委員長 | いのつめまさみ君 |
副委員長 | 関口 太一君 |
副委員長 | 高橋 信博君 |
理事 | 淺野 克彦君 |
理事 | 神林 茂君 |
理事 | 吉倉 正美君 |
加藤 雅之君 | |
遠藤 守君 | |
佐藤 由美君 | |
大島よしえ君 | |
滝沢 景一君 | |
遠藤 衛君 | |
林田 武君 | |
大塚たかあき君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 東京都技監都市整備局長技監兼務 | 河島 均君 |
次長 | 中西 充君 | |
技監 | 升 貴三男君 | |
理事 | 松井多美雄君 | |
理事都市づくり政策部長事務取扱 | 安井 順一君 | |
総務部長 | 石野 利幸君 | |
住宅政策推進部長 | 鈴木 尚志君 | |
都市基盤部長 | 藤井 寛行君 | |
市街地整備部長 | 遠藤 正宏君 | |
市街地建築部長 | 中島 俊明君 | |
都営住宅経営部長 | 瀧本 裕之君 | |
企画担当部長航空政策担当部長兼務 | 邊見 隆士君 | |
連絡調整担当部長 | 田崎 輝夫君 | |
景観・プロジェクト担当部長 | 石川 進君 | |
住宅政策担当部長 | 香山 幹君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 山口 幹幸君 | |
外かく環状道路担当部長 | 野崎 誠貴君 | |
民間開発担当部長 | 藤塚 仁君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 五十嵐 誠君 | |
耐震化推進担当部長 | 町田 修二君 | |
耐震施策担当部長 | 小野 幹雄君 | |
経営改革担当部長 | 岡沢 裕君 | |
再編利活用推進担当部長 | 室木 眞則君 | |
建設推進担当部長 | 荒川 達夫君 | |
営繕担当部長 | 永島 恵子君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備局所管分
・第十一号議案 平成二十三年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十二号議案 平成二十三年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十三号議案 平成二十三年度東京都都市開発資金会計予算
・第十六号議案 平成二十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・第十七号議案 平成二十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十号議案 平成二十三年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第五十七号議案 東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例
○いのつめ委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員からお手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○いのつめ委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。
○いのつめ委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
平成二十三年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして、議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。朗読は省略いたします。
平成二十三年二月二十五日
東京都議会議長 和田 宗春
都市整備委員長 いのつめまさみ殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、二月二十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月三日(木)午後五時
(別紙1)
都市整備委員会
第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中
歳出 繰越明許費 債務負担行為 都市整備委員会負担分
第十一号議案 平成二十三年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二号議案 平成二十三年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三号議案 平成二十三年度東京都都市開発資金会計予算
第十六号議案 平成二十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十七号議案 平成二十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十号議案 平成二十三年度東京都都市再開発事業会計予算
(別紙2省略)
○いのつめ委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備委員会所管分、第十一号議案から第十三号議案まで、第十六号議案、第十七号議案、第二十号議案及び第五十七号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○石野総務部長 去る二月四日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布してございます都市整備委員会資料(二月八日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
平成二十三年度当初予算案関係の資料は、1の都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績から、13の分譲マンションアドバイザー派遣助成についての区市の実施状況まで十三件でございます。
それでは、まず一ページをお開き願いたいと思います。1の都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績でございます。
都営住宅、公社住宅の十年間の建設実績につきまして、建設戸数を都営住宅、公社住宅の別に記載してございます。
二ページをごらんください。2の都営住宅の管理戸数、空き家戸数(事業用・募集用)、募集停止戸数でございます。
都営住宅の管理戸数及びその空き家戸数を事業用、募集用の別に記載してございます。あわせて管理戸数の外数としまして、募集停止戸数を記載してございます。
三ページをお開き願います。三ページから四ページにかけまして、3の都営住宅の応募状況を記載してございます。
(1)では、世帯向けに実施した抽せん方式、(2)では、単身者向けに実施した抽せん方式、(3)では、ポイント方式による募集について、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
五ページをお開き願います。4の都営住宅型別供給のための基準設計における住戸規模の標準でございます。
平成五年度、十一年度、十五年度、二十年度における都営住宅型別供給の基準設計について、その住戸専用面積を各型別ごとに記載してございます。
六ページをごらんください。
5の都営住宅、公社住宅の耐震診断、耐震改修工事の実績でございます。
都営住宅、公社住宅の別に、耐震診断の実施戸数、耐震改修工事の着工戸数を記載してございます。
七ページをお開き願います。6の全国、東京都(区部・市部)及び大都市の民営借家の一カ月当たりの家賃・間代の比較でございます。
全国、一都三県及び全国大都市における民営借家の一カ月当たりの家賃、間代について記載してございます。
九ページをお開き願いたいと思います。九ページから一一ページにかけまして、7の都内区市町村が実施している家賃助成制度を記載してございます。
区市町村が独自に実施している民間賃貸住宅に対する家賃助成制度について、区市町村ごとに、制度名、助成対象を記載してございます。
一二ページをごらんください。8の都内の最低居住面積水準未満・誘導居住面積水準以上の世帯の割合でございます。
民間住宅、公社住宅の別に、最低居住面積水準未満の世帯の割合と誘導居住面積水準以上の世帯の割合を記載してございます。
一三ページをお開き願います。一三ページから一八ページにかけまして、9の都及び区市町が実施している耐震診断、耐震改修の助成一覧を記載してございます。
一三ページから一五ページには、都及び区市町が実施しています耐震診断の対象となる建築物、補助限度額、補助率をそれぞれ記載してございます。
また、一六ページから一八ページには、都及び各区市町が実施しております耐震改修の対象となる建築物、融資限度額または補助限度額、利子補給率または補助率をそれぞれ記載してございます。
一九ページをお開き願います。10の緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度の区市町村別実施状況でございます。
緊急輸送道路沿道建築物の耐震助成制度について、区市町村の実施状況を、耐震診断、補強設計、耐震改修、建てかえの別にそれぞれ記載してございます。
二〇ページをごらんください。11の東京都の耐震診断・耐震改修助成実績(緊急輸送道路沿道建築物)でございます。
平成二十年度及び二十一年度における緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断、耐震改修助成実績につきまして、耐震診断件数、補強設計件数、耐震改修件数を地方公共団体ごとに記載してございます。
二一ページをお開き願います。二一ページから二二ページにかけまして、12の東京都の耐震診断・耐震改修助成実績(緊急輸送道路沿道建築物以外の木造住宅及びマンション)を記載してございます。
(1)では、平成二十年度及び二十一年度における木造住宅の耐震診断、耐震改修助成実績について、耐震診断件数、補強設計件数、耐震改修件数を地方公共団体ごとに記載してございます。
(2)では、マンションの耐震診断、耐震改修助成実績を記載してございます。
最後になりますが、二三ページをお開き願います。13の分譲マンションアドバイザー派遣助成についての区市の実施状況でございます。
耐震アドバイザー派遣事業、分譲マンション管理アドバイザー制度、分譲マンション建てかえ・改修アドバイザー制度について、区市ごと補助の実施状況について記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○いのつめ委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○関口委員 私からは、まず中古住宅の流通に関してお尋ねしたいと思います。
平成十九年三月にまとめられた東京都住宅マスタープランにおいては、日本の中古住宅市場の活性化がうたわれております。諸外国と比べて、取り壊すまでの築年数平均は、日本では三十年であるのに対し、アメリカは四十四年、イギリスでは何と七十五年となり、いかに日本の住宅寿命が短いものであるかをあらわしております。
また、新規住宅着工戸数に対する中古住宅の取引割合は、日本が一三・一%であるのに対し、アメリカは七七・六%、イギリスは八八・八%と、日本においては、中古住宅市場というのがいかに成長しない、育っていない小さいものであるのかがこれでわかります。
こうした状況を受けて、東京都においては、平成十九年三月に策定したマスタープランにおいて、中古住宅流通支援を二〇〇三年の九%から、二〇一五年には二五%に拡大させるという大きな目標を掲げております。
東京都がこの中古住宅市場の拡大を目指したその目的及び現段階においての実績がどうなっているのかまずお尋ねいたします。
○山口民間住宅施策推進担当部長 現行の東京都住宅マスタープランにおきましては、良質な住宅ストックが社会全体で世代を超えて長く使われるよう、既存住宅の流通を促進することを目的といたしまして、中古住宅流通シェアを二〇〇三年の九%から二〇一五年に二五%とする目標を定めております。
現段階における中古住宅流通シェアは、直近の住宅・土地統計調査等によりますと、二〇〇八年時点で一一・一%となってございます。
○関口委員 現段階での中古住宅の流通シェアが一一・一%であるとのことです。目標の二五%にはほど遠い状況でありますが、これまで目標達成のために東京都が取り組んできたことは、具体的に何であるのかお尋ねします。
○山口民間住宅施策推進担当部長 都は、これまで不動産流通団体や住宅検査機関等で構成される中古住宅流通促進連絡会を設置いたしまして、取引に当たり確認すべき事項等を取りまとめた安心して住宅を売買するためのガイドブックを戸建て住宅及び分譲マンションについてそれぞれ作成いたしまして、安心して既存住宅を売買できるよう、都民や関係事業者等に対しまして普及啓発に取り組んでまいりました。
また、既存住宅を円滑に流通させるためには、特に新築時の生産履歴とその後の修繕履歴を加えた住宅履歴、住宅の状態や性能を確認するための住宅検査などの普及が重要であることから、ただいまご説明いたしました都のガイドブックに加えまして、国制度の情報提供や住宅履歴に関する国の検討委員会が作成いたしましたパンフレット等も活用し普及啓発に取り組んできたところでございます。
○関口委員 これまで東京都が取り組んできたこととして、国が進める施策の普及啓発あるいは東京都独自の取り組みの双方があるということですが、この間の結果が一一・一%にとどまっているということを勘案すれば、これまでの取り組み方を促進することや、あるいはこれまでの取り組みの改善が必要であるのはいうまでもないところです。
東京都として、二〇一五年、二五%という大きな目標達成に向けて、これまでの取り組みにどういう改善を行うつもりなのかお尋ねいたします。
○山口民間住宅施策推進担当部長 先ほどお答えいたしましたように、これまでガイドブックなどによりまして、都民や関係事業者等に対しまして普及啓発を行ってまいりましたが、既存住宅についての意識を変えていくには時間を要することから、都としても、引き続き一層の取り組みが必要と考えております。
ガイドブックにつきましては、区市町村や不動産流通団体への配布や都民情報ルームでの販売のほか、ホームページで情報提供を図るとともに、都が主催するセミナー等を通じまして、普及啓発を図ってまいりました。
今後とも関係団体等の協力も得ながら、住宅生産事業者の講習会などさまざまな機会をとらえまして、また国や市場の動向等に関する情報提供もあわせて行うなど、普及啓発に積極的に取り組んでまいります。
○関口委員 これまで取り組んできた普及啓発を積極的に取り組むというところでありますが、そのこれまで取り組んできた住宅履歴の備えだったり、住宅検査の実施について現状それぞれどれぐらいこのマーケットで活用されているのかを調べてみますと、ある調査においては、住宅履歴の備えについては、詳細設計図の保有がわずか一二%であり、また住宅検査についても、不動産会社が行う無料の検査サービスも含めても、実施率はわずか一七・六%であるなど、都民に活用されているとはいいがたい状況にあります。
活用実績が低いということはどこに課題があって、それをどう改善したらいいのかを考えていく必要がありますが、他方、中古住宅市場が活性化している他国がどういう状況であるのかを比較、検証していくということも極めて大事なことであると考えます。
そこで、アメリカやイギリスでは、活発な中古住宅市場が存在しておりますが、なぜアメリカ、イギリスでそれが存在し、東京では今の現段階では存在できないのか、その理由について東京都はどう分析しているのかお尋ねします。
○香山住宅政策担当部長 各国の既存住宅流通市場が活発であるかどうかということにつきましてですが、国民の価値観あるいは商習慣の違いなど、さまざまな要因が考えられますので、一概にその原因を特定することは困難であると考えております。
しかしながら、例えば、アメリカやイギリスにおきましては、既存住宅の売買におきまして、第三者による住宅検査の仕組みが発達し、住宅の性能や品質に関する情報が豊富に入手することが可能で、また契約における法律専門家の介在も一般的に行われるなど、既存住宅流通市場が成熟しており、消費者が安心して既存住宅を売買できる市場環境が整備されております。
これに対しまして、我が国では、既存住宅売買に関するほとんどの業務を不動産仲介業者が担うことが一般的でございまして、既存住宅に対する検査等も十分に普及しておらず、消費者が安心して既存住宅を購入できる市場環境が整っていないことも原因の一つであると考えてございます。
○関口委員 日本において普及あるいは市場の活性化ができていない一つの要因として、商習慣であったり、歴史観であったり、あるいは検査制度の普及が全然至っていないとか、いろいろと理由があろうかと思います。
例えば中古車、中古の車を買うに当たっては、皆さん方もそうだと思いますけれども、公的ないわゆる検査というものがあった上で買っているというところを勘案すれば、一つ検査というものを担保にして、消費者は安心しているという面があり、国も住宅市場活性化のために検査機関を公的に認定して、そこを普及させようとして、東京都もそこに乗っかって、普及活動に取り組んでいるわけでありますが、残念ながら日本ではまだ全然進んでいないと。
今のご答弁でも、日本においては、法的な検査機関じゃなくて、ベテランの不動産業者の経験値から、その当該住宅の市場価値を決めているものが多いということもございました。
ベテランの方の目ききを経験値から判断されたことを、なかなかその住宅って車に比べても金額が高いですから、安心してなかなか買えないというところの一つの要因になっていると思います。
日本特有の商習慣等々があるかと思いますが、日本にとってどういう制度がふさわしいのか、この二〇一五年の二五%の目標に向かって積極果敢に取り組んでいただきたいと切に願うわけでありますが、これまでのガイドブック等々の普及啓発という取り組みにこだわることなく、政策の中身を大胆に変えていくことも必要かなと。
この二五%を達成するためには、そうした大胆な取り組みも必要かなと私は考えておりまして、例えば中古住宅を購入した際の、あるいはその後の固定資産税のあり方とか税制面の課題であるとか、大胆な展開を期待しているところでありますが、それは取りも直さず、二五%という大きな目標を達成するということを考えた際に、これまで延長線上では、到底達成できないなと私は考えておりますから、新たな大胆な展開というものを期待するわけでありますが、都の見解をお尋ねします。
○香山住宅政策担当部長 地球環境問題が深刻化する中で、住宅が量的に充足し、人口の減少を目前に控えた東京におきましては、短期間で住宅をスクラップ・アンド・ビルドするのではなく、社会全体で、長期にわたって住み継いでいくことが求められております。このために、良質な既存住宅の流通促進はますます重要な課題であると認識してございます。
このため、これまでご答弁いたしましたように、都はこれまでも既存住宅の取引における安心確保に向けたガイドブックの作成など、必要な取り組みを進めてまいったところでございます。
現在、住宅政策審議会におきまして、既存住宅流通のあり方を含めた今後の住宅政策につきまして、ご審議をいただいているところでございまして、今後、このご審議の結果を踏まえながら、既存住宅流通の活性化に向けた取り組みをさらに進めてまいります。
○関口委員 今回、私のこの質疑においては、住宅マスタープランというものを見ながら、そこに記された事項を洗いながら、質疑に臨んでいるわけでありますが、具体的な目標値の設定を今回たくさんされている。今の二五%の目標もそうです。
ただ、その目標値の設定については、どういう積み上げで二五%を出すのかというところを含めて、その設定のあり方については疑問をぬぐい切れない。特にこの今私が質疑している二〇一五年までに二五%を達成するということは、現段階では極めて厳しいといわざるを得ません。
もちろん具体的な目標値を立てることは、野心的ですばらしいことであるとは考えますが、一方、その数値の裏づけとなるもの、存在しているものとそうじゃないものとしっかりと区分けしていく必要があろうかと思います。
特にこのマスタープランにおいては、これは都民にも公開されているわけでありますから、都民がそれを見て、数字を見て、その一面で出た数字だけで都民は判断するわけでありますから、数値化していくもの、そうじゃないものというのをこの五年の更新、改定に当たっては、区分け、目標値の設定のあり方というものをする必要があろうかと思いますが、都の見解をお尋ねします。
○香山住宅政策担当部長 現行の住宅マスタープランでございますが、目標の達成状況を定量的に測定し施策の効果を検証して、わかりやすく都民に示していくため、政策指標を設定しているものでございます。
また、現行のマスタープランにおきましては、その見直しに際しまして、指標のさらなる充実を図ることを予定してございます。今後、次期住宅マスタープランの改定に向けまして、現在ご審議いただいている住宅政策審議会での議論を踏まえ、社会情勢の変化に対応した目標設定のあり方を検討してまいります。
○関口委員 住宅政策審議会が今行われて、そこでいろいろといろんな角度から議論がされているとも聞いております。その政策審議会の答申を受けて、局として目標設定のあり方は当然議論を進めていただきたいと思うと同時に、この中古住宅市場流通の大きな目的は、私自身が考えるのは、中古住宅の資産価値が担保されて、それが向上していくということは、結果として都民の資産の向上につながっていくわけであります。
行政の一つの役割として、都民の資産を守る、財産を守る、財産、資産をふやしていく、そういう役割も私は担っている、行政という組織は担っているものと理解しております。
中古住宅においては、住んで十五年、二十年たてば、資産価値がほとんどなくなるといった状況で、資産価値がないものにいわゆるその金利分のお金を、融資の返済をしているというような状況だともいえないわけじゃなくて、この中古住宅流通市場というのは、経済の活性化にも大いに役立ちますし、都民の資産を向上するという意味では、大きな政策だと思います。極めて難しいとは思うところでありますが、私自身も今後もこの何かいいアイデアとか、いい政策提言をしていきたいと思っております。ともに局の皆さん方と奮闘してまいりたいと思います。引き続きのさらなる努力をお願い申し上げます。
次に信託物件についてに入りたいと思います。
都市整備局の信託物件として、平成八年度に開業した勝どきサンスクエアでありますが、当初東京都が立てた計画では、都への信託配当を二十九億円と見積もっております。現段階での実績はどうなのかまずお尋ねいたします。
○鈴木住宅政策推進部長 勝ちどきサンスクエアにつきましては、これまでに東京都が得た信託配当累計でございますが、一億七千二百万円となっております。
○関口委員 現段階で一億七千二百万円だというご答弁でありました。
毎年、毎年の信託配当を見ておりますと、およそ一千五百万円前後になりますから、二十年の信託期間が切れる平成二十八年度までを想定すると、およそ二億弱という見込みがあるわけでありますが、二十九億円の当初目標に対して、およそ二億円だということで、その乖離というものを見逃すわけにはいきませんが、この間のこの事業に関する収支を見てみますと、この信託配当とは別に三つの積立金が存在していることがわかります。
一つが修繕積立金、一つが敷金返還等準備積立金、そしてもう一つが支払準備口と呼ばれているものでありますが、この三つの積立金の現状残高及びそれぞれの積立目的は何であるのかお尋ねします。
○鈴木住宅政策推進部長 積立金の残高でございますが、平成二十二年三月三十一日現在で、まず修繕積立金が二億円、それから敷金返還等準備積立金が約四億三千六百万円、それから支払準備口が約九億九千二百万円となっております。
積み立ての目的でございますが、まず修繕積立金は、建物の大規模修繕等に必要な資金を積み立てているものでございます。
それから、敷金返還等準備積立金でございますが、これは文字どおりテナントからの契約終了時の敷金返還に備えまして、預かり敷金相当額を積み立てているものでございます。
最後に支払準備口でございますが、これは将来、例えば平成二十八年の二月の信託期間が終了して、信託財産が返還されたときなどにリニューアルなど、その後の財産の有効活用に必要となる費用を積み立てているものでございます。
○関口委員 修繕積立金が二億、敷金返還等準備積立金が四億三千六百万、支払準備口が九億九千二百万円ということでありました。
ここで少しだけ確認させていただきたいんですが、この修繕積立金二億円というものは、当初予定している金額に対して足りないのか、十分なのか、あるいは敷金の返還分、通常マンションの管理なんかに際しては、返すべき敷金の五〇%は積立金とされていくというようなことが通例と聞いておりますが、この四億三千六百万円はそれに対してどういう状況であるのかをお尋ねいたします。
○鈴木住宅政策推進部長 まず、修繕積立金でございますが、これまでにもいろいろ修繕をしてきておりまして、今後も修繕については十分な金額というふうに考えております。
それから、敷金の関係でございますが、これにつきましても、テナントが一斉に退去するというようなことがございましても、対応できるような十分な金額が積み立てられているものというふうに考えてございます。
○関口委員 今確認をさせていただいたとおり、積立金及び敷金返還等準備積立金は、当初の目標を達しており、これに対してはもういわばその目的を達して準備に入っている、いつでもどういう修繕が発生したときもあるいは敷金を返還しなくちゃいけないときにも対応できる、そういう備えが完了しているというふうな答弁であったと思います。
そこで、もう一つの支払準備口、この九億九千二百万円のものでありますが、これが二十年の信託契約の期間が終了した際にどういう取り扱いになるのかが重要になってくると思われます。
つまり信託を引き続き更新した場合、あるいは信託を終了してビル管理をどこかの業者に、信託銀行じゃなくて普通の管理業者に委託をする場合、あるいはビル資産そのものを売却する場合、いずれの場合においても、仮にこのサンスクエアをリニューアルせず、修繕のみで対応するとした際には、このリニューアル基金はほとんど手をつけないということになろうかと思いますが、その際のリニューアル基金は、だれのものになるのかというのが重要なポイントだと思っております。
