都市整備委員会速記録第十六号

平成二十三年十一月一日(火曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長泉谷つよし君
副委員長石森たかゆき君
副委員長滝沢 景一君
理事関口 太一君
理事橘  正剛君
理事神林  茂君
田中  健君
斉藤やすひろ君
小山くにひこ君
大島よしえ君
谷村 孝彦君
林田  武君
遠藤  衛君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長技監兼務飯尾  豊君
次長長谷川 明君
技監安井 順一君
理事松井多美雄君
理事藤井 寛行君
総務部長田崎 輝夫君
都市づくり政策部長町田 修二君
住宅政策推進部長鈴木 尚志君
都市基盤部長石川  進君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長砂川 俊雄君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
企画担当部長邊見 隆士君
連絡調整担当部長細渕 順一君
景観・プロジェクト担当部長永島 恵子君
住宅政策担当部長香山  幹君
民間住宅施策推進担当部長高田  茂君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務山下 幸俊君
民間開発担当部長藤塚  仁君
多摩ニュータウン事業担当部長五十嵐 誠君
耐震化推進担当部長小野 幹雄君
経営改革担当部長笹沼 正一君
再編利活用推進担当部長上野 雄一君
建設推進担当部長荒川 達夫君
営繕担当部長妹尾 高行君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
事務事業について(質疑)

○泉谷委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたのでご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 次に、過日の委員会において紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○飯尾都市整備局長 過日の委員会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介いたします。
 耐震化推進担当部長の小野幹雄でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○泉谷委員長 紹介は終わりました。

○泉谷委員長 これより事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○田崎総務部長 十月二十五日の当委員会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1の都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況から、14の鉄道駅耐震補強事業費補助の実績までの十四件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1の都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
 過去五年間のエレベーターの設置状況を、既設都営住宅及び公社住宅について年度別に記載してございます。
 二ページをごらんください。2の平成十九年八月二十五日以降の都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
 平成十九年八月二十五日以降発生いたしました使用承継事由発生件数のうち、使用承継申請件数、使用承継許可件数及びその内訳数について記載してございます。
 三ページをお開き願います。3の公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
 都道府県と政令市ごとに、平成二十三年十月一日現在の実施状況を記載してございます。
 四ページをごらんください。4の都営住宅入居収入基準引き下げにより収入基準を超える現入居世帯数でございます。
 入居収入基準の引き下げにより、新たに引き下げ後の基準を超える世帯数について記載してございます。
 五ページをお開き願います。5の都営住宅、公社住宅における入居者の年齢別世帯数の状況でございます。
 都営住宅、公社住宅の別に、名義人の年齢区分が六十五歳未満、六十五歳以上の世帯数及びそれらの割合を記載してございます。
 六ページをごらんください。6の都営住宅建替えによる型別供給実績でございます。
 過去十年間の都営住宅建かえによる型別供給実績を年度別に記載してございます。
 次に、七ページをお開き願います。七ページから八ページにかけましては、7の都営住宅の応募状況を記載してございます。
 (1)では世帯向けに実施した抽せん方式、(2)では単身者向けに実施した抽せん方式、(3)ではポイント方式による募集について、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
 九ページをお開き願います。8の都営住宅の管理戸数、空き家戸数(事業用・募集用)、募集停止戸数でございます。
 都営住宅の管理戸数、事業用、募集用別の空き家戸数及び募集停止戸数を記載してございます。
 一〇ページをごらんください。9の公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き家状況でございます。
 公社一般賃貸住宅と都民住宅の空き家状況を年度別に記載してございます。
 一一ページをお開き願います。10の都内分譲マンションの着工戸数の推移でございます。
 過去五年間の都内分譲マンションの着工戸数を年度別に記載してございます。
 一二ページをごらんください。11の都営住宅、公社住宅の耐震診断、耐震改修工事の実績でございます。
 都営住宅及び公社住宅の耐震診断及び耐震改修工事の実績について記載してございます。
 一三ページをお開き願います。12の被災建築物の応急危険度判定員の登録者数でございます。
 過去五年間の被災建築物の応急危険度判定員の各年度三月三十一日におきます登録者数につきまして、年度別に記載してございます。
 一四ページをごらんください。13の被災宅地危険度判定士の登録者数でございます。
 過去五年間の被災宅地危険度判定士の各年度三月三十一日におきます登録者数につきまして、年度別に記載してございます。
 一五ページをお開き願います。14の鉄道駅耐震補強事業費補助の実績でございます。
 鉄道駅耐震補強事業における過去五年間の補助駅数及び完了駅数につきまして、年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○泉谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○小山委員 まず冒頭、三月十一日に発生いたしました東日本大震災以降、都市整備局の皆様におかれましては、発災後の対応、被災地支援、そして都民の安全・安心をお守りいただいておりますことに、敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 そういった中において、都は本年九月に、東日本大震災への対応と教訓を取りまとめ、この十一月にも東京都防災対応指針の策定を行うとしております。
 今回の大震災の教訓を踏まえ、各対策にかかわる対応策を講じていくことになっておりますが、対応策については、科学的知見を有する専門家や基礎自治体である市区町村からの意見を踏まえながら検討をされているところでございます。
 東京緊急対策二〇一一においても、今回の大震災を踏まえ、これまで取り組んできた耐震化などを加速させるとともに、津波や液状化、長周期地震動といった今回の大震災において顕著にあらわれた事象に対して、取り組みの強化に加え、対策のあり方などの検討、見直しも行っていきますとされております。
 そこで、本事務事業質疑に当たっては、都市整備局が主に所管をいたしております長周期地震動対策の進捗と、液状化対策についてお伺いいたします。
 まず、長周期地震動対策についてお伺いいたします。
 震災前の平成二十三年予算特別委員会で、東京都の長周期地震動対策について質問をさせていただきましたが、その後の三月十一日に東日本大震災が発生いたしました。そこで、東日本大震災を踏まえ、長周期地震動対策に対する都の認識とこれまでの取り組み状況について、具体的にお伺いをいたします。

○砂川市街地建築部長 本年三月の東日本大震災では、都内における多くの超高層建築物で大きな揺れが長い間観測されたことから、超高層建築物などの構造上の安全性に対する都民の不安を解消するため、長周期地震動対策に取り組んでいくことが重要でございます。
 超高層建築物は建築基準法に基づきまして、その構造方法について国土交通大臣の認定を受けることが義務づけられており、国が構造上の安全性を確かめることとなっていることから、昨年十二月、国は、超高層建築物等における長周期地震動への対策試案を示しました。この対策は、多くの超高層建築物が建設されている東京の安全を確保する上で重要であることから、都は国に対して、本年二月及び七月に対策を取りまとめるよう要望したところでございます。
 都といたしましては、今後示される国の対策に的確に対応していくため、都内における超高層建築物などの用途や、階数や高さ、床面積などの規模、構造などについて実態を調査しております。

○小山委員 ただいまご答弁をいただきました。都は、長周期地震動対策について取り組みを始めていらっしゃるということ、このことは評価したいと思います。
 一方、東日本大震災では、都内の広範囲な地域で多くの帰宅困難者が発生いたしまして、都内は全体的に大きく混乱をいたしました。
 都は、先ほども述べました東日本大震災における東京都の対応と教訓におきまして、帰宅困難者対策をまず第一に掲げており、帰宅困難者の発生を抑制することが重要な課題であるとしております。特に都内においては、多くの人が超高層建築物などのビルにとどまることが必要であり、その対策が喫緊の課題とされております。超高層建築物などのビルにとどまるには、その超高層建築物が震災後においても構造上安全であるということが前提となりますが、国の対策はもちろんのこと、都も長周期地震動に対し、超高層建築物の安全確保に向けて的確に対応していくことが重要であると考えます。
 そこで、都は超高層建築物等の実態を調査しているとのことでございますが、国が対策を示した場合、どのように対策を講じていくのか、お伺いいたします。

○砂川市街地建築部長 国の対策試案では、国が建物所有者等に対して、必要に応じ、長周期地震動の再検証や補強などを行うように要請することとしております。
 都としては、国の対策に基づきまして、再検証や補強などが円滑に行われるよう、建築士や建設業の団体、区市などの関係機関に対策の内容について周知するなど、普及啓発を図ってまいります。また、超高層建築物などにおける実態調査や専門家の知見を踏まえまして、建物所有者などが的確に対策を講じていくことができるよう、制振工法などの補強方法や、家具の転倒、什器の移動防止対策について建物所有者等に広く情報提供するなど、適切に対応してまいります。

○小山委員 ただいまのご答弁の中で、建物所有者等が的確に対策を講じていくことができるように、東京都としては適切にさまざまな施策をもって対応されていくということでございますので、ぜひとも、いま一層の対策を講じていただきますよう要望しておきたいと思います。
 先日、私ども都議会民主党といたしまして、森ビルさんの六本木ヒルズに視察に行ってまいりました。そのときにお話をいただいたんですが、やはりこれからの超高層建築物が構造上安全であるかどうかというのが、これからの東京都の震災時において大変重要だということを改めて認識をいたしました。
 当日三月十一日、六本木ヒルズにおきましては、この建物の安全をいち早く確認いたしまして、多くの帰宅困難者を受け入れることができました。また、もちろんこれは備蓄なども十分にされておりまして、そういったことからこの六本木ヒルズでの、まさしく都民にとっての安全・安心の拠点になり得たということのお話をいただくことができました。
 このように、ぜひ東京都内の超高層建築物が発災時に安全・安心の拠点となるよう、東京都としてさらなる施策の充実、推進を求めておきたいと思います。
 続きまして、液状化対策についてお伺いいたします。
 東日本大震災では、都内においても液状化が発生し、木造住宅を中心として建築物が傾くなど被害が生じました。
 都は昭和六十二年に液状化予測図、いいかえますと液状化マップを作成いたしまして、何度か更新をしてまいりました。地図上で液状化の危険性をわかりやすく知らせる液状化マップの取り組みについては、都が早くから行っていたということについて評価のできるものですが、残念なことに、今回、実際に液状化が発生いたしましたのは、危険度が高い赤色の地域ではなくて総体的に低い黄色い地域でございました。もちろん、これは他局の所管事項の部分もありますが、再度予測のあり方や建物の安全確保の面からも、再検証する必要があると思います。
 そこで、都市整備局の所管でございます建築物における液状化対策についての認識と、これまでの取り組みについてお伺いいたします。

○砂川市街地建築部長 液状化に備えていくためには、建築物の所有者や設計者が建物の安全を確保することができるよう、液状化の可能性や具体的な対策についての情報を提供していくことが重要でございます。
 このため、都は本年七月、地盤工学の専門家などから成る建築物液状化対策検討委員会を設置いたしました。これまで検討委員会を二回開催し、液状化による建物被害などの状況について報告するとともに、液状化が生じた地盤の状況を把握するための具体的な地盤調査の方法や、都、区市などが蓄積している地盤調査データを活用した情報提供について検討を行っております。

○小山委員 今のご答弁からも、局が建築物の液状化対策検討委員会を設置されて、対策に取り組んでいるということはわかりました。この委員会で恐らくさまざまな議論がされて、今後の施策、対策というものが出てくるというふうには思っておりますが、今回、各新聞あるいはマスコミ等々で報じられておりますとおり、液状化対策においては幾つかの留意点があろうということが述べられております。
 それは、これまでなかなか再液状化という現象は起こらないであろうということが定説とされてまいりました。しかしながら、東日本大震災ほかこれまでの事案を見ていても、この再液状化が起こっているということが幾つか指摘されております。また、都内においても、この再液状化の危険性というものは、予測をした上で対策を練らなければならないのだというふうに思います。
 さらには、今回、この東京都の液状化対策は、公的施設に関しては大変万全な対応をされていたというふうに思っておりますが、実は、民間の建築物に関しては、この液状化の対策がまだ途上であったというふうにいわざるを得ないと思っております。
 今後、各液状化対策におきましては、まずは液状化の状況、液状化の現況がどういうものであるかということをしっかり都民に知らせていくということ、先ほどご答弁の中にもありましたけれども、こういったデータなどをしっかり広く知らしめていくということでありますから、ぜひとも建物所有者のみならず、多く都民に開かれた、こういった情報公開の仕組みというものも整えていっていただきたいというふうに思っております。
 そこで、今後の液状化対策ということについて質問をさせていただきたいと思います。東京都がこれら検討委員会を設置されまして、今後の建築物の液状化対策をどのように進めていくのか、お伺いさせていただきます。

○砂川市街地建築部長 都は、今後、建築物液状化対策検討委員会での専門家の意見を踏まえまして、地元区と連携し、建物に被害が発生した地区を対象にボーリング調査などを実施し、液状化が生じた地盤と建物の被害との関係を把握し、地盤の特性に応じた液状化対策について検討してまいります。
 また、都や区市、関係機関などが蓄積している地盤調査データを建物所有者などに情報提供していく仕組みについて検討するなど、建築物の液状化対策に取り組んでまいります。

○小山委員 今ご答弁いただきましたように、ぜひ、先ほども申し述べましたように、広く開かれた中で、そして十分な液状化対策というものをとり行っていただきたいと思います。
 そこで、この都の液状化対策に関しましては、先ほども申し上げましたように、都市整備局のみならず、建設局や港湾局、さらには液状化予測の見直しなどを行うなど、複数の局で検討を進められているところでございます。
 そこで、この建築物の液状化対策を検討していくに当たり、やはり局間連携というものを十分に図っていくべきではないかと思いますが、局の見解をお伺いしておきます。

○砂川市街地建築部長 都は、本年五月に公表した東京緊急対策二〇一一に基づきまして、建設局や港湾局が液状化予測図の見直しに向けて検討を行うなど、関係各局が液状化対策に取り組んでおります。
 都市整備局ではこれまでも、液状化被害への把握に際しましては、建物や敷地だけでなく、道路や下水道など、周辺のインフラ施設の被害状況につきまして、関係各局から情報を得ながら調査を行ってまいりました。今後とも、建築物の液状化対策を進めるに当たっては、必要に応じて各局の検討状況を踏まえるとともに、建築物液状化対策検討委員会における検討状況を関係各局へ情報提供するなど、関係各局と連携してまいります。

○小山委員 ただいまご答弁いただきましたように、ぜひとも局間連携を十分にとり行っていただきながら、ぜひ都民の安全・安心を守るためにも、東京都内の液状化対策というものを十分に行っていただきたいと思います。
 先ほどの検討委員会の進め方については、検討委員会の資料の中にも記載されているところもございました。特に、それら局間連携はもちろんのこと、平成二十三年度末までの目途、さらに二十四年度内におけるさまざまな液状化対策が取り組まれるということになっておりますので、ぜひともその点について十分なる対策、対応をお願いいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます

○神林委員 私の方からは、高度防災都市づくり、特に木造住宅密集地域の改善、それから都営住宅の建てかえについて、これについて順次質問してまいりますのでよろしくお願いいたします。
 私がいうまでもなく、木造住宅密集地域の改善は、東京を高度防災都市とする上で最重要課題の一つでございまして、今後、高度な防災都市の実現に向けて積極的な提言を、我が党としてはしていきたいと考えております。
 知事が三定で、木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、木密地域の対策に力を入れて取り組むことを表明しております。木密地域の対策にはこれまでも取り組んできましたけれども、今回改めて十年プロジェクトに取り組む目的について伺います。

○藤塚民間開発担当部長 東京には、戦前からそのまま残された古い木造のまちに加えまして、戦後の急速な復興の中で無秩序に開発が進んだことにより、多くの木造住宅密集地域が形成されてきたところでございます。震災発生時には、火災により甚大な被害を引き起こすことが懸念されております。
 都はこれまでも、木密地域の改善に向け、地元区と連携いたしまして、道路等の基盤整備や建物の不燃化などに取り組んでまいりましたが、木密地域は広範に分布しており、依然として改善が十分に進まない地区も多く残されております。
 首都直下地震の切迫性や今回の東日本大震災も踏まえ、首都東京の最大の弱点である木密地域の改善を一層加速させる必要があることから、十年プロジェクトに取り組むことといたしました。

○神林委員 今、この課題を急速に整理しているところでしょうから、いろいろと答弁しにくいこともあるかと思いますけれどもね。それでは、十年プロジェクトの取り組み内容と今後の進め方について、さらに伺います。

○藤塚民間開発担当部長 木密地域の改善を進めるためには、そこに暮らす住民の方々がみずからの問題としてとらえ、地域が一体となって取り組んでいく必要があることから、十年プロジェクトでは、まず、住民の方々の意識啓発に取り組んでまいります。
 あわせて、まちづくり施策や税制、建てかえ時の生活支援など、さまざまな施策を総動員した新たな手法も編み出し、延焼遮断帯となる道路整備や建物の不燃化に重点的に取り組んでまいります。
 これらのキックオフイベントといたしまして、今月六日に、防災の専門家や阪神・淡路大震災の被災体験者を招いて講演会を開催するとともに、これを皮切りに、木密地域の現場に出向き、住民と直接意見を交わす場を順次開催してまいります。
 また、地域の実情を踏まえまして整備のあり方を検討し、条例に基づく新たな防火規制の区域拡大など、地元区に積極的な取り組みを働きかけるとともに、都有地等を活用した効果的な生活再建支援、建てかえ促進のための建築規制の緩和など、新たな誘導策の検討も鋭意進めてまいります。

○神林委員 まず住民の意識啓発に取り組むということでございますけれども、自助、共助、公助という言葉がございますけれども、やはり当該地域の方々が積極的に参加する自助の精神を、ひとつその啓発の中で培っていただきたいと思います。
 次に、今お話ししましたけれども、木密地域内では、これまでも安全・安心のまちづくりに向けてさまざまな取り組みが行われてきたわけでございます。十年プロジェクトでは、これまでの取り組みと成果の問題点を踏まえ、実効性のある施策を構築し、実施していくことが重要だと考えております。そこで、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。

○藤塚民間開発担当部長 木密地域の改善に向け、都は防災都市づくり推進計画を策定し、地域危険度測定調査等を踏まえて、整備地域、重点整備地域を定め、区と連携いたしまして、延焼遮断帯となる道路の整備、共同建てかえや新たな防火規制の導入等による建物の不燃化、耐震化などに取り組んできたところでございます。
 その結果、重点整備地域における延焼遮断帯形成率は、平成八年から平成十八年までの十年間で四一%から五三%に、同じく市街地の燃えにくさを示す指標でございます不燃領域率は四八%から五六%に向上するなど、着実に改善が図られてきております。
 しかしながら、木密地域は居住者の高齢化が進んでいること、狭小な敷地が多いこと、権利関係が複雑であること、居住者の移転先の確保が困難であることなどから、改善が進んでいない地区も多い状況でございます。

○神林委員 ただいまのご答弁の中にも、新たな防火規制という言葉がございましたけれども、建物の不燃化を促進する上で、条例に基づく新たな防火規制というのは非常に効果的だというふうに聞いております。
 今後、この区域拡大を図っていくとのことでございますけれども、規制の内容と区域指定の現状について伺うとともに、区域拡大に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○藤塚民間開発担当部長 木密地域の大部分は準防火地域に指定されておりますが、準防火地域では、延べ面積が五百平方メートルの小規模な建物については木造とすることも可能でございまして、建てかえが進んだといたしましても、木密地域が再生産されるおそれがございます。
 このため都は、平成十五年に東京都建築安全条例を改正し、準防火地域の防火規制を強化する新たな防火規制を創設いたしました。
 新たな防火規制区域内では、建物を建築する場合、耐火建築物または準耐火建築物としなければならないとされております。これまでに整備地域を中心に、約三千百四十ヘクタールで新たな防火規制区域を指定しておりますが、整備地域のある二十区のうち、この規制を導入しているのは十一区にとどまっております。
 規制を導入した地区では不燃化の効果が着実にあらわれている一方で、導入していない区からは、規制強化に対する住民の理解が得られない、建てかえのインセンティブが必要などの意見が聞かれることから、都といたしましては、こうした意見も踏まえ、区と連携して規制区域の拡大に向けた方策を検討してまいります。

○神林委員 新たな防火規制は、あくまでも建てかえるときには耐火性の高い建物にしなければならないという規制でございますね。防火規制をかけても建てかえが行われなければ、不燃化は具体的に進んでいかないわけでございます。木密地域には狭い道路に面した狭い敷地が多く、建てかえに当たっては、容積率、建ぺい率、斜線制限などのネックがございます。これらの緩和策の現状と今後の対応についてお伺いいたします。

○藤塚民間開発担当部長 建てかえを促進するための容積率等の緩和策については、既に都市計画や建築基準法において各種制度が用意されておりますが、十分な活用が図られていないのが実情でございます。
 例えば、区がまち並み誘導型の地区計画を定めることによりまして、壁面の後退など、一定の条件のもとに斜線制限や前面道路幅員による容積率制限を緩和することが可能でございますが、整備地域内では四地区のみの指定となっております。
 平成十四年の建築基準法改正によりまして、木密地域に多い第一種住居地域や準工業地域でも、建ぺい率八〇%を指定できるようになりましたが、整備地域で指定しているのは二区のみにとどまっております。
 建築規制の緩和は、一方で建て詰まり、日照などの住環境や地域のまちづくりに大きくかかわるものであるため、地元区からは、現状や課題などについて意見を聞くとともに、必要に応じて技術的な支援を行うなど、地元区と連携しながら対応してまいります。

