都市整備委員会速記録第七号

平成二十二年七月十三日(火曜日)
第五委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長尾崎 大介君
副委員長きたしろ勝彦君
副委員長今村 るか君
理事宇田川聡史君
理事長橋 桂一君
理事大塚たかあき君
加藤 雅之君
吉住 健一君
くりした善行君
しのづか元君
大島よしえ君
興津 秀憲君
中山 信行君
山田 忠昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務河島  均君
次長中西  充君
技監都市基盤部長事務取扱升 貴三男君
理事松井多美雄君
理事都市づくり政策部長事務取扱安井 順一君
総務部長石野 利幸君
住宅政策推進部長紺野 秀之君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長中島 俊明君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
企画担当部長横溝 良一君
連絡調整担当部長田崎 輝夫君
景観・プロジェクト担当部長石川  進君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
民間住宅施策推進担当部長山口 幹幸君
航空政策担当部長邊見 隆士君
外かく環状道路担当部長野崎 誠貴君
民間開発担当部長藤塚  仁君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
耐震化推進担当部長町田 修二君
経営改革担当部長岡沢  裕君
再編利活用推進担当部長室木 眞則君
建設推進担当部長荒川 達夫君
営繕担当部長永島 恵子君
参事福田  至君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
報告事項(説明・質疑)
・第百九十回東京都都市計画審議会付議予定案件について

○尾崎委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の報告事項の聴取を行います。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員の交代がありましたので、河島東京都技監より紹介があります。

○河島東京都技監 去る七月一日付で異動のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 まず、次長の中西充でございます。住宅担当理事の松井多美雄でございます。航空政策担当理事で都市づくり政策部長事務取扱の安井順一でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○尾崎委員長 紹介は終わりました。

○尾崎委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○河島東京都技監 来る九月十日に開催予定の第百九十回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件につきましてご説明いたします。
 今回、東京都決定案件が全部で九件ございまして、その内訳は区部で三件、市町村部で六件でございます。
 本日は、これらのうち主な案件といたしまして、町田市木曽西一丁目ほか各地内における都市計画区域の変更、その関連案件で、同じ区域におけます都市計画区域区分及び用途地域の変更、また三・四・一六号根岸図師線、三・四・一八号能ヶ谷根岸線及び忠生土地区画整理事業の変更につきましてご説明いたします。
 それでは、引き続き都市づくり政策部長事務取扱の安井理事からご説明いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○安井理事 私から、町田都市計画区域の変更など、関連する六件の案件につきまして説明いたします。
 これらの案件は、町田市と神奈川県相模原市の行政境界の変更に伴いまして、都市計画区域、区域区分、用途地域、都市計画道路、土地区画整理事業の都市計画を変更するものでございます。
 お手元白表紙の提案事項概要は、三ページから一一ページまで、事前説明会資料、薄茶表紙でございますけれども、三ページから三五ページをごらんください。
 まず薄茶表紙の三ページに位置図がございます。今回の変更を予定している箇所は、東京都町田市と神奈川県相模原市の市境となっております二級河川境川沿いのうち、おおむね連続する約二キロの区間と飛び地約〇・一キロメートルを合わせました約二・一キロメートルの区間でございます。
 町田市と相模原市の行政境界は、かつては蛇行する境川に沿いまして曲がりくねった形で設定していましたが、河川改修により流れが直線的に変わり、これに伴って、両市の区域の一部が互いに河川を挟んで反対側に残る状況が部分的に生じてきておりました。
 こうした状況を改善するために、両市では、当該区域住民などと合意形成を図りながら、行政境界を改修後の河川の形状に沿った形となるよう順次変更を行ってまいりました。
 これまで、平成十一年度、十六年度、十九年度の三期にわたり行政境界の変更を行っており、今回の第四期目の変更については、既に昨年十二月の町田市議会、相模原市議会及び本年三月の東京都議会、神奈川県議会におきまして議決を得ております。
 本年五月には、総務大臣あてに行政境界変更の申請がなされておりまして、十二月一日に、行政境界の効力が発生する予定となっております。
 次に、都市計画区域の変更について説明いたします。事前説明会資料の四ページから八ページにかけまして、変更箇所図を五枚掲載してございます。
 ここに示しました面積を合計いたしますと、相模原市から町田都市計画区域に追加する面積が約一・七ヘクタール、逆に、相模原市に編入され町田都市計画区域から削除される面積が約一・一ヘクタールとなりまして、差し引き町田都市計画区域が〇・六ヘクタール増加いたします。
 同様に、九ページから一三ページにかけまして、区域区分の計画図を五枚掲載してございます。
 今回の変更箇所はすべて市街化区域となっておりまして、追加または削除される区域の面積は都市計画区域の変更と同様となり、差し引き町田都市計画区域の市街化区域が〇・六ヘクタール増加いたします。
 次に、一四ページから一八ページにかけまして、用途地域の計画図を掲載してございます。
 新たに町田都市計画区域に追加される約一・七ヘクタールの区域につきまして、それぞれ周辺の指定状況を踏まえ、用途地域を指定するとともに、町田都市計画区域より削除される約一・一ヘクタールの区域について、用途地域を削除いたします。
 次に、事前説明会資料の二四ページから三三ページの計画図で都市計画道路の変更を説明いたします。
 都市計画区域の変更に伴いまして、町田都市計画道路のうち、三・四・一六号根岸図師線及び三・四・一八号能ヶ谷根岸線の二路線を変更いたします。
 三・四・一六号根岸図師線につきましては、今回の行政境界の変更を契機に、起点の位置及び延長を約千二百四十メートルから約千二百十メートルへと変更し、また、三・四・一八号能ヶ谷根岸線につきましては、都市計画区域の境界に合わせまして、都市計画道路の区域を一部変更いたします。あわせまして、両路線とも車線の数を二車線といたします。
 なお、どちらの路線につきましても、境川周辺の整備は既に完了しております。
 次に、三五ページの図面をごらんいただきますと、土地区画整理事業の変更の計画図でございます。
 忠生土地区画整理事業の区域約百九十六ヘクタールのうち、今回相模原市に編入される区域約一ヘクタールにつきまして、土地区画整理事業から削除いたします。
 また、恐縮ですけれども、資料の一九ページにお戻りいただきますと、参考といたしまして、町田市決定の公共下水道について図面を載せてございます。
 今回の行政境界の変更に伴いまして、町田市公共下水道の排水区域について追加、削除を行います。
 説明は以上でございます。

