都市整備委員会速記録第十四号

平成二十二年十一月二十四日(水曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長いのつめまさみ君
副委員長関口 太一君
副委員長高橋 信博君
理事淺野 克彦君
理事神林  茂君
理事吉倉 正美君
加藤 雅之君
遠藤  守君
佐藤 由美君
大島よしえ君
滝沢 景一君
遠藤  衛君
林田  武君
大塚たかあき君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務河島  均君
次長中西  充君
技監升 貴三男君
理事松井多美雄君
理事都市づくり政策部長事務取扱安井 順一君
総務部長石野 利幸君
住宅政策推進部長鈴木 尚志君
都市基盤部長藤井 寛行君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長中島 俊明君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
企画担当部長航空政策担当部長兼務邊見 隆士君
景観・プロジェクト担当部長石川  進君
住宅政策担当部長香山  幹君
民間住宅施策推進担当部長山口 幹幸君
外かく環状道路担当部長野崎 誠貴君
民間開発担当部長藤塚  仁君
多摩ニュータウン事業担当部長五十嵐 誠君
耐震化推進担当部長町田 修二君
耐震施策担当部長小野 幹雄君
経営改革担当部長岡沢  裕君
再編利活用推進担当部長室木 眞則君
建設推進担当部長荒川 達夫君
営繕担当部長永島 恵子君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
請願陳情の審査
(1)二二第一四号 都営住宅の使用承継にかかわる病弱者の診断書に関する請願
(2)二二第一五号 都営住宅の使用承継にかかわる病弱者の診断書に関する請願
(3)二二第一六号 都営住宅の使用承継にかかわる病弱者の診断書に関する請願
(4)二二第一七号 都営住宅の使用承継にかかわる病弱者の診断書に関する請願
(5)二二第六三号 東京都住宅供給公社一般賃貸住宅の家賃値上げを行わないことなどに関する陳情
(6)二二第七四号 都営住宅居住者に対する個人情報取得の改善を求めることに関する陳情
(7)二二第七七号 地下鉄小竹向原駅のバリアフリー整備に関する陳情
(8)二二第八七号 府中都市計画道路三・二・二の二号線等の計画撤回に関する陳情
(9)二二第八八号 平成二十二年度予算の八ッ場ダムに関する四十二億円の予算を執行しないこと等に関する陳情
報告事項(質疑)
・豊洲土地区画整理事業における建設発生土の受け入れに関する調査報告書について

○いのつめ委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の請願陳情の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、河島東京都技監より紹介があります。

○河島東京都技監 去る十一月十六日付で異動のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 企画担当部長で航空政策担当部長を兼務いたします邊見隆士でございます。
 なお、連絡調整担当部長の田崎輝夫は、公務のため本日の委員会を欠席させていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○いのつめ委員長 紹介は終わりました。

○いのつめ委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 二二第一四号及び二二第一五号から第一七号まで、都営住宅の使用承継にかかわる病弱者の診断書に関する請願は趣旨が同一でありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○岡沢経営改革担当部長 それでは資料1、請願・陳情審査説明表をごらんください。表紙をおめくりいただきたいと存じます。
 整理番号1、請願二二第一四号及び整理番号2、請願二二第一五、一六、一七号を一括してご説明申し上げます。
 説明表の一ページをお開き願います。
 整理番号1、請願二二第一四号、都営住宅の使用承継にかかわる病弱者の診断書に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、足立区の公的住宅等を考える足立連絡会の代表、遠藤美生子さん外四十八名の方から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、都営住宅の病弱者の使用承継について、かかりつけ医の診断書をぜひ認めていただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明申し上げます。
 都営住宅の使用承継制度につきましては、平成十八年六月の東京都住宅政策審議会答申及び平成十七年十二月の国の通知を踏まえまして、公営住宅の入居者と非入居者間の公平性を確保するため、平成十八年八月に、使用承継を原則として名義人の配偶者のみに認めるよう制度を改正いたしまして、一年間の周知期間を設け、平成十九年八月から実施してまいりました。
 制度改正に当たりまして、高齢者、障害者及び病弱者につきましては、居住の継続に配慮し、特別の事情により必要が認められる場合、例外として名義人の三親等親族まで承継を許可することといたしました。
 病弱者につきましては、難病患者、原爆被爆者及び公害病認定患者以外の許可につきましては、病名だけでは使用承継の対象者である特別の事情にあるかどうか判断できませんことから、平成二十年四月の使用承継制度の運用の見直しに合わせまして、都が設置した都立病院または都が中心となり設立した東京都保健医療公社が設置した病院の医師の診断書を踏まえて行っているところでございます。
 続きまして、説明表の三ページをお開き願います。
 整理番号2は、ただいまご説明いたしました整理番号1と同一件名の請願でございまして、請願の要旨及び現在の状況につきましても、整理番号1と同様でございますので、請願者のみをご説明させていただきます。
 本請願は、足立区の医療法人財団健愛会健愛クリニック代表者、中村正樹さん、医療法人財団健愛会かもん宿診療所、津島陽さん、医療法人財団健愛会柳原診療所所長、増子忠道さんから提出されたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大島委員 この請願については、前に陳情で出ていたものと同趣旨のものなんですけれども、今回は、医療関係の診療所などからも、医師の方が請願を出していらっしゃるというところで、前回とは若干違った様相を見せているというふうに思っております。
 まず最初に、この都営住宅の使用承継の例外規定となっている病弱者なんですが、この承継が許可できる特別な事情というのは何でしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 病弱者につきましての特別な事情でございますけれども、特別の事情とは、承継しようとする方または同居者の中に、疾病によりまして当該都営住宅に継続して居住しなければ生活の維持が困難であると認められる方がいらっしゃる場合でございます。

○大島委員 そうするとそれを判断するために、都立病院とか公社病院の診断書が必要だ、このように述べているわけですけれども、診断書というのは、あくまでも医師が医学的見地から疾患の程度とかぐあいなど、そういう居住者の病状を診断するものだと考えますがいかがでしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 診断書はそういうことだと考えております。

○大島委員 つまりその診断書というのは医師法に基づいて、医師が自分の判断で発行されるものだということなんで、お医者さんの資格を持っている方ならどなたも、その疾病を持っている方の病状について診断できますよね、それはどうですか。

○岡沢経営改革担当部長 お答え申し上げます。
 ただいまの診断についてでございますけれども、先ほど若干ご説明申し上げましたけれども、病名だけでは使用承継の対象者である特別な事情であるかどうか判断できないということから、私どもは都が設置いたしました都立病院または都が中心となり設立した東京都保健医療公社が設置した病院の医師に、的確に診ていただくということにしているところでございます。

○大島委員 それではお聞きしますけれども、この承継の許可について、特別な事情と認める判断、これを最終的にするのはどこですか。

○岡沢経営改革担当部長 都立病院または公社病院の医師の診断書を重要な参考資料といたしまして、都市整備局で承継の可否を最終的に判断しております。

○大島委員 そうしますと、医師の診断書というのは参考資料、要するに特別なものということではなくて、この都市整備局で総合的に判断するために使用する、そういう承継の可否を最終的に決定する、そのための一つの参考資料だ、こういうことだと思うんです。そうしますとですね、この参考資料というのに、都立病院の先生、公社病院の先生以外は参考資料にならないと考えていらっしゃるんですか。

○岡沢経営改革担当部長 都はこれまで、都立病院または都立保健医療公社が設置いたしました病院に対しまして、病院経営本部と連携いたしまして、同本部を通じまして、都営住宅の使用承継制度の趣旨でございますとか、承継の際に必要となる診断書の記載事項でありますとか、それらを記載する理由などにつきまして、十分に説明を行ってきているところでございます。
 こうしたことから、都立病院または公社病院の医師に関しましては、使用承継制度の趣旨を理解した上で、客観的で的確な判断を行い診断書を発行できるものと考えているところでございます。

○大島委員 そうしますと、病院経営本部を通じて、公社病院や都立病院に、的確な判断をするために必要な、こういうものについて記載してほしいということやその理由、そういったものを出してもらえればいいということでいっているわけですよね。
 そうなりますと、別に都立病院とか公社病院の先生でなくても、一般のかかりつけ医の方にもその記載事項、こういうものは記載してほしい、それからこういう理由だということについては記載してほしい、そういう一定の、都立病院や公社病院にお願いをしているような内容のものをお願いすれば、例えばそういう様式をつくって書いてもらえれば、これは参考の資料となるんではないですか。

○岡沢経営改革担当部長 形式的に項目を列記して、これこれを書いていただければよろしいということではございませんで、これまで、かねてより病院経営本部と連携して、この制度の趣旨でありますとか、診断書の必要性でありますとか、その内容であることについて協議を重ね、我々としては趣旨をお話ししてきたところでございますので、単に項目だけが列記されていれば済むというようなものではないというふうに考えております。

○大島委員 それではお聞きしますけれども、そうした公社病院とか都立病院に限定されたというのは平成二十年四月以降ですよね。そうすると、その以前はかかりつけ医の診断書でも、都市整備局として総合的に判断してきたんではないですか。

○岡沢経営改革担当部長 平成二十年四月から、各般のさまざまな制度の改正と同時に、そうした扱いということに変更したものでございます。

○大島委員 変更したのはわかっているんですよ。変更した。だけどその変更する前に、同じような診断書で、承継について都市整備局は判断できたんじゃないですか。そうしたら二十年四月以降は、都立病院と公社病院以外はだめよという理由がないんじゃないか、判断できないという理由はないんじゃないかと思うんですがその点はいかがでしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 質問の趣旨がよく理解できなかったんですけれども、平成二十年四月に、病名だけでは特別な事情にあるか判断できないということでございますので、都立病院または公社病院の医師に診ていただくということ、またその理由として、こうした病院経営本部と連携した体制ができ上がってきているということを根拠に、そういうふうに変えたということでございます。

○大島委員 私が聞いているのは、二十年四月というその時点の前と後で、判断する材料というか、見解というか、判断が違ってしまったのかということを聞いてるんですよ。つまり、かかりつけ医の診断で判断していたときと都立病院や公社病院の診断書でなければ判断できなくなってしまったというこの差というのが、都市整備局としての承継の判断に大きな影響があるということなんですか。

○岡沢経営改革担当部長 より的確な判断をするために、そのように変更させていただいたものでございます。

○大島委員 それじゃあ、承継許可の判定に際して、都立病院また公社病院の医師の診断以外認めないというのは、的確な判断ができない、こういうふうに考えているということでいいんですか。

○岡沢経営改革担当部長 繰り返しになりますけれども、的確な判断がほかの先生方にできないということではなくて、あくまでも都立病院または公社病院に対しましては、さまざまな趣旨の説明でありますとか、記載事項の説明とかしてきているということでありますので、そこに限らせていただいているということでございます。

○大島委員 的確な判断をかかりつけ医ができないとか、そういう問題ではない、それはそうだというふうに私も理解します。そうしたら、何で都立病院の先生の診断しか認めないのかなというふうに、逆に思うわけですね。
 以前この委員会で、私、都立駒込病院で--主治医が診断書を書いてほしいと主治医に診断書を書いてもらったら、窓口センターで断られて、そして都立駒込に行きなさいといわれて行った。ところが、主治医が診断書書けばいいじゃないかと駒込の先生にいわれた、そういうことでいろいろトラブルがあったというお話をしました。そうしたら、先ほどもいったように、病院経営本部の方を通じて適切に指導しているからという答弁もありました。
 ところが先日、今度は東村山の都営団地に暮らしている方の承継問題で相談があったんですけど、この方は母親と四十四歳の娘さんが暮らしていて、母親が亡くなって承継問題が起きたんですね。娘さんは病弱者で近くの病院にかかっているけれども、やっぱり同じようにかかりつけ医の診断ではだめだといわれて、仕方なく多摩北部医療センターにかかったそうです。でも、診断書を書くには検査が必要だということで、そのかかりつけの病院で今までやってきたような検査を幾つも受けなければならない、それから、時間もかかってまだ診断書がもらえないで、すごく不安になっているという相談だったんですね。そのとき、この多摩北部医療センターのお医者さんからも、なぜ主治医じゃいけないのかと疑問の声が出たというんですよ。
 時間とお金がかかってむだな医療費もふえて、今医師不足の中で、都立病院や公社病院の先生方の負担も大変大きいんですね。だからどこから見ても合理的ではないこの診断、都立病院や公社病院でなければならないと規定していること自体が、合理的でないというふうに思うんです。
 日常的に患者にかかわって診療しているかかりつけ医よりも、じゃあ、都立病院や公社病院のお医者さんの方が承継に関して的確な判断ができる、こういうふうに考える理由は何でしょうか。また、そのかかりつけ医の診断書は信頼できない、都市整備局が判断する上で信頼できない、こういうことなんでしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 繰り返しでございますけれども、難病でございますとか、公害病の認定患者など以外につきましては、病名だけでは使用承継の対象者であるところの特別な事情があるかどうか判断できないということでございますので、都が設置した都立病院または都が中心となって設立した東京都保健医療公社が設置いたしました病院の医師に、的確に見ていただくということにしているところでございます。
 都はこれまで、都立病院または東京都保健医療公社が設置した病院に対しまして、病院経営本部と連携いたしまして、同本部を通じて、都営住宅の使用承継制度の趣旨とか、承継の際に必要な診断書の記載事項でございますとか、それらを記載する理由などにつきまして、十分に説明を行ってきたところでございます。こうしたことから、都立病院または公社病院の医師は、使用承継制度の趣旨を理解した上で、客観的で的確な判断を行い、診断書を発行できるものと考えているところでございます。

○大島委員 請願者は、かかりつけ医は患者のいうとおり診断書を書くから、制度そのものがゆがめられると都がいっているというふうに書いてあるんですけども、このように考えているんですか。

○岡沢経営改革担当部長 ご指摘のような発言をしたことはないと認識してございます。
 先ほどご説明したとおり、都立病院または公社病院の医師によりまして、客観的で的確な診断がなされ、診断書が発行されているものと考えております。

○大島委員 それじゃあ、逆にちょっとお聞きしたいんですけども、今、福祉とか医療とか年金とかさまざまな申請で、診断書を添付してほしいと書いてあるのが多いんですね。こういった申請に使うものなどで、都立病院や公社病院以外の診断書は認めないというものがあるんでしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 他の所管部門に関する制度につきましては承知しておりません。

○大島委員 ほかの所管にかかわるというのでわからないというのであれば、聞いてもらえばわかるんじゃないかと思いますけど、多分ないと思うんですよね。都立病院とか公社病院以外の診断書を認めないというのは、この都市整備局だけだと思いますよ。医師の診断書に的確だとか的確じゃないとかというものもないんだと。
 それで、要は都市整備局が承継の判断をするときに、都立病院や公社病院の医師の診断書以外判断材料としない、こう決めているから、今のような結果になっているんだと思うんですね。同じ医師として都立病院や公社病院の医師でさえ、こうしたやり方に疑問を持っている。それなのに、都市整備局だけが疑問も矛盾も感じていない、ここに問題があるというふうに思うんですよ。そういった矛盾を感じていないですかいかがですか。

○岡沢経営改革担当部長 さまざまな事務につきましては、それぞれの事務に応じまして、必要な提出書類を定めているものと考えられます。都営住宅の使用承継につきましては、原則として配偶者に限り認める中で、病弱者の承継について例外的に認めるか否かという、大変重要な事項にかかわるものでございますから、これまでるるご説明申し上げましたように、都と病院経営本部との綿密な連携のもとに、都立病院または公社病院の医師が使用承継制度の趣旨を十分にわきまえた上で、客観的で的確な診断を行う必要があるものと考えております。
   〔発言する者あり〕

○いのつめ委員長 大島委員、ちょっと質問事項も考えて質問してください。

○大島委員 じゃあ、結論的にいえば、例外的なものだしそれから公営住宅の入居者と非入居者の公平性を確保するために承継制度を変えた、こういうふうにいっておりますが、非入居者の公平性を確保するには公営住宅をたくさんつくって、都営住宅に入りたい人を入居できるようにすればいいんです。病弱な居住者にかかりつけ医の診断ではだめだといって、わざわざ都立病院や公社病院に通わせて、そこでの診断書がとれなければ追い出してしまう。こういうやり方は間違っています。都議会としてこうした問題はただす必要があると思いますので、ぜひこの請願については採択していただきたいと思います。

