都市整備委員会速記録第十三号

平成二十一年十二月十四日(月曜日)
第六委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長尾崎 大介君
副委員長きたしろ勝彦君
副委員長今村 るか君
理事宇田川聡史君
理事長橋 桂一君
理事大塚たかあき君
加藤 雅之君
吉住 健一君
くりした善行君
しのづか元君
大島よしえ君
興津 秀憲君
中山 信行君
山田 忠昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長理事兼務河島  均君
次長岳野 尚代君
技監福島 七郎君
技監升 貴三男君
理事加藤 英夫君
総務部長石野 利幸君
都市づくり政策部長安井 順一君
住宅政策推進部長紺野 秀之君
都市基盤部長座間  充君
市街地整備部長遠藤 正宏君
市街地建築部長滝本 裕之君
都営住宅経営部長清水 文夫君
企画担当部長横溝 良一君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
民間住宅施策推進担当部長宇多田裕久君
航空政策担当部長邊見 隆士君
外かく環状道路担当部長野崎 誠貴君
民間開発担当部長石川  進君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
耐震化推進担当部長町田 修二君
経営改革担当部長岡沢  裕君
再編利活用推進担当部長中島 俊明君
建設推進担当部長山口 幹幸君
営繕担当部長荒川 達夫君
参事田崎 輝夫君
参事大塚 高雄君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 都市整備局関係
付託議案の審査(質疑・決定)
・第百四十七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 都市整備委員会所管分
報告事項(質疑)
・防災都市づくり推進計画の改定について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○尾崎委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、本日の理事会において協議をした結果、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りをいたします。
 本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○尾崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の付託議案の審査、報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百四十七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、都市整備委員会所管分を議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○今村委員 それでは、私の方から、マンションの耐震改修促進等に関する基礎調査、これについてお聞きしたいと思います。まず、この調査の目的と内容についてお聞きしたいと思います。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 調査の目的と内容についてでございますが、この調査は、分譲マンションの耐震化や適正な維持管理の促進などマンション施策を進めるため、都内分譲マンションの基礎的事項等を把握し、実態に即した普及啓発活動や今後の施策の検討に資することを目的としたものでございます。
 調査内容としましては、まず、都がデータを持っていない分譲マンション推定八千六百棟につきまして、建物登記による調査を行い、建築面積、戸数など建物等の基礎的データを収集いたします。
 次に、耐震化の取り組みや管理組合運営の基礎的な事項につきまして、千代田区、中央区、港区、新宿区及び渋谷区にある約四千九百棟のマンションの管理組合を対象にアンケート調査を実施いたします。

○今村委員 東京都が把握していない推定八千六百棟という数は、全都の市区町村が、この間、さまざまな調査を行っていますが、そういったところに入っていない集合住宅があるということでありますけれども、しかし、その中で、さらにアンケート調査を行うところが都心五区という説明がございましたけれども、なぜこの都心五区だけを選んでアンケート調査を行うのか、改めてお聞きしたいと思います。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 今回のアンケート調査において対象としました五区は、比較的早い時期からマンションが建設され、築後相当の年数を経たマンションも多くございまして、居住者の高齢化等により管理組合運営の担い手不足等の課題が先行的に生じている可能性があり、老朽化対策や耐震化促進策を検討する上で有効との考えによるものでございます。

○今村委員 確かに、改めて全管理組合に対しての調査を行うということは、効果もあると思うんですけれども、じゃあ、そのアンケートの内容についてはどのようなことを調査されるのか、そのアンケート調査のねらいについて改めてお聞きします。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 アンケート調査では、耐震診断の実施状況のほか、管理規約の有無、長期修繕計画の策定状況、管理委託の概要など、管理組合の運営の基礎的事項を調査いたしますが、この調査によりまして、各マンションの耐震化の取り組みや適正な維持管理等を担っていく管理組合の運営状況を把握し、よりきめ細やかな対応を行うための基礎資料とするものでございます。

○今村委員 基礎的な調査の部分ですけれども、管理規約の有無とか長期修繕計画がなければ、管理組合のていをなしていないということですから、それは当然だと思いますけれども、しっかりしているところと本当に任せてしまっているところ、または住民が参画をしていてそれがわかっているかどうか、ぜひ、少し、同じ調査をするのでも、踏み込んだ内容を把握できるような、それをしなければ--全部の管理組合を調査する、比較ができないと思いますので、ぜひその辺は行っていただきたいというふうに思います。
 そうした中で、今後、この調査結果をどのように活用していくのか、東京都の方針をお聞かせいただきたいと思います。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 今回の調査結果につきましては、今後のマンション施策を進めるためのさまざまな検討や、管理組合の運営状況に応じた普及啓発などに役立ててまいります。
 例えば、所在が把握できた旧耐震基準のマンションには、耐震化のパンフレットやセミナーの案内などを直接送付するなど、耐震化促進に向けた普及啓発に活用いたします。
 また、築後相当な年数を経たマンションには、その築年数や管理運営の状況に応じて、維持管理、改修、建てかえなどに関する都や区市の支援策の情報提供などに活用してまいります。

○今村委員 今回の基礎調査というものは、東京都全体の中で市区町村が把握できていない集合住宅を調査することは必要なことだと考えます。都心五区の調査は、本来それぞれの自治体が行うことが望ましいと私は考えますが、さらに今後、全市区町村にある管理組合にアンケート調査を行う予定はないというふうにお聞きもしています。
 今までの基礎的調査でも、管理組合の問題点は、ことし十月に発行されております東京のマンション二〇〇九にも記載されているように明らかになっています。
 つまり、今後必要なのは、今まで東京都や市区町村がアンケートを送ったり、直接調査に行っても回答がないなど、管理組合の実態が不明瞭な分譲集合住宅こそ実態把握が必要と考えます。先ほどあったように、旧耐震基準のマンションに耐震化のパンフレットやセミナーの案内を直接送付しても何の返答もない、こういったところこそしっかりと調査をすべきというふうに考えます。
 私の選挙区の町田市でも、旧公団、URや、JKKなど公的な関与の分譲集合住宅もあり、一団地認定の問題など、大きな課題となっておりますので、東京都においても、しっかりとした調査のもと、管理組合への指導を市区町村とともに強化していただき、老朽化が進み、地域の力がなくなることのないように努めていただくよう要望して質疑を終わります。

○大島委員 私も、この問題でちょっとお聞きします。
 まず、今回の補正予算というのは、雇いどめとか派遣切りとか、そういうことで離職せざるを得なくなった方たちへの雇用を促進するという、そういう事業の一環として、国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金に基づくものだというふうに聞いております。それが今回、都市整備局の方ではマンションの調査ということでそれを活用したい、こういうことでこの予算が組まれておりますが、聞くところによると、年明けから年度末といいますか、三月の半ばぐらいまでの間に調査をするんだということで今回契約をするというふうに聞いておりますが、やっぱり雇用創出ということが大きな目的になっておりますので、この事業の雇用に係る要件、それと今回の調査で一体何人ぐらいが雇用されるのか、この点についてお聞きします。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 この調査は、国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金を活用しまして、マンションの建物の基礎データや管理組合運営の基礎的事項などを把握するものでございますが、この交付金の活用には、雇用就業期間が原則六カ月未満であること、事業費に占める人件費割合が七割以上であること、新規に雇用する失業者の割合が全労働者の四分の三以上であることなどの要件がございます。
 予算上の想定雇用人数につきましては、調査期間を三十日とした場合、その期間中、八十人が雇用されるものとして積算しておりますが、この調査における実際に雇用される人数は、受託事業者の事業計画により定まるものでございます。

○大島委員 今ご答弁いただいたように、この事業そのものが、人件費がそのうち七割、しかも、その四分の三は新しく雇用する人なんですよという大枠が決まっているだけで、実際にはこの契約をする相手方の裁量の部分というのかな、それが非常に大きいというふうに思うんですね。そういうことで、これだけ本当に雇えるのかどうかという点については確認のしようもないんじゃないか。もっとこれだけたくさん雇ってくださいといっても、それが、そのように実行できるかどうかというのもわからないということですね、ある意味。三十日間で想定八十人ということなんですけれども、そういう点では、本当にもっと早くこれを予算化して、年度末といわずに、年末に間に合うようにした方がよかったんじゃないかなという気もすごくするんです。そこで、そうはいっても、せっかくこの予算がついて調査ができるということで、これまでなかなか調査することができなかったような分野に、そのお金を使うんだということなんですね。じゃあ、その成果は、一体どのように今後の都政に生かしていくのか、ここが非常に大きな問題になるというふうに思っています。
 この調査などについては、例えば私たち足立区では、新しくマンションを建設するときとか、そういうときに調査をいたしまして、ある意味のデータベースみたいなものがあるんですね。こういう調査した各区市で持っているようなものとデータ交換をするとか、そういうことでもある程度は把握できるんじゃないかなというふうに思っております。
 今回の調査の内容というのは一体どんなものなのか、また、その結果を今後どのように活用しようとしていくのかお聞きしたいと思います。

○宇多田民間住宅施策推進担当部長 先ほどの答弁と少し重複いたしますが、調査内容は、都内分譲マンションのうち推定八千六百棟について、建物登記による調査を行いますとともに、耐震化の取り組みや管理組合運営の基礎的な事項の情報を得るため、都心五区にあるマンションの管理組合に対し、アンケート調査を実施するものでございます。
 調査結果につきましては、今後のマンション施策を進めるためのさまざまな検討や耐震化の促進に向けた普及啓発、築年数や管理組合運営の状況に応じた必要な支援策の情報提供などに活用してまいります。

○大島委員 まず、この調査で得た成果物をどうやって都民に還元するかという点、それから、区市が持っているいろいろな情報なんかをやりとりしながら、区の方にもそういうものを提供していってほしいなというふうに思っているんです。
 何かお聞きしましたら、情報は結構いろいろな縛りがあって、そう簡単にはいかないということなんですけども、こういう内容というのは東京都だけでできる問題ではありませんし、さらに区の方の協力関係というのも非常に大事になってくるかなというふうに思っていますので、ぜひその点については、今後、活用の関係で、区の方にもそういう情報提供をしていただきたいなというふうに思っています。
 それから、これは都市整備局にいう話ではありませんけども、この緊急雇用創出事業については、去年の年越し派遣村などの教訓の上に立って拡充されてきたものだというふうに考えます。その点では、先ほどもいいましたけども、実施の時期が年末にかけて仕事につけるような取り組みが必要ではなかったのかなと思います。また、都としても、国の交付金に頼るだけでなくて、独自に上乗せをしてでも引き続き雇用対策をしていく必要があるというふうに考えています。
 また、今回のマンションの調査なんですけども、こうした調査を継続するということなども含めて雇用創出の取り組みを進める、こういうことをしていっていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 これより採決を行います。
 第百四十七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、都市整備委員会所管分を採決いたします。
 お諮りをいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、よって、第百四十七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、都市整備委員会所管分は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○尾崎委員長 次に、防災都市づくり推進計画の改定についての報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○石野総務部長 去る十一月二十七日の当委員会で要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料(十一月二十七日要求分)の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんいただきたいと思います。
 資料は、1の木造住宅密集地域整備事業等の実施状況から、4の国内で発生した過去百年間の主な地震までの四件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1の木造住宅密集地域整備事業等の実施状況でございます。
 木造住宅密集地域整備事業及び都市防災不燃化促進事業につきましては、事業地区、事業開始年度、整備実績を記載してございます。
 二ページをごらんください。2の木造住宅の耐震診断、耐震改修助成の実績でございます。
 地方公共団体ごとに、平成十九年度及び二十年度に都が区に対して助成を行った耐震診断件数、耐震改修件数を記載してございます。
 三ページをお開き願います。3の木造住宅密集地域整備事業等の事業費推移でございます。
 木造住宅密集地域整備事業及び都市防災不燃化促進事業につきまして、平成十六年度から二十年度までの過去五年間の都から区への補助実績額を記載してございます。
 最後になりますが、四ページをごらんください。4の国内で発生した過去百年間の主な地震でございます。
 国内において、過去百年間に百人以上の死者、行方不明者を出した地震につきまして記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○尾崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○しのづか委員 それでは、防災都市づくり推進計画について何点かお伺いをいたします。
 今回の中間の見直しは、平成七年に策定されたこの計画が、前回、平成十六年に見直しという形で、そのときの改定の主な考え方としては、危険度が高い地域で集中的に事業を実施し、早期に安全性を確保、事業手法を見直して合意形成の促進、新たな制度、手法を活用して耐火性の高い建物への建てかえ、共同化の推進ということで、十六年の当時はそうだったんですが、今回のポイントといたしましては、市街地の不燃化整備のさらに加速という表現に変わっています。それと、やはりポイントが、燃えないに加え壊れない都市づくりの促進となっておりまして、三点目に、防災性の向上と良好な住環境形成に向けた地域住民主体のまちづくりの促進となっております。私も見させていただいたんですが、その中で何点かちょっと気になることがありましたのでお聞きいたします。
 まず、前回改定では、整備地域を約九千二百ヘクタールから約六千五百ヘクタールに絞り込んでいます。さらに、十一地区から成る重点整備地域を選定して、集中的な施策展開を目指していました。
 しかし、今回の見直しでは、逆にその整備地域を一地域追加しております。そして、一地域追加して二地区を拡大しているんですよね。約七千ヘクタールというふうにまた数字が変わっているんですが、まず、その理由についてお聞きします。
 また、この五年間での整備地域及び重点整備地域における事業の進捗状況についてもお答えください。

