委員長 | 尾崎 大介君 |
副委員長 | きたしろ勝彦君 |
副委員長 | 今村 るか君 |
理事 | 宇田川聡史君 |
理事 | 長橋 桂一君 |
理事 | 大塚たかあき君 |
加藤 雅之君 | |
吉住 健一君 | |
くりした善行君 | |
しのづか元君 | |
大島よしえ君 | |
興津 秀憲君 | |
中山 信行君 | |
山田 忠昭君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長技監理事兼務 | 河島 均君 |
次長 | 岳野 尚代君 | |
技監 | 升 貴三男君 | |
理事 | 加藤 英夫君 | |
総務部長 | 石野 利幸君 | |
都市づくり政策部長 | 安井 順一君 | |
住宅政策推進部長 | 紺野 秀之君 | |
都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 | 座間 充君 | |
市街地整備部長 | 遠藤 正宏君 | |
市街地建築部長 | 瀧本 裕之君 | |
都営住宅経営部長 | 清水 文夫君 | |
企画担当部長 | 横溝 良一君 | |
住宅政策担当部長 | 瀬良 智機君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 宇多田裕久君 | |
航空政策担当部長 | 邊見 隆士君 | |
民間開発担当部長 | 石川 進君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 小澤 弘君 | |
耐震化推進担当部長 | 町田 修二君 | |
経営改革担当部長 | 岡沢 裕君 | |
再編利活用推進担当部長 | 中島 俊明君 | |
建設推進担当部長 | 山口 幹幸君 | |
営繕担当部長 | 荒川 達夫君 | |
参事 | 田崎 輝夫君 | |
参事 | 大塚 高雄君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
事務事業について(質疑)
○尾崎委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせしましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○石野総務部長 九月四日の当委員会で要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんいただきたいと思います。
資料は、1の都営住宅、公社住宅の建設実績から、13の外環及び外環ノ2の整備に関する計画の経過と今後の予定まで、十三件でございます。
それではまず、一ページをお開き願いたいと思います。1の都営住宅、公社住宅の建設実績でございます。
過去十年間の建設実績を新規、建てかえ別で記載してございます。
二ページをごらんください。2の都内の最低居住水準未満、誘導居住水準以上の世帯の割合でございます。
民間住宅、公共住宅の別に、最低居住水準未満の世帯の割合と誘導居住水準以上の世帯の割合を記載してございます。
三ページをお開き願います。三ページから四ページにかけまして、3の都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
過去五年間のエレベーター設置状況を既設都営住宅、公社住宅別に記載してございます。
五ページをお開き願いたいと思います。4の平成十九年八月二十五日以降使用承継事由発生件数と使用承継が認められた件数でございます。
六ページをごらんください。5の使用承継制度の厳格化実施状況でございます。
都道府県と政令市ごとに措置状況を記載してございます。
七ページをお開き願います。6の公営住宅の収入基準の引き下げにより新たに引き下げ後の収入基準を超える現入居世帯数でございます。
八ページをごらんください。7の都営住宅における年齢別世帯数の状況でございます。
名義人の年齢区分を六十四歳までと六十五歳以上に分けて、その世帯数と割合を記載してございます。
九ページをお開き願います。8の都施行土地区画整理事業における地区別の状況でございます。
会計区分ごとに地区名、施行面積、総事業費、各年度事業費及び進捗率について記載してございます。
一〇ページをごらんください。9の生産緑地地区面積の推移でございます。
過去五年間の生産緑地地区面積につきまして、都内計、区部、多摩部別に記載してございます。
一一ページをお開き願います。一一ページから一二ページにかけまして、10の東京都の耐震診断、耐震改修助成実績を記載してございます。
(1)では木造住宅、(2)ではマンションにつきまして、平成十九年度及び二十年度の耐震診断件数、耐震改修件数を団体ごとに記載してございます。
一三ページをお開き願います。一三ページから一五ページにかけまして、11の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況を記載してございます。
平成二十一年三月三十一日までに建築確認済みの高さ百メートル以上のビルにつきまして、竣工またはその予定日が平成十七年度から二十二年度までのものを、名称、高さ及び延べ面積につきまして年度別に記載してございます。
一七ページをお開き願います。一七ページから一八ページにかけまして、12の都市再生緊急整備地域指定後の高さ百メートル以上の大規模建築物の建設状況を記載してございます。
(1)から(7)の地域ごとに名称、高さ、延べ面積及び従前延べ面積を記載してございます。
一九ページをごらんください。13の外環及び外環ノ2の整備に関する計画の経過と今後の予定でございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞご審議のほどよろしくお願いいたします。
○尾崎委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大塚委員 まず初めに、私から分譲マンションの耐震改修と建てかえについての問題提起も含めまして幾つか質問させていただきます。
首都東京においては、土地の高度利用がいち早く進展し、今までに既に百四十万戸を超える分譲マンションが供給され、そのうち昭和五十六年以前の旧耐震基準により建築された耐震性の確認が必要な分譲マンションが約二十二万戸あると聞いております。
マンションの耐震化は、震災時の居住者の安全はもとより、マンション周辺の地域の安全にとっても重要な課題であると考えております。しかしながら、実際に耐震改修までに進んだマンションはまだ少数と聞いております。このような中、都は分譲マンションの耐震化にどのように取り組んでいるのか、また、マンションの耐震化の促進に当たっての課題は何か、まずお伺いをいたします。
○宇多田民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションの耐震化は、区分所有者の自主的な取り組みによることが原則でございます。しかし、震災時の被害が周囲に与える影響が大きいことや分譲マンション特有の合意形成が困難であることを踏まえ、都は管理組合の支援に取り組んでまいりました。
具体的には、マンション耐震セミナーの開催など、耐震化に向けた普及啓発や相談体制の整備を行うとともに、平成十八年度に耐震診断助成制度、平成二十年度には耐震改修助成制度を創設し、区市町村と連携して耐震化の促進に努めております。
マンション耐震化の課題としましては、改修費用の負担の大きいことや、その費用を負担する多くの区分所有者間の合意形成が難しく、時間がかかることなどがあると認識しております。
○大塚委員 今、後半のくだりに、課題が費用の負担の大きいこととか、合意形成にあるということでありますけれども、都は今後、マンションの耐震化についてどのように推進をしていくのか、促進をしていくのかお伺いいたします。
○宇多田民間住宅施策推進担当部長 耐震化に向けまして、引き続きマンション管理組合の自主的な取り組みを促すため、管理組合へのダイレクトメールなどによる普及啓発を行うほか、セミナー等を継続的に開催いたします。
また、耐震化には管理組合内の合意形成が必要なことから、区市が専門家を管理組合に派遣する場合に助成するマンション耐震アドバイザー派遣制度を創設したところであり、この制度により合意形成を促しますとともに、診断、改修助成制度の活用を働きかけるなど、マンションの耐震化に一層取り組んでまいります。
○大塚委員 今ご答弁のように、マンションの耐震アドバイザー制度の活用により、耐震化を一層推進するようお願いをしておきます。
また、一方で、旧耐震基準のマンションの中には、設備や建物の老朽化が相当進んだものがあると思います。建てかえが行われることで、都の喫緊の課題である耐震化を初め、バリアフリー化なども一挙に解決すると考えておりますが、管理組合が耐震化を契機に建てかえを希望する場合の支援について、都はどのように考えているかお伺いいたします。
○宇多田民間住宅施策推進担当部長 マンションは、計画的に維持管理を適正に行うことで長寿命化を図ることが重要でございます。しかし、昭和五十六年以前の旧耐震基準マンションの中には、既に給排水設備の老朽化が相当進んだものや、中には躯体が劣化したものなどが見られます。
こうしたマンションの建てかえにつきましては、区分所有者の自主的な取り組みによることが原則でございますが、多様な価値観を持つ区分所有者の合意形成等に困難を伴うことなどを踏まえまして、都は、管理組合が建てかえを目指す場合に、建てかえが円滑に進むよう、相談体制の整備、建てかえ改修アドバイザー制度、共用部分の工事費等の一部を補助する制度などを実施しております。今後とも、これらの活用により、区市と連携して建てかえの円滑化に向けた支援に取り組んでまいります。
○大塚委員 相談体制の整備や各種支援策により、円滑化に向けた支援をすることが大変重要と考えます。しかしながら、マンション管理組合が建てかえを希望する場合でも、建築後の建築基準法の改正などに伴い、既存の住戸数を確保できないことなどにより、検討が進まない場合もあると聞いております。規制の趣旨とマンション管理組合の切実な願いと調和を図りつつ、マンションの建てかえを進める方策はないのかお伺いいたします。
○宇多田民間住宅施策推進担当部長 良好な市街地環境の形成等に向けて建築関係の規制等が定められてきた経緯がございますが、これらに伴う容積率等の制約から、建てかえに際して既存の規模を確保できないケースがあります。こうしたマンションの問題につきましては、専門家も多く指摘しているところであり、都としても重要な課題と認識しております。
この間、行政としても、耐震改修につきましては、既存不適格であることによって耐震改修が滞ることのないよう、耐震改修促進法に基づく計画の認定を受けた建築物について、耐震関係規定以外の建築基準法の規定を適用しない特例を設けるなど、手だてを講じております。こうしたことも念頭に置いて、建てかえにおきましても、国制度を含め対応の検討が必要と考えております。
また、現状でも、マンションの建てかえに際しては、良好な市街地環境に資する計画として、総合設計制度などの活用が可能な場合もあり、個々のマンションの特性に応じた対応の検討が必要と考えております。
○大塚委員 今お話しのように、総合設計制度などの活用も可能とのことですが、敷地の規模が小さいマンションや立地性により事業者の協力が得られないマンションなどにおいては、その総合設計制度などの制度が活用できない場合も考えられると思います。都は今後、このような建てかえの難しいマンションの再生をどのように進めていくのかお伺いいたします。
○宇多田民間住宅施策推進担当部長 単独の敷地での従前住戸の確保が困難など、建てかえが難しいマンションにつきましては、平成十四年の区分所有法の改正により、敷地の共同化による建てかえも有効な手法の一つとなりました。また、隣接敷地に存在する既存建築物を含め、複数の建築物の敷地を一つの敷地とみなして建築規制を適用する連担建築物設計制度の活用なども考えられます。
都は、マンション建替え円滑化法に基づくこれまでの認可事例の紹介やマンション建てかえに係る助成制度などにより、建てかえの円滑化に向け支援してまいります。また、建てかえのみでなく、耐震改修にあわせてバリアフリー化や省エネ化などを含めた抜本的な改修を行うことなど、多様な方法によるマンションの再生を促してまいります。
○大塚委員 マンション建てかえ、それから耐震化についてはまだまだ、特に建てかえについては課題があると思いますので、きょうはマンション建てかえについてはこれぐらいにしておきますが、今後、恐らく五年、十年後には、ストックされたそういった古いマンションの建てかえというものが必要となってくる時期がやってくると思います。そのときに、将来を見越して、都としても、今お話ししたように、いろんな制度の活用など、研究を重ねてもらうことを要望しておきます。
次に、環状二号線の新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業について、何点かお伺いをいたします。
環状二号線は、もういうまでもなく、都心に集中する交通を分散し、交通渋滞を解消し、首都東京の道路交通の円滑化を図る上で重要な区部の環状道路であります。とりわけ新橋-虎ノ門間においては、立体道路制度を活用した東京都施行の市街地再開発事業により、道路と建物の整備が一体的に進められているところであり、その早期完成には地元も大きな期待を寄せておるところであります。
私も現地に行ってみると、道路予定地の用地取得も進み、四十メーター幅員の道路空間が目に見えて実感できる状況となっております。また、地域のシンボルにもなります虎ノ門街区の特定建築者も決定し、既に解体が始まるということで、来年度の建築着工に向け、準備が着々と進められていると聞いております。
私も本年三月の都市整備委員会においても、道路及び建物の整備スケジュールについて確認したところでありますけれども、現在の進捗状況を踏まえ、環状二号線の新橋・虎ノ門地区における道路及び建物の整備スケジュールについて改めて確認をさせていただきたいと思いますが、再開発事業や道路整備における今後のスケジュールについてお伺いをいたします。
○遠藤市街地整備部長 まずは再開発事業でございますけども、この新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業には三つの街区がございます。既に青年館街区につきましては十九年の四月に建物が完成いたしまして、入居済みでございます。また、新橋街区につきましては、来年秋の完成に向けまして、現在建築工事が進められているところでございます。残る虎ノ門街区につきましては、先生からお話がございましたように、立体道路制度を活用いたしまして、地域のシンボルとなるような街区整備を目指しておりまして、先月、特定建築者を決定してございます。現在、敷地のクリアランスを進めておりまして、来年秋の建築工事の着工、それと二十六年度の完成を目指して工事を進めていくことにしてございます。
続きまして、道路整備でございますけども、地下のトンネル部分につきましては建設局施行でございまして、十九年度から順次着手してございます。今後、地下のトンネル工事の進捗に合わせまして、都市整備局が地上部の道路整備を進めてまいります。新橋から虎ノ門間、全区間の道路整備につきましては二十五年度の完成を目指してございます。
○大塚委員 環状二号線の新橋・虎ノ門地区の整備スケジュールについては、ほぼ計画どおり進んでいることが確認できました。今後とも着実に事業を推進されるよう、改めてお願いをしておきたいと思います。
さて、私はかねてより、この地域の都市再生を図っていくには、再開発事業区域が新たなまち並みに生まれ変わるだけでなく、これに隣接する地域の土地利用の転換や景観の形成がバランスよく図られていくことが重要であると指摘してまいりました。再開発事業によるまちづくりと緑豊かな環状二号線の整備に向けて着実に事業が進む中、沿道のまちづくりに対する再開発事業施行者としてのその後の取り組み状況について改めて確認したいと思いますが、環状二号線のまちづくりについての取り組み状況をお伺いいたします。
○遠藤市街地整備部長 この地上部街路の整備効果をより高め、地域に活力とにぎわいを創出するためには、地上部の道路の整備にあわせまして、沿道のまちづくりを一体的に進めていくことが必要であると、このように考えてございます。
地元におきましても、この沿道まちづくりの重要性を十分認識されまして、沿道の地権者らによりまして、まちづくり協議会が昨年設置されております。また、ことしの七月には、港区によりまして、沿線の住民の方々が参加する環状二号線周辺まちづくり勉強会、これが発足しておりまして、東京都もこれに参画しております。
都といたしましては、これらの協議会や勉強会の動向も踏まえまして、環状二号線の地上部道路と調和した魅力ある景観やにぎわいを目指した地域、地元のまちづくりを支援していきたいと考えてございます。
○大塚委員 地元協議会との取り組みについては、再開発事業の施行者として積極的に取り組んでいることがわかりました。引き続き、地元への支援などについてよろしくお願いしたいと思います。
ところで、沿道のまちづくりの促進のためには、地元協議会などへの支援も重要でありますが、沿道の敷地の共同化や新たな再開発を積極的に誘導、促進を図っていくためには、幅員四十メーターの環状二号線を前提とした建築が可能となる時期について、沿道地権者に事前にお知らせすることも必要と考えられます。ただし、注意しなければいけないのは、環状二号線の建築基準法による道路の指定の時期が余り早過ぎても、乱開発やペンシルビルの創出を招きかねないこともあると考えます。
このような点を踏まえて、今後の沿道のまちづくりの促進に向けた、環状二号線の建築基準法の道路の指定の再開発事業者としての考えについてお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤市街地整備部長 先ほどご答弁で申し上げましたように、地元のまちづくり協議会や港区によります勉強会などが開かれておりまして、環状二号線の整備を契機とした沿道のまちづくりの検討が進められているところでございます。
こうしたまちづくりを誘導していく上で、例えば地元で建物の共同化による建てかえなどが、そういった機運が出てまいりましたときに、これを促進するよう、道路指定を行う必要があるというふうに考えております。ただ指定が早過ぎますと、逆に良好なまちづくりを阻害すると、こういったことにもなりかねませんので、効果的な時期を選んで指定する必要があるというふうに私ども考えてございます。
再開発事業者といたしましては、適切な時期に指定ができるように、今後、港区とも十分調整を図っていきたいと、このように考えてございます。
○大塚委員 以上質問を終わりますけれども、環状二号線は長年の地元の皆さんの願いがこもっております。先ほどの最後の質問のように、道路の位置指定については、地元区と、そしてまた地元の沿道の皆さんとよくご相談をされて、適切な指導をしていただくようお願いして私の質問を終わります。
○宇田川委員 初めに、防災都市づくり推進計画の改定について何点かお伺いをいたします。
災害に強い安全・安心なまちづくりは都民の最大の関心事の一つでありまして、木造住宅密集地域、いわゆる木密ですが、これが広範に存在する東京の防災上危険な市街地を早期に改善することは大変重要なことだと考えております。
本年七月に改定した都市づくりビジョンにおいても、目標とする都市像への基本戦略の中に、災害への安全性の高い都市の実現を掲げているところでございます。さきの第三回定例会での我が党の川井幹事長の代表質問に対しても、都は、防災都市づくり推進計画を改定し、効果の高い事業などを積極的に実施し、市街地の不燃化のスピードアップを図るなど、災害に強い都市づくりに着実に取り組んでいくと、こういう答弁があったところでございます。
そこでまずお伺いしたいんですが、防災上危険な市街地を早期に改善するため、計画の改定により、具体的にどのように防災都市づくりを加速していくのか、考え方をお伺いさせていただきます。
○石川民間開発担当部長 防災上危険な市街地の改善を加速するには、延焼遮断帯となる道路や地域において優先的に整備する道路の整備を軸に、沿道の建物の不燃化等を促進する効果的な事業や規制誘導策の積極的な活用が重要でございます。
具体的には、沿道一体整備事業を初めとした街路事業と不燃化促進事業の重層的な実施や、池尻二丁目都有地活用プロジェクトなどの民間活力の導入により、延焼遮断帯の一層の早期形成を図るとともに、防災街区整備事業による面的整備や、都市機構と連携した主要生活道路の整備を進めてまいります。また、木造住宅密集地域整備事業にあわせた地区計画等の導入による不燃化促進や、耐震化施策との連携による道路閉塞の防止のほか、まちづくりの専門家の派遣などにより、共同建てかえを支援してまいります。
こうしたさまざまな効果的な取り組みを整備プログラムに位置づけ、災害に強い都市の早期実現に向け、地元自治体を初め、さまざまな主体と連携し、着実に推進してまいります。
○宇田川委員 都市の防災性向上というのは一朝一夕にできることではございませんので、長い期間を要すると、これが課題となっていると思います。それぞれの木密地域の地域特性を考慮した上で、実効性の高い効果的な取り組みを確実に進め、整備を加速していただきたいと思います。
また、現在の防災都市づくり推進計画では、木造住宅密集地域について、効果的に事業を進めるため、約六千五百ヘクタールの地域を整備地域として指定しているところでございます。私、地元の江戸川区においても、平井、松島、また南小岩・東松本の三地域が整備地域に指定をされているところでございます。整備地域についても今後どのように見直しを進めていくのか、教えてください。
○石川民間開発担当部長 都は、防災都市づくり推進計画において、地域危険度が高く、かつ老朽化した木造建築物が集積した地域が連檐するなど、地震による大きな被害が想定される地域を整備地域として指定しております。現在、二十七地域、約六千五百ヘクタールを指定しており、これらの地域で延焼遮断帯の整備や木密事業などの防災都市づくりの施策を集中的かつ重層的に実施しております。
今回の計画の改定にあわせ、整備地域についても、平成二十年二月に公表した最新の地域危険度測定調査結果や市街地の不燃化の状況等を踏まえ、整備の必要性の高い地域を新たに加えるなど、整備地域の見直しを進めてまいります。
○宇田川委員 整備地域の指定は、防災性向上の事業を実施する地域という計画上重要な位置づけであります。見直しについては地域の現状を十分に精査していただいて、適切に進めてほしいと願います。
これらの考え方や内容を盛り込んだ防災都市づくり推進計画の改定は大変重要であると考えます。今後どのようなスケジュールで計画の見直しを進めていくのかお伺いをいたします。
○石川民間開発担当部長 今後のスケジュールについてでございますが、現在、計画の実効性を高めるため、学識経験者を含む計画策定委員会を設置し、有識者の意見を取り入れるとともに、関係する地元自治体と十分協議を行いながら改定作業を進めております。今後、十一月下旬を目途に中間のまとめを公表してパブリックコメントを実施し、都民の意見を幅広く聞いた上で、平成二十二年当初を目途に計画を改定してまいります。
○宇田川委員 今、パブコメというお話がありましたが、関係者とか地域住民、都民の意見を広く聞きながら、ぜひ今後の新たな方針を盛り込んだ実効性のある計画として改定を行っていただきたいと思います。加えて、今後、改定した防災都市づくり推進計画に基づいて、防災面においても信頼性の高い首都東京の早期実現に向け、防災都市づくりを着実に進めていただきたい。このことを申し上げておきます。
続きまして、次の話題に入ります。八ッ場です。
石原知事は、さきの本会議において、八ッ場ダムに関する我が党の川井幹事長の代表質問に対し、ダム建設事業の中止は長年の経緯と現実を顧みない暴論であり、地方分権にもとるものである旨、強く発言があったところでございます。八ッ場ダムは昭和二十七年の調査着手以降、長年にわたる紆余曲折を経た後、昭和六十一年に至って、ようやく特定多目的ダム法に基づく八ッ場ダム建設に関する基本計画の告示までたどりついたわけでございます。同法によると、国がこの基本計画を決定、変更、また廃止するに際しては、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聞かなければならない、こう書かれているわけでございまして、加えて、都道府県知事が意見を述べる際には、当該都道府県の議会の議決を経なければならない、こう規定されているわけでございます。
八ッ場ダム事業は、こうした慎重な手続を長年にわたって経てきた上で、また、今回一都五県になりますが、その関係都県による膨大な金額の負担金を注ぎ込んで成り立っているわけでございます。いわば国と関係自治体の共同事業といってもおかしくないのではないか、私はそう思っております。
まず伺いたいんですが、国と都など地方自治体との間ではどのような手続を経て今日まで事業が進められてきたのか、改めてでございますが、ご説明をいただきたいと思います。
○安井都市づくり政策部長 八ッ場ダムでございますが、昭和五十一年に閣議決定されました利根川水系の水資源開発基本計画、いわゆるフルプランでございますが、ここに位置づけられまして、今お話ございましたように、昭和六十一年にダム建設に関する基本計画が策定されております。その後、平成十三年度、十六年度、二十年度の三回にわたり、基本計画の変更手続がなされております。
これらの変更手続でございますが、まず平成十三年度は、生活再建案の具体化と協定書の締結に至るための調整、この工期延伸でございます。また、平成十六年度は、水没地区をそのまま山側に移転させる現地再建方式の採用などによる事業費の改定でございます。さらに、平成二十年度は、移転者の代替地計画の見直し、居住環境保持のための夜間、休日作業の抑制などによる工期の延伸を理由としてございまして、いずれも地元の意向を最大限尊重した結果、必要とされた措置でございます。
都や関係県におきましては、その都度、内容を精査した上で、特定多目的ダム法にのっとり、変更理由を議会に説明し、その議決を経て、国の提案に同意する旨の知事の意見を回答してまいりました。
八ッ場ダムは、建設に関する基本計画の策定以来、このように水没地など地元の意向を十分踏まえ、国と関係する一都五県が合意形成を図り、相互の信頼関係を築き、法律に基づく手続を積み重ねながら、今日まで事業が推進されてきたプロジェクトでございます。
○宇田川委員 お話があったとおり、積み重ねをずっと繰り返してきたわけでございまして、国、そして都、関係県が力を注いで積み上げてきたものであるわけでございます。マニフェストに書いてある、この一言で今までの国と地方自治体の積み重ねをほごにする、また、地域住民の意向を無視するような考え方は、私はするべきではないと、そう思っております。
今、地元関係者の意見という話をしましたけども、地元の方々には中止に関して事前に説明はされていなかったと、こういう話を聞いているんですが、中止理由に関して、正式な説明が関係都県、ここは都でありますが、説明があったんでしょうか。どのような受けとめ方をされているのか、ご見解を伺いたいと思います。
○安井都市づくり政策部長 国はこれまでは、首都圏の治水、利水の安全性を確保するために八ッ場ダムの必要性を関係自治体に説明しまして、都もその内容の妥当性を認め、建設事業に参画してきたわけでございます。にもかかわらず、国が政権交代を機に、それまでの必要性を否定しまして、一方的に中止を宣言したというわけでございます。この間、都は国から一切の説明を受けておらず、また関係自治体として意見も聞かれてございません。地元の町や他の関係県におきまして、今日まで国からの説明は一切ないと聞いてございます。
先ほどもお答えしましたが、事業主体である国、地元、関係都県による今日までの合意形成の積み重ね、ダムの完成を前提とした地元住民による地域再生の取り組みを顧みますれば、何の説明もないまま一方的に中止を宣言する国の姿勢は、地方自治体との信頼関係を大きく損なうものと受けとめてございます。
○宇田川委員 今、部長から信頼関係を損なうものであるとお話がありましたが、説明がない、意見を聞く手だてもしていない、これはやっぱり地方自治をどう考えているのかということをいま一度問わざるを得ないのかなと、私はそう思っております。
ダム不要論、幾つか話が出ています。利水、治水、事業費等々の話が出ているわけですが、今さらなのかもしれませんが、いま一度、皆さんにご理解をしっかりしていただくために、その辺をお話しさせていただきたいと思うんですが、水余りといわれている言葉が出てきております。私は決してそうではないと認識をしているのでありますが、この水余り論、東京都はどうお考えでいらっしゃるのか。水道局に対する質問なのか知りませんが、関係があるので、答えられる範囲で結構ですから、お答えをいただきたいと思います。
○安井都市づくり政策部長 都が保有する水源量は、現在、日量六百三十万立米でございます。この中には、川崎市などから分水を受けている相模川の水源のように、将来確保できなくなる可能性のあるもの、また多摩川のように、年々川底が低くなりまして、計画どおりの取水ができないものなど、いわゆる課題を抱えている水源が八十二万立米ございます。また、都の水源の約八割を占める利根川水系におきましては、建設を進めてきた八ッ場ダムが完成していないことに加えまして、既存のダムにつきましても、近年の少雨傾向から、供給能力が当初の計画の約二割減少しております。
今日、地球規模の気候変動による渇水のおそれも指摘されておりまして、こうした状況のもとで、人口や都市機能が集中する東京で一たび水不足が生じますれば、都市活動、首都機能に甚大な影響を与え、社会全体が大混乱に陥ることが予想されます。将来にわたる安定的な水源の確保は、首都機能を支える都の重要な責務でございまして、水余りの状況にあるとの認識は全くございません。
○宇田川委員 今、暫定水利権というのを使っているところがいっぱいありまして、埼玉はそれに大変な危機感を持っています。今使っているところの三割ぐらいがそれで賄われていて、我々の命にかかわることだと、非常に強くおっしゃっています。また、世界の各都市と比べても、ロンドンとかパリとかニューヨークとか、大都市圏に比べて、東京の水の確保は十分になされているとは決していえない。むしろ渇水の危機があると私は認識をしているところでございます。水余りといった議論は私は決してないと思いますし、また地下水をくみ上げてという議論もありますが、我々下町地域にとって、そんな議論は通用しないと。こういうことだけ申し上げておきたいと思います。(「洪水が来たら江戸川が一番大変だものね」と呼ぶ者あり)本当にそうなんです。
治水に関する質問をさせていただきたいと思います。今お話がありましたとおり、我々江戸川区も含めたゼロメートル地帯、治水は大変重要な課題でありまして、たびたび質問させていただいております。
さきの民主党さんの一般質問の中で、カスリーン台風が再来した場合に、ピーク流量は、八ッ場ダムがあるとないとで、全く変化がない、治水効果はゼロである、こう明らかにしていると述べられている方がいらっしゃいました。テレビ、週刊誌等々の報道も、これをうのみにされた中での報道がなされているのを私も拝見をさせていただいたところであります。広く皆さんにきちんと認識をしていただくためにも、国交省の見解をしっかりとここでお尋ねをしておきたいと思います。
○安井都市づくり政策部長 政府答弁を引用でのお答えですが、多少長くなりますが、ちょっとご容赦いただきたいと思います。
