都市整備委員会速記録第三号

平成二十二年三月十八日(木曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長尾崎 大介君
副委員長きたしろ勝彦君
副委員長今村 るか君
理事宇田川聡史君
理事長橋 桂一君
理事大塚たかあき君
加藤 雅之君
吉住 健一君
くりした善行君
しのづか元君
大島よしえ君
興津 秀憲君
中山 信行君
山田 忠昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長技監理事兼務河島  均君
次長岳野 尚代君
技監升 貴三男君
理事加藤 英夫君
総務部長石野 利幸君
都市づくり政策部長安井 順一君
住宅政策推進部長紺野 秀之君
都市基盤部長座間  充君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長瀧本 裕之君
都営住宅経営部長清水 文夫君
企画担当部長横溝 良一君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
民間住宅施策推進担当部長宇多田裕久君
航空政策担当部長邊見 隆士君
外かく環状道路担当部長野崎 誠貴君
民間開発担当部長石川  進君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
耐震化推進担当部長町田 修二君
経営改革担当部長岡沢  裕君
再編利活用推進担当部長中島 俊明君
建設推進担当部長山口 幹幸君
営繕担当部長荒川 達夫君
参事田崎 輝夫君
参事大塚 高雄君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
  予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備委員会所管分
・第十二号議案 平成二十二年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 平成二十二年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 平成二十二年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 平成二十二年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・第十八号議案 平成二十二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十一号議案 平成二十二年度東京都都市再開発事業会計予算
  付託議案の審査(質疑)
・第六十八号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 東京都高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
・「緑確保の総合的な方針」(案)について

○尾崎委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成二十二年度予算につきましては予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十二年三月十五日
東京都議会議長 田中  良
都市整備委員長 尾崎 大介殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(金)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 都市整備委員会所管分
第十二号議案 平成二十二年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三号議案 平成二十二年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四号議案 平成二十二年度東京都都市開発資金会計予算
第十七号議案 平成二十二年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八号議案 平成二十二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十一号議案 平成二十二年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○尾崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより、予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備委員会所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案、第十八号議案、第二十一号議案、第六十八号議案、第六十九号議案及び報告事項、緑確保の総合的な方針(案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○石野総務部長 去る二月二十二日の当委員会で要求がございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料(二月二十二日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 平成二十二年度当初予算案関係の資料は、1の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績から、13の首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路、首都高速中央環状線の事業費及び進捗状況(都内区間)までの十三件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 都営住宅建設事業における工事発注実績につきまして、資本金三億円以下または従業員数三百人以下の中小企業への発注実績を財務局契約、当局契約の別に記載してございます。
 二ページをごらんください。2の都営住宅の管理戸数・空き家戸数・募集停止をした戸数でございます。
 都営住宅の管理戸数及びその空き家戸数を事業用、募集用の別に記載してございます。あわせて、管理戸数の外数として募集停止戸数を記載してございます。
 三ページをお開き願います。3の平成十九年八月二十五日以降使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
 平成十九年度から二十一年度までの使用承継事由発生件数と、その発生件数のうち使用承継の申請のあった件数及び許可件数を記載してございます。
 四ページをごらんください。4の全国、東京都及び大都市の民営借家の一カ月当たりの家賃・間代の比較でございます。
 民営借家の一カ月当たりの家賃、間代について、全国、一都三県及び全国大都市の平均金額を記載してございます。
 五ページをお開き願います。五ページから六ページにかけまして、5の東京都の耐震診断・耐震改修助成実績を、(1)では木造住宅、(2)ではマンションにつきまして、平成十九年度及び二十年度の耐震診断件数、耐震改修件数を地方公共団体ごとに記載してございます。
 七ページをお開き願います。七ページから一二ページにかけまして、6の都及び区市町が実施している耐震診断・耐震改修の助成一覧を記載してございます。
 七ページから九ページには、都及び区市町が実施している耐震診断の対象となる建築物、補助限度額、補助率をそれぞれ記載してございます。一〇ページから一二ページには、都及び区市が実施しております耐震改修の対象となる建築物、融資限度額または補助限度額、利子補給率または補助率をそれぞれ記載してございます。
 一三ページをお開き願います。7の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の推移でございます。
 表頭の期間内に、都市計画決定または許可を受けた地区数及び延べ面積を制度ごとに記載してございます。
 一四ページをごらんください。8の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の件数、延べ面積でございます。
 制度ごとに地区数、区別状況、延べ面積を記載してございます。
 一五ページをお開き願います。9の都市再生特別地区ごとの指定容積率に対する都市再生特別地区で定めた容積率の増加状況及び延べ面積の推移でございます。
 (1)には地区ごとに、用途地域に関する都市計画で定められている容積率である指定容積率、都市再生特別地区で定めた容積率及びその容積率の増加状況を記載してございます。(2)には、各年度の延べ面積の推移を記載してございます。
 一七ページをお開き願います。10の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況でございます。
 平成二十一年十二月末までに建築確認済みの高さ百メートル以上のビルにつきまして、竣工またはその予定日が平成十八年度から二十二年度のものを、次のページにかけまして名称、高さ、延べ面積について年度別に記載してございます。
 一九ページをお開き願います。11の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移でございます。
 千代田区、中央区、港区の都心三区、これに新宿区、渋谷区を加えました都心五区及び二十三区の別に、過去十年間の業務床面積の推移を記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。12の都心三区、二十三区、多摩地域の建物床面積の用途別内訳の推移でございます。
 区域別に、住宅・アパート、事務所・店舗等、工場・倉庫、その他に分けまして、面積及び構成比を過去十年間にわたり記載してございます。
 最後になりますが、二一ページをお開き願います。13の首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路、首都高速中央環状線の事業費及び進捗状況でございます。
 区間または路線別に、延長、概算事業費及び進捗状況を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○尾崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○興津委員 それでは、お許しをいただきまして、大きく三問質問させていただきたいと存じます。
 初めての予算委員会でもありますので、慎重に私も取り組んでいきたいなというふうに思っておりますが、まず、予算書の八ページでしょうか、隅田川景観誘導調査にかかわりまして一、二点ほど質問させていただきたいと存じます。
 「十年後の東京」への実行プログラムにあるとおりに、隅田川ルネサンス推進協議会が立ち上がるというふうに承っております。過日の予算委員会でも都知事の前向きな発言がありました。
 今回、予算書には隅田川景観誘導調査として新規の予算が組み込まれております。この新規の予算ですが、そもそも隅田川を抽出した理由並びにこの事業内容について、まずはお聞かせいただきたいと思います。

○大塚参事 隅田川のみを抽出した理由と、それから事業内容というお尋ねでございますが、隅田川は江戸の昔から、にぎわいと情緒のある空間として庶民に親しまれてきた経緯がございます。その景観は、現在におきましても東京を代表する資産として、次代に継承されるべき特別な価値を持っているものと考えられます。
 こうしたことから、都は、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇におきまして、隅田川のにぎわいを取り戻す取り組みであります隅田川ルネサンス、これとともに東京を代表する水辺空間であります隅田川の景観形成、こういった取り組みを位置づけたところでございます。
 こうした位置づけのもと、来年度は新たな景観形成施策の展開に向けまして、沿川の建物等を対象とした現況調査を行うこととしたものでございます。

○興津委員 わかりました。この中で、ただいまご答弁いただきましたとおり、東京都民にとって親しまれている場所であるということと同時に、隅田川が特別な場所であるというようなご答弁をいただいております。この件に関しまして、また後ほど一言差し上げたいと存じます。
 続きましてですけれども、今回の誘導調査の現況調査費が計上されているわけであります。調査費ということでありますので、その成果物というものが、最終的には報告書なりなんなりという形でもって報告されるものかなというふうに理解をしております。そして、その成果は隅田川河川の景観計画にかかわるものであると思います。例えばカミソリ堤防とか、デッキとか、ビルの建て方とか、建ち方にかかわることになろうかと思います。
 その際に、今後の計画として、具体的に景観にかかわる計画を立てる東京都として指導するという事業に展開するのかどうか、東京都が指導していくかという点を重点にお聞かせいただきたいと思います。

○大塚参事 隅田川の景観形成を図っていくためには、今申し上げた現況調査の結果を踏まえまして、効果的な方策を検討していくということが重要かと思います。
 具体的には、地元区などと連携しながら、川に顔を向けた建築デザイン、それから水辺に開かれたオープンスペースの実現などに向けまして、隅田川周辺を新たに景観計画に基づく景観誘導区域に指定していくということを検討してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、水辺とその周辺の建物が調和した魅力ある景観を東京都は誘導していくというふうに考えてございます。

○興津委員 この景観を、魅力のある地域をつくっていきたいということであろうと思います。
 そして、それをつくるためにはなんですけれども、土地の所有者さんですとか建物所有者さんにご協力いただかなければならない制度になってくるんだろうと思います。制度の構築についてのお考えをお示しいただきたいと存じます。
 また、今後、都の施策において予算措置も視野に入れる必要性も発生することもあるのかなと思ったりもします。具体的な施策が今後ありましたらお聞かせいただきたいと存じます。

○大塚参事 隅田川周辺を美しい水辺空間として育てていくためには、やはり河川沿川の関係住民と行政とが協力しながら景観づくりを進めていくことが重要でございます。このため、景観計画に基づく景観誘導区域の指定など制度の構築に当たりましては、関係住民の理解や協力が得られる仕組みとなりますよう、地元区との協議などを踏まえまして十分に検討を行ってまいります。
 また、今回の施策の大きな目的は、あくまで河川沿川の建物に対する規制誘導を柱とした取り組みを行うことにより、隅田川周辺の魅力ある景観形成を目指していくものでございまして、具体的な施策につきましては来年度から検討していく、こういうことでございます。

○興津委員 わかりました。
 この質問に関しましてはまとめますが、今まさしくご答弁がありましたとおりに、規制誘導していくという単語もありました。東京都がこのような調査費というものを計上し、そして誘導していくということに関して、その土地の所有者さんとか建物の所有者さんのご協力を今後いただかなきゃいけないという部分があるわけであります。例えば、カミソリ堤防を直していくということになれば、護岸整備をするためにはどうすればいいか、どうしていかなきゃいけないのかということも出てくるわけでありますし、建物の壁面後退をするということであれば、土地の所有者さんのご協力をいただくということも発生してくるわけであろうと思います。
 ということであれば、その計画を持った東京都がその実行施策に向けて、予算等々を踏まえて今後事業計画が進捗していくのかなというふうに考えるところもあるんだと思ってしまうところもあるんですが、今回、とりあえず誘導するということであろうと思いますので、そのように承っておきます。と同時に、今後検討されるということでありますので、検討していただきたいと思います。
 そしてなお、一言申し上げるとするならば、隅田川が特別であると、スペシャルであるということでありますが、河川は東京都にはそのほかにもあるわけでありますので、その辺もあわせて考えていただけるのであれば、私どもの地区、多摩地域の方にもありますので、考えていただければありがたいということを一言付言させていただきます。
 続けます。同じページなんですが、歴史的建造物を中心とした景観形成事業についてお伺いさせていただきます。
 今回、この予算委員会において、我が党、民主党より質問させていただいていますが、この施策は、歴史的な建造物の保存を目的として修繕等の補修をするという事業であると伺っております。この事業の予算といたしまして五千万円という金額が組み込まれています。
 この制度の仕組み、これを少し細かく教えてください。

○大塚参事 制度の仕組みでございますが、都民にとってなじみが深く、時代の重みを感じさせる、いわゆる都選定の歴史的建造物は、地域の特色ある景観を形成していく上で重要な役割を担っていると考えています。
 このため、建造物の保存を側面から支援する仕組みといたしまして、都の予算から五千万円を拠出するファンドを創設し、民間が所有する歴史的建造物を対象に修繕に要する費用の一部を助成することといたしました。この取り組みを通じまして、建造物の着実な保全を進めるとともに、これらを中心として魅力ある地域景観の形成に努めてまいります。

○興津委員 ありがとうございます。
 ただいまご説明いただいたとおりでありまして、ファンドを組んでいくということであると思います。ファンドを組むということになると、この五千万円が全体金額ということではないということになろうかというふうにも承っております。
 この五千万円という金額だけで運用されるということではなく、これを原資にファンドを組むということですけれども、このファンドの組み方あるいはその目途ですね、やり方とでもいいましょうか、その辺の施策の概要があったらお聞かせください。

○大塚参事 ファンドの組み方、目途等でございますが、歴史的建造物は地域の魅力を高めていく上でかけがえのない存在であります。こういったことから、社会全体で建造物の保存や修復を応援していくということが極めて重要かと思います。
 このため、ファンドにつきましては、都の資金に加えまして、都民や企業から寄附を募ることとしております。あわせまして、財団法人民間都市開発推進機構がまちづくりを目的とした事業を支援するために資金提供を行っている公募型の制度に応募いたしまして、ファンドの充実を図っていくということでございます。
 なお、民間都市開発推進機構は国の指定を受けた財団法人でございまして、国からの援助を受けまして、民間事業者が行う良好な都市開発事業の仕組みなどに対して、資金や情報提供などさまざまな支援業務を行っている団体でございます。
 今後は、このファンドを通じまして、毎年度二件程度の建造物に対して助成を行い、歴史的建造物の着実な保全を推進してまいります。

○興津委員 わかりました。東京都が選出した歴史的建造物というものを保全していくためのファンドを組み、そしてそれはまた社会全体としても応援していくんだという立場から、都民あるいは企業さんからも資金を募ってやっていくんだということなんだろうと思います。現下の経済状況からすると、募金とか寄附といいましてもなかなか厳しい状況もあるのかなと思ったりもしますので、ここはエールを送らせていただきます。ぜひとも頑張ってやっていただきたいと存じます。
 そして、最後ですけれども、この施策を使いやすい制度にするということもまた必要でしょう。また、受けとめる側といたしましても、土地、建物の所有者さんにとっても、保存することにおいての利便性といいますか、有意性といいますか、それがないと、保存したくても所有者さんのご協力を得ることができないということも想定できるのではなかろうかと思います。
 今後どのような施策を考えていらっしゃるのか、その点に関しましてお聞かせいただきたいと思います。

○大塚参事 使いやすい制度ということでございますけども、歴史的建造物がまちに溶け込み、地域の顔となっていくためには、その現状が保存されるだけでなく、利用され続けることが重要だと思います。
 このため、ファンドの制度を検討するに当たりましては、歴史的建造物としての価値を尊重しつつ、修繕の種類や方法に柔軟性を持たせるような、建物所有者にとって使いやすい仕組みとする必要がございます。
 今後、国内他都市の事例や建物所有者の意向なども参考にいたしまして、制度の詳細について十分な検討を行ってまいります。

○興津委員 わかりました。ありがとうございます。
 では、この質問に関しましてもここでまとめますが、ある意味、使いやすい制度といいますか、例えば税の減免とか、そういったような措置ですとか、そういったことも踏まえて、他都市の事例というものを十分に参考にしていただいて、歴史的建造物を守っていくべきものをしっかりと後世に伝えていっていただきたいということを重ねて要望とさせていただきます。
 それでは、大きな質問の三つ目ということで最後にさせていただきます。
 航空行政に関してです。羽田空港の再拡張、国際化、横田基地の民間航空利用という項目がありました。そこにつきまして若干質問させていただきたいと存じます。
 都知事の施政方針に、羽田空港の再拡張、国際化というくだりにおきまして、羽田空港は、従来の自治体の枠組みを超えて国に無利子貸付を行うなど、再拡張、国際化のために重ねた努力が実を結び、十月に新滑走路と国際線ターミナルが完成し、宿願である大幅な容量拡大が成就いたします。既に、年間約六万回の国際線定期便の就航が決定しており、アジア諸都市だけではなく、北米、欧州へも飛び立つことができる二十四時間利用可能な国際空港となります。今後も、羽田空港の昼間の国際線発着枠を拡大し、生まれ変わった羽田空港が、さらに高い次元で日本と世界をつなぐ役割を果たすことを目指してまいりますと高らかにうたってあります。
 また、自民党の川井幹事長におきましての代表質問に答える形で、羽田空港をどのように生かすかについてでありますが、羽田は、国際線と国内線をあわせたハブ空港として我が国の経済を活性化し国際競争力を強化するなど、我が国の将来を左右する極めて重要なインフラでありますとありました。中略ですが、そしてその先には、やっぱり国際線も飛ばして、要するに、日本で確固としたハブ空港にしようということを国交省とも内々決めて臨んできましたとあります。そしてさらに、これだけ集中、集積が進んでしまった首都圏に主なビッグビジネスがあるわけでありますから、やっぱり首都圏がその気になってやらないとだめなんですという形で、羽田空港のハブ化に向けて、国との交渉も踏まえて邁進していくという向きのご答弁があります。
 そこで質問ですけれども、今後、都としては羽田のハブ空港化についてどのようにお考えなのか、どのような施策を進めているのか、成田空港、羽田空港との関連性、協調性、またあるいは競合性について、施策の方針等をお示しいただきたくお願いいたします。

○邊見航空政策担当部長 羽田のハブ空港化についてでございますけれども、羽田空港は、ことし十月に本格的な国際空港として生まれ変わることとなりますけれども、羽田は現在、国内のハブ空港となっておりまして、そこに昼夜合わせて年間約六万回の国際定期便が就航することによって、まさに国内、国際のハブ機能を備えることとなります。
 一方、成田についても、国内線の導入を進めることによりましてハブ機能の強化を図るとしてございます。
 現在、アジアの主要空港のうち、例えば韓国の仁川空港は我が国の多くの空港と路線を開設しておりますけれども、国内各都市から仁川空港で乗り継いで海外へ行く利用者は年間十七万人程度でありまして、成田空港で乗り継ぐ五十二万人よりもまだまだ少ない状況にございます。また、北米との就航便数についても、仁川空港は成田空港の半分程度しかないという現状にございます。
 ただ、利用者の伸びを見ますと、いつまでも成田などが優位な状況が続くとは限らないわけでありまして、我が国の空港が将来においても国際ハブ機能を担っていくには、羽田、成田の両空港が相まって機能強化を図っていくことが重要であるというふうに考えてございます。

○興津委員 わかりました。成田との連携を保ちつつというご答弁なんだろうと思います。
 ただ、石原都知事のご答弁だけを素直に読み込んでいきますと、私の感ずるところ、いわせていただければ、羽田空港をハブ化するんだというふうに私は感じ取ることができます。そうなってきますと、そのほかの成田あるいは関空とか、日本全体でいえばその辺との競合性というものが今後生まれてくるであろうということを危惧いたします。でありますが、羽田という日本の首都であります東京に近いところである絶対的な地位の優位性から考えたときには、それはそれとして一定程度の理解を示すものでもあります。
 そこで、もう一点お伺いさせていただきたいんですが、本年十月からの離発着回数の増加、深夜早朝便の就航等に伴ってどのような利便性が高まっていくんでしょうか。これに伴う公共交通機関、アクセスの対応について、現在までの対応策等の到達点あるいは今後の計画をお知らせください。

