都市整備委員会速記録第六号

平成二十二年六月十日(木曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長尾崎 大介君
副委員長きたしろ勝彦君
副委員長今村 るか君
理事宇田川聡史君
理事長橋 桂一君
理事大塚たかあき君
加藤 雅之君
吉住 健一君
くりした善行君
しのづか元君
大島よしえ君
興津 秀憲君
中山 信行君
山田 忠昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監理事兼務河島  均君
次長岳野 尚代君
技監升 貴三男君
理事加藤 英夫君
総務部長石野 利幸君
都市づくり政策部長安井 順一君
住宅政策推進部長紺野 秀之君
都市基盤部長座間  充君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長中島 俊明君
都営住宅経営部長瀧本 裕之君
企画担当部長横溝 良一君
連絡調整担当部長田島 輝夫君
景観・プロジェクト担当部長石川  進君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
民間住宅施策推進担当部長山口 幹幸君
航空政策担当部長邊見 隆士君
外かく環状道路担当部長野崎 誠貴君
民間開発担当部長藤塚  仁君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
耐震化推進担当部長町田 修二君
経営改革担当部長岡沢  裕君
再編利活用推進担当部長室木 眞則君
建設推進担当部長荒川 達夫君
営繕担当部長永島 恵子君
参事福田  至君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
報告事項(質疑)
・「東京における市街地整備の実施方針」について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○尾崎委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより報告事項、東京における市街地整備の実施方針についてに対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○しのづか委員 それでは何点か質問させていただきます。
 今後の市街地整備に当たっての公共と民間のパートナーシップに関する代表質問を、私たち民主党としても代表質問の中でさせていただきました。
 それに対する局側の答弁では、都が事業の種地として都有地を提供することについての言及がありました。市街地整備の実施方針の中でも、市街地整備の事業性を高めるための支援策として、都有地を活用したまちづくりの推進が挙げられています。
 実施方針では、都有地を活用し、公共と民間が連携して進める市街地整備の事例として、池尻二丁目都有地活用プロジェクトが紹介されていますが、この事業の特徴と取り組みの状況について、まずお伺いいたします。

○藤塚民間開発担当部長 池尻二丁目都有地活用プロジェクトについてでございますが、このプロジェクトは都営住宅跡地を利用し、民間事業者が木造住宅密集地域の整備を促進させるさまざまな取り組みを行うなどを特徴とした都内初の事業でございます。
 具体的には、公募で選定いたしました民間事業者が池尻二丁目の都有地を購入し、緑化等の環境に配慮した良質な共同住宅を整備するほか、老朽化した世田谷区の公益施設を更新し、地域のまちづくりに貢献するものでございます。
 次に、近隣の木造住宅密集地域であります太子堂・三宿地区におきまして、延焼遮断帯の形成に寄与する都市計画道路補助第二六号線の整備により移転が必要になる地権者の方々に、この共同住宅を優先して分譲することで地権者の生活再建と道路整備の促進を図るものでございます。
 さらに、この木造住宅密集地域の防災性向上につながる建築物の建てかえや耐震化、共同化などを促すために、民間のノウハウを生かした相談やコンサルティングなどの支援事業を四年間実施してまいります。
 当事業につきましては、昨年十二月に事業者を選定した後、円滑な事業推進を図るため、本年三月末には都、世田谷区、事業者の三者で基本協定を締結いたしまして、今年度より本格的に事業に着手したところでございます。
 今後は平成二十五年一月の建物の竣工を目指し、公と民が十分連携して災害に強い都市づくりを進めてまいります。
 また、このような都有地を有効に活用した市街地整備を地域の特性に応じて積極的に展開してまいります。

○しのづか委員 都有地を積極的に活用してということなんですが、都有地といってもいろんな局が所有しているもの、特に財務局が所有しているものなどが多くあると思うんですが、そのボリュームというか、状況をきちんと把握しながら進めていっていただきたいと思います。
 それと、二問目に行きます。今後のエリアマネジメントの導入についての代表質問もいたしました。
 それに対する答弁では、都内の先駆的な事例として、汐留地区と白鬚西地区の取り組みについて触れていました。
 そこで、これら二地区において、これまでに都が具体的に関与してきた内容と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 お尋ねのエリアマネジメントでございますが、汐留地区におきましては、平成七年の事業開始と同時に、地元の権利者がまちづくり協議会を設立いたしまして、区画整理の事業計画などにつきまして、都との間で協議が行われてまいりました。
 その後、このまちづくり協議会は事業完了後を視野に入れまして、行政だけではなし得ない魅力ある高品質なまちづくりを進めるために、まちの維持管理のための法人を設立いたしまして、平成十五年から地区内の道路等の公共施設の維持管理を都から受託して実施しております。
 都といたしましては、この法人が清掃やイベント活動に一定の実績がありますことから、引き続き管理を委託しております。
 もう一つ、白鬚西地区でございますけれども、昭和五十九年に地元の住民と荒川区で構成いたします防災再開発協議会が設立されまして、事業の計画や住民の生活再建など、事業にかかわるさまざまな協議がこの場で行われてまいりました。
 この協議会は、さらに将来のまちの管理を視野に入れた活動にも取り組みまして、平成五年以降、毎年防災訓練が実施されております。また、定期的な防犯パトロールなども実施されておりまして、官民協働でのまちづくり活動を行ってきた協議会でございます。
 ことしの三月末をもちまして、再開発事業の完了に伴いまして、協議会は解散しましたけれども、こうしたまちづくりの活動は地域に定着しておりまして、地元町会組織へ引き継がれていることとなっております。
 都はこれまで協議会に長くかかわってきた経緯から、この地元のまちづくり活動に対しまして、今後も荒川区を通じまして、支援、協力を行っていくこととしております。
 都といたしましては、このような活動が広く他の地区にも普及することを目指しまして、情報提供や人材育成など、エリアマネジメントの促進に取り組んでまいります。

○しのづか委員 市街地整備の実施方針の中では、事業を推進する仕組みを構築するための方策の一つとして、国に対する新たな制度構築や税制優遇の要望を行っていくということとしておりまして、そのために土地区画整理事業や市街地再開発事業における事業推進上の課題解決に向けた法制度の整備について、国に対して働きかけを行っていくという記述があります。
 具体的に事業推進上の課題にはどのようなものがあると認識して、その解決に向けてはどのような法制度整備が必要だと考えているのかお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 市街地再開発事業や土地区画整理事業を推進する上での課題といたしまして、国に法制度上の改善を求めているものといたしまして、例えば一つといたしまして、市街地再開発事業の転出者の税控除の問題でございます。
 市街地再開発事業、公共団体等が施行いたします第二種事業では、転出者に対する所得税、法人税等の税控除が認められておりますけれども、組合等が施行いたします第一種事業ではこの特例が認められてございません。
 転出者の立場から見ますと、地区内の建築物を撤去して新たに建築物を建築する、この点では共通でございまして、組合施行の事業であっても公共団体施行と同様の税控除が受けられるべきというふうに考えてございます。
 二つ目でございますけれども、土地区画整理事業におきます生産緑地の問題でございます。減歩などによりまして生産緑地が解除される場合、相続税の納税猶予の適用を受けることができないというような制度になってございます。
 農地所有者の事業協力を促す観点から、利子税を免除する、減免する等の税の優遇措置を講ずる必要があるというふうに考えておりまして、こういった点につきまして、国に制度改善を要求してきたところでございます。

○しのづか委員 今後、都が果たすべき役割として、都民、地元自治体、民間事業者が主体となって進めるまちづくり、市街地整備を支援していくことを基本として、そのために総合調整機能を一層強化するとしておりますが、具体的にはどのように強化していくのかお伺いいたします。予算ですとか、あと人的な対応ですとか、その辺も含めてお答えください。

○遠藤市街地整備部長 実施方針におきましては、総合調整機能としまして、一つとしまして、都市計画決定権者として関係者の利害を調整し、広く意見を聞きながら、計画を取りまとめる機能、二つ目といたしまして、事業への許認可権や補助金等を通じまして、個別プロジェクトの実施を支援する機能、三つ目といたしまして、事業施行者としての経験やノウハウ、さらには技術力を備えた人材の活用を強化いたしますとともに、国に対しまして、東京の実情に即して事業を進める上での制度の制定や隘路となっている事柄の改善、整備財源の確保等を求めていく、このようなことを示してございます。
 具体的に申し上げますと、一点目といたしまして、区画整理の分野でございますけれども、国が全国一律に定めております事業評価方法、これに対しまして、密集市街地での事業が行われるという東京の実情に即しまして、評価方法を改定すべきというふうに提案してございます。そういったことを通じまして、整備財源の確保を目指していきたい、このように考えております。
 もう一点でございますけれども、まちづくりの実務経験のある今後退職していく職員などの活用、あるいは都におきまして、地元自治体職員に対しまして業務研修を実施する、こういったような人的支援、人材交流を行っていくということを考えております。今後、このような取り組みを鋭意進めてまいります。