○いのつめ委員長 ほかに発言ございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 まず、請願二二第一四号を起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○いのつめ委員長 起立少数と認めます。よって、請願二二第一四号は不採択と決定いたしました。
 次に、請願二二第一五号から第一七号までを起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○いのつめ委員長 起立少数と認めます。よって、請願二二第一五号から第一七号まではいずれも不採択と決定いたしました。

○いのつめ委員長 次に、二二第六三号、東京都住宅供給公社一般賃貸住宅の家賃値上げを行わないことなどに関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○鈴木住宅政策推進部長 それでは資料1、請願・陳情審査説明表の五ページをお開きいただきたいと存じます。
 整理番号3、陳情二二第六三号、東京都住宅供給公社一般賃貸住宅の家賃値上げを行わないことなどに関する陳情についてご説明を申し上げます。
 陳情者は、江東区にお住まいの東京都住宅供給公社亀戸九丁目住宅自治会の丸橋みちさん外四百一名の方でございます。
 陳情の要旨は、都において、東京都住宅供給公社に対し、次のことを指導していただきたいというものでございます。一、都公社一般賃貸住宅の平成二十二年度の家賃値上げを行わないこと、二、居住者の生活実態を考慮しない三年ごとの家賃改定は改め、家賃は居住者の負担能力を考慮したものにすること、三、特別減額措置を拡充し、子育て世帯に対する支援措置をとることでございます。
 まず、要旨一及び二に関する現在の状況でございますが、公社は、平成十四年三月の地方住宅供給公社法施行規則の改正を受けまして、居住者の代表を含む有識者で構成された賃貸住宅管理問題調査会を設置いたしまして、平成十六年二月、公社一般賃貸住宅の募集家賃の設定及び継続家賃の改定に係る実施方針を取りまとめました。
 これに基づきまして、平成十六年度以降、新規入居者に適用する募集家賃については毎年、既居住者に適用する継続家賃については三年ごとに改定を行うこととしております。
 公社一般賃貸住宅の家賃につきましては、公営住宅と異なり、居住者の生活実態を考慮して定めるものではなく、近傍同種家賃等を考慮して定めるのが法令の趣旨でございまして、公社におきましては、家賃の適切な値上げまたは値下げによりまして、民間賃貸住宅家賃との乖離を是正するとともに、空き家解消による住宅ストックの有効活用を図っております。
 ただし、継続して居住する方につきましては、激変緩和措置といたしまして、引き上げ幅を募集家賃と現行継続家賃の中間値とし、上限を五千円としているほか、高齢低所得者世帯や生活保護世帯等、経済的困窮者となった場合には、家賃特別減額措置などを講じまして、居住の安定に対する配慮を行っております。
 なお、公社におきましては、平成二十二年度家賃改定の際、継続家賃のうち引き下げとなるものは実施する一方で、引き上げとなるものにつきましては、平成二十二年九月まで見送り、十月一日より実施しております。
 次に、要旨三の子育て世帯に対する支援措置でございますが、現行の家賃制度のもとにおきましても、公社住宅の人気が高いことから、公社では新築募集に際しまして、公募抽せん時の当せん確率を五倍に優遇する子育て世帯倍率優遇制度等の入居支援策を講じております。また、公社は本年四月、少子高齢対策室を設置いたしまして、公社一般賃貸住宅の建てかえに合わせた子育て世帯向け住宅の整備やオープンスペース等への子育て支援施設の誘致など、子育て世帯への支援措置を行うこととしております。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大島委員 ことし十月から家賃が引き上げられたということなんですけれども、陳情者の訴えにもあるように、一昨年来の不況が生活に深刻な影響を与えている、そして家計が逼迫しているときに、家賃値上げはさらなる生活困窮を招く、このようにいっています。
 公社の施行規則第十六条の二項では、賃貸住宅の家賃を変更しようとする場合においては、近傍同種の住宅の家賃それから変更前の家賃そして経済事情の変動等を総合的に勘案して定めるものとする、このように書かれています。
 家賃の引き上げをことし九月まで延期したというのは、経済状況の急激な変動等を総合的に考慮した例外かつ緊急避難的な措置だとこのようにいっておりましたが、都が公社を指導してきたということですけれども、十月以降、それでは、これまでのように緊急避難的措置の必要がなくなったと判断した理由は何でしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 お尋ねの措置につきましては、前にも申し上げましたとおり、あくまでも急激な変動等に対する緊急避難的な措置ということでございますので、期限を切って実施したものでございます。緊急避難という性格上いつまでも続けるというものではなくて、期限が到来したために本則に戻したというものでございます。

○大島委員 期限が到来したからというんですけれども、先ほどいいましたように、今経済状況が好転しているわけでもないんですね。失業者はふえていますし、大学を卒業しても就職できないというような深刻な事態が連日、テレビなどでも報道されています。給料もボーナスも減らされて、生活は一層苦しくなっていると。こういうときに、経済事情の変動、これを総合的に勘案する必要はないというんですか。

○鈴木住宅政策推進部長 今経済状況というお話がございましたけれども、これは公社住宅固有の問題ではなくて市場全体の問題でございますし、市場の家賃が下がっていれば公社住宅の募集家賃も引き下げる仕組みになっているわけでございます。公社住宅の家賃改定は、あくまでも市場家賃並みに近づけようとする趣旨でございますので、逆に公社住宅の家賃のみ、いつまでも市場家賃からかけ離れて安くし続けるというのは適切ではないというふうに考えております。

○大島委員 いつまでも安くし続けるのはというんですけども、安心して暮らしたいということで、特に勤労者などが入っているこの公社住宅の問題なんですよね。大田区議会では九月二十九日に、全会派一致で、十月以降も値上げを延期するように求める意見書というのが都知事あてに出されたと聞きますが、こうした意見書などは大体何通ぐらい出されているのでしょうか。また、こうした意見書について都としてどう受けとめているのかお聞きします。

○鈴木住宅政策推進部長 公社住宅の家賃改定につきましては、いずれの区市町村からも団体としての意見書等は出ておりませんが、昨年来、ただいまお話のありました大田区議会を含む二区四市の議会から意見書が提出されております。
 また、意見書についてどう受けとめているかとのお尋ねでございますが、意見書等につきましては、いつでも真摯に読ませていただいているわけでございますが、本件につきましては、私どもの考えは再三申し上げているとおりでございまして、ご要望には沿えなかったということでございます。

○大島委員 それでは、先ほど市場家賃、市場の変動に合わせるんだというお話がありましたけど、じゃあ、改定を行う基準とされるこの市場家賃の調査というのは、実際にどのように行われているんでしょうか。

○鈴木住宅政策推進部長 公社では毎年度、不動産鑑定士に委託をいたしまして、市場家賃の調査を行い募集家賃を改定しております。具体的には、賃貸事例比較法というものを使っております。これは、不動産鑑定評価基準に定められている手法でございまして、民間賃貸住宅でも一般的に使われている手法でございます。

○大島委員 この家賃の値上げの問題と、それから前回の委員会で、私、大田区の石川町住宅それから中野区の鷺宮西住宅、これを視察させていただいて、その実態が余りにもひどいと感じたものですから、委員会でも取り上げさせていただいたんですけど、そのときも、こんな状態のまま家賃だけ上げるのかという声もあるということを紹介しておきましたが、そのときの答弁で、公社がそういったひどい状況というのは見にいって把握しているという答弁でした。都としても公社の方に、ぜひ指導を強めていただきたいと要望しておいたんですがその後どうなっているのかお伺いします。

○鈴木住宅政策推進部長 九月の本委員会でのご質問の際に、個別の団地につきましては、大家といいますか、管理者としての公社が、現状を把握しているべきものという趣旨のお答えをしたかと思います。状況に応じて補修等の必要がある場合には、管理者としての公社が住宅管理の一環として、責任を持って対応すべきものと考えておりますし、また、それぞれの住宅の状況に応じてしかるべき対応をしているものと考えております。
 なお、鷺宮西住宅の地盤沈下というお話がございましたが、この点につきましては、既に公社において、本格的な調査を実施中であるというふうに承知しています。

○大島委員 公社の方で調査をしてくださっているというので、その後の結果についても、また後でお聞きしたいというふうに思います。
 今回の中で、特別減額措置を子育て世帯にも拡充してほしいという陳情があります。現在、特別減額措置を受けている世帯というのは、全入居者の何%ぐらいになるんでしょうか。また、子育て世帯は何%程度いるのか、子育てを支援する施策というのはどのようなものがあるのかお伺いいたします。

○鈴木住宅政策推進部長 まず、特別減額措置を受けている世帯の割合でございますが、平成二十一年度末時点で九・六%となっております。
 また、公社住宅における子育て世帯の割合でございますが、これは子育て世帯という統計がございませんので、仮に十八歳未満のお子さんのいらっしゃる世帯ということでとらえますと、平成二十二年十月末現在で一〇・九%となっております。
 次に、公社で実施している子育て支援施策についてということでございますが、冒頭の説明でも申し上げましたとおり、公社では本年四月に少子高齢対策室を設置するなどして、公社住宅を生かした子育て支援を積極的に行うこととしております。
 具体的に申しますと、入居支援策といたしまして、倍率優遇制度などを実施しておりますほか、子育て世帯向け住宅の供給、そして子育て支援施設の誘致などの検討を行っております。

○大島委員 この家賃の問題については、二区四市から全会派一致で意見書が上がっているというようなことや、それから特別減額措置を受けている世帯が一〇%未満ということで、大変年金生活者などにとっては、厳しい状況が続いているのかなというふうに思います。
 そういう点で、私たちはこれまでも、公社の一般賃貸住宅の家賃の設定というのは、近傍同種の家賃ではなくて応能を基本とした制度に改めて、また三年ごとの値上げをやめるように求めてきました。
 高齢者とか年金生活者がふえる中で、特別減額措置や子育て世帯への支援策の拡充、こういうものも行うべきと考えます。この陳情に賛成いたしまして質問を終わります。

○いのつめ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件を採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○いのつめ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二二第六三号は不採択と決定いたしました。

○いのつめ委員長 次に、二二第七四号、都営住宅居住者に対する個人情報取得の改善を求めることに関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○岡沢経営改革担当部長 恐れ入ります請願・陳情審査説明表の七ページをお開き願いたいと存じます。
 整理番号4、陳情二二第七四号、都営住宅居住者に対する個人情報取得の改善を求めることに関する陳情についてご説明申し上げます。
 陳情者は、足立区の      でございます。
 陳情の趣旨は、都において、都営住宅に住む我々の住民票、戸籍謄本、戸籍の付票を取得している理由を明らかにしていただきたい、正当な理由がなければ、今後、他人の個人情報を取得しないようにしていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、公営住宅の事業主体である都は、公営住宅法第十五条に基づきまして、都営住宅及び共同施設の管理を適正かつ合理的に行うように努めております。この管理における事務の執行に当たりまして、必要な場合には、住民基本台帳法第十二条の二、同法第二十条、戸籍法第十条の二に基づきまして、住民票、戸籍謄本、戸籍の付票の公用取得を行っているところでございます。
 本件につきましても、都営住宅の管理に係る事務の執行上必要があったため、住民票、戸籍謄本、戸籍の付票を徴したものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大島委員 この陳情者によれば、私たちは都に対して民事裁判中とのことでありますが、現状はどうなっているんでしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 お答え申し上げます。
 陳情者の同居者の方が、都を相手とする損害賠償請求訴訟を平成二十年に提起しておりまして、現在も係争中でございます。

○大島委員 係争中ということであれば、裁判の内容にかかわるようなことをこの場で審議することはふさわしくないというふうに思います。
 一般的な話としてお聞きするんですけども、ここに書かれ、この陳情者がいっているように、都営住宅に住んでいる住人全員の戸籍謄本を取るということがあるのかとか、また、都に対して裁判を起こしている人全員の戸籍謄本などを取ることになっているのか、こういうふうになっているんですけども、これはいかがでしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 都は公営住宅法に基づきまして、都営住宅の適正かつ合理的な管理のために必要がある場合に、住民基本台帳法等の法令に基づきまして、住民票、戸籍謄本、戸籍の付票の公用取得を行っているところでございます。

○大島委員 つまり都営住宅に住んでいるからとか、それから東京都に対して裁判を起こしているから、こういったことで居住者全員の戸籍謄本を取るなんていうことはないということでいいんですよね。
 それでは、東京都がこの陳情者の住民票とか戸籍謄本とか戸籍の付票を取得した理由というのは何でしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 公営住宅法に基づく都営住宅の適正かつ合理的な管理のために、居住の状況を確認する必要があったということでございますので、住民票、戸籍謄本、戸籍の付票を公用取得したものでございまして、法令に基づきまして適切に実施しているところでございます。

○大島委員 法令に基づいて適切に処理されているということですね。そして、東京都には個人情報の保護に関する条例というのもありまして、個人の情報は保護されているし、正当な理由なく個人の情報を取得するということはあってはならない、これは当然のことだということを申し上げまして質問を終わります。

○いのつめ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二二第七四号は不採択と決定いたしました。

○いのつめ委員長 次に、二二第七七号、地下鉄小竹向原駅のバリアフリー整備に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○藤井都市基盤部長 請願・陳情審査説明表の九ページをお開きください。
 整理番号5、陳情二二第七七号、地下鉄小竹向原駅のバリアフリー整備に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情でございますが、練馬区の小竹町会、松本春雄会長外二千六百四十三名の方から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨でございますが、東京地下鉄株式会社の小竹向原駅は、練馬区と板橋区の区境に位置しており、エレベーターは板橋区側の出入り口のみに設置されております。このため、練馬区側の利用者が同駅のエレベーターを利用するためには、板橋区側出入り口周辺の急な勾配となっている坂道の上りおりや、都市計画道路放射第三六号線を横断する必要が生じていることから、練馬区側の出入り口にもエレベーター及びエスカレーターを整備するよう、東京地下鉄株式会社など関係各機関へ要請、働きかけをしてほしいというものでございます。
 東京地下鉄株式会社における現況でございますが、平成十八年十二月に施行された高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき、すべての駅におきまして、地上出入り口からホーム階まで移動できるルートを一カ所確保することを基本に、エレベーター及びエスカレーターなどのバリアフリー設備の整備を進めていると聞いてございます。
 東京地下鉄株式会社における一ルートが確保されている駅は、平成二十二年三月末現在で、都内百三十六駅のうち八十九駅、六五%であり、四十七駅、三五%につきましては、いまだ一ルートが確保できていない状況となっております。
 都におきましては、エレベーター等の設置に伴う大規模改良を目的とした事業に対しましては、補助により支援をしておりますが、エレベーター等の設置に必要な用地買収が容易でないことなどから、すべての駅において、一ルートの確保が完了するまでにはなお時間を要するものと見込まれます。
 以上を踏まえ、本件につきましては、東京地下鉄株式会社が取り組んでいる一ルート確保の進捗状況を見きわめる必要があるものと考えております。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○淺野委員 本件につきまして、意見を一つだけいわせていただきたいと思います。
 このバリアフリー施設状況、今の説明のとおり、六五%が一ルートは確保できているが、三五%についてはまだ一ルートも確保できていない状況となっているので、そちらを優先して取り組んでいくという方向で報告を受けているという話でございますが、一般論としては確かにそのとおりであろうとは思います。
 しかしながら、実際には平成六年からスタートしているこの整備を進めようということで、東京地下鉄は進めているようでありますが、現状で六五%まで。
 この近年五年ぐらいの間で、新設の駅を除いて整備されているものを見ると、もう大体一年間に二から多くても五ぐらいですね。平均すると大体三駅ぐらいでしょうか。残り四十七駅を三駅ずつ平均でやったとしても、十六年ぐらいかかってしまうわけですね。
 一方で、東京都は株主として、東京地下鉄株式会社から、年間で、近年ですと三十八億ですか、配当金を受け取っております。ということは、利益は生み出ているわけでございまして、そうであれば、整備状況がなかなか進まないところというのもあるでしょうけれども、そういう状況であれば同時進行で、この小竹向原駅のような、坂道があって、一ルートだけではなかなか利用に不便を生じるような場所は、二ルート目の整備も一緒に進めていくと。ただ、年間で同じ場所で見つかったときには、二ルート目を整備するところよりは一ルート目を整備する方を優先するという方向でいくのは間違いじゃないと思いますが、そういった方向での指導も必要になってくると思いますので、これは配当金を高く受け取っている東京都としても、その辺を踏まえて、しっかりと指導していっていただきたいということを意見として申し上げます。
 以上です。

