委員長 | 高橋 信博君 |
副委員長 | 中山 信行君 |
副委員長 | いのつめまさみ君 |
理事 | 伊藤まさき君 |
理事 | 神林 茂君 |
理事 | 三原まさつぐ君 |
河野百合恵君 | |
植木こうじ君 | |
長橋 桂一君 | |
こいそ 明君 | |
新藤 義彦君 | |
立石 晴康君 | |
大塚たかあき君 | |
相川 博君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長 | 只腰 憲久君 |
次長総務部長事務取扱 | 泉本 和秀君 | |
技監 | 福島 七郎君 | |
理事 | 加藤 英夫君 | |
都市づくり政策部長 | 安井 順一君 | |
住宅政策推進部長 | 松村 光庸君 | |
都市基盤部長 | 升 貴三男君 | |
市街地整備部長 | 座間 充君 | |
市街地建築部長 | 河村 茂君 | |
都営住宅経営部長 | 清水 文夫君 | |
企画担当部長 | 横溝 良一君 | |
住宅政策担当部長 | 瀬良 智機君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 宇多田裕久君 | |
航空政策担当部長 | 福田 良行君 | |
外かく環状道路担当部長 | 遠藤 正宏君 | |
民間開発担当部長 | 石川 進君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 小澤 弘君 | |
耐震化推進担当部長 | 町田 修二君 | |
経営改革担当部長 | 岡沢 裕君 | |
再編利活用推進担当部長 | 中島 俊明君 | |
建設推進担当部長 | 山口 幹幸君 | |
営繕担当部長 | 荒川 達夫君 | |
参事 | 田崎 輝夫君 | |
参事 | 大塚 高雄君 | |
参事 | 瀧本 裕之君 |
本日の会議に付した事件
都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 都市整備局所管分
・第百十二号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百十三号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・「東京の都市づくりビジョン(改定)」(骨子)について
・「多摩の拠点整備基本計画」(骨子案)について
付託議案の審査(決定)
・第百七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 都市整備委員会所管分
・第百十二号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百十三号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について
○高橋委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の付託議案の審査、報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
これより都市整備局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
河島航空政策担当理事は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
次に、付託議案の審査を行います。
第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、都市整備局所管分、第百十二号議案及び第百十三号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○高橋委員長 次に、東京の都市づくりビジョン(改定)骨子について及び多摩の拠点整備基本計画骨子案についての報告事項に対する質疑を行います。
本件につきましては既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○泉本次長 去る五月二十六日の当委員会でご要求いただきました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布しております都市整備委員会資料、五月二十六日要求分の表紙をおめくりいただきたいと存じます。
目次をごらんください。1の東京の都市づくりに関するプラン策定の経過から、8の都市計画公園、緑地の推移までの八件でございます。
まず一ページをお願いいたします。1の東京の都市づくりに関するプラン策定の経過でございます。過去に策定された東京の都市づくりに関するプランを策定年月順に記載してございます。
二ページをごらんください。2の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の件数、延べ面積でございます。制度ごとに地区数、区別の状況、延べ面積を記載してございます。下段注書きには、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
三ページ、四ページをごらんください。高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況を記載してございます。平成二十年十二月末までに建築確認済みの高さ百メートル以上のビルのうち、竣工またはその予定日が平成十七年度から二十一年度までのものにつきまして、名称、高さ及び延べ面積を年度別に記載してございます。
五ページをごらんください。4の都内の二酸化炭素排出量部門別推移でございます。平成十六年度から十八年度までの都内の二酸化炭素排出量の部門別内訳及びその合計排出量を記載してございます。
六ページでございますが、5の熱帯夜、真夏日の状況でございます。平成十一年から二十年までの過去十年間の東京の熱帯夜及び真夏日を観測した日数を記載してございます。
七ページから八ページにかけまして、6の東京都の耐震診断、耐震改修助成実績を記載してございます。(1)では木造住宅について、(2)のマンションについて、地方公共団体ごとに、平成十八年度及び十九年度の耐震診断及び耐震改修の実績を記載してございます。
九ページをごらんください。7の都内の緑地の推移でございます。都内のみどり率について、区部、多摩部別に記載してございます。
最後になりますが、一〇ページをごらんください。8の都市計画公園、緑地の推移でございます。平成十一年度から十九年度までの都市計画公園、緑地の計画面積、供用面積について、区部、多摩部別に記載してございます。
以上で資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願いいたします。
○高橋委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○神林委員 東京の都市づくりビジョンの改定について、何点か質問いたします。
東京を取り巻く社会経済状況が大きく変化している中で、今回の都市づくりビジョンの改定は時代の要請を的確にとらえたものとして、時期的にも大変的を射たものとして、まず評価いたします。こうしたビジョンは、長期展望とはいえ、八年も経過すれば、今お話ししましたとおり、社会経済状況が大きく変化しております。内容の見直しは不可欠であり、ぜひ早期に公表してもらいたいものだと思っております。
前回のビジョンでは、国際都市東京の創造を目標に掲げていたことに対し、今回の報告された改定の骨子では、それにかわる基本理念として、環境先進都市東京の創造を挙げております。そこでまず、この環境先進都市東京の創造を都市づくりの基本理念に掲げた考え方について伺います。
○安井都市づくり政策部長 現行のビジョンで掲げております国際都市東京の創造という目標は、引き続き東京の都市づくりを目指す重要なものでございます。
一方、今後、東京をさらなる成熟に導くためには、経済活力や国際競争力の向上はもとより、都市全体の環境負荷の低減、豊かな緑や美しい景観の創出に一層重点を置いた都市づくりを進めていく必要がございます。
このような都市づくりは、東京を魅力的な都市へと導き、真に国際競争力を有する都市の構築にもつながるものでございます。また、人口や都市機能が集中する大都市東京が、こうした取り組みの成果を国の内外に発信し、環境の世紀のトップランナーとしての役割を果たす意義は大変大きいものがあると考えてございます。
このため、今回の改定では、今後の都市づくりの基本理念に世界の範となる魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京の創造を掲げることとしております。