○邊見航空政策担当部長 羽田の利便性向上につきましては、ことし十月の供用開始時には、既に北米、欧州、シンガポール、香港、台湾など多くの国々との就航が確定しておりまして、世界の主要都市と首都東京とをダイレクトに結びつけることが可能となります。さらに、例えば羽田を深夜に出発して欧州の主要な空港に早朝に到着し、欧州の他の各都市に早い時間に乗り継ぎができる、そのようなダイヤ設定が可能となるなど、飛躍的に利便性が高まることとなります。
 また、空港への公共交通アクセスにつきましては、京浜急行及び東京モノレールの国際線ターミナル新駅が十月の供用開始時に合わせて開設予定であるほか、鉄道輸送力増強のために京急蒲田駅の改良事業を進めているところでございます。新たに必要となる深夜早朝利用者への対応につきましても、バスを含め運行時間帯の拡大や本数の増加など、国が中心となって都も参画して検討を進めてございます。
 今後も引き続き、より便利な公共交通アクセスが確保できるよう努めてまいります。

○興津委員 ご答弁ありがとうございました。
 これでまとめますが、今ご答弁いただいたとおりに、日本を深夜に出ますと、今、成田から最終便が実際飛んでいくのは夜の十一時ごろだろうと思います。その最終便はパリに着くんだと思いますが、その時間帯が現地時間の早朝の四時半ごろに着きます。ということになれば、欧州の各都市にそこからまた乗り継いでいけば、その日のうちに、明るいうちにホテルに入れるということが実態なんですね。
 これ、実は非常に大きなセキュリティーの問題もありまして、私の知り合いなどは、国名は申し上げませんが、夜に着いたものですから、そこで暴漢に襲われて身ぐるみはがれたということを経験された方もいらっしゃいます。でありますので、都民の安全、国民の安全を考えれば、夜間便が出るというのは非常にその意味においても有意性がある。
 逆にいえば、ヨーロッパから日本に旅行者もまたたくさんお越しになるチャンスがふえるということでもあります。先ほどいったとおり十万回の離発着がふえたとしますと、そこで、例えば一機に平均百名とすると一千万人の通過交通があるわけですね。その一割の百万人が東京都に入ってきていただいて、一万円ずつもし使っていただいたということになれば、それだけで百億円という大きな巨費が出てくるわけでもありますので、これがハブ化における優位性の部分だろうと思いますし、東南アジアにおける地政学上における羽田という部分を生かせる部分を生かしていただきながら、各県、地方とも協調していただいて進めていただきたいと存じます。今後、羽田の推移に関しましては注目させていただきたいと存じます。
 そして、一言だけ申し上げるとするならば、石原都知事のご答弁にあったんですけれども、これはこの委員会で答弁いただく内容ではなかろうとも思ったりするんですが、ご答弁ですね、これは業界がみんな思惑で談合して、三つ工法があったんですけどね、どの予算を聞いても同じ額が出てきて、本当に判断がつかないということでありました。談合という単語があります。これが本当だったのかどうか、これは東京都と直接関係するものでもないので、そんなこともありますけれども、注目しておきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。

○山田委員 それでは、私は初めに報告事項の緑確保の総合的な方針案について、まず幾つか質問をさせていただきます。
 この緑確保の総合的な方針につきましては、既存の緑への対応策として、都と区市町村とが同じ意識を持って取り組まれているところでありますが、今日における緑の重要性を考えますと、時宜を得た意義のある取り組みであると思います。
 我が党といたしましても、これまで繰り返し既存の緑の保全への積極的な取り組みを要請してまいりました。知事はこれにこたえ、このたびの施政方針におきましても、樹林地や農地などの都市に残された貴重な緑を戦略的に保全いたします、緑確保の総合的な方針を策定し、区市町村と合同で選定した三百ヘクタールの緑を、都民、地域、企業などとしっかり手を携え、確実に将来に引き継いでまいります、武蔵野の面影を残す多摩川沿いのがけに残された緑も、地元自治体と連携して保全いたしますと、こういうことを表明されました。大変力強い限りであると思っております。
 このような既存の緑にかかわる施策を盛り込んだ方針案ですが、今般まとまったわけでありますけれども、読んでみますと、多くの自治体の関係者の方たちが努力をされているということがよくわかるわけでありまして、この方針案についてはしっかりと完成させて、来年度から積極的な取り組みをお願いいたしたいと思います。
 今後、この方針の考え方をしっかりと浸透させていただいて、確実に施策を展開していただきたいと思いますが、まずこの方針のねらいはどういうことにあるのか、確認をする意味でお尋ねいたしたいと思います。

○大塚参事 総合的な方針のねらいどころということでございます。
 緑確保の総合的な方針は、減少傾向にある既存の緑のうち、特に民有地の緑を中心といたしまして、都市計画の考え方を基本に計画的に東京の緑を確保していくことを目的としたものでございます。
 この方針で最も重視したこと、すなわちねらいどころといたしましては、今日の緑の問題に一丸となって取り組むために区市町村合同で策定する形をとりまして、既存の緑のうち将来にわたり確実に保全する緑を明らかにしようとしたことにございます。こうした取り組みは初めてでございます。
 また、今後、樹林地や農地の保全を推進するための先進的、効果的な施策を提示し、この方針の策定を契機に積極的に展開していこうとするものでございます。

○山田委員 こういった方針をつくるについてはいろんな方法があろうかと思いますけれども、今回は東京都だけでなくて区市町村も一緒になって取り組んだということで、また具体的なものとしても、この方針案のこういう取り組みが大きな特色ではないかと思っております。それだけに、今回だけで終わらせることなく、今後ともぜひ区市町村と連携を続けていっていただきたいと思います。
 次に、この方針の個々別の施策について幾つかお伺いいたしたいと思います。
 三百ヘクタールという保全目標が示されているわけでありますけれども、これをいかに直接、間接に推進するか、今後の新たな施策が大事であると思います。
 そこで、方針案で示された施策のうち、特別緑地保全地区の指定推進で区市町村に対する都の補助制度をつくるということになっておりますけれども、どのようなものなのか具体的な内容についてお伺いいたします。

○大塚参事 都の補助制度でございますけども、特別緑地保全地区は、民有地でございます既存の緑を現状のまま保全するという制度でございまして、指定されますと、この区域内での建築や開発行為が強く規制される一方、土地の所有者は相続税などの優遇措置を受けることができます。
 この区域内で開発行為をする場合は許可が必要でございますけども、不許可とされる場合は土地の買い取りを申し出ることができます。これに対して区市町村は買い取ることとなっておりまして、このことが財政負担になる場合もございまして、これまでなかなか指定が進まなかった、こういう状況がございます。区市町村からは、こうした状況を打開するために都の支援が必要との要望が多くございました。
 都は、区市町村の財政負担を軽減し、新たな指定拡大を促す補助制度を創設することといたしました。来年度予算にはその経費といたしまして、三億三千八百万円を計上したところでございます。
 補助の内容でございますけども、特別緑地保全地区における土地取得には、既に用地費の三分の一を上限とする国の補助の制度がありますため、今回の都の補助は、これを除いた残額の半分程度を想定しまして検討する考えでございます。
 今後は、具体的な条件等を定める補助要綱を策定いたしまして、区市町村に対して十分に制度の周知を図った上で、特別緑地保全地区の指定を拡大してまいります。

○山田委員 当然に補助することでこの限界はあるかと思いますけれども、この補助制度の創設によりまして、これまでなかなか手をつけられなかった緑の保全がより大きく動いていくのではないかと思われます。それだけに、区市町村には十分に周知をしていただいて、効果的な運用をぜひお願いいたしたいと思います。
 補助に関連いたしまして、四九ページに民間基金と連携した緑地保全ということが記載されておりまして、緑の維持活動に取り組む市民団体に対して支援を行うとしております。これは先般のご説明の中で、セブンイレブンみどりの基金との協定による取り組みとの説明がありました。また、そのセブンイレブンみどりの基金ということで、これは三月十五日の読売新聞に、新聞半ページにわたって載っておりました。
 このような基金が、この取り組みをしっかりアピールするという広告を出したというのを私も拝見いたしまして、私の地元でも、このような屋敷林とかいろいろな緑の保全に向けてのボランティア団体もございますけれども、民間基金による支援というのはどのようなものなのか、まずこの内容についてお伺いいたしたいと思います。

○大塚参事 本方針では、民間基金と連携した緑地保全を施策の大きな柱としておりまして、今般、この趣旨に沿いまして、緑の保全に実績のあるセブンイレブンみどりの基金、現在はセブンイレブン記念財団というふうになっておりますが、ここと協定を締結したところでございます。
 この協定の内容は、都の方針に沿った保全活動を行う市民団体の活動に対しまして、緑の基金が五年間で総額四千四百万円の活動費を助成していくというものでございます。こうした連携による取り組みは全国的にも珍しいものと考えております。
 助成対象といたしましては、民有地の既存の緑を維持管理する団体、例えば屋敷林では、苦情の原因となっております落ち葉の清掃等に取り組んでいるような団体、丘陵地ではかつての里山を復活する活動をしているような団体が考えられます。また、森林の方でも、森林の手入れや遊歩道の維持活動を行っているボランティア団体も助成の対象になるものと理解しております。
 今後は、地域で活動を行っている市民団体の詳しい情報を持ちます区市町村の協力を得まして、十分に助成制度の周知を図り、最大限に活用してもらうことで緑の保全につなげていきたいと思っております。

○山田委員 行政が基金をつくって、それを団体等に助成あるいは支援するということは一般的に行われていることだと思いますけれども、今回は、こうした民間企業の基金と連携して保全を進めるということは、お話がありましたように新しい取り組みではないかと思っております。地域で活動しておりますボランティア団体の皆さんも、こういう仕組みが確立できたということによって大変うれしいニュースになるのではないかと思っております。それだけに、今後はぜひこの助成制度を区市町村に対して十分に説明をして、活用の促進に向けて積極的に取り組むことをお願いいたしたいと思います。
 さて、最後にお伺いいたしたいのは都市農地の保全の問題であります。
 東京の農地は、市街化区域の農地が大半を占めておりまして、都市計画で定めた生産緑地も相続等によって、そのような問題が原因で、区部でも多摩部でも減少傾向にあるのが現状であります。こちらの資料によりましても、平成九年から平成十九年の十年間で千六百ヘクタールの農地が減少したという、また今後もこの減少は続いているという記載がされております。
 一方、都市農地につきましては、地産地消の高まりを背景といたしまして、生産の場だけでなくて、防災空間とかレクリエーションとかという空間としての機能もございます。その価値については、都市にとって重要な意義を持っているものと思われます。
 これからは、農と住とが調和したまちづくりが大変大事だと思いますし、この方針では、新たな施策として東京クラインガルテン事業と農の風景育成地区制度を掲げております。このうち、特に農の風景育成地区制度についてはどのような取り組みを進めていくのか、お尋ねをいたしたいと思います。

○大塚参事 農の風景育成地区制度でございますけども、都市農地につきましては、今もお話しありましたように、農業生産という本来の役割のほかに、環境教育や防災空間などの多面的な機能が見直されつつございまして、保全の必要性はますます高まっているものと認識しております。
 今回取りまとめた方針案では、都市の農地の保全について、まちづくりの視点から農の風景育成地区制度や東京クラインガルテン事業を施策として示したところでございます。
 この中で、農の風景育成地区制度は、比較的まとまりのある農地や屋敷林が残る区域の中に、農業公園、こういったものが核としてある場合に、周辺の生産緑地などの農地を一緒に取り込んで、都市計画的な手法を活用して地域の農ある風景を一体的に保全していく、こういうようなものでございます。
 先般、世田谷区におきましては、このような趣旨にのっとりまして、都市計画交付金の活用を視野に入れて、農業公園を核として周辺の農地等を取り込んだ一・三ヘクタールの規模の土地について都市計画公園の決定を行ったところでございます。
 来年度は、こうした動きをモデルといたしまして制度の具体的な検討を進め、農と住が調和し、都市の中に農の風景が息づくような東京ならではの取り組みを展開してまいります。

○山田委員 ぜひ農地の保全に向けて具体的な制度、仕組みを検討していただきたいと思います。都市農地につきましては、手を加えないとこのままではなくなってしまうという、そんな危機感を私は持っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 人口も減少時代を迎えました。土地利用も徐々に変化していくことが想定されるわけでありまして、これからの農と住とが調和したまちづくりに軸足を据えながら、そのために都市計画の面から都市農地の位置づけを検討していく必要があると考えます。
 この一端といたしまして農の風景育成地区制度を示していただいておりますけれども、大いにこのことについては評価いたしたいと思いますが、それと同時に、農政を所管する産業労働局も、農業・農地を生かしたまちづくりガイドラインをつくり、農業者への支援を進めております。今回の方針策定を契機に都市計画部門と農政部門とが緊密に連絡をして、東京発の都市農地の保全策をぜひ展開していただきたいと思います。
 この緑確保の総合的な方針については、以上で終わります。
 次に、予算関係について二点質問をさせていただきたいと思います。
 踏切対策についてお伺いをいたします。
 東京は、世界に例を見ないほど高密で正確な交通鉄道ネットワークが形成されておりまして、都市生活を支える上で重要な役割を担っていると思っております。一方、鉄道と道路は平面交差をしているところが数多くありまして、都内には現在、いまだ約千百四十カ所もの踏切が残されているということで、さまざまな問題が発生しておりまして、国際都市東京の魅力低下の一因ともなっているともいわれております。
 例えばあかずの踏切、あるいはそのことによって自動車交通の阻害が起こっている。踏切が開いているわずかな時間に、自動車とか歩行者あるいは自転車が一斉に渡ることによって、事故の危険性が高くなるなどの問題があります。また、踏切によりまして地域が分断されるとか、あるいは不便な生活を強いられるということもございます。快適で安全な質の高い交通ネットワークを構築するためにも、踏切問題も一刻も早く改善をしていただきたいと思うわけであります。
 そこでお伺いいたしますけれども、東京都では平成十六年に踏切対策基本方針が策定されておりますけれども、改めてその内容についてお伺いをいたします。

○座間都市基盤部長 東京都では、踏切における交通渋滞を初めとするさまざまな問題の解決に向けて、重点的かつ計画的に多様な踏切対策を進めていくために、平成十六年六月に踏切対策基本方針を策定いたしました。
 この基本方針では、踏切の遮断時間や自動車交通量等を勘案し、平成三十七年度までに重点的に踏切対策を実施、検討していく重点踏切を約三百九十カ所抽出してございます。その上で、重点踏切の解消を図るため、鉄道立体化の可能性を検討していく鉄道立体化の検討対象区間を二十区間選定いたすとともに、その他の重点踏切につきましては、踏切道の拡幅や踏切システムの改善など、早期に実現可能な対策を検討していくこととしております。
 都はこの基本方針に基づき、区市及び鉄道事業者など関係者との連携を図りながら、踏切対策に積極的に取り組んでいるところでございます。

○山田委員 踏切対策のうち、数多くの踏切を同時に除却するという鉄道立体化については大変効果が大きい施策でありまして、東京都では現在、JR中央線など都内七路線、八カ所でこの連続立体化の事業を進めていると聞いております。
 昨年十二月には、JR中央線の三鷹から国分寺駅間が高架化され、十三カ所の踏切がなくなりました。このことについては新聞等でも大きく報道されておりますし、また先般の本委員会におきましても、足立区施行の東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の高架化の問題に対する質疑もございました。鉄道立体化への期待が今非常に大きいものと思います。
 そこでお伺いいたしますけれども、平成十六年の踏切対策基本方針の策定後、新たな区間の事業についてはどのように取り組んでいるのか、お伺いいたしたいと思います。

○座間都市基盤部長 鉄道立体化の検討対象区間二十区間のうち、委員からお話しございました東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近や京王線笹塚駅からつつじヶ丘駅間、西武新宿線中井駅から野方駅間につきましては、今年度、都市計画素案の説明会を行うなど、都市計画決定に向けた手続を進めております。
 また、西武新宿線東村山駅付近につきましては、昨年四月に国から連続立体交差事業の新規着工準備採択を受けたところでございまして、構造形式や施工方法等の検討を行っております。
 これらの区間につきましては、区市、鉄道事業者など関係者と調整を図りながら、早期事業化に向け、都市計画や環境影響評価の手続などを進めてまいります。

○山田委員 踏切対策基本方針に基づいて、今ご説明いただきましたように、鉄道立体化の取り組みが着実に進んでいるようでありまして、その点につきましては高く評価をいたしたいと思います。
 今、新しい政権になりまして、公共事業に対する予算づけが不明確な部分がございますけれども、ぜひこの鉄道立体化事業については積極的に取り組んでいただくように、国の方にも要請をしていただきたいと思います。
 現在、鉄道立体化の検討対象区間が、今お話がございましたけども、四路線が事業化を進める準備ですか、あるいは検討が進められるとのことでございますけれども、これから新規に鉄道立体化を進めるには、地元自治体なども含めてどのような取り組みが必要なのか、その点についてお伺いいたします。

○座間都市基盤部長 連続立体交差事業は、踏切遮断による交通渋滞や地域分断を解消する極めて効果の高い事業でございます。事業の推進によりまして、区部環状道路や多摩南北道路などの重要な幹線道路や都市計画道路との平面交差が解消され、道路ネットワークが強化されると考えております。また、地元区市が中心となりまして、この事業とあわせたまちづくりを行うことで地域全体の利便性が向上するなど、相乗的効果が期待できるものと考えております。
 このような観点から、関連する道路整備計画の具体化や、駅前広場の整備など関連する駅周辺のまちづくりに対する地元区市の取り組み状況を勘案して、鉄道立体化に向けた取り組みを進めてまいります。

○山田委員 都内では、鉄道立体化を必要としている区間がまだ数多くありますので、このような取り組みは大変重要であると私は思っております。
 また、私の地元であります西東京市におきましては、市内の北側を西武池袋線が東西に走っております。また、この西武池袋線におきましては、現在、練馬区内の桜台駅から練馬高野台駅まで高架化が完了いたしておりますし、石神井公園駅付近で、先月七日には上り線を高架化に切りかえるなど事業が進んでおります。西東京区間の高架化については、いまだ事業化のめどがついておりませんけれども、地域住民からは、練馬区間に引き続き西東京区間でも鉄道立体化による踏切除去を求める声も上がっております。これまでも、市長会あるいは我が党の三多摩議員連絡協議会を通じて連続立体化の要望をしてきておりますので、ぜひ踏切対策基本方針におきましても、この点についてもしっかり取り組みをしていただきたい。
 西武池袋線の西東京市内については、鉄道立体化の検討対象区間として位置づけられておりますので、ぜひこの点を、力強く踏切対策を推進していただきたいと思いますけれども、その見解についてお伺いいたしたいと思います。

