され、その指摘の改善も現在なされていることも理解しておるところであります。
 だからこそ、このように、今回指定管理を新たにするときには、もう一度そのあり方や、またどうあるべきかということを都の方でも見直し、さらに、先ほどはコストということをいいましたが、安ければいいというわけでもありません。もちろん、むだを省くことは大切でありますが、現在求められているのは、やはり災害対策、また震災があったときに、それがしっかりと東京都との連絡がとれることが求められております。
 そのことを最後に要望しまして、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございます。

○神林委員 私も同じ都営住宅などの指定管理者の指定について伺います。
 当然同じ質問をするわけですから、田中委員と若干重複するところもありますけど、視点が違いますので、ご容赦いただきたいと思います。
 都営住宅などの管理運営については、平成十八年度から指定管理者制度が導入され、都議会において、これまで平成十七年度と二十年度の二回、指定管理者の指定について議決を行っております。
 この間、私ども都議会自由民主党では、指定管理者制度について運営委託を実施しているすべての指定管理事業を、いま一度立ちどまって検証する必要があると考え、入札契約制度プロジェクトチームを立ち上げて検討を行い、平成二十一年六月に、公共事業の正しいあり方についてとして報告書を取りまとめて、皆様にも提言を行ったところでございます。
 その後、東京都においては、平成二十二年三月に指定管理者選定などに関する指針を改正し、制度の運用、見直しを行っているところでございます。
 そこで、まず初めに、今回の指定管理者の指定を特命によることとした方針について改めて伺います。

○笹沼経営改革担当部長 都営住宅等の指定管理者制度につきましては、円滑な導入を図るため、一部地域を公募により、それ以外の地域を特命により、平成十八年度以降、二回の指定管理者の指定を行っておりますが、第二回の公募後の平成二十二年三月、都の指定管理者選定等に関する指針が改正となったところでございます。
 この指針では、都の政策との連動性及び管理運営の特殊性の観点から、行政支援、補完機能を有する監理団体の特命による管理運営が適切である施設は、特命選定が可能であることが新たに規定されました。
 今回の方針の策定に当たりましては、このような指定管理者制度をめぐる状況の変化を踏まえて検討を進めてまいりました。都営住宅は、住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給する必要があるなど、都の政策との連動性を有する施設であること、居住者の事情に応じた福祉的サポートが必要な施設であるなど、管理運営の特殊性を有する施設であることから、都の住宅政策の一翼を担う東京都住宅供給公社を特命で指定管理者候補者として選定することといたしました。

○神林委員 今回の都営住宅などの指定管理者候補者の選定が、我が党の報告書における提言を初め、指定管理者制度をめぐる状況の変化を踏まえて行われたものであると、今の答弁でそういうことを確認させていただきました。
 我が党の提言では、都営住宅について個別に検証しており、低所得者や高齢者などの住宅困窮者に対して提供される都営住宅の管理は、民間とは役割が異なっており、提供するサービスの内容に継続性、安定性が求められることや、東京都全体でおおむね同一水準のサービスを担保する公平性が求められることを指摘しております。さらに、都営住宅では、個人の情報の厳重な管理も必要と考えております。
 今回、東京都住宅供給公社を指定管理者候補者として特命選定した理由については、先ほども答弁がありましたけれども、我が党の提言と同じ観点に立った内容だということで、我が党は賛同しております。
 さて、継続的、安定的なサービスの提供を確保するためには、一定程度の指定期間が必要であり、都の指定においても五年間が原則となっておりますけれども、今回の指定期間を二年間とした理由について確認しておきたいと思いますので、お願いいたします。

○笹沼経営改革担当部長 公募地域である北区、港区、武蔵野、三鷹、西東京の三市を合わせた地域における指定期間が二年間残されているため、その期間の終了にあわせて二年間といたしました。二年後に、現在の公募地域と特命地域を合わせ、都内全域を対象に指定管理者候補者の選定を行うことを考えております。

○神林委員 今、答弁していただいた中で、二年後には今回の選定する特命地域とともに公募地域の選定をあわせて行う、こういったことがあったわけでございますけれども、その際の選定方針はどのように考えているのか、お聞きします。

○笹沼経営改革担当部長 今回の選定に当たりましては、都営住宅が都との政策連動性及び管理運営の特殊性を有する施設であることを踏まえまして、東京都住宅供給公社を特命により、指定管理者候補者として選定することといたしましたが、二年後の指定管理者の選定につきましても、こうした状況や外部の有識者等による管理運営状況評価委員会の評価結果を踏まえて判断することとなります。

○神林委員 繰り返すようですけれど、都営住宅の管理は、東京都全体で同一水準のサービスを担保すべきであると考えておりまして、今の答弁でも二年後の都営住宅などの指定管理者として、公社が有力な候補者となっているということでございますので、これは妥当だとは私どもも考えております。
 でも、しかしながら、肝心なことは、特命による選定では、公募方式のメリットである競争によるサービス向上や効率化が図れなくなるという可能性も当然考えられるわけでございますので、これについて東京都はどのように考えているのか、お伺いいたします。

○笹沼経営改革担当部長 競争によらない特命選定におきまして、サービスの向上や効率化を図っていくためには、都と委託先とで指定管理業務の契約が適切に履行できる関係を保つことが重要と考えてございます。
 そのため、毎年度の指定管理業務の実施報告や定期検査を、よりきめ細かく行うとともに、管理運営状況評価委員会の一層の厳正な評価を実施してまいります。
 また、都として、居住者のニーズや現場の実情を把握するなど、指定管理業務が適切に行われるよう努めてまいります。

○神林委員 これは念押しになってしまうのかもしれませんけれど、二年後の指定管理者の指定については、今答弁があったように、都と公社とが責任感を持って適切な関係を保ちながら、サービス向上や効率性を担保するための取り組みが行われることが大前提でございますので、しっかりと検討を行い進めていくように、ここで要望しておきます。
 今後とも、都営住宅の特性を踏まえて指定管理者制度を適切に運用し、都営住宅が住宅セーフティーネットとしての機能を十分に果たしていくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○谷村委員 それでは、私も都営住宅などの指定管理者の指定について質問をいたします。
 初めに、この指定管理者制度は、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的として平成十五年に地方自治法が改定されて創設されております。東京都では、平成十八年度に本格導入が図られております。
 この都営住宅などの管理運営についても、平成十八年度から指定管理者制度が導入され、これまで二回の指定管理者の指定が行われ、今回は今年度末で指定期間の終了を迎える特命地域について、三回目の指定を行うことになるわけであります。
 改めて申し上げるまでもなく、都営住宅は住宅にお困りの都民の方に提供するものであり、都営住宅の主役は、そこにお住まいの都民の皆様であり、居住者であります。
 そこで、私はこの居住者の方々へのサービスの向上がどのくらいなされてきたのか、そういう観点から三点質問をさせていただきたいと思います。
 今回の東京都住宅供給公社の事業計画では、先ほどもご答弁がありましたけれども、高齢者世帯などの定期訪問世帯の対応履歴の一元管理化、また使用料減免手続の期限前案内サービスなどの新たな提案がなされております。
 こうしたサービス向上の方策につきましては、住宅供給公社はこれまでも過去二回の都営住宅などの指定管理者の選定において、新たな取り組みを提案してこられたと思います。また、前回の選定以降も継続してサービスの向上に取り組んでおられることと思います。
 そこでまず、具体的にどのような取り組みが提案され実施されているのか、確認の意味でお伺いをいたします。

○笹沼経営改革担当部長 東京都住宅供給公社は、長年にわたって都営住宅の管理業務を執行し、現場の状況にも精通しておりまして、これまで現場ニーズを的確に反映したサービス向上策を提案し、実施してきてまいりました。
 具体的には、居住者サービスの面からの取り組みでは、窓口開設時間を延長したことや居住者の方が申請、相談、使用料の納入等を行う場合、所管の窓口センターだけでなく、十七あるすべての窓口センターでの受け付けを行うようにしたことなどがございます。
 安全管理面からの取り組みでは、都営住宅等の敷地内の公園にある滑り台、ブランコなどの遊具の点検頻度を高めたことなどがございます。
 第二回の選定以降におきましても、緊急修繕の対応と同じように、居住者からの電話連絡の窓口であるお客様センターを通じまして、離れて暮らすご家族や自治会などからの居住者の安否確認が二十四時間、三百六十五日できるようにするなど、住宅供給公社はサービスの向上に継続的に取り組んでおります。

