都市整備委員会速記録第七号

平成二十三年六月十五日(水曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長いのつめまさみ君
副委員長関口 太一君
副委員長高橋 信博君
理事淺野 克彦君
理事神林  茂君
理事吉倉 正美君
加藤 雅之君
遠藤  守君
佐藤 由美君
大島よしえ君
滝沢 景一君
遠藤  衛君
大塚たかあき君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務河島  均君
次長中西  充君
技監升 貴三男君
理事松井多美雄君
理事都市づくり政策部長事務取扱安井 順一君
総務部長石野 利幸君
住宅政策推進部長鈴木 尚志君
都市基盤部長藤井 寛行君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長砂川 俊雄君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
企画担当部長邊見 隆士君
連絡調整担当部長田崎 輝夫君
特命担当部長須藤  栄君
景観・プロジェクト担当部長石川  進君
住宅政策担当部長香山  幹君
民間住宅施策推進担当部長高田  茂君
航空政策担当部長山下 幸俊君
外かく環状道路担当部長野崎 誠貴君
民間開発担当部長藤塚  仁君
多摩ニュータウン事業担当部長五十嵐 誠君
耐震化推進担当部長町田 修二君
耐震施策担当部長小野 幹雄君
経営改革担当部長笹沼 正一君
再編利活用推進担当部長上野 雄一君
建設推進担当部長荒川 達夫君
営繕担当部長永島 恵子君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 都市整備局所管分
・平成二十三年度東京都都営住宅等事業会計補正予算(第一号)
陳情の審査
・二三第一号 西武鉄道新宿線(中井駅から野方駅間)連続立体交差化計画に関する陳情
報告事項
・東日本大震災の発生に伴う都市整備局の被災地・避難者への支援状況について(説明)
・平成二十二年度東京都一般会計予算の繰越しについて(説明・質疑)
・平成二十二年度東京都都営住宅等事業会計予算の繰越しについて(説明・質疑)
・平成二十二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算の繰越しについて(説明・質疑)
・平成二十二年度東京都都市再開発事業会計予算の繰越しについて(説明・質疑)
・「豊洲土地区画整理事業における建設発生土の受入れ基準等検討委員会」からの提言等について(質疑)

○いのつめ委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 次に、過日の委員会において紹介できませんでした幹部職員について、河島東京都技監から紹介があります。

○河島東京都技監 過日の委員会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介いたします。
 再編利活用推進担当部長の上野雄一でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○いのつめ委員長 紹介は終わりました。

○いのつめ委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、陳情の審査並びに報告事項の聴取及び質疑を行います。
 なお、本日は、提出予定案件及び報告事項、東日本大震災の発生に伴う都市整備局の被災地・避難者への支援状況についてにつきましては、説明を聴取し資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思います。また、予算の繰り越しに関する報告につきましては、説明を聴取した後、質疑終了まで行いたいと思いますので、ご了承願います。
 それでは、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○河島東京都技監 本日は、平成二十三年第二回東京都議会定例会に提出予定しております都市整備局関係の案件をご説明申し上げます。
 提出予定案件は、予算案が一件でございまして、お手元の資料1、平成二十三年度補正予算説明書に基づいてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。平成二十三年度都市整備局補正予算総括表でございます。
 この補正予算案は、今回の大震災を踏まえ、東京緊急対策二〇一一に基づき、東京を高度な防災都市へと生まれ変わらせるため、首都東京に存在する防災上脆弱な部分への対策を加速させるとともに、都内への避難者に対する応急支援に取り組むための予算を計上するものでございます。
 この考え方のもと、地震に強いまちづくりを一層推進するとともに、都内避難者への当面の生活基盤を提供するため、一般会計におきまして十億七千八百万余円、特別会計では、都営住宅等事業会計におきまして一億五千万円、合計十二億二千八百万余円を計上してございます。
 次に、三ページをお開き願います。一般会計の平成二十三年度都市整備局補正予算総括表でございます。
 一般会計分の補正予算額十億七千八百万余円についての歳入予算及び歳出予算の科目別内訳並びに歳出から歳入を差し引いた一般財源充当額を記載してございます。
 四ページをお開き願います。都営住宅等事業会計の総括表でございます。
 都営住宅等事業会計分の補正予算額一億五千万円についての歳入予算及び歳出予算の科目別内訳を記載してございます。
 引き続き、事業の内容につきまして、総務部長よりご説明をいたします。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○石野総務部長 平成二十三年度補正予算案につきまして、お手元の資料1、平成二十三年度補正予算説明書によりご説明申し上げます。
 ただいま都技監から総括的なご説明をいたしましたので、私からは事業の概要についてご説明申し上げます。
 まず、一般会計から説明させていただきます。
 七ページ、歳出予算補正概要をお開き願いたいと思います。第一項、都市整備管理費でございます。
 補正予算額は表の上段、歳出計の欄の中ほど、補正予算額の欄に示してございますが、一千五百万円でございます。このうち第一目、管理費の補正予算額は、その下段に記載してございまして、一千万円でございます。
 対象事業は、右側概要欄に記載しておりますが、都市計画地理情報システムを活用して、事前に災害対策に必要な情報を入力することにより、迅速な復興、復旧に不可欠なデータマップを作成、公表するものでございます。
 八ページをお開き願いたいと思います。第二目、企画調査費でございますが、補正予算額は五百万円でございます。
 これは、都市開発諸制度による開発等にあわせて、避難所や避難路の確保及び防災関連施設の充実を図るための誘導方策を検討するものでございます。
 九ページをお開き願います。第二項、都市基盤整備費でございます。
 補正予算額は一億八千九百万余円でございます。このうち第二目、都市基盤調査費でございますが、補正予算額は二千五百万円でございます。
 概要欄の1は、震災時に求められる道路機能や使われ方を想定し、防災性に寄与する道路整備のあり方を検討するものでございます。このほか、トラックターミナルの防災機能強化に関する調査や鉄道施設の耐震化状況の調査に係る経費を計上してございます。
 一〇ページをお開き願います。第三目、都市基盤施設等助成費でございますが、補正予算額は一億六千四百万余円でございます。
 これは、今回の震災で損傷した首都高速道路荒川湾岸橋の本復旧工事を行うものでございます。
 一一ページをお開き願います。第三項、市街地整備費でございます。
 補正予算額は七千万円でございます。このうち第一目、管理費の補正予算額は四千万円でございます。
 概要欄の1は、木造住宅密集地域の整備促進等に向けた都民への意識啓発を図るための経費を計上してございます。また、概要欄の2は、都心においてオープンスペースを確保して防災性を向上させるなど、高度防災都市づくりに向けた市街地整備の促進策について検討するものでございます。
 一二ページをお開き願います。第二目、都市防災施設整備事業費でございますが、補正予算額は三千万円でございます。
 これは、木造住宅密集地域の整備促進に向け、まちづくりや税制などの施策を組み合わせた効果的な手法により、地区を指定してモデル事業を行うなど、新たな実効性ある整備促進策を検討するものでございます。
 一三ページをお開き願います。第四項、建築行政費、第二目、建築指導費でございます。
 補正予算額は四千六百万円でございます。
 概要欄の1は、民間建築物における液状化対策として、学識経験者を含む検討委員会を設置し、課題や対応策を検討するとともに、対策の必要性や事例などの普及啓発を行うものでございます。また、概要欄の4でございますが、これは特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断義務化に先立ち、木造住宅耐震診断事務所登録制度を非木造建築物にも導入し、技術者の育成や都民への情報提供を推進するためのものでございます。このほか、超高層建築物等に対する長周期地震動対策に係る経費などを計上してございます。
 一四ページをお開き願います。第五項、住宅費でございますが、補正予算額は七億五千八百万余円でございます。このうち第一目、管理費でございますが、補正予算額は五億九千六百万余円でございます。
 概要欄の1は、都内に避難してきた被災者に対して、都営住宅などの当面の生活基盤の提供に要する経費について計上するものでございますす。
 一五ページをお開き願います。第四目、民間住宅対策費でございますが、補正予算額は一億六千百万余円でございます。
 これは、マンションの耐震化を促進するため、都内マンションの実態を把握するとともに、学識経験者等からなる専門家会議を設置し、新たな実効性ある方策を検討していくためのものでございます。
 次に、都営住宅等事業会計についてご説明申し上げます。
 一八ページをお開き願います。第一項、都営住宅等事業費、第二目、住宅管理費でございます。
 補正予算額は一億五千万円でございます。
 これは、都営住宅のエレベーターにおいて、地震に伴う停電時の閉じ込め対策として停電時自動着床装置を設置するものでございます。
 以上で平成二十三年度補正予算案の説明を終わらせていただきます。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○大島委員 資料要求をします。
 まず最初に、次に挙げるものの年度ごとの耐震診断と改修の件数、事業予算、執行額、執行率について、平成二十年度から二十二年度の三年分お願いしたいと思います。
 一つは木造住宅、そして二つ目がマンション、三つ目が緊急輸送道路沿道建築物、四つ目は都営住宅、五つ目は公社一般賃貸住宅、そして耐震シェルターの助成についてもお願いいたします。
 次に、東日本大震災発生時における都営住宅の被害件数と主な被害内容、都営住宅のエレベーター停止件数、都営住宅のエレベーター設置数と地震対策率。
 三つ目は、直近の戸建て住宅、共同住宅の木造、非木造ごとの耐震化率、都営住宅、都住宅供給公社の耐震化率。
 四つ目は、都内における高さ六十メートルを超える建築物の種別ごと、業務棟とか住宅棟その他の棟数と一九九九年度以降の増加棟数。
 五つ目は、平成二十年度から二十二年度の落下物安全対策として、はめ殺し窓ガラス、外壁タイルの改善指導による実績。
 以上です。