このリニューアル基金、これはいわば余剰利益を名目買いしたものとし、つまり本来は都へのこれは信託配当に該当するんじゃないのかな、こんなふうにも考えるわけでありますが、この点について、このリニューアル基金いわゆる支払準備口の取り扱いについては、東京都は信託銀行とどういう話をしているのかお尋ねいたします。
○鈴木住宅政策推進部長 支払準備口につきましては、リニューアルのためと限定しているわけでございませんけれども、信託銀行とも協議をいたしまして、将来信託財産が返還された際に、引き続き価値のある財産として有効活用していくためには、リニューアルを含めて、さまざまな費用がかかる可能性が高い、そういうことから、そうした費用への備えが必要であるというふうに判断いたしまして、信託配当として受け取るのではなくて積み立ててきたというものでございます。
○関口委員 信託配当としてではなく、ビルそのものの資産価値を向上させる必要がある場合のために備えたものであるというご答弁でございました。
一方、その信託配当という観点で議論すれば、当初二十九億円という目標を立てた。恐らく二十年たった段階では、その信託配当は合計で二億円ぐらいになるというわけでありますが、その数字だけを見れば、何だ、東京都は、目的を全然達成していないんではないかという指摘をされかねないわけですよね。
一方、この支払準備口というものが現在九億でありますが、これが二十年を過ぎたころには、もっと十三億、十四億ぐらいになってくるという見込みというのも聞いておりますが、この支払準備口が達すれば、支払準備口の積立残高と信託配当のこれまでの総計を足せば、当初の二十九億に限りなく近づいてくると思うわけでありますが、都民としては、この信託財産によって、東京都がどれぐらい収入を計画どおり得たのか、計画に対して収入をどれぐらい得たのかというところが最も気になるところであると私は考えるわけです。
そこで、この信託配当二億円が二十九億に対して相当乖離をしているが、この支払準備口も、いわば期間が終了し何もリニューアルしなかった場合は、東京都のいわゆる収入になるんだという認識を持って間違いないのか、改めて確認をさせていただければと思います。
○鈴木住宅政策推進部長 まず信託財産の返還に際しまして、仮に積立金に残金が生じているというような場合には、信託財産とともに東京都に帰属することになるということでございます。
ただ、二十九億と二億というお話がございました。こうした乖離につきましては、バブル崩壊後の長期にわたる景気の低迷等が影響しているものというふうに考えております。
私どもといたしましては、信託利益をどのように充当するかという政策判断の問題はあろうかと思いますが、将来に向けまして、一定の備えが必要だというふうに判断して、積み立てているということでございますので、よろしくお願いいたします。
○関口委員 積立金というものが信託契約が終了して、ビルそのものが返ってきたときに、ビル資産と同等に基金も積立金も返ってくるという答弁でありましたから、いわばこの支払準備口というものの所有というものが二十年たてば東京都になるというふうに認識いたしました。
二十八年、残り五年残っておりますが、これまでどおりに適切に管理をしていただきたいのと大事なのはその信託の二十年が切れた後、どうしていくのかというのが極めて重要なところだと思います。特にこの物件に関して、都民住宅等々が入っておりますから、都民住宅の今後のあり方という大きな話にもつながっていくと思いますが、財務局が既にモノリスにおいて更新したという、いろんな観点から調査した結果、更新したということになっておりますから、この勝どきも更新する、あるいは終了する際に当たっては、財務局のノウハウも入手しながら、適切に対応していただくということを要望して、次の質問に移りたいと思います。
最後のテーマでありますが、羽田空港について少し議論させていだきたいと思います。
羽田空港の国際化が進みまして、海外十六都市と結ばれるようになりました。
平成二十五年には、昼間の国際線枠が年間三万回ふえることで合計六万回の枠となることが決定し、国際ハブ化に向けた取り組みが進んでおりますが、新規開業した国際線ターミナルが三万回の前提であるため、オープンしたその後も、今の段階でありますが拡張工事が必要になっています。この新国際線ターミナルの拡張工事の予定がどうなっているのかお尋ねします。
○邊見航空政策担当部長 国は、お話のように平成二十五年度中に、昼間の国際線発着枠を三万回上乗せして、六万回とすることを既に決めておりまして、これに伴って、必要となるターミナルの拡張について、国は来年度予算に関連経費を計上したところでございます。
このため、国は現在PFI事業者である東京国際空港ターミナル株式会社と具体の調整を進めてございます。
スケジュールについては明らかにされておりませんけれども、申し上げましたように、おおむね三年後の平成二十五年度中にこの増枠を行う予定でありますので、国はこの時点までには拡張後のターミナルを供用できるよう事業を進めていくことになります。
○関口委員 私も昨年十月のこの国際線ターミナルが開業する前に一度行きました。行った感想はきれいだなというのと同時に、狭いなという印象を持ちました。それは、いわば昼間三万回という前提の国際線ターミナルのキャパシティーになっているから狭いなと感じたと思います。
よって、さらに三万回ふえるということが決定しているので、拡張工事をしなくちゃいけない。それも平成二十五年度ですか、今から三年後の供用開始に向けて着工に取りかかるというご答弁であったと思います。
オープンした直後に拡張工事をしなくちゃいけないというこのいわば政治行政の遅い意思決定は、本当に何とかしなくちゃいけないなと改めて私自身も強く感じておりますが、いまだ国内線か、国際線か、配分が決まっていない年間二・七万回の発着枠の取り扱いも十分に気をつけていかなくちゃいけないところであろうかと思います。
東京都は、この二・七万回分も国際便にするべく、国に対して働きかけをしていると聞いておりますが、その配分がいつまでに決定されるのかお尋ねします。
○邊見航空政策担当部長 羽田の昼間の発着枠全体について、国は管制など、空港運用の習熟などを踏まえまして、平成二十五年度までに段階的に四十・七万回に増加させていく予定でございます。
具体的には、昨年十月の供用開始時に、二・八万回上乗せしたところでありまして、供用開始後半年後となることし四月には、一・九万回上乗せして、三年後の二十五年度には、さらに五・七万回上乗せして、四十・七万回とする予定でございます。
したがいまして、この内訳となるお尋ねの二・七万回についても、三年後の平成二十五年度までに配分を決定していくことになります。
○関口委員 この二・七万回分の取り扱いでありますが、なぜ私がこのことをお尋ねしているのかというと、今既に決定している昼間三万回分を前提にこれからターミナルの拡張工事をするんであれば、またその後から二・七万回分が国際線に振り向けられるとまた再々工事を、拡張工事をしなくちゃいけなくなるというようなことも私は危惧しておりますゆえに、この二・七万回分の決定がいつされるのかというのを注目しているわけであります。
東京都として、拡張工事のスケジュールを逆算しながら、つまり拡張工事の設計をする前段階において、二・七万回分の取り扱いを国が決定するように、特に国は今意思決定が遅いわけでありますから、強く働きかけをしていただきたいと思いますが、都の見解をお尋ねします。
○邊見航空政策担当部長 国は、かねてからの都の強い要請を受けまして、昨年、昼間の国際線発着枠の三万回の増枠を打ち出したことから、都はなお残る二・七回についても、極力国際線に振り向けるよう、昨年六月の政府提案要求より要請を行ってまいりました。
あわせて、その前提となる国際線旅客ターミナルの拡張を早期に実施すること及び施設の規模については、二・七万回の国際線への振り向けを含めて、今後の国際線のさらなる増加にも十分対応できるよう、計画的に実施することを国に働きかけてまいりました。
今後も引き続き国に強く求めてまいります。
○関口委員 私も、当然、国に対してそういう問題意識を持って、この二・七万回分の取り扱いを早く決めろと、拡張工事の設計段階でそれが決まっていないと、また再度拡張工事をそれ以降にしなくてはいけないというような過ちは繰り返したくないと考えておりますから、ここは都の政治行政が一体となって、国に対し強く働きかけをしていきたいとその意識の共有をさせていただければと思っております。
さて、次に国際貨物についてお尋ねいたします。
都心への近さ、あるいは二十四時間発着可能ということで、羽田空港を通じた輸入、輸出の潜在需要は極めて大きいものと考えます。
事実、昨年の十一月、オープン後でありますが、羽田空港の国際貨物の取扱数は七千五百トンと、前年同月と比べて五倍の増加となっております。この物流面における羽田空港国際化の効果を東京都はどうとらえておられるのか、見解をお伺いします。
○邊見航空政策担当部長 羽田空港は深夜、早朝時間帯にも運行できるため、速達性を求められる航空物流において、大幅な時間短縮を実現できることになります。
例えば、都内で夕方に集荷した貨物を羽田空港からロサンゼルスに輸出する場合、羽田出発の深夜、早朝便を活用することによりまして、翌日の午前中に配達することが可能となります。これは深夜、早朝時間帯に閉鎖している成田空港を利用した場合と比べまして、一日短縮することができる、こういうことになります。
このような羽田の特性を生かすことで、航空物流の効率化を図り、国際競争力の向上や首都東京の活性化につなげることができると考えてございます。
○関口委員 物流という面においては、これは東京都内の輸出入をする企業にとっては、一つ競争力の強化につながっているんだなと私も以前商社で仕事をしておりましたから、納期等々を考えたときに、一分でも一日でも早く着くということが、あるいは早く荷物をとるということが極めて大事な商売になっておりましたから、この羽田空港の国際化を利用した国際物流というのは、私はもっともっと需要がこれから出てくると思っております。
現在、新国際線ターミナル株式会社としては、受け入れ枠としては、五十万トンぐらいは何とかできるんだという想定をしていると聞いておりますが、今後この物流量がどうなっていくのかもしっかり東京都は追っていただいて、その潜在的ニーズにしっかりとこたえていけるよう、体制を引き続きとってもらいたいということを要望して、最後にビジネス航空についてお尋ねしたいと思います。
ビジネス航空、ビジネスジェットと呼んでおりますが、これを利用した企業の商談や会議が世界では当然のように開かれている状況であり、現に成長著しい中国やインドにおいても、このビジネスジェットの保有台数が大幅に増加しております。
一方、日本においては、ビジネスジェットの保有台数は中国の半分以下であり、いまだ商談でこのビジネスジェットを利用するという風土ではないのが現実であります。
そうした日本の商習慣にも影響をしているのかどうかわかりませんが、日本におけるビジネスジェットの受け入れ体制が現在極めて脆弱である。その結果、首都圏にビジネスジェットがおりられないために、香港で国際会議を行ったあるいはアジアの空港とほかの空港と違い、着陸後、ほかの乗客と一緒に入管手続に並ばなければならないとか、世界の企業から不満の声が多く上がっていると聞いております。
今、世界の都市の間で、企業、人、物、金、情報の奪い合い、つまりは都市間競争が激しくなっている中、ビジネスジェットを受け入れられないという状況は、競争においては極めて不利になっていると考えます。
そこで、東京都が先般打ち出したビジネス航空の受け入れ体制強化に向けた取り組み方針は、私も大いに賛同しております。
この方針においては、羽田空港での受け入れを現行の昼間一日八回から、深夜、早朝も活用することで、一日十六回、年間五千八百四十回に拡大していくというものです。
さらに、羽田空港だけじゃなくて、首都圏というエリア、面でとらえて受け入れ体制を強化する、その観点から、成田空港の取り組みも見込み、さらには横田基地での軍民共用化による受け入れも検討していると聞いております。
これらをこの首都圏一体として考えた場合、これらを実現できれば数年後には、アジア最大級のビジネスジェット受け入れ体制を持つ香港国際空港を大幅に上回る、首都圏で一万回の受け入れ体制ということになり、東京都としての競争力が大幅に強化されることとなります。
そこで、ここでは横田基地の利用についてお伺いしたいと思います。
横田基地で仮に軍民共用化がスタートし、ビジネスジェットを受け入れるということになった後、その後の利用者の都心までの移動というものを考える必要があろうかと思いますが、横田基地に来たそのお客さんを都心にはどうやって運ぶのか、何を想定しているのかお尋ねいたします。
○邊見航空政策担当部長 ビジネス航空の利用者の傾向から、鉄道よりも自動車によるものが主となると想定してございます。
○関口委員 やはりそのビジネスジェットまで使ったお客さんが六本木の会議場まで電車で行くとは到底考えられないわけでありますから、車を使うんだろうと想定はされているということ。
しかしながら、わざわざ時間のロスを考えて、時間を最大限有効活用しようと思ってビジネスジェットで来たお客さんが仮に都心の会議に向かう際に、交通渋滞に巻き込まれたら、これはお客さん志向、顧客志向からいうと、改善するべき余地があるのかなと思っておりまして、一方、先般、要人を運ぶハイヤー会社の方とお話をしたところ、横田基地がもしビジネスジェット受け入れ体制になったときにどうだと聞いたら、車で都心に運ぶのは時間がかかるから、ヘリコプターを使ってくれれば、もっともっとお客さんは喜ぶんじゃないかとその現場で仕事をしている方から意見がありました。
私も東京都が顧客志向に立った際に、わざわざビジネスジェットで来た方が交通渋滞に巻き込まれるのも甚だ問題だなと思っておりますので、ヘリコプターでの輸送というのも少し検討する必要があろうかと思いますが、その見解をお尋ねいたします。
○邊見航空政策担当部長 横田につきましては、政府において強く米国に働きかけて、ビジネス航空の受け入れを契機に、その軍民共用化を実現することがまず先決だと考えてございます。
その上でアクセスについてでありますけれども、道路については、国道一六号のJR拝島駅付近の松原地区で、来年度、暫定四車線の供用を開始するほか、高速道路についても、首都高中央環状線の整備などによって、都心方向のボトルネックが解消するなど大きく改善する見込みでございます。
こういった改善も図りながら、ご提案のヘリコプターの活用につきましては、今後の検討課題の一つであると考えてございます。
○関口委員 今答弁でございましたように、まずは何よりもビジネスジェットの前段階で、横田基地の軍民共用化を早期実現しなくちゃいけないというところでありますので、これもまた私も一都議会議員として、国に対していろいろと働きかけをしていかなくちゃいけないという認識をしておりますから、ここは、東京都の政治行政と一体になって、進めてまいりたいと思います。
以上で終わります。
○神林委員 それでは、三点について順次伺ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
まず初めに、八ッ場ダム事業についてお聞きいたします。
八ッ場ダム事業に関しては、先日の予算特別委員会総括質疑においても、我が党の林田都議からも質問したところでございます。
今回改めて常任委員会の場でございますので、予算審議の観点から、少し詳しくお聞きするために、三点ほど質問させていただきます。
まず、第一問でございますけれども、平成二十三年度予算案における八ッ場ダム関連経費の額と計上の考え方について伺います。
○安井理事 平成二十三年度予算案におけます八ッ場ダム関連経費の当局の所管分でございますが、五億八千六百万円でございます。これは地元の生活再建に必要な水源地域対策特別措置法に基づきます整備事業費負担金及び利根川・荒川水源地域対策基金事業の負担金でございます。
なお、参考までに、建設局が所管します治水の直轄事業負担金、水道局が所管します利水の水源開発分担金などを含めました来年度予算案におけます八ッ場ダム関連経費の総額は約四十二億円を計上してございます。
これらは国がみずから法的に有効であると認めております八ッ場ダムの建設に関する基本計画に基づきまして、予定どおり平成二十七年度までに八ッ場ダム本体が建設されることを前提として計上しております。
○神林委員 ただいまのご説明で、平成二十三年度の八ッ場ダム関連経費の予算の考え方についてはわかりました。
ただ、最後のご答弁にありましたのは、問題なのはこの部分なんですね。今ご答弁いただいた部分ですと、八ッ場ダムの建設に関する基本計画に基づき、予定どおり平成二十七年度までに八ッ場ダム本体が建設されることを前提として計上しているということでございますね。
ここの辺が問題でございまして、国交省の大畠大臣は、先ごろの衆議院の予算委員会で、八ッ場ダムの工期が三年おくれで、平成三十年になるという趣旨の答弁をされているということでございまして、工期が延長すると事業費もそれに伴って、当然増額することが予想されるわけです。このことについての都の見解を伺います。
○安井理事 ことしの一月十四日に、開催されてございます八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場におきまして、これは幹事会でございますけれども、国は検証の結果に基づき、八ッ場ダムを建設すると仮定した場合には、本体工事の中止に伴い工期が三年延び、またこの間の人件費や事務費が膨らむことによって、事業費は約五十五億三千万円増額するという見込みを説明してございます。
国も認めているところでございますけれども、これはあくまで検証の過程におきまして、八ッ場ダム建設と他の治水、利水の代替案を比較するための物差しとして設定した、いわば仮の事業計画でございます。
ところが、今、委員がご説明されました、大臣は国会の場において、こうした誤解を受けるようなことをきちっと説明せず、前提条件を十分説明することなく、八ッ場ダム建設を進めるという判断に至った場合には、単純に工期が三年おくれる、こういう受けとめられるような答弁をしたわけでございます。
検証を一方的にいい出したのは国でございまして、ダム事業が再開された場合には、直ちに補正予算を組むなど、中止に伴う本体工事着工のおくれを取り戻す努力をするのは、これは国の責務であると考えてございます。
そうした努力の必要性を全く考慮せずに、担当の大臣が安易に工期のおくれについて発言することは、共同事業者でございます自治体としても到底受け入れられるものではないというものでございます。
また、これはあってはならないことでございますけれども、この間の事業の遅延に伴いまして、事業費が増額するのであれば、増額分は国が当然支払うべきでございまして、一都五県はこの幹事会の場でこのことを国に対して強く念を押してございます。
都といたしましては、国はあらゆる努力を行いまして、工期の短縮、事業費の縮減に努め、基本計画どおり、八ッ場ダムを完成すべきであると考えてございます。
○神林委員 今答弁にありましたとおり、安易に一言を簡単にいわれただけでも、こんな大きな影響を与えちゃうわけですよね。ですから、本当に大きなことを動かしているわけですから、やはり慎重な答弁していただきたいなということを常に切実に考えるわけでございます。
我々は、八ッ場ダムは首都東京の治水、利水にとって必要不可欠な施設でございますので、先の見えない生活を強いられている、群馬県の地元の住民ですね、この人たちのためにも、検証結果を早急に出して、直ちに建設に着手すべきと考えておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それでは、まとめというんでしょうか、これまでの経緯を踏まえまして、今後の国に対して、どのように八ッ場ダムの必要性を訴えていくのか、改めまして都技監の見解を伺います。
○河島東京都技監 昨年の暮れに、馬淵前大臣は、都内で、石原知事も含め一都五県の知事と会いまして、その場で改めて、一切の予断を持たずに検証を今後進めていくということとともに、従来、国はことしの秋を目標といっていたわけでございますが、一刻も早く、検証の結論が得られるように努力すると明言されました。
この発言については、現在の大畠大臣も、この方針を堅持するとはっきりおっしゃっておられます。都としては、この言葉どおり、当初予定していたことしの秋よりも前倒しで検証が終わり、だれもが納得できる結論が一刻も早く得られるよう、引き続き国に強く求めていきたいと考えております。
八ッ場ダムは事業が既に八割近く進捗しておりまして、残りの工期と事業費がもう見通すことができるわけでございます。なおかつ確実に効果が見込める事業でもあります。
国は、現在検証の場において、他の代替案と比較するというようなことで進めているわけですが、それが余りにも形式的に、その検証をやるために何かいろいろ時間を費やしてやっているというふうに見えなくもない、そんな感じがいたしております。
そういったむだな時間を費やさずに、早急に八ッ場ダムと比較できる実現可能な案を出して、そしてしっかりと国民が納得できるような結論を一刻も早く出すということが必要なんだというふうに思っております。
科学的な知識、知見、そういったものに基づいて、こうした比較をしっかりと行えば、八ッ場ダムが首都圏の治水、利水の面から、必要不可欠な施設であるということとそれからこれと同等の効果を得られる代替案は存在しないということは、おのずと明らかになるだろうというふうに、私自身は考えておるところでございます。
今後、先ほど理事からの答弁にもございました検討の場のもとに設置された幹事会でも、私自身出席して、国に強く求めて、こういったことを早く、代替案との比較を早急にやってほしい、やるべきだということを強く求めているわけでございますが、さらに今後一都五県の知事がその検討の場で意見を聞かれる、そういった段取りも予定されておりますので、そうした機会も活用しながら、一都五県が連携しながら、私どもが考えておりますような結論がしっかりと早期に導かれるよう、八ッ場ダムの必要性を訴えそして予定どおりのダムの完成を国に強く求めていきたいというふうに考えております。
○神林委員 くどくなりますけれども、本当に東京都としてぜひ不可欠な施設ですし、群馬県の本当に地元の方々の思いを考えれば、本当に一日も早く、やはり完成しなきゃいけないということで、どうにかひとつ頑張ってください。よろしく、我々も一生懸命応援いたします。
それでは、次に多摩ニュータウン事業について伺います。
戦後の高度成長期、多くの人々が都市に集中し、こぞって住まいを求めるようになりました。当時、大都市周辺では、こうした人々の需要にこたえるため、質の高い住宅を大量かつ計画的に供給することが国家的な課題でございました。
多摩ニュータウンは、こうした時代背景のもと、昭和四十年に計画され、以降、首都東京における日本最大規模のニュータウンとして、東京のみならず、我が国経済の躍進を下支えしてまいりました。
そして、来年度計画から半世紀近くが経過して、多摩ニュータウン事業会計の終了を迎えるに当たって、これまでの成果と今後の取り組みについて、何点か質問いたします。
先日、予算特別委員会の我が党の代表質問に対し、都技監の方からは、多摩ニュータウン事業会計の設置後の経過と取り組みについて、答弁をいただいたところでございますが、答弁にもありましたとおり、バブル経済の崩壊など社会経済情勢の変化により、収支を均衡させることは困難となったため、平成十八年度から、一般会計の繰り入れを受けながら都債の償還を行ってきたとのことでございました。
そこで、確認のため、繰入金の導入に至った経緯とその間の都の取り組みについて伺います。
○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウンでは、新住宅市街地開発事業と区画整理事業の二つの事業によりまして、道路、公園等の都市基盤の整備や宅地の造成を行ってまいりました。
この二つの事業は、都債や一般会計からの借入金を事業費に充てまして、その後造成した宅地の販売収入でこれらを返済し収支を均衡させる、そういう仕組みとなってございます。
ところが、バブル経済の崩壊など経済環境が悪化する中で、土地需要が低迷いたしまして、地価も下落したため財政的に厳しい状況となりました。
このため、都は平成十三年度に二つの事業の未処分宅地の販売を一体的かつ柔軟に行うため、多摩のニュータウン事業会計の設置と国の許認可等の法規制の撤廃を柱とする事業再構築を行いまして、収支の改善に取り組んでまいりました。
しかしながら、その後も不動産市況の低迷が続いたため、平成十七年に都債償還に総額で約一千億円の不足額が生じることが明らかとなりました。
そこで、これに対応するため、都議会のご理解を得まして、平成十八年度から、都債償還のため、一般会計繰入金を平成二十三年度まで毎年充当することといたしました。
○神林委員 今答弁ございましたとおり、確かに長期間にわたるこういった計画というのは、本当になかなか計画どおりいかないということで大変でございますよね。経済の情勢の大きな変動を受けながら、東京都が計画的に対処してきたことを改めてここで確認をさせていただきました。
日本経済が長期にわたって低迷する中で、さきの予算特別委員会における都技監の答弁によれば、一般会計からの繰入金について、当初見込まれた約一千億円を約八百億円に圧縮したとのことでございますけれども、この辺について具体的に収支改善にどのように取り組んでこられたのか、これについて伺います。
○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 一般会計からの繰入金圧縮のため、例えば仲介業者に成功報酬を支払う販売委託制度など、民間事業者との連携の強化や市場ニーズをとらえました土地利用計画の変更など、さらなる宅地販売努力を行った結果、平成十七年当時の見込みを二十ヘクタール上回る販売実績を上げることができました。
その結果、会計の終了時には、約一千億円と見込まれた繰入金を約八百億円まで圧縮いたしまして、都債の償還を予定どおり完了する見込みでございます。
○神林委員 今、都が機動的な宅地販売に努めまして、収支改善に真摯に取り組んできた、頑張ったということでこれについては理解ができました。