平成二十年五月に政府に出されました質問主意書でございますが、カスリーン台風の再来、すなわち、台風が当時と同じコースを通り、同じ範囲に同じ降雨量、降雨分布があったとすることを前提に質問がなされてございます。
これに対しまして、平成二十年六月の政府答弁書では、国土交通省において、昭和二十二年九月の降水時--つまりカスリーン台風でございますが--と同程度の降雨量及び同洪水時の降雨パターンをもとに、一級河川利根川水系利根川の八斗島地点--これは治水の基準点でございます--における流量計算を行った結果によれば、八斗島地点上流にダムがない場合の洪水のピーク流量は毎秒二万二千百七十立方メートル、既存の六ダムはあるものの八ッ場ダムがない場合の洪水のピーク流量は毎秒二万四百二十一立方メートル、既存のダムに加えて八ッ場ダムがある場合の洪水のピーク流量は毎秒二万四百二十一立方メートルであるとしておりまして、つまり、カスリーン台風が再来した場合、八ッ場ダムがあっても、既存のダムのみの場合であっても、利根川上流の三流域が集まります八斗島地点の流量は変わらないという計算結果でございます。
さきの一般質問の質問者は、この部分を解釈いたしまして、八ッ場ダムによる治水効果はゼロであるとの主張の根拠づけを行っているわけでございます。しかし、カスリーン台風は、八ッ場ダムが建設される吾妻川流域でなく、烏川、神流川流域に強い雨をもたらしたものでございまして、計算上、治水効果が見られないのは当然の結果でございます。
しかし、政府の答弁書には、先ほど引用した部分の後ろにさらに説明がついてございまして、これを読み上げますと、なお、国土交通省において、昭和二十二年九月の洪水時と同程度の降雨量で、同洪水時を含む過去の生起した三十一の洪水時の降雨パターンをもとに八斗島地点における流出計算を行った結果によれば、そのうち、つまり三十一のパターンのうち二十九の降雨パターンについて、八ッ場ダムの洪水のピーク流量に対する調節効果を有していると答えてございます。
すなわち、政府答弁書を最後まで見れば、特定の洪水を対象として八ッ場ダムによる治水効果はゼロと断じることは全く不適切でございまして、地域分布や時間分布の異なる利根川の上流部の過去の降雨パターンを見ても、八ッ場ダムの治水効果はあるというのが正確な内容でございます。
なお、利根川上流は日本最大の流域面積を持ちまして、この上流域だけでも約五千百十平方キロメートルと、大変広うございます。さまざまな降雨に対処できるよう、洪水調節施設を配置することは重要でございまして、過去、利根川で起きた洪水では、さまざまな地域で強い降雨が観測されてございます。八ッ場ダムが完成することにより、利根川上流の三つのすべての流域でダムが整備されまして、これにより、さまざまな洪水に対する治水効果が発揮されるものでございます。
○宇田川委員 八ッ場ダム問題に関する質問に対する政府の答弁書を私も読ませていただきまして、民主党の議員さんの質問の中に入っていた、起用した文章の次が「なお」ということで、今、部長がいった二十九の洪水時の降雨パターンについて、八ッ場ダムは調節効果を有していると書いてあるわけです。これを全く疎外をして、その前後の文章も、八ッ場ダムは必要であるという答弁になっているんですが、効果はゼロであるというところだけを殊さらに取り上げるのは、私はどうかなと思っております。
今は政府の話をさせていただいたんですが、現の国交大臣とか、建設中止を求めている方が何人かいらっしゃいますが、こうした部分を考えた中で、治水効果は本当にないのでしょうか。都としては八ッ場ダムの治水効果をどうお考えであるのか、お尋ねをさせていただきます。
○安井都市づくり政策部長 利根川の治水計画でございますけども、ダム、堤防、調整池などの整備によりまして、二百年に一度とされるカスリーン台風級の洪水にも耐えられるよう、流域の治水安全度を高めるものでございます。
知事が本会議において繰り返しお答えしているとおり、八ッ場ダムはこの治水計画の一翼を担う重要な施設でございます。
本年五月に判決が出た東京地裁の審理におきまして、ダム建設に反対する原告は、先ほどご質問があったように、国土交通省の答弁書を引用しまして、昭和二十二年のカスリーン台風が再来しても八ッ場ダムの治水効果はないと主張してございます。これに対して、判決では、カスリーン台風では、ダム建設予定地の吾妻流域の雨量がたまたま少なく、かつ降雨の時間がずれたためであるという都による反論を支持した上で、これは先ほどお答えしたとおりでございますけれども、国が行っている過去のさまざまな降雨パターンに基づく結果から見て、八ッ場ダムの治水効果は認められるとしてございます。
また、ダム建設の中止を標榜する市民団体が、大雨をもたらしました平成十年九月の台風五号を例に試算しまして、洪水時に八ッ場ダムが利根川の水位を下げる効果は、最大に見ても十三センチメートルにすぎないと主張してございます。これにつきましても市民団体は、ダム建設が予定されている群馬県の吾妻川上流ではなく、栃木県日光付近に豪雨があった台風による洪水を取り上げておるものでございまして、このような洪水を例にとれば、八ッ場ダムによる効果がないのは当然でございます。
八ッ場ダムの治水効果がないという主張は、みずからの考えに沿わない過去の実例を無視しまして、都合よく取捨選択したデータを根拠に、独自の理屈に基づき試算したものであると受けとめてございます。都は、こうした見解を裁判の場でも明確に指摘しておりまして、その結果、さきの判決において、原告側の主張は一蹴されてございます。
○宇田川委員 司法の判断も間違っていないということでございまして、司法自体を無視することも政府としてどうなのかなと、そうも思っているところでございます。
八ッ場ダムについては、民意は早期完成であります。決して中止ではない。あの後、地域の方々の決起集会なり、いろんなメディアでの報道があったわけですが、地域住民の方はすべて残らず、早く決着してほしい、早期にこのダムを完成してほしい、その声しかないわけでございます。我々東京都、そして関係する五県も、すべてこれは完成に向けた動きで、何とか継続してほしい、その願いの中で動いているわけでございますから、長々と貴重なお時間をおかりした中で八ッ場ダムの質問をさせていただいたわけですが、まだご理解をきちっとされていない方も中にはいらっしゃるようなので、重ねてさせていただいたところでございます。
私も八ッ場ダムの推進議連の役員もしていますので、地域住民の方と一緒になって、これからも推進に向けて力を尽くしていきたいと、こう考えているところでございます。ぜひ最後に、都市整備局長、確固たる信念を持ったご決意をいただければと思います。
○河島都市整備局長 ただいまの質疑にございましたように、八ッ場ダムの建設事業は、国が関係都県の知事や議会の意見を聞いて、国と地方の共同事業として、法に基づく手続や地元の方々との粘り強い協議を積み重ねた上で実施してきたものであるにもかかわらず、国土交通大臣という責任あるお立場にある方が、こうした経緯を一切無視して、また関係都県や地元の意見を聞くこともなく一方的に中止を宣言したことは、知事が第三回定例会で答弁したように、まさに暴論というほかはなく、地方自治体の主体的な取り組みをないがしろにするものといわざるを得ません。
これまで国は、治水、利水の両面から本事業が必要であるとして、関係都県とともに共同事業として建設を推進していたわけでございますが、政権交代とともに、突如として事業中止を打ち出し、その具体的な理由の説明は一切行わないという、極めて理不尽な、また事業者の責任を放てきする無責任な対応に終始しております。
ただいま治水の必要性に関する質疑の中にありましたように、八ッ場ダムを不要とする主張がいかに根拠のない、ためにする議論であるか、担当部長からご答弁を申し上げました。こうした議論が早急に国会の場においてきちんとなされ、国民の前に今回の事業中止がいかに不合理なものであるかが明らかにされることが不可欠であると考えます。
さらに、ダム建設事業は、建設予定地の地元の皆様のご理解とご協力を得て、長年にわたる多大なご苦労をおかけしながら、今日まで進められているものでございます。こうした地元の状況を全く配慮することなく中止することは、地元住民にはかり知れない犠牲をさらにおかけすることになります。ダム湖の完成を前提に生活設計をされていた地元の皆様にとって、こうした仕打ちがいかなる苦しみを与えるのか、想像を絶するものがあります。
こうしたことを踏まえれば、今回のダム事業の中止は全く受け入れることができるものではありません。八ッ場ダムが必要な施設であることは、地域の状況を的確に把握している関係都県の一致した判断でございまして、引き続き一都五県の連携をさらに強化して、ダム建設の継続、一日も早い完成を国に強く働きかけてまいります。
○宇田川委員 今まさにいったとおり、一都五県しっかりと連携をした中で、推進に向けた動きを続けていただきたいと思います。
最後に、繰り返しになりますが、民意は中止にあらず、事業の継続であります。
以上です。
○長橋委員 私からも都政の課題につきまして質問をさせていただきます。
まずは防災都市づくり推進計画、私の前にもこの課題については質問がありましたが、重ならないように質問をしたいと思います。
まず、この防災都市づくり推進計画、震災対策条例の規定に基づいて作成をする、震災に対する対策ということであります。基本計画と整備プログラムになっておりまして、前のご質疑の中で、二回目の改定が来年の二十二年、平成二十二年当初に新たな改定があると、こういうことでございます。
私もこの課題については、この委員会でも取り上げてまいりましたけれども、今私の手元には、平成十六年三月にできました推進計画がございます。その中に、初めての改定のときの主な考え方、これが載っているわけでありますけれども、主な改定の考え方は三点ございまして、危険度が高い地域を集中的に事業を実施していくと。それから二番目に、事業手法を見直して合意形成を促進すると。そしてまた三番目に、新たな制度、手法を活用して建てかえ、共同化を促進すると。こういうのに基づいて、平成十六年からですから、およそ五年間取り組んできたわけでありますけれども、この考え方に基づいて東京都の防災都市の推進に当たってきたと思いますが、その成果、どのような取り組みがなされて、どのような成果があったのか、まずお伺いをいたします。
○石川民間開発担当部長 都は、現行の計画に基づき、整備地域において、木造住宅密集地域整備事業による道路、公園などの整備や、新たな防火規制の創設による建築物の不燃化等に取り組んでまいりました。また、延焼遮断帯となる都市計画道路の整備や都市防災不燃化促進事業の実施による沿道の建物の不燃化を促進し、延焼遮断帯の形成を図ってまいりました。
具体的には、整備地域において木密事業を五十地区、約二千三百ヘクタールで実施するとともに、整備地域を中心に新たな防火規制を二十三地域、約三千ヘクタールで導入するなどの取り組みを進めてまいりました。これらの取り組みにより、市街地の燃えにくさをあらわす不燃領域率が、平成八年から十年間で、区部平均では約五ポイント上昇したのに対し、整備地域では約七ポイント上昇し、約五六%となるなど、市街地の防災性は着実に向上しております。
今後は、事業効果の高い施策を重層的かつ積極的に実施することにより、市街地の不燃化のスピードアップを図ってまいります。
○長橋委員 まずは成果をお伺いいたしました。この五年間で新たな不燃領域率、区部では五ポイント上昇したのに対して、整備地域では七ポイント上昇したと。五六%になったということで、非常に整備地域の整備といいますか、時間がかかる中で、大きな成果を僕は上げたと思っております。
新たな改定に当たって、もちろんこの改定に当たっては、「十年後の東京」、これが新たな目標として掲げられて、より促進をしていこうと、こういうことで改定になるんだろうと思いますし、もちろん昨年の地域危険度測定調査も踏まえて改定をするわけでありますが、今後、我が党もよく取り上げておりますけども、少子高齢化、特に高齢社会に向けて、この防災都市づくり、高齢化に対した配慮というのが私は必要だろうと思っております。
特に高齢者の居住の継続性、長年住み続けて、まちづくりの中で移転を余儀なくされる、こういう方をよく聞くわけでありますけれども、引き続き住み続けたい、こういう思いは当然強かろうと思うわけでありますが、そういう中で、やはり行政が進めていくと、ある基準であるとか、そういう制度の中で、どうしても移転を余儀なくされる。しかしながら、特に重点的な整備については行政が主導しなければいけませんけれども、それに付随した、いわゆるそういった方々への配慮というのは、民間の力もきちっとかりて、逆にそういった民間の方々の方が、よりきめ細かな配慮というのも一生懸命努力している場合もあるわけでありまして、こういったことで、ぜひとも今後は民間活力を活用して取り組むべきだろうと思いますが、当然この五年間についてもそういう取り組みがあったと思いますし、今後の取り組みはどのように進めていくのか、民間活力の活用についてお伺いをしたいと思います。
○石川民間開発担当部長 市街地の防災性を早期に向上させるには、まちづくりの計画から実施に至る各段階で、民間事業者、地域住民、行政が適切な役割を担うことが重要であり、特に老朽住宅等の不燃化、共同化では、民間事業者が地権者の具体的な相談に適切に対応しながら事業を進めていくことが効果的でございます。
これまで、京成曳舟駅前などで実施している組合再開発事業や、板橋三丁目地区で実施している防災街区整備事業による建物の共同化のほか、東池袋地区などで実施中の沿道一体整備事業による道路の整備にあわせた沿道のまちづくりを民間活力を活用し進めてきております。
今後も、市街地整備をより一層加速するため、これまでの取り組みに加え、池尻二丁目都有地活用プロジェクトによる延焼遮断帯の早期形成や、地域における共同化等の取り組みを支援するための専門家の派遣など、民間等のノウハウを生かした防災都市づくりを進めてまいります。
○長橋委員 既に民間活力の活用については、さまざまな場面で活用が図られているということがわかりました。私の地元の東池袋地区は私も目で見ているわけでありまして、そこら辺は実感をしているところでございます。
防災都市づくりに関して、この基本計画、つまり推進計画、この整備プログラムは三章立てになっております。延焼遮断帯の整備、そして重点整備地域、整備地域の整備、そして避難所等の整備と、こういう三章立てになっているわけでありますが、計画を進めていくに当たっては、長年の期間が、やはり長期の期間がかかるわけであります。防災都市づくりの最終的な目標は、逃げないで済む安全な市街地の形成であるわけでありますが、しかしながら、この計画自体が震災に対してということで、それに基づいてということでございますので、いつあってもおかしくない震災に対して、避難場所の確保、これが非常に重要であるわけであります。そして、その避難場所までの経路というのも非常に大事であろうと思いますが、この避難場所について、推進計画を見ますと、整備プログラム、各地域の課題と事業の内容について書かれているわけであります。
整備プログラムの中の避難場所の整備については、いろいろと書かれておりますけれども、わずか数ページなんですけども、避難場所については、二十三区については、区部については都が指定をすると、こういうふうに決められておりまして、この計画では百八十八カ所が指定をされていると、こういうことでございますけれども、安全な避難場所の確保に対してどのような取り組みを行っているのか。もちろん避難場所は一義的には都立公園等であろうかと思いますけれども、都立公園ならば、これは建設局の事業になりますし、学校であればそれぞれ教育庁等の所管になるわけでありますけれども、都市整備局として指定をしているわけでありますけれども、この避難場所の確保に向けた取り組みは、都市整備局としてどのように行っているのかお伺いをいたします。
○石川民間開発担当部長 避難場所は、震災時に大規模火災が発生した際に住民が一時的に避難する場所であり、火災による輻射熱から住民が安全に避難できる空間として、防災の専門家による最新の知見を踏まえて指定しております。
ただいま委員からご指摘ございました避難場所の安全性の確保についてでございますが、公園の整備拡充にあわせた避難場所の指定や、避難場所周辺における建築物の不燃化を促進するなどして、引き続き、一人当たり一平方メートル以上の避難有効面積の確保や、三キロメートル以上の遠距離避難地区の解消に取り組んでまいります。
首都直下地震の切迫性を踏まえ、今後とも避難場所の安全性の確保に努めるとともに、逃げないで済むまちの実現に向け、防災都市づくりを強力に推進してまいります。
○長橋委員 今ちょっとお伺いしたか、避難場所の基準、どのような基準で指定しているのか、まずそれもお伺いしたいと思います。
○石川民間開発担当部長 避難場所の指定の基準についてでございますが、二十三区全域の人々が一斉に避難することや、一人当たり一平方メートルの避難有効面積を確保することなどを前提に、おおむね五ヘクタール以上の面積がある一団の土地について、周辺耐火の影響等を考慮して定めてございます。現在、平成二十年二月に、区部百八十九カ所の指定を行っております。
○長橋委員 今、避難場所についての基準についてもご答弁をいただきました。百八十九カ所、一カ所ふえているということでありますけれども、避難場所の指定基準が、一人当たり一平方メートルの避難有効面積を確保するということが前提で、なおかつ五ヘクタール以上といいますから、相当大きな空地といいますか、避難場所が必要になってくるわけでありますけれども、百八十九カ所がどこなのかというのがこの避難場所の一覧にあるわけでありますけれども、特に、見ていったら、どうしても私は地元に目がいくわけでありますが、霊園も指定になっているわけであります。区部霊園は四カ所ありますが、豊島区はそのうち二カ所ありますが、二カ所とも霊園も避難場所になっていると。
不燃ということで考えれば、霊園はそういう安全な場所であろうと思うわけでありますが、地元に聞いて、震災が起きたら私はどこに逃げれば、避難すればいいんだと。霊園ですというと、霊園に行って安全なのかというご質問はたびたび受けるわけであります。もちろんこの霊園の課題については、私もさまざま、ほかの委員会等でも取り上げてきましたけれども、いわゆる霊園が、いざ震災が起きて安全な場所なのかどうかというと、私としては疑問が残るわけであります。
そういう中で、この区部の霊園は、昔は全面公園化という方向が打ち出されて、長いこと続いてきましたけれども、平成十四年、私が都議会に初めて来たときに、この霊園のことについて取り上げたときに、公園審議会で画期的な新たな霊園のビジョンが発表されまして、いわゆる霊園と公園の共存化を図っていく、こういうことであります。いわゆるメモリアルパークとして今事業が進められているのでありますけれども、まだ一部、青山等で進められているだけで、なかなか進んでいない。ぜひ避難場所という視点からも、霊園が避難場所、安全確保に向けて、都市整備局の所管じゃありませんけれども、各局連携する中で、こうした課題についても取り上げていただきたい、こう思うわけであります。
次に、今いった避難場所へ向かう安全通路といいますか、安全の確保という点で整備が進められております私の地元の東池袋地区の整備事業について伺いたいと思います。
東池袋地区は、避難という点からいくと、雑司ヶ谷霊園に避難をする地域でございます。そういう中で、重点整備地域にもちろん東池袋地区は指定をされておりまして、中でも、今答弁でもありました沿道一体整備事業が東京の中では先駆的に進められている地域でありまして、既に都有地を活用して共同建てかえが進められているわけであります。都有地を活用した共同建てかえというのは、既に種地があるということでありますから、私は非常に効果的であろうかと思いますけれども、まずはその進捗状況。そしてさらには、そうした東池袋地域だけでもですね、ほかにも都有地がございます。こうした活用を促進していくには、新たなほかの都有地の活用も必要であろうかと思いますが、あわせて答弁を求めます。
○石川民間開発担当部長 沿道一体整備事業は都市計画道路の整備と沿道でのまちづくりを同時に進めるものであり、種地となる都有地等を活用することにより、事業の円滑な実施が可能となります。
東池袋地区では、都有地を種地とした一つの街区で、道路の用地買収に伴う移転対象者のための代替床を確保しつつ、周辺地域を取り込む形での共同化事業を目指し、関係権利者との調整を進めてまいりました。その結果、関係権利者の協力を得て、ことしの七月に、沿道での共同建てかえ事業の第一号となる施設の建築工事に着手したところであり、来年夏の竣工を予定しております。こうした施設の整備により、道路用地買収にかかわる権利者のための優先分譲枠を確保することで道路用地買収が進むなど、街路事業の円滑化が図られております。
また、共同建てかえの実施により、沿道の不燃化に加え、未接道宅地の解消、公開空地の整備など、地域の防災性、安全性の向上も期待できます。さらに、沿道での共同建てかえを先導的に実施し、目に見える形で示していくことで、他の街区における取り組みを促進するなど、事業の推進に大きく貢献できるものと考えております。今後も、他の街区の都有地等について、その立地条件や先行事例の効果などを踏まえながら、その効率的な活用を図り、地域のまちづくりを加速させてまいります。
○長橋委員 第一号が来年の夏の竣工を予定していると。あの大変な木密地域の中で、そうした第一号ができると、非常に周辺に対して促進をしていく機運が高まってくるだろうと思います。私もこの都有地の種地、ほかの種地も、どこにあるのかということも含めて、よくわかっているわけでありまして、ぜひほかの街区といいますか、ほかの地区でも、この沿道一体整備事業は進められているわけでありまして、ぜひ東池袋地区の整備が順調に進んで、この地区以外でもさらに加速されるよう、しっかりと事業を進めていただきたいと思います。
今、ほかの地区でもということでございますけれども、現在、東池袋地区以外でも四地区がこの沿道一体整備事業を進めていると聞いておりますけれども、四地区は、墨田区の鐘ケ淵、それから北区の十条地区、そして目黒区の目黒本町地区と、そして練馬区土支田・高松地区であります。そのうち、練馬区以外は重点整備地域に指定されている中にあるわけでありますけども、東池袋地区以外の、この三地区の整備状況はどのようになっているのか伺います。
○石川民間開発担当部長 沿道一体整備事業は、延焼遮断帯の形成を図ることができるなど、木造密集地域の防災性や安全性の向上に特に有効な手法でございます。
重点整備地域内で行われている事業のうち、鐘ケ淵地区では、一つの街区において、民間事業者等による残地を集約した再建案に基づく調整を続けてきた結果、本年三月に関係権利者による合意がなされ、本年十二月に建てかえ工事に着手する予定でございます。また、十条地区や目黒本町地区においては、これまで沿道における意向調査やまちづくり勉強会を実施してきたところでございますが、本年八月、九月の両地区における街路事業認可の取得を受けて、今後、共同化に向けた勉強会等の活動を本格化させてまいります。
今後とも、地元区と連携し、民間事業者のノウハウ等も活用しながら、沿道での共同化等の働きかけを進め、地域の防災性、安全性等の早期向上に努めてまいります。
○長橋委員 今ほかの地区の状況をお伺いいたしました。まだこれからというところが多いようでありますけれども、先ほどお話ししました、高齢者の方々がそうした地域に多いわけでありまして、そうした方々の居住の継続性、こういうことを考えますと、こうした沿道一体整備事業というのは有効な手法であろうかと思いますので、ぜひ引き続き、加速して事業を進めていただきたいと思います。
また、重点整備地域の整備方針には、今いった整備地域の整備だけではなくて、建築物の耐震化、これも必要であるわけであります。重要であります。都は、平成十九年に東京都耐震改修促進計画を策定いたしまして、なかなか進まない住宅の耐震化、これを計画をつくって進めてきました。そして、二十年には緊急輸送道路の沿道の建築物の耐震化、これも、今年度の重点事業であろうかと思いますけども、スタートした。また、分譲マンションの耐震化助成制度も拡充を図ってきた。また、二十一年には福祉施設の耐震化もこの計画の中に含めたということで、徐々にでありますけれども、耐震化というものが大きな課題になってきたというふうに私は思います。
そういう中で、本年五月には、耐震化の相談窓口もまちづくりセンターに設置をされた。体制ができてきたということでありまして、さらには住宅の耐震化、これが、目標とする平成二十七年までには九〇%を目指すということでございます。しかしながら、先ほどの資料にもありましたけれども、マンションは後で取り上げますけれども、マンションの耐震改修、これもなかなか実績では上がってきていない、こういうことでありまして、私も耐震フォーラムをやったらどうかとか、安価で信頼できる工法の紹介、展示、これも最近ではそうした展示が都庁以外のところでもたびたびやっているのをお見受けしますけれども、そういう中で、いよいよ東京都が、都市整備局の中に耐震化推進担当部長、専属の部長を設置して本格的に強固に取り組むと、こういうことであります。
そこで、この九〇%という高い目標、住宅の耐震化九〇%、この高い目標に向けて、現状どういう認識をして今後取り組むのかお伺いをいたします。
○町田耐震化推進担当部長 住宅などの民間建築物の耐震化を進めるためには、自助、それから共助、公助という原則に基づきまして、建物所有者みずからがその必要性を理解し、主体的に取り組んでいただくことが重要と考えております。都は耐震化を促進するため、平成十八年度より助成事業を立ち上げまして、所有者の方々の取り組みを支援してまいりましたけれども、大方の所有者の方は具体的な行動を起こすまでには至っていないというのが現状でございます。
現在、都といたしまして、緊急輸送道路沿道の、昭和五十六年以前に建築をされまして、倒壊した場合に道路閉塞を起こすおそれのある建物、こういった建物の所有者の方に対しまして個別訪問を行いまして耐震化への取り組みを促す、いわゆる都版のローラー作戦というものを実施しております。このローラー作戦から受けております建物所有者の反応というのは、一つには、耐震化をしようとする意識が低いということ、それから緊急輸送道路などの重要性というものを認識していらっしゃらない方がいるということ、それから助成制度そのものの存在を知らないということもございました。
このような状況を踏まえますと、耐震化の促進のためには、所有者へ耐震化を直接訴えるという、そういった取り組みを強化することが重要でございます。そこで、都といたしまして、区市町村や関係機関との連携のもと、都版のローラー作戦をさらに拡充すること、それから耐震ポータルサイトを開設し、適切な情報提供を行うこと、都民が利用しやすいよう、総合相談窓口の機能を充実していくこと、こういったことなどによりまして普及啓発を一層強化し、東京都の耐震改修促進計画の目標達成に向け、積極的に取り組んでまいります。
○長橋委員 今、推進担当部長のご答弁がございました。認識は私と一緒でございます。現状の認識は、なかなか行動を起こすまでに至っていない、これはもうそのとおりであろうかと思います。そういう中でローラー作戦を開始すると。今度は、相談窓口ができましたというだけではなくて、直接出向いて今度は訴えると、こういうことをしていくということで、東京都がこういうことをやるということは、大変大きな僕は成果を期待するわけでありますし、ただ、今後の取り組みはさらに重層的にしていかなければならないと思いますし、私自身は、いざ震災が起きたときに、まず大事なのは命を守る、命を守るためには建物が倒れないようにすることだと、こういうことをたびたびいってまいりました。
そういう中で、今、部長がご答弁した中に、耐震ポータルサイト、これを新たにつくって情報提供していくということでありますが、耐震ポータルサイト、なかなかそれだけのサイトで--以前いろんな相談窓口、総合相談窓口、一カ所に行けばいろんな角度の相談ができると。都市整備局のホームページを見ると、耐震のことを調べると、いろいろあちこち飛ばないとわからない、こういうことがあるわけです。それを一カ所に集約するということでありますが、これは大変いいことだと思いますが、いつできるのか、またどういう内容なのか、ちょっと教えていただけますか。
○町田耐震化推進担当部長 耐震ポータルサイトでございますが、これは地震の怖さというものを都民に訴え、耐震化に関する必要な情報を随時適切に提供しようというもので、これによりまして耐震化に向けた都民の自発的な行動というものを促していこうということを目的としております。これまでパンフレットや展示会等を通じまして意識啓発や情報提供を行ってまいりましたけれども、これをより広く都民に有益な情報を発信していこうというものでございます。
提供する情報といたしましては、木造住宅の耐震性を簡易に判断できる診断方法を提供すること、助成制度ですとか優遇税制、こういったものの紹介をすること、さらには改修事例や各種工法などに関する情報提供、あるいは耐震改修の体験談、こういったものの紹介などを予定しております。これに加えまして、さまざまな耐震に関係する団体のホームページとのリンクを張るということで、さらに利用しやすいものにしてまいりたいというふうに考えております。
現在、準備作業を行っておりまして、来年一月には開設する予定でございます。
○長橋委員 来年一月にこのポータルサイトを開設すると。ほかの県でも余りやっていない、このように聞いておりますし、一部、静岡が、静岡は震災に対しては非常に取り組んでいる先駆的な県でありますけれども、それ以外のところはやっていないのではなかろうかと思いますので、さらにグレードアップしたポータルサイトの開設を期待いたします。
次に、住宅の耐震化の中で特に課題になっているのが、先ほどもありましたけれども、マンションの耐震化であろうかと思います。特に難しいのは老朽化したマンションであります。先ほど、都内にどれだけマンションがあって、また、旧耐震基準のマンションは二十二万戸あると、こんなお話がございましたけれども、やはりマンションの耐震化は、その維持管理、長寿命化を図っていくためには維持管理が必要でありますし、適切な修繕、改修、さらには究極の耐震化が建てかえであるわけでありますけれども、そういう中で今後、東京都が、このマンション問題を大きな課題としていかなければならないということで、昨年の第二回定例会で我が党の質問に答えて、東京都はマンション白書を作成するというふうに聞きました。明らかにいたしました。もうとっくにできているというふうに私は思っておったわけでありますけれども、なかなか、その準備、課題を探るということでありますし、初めてのマンションの白書でありますから、時間がかかったのだろうと思いますけれども、いよいよできるんじゃなかろうかと思いますので、いつできるのか、そしてその内容についてお伺いをいたします。
○宇多田民間住宅施策推進担当部長 マンション白書につきましては、東京のマンション二〇〇九として現在取りまとめ中であり、十月下旬を目途に公表の予定でございます。
その内容ですが、平成十九年度に都が実施した実態調査の結果を中心に、国や民間のデータを整理し、都内マンションの現状と課題をまとめております。また、平成十四年十二月の建替え円滑化法の施行以来、都では十九件の建てかえ事業を認可し、さまざまな建てかえ事例が収集できましたことから、建てかえを検討する管理組合の参考となるよう、これらの事例を紹介いたします。
○長橋委員 建てかえの事例も盛り込んでいるということであります。大変難しい課題でありますので、私は大変貴重な白書になるだろうと思っております。