○谷村委員 ただいまご答弁にありましたように、これまで指定管理者候補者の選定を行うたびに、新たなサービス内容の提案がなされ、特命地域と公募地域の別なく都内全域の都営住宅などの居住者に対するサービスの向上が図れるとともに、指定管理者の選定時以外にもサービス向上の取り組みが行われております。
 今日、高齢者の孤独死が社会問題となっております。都営住宅においても、ここ数年居室内でだれにもみとられずに亡くなられた高齢者の方は、毎年四百人前後に上っているようでございまして、こうした状況の中で、我が党は都に対し、ご親戚の方などが居住者の安否確認ができる仕組みづくりを要望してきたところであり、これが住宅供給公社のサービス向上策の一つとして実を結んだことにつきましては、大変にすばらしいことでありますし、公社のご努力、取り組みを高く評価いたすものであります。
 また、公社のお客様センターが設置されたのは平成二十年六月ですけれども、それまで内容によって、かける相手先が異なっていたわけですが、居住者からの電話での連絡先をお客様センターに一本化し、居住者の利便性を高めることを目的に設置されたわけですけれども、お客様センターでの受け付けが始まった当初には、センターに電話をすると、最初に流れる音声ガイダンス、これに対して高齢の居住者の方などはよくわからないという方もおられました。人に電話に出てもらいたいというそういう強い要望、またガイダンスが流れている間も電話料金がかかってしまうような、まあそういう不安に、お困りになっていたわけですけれども、これを自動的にオペレーターにつながる趣旨の案内を追加してもらえないかというような提案もさせていただきましたけれども、これにつきましても、公社の方で速やかに改善策を実施していただいたこともありました。
 こういう細やかな私どもの要望に対しては、公社は本当に速やかによく対応してくださったと思っております。
 また、本年九月に台風十二号が東京に接近した際には、夜間に居住者からの問い合わせが殺到し、団地の自治会長が連絡をとろうとしても電話がつながりにくいという状況がありました。
 都営住宅においては、台風に限らず地震や火災の発生、あるいは警報器の深夜の誤作動というのもありますけれども、こうしたさまざまな不慮の事態に対応することが求められるわけであります。
 引き続き、お客様センターの電話受け付けの改善につきましては、しっかりと取り組んでいただきますように、これは日常的にもしっかり対応できるように、改めて要望いたしておきたいと思います。
 また、第二回の都営住宅などの指定管理を指定した後、平成二十二年三月に、都は指定管理者制度の運用の一部見直しを行っております。見直しに当たっては、都民サービスの一層の向上を目的として、主として施設の特性に応じた適切な指定管理者の選定と、良好かつ安定的な施設運営の観点から検討を加えたと伺っております。
 今回の都営住宅などの指定管理者候補者の選定につきましては、この見直し方針に基づいて行われたと思いますが、東京都住宅供給公社が特命先の団体として最適であるとした理由について、改めて具体的にご説明していただきたいと思います。

○笹沼経営改革担当部長 東京都住宅供給公社は、昭和四十五年に都営住宅の管理業務を分担するために設立されました財団法人都営住宅サービス公社を、平成元年に統合して今日に至っておりまして、長年にわたって都営住宅等の管理運営業務を執行し、管理に必要な経験やノウハウを蓄積しますとともに、社内の人材育成に積極的に取り組みまして、知識、技術の継承を着実に行っております。
 こうしたことにより、都との密接な連携のもとで、現場の実態を踏まえた的確な管理運営を行うことができる監理団体でございます。
 また、住宅供給公社は、地方住宅供給公社法に基づいて設立された特別法人でございまして、役員、職員は、みなし公務員とされております。住宅セーフティーネットとしての都営住宅の管理を行うにふさわしい公的団体でございます。
 また、住宅供給公社は、少子高齢化対策など都の住宅政策の一翼を担う重要なパートナーとしての役割を担っております。
 さらに、公社は、都と緊密に連携し、今回の東日本大震災等による避難者の都営住宅等での受け入れにおきまして、入居者募集や入居手続を機動的に実施するとともに、工事店ネットワークを活用して受け入れ住戸の補修等を迅速に行うなど、被災者の方々の支援に寄与してございます。

○谷村委員 大変詳しくご説明していただきまして、ありがとうございました。
 ただいまのご答弁にもありましたように、東京都住宅供給公社は、その前身の都営住宅サービス公社以来、四十年以上にわたって都営住宅の管理業務に携わってこられております。また、都営住宅の募集業務につきましても、昭和六十一年から当時のサービス公社への一部事務の委託が開始され、平成十四年からは、募集事務の大部分が住宅供給公社に委託をされております。
 今回の選定に当たっては、そうした住宅供給公社の経験、ノウハウ、東京都監理団体としての役割、これまでの業務実績に着目して指定管理者として、最もふさわしい管理団体と判断したという、ただいまのご答弁につきましては、私も大変によく理解できるわけであります。
 このような住宅供給公社独自の強みが、都営住宅などの指定管理業務に具体的な形で生かされていくことで、公社を特命で選定する理由がさらに確固たるものになっていくのではないかと私は思っております。
 そこで、住宅供給公社は長年にわたって、都営住宅などの管理運営業務を受託し、豊富な経験やノウハウを、ただいまのご説明でも有していることはよくわかりますが、それではこうした公社の経験や能力というものが、指定管理業務に具体的にどのように生かされていくのか、お伺いをいたします。

○笹沼経営改革担当部長 これまで東京都住宅供給公社は、長年にわたって都営住宅二十六万戸の管理を安定的に実施してまいりました。
 これまでに蓄積した経験やノウハウを生かしながら、例えば、居住者サービス面におきましては、東京都住宅供給公社は、居住者との対応で蓄積してきた記録をネットワークシステムに整理、入力し、過去の記録を速やかに把握して、迅速かつ的確な居住者対応を行ってございます。
 また、申請受け付けや収入認定のマニュアルなどを独自に作成し、継続的に改良を行いながら、収入認定など都営住宅特有の業務への対応能力を向上させております。
 居住者の安全管理面におきましては、エレベーターの保守点検につきまして、チェックリストの作成や点検体制の改善を行い、安全管理の向上を図ってございます。
 さらに、設備の保守点検を行う全業者を集めた報告会の実施などによりまして、ふぐあい事例の共有化などを図り、ふぐあい発生率を低減してございます。

○谷村委員 今のご説明をお伺いしましても、大変にすばらしいことだと思います。居住者サービスの面、申請受け付けや収入認定のマニュアルの独自の作成、居住者の安全管理面、設備の保守点検と、ここまで住宅供給公社に取り組まれると、これに取ってかわる存在がない、取ってかわる存在というのはなかなか出てこようもないと思われるわけであります。
 私は、指定管理者制度が導入される際に、特に都の監理団体に特命契約がなされたケースなどでは三年、あるいは五年が経過した際に、その特命を解くのか、それとも特命を継続するのかという、また継続する場合はどういう考え方や理念で継続するのか、当時は厚生委員会でしたけれども、監理団体と指定管理者制度のすみ分けについて、本質的な質疑をさせていただいたことがあります。監理団体の存在と指定管理者制度の導入をどのように線引きするのかが、都としてもこれは大変に大きな課題であったわけであります。
 昨年九月に東京都監理団体活用方針が出されて、改めて監理団体の存在意義、役割というものが確認されております。監理団体を活用する業務は時代によって変化していきますが、政策との連動性が高い業務は普遍的に存在し、都政の一翼を担うという監理団体の役割は不変です。しかし、団体を活用する業務については、都の施策と社会経済状況の変化に応じて不断の検証を行い、適時適切に見直しを行ってまいります、このように、監理団体の役割、位置づけを、私にいわせれば遅いぐらいですけれども、昨年、都として明確に確認したわけであります。
 住宅供給公社のこれまでの経験、ノウハウが具体的に業務に生かされ、新たな経験、ノウハウとして蓄積され、また反映されるという好循環となるよう、住宅供給公社には引き続きご努力をお願いしたいと思います。その分、私どもも、また公明党といたしましても、居住者の方々からのお声や現場の状況、あるいは時代のニーズに対応するための注文、これはどんどん遠慮なくさせていただきたいと思っております。
 今後とも居住者の方々へのサービスの向上を図り、かつては都営住宅サービス公社と称していたわけですので、その精神もしっかりと引き継いでいただき、都と公社が連携して都営住宅などの管理運営業務を良好に遂行していただくことを強く期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○大島委員 私からも、都営住宅等の指定管理者の指定についてお伺いをいたします。
 これまでもずっと質問が出されておりましたので、重複する部分もあると思いますが、よろしくお願いします。
 この都営住宅の指定管理者の指定というのは、二〇〇六年度からこの制度が導入されました。当初は北区と、それから武蔵野市、三鷹市、西東京市の二グループで公募が行われ、それ以外の地域では特命選定となって、いずれも東京都住宅供給公社が指定されてきました。このときの指定管理の指定期間は三年でした。
 その後、二〇〇九年度からは、港区を加えた三グループが公募となりましたが、これも住宅供給公社が指定され、指定期間は五年とされました。このときの特命による選定期間は三年間でした。
 こうしたその経過があるもとで、今回これまで特命で指定してきた公募選定以外の都営住宅等の指定管理者の指定期間を二年間とした理由について、お伺いをいたします。

○笹沼経営改革担当部長 先ほどもご答弁させていただきましたが、公募地域である北区、港区、武蔵野、三鷹、西東京の三市を合わせた地域における指定期間が二年間残されているため、その期間の終了にあわせて二年間といたしました。二年後に現在の公募地域と特命地域を合わせ、都内全域を対象に指定管理者候補者の選定を行うことを考えてございます。