○神林委員 今ご答弁の中で、地元区の対応という部分が相当出てまいりました。防火規制の導入にしても、建築規制の緩和策の活用にしても、地元区の取り組みが不可欠ということになるのではないかと思います。せっかく制度が用意されているのに十分活用されていないのであれば、都としてその効果を示し、区に活用を働きかけていくことが必要だと考えております。
 ここでですね、今、いろいろとお話を聞いてきた中で、具体的に効果、要は実効性を上げていかなきゃいけないということで、何点か指摘をさせていただきたいと思っております。その根幹となるものは、これまでの取り組みの延長では木密の改善がなかなか進まないと、思い切った発想も入れて、ぜひ、これから何点か申し上げますので、そういう部分についても考慮していただいて取り組んでいただきたいと思っております。
 例えば、建築基準法上の不適格建築物に対する対応でございますけれども、非常に、国でやりました住宅エコポイントのように柔軟な対応というのが必要ではないかなというふうに思っております。
 二つ目には、事業の実施や規制の導入に当たっては、住民の合意形成が重要でございまして、理解が得られるよう十分な説明をしてほしいということと同時に、先ほどちょっとお話ししました地域住民の参画なしには進んでいきませんので、この辺もポイントに入れていただきたいと思います。
 三点目は、耐震診断、耐震改修の主な担い手は、やはり地元の中小の設計事務所や建設業者の方々でございます。地元の事業者を十分活用し、かつ先ほどお話ししましたとおり、地元区や消防署との連携も重要になってくるかと考えております。
 四点目は、木密地域では居住者の高齢化が非常に進んでおりますので、高齢者の生活再建も含めた対応策が必要になろうかと思いますので、その辺もあわせて検討していただきたいと思っております。
 ぜひ、これからいろいろと課題を整理していくところでございますので、こうした点、ぜひ踏まえていただきたいと存じます。
 そこで、今回の十年プロジェクトでは、十カ年での達成目標をどのレベルに置いているのか、また、実効性を上げるためにどのような姿勢で取り組んでいくのか伺います。

○遠藤市街地整備部長 木密地域不燃化十年プロジェクトでは、危険度の高い地域におきまして、都市計画道路の整備とあわせまして、不燃化の促進により、延焼による焼失率をゼロとすることを目標として考えております。
 震災対策は、先ほど先生のお話にもございましたように、自助、共助、公助の原則によって進めるべきものでございます。
 このうち公助につきましては、これまで都と区が連携して推進計画を立て、実施地区を重点化して事業に取り組んでまいりました。しかしながら、依然として改善が十分に進んでいない地区が多く残されてございます。
 今回の十年プロジェクトによりまして、木密地域を都が先導して、安全で生き生きとしたまちに変える、実効性ある施策の推進に取り組んでまいります。具体的には、木密地域の現地で行います意見交換会などを通じまして、住民や地元区から現場の生の声を聞くとともに、木密地域の実態をきめ細かく調査をしてまいります。
 ただいまご提案がありました事柄につきましても、木密地域を抱える地元の率直な意見として真摯に受けとめ、解決すべき課題を的確に把握してまいります。
 また、施策の立案に当たりましては、生活再建支援のための都有地等の活用、税制との連携など、関係部局との連携を十分に図ってまいります。さらに、都だけでは実現が困難な課題に対しましては、国に制度の改善を求めてまいります。このようにして編み出した施策を地域の実情に応じて組み合わせ、積極的に実施することにより、木密地域の改善に取り組んでまいります。

○神林委員 最近は、自助、公助、共助に加えて近助というのもあるそうですね。地域に課題は、今お話がありましたとおりさまざまでございまして、それぞれの地域の実情に応じた対応を図っていくことは、大変重要なことでございます。ぜひ、地域の実情に応じたきめ細かな対応を行っていただきたいと思います。
 それから次に、木密地域の改善と並んで、東京都が高度防災都市づくりを進める上で大きな柱の一つと位置づけているのが、マンションの耐震化でございます。第二回定例会では、我が党の代表質問に対し、知事からも、実効性のある方策を講じてマンションの耐震化を強力に進めていくとの答弁をいただいたところでございます。
 その際、マンションの耐震化を進める上で、法制度上の課題の解決も重要であるとの答弁がございました。耐震化を促進するための法制度のあり方について、その後専門家会議で検討されていると聞いておりますけれども、現在どのような議論が行われているのか、また今後の対応についても伺います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 本年七月、建築や法律、マンション問題に精通している学識経験者等八人から成る専門家会議を設置し、これまで四回、法制度上の課題などについてご議論いただきました。
 この結果、一つには、分譲マンションは権利者が多く、耐震化に当たっては合意形成の難しさが課題となっております。そのため、耐震性が低いマンションについて、耐震改修や建てかえを行う場合、区分所有法における合意要件を緩和する必要があるということ。また、容積率などの既存不適格のため、現在地で建てかえることが困難なマンションが、別敷地で建てかえることにより解決を図ろうとした場合、全員合意が必要なことが課題となっております。そのため、別敷地での建てかえが実現できるよう、区分所有法を改正する必要があるということ。さらに、区分所有者が居室を賃貸している場合、建てかえを行うためには賃貸借契約の解約が必要となりますが、建てかえ決議が解約の正当事由に位置づけられていないため、建てかえが進まない事例がございます。このため借地借家法を改正する必要があるということなどのご意見をいただきました。
 東京都は、国に対し、これらのご意見を踏まえ、マンション耐震化促進のための法改正について具体的に求めてまいります。

○神林委員 それでは次に、都営住宅の建てかえに伴う経緯について、何点かお伺いいたします。
 我が党では、かねてより都営住宅の建てかえにおいて、老朽化した住宅の更新とともに、都民共有の財産である敷地の有効利用を図ることにより用地を生み出し、東京都の都市づくりに活用すべきであると主張してまいりました。これを受けて都では、都営住宅の建てかえにより創出した用地を活用し、道路や河川、公園などの都市機能の充実に取り組んできており、私どもの大田区においても、創出用地の活用により、京浜急行電鉄の連続立体交差事業が進められております。さらに新たな取り組みとして、今年度から、都営住宅の敷地を活用し、集中豪雨対策として雨水貯留施設の設置が開始されておるところでございます。
 そこでまず、都営住宅の建てかえによりどれくらいの用地が創出されているのか、平成二十一年度と二十二年度の実績でお伺いしたいと思います。

○上野再編利活用推進担当部長 都営住宅の建てかえを進める中で創出した用地につきましては、都の施策推進等のために活用を図っておるところでございます。
 平成二十一年度は、五団地において約一・六ヘクタール、二十二年度は四団地におきまして約一・一ヘクタールの用地を創出いたしまして、お話にございました鉄道の連続立体交差事業など、まちづくりへの活用等を行っております。

○神林委員 例えばの話ですけれども、単純に考えまして、四階建て、五階建てぐらいの中層住宅を、十階を超えるような高層に建てかえるだけでも、居住空間だけでも二倍創出できるわけでございましてね。ぜひそういった空間を、しっかりとそのほかの有効利用に活用していただきたいと思います。
 今ご答弁にありましたとおり、平成二十一年度、二十二年度の建てかえにおいて、二・七ヘクタールもの用地を創出しているとのことであり、今後も、建てかえを進める中で用地の創出を図り、その有効活用に取り組んでいただきたいということでございます。
 また一方、現在、都営住宅居住者も含めまして、少子高齢化が急速に進んでおります。こうした中で、都民が住みなれた地域の中、子育てができたりお年寄りが安心して暮らすことができるような社会をつくっていくことが求められており、これを実現する上で、福祉施設の整備が重要でございます。こうした観点から、都営住宅の建てかえに際しての福祉施設の整備についてお伺いしたいと思います。
 また、都では地元区市等の要望を受けながら創出用地の活用を図り、区施設の整備を行ってきていると思いますけれども、その具体的な取り組み内容について伺います。

○荒川建設推進担当部長 お話がございましたとおり、今日、少子高齢化の進行に対応することが急務となってございまして、地元区市と連携し、都営住宅の建てかえによる創出用地を活用しまして、福祉施設の整備を促進することが重要と考えてございます。
 創出用地を活用しました最近五年間の具体的な取り組みとしましては、高齢者在宅サービスセンターや認知症高齢者グループホーム、高齢者福祉センターなど高齢者福祉施設を七施設、保育所や学童クラブ、児童館など子育て支援施設を十三施設、通所施設など障害者福祉施設を二施設、合わせて二十二施設が開設されてございます。

○神林委員 今、実績で述べていただいたとおり、都営住宅の建てかえに合わせさまざまな福祉施設が整備されていることがわかりました。今後、地域の良好なコミュニティが保持されていくためには、高齢者が地域で安心して元気に生活できることが必要でございます。そのためには、区市などとの、行政が提供する福祉サービスに加えて、地域に根差したNPOやボランティアなど、多様な主体による介護や見守り、給食サービスなど、高齢者が必要としているきめ細かいサービスを提供し、支援を行う取り組みが一層重要になってくると思っております。
 一方、現場で活躍しているこうした福祉サービスの提供を行う団体は、組織の財政的な基盤が極めて弱く、そして活動の拠点がないため十分な活動ができず、行き詰まった状態に陥っております。これらの団体の活動を適切に支援することは、よりよい地域社会をつくっていく上で極めて大きな効果が期待できると考えます。
 そこで、NPOなどの活動を支援するに当たっては、地元区市の主体的な取り組みが不可欠であると考えておりますが、都としても、都営住宅の建てかえなどにあわせて、区市と連携し、活動等の場を提供するなどの協力ができないのか見解を伺いまして、私の質問を終わります。

○瀧本都営住宅経営部長 都におきましては、これまで都営住宅の建てかえに当たっては、主として区市や社会福祉法人が敷地内に施設を整備する際、土地使用料の減免などの支援を実施しております。
 今後、高齢化が進行していく中で、地域において高齢者等に対してよりきめ細かい福祉サービスを提供していくためには、公的主体だけではなく、NPOやボランティア、民間事業者など、多様な主体による活動を促進していくことが重要と考えております。
 お尋ねのNPO等の活動の場の提供につきましては、都営住宅の建てかえや、創出用地を活用した民間プロジェクトを実施する際、地元区市や社会福祉法人がNPO等と連携して行う取り組みに、都としても協力してまいります。
 今後、だれもが安心して生き生きと生活できる東京の実現に向けまして、地域における高齢者等への支援の活動が進んでいくよう、都といたしましても取り組んでまいります。

○橘委員 私の方からは、初めに都営住宅の整備とバリアフリーについて、質問をさせていただきます。
 今、都営住宅の建てかえ、着々と進んでおりますけれども、やはり課題として幾つかテーマが出てきております。その中で、型別供給の一DKの部屋、これについても数々の声をいただいております。これはやっぱり少し狭いんではないか、部屋の使い勝手が悪い、そういった声も私たちのところに届いておりました。そして私たちは、その声をきちっと調査し、また現場に行って自分の目で確かめ、そういった作業を繰り返したその上で、ことしの第一回定例会で、この改善について私たちは提案をさせていただきました。この提案に対しまして、都の方からは、収納スペースや水回りの配置等を工夫し、介護のための使い勝手の向上を図るなど、間取りの見直しを行うという答弁がなされました。で、この一DK、どうするのかというと、一DKの和室の窓側に対して横に配置するとか、間取りを少し変える、それから、従来の三十二平米から三十五平米に拡大する、そういったことで、改善することによって使い勝手が随分よくなったなという気がいたします。
 公営住宅という性格上、ある程度の制約がございますし、また財源の制限もあります中で、ちょっとした工夫、また都の予算も大幅にかけないで工夫をすることによって、また技術的な改良を加えることによって随分住みやすくなる、そういったケースであろうかと思います。
 このちょっとした工夫それから住んでいる方への配慮というものは、この既存住宅についても、これはこれから発揮されていかなきゃならないなと思います。
 例えば、エレベーターはついていないけれどもスロープが、エレベーターもついていなければスロープもついていないという住宅もたくさんございますし、また手すりが不連続、連続的になっていないために不便を来しているところもあります。それから、階段の段差が同じ高さの段差になっていないためにすごく危険だというところも今までも多々ございました。そういう現場も私も見てまいりました。そういったところも、少しでも改善をしていくことによって住みやすくなる、また安心して暮らせるという都営住宅になっていくかと思います。
 私は、昨年の決算特別委員会で、この都営住宅のいわゆるちょっとした改善点、障害になっている部分、これをプチバリアといいまして、プチバリアの改善をもっと進めるべきだという提案をいたしました。というのは、私、実は昨年の六月も、このいろんな、都営住宅、都営住宅に限らず都営交通、そういった駅の施設についても、小さなバリアというのは意外と見逃されやすいんですね。自分で歩いてみても気がつかないところが、健常者ではわからないところが、障害者の方や、それから高齢者の方、小さなお子さんにとっては非常に危険な場所になっているという、そういうケースも多々ございます。そういう経験もございまして、都営住宅、特に既存の都営住宅についてはもう一度、プチバリアと呼ばれる小さな障害になっているところ、そういったものを改善すべきではないかと提案をさせていただきました。
 その質問に対しても、答弁としては居住者への広報紙などを活用して広く周知していくという答弁をいただいておりますけれども、その後の取り組みについてどういうふうになさっているのか、お聞きしたいと思います。

○妹尾営繕担当部長 既存の都営住宅におきまして、各団地の状況に応じてきめ細かい取り組みを進め、バリアフリーを推進することは重要であると考えております。
 お話のありました団地内のバリアフリー対策につきましては、昨年十二月、居住者への広報紙「すまいのひろば」によりまして、屋外スロープの設置など三つの対策を広く周知いたしました。それ以降、バリアフリー対策の実績といたしましては、屋外スロープの設置十八件、それから、道路や歩道の切り下げ等の段差解消四十七件、屋外階段手すりの設置二十二件を実施してございます。
 今後も、団地内のバリアフリー化の推進に向け、自治会や居住者への周知を図ってまいります。

○橘委員 今、昨年十二月の「すまいのひろば」によって広報した、それによってかなり声が寄せられたということも聞いております。そしてまた、私たちもこういうところを改善してもらいたい、そういった声もお聞きしております。その結果、この数が多いのか少ないのか、ちょっと私は前後関係をまだ調べていませんのでわかりませんけれども、かなりの今まで気がつかなかった部分が出てきたなという気がいたしてなりません。
 例えば、今答弁にございました屋外のスロープであるとか、それから階段の段差であるとか、先ほども申し上げましたそういったものが、ふだん、このぐらいだったらちょっと直してもらうのは気が引けるなという自治会長さんもたくさんいらっしゃいます。けれども、こういうものをきちっと声を出していただきたいという広報をしたことによって出てきたのだと思います。こういう働きかけをこれからも十分やっていかなきゃならないと思います。
 次に、関連して既存住宅へのエレベーターの設置でありますけれども、これについては、もう局の皆さん方も大変力を入れてくださいまして、次々と推進をしてくださっております。そこで、都営住宅におけるエレベーターの設置についてですけれども、これまでの取り組み状況、それから、二十二年度の予算基数と実績、それから今年度の見通し、これについて説明を求めます。

○妹尾営繕担当部長 都は、平成三年度から既存住棟へのエレベーター設置の取り組みを開始し、これまでの二十年間で千二百基を超えるエレベーターの設置を行っており、平均すると毎年六十基のペースで整備を進めております。
 近年では、日影規制等敷地の条件が厳しい住棟、また、耐震改修とあわせて進める必要がある住棟など、技術的に困難を伴うものが多く残っていることに加えまして、居住者全員の同意を要件としてきたことも相まって、平成二十二年度のエレベーター設置につきましては、予算基数六十五基、設置実績三十四基となっており、二十三年度につきましては、十月末の時点で三十三基の設置が確定しております。

○橘委員 今の答弁にございましたように、平均して大体年間六十基の予算確保、そしてまた、近年、ここ数年については、平均して六十五基の予算を確保していらっしゃるようです。そのうち、実際は約半分の設置にとどまっている。
 これだけバリアフリーと叫ばれ、そしてまた既存住宅へのエレベーター設置が求められている中で、なぜこの半分程度にとどまっているのか。今答弁にもございますように、さまざまな要因がやはりあります。私も実際に聞いておりますけれども、また見聞きしておりますけれども、例えば、エレベーターを設置することによって、エレベーターホールとその建物の構造関係で耐震的にもたないという建物もございます。それから、日照関係で、エレベーターホールをつくりますとこれが日照権に引っかかるというものもございます。
 ただ、課題は、そういった法律的なもの、また構造的な課題というのはなかなかクリアすることできないと思いますけれども、努力すれば何とか解決できるという、そういった設置の仕方もあるだろうということで調べてまいりましたら、やはりこの中には、半分程度しかできないというその要因の中には、反対する人がいるがゆえになかなか設置ができない、そういった実態もございます。
 このような状況も踏まえまして、私たち公明党は、本年第三回の定例会の代表質問で、エレベーターの設置に当たっては、一つの要件がありまして、この要件、全員の同意が必要であるという要件の運用、これは努力すれば改善できるのではないかという趣旨で質問をいたしました。そういう主張をいたしました。これに対しまして都の方では、エレベーターの使用や維持管理が円滑に行われていくと見込まれる場合などには、全員同意の要件について弾力的な運用を図っていくという答弁をいたしまして、新たな方針がこれによって表明されたことになります。この方針の表明を受けまして、これまで居住者の全員同意が壁となって、エレベーターの設置をあきらめていた住棟の居住者の方々にも、改めて設置に向けた期待が高まっているのも事実でございます。
 そこで、この全員同意の弾力的運用、この対象になる住棟の考え方について、もう一度改めて伺っておきます。

○妹尾営繕担当部長 弾力的運用につきましては、エレベーター設置後の円滑な使用や維持管理の実施を担保するための三つの要件を満たす住棟を対象としてまいります。
 具体的には、第一に、未同意の居住者が一人であること、第二に、未同意の居住者がエレベーターの設置に反対する理由が、社会通念に照らしまして受忍すべきものと判断されること、第三に、エレベーターの使用や維持管理が確実に行われると判断されること、このような要件に該当する住棟について、関係法令への適合性の確認も踏まえ、設置が適切であるものについて、自治会と連携を図りながら設置を推進してまいります。

○橘委員 このエレベーターの設置については、全員同意が壁になっていたということが今までございましたので、再度、今回の見直しによって可能性を検討していただきたいと思います。
 例えばエレベーターを設置するに当たっては、自治会から要望が出されるということが前提になるわけですけれども、今までこの要望はしているんだけれども全員の同意が得られない、だから、設置は無理とあきらめていた自治会もございます。そういう住棟もございます。そうした場合に、このエレベーターの設置を再度要望するという、これについて、やはりこれはあきらめていることもございますので、都の方から改めて呼びかけをする、声をかけるということも必要ではないかと思いますので、これについて見解を伺う。
 それからもう一つは、広報、これからそういうふうに聞いていたけれども、基準といいますか、規制がちょっと変わったということで、可能性はあるかもしれないということで検討なさっているところもあると聞いておりますので、もう少しこの周知をしていく。まだ知らないところもございますので、周知をしていくということも大事かと思います。この二点について答弁をお願いします。

○妹尾営繕担当部長 これまで要望がありながら、居住者全員の同意が得られなかったために、エレベーターの設置に至っていない住棟につきましては、再度自治会や居住者に全員同意要件の弾力的運用につきまして説明を行い、エレベーター設置への同意の促進を図ってまいります。
 また、全員同意要件の弾力的運用について、今後「すまいのひろば」に掲載するなど、自治会や居住者に広く周知を図ることにより、既存住棟へのエレベーター設置を推進してまいります。

○橘委員 次に、木密地域の整備について伺っていきます。先ほど神林理事の方から質問がありましたので、重複する部分は避けていきたいと思います。
 その中で、まず最初に確認をしておきたいんですけれども、これまでの木密地域の整備、これまでの実績、東京都、また国と地元と連携しながら数々手がけてまいりましたけれども、このこれまでの実績、概要で結構です、実績と今年度継続中の実施状況について説明をお願いします。

○藤塚民間開発担当部長 木密地域の整備に向けた事業や施策といたしまして、生活道路や公園広場等の整備、老朽住宅の共同建てかえ等への助成を行う木造住宅密集地域整備事業や、延焼遮断帯の形成に資する建築物への助成を行う都市防災不燃化促進事業、また、道路整備と沿道のまちづくりを一体的に整備する沿道一体整備事業、さらに、東京都建築安全条例に基づく新たな防火規制などがございまして、地域の実情に応じて組み合わせを行いながら実施しております。
 主な事業の実績でございますが、木造住宅密集地域整備事業につきましては、昭和五十八年度から事業を開始いたしまして、これまでに十九区七十七地区で事業を行い、生活道路用地や公園、広場用地として約十七ヘクタールを確保したほか、約七千四百五十戸の共同住宅等の整備が行われました。今年度は十七区四十七地区で事業を実施しております。
 また、都市防災不燃化促進事業につきましては、昭和五十五年度から事業を開始し、これまでに二十区八十九地区で事業を行い、約五千四百七十棟の不燃建築物が建築されました。今年度は九区二十一地区で事業を実施しております。

○橘委員 この木密地域の整備というのは、本当にお金もかかりますし、所有権の関係も複雑でありますし、それから住民の理解も必要、それから、場合によっては種地も必要というふうになってきまして、もう何重も課題が次から次へと出てくるというのは、私も板橋区内の木密地域の整備事業について聞いたことがありましたので、よくわかっておりますけれども、この難しい中でよくここまで進めてこられたなという印象を持つと同時に、なぜ、この木密地域を整備することによって、震災時、特に震災時に人的な、また物的な被害を減少するためには、ここを整備しなければ絶対にだめだという、そういったわかりながら、なかなか遅々として進んでこなかったというのも事実であります。
 そこで、さまざまな先ほど申し上げました諸課題があるわけですけれども、なぜ早くから整備が必要ですよと叫ばれながらも、今まで整備の広がりが急速に見られなかった、その要因について、まずどのように分析されているのか、答弁をお願いします。

○藤塚民間開発担当部長 都は区と連携いたしまして、防災都市づくり推進計画を策定し、重点整備地域等を定めて、延焼遮断帯となる道路の整備や建物の不燃化、耐震化などに取り組んでまいりました。
 しかしながら、木密地域では、居住者の高齢化等により建てかえ意欲が低下していること、敷地が狭小であること、借地権や借家人が多く権利関係がふくそうしていることなど、種々の要因によりまして建てかえが進みにくい状況にございます。住みなれた地域での居住継続を希望する居住者も多い中、希望にかなう移転先の確保が難しいといった問題もございます。こうしたことが整備がなかなか進まない要因となっております。