○神林委員 それから、そういう中で、今回改定といいながらも、全般にわたりかなり新しいものが盛り込まれたと受けとめております。そこで、この基本理念を実現するために、今回の改定で新たに示したものは何かについて伺います。
○安井都市づくり政策部長 今回の改定では、現行のビジョンで掲げました環状メガロポリス構造の構築に加えまして、より身近な圏域につきましては、駅などを中心に都市機能を一層集約し、高齢者を含めてだれもが暮らしやすいコンパクトな市街地への再編を新たに示してございます。これは、都市に必要な諸機能が交通結節点周辺などを中心に集約、集積され、公共交通の利用などによりまして、だれもが人、物、情報などの集積メリットを容易に受けられる、そうした広がりを持つ市街地の形成を目指すものでございます。
このような考え方に基づく都市づくりを進めることによりまして、例えば、区部の周辺部では、公共交通の結節点等を中心に、個別敷地単位にとどまりがちな機能更新を、地区全体の防災、環境、空間の質の向上につながる面的な市街地整備へと誘導することにより、地域特性を踏まえ、良好な市街地ストックが形成されるものと考えてございます。
また、多摩では、一定規模の定住人口や諸機能が集積する公共交通の沿線などにおきまして、身近な生活機能とともに、文化、交流、医療など都市の中心的機能を果たす公共公益施設のさらなる集積を受け入れる良好な市街地ストックが形成されます。
このように、区部、多摩を通じまして、生活圏の中心となるべき地域を選択しまして、人口や生活機能の集積したコンパクトな市街地を形成することにより、都市的なサービスを受ける側、提供する側の双方にとって、利便性、効率性が高い地域構造が構築され、だれもが集積メリットを享受できる暮らしやすい市街地が実現されるものと考えてございます。
○神林委員 今、ちょっと全般的なお話を聞いてまいりましたけれども、このビジョンの改定を見てまいりますと、私の地元でもございます羽田を新拠点にと、こんな部分の文章も載っているわけでございます。ご存じのとおり、羽田空港は東京の空の表玄関として、空港そのものの機能の拡充はもとより、その周辺の交通アクセスや空港跡地の利活用などを進め、国際都市にふさわしい拠点として整備していくことが重要でございます。
そこで、今お話ししましたとおり、今回新たに羽田を新拠点に位置づけておりますけれども、それはどのような考えからなのか、これにつきまして伺います。
○安井都市づくり政策部長 現行のビジョンでは、都心や副都心とともに、センター・コアの諸機能を一層高めるために、多様な機能を備えた複合拠点として育成する新拠点という考え方を示してございます。具体的には、基幹的な交通結節点にあり、計画的な土地利用転換や都市開発を進めるべき重要な拠点として、現在は新幹線駅が開業する品川と、つくばエクスプレスが接着する秋葉原を位置づけてございます。
お話の羽田につきましては、今後、再拡張やC滑走路の延長により、羽田空港が欧州各国との長距離路線も就航する本格的な国際空港へと発展するとともに、国際線ターミナルビルなど国際化の拠点施設に隣接する空港跡地において、空港機能と連携した土地利用転換が進んでまいります。
今回の改定では、このような羽田空港が、充実した交通インフラを介してセンター・コアと密接にかかわりながらセンター・コアの経済活力等を支えることを踏まえまして、羽田を環状メガロポリス構造を構成する新拠点として位置づけたものでございます。
今後、国際的なビジネスセンターを含むセンター・コアに隣接する立地特性を生かしまして、他の新拠点と同様に、活発な交流が生まれ、世界に開かれたにぎわいのある拠点として積極的に都市づくりを進めてまいります。
○神林委員 私は、実はかねがね持論としてお話しさせていただいているんですが、ともかく羽田が大きく変わると、空港が。それと同時に、周辺地域も一緒によくしていただいて、これが大きな課題でございまして、ぜひ空港の跡地とともに、周辺地域のまちづくりに取り込み、人、物、情報の交流が一層活発化した新拠点にふさわしい都市づくりを進めていただきたいと、強く要望させていただきます。
私の地元、羽田空港周辺は多摩川や海老取川に囲まれており、水辺に親しめる緑豊かな憩いの空間を形成するのにふさわしい地域でございます。空港に接するように多摩川の水際線が大きく伸びる自然、資源の特徴を生かし、空港の国際化に合わせ、大きなコンセプトの一つでございますにぎわいの創出とともに、この水と緑のネットワークの一端を形成していくことが大切でございます。これは地元にとっても大いに熱望するところでございます。
そこで、ビジョンの改定を機に、今後、水と緑のネットワークの形成に向け、具体的にどのような施策を展開し、実現を図るのか、お伺いいたします。
○安井都市づくり政策部長 今回の改定では、内港運河や河川沿いに緑豊かな空間を確保するとともに、東京湾や河川の水質改善、身近に親しめる水辺空間の創出など、良好な水辺環境を再生していくこととしております。
お話のあった羽田空港周辺でございますが、このビジョンと並行して私ども取り組んでございますけれども、今ご説明したような考え方に基づきまして、大規模な工場跡地などの土地利用転換を計画的に進めまして、多摩川や海老取川の水辺を生かした水と緑のネットワークを広げることにより、にぎわいのある拠点にふさわしい、地域の潤いや市街地環境の向上を図ってまいります。
○神林委員 先ほどもお話ししましたとおり、この跡地周辺の大きなコンセプトは、にぎわいの創出と、それから水と緑のきれいな環境と、これが大きな命題の二つになろうかと思うんですね。私、かねがねお話ししていたとおり、さっきもいいました、空港の新しい開発と一緒になって、環境問題をしっかり整備し、それから交通アクセスも整備し、さらには地元産業の活性化、そして水と緑の創出をしていくと。こういうような大きな課題がたくさんございますので、一つだけ単体でやるんじゃなくて、ぜひ周辺一帯を含めた総合的な開発を進めていただきたいと、このように強く思っております。
最後に、都市づくりのビジョンは、今後の東京の都市づくり全般の基本方針ともいうべきものと受けとめております。その意味で、ただいま質問した拠点の整備や緑に関する取り組みだけでなく、インフラ整備や耐震化への取り組みなど、さまざまな分野の都市づくりへの取り組みが盛り込まれております。
そこで、最後になりますけれども、今回の改定を機に、今後、ビジョンに基づく東京の都市づくりをどのように進めるのか、改めて局長の決意をお伺いさせていただきます。
○只腰都市整備局長 今回のビジョンの改定でございますが、先ほど委員からもご発言がございましたように、現行のビジョンは、平成十三年に策定したものでございまして、十年近く経過をしているわけでございます。この間の都市づくりの動きは大変大きなものがございまして、そういう都市づくりの動きを総括をいたしまして、これまでのビジョンの成果あるいは到達点、それを踏まえまして、今後の都市づくりの方向を総合的、体系的に明らかにしようとしたものが今回のビジョンの改定でございます。
現在、まだ骨子をお示しした段階でございますので、早急に施策を詰めまして素案にし、パブコメを行った上で、早急に改定したいというふうに考えているわけでございます。
中身につきましては、部長からもご説明申し上げましたけれども、都市活力の向上、あるいは安全・安心といった、これまでも重要視して取り組んできた施策に加えまして、低炭素型都市への転換、また、水と緑のネットワークの強化、美しく風格ある景観の形成という、最近非常に注目されています都市づくりの視点を加えまして取り組んでいるところでございます。
具体的にちょっとだけ申し上げますと、都市開発諸制度、具体的には再開発なり都市再生の特区等の手法を活用しまして、私ども、そういう方法を活用して都市づくりをしてきたわけでございますが、最近、新聞の報道にもございましたけれども、そういう手法を活用して開発された地域、特に都心区になりますが、そういうところでは開発に伴いまして空地が出まして、そこに緑化をしますので、そういう成果で緑被率が上がったというような報道もされてございます。非常にそういう都市開発の望ましい動きをさらに加速しまして、強化をして取り組んでいきたいというふうに考えている次第でございます。
今回改定した内容を企業や区市町村による取り組みに反映いたしまして、積極的に都市づくりを進め、魅力とにぎわいがあり、環境面でも、東京はさすがに先進都市だといわれるようなまちづくりを行いまして、そういう東京の実現を目指してまいりたいというふうに考えております。
○中山委員 先日示されました東京の都市づくりビジョンの改定について質問させていただきたいと思います。
さきの第一回定例会で、我が党は、都市づくりビジョンの改定に際して、東京の都市インフラや施設更新を効果的に進めながら、日本の経済発展を牽引する首都東京の国際競争力を一層強化し、あわせて環境先進都市東京の創造に資する力強く画期的な内容とすることを強く求めて意見をしたところでございます。