○尾崎委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○今村委員 それでは、今回の都市計画区域の変更についてですけれども、これは町田市・相模原市行政境界変更事業という、一九九五年に第一期から九期に分けての事業計画が、東京都、神奈川県、そして町田市、相模原市の四者の合意によって決定したことによるものです。地権者、それから住民の合意がとれずに、これまでも計画どおりに進まない箇所があります。過去の第一期から三期までにおいて、また今回の第四期実施区域において、変更できない区域はどのような理由によるものなのか、まず伺いたいと思います。
 さらに、第一期の残存区域の一部が今回変更になりますが、この理由についてもあわせてお聞かせいただきたいと思います。

○安井理事 行政境界変更の理由などについてでございますけれども、平成十一年から十九年に行いました第一期から第三期の区間につきましては、地元の町田市からお聞きすることによりますと、地元市への愛着であるとか、住所変更に伴います各種手続の煩雑さ、またご商売されている方は、営業許可や加入する組合との関係、さらには、都市計画につきましては、建ぺい率が市を移ることによって厳しくなるというようなことで同意をとることができなかったということでございます。
 次に、今回第四期目につきましては、土地区画整理事業におけます換地処分が未完了でございまして、権利者が確定していなかったなどの理由により処分ができなかったということでございます。
 さらに、今回の四期にあわせまして、行政境界を変更する第一期の残存区間につきまして、今回変更が可能となったわけ--一部ございますけれども、その理由では、平成十一年当時でございますけれども、反対していた権利者がその後引っ越したことなどによりまして全員の合意がとれたということでございます。

○今村委員 変更できない理由が地権者やそれから住民の感情的な理由、そういったものと、さらにいえば、大変資産にかかわるような、特に相模原市と町田市においては、この境界境を接して大体町田市が四〇・八〇の建ぺい・容積、で、お隣の相模原市は六〇・二〇〇、高いところでいきますと、またはそういった、平均して町田の方が建ぺい・容積が低いということになりますので、先ほどの答弁にあったように、厳しいといういい方をされていますけれども、せっかく行政境の変更をしようと思ってもなかなかできないというような状況になるわけであります。
 今後、第九期まで予定されているわけですから、そうした中にもそのような区域が含まれているというふうに聞いておりますけれども、せっかく合意された事業でありますし、まちづくりの観点からも、やはり統一された都市計画であるべきであるというふうに思います。
 東京都そしてまた都市整備局として、この事業については建設局や総務局、それぞれにかかわる問題にもなりますが、今回は都計審にかかわる都市計画区域の変更ということでありますけれども、都市整備局として今後どのような取り組みをしていくのか、支援を行えるのか、それについてお聞きしたいと思います。