○橘委員 今のような要因がずっと重複しまして、難しくなっているという、そういう現状がありますけれども、それを何とか打開しなければならないという都としての意思表明、それが一つ、今年度の六月の補正予算であらわれているかと思います。
 この六月の補正予算で、この木密地域の対策の一環として、木密地域の整備促進に向けた検討というのが盛り込んでありました。補正予算に盛り込んだということは、これは緊急性があるという意思表明でございまして、同時に、これを広げていく重要性を重視したあらわれと見ることができると思います。
 したがいまして、この木密地域を重視する、緊急性があるというふうにして検討していると思いますけれども、この検討の中身、今現在どのようなところを柱に据えて検討しているのか、これについて伺います。

○藤塚民間開発担当部長 先ほどご答弁申し上げました整備が進まない要因を踏まえまして、木密地域の整備促進に向けて実効性のある施策を構築するため、現在、整備地域を対象に建物や敷地、道路の状況などについて調査を行っております。
 また、この調査と並行いたしまして、高齢居住者等に対する効果的な生活再建支援、不燃化建てかえを促進するための方策などについて、関係局とも連携しながら検討を行っております。

○橘委員 この木密地域の整備を推進する上では、種地を確保することも大変重要であると思います。都営住宅の建てかえによって創出された用地であるとか、また、近くに都有地がなければ、創出地がなければ、民有地を買ってでも種地を確保するぐらい、それぐらいの大胆な手法でなければ、木密地域の整備というのは急速に広がっていかないのかなと、そういうふうに私は思います。その辺も検討をお願いしたいと思います。
 特に、私の地元の板橋区内では、やはり古い住宅が密集している地域が幾つかございまして、その中の大谷口上町という地区がございます。そこは谷地でありまして、私が見ても本当に危険だなという地域でもありました。それが今度、区が中心となって、住宅地区改良事業というものをやりまして、今は見違えるほど改善されて、まずこれは延焼防止帯としては非常に効果があるなというふうに実感しております。また、板橋三丁目地区というのがございまして、ここは防災街区整備事業がここで手がけられまして、もう完成しましたけれども、このビルによって延焼も、ビルとそれからその前の広場によって延焼が防げるなという、そういった、まちの人たちも大変安心感があるというふうにおっしゃっておりました。そういうふうにして大きな効果、また住民の安心感にもつながるということで、この木密地域の整備というのは急速に進めていかなきゃならないと思います。
 そのためには、やはり関係局また地元区としっかり連携し、実効ある対策を打ち出していっていただきたい。また、皆様方の情熱というものが区を動かしていく、住民の皆さんを動かしていくというふうになると思いますので、今後とも引き続き努力をお願いしたいと思います。要望しておきます。
 この木密地域の整備に関連して、一点、道路の整備を伺いたいと思います。
 私は今回の大震災に際しまして、宮城県と福島県、特に海岸部を視察してまいりました。そこで感じたのは、皆さん、ここにいらっしゃる委員の皆様、ほとんど感じたと思いますけれども、道路が、海岸端の国道が、寸断され、四五号線だったでしょうかね、寸断されたために、東北自動車道から海岸部に行って、山を越えて海岸部に行って、それを南北に上下することができない、というふうにして移動することができない、そういう状態でありました。したがって、海岸部へ行きましたらまた引き返して、また別のルートから海岸部に行かなきゃならないという、そういった状況でございました。それによって、緊急物資がなかなか大量に届かないであるとか、連絡がなかなかつかない、そして、そういう道路の寸断による影響というのは非常に大きいというのがわかりました。また、瓦れきの搬送につきましても困難を来しているというのも、道路が寸断されたという、そういう原因もあるようでございます。
 東京と被災地の道路状況は全く違う、地形も違うわけでありますけれども、このくしの歯のような形で配置されている被災地の道路状況と、東京はそういった形態になっておりません、網の目状に道路が通っているわけです。ところが、その東京の道路においても、都市計画道路の整備、これが進んではいるけれども寸断されるところが結構ありますね。この寸断によって東北の被災地と同じような状況になっているというふうに思うのが、この東京の都市計画道路の整備状況であるように私は思います。
 防災上の観点からもう一度この道路の整備について、寸断されることのないように、緊急物資、緊急車両等が通りやすいような、そういった道路整備、今まではスムーズに交通が流れるような、そういうふうな配慮から整備されてきたと思いますが、これからは防災面を最重視した観点から、この都市計画道路の整備を考えるべきだと私は思いますけれども、この点についてどう考えますか、見解を伺います。

○石川都市基盤部長 都市計画道路の整備につきましては、現在整備率が約六割まで進んできているものの、路線としてつながっていない箇所が数多く残されておりまして、理事お話しのとおり、今回の震災の教訓を踏まえれば、幹線道路を初めとした道路ネットワークを早急に構築する必要がございます。
 特に、木造密集地域内の都市計画道路につきましては、延焼遮断機能のほか、避難や救援活動の空間ともなり、地域の防災性の向上に大きく寄与することから、その整備を進めることは重要でございます。
 これまで、大山地区の補助二六号線や東池袋地区の補助八一号線などの整備を進めてきたところでございますが、権利関係がふくそうしているなどの要因から、木造の密集地域以外の路線と比べると整備がおくれている状況にございます。このため都では、これまでも事業化計画を策定し、計画的、効率的に都市計画道路の整備を進めているところでございますが、加えて、今年度補正で措置された予算により調査を実施し、延焼遮断など防災機能の強化に資する重点的な道路整備のあり方や課題などについて、関係機関と連携を図りながら検討を進め、迅速、適切な対応を図ることにより、高度防災都市の実現に取り組んでまいります。

○橘委員 高度防災都市東京といっても、やはりこの寸断された道路、これはやっぱり一つの基本だと思います。これにちょっと力を入れて取り組んでいただきたいと思いますし、今、答弁の中で出てきました板橋区内の補助二六号線、これについて質問をしておきたいと思います。
 この補助二六号線というのは、東武東上線の大山駅付近の道路なんですけれども、東武東上線の東側は整備済み、川越街道の西側についてもことしの六月十一日に交通開放されました。東武東上線と川越街道に挟まれた区間のみが未整備になっている。これは、地元でないとちょっと構図がわかりませんけど、A、B、Cという区間がありましたら、AとCは開通したけれどもBが開通してないと、こういう状況なんですね。したがって、これは災害時に果たして機能するかというような疑問があるという、そういう道路になっておりまして、これから整備を進めていくことになっております。
 まず、この補助二六号線の延伸について概要だけ説明をお願いします。

○遠藤市街地整備部長 お尋ねの補助二六号線でございます。補助二六号線は、環状六号線山手通りと環状七号線のほぼ中間に位置する環状方向の補助線道路でございます。計画幅員は二十メーターでございまして、お話にございましたように、川越街道から東武東上線までの区間約四百十メーターが未整備となってございます。この区間につきましては第三次事業化計画におきまして、優先整備路線として位置づけているところでございます。
 都は、この区間の補助二六号線を含みます板橋区大山中央地区につきまして、「十年後の東京」実行プログラム二〇一一の中で、道路整備と沿道まちづくりを一体的に進めて防災性の向上を図る地区、このように位置づけてございます。
 地元板橋区におきましては、大山駅周辺にまとまった規模の商業集積が見られ、文化や医療などの公共施設があることから、ことし三月に策定しました区の都市計画マスタープランにおきまして、大山中央地区を都市機能の集約するにぎわいのあるまちづくり、駅を中心に円滑に移動でき、防災性の高い安全で安心なまちづくりを目指す地区、このように位置づけてございます。

○橘委員 今の答弁にありました、このまだ未開通の部分なんですけれども、これは非常に、もう昭和二十一年に都市計画決定がされましたけれども、それ以後、地元の反対等がございまして、紆余曲折さまざまな課題があって、まだ決着もついてないという状況であります。
 難しくしているのは、ここは都内でも有数な商店街、にぎわいのある商店街であるハッピーロードという商店街がある、このハッピーロードという長い商店街のど真ん中を貫通するという、そういった計画なもんですから、これがもう大変な問題となっている、そういう状況であります。しかしながら、地元の方々も防災の観点から、またそれから、商店街のこれからの発展のためにも考えなければならない課題だという声も多々ございまして、今半々かどうかちょっとわかりませんけれども、いろんな意見が出て難しくなっているわけであります。
 そこで、これは地元で判断する、地元の考え最優先、これも当然わかりますけれども、この整備に当たっての課題というのは、地元で考える課題と、それから東京都でごらんになっている課題、これは若干また違うかと思いますけれども、この補助二六号線の進展問題に対する都から見た課題は何なのか。それから、現在の都が取り組んでいる取り組み状況、これについて伺います。

○遠藤市街地整備部長 補助二六号線の整備に当たっての課題でございますが、一点目でございます。この道路が平面構造として都市計画決定がなされておりまして、このまま整備しようとしますと、東武東上線との交差が平面で交差することになりまして、いわゆる踏切の問題がここで発生するということが一点目でございます。
 二点目は、ただいま先生のお話にもございましたように、大山駅の西側に都内でも有数のハッピーロード大山商店街がございまして、二六号線の道路の計画線と商店街が斜めに交差している、交わっていることから、道路整備によって商店街が大きく分断されてしまうという点が課題でございます。
 現在の都におきます取り組み状況でございますけれども、地元によるまちづくりへの取り組みに一定の進展が見られましたことから、これを踏まえまして今年度、この道路の設計の基本的な方向を検討するため、計画道路とその周辺の地区を対象といたしまして、地形地物の現況調査や交通量調査などを実施しております。また、道路整備に対します沿道の方々の意向を把握するため、都は区に委託しておりまして、区によりましてアンケート調査が行われているというところでございます。
 さらに、都は、地元の商店街や町会をメンバーといたします大山まちづくり委員会に、板橋区とともに参加しておりまして、地元の方々と意見交換を行うなど、まちづくりの機運醸成に努めてきているところでございます。

○橘委員 今の答弁にありましたけれども、確かに地元では、ことしの夏を境に一定の動きが出始めております。これは進展しそうだなという、そういう雰囲気も今出始めております。
 ここで大事なことは、これは地元最優先ですから、東京都が全部それを、前面に出ていくわけにいきませんけれども、この新たな動きに対して、東京都がどういうふうにしてこれから対応していくのかということが一点、それから、要望でございますけれども、地元の考えは地元の考えとしてあるんですけれども、ある程度技術的なアドバイス、例えば立体交差であるとか、それから、東武東上線を上に上げる場合の勾配であるとか技術的な問題、多々そういうものも、地元にとってはそういうものがなかなかわからないという点もございます。したがいまして、そういった技術的な面のアドバイス。それから、あの地域全体、先ほどの答弁にありましたように、健康長寿医療センターという医療という資源もございます。都内有数の大商店街というのもございます。それから、周辺が木造住宅の密集地域でもございます。そういったさまざまな要素を含んだ地域、そこに道路を通すということが、なかなか今まで解決しなかったのもそういう要素があるからでありまして、そういう面では先ほどいいましたような技術的な面であるとか、それからグランドデザインを描くための一つのアドバイスといいますか、助言であるとか、そういった点で、もう少し東京都が関与してもいいのかなと私は思いますけれども、その辺の見解も含めまして質問をいたします。

○遠藤市街地整備部長 大山駅周辺の地元におきましては、先ほど申し上げました大山まちづくり委員会が、ことしの八月に商店街活性化計画を取りまとめてございまして、その中で、道路や商店街の活性化を含む、将来のまちづくりの考え方を明らかにしてございます。
 板橋区では、この商店街活性化計画を踏まえまして、道路と商店街が共存するまちづくりについて、さらに地元との検討を深めていくと、このように聞いてございます。
 都といたしましては、こうした地元の動向を勘案しながら、補助二六号線の整備と沿道のまちづくりを一体的に進める方策について、地元板橋区とも連携しながらさらに検討を深めてまいりたいと思っております。
 技術的支援、あるいはグランドデザインということについてのご要望もございました。そうした点も含めまして、今後とも地元の住民の方々、あるいは地元板橋区とも連携して進めていきたいと、このように考えてございます。

○橘委員 最後になりますけれども、これは意見表明にとどめておきます。
 この地域は、先ほどいいましたように商店街等さまざまな要素が絡んでいるところ、けれども東京都内に同じような要素を持ったところがかなりあると思います。この道路整備の観点から見ると、この板橋の大山地域というのは一つのモデルケースになるかなと思いますので、これを推進するに当たっては、今までのいきさつもあると思いますけれども、あくまでも防災面の観点から、何としてもここは整備していかなきゃならないというその観点で、地元の皆さんとお話を進めていただければと思いますので、要望しておきます。
 以上で終わります。

○大島委員 私もまず最初に、都営住宅の関係から質問をさせていただきます。
 資料を用意していただいてありがとうございます。今回いただいた資料の5を見ますと、都営住宅の入居者の六十五歳以上の方が五八・四%ということで、昨年度の資料で見ますと五七・八%でしたから〇・六%増となっています。これは年々高齢化が確実に進んでいること、そして若返りの兆しもなかなか見えないというようなことがわかります。
 これはまず、都営住宅の新規建設、十二年間ストップしているということや建てかえ住宅での戸数抑制、それから型別供給などによるところが大きいと考えます。
 高齢化によって今、自治会の役員のなり手がいないとか、それから団地の清掃活動も高齢のためなかなか参加できる人が少なくなったとか、その自治会活動などにも支障が出る状況になっている、こういうこともたくさん聞いています。
 こうした中で、先ほどもありましたけれども、既存の都営住宅へのエレベーターの設置、高齢になりますと、高層階に住んでいると五階、四階へ上がっていくのがなかなか大変という声も聞いておりまして、先ほどもありましたけれども、資料から見ても、既設の都営住宅のエレベーター設置状況、二十一年度三十一基、二十二年度三十四基ということで、予算の半分程度しかつけられていないということで、さまざまな要因で設置のスピードが落ちてきているということはわかりますが、昨年私も、この事務事業の質疑で事例として示した団地などでは、エレベーターの設置が可能と確認された後に越してこられた一人の方がこのエレベーター設置に反対をしているために、居住者全員の合意が得られずに設置できないでいる。自治会の方々も非常に心配をしまして、この電気代などについては自治会が負担するからというようなことで、何回か東京都の方にも要請をしたところなんですが、また私も委員会で取り上げましたけれども、その段階ではまだ、こうしたところについては全員同意でなければだめという回答でした。しかし、今回はその全員同意の要件について弾力的な適用を図っていくということなんですが、まずその内容についてお伺いいたします。

○妹尾営繕担当部長 先ほども答弁いたしましたが、弾力的運用につきましては、未同意の居住者が一人であること、未同意の居住者がエレベーターの設置に反対する理由が、社会通念に照らして受忍すべきものであると判断されること、エレベーターの使用や維持管理が確実に行われると判断されること、この三つの要件に該当する住棟を対象として考えてございます。

○大島委員 ありがとうございます。すごく喜ぶと思うんですね。
 ちなみにその社会通念に照らして受忍すべきものと判断するということなんですが、これをもし例示していただけたらどんなものを考えているのか、教えていただきたいんですが。

○妹尾営繕担当部長 居住者が、今まで一人の未同意の方が多く反対されている理由としましては、家賃の値上げ、それから共益費の値上げ、そのようなものが多うございます。また、一階に住んでいらっしゃるから自分はエレベーターを使わないので、そんなもの要らないというご意見もございます。
 共同住宅でのこういう生活を営む上で、エレベーターを設置することにより多くの方が利益を受ける、それとの比較考慮をいたしまして社会通念上という表現をいたしております。

○大島委員 ありがとうございます。
 次に、同じようなエレベーターの設置の問題で、これも私も何回か取り上げているんですけれども、店舗つき住宅、いわゆる一階部分に店舗が入っている、この住宅のエレベーターの設置なんですけれども、これもその一階の店舗部分で建築基準法の確認を受けていない増築などがされている場合にエレベーターが設置できないという問題なんです。
 ことし三月の委員会でも、取り上げましたけれども、この違反建築物の是正には店舗の所有者とこの店舗を販売した財団法人首都圏不燃建設公社と、それからこの店舗に土地を貸している東京都、地主ですよね、地代も取っているので、この三者の責任で解決すべきものだということを主張しましたけれども、これまでも改善に向けて個別に折衝の最中だという答弁でしたが、その後の進捗状況についてお聞きします。

○妹尾営繕担当部長 店舗部分につきましては、本来土地の賃貸借契約を締結しております財団法人首都圏不燃建築公社が是正の要請を行うべきであることから、都は同公社に対し、借地契約の更新を迎える店舗を対象に、その機会をとらえ、是正に向けた指導を行うよう要請しております。
 また、都といたしましても、これまで個々の団地の状況に応じて、文書の送付や店舗所有者と自治会との会合に職員が出向くとともに、個別に店舗所有者にお会いして是正の要請を行ってきております。さらに、所管の建築指導部局と連携し、店舗所有者に対して是正の協力を求めてきております。

○大島委員 足立区でも、一階部分に公設市場が入っていたこの団地については改善が図られまして、エレベーターが設置できるようになって大変喜んでいるんですね。そういう点でいうと、まだまだこういう部分のことが問題で設置できない住宅が多いので、ぜひ、これからも積極的に働きかけをしていっていただきたいというふうに思います。
 次に、都営住宅の耐震診断と耐震改修についてなんですが、資料によりますと、耐震診断が十一万六千三百九十三戸、改修工事が九千六百九十五戸ということで、耐震診断対象とされていた十三万六千戸まであと少しのところまで来ているというように判断をいたしました。
 しかし、この耐震診断を行って耐震改修を進める必要があると判断された、こういう住棟からエレベーター設置の要望が多くなっているということも聞いています。
 東京都として、エレベーターの設置と耐震化をどのように進めていくのか、また今後の耐震化計画はどのように進めるのか、お伺いいたします。

○妹尾営繕担当部長 耐震基準に満たない住棟でエレベーターを設置する場合には、耐震改修とあわせてエレベーターの設置を行うこととしております。
 また、都営住宅の耐震化の計画につきましては、都営住宅耐震化整備プログラムに基づき耐震改修工事等を順次実施し、平成二十七年度までに都営住宅の耐震化率を九〇%以上とすることを目標として進めております。

○大島委員 そうしますと、平成二十七年度までに耐震化率九〇%以上にするということは、これまでも答弁の中で聞いているんですけれども、耐震診断をやられて耐震改修が必要だといわれている住戸について、それではエレベーターの設置の要望があって条件がクリアできているような住棟については、この平成二十七年度までにはほとんどエレベーター設置ができると考えてよいのでしょうか。

○妹尾営繕担当部長 耐震改修が必要な住棟のうち、エレベーターが設置されていない住棟でエレベーターの設置の要望があった場合につきましては、関係法令の適合性が確認され、かつ居住者の同意の状況を踏まえ、設置が適切と判断された場合には、先ほどご答弁しましたとおり、耐震改修とあわせてエレベーターの設置を行うこととしてございます。

○大島委員 それでは、おおむね平成二十七年までにはこうした耐震改修が終わって、そこにエレベーターが必要ならばつけられるというように判断していいのかなというふうに思います。
 私はこの都営住宅の耐震化とあわせて、エレベーターの閉じ込め防止対策、これも東京都の方で進めていらっしゃるということで、今年度中には一〇〇%になるというふうに聞いています。これは大変重要なことだと思います。でもエレベーターに関連して、きょうは耐震化の問題などについては質問しませんけれども、民間のエレベーターの閉じ込め防止のために、東京都が今、都営住宅などのエレベーターにつけておりますP波感知型地震時管制運転装置とか、停電時の自動着床装置設置のための補助金を支給するなどの、民間のエレベーターについての支援策なども、ぜひ検討していただきたいということで要望しておきます。
 次に、建てかえ対象とされた住宅は耐震診断を行わない予定の団地となっています。二十二年度末の時点で約六百棟、一万六千戸あるという答弁がありました。二〇一五年度までに建てかえて耐震性を満たす住宅にする計画ですが、この建てかえ対象住宅ではエレベーターも設置されず、居住者にはいつごろ建てかえになるのかも知らされていないというのが現状です。少なくとも五年とか十年以内に建てかえる予定になっている住宅について、その計画をつくって居住者に知らせるべきではないかと考えます。
 また、建てかえの事前の説明会は、居住者の方々の意見も取り入れて十分な時間をかけて行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、団地ごとに敷地の形状や建築基準法上の条件が異なることを踏まえまして、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案しながら、建てかえ計画を作成しております。この建てかえ計画が固まり次第、居住者に説明を行っているところでございます。
 説明に当たりましては、団地居住者を代表する自治会役員等に対しまして説明を行い、自治会の意向を確認しました上で、すべての居住者を対象にして全体説明会を行い、建設計画や移転の進め方などを説明してございます。

○大島委員 この建てかえの計画がいつごろまでにというのが余りはっきりしなくて、とにかく建てかえられるような準備が整い次第ということなので、それがそこに住んでいる住民にとっては非常に短い、ある日突然にそういう話が来たような印象がすごく強いんですね。自治会の役員さんなんかは事前に聞いているということもあるので、それほど思わないのかもしれませんが、一般の居住者について見ると、かなり短い時間で引っ越しをしなきゃならないっていうことで右往左往しているというのが現状なんですね。ですからそういう点で、ぜひ十分な時間をとっていただきたいなというふうに思っております。
 次に、建てかえの対象住宅では入居者の高齢化、それから単身世帯、二人世帯、こういったものが大半を占めているんです。建てかえのときには、この世帯人員が基礎となって型別供給での建設戸数というのが決められるために、今一DKとか二人用の二DKなどの、小さい方ですね、単身、二人世帯向けの住戸が大半を占めてしまいます。空き家の発生も当然、単身者用がふえてしまうんですね。
 この単身公募の資格というのは六十歳以上なので、単身の若者の入居はできません。また、こうした小さい面積の住居ではファミリー世帯が入居するのはなかなか困難で、結局団地全体の世代の若返りというのが期待できないのではないかというふうに思いますが、この点についての都の見解を伺います。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立ちまして、基準を設けて、それぞれに対応する規模の住宅を提供しているところでございます。
 若年世代の入居につきましては、子育て世帯に対して、若年ファミリーや多子世帯向けに期限つき入居を実施しているほか、優遇抽せんやポイント方式によりまして入居機会の拡大を図っているところでございます。