○しのづか委員 ご答弁いただいたんですが、特に人的な対応の部分で、やはり東京都が果たすべき役割、この総合調整機能というのが非常に重要だと思っています。
 できれば、今のお答えだと地元、区市と連携をしながらということなんですが、東京都としてのきちんとした人的な強化というか、その調整機能を果たし得るような対応をしていただきたい。これは意見として申し上げて終わります。

○きたしろ委員 東京における市街地整備の実施方針についてお伺いをいたしたいと思います。
 中身を読みますと、今後の市街地整備に当たっては事業の重点化、時間管理の重視、公民の連携、事業完了後の維持管理等が重要であるとの思想が書かれているわけです。
 私もこれらはいずれも大事なことだと思っております。事業の重点化では事業中地区や検討地区として、具体的な地区名が幾つか記載されております。そのうちの一つに品川地区があります。この検討地区として記載されている品川地区はどのような地区なのか、まず最初にお伺いをいたします。

○遠藤市街地整備部長 検討地区でございますが、検討地区は今後、市街地整備の計画や事業を推進すべき地区として位置づけ、掲げたものでございます。
 お尋ねの品川地区でございますが、平成十九年十一月に策定いたしました品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン、これのエリアのうち品川駅周辺及びJRの品川車両基地、さらには高輪の地区のホテル群とその周辺部を対象としたものでございます。
 この品川地区は大規模な低未利用地が多く、今後相当規模の開発が見込まれるなど、高いポテンシャルを有しておりまして、都市づくりビジョンにおきましても、新拠点として位置づけた地区でございます。
 都市基盤といたしましては、桜田通りと第一京浜を結ぶ都市計画道路環状四号線や第一京浜の拡幅などの計画がございます。
 品川地区ではこのような状況を踏まえまして、検討地区と位置づけたものでございます。

○きたしろ委員 この地区は私の地元のところでもありますので、詳しく聞きたいと思うんですが、この地区は、本年十月に予定されている羽田空港の再拡張を契機として、東京の新たな玄関口にふさわしい拠点を形成する必要があると考えております。
 しかしながら、この地域は人々の活動を支える都市基盤を見ると、国道と複数の鉄道によって地域が分断され、東西の連絡機能が極めて脆弱な状況にあるわけです。
 また、駅を横断する自由通路は人々であふれており、駅前広場にも十分なスペースがないなど、さまざまな課題を抱えている場所でもあります。
 そこで、品川駅周辺の都市基盤の充実に向けて今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○座間都市基盤部長 品川駅周辺の都市基盤の充実でございますけれども、道路や鉄道等の都市基盤は都市の機能や利便性を向上させ、経済の活性化や都市の魅力の向上に資する極めて重要な施設でございます。
 品川駅周辺では、ご指摘のとおり東西連絡機能や狭小な駅前広場などの課題を抱えておりまして、今後の羽田空港の再拡張や東北縦貫線の開通、大規模開発の動向も見据えて、都市基盤の充実を図っていくことが急務となっております。
 このため都では、昨年七月に国、港区、品川区及び鉄道事業者と品川駅周辺基盤整備・まちづくり検討会を設置し、周辺の開発動向を踏まえながら、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインで示されました東西分断を解消する道路ネットワークの整備、あるいは広域アクセス拠点にふさわしい結節点づくりを目指しまして、東西連絡道路や西口駅前広場、道路と鉄道の立体化などの都市基盤のあり方について検討を進めております。
 今後、学識経験者を加えた検討委員会を新たに設置して検討を深度化し、新拠点にふさわしい都市基盤の実現に向け、平成二十三年度を目途に基盤整備計画を取りまとめてまいります。

○きたしろ委員 まさに品川駅というのはこれから、きのうの知事の答弁にもあったように、リニアでもってあそこが出るということになると、空港の利用の仕方も問題が出てくるような感じ、すばらしいというか、非常に大切な結節点になると思うんです。その品川駅周辺の基盤整備について、引き続き積極的に取り組むよう要望をしておきたいと思います。
 また、今後開発が見込まれるJR車両基地についても、都はリーダーシップを発揮して適切に進めてほしいと考えております。
 ところで、駅のさらに西側の地区については、規模の大きなホテルが建ち並び、業務・商業ビルのほか、周辺には密集した市街地が広がっているわけです。また、地区内には整備されていない都市計画道路環状四号線が計画をされております。
 こうした中、駅の西側の地区のまちづくりについて、積極的に取り組むべきと考えておりますけれども、所見をお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 駅の西側の地区でございますが、大規模なホテル、あるいは廃止となった衆議院の宿舎、さらにその周辺に密集市街地が広がる地区でございます。また、駅周辺地区と近接しておりますことから、連携したまちづくりの計画を進めていくべき地区、このように認識しております。
 また、お話にございましたように、羽田空港の国際化などを勘案しますと、この地区のまちづくりは非常に重要なものであり、都としても積極的にかかわっていく必要があると考えてございます。
 また地区内には、地区内を横断する形で計画道路環状四号線がありまして、この道路の整備に合わせた周辺のまちづくりを一体的に考えていく必要もございます。
 このため、先ほどの答弁にもありましたように、現在設置されている検討会などにおきまして、地元区などとともにまちの将来像の検討を行ってまいります。

○きたしろ委員 今、あの環状四号線--港区はようやく環状二号線が終わったというか、ようやくスタートした、六十年ぶりに。でも、まだ環三があるし、環四があると。本当にそういった意味では都市計画道路というのは一体どういうことなんだろうかと本当に疑問に思うこともあるんですけれども、それはそれとして、基盤整備とまちづくり、それぞれの答弁でもあったように、この地区は市街地整備と都市基盤整備を一体的に行ってこそよりよいまちが実現するものと考えます。
 私の地元の新橋・虎ノ門でも長年の懸案であった環状二号線が、再開発によってまちづくりと一体的に進めることで、東京のシンボルともなるより質の高いまちがつくられつつあります。都は、今後こうした取り組みを他の地区にも積極的に展開し、東京の都市再生を推進していくべきと考えます。
 そこで、今後、基盤整備と連動した市街地整備をどう展開していくのか、お伺いをいたします。

○遠藤市街地整備部長 東京の都市づくりにおきまして、三環状道路、骨格幹線道路の整備は最重要の課題でございます。お話にもございましたように、例えば環状二号線の新橋・虎ノ門地区、これは立体道路制度と再開発事業によりまして、権利者を移転、集約するための再開発ビルを建設しまして、道路空間を確保し、その地下部分に環状二号線の本線と地上部分にはサービス道路を整備するというプロジェクトがございます。
 これによりまして、土地の高度利用による活力の創出、厚みと広がりのある緑の確保、さらには、この地区にふさわしいシンボルとなる都市景観の形成が図られるものというふうに考えております。
 またあわせまして、従前の権利者が住み続けられるということで、地域の合意形成が促進され、円滑な事業の促進にもつながるというふうに考えております。
 また、防災都市づくりという観点では、沿道まちづくりを事業実施しております東池袋地区でございます。延焼遮断帯としての機能を持ちます都市計画道路を沿道のまちと一体的に整備することで権利者の意向を勘案しながら、木造密集地域におきます防災化の向上に大きく寄与する事業を展開しております。
 今後ともこのような基盤と連動した市街地整備を積極的に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 都心三区といいますか、新宿も含めてですけれども、これから、東京の将来を考えたときには、この都心のまちの問題を解決することが東京の将来の問題解決に当たる集約されたエリアであるというふうに私は思っているんですよ。
 そういった意味で、環状三号、環状四号、いろんな問題があります。環八までありますけれども、そういうことで、皆さん方の努力を、ぜひすばらしい東京をつくってもらうために頑張ってもらいたいということをお話しして終わります。