そこで、マンションを維持していくには、また、適切な維持管理というのが長寿命化を図っていくことになろうかと思いますけども、その意味で、マンション管理組合の管理運営、維持管理、これが重要であります。まず、その課題についてはどのように今のマンション白書で取りまとめているのか。また、その支援策はどうなのか。最近多くなってきたのが超高層マンションであります。百メーター近くのマンションも、私の地元、池袋なんかは幾つかできているわけでありますが、その超高層マンションについてもどうとらえているのか、あわせてご答弁をいただきたいと思います。
○宇多田民間住宅施策推進担当部長 マンションの管理組合運営や維持管理上の課題についてでございますが、マンション居住者の高齢化や管理組合運営に無関心な区分所有者の増加などにより、管理組合運営が困難となりつつあること、また、計画的な修繕の実施に不可欠な長期修繕計画が定められていないマンションが一部存在することや、修繕積立金が計画修繕に必要な額に至らないマンションが少なくないことなどが主要な課題でございます。また、近年増加している超高層マンションについては、将来の維持管理コストや、区分所有者が多いことによる合意形成の困難化などが懸念されます。
都は、マンションの適正な維持管理の促進に向けて、これまでも区市や関係団体との連携による相談体制の整備や、都における専門相談の実施、各種ガイドブックによる普及啓発などに努めてまいりました。
今後、管理組合運営の困難化の状況を踏まえ、管理組合がマンション管理に係る専門家をより一層安心して活用できるような環境整備を図りますとともに、管理組合が状況の変化に応じ、適時適切な長期修繕計画の見直しや、それに見合う資金計画の作成などに自主的に取り組むような環境を整備し、管理組合を支援していくことが重要と考えております。また、超高層マンションにつきましては、管理組合運営や維持管理について、専門家や管理組合等の意見を聴取し、現状の把握などに努めてまいります。
○長橋委員 維持管理のことでありますけれども、昨年、私はこの委員会で、都はマンションについてはさまざまなご案内を出しているけれども、ばらばらになっていて、ぜひ一つにしたらどうかということで、マンションの相談窓口ということで、これ一冊あればどんな--例えば耐震化、建てかえ、維持管理、どこに行けば相談ができるかということが一冊にまとまったわけでありまして、だけれども、これを見ても、読んでも、なかなか専門家のアドバイザーにアドバイスをしていただかないと難しいと。旧耐震基準のマンションでも、改修した方がいいのか、やっぱり建てかえなければいけないのかという判断は非常に難しいし、マンション住民にそうした専門家がいない場合が多いわけでありまして、そうした場合に、先ほどありましたマンション建てかえ・改修アドバイザー、こうした専門家のアドバイスやコーディネーターというのが必要でなかろうかと思います。そうした専門家の活用、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○宇多田民間住宅施策推進担当部長 都はこれまで、マンションの建てかえにつきまして、管理組合の相談に応じるほか、ガイドブックによる普及啓発や、建てかえに係る助成を行うとともに、理事のお話にございました建てかえ・改修アドバイザー制度の整備などに取り組んでまいりました。今後、このアドバイザー制度がより広く活用されるよう、積極的に働きかけを行ってまいります。
また、管理組合等への建てかえに関する法令、事業手順、建てかえ事例等の情報提供や、セミナーなどを通じて建てかえに係る区市及び事業者等の人材育成を行うとともに、建てかえに関する制度的な課題への対応について国へ要望するなど、建てかえ円滑化に向けた環境整備に幅広く取り組んでまいります。
○長橋委員 今お話があった建てかえ・改修アドバイザー制度、ここにパンフレットがありますけども、もちろん有料であります。こうしたことが、今後建てかえに向けての機運も高まってくるかと思います。お伺いすると、これに対しての助成制度、区部では九区がやっていると。すべての区ではもちろんないわけでありまして、こうしたことについても、東京都も、こうした新たな、こういうマンションに対しても助成制度を設けるべきではなかろうかと思うわけでありまして、要望しておきたいと思います。
最後に、八ッ場ダムについてご質問をさせていただきます。
九月三十日、先月末に、我が公明党は、私も含めて、八ッ場ダムに、現地に視察に行ってまいりました。水没地帯も見てまいりました。また、既に代替地の整備も終わって新たな住宅ができている、そうしたところも見てまいりましたし、また、現地の役場の役人の皆さんからもお話を聞いてきましたし、また、旅館組合と観光組合の皆さんのお声も聞いてまいりましたので、そうしたことを踏まえて、先ほど宇田川理事からあったご質問と重ならないように質問をさせていただきたいと思います。
まずは、一番いわれたのが、前原大臣が来て、連日地元の皆さん方はマスコミに照らされながら注目をされ続けて、一挙手一投足が非常に注目をされていると。そういう中でいわれたのは、ダムの地元は、長年苦労を積み重ねてきた、この八ッ場の長野原の皆さんだけではないんだと。恩恵を受ける一都五県も地元なんだと。もっとその一都五県が声を上げるべきだ。こんなお声も聞いてまいりました。
そこで、まさに東京都は利根川水系に水を依存しているわけでありますけども、利根川水系の水資源の状況、これはどうなっているのか。利根川というのは、先ほどのご答弁で、日本一の流域面積であるとともに、昔から坂東太郎といわれたように、日本の暴れ川の三つの一つであると、このようにいわれておりますけれども、そこでまず、利根川水系の安定給水の確保、そして利水の安全度はどのようになっているのかお伺いをいたします。
○安井都市づくり政策部長 国土交通大臣は、産業の発展や都市人口の増加に伴い、広域的な用水対策を実施する必要のある水系を指定いたしまして、水の供給目標やダムの全体計画を示す水資源開発基本計画、いわゆるフルプランを決定することとしております。現在、利根川や荒川のほか、木曽川、淀川など、全国で七つの水系が指定されてございまして、このすべてにおいてフルプランが定められてございます。
お尋ねの利根川・荒川水系でございますが、このフルプランでは、五年に一回程度の確率で発生する渇水に対応する計画に改正前はとどまってございました。一方、他の木曽川や淀川など全国の主要な水系では、十年に一回程度の割合で発生する渇水にも水需要量を確保できる計画でございまして、こうした他の計画と比較しますと、利根川・荒川水系の計画は渇水リスクが大きいものでございました。
過去を顧みますと、利根川水系では平成六年以降、夏冬合わせて五回の渇水が発生してございまして、平成六年には、東京も水源を依存している矢木沢ダムが干上がってございます。このため、平成二十年に閣議決定されました第五次に改定されましたフルプランでは、建設中のダムの完成を見込むことによりまして、利根川水系に依存する首都圏の利水安全度を全国の主要な水系と同じレベルまで向上させることとしてございます。八ッ場ダムは、このフルプランの実現の一翼を担う重要な施設でございます。
○長橋委員 利根川水系は五年に一度の利水安全度であると。他の水系、日本では十年に一度。外国では、ロンドンでは五十年に一回に対応できるようにすると。ほかの国でも、過去最大の渇水に耐えられると、こういう安全度が示されているわけでありまして、日本の地形は急峻でありますので、利根川水系がまだ五年に一度ということについての認識をいただきました。
そこで、水の需要予測、先ほどもございましたけれども、水の需要予測は過大ではないのかと。八ッ場ダムは、もし建設が中止にならなければ、二十七年には完成をする、そういう中で、水の需要予測、都の人口も二十七年には減少するから、現在の水需要予測を見直すべきだ、こういう話がありますけれども、しかしながら、東京都も、それからほかの県でも、反対派の裁判については全部退けられているわけであります。水の需要予測というのが、私も水道局に聞きましたけれどもよくわからない。将来に対する水需要予測が本当に正しいのかどうか、どうとらえているのかお伺いいたします。
○安井都市づくり政策部長 ただいまのご質問でございますけれども、東京は日本の首都でございます。単に人口が集中しているだけではございませんで、政治、経済、文化などの中枢機能が高度に集積しており、このような大都市における住民の生活を守り、首都機能を支えるのは、水道を初め、電気、ガスなどの生活、都市活動の基本にかかわるインフラでございます。いいかえますと、東京が都民の生活基盤と首都機能を維持するためには、水道の安定供給の継続が前提でございまして、さらに東京の将来の発展のためには、水道の供給能力がボトルネックにならないようにしなければならないと考えてございます。
都における水源の確保は、平常時はいうに及ばず、たとえ大規模な渇水があった場合におきましても、将来にわたり安定的な給水を継続することを基本方針としております。ダムなどの水資源開発施設は、計画から完成に至るまで長期間を要します。また、地球規模での異常気象が生じていることを見ましても、限定的な期間の傾向をとらえて水の需給を判断するのではなく、長期的な視点に立って、先行的に対応を行う必要があると考えてございます。
水道局でございますが、このような首都としての東京の性格を重視いたしまして、長期的な将来を見据え、過去の実績や関連する社会経済指標を用いた合理的な手法による水需要予測を行ってございます。こうした考え方につきましては、さきの東京地裁の判決におきましても合理的なものと認められているところでございます。
○長橋委員 需要予測について、かなり突っ込んで合理的な基準というのを答弁いただきました。私は、首都東京がいざそうした状況に陥った場合にどれだけ大きな--東京だけではなくて、全国に対して経済的にも大きな損害があるわけでありまして、こうした水需要予測が過大であるとかということを軽々にいってはならない、このように思うわけであります。
次に、この八ッ場ダム事業、よく出てくる話は、八ッ場ダム事業は四千六百億、そのうち七割が既に済んでいる、しかしながら、まだダム本体事業は全く着手していない、こういう段階であろうかと思いますけども、八ッ場ダムの本体の建設事業は国交省が事業主体でありますけれども、あわせて同時に行われているのが水特事業、いわゆる水源地域対策特別措置法、この事業と、それから基金事業、利根川・荒川水源地域対策基金事業、この二つが行われているわけでありますけれども、この二つも、ともに東京都が負担をしている、このように聞いております。この水特事業と基金事業は、いわゆる生活再建関連の事業でありますけれども、八ッ場ダムの事業一体として考えるならば、この事業も、主体は群馬県、地元、町でありますけれども、そうしたことを考えると、本体事業だけではなくて、この水特事業、基金事業も、もし中止になれば戻してもらわなければいけない。
建設事業は国に戻せといえばいいんですけれども、群馬県の事業とか、主体がある群馬県、長野原町の事業に対しても戻せといえるのかどうか、こんなことを疑問に思うわけであります。当然こうした事業も国が責任を持ってやるというのでありますから、戻さなければいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○安井都市づくり政策部長 二つの事業について、若干の説明を前置きして申し上げますと、水源地域対策特別措置法に基づきます、いわゆる水特事業でございますけども、これは群馬県や地元の町が事業主体となって、水源地域の生活環境、産業基盤となる施設を整備し、ダムの建設を促進するための事業でございます。総事業費は九百九十七億円でございまして、平成二十年度までの執行額は五百十三億円、都は総事業費のうち百三十一億円負担しまして、これまで六十三億円を支出してございます。
また、もう一つの利根川・荒川水源地域対策基金、いわゆる基金事業でございますが、これは地元の一都四県によりまして、前述の特別措置法では必ずしも十分に対処し切れない、例えば移転住民の代替地取得に対する利子補給であるとか、生活相談員の設置助成などによりまして、よりきめ細かく生活再建、地域振興を行うための事業でございます。こちらは平成二十年度までの執行額が四十一億円、都はこれまで十四億円支出してございます。
これを返してもらう必要があるのではないかということでございますけども、どちらもダムの建設の促進、ないしはダムの完成を前提としているものでございまして、その前提がなくなれば、払うという根拠が消滅するわけでございます。したがいまして、これは今後いろいろ法的な問題を検討しなきゃいけませんけども、そのような原因が国の一方的な中止で生じたということでございますれば、その賠償の措置を今後検討する必要があると、このように考えてございます。
○長橋委員 これは当然であろうかと思うわけであります。
そこで、ちょっともう時間が来ましたので手短に進めたいと思います。
暫定水利権、先ほど申し上げました一都五県も地元である、暫定水利権を既に先取りして使っているということでありますけれども、急激な水の需要に対して、暫定的に現在ある河川から取水が認められているということでありますけども、一部では、反対派が、八ッ場ダムが中止になっても暫定水利権は継続されるんだ、こんな声があるわけでありますけれども、こういうことに対して、どのように反論をするのかお伺いいたします。
○安井都市づくり政策部長 暫定水利権という言葉でございますけども、ダムの完成を前提にいたしまして、河川管理者が河川からの取水を認める権利でございます。水が豊かで余裕のある時期に限り取水できることを意味しているにすぎませんで、いかなる場合にも許可された量を取水できることを保障するものではございません。東京や埼玉だけが毎年全国各地で発生しているような深刻な水不足に決して陥らないという保証は何もないわけでございまして、一たび渇水が起これば、真っ先に取水制限の影響を受けるのはこの暫定水利権でございます。
利根川に限らず、河川に集まる水量は気象条件などに左右されることから、ダム建設に反対する立場のように、国土交通省の水利権行政を改善すれば暫定水利権をそのまま安定水利権に移行することができる、このような主張は、既得の水利権者の調整による利水の安定化の合意の必要性を考えないものでございまして、また、そもそも渇水に対するリスクに対応できるものではないということで、全く非現実的なものと受けとめてございます。
埼玉県では、県の水源の約三割を八ッ場ダムの暫定水利権で賄っているために、八ッ場ダムの中止による影響は甚大なものと推測されます。都におきましては、暫定水利権はわずかでございますが、先ほどお答えしたとおり、計画目標とする水源の確保はもとより、渇水時の異常事態が生じましても、都民の生活を守り、首都機能を支えるために、八ッ場ダムは都にとって必要不可欠な施設でございます。
○長橋委員 最後二問で終わります。
今、八ッ場ダムの必要性について伺ってきました。最後に、治水についても、いわゆる八ッ場ダムが中止になった場合にどうするのかという代替案が全く示されていない。これが大事なわけでありまして、生活再建だけするということは--八ッ場ダムの人たちは八ッ場ダムありきで生活再建を考えているわけでありますけれども、場合によっては、じゃ八ッ場じゃなくて、八ッ場にかわる代替案は下流で、恩恵を受けるのは下流なんだから、下流でやるべきだ、そのためには、河川の拡幅や、それから堤防の強化をしなければいけない、河川を拡幅したら道路も移動しなきゃいけない、鉄道も変えなきゃいけない、こんなことが起こるわけでありますけれども、首都圏を含めてそんなことが可能なのでしょうか。もう一回改めて聞きます。
○安井都市づくり政策部長 河川の治水対策でございますけれども、これはそもそも長い時間を要するものでございまして、長期的な目標を設けて段階的に進めていかなければなりません。また、河川改修や堤防の強化は下流から順次上流へ進めていくことが基本でございまして、下流部に先んじて上流部を整備することは、下流部の洪水流量を増加させて、堤防の決壊など、治水の安全度を大きく損なうことになります。さらに、河川がはんらんいたしました場合、市街地に対する壊滅的な被害を防ぐために、河川整備とあわせまして、上流ダム群によります洪水調整機能を整備し、水位を安全かつ適切に低下させることが不可欠でございます。
このため、利根川水系の治水の安全性を効率的に高めるためには、単に河川改修や堤防強化だけをすればよいということではなく、上下流の治水バランスの状況、限られた期間における整備の実現可能性などを考慮して、堤防強化などの河川整備とダムによる河川調整施設をバランスよく配置する必要がございます。仮にダムを中止して河川整備のみで治水対策を行いますと、都内では、足立区、葛飾区、江戸川区におきまして、洪水調整施設を前提としない河川整備の検討が別途必要になります。これらの地域はもとより、隣接する埼玉県や千葉県の市街地の状況を見れば、八ッ場ダム完成予定でございます六年間にダムにかわる治水対策を進めることは全く非現実的な話であると考えてございます。
なお、これはあくまで比較のための試みの試算でございますけども、ダムの本体工事は六百二十億円でございます。これでスーパー堤防などを仮に整備した場合、どのくらいできるかというと、量にしてわずか七キロメートル相当の整備にとどまるというような試算が得られます。ちなみに、先ほど宇田川委員のご質問にお答えしましたように、上流の三つ流域が集まりまして治水基準点になる八斗島地点から河口までは二百四十キロございます。またさらに、堤防整備ということになりますと、先ほど申したのは工事費だけでございますので、仮に家屋などの移転が伴う用地費、また、住民との合意形成に要する時間、こういうことを考えますと、なかなか現実的な話ではないのではないかなと、このように考えてございます。
○長橋委員 すみません、時間……。あと一問でございます。
今、代替案として、私がいった代替案といいますか、現実的に、上流がだめなら下流でやるということでありますけれども、これはまさに非現実的な話でありますし、費用も莫大である、こういうことでありまして、八ッ場ダムの必要性については、今、種々答弁をいただきましたし、代替案を示さないで生活再建だけというのはあり得ないわけであります。地元の方に聞きましたら、生活再建とは何かといったら、五十七年にわたって、苦労と犠牲の中で、この国のために合意をしてきた。三代にわたってです。もう既におじいちゃん、お父さんは亡くなって、三代にわたってそうした苦労を積み重ねてきたわけでありまして、生活再建をするというのであれば、もとに戻す、その五十七年前の生活に戻すべきだというのが筋論であろうかと思うわけであります。
そういうことで、先ほど一番初めに申し上げました、一都五県はもっと声を上げてもらいたい、こういうことに対して、都として、八ッ場ダムの必要性、これは早急に取りまとめて、強く都民に訴えてもらいたい。テレビを見ても、世論調査だと、中止と反対、反対の方が世論が、ちょっと支持が高い、こういうこともありますし、また五十七年間にわたってできなかったダムがなぜ今さら必要なんだ、こういう議論もあります。五十七年の中身を見てもらえばわかるわけでありますけれども、そういうことだと思います。
もちろん知事は、一都五県が連携して国に対して要請していく、このようなことでありますけれども、ぜひ知事も八ッ場ダムに行って現実を見ていただいて、それまでには都市整備局が主管となって、各局連携して取り組んでいただきたいと思うわけであります。
政局が変わったからといって、国が方針を変えるということであります。そういう中で、僕は思うんですけれども、東京都が、特に都市整備局は優秀な技術者さんがたくさん多いわけでありまして、そうしたことの思いがあって今まで質問させていただきましたけれども、そうした技術力、優秀な皆さん方がほかの局とも連携を図りながら、この八ッ場ダムにしっかりと取り組んでいただきたい、こう思うわけであります。ぜひ早急な、都民が納得する、都民にしっかり訴えていく、そうした取りまとめを含めて、最後、局長に決意を伺いたいと思います。
○河島都市整備局長 八ッ場ダムは、これまで国が首都東京を含む関東地方の治水、利水の両面で必要であるとして、関係都県とともに建設を進めてきた事業でございます。それにもかかわらず、政権交代の後は、地元や関係都県の意見も聞かず、一日にして、八ッ場ダムを必要のないむだな施設であると切り捨てたことは全く理解できず、承服できるものではございません。
しかも、国は前言を翻し、八ッ場ダムの必要性がなくなったとする理由について、今日まで、本来行うべき具体的な説明を一切してございません。本来、八ッ場ダムの事業中止を明言するならば、その具体的理由について、国が説明責任をしっかりと果たしていかなければならないはずでございます。大臣のこれまでの発言を見ますと、八ッ場ダムの事業中止の理由をダム行政全体のあり方論にすりかえ、八ッ場ダム自体の中止理由について具体的に語ることを避けているようにも見えます。
本日の質疑の中で、ダムに反対する立場からの主張に対する都の見解について、さまざまな観点からご質疑をいただいたわけでございますが、都としては、あくまでも八ッ場ダムが不要であるとする立証責任は国にあるとの立場に立って、国に対して、いかなる理由で直前まで必要とされていたものが急に不要となったのか、その理由の開示を求め、全庁の技術職員の力を結集して、その非論理性、不合理性を明らかにしていきたいと考えております。
また、長橋理事から、現場視察では、もっと一都五県から中止撤回の声を上げてほしいとの地元要望があったとお伺いいたしました。石原知事も、近々、一都五県の知事がそろって現地を訪れ、地元の声を聞き、ダムの必要性を強く訴えていきたいとの意向を示してございます。
こうした取り組みを実現するとともに、関係自治体の事務担当者による連絡調整組織というものもございますので、そういったものも十分に活用いたしまして、一都五県がさらに一致団結して、ダム事業を継続し、一日も早く完成するよう、国に強く求めてまいります。
○大島委員 私からも幾つか質疑をさせていただきたいんですが、最初に、今話題となった八ッ場ダムについてお話を伺いたいと思います。
さきの本会議で、我が党の代表質問でこの問題を取り上げました。再三この議会でも取り上げてきたということで、私も前の議事録を読ませていただいたんですが、かなりやりとりがあったというふうに認識しています。そういう中で、多くの反対がある。反対がある中で、巨額の税金をつぎ込んでむだな公共事業というふうに批判されている八ッ場建設について、我が党の代表質問では、民意に沿ってダム建設中止に協力するようにと知事に求めました。しかし、東京都は、八ッ場ダムが治水、利水の両面から都にとって必要不可欠な施設で、建設中止は考えていない、また、建設負担金は国に納付額の返還を請求するという答弁で、これまでの態度を変えようとはしておりませんでした。
今回、国民の審判を受けて新しい政権が生まれた、これがやっぱり一番大きな違いだというふうに思いますが、その代表質問の後、国交省は本体工事の入札を延期したり、また鳩山首相も、前原国土交通大臣も、八ッ場ダムの建設中止を明言しました。また、このダム問題で、先ほどもありましたけれども、翻弄され続けた地元の住民の皆さんから反対の声や怒りの声が上がるというのは当然だというふうに思います。しかし、前原大臣が地元を訪れまして住民の声を聞くという、こういう姿勢を示しておりますし、生活再建とか地域振興のための法を制定するということや、自治体の負担金についても、法に基づいて出資してもらったものは返還するのが当たり前と、このように述べています。さらに一部の専門家は、治水、利水の必要性はないという主張もしています。もはや東京都が八ッ場ダムを推進する意義はなくなっている。
改めてお聞きしたいんですが、今こそこの事業中止を受け入れるべきだと考えますが、都の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○安井都市づくり政策部長 八ッ場ダム建設でございますけども、先ほど来お答えしているとおりでございますが、国と利根川流域の一都五県が水没となる地元の意向を最大限に尊重しながら、法律に基づく手続を積み重ねて推進してきた事業でございます。
都を初め、関係する地方自治体は、地域の置かれている状況を最もよく把握してございまして、治水、利水の両面から、八ッ場ダムを必要不可欠な施設であると判断いたしまして、共同事業者となって建設事業に参画してございます。これは関係する一都五県の一致した認識でございまして、都県を超えた広域行政レベルの判断として、政権交代のいかんにかかわらず、国は尊重すべきだと考えてございます。
国土交通大臣は、負担金を返すといっておりますが、都県を超えた治水、利水の安全性の確保については全く解決されないどころか、将来の危険性に目をつぶることになります。ダム湖を前提とした将来計画を定めている地元にとりましても、ダムができず、生活の場だけをはるか山の中腹に移されても、真の生活再建は不可能でございます。
先ほど大島委員の発言の中に、専門家とのご発言がございましたけども、ダム建設に反対する市民団体の代表などは、先ほど宇田川理事のご質問にお答えしたとおり、みずからの主張に都合のよいデータを取捨選択して、独自の理論に基づきまして、ダムは治水に効果がないと喧伝してございます。また、利水につきましても、首都東京の役割を考慮すれば、大規模な渇水などがあった場合にも、将来にわたる安定給水を確保することが水道行政の基本方針であります。それにもかかわらず、市民団体は、近年の状況のみを限定的にとらえまして、水余りと主張してございます。
都は、こうしたダム建設反対の根拠となる考え方につきまして、東京地裁の審理において明確に反論し、その結果、判決では原告側の主張が一蹴されているわけでございます。都は八ッ場ダムの建設中止を受け入れる考えは全くございません。
○大島委員 この前の代表質問、それからきょうの議論を聞いていると、多分こういう答えしか出ないんだろうなというふうに思いましたけれども、やっぱり一番大きいのは、国民の意思に基づいて審判された後の新しい政権が、これからこの問題についてどう解決していくかということで前向きに取り組んでいこうと、ここの姿勢をやっぱり見ていく必要があるというふうに思います。まだ新しい政権が生まれてから間もない時間しかたっておりませんので、その中でこれまで積み上げてきたものすべてを一気に解決するなんていうことは、それはできないと思いますが、でも、こういう問題も前向きに解決しようという、その姿勢のあらわれが、この間の鳩山首相や前原大臣の発言の中にも見えているというふうに私は思っています。
実際に八ッ場ダムの平成二十年度までの事業の執行率はもう七〇%といわれておりますけれども、ダムそのものをつくる本体工事というのは、まだ未着手です。負担金を返還してほしいというのは、これは当然のことですけども、東京都は負担金を人質にして建設続行を求めるようなやり方ではなくて、都民を初め、我が党や民主党が、これまでやってきたさまざまな議論を受けて反対をしてきたわけですが、こういうものを押し切って不要なダム建設を推進してきた責任、これは知事にもあるというふうに思います。その責任をやっぱり率直に認めて、民意に沿ってダム建設中止に協力していく、このことこそ今東京に求められているのではないかと私は思っております。
この問題についてはさまざまなやりとりがありましたので、次に、都市政策について質問を移させていただきたいと思います。
東京都では、東京の新しい都市づくりビジョン、こういうもので、東京を活力と魅力に満ちた国際都市にすると、そして、再生するための都市づくりとして、都心部を中心とした同時多発的な民間開発が打ち出されています。私も、この都市整備委員会に所属をいたしまして、この事業概要の説明を受けたんですけれども、余りにも膨大で、全部を掌握するということはできませんでした。そして、まちづくりの問題では、幾つかやっぱり見てこないと、いっていることの意味がわからないなというふうに思いましたので、私は東京駅前の丸の内の開発とか、あと汐留地域を見てきました。
東京駅前の丸ビルのあたりなんかももう全然変わってしまっているし、そしてこんなに景気が悪いといわれている中でも、ビル建設はどんどん進められているという、何かちょっとほかのところと違ったような印象を受けました。汐留の方に行きましたら、海風を防ぐといわれたような、旧国鉄の跡地を利用しての超高層ビル、これが十棟も計画されておりまして、東京駅前の丸の内は、かつての地権者の三菱地所がマンハッタン計画というのをつくるということで、再開発計画を立案したという経過があるそうですが、そのときには、国や都が都心集中の是正、これの立場からストップをかけてきたという経過があると、これも聞きました。そうしたら今度、石原都政になったら、この問題が都心再生で息を吹き返して、例の旧丸ビルとか、旧国鉄本社の跡地の建てかえ、こういうもので超高層のビルが林立するようになったということでした。実際にそういう場所に行きますと、この時代の変遷というのが、またまちづくりという問題で考えると、どうしてこんなに林立してしまうのかというところも、ある程度、政策上の問題でこうなったんだなというのが見えてまいりました。
私は、こうした都心における際限のないようなビル開発の競争が続けられている一方で、実際には都心で供給される住宅というのは、億ションだとか、月額百万というような家賃を払うとかという、何かとにかく庶民にはほど遠いような、そういう存在となってしまいまして、結局ここのビルの中で働いている人たちは、遠距離通勤というふうにいわれておりますけども、周辺から通ってくる、こういう方たちが非常に多いんじゃないかなというふうに思います。
そういうことで考えると、都心部で働く人たちのためのインフラという意味でのベッドタウン、ここでインフラ整備が非常に追われるような状況になっているということが現実にあるわけです。私は地元は足立区なんですけれども、足立区に新田地域という、ちょっと島になっているようなまちがあるんですけれども、そこは今URの住宅や民間のマンションなどが次々と建設されて、ハートアイランドという場所なんですけれども、とにかくまちの様子が一変してしまっている。それから足立区の場合は、つくばエクスプレスや日暮里・舎人ライナーなんかが新しく新線として入ってきたので、その沿線にもこうした住宅が次々とできているということで、そういう中で、実はマンション建設に伴う建築紛争、こういうものが起きてきたり、それから生活に本当に必要な保育所、これが本当に不足していまして、こういう状況がまさに顕在化してきています。
東京の都市政策は、都心の開発を重視する余り、都心への業務機能の集中を招き、周辺のまちづくりとの間で不均衡を発生させているのではないかと、こう考えます。このような都心への集中政策の弊害が、だれもが安心して住み続けられる持続可能な都市づくりとは余りにもかけ離れた都市政策がとられているのではないかなというふうに思いますが、この点についての都の考えをお聞きしたいと思います。
○安井都市づくり政策部長 都はこれまで、東京圏全体を視野に入れまして、集積のメリットを生かした多機能集約型の都市構造である環状メガロポリス構造の実現に取り組んでまいりました。特に都心では、政治、経済、商業など、既存の都市機能の集積、世界に類を見ない整備水準の地下鉄網などを生かしながら、市街地の更新を通じて、中枢業務機能、質的高度化、商業や文化交流など、多様な都市機能をコンパクトで高密度に集積しまして、国際的なビジネスセンターとしての機能を発揮させてまいりました。