○大島委員 私、この現地へ行って見てきたんですね、どんな状況かなと思って。
 四カ所の出入り口ありますけど、ホーム階から地上までのエレベーターは一カ所しかないんです。ほかには、途中まで上りのエスカレーターが三カ所ついているんですけれども、途中まででその先階段なんですね。それで、エスカレーターがついていない入り口も一カ所ありました。高齢者の方は、このエスカレーターも途中までで、残りは階段で上らなければならなくて、ちょうどそういう方にお会いしたんですけれども、とても大変だといっておりました。
 この場所が、ちょうど小竹小学校の敷地に沿って上り坂になっているところなんです。遊歩道もあるんですけれども、その片方の側には、車いすではとても通れそうにないほどの狭いスロープがついているというような状況でした。これは直接東京メトロとかは関係ない話なんですけども、こういう状況を見てくる中で、二〇〇五年の五月に交通バリアフリー法というものができたと聞いているんですけども、この内容はどのようなものなんでしょうか。

○藤井都市基盤部長 ご質問の高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法は、高齢者や身体障害者等の方々が、公共交通機関を利用する際の移動の利便性や安全性の向上を促進するため、平成十二年十一月に施行されたものでございます。その後、同法は平成十八年十二月に、バリアフリー化施策を一体的、総合的に推進するため、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律、いわゆるハートビル法と統合されまして、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、バリアフリー新法として施行されたところでございます。
 このバリアフリー新法によれば、公共交通事業者は、旅客施設を新設もしくは大規模な改良を行う場合、段差の解消など、移動の円滑化のための基準に施設を適合させる義務がございます。また、既設の旅客施設等につきましては、円滑化基準に適合させるため、必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされてございます。

○大島委員 これに基づいて、公共交通事業者は整備を行うというふうにされているんですけれども、この中で、必要な措置を講ずるというこの考え方なんですけども、これは一ルートが確保されればよいということなんでしょうか。

○藤井都市基盤部長 バリアフリー新法に基づき、先ほど申し上げましたが、旅客施設や車両等の構造及び設備に関する移動の円滑化のための基準が、省令により定められておりますが、それによれば、駅のホームから地上出入り口まで、連続して段差なしで移動できるよう、エレベーターやエスカレーターなどの設備を、ホームごとに一ルート以上設けなければならないとされております。既に一ルートが確保されている駅につきましても、駅の構造、周辺の地形等によっては、さらにもう一つのルート整備を求めることがあることは承知しておりますが、都としては、まず、一ルートであってもすべての駅がバリアフリー化されることが重要であると考えております。

○大島委員 一ルートだけじゃなくて、さらに整備を進めたいというのはよくわかりました。
 現在、四十七駅、三五%が一ルートも確保されてないという状況にあるというんですけれども、この法律では、いつまでに整備するというような、そういう期限というものはあるんでしょうか。

○藤井都市基盤部長 国は、バリアフリー新法に基づきまして、バリアフリー化施策を総合的かつ計画的に推進するため、平成十八年十二月に、移動等円滑化の促進に関する基本方針を定めております。この基本方針におきまして、一日当たりの平均的な利用者数が五千人以上の鉄道駅などにつきましては、平成二十二年までに段差解消のための一ルートを整備するということを目標としております。
 しかしながら、銀座線など整備年次の古い路線を多く有する東京メトロにおきましては、エレベーターなどの整備に当たって、用地取得の困難さや駅の構造上の制約などの課題があり、都内における整備率は平成二十一年度末で六五%となっております。
 現在、国におきましては、平成二十三年以降の整備目標の設定を初めとする今後のバリアフリー施策のあり方につきまして検討していると聞いております。
 都としても、バリアフリー化施策の重要性にかんがみ、東京メトロなどに対し、バリアフリー化の推進を働きかけているところでございます。

○大島委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 確かに、一ルートの整備も完了してない駅が四十五駅も残されている中で、まず一ルートを確保することを先行させなければならないということもよくわかります。でも、一方、この駅のようにエスカレーターが地上までも来ていない、こういう現状を見ますと、高齢者や障害者、それから乳幼児と一緒に乗車する方にとっては、練馬区側の出入り口にもエレベーター設置が必要だというふうに思います。交通バリアフリー法の必要な措置を講ずるよう努めなければならないという、この趣旨に照らして趣旨採択をすべきであると思いますので、そのことを、意見を述べまして質問を終わります。

○いのつめ委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二二第七七号は継続審査といたします。

○いのつめ委員長 次に、二二第八七号、府中都市計画道路三・二・二の二号線等の計画撤回に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○藤井都市基盤部長 資料1の一一ページから一二ページをお開きください。
 整理番号6、陳情二二第八七号、府中都市計画道路三・二・二の二号線等の計画撤回に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情でございますが、府中市の東八道路の延長計画を撤回させる会代表の木下元男さん外千三百十二名の方から提出されたものです。
 陳情の要旨ですが、府中都市計画道路三・二・二の二号線及び国立都市計画道路三・三・二号線東八道路延伸部分の計画を撤回することでございます。
 現在の状況でございますが、東京八王子線は、三鷹市牟礼一丁目を起点とし、調布市、小金井市、府中市、国立市、日野市を経由して八王子市南浅川町に至る延長約三十四・二キロメートルの骨格幹線道路でございます。
 一二ページ上段の図をごらんください。
 東京八王子線のうち、府中市西原町二丁目から国立市谷保までの約一・三キロメートルの区間につきましては、起点から甲州街道との交差点までの間で、唯一未着手の区間となっております。本区間の整備により、区部の放射第五号線と一体となって、多摩地域と区部の連携を一層強化するとともに、甲州街道を初めとする周辺道路の渋滞緩和や生活道路への通過交通の排除による良好な居住環境の確保等が期待されます。
 一二ページ中段の平面図をごらんください。
 本区間の沿道が主に住宅地であることから、沿道環境に配慮し、緑豊かな植樹帯と快適な歩行者空間を有する十メートルの環境施設帯を車道の両側に配置するため、二十八メートルから三十六メートルの既定幅員を、三十六メートルから四十一メートルに変更する都市計画変更と環境影響評価の手続を同時に進めてまいりました。
 この中で、地元説明会を開催し、都市計画案及び環境影響評価書案等の内容をわかりやすく説明するとともに、縦覧及び意見書の提出等の手続を行い、住民などの意見を把握するなど、理解を得られるように努めてまいりました。
 環境影響評価につきましては、十一月十八日付で、環境局に環境影響評価書を提出し、また都市計画につきましては、都市計画変更案を第百九十一回都市計画審議会に付議し、議決されました。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○淺野委員 この件につきましても、意見を一点だけ述べさせていただきます。
 この説明の図、一二ページにあります平面図を見てわかりますが、この府中三・二・二の二の道路のすぐ横に、府中三・四・五という道路も計画として載っております。この計画道路をつくるのであれば、渋滞緩和あるいは生活道路への通過交通の排除といった目的を達成するためであれば、実はこの府中三・四・五の方も必要であるという声もあるということを私も伺っております。ですので、また事前の説明によりますと、この地元住民の説明の中でも、この府中三・四・五については、できるだけ同じぐらいの時期につくるようにするというお話を説明しているということも伺いました。ぜひ、この府中三・二・二の二をつくるのであれば、府中三・四・五も同時期といわず、できるだけ一緒に供用開始ができるように、努力を進めていただきたいということを意見として述べさせていただきます。

○大島委員 この件については、都市計画審議会の案件の報告事項の中でも質疑をしてきたのですが、多摩地域における都市計画道路の整備方針では、住宅地などの居住地区を幹線道路で取り囲んで、地区に用事のない通過交通の流入を抑制することによって、良好な住環境を確保することを目的としています。今回の計画では、その住宅地の真ん中を通る道路計画になると思うんですけどもいかがでしょうか。

○藤井都市基盤部長 平成十八年四月に公表いたしました多摩地域における都市計画道路の整備方針の中で記載されております居住環境地区は、住宅地等の居住地区を幹線道路で適切な大きさに取り囲み、地区に用事のない通過交通の流入を抑制することにより、良好な住環境の確保を目的とした道路計画上の概念でございまして、本路線の整備により、その概念が達成できると考えております。
 また、本路線は、防災都市づくり推進計画におきましても、延焼遮断帯のうち骨格防災軸に位置づけられており、地域の防災性の向上などの効果も期待できるところでございます。

○大島委員 この地区に用事のない通過交通の流入を抑制するということなんですけども、結局、今度の都市計画道路の予定地の大部分というのは、第一種低層住宅専用地域で、静かな住宅地と農地が広がっているところなんです。住民はこれまでどおりの静かな環境を守ってほしいって願っているんですね。この良好な住環境を確保するという、都市計画道路の整備方針に逆行すると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○藤井都市基盤部長 本路線の沿道は主に住宅地であることから、沿道環境に配慮いたしまして、緑豊かな植樹帯と快適な歩行者空間を有する十メートルの環境施設帯を車道の両側に配置することといたしまして、周辺の住環境は守られるものと考えております。
 また、本事業の環境影響評価でも選定したすべての評価項目におきまして、環境基準などの評価の指標を満足していることから、周囲に与える影響は小さいと考えております。

○大島委員 この計画で、十メートルの環境施設帯を設置するということで環境が守られるというお話でしたけれども、結局十メートルに増幅させることによって、立ち退きを迫られる、そういう対象件数もふえるというふうに聞いているんですが、全体で何棟ぐらいがこの移転対象となるんでしょうか。

○藤井都市基盤部長 今回の都市計画変更は、一般部で十メートルの環境施設帯を車道の両側に配置することから、二十八メートルの計画幅員を両側に四メーターずつ拡幅して、三十六メーターに変更するものでございます。正確な用地取得する面積や建物の棟数につきましては、都市計画決定後の土地の境界を定める用地測量を実施した後に確定いたします。現時点では図面上での試算となりますが、計画線にかかる物件数は約百六十棟から約百八十棟に変更となります。
 なお、事業用地の取得に当たりましては、適正かつ公平な補償を行うとともに、個々に話し合いを行い、関係権利者の生活再建に十分配慮し、きめ細かな対応に努めてまいります。

○大島委員 環境影響評価では、評価の対象としていなかった交差点での騒音とか、それから、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五、この発生などに関して、地域の住民への環境悪化とか健康に与える影響についてはどのように考えているんでしょうか。

○藤井都市基盤部長 まず、騒音についてでございますけれども、計画道路と府中所沢線及び計画道路と甲州街道との交差点での騒音の予測につきましては、参考として予測値を環境影響評価書の資料編に載せており、環境基準を下回っております。
 また、微小粒子状物質いわゆるPM二・五につきましては、原因物質の生成の仕組みや発生源ごとの寄与割合など未解明な部分が多く、環境局等で調査が進められております。このように、現時点で環境影響評価の予測手法が確立されておらず、東京都環境影響評価技術指針では予測事項の対象とされていないことから、予測は行っておりません。
 なお、環境影響評価項目の選定につきましては、同指針に基づき、事業計画案の内容や地域の概況等から、調査計画書に示した上で定めており、選定されたすべての評価項目におきまして、環境基準等の評価の指標を満足していることから、周辺の環境に与える影響は小さいと考えております。
 また、工事完了後には、東京都環境影響評価事後調査基準に基づき事後調査を実施いたしまして、事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認められた場合には、環境の保全について必要な措置を講じてまいります。

○大島委員 事業の実施後に著しい環境の影響があった場合にはというんですけど、ないようにやってもらいたいというのが地元の方たちの意見なんですよね。だから不安だっていっているんですね。
 私は、果たしてこの本件の道路の混雑、渋滞緩和というんですけども、どうしても解消されなければならないほどの渋滞といえるかどうか、このことについてもさまざまな意見があると思います。
 国の機関である東京国道事務所では、ホームページで、都内の道路の混雑区間として、二十三区で百二十二区間、それから多摩地域で二十一区間を紹介しています。東京都がこの本件道路の建設によって渋滞が緩和されるとする周辺道路の区間は、この中には含まれていないんですね。移動時間の短縮時間も、都の資料で見ても四分から六分程度にしかすぎません。
 私は、三百億円もの巨額な税金を投入して、静かな住居専用地域に大きな道路をつくり、およそ百八十棟、約二百世帯とこの陳情者の方は書いておりますけども、この住民を立ち退かせてまちのコミュニティを分断する、それから道路の近隣の住環境、特にこの本件道路と府中所沢線、それから甲州街道のこの三本の道路で囲まれた三角地帯の大気汚染や騒音をひどくする道路をつくることが、人口も車の量も減っていくこの時代にふさわしいのか、やはり周辺住民の皆さん、都民の皆さんの意見をよく聞いて、抜本的に再検討することが必要だというふうに思います。
 質問を終わります。

○いのつめ委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○いのつめ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二二第八七号は不採択と決定いたしました。