○いのつめ委員長 ほかにありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 ただいま大島委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認めます。
 理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○いのつめ委員長 次に、陳情の審査を行います。
 二三第一号、西武鉄道新宿線(中井駅から野方駅間)連続立体交差化計画に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○藤井都市基盤部長 それでは、お手元に配布してございます資料2、請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと思います。
 恐れ入りますが一ページをお開きください。整理番号1、陳情二三第一号、西武鉄道新宿線(中井駅から野方駅間)連続立体交差化計画に関する陳情についてご説明を申し上げます。
 本陳情は、中野区の木村和子さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は三点ございまして、一点目は、西武鉄道新宿線の中井駅から野方駅間連続立体交差化計画に当たり、沼袋南側の住宅地区及び商業地区について、まず先に駅構内に接近した場所の水循環や地下水の観察を含めた地盤の強度についてのボーリング調査を行うこと、二点目は、駅構内の設計を地震に強く、安全で魅力的な設計へ再検討すること、三点目は、都市計画決定の前に工事説明を行うこと、以上の三点を実現することでございます。
 恐れ入ります。三ページ上段の図面をごらんください。現在の状況でございますが、西武鉄道新宿線連続立体交差化計画は、中井駅から野方駅までの約二・四キロメートルを地下方式で連続立体交差化することにより、七カ所の踏切を除却し交通渋滞や地域分断の解消を図るものでございます。
 この計画につきましては、平成二十二年二月に都市計画素案の説明会、十月に都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を開催するなど、早期事業化に向け、都市計画および環境影響評価の手続を進めてまいりました。
 現在、環境影響評価書を作成中でございまして、作成後に知事に提出するとともに、本年七月に開催される第百九十三回都市計画審議会に都市計画変更案を付議する予定でございます。
 恐れ入ります。三ページ下段の図面をごらんください。ボーリング調査につきましては、環境影響評価書案の作成に当たり、東京都環境影響評価技術指針に基づき、将来の鉄道構造物の構造や既存の調査より得られた地質状況等を踏まえ、事業区間周辺において調査地点を十二カ所選定し、平成二十年に地下水位や地質の状況の調査を行いました。このうち、沼袋駅南側周辺におきましては、同駅南西の平和の森公園内等五カ所におきまして調査を実施しております。
 この調査をもとに予測、評価を行い、環境影響評価書案におきまして、工事の実施に伴う地盤の変形はほとんど生じないとともに、地下水の水位及び流れへの影響は小さいと評価しております。
 恐れ入ります。二ページにお戻りください。このように、沼袋駅南側周辺では、現段階におきまして必要なボーリング調査を既に実施し、地盤及び地下水について十分に把握した上で予測、評価を行っております。
 工事の実施に伴う地盤への影響につきましては、環境影響評価書案におきまして、地盤変形を抑えるため、剛性及び止水性の高い土どめ壁を用いて適切な深さまで施工し、必要に応じて掘削底面の地盤改良を行うなど、適切な対策を講じるとともに、入念な施工管理を行うことから、地盤の変形は生じないと評価しております。
 続きまして、鉄道構造物等の設計につきましては、国土交通省の鉄道に関する技術上の基準を定める省令に基づき定められた技術基準に沿って、適切に実施されるため、安全上の問題はございません。
 工事内容につきましては、施工方法や工事の実施に伴う環境への影響などを、環境影響評価書案に記載し縦覧に供しております。また、平成二十二年十月に開催いたしました都市計画案及び環境影響評価書案の説明会におきまして、スライドやパンフレットなどを用いて、工事説明及び質疑応答を行いました。その後も、電話や窓口での問い合わせに対し適宜対応するなど、現時点で必要な説明は既に行っております。
 なお、都市計画決定後、具体的な設計に基づく工事計画を取りまとめ、地元住民の方々に説明してまいります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○神林委員 今、藤井部長の方から現在の状況につきましてご説明あったところでございますけれども、確認という意味で何点か伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 西武新宿線の中井駅から野方駅までの区間は、バス通りである中野通りや沼袋駅前の商店街通りを初め、遮断時間が長い踏切が多く、慢性的な交通渋滞や地域の分断といった課題が生じております。このため、連続交差事業の早期実現を願う請願が地元の中野区議会に平成二十二年十一月に提出され十二月に採択されるなど、連続立体交差事業の促進について地元の強い要望がございます。
 これは私ども大田区でも、京急蒲田で連続立体交差事業があるわけでございますが、こうした地元の声にこたえるためには、現在進められている都市計画及び環境影響評価の手続を速やかに行い、早期事業化を図ることが大変重要なことでございます。
 そこで何点かお伺いするわけでございますが、陳情によれば、工事に伴う地盤の変動や地下水への影響が懸念されるとのことでございますが、この事業に伴う地盤及び地下水への影響についてどのような予測、評価を行っているのかまず伺います。

○藤井都市基盤部長 今回の環境影響評価書案の作成に当たりまして、平成二十年及び二十一年に、沼袋駅南側周辺の五カ所を含め合計十二カ所におきまして、ボーリング調査及び地下水位の観測を行い、地質及び地下水位の状況の把握を行いました。これをもとに、地盤及び地下水について、開削工事区間とシールド工事区間に分け、それぞれについて予測、評価を行っております。
 まず、地盤についてでございますけれども、地盤の変形を抑制するため、開削工事区間では、剛性及び止水性の高い土どめ壁を用い、シールド工事区間では密閉式機械化シールドを用います。加えて入念な施工管理を行うことから、いずれの区間におきましても、地盤の変形はほとんど生じないと予測しており、周辺の建築物などに提供を及ぼすことはないと評価してございます。
 次に、地下水についてでございますけれども、水位及び流れへの影響について予測、評価を行っております。
 地下水位につきましては、工事の施工中及び完了後の変動量を予測したところ、年間の水位変動の範囲内におさまります。地下水の流れにつきましては、線路方向とほぼ並行していることから、ほとんど変化しないと予測してございます。こうしたことから、地下水の水位及び流れへの影響は小さいものと評価してございます。

○神林委員 ただいまの答弁をお聞きしていますと、地盤と地下水について事業に伴う影響は特に生じない、こういうふうに確認をさせていただきました。
 次に、陳情によれば、沼袋駅付近が軟弱地盤であるとして、そこに開削工法で地下駅を設置することについて、地震などに耐えられる安全なものになるのか不安であるとしておりますが、地下駅の地震に対する安全性はどのように確保されているのかお伺いいたします。