こうした取り組みに加えまして、超高齢社会の到来、地球環境問題の深刻化など、近年の社会経済情勢の変化に適切に対応するために、本年四月、東京の都市づくりビジョンを改定したところでございます。この中では、広域的には、今申し上げました環状メガロポリス構造の実現を引き続き目指すとともに、身近な圏域におきましては、区部、多摩を通じて生活圏の中心となるべき地域を選択して、人口や生活機能を集積したコンパクトな地域構造を構築することにより、圏域内及び圏域相互の移動が公共交通で支えられ、だれもが集積のメリットを享受できる暮らしやすい市街地を実現することとしてございます。
なお、お話のありました丸の内や汐留における都市開発や、周辺部における住宅供給については、それぞれの地域特性や適切な役割分担のもとに土地利用を進めてきたものでございます。
○大島委員 私も、その改定版があったということで、ちょっとそのあたりも見させていただいたんですけど、石原知事が冒頭のあいさつの部分で、三環状道路の整備とか、羽田空港の再拡張、国際化、それから都心部の機能更新、こういうことで東京を活力と魅力に満ちた国際都市として再生するための都市づくりをするんだというようなことが書かれていたんですね。やっぱりお話を伺っていますと、先ほどの国際的なビジネスセンターをつくっていくというようなことも含めて、やっぱり都心に集中するような、開発優先の都市ビジョンで進めているんだなというふうに聞こえてくるんです。
これは、一つは先ほど私いいましたけれども、集中の弊害というのが周辺部にもあらわれているし、もう一つは、例の一メートル一億円もかけるような外かく環状道路などの浪費型の大型開発、これは都民の苦しみをよそにどんどん進められていますが、こうした大規模開発とか、それからそれに伴うことで、例えば集中豪雨とかヒートアイランド現象、こういうことを増大させていく原因にもなっているのではないかというふうに思っています。
そこで、環境問題と開発の問題というのは、非常にこれからの日本、それからこれからの地球というか、世界において、いろいろ考えていかなきゃならない問題だというふうに考えていますが、九月二十二日に国連総会の一環として開かれました気候変動首脳会合で、鳩山首相が、温室効果ガスの削減目標について、一九九〇年比で二〇二〇年までに二五%削減するということを目指すと、こういう中期目標を発表しました。麻生前首相がことし六月に発表した二〇〇五年比で一五%減という、これは実際九〇年比に引き直すと八%程度だったんですけれども、それよりもより大幅に踏み込んだ目標設定が出されたということになります。
私たちも温暖化による大きな被害を防ぐためには、こうした目標設定の引き上げというのは必要だということで、この間も取り上げてまいりましたけれども、こういう点で考えると、今、都市再生という名前のもとで温室効果ガスを大量に発生させるような大規模なビルがふえている。それから、汐留地区の開発だけで新たに発生する自動車の発生集中交通量、これは我が党が試算したんですけれども、一日当たりで四万一千七百台も集まると。同時多発的な開発があちこちでやられていますので、その数といったら数十万台以上の自動車交通が新たに発生するのではないかということも予想されます。それで、このまちづくりの問題と、それから地球温暖化の問題、これをどのようにとらえているのかお聞きしたいと思います。
○安井都市づくり政策部長 これからの都市づくりでございますけども、経済活力の向上、それから安全・安心の確保、これは当然でございますけども、地球温暖化問題への対応にも取り組むことが重要な課題ということで、さきに都市づくりビジョンを改定したところでございます。
都はこれまでも、都心部では、都市開発などの機会をとらえまして、最先端の省エネ技術の導入であるとか、地区、街区単位におけるエネルギーの効率的な利用を促進すること、また、今お話にもございましたが、三環状道路などの骨格的な道路ネットワークの形成を図り、都心に集中する通過交通を低減させ、渋滞を緩和することなどにより、CO2排出量の削減を図ってきております。今後ともこうした取り組みを通じまして、国際競争力の維持向上とともに、都市全体の環境負荷の低減にも配慮しながら都市づくりを進めてまいります。
○大島委員 地球温暖化対策は重要だと、これはもうどなたも認めていることだと思うんですね。それに取り組んでいくというので今回の改定版が出たといっているんですけれども、改定版を見ても、やっぱりその多くは再開発事業だというふうに思えるんですね。特にビルが建てかえということで、再開発ですから、建て直すとか、ほかのところに移るということで、ビルの建てかえというのが大きく生じまして、これによって大量の建設廃材とか残土、こういうものが発生していくんですね。また、完成された後のオフィスというのも、これも超高層でたくさんの事務室や飲食店や、さまざまな人たちが住むということで、この完成後も、オフィスを中心とした経済活動、これが活発化すればするほど廃棄物、例えば一般系のものとか、事業系とか、産業系がありますけども、こういうものの増加というのが見込まれますし、これが環境への負荷を飛躍的に増大させていくというおそれがあると考えます。オフィスをこれからもふやしていくとか、自動車を呼び込むような都市再生というのは、大気汚染を一層激しくして、温室効果ガスの削減という方向とは逆行するようになるというふうに考えます。温暖化をどう食いとめるか、そのためにも都市の成長をコントロールするという方向に転換することを求めていきたいというふうに思っています。
都市の問題については以上にしまして、次に、住宅の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
今回、都議選を戦っていく中で、非常に強い要望として私などに寄せられたものの一つに都営住宅の問題があります。足立区は三万三千戸ほどの都営住宅があるという、非常に都営住宅の問題については重視して取り組まなければならない課題だと私も考えています。その中で、要望の一つに、都営住宅のエレベーターの設置という問題があります。きょういただいたこの資料でも、毎年、都営住宅のエレベーターの設置が進んでいるというふうに数では出ているんですけども、でも二十年度はちょっと落ちているのかな、これ。そういう状況なんですね。ところが今、設置をしている都営住宅というのは、大体四階から五階建てで、一つの住棟が二十四戸以上、廊下型、こういうところでエレベーターの設置が進められています。
しかし、同じ団地に住んでいる人たちの中に、二十四戸以下で、廊下型で四、五階というのは同じなんですけれども、二十四戸未満の住棟に住んでいる人は、ほかのところにどんどんエレベーターがついていくのに、ここだけ取り残されてしまっている。そこに住んでいる方たちは、大体入居している時期が同じですから、同じように高齢化していて、なかなかつかないエレベーターに対して、何とか早くつけてほしいというような要求が出されているんです。こういうところについても早期に設置していっていただきたいと思うんですけれども、その実施の見通しについてお聞きしたいと思います。
○荒川営繕担当部長 既設の都営住宅のエレベーター設置基準は、費用対効果などを勘案して定めたものでございます。階段室型住棟にも我々設置しているところでございます。現時点では、二十四戸未満の廊下型住棟や三十戸未満の階段室型住棟にエレベーターを設置する考えはございません。
○大島委員 今のところはということなので、やがてはということなんでしょうけれども、でも、やっぱり早くしてほしいという人たちの声というのがあります。だから、一年間につけるエレベーターの数をもっとふやしていただければ、こういうところにも早くつけられるのではないかなというふうに思っています。
同じエレベーターの設置の問題で、実は一階に店舗が入っている店舗つき住宅というんですかね、その店舗が入っている住宅は、同じように、二十四戸以上あってもつかないんですね。何でつかないのかということで、私もいろいろと東京都にもお願いしたり、足立区の方にもお願いをしたりしてきたんですけれども、その店舗が違法な増築をしているという場合には、設置条件を満たしていてもエレベーターがつかないと。こういう状況になっているということがわかりました。じゃ、この違法増築部分の撤去について、一体だれが責任を持つのかということで、私もいろいろ調べたんです。権利関係の書類なども取り寄せてみました。大体東京都の土地の上に建っている住宅なんですよね。そこに店舗が入っているというだけでどうしてこんなに違いがあるのかということで、本当に疑問でした。
そのときいろいろな資料をもらいましたけれども、東京都と、それからその店舗を販売してきた財団法人首都圏不燃建築公社というのがあるんですね。そこと、それから店舗を購入した方との間での契約書がいろいろ取り交わされているんです。そういうものも読み込んで見ますと、どうもこの指導責任というか、撤去については、東京都に責任があるんじゃないかなというふうに思われたんです。この点について、きょうはそういうものについて、ちょっとやりとりを余りしていないので答弁は要りませんけれども、ぜひこうしたものも検討していただいて、こういう障害を取り除いて、店舗つき住宅に入っておられる居住者のために、東京都としても一日も早くエレベーターが設置できるように強く要望しておきたいというふうに思います。
このエレベーターの問題というのも非常に大きな問題なんですけれども、次にちょっと質問したいのは承継問題なんです。これも強い要望を受けたものの一つなんですけれども、平成十九年八月二十五日から、都営住宅の使用承継が原則配偶者のみに限られるというふうになりました。その後の交渉で、この承継の基準が若干緩和されましたけれども、その中で、病弱者への使用承継の際に必要とされる診断書が、都立病院とか公社病院とかの診断書に限定されるということになっているんですね。
実は私のところに相談に来た方なんですけれども、お母さんが昨年の十一月に亡くなられて、その方が名義人で、息子さんが一緒に住んでいるんですけれども、二〇〇八年十一月に亡くなられて、その息子さんが五十八歳、六十歳になっていないので全くこの対象にならなかったんですが、その方は病気で、近くの足立区内のかかりつけのお医者さんにずっと通っていらっしゃったんです。それで、病弱者ということで承継の対象になるんじゃないかということで、実はそのお医者さんに診断書をもらって手続をしたら、都立病院とか公社病院のものでないとだめですよといわれたんだそうです。仕方なく、その方が地元でかかっているお医者さんの診断書を持って、実はこういうのでかかっていて、お医者さんはここに引き続き住んだ方がいいと判断してくださったんですけれども、都立病院の診断書が必要なので書いてくださいませんかといったら、病院の先生が、うちは診断書を書くだけの病院じゃないので、それだったら、かかりつけのお医者さんがそう書いてくれているんだから、それでいいじゃないかといって帰されちゃったというんですよ。そして結局、その診断書がもらえなかった。そのために承継の手続がとれなかったんですね。
その後もいろいろとお話をしまして、もう一度、都立病院で書いてもらうように話をしようということで行ったんですけれども、その病院で書いてくれたときに、もう既に六カ月を過ぎてしまっていたということで、そういう状況があった中で、やっぱり今、病状をよく理解しているかかりつけ医の診断書も当然対象に、同じお医者さんなので、資格に何か上下があるわけではないと思うんですけれども、かかりつけ医の診断も対象にしていただけたら、こんなことはなかったろうなというふうに思うんですが、この病弱者の診断書について、かかりつけ医も対象にしてほしいと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○岡沢経営改革担当部長 病弱者の使用承継についてでございますけれども、使用承継は原則として配偶者に限って認めている中で、病弱者の承継につきましては、難病患者でございますとか、それから公害病の認定患者などの特別な事情がある場合に認められるというふうになっております。難病患者とか公害病認定患者など以外の病弱者の方々については、病名だけでは使用承継の対象であるところの特別な事情というものに当たるのかどうかということが判断できませんので、我々としては、都が設置した都立病院ないしは都が中心となって設立した東京都保健医療公社病院の医師の診断書を踏まえて判断するということにしているところでございます。
○大島委員 それはもうずっと前からいっていることなので、それを聞いているんじゃなくて、やっぱりこういういろんな矛盾が出てきているので、やっぱりかかりつけ医の診断書もぜひ対象にしていただきたいというふうに思います。
次に、きょうの資料にもたくさんありますけれども、建てかえで建設されている都営住宅、この都営住宅の中で一DKとか二DK、ひとり暮らし、二人暮らし用という割合がかなり高くなっています。建てかえの場合は、どうしてもそこに住んでいる人たちの家族の構成とか人員構成で住戸数を決めるというのはあるんですけれども、そのために、ひとり暮らしの多い住宅ほど一DKの部屋がふえてしまって、そこがもし空き家になっても、そういう部屋にはファミリー世帯の方は入れないので、また高齢の方が入っていくというようなことで、いつまでたってもそこの団地全体が、高齢化している中で、ファミリー層などが入れるような住宅でなくなってしまうと、こういう問題が非常に今問題となっています。
その中で、高齢化が進むと、団地の中での清掃活動だとか自治会の活動なんかを維持することが非常に困難になると、このことも大分いわれました。それから隣近所とのつき合いも減って、コミュニティの育成も難しくなる、こういうことも広がっているそうです。
今、問題になるのは、型別供給というやり方で、ひとり暮らしだったら一DKよとか、二人暮らしだったら二DKよというようにもう決めちゃっているというところに大きな問題があるのではないかというふうに思っています。
例えばそういうやり方をやめて、本人の希望によって、家賃は少し高くなってしまうんですけども、せめて子どもが来て泊まることができるような、こんなスペースの住戸を選ぶということができるようになれば、一人用、二人用と決められた居室をたくさんつくらなくてもよくなって、そういうところが空き家になった場合では、後々ファミリー世帯も住めるような広さの住宅が続く団地にはできるんじゃないかというふうに思うんですが、こうした政策をもって世代間の均衡が保てるようにすべきじゃないかなと思うんですけれども、そういう点ではいかがでしょうか。
○山口建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たっては、居住者の世帯人数により基準を設け、住みやすい間取りとなるよう工夫しながら住宅を供給しております。基準の設定に当たっては、都営住宅は都民共有のセーフティーネットであることから、最低居住面積水準を確保するとともに、バリアフリーを考慮した面積としており、適切なものと考えてございます。
なお、建てかえで建設する二人世帯用住宅につきましては、高齢者や若年ファミリー世帯など、多様な世帯が活用できるよう、昨年、間取りの見直しを行ったところでございます。
○大島委員 若干、三平米ぐらいふやしていただいたということで、それでもかなり狭いといわれているんですけれども、ひとり暮らしの高齢者の方のところに息子さんとか娘さんが来て介護をするといっても、泊まる場所がなくて、台所に布団を敷いて寝ているとか、もう本当に大変な事態だというふうに私も訴えられています。首都東京という話がありましたけれども、こうした高齢者ばかりが集まって自治会活動も十分にできないような、限界集落といわれるような団地をこの東京に生んでしまうということを行政はやるべきではないと私は思っています。
次に、都営住宅の入居収入基準の見直しというのがありまして、それによって都営住宅の募集に応募できなくなってしまった方も出てきているんですけれども、これに伴って使用料の引き上げを、本当はことしからやる予定だったということなんですけれども、一年間延ばす措置をとってきました。
私その問題で、例えば今回、厚生労働省が九月三十日に発表した八月の毎月勤労統計調査というのを見ますと、基本給と残業代、一時金を含めた現金給与の総額は、前年の同月比で三・一%減少している。現金給与総額の減少は十五カ月間連続しているという統計が出ているんです。それから総務省も、ことし十月二日に発表した労働力調査によりますと、八月の完全失業率は五・五%で、これは二〇〇三年四月に並ぶ戦後二番目に高い完全失業率だというんです。また、同じ日に厚生労働省が発表した非正規労働者の雇いどめの状況、これを見ますと、ことし十二月までの失職とか失職予定者というのは二十三万八千七百五十二人となって、雇用保険の統計から状況を把握できた非正規雇用の離職者は何と十一万五百十五人、そのうち再就職ができたという人は四三・三%しかなくて、非正規雇用の離職者の半数以上が職を失ったままだという大変厳しい状況になっているというふうに思います。
現在のこの経済状況のもとでは、使用料引き上げを一年間延ばす措置をとった昨年に比べても、収入の状況は現状維持か、またはより悪化して生活が苦しくなっているという都民の姿がうかがえるんですけれども、来年からの使用料引き上げというのはやめて、考え直していただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○岡沢経営改革担当部長 都営住宅の使用料改正についてのお尋ねでございます。
使用料改正につきましては、政令によりまして二十一年度からの実施が決まっている中で、都は円滑な実施に向けて十分な準備を行うという観点から、一年間これを延ばすということにいたしまして、二十二年度から実施をするということにしております。
使用料の引き上げが比較的大きくなります収入区分が二段階上昇する世帯に対しましては七年間の経過措置を実施するなど、国の経過措置を上回るきめ細かな措置を講じようとしているところでございますので、来年度からの使用料の改正につきましては適切なものと考えているところでございます。
○大島委員 政令によって決められているということなので、今度、政権交代もあったことだし、国の方もまた変わってくれるといいなというふうにちょっと思ってはいるんですけれども、二十二年度からやりますということなんですけれども、国の政令で指導されているよりも上回って独自の七年間の経過措置というのかな、そういうものも考えられるということであるならば、今本当に状況が悪い中で、引き続き据え置くということだって考える対象に入れていいんじゃないかなというふうに私は思っているんです。
この都営住宅だけじゃなくて、実は東京都の住宅供給公社、一般賃貸住宅の家賃値上げ、この問題についても、反対とか据え置きしてほしいという強い要求も寄せられています。公社住宅の家賃制度というのは市場家賃制度というのがとられておりまして、居住者に過重な家賃負担をもたらすものとなっています。また、六十歳以上の居住者が全体の七割近くに及ぶなど、ここでも居住者の高齢化が進み、家賃負担に苦しむ入居者が急増しているというのが現状です。
今年度の家賃改定については、現下の厳しい経済状況の変動を考慮し、公社一般賃貸住宅の継続家賃改定における引き上げを当面見送ると、こういうことをいって決定がされていました。そういう点で考えますと、先ほど私述べたように、昨年もことしも厳しい経済状況は変わらないのですから、少なくとも、来年度の家賃については値上げをしないで据え置くべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○紺野住宅政策推進部長 公社一般賃貸住宅の家賃の改定に当たりましては、地方住宅供給公社法施行規則第十六条に基づきまして、近傍同種の住宅の家賃、変更前の家賃等を総合的に勘案し、定めることとされております。
平成二十一年度における家賃改定におきましては、東京都は、昨年秋のいわゆるリーマンショックを契機とした急激な景気の悪化を考慮し、公社に対し適切に対応するよう要請したものでありまして、公社は例外的な措置として一般賃貸住宅の継続家賃改定における引き上げを当面行わないこととしたものでございます。この措置は、昨年秋の急激な経済情勢の悪化を踏まえた、あくまで例外的なものでございまして、都としては平成二十二年度の家賃改定につきましては、公社法施行規則に基づき、原則どおり行うべきものと考えております。
なお、継続家賃の改定に当たりましては、引き上げの上限額を五千円までとする激変緩和措置を行っていることに加えまして、高齢低所得の世帯の方々に対しては、家賃を減額する特別減額措置を講じているところでございます。
○大島委員 今、昨年秋のリーマンショックを考慮したんだと、それは例外的なんだというふうにおっしゃいましたけれども、先ほど私が述べたように、リーマンショックだけじゃなくて、もうずっとこの経済状況は悪化していて、去年もことしも変わらないような状況というのが続いているんだというのが国の統計でもあらわれているということを考えると、現下の厳しい経済状況の変動というのは、今もずっと続いているというふうに考えていただいたらいいんじゃないかなというふうに私は思うんですね。
公的住宅の家賃制度というのは、収入に応じて負担する応能家賃制度にするともっといいんじゃないかと。これはもう必要だというふうに思っています。公社一般賃貸住宅についても、市場家賃制度を廃止して、居住者が安心して住み続けられる応能型の家賃制度に改めることが必要だと思います。経済悪化が今、都民の暮らしを一層圧迫しているときだからこそ、暮らしを守る立場から家賃の据え置きをぜひ再考していただきたい。そして都営住宅の新規建設に立ち返ること、こういったことも求めて、私の質問を終わります。
○尾崎委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩をいたします。
午後三時三十分休憩
午後三時四十一分開議
○尾崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○くりした委員 私からは、千代田区における東京都景観計画のあり方及び景観計画の中で定められている事前協議手続についてご質問させていただきます。
二〇〇五年六月に施行された景観法に基づき、現在、都内全域において、一定規模以上の構造物については、建築の際、東京都が定めた東京都景観計画に定める景観形成基準に配慮した上で、法に基づく届け出を都に提出するようになっているかと思います。もとより、千代田区には一九九八年度より施行されている千代田区景観形成マスタープランが存在し、土地事情に基づいて、事前協議の手続やガイドラインについて、景観を保全するための詳細な取り決めがなされていました。しかし、本年四月から、東京都が定めた景観計画の中で、東京都景観条例に基づく大規模建造物等の建築等にかかわる事前協議制度の一環として、千代田区の大部分が景観誘導区域に指定され、独自の景観形成基準及びデザイン評価指針を定め、事前協議の中で東京都景観審議会計画部会の意見を聞くこととなりました。現在、当該地域に、東京都の許認可等を経て、容積率の緩和を受け、かつ千代田区の基準に定める規模以上の建造物をつくる場合、東京都及び千代田区双方に対して、景観の事前協議を行わねばならない状態であります。
質問に入らせていただきます。
まず、地域に根差した景観誘導を行っていくためには、基礎自治体である区が中心となって行うべきではないかと考えます。これまでの区が進めてきた取り組みと都が行う景観誘導は重複するように見えますが、都の認識を伺います。
○大塚参事 都と区の景観誘導のかかわりについてでございますけれども、全国を対象とする景観法の基本的な考え方といたしまして、良好な景観形成に向けた施策の実施というのは、区市町村が重要な役割を担うべきであるとされておりまして、東京都といたしましても同様の認識を持ってございます。
一方、我が国の政治経済の中枢であります皇居周辺地域、ここには大規模建築物の計画が多く見られまして、景観形成への影響が少なからず予想されるところでございます。こうした点におきまして、大規模建築物の景観誘導を的確に実施するためには、都市計画等の許認可権を有する都が広域的観点から景観誘導を行っていくということが大きな意味を持つものと、こういうふうに考えてございます。
こうした施策というのは、いわば都でしかできない取り組みでございまして、区の取り組みとは着眼点やねらいが異なるものと、こういうふうに考えてございます。したがいまして、都としては、業務の重複ということではなく、むしろ都と区、それぞれの立場から景観形成に取り組むということによって一層質の高い景観誘導を図ることができると、このように考えてございます。
○くりした委員 都と区の取り組みは、重複ではなく連携であるということを理解いたしました。しかし、こういった状況の中で、手続の煩雑化、そして責任の所在の不透明化を防ぐために、かねてから詳細なガイドラインを持っていた千代田区へ、東京都より景観行政団体を移行すべきという意見も地元では多数出ており、ことし二月に行われた東京都景観審議会の配布資料の中で、東京都は、移行については今後十分に協議を行っていくとの回答をしておりますが、協議は進捗をしておりますでしょうか、伺います。
○大塚参事 景観行政団体の移行の件でございますが、景観法では、区市町村の長が都道府県知事と協議を行い、その同意が得られれば景観行政団体として法に基づく施策を実施することができるということになっておりまして、東京におきましては平成二十一年九月末の現在で、九つの区と市が景観行政団体になってございます。都といたしましては、今後も景観行政団体の移行を希望する区市町村に対しまして引き続き協議を進めてまいりますけども、千代田区につきましても同様でございまして、現在協議を開始するよう働きかけているところでございます。
○くりした委員 都の地元に対して景観行政団体を順次、移管を進める方針については、景観法の理念にかなっており、今後も積極的に進めていくべきかと思います。
引き続き有効な協議がなされますよう強く要望をいたします。
続いて、千代田区内に限らず、東京都は都の許認可にかかわる大規模な建築物については、広域的な観点からの景観誘導が必要であると考え方を示しています。確かに、景観は区民のものだけではなく、皆のものであると思いますが、最もその景観に密着している近隣住民の意見が十分にくみ上げられていることは大前提であるかと思います。東京都景観審議会の中で、そして東京都景観計画変更に対する都民意見募集の中でも、現在の仕組みの中の事前協議において、地元区との調整に難ありとの意見が出ております。今後、関係市区町村の意向を反映すべく協議の場を新たに設ける、もしくはそれにかわる市区町村の納得が得られる調整の方法を導入する予定はありますでしょうか、伺います。
○大塚参事 関係区市町村の意向の反映についてでございますけれども、景観法による取り組みとは別に、都独自の、先ほど申し上げましたけれども、大規模建築物の事前協議制度の中では、特に皇居周辺地域において、建築物のデザイン協議というのを行っております。この協議の中で、お話の地元区の意向の反映につきましては、景観審議会計画部会、こういうのがございますけれども、この開催の前に区との意見交換を行うことを通例としておりまして、これに加えまして、区が計画部会に出席できるような、そういった仕組みを既に用意しているところでございます。
○くりした委員 仕組みはあるということなんですけれども、そういった声が出てしまっているという中で、なかなか各区部にもそれぞれの意見がありますから、そういった仕組みを円滑に動かすことは容易ではないとは思いますけれども、事前協議が必要な案件というのは、規模、そして景観に与える影響にしても非常に大きいものですから、今後も慎重な連携がなされることを要望いたします。
次に、事前協議における計画部会のあり方について、ご質問いたします。
建築物のデザイン協議における計画部会の中で、東京都が事業者に対する機密保持を理由に協議内容詳細を公開しないことから、都民から責任の所在があいまいになっていると指摘されておりますが、都が公開できないとする業者等の事業運営にかかわる事項というのは、具体的にはどういうケースになるのか、お伺いいたします。
○大塚参事 事業運営に関することでございます。
建築物のデザイン協議では、都市計画などの手続に入る前の、いわゆる事業計画の早い段階で景観に関する協議を行うということを趣旨としております。そのため、事業者みずからが公にしていない、そういった計画の内容について協議を行うということになります。これらは協議内容全般にわたっておりまして、お話の業者等の事業運営にかかわる事項というのは、公開されれば事業活動上少なからず影響が生じる可能性があるもの、このように認識してございます。
○くりした委員 情報公開がなかなか難しいということについては理解をしましたが、機密性のある内容、案件に触れない範囲で議事録についても公開をすることはある程度は可能であり、東京都としても、それを行えば、より都民の信任を得られるようになると思いますが、いかがでしょうか。伺います。
○大塚参事 議事録の公開と都民の信任というお話もありますが、議事録の公開につきましては、情報公開請求に応じまして、東京都情報公開条例の規定に基づきまして適切に対応してまいります。
景観形成の取り組みというのは、今後とも、都と区が連携を進めて、それぞれの立場から良好な景観誘導を行っていくということが重要であると思っております。そうすることによって、都民の期待にこたえることができるとともに、首都東京にふさわしい景観形成がなされていくものであると、こういうふうに考えてございます。
○くりした委員 今後も可能な限り、各プロセスの透明性を高めていただいて、都の計画、景観計画を、より一層、都民に身近なものにするとともに、信任を得られるような内容にしていくことに取り組んでいくことを強くお願いいたしまして、景観計画についての質問を終わります。
続いて、総合設計制度を用いた千代田区平河町二丁目の全共連ビルの建てかえ工事における建築審査及び紛争調整のあり方について伺います。
本件については、建築計画に対して、住民側から反対の陳情や審査請求が出された経緯があります。現在は、陳情の審議や審査請求の裁決も行われて、地元では工事が始まっている状態です。
このビルの建てかえについては、住民の権利利益の救済を図る審査請求や住民と建築主との調整を図る建築紛争調整という二つの制度による対応がなされております。
そこで、ビルの建てかえ計画にかかわるこれらの制度の運用について、何点か伺います。
まず、審査請求の裁決はことしの五月に出されておりますが、その裁決を行った東京都建築審査会の会長は、本件の建築確認を行った民間の指定確認検査機関の理事長と同一人物であります。このことは、建築審査会の審査の中立性の確保という観点から、問題がないのか伺います。
○瀧本市街地建築部長 建築審査会の委員は、法律、経済、建築、都市計画、公衆衛生、行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断のできる者を選任することとされておりまして、東京都においても、この基準に照らし適切に委員を選任しております。建築基準法第八十二条によれば、建築審査会の委員は、自己等の利害に関係のある事件について審査請求等の裁決に関する議事に加わることができないというふうにされてございます。お尋ねの全共連ビルに係る審査請求においても、会長は審査や裁決の一切の議事にかかわっておらず、中立性の確保には問題はございません。
○くりした委員 現在もこういった問題に対して中立性の確保のための取り組みをされているとのこと、今後も厳しく、そういった形で取り組んでいかれることを強く望みます。