○長橋委員 それでは、私からも市街地整備の実施方針について質疑をさせていただきます。
 市街地整備のあり方については、私はこの委員会でたびたび質疑をさせていただきました。今回の市街地整備の実施方針についても、二年前の平成二十年十月の本委員会で今後の市街地整備についてということで質疑をさせていただきました。
 そのときには、私の思いとすれば、なかなか計画があっても、非常に合意を得て進めていくに当たって時間がかかる、もっと民間の力を活用すべきじゃないかとか、また、市街地整備事業には再開発とか、区画整理とか、いろんな事業があるけれども、都が重点的に行うものを明確化すべきじゃなかろうかというようなことを質疑させていただきまして、そこで、都が先駆的に取り組む事業は何なのかということを明確にしていくためには、新たな都市整備事業、方針、役割、そういったものをつくるべきではないのかと、こんなことをいわせていただきまして、当時の部長からご答弁をいただいて、都と区市町村、民間事業者などが主体の役割分担を明確にしていくというようなことを答弁していただいて、こうした市街地整備の取り組みなどを基本方針として取りまとめていくというご答弁をいただきました。
 取りまとめるということでございましたので、楽しみにしていたわけですけれども、二年間たって、この実施方針ができたということであります。
 その後、翌年に東京の都市づくりビジョン、これが去年の七月に改定されたわけであります。これについても議論をさせていただきまして、特にそのときには国際競争力を首都東京として高めていくべきではないのかということで、この都市づくりビジョン--首都東京が、どんどんと国際競争力が分野によっては落ちてきていると--これをぜひ取りまとめていただきたいということを申し上げました。
 そして、今回の実施方針ができたわけでございまして、この都市づくりビジョンを踏まえて、特にこの都市づくりビジョンの副題には、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市の創造ということで、今回もここに書いてあるとおり、環境、また、景観も新たに加えて、この整備方針ができたわけでありまして、ぜひこれについて、しっかりとスピードを持って進めていただきたいことを特にお願いするわけであります。
 それでは、この実施方針で掲げてある課題が三つございます。
 一つは、安心・安全な市街地の形成、もう一つが、今、私が申し上げました国際競争力を強化する拠点形成、また、インフラ整備、そして三点目に、環境や景観等に配慮した市街地の形成というのがこの課題として挙げられております。
 その上で、課題を克服するために、今後の市街地整備においては四つの目標を掲げております。活力・利便、そして防災、環境、そして景観の四つの目標であります。
 その中で新たに戦略を再構築していくという中に、地区の重点化と時間管理の重視というのがありましたので、この地区の重点化と、それから時間軸といいますか、スピードということだと思いますけれども、これについて何点かお伺いをしたいと思います。
 まずはこの実施方針で掲げた目標を踏まえて、都市政策上重要な地区に重点化をしていく、集中して取り組むとあります。
 そこで、東京の都市政策の中で重要な地区、重点化をしていくということがありますけれども、まずは何が重要と考えるのかお伺いをいたします。

○遠藤市街地整備部長 区画整理や再開発などの市街地開発事業、市街地整備事業は活力ある東京の実現にこれまで大きな役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、環境、景観といった新たな課題への対応や財源の確保など、事業を取り巻く環境は大きく変化したというふうに認識しております。
 今後の市街地整備におきましては、民間の力を最大限引き出しまして、スピード感を持って進める、これが非常に重要であるというふうに考えております。
 今回の実施方針では、重点化の視点として四つ掲げてございます。一つは重要な基盤整備を促進する視点でございます。具体的な事業の例といたしましては、先ほどの質疑にもございました環状二号線の新橋・虎ノ門地区などがこれに該当いたします。
 それと二つ目といたしまして、拠点等の形成を先導する視点でございます。渋谷駅地区などがこれに当たるというふうに考えてございます。
 それと三つ目の視点といたしまして、国公有地等の活用により都市機能の更新を図る視点でございます。これも最初の質疑にございましたような、池尻二丁目地区などにおきますプロジェクトなどがこれに該当するというふうに考えてございます。
 それと四点目でございますが、道路整備と沿道まちづくりを一体的に進め、防災性の向上を図る視点でございます。これは東池袋地区などの取り組みがこれに該当するというふうに考えております。
 このような四つの視点に立ちまして、今後の市街地整備事業の重点化を図っていく考えでございます。

○長橋委員 今、部長からご答弁がありました重点化の中身についてお伺いしました。具体的な地区の名前も挙げていただきました。この実施方針の中にも冒頭の方に書かれておりますけれども、都市再生特別措置法によって指定をされています都市再生緊急整備地域、都内では八カ所、およそ二千五百十四ヘクタールが指定をされているということでございます。その東京の都市づくりビジョンにおきましても、この都市再生緊急整備地域については触れているわけでありますけれども、これは時限立法のために間もなく終わるのかどうかというようなことも、私も聞いてまいりましたし、また、この八地区以外はどうなるんだろうなと、ほかにも手を挙げているところもあるということであります。そうしますと、国の成長戦略会議で都市再生特別措置法の前倒し延長、延長して拡充や大都市圏戦略の策定を行うということで、国では、前倒しをして延長していこうという流れがあるようでありまして、その中には新たに国際競争拠点特区、仮称でありますけれども、そういったものも設定をしていこうということでありますから、いわゆるこの都市再生特別措置法は時限立法でありますけれども、引き続き進めていかなきゃいけない、こういう認識であろうかと思いますし、東京においては、国際競争力を増していくためには、そうした整備については、さらに先駆的に進めていかなければならない、このように思うわけであります。この緊急整備地域、私はぜひ拡大をして、八カ所以上といいますか、していくべきだと思います。国の制度でありますけれども、この指定は八つの地域で終わるのかどうか、見ますと、東京駅周辺、それから副都心である新宿、渋谷、こういう地域が指定をされているわけでありますけれども、やはり国際競争力を増していく、こういうことでいえば、まだしなければいけないところもあろうかと思うわけでありますけれども、八地域で終わってしまうのかどうか、そこら辺を確認したいと思います。

○安井都市づくり政策部長 都市再生緊急整備地域は、都市の魅力と国際競争力を高めるために民間の資金やノウハウを活用した都市開発事業などを通じまして、緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として、国が地方の意見を聞きながら指定するものでございます。
 都内では、今お話がございましたが、これまで東京駅・有楽町駅周辺地域、大崎駅周辺地域など八地域が指定されてございます。これらの地域におきまして、都市計画の特例を活用した優良な民間開発が促進されまして、また、開発と一体的に、例えば駅前広場や歩行者デッキ、まとまりのある緑地など、周辺市街地の改善にも大きく貢献する公共公益施設が整備されてきました。国は指定の基準といたしまして、都市計画、金融などの諸施策の集中的な実施が想定される地域でございまして、そういった条件で第一に早期の実施が見込まれる都市開発事業などが含まれること、第二に都市全体への波及効果がある的確な土地利用の転換が見込まれることを挙げてございます。
 都といたしましても、地域の指定に当たりましては、個々のプロジェクトが単独で進められるのではなく、複数のプロジェクトが面的なつながりの中で相乗効果をもたらすこと、さらに、基幹的な公共施設の整備と民間の開発意欲とが組み合わされまして、都市再生の効果がより発揮されることが必要と考えてございます。
 今後とも、区からこうした考え方に基づく提案があった場合には、国に対してさらなる地域指定について協議してまいりたいと考えてございます。

○長橋委員 今お話がありましたとおり、最後に、国に対して区から要望があれば、提案があれば、地域指定については協議をしていくということであります。そのご答弁の前に、そのためにはということで、いわゆる公共施設の整備、基幹的な公共施設の整備であるとか、民間の開発意欲ということが必要でありますし、また、具体的にこの都市開発事業が見込まれているようなことも必要だということでありますので、ぜひ私の地元の豊島区も手を挙げたい、挙げているんですけれども、こうしたことについては、より高まっていくといいますかね、意欲を高めていくよう、私も地元なので努力をしてもらいたい、このように思っているところであります。
 次に時間軸の話でございますけれども、都市計画道路、これについてちょっとお伺いをしたいと思います。きたしろ副委員長からも、この都市計画道路についてはお話がございました。その時間軸の中で、平成十六年に都と二十三区で策定をいたしました第三次事業計画の優先整備路線、これが示されました。今、現在そのさまざまな役割分担の中で進められておりますけれども、平成二十年度末で第三次事業計画に指定された道路の着手率はわずか三一%であります。このままでいきますと、二十七年度までに全路線に着手することはなかなか難しいんではなかろうかと思います。私の地元にもそうした第三次に指定をされておりますけれどもいまだに着手ができないでいる、もちろん地域住民の合意が必要なんですけれども、こういうことがあるわけであります。
 また、ぜひ事業着手をしたい、してもらいたいという非常に強い要望を持つ地域もありますけれども、そうしたところについてはタイミングが必要でありますし、また、時期を失せずに取り組んでいただきたいものであります。
 私の地元では、先ほどご答弁もありましたけれども、都市整備局が直で事業に乗り出した沿道一体整備事業が実施をされておりまして、昨年には、この沿道まちづくりの先駆けとなる共同化建物が着工もされておりまして、新聞にも掲載をされたところでありますけれども、これも間もなく完成をする予定であります。ぜひこの取り組みは道路整備の促進に大きく寄与することから、着工するまではいろんな意見がありましたけれども、現在地元からは大きく期待をされているところであります。
 そこで、こうしたことを踏まえて、今後市街地整備の中で、都市計画道路の整備促進、これはぜひ進めてもらいたいと思いますが、どのように進めていくのかご答弁をお願いします。

○遠藤市街地整備部長 市街地整備事業の中で都市計画道路の整備を行った例といたしまして、北新宿におきます再開発事業と一体となって行いました放射六号線、あるいは汐留の区画整理事業、新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業等で実施しております環状二号線などがございます。また、先ほど来お話の出ております東池袋地区におきます沿道まちづくりと一体となった事業などがございます。
 こうした取り組みは地元の合意が得られやすく、早期に道路の整備が可能となる、それとともに地域の防災性や魅力と活力にあふれたまちづくりが可能になるというものでございます。今回の実施方針におきましても、これらを重点化の視点として位置づけたところでございます。
 検討地区として例示した地区を初めといたしまして、市街地整備と道路整備等を一体的に実施することでメリットが生まれる地区におきましては、さまざまな手法を柔軟に活用しながら一体的な整備を展開してまいります。