○藤井都市基盤部長 地下駅の地震に対する安全性確保ですが、駅などの鉄道構造物の設計につきましては、国土交通省令に基づき定められた技術基準に従い行っていくこととなります。
 この技術基準によれば、耐震設計につきましては、平成七年の阪神・淡路大震災を受けて平成十一年に策定されました鉄道構造物等設計標準耐震設計によって行うこととされております。
 また、三月十一日の東日本大震災を受け、土木学会、地盤工学会、日本都市計画学会は、三月から四月にかけまして構造物等の被災状況の調査を行い、四月に中間報告を行っております。それによりますと、阪神・淡路大震災以降の基準により設計された鉄道構造物については被害がなく、東日本大震災でも基準の有効性が確認されたとしております。
 本計画におきましても、この基準を用いて適切に設計を行っていくことから、安全性は確保されるものと考えております。
 なお、今後、今回の地震を受け新たな基準等が定められた際には、適切に対応してまいります。

○神林委員 今の答弁の中にも、想定外といわれました東日本の大震災でも基準の有効性が確認された、こういうことでございますので、地下駅の安全性については十分に確保されたと判断させていただきます。
 最後に、陳情によれば、都市計画決定後の工事説明では、工事に対しての意見が反映されないとのことでございますが、陳情者を含めた住民に、計画、環境影響評価及び工事の内容に関する説明をどのように行い、住民の意見にどのように対応しているのか伺います。

○藤井都市基盤部長 住民の方々に対する説明や意見への対応ですが、計画案や施工方法、環境影響評価の内容につきましては、平成二十二年二月に開催いたしました都市計画素案の説明会や十月に開催いたしました都市計画案及び環境影響評価書案の説明会などにおきまして、説明及び質疑応答を行うとともに、電話や窓口などにおきましても、ご質問等のある方々と個別に対応を行っております。
 さらに、環境影響評価書案に対していただいたご意見につきましては、事業者の見解を示した環境影響評価書案に係る見解書を作成いたしまして、本年一月に公表し縦覧に供するなど、現時点で必要な説明などは既に行っているものと考えております。
 今後、都市計画決定後に用地測量等を行うとともに、詳細な設計や工事計画の作成を行うこととなります。これらの具体的な内容につきましては、逐次、改めて用地測量説明会や工事説明会等におきまして、地域の方々に対し丁寧に説明してまいります。

○神林委員 今、答弁がございましたとおり、丁寧にということは必要なことでございまして、調査や設計、住民への説明等は十分行われているということを、私どもでも判断させていただきました。私どもも、地元で、京急蒲田のところで連続立体交差を抱えておりますが、本当に周辺の方々、そして利用される方々、多くの方々が一日も早く事業が速やかに進むということを期待しているわけでございますので、ぜひそういう意味でも、一日も早く進むようにご尽力をいただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○大島委員 意見だけ表明させていただきます。
 まず、この陳情者は、踏切による道路交通渋滞の解消のための連続立体交差化に伴う調査や設計、工事等の説明に対して不安を感じての陳情だと理解します。今の局の説明では、現段階で必要なボーリング調査を既に実施し、地盤や地下水について十分把握した上で評価しているということですから、こうした内容を陳情者を含めた地域住民に丁寧に行い、意見を聞くことが必要と考えます。
 さらに、今回の東日本大震災を受けて、地震などへの備えは大丈夫かと不安になることも理解できます。都市計画決定後の工事説明会では住民は文句がいえないというような不安を払拭するためにも、また工事を住民の理解と納得を得てスムーズに実施するためにも、住民の疑問に答え必要な説明は丁寧に行っていくことが必要と考え、趣旨採択といたします。

○いのつめ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○いのつめ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二三第一号は不採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。

○いのつめ委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、東日本大震災の発生に伴う都市整備局の被災地・避難者への支援状況についての報告を聴取いたします。

○石野総務部長 東日本大震災の発生に伴う都市整備局の被災地・避難者への支援状況についてご説明いたします。
 お手元の資料3をごらんいただきたいと思います。まず、当局職員の派遣についてご説明いたします。
 三月十一日の東日本大震災発生に伴い、被災三県からの協力要請を受け、応急仮設住宅の建設に伴う建設候補地の調査や発注の支援、被災した宅地や建築物の二次災害防止のための危険度判定などの業務のため、三月十八日から職員を派遣してまいりました。さらに六月からは、道路、河川及び公共建築物の災害復旧支援のために、土木職員と建築職員を長期派遣しておりまして、本日六月十五日までに合わせて七十六人の職員を派遣しております。
 このほか、被災県における避難所運営等の支援や味の素スタジアム等におけます都内避難施設での運営補助業務も行ってまいりました。また、旧グランドプリンスホテル赤坂における相談等業務につきましても、当局職員が二十四時間体制で従事しております。
 今後も被災地からの協力要請に対し、関係局等と連携しながら的確に対応してまいります。
 次に、避難者の受け入れについてご説明申し上げます。
 当局におきましては、大震災により、都内で住宅に被害を受けられた方はもとより、被災地から都内に避難された方に対しまして、都営住宅等や旧グランドプリンスホテル赤坂を提供してまいりました。
 都営住宅等では、原則として、東北地方太平洋沖地震により居住継続が困難になった方や福島第一、第二原子力発電所の周辺において、国から避難指示等が出された地域から避難された方など、避難が長期化するおそれのある方を受け入れております。
 また、旧グランドプリンスホテル赤坂では、原則として、東日本大震災等により、都及び区市町村の一時避難施設を利用している方や国から避難指示等が出された地域以外で福島県から都内に避難している方など、避難が短期間で終了する可能性がある方を、六月三十日までの利用期限で受け入れております。
 これまでに合わせまして四千四百三十六人、一千五百十八世帯の受け入れを行っているところでございます。
 なお、資料3の二枚目に、A3判の別紙がございます。これまでの受け入れについての経過を記載してございますので、恐縮ですが後ほどごらんいただきたいと思います。
 今後も被災県の意向を踏まえまして、避難者の個別の事情についてもきめ細かく配慮しながら、関係局等と連携し都営住宅等を活用した受け入れを行ってまいります。
 説明は以上でございます。

○いのつめ委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○大島委員 二つほどお願いします。
 一つは、都及び区市町村における避難所収容人数とその後の住宅受け入れ状況について。
 二つ目は、都営住宅等の受け入れ実績について、受け入れ先の行政区、団地ごとの人数、世帯数、戸数などについて、戸数って室数ですね。お願いいたします。

○いのつめ委員長 ほかに。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 ただいま大島委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○いのつめ委員長 次に、予算の繰り越しについての報告を聴取いたします。