また、次の質問ですが、本件についての総合設計を行う建築審査会実施の際に、意見公聴会の中に、住民から超高層は不適格という旨の多数の署名が建築指導課に提出されていたにもかかわらず、建築審査会の中で、区域内の住民は地区計画に対して同意をしているかという問いに対して、署名があったことについて報告がなかったと聞いておりますが、その理由を伺います。
○瀧本市街地建築部長 本件の審査会におきましては、総合設計の許可を行う特定行政庁は、公聴会で提出された賛成、反対それぞれの意見書の数と主な反対意見について建築審査会の議案資料として提出するとともに、口頭でも説明を行いました。
ご指摘の署名については、建築審査会の議案資料として、その全員分を提出しておりまして、署名があったことについて報告がなかったということは当たらないと存じます。
なお、本件に係る審査請求では、建築審査会は、議案資料として配布された各資料において、必要な説明がなされている事実が認められるとした上で裁決を行っております。
○くりした委員 署名について議案資料につけたということですけれども、こういった問題に対して、一般的に事業者より住民の立場が弱いことから、今後は署名があった等、住民からの働きかけがあった際には積極的に協議をしていただきたいと思います。
次に、建築紛争調整について質問をさせていただきます。
本件が総合設計制度によるものであるために、総合設計が終わるまでの期間、紛争調整制度を活用できなかったとの近隣住民の方々の声を聞いております。そこで、なぜ総合設計許可前には紛争調整の対象にならなかったのかを伺います。
○瀧本市街地建築部長 総合設計による許可におきましては、建築主の建築計画案に対し、景観や環境、交通などの所管部署との調整が行われた後、容積率など建築物の規模の限度が確定し、必要に応じて計画案の変更が行われ、許可がなされることになります。そのため、許可の前は建築物の規模は確定しておらず、具体的な影響が明確でないことから、あっせんなど紛争調整における話し合いが進まない可能性があり、建築主と近隣住民との間で、文書等の合意を得るのは難しいと考えられます。このような状況を踏まえまして、総合設計制度では、これまで建築主と住民との調整について、許可がなされるまでは総合設計を所管している建築指導課が対応し、許可後に紛争調整の手続を始めることとしていたものでございます。
なお、総合設計の許可前において、建築主と住民とが話し合いを行うことができれば、合意に至らなくとも、紛争の解決に寄与することが期待されることから、現在は許可前でもあっせんの申し出を受けることができるよう見直しを行っておりまして、紛争調整制度の活用を図っていくこととしております。
○くりした委員 新しく総合設計の段階で紛争調整を受け付けるという取り組み、非常に有意義なことであるかと思います。今後は、総合設計の段階でも有効な対応がなされますよう強く望んでおります。
それでは、総合設計許可後において、なぜ本件が建築紛争調整によるあっせんに至らなかったのかについて伺います。
○瀧本市街地建築部長 建築紛争は、本来民事上の問題でありまして、当事者間の話し合いが前提であることから、あっせんへの参加についても、当事者の意思にゆだねられます。
本件におきましては、総合設計の許可後に近隣住民の求めに応じて紛争調整を行うこととしておりまして、実際に、許可がなされた後、都から建築主に対し、あっせんに応じるよう要請を行いました。これに対し、建築主から参加しない旨の回答がなされました。その際、建築主は、建築物の高さや規模以外であれば、あっせんに応じるとのことでございましたので、都は近隣住民にその旨を説明し、建築主があっせんに応じられるよう要求項目の再整理を求めましたが、近隣住民に応じていただけませんでした。このようなことから、あっせんに至らなかったものでございます。
○くりした委員 本件については、住民から、最初に紛争調整申請書を持参した時点で、総合設計で決まった内容については削除しなければ申請書を受理することはできないという対応をされたということを聞いておりますけれども、調整課が事業者に対して、答弁のとおり、あっせんの調整をする、そういった履歴や記録については、本件については残っていますでしょうか、伺います。
○瀧本市街地建築部長 本件につきましては、先ほども申し上げましたとおり、近隣住民の高さ等についての要望を東京都といたしまして承知しておりまして、それを踏まえて、建築主に事前に住民側の要望としてきちっと伝えておりましたけれども、建築主の方は高さに関するあっせんには応じられないとの意向でありましたので、それを住民側にお伝えをしたところでございます。したがって、建築主への要請は確実に行っておりました。
それから、そうした住民対応の際の記録といったようなことでございますけれども、必要に応じて、これは組織としての記録、あるいは職員の備忘録というふうな形で残しているところでございます。本件については、職員から、そうした建築主へのあっせんの要請を行ったという旨の報告を、この組織の中で受けているところでございます。
○くりした委員 今お伺いした備忘録の中において、調整の担当の方が事業者に対して紛争調整の申し入れを行ったかどうか、そういう記述についてはあったのでしょうか、伺います。
○瀧本市街地建築部長 この職員のメモという内容については、特にその詳細を確認しておりませんけれども、その住民の方々から、あっせんの依頼がございまして、それを受けてきちっとそれは建築主の側にお伝えをして、そのことについても住民の方々の方にはお伝えをして、それで、その高さ、それから規模、そういうもの以外は、建築主としてはあっせんに応じるということもお伝えした上で、住民の方々がそれを再度検討されるということでございまして、その辺については、職員のところから私ども、きちっと報告を受けております。ですから、その詳細について確認するということはしてございませんけれども、仕事を進める上で、きちっとその辺はそごのないように対応しているところでございます。
○くりした委員 お話を聞いていまして、履歴については確認できる状態では残っていないということかと思います。お話を聞く中で、建築紛争調整の難しさについては理解をいたしましたが、紛争調整の仕組みがあることによって、各地で起こっている紛争調整の数を減らせるかもしれない、非常に重要な仕組みであるかと思っております。このたび紛争調整の定義及び目的について、住民との行き違いがあった中で問題が発生した経緯もございますので、今後の制度の運用に当たっては、困っている近隣住民の要望にも十分留意をしながら、紛争調整の仕組みついて懇切丁寧に説明するとともに、建築主に対してあっせん調整に応じるよう、行政として一層の指導をするよう、そしてその履歴をできる限り残し、個々の案件についても確実に調整を行っていけるよう、強く取り組むことを強く要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○きたしろ委員 私は、かねてより水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京の実現を提唱してまいりました。この環状二号線新橋・虎ノ門間の地上部道路は、このガーデンシティー東京を実現していくために重要な役割を担っていると考えており、緑豊かな道路として整備されれば、四十メートル幅の六百メートルの距離になるこの環二を、すばらしい観光名所、あるいは緑の名所になり得るものと期待を寄せているところであります。この環状道路二号については、私も長い間区議会議員をやっておりまして、一日も早い実現を期待していたところではございますけれども、ようやくこの今の段階になったということでございます。そしてこの道路に関しても、日比谷神社だとか、あるいは道路の管理棟だとか、あるいは地下のトンネル方式の提案をさせてもらったりしたところですけれども、そういった意味で、一日も早い完成を期待しているところです。そしてまた、地元では、東京の新たな顔として魅力あふれる道路空間がもうすぐ創出されることへの期待が大いに高まってきているところであります。
そこで、環状二号線地上部道路整備の考え方について、お伺いをいたします。
○遠藤市街地整備部長 お尋ねの新橋・虎ノ門間の環状二号線でございますが、今、副委員長からもお話にございましたように、通過交通をさばきます地下の道路と、それと沿道のサービス機能を担います地上部道路との二層構造になってございます。このうちの地上部道路につきましては、「十年後の東京」計画におきまして、グリーンロードネットワークを形成する道路として位置づけたこと、こういったことを踏まえまして、幅員四十メートルの空間を生かしまして、街路樹等による厚みのある緑を創出するとともに、ユニバーサルデザインにも配慮しながら、だれもがゆとりとにぎわいを実感できる道路として整備していく考えでございます。
検討に当たりまして、都は地区内の地権者だけでなく、地元区、あるいは沿道の町会等を交えた地上部道路計画検討会を平成十八年度から設置いたしまして、これまで、道路の空間構成でありますとかデザインにつきまして、十二回に及ぶ意見交換を重ねてまいりました。今後とも地元の意見を十分聞きながら、平成二十五年度の完成を目指しまして、魅力ある道路の整備に取り組んでまいります。
○きたしろ委員 まさにこの地域を東京の顔とするようなすばらしいまち並みにしていくためには、地上部道路の整備だけではなく、沿道周辺のまちづくりも一体的に進められる必要があると考えています。この沿道周辺のまちづくりについては、ことしの第一回定例会の一般質問で地上部道路整備の取り組みとともに確認したところでありますけれども、改めて、環状二号線沿道周辺のまちづくりに対する都の考え方と取り組みについてお伺いをいたします。
○安井都市づくり政策部長 環状二号線を軸とする新橋から虎ノ門の周辺につきましては、本年七月に改定いたしました都市づくりビジョンの中におきまして、沿道周辺の機能更新を促進し、業務・商業、居住機能の集積を図るとともに、街路樹の充実や沿道の緑化により、広がりと厚みのある緑豊かな複合市街地を形成することとしてございます。地元では、環二の整備を契機といたしまして、その周辺におきましても、まちづくりの機運が高まっておりまして、既に本年七月には、区と地元によるまちづくり勉強会が発足しております。都としても、こうした機運をとらえまして、市街地の更新を適切に誘導することが重要と考えておりまして、勉強会に都としても積極的に参画しているところでございます。
また、都は独自の仕組みとして、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく街区再編まちづくり制度というのを制度化してございます。本地区におきましても、こうした制度の適用も視野に入れながら、環二沿道の後背地を含めまして、建築物の共同建てかえや統一感のあるまち並みが形成されるなど、地域の魅力を高めるまちづくりが進むことが望ましいものと考えてございます。
今後も、勉強会など地元のまちづくりの検討に参画しながら、この制度を含めたさまざまなまちづくりに必要な手法の活用方策を助言するとともに、他の地区でのまちづくりの事例を提供するなど、引き続き、都と区で連携いたしまして、東京の新しい顔となるまちの実現を積極的に支援してまいります。
○きたしろ委員 都としても魅力あるまちの実現に向けて積極的に協力をしていくとのことで力強く思います。また、転出を余儀なくされた方々も改めて、この環二ができ上がったときには喜んでといいますか、また懐かしく思いながらそこに来れるようなすばらしいまちに、道路に、緑にあふれる、豊かな緑の合うまちにしていっていただきたいなと思います。そしてまた、あと一つは、四十メートル幅でまちが分断をされておりますから、その辺のところの連携もうまくいくような形での、ぜひご協力をお願いしておきたいなというふうに思います。
次に、環二事業に関連して汐留地区についてお伺いをいたします。
十四日には、区画整理事業で、港区の区画道路第四号線の開通式が、JRの地下を通った形の中で開通する予定となっております。汐留土地区画整理事業西側地区においては、都の区画整理事業と連携して地元住民が一丸となって、イタリア風のまち並みをコンセプトとしたまちづくりが進められており、ある程度まち並みが整備されております。しかし、地区内には、環二再開発の代替地など、大規模な都有地が幾つも点在をしております。これらの代替地に転入してきた地権者もいたものの、残った多くの都有地は空き地のまま土地利用が行われていないのが現実です。このため、まち並みがなかなか完成せず、まちに活気がない原因となっているわけです。これを危惧した地元町会とまちづくり団体から、平成十九年十一月に、都有地の早急な利用推進を求める要望書が提出されております。私は、今までの地元と都が連携して進めてきたまちづくりの取り組みを踏まえて、地元に対し何らかのまちづくりの目標を指し示すためにも、これらの都有地について利活用をいつまでに行うという、そういうめどを打ち出していく時期に来ているのではないかと考えております。
そこで、この要望書が提出された後の対応や都有地の利活用のめどについてお伺いをいたします。
○遠藤市街地整備部長 要望書でございますけども、お話にございましたように、平成十九年の十一月に、地元汐留町会の町会長さんと、それとNPO法人コムーネ汐留代表理事者の連名によりまして、都市整備局長あてに要望書の提出がございました。都有地が更地のまま放置されている、まちの完成に向けて、その利用促進を要望するという内容を趣旨とするものでございます。都では、この要望を受けまして、これらの方々との連絡会を設置しておりまして、八月の下旬には第六回目の会合を持ったところでございます。
他方、この汐留土地区画整理事業の西側地区におきましては、環状第二号線再開発事業の代替地として確保した複数の都有地がございまして、再開発の地権者で希望する方があれば、その土地を譲渡してまいりました。譲渡の申し出につきましては、本年の七月末をもちまして受け付けを締め切ったところでございまして、再開発事業の代替地としての役目はほぼ終えたというふうに考えてございます。
こうした状況を踏まえまして、都といたしましては、この西側地区が魅力とにぎわいのあるまちとなるように、残された都有地の利活用の方策につきまして、地元と十分連携しながら、土地区画整理事業が完了する時期までを一つの目安として検討を進めていきたいと考えております。
○きたしろ委員 やはりそういう都有地が残されたままではまちづくりが完成しないということを、地域の地権者にしても、あるいは企業にしても、まちが完成されないということは本当に大事な要素になると思うんで、そういう意味では、今お話がありましたように、土地区画の事業終了をめどということになれば、また新たなモチベーションがわき上がってくると思いますので、ぜひその辺に対しても協力をしていただいて、すばらしいイタリア街をつくっていただきたいというふうに思います。
次に、都市再生ステップアッププロジェクトについて質問をさせていただきます。
平成二十一年度事業概要には、住み、働く場としての都市の再生を実現するため、民間活力を生かしたまちづくりプロジェクトの推進が位置づけられています。その具体的な施策である都有地等を活用したまちづくりとして、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトなどが実施され、都心居住の推進や少子高齢化への対応など、さまざまな政策目的を実現しています。その都有地等を活用したまちづくりに、都市再生ステップアッププロジェクトという事業が追加されており、私の地元港区の竹芝地区における具体的な検討を行っていくとしております。また昨年十二月に策定されました「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九では、目標1の水と緑の回廊で包まれた、美しいまち東京を復活させるの中で、竹芝地区等で都有地を活用した東京の魅力を高めるまちづくりを推進するとあります。さらに、本年七月に改定されました東京の都市づくりビジョンにおいても、竹芝地区は、都有施設の土地利用転換を契機に周辺開発が進み、東京港や運河などの豊かな水辺や浜離宮恩賜庭園、旧芝離宮恩賜庭園などの歴史的資産、客船ターミナルやホテルなどの施設を生かした個性ある都市空間を形成するという将来像が示されたところであります。
まず最初に、都市再生ステップアッププロジェクトとは、どのような事業なのであるか、お伺いをいたします。
○遠藤市街地整備部長 都市再生ステップアッププロジェクトでございますけども、民間活力の活用を図りながら、都有施設の効率的な配置や都有財産の有効活用を行い、都有地とその周辺地区について地域のポテンシャルを生かしたまちづくりを進めると、こういうものでございまして、これまで都有地を活用したまちづくりといたしましては、東村山市本町地区、勝どき一丁目地区などにおきまして、主として単独の都有地を対象として民間活力を活用した事業を実施してきたわけでございますが、この都市再生ステップアッププロジェクトは、近接する複数の都有地について、相互に関連づけて活用を図るとともに、周辺の民間開発を促す、こういった点に大きな特色がございます。
○きたしろ委員 複数の都有地を有効活用して、地域的な広がりのあるまちづくりを目指すものであることがうかがわれます。しかし、事業内容を理解するには、具体的な地区における取り組みを把握する必要があると思います。
そこで、都市再生ステップアッププロジェクトの先駆けと位置づけられる竹芝地区について、どのようなまちづくりを行っていこうと考えているのか、お伺いをいたします。
○遠藤市街地整備部長 竹芝地区でございますが、都の計量検定所、産業貿易センター、これらを初めといたします複数の都有施設がございます。「ゆりかもめ」の竹芝駅、客船ターミナル、あるいはJRの駅等にも近接しておりまして、非常に交通の利便性が高い地域でございます。また汐留地区とも隣接する地区でございます。加えまして、旧芝離宮恩賜庭園を初めといたしまして、劇場やホテル、さらには水辺という、魅力的なスポットに恵まれた地域でございます。
地区内におきましては、海員会館、計量検定所、それと公文書館の移転などが予定されていることから、都といたしましては、この機をとらえまして、地区のまちづくりを進める必要があると、このように考えてございます。
具体的には、地域特性を生かしまして、業務・商業機能の導入のほか、緑豊かでゆとりある歩行者空間の整備によりまして回遊性の向上を図るなど、地区全体の魅力を一層向上させるまちづくりを進めたいと、このように考えてございます。
○きたしろ委員 ただいまの答弁にもありましたように、竹芝地区は交通利便性が高く、地域資源が豊富などポテンシャルの高い地区ですので、そのポテンシャルを生かし、積極的にまちづくりを進めていくべきだと考えます。
そこで最後に、竹芝地区における今後のまちづくりの予定についてお伺いをいたします。
○遠藤市街地整備部長 竹芝地区につきまして、平成十九年度以降、現況や課題を把握いたしますとともに、都有財産の所管をします財務局、あるいは各施設を所管する部局と連携いたしまして、施設の再配置や跡地の利活用の可能性などにつきまして、調査、検討を実施してまいりました。これまでの成果を踏まえまして、都有施設の配置方針などが明らかになった段階で、プロジェクトの実施地区として決定いたしますとともに、都市機能の向上や周辺開発の促進を内容といたします整備目標を策定いたしまして、これらについて今年度中に公表してまいりたい、このように目指していきたいと思っております。
○きたしろ委員 これからも竹芝地区における事業の具体化に向けた検討を着実に進めていただき、できるだけ早いまちづくりの実現を望んでおきます。
都内各地に多数立地する都民の財産である都有施設を適切に有効活用することは、地域の活力と魅力を高め、東京の都市再生を推進することにつながると考えます。都有地を活用したまちづくりを通して、都市東京の都市再生が一層推進されることを願い、都市再生ステップアッププロジェクトに関しての質問を終わらせていただきます。協力いたします。
○中山委員 私は、住宅政策、そして都営住宅、区画整理について、大きく三点にわたって質問させていただきます。
第三回定例会で我が党は代表質問で、たとえ高齢者向けの住宅等を整備促進するという目的であっても、最低居住面積水準に満たない世帯の解消を図るという東京都住宅マスタープランの大原則を堅持すべきであると質問いたしました。河島都市整備局長からは、住宅政策の考え方を変更するものではないとの明確な答弁をいただいて、大変安心したところでございます。
都は今回、都庁内の横断的なプロジェクトチームの検討を踏まえて、最低居住面積水準の下方修正を国に求めました。しかしこれは、少子高齢社会の到来によってニーズが高まっている、いわゆるケアつき住宅等の供給の拡大を急ぎ図るための緊急避難的な措置であると思います。あくまで既存ストックの利活用に限るべきだと考えております。また、利用者の負担を軽減する方策は、本来、面積基準の緩和などではなく、公的な援助の適正化によって行うべきとも申し上げました。都もその点の拡充を国に強く求めるとの答弁をしていただきました。
そもそも東京都住宅マスタープランに最低居住面積水準に満たない世帯の解消を図ることを明示しておきながら、その最低居住面積水準の下方修正を無原則に拡大してしまうというのでは、都民の信頼は全く得られませんし、長期的に見ても、都民の利益にはかないません。こうした点は、都庁の心ある都市計画や住宅の行政にかかわる人々と私どもは志を同じくしていると信じております。我が党もしっかりと今後とも注視してまいりたいと考えております。
そこで、高齢者向け住宅の最低居住面積水準について、改めて質問させていただきます。
これまで都民みずからの建てかえ、更新による居住面積の改善や公共住宅の供給などの一定の公共の関与などを背景として、都内の最低居住面積水準未満の世帯数は減少していると聞いております。さらに推進していくためには、都としてもさまざまな施策を通じて最低居住面積水準に満たない世帯の解消を図っていくべきであります。都における最低居住面積水準に満たない世帯数はどのくらいなのか。またそれを改善するための取り組みについてお伺いいたします。
○瀬良住宅政策担当部長 都はこれまで、都営住宅や公社住宅を初めとする公共住宅の供給等を通じて、居住水準の向上を図ってまいりました。また都営住宅の建てかえにより創出した用地の活用や本年六月施行の長期優良住宅法等により、適切な居住水準を確保した住宅の普及を図るなど、良質な民間賃貸住宅の供給促進に取り組んでまいりました。
こうした取り組みの結果、都内における最低居住面積水準未満の世帯は、平成十五年の住宅・土地統計調査では約八・八%、世帯数では約四十八万世帯であり、平成五年調査時の約一五・五%と比べ改善されております。今後も最低居住面積水準に満たない世帯の解消に向け、住宅政策を総合的に展開してまいります。
○中山委員 最低居住面積水準未満の世帯の軽減が図られているというのは喜ばしいことでございます。しかし、同じく最低居住面積水準に満たない世帯の住まいであっても、居住者の世帯構成が少なくなれば基準を満たすことになります。難しい課題ではありますが、一人世帯や少人数世帯の増加によって、最低居住面積水準に満たない世帯の解消が進んでいるだけなのかもしれません。
現在、集計が進められている直近の二十年度の調査の結果は間もなく公表されると聞いております。都はこの公表結果を踏まえて、改めて最低居住面積水準に満たない世帯の解消を図るこれまでの都の住宅政策の効果を総合的に問い直しておくべきであると要望させていただきます。
現在、更新時期を迎える古い木造アパートが増加していると思われます。また所有者の高齢化も進み、相続にも備える必要も生じているものと思われます。老朽化した賃貸住宅の建てかえにより、居住水準が改善されていくこと自体は、社会全体から見て望ましいことであります。しかし、その賃貸住宅に従前から居住している人々が、それまでの低廉な家賃で、その地域に住み続けることができなくなるおそれもあります。居住水準の改善を進めていく一方で、低廉な家賃で居住が可能となる賃貸住宅の供給対策が必要と考えますが、都としての現在の取り組みをお伺いいたします。
○瀬良住宅政策担当部長 都はこれまでもバブル経済期を背景として、ファミリー向けの都民住宅制度や優良民間賃貸住宅制度を創設するなど、社会経済状況を踏まえながら賃貸住宅施策を実施してまいりました。現在では、進展する高齢社会の中で、高齢者の居住の安定を確保する対策として、高齢者円滑入居賃貸住宅登録制度により、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅の情報提供を行っており、その中で低廉な家賃の賃貸住宅の情報提供も行っております。また、バリアフリー化され、緊急時対応サービスの利用が可能な賃貸住宅の供給を促進するため、高齢者向け優良賃貸住宅制度においては、区市町村を通じて建設費補助や家賃減額補助を実施し、入居者負担の低減を図っているところでございます。
○中山委員 今の答弁にありました高齢者向け優良賃貸住宅でございますが、今後も一層の供給促進を図るべきと考えます。都は、これまで高齢者向け優良賃貸住宅を住宅施策の一環として供給の促進を図ってまいりましたが、冒頭述べさせていただきましたように、ケアつき住宅等への社会的期待は高まる一方であります。高齢者の八割を占める元気な高齢者にとっても、孤独から逃れて、将来的な不安を解消するため、ケアつき住宅を望む声は大きいと考えます。都民の声にこたえるためには、ケアつき住宅等の整備のスピードアップを図る必要がございます。ケアつき住宅の整備を進める上では、区市町村の取り組みが重要です。区市町村においては、ケアつき住宅等の必要性を真摯に受けとめ--その推進役となってくれる可能性が高い部門は何といっても、高齢者福祉の観点から日々の行政に取り組んでいる部門であります。都は高齢者向け優良賃貸住宅の拡充を、これまでのように区市町村の都市計画部門だけを相手に進めていくのでは、その進展に限界が出てくる、こう危惧するものであります。
そこで、高齢者向け優良賃貸住宅の一層の供給促進を図る上で、区市町村の高齢者福祉施策との連携が重要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○瀬良住宅政策担当部長 高齢者向け優良賃貸住宅の供給促進を図るためには、民間事業者に助成等を行う区市町村に対して、これまで以上に制度の活用を働きかけていく必要があると考えております。また、区の高齢者福祉部門と連携し、調整を進めたことで、高齢者の活動交流拠点などの施設を併設した高齢者向け優良賃貸住宅を供給した事例もあることなどから、ご指摘のように、区市町村の高齢者福祉施策との連携は効果的であるというふうに認識しております。
今後、都としては、区市町村の住宅施策だけではなく、高齢者福祉施策との連携を視野に入れ、関係者が連携して取り組んでいく体制を構築する中で、一層の供給促進に努めてまいります。
○中山委員 高齢者向け優良賃貸住宅の供給促進に当たり、居住者が安定した生活を送るためには、居住機能だけでなく、居住住宅内に居住者のコミュニケーションを図るための共同キッチンなどの共用スペースを設置することや、生活支援サービスの供給が受けられるようにしていくことなども視野に入れ、検討していくべきと考えます。
高齢者住宅の取り組みについてのお話をお伺いしましたが、民間賃貸住宅におきましては、最低居住水準面積未満の世帯の解消を図る一方で、居住者の収入、年齢層、世帯構成等に応じた良質な賃貸住宅を提供していく責務もございます。しかし、現状においては、賃貸住宅には空室も多く、住宅と居住者とのミスマッチが生じており、これを解消するための取り組みが必要であります。
平成十五年の住宅・土地統計調査によりますと、三十歳から三十四歳までの世帯が最も多く最低居住水準未満の住宅に住んでいる世帯となっています。こうした人たちへの居住対策が望まれております。世帯構成にもよりますけれども、低廉な賃貸住宅で生活する最低居住面積水準に満たない世帯の比率は少なくないものと予想されます。こうした住宅が建てかえ等により最低居住面積水準を満たし、防火、耐震性も向上し、バリアフリー化もすることは喜ばしいことでありますが、その結果として、低所得層が安心して住み続けることのできる賃貸住宅などが減ってしまうということになれば、都はあらかじめ、そのための対策として住宅政策を構築し直しておく必要があります。特に、都営住宅への入居応募ができない年齢層の低所得単身者等を念頭に置いた新たな施策の展開が必要であります。
そのためには、今後、都として、家主や宅地建物取引業者などの民間事業者等とも連携しながら、だれもが入居しやすい賃貸住宅市場の環境整備に総合的に取り組むよう要望して、次の質問に移らせていただきます。
次に、都営住宅について質問させていただきます。都営住宅は、真に住宅に困窮している都民にとっての住宅セーフティーネットの中心的な役割を果たすものであります。今回の事務事業質疑では、都営住宅のこうした性格を踏まえつつ、入居者の視点と都営住宅を支える納税者としての都民の視点の両面から、都営住宅の果たすべき役割を確認していきたいと思います。
まず、広く都民全体から見た都営住宅の意義についてお伺いいたします。
都営住宅には、保育所や、高齢者在宅サービスセンターなどの公共施設が併存されている団地が多くございます。この面から見ても、都営住宅は単に入居者だけのものではなく、広く地域社会の中でまちづくりの拠点ともなっております。その点で、団地の集会所の果たす役割も大きいと考えます。町内会の会合や法事など、団地の近隣地域にお住まいのある人々から、集会所を活用したいという希望は多く寄せられております。近隣地域への貢献として、集会所を地域の町内会等にも使えるようにすべきと考えます。既存建物を改修して、大きな集会所とすべきとも考えますが、見解をお伺いいたします。
○荒川営繕担当部長 都営住宅の集会所でございますが、団地の戸数に応じた面積基準により整備してございます。少子高齢化が進展する中、都営住宅の集会所は、地域のコミュニティ活動の拠点としての機能を求められている場合がふえているというふうに認識してございます。こうした考えから、近隣の町会等から要望があった場合は、敷地の状況や団地自治会の同意等を踏まえまして、増築を行い、団地の居住者とともに、近隣の住民も使用できる集会所としてございます。今後とも、こうした集会所の整備に当たりましては、地域の要望を踏まえまして、出入り口へのスロープの設置など、バリアフリーにも配慮しながら、より使いやすい集会所となるように適切に対応してまいります。
○中山委員 近隣の人々の要望を踏まえながら、より使いやすい集会所として整備するよう努力していくというご答弁で、大変心強いご答弁だったと思います。
次に、二十六万戸に及ぶ都営住宅の入居者への対応についてお伺いいたします。
都営住宅に入居されている世帯では、世帯主の年齢が六十五歳以上の世帯が全体の半分以上を占めるなど、高齢化が急速に進んでおり、草むしりや階段の清掃など、団地の共用部分の管理を行う自治会活動の維持にも課題が生じております。こうした状況を踏まえ、都は、我が都議会公明党の要望にこたえて、子育て世帯向けに期限つき入居の募集を実施するなど、多様な世帯が住む都営住宅の実現に向けた取り組みを展開しております。子育て世帯向け期限つき募集の実施状況と今後の進め方について、基本的な考え方をお伺いいたします。
○岡沢経営改革担当部長 都営住宅の子育て世帯向けの期限つき募集についてのお尋ねでございます。