しかしながら、我が党は多摩ニュータウンのように規模が大きく、何十年にもわたる長期間の事業に対しては、事業の採算性という視点も重要でございますけれども、事業の実施によりどのようなまちづくりがなされたのかそして現在に至っているのかという視点からも、これは評価すべきだと考えております。
これまでの多摩ニュータウンのまちづくりの成果につきまして、都としてどのように考えているのか伺います。
○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウンは、高度成長期の急激な人口の増加に対する住宅難の解消や多摩地域におけるスプロール化の防止を目的といたしまして、昭和四十一年に事業に着手いたしまして、その後、単なるベッドタウンではない職と住のバランスのとれた多機能複合型の都市として整備されてまいりました。
現在では、市部の二倍の道路率となる計画的に配置された道路網や一人当たりで区部の三倍の面積となる身近な街区公園から、多摩丘陵の貴重な自然植生を残した大規模公園に至る各種の公園など、高規格の都市基盤を有する人口約二十一万人、従業者数約八万人の多摩の核都市へと成長してございます。
このように、多摩ニュータウンは、今日では多摩の自然と調和した良好な居住環境を備えた活力と魅力あふれるまちとなっておりまして、都民共有の財産であると考えてございます。
○神林委員 私も多摩ニュータウンは、今ご答弁にありましたとおり、住宅難の解消ですとか、多摩スプロール化の防止、こういうものを初め広く都民の皆様に利用いただいている例えば都立公園とか都道などの整備がされている、まさに都民共有の財産というべきまちでございまして、これは後世に良質な社会資本として引き継がれていかなければならないものと考えております。
ところで、高度成長期につくられましたニュータウンでは、全国的に見ても建物の老朽化、少子高齢化などさまざまな課題が生じており、多摩ニュータウンでも、入所開始から四十年を経て例外ではないと思われます。
また、残された宅地については、これまで地元市などとの調整を図りながら、販売がなされてきたと聞いておりますけれども、一般会計に引き継がれることによって、どのように取り扱われることになるのかも懸念される部分でございます。
会計終了後において、都はこうした課題についてどのように取り組んでいくのか伺います。
○五十嵐多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウンが目指す職住近接の多機能複合都市を実現していくためには、多摩センター地区などへの諸機能の誘導や市域を超えた道路ネットワークの整備、隣接する坂浜平尾地区のまちづくりなど、こういったこれまでの課題に加えまして、初期入居地区の再生や残された宅地の活用など、新たな課題が存在すると認識しております。
急速な高齢化や少子化への対応がまちづくりの課題となっている中で、とりわけ初期入居地区の再生に当たりましては、子育て世代や高齢者等、多様な世代がいきいきと安心して住み続けられるまちの実現に向けまして、さまざまな主体によるハード、ソフト両面からの取り組みが必要でございます。
このため、都はそれぞれの主体が取り組むべき施策の方向性を示す初期入居地区再生ガイドラインを平成二十三年度に策定いたしまして、再生を促進してまいります。残された宅地につきましては、引き続き地元市等と十分調整を行いながら、まちづくりに寄与することができるよう幅広く活用してまいります。
都は、多摩ニュータウン事業会計の終了後におきましても、広域自治体として、地元市等との適切な役割分担のもとに、多摩ニュータウンのまちづくりに取り組んでまいります。
○神林委員 東京都は、会計終了後も多摩ニュータウンにおける課題に対し、引き続き真摯に取り組んでいただけるということでございますので、広域自治体として、さらなるリーダーシップを発揮していただけるよう要望して、これについての質問を終わります。
続いて、最後に耐震化について伺います。
東京都における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例については、本定例会の我が党の代表質問、予算特別委員会での代表一般質問で、基本的な考え方や所有者への支援策など、具体的な内容について質疑を重ねてまいりました。
ニュージーランドの地震では、多くの日本人留学生も被害に巻き込まれました。報道によりますと、倒壊したビルは耐震性の不足が指摘されながら、ビルの管理者側の不適切な判断で、詳細な調査や必要な対策が講じられてこなかったということで残念でなりません。改めて、詳細な耐震診断の実施と早期の耐震化の必要性と重要性を認識いたしました。
都市整備委員会では、条例案に賛成し一刻も早く耐震化を推進する立場から、確認の意味で、ここから何点か質問したいと思います。
条例の内容と支援策について、義務づけの対象となる所有者に十分理解してもらうことは、まずは不可欠でございます。所有者に対しての具体的にどのように周知徹底するのか、その取り組みについて伺います。
○小野耐震施策担当部長 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めるには、条例の内容、助成制度、支援策等についてわかりやすく説明し、所有者の理解を得ながら進めていくことが不可欠であると考えております。
都は、これまでも沿道建築物の所有者に対し、耐震化の必要性や支援策などについて、さまざまな機会をとらえて情報提供や説明を行ってまいりました。
条例が施行された後は、条例の内容、手続、今回拡充されます支援策等について、わかりやすいパンフレットを作成するとともに、ホームページや区市町村の広報等の多様な広報媒体を活用し十分周知を図ってまいります。
また、特定緊急輸送道路が指定された後は、義務づけされます対象建築物が特定されることから、その所有者に対しまして郵送で案内を行うとともに、区市町村との連携の上、個別訪問や路線ごとの説明会など、直接説明する機会を設け、きめ細かい周知を行ってまいります。
○神林委員 今答弁にありましたとおり、ぜひきめ細かい周知徹底をお願いいたします。
耐震診断等の義務化の対象となる特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を一体的に進めていくためには、これまで以上に市区町村との連携が必要でございます。
今回の都の取り組みにより、市区町村も制度拡充をしたと聞いておりますけれども、来年度の拡充の状況について伺います。
○小野耐震施策担当部長 昨年十一月末に基本的な考え方案を公表して以来、市長会や副区長会などを初めとして、さまざまな機会や場において、条例案の趣旨や内容、助成制度の拡充内容等を説明し、都の取り組みに対します協力依頼を行ってまいりました。その結果、多くの区市町村から都の施策を踏まえ、平成二十三年度の制度拡充を図っていく予定との情報を得ております。
現在、都が把握しているところでは、区部では台東区、大田区、品川区などにおきまして、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化助成等の創設や拡充、多摩部におきましても、八王子市や府中市などにおいて耐震化助成等の拡充や耐震化の専任係の新設を予定していると聞いております。
今後とも、都としましては区市町村に対しまして必要な情報提供を行うとともに、支援策を初めとした施策の充実を働きかけてまいります。
○神林委員 今の答弁の中に我が大田区も入っておりましたので、少し安心しているところでございますけれども、条例制定の効果が市区町村の取り組みにも広がっていくことは大変喜ばしいことでございます。
都が先駆的な取り組みを行うことで、市区町村も予算措置や制度設計がしやすくなり、耐震化が進むものと思います。今後とも、市区町村との連携をして取り組んでもらいたいと思います。
今回の条例案には、耐震診断を実施しない所有者に対して命令や公表などを規定し、都の厳しい姿勢、やる気を示すとともに、条例にあわせて診断手法について所有者負担がなくなる助成制度を整備し、改修についても助成制度を拡充するなど、短期間に集中的に耐震化を進めていくために、十分に環境を整えたと感じており今後の取り組みに大変期待しております。
最後に、総括するという意味で、条例案提案に当たって、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けた都技監の決意を伺いまして私の質問は終わります。
○河島東京都技監 一昨年、都市整備局長に着任して以来、私は阪神・淡路大震災の教訓も踏まえまして、この東京の耐震化を初めとする防災性の強化というものが最重要課題の一つであるというふうに考えて取り組んでまいりました。
その中でも、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化につきましては、震災発生時に都民の生命、財産を守るためにも、さらに首都東京の機能を確保するためにも、喫緊の課題であるわけでございますが、これまでの助成制度による耐震化の促進のその取り組みでは、実際に耐震化が進められる建築物というものは極めて限定的でございまして、その実効性を保てないことははっきりいって明白であったわけでございます。
この状況を打破するには、従来の取り組みを根本から見直して変えていかなければ、私自身無理だなというふうに判断しておりまして、そのために耐震診断の義務化を初めとする新たな規制誘導策の検討を開始することとしたわけでございます。
既に建ち上がっている既存建築物につきまして、耐震診断を義務づけるということは、現在の法令の中では、いろいろな問題等々出てくる可能性があって、法的な整理であるとかあるいは実際に所有者の方が耐震化に取り組んでいただく費用負担への対応など、いろいろ乗り越えなければならない課題が当然あるわけでございます。
そのために、専門家会議を組織いたしまして、非常に熱心なご議論を先生方にいただきました。それによって、そういった課題をどのように乗り越えればいいのか、またどのようにやっていけば都民の理解が得られるのかというようなことについて、本当に真剣な議論をいただいて、そういった成果も踏まえまして、本定例会に条例案を提案するに至ったわけでございます。
また、こうした条例案をまとめていくのにあわせまして、都民理解を得ながら確実に耐震診断を実施しさらに耐震改修に結びつけていくためには、庁内関係局ともこれは徹底した議論を行いまして、従来の発想や枠にとどまらない新たな助成制度の仕組みをつくりたいということで議論しそして取りまとめるに至ったわけであります。
本定例会で審議している間にも、ニュージーランドで大地震が起きまして、都市というものの災害に対する脆弱さが露呈いたしました。まさに耐震化は待ったなしの課題でございます。
ぜひ都議会の皆様には、本定例会において提案しております条例案と関連する予算案を可決成立させていただきたいと心からお願い申し上げます。
その上で、私どもといたしましては、義務づけした耐震診断というものを早期に確実に実施していくことに、一日一日全力を挙げて取り組んでいくとともに、義務づけによって得られた診断結果を耐震改修にしっかり結びつけ、耐震化を推進してまいりたいと考えております。
また、耐震化は都の力だけでは進まないことから、所有者の理解と協力を得ることはもちろん、今のご質疑にもございました区市町村や診断、改修の担い手となる建築関係団体とも強く連携し、関係者が一丸となって本気で耐震化に取り組むことが必要でございます。
今回の条例は、全国で初めての取り組みでございまして、この取り組みにより耐震化が進むのかどうかということも、大きな注目を集めていると考えております。
都としても、不退転の決意で、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を確実にやり遂げる強い意志を持って、また都民の理解と協力も得ながら強力に推進して、災害に強い東京を実現していきたいというふうに考えております。
○吉倉委員 私は、高齢化が急速に進行する中で、高齢者の方々が安心して暮らせる住宅を実現していくことが最も重要だと考えております。その意味から、都営住宅の建てかえで供給する間取りについて何点か質問いたします。
建てかえ後の一DKの住宅について、都民から狭小で介護ベッドが入らないあるいは子どもや孫が訪ねてきても居場所がなく介護もできないなどの切実な声が寄せられております。
先般、本会議における代表質問で、我が党は、都営住宅の現行の一DKをより使い勝手のよい間取りに変更すべきだと主張いたしました。
これに対し、河島都技監から、一DKの住宅について、介護のための使い勝手の向上を図るなど間取りの見直しを行っていく、このように力強い答弁があり高く評価しております。
そこで、まず建てかえ後の一DKの住宅について、間取りの見直しを行う際の基本的な考え方について伺います。
○荒川建設推進担当部長 都営住宅においても高齢化が急速に進行する中で、自宅での介護を必要とする居住者が増加しておりまして、介護のための使い勝手の向上を図ることが必要でございます。
一DKの住戸におきまして介護を行う場合、ベッドのわきの介護スペースや介護を行う人が夜間睡眠をとるための場所などを確保することが必要と考えております。このような観点に立ちまして、一DKの間取りの見直しを行うこととしたところでございます。
○吉倉委員 ただいま介護のための使い勝手の向上を図ると答弁をいただきました。
そこで、介護を行うための一DKの間取りの見直しについて、具体的な検討内容をお示しいただきたいとこのように思います。
○荒川建設推進担当部長 一DKの間取りの見直しといたしましては、六畳の和室の長手方向をバルコニーに接するように配置しまして、収納スペースの位置を変更するとともに、水回り、トイレとか台所でございますが、この配置を工夫しまして、介護を行うための必要なスペースを確保するように検討を進めているところでございます。
今後早急に間取りの見直しを行いまして、基準設計に反映させていくこととしております。
○吉倉委員 間取りの見直しの詳細については、現在検討中ということでありますけれども、一DKの住宅のほとんどは、単身世帯が入居しているのが実情であります。したがって、介護を行う人が居住者とともに滞在し、生活するためのスペースを確保するには、相当の工夫が必要だというふうに感じております。
今後、在宅での介護を受ける高齢者の大幅な増加が見込まれる状況を勘案し、建設コスト等の考慮も必要かと思いますが、ぜひ円滑な介護ができるよう、必要な住戸の広さの確保に努めていただきたい、このことを要望しておきます。
高齢者が地域で安心して暮らすためには、都営住宅全体が高齢者の方々にとって住みやすい環境であることが必要であります。都は、都営住宅の建てかえを通して、エレベーターの設置などバリアフリー化された住宅を供給しておりますが、建てかえ前の老朽化した住宅には、特に階段の上りおりが足腰の弱い高齢者にとっては大変過酷なものであります。この点からも、エレベーターが設置されていない老朽化した住宅は、一刻も早く建てかえが必要であります。
一方、バリアフリー化が格段に向上した建てかえ後の都営住宅の多くは、高層化された建物で、エレベーターの待ち時間が増加しており、足腰の弱い高齢者にとっては、数分間であっても大変つらいという声をきいております。
そこで、建てかえに当たっては、エレベーターホールにベンチを設置して、高齢者が外出する際の負担軽減を図るべきであります。この点も含め、建てかえ後の住宅におけるバリアフリー化の取り組みについて見解を伺います。
○荒川建設推進担当部長 これまでも都営住宅の建てかえに当たりましては、エレベーターの設置を初めまして、玄関や室内の段差解消、またぎやすい高さの浴槽の設置、ドアや水道の蛇口のレバーハンドル化などバリアフリー化を積極的に推進してまいりました。
お尋ねのエレベーターホールにベンチを設置することにつきましては、高齢者ができるだけ負担なく外出できるようにする上で重要であると考えております。今後、設計上の工夫を凝らしまして、居住者がエレベーターを座って待つことができるようにするなど、都営住宅の建てかえに当たりまして、一層のバリアフリー化を進めてまいります。
○吉倉委員 ぜひエレベーターホールのベンチについても、ご検討をよろしくお願いしたいと思います。
また、当面建てかえが行われない都営住宅のバリアフリー化も、大変重要な課題であります。我が党の要請にこたえて、都は今年度エレベーター設置基準を改定し、小規模な住棟への小型四人乗りエレベーター設置に踏み出しました。さらに、今年度から玄関ドアのレバーハンドルへの取りかえを行うなど、我が党の提案を受けてさまざまな取り組みを実施していただいております。
そこで、レバーハンドルについては、玄関ドアのほか集会所などの共用部分にも設置を行うなど、既設都営住宅のさらなるバリアフリー化に取り組んでいただきたい、このように思いますが見解を伺います。
○永島営繕担当部長 既設都営住宅につきまして、各団地の状況に応じてバリアフリー化を推進することは重要と認識しております。
都はこれまで既設住棟へのエレベーター設置や玄関ドアのレバーハンドル化、敷地内通路から住棟や集会所に至るスロープの設置や共用階段の手すり設置など、さまざまな取り組みを行っております。
今後これらに加えて、多くの居住者が利用する集会所の玄関ドアにつきましても、自治会からの要望を踏まえ、レバーハンドル化を実施するなど、きめ細かな取り組みを進めバリアフリー化を推進してまいります。
○吉倉委員 都営住宅の設備面での取り組みに加えて、高齢化が進行している都営住宅では、良好なコミュニティを形成していくことがますます重要になってまいります。
都は、これまで我が党が求めてきた自治会によるコミュニティ活動への支援をいよいよ来年度からモデル実施することとしております。これは大変意義のあることであり、積極的に進めていただくべきと考えております。
そこで、コミュニティ支援の進捗状況と今後の取り組みについて伺います。
○岡沢経営改革担当部長 都営住宅におけるコミュニティ支援につきましては、各団地の実情に応じまして、触れ合いの場づくりや防災活動など、自治会によるコミュニティの活性化に向けた具体案の作成に都が協力するほか共用部分の電気料金や水道料金など、都が住宅使用料とともに直接徴収して事業者に支払うことによりまして、自治会の事務負担の軽減を図る支援策を試行してまいります。
現在、試行の対象となる団地の選定作業を行っておりまして、年度内には対象団地を選定いたしまして来年度から実施いたします。実施に当たりましては、自治会や居住者の方のご意見なども踏まえながら、試行団地におきまして、良好なコミュニティの形成が進むよう支援を行ってまいります。
○吉倉委員 モデル事業のスタートにつきましては、自治会の方々とも十分に意見交換しながら、改善すべき点は改善し、よりよい仕組みづくりを行っていくことを期待しております。
住宅困窮者に対するセーフティーネットとしての住宅政策は、都が直接建設し供給する都営住宅を中心として推進すべきである、このように我が党は一貫して主張してまいりました。
そのためには、将来老朽化した住宅が耐用年限を経過し居住の安定が脅かされることが決してないよう、行政の果たすべき責任として都営住宅の建てかえ戸数を年間四千戸に早期に拡大し、建てかえ事業の加速化を図ることを改めて強く求めておきたいというふうに思います。
一方、都営住宅には、市場において自力では適切な水準の住宅を確保することが困難な高齢者が多数居住していらっしゃいます。そして、社会全体の高齢化の進行に伴い、その数は年々増加しており、現在では高齢者世帯が都営住宅の全世帯の半数以上を占める状況です。その割合は、今後一層増加するものと予想されております。
都は、都営住宅の事業主体である利点を最大限に生かし、ハード、ソフトの両面から居住者の高齢化に適切に対応することがこれまで以上に求められる、このように考えております。
そこで、今後の都営住宅の整備、供給の進め方について、都技監の見解をお伺いしたいと思います。
○河島東京都技監 都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、既存住宅の維持管理を適切に実施するとともに、老朽化した住宅の建てかえを推進しております。
今後、建てかえにつきましては、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、事業規模を年間四千戸に段階的に拡大していく考え方でございます。建てかえに当たっては、敷地の有効利用により用地を生み出し、これを活用して、高齢者の福祉施設の整備などを支援してまいりたいと考えております。
平成二十三年度は、前年度比百戸増となる三千五百戸の建てかえを実施するとともに、一DKの間取りの見直しなどを行い、介護を必要とする高齢者のニーズに的確に対応してまいります。
また、管理面ではコミュニティの活性化に向けた自治会の活動を支援する事業を新たに開始するとともに、子育て世帯の入居を促進するなど、コミュニティバランスにも配慮した取り組みを推進してまいります。
今後とも福祉部門と密接な連携を図りながら、ただいまの質疑にもありましたようなきめ細かな対応を図ることにより、高齢者世帯にとっても一層住みやすい都営住宅とするとともに、少子高齢化の進行などに対応して、創出用地を活用し、地域に開かれた福祉施設の整備を推進するなど、地域のまちづくりに積極的に寄与してまいりたいというふうに考えております。
○吉倉委員 ぜひよろしくお願いいたします。
これからの都営住宅における居住者の高齢化に一層的確に対応しながら、都営住宅の整備、供給を推進していくことを要望しておきたいと思います。
次いで、公社住宅における定期借家制度について伺います。
我が党は、昨年十一月の事務事業質疑において、期限つきの公社住宅に入居した方から、期限到来後も引き続き居住できないかとの問い合わせがあり、定期借家制度が人気の高い公社住宅を公平に活用できるよう導入されたという趣旨は理解するものの、居住されている方の引き続き住みたいという心情も踏まえ、定期借家制度のあり方について一考すべきだとこのように提案をしてまいりました。
その際、都市整備局からは、実態をよく調査した上で検討するとの答弁がございました。
平成十五年度の制度導入当時と現在とでは、公社住宅を取り巻く状況は変化しているというふうに考えております。
そこで、まず公社住宅の空き家率の現状とその変化について伺います。
○鈴木住宅政策推進部長 十一月の当委員会でのご指摘を受けまして、改めて公社一般賃貸住宅の現状を調査し、公社の定期借家制度の運用について検討してまいりました。
お尋ねの空き家率でございますが、まず定期借家制度の適用のある住宅の空き家率は、直近のデータで、平成二十二年九月末現在、五・二%となっております。
一方、こうした一般賃貸住宅全体では、同じく二十二年九月末現在、二・六%ということでございますので、定期借家物件の空き家率の平均が全体の約二倍というふうになっております。
また、定期借家制度導入直後の平成十五年度末における公社一般賃貸住宅の空き家率は、約二・三%でございましたので、この間定期借家物件の空き家率の上昇が顕著でございます。
なお、ただいま空き家の率を申し上げましたが、空き家の実戸数で申し上げますと、定期借家物件約四千六百戸のうち、二百四十一戸が空き家となっております。
○吉倉委員 今の説明で、公社住宅において特に新築の定期借家物件の空き家率が高くなっており、一定数の空き家が発生していることがわかりました。
前回の答弁にもありましたけれども、公社における定期借家制度導入の趣旨が新築で立地条件がよく、人気が集中して高い倍率となり、なかなか入りにくい公社一般賃貸住宅については、特定の居住者が長期にわたって占有するのではなく、広く都民に利用機会を拡大する、こういうものであった以上、こうした状況の変化を踏まえ、より居住者の要望に沿った形での見直しは可能である、このように考えております。
そこで、調査結果を踏まえたその後の検討状況について伺います。
○鈴木住宅政策推進部長 定期借家制度の趣旨は、ただいまご紹介いただきましたとおり、新築で人気が集中しなかなか入りにくい公社一般賃貸住宅につきまして、期限を設定することにより、広く都民に利用機会を拡大するというものでございまして、現在でも人気の高い物件も多いことから、基本的にはこの考えに変わりはございません。
しかしながら、一方で定期借家制度を適用している住宅につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおり、平均いたしますと、空き家率が高くなっているという状況があり、また現在、公社では空き家が発生する都度、随時募集を行っておりますが、それでも団地によっては空き家率が二けたに達するといったものもございます。
公社住宅は都民共有の財産でございますので、公平性の観点から、広く都民に利用機会を拡大すると同時に、より効率的に活用していく必要がございます。
こうしたことから、今後、随時募集をしてもなお空き家が発生し、定期借家期限が到来した方に画一的に退去していただくことが適当ではないような団地につきましては、再契約して引き続き居住を継続していただくことも可能とするなど、定期借家制度の弾力的な運用ができるよう、公社と調整したいと考えております。
○吉倉委員 今もご答弁ありましたとおり、期限つきの公社住宅に引き続き住み続けたい、こういう方の願いに沿った方向で検討しているところであり評価いたします。
公社住宅は公共の住宅であるという点を踏まえ、これからも時代状況、都民のニーズに応じた柔軟な運用を図っていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○大島委員 私からは、まず最初に緊急輸送道路建築物の耐震化に関する条例について質問をいたします。
首都直下型地震の発生が切迫する中で、耐震化促進というのは大変重要な課題だと思っています。我が党も、沿道の耐震化を急速に進めるということは非常に重要だと思っています。
今回の条例案では、この緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化を促進するために、特定輸送道路を設定し、この道路に接する昭和五十六年五月以前に建築された道路幅員のおおむね二分の一以上の高さの建築物所有者に対して、耐震診断の実施を義務づけるというものです。
そこで、何点か質問をいたします。