○石野総務部長 お手元の資料4、平成二十二年度繰越説明書によりましてご説明させていただきます。
 今回のご報告は、平成二十二年度予算の繰越明許費繰越、事故繰越及び建設改良費繰越につきまして、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び第百五十条第三項並びに地方公営企業法第二十六条第三項の規定によりまして、議会にご報告するものでございます。
 資料の一ページをお開き願います。初めに、番号1、平成二十二年度繰越明許費繰越総括表でございます。一般会計及び特別会計の各会計別に、予算現額、繰越明許費予算議決額、翌年度繰越額及びその財源内訳を記載してございます。
 合計欄をごらんください。予算現額の欄の右側の欄、繰越明許費予算議決額を記載してございますが、これが二百一億七千百万円であるのに対しまして、翌年度繰越額は七十七億二千五百五十八万円となってございます。財源といたしましては、財源内訳の欄に記載のとおり、国庫支出金、その他の特定財源及び繰越金等を充当してございます。
 次に、番号2、平成二十二年度事故繰越総括表でございます。一般会計につきまして、支出負担行為額、翌年度繰越額及びその財源を記載してございます。支出負担行為額二十二億八千百七十一万余円のうち、二億二千四百四十二万余円が翌年度繰越額となっております。財源は財源内訳の欄に記載のとおりでございます。
 次に、番号3、平成二十二年度建設改良費繰越総括表でございます。公営企業会計である都市再開発事業会計につきまして、予算計上額、支払義務発生額、翌年度繰越額、その財源である繰越資金及び不用額を記載してございます。予算計上額四百九十七億六千九百万円に対して、支払義務発生額が三百五十八億四千百十九万余円、翌年度繰越額は二十五億五千七百四万余円、不用額が百十三億七千七十五万余円となっております。
 二ページ以降は事業別の内訳となってございます。
 まず一般会計でございます。三ページをお開き願いたいと思います。番号1、地下高速鉄道建設助成でございます。表の右端の説明欄に記載のとおり、繰越理由は、地下鉄改良工事に伴う調整等に日時を要したことによるものでございます。
 番号2、臨海都市基盤関連街路整備でございます。繰越理由は、富士見橋上部工事等に伴う調整に日時を要したことによるものでございます。
 四ページをお開き願います。番号3、都市改造でございます。繰越理由は、街路整備工事に伴う関係機関との調整及び物件移転補償に伴う関係人の移転等に日時を要したことによるものでございます。
 番号4、住宅建設事業でございます。繰越理由は、都営住宅等事業会計における住宅建設事業の繰り越しに伴い、その財源として繰り越しをするものでございます。
 続きまして、五ページをお開き願いたいと思います。番号1、建設副産物再利用促進事業の事故繰越でございます。繰越理由でございますが、発注先工場の震災被害の影響により、工事の調整に日時を要したことによるものでございます。
 次に、都営住宅等事業会計でございます。
 七ページをお開き願います。番号1、住宅建設事業でございます。繰越理由は、住宅建設工事に伴う地元住民との調整等に日時を要したことによるものでございます。
 続きまして、臨海都市基盤整備事業会計でございます。
 九ページをお開き願います。番号1、臨海都市基盤整備でございます。繰越理由は、街路整備工事に伴う関係機関との調整に日時を要したこと等によるものでございます。
 最後になりますが、公営企業会計である都市再開発事業会計の建設改良費繰越についてご説明いたします。
 一一ページをお開き願います。番号1、市街地再開発事業でございます。繰越理由は、用地買収に伴う関係人との折衝及び街路整備工事に伴う関係機関との調整等に日時を要したことによるものでございます。
 以上をもちまして、平成二十二年度予算の繰り越しについてご報告を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○いのつめ委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○いのつめ委員長 次に、豊洲土地区画整理事業における建設発生土の受入れ基準等検討委員会からの提言等についての報告に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○淺野委員 私からは、この盛り土の件について何点か確認をさせていただきたいと思います。
 この検討委員会から出されていた提言の中には、実際にこの問題が発生したときに、十九万枚というものを整理して確認していただいたそういったものの資料について、適切に管理保管するということが出されておりますし、それをまた局としても受けてされるということになると思いますが、これについて具体的な基準などということについては、まだ公表されているわけではありません。
 この検討委員会によって実施された厳しい基準、つまり二千立米につき一回行いますよとかというのは、この中にも書いてありますけれども、一般的ないわゆる建設発生土の受け入れの基準から見ると非常に厳しいものとなっている。それは、ここが新市場予定地であるからこそ、そういったことに配慮して厳しい基準で見ていくんだということが、この提言の中にも書いているわけであります。
 一方、先ほど申し上げましたその資料について申し上げますと、東京都にはしっかりとした文書管理規程というものがありますけれども、この検討委員会の提言、こういった趣旨、先ほども申し上げました市場のことということに対して厳しくやりますよという趣旨にかんがみますと、今回のこの盛り土に関して、文書の扱いについても、都の文書管理規程ではなくて別途基準を設けてもいいのではないかなと私は思うわけであります。
 具体的に申し上げますと、土壌汚染対策法が、対策工事から二年間モニタリングをして地下水等の汚染の状況を確認して、そこに問題がないということが確認した時点で、土対法によって対策が完了したということがいえるようになるわけでありますから、このときまで、つまり対策工事が完了した後二年間、文書を、過去の分も含めてですね、つまり、先日確認をしていただいた十九万枚の搬入整理券や計量証明書等の、そういった資料も含めて、その二年間の間はいつでも検証可能なようにすべての資料を保存、管理しておくべきだと私は考えるわけでありますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 検討委員会でございますけれども、新しい基準に基づいて盛り土工事を適正に行うために、土の受け入れに関連いたします業務の実施方法を見直すことが重要だと指摘いたしまして、業務の流れの明確化やチェック体制の整備などについて提言を行ってございます。
 都市整備局ではこの提言を受けまして、今後の受け入れ業務の実施に当たりまして、担当者が受け入れ基準を遵守し適切に運用するための業務の流れや受け入れ手続にかかわる役割分担、チェック事項を明確にすること、これらを旨といたします業務実施方針を定めております。
 今後は、この方針に従いまして、受け入れ開始までに、受け入れ基準の解説、あるいは受け入れ要領、事務処理マニュアルなどを策定いたしますとともに、業務実施体制を整備してまいります。
 ただいまお話にございました文書にかかわる基準につきましては、今後、過去の分も含めまして、資料の保存、管理方法を検討いたしまして、事務処理マニュアルの中に具体に定めてまいります。

○淺野委員 これからマニュアルの中に具体的に定めていただけるというお話でございますので、ぜひお願いしたいと思います。
 この問題が起こってから、さまざまな検証を行って報告がされた昨年の十二月の委員会、この当委員会に報告がされたわけですけども、その際も、報告までに多少時間がかかってしまったことに対して、資料が散乱していったというか散逸していて、それを集めて整理して、分析して検討するのに時間がかかったためというような話がございました。そういったところの反省に立ってみても、保存と管理をしっかりするということは非常に大切なことだと思いますので、搬入整理券というのは現場でやりとりされるものですから、なかなか管理も大変だとは思いますけれども、ぜひともしっかりと管理をしていただいて、保管をきちっと一定の期間、都の文書規程にかかわらずこの問題に関しては、別途基準を設ける覚悟でやっていただけるように要望したいと思います。
 さて、今回の新基準というのが定められまして、具体的には四十六項目という試験項目が決定したようであります。化学性状試験の検査は非常に厳しいものであるということは私もよくわかりますし、これを実施していこうという局の覚悟というか、そういったものについても非常に心強い、また頑張っていただきたいという思いがございます。
 一方、通常でしたら、これでもうすばらしいといっていいのかなという気もするんですけれども、昨今の状況を考えますと、今、昨日も知事の方が提言をしているようですけれども、放射性物質というものについても考えなければいけないのではないかと思います。
 放射性物質についてですけれども、今の現状を考えますと、国が明確な安全基準というものをなかなか策定できない。特に、きのうの知事の要望にもありましたとおり、福島県外において、あるいは学校、保育園ということでありましたけれども、それが出せていないということについて現場として混乱してしまう、あるいはなかなか困惑するという状況があることは仕方がないかなという思いはあります。ですが、我々は都民の安全を守るというのが使命でございますので、その立場で考えれば、国がどうこういうことを待つだけじゃなくて、都としてもさまざまなことを一応取り組んでおく必要があるだろうという気がいたします。
 とはいっても、都として独自の基準、要するにこの場合でいきますと、建設発生土の受け入れの可否を判定するための基準というのをつくるのは難しいだろうということは容易に想像できます。しかしながら、後日、何らかの放射性物質が例えば発見された、そういったときに、これはもともと発生した、つまり搬入元から出てきたものなのか、それとも、今現在受け入れた場所で発生しているものなのかということが全くわからなくなるということは、後日のことを考えますとちょっと心配になるんじゃないかなという気がいたします。
 ですから、こういう基準がなくても、また基準をつくることができなくても、放射性物質の存在についてはしっかりと確認した上で、余りにもちょっとこれは量が多いんじゃないかな、あるいは後々ちょっと不安になりそうだなという場合には、別にそれを無理に受け入れる必要はないわけですから、そういった対応がとれる、する必要があるのではないかと私は考えます。
 したがいまして、今後受け入れる土については、少なくとも放射性物質、あるかないかの計測だけでもやっておく必要があるんじゃないかと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 お話の放射性物質でございますけれども、放射性物質の取り扱いに関しまして、検討委員会では、提言を提出する際に次のような座長コメントを都に寄せてございます。具体的に申し上げますと、受け入れ基準は、都内の公共工事からの建設発生土を対象にしていることなどから、現段階では放射能の影響を考慮する必要はない、放射能の取り扱いは、今後の状況の推移を見て、この分野の専門家によって知見が明らかとなった段階で、必要があれば改めて検討すべき、このような座長コメントをいただいたところでございます。
 今お話ございました放射性物質の計測も含めまして、都市整備局といたしましては、国の動向なども踏まえまして、都全体として適切に対応すべきもの、このように考えてございます。