○石川民間開発担当部長 整備地域が拡大した理由についてですが、これまでの指定の経緯としては、平成七年度に策定した防災都市づくり推進計画では、危険度が高くかつ老朽化した木造建築物が集積する地域と、市街地の燃えにくさをあらわす不燃領域率が低いなど、木造住宅密集地域の中でも特に延焼危険性の高い早急に整備する市街地の合計九千二百ヘクタールを整備の対象エリアとして指定していました。
 その後、平成十五年度の見直しでは、危険度の高い地域で集中的に事業を実施し、早期に安全性を確保するため、危険度が高くかつ老朽化した木造建築物が集積し、さらに不燃領域率が低い地域を選定の基準として、約六千五百ヘクタールを整備地域として指定しました。
 今回の計画では、前回計画の選定基準を基本とした上で、建築物の耐震化施策との連携を図るため、老朽木造建物の定義を、これまでの昭和四十五年以前に建築されたものから昭和五十六年以前に建築されたものに変更するなど、指標の一部見直しをしました。
 こうした選定基準に基づき、最新の地域危険度調査や土地利用現況調査により市街地の防災性を評価した結果、前回計画の二十七地域、約六千五百ヘクタールから二十八地域、七千ヘクタールに拡大したものでございます。
 次に、計画の進捗状況についてですが、前回計画に基づき、これまで整備地域及び重点整備地域において、木密事業等の事業や防災街区整備地区計画等や新たな防火規制等の規制誘導策を実施してまいりました。
 その結果、計画の達成状況をあらわす不燃領域率は、おおむね五年ごとに実施される土地利用現況調査から算出しており、平成十三年から直近の調査である平成十八年の推移を見ると、区部平均では二・五ポイントの上昇に対して、これを上回り、整備地域では三・四ポイント、重点整備地域では三・三ポイントの上昇となっております。

○しのづか委員 今のご説明で、要は、その選定基準が今回と前回と変わっちゃった。要は、九千二百から、重点的にやらなきゃいけないということで六千五百に地域を絞り込んだわけですよね。それが今回、四十五年以前というものから五十六年ということで指標が変わった。これが、計画を見ていると全く載っていないんですよね。前回絞られちゃった地域がいつの間にか復活しちゃっているんですよ。この辺をやはりもう少し、今のご答弁でわかりますけど、説明をしていただきたい。それと、変えるに当たってのその辺のポイントというか、これをやはり計画上にものせていただきたいと思います。
 それと、今回の見直しで、重点整備地域における不燃領域率と延焼遮断帯形成率、この目標値を実績に基づいてそれぞれ見直しをかけております。でも、目標数値そのものが結構ばらついているんですよね。これは実績に基づくものというふうには理解はいたしますが、その辺の原因について、どのような指標によってそういう--要は、例えば、平成二十七年度時に五ポイント上昇させるというようなところと、一〇ポイント、一五ポイントというような目標を掲げているところとそれぞれあるんですよ。それは地域ごとの現状によっていたし方がないことなのかもしれないですけど、その辺のばらつきの原因をご説明ください。
 そしてさらに、整備地域についても、計画終了時、平成三十七年の目標値というのはあるんですが、平成二十七年、中間の時点でのやはり目標値を定めて、事業展開すべきと考えるんですが、その辺についてもあわせてお答えください。

○石川民間開発担当部長 重点整備地域の目標値についてですが、十一の重点整備地域における平成二十七年の不燃領域率と延焼遮断帯形成率の目標値は、各地域の不燃化等の状況の違いや各地域で行われる事業や規制誘導策等の取り組みの内容の違いから、地域ごとに異なっております。
 次に、整備地域の目標値についてですが、整備地域では、すべての地域で平成三十七年までに、不燃領域率を市街地大火の危険性がほぼゼロとなる七〇%とすることを最終的な整備目標としております。重点整備地域は整備地域の中にあって、その整備により周辺への波及効果が期待される地域でございます。このため、重点整備地域において着実に整備を進めることが、結果として整備地域の不燃領域率を押し上げることにつながります。
 そのため、重点整備地域について平成二十七年の目標値を定めておりますが、各整備地域においては平成二十七年の目標値は設定してございません。

○しのづか委員 取り組みの違いということでご説明があったんですが、やはり、五年というか、当初からすると十数年経過しているわけですから、先進的な取り組みをしている自治体の状況をきちんとほかの地域にお知らせする、それが広域自治体である東京都の役割だし、この計画は東京都の計画ですよね。この計画の目的を遂行するためには、きちんとその区市、市はないんですが、区との連携が私は必要じゃないかと思っています。だから、具体的な取り組みということをお聞きしたかったんですが、そういった答弁でしたので、ぜひこれを進めるに当たって、きちんと具体的により進むような手法をとっていただきたい。これは要望させていただきます。
 それと、地域住民への合意形成の取り組みは、まずどのように行われてきたのでしょうか。
 また、前回の見直しでは、合意形成の手段として、延焼シミュレーションの活用などというふうに挙げられているんですね。この辺の取り組みはどのように行われてきたのかということと、この方法そのものは有効だと考えているんでしょうか。この点をお答えください。

○石川民間開発担当部長 木密事業や地区計画等の規制誘導策などの活用を図りながら木密地域の防災性を向上させるためには、まちづくりに対する地域住民の理解と協力を得るなど、十分な合意形成を図っていくことが重要でございます。
 そのため、地元区では、これまでも住民に対する説明会の開催やまちづくりニュースの配布などにより、事業内容等の周知や住民の不安解消に努めるとともに、まちづくり協議会による事業普及活動やまちづくりにかかわるワークショップなど、住民主体の多様な取り組みへの支援を行うほか、居住継続などのための施策をきめ細かく用意するなどしてきております。
 また、延焼シミュレーションについては、道路拡幅や建物の不燃化などの事業効果を地域住民にわかりやすく示す有効な手段でございますので、住民の防災意識を啓発し、まちづくりの機運を高めるために、住民説明会などのさまざまな機会で積極的に活用しております。
 今後とも、都は地元区に対し、このような合意形成に必要な情報提供や技術的、財政的支援を行うとともに、都と区が連携し、住民の理解のもとに行う防災都市づくりを推進してまいります。

○しのづか委員 今のご説明でわかったような、わからないようなというか、具体的に何をやるんだということで、やはり私は建てかえの機運を高めていくしかないんだろうなと。で、それに対するさまざまな誘導策を見させていただく--ご説明をお聞きした中では結構行われているようなんですが、まずは先立つものというところで、その辺の、区だけではなかなかその助成制度みたいなものは厳しいかと思います。東京都が本当に有効な助成制度のようなものをきちんと確立して、目的の遂行のために、例えば三カ年というふうに区切ってやるということも私は重要だと思っております。これは要望しておきます。
 それと、やはり先ほど冒頭でも私が申し上げましたように、今回の改定のポイントは、やはり計画の副題にもなっていますように、燃えないに加えまして壊れない震災に強い都市の実現を目指してというのが本当に重要なポイントだと私も考えております。
 この計画と同時に進められております東京都耐震改修促進計画によりますと、計画終了時に、五年後、平成二十七年度末には、都内の住宅や民間特定建築物の耐震化率の目標値が九〇%という高い目標設定がされているんですね。
 前回の見直しから五年経過しておりますが、耐震化率は、この計画上の整備地域及び重点整備地域において、どのような状況になっていますでしょうか。
 また、私は、この壊れないというのを最大のポイントだと考えておりまして、東京都耐震改修促進計画では、特定の整備地域だけ助成制度を設けて計画を進めております。今後、都内全域でも九〇%、このもう一つの東京都耐震改修促進計画というのは、防災都市づくり推進計画みたいに木密地域に限定しておりません。都内全域の住宅が九〇%以上の耐震化、これを目標に掲げているわけですから、耐震診断という項目だけでも、地元自治体と連携しての補助制度というようなものをつくって推進していくような、東京都として積極的な取り組みが私は必要と考えます。それは、この防災都市づくり推進計画ともリンクをしていく話なので、ぜひご検討を願いたいんですが、それについてもご見解をお伺いいたします。

○町田耐震化推進担当部長 現在の促進計画におきます耐震化率につきましては、平成十七年に発表されました国の住宅・土地統計調査に基づき推計しております。この推計に基づきますと、都内全域の木造住宅の耐震化率につきましては約六五%でございます。この国の住宅・土地統計調査は区市町村単位で取りまとめてございますので、整備地域及び重点整備地域、こういった特定の地域ごとの耐震化率というのは正確には算定できません。
 しかしながら、今回、防災都市づくり推進計画の見直しに際しまして、幾つか参考資料がございますので、これに基づきまして、一定の前提条件を仮定として置きまして推計いたしましたところ、整備地域では約五八%ほど、重点整備地域では約五六%ほどの耐震化率ではないかと推定されます。
 続きまして、耐震診断だけでも都内全域に対象を広げてはというご質問でございますけれども、木造住宅の耐震化助成事業は、特に老朽化した木造建築物が集積した区域が連担するなど、震災時に大きな被害の拡大が想定される整備地域を対象に公的な助成を実施しております。
 都といたしましては、財源を効率的、効果的に活用するという観点から、重点的に取り組む必要のある整備地域に的を絞って助成を行うことが重要と考えております。
 今後とも、整備地域において、木造住宅の耐震化に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。