まず、この緊急輸送道路の建築物の耐震化を促進するための都の責務についてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。また、財政的支援の重要性についてはどのように考えているのかお伺いをいたします。
○小野耐震施策担当部長 まず都の責務についてでございますが、条例案の第三条は、都の責務としまして、震災時における緊急輸送道路の機能を確保するため、緊急輸送道路の機能及び重要性並びに沿道建築物の耐震化の公共性に関する啓発及び知識の普及に努め、沿道建築物の耐震化を促進する施策を総合的に推進するものと定めております。
次に、財政的支援の重要性についてでございますが、耐震診断や耐震改修に要する費用につきましては、都はこれまでも基本的には所有者の責務で対応することを原則としつつ、老朽化した木造住宅が特に密集している地域など、防災対策上の必要性が高い場合には一定の助成を行ってまいりました。
とりわけ今回の特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化は、震災時におけます広域的な救援活動や復旧、復興の大動脈を一刻も早く確実に確保し、大地震から都民の生命と財産を守るとともに、首都機能の低下を防ぐことを目的とするものであり、極めて公共性、緊急性の高い施策でございます。
このため、耐震診断の義務づけを行うとともに、確実に実行されるよう、原則として所有者負担がなくなる助成制度を整備することにしたものでございます。
○大島委員 都の責務ということについては、条例文の中にも書いてあるということなんですが、この条例文全体を見ますと、東京都は都民の命と財産を守る、そして都市機能を維持する、こういう責任があるんだということで、そこが強調されているのかなと思いましたら、所有者の社会的責務、これが前文を含めて、かなり強調されているというような条文になっているのではないかというふうに思います。
財政的支援についても、耐震診断については、ほぼ全額に当たるものについてこれから助成するということがいわれておりましたけれども、延べ床面積一万平米以下の建物については、区市町村の助成がなくても、所有者負担を実質ゼロとするということになっております。
しかし、この内容としては、実質全額なんですけれども、定額補助というふうに都の部分について、分譲マンションの延べ床一万平米以下の建築物については書いてあるんですけれども、この定額補助ということになりますと、この上限があるのかなというように読めるんですけれども、上限があるのかどうか、またあるとすれば幾らなのか教えていただきたいと思います。
○小野耐震施策担当部長 耐震診断助成制度では、耐震診断の費用につきまして、建築物の床面積に応じて計算しており、補助金の算出に当たり、床面積当たりの単価の限度額を設定しております。
○大島委員 単価の限度額ということですから国基準というお話なので、そういう点でいうと、若干大きな建物については、特に建築設計図書などがあるかないかによっても大きくその差が出てくるんじゃないかというふうに思います。
それから、緊急輸送道路については、特定輸送道路の指定というのは、ことし六月ごろに決定するというお話を伺いました。建物の所有者にしてみれば、その建設された当初は別に特定緊急輸送道路に面して建てているとか、そういうものではなかったわけですから、後から指定を受けてそしてそれによって義務化されるという、そういう縛りがかかってくるわけです。その点で、どの道路を緊急輸送道路として指定するかということについては、大変重要な判断が要るのではないかと考えます。
この条例では、区市町村の意見を聞くということになっておりますが、沿道建築物のその所有者とか、関係者の意見も聞くべきだと思いますがいかがでしょうか。
○小野耐震施策担当部長 緊急輸送道路のうち、主要な防災拠点を結ぶなど、集中的に耐震化に取り組む必要のある特に重要な道路を特定緊急輸送道路として、本年六月を目途に指定いたします。指定に当たりましては、あらかじめ区市町村や都民の意見を聞くことにしております。
○大島委員 都民の意見を聞くというのは、どういうように聞こうとしているのでしょうか。
○小野耐震施策担当部長 特定緊急輸送道路と沿道建築物の耐震化は広く都民に関係しますので、あらかじめ都民全体の意見を聞くことにしております。
具体的な方法につきましては、例えば都のホームページとか区市町村の広報などを考えますが、今後検討してまいります。
○大島委員 広く都民の意見を聞くということも大事ですけれども、当該関係者というか、そこに実際に建築物をお待ちになっている方の意見、沿道の方、そこがやっぱり一番重要じゃないかなというふうに思うんです。
よくパブリックコメントなんかをやって、一応その意見を聞いたというようなこともやるんですけれども、今回のこの緊急輸送道路の問題についても、パブリックコメントを東京都が実施したんですが、この実施した中で提出された方は九十三通ということで、提出意見は三百二十七件ということなんですが、本当にこれで都民の意見を聞いたというふうになるのかなという疑問も持つはずです。
そういう意味では、ぜひ多くの都民の方はもちろんのこと、関係する沿道の住民の方や所有者の方の意見を丁寧に聞くということをやっていただきたいなというふうに思っています。
耐震診断、これについては義務化されたということで、補助金も全額耐震診断のお金はかからないようにしますよというのは非常にいいんですね。でも、この耐震診断で完結するということが最終目的ではなくて、補強設計とか改修、こういうことが必要な建物については、当然改修とか除去とか建てかえをしていかなければ当初の目的というのは達成できない、これは当然のことです。
そこで、来年度予算では耐震診断及び補強設計、改修の助成対象件数及び金額はどの程度見込んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○小野耐震施策担当部長 平成二十三年度予算におきます緊急輸送道路沿道建築物全体の助成対象件数、金額についてでございますが、まず耐震診断助成につきましては八百件、七億九千九百四十万余円、補強設計につきましては三百件、一億六千九百十万余円、改修助成につきましては五十件、九億四千四十万余円を計上しております。
○大島委員 この金額でやっていくということなんですけれども、実際にはなかなか診断から改修というのも難しい話かなというふうに思うんですね。
それで、今回の条例では耐震診断の助成の優遇は平成二十五年度まで、改修は平成二十七年度までというふうになっています。
私もこれについてはいろいろ調べたんですけども、今回いただいた資料のちょうど二〇ページから二二ページのあたりに、実際にどれくらいの耐震診断や改修が行われてきたかというのがずっと書かれているんですが、その数は非常に少ないなというように思っています。
で、横浜の例も私はちょっと調べてみたんですけれども、横浜の場合は目視などを通じて、耐震診断の助成については本診断ではないんですけど全額助成をされていて、そしてこの本診断で、予備診断というんですね。予備診断で、四百九十件が予備診断で実施して、そして本診断が必要とされたものが三百六十二件あったと。
ところが、その三百六十二件のうち本診断に移ったのが五十八件、そのうち耐震改修が必要とされたものが五十件あったというんですが、改修は実際には九件、十八棟、これは十八年度から二十二年度なんですけど、二十二年度は二件で二棟だということで、本診断で改修が必要とされたものの二二%程度しか改修に進んでいなかったということで、やっぱり補助金の関係というのはなかなか大変かなというふうに思うんですが、実際にはこの優遇の期間が過ぎた後、助成はどのように考えているのでしょうか。
○小野耐震施策担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断の義務づけ等に関する規定は、平成二十四年度当初から施行いたしますが、できるだけ早く所有者の皆様に耐震診断、改修の取り組みを開始してもらうため、助成制度の拡充につきましては、義務化に先行しまして、平成二十三年度から開始いたします。
また、所有者の迅速な取り組みを強く促していくため、耐震診断助成につきましては、平成二十五年度まで、また耐震改修助成につきましては、平成二十七年度までの時限措置を設けることにしております。
特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化は、緊急に進めていく必要があります。明確な目標年次を掲げることで、関係者が一丸となって耐震化に向けて取り組むもので、目標年次を過ぎた場合につきましては、条例の施行が始まっていません現時点では考えておりません。
○大島委員 現時点で考えてないということなんですが、実際にはこの助成期間が過ぎた後、その段階でどの程度の耐震診断が残っているのか、それから耐震改修が残っているのかというところで、再度見直しをするということも必要ではないかと思っておりますので、その点についてはぜひ要望しておきたいと思います。
次に、この耐震改修は努力義務だということですが、行政指導とか実施勧告によって、耐震改修等の実施を促進するということになっています。
今回のこの助成の中身を見ますと、延べ床面積が五千平米以下の場合、市区町村の助成のある場合は、所有者負担が六分の一に縮減されるんですけれども、助成がない場合は三分の二の負担になってしまう。
それから、五千平米を超える場合は、市区町村の助成があっても、所有者負担が二分の一となるということで、区市町村の助成制度の有無によって、所得者負担に格差が生じるようになってしまうことについてはどう考えているのか。
また、格差を解消する、それから改善する、緩和する、こういうことについてどのような手だてを考えているのか、特に財政力の弱い多摩地域への都としての財政支援などを考えているのかお聞きいたします。
○小野耐震施策担当部長 本来、建物所有者は、建築物の耐震性能を確保する社会的責務を負っております。こうした認識のもと、今回、耐震化に必要不可欠な耐震診断につきましては、義務づけを行いますとともに、早期に確実に実施されるよう、原則として建築物が立地する区市町村にかかわらず、所有者負担がなくなる助成制度を整備することにいたしました。
一方、耐震改修につきましては、所有者の財産権や処分権に直接かかわり、みずからの責任と判断で対応することが原則でございますが、耐震診断の実施にとどまることなく、着実に耐震改修につなげるため、都としまして助成制度を拡充し、すべての区市町村で所有者負担を従来よりも軽減することにいたしました。この結果としまして、耐震改修につきましても、区市町村の格差が少なくなるようになっております。
耐震化を進めるためには、地域特性を踏まえた区市町村による主体的な取り組みが欠かせません。これまで耐震化助成を制度化していない場合には、その創設を、また制度化している場合には一層の拡充を区市町村に対して今後とも働きかけてまいります。
○大島委員 いただいた資料の一九ページの10を見ますと、それぞれ自治体で、どういう助成制度があるかということが書いてありますけれども、補強設計や耐震改修にないというのが、二十三区の中でも品川区などですし、市町村についてはもうほとんどないと。
それから、建てかえについても、建てかえについての助成というのはほとんどないと、二十三区で荒川区、千代田区が条件ありということなんですけども、こういう状況ですとやっぱりなかなか進むということにはつながらないかなというふうに思うんですね。
そういう意味では、東京都のより一層の支援というのは、この区市町村に対しても必要ではないかというように思っておりますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
それから、耐震診断とか改修について、先ほどいいましたけれども、設計図面がないという場合は、非常にその費用が大きくなるんですね。こうした所有者への支援というのは、どんなふうに考えているんでしょうか。また、改修に対して、助成以外に融資のあっせんとか、利子負担の軽減、こういうことについてはどのように考えているのかお聞きします。
○小野耐震施策担当部長 設計図書は、大規模修繕や日常の管理においても必要不可欠なものであり、建築物を適正に維持管理するため、設計図書を保管することは所有者の責務でございます。
仮に設計図書がない場合でも、建築物を設計、施工した設計事務所や建設会社に問い合わせるなど、所有者としてできる限りの対応に努めていただきたいと考えております。
また、耐震改修に対します助成制度以外の支援策につきましては、工事を実施するための資金を低利で融資する緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修を支援する融資制度を平成二十一年に既に創設しております。
制度創設時は一金融機関でスタートしましたが、今年度は五つの金融機関に増加し、建物所有者がより使いやすい制度となっております。来年度以降も実施金融機関をふやしていくとともに、沿道の建物所有者に対して、制度の周知に努めてまいります。
○大島委員 融資の問題なども一緒に考えないとなかなかこの耐震改修というのは進んでいかないというふうに思いますので、ぜひ借りやすい、そういう仕組みをつくっていただきたいと思います。
次に、一定期間経過後も耐震診断未実施の建築物については公表する、それでも実施命令に違反した者には罰金とか過料、こういった罰則を与えるということが条例上書いてあります。
規則で定める事項の公表というのは、どのような内容を考えているのか、また公表や実施命令をする際の要件として、正当な理由がなくというふうにありますけれども、この正当な理由と判断する基準は一体どのようなものなのか。
また、正当な理由に経済的な理由とか、それからマンションなどで合意形成が難しい、こういう理由は入るのかどうか、あるいは公表、命令に当たって、合意形成に困難を抱えている事情はどのように考慮されるのかお聞きします。
○小野耐震施策担当部長 幾つかご質問がございましたので、順次お答えしてまいります。
条例案の第十二条では、耐震診断の実施義務が課されてから一定期間経過してもなお正当な理由がなく必要な耐震診断が実施されていない場合に、その特定建築物を公表することを定めております。
この公表は都民に対して耐震性能の不明な特定沿道建築物があるという情報を提供する目的で行うもので、内容としましては、対象となります特定沿道建築物について、必要な耐震診断が実施されていないこと、また所在地など建築物を表示すために必要な事項とすることを検討しております。
次に、公表における正当な理由につきましては、既に建築確認を受け、耐震診断の未実施の場合の公表期限までに建てかえる場合など、耐震化が実施されることが確実である場合を想定しております。
また、第十三条の実施命令におきます正当な理由につきましても、同様に耐震化が実施されることが確実である場合を想定しております。
今回の特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化は、震災時における緊急輸送道路の機能を一刻も早く確実に確保し、大地震から都民の生命と財産を守るとともに、首都機能の低下を防ぐことを目的とするものであり、極めて公共性、緊急性の高い施策でございます。このため、耐震診断の義務づけを行うとともに、確実に実施されるよう、原則として所有者負担がなくなる助成制度を整備することにいたしております。
経済的な理由や合意形成が難しいという理由だけでは、正当な理由には該当しないと考えております。
○大島委員 経済的な理由というのは、耐震診断そのものではなくて、その耐震診断から耐震改修に移行するという、そこの部分でなかなか改修までいけないと。そうすると、耐震診断をした後、その耐震化の状況などについては、取引の売買などがあった場合には、重要事項説明書の中に当然書き加えるものになるということや資産価値が下がるとかそういうこともあるので、改修したいんだけれどお金がないとか、こういうことにつながっているというのが結構あるんではないかということを心配しています。
また、マンションでの合意形成の問題については、マンションアドバイザーなどを派遣するという制度がありまして、これが非常に私は重要だと思うんですが、実はきょういただいた資料の二三ページのこの13ですけれども、これを見ますと、まだ分譲マンションのアドバイザーとか建てかえアドバイザーとかというのが配置されているその助成をね、してない自治体というのが二十三区の中でも十三区あるということで、こういう状況のままではやっぱりなかなかどこが特定輸送道路に決まるかわかりませんけれども、大変な状況になるのかなというふうに思っています。
こういう中で、十一条の二項の指示、それから十三条の命令に当たって、期限を定めてというふうになっておりますけども、この期限についてはどの程度を考えているのか。
それから、例えば診断のためには分譲マンションなどでは総会をして、その議決が必要になるんですけれども、関係者の合意形成の期間というのは考慮されるのかどうか、この点についてお伺いいたします。
○小野耐震施策担当部長 条例案第十一条第二項の耐震診断が実施されていない所有者に対する指示は、それ以前に耐震診断を実施するよう必要な指導を行った上で施行されることになります。指示の際の期限は、建築物の構造や規模を踏まえ、耐震診断を実施するために必要な期間を確保し定めることになります。
また、第十三条の耐震診断実施命令は、指示の際に定めた期限も経過した場合に施行されるもので、一刻も早く耐震診断を行う必要があることから、耐震診断を実施するための必要な期間を確保し、速やかに実施を求めることになります。
分譲マンション等の合意形成につきましては、条例の施行と新たに拡充する助成制度に加え、アドバイザー派遣など合意形成に向けた支援や必要な指導、助言を行うことで、合意形成が促進されていくものと考えております。
○大島委員 そういう意味でも、このアドバイザー派遣事業というのは大変重要な意味を持っておりますので、今のような状況ではなかなか大変かなと思います。
この辺についても、区市町村の方とぜひ協力をしていただくような要請を都としてもお願いしていっていただきたいと思います。
次に、耐震診断を実施しない場合の公表という中に、これは第十二条の一号なんですけども、別に定める日というのが書いてあるんですけれども、これは特定輸送道路の指定からどのくらいの期間を想定しているんでしょうか。
○小野耐震施策担当部長 条例案第十二条第一号では、特定緊急輸送道路ごとに、知事が別に定める日までに、正当な理由がなく必要な耐震診断が実施されないときは、耐震診断が実施されていない旨を公表することができるとされております。
このため、別に定める日が特定沿道建築物の所有者にとりまして、耐震診断を実施する期限の目安となることから、耐震診断を実施することが十分可能な期間を考慮しまして、特定緊急輸送道路の指定の際にあわせて定めることにしております。
○大島委員 十分可能な期間、これは建物所有者にとっては大変重要な期間になりますので、その点については、ぜひ配慮をしていただきたいというふうに思います。
それから、今回公表や実施命令に至る前に、関係者からのこの意見を聞く機会があるのかなというように思っているんです。
といいますのは、今回の条例案では、罰則や過料を科すという重い罰則規定を設けているからなんです。特にこの実施命令違反ということになると、罰金という刑事罰が科せられるということで、ある意味犯罪者になってしまうわけですね。
こういう実施命令、ですから一つはそういう前に意見を聞くという機会が設けられているのかどうか、それから仮に実施命令が出された場合にも、その中身について異議申し立てとか、不服の申し立てるということができるんでしょうか。
○小野耐震施策担当部長 条例案第十二条第一項の規定に基づく公表が行われる前に、公表の対象となる特定沿道建築物の所有者には意見書の提出、その他の方法による意見を述べる機会を用意しております。
また、第十三条の規定に基づく耐震診断実施命令の前には、他の条例と同様、所有者には東京都行政手続条例に基づく弁明の機会がございます。耐震診断実施命令がなされた後、その命令に不服がある場合には、これも他の条例と同様、所有者には行政不服審査法に基づき、知事に対して異議申し立てをすることができ、また行政事件訴訟法に基づき、実施命令の取り消しを求めることができることになっております。
○大島委員 この罰則規定というのは、この対象者にとっては大変大きな事柄になるわけですので、ぜひそういう意味では慎重に、そして住民の皆さんの意見を聞いていただけるような内容にしていただきたいと思っております。
次に、緊急輸送道路沿道の耐震化を優先させているんですけれども、今地震で最大の被害を呼び起こすのは、木造の倒壊による圧死とそれから出火による火災での死亡とされています。
木造住宅の耐震化とそれから木造密集地域の不燃化も急務の課題であると考えています。木造住宅の耐震化の目標達成のために、どのような推進計画を持っているのか、助成制度を拡充する考えはないのかお伺いいたします。
○小野耐震施策担当部長 都は、耐震改修促進計画を策定し区市町村と連携して、建物所有者への普及啓発や相談体制の整備、耐震改修等に要する経費負担の軽減など、木造住宅、分譲マンション、緊急輸送道路沿道建築物などの耐震化施策を総合的に進めてまいりました。
都の実施する木造住宅の耐震化助成制度は、防災都市づくり推進計画に定める老朽化した木造住宅が特に密集している整備地域を対象にしております。
このような地域では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるため、公的助成を行っているものでございます。
都としましては、財源を効率的、効果的に活用する観点から、今後とも重点的に取り組む必要のある整備地域に的を絞って、木造住宅の耐震化助成を実施してまいります。
○大島委員 今回、緊急輸送道路、特定道路と指定されたところについては、非常に手厚い助成がされるということになっています。
そういう点でいえば、住んでいて本当に危険性を感じながら住んでいるような木造密集地域、老朽家屋などが密集するところはなおさらなんですけれども、そういうところでも、いち早く耐震診断や耐震改修ができるように、助成制度をぜひ拡充していただきたいというふうに思っております。
それでは、次に都営住宅の問題についてお聞きいたします。
都営住宅、東京都は二〇〇〇年度から新規建設を行わなくなりました。都営住宅に入りたくても入れないという都民が非常にふえているんですね。
入居収入基準を二十万円から十五万八千円に引き下げました。それでも応募倍率というのは変わらないんですね。住宅が余っているからなどといういいわけはもう通用しないんじゃないかと。我が党は、議会局を通じて、政令指定都市に公営住宅に関する幾つかの調査をお願いいたしました。その中で明らかになったことの一つが都営住宅、公営住宅の応募倍率の高さなんです。
今回いただいた資料3ですか、そこにも倍率がずっと載っておりますけれども、昨年度の都営住宅の平均応募倍率というのは、一般世帯向けでも全国最悪の三十五倍ぐらいまでに膨れ上がっていますし、ワースト二位だったのが北海道なんですけども、ここが十四倍だったんですね。四十年間も応募したんだけど全然当たらないと、年を取るだけなので不安でいっぱいになるという声などが本当に寄せられているんです。
ここの資料七ページの6なんですけども、民間住宅の家賃、間代の比較を出していただきましたけれども、これを見ると、もうやっぱり東京都というのが特に区部が高いということで、東京都も高いんですけれども、とにかく民間の家賃が高くてなかなか住めないと。
これは大都市の宿命だなどといっていたんじゃ都民は救われないと思うんですね。都営住宅の新規建設を初め、抜本的な増設に踏み切るべきだというふうに考えますが、こうした都営住宅に入りたいという都民の願いにどうこたえていくのかお伺いいたします。
○荒川建設推進担当部長 都内の住宅数は世帯数を一割以上上回っておりまして、さらに将来的には東京都においても、人口減少社会の到来が見込まれていることなどから、都営住宅につきましては、新規に建設を行わずに、既存ストックを適切に維持更新しながら有効に活用することを基本としているところでございます。
こうした観点に立ちまして、空き家住宅の入居募集を行っておりまして、募集に当たりましては、公募を原則としまして、これに加えまして、高齢者世帯や子育て世帯など、特に居住の安定を図る必要がある都民に対しまして、優先入居を実施するなど、真に住宅に困窮する都民に都営住宅を公平かつ的確に供給するよう努めているところでございます。
○大島委員 都内の住宅数が世帯数一割を上回っているから必要ないんだというのは、もう何回も聞いているんですけど、でも都営住宅に入りたい人というのは全然変わらなくて、むしろふえているんじゃないかというふうに私は思っているんですね。だから、そこにやっぱり対応するということが今東京都に求められていると私は思っています。
ぜひ新規建設に足を踏み出していただきたいと思います。
現在、建設されているのは、建てかえ住宅だけなんですけれども、建てかえ住宅の設計というのは型別供給で、入居者の世帯人数にあわせるといって、大体一DKから三DKまでの標準的なプランをつくっています。
私もこうした建てかえ住宅に行きまして、入居者などからさまざまな意見や要望を聞いています。
一人用の一DKでは、先ほどもありましたけど、介護ベッドを置くと車いすが通れないとか、二DKの間取りでも本当に使い勝手が悪い、こういう苦情は私もこの委員会で何回も取り上げているんですけれども、こういう中で建てかえ中の住宅では、現場で私の地域だと東部建設事務所が担当してまして、その方々にも話を聞きましたけれども、住民からのそういった苦情や要望というのがなかなかその改善には至らない、住民との間で相当苦労している、こういう話も聞きました。
こうした居住者からの苦情や要望を間取りの設計にどう反映していくのか伺いたいと思います。
○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、居住者の世帯構成に応じまして基準を設けて、適切な間取りの住宅を供給しております。この基準につきましては、都におきまして社会情勢や都民ニーズを踏まえまして、費用対効果を勘案しながら、住みやすい間取りとなるように設定しまして、適宜見直しを行っております。
○大島委員 適宜見直しを行っているというので、見直しをしてくれているのかなというふうに思います。