○安井理事 今回のようなケースは、地方自治法の規定に基づきまして、改修後の境川の河川中心線を新しい行政境界とする変更でございます。その変更の合意形成が整った区域につきまして、あわせて必要な都市計画の変更を行うものでございます。
 都市計画区域の変更につきましては、関係市相互が調整し、関係権利者の合意形成が整ったことを前提として適正に行う必要があると考えてございます。仮に、今お話がございましたように、変更に向けて合意できない理由が、例えば用途地域についてだけであるというようなことの場合、これは主体的には地方自治法を所管する局のお仕事でございますけれども、都市整備局といたしましては、周辺の指定状況、今お話がございましたように、町田市では四〇・八〇、敷地面積の最低限度を定めております。
 こういった周辺の指定状況を勘案しながら、一定の広がりの中で、これまで保全されていた環境などにも支障がないというような場合には、地元からの相談にある意味では積極的に応じまして、問題の解決が図られるような支援をしていきたいというふうに考えてございます。

○今村委員 今のご答弁でも、地元の自治体、町田市とも協議をしながら積極的に協力していただけるということでありましたけれども、もともとこの事業は昭和六十三年のころから地元の町田市が計画をしておりました。そのときから町田市も、それから東京都に相談しているときも、九期まで終わると大体合計一万三千平米、町田市、つまり東京都の面積が減るということでありますので、大変厳しい環境にはあるわけであります。しかし、周辺の状況やまちづくりのことを考えて、町田市と東京都が、面積が減るという中でも事業計画を神奈川県相模原市と合意していただいた問題であります。
 ぜひ、地域の住民にとってもわかりやすい状況にもなるように、今後主体的に、先ほどからお話があるように大変厳しい問題でもありますし、町田市、相模原市が当事者でありますけれども、ぜひ広域自治体としての東京都の、また専門的な知識も含めて十分な支援をしていただけるよう、改めて要望して私の質問を終わりたいと思います。

○大島委員 私からは、晴海地区の地区計画、それから臨海副都心有明北地区の地区計画、この二つについて質問をさせていただきます。
 まず最初に晴海二丁目地区の問題です。
 今回、都市計画変更の対象となっている第二-六街区というのは、地域開発が進み、人口がふえている晴海地区に不足している児童館などの複合施設を建設するためのものだということです。これは、我が党の区議団も、晴海地区の保育所の入所待機児童対策とか児童館などの増設を要求してきたもので、そうした住民の要求が一部実現したものと考えておりますので賛成です。
 しかし、地域における開発計画は、今後も住民にとって大きな影響を与えるものとなるために、幾つか質問したいと思います。
 まず最初に、晴海地区における最新の住宅整備方針というのはどのようなものでしょうか。

○安井理事 平成十九年九月に策定されている方針が最新のものでございまして、これは、豊洲・晴海開発整備計画の改定に合わせましたものでございまして、その後は見直しを特に行っているわけではございません。

○大島委員 今、平成十九年九月というふうにいわれたんですけれども、私がいただいたこの晴海地区の住宅整備方針は平成十年九月になっているんですが、これは違うんですか。

○安井理事 済みません、平成十年九月の間違いでございます。失礼いたしました。

○大島委員 この晴海地区の住宅整備方針というのをいただいて、読ませていただいたんですけれども、この晴海地区の住宅整備方針では、住宅供給フレームというのが丁目ごとに定められておりまして、一丁目から五丁目までの想定居住人口というのは約三万一千人、それから、計画戸数というのが約一万二千五百戸とされています。住宅供給主体比率というのも公共住宅はおおむね五〇%、民間住宅もおおむね五〇%、賃貸と分譲の比率はおおむね六対四程度とする、そこまで細かく書かれているんです。
 晴海二丁目を見ますと、想定居住人口というのは約八千五百人で計画戸数は約三千四百戸とされております。この住宅整備方針の住宅供給フレーム、これと合わせますと、公共住宅はおおむね千七百戸建設されるというふうになるんですけれども、現在の晴海二丁目地区における居住人口と、既に建っている住宅戸数はどうなっているんでしょうか。