○いのつめ委員長 次に、二二第八八号、平成二十二年度予算の八ッ場ダムに関する四十二億円の予算を執行しないこと等に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○安井理事 請願・陳情審査説明表の一三ページをお開きください。
 整理番号7、陳情二二第八八号、平成二十二年度予算の八ッ場ダムに関する四十二億円の予算を執行しないこと等に関する陳情について説明いたします。
 陳情者は、武蔵野市にお住まいの植田魅具さんでございます。
 陳情の要旨でございます。
 一つは、平成二十二年度予算に組まれている八ッ場ダムの治水、利水に関する四十二億円の予算を執行しないこと、二つ目は、国土交通省が事業を実施している八ッ場ダムの建設による治水効果を都独自に調査すること、三つ目として、五十年間翻弄された地域住民の生活が八ッ場ダム建設中止で脅かされないように、国に対して求めること、四つ目として、国に対して八ッ場ダム建設中止を求めることでございます。
 現在の状況です。八ッ場ダムは、国土交通省が利根川上流の吾妻川に建設している多目的ダムでございまして、都は、区部東部地域の洪水被害の軽減や都民への安定的な給水の確保のために必要不可欠な施設であることから、流域の関係五県とともにダム建設事業に参画しております。
 昭和二十七年の構想発表以来、長きにわたり地元と調整を重ね、昭和六十一年に建設大臣が八ッ場ダム建設に関する基本計画を作成し、その後、地元の意向を最大限尊重しながら、特定多目的ダム法に基づく変更手続を積み重ね、平成二十七年度の完成を目指して事業を推進してまいりました。
 しかしながら、昨年九月、政権交代後の国は、事業が約七割まで進捗し、ダム本体工事に不可欠な仮排水トンネルも完成した段階で、八ッ場ダムの建設中止を宣言し、予定されていた本体工事の入札を中止いたしました。これに対しまして、ダム建設予定地の地元や下流域の一都五県知事は、一致団結して中止撤回を求めたことから、国土交通大臣は、昨年十月二十七日に行われた関係知事との意見交換の場において、事業の再検証を行うと明言いたしました。
 同年十二月、国は、今後の治水対策に関する総合的な評価の考え方等を検討するため、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を設置し、本年九月末にその中間取りまとめが公表されました。
 国土交通大臣は、中間取りまとめに基づき、八ッ場ダム建設事業の事業主体とともに検討主体である関東地方整備局に対して、治水、利水等の観点から、八ッ場ダムの必要性について検討を指示し、本年十月一日、八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からの検討の場が設置されました。国はこの場において、検討の手順の説明に終始したため、一都五県は、検証スケジュールの明確化や治水、利水の安全度の安易な切り下げを行わないことなどを申し入れました。
 さらに本年十月二十五日、一都五県知事は、地元町長とともにダム建設予定地を視察し、事業の現況を把握するとともに、地元住民と意見交換をした上で、国土交通大臣が早急に現地を見て判断すること、検証スケジュールの早期の明確化、国の責任で生活再建事業を確実に実施することなどについて、国に対して強く求める共同声明を発表いたしました。
 これを受けて今月六日、国土交通大臣はダム建設予定地を視察し、群馬県知事等との懇談会において、今後、中止の方向性という言葉には言及せず、一切の予断を持たずに検証する、検証の結論は、平成二十四年度の予算案に反映するため、来年の秋までに出すことを明らかにしました。
 国が中止を宣言してから今日までの間、生活再建事業は着実に進捗しております。湖面三号橋が完成し、国道一四五号バイパスの大部分が供用開始するとともに、湖面二号橋もほぼ完成しております。さらに、代替地を相互に結ぶ湖面一号橋も着工され、水没する道路及びJR吾妻線のつけかえ工事、家屋移転など、生活再建に必要な事業の約八割以上が完了し、平成二十二年度末の執行見込みは、全体事業費四千六百億円のうち約八割に達しており、あとはダム本体工事を残すのみとなっております。
 一都五県はもとより、水没地関係住民も、一日も早いダムの完成、これを前提とした生活再建の実現を切望しております。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○大島委員 意見だけ表明させていただきます。
 八ッ場ダム建設は、利水、治水という建設目的に問題があり、日本共産党は中止は当然だと考えます。
 政権交代直後に前原前国土交通相が中止を表明したというのは、長年にわたる住民や市民団体の皆さんの運動とむだなダム建設を見直せという世論を背景にしたものです。しかし、民主党政権は、根拠や今後の生活再建策について、具体的な説明を抜きに中止を表明したため、住民の皆さんからも頭ごなしに中止を決めたという声が上がりました。長い反対運動の末、苦渋のダム受け入れを決断し、一刻も早い地域再建を担ってきた住民の怒りは当然です。
 しかも、民主党政権は八ッ場ダムの固有の中止理由については語っていませんし、生活再建法案の先延ばしなどの姿勢をとっており、これらが流域住民の皆さんの理解と合意を得られない根本にあると思います。
 前原大臣にかわった馬淵国土交通大臣は、先日、突然、中止棚上げを表明しましたが、水没地区の住民の間に複雑な思いが広がっています。こうした発言では、ダム推進を掲げる側の巻き返しの余地を広げるだけで、より大きな矛盾に陥る懸念があります。
 日本共産党は、住民の理解と合意を得るため、一、政府として真摯な姿勢で謝罪をする、二、住民の不安や要望に謙虚に耳を傾け、八ッ場ダム中止の理由を丁寧に説明する、三、生活再建、地域振興策を住民とともにつくり上げるという、住民の皆さんと一緒に粘り強く合意をつくり上げる民主的な手続、プロセスが必要だと呼びかけてきました。
 しかもこの間、国が八ッ場ダム建設の最大の根拠としてきた利根川水系で二百年に一度の大洪水が起きたときの最大流量、基本高水の二万二千トン、この数字の算出を行った資料が確認できないと馬淵大臣が表明するという新たな事態が起こっています。資料が存在しないということは、八ッ場ダムを初めとした利根川水系の治水対策の妥当性そのものが問われる大問題です。
 日本共産党は、以上の事態を受け、引き続き住民との意見交換の場を設けること、新たな最大流量をする際にはデータを全面公開するなど、開かれた検証を行うことなどを通じて、八ッ場ダム中止の理由がだれの目にも明らかになり、流域住民の皆さんの理解と合意を得られるようにするよう政府に求めていきます。
 また、生活再建策についても、より踏み込んだ対策を要求し、今後とも八ッ場ダム中止のために全力を尽くす決意です。
 また東京都も、今のむだな公共事業見直しの世論の流れや総選挙での民意に従って、ダム建設中止に協力していくべきだと考えます。
 そういう意味で、この陳情は趣旨採択すべきであるということを表明いたしまして発言を終わります。

○いのつめ委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二二第八八号は継続審査といたします。
 以上で請願陳情の審査を終わります。

○いのつめ委員長 次に、報告事項、豊洲土地区画整理事業における建設発生土の受け入れに関する調査報告書についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○石野総務部長 十一月九日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料2の表紙をお開き願いたいと思います。
 豊洲土地区画整理事業における建設発生土の受け入れに関する調査報告書における受け入れ基準を満たしていない工事でございます。
 土を搬入した工事のうち、受け入れ基準を満たしていない工事三十四件につきまして、〔1〕、搬入整理券から算出した土量によれば基準を満たさないが、現地における掘削前の状態での土量によれば基準を満たす工事、〔2〕、搬出元の工事の特性を踏まえ、協議により基準を変更して搬入を認めた工事、〔3〕、搬出元が他の基準を準用したが、その事実をチェックできなかった工事、〔4〕、チェックが十分ではないため、結果的に試験頻度の基準を満たさない土を搬入した工事の四種類に分類し、それぞれ事業者、搬出元の工事件名について記載してございます。
 なお、搬出元の工事件名は搬入計画書に記載されたものでございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○淺野委員 私から、この豊洲地区の土地区画整理事業におきまして、受け入れた建設発生土につきましての報告書の関係の質問をさせていただきます。
 まず、この受け入れた建設発生土の安全性についての確認を幾つかさせていただきたいと思います。
 実際に受け入れ手順というのをまず検証しなければならないと思いますが、この報告書によりますと、まず五ページにおきまして、さまざまなヒアリング調査、突き合わせ等を行って、実際にこの土の受け入れがどのように行われたかということについて解明したということが載っております。また、この報告書の二二ページには、そのヒアリングをもとにつくられました手続のフローチャート、流れ図といったものが掲載もされております。
 しかし、ここで非常に重要なのが、この報告書の中にも多数出てきておりますように、そもそも事務マニュアルが存在していなかったということであれば、この搬入フロー図のとおりに、実際に本当にちゃんと行われたのかというのは、実はその受け入れた土ごとに違うのではないかというような疑いというか、疑問が生まれてくるわけであります。
 そこで、この検証する際、実際にどのように行われたかを解明したという言葉を受けまして、実際の搬入手続それと例えば計量証明書の提出であったりだとか、搬入整理券の発行など、その時期やタイミングといったものがいつだったのか、手続上それが前後してしまったりとか、あるいはこのフローチャートに載っているような形の順序が、本当にすべてで守られていたかなど、時系列に沿ってしっかりと検証しなければならないと思いますが、この解明したという言葉のとおり、それは間違いなく検証しているという認識で間違いがないかということについて、確認をさせていただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 豊洲土地区画整理事業におきます建設発生土の受け入れ事務でございますけれども、先ほど、フロー図があるというふうなお話もございましたけれども、この受け入れ業務は、まず搬出前において、搬出ごとの事業者と受け入れ側の第一区画整理事務所が、土量や時期などについて事前の協議を行います。事務所の方は条件が折り合うことを確認いたしまして、搬出元に対しまして、土を受け入れる旨の回答をすることになっております。
 これを受けまして、搬出元は、化学性状試験の結果を示します計量証明書を添えて、搬入計画書を、実際に受け入れを担当します地区事務所に提出することになってございます。今回の調査では、地区事務所に残されておりました計量証明書を整理し直し、試験が行われた日付を把握いたしますとともに、試験項目が基準どおり行われているか、基準値を上回る物質が検出されていないかどうか、こういった観点から検証を行ったものでございます。
 計量証明書につきましては、試験項目のすべてについて検査が行われ、いずれの試験項目においても基準値を上回っていないものを、化学性状試験の実施回数として算定いたしました。
 次に、搬入計画書の提出を受けまして、地区事務所は搬出元に対しまして、所要枚数の搬入整理券を発行することになってございます。
 今回の調査では、搬入時にトラック一台ごとに回収いたしました搬入整理券から、搬入土量を算出し、これを試験頻度の二千立方メートルで除した値を、化学性状試験の必要回数といたしました。このような手順によりまして算定された試験の実施回数を、必要回数と照らし合わせることによりまして、搬出元工事ごとに受け入れ基準を満たしていたかどうかといったことを検証したものでございまして、お話にございましたように、時系列に沿って検証したものというふうに考えてございます。

○淺野委員 今ご説明があったとおり、一応時系列に沿ってしっかりと検証しましたというご答弁をいただきました。
 それでは実際に確認をしなきゃいけないのは、少なくとも基準値を上回る物質が検出された搬出元の工事というのが二件あるわけであります。で、この二件の工事というのは土は搬入されておりませんでしたということが、概要にも載っておりますし、報告書にも載っているわけであります。
 しかし、じゃあ、その土は本当に受け入れられていないのかどうかということをどうやって確認したのかということについては、私が見る限りでは、ちゃんと具体的には書かれてなかったように思います。今の説明にあったとおり、時系列に沿ってしっかりと検証していったのであれば、非常に重要になってくるのは、土の量が多くなってきた工事については、最初に計画書を出しますけれども、実際に二千立米に一回の検査というのは、実は掘り進みながらやるしかない、あるいは土をこう掘り起こしながら出てきたところで検査して持ち込む、出てきたところで検査して持ち込むということでチェックと受け入れの業務というのは同時進行で行っていったということが想像できるわけでありますが、この搬入停止措置を行いましたよというのは、ではどのタイミングでやったんだろうかということが、一番重要になってくると思います。この二件の工事につきまして、搬入停止措置がどのタイミングでできたのか、その経過について具体的にお答えいただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 お尋ねの二件の工事でございます。
 初めに、都営住宅百人町工事でございますけれども、この工事は搬入土量が約三千五百立方メートルございまして、試験の必要回数は二回でございます。この工事は、掘削する土の深さが比較的浅く、平面的に広がりがある現場でございましたために、現場内の二カ所で同時期に試料を採取いたしまして、化学性状試験が実施されてございます。試料の採取日は平成十七年三月二十九日、計量証明書が発行されましたのは同年の四月二十日でございます。
 二回の試験のうち、一回は基準値を三ピコグラム上回るダイオキシン類が検出されました。しかし、隣接する箇所で行われました試験からは、基準値を上回るダイオキシン類が検出されていなかったこと、また、土地利用履歴から、ダイオキシン類が広範囲に存在する可能性が小さいものと推定されましたことから、改めて周辺の四地点で追加の試験を実施することといたしまして、六月一日に試料を採取してございます。
 その結果を示す計量証明書は、六月二十八日に発行されまして、すべての地点におきまして基準値を下回っていたことから、汚染は周辺への広がりがない限定的なものというふうに確認がなされました。
 このため、基準値を下回ったことが確認されました四地点の外側の土のみを豊洲に搬出することといたしました。この結果、この都営住宅百人町工事からの土の搬出が開始されましたのは、追加の計量証明書が発行されました六月二十八日からとなってございます。
 次に、もう一件の首都高速道路中央環状新宿線のSJ六十二工区トンネル工事でございます。
 この工事は、地表から深さ最大約五十二メートルまで掘り下げまして、トンネルを築造しまして再び埋め戻す工事でございます。豊洲に搬入された土量だけを取り出しましても一万八千立方メートルと非常に規模の大きい工事でございます。
 この工事におきましては、土の掘削に先行してボーリングを行いまして、試料を採取してまいりました。試験により安全を確認して掘り下げ、また試験を行って安全を確認して掘り下げる、このようなことを繰り返し行いながら土の搬出が行われたものでございます。
 深さが地表から二十四メートルに至りますまでに三回の試験が行われておりました。いずれも基準値を上回らないことが確認されましたので、これらの土が豊洲に搬出されてございました。しかし、深さ二十五メートルの土で実施しました四回目の試験におきまして、砒素の超過が確認されました。このため、この土につきましては、豊洲への搬出を中止し、搬出先を他の受け入れ地へ変更する措置がとられたものでございます。
 この点につきましては、搬出元が所有いたしておりました当時の経緯を、詳細に記した資料によって確認することができたものでございます。

○淺野委員 ちょっと今の答弁で非常に気になることがあったので、再度確認をさせていただきますが、ダイオキシン類が発見された場所の計量証明書を発行されたのが六月二十八日と私には聞こえました。そして、土砂の搬入受け入れも六月二十八日からということだというふうに聞いたように思います。もしそうだとするならば、このフローチャート上でいきますと、計量証明書が発行されてから審査を行って、搬入整理券を発行してそれがダンプに渡って、その後に受け入れるということなんです。この作業を一日でやったことになっちゃうんですね。
 もう一度確認しますが、計量証明書の発行、ダイオキシンのところの、新しい四地点について行った計量証明書の発行日は六月二十八日で、土砂の搬入も六月二十八日といった今の答弁で間違いないでしょうか。ちょっと確認させていただきます。

○遠藤市街地整備部長 追加の試験の証明書につきましては、六月二十八日に発行されております。土砂の搬出が開始された日につきましても、六月二十八日からというふうに確認してございます。
 それまでストップしておりましたものを六月二十八日から搬出したということでございます。二回の試験を行っておりまして、一つの方につきましては、ダイオキシン類の検出がされてございませんでした。その土を六月二十八日から搬出したということでございます。受け入れを行ったということでございます。

○淺野委員 非常に重要なポイントは、この搬入整理券から、ここの例えばダイオキシンが出たところというのは、工区二つあるわけですね。一地区と二地区があって、一つ目のところから何も出ませんでした、二つ目のところからダイオキシンが出ましたという話です。当然、一つ目のところ、区画別ですから、そこの土はもちろん受け入れていいと思いますが、大切なのは、搬入整理券によって、この同じ工事だけれども地区が二つに分かれている、ここが区別できていたのかどうかということなんですね。これが区別できているんであれば、今の説明でいいと思います。最初のところのものを先に受け入れといて、後のところのものはその審査が通ってから受け入れましたという説明でいいと思うんですが、この二つに分かれているところの区別が搬入整理券からつくのかどうかについて、確認をさせていただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 ダイオキシン類が検出されたことを受けまして、すべての土について搬出受け入れをとめておりましたので、六月二十八日から受け入れたということでございます。

○淺野委員 ちょっとね、もう一回聞きますよ、今のじゃ答えにならないので。
 搬入整理券で、つまり私が聞きたいのは、同じ工事の中で、二千立米に一回調査していくわけですね。その調査をするときに、この後で見た搬入整理券から、どの計量証明書の土だったのかということが判定できるかどうかです。工事までしかわからないのか、それとも、これはこの時期のものだ、これはこの時期のものだということが、ある程度、少なくとも推察できるかどうかということをお答えいただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 二回の試験を行いまして、その対象となったものすべてをとめております。すべてをとめております。どちらの工事から出たものかということにつきましては、搬入整理券からは、そこは具体的にはわからない整理券となってございます。

○荒川建設推進担当部長 都営住宅の百人町四丁目第四アパートでございますけども、委員ご案内のとおり、工区が二つ、住棟が二つに分かれております。そのナンバー一の方につきましては、ダイオキシン類、何も問題ありませんでしたので、現地の横に仮置きしておりました。ナンバー二の方は別の場所にまず仮置きしておりました。ですからナンバー一の方は問題ないということで、六月二十八日に持っていったということでご理解いただけばいいのかと思います。

○淺野委員 このことばかりやっているわけにはいかないんですが、私が確認したかったのは、今の手順でやっていたということで、恐らく先に仮置きした方から受け入れたということがわかるということでいいわけですよね。そういうことだということで認識させていただきます。
 私が気にしていたのは、同じ日だということであれば、せっかく、とめていたわけですね、つまり、危ないものが出たというんで、安全なところも含めてとめたという措置をせっかくとっていたにもかかわらず、その計量証明書が発行された日に解除してしまっていたんでは、後で見たときに、これ本当に確認したのかって疑いかねませんよということなんですね。そこは、今後の受け入れのやり方の中で少しお考えいただければと思います。
 そして、先に進めさせていただきますが、この中で資料が幾つか出てきておりますけれども、この報告書の中身によりますと、この今確認をさせていただいた二件の工事に係る計量証明書ですね、枚数はもうちょっとあるでしょうが、基準値を超える物質が検出されたという計量証明書が二通ありました。それから、試験項目数が不足する計量証明書というのが、私が数えたところ恐らく計十五通あったというふうに思われるわけであります。
 そうしますと、この十七通の計量証明書ということが残っていたということになるわけですが、これについては基本的に、この土は受け入れていないということが推察されるということが報告書には書いてあります。
 まず一つ疑問に思った、これ、原本かコピーかということが、私、最初に疑問に残ったわけですけれども、これは事前に確認したところ、すべてコピーであったと、写しでありましたということでありますが、そうだとすると、要はこういう疑念だったり疑いを持たれてしまう、つまり不安をかき立ててしまう、あおってしまうような書類がその事務所の中にあったということは、これは参考資料だとか、あるいは不許可だったからということで置いてあったんでしょうけれども、こういった書類がちゃんと、例えば不許可のものでしたとかというファイルにあれば一発で確認できるわけですね。しかし、聞いたところによると、なかなかそういう形にもなっていなかったというような話も伺っておりますので、そもそも、こういった搬出元から出された計量証明書を含む書類というのは、どういう保管基準があったりとかあるいはどういう整理をしなさいといった基準、こういったことを決めていなかったのかなということが疑問に思うわけですけれども、そこについてお答えいただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 今回の調査によりまして、事務処理マニュアルが整備されておりませんでした。受け入れ基準を適切に運用するための事務処理マニュアルがなかったことが明らかとなっております。搬出元から提出されます計量証明書を初めといたしまして、書類の提出につきまして、取り扱いにつきましては明確なルールが存在しなかったわけでございます。
 こうしたことから、試験項目数が不足し、新市場予定地等に搬入しなかった計量証明書までも、事務所に残されていたものというふうに考えてございます。