○しのづか委員 前半についてはわかりました。これは、やはりこの計画についても、耐震化、燃えない、壊れないといっているんですから、耐震化もあわせてきちんと整備目標を、私は数値を挙げて目標値を掲げるべきだと思っております。だって、五年後には九〇%にするんですよね。
 で、その九〇%を目指すには、本当に今のご答弁でいいのかなというのが、私はもう一度再質問をさせていただいた理由です。
 ご紹介します。私の地元自治体であります多摩市、これは私が市議会議員当時につくった制度なんですが、木造住宅無料耐震診断を行っております。国が二分の一、東京都がゼロ%、地元自治体が二分の一という補助制度です。自己負担ゼロで、これは耐震化という目標と、さらに地元産業の育成という側面があります。これは地元の大工さん、そして設計士さん、これがローラー--多摩市でいくと、実績の数字でいくと、約三千件の五十六年以前に建てられた建物の所有者に、多摩市がこういった制度の周知をしております。そして、それに対して、返答が来たところ約百六十件に対して、耐震診断士ということで資格を設けて、戸別にローラーをかけているわけです。
 それによって得られた実績というのが百四十九件、平成二十年度だけで。これを前年度などと比較してみますと、十一年から十五年は五カ年で二十四件、十六年、十四件、十七年、二十二件、十八年、十五件。十九年は五件に減っちゃったものが、二十年度、百四十九件と。これは補正予算を組んで対応したんですよ。
 それと、それから改修に結びついたというのが、十六年から十九年の四カ年でたった四件だったものが、二十年、十七件。そして、ことし二十一年、私、市役所に寄って聞いてまいりました。今現在でも十五件、去年とことしだけでも三十二件という具体的な数字として実績が出ております。これは耐震改修の方の助成の実績です。
 これを、こういったような具体的な取り組みを、私は、区市町村と連携して進めていかなければ、こんな九〇%なんていう数字だけ目標を高く掲げても達成ができないと思っております。
 局長、よくお聞きください。これの補助の総額、百四十九件で一体幾らかといったら、たった七百八十万円なんですよ。たった七百八十万円。そのうちの三百九十万円は国庫補助ですから、例えば都が四分の一を出したとしても、自治体の規模によって違いますけど、一自治体、一年二百万円、そういったお金で、都内の耐震化がぐっと進むわけです。五件が百五十件ですから、三十倍にはね上がったわけですから、こういった取り組みをやはり私は地道につくっていくこと。
 そして、もう一つのポイント、いわゆる地域産業の活性化につながっていく--耐震化のことで訪問した結果、例えば、台所の改修ですとか、ふろ場の改修ですとか、そういったほかの、民間と民間、顔の見える関係性。防災でもう一つ必要なのは、コミュニティの形成というのが、やはり私は必要な観点だと思っております。地元の大工さんを知るということが、私は本当に重要だと思っております。
 こういった観点をぜひ広域自治体である東京都にお持ちいただきたいと思っているんですが、これについて再度お聞きいたします。

○町田耐震化推進担当部長 住宅の耐震化につきましては、やはり、自助であり、共助であり、公助という原則に基づきまして、建物所有者みずからがその必要性を理解していただいて、主体的に取り組んでいただくことが重要と考えております。そのためには、まず所有者の耐震化に向けた積極的な行動を促すことが必要と考えております。
 都といたしましては、このようなことのため、改修工法や事例の紹介、それから総合相談窓口でのきめの細かい対応、そして先ほど委員のご発言にございましたような地元のローラーについての区市町村が行うような戸別訪問等への支援、こういったものを実施しているところでございます。
 今後とも、こういった都民への普及啓発を初めとする各種の施策を積極的に実施してまいりたいと考えております。

○しのづか委員 今やっていることしかいってないんですよ。だから、こういうことを考えたらどうかといっているんです。
 これ以上やっても押し問答になると思うんですが、やはり本当に効果的な取り組みが必要です。例えば、多摩市のこのローラーについて東京都のお金を使っているかとお聞きしたら、使っていないということですね。多摩市の場合は、全対象の家に郵送でこういった制度をお知らせする、そして、それに対して反応が返ってきたところにきちんとプロの専門家が行くんです。ほかの自治体なんかは、区市町村の職員が行ったりするんですよ。それじゃあ何にも、だめなんです。本当にその建物が危ないのか、大丈夫なのかというのを判断するのは、プロがプロの目で、それがいわゆる今いわれている共同という事例につながっていくわけです。こういった観点をやはり私は東京都にもお持ちいただきたい、このことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。

○吉住委員 私の方からも、この計画について幾つかお尋ねしたいと思います。
 この計画につきましては、ほぼ問題意識が重なるところもありますので、重複するような場面もあるかもしれませんが、なるべく重複しないように工夫しますので、ご答弁の方もご理解のほどお願いいたします。
 南関東では、今後三十年以内にマグニチュード七クラスの大地震が七〇%の確率で発生すると予測されています。また、東京都防災会議が発表した首都直下地震による東京の被害想定によると、このような大地震が発生した場合、区部の木造住宅密集地域を中心に、建物倒壊や地震火災による大きな被害が発生するとされています。特に、地震が冬の夕方発生した場合の被害想定では、地震火災による想定死者数が建物倒壊によるものを上回っており、今後の地震に備え、市街地の不燃化をこれまで以上にスピードアップすることが重要と考えられます。
 東京都は、防災都市づくり推進計画の改定について中間のまとめを発表いたしました。ぜひこの計画に基づき、災害に強い東京を早期に実現し、地震への備えをより確かなものにしていただきたいと考えます。先ほどの質疑で一部出ておりましたが、現行計画に基づいて、市街地の不燃化など、これまでの取り組みの成果について、重複しない程度でご説明をお願いいたします。

○石川民間開発担当部長 これまでの取り組みの成果についてですが、都は防災都市づくり推進計画で、震災時に大きな被害が想定され、早期に防災性の向上を図る地域を重点整備地域といたしまして、十一地域、約二千四百ヘクタールを指定して、各種の事業や規制誘導策の実施により、災害に強いまちづくりを進めてきたところでございます。
 具体的には、重点整備地域において、木造住宅密集地域整備事業を二十九地区、約一千三百ヘクタールで実施し、道路を約二ヘクタール、公園を約五ヘクタール整備するとともに、不燃化建てかえ約三千戸に助成を行ってまいりました。また、新たな防火規制を約一千三百ヘクタールで指定するなど、防災上有効なオープンスペースの確保や建築物の不燃化に重点的に取り組んできたところでございます。さらに、延焼遮断帯沿道では、都市計画道路の整備に加えて、約二千四百棟の不燃化建てかえに助成を行ってまいりました。
 その結果、平成八年からの十年間で、市街地の燃えにくさをあらわす不燃領域率は、区部平均では約五ポイント上昇したのに対して、重点整備地域ではこれを三ポイント上回る八ポイント上昇し約五六%となっております。また、延焼遮断帯形成率についても、平成八年からの十年間で、区部平均の約七ポイントの上昇に対しまして、約十二ポイント上昇しており、市街地の防災性は着実に向上しております。

○吉住委員 今のご説明で市街地の防災性が向上していることはわかりましたが、首都直下地震の切迫性の指摘される今日、これまでの取り組みの成果をさらに高め、市街地の防災を早期に向上させることが必要だと考えます。今回の計画の改定案では、どのような考え方で、市街地の不燃化の加速など、防災性の向上に取り組んでいくのかを伺いたいと思います。

○石川民間開発担当部長 今回の改定案での防災性向上の取り組みについてですが、防災上危険な市街地の不燃化を加速するためには、整備効果の高い事業や規制誘導策を効果的に実施することが重要でございます。このため、これまでの事業等の検証を踏まえ、不燃領域率の向上に効果のあった事業や規制誘導策を重層的に実施することとしております。
 また加えて、沿道一体整備事業や防災街区整備事業等の効果的な事業の活用や、都有地活用などにおける民間事業者の活力導入、また、都市機構との連携による主要生活道路の整備など、効果的な手法の導入により整備を加速してまいります。
 さらに、災害に強い都市構造の確保の観点から、延焼遮断帯の整備に加え、緊急輸送道路沿道では倒壊により道路閉塞のおそれのある建築物の耐震化を促進し、広域的な都市の防災ネットワークを確保するなど、耐震改修促進計画に基づく建築物の耐震化施策との連携を図りながら、市街地の防災性を向上させてまいります。

○吉住委員 ぜひ重点整備地域の整備を加速し、都民が安心して暮らせる災害に対する安全性の高い都市を実現すると同時に、首都東京の課題である地震に対する脆弱性を解消して、首都東京の国際信用力の向上にもつなげていただきたいと思います。
 また、この計画では、震災時の大きな被害が想定される地域を整備地域として指定しています。今回の改定案では、どのように整備地域を見直し、今後この地域の整備をどのように進めていくのかを伺いたいと思います。

○石川民間開発担当部長 整備地域についてですが、防災都市づくり推進計画において、地域危険度が高くかつ老朽化した木造建築物が集積した地域が連担するなど、地震による大きな被害が想定される地域を整備地域として指定しております。
 今回の改定に当たり、整備地域については、建築物の耐震化施策との連携を図るため、老朽木造建築物の定義を変更するなど、選定基準を一部見直すとともに、最新の地域危険度や土地利用現況調査の結果等を踏まえ、羽田地域を新規に追加したほか、千駄木・向丘・谷中地域及び十条・赤羽西地域でエリアを広げ、前回計画の二十七地域、約六千五百ヘクタールを、二十八地域、約七千ヘクタールに拡大いたしました。
 整備地域では、木造住宅の耐震化に公的助成を実施し、木造住宅の倒壊による道路閉塞や出火を防止し、避難、応急活動の円滑化を図り、大規模な市街地火災を防止してまいります。
 また、整備地域のうち、今後の自然更新で整備目標である不燃領域率七〇%の達成が見込まれる地域を除いた約六千百ヘクタールにおいて、木密事業等の事業や防災街区整備地区計画等の規制誘導策を重点的に実施し、建築物の不燃化の促進などにより、効率的に市街地の防災性を向上させてまいります。

○吉住委員 今の説明で、整備地域の見直しのあり方、どのように進めていくかはわかりました。
 ただいまの整備地域では、木造住宅の耐震化に公的助成を実施とのお話がございました。ご存じのとおり、阪神・淡路の大震災では、亡くなった方の九割方が倒壊した建物の下敷き、家具の転倒の下敷き等で亡くなりました。おおよそその大半は即死であったと伺っております。
 私の地元の新宿区内にも、局地的に最も危険度の高いといわれている地域が残されております。住民は、震災の折には、消防隊は火災の延焼防止等で手がいっぱいとなり、倒壊した建物の下敷きになった人を救い出すには、地元のマンパワーで何とかしなくてはいけないと考えております。私を初め、何人かの議員は消防団員も務めておりますが、今、消防団を構成している人間の大半、地元に通常いない人もおります。私もなかなか出動要請が来ても出ることができません。これは会社員の方も同様です。そのような中で、まず壊れないというものが大切なことだと思いますし、今回の考え方の中で、燃えないに加え壊れないというものもございます。木造住宅の耐震化を促進するため、どういった施策の展開を考えているかをお伺いしたいと思います。

○町田耐震化推進担当部長 木造住宅の耐震化につきましては、所有者の積極的な行動を促すことが重要でございますので、例えば耐震診断事務所の紹介ですとか、改修の工法、事例の紹介やさまざまな相談に応じる相談窓口、こういったものを通じまして、都民が取り組みやすい環境整備というものに努めているところでございます。
 また、木造住宅の所有者に対しての戸別訪問などの区市町村の取り組みというものを加速し、拡大していくといった趣旨から、その事業費の補助を行っているところでございます。
 しかしながら、耐震化はさまざまな問題から簡単には進まない状況でございまして、阪神・淡路大震災などでも多数の高齢者が犠牲になっているということはご指摘のとおりと考えております。こういった点を踏まえますと、住宅の倒壊から高齢者や障害のある方などの生命を守るということは、早期に対応すべき重要な対策であると考えております。
 そこで、都といたしましては、今までの木造住宅の施策に加えまして、耐震シェルターや防災ベッドの設置費用、こういったものに対する助成についても、区市町村を通じて実施をしているところでございます。
 今後、区市町村との連携をさらに強めまして、これらの施策を積極的かつ総合的に進めてまいりたいと考えております。

○吉住委員 ただいまご説明いただいた中で、区市町村とのさまざまな形の連携の提案もございました。新宿区、あるいはそれぞれの自治体でも同様だと思いますが、独自の耐震化施策を推進しています。
 例えば新宿の場合ですと、改築する耐震化の改築費用まで助成をしたりですとか、そんなようなこともやっていますが、実際にはやはり多額の金額がかかるということで、耐震化工事自体は躯体の方にはなかなか手をつけられません。また、建築基準法との兼ね合いで、道路にせり出しているですとか、さまざまな昔の建築行政の中で起こった出来事で、これは既存不適格の建物には適用できないですとか、さまざまな障害がありました。
 ただ、昨年あたりから耐震シェルター、ただいまの部長の答弁にもございましたが、東京都も力を加えた中で、せめて命だけは守ろう、財産だけは守ろうという形で耐震化施策もより推進されてきておりますので、今後一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 木造住宅の密集地域におきましては、古くからお住まいの方々が多くいらっしゃいます。防災面での課題が指摘される一方、多くの都民が暮らしている住宅地でございまして、都市化が進む中では、失われた良好なコミュニティがいまだ保たれております。整備を進める過程において、このコミュニティの保持については十分配慮しなくてはならないと思います。
 これらの地域の防災性向上とあわせて良好な住環境が形成されるよう、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○石川民間開発担当部長 木密地域の改善に当たっては、成熟した都市にふさわしい安全で快適に暮らせる良好な住環境を形成するため、まち並みや地域コミュニティ等にも十分に配慮することが重要でございます。
 具体的には、公園の整備や共同建てかえ等の機会をとらえて、緑化を促進するとともに、歩道の段差の改善や無電柱化など、平常時に加え、震災時において、だれもが安全に避難できる歩行空間を備えたユニバーサルデザインのまちづくりを進めてまいります。
 また、従前居住者の居住継続にも配慮しながら進める木密事業の特色を生かし、主要生活道路の整備や建物の不燃化を促進するとともに、良好な景観形成にもつながる地区計画等のまちづくりルールの策定を支援し、地域コミュニティの維持向上を図るなど、地元自治体やさまざまな主体と連携し、良好な住環境を形成してまいります。