○座間都市基盤部長 委員ご指摘の西東京市区間の中におきましては、西武池袋線の大泉学園-保谷駅付近、またひばりヶ丘-東久留米駅付近の二つの区間がございます。この区間につきましては、踏切対策基本方針におきまして、鉄道立体化の検討対象区間二十区間の中に位置づけられております。
 このうち大泉学園-保谷駅付近の区間につきましては、都市計画道路であります補助二三〇号線の整備計画や整備時期との調整、保谷駅西側にあります車庫の取り扱いなどが課題となっております。また、ひばりヶ丘-東久留米駅付近の区間におきましては、西東京三・四・二〇号線の整備計画や整備時期との調整などが課題となっております。また、これらの課題解決とともに、地域のまちづくりと連動させることが大変重要でございます。
 都といたしましては、こうした関連する道路整備計画等との調整や、地元区市が主体となったまちづくりへの取り組みの熟度などを踏まえながら、関係者と連携を図り、踏切対策に取り組んでまいりたいと考えております。

○山田委員 今、西東京市の連続立体化の事業化につきましては、都市計画道路の整備計画や整備時期の調整が必要であるということや、車庫の取り扱いなどの課題があること、そして、何よりも地元によるまちづくりの検討が不可欠であるということのようであります。既に私どもの商店会や市民の中で連続立体化を求める署名活動が行われているとも聞いておりますので、今後、西東京市内におけます連続立体化による踏切対策につきましては、関係者間の連携を強化していただき、積極的に推進されることを期待しておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、次に多摩の拠点整備基本計画についてお尋ねをいたしたいと思います。
 東京都は昨年の八月、多摩の拠点整備基本計画を策定いたしました。この計画には、八王子、立川、多摩ニュータウン、青梅、町田の五つの核都市とともに、私の地元でありますひばりヶ丘駅周辺地域も含み、多摩各地の生活拠点のまちづくりを促進していくことが位置づけられておりました。
 そこでまず、多摩の拠点整備基本計画に新たに生活拠点を位置づけられました背景についてお伺いをいたします。

○安井都市づくり政策部長 多摩の都市づくりでございますけども、平成十年に多摩の心しん育成・整備計画を策定しました。この計画に基づきまして、核都市の周辺におけます再開発事業であるとか多摩南北道路の整備、JR中央線などの連続立体交差事業が促進されるなど、まちづくりに一定の成果を上げてまいりました。
 計画策定から十年経過いたしまして、この間、少子高齢化が進み、住宅地を初めとする土地利用の需要も緩和するなど、社会経済情勢や都市づくりを取り巻く環境が大きく変化してきたと認識してございます。こうした状況に的確に対応していくために、昨年、新たに多摩の拠点整備基本計画を策定したところでございます。
 この計画では、以前の計画では多摩の心しんとしておりました広域的な拠点でございます核都市の整備に加えまして、身近な圏域におきましても、鉄道駅など公共交通の結節点などを中心に多様な生活サービス機能の集積した生活拠点の整備を促進し、だれもが暮らしやすいコンパクトな市街地の再編を進めていくこととしたわけでございます。

○山田委員 それでは、その生活拠点においてどのようなまちづくりを進めていくのか、また都はどのように地元市を支援していくのか、その所見についてお伺いいたします。

○安井都市づくり政策部長 多摩の拠点整備基本計画では、今ご説明いたしました生活拠点において、現に具体的なまちづくりが進められている代表的な七地区を選定いたしまして、整備を進めていく重要なプロジェクトを示してございます。
 例えば調布駅周辺では、連続立体交差事業や駅前広場の整備にあわせた市街地再開発事業などにより、利便性の高い魅力あるまちの実現を促進してまいります。また、豊田駅周辺では、大規模団地の更新を契機といたしまして、駅前地区では商業施設の集積を図り、一方で団地周辺では、緑豊かな環境を維持できるような用途地域の見直しを行ったところでございまして、このように時代の変化に対応した都市づくりを進めているところでございます。
 都は、今後とも、広域的な都市基盤の整備を推進していくとともに、地元市が行う生活拠点の整備に対しましても、計画段階や事業実施段階における技術的支援、市街地整備等に対する補助制度の活用による支援などを積極的に行ってまいります。

○山田委員 先ほど申し上げましたけれども、本計画の生活拠点の一つとして、私の地元でありますひばりヶ丘駅北口の周辺地域のまちづくりについて取り組みが示されております。都としてどのように今後取り組んでいくのか、その点についてお尋ねいたします。

○安井都市づくり政策部長 ただいまお話がございましたひばりヶ丘駅周辺でございますけども、駅前広場が整備済みでございます南口に比べまして、北口の周辺では道路が狭隘で、商店街や住宅が密集した市街地が形成されてございます。また、駅前広場を含めた都市計画道路が未整備であることから、バスが駅前まで乗り入れられず、鉄道、バス間の円滑な乗り入れに支障を来しているという現状でございます。
 市では、このような密集市街地におきまして、都市計画道路の整備にあわせて沿道周辺の街区の再編も進めていく必要があると考えてございまして、これまで都とも協議を重ね、まちづくりの手法を検討してきたところでございます。
 その結果、地域の実情に即した規制緩和を行うことにより、小規模な共同建てかえなどを促進する街区再編まちづくり制度を適用いたしまして、都市基盤整備と一体となった良好なまち並みの形成を図り、歩行者空間の拡大あるいは生活サービス機能の立地誘導を図ることとしてございます。
 既に市では、都市計画道路の整備とともに、周辺のまちづくりを進めていくための相談窓口を現地に設置してございます。この制度の適用に向けた住民説明会を開催するなど、具体的な取り組みを行っているところでございます。
 都といたしましては、今後ともこうした制度も活用しながら、地元市とともに身近な拠点の再生を図ることにより、自立して一層の発展を遂げる多摩地域の実現に取り組んでまいりたいと考えてございます。

○山田委員 これで終わりますが、多摩各地の生活拠点のまちづくりを進めていくことは、多摩地域全体の活性化が図られ、そして多摩で暮らし、働く都民の生活を一層豊かにするものであると大いに評価をいたしたいと思います。
 東京都には、地元としっかりと連携をいたしましてまちづくりに取り組んでいただき、魅力と活力にあふれる多摩地域の創造に全力を尽くしていかれることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○加藤委員 私からは、マンションの耐震化対策等についてお聞きしたいと思います。
 我が会派としても、本会議や委員会質疑の中で、マンションの耐震化については重要施策の一つとしてたびたび取り上げてまいりました。その結果、マンション課の設置、東京のマンション二〇〇九の作成、耐震化ポータルサイトの開設など、耐震化を含めたマンション施策が大きく前進してきていることを評価しております。
 そこで、改めて確認の意味で、都はこれまでにマンションの耐震化にどのように取り組んできたのか伺います。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションの耐震化は、区分所有者の自主的な取り組みによることが原則でございます。しかし、震災時の被害が周囲に与える影響が大きいことや、分譲マンション特有の合意形成が困難であることなどを踏まえ、都は管理組合の支援に取り組んでまいりました。
 具体的には、マンション耐震セミナーの開催など耐震化に向けた普及啓発や、関係団体と協力した相談体制の整備に取り組むとともに、区市と連携し、管理組合に対して耐震化助成制度の活用を促してまいりました。さらに、管理組合における合意形成等を支援するため、今年度、耐震化総合相談窓口を設置するとともに、耐震アドバイザー派遣事業を創設するなど、耐震化の促進に努めております。

○加藤委員 今、耐震化総合相談窓口の設置や耐震アドバイザー派遣事業の創設といった新たな取り組みで、耐震化の促進に向けて努力されているということであります。そのことは評価しつつも、本日配布された資料のとおり、マンションの耐震診断の実績ですね、これは若干減少という形になっておりまして、改修実績は微増ということで、今後一層の取り組みが求められるというふうに思います。
 平成二十年には都内のマンションストックは百四十万戸を超え、四世帯に一世帯はマンション住民という状況であり、今後もふえていきます。私の住む墨田区も、下町の木造密集地域というイメージがありますが、今や区民の七割は集合住宅に住んでおりまして、マンションを含めた集合住宅の耐震化が非常に大切になってまいります。
 平成十七年度の都内の住宅の耐震化率は七六%というふうに伺っております。これを平成二十四年度には八四%に持っていき、さらに二十七年度には九〇%以上を目指しています。
 今お話があったように、戸建てと違って、マンションは合意形成が困難などさまざまな課題があります。いざというときには周辺への被害にも影響が大きいマンションの耐震化を促進していくことが必要ですけども、そのためには合意形成に向けて管理組合が本気になって取り組む必要があると思います。そのために都は今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 マンションの耐震化を促進するため、普及啓発等に取り組んできましたが、管理組合の前向きな取り組みを促すには、行政による管理組合への直接的な働きかけも有効であると考えております。
 このため都は、来年度、旧耐震基準マンションが多く存在する地区におきまして、地元区と連携して管理組合を訪問し、普及啓発を行う取り組みをモデル的に実施していく予定でございます。具体的には、都と区の職員が管理組合の理事会等の場で、耐震化の必要性や進め方、都や区の支援策等についての説明を行うなどして、耐震化への取り組みを一層促してまいります。こうしたことを通じて、区市による今後の同様な取り組みを先導してまいります。

○加藤委員 非常にありがたいお話だと思います。やはり行政がそこに乗り込んでいく、こういったことがこれからは非常に大切になってくると思います。今後の成果を期待したい、そのように思っております。
 マンションの耐震改修に向けた課題として、合意形成に時間がかかることのほかに改修費用の問題があります。この改修経費が急には準備できないことや、建物によっては大幅な耐震改修が必要となる場合もあります。
 そこで、例えばピロティーなど皆さんが頻繁に利用される共有スペースがありますけども、こういったところの耐震性の懸念が特に大きい部分ですね、こういうところなどから改修予算へも配慮して改修していくということなども大事ではないかと、そのように考えますけども、都の見解を伺います。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 過去の震災時の被害の大きかったピロティー部分等、耐震性が特に懸念される部分の改修は、耐震性を向上する上で有効であると考えております。
 建物を地震に対して安全な構造とするためには、建物全体について耐震改修を行うことが基本でございますが、資金不足や専有部分の工事に対する合意形成等の困難性から、すぐには建物全体の耐震改修に着手できない場合もございます。このため、将来的には建物全体の耐震性が確保されることを前提とした上で、建物の耐震性の向上に効果の高い部分から段階的に改修を行う場合も補助対象とするなど、実態に即した支援について検討してまいります。

○加藤委員 今、効果の高い部分から段階的に改修を行う場合でも補助対象とするなど実態に即した支援ですね、こうしたことを検討していくということでありますけども、これは管理組合にとっては非常にありがたいことだと思います。資金の面で二の足を踏んでいるというところが結構あるわけです。
 この東京のマンション二〇〇九の中にも、耐震診断を行っていない理由と、完成年次が昭和五十四年以前のマンションということで、不安はあるが、耐震改修工事を行う予算がないため耐震診断を行っていないということが第一位なんですね。三一・二%の理由としてそういったこともございます。そうしたことからこの実現に向けてぜひ頑張っていただきたい、そのように思います。
 一方、今申し上げました改修方法、これはマンションだけのものではないというふうに思うんです。木造住宅についてもこのような考え方を取り入れていくべきではないかと、そのように思うんですけども、都の見解を伺います。

○町田耐震化推進担当部長 木造住宅につきましては、建物所有者が耐震改修に取り組みやすくするため、その建物に住み続けながら工事を進めること、または一時的にまとまった改修費用を用意しなければならないというような課題がございます。
 このため、整備地域内の木造住宅につきまして、倒壊による道路閉塞を防止することや建物全体の耐震性が将来的に確保されること、こういったことを前提といたしまして、耐震効果の高い部分から順次改修を行うことや、一棟の建物を区分いたしまして、住み続けながら部分的に工事を実施していくことなど、段階的な改修が可能となるような、建物所有者にとって取り組みやすい方法について検討してまいりたいと考えております。

○加藤委員 今でもさまざまな工法、耐震改修の方法はありますけども、場合によっては一時移転しなければいけない、そういったことでなかなか思うように前に進まないということもあると思うんですね。そうした中で、今ご答弁いただいたように段階的に行うというようなことも、これは新たな耐震化促進に向けての非常にいい形ではないかなと、そのように思いますので、ぜひ前向きに頑張っていただきたいと思います。
 都は、一月に耐震ポータルサイトを開設しまして、耐震化に向けての普及啓発に取り組まれています。分譲マンション居住者向けのページというのもありまして、私も見ましたけども、より使いやすくするために工夫している最中と、そのように伺いました。
 マンションの耐震化を進めるに当たっての情報提供はもちろんのこと、あわせて適切な管理組合運営、これが行われることが耐震化促進の基本というふうになると思います。
 また、耐震改修促進に向けた各種ハードの取り組みは重要であることは、これはもういうまでもありませんけれども、マンション住民のコミュニティ形成、これと、例えば隣のマンション、それから戸建てに住まわれる地域住民、そうした皆様との意思疎通、連携、そういったつながり、例えば自治会への積極的なかかわりなど、共助というソフト部分も震災の被害を最小限に抑えるに当たって重要だと、そのように思います。
 そこで、ポータルサイトのマンション居住者向けページに、耐震化などのマンション管理に関する施策や共助という視点も含めた情報提供などの取り組みも一考というふうに考えますけども、見解を伺います。

○町田耐震化推進担当部長 耐震ポータルサイトは、都民の皆様が耐震化を身近な問題としてとらえ、取り組みやすくするため、助成制度など耐震化に関する情報を見やすく、わかりやすく紹介しております。また解説をするホームページでございます。
 耐震ポータルサイトでは、常に最新の情報を取り入れるとともに、耐震化に関します幅広い情報提供にも努めているところでございます。
 マンションの耐震化につきましては、居住者の高い防災意識と共助の精神が前提となって実現するものでございます。今後とも、この点を踏まえまして、関係団体とのリンクを張ることなど、こういったことによりまして耐震化に係る有益な情報を提供できるよう工夫を凝らしてまいりたいと考えております。

○加藤委員 今、関係団体とのリンク、そういった部分も検討していかれるということで、ぜひ頑張っていただきたい。また、いろんな他の部局とも連携を図りながら前向きに取り組んでいただきたい、そのように思っております。
 そして、耐震改修を含めマンションの維持管理を適切に行うためには、管理組合の体制がしっかり整っていることが必要だというふうに思います。これは既存マンション、それから新築マンション含めて共通だというふうに思うんですけども、また新築の分譲マンションにとっては、築後二年間程度の初期的な段階での管理組合運営の基礎固め、これが非常に重要になってまいります。いわゆるアフターサービス期間というものがありますけれども、この期間に、専用部分だけでなく共用部分にふぐあいがないかしっかりチェックを行うか否か、ここが後々の修繕、大規模修繕とかいろいろ出てくるわけですけども、そこに大きな差というものが出てくる、そのように思います。
 そこで、初期的な段階での管理組合運営の体制づくりに対する支援、これが重要になってくると思いますが、都はどのように取り組まれるのか見解を伺います。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 マンション分譲後、共用部分の瑕疵などの初期段階における対応や、将来にわたりマンションの適切な維持管理や改修を実施するためには、速やかに管理組合運営の体制を整えることが重要でございます。
 そのため都は、分譲事業者等が今後の管理の担い手となる購入者に説明することが望ましい事項や、管理組合が適正な維持管理を行うための手順や方法等を取りまとめたマンション管理ガイドラインを作成し、普及啓発を図ってまいりました。
 今後、当初の規約や管理上のルールを再点検することの必要性や、アフターサービス、瑕疵担保制度の解説など、分譲後の初期段階で管理組合にとって必要な内容をガイドラインに追加するなどその内容を充実し、一層の普及啓発を図ることなどにより管理組合運営の体制づくりを支援してまいります。

○加藤委員 やっぱり何事も最初が非常に大事ですし、維持管理などに対して入居当初の住民の意識、これは入ったときは非常に高いというふうに思いますので、そうした時期にしっかり手を入れていく。
 ただ、最初入ったときというのは、場合によっては一次取得者の方もいらっしゃって専門知識がそれほどもない、そういう状況にもあります。そうしたこともありますので、行政のバックアップというのがこの時期は非常に大切ではないかと、そのように思います。しっかりと取り組んでいただくことを要望して私の質問を終わります。ありがとうございました。

○大島委員 私の方からも耐震の問題で質問をさせていただきます。
 東京都は、耐震改修促進計画で、二〇一五年度までに住宅の耐震化率を九〇%以上にするという、こういう目標を掲げています。マグニチュード七クラスの首都直下型の地震の発生する確率が、今後三十年間で七〇%程度あるという予測結果が発表されておりますし、この地震が東京湾北部を震源とした冬の夕方六時に起きた場合には、十二万棟が倒壊し、そして五千六百人の死者が出ると予測されている中の目標ですから、当然だと思います。
 この目標を達成するために、耐震改修促進事業として、整備地域における木造住宅の耐震化のための助成制度や、緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修及びマンション耐震化の助成制度、こういうのを実施していると思います。
 今年度の当初予算と比較し、耐震改修促進事業の実績というのは五・二%、マンションの耐震化でも二四%程度にとどまっています。
 来年度の予算案を見てみましても、局要求よりも大幅に減額されておりますし、二十一年度の当初と比べても三割程度になっています。耐震改修促進事業では、二十一年度当初三十三億三千八百万円程度あったものが二十二年度当初では九億八千百万円、何と二十三億円余が削られています。また、マンション耐震改修促進事業も、二十一年度当初では四億七千二百万円だったのですが、この二十二年度の当初予算を見てみますと、一億六千四百万円ということで三億円余が削られています。
 また、予算の関係でいいますと、木造住宅の耐震化のための助成制度として、耐震診断、そして補強工事については二千戸という目標があったんですけれども、これは三千五百戸にふえておりますが、逆に耐震改修では六百戸という目標が三百戸と半分に減っています。当初予算についてもこの部分で約半分が削られています。
 マンションの耐震改修促進の方でも、四億七千四百万円が一億六千四百万円ということで約三四・六%、マンションの耐震診断の助成でも二万戸の予定が一万四千戸、耐震化助成事業では二千戸が約三百戸ということで、全体として来年度予算は実績見合いで減額されたと聞いているんですけれども、木造住宅は平成十八年度から、マンションについては平成二十年度から耐震化の助成事業を実施しております。
 木造住宅、これは戸建て住宅と木造アパートが一緒に入るということなんですけど、及びマンションの耐震診断、改修の実績件数を伺いたいと思います。

○町田耐震化推進担当部長 木造住宅につきましては、十八年度より実施しております助成実績は、耐震診断で平成十八年度五百五十一件、十九年度は四百八十六件、二十年度で二百九十六件、三カ年の合計で千三百三十三件でございます。
 耐震改修につきましては、平成十八年度が二十二件、十九年度四十七件、二十年度五十五件でございまして、合計百二十四件でございます。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションにつきましては、平成十八年度より耐震診断助成を、平成二十年度より耐震改修助成を実施しております。
 助成実績は、耐震診断が平成十八年度二十一件、千九百十八戸、平成十九年度四十九件、四千七百三十九戸、平成二十年度三十二件、三千百十九戸、三カ年の合計が百二件、九千七百七十六戸でございます。
 また、耐震改修は、平成二十年度一件、三十一戸でございます。