○大島委員 十年の期限つきというのもなかなか大変で、そういう意味では、この期限つきのところのファミリー世帯の応募率っていうのがやっぱり少ないんですね。そういうことがやっぱりすごく多くなっているのではないかと思います。
 この建てかえのときは、居住者をまず遠いところの新築の住宅に本入居として入居するということを進めているんですね。もちろん戻り入居というのもあるんですけれども、元の住宅にはほとんど戻れないような仕組みになっていまして、建てかえ計画では、この居室の空間としては、まず応接部分とか介護スペース、こういったことを考慮して、最低でも二部屋で、食事室と寝室の分離、これからも三人用の二DKというのを最低基準にすべきではないかというふうに考えます。そうなれば空き家になったときでもファミリー世帯の入居も可能になるわけですから、この点についてはいかがでしょうか。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえで供給する住戸の面積につきましては、都営住宅が都民共有の住宅セーフティーネットでございますことから、入居対象世帯の人員に応じた最低居住面積水準を確保するとともに、バリアフリーなどを考慮して設定しておりまして、三人用二DKを最低基準にすることは考えてございません。

○大島委員 そういうことでいくと、先ほど私がいいましたように、なかなかそのファミリー世帯が入れるような大きい二DKとか三DKとかというのがなくなっちゃうんですよね。少なくなっちゃうんですね。そういうところをやっぱり柔軟に考えていかないと、これからの団地の若返りというのはなかなかないんじゃないかというふうに思います。
 その中で、今、都営住宅での孤独死という問題が大きな問題となってふえています。都営住宅で六十五歳以上の高齢者の孤独死は、大体毎年四百人前後で推移しているというふうに聞いています。
 これまでも孤独死対策とか、認知症などによるこうした高齢者への対策の強化を求めてまいりましたが、高齢者の相談機能の強化を図るために巡回管理人、これを増員する考えはないのでしょうか。また、自治会などでは、個人情報ということもあって、なかなか入居者の方々の全員の名簿を持つということができないということで、新しい方たちが入ってくると実態がつかめないでいるということです。まず、東京都と地元の自治体、それから住宅の自治会、これなどとの連携で、都営住宅にシルバー交番の設置とかシルバーピアの併設、こういったことを図っていくべきではないかと考えますがいかがでしょうか。

○笹沼経営改革担当部長 見守りサービスや介護サービスなどの福祉的な対応は、基本的には地元区市が実施するものでございます。
 都営住宅におきましては、都は住宅管理者として巡回管理人を配置し、六十五歳以上の高齢者世帯等に対する支援を行っております。巡回管理人は、希望するすべての世帯に対しまして定期的に戸別訪問を行い、書類の取り次ぎやさまざまな相談に応じ、巡回により確認した居住者に関する状況や事実について、必要に応じて地元区市の福祉部門に提供しており、巡回管理人を増員することは考えておりません。
 また、シルバーピアやシルバー交番などの施設につきましては、地元区市との協議に基づき、必要な対応を行うこととしております。

○大島委員 巡回相談員という管理人さんは、非常にいい効果をもたらしていると私は思っているんですけれども、今の人数の体制では、二カ月に一回程度、希望する高齢者宅を訪問しているというように聞いています。高齢者の急激な変化というのは本当にわからないもので、そういった変化に対応するためにも、少なくとも今の巡回相談員を倍加して月一回程度は訪問できるようにすべきではないかというふうに考えます。こうした拡充についても強く求めておきます。
 次に、地域主権一括法で、公営住宅の整備基準及び収入基準の条例委任が決まりました。整備基準や入居者資格としての同居親族要件、入居収入基準については事業主体が条例で定めるということになっています。現在、この点についてどのような検討がなされているのか、また、条例制定はいつごろを予定しているのかお聞きします。

○笹沼経営改革担当部長 今回の公営住宅法の一部改正に伴う条例改正につきましては、経過措置により平成二十五年三月末までに行うこととなっており、今後、国から参酌基準等を規定した関係政省令が公布される予定でございます。都としてそれらの状況を勘案しながら検討を進めまして、平成二十五年三月末までの適切な時期に、東京都営住宅条例の所要の改正を行うこととしております。

○大島委員 いずれにしても、この委員会の中に条例が提案されるということで、それまでいろんな検討の経過があると思いますけれども、機会がありましたら教えていただきたいというふうに思っております。
 次に、住生活基本法に基づいて制定された住生活基本計画というのがあります。この中では、高齢者や障害者、子どもを育成する家庭など、住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保のために、公営住宅の適切な供給と民間賃貸住宅への円滑な入居を促進する居住支援協議会への支援強化がうたわれています。二〇〇七年七月に施行された住宅セーフティーネット法第十条に規定され、既に愛知とか神奈川で実施されておりますこの居住支援協議会、これを都としても設置していく考えはないか、お伺いいたします。

○香山住宅政策担当部長 東京都では、ご指摘の住宅セーフティーネット法施行前から、高齢者の入居を拒まない民間住宅の登録や情報提供、宅地建物取引業者を対象とした講習会の実施やリーフレットの作成、配布など、幅広い情報提供や啓発活動を実施しております。
 今後とも区市町村や不動産業関連団体と連携し、住宅確保要配慮者を初めとして、都民の居住安定確保に向け、重層的な住宅セーフティーネットの構築に取り組んでまいります。現時点では、都において居住支援協議会を設置する予定はございません。

○大島委員 私もこの住宅セーフティーネット法に基づいて、こうしたある意味住宅弱者といわれるような方たちの居住の安定のためにどうしたらいいのかということで、実は都内の有力な低所得者の居住支援団体に聞き取りに行ったんですね。まず都に対しては、実態や要望を出し合って共有し、協働で取り組む場の設定を強く求めていました。そのためにも、居住支援協議会は有効な一手段だと話していました。多様なNPOと不動産関係の団体、業界、東京都が互いの課題や相違点を共有することも大切です。ぜひ設置を検討していっていただきたいと思います。
 次に、十月四日の朝日新聞で、貧困ビジネス、自治体は監視を強めよという署名論文が掲載されました。そこには、首都圏を中心に無料低額宿泊所がふえ、劣悪な宿泊所に生活困窮者を一時的に滞在させる施設が貧困ビジネスの温床になっている、自治体は法の趣旨に沿って監視を強めるべきだという内容でした。
 こうした貧困ビジネスを一掃するためにも、自力で適切な住宅を確保することが困難な都民に、安定して住宅を供給することができるようにするためにも、都営住宅の新規建設の再開、そして民間住宅の借り上げ制度や家賃補助の導入を行う必要があると思いますが、都の見解を伺います。

○香山住宅政策担当部長 都内におきましては、既に住宅数が六百八十万戸を数えてございます。これは、総世帯数六百万戸に対しまして一割以上上回っているものでございます。さらに都においては、近い将来から人口の減少局面が見込まれております。これらのことを踏まえまして、都営住宅につきましては新規の供給は行わず、現在のストックを有効に活用しながら、公平かつ的確に供給していくこととしてございます。
 また、家賃補助でございますが、生活保護との関係、財政負担のあり方など、多くの課題があることから、都として実施することは考えてございません。

○大島委員 次に、地震に強いまちづくり、それから燃えないまち、壊れないまちの形成についてお聞きします。
 木造密集地域の実効性ある整備促進策を検討するとして、補正予算もつけられておりますが、東京都は木造住宅の耐震改修が進まない理由を、耐震化に取り組むか否かは最終的には所有者の意思にゆだねられていると、建物所有者の自己責任に転嫁して都の責任を回避しているのではないでしょうか。木密地域不燃化十年プロジェクトでも、住民への意識啓発と自助、共助の重要性を強調しています。しかし、幾ら住民が震災の怖さを理解しても、耐震診断や改修に多額の費用がかかり、それを負担できなければ耐震化や不燃化は進まないのではないでしょうか。こうした住民への対応はどのように考えているのか、お伺いします。

○小野耐震化推進担当部長 木造住宅の耐震化や不燃化を促進するためには、所有者みずからがその必要性を認識し、主体的に取り組むことが不可欠でございます。
 一方、都では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるなど、公共性のある場合に、区と連携して耐震化助成を行っております。不燃化につきましても、延焼を防止するという公共性の観点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建てかえや、老朽住宅の共同建てかえ等に対し、区と連携して助成を行っております。
 また、耐震化につきましては、安価で信頼できる木造住宅の耐震改修工法、装置の事例紹介や、木造住宅耐震診断事務所登録制度の整備など、所有者が耐震化に取り組みやすい環境づくりも行っております。今後ともこうした施策を着実に実施し、耐震化や不燃化を促進してまいります。

○大島委員 これからも、ぜひこうした助成制度などを含めまして、対象の拡大、そして施策の拡充のために努力をしていただきたいというふうに思います。
 きのうの朝日新聞で、大規模災害で必要になる仮設住宅の建設用地を市区町村がどれだけ確保できているかという調査結果が出ていました。東京では、最悪の想定での全壊、焼失数が四十七万一千五百八十六戸に達するにもかかわらず、仮設住宅の用地確保は現状では七万一千五百戸と出ていました。このままでは四十万戸分も不足するということになります。
 私たち日本共産党都議団で視察いたしました静岡県では、県の担当者は、倒壊してしまってから仮設住宅の建設などを行うよりも、倒壊しない家をつくることの方が率直にいってずっと財政負担が小さくて済むということも話していました。行政として都民の税金を大切に使うという立場からも、このような先を見通した対策が必要だと考えます。
 都の木造住宅の耐震化助成は、木造住宅密集地域のうち危険度の高い整備地域を対象にしておりますが、国が定める東京都の重点密集市街地も整備地域に位置づけて、耐震化助成の対象にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○藤塚民間開発担当部長 国の重点密集市街地は、平成十三年の都市再生プロジェクト第三次決定において、特に大火の可能性が高い危険な市街地として位置づけられたものでございますが、平成八年時点の不燃領域率などをもとに選定されており、現時点で整備地域に組み込むことは適当ではないと考えております。

○大島委員 今のお答えの中で、国が定めた重点密集市街地というのが、平成八年のときの不燃領域率などが選定されたときの理由だということなんですが、その後、国の方もこれを別に改定しているわけではなくて、引き続き重要な重点密集市街地だということで位置づけを変えているわけではないんですね。そういう点では、ほとんど重なっている部分は多いんですけれども、重なっていない部分があるので、そういったところについては重点地域の中にぜひ入れていっていただきたいというふうに思います。
 次に、マンションの耐震化促進についてお伺いします。
 これについては、マンションの実態把握と学識経験者などの専門家会議を設置して、新たな実効性ある方策を検討する費用として補正予算がつけられています。この予算を使っての現在までの進捗状況についてお伺いいたします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 先ほども答弁いたしましたが、東京都では、建築や法律、マンション問題に精通している学識経験者等から成る専門家会議を、七月に設置いたしました。これまでに四回ご議論いただき、耐震性が低い分譲マンションの耐震改修や建てかえを行う場合の合意要件の緩和など、法制度のあり方を検討してまいりました。

○大島委員 今回マンションの耐震化問題については、これ以上質問はいたしませんけれども、今資料でも提供していただきましたように、民間マンションの建設というのが一時期少し下がったんですけれど、今また上がってきているということで、この耐震化の問題とあわせて、非常に重要な部分を占めるマンション対策というのも、これからの重要課題であるというふうに考えています。
 次に、同じ補正予算でつけられておりました超高層建築物等に対する長周期地震動対策について、現在までの進捗状況についてお伺いいたします。

○砂川市街地建築部長 超高層建築物は、建築基準法に基づき、その構造方法について国土交通大臣の認定を受けることが義務づけられており、国が構造上の安全性を確かめることとなっております。
 昨年十二月、国は、超高層建築物等における長周期地震動への対策試案を示しましたが、都は、国に対して、本年二月及び七月に対策を取りまとめるよう要望したところでございます。
 都としては、今後示される国の対策に的確に対応していくため、都内における超高層建築物等の構造などにつきまして、実態を調査しているところでございます。

○大島委員 同様に、今回の補正予算でやはりつけられておりました発災時における都市機能の維持のため、建築物における液状化対策について、現在までの主な検討の内容及び到達状況についてお聞きします。

○砂川市街地建築部長 都は、建物所有者や設計者が適切に液状化対策を行うことができるよう、本年七月、地盤工学の専門家などから成る建築物液状化対策検討委員会を設置いたしました。これまで検討委員会を二回開催し、液状化による建物被害などの状況について報告するとともに、液状化が生じた地盤の状況を把握するための具体的な地盤調査の方法や、都、区市などが蓄積している地盤調査データを活用した情報提供について検討を行っております。

○大島委員 今後の課題の中に入るのでしょうけれども、この地盤調査のデータについての公表というか開示というのは、非常に大事なことになってくるかなというふうに思っています。
 同様なことで、実は東京都が二〇〇八年三月に出しました、減災目標の達成に向けてという、東京都震災対策事業計画、この中に軟弱地盤対策ということで、建築物の設計等に関し、特に液状化のおそれのある地域で、地盤の状況等に応じて安全策を講ずるよう、建築確認申請ごとに審査を行い、指導強化を図っているとしています。
 この地盤の状況等に応じた安全策を講じるためにどのような指導をしているのか、お伺いいたします。

○砂川市街地建築部長 昭和五十三年の宮城県沖地震や平成七年の阪神・淡路大震災によりまして、多くの液状化被害が発生したことから、建築基準法では、構造計算が必要な建築物につきまして、地盤の液状化に対するくい基礎や直接基礎の規定が順次整備されてきました。
 この規定に基づきまして、地震時に液状化するおそれのある場合には、液状化による地盤の変形などに対しまして、建築物に有害な損傷や変形、沈下が生じないよう適切に指導を行っているところでございます。

○大島委員 この建築確認申請についてお聞きしましたところ、民間の確認申請を受け付けているところで、大体八割ぐらいがそちらの方でやられていて、東京都に来るのがそのうち二割ぐらいだという話も聞いたんですね。ですから、この確認申請ごとに審査を行うというのが、東京都としてはなかなかできにくいのではないかなというふうに思っています。
 いずれにしましても、地盤の状況が、液状化も軟弱地盤も同じなんですけれども、かなりこれからの建物倒壊などに向けては注意していかなければいけない、指導していかなければならない問題だというふうに認識しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、同様なんですけれども、今回の東日本大震災に関連して、都内での窓ガラスとか外壁、タイル等で落下等の被害状況がどの程度出たのか、お伺いしたいと思います。また、改善が済んでいない建築物についてどのように対応していくのかお伺いいたします。

○砂川市街地建築部長 都は、東日本大震災発生後、区市町村に建築物の被害状況の報告を求めました。区市町村では住民からの通報などにより、現地の状況を確認するなどして被害状況の把握を行っております。
 これによりますと、窓ガラスの落下については約四十件、外壁タイルなどの落下につきましては、木造建築物の外壁モルタルの落下を含めまして、約五百九十件の被害が報告されております。
 都はこれまでも、窓ガラスや外壁タイルなどの改善が必要な建築物につきまして、特定行政庁である区市と連携して、所有者から状況報告を求め、現地を調査するなどして是正の指導を行ってきたところでございます。今回の震災を踏まえまして、区市に対して改めて、所有者に改善の指導を行うように求めておりまして、今後とも建築物の安全性の確保に取り組んでまいります。

○大島委員 地震のときの窓ガラスが割れて降ってくるんじゃないかという、そういうすごく怖い思いというのはどなたも持っているのではないかなというふうに思うんですね。
 同様に屋外広告物の安全管理について、設置申請及び設置後の維持管理に対してどのような指導を行っているのか、お伺いをいたします。

○永島景観・プロジェクト担当部長 屋外広告物につきましては、都が条例の制定等を行い、具体的な事務につきましては、事務処理特例により区市町村が行うなど、適切に役割を分担し取り組んでおります。
 東京都屋外広告物条例では、公衆に対する危害の防止を目的の一つとしており、広告主や設置者等に対し、補修その他必要な管理を行うよう管理義務を課しております。特に、高さが四メートルを超える広告板や広告塔については、落下や転倒することのないよう、設置時には、建築基準法に基づき工作物の確認審査を行う対象としております。
 その後の維持管理に関しましては、条例で屋外広告物管理者の設置を求め、また継続申請の際には自己点検報告書を提出させております。さらに、こうした点を含めた条例全般の遵守の徹底を図るため、屋外広告業の登録制度を導入するなど、広告物の安全管理への取り組みを進めております。

○大島委員 いろいろな点でお聞きしてきました。いずれにいたしましても、今回の東日本大震災の教訓の上に立って、安心・安全のまちづくりのための課題は大変多いと考えます。震災被害を未然に防ぐための予防対策重視の立場で、ぜひ取り組んでいかれることを強く要望し、質問を終わります。

○泉谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十五分開議

○泉谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○田中委員 私からは、緊急豪雨対策、またリニアの中央新幹線について、また屋外広告物条例に関して、最後には、東京都の優良マンションの登録表示制度についてお聞きしたいと思います。
 まず緊急豪雨対策についてお聞きします。
 「十年後の東京」二〇一一の実行プログラムの中で、平成二十三年度目標達成に向けて取り組むべき課題に、この緊急豪雨対策が挙げられております。
 内容としましては、地下調整池の他流域からの取水や大規模地下街等の対策の拡充、また公共施設を活用した一時貯留施設等の設置促進、命と暮らしを守る防災情報の提供、この四つを具体的な柱と挙げております。
 公共施設に関しては、学校、公園、都営住宅が対象とされております。
 我が都市整備委員会の所管においては、この都営住宅が具体的に対象となるかと思いますが、この都営住宅で雨水貯留施設の設置を予定しているのか、具体的に計画があればまず伺います。

○荒川建設推進担当部長 東京都では、建てかえを行っています都営住宅のうち、二団地で今年度中に雨水貯留施設を整備することとしてございます。二団地のうち北区の滝野川二丁目団地につきましては、既に雨水貯留施設の設置工事に着手しているところでございます。

○田中委員 公共施設に関しては都だけではなくて、区市町村の施設も多数あり、この雨水の貯留施設等の設置については、それらとの連携も必要かと思っておりますが、この区市町村との連携をどのように進めているのかを伺います。

○石川都市基盤部長 区市町村との連携についてでございますが、対策が急がれる呑川など七つの流域におきまして、公共施設を活用した雨水貯留浸透施設の設置を促進するため、昨年十二月に関係区市等と協議会を設立し、本年四月に、関係区市等が所管する施設の建てかえ計画や空きスペースの有無などの実態を調査いたしました。そして、六月には協議会において、関係区市等へ調査結果の情報提供や、武蔵野市内の小学校での先進的な貯留施設整備の事例を紹介するとともに、貯留浸透施設の設置促進を働きかけました。
 今後は、年度末を目途に貯留浸透施設に係る指針をまとめ、関係区市等へ示し、公共施設の建てかえ計画等に合わせた貯留浸透施設の設置について促進してまいります。

○田中委員 今回はこの二つの都営住宅という話でありますが、これから公共施設の大幅な修繕や建てかえが、順次、都でも予定されているかと思います。一時間に一〇〇ミリ超の豪雨が毎年起きるような昨今、下水道や河川整備だけでは処理できないのが現実であります。ぜひ、この公共施設の建てかえ計画にセットして、今いってもらいましたが、各地で対策がとられ、豪雨や浸水対策ができるところから順次進めていくことを強く要望させていただきたいと思います。
 次に、もう一つの柱でもありました地下街の計画についてお聞きしたいと思います。
 都内には新宿、渋谷、池袋など大規模な地下街が多数あり、一度豪雨による浸水が発生すると大変大きな被害を招くこととなります。そこで、豪雨対策の基本方針にある大規模地下街の避難計画の策定に向けて、取り組みが現在進んでいるとのことでありますが、その取り組み状況と今後の予定についてを伺います。

○石川都市基盤部長 都は、地下街管理者の自主的な取り組みを促すため、八重洲地下街をモデル地下街として、八重洲地下街株式会社や関係区等とともに協議会を設置し、検討を進め、浸水対策計画を本年三月に策定いたしました。この八重洲地下街の計画を参考に、今年度からの二カ年で、新宿歌舞伎町地下街など残る八つの大規模地下街の計画を策定することとしております。
 現在は、調査費の一部を補助するなどの支援策も用意して、各地下街に計画策定のための協議会設立に向けた調整を重ねております。
 今後とも大規模地下街の安全・安心を確保するため、関係区及び関係機関と連携し、地下街管理者に対し、積極的に浸水対策を働きかけてまいります。

○田中委員 実際に豪雨が起きますとあっという間に浸水してしまうのは、皆さんもご存じのとおりかと思います。そこに常に消防やまた私たち行政の担当者がいるわけでもなく、そこに助けに来るわけでもありません。やはりそこで働く人やそこを通る人、私たちもその一人でありますが、その人たちがその場でどう対応していくかということがかかっているかと思います。都内に住んでいる人はだれもが直面する課題でありますので、この地下街対策というのは、ぜひその対応を、早急に進めていくという今話もありましたが、安全対策の徹底とともに要望させていただきたいと思います。
 これに関しまして、八月二十六日、首都圏を豪雨が襲いました。その際には新幹線や空路が一時とまったことが記憶に新しいことかと思います。この雨で、羽田空港に続く羽田空港トンネルが冠水したことも大きく報道もされました。この空港内では、この浸水時にどのような被害状況があったのか、また、それに対して、このトンネルに続く道は国道ということでありますが、国としてはどのような対応をとり、また考えているのか伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 本年八月二十六日、前線に伴う大雨により、羽田空港内では一部の施設が冠水し、南側の羽田空港トンネルでは乗用車など八台の車両が水没する被害が発生しました。
 気象庁のデータによりますと、被災当時、羽田で一時間当たり八一・五ミリメートルの猛烈な雨量を記録しており、国からは、空港内で処理できなかった雨水がトンネル内に流出したことにより被害が生じたと聞いております。
 今回の被害を踏まえ、今後国は、突発的な豪雨に対して、トンネル内のより速やかな全面通行どめに向けた体制強化など、交通管理者などと対応を検討していると聞いております。都といたしましても、利用者の安全確保の観点から、国に対して必要な措置を早急に講ずるよう要請してまいります。