○淺野委員 恐らく、もちろんそのことが、さまざまな疑念を生む結果になってしまったんだろうということで、これはまた一つの反省材料にしていただきたいと思いますけれども、そういった中で、この報告書の五一ページにあります参考資料の五番を見ますと、ほかの受け入れ地に搬出されたもの、あるいは同一現場における先行工事のもの、そしてその他ということで大きく分けまして、それぞれの計量証明書についてああだこうだということが書いてあるわけですけれども、その中に、実は全部で五件、搬入時期がずれていたから、この土は受け入れていない。もっと正確にいいますと、計量証明書が発行された時期と、それから、実際にその土が受け入れられたと思われる時期、搬入整理券からわかる時期というのがずれていたので、この計量証明書の土は入っていないんだろうということが書いてあります。書いてあるんですけれども、五件のうち、半年以上前だったからと具体的に書いてあるのは一件だけでして、外四件は時期がずれていたとしか書かれていないんですね。そうすると、これ、どういうことなんだろうと。具体的にどのぐらいずれていたということ、つまりもっとはっきりいいますと、その土は受け入れてませんよという根拠は何でいえるのかということをちゃんと説明していただかなきゃならないと思いますので、この残り四件について、どれだけずれているのか、あるいは受け入れていないんだという根拠は何なのか、具体的にお答えいただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 ご指摘ございました四件の工事でございますが、四件の工事、計量証明書といたしましては計六通になりますけれども、これはいずれも首都高速道路中央環状新宿線のトンネル工事の土について行われた試験の証明書でございます。このうち三件四通につきましては、新市場予定地等に土の搬入が行われた時期よりも後に発行された証明書でございます。具体的には、SJ六十二工区トンネル工事につきましては、土の搬入時期が平成十六年六月から九月まで、計量証明書の発行日は平成十七年一月となってございます。
 SJ五十二工区トンネル工事につきましては、土の搬入時期が平成十六年六月から八月まで、計量証明書の発行日は平成十七年八月、九月となってございます。
 また、SJ三十五工区トンネル工事につきましては、土の搬入時期が平成十六年二月から三月まで、計量証明書の発行日は平成十六年十二月となってございます。
 これら三件四通につきましては、新市場予定地に土の搬入が行われた時期よりも後に発行された計量証明書でございますので、新市場予定地等に搬出された土のものではないというふうに考えてございます。
 なお、これら三件の工事につきましては、いずれも土の搬入時期に化学性状試験が行われておりまして、さらにこのうちの二件につきましては必要回数を満たしてございます。
 続きまして、残りの一件でございますが、一件二通の証明書がございます。SJ四十三工区トンネル工事の土について行われた試験の計量証明書でございます。
 このトンネル工事は、シールド工法によりまして外回りのトンネルを先に掘削しました後、掘削機を折り返しまして、反対側の内回りのトンネルを掘削するという工事でございます。この二通の計量証明書は平成十六年一月と四月に発行されたものでございまして、搬出元との突き合わせによりまして、外回りのトンネルの部分の土について行われた試験のものであることが判明してございます。また、内回りのトンネルの土につきましては、平成十六年九月に化学性状試験が行われておりまして、その後、十月から十一月にかけて豊洲へ土が搬入されたことを搬入整理券によって確認してございます。つまり、先行して掘削された外回りのトンネルの土の二通の計量証明書は、実際に豊洲への搬入が確認されております内回りのトンネルの土の計量証明書より、五カ月から八カ月も前に発行されたものでございます。
 こうしたことから、外回りのトンネルの土は豊洲には搬入されておらず、この二通の計量証明書は内回りのトンネルの土を受け入れる際に参考資料として提出されたもの、このように考えたものでございます。

○淺野委員 今のご説明のようなものが、本当はできれば、最初からこの報告書に具体的に載っていれば、要らぬ疑いというか不安を持たなくてよかったのかなというように思います。
 今のご説明のとおり、では、基準値を超える二件の土も、それからそうではない試験項目数が不足しているものについても、基本的には土は受け入れていなくて、この土地区画整理で持ち込まれた土というのは、基本的に安全なものだったんだという認識というのが、この報告書にそういうことが書いてあるんだなということが読み取れるわけでありますが、一方で、これは我が党の伊藤ゆう議員が連合審査会等でも指摘しているとおり、実際に、では積まれているそこの土に行くと盛り土の上からも、盛り土の上というか、盛り土を検査した結果、三十地点で、実は環境の基準を上回る汚染物質が実際に検出されているわけでありますけれども、これについては、ではどのように説明をされるつもりなのか伺いたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 本年八月に取りまとめられました、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議の報告書によりますと、盛り土の汚染の原因につきまして、地下水位の上昇などが影響したと考えられるが、完全に原因を特定することは困難であるとの見解が示されてございます。今回の調査によりまして、土地区画整理事業により新市場予定地等に搬入されました土の安全性は確保されているというふうに考えてございます。このため、盛り土で確認されました汚染の原因につきましては、当局としてはわかりかねるところでございます。

○淺野委員 なかなかわからないということでありますが、今の話にございました地下水位の上昇などが影響したということが考えられると技術会議でもいわれているようですけれども、その三十地点の中でも四地点についていうと、実はその下、つまり地下水があると思われる土よりも濃度が濃いわけですね。濃度が濃いところが四地点あり、しかもそのうち一地点につきましては鉛が検出されておりまして、この鉛もわずか一キログラムの土の中に二グラムも入っているということがわかっているわけであります。
 さらに、それを深さ方向で見ていきますと、盛り土のところには約二グラムですけれども、マイナス五十センチ、つまりその下の操業基盤面のマイナス五十センチ掘ったところでは三六〇ミリですね。もっと行って、三メーター掘ったところではもう一〇ミリしかないと。二〇〇〇ミリの鉛が、深く深く行くことによってだんだん薄くなるという現象は確認できているわけでありまして、これは実は地表に近いところから汚染が進行しているというふうに見る方が、やっぱり合理的な見方だと私は思いますけれども、特にこの四地点についても、どのようにお考えになるのかをお答えいただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 今回の調査報告書にございますように、豊洲へ搬入された土は、それぞれの搬出元におきまして、一回は化学性状試験が行われてございまして、基準値を上回る物質は検出されなかったわけでございます。そうした土が搬入されていたわけでございます。ただいま鉛についてのご指摘ございましたけれども、その原因につきましては、当局としては、残念ながらよくわからないのが実情でございます。

○淺野委員 今のお答えで、もちろん出てきてしまったもので、実際その前に行われた化学性状試験の中では、基準値が超えたものを含めても鉛が検出されたものはなかったということもいわれているわけでありまして、確かにそういった観点から見ればわからないというのも理解できなくはないんですけれども、最も大切なことは、わからないからいいわけではなくて、じゃあ、どうして化学性状試験では出てこなかった鉛が、実際に、あんなに重い金属が、普通に考えたら地下から上がってくるとはなかなか考えづらいものが、汚染物質として発見されたのかということを考えることも必要でしょう。検証することも必要。そして何よりも、そういったことから見つかったことによって、対策というのがつくられるわけでありまして、わからないでとまらずにですね。別に持ち込まれたものが汚染されていたというつもりはありません、ただ、どうしてそういうものが出てきてしまったのかということについては、やはり研究と検証を重ね続けなければいけないということを、私の方から強く要望として挙げておきたいと思います。
 続いて、八月二十七日にこの調査チームが立ち上げられておりますけれども、この調査チームを立ち上げたときに、そもそも都市整備局として、この土の受け入れというものに、もしかしたら問題があったんじゃないかなというような疑義を持った。つまり、不安感というか、疑いというか、もしかしたらまずいことがあるんじゃないかというような感じを持ったのはいつだったのかということ。そして、またこの報告書を見ますと、現場としては、上からいわれるまでつまり局から調査が入るまで、基本的に何の問題も感じていなかったような書き方がされているように受け取れるんですけれども、それでいいかということについてお答えいただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 今回の調査によりまして、平成十四年度から十八年度までの間、現場の事務所におきましては、二千立方メートルに一回という試験頻度の基準は認識しておったわけでございますけれども、公共工事から発生する土ということもございまして、搬出元で基準を満たした上で持ち込まれるもの、基本的にこのような認識を持っていたわけでございます。そして、盛り土工事の工期の厳守に追われる中で、結果的に受け入れ基準を守るという意識が不十分になってしまった。このようなことが調査の中で明らかとなってまいりました。
 他方、昨年の秋でございますけれども、情報開示請求がございまして、これに対応する中で、担当課は、試験の実施頻度の基準が守られていない可能性があると疑義を感じておりました。試験の実施頻度をチェックするには、搬入された土の量を、搬出元ごとに把握する必要があるわけでございますけれども、直接その土量を確認する資料がなく、全体像がわからない状況であったわけでございます。
 その後、土を運んだトラック一台ごとに回収いたします搬入整理券、これが残されていれば、これをもとに土量を推計することができるだろう、こういったことに考えが及びまして、この搬入整理券の所在について、手を尽くして調べてきたわけでございます。幸いこの搬入整理券につきましては、非常に小さな紙ではございますけれども、廃棄されずに残されていることがわかりまして、それ以降、計量証明書とあわせまして、調査分析を行ってきたわけでございます。
 しかしながら、資料の数が非常に膨大でありまして、しかも、先ほどもお話ございましたように、きちんとした整理が、管理がなされていなかったということもございまして、検証には多大な時間を要することとなったわけでございます。調査が行き届かなかった点は否めず、ご指摘があれば謙虚に受けとめたいというふうに考えてございます。

○淺野委員 今、ご答弁いただいたとおり、整理されていれば、あるいは確認ができるような形で資料が残っていれば、もっと早い段階で確認がとれたのではないかなというように思います。
 実際にこの後、その思いの後、実際に調査チームが立ち上がりまして、およそ二カ月ぐらいでこの報告書というのをまとめていただいているわけでありますが、ただ、十九万枚といわれる搬入整理券を整理し、突き合わせし、確認をするという作業、実際にはどのくらいの人員と体制で調査、確認というのを行っていたか。これについてちょっと具体的に教えていただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 お答え申し上げます。
 まず、土の搬入状況でございますけれども、第一区画整理事務所に残されておりました土の搬入整理券約十九万枚につきまして、事務所の職員約八十名のほぼ全員を動員いたしまして、集中的に、搬出元工事ごとに、日付ごとに整理いたしまして、その数を確認してまいりました。その際、職員二人が別個に枚数を数えることといたしまして、見落としなどないように注意深く作業を進めてまいりました。
 また、計量証明書の分析や搬出元事業者へのヒアリング、資料の突き合わせなども今回の中で行っておりますけれども、そうしたことにつきましては、市街地整備部の職員二十名から成る専門チームを立ち上げまして、二カ月余りの間、通常業務を離れて、資料の調査分析に当たってまいりました。
 他方、仕事の進め方に係る調査につきましては、局内の管理職十名のチームによりまして、平成十四年度から十八年度にかけまして、土の受け入れ業務に携わった管理監督職を含む職員に対しまして、当時の状況などについてヒアリングを実施してまいりました。土の搬入から相当時間が経過しておりますために、一回のヒアリングだけでは十分な情報が得られない場合には、必要に応じて複数回ヒアリングを行ってきたものでございます。

○淺野委員 今お答えいただいたとおり、かなり膨大な人力、時間、体制を整えた上での調査であったと思われます。もっと早い段階で確認がとれれば、もっと少ない人力でできたでしょうし、こういったものというのは、できるだけ早い段階でできるようになることがいいことだろうと私は思っておりますけれども。
 今回のこの報告書の中に、二六ページ、二七ページのところには、この受け入れ基準といったものが守られなかったことについての考えられる原因というのが列挙されておりますし、またその隣、二八、二九ページにつきましては、今後についての対策というこの土の受け入れに対してはこういう形でやっていきたいというのが載っているわけでありますけれども、私がそれを見た限りでは、マニュアルがなかった、不備があった、手続上の不備があった、職員の方々の意識あるいはコミュニケーションの不足ということが原因であったと。そして、それについてはこうしていこうという対策は載っている。これはこれで必要なことだと思います。
 しかし、さらに大切なことは、人のミスというのは完全に防ぐということは、現実的には不可能なんですね。未然にミスを防ごうという、そういったことというのは、その取り組みは本当に重要ですし、そこには果断な努力を常にやっていかなきゃいけないんですけれども、人間はうっかりミスをしたり、あるいは今回のことにも書いてありますが、たまたま工期に、要するにおしりが決まっていて、そこに対して、すごく忙しくなってしまうようなものが重なってきたときに、どうしてもそちらに集中するがためにおろそかになってしまうということもあり得るわけです。そういうミスがあることを前提にした組織づくりというのをしなきゃいけませんし、システムもそうならなければいけません。うっかりミスなどを早期に発見して対処するということが、非常に重要になってくると思います。
 今後のこの土の受け入れ、これに関して、だれがどんな状況でその仕事に従事していたとしてもミスが起きづらいということ、そして何よりも、仮に起きてしまったとしても早い段階で、できるだけ早い段階で発見されそしてすぐに対処することができる、そういった体制を築かなければいけないと思いますけれども、そこについてどのような考えをお持ちかお答えいただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 今後、豊洲地区におきまして盛り土工事を再開するに当たりましては、ミスのない確実な事務処理を徹底いたしますとともに、仮にミスが生じても早急に発見し、対処できる体制の構築が極めて重要であるというふうに認識してございます。今回の調査からも明らかになりましたように、土の受け入れの仕事の進め方におきまして、事務処理マニュアルが不備であったこと、受け入れ基準が文書化されていなかったこと、また資料が散逸していたことなど、ミスを防ぐ上での基本的事項が十分ではなかったというふうに考えております。
 今回の事態を教訓といたしまして、今後は、安全で信頼される確実な受け入れを実現するため、これまで作成されていなかった事務処理マニュアルを整備し、具体的な事務処理方法を明確にいたしますとともに、重要な事務の決定に当たりましては、必ず文書で行うことを徹底いたしまして、記録の保存や責任の明確化を図ってまいります。
 万一、ミスが発生した場合であっても、事故の防止を所掌する局の工事安全対策委員会におきまして、この受け入れ業務を追加するなどいたしまして、早期発見と適切な対処がとれるよう、体制を整備してまいります。
 また、本庁と事務所間、事務所内の連携を円滑にし、ミスの発生しにくい組織体制を構築するため、局内の関係部署から成る情報連絡の場をつくりまして、これを定例化してまいります。さらに、円滑な土の搬出、受け入れの実現には、搬出元側の理解と協力が不可欠でございますので、搬出元事業者との連絡体制についても整備を進めてまいります。