○大島委員 なかなか進まないというのが実態だというふうに思います。そして、来年度の予算はその実績見合いでさらに削られていくということになりますと、実績が上がらなければ上がらないほど予算が削られていって、なかなかこの事業が進まないと逆に思ってしまうんですね。
 それで、まず実績が上がらない理由というのはどういうことがあるんでしょうか。木造住宅とマンションについてそれぞれお答えいただきたいと思います。

○町田耐震化推進担当部長 木造住宅の耐震化に当たりましては、耐震化に取り組むか否かは所有者の意思にゆだねられていること、それから、耐震改修に際しまして自己負担が発生いたしますけれども、改修の方法によりましては多額の経費がかかり、工事にかかる費用面の資金繰りが困難なことなどがございます。こういったことが建物所有者の行動に結びつかないということにつながっているのではないかと考えております。これらの課題が都の助成実績に反映しているものと考えております。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 マンションの耐震化につきましては、価値観や経済状況の異なる多数の区分所有者間の意見調整が難しいというマンション特有の課題があるほか、耐震化の検討には専門的知識を要することや新たな費用負担の検討が必要であることなどがあり、合意形成を経て耐震化が実現するまでに相当の時間を要します。これらのことが都の助成実績に反映しているものと考えております。

○大島委員 困難がたくさんあるということはよくわかります。それでも、都の耐震改修促進計画では、住宅の耐震化率を二〇一五年度までに九〇%以上にするという、こういう目標を掲げているんですよね。そして、二〇〇五年度の推計値で都内の住宅全体の耐震化率は七六%、委員会の答弁では、木造戸建て住宅で六四%、木造の共同住宅で六八%ということなんです。
 そうすると、二〇一五年度の目標達成の見通しというのはどうなるのか、その見通しと年度ごとの計画を示していただきたいと思います。

○町田耐震化推進担当部長 耐震改修促進計画や「十年後の東京」計画におきまして、木造住宅につきましては平成二十七年度までに耐震化率九〇%を達成するという目標を設置しております。この目標を見据えまして、実行プログラム二〇一〇では、木造住宅助成の年度計画ではなく、三年後の到達目標として住宅の耐震化率八四%を掲げているところでございます。
 これらの目標は、耐震化助成や優遇税制といった施策とともに、建物所有者の自主的な建てかえですとか、市街地開発事業など多面的な施策の展開により達成を図っていくものということでございます。この目標達成に向けまして、区市町村が実施する普及啓発活動に対する支援制度を拡充したり、都が実施しております整備地域内の木造住宅に対する耐震診断助成戸数を三千五百戸に拡充するなど、施策展開を図ってまいります。

○大島委員 都の助成制度の考え方というのは、耐震診断、補強設計は整備地域内七千ヘクタールが対象地域になっています。改修については整備地域の中の六メートル以下の道路に面する住宅に限定しています。この助成対象となる住宅戸数は二万二千戸だというふうに発表されておりますが、この二万二千戸としたその根拠を伺いたいです。

○町田耐震化推進担当部長 木造住宅の助成対象につきましては、整備地域内で昭和五十六年以前に建築された木造住宅を約十一万棟と推計しております。そのうち耐震性があるもの、改修等の対応済みのもの、自主的に診断したものなどを約五〇%あると想定しております。その結果、耐震診断の対象数を約五万棟と推計したものでございます。
 さらに、このうち、診断の結果耐震性があると判明したもの、不燃化促進等によりまして、不燃化促進事業による建てかえなどを除きまして、この事業の改修助成の対象となるものを約二万二千棟と推計したものでございます。

○大島委員 二万二千棟を助成の対象としているということなんですが、実際にこの九〇%という耐震化率の目標からいいますと、別に整備地域内の住宅だけの問題ではなくて、整備地域外の住宅も含めて東京全体でどれだけ耐震化が進むかというのが最終的な目標達成の道だというふうに私は理解をしているんです。でも、二万二千戸ということに限定してそこで耐震改修を行わせる、そういっても、これまでの実績などを見ますと相当に力の要る仕事だというふうに思います。
 その中で、答弁でも、区市町村が取り組んでいる普及啓発活動への支援事業を拡充するとおっしゃっておりましたけれども、ではどういうふうに、具体的にどのようなことを、この普及啓発活動への支援事業というので行おうとしているのでしょうか。

○町田耐震化推進担当部長 区市町村が行います耐震化に関する普及啓発活動に対する支援事業でございますが、これは戸別訪問ですとか啓発文書等の配布などに対する補助でございます。来年度はこれに、緊急輸送道路沿道建物に対して区市町村が取り組めるように対象を拡充するとともに、既にこの支援事業を利用して普及啓発活動等を行った区市町村も含めまして、全区市町村がこれまで以上に普及啓発に取り組めるよう、予算額を約四倍に拡充しております。

○大島委員 普及啓発活動というのはまず最初のきっかけですから、ここで各区市町村が取り組んでいることを応援しようということで、予算額を四倍にふやしたというお話でした。具体的にどんどん進めていくためには、区市町村との連携というのが非常に大事だというふうに私も思っています。
 耐震化を促進するためにも、助成制度の条件を緩和したり拡充することが必要だというふうに思うんです。先ほどの答弁でも、木造住宅及びマンション、どちらも自己負担、工事の負担ですね、これが大変大きいということで、助成実績に反映しているんだというようなご答弁がありました。
 確かに耐震ということで考えれば、自分の命を守る、家族の命を守るということで必要なんでしょうけれども、それを今すぐやらなければならないというきっかけになかなか結びつかない。そういう意味では、対象地域が狭い整備地域内にとどまっているとか、それから助成額が少ないとか、こういうことがやっぱり大きく反映しているんだと思うんです。
 今回、資料もいただきまして、耐震の問題ではいろいろな制度も含めまして用意していただいて本当にありがとうございます。実はこの資料をお願いした段階で、区市町村がやっている助成制度の結果についてもお願いしたいということでいったんですけども、これは都市整備局が直接やっているものではないので、責任持ってお出しできませんというふうにいわれました。
 それで、私は議会の事務局にお願いをいたしまして、各区市町村の担当者のご協力もいただいてアンケート調査を行ったんです。ここにまとめたものを持っているんですけれども、二十三区はもちろんのこと、区市町村、そして島しょに至るまで、都内のすべての自治体でそれぞれ回答をしてくださいました。本当に貴重な資料だというふうに私は思っておりまして、後で担当の方にもぜひこれを見ていただけたらいいなというふうに思っています……(「我々にもちょうだい」と呼ぶ者あり)やじに反応するつもりはないんですけども、必要ならばぜひ後でお渡ししたいというふうに思っています。
 そのアンケートの中で、区市はそれぞれ独自の助成制度を持っておりまして実施しているんですね。しかも、整備地域だけに限定せず地域外というところが非常に多いので、区市町村の場合は全部の自治体を対象エリアとして取り組んでいるということがわかりました。
 耐震診断の結果を見ますと、これは二千五百三十三件で、都の事業で行ったもののおよそ八倍、それから木造改修助成の件数では全体で六百十一件で、これも都の事業のおよそ十倍程度の効果を上げています。同時に、補助事業の拡充についてさまざまな要望があることもわかりました。
 そこで一つずつ伺っていきたいのですが、まず東京都への要望、アンケートの項目の中に東京都に対する要望という項目も入れさせていただいたんですね。その中で、まず東京都の助成する地域、対象の拡大、これが断トツ一位でした。その理由も、同じ東京都が定めている地域危険度の高い地域や国が定める重点密集市街地にも助成対象を拡大すべきだとか、財政状況が厳しい中でこれ以上区の事業を拡充するのは難しい、都費を含めた歳入を拡大してほしい、特に整備地域以外での助成を行ってほしい、それから、財政制度が悪化しているため、助成地域、整備地域を拡大してほしい、こういう切実なものでした。
 この区市町村の要望についてどう受けとめますか。この声にこたえて対象地域を都内全域に拡大することが必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○町田耐震化推進担当部長 都が実施しております木造住宅耐震化助成は、防災都市づくり推進計画に定めております、特に老朽化した木造建築物が集積した区域が連担するなど震災時に大きな被害が想定される整備地域を対象としているわけでございます。このような地域では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火によりまして避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがございます。こういうことから公的助成を行っているわけでございます。
 都といたしましては、財源を効率的、効果的に活用するという観点から、今後とも重点的に取り組む必要のある整備地域に的を絞りまして、木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。

○大島委員 財源を効率的に効果的に配分をするということなんですけど、でも東京の耐震化率を九〇%に上げるという目標があるんですよね。それは整備地域内だけ九〇%にしようというんじゃないわけですよ。東京全体を上げないと達成できない目標なんです。
 そして、各区市町村ではそれぞれ独自に自分の地域、整備地域内だけではなくてそれを大きく超えても、この地域を何とか耐震化率をアップしていきたいということで頑張っているわけです。ましてや密集地域、木造密集、老朽化した家屋の混在するような地域についてはなおさらなんですけれども、ここの地域を厚くするということとあわせてそれ以外の地域も助成するという、両方やることがまさに効率的、効果的な方法ではないかというふうに思うんです。そしたら、さっきいったように、財政的な問題で実績が上がらないんだというような話にはならないというふうに私は思っているんです。
 特に、耐震改修事業費の上限が今百五十万円ということで、補助額はその半分にとどまっています。実際には診断して計画をつくって改修するということで、大体百七十万から百八十万程度、このくらいかかってしまうというところが多いんです。都の制度を満額引き出しても百万程度の自己負担ということが強いられるようになるわけです。しかも古い家ほど費用がかさむんですね、新しい家だったらそんなに改修しなくてもいいのが、やっぱり古いとその箇所も多くなっちゃうということで。
 だからそうなりますと、仙台市などでアンケートをやったんですが、改修工事費では二百五十万円以上かかった人が三六%と三分の一以上に上っているという回答がありました。こういうお金がかかるのでは、月五、六万円の年金生活者ではとても払えるものではありません。せめて高齢者や障害者には上乗せをすべきではないでしょうか。
 大田区などでは、こういうことについて既に実施をしています。また、都の負担の二十一万円というスキームでは不足というふうに考えます。これではなかなか耐震化に踏み切るという気持ちにはなれないんじゃないでしょうか。
 また、住宅リフォームと同時に行うということで耐震化を進めるきっかけになる、促進効果が上がるという話も聞きました。耐震というと、要するに耐震補強だけですと見ばえが変わらないんです。部屋の中がそのまま。例えば壁を外して中に筋交いを入れるとかやりますけれども、全体のリフォームとはちょっと違うんですね。
 それで女性なんか、私も女性なんですけど、特に私、ちょっと見ばえが変わる方がいいなと。
 これは足立で聞いた話なんですが、水周りのところって結構傷みがちなんですね。それで台所のリフォームをしたい、台所のリフォームをするのには割と女性は積極的なんですけど、耐震改修だけで台所が全く前と同じというんだと、なかなか二の足を踏んじゃうんだそうです。そこで、耐震改修がやれるので、一緒に診断をして水周りのリフォームも同時にやりましょう、そうすると若干お金はかかるんですけれども、その分補助金が出ますから、差し引いて自己負担は同じぐらいですよという説明をして、いろいろ話を進めるとそれならやりましょうという方がかなりふえているんだそうです。
 そういうことで、リフォームと同時に耐震化を進めると促進効果も上がるといわれているので、こうした状況も踏まえて、先ほどの啓発事業もありますけれども、耐震化の助成額をふやすことが必要ではないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○町田耐震化推進担当部長 住宅の耐震化につきましては、自助、それから共助、公助という原則を踏まえまして、まず建物所有者がみずからの問題といたしまして、かつ地域の問題であるということを認識していただき、主体的に取り組んでいただくことが不可欠でございます。このような考え方を踏まえまして、整備地域内につきまして、先ほど答弁いたしましたような理由から公的助成を行っているところでございます。
 都といたしましては、限られた財源を効率的、効果的に活用するという観点から、この整備地域に的を絞って助成を実施しておるものでございます。施策目的が耐震改修ということでございます。今後ともこの点を踏まえまして、助成額の増額ではなく、耐震化に向けた建物所有者の積極的な行動を促すための普及啓発を初めといたしまして、各種の施策に積極的に取り組んでまいります。

○大島委員 私も改修に向けて積極的な行動を促すための提案を今ずっとやったんですよね。
 それからもう一つ、実は耐震診断、計画、補強工事に至るというこの一つの流れが、今、不況の中で大変苦しんでおられる建設業者の方々にとっては朗報だというんです。
 足立区の場合は、この耐震化に向けて、実は家具転倒防止器具を取りつけるという施策をやっているんですけど、それに補助金を出すんですね。その耐震改修のきっかけとなる転倒防止器具のことでまずお話しに行く。そのときにあわせて、耐震のこういうことがありますので診断を受けたらどうですかというお話をする、そういう一つ一つの信頼関係の中で耐震改修の事業にまで進むというようなことで、改修する方にとってみれば安心になりますし、事業者にとってみれば仕事の確保にもなるし、最終的には耐震化が進んで、まち全体が逃げないで済むまちになるということで、本当に一石二鳥にも三鳥にもなると。こういうことで、やっぱり助成額をふやして、もっと積極的に行動してもらえるようなきっかけというのをまず東京からやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
 その中でもう一つ問題になるのは、耐震改修後に総合評定を一以上にするということなんです。これは費用の面でもすごく大変なんです。例えば共同の木造のアパートなんかだと、人が中にみんな入っていますから一部屋ずつしかできないですね。全部一遍にということがなかなかできない、そこに居住している方をほかに移さなきゃできないので。そういうことで一部屋ずつやりたいという要望もすごくあるんです。そういうことも含めて段階的な補強も助成の対象にすべきではないかなというふうに思うんです。
 また、改修後に総合評定が一・〇未満の住宅でも助成の対象にすべきではないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○町田耐震化推進担当部長 ご質問にございました総合評定というのは、いわゆるIw値と呼んでおります構造耐力上の指標でございますけれども、このIw値一・〇以上の建物につきましては、震度六強から七程度の大地震に対しまして一定の耐震性を有するものとされております。一方、このIw値が一・〇未満の建物につきましては、大地震の発生時に倒壊または崩壊するおそれがあると、必要な耐震性を満たしていないものとされているところでございます。
 したがいまして、Iw値が一・〇未満の住宅への助成につきましては、耐震性能が十分に向上するとは限りません。地震発生時に倒壊し、道路閉塞を引き起こす可能性もございます。こういったことから適切ではないと考えております。

○大島委員 一遍に全部じゃなくて少しずつやっても最終的にはしっかりとした一・〇以上になるとか、そこをやったことによって下がってしまうというなら無理ですけども、そうじゃなくてそこを維持できるというものであったら、各区、ほかのアンケートなんかを見ますと、そういうのをやっているところもあるんです。そういうふうにして少しでも倒れない、倒壊しない住宅をつくっていこうということでの取り組みというのが進んでおりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 そんな中で、先ほどもいいましたけど、一部屋でも補強の対象にすべきではないかという問題なんです。
 これは二月十一日の朝日新聞なんですけれども、耐震の改修に必要な木造の一部屋補強の助成をするということを渋谷区で実施すると、二〇一〇年度の予算案の中に入っています。この背景には、資金不足、工事中の居住場所の問題などが指摘されたため、工期が一日で終わり、建物の一部屋だけを補強する制度を設けることにしたというふうになっています。ここでは耐震化ではなく補強ですけれども、命を守ることにつながるからだ、こういって踏み切ったというふうに報道であります。
 そういう点でいって、ぜひ一部屋補強も助成の対象にすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○町田耐震化推進担当部長 木造住宅の耐震化助成につきましては、倒壊によります道路閉塞を防ぐことを目的として実施しているものでございます。
 お尋ねの一部屋補強への助成につきましては、先ほどの答弁と同様でございますが、住宅の耐震性能が十分に向上するとは限りません。地震発生時に倒壊し、道路閉塞を引き起こす可能性がございます。こういったことから助成対象としては適切でないと考えております。
 なお、都では、阪神・淡路大震災などで多数の高齢者や障害のある方が犠牲になっているということを踏まえまして、住宅の倒壊から高齢者や障害のある方などの生命を守る観点から、耐震シェルター及び防災ベッドの設置費用の助成を行っているところでございます。

○大島委員 渋谷区がいうように、耐震化ではなく補強だけれども命を守ることにつながるからという、やっぱり人の命を守ろうという立場で物を考えていくということがすごく大事じゃないかというふうに私は思っています。
 最後なんですけど、一九八一年五月以前の建物が今対象となっていますけれども、二〇〇〇年の政令改正でさらに基準が変わったと聞きました。
 二〇〇〇年以前の建物も診断、改修助成の対象に加えて、たとえ耐震診断助成を半額でも助成することができれば、耐震化に対する意識を高めてもらうきっかけになるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○町田耐震化推進担当部長 二〇〇〇年は、いわゆる平成十二年でございますけれども、平成十二年の政令改正は、昭和五十六年に改正されました現行の新耐震基準の考え方に沿いまして、壁の配置の評価方法や柱やはりの接合方法、こういう点に関します取り扱いの基準を明確にしたものでございます。一方、昭和五十六年に改正された新耐震基準に基づく建物につきましては、阪神・淡路大震災に関します国の調査によりますと、地震による被害が少なく耐震性を有するものであるという認識が示されております。
 このことから、都といたしましては、まず五十六年以前に建築された建物の耐震化を促進すべきであると考えております。現行の各施策を今後とも積極的に推進してまいります。

○大島委員 いろいろな提案もさせていただきました。いろいろもっとやりたいなと思ったんですけど、時間の関係もあるのでこの問題はこのくらいにしますけど、阪神・淡路大震災では、犠牲になった方の八割が建物の倒壊による圧死とか窒息、約一割の方が焼死といわれています。都民を地震による建物倒壊から守るためにも耐震化率を引き上げていくということは、どなたも一致できるものだと思います。ぜひ木造の戸建てや共同住宅、マンションの耐震診断や改修工事への助成金をふやすことや、その対象を広げていただいて、区市の取り組みとあわせて柔軟な対応をしていただけますように強くお願いをしておきたいと思います。
 では、次に都営住宅の問題で質問します。
 二〇〇〇年以降、東京都は都営住宅の新規建設は行わず、専ら建てかえ住宅の建設を進めてきました。その中で型別供給が行われておりまして、ひとり暮らしなら一DK、二人暮らしなら二DK、こう決められておりまして、入居せざるを得なくなっています。建てかえということで、対象住宅に居住している方の家族構成によって、建てかえ後の住宅の部屋の型が、広さが決まってくるという関係になっています。
 今、高齢者のひとり暮らしとか二人暮らしの方たちが大変ふえておりまして、こういう住宅が建てかえということになりますと、どうしても一DKとか四十平米の二DK、こういうものが多くなってしまいます。
 足立区でも建てかえ住宅をいろいろやっておりますけれども、上沼田団地という大変大規模な団地の建てかえが進んでおりまして、今、一期工事が行われています。この一期工事では、一DKが百八十七戸、二Kが百二十一戸で、全体で三百六十五戸のうち、何と八四・三%が四十平米以下の小さな間取りの部屋となっています。
 こうした規模の小さい住宅が数多く建設されている今のやり方では、ひとり暮らしの方が多ければ多いほど一DKの戸数がふえていく仕組みになってしまって、例えばそこに居住している方が亡くなったり転居したりということになりますと、その後に入居できるのは、やはりひとり暮らしの高齢者しかいなくなってしまうんです。そうなると団地全体が高齢化して、自治会活動も思うようにいきませんし、コミュニティの育成もさらに難しくなるということが懸念されます。このような団地を東京都がつくっていく役割を果たしていくというのは問題だというふうに思います。
 型別供給というやり方をやめて、従前の居住者が移転する際には、例えば一人世帯であっても、二DKなどの広目の住宅を居住者が自分で選べるようにすべきじゃないでしょうか。広い部屋に移れば当然家賃も上がってしまいますが、それはその方の選択なんですね。でも、そういうふうにしても少しでも広い部屋に移りたいという需要は多いと思いますが、いかがでしょうか。