○田中委員 今回は命にかかわる被害がなかったということではありますが、トンネル内に取り残された人たちは、次々と水が入ってきてどんなに恐ろしい思いをしたかと思うと、大変にこの対策というのは急がれることかと思います。もちろん、今ありましたように国の管轄でありますから、国にも、私たちも要望し、私たちの国際空港であります羽田がそのような雨で通行どめになってしまったり、またそんな危険がないことを、取り除くことに全力を、一緒に取り組んでいただきたいと思っております。
 また、この空港に関していいますと、ことしは仙台空港、また現在も被害が続いておりますタイの空港と、水害によって空港機能が麻痺する場面を目の当たりにしてまいりました。海に面していますこの羽田空港としては、津波、液状化の対策が求められております。液状化に関しては、先ほど建物に関しての対策の質疑がされておりましたが、空港においての液状化対策についてはどのような課題が考えられて、これからの対策をとっていくのかを伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 空港は震災時においても、救助部隊等の人員や医療品等の物資を輸送する拠点として重要な役割を担ってございます。羽田空港では、本年三月に発生いたしました東北地方太平洋沖地震の際、滑走路や誘導路などに液状化の被害はございませんでしたが、震災時において空港機能の確保に万全を期すためには、既に液状化対策済みのB滑走路及びD滑走路に加え、残る滑走路などについても早急に対策を施す必要がございます。
 今後も、羽田空港における液状化対策を早期に完了させるよう、空港管理者である国に働きかけてまいります。

○田中委員 羽田空港に関連して質問をさせてもらいたいと思いますが、羽田空港は、このD滑走路や国際線ターミナルの供用が始まって、先月の二十一日で丸一年が過ぎたところであり、二十二日、二十三日には一周年記念のイベントも行われておりました。
 この国際線の旅客数というのは、チャーター便だけだった昨年十月以前に比べると、ことし八月までの十カ月で、前年度比約二・一倍、五百六十六万人を超える順調な実績を残しています。
 特に好調なのは、昼間の中国や韓国、台湾といった近距離のアジア路線であります。もう一方の深夜早朝便の欧米や長距離のアジア便も、これも堅調で高い利用率を維持しているという結果が出ております。
 そういう中ではありますが、羽田発着のモノレールや鉄道は午前一時から四時台までは動いておらず、バスも現在ではほとんどないのが実情であり、交通手段の確保が課題という指摘も一方では出ております。都はこの現状をどのように認識して、今後どのように取り組んでいくのかを伺いたいと思います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 本格的な国際空港となりました羽田空港では、深夜早朝時間帯に多くの国際定期便が就航したことから、利用者の増加に対応した公共交通手段を確保することが不可欠でございます。
 昨年十月の国際化に際し、鉄道事業者やバス事業者が、深夜早朝時間帯への運行拡大や新規路線を開設いたしましたが、本年三月以降は、震災などの影響により乗降客数が減少し、バスの一部路線で減便が生じてございます。
 深夜早朝時間帯の空港アクセスにつきましては、今後の国際線の就航拡大や公共交通利用の需要動向などを勘案しつつ、その充実に向け、国や事業者と連携して取り組んでまいります。

○田中委員 先ほど利用率が高いというお話をしましたが、震災以降、残念なことに欠便というのが続いておりまして、例えばアメリカンのニューヨーク便やデルタのデトロイト便というのは、いまだにまだ再開のめどが立っておりません。
 この欧米の便が午後の十時から午前六時と限られていることが、増便を阻害している要因の一つともいわれていますが、これは成田との話し合い、また国との関係もあるので、なかなか早急に解決する問題ではありませんが、この交通手段が確保されていないために、需要を見込みにくかったり、また、他の空港、国内ないしは国外も含めての競争に負けてしまうということのないように、羽田二十四時間化のメリットを十分に生かすためにも、深夜早朝の羽田のアクセスの確保というのは重要であると考えております。今後の羽田への深夜早朝便の就航状況、公共交通利用の需要動向をこれから順次見ていくということでありますが、これを踏まえて適切に対応することを要望させていただきたいと思います。
 続きまして、リニアの中央新幹線についてお聞きします。
 このリニア中央新幹線について、この十月の後半から品川や世田谷、港区、そして私の地元でもあります大田区において、JR東海試算による環境影響評価方法書の説明会が順次開催されておりました。先日終わったところであります。多くの人が参加をしたということでありまして、地元の関心の高さもこれによってうかがうことができました。
 そこでまず、その中央新幹線のこれまでの経緯について伺います。

○石川都市基盤部長 リニア中央新幹線は、東京から名古屋を経由し、大阪まで結ぶものでございますが、昭和四十八年に全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画に位置づけられております。そして、平成十九年にJR東海が自己資金で整備を行うことを表明した後、本年五月に交通政策審議会の答申を踏まえ、国土交通大臣がJR東海を営業主体及び建設主体に指名し、建設の指示を行っております。
 これを受け、委員のお話にありましたとおり、JR東海は、東京-名古屋間について平成三十九年の開業を目指し、六月から環境影響評価手続を開始し、九月に環境影響評価方法書を公表し、先月、説明会を開催したところでございます。

○田中委員 この東京-名古屋間については、平成三十九年に開業を目指すということでありまして、遠いようであり、もう少しのようであり、リニアモーターカーというと、もう上海とかで各委員の皆さんたちは乗られたことがあるかもしれませんが、小さいときに甲府の実験場に見に行ったのがもう目の前に来ているのかなということで、大変に、これが本当に名古屋と大阪まで結ばれれば、国土全体に対して大きなインパクトがあることかと想定されます。
 このリニア中央新幹線の整備なんですが、都としては、この整備についてどういう見解を持っているのかを伺いたいと思います。

○石川都市基盤部長 リニア中央新幹線は、品川駅から大阪まで最速で約六十七分で結ぶことが予定されておりまして、これにより、首都圏と名古屋圏、大阪圏が実質的に一つの都市圏となり、我が国の国際競争力の強化に大きく寄与すると考えられております。
 また、災害発生時において経済活動の停滞を防ぐために、三大都市圏を結ぶ大動脈を二重化することも重要でございます。
 こうした機能を早期に発揮するためには、大阪までの早期開業や、国内外の玄関口となる品川駅の改良が不可欠であり、これらを国やJR東海に求めているところでございます。

○田中委員 このリニア中央新幹線の品川ターミナルの駅というのは、先ほども質疑をさせてもらいました羽田空港に近く、東京のこれからの中心になることが期待されております。都としても、この品川駅周辺の基盤整備というのを、田町も含めてこれからしていくところかと思いますが、それと同時に、関係機関とともに精力的に取り組んでいただくことを期待しております。
 一方で、品川駅を起点にして、都内のどこを結局通るのか、また、それがどの程度の深さになるのか、これは地下を通るということではありますが、地上への影響はないか等々、地域の人々初め私も大変関心を持っております。
 そこで、都内においてはどのような施設や設備が予定されているのかを伺います。

○石川都市基盤部長 事業者であるJR東海が公表した環境影響評価方法書によりますと、始発駅につきましては、東海道新幹線品川駅付近の地下に設置予定となっておりまして、都内の計画区間はすべて地下構造でございます。なお、このうち大部分の区間は大深度の地下トンネルとなる予定でございます。
 また、五キロメートルから十キロメートルごとに一カ所設けられる予定の工事用立て坑を活用し、災害時の避難用通路や保守用通路及び換気施設が設置される予定でございます。
 今後、おおむね二年後に作成される予定の環境影響評価準備書の段階で詳細を明らかにするとしております。

○田中委員 詳細は二年後ということで、もう少し先のようではありますが、事業者であるJR東海が、地域の声を聞きながら手続を進めるということは必要かと思っております。
 先ほどの答弁にありましたが、東京は大深度部であるために権利関係等の調整が一切必要なく事業が進められるということでありますが、その中でも工事における騒音や振動、さらには直接的には、立て坑の問題というのがどこになるのかによっては、大変地元としては気になるところであります。
 この事業が周辺の環境に与える影響について、JR東海が環境影響評価手続を進めることでありますが、それに対して都はどのように取り組んでいくのかを伺います。

○石川都市基盤部長 JR東海によりますと、工事の実施や供用開始後の周辺環境への影響につきましては、本年九月に公表した環境影響評価方法書において選定した騒音、振動等の項目に基づき、今後、現況の環境を調査し、予測、評価を行い、二年後に公表する準備書において環境影響評価結果を示すとしております。
 都といたしましては、引き続き、国やJR東海に必要な情報の提供を求めていくとともに、手続の中で必要に応じて意見を述べてまいります。

○田中委員 その環境影響評価の手続というのはJR東海が主体であるということでありますが、都としてもぜひこれを注視していただきたく、必要に応じては、都としてもその環境、騒音、振動に対しては指導をしていただきたいと思いますし、なかなか情報がどうなっているのかというのがわからないというのが、一般の都民の声かと思いますので、情報収集また情報提供をお願いさせていただきたいと思います。
 引き続きまして、屋外広告物条例に関してお聞きします。
 東京都は、この景観計画に基づいて、屋外広告物の規制をこの三年をかけて行ってきて、成果が上がってきたということでありました。さらにことしの十月からは、まち中を大きなトラック等で走りながら宣伝する、いわゆる広告宣伝車に対しても規制をかけることが始まったと聞いております。まず、これがどのような規制か、詳細を伺います。

○永島景観・プロジェクト担当部長 広告宣伝車による広告の中には、昨今、公序良俗面に抵触するのではという指摘を受ける例や、過度に鮮やかな色や模様を用いたものが見受けられ、まち並みの良好な景観形成への支障となる事例が生じており、都民からの批判も招いております。
 このため、本年三月に東京都屋外広告物条例の施行規則を改正し、十月一日から広告宣伝車にも、いわゆるラッピングバスなどに適用している制度を導入いたしました。
 具体的には、事業者が広告宣伝車による広告の許可申請を行う前に、公益社団法人東京屋外広告協会によるデザイン審査を受けることとし、広告デザインの適正化を図ったものでございます。

○田中委員 どうしてもこの規制という名前でありましたので、私も当初は車の規制というイメージがあったんですが、今答弁していただいたように、デザインの適正化で景観形成を守っていくという趣旨であるということであります。この、規制といっていいのかわかりませんが、今回の規制についてはどのように周知を図っていったのか伺います。

○永島景観・プロジェクト担当部長 一般的には、制度改正について周知を図る際は、関係する業界団体を通じ周知の徹底を図っているところでございますが、広告宣伝車につきましては関係する業界団体がございません。そのため、制度改正についてできるだけ広く周知するために、プレス発表を行うとともに、都のホームページに制度の内容を公表いたしました。
 また、屋外広告業界全般に制度の改正について幅広く浸透させるため、東京屋外広告協会の協力を得て、広告主や施工者の団体等へ案内を送付するなど、さまざまな取り組みを通じ周知を図りました。
 さらに、改正前に、今回の広告宣伝車を対象とした新たな制度に関する説明会を開催いたしました。説明会には百名を超える参加があり、制度の改正の趣旨と内容について理解していただけたと考えております。

○田中委員 昨日も新宿をこの広告宣伝車がいないかどうか歩いて見て回りましたが、やはり多くの宣伝広告車が通っておりました。きのうはパイレーツ・オブ・カリビアンの宣伝の広告がありまして、その後ろに実物大の大きさの人形を立てて、それが回っていたようなのがあったんですが、それぐらいのが公序良俗に反するかどうかは別として、さまざまな車が、今、広告車として走っております。この制度が始まって一カ月ということでありますが、実績というのはどのように上がっているんでしょうか。

○永島景観・プロジェクト担当部長 デザイン審査を行う東京屋外広告協会によれば、本年十月一日に制度が始まってから、同協会に対し、一カ月間で十一件の審査申し込みがあったとのことでございます。申請されたもののうち一件についてはデザインの修正が必要でございましたが、その他はデザイン審査に適合したものでありました。規則改正に当たり趣旨が理解され、スムーズな制度移行が行われたものと考えております。

○田中委員 この制度は東京都独自の制度ということでありまして、他の自治体や、時にはマスコミの方でも取り上げられて注目を浴びていることだと思いますが、都独自の制度であるがゆえに、逆に他県から入ってきた広告宣伝車に対してはどういうふうに規制ができるのか、また、どこまで規制ができるのかがこれから問題になるかと思っております。幾ら東京で規制をしても、他県から来て都内を走られてしまったのでは、これでは本末転倒になってしまいますので、今現状としてはどうなっているのか、また今後課題をどう考えているのかをお聞きします。

○永島景観・プロジェクト担当部長 今回の規則改正の対象となるのは、都内に車両登録されている広告宣伝車のみであり、他県で車両登録され都内へ流入する広告宣伝車については対象外でございます。
 都といたしましては、他の自治体へ都の取り組みを積極的に紹介し、制度の内容を広く周知するとともに、自治体間の連携について協議を進めるなど、広告宣伝車の広告デザインの適正化に取り組んでまいります。

○田中委員 最後に、東京都の優良マンションの登録制度についてお聞きしたいと思います。
 このパンフレットで中古、新築の優良マンションの登録制度をこれまで行ってきているかと思いますが、この制度ですが、平成十九年の包括外部監査において、この制度自体について指摘されておりました。建築主が、特に新築については二社を中心とした利用となっておりまして、実績も百四十二棟と少ない。また、評価対象が限られているために購入者の判断材料としての有用性が十分とはいえない、存在意義が薄いので、事業のあり方を見直す必要があるという内容でありました。
 これを受けて、昨年の二十二年六月の改善措置の中で制度の整理、ないしは廃止も視野に入れて、あり方を検討した結果、この制度を改めて活用するといった報告がなされておりました。
 この間、十九年に施行されて二十二年まで、何年かをかけてこの制度が議論されてきたかと思うのですが、その議論の内容、またそれによってどういう……この制度が変わっていくのか、まず、お聞きします。

○高田民間住宅施策推進担当部長 本制度は、建物の構造と管理の両面から一定の水準を確保しているマンションを認定、登録し、広く都民へ情報提供するもので、このことにより、管理組合がマンションを適正に維持管理するよう誘導し、良質な住宅ストックの形成を図っていくとともに、都民が安心して住宅を購入できる市場を整備し、マンションの流通を促進していくことを目的とし、平成十五年に創設いたしました。
 お話しのとおり、平成十九年度、包括外部監査において、実績等が少なく事業のあり方を見直すべきとの指摘を受けたところでございます。そのため、改めて制度のあり方を検証した結果、一つ目には、都民が安心して住宅を購入できる制度として重要な役割を持っており、他に同様の制度がないこと、二つ目には、マンションのストックがさらに増大する中で、マンションの適正な管理の重要性がますます高くなっていること、三つ目には、管理組合の設置及び適切な運営を誘導していくことが求められていること、四つ目には、少しずつではございますが認定件数等も増加していることなどがあるため、見直しを行った上で存続することといたしました。

○田中委員 今後、この中古マンション等がふえる中、さらには今、耐震性や、多くのマンションに対する皆さんの注目が集まる中、このような行政からの、いわゆるお墨つきというような、安全な住宅情報を提供するということに対しては、私も大変有意義なことでありますし、これから多くの需要があるとは思っておりますが、しかしながらですね、今答弁の中でも、実績が少しずつ上がっているとはいいましたが、十九年の指摘以降、この数を出してもらいましたが、例えば二十年から二十二年に向けては、新築においては百九十二棟から二百一棟、二百一棟から二百七棟と九棟、六棟しかふえておりません。さらに中古認定におきましては、こちらの方が、本来ならばなかなか中古のマンションの耐震というのはわかりづらいわけで、購入するときにぜひ指針としたいといったことになるかと思いますが、二十年度末で八棟、二十一年度末で十一棟、二十二年度末で十三棟と、年間三棟、二棟しかこの認定がなされておりません。
 私たちは、今回の議論の中でも、マンションの耐震についての議論がなされ、それは既存のマンションに耐震を敷設していくということでありますが、これは実際あるマンションに対してどのような評価基準を設けまた情報提供していくかという意味では大変に有意義であるとは思います。しかし、今答弁をしてもらった内容ですと、もう十五年の設立当初から、これには同様の制度もなく、また、このような重要性は高まっていましたし、また管理組合の必要性というのもいわれてきて、さらに同じことをここでもう一度いっても、私はこの制度がせっかく、理念や必要性は恐らくだれもが認めることかとは思うんですが、有用性が発揮できるとはまだいい難いんじゃないかと思っております。これに対して、どのような対策をとって制度を立て直していくのかをお聞きしたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 東京都はこれまで、区市町村やマンション関係団体などの協力を得て、あらゆる機会を通じて制度の普及に努めてまいりましたが、お話の外部監査の指摘にありますように、当時、実績が伸び悩んでおりました。
 この制度の機能が十分発揮されるためには、より多くのマンションが登録されるとともに、購入者のニーズに合った登録情報が広く都民に提供されることが重要でございます。そのため、関係団体などからの意見も聞きながら、省エネ性能を追加するなどの評価項目の充実や、認定基準以上の水準をクリアした場合の等級表示の導入、マンション改良工事助成で書類審査の一部を省略するなど、制度の見直しを行ったところでございます。加えて、管理組合との窓口となる認定機関数の拡大を図りました。
 今後も引き続き、このような取り組みを強化し、都民に有用な制度となるよう努めていくところでございます。

○田中委員 この問題については、質問稿を準備するのに何度も課長、部長とも議論をさせてもらいまして、この理念や必要性は、先ほども申しましたが大変に意義あるものでありますが、恐らくこの手法に何か問題があるからこそ、ここまで伸び悩んでいるのだろうと。私たちがマンションを判断するときに、東京都がせっかくこのようにして優良であると、耐震性にもすぐれ、管理組合にも適合しというところを、お墨つきを与えるにもかかわらず、集合住宅が十三棟しか都内にないというならば、判断基準になり得るとは到底私は思えません。ですので、私は冒頭でも申し上げましたが、この制度が、何が問題なのかということを、ぜひもう一度考え直していただきたいと思います。
 例えば、この認定には中古マンションでいえば十万円の認定料がかかります。この十万円が高いのか安いのか、もしくは、制度には多くの書類が必要であります。その書類を出すのが大変なのか、何か問題が根本にありこの制度が進まないのかということの議論をまず局内の中でしないと、理念とまた必要性だけをいっているだけでは、私は前に進まないと思っております。
 今、多くの人たちが、この震災の中で恐らく自分たちのマンションもどうなんだろうと、これでお墨つきがもらえれば、そのマンションが大変優良だということもある意味アピールできますし、自分たちのマンションの管理組合もそれで発展していけるという中で、私は、もう一度考え方を見直す必要があると思っておりますが、先ほどの部長、またないしは何度も議論している中では、もうこれで進めていくということですが、本当にこの制度を今の段階で自信を持って、また、進めていく覚悟があるのか、もう一度お聞きしたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 先ほどの答弁と重なる部分も多くなりますが、東京都といたしましては、この制度の機能が十分発揮されるためには、まず、より多くのマンションが登録されること、次に、購入者のニーズに合った登録情報が広く都民に提供されることが重要と考えております。そこで、こうした問題意識を踏まえ、マンションの供給事業者やマンション管理会社、管理組合の方々の意見もお聞きしながら今回制度改正を行ったところであり、セミナー等さまざまな機会をとらえ、本制度の普及を図ってまいります。
 増大するマンションの適正な維持管理の確保や良質な住宅ストックの形成、都民が安心して住宅を購入できる市場の整備により、マンションの流通を促進していくためには、東京都といたしましては、都民ニーズや社会情勢の変化にも適切に対応しながら、本制度を有効に活用してまいりたいと思います。

○田中委員 最後に決意を述べていただきましたが、本当にいっていることは、恐らくだれが聞いても反対をする人はいない内容だと思うんですが、今推進されていないというのが私の場合余りに残念で、ぜひ、この制度を東京都が独自でやっているわけですから、進めてほしいという思いでこの質疑をさせていただきました。
 私たちが中古マンションを買うときに、また不動産屋に立ち寄ったら、東京都のマークがあるのかはわかりませんが、東京都優良マンションだよという、例えばこうぽつぽつとついているかついていないかでそれが判断できるような、また、先ほど部長からいってもらったように、これからマンションがどんどんと増大する中で、マンションの流通がこれによって推進されるように、私たちも今後の推移を見守らせていただきながらいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 これで終わります。

○石森委員 私からは大きく二つの項目についてお聞きしたいと思いますけれども、まず物流拠点整備についてお尋ねいたします。
 都は平成十八年に総合物流ビジョンを策定し、物流の効率化に向けてさまざまな取り組みを展開してきておりまして、私自身も関心を持って、策定以降何度となく質問をしてまいりました。東アジア諸国が経済成長を遂げ、我が国の経済的地位の低下が懸念されている昨今、産業活動や都民生活を支える物流の効率化を進めることは急務であります。いうまでもなく、東京を含めた首都圏については、人口が集中する大消費地でありまして、東京港や昨年国際化された羽田空港といった物流の重要拠点を擁するエリアであります。首都圏で物流の効率化を進め、国際競争力の強化や暮らしと環境の向上を実現することは、我が国の競争力を高めていく上で極めて重要であろうと思います。
 首都圏の中でも、私どもの多摩地域は、さまざまな製造拠点が立地するほか、区部に次ぐ大消費地であるなど、もともとポテンシャルが高い上、圏央道の整備によって都県境を越えたアクセスが飛躍的に向上するなど、物流面に果たす役割が一段と高まっているところであります。
 そのような中、都が支援を続けた吉祥寺地区では、本年三月から共同集配送事業が開始するなど、ビジョンに基づく各施策の成果が着実に上がっていることは承知しておりますが、多摩地域の高いポテンシャルを生かす西南部物流拠点の整備についても加速させるべきであります。
 そこでまず、八王子市及び青梅市で計画している西南部物流拠点の現状についてお聞かせいただきたいと思います。

○石川都市基盤部長 圏央道の整備が進む中で、多摩地域における物流拠点の整備は、東京及び首都圏の物流を支える上で重要でございます。
 都は、平成二十年五月に東京都西南部の流通業務施設に関する整備方針を公表して、八王子市川口地区と青梅市今井地区を候補地といたしました。
 現在、都が八王子市及び青梅市と設置しました西南部物流拠点整備検討協議会の中で、物流拠点の整備手法などについて検討を行っております。また、両地区の地元では、物流拠点の基盤を整備するため、土地区画整理事業の組合設立準備会を結成するなど、拠点整備に向けた準備を進めております。