昨年十一月の事務事業質疑で、住みやすい間取りになるように設計するとともに、適宜見直しを行っていると答弁されたんですね。
じゃ、間取りについてはどう見直したのか、また今後見直す計画はないのか、また型別供給実施基準の面積規模を見直す考えはないのかお伺いいたします。
○荒川建設推進担当部長 都営住宅の間取りにつきましては、これまでも子育て世帯に配慮しまして、小規模世帯向け住宅の間取りを見直すなどの改善を行っております。
都営住宅の建てかえに当たりましては、居住者の世帯構成に応じた規模や間取りの住宅を供給しておりまして、今後も型別供給基準に基づきまして、建てかえ事業を進めてまいります。
○大島委員 先ほどの答弁の中でも、一DKの住宅については、収納スペースとか、水回りの配置なんかを工夫する、こういう介護のための間取りの見直しも行っていくというような答弁もありました。
私たちもこういう問題についてはずっと取り上げてまいりましたので、そういう方向で、ぜひ引き続き見直していただきたいと思っています。
次に、この一DK、二DKの小規模居室というのが全体の九〇%を占めるということで、それでこの五ページの4に住戸規模の標準という資料をいただいたんですけれども、これを見ますと、もう四DKというのは平成十五年度からは建設されていないんですね。つまり四人以上の方は何人いても、何人家族がいても三DKになってしまうということで、大規模な住宅はないと。
それから、新規建設が行われない中で、三人、四人以上が居住できる子育てファミリー用の住宅をふやす、こういうことについてはぜひ考えていただきたいと思います。そういう考えはないか伺います。
そして、また来年度は三千五百戸ほどの建てかえを行うといいますけれども、こうした子育てファミリーを含む多人数世帯が入居できるような住宅は何戸ぐらい予定しているのかお伺いいたします。
○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、型別供給基準に基づきまして、従前居住者、今現在住んでいる居住者でございますけども、その世帯構成に応じた規模の住宅を供給しております。現時点では、来年度建てかえを行う団地は未定でございまして、建設する住戸の規模も未定でございます。
○大島委員 建てかえ団地、これはなかなか決まらないんですよね。それで、地域の方々からは早く教えてほしいという声もあります。住戸の規模も未定だということなので、今のところでは、はっきりした答えはないのですが、また今後ぜひ具体的な内容になったら教えていただきたいというふうに思います。
高齢化が進むというこの集合住宅の問題は、都営住宅に限らず深刻で、私以前この委員会でも紹介しましたけれども、URの高島平団地で、大東文化大学と協力をしまして、無縁社会という言葉に代表されるような、この人と人とのつながりが希薄となっている中で、大学がURから居室を借り上げて、学生に又貸しして、学生には家賃補助をする、そのかわりにコミュニティボランティアを一定期間を行うということや自治会への加入を義務づける、こういうことを行ってきたその高島平団地入居プロジェクトというのを立ち上げて、かなりの成果を上げているということが報道などされておりました。
高齢化が進む都営住宅においても、団地の活力を維持するために、子育て支援と子育てファミリー向けの供給戸数をふやして、入居しやすい環境を整えるということは非常に重要だと思います。
若年ファミリー世帯向けの期限つき入居の募集戸数をふやしてきたといっておりましたけれども、この募集戸数や応募倍率の推移についてお伺いいたします。
○岡沢経営改革担当部長 都営住宅におきましては、子育て世帯を支援する観点などから、若年ファミリー世帯向け等の期限つき入居を実施しているところでございます。
募集戸数につきましては、制度を創設いたしました平成十三年度は三十七戸でございまして、その後拡大いたしまして、今年度は千三百戸としているところでございます。また、応募倍率についてでございますが、当初は数十倍でございましたけれども、近年は五倍から十倍の間で推移しているところでございます。
○大島委員 この定期使用の若年ファミリー向け住宅の応募資格というのが、申込者本人を含めて、同居親族全員が四十歳未満であるということや世帯の構成が夫婦のみの世帯またはその夫婦と子どもの世帯のいずれかだというふうになっているんですね。
だから、なかなか一般的に申し込むということも難しいんですけれども、空き家募集の戸数というのは、この先ほどいただいた資料の中にもありますけれども、年間七千戸程度、期限つき入居募集分をふやせば、その分を一般世帯向けの入居募集分が減ることになって、全体の募集戸数をふやさなければ、一般世帯向けの倍率はさらにふえてしまうんではないかと思いますが、こうした一般世帯の入居については、どのように考えているんでしょうか。
○岡沢経営改革担当部長 近年、若年ファミリー世帯向けの募集戸数を拡大してきたところでございますけれども、そうした中で、一般世帯向けの応募倍率は、横ばいないし低下傾向で推移しているところでございます。
この要因といたしましては、若年ファミリー世帯向けに応募をされている世帯は、従来は一般世帯向けの募集として応募していたというふうに見られまして、これによりまして、一般世帯向けの応募者数を減少させているということが考えられます。また一方、入居者の世帯構成の変化や使用承継制度の見直しなどによりまして、募集できる空き家戸数が増加したということが考えられます。
今後も他の応募者にも配慮しながら、若年ファミリー世帯向け等の期限つき入居を推進してまいります。
○大島委員 この応募状況をいただいた資料を見ると、平成十八年度は五十七倍ぐらいの倍率だったのが三十八倍、三十倍台になったということで、低くなったというんでしょうけれども、かわりに単身者向けが急速に伸びていると、つまりだんだん高齢化して単身になる人が多くなったということが一つ大きな原因ではないかと私は思っています。
この定期使用の若年ファミリー向けというのは、利用機会の公平を確保するといって導入したわけなんですけれども、あらかじめ十年の入居期限というのが設定されておりまして、十年を経過した後には住宅を返還しなきゃならない、十年に限り入居できる住宅、十年たったら退去しなきゃならない、こういう条件です。
これでは、子どもたちが大きくなる中で、十年ですからね、学校の転校の問題とか、経済的な問題でなかなかこの転居できないという困難な状況に陥るということもあって、安心して子育てもできないんではないかと、子育て世帯の居住支援ということでいうならば、逆行するんではないかと考えます。
また、その期限到来後の個々に異なる世帯の状況があるわけですから、こういった世帯の状況に配慮した対応というのは考えられないのか、お伺いいたします。
○岡沢経営改革担当部長 少子化が進行する中で、子育て世帯向けに十年間の期限つきで都営住宅を供給するということは、都営住宅の利用機会の公平を確保しつつ、子育て世帯の居住支援に有効であるというふうに考えております。
入居期限の到来時には、他の公的住宅の募集の案内を行うほか、都営住宅の入居資格を満たす世帯に対しましては、制度導入当時の建設・住宅委員会におきます質疑においてご答弁申し上げたとおり、他の都営住宅をあっせんするということにいたしております。
○大島委員 なかなか公的住宅募集に応募しても、またそこに入れないという場合もありますので、都営住宅をあっせんするということでお願いをしたいというふうに思っています。
次に、平成二十七年度までにこの住宅全部の耐震化率を九〇%以上とするということを目標にしてきました。二十四年度までに、新耐震設計以前で建てかえ予定を除く約三千二百棟、十三万六千戸の耐震診断を完了する予定だということなんですけども、都営住宅の耐震化について、その耐震診断後、建てかえるか、改修するか、この判断が迫られるわけです。
居住者にとって、建てかえというのは大変重要なことなんですけれども、その計画がなかなか示されないために、不安の声も寄せられています。建てかえ計画の発表の時期を早める必要があると思いますがいかがでしょうか。
○荒川建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、団地ごとの敷地の形状や建築基準法上の条件などが異なることを踏まえまして、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを判断しながら、建てかえ計画を作成しております。
この建てかえ計画が固まり次第、居住者に対しまして説明を行っているところでございます。
○大島委員 建てかえ計画が大体発表されてから、移転するというまでに六カ月ぐらいしかないということで、心の準備も経済的な準備も何もできないという声がすごく多いんですよね。ですから、ぜひなるべく早目に、建てかえの計画については示していただきたいと思います。
次に、今年度からはエレベーターの設置基準が緩和されて、大変歓迎されています。建てかえ計画のある団地については、エレベーターが設置されない、また設置基準に合っていても、住棟の居住者全員の賛同がなければ設置できないという条件になっています。
建てかえのときには、入居するときに入居者全員エレベーターの設置について同意をとるなんていうことはやっていないわけですから、エレベーターが設置された住宅にそういう形で入居しているということを考えれば、既設の都営住宅でも、この点については柔軟に判断すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○永島営繕担当部長 さきの委員会でも答弁申し上げたとおり、既設都営住宅においては、既にお住まいの居住者にエレベーターの設置後、使用料の改定、保守の費用や電気代の負担が発生するため、全員の同意を求めています。建てかえの場合であっても、エレベーターの設置に伴う費用負担などの入居条件を説明し、居住者がこの条件を理解した上で、建てかえ後の住宅に入居しているものでございます。
○大島委員 入居条件を示して理解して入るというよりも、あなたはここに行きなさいみたいな形になっているんじゃないかなというふうに思うんですね。
だって、入る場所がないんですから、だからそういう点でいうと、例えばその団地の中で一人でも反対者がいれば設置できないという今のままですと、例えばその反対している一人の方がどこかに移動するとか、亡くなるとか、そういうことにならない限りは、絶対にエレベーターはつかないわけですよ。
そうすると、五階とかに住んでいて、大変高齢になっている方にとっては、本当に一日千秋の思いで待っているのになかなか進まない、こういうところでは、例えば自治会で共益費とか電気代を払うよというようなところもあると聞いておりますので、こういうところとの話し合いなどで何とか柔軟に対応していただきたいなというふうに思うんですね。
次に、店舗つき住宅のエレベーターの設置についてなんですが、これも何度も取り上げてきたんですけども、足立区における現在の進捗状況について、お伺いをいたします。
○永島営繕担当部長 店舗つき住棟のエレベーター設置につきましては、足立区と定期的に協議を進めており、この協議の中で店舗所有者への折衝状況や建築基準法に適合させるための課題などについて話し合っております。
店舗所有者との折衝の進捗状況につきましては、個別に折衝の最中であり、またそれぞれの店舗によって事情が異なることから、その状況はさまざまでございます。
○大島委員 これについては、確かに相手がいることなのでなかなか進まないということはわかるんですけれども、やっぱり事務的に進めるというんではなくて、もっと積極的な対応というのも考えていただきたいなというふうに思っています。
次に、都営住宅の使用承継についてお聞きします。
この使用承継の問題も何回もやってきたんですけれども、病弱者の診断書が原則都立病院または公社病院のものとなっていると。
これまでも病状を最もよく知っているかかりつけ医の診断書も、患者の立場に立って認めるべきだと要求してきたんですけれども、これまでの答弁では、承継に必要な的確な判断が民間病院ではできないという答弁はなかったんですね。
じゃ、最終的に都市整備局が判断するんですから、都市整備局はこの民間病院の判断は採用しないということなんでしょうか。
○岡沢経営改革担当部長 この件については、何度かご答弁申し上げたかと思いますけれども、病弱者の使用承継に関する診断書についてでございます。
難病でありますとか、公害病認定患者以外につきましては、病名だけでは使用承継の対象である特別な事情があるかということをどうかということが判断できませんものですから、都が設置いたしました都立病院または都が中心となり設立いたしました東京都保健医療公社が設置した病院の医師に的確に診ていただくということにしているところでございます。
都は、これまで、都立病院または東京都保健医療公社が設置した病院に対しまして、病院経営本部と連携いたしまして、同本部を通じて、都営住宅の使用承継制度の趣旨、承継の際に必要な診断書の記載事項やそれらを記載する理由などにつきまして、十分に説明を行ってきているところでございます。
こうしたことから、都立病院または公社病院の医師は、使用承継制度の趣旨を理解した上で、客観的で的確な診断を行い診断書を発行できるものと考えておりまして、民間病院の診断書を採用することは考えておりません。
○大島委員 使用承継の問題のこの厳格化では、先ほどいった全国調査をやったんですけれど、政令指定都市とそれから全国道府県をやったんですが、例えば横浜などもこの厳格化の後でも三親等まで、この法の規定する低額所得者は民間住宅の家賃負担能力がないことから、移転先の確保が難しいと考えているということで三親等までなんですね。大阪は同居している家族はいいということになっていますね。それから、神戸などは一年以上同居していた者はいいですよとなっているんですね。
大きなところでも、大都市でもそういう条件を本当に考えて、この使用承継については判断しているということは、ちょっと学んでいただきたいなというように思っております。
最後に、北小岩一丁目の東部地区の区画整理事業についてお聞きします。
これは前回の委員会の都計審の案件調査のときにも発言をいたしましたけれども、三月に開かれる都計審で、この意見書の審査が行われるということです。この事業化に当たって大前提となるのが関係住民との合意それから都の事業認可に向けても、この関係住民との合意というのは重視すべきものだと考えますが、いかがでしょうか。
○遠藤市街地整備部長 土地区画整理事業に限らず、公共事業あるいは公共性の高い事業を実施しようとする場合に、住民の理解が得られるよう努力するということは、大変重要なことだというふうに認識してございます。
都市計画法を初めといたしまして、区画整理や再開発などの個別の事業法におきましては、計画案を縦覧し、それに対して住民が意見書を提出などといった手続の規定も置かれているところでございまして、住民参加が法制度としても用意されているというところでございます。
土地区画整理事業につきましては、代表的な事業施行者といたしまして、土地区画整理組合、それと公共団体の二つがあるわけでございますけれども、今、委員からお話のございました関係住民との合意、こういった点では両者で扱いが異なっております。
組合施行におきましては、施行地区内の権利者全員が半ば強制的に組合員となりまして、定款を定めて、みずからが事業を実施するものでございまして、組合の設立に当たりましては、地区内の権利者の三分の二以上の方の合意が必要というふうになってございます。
これに対しまして、公共団体施行でございますが、これは例えば防災性の向上でありますとか、地域環境、地域の住環境の改善などといった一定の行政目的を達成するために事業を実施するものでございまして、制度上、地区内の権利者の同意が事業実施の要件というふうにはなってございません。
施行者は住民説明会や個別説明会など、さまざまな場を設けまして、地区内の住民はもとより、広く関係住民の理解と協力が得られるよう努めることになってくるわけでございます。
北小岩一丁目東部の土地区画整理事業につきましては、去る一月二十五日の当都市整備委員会でもご答弁申し上げましたように、生活環境の改善や防災性の向上、さらには三方を盛土で囲まれたくぼ地となっている、そういった地形であることに伴いますまちづくり上の課題を解決するために、江戸川区みずからが施行者となって行う事業でございます。
施行者であります江戸川区は、平成十六年度以降、五十三回にわたる説明会を初め、まちづくりニュースの発行など、関係住民の理解と協力を得る努力を重ねてまいりました。
都といたしましては、こうした区の取り組みや事業計画案に対して、今回提出されております意見書の状況などを総合的にとらえまして、事業に対する地元の理解が得られているものとこのように判断してございます。
○大島委員 意見書の状況などで総合的に判断するんだということで、その意見書が今度都計審にかけられるということなんですけども、前回の質問の中で、今回の意見書に三百八十三人から八百八十四通の意見書が出されたと、その地区内、地区外の住民合わせても、事業推進の意見が八割ということだというような答弁がありました。
三百八十三人のうち、事業に賛成、反対の意見を寄せた人数を地区内と地区外に分けてそれぞれお伺いいたします。
○遠藤市街地整備部長 人数ということでのお尋ねでございまして、改めて意見書の整理をいたしました。一人の方が複数の意見書を出している、違う趣旨の理由を述べて複数の意見書を提出しているケースがございますので、改めて精査をいたしました。
その結果、意見書を提出した方三百八十三人のうち、地区内の方は百七十九人、このうち事業に賛成の意見書を提出した方は百二十八人、反対の意見書を提出した方は五十一人でございまして、賛成の意見書を提出した人の割合は七割を超えてございます。
他方、地区外の方は二百四人でございまして、このうち事業に賛成の意見書を提出した方は百十八人、反対の意見書を提出した方は八十六人となってございます。
○大島委員 今の数で私も計算したんですけど、事業地区内の方については、今いわれたように七一・五%が賛成で、反対が二八・四%だということなんですけれども、地区外では賛成が五七・八%、反対は四二・一%、地区外と地区内を足して、例えば権利者が地区外に住んでいる方もいらっしゃるので、これを計算しますと、賛成の方が二百四十六人で六四・二%、反対の方が百三十七人で三五・七%ということで、三割を超えて反対の方がいるという状況が示されました。
じゃ、現在地区内の権利者は何人いらっしゃるのか、そのうち賛成とか反対の人数はどのようなものなのかお伺いいたします。
○遠藤市街地整備部長 ご質問をいただきました地区内の権利者につきましては、現時点におきまして、施行者である江戸川区は把握してないというふうに聞いております。
江戸川区におきましては、平成二十一年の都市計画決定に当たりまして、平成二十年八月に行った現況調査をもとに、地区内の権利者の数を八十八人と報告しております。しかしながら、この方が個別に賛成であるか、反対であるかということについての調査を行ってないというふうに聞いてございます。
なお、土地の権利者という点について申し添えますと、公共団体施行の区画整理事業の実務におきましては、事業計画決定後、施行者の諮問機関となります土地区画整理審議会、これを設置する際に、登記簿調査や本人からの申告によりまして、土地所有権や借地権を有する人の数を把握する、このようになってございます。
○大島委員 前回私もいいましたけれども、今のところ江戸川区も平成二十年八月以降は調査も行ってないということで、実際にどんな状況かというのはわからないというのが現状だと思うんですね。
そして、この江戸川区都市計画審議会の参考資料として出された都市計画案への意見書の中では、地区内、地区外、その権利者の中で四十二人の方が推進ですが、反対の方は二十六人ということで、反対の方が三八・二%を占めているというのも、前回私もいったところなんですけれども、そういう状況があります。
実際に先ほどありましたように、組合施行のように三分の二の同意条項などというのはないんですけれども、でも実際には自治体がやる事業だからこそ、こういう問題については、より慎重に行う必要があるというふうに思います。
事業認可を行うというのが、実際には東京都になるわけですから、その事業認可に当たっても、こうした住民の声、そういうものをぜひ正確に把握していっていただきたいというふうに思っております。
以上で終わります。
○いのつめ委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時四十四分休憩
午後四時六分開議
○いのつめ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○淺野委員 私の方からは、まず都営住宅について何点か質疑をさせていただきたいと思います。
昨年の十一月九日にありました事務事業質疑でも意見を申し上げさせていただきましたが、今現在、民間住宅が世帯数に対して約一割余っている状況であること、それから今現在の住民の皆さん、都民の皆様方のニーズというものが非常に多種多様に膨らんでいる、そういった状況を踏まえさせていただいて、その委員会におきまして、ハードで取り組む、つまり建物を維持管理するという取り組みから、ソフト、さまざまな補助制度、そういったものを検討する、そういった時代に差しかかっているのではないか、その方向で検討していく気がないのかということについて、質疑をさせていただきました。さまざまなお話をいただいた後で、最終的には、時代に即した住宅政策を総合的に展開していく考えだということを局からいただいたわけであります。
私といたしましては、住宅政策、確かに今、住宅政策審議会の方で答申を待っている状況でありますし、一概にああしろこうしろということがいえるわけではありません。また、来年度すぐに何らかの形で取り組むというのも難しい状況ではあると思いますが、少なくとも一つ一つ検証しながら進めていかなければならない、そのように思っております。
そんな中で、今回の予算案の中に、先ほどもるるお話しありましたが、都の公営住宅の建設事業、いわゆる都営住宅の建てかえ三千五百戸というところについて予算が計上されているわけでありますが、この地域の需要やさまざまな観点から検証した上で、やはり取り組んでいかなければならないものだと思います。
そういった観点で、来年度、三千五百戸の都営住宅の建てかえを行う上での根拠というものをまず伺いたいと思います。
○荒川建設推進担当部長 都営住宅は、都民の住宅セーフティーネットの中核でございまして、市場において自力では適正な水準の住宅を確保することが困難であるなど、住宅に困窮する都民を対象としまして供給している住宅でございます。
都営住宅は、都民共有の住宅セーフティーネットでございまして、市場で供給される民間賃貸住宅と競合するものでないというふうに考えてございます。都民の住宅セーフティーネット機能を適切に保持するためには、将来、耐用年限を超過する住宅が発生しないよう対応していくことが必要でございまして、老朽化した住宅の建てかえを推進してございます。
今後、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、建てかえ事業の規模を年間四千戸に段階的に拡大することとしてございまして、平成二十三年度の建てかえ戸数は三千五百戸を計画してございます。
○淺野委員 先ほど、他の委員の質問からの答弁にもありましたとおり、現在どこを建てかえるかということがまだはっきりと決まっているわけではないというお話もありました。
とすれば、予算の計上の段階では、これは建てかえることがまず前提であって、建てかえる場所は後から考えますといっていることだと思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、その地域に本当にこの後四十年、最大だと耐用年数七十年ですから、長いもので七十年間、その地域に本当にその都営住宅が必要かどうかという検証をしないで、三千五百戸を建てかえしますという予算を計上していることになるんですね。
私自身が、もちろん二十六万戸ありますから、それなりに検証していけば三千や四千の建てかえの必要な場所というのは見つかるだろうとは思います。ですから、それをもって、今回この三千五百戸がだめだというつもりはありませんけれども、どうかこの後、どこを建てかえするかと考える段階におきましては、本当に四十年先、そこに都営住宅がなければいけないのか、団地として存在する必要があるのかどうか、民間でかわりがきかないのかどうか、そういった観点を必ず検証してその上で建てかえをするかどうかというのを考えるべきだとそのように申し上げます。
先ほどの都の答弁の中にも、公社住宅も含めてこれは都民共有の財産だといっておりますが、共有の財産とはいえ、住んでいらっしゃる方々にしかその利益というか与えられていないわけですね。そういった意味でいけば、皆にチャンスがあるという観点、それから、住んでいるその地域に、例えば自分の住みなれた地域のすぐ近くに都営住宅がなければ、その人は、都営住宅をもし受けようと思えばそこを離れなければいけないという状況にもなるわけです。いろんな観点から考えますと、昨年申し上げたとおり、もはやハードで行う時代からソフトで行う時代にいったんじゃないかと私はいいたいわけです。別にこれに対する予算規模を縮小しろとか、事業を縮小しろという意味ではなくて、今のかけているお金の使い方をどう変えるかという、そういう観点が必要なんじゃないんですかとそう申し上げているわけでありますね。
いっとき構造改革というような言葉がありました。その本当の意味というのは、何に使うかを選択するのを変えるのではなくて、今使っている使い方を、本来の目的に照らし合わせて、時代に合わせて変えていく、それが本当の構造改革だったんじゃないかと私は思います。そういった観点でいけば、本当に住宅に困っているいわゆる困窮者の方々を救うというのが本当の目的であって、住宅を建てて住まわせてあげるのが目的ではなく、それは手段ですから、その手段が時代に合っているかどうかを考えていっていただかなければなりません。
この都営住宅というのが建設されれば、最大で七十年間、耐用年数というのがあるわけですから、逆にいうと七十年間使い続けなければいけないわけです。前にも申し上げましたが、七十年後の東京都の姿を予想することはほぼ不可能です。そんな中、今後人口減少社会を迎えるわけですから、建てかえというのは、かなり慎重に検証しながら行っていくべき事業だと私は考えます。