○山口建設推進担当部長 都営住宅は、都民共有の住宅セーフティーネットとして機能するよう適切に維持更新し、ストックを活用して公平かつ的確に供給することとしております。このため、建てかえに当たりましては、居住者の世帯構成に応じた基準を設け、これに基づきまして適切な規模の住宅に入居していただくこととしております。

○大島委員 そうなっているのはわかるんです。でも、それだと偏った団地構成になってしまうなというのを危惧しているわけです。
 一DKの部屋というのは三十二平米で、高齢者がベッドを置くと、その周りに家具を置くことも本当に難しくなっちゃうし、例えば寝たきりになって介護とか看護するときに、子どもたちが来ても泊まる場所がないということで、台所に布団を敷いて寝るのが精いっぱいだと。もちろん車いすで生活するのも難しいという状況です。将来の団地全体の活性化、こういうものを視野に入れて東京都は考えていくことが必要だというふうに思います。
 上沼田団地では、建てかえ後の戸数が千四百戸、元戸数が千六百十二戸ですから、建てかえ前を二百十二戸、一三%も下回ってしまうんです。少なくとも元戸数以上の住宅を建設して、子育て中のファミリー世帯が住めるような二DKとか三DKの住宅をもっと供給すべきではないでしょうか。
 そのためには、都営住宅については総戸数抑制策を見直して新規の都営住宅の建設を再開すべきと考えますが、見解を伺います。

○山口建設推進担当部長 都内の住宅数は既に世帯数を一割以上上回っておりまして、さらに将来的には東京都においても人口減少社会の到来が見込まれております。一方、都営住宅は一度建設を行いますと、長期間にわたりまして管理していかなければならないことから、管理戸数を抑制していく方針でございまして、元戸数以下を基本として、入居実態を踏まえながら建てかえを進めていくこととしております。

○大島委員 住宅ストックが世帯数の一割を超えるというのはもう何回も聞いているんですが、きょうの資料をいただいたのを見てみますと、東京の家賃というのは全国で比べても断トツです。全国平均が六万四百六十七円、これは民間借家の一カ月の家賃、間代の比較を見ていますけど、全国が六万四百六十七円で東京都は八万五千百十二円、区部は九万百四十五円なんです。本当に高いと思います。こういうところになかなか入居するのが難しい、また入居していても暮らしを圧迫するということで、都営住宅に入りたいという人が年々ふえているんです。空き家の応募倍率を見ればもう明らかだというふうに思います。そういう点で、住宅政策についても本当に根本から見直す時期に来ているのではないかというふうに思います。
 次に、エレベーターの設置の問題について伺います。
 エレベーターの設置というのが大分進んでまいりました。前にいただいた資料によりますと、平成十六年度から二十年度までで二百二十六団地、三百八十三基設置されたと書いてありました。年平均で七十六・六基ということなんですが、来年度は六十五基が予算化されています。同じ団地に住んでいても、設置基準に満たない棟だけが取り残されてしまって、ここに居住している方たちから不公平だという声が上がっています。エレベーターの予算をふやして、設置基準を下回っている住棟にもぜひ設置できるように要望しておきたいと思います。
 このような中で、都営住宅の一階部分に店舗がついているいわゆる店舗つき住宅、この店舗に違反の増築などがある場合には、エレベーターの設置が難しくなっているというケースがあります。居住者にとっては、自分でこの棟を選んだわけではありませんので、やはり不公平だという声があります。
 非常に難しい問題だということは理解しているんですけども、この点についてはどのように考えていますでしょうか、見解を伺います。

○荒川営繕担当部長 都営住宅の下層部分にございます併存店舗に建築基準法の確認を受けていない増築がなされている場合につきましては、所管の建築指導部局と連携しまして、当該店舗の所有者に対して是正への協力を求めているところでございます。
 しかしながら、エレベーター設置の際は、計画通知を提出しまして、建築基準法に適合していることの確認を受ける必要があるため、是正が行われない限りエレベーターの設置は困難でございます。

○大島委員 これはやっぱりいろいろ問題があるということだし、解決が難しいというのも私もよくわかるんですけれども、店舗つき住宅の店舗との関係では、財団法人首都圏不燃建築公社と東京都、それから買った店舗の持ち主、この三者の間でさまざまな契約が結ばれているんです。東京都が土地賃貸契約を結んで、今でも不燃公社が地代を徴収し、東京都に納めています。そして、不燃公社が店舗分譲契約により店舗を購入した方との間で土地の賃貸契約が結ばれています。さらに、併存店舗分譲契約というのによりまして、店舗の所有権を取得したときは、今度は東京都と土地賃貸契約を締結するということになっています。
 私、この契約書の写しを情報公開でいただきました。それを読んでみますと、土地の使用状況の制限、変更という項目に、この土地に地表から一メートルの高さ以上に新たな建築物を建設し、または既存建物の増築及び工作物を設けてはならないというふうになっているんです。
 そして、契約の解除という項目では、この契約に違反したときは、催告をしないでこの契約を解除することができる、東京都が解除することができるというふうになっているんです。しかも、契約解除された場合は、東京都の受けた損害をその店舗の人が賠償しなければならないというふうにも書いてあるんです。つまり、東京都は契約上、この違反増築などについて、契約の解除も含めて十分に対応できる、そういう契約というふうになっているんです。
 この点で、この店舗の無断増築について、これまで不燃公社がずっと折衝してきたということなんですが、平成十九年六月、都市整備局に不燃公社からの報告書が上がっているんです。これを読みますと、これまで主として公社でヒアリングを行ってきましたが、公社はここまでが限界であり、今後も引き続き撤去を進めていくのであれば、行政であり、また各店舗所有者との建物の維持管理に関する契約を締結している東京都より行っていただきたい、こう書いてあるんです。
 まさに東京都がきちんと対応すべき問題ではありませんか。是正が行われない限りエレベーター設置は困難というだけでは片づけられない問題だと思いますが、再度答弁を求めます。

○荒川営繕担当部長 首都圏不燃建築公社の文書は折衝記録の報告書でございまして、お話の内容はそれに付された所感、感想でございます。同公社は、当該店舗の所有者への訪問を現在も引き続き行っている状況でございます。
 先ほどもご答弁しましたが、既に一部の団地におきまして、建築確認を受けていない増築を行った店舗の所有者に対しまして、関係団体と連携しまして文書送付や戸別訪問を行いまして、是正の協力を求めているところでございます。

○大島委員 少しずつではあるけれども改善に向けて努力してくださっているということはよくわかります。でも、そこに住んでいる方にしてみれば、早くその部分が解消しないとエレベーターが設置できないという二重の苦労を持っているわけです。ですから、ぜひ東京都として、そういう方たちのためにも一日も早い解決のために努力していただきたいと思います。
 最後に、緑確保の総合的な方針への意見を表明したいと思います。
 今回策定される緑確保の総合的な方針は、方針策定の必要性のところでも述べられておりますように、これまでさまざまな緑の施策が講じられてきたにもかかわらず、東京全体の緑を俯瞰すれば、いまだ減少傾向が続いているということを率直に認め、残された緑をどう守っていくかという観点から策定されたものです。
 また、緑の役割についても、地球温暖化に係るCO2吸収源としての役割や、クールアイランドへの貢献、生物多様性の確保、郷土の景観を形づくる骨格としての役割、雨水の浸透機能など、既存の緑の持つ多くの機能に光を当て、既存の緑は都民全体のかけがえのない共有財産であり、未来に向けて確実に引き継いでいかなければならないと強調し、我々の世代はそういう責務を担っているとまで言及しています。
 こうした緑を守ることへの決意と取り組みは理解しますが、その一方で、これまでさまざまな緑の施策が講じられてきたにもかかわらず、なぜ今も緑の減少に歯どめがかからず減少傾向が続いていくのか、ここを深く分析して、その反省を踏まえて新たな方針をつくるということが重要だと考えます。
 緑破壊の大きな原因の一つが、今、東京で行われているさまざまな開発行為です。東京都では、東京の新しい都市づくりビジョン、こういうもので東京を活力と魅力に満ちた国際都市にすると、そして再生するための都市づくりとして、都心部を中心とした同時多発的な民間開発が打ち出され、これが環境への負荷を飛躍的に増大させています。また、オオタカの営巣も確認されているという広大な多摩丘陵での南山開発や坂浜平尾地区の区画整理事業など、緑を守ってほしいという住民の反対もあるもとで強引に進められています。こうして守るべき緑が失われているのです。
 この方針案の中にも、東京都の樹林地は平成九年から十九年の十年間で約八百ヘクタール減少し、今も減少を続けていることや、平地林は多くが市街地化により消失し、一ヘクタール以上の平地林はわずか三十カ所程度になっていることを明らかにしています。
 今、既存の緑の保全だけでは総合的なまちづくりとはなりません。こうした東京の現状を変え、緑を確保していくためにも、緑を破壊し減少させる開発行為を厳しく規制し、開発のビジョンを見直す方向に大きくかじを切りかえる政策の転換を強く求めて、意見とさせていただきます。
 以上です。

○尾崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十分開議

○尾崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○しのづか委員 それでは、予算に関連してと、あと緑確保の総合方針についてもお聞きしたいと思います。
 まず予算の方です。多摩ニュータウン関係についてお聞きします。
 まず第一点目として、多摩ニュータウン事業会計の来年度予算及び多摩ニュータウン事業会計以外で多摩ニュータウン再生にかかわる来年度予算の内容がありましたら、お答えください。

○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 お答えをいたします。多摩ニュータウン事業会計の来年度予算でございますが、総額が百五十二億六千九百万円でございまして、その内訳は、主な事業費は、宅地販売のための広告宣伝費や宅地の維持管理費などの経費として約三億四千四百万円、都債償還のための公債費会計繰出金として約百四十五億九千五百万円を計上してございます。
 ただいま委員からお話しございましたニュータウン再生というくくりでは予算を整理してございませんが、多摩ニュータウンまちづくりにかかわる予算として、一般会計の方では小中学校整備に伴う起債等償還の地元市への補助費や、坂浜平尾地区の都有地、流域下水道の維持管理費などを計上してございます。
 なお、多摩ニュータウンのまちづくりにつきましては、地域経営の視点から、地元市、地権者などとともに、適切な役割分担のもとで取り組むべきものと認識してございます。

○しのづか委員 これは前にも事務事業の質疑の中でお聞きした点なんですが、多摩ニュータウン再生というこれからの新しい課題になってくるかと思います。できれば局としてきちんと再生という視点での取り組みというのを、この間も要望しましたが、引き続き要望させていただきます。
 その中で何点かお聞きしたいんですけど、私の地元の多摩ニュータウンでは、少子高齢化とあわせて都市基盤の更新時期を迎えております。ちょうど開発から四十年という時が経過をしまして、財源の確保というのが地元では大きな問題となっております。この問題への対応というのは、今後、東京都が都全体として直面する施設更新とあわせたまちの更新事業の際の絶好のケーススタディーとなり得るのではないかと私は思っております。
 高齢化社会における市街地の再生を全都的な視点から研究、検証する社会的な意義は大きいと考えておりますが、その考え方をお伺いいたします。

○安井都市づくり政策部長 都は、今お話のございました超高齢社会の到来という点を含む社会経済情勢の変化を踏まえまして、また、庁内各局の意見を踏まえまして、昨年七月、東京の都市づくりの基本的な方針を示した東京の都市づくりビジョンを改定してございます。
 この中では、区部、多摩地域を通じまして、鉄道駅などを中心に業務・商業、教育、福祉など多様な機能が集積したコンパクトな市街地への再編を図ることにより、地域の生活や活動などが公共交通によって支えられ、だれもが身近な生活機能の集積のメリットを享受できる、高齢者にとっても暮らしやすい都市の実現を目指すこととしてございます。

○しのづか委員 今つくっている計画の部分でしかお答えがなかったんですが、これ以上聞いても、それ以上の答えは返ってこないということなのかなと思うんですけど、私の提案としては、国では平成十九年度から、ニュータウンを初めとする計画住宅市街地の再生を促進するために、従来の住宅市街地総合整備事業の事業メニューを広げております。
 東京都として、こういった制度にリンクする支援制度というものを私は拡充すべきだと思っておりますが、その考え方をお伺いします。

○安井都市づくり政策部長 更新時期を迎えてございます大規模住宅団地では、入居者の高齢化や世帯構成の変化などに伴いまして、小学校や幼稚園が廃止になるなど、団地内の施設需要にも団地の建設当時と比べて変化が見られるのは事実でございます。
 都は、こうした団地の建てかえを円滑に進めるために、一団地の住宅施設の都市計画を廃止いたしまして、同時に、地元区や市が地区計画を定め、当初の計画にはないものの今日では団地住民が必要とするような、例えば福祉施設の導入も可能となるような対応を行ってきてございます。
 こうした方針に基づきまして、多摩ニュータウンにおきましても、初期入居団地を対象に都市計画の廃止の手続を行ってございます。その手続の後におきましても、諏訪地区では民間団地の建てかえに対する技術的支援や補助を行っているほか、市が公園のリニューアルや歩道の段差解消に向けて導入を予定してございます住宅市街地総合整備事業について、整備計画の策定に対する技術的な助言などを行ってきてございます。
 引き続き、こうした取り組みを通じまして地元自治体や都市再生機構と連携して、住宅市街地の再生を促進してまいります。

○しのづか委員 意見なんですけど、これは前にも申し上げましたが、多摩ニュータウンのような大きな街区を擁するような、民間の管理組合によるまちのつくりかえというものには非常に大きな時間とお金がかかるんです。そういったところへの支援というところでは、私は、人的にも財政的にも、まちそのものの再編というものになっていくので、先ほども申し上げたように、社会的な意義として、今、オールドタウン化というふうにいわれているニュータウン、これは全国に所在しておりますが、そこを、どのようなまちづくりを行っていくのかというのは、私は、広域自治体である東京都がきちんとそこに視点をとらえて、何らかの方策、具体的な取り組みというものを、今後取り組んでいく必要性があると思います。ぜひその点を検討していただきたいと申し上げておきます。
 それでは、その中で都営住宅に関して何点か申し上げたいと思います。
 都営住宅の供給については、住宅のストック数が充足している現状と人口減少のトレンドを踏まえて、今後ふやす考えがないというふうに、先ほどの質疑の中でもありました。私も、ふやさない、増嵩しないという考え方については、全く同様の考え方に立つところでありますが、住宅の質的な側面にはまだまだ改善の余地があると感じております。
 今後、都営住宅は、真に住宅に困窮する都民のセーフティーネットとして機能することが求められておりますが、住宅ニーズの変化動向として考えられることが二つあると思います。
 まず一つ目、お伺いしたいと思うんですが、一つ目は高齢化への対応であると思います。階段室型のエレベーターのない中層住宅における高齢者対策については、低層階への住みかえ制度などが過去の答弁などでもありますが、住民の意向をどのように把握されているのか。また、実際に住みかえが成立した実績をニーズに対する件数と割合でお答えください。また、申請からあっせんまで時間がかかるようなケースがあると聞いていますが、それはなぜなんでしょうか。お答えください。

○岡沢経営改革担当部長 都営住宅にお住まいの方々が、例えば高齢化などによりまして階段の上りおりが困難になるといった場合に、低層階に住みかえいただくということにつきましては、都営住宅条例に基づきまして住宅変更という制度を用いて、公募ということではなくて空き家に転居をいただいているところでございます。
 その数でございますけども、こうしたことを理由といたします住宅変更につきましては、平成二十年度中を見ますと、個々のご希望に基づきまして約六百件のあっせんをいたしました。そのうち約三百五十件の方にご入居いただいているというところでございます。この差でございますけども、これは、私どもがあっせんをいたしました住宅を例えば下見をされて、実際に行ってみたらば住宅が思ったより古かったといったようなことで、辞退されるということで入居されない。辞退による入居がないということなんですね。そうした場合には、その後別の住宅をあっせんするというような対応を行っているところでございます。こうしたことをもちまして、最終的にはご希望に沿った住宅に入居をいただいているということでございます。
 時間がかかるという話もあるということでございましたけども、まずご希望を伺うわけですから、希望先の団地の条件を、立地条件等々比較して広くしていただければ、短期間にあっせんするということも可能なんですけれども、例えば、今住んでいるところの団地のここでなきゃだめだとか、そういうことを希望されますと若干時間がかかるということもございます。そういうこともございますけども、先ほど申し上げましたとおり、最終的には希望に沿った住宅にご入居いただいているというのが実態でございます。

○しのづか委員 今お伺いしたんですが、高齢化に伴って高層階から、例えば中層棟の場合は五階から一階、二階に移り住みたいというような要望が多いかと思うんですが、それに対応する方策として、私、階段室型とはいってもエレベーターというものの設置が必要だと思っています。
 技術的に難しい面があるというのは承知しているんですが、具体的にどのような課題があるのか。今現在、都はこれまで階段室型の建物へのエレベーターの設置というものの実績があるというふうに伺っておりますが、その点をお伺いします。

○荒川営繕担当部長 既設の階段室型の都営住宅へのエレベーターの設置についてでございますけども、自治会からの要望のある団地のうち、建物の構造を勘案した上で、設置スペースの確保や建築基準法等の法令への適合などの条件を満たしまして、居住者全員の同意が得られた住棟につきまして、平成十二年度から二十年度までに約百三十基実施してございます。

○しのづか委員 技術的に難しい課題の中の具体的にどのような課題があるのかという点については、いかがですか。

○荒川営繕担当部長 技術的な面でいいますと、階段室をエレベーターから渡り廊下でつなぎます。そこの壁がとれるかとれないかというような構造的な問題、あるいは建築基準法で日影規制等がありまして、隣地に日影をある程度しか落とせないとか、あるいは斜線制限とか、そういうような基準がございます。