○淺野委員 これで最後にしたいと思いますが、今のご答弁にありました例えば工事安全対策委員会、ここに議題として上がること自体が悪いことであるような風潮があっては全く機能しません。大切なことは、そういった委員会の場で確認されることは、別に通常当たり前のことなんだっていうぐらいの感覚を、局全体としてあるいは都庁全体として持っていなければ、そこにこういう疑問があるんだけどあるいはこれ確認したほうがいいんじゃないかということを、だれか現場の職員の方あるいは管理者の方が思ったとしても、そこにのせるだけでやっている人に迷惑がかかる、不名誉なことだとなれば、人はみんなちゅうちょしてしまいます。チームでやっていることであればなおさらであります。ですから、この工事安全対策委員会といったものを活用していくということであれば、あるいはその他の局内におけるさまざまな会議においても、議題に上がることは決して悪いことではないと。むしろ、そういった確認作業を行っていくことの方が組織として当たり前なんだという認識を持てるようなものに、この土の受け入れから発展をさせていっていただきたいと思います。
 そして最後に、この都市整備局として、今回の問題についてはむしろチャンスであるととらえて、今までの役所あるいは今のだれかを悪者にしようというような、それさえすれば、そしてだれかに責任を押しつければおしまいなんだみたいな社会風潮にも反発するというか、挑戦するというか、そういったことは決していいことじゃないと私は思っておりますので、今後、人為的であろうがなかろうが、どんなことであっても、ミスが起こらないんだということではなくて、ミスは起こり得るんだということを常に前提としながら、組織というものを活用しつくっていかなければいけないと思います。
 そういった組織づくりをさらに進めていくということについて、局長としてその決意を述べていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○河島東京都技監 豊洲地区における盛り土の受け入れに関する今回の調査の中で、職員のルールを守るという意識や組織内における情報の伝達が不十分であったことなど、仕事を進める上での基本的な事項がおろそかになっていたことが明らかになりました。こうしたことが、みずから定めたルールであるにもかかわらず、試験頻度が守れなかったという事態につながったと考えております。
 ただいま、今回の件を今後の都政に生かしていくことが重要との大変建設的な視点からご質問、ご指摘をいただきました。ご指摘のとおり、仕事を進める上で万全を期していても、ミスは起こる可能性があり、それを完璧になくすことはできないというふうに私も考えております。それを前提として、ミスをできる限り防ぎ、万が一、生じた際には最小限で食いとめることができる強固な強靱な組織をつくる必要があるとこれも考えております。
 本報告書を受けまして、都市整備局では既に、文書による事務手続について局内に改めて徹底し、コンプライアンス研修を実施するとともに、特に管理職に対しては、その所管業務の執行状況の的確な掌握を徹底するよう私みずから直接指示をするなど、早速、取り組みを始めたところでございます。引き続き、今回の事態を今後に向けた貴重な教訓といたしまして、ミスを可能な限り防ぐという観点から、局職員が携わっている仕事について、いま一度その内容や手法の再点検を促すとともに、縦、横のコミュニケーションを強化することなどにより、局の総合的な力を高め、都民の信頼と期待にこたえられるよう、また、ただいまご指摘いただいたように、ミスを未然に防ぎ、さらに万一起きてしまった場合にも、迅速かつ適切に対処できる組織の体制とすべく、また、そうしたミスに対してしっかりと対応できるシステムの、組織としてのシステムの構築を図るべく、私自身職員の先頭に立って、局を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○いのつめ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時十六分開議

○いのつめ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○神林委員 我が党としましても、順を追ってしっかりと安全の確認をさせていただきたいと思います。なお、同一案件でございますので、若干の重複もあるかと思いますが、極力避ける中で、視点も違いますので、ひとつ明快なるご答弁をよろしくお願いいたします。
 去る九月七日の本委員会において、都技監から、調査チームを立ち上げ、徹底的な原因究明を行う旨の発言がございました。十一月九日にはその報告書が公表され、徹底した調査の内容が明らかにされたところでございます。
 そこで、まず第一問としまして、改めて、調査した目的やその方法についてお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 今回の調査でございますが、平成十四年度から十八年度までの間に、新市場予定地に盛り土材として受け入れました建設発生土の搬入状況や当時の仕事の進め方などにつきまして、局の総力を挙げて、より精度を高めた徹底的な検証を行うことにより、受け入れの基準が守られていなかった原因や今後講ずべき対策を明らかにすることを目的として実施したものでございます。
 土の搬入状況につきましては、事業を所管する市街地整備部と第一区画整理事務所の職員がチームをつくりまして、百四十八件の搬出元工事ごとに一件一件調査を行ってまいりました。
 具体的には、土の受け入れ時にトラックから回収した搬入整理券から工事ごとの搬入土量を算出することといたしまして、事務所に残されていた搬入整理券約十九万枚を搬出元工事ごとに日付ごとに整理いたしまして、さらに、トラック一台につき五・五立方メートルの土が搬入されたものと仮定しまして算定したものでございます。
 また、化学性状試験の結果を記載した計量証明書などの資料につきましては、これを改めて整理し直し、発行日や試験項目の数などを詳細に分析してまいりました。
 さらに、事務所が保有している資料から実態が十分解明できない場合には、職員みずからが搬出元の事業者に出向きまして、当時の状況をヒアリングするとともに、搬出元が保有している資料と突き合わせを行うなどいたしまして、可能な限り正確な状況を把握するよう努めてまいりました。
 このような作業を徹底して行うことによりまして、試験頻度の基準が満たされているかどうか、また、基準値を上回る物質が検出されていなかったかどうか、こういった観点から搬入された土の安全性を検証したものでございます。

○神林委員 そこで、ちょっと疑義のある部分について一つずつ確認をさせていただきたいと思います。
 今回の再調査の結果、全搬出元の工事百四十八件につきまして、二千立米ごとに一回という試験頻度の受け入れ基準を満たした工事は百十四件であり、受け入れ基準を満たしていない工事は三十四件ということが報告されております。これら三十四件については、試験の実施状況が懸念されるところでございますが、その中には試験を一度も実施していなかったものがあるのか伺います。

○遠藤市街地整備部長 受け入れ基準を満たしていない工事三十四件につきましても、搬出元において化学性状試験が一度も行われていなかった工事はないということが確認されてございます。

○神林委員 今のご答弁でも、受け入れ基準を満たしていない工事三十四件についても、すべての工事で試験を一度は行っているということがわかったわけでございます。
 報告書による三十四件のうち、十八件は、受け入れ基準を満たさなかった理由や経緯が明確になっているが、残りの十六件は、理由や経緯について具体的な状況を明らかにするまでに至らなかったとしております。これら十六件について、なぜ搬入された土が安全と考えたのか、その理由について伺います。

○遠藤市街地整備部長 チェックが十分でないために、結果的に試験頻度の基準を満たさない土を搬入した工事十六件のうち、九件につきましては、環境確保条例に基づきまして土地の利用履歴調査が行われておりまして、届け出手続が実施済みでございます。この調査結果の届け出によりまして、条例上の手続は終了してございます。
 また、五件につきましては、事業者により法や条例に基づく環境アセスメントが実施されておりまして、環境影響評価書におきまして、土壌汚染が懸念される地区は存在しない、このようにされているわけでございます。こうしたことから、これらの工事から搬入された土は安全であるというふうに考えてございます。
 残る二件のうち、一件につきましては、一つは、品川区内の公有水面を埋め立てた造成地で実施されました下水道局の勝島ポンプ所の工事でございます。この工事におきまして豊洲へ搬出された土は、人為的な影響が及ばない埋め立て前の海底地盤を掘削した土でございます。この工事におきましては、化学性状試験が六回必要なところ五回実施されておりますけども、いずれにおきましても基準値を上回る物質は検出されてございませんでした。
 もう一件は、首都高速道路の新木場出入り口と辰巳ジャンクションの間の拡幅工事でございまして、高速道路の路肩部分にあった土が豊洲へ搬出されてございます。化学性状試験につきましては、三回必要なところ一回だけ実施されておりますけども、基準値を上回る物質は検出されてございませんでした。
 この工事の現場は、昭和五十年代初めに盛り土を行い、高速道路が整備された場所でございまして、盛り土に当たっては、当時の技術基準などに従いまして、強度が大きく、良質な土を使用したというふうに推定されます。また、この現場の直近の箇所で、他の受け入れ地に搬出するために二回の試験が実施されてございますけども、それらの結果からも基準値を上回る物質は検出されてございませんでした。
 このため、これら二件の土につきましても、土壌汚染の可能性は極めて低いというふうに考えてございます。
 その結果、十六件のすべてにおきまして、搬入された土の安全性については一定の確認を行うことができました。

○神林委員 今答弁いただきました部分で、受け入れ基準を満たしていない工事三十四件の状況については、理解をしたところでございます。
 これとは別に、基準値を上回る物質が検出された工事が二件あったとのことでございます。このうちの一件は都営住宅百人町の工事であり、ダイオキシン類が検出されたために追加の試験を実施し、安全性が確認できた土のみを豊洲へ搬出したことが、九月に詳しく報道発表されております。
 ところで、もう一件の工事はどのような内容であったのでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 もう一件の工事は、首都高速道路中央環状新宿線のSJ六十二工区トンネル工事でございます。
 この工事は、地表から深さ最大約五十二メートルまで掘り下げまして高速道路のトンネルを築造いたしまして、土を埋め戻す工事でございます。二千立方メートルごとに化学性状試験を行いまして、安全を確認しながら土の掘削が行われました。
 地表から約二十五メートルの深さの位置で四回目の試験を行いましたところ、初めて砒素が超過していることが確認されました。三回目の試験までの土は豊洲へ搬出しておりましたけども、砒素の超過が確認されたことを受けまして、四回目以降の土は豊洲へ搬出することを取りやめまして、搬出先を他の受け入れ地へ変更いたしました。このことにつきましては、搬出元が保有していた資料によりまして確認することができたものでございます。
 この首都高速道路の工事につきましては、ただいまお話しございました都営住宅百人町の工事と同様に、受け入れ基準のチェック機能が働いて、基準値を上回る物質が検出された土の搬入を未然に防ぐことができた事例と考えてございます。

○神林委員 ところで、先日いただいた参考資料5には、試験項目数が不足する計量証明書が存在していたことが明らかにされており、それらを精査した結果、新市場予定地などには搬出されていないことを確認したと記載されております。これらについて、豊洲に搬出されていないことがどのようにして確認できたのかお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 参考資料5に掲げました試験項目数が不足している計量証明書でございますけども、これらの証明書に試験結果が記載された土は、三つの理由により豊洲に搬入されていないということを確認してございます。
 一つは、この証明書に記載された土の試験の実施時期と搬入整理券から特定できた土の搬入時期とを突き合わせた結果、両者の間に大きくずれがあることが認められたためでございます。二つ目は、土の搬出元が所有していた資料から、豊洲地区以外の具体の受け入れ地に搬出されたことが確認できたためでございます。三つ目は、同一の現場において行われました一連のポンプ所の建設工事で、豊洲地区に土の搬入が行われた工事に先行して実施された別の工事の土の証明書であることが確認できたためでございます。
 なお、この別の工事の土につきましては、豊洲以外の受け入れ地に搬出されたことが具体的に確認できてございます。

○神林委員 これまでの質疑の内容を踏まえますと、受け入れ基準を満たしている工事百十四件とあわせて、豊洲に搬入された土の安全性は確認されたと判断をさせていただきます。
 しかしながら、盛り土の中から汚染が見つかったのは事実でございます。先ほどの質疑の中で、その原因について都市整備局ではわかりかねるというのは、ある意味、理解できるわけでございますが、新市場の整備を進める上で、土壌汚染に対する都民の不安が解消されなくてはなりません。万が一、今後汚染が発見されたときには、きちんと対策をとることも重要でございます。
 そこで、技術会議は、盛り土の安全対策についてどのような提言を行っていたかを確認しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤市街地整備部長 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議でございますけども、この技術会議は、本年八月、その報告書におきまして、盛り土の安全対策について提言を行ってございます。
 その内容でございますけども、盛り土について、都の調査の結果、汚染物質が検出された三十地点については、既定の方針に従って汚染物質を除去すること、市場用地の特殊性を考慮し、念のため調査を行い安全性を確認すること、汚染が見つかった場合には、汚染土壌は処理し、きれいな土を盛ることとの提言を行ってございます。

○神林委員 今後、この提言に沿って適切な対策をとられることを期待しております。
 ところで、今回の調査において、受け入れ基準を満たせなかった工事として整理した三十四件のうち、十八件については、基準を満たさない理由や経過が明らかになっております。仮に、基準に工事の特性や現場の実態に即した具体的な対応の仕方や検査の実施方法が明示されていれば、基準を満たしていたと評価することも可能であったのではないかと思います。そうした点において、豊洲の受け入れ基準にそもそも不備があったといわざるを得ません。
 今後、適正な盛り土工事を進める上で、受け入れ基準のあり方はもちろんのこと、その運用方法や事務処理マニュアルの整備もあわせて、きちんと立て直して取り組む必要があると考えますが所見を伺います。

○遠藤市街地整備部長 今回の調査によりまして、豊洲の建設発生土の受け入れ基準は、平成十四年度当時、これを策定する際に、搬出元工事の特性や現場の実態などについて十分な検討が行われず、このため、例えばシールドトンネル工事の場合では、地中深く水平方向に掘り進むといったこの工事の特性を踏まえ、受け入れ側と搬出元とが協議いたしまして土の受け入れに柔軟に対応してきた、こういったことなどが明らかとなっております。
 今後、盛り土工事を再開するに当たりましては、基準の不備を正すことが不可欠であり、土の安全性の確保を最重点に据えつつ、多種多様な工事の実態に合った合理的な基準とすることが重要であるというふうに認識してございます。
 このため、去る九月末には、外部の有識者を交えた受入れ基準等検討委員会を設置いたしまして、現在、この検討委員会におきまして、ご指摘ありました基準のあり方や運用方法についてご検討いただいているところでございます。
 また、こうした受け入れ基準や運用方法の見直しにあわせまして、基準を確実に履行するための事務処理マニュアルを整備することも必要でございまして、こうしたものを整備し、万全の体制を整えて、今後の盛り土工事に臨む考えでございます。

○神林委員 本日の質疑によりまして、豊洲地区で過去に行われた盛り土工事の土は安全性が確保されていることが明らかになったわけでございまして、私どももほっと胸をなでおろしております。他方で、仕事の進め方をめぐる問題に関しては、改めるべきところは改め、首都公務員としての自覚を持って、再発防止に取り組んでほしいという思いも強くしております。
 東京は、国際競争力を備えた活力ある大都市として、日本の成長エンジンを担うとともに、首都の風格と魅力を備えた二十一世紀にふさわしい都市へと再生していくことが求められております。その点で、東京の都市づくり行政、とりわけ都市整備局が果たす役割は極めて大きいものがございます。
 そこで、最後に、今回の事態を教訓にしつつ、今後の首都東京の都市づくりに対する都技監の決意を伺います。

○河島東京都技監 今回の徹底的な調査によりまして、豊洲地区に搬入された建設発生土の安全性は確保されていると考えております。その一方で、仕事の進め方に関しましては、極めて基本的なところでさまざまな問題があったことも明らかとなりました。局全体として謙虚に反省しなければならないと心から考えており、今後の再発防止にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
 そうした反省を前提といたしまして、今回の調査結果でも明らかになりましたように、職員が仕事をする上で、すべてがずさんであったということでは決してなくて、百人町の事例に見られますように、チェックがきちんと機能して、汚染された土を運び込まないように対処できたということもございました。こうしたよかった点につきましても正しく評価することも必要と考えております。局長である私の役割といたしましては、不備をしっかりと正すと同時に、職員のやる気をいかに引き出して、今後の東京の都市づくりを一層前に進めていくことも重要でございます。ただいまのご質問により、私ども都市整備局に対しまして、厳しくかつ温かい叱咤激励をいただいたというふうに受けとめております。
 現下、東京の都市づくりでは、外環や羽田などの都市基盤の整備、民間活力の導入による都市の機能更新、安心・安全の都市づくり、急速に進む少子高齢化に対応した住宅政策、さらには緑や景観といった新しい課題への対応など、喫緊の課題が山積しております。これらの課題に的確に対応し、都民の負託にこたえていく上で、計画部門と事業実施部門が一体となった私ども局組織の強みを生かし、庁内はもとより、国を初め関係機関との連携を図りながら、さまざまな事業を推進していくことが必要でございます。
 今回のことを貴重な教訓といたしまして、組織内の連携を一層強化し、職員一丸となって、首都東京の都市づくりに全力をもって取り組んでいきたいというふうに考えております。