先日示されたビジョンの骨子は、この我が党の求めにこたえたものであり、まずはその骨子の内容として評価をさせていただきたいと思います。
初めに、風の道について触れさせていただきますが、ここにつきましては意見として表明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
今回の改定、東京の都市づくりビジョンの一八ページには、基本戦略の四として、水と緑のネットワークの形成と題し、内港運河や河川沿いに緑豊かな空間を確保し、海沿いの涼風を内陸部に呼び込む風の道を形成すると記されております。
この風の道とのキーワードは実に大変重要なものであると思います。一七ページの基本戦略の三、低炭素型都市への転換における「ヒートアイランド対策推進エリアを中心に、緑によるクーリング効果の活用や先進的な環境技術の導入を促進し、熱環境の改善を図る」の実現にも大きく関係した大事な命題であると思います。むしろ、風の道の実現なくしては、先進技術によるクーリング効果も、その実質的な効果を失いかねないものであります。
同時に、この風の道によるクーリング効果というものは、大動脈であります東京港からの風の道という、大きな大動脈につながる幾つかの支流的な風の道の形成があってこそ、東京区部全体を冷やす効果を発揮するものと考えます。そして、この幾つもの支流の風の道を都市計画的手法によってどう確保していくのかが、今後大事な各論上の課題となってくるのではないかと思います。いいかえれば、支流の風の道こそが、大動脈の風の道の通り道には直接触れていない多くの周辺区の環境改善という本件に関する最大の関心事ともいえます。
今後、都市整備局にあっては、大動脈の風の道の都市計画的な確保もさることながら、この大動脈につながる支流の風の道を、どこのラインにどう築いていくかということを含めて、周辺区からの動きを待つのではなく、積極的に情報発信を心がけて、各周辺区に呼びかけ、それぞれの支流的風の道の確保に向けて歩みを進めていただきたいことを要望申し上げます。
次いで、今後の東京の都市ビジョンの大きな課題としての、国際競争力の向上について質問させていただきます。
日本経済を牽引する首都東京の国際競争力の進展なくしては、都民の福祉の維持向上も望めないことになってしまいかねません。では、国際競争力を一層強化していくためには、どのようにしていく必要があるのか。当然、都市整備局はインフラ整備を担うわけでございますけれども、そのインフラ整備が東京の産業力を活性化し、新たな成長産業の育成につながっていく効果的なものであることが重要と考えます。
今回の都市づくりビジョンでは、多摩地域において、大学や研究機関と先端技術産業などの既存の産業集積を生かし、産学公連携による産業立地の促進を図るとしています。多摩地域での産学連携を進めていくために、都市づくりの観点からどのような取り組みを行っていこうとしているのか、お伺いいたします。
○安井都市づくり政策部長 多摩地域の産学連携でございますけれども、今回の改定では、経済活力を高めるための基本戦略の一つとして、多摩を中心に埼玉県から神奈川県に至るエリアを多摩シリコンバレーとして、首都圏にとどまらず、アジアを代表する産業拠点に発展させることとしております。
この地域では、既に大学や研究機関、先端技術産業などの一定の集積がございまして、都としては、圏央道や多摩南北ロードなどの広域インフラの整備を促進させまして、立地している産学の連携を強化するとともに、さらなる企業立地を促す基盤を整備し、機能集積の効果を高めていきたいと考えてございます。
また、核都市八王子では、産業労働局、地元市と連携いたしまして、多摩シリコンバレーの中核となる研究開発型企業の集積や、都有地を活用した都市づくりを進めてまいります。
今後、こうした取り組みを一層推進いたしまして、多摩における産学公の連携を支える都市づくりを積極的に展開してまいります。
また、冒頭ご意見がございました風の道につきましても、具体的に運河沿いでモデルの都市づくりを進めているところでございまして、こうした取り組みを、今後、都市計画にできるだけ反映するように努めてまいりたいと考えてございます。
○中山委員 多摩地域を中心とする産学公連携には大いに期待させていただきたいと思います。また、お話がございましたように、圏央道とか多摩南北道路というのが核となるということでございますので、その南北の埼玉とか神奈川のまちとの連携といいますか、そうしたものも多摩の発展のために、今後よくご検討をいただきたいというふうに思います。
ところで、今お話がございました産学公連携に都市づくりの観点から取り組んでいく道路などの基幹インフラの整備の促進や、都や民間の研究機関との連携、また、都有地の活用などといった視点は、多摩地域に限らず、広く東京全体で、各地で取り組まれようとしている産学公連携にも、重要な都市づくり上のサポートではないかというふうに思います。
例えば私の地元足立区でも、東京電機大学や帝京科学大学の区内進出を受け、産学連携による新たな産業集積への創出に力を入れております。そのように、区部においても産学の連携を進める都市づくりは重要と考えますが、都市づくりの視点からこれをどのようにサポートしていくのか、お話をお伺いしたいと思います。
○安井都市づくり政策部長 多摩だけでなく、区部を含め、全体で産学の連携が重要だというのは、お話のとおりだと受けとめてございます。
区部の方についてご説明いたしますと、代表的なビジネス街でございます丸の内では、近年、都市再生により機能更新された業務ビルに、東京大学大学院、一橋大学大学院の研究科、ハーバードビジネススクールなど、多くのサテライトキャンパスが進出してございます。また、区部の周辺部におきましても、工場跡地などを活用した大規模な土地利用転換を進めてきた結果、例えば葛飾区の東京理科大学、今お話がございました足立区の東京電機大学、帝京科学大学、また、東京芸大や東京未来大学も開学してございます。また、中野区でも帝京平成大学など移転が決定してございます。
今回の改定では、このような教育研究機関を含む多様な機能が集積する複合市街地の形成を積極的に進めることとしてございます。今後とも、計画的な土地利用の誘導により、大学、研究機関等の受け皿ともなる基盤を整備いたしまして、既存の製造業や業務・商業機能との交流、連携を促すなど、産業を支える東京のポテンシャルを生かした都市づくりを進めてまいります。
○中山委員 各地域におきましては、産学連携を推し進める都市づくり的な手法の早期の段階での組み込みというものが、産学連携の実際的な効果を占う上で非常に大事な課題となってくると思います。
そこで、都市整備局にあっては、今ご答弁もありましたとおり、二十三区内で産学連携の進展を計画する自治体に対して、産学連携に資する都市計画的手法の活用を積極的に情報提供していくとともに、同じような計画を持つ区同士での研究、情報交換などの機会を誘導していただきたいと思います。
と申しますのも、人口集積が進む地域にあっては、産学連携を進めるのに必要な空間の確保というものが非常に困難だからですね。そうした面で、どのようにそれを得ていったらいいかということについて、東京都も含めた検討の場みたいなものが生まれてくるといいのではないかというふうに思っております。
ビジョンを実現していくためには、都内の各地域の特性を踏まえ、都市づくりに取り組んでいくことが必要であります。東京といっても区部と多摩ではその特性は大きく異なり、また、区部においても、都心区とその周辺区ではおのずと違ってくると思います。私の地元の足立区では、住宅、商業施設と工場が混在する地域が多く残されております。こうした状況を的確にとらえた上で都市づくりを進めていくことが重要と考えます。
そこで、今回の都市づくりビジョンが、東京区部東部の発展に具体的にどのように寄与しようとするものなのかが焦点となると思います。足立区を含む区部東部ではどのような地域像を目指し、都市づくりを進めようとしているのか、お伺いいたします。
○安井都市づくり政策部長 足立区を含めました区部の東部地域といいましても大変広うございますが、その特性を一言で表現すると、河川や親水公園など、潤いのある水辺に恵まれまして、住と商と工が融合した活気のある地域であると考えてございます。
こうした地域特性を踏まえまして、隅田川など水辺を生かしたまちづくりや、公園、緑、オープンスペースを生かした環境共生のまちづくりを進めていく必要がございます。また、既存の中小企業の集積や住工混在を生かしまして、地域経済の活性化を図ることも重要でございます。