○吉住委員 これで終わります。
 ただいまパブリックコメントの募集を実施していると聞いております。都民の意見をよく聞き、よりよい計画としていっていただきたいと思います。
 また、計画の決定後は、本計画に基づき着実に市街地の整備を進め、災害に強い都市を早期に実現していただきたいと要望して、質疑を終わります。

○中山委員 都の防災都市づくり推進計画につきまして、避難場所、延焼遮断帯の二点にわたり質問させていただきます。
 中間のまとめの八ページや三一ページを見ますと、これまでの取り組みによる成果を踏まえ、今回の改定では、避難場所の整備に関する今後の課題として、避難有効面積が不足している箇所の対象が三カ所、避難距離が三キロメートル以上ある避難圏域の対象が三カ所という状態まで達しているとのことでございます。しかし、これらの対象地域では、これまでも整備が進まなかった何かしらの事情を抱えていたのでありましょうし、その解消は容易ではないようにも思われます。
 そこで、避難場所として、今後さらに整備を要する対象地域は具体的にどこなのか、またその解消に向けて、今後、都はいかなる工夫を凝らすのかお伺いいたします。

○石川民間開発担当部長 避難場所についてですが、現在、区部の避難場所は百八十九カ所が指定されており、避難有効面積が不足している避難場所としては、林試の森公園、柏の宮公園一帯及び東京工業大学がございます。また、三キロメートル以上の遠距離避難となる避難圏域としては、大井競馬場・しながわ区民公園、多摩川河川敷・ガス橋一帯及び大泉中央公園一帯がございます。
 これらの解消のため、防災街区整備地区計画や新たな防火規制を実施している林試の森公園や柏の宮公園一帯のように、避難場所周辺に規制誘導策を導入するほか、避難地型の都市防災不燃化促進事業の実施などにより、周辺の不燃化を促進し、避難有効面積の拡大を図ってまいります。
 また、公園整備事業や市街地再開発事業などの機会をとらえ、事業者と連携をしながら、避難場所の拡大や遠距離避難の解消に寄与する新たな避難場所の指定を進めてまいります。
 これらの取り組みにより、避難有効面積の不足や遠距離避難の解消を図ってまいります。

○中山委員 避難場所の面積につきましてですけれども、少しだけ広げればよいところは、避難場所周辺の不燃化の促進によって有効面積を広げたりとか、あるいは後でも触れますけれども、避難民そのものを減らす努力とか、そうしたことによって対応可能かと思います。しかし、大きく広げなければいけない場合は、公園整備事業ですとか市街地再開発事業などの組み合わせなども必要となるということかもしれませんし、大変なことですけれども、ぜひしっかりとやっていただきたいと思います。
 また、距離を縮めるということはより一層大変で、新たな避難場所の指定というような答弁もございましたけれども、そうした事柄を、より一層困難な取り組みでありますけれども、目標に向かって頑張っていただきたいというふうに思います。
 中間のまとめの一四ページを見ますと、不燃化促進事業には、避難路型と避難地型の二種類があるということでございます。避難場所周辺の整備には、避難地型の不燃化促進事業が有効と考えますが、避難場所の周辺で不燃化事業を推進するあるいは推進しないの判断基準、及び推進する場合の具体的な取り組みをお伺いいたします。

○石川民間開発担当部長 避難場所の安全性を高めていくために、避難場所周辺の市街地の不燃化を進め、避難有効面積の拡大や避難場所への避難経路の安全性の向上を図ることが重要でございます。そのため、区部の避難場所の中でも、有効面積が不足している避難場所や一般の市街地に比べ危険性が高い重点整備地域や整備地域内の避難場所など、整備の必要性が高い避難場所周辺の不燃化に取り組んでおります。具体的には、世田谷区国士舘大学周辺や中野区平和の森公園周辺などで、ご指摘のように、有効な手法である避難地型の都市防災不燃化促進事業や新たな防火規制等を実施しております。
 このような考え方を基本として、今後、その他の地域の避難場所周辺についても区と連携を図りながら、避難場所周辺での防火地域指定などの課題もありますけれども、地域の実情を踏まえ、不燃化促進事業や木密事業などの事業や、新たな防火規制や防災街区整備地区計画などの規制誘導策を重層的に実施し、避難場所周辺の不燃化を図ってまいります。

○中山委員 今、新たな防火規制等のお話がございましたけれども、残っている箇所というのは比較的良好な住宅街に囲まれたところが多くて、重点整備地域とか整備地域に含まれている場合には、もともとそうした意識も周辺住民の方が高いと思うんですけれども、そうじゃないところについて、新たな防火規制を使って云々ということは、ご理解をいただくということでは大変かと思います。
 ただ、そうした住民の方々の理解を醸成しながらぜひ進めていただきたいし、そのことが、やむを得ず避難される方々にとっても、また、そこにお住まいの方々にとっても、結果的には大変効果的なこととなるわけでございますので、助成等の制度の充実も必要かと思いますけれども、ぜひお取り組みのほどよろしくお願い申し上げます。
 中間のまとめの四ページを見ますと、本計画に記載される避難場所に関する整備事業の柱の一つに、地区内残留地区というものがございます。そもそも地区内残留地区という概念はどういった内容のものなのか、その進捗が避難場所の整備事業とどう関連してくるのか、また、雑居ビルなどを含む地域もその指定に含められている例があるのか、さらには、地区内残留地区の指定状況を踏まえた現在の指定地区内の昼夜間の人口はどれほどなのかお伺いいたします。

○石川民間開発担当部長 地区内残留地区についてですが、地区内残留地区は六十五ヘクタール以上のまとまりを持つ地区を対象にし、耐火建築物と準耐火建築物の建築面積が全建築面積の七割以上を占めるなど、地区の不燃化が進んでおり、万が一火災が発生しても、地区内に大規模な延焼火災のおそれがなく、避難場所へ避難しない地区でございます。平成二十年二月に改定した震災時火災における避難場所、避難道路等の指定では、三十三カ所、約九十平方キロメートルを指定しております。この地区内残留地区内の昼間人口は約二百九十六万五千人、夜間人口は約六十六万一千人であり、ほとんどの地区で昼間人口が夜間人口を上回っております。
 なお、お話のあったいわゆる雑居ビルがあるとされる都心の商業・業務施設が集中するエリアも地区内残留地区に指定されております。
 次に、地区内残留地区と避難場所整備事業との関連についてですが、ある地域が地区内残留地区に指定されると、その地域に割り当てられていた避難場所を周辺地域住民の避難に活用することが可能となり、一人当たりの避難有効面積を増加させ、避難場所機能の向上につなげることができることになります。

○中山委員 今、避難場所へ避難しない区域ということでお話がございましたけれども、これは広域避難場所という意味ですよね。一時的に--訓読みだといっときになるんでしょうけど、いっとき避難場所への避難というのは、当然そこでも想定されているということではあると思いますけど、そのことを前提として、やはりこうした都心の地域というのは昼間人口が非常に多くて、夜間人口の四倍ぐらいになるということですから、そういう面では、避難場所をどの程度用意すべきかということを考える上でも、もともと避難を余りしなくて済むような地域に整えていくということの価値というのは、非常にあるんだと思います。
 そのことは十分よく理解しておるつもりでございますけれども、それを前提に、三点ほど要望をさせていただきたいと思います。
 雑居ビル群で発生する火災が悲惨な被害をもたらす事例が多く報告されており、我が党のさきの本会議代表質問で、可燃性の装飾品や調度類のいかんによっては、窓ガラスを突き破るほどの火力と周辺に有毒ガスが広がる危険性に着眼し、その防止に向けた取り組みの強化を消防総監に求めたところであります。
 建造物の不燃化率が高まれば、延焼が発生しにくくなることは十分理解できますし、数値目標を掲げて不燃化率を高める取り組みが重要であることも十分に承知しております。しかし、そうであるからといって、建物の不燃化率の数値を根拠に、一律に地区内残留地区と指定し、そうした地区内の人々について、広域避難場所への避難が全く不要な人たちであるとまで定めるのは少し行き過ぎではないかと考えます。ましてや、それを前提にして、避難場所の有効面積が足りるかどうかを判断したり、避難場所周辺の不燃化事業の要、不要まで判断したりすることまでに広げてしまうことについては、強い不安を覚えます。
 地震などの発災時には、その時間帯によっては、一団の街区内の建物、建造物から同時に数カ所で火災が発生するおそれがあります。建物が不燃化されているとはいっても、燃えやすい装飾品や発火性の高い物品、設備を居室内に抱えるビルは数多く存在します。ましてや、そうした施設を一つの建物内に複数抱える雑居ビルが肩を寄せ合うようにして林立している一団の街区内で数カ所から火の手が上がった場合、建造物そのものが燃え上がるおそれは低いものの、窓を突き破る炎や周辺に立てこもる有毒ガスにおびえて人々が避難するのは、当然の心理ではないでしょうか。
 そうした状況を考えあわせますと、都の防災都市づくり推進計画に記載する地区内残留地区という言葉がひとり歩きし、それを前提にしたり理由にして、各区市が避難場所の整備計画を立案していくということについては、私は危険だと思っております。不燃化された建造物をふやすということと、避難場所への避難を要する人々の数の問題とは、ほかの要因もありますので、事実上単純にはリンクしないのではないかと考えます。避難者が減る傾向は強まっても、ゼロになるとまでは断定できません。地区内残留地区という文言の表現自体の見直し、そして、地区内残留地区の指定と避難場所に避難する想定人数との関係性についての考え方につきましても、今後、できる限り早急に見直しを図るべきと考えます。
 あわせて、少なくともそういった課題の存在を踏まえて、それぞれの避難場所整備計画を吟味するよう、区市との連携を再検討すべきです。
 そして、現に地区内残留地区に指定している地域につきましては、できれば文字どおりの効果が得られるような消防的な取り組みを強化してもらうよう、都庁内の連絡組織を通じて協力し合うべきと要望します。
 また、都内は、都の防災都市づくり推進計画の範囲内だけでも、ご答弁にもありましたように、百八十九カ所の広域避難場所がありますので、そのすべての避難場所に対する取り組みとなれば膨大なものとなりますし、容易でないことは理解できます。しかし、個々の都民にとってみれば、災害時に自分が避難すべき避難場所は一つ、あるいは限られた選択肢でしかありません。あそこがだめでも都内のどこかで吸収できるというのは、あくまで広域的、マクロ的な視点に立ったからいえる事柄にすぎません。
 したがって、避難場所の周辺に不燃化されていない建物が存在する、あるいは有毒ガスを発生する室内装飾品を多数抱えている建物が隣接するという状態が放置されていることに不安を覚えるのは、避難対象となる住民感情として当然ではないだろうかと思います。不燃化されている建物の周辺を除いても、想定される避難人数で割り返せば、十分避難場所内において一人当たりの面積を確保しているといわれても、その想定人数そのものが、そもそも確固たるものではないとなればなおさらであります。
 本来、都市整備局の立場としても、避難場所周辺については一〇〇%の不燃化、耐震化も含むんでしょうが、必要との基本認識に立って、区市との連携を強めていくべきと要望いたします。
 加えて、避難場所周辺につきましては、有毒ガスの発生元が隣接しないように整えるなどの消防上の取り組みも必要であり、都庁内の防災に関する連絡組織を通じて、この点につきましても取り組みを促していただきたいと思いますし、関係区市との連携も強化すべきと要望させていただきます。
 要望が続いて恐縮でございますが、要望事項の最後に意見を申し上げます。
 逃げないで済むまちづくりを目指すこと自体は正しいし、今後も重要と考えますけれども、都の都市整備局が防災都市づくり推進計画を定めている以上、あくまでその内容は都市計画上のアプローチに限られ、しかも広域行政という制約を受けるものであることを関係区市によく自覚してもらわなければなりません。
 人口が集中する東京では、区市境を越えた取り組みも重要であり、かつ都と特別区に特有の役割分担の問題もあって、防災都市づくり推進計画などを通し、積極的にこれに関与していることの姿勢自体は高く評価できます。
 しかし反面、本来は地域事情に応じて個別具体的、入念に検討されるべき取り組みが、都が定める広域的な計画への依存によって、ともすれば弱まり、おろそかになりはしないかという懸念をぬぐえません。避難場所周辺の整備に関しては、都内の各区においては、都の防災都市づくり推進計画に定められている事柄以上に、詳細で実効性のある取り組みに努めていただくことが必要であります。
 都が定める広域的な計画の片言隻句がひとり歩きしていくことの危険性を十分認識した上で、都は、本計画が対象としている区市との連携を図るべきと意見を申し上げさせていただきます。
 続いて、延焼遮断帯について質問します。
 今回の計画改定で評価したい点の一つは、新たな工夫が凝らされている点であります。中間のまとめ、一三ページを見ますと、延焼遮断帯の整備において、街路事業と都市防災不燃化促進事業との重ね合わせが有効との記載がございますが、都はどのような検証を踏まえて、こうした重ね合わせを選択し実行したのか、また、このほかにも今後有効となり得る手法があるのかお伺いいたします。