○長橋委員 さまざまな手法を使って整備を進めていくと。沿道まちづくりの事業は、今お話があった東池袋だけではなくて進められておりますけれども、それ以外のところでも、いわゆる地元から事業化に指定されたけれどもなかなかその動きがないということはたびたび聞くわけでございまして、ぜひ着手に向けてさらなるご努力をお願い申し上げます。
 最後にもう一問お伺いしますが、今回新たに環境と景観が加わったわけでございますけれども、いわゆる個々の街区や宅地における環境や景観への取り組みについては、国から特定街区や再開発促進区などの容積率の特例制度の活用について、技術的な助言が出されたというふうに聞いております。
 都においても、我が党の代表質問でも取り上げましたけれども、総合設計制度の中で、緑化率に応じて容積率の割り増しを決めたということでございますけれども、緑化だけではなくて、新たな時代展開を考えると、いわゆる、今いわれているスマートグリッドだとか、スマートエネルギーのように、個から面的な整備を図る中で環境対策にも資していこうということがありますし、さらに私は、来年度、地デジ化がスタートするわけでありまして、情報基盤の整備というのも非常に重要になってくるんだろうと思うわけであります。
 個々の面から、いよいよこの面へ向かって展開をしていく、こういうことが必要であると思いますけれども、そこで、市街地整備における環境への配慮、ここの実施方針には特に緑に対して、もっとふやしていこうということが記載されているわけでありますけれども、そういうことも含めて、今いった情報基盤の整備であるとか、また、再生エネルギーをさらにこうお互いの、面的に結びながら活用していこう、こういうことも必要になってくるかと思いますけれども、そういう中で都市整備局として、こうした敷地や個々の建物からさらに広げて、面的な取り組みに広げていくべきだと思いますけれども、どのように市街地整備を進めていくのか、ご答弁をお願いします。

○遠藤市街地整備部長 環境配慮あるいは低炭素型の都市を実現するという観点から、市街地整備の分野におきましても、道路などの基盤施設、建築物、そしてその敷地といった市街地を構成するすべての要素につきまして、環境負荷の低減を行う、そういった取り組みが重要であるというふうに認識しております。
 このため、これまでも風の道となる空間の確保や緑の創出、環境軸の形成、最先端の省エネ機器の導入など、また、地域冷暖房など敷地単位を超えたエネルギーの効率化に取り組んでまいりました。民間開発に対しても、指導、支援に努めてきたところでございます。
 今後の市街地整備におきましては、こういったこれまでの取り組みを一層進める一方で、お話がございました再生エネルギーの活用など、最新の技術を活用した環境負荷の低減策を事業の中に実施していくこと、導入していくことも非常に重要だというふうに考えております。
 また、お話ございましたように、情報基盤といったことも含めまして、地区内、建物内にとどまらずに、面的に広がりを持って取り組みを発展させていくということも非常に重要なことである、このように認識してございます。
 事業地区の外との整合なども図りながら、できる取り組みはぜひ実施してまいりたいというふうに考えますけれども、一方で事業性といいますか、採算性の確保という視点も重要かというふうに思います。
 今後の市街地整備におきましては、このような考え方に立ちまして、環境配慮に積極的に取り組んでまいります。

○長橋委員 ぜひ一層の取り組みをお願いします。
 おとといの我が党の代表質問で震災対策について取り上げました。そういった意味では都市整備として震災対策、なかんずく建物の耐震化、取り組んでいるわけでありますけれども、あわせて、都市整備はそういう分野でしっかりと取り組みをしていただいているわけでありますが、さらには震災が起きた場合に超高層マンションの課題も取り上げましたし、また、大変な混乱が起きるわけでありますけれども、そうしたときに情報伝達をいかに正確にしていくのか、こういうことも重要でありますし、そうした意味では再生エネルギーとともに情報基盤の整備も急がれるところだと思います。
 私は詳しくは存じ上げませんけれども、その分野でも飛躍的に技術が進歩しておりまして、いわゆる情報伝達の容量が、どうしても容量によって限られてしまうわけでありますけれども、それが広がることによって一斉に、または多くの地域、方々に伝えることができるということがあるわけでありますので、そうした情報基盤の整備についても、都市整備局としても配慮して検討していただきたいとお願いをしまして、質問を終わります。

○大島委員 私からも質問をさせていただきます。
 まず、今回の市街地整備の実施方針なんですけれども、東京都が昨年七月に改定した東京の都市づくりビジョンにおいて掲げた、世界の範となる魅力とにぎわいを備えた環境先進都市の創造という、この基本理念を実現するための具体的な分野別方針だということで、今回の実施方針が出されました。
 本方針は、都は、今後の市街地整備において重視する方向や都が果たす役割などを明らかにするとしていますけれども、その土台になっている基本認識はどういうものでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 区画整理や再開発などの市街地整備事業は、活力ある東京の実現に大きな役割を果たしてまいりました。しかしながら、環境、景観といった新たな課題への対応や財源の確保など、市街地整備事業を取り巻く環境は大きく変化しております。
 こうした中、今後、安全で活力と魅力あるより質の高いまちづくりを進めるためには、公が民に働きかけ、民間部門の持てる力を最大限引き出していくことが重要であります。市街地整備の実施方針は、このような基本認識に立って策定したものでございます。

○大島委員 都市づくりビジョンでは、目指すべき都市像として、国際競争力を備えた魅力ある首都への再生を図るとして、今後とも環状メガロポリス構造の実現を目指すとしています。センター・コアを初めとした拠点地域には、業務、ビジネス、商業、文化、飲食サービス等の高度な機能を集積させ、東京圏の都市活力や都市文化をリードするという東京都の目指す都市像があります。
 本方針では、都市づくりビジョンに示した将来像を実現していくためには、これまでの発想や進め方を大きく転換していくことが必要、こういっています。戦略の再構築として、地区の重点化と時間管理の重視、その中で着実に市街地整備を進めるため、都市政策上重要な地区に重点化して集中的に取り組んでいくとしていますが、都市政策上重要な地区というのは一体どこなのか、また、それ以外の地域、このまちづくりはどのように進める考えなのかお聞きします。

○遠藤市街地整備部長 今後、限られた財源をもって効果的に市街地整備を進める上では、選択と集中が不可欠だというふうに考えております。
 実施方針におきましては、重点化の視点、重要な基盤整備を促進させる視点、拠点等の形成を先導する視点など、四つに類型化いたしまして、それぞれにつきまして、今後計画や事業を推進すべき地区を検討地区として例示しております。例示した以外の地区、地域のまちづくりにつきましては、個別に地元におきます合意の状況等を勘案するとともに、四つの重点化の視点に照らしまして判断していくということになります。

○大島委員 この四つ、重点一から重点四まで、この四つなんですけれども、私はこの重点化の視点というのが大きな問題だと思っています。
 まず、重点化の第一に上げているのが重要な基盤整備を促進させることです。ここでは、三環状道路や骨格幹線道路などにもつながる都市づくりを展開する、市街地整備手法を活用して、道路整備とともに沿道のまちづくりに一体的に取り組むことで、土地の高度利用によるさらなる活力の創出を図るというふうにしています。つまり、幹線道路建設につながる市街地整備を進めることが最も重視され、幹線道路建設と一体で市街地整備を行うことで、土地のさらなる高度利用を図ることが強調されています。幹線道路とかかわりのない木造住宅の密集地域の安全化は、これまでどおりの不十分な取り組みで見るべき成果も上げられず、取り残されてしまうのではないかという危惧をぬぐい去ることはできません。住民の地域生活の安全化を図ることこそ、最重点にすべきではないかと思います。
 ここで、環状二号線、それから新橋・虎ノ門地区とか大橋地区などが例示されておりますが、整備後のそれぞれの地区の住居とか業務とか商業施設、教育施設などの延べ床面積はどのように変化するのでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 先ほども答弁の中で四つの視点を申し上げましたけども、その四つの視点の中に優先度、順位はございませんで、どれも四つ大事だということでございます。
 ただいまのご質問でございますけども、環状二号線新橋・虎ノ門地区につきましては、従前の建物の延べ床面積は約十一万五千平方メートル、施行後の延べ床面積は約二十八万二千平方メートルという計画になってございます。
 また、大橋地区につきましては、従前の建物の延べ床面積は約一万七千平方メートル、施行後の延べ床面積は約十万二千平方メートルという計画になってございます。