このため、今回の改定では、例えば代表的な地域像を申し上げますと、交通結節点となっている駅周辺では、既存の商店街のにぎわいを残しながら、業務・商業、教育、文化、居住など、多様な機能集積を図るとともに、緑化や広場の整備により防災性の向上を目指すこととしてございます。また、隅田川沿いでは、スーパー堤防や道路、公園などが整備され、既存の工場機能が集約されまして、良質な住宅、多様な生活利便施設の立地が進みまして、居住、商業、工業が調和した、安全で潤いと活気のあるまちを形成することとしてございます。
こうした地域像の実現に向けまして、地元区や事業者と連携しまして、区部東部の都市づくりを進めてまいります。
○中山委員 区部東部におきましては、今のご答弁にもございましたとおり、良好な水辺空間と職住の共生、そして防災という視点が非常に大事になってくると思います。また、本当にご答弁の中でも詳しくご指摘いただきましたけれども、多様な職種の混在、これ自体を継続できる空間としていくということが非常に大事なことではないかと思います。密度の濃いコミュニティ空間として、住民同士の触れ合いが保たれた地域として、東京の発展の一つの柱としていくということが大事だと思います。
そうした意味では、この都市づくりビジョンの発表によって、そうしたものが大きく進んでいくということを、ぜひ実現を目指して頑張っていただきたいと思います。
一方、都市づくりビジョンは、単に都市整備局が策定した計画というだけの性質ではなくて、全庁を対象に、今後の都市づくりの方向性を示す基本指針となっていると思います。そうした意味では、産業、観光、環境といった各局が担うソフト施策とも連携をとって、都市づくりビジョンに込められましたさまざまな目標の実現を目指していくことが大切と考えます。
そうした意味で、具体的な例として、低炭素型都市の実現という視点を取り上げさせていただきますけれども、さまざまな大規模開発において、都市計画の承認という段階で、低炭素型社会の実現を目指していろいろな工夫がされるということが立案者によって考えられているわけですけれども、当然そのことを前提として、都市計画の承認ということがなされていくわけですが、それが本当に、実際に開発が行われた後、実現しているのかどうか、推進されているのかどうかということが、非常に大事な視点だと思います。
そこで、ビジョンに盛り込まれた施策は多岐にわたり、例えば低炭素型都市の実現に向けては、開発時だけではなく、その後の検証まで視野に入れた取り組みが必要となってくるものと考えます。ビジョンの実現に向け、各局との連携をどのように進めていくのか、お伺いをいたします。
○安井都市づくり政策部長 都市づくりビジョンでございますが、今後の都市づくりの基本的な方向を都の行政指針としてわかりやすく示したものでございまして、その施策は、当然のことながら多岐にわたってございます。施策の具体化、実施に当たりましては、建設、港湾などハードを所管する局だけでなく、産業、環境、観光などを所管するソフト局との連携協力が不可欠でございます。
今、例に挙げられました低炭素型都市の実現に向けた取り組みでございますけれども、都市開発の許認可を通じて環境性能の向上を所管する当局と、施設完成後の運用時を検証していく環境局と綿密な連携を図っていくことが重要でございまして、その部分の役割分担なども含めまして、これまで施策の検討過程におきましても、両局で密に意見交換を重ねてきているところでございます。
局としては、ビジョンの公表後も、ここに盛り込まれました関係局による施策の取り組み状況などを把握しながら、必要に応じまして、都市づくりの観点から局横断的な調整、連携などを十分行うなど、都市づくりビジョンが目指す都市像を実現していきたいと考えてございます。
○中山委員 今、ご答弁にあったことは非常に大事でございまして、都市計画の承認とか、あるいはその都市づくりビジョンに込めていく低炭素型社会へのいろいろな取り組みというものが、これは今後も継続していくわけですけれども、その検証というものも都民にしっかりと情報提供されることによって、さらに、新しくそうした低炭素型社会への貢献する都市計画を進めようとする取り組みに対する都民の信頼というものが生まれる。ところが、それが局横断ではなくて、検証するところは他の局だからということで、私どもは知りませんというような形で都民に提示されていってしまったのでは、そうした取り組みが本当に大丈夫なのかということの不安感というものを、やはりあおりかねないというふうに思います。
そうした面では、お仕事的には、当然それぞれ別の局で仕事をしているわけですから、難しい面もあるかもしれませんけれども、そうしたものはきちっと一体となって、既に行われた取り組みにおいてはこうなっていますよということが伝わって、そして、新たな取り組みについても、低炭素型社会が力強く切り開かれようとしているんだなということを都民に伝えられるような、そういう連携をよくお願いしたいというふうに思います。
先ほど、区部東部につきまして、大変夢のあるいろいろなお話をしていただきましたけれども、その周辺区であります足立区、私の場合は足立区しかよくわかっていないという点もありますが、そうした事柄において考えますと、つくばエクスプレスですとか日暮里・舎人ライナーといった新しい交通機関の整備ということもありまして、新たな産業集積の創出とか、新たな集客力のあるにぎわい空間の創出とか、そうしたことが周辺区でも課題になっております。
そうした意味では、先ほど申し上げましたように、都市づくりという都市計画上のビジョンというものが、産業や環境や観光といったさまざまな他局の施策とも連携して、その目的を具体的に実現していくという視点が非常に大事になってまいります。
昨日の代表質問で、我が党は、東京の未来を力強く切り開いていくための成長産業の育成という視点が非常に大事だという質問をさせていただいて、都庁各局のみならず、東京都の民間のさまざまな業者の方々も巻き込んだ、英知を結集したような委員会を設置するべきだというようなことを提案させていただきました。この中で、省エネやユビキタス技術を積極的に組み込んだ都道や都営交通インフラ整備の必要性を訴え、都庁の総力を挙げて、新たな成長産業の育成に向けて取り組むべきと申し上げたところでございます。
そうした意味で、今回の都市づくりビジョンの改定を機に、今後都市づくりを通じた産業の振興など経済活力を高めていくために、どのようにそのお仕事をしていくのかということについて、只腰都市整備局長のご所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○只腰都市整備局長 経済活力のご質問がございましたけれども、それに入ります前に、全局の連携のご指摘がございました。これは部長からも答弁いたしておりますが、今回、知事の方針、最初の発言のときも、このビジョンに基づきまして全庁を挙げて取り組むという発言をさせていただいております。そういうことで、これは窓口として私どもの局、ハード局ということで取り扱っておりますが、内容につきましては各局共通のものとして構成をしておりまして、今後、これに基づきまして各局よく連携をしまして、全庁を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
ご質問の経済活力の点でございますが、これまでも現行の都市づくりビジョンに基づきまして、魅力とにぎわいのある国際都市に不可欠な経済活力の向上を促す都市づくりを進めてはまいりました。今回の改定におきましては、残念ながら、現在、日本の国際競争力は低迷をしているというような現状を踏まえまして、六つの目標の第一に、国際競争力を備えた都市活力の維持発展を掲げてございます。具体的には、東京の繁栄、豊かで安定、充実した生活を支える、何といってもビジネス環境がその牽引車ということでございますので、そういう面での産業活動の活性化を掲げてございます。
具体的には、一つは、その経済活力を支える広域の交通インフラが非常に大事でございます。羽田空港、お話も先ほど出ておりますけれども、再拡張による二十四時間化、それから三環状道路等の幹線道路の整備、また、きのうも本会議でございましたけれども、JR中央線の複々線化あるいは横田基地の軍民共用化などの、日本あるいは世界と結ぶネットワークの強化、これが産業活力の基礎になると思います。これにつきましては、引き続き全力を挙げて取り組むということにしてございます。
次は、あわせまして、経済活力を高めるためには、延べ単で整備を進めるというのはなかなか難しゅうございますので、拠点の整備ということが大事かと思います。都心部におきましては、都市再生を積極的に進めまして、国際金融拠点機能を初めとする国際的なビジネス機能を備えました経済活力のある拠点を形成してまいりたいと思います。また、多摩におきましては、多摩の核都市あるいは多摩シリコンバレーの構築を目指しまして、多摩の自立性ある発展を促してまいりたいと思います。