○大島委員 そうなりますと、今度は公募地域とか特命地域とかと、分けて選定するのではなくて、あわせて選定するということになると理解します。公募も特命も提案内容を選考委員会で選考して、指定管理者の候補者を決め、議会の同意を得て指定するというのは同じだと聞きました。
 こうした選考時の提案の内容に、住民サービス向上の視点から、これまでも窓口の開設時間の延長とか、郵送による申請受け付けを可能にするなどの提案が盛り込まれ、改善が図られてきたことは非常に重要だと思っています。
 しかし、その一方で住宅供給公社では、二〇〇八年六月から四つの支社をなくし、これまで窓口センターに寄せられてきた各種の相談は、まず民間委託のコールセンター、ここで受け付けるようになりました。当初、この電話の受付業務が混乱いたしまして、多くの苦情が舞い込むということもありました。
 また、二〇〇八年度からは、住み込みの普通管理人、これを全廃しまして、火災や孤独死などの緊急対応時に支障が出るというようなこともあり、住民サービスが低下されたのではないかというふうに思っておりました。
 また、今回は新しいサービスということで、高齢者への訪問などが盛り込まれたということです。これまでも、私たちは、ひとり暮らしの高齢者が非常に都営住宅の中でふえる中で、孤独死を防止するとか申請手続の困難さを解消するとか、そういうことで巡回管理人さんを増員して、もっと頻繁に行ってもらえるようにできないかなどというような提案もしてきたところですが、こういう方向での充実も今後できるのかと期待しております。
 こうした中で、東京都が一〇〇%出資してつくった当住宅供給公社が、指定管理者に選定されるということは、居住者の立場に立てば、これまで都営住宅の管理について、長年、専門的に取り組んできた経験を生かすこともできますし、また、都の指導も行いやすい、こういう点でよかったのではないかと考えております。
 そこで、これまで都営住宅の管理等について、公募による指定も特命による指定もすべて当住宅供給公社に指定されているという、その都の評価についてお伺いをいたします。

○笹沼経営改革担当部長 都営住宅等の指定管理者制度につきましては、円滑な導入を図るため、一部地域を公募により、それ以外の地域を特命により、指定管理者を指定することとして制度を運用してまいりました。
 公募地域では、二回行った公募のいずれも外部の有識者等による指定管理者選定委員会におきまして、東京都住宅供給公社が、他の応募者と競合する中で事業計画が最もすぐれていると評価され、指定管理者候補者に選定されました。
 一方、特命地域では、都営住宅等の管理業務の実績等に基づきまして、住宅供給公社を指定管理者候補者としてまいりました。
 公募地域、特命地域ともに公社が指定管理者となったことによりまして、都との政策連動性及び管理運営の特殊性を有する都営住宅の全体について、的確な管理運営が行われているものと考えております。

○大島委員 選定に当たっても、最もすぐれているというふうに評価されたということや都との連動性、こういったものをかんがみれば、これは当然のことかなというふうに私は思っております。
 前回、この指定管理者の選定をした際に、指定期間のこの間に、都営住宅の指定管理者制度を導入したことの成果や課題、またこれまでの指定管理者公募の状況や他の自治体における動向などを総合的に検証し、最も適切な管理のあり方について検討していくと答弁をされております。
 今後の都営住宅等のこの指定管理について、都としてどのように考えているのか、お聞きします。

○笹沼経営改革担当部長 今後の都営住宅等の管理につきましては、居住者に対しまして、よりよいサービスを効率的に提供できる事業者を指定管理者候補者として選定していきたいと考えてございます。

○大島委員 先ほどのご答弁で、今回もその特命の選定で二年間延長するということですし、その評価の条件のもとで、これまでと同様に、都の政策との連動性とか管理運営の特殊性、こういうものを有する施設ということが、特命でこれまで指定してきた理由であるということですから、二年後に住宅供給公社の評価が今と変わらなければ、公社が特命指定になるというふうに理解いたします。
 東京都のこの監理団体であり、法に基づいて設置されている東京都住宅供給公社は、都営住宅の管理、営繕の事業には長い歴史と蓄積を持っています。私たちは、これまでこうした住宅供給公社が、都営住宅の指定管理者に選定されることには賛成の立場をとってきました。今後とも、居住者サービスが一層向上されるよう、都として、公社に適切な指導を行うことを強く求めまして、質問を終わります。

○泉谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○泉谷委員長 次に、報告事項、東京都住宅政策審議会答申についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○田崎総務部長 それでは、報告事項の要求資料につきましてのご説明を申し上げます。
 去る十一月二十五日の当委員会でご要求のございました資料につきましてでございますが、お手元に配布しております都市整備委員会資料(十一月二十五日要求分)の一ページをお開き願います。
 東京都住宅政策審議会中間のまとめに対する都民からの意見でございます。
 意見募集の概要及び寄せられた意見の項目数につきまして、記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○泉谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 それでは、報告事項であります住宅政策審議会の答申についての質問をさせていただきたいと思います。
 今回、この住宅政策審議会の答申が出されました。内容は、住宅行政全般に及び多岐にわたっておりまして、大変貴重な提言をいただいたものと評価しております。
 その中でも、私からは一点、エネルギー政策の観点から省CO2住宅の誘導ということで質問をさせていただきたいと思います。
 ちょうど昨日、南アフリカのダーバンで行われていました国連気候変動枠組み条例第十七回の締約国の会議、COP17とよくいわれておりますが、これが終了して、このCO2削減、温室効果ガス削減についても新たな段階を迎えているところであります。この地球環境の問題が悪化する中、このCO2削減は世界じゅうで取り組むことは従来より叫ばれているところではありますが、住宅に関してのことをいえば、省エネルギー化、省CO2化というのは、どちらかというと新築住宅--新築住宅では、よくエコ住宅とか環境住宅とか、もしくはスマートシティ構想などということで最近名前が出ておりますが、そのような分野での取り組みが多く、逆に既存住宅についてはなかなか改善が進んでいないのが現状ではないかと思っております。
 また、三月十一日の大震災以来、電力だけに頼らないエネルギー供給の多様なものへの取り組みというのは進んでおるところであります。必要とするエネルギーそのものを小さくする努力も非常に重要となってきております。
 そこでお聞きしたいと思いますが、この住宅分野での省CO2化を図るため、都内にある既存の戸建て住宅の省エネ改修を進める必要があると感じております。
 都のこれまでの取り組み、また今回の答申を踏まえて、今後の施策展開についてを伺いたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 住宅分野での省CO2についてのお尋ねでございます。
 都では、昨年度、既存住宅の省エネ化のための調査を行っておりますが、この中で戸建て住宅にお住まいの三十のご家庭に専門家を派遣し、住宅の省エネ性能調査や概算費用を含めた改修計画案を作成するなどアドバイスを実施しております。
 今後は、この調査の成果をもとに、省エネ改修を行うに当たっての事前の調査方法や効果的な改修方法を取りまとめ、広く情報提供を行うほか、事業者や消費者に対するセミナーや講習会を実施するなど普及啓発を図り、既存住宅の省エネ化を促進してまいります。

○田中委員 CO2の削減ですね。既存のこの住宅で実施していくというのは大変有意義なことであると考えております。
 今回のこのCOP17の産業界においての声、きょうの新聞にも多数載っておりましたが、これを機に、日本は省エネ技術の普及で存在感を増すべきである、また、これを商機に拡大していくことにもなると大きな期待が寄せられ、また前向きな発言が多数出ておりました。
 しかしながら、今の答弁ですと、モデル実験ということでありますが、そのモデル実験だけでは意味がないと思っております。ぜひ効果の検証というものを、去年から取り組みを始めたということであり、これから検証されるかと思いますが、それを都民にも、さらには産業にも発展させていただけることを要望しておきたいと思います。
 また、今後、答申の内容を踏まえて、今度新たな住宅のマスタープランが作成されることかと思っております。この答申がただの答申に終わることがないように、この提言内容の実現に向けて中身のあるマスタープランの策定をお願いしたいと思っております。特に、マスタープランに記載されております政策指標についてでありますが、以前の事務事業質疑において、我が党の関口委員が指摘をさせていただいたように、現在のマスタープランでは、例えば中古住宅の流通市場を例に挙げますと、二〇〇三年が九%でありましたが、その目標は二〇一五年、二五%でありました。大変大きな目標を掲げていることはいいとは思うんですが、現段階での中古住宅の流通シェアというのは一一・一%、大変そこに乖離があります。都民のための高い理想ないしは将来この流通市場を大きくするという目標はいいと思うんですが、一方でこのかけ離れた数値を指標として設定することは、せっかくのマスタープラン自体の信憑性やもしくは信頼度というのを下げてしまうおそれがあるかと思っております。
 こういった意味からも、今後、新たなマスタープランを策定する際には、十分に議論、検討した上で政策指標を設定していただきたいと思っております。
 本日は、住宅政策審議会の答申についての議論でありますので、マスタープランについては、今後のこの議会の中、委員会の中で、改めて議論をさせていただきたいと思いますので、ぜひ都民の暮らしのために実効性のあるマスタープランをつくっていただきたいという思いを最後に述べさせていただきまして、質問を終わります。

○神林委員 住宅政策審議会答申について何点か伺います。
 東京都の住宅政策審議会答申、社会経済情勢に対応した新たな住宅政策の展開についてでは、本年三月に発生した東日本大震災を踏まえ、高度な防災機能を備えた居住の実現や少子高齢化が進む中で高齢者や子育て世代が安心できる暮らしの実現を求めております。我が党としても、東京が今後とも激化する国際都市間競争を勝ち抜いていくためには、そこで暮らす人々の安全・安心が確保されていることが何よりも重要だと考えております。
 東日本大震災の経験とともに、東京における震災対策を考えるとき、都市型の地震として、阪神・淡路大震災の記憶も忘れてはならないものでございます。
 阪神・淡路大震災においては、建物倒壊や焼死などを原因として亡くなられた方々が犠牲者全体の約九割を占めております。この経験を踏まえると、あす来るかもわからない大震災に備えて、市街地大火のおそれがある木造住宅密集地域や建てかえが進まない老朽マンションなど、東京の住宅が抱える特有の課題を一刻も早く解決することが強く求められております。
 そこで、今後の東京都の住宅政策を具体的にどのように展開していくのか、まず所見を伺います。