○大島委員 環二地区の場合は、延べ床面積で二・四五倍になる、大橋地区については六倍になるということで、かなり大規模なものができているのだなということがよくわかります。
 この中で、重点の二に上げているのが、拠点等の形成を先導するということです。市街地整備に当たって拠点開発が最重視されるのは、これを見ただけでは明らかではないかというふうに思います。ここで例示されている中に、足立区の北千住駅東口周辺地区も事業地区ということで入っておりますが、ここは電機大が出てくるということで、今、開発事業が進められているんですけれども、ここの隣には非常に良好な商店街がありますし、また中学校が統廃合された跡地なども残っています。ただ、住宅密集地もすぐそばにあるということで、ここのまちづくりについても、本当に住民の意見をよく聞いて住民合意で進めていただきたいと思いますし、生活拠点として本当に暮らしやすい生活圏を形成してもらいたいというふうに思っています。
 ただ、ここで例示されている中の秋葉原地区とか大手町一丁目地区、さらには羽田空港跡地、これは六ページで課題として上げている国際競争力を強化する拠点形成やインフラ整備に該当する開発です。八王子駅の南口地区、それも例示に入っておりますけれども、いずれも拠点開発で、業務機能などの強化が主目的になっていると思います。専ら、これでは経済力の強化が優先されているといわなければなりませんが、どうでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 重点化の視点の中で触れておりますように、拠点の整備あるいは重要な基盤の整備促進につながる視点、こういったものが非常に重要であるというふうに考えております。
 先ほども答弁の中で申し上げましたように、それにとどまらず、木造密集地域におけます防災性の向上、こういった視点も重要であるというふうに考えております。業務だけを優先させているということではございません。

○大島委員 重点の三番目には、国公有地などの活用により都市機能の更新を図るということになっています。我が党は、国有地や都有地の未利用地、こういうものの活用では、保育所とか特養ホームなども実施したいという事業者には、低額または無償で貸し付けることなどについて東京都に申し入れをしておりますが、しかし、竹芝地区や立川の基地跡地、昭島地区など、ここに例示されているものは業務機能などの集積が中心で、業務機能の強化とそれから高層化を進めるということが市街地整備の最重点になっているといわざるを得ません。
 どの地区も大幅に延べ床面積がふえますし、建設によって東京集中を一層強めるものになります。人や車がさらに集中して、この方針の中でも書いてありますけれども、エネルギー消費による人為起源のCO2排出量が多くなり、地球規模の気候変動による温暖化、ヒートアイランド現象、異常気象などを進行させる、こういう悪循環に陥るのではないでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 都市づくり一般の視点からのご質問だと思いますので、私からお答えいたします。
 東京が今後とも都市としての繁栄を続け、そこで暮らす人々が豊かで安定、充実した生活ができるようにするためには、都市づくりを通じまして、今、担当部長からも説明しましたが、経済活力向上や安全・安心の確保とともに、都市活動に伴う環境負荷の低減に取り組む必要がございます。
 このため、都は三環状道路など骨格的な道路ネットワークの形成を推進し、都心部の通過交通を低減させて道路渋滞の緩和を図ることにより、CO2排出量削減に取り組んでいるわけでございます。
 また、優良な民間開発などを誘導いたしまして、商業・業務など多様な機能を集約した高密度でコンパクトな拠点を形成することにより、建築物単体の省エネ性能の向上だけでございませんで、地区、街区単位で熱効率のよい地域冷暖房の導入を図ったり、あるいは用途ごとにピーク時間の異なるエネルギー利用の平準化が可能となるわけでございます。
 具体的な例を申し上げますと、例えば骨格的な道路で申し上げれば、三月に開通した首都高速中央環状線山手トンネルの整備によりまして、地上部を走る環状六号線、山手通りでございますけども、この交通量が六から一四%減少しまして、朝のピーク時の渋滞が二割減少するなどの効果が実際に出ております。
 また、整備はこれからでございますけども、外環道の大泉ジャンクションから南の区間につきましては、これが整備されますと、環状八号線や首都高速三号線、四号線などを利用していた通過交通が、外環に転換することによりまして渋滞が解消される。当然、自動車の走行速度が高まるわけでございますので、地球温暖化の原因とされております二酸化炭素につきましても、東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県で年間約三十万トン削減されるというような整備効果が期待されているわけでございます。
 また、拠点の形成ということにつきましても、港区六本木の防衛庁跡地を活用した複合開発では、ここではオフィス、ホテル、商業、文化など多様な機能を集約的に計画されて、拠点を形成しているわけでございますけども、こういった機能を個々の単体のビルとして建設した場合と比べまして、集約して拠点を形成することによりまして、先ほど申し上げたような理由で、CO2排出量が約一〇%小さくなるというような試算が報告されているわけでございます。
 したがいまして、広域交通インフラの整備や経済活力を高める拠点の形成というものは、東京を低炭素型の都市へと転換していくためにも重要でありまして、これからも積極的に推進していく必要があると考えてございます。

○大島委員 単体であるものを集約的に拠点に集めることによって、全体としてCO2の削減などにもつながっていくということや、それから通過交通量ということで渋滞がなくなるから、そういうものについては環境にもよくなるんだというお話でした。
 かつて、東京都の都市計画局の総合計画部長とか都市計画局の次長を務めていた東郷尚武さんという方が、二〇〇九年十一月号の「都政研究」、この雑誌に都市機能集中の抑制に向けてという文章を載せています。私、それを読ませていただいたんですけど、ここでは、直下型地震への備えの視点からも、超高層ビルの揺れの問題とか超高層化したビルのエレベーターに閉じ込められる危険とか、帰宅困難者が増加することや、また避難所難民とか高層難民、こうやっていわれるような問題など、これが非常に多くなるんではないかと。安全の視点、それから超高層マンションなどが古くからのまちの雰囲気を損なわせるという景観の視点、こういったところでも問題があるんじゃないかというさまざまな角度から論じていらっしゃいまして、東京には人口も都市機能も集中し過ぎている、東京のこれ以上の都市機能の集中は抑制すべきだ、こういう所見を述べています。
 市街地が抱える課題という中で、都市計画道路の未整備や防災上の問題を抱えている地区の存在、こういったものの課題も残されているという認識をこの実施方針の中で示しておりますが、その課題の第一の中に、安全・安心な市街地の形成というのを挙げています。市街地整備目標の中で、沿道一体整備事業とか木造住宅の密集地域整備、これも取り組んできたと書いてあるんですね。だけども、延焼遮断帯の形成や市街地の不燃化の状況はまだ十分とはいえない。
 また、都市部での局所的な集中豪雨の増加等に対する総合的な治水対策の強化を図る必要がある、これもこの中に書いてあります。こうした取り残された都市の基盤整備、それから防災性、この向上に引き続き注力する、こう書いてあるんですけれども、では、どのように災害に強いまちづくりを進めていくのでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 都は、ことしの一月、防災都市づくり推進計画を改定してございます。重点整備地域内の延焼遮断帯の形成率を、平成二十七年度までに六五%を達成することを目指すとしております。
 木造密集地域におきまして、延焼遮断帯を形成する上では、都市計画道路と沿道のまちづくりを一体的に進めることが非常に重要、効果的であります。この事業におきましては、地権者、権利者の意向を勘案しながら、建物の共同化などの支援を行うこととしておりまして、こうした取り組みを通じまして、都区が連携して重層的に防災性の向上に取り組んできたところでございます。今後ともこうした取り組みを進めてまいります。

○大島委員 先ほどお聞きした中で、防災の視点の問題とか、それから重点の四つというのは順番というのではなくて、これはすべて重要なもので、優先度ではないというような答弁もありました。
 しかし、今のご答弁の中でも、防災都市づくり推進計画で目標値を上げたとはいっているんですけれども、実際にそれがなかなか進んでいない、これが実態だと思うんですね。そして、沿道事業などと一体化して進める、つまりその、専らスクラップ・アンド・ビルド、つまり道路建設とあわせて高層化するということが中心になっているんじゃないかと思います。それでは、実際に災害に強いまちづくりというのはなかなか進まないと思います。
 木造家屋の不燃化と耐震化、これを開発なしに進めていく、こういうことも重視しなければいけないと思うんです。そのためには、以前、私もこの委員会で質問もいたしましたし、また文書質問などでもさせていただいたんですけれども、木造住宅とかマンションの不燃化、耐震化への助成を抜本的に拡充する、こういうことも必要だと思いますし、一室だけの安全性への大幅な助成も必要だというふうに思います。こういうことをやらないと、いつ来るかわからない直下型地震に間に合わないと思うんですけども、いかがでしょうか。

○遠藤市街地整備部長 東京のように密集した稠密な市街地におきまして、防災性の向上、安全なまちをつくっていく上では、その引き金となります基盤の整備が伴う、これが非常に重要であるというふうに考えております。
 先ほど来申し上げておりますように、基盤の整備と沿道のまちづくりを一体的に進める、それも権利者の意向等も十分勘案して進めるということでございまして、こうした取り組みを進めることが非常に重要、また地域からも求められているところでございます。