○神林委員 今、これからの都市づくりを着実に推進するという都技監の決意を聞きまして、都民は安心し、心から期待を寄せていることだと思います。
 時代の変化に対応しながら、都市機能を着実に更新していくことは、東京さらには日本全体を牽引していく原動力ともなります。
 私からも、既に限界に達している築地市場を、都民の暮らしや食の安全も考え、計画どおり豊洲移転を推進することを強く要望して質問を終わります。

○吉倉委員 都議会公明党を代表して、私からも、豊洲の建設発生土の受け入れに関する報告書について何点か質問いたします。
 ただいま自民党の理事の先生から土の安全性について質問がありましたが、私からも、受け入れ基準の観点から土の安全性についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、二千立方メートルごとに一回の化学性状試験を実施するとした受け入れ基準、これがどのように検討され決まったのか、この経緯について伺います。

○遠藤市街地整備部長 豊洲地区の建設発生土の受け入れ基準についてでございますけども、平成十四年度当時、東京港埠頭公社では、有明北、豊洲・晴海地区で、建設発生土を受け入れる際に適用する受け入れ要領におきまして、原則五十メートルメッシュごとに一カ所という試験頻度の基準を定めておりました。この埠頭公社の基準では深さ方向についての定めがなく、このため、深さ一メートル掘削する場合には二千五百立方メートルごとに一回、二メートル掘削する場合には五千立方メートルごとに一回、このようになるものでございました。
 これに対しまして、豊洲地区の受け入れ基準では、この埠頭公社の基準を強化いたしまして、搬出土量二千立方メートルごとに一回というふうな試験頻度にしたものでございます。この基準は、平成十四年三月、都の関係部局や民間地権者、江東区で構成いたします豊洲地区全体ワーキンググループ、この会議におきまして確認されたことが、今回の調査により明らかになりました。
 なお、埠頭公社の受け入れ基準につきましては、平成十六年に、原則として五十メートルメッシュ及び搬出土量二千五百立方メートルごとに一カ所というふうに改定されてございます。

○吉倉委員 今回の報告書によりますと、二千立方メートルごとに一回という受け入れ基準は、受け入れ側と搬出元との協議により変更を認めた場合があったことが示されております。例えばシールドトンネル工事は、施工の内容や短時間で大量の土が発生するという工事の特質に応じて、試験頻度を延長三百メートルごとに一回とする取り扱いを行っていた、このようにされております。
 そこで、この延長三百メートルに一回という基準は、当時、ほかの建設発生土の受け入れ期間においても適用されていた基準なのかどうか、この点について確認をしたいと思います。いかがでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 先ほどの答弁でも触れましたけども、東京港埠頭公社の受け入れ基準でございます。ここにおきまして、試験頻度につきましては、原則五十メートルメッシュごとに一カ所と、このようにしつつも、トンネル工事等で五十メートルメッシュによることが適切でないものについては、延長三百メーター間隔ごとに一カ所とする、このような規定を置いてございました。この延長三百メートル間隔ごとに一カ所という試験頻度は、平成十四年度当時既に適用されていたわけでございますけども、運営主体が会社組織に変更となり、また受け入れ地が中央防波堤内側などに変更となった現在においても、なお基準として一貫して適用されているものでございます。

○吉倉委員 答弁いただきまして、延長三百メートルに一回という基準は、既に東京港埠頭公社の受け入れ基準に存在していたということを確認いたしました。
 次に、変更された受け入れ基準を適用して搬入した土について、その安全性はどうなるのか心配であります。そこで、延長三百メートルごとに一回という基準により搬入された土の安全性について具体的に伺いたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 シールドトンネルでございますけども、シールドトンネルは、高速道路や地下鉄など都市部におきますトンネルを築造する際に用いる工法といたしまして、最も一般的な施工方法となってございます。
 シールドトンネル工事は、地下深い箇所を、掘削機によりましてほぼ水平方向に均質な地層の中を掘り進んでいくものでございまして、垂直方向に土を掘り下げていく場合と比較いたしまして、試料の採取場所による土質の変化が少ないものとされてございます。また、掘削箇所が地下深くでありますことから、ダイオキシン類など人為的な汚染が存在することは通常考えられないわけでございます。
 こうしたことから、延長三百メートルごとに一回の試験頻度により搬入した土につきましては、安全性が確保されているものというふうに考えてございます。

○吉倉委員 ただいまの質疑で、搬出元と受け入れ側で協議して変更した延長三百メートルに一回という基準は、現場の実態にも適合しており、埠頭公社での適用実績もあり、安全性についても確保されているということであります。
 しかしながら、このことは、豊洲の受け入れ基準が工事の特性や現場の実態を十分反映していないものであったともいえます。今回の問題を教訓として、合理的で現場の実態に対応した受け入れ基準とするためには、我が党がかねてから主張してきたとおり、外部の有識者の意見を踏まえながら、基準やその運用について検討を進めることが重要であると考えております。
 九月末には受入れ基準等検討委員会が設置され、既に検討が開始されているというふうに聞いておりますけれども、改めて、この検討委員会の構成メンバーあるいはこれまでの検討状況並びに今後の予定について伺います。

○遠藤市街地整備部長 ただいま理事からお話しございましたように、適切な受け入れ基準やその運用のあり方を検討するため、九月二十九日に豊洲土地区画整理事業における建設発生土の受入れ基準等検討委員会を設置いたしました。
 この検討委員会には、ご指摘を踏まえまして、外部の識者として、建設リサイクルや環境分野の学識者に加えまして、実際に建設発生土の搬出や受け入れを行う団体の方にも参加いただいておりまして、より幅広く客観的な見地から検討し、提言をいただくことといたしております。
 第一回の検討委員会では、受け入れ基準あるいは搬入手続を含めまして、豊洲土地区画整理事業におきます建設発生土の受け入れの概況を報告いたしまして、今後検討すべき論点やその方向性についてご議論をいただいたところであります。
 具体的な論点といたしましては、例えば一つといたしまして、受け入れ基準の中に土地利用履歴の確認をどう組み込むか、二つ目といたしまして、土の品質確保と合理的な施工監理の視点から化学性状試験の頻度や項目数をどのようにすればよいか、三つ目といたしまして、工事の種類や場所等の実情に応じて試料をどのように採取すればよいか、こういったことが挙げられてございます。
 今後は、この調査報告書によります土の搬入状況や仕事を進める上での問題点なども踏まえるとともに、市場予定地という視点を考慮しました受け入れ基準のあり方、実効性ある運用のあり方などにつきましてご検討いただくこととしております。
 都といたしましては、提言をいただいた後、できるだけ早期に基準を改定してまいりたいというふうに考えてございます。

○吉倉委員 答弁をいただきましたが、検討委員会からの提言をいただいた後、早期に基準を改定するとのことであります。都民に安心していただくためにも、新たな基準づくりにはスピード感を持って臨むことが重要でありますし、速やかな取り組みを期待したいというふうに思います。また、その結果を都民の前に公表し、きちんと説明すること、これもまた大変重要であります。検討委員会での基準をめぐる具体的な議論ややりとりなど、都民に対してできる限り公表し、つまびらかにしていくことが、都民の信頼と期待にこたえるためにもぜひとも必要であります。
 そこで、この検討委員会は非公開とされておりますが、検討結果については都民にしっかりと説明していくことが必要であると考えております。この点について見解を伺いたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 基準につきましては、工事の特性や現場の実態などを踏まえた合理的な基準をつくりたいというふうに考えておりまして、そのためには、時には企業間、企業内の情報にも議論が及ぶことが考えられること、また、検討途中の情報があたかも確定した情報と誤解されることにより企業活動に悪影響を与える可能性があること、また、これらによりまして検討委員会の自由かつ率直な意見交換が妨げられるおそれがあることなどから、この検討委員会は非公開により行うこととしてございます。
 しかしながら、検討委員会が終了した後には、今後の盛り土工事の土の安全性について、都民の理解や信頼を得るために、検討経過や会議資料などを広く公表していく方針でございます。

○吉倉委員 今の質疑を通じまして、今回、再調査の結果により、事務処理上の問題はあったものの、豊洲地区に搬入された土の安全性に問題がないと判断できることが明らかにされたというふうに思っております。豊洲地区における盛り土工事は、平成十九年以降中断した状態になっておりますが、今後、新たに受け入れる土についても、安全性が確保され、都民が安心できるものとするのは当然であります。
 今回の調査の結果、受け入れ基準が文書化されていないなど、受け入れ業務の基本的な点で不備があったことが報告されております。こうした点を改め、一つ一つのルールを遵守することが、土の安全性の確保、ひいては都民の都政に対する信頼につながっていくものと考えております。
 今後、盛り土工事を適正かつ安全に行うためには、搬出元の工事の特性や現場の実態も十分に踏まえた安全で合理的な基準を策定するとともに、それを守るための具体的な運用方法を明確にして、万全を尽くし、今後の盛り土工事に臨むべきと考えております。
 そこで、最後に都技監の所見を伺います。

○河島東京都技監 今後、市場予定地でございます豊洲地区の盛り土工事を行うに当たっては、土の安全性の確保を最重点として取り組むことが重要でございます。そのために、受け入れ基準は、工事の特性や現場の実態に見合った真に合理的なものでなければなりません。また、その基準をどのように運用するのか、具体的な方法を明示しておかなくては、基準の実効性も担保されません。
 そもそも受け入れ基準は、土壌や環境といった学術的な知見を踏まえつつ、現場における工事の実態に即したものとすることで、初めて合理的な基準になると考えております。今回の調査報告書では、豊洲の盛り土工事における土の受け入れ基準は、こうした点について、残念ながら、十分に検討が尽くされ、真に合理的な基準にはなり得ていなかったことが、問題発生の主要な要因の一つとなっていたことを明らかにしたところでございます。
 この検討委員会では、各分野の学識者や専門家の方々の参加を得まして検討が行われており、年度内にはご提言をいただけるようお願いしております。
 局といたしましても、土の受け入れ業務に関する事務処理マニュアルを整備し、組織として業務を適正に行うことができる体制を構築するとともに、土壌に関する知識の習得やコンプライアンスに関する研修を実施いたしまして、局内の法令遵守の意識を強化してまいります。さらに、さまざまな機会をとらえて、組織間や職員同士のコミュニケーションを活発化させ、組織的管理体制の強化も図ってまいります。
 今後、市場予定地である豊洲地区の盛り土工事を再開するに当たっては、二度とこのようなことを繰り返さないよう、また都民の信頼と期待にこたえられるよう、局を挙げて万全の体制で臨みたいと考えております。

○大島委員 豊洲の土地区画整理事業により行われた盛り土工事では、市場側の報告によれば、豊洲新市場予定地の五街区それから七街区の約六十五万立方メートルが、公共工事からの建設発生土が使われていると。さらに今後も建設残土が搬入される。その盛り土だけの分でも三十五万立方メートルが予定されている。これ以外にも、汚染土をきれいな土として入れかえるとして、建設発生土を使うということになっていると聞いています。したがって、公共工事から搬入される建設発生土の安全性をどう担保するのかは、都民や市場関係者にとっては大変重要な課題です。
 そして、これまでの盛り土の汚染が何によるものだったのか、徹底した原因究明が必要です。きょうは、そうした点を中心に質疑を通して明らかにしていきたいと思います。
 搬入盛り土の汚染がマスコミに取り上げられて、調査チームによって、改めて搬入された盛り土の調査が行われましたが、試験頻度、基準を守らないまま搬入されていた土壌について、搬入された土の安全性について一定の確認を行うことができた、受け入れ基準を満たした工事百十四件とあわせ、新市場予定地に搬入された土の安全性は確保されていると考えると発表いたしました。
 しかし、本当に安全性が確認できたといえるかということですが、そもそもこの盛り土の土壌汚染調査基準を二千立米に一回でよしとした点です。この基準は、食品を扱う市場の特殊性を考慮して従前基準を強化したということですが、市場用地としての安全性との関係についてどのような検討をしたのか。また、土壌汚染調査基準を二千立米に一回とした根拠と、その基準決定の具体的な経緯についてお伺いします。また、中央卸売市場とはどんな協議をしたのかお聞きいたします。

○遠藤市街地整備部長 豊洲地区の建設発生土受け入れの二千立方メートルごとに一回という試験頻度の基準は、平成十四年度当時、臨海部で適用されておりました東京港埠頭公社の有明北、豊洲・晴海地区における建設発生土の受け入れ基準による試験頻度を強化したものでございます。
 この豊洲の受け入れ基準は、平成十四年三月、都の関係部局や民間地権者、江東区で構成されます豊洲地区全体ワーキンググループの会議におきまして確認されたことが、今回の調査により明らかとなっております。この豊洲地区全体ワーキンググループには、中央卸売市場もメンバーとして参加してございました。

○大島委員 市場も入っていたということなんですけども、市場もこの受け入れ基準について認めたということでいいんですか。

○遠藤市街地整備部長 メンバーとして参加しておりまして、グループ全体として確認したということでございます。

○大島委員 市場もこの中に入っていて認めたということですか。
 それで、同様の受け入れ基準を定めている有明北、豊洲・晴海地区埋立用材受入要領というのが、三七ページの参考資料3という形で添付されているんですけども、こちらは、搬入できない建設発生土も規定しているし、受け入れ基準については、試料採取位置図の提出、それから試料採取方法についても、試料採取箇所、五十メートルメッシュ及び搬出土量二千五百立米ごとに一カ所、それから、トンネル工事の場合についても記載がされておりまして、試料採取地点についても記載など、非常にきめ細やかに規定されているんです。
 ところが一方、三三ページにあります豊洲地区建設発生土受け入れ基準は、二千立米に一回という点はともかく、その他の基準については、埠頭公社の受け入れ基準に比べますと余りにも不十分で、規定がないに等しいものだったのではないかと思います。
 結局、二千立米に一回の検査というのは、食品を扱う市場の特殊性を考慮してと都市整備局はいいますけれども、豊洲新市場予定地の土として、食品の安心・安全が確保できるという検証の上で決められたものではありません。受け入れ側としては、搬出側が手を抜いていないのか、基準をきちっと守っているのか、ここを厳しくチェックすることが求められていたと思います。それにもかかわらず、埠頭公社の受け入れ基準項目と比較すると全くなきに等しく、それさえもずさんなチェック体制だったのではないか。
 そして、この時期は全国的にも、都内でも各地で汚染が発覚して、土壌汚染問題は大きな関心を呼んでいた時期です。既に東京ガスの跡地から高濃度の汚染があることが発表されて一年以上が過ぎていました。中央区や市場関係者から、市場としての食の安全性に疑問を寄せる声が都にも上がっていた時期でもあります。都市整備局は、盛り土の搬入先が豊洲新市場予定地になるということを知りながら、余りにずさんな姿勢であったといわざるを得ません。
 次に、この受け入れ基準を満たしていない工事の安全性について一定の確認ができたという点です。幾つか代表的な事例を取り上げて質問していきたいと思います。
 先ほど淺野理事も質問しておりましたが、この報告書を読みますと、新市場予定地の搬入された土の安全性は確保されていると考える、こう結論づけているんです。それではなぜ盛り土から汚染が出たのか疑問が残ってしまいます。最初に、この点について都市整備局としての見解を伺いたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 盛り土についてでございますけども、本年八月に取りまとめられました新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議の報告書によりますと、盛り土の汚染の原因について、地下水位の上昇などが影響したと考えられるが、完全に原因を特定することは困難であるとの見解が示されてございます。
 一方、私どもの今回の調査によりまして、区画整理事業によりまして新市場予定地等に搬入された土の安全性は、確保されているというふうに考えてございます。
 盛り土で確認された汚染の原因につきましては、私ども局としてはわかりかねるところでございます。

○大島委員 だからやっぱり疑問は残ってしまうんですよね。原因がわからないというのですから、それ以上はわからないんでしょうけども、盛り土の汚染について全く調査するという姿勢さえ見せないというのは、本当に無責任ではないかと思います。
 いただいた資料の受け入れ基準を満たしていない工事、これを四分類した中の〔2〕の搬出元の工事の特性を踏まえ、協議により基準を変更して搬入を認めた工事のうち、東京メトロの工事では、土壌汚染の試験実施回数というのが、八月二十四日の時点でいただいた資料の四十八回から、今回十六回に大幅に減少しています。その理由について説明をしていただきたいんですが。