○安井理事 晴海二丁目の居住人口は約四百八十人、住戸戸数は約二百三十戸でございます。

○大島委員 それでは、この晴海二丁目地区は、既に区画整理事業として整備が始まっているところなんですけれども、晴海二丁目地区における都有地の面積と当該地域に占める比率、これはどのようになっているのでしょうか。

○安井理事 晴海二丁目の土地区画整理事業区域につきまして、換地後の都有地面積、宅地でございますけれども、約四万二千平方メートル、宅地面積に対する都有地の比率は約三九%でございます。

○大島委員 大体六対四くらいということなんですけれども、晴海二丁目のこの都有地についてなんですが、豊洲・晴海開発整備計画での位置づけは現在どのようになっているんでしょうか。

○安井理事 換地後の都有地面積約四万二千平方メートルのうち、雨水ポンプ場と今回整備いたします複合児童福祉施設を除きまして、現在未利用地となっている都有地につきましては、豊洲・晴海開発整備計画の土地利用計画では、住宅地、小中学校及び公園用地及び業務・商業地となってございます。

○大島委員 ここのところで、現在の住宅戸数二百三十戸程度ということなんですが、公共住宅はないということで、まだ建設されていないんですけれども、これだけの都有地があれば、未整備の都有地に公共住宅を計画どおりに建設するということはたやすいことじゃないかというふうに思うんです。
 晴海地区の住宅整備方針には、晴海地区というのは地価水準が高いので、都心居住を実現しながら適切な価格の住宅を確保すると書いてあるんですね。さらに、住宅供給の事業主体の役割分担、これでは、中堅所得階層及び低所得階層を対象とする住宅供給は主として公的事業者が対応するというふうになっているんです。東京都は、賃貸住宅の事業主体というところまで書かれているんですね。
 そういう点で考えると、なぜこの晴海地区の住宅整備方針に基づいて公共住宅を建設しないんでしょうか。

○安井理事 都が関与いたします公共住宅につきましては、住宅の世帯の動向であるとか空き家の状況などを勘案して、新規の供給は行わないという方針をこれまでご説明しているところでございます。

○大島委員 これまでも、この委員会でも何回も私は質問しているんですけれども、都内の住宅の数が世帯数を一割超えているというようなところから新規の建設はしないんだという、そういうことだと思うんですが、でも、先ほどもご答弁があったように、晴海地区の住宅整備方針というのは現在も生きているということなんですよね。そうすると、ここに書かれているということは、変わっていないというふうに考えるのが当然のことだと思うんです。それは、地元の中央区、それから地元の方々にも変更したというようなことは何も伝わっていないので、勝手にこの方針を変えるというようなことは許されないんじゃないかなというふうに思うんですね。
 特に、石原知事になってから新規の都営住宅の建設というのは見送られてきまして、この間一戸も建設されていませんし、前は建てかえ住宅の場合でも戸数をふやすなんていうことをしていたんですけれども、現在は従前戸数以下に抑えたり廃止したりして、供給戸数そのものを抑制している、こういう状況が出ています。
 しかも、今度建てかえ後に建設される住宅というのは、今住んでいる入居者の世帯人員に合わせるといって、一DKとか二DKの小規模の型別供給というのが中心になっていて、特に子育て世帯向けの住宅供給というのは極めて限定されたものになっているというふうに思うんです。
 実際に都民の要求はどうかというと、空き家住宅への応募倍率というのは相変わらず高くて、昨年十一月の家族向けでは、最高で五百七十七倍、平均でも三十四・五倍、単身者向けではことし二月の募集は最高で四百八十六倍、平均でも七十八・九倍でした。シルバーピアも、ことし二月の募集では最高で三百九十八倍、平均でも百四十一・五倍という状況で、なかなか入居できないというのが現状なんです。
 せっかく都有地がこれだけあるのですから、こういうところを安易に民間に売却するとか、任せてしまうというようなことではなくて、貴重な公有地として、地元区や都民にとって有効な公共的な活用を図るべきだというふうに考えますがいかがでしょうか。