○大島委員 その密集市街地などにあっては、権利者の意向を十分酌み取った上で、こういうまちづくりをしていくんだということだというふうに思うんですが、それが人口集中との関係、それからまちづくりを高度化、高層化するというような問題、こういうものとちょっと矛盾しているようなところもあるんじゃないかというふうに思うんです。
 私、この間、五月七日に行われました定例記者会見で、石原知事は、東京に人口を含めて集中しているけど、これ以上進むことを私は歓迎しませんし、日本にとっても東京にとってもいいことじゃない、こういいましたね。その認識を示したんです。私、この発言を聞いていまして、どうもその、この発言と現在都が東京集中の都市づくりを進めているというのは矛盾するんじゃないかというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 東京は東京圏全体で首都機能を担っておりまして、この圏域内の三千四百万人を超える人口や諸機能と密接なかかわりを持ちながら、活発な都市活動を展開しているわけでございます。こうした状況を踏まえまして、都は広域的な視点に立って、多様な機能が集約した拠点の形成や、拠点間の連携を強化する広域交通インフラの整備などによる環状メガロポリス構造の実現に取り組んでおるわけでございます。で、これによりまして、都心部だけではなく、多摩におきましても、核都市を中心に自立した圏域が形成されてきております。
 また、より身近な圏域におきましても、区部、多摩を通じまして、既存の都市インフラを生かしながら、駅など生活圏の中心となる地域に都市機能を一層集約した生活拠点の整備を進めているところでございます。
 東京の都市づくりビジョンに基づきますこのような都市づくりは、人口などの一極集中を意図するものではございませんで、これからの東京が人口減少局面へと転じまして、社会の高齢化が進む状況におきましても、都市機能の集約的な再配置などを通じまして、高齢者を含め、だれもが暮らしやすいコンパクトな市街地の形成を目指すものでございます。

○大島委員 今、東京への人口集中を意図するものではないというふうにいいましたけど、少なくとも今の現状を見てみますと、人口だけじゃなくて、事業施設も、そしてその結果として自動車交通も一層集中する、こういう構造になっているんではないかと思うんです。全体としてこの方針でいけば、東京集中が加速するということは避けられないというふうに思います。
 先ほど紹介いたしました東郷尚武さんのこの中に、規制緩和の流れの中で、新宿区が都市計画の高度地区を変更して、建物の絶対高さ制限、これを導入することによって、まちの環境の維持と都市活力を生み出す土地の有効高度利用との間に折り合いをつけて、暮らしやすさもにぎわいも、ともに一番のまちづくりを進めていくということにしたと。それで、地域の都市環境の保全に全力を挙げているということで、これを評価する文章が書かれているんです。で、私も、こういう方向というのは必要だなというふうに思いますが、こうした方向について、東京都はどのように考えているのでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 先ほど来ご紹介されている記事の方が現役でいらっしゃったころと現在の東京を比べますと、例えば大気汚染の状況であるとか、それから都心部におけます風格ある景観の形成だとか、決して当時よりは劣っているということなく、むしろ格段に都市が美しくまたきれいになっているんではないかなということを考えます。
 また、都心部の機能更新につきましても、単に業務機能を集めるということではございませんで、商業や文化、交流など、平日の夜間、土日もにぎわいのある都市空間を形成しているわけでございまして、こういった都市づくりの方向は決して間違っているわけではないというふうに考えてございます。
 また、高度地区のお話がございましたが、こういったものを個々にやるという、二十三区単位でやるというよりは、やはり全体のバランスを見ながら進めることが非常に重要であるというふうに考えてございまして、その一つの区の取り組みだけを取り上げまして、これはいいんだとか悪いんだとか、そのような評価は簡単にはなし得ないものではないかというふうに考えてございます。

○大島委員 東京都がこれから進めようというものについては間違ってないって、これ、書いてあるんだからそのとおりだ、そう、間違ってないっていうんでしょうと思いましたけど、全体のバランスを見ながら考えていくまちづくりというのは、確かにそれも大事なんですけど、その地域の特性とか、そこに住む人たちということを考えると、やっぱりそういうところに合ったまちづくりというのも、どうしても必要じゃないかなというふうに思っています。
 結局、この東京における市街地整備の実施方針というのは、市街地の再編と都市基盤の整備、こればっかりが何か強調されているようで、しかも都市基盤の中では、三環状を初めとする幹線道路建設と沿道の一体整備による大型開発、これを最重点に進めるという方針にしか読めないんですね。東京の一極集中をますます進めてしまうということは明らかですし、そして肝心の生活の場での安全確保への支援とか草の根からの防災対策の促進というのは、なおざりにされているというかなかなか進まない、私は、こういうものこそ、市街地整備の重点のまず第一に置くべきではないかというふうに思います。
 ヨーロッパとかアメリカでは、成長管理政策、こういうものを導入することとか修復型のまちづくりを進めています。国際競争力の強化という名で、経済第一、規制緩和と高度利用第一の都市政策は改めるべきだということを述べまして、質問を終わります。

○加藤委員 私から二点ほど質問をいたします。
 今回策定された市街地整備の実施方針の中で、重点的に取り組む一つの視点として、道路整備と沿道まちづくりを一体的に進め、防災性の向上を図るとしています。その中に、検討地区として、私の地元である鐘ヶ淵地区が挙げられております。
 鐘ヶ淵地区は、本年一月に改定された防災都市づくり推進計画の中でも重点整備地域に位置づけられており、現在、補助一二〇号線鐘ヶ淵通りにおいて、一期区間として、水戸街道側から約三百七十メートルの区間で、沿道一体整備事業が進められています。現地では用地買収も順次進み、沿道で残地を集約した建てかえが進むなど、事業は着実に進んでいると聞いております。昨年末の当委員会でも、防災都市づくり推進計画に関する質疑の中で取り上げさせていただきました。
 そこで、今回の市街地整備の実施方針の策定に当たっても、重点的に取り組む検討地区として取り上げられた鐘ヶ淵地区について、改めて沿道一体整備事業を進める意義及び現在の状況について伺います。

○藤塚民間開発担当部長 木造密集地域であります鐘ヶ淵地区でございますが、小規模な宅地が多く、また権利関係もふくそうしていることから、都市計画道路補助一二〇号線の単独の整備では不整形な残地が生じ、沿道における建物の不燃化や共同化が進まないことが懸念されました。そこで、骨格となる都市計画道路の整備に合わせて、土地の交換分合や残地を取り込んだ建物の共同化など、さまざまな手法を駆使したまちづくりを沿道で進めることによりまして、合理的な土地利用を促進し老朽住宅の建てかえによる不燃化と延焼遮断帯の早期形成を図ることといたしました。
 現在、事業中の一期区間では、全体の約五〇%の道路用地を取得しているほか、沿道まちづくりにおきましては、関係権利者間の調整を積み重ねた結果、一つの街区におきまして、残地を集約した再建工事に着手し、地域内での生活再建を図っております。
 今後も、残る用地の取得と沿道まちづくりを相互に連携させながら、地域の防災性、安全性の向上に向け、一期工事の早期完成を目指してまいります。

○加藤委員 引き続き今後も地元の要望を踏まえて、事業の着実な実施をお願いしたいと思います。
 また、次の区間、いわゆる一期区間の終端から墨堤通りまでの五百三十メートル区間は未着手で、今後の整備が予定されています。しかし、途中で東武伊勢崎線と平面交差のため、まちが鉄道で分断されており、また、一期区間と同様に木造住宅密集地域でもあることなど、都市基盤上も、まちづくり上も課題があります。
 一方、都は、今回策定した実施方針において、今後は総合調整機能を強化するなど、地元自治体に対して、地元住民が参加したまちづくり協議会の立ち上げを初め、合意形成の取り組みを支援するなどと書かれています。
 そこで、地域が抱える課題を解決して、補助一二〇号線の残された区間を整備するための都の役割を伺います。

○遠藤市街地整備部長 お話の補助一二〇号線、鐘ヶ淵地区の沿道一体整備事業でございますけども、墨堤通りまでの約五百三十メーターが現在残されております。地域の防災性の向上等から、早期に事業化が必要というふうに考えております。
 事業の具体化に当たりましては、ただいまのご質問の中にもございましたように、東武伊勢崎線との立体交差化、あるいは鐘ヶ淵駅を含めます周辺地域のまちづくりの検討を進めていくということが必要でございます。このため、現在、地元におきましては、墨田区が中心となりまして設立された懇談会などにおきまして、地域のまちづくりに関する検討が行われているところでございます。
 都は、この地元の取り組みに対しまして、専門家の派遣に支援を行ってきたところでございまして、今後とも、これも含めまして必要な技術的支援を行いますとともに、地元におきますまちづくりの動向を見ながら、事業の具体化に向けて検討を進めてまいります。