○淺野委員 私が申し上げているのは、放射能対策をしなさいとかということでもなくて、要は、はかっておく必要はあるんじゃないかなという気がするということなんですね。
 座長のコメントというのもわからなくもないんですが、実際問題、都内にある浄水場でさえ、実際に放射性物質というのを発見、計測されているわけでありますから、別に都内で出てくる土だから問題ないという話ではなくて、実際には受け入れには多分問題ないということは私も思いますけれども、後々のためにデータをとっておくという姿勢はあってもいいのではないかなと思いますので、ぜひそういったことも頭に入れながら、今後の受け入れの業務については、その部分を常に意識していただけるようにお願いしておきたいと思います。
 最後に一点お伺いしたいと思いますが、今回のこの盛り土に対する調査ということで、聞くところによりますと、新たに十億ほどの費用がかかっていくということも伺いました。といっても、これは安全を確認するためですから必要な経費ですし、私は別にそれをどうこういうつもりはございません。ただ、これを機会によりよい組織づくり、都全体としても、これを契機にもっといいものをつくっていくという姿勢が必要だと思います。
 この検討委員会が実際に提言にまとめていただいたこと、それから、それを受けて局として取り組んでいくんだということで公表されていることを確認しますと、実に厳しい基準であることのみならず、業務の流れについても非常に丁寧に、例えば搬入整理券も回収してないものまで、実際には余った分ということですね、余った分までしっかり回収して管理しますとか、都度都度、本庁と事務所においての連絡をとるとか、そういったことについてかなり事細かにやっておりますし、そこの対応については非常に評価できるものではないかなと私は思います。
 ですが、これは十二月の委員会の際も私申し上げましたけれども、人がつくっている組織ですから、完全というのはあり得ないというのが私の意識であります。
 基本的には、組織というものは完全でありたいというのが前提でありますけれども、ミスを全部なくすことは不可能ですし、私が伺った話の中で、日本のメディアとアメリカのメディア、特に新聞のメディアの違いについての話を一例として挙げますと、アメリカの新聞紙というのは非常に訂正記事が多い。物すごい数の訂正記事が載っている。新聞の一面を使うぐらい載っているという話がございました。それを見た日本の記者が、これでは信頼性がないではないかという話をしたら、アメリカのその新聞社の方はそれは違うと。自分たちはどんなに古いねたであっても、そこに間違いがあったとわかった時点で、その内容を分析し原因を追及し、そしてそれを読者にきちっと報告する、その姿勢を保っているからこそ、その報告をされてないことについては信頼性が担保できる。これこそが本当の信頼なのではないかという話がありました。別に日本のメディアがそれをしていないとはいいませんが、それに加えると、やはりどんなに古いことでも、間違いがわかった時点では必ず遡及して分析して、しかも対策まで載せるという姿勢は、学ぶべきところがあるなという気がいたします。
 翻ってみますと、日本の行政組織というのは非常に有能ですし、かなりミスがない。また、日本の社会情勢が、公務員あるいは行政というものに対して、税金を使っているんだからというその一点張りで、ミスさえ認めないような情勢があるというのは、私は非常に残念なことだと考えております。一番大切なことは、自分たちは恐らく不完全であろうということを認識した上で、でも完璧でありたいということを制度としてどうやっていくか、意識としてどう持っていくかということと思いますが、今回のこの検討委員会の提言を受けて、この盛り土の受け入れに対しての業務の流れについては、非常にそういった意味で、かなりミスが発見されやすい、あるいは起こりづらいように検討されたものだということがよくわかりましたけれども、では、ぜひともこの都市整備局全体として、行く行くは都庁全体としてそういう業務の流れというのをつくっていっていただきたいんですが、そういう組織をつくっていくことに対して、この盛り土を受けてどのように考えているかということについても伺いたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 ご答弁の前に、先ほどの答弁について訂正を一つさせていただきたいと思います。
 座長コメントをご紹介させていただいておりましたけども、現段階では放射能の影響を考慮する必要はないというふうにご紹介いたしましたけれども、正しくは、現段階では放射能の影響を考慮する状況にないということでございますので、このように訂正させていただきたいと思います。申しわけございませんでした。
 続きまして、ただいまのご質問に対する答弁でございます。
 検討委員会におきましては、受け入れ基準が守られていなかったその原因につきまして、局の調査チームが行いました調査結果を踏まえまして、一つといたしまして、受け入れ基準を守るために、仕事の流れと各主体の役割を明確化するとともに、確実なチェック体制の構築が必要、二つ目といたしまして、受け入れ基準を確実に守るための運用方法などを定めたマニュアル類の整備が必要、三つ目といたしまして、受け入れ基準やその運用方法が組織、職員に周知され、適正な盛り土工事が実施されるよう組織間コミュニケーションの強化が必要、このように課題を整理いたしまして、今後の受け入れ業務のあり方について提言が行われたわけでございます。
 これを受けまして都市整備局では、先ほどご答弁の中でもちょっと触れさせていただきましたけれども、業務実施方針を定めまして、これに従いまして、受け入れ基準の解説、受け入れ要領、事務処理マニュアルなどを策定いたしますとともに、本庁と事務所との業務運営会議を設置するなど、管理体制の強化や情報の共有化を図るとともに、受け入れ側と搬出側との連絡体制を構築いたしまして、不測の事態が生じた場合におきましても迅速な対応ができる体制を整えてまいります。
 さらに、建設発生土の受け入れ業務以外の分野におきましても、本庁と事務所、局内の連携を一層密にいたしまして、施策を立案し事業を執行する体制を整えていくとともに、必要な情報の的確な伝達、迅速な問題解決に向けまして、組織間コミュニケーションの一層の活性化に引き続き取り組んでまいります。

○淺野委員 今の業務の流れ、綿密に情報をとり合うということ、非常にありがたいというか、ぜひやっていただきたいことではございます。
 実は私から一つだけお願いをさせていただきたい。それは、この担当部だけではなくて、局全体、さまざまな部の方、特に人事考査の権限がある管理職の方々には非常にお願いをしたいことでございますが、今の制度、業務の流れというものを真に実効性のあるものにするためには、実は最も大切なことは、そこに情報を上げる人の意識がどう変わるかということだと思います。
 人間は評価される方がいいわけですから、評価されないことはなるべくしたくないというのが本音でしょうけども、ミスというよりも、よくヒヤリ・ハットという言葉がありますけれども、ミスになってはいないけれども、もしかすると危なかったかもしれないというような、ふだんの仕事とは違う流れになってしまいそうなことについては積極的に情報が上がっていく。それを実現するためには、それが上がってきたことをむしろ褒める。あるいはそれがもうむしろ当たり前であるという雰囲気を局全体としてつくっていく。それができるのは、そういう情報の受け手である管理職の方々だと思っておりますので、ぜひそういった意識を持って、今回の業務の流れが真に実効性のあるものとなりますように、皆様方の意識が統一されることをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○神林委員 この建設発生土の受け入れについては、幾多の経緯があったわけでございますが、これからこういう基準をしっかりと履行して業務を遂行すると。そういう意味では、まとめの総括的な質問になるのかもしれませんけれども、三点ばかり質問をさせていただきたいと思います。
 私は、平成二十二年十一月二十四日に、この都市整備委員会における建設発生土の受け入れに関する調査報告の質疑において、新市場の整備を進める上で、土壌汚染に対する都民の不安を解消することを第一に、基準の見直しに当たっては、工事の特性や現場の実態に即した具体的な対応の仕方や検査の実施方法が明示されていること、適正な盛り土工事を進める上で、受け入れ基準のあり方はもちろんのこと、その運用方法や事務処理マニュアルの整備もあわせてきちんと立て直して取り組むこと、こういうことを申し上げさせていただきました。
 そこでまず、今回の検討委員会において、受け入れ基準の見直しに当たっての基本的な姿勢についてまず伺います。