○安井理事 現在未整備となっている都有地につきましての位置づけは先ほどお答えしたとおりでございまして、住宅地、小中学校、公園用地及び業務・商業地域などを含めて、適切な今後の土地利用を図るというものでございます。
 また、都有地をすべて端から端まであたかも売却するというようなお話がございましたが、そのようなことをやっている事実はございません。

○大島委員 端から端まで売却するなんていうふうに私はいっていなくて、安易に民間に売却とか任せるとかということはしないで、せっかくの都有地なんだから、そこを活用したらいかがですかというふうにいっているんですよね。さっきの方針だって、住宅地と小中学校及び公園用地と書いてあるので、住宅地ということについても、別になくなっているわけではないんですよね。
 ですから、この問題で余り長くやる気はないんですけれども、都営住宅の新規建設をぜひ再開してほしいということや建てかえ時に建てかえ戸数をふやすように方向転換をしていただいて、ぜひ公共住宅をふやす、このこと強く要望しておきたいと思います。
 次に、有明北地区の問題で質問をさせていただきます。
 この有明北2区域の中の二-二-A街区、これが今回の地区計画の変更に出されているところで、容積率四五〇%、高さ百二十メートルの超高層マンションが建設される、そのための地区計画の変更だというように聞いています。
 これまでもこの2区域というところには、同様の超高層のマンションがたびたび都計審にも出されておりまして、平成十八年五月の都計審には二-三-A街区のブリリアマーレ有明、これは三十三階建てで一千八十五戸、平成十九年三月の都計審には二-八-A街区、ここにシティタワー有明、これも三十三階建てで四百八十三戸、平成十九年十一月の都計審には二-三-B街区のブリリア有明スカイタワー、これも三十三階建てで千八十九戸、超高層で巨大マンションがずらっと並んで建っているんですね。今回が四件目なんです。
 今回の案件もこれまでの臨海副都心開発の一環として、さまざまな問題があるため反対ですが、以下その問題点を指摘して質問したいと思います。
 まず問題点の第一は、この有明北地区の目標居住人口が超過密になるということなんです。有明北地区の目標居住人口と現在の人口はどのようになっているのでしょうか。

○安井理事 所管局が策定いたしております臨海副都心における土地利用等の一部見直し、これは平成十八年九月でございます、及び臨海副都心有明北地区まちづくりのマスタープランの一部見直し、こちらは平成十九年十二月でございます、ここにおけます有明北地区の居住人口の誘導水準は三万八千人とされてございます。
 現在の人口は、平成二十一年十二月現在で三千三百五十人でございます。

○大島委員 私、この居住誘導水準の三万八千人、これに見合う住宅戸数はどのくらいかなと、書いていなかったのでちょっと計算してみたんですよ。東京都の平均世帯員数というのが二・一三人だということだったので、単純に計算したんですけれども、それでも一万七千八百戸必要になるという計算なんです。人口でも今の十倍にふやすということになるわけです。既に、この人口がふえれば、当然、学校とか保育所が必要になってくるということで、江東区では小中学校や保育所が不足して困っている、こういうことなんです。
 この有明北地区、面積が百四十一ヘクタールということで、そこに三万八千人もの居住人口を誘導するとなると、人口密度はどのくらいになるのかということでこれも計算してみたんですけれども、一平方キロメートル当たり二万六千九百五十人になるんですね。これは、過密都市である二十三区の人口密度の実に二倍に及ぶんですよ。しかも、二十三区最高が中野区なんですけれども、これが二万百七十五人、これを上回ります。世界の都市で最高とされているのが、これも調べたんですが、インドのムンバイというところなんですが、ここが二万九千六百五十人、二位がカルカッタ、これが二万三千九百人なんですね。こことほぼ同じ人口密度になる。あの地域にこんな異常な過密都市をつくろうという計画そのものが異常なことだといわざるを得ないんです。こういう問題なんです。
 第二に、この住宅整備計画にも問題があるということで質問をしたいと思います。
 有明北で竣工しているマンションの入居率というか空き家率というのか、これはどうなっているのか、またその販売価格の値下げなどを行っていると聞くんですが、これらの状況を把握しておりますでしょうか。

○安井理事 有明北地区で竣工したマンションの入居率ですけれども、個別の建物ごとの調査結果は公表されてございません。また販売状況につきましても、販売事業者において明らかにしていないために不明でございます。