○加藤委員 今お話がありましたとおり、まちづくり懇談会にも、まちづくりに関する各種資料の提供や民間コーディネーターなど専門家の紹介を行うなど、バックアップを引き続きお願いしたいというふうに思います。
 このまちづくりと連動した補助一二〇号線の整備は、鐘ヶ淵地区の活性化や防災性を向上させるだけではありません。震災時には、墨堤通りを挟んだ白鬚東地区へ避難するための道路としての役割もあります。また、地域防災計画にも、白鬚東地区はライフラインの復旧活動拠点の候補地としても取り上げられております。いざというときには、全国から多くの人員、資機材を受け入れるための広域拠点となるわけです。したがって、一日も早い整備が必要です。
 前回の質疑でも提案したように、二期区間を、踏切までとその先の区間の二つに分けて整備してはどうかといったことも申し上げましたけれども、そうしたことも含め、都は、地元区など関係機関ともよく連携を図って、一日も早い全線九百メートルを整備していただきたいということを要望して、質問を終わります。

○中山委員 昨年、改定されました都市づくりビジョンの一六一ページに、ビジョンとこれを具体化する分野別計画との関係が記されております。この内容を踏まえまして、東京の都市づくりビジョンと、今回策定した東京における市街地整備の実施方針との関係について改めてお尋ねいたします。

○遠藤市街地整備部長 市街地整備の実施方針は、ただいまお話ございましたように、昨年改定いたしました都市づくりビジョンで示されました東京が目指すべき都市像や戦略を受けまして、主に市街地整備の分野からこれを具体化するための事業の実施方針でございます。
 この方針は、市街地整備の分野で目指すべき方向や重点的に取り組む施策を明らかにし、地元自治体や民間部門の具体的な行動を促し、より質の高い都市を実現することをねらいとしたものでございます。

○中山委員 ただいまのご答弁で、地元自治体や民間部門の動きを促す云々というご表現がございました。
 都市づくりビジョンの一六一ページにございます分野別計画のうち、多摩の拠点整備基本計画、防災都市づくり推進計画、緑確保の総合的な方針は既に策定されまして、今回、市街地整備の実施方針が策定されることになっております。残るは、法定計画であります都市計画区域マスタープランが、石原知事が反対の方向を強く打ち出しました用途地域の指定権限の問題などを含みます都市計画法の改正の動きを見据えた上で、今後、策定に取り組まれるものと認識しております。
 しかしある意味、都市計画区域マスタープランは、個々の都市づくり事業を積み上げた上で総合的に俯瞰する意義を持つものであると思いますから、実質的には、今回の市街地整備の実施方針の策定によって、改定都市づくりビジョンの基本方針の明確化が一応のけじめをつけていくことになるのではと個人的には認識しております。
 一方、市街地整備の実施方針で具体的に取り組まれる事業には、事業中地区と検討地区の二つがございます。このうち、改定都市づくりビジョンや今回の市街地整備の実施方針に新たに組み込まれました内容については、特にこの検討地区において具現化されていくものであろうと考えております。この検討地区は、実施方針本文に個別内容が記載されているものだけでなく、巻末の別表に列記されるものや、今はまだ煮詰まっていませんけれども、今後新たに地元区市等での要望が高まっていく案件についても、今回の実施方針に基づく検討地区として、随時格上げが可能であるというようなご答弁があったと思います。このように、多くの身近な地域、しかもそれぞれの地元で拠点となる地域で、場所で、都市づくりビジョンの内容を具現化していくのが実施方針であり、私は個々のまちづくり事業を通した東京の発展計画として極めて重要であると考えております。
 そこで、実施方針では、市街地整備の目標に、これまでの活力・利便や防災に新たに環境を加えていらっしゃいますが、その意義についてお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 昨年改定になりました都市づくりビジョンは、都市全体の環境の負荷の低減、豊かな緑や美しい景観の創出など、環境や景観を重視した環境先進都市東京の創造、これを基本理念といたしまして、さらに一段高いレベルの政策誘導により都市づくりを推進していくということにしてございます。
 この実施方針は、このことを受けまして、少子高齢化や右肩上がりの経済成長が望めないこれからの時代におきまして、東京がより働きやすく暮らしやすい都市として成長を遂げていく上で、市街地整備の分野におきましても、地球環境を見据え、環境や緑、景観など、新しい要素を重視した都市づくりを進めていくことが必要、このような認識に立って策定したものでございます。
 特に東京のような稠密な市街地では、エネルギー消費によりますCO2の排出量が多くなってございまして、これからの市街地整備では、建築物の単体ではなく、地区全体としてエネルギー消費が少ない都市を目指すことが求められております。こうした認識に立ちまして、市街地整備の目標に新たに環境を加えたものでございます。今後、都市づくりのあらゆる段階で、環境負荷の軽減につながる取り組みを進めてまいります。

○中山委員 今、ご答弁の中で、エネルギー消費の少ない都市云々という表現がございましたけれども、これは極めて重要であると思っております。それを一歩進めていけば、都市としてのエネルギー政策ということになります。
 一部には、高層ビルはだめだとか、高速道路はけしからぬというお考えの方もいらっしゃるようですけれども、高層ビルには一切出入りをしないということでもないでしょうし、高速道路に一切乗らないというわけでもないと思います。しかし、こうした論議を進めていくと、まるで江戸時代の長屋でかごに乗って暮らせといっているようにも聞こえてしまう場合もあります。
 私は、都の特区制度により、省エネ技術や省エネ工法の開発、導入が大きく進んでいるのは事実だと思いますし、高速道路整備により都内交通の渋滞が緩和されているのも、先ほどご答弁がありましたように、事実であると認識しております。その上で、エネルギーの大消費地である東京が、自然エネルギーや省エネ技術の活用に加え、空気中に放出される都市排熱の再利用を進めて、ヒートアイランド現象の解消を図る意義は極めて大きいと考えます。
 今後、環境というキーワードが都市計画上で論議されていく場合、特に重要となる点は、開発行為単位の省エネの取り組みにとどまらない、熱エネルギー供給などの、先ほども長橋理事からお話がございましたけれども、面的な省エネの取り組みという視点ではないかと思います。この点は、都市づくりビジョンの一八ページにも、低炭素型都市への取り組みということで詳しくいろいろな事柄が載っております。
 パリやベルリンでは、これは私も教えていただいたわけですけれども、昔から寒いということで、暑さ、熱を供給するためのパイプラインというものがまち並みに整備されている、そういうのがございました。そうしたものを、これから東京の中で必要に応じてどのように組み入れていくことができるのか、地域冷暖房というようなものも、各地域単位で、都市づくりビジョンの一八ページにもございますけれども、下水道施設や清掃工場などの廃熱利用などと表現されておりますが、熱源はそれぞれの地域冷暖房ごとに違うかもしれませんけれども、そうしたものを結んでいくことができないかというようなことも次の課題になってくるんではないかと思います。そうしたときに、どう結ぶのか、蒸気で結ぶのか、何で結ぶのか、そうしたものを東京として考えておく、共通の認識というものを構築しておく、そうしたことによって、民間も動きやすい、反応しやすいということが出てくると思います。
 公共と民間が連携して質の高いまちづくりを行っていくには、民間部門が反応しやすい、動きやすい仕組みを構築していくことが重要であります。このために、都はこうした民間の動きを促すような情報発信や取り組みが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 東京の市街地整備、今後もより質の高いまちづくりを進めていく上では、お話ございましたように、民間部門の持てる力を最大限引き出していくことが重要だ、このように認識してございます。このため、都は、今回の実施方針におきまして、今後の市街地整備の分野で目指すべき方向や、重点的に取り組む施策を明らかにしたところでございます。
 さらに、今後、民間部門が行います個別の事業プロジェクトにつきまして、都市計画的な整合を図りつつ、有効な規制緩和策を適用することによりまして、プロジェクトの事業性を高め、民間の取り組みを促進してまいりたい、このように考えております。
 あわせまして、都のホームページやパンフレットなど、さまざまな媒体、さらには民間事業者との意見交換などを活用しまして、まちづくりの事例紹介、都の支援策についての情報提供などに努めてまいります。