期限つき入居制度と申しますのは、都営住宅に関する利用機会の公平性を確保するとともに、若年ファミリー世帯など、子育て世帯の入居を進めることによりまして、団地及び周辺地域の活力の維持向上を図るということを目的として導入したものでございます。これまで、対象地域の拡大などによりまして、募集地域を増大させまして、二十年度は五百戸を公募したところでございます。今後につきましては、他の応募者にも配慮しつつ、期限つき入居募集を十年間で約一万五千戸程度を目途に行いまして、子育て世帯をより積極的に支援してまいる予定でございます。
○中山委員 期限つき入居とはいえ、子育て世帯の募集が大きく拡大される、すばらしいことだと思います。しかし、同時に期限つき入居募集の拡大に当たりましては、都営住宅には、高齢者や障害者など、民間市場で最低居住水準の住宅を確保することが困難な入居希望者が多数いることにも十分配慮することを強く希望するものであります。したがって、今の答弁の中にもありました、他の応募者にも配慮しつつという文言が極めて重要であるというふうに考えます。この配慮の姿勢がある限り、私どもは期限つき入居募集の拡大を応援してまいりたいし、ひいては都の公営住宅行政そのものを強く支えていきたいと決意いたしております。
ところで、建てかえを実施する団地では、建てかえに備えて一定時期から空き家募集をストップすることに加え、一時的に他の団地に移転するとはいえ、従前居住者の戻り入居を前提に事業を進められておりますことから、高齢化が一層進展する傾向があります。建てかえによって、団地のハード面がリニューアルされても、高齢者ばかりの団地になってしまっては、何かと問題が多くなります。
そこで、今後の建てかえ事業に当たっては、既存ストックを有効活用しながら、少子高齢化の急速な進展に対応していくことが求められております。都は我が都議会公明党の要望を踏まえ、先日、都議会で、建てかえの場合も、従前居住者の戻り入居の状況などを踏まえながら、子育て世帯への住宅の供給を適切に実施するという方針を示しました。今後の建てかえでは、子育て世帯を含む、多様な世帯が住む住宅の供給を進めるなど、居住者の高齢化を踏まえた取り組みを進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○山口建設推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たりましては、居住者の高齢化を踏まえ、地元区市と連携し、高齢者在宅サービスセンター、地域のコミュニティ活動の拠点となる集会所、広場や公園などを整備しております。また、建てかえで建設する二人世帯用住宅の間取りにつきましても、高齢者や若年ファミリー世帯など、多様な世帯が活用できるよう見直しを行い、実施をしております。さらに、本年五月からは建てかえで供給する住宅につきましても、従前居住者の戻り入居など、団地ごとの実情を踏まえ、新たに若年ファミリー世帯向けに期限つき入居の募集を開始するなど、幅広い取り組みを行ってございます。今後とも、建てかえにおいて多様な世帯が住まう住宅の供給に向けた取り組みを適切に進めてまいります。
○中山委員 今後も景気の低迷が長期化し、非正規雇用が一層拡大することなどが予想されます。住宅に困窮する都民は、一層増加していくことと思われます。そういうことから、都営住宅の果たす役割は、高まりこそすれ低下することはないと考えております。建てかえ後の住宅では、住宅内の段差解消、エレベーターの設置などバリアフリーが進み、高齢者にも、子育て世帯にも住みやすい環境となることから、今後、十二万八千戸あるといわれております昭和四十年代以前に建設された都営住宅の建てかえを進める中では、若年世帯への子育て支援のため、一時的に総戸数をふやすことも視野に入れ、積極的に事業を進めることを要望しておきます。
将来、都においても、人口減少が色濃く顕著になってくれば、昭和五十年代に建設された都営住宅の建てかえで、総量規制としての二十六万戸にかなう調整を図ればよいと考えます。もとより、そうした長期的視野をないがしろにして、都営住宅の無原則な増嵩を主張する向きもあるようですが、そうした無謀な論調には全くくみすることはできないということを申し述べておきます。
一方、これらの住宅をすべて建てかえるには相当長期間の時間を要します。建てかえられるまでの間の既存の住宅での対応もまた重要な課題であります。現在、都は、高齢、または障害のある居住者などで希望する世帯に対し、住宅設備の改善事業を実施されておりますが、現在の取り組み状況と今後の方針についてお伺いいたします。
○荒川営繕担当部長 東京都では、高齢や身体に障害のある居住者からの要望を受けまして、玄関、トイレ及び浴室への手すりの取りつけ、インターホン設置、浴室ドアの取りかえ、聴覚障害者用に呼び出し用点滅ランプの設置などの住宅設備改善を平成五年度より実施してございます。
平成二十年度の実績でございますけども、手すりの取りつけ約二千二百件、インターホン設置約二千三百件、浴室ドアの取りかえ約八百件などとなってございます。
今後は、高齢や身体に障害のある居住者から要望があった場合は、玄関ドアのノブをレバーハンドルにすることなど、高齢者、障害者が一層住みやすい都営住宅に改善していくように努力してまいります。
○中山委員 今ドアノブをレバーハンドルにかえてくださると、これは本当に高齢者にとってはありがたいことなんじゃないかなというふうに思います。また、手すり等の取りつけは介護保険を使わない、これは都でやってくださるものですから、一割負担もありませんし、また住宅を出る際に原状復帰する必要もないということでいいことだと思いますし、聴覚障害者向けのライト等でやる呼び出し音に対する対応もしていらっしゃるということですばらしいことではないかと思います。
住宅設備の改善も重要でありますが、高齢の居住者にとっては、階段での上り下りの負担を軽減するエレベーターの設置が非常に重要であります。都はこれまでも、既存住宅へのエレベーターの増設について、自治会の要望を踏まえ、積極的に取り組んできておりますが、廊下型住棟では、四階、五階建て、二十四戸以上の住宅を対象にするという基準や、住宅の一階に区市の公共施設や権利つきで分譲されたいわゆる併存店舗があり、エレベーターの増設が難しいケースも多いようであります。今後の高齢化の一層の進展を踏まえると、こうした課題も考えに入れながら、既存住棟へのエレベーターの増設を推進していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○荒川営繕担当部長 都営住宅の居住者は高齢化が進んでおりまして、エレベーター設置は、バリアフリー促進に大きく寄与することから、これまでも費用対効果、敷地の形状、建築基準法上の規制、居住者の同意状況などを勘案して設置してまいりました。お話のような既存住棟へのエレベーター設置につきましては、戸数の要件があることや一階などに公共施設や店舗などがありまして、設置場所の確保が困難な場合など課題は数多くございますが、今後とも居住者の高齢化を踏まえ、地元区市などと連携するとともに、自治会の協力を得ながら積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
○中山委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
併存店舗になる都営住宅については、増築部分の問題など特に難しい課題があると考えられますが、都としても、地元区と連携し、店舗所有者に是正を要請するなど、エレベーター設置に向け、さらなる努力をしていただきますよう求めさせていただきます。
私は昨年の第三回定例会都議会の一般質問で、都営住宅の屋上への外断熱工法の導入について、地球温暖化対策の視野に立って推進すべきと見解をお伺いしました。居住者の高齢化が一層進展する中、既存の都営住宅の屋上に外断熱工法を導入することは最上階の住戸の温度上昇を抑え、居住性の向上や居住者の健康維持にも大きく寄与するため、一層推進すべきと考えます。この件について見解を改めて伺って、この項目における質問を終わります。
○荒川営繕担当部長 既設の都営住宅の屋上断熱についてでございますけども、平成二十年の三定で局長からご答弁しましたが、温暖化対策は東京の都市づくりにおいて重要な課題でございまして、都営住宅においても、屋上断熱の性能を向上させることはCO2の排出量を削減する上で意義あるものと考えてございます。屋上断熱は、防水の修繕時期との調整や荷重が増すことによる建物の構造耐力の検討などを行いまして、これまで四棟において試みの試行をしております。現在、その効果を検証しているところでございます。今後、その結果を踏まえまして、本格実施に向けて、さらに検討を進めてまいりたいと思います。
○中山委員 ぜひ最新の技術等を使っていただいて、都営住宅というものを通じながら、やはり環境貢献に当たる都のお仕事を進めていただきたいというふうに思います。
最後の項目として、区画整理事業について質問させていただきます。
足立区内で施行中の都施行の土地区画整理事業は、花畑北部地区と六町地区の二地区がございますが、それぞれの事業概要及び進捗状況をお伺いいたします。
○遠藤市街地整備部長 二カ所ございます。
最初に花畑北部地区でございますが、施行面積五十四・四ヘクタール、総事業費五百十四億円、事業期間は平成三年度から二十四年度まで、二十一年三月末におきます進捗率は事業費ベースで七〇%となってございます。
もう一つの六町地区でございますけども、同様に施行面積が六十九・〇ヘクタール、総事業費が六百六十七億円、事業期間は平成九年度から二十八年度まで、平成二十一年三月末現在の進捗率は三三%となってございます。
○中山委員 六町地区は三三%ということですけれども、換地希望を取り入れたりとか、あるいは途中で換地施行順序を見直したりとか、さまざまな課題がありまして、今後の進捗が期待されているところでございます。
六町地区は、換地について地元にさまざまな意見があるようですが、都はこれらのちょうだいした意見について、現在どのように対応しているのか、現在の取り組み状況をお伺いいたします。
○遠藤市街地整備部長 六町地区におきましては、平成十三年に換地設計案を発表いたしましたところ、換地先の変更を要旨といたします意見書が四百通を超えて提出されました。以来、今日まで職員が直接戸別に訪問するなどいたしまして、粘り強くご説明申し上げまして、これまでにおおむね四分の三の方々の了解を得たというところでございます。現在、残る意見書を出された方々につきまして、引き続きご理解いただくよう求め、戸別訪問を行うとともに、十分な合理性があると認められる意見につきましては、換地の修正の検討、あるいは修正に伴いまして影響を受ける方々への調整に取り組んでいるというところでございます。都といたしましては、こうした努力を重ねながら平成二十二年度までの地区全体の換地が決定できるよう、引き続き事業推進に努めてまいりたいと考えてございます。
○中山委員 平成二十二年度末までに六町地区全体についての換地先を正式に決定するという今のご答弁は大変重要であると思います。ご案内のように、六町地区の区画整理事業は、地域を分けて大きく五段階で進んでいくものでありますけれども、最後の順番になる地域の具体的な移転交渉はまだかなり先のことになると思われます。
そうした中で、せめてもの救いとして、平成二十二年度時点で換地先が正式決定することになれば見通しも立ちますし、安心感も増すというものであります。
今後の区画整理事業では、事業の推進に協力してくださっている地域の都民、区民の高齢化などの状況を加味し、できる限り、事業の進捗状況の見通しをよくし、安心感を持ってもらえる工夫を凝らすべきであると考えます。
安心感という点では、平成二十三年度末までに、六町地区の東側を流れる綾瀬川に地元足立区の事業として新たにかける橋についても同じであります。この橋は当面は人道橋として供用開始されるものでありますが、当然、将来的には、補助二五八号線として完成予定の六町地区内の道路を通じて、つくばエクスプレス六町駅はもとより、日光街道を越えて、日暮里・舎人ライナーをもつなぐ重要な道路となり、足立区内の東西の大動脈である環状七号線の補助道路として大きく期待されているものであります。
ところが、この人道橋の西側の補助二五八号線が、六町地区内の区画整理事業の中で、一体いつ完成するのか、全く見通しが立っていないというのが実情ではないかと思います。この見通しのつかない状態が人道橋の供用が開始された後も続くことになれば、足立区民全体の不満の声が高まることは必至であります。
そこで、綾瀬川に新たにかかる橋の人道橋としての供用が開始される時点では、補助二五八号線のうち、少なくともつくばエクスプレス六町駅までの自動車、歩行者道路の部分の整備計画の概要を決めて公表し、広く足立区民の安心感を得るべきではないかと考えます。
そこで、綾瀬川の人道橋整備に伴い、補助二五八号線の綾瀬川から補助一四〇号線までについて、早期の整備が必要であり、その時期を明らかにするべきと考えますが、いかがでございましょうか。
○遠藤市街地整備部長 お尋ねの補助二五八号線でございますけども、足立区内を東西に結ぶ道路の一つでございます。お話にございましたように、綾瀬川を横断する箇所におきましては、今年度から地元足立区が橋梁の工事を始めるというふうになってございまして、都といたしましても六町地区内のこの道路の整備が必要だということは十分認識してございます。
一方で、六町地区におきましては、これまで最も効率的に移転工事を進めると、このような観点から、地元権利者の方々や土地区画整理審議会の方々とも協議いたしまして、平成二十三年度以降の施行区域を五つのブロックに区分けして段階的に整備を行うと、このような方針を決めてございます。その中で補助二五八号線を含むブロックにつきましては、事業全体の後半に整備する区域というふうに区分されているところでございます。こうした状況のもとで、補助二五八号線の一部区間を先行して整備することにつきましては、用地の確保の方策などを含めまして、多くの課題があるというふうに考えてございます。
ご質問の整備時期も含めまして、どのような対応が可能か、今後検討してまいりたいと考えてございます。
○中山委員 用地の確保の方策を初め、多くの課題があるとの答弁がありました。六町駅から環状七号線に抜ける補助一四〇号線におきましては、通常は区画整理事業では用いない買収という手法も積極的に講じて、都は前倒し完成に向け積極的に取り組んでいるところであります。補助一四〇号線は都道、補助二五八号線は区道という相違はありますけれども、足立区民にとりましては都道や区道という管理者の違いは余り関係がありません。区道だから直接的には足立区の問題であるという見方もできるかもしれませんけれども、補助二五八号線の整備は、本来、都の区画整理事業の責任で行うものであります。
都は補助一四〇号線の前倒し整備の経験も生かして、足立区と協調して、補助二五八号線整備における望ましいスピードアップの推進に積極的に取り組むべきと考えます。
そこで、この問題を検討するために、足立区と協議の場を早急に設けるべきと最後に質問させていただいて、私の質問を終わります。
○遠藤市街地整備部長 補助二五八号線でございますが、将来管理者は、これは足立区となっておりまして、その整備に当たりましては区が積極的な役割を果たすことが重要だと、このように考えております。都といたしましても、協議の場の必要性については認識してございまして、今後、区とよく調整いたしまして、年内にも設置できるように努力していきたいと考えてございます。
○興津委員 それでは、大きく四問にわたりまして質問させていただきたいと存じます。
まず、都市計画道路の整備方針ということにかかわりまして、この多摩地区におけます都市計画道路の整備方針にかかわりまして、大きくお伺いをさせていただきたいと思います。
多摩地区におきますところ、東京都を俯瞰して見ますと、放射線状の幹線道路というのは結構整備されているんですけれども、それを南北にまたがるといいますか、幹線上の道路の整備が多摩地域におきましては今喫緊の課題となっているというふうにも感じております。これも道路整備が進めば、環境対策にも、通過車両が通過するということに関しまして、NOx等の公害等も削減されてきているという状況は、あの環状八号線でしょうか、実例から、もうそこは数値が出ているんだろうというふうに私も感じております。
そこで、多摩地域におきましては、今年度の事業概要一〇六ページを参考にさせていただきますと、多摩地域の都市計画道路の完成率は区部に比較して低い状況にあると書かれていますとおりに、多摩地域の道路整備は遅い状況にあるといわざるを得ない状況にあるだろうというふうに感じております。
そこで、質問ですけれども、多摩地域の都市計画道路の整備計画について、どのように都としてお取り組みいただいているのかということの全体像をお示しいただき、また多摩地域における都市計画道路の整備方針の四つの基本目標の中に、安全で安心できるまちの実現とあります。この安全・安心ということはまさしく基本的な目標であると思っていますが、交通安全という面からとらえて、特に歩行者の安全についてどのようにお考えかをお示しいただきたいと思います。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 二点のお尋ねでございます。
まず、多摩地域の都市計画道路の整備についてお答えいたします。
多摩地域の都市計画道路につきましては、平成元年より三次にわたりまして事業計画を策定して整備を進めております。この結果、平成二十年度末での完成率は約五三%となっております。平成十八年の四月策定いたしました多摩地域における都市計画道路の整備方針では、活力、安全、環境、暮らしの四つの基本目標を踏まえ、都市計画道路の必要性を確認するとともに、平成二十七年度までに優先的に整備する路線として、百六十二区間、百三十五キロを優先整備路線に選定しております。
現在、この優先整備路線に位置づけられた都市計画道路につきまして、計画的かつ効率的に整備を進めているところでございます。
次に、歩行者の安全の観点からの整備でございますが、歩道が設置されていない道路やすれ違いが困難な歩道の狭い道路では、一般的に自動車と歩行者による交通事故の危険性が高いと考えられます。このため、自転車や歩行者がスムーズにすれ違いのできる歩道を有する都市計画道路の整備を計画的に推進し、歩行者の安全性を確保することが重要であると考えております。また、この都市計画道路を整備することによりまして、周辺の生活道路への車の流入が抑制され、地域の安全性の向上にも寄与するものと考えております。
○興津委員 ただいまご案内があったとおりに多摩地区におきましては、この計画道路が進捗率が現在五三%であるということでありますので、区部と比較して、やっぱり進捗が遅いようであるということであろうと思います。でありますが、この計画道路も含めた中で地元の人たちと協調し、そして協議をし、そして、話し合いを重ねていきながら、進捗をしていただきたいということを要請させていただきたいと思いますが、先ほどご案内いただきました歩行者と自転車、あるいは交通車の安全整備に関しましては、これを図っていきたいというふうにご答弁をいただきましたので、ここに関しましては、これを基本的な概念として、今後ともお持ちいただきたいということを要望しておきます。
次に、小さな質問といたしまして、ちょっと地元に関しまして、私、国分寺、国立なんですけれども、国土交通省の新しい道路構造に関する基準の検討案(歩行者・自転車・緑のための空間の再構築等に関するパブリック・コメント)の中においても、車道を中心とした道路全体の構造を定める現在の考え方を超えて、歩行者のための空間、自転車のための空間、路面電車等の公共交通機関のための空間、緑のための空間、そして自動車のための空間をそれぞれ独立に位置づけるとともに、これらが互いに調和した道路空間となるよう道路構造の再構築、見直しを図る必要があると考えますとあります。また、これの考え方に沿った形で、都建設局でも、生活道路の通過交通を減少させ、歩道がある道路を整備して、交通事故を減らしますとあります。
そんな中で、具体的な事例といたしまして、国道から都道に移管された都道二五六号線、いわゆる甲州街道の日野バイパス以西があります。この路線に関しましては、日野バイパス開通後に通行量の減少も見られますが、過日、テレビなどでも放送されたとおり歩道幅が非常に狭い状況であり、昨年に、地元国立市議会からも二車線化の要望が上がっています。さらに、本路線の日野バイパスから新奥多摩街道の区間については、平成十五年十二月に、多摩北部地域の幹線道路検討会報告書において、都が検討した経緯があると伺っております。
そこでまず、この報告書における甲州街道、日野バイパスから新奥多摩街道間の位置づけについて東京都の見解をお伺いいたします。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 多摩北部地域の幹線道路検討会報告書によりますと、甲州街道の日野バイパスから新奥多摩街道までの区間につきましては、周辺道路の整備によりまして交通の転換が図られることから、将来的に二車線での整備が可能であるとしております。また、当該地域の整備方針においては、東八道路や日野バイパスなど、周辺道路の整備を進めた上で、沿道市や道路管理者など関係機関と調整を図り、将来の再整備の方向性を決定することとしております。
○興津委員 ここで、この報告書における内容におきましては、将来において二車線化が可能であるというふうに報告されているというところが確認されました。と同時に、その前提条件といいますか、もう一度確認させていただきたいんですが、ちょっと今聞き取れなかった部分があったんで恐縮なんですが、二車線化に向けて、地域の全体の道路整備という部分が進捗することが必要なのかなというふうに私は理解しているんですけれども、この辺に関しまして、もう一度、ご答弁いただけますでしょうか。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 多摩地区の道路整備におきましては、特に甲州街道につきましては、現在の都市計画道路がフルネットで整備されるということを前提としたときに、その交通量が周辺の道路に振りかえるということでございますので、当該道路への負荷が少なくなっているというところであります。
したがいまして、この近辺では、先ほどご答弁いたしましたけれども、東八道路、あるいは日野バイパスなど周辺道路の整備、こういうものが必要だということでございます。
○興津委員 わかりました。この当該道路の二車線化の要望というのは、やはりありまして、実はあそこが四車線化になったのは、前の東京オリンピックがあったときに、二車線から四車線化が進んだという歴史的な時点があるわけなんですが、そのことによって、非常に歩道が狭くなっている。これは間違いない、また事実なんですね。
そこの件に関しましては、過日、テレビ放送の中におきましても、そのことが東京都の説明でもあったんですけれども、二車線化が可能になるということの目安として、交通量なんですが、日交通量が約二万台という数字もおっしゃっていました。この日交通量、約二万台ということを設定されているその根拠というか、基準というか、その辺がありましたら、お示しください。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 甲州街道の二車線化の目安となる日交通量でございますけれども、これにつきましては、道路構造令で定めます一車線あたりの設計基準交通量であります一日当たりの交通量、一万二千台と規定されております。これをもとに当該路線におけます停車帯の設置状況、あるいは交差点の密度、こういうものを考慮いたしまして設計した交通量となっております。
○興津委員 今、ご答弁いただきましたけれども、一万二千台という数字が今初めて出てきたんですけれども、日量としては二万台というふうに今まで説明があったというふうに私は記憶しておりますけれども、その数値が変わったのでしょうか。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 ただいまご説明いたしましたのは、一車線あたりの設計基準交通量でございまして、二車線ではございません。
○興津委員 わかりました。ということは、上り下りでもって足して二万四千台という単純に計算していいんでしょうか。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 再度お答えいたします。
この設計基準交通量に加えまして、周辺の、当該道路の停車帯の状況ですとか、あるいは交差点の密度、こういうものを加味しまして、交通量を定めることになっております。
○興津委員 わかりました。ということであれば、日交通量、やっぱり二万台ということが一つの目安になると。これに関しては、その基準に関しては道路構造令であるところの示し方が今あったということですね。この基準に関しまして、私ちょっとご意見を申し上げたいなと思っているところでもあるんですが、この二万台ということにおきまして、この数字がひとり歩きをしてしまいますと、そこの数字ばかりで、それを上回る、下回るという部分だけで、今後の道路行政の、例えば規格変更等が進められてしまうということであるならば、その地域における皆様方の地域の声と、民意とでもいいましょうか、その辺の部分をかんがみていただいて、また、今後の都政の中で生かしていただきたいというふうに思っているところであります。
この地域における全体的な多摩地域の道路整備というものに関しまして、前提条件が東八道路の開通であるということもありましたけれども、それよりも先に日交通量、そこの部分の方が先に来るのかなと思ったりもします。ですので、安全性の部分を確保するためにも、そこはぜひ検討していっていただきたいと思います。
また、この地域の交通、通行量の調査も、また来年実施されるというふうにも伺っています。これは都市整備局ではないそうですが、その辺の数値の方も注目をしていきたいというふうに思っております。
ここから先、少し要望させていただくことになるんですけれども、現況はテレビ放送にあったとおり、車いすが通るにも甲州街道に一度出て曲がっていかなきゃいけない。つまり、甲州街道に車いすごと表に出なきゃいけないという場所があります。実際、私も現認してきましたけれども、非常に危険な状態であるということは否めないと思います。喫緊の課題といたしまして、先ほどご答弁いただいたとおり、歩行者に対して安全な交通環境を整えるという観点から、至急対策を講じるべきではないかというふうに私は思います。それと同時に、先日、国道が、日野バイパスが開通することによりまして、通過車両のスピードが上がっています。スピードが上がっていまして、かえって危なくなっている状況でもあります。こういったところも含めて、局が違うかもしれませんが、先ほどもありましたけれども、東京都として、またがって、ぜひ対応策の検討をしていただきたいということを要望します。
では、次の質問に移らせていただきます。
東京都区内におきましては、各地域におきまして再開発が行われているところであります。私どもの国分寺におきましても、多摩の拠点整備基本計画における国分寺駅北口の再開発についてご質問をさせていただきたいと思います。
多摩の拠点整備基本計画において、多摩の生活拠点として国分寺駅周辺が挙げられています。現在、国分寺市では北口の再開発計画が進んでいますけれども、平成二年の都市計画決定から十九年経過いたしまして、平成二十一年五月に事業計画を決定しています。北口再開発に向けては、市民の期待は大きいものがありますが、しかしながら、一部の地権者の権利変換調整も必要であることや、リーマンショック以降の経済状況を踏まえて、保留床処分等の状況がだんだん厳しくなっているとも伺っております。
この質問に関しましては一問なんですけれども、この再開発は市施行です。市施行ではありますけれども、円滑な事業推進に向けた都の指導とか支援、協調というものも必要ではないかと思っていますけれども、都の見解を伺いたいと思います。
○遠藤市街地整備部長 お話の国分寺駅北口地区の再開発事業でございますが、国分寺市が施行主体となりまして、駅北口地区を生活拠点といたしまして、交通広場の整備、商業ビルや都市型住宅の供給を行おうというものでございます。本年五月に事業計画が決定されまして、権利変換計画の作成に向けまして、権利者調整等が進められてきたところでございます。現在、市からは、権利者との調整に時間を要することからスケジュールを見直した上で、今後早期に権利変換計画の作成を行い、着実な事業推進を図っていきたいと、このような報告を受けているところでございます。
都といたしましては、お話にもございましたけれども、生活拠点の形成にとって重要な事業であるというふうに考えておりまして、今後とも事業の円滑な推進に向けまして、必要な指導、助言を市に対して行ってまいりたいと考えてございます。
○興津委員 ありがとうございます。これに関しましては、やっぱり市施行というところもありますので、東京都がどこまで手を出せるかという部分もあろうかとは思うんです。思うんですけれども、でき得る限り、国分寺市とも手を取り合ってといいますか、協調していただいて、できる限りの指導、ご支援等をお願いしておきたいというふうに重ねてお願いをさせていただきます。
大きな質問、三つ目に移ります。
望ましい水環境の形成についてということでありますが、近年、地球環境の変化、ヒートアイランド現象なども要因といわれている集中豪雨、いわゆるゲリラ豪雨がたびたび発生しております。都としても対策を進めてきていることと存じますが、河川、下水道の整備率は六割前後でありまして、完成には長期を要する状況であるとあります。このような浸水被害は、区部に限らず、多摩地域におきましても発生する危険性がありまして、多摩地区における対策も重要であります。過去には、野川流域でも浸水の被害が発生しておりまして、昨年八月には、町田市で時間一一五ミリを記録する豪雨により、浸水被害が生じました。
そこで都は、平成十九年度に東京都豪雨対策基本方針を策定し、対策促進エリアとして総合治水対策を重点的に推進する七流域を選定しています。多摩地域の野川流域も含めたこれら流域の豪雨対策について、現在どのように取り組んでいらっしゃるのか、お伺いさせていただきます。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 豪雨対策についてでございますけれども、近年頻発しております豪雨から都民生活の安全を確保する上で非常に重要な施策であると考えています。このため、東京都では、お話がありましたように、平成十九年八月に東京都豪雨対策基本方針を策定いたしまして、対策の急がれる七流域につきまして、流域ごとに順次豪雨対策計画を策定することとしております。
本年五月に神田川流域など二流域につきまして、平成二十九年度までに実施をする河川の護岸や調整池などの整備計画、下水道の幹線や貯留管などの整備計画及び区市と連携して雨水の流出抑制を図る流域対策などを定めた豪雨対策計画を公表いたしました。現在、野川流域や石神井川流域など多摩地域の河川を含む五流域の豪雨対策計画について、関係区市や庁内関係部署と検討を進めているところでございます。
○興津委員 ありがとうございます。
まさしくゲリラ豪雨という単語が示すとおりに、どこに出てくるかわからない状況ですよね。でありますが、今もご答弁いただきましたとおりに、河川の改修ということに関しましては、やはり川上よりも川下から入っていくものだろうと思いますので、それが徐々に進んでいるんだということなんだろうと思います。ぜひとも、今後とも堅調にそれを進めていただきまして、国分寺のことばかりいって恐縮なんですけれども、国分寺も一カ所ちょっと痛々しい部分があります。痛々しいという単語はおかしいので取り消しますが、ちょっと対策が必要な場所が存在していますので、その辺もお考えあわせいただいて、対応方を願えればありがたいというふうにさせていただきます。