この都営住宅の建てかえの今後の展望、見通しというものについて都の見解を伺いたいと思います。
○瀧本都営住宅経営部長 少子高齢化の進行などを踏まえますと、子育て世帯や高齢者世帯を初めといたしまして、真に住宅に困窮する世帯に対して都営住宅を的確に供給し、都民の居住の安定を確保することは大変重要でございます。
一方、今後人口減少社会の到来が見込まれることなどから、都営住宅については新規に建設を行わず、既存ストックを適切に維持更新しながら有効活用することを基本としております。
現在、建てかえの対象としている昭和四十年代以前に建設された都営住宅は、建物や設備の老朽化が進行しておりました。多くの住棟にエレベーターが設置されていないなど、バリアフリーの面でも課題があることから、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、建てかえを適切に進めることが必要でございます。
建てかえに当たりましては、バリアフリー化された住宅への更新を進めるとともに、敷地の有効活用により用地を生み出し、福祉施設や防災施設の整備、緑の創出など、地域のまちづくりの促進にも積極的に取り組んでいるところでございます。
今後、都営住宅の建てかえについては、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、事業規模を年間四千戸に段階的に拡大することとしております。
今後とも、建てかえ事業の推進を図り、一層住みやすい都営住宅を整備し供給するとともに、地域のまちづくりに寄与してまいります。
○淺野委員 誤解がないように申し上げておりますが、段階的に例えば四千戸に拡充することがだめだといってるわけじゃないんですね。ただ、普通に考えればわかることですけれども、二十六万戸ある今の都営住宅、東京都の今後の住宅の推移というものを考えたときに、おおよそこういった公営住宅の仕組みを変えていったり、もっと大きくいえば公社が行っている住宅の供給、そういったことまで含めて制度を考え直そうと思ったらそれ相応の時間がかかるんです。正直いって十年や二十年で、今住んでいる方々もいらっしゃるわけですからそれをあしたからあるいは来年から、そんな簡単にできるものではないということは当然わかることなんです。
ということは、五十年ぐらいかけてやるつもりで今から検証を進めていかなければ、当然のことながら都営住宅というものが、あるとき突然住む人がいなくて余っているねどうしようか、でもその住宅にはまだ住んでいる人もいるからとりあえず保持しておかなきゃ、そんなところがどこにもかしこにもいっぱいで結局どこか一カ所に集めましょう、それは強制的になるかな、そういう強引な施策をしなきゃいけないときがくるかもしれない。
柔軟に対応できる制度というのを考えるためには、かなり早い段階から取り組んでおかなければなりません。そういうことがいいたいんですね。ですから、建てかえを絶対するなといっているわけではありませんが、建てかえするときに常にそれを意識してほしいということなんです。
例えば、先日の視察で都営住宅の建てかえの現場を見させていただきました。確かに敷地内では、駅から一番遠いところに都営の団地が建ち、近いところはできるだけさまざまな形で活用してもらう、そういった取り組みもされておりました。しかし一方で、道路一本出れば、今持っている敷地の外側には普通の民間住宅があるわけです。自分たちで家賃を負担し払っていらっしゃる方々は、都営住宅よりも遠いところから通っていらっしゃる。別に、補助を受けているから不便をこうむらなきゃならないというつもりはありませんが、少なくとも、ほかにも渋谷区の都営住宅、渋谷駅から歩いて七、八分のところにあります。周りはさまざまなデパート等があって本当に明るいまちです。ここに都営住宅がある。昔は多分そんなに開けてなかったからつくったのかもしれません。しかし、これをただ漫然と建てかえてしまえば、普通、そこに住むために物すごいお金を払うかもしれない人たちが、例えば渋谷まで通勤で片道一時間かけている人がいる一方で、そこには、都の先ほどの資料によれば、平均で二万円強の家賃を払う人たちが住んでいる。それで一般の都民が見て公平な施策だ、都民共有の財産だとそう認識されるかといえば、私にとっては甚だ疑問でしかありません。
また、今の答弁にありましたバリアフリーの観点というのも、実は都営住宅だけの問題ではないですよね。今都にある住宅のすべてが抱える問題の一つだと思います。そういった観点で、都では今回別の予算の中に、例えばサービスつき高齢者専用賃貸住宅の供給助成であるとか、子育て世帯向けの優良賃貸住宅の供給助成であるといった取り組みをしております。こういったところをもっともっと広げて、どこの住宅も子育てやあるいはどの地域にも高齢者の方が住みやすい住宅というのが用意されていて、そういった賃貸を選ぶときに、家賃があと二万円足りない、あと五万円足りないけどこの地域に住み続けたいんだと思う人たちが選択できるような制度というのを今から考えて、都営住宅が建てかえに合わせて少しずつ少しずつ変えていって、三十年先、五十年先には、都が運営するあるいは委託して運営を任せるような、ストックを持っている数はできる限り少なくして、ソフト面で都民の真の住宅困窮者を支えていくという政策に移っていく転換期が今なんじゃないんですかということを申し上げたいと思います。
そういった観点で、なかなか難しいことだと思いますけれども、この住宅困窮者への対応、都営住宅の供給というハード、この対応からまずはソフトの政策に切りかえていってほしいという思いが私にあるわけですけれども、そういったさまざまな可能性を検討していく、そのことについて、改めて今都の見解を伺いたいと思います。
○香山住宅政策担当部長 都営住宅についてのお尋ねでございます。
都営住宅は、市場において自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯に対しまして住宅供給を行う施策の中心的な役割を果たしております。そのため、そのストックを有効に活用し、真に住宅に困窮する世帯に対して、公平かつ的確な供給に努めているところでございます。
既にお答えいたしましたが、都営住宅につきましては、このストックを有効に活用する観点から、必要な建てかえを実施しているものでございます。
また、都民の居住の安定を確保する観点からは、都におきましては、公共住宅に加えまして、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネット機能の構築に取り組んでいるところでございます。
現在、住宅政策審議会におきまして、都営住宅の問題を初めといたしまして、住宅政策全般の今後の展開についてご議論いただいているところでございますが、審議会におきます議論の経緯、財政的な負担のあり方などを踏まえまして、社会経済状況に即した住宅政策を総合的に展開してまいりたいと存じます。
○淺野委員 まだ今現在においては、この経済状況に即した総合的な展開ということで取り組んでいっていただきたいということでありますけれども、石原知事もふだんから、今の日本は我欲の人間がふえてしまっているよという警笛を鳴らされてもおります。また逆に、この観点逆に見ると、決まった規格、つまり三人、四人の世帯だったらこのぐらいのところに住んだらいいよねというような決まった規格で封じ込める、間取りも都営住宅でいろんなものを考えてつくっていらっしゃるんでしょうけど、どうしてもそんなにお金をかけてつくるわけにいかないわけですからどうしても決まった規格になる、人によっては、狭くてもいいけど収納がたくさんあって、荷物が基本的に見えない中で過ごしたいという人もいらっしゃるでしょう、逆に、できるだけ広い家に住みたいという人もいらっしゃるでしょう、そういった価値観は多様化しているわけで、それに建物を建てて答えるというのは、おのずと限界があると思うんです。
民間がつくっている住宅をどうやって活用するのか、そしてそれは経済効果も生みます。今現在空き家を抱えていらっしゃるその運営者の方々、賃貸住宅を抱えていらっしゃる方々は、やはりそれを借りてくれる人がいて、しかも自分が設定している家賃を下げないと来ないかなというところ、下げなきゃいけない部分を多少でも公的に負担してもらえるんだったら、住む人を受け入れることも可能になると思います。いろんなことを考えれば、やはりそろそろ考え方を少しずつ改めていく必要があると思います。
もちろん、予定では二十三年、ことしの年末に答申が出され、来年度末に住宅マスタープランというものも策定していく方向であると伺っておりますから、ぜひそういった観点で、この五十年先にどういう制度をつくっていったらいいのか、そのことを意識しながら取り組んでいただきたい、その旨を強くお願い申し上げまして、次の質問に入らさせていただきます。
次に、ホームからの転落防止対策について申し上げたいと思います。
予算特別委員会等でも大分触れられてきている話ですから、その辺の集約をいたしますと、可動式ホームさくなどの整備というのが、駅からの転落防止の対策としては最も有効、物理的に人が落ちるのを防ぐというさくでありますので、非常に有効であると私も認識しております。
しかし、都側の説明のとおり、確かに入ってくる車両の扉の位置が異なっていたり、あるいは、例えば、私も見てわかりますけれども、朝のラッシュ時の山手線などは二分置きに運行しております。行ったと思ったらすぐ次が来る。あの状況でホームドアを設置すれば、確かに物すごい大きな混乱を招くだろうということも容易に想像がつきます。そういった意味で、都が整備が進まないといった課題の説明というのも理解はできる、そう思っております。
また一方で、鉄道事業者は転落検知マット、あるいは非常用停止ボタン、そういった整備も進めており、それをやっていることは認めますけれども、これはホームから転落した際にどうするかという対処の方法だと思います。一番大切なことはホームから転落させないという考え方であって、ホームの転落を予防するということを考えていかなければなりません。
最初に申し上げたとおり、ホームさくというのが最も効果的、有効な手段だと思いますが、仮にこれがさまざまな理由で設置できないというのであれば、例えば、鉄道事業者に対して、ホームの外側にセンサーを設置して、乗客あるいはホームを移動している方が、ホームの外側の縁ですね、外縁に接近してきた場合には音声で警告する、そういったシステムを整備させるということも次善の策ではありますが、有効な対策だと私は思います。
最近の新聞の記事に、警視庁が横断歩道を渡り切れない人のために、半分以上渡ってきた方がいた場合にセンサーで察知して、信号の時間をちょっと延ばす。あるいはもう時間がないときに入ってこようとした人に対しては、もう信号が変わりますよと警告を出すというようなのをモデル事業としてやろうとしているという記事がありました。そういった今のセンサーシステムを使えば、例えば目の見えない方々でも、ホームの端に行って落ちそうなところに近づいたら、音声でもうすぐホームから落ちますよ、危ないですよと声が聞こえれば、警戒をすることが可能になると思います。
そういうことを事業者に、あれができないこれができないといっている事業者に対しては、じゃ、こういう法案だったらどうだ、これだったらどうだと次から次へとたたみかけていかなければ、動きの遅い事業者はなかなか整備をしていただけないんじゃないかと私は思いますが、この可動式ホームさくの整備ができない、そういった場合の次善の策として、ホームからの転落を防止する対策というのを鉄道事業者に強く働きかけていくことというのが必要と考えますが、都の所見を伺いたいと思います。
○藤井都市基盤部長 駅ホームからの転落等の防止策につきましては、本来、鉄道の安全な運行確保の責任を負う鉄道事業者がみずから取り組むことが基本でございます。
都は、転落防止対策として可動式ホームさくなどの効果が高いことから、必要性の高い駅からその整備を積極的に推進するよう、鉄道事業者に対し働きかけを行っております。
一方、転落事故等の防止策のうち、非常停止ボタンまたは転落検知マットの整備は、運行本数など一定の要件で必要とされる駅において完了しております。
お話しの乗客がホームの外縁に接近した場合に警告するシステムは、平成十二年に東急多摩川線、池上線において固定さくの整備にあわせて導入されているほか、本年二月に小田急線東海大学前駅において、本システム単独で導入されております。
こうした可動式ホームさく等以外の転落防止対策につきましては、本年二月に国が設置したホームドアの整備促進等に関する検討会で検討することとなっており、都としては、その動向を踏まえながら適切に対応してまいります。
○淺野委員 最後に、意見を少しいわせていただきたいと思いますが、今、ご説明の中にありましたシステムというのも、これは私も伺って調べてみましたけれども、実は、このセンサーのシステムというのが、電車が近づいてきたときに探知するシステムなんですね。つまり、電車がホームに近づいてきたときに動き出して、危ない人がいないかどうかを確認して、出ていくときまで監視していると。
これはなぜかというと、もともとこのセンサー自体が設置された要因というのが、車両の扉に挟まってしまったりとか、そういった方々がそのまま気がつかずに列車が発車してけがをされる、それを防止するためを考えてつくられたシステムですから、なかなか私が思っているような転落を防止するという観点とは、まだちょっと弱いかなという気がします。
とはいえ、こういったセンサーが設置されているとの事例があるということは、そんなに難しい話ではないということですね。あわせて、都の方からいただいた資料によると、カーテンセンサーというのもありまして、この中にもはっきりとホームの端の歩行者に対する注意喚起ができると書いてあり、しかも、ホームそのものへの設置が必要ない。屋根に設置するだけでいいわけですから、事業費としても安く済むということが書いてあるわけですね。
そういった観点から見て、こういったものを、本気で乗客の安全を守ろうと思っているんだったら、率先してこういうのはどんどんつけていくべきだと私は思うわけで、そういったことを、もちろん第一義的な責任がある鉄道事業者に対してしっかり求めることが必要だと思います。また、都としてできるのは、もちろんお願いして何とかやってもらおうというのも大切なんですけれども、残念ながら今話がありました平成十二年にこういったセンサーつけられて、もう十年たっててまだホームに全部が進んでいない。バリアフリーもあわせて、なかなか鉄道事業者というのはそんなに、私が知る限り、物すごい赤字を抱えているところたくさんあるわけじゃないと思うんですが、なかなかこういった整備を進めないところがあるような気がいたします。そういった意味では、例えばこういう鉄道事業者、いろんなことに、整備に熱心にやっているかどうかということを、客観的にただ事実だけを、都としてどんどん公表していく。例えば公開している企業であれば、当然、株主だって安全対策をちゃんとやっているか、つまり事故が起きづらいものというのは株価が下がる可能性が低いわけですから、そういったところを考えて、いろんなところから、いろんな方面から、事業者がこういった対策を進めなきゃいけないような観点で、対策を練っていただきたい。
今回は都営住宅、それからホームの転落防止策について、非常に狭い話というか、個別具体的な話をさせていただきましたが、私が求めたいのは、柔軟な考え方でさまざまなことに取り組んでいかなきゃいけないということであります。
懸案になっております、例えば私の地元にも関係ありますが、外環ノ2につきましても、これは今道路の中で整備検討しているということでありますが、これもやっぱり住民の意向を聞いた上で、いろんな対策を考えて、どうするのが一番納得しやすいかということを柔軟に取り組んでいく必要があると思います。そういった観点でこれからの都政、特に来年度もさらに柔軟な取り組みを期待いたしまして、私からの質問を終わりたいと思います。
○遠藤(衛)委員 では私からは、住宅政策についてお伺いいたします。
都はこれまで、都営住宅の跡地を活用し、都心部では南青山一丁目、港南四丁目や勝どき一丁目の地区において、また多摩地区では東村山市本町地区において、民間活用によるプロジェクトを実施しております。
この東村山市本町地区プロジェクトは、老朽化した都営住宅の建てかえに当たり、土地の有効活用を図ることにより土地を生み出し、周辺のまち並み環境とも調和したまちづくりを進めてきたところでございます。また、そのまちづくりの中で、住宅政策の一環として、生産の合理化等により住宅の費用の低減を図り、高品質の低価格の戸建て住宅、いわゆる三割安住宅をモデル供給という実証実験をあわせて行ったものであります。
このプロジェクトで建設した住宅は、好評のうちに既に完売しており、住宅の質や美しいまち並みに関して、居住者から高い評価をいただいていると聞いております。私としても、このプロジェクトを高く評価しているものであります。
このたび、都は、東村山市本町地区の成果を踏まえ、東大和市で向原地区プロジェクトを、そして府中市では、将来の住宅モデルの検討を行う長寿命環境配慮住宅モデル事業を、都営住宅の跡地を活用して実施すると伺っております。そこで、今後実施する二つのプロジェクトについて順次お伺いいたします。
まず、東大和市向原地区プロジェクトでは、都は良好なまち並みと住宅、住環境を備えたまちづくりを進める中で、東村山市本町地区の成果を生かし、三割安い戸建て住宅を提供していくとしております。また、プロジェクトについては、南北に分かれた二つの地区で展開することとしております。そこで、それぞれの地区でどのような事業を行うのか、改めて説明をお願いし、あわせて今後の予定についてもお伺いいたします。
○室木再編利活用推進担当部長 東大和市向原地区プロジェクトは、西武拝島線の東大和市駅から徒歩で十分程度に位置する向原団地において、老朽化した都営住宅の建てかえに伴い創出した約四・五ヘクタールの用地を活用し、七十年間の定期借地権制度を用いて戸建て住宅の供給をしたいとする民間活用事業を実施し、ゆとりある美しい景観のまち並みの形成を目指してまいるものでございます。
当プロジェクトの実施地区は、ご指摘がありましたように団地の南北二カ所に分かれており、面積約一・八ヘクタールの北地区では、東村山市本町地区の実証実験の成果の普及拡大を図ることといたしまして、建物本体工事費を三割程度引き下げた戸建て住宅を供給してまいります。
一方、地球温暖化対策については、都政におきます重要な課題であることから、本プロジェクトでは、戸建て住宅におきますCO2排出量の削減に向けた取り組みも行うこととしており、特に、面積約二・七ヘクタールの南地区では、すべての戸建て住宅において、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー利用機器及び高効率の設備機器等を装備するとともに、すぐれた断熱性能を有するものとし、こうした低CO2住宅を低廉な価格で供給してまいります。
このプロジェクトの事業者につきましては、多摩地域の経済活性化などに寄与するよう、多摩地域の三社以上の中小工務店の参画を条件としております。
今後の予定でございますが、本年五月に事業者を公募いたしまして、本年秋に事業予定者を決定の上、平成二十四年度の着工を見込んでおります。
○遠藤(衛)委員 七十年という長い期間の定期借地権を設定するということは、住宅を購入する者にとって、安心して住み続けられるという意味では大変いいことだというふうに思っております。
一方、都では健全な森林の育成を図り、地産地消の循環社会をつくるため、多摩産材の使用を促進しております。このため、相当数の住宅が建設される本プロジェクトにおいても、多摩産材の使用に向けた取り組みを行うことが重要と考えます。
そこで、本プロジェクトにおいてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○室木再編利活用推進担当部長 これまで推進してまいりました東村山市本町地区プロジェクトでは、事業者を公募する際、募集要項の中で、間伐材製品、木製品の外構などへの多摩産材の活用方策について提案するとともに、その提案内容の着実な実行を求めてまいりました。その結果、集会所の内装材の一部、公園のベンチなどのほか、一部の戸建て住宅の柱、はりなどの構造材などに多摩産材が使用されることとなりました。
向原団地におきます本プロジェクトにおいては、こうした事例を参考として取り組みを進めることとしておりまして、先般公表いたしました事業実施方針では、多摩産材を使用しながら今後事業を進めることを、事業の目的の一つとして明記したところでございます。
今後、事業者を公募する際の募集要項を策定してまいりますが、その中で、多摩産材の具体的な取り扱いを提示していく予定としております。
○遠藤(衛)委員 ただいま多摩産材の具体的な取り扱いを提示していく予定とのことでございますけれども、我々自民党は、代表質問では三宅幹事長が、あるいは予算特別委員会では私の隣の林田委員も多摩産材の活用を取り上げるなど、林業の重要性を強調してきたところでございます。ぜひ多摩産材の活用を積極的に進めていただきたい、このような施策の展開が、林業の振興、活性化につながるものと考えます。
次に、府中市で実施予定の長寿命環境配慮住宅モデル事業についてお伺いいたします。
まず、このモデル事業において、長寿命環境配慮住宅とはどんな住宅なのかお伺いいたします。
○山口民間住宅施策推進担当部長 このモデル事業は、都が昨年十二月に公表いたしました「十年後の東京」の実行プログラム二〇一一におきまして、良質な住宅ストックの形成並びに住宅の省エネ化を推進する事業として位置づけているものでございます。
このモデル事業の中で、長寿命環境配慮住宅とは、まず国の定める長期優良住宅の認定要件を備え、建物の構造躯体が高い耐久性を持ち、設備の維持管理や更新が容易にできるなど、長く住み続けられる工夫がなされている住宅であること。また、住宅の環境配慮につきましては、単に高水準の省エネ設備機器に依存するだけではなくて、気密性や断熱性のほか、通風や敷地内緑化などにも創意工夫がなされ、都の掲げる一定のCO2排出削減目標を達成できる住宅であること。さらに、個々の住宅だけでなく、住宅が集合した街区全体といたしまして、エネルギーの効率的な利用や良好な景観形成など、まちづくり等への取り組みも配慮されているものであること。このようにこの事業におきましては、住宅の内部、敷地、街区全体に対しまして、長寿命とあわせ、省エネや低CO2、快適な居住性など、総合的に居住環境に配慮した住宅モデルを目指しております。
○遠藤(衛)委員 都の独自の新しい住宅のコンセプトとして非常に関心があるということでございます。
続いて、このモデル事業の概要と現在の進捗状況についてお伺いいたします。
○山口民間住宅施策推進担当部長 このモデル事業は、公募によりまして、最もすぐれた企画提案をした民間事業者に都有地を売却いたしまして、事業者がその企画提案に基づき戸建て住宅を建設、分譲するものでございます。なお、中小工務店の経験や創意工夫による、先ほど先生からお話のございました東村山市本町地区プロジェクトの成果を踏まえまして、中小工務店の参画を得て実施することとしております。
モデル事業の敷地でございますが、約二千百五十平米ございまして、戸当たり敷地面積を原則百二十平米以上と設定しておりますことから、建設される住戸数はおおむね十五戸程度と考えております。
このモデル事業では、建設、居住、解体、処分など、住宅のライフサイクル全体を通じて、CO2の排出量を標準的な住宅と比較して五〇%削減させること。そのために割高となる建設コストにつきましては、生産の合理化などの創意工夫によりまして低減を図り、一般の戸建て住宅並みの価格で住宅を供給すること。また、入居後の一定期間、入居者の協力を得ましてエネルギーの使用等に関する調査を実施し、暮らしの中におけるエネルギーの効率的利用などの新たな住まい方の視点も取り入れ、効果検証を行うこととしております。
さらに、このモデル事業を通じまして、将来の住宅市場での供給促進を図る観点から、中小工務店が施工可能な汎用性のある住宅モデルとすることを目指しております。
なお、モデル事業の進捗状況についてでございますが、都は昨年十二月に事業の実施方針を公表したところでございまして、この三月には、事業者を募集要項により公募を行いまして、学識経験者等で構成される審査委員会の議論を経て、六月には事業予定者を決定する見込みでございます。
○遠藤(衛)委員 今の答弁の中で、中小工務店というお話がございましたが、こういった住宅を普及させるためには、中小工務店の役割が非常に重要であると思います。都としても、中小工務店に対してさまざまな場面で支援をしていかなければならないというふうに思っています。例えば、モデル事業に参加をしていない中小工務店の現地視察などを案内し、中小工務店の技術の向上を図ることなどが必要であると思います。
そこで、今後、中小工務店や都民への普及啓発などをどのように進めていくのかお伺いします。
○山口民間住宅施策推進担当部長 お話しのように、中小工務店は戸建て住宅供給の主な担い手でございますが、都が環境配慮など社会的ニーズに即しまして、中小工務店の住まいづくりに関する意識や技術力向上を図ることは、将来の住宅市場における供給促進を図る上でも大変重要でございます。
今回のモデル事業では、住宅の建設段階や完成段階等におきまして、参画事業者の協力を得て、中小工務店などを対象とした現場見学会を開催し、モデル事業で活用された設計上の工夫あるいは工法等の技術的な情報を提供することとしております。
また、省エネ効果等の検証結果も踏まえまして、環境に優しい住まいづくりや住まい方を、モデル事業の成果としてガイドブックに取りまとめまして、都民や住宅生産者等に広く情報発信し普及啓発を図り、長寿命環境配慮住宅の供給促進につなげてまいります。
○遠藤(衛)委員 モデル事業の成果を十分踏まえて、ぜひ積極的に普及啓発に取り組んでいただきたいと思います。
このようなプロジェクトは、都有地を活用することから、これまでの成果を踏まえるのみならず、環境問題への対応や住宅の長寿命化、中小工務店の技術の向上など、さまざまな時代ニーズに合わせ、都の政策とも連携した新たな取り組みも行われており、これらを今後の住宅政策に役立てていくことが最も重要だと考えます。
これからも、住宅施策にはこういった新しい取り組みを行うよう要望して、質問を終わります。
○遠藤(守)委員 同じ氏名の自民党の遠藤衛先生とは、この熟練度、全く違いますけれども、私も私なりの観点で質問させていただきたいと思います。