○香山住宅政策担当部長 本年十一月二十一日に東京都住宅政策審議会から出されました答申、社会経済情勢に対応した新たな住宅政策の展開について、この答申を踏まえ、今年度中に新たな住宅マスタープランを策定してまいります。
 このマスタープランにおきましては、木密地域不燃化十年プロジェクトに基づく木密地域の整備改善や老朽マンションの耐震化、建てかえ等の誘導により、東京の住宅と住宅市街地の弱点を克服し、安全で安心な住宅や住宅市街地を形成するための方針と施策を示してまいります。
 また、公有地を活用した高齢者向け住宅や子育て支援施設の整備による地域における生活サービスとの連携など、時代に即した新たな住宅政策の展開を示してまいります。

○神林委員 ただいま木密地域の整備改善など、東京の弱点を克服して安全・安心な住宅市街地を形成すると、大変力強い答弁をいただいたわけでございます。
 今回の答申を拝見しますと、木密地域の整備の項目の中に、住民の高齢化が進んでおり、従前居住者の居住継続に配慮した整備手法や円滑な事業実施のため、都営住宅を初めとする公共ストックを活用し、個別の状況に応じて実地に取り組んでいくと、こういうことが述べられております。居住継続にも配慮しながら円滑に事業を実施し、スピード感のある木密地域整備を行っていくために、この辺が一番肝心なところでございますけれども、具体的にどのような取り組みを行っていくのか、伺います。

○香山住宅政策担当部長 木密地域の整備に当たりましては、ご指摘のとおり、高齢者など地域住民の居住継続に配慮しながら事業を進めていくことが大変重要でございます。このため、木密地域やその周辺にある都営住宅や公社住宅、またその敷地の活用などにより、木密地域の整備の推進を図ってまいります。
 具体的には、都営住宅等の空き住戸を地域内で行う面的整備事業や道路整備事業に伴う一時移転者向けの仮住居、零細所得者や借家人の受け入れ先として活用してまいります。
 また、都営住宅や公社住宅の建てかえに伴う創出用地等を活用し、公共事業用地の代替地とするほか、民間事業者による移転先住宅の整備等を行ってまいります。

○神林委員 もう何度も何度もいわれていることですけれどね、震災はいつ起こるかわからないわけでございます。一日も早く実効性のあるというんですかね、スピード感というのは非常に大切なことでありますので、ぜひ実効性が上がるような具体的な展開をこれからも東京都として検討していただきたいと思います。
 さて、東京の今後の住宅政策の中で高度防災都市づくりと並んで重要な取り組みの一つが、やはり高齢化への対応ということが挙げられると思います。特に最近では、ひとり暮らしのお年寄りの方が非常にふえております。そうした中で、私の地元でもあったことでございますけれども、地域のボランティアの皆さんが、例えば配食サービスを行う活動など、ひとり暮らしのお年寄りを支えようという取り組みが本当に各地域で起こっております。ところが、こうした活動の多くはボランティアで行っているため、資金力に乏しく、活動拠点を確保することにも苦労しているという実態がございます。
 今後、高齢化がますます進行していく社会を考えますと、財政負担を抑制していくためにも、行政がこうした活動と連携、協力をしていくことが必要になると思われます。
 住宅政策においても、これからは単に公共がみずから住宅を供給するだけではなく、地域で高齢者の生活を支える取り組みを支援していくという観点が必要だと考えますが、今後の住宅政策における取り組みについて伺います。

○香山住宅政策担当部長 東京都におきましては、これまでも、都営住宅や公社住宅の建てかえにあわせまして、地元区市町からの要請等を踏まえながら、地域に必要とされる福祉施設等の整備を行ってまいりました。
 また、公社住宅におきましては、併設された賃貸店舗施設の空き店舗を活用し、賃料を減額してNPO法人等に貸し出し、高齢者支援等の福祉目的で活動している団体を支援してまいりました。
 今回の答申におきましても、高齢化が進行し、家族形態、生活形態が多様化する中で、都民の生活を、地域社会において、いかに支えていくかという観点からの住まいの質が求められるとされているところでございます。
 今後とも、答申の趣旨を踏まえ、公共住宅ストックを活用し、地元区市町とも連携しながら、地域における高齢者等の生活を支える活動を支援してまいります。

○神林委員 先ほどの地震と同じことでございまして、やはり具体的にどう実行されるかということが大事でございまして、今後の住宅政策の取り組みに当たっては、ただ単に住宅を供給するということだけではなくて、人の生活ももうどんどん刻々と変化しているわけでございますので、そこに暮らす方々が自立して生活を送るための必要不可欠な支援施設も今後検討していただくことを要望して私の質問を終わります。

○橘委員 私の方からも答申について何点か伺います。
 今回の東京都住政審の答申、今後の住宅政策における十の取り組みの一項目として、良質な住宅を供給する市場整備、この点を掲げております。具体的な政策課題として、長期優良住宅の普及促進を検討すべきという提言が行われているわけであります。
 この長期優良住宅というのは、二〇〇九年六月に法施行となりました長期優良住宅普及促進法に基づく住宅のことでありますけれども、まず、この法律の目的と法施行後の都の取り組み、それから実績について確認しておきたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 長期優良住宅の制度は、この住宅の普及により、環境負荷の低減を図りつつ、良質な住宅ストックを将来世代に継承することで、より豊かで優しい暮らしへの転換を図ることを目的としております。
 都におきましては、これまで、中小事業者を含む住宅生産者を中心として、セミナーや講習会など、さまざまな機会を通じて、技術的な認定方法や税制優遇など、制度の普及に努めてまいりました。現在、都内の戸建て住宅では約一万二千戸、二割程度が、建築時に当該住宅の認定を受けております。

○橘委員 この長期優良住宅の条件というのは、さまざまな細かい点があるようでございますけれども、まず一つは百年程度、それ以上はもつ耐久性を備えた構造、つまり家屋の躯体ですね。躯体部分が少なくとも百年以上はもつような、そういう構造であること、それから、通常よりもさらに高い耐震構造を持っていること、それから、補修に配慮した設計であること、この補修というのは、ただ単に簡単なメンテナンスというよりも、配管から含めて全部リフォームできるような、工事がしやすいような設計になっていること、さらに、バリアフリーであるとか省エネ対策など、多くの条件を満たしているということが長期優良住宅の一つの要件になっているようでございます。
 東京の住宅状況は、一方で、首都直下地震等に備えた木密地域の整備が必要とされております。また高齢者世帯や子育て世帯向けのニーズに対応するような、そういった住宅が不足しているといった需給のミスマッチという課題にも直面しているというふうにいわれております。まさに、私たちの身の回りにあっても、高齢者向け住宅、多子世帯とかまた子育て世代の住宅がなかなか見つからないといった声も聞くわけでもあります。そういった現実的な課題がたくさんある中で、まず足元の対策に取り組むべきであって、緊急性を伴わないような課題については後回しにしてもいいんではないかという意見も一方にはあることも事実であります。
 そういう中で、答申では、東京の住宅政策に長期優良住宅の普及促進が求められている、この背景については、どう考えているのか。また、長期優良住宅普及への都の今後の取り組みについて、基本的な考えを伺いたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 東京の住宅政策に長期優良住宅の普及促進が求められる背景としましては、住宅政策審議会の答申にもございますように、都民の居住ニーズが多様化する中、都民のさまざまなライフスタイルやライフステージなどに対応した良質な住まいに居住することを選択できる市場環境の実現が求められており、住宅市場において消費者満足度の高い良質な住宅ストックの供給を促進する必要性が生じていることと認識しております。
 また、長期優良住宅の普及を進めるための取り組みについてでございますが、法が施行されてまだ間もないため、長期優良住宅の制度自体の認知度がまだ十分でなく、普及啓発に努めていくことが重要であると認識しております。
 このため、これまでも実施してきた中小の事業者を含む住宅生産者向けのセミナーや講習会などを活用して、引き続き制度の普及に努めていくとともに、今後は事業者以外の都民に対しても、消費者向けセミナーの開催やホームページの一層の活用などに、より積極的に取り組みながら国や区市とも連携して、普及啓発に努めてまいります。