○石森委員 八王子市、青梅市両市とも基盤の整備に向けて、土地区画整理事業の組合設立準備会が結成されたということでありますし、徐々にではあるものの、確実に取り組みが進捗しているように思います。
 首都圏を支える物流拠点として、都はビジョンの中で、多摩地域での物流機能を強化するとしておりますが、地元市に対する都の支援は欠かせないところであります。八王子市及び青梅市は、川口地区と今井地区でそれぞれ西南部物流拠点の整備に向けた準備を進めておりますが、都としては今後どのようにかかわっていくのか、お尋ねいたします。

○石川都市基盤部長 八王子市及び青梅市の両地区におきまして、物流拠点を整備するためには、進出する企業の誘致や市街化区域への編入などが必要でございます。
 このことから、両市では、基盤整備や企業誘致などについて民間活力の活用を検討するとともに、地権者の意向を十分に踏まえた上で、土地利用計画や農業政策等との調整を図りつつ、物流拠点の整備計画の策定作業を進めております。
 都は引き続き、関係部局との連携を図りながら、これらの市の取り組みを支援するとともに、市街化区域への編入等にかかわる関係機関との調整や、土地区画整理組合の設立に向けた適切な指導を行うなど、多摩地域の物流機能の強化に取り組んでまいります。

○石森委員 私の地元八王子市では、ことしの六月に実際の事業計画策定の協議を進める事業協力者が決定し、今後計画策定やそれに伴う都市計画手続等に向けた事前協議に入るものと思いますが、整備を進めるに当たっては、相当の年月が必要になろうかと思います。あわせて、圏央道西インターのフル化や、市で計画されております北西部幹線道路の整備など、進めなければならない周辺の基盤整備がありまして、都の積極的な支援が期待されておりますから、ぜひご答弁にあったように、関係部局ともしっかりと連携しながら、早期実現に向けて、ぜひ、引き続き取り組んでいただきますようお願いしたいと思います。
 次に、多摩ニュータウンについて何点か質問をいたします。
 高度成長期に東京が大きく発展する中で、東京への人口や産業が集中し、住宅需要が逼迫してきたといった状況の中、質の高い住宅を大量かつ計画的に供給することが国家的な課題となりまして、これにこたえるために昭和四十一年に計画されたのが多摩ニュータウン事業であります。
 多摩ニュータウンは、私の地元八王子を含め、四つの市にまたがる広大な区域を開発し、そこに新たな鉄道や高規格の道路などの都市基盤を整備して、住宅、商業、業務施設、さらには首都大学を初めとする教育施設など多様な機能を集積させ、現在では多摩丘陵の緑と調和した自立性の高い都市に変貌しております。このように計画的なまちづくりを進めてきた東京都としての努力については、高く評価しているところでありまして、これまで我が党としても、それを支えてまいりました。
 しかしながら、身近なところに目を転じてみますと、八王子市においては、依然として未処分の宅地が散見される状況にありますが、こうした中で、今年度末には多摩ニュータウン事業会計が終了されるという大きな節目を迎えます。
 そこでまず、宅地の処分についてでありますが、これまで都はどのぐらいの宅地を販売し、事業会計が終了される時点で処分されずに残される宅地の面積はどの程度になるのか、また、残された宅地は今後どのように取り扱っていくのかについてお尋ねいたします。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 都はこれまで、宅地販売を通して地域のまちづくりに貢献する観点から、地元市などと綿密な調整を行いながら宅地販売に取り組んでまいりました。例えば、住宅地の販売に当たっては、通学区域の小中学校の受け入れ体制に応じて、その限度を超えないように地元市と事前協議を行い、住宅の販売戸数等について調整しております。
 お尋ねの宅地の面積についてでございますが、これまでに造成した約四百九十ヘクタールのうち、会計が終了する時点におきましては、九割ほどに相当する約四百四十ヘクタールの宅地を販売いたしまして、約五十ヘクタールが残る見込みでございます。
 この残された宅地の取り扱いにつきましては、会計終了後におきましてもこれまでと同様、地元市等と十分調整を行い、まちづくりに貢献することができるよう、幅広く活用してまいります。

○石森委員 特別会計が終了した後でも、残された宅地についてはこれまで同様、地元市などの意見を聞きながら販売や活用を進めていくと、そんなご答弁をいただきました。ぜひ今後とも地元市と十分調整を行い、まちづくりに貢献していただきますよう改めてお願いをしておきたいと思います。
 さて、間もなく事業会計が終了されるという節目を迎えるに当たりまして、五十年の長きにわたり事業を行ってきた多摩ニュータウン事業についての総括をしておきたいと思いますが、これまでの多摩ニュータウンのまちづくりについての成果と課題は何なのかお尋ねをいたします。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウンは、東京の急速な人口増加による住宅難の解消や、多摩の無秩序な乱開発の防止などに大きな役割を果たしてまいりました。さらに、単なるベッドタウンではない高度な都市基盤に支えられた職と住のバランスのとれた複合型の都市として整備され、現在では人口約二十一万人、従業者数約八万人の、活力と魅力ある多摩の拠点へと成長し、東京の発展を支えてまいりました。
 一方、計画策定から半世紀近くを経た今日、人口減少時代の到来や少子高齢化の進行、ライフスタイルの多様化など、社会経済情勢が大きく変化する中で、多摩ニュータウンは一つの転換期を迎えております。こうした状況の中、まちづくりの課題といたしましては、多摩センター地区などへ業務・商業、文化など諸機能を誘導することによる一層のにぎわいの創出や、市域を越えた道路ネットワークの整備による都市間連携の強化などのこれまでの課題に加えまして、昭和四十年代に入居が開始された初期入居地区の再生を促進するなどの課題があると認識しております。

○石森委員 今ご答弁にあったように、多機能複合都市としての諸機能を誘導するなど、都としては、今後とも継続して取り組むべき課題があるということは理解できました。中でも、初期入居地区の再生という課題は、長い時間をかけて住宅を供給してきた多摩ニュータウンの初期入居地区で先鋭的に顕在化し、今後順次拡大していく問題でありますから、早急に対応する必要があろうと思います。
 また、初期入居の問題は、この多摩ニュータウンに限らず、都内の大規模団地で多かれ少なかれ、同様な問題を抱えていると思われます。したがいまして、初期入居地区の再生を果たすことは、多摩ニュータウンだけではなく、東京の他の大規模団地の問題解決につながる試金石であり、極めて重要な取り組みだと考えております。
 そこで、初期入居地区の再生に向けた都の取り組みについてお伺いいたします。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 昭和四十年代に入居が開始された諏訪、永山地区などの初期入居地区は、丘陵地を活用しバランスよく配置された公園や、安全に通行できる歩行者道路ネットワークなどの都市基盤が計画的に整備され、都内の他の地域には見られない良好な住環境を有しております。
 都は、こうした魅力を生かしながら、少子高齢化の進行や建物の老朽化など、初期入居地区を取り巻く情勢の変化を踏まえ、だれもが暮らしやすいまちをつくるため、本年六月に、学識経験者や地元市などを構成員とする多摩ニュータウン大規模住宅団地問題検討委員会を設置し、検討を進めているところでございます。年度内には、この委員会からの提言をもとに、地元市や都市再生機構など、それぞれの主体が取り組むべき方向性を示すガイドラインを取りまとめ、初期入居地区の再生を促進してまいります。

○石森委員 初期入居地区の再生は、多摩ニュータウン全体に共通する課題でありまして、都としても、多摩ニュータウンで得たノウハウを都内の他の大規模団地の再生に活用できるというメリットもあると考えております。そのようなことから、今答弁にあったように、都は、初期入居地区の再生に対し、年度末に向けてガイドラインをしっかりと取りまとめ、それをもとに、再生に向けたリーダーシップを今まで以上に発揮していただけるよう要望しておきたいと思います。
 まちづくりの主体は地域経営を担う地元市といわれて久しいところでありますが、初期入居地区の再生のように、多摩ニュータウン全体に共通する課題を地元市だけで解決することは極めて困難でありますから、地元市としても強く都のかかわりを求めているところであります。
 最後に改めて、都は、多摩ニュータウンのまちづくりに今後どのような役割を果たしていくおつもりか、所見をお伺いいたします。

○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 都は、多摩ニュータウンにおいて、昭和四十一年の事業開始以降、住宅のほか、業務・商業、文化施設の充実など、多様な機能を備えた先導的なまちづくりを計画的に推進してまいりました。
 その結果、多摩ニュータウンは、都市活動を支える鉄道や道路、人々に潤いと安らぎを与える緑あふれる都市環境、新たな価値を創出する教育、研究施設など、さらなる発展が期待できる豊かな資源に恵まれたまちになっております。
 都は、こうした経験や資源を生かしながら、東京の都市づくりビジョンや、今後策定する初期入居地区再生ガイドラインなどを踏まえ、地域経営の主体である地元市などとの適切な役割分担のもと、広域自治体として、時代の要請に適合した多摩ニュータウンのまちづくりに引き続き取り組んでまいります。

○石森委員 今ご答弁いただきましたけれども、多摩ニュータウンのまちづくりに向け、都が広域自治体としての役割をこれまで以上に発揮していただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○谷村委員 では初めに、横田基地の軍民共用化について質問いたします。
 申し上げるまでもなく、横田基地の軍民共用化は、既存施設の有効活用により首都圏の空港機能を補完し、多摩の振興はもとより、首都圏西部全体の発展に寄与するものであります。
 横田基地の軍民共用化は、再編実施のための日米のロードマップで位置づけられたものの、日米政府間での合意にはいまだ至っていない状況であります。これは普天間基地の移転問題など、昨今の日米関係の状況は、横田基地の軍民共用化に関する日米協議に対しマイナスの影響を与えていると多くの都民は受けとめております。
 とりわけ、普天間基地の移設問題については、オバマ大統領と二人だけの会談でトラストミーといった後、すぐさまできれば国外、最低でも県外と臆面もなく発言をした鳩山首相、去年の六月には、腹案があるから出すといっていたのに、出したのは結局辞表だったわけであります。そして、平成の開国といって、来年末までにTPPに対する一定の結論を出すといいながら、次はことしの六月までといって引き延ばし、ついには辞職になった菅首相。こうした日本の政府をアメリカならずとも信じる国は、私は一国たりともないと思うわけであります。
 先月、横田基地の最高司令官に当たりますオットー・フェザー大佐にお会いしました。ことしの六月にも東京多摩日米協会でお会いしたのに続き、先月は武蔵村山でお会いいたしました。アメリカ軍のなかんずく横田基地の、東日本大震災へのご尽力、ご活躍に、お会いするたびに御礼を申し上げさせていただきました。そのたびに、それは当然のことですと笑顔で司令官も答えてくださるわけでありますけれども、この米国の日本に対する友情というのは、両国の長い歴史や経緯もありますけれども、今やアメリカのかなりの忍耐によって支えられているのが実情ではないかと危惧する声もあるわけであります。
 こうした日本政府の大失態の中で、横田基地の軍民共用化など本来は望むべくもありませんが、首都圏の航空政策の観点から、改めて、都の横田基地の軍民共用化に向けた取り組み状況についてお伺いいたします。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 首都圏におきましては、近い将来、航空需要が空港容量を大きく上回る見込みのため、この対策といたしまして、平時は余裕のある横田基地を有効活用し、軍民共用化を図っていくことが最も合理的でございます。
 ご指摘のとおり、横田基地の軍民共用化の協議はこれまで合意に至っておらず、継続協議の扱いになってございますが、都といたしましては、国への提案要求に加え、関東地方知事会や九都県市首脳会議などとも連携し、横田基地の軍民共用化の協議促進を強く働きかけているところでございます。
 また、都におきましては、昨年十一月に、諸外国と比べて対応がおくれていますビジネス航空の分野につきまして、首都圏におけるビジネス航空の受入れ体制強化に向けた取組方針を取りまとめ、横田基地の活用を一つの柱として位置づけました。
 今後とも、横田基地の軍民共用化につきまして、こうした視点からも取り組んでまいります。

○谷村委員 そこで、このビジネス航空について、関連してお尋ねしたいと思いますけれども、アジアを初めとする世界規模での都市間競争が激しさを増す中で、これに打ち勝ち東京をアジアのヘッドクオーターへと進化させていくためには、国際競争力のさらなる向上が不可欠であります。
 都は過日、国に対して、海外企業を積極的に誘致するための大胆な規制緩和、税制優遇を可能にする国際戦略総合特区の申請をしたとのことであります。また、今答弁にございましたけれども、この首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制強化に向けた取り組み方針に沿って、ビジネス航空の受け入れを進めていくことも、我が国経済の活性化を図る上で大きな力となるものであると思います。
 そこで、首都圏にビジネス航空を受け入れることの意義について、改めて都の考えをお伺いいたします。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 ビジネス航空につきましては、欧州はもとより、近年は中東やアジアにおきましても急速に利用が拡大してございます。我が国におきましても、首都圏に海外から乗り入れの要望が強いものの、羽田、成田両空港での受け入れ体制が立ちおくれており、乗り入れは極めて限定的なものとなってございます。このままの状況が続けば、貴重なビジネスチャンスを他国に奪われることになり、東京ひいては我が国の国際的なビジネス活動における地位が大きく低下しかねない状況でございます。
 こうした状況を踏まえ、首都圏においてビジネス航空の受け入れを促進することは、東京が国際的な企業活動におけるアジアの活動拠点や新たな投資先として選択されやすい環境をつくり、航空政策の分野から、我が国の国際競争力の強化、さらには日本経済の再生につながるものと考えてございます。

○谷村委員 国際的なビジネスにおきまして、この日本だけがビジネス航空を利用しづらい状況にあるというのは大変に大きな問題であります。その結果、日本が企業の本社機能や取引先などの活用拠点として選考されずに素通りされる、いわゆるジャパンパッシングを誘発しているともいわれております。
 地域経済の発展にも寄与するこのビジネス航空の利用拡大は、今後の日本にとって早急に対応しなければならない課題であるわけであります。首都圏におけるビジネス航空の受け入れ促進に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 都は、昨年十一月、ビジネス航空にかかわります方針を公表し、国土交通省を初め、出入国など所管省庁や経済団体などに対して協力を求めてまいりました。
 これを受けまして、国土交通省は、昨年十二月に委員会を設置し、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ推進に向けた検討を始め、本年六月、中間報告を取りまとめてございます。
 中間報告で国は、成田空港における具体的な受け入れ策を取りまとめるとともに、羽田空港やその他の首都圏空港についても、実情に応じてビジネス航空の利用促進を検討する必要があるとしてございます。
 今後、都は、国が委員会におきまして、羽田空港の受け入れ策や横田基地の活用に関する検討を進めるよう働きかけるなど、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制の強化に向けまして取り組んでまいります。

○谷村委員 ぜひ、さらなる推進をよろしくお願いいたします。
 次に、多摩都市モノレールについて質問をいたします。
 多摩都市モノレールは、一日平均乗降客数が、平成二十二年度の平均で前年比一・七%増の十二万人を超え、地域住民の利便性の向上はもとより、沿線地域の活性化にも貢献するなど、多摩地域の発展に不可欠な都市基盤となっております。
 三月十一日に発生した東日本大震災においては、未曾有の帰宅困難者が瞬時に発生したわけですけれども、首都圏に深刻な課題を惹起したことは記憶に新しいところであります。しかしあのとき、多摩都市モノレールは都内のどこよりも早く復旧し、都心から多摩地域につながる他の民鉄の復旧状況を見きわめながら終夜運転に踏み切り、多摩の南北交通機関として重要な使命を果たしたことは余り知られておりません。
 私はこれまで予算特別委員会を初め、本会議での代表質問や一般質問などさまざまな機会を通じて、再三にわたり、この多摩都市モノレールの延伸について意見、要望をしてまいりましたので、今回のこの多摩都市モノレール株式会社の対応は、地元選出の議員として大変に誇りに感じておるわけでございます。
 我が党はさきの第二回定例会の一般質問におきまして、都内居住被災者に対して、都営交通が高齢者の運賃減免など、特段の優遇措置をとるよう強く要望いたしたところであります。また、その直後七月四日には、私は沿線市の市議会議員の皆さんとともに多摩都市モノレール本社を訪問し、多摩地区においても同様の措置をとるよう強く申し入れをさせていただきました。これに対し多摩都市モノレール株式会社からは、一日乗車券の配布など積極的な対応をしていただいたところであります。
 少し前の話になりますけれども、多摩都市モノレール株式会社の経営は、開業当初の重い債務負担により危機的な状況が続いておりました。私は、平成十九年の第二回定例会で、都議会公明党の代表質問に立ち、この点について取り上げ、都が財政支援をするべきであると強く主張させていただいたところであります。当時四百億円の新銀行への追加出資が大きな争点になる傍らで、平成二十年度には東京都から二百九十九億円、約三百億円の財政支援などの抜本策が実行され、経営の再建が図られたわけであります。
 そこで、多摩都市モノレール株式会社の現在の経営状況についてお伺いいたします。

○石川都市基盤部長 多摩都市モノレールは、開業以来、多摩地域を南北に結び、地域内相互の連携を強化する重要な公共交通機関としての役割を果たしております。一方、委員お話しのように、運営主体の多摩都市モノレール株式会社は、初期投資に伴う借入金の返済が経営を圧迫し、債務超過に陥ったことから、平成二十年に、沿線自治体や都による財政支援などを受け、経営の再建を図ったところでございます。
 その結果、平成二十年度決算において累積欠損金を解消するとともに、黒字を一億円計上いたしました。また、社員総出による乗車券の駅頭販売や地元の観光資源を生かした利用促進など、会社みずからがこれまで努力を重ねてきたこともございまして、平成二十一年度は二億円、平成二十二年度は八億円と三期連続の黒字を達成しております。

○谷村委員 十年前、私が都議会の一期生のころから、多摩都市モノレール株式会社はこれ以上できないというくらいの徹底した経費削減努力をしてこられました。駅員を常駐させずに複数駅巡回対応をしたり、運転手は私鉄退職者を採用したり、当時は細渕社長でございましたけれども、その後も代々の社長を先頭に、それはそれは大変なご苦労をしてこられました。私も生き証人の一人であります。
 経営が安定軌道に乗りつつある現在、地元としては延伸に対する期待が高くなるのは、ある意味で当然のことであります。このモノレールの延伸につきましては、申し上げるまでもなく、国の運輸政策審議会答申第十八号におきまして、平成二十七年までに、あと四年後ですけれども、上北台から箱根ヶ崎延伸について事業化することが適当とされております。
 現在、沿線では土地区画整理事業など、さまざまなまちづくりが進められており、こうした周辺開発が需要の掘り起こしや開業後の機能集積に備えた基盤づくりにもなるわけであります。また、実際の軌道空間となる新青梅街道の拡幅を、道幅を三十メートルに拡幅する事業も、測量が実施されるなど着々と前進しております。
 そこで、こうした沿線における土地区画整理事業の現況に対する認識についてお伺いいたします。

○石川都市基盤部長 箱根ヶ崎延伸区間におきましては、武蔵村山市が、武蔵村山都市核地区において、平成三十一年度末の完了に向けて、約三十・九ヘクタールの土地区画整理事業を施行しておりまして、現在、進捗率は約一五%でございます。
 また、瑞穂町が、箱根ケ崎駅西地区におきまして、平成三十四年度末の完了に向け、約二十七・四ヘクタールの土地区画整理事業を施行しており、現在の進捗率は約六〇%でございます。
 さらに、瑞穂町の殿ケ谷地区におきましては、平成三十年度末の完了に向け約三十八・八ヘクタールの土地区画整理事業が、組合施行により施行中でございまして、一部新青梅街道沿いの建物の移転に着手するなど、進捗率は約五九%でございます。
 なお、武蔵村山都市核地区や殿ケ谷地区につきましては、新青梅街道の道路拡幅空間をこの事業により確保する計画となっております。

○谷村委員 去る八月十六日ですけれども、このモノレールの延伸を強く望んでいます武蔵村山、東大和、瑞穂町の二市一町の市長と町長が、自民党の林田先生もご一緒していただきました、モノレールの延伸要望で飯尾局長にお会いされた際に、局長からは、こうした今ご紹介いただきましたまちづくりの状況について、ぜひ一度視察されたい旨のお話をしてくださいました。林田委員も大きくうなずいていただいております。
 ここまでおっしゃってくださった局長は、私の知る十年間では、都市計画局の時代も含めて飯尾局長だけでございます。ご多忙の毎日かとは思いますが、ぜひともお時間をつくっていただいて、一目でもごらんいただければ幸いでございます。市民、町民が待ち望んでおりますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 この多摩都市モノレール構想は昭和五十七年の長期計画において、総延長が九十三キロメートルの全体構想を、都として都民に発表したものであります。私どもは、これを多摩の山手線と称して実現を待ち望んできたわけであります。過日、都市整備局の幹部の方と懇談させていただいておりましたら、多摩の山手線ならタマノテセンなんてどうですかという、新しいネーミングまでしていただきました。これも私にとりまして十年間で初めてのことでございますけれども。
 特に上北台から箱根ヶ崎への延伸につきましては、平成四年十二月に都の多摩島しょ振興推進本部会議において、事業化すべき路線として決定された計画であり、都がその必要性を十分認識した上での決定であったはずであります。軌道空間の確保につながる新青梅街道の拡幅事業が平成二十一年からスタートしており、また、多摩都市モノレール株式会社への財政支援や経営の健全化への取り組み、そして地域住民による乗客数の向上など、外堀や内堀を埋めつつありますけれども、この二十年間、一番肝心なこの本丸の都市整備局としての具体的な動きは、残念ながらまだまだ見えていないわけでございます。
 上北台から箱根ヶ崎までの延伸の必要性について、都の認識と今後の取り組みについて、改めてお伺いいたします。