○大島委員 確かに調査はしていないのかもしれないんですけれども、完売しているのかどうかなんかは業者に問い合わせればわかることじゃないかなと思うんですね。また今度も同じような巨大マンションをつくるための地区計画なんですから、現状も把握しないで事を進めていいのかということで疑問も持たないのかなと思います。
 今、臨海部を初め東京で次々と建てられている超高層マンションは、全体として庶民に手が届かないような高級マンションなんです。特にこの有明北地区は異様ともいえる状況になっています。
 ブリリアマーレ有明というのは、有明北地区で地区計画を変更して最初にできた、先ほどいってたんですけどね、一千八十五戸の巨大マンションなんですが、事業主は東京建物と伊藤忠都市開発、CMにマドンナを起用して、業界ではマドンナマンションといわれているそうです。ここが売りにしているのは共用施設のプールとバー、それから露天ぶろとかジム、ホテルと同じという高級イメージで売り出しています。昨年三月に竣工しましたが、一年四カ月たっても完売していないんです。いまだに売れ残っている七戸が今売り出されている、これは電話で問い合わせたんですけれども、その最高価格というのが、三百六十六平米、四LDKで四億七千万。で、その七戸の中の最多価格帯というのは一億八千万円とされているんですね。電話で問い合わせたら実際の販売価格は相談に応じますよということを向こうがいっているんです。値引きもされているのかなと。それでも完売しないというのが今の現状なんですね。
 シティタワー有明というのは四百八十三戸、先ほどいったんですが、事業主は住友不動産、ことし竣工しましたけれども、やはり完売してないんです。今売り出されている最高額は、三LDK、百五平米なんですが、これで一億六百三十万円なんです。
 それから、今建設のブリリア有明スカイタワー、これは東京建物と東武鉄道が事業主で、俳優のオダギリジョーをCMに起用しているんですね。ここもプールやジムがついていて、最高予定価格は二億二千万円。私も行って見てきたんですよ。さすがすごい、このチラシだけ見ても相当な高級感というのをちょっと感じるんですよ。だけどこれ、庶民の手の届くようなマンションではなかなかないんですね。それで、最高価格というのが二億二千万円。
 一方、都営住宅の倍率というのは、先ほどもいいましたけれども宝くじ並みなんですね。先ほども住宅は余っている、こういうふうにいいましたけれども、住宅困窮者が放置されているその一方で、こうした超高級マンションの建設が次々と進められる。東京の住宅政策はこれでいいのかなということが問われていると思うんです。
 そこで伺いますが、平成十一年十一月に、有明北地区のまちづくりマスタープラン、これで公的な関与または支援による賃貸住宅の供給を行うことなどを検討すると書いてあるんですが、これは一体どうなっているのでしょうか。

○安井理事 有明南地区の開発がほぼでき上がり、また有明北地区の埋め立てが完了した平成十八年の時点におきまして、開発整備の進捗や環境変化などを踏まえまして土地利用の変更を行っております。この中で、その後の開発の方向性を示すとともに、青海地区北側及び有明北地区の二つの地区の開発の考え方を整理してございます。
 具体的には、有明北地区におきまして、住宅中心の複合市街地のために地区全体で居住機能を強化しながら、業務・商業機能と居住機能の複合する活力あふれる市街地を形成することとしてございます。
 なお、その後の臨海副都心における全体の住宅整備は、民間が主体となって進めていくという方針で見直しを行っているところでございます。

○大島委員 この臨海部の開発というのは東京都が進めているものですし、都有地もたくさんあるということなんですね。住宅整備を進めるというなら、都営住宅を初め公的な住宅をなぜつくらないのかと思うんですけれども、先ほどと同じ答えになるかと思いますが、この地域でも、臨海部でもやっぱり住宅についてはきちっと考えていく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

○安井理事 臨海副都心は、既成の市街地と状況は異なりまして、広大な埋立地を活用しながら多様な機能が複合した副都心を形成するというような位置づけのもとに、順次段階的に開発が進められてきているところでございまして、住宅につきましても、例えば都心の市街地では実現できないような広大な環境、目の前に海辺が広がる、そのような環境を生かした住宅などのニーズにこたえながら、また、小規模なSOHO的な使い方のできるような住宅、このような多様な住宅のニーズにこたえられるような開発を進めてきているところでございまして、今後もそのような方針に基づきまして、魅力ある住環境を備えた副都心を形成していくべきものと考えてございます。