○石川民間開発担当部長 延焼遮断帯についてですが、延焼遮断帯は道路と不燃化された沿道の建築物により形成されます。今回の計画の改定に当たっては、今後の延焼遮断帯の整備の加速に向け、これまでの整備事例のうち、街路事業と都市防災不燃化促進事業をそれぞれ単独に実施した場合と両者を重層的に実施した場合について、沿道の不燃化率がどの程度上昇するかを調査いたしました。
 その結果、それぞれ単独で実施した場合の沿道の不燃化率の上昇は、合計で一三・二ポイントであったのに対し、重層的に実施した場合は一五・七ポイントであり、街路事業と都市防災不燃化促進事業の重ね合わせが有効であることを確認しております。
 また、今回、沿道一体整備事業はまだ終了地区がないことから、数値による検証を行うことはできませんでしたが、道路整備に合わせ、沿道建築物の共同化を推進する事業手法であることから、延焼遮断帯の形成に有効な手法であると考えております。

○中山委員 それぞれ各部門、行われている事業の結果を検証して、それが重ね合わさったときに、どういう効果がもたらされているかということを調べられた、これは非常にすばらしい取り組みじゃないかなと思います。ぜひそうした工夫、今後、沿道一体整備事業がこれから終了してくる地区が出てくるので、そうしたことも頭に置いて検証してみたいということだと思いますけれども、ぜひそうした取り組みを進めていただくようお願い申し上げます。
 延焼遮断帯の形成では、沿道建築物の不燃化と道路の幅員拡張などの取り組みの双方が必要であります。延焼遮断帯は、現道のあるなしにかかわらず、おおむね都市計画道路と重なり合っているとお伺いします。
 そこで、延焼遮断帯の未形成部分に占める都市計画道路の割合はどの程度か、また、延焼遮断帯の早期形成に向けて、都市計画道路の整備との連携を強めるべきと考えますが、今後の取り組みをお伺いいたします。

○石川民間開発担当部長 お尋ねの未形成の延焼遮断帯のうち、都市計画道路の占める割合は約八八%でございます。
 次に、延焼遮断帯の早期形成のためには、このような都市計画道路の整備に合わせ、都市防災不燃化促進事業等により、沿道建築物の不燃化を促進することが重要でございます。そのため、区部における骨格防災軸及び重点整備地域内の延焼遮断帯を構成する道路のうち、未着手の都市計画道路は、平成十六年に策定いたしました第三次事業化計画ですべて優先整備路線に位置づけるとともに、今回の計画において沿道の不燃化を促進してまいります。
 また、池尻二丁目プロジェクトなど都有地の活用や沿道一体整備事業により延焼遮断帯の早期形成を図ることとしております。
 このように、都市計画道路の整備と連携を図りながら、延焼遮断帯の整備を進めてまいります。

○中山委員 今、ご答弁でありましたように、骨格防災軸及び重点整備地域内の延焼遮断帯を形成する道路のうち、未着手の都市計画道路は、平成十六年策定の第三次事業化計画で優先路線に位置づけられているということでございますので、ぜひそうした取り組みを進めていただきたいと思います。
 都市計画道路ができていかないと、延焼遮断帯も形成できないということですから、道路財源の見直しとかいろいろ課題がありますけれども、東京にとって必要なそうした財源の確保に、私どももしっかりと頑張ってまいりたいと思っております。
 また、池尻二丁目のプロジェクトなどの都有地という表現がございました。これは、都営住宅の建てかえに伴う用地ですよね。私は、こうした都営住宅というものを都が直接持っていることの価値というのはすごくあると前から申し上げてまいりました。いろんな施設を併設する場合においても、それは基本的には東京都が土地を簡単に手放すべきではありませんし、また民間等に簡単に売りさばいて、もうければいいというものでもないと思っています。いざというときには、復興計画ですとか、いろんな形で使えるかもしれませんし、こうした場合にも新たなまちづくりの拠点として使えるという形で、これを踏まえながら、低所得者の方々の住まいの確保という施策の両立をしっかりやっていくことが大事じゃないかなというふうに思っております。
 そして、延焼遮断帯の形成を進める上では、都市計画道路の整備と重なっている地域では、当然ですけれども、まずはその都市計画道路の整備を優先すべきであります。しかし、その進捗には周辺住民の合意形成などで多くの時間を要する場合も考えられます。
 そうした中で、一つの光明として期待を抱かせてくれるのが、平成二十七年には沿道建築物の耐震化一〇〇%を目指すという緊急輸送道路の整備事業との重なりであります。緊急輸送道路の整備事業とは、いうまでもなく、道路周辺の建物の倒壊を防ぐための事業であります。今回の改定では、中間のまとめの四ページにあるとおり、単に燃えないだけでなく、壊れない都市を目指すということを標榜しており、この点も私は高く評価いたします。
 その壊れない都市を目指す事業の最たるものが、中間のまとめの一四八ページにも、延焼遮断帯との重なりの全体図が記載されております緊急輸送道路の整備事業であります。そこで、延焼遮断帯が未整備な状況にあって、かつ緊急輸送道路に指定されている道路における整備の具体的な取り組み内容をお伺いいたしたいと思います。

○石川民間開発担当部長 緊急輸送道路についてですが、延焼遮断帯のうち、約五割が緊急輸送道路と重複をしております。こうした路線の整備に当たっては、震災時における円滑な物資輸送等を可能とする緊急輸送道路の機能を確保する沿道建築物の耐震化と、市街地火災の延焼を防止する沿道建築物の不燃化を、適切な役割分担のもとで必要な支援を行っていくことが必要でございます。
 前面道路の幅員に対して高さが一定以上の建築物のうち、地震時の倒壊により道路閉塞を起こすおそれがある耐火建築物については、そのような趣旨から、建築物の耐震診断、耐震改修を支援してまいります。それ以外の木造建築物等については、市街地火災の延焼につながるおそれがあるため、防火地域等の規制誘導策により不燃化建てかえを誘導するとともに、必要に応じて不燃化促進事業を導入し、不燃化建てかえを支援してまいります。このように、不燃化と耐震化の連携を図りながら、延焼遮断帯に伴う緊急輸送道路の整備を進めてまいります。

○中山委員 今ご説明いただいたとおり、延焼遮断帯と緊急輸送道路等の重なりということで、五割ほど重複しているということでございまして、実際にやる場合には、一つの通りに対して、建物自体は不燃化されているけれども倒れるかもしれない、耐震性が弱いというところについては、緊急輸送道路の事業をかけていくと。建物そのものがまだ不燃化されていないという場合には、こちらの不燃化事業をかけていくということで、一つ一つの建て主に対して説明しながら一緒になってやっていく必要があると。そういう面では、こういう都の防災都市づくりの事業に対する住民の方々の意識をどう引きつけて、高めて、その効果というものをわかりやすくPRしながら認識していただくかということが非常に大事ではないかと思います。
 そうした意味で、今回の改定の工夫で評価したい点としまして、中間のまとめの二三ページに記載されております延焼遮断帯の形成の取り組みと、無電柱化や段差の解消など、ユニバーサルデザインに配慮した取り組みとの重ね合わせの必要性が記載されている点であります。こうした取り組みは、単に住民の理解を促す効果だけでなく、市街地大火の未然防止と大地震等の発災時における避難場所への安全な避難路の確保という点において、延焼遮断帯の形成がもたらす効果を高めるものであります。あわせて、延焼遮断帯の形成に向けて、地権者や地域住民の理解の広がりを促す工夫としても大変効果的であると考えます。
 そこで、延焼遮断帯とユニバーサルデザインの組み合わせは、単なる期待やあるべき論で終わらせてはならないと考えますが、局を超えた取り組みが必要な内容でもあり、今後のその点に関する具体的な方針をお伺いいたします。

○石川民間開発担当部長 延焼遮断帯の整備に当たっては、「十年後の東京」計画が示す電柱のないまち並みの形成やユニバーサルデザインに配慮したまちづくりを進め、平常時に加え、震災時にもだれもが安全に避難ができるよう、安全な歩行空間を確保することが重要でございます。その実現のため、沿道一体整備事業により延焼遮断帯を新たに整備する際には、率先して無電柱化や段差のない歩道の整備等を実施してまいります。
 その他の延焼遮断帯等についても、北区中十条などで実施している木密事業による無電柱化などのように、重点整備地域ごとに設置しております都区連絡会において、建設局や区と調整を重ねながら、ユニバーサルデザインに配慮した道路の整備を促進してまいります。
 今後とも、安全で快適な都市の実現を目指し、関係局及び地元区と連携をしながら、防災都市づくりに取り組んでまいります。

○中山委員 今ご説明がありましたとおり、防災性の向上という視点と、まちとしての生活空間としての価値の高まりということが両方実現していけるんだということを強く認識していただいて、その取り組みを区市にも理解していただいて、一緒にそれぞれの事業を重ね合わせていくということが非常に大事じゃないかなと思います。
 本日の質問では、最初に少々苦言を申し述べさせていただきましたけれども、もともと今回改定された防災都市づくり推進計画は、都のすぐれた取り組みの成果と、今後のめり張りのある方針の両方をわかりやすく取りまとめたものとして高く評価しております。
 質問の後半では、そうした数多くあるすぐれた取り組みのうちの三点に触れながら、今後の大いなる進捗に期待を申し述べさせていただきました。
 ただ、懸念されますのは、あかずの踏切の解消や三環状を含む道路整備の今後の進展であります。渋滞解消や陸路の交通ボトルネックのあらかじめの解消は、防災、減災、事前復興という視点からも極めて重要であると私は考えております。あかずの踏切の解消を目指す連続立体交差化事業の財源も、大きく道路財源に依拠しているとお伺いしております。首都東京に暮らす都民の安全確保にとって必要な財源については、積極的に私どもは、都市整備局と心を合わせて確保できるよう努めていくという決意を申し上げて、質問を終わります。