○遠藤市街地整備部長 お話しございました東京メトロの地下鉄十三号線の工事でございますけども、八月二十四日の連合審査会資料におきましては、ダイオキシン類について化学性状試験を実施していない計量証明書についても、これを実施回数として計上してございました。これは、ダイオキシン類の試験は、おのおのの工事で少なくとも一回は実施されており、地下鉄十三号線のような地下深い地層の土には、ダイオキシン類は通常存在しないというふうに考えたからでございました。
 今回の調査におきましては、実施回数について、ダイオキシン類を含め、受け入れ基準に定めた試験項目のすべてで検査が行われているということを要件の一つといたしましたことから、実施回数が大幅に減少したものでございます。

○大島委員 ダイオキシン類の検査というのは、搬出元との協議で一回、初回のみでもいいとこう決めたということがこの減少した原因だということですけれども、このほかにも、もともと受け入れ側に提出されていた計量証明書との時期がずれていたものなどもあったと聞きました。
 特に、事前にお聞きしたところ、首都高速道路の工事では、これまでの調査と今回の調査の結果を比較いたしますと、土壌汚染試験の実施回数、五回のものが三回とか、十八回のものが十二回とか、九回のものが七回、こう減少したものが多いんです。そして、十九件の工事で九十七回試験を実施していたものが、今回八十八回になっているんです。わかりやすくいえば、故意にこうした計量証明書が使われていた可能性も強いのではないか、これは否定できないんじゃないかというふうに思います。
 試験頻度がこのように変化しても安全上問題ないとする理由を説明していただきたいんですが。

○遠藤市街地整備部長 先ほど、ダイオキシン類についての試験項目数がされていなかった件についてご説明申し上げましたけども、ほかに、シールドトンネル工事で、その特性に応じまして試験の実施頻度を柔軟に対応した事例がございます。
 私ども、基準の、工事の実態、現場の状況に応じて、現場で柔軟な運用、措置を講じてきたというふうに考えておりまして、試験回数が足らないからといって、即、安全性という、問題だということにはならないというふうな考えに立ってございます。

○大島委員 搬出元の工事の特性を踏まえた協議により、基準を変更して搬入を認めた工事十三件というのが報告の中に入っているんですけども、実施頻度を協議したシールド工事というのは、地下深い、人為的汚染の可能性がないので、協議の上で、延長三百メートルに一回とすることを確認したというふうに書かれております。
 同じ首都高速道路のトンネル工事でも、SJ五十二工区(二-二)トンネル(その二)工事とか、SJ十四工区(三)トンネル工事では、それぞれ三万立米以上の土壌を搬入しているんですけれども、調査実施回数の基準を満たしているんです。だから、そういう点でいうと、シールド工事をやっていても、ちゃんと二千立米に一回検査ができているという工事があるわけです。そうすると何か理屈が合わないんじゃないかと思うんですけど、その点についてはいかがでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 現場の工事の特性あるいは現場の実態に応じて、基準を柔軟に運用してきたところがございまして、私どもとしては、適切な対応をしてきたというふうに考えてございます。

○大島委員 一方で、受け入れ基準の二千立米に一カ所が可能な同じシールドのトンネル工事があって、もう一方ではそれが無理ですよというのがあって、柔軟に対応したんだ、こういう答弁なんですけれども、もともと調査基準というのを決めておきながら、搬出側の企業から基準を満たすような計量検査はできないといわれて、はいそうですかと対応していること自体が問題なんじゃないでしょうか。それでは何のための基準かということになります。都市整備局として、搬出企業に都民の食の安全を守るためにきっちり守らせるような断固たる姿勢に立つことが必要だったという、そういう反省は全くないんでしょうか。
 実際問題、シールドトンネルで、仮に二日間に一回、短時間の中止ができない、二千立米に一回の土壌汚染調査もできないというのなら、そのような工事の土を搬入対象にすること自体が間違っています。
 次に、チェックが不十分、それから試験頻度の基準を満たしていないものの十六件についてお聞きします。
 報告書によりますと、いずれも環境確保条例に基づく手続がとられているとか、環境影響評価書で土壌汚染が懸念される地区はないとか、現場の土地利用履歴調査などで土壌汚染のおそれはないとこの調査チームは判断しています。もしこんな理屈が通るのであれば、土壌汚染調査自体は極めてむだな調査だということになってしまいます。搬出企業は計量証明書を添付する必要はなく、土地利用履歴調査報告書を提出すれば、それで事足りるということになってしまうからです。
 しかし、東京ガスの豊洲の工場跡地では、二〇〇二年から二〇〇七年までの間に汚染拡散防止措置完了届書を提出し、東京都も完了を確認しています。東京都もさんざん東京ガスの土壌汚染処理は成功した、こう繰り返しいってきたところです。こうした報告書をうのみにして安全だという説明は成り立たないと思います。
 実施をさせることこそ必要であるがゆえに、この受け入れ基準をつくったのではないでしょうかいかがですか。

○遠藤市街地整備部長 私どもといたしましては、最初のご質問にご答弁しましたように、十四年当時、他の基準なども比較いたしまして、最も適切な基準ということで、この基準を定めてまいりました。また、この基準が必ずしも現場に合わないところについては、現場の実情に応じた柔軟な運用、対応を図ってきたというふうに考えてございます。

○大島委員 現場に対応してというか、もともと食の安全を守るための土は、きれいな土でなきゃだめよということで基準を決めたのに、その場その場でできないということになると、そこに対応して柔軟にっていうと、変えてきちゃうんです。そこが問題じゃなかったかというふうに私はいっているんです。
 百人町の第四アパートの発生土から発見されたダイオキシンについて、たき火等による可能性があると考えられるとした化学的な根拠は何でしょうか。その結論を出した検証経過について説明をしていただきたいと思います。

○遠藤市街地整備部長 お話しございました都営住宅百人町四丁目第四アパートの工事でございますけども、この工事におきましては、豊洲地区の受け入れ基準に従いまして、二カ所でダイオキシン類を含む四十四項目について化学性状試験を行っております。このうちの一カ所の化学性状試験におきまして、ダイオキシン類の含有の値が四五ピコグラムでありまして、土壌環境基準と豊洲の受け入れ基準を満たしておったわけでございます。
 しかしながら、ダイオキシン類の溶出の値が一三ピコグラムになってございまして、豊洲地区の受け入れ基準でありますところの一〇ピコグラムをわずかに上回っておりました。分析機関の見解といたしまして、検出されたダイオキシン類の量が微量であることから発生原因を特定することは困難であるが、検出された場所が従前住宅の前庭であり、たき火等による可能性があると考えられるとしたものでございます。
 なお、東京都環境科学研究所のデータによりますと、枯れ葉などを燃やしましても、焼却灰一グラム当たり〇・三から〇・九ピコグラム程度のダイオキシン類の含有が検出されるというふうにされてございます。
 なお、この工事でダイオキシン類が検出された発生土につきましては、豊洲地区には一切搬入されておらず、また、ダイオキシン類が検出された箇所を除く周辺の土については、改めて追加の試験を実施いたしまして、基準値を下回ったことを確認した上で豊洲地区に搬入しております。また、検出されたダイオキシン類の土は、土壌の環境基準は満たしておりまして、安全面で全く問題はございません。
 なお、このダイオキシン類が検出された箇所の土につきましては、現場内の建物の基礎内部に埋め戻ししてございます。

○大島委員 これだけで原因を特定するというのは、やっぱり無理があるんじゃないかというふうに思います。ここは旧陸軍が演習場として使っていたところでもありますし、また、約一ヘクタールもの土地のわずか二カ所を調査して、その一つからダイオキシンが検出されたと。仮に豊洲の土壌汚染調査方法でいえば、百カ所の調査をするところを二カ所の調査で済まそうとした。その一つから汚染が出たということです。そうすると確率としては五〇%。ほかの場所になかったとはいえないんじゃないかというように思います。
 もう一つ、深い工事などで、ダイオキシンを初回のみとする取り扱いをした点についてですが、深い部分についてダイオキシン汚染が少ないということは理解するにしても、土砂の搬出に当たって何らかの汚染が生じる可能性は否定できません。決められた基準は、搬出側に遵守してもらわなければならない問題ですが、重大な手抜きがあったということは変わりがないと思います。
 このように、搬出企業と協議して搬出基準を手抜きしてきたこと。それから、業者との談合を全く反省していないんじゃないか。その他、搬入時期を特定した資料は、あるものは搬出元の地質分析一覧表、あるものは搬出整理券、またあるものは土砂運搬施工計画書と、その時々で都合のよいものが使われています。総じて、どれもこれも豊洲への搬出土壌は安全だとする化学的な根拠は極めて乏しく、手抜き検査を許したことへの反省も謝罪もない、ずさんな報告書といわざるを得ません。
 そもそも、こうした調査を身内だけで行ったこと自体に無理があるのではないか。建設発生土の受け入れに関する調査チームについて、局内の当事者だけに限定した理由は何か説明をしていただきたい。

○遠藤市街地整備部長 今回、発生土の受け入れに当たりまして、基準が守られているかどうかということでございます。
 組織内部で定めた基準が守られているかどうかということを検証することは、そもそも組織自体がとるべき行動であるということで考えております。また、今回の盛り土につきましては、その安全性に対します都民の不安を一刻も早く解消する必要があるわけでございます。
 このような状況のもとで、土の搬入にかかります膨大かつ詳細な資料を分析し、また、当時の仕事の進め方の実態を具体的に把握していく上で、業務等に熟知しております都市整備局の職員により調査チームを構成することが適切というふうに考えたものでございます。

○大島委員 それでは、その調査チームの構成はだれが決めたんですか。

○遠藤市街地整備部長 調査チームの構成につきましては、局として決定してございます。

○大島委員 局長を先頭にして決めたということですね。
 豊洲の盛り土の汚染の原因の究明、それから豊洲への搬入土壌の安全性の厳しいチェック、そして受け入れ基準を守らせるための対策、こういうものが求められているのに、都市整備局の身内だけでこの調査チームをつくりました。外部の専門家が入って生鮮食料品を扱う市場として、本当にこの盛り土の安全性は確保できているかどうかということを検証した報告書にもなっていません。
 また、この報告書をまとめる上で参考にした資料について、チェックできるように提供もされていないんです。私も資料要求しましたけども、議員が報告書の根拠となっている資料をチェックするということさえ、相手があるからということもあって拒否するという、そういう対応でした。しかし、調査結果の根拠となる資料は、もともと市場の食の安心・安全にかかわる極めて公共性の高いもので、公表できないというのは納得できません。
 このような報告書で、搬入された土の安全性について一定の確認を行うことができたとよくこういっていることが、本当に反省の一かけらもなく、みずからのずさんなチェックへの居直りではないかと思います。こんな報告書で、搬入された土の安全性が認められるわけはありません。
 では、今後の盛り土の搬入について、今回の教訓を生かして、同じような問題を繰り返さないようにしようとしているかという点について質問したいと思います。
 豊洲の土地区画整理事業における建設発生土の受け入れ基準及び運用のあり方に関する提言を行うということを目的とした検討委員会が設置されましたが、この検討委員会を非公開にし、委員にも守秘義務を課すというのはなぜなのか説明をしていただきたい。
 また、今年度末には提言をもらうということでしたが、検討委員会の審議の内容について公開すべきと思いますがいかがでしょうか。検討委員会の議事録は公開すべきではないでしょうか。なぜできないのかその理由についてお聞きします。

○遠藤市街地整備部長 検討委員会でございますけども、私ども、工事の特性や現場の実態などについても十分に踏まえた合理的な基準をつくりたいと考えておりまして、そのためには、時には企業間や企業内の情報にも議論が及ぶと考えられること、また、検討途中の情報があたかも確定した内容と誤解されると企業活動に悪影響を与える可能性があること、また、これらによりまして検討委員会におきます自由かつ率直な意見交換が妨げられるおそれがあることなどから、検討委員会は非公開としたものでございます。
 しかしながら、検討委員会が終了した後には、今後の盛り土工事の土の安全性について、都民の理解と信頼を得るために、お話しございました検討経過や会議資料などを広く公表していく方針でございます。
 以上のような理由によりまして、委員には在任中、秘密の保持をお願いしてございます。なお、委員会終了後は、個人情報にかかわる内容についてのみ秘密の保持を求めることになります。

○大島委員 食の安全を守るための議論ですから、公開して都民のために積極的に発言してもらうということが必要だというふうに思います。見えないところでいろんなものが検討されて、終わってからそれを出すというのでは、なかなか都民の理解を得るということは難しいのではないかと思います。
 そもそもこの検討委員会には当事者ばかりが選任されているんです。選任基準を明らかにしていただきたい、また、一般都民や市場関係者など第三者を入れなかったのはなぜなのかお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 この検討委員会でございますけども、工事の特性や現場の実態などに合った、真に合理的な受け入れ基準や実効性のある運用のあり方などにつきまして検討し、提言を行うことを目的としてございます。このため、委員につきましては、建設リサイクルや環境分野の学識者に加えまして、実際に建設発生土の搬出や受け入れを行う団体の専門家に参加いただくことといたしました。
 また、委員の選任に当たりましては、それぞれの分野におきまして、高い見識や経験を有する学識者であることや団体を代表する業務経験豊かな専門家であることを選任の要件といたしました。
 さらに、行政の立場からも、今回の調査結果や組織内部の状況等について説明し、実態に見合った提言がなされるよう、都市整備局技監が参加してございます。
 なお、この検討委員会でございますが、専門的かつ実務的な事項を扱うことから、都民等の参加は求めないことといたしました。

○大島委員 では、この検討委員会の設置要綱、ついているんですけども、市場関係者の意見というのは聞いたんでしょうか。また、中央卸売市場の意見というのは聞いたんでしょうか。その場合、中央卸売市場としての見解はどうだったのかお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 検討委員会の設置についてのお尋ねでございます。
 検討委員会は、都市整備局でその内容を検討して設置したものでございます。なお、設置に当たりまして、設置要綱につきましても、中央卸売市場を初め庁内の関係部局にあらかじめ情報提供し、意見をいただきながら準備を進めてまいりました。中央卸売市場からは特段の意見はございませんでした。
 それと、先ほどの最初の方の答弁で、首都高の工事で、三百メーターでも基準を満たしている工事があるとのご指摘がございましたけども、その工事につきましては、シールド工事ではなくて、開削、土を掘り下げて行う工事でございまして、これらの工事につきましては二千立米に一回の基準を満たしてございますので、念のため追加をさせていただきたいと思います。

○大島委員 十一月十六日の経済・港湾委員会での中央卸売市場側の説明によれば、これから搬入される建設発生土は、六街区の盛り土、また、旧地盤面からAP二メートルの埋め土、盛り土にも、きれいな土として使うと答弁をしています。
 この建設発生土の受け入れ基準を決める検討委員会が、議論は非公開、委員は守秘義務が課せられ、そのメンバーは、建設業協会とか建設発生土を受け入れている企業、それから都市整備局の技監、学識経験者といっても、一人は首都大の教授で身内の方です。もう一人は、技術会議で、多分だとか、思いますとか、何々の気がしておりますなどと非科学的な発言を繰り返した長谷川氏です。このような委員会が決める基準で、都民が安心・安全だなどと納得できるわけがありません。このままでは、また同じ過ちを繰り返すことになりかねません。
 そこで、次の三点について強く要求しておきます。
 まず一つは、公共工事で発生する土砂の受け入れ基準を決める当事者として、食の安心・安全を求める都民、市場関係者の立場に立って、この検討委員会を再構成すること。二つ目は、これから搬入される建設残土については、基準を守ることが困難となる建設工事については搬入の対象外とすること。三つ目は、盛り土の汚染の原因、既に搬入した土壌の安全性の化学的検証、食の安心・安全を確保するための受け入れ基準の化学的検証など、公開で徹底した議論を通して決めること。
 以上三点を求めて、私の質問を終わります。

○いのつめ委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十八分散会

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