このような形で、今後改定するビジョンに基づきまして、経済活力の向上にも資する世界の範となる環境先進都市の創造に向けまして、都市づくりを積極的に展開してまいります。
以上です。
○河野委員 多摩の拠点整備基本計画について質問します。
示されている多摩の拠点整備計画は、平成十年に策定された多摩の心しん育成・整備計画を新たな視点に立って見直すものであり、同時に、「十年後の東京」と改定東京の都市づくりビジョンを踏まえる計画ともされています。
伺いますが、平成十年に多摩の心しん育成・整備計画が策定されたのは、どのような社会経済情勢、そしてまちづくりの背景があったのか、当時示されていた策定目的をご説明ください。
○瀧本参事 多摩の心しん育成・整備計画でございますけれども、これは平成十年に策定をいたしております。当時の状況を踏まえまして、多心型の都市構造を図る、そしてこの多摩地域の発展を図るというようなことで策定をしております。
この八王子、立川、多摩ニュータウン、青梅、町田の五つの心しんを、多摩における広域的な拠点として計画的、重点的に育成整備することによりまして、東京の都市構造を職と住のバランスのとれたものへと再編をして、多摩地域を快適で創造性豊かな、生活が楽しめる魅力あふれる自立都市圏としていくことを目指して整備を進めていく計画でございます。
○河野委員 この当時は東京の一極集中が問題になっていたのではないかと考えるんです。国は、一九八七年に第四次全国総合開発計画を策定して、同時期に東京都が--第四次の首都圏整備計画の基本計画を策定しています。いわゆる四全総策定の背景は、東京一極集中の改善とされています。東京都の場合には、四全総の路線に沿って、東京都多摩振興構想懇談会、これを設置して、八王子、立川、町田、青梅などの業務核都市構想を立ち上げ、多摩の心しん育成・整備計画がつくられてきた、こういう経過があるのではないですか。
多摩の心しん育成・整備計画で、都心集中型の開発、これの是正に向けて業務核都市構想を打ち出した、こうした背景があるのではないかと思います。
示された今回の計画を見ますと、国や都が目指した東京の一極集中の問題点や改善方向については触れられておりません。特に、業務核都市として開発を進めてきた地域の問題についての具体的なことは、明確になっていないという印象を私は受けます。多摩の心しん育成・整備計画によって五つの業務核都市はどんな変化が生じたのか、計画によって起こった変化についての検証が必要だと考えますが、いかがですか。
○瀧本参事 多摩の心しん育成・整備計画に基づきまして、これまで八王子や立川駅前の再開発事業等の実施、首都圏中央連絡自動車道と中央自動車道との接続、八王子村山線の全線開通、JR中央線等の連続立体交差事業の実施など、整備が進捗いたしました。また、核都市の整備エリアにおいては、事務所や従業者数が増加し、職と住のバランスが向上するなど、着実に成果を上げてきているというふうに考えてございます。
こうした整備に当たっては、都と関係市による核都市連絡会議というものを実施いたしまして、施策や事業の検討を行うとともに、データ等を収集分析し、整備の進捗状況について検証を行いながら取り組みを進めてきております。
○河野委員 業務核都市などを中心に着実な成果が上げられてきたというご答弁ですが、本当にそうなんでしょうか。立川、町田、八王子などの地域を私自身も訪れていますので、全く地域を知らない二十三区の人間ということではありません。大規模な商業施設が入ったビルが何棟も建っておりますけれども、ビルの業務床の利用が進まずに、結果として地元市が借り上げるなどの財政負担が発生していると聞いています。地域の商店街の衰退の一因になったということも、これまで指摘されてまいりました。多摩の心しん育成・整備計画によるこの開発がこうした問題をつくり出してきたことについて、東京都がどんな認識を持っているのかを伺っておきます。
○瀧本参事 この多摩地域の整備に向けまして、多摩の心しん育成・整備計画に基づいて、これまで整備を進めてまいりました。そして今日、社会経済状況の変化や都市づくりを取り巻く環境というものが大きく変化をしてきておりまして、それを踏まえて、今回の計画では、市街地の外延的拡大の抑制を図り、核都市や生活拠点における基盤施設など、既存ストックの活用を図りながら、業務・商業等の都市機能が集積したコンパクトな市街地に再編していくことといたしております。
こうした方針のもとで、今回、前回の多摩の心しんの計画というものも継続したものを引き継いでございますが、そうしたプロジェクトについては、地元市や都、地元住民が連携を図りながら、まちづくりの取り組みを進めているものでございます。こうしたまちづくりのプロジェクトとして、例えば、業務・商業等を整備する際に、事前に市場調査等による需要を把握して床面積の算定等を行うなど、事業の着実な実施という観点から十分な検討を行っているところでございます。また、地元自治体が地域のニーズを踏まえまして、住民サービスの向上に向けて再開発等を行う中で公共公益施設の整備を行うといったケースもございます。
○河野委員 一例ですけれども、八王子の北口開発では、市が駐車場に二十五億円を負担、町田市、青梅市などでも、数十億円レベルで市財政を投入して再開発ビルや公共施設の設置に協力したという状況があったと聞いています。国と都が打ち出したこの計画に、比較的財政力が弱いといわれている地元市が協力を求められて、かなりの財政負担をしてきたという事実、これはあったということは確かだと思うんです。
次の質問を行います。今回出されている計画には、新たに生活拠点のまちづくりとして、七つのプロジェクトが例示されています。日野市の豊田駅前開発、東村山駅周辺開発などですが、例えば豊田駅前のURが開発する大型商業ビルについては、商工会議所の役員さんから、何の相談も聞いていないと、意見が出ているということです。東村山駅前開発も道路問題で、まだ地域住民の合意が形成されていないと聞いています。都がまちづくり計画を策定し、事業を進める上で重んじられなくてはならないのは、地域住民の意見要望、これだと思うんです。
これまでの業務核都市開発で周辺の商店街が疲弊してきた。このことは先ほど申し上げましたが、まちづくりは本当に住民参加、生活や営業の保障が優先されるべきなのに、都の計画づくりはその視点がどうだったのか、これが今、振り返ってみる必要があると思うんです。私は、今までのままでよいのかということについて疑問を持つんですけれども、いかがですか。
○瀧本参事 今お話のございました、その七地区の生活拠点のまちづくりでございます。今回、この多摩の拠点整備基本計画では、その七地区のものを計画の中でお示しをしてございます。この中では、このまちづくりのプロジェクトを取り上げてございます。市施行、都施行、民間施行など、事業主体が定まった実施段階のプロジェクト、あるいは計画段階のプロジェクトがございます。
これらのプロジェクトを進めていくに当たっては、当然これは、地域の住民の方々を含めた合意のもとで進めていくというのが、これが基本になるわけでございます。ただ、その中でも、いろいろな事情なり何なりを住民の方々が抱えている中で対応していくということが基本になろうかと思います。
これらのプロジェクトについては、地元市と民間等の事業者が、そうした地元住民などと話し合いを重ねまして、合意形成を図りながら事業の実施に取り組んできているもの、あるいは計画づくりを進めているというものでございまして、そういう中では地元のまちづくりとしての取り組みとしてやっていくプロジェクトということでございます。
○河野委員 この拠点整備基本計画ですか、ざっと読んでみて感じたことも含めて伺っておきますが、多摩のまちづくりの計画を策定するというのであれば、本当に地域の特性に配慮した内容にしていく必要があると思います。多摩地域には豊かな自然があり、良好な住宅地が守られています。多摩地域には、自然の恩恵を受けた農業、林業など、二十三区にはない貴重な産業があります。里山の緑地や景観もたくさん残されています。都が策定しようとしている拠点整備計画は、主に駅前の開発が重点になっている。そのために、多摩らしい産業の育成や環境の保全計画、その展望が計画の中から見えてこない、こんな感じを受けるんですけれども、都の見解はいかがですか。
○瀧本参事 今回のこの多摩の拠点整備基本計画でございますが、核都市や多摩各地の生活拠点など、多摩の拠点の整備を進めることによりまして、活力と魅力にあふれ、自立して一層の発展を遂げる多摩地域の実現を図っていこうというものでございます。
この計画の中の基本方針では、コンパクトなまちづくりによる市街地の再生を基本といたしまして、緑豊かな都市空間の形成や、地域の特性を生かした美しく魅力あふれる都市景観の創出等を掲げまして、核都市や生活拠点など、多摩地域のまちづくりを促進することにしてございます。