○大島委員 確かに多様な住宅のニーズにこたえられるようなというのはいいと思うんですよね。ただ、その多様なの中に低所得者層とか住宅困窮者、こういう人たちのことが入っているのかなというふうに思うんです。先ほども答弁がありましたけれども、住宅の戸数は余っていても、住宅困窮者が入居できる都営住宅などの低家賃の良質な公的住宅というのは絶対量が大幅に不足しているというのが現状ですね。今その余っているような住宅を活用して都営住宅を供給するぐらいはやるべきじゃないかと思っているんです。東京都が責任を放棄しているんじゃないか、こういうしかないなと今感じました。
 土地利用の一部見直しの中に、住宅整備方針の見直しというのがあるんですけれども、その中の住宅計画戸数について、都有地については、計画居住人口及び世帯当たり人員の変化並びに住宅需要の変化に応じ、土地処分の公募段階で適切に設定する、こういうふうに書いてあるんです。
 平成十九年のマスタープランの一部見直し、これでは、新埋立地の1区域がオリンピック選手村予定地となったことにより、オリンピック招致計画との整合を図り開発を進めていく、こういうふうになっているんです。二〇一六年のオリンピック招致は失敗したんですけれども、その後、今でもこの方針は変わっていないんでしょうか。

○安井理事 有明北地区まちづくりのマスタープランにつきましては、今後の状況を勘案しながら必要に応じ対応していくと所管局から聞いてございまして、現時点におきまして、お話のあった方針は変更してございません。
 なお、地区計画の土地利用に関する基本方針では、有明北1区域は、緑豊かな旧防波堤と海の眺望を活用した潤い豊かな居住機能を基本としつつ、活力やにぎわいの創出を図る商業・業務機能がバランスよく複合した市街地を形成するとしておりまして、都としては、オリンピック開催の有無にかかわらず、この方針に即した良好な土地利用を民間の創意工夫を活用しながら実現していくべきものと考えてございます。

○大島委員 緑豊かな居住機能を有するようなというのは非常に大事なことだというふうに私も思っているんですけれども、今、東京の住宅問題で重視すべきものというのは、ワーキングプアとか派遣切り、それから低所得者層の住宅確保、それから超高齢社会への対応、こういうことがやはり必要だと思うんです。
 オリンピックの招致計画では、選手村は民間事業者に住宅を建てさせて、選手の宿舎として、オリンピックが終わった後は民間住宅としていくということだったと思うんですね。私は、オリンピック招致が失敗に終わったことを契機に、この超過密の住宅計画を改めるということと、確かにその緑豊かな住宅というならば、公的住宅を柱とすべきだというふうに思うんです。
 同時に、民有地についても、大手民間の事業者任せで、ここに超高層マンションを建てたいといえばいつでも認めていく、こういうことになるとやっぱりこれは首をかしげざるを得ない。
 臨海部開発については、液状化対策を万全にして、都有地という貴重な都民の財産を有効に活用して都民の憩いの場にしていく。その中で、都営住宅や公共賃貸住宅の整備も含めた都市計画にすべきだというふうに考えます。
 問題の第三は、超高層マンションにはさまざまな問題があるということです。
 例えば超高層マンションの改修、それから建てかえの困難性、これも見過ごすことはできません。もともと管理組合の意思決定が難しい、その上マンションの規模が大きい、しかも高層階は億ション、低層階は数千万円と価格に大きな開きがあって、高層階と低層階に住む人の経済格差、これも実際大きいんですね。
 それから、一、二階などの部分には店舗とか事業所、こういうものが併設されている場合が多くて、その点でも権利関係の調整が複雑なことがありまして、本当に改修とか建てかえができるのかなと疑問に思います。震災時にエレベーターが停止した、そのときに高齢者とか身障者の階段の上りおり、それから水の運搬、これが極めて困難になるということやそれから外出の機会が減少するということで、子どもへの発達障害とか高齢者の心身ストレスの増大、こういったことも指摘されているんです。こうしたことへの影響などについて、都市づくりという立場でどう認識しているのかお聞きしたいと思います。