○大島委員 私の方からも何点か質問させていただきますが、前に質問があった分もあるかと思いますけれども、ぜひよろしくお願いします。
 まず、今回のこの改定というのは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、燃えない、そして壊れない震災に強い都市の実現を目指してというふうにしてつくられて、防災都市づくり推進計画、これが二〇〇三年度の改定に続いて今回も改定するということです。
 今回は、震災の大きな被害が想定される地域として指定した整備地域を二十七地域、六千五百ヘクタールから二十八地域、七千ヘクタールに拡大する、それから、平成三十七年の不燃領域率を七〇%に設定するという、こういう目標値の設定が行われました。さらにその中で、十一地区、二千四百ヘクタールを重点整備地域として、ここでは、平成二十七年度までに、不燃領域率と延焼遮断帯形成率の目標をこれまでより五%高い六五%に引き上げるとしています。
 そこで伺うんですけれども、この六五%という目標では、どの程度の焼失率というふうになるんでしょうか。

○石川民間開発担当部長 不燃領域率と焼失率との関係についてのお尋ねでございますが、国の報告書によれば、不燃領域率と焼失率は相関関係にあり、今回計画の中で目標値として設定いたしました不燃領域率六五%では、焼失率はゼロに近い程度まで低下し、市街地大火の危険性はほぼゼロになるとされております。

○大島委員 整備地域が今回若干拡大されましたけれども、この計画の対象地域となっている市街化区域全体から考えると、まだまだ手つかずという地域も多過ぎるというふうに思います。私の住む足立区などでも、千住地域、西新井駅西口の一帯地域、足立地域などで今回整備地域ということで入っているんですけれども、そのほかにも住宅密集地域というのはかなりあるんですが、その多くがここに入っていない、整備地域に入っていないという状況があります。こういう点で、一日も早くこの整備を進めるということが必要だと思います。
 もう一つは、重点地域をはっきりさせて集中的に整備する、こういうことで重点整備地域というのが出されておりますけれども、具体的には、道路整備とか建物の不燃化はどの程度進むのか伺いたいんですが。

○石川民間開発担当部長 今回の改定では、これまでの事業の効果の検証結果を踏まえシミュレーションを行い、これに基づき、平成二十七年度の重点整備地域の不燃領域率と延焼遮断帯形成率の目標値を六五%に引き上げております。
 お尋ねの六五%を達成した場合の建物の不燃化や道路整備の状況ですが、まず、建物の不燃化については、新たな防火規制と木密事業の重層的な実施等により、不燃建築物の割合を示す不燃化率が約一〇ポイント上昇すると見込んでおります。
 また、道路の整備状況ですが、沿道一体整備事業等を実施することで、新たに約十キロメートルの延焼遮断帯が形成される見込みでございます。

○大島委員 整備地域と重点整備地域の不燃領域率七〇%、これは平成三十七年ということなんですけども、重点整備地域については、平成二十七年度までに六五%、これでも五%引き上げてこの達成目標を掲げております。
 私たちも、前、この不燃領域率というのが、どういう意味合いを持っているのかというのがよくわからなくて、調べたことがあるんですけれども、不燃領域率三〇%台では、市街地の焼失率が八〇%を超えるけれども、四〇%ぐらいの水準に達すると、焼失率が急激に落ちるというか、二〇%から二五%と急激に減少するというふうに聞いているんですね。今回、七〇%の目標を掲げ、先ほどお答えいただいたように、六五%という目標値ではほぼゼロに近い焼失率になる、七〇までいかなくても、ほぼゼロに近い焼失率になる、こういうことだということなんです。平成十八年における整備地域の不燃領域率は五六%、重点整備地域でも五六%で、この資料によると、十年で七、八%上昇することができたということになっています。
 しかし、この木造密集地域の対策という点でどうだったのかということで、今回いただきましたこの資料の一番目を見せていただきますと、この実施状況で見ると、木造密集地域の整備事業は昭和五十八年度から始まって、平成二十一年の三月三十一日現在ですから二十年度末までで、この間、二十六年間あるわけですけれども、不燃化の建てかえ戸数は約七千四百戸、これを単純に年平均で割りますと、一年間で二百八十四戸ぐらいしか進んでいないのかなと。また、都市防災不燃化促進事業、これは沿道整備とかかわるんですけども、これも昭和五十五年度から始まった事業で、この間、二十九年間あるんですけれども、不燃化棟数が約五千四百棟ということで、これも平均で割り返しますと、一年間で百八十六棟ぐらいしか、ある意味不燃化されてこなかったのかなというふうに思います。
 そういうことで、この対策そのものが、特に木造密集地域の対策が遅々として進んでいないというのが現状ではないかというふうに考えます。道路をつくって、そこに面した住宅というのは不燃化されましても、その中の、要するに道路で囲まれた中の老朽住宅というのはそのまま残される。そのことは、木造密集地域を面として、地震に強いまちとして改善する姿勢がないからじゃないかと、こういうふうに思うんです。他の地域に燃え広がらなければよいという、延焼遮断ということなんですけれども、そういう姿勢だけでは、本当の意味での問題解決にはならないと思います。
 かつて革新都政の時代には白鬚の地域に都営住宅を建設して、それで、そのほかにも公的住宅をつくって木造密集地域を一気に解決する、こういう方法もとられてきたと聞いています。こういう一気に進めるという上で、公共用地による防災公園とか建てかえ促進住宅のための種地の確保、こういうものが必要だと思いますが、こういう取り組みについてどのように考えているのかお聞きしたいと思います。

○石川民間開発担当部長 種地の確保についてですが、老朽木造住宅が密集して、十分なオープンスペースのない木密地域の整備、改善を円滑に進めるため、これまでも地域内にある公有地を種地として活用してきたところでございます。
 例えば、東池袋地区においては、都が所有する防災都市づくり用地を含む一つの街区で、道路用地買収に伴う移転対象者のための代替床を確保しつつ、周辺地域を取り込む形での共同建てかえ事業をまとめるなど、効果的な種地活用を図っているところでございます。
 今後とも、防災都市づくりを加速させていくために、公有地などの種地の活用に努めてまいります。

○大島委員 燃えない、壊れない都市をつくるためには、住宅の耐震化と不燃化を促進することが重要だと私たちも思っています。不燃化を進める上で、防火地域とか新たな防火規制の指定を受けますと、耐火建築物とか準耐火建築物への建てかえということになるわけです。特に高齢者の単身とか夫婦だけで住んでいる方とか、それから低所得者などでは、その建設費、防火建築物にするとか準耐火の建築物にするとかというと、建築費の負担というのが非常に重くなりまして、結局、建てかえもできないまま住み続けるしかほかはないなと、こういう声も聞こえています。住み続けられず転居するしかないということになれば、そこのまちに住み続けられないわけですから、追い出されてしまうことになるんですね。
 こうした住民を追い出すまちづくりというのは絶対にすべきじゃないと思います。住み続けたいと、こう願う住民の願いを実現して、そして不燃化を促進するためにも、木造個人住宅への助成とか助成要件の緩和がどうしても必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○石川民間開発担当部長 不燃化のための木造個人住宅への助成についてですが、木密地域では、地震時に火災が発生した場合に、大規模な市街地火災につながるおそれがあることから、その被害を最小限に食いとめるため、道路や公園などのオープンスペースを整備するとともに、効果的な建てかえなどへの助成を行ってきております。具体的には、延焼遮断帯の形成に資する建物について、個人住宅を含めたすべての建物を対象に助成を行っております。
 一方、延焼遮断帯の内側においては、狭小な敷地や未接道の敷地が多い木密地域の特性を踏まえ、共同化が建てかえを促進する上で効果的であることから、主として共同化への助成を実施しているところでございます。
 都といたしましては、公益性の観点から対象を絞って助成を行っているところであり、不燃化のための木造個人住宅への助成の要件を変える考えはございません。

○大島委員 私が今いったみたいに、延焼遮断帯になる道路のそばの住宅を建てかえるために助成をする、それはわかります。それから、共同化するということで、老朽化した家屋をお持ちの方が、一緒に新しい住宅をつくって移り住むということについて助成するというのもわかります。でも、そういうことができない地域、そういうことができない人たちがかなりいるんですよね。その残された方たちが、結局、いざ地震だというときに壊れないか、燃えないかといわれると、壊れたり、燃えたりしちゃう住宅にお住まいなんですよね。ですから、そういう方たちの住宅を不燃化していくためには、どうしてもこの要件の緩和、助成の拡大というのが必要だと思います。対象を絞るということもあるんですけれども、でも対象を絞るといっても、面的な整備ができない限り、不燃化の促進はなかなかできないというふうに私は思います。
 実際に、耐震化もなかなか進んでいないという状況なんですね。耐震診断を行っても補強工事にお金がかかるということで、なかなかこの実施に踏み出せないということが現状にはあるわけです。木造個人住宅の耐震改修補助の実施状況というので、今回資料をいただきました。耐震化の助成の実績というのを見てみましても、これは十九年度と二十年度の比較ということで出ておりますけれども、例えば耐震診断件数を合計で見ますと、十九年度、四百八十六件あったものが、二十年度、二百九十六件という形で減っております。そして、耐震改修の件数は、十九年度、四十七件が五十五件と若干ふえておりますけれども、これではなかなか進まないというのが、どこから見ても明らかじゃないでしょうか。これは、やっぱり基準が厳し過ぎるからだというふうに思います。
 今回のこの資料の中でも、国内で発生した過去百年の主な地震、これを見ますと、百人以上の死者、行方不明者を出した地震のことがずっと書かれておりますが、この中でも最大なのが一九九五年のいわゆる阪神・淡路大震災ですよね。死者数が六千四百三十四人、しかし、この中で関連死を除いて見ると、関連死を除いた犠牲者というのが約五千五百名、そのうち、家屋の倒壊とか家財が倒れてきたということによって圧死して、亡くなった方が約四千八百人いると。
 こういう状況を見てみますと、やっぱり木造の個人住宅の例えば一室、シェルターと先ほどいわれましたけども、シェルター、ベッドというのがありましたけれども、それだけじゃなくて一つの部屋、例えば木造住宅の居間とか寝室など、高齢者などが日常的に生活する一室だけでも耐震化することができたら、圧死することは避けられるのではないかと。これにはそれほどお金もかからないでできるということなので、住宅の一部の改修について耐震補強工事助成が行えるように要件緩和をすることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○町田耐震化推進担当部長 木造住宅の耐震改修工事助成の要件の緩和でございますけれども、この助成は、公益性の観点から、整備地域なり木造住宅で、幅員が六メートル以内の道路に接し、倒壊した場合に道路閉塞を起こすことによりまして災害時の避難等に影響を及ぼす、そういったおそれのあるものについて改修費用の一部を助成しているものでございます。
 お尋ねの個人住宅の居間や寝室等の一部改修では、住宅全体の耐震性能が十分に向上するとは限らないというふうに考えております。地震発生時に倒壊し、道路閉塞を引き起こす可能性が残る、こういったことから公益性の担保は十分とはいえないと考えます。このような要件緩和については、現在のところ考えておりません。

○大島委員 だから、すごく冷たいなって、私、思うんですよね。だって、圧死して、死んじゃう人がすごくたくさんいるから、できればその一室だけでも圧死しないでいられるような場所をつくるというのは--確かに全体が耐震補強されなければ、建物そのものが全部持ちこたえられるかどうかというのは問題がありますけど、そこに住んでいる人が命を助けられるかどうかという点では、非常に大きな制度の拡充だというふうに私は思っているんですね。
 やっぱり人の命というのはどこで守るかということを考えていったら、避難路なんかの側道に住んでいる人たちの家を守って、避難路を確保するというのも大事ですけど、その次にいる人たちが助からなくてもいいという話ではないので、ぜひこの点については考えていただきたいなと思って要望しておきます。
 次に、緊急輸送道路の沿道に立っている道路の閉塞を起こす可能性のある建築物の耐震化率を一〇〇%にするという目標なんですけれども、オフィスビルとかマンションなどの耐震化の取り組みというのは、多額な費用がかかるということや、先ほど補正でもありましたけど、マンションなどは、管理組合によっては修繕の積立金が不足するというようなこともあって、こういうところでの耐震化というのはかなり困難が伴うというふうになっています。そういう点で、この耐震化率を一〇〇%にするためにはどんな対策を考えているのかお聞きします。