私の方からは、本日の第一号議案となっております来年度の一般会計予算中、歳出に関連いたしまして、来年度、都市整備局の方で各種の調査を行います。これについて二点お伺いしたいと思います。
一点目が、今後の都市計画道路のあり方検討調査、これが一点目。そして二点目が、東京における航空機能に関する調査、この二点であります。
初めの、今後の都市計画道路のあり方検討調査に関連しますけれども、今さらいうまでもなく、都は平成二十一年七月に東京の都市づくりビジョンを改定し、東京の目指すべき都市像を明らかにしたところであります。
このビジョンにはさまざまな目標等書かれておりますけれども、その一つに、国際競争力を備えた都市活力の維持そして発展、これが定められております。
今後、この東京の活力を維持発展させる上で、さまざまな都市基盤、重要でありますけれども、私は中でも人や物の移動に伴う道路のあり方というのは、非常に重要であると思います。古代の言葉にも、すべての道はローマに通ずるとこんな言葉もあって、戦略的に道路が非常に重要だというのは古代からの言葉でありますし、また最近も、森財団さんがグローバルシティランキングということで、世界の先進都市のさまざまなランク分けをしておりますけれども、その中で東京が繰り返しいわれているのが、やはり渋滞が多い、それで大変な経済的なロスも受けている、こんな指摘があるわけであります。
そこで、この予算書にあります今後の都市計画道路のあり方検討調査、これは来年度の新規事業として扱われるわけですけれども、この調査の目的と内容についてお伺いしたいと思います。
○藤井都市基盤部長 都市づくりビジョンでは、都市づくりの基本理念を世界の範となる魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京の創造と掲げ、基本理念を実現するための目標として、都市活力の維持発展、地球環境との共生、美しい都市空間の再生などを定めております。
都市計画道路は、人や物の円滑な移動を確保するとともに、防災性の向上や良好な都市空間の形成を図るために不可欠な都市基盤であり、都市づくりビジョンの目標を実現する上でも、極めて重要な役割を担っております。
お尋ねの調査は、都市づくりビジョンを踏まえ、今後の都市計画道路の整備のあり方についての基本的な考え方を整理することを目的に実施するものであり、次期事業化計画を策定する際の基礎資料としても活用いたします。
調査内容といたしましては、地域主権改革の動き、都内交通状況、現行の第三次事業化計画の進捗状況等を把握、分析し検討を行うものでございます。
○遠藤(守)委員 今、部長の方から調査の目的また内容について答弁いただきましたけれども、そこに主に三つの目的があると。一つは現行の第三次事業計画の進捗状況等の把握、そして都内の交通状況の把握、そしてもう一点、地域主権改革の動き、これを把握、分析する、このような答弁だったと思います。
ご案内のとおり、現在、国におきましては、都市計画の決定権限の一部を区市町村に移譲する、こうした議論が行われているわけであります。
私は、地方分権を進めていくことについては異論はありませんけれども、一方で、都市の骨格たる道路を個別に計画するということは、都市間の連携または東京圏の活発な都市活動を阻害するおそれがあるとも考えております。
用途地域については、区部の決定権限はこれまでどおり都が決定するということで、さきの本会議で技監が答弁されたわけであります。そこで、この都市計画道路の決定権限の一部が、将来、仮に区市町村にわたった場合の課題についてどう認識しているのか、お答えいただきたいと思います。
○藤井都市基盤部長 お話しの権限移譲を含む地域主権に関する一括法案につきましては、本国会に提出される見込みと聞いております。
この法律が施行された場合には、これまで都が都市計画決定していた四車線以上の区市町村道につきまして、区市町村へ決定権限を移譲することになります。ただし、幹線的な道路であります都道につきましては、引き続き都が決定することに変わりなく、また区市町村道で四車線以上の道路は限られております。さらに、この法律の施行により、区市町村が決定する都市計画につきまして都知事の同意が不要となるなど、区市町村の自主性及び自立性が強化されます。
一方、道路は交通の円滑化や防災性の向上など、ネットワークとしてその機能を果たすことが重要でございます。このため、都と区市町村で、都市計画道路の決定、変更等にかかわる取り組みの整合を図ることが課題となります。
都は、今後の法改正に適切に対応するために、現在、改定に着手している都市計画区域マスタープランの中で、地域の意向を反映しつつ、都市計画道路の一体性を確保する考え方を示してまいります。
なお、平成十六年には、都と区が連携し区部につきまして、平成十八年には都と多摩地域の市と町が連携し多摩地域について、それぞれ都市計画道路の整備方針を策定いたしました。これらの方針の中で、道路整備の基本目標の設定や必要性の検証を行うとともに、平成二十七年度を目標とする優先整備路線の選定などを行っており、区、市、町におきましても、今後とも適切に都市計画道路の整備が進められていくものと考えております。
○遠藤(守)委員 今の政府与党の状態では、この一括法案が最終的に国会に提出されるのかどうか、またそれが成立するのかどうか、これは全くわかりませんけれどもいずれにしても第一次のこの分権改革以降、それまでの法令の解釈というのは、それまでは国が有権解釈を持っていたわけですけれども、以降、法令の解釈は、国でもまた都道府県でも、また市町村でもそれはできるということでありますので、この法律が改正された場合には、都は都としてスタンスをしっかり持った上で、この都市計画道路の整備を着実に推進していっていただきたいと思います。
次いで、東京における航空機能に関する調査についてお伺いしたいと思います。
いただきましたこの予算の説明書には、この調査について、羽田空港機能の強化、国際化及び横田基地の民間航空利用について調査を行うと。二千八百五十万円が計上されているわけでありますけれども、さて、この調査は具体的にどのような中身で行うのか、お答えいただきたいと思います。
○邊見企画担当部長 羽田空港に関するものと横田基地に関する調査を予定してございます。
このうち羽田に関しては、一つは、空港周辺道路の交通がどう変化するか実態把握する調査、またビジネス航空については、取り組み方針を公表し国へ提案したわけですけれども、都としての案をさらに具体化するための検討調査、さらに、深夜、早朝時間帯の公共交通アクセスについて、バスなどでのさらなる対応を検討する調査でございます。
それから、横田に関しては、一つはビジネス航空の取り組み方針に関連して、都心とのアクセス向上を図るための検討、もう一つは、航空機の離着陸の状況について、毎年実施している実態把握のための調査、これらを予定してございます。
○遠藤(守)委員 過去の予算説明書、これを調べてみますと、来年度と同様に、この東京における航空機能に関する調査という項目がございます。それでは、昨年の羽田の再国際化を踏まえまして、二十三年度の調査はどのような新たな観点を加えて調査しようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
○邊見企画担当部長 お話しのように、羽田空港などでのその取り巻く状況の変化をとらえた検討を行う予定でございます。
先ほど述べました調査項目のうち、例えば空港周辺道路の検討に関しては、首都高速では対距離制が導入される予定でございまして、これが実施されると、料金圏が撤廃されることによって、例えば羽田ランプ周辺の交通混雑が緩和される、こう予測されますけれども、こういった状況変化に伴って実際に交通状況がどう変化したのか、実態を把握、検証することなどを考えてございます。
それから、ビジネス航空に関連するものについては、取り組み方針公表後、都としての案を具体化するための概略検討を行っておりますけれども、その後、国との調整なども行って、来年度、より具体性を増した提案を行えるようにしたいと考えてございます。こういった新たな視点を加えて、調査を行う予定でございます。
○遠藤(守)委員 今の答弁によりますと首都高速で新しい料金体系が導入される予定だと、それに基づく実態の把握が一つ、そしてビジネス航空、これに関連する調査を行う、これが羽田関係では大きい来年度の調査のポイントである、こういった答弁だったと思います。
それでは最後になりますけれども、都は、二十一世紀に東京が国際都市として発展していくために必要な首都圏の航空機能の充実に向けて、五十年後を視野に入れた施策をまとめました。取り組むべき施策をまとめた、これは航空政策基本方針、平成十二年十二月に公表したものであります。これであります。私も質問するに際し都市整備局さんのホームページから改めてダウンロードして全部読ませてもらいました。
しかし、これは今申し上げましたとおり平成十二年ですから、今から十年前に公表されたものであります。いいかえれば十年が経過して、私は、今日的な課題を網羅しているとはいえないのではないか、このように思います。個別具体的なものは触れませんけれども、全体としてそのような心証を持ちました。
羽田再国際化という大きな目標が達成された今、これまでの調査を踏まえて、これを抜本的に見直す必要があると思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○邊見企画担当部長 航空政策基本方針につきましては、昨年十月羽田空港が本格的な国際空港としてスタートしたことで、大きな政策目的が実現したことになります。
しかし、航空政策に関する残る課題もありますので、このうち、例えばビジネス航空について、首都圏での受け入れ体制が立ちおくれており、これへの対応を図ることが必要となっておりました。このため、都は、昨年、ビジネス航空に関する取り組み方針を策定いたしましたけれども、この方針は、航空政策基本方針と一体となって、ビジネス航空に関してこれを補完するという位置づけのものでございます。
今後とも、こうした取り組みなどを通じまして適切に対応しながら、引き続き首都圏の国際空港機能の強化を図ってまいります。
○遠藤(守)委員 今答弁がありました、特にこのビジネス航空について大きく言及した答弁だと思いますけれども、私は、何もビジネス航空だけではないと課題はいろいろあると思います。
先ほど関口副委員長からも同じような視点がありました。国と東京都、また何か整備した次に新しい課題が持ち上がるとまたそこで国と東京都、いろんな関係があるということでありますので、ぜひ私は、東京都が目指すべき羽田、横田の明確な方針について、現代的な課題を踏まえて、こうした方針、改めてになりますけれども、見直すべきだ、このように訴えまして私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○佐藤委員 本日私からは、耐震化推進条例と平成二十三年度予算審議に当たりまして来年度のまちづくりに対する取り組みの大きく二点について質疑をさせていただきます。
まず耐震化推進条例についてです。
十二月、基本的な考え方に関して、この都市整備委員会でも審議をされたとき、大きく三点、義務化に転換する趣旨、そして費用負担のあり方、耐震診断と改修との関係性が大きな論点であったかと思います。私自身、義務化に転換するに伴い費用負担については所有者に費用負担がない形にすべきではないかという考えを申し上げたところです。
今回、先ほど都技監からの決意表明ありました中でも、これまでの施策ではなかなか耐震化が進まない、そうした中で法的な整備あるいは所有者の費用負担などについて専門家会議を立ち上げて、また全庁的なその議論の中で、今の形をつくられてきたというお話をされました。お疲れさまというのもあれですけれども、本当にこれからなんだと思いますが、本当に大変な中でつくられてきたと思っております。
そうした中で、この条例が、細かい点もあるかもしれませんけれども、実効性ある執行に向けて手続の観点あるいは利用者の視点から、パブリックコメントをまとめられていますけれども、その中で、都の方でまだ検討していくんだというような回答になっている部分含めて、確認を含めて質疑をさせていただければと思います。
まず義務に関してなんですが、正当な理由がない場合には、正当な理由ということについての判断基準がどのようなものかということを、私自身もお伺いしようかと思いましたけれども、先ほどご答弁がありましたので外しまして、このパブリックコメントの中で、その義務化の対象に関して、高さ四十五メートルを超える高層ビルは現在と同様の考え方で振動解析を行い大臣認定を取得しており、対象建築物に含めるべきではないというパブリックコメントがありますけれども、これに対して東京都の考え方では、今後検討すると回答されております。建物の所有者がその義務に係るかどうかは、その義務違反の場合にその公表の対象、サンクションの対象になるかどうかという意味を含めて、明確に示す必要があると考えております。この取り扱いについては、どのように定めていくのかお伺いをいたします。
○小野耐震施策担当部長 パブリックコメントでもご意見がありましたが、昭和五十六年五月以前、いわゆる旧耐震基準が適用された際に、高さが四十五メートルを超える建築物につきましては、建築基準法に基づき、国土交通大臣、当時の建設大臣でございますが、認定を受けることが義務づけられておりました。その際、建築確認に先立ち、国が構造上の安全性を確かめることになっておりました。
認定に当たりましては、先生お話しのとおり、複数の地震動を用いてコンピューターにより建築物の揺れぐあいなどの振動解析を行っておりまして、建築物が倒壊や崩壊に至らないことを確認しております。
高さ四十五メートルを超える建築物の取り扱いにつきましては、こうした考え方を踏まえまして、条例施行時に耐震化指針の中で明確にしてまいります。
○佐藤委員 対象になる義務をかけられる所有者が、どういった行為をする必要があるのか、それが見通しができるような形を整えていっていただければと思います。
そして、次に手続に関してですけれども、耐震化状況の報告や耐震診断等の実施の報告及び補助金の申請の窓口業務は、所有者の利便性を考慮して、あちらこちらの部署に、こちらに行けば報告します、こちらにいけば申請をしますというような形ではなくて、同一の部署で一遍に行われることが望ましいと思いますけれども見解を伺います。
○小野耐震施策担当部長 条例に基づきます耐震化状況の報告や耐震診断等の実施報告、補助金申請の窓口業務につきましては、所有者の利便性やサービスの観点から、建築物の所在する区市町村が行うことが望ましいと考えております。
このため、耐震診断等の実施報告や補助金申請の窓口などの事務につきましては、基本的には住民に身近な区市町村で対応することを前提としまして、今後区市町村と具体的に調整をしていく予定としております。
しかしながら、耐震診断の義務づけに先立ち行う必要があります、耐震化状況の報告につきましては、区市町村との調整が整うのを待っておりますとその後の条例全体の進捗に影響が出ますことから、都が受付を行うことによりまして、できるだけ速やかに施行することにいたしております。
○佐藤委員 これから具体的な調整を進められていくと思いますけれども、ぜひ所有者の利便性、その視点からさまざまな手続、流れについて働きかけあるいは調整をしていっていただければと思います。
これまでと違うのは、こういった耐震化に関して関心が高い方が耐震化の診断などを行っていくというばかりではなくて、関心がない方もその診断が確実に行われていくという形がまさに必要なわけですから、個別の訪問を含めて周知など普及に努められていくと思いますけれども、ぜひそういった部分のみならず、所有者ご自身が、本当にここに行けばすべてが終わるんだなというような形を整えていっていただくことが、確実な診断の義務の執行を進めていくことになると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
そうした観点も含めて、補助金の出され方に関して確認をさせていただきます。
建物の所有者が耐震診断の補助金を申請して受け取るまでの事務手続の流れについて、改めて確認させていただきます。
○小野耐震施策担当部長 一般的な補助金申請の事務手続の流れとしましては、まず建物所有者は、所在する区市町村に補助金の申請を行います。区市町村は、その内容を審査し必要に応じ現地調査等を行い、補助金を交付するかどうかを決定いたします。
補助金の交付が決定された所有者は、耐震診断を行う建築事務所等の診断技術者と契約し、耐震診断を実施いたします。所有者は、耐震診断の完了の報告を区市町村に行い、検査を受け、その後補助金を受け取ることになっております。
○佐藤委員 今ご答弁をいただきましたように、今の手続の流れの中で、所有者は耐震診断が終わってから補助金を受け取るという形になっているわけですが、それまでの間、一時的に診断に要する費用などについて、立てかえたりとかする必要があるのでしょうか。その点について確認させていただきます。
○小野耐震施策担当部長 実際の現場で行われております耐震診断の実施でございますが、所有者が依頼した診断技術者が、補助金の申請手続も含めまして耐震診断の業務を完了し、所有者が補助金の受け取りを確認した後、所有者から診断技術者に費用を支払うケースが多く、先に費用を支払う場合でも、着手金や前払い金など一部の金額になることが多いと聞いております。
このため、所有者が補助金を受け取る前に、診断に要する費用を全額立てかえることは極めて少ないと認識しております。
○佐藤委員 これから実際に執行していく中で、さまざまな課題が出てくるかもしれませんけれども、その際には、ぜひ丁寧にご対応いただければと思います。
診断を実際に行うに当たって、大きく三点目、診断方法であったりとか、診断する方の技術的な質と量の確保に関してお伺いをしていきたいと思います。
まず耐震化の指針の制定方針の内容そしていつ制定するのかお伺いいたします。
○小野耐震施策担当部長 耐震化指針は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の実施に当たっての技術的な事項を定めるものでございまして、具体的には診断方法の種類など、地震に対する安全性を評価する方法や地震に対する安全性の基準などについて規定いたします。
このうち、地震に対する安全性を評価する方法につきましては、国の方針との整合を図るため、国土交通省告示、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針等を参考にしながら定める予定でございます。
耐震化指針は、耐震診断や改修を実施するに当たって必要不可欠な指針であることから、条例施行後、速やかに策定し公表する予定としております。
○佐藤委員 そうした指針に基づいて診断を行っているという形なんですが、耐震診断の義務化などの対象となる特定緊急輸送道路沿道建築物の棟数に関しては、報道によれば、まだこれから特定していくということになるわけですけれども、報道によれば約五千棟ではないかというような報道もあるところです。
特定緊急輸送道路の指定は六月を目途に決定するということですけれども、仮にその程度の対象建築物があった場合に、耐震診断を平成二十五年度までに適切に実施することができるのかどうかという課題が出てきますが、この点、耐震診断を実施する診断者の質と量、どのように確保するかお伺いいたします。
○小野耐震施策担当部長 国の耐震改修促進法では、耐震診断を行う者の資格要件を定めておりませんが、今回の都の条例では、耐震診断の実施後、補強設計、耐震改修等に進んでいくことを前提とし、原則としまして建築士法で規定する資格要件と同様とする考えでございます。
また、建築士の資格を持っていない者でも、学識経験者など高度な知見や技術力が確認される場合には、診断者として認めることを検討しております。
都としましては、建築士等の関係団体とも連携し、講習会の開催等により、診断者の育成や技術力の向上に取り組み、診断者の質の確保を図っていくとともに、信頼できる診断者に関する情報提供を行う上で、その内容や方法について検討してまいります。
なお、建築士等の関係団体とは、これまでも既に意見交換等を行っておりまして、円滑な条例の施行に向けて診断技術者の確保等について全面的に協力するとの意見をもらっております。
○佐藤委員 ぜひ関係機関の全面的な協力を得て、確実に進めていただければと思います。
ニュージーランドの震災においても、やはりそうした先ほどもお話がありましたように、耐震化あるいは建てかえしなければならない建物を放置されたりとかいうこともありました。この診断、まずはその状況の報告をこの三カ月の間に集めていくというところから始まるのだと思いますけれども、ぜひそこから確実に進めていただくとともに、耐震化改修につなげていくという次の課題、あるいはその報告状況をどのように都の施策、災害の施策、都市整備局だけではなくて全庁的にどういうふうに活用していくのかというのが次の課題になるかと思いますけれども、ぜひこの東京都の直下型地震に関して、議会、都庁を含めて取り組みを進めていければと思っております。
以上で、条例に関しては終わります。
次に景観、まちづくりに関して伺いたいと思います。
成熟期を迎えた我が国では、産業の偏重から生活重視へと価値観が転換するとともに、自然や文化に彩られた個性豊かな都市空間の形成が求められているところでございます。
東京都作成の都市づくりビジョンでも、自然、歴史、文化資源を生かした都市づくりの推進、まちの個性や文化を生かした地域の景観づくりの推進を掲げているところです。
また、先月東京都では、大規模建築物等を対象とする地域の個性を生かした景観誘導を目的として、景観計画の変更について意見募集を行って、特定の区域において景観形成を図るための指針をつくれるような仕組みを創設するなど、地域の個性を生かした景観誘導を進めているところと認識しております。
また都は、良好な景観形成を図るために、地域の意欲や創意工夫を生かしながら、魅力あるまち並み景観を一体的に形成することを目的として、しゃれた街並みづくり推進条例に基づく街並み景観づくり制度を運用し、また、防災・建築まちづくりセンターに設立した東京歴史まちづくりファンドを通じて、歴史的なまち並み景観の形成を図ることを目的にして、東京都選定の歴史的建造物の保存や修復を支援しているところと認識しております。
改めて、これらのしゃれ街条例重点の地区、あるいは東京都、東京歴史まちづくりファンドにおけるこれまでの実績について伺います。
○石川景観・プロジェクト担当部長 景観施策の実績についてでございますが、初めに、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく街並み景観重点地区の実績についてでございますが、平成十五年十月の制度施行以来、現在までに十地区を指定しております。
このうち、葛飾区の柴又帝釈天周辺地区、板橋区の常盤台一、二丁目地区、港区の赤坂九丁目地区と汐留西地区の四地区において、地域のまちづくり団体が街並み景観ガイドラインを策定し、自主的なまちづくりに取り組んでおります。
次に、東京歴史まちづくりファンドの実績についてでございますが、昨年七月にファンドを設立して以来、千代田区神田地区のいせ源や葛飾区の柴又帝釈天題経寺大客殿など四件の建造物に対して、外壁や屋根の補修等に要する費用について、今年度助成を行うこととしております。
○佐藤委員 平成十六年からそういう形で指定をしている中で、この数字が多いか少ないかという評価はすごく難しいところがあるかなと思いますけれども、さまざまな事業もある中で、どういったところにまちづくりについて課題があるのか、一方、成功した例について波及させていくという取り組みも重ねていくことも重要ではないかと思うところです。
今お話のありました柴又では、景観まちづくり制度の指定を受けて、平成二十二年度都市景観大賞の美しいまちなみ特別賞を受賞していたりとか、まちづくりファンドでそうした助成を受けて、これまで継承されてきた建造物に関しての修復などをしてきたところですが、こうした現場でまちづくりに取り組まれている方々の経験であったりとかあるいはさまざまな協議会にかかるその機能の調査などによりますと、やはりまちづくりを行うには、それを行う人づくり、人材が不可欠であると。そしてその人材の状況、人の状況がそのまちづくりの成否に大きくかかわってくる、それによってまちづくりは異なってくるという指摘があるところです。
こうしたまちづくりに係る協議会が機能して、継続的に動いていくためには、ブレーンとなる専門家とともに、そうした住民の協働を支え担っていくコーディネーターが不可欠であるという指摘です。しかしながら、こうした専従者を置くことができる投資余力がある地域とか、大店、大きな店舗を中心としてにぎわいをつくっている地域は別ですけれども、すべての地域がそうした投資余力を持っているわけではなくて、持続的にこうした人材を雇用できる環境にはないわけですが、こうしたブレーンとなる専門家、あるいはまちづくり、協働を支えていけるような人の確保、そのための財源が課題となっていますが、これに関して都はどのように取り組んでいくか伺います。
○石川景観・プロジェクト担当部長 地域のまちづくりを円滑に進めるに当たっては、これらまちづくりを担う人材の確保が重要でございます。
そのため、都は東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づき、地元のまちづくり団体を支援し、共同して街並み景観ガイドラインの作成を行うため、景観づくりの専門家である街並みデザイナーの選任や国の関係機関が実施している助成事業である住まい・まちづくり担い手事業を初めとする公的支援制度の紹介など、まちづくり団体が円滑に人材や財源を確保できるよう努めてまいりました。
今後も、これらの技術的支援や情報提供を行い、地域の個性を生かしたまちづくりを推進してまいります。
○佐藤委員 今ご答弁をいただいた街並みデザイナーの派遣に関して、今は選任という形ですが、平成十六年から十八年までは、その報酬についても都の方で予算を確保して、その時期にちょうど柴又の方のガイドライン策定に当たって派遣をされてきた、選任をされてきたというふうな形になっていますが、まさに、こうしたまちをつくっていくときに、どういう方針でこのまちをつくっていくか、この戦略的なところに今現在ではそうした公的な費用というのが入っていない状況ですけれど、まさにここの部分に人を充てて財源を充てて人を確保することが、まちづくりにとっての不可欠な状況になっています。