○しのづか委員 そういう意味では、百三十基という実績というふうにお伺いしておりますが、その条件に合う状態というのがなかなか難しいのかなと思っております。
 それともう一つ、二つ目の条件としては、私は就労環境の悪化に伴う住宅困窮対策というものも考えられると思います。
 この対象者は、年齢的には比較的若い世帯が多いと考えておりますが、急な解雇や就業環境の変化のために住宅が確保されない人たちであり、社会のセーフティーネットとしては、若い世代に対する対応も必要になっていると私は認識しております。これらの世代は家族形成期にあるケースも多くて、比較的広い住宅が必要とも考えられますが、これについての対応策はどのようになっていますでしょうか。

○岡沢経営改革担当部長 都営住宅は、現在、空き家の入居募集の応募倍率が非常に高うございます。恒常的な空き家というものはございません。こうしたことに加えまして、高齢者の方々とか障害者の方々などで入居を希望されるという方も非常に多いという現状がございます。ということで、単に、先ほどご質問のございました就労環境の悪化に伴った若年の住宅困窮者というんでしょうか、こういった方々に、そういった理由だけで都営住宅を提供するということは極めて困難なことだろうというふうに考えております。
 こうした就労環境の悪化に伴う若年困窮者のうち、離職者の方々に対しまして、都営住宅本来の入居対象者の入居に支障を及ぼさないということなどを条件といたしまして、昨年から介護職への就労支援事業の対象者への一時住宅といたしまして都営住宅を提供しているところでございます。
 今後とも、重ねて申し上げますけれども、都営住宅本来の入居対象者の入居に支障を及ぼさないということなどを条件といたしまして、適切に対応していくつもりでございます。

○しのづか委員 これらの課題を解決するための一つの提案としてこれから申し上げたいことなんですけど、住み方に目を転じれば、住宅規模の問題から子ども世帯が同居できないような状況もあります。住民の自助の機能を阻害している要因ともなっているんじゃないかな。先ほども型別供給の問題、高齢化の問題みたいなものがありましたが、前にも今村副委員長の方から、私たち民主党は提案をさせていただきました、二つの住宅を一つにつなげて改修をしていくというようなことで、広目の住宅供給、そしてまた多世代が同一の団地内に住めるような環境をつくっていく、このことが可能になりまして、高齢者や若年者向けの供給というものが可能になると思うんですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

○荒川営繕担当部長 都営住宅は都民共有の住宅セーフティーネットでございまして、建てかえや修繕などによりまして、現在のストックを適切に維持更新し、真に住宅に困窮する都民に対して公平かつ的確に供給していく必要がございます。
 先ほどの質問にも答弁いたしましたけども、都営住宅には恒常的な空き家はございませんで、入居を希望する高齢者、障害者等が多数ございます。このことから、住戸数が減少することとなるお話のような取り組みを行う考えはございません。

○しのづか委員 かなり冷たい答弁なんですが、全体のバランスをぜひ考えていただきたいんですよ。型別供給というのは、やはり僕は問題があると思っています。きちんと住宅政策として、都営住宅政策として考えるのか住宅政策全般として考えるのか。
 あともう一点、これはお聞きをしませんが、提案として考えていただきたいのは、例えば民間のURですとか住宅供給公社のようなところに時限的に家賃を補助してあげて、そういった住宅供給を可能にするですとか、いわゆる箱物ばかりをつくるということではなくて、今、東京にある箱、ストックをきちんと住宅困窮者のために使っていただく。そうすれば、使うお金というのは、新たなものを建てたり改修したりというよりは、お金はかからないんだろう思っているんです。その辺は総合的な住宅政策としてきちんと検討をしていただきたいと申し上げておきます。
 それではもう一点、これも私の地元の問題なんですが、前にもお伺いをしました南多摩尾根幹線、来年度以降ということで、これは第三次の計画の中で検討するというふうになっているんですが、この尾根幹線の構成区間の事業化に向けて、整備形態、例えば都市計画そのものも含めて、整備形態の検討を私は早期に行うべきと考えているんですが、その後の検討状況というのはどうなっていますでしょうか。

○座間都市基盤部長 南多摩尾根幹線につきましては、平成十八年四月に策定いたしました多摩地域における都市計画道路の整備方針に示されている第三次事業化計画で、平成二十七年度までに整備着手すべき優先整備路線に位置づけられておりませんけども、この整備方針におきましては、広域的な幹線道路ネットワークのあり方を踏まえまして、概成区間の整備形態等について検討していくということになっております。
 しかしながら、本路線の事業化に当たりましては、将来の交通需要、整備財源、整備効果、モノレール構想との整合、地域住民との対応経緯を踏まえた沿道環境への影響など、整理すべき多くの課題があると考えております。このため、本路線につきましては、これらの課題を整理した上で、地元市とも連携を図りながら慎重に対応していきたいと考えております。

○しのづか委員 ありがとうございました。ほとんど答弁は変わっていませんでした。それを確認させていただきましたが、そういう難しい面があるからこそ早目に検討してくださいということなんです。
 それと、やはりまちづくり総体として考えていただきたい。交通動線というものは計画が開始をされた四十年前と全く変わっているので、だから都市計画そのものをきちんと見直していく。前にも話したように、多摩川架橋というものもいっぱいかかっちゃっていますよね。そういう中では、昔の幹線化、通過車両を通すような幹線化というような計画から、もう一歩、まちづくり全体として考えていく中で、ニュータウンの再生というものも視野に入れながら、どういう道路があるべきかということをきちんと視点としてとらえていただきたいと思います。
 予算については、これで終わります。
 次に、緑確保の総合的な方針についてお伺いをします。
 今回、都市整備局として、いわゆる箱物を担当する局として、緑確保の総合的な方針ということで、既存の民有地の緑というものをどのように確保するかというような方針をまとめたということは、この取り組みについては私は大変評価をしております。だからこそ申し上げるわけではないんですが、もう一点、違う視点の取り組みをぜひお願いしたいなと思って、これからお聞きをします。
 都が所有している都有地なる土地が、多分東京都内にいっぱい点在していると思うんです。そのほとんどが財務局が所有しているような土地だと思うんですが、都市整備局も例えば都営住宅予定地のような土地を確保していると思うんですが、その中には、事業を実施するまでに多くの時間を費やしている、いわゆる遊休地として管理をされているような土地がいっぱいあります。これを例えば地元自治体に市民農園として貸す。そして、その土地の本格利用までの一定期間、緑地として確保することが可能ではないかと思います。
 都が方針で取り組んだ既存の緑の確保、農地の確保の取り組みに加えて、こういった都有地を活用しての市民農園や暫定的な緑化というものをもう一歩積極的に進めるべきと私は考えているんですが、これについての見解をお伺いします。

○大塚参事 緑豊かなまちづくりを進めるためには、あらゆる空間を対象として緑化を考えていくと、こういうことはこれから都のみならず区市町村にとって必要なことだと思っております。
 今日行われている緑化の場面を見てみますと、公園、河川、道路、こういったおなじみの公共施設があるわけですけども、最近では都市再開発や開発行為の過程の中でも緑化に熱心に取り組んでいるという状況があります。
 お話の暫定的な都有地を活用して緑化する取り組み、これも先ほど申し上げましたように、あらゆる空間へ緑化を進めると、そういう観点からは意義を持つものというふうに認識しておりますけども、本来利用に至るまでの間、都有地を活用することにつきましては、緑化の視点からだけで検討されるものではないと思っておりまして、さまざまな利用法があってしかるべきというふうに考えておりますので、慎重な対応が必要であると考えております。
 いずれにしましても、今後、総合方針を所管する立場から、他の関係する各局に対しましてお話の趣旨は伝えてまいります。

○しのづか委員 これは意見です。
 今ご答弁いただいたように、いけそうだなと思ったら、いきなり慎重になっちゃったという感じで、なかなか難しいんですよ。例えば都営住宅の中にそういった農園を確保したいといったときには、今のルールでいくと、既存の宅地並みかな。例えば駐車場を貸し出すと同じくらいの多額のお金がかかってしまうということで、地元自治体がそこに手を挙げても貸せない状況があるというふうに伺っています。
 今、都が遊休地として管理しているということであれば、草刈りだ何だということで年間にお金をかけて管理しているわけです。それを、例えば一年ごとの契約で短期間で地元自治体にそういう遊休地を貸し出してあげるということで、お金が逆に、要は民間並みのお金じゃなくて安価なお金で借り上げをしてもらうことによって、マイナスがプラスに転じるわけですよね。ということは差し引きはもっと広がるということで、ぜひその辺は、市民農園や緑地確保だけじゃないです。先ほどもお伺いしたように、いろんな活用の仕方があると思いますが、その一つのメニューとしてきちんと方針を、所管する局として調整を図っていただきたい、このことを申し上げて質問を終わります。

○きたしろ委員 ご協力ありがとうございました。私も協力をさせていただきたいと思います。
 昨日、都が発表いたしました港区の竹芝地区のステップアッププロジェクトについてお伺いをいたしたいと思います。
 この地域は、私が昔、二十年前に住んでいたところなんです。都の施設だけで本当に何もないところだったんです。それが今は、竹芝桟橋ありホテルインターコンチネンタル東京ベイあり、もう本当にすばらしい地域になってきたんです。
 そういう中で、本年一月に策定された「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇においても、目標二、施策六、社会資本のストックの有効活用ということで、竹芝地区等の都市再生ステップアッププロジェクトを始めとして、都有地を活用した東京の魅力を高めるまちづくりを推進すると位置づけられているところであります。
 私は、昨年十月の本委員会の事務事業質疑において、都市再生ステップアッププロジェクトの事業内容などについてお伺いいたしましたが、実施地区の公表へと事業化のプロセスが進んできましたので、ここで改めて当該プロジェクトについて質問をさせていただきたいと思います。
 今回公表されました竹芝地区は、すぐれた交通利便性を有するにもかかわらず、老朽化した都有施設の更新やその周辺の民間施設の土地利用転換が進んでおらず、JR浜松町駅から竹芝ふ頭まで快適な歩行者空間が不十分といった問題も抱えております。このような現状で、都有地を活用したまちづくりを推進することにより、地区全体の魅力を高めることが期待されるところです。
 そこで、今回改めて、竹芝地区ではどのようなまちづくりを展開しようとしているのか、お伺いをいたします。

○遠藤市街地整備部長 竹芝地区でございますけども、その前に、今回、昨日発表させていただきました都市再生ステップアッププロジェクトでございますけども、これまで都有地を活用したプロジェクトといたしましては、南青山一丁目地区でありますとか、あるいは東村山市本町地区などで、主に単独の都有地を対象に民間活力を導入して実施してまいりました。
 今回、より一層効果的なまちづくりを進めるという観点から、関係局が連携しまして、近接する複数の都有地を活用して全庁的な観点からまちづくりを進めていこうと、このように考えまして、今回のステップアッププロジェクトを進めることといたしたものでございます。更新時期を迎えました都有施設が集中する地区におきまして、施設の移転や更新を機に、民間の資金力やノウハウを活用いたしまして一体的な開発を行いまして、あわせて周辺の開発を促していこうと、このような考え方でございます。
 今回の竹芝地区でございますけども、施設の移転等が予定されている土地が四カ所ございます。公文書館の土地あるいは計量検定所の土地などでございます。合わせて一・七ヘクタールほどございます。これらの都有地におきまして、民間による一体的な開発を進めるとともに、これをてこにいたしまして周辺の民間活用を誘導するなど、地区全体にまちづくりを展開していこうと、こういうふうに考えてございます。
 竹芝地区は、JRや「ゆりかもめ」等を初めといたしまして、交通利便性にすぐれた地区でございます。また、旧芝離宮恩賜庭園、竹芝ふ頭、四季劇場など、名所やにぎわい施設に恵まれた地区でもございます。またさらに、地区周辺でございますが、メディア関連の企業あるいはIT関連の企業などが多く進出してございまして、新たな産業集積の動きも見られます。
 この地区のまちづくりにおきましては、こうした地の利やポテンシャルの高さを生かしまして、豊かな緑、海、文化を実感できる活気ある商業・業務の拠点、これを目指す考えでございます。あわせまして、JR浜松町駅から竹芝ふ頭に至ります間、歩行者動線の強化や緑のネットワークを充実させまして、地区内の回遊性の向上、さらにはこの地区ならではの景観の形成に努めていく考えでございます。

○きたしろ委員 私自身も区議会のときから、水と緑のまちづくりということを大きな政治テーマとしてまいりました。特に竹芝地域は、まさにその典型といっていいような場所だと思います。
 いろいろな問題もあろうかと思いますけれども、今なぜこの時期に竹芝地区を実施地区として公表したのか、その理由と今後の取り組みの予定についてお伺いをいたします。

○遠藤市街地整備部長 都市再生ステップアッププロジェクトでございますけども、魅力あるまちの実現に向けまして、具体的な都有地の活用の提案を民間事業者から受けるなど、民間のノウハウを最大限活用していきたい、このように考えております。
 竹芝地区につきましては、二十二年度以降、都有施設の移転が順次予定されておりまして、このたび、実施地区であることを公表しまして、民間事業者や周辺の民間企業に情報提供いたしましてまちづくりの機運を高めていこうとしたものでございます。
 今後、民間や有識者の意見なども聞きながら、ことしの秋を目途に、契約条件、誘導施設の整備条件などを示しました事業実施方針や、地区の将来像や整備方針などを明らかにしますまちづくりガイドラインを策定するなど、このプロジェクトの具体化に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 竹芝地域については、検討すべき事項がたくさんあると思いますけれども、今後とも都有地の活用をてこにして、まちづくりを通して東京の都市再生を一層推進することを願いまして、都市再生ステップアッププロジェクトに関しての質問はこれで終わります。
 次に、総合設計制度についてお伺いをいたします。
 総合設計制度は、建築基準法に基づく制度で、敷地内に公開空地を設けることなどを条件に、行政の許可により容積率の緩和を認めるものであります。
 従前に、請願陳情の審査のときに総合設計制度に関して私の私見を述べさせていただいたところですけれども、昭和五十一年の制度創設以来現在に至るまで、許可件数は約七百件と民間事業者にも広く活用されております。安全で快適な歩行者空間の確保や憩いの広場の整備、都心部における良質な共同住宅の供給の促進など、東京の都市づくりに貢献してきたものと評価しております。
 反面、敷地単位による許可制度のため、公開空地として提供された歩道上空地が連続しないといった問題も出ているわけです。また、大規模な建築計画となるため、風害や圧迫感など周辺の市街地に及ぼす影響も大きく、制度の活用に当たっては、地域のまちづくりとの調和に配慮する必要があると思います。
 都では、年度内の総合設計制度の改正に向けて取り組んでいるとのことでありますけれども、これについて何点かお伺いしたいと思います。
 まず、今回の制度改正のねらいとポイントは何か、お伺いをいたします。

○本市街地建築部長 今回の総合設計制度の改正につきましては、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京の実現に向けて、地域のまちづくりとも調和した、より質の高い建築計画を誘導することを主眼としております。
 ポイントとして、主な改正内容としましては、緑の質について一層の向上を図る場合や、現在の制度で求めている建物の断熱性や設備の省エネ性能を上回る高次の環境性能を確保する場合に、これらの取り組みをしない場合と比べ、より多くの容積率の緩和を受けられるようにいたします。
 また、高齢者向け住宅の整備、緊急輸送道路の沿道建物の建てかえ、高層住宅での居住者用防災備蓄倉庫の整備などを行う場合、新たに容積率の緩和の対象といたします。
 さらに、隣地境界線からの建物外壁面の後退距離をこれまで以上に確保することによりまして、建物周辺への圧迫感の軽減等を図ってまいります。

○きたしろ委員 総合設計制度というのは、土地の持ち主にとっては、容積率が緩和をされて非常にプラスになるという意味で、建築主にとってはすごくいい制度なんです。だから、それがゆえに公開空地とかいろんな意味で、まちづくりだとか公共の目的に適したような形にしなければいけない。これはやはり大きな責任ある制度だ、行政の責任の一つだと私は思っているんです。
 総合設計制度が創設された当初は、建て詰まった市街地に空地を生み出すことが主眼でありました。しかし今日では、この空地を生かすため、特に周辺も含めて緑へ十分に配慮する時代であります。そのためには、単に木を植えるということだけでなく、その緑が周辺のまちの緑とネットワークできるようにするなど、公開空地の緑のあり方を考えていくことが重要です。その一環として、都は平成十九年から公開空地等のみどりづくり指針により指導を行ってきていると伺っております。
 そこで、今回の総合設計制度の改正では、公開空地の質を評価するというお話を聞きましたが、この公開空地等のみどりづくり指針は改正の中でどのような役割を果たすのか、お伺いをいたします。

○大塚参事 公開空地等のみどりづくり指針は、再開発等により生み出される公開空地等の緑の状況が周辺との関連性におきまして希薄であったり、それから通行や見通しなどに配慮していないケースが見られたことから、地域の緑のネットワークの形成や見通し等の安全性、こうした視点から緑の質的な面について配慮事項を示したものでございまして、平成十九年七月から運用してございます。これに基づきまして、これまで百二十件の開発事業に対して指導を行ってまいりました。
 今回の総合設計制度の改正の中では、公開空地等のみどりづくり指針の取り扱いについて、これまでの指導事項から、積極的に評価する事項として新たに位置づけまして、一層の緑の質の向上に向けて誘導していくことを考えております。このことによりまして、従来にも増して公開空地を美しく安全なものとし、また、周辺の緑とのネットワークを強化することで、緑あふれる都市空間の創出に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 この指針の役割が高まるということですけれども、まちづくりでの緑への取り組みは格段に向上させることができると思いますので、ぜひそのような方向で取り組んでいっていただきたいと思います。
 今回の制度改正は、公開空地や緑の充実だけでなく、環境負荷の低減あるいは高齢者の住まいの確保、緊急輸送道路沿道の耐震化促進など政策課題にも対応しており、画期的な内容となっていると私は評価したいと思います。昨年改定されました都市づくりビジョンを実現するためのツールとして大いに活用できるものであると思います。
 大幅な改正になると思いますので、円滑な施行を図るための配慮も必要と考えます。今後の予定も含め見解をお伺いいたします。

○本市街地建築部長 副委員長のお話のとおり、都市づくりビジョンを実現するための有効な手法として総合設計制度を運用できるよう、改正作業に鋭意取り組んでおります。
 今後の予定でございますが、制度の運用方針や許可基準などを定めた東京都総合設計許可要綱を年度内に改正し、本年の夏ごろを目途に施行してまいります。改正内容については、ホームページに掲載し広く周知するほか、事業者等に対し説明会などを実施してまいります。
 また、現在の要綱の基準により計画中の案件につきましては、関係機関との協議に入っていることなど一定の条件を満たすものを対象として、新しい要綱の施行後半年間程度、現要綱の適用も可能とする経過措置を設けるなど、円滑な施行を図ってまいります。