○橘委員 今の答弁では普及啓発に取り組んでいくという、そういった基本的な方向性のお話でございましたけれども、この長期優良住宅というのは、環境負荷が少ないという観点で非常に評価もされているようでございますし、確かに、これはこれからの時代の先取りをしていく、そういった住宅であろうなとは思います。ただし、この業界に限っていえば、百年か、百五十年とか、そういった長もちするような住宅であれば、それが、なかなか建設が進まない。したがって、販売もされていかないという、そういった経営的な面からのデメリットもあるという指摘もございます。
 かといって、一方では、景気動向を見る上で、住宅着工数というのは、それが注目されるのは、やはり、家具とか、電気関係であるとか、それからインテリア関係、そういったものが、新築した場合それからリフォームした場合、かなりの経済的な波及効果があるという経済面でのメリットも指摘されております。これがどちらかがいいかどうかというのはまた別問題ではございますけれども、経済効果という観点から見れば、メリット、デメリット、そういったものもまた大いに検討していかなければならない課題も含んでいるのがこの長期優良住宅の課題であろうかと思います。
 そうした中で、ヨーロッパ諸国というのは全部が一概にはいえませんけれども、ヨーロッパ諸国の家屋というのは石でつくられて、また地震もほとんどないということもあるんでしょうけれども、二百年、三百年住み続ける。そして、それが建てかえというよりも、住みかえが定着しているといった国の状況も違います。日本では新しく建てて、そしてまた古くなったらすぐ建てかえる。三十年とか四十年ぐらいで建てかえる、そういった文化の違いもあろうかと思います。
 この長期優良住宅というのは、今後の方向性としては、これも進めていかなければならないという一面もあろうかと思います。今回は答申の段階でありますけれども、今後、やはり、マスタープランをまとめていく上で、この辺の判断、これをきちっと分析した上で東京都の住宅政策の中に組み込んでいくべきと思いますので、この辺は要望として申し上げておきたいと思います。
 この長期優良住宅に関連してもう一点伺います。
 この住宅というのは、先ほどいいましたように、百年以上は使い続ける、これを想定した住宅なわけですから、住みかえであるとか、リフォームであるとか、売買であるとか、そういったものもこれから頻繁に行われるという、そういう特質を持った住宅でもあろうかと思います。この住みかえ、リフォームが頻繁に行われますと、その履歴ですね、修理したという履歴、これが問題になってくるわけです。この長期優良住宅というのは、継続的に管理する仕組み、住宅履歴、このようなものが非常に大事になってくるかと思います。この辺についての考え方については、今回の答申の中にも若干触れられておりますけれども、都の考えも含めて伺っておきたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 長期優良住宅に認定された住宅も含め、今後、住宅ストックを有効に活用していくためには、建物の品質やリフォーム等の履歴情報が重要であると認識しております。
 住宅政策審議会の答申におきましては、消費者が安心して住宅取引が行えるよう、住宅取引における建物の性能、履歴、管理状況等の情報提供や専門機関による図面の預かり、保管制度について、既存の仕組みを活用するなどして、一層促進すべきであるとの提言をいただいております。
 今後、こうした住宅政策審議会答申の内容を踏まえ、今年度中に策定する住宅マスタープランに基づき、住宅履歴情報の一層の活用に向けて取り組んでまいります。

○橘委員 次に、今回の答申でも住宅政策の重要な柱として位置づけております高齢者向け住宅の供給について質問いたします。
 答申では、まず一つは、サービスつき高齢者向け住宅、それから二点目に高齢者のグループ居住、三点目に高齢者同士で建設する共同居住、主なものですけれども、こういった状況に応じた住まい方を提案しております。
 まず今、一点目に申し上げましたサービスつき高齢者向け住宅でありますけれども、これは居住者の安否確認であるとか、生活相談のサービスであるとか、バリアフリー化されているとか、そういったいわゆる私たちが認識している高齢者向けの賃貸住宅、これは条件としましては、専門の職員が建物内に常駐してサービスを提供するというものが一般的になっているようでございます。
 それから、グループ居住というのは、比較的元気な高齢者の方が共同で暮らすグループホーム的なもの、認知症高齢者のグループホームとはまた違って、元気な高齢者が一緒になって暮らすというこういう形態でございます。
 それから、共同居住というのは、一般的に、一つの建物や住戸に数人が居住して、居住者はそれぞれ個室を持っているんだけれども、リビングやダイニングなどは交流スペースとして共有しているという居住形態のようでございます。
 さまざまな形態がございまして、これは一概にグループ居住というのはこういうもの、それから共同居住というのはこういうものというそういう縦割り方はできないようでありますけれども、一般的にグループリビングといわれているようであります。
 この空き家の戸建てであるとか、住宅や集合住宅、これをNPOなどの事業者が高齢者の共同居住用へと改修したもの、それから入居者が自然に集まってきて、みずから建設地や建設協力者を探して建設したものとか、その設置主体も必ずしも一定ではなくて、さまざまな形態があるようであります。
 この設置主体者というのは、民間事業者、NPO、個人などとなっておりますけれども、東京の場合は地価、それから物価、人件費、高いので、これを方向性として、私もこれはすばらしいなと思うんだけれども、実際はやってみるとこの東京の特殊性もございまして、運営は大変だとも聞いております。
 この整備を担う多様な主体、つまり設置者でありますけれども、そういった人たちの取り組みを促す方向性について、これはどういうふうに取り組んでいくのか、見解を伺います。

○香山住宅政策担当部長 サービスつき高齢者向け住宅につきましては、都では区市と連携しながら、設置主体に対しまして、一戸当たり最大二百万円の助成を行っております。今後とも、こうした助成事業を活用しまして供給を促進してまいります。
 一方、共同居住あるいはグループリビングといわれるものでございますが、最近高齢者の新しい住まい方として注目されているものでございます。NPO等が供給主体となっているものなどが見られます。
 住宅政策審議会の答申におきまして、高齢者が地域で安心して暮らせる住宅の供給を行おうとする地域ボランティアやNPO等との活動との連携の必要性が指摘されております。この答申を踏まえまして、今年度中に策定する住宅マスタープランに基づき、安心して暮らせる高齢者住宅の普及を図ってまいります。

○橘委員 先日、私、テレビで、高齢者が共同で生活している、そういった取材番組をたまたま目にしたんですね。そうしましたら、そこでは、ある人は八百万とか、ある人は一千二百万とか、自分で出資して建物を共有する、そういった住まい方をしておりました。ある方は夫婦でお住まいになり、ある方はお一人でというような住まい方をしておりました。出資金を出すことによって、自分がその出資金割合に応じた部屋の広さであるとか、そういったものが提供されるという住まい方でありました。亡くなった後どうするのかということでちょっと注目してずっと見ていたんですけれども、これは、相続権はもう放棄する、全部そこに寄附するという住まい方でもありました。ああ、こういう住まい方もあるのかと感心して見ておりました。さまざまな形態があるわけですけれども、しかし、これからの東京の住宅事情とか、それから高齢者がふえてくる、それから空き家が非常に今ふえている、そういう全部の条件を勘案しますと、これからはそういった高齢者の方がそんなに負担をすることなく安い家賃でまた住まい方で、地域の中で暮らせるというそういったことが、バラエティーに富んだ住まい方が地域の中にあるということが、大事かと私は思います。
 私はたまたまテレビで見て、ああ、こういう住まい方もあるんだ、これはいいなというふうに印象を持ったんですけれども、これが、若い時代から、また中年の時代また初老期の段階、いろんな段階で、地域の中に、あそこにはこういった住まい方が、グループリビングの形態がある、ここにはサービスつきの高齢者の住宅がある、地域の中で、ある程度あそこにはこんな形態があったな、あそこのところに住んでいる私の友達はこんな住まい方をしているということを、日常的に目にしているということが、自分の老後にどんな住まい方をするのかという、その一つの選択肢にもなろうかと思います。
 こういう地域の中に何種類かの住まい方が現実にある、そして、それを日常的に目にしている、こういう形態が老後の住まいの安心に私はつながると考えます。将来的に、これは一挙にはいきませんけれども、そういった方向で地域の中で目にすることができるような住まい方の具体例、これを地域の中に提示していくのが基本的な方向性であろうと思いますけれども、それに対する基本的な考えをお聞きしたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 高齢者の方々の身体的状況や経済的状況はまさにさまざまであり、住まいに対するニーズも多様なものがございます。
 必要なケアが受けられるサービスつき高齢者向け住宅、居住者同士が互いに見守り合い、助け合いながら暮らす共同居住など、高齢者の多様なニーズに合ったさまざまな住まい方を住みなれた地域で確保することができることは大変重要なことかと考えております。
 住宅政策審議会答申においてご提言いただいておりますが、高齢者世帯が地域において必要なサポートを受けながら安心して暮らせる住生活の実現のため、サービスつき高齢者向け住宅の供給促進に加えまして、高齢者が安心して暮らせる住宅の普及を図ってまいります。

○橘委員 次に、被災住宅の復旧、復興支援についてお聞きします。
 今回の東日本大震災で住居を失った方は大変大勢いらっしゃるわけですけれども、その方たちがどういうふうにして復旧、復興していくのか、これについては、さまざまな課題があるようですけれども、詳細な分析がまだ行われていないということで、今回の分析をもとにした対策というのはまだ講じられていないということが一般的にいわれております。ただし、阪神・淡路大震災で家屋を失った方が、それをどうやって再建していくか、その課題は何か、これは、ある程度分析されております。今回の震災と同じような形態、また傾向性というのはあると思いますので、まず阪神・淡路大震災でのこの被害の分析を踏まえまして、再建とか修繕にどのような課題があるのか、これについてお聞きしたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 平成七年一月に発生いたしました阪神・淡路大震災は、全壊した住宅が約十八万六千世帯、半壊が約二十七万四千世帯、一部破損が約三十九万世帯など、甚大な被害が発生した都市型の大災害でございました。
 内閣府では、この大震災の経験から得た教訓を阪神・淡路大震災教訓情報資料集として取りまとめ、公開しております。この中には、住宅の再建や補修についての教訓も示されておりまして、例えば、地域の工務店など、小規模建設事業者の多くも被災し、補修への十分な対応が困難だった、区分所有建物の補修、再建については、合意形成が大きな課題となった、再建された民間賃貸住宅の家賃は、従前に比べ高騰し、被災者にとって厳しい状況になったなどが挙げられております。
 また、市民意識調査の結果といたしまして、住まいの再建を困難にする最も大きな要因が経済的な問題であり、さらに、住まいが再建、確保された後でも、家賃やローンの問題が生活レベルに大きく影響しているとしております。
 東京が首都直下地震など大規模地震による被災を受けた場合には、同様の問題が生じる可能性があることから、都では、平成十五年に東京都震災復興マニュアル復興施策編を策定いたしまして、被災住宅の応急修理、マンション等の再建に対する支援、住宅資産活用等による住宅再建支援、民間賃貸住宅入居支援などを行うこととしてございます。
 さらに、今回の東日本大震災における対応と教訓などを踏まえ、来年夏をめどに東京都地域防災計画を見直すこととしておりまして、この見直しに合わせて被災住宅の再建や修繕についても適切に対応できるよう検討してまいります。