また、それぞれ個別のプロジェクトにおきましては、多摩各地の特性に応じまして、それぞれの特色を生かしたまちづくりを進めていくこととしております。
この計画に基づきまして多摩の拠点のまちづくりを進め、駅前中心市街地に、業務・商業、文化等の都市的な機能の集積を図っていくということは、周辺地域における緑の保全を初めとしまして、良好な環境を形成することに寄与するものと考えております。
○河野委員 計画について意見を述べさせていただきます。
多摩地域のまちづくりには、自然環境と共生する姿勢が欠かすことができないと感じます。拠点整備計画には、「十年後の東京」にも掲げられている多摩のシリコンバレー構想なども載っていますけれども、このような開発は、間違いなく貴重な緑の喪失につながるのではないでしょうか。実際に計画の中には多摩地域のみどり率の低下も記されています。
現在、東京都が力を入れて進めている都市再生のまちづくりは、東京一極集中の是正どころか、ヒートアイランド現象などをさらに深刻化させて環境を悪化させてしまう、このことが指摘されています。環境を保全し、持続可能な都市東京のまちづくりを進めることこそが求められている中で、この多摩の拠点整備計画はそれにこたえるものになっていないという感じです。
都は、「十年後の東京」と一体に、二〇一六年までに、集中的にこの取り組み期間としていくとしていますけれども、地元関係住民や自治体の意見、要望を十分に酌み取る努力をされるように強く要望して、質問を終わります。
○こいそ委員 それでは、私も多摩の拠点整備基本計画につきましてお聞きをしていきたいと思います。特に私は多摩ニュータウンを中心にお尋ねさせていただきたいと思いますけれども、今も話がありましたように、平成十年に策定された多摩の心しん育成・整備計画の見直しを行って、新しい計画をつくるんだというお話であります。大変結構だなと思っておりますけれども、その中で多摩の心しん、現在の核都市でありますけれども、多摩ニュータウンについて、この心しんの計画のそのまだ前に、昭和四十年代初頭に整備がもはや始まってきているわけでありますけれども、以来、これは何回もいっておりますけれども、四十年間の時間の経過があると。当初は人口の増加に対応するための、これはいわゆる都心部における人口が非常に集中化してきた、それに対する対応をしていかなきゃいけないということで、住宅の大量供給ですね、これが中心的だったと思いますけれども、その後、業務機能の導入も比重を移しつつ職住近接を進めると、今のような核都市としての整備が随時行われてきたということであります。
そこで、最初に、多摩ニュータウンの整備について、これまでの東京都の取り組みの経過と整備の進捗状況、これを確認させていただきながら、次に進んでいきたいと思います。
○瀧本参事 多摩ニュータウンにつきましては、高度経済成長に伴う東京の急速な人口増加による住宅難への対応と、急速なスプロール化の防止を目的としまして整備の計画が策定され、昭和四十年に新住宅市街地開発事業として都市計画決定されて、翌四十一年に事業に着手をいたしております。
この新住宅市街地開発事業や土地区画整理事業、関連公共施設整備事業等によりまして、宅地造成、道路や河川などの基盤整備、住宅、学校、清掃工場、鉄道、商業施設等の整備が行われてきました。
委員からお話がございましたとおり、多摩ニュータウンは当初、住宅の大量供給を主な目的として事業を開始しましたが、その後、昭和六十一年の新住宅市街地開発法の改正により、住宅都市から多機能複合都市を目指すこととなりました。平成十年以降は、多摩の心しん育成・整備計画に基づき、拠点機能の拡充等に向けて整備を進め、現在は水準の高い都市基盤が整い、すぐれた環境のまちが形成されております。
一方、事業開始から四十年が経過しまして、初期入居地区などで建物の老朽化も見られ、また少子高齢化の進行やライフスタイルの変化など、新たな時代の状況に対応したまちづくりが求められてきております。
○こいそ委員 今、ご答弁をいただきました後段の部分ですね。四十年間経過した、建物も極めて老朽化が進行している、少子高齢化の進行やライフスタイルの変化などまさに新たな時代対応が求められる、全くそのとおりだと思っています。
その中で、多摩ニュータウンの中心的な、いわゆるセンター・コアといいますか、この位置づけが示されましたけれども、多摩センター地区ですね。この中で多摩センターについて東京都の、私、まちづくりの考え方というのはたびたび聞かせていただいておりますけれども、ここでこの考えをより明確にお示しをしていただいて、主体的にどのように東京都が、今までの計画を総括する中で、新たにこういう計画に取り組んでいくのか、こういうところをぜひお聞かせいただきたいと思うんですね。
その中で、これはもう東西南北、いわゆる駅舎を中心として、北、南、東、西とあるわけでありますけれども、それぞれ開発手法が違いますよね。一定水準では、私はないように思えるんですね。
こういう中で、やはりまさに一体的な開発を主導するのは、私は東京都だと思うんですよ。都市整備局だと思うんですね。その中で、ぜひ聞かせていただきたいなと思っております。
今回、多摩の拠点整備計画において、位置づけが今申し上げたようなことでありますけれども、まさに今後まちづくりに責任を持って、東京都がどのような形で、このまちをよりしっかりとした形で、今申し上げたような計画をしっかりと据え置いて進めていくのか、お願いしたいと思います。
○瀧本参事 今、お尋ねのございましたこの多摩ニュータウン、その中のとりわけ多摩センター地区ということでございますが、多摩ニュータウンの整備エリア、核都市としての整備エリアは、今お尋ねの多摩センター地区、南大沢センター地区、若葉台地区と、三つの地区が整備エリアとして設定されてございます。
この中で、多摩センター地区は、センター機能を強化していくべき中心的な地区として、業務・商業等の多様な機能の集積を図り、多摩ニュータウンの中核拠点としての整備を推進することが重要というふうに考えてございます。
この多摩センター地区においては、今後、計画的に整備された高度な都市基盤を活用しまして、業務・商業、文化等の都市機能の一層の集積を図るとともに、情報関連産業やSOHO、コミュニティビジネスなど幅広いサービスを提供できる拠点としての整備を進めていくことが重要というふうに考えてございます。
この多摩センター地区については、委員から今お話がございましたように、この南側と北側というものを一体的に整備をしていくと。そしてセンター機能を強化していくということが必要でございますが、これまで南側の事業は旧公団、これは現在の都市再生機構でございますが、北側の事業を東京都が担当してきた経緯がございます。そうしたことで、それぞれ事業者が異なったという状況もあったかと存じますが、東京都といたしましては、この南側と北側を全体的な見地からとらえまして、一体的に業務・商業機能等の集積を図っていくことが必要というふうに考えてございます。
今後も、こうした都市再生機構あるいは地元市をリードいたしまして、東京都といたしまして、積極的にこの多摩センター地区の一体的なまちづくりに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○こいそ委員 まさに都の、私はやはりもう一段の関与というのは極めて重要であり、かつまた、今回このような計画を示された中で、やっぱり四市ですよね。稲城、多摩、八王子、町田と、こういう中におけるセンター・コアとしての位置づけが明確になっているわけでありますから、この中でやはり整備水準が、この事業でも、平成二十一年、この段階においても整備手法が違う。なおかつ、特に南側について、今お話しのようにUR、ここがやはり土地処分を行う。それは自分の土地でありますから。しかし、これは土地はそうであっても、強制執行で召し上げたところもあるわけであって、やはりふくそうする、いろんな地元の思いもありますよね。
こういう土地が公団で、公団というか、今は都市機構。都市機構が処分する。地元は同意する。東京都の関与は全然ないんですよね。ほとんどないですね。後に続く中沢もそのうち触れますけれども、ありません。少なくとも、北側はどうだというと、東京都区画整理事業で進んできた。ここのところなんかあれですよ、都市ガスだってまだ普及していないところがありますよね。それからさらに北側台地、東京都が管轄する今いったところ。ここをただ土地処分するんだと、こういうことでしょう。後でまた聞きますけれども、私、もうちょっと東京都がこうやって、今度はしっかりした計画、示していただくのであれば、このあたりの東京都のまちづくりとしての広域行政体としての位置づけ関与がまさに必要じゃないですか。四市の中におけるセンター・コアとしての明確な位置づけがある。その中における駅舎を南北に分けても、南側は東京都は口出しできない。東京都が何の関与もでき得ないという現実状況というのは、私はおかしいと思いますよ、これはっきりいって。