○きたしろ委員 そういう意味でまちづくりに関して大いにツールになると思いますので、ぜひとも活用方をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、エレベーターの安全対策について意見を述べたいと思います。
 平成十七年七月に千葉県北西部を震源とする最大震度五強の地震が発生した際、首都圏で約六万四千台のエレベーターが運転停止となり、七十八件の閉じ込め事故が発生いたしました。このときは救出まで三時間近くかかったケースもあったと聞いておりますが、エレベーターに閉じ込められた場合、余震や火災が発生しても避難することができず、二次災害が危惧されることから、その対策が急務となっております。
 国は、平成二十年に建築基準法施行令を改正し、エレベーターを新設する場合、地震時の初期微動を感知して自動的に最寄り階に停止させ、扉を開放するP波感知型地震時管制運転装置の設置を義務づけたところです。既存のエレベーターについてはこの適用は受けません。設置は不要とのことです。
 都内の建物には、約十五万台ものエレベーターが設置されているそうですが、この中には地震時管制運転装置のついていないものや、初期微動も感知できない装置しかつけられていないものも数多く存在していると聞いております。エレベーターを利用する都民の安全を確保するため、既存のビルについてもP波感知型地震時管制運転装置の普及を図るべきであり、エレベーターの改修等の機会をとらえて設置に努めるようビルの所有者に働きかけることも重要な考えだと思います。
 しかし、聞くところによると、この導入費用は一基当たり約百二十万円かかるそうです。高額です。中小ビルの所有者にとって大きな負担となります。こうした負担の軽減を図ることも含め、区市とも連携しながら、装置の設置を促進するための方策について、やはり今から東京都も考えておかなければならないのではないのかなというふうに思います。このことを要望して、私の質問を終わります。

○中山委員 私からは、予算の関係で都営住宅、そしてまた緑確保策について質問させていただきます。
 まず初めに、住宅困窮者向けの住宅政策の中心となる都営住宅についてお伺いいたします。
 自治体が提供する保健、福祉、医療などの行政サービスが意味を持つためには、居住の安定が不可欠でございます。高度経済成長期から今日に至る歴史の中で、我が党は、住宅困窮者のための住宅である都営住宅の整備充実を一貫して訴えてまいりました。そして現在、未曾有の経済状況の低迷が続く中、高齢者や子育て世帯などに対し、住宅セーフティーネットとしての都営住宅を適切に供給していくことが、これまで以上に大事な課題となっていると思います。
 今定例会における代表質問で我が党の中嶋幹事長が指摘しましたとおり、安定性、継続性が重要な住宅困窮者向けの住宅につきましては、都が直接建設し供給する都営住宅を柱に住宅政策を組み立てていくことが最も妥当であります。河島局長からは、今後とも建てかえ等により良質な住宅の供給を推進することで、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組むとの積極的なご答弁をいただきました。ありがとうございます。
 代表質問でも触れさせていただきましたが、イギリスでは一九八〇年代のサッチャー政権によって始められた公共住宅の払い下げ、あるいは地方自治体による直接公営住宅の供給の実質的な廃止、そうしたものが進んで低所得者向けの住宅が不足してしまった。そしてその結果、二〇〇七年六月に発足したブラウン政権では、二〇〇七年七月の時点で、住宅緑書、いわゆるグリーンペーパーで、公共住宅の新規供給を大きく打ち出すということになりました。一たん失ってしまったものを買い戻すということは大変なむだであります。
 また、私自身も、今まで申し上げてきましたとおり、都営住宅の土地については、高層化等でこれからあいていくかもしれませんけれども、そこは地元区市と連携しながら、定期借地権等の活用で柔軟な活用をしながら、東京都は手離すべきではないと思っております。大きな地震等が発生した場合には、種地となる復興用地というものが当然必要になってきます。そうしたものも含めて、都営住宅のこの資産の活用というのは大事な課題であると思っております。
 そこで、今回の質疑におきましては、都営住宅のストックを適切に維持更新していくための取り組みについて何点かお伺いしたいと思います。
 まず建てかえでございます。
 我が党は、耐用年限までに建てかえが着実にできますよう、建てかえ事業の推進を強く訴えてまいりました。都は我が党のこの主張を踏まえ、建てかえ事業の対象を昭和四十年代に建設された住宅にまで広げるとともに、事業規模を今後年間四千戸まで段階的に拡大する方針を定め、来年度からは毎年度二百戸ふやし、三千四百戸の着手を予定していることは大いに評価したいと思います。
 一方、私の地元足立区には三万戸もの都営住宅がありますが、事業規模が拡大する今の時期こそ、建てかえを通じて団地の再編を進めることができるのではないかと考えております。また、建てかえ対象である昭和四十年代以前に建設された住宅は、都営住宅全体の約半数を占める十三万戸に及び、すべての住宅が建てかえられるまでには相当の期間を要すると思います。
 そこで、今後、建てかえに当たりましては、これらの認識を踏まえつつ進め方に工夫を凝らしながら、事業をさらに加速させていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○山口建設推進担当部長 現在、建てかえ対象としている都営住宅は、昭和四十年代以前に建設されたもので約十三万戸ございます。これらの住宅の建てかえにはお話のように相当な期間を要します。
 このため、今後は、敷地の高度利用が可能で、より多くの戸数が建設できる効率のよい団地につきまして、居住者がまとまって移転できる住宅を戦略的に確保することなどによりまして、事業期間の短縮を図ってまいります。さらに、事業の早い段階で福祉施設の整備を図るなど、地域のまちづくりに配慮しながら、地元区市や地域住民の方々のご理解やご協力を得てまいります。これらの取り組みによりまして、建てかえ事業をさらに加速してまいります。

○中山委員 四十年代の住宅の建て直しというのは非常に大事なことでして、都営住宅の全体の戸数というのは、やがて日本は人口減少社会、もう既に入っていますし、東京都もやがては入っていくわけですから、管理戸数の抑制というのは、これは必ず必要だと思います。ただ、現状、やはり景気の問題もあって、都営住宅の入居基準を満たす低所得者の方がふえている状況もありますので、大変な倍率が進んでいる中で、四十年代の建てかえのときには一時的にはこれをオーバーしても構わないんじゃないか、また、それを昭和五十年代の住宅の建てかえのときに是正すればいいじゃないかと私は思っております。
 東京都としては、高層化を進めながら、今までは従前居住者の住みかえだけに限っていたものを、定期入居、期限つき入居などを活用して、ファミリー世帯の入居も今後は建てかえ事業に際して進めていくことを検討するという話が本会議でも出ておりますので、期待したいと思っております。
 都営住宅の建てかえの際は、団地の周辺に道路や公園、福祉施設などが整備されることが多いことから、都営住宅の建てかえは居住者の期待にこたえるものであるにとどまらず、団地周辺にお住まいになっている方々の生活にも大いに役立つものと私はかねてから考えております。建てかえにあわせ福祉施設の整備促進を図ることなどを強く求めてまいりました。
 そこで、少子高齢化の進展などを踏まえた社会福祉施設の整備など、地域のまちづくりと連携した建てかえの今後の推進について見解をお伺いいたします。

○山口建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たっては、老朽化した住宅を更新するだけではなく、敷地の有効利用により用地を生み出し、地域のまちづくりの課題に的確にこたえることが重要と考えております。
 これまでも、都営住宅建設に関連する地域開発要綱に基づき、地元区市と連携し、保育所や高齢者在宅サービスセンターなどの施設を整備してまいりました。また、建てかえで創出する用地につきましても、事業に支障のない範囲で地元区市の要望を踏まえ、関係局とも連携しながら、多様な主体による福祉施設の整備を支援してございます。
 来年度は、事業規模を三千四百戸にさらに拡大する予定でございまして、事業規模の拡大にあわせ敷地の有効利用を一層促進し、地元区市とも連携しながら、子育て支援拠点の拡充や高齢者福祉施設の整備など、地域のまちづくりに寄与してまいります。

○中山委員 建てかえを進めていく上で、少子高齢化への対応も重要な課題でございます。我が党はこれまでも、二人世帯用の都営住宅の間取りの見直しや、建てかえ後の住宅の一部を子育て世帯向けの募集に活用すべきことを主張し、実現に導いてまいりました。
 今日、居住者の高齢化はさらに進んでおり、一人世帯用の一DKでは、介護面などでの課題も多く指摘されております。
 そこで、今後の建てかえに当たりましては、子育てから介護までさまざまなニーズに適合し、住みやすい住宅の供給が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○山口建設推進担当部長 建てかえで供給する住宅につきましては、居住者の世帯人数により基準を設け、適切な規模の住宅を供給しており、平成二十年度には、二人世帯用の住宅につきまして面積規模などの必要な見直しを行ってきたところでございます。
 今後、お話の趣旨を踏まえ、子育てや介護が必要な場合なども勘案し、さまざまな工夫を行いながら、若年ファミリーや高齢者など多様な世帯にとって一層住みやすい住宅を供給してまいります。

○中山委員 安心して暮らせる住宅の供給は、建てかえを円滑に進めていくために居住者から協力を得るという点からも重要であり、今後も引き続き適切な対応をお願いします。
 建てかえを進めるとともに、既存の住宅をより住みやすいものに改善していくことも重要であります。続いて既存の都営住宅の修繕事業について何点かお伺いいたします。
 都営住宅では、年々居住者の高齢化が進み、六十五歳以上の世帯主が全体の半数以上を占める中、住宅のさらなるバリアフリー化が求められております。既存住宅へのエレベーターの増設推進については、昨年十月の都市整備委員会で見解をお伺いしたところでありますが、設置基準については、費用対効果の面からも直ちに見直すことは難しいものと理解しております。
 そこで提案がございます。エレベーターの技術革新は著しいものがありますことから、基準未満の住宅につきましては、現在、階段室型住宅で実施している小型のエレベーターであれば、費用も安いことから設置が可能なのではないかと考えます。所見をお伺いいたします。

○荒川営繕担当部長 既存の都営住宅のエレベーターにつきましては、費用対効果などを勘案しまして、廊下型住棟には四、五階建て二十四戸以上、階段式型住棟につきましては五階建て三十戸以上の建物を対象に設置しておりまして、直ちにこの基準を見直すのは困難でございます。
 しかしながら、居住者の高齢化の進展に伴いまして、一層のバリアフリー化が求められていることから、ご提案の内容につきましては、費用対効果や技術開発の状況などを勘案し、設置の可能性について検討してまいります。

○中山委員 前向きなご答弁ありがとうございます。
 また、同じく昨年十月の委員会におきまして、私は、建てかえられるまでの間の既存の住宅のバリアフリーへの対応もまた重要な課題であると主張させていただきました。都はこの私の質問に答え、平成二十二年四月から、高齢者等の要望に応じて、玄関ドアのノブのレバーハンドルへの切りかえを実現していただくことになりました。こうしたきめ細やかな対応を、できるところから少しずつ行っていくことが極めて重要であると思います。
 そこで、既存の住宅において玄関ドアのノブのレバーハンドルへの切りかえのようなバリアフリー化の取り組みを今後どのように進めていくのか、所見をお伺いいたします。

○荒川営繕担当部長 既存の都営住宅のバリアフリー化につきましては、これまで、高齢者や身体に障害のある居住者からの要望を受けまして、玄関、トイレ及び浴室への手すりの取りつけ、インターホン設置などの住宅設備改善を実施してございます。また、先ほどお答えしましたエレベーターの設置を初めまして、住棟や集会所へのスロープの設置などを行っております。
 来年度は、高齢者等の要望による玄関ドアのレバーハンドル化に加えまして、新たに、ごみ置き場のドアのレバーハンドルへの交換も行っていく予定でございます。
 こうした取り組みに加えまして、現在、空き家補修の際に、浴槽ふろがまのない住戸には都が浴槽などを設置してございますが、今後、スペースが確保できる住戸につきましては、新たにまたぎやすい高さの浴槽を設置してまいります。

○中山委員 都庁の幹部職員の方がごみ置き場のところを見て回ってくださったりとかして、ドアのノブも変えたほうがいいと気づいてくださったりしていると、これは大変ありがたいことだと思いますし、私も議員になる前は介護保険の仕事を区役所の窓口に立ってやっておりましたので、またぎやすい浴槽に切りかえていただけるということは、どれだけ喜んでいただけることかというふうに思っております。感謝いたします。
 都営住宅を建てかえる際には、これまでも屋上に太陽光発電設備を設置するなど温暖化対策に取り組んでいただいておりますが、既存の都営住宅における取り組みを推進していくことも、建てかえの場合と同様に重要な課題でございます。
 私は、この問題につきましても、一昨年の第三回都議会定例会や昨年十月の都市整備委員会におきまして、屋上への断熱工法について見解をお伺いいたしました。昨年十月の委員会では、現在試行中であり、その効果を検証中とのご答弁をちょうだいしたところであります。
 そこで、既存住宅における屋上断熱工法の検証結果と今後の取り組みはどのようになっているのか。また、建てかえにおいては、平成十六年度より太陽光発電設備の設置が行われておりますが、どのように考えていくのか今後の見解をあわせてお伺いいたします。

○荒川営繕担当部長 既存の都営住宅の屋上断熱につきましては、室内環境の向上やCO2の排出量削減の効果が見込まれますが、建物の構造耐力への影響などを検証する必要があることから、試行的に実施してまいりました。
 試行では、環境負荷の高い八月の最上階の住戸における使用電気量について、改修前後での比較を行いました。その結果、約一七%の減少が見られ、屋上断熱には相当の効果があることを確認しました。また、ほぼすべての住棟につきまして、荷重が増すことによる建物の構造耐力などの問題がないことも判明いたしました。このため、今後は、防水の改修時期に合わせまして屋上断熱を実施してまいります。
 また、太陽光発電設備の設置につきましては、建物の構造耐力や風圧力、施工上の問題などにつきまして検証を行う必要がございます。このため、技術的な課題の検証を行うため、来年度、一部の既存の都営住宅において試験的に設置してまいります。

○中山委員 最上階は暑いから来てよといわれて、行かせていただきましたけど、本当に暑かったです。新しい住宅はそういった点はすべてちゃんと対応していただいているわけですけれども、エコという面からも今後ご配慮いただければありがたい次第でございます。
 また、高齢者が多くなってきていて、共有部分の電球の取りかえとかも非常に難しくなってきております。少しでも負担が減るように、長寿命の照明に切りかえていただくなどのご検討もお願いしたいと思っております。
 冒頭で述べましたとおり、住宅はすべての行政サービスの基盤といっても過言ではございません。中でも、都民の住宅セーフティーネットの中核である都営住宅を維持更新する建設事業や修繕事業の果たす役割は極めて重要であります。また、二十六万戸の都営住宅は都の最大の公共財産であり、老朽化した都営住宅の建てかえに当たりましては、それを契機とした新たなまちづくりに期待と夢が広がっております。
 戦災復興の時代から今日に至るまで、公営住宅の供給は全国最多の戸数を有する東京都の都営住宅におきまして、常に全国に先駆ける形で進められてきたというのが事実ではないかと思います。とりわけ集合住宅の建築や設備の技術につきましては、都営住宅の建設や住宅改善の取り組みを通じて技術の革新が行われ、全国の公営、公共住宅、ひいては民間の住宅へとそれらの技術が普及していったものと認識しております。
 住宅行政の中核は、都が土地と建物を持っているからこそできる強みを生かし、住宅困窮者のための都営住宅を建設し、供給していくことにあるといっても過言ではございません。今後とも、都営住宅におけるこのような建てかえや修繕事業の取り組みを推進することにより、都や公社の職員の力を結集していただいて、住宅行政のさらなる発展を図るべきと考えます。
 今後の都営住宅の整備に向けて、三十年以上住宅行政に携わってこられました都営住宅経営部長にお考えをお伺いしたいと思います。

○清水都営住宅経営部長 都営住宅の建設事業は、昭和二十二年に戦後初の鉄筋コンクリート造住宅である高輪アパートを建設して以来、集合住宅建設技術の発展に大きく寄与し、民間の共同住宅のモデルとなってきました。それらの成果が現在の約千九百ヘクタール、約二十六万戸の都営住宅ストックになっております。
 お尋ねの今回の都営住宅の整備につきましては、これらのストックを生かしまして、まず第一に、大規模団地の更新に鋭意取り組むことなどによりまして建てかえ事業を一層加速するとともに、敷地の有効活用をさらに促進いたしまして、地元区市とも連携しながら、福祉施設の整備など地域のまちづくりに積極的に寄与していくことです。
 第二に、既存の住宅につきましては、居住者の高齢化が進んでいる状況を踏まえ、エレベーターの設置に加え、またぎやすい高さの浴槽の設置促進など、きめ細かな取り組みをあわせて進めることによりまして、バリアフリー化を図りながら適切に維持活用していくことです。
 第三は、団地敷地の緑化面積の拡大を図るとともに、太陽光発電設備の設置や屋上断熱などによる省エネルギー化を推進し、地球環境対策にも貢献していくことです。
 これら三つの取り組みを進めることによりまして、今後の都営住宅の整備を担う都や住宅供給公社の職員一人一人が、住宅行政の意義を改めて自覚することによりまして、職員のモラルを向上させ、技術力の向上と技術の継承につながると確信しております。
 今後とも、こうした考えに立ちまして、都営住宅ストックを長期にわたり有効に活用できるようにいたしまして、多様な世帯にとって住みやすい良好な都営住宅の建設、供給に向けまして、我が都営住宅経営部の総力を結集して積極的に取り組んでまいります。

○中山委員 どうも含蓄のある言葉ありがとうございました。
 いずれにしても、建築土木の最高先端の技術を持つ東京都、また住宅行政の専門家を担い続けてきた東京都が、力を合わせて日本の建築土木、そしてまた住宅の水準を上げていく取り組みをこれからも生み出していただけますようお願いを申し上げたいと思います。私どももしっかりと応援させていただきたいと思います。
 時間も押してまいりましたので、急いで、緑確保についてやらせていただきたいと思います。
 アンケートの結果、やはり屋敷林の保全には大変負担がかかるということを所有者の方も自覚していらっしゃいますし、また都政モニターアンケートの結果も、公的な補助、税金を投入してもそれをやるべきだということを支持していらっしゃるんだと思います。
 屋敷林の保全にはこうした日常管理の負担軽減策が大事であります。これについて方針ではどう取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○大塚参事 屋敷林の所有者の維持管理に係る負担軽減ということでございますけども、屋敷林は、これまで身近な緑を守る施策の一環といたしまして、区市町村が条例に基づきまして、保護樹林あるいは保存樹林という名目で指定を行っておりまして、その多くに年間の維持管理費用の一部を助成している状況がございます。しかし、アンケートに見られますように、落ち葉など近隣へ迷惑をかけることなど維持管理について、ひとり所有者が負担を感じているという状況もあることから、今回の方針では、屋敷林の維持管理を支援するボランティア団体を育成することに注目してございます。
 具体的には、先ほどもちょっと触れましたけども、先般、緑の保全活動に実績のあるセブンイレブン記念財団と協定を結んだところでございますが、この基金から、保全活動を行う、あるいはこれから行おうとする市民団体に対しまして活動費を助成する制度を創設することといたしました。当然に屋敷林の維持を行う団体に対しても適用されるところでございます。
 こうした落ち葉清掃等の活動を行う団体ができることによって、近隣からの苦情が激減した例もございます。地域による保全活動を促し、維持管理の負担軽減を図られる基金による支援制度を地元自治体と密に連携いたしまして積極的に普及してまいります。