○遠藤市街地整備部長 検討委員会におきましては、豊洲地区におけます建設発生土の受け入れの検討に当たりまして、残土を捨てるという考え方ではなく、市場予定地の整備に必要な材料を確保する発想を持つことが、受け入れ側のみならず搬出元においても重要である、このような認識に立ちまして、建設発生土のリサイクルによる安全な盛り土の構築に向けた材料の確保、これを受け入れ基準の見直しに当たっての基本姿勢として掲げてございます。
 その上で、基本的な考え方といたしまして、次の三点を考えてございます。
 一点目でございます。土の安全性確保を重点に据えるということでございます。具体的には、新市場予定地であることを考慮した試験項目、試験頻度を設定することや、原則として公共工事からの建設発生土のみを受け入れ対象とし、土地利用履歴調査の結果をもとに、土の安全性を事前確認することでございます。
 二点目といたしまして、多種多様な工事の実態に対応した合理的な基準とすることでございます。具体的には、道路やシールドトンネルなど多種多様な工事の実態に対応できる合理的でだれもがわかりやすい基準とするということでございます。
 三点目でございます。試験の運用方法を明確にするということでございます。具体的には、人為的汚染や自然由来の汚染物質の分布状況を考慮いたしまして、土の安全を確保するために必要な試料の採取地点や分析方法などにつきまして具体的に定めるということでございます。
 検討委員会では、このような基本的考え方に基づきまして、化学性状試験の試験項目、試験頻度、試料採取地点などにつきまして、専門的見地から詳細な検討を行いまして、受け入れ基準のあり方について提言を行ったところでございます。

○神林委員 少しくどいいい方になっちゃうのかもしれませんけどね、今後の建設発生土の受け入れに当たっては、搬出側がこの受け入れ基準を遵守するとともに、受け入れ側においても業務の進め方を改善することが重要でございますので、よろしくお願いいたします。
 また、搬出側の発注者側や請負業者、受け入れ側の本庁や事務所、現場地区事務所と、さまざまな主体がかかわることになるわけでございますから、受け入れ基準をそれぞれが正しく理解してもらうとともに、しっかりと実行していただくことがこれは当然不可欠になりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、今回局は、業務実施方針を新たに策定いたしましたが、今後、この受け入れ基準を適切に運用するに当たり、どのように取り組んでいくのか、これについても伺います。

○遠藤市街地整備部長 都市整備局では、検討委員会からの提言を受けまして、今後の受け入れ業務に当たりまして、担当者が受け入れ基準を遵守し適切に運用するための受け入れ業務の流れや、受け入れ手続にかかわります役割分担、チェック事項を明確にすること、これを趣旨といたします業務実施方針を策定いたしました。
 この中で、受け入れ側と搬出元、それぞれの役割と責任の範囲を明確化いたしますとともに、受け入れ手続のうち重要な事項につきましては、文書により処理を行うことといたしまして、管理監督者が関与する仕組みを整備していくことを明らかにしてございます。
 今後は、この方針に従いまして、受け入れ業務の開始までに、受け入れ基準の解説、受け入れ要領、事務処理マニュアルを策定いたしますとともに、業務実施体制を整備してまいります。とりわけ、業務の実施体制の整備に関しましては、本庁と事務所との業務運営会議を設置するなど、管理体制の強化や情報の共有化に努めてまいります。また受け入れ側と搬出元との連絡体制を構築いたしまして、不測の事態が生じた場合にも迅速な対応を可能とするような体制を整えてまいります。
 このような取り組みを着実に進めまして、適正な盛り土工事の実施に努めてまいります。

○神林委員 当然のこととしまして、順番的にいえば、まず受け入れ基準が適切に運用されることにより土の安全性が確保でき、そして、豊洲新市場の整備に向けて大きく前進するということになるわけでございます。
 先日の都市整備委員会では、新市場の都市計画案が説明され、市場の工事も今年度着工に向けた準備が進められているという状況でございまして、我々としては、一日も早く着工に向けて進めていただきたいという強い希望がございます。
 質問としては最後になりますけれども、新市場の整備に密接に関係のある区画整理事業者の今後の取り組みについて伺います。

○遠藤市街地整備部長 豊洲土地区画整理事業は、豊洲・晴海開発整備計画の実現に向けまして、平成九年から土地区画整理事業による広域幹線道路などの基盤整備に着手してまいりました。平成十三年に築地市場が豊洲地区へ移転することになったことを受けまして計画が改定され、豊洲地区は、業務、商業、居住、市場などの各機能がバランスよく配置された複合市街地の形成を目指して土地利用を進めることとなりました。現在、この方針に従いまして、環状二号線などの広域幹線道路、公園などの都市基盤整備と宅地の整備を進めてきたところでございます。
 これまで市場の宅地につきましては、権利者に引き渡しを終えておりまして、権利者によりまして具体的な土地利用が開始されているところでございます。また、道路につきましても順次供用を開始してまいりました。
 今後整備する幹線道路は、広域的な道路ネットワークの一環をなすものであるとともに、とりわけ市場の流通機能を担う上で極めて重要な都市基盤であります。安全・安心の観点にも十分留意しながら整備を進めてまいります。
 また、今後予定している盛り土につきましても、関係者との調整を図りながら、今回改定した受け入れ基準に基づき、適切な実施に努めていく必要がございます。
 区画整理事業者といたしまして、都市整備局は、今後とも中央卸売市場など関係各局と十分連携を図りながら、新市場の実現に向けて最大限の支援、協力を行ってまいります。

○神林委員 今、最後の答弁でおっしゃっていただいたとおり、都市整備局としては、これまで以上に中央卸売市場と連携を密にしながら、豊洲新市場の完成に向けて一丸となって取り組んでもらうことをここでお願いしておきます。
 また、先ほど民主党さんの方からの質問の中に放射能の問題がございましたけれども、先ほどの答弁にもあったように、今回の提言を受ける際に、放射性の取り扱いは今後の状況の推移を見て、この分野の専門家によって知見が明らかになった段階で、必要があれば改めて検討すべきとのコメントがあったとのことでございました。そういう意味でも、都市整備局としても、国の動向などを踏まえながら、これは東京都全体にも及ぶことでございますので、都全体の方針の中で適切な対応を図るべきと意見を申し上げまして、私の質問を終わります。

○吉倉委員 私からも、今回の検討委員会の提言に関連して質問いたします。
 これまで我が党は、合理的で現場の実態に対応した受け入れ基準とするためには、外部の有識者の意見を踏まえながら、基準やその運用について検討を進めることが重要である、このように主張してまいりました。その意味から、三点ほど確認をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、改定した受け入れ基準では、受け入れる土の安全性をどのように確保するのか、具体的に伺いたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 改定した受け入れ基準におきましては、受け入れ対象工事を、原則として、土壌汚染対策法などの法令に基づきまして土地利用履歴調査を実施している公共工事とし、汚染物質が確認されていない土のみを受け入れることといたしております。
 その上で化学性状試験の実施を求めておりまして、試験項目につきましては、土壌汚染対策法とダイオキシン特別措置法に基づく項目を基本といたしまして、加えて、土の安全性を最大限確保する観点から、関連法令に基づく項目を網羅することといたしました。
 また、試験頻度につきましては、面積二千平方メートルごとに、かつ深さ一メートルごとに一回を基本といたしまして、ボーリング調査などによりまして事前に地層構成を把握している場合には、地層ごとに一回とすることもできるとしたものでございます。
 さらに、試料の採取方法につきまして、その範囲を代表する試料となるように、地表部では五地点から、それ以外では複数の地点から試料を採取し、混合して試験を行うということを定めてございます。
 このように、今回改定した受け入れ基準は、土地利用履歴調査と化学性状試験の二段階のチェックを施すことによりまして、土の安全性を確保する内容になってございます。

○吉倉委員 答弁いただきまして、土の安全性確保については十分に検討されているということを理解いたしましたが、改定された受け入れ基準の具体的な内容について確認をしたいというふうに思います。
 今回の提言では、試験頻度について、他の受け入れ機関の基準と比較して最も厳しい二千立方メートルごとを継承しつつ、搬出する土の安全性を偏りなく確認するため、平面と深さ方向の位置を基準に定め、面積二千平方メートルごと、かつ深さ一メートルごとに一回としております。この深さ方向については、地層構成等の状況を把握している場合には地層ごとでも可能としております。
 試験頻度の基準をこのように考えた理由について伺います。