例えば、今いいましたけれども、土地処分した。大変いい場所ですよ。これ公団の、ほとんど都市機構の判断だよね、処分は。そうすると、そこは何街区かが--会社更生法がまず一つ。地元でもいろいろいっていましたよ、大丈夫なのかと。それから、もう一つもだめですよ。こういうところは幾つかあるんだよね。こんなの、全然、東京都は口出しできないんですか、これ。まちづくり、そこでとまっちゃいますよ、はっきりいって。
やはりこれだけ核都市だ、多摩の心しんだ、業務核だと、こういう形で進んできた中で、東京都の行政関与、一体感、一体的と私、いいましたけれども、東京都のやっぱりプレゼンスというか、責任関与といいますか、こういうものを一段とっていただかなければ、はっきりいってよくわからない。
私も機会あるごとにいっていますけれども、いろいろと地元の商店だとか、いろんな会に行っていっていますけれども、しかし実際、冷静、客観的に南側に立ってみると、いろんな催しだって、今いったところの都市機構を初めとする、そしてその関連するところが中心ですよ、いつも。東京都からいっているのはほとんどないですね、これ。呼ばれてもいないでしょうけれども。
こういうことで、果たして、こういう位置づけをこれからしっかりする中で、素地があるのかどうなのか、まちづくりで絡んでいく素地が。これ、まさに広域行政体、いわゆる東京都が全体的に責任を持って果たしていく一つの--私は、ぜひこれ、南側についても積極姿勢をより持ってもらって、ぜひこれ--一つの話として、今いった街区があります、会社更生法の適用を受けても全然進んでいない。
それからもう一点は、駅前一等地ですよ。まだまだあれでしょう、歩いて数分ですよ。空き地ですよ、空き地、幾つか。そんなばかなことがあるわけないでしょう、だって。
そういう中で、もう一つは、わんにゃんランドという、犬を中心とするいわゆるテーマパークみたいなのがあったんですね。これももう撤退だ。十五年の貸与で撤退です。そうすると、そこはまたがあんとあいちゃう。こうすると、いわゆる計画性というのはどうなのか。まちづくりの連続性って一体何なのか。これも本当に思うんですよね、これ。
ですから、ぜひ東京都の責任をより明確にしてもらって、今こそ果たすべき役割をしっかりと果たしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○瀧本参事 今、お話のございましたこの多摩センター地区でございますが、この多摩センター地区は、多摩ニュータウンの、まさにこのセンターの中心地区でございまして、今お話ございました南側と北側を一体のものとしてセンター機能を強化をしていく、一体的なまちづくりを進めていくということが重要というふうに私どもも考えてございます。
ただ、これまでの経過をたどってみますと、南側を都市再生機構、北側を東京都が担当したという経緯がございまして、それぞれの事業で進んできた面もあるかと思います。また、これまで南側の都市再生機構の土地処分、こういうものの中で、URとしての決定で進んだと、こういう地区もございます。
こういった点については、こいそ委員からもいろいろご指摘もちょうだいしているところでございまして、この都市機構とは、土地利用情報連絡会議といったような協議の場というものを設置いたしました。そして、その場において、これは地元の多摩市にも参画を求めまして、この都市機構の南側のエリアの土地処分などにつきまして協議を行っているところでございます。最近では、この中沢地区の用地の活用について協議を進めているという状況がございます。
東京都といたしましては、今お話にございました広域的な自治体ということでございますので、そうした観点に立って、この都市機構、そして地元市をリードいたしまして、この土地利用情報連絡会議といった場も活用して、南北一体的なまちづくりの推進に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○こいそ委員 ぜひひとつお願いしたいということで、要望も強くさせていただきたいと思います。
続きまして、今の一体という中で、これもかねてから取り上げさせていただいておりますけれども、いわゆるデッキですね。北側に向かう、都有地に向かうところの、ちょうど南北のモノレールが走っています。その中で、今いいましたように、北側の方ですけれども、このモノレールの沿線に沿って、一時期、デッキを整備するという話がありました。これも取り上げましたけれども、その後に向けて、二十二年度予算で地元市がその調査費を計上していくという考えがまとまってきたようでありますけれども、このデッキの整備全体に要する事業費のうちの地元市負担というのは実際どのくらいなんでしょうか。
○瀧本参事 この多摩センター駅の南北の一体性の強化というような観点から、今、委員お話しのこの歩行者デッキの整備についての取り組みというものを、これは以前から、地元住民から強い要望が出されておりまして、平成十九年度に都と多摩市で役割分担して協力して整備することとなりました。
そして、その後いろいろ経過をたどりまして、今、お話がございましたけれども、平成二十二年度の予算に市の方で調査費を計上しようということで、地元住民との連絡会なども設置して取り組みを進めているというふうに聞いてございます。
この歩行者デッキでございますけれども、これは東京都といたしましても、この多摩センター地区の南北の一体性の確保のためには、このデッキの整備が不可欠というふうに考えておりまして、この早期整備に向けて地元市と連携して取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。
この歩行者デッキの整備でございますけれども、歩行者デッキといたしまして、多摩センター駅の北側から都道に沿って山王下緑地の斜面に至るルートについて、都市計画決定を行って都市計画事業として補助を受けて整備を行うというふうに想定した場合でございますが、地元市の負担割合は、調査費、工事費を含めた事業費全体の一五%から一八%程度というふうに見込まれてございます。
○こいそ委員 そうしますと、デッキの整備費の大半は、東京都などが行うということで理解しますけれども、これはこれでわかりますけれども、いずれにしても、その後にお話しをさせていただく北側の都有地のこれからのまちづくり展開においても、南北一体的なまちづくり形成を図っていくにも、やはりどうしてもこれはデッキというのは必要だと思うんですね。
その中で、このデッキは、これ、要するに地元負担は私は当然だと思います。これだけの負担は、一定の負担割合は。
しかし、さりとて、これ考えていただかなきゃいけないのは、あのデッキを通れば、さっきの土地処分にもいい影響を与えますし、まちづくりにもいい影響を与えますけれども、これ、八王子市の住民の皆さんが相当使うんじゃないかと思うんですね。松が谷とか、鹿島、松が谷団地、食い込んでいますからね。そういうことから見たときに、ぜひこのデッキの広域性というんですかね、こういう観点ももう一度ひとつ、地元市、地元市とよくいわれますけれども、それは確かにそうなんですけれども、よくわかるところはもうしっかりわかっておりますけれども、しかしこういう広域性があるんだということも、このデッキの非常に重要な、整備を行っていくという中で、やっぱり一考以上のものがあるんじゃないかと思うので、これはぜひ整備に、これからもいろんな諸般あるでしょうけれども、実現方お願いしたいと思っております。
それとともに、多摩センター駅の北側、今、続けますけれども、都有地が七ヘクタールぐらいまだあるんでしょうかね。こういう中で、十三ヘクタールから七ヘクタールということで土地処分が行われてきた、こういうことなんですけれども、しかし実際的に今残されているところは、私は極めて慎重に土地処分を考えるべきだと。
いわゆる処分ありきじゃなくて、要するに前提として、さっきいった東西南北もそうだし、今回のこの計画そのものもそうなんだけれども、やはり北は大切ですよ、北側の方の都有地。あれだけまとまった土地をこれから購入するなんて、駅至近でね。ましてやデッキをもし整備するとするならば、非常にこのいろんな面での価値というのかな、まちづくりのポテンシャルがさらに上がってきますよね。
こういうことから見たときに、私はやはりこの北側の、このデッキの計画もそうかもしらぬけれども、北側の都有地の今後の、あそこの部分だけじゃなくて、街区だけじゃなくて、全体的に何か公益性の中におけるこの都有地の今後の活用のあり方、処分のありよう、こんなこともやはりこういう形で、こういう企業立地なり、こういうサービス機能を充実させるなり、研修的な機能というんですか、施設立地というか、そういうことを踏まえても結構ですから、大きなグランドデザインというんですか、これを描いてほしいと思うんですね、これ。