○橘委員 今回の答申は当然ながら東日本大震災の震災後に協議され、またまとめられたものでありますけれども、この答申の中で、震災で住宅が被災した場合に備えた積み立てや資金準備のための仕組みが大事である、こういう指摘がされております。これは、地震については地震保険であるとか火災保険であるとか、さまざまな保険もあることはあるんですけれども、必ずしもこれが全部有効に機能しているかというとそうでもない。また、今回の条件が若干緩和されたというふうにも聞いておりまして、これは保険がやっぱり有効だったというそういう声もあります。さまざまな声が聞かれておりますけれども、この積み立てや資金準備のための仕組み、今答申の段階ですから、これは答申の中の提案でございますから、今都としてどうするかということはないと思いますけれども、現段階ではどういう方向がふさわしいのか、都民の財産を守ることができるのか、家屋を再建することができるのか、その辺の観点では、都はどのような方向で対応していこうと考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

○香山住宅政策担当部長 東日本大震災で支払われました地震保険でございますけれども、日本損害保険協会の発表によりますと、本年十一月二十四日時点で支払い件数七十二万六千件、支払い保険総額約一兆一千八百億円に上っておりまして、これは阪神・淡路大震災の実績の約十五倍以上の額に上ってございます。地震保険に加入していた被災者の方にとって住宅の再建、修繕に向け、一定の機能を果たしたものと考えております。
 また、この地震保険につきまして、現在、財務省が地震再保険制度に関する論点整理に係るワーキンググループを設置し、論点整理を行っております。この中で、巨大地震や連動地震が発生したときの地震保険の強靱性の確保、地震保険の商品性の向上、普及のための対策などが論点として挙げられていると承知しております。
 震災で住宅が被災した場合、その再建や修繕には多大な費用を要することが予想されます。災害に備えまして、自助努力により、あらかじめ資金準備を行っていくことが重要でございますので、都といたしましては、都民一人一人が地震災害への備えを行うよう促してまいります。

○橘委員 確かに自助努力によって、あらかじめ資金準備を行っていくというのは大事なんですよね。けれど、それがなかなかできないから、いざというときに困る、これも現実であります。
 阪神・淡路大震災で家屋を失った、また修繕、再建をしなければならないという状況の中で、やはりこれはふだんから共済制度のような、そういった仕組みも必要じゃないかということで、兵庫県だと思いますが、兵庫県が兵庫県として共済制度をつくったということを聞いておりますけれども、ところが、実際にそれがうまく機能しているかというと、さまざまな課題に今突き当たっているというふうな状況もあるようでございます。しかしながら、各人がそれぞれで、火災保険、地震保険に入るようにと促すだけでは、やはりいざというときに、首都直下地震が発生した、大きな被害を受けた、そのときにどうするかとなったらば、ただ単に各人がそれぞれ自助努力によって準備を進めるようにという対策ではどうかというふうに思います。かといって、兵庫県と同じような共済制度をそのまま導入したとしても規模が違いますし、また条件も違いますので、そのまま機能するかというと、そうでもないと思います。また課題もあるかと思います。
 そういった面で、再建をしようというときに、本当に負担がなるべく少ないような形で、再建また修繕ができるような支援、都としての支援、これもこれから構築していくべきであろうと私は思います。
 その辺も、今後十分検討していただきたいということを要望しまして、私の質問を終わります。以上です。

○大島委員 この住宅政策審議会の答申にかかわって、関連するという点では、ことし四月に国土交通省が住生活基本法に基づいて策定してきました住生活基本計画、これは全国計画ですけれども、これを見直して改定したということを発表いたしました。東京都もこの住生活基本計画の改定に合わせて、都の住宅マスタープランの見直しももちろん行うわけでしょうけれども、今回の住宅政策審議会の答申を受けて、その答申内容を今後住宅マスタープランに反映させるということはもちろんなんですけれども、マスタープランの改定を待たずに、都として直ちに取り組むこともできるものがあるのではないかと思います。
 都として、どのような検討がされているのか、また住宅政策の拡充に向けて住宅マスタープラン改定のスケジュールはどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○香山住宅政策担当部長 本年十一月に出されました東京都住宅政策審議会答申を踏まえまして、現在住宅マスタープラン原案の作成を進めておりますが、この中で施策の具体化に向けた検討を行っております。
 作成した住宅マスタープラン原案につきまして、住生活基本法及び東京都住宅基本条例に基づきまして、都民や東京都住宅政策審議会、区市町村、国土交通大臣から意見を聞くなどの手続を経まして、年度内に新たな住宅マスタープランを策定することといたしております。

○大島委員 年度内に新たな住宅マスタープランを策定するということですが、今回、この住宅政策審議会中間のまとめに対する都民の意見がパブリックコメントで寄せられています。きょうも資料を出していただいたんですけれども、意見の数というのが十二の個人または団体というところから寄せられております。項目としては二十七項目があるということで、ホームページを見ましたら、その要旨というか、それが掲載されています。そういう中で、特にセーフティーネットとしての住宅のあり方、それから今回は特に東日本大震災を受けての住宅政策ということですので、震災対策などへの強い関心がうかがわれます。
 この意見というのは、当然住宅政策審議会への中間のまとめに対する意見なんですけれども、同時に今行っております都の住宅政策に対する都民の要望でもあると考えます。こうした意見について、都としてどのように受けとめているのか。また、今後の住宅政策にどのように反映させていくのか、お伺いいたします。

○香山住宅政策担当部長 住宅政策審議会中間のまとめに対する都民からのご意見は、審議会における検討の結果につきまして、広く都民からご意見、ご提案を募集したものでございます。
 寄せられたすべての意見につきまして、住宅政策審議会にご報告し、審議会においてご審議をいただき、住宅政策として取り組むべきと判断されたものについては答申に反映していただいたものと理解しております。
 東京都といたしましては、審議会答申を踏まえまして、新たな住宅マスタープランを策定し、住宅政策を展開してまいります。

○大島委員 そうしますと、今回のは中間のまとめに対する住宅政策審議会への意見だということで、都としては新たな住宅マスタープランを作成したときに、再度パブリックコメントなどで都民の意見を聞くということでよろしいのでしょうか。

○香山住宅政策担当部長 先ほどご説明いたしましたが、法律及び条例に基づきまして、都民や審議会、区市町村、国土交通大臣からの意見を聞く等の手続を経て住宅マスタープランを策定してまいります。

○大島委員 済みません、私、ちょっと今質問したのは、そのマスタープランの策定に当たってパブリックコメントというか、都民の意見を聞く--今の話ですと、住宅政策審議会とか区市町村とか国土交通大臣から意見を聞くとなっているんですけれど、都民から直接意見を聞くというようなパブリックコメントみたいなものはやらないんですかと聞いたんですが、それについてのお答えがないようなので、もう一度お願いします。

○香山住宅政策担当部長 先ほどお答えいたしましたが、都民を含めて必要な部門から意見を聞く手続を経てマスタープランを策定してまいります。

○大島委員 都民を含めて聞いていただけるということなので、そのときの意見というのをぜひ反映していただきたいというふうに思います。
 今回の住宅政策審議会への諮問事項というのが社会経済情勢の変化に対応した新たな住宅政策の展開で、これへの意見を求められたものですけれども、特に審議会で検討しているさなかに実は東日本大震災が起きました。ですから、その後の審議会の流れというのも、この震災対策の方に大きく向いていったわけなんです。当然のことだというふうに思いますけれども、東日本大震災を受けての高度防災都市づくり、それから震災対策の見直し、強化、こういったものも求められてきました。
 今後の高度防災都市づくりや震災対策などは、もちろん全庁挙げて取り組むべき課題ですけれども、住宅分野での取り組みなどについては、都市整備局としてどのように実現していくのか、お伺いをいたします。

○香山住宅政策担当部長 答申を受けまして、今年度中に策定を予定しております住宅マスタープランにおきましては、木密地域不燃化十年プロジェクトに基づく木密地域の整備改善や老朽マンションの耐震化、建てかえ等の誘導等により、安全で安心な住宅や住宅市街地を形成するための方針と施策を示してまいります。
 策定した新たな住宅マスタープランに基づき、高度防災都市づくりに資する住宅政策を展開してまいります。

○大島委員 今回の答申の中では、社会経済情勢の変化の中で、特に高齢者とか低所得者、子育て世代など、支援が必要な世帯の居住の安定確保ということの支援について言及されています。
 国の住生活基本計画改定の中でも、住宅の確保に特に配慮を要するものの居住の安定の確保という目標を掲げておりまして、高齢者、障害者、子育て世帯など、自力では適切な住宅を確保することが困難な者に対して、公営住宅等の適切な供給と民間賃貸住宅による重層的な住宅セーフティーネットの構築を図るとしています。特に、民間住宅への円滑な入居を促進する居住者支援協議会への支援強化もこの中で求められていました。
 前回の答申に盛り込まれておりました社会的弱者をねらい撃ちするような悪質商法や不適正な事業行為に対する指導、規制の強化とか、それから民間賃貸住宅に対する家賃補助の検討などは引き続き検討すべきではないかと思いますが、お伺いいたします。