○遠藤市街地整備部長 土壌に含まれます汚染のうち、人為的な汚染、これは地表面に多く見られるわけでございまして、深くなるにつれてその可能性は低くなるわけでございます。他方、自然由来の汚染は、人為的な改変がなされていない場合には、同一の地層の中では汚染物質が同じように分布する傾向にございます。
 このような知見をもとに、あらかじめボーリング調査によりまして掘削位置の地層の状況が把握できている場合には、深さ一メートルごとにかえまして、地層ごとに一回という基準としたわけでございます。
 地層が厚い場合には、具体的には例えば地層の厚さが五メートルあるといった場合には、土量一万立米に対して一回の試験というふうになるわけでございますけれども、試験の回数が極めて極端に少なくなるということになるわけでございます。こういった状況を踏まえまして、土の安全性を最大限確保する観点から、五千立米を一つの目安といたしまして追加の試験を実施するということも定めてございます。
 このような基準の考え方によりまして、土の安全性を最大限確保していこうというふうに考えてございます。

○吉倉委員 ただいま試験頻度の基準について答弁いただきましたけれども、一方で昨年の調査チームの報告においては、シールドトンネル工事からの受け入れに当たっては、工事の特殊性から、これまでの受け入れ基準二千立方メートルごとに一回を、受け入れ側と搬出元との協議により変更を認め、延長三百メートルごとに一回としたという事例があったというふうにされております。
 そこで、今回の受け入れ基準ではシールドトンネル工事のための基準を特に定めておりませんけれども、この点どのように考えるのか伺います。

○遠藤市街地整備部長 シールドトンネル工事におきましては、通常、あらかじめボーリング調査を行いまして、掘削する位置の地層の状況を把握してございます。面積当たりの試験頻度をトンネル投影面積の二千平方メートルごと、このように考えることで、二千平方メートルごと、かつ地層ごとに一回という基準を適用することが可能だというふうに考えてございます。
 例えば、外径が十メートルのトンネルの場合には、面積二千平方メートルあるトンネル外径の十メーターということで、延長二百メートルごとに、かつ地層ごとに一回の試験を実施する、こういうことになるわけでございます。
 このような試験頻度の考え方につきまして、搬出元となる工事業者などにヒアリングを行いましたところ、掘削しながら試料を採取して試験を行うことは難しいけれども、工事施工前にボーリング調査によって試料を採取して試験を行うことで対応は可能との回答を得たところでございます。
 このような経緯から、シールドトンネル工事につきましては、特別な項目を設けることなく基準を定めたものでございます。

○吉倉委員 先ほどの試験頻度に関する答弁、そして今のシールドトンネル工事に関する答弁で、現場状況に即した合理的な基準になっているということを確認いたしました。
 これまで我が党は、検討委員会の検討経過やその結果については、都民の前に公表し、きちんと説明すること、これがまた重要である、このように主張してまいりました。
 これまでの答弁では、検討委員会から提言を受け取った後に、資料等とあわせて公表するとしてきたわけであり、これについて事前に確認したところ、検討委員会で使用した資料や議事概要などをホームページ上にて公開されており、都民に対してしっかりと説明責任を果たしているということを確認することができました。改めて評価したい、このように考えております。
 今回改定された受け入れ基準を遵守し、盛り土工事が適正に実施されることにより、新市場の整備が着実に進むことをお願いして私からの質問を終わります。

○大島委員 都市整備局は、この豊洲の盛り土工事のために搬入した土は、実施したすべての化学性状試験の結果で受け入れ基準を下回った建設発生土を利用しているため、搬入した建設発生土は安全面で全く問題ないとしてまいりました。
 しかし実際、搬入盛り土の汚染がマスコミに取り上げられるようになり、その後、昨年の八月に調査チームを発足させて、十一月の本委員会に報告された局の調査チームの報告書でも、新市場予定地に搬入された土の安全性は確保されていると考えている、このように発表いたしました。そのときに、本当にその安全性が確保されていたのかということで質疑を行ったわけですが、それではなぜ盛り土から汚染が出たのかという質問には、わかりかねるというのがその回答でした。
 原因がわからないというのならば、これまで以上の安全性を確保する受け入れ基準の設定や受け入れ業務をより実効性の高いものにしていくということは当然のあり方だと考えます。
 ところが、この受入れ基準等検討委員会の議論を、ホームページ、これは要旨だけ入っているんですけど、議論の中身をホームページで見てみますと、すべての工事ですべての項目の試験をやる必要はないとか、都として必要な項目や基準値と基準の実効性確保を論点とする必要があるなどが論議の中心点でした。これでは専ら土壌搬出側の業者の視点からのものではないか、できる範囲での試験や実効性が担保できる程度の基準をつくればいい、こういう議論ではなかったかと思いましたが、いかがでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 検討委員会におきましては、豊洲地区における建設発生土の受け入れに当たりまして、残土を捨てるという発想、考え方ではなく、市場予定地の整備に必要な材料を確保する、このような発想を持つことが、受け入れ側のみならず搬出元においても重要である、このようにいたしまして、建設発生土のリサイクルによる安全な盛り土の構築に向けた材料の確保、これを基本姿勢として検討を進めてきたわけでございます。
 検討委員会は、建設リサイクル、建設業、環境、建設発生土受け入れ実務、これらの専門分野の有識者らによって構成されており、それぞれの立場から幅広い議論を経て、合理的な基準の検証がなされたもの、このように認識してございます。
 したがいまして、土壌搬出側の業者の視点からつくられたという批判は当たらない、このように考えてございます。

○大島委員 幅広い議論の末決まったことだというので、受け入れ側だけの議論ではないというお話だったんですが、受け入れ側の事業者といっても、過去のずさんな受け入れの結果についての反省もないし、また、二千立方メートルと市場側の調査基準百立方メートルとの食い違いをどう縮めるかなどの議論はありませんでした。
 試験頻度については、新市場予定地としての安全性を考えてといっておりましたが、二千平米で、かつ深さ一メートルに一回という基準といたしました。他の機関の基準と比較すると最も厳しい基準となっているというんですが、食の安全とか安心、こういったことを最も重視すべき市場とそれから港湾局などの基準を同じ土俵で比較すること自体がそぐわないと思います。これまでも二千立方メートルに一回の試験頻度で実施してきましたし、試験項目も、これまでの四十四項目から四十六項目にふえたといっても、硼素というのが加わっただけで、これまでの水銀とPCBを分けただけです。
 こうした市場予定地の汚染の調査というのは、十メートルメッシュ深さ一メートル、百立方メートルに一回行ってまいりました。今回の基準で安全性が守れるとしたその根拠をお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 港湾局、あるいはUCR建設資源広域利用センターでございますが、こういった土の受け入れを行っている機関は、それぞれが受け入れる土の安全性を確保するために基準を設けてございます。
 豊洲の今回の検討委員会におきましては、こうした他の受け入れ機関の基準も参考にしながら、市場用地という特殊性を踏まえつつ、多種多様な工事の実態に合った真に合理的な基準とすることなどに留意して検討を進めてきたわけでございます。その結果、土量二千立米に一回という厳しい考え方を継承しつつ、面積二千平米ごと、かつ深さ方向一メートルごとに一回の頻度で試験を実施するように提言を行ったものでございます。
 今お話がございました市場予定地におけます汚染の調査、これにつきましては、既に汚染の存在が明らかになっている土地について、その汚染の範囲を特定することを目的として、土壌汚染対策法に定める方法に従って実施されたものというふうに聞いておりまして、建設発生土の受け入れ基準の考え方とはそもそも調査の目的が異なるものでございます。

○大島委員 結局、この基準で安全性が守れるかとした根拠というのは、厳しい基準を設けたからだというんですけれども、でもやっぱり食品を扱う市場の予定地だということで、これは局の方でも細心な注意を払ってというようなこともいっておりますけれども、私たちも、常にも増して細心の注意を払って工事は進めるべき場所だというふうに思っております。
 そういう意味で今回新たな基準づくりを行ったというのは、とても考えられないです。これまでとさして変わらないような試験項目とか試験頻度で、食品を扱う市場の特殊性を考慮したということにはならないんではないでしょうか。掘削前のボーリング調査などで地下の地層の広がりとか、厚さ、それから地層の状況を把握することができるときには、深さ方向の試験頻度を一メートルごとではなくて地層ごとに一回とすることもできるというふうにしています。じゃあ、ここでいう地層の定義というのは一体どういうものなのでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 地層についてのお尋ねでございますけれども、地層とは、一般に河川、川の水によって運ばれた土が長い年月をかけまして堆積して層になったというものでございます。その土が粘土であれば粘土層、砂であれば砂層、れきであればれき層ということになるわけでございます。
 土壌に含まれる汚染のうち、人為的な汚染は地表面に多く見られまして、深くなるにつれまして汚染の可能性は低くなるわけでございます。他方、自然由来の汚染は、人為的な改変がなされていない場合には、同一の地層の中では、地層のどの位置でも汚染物質は同じように分布する傾向にあることが明らかとなってございます。
 検討委員会では、このような知見をもとにいたしまして、あらかじめボーリング調査などによりまして掘削位置の地層の状況が把握できている場合には、深さ方向一メートルごとに一回、これにかえて地層ごとに一回とすることができる、このような提言を行ったものでございます。