○安井理事 本日ご説明し、ご審議していただいているものは、都市計画の決定段階の案についてでございまして、上位計画との整合を図りつつ、具体的な高さであるとか、容積率の限度であるとか、その計画の枠組みをお示ししてご審議いただいているところでございます。
 今お話がございましたが、高層マンション、これは何も臨海部だけの問題ではございませんで、特に、それは少しわきに置きましたとしましても、臨海部では、海とそれから広大な環境、そういった立地特性を生かしながら、また充実したインフラ整備、緑化計画、公共施設、こういったものと整合のとれた良好な住宅を誘導していることとしてございまして、今回提案しております都市計画は何ら問題がないというふうに考えてございます。
 さらに、お話の中にございました種々の問題、例えば高層マンションの安全性だとか震災対策であるとか、そういったものにつきましては、具体的な実施設計や維持管理などの各段階におきまして事業者ないしは建物所有者、管理組合などにおきまして関連法規等を遵守し、あるいは活用することにより確保されるものだと認識してございます。

○大島委員 私は将来建てかえとか大規模改修とか、そういうふうになったときのことも含めてやっぱり問題意識を持っていく必要があるなというふうに思っているんですよ。液状化によるライフラインの崩壊、こういうことについても同様ですし、東京都が問題意識を持って、こういう問題については警鐘を乱打して、規制して誘導すべきだというふうに思います。
 最後に指摘したいことなんですけれども、これは臨海開発のあり方の問題なんです。
 例えば湾岸部に巨大ビル群が林立してヒートアイランド現象の原因になっている、こういうことについてはどう認識しているんでしょうか。

○安井理事 東京に限りませんで、世界各地の大都市でヒートアイランド現象が確認されている、これは事実でございます。しかしながら、その原因が湾岸部の巨大ビル林立という指摘は、必ずしも承服いたしかねるところでございます。
 ヒートアイランド現象は、都市全体の活動に伴うCO2の排出などが主な原因とされているわけでございまして、都は、都市づくりを通じまして、例えば三環状道路を初めとする計画的な道路整備によりまして、渋滞解消、NOxの低減、また更新期を迎えている都心部の再生を促進することを通じまして、最先端の省エネ化技術や再生可能エネルギーの導入などを推進しているわけでございます。
 また、有明北地区など臨海部におきましては、海の森の整備、また環二、晴海通りでは、街路樹の充実とともに、沿道のまちづくりに合わせまして、今回の提案している計画もそうですけれども、街区周辺の緑化によるグリーンロード・ネットワーク強化、あるいは街区ごとに壁面線を適切に設定しまして、まさに風の道が通るようなことも都市計画として担保しているわけでございまして、こうしたことは引き続き推進していくべきものと考えてございます。

○大島委員 先日も、北区とか板橋区とか練馬などでゲリラ豪雨が大きな被害を出したということで報道もされておりました。都内の夏のあの異常な高温の記録、それから熱帯夜が続く、こうしたヒートアイランド現象、これが大きな原因の一つではないかというふうに思っています。天王洲とか品川とか汐留、丸の内、晴海、豊洲、この湾岸部に巨大なビルがずっと建ち並んで、結局海風を遮ったために、東京の地熱の冷却効果、これがなくなったということも指摘されています。
 その上、さらにこの海風の通り道である有明北地区を初めとして、臨海部に巨大ビル、巨大マンション、これをどんどんつくるというのはヒートアイランド現象打開に逆行するもので、やめるべきではないかと思います。
 今回も壁面後退とか、緑化とか、いろいろいっているんですけれども、少しばかり壁面を後退する、それから緑の確保、風が通るようになるよとはいうんですが、それと引きかえに容積率を三〇〇%から四五〇%にかさ上げして、巨大な高層マンションがつくれるように誘導する計画なんですね。こういうものはやはり根本から見直すことが必要だというふうに思います。
 臨海副都心の開発フレーム、これを見ますと、就業人口が九万人、それから居住人口を四万七千人にする、こういう目標を掲げておりますが、これでは東京一極集中を一層ひどくする巨大都市をつくっていくんだということにしかなりません。
 前回の委員会でも私はいいましたけれども、五月七日の石原知事の定例記者会見で、東京に人口を含めて集中しているけど、これ以上進むことを私は歓迎しませんし、日本にとっても東京にとってもいいことじゃない、こういう認識を示したんですね。石原知事でさえ、今こういわざるを得ない状況になっているんですよ。やっぱり人が住んで働くことができる持続可能な都市づくり、この立場から、ぜひ、臨海副都心開発を含めて東京の都市計画を抜本的に転換させる、このことを求めて質問を終わります。

○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十一分散会

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