○香山住宅政策担当部長 東京都では、これまでも、住宅リフォーム事業者行動基準の策定や悪質業者等に関する相談事例のホームページでの公表など、適正な事業活動に関する指針作成や消費者への情報提供等を行ってまいりました。
 今回の住宅政策審議会答申におきましても、消費者が安心して取引できる住宅市場の形成が提言されておりまして、引き続き消費者の安心確保に向けた取り組みを行ってまいります。
 民間賃貸住宅に対する家賃補助についてでございますが、生活保護との関係、財政負担の問題等解決すべき課題が多く、また典型的な所得再配分政策であることから、国レベルで考えられる制度であり、都として実施することは考えておりません。

○大島委員 今回の住政審答申というのが今後の都の住宅政策、住宅マスタープランに反映されるということは当然なんですけれども、前回の審議会答申の中でも積み残しというか、そのまままだ実現されていないようなものなども幾つかありまして、そういうものの中から特に必要だと思われるものについては、今後の検討の中にぜひ加えていただきたいなというように思っております。
 特に、今都民の所得が急激に低くなっています。そういう状況も考慮いたしますと、住宅セーフティーネット機能を一層高めるという観点がどうしても必要です。そういう意味では、都営住宅の新規建設の再開とか、公的住宅の直接供給方式を強化させることなどを強く求められていると思います。七十五万戸の民間空き家住宅を、借り上げ公営住宅制度を活用して都民に提供することとか、都営住宅に入居資格がありながら入居できずに住宅に困窮している都民に家賃補助を制度化して、市場での住宅ストックの流通促進を図ることなどで住宅セーフティーネットの政策効果を上げることができます。こうした都民の願いを反映して、今後の都の住宅政策に生かしていただけることを期待して質問を終わります。

○斉藤委員 本日は、先月二十一日に発表されました住宅政策審議会答申につきまして、私の所感を述べまして、数点、ポイントに絞って認識を確認したいと思います。
 都は、これまで平成十三年五月の住宅政策審議会答申、二十一世紀の豊かでいきいきとした東京居住を実現するための住宅政策の展開について、住宅政策、ビッグバンにおける政策展開、すなわち従来の公的住宅の建設を中心とした直接供給方式から市場の活用、ストック重視を中心とした住宅政策へと大きく方向転換し、平成十八年六月の答申、東京における新たな住宅政策の展開についてを受け、平成十九年三月に引き続き市場活用、ストック重視の流れをくんだ現住宅マスタープランを策定するに至りました。
 このマスタープランは、平成十八年に制定されました住生活基本法における都の基本計画と位置づけられるものであり、都民の住生活の安定と向上を図るための総合的な計画として、大変に重要なものであると考えています。
 今回の答申は、平成二十二年六月に社会経済情勢の変化に対応した新たな住宅政策の展開について諮問を受けましたが、審議の途中で東日本大震災が発生しまして、高度な防災機能を備えた安全で安心できる住宅、住宅市街地づくりも大きな論点となったところであります。
 私は、今回の審議会で議論されております社会経済情勢の変化の中でも、今までの住宅政策の中で標準的な家族構成が大きく変化している点、すなわち高齢単身、夫婦のみの世帯、中高年単身世帯、ひとり親世帯の増加などの家族構成の多様化、共働き世帯の増加や地縁的なつながりの希薄化など、生活形態の変化に着目したいと思います。
 そこでまず、高齢者の住まいについて伺います。
 私の地元の目黒区は、住み続けられるまちではありますけれども、高齢者になって安心して住み続けられるかというと、必ずしも住み続けることができないといった声が多く寄せられております。
 例えば、共働きの夫婦のみの家庭で、働き盛りのご主人が突然倒れまして、病院に入院したものの、三カ月もしないうちに退院を余儀なくされ、看護や介護に困っているご婦人から数多く相談を受けてまいりました。
 家賃を払わなければならないので仕事はやめられません。在宅で看護しろといわれても、子ども家族は遠方に住んでおり一緒に暮らせません。リハビリの先には在宅介護が待っています。何とか近くの施設に入れないでしょうかという切実なお声です。
 このような声にこたえるために、私は、病気で入院しても安心して退院できる体制をつくらねばならないと考えています。そのためには、地域の医療の先生方のお力も必要です。また、医療保険制度と介護保険制度の切れ目のない連携が重要となるわけであります。
 その連携の場としては、病院や特別養護老人ホームといった施設も重要ではありますけれども、都内で特別養護老人ホームを建設する場合、用地取得と建設コストで試算すると、一人当たり約二千万円、都の推計によりますと、平成三十七年には重度の要介護者が十八万人となります。これらの人をすべて特別養護老人ホームで対応すると、建設コストだけでも約三兆円がかかることになり、こうした課題にも注目する必要があると考えます。
 私は、施設に入らなくても乗り越えられるような住まいのあり方に注目して、これからは住まいのバリアフリー化だけではなく、介護、医療サービスが受けられるような住まいを住みなれたまちに数多く創出していく政策が必要になると考えます。
 つまり、都が目指すべき医療と介護が連携した地域包括ケア体制東京モデルのかぎを握っているのが医療介護サービスと連携した住まいであると考えてまいりました。
 都の場合、住まいの問題は都市整備局、医療介護サービスの問題は福祉保健局と縦割りになっておりました。しかし、サービスつき高齢者向けの住まいの問題を解決するためには、両局が連携し、一つとなって高齢者の住まいと介護の問題に取り組んでいくことが必要です。
 そこで、私は平成二十一年の十二月の都議会でこの問題を取り上げまして、国が高齢者住まい法を改正したことを受けて、都として早急に計画を策定すべきと質問いたしました。これを受けまして都は、住宅政策と福祉政策を連携させる体制を構築しまして、翌二十二年の九月には高齢者の居住安定確保プランを策定したわけでございます。また、都がプランをつくっても、実施主体である区市町村が自分たちのまちにサービスつき高齢者向け賃貸住宅などを具体的に供給してくれるよう事業者に働きかける必要があります。
 そこで、本年の九月の第三回定例会では、都がわかりやすいパンフレットを作成するなど、区市町村や事業者への都みずからのPRが必要だとの提案に対しまして、早速、都独自の基準や支援策をわかりやすく示すなど、効果的な方法により積極的に取り組むことを明言していただきました。
 このような都市整備局の主導している福祉部門や区市町村との連携を評価するものでございます。
 今回の住宅政策審議会の答申でも、単に高齢者がふえるのみでなく、高齢の単身世帯、または夫婦のみの世帯が増加する。核家族化及び地域とのつながりの希薄化に伴い、家族や地域からの支えがない高齢者が増加することが予想されるとしておりまして、サービスつき高齢者向けの住宅などの役割がますます重要となります。
 そこで、改めて確認をしますけれども、高齢者の居住安定確保プランに基づく高齢者向けの賃貸住宅、この進捗状況と今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 都は、高齢者の居住安定確保プランに基づき、高齢者が適切な負担で緊急通報など、生活支援サービスつきの高齢者向け賃貸住宅の供給を平成二十一年度から平成二十六年度までに六千戸供給することを目指しております。
 このうち、平成二十二年度までの目標、八百二十五戸に対し、八百八十二戸を供給しており、計画どおり供給が進んでおります。
 今後も目標達成に向けて、福祉保健局との連携強化はもとより、区市町村や民間事業者への制度の周知を積極的に行うことによりまして、供給を促進してまいります。

○斉藤委員 平成二十二年度までの目標、八百二十五戸に対しまして八百八十二戸を供給ということで、目標どおり進捗しているということを聞きまして、ひとまずは安心したところでございます。しかし、これからの進捗がいよいよ重要でございます。
 引き続き民間事業者の協力も得ながら、都と区市町村が一体となってサービスつき高齢者向け賃貸住宅をふやせるような施策を推進することを要望いたします。よろしくお願いします。
 さて次に、既存住宅市場の活性化について質問します。
 所得が右肩上がりにふえていく時代はもはや過去のものとなり、かつてヤドカリに例えられたような、結婚時には小さなアパートから分譲マンション、そして戸建て住宅といったような人生のステージ、所得の上昇に応じましたこのより広い住宅への住みかえ取得が、困難な時代となってきていると思います。
 そうした中、住宅政策審議会の答申では、既存住宅市場の活性化について、さまざまな提言をしております。例えば、既存住宅への適切なリフォームやメンテナンス、既存住宅の適正な価格での取引を促すためには、対象物件の物理的な性能や劣化度等の現況を把握する必要があり、第三者が建物の検査や調査を行うインスペクション等の普及についての検討、住宅取引における建物の性能、履歴、管理状況、地盤等の情報提供などを一層活用することなどであります。
 私は、消費者が既存住宅、つまり中古の住宅を安心して買えるようになれば、新築に比べまして安価な価格で広い住宅を取得することが可能となり、これからの時代にマッチした重要な施策であるとも思えます。
 そこで、既存住宅市場の活性化について、都はどのように認識しているかをお伺いしたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 都民の居住ニーズは多様化してきており、ライフスタイルやライフステージなどに対応した住まいを選択できる市場環境の実現が求められております。
 一方、都民の住宅取得における負担感は依然として大きいものがございます。
 また、地球環境問題が深刻化する中で、短期間で住宅をスクラップ・アンド・ビルドするのではなく、社会全体で長期にわたって住み継いでいくことが求められております。
 しかし、現状では、住宅ストック数は充足しておりますが、既存住宅の流通は諸外国と比べて非常に低い状況にございます。
 このため、住宅ストックを良好な状態で維持管理し、さまざまな世代がニーズに応じた良質な既存住宅を適正な価格で取得できるよう、既存住宅市場の活性化を図ることは重要な施策であると認識しております。