○中山委員 今のご答弁の中で、効果的な規制緩和云々というご表現ですとか、あるいは民間との意見交換というようなことが出てまいりました。これは大変大事なことであろうと思っております。
 先ほど申し上げました地域冷暖房と地域冷暖房を結んでいくときの媒体、また、前にも別の機会で、当委員会で申し上げさせていただきましたユビキタス技術等を活用するため、都市インフラの整備、そうしたものを通しても、やはり道路というものの認識、使い方というものが、これからの時代は明らかに変わってくる可能性がある。そうしたものに向けて、民間の意見を聞いたり、規制緩和の動きというものを、東京都がむしろ先取りして国に提案していくというようなことが非常に大事ではないかというふうに思います。特に民間との意見交換を通じて、できればその内容をひとつ、ワンクッション置いて整理して、まとめて広く情報発信していただくことが、さらに民間が反応しやすい動きになっていくんではないかと思っております。
 そして、私がもう一つ注目しておりますことは、エリアマネジメントということでございます。エリアマネジメントは、事業完了後も事業目的に沿ってまちの管理、運営が取り組まれていくことによって、まちの資産価値も高まりますし、また、そもそもの事業目的そのもの、環境とか景観とか、そうした取り組みの実効性が高まっていくというものであると思います。また、つくって終わりというのではなくて、継続的な事業展開を取り組むこと、可能とすることによって、ある意味、企業に対しても、社会的責任という位置から新たな事業展開への関心というのを広げていくであろうと思います。
 かつて石原知事は、東京のまちはごみ箱をひっくり返したようというような表現を使われましたけれども、これはある種の景観上の問題かもしれませんが、例えばエネルギー政策ということについても、環境の取り組みという点についても、情報通信のまちとしての取り組み方の問題にしても、交通渋滞を緩和するための取り組みとしても、あるいは防災の取り組みとしても、それが、ある意味ごみ箱をひっくり返したように、個々ばらばら、さまざまな取り組みをしているというのではなくて、効果的にきちっと運営されている。その運営というところは、やはりこのエリアマネジメントの視点を持って、やはり社会的責任から、さまざまな方々に分担をしていただきながら取り組んでいただくということが大事になってくるんではないかと思います。
 計画段階から事業完了後の管理運営までを見据えたまちづくりを進めることが重要であり、このため、エリアマネジメントの導入を図っていくことが必要と考えます。都として、エリアマネジメントの普及、促進に当たってどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○遠藤市街地整備部長 区画整理や再開発などによりまして整備されましたそれぞれの市街地におきまして、事業完了後も良好な環境を維持し、まちの価値を高めていくためには、地域が主体となって、まちの運営に取り組むことが重要でございます。例えば汐留地区でございますけども、汐留地区におきましては、区画整理事業が行われたこの地区全体にわたりまして、地権者により組織されたまちづくり協議会が、行政ではなし得ないにぎわいと魅力あるまちづくりを行いまして、このことを通じまして、まちの価値を高めていく、こういった取り組みを進めてございます。道路管理を行政から受託したり、イベント活動などを積極的に展開しております。また、この活動の経費は、組織に参加する権利者からの拠出金、道路管理者からの委託金、それと広告収入などで賄われております。
 さらに、この汐留地区の西側部分でございますけれども、この地区におきましては、イタリア街といたしまして、イタリアの景観を模したまち並みをつくり、道路と建築敷地とを一体的に管理をしているというふうな取り組みがございます。こうした取り組みは、ニューヨークなどで行われておりますBIDと呼ばれる手法を日本にも取り入れようとして、極めて先駆的なものでございまして、今日の我が国におけますエリアマネジメントの原点となったものというふうに考えております。
 都といたしましては、今後、このような地域の活動が広く他の地区にも普及することを目指しまして、先進的な事例の紹介、推進役となる人材の育成、さらには活動に必要な資金を確保するための仕組みの検討など、エリアマネジメント促進に向けた取り組みを進めてまいります。

○中山委員 今、エリアマネジメントの財源の問題まで踏み込んでいただいて、ご検討が進んでいるということで大変安心をいたしました。また、地下広場、地下空間のお話も出ましてですね、先ほど私は道路ということについていいましたけれども、これもまた新たな都市の財産として、地下広場の活用、連携というものの可能性というのが広がっていくのではないかというふうに思います。
 いずれにしても、こうした環境の取り組みとか、あるいはエリアマネジメントの視点によって、公共部門と民間部門が連携して東京の市街地整備を進めていくということは非常に大事な視点であると思います。いわばこれは、市街地整備ニューディールといってもいいような、新たな東京の経済的な成長戦略のかなめとなっていくものではないかと思います。もちろん、中小企業支援とか、そうしたことも当然大事なんですけれども、と同時に、こうしたまち並みをどうつくっていくかということを通じて、東京の本当の意味での活力というものも導き出していけるというふうに思っております。
 そうした意味で、実施方針では、市街地整備の目標に新たに環境を加えるとともに、公共と民間の連携の必要性を打ち出していらっしゃいます。また、実施方針の実施に当たっては、関係局との連携による共同体制のもと進めていく必要があると考えております。これは非常に大事だと思います。民間の知恵というのは、これは何々局向けとか何々局向けというのはありません。いろいろなものが、いろいろな局の方々の連動が必要になってまいります。
 そこで最後に、今後の市街地整備をどのように進めていくのか、河島都技監にお伺いをいたします。

○河島東京都技監 私が都庁に入って最初に携わった仕事は、新宿区の西大久保地区の市街地再開発事業でありました。いわば市街地整備というのは、私の都庁の仕事の原点ともいえる、そういう仕事であります。
 まちづくりというのは、よりよいまちにしたい、それからよりよいまちに住みたい、あるいはよりよいまちで営業したいといった思いがベースになるものでございますが、そういうことは一人一人の個人的な努力では実現できません。このような、よりよいまちにしていきたいという思いを実現するために、地域が一体となって進めるまちづくりの取り組みというものを支える重要な事業手法が区画整理や再開発などの市街地整備事業であります。
 先ほどの質疑の中にもございました白鬚西地区の事業完了の祝賀会に、三月末にお招きをいただいて行ってまいりました。地元の町会長さんが、事業の最初のころは反対運動などもあって、なかなかご苦労されたと。しかしながら、都と話し合いを重ね、事業の進め方に納得できるようになった後は、まちを挙げて事業の推進に協力し、その結果、このように安全で立派な美しいまちができた、今はこの再開発ができたことを心から喜んでいるというふうにおっしゃっていただきました。大変私はうれしく思いました。長い時間の中で、地域の人と人のつながりも強化されて、そして白鬚西では、今は、先ほどもお話のあったようなエリアマネジメントの先進的な地区として、地域の活動が行われているということであります。
 今回ご報告をいたしました市街地整備の実施方針は、都の立場から、今後どのような市街地整備に重点的に取り組み、そしてどのように進めていくのかということを、できるだけわかりやすく明らかにしたものでございます。もちろん、これ以外に区市町村や民間が中心となって進める地域に密着した市街地整備についても、今後とも、都として積極的に支援していくことについては何ら変わりはございません。
 都は、東京全体の広域の視点から必要となる都市づくりに責任を負っているわけでございますが、こうした都の立場から、今後重点的に取り組む市街地整備として、基盤整備の促進、拠点形成の促進、あるいは防災性向上に資する道路と沿道の一体的なまちづくりなどを挙げているわけでございます。具体の事業を進める際には、環境、景観といったこれからの時代に求められる視点、それから民間活力の活用など、公と民の連携を一層強化してスピーディーに事業を進めていく視点、あるいは先ほど来質疑で深めていただきましたが、事業完了後においても、まちを育て上げていくエリアマネジメントの視点、こういったことをこれから重視していきたいというふうに考えております。
 また、今もご指摘がございましたが、関係各局の連携を十分に図って効果的に事業を展開するとともに、都がこれまでの取り組みによって培ってきた経験やノウハウ、さらには技術力を備えた人材を大いに活用して、事業の促進を図っていきたいというふうに考えております。
 今回ご報告させていただいた本実施方針に基づきまして、今後とも国際競争力を備えた環境先進都市の実現に向けまして、東京の市街地整備にしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

○中山委員 今、都技監から、市街地整備が原点となるお仕事というご認識をいただいて、大変感動した次第でございますけれども、また都市整備局長が都技監になられたということの意味も、ここで、また市街地整備を通しての東京のまちづくりの大きな各局連携の中で成果を上げていただくようお願い申し上げます。
 最後に四点ほど、ちょっと細かいことですが、要望させていただいて終了させていただきます。
 一つは、都市づくりビジョンは、二〇二五年までを視野に据えて策定されていらっしゃいますけれども、今回、改めて強く公共と民間との連携ということが打ち出されました。その中で、さまざまな意見というのが出てくると思います。その意見の内容を分析していただくと、まず二〇一六年までの十年後の東京の集中的に取り組む期間にすぐ生かせるものとなかなかそこでは生かし切れないものとあると思うんですね。そうした新たな視点というものが必要になっていくものについては、できれば、都市づくりビジョンの改定の時期といったら、ちょっと先の話で随分恐縮ですけれども、二〇一六年という一つの節目にもう一度取り組んでいただく必要があるんではないかというふうに思います。
 二点目は、安心、防災という点で、事前復興というものを市街地整備にどう取り組んでいくのか、取り込んでいくのかということを、やはり少し民間が反応しやすい、言葉を繰り返して恐縮ですけれども、そういうものとして情報発信をしていただきたいというふうに思います。
 そして三点目は、この地区、検討地区というものが、自然発生的に、理想的に、各地元区市から、民間から出てくればいいわけですけれども、せっかくいろいろな事柄を、体制を用意したけれども、なかなか出てこないという場合もありますので、やはりこれを誘導していただくための取り組みというものもお願いしたいと思います。
 そして最後に、豊かな住生活の実現というのが基本戦略として都市づくりビジョンの二一ページに出ておりますけれども、この視点を、住まいやすいまち並みということで、住宅マスタープランの改定等にも具体化していただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○尾崎委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○尾崎委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承を願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十九分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る