そして、豪雨対策を効果的に進めるためには、雨が直接河川や下水道に入る前に、雨水の流出を抑制する雨水浸透ますの設置など、流域対策を進めていくことが大切であろうと思います。
雨水浸透ますの設置は、水の需要にも涵養にも役立つため、個人住宅への浸透ます設置に助成を行っている区市も多いと聞きます。また都でも区市が実施している個人住宅への浸透ます設置助成に関して補助を平成十九年度から行っていると承知しております。
そこで、雨水浸透ますの設置の有用性、流域対策に対する都の考え方をまずお伺いしたいと思います。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 雨水浸透ますの設置の有効性ということでございますけれども、お話にございましたとおり、雨水浸透ますの設置などによります流域対策でございますが、これは河川、下水道への急激な雨水の流出を抑制するということから、豪雨対策として有効であると考えております。
○興津委員 ありがとうございます。
今ご答弁いただいたとおりに、雨水対策、ゲリラ豪雨も含めてですけれども、対策として非常にいいものであると思いますし、先ほど地下水のくみ上げばかりに頼っているばかりでもいけないという部分もあったように思いますけれども、まさしくこのゲリラ豪雨という単語が示しているとおりに、対策促進エリアにのみ集中豪雨が来るわけではありません。急ぎの対策が必要な箇所もまだありますし、今後の対応が求められていることと存じます。
しかしながら、当該四流域のみならず、雨水対策は進めなければならないことは事実であろうと考えます。ついては、区市の行う雨水浸透ますに対する都の補助については、平成十三年度までは都全域で行っていたと伺っていますが、今後はこの四流域以外の地域にも広めていくべきであろうと考えますが、都の考え方はいかがでしょうか。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 流域対策の拡充ということでございますけれども、浸透ますの設置の有効性については、先ほど答弁したとおりでございます。これを踏まえまして、東京都では、東京都豪雨対策基本方針に基づきまして、現在、野川流域など七流域において、雨水浸透ますの設置などの流域対策を集中的に行っております。平成二十九年度を目途に、時間五ミリ相当の雨水流出抑制効果を発揮させることとしております。
現在、特に対策を急ぎます神田川流域など四流域の区市に対して、個人住宅への雨水浸透ます設置費用の補助を行っておりますけども、引き続きこの流域について普及拡大を図っていきたいと考えております。
今後とも雨水の流出抑制を総合的に進め、浸水被害の軽減に努めてまいります。
○興津委員 ここから先は要望とさせていただきますが、平成十三年度までは、都内全域において、その対応策が図られていたというふうにも伺っております。また集中的に現在やっているところを進めなきゃいけないということは、そのとおりだろうと思いますが、と同時に、そのほかの部分に関しましても、大きく門戸を広げるとでもいいましょうか、その対応策を進めていただければありがたいなというふうに思います。
ありがとうございました。
それでは、最後の四問目の大きな質問といたしまして、木造建築物の耐震化の促進についてということで質問させていただきます。
先ほど当委員会におきましても、木造の耐震化に関しましては質問が出ておりましたので、大きくはそこでご答弁をいただいていたんだろうというふうに思います。東京都の木造建築物の耐震化についての考え方をお伺いいたしまして、意を強くしているところであります。でありますが、そこと同時に、その視点からではなく、少し視点を変えさせていただきまして、一、二点お伺いさせていただきたいと存じます。
平成十八年一月に建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正され、都道府県に耐震改修促進計画の策定が義務づけられました。都はそれを受けて、平成十九年三月に耐震改修促進計画を策定し、耐震化の基本的な方針、具体的な施策の方向性が示されています。また、平成十九年に民間建物等の耐震化促進実施計画を作成いただいております。これにより、都民の木造住宅の耐震診断、改修へ向けての取り組みが進められています。しかしながら、都民個人の木造住宅の耐震診断、改修への取り組みがなかなか進んでおりません、先ほどの答弁にあったとおりだと思います。個人資産という側面もありますが、神戸の震災の事例を引くまでもなく、木造住宅の倒壊は、道路への倒壊、通行不能、これは人的被害のある地点への、あるいは火災発生現場へ救急隊が入れない等の甚大な被害を生み出してしまっておりました、あの地震では。このことは、耐震化促進を速やかに実施すべきという証左になることと存じます。現状では木造住宅耐震改修促進助成制度もあります。
そこで、質問ですけれども、まず、現状認識するために、現在の木造住宅の耐震化はどこまで進んでいるのか、件数等ですね。そして、耐震診断、改修に対する東京都の取り組みはどのようになっているのか、まずは診断を含めたところ、これをお伺いしたいと思います。
○町田耐震化推進担当部長 木造住宅の耐震化の状況についてでございますけれども、平成十七年度末における推計では、戸建て住宅で六四%、共同住宅で六八%となっております。
都といたしましては、平成十八年度より、防災都市づくり推進計画に定めております整備地域を対象に、耐震化助成事業を実施しております。平成十八年から平成二十年度までの三カ年で耐震診断が約千四百件、それから耐震改修は約百四十件の実績でございます。さらに、平成二十年度より、区市町村が建物所有者へ耐震化を直接働きかける戸別訪問を行う場合に対しまして、その費用に対する助成を実施しております。また、耐震化促進の社会的機運を高めるため、防災の日などを中心に、区市町村やさまざまな関係する団体と連携をして耐震キャンペーンを展開するなど、さまざまな施策に積極的に取り組んでおります。
○興津委員 ということで、耐震診断が千四百件、耐震改修が百四十件ということであります。数ではないのかもしれませんが、ぜひ力強く推進をしていただきたいというふうに思います。
先ほども申し上げましたとおりに、地震が起きて倒壊等があれば、貴重な人命がということでありますので、そこの部分を十分に認識をしていただいて、また進めていただきたいと思います。
それでは、平成十二年の政令改正によりまして建物の構造基準が変わったと構造設計の専門家から聞いています。平成十二年度の政令改正にのっとって、今後の耐震改修促進計画を進めるべきではないかと考えていますけれども、その所見をお伺いしたいと存じます。
○町田耐震化推進担当部長 平成十二年の政令改正は、昭和五十六年に改正されました耐震基準の考え方に沿っておりまして、壁の配置の評価方法ですとか、柱やはりの接合方法、こういったものに関する取り扱いの基準を明確にしたものでございます。
一方で昭和五十六年に改正されました耐震基準に基づく建築物というのは、阪神・淡路大震災における国の調査によりますと、地震による被害は少なく、耐震性を有するものであるという認識が示されております。こういったことを踏まえまして、都といたしましては、昭和五十六年以前に建築された建物の耐震化を促進すべきであると考えております。現行の各施策を積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。
○興津委員 これで質問を終わりたいと思いますが、その前に、平成十二年の政令の改正という部分が、構造計算の強度の部分に関しましては、これをすることによって、相当量の構造の強化が図られるというふうに認識をしております。ただ、現行の昭和五十六年の建築基準法の改正というものの後に関しましても、平成十二年というまでの間、そして十二年を過ぎた後の建物の構造の引っ張り強度とか、金具をつけるとか、ああいった政令ですので、法律でいうと判例みたいなものでしょうか、そういったような部分でもって補強されていると思うんですね。ですので、その辺の部分を都としても認識した上で、今後このような耐震診断、耐震補強に関して、大きく寄与していただきたいということを強く要望して、質問を終わります。
○尾崎委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後五時三十二分休憩
午後五時四十二分開議
○尾崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○吉住委員 私からは、区部における都市計画道路の事業化計画についてお尋ねをいたします。
まず一つ目は、優先整備路線以外の今後の見込みについてお伺いをいたします。
区部における都市計画道路の多くは、昭和二十一年に都市計画決定され、今日に至っております。これまで、昭和五十六年、平成三年、平成十六年の三次にわたり事業化計画を策定し、整備が進められてきました。現在、この第三次事業化計画の優先整備路線では、それぞれの事業主体により事業化が図られたり、事業説明会が行われるなど、取り組みが進められています。
一方で、優先整備路線に選定されなかった路線も存在します。この選定されなかった路線について、地元では、早く進めてほしいという声や、このまま整備されず計画がなくなるのではないかという声があります。特に計画線に係る権利者は、計画がどうなるのか、また、いつごろ行われるのかを知りたいと考えている方が多くいます。
そこで、優先整備路線以外の都市計画道路について、今後どのようにしていくのか、考えをお伺いいたします。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 首都東京を魅力と活力あふれる都市へと再生するため、都市計画道路の整備を着実に進め、計画的、効率的な道路ネットワークを早期に形成することが重要でございます。
これまで三次にわたり事業化計画を策定しておりますけれども、平成十六年三月に策定いたしました第三次事業化計画においては、平成二十七年度までに事業化すべき区間として二百八区間、約百三十三キロメートルを選定しております。この第三次事業化計画で優先整備路線に位置づけられなかった区間、これにつきましては、今後とも事業化計画を策定する際に適切な基本計画や評価項目を設定し、事業効果の検証や事業化すべき路線の選定を行った上で整備を促進していくこととしております。
○吉住委員 わかりました。現在進捗中ということでございます。
しかしながら、見直し候補区間の選定基準についてお伺いしたいと思うんですが、平成十六年の整備方針では、優先整備路線の選定に先立ち、未着手の都市計画道路について必要性の検証が行われています。この検証の結果、日暮里・谷中地区や原宿地区など、五路線が見直し候補路線として選定されました。これらの見直し候補区間の選定基準はどのようなものだったのか。また、検証についての現在の取り組み状況はどうなっているのか伺います。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 区部における都市計画道路の整備方針におきましては、未着手の都市計画道路について、自動車交通混雑の緩和への貢献、防災性の向上、バス交通を支える道路網、地域のまちづくり支援などの項目により、必要性の検証を行っております。その結果、当該路線が道路ネットワークを形成しない区間、あるいは近接して幹線道路が整備されている区間、江戸以来、伝統的建造物の残る区間など、都市計画の見直し候補と考えられる区間として、今回五区間を選定しているものでございます。
選定した見直し候補区間につきましては、地区内の交通処理の円滑化や安全な歩行者空間の確保、防災性の向上など、地域のまちづくりと整合のとれた都市計画道路の見直しを進めるため、現在、都と関係する区におきまして、道路整備の方向性等について検討を行っているところでございます。
○吉住委員 それでは、長期にわたって未着手になっている区間における建築制限の緩和についてお尋ねをいたします。
都市計画決定後、長期未着手となっている路線、区間については、その時代の社会経済情勢、交通動向などを踏まえ、適切に見直し、検証を行い、その上で、整備効果の高い区間は着実に整備を進めていく、必要性が低下した区間は見直し候補区間として検討を行っていくことは非常に重要なことだと考えております。ぜひとも次回の整備方針策定においても、三次計画と同様に、必要性の検証、見直しを行っていただきたいと思います。
ところで、長期未着手区間でもう一つ問題となるのが建築制限です。新宿区内には、商店街に計画をされている道路が多数あり、優先整備路線に選定されなかった区間では、建てかえ時期を迎えた店舗を建てかえすべきかどうかについて苦慮しているという声も聞きます。優先整備路線以外の路線における建築制限について、都はどのように考えていらっしゃるのかをお伺いいたします。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 建築制限につきましてお答えいたします。
都市計画道路など計画線内におきましては、将来の事業化を担保するために、建物を建築する際には都市計画法五十三条及び五十四条によりまして、階数が二以下、かつ地階を有しないこと、主要構造部が木造、鉄骨造などで、容易に移転、除却が可能なものに限って建築ができるとされております。
しかし、事業の施行が近い将来見込めない区間におきましては、事業実施の時期が不明確で地権者及び周辺住民等が生活設計を立てにくいこと、また建築制限により地権者が長期間土地を有効に利用できないことなどの課題がございます。このため、昭和五十六年の第一次事業化計画から、当該区間で、防火地域、商業地域等で容積率が三〇〇%以上の地区におきまして、鉄骨造などの三階建ての建築物の許可を可能としております。
また、平成十六年度の第三次事業化計画からは、建物更新による防災性の向上や、建築基準法の改正などを踏まえまして、それまで付していました用途地域や容積率などの条件を撤廃するなど、建築制限の緩和を拡大しております。
都といたしましては、この緩和基準を適切に運用し、権利者等の生活設計や土地の有効利用に配慮するとともに、優先整備路線について着実に整備を推進し、効率的な道路ネットワークの形成を図ってまいります。
○吉住委員 時間も時間ですので、まとめてまいります。
道路計画は百年の計と申しまして、長期的な視野に立ってやられてまいったと思います。意味もなく道路の計画線を引いたわけではなく、戦後の焼け野原のときに、こんなまちをつくりたい、こういう東京都を残していきたい、そういう思いを持って先人たちが都市計画道路の線を引いていったものだと思います。しかし、やはり時間もたってまいりますと、どうしても相続の問題、あるいは商店街で親から子どもに店を引き継ぐ、会社を引き継ぐ、そういうときにリニューアルできないとか、さまざまな課題もありました。思い切ったことができないと。
ただ、今お伺いしましたとおり、建築制限の緩和も行われているようでございますので、今後も留意していただきながら、活気のあるまちづくりの一助となっていただければと思います。
都市計画道路は自動車交通のみならず、歩行者や自転車の空間として必要な都市施設であり、地域の安全性の向上や防災性の向上を図るためにも必要であると考えます。その整備に当たっては、地域住民の理解と協力を得ながら、計画的、効率的に進めることが重要であります。区部の第三次事業化計画も既に折り返し地点にかかろうとしております。第三次事業化計画の着実な進捗と、次期計画の策定に当たりましても、必要な見直し、検証を行うことを求めまして、私の質問を終わります。
○加藤委員 押上・業平橋駅周辺の土地区画整理事業について質問をいたします。
墨田区押上・業平橋駅周辺地区では、二〇一二年春の開業に向けて、東京スカイツリーの建設が進んでいます。十月二日時点で百六十四メートルの高さとなり、既に墨田区内で一番高い建物になっています。そして、このスカイツリーは、デジタル放送の電波塔の役割ばかりでなく、高度な商業・業務、文化等の機能が集積した新しい国際観光拠点として、地元だけでなく、多くの方から注目され、期待されています。
そこで、墨田区押上・業平橋駅地区を国際観光拠点にふさわしいまちとするために実施されている土地区画整理事業による市街地整備について伺います。
まず、押上・業平橋駅周辺地区の土地区画整理事業の進捗状況及び今後の予定について伺います。
○石川民間開発担当部長 押上・業平橋駅周辺地区は、交通の結節点としての地区特性を生かし、鉄道跡地等の大規模な土地利用の転換を図り、複合的な市街地を形成するため、組合施行による土地区画整理事業で整備することにしたものであり、都としても積極的に支援をしてきております。
平成十七年十二月に設立された組合は、平成十八年三月の東京スカイツリー建設地としての決定を受け、新たな観光拠点にふさわしいまちとするため、建築計画と連携した事業を進めているところでございます。現在、仮換地指定を一〇〇%済ませ、工事の支障となる建物の移転補償や北十間川沿いの都市計画道路などの工事を進めており、事業費ベースで五五%の執行率となっております。
今年度は、最後の大型移転物件である鉄道本社について、年度内に解体し、建築工事の敷地として整備するとともに、引き続き都市計画道路などの工事を進めてまいります。事業の完了は、東京スカイツリー開業に合わせて平成二十三年度を予定しております。
○加藤委員 スカイツリーは電波塔としては世界一の高さである六百十メートルに向かって順調に建設が進み、それを支える土地区画整理事業も順調に進捗していることがよくわかりました。高さ三百五十メートルと四百五十メートルの二つの展望台からは関東一円を見渡す眺望が楽しめます。また、ツリーの足元には、押上駅と業平橋駅をつなぐ東西四百メートル、延べ二十三万平方メートルの商業・業務、文化等の機能を持った施設が整備され、新たなまちの触れ合いやにぎわいがつくり出されようとしています。限られた時間と場所でこれだけの大プロジェクトをなし遂げることは大変なことで、土地区画整理事業として果たす役割は非常に大きいと考えます。
そこで、東京、また日本の一大観光拠点ともなる押上・業平橋駅周辺地区のまちづくりに対して、土地区画整理事業がどのような役割を果たしているのか伺います。
○石川民間開発担当部長 押上・業平橋駅周辺地区を新たな観光拠点にふさわしいまちとするためには、平成二十四年春の東京スカイツリー開業に合わせて、同時に地区全体の都市機能の更新を図ることが都としても重要であると考えております。そのため、組合による土地区画整理事業では、東京スカイツリーを中心とした街区を大街区として確保するとともに、新しいまちに集まる人や車の流れを支える都市計画道路や交通広場などの公共施設の整備を行っております。
あわせて、平成二十四年春の開業に向けて、工期が三年半かかる東京スカイツリーの建築工事を優先し、その街区の整備を先行するなど、事業スケジュールの工夫を行っております。
都では、事業がおくれてはならないと認識しており、東京スカイツリー開業に合わせた平成二十四年春の事業完了に向け、今後とも組合に対し、土地区画整理事業が円滑に進められるよう、技術的、財政的な支援に努めてまいります。
○加藤委員 押上・業平橋駅周辺地区の大プロジェクトは、民間の発意と熱意によるものであり、都市計画道路や駅前広場などの公共施設のために多くの用地を提供しています。また、東京スカイツリーは極めて公共性の高いデジタル放送の電波塔の役割を担っており、そのためにも、この大プロジェクトを予定どおり完成させる必要があります。
都は、今後とも土地区画整理組合に対して十分な財政支援等を行ってもらいたいことを要望いたします。そして、予定どおり二〇一二年春に東京スカイツリーが開業して、国際観光拠点にふさわしいまちができ上がることを待ち望んでいます。
次に、先日、第百八十六回都市計画審議会の予定案件で曳舟の再開発に関して質問させていただきました。複数の再開発事業で新しいまちづくりが進んでいますが、きょうは、その近辺の京島のまちづくりについて質問をいたします。
京島地区は、以前から地震や火災に弱い地域として上位にランクされていました。そして、墨田区において広範に存在する木造住宅密集地域のうち、平成二十年二月に発表された第六回地域危険度測定調査において、鐘ケ淵と並んで危険度の高かった地域です。したがって、京島地区における防災まちづくりは喫緊の課題です。早期に防災性の向上を図る地区として、平成九年には防災都市づくり推進計画から重点整備地域にも指定されています。
そこで、まず、京島地区の防災都市づくりのこれまでの取り組みの経緯を伺います。
○石川民間開発担当部長 京島地区は、震災と戦災の被害をともに免れた約二十六ヘクタールの地区であり、戦前の建物が数多く残り、災害に対して危険度の高い低層住宅密集地を形成していたことから、地区の改善に向けて、昭和四十九年の調査を契機にまちづくりに取り組んできた地区でございます。
その後、昭和五十六年に住民主体のまちづくり協議会を発足させ、まちづくり計画の検討を進め、昭和五十八年に木造住宅密集地域整備事業の前身である住環境整備モデル事業を都が事業主体となって開始いたしました。平成二年からは区が事業を引き継いで、老朽住宅の除却やコミュニティ住宅の建設などのほか、道路、公園整備などを進め、現在も引き続き災害に強いまちづくりを進めております。
○加藤委員 今ご説明のように、古くから防災都市づくりの取り組みがなされてきました。京島地区は、木造住宅密集地域整備事業による修復型のまちづくりの先駆的事例ともいえます。
そこで、京島地区では、これまでの取り組みにより、どのような防災上の効果があったのか、具体的な成果を伺います。
○石川民間開発担当部長 京島地区では、これまでに約一・三ヘクタールの用地を取得し、三百戸を超える老朽住宅の除却を進めながら、あわせて主要生活道路の拡幅整備を約四百メーター、緑地やポケットパークの整備を十九カ所、従前居住者用のコミュニティ住宅の整備を十六棟百三十七戸行うなど、地区住民の居住継続を図りつつ、円滑な避難、消火活動のための基盤整備を初めとする市街地整備を行ってまいりました。
これらの事業に加え、平成十五年に指定した新たな防火規制の効果により、市街地の燃えにくさをあらわす不燃領域率は、平成八年の三四%から十八年の四一%となり、十年間で七ポイント改善するなど、市街地の防災性の向上が図られております。
○加藤委員 これまでの事業により、古くから住んでいる人たちが安心して住み続けられる安全・安心のまちづくりが進んでいることは評価できます。しかし、京島では事業が長期間にわたっており、その間の住民の高齢化などが懸念されています。首都直下地震の切迫性を踏まえると、防災性の向上をさらにピッチを上げて進めていくことが必要だと考えます。京島地区では今後どのように災害に強い都市づくりに取り組むのか伺います。
○石川民間開発担当部長 当地区の防災都市づくりに当たっては、整備効果の高い事業や規制誘導策を重層的かつ積極的に実施し、整備を加速することが重要と認識しております。このため、京島地区においては、区が既存のコミュニティ住宅を活用し、事業により転出することとなる高齢者の居住継続の支援を図るとともに、再開発事業に準じた権利変換方式で建物の共同化や道路、公園などを整備し、防災性の向上を図る防災街区整備事業の検討を進めており、来年度の事業化を目指しております。
また、木密事業による基盤整備などの実効性を高めることに加え、地元の協議会による主体的取り組みを進めるため、地区計画等の導入を検討しております。
今後も、当地区の防災性の向上のため区が行う取り組みに対し、都は積極的に技術的、財政的支援を行うことにより、災害に強いまちづくりを着実に推進してまいります。
○加藤委員 京島地区を歩きますと、ポケットパークやコミュニティ住宅が建設され、確かに安心・安全なまちづくりが進んでいることを実感いたします。よき下町文化を残しながら、災害に強いまちづくりが今後とも進むよう、都の強力な支援を引き続きお願いしまして、質問を終わります。
○しのづか委員 私からは二点についてお伺いいたします。
まず、事業概要の七一ページにも記載されております多摩ニュータウンについてです。この多摩ニュータウンは、やはり私は、多摩ニュータウン再生という観点から何点か質疑をしたいと思います。
この事業概要を読ませていただくと、今まで都が取り組んできた内容、そして今、都がどのようなスタンスで臨んでいるのかというのがよくわかるわけでして、これの整理をされているところでいくと、第2部、第1章、住み、働く場としての都市の再生となっています。その中の第1節の中の3章で多摩ニュータウンとなっているんですが、どこを読んでも再生という観点が全然出てこない。今まで多摩ニュータウンというのは、私が生まれた昭和四十一年に事業を開始して、四十三年間、東京都は事業主の一人として、このまちづくりに深くかかわってまいりました。
そして、ここに書かれているように、平成十七年度をもって、多摩ニュータウン事業という事業そのものは終了しているというふうにうたってあるんですが、最近のプレスの報道などでも見るように、こういう「週刊ダイヤモンド」という、「日本の団地」というような、大きく報道されていますように、全国各地で昭和三十年代から四十年代にかけて、ニュータウンという、いわゆる国の住宅政策の中で、そういったまちづくりが行われてきた。その行われてきたまちづくりが抱える諸問題というのが今非常に社会問題化しているのではないか、そのように思っております。
まず、お聞きしたいのは、ここにも書かれております、開発の当初目的である低廉で良質な住宅の大量供給によって行われたまちづくりに起因している今の多摩ニュータウンの、特に初期開発地域が抱えている諸課題についての現状認識をお伺いいたします。
○安井都市づくり政策部長 多摩ニュータウンの入居開始から四十年がたちまして、初期入居地区では建物の老朽化や居住者の高齢化が見受けられるとともに、少子化の進行による小中学校の遊休化、ライフスタイルの変化などによる近隣センターの空き店舗の増加など、さまざま問題が生じていると認識しております。
○しのづか委員 認識は私も一緒なんですけれども、では、その認識のもとで、多摩ニュータウン再生に向けての取り組みというのは、東京都はどのような具体的な取り組みを行ってきたのかなというのを聞きたいんです。
実は私、市議会議員出身でして、市議時代に、いわゆる多摩ニュータウンのエリア、大きな住区、新住法によって開発された多摩ニュータウンというものは、東京都が大家さんである都営住宅ゾーン、そして公団の賃貸住宅ゾーン、分譲の住宅ゾーンで、このゾーニングがイコール小学校区にも匹敵するような大きな区割りをもって進められた開発である。これが今非常に住民の間で偏在を生んでいる。
例えば高齢化を見てみますと、多摩市域で都営住宅があります諏訪四丁目、五丁目などは、もう既に三五%もの高齢化、愛宕地域でも三二%ということで、高い高齢化率が今非常に社会問題になっているというのが現状なんです。東京都は本当に目をそれに向けてくれていたのか、具体的な取り組みはどうだったんだろうということをまずお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○安井都市づくり政策部長 都はこれまで、団地建てかえや小中学校の遊休化に対応しまして、時代に合った施設計画を実現するために、一団地の住宅施設の都市計画を地区計画に変更するなどの対応を行ってございます。また、民間団地の建てかえに対する技術的支援や補助を行っているほか、公園のリニューアル、歩道の段差解消へ向けて市が導入しようとしている住宅市街地総合整備事業の導入に係る技術的な支援も行っております。
また、都営住宅に関しまして、耐震診断を実施したり、住民の要望に応じてエレベーターの設置などを行ってございます。
○しのづか委員 対応していただいている状況はわかっているんですが、本当にそれだけでいいのかなというのが私の率直な感想なんです。例えば多摩ニュータウン事業にかかわる組織というところで、都市整備局さんの中の組織で見させていただくと、過去の、ずっと開発が始まったときから今の状況などを--後でちょっとその内容をお伺いするんですが、非常に消極的な姿勢になってきているのではないか、そのように思えてならないんです。
今ご答弁にありましたように、まちづくりに起因するさまざまな諸課題というものは、今多様化しているんですよね。一つの部、課では対応し切れないような状況にもなってきている。例えば、もっといえば、福祉的な観点も必要になってきている。そういう意味でいえば、本当に今までの対応のままでいいのかというのが非常に私にとっては疑問に思えてならないところなんです。
そこでまず、次の質疑の前にお伺いします。今までの多摩ニュータウン事業に関連する組織の沿革というのはどのような推移をしているのでしょうか。
○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウン事業は、多摩ニュータウン地区における新住宅市街地開発事業及び土地区画整理事業、関連公共施設整備事業などから成り立ってございます。
これらの事業を統括する組織といたしまして、昭和四十一年十二月に住宅局に南多摩新都市開発本部を設置いたしまして、新住宅市街地開発事業に着手するとともに、昭和四十四年二月に多摩土地区画整理事業に着手をしてございます。昭和四十五年七月に、南多摩新都市開発本部を局組織に拡充いたしまして、関連公共施設整備などを本格的に開始してございます。その後、平成十四年四月に、事業が一定の収束を迎えたことによりまして、建設局に統合し、多摩ニュータウン事業部を設置いたしましたが、担当理事を設置した経緯もございます。その後、さらに平成十六年三月に新住宅市街地開発事業及び相原・小山土地区画整理事業が完了しましたことから、同年四月の都市整備局発足に伴いまして、市街地整備部に多摩ニュータウン事業室を設置し、現在に至ってございます。
○しのづか委員 結局は、一時期、いわゆる局長級がいて、三部体制で二事業所を置いて、これはまちをつくってきたときだから、それぐらいの体制をしいてというのは当たり前なんですけれども、それが今、いわゆるニュータウン事業室扱いになってしまっているんです。一つの課だけ残されているような状況。これはニュータウン事業そのものの収束に伴って、そこしかやっていないというものの私はあらわれじゃないかなと思っているんです。
何をいいたいかというと、先ほどからいっている、これから多摩ニュータウンというものは都市再生というものを抱えている、この状況があるんです。私はなぜそのことをいうかというと、多摩ニュータウンは他の地域とは違う特殊事情があるよということで、まず最初に、東京都が事業者として深くこの事業にかかわってきたということ。それと、先ほども申し上げたように、プレスによるオールドタウンという報道があって、高齢化のまちですとか未来の暗いビジョンというすり込みが行われつつある、このことが地域のイメージダウンにつながることじゃないか。それと、こうした報道の原因は小中学校の廃校、これはもう既に七校廃校で、これから先、十校、小中学校が廃校されるというような、もう計画上になっています。それと、住民の高齢化など住民の年齢構成の偏在に起因する地域の活力低下にあり、全国のニュータウンに共通する課題ととらえられる。それと、ニュータウン再生に向けた支援制度の検討、立案に向けて、先ほども住市総の話がありましたけれども、国が行政連絡会議を設けて、今、地元自治体と動いている状況がある。そして、この問題は地元市だけの問題じゃなくて、今後進展する高齢化や人口減少社会における住宅政策を初めとする都市問題対策シミュレーションモデルとして都が参画する価値がある事業であると私は思っているんです。