○斉藤委員 私の地元であります目黒区には、世田谷もそうだと思いますけども、若い世代も多く住んでいます。独身の方はワンルームマンションに住んでいる場合も多いと思われます。しかし、それでも可処分所得のうちに家賃が占める割合は非常に高いと思われ、その上、結婚や出産のためには、より広い住宅、住まいが必要となりまして、結果、地価の高い目黒区はあきらめて、他の地域に引っ越さざるを得ない。大変ほかの地域には失礼なことでございますけれども……(発言する者あり)失礼ですね。ちょっとこれは、今読みながら反省しています--また高齢者が一人でも邸宅という広いおうちも目黒にはございまして、こういった広い戸建て住宅に住み続けている、たった一人で高齢者が住んでいるという例もある一方で、子育て期にある若い世代が狭い賃貸住宅などに居住するというミスマッチも生じているところでございます。
 今後、地元に若い世代が定着していくためにも、住宅の選択肢の幅、これはほかの委員もおっしゃっていましたけれども、住宅の選択の幅を広げていくことが必要だと考えるわけでございます。
 このような観点からも、既存住宅の流通活性化が必要であると考えます。都の今後の取り組みについて、伺いたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 既存住宅の取引がなかなかふえない背景には、新築と異なりまして、消費者が抱く安全・安心面での不安が原因の一つとして挙げられます。
 都は、これまでも既存住宅の取引における安心確保に向け、安心して住宅を売買するためのガイドブックを戸建て住宅編、マンション編で作成し普及に努めるなど、必要な取り組みを進めてまいりました。
 引き続き、ガイドブック等による普及啓発はもちろん、今後は住宅政策審議会の答申を踏まえ、今年度中に策定する住宅マスタープランに基づき、既存住宅市場の活性化に向けた取り組みをさらに進めてまいります。

○斉藤委員 大きな家が欲しい時期というのは、大体教育にもお金がかかる子育ての期間であるとも聞いております。親子が同居しまして、子どものつながり、家族同士のつき合いなどでホームパーティー、懇親会などを開催する機会も多いのがこの世代だからであると思います。
 企業を退職する間際のサラリーマンはもとより、最近では、かつては大きな邸宅を建てることがステータスだったようなこの社長の方々、こういった方々も最近はそういった大きな家には住みたがらず、マンションやサービスつきの高級有料老人ホームに入居するケースもふえているようであります。これは一部の工務店の方のお話でございますけれど--住まいのミスマッチを解消する政策が待たれています。次期マスタープラン策定の過程において、しっかりと現場の声を届けさせていただきたいと思います。
 次に、マンションの建てかえについて質問したいと思います。
 マンションの居住世帯は、都内の居住世帯のおよそ半数を占めまして、都民の一般的な居住形態となっているところであります。東京のマンション二〇〇九などで指摘されているとおり、今後、築四十年以上のマンションが急速に増加すると推定されているところでございます。そのため、マンションの建てかえや耐震化は重要な課題となっています。我が党は、都内のマンション問題の重要性をいち早く指摘して、さきの都市整備委員会事務事業質疑でも、都として初めてとなる都内全域でのすべてのマンションを対象とした実態調査の重要性を質問しまして、データベース化した内容を区市町村が活用できるシステムを構築するとの答弁をいただいたところでございます。
 また、先日、第四回定例会一般質問では、我が党の都議がマンション耐震化につきまして、実態調査で判明したところから速やかにその調査結果を活用して、耐震化を一層加速するよう訴えたところでございますが、本日は耐震化という建てかえの方についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 本年三月の予算特別委員会の締めくくり総括質疑におきまして、我が党から、まちづくりと一体となったマンションの建てかえの誘導策について検討すべきとの質問に対しまして、マンションの建てかえ費用について検討していくとのご答弁がありました。今回の答申の中にも高経年マンションを取り込んだ都市開発に対する支援策の検討に取り組むべきとされているところであります。合意形成に時間がかかるマンションの建てかえが、周囲のまちづくりの動きに取り残されることがないような方策を講じることが重要であります。
 そこで、地域のまちづくりと一体となったマンション建てかえ手法につきまして、現在の検討状況を伺いたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 都内には、建築後相当の年数を経過したマンションが多く存在する地域や、マンションだけでなく商業ビル等も含めて、まち全体が更新時期にある地域なども見られます。周囲のまちづくりの機を逃さず、マンションの建てかえが行われることが重要であり、現在、都市計画規制などの建てかえ等の条件が大きく異なる商業系の地区と住宅系の地区をそれぞれ一地区ずつ選び、ケーススタディーを行い、課題の抽出や対応策について検討を行っております。
 今後は、この結果を踏まえ、まちづくりと一体となったマンション建てかえについて検討してまいります。

○斉藤委員 商業地、住宅地でそれぞれモデル地区を選んで分析中とのご答弁でございました。これまでは、緊急輸送道路の沿道のマンションの耐震診断の義務化、あるいは耐震改修に力点が置かれてまいりましたけれども、高度防災都市東京を構築するためには、そのような沿道以外の再開発が必要な地域のマンションの建てかえ、これをまちづくりと一体となって進めていくことが重要であると考えます。また、経済波及効果も大きい政策になると考えます。今後、この分析をしっかり行っていただきたいと思います。
 最後でございますけれども、災害時の集合住宅における生活の継続について質問をしたいと思います。
 今回の大震災では、特に高層マンションにおいて、地震による倒壊などの直接的な建物被害は免れても、その後停電によりまして、エレベーターの長時間停止、給水ポンプの停止による断水などの大きな影響があったところでございます。
 都内の高齢化率が二割を超えた中で、高齢者を初め、居住者の重要な移動手段であるエレベーターが使用できなくなることは深刻な問題でありまして、さらには水が使用できなくなることは食事やトイレなどの生活の継続が困難になるということになります。
 こうした居住者は、結局のところ、避難所への避難を余儀なくされることになるわけであります。
 高齢者や介護の必要な居住者、病気をお持ちの方などがプライバシーや快適な空間を確保することが困難な避難所に長期間避難することは健康面でも大きな問題が起きることにもなります。今回の答申におきましても、災害時にもエネルギーが途絶えないまちづくりに取り組むべきであると記されております。
 そこで、災害時に、例えば東京電力からの電力の供給が途絶えても住宅内での生活が継続できるような対応を進めるべきと考えます。
 さきの報道では、ガス発電を活用したモデル事業を始めるとありましたけれども、具体的にはどのように取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。

○鈴木住宅政策推進部長 先般の大震災の際には、ご指摘のとおり、建物自体が損傷を受けなくても停電によりまして、特にマンションではエレベーターや給水ポンプを動かせなくなって、結果として、自宅での生活を続けられなくなるという事態が発生いたしました。都内では三階建て以上のマンションが住宅の半数近くを占めているという状況を考えますと、これはとりわけ東京において深刻な問題でございます。
 このため、建物の耐震化促進などの取り組みに加えまして、災害時にも自宅での生活の継続を確保する、そして、避難者を極力発生させない対策というものが大変重要であると考えております。
 そこで、ご質問の事業では、東京電力等の商業電源にガス発電設備を併用いたしまして、災害時に東京電力の電力供給が停止した場合でも、ガス発電が稼働し続けることによって、エレベーターや給水ポンプの運転に必要な最小限の電源を確保いたしまして、もって生活の継続を可能にする、住宅LCPモデルを提示いたします。
 ただいまLCPと申しましたのは、BCP、ビジネス継続計画のBが生活継続の意味でライフのLに置きかわったものでございます。
 この住宅LCPモデル事業では、民間のマンションや公社住宅等の集合住宅におきまして、高圧一括受電の仕組みを活用して、新たな居住者負担や補助金を必要としないビジネスモデルを確立して提示してまいります。また、ガス発電設備は、コージェネレーションシステムを導入いたしまして、環境にも配慮して、発生する熱もマンション内や隣接する福祉施設などで極力活用してまいります。さらに、都営住宅の建てかえ等により創出された土地等を活用いたしまして、住宅LCPの実現と同時に、エネルギー消費の抑制、適正化を図るマンション開発モデルプロジェクトを環境局とともに実施してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、高度防災都市にふさわしい、災害時にも生活継続が可能な住宅の普及を進めてまいります。

○斉藤委員 大変詳しくご答弁いただきました。ありがとうございます。
 BCPになぞってLCPというお言葉も出ました。この新築マンションと既存マンションとでは、発電機能のあり方が異なってくるでしょうし、また地域特性に応じた自立的エネルギーの供給や創エネルギー機器等を活用したエネルギー源の多様化、自立化、分散化を目指す先進的な取り組みについて検討すべきとの答申も出ております。災害時の集合住宅における生活の継続対策をしっかりと進めていただきたいと思います。
 結びになりますけれども、今回答申を拝見いたしまして感じましたことは、向上させるべき住宅の質が今までの単なるハード、さまざまな調整をしてまいりましたけれども、ハード面だけではなく、介護や医療などのサービスの連携を初め、少子化対策、エネルギー対策などの他の局との政策連携、そういったソフト面からの質の向上を求めている答申であるとも感じたものであります。
 都市整備局を中心に、ぜひとも縦割り行政に横ぐしを刺した都民のための新たな住宅政策の展開を要望し、私の質問を終わりたいと思います。

○泉谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時五分散会

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