○町田耐震化推進担当部長 緊急輸送道路につきましては、震災時に救急活動ですとか物資輸送の役割を担うものでございまして、建物倒壊による道路閉塞を防ぐことが重要であると考えております。そのため、沿道の建物の耐震化に重点的に取り組んでおりますけれども、耐震診断費用、耐震改修費用の助成事業を実施するとともに、本年十月には、金融機関と連携をいたしまして、改修費用を低利で融資する制度を創設いたしました。建物所有者への財政支援を一層強化しているところでございます。
 また、耐震化を進めるためには、所有者みずからが行動を起こしていただく必要がございます。十月からは、日光街道ですとか第一京浜などの十一の路線について、地元区と共同いたしまして戸別訪問、説明会等を実施し、その耐震化の必要性を直接訴えるいわゆるローラー作戦を本格的に実施しております。
 今後とも、これらの施策を積極的に展開いたしまして、緊急輸送道路、建物の耐震化に取り組んでまいります。

○大島委員 なかなか大変だなというふうには思います。耐震化率一〇〇%というのは、これが実現できたら、輸送も避難も本当に安心できるようになると思いますので、そういう意味では、ぜひいろいろな施策を組みして、こういう方向で頑張っていただきたいなというふうに思っています。
 で、燃えないとか壊れないとか、震災に強い都市づくりといっても、実際に震災が発生したときに住民が安全に避難できなきゃなりません。防災生活圏というのは延焼遮断帯に囲まれているので、他の地域に延焼しないという取り組みになっていますけれども、先ほどから何回もいっていますが、その中で暮らす住民が避難するための対策というのも非常に大事だというふうに思うんです。木造住宅が密集する地域では、防災生活圏の中に居住する住民が、市街地内部から幹線道路、こういうところに安全に避難するための避難経路を確保することがどうしても必要だというふうに思います。そういう点で、この避難経路ですけれども、避難経路の沿道の耐震化の目標を持つということも必要ではないかなと思いますが、こういった点でどのように整備していくのか伺います。

○石川民間開発担当部長 整備地域では、道路等の基盤が未整備であることや老朽化した木造住宅が集積していることから、地震時の建物倒壊により安全な避難や消火活動に支障を来すおそれがございます。こうした地域では、避難や救援、消火活動を可能とする防災上有効な道路のネットワークを形成することが重要でございます。このため、優先的に整備を行う主要生活道路では、木密事業や防災街区整備事業などにより拡幅整備するとともに、その他の生活道路では木造住宅の耐震化を支援し、建物倒壊による道路閉塞を防止し、安全な避難や消火活動等の円滑化を図ってまいります。

○大島委員 この道路の沿道にお住まいの方たち、避難経路のそばにお住まいの方たちの耐震化というのは本当に大変ですけども、進めなきゃいけないことだというふうに思います。
 そういう中で、今回の中にも書いてありますけど、密集法という密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律というのが成立いたしまして、この中には、老朽の建物の除去勧告というのも可能になっているということなんですね。これを行使することによって、地権者とか居住者の権利侵害につながるということになりかねないかということが非常に心配なんです。今回のこの計画自体が集中的に事業を実施する計画というふうになっておりますが、生活道路の拡幅とか、先ほどから何回もいっておりますけれども、都市計画道路の開発、こういうものが必要なんだ、必要不可欠なんだといって、住民の方たちにこういう問題を強引に推し進めるというようなことをしてはいけないというふうに思いますけど、こういうまちづくりの観点から、こうした開発についてどのようにお考えでしょうか。

○石川民間開発担当部長 切迫する大地震の危険性を踏まえると、延焼遮断帯の形成や市街地の整備などを早期に確実に実施していくことこそ重要であると考えております。
 整備を進めるに当たっては、木造住宅が密集し、狭小敷地が多い重点整備地域においては、住民の理解や協力のもと、居住継続にも配慮して事業に取り組んでいく必要がございます。
 そのため、区と連携をして地元のまちづくり協議会などを活用し、まちづくりニュースの発行や建てかえ相談会の実施など、住民の理解を得ながら事業を進めております。
 また、延焼遮断帯の形成や主要生活道路等の基盤整備により、現地での居住継続が困難となる場合においては、区と連携しながら、コミュニティ住宅の活用など、住民が住みなれた地域での生活が続けられるよう配慮を行っております。
 さらに、老朽木造住宅の不燃化、共同化に当たり、木密事業による建てかえの補助や建てかえにかかわるコーディネート支援などを行っております。
 このように、地域住民の意向を踏まえつつ、さまざまなメニューの活用により、都と区が一体となって、地域特性に応じきめ細かく対応し、防災まちづくりを推進してまいります。

○大島委員 やはり住民の合意と納得に基づいてまちづくりを丁寧に進めるということが、いつの場合でも必要だというふうに思っています。燃えないとか壊れないとか、震災に強い都市づくりというのはもちろん都民の望むところです。しかし今、石原都政のもとで進められているまちづくりというのは、再開発とか都市再生とか、こういう名前のもとで超高層のビルが林立して、建設ラッシュの一方で、雑居ビルとか老朽の木造住宅が混在するという、こういう無秩序なまちづくりが進められています。通勤や通学のために大規模な人口移動が繰り返されて、そして迷路のような駅ターミナルに人があふれています。一極集中のまちづくりだけでなく、都市の成長をコントロールするような分散型のまちづくりを進めるということも、逃げないで済むまちづくりになります。
 特に、木造密集対策予算の推移というのを今回のこの資料を見させていただきますと、その予算は大体変わらないんですね。余りふえていないし、特に防災不燃化促進事業などは、十九年度に比べて、半分まではいきませんけど、かなり少なくなっています。こういうことから見ても、予算が本当に少ないのかなと思っています。防災都市づくり推進計画のこのタイトルにもなっております燃えない、壊れない都市、これを実現するためにもぜひ予算を拡充していただきたい、このことを強く求めまして質問を終わります。

○加藤委員 来る一月十七日は、平成七年に阪神・淡路大震災が発生してから十五年目を迎えます。平成七年に防災都市づくり推進計画が策定されてから、今回で二回目の改定となる内容は、木造住宅密集地域がいまだ広範に存在する東京における防災都市づくりの方向性を示す重要な計画であります。
 今回の中間のまとめでは、十一地域、二千四百ヘクタールの重点整備地域を初めとする木造住宅密集地域の整備を一層加速する内容が盛り込まれており、今後の防災都市づくりの推進が期待されます。
 また、重点整備地域は、林試の森周辺・荏原地区、世田谷区役所周辺・三宿・太子堂地区など山の手に位置する地区や、下町の情緒やコミュニティが維持された鐘ヶ淵周辺・京島地区、町屋・尾久地区など、十一地区それぞれに特性のある地域であり、防災性の向上はもちろん、地域住民の視点に立って、安全で快適な都市づくりを進める必要があります。
 中間のまとめでは、実施計画としての整備プログラムに多くのページが充てられていますけれども、中でも、重点整備地域の整備計画は各地区の整備の方針を示す大変重要な内容です。
 そこでまず、重点整備地域の整備プログラムには、防災都市づくりを加速するため、どのような取り組みを盛り込んだのか伺います。

○石川民間開発担当部長 重点整備地域における取り組みについてですが、重点整備地域の整備プログラムには、市街地の不燃化を加速するため、これまでの整備効果の検証を踏まえ、区と協議を重ね、地区ごとに不燃領域率などの目標値を設定し、防災性の向上に効果的な事業や規制誘導策を重層的に位置づけたところでございます。
 具体的には、延焼遮断帯の早期形成を図るため、沿道一体整備事業を新たに林試の森周辺・荏原地区において位置づけるとともに、木密事業などと防災街区整備地区計画等の規制誘導策を重層的に実施していくエリアを拡大し、市街地の不燃化を効果的に進めてまいります。
 また、主要生活道路の整備を加速するため、公共施設整備型の手法を導入するとともに、都市再生機構などと連携を図ることにより、主要生活道路の拡幅整備を推進してまいります。
 さらに、池尻二丁目都有地活用プロジェクトなど、都有地等の活用により延焼遮断帯の早期形成を図っていくほか、防災街区整備事業を鐘ヶ淵周辺・京島地区などにおいて実施することにより、老朽建築物の共同化に合わせて公共施設の整備を進めてまいります。
 このような防災性向上の取り組みを充実させることにより、重点整備地域全体における平成二十七年度の不燃領域率の目標を五%引き上げ、市街地の大火の危険性がほとんどなくなる六五%の実現を目指してまいります。

○加藤委員 地域の特性に応じ、各種手法を用いて大火の危険性がほとんどなくなる六五%への実現を目指すことが、今回の一つのポイントでありますけれども、では次に、その整備プログラムを着実に実施するための推進体制について伺います。

○石川民間開発担当部長 推進体制についてですが、整備プログラムに定めた事業や規制誘導策等を効果的にかつ着実に実施していくためには、都、区、地域住民、民間事業者等が適切な役割分担のもと密接に連携し、施策の推進に取り組んでいくことが重要でございます。
 そのため、重点整備地域ごとに都と地元区で設置をしている木造住宅密集地域対策都区連絡会を積極的に活用し、都や区による各種事業や規制誘導策の実施上の課題やスケジュールなどの総合的な調整を行い、整備プログラムに定める各種事業等の効果的な展開に努めてまいります。
 また、地域住民による主体的なまちづくりを促進するため、都は区と連携して、情報提供やワークショップの実施、専門家による相談など、まちづくり協議会の活動支援や、東京都防災・建築まちづくりセンターの住まいづくり・まちづくり協力員の普及など、合意形成に向けた支援を行ってまいります。
 さらに、沿道一体整備事業による道路整備に合わせた沿道まちづくりを民間事業者の活用により進めるほか、都営住宅跡地等を活用した民間プロジェクトによる延焼遮断帯形成など、民間事業者などの持つノウハウやマンパワーを積極的に活用し、防災都市づくりに着実に取り組んでまいります。

○加藤委員 都、区、住民、民間事業者等の関係者が密接な連携をとっていくということがやはり大切なことだと思います。その上で、防災都市づくりが円滑に進むよう、都があるときはリーダーシップを発揮したり、陰に回って後押しをしたりという役割が重要となります。
 では、次に、重点整備地域の中でも、私の地元の鐘ヶ淵周辺・京島地区では、整備プログラムに基づき、どのようなまちづくりを進めていくか伺います。

○石川民間開発担当部長 鐘ヶ淵周辺・京島地区は、戦後の経済成長期に都市基盤が未整備のまま市街地が進み、低層住宅が密集する約二百十八ヘクタールの住、商、工混在のまちでございます。この地区では、市街地の改善を進めるため、京島地区など三地区で木造住宅密集地域整備事業を実施しているほか、京成曳舟駅前では、京成押上線の連続立体交差事業に合わせた市街地再開発事業などにより防災都市づくりを進めてまいりました。
 こうした取り組みに加えて、平成十五年から地区全体に新たな防火規制を導入しており、これらの効果により、不燃領域率は平成十八年までの十年間で五ポイント上昇し五四%、延焼遮断帯形成率は一四%向上し四六%となっております。今後さらに災害に強いまちづくりを進めるため、今回、区と共同してさまざまな効果的な取り組みを整備プログラムに位置づけたところでございます。
 具体的には、鐘ヶ淵通りでは、延焼遮断帯の形成のため、沿道一体整備事業を推進する一方、京島三丁目では都市再生機構による防災街区整備事業を実施し、老朽建築物の共同化や避難経路の整備等、街区全体の防災性の向上を図ってまいります。その他規制誘導策として、京島地区においては、地元のまちづくり協議会と協働し、地域のまちづくりのルールである防災街区整備地区計画を定める予定でございます。
 このように、整備プログラムに基づくまちづくりを、区と連携し、着実に推進し、平成二十七年度の不燃領域率について、市街地大火の危険性が大幅に低下する六〇%の達成を目指してまいります。