○石川都市基盤部長 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸につきましては、先ほど委員からお話がございましたとおり、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線として位置づけられておりまして、多摩地域の自立性の向上に向けて都市間の連携を強化させるとともに、鉄道不便地域を解消する観点から、整備の必要性が高い路線であると考えております。
 箱根ヶ崎延伸につきましては、先ほどお答えいたしましたように、会社の経営状況や土地区画整理事業などの周辺の開発動向等を踏まえまして、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性を見きわめながら検討するなど、課題解決に向け、知恵を絞ってまいります。

○谷村委員 この多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎への延伸の問題、課題につきましては、地元が強い要望をしているから都として検討するとか、都として延伸に取り組むとかということではなくて、そもそもは都がみずから始めた計画でございます。私の前任の萩谷元副議長の時代からこの構想を進め、そして、具体的な、今十七キロメートル区間が整備をされているわけでございます。都としてもきちんとした、この都民に対して提示した構想であるがゆえに、責任を持って取り組むべきではないかと強く訴えさせていただきたいと思います。
 この事業採算性にかかわる検討も大事であります。必要な路線であればあらゆる工夫を講じていただいて、一歩踏み出す時期に来ているのではないかと思うわけでございます。今後の都市整備局の皆様の取り組みを、強く、強く期待をしておりますのでよろしくお願いいたします。
   〔「頼みますよ」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員 合いの手ありがとうございます。
 次に、都営住宅の建てかえ及び用地の活用について質問をいたします。
 都は都営住宅につきまして、年間三千五百戸の建てかえに取り組み、老朽化した住宅のバリアフリー化や住宅の質の向上を図りながら、建てかえに伴う創出用地をまちづくりに活用しております。
 これまで都営住宅の建てかえにより創出された用地を活用し、私どもの地元であります東村山市本町を初め、南青山一丁目、港南四丁目、勝どき一丁目の四地区において民間活用によるプロジェクトが実施されたわけであります。
 このうち、私どもの地元であります東村山市本町地区では、都営住宅の建てかえに伴う創出用地について、定期借地権を活用し、良好なまち並みの戸建て住宅を中心としたまちづくりが進められ、戸建て住宅の価格を三割程度引き下げる実証実験も行われたわけであります。本年三月には保育園などすべての施設が完了し、今後成熟したまちに育っていくことを強く期待しているところであります。
 都ではこの東村山市本町地区プロジェクトの成果を踏まえ、その第二弾として、低廉な住宅の供給を目指すとともに環境の視点も重視したプロジェクトを行うとし、現在これまで、私どもの地元であります東大和市向原地区において、都営住宅の建てかえに伴う創出用地を活用する新たなプロジェクトが進められております。
 そこでまず、東大和市向原地区プロジェクトのねらいはどのようなものかを改めてお伺いいたします。

○上野再編利活用推進担当部長 東大和市向原地区のプロジェクトのねらいについてでございますが、本プロジェクトは、老朽化した都営住宅の建てかえに伴い創出した約四・五ヘクタールの用地におきまして、七十年間の定期借地権を設定し、多摩地域の中小工務店の参画も得ながら、民間のノウハウを活用して、緑豊かなゆとりある美しい景観のまちづくりを推進することを目指しております。
 本プロジェクトでは、東村山市本町地区プロジェクトの実証実験の成果をさらに普及するため、面積約一・八ヘクタールの北地区におきまして、広さと質を確保しながら、建物本体価格が市場価格より三割程度安い戸建て住宅を供給することとしております。また、地球温暖化対策としてCO2排出量が低い住宅を供給するため、面積約二・七ヘクタールの南地区におきまして、すべての戸建て住宅について、太陽光発電システムなど再生可能エネルギー利用機器等を装備するとともに、低廉な価格で供給することとしております。
 さらに、東日本大震災も踏まえ、防災性の向上を図るため、戸建て住宅について、建築基準法で求められる通常の耐震性能の一・二五倍以上の性能を確保するなど、大規模な震災等にも配慮した安全なまちづくりを進めることとしております。

○谷村委員 創出した用地を活用し、低廉な価格に加え、CO2削減や防災対策にも配慮した住宅の供給、良好なまち並みの形成を目指すとのことであり、このプロジェクトのねらいにつきましては、東村山市本町プロジェクトの実証実験をさらに進化させた取り組みとして、高く評価をさせていただきたいと思っております。
 そこで、この向原地区プロジェクトを今後どのように展開していくのか、そのスケジュールについてお伺いいたします。

○上野再編利活用推進担当部長 向原地区のプロジェクトのスケジュールにつきましては、本年七月に事業者募集要項公表後、九月に、本事業への参加を希望する民間企業グループから提案書を受け付け、現在、提案審査手続を行っております。
 今後は、本年十二月に事業予定者を決定し、平成二十四年度には事業予定者による特別目的会社が設立されるとともに、特別目的会社と都との間で基本協定を締結する予定でございます。その後、平成二十四年度中に宅地造成工事に着手し、二十五年度のまち開きを目指すこととしております。

○谷村委員 平成二十五年度のまち開きを目指して、ぜひ着実に推進していただきたいと思います。
 既に完了しました東村山市の本町地区プロジェクトにおきましては、平成十九年二月に第一期の戸建て住宅が竣工し、このときをまち開きといっていると思いますけれども、以降、七期に分けて段階的に戸建て住宅等の供給が進められてきました。次第にまちが充実し、すばらしいまち並みがつくられてきたという経過があります。
 これから進められるこの東大和市向原地区プロジェクトも、全体で四・五ヘクタールにも及ぶ大規模な開発プロジェクトであります。実際のまちづくりは事業予定者が具体化を図ることになると思いますけれども、この本町地区のように、完成までには段階的な整備が行われるものと思います。都として、多摩地域にふさわしい住宅市街地の形成に向け事業が着実に実施されるよう、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
 続いて、私どもの地元であります東大和市の東京街道団地に関連して質問をいたします。
 大規模な団地では建てかえ事業の期間が長期に及ぶわけでありますが、東京街道団地につきましては、十年ほど前から建てかえが進められており、老朽化した住宅がバリアフリー化された住宅に更新されるとともに、新たな用地も生み出されております。そこで、この東京街道団地の建てかえ事業の進捗状況について、確認の意味でお伺いいたします。

○上野再編利活用推進担当部長 東京街道団地は、大部分が昭和三十年代に建設された戸数約一千九百戸の大規模団地でございまして、老朽化が進行していたことから、平成十一年度に建てかえ事業に着手し、現在まで約一千四百戸の建てかえを実施しております。
 また、建てかえ事業の実施に伴い空地等が生じておりますが、その具体的な利用につきましては、今後、建てかえ用地とするほか、地域のまちづくりへの活用も視野に入れ、地元市とも協議しながら検討してまいります。

○谷村委員 ただいまご答弁で、新たな創出用地、すなわち空地につきましては、今後建てかえ用地とするほか、地域のまちづくりへの活用も視野に入れ、地元市とも協議しながら検討とお答えをいただきました。現在千四百戸まで建てかえが進んでおりますけれども、従前戸数の一千九百戸まではあと五百戸ほど不足をしております。まず、この残り五百戸の建設計画を早急に策定していただきたいと思います。
 その上で、この建てかえ計画とも十分整合を図りながら、都民の共有の財産であります用地の有効活用を図っていくことが重要となってまいります。その活用策の一つといたしまして、高齢化が急速に進行している現状等を踏まえ、医療施設あるいは介護施設等のニーズもますます高まっております。今後の用地活用策の検討に当たりましては、先ほどご答弁にもありましたけれども、地元市と連携するとともに、医療施設あるいは介護施設の導入につきましても、ぜひ検討していただきますように、提案、ご要望させていただいておきます。
 次に、同じく建てかえ中の武蔵村山市にあります村山団地でございますが、この村山団地は昭和三十年代から四十年代にかけて建設された、従前戸数五千戸を超える都内最大規模の団地であり、簡易耐火住宅の建てかえを順次進めるとともに、現在、中層耐火住宅の建てかえについて検討中となっております。
 申し上げるまでもなく、都営住宅は都民の居住の安定確保を図る上で大変重要な役割を担っており、必要な戸数を確保しながら建てかえを着実に推進していくことが重要であります。また、都営住宅団地の建てかえでは、単に建てかえるのみならず、敷地の有効利用により用地を創出し、地域の活性化、周辺地域にも寄与するような取り組みを現在も進めていただいているわけでございます。
 村山団地の建てかえにつきまして、こうした観点に立って取り組んでいただくものと思いますが、村山団地の今後の建てかえ計画において目標とする総戸数、そして用地の有効活用に向けた取り組みについて、改めてお伺いいたします。

○上野再編利活用推進担当部長 村山団地の建てかえ計画における目標戸数につきましては、建てかえ前の戸数である五千二百戸程度を建設することを基本としております。従前簡易耐火構造であった住宅を中心に建てかえを実施しておりまして、建てかえが完了あるいは事業中である住宅は約二千九百戸でございます。これに引き続き、今後、中層住宅の建てかえを順次実施してまいります。
 また、建てかえに伴う創出用地につきましては、建てかえの全体計画との整合を図りながら、地域のまちづくりや活力の向上などに寄与するよう、地元市とも連携しながら、その活用策について検討してまいります。

○谷村委員 村山団地では、建てかえ後に新青梅街道側に新たな用地が創出されたわけであります。その用地を多摩都市モノレールの延伸においては、駅にしていただきたい、駅にしてほしいという、強く期待する地元の声もあるわけであります。地元の活性化、ひいては多摩地区の活性化にも大きく寄与するよう、取り組みを進めていただきたいと思います。
 また、今のご答弁で、従前戸数である五千二百戸を建設することが基本というふうに、改めて確認をさせていただきました。その意味では、村山団地の建てかえ事業はまだまだ数の上では半分に至ってないという状況でございますので、さらなる推進をよろしくお願いいたします。
 今後は、都民の居住の安定確保に向けまして、こうした取り組みをさらに推進し、老朽化した都営住宅の建てかえがさらに加速されていくものと思いますが、今後、都はどのように都営住宅の建てかえ事業について展開していくのか、お伺いいたします。

○瀧本都営住宅経営部長 都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を適切に保持するため、老朽化した住宅の建てかえを推進しておりまして、今後、財政状況等も勘案しながら、建てかえ事業の規模を年間四千戸まで、段階的に拡大することとしております。
 建てかえを行うに当たっては、バリアフリー化された住宅への更新を進めるとともに、適宜、間取りや設備の改善を行うなど、質の向上を図っております。また、敷地の有効利用を図って用地を生み出し、これを活用して少子高齢化への対応、防災性の向上、緑の充実など、安全で快適な地域環境の創出等に取り組んでおります。
 建てかえ事業を進めるに当たりましては、地球温暖化対策としてのCO2の削減、東日本大震災を踏まえた木造住宅密集地域の整備などに寄与することが重要と考えております。今後、こうした観点も重視いたしまして、時代の状況に的確に対応しながら、一層住みやすい都営住宅の整備、供給に向けて、建てかえ事業の推進に取り組んでまいります。

○谷村委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 最後に、東村山駅付近の連続立体交差化計画について質問いたします。
 東村山駅付近では、多摩地域を南北方向に結ぶ府中街道や、地域住民の日常生活に欠かせない鷹の道などが平面交差し、慢性的な交通渋滞が発生しております。また、五差路の中に存在するいわゆる大踏切というのは、東京で一、二を争う危険な状態となっており、これはテレビでも放映されたことがあるわけであります。
 平成二十一年度、国土交通省による連続立体交差化事業の新規着工準備採択は、全国で三カ所だけでしたが、当時の建設局さんの方のご尽力も実を結び、そのうちの一つにこの区間の連続立体交差化が選ばれたわけでございます。
 平成二十年の予算特別委員会で、当時の道家都技監に、「十年後の東京」では、多摩の南北道路主要五路線は九五%の完成になっているが、残り五%はどこに当たるのかと改めてお尋ねしたところ、このたびの連続立体交差化される府中街道の西武新宿線の踏切のところだったわけであります。新青梅街道と交差する野口橋交差点について、近接している踏切や複数の道路との交差に伴う交通処理に課題があるという答弁だったわけでございますが、時間の要するところこそ早目に検討着手してほしいと訴えさせていただき、道家都技監からは、平成二十年度から野口橋交差点の道路構造等について、具体的な検討を行ってまいりますなどとお答えをいただいてきた経緯があるわけでございます。
 その後、政権交代により、コンクリートから人へなど意味不明なキャッチフレーズを掲げる政権が誕生し、この事業の進捗が危ぶまれてまいりましたが、こうした厳しい状況の中でも、都の着実な取り組みにより、都市計画および環境影響評価の手続に入ることができたわけであります。この計画につきましては、これまで本会議や予算特別委員会で幾度となく質問をしてまいりましたけれども、この新規着工準備採択後二年半が経過する中で、現在主管する本委員会で改めてこの点を確認させていただきたいと思います。
 まず、東村山駅付近の連続立体交差化に係るこれまでの経緯についてお伺いいたします。

○石川都市基盤部長 西武新宿線東村山駅付近は、計画的に踏切対策を進めていくために、平成十六年六月に策定いたしました踏切対策基本方針で、鉄道立体化の検討対象区間の一つに位置づけております。
 本区間につきましては、関連する道路整備計画が具体化していることや駅前の再開発事業が進められるなど、まちづくりに対する取り組みの熟度が高いことから、国に要望を行い、平成二十一年度からの国の補助事業として採択されております。これを受け、構造形式や施工方法の検討を行い、昨年十一月に都市計画の素案説明会を開催いたしました。
 その後、環境影響評価手続を開始し、本年七月に環境影響評価書案として取りまとめ、先月には都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を開催したところでございます。

○谷村委員 計画の実現に向けて着実に取り組みを進めていただいていることに、改めて感謝を申し上げます。
 先月、ご答弁にも出てまいりました周辺住民に対する説明会を開催していただきましたけれども、この都市計画案及び環境影響評価書案の説明会の開催状況についてお伺いいたします。

○石川都市基盤部長 説明会につきましては先月五日、六日の二日間にわたり開催いたしまして、約五百名の住民の方々のご出席をいただきました。
 この説明会では、今後のスケジュールや環境への影響などに関する質問がございました。また、踏切での慢性的な交通渋滞や鉄道による地域分断の早期解消を望む声や、連続立体交差化を契機とした東西の駅前広場を結ぶ通路の整備を期待する意見などを数多くいただき、本計画に対する期待の高さを改めて感じたところでございます。

○谷村委員 今のご答弁で、改めてこの計画に対する市民の皆様の関心の高さを確認させていただきました。最後に、説明会以降の今後の都の取り組みについてお伺いいたします。

○石川都市基盤部長 今後は、来年度の都市計画決定を目指し、環境影響評価書案についての意見書等に対して見解書を取りまとめるなど、都市計画および環境影響評価の手続を進める予定でございます。先ほどご答弁申し上げましたとおり、地域の熱い期待にこたえられるよう、引き続き関係機関と連携を図りながら、本計画の早期実現に向け、積極的に取り組んでまいります。

○谷村委員 大きく前進していることを改めて確認させていただきました。東村山市は、特に西武新宿線、鉄道駅だけで九つあるわけですけれども、西武新宿線の踏切による渋滞や、東西の分断の解消が市民の長年の悲願となっております。引き続き、連続立体交差化に向けた積極的な取り組みをぜひ進めていただきたいことを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○関口委員 私からは、中古住宅の流通に関してお尋ねしてまいります。
 さきのこの三月に開催された都市整備委員会において、私からは中古住宅の流通に関する質疑をいたしました。そこでは、まず基本的なデータとして、新築住宅を取り壊すまでの築年数平均が、日本では三十年であるのに対し、アメリカは四十四年、イギリスでは七十五年となり、いかに日本の住宅寿命が短いものであるのか、また、新規住宅着工戸数に対する中古住宅の取引割合が、日本では一三・一%であるのに対し、アメリカは七七・六%、イギリスは八八・八%という事実を申し上げまして、日本においてはいかに中古住宅市場というのが小さく、成長していないかというものを、まず問題点として上げたところであります。
 この点、東京都においては、二〇〇七年三月に策定した現在の住宅マスタープランにおいて、中古住宅流通市場を二〇〇三年の九%から、二〇一五年には二五%に拡大させるという、大変大胆な大きな目標を掲げておりましたが、現段階での中古住宅の流通シェアを本年三月の質疑でお尋ねしたところ、一一・一%であるとの答えであった。残念ながら目標の二五%にはほど遠い状況であります。
 そこで、私は、これまでの東京都の具体的な取り組みについて確認し、その上で、これまでの取り組みを促進するだけではなく、大胆に大きく改善していくことが必要であると指摘をいたしました。また、冒頭できょう、今申し上げました中古住宅市場が活性化している欧米など、諸外国がどういう状況であるのかを十分に把握して、日本と比べその原因であるとか、あるいは施策を検証していくということも極めて大事なことであることも、あわせて申し上げたところであります。
 こうしたやりとりの上、都からは、今後の取り組みについて、現在審議中の住宅政策審議会での結果を踏まえながら、既存住宅流通の活性化に向けた取り組みをさらに進めていく旨の答弁をいただいたところであります。
 さて、その住宅政策審議会において、この十月十二日に中間のまとめが行われました。まだ最終的なものでなく、変更点も出てくる可能性は承知をしておりますが、まずこの中間まとめの段階において、中古住宅流通の活性化に関して、具体的にどのように意見が提示されているのか伺います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 既存住宅市場の活性化のためには、住宅ストックが良好な状態で維持管理されていることが重要であると認識しております。
 中間のまとめでは、既存住宅市場の活性化に関しまして、既存住宅への適切なメンテナンスやリフォーム等の実施、既存住宅の適正価格での取引を促すために、メンテナンス等の標準マニュアルの作成、住宅の躯体や設備などの状態を事前に検査するインスペクションの標準化や公的機関でのインスペクター登録・派遣制度の検討などについて提言をいただいております。

○関口委員 今ご答弁いただきましたが、東京都が出された中古住宅市場の流通量を二五%に上げていくというこの目標に向かっていくためには、日本そしてこの東京において、どのような制度がふさわしいのか、今述べられたような普及啓発を中心とした取り組みだけではなく、政策の中身を大胆に斬新な発想をもって大きく変えていくことが必要であると考えております。
 今お答えいただいた中間のまとめの中には、私が前回の質疑の中で提案した、消費者が安心して購入する前提としての事前検査、英語でインスペクションでありますが、この事前検査に関する施策も含まれており、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思っております。
 まだ住宅政策審議会の最終答申が出される前でありますから、この段階で都としての今後の具体的な取り組みを聞くのは難しいとは思っておりますが、住宅政策審議会の最終答申、そして新たな住宅マスタープランの策定を控え、中古住宅市場の活性化に都としてどのように取り組んでいくつもりなのか、改めてお尋ねしたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 ご指摘のとおり、新規住宅着工戸数に対する既存住宅の取引割合が、東京ではアメリカやイギリスなどに比べて大変低い状況にあり、消費者が安心して既存住宅を購入できる体制を整備することなどにより、その流通を活性化させていくことは、東京都においても重要であると認識しております。
 東京都はこれまでも、既存住宅の取引における安心確保に向け、安心して住宅を売買するためのガイドブックを、戸建て住宅編、マンション編で作成するなど、必要な取り組みを進めてまいりましたが、引き続き、消費者、事業者の双方に対する普及啓発はもちろん、今後出される住宅政策審議会の答申を踏まえ、既存住宅市場の活性策の実施に向けて取り組みをさらに進めてまいります。

○関口委員 私は、この中古住宅市場を大きく拡大させたいと強く考えておりますが、その理由の一つは、この市場の拡大によって中古住宅の資産価値が担保され、さらに向上していくことを意味するからであり、このことは結果として都民の貴重な資産価値を向上させていくことにつながると考えているからであります。
 前回の質疑でも申し上げましたが、東京都には都民の資産を守るだけではなく、さらにはふやしていくという大きな役割もあるはずです。中古住宅市場の開拓はまさに、これを意味すると考えています。
 私は、この中古住宅市場の開拓には三つの要素が必要であると考えておりまして、一つは、資産価値を保障するデータ、これはまさに住宅政策審議会の中間まとめで示された、いわゆる公的なインスペクター制度に当たると考えられます。中古住宅の買い手が安心して購入する際には、住宅の資産価値がしっかりと保障されていることが必要不可欠であります。そのためには、東京都が住宅の品質、資産価値を保障していく、そしてお墨つきを与えていくことが必要であると考えております。このインスペクター制度、ぜひ今後、住宅政策審議会の中でも議論されていくと思いますが、その後の東京都の取り組みにも大いに期待をしたいと思っております。
 ちなみに、このインスペクター制度によって保証される資産価値、例えばイギリスにおいては、中古住宅売買の際は、売り主がこうした保証書類を買い主に提供することが、制度的には義務づけされているようであります。また、私がこの中古住宅市場の拡大を考える際に、常に比較する中古車市場でありますが、当然中古車市場も、皆さんお考えいただくと、いわゆる車検というものがありまして、これが公的に車の品質を担保していることはいうまでもありません。この資産価値を保証するデータというものをぜひ、ご検討いただきたいと思います。
 そして二つ目、私が考えております保険であります。中古住宅を購入した後、欠陥が発見された際に必要とされるものの一つが保険です。この点に関しては現在、既存住宅売買瑕疵保険という制度が既に存在していますが、認知度も低いこともあり、利用度がなかなか伸びていません。こうした制度の周知徹底や、あるいは今後は、東京都ならではの創意工夫が必要であると考えます。
 三つ目は金融の仕組みです。日本の金融機関は、建物資産によって債権保全を図りません。よって、中古住宅の資産価値が認められにくい現在の状況では、中古住宅購入の際の融資条件は厳しくなります。
 この点に関しては、先ほど申し上げた、中古住宅の資産価値を公的に保証する仕組みができることで、金融機関の資産査定がおのずと変わってくるものと期待をしておりますが、この金融という仕組みも中古住宅市場の拡大には必要不可欠な要素であると考えます。
 以上、本日も取り上げたこの中古住宅市場の拡大は、一朝一夕でできるたやすいものでは決してありませんが、東京の経済の活性化、都民の資産価値向上のためにも、是が非とも実現していただきたいと思っております。そのためには、これから最終答申が出る住宅政策審議会の提案内容を、そのまま漫然と実行していくのではなくて、前例にとらわれない大胆な政策立案に、局としてチャレンジ、挑戦していただくことを強く強く要望して、私の質疑を終わります。
 以上です。