○中山委員 先ほど山田委員からの質疑にもございましたように、私も、屋敷林の所有者の方々の維持管理に伴う労苦を一緒に分かち合おうとする人々が、都の思い切った活動の助成の開始をきっかけに広がっていくことは、屋敷林の所有者の方々にとりましても、引き続き屋敷林を維持していく決意というものを深めるきっかけになると思いますし、また、そうしたものを行政施策として保護していく、そういうことを評価してくださる都民の意識の向上にも役に立っていくものと考えております。
 ただ、アンケート結果にもございますように、相続などの不測の事態を前にしましては、志だけではどうにもならないという場合が多くございます。これは都としても真正面から取り組むべき重要課題でございます。こうした状況が生じた場合どう対処していこうと考えているのか、お伺いをいたします。

○大塚参事 お話のとおり、相続により屋敷林が処分される場合、緑を保全するためには土地の買い取りという大きな課題が生じます。今回の緑確保の総合的な方針におきましては、こうした課題に対し多様な選択肢の幅を広げられるよう、二つの方法を提示したところでございます。
 まず、屋敷林等の緑に対しまして、民有地のまま保全することができる特別緑地保全地区を指定することでございます。指定が行われれば相続税が八割評価減となることから、所有者に対して保全への大きな動機づけになる、こういうふうに考えてございます。さらに、所有者の事情により土地の買い取りが生じる場合には、既存の国庫補助とは別に、都が新たに創設しました補助制度を活用できるようにしたということでございます。
 なお、市町村につきましては、国や都の補助を除いた経費について、貸付利率の低い区市町村振興基金の活用が昨年四月より可能となってございます。
 もう一つは、区部において、屋敷林と農地がまとまって一定規模以上見込める場合には、土地の取得について、都市計画公園や緑地として指定することにより都市計画交付金の活用が図られ、確実に保全することができる方法でございます。
 今後は、これらの制度や仕組みにつきまして区市町村に十分に周知することにより、屋敷林についても計画的な保全が行われるよう、都としても積極的に取り組んでまいります。

○中山委員 都内各地に一千カ所も現存する屋敷林は、主要な温暖化ガスであるCO2の削減が地球的課題とされる今日におきまして、二百ヘクタール以上というその面積をどう今後も維持していくか、非常に大事な課題であると思います。
 しかしながら、法的にはあくまで個人資産である屋敷林に対して、公的な保護の手をどこまで伸ばせるのかという課題が常に存在しています。その課題を克服するためには、屋敷林は単なる個人資産としての位置づけから、社会的価値を担い出す都民の共有の財産としての性格を帯びたものに徐々に変化させていく必要があるかと思います。
 例えば、屋敷林の所有者の方々も、屋敷林を都民に喜ばれる形で公開していくご努力をご協力いただく、そうしたことも大事だと思いますし、その上で、屋敷林は個人が担うのではなく、公共性、公益性があるものとして、その重要性を高めていく取り組みも必要でございます。
 屋敷林の保全を進める上で有効なアイデアなどを幅広く検討し、また普及していく、そして具体的に推進していく都民の運動体となるような取り組みを構築すべきと考えますが、今後に向けたお考えをお伺いいたします。

○大塚参事 屋敷林などの都市の緑は、地域の特色ある景観形成やクールアイランドとしての役割を果たしておりまして、これからは屋敷林の持つ機能の公共性とか公益性に注目して保全に取り組む必要があると思っております。先ほど来申し上げております屋敷林等の緑の保全を目的とした特別緑地保全地区の都市計画決定を行うこと自体が、公共性ある緑としての位置づけを最も明確にするものと考えております。
 こうした制度による指定を促進していくほかに、屋敷林等の持つ公共、公益性について広く普及啓発していくため、今回の方針におきまして、これまでにない取り組みとして、仮称東京の緑を守る将来会議という新たな組織を創設していくこととしております。この組織は、先ほど触れましたセブンイレブン記念財団が東京都との協定に基づきまして立ち上げるということになっております。
 今後、都は、この団体の行う緑の保全に関するシンポジウムの開催や普及啓発紙の発行などを後押しするとともに、関係する区市町村とも密に連携いたしまして、積極的に緑に対する都民意識の醸成を図ってまいります。

○中山委員 仮称ということでご紹介いただいた東京の緑を守る将来会議、こうした動きというものに大変、特に農業者とかそうした方々も反応していらっしゃいまして、私の地元の友人でJA東京の中央会の青壮年組織協議会の委員長をしている牛込さんという方がいらっしゃいますけども、その方も積極的に協力していきたい、自分は屋敷林を持っていないけれども、協力していきたいということを強くおっしゃっておられました。
 こうした形で、都民が主体となってそういうものが広がっていって、いろんな形で認識が広まっていくし、東京都もそうした緑保全のために取り組むことがしやすくなるという環境を整えるということが非常に大事だというふうに思っております。
 最後に要望だけいわせていただきますが、先ほど、都市公園の指定も一ヘクタール以上でしたですね。そうしたこともありまして、広いところに対してはいろんな制度があるんですけれども、狭い土地の緑や屋敷林というものが非常に大事だと思います。
 都市農業の視点でも、例えば特殊な野菜とか伝統野菜とかを栽培する、種芋とかそういうものを栽培するところは、ごく狭い面積であっても非常に大事な農地というのがありまして、これが生産緑地の制度なんかだと保全対象に、面積が狭いものですからならないんですね。
 そういう面では、生産緑地制度と連携して特別緑地保全地区の指定というのを、今ご検討されていらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、私どもも国に対して、生産緑地の指定はより細かい面積で指定できるようにしていくべきだ、そうしないと二十三区内の農地なんかは守れませんよということを前政権のときから訴えてまいりました。
 そういう面では、東京都におかれましては、この特別緑地保全地区の指定について、細かい面積で区市町村から都市計画決定したいという協議が出てきた場合には、柔軟に対応していただきますようお願いをさせていただいて、質問を終わります。

○今村委員 それでは私の方からは、都市整備局所管の監理団体の採用試験についてお聞きしたいというふうに思います。
 都市整備局が所管をしている六つの監理団体で、正社員、そしてさらには契約社員の採用はどのように行っているのか、お聞きいたします。

○田崎参事 監理団体での社員の採用につきましては、各団体が経営状況あるいは実施している事業の将来の見込みなどを勘案いたしまして、採用すべき職種、人数、正社員、契約社員などの雇用形態を決め、募集、採用を行っております。
 当局所管の六つの監理団体の平成二十一年度の社員の採用状況につきましては、東京臨海高速鉄道、東京都住宅供給公社、多摩都市モノレール、東京都新都市建設公社の四つの団体で正社員及び契約社員の募集、採用を行ってございます。募集、採用の方法につきましては、各社がそれぞれ予定をいたしました正社員、契約社員の区分ごとに募集、採用を行ってございますが、東京臨海高速鉄道におきましては、運輸職の採用におきまして、正社員の採用選考の中で契約社員の募集、採用も同時に行うという形をとってございます。
 なお、東京スタジアム及び多摩ニュータウン開発センターの二団体につきましては、平成二十一年度につきましては、正社員、契約社員とも募集、採用を行ってございません。

○今村委員 募集を行っていない東京スタジアム、それから多摩ニュータウン開発センター以外で、多摩都市モノレール、それからJKKや新都市建設公社は、正社員と契約社員を別々に募集をしているということなんですけれども、臨海高速鉄道のみが正社員の応募者の中から契約社員の採用を行っているということであります。
 二〇〇九年の採用実績と周知方法、また、こうした採用方法を行う理由についてお伺いをしたいと思います。

○座間都市基盤部長 東京臨海高速鉄道株式会社におきましては、平成二十年度より運輸職の正社員の採用試験に合わせて契約社員の採用を行っております。
 平成二十一年度におけます採用実績は、受験申込者三百九十名に対しまして、一次試験合格者が五十五名、二次試験合格者が二十四名でございまして、正社員の最終合格者が九名、契約社員の合格者が五名となっております。
 正社員の採用に関する周知方法につきましては、募集要領をホームページ及び新聞広告に掲載した後、採用説明会で詳細な内容を説明しております。また、契約社員につきましては、この採用説明会におきまして、正社員の採用試験の最終合格に至らなかった方の中から採用する旨を口頭で説明するとともに、正社員の二次試験の受験者に対しまして書面で周知を行っております。
 正社員の応募者から契約社員の採用を行う理由といたしましては、正社員への登用が可能な契約社員の能力、適性を把握しやすくなり、正社員と一体的な人事管理を行うことができることに加えまして、個別に採用する場合と比較し、試験会場の確保や試験実施に係る採用コストなどを抑えることができることでございます。

○今村委員 今ご答弁をいただきましたけれども、臨海高速鉄道の、例えばホームページで告知を行っているということなんですけども、ホームページの採用情報というところを見てみますと、募集情報がありまして、募集をしているときには正社員、それから契約社員、それぞれ募集を行って、告知ができるようにつくられているんですね。今お話があったように、二十年から一括して正社員の中から契約社員を募集しているということですので、これはたまたまというか、そのままになっているのかもしれませんけれども、契約社員の募集のところには、現在募集を行っていませんということで、多分、もう二年間ずっとこういう状況になっているんだというふうに思います。
 ここで、つまり臨海高速鉄道が行っている募集の仕方というのは、正社員を募集して、その中から契約社員を募集する。コスト的にも、今、理由が述べられましたけれども、それは一つ理解ができるわけでありますけれども、今、厳しい経済状況の中で、正社員として働きたい、こう願っている方たちが、募集の最初のときには新聞広告にもホームページにも何らその旨が書いていない中、さらにいえば、東京だけではなくて地方からの受験者もいるでしょうから、今ご説明がありましたけれども、説明会で周知を行っているということでありますけれども、例えば昨年も三百九十人の募集があって、実際に説明会に出席できているのは二百九十名ぐらい、七五%ぐらいになるんでしょうか、四分の三ですね、こういった状況であるわけでありますので、実際に受けてから、実は契約社員の募集をしているということで、これは逆に、受ける立場の方たちから見れば、全く知らない中で、最終選考まで、直前まで行って、急に、契約社員の募集がありますので合否の前に出してくださいといわれる。出してくださいといわれて、いや僕は正社員になりたいので、契約社員の募集には出さないでおこうかなと思うかもしれませんが、もしこれを出さなかったら正社員としての採用をされないかもしれないと考えてしまうようなことになりませんか。
 それは全く東京都はないというふうに思っていらっしゃると思いますし、高速臨海もそういったことはしていないと私も思いますけれども、しかしこの募集の仕方というものは、民間であればまだしも、東京都という公的なところが監理をしている団体が行う採用試験のあり方として、本当にいいのかどうかということをぜひもう一度検討していただきたいというふうに思います。
 この周知のあり方について、本当に適正なのか、または適正であるけれども問題がないのかどうか、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○座間都市基盤部長 東京臨海高速鉄道株式会社におきましては、鉄道会社という業務の特殊性を考慮いたしまして、自社にふさわしい社員の採用を実施しているものでございまして、受験者への周知を含め、その採用方法につきましては会社みずからが決定すべきものと考えております。
 会社は、今回の契約社員の採用につきましては、適宜適切に受験者に周知をしておりまして、都としては、それらの手順に問題があるとは考えておりませんけれども、受験者にとってなお一層わかりやすい丁寧な対応を図るように、今後とも会社を指導していきたいと考えております。

○今村委員 ありがとうございます。法的に問題はなくても、東京都が監理をしている団体でありますので、ぜひ今後の募集のあり方についてどのように変わっていくのか期待をして、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○宇田川委員 私からは、緑確保の総合的な方針の中で、ちょっと細かい話になっちゃうんですが、クラインガルテンというものについて質問させていただきます。クラインガルテン、耳なれない言葉でありまして、一体何なのかわからない、だから質問するので、ちょっとの時間で恐縮なんですが、おつき合いいただきたいと思います。
 緑確保の総合的な方針は、東京の緑を単にふやすということではなく、今ある緑に注目して施策を展開しようとするものでありますが、区部においては既存の樹林地などの一定規模を備える緑地は余りないと思います。むしろ区部では、緑の保全に取り組むべきは農地への対策だと考えます。今回の方針案では、農地活用を通じた保全策として、ドイツで普及をしているというクラインガルテン、これを参考とした東京クラインガルテン事業に取り組む、こうしているわけでございます。
 クラインガルテンというのはドイツ語で、直訳すると小さな庭、こういう意味だそうでございますが、この参考としているドイツのクラインガルテン、一体どういうものなのか。ほとんどの人がなじみがないものだと思いますので、ぜひわかりやすく説明をしていただきたいと思います。

○大塚参事 ドイツのクラインガルテン、今、委員がおっしゃったように、意味は小さな庭という意味でございます。ドイツのクラインガルテンは、十九世紀後半以降に貧困対策としての食糧自給の場として、あるいは青少年の健全育成の一環となる運動教育施設の一環として設けられた経緯がございます。今日では、レクリエーションや休養に利用される都市近郊型農園として発展普及しているものでございます。
 この農園は、土地の区画が平均して約三百平米、坪でいうと百坪ぐらいになりますけれども、こうした大きさを持っておりまして、日本の市民農園よりも大きく、かつ菜園とか果樹園とか、それからガーデニング等も楽しめるほか、小さな小屋を建てることができまして、これをラーブと称しておりますけども、こういったところに週末滞在が可能となるような仕組みになっておりまして、利用形態としては非常に多様であるというような特徴を持ってございます。
 こうしたクラインガルテンというのは、ドイツ国内に約五万ヘクタール、東京の行政面積が二十一万八千ヘクタールですので、東京の約四分の一ぐらいの大きさに普及しておりまして、区画でいいますと百二十四万区画存在している。都市計画の緑地計画としてもきちんと位置づけられているということでございます。また、約五百万人が利用しまして、ドイツ人のライフスタイルとして定着していると、こういうふうに聞いております。

○宇田川委員 五百万人が利用されている、広く普及をされているということで、緑地計画としても位置づけられているということで、緑地の保全にも役立っている、そういうお話でありました。
 ただ、ドイツと日本では土地の実情が全く異なると私は思います。方針案の五〇ページでイメージしているのは、今お話があったドイツと同じような二百から三百平米の区画面積だと、こういうイメージが方針案に示されております。しかし、今申し上げたとおり、日本の、しかも東京の実態に即しているのか、私には疑問があります。
 本場のドイツにおいても、百平米、三十坪程度のものがあるとも聞きました。画一的な展開ではなくて、土地を借りる人や地域の実情に応じてさまざまな区画の規模を用意して、柔軟な選択ができるよう仕組みを考えるべきではないか、私はそう考えます。
 そこで、東京クラインガルテンの仕組みづくりを行う上で、区画の規模などについてどのように考えているのかをお伺いさせていただきます。

○大塚参事 方針でいいます東京クラインガルテン事業では、先ほど申し上げましたとおり、野菜づくりはもとより、果樹園あるいはガーデニングなど多様な利用ができることを目指しておりまして、こうした意味では、市民農園よりも個々の区画の規模を大きくする必要があるというふうに考えてございます。
 しかし、本方針案に示しました二百から三百平米という区画規模につきましては、ドイツの実態を参考にしたものでございまして、具体的な検討に当たりましては、東京の地域特性や立地条件に配慮することは、これは不可欠であるというふうに認識しております。
 今後は、関心のある自治体と研究会を設置いたしまして、農地所有者の意向、それから都民のニーズを把握しました上で、お話の区画規模を含めました施設の整備水準や事業の採算性などについて、さまざまな角度から検討を進めてまいります。

○宇田川委員 都市農地の保全というのは、相続税などの税制問題ですね、法的にかかわること、それと、先ほど中山委員からお話がありましたが、屋敷林とかさまざまな課題が山積をしているわけでございますけども、今のお話のようなクラインガルテンですが、活用に向けていろんな角度から手を打っていくということは、評価すべきだと私は思っております。ぜひ柔軟に、かつ積極的に推進をしていただきたいと申し上げておきます。
 私の地元では、小学生が総合学習の一環として、学校近くの農地、市民農園の一角みたいなところを借りて、例えば三年生の二組と三組が競い合ったり、三年生と四年生が競い合って、土に親しむことも含めてこの農園の管理みたいなのをしているところがあります。屋外での学習の場として農地を活用して保全につなげている、こういうことだと思います。野菜や植物の世話を競ってやっているものですから、一般の方々がやっている市民農園みたいなところよりよっぽどきれいに手入れがされていて、すばらしいなと思っておりますし、子どもたちもすごく楽しんでいる姿を見かけておりますので、いろんな意味でいい教育をされているな、そんな思いもございます。
 ぜひ学校が、今お話があった部分がそのまま直接かどうかは別にしましても、農業体験などに活用できる仕組みを加えれば、私はいろんな広がりが出てくるのかなと思っています。農地の保全、活用を進める一環として、また、今申し上げた学習の一環としても、使い手が学校とかいろんな団体が使える、そんなクラインガルテンがあってもいいんじゃないか、そう思っているところですが、お答えをいただければと思います。

○大塚参事 東京クラインガルテン事業でございますけども、遊休化した農地を安易に他の土地利用に転用しないよう、所有者から行政が土地を借り上げまして都民の利用に提供しようとする基本的な趣旨がございます。農地の所有者にとりましては、農地を荒れるに任せるのではなくて、貸し付けの利益があることで保有が継続して、行政にとりましては、住民のニーズに的確にこたえられるほか、利用者からの使用料収入によって管理を賄えると、こういうメリットが生ずるわけでございます。東京クラインガルテン事業は、このような土地の所有者、それから行政、両者の利益を確保しながら、収支を考慮した上で農地の保全を推進していくということを考えてございます。
 お話の学校教育の一環で、例えば学童農園、学校農園として農地を活用していくケースは、本方針にいう東京クラインガルテン事業とは意味合いはちょっと異なりますけども、農地を活用することにより保全が進む点では、方向性は同じものであるというふうに考えてございます。
 こうしたことを踏まえまして、来年度は東京クラインガルテン事業の制度構築に向けて検討を進めるとともに、あわせまして、学校農園を含めた区市町村におけるさまざまな農地活用の事例を調査しまして、これらを参考に新たな農地保全の可能性についても検討してまいりたいと思います。

○宇田川委員 クラインガルテンという言葉を今も何遍もいったんですが、まだいいなれないし、皆さんも聞きなれないんだと思います。要は都民の皆さん、これは知らないことだと思いますので、事業を進める上で広報も大事なことだと思いますので、あわせて進めていただきたいと思っております。あらゆるものを利用して広く知らしめていただいて、農地、そして緑の保全へとつなげていただく、そうした努力を続けていただきたいと思っております。
 まだまだ今のお話でも確立されていない取り組み事業ということでありますので、多様な、いろんな角度から検討する余地が十分に残されていると思います。事業の運営はまさにこれから詰めて論じていかれることだと思いますが、可能性を広く検討していただいて、都民の皆さんに役に立つ、そうした事業になりますことを私からもぜひお願いをさせていただきます。
 以上です。

○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十八分散会

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