ただ、その中で見させていただくと、この事業概要の中には、多摩ニュータウン再生事業というものはないんです。ここに書かれているもので見させていただくと、事業の再構築の中のア、イとなっていて、イのところで、多摩ニュータウンまちづくり協議会というものが設置されていると思うんですけれども、この多摩ニュータウンまちづくり協議会なるものはどのような活動をしてきたのか。そして、その成果についてはどのようにとらえられているのでしょうか。これを読む限り、すばらしい取り組みのように書かれているんですが、いかがでしょうか。
○安井都市づくり政策部長 多摩ニュータウンまちづくり協議会でございますけども、八王子、町田、多摩、稲城の地元四市が中心となりまして、地域経営の視点から今後のまちづくりにおける共通課題の解決に向けて協議いたしまして施策の展開を図ることを目的として、平成十三年十一月に設立されてございます。平成十三年度から十五年度にかけまして行われた協議会での検討の結果、行政区域を超えた図書館の相互利用、市民等が自主的に公共施設管理を行うアダプト制度の導入など、一定の成果が上がってございます。
○しのづか委員 それが成果なのかなというのがまたまた率直な感想なんですけれども、これも地元市から資料を取り寄せました。正式な多摩ニュータウンまちづくり協議会というのは平成十三年、十四年、十五年、三回しか行われていないんです。十六年以降は全くそれが、四市が一堂に会するテーブルが開かれていない。これは正式な会ですから。その後、課長レベルでの担当連絡者会議というものは設けられているんですが、結局のところ、多摩ニュータウンというのは、四十年間のまちづくりであるにもかかわらず、つい最近事業が終了した町田の小山地域や稲城市のような、今まさに人口増加地域と、四十年前に手をつけた多摩市域のようなところと、いわゆる地元事情が全然違うんですよ。
先ほど私がお聞きしたのは初期開発団地の諸課題ということをいったんですが、全く地域によって、同じ四市にまたがる住宅である多摩ニュータウンでありますけれども、まちづくりである多摩ニュータウンでありますけれども、それがなかなか、一堂にテーブルに乗っても、それから先の課題解決につながっていかないんです。でも、これを見る限り、関係機関が一体となって課題に対応できる仕組みの実現を図っているみたいなことを書かれちゃうと、やはりちょっと方向性が違うのかなと。
私は、こういった事情をとらえていく中で、多摩ニュータウン再生の取り組みの受け皿として、やはり今の組織を東京都は充実すべきだろうと思っているんです。組織の拡充というものを図るべきだと思っておりますが、その見解をお伺いします。
○安井都市づくり政策部長 現在は核都市に位置づけられてございます多摩ニュータウンの整備の促進、また民間マンションの建てかえの促進、都有地の処分、都営住宅の機能更新など、各施策につきまして、局内の担当部署がそれぞれ役割分担をし、取り組んでございます。今後とも、多摩ニュータウンの再生につきまして、こうした役割分担のもとに連携を図りながら取り組んでまいります。
○しのづか委員 最初はそういう答弁かなと思うんですが、ぜひこれは、都市問題なんですよ。全国共通の課題でありますから、しかも首都東京がそれに対してどのような姿勢で臨んでいくかというのが、私はそこがまさに見られているんじゃないかなと思っています。国はもう既に住市総で対応を始めているんですよ。平成十七年十一月に計画開発住宅市街地の今後のあり方検討委員会というところで、住宅市街地総合整備事業における重点整備地区の要件緩和ということで大幅に要件緩和をして、そして、それを地元市ときちんと連携しながら、さまざまな補助制度とか、その対応というものを具体的に取り組みを始めている。
一方の施行者である東京都はどのような、こういった具体的な取り組みというのがなかなか動きとして見られない。こういう状況がある中で、やはり私は、組織としての対応、東京都としての一元的な、先ほどいった課題解決に対応する受け皿というものをつくっていくべきだと思っております。これは意見にしておきます。
それともう一点、そのニュータウンの南側を走っている南多摩尾根幹線、多摩三・一・六号線という都市計画道路があります。その道路について何点かお伺いいたします。
その南多摩尾根幹線というのは、昭和四十四年に都市計画決定をされてから、今ほとんどの土地の買収というものは、その時点で済んでおります。しかし、さまざまな地元の事情によって、都市計画変更が繰り返されていながら、いまだ、この間、平成十八年に出された第三次の事業化計画に、結局は採択をされませんでした。この採択をされなかった理由についてお伺いいたします。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 南多摩尾根幹線でございます。第三次事業化計画におけます優先整備路線の選定に当たりましては、整備効果の早期発現や交通需要への対応などの観点から、幹線道路も含めて対象路線の絞り込みを行ってまいりました。南多摩尾根幹線につきましては、南多摩地域を支える広域的な幹線道路であるとともに、多摩地域と神奈川県との都市間連携を進める上でも大きな役割を担う路線であると認識しています。
この道路につきましては、ほぼ全線にわたって二車線以上の道路としての通行が可能でありまして、一定の道路ネットワークが形成されていることから、当面の交通需要に対応可能と判断いたしまして、優先整備路線に選定しなかったものでございます。
○しのづか委員 これもやはり歴史的な経過がありまして、もともとは、今、多摩川架橋がどんどんかかっていますけれども、多摩川架橋がほとんどなかった時代に、いわゆる神奈川県と東京都をつなぐ、東西をつなぐ多摩ニュータウンの尾根を走る尾根幹線として、特に通過車両を大量に運ぶ道路として計画をされていたと思います。当時は、当初決定のときは、いわゆる本線というバイパスの部分が四車線、それと側道分が四車線の往復八車線の、道路の幅もすごい広い、今ゾーニングがされているところなんですが、それがいまだ、地元の反対というものもあったんですが、中央緩衝帯が盛り土されていて、仮設の路線整備しかされていないという状態なんです。
これが都市計画変更されて、いわゆる掘り割りというような構造に設計が変更されました。掘り割りで四車線、そして側道分が二車線というような設計変更がされたんですが、これがまさに、実にお金のかかる設計変更でして、平面整備だと、例えば多摩市域でいくと六キロの区間なんですが、六キロが、キロ約四億円ぐらいで整備が完了するんですが、掘り割りだと、その何十倍になるんだろう、四百六十億ぐらいかかるというふうに、当時、私が市議会のときに資料要求をしたときに、そういう数字が出てまいりました。これが結局は、実現化しないような計画をそのまま引きずっちゃっているのではないかと、そのように思えてならないんです。
その中で、先ほど部長からご答弁いただいたように、第三次の事業化計画の中でも、この尾根幹線について記述がされています。南多摩尾根幹線については優先整備路線として位置づけてはいないものの、今後、交通対策の必要性を検討の上、交通の円滑化など、必要な対策を図ることとしていますというふうにされているんですが、これについて東京都としてはどのような対応を考えられているのか、これについてお伺いいたします。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 委員ご指摘の南多摩尾根幹線につきましては、先ほどご説明いたしましたように、道路整備の前期路線には入ってございません。しかしながら、この整備方針にも明記されていますとおり、この第三次事業化計画におきましては、優先整備路線となっていない路線について、第二次交差点すいすいプランに基づく交差点改良や、安全確保のための部分的な歩道設置など、必要に応じて対応を図っていくこととしております。
南多摩尾根幹線につきましては、その一例としてここに記載されておりますけども、今後、交通対策の必要性等を検討の上、交通の円滑化等必要な対策を図ることとして位置づけられています。こうしたことから、昨年三月に、建設局が、本路線の鎌倉街道との交差点付近におきまして、右折車両の滞留による渋滞の緩和を図るため、右折車線を設ける改良をしたところでございます。
このように、この路線につきましては、重点整備路線として位置づけてはおりませんけれども、地元の必要に応じて事業を実施していくと、そういう路線として考えております。
○しのづか委員 ぜひ、これは意見なんですけれども、道をつくるのは都市整備局じゃなく、建設局だから意見になっちゃうんですけれども、私は、この四車線化というのは、先ほどもいった、広いところでは百メーターぐらいあるんですよ、端から端までの幅員が。で、例えば今の状況で考えると、一方通行の車線、そして真ん中の緩衝帯、もう一方の一方通行ということで、一度に横断歩道を渡れないような状況もあります。特に高齢者は全く無理です。こういう状況もある。
そして、やはりその幅員を利用して、私は、例えば今、東京都は、これを読ませていただいても、環境軸みたいな考え方で、さまざまな緩衝帯を設けて、いわゆる道路を整備していく中で緑をきちんと整備して緩衝帯を設けてというようなことがうたわれていると思うんですけれども、そういった整備の仕方で--そもそも、きちんと早期整備をしていくには計画そのものを見直していくしかないんだろうなと思うんですけれども、それまでの間というのは、やはり仮の整備としてそういった四車線化みたいなことが図れると思うんです。
これは四十年間この状態が続いちゃっているんですよ。ほかの幹線道路というものは整備をされていて、生活道路も整備をされていて、そこの南側の尾根幹線の部分だけが全く手がつけられていない。先ほど交通量云々とおっしゃっていましたが、実態として、その生活道路に通過車両が渋滞を避けるために流入しちゃっているんですよ。これは事故が起こってからでは遅いと思っていますし、きちんと--もう入り口と出口は本線整備が終わっているんです。例えば八王子から町田に向けてはもう完了している。そして稲城から向こうは終わっている。要は、そこの部分だけ血管が詰まっているような状態。
結局は、入り口と出口のところで交通量というものはやはり一緒じゃないかなと思っているので、これについてやはり、今度の第四次になっていくには、平成二十七年になるんですけれども、そのときにきちんと事業化できるような計画に私は見直していくべきだと思っております。平面整備というようなものももう一度検討すべきだと思いますが、そのお考えを聞いて質問を終わります。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 南多摩尾根幹線の道路構造につきまして、南多摩尾根幹線につきましてはこれまで、平成十九年四月の稲城市川北下地区における側道二車線化の供用などを行っております。こういうものも、基本的には現在の都市計画を踏まえながら整備を進めているものでございます。
本路線の本格的な整備に当たっては、将来の交通需要、整備効果、それとモノレール構想との整合、あるいは、これまで地元住民とのいろいろな対応経過も踏まえまして、いろいろな環境対策なども踏まえまして、整理すべき多くの課題があると認識しています。したがいまして、本路線の道路整備形態等の変更につきましては、これらの課題を整理した上で、地元市とも連携を図りながら慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。
○しのづか委員 慎重に検討で、もう一回立っちゃったんですけれども、平成十三年の都が行った行政評価では、この南多摩尾根幹線について抜本的見直しというふうになっているんです。本線整備については多額な事業費や長期間を要することから、事業手法について、社会経済状況の変化を踏まえ、改めて検討しなければならないと、もう十三年のときにいっているんですよ。今、それから何年たっていますか。八年たって、今度事業化が採択されるまでは、平成二十七年だから、実に二十年たっちゃうわけですよ。その中で、ぜひ具体的な動き、今そういうご答弁じゃなく、もうこのときにこういう結論が出ているわけだから、きちんと対応していただきたい、このことを申し上げて終わります。
○今村委員 それでは、最後の質疑をさせていただきたいと思いますが、もうしばらくおつき合いをいただきたいと思います。
まず初めに、今ニュータウン事業についての質疑がされておりましたけれども、私はニュータウン事業会計について、地元の町田市も相原・小山土地区画整理事業がございますので、このことについて質疑をさせていただきたいと思います。
さて、このニュータウン事業会計でありますけれども、先ほどの質疑でも明らかなように、ニュータウン事業の終えんに伴いまして、二〇一一年度に終結をする予定になっております。このニュータウン事業会計について、今後のスケジュール、それから処分予定地があとどのぐらい残されているのか、またどのぐらいの面積があるのかをまずお聞きしたいと思います。
○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 まず、今後のスケジュールということでございますけれども、今、委員お話ございましたとおり、東京都多摩ニュータウン事業会計条例は、平成二十四年三月三十一日限りでその効力を失いますので、それに向けて具体的な作業を行っていきたいと考えてございます。
具体的には、今、販売宅地につきましては、平成二十一年九月末現在で五十区画、六十ヘクタールが未処分の宅地として残ってございます。未処分宅地につきましては、今後ともまちづくりに貢献できるような事業用宅地として積極的に販売をしていきまして、現在、債務が超過しておりますので、その債務の超過の圧縮に努めていきたいと考えてございます。
○今村委員 ニュータウン事業会計についてですけれども、今、債務があるということで、宅地販売の約九十六億円を含む資産額が三百九十四億円に対し、負債額が一千二百三十九億円で、債務超過額は八百四十五億円ということで、これは合っていますでしょうか。
過去三年間、一般会計からの繰り入れをさせていただいておりますし、過去には三百五十億円だったと思いますけれども、一般会計からの繰り入れも入っているわけでありまして、どちらにしろ、過去の直近での財産売り払い収入を決算書で見てみますと、当初予算比で二〇〇五年が四八%、二〇〇六年が八四%、二〇〇七年が三六%、二〇〇八年は盛り返して七二%と、景気の動向やさまざまな事情によって大きな変動があるわけであります。ましてや今年度は大変厳しい状況にあるということを聞いているわけでありますし、二〇一一年の終結まで考えると、今後もこの宅地販売の状況は大変厳しいということが予測をされるところであります。今後二年間、宅地販売に大きな努力、または仮に大きなプラスがあったとしても、大きな負債、一般会計からの繰り入れをしなければ終結ができない状況には変わりがないことだというふうに思います。
そこで、最終年度の延長というものはあり得るのかどうか、改めて東京都の決意も含めてお聞きしたいと思います。
○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 先ほど申し上げましたが、多摩ニュータウン事業会計は、東京都多摩ニュータウン事業会計条例によりまして、平成二十四年三月三十一日限りで効力を失うものとされております。また、都債の償還もすべて終わる見込みでございますので、会計の延長は考えてございません。今、委員お話しのとおり、大きな債務超過額を持っておりますので、今後とも未処分宅地につきましては積極的に販売をいたしまして、債務超過額の圧縮ということを最優先に努めていきたいと考えてございます。
○今村委員 先ほどお聞きしたときに、五十区画、六十ヘクタールということをお聞きしましたけれども、一番大きなもので十八ヘクタールぐらいの広大な用地があるというふうにお聞きしておりますけれども、残りは、私の住んでいる町田市の相原・小山の区画整理事業の中にある宅地販売なども含めて、細かなものから事業用地まで、さまざまな広さが残っているわけでありますけれども、債務を圧縮するために、または、まちづくりの一環としてこれらを民間に売却していくということは大変よくわかるわけでありますし、今後も努力を進めていただきたいというふうに思っております。
しかし、どうしても、この大きな八百四十五億円を超えるような債務がある中で、できる限り高く売っていく、一般会計からの繰り入れを少なくしていく目的は十分に理解しますけれども、もう一つ、まちづくりの観点からいきますと、本当にただ高く買ってくれる民間に売ってしまうのがいいのかどうか、何でもかんでもいいですと東京都が思っているとは決して私も思っておりませんし、地元と協議を進めていただいているのも十分理解をするわけでありますけれども、このニュータウン事業会計、あと二〇一一年までです。昨年も指摘をさせていただきましたけれども、余りこの宅地販売にとらわれるよりも、先ほどから議論があるように、ニュータウン事業全体のまちづくりを考えて、早く終結をさせて、この事業会計を閉じてでも、今後のまちづくりに東京都の力を注いだ方がいいまちづくりができるのではないかというふうに思っています。まだ多くの宅地、または事業用地が都市の中に残ってしまっているわけでありますから、そうした部分についてはぜひ今後もよくご検討していただきたいというふうに要望をしておきます。
それでは、二項目めの下水道整備についてお聞かせをいただきたいと思いますけれども、東京都ではことし七月、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画の見直しを発表いたしました。まずはその変更点についてお聞かせいただきたいと思います。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画でございますが、この計画は、個別の下水道計画の上位計画として都が策定するものでございまして、本年七月、約十年ぶりに計画を改定いたしました。
主な変更点でございますが、人口や産業の予測をもとに計画汚水量を見直したこと、また、閉鎖性水域である東京湾の水質を改善するために、窒素、燐などを新たな目標水質として設定したことでございます。また、多摩川等の公共用水域の水質改善を一層推進するため、八王子市、立川市、三鷹市の単独処理区について、流域下水道の処理区に編入したことでございます。
○今村委員 今ご答弁いただいたように、まずは平成三十六年の計画目標年度に向けて計画汚水量を削減しております。これは今の実情に合わせて流量を下げているということは評価をいたしますし、新たな高度処理をしなければならないという法律も理解をいたしますし、さらには、今お話があったように、単独で下水処理を行っていた八王子、立川、三鷹の処理区が流域に編入をされる。これに伴って、単独の処分場が流域の下水処理場にいずれは、この三十六年をめどに統合されていくといいましょうか、必要なくなっていくという形になるんだろうというふうに理解しております。
とすると、私が住んでおります地元の町田処理区が唯一編入をされていない処理区になるのではないかというふうに思います。ご承知のとおり、流域下水道と単独下水道整備では、市の負担割合が単独下水道整備の方が高く、大きな負担を強いられます。単独処理区を抱える自治体に対し、現在はまだ八王子、立川、三鷹もあるわけでありますけれども、どう支援を行っていくのかお聞かせいただきたいと思います。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 町田市の大部分の区域につきましては、その位置、地形上の要因などから、流域下水道の処理区に編入できないということがございます。このことから、将来的にも市単独処理区として管渠及び下水処理場の整備を適切に運営していく必要がございます。
下水道施設の整備に関する補助金につきましては、ただいま副委員長お話しのとおり、管渠の国庫補助率及び都費補助率につきましては多摩の各市町村とも同一でございますけれども、下水処理場につきましては、国庫補助率は、流域下水道処理区の場合、約六七%、市単独処理区の場合は五五%となっております。そのため、市単独処理区における都費補助率について、従来の二・三%を平成十一年度から約一二・四%に引き上げることによりまして、市の負担割合を約四三%から約三三%に引き下げております。
○今村委員 東京都の努力については大変感謝を申し上げますけれども、しかし、残念ながら、町田市を初め、流域下水道処理を行っている自治体でも、まだ普及率の低い地域が幾つかの自治体で見られます。ましてや、多摩地域においても、もう既に一〇〇%完了している地域もあるわけでありますので、こうした下水道整備がおくれているといわざるを得ない自治体、またさらには単独処理区を抱えるような、負担割合が東京都が努力をしていただいてもまだ差があるような状況において、早期整備をするために積極的な支援を行うべきではないかと思いますけれども、東京都の見解をお伺いします。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 下水道の整備がおくれている地域や単独処理区などにおきましては、下水道の早期整備を図ることが重要であると認識しております。このため、都費補助金につきましては、平成十九年度から、これまで補助対象としていなかった管渠の改修や設計費などにつきましても新たに補助対象とするなど、対象枠の拡大を図っているところでございます。また、国庫補助金につきましては、単独処理区の下水処理場の整備にかかわる補助率を流域下水道並みに引き上げるよう、国に対して要求しているところでございます。
今後とも国庫補助金及び都費補助金の確保に努めるとともに、下水道の早期整備が図られるよう、技術的、財政的に支援を行ってまいります。
○今村委員 ぜひ今後も努力をしていただきたいというふうに思いますし、私どもも国に対しての働きかけについては協力をしてまいりたいと思います。
さて、ちょっと先ほどお話をしましたニュータウンの話と絡めてお話をさせていただきますけれども、町田市の相原・小山土地区画整理事業はニュータウン事業の最後の整備でありますけれども、完了がたしか五年前だったでしょうか、まちづくりは既に進んでおりますけれども、ここは当初計画人口は三千五百人、現在の見通しは既に一万五千人を超えるということになっております。このために、当初、区画整理で予定されていなかった教育施設が全くなかったので、今、東京都から、小学校用地を二つ、それから中学校用地を一つ購入させていただいております。公共施設は一切ないまちでありますし、さらにこれから大きな問題になるのが、できたばかりのまちであるはずなのに、下水管、それから雨水管が、既に計画人口をこれだけ大きくオーバーしているために、今度は汚水がオーバーフローするという状況になり、今、東京都とも協議をさせていただいております。
古いまちだけではなくて、新しいまちについても、こうしたニュータウン事業、または下水事業でも大きな問題を抱えておりますので、今後もぜひ地元と協議をしていただいて、住民の福祉向上のために取り組みをしていただきますよう、一言申し添えておきたいと思います。
それでは、次の質疑に移りますけれども、鉄道、新交通の整備であります。
首都圏の鉄道、新交通の基本となります二〇〇一年に出された運輸政策審議会答申十八号で示された、二〇一五年までに開業することが妥当とされた路線A1には、東京メトロ副都心線や日暮里・舎人ライナーなどがあります。都内においては、これらは全線が開業、または着手されております。しかし、二〇一五年までに整備着手することが妥当であるとされたA2路線や、今後整備について検討すべきとされたB路線については、現在、全路線が未着手、未検討となっております。
A2、B路線沿線の自治体からは、A1路線のめどがついたことから、今後の路線の整備について大きな期待が寄せられております。そこで、東京都が昨年から行っている広域交通ネットワーク形成に関する調査はどのような目的で、どのような内容になっているのかお伺いいたします。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 運輸政策審議会の十八号答申の未着手路線につきましては、「十年後の東京」への実行プログラムにおきましても、鉄軌道ネットワークのさらなる充実に向け、現状の課題や今後の方向性を検討していくこととしております。
平成二十年度は、東京における鉄道ネットワークの現況調査や未着手路線の課題の整理等を実施いたしまして、平成二十一年度には、東京圏における鉄道輸送の需要予測を行い、実現可能性について検討することとしております。この調査結果を勘案しながら、平成二十二年度以降に公共交通ネットワークの方向性を取りまとめていく予定としております。
○今村委員 今ご答弁いただいたように、昨年、そしてまた今年度、そして再来年まで、この広域整備ネットワークの調査を行って、一定の結論を出していくのではないかと考えられますけれども、ぜひそうしたときには地域の意見も聞いていただく必要が出てくるかと思いますけれども、特に私の地元であります町田市においても、多摩都市モノレールの延伸、それから小田急、唐木田の延伸が計画をされておりますけれども、これらの整備について東京都はどのように認識をしているのかお聞かせいただきたいと思います。
○座間都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 多摩都市モノレール及び小田急多摩線の延伸についてでございますけれども、多摩都市モノレールの町田方面への延伸につきましては、今後整備について検討すべき、いわゆるB路線ということで位置づけられております。その整備に当たりましては、まず多摩都市モノレール株式会社の経営の安定化が重要でございます。多摩都市モノレール株式会社につきましては、昨年、沿線自治体や都による金融支援を含む経営健全化の対策を講じたところでございまして、今後も輸送需要の動向や会社のさらなる経営努力を注視していく必要があると考えています。その上で、町田方面への延伸について、需要動向や、事業採算性、投資効果を含め、さまざまな角度からそのあり方を検討することが必要であると考えています。
また、小田急多摩線の横浜線・相模線方面への延伸につきましても、今後整備について検討すべきB路線に位置づけられておりまして、整備に当たりましては、多摩都市モノレール同様、検討すべきさまざまな課題があると認識しています。
都といたしましては、地元の町田市や相模原市の取り組みなどを見きわめながら、適切に対応していくこととしております。
○今村委員 今、地元市とも協議をしながら適切に対応していただくということでありましたけれども、今後、東京都の予算を使って、税金を使って検討していくわけでありますので、今までのような検討だけではなくて、いかに整備をして、または開通をさせるかということをしないと、今本当に整備に向けていいご答弁をいただきましたけれども、現実は大変厳しい部分もあるのではないかというふうに地元でもいわれております。特に、例えば多摩都市モノレールは、その経営だけではなくて、今の形状でいくならば、当然道路整備も行わなければなりませんけれども、導入空間もまだまだ確保されておりませんし、さらには今の駅の間隔でいけば、町田から立川に行くまでは一時間以上、例えば横浜線で町田から八王子に出て、またそこから中央線に乗りかえて行くのより、もしかしたら時間がかかってしまうような、そんな状況であります。
交通ネットワークの形成は必ず必要だと確信をしておりますけれども、こうした問題もぜひ的確にこの検討課題の中に取り入れていただいて、どうしたら早期に整備ができるのかということについて、ぜひよくご検討していただきますよう要望をさせていただきまして、最後の質疑に移りたいと思います。
都営住宅の建てかえについてでありますけれども、老朽化した都営住宅、特に一九六〇年代から七〇年代過ぎまでに大量供給された都営住宅の建てかえが大変大きな課題となっております。昨年は建てかえに三千二百四戸、それからスーパーリフォームで千五十戸行っておりますけれども、今後の建てかえ計画と、その中での若年世帯や、または高齢世帯への配慮、地域のまちづくりについてどう貢献をしていくのか、東京都の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
○山口建設推進担当部長 都営住宅は都民の住宅セーフティーネットとしての機能を有するものでございますが、この建てかえにつきましては、昭和四十年代以前に建設された住宅を対象に、管理戸数の抑制を図りつつ、財政状況を勘案しながら、年間四千戸程度まで段階的に拡大することとしております。
建てかえに当たりましては、地元区市と連携し、高齢者在宅サービスセンターや保育所などを整備するとともに、建てかえで供給する住宅につきましても、従前居住者の戻り入居など、団地ごとの実情を踏まえ、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居の募集を実施してございます。
また、敷地の高度利用によって生み出した用地につきましては、地域のまちづくりの課題に的確にこたえるよう活用を図っていくということにしております。
○今村委員 今後は、スーパーリフォームではなくて、建てかえにシフトをしながら年間四千戸まで拡大をしていくということだというふうに思いますけれども、今行っているような建てかえについてもしっかりと行っていただく必要があるかと思いますけれども、しかし、この計画でいくと、今後建てかえなければいけない住宅は、毎年四千戸を建てかえたとしても三十年かかってしまうことになります。それまでの間をどうしていくのかということも大変大きな課題ではないかと思います。
例えば建てかえだけではなくて、階段式五階建ての典型的な住宅を、ベランダ側に廊下とエレベーター一基を新設しバリアフリー化を図るとか、減築により低層にして高齢者優先のまちづくりを行う、または階段で向かい合っている二戸を合わせて一戸にする、こうすることによってやっと、今、通常の若年世帯など、一般的な六十、七十平米ぐらいの広さになるのではないかと思いますけれども、こうしたゆとりある住宅にしていくなど、さまざまな方策が考えられるかと思います。
現在は東京都だけにおいての検討で高層化の建てかえを行っておりますけれども、今後は、これを行うと同時に、民間の知恵も入れた、地域ごとに特色のある計画などを検討すべきではないかと考えますけれども、東京都の見解を伺います。
○荒川営繕担当部長 都営住宅は都民共通の住宅セーフティーネットでございますことから、建てかえや修繕などにより現在のストックを適切に維持更新し、真に住宅に困窮する都民に対しまして公平かつ的確に供給していく必要がございます。このことから、事業手法のいかんにかかわらず、ご提案のような取り組みを行う考えは今のところございません。
○今村委員 今ご答弁をいただきましたけれども、そうはいっても、三十年の間、じゃ、どうしていくのかということになってくるかと思います。スーパーリフォームをやめて建てかえにするという東京都の方針は方針として理解をいたしますけれども、ぜひこうした民間の知恵を入れたまちづくりもやはり私は必要だというふうに改めて申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○尾崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時五十六分散会
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