こうした公的な制度で単年度予算となっている中で、そうしたまちづくりを担う人を持続的に依頼していくための永続した財源でもないという状況があります。そういう意味で、財源について自律的に持続的に確保できる環境があるかというところが問題かと思います。
先般、エリアマネジメントに関して、広告収入を財源とする手法に着目して、広告規制を緩和してその財源確保を支援するという取り組みがあることは、本会議でも答弁されているところですけれども、こうした取り組みについて、まちづくりに不可欠なブレーン、デザイナー、コンサルタント、あるいはマネジャーの活動を支えるための財源に充てたりとかすることも含めて都の所見を伺います。
○石川景観・プロジェクト担当部長 エリアマネジメント活動に必要な財源の確保につきましては、先日の都議会自民党の代表質問でのご提案を受け、現在、屋外広告物の規制緩和により得られる広告収入を財源に充当する仕組みづくりを進めております。
その中で、規制緩和により得られる広告収入は、道路清掃など地域のまち並みの維持向上に寄与する公益的な取り組みに関する費用に充当することを条件として考えており、現在、どういったものを公益的な取り組みとして扱うか、具体的な内容について検討をしているところでございます。
○佐藤委員 ぜひ、そのでき上がったまちを維持していくのみならず、まちをつくっていこうとする、その部分に関しての支出の手当てなども検討を進めていただければと思います。
今現在、全国では、例えば最初にその商店街の方々が借金をして、駐車場を整備してその収益を充てたりとか、ただ、それは投資余力がなければできなかったりとかする中で、あるいは地元の行政の施設の管理を受託して、その収益を充てて人を雇用したりとかいうような形で工夫をしているところがあって、それが回っていけばいいわけですけれども、一方で地ビールとかラムネとかをつくって一本十円とかの利益の中で年間十八万くらいしか上がらないという中で、なかなか人を永続的に雇用できないというようなやはり難しい状況があると聞いています。
まちづくり、つくっていく、まちの活性化、商店街の活性化、それを行うためには、まさにその協働、人々が互いにそのまちをつくっていこうとするときの支えていくリーダーばかりではなくて回していく人、そして専門家として、今建築の学部の中ではコミュニティアーキテクトという形で養成もしている中で、そうしたスキルを持った人と必要としている地域とがマッチング、今はなかなかできないような状況があるところ、それがマッチングすることによって、まちづくりは単にガイドラインをつくって高さを制限すれば済むという話ではなくて、どういったまちをつくっていくのか、それぞれの思いとかを出し合ってつくっていくところ、まさにそういうような支えていく人の手当てをしていく、そうした仕組みづくりをしていくことも課題ではないかということを、事実を共有していただいて施策に反映していただければと思います。
こうしたそのまち並み大賞、まち並みのそうしたグッドデザイン賞とか、あるいは特別賞を得た柴又では、近年では外国の方からは参道でパーティができないかとか、そうした問い合わせが入るなど、そうした地域の資源がまさに観光であったりとかの施策と連動させているところがあります。
スカイツリーは、本当に東部地域のみならず東京のランドマークとしての位置を占めつつある中で、そうした新たなランドマーク、地域資源、これまで継承されてきた江戸、江戸ばかりではないと思いますけれども、昔から積み重なってきたその伝統的な部分と組み合わせての新たなそれはまち並みをつくる、そのまちで住むということのみならず、それを活用した観光資源とかに連動させてにぎわいづくりにしていくことになるのではないかと考えますので、都市整備のそうした事業と産業政策と連動して、二十三年度も事業を進めていただければと思います。
そうした観点から、次に、今、観光の話をさせていただきましたけれども、こうした東部地域、まだまだ未整備の部分があります。東部地域は、こうした観光のみならず産学公の連携の取り組みも進んでいて、足立区では東京電機大学、葛飾では東京理科大、墨田区は今誘致に取り組んで、臨海副都心では芝浦工業大学という形で、多摩の方ではシリコンバレーという形で明確に位置づけられていますけれども、東部地域、城東地域では、従来からのものづくりを下地にしてこうした技術の研究開発のエリアとして成長させていく、そうした可能性があるところのこの交通ネットワークを促進していくことはとても重要なことではないかなと考えております。
そうした観点からも含めて、本会議でも答弁がありました新小岩駅ですけれども、東京の東の玄関口にあるこの新小岩駅は交通の結節点であります。しかしながら、まだまだその総武線快速の停車駅の両隣、錦糸町と市川は再開発でまちは変わりましたけれども、新小岩は一日に十四万人の乗降客数、またバスの路線でも七百六十二本出ているという状況にありながら、駅広場が南口にありますけれども、脆弱で、路上にバスが停車していたり、自転車が駐輪であふれているような状況があります。
改めて、東の玄関口として新小岩の位置づけを明確にするべきと考えますが、見解を伺います。
○安井理事 新小岩地区ですが、東京の都市づくりビジョンにおきまして、都市環境再生ゾーンに位置づけておりまして、都市づくり戦略の一つとして、都市計画道路の整備などにより市街地の改善を進め、安全なまちの再生を図ることとしてございます。こうした戦略を通じまして、地域が目指す将来像としては、複合開発などにより、にぎわいのあるまちを形成することとしてございます。
その中心となる新小岩駅は、JRと多くのバス路線が乗り入れる交通結節点でもあることから、都としても、この駅を中心とした新小岩地区につきまして、地域の核となる拠点であると認識してございます。
○佐藤委員 さて、スカイツリーは、この閉塞感ある日本で上に伸びていくことも一つの成長のシンボルとして人々の期待を受けているところですけれども、このスカイツリー周辺の押上・業平橋駅地区と新小岩などの近隣の拠点とが連携して機能を分担していくことは必要なことで、相互のアクセス強化が重要と考えております。実際、スカイツリー周辺と近隣の拠点との間では、新たなバスの需要が生まれることが想定されております。
一方で、スカイツリー周辺には、バス交通を受けとめる交通広場が、押上駅の南側の墨田区の第五号線に設けられていることになっていますけれども、新たな交通需要に対して不足するのではないかという心配があります。場合によっては、広場の外の幹線道路沿いの設置も考えられるところですけれども、こういった状況を踏まえて、バスの事業者がバスの路線や停留所を新たに設置する場合の手続、またスカイツリー周辺の押上・業平橋駅地区の交通機能を支える交通広場はどのような使われ方がされる予定なのか、現在の検討状況について伺います。
○藤井都市基盤部長 まず、手続の関係ですけれども、バスの路線もしくは停留所を新設する際の手続といたしましては、バス事業者がその設置につきまして、道路管理者と交通管理者に協議を行った上で、国に道路運送法に基づく許可を求めることとなります。
次に、お尋ねの交通広場についてでございますけれども、お尋ねの広場につきましては、区道として設置されるもので、墨田区の管理する交通広場となる予定でございます。交通広場にはバスの乗降場を一つ設置する予定と聞いており、具体的な利用の仕方につきましては、現在墨田区で検討中でございます。
○佐藤委員 ぜひ、新小岩初め周辺の拠点とこの新たな拠点、スカイツリーとのアクセスが十分機能するよう、今後区が行う調整に対して、都も目配りをされることをお願いさせていただきます。
そうした新小岩、交通の視点からまち自体を見てみますと、道路の横断一つとっても、今老朽化した歩道橋があったりする場所があるんですけれども、お年寄り、高齢の方は上りおりが困難なために、横断歩道のないところを横断していたりとか、大変危険な状況があったりとか、またその総武線の下を、平和橋通り、くぐる際に歩道も一たん下がって、その後実は道路が続いてなくて階段が出てきたりというような状況があったりとか、そういう意味で通行に大変支障がある状況があります。本当に足が悪い方とかも本当に通行に支障があったりとかする中、高齢化が進む中でバリアフリーしていく必要がある状況があります。
今新小岩駅周辺では、こうした交通結節点機能の向上を図るために、補助三三〇号線とか交通広場などの都市基盤整備を進められているわけですけれども、この機をとらえてバリアフリー化を促進すべきと考えております。
実際、葛飾区では、今年度バリアフリー基本構想の見直しに着手して、南北自由通路については、葛飾区、JR東日本、JR貨物の三者で、昨年の八月に協定を結んで事業が進捗しているところです。ぜひ東京都でも、都市づくりビジョンにおいて、超高齢化社会が到来することを踏まえて、安心して暮らせるまちづくりを掲げて、建築物バリアフリー条例や東京都の福祉のまちづくり条例等に基づいて、バリアフリー化を促進して、だれもが円滑に地域内の移動とか施設の利用ができるまちづくりを推進するとしているところです。
そこで、区によるバリアフリー基本構想策定とか自由通路整備などへの都からの支援についてお伺いいたします。
○藤井都市基盤部長 新小岩駅は、先ほどもお話ありましたけれども、多くのバス路線が発着する交通結節点であり、駅周辺には、公共施設、病院など、高齢者を初め多数の人々が利用する施設が多く立地するため、駅を中心とした面的なバリアフリー化などの必要性の高い地区でございます。
そのため、現在葛飾区におきましては、駅南北の往来の利便性を高めるため、自由通路の整備を進める一方、駅周辺の重点的かつ一体的なバリアフリー化を図るため、バリアフリー基本構想を策定中でございます。
南北自由通路の整備につきましては、今年度、国の社会資本整備総合交付金を活用し、区が概略設計を実施しており、都も技術的支援を行っております。
また、区は、バリアフリー基本構想策定のための協議会を設置し、都もこれに参加しております。
今後とも、南北自由通路整備や駅周辺のバリアフリー化を早期に進められるよう、こうした関係機関の取り組みを支援してまいります。
○佐藤委員 ぜひ支援を力強く進めていただきたいと思います。
同時に新小岩、このまちづくりに関して、今地元では再開発事業並びにしゃれた街並みづくり条例に基づく街区再編まちづくり制度の活用も視野に入れて、勉強会を開催しているところです。また葛飾区では、広域的な複合拠点として新小岩を位置づけて、調査委託費用を二十三年度予算に計上しています。まさに具体化をしていく状況にあります。
東京都で、改めて新小岩のこの東南地区のまちづくりに対して、どのように取り組んでいくか伺います。
○安井理事 地元がまちづくりを進めております新小岩東南地区は、地区を東西に貫くバス通りの幅員が狭いことに加えまして、行きどまり道路や細街路が多く、歩行者の安全性、利便性の向上とともに、老朽化した小規模建築物の更新を通じた防災性の向上などが課題となってございます。
今お話にございました街区再編まちづくり制度は、地域の特性を踏まえながら、規制緩和により、敷地の共同化や高度利用などを段階的に誘導し、市街地を再編していくことが可能な都独自の制度でございまして、今申し上げましたような課題の解決をしていくためのまちづくり手法の選択肢の一つになり得るものというふうに考えてございます。
地元葛飾区は、地権者とともに、まちづくりの勉強会を重ねてございまして、区ではこの制度の適用も視野に入れ、バス通りの拡幅や歩道状空地の整備などにあわせて、沿道の建築物における商業機能の導入や共同建てかえの誘導などを図り、商業と住宅の調和した利便性の高いまちの実現を目指すこととしてございます。
現在、都は、区からまちづくり手法などの相談を受けている状況でございまして、先ほど述べましたように、当地区は地域の核となる拠点を形成するためには、区の主体的な取り組みが重要であることから、都といたしましても、まちづくりが円滑に進むよう、技術的支援を行ってまいります。
○佐藤委員 さまざまな課題に関して、いろいろなこと、東西に貫くバス通り、末広通りとかの拡幅とかも区の方で決定したりとか、南北自由通路あるいは東北地区の交通広場の開設など、さまざまな面で、まさに来年度、今、この新小岩、潜在的なポテンシャルを引き出す機が熟しているところです。ぜひ東京都としても、安心して暮らせる、高齢化が進む中で、歩いて暮らせるまちづくりを掲げている中で、こうした箇所を一つでもなくしていくようなさまざまな支援をしていただければと思います。
最後に、今後の都市計画道路のあり方検討調査についてお伺いいたします。
十一月の事務事業質疑において、未整備の都市計画道路について都市計画道路の区域内の建物の現況、空き家のアパートとかがあって治安上危ないというような状況もあるんだということを挙げながら、次回の事業化改革の必要性も含めた見直しに向けた取り組みに着手すべきではないかということを要望させていただいたところです。
今回、二十三年度予算で、今後の都市計画道路のあり方検討調査が新規事業として計上されているところですが、この見直しに向けた取り組みとなるのか、調査の内容について伺います。
○藤井都市基盤部長 先ほど申し上げましたけれども、お尋ねの調査は、昨年度改定いたしました東京の都市づくりビジョンを踏まえ、今後の都市計画道路の整備のあり方について基本的な考え方を整理することを目的に実施するものでございます。
調査の内容といたしましては、地域主権改革の動き、都内の交通状況、現行の第三次事業化計画における優先整備路線の進捗状況等を把握、分析し、検討を行うものでございます。
本調査は、第三次事業化計画における優先整備路線の整備促進策等を検討するとともに、次期事業化計画を策定する際の基礎資料として活用するものでございますけれども、次期事業化計画における都市計画道路自体の見直しに着手するものではございません。
○佐藤委員 第三次事業化計画の進捗状況等把握ということで、優先整備路線に位置づけられている路線に関しての状況の把握とか分析をされるということなんですけれども、そうした路線のみならず、実は光が当てられない、その優先整備路線に位置づけられていないでいる路線に関して、建物の現況などの調査を行ったりとか、決定されながら利用が促進されていない土地の実情に関して、事実を調査して共有化していくことは必要なことではないかと思います。
市区町村に権限が移譲されることも含めて、地方分権のこうした制度の変わることについての検討が進められている中で、これまで積み残されてきた見直しにおける仕組みの確立とかも範疇に入れて調査をいただくとか、あるいはこの調査とは別の取り組みにしても、今度の次期方針策定に係る調査の始まる平成二十五年度まで、こうした手がつけられていない区域における課題が顕在化をしている中で、問題に手をつけないで施策も当てられないでいる状況が続くことは問題だと考えております。こうした部分に関しても光を当てて、施策を打っていただくことも重要ではないかと申し上げまして質疑を終わります。
○加藤委員 それでは、私で最後ですのでもう少しおつき合いをよろしくお願いします。
私からは震災対策について伺います。
本定例会に緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を推進する条例案が提出されております。震災時における緊急輸送道路は、避難、救急、救援、緊急物資の輸送、復旧、復興に利用される動脈として、大変重要な役割を担うものであります。その沿道建築物の耐震化は喫緊の課題であります。この条例案については、本定例会でも多くの質問がされており、都民も注目している施策であります。
そうした中、先週クライストチャーチで地震が起きましたけれども、報道によりますと、耐震性が低い市内の建物約七千六百棟の耐震補強を来年から実施する計画だったとのことです。もうまさに地震はいつ来るかわからない。建物の耐震化は待ったなしでやらなければならないという教訓だと感じております。
今回提出された緊急輸送道路の耐震化の施策は、条例に合わせて、耐震診断においては所有者負担をなくし、改修についても負担を軽減するよう助成制度を拡充しております。また、情報提供などの技術的な支援についても、これまで以上に必要になってきます。
この施策の実効性を高めていくためには、東京都と区市町村が連携して進めていかなければならないのは当然ですが、緊急輸送道路沿道建築物の所有者を初め、都民の耐震化に関する意識を高めていく必要があります。
そこで質問いたしますが、条例では、都民への情報提供として、特定緊急輸送道路の耐震化の進捗状況を公表することになっていますが、その内容について伺います。
○小野耐震施策担当部長 特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を進めるためには、耐震化の進捗状況等について都民に正しく認識してもらうとともに、社会全体で耐震化を進めていく機運を高めていくことが重要であると考えております。
このため、条例の周知や耐震キャンペーンなど、耐震化促進に向けた意識啓発を行うとともに、条例案に基づきまして、特定の建築物の耐震化の状況について公表することとしております。
都としましては、耐震化の進捗状況を積極的に公表することにより、沿道建築物の耐震化の進みぐあい、例えばふだん利用しています通勤通学の沿道建築物の耐震化の進みぐあい、そういったものを都民に知ってもらうことで、都民全体の関心が高まるものと考えております。
公表する具体的な内容につきましては、主要な区間ごとの耐震診断の実施状況などが考えられますが、詳細につきましては今後検討してまいります。
○加藤委員 ぜひ社会全体で耐震化を進めていく状況をつくっていただきたいと思います。
また、耐震診断が義務化された建物所有者にとって一番不安なのは、安心して任せられる診断者なのかどうか、改修についても同様な不安があると思います。民間企業に任せきりだとやはり建物所有者は不安になると思います。
そこで質問ですが、東京都が設計事務所などの業界団体と連携することにより、建物所有者は耐震診断から改修まで安心して実施できるのではないかと考えますが、見解を伺います。
○小野耐震施策担当部長 耐震化を円滑に進めるためには、所有者が信頼できる事業者に安心して耐震診断や改修を依頼できる環境を整えることが不可欠であると考えております。
このため、都としましては、耐震診断や改修を担う建築士や建設業の団体との連携を強化し、所有者に対して専門的な観点からさまざまなアドバイスや事業者の紹介などを行うことができる仕組みを整備いたします。
建築士等の関係団体とは、これまでも既に意見交換等を重ねてきており、円滑な条例の施行に向け、診断技術者の確保や紹介等について全面的に協力いただける旨の意見をもらっております。
今後ともこれらの団体と積極的に意見交換を行い、具体的な連携の仕組みの構築に向けて取り組んでまいります。
○加藤委員 都の耐震ポータルサイト等も活用しながら、優良な情報提供をお願いしたいというふうに思います。
次に、都営住宅の耐震化について伺います。
都は、平成二十年三月に都営住宅耐震化整備プログラムを策定し、このプログラムに基づき都営住宅の耐震化に取り組んでいると思いますが、これまでの耐震診断と耐震改修工事の実績について伺います。
○永島営繕担当部長 都営住宅の耐震化についてでございますが、東京都耐震化促進計画を踏まえて策定した都営住宅耐震化整備プログラムでは、都営住宅全体のうち、新耐震設計基準で設計された建物と建てかえ対象の建物を除いて、約十三万六千戸の耐震診断を平成二十四年度までに行うとともに、耐震基準に満たないと判定された住宅について、改修工事等を順次実施し、平成二十七年度までに都営住宅の耐震化率を九〇%以上とすることとしてございます。
耐震診断につきましては、完了時期を一年早め、平成二十三年度までに完了させる予定でございます。
平成二十一年度末までの実績でございますけれども、約十万九千戸の耐震診断を行い、約四千戸の耐震改修工事を実施しております。
○加藤委員 今答弁ありましたけれども、また本日のこの委員会提出資料ですね、ここの六ページにも今のことは出ておりますけれども、この都営住宅の耐震診断については、平成二十一年度までに約十万九千戸の耐震診断を実施しているとのことですが、ではその診断の結果ですね、それがどのようになっているのか伺います。
○永島営繕担当部長 平成二十一年度末までに実施した耐震診断の結果では、診断を実施した約十万九千戸のうち約八万二千戸について耐震改修が必要となっております。
○加藤委員 約八万二千戸について耐震改修が必要という答弁がありました。
この整備プログラムでは、この基準設計等による推計では、当初要改修が五万戸というふうになっているんですね。でも、実際に診断したらそれが多くなった。推計なので当然といえば当然だと思うんですけれども、約八万二千戸の耐震改修が必要ということで、二十一年度末までに診断した約七五%の改修が必要という数字だというふうに思うんですね。
二十三年度末までに残された戸数の診断を行っていくわけですけれども、改修工事の実績を見ると、二十一年度末までに四千二百三十四戸という数字、きょうの資料に出ていますけれども、ですので、今年度の数はわかりませんけれども、改修工事のピッチを上げていかなければならないと思います。
そこで、都営住宅耐震化整備プログラムでは、平成二十七年度までに耐震化率を九〇%にするとしています。この目標に向けた今後の取り組みについて伺います。
○永島営繕担当部長 平成二十七年度に都営住宅全体の耐震化率九〇%以上とするためには、建てかえ工事とともに、耐震改修工事を計画的に推進する必要がございます。
都といたしましては、これまで十万九千戸の耐震診断を行い、耐震診断の対象としている約十三万六千戸全体の耐震性能がおおむねつかめてきたことから、今後、耐震改修工事の事業量を見直すなど整備プログラムを改定いたします。
耐震改修工事の実施に当たりましては、診断結果の状況に応じて耐震スリットの設置、耐震ブレースの設置、耐震壁の設置など、改修工法別に設計の標準化を図り、計画的、効率的に改修工事を進めてまいります。
平成二十七年度末までに耐震化率九〇%の目標を達成するよう取り組んでまいります。
○加藤委員 整備プログラムの改定をして、耐震改修工事を加速させていくということですので、安心・安全のさらなる取り組みをお願いしたいと思います。ニュージーランドのこの地震で、耐震性に問題ありとされた都営住宅に住む人たちは不安な思いをされていると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
そして、都が耐震化に努力していても、中には、一階に保育園等が入っていて、それを一時的に移転をさせるために、区などの事情で工事がおくれる場合もあると聞いております。いろいろと個別の事情も出てくると思いますが、都営住宅は都民の住宅セーフティーネットとしての重要な役割がありますので、耐震化のさらなる推進に向けて、都と区市町村が一層連携をとりながら、取り組みを進めるよう要望いたします。
次に、大地震への対策としては、事前に建築物の耐震化を行うことが重要ですけれども、地震発生後における都民の安全確保と速やかな復旧も重要であると考えます。
このニュージーランドにおいては今でも余震が続いているとの報道があります。仮に大地震発生後も倒壊していない建築物であっても、その建築物の所有者や居住者は、建築物の安全性についてみずから判断することは困難であり、余震等による被害のおそれから避難生活を余儀なくされる被災者が数多く発生するものと考えられます。
特に、私の住む墨田区も、建物の倒壊危険度の高い区域が広がっています。大地震発生後の余震による建物の倒壊や落下物などによる二次災害を防止するとともに、使用継続が可能な住まいを早期に見きわめ、避難生活を送る都民が一日も早く自宅に戻れるよう、被災住宅について当面の使用の可否を速やかに判断する必要があります。
このために設けられた制度が、被災住宅の応急危険度判定です。ところが、いざ首都直下地震があって、都内に住む応急危険度判定員が負傷して動けなくなるということも想定されます。
そこで、民間住宅を対象とする応急危険度判定の実施に係る都の目標と応急危険度判定員の確保に向けた取り組みについて伺います。
○中島市街地建築部長 東京都地域防災計画では、一時的に避難した方々を七日以内に帰宅させることを目指しまして、区市町村が主体となって、被災した民間住宅の応急危険度判定を震災後七日間で完了することを目標にしております。この目標達成のため、首都直下地震による東京の被害想定をもとにいたしまして、必要な判定員の数を推計すると、七日で延べ四万人を上回る判定員が必要となります。
都では平成七年度以降、判定員の養成を図り、現在、都内の建築士など約九千三百人の登録をいただいておりますが、登録判定員が被災し、判定活動への参加が困難になることも考えられます。そこで、神奈川県や千葉県など周辺九県と震災時の相互応援に関する協定を締結し、応援判定員の派遣などについて連携を図ることとしております。
昨年九月には、都内のホテル、旅館業三団体と他県などからの応援判定員への宿泊施設の提供に関する協定を締結いたしまして、既に約二百施設から客室提供の協力が得られることとなっております。引き続き関係団体を通じ協力を要請してまいります。
今後とも、首都東京の安全・安心の確保を図るため、関係団体や区市町村と連携し、訓練を重ねるなど、応急危険度判定の円滑な実施に向け取り組んでまいります。
○加藤委員 都民にとって力強い対応をしていただいて、都の取り組みは評価いたします。
先日の予算特別委員会においても、公明党は、首都直下型地震で都の防災機関が被災して動けなくなった場合に備えて、全国からの救助隊等の受け入れがスムーズに、かつ有効に対応できるよう、受け入れ訓練の重要性や都営住宅建てかえ団地を活用した消防訓練の促進を提案いたしましたけれども、今後とも、都民の安全・安心確保に向けて、関係機関と連携して一段と震災対策に取り組んでいただくよう要望して質問を終わります。ありがとうございました。
○いのつめ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○いのつめ委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時一分散会
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