○加藤委員 整備プログラムに基づいた防災まちづくりの推進を期待するところですけれども、一方で、地域の現況に目を転じると、京島地区では、中間のまとめの一一ページにあるとおり、平成七年から十七年までの約十年間で人口が減少傾向にあり、高齢者人口率が九ポイント上昇しております。また、同一〇〇ページにも記載されておりますけれども、鐘ヶ淵周辺・京島地区の高齢者のみの世帯は二一%、特に京島二丁目では高齢者の単身世帯が一七%もあり、十一ある重点整備地域の中でも際立って高齢化が進んでいることから、防災上の課題に加え、地域活力の衰退も懸念されます。
 このような鐘ヶ淵周辺・京島地区においてまちづくりを進めていく上で、高齢者などの地域の人々が住み続けられるよう、どのような配慮をしていくのか伺います。

○石川民間開発担当部長 防災都市づくりを円滑に進めるためには、道路整備や老朽木造住宅の建てかえなど、市街地の整備に当たり、高齢者などの地域住民の居住継続に配慮した総合的なまちづくりを、都と区が一体となって取り組んでいく必要がございます。
 そのため、当地域では百七十三戸のコミュニティ住宅を整備しており、これらを活用して、主要生活道路等の整備において、用地買収により転出することとなる権利者や残地再建が困難な居住者の居住継続を支援してまいります。
 また、老朽木造住宅の不燃化、共同化に当たり、建物への助成や都市整備用地を活用した代替地の提供を行うほか、専門家派遣制度等の活用により、建てかえ、資金計画などにかかわる相談に対応してまいります。さらに、独立行政法人住宅金融支援機構が実施するまちづくり融資や、資金が少なくても融資が受けられる高齢者向け返済特例制度の普及も促進してまいります。
 これらさまざまな支援策により、高齢者などの地域住民が下町情緒あふれる良好なコミュニティに支えられ、この地区に住み続けられるよう、地域の実情に応じたきめ細かな対応をし、良好なまちづくりを進めてまいります。

○加藤委員 下町風情の残る貴重な地域でもありますので、高齢者などへのバックアップを引き続きお願いしたいと思います。
 次に、先ほどの答弁でも触れていましたが、現在、鐘ヶ淵通りについては、東京都により道路整備と沿道のまちづくりを一体的に進める沿道一体整備事業が、一期区間として、水戸街道側から約三百七十メートルの区間を対象として取り組まれております。沿道一体整備事業は、木造密集地域において、地域の重要な避難路の確保や延焼遮断帯の形成において特に有効な事業であることから、計画の位置づけに加え、現場における早期完了が求められています。
 去る十月六日の当委員会においても、我が党の長橋理事から質問があり、担当部長より、本年三月に関係権利者による合意がなされ、本年十二月から建てかえ工事に着手する予定との答弁がありました。そこで、その後の状況も踏まえ、現在進められている鐘ヶ淵地区の沿道一体整備事業の進捗状況を伺います。

○石川民間開発担当部長 鐘ヶ淵地区における補助一二〇号線、鐘ヶ淵通りの沿道一体整備事業についてですが、都は、これまで鐘ヶ淵通り拡幅の道路用地取得に積極的に取り組んできており、本年度末には全体の半分程度の用地を取得する予定でございます。この取得済みの道路用地については、地先の利便や歩行者の通行等を考慮いたしまして、仮道として整備するなど、早期に活用を図ってまいります。
 また、沿道のまちづくりについては、お話にありましたとおり、一つの街区において、民間事業者等において、残地を集約し、建物を共同化する取り組みが近く着手されることとなっております。
 都といたしましては、今後も地元区、地域住民と十分連携を図り、一期区間の早期完成に努めてまいります。

○加藤委員 一期、二期という形であるんですけども、二期の区間においては、東武・鐘ヶ淵駅の踏切を挟んで墨堤通りにつながるわけですけれども、この踏切が半蔵門線の乗り入れによりまして一層あかずの踏切となり、加えて道幅が狭く歩道がないため、歩行者の通行が危険な状況にあります。
 昨年八月から九月にかけては、地元町会及び商店会から選ばれた委員と都区職員により組織された鐘ヶ淵地区まちづくり懇談会が、鐘ヶ淵駅周辺のまちづくりについてアンケートを行っております。地域によって温度差があるものの、早期に実現したいや条件次第で考えたいとする回答が多くあり、まちづくり勉強会への参加についても、都合がつけば参加したいとする回答が多く寄せられました。
 また、私自身、鐘ヶ淵通りの整備については、かつては地元の反対意見が強いというイメージを持っておりましたけれども、最近、地元商店街が独自に行ったアンケート調査の結果では、思ったより反対の意見は少なく、道路整備をやることを前提にした考えに変わってきており、むしろ将来の見通しが立たないなど、道路整備に伴う生活再建に不安があるという意見が多かったというふうにお聞きしました。
 私は、地元の方が防災や交通安全の課題など、安心して暮らせるまちづくりに向けて、まちづくり勉強会の準備会を地道に開いてきたことも、大きな環境整備につながっているというふうに思います。
 したがって、鐘ヶ淵通りの整備については、その取り組み状況とともにその見通しを明らかにして、地元が抱く不安を解消していくことが必要です。将来の見通しが立たないと、次への行動をどう起こしていけばいいのか難しいというふうに思います。身の振り方に苦慮するわけです。そうしたことから、二期区間の事業化決定を早く行うことが大切だと思います。
 二期区間は鉄道の踏切と交差するということもあり、各方面の調整がなお一層必要かと思われますので、例えば二期区間の事業化に際しては、残る墨堤通りまでの約五百三十メートルを一回で整備するというのではなく、踏切手前の区間とその先の区間の二つに分けて整備することも考えられると思います。そこで、鐘ヶ淵通りの二期事業化について、取り組み状況を伺います。

○遠藤市街地整備部長 二期事業についてのお尋ねでございます。
 お話の二期事業は、都市計画道路補助一二〇号線、鐘ヶ淵通りの一期事業の終点から墨堤通りまでの区間、約五百三十メーターにつきまして、幅員八メーターの現道を二十メーターに拡幅いたしますとともに、これに合わせて沿道のまちづくりを一体的に進めようとするものでございます。木密地域の防災性の向上はもとより、道路ネットワークの強化や沿線地域の活性化などといった観点から、この区間の早期事業化が必要であると考えてございます。
 事業化に当たりましては、現在、平面交差となっております東武伊勢崎線との立体交差化や鐘ヶ淵駅を含みます周辺地域のまちづくりを検討していくことが必要でございます。現在、地元では、ただいま委員からもお話ございましたように、墨田区が中心となってまちづくり懇談会や勉強会が開かれておりまして、区が作成した将来イメージ案などを手がかりとしまして、地域のまちづくりについて議論が交わされているところでございます。
 都といたしましては、地元におきますこうしたまちづくりの動向等を見ながら、事業化の時期や区間など、沿道一体整備事業の具体化に向けた検討を進めてまいります。

○加藤委員 いうまでもなく、この鐘ヶ淵通りは、災害時における白鬚公園や白鬚防災団地などの災害拠点につながる避難ルートとしての役割を果たす重要な位置づけもありますので、都におかれましては、今後とも関係機関や関係者と緊密に連携をとりながら、防災に強いまちづくりに向けてご努力をお願いしたいと思います。
 次に、防災都市づくりを進める上では、災害時の避難や復旧、復興を迅速に行うために緊急輸送道路の機能確保も重要な課題であり、中間のまとめにも、そのための整備計画と整備目標が明記されております。
 中間のまとめでは、緊急輸送道路沿道の建築物のうち、道路閉塞を起こすおそれのある建築物の耐震化率を平成二十七年度までに一〇〇%とする目標を掲げ、その達成に向けて、都では耐震化費用の助成、改修資金の融資、税の優遇措置、耐震化相談窓口での相談といった重層的な取り組みをしています。
 また、この八月から、沿道の建物所有者に耐震化の必要性を訴える戸別訪問、いわゆるローラー作戦を実施し、耐震化に向けた取り組みを強化しているとのお話も、先日の委員会、またきょうもありました。私は、このような戸別対応は耐震化を進めるために非常に有効な施策だと思います。待ちの姿勢ではなく、こちらから出かけていくことがより一層意識を啓発します。
 そこで、いわゆるこのローラー作戦は、どのような路線にどのくらい実施し、実際に訪問してみて、所有者の反応など、現在の進行状況はどうなのか伺います。

○町田耐震化推進担当部長 いわゆる都版のローラー作戦でございますけれども、本年八月末より先行的に実施し、十月より本格実施を行っております。蔵前橋通りや第一京浜など緊急輸送道路の十一路線につきまして、約千棟を対象に、これまでに約六百五十棟ほどに対して戸別訪問を実施するとともに、十三回の説明会を実施してまいりました。今回の対象路線は、港区、江戸川区、足立区、墨田区、世田谷区といった十四区に及んでおりまして、関係するすべての区から、区の職員が戸別訪問に同行するなどの全面的な協力をいただいております。都区が連携して取り組んでいるということが、建物所有者に対しまして耐震化の重要性ですとか、それから行政の熱意といったものを示すとともに、所有者の行政に対する信頼感といったものを生み出しているものではないかと考えております。
 所有者の方々の反応といたしましては、耐震に関する情報が不足している、もっと耐震化というものをPRすべきだ、助成制度を詳しく知りたい、あるいは床面積一千平米以下の建物にも補助要件を緩和してほしいといったような内容でございました。
 これらの取り組みの結果、戸別訪問及び説明会を通しまして、約二十五件が個別の具体的な相談に進んでおります。都といたしましては、このような芽を大切にいたしまして、実際の耐震化への行動に結びつけていきたいと考えているところでございます。

○加藤委員 都の職員もみずから汗をかいているということで、具体的な効果もあらわれております。大変だと思いますけども、ぜひ熱意と使命感を持って続けていただきたい、このように思っております。
 また、五月に設置されました耐震化相談窓口は設置から七カ月がたち、運営も軌道に乗りつつあるところだと思いますけれども、今後は、それをいかに耐震化の実現という具体的な成果につなげていくかが問われます。
 そこで、これまでの総合相談窓口の最新の相談実績や内容などについて伺います。あわせて、耐震ポータルサイトが来月から開設予定となっておりましたが、順調にその準備が進んでいるかお伺いします。

○町田耐震化推進担当部長 総合相談窓口につきましては、渋谷区にございます財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター内に設置いたしまして、耐震化に関するさまざまな相談に応じております。十一月末までの七カ月間で、電話等による相談が約千百件、来所による相談が約三百六十件、計約千四百六十件となっております。
 また、本格的にローラー作戦を開始した十月以降、窓口でのRC造などの非木造の建物に関する相談件数が、月当たりで四十件ほどに増加しております。
 主な相談内容といたしましては、図面を持参されての耐震診断に関するもの、あるいは耐震診断登録事務所の紹介、助成金の具体的な手続ですとか条件に関すること、補強設計の内容や工事費用の見積もりに関すること、あるいは耐震改修の設計工事に関すること等でございます。
 窓口での相談を契機といたしまして、耐震診断を実施したものが木造住宅で二十五件、マンションで一件ございました。そのうち、改修まで進んだものが、墨田区や中野区などで木造住宅五件となっております。総合相談窓口から実際の耐震化に結びついた事例も出てまいりました。今後とも粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。
 また、耐震ポータルサイトにつきましては、区市町村や関係する各種の団体との調整をただいま進めております。来年一月中の開設を目指し、取り組んでいるところでございます。

○加藤委員 窓口相談を契機に、地元墨田区でも耐震改修につながったということで、非常によかったというふうに思います。徐々にではありますが、着実に成果があらわれているというふうに思います。建物の耐震化や緊急輸送道路の確保は、いざというときの災害の被害を少なくする上で重要になってまいります。自然はこちらの動きを待ってくれないわけでありますので、引き続き取り組みを加速して進めていただくことをお願いして、質問を終わります。

○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○尾崎委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○尾崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○尾崎委員長 この際、河島都市整備局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○河島都市整備局長 一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 本定例会に提案いたしました議案につきまして、本日ご決定をいただきました。ご審議の過程でいただきました貴重なご意見、ご指摘等につきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいりたいと存じます。
 引き続き、尾崎委員長を初め委員の皆様方のご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○尾崎委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十八分散会

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