○斉藤委員 大変にお疲れさまでございます。いよいよ最後、トリになります。
 私の方からは、ユニバーサルデザインの観点から、人に優しいまちづくりについて質問をさせていただきたいと思います。
 平成六年にハートビル法が制定されまして、高齢者や身体障害者などの方々が安心して利用できる建物、建築物、ハートビルの建築の促進に我が党は取り組んでまいりました。平成十二年には交通バリアフリー法が施行されまして、区市町村が鉄道駅などを中心にバリアフリー化を重点的に進める地区を指定する基本構想の策定を行い、この構想に基づいて具体的な整備が進められるようになりました。その後、平成十八年には交通バリアフリー法はハートビル法と統合拡充されまして、バリアフリー新法が施行され、駅やビルなどの点としての整備から、面としてのバリアフリー化に重点が置かれるようになり、新法のもとで基本構想の策定が進められているところでございます。
 国におきましては、本年三月に改正されました移動等円滑化の促進に関する基本方針におきまして、三千人以上の駅を原則としてすべてバリアフリー化することなどを新たな目標といたしましたけれども、この基本構想につきましては、区市が策定をし、バリアフリー事業を効果的に推進するよう求めているところであります。
 この基本構想を策定すれば、交付金なども導入しやすくなると聞いております。都内では、平成二十二年度末で十六区九市において基本構想が策定済みとのことでございますけれども、他の区市におきましても、構想の策定を促進させる必要があると考えております。
 そこで、区市町村におけるバリアフリー基本構想策定の促進に向けまして、都はどのような取り組みを行っているかをお伺いしたいと思います。

○石川都市基盤部長 バリアフリー基本構想は、駅を中心とした地区や高齢者や障害者などが利用する地区におきまして、住民参加による重点的かつ一体的なバリアフリー化を図ることを目的として、区市町村が策定するものでございます。
 都はこれまで、区や市が設置する基本構想策定の協議会に鉄道事業者などとともに参画しており、現在、十二区六市の協議会において技術的支援を行っております。
 また、バリアフリー新法の施行後、早期に区市町村がバリアフリー基本構想を策定できるよう支援するため、平成二十年度に東京都バリアフリー基本構想作成費補助を創設いたしました。これまで、四区三市に対し、計一千二百万円の補助を実施しており、その結果として、二区一市において基本構想が策定されております。引き続き、多くの区市が基本構想を策定できるよう、積極的に取り組んでまいります。

○斉藤委員 ぜひとも、この基本構想の策定を促していただきたいと思います。
 こうした都の取り組みによりまして、駅を中心にエレベーターやエスカレーターの整備が進んでおります。十五年前と比較しましても隔世の感があるわけでございます。当時、平成の四、五年ですか、国際障害者年などもありましたけれども、まだまだエスカレーター、エレベーターの設置はまれでございまして、今東京を見ますと、本当に皆様のご尽力によりましてこういったことも進んできたわけでございます。
 しかしながら、抜本的なホームからの転落防止対策、ホームというものも非常にバリアフリーが必要でございますけれども、このホームからの転落防止対策である可動式ホームさく等の整備は、地下鉄やJR山手線では設置が進行中でございますけれども、全体としてはまだ余り進んでおりません。八月に公表されました国土交通省の検討会の中間取りまとめの中でも、特に利用者の数、十万人以上の駅につきましては、ホームの状況を踏まえて、ホームドアまたは内方線つきJIS規格対応の点字用ブロックの整備を優先して、速やかに実施すべしとされています。内方線というのは、聞きなれない名前ですけども、視聴覚障害者には大変大事なものでございます。
 それから、この十万人以上というのは、この十万人を基準としまして大変事故率がふえるわけですね。ですから、このデータに基づいて、十万人以上につきましてはとにかく速やかにそういった整備が必要であるという、そういった中間取りまとめがあるわけでございます。先日も拝島駅で転落事故が起きておりまして、視覚障害者を初め、だれもが安心して鉄道を利用できるようにすることが喫緊の課題と考えるものでございます。
 我が党では、一昨年から都議会におきましても、この鉄道駅への可動式ホームさくの整備促進を強く要望してまいりました。これを受けまして、都市整備局では、試行的事業とはいえ、本年度から可動式ホームさく等整備事業を立ち上げたことを評価いたします。
 そこで、この試行的事業を実施している小田急新宿駅など、三駅における可動式ホームさく等整備事業の進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

○石川都市基盤部長 小田急小田原線新宿駅及び東急大井町線大井町駅につきましては、現在、可動式ホームさくを据えつけるために必要なホームの補強工事を実施しております。また、京王線新宿駅につきましては、現在可動式ホームさく設置に必要な工事の設計を行っており、今月、工事に着手する予定でございます。引き続きこれらの事業を実施し、整備を促進する上での課題などについて検討していきたいと考えております。

○斉藤委員 駅はまちの顔でございます。多くの人が行き交い集う極めて公共的な空間でございます。だれもが安心して、特に障害を持った方が安心して鉄道を利用できるように、可動式ホームさくの整備をさらに進めていただきたいと思います。
 あわせまして、駅周辺のまちづくりを進めることで、公共交通が利用しやすい、歩いて暮らせる利便性にすぐれたコンパクトな生活拠点の形成を図ることも重要でございます。
 都が行う連続立体交差事業に合わせまして、地元区市が駅を中心としたまちづくりを進めている地区もありますし、私の地元である目黒区内の東急自由が丘駅のように、ここは駅前広場を歩行者優先に再整備をいたしました。歩いて暮らせるまちづくりを進めているエリアでもございます。
 しかし、生活拠点を形成すべき駅の中には、まだまだ駅前広場や自由通路のない駅が多いのが実情でございまして、鉄道事業者による駅の改良と地元区市による駅周辺整備を、タイミングよくあわせて実施することが求められるところであります。
 そこで、駅改良とその周辺の一体整備についての都の取り組み状況について、お伺いしたいと思います。

○石川都市基盤部長 生活拠点などの駅におきまして、歩行者の回遊性の向上とともに、鉄道とバスとの乗り継ぎなどの円滑化を図るためには、駅改良とあわせて自由通路や駅前広場を整備することや周辺まちづくりを一体的に実施することにより、駅とまちを連続的につなぐことが重要でございます。そのためには、区や市の積極的な取り組みが不可欠であり、都は、区や市の取り組みが進むように、類似事例の情報提供に加えて、鉄道事業者との協議方法やまちづくりの手法に関する相談への対応などの技術的支援や財政的支援、人的支援を行っており、現在、新小岩駅や拝島駅、保谷駅などにおいて整備が行われております。さらに、国に対しては財源の確保や交付金制度の拡充などを提案しております。
 今後とも、鉄道事業者や地元自治体などと連携を図りながら、駅及びその周辺の一体的な整備に向け、取り組んでまいります。

○斉藤委員 鉄道駅は歩いて暮らせるまちづくりの中心でございます。引き続き、鉄道駅及び周辺の基盤整備や、駅のバリアフリー化について取り組みを進めていただきたいと思います。
 続いて、鉄道施設の耐震性向上について質問させていただきます。
 主要な鉄道駅は、鉄道利用者だけではなく多くの人が集まり、まちのにぎわいの中心となる空間であります。その耐震性の向上は重要な課題でございます。
 耐震化は基本的には鉄道事業者が進めるべきものでありまして、阪神・淡路大震災以降、鉄道事業者による高架橋や地下トンネルの中柱につきまして、順次耐震補強が実施されてまいりましたけれども、鉄道事業者にとりましても多額の経費を要する一方で、利用者の増加や収益の向上につながらないことから、当初、進捗が思わしくなかったようであります。その後、平成十七年の中央防災会議の防災基本計画におきまして、大規模地震の切迫性が指摘されるとともに、駅など不特定多数の皆さんが使用する施設について、耐震性の確保に特に配慮することとされたことも契機となりまして、国と都において、防災拠点としての役割を持つ主要駅の耐震化に対して補助を始めたと聞いております。
 そこで、この鉄道駅耐震補強事業費補助のこれまでの実績と、今後の予定についてお伺いしておきたいと思います。

○石川都市基盤部長 鉄道駅耐震補強事業費補助は、鉄道駅利用者の安全確保を図るとともに、発災時における鉄道駅の防災拠点機能を確保するために、平成十八年度から国と都で補助を実施しております。
 対象となる駅は、JR以外の地上駅または高架駅で、乗降客数が一日一万人以上かつ乗りかえ駅など一定の要件を満たす主要な駅であり、昨年度までに九駅について耐震化が完了しております。
 現在、東急東横線中目黒駅を初め十駅について補助を行っており、来年度を目途に完了する予定でございます。これにより、連立事業など他事業で行われる竹ノ塚駅など三駅を除きまして、補助対象駅の耐震化がすべて終了する見込みでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。補助を行っている駅につきましては、早期に耐震化を完了するようによろしくお願い申し上げたいと思います。
 この補助対象駅については取り組みが進んでいるご答弁でございました。東日本大震災においてクローズアップされましたように、この首都圏の鉄道施設が一たび被災すれば、都市機能は麻痺することになるため、一部の駅だけでなく補助対象外の駅や駅と駅の間、駅間の構造物につきましても、安全性を高めるための対策を講じていくことが必要であると考えます。
 そこで、補助対象外の駅や駅間の鉄道施設の耐震化を促進するため、都はどのように取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。

○石川都市基盤部長 都内における鉄道施設の安全性を高めるためには、補助対象外の駅や駅間につきましても、鉄道事業者による耐震化を促進していく必要がございます。
 このため、都としては、今年度、まず都内の鉄道施設における耐震化状況の把握を行い、課題の整理や耐震化の優先づけを行った上で、鉄道駅の耐震化状況や先進事例の紹介、低コストな耐震工法の技術開発に関する情報提供などの促進策を検討してまいります。
 あわせて、国に対して、補助対象駅の要件を緩和し対象を拡大することや鉄道駅に加え、駅間部分の耐震補強についても補助対象とすることを求めるなど、鉄道施設の耐震性向上を一層促進してまいります。

○斉藤委員 ぜひ促進をお願いしたいと思います。
 また、この鉄道駅でございますけれども、先日、私学関係者のお話を伺いましたけれども、私学にお子様を通わせているお母様やお父様、その一たび被災しますと、学校から子どもが校外に出ますと、その後、頼りになるのはこの駅しかないということで、できればその防災の観点からも、駅に、できるだけ不用意に移動せずに、いざというときには、学校の外に出たときには駅で待つことが大事じゃないかみたいな議論も、私学関係者の中でなされているようでもございます。そういった意味でも、こういった駅は、発災時においても大変人が集まる、頼りにする場所となる可能性が高いところでもございますので、ぜひ耐震化を真剣に検討し、研究していただきたいと思うわけでございます。
 続きまして、次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお伺いしたいと思います。
 私の地元目黒区には、環状七号線あるいは目黒通りなどの緊急輸送道路がございます。緊急輸送道路沿道建築物の耐震化については、ことしの四月に条例が施行されました。これまでも、この都市整備委員会でさまざまな議論を経まして、条例が制定されたわけでございますけれども、この施策を円滑に進めていくためには、建物所有者の理解と協力が不可欠でございます。
 来年四月からの耐震診断の義務化に備えまして、現在約五千棟を対象に個別訪問と説明会を実施していると伺っておりますけれども、この建物所有者へのきめ細かい丁寧な説明が必要でございます。当委員会質疑において、我が党からも新たな規制誘導策、これは、現在いっているこの緊急輸送道路沿道建築物の耐震化のことでございますけれども、これを着実に早期に進めていくためには、都民に対しまして十分に説明し、理解と協力を得ながら進めていくべきであると、我が党同僚委員が質問をしてまいりました。
 そこで、まず現在の建物の所有者に対しまして、条例や新たな助成制度の周知状況についてお伺いをしたいと思います。

○小野耐震化推進担当部長 条例に基づき耐震化を円滑に進めるためには、条例の内容や手続、条例にあわせて整備しました新たな助成制度について十分説明し、所有者の理解を得ながら進めていくことが重要でございます。
 このため、八月末から地元区市町村と連携しまして、耐震診断が義務づけされます特定沿道建築物約五千棟を対象としまして、個別訪問と説明会を実施しており、十月二十日現在二千四百五十三棟の所有者に対して説明を終えてございます。また、説明が終わった後でも、休日や夜間、マンションの管理組合の理事会の場で再度説明してほしいといった、所有者からの個別の要望にも適切に対応しておりまして、今後ともきめ細かい丁寧な対応に努めてまいります。
 このほか、耐震診断や改修を担います建築士や建設業の団体、ビル、マンションを所有、管理する不動産の団体とも連携しまして、さまざまな機会を通じて周知や情報提供を行ってまいります。

○斉藤委員 今ご答弁ございましたけども、そのマンションの管理組合の理事会の場で説明をしてほしいという要望に対しまして、対応しているということ、私もこれを知りまして、もう本当にご努力いただいているというふうに思いました。またいわゆるローラー作戦、これを行っているということですけれども、都が区市と連携をして実施しているわけでございますが、耐震化を所有者に促すための本当に重要な取り組みでありまして、対象物件五千棟を一日も早くカバーできるように、ご尽力をいただきたいと思うものでございます。
 次に、耐震化状況の報告の義務化について質問したいと思います。
 この十月から、耐震化状況の報告の義務化がスタートしております。条例に基づく最初の義務でございますが、建物所有者にとっては、不動産などの知識がない方もオーナーでおられるため、戸惑う方もおられるのでないかと想像するわけであります。また、ついうっかり提出することを失念してしまう場合も考えるわけであります。
 そこで、耐震化状況報告の義務化につきまして、建物所有者に対して丁寧に説明をし対応する必要があると考えますけれども、見解を伺います。

○小野耐震化推進担当部長 お話のとおり、条例に基づき、特定沿道建築物の所有者には、ことしの十月一日から来年の一月四日までの間に耐震化状況報告書を提出することが義務づけられております。これは、建築物の規模、構造や耐震診断実施の有無、実施している場合の耐震性能など、耐震化の状況全般について報告するもので、所有者が容易に記載できるよう、注意事項や具体的な記載例を示した手引を配布し、個別の相談にも応じているところでございます。
 また、期限内にすべての所有者が遺漏なく報告できるよう、十二月の初めを目途に、再度提出期限が迫っていることを案内することにしております。条例の手続や義務の内容につきましては、所有者への周知徹底を図り、条例を的確に施行してまいります。

○斉藤委員 いよいよその建物所有者も、条例が制定されたニュースは聞いていたと思うんですけれども、自分たちがそういった報告の義務、それを履行しなければならないという段になりますと、大変に不安になるものだと思います。そういった周知徹底には、場合によってはテレビ、ラジオ、これはお金がかかりますけれども、そういった媒体を使うとか、文字どおり徹底して、そういった周知に努めていただきたいと思うわけでございます。
 都では既に耐震化総合相談窓口を設置いたしまして、都民からのさまざまな相談に対応しておりますけれども、この条例制定や東日本大震災の発災以降、相談件数が相当ふえていると聞いております。そこで、条例制定や東日本大震災を踏まえ、相談体制をより充実するべきであると考えますけれども、見解を伺います。

○小野耐震化推進担当部長 都では、平成二十年五月に耐震化総合相談窓口を設置し、耐震化に関するさまざまな相談に応じております。
 平成二十三年度に入っての月平均の相談件数は、条例制定や東日本大震災の影響もあり、昨年度と比較して約二倍と著しく伸びております。特に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に関する相談がふえているところでございます。
 そこで、緊急輸送道路沿道建築物の相談を専門に取り扱います沿道耐震化相談窓口とホットラインを八月に設置し、円滑に対応できるようにいたしております。また、個別訪問や説明会の実施に伴いまして、耐震診断の実施に関する具体的な相談もふえておりまして、電話回線の増設や相談員の増員など、状況に応じて体制の充実を図っております。
 今後とも建物所有者が安心して耐震化に取り組めるよう、相談体制の充実など、環境整備に努めてまいります。

○斉藤委員 沿道耐震化相談窓口、こういったものが八月に設置されているということも、今ご答弁でわかりました。ぜひ、委員の皆様もお近くでそういう建物所有者の方おられましたら、都でそういった相談窓口があるということを、ぜひ、まずこの場から啓蒙していただきたいと思っております。委員長、うなずいていただいてありがとうございます。
 次に、マンションの耐震化について質問したいと思います。
 マンションの居住世帯は、都内の居住世帯のおよそ半数を占めておりまして、都民の一般的な居住形態となっております。
 都は、東京のマンション二〇〇九などに指摘されているとおり、かねてより、昭和五十六年以前の旧耐震基準によって建てられた耐震性の不十分なマンションの耐震化や、建てかえ施策を総合的に進めてきております。
 このマンション二〇〇九によりますと、国の住宅土地統計調査や住宅着工統計など、そういった資料を使いまして、資料がございますけれども、都内における築四十年以上の物件は、二〇〇八年の五万四千戸から、二〇二三年には四十二万八千戸に到達するとの見込みが示されております。大変古いマンションが急速に増加していく状況が推定される中、耐震化の必要性が叫ばれてまいりました。
 ことし九月に策定された東日本大震災における東京都の対応と教訓の中でも指摘されているとおり、都はこれまでも、耐震化を促進するために、分譲マンションに対してアドバイザーの派遣や費用助成を行うなどしてまいりましたが、合意形成が困難であることなどにより、耐震化が進んでない状況にあります。
 マンションは、倒壊すれば、居住者はもとより地域に及ぼす影響が大きいことから、耐震化促進の施策をさらに加速していく必要があります。さきの緊急対策二〇一一でも、高度防災都市づくりを進める上で、マンションの耐震化を大きな柱と位置づけ、都内マンションの実態把握と学識経験者などから成る専門家会議を設置し、耐震化促進のための新たな実効性ある施策、方策を検討しているということは、先ほど他の委員からの質問に対する答弁でも明らかになっているところでございます。
 さきの第二回定例会の本委員会でも、我が党から加藤雅之議員が、実態調査を調査のための調査に終わらせず、結果を活用していくことが重要であり、調査で得られたデータは、今後のマンション施策を検討する際の基礎資料として活用することのほか、こうしたデータベースを活用し、個々のマンションに合った支援策を紹介するなど、管理組合等からのアプローチを待っているだけではなく、行政側から積極的に出向き、マンションを支援していくべきであるとの質問に対しまして、マンションの実態調査で得られた情報をデータベース化することにより、効果的なマンション施策の検討に活用するとともに、個々のマンションが必要とする情報を区市町村と連携して的確に提供していくとの答弁がございました。実態を正しく把握してこそ、的確な政策を打ち出すことができる。そういう意味では、今回の実態調査とデータベース化には大きな期待を寄せているものでございます。
 そこでまず、実態調査について都内全域で行うとのことでございますけれども、これはサンプル調査ではなく、都内のすべてのマンションを対象に実施すると考えてよいのでしょうか。またどのような方法で実施しているのか、お伺いしたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 これまで都内マンションの実態につきましては、国のサンプル調査などをもとに把握してまいりましたが、今回の実態調査は、初めて、都内全域において、分譲マンション、賃貸マンションの両方について全住棟を対象に調査を実施しております。所在や規模、築年数などの基本的な情報や管理状況など、マンション施策を推進していく上で必要な情報を把握するとともに、特に旧耐震基準マンションにつきましては、ヒアリング等により耐震化の取り組み状況を調査しております。
 この実態調査で得られた結果をデータベースに反映させることで、目的に応じた多様な分析ができることから、効果的な施策展開が可能になると考えております。

○斉藤委員 今回の実態調査は、都で初めて全域において行うというご答弁でございました。ここに得られたデータは極めて個人情報、そういった性格のものでございますので、そういったこともしっかりと管理しながら、有効にこのマンション施策の検討に活用をしていくことを期待するものでございます。
 今後、さまざまなマンション施策を実施していくためには、活用しやすいシステムを整備していかなければならないと思います。そこで、どのようなデータベースをつくっているのか、また、その進捗状況はどうなっているのか、これを伺いたいと思います。あわせて、マンション施策の推進には地元区市町村の役割が不可欠であると考えますが、区市町村はこういったデータベースを利用できるのでしょうか。確認しておきたいと思います。

○高田民間住宅施策推進担当部長 実効性あるマンション施策の検討は、緊急性が高いことから、データベースシステムについては、最先端の技術であるクラウドコンピューティングを採用し、極めて短い期間でシステムを整備しており、実態調査の結果が出次第、その結果などを入力できるよう、おおむね準備を完了しております。このシステムによりまして、実態調査等の情報を目的に合わせて速やかに抽出し、あるいはさまざまな統計処理もできるようになっております。
 さらにご指摘のとおり、マンション施策の推進には地元区市町村の役割が重要であり、情報の共有が必要であると考えております。このシステムでは、区市町村がいつでも費用負担なく参加できるよう、IDを付与するだけで直ちにデータベースにアクセスし、データを検索及び更新できるよう設計しております。
 今後、このデータベースシステムを活用し、より実効性あるマンション耐震化施策などを進めてまいります。

○斉藤委員 クラウドコンピューティングシステムを使うということでございまして、私は、私の知る限りでは初めてこういったものを導入されるのではないかと思います。
 昨今、サイバー攻撃等、データ管理につきましては、大変、社会の中でも緊張が走っている中でのこういったお話でございましたけれども、そのセキュリティーにつきましては十分にそれを配慮しつつ、今までなかった取り組みでございますので、これからいよいよ東京都のマンション施策が、この実態がわかるわけでございますので、そこに向けてのさまざまな施策を、都と一体となって私も頑張って実現してまいりたい、このようにお誓い申し上げます。
 そして、本日は触れることができませんでしたけれども、都民からは耐震化を促すべきとの声が多いものに、社会福祉施設や劇場、百貨店、ホテルなどの不特定多数の人が集まる民間建築物がございます。こういった耐震化の推進も重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○泉谷委員長 ほかに質問ございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 なければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○泉谷委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十八分散会

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