○大島委員 このやり方では、同じ地層の中では、一回の試験で汚染がなければその地層すべてで汚染がないと判断するというやり方です。地層の厚さにもよりますけれども、深さ一メートルごとに検査するということに比べれば試験頻度が少なくなってしまいます。
 さらに、その地層についての定義も何の規定もありません。提言では、一定量を超える土を搬入する際には、念のため追加の試験を実施するよう排出元に要請する必要がある、こういっております。また追加試験を実施する土の量の目安は、五千立米を適当としている。シールドトンネル工事等で土量が正確に把握できないときにも、五千立米を一つの目安として運用するというようになっています。これでは、搬入元の判断で追加の試験を実施するかどうかも、それから土量が正確に把握できないときでも、二千立米に一回ではなくて、五千立米に一回の試験になってしまうのではないでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 化学性状試験の実施頻度につきましては、面積二千平方メートルを単位といたしまして、地表から掘り下げていく工事では深さ方向一メートルごとに一回、また、シールドトンネル工事のように、あらかじめボーリング調査などによりまして、掘削位置の地層の状況が把握できている場合には、地層ごとに一回とする、このような提言をいただいているところでございます。
 例えば地層の厚さが五メーターである場合に、土量一万立米に対して一回の試験を行うと、地層ごとに一回ということで、地層の厚さが仮に五メーターであった場合には、土量一万立米に一回の試験を行う、このようになるわけでございまして、試験の頻度が極端に少なくなってまいります。このことから、土の安全性を確保するという観点から、五千立米を一つの目安といたしまして追加の試験を行うこと、これもあわせて提言をいただいております。これを適用することによりまして、都合一万立米に対して三回の試験を行うということになるわけでございます。
 なお、この五千立米という目安につきましては、建設資源広域利用センターの基準、土壌汚染対策法にかかわります環境省省令案を参考に提案されたものでございます。
 この追加試験の実施につきましては、今後、受け入れ業務を実際に実施する際に、受け入れ側から搬出元に対して指示をいたすことになりますので、搬出元の判断で独断で行われるという性格のものではございません。

○大島委員 その搬出元の判断で変わるものではない、搬出元の判断がかかわるものではないという点ではよいと思いますけれども、ただ、二千平米に、かつ深さ一メートルでやるということでいけば、五千立米を超えなければもう一回追加されないわけですよね。二回にならないんですね。普通で計算すると一メートルごとだったら、四千立米でも二回はできるということになると思うんです。その五千立米を目安に、それを超えるごとに追加の試験をするということは、結局その深さ約一メートルごとに行う頻度よりも少なくなるということについては変わりがないと思います。
 もう一つ、その土地の利用履歴調査で汚染状況の調査が必要になっている場合でも、試験頻度は二千立米に一回でよいとしているんです。この基準で安全性が確保されるとした理由について伺います。

○遠藤市街地整備部長 検討委員会は、法令に基づく土地利用履歴調査を実施し、汚染が検出されないことを確認した上で、面積二千平方メートルごと、かつ深さ一メートルごとに化学性状試験を実施し、すべての項目について安全性が確認された土のみを受け入れるよう提言を行ってございます。
 お話のように、土地利用履歴調査の結果から詳細調査が必要とされた土につきましては、その調査の結果、汚染が確認された場合には、汚染された部分の土を取り除くなどの措置を講じた上で、同様の化学性状試験を実施いたしまして、安全性が確認された土、これのみを受け入れることとなってまいります。
 このような考え方に立ちまして、土地利用履歴調査を活用することによりまして、土の安全性はより確保されるもの、このように考えてございます。

○大島委員 この提言の資料の一九ページのところに、一覧の表になって、土地利用履歴調査の結果から分類がされてまして、それぞれで私も見てみたんですけどね。結局その土地利用履歴調査の結果から、地表部で土壌調査の対象外とされた土地であっても、対象となった土地であっても、それから地歴上に工場や指定作業場が存在していた土地であっても、存在しなかった土地であっても、試験頻度はいずれも二千平米の深さ一メートル、これで一回でよいというふうになっているんです。
 こうした土壌汚染の可能性があるところでも同じような試験頻度でよいとしたのでは、食の安全・安心が最優先されるべき市場の土の安全性が確保されるとは、とてもいえないと思います。
 土壌汚染の問題でも、三月十一日に、先ほども質問ありましたけれども、福島の原子力発電所の事故が起きまして、大量の放射性物質による各地の土壌汚染が今問題になっています。
 今回のこの検討委員会のホームページを見させていただきましたけれども、最後の検討委員会、第四回の検討委員会が三月二十八日に開かれているんですね。当然この時期というのは、原発の事故の後、金町浄水場で放射性物質の沃素が基準を超えて検出されるということで、お子さん方の水の問題をめぐって、本当に都民の中には大きな不安が広がっていた、こうした時期に、実はこの第四回の検討委員会が開かれているんですね。
 この検討委員会では、放射性物質の混入をどう防ぐのかというような議論はされたのでしょうか。また、その放射性物質の混入基準については、なぜ今回示されていないのでしょうか。私たちは試験項目に放射性物質を入れるべきと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 検討委員会におきましては、今お話のございましたような、土壌に含まれる放射性物質の混入をどう防ぐか、このような議論は行われてございません。
 しかしながら、検討委員会、都に提言を提出するに当たりまして、三月十一日の東日本大震災を踏まえまして座長コメントをいただいております。受け入れ基準につきまして、受け入れ基準は、都内の公共工事からの建設発生土を対象にしていることなどから、現段階では放射能の影響を考慮する状況にない。放射能の取り扱いは、今後の状況の推移を見て、この分野の専門家によって知見が明らかとなった段階で、必要があれば改めて検討すべき、このような座長コメントをいただいてございます。
 放射性物質の取り扱いにつきまして、都市整備局といたしましては、国の動向などを踏まえ、都全体として適切に対応すべきものと考えてございます。

○大島委員 そうしますと、第四回の検討委員会ではなかったけれども、提言を提出するときの座長のコメントということですよね。提言というのはこれ四月になっているんですけど、いつ提出された……そのちょっと時期を教えていただきたいのと、それから、今都市整備局としての考えが示されましたけれども、それはこの座長コメントに対する見解というふうに受けとめてよろしいのでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 提言の提出がありましたのは四月二十二日でございます。
 先ほどの答弁で申し上げました放射性物質の取り扱いについてでございますが、座長コメントを踏まえた現段階としての局としての考えということでございます。

○大島委員 福島第一原子力発電所の事故はまだ収束に至っておりません。今後の状況も大変心配されています。都内の放射線量の調査もいろいろ行っておりますけれども、都の発表している値よりも高い測定値を示す地点もあります。また、セシウムなど半減期が三十年と長い放射性物質による影響も考えられています。下水場とか浄水場の汚泥には大量の放射性物質が含まれていたということも報道されておりますし、豊洲への搬入の時期は来年以降になる可能性もあることから、こうした土壌の搬入の防止策に取り組むことは欠かせないと思います。
 汚染の原因がわかりかねるという状況のもとでつくられる基準です。同じ過ちを繰り返さないためにも、食の安全・安心を求める都民、市場関係者の立場に立って、受け入れ基準の科学的検証など、公開で徹底した議論を通して決定すべきだと思います。特に、基準を守ることが困難となる建設工事については、搬入盛り土の対象外とすることを要望し質問を終わります。

○いのつめ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十六分散会

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