ただ、第一は土地処分です。十三ヘクタールからあと残り七ヘクタール、いよいよなりましたと。七ヘクタール気合い入れて売りますということじゃなくて、これだけ駅至近、非常に立地条件というか、利便性も上がってきた。またさらに上がろうとしているところですから、こういうやはり公的、公益的な観点に立った、それからやはりにぎわいと発展性ですよね。こういうことを踏まえた、何か一つ描いていただけないかなと思うんですが、どうでしょうか。落とし込んでいただくというかね。
○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 多摩センター北地区は開発ポテンシャルの高い地域でございまして、緑豊かな環境を生かし、情報関連や研究開発機能などの集積を図るなどしまして、魅力あるまちづくりに資するように施設立地を促進していくとしてございます。今、委員からお話ございましたとおり、この都有地、全部で十三ヘクタールございまして、これまで七ヘクタールほどを処分いたしまして、オフィスとか物品販売、研修などに利用されてございます。残りの未利用地の活用に当たりましては、地元市や関係者と十分連携調整しつつ、ただいまご指摘の趣旨も十分踏まえまして、公益的観点も踏まえて、核都市としての多摩ニュータウンの発展とにぎわいに寄与していくようにしたいと考えてございます。
○こいそ委員 まあ、きょうはこれ以上いいですからね。
それはわかるんですよ、極めて。非常にすっと耳に入ってくる話なんだけれども、であるからこそ、具体性が欲しいわけ。具体的にどうやっていくかという段階だと思うんです、私はっきりいって。その話はよく理解もできます、一定的に。しかしもう一段--少なくたって、今お話も前後でありましたけれども、十三ヘクタールからもう七ヘクタールしかないんですよ、実際問題として。
そうやって考えたときに、じゃあこれからどうするんだと。いや、土地処分をやっちゃうんだということだけじゃなくて--それは土地処分も必要かもしれない、時としてね。そういうこともあるでしょう。いわゆる遂行する中でね。しかし、それだけではない部分というのもあるんじゃないのかなと。
ですから、具体性を持った形でぜひ--これはこういう、前にもありましたよね、青写真というのはね。平成九年段階で、私示してもらったことがあります。その都度、どうなんだということを示していただいたことがあります。しかし、今いったように、こうやって時系列で追っていっても、だんだんあの状況も変わってきているわけです、地域の状況もね。やっぱりこれから未来志向の中で、現状と、これからこの計画が示されるわけだから、それに基づいた、生活拠点的なものという話もあるし、広域的な業務、発展性も促進させていくという意味合いから、ただ売るというだけじゃない中で、私はもう一段の取り組み方をお願いしたいと思っているんですよ。具体性をひとつ持っていただきたいなと、この本計画とともに。これは要望いたします。
それと、もう一点だけ、これちょっと、さっといいますけれども、先ほどの、これ集中して申しわけないんですけれども、四市にまたがっている。非常に広域的なんです、あそこ。実は多摩センターというのは。多摩センターというのは、まさに先ほどからいう多摩ニュータウンの中心なんです。そういう中における、多摩市にとっては極めて、何というか、センターじゃないんですね。多摩のまちからすればセンターじゃないんです、市からすれば。極めてこれ、町田市と八王子市に隣接しているんです。極めて隣接している、この多摩センター。だから私は、広域性、広域性といっているんですよ。ですから出番なんですよ。責任なんですよ、これ、東京都の。責任の所在なんですよ、これ。
そこの中でもうちょっと進めると、これも隣接しています。町田市にも八王子にも隣接している。ここの、例の西側ですよね、中沢というところ。ここあたりも、私、周産期というのは、平成九年から、私は私なりに取り組んできました。本会議の予算、決算でも取り上げてきてやってきました、ずっと。だけれども、ここのところは多摩南部地域病院というのがありますけれども、なかなか今、ドクター不足だと。厳しい状況があります。診療科目の問題もあるけれども。しかしこういう中でも、今のこのとき、時代の中で、まさにいわれている周産期だとか福祉、介護だとか、ここ実際あれでしょう、少し変えちゃったみたいだけれども、本来病院立地、医療、福祉、介護ゾーンとして、四・二ヘクタールカウントされていたところじゃないんですか、ここのところは。もう今、一・六ぐらいに減っちゃいましたよね。
その間、どういうことがあったと、私はこの委員会でいいました。いつの間にといういい方をしたら大変申しわけないけれども、ある日突然、マンションがぼおん、ぼおんと建って、戸建て住宅がわあっと広がって、あれは何だ、起重機がまず動いたな、起重機が。一体あれは何だと。それはもうあれですよ、さっきいった土地所有者なりURが地元市と話をして、地元が同意したから、ぱあんとあれしたわけでしょう、処分したわけでしょう。
ここは本来、もう何回もいって申しわけない、これだけにしますけれども、ここはやはり東京都の広域性があると思う、私は。
広域的なところなんです。これは医療だ、それも公的医療をしっかりここに根づかせる。周産期医療なんて、ここでやらなくて、どこでやるんですか。はっきりいって。
それから、もう一点は、新しいまちづくりをつくった施行主体者の一つは東京都じゃないですか、これ。医療が欠乏しているんですよ、はっきりいって、ここのところで。こういう中で、私は、市を支援しますよ、だれが支援しますじゃないと思うんです、これ。認識は一致をさせていただいているかと思うけれども。ですから、ぜひここのところは、市を中心とするとか、どこを中心とするんじゃなくて、私は、やはりカウントしたのは東京都だと思っていますよ、これ、前段として。
ですから、東京都が責任を持った形で、主導的に中心的立場で、私はこれらの本来的な立地を、共同して促進をぜひしていただきたい。これは強く--地元に住んでいる人も何人かいるけれども、私がいっていること、大体わかっていると思うよ、これはっきりいって。どうなっちゃっているんだという話があるんだから。ぜひよろしくお願いしたいんですが、どうでしょうか。
○瀧本参事 今、お話のございました中沢地区でございますが、これはかつては病院用地というふうに位置づけられておりまして、現在は医療施設、教育施設等々の広益的施設用地というふうになってございます。この中沢地区については、これまでの経過の中でも、委員お話しのようないろいろな状況がございまして、現在、未利用となっている土地は約一・六ヘクタールと、こういうことになってございまして、これは都市再生機構が所有をいたしております。
この当該土地について、この病院の必要性については、委員からもお話を承ってきておりまして、この地元の多摩市でも、この周産期医療等の施設を誘致することにしてございます。また、都においても、医療施設は福祉保健局の所管でございますけれども、都市整備局といたしまして、まちづくりの観点から周産期医療等の施設の立地が必要と考えておりまして、この病院の誘致に向けまして、都市機構、市、そして東京都の三者によって協議を進めてまいりました。
その結果、先月でございますが、都市機構は今後一定の期間、土地の処分を留保することとなりました。その間、東京都と市で、これは連携をいたしまして、病院を誘致することで合意いたしました。
今後は、その病院を開設する事業者の勧誘に取り組むことといたしまして、今年度中の事業者の確定を目指して、まずこれは市が中心となってリサーチ活動を取り組んでいく予定ではございますけれども、都市整備局といたしましても、これは中沢地区の病院誘致に向けまして、このリサーチ活動あるいは医療部門との調整などについて、積極的に市と一体となって支援をし、一体となって進めてまいりたいというふうに思ってございます。
○こいそ委員 これは私たちも当然地元の一人として責任があるわけでありまして、ただ単に局だけに要望するということもあれなんですけれども、我々も一緒になってしっかりとこのあたりは、汗もかかせていただきたいなと思っております。よろしくひとつお願いします。
それと、ちょっと続きますので、時間もあれですから、ちょっと経過しておりますので……。
今度は多摩ニュータウンの中の諏訪、永山地区の整備ということで、これは昭和四十六年初期に入居が始まりました、この地区であります。一番古い、いわゆるまち開きが始まったというところでありますけれども、その初期入居である、この再生整備が極めて重要課題になってきたのかなと思うんですね。
その中で、地区内にも分譲マンションと都市再生機構の賃貸住宅、都営住宅等々が建ち並んでおりますけれども、とりわけ諏訪二丁目団地というのがありますね。平成十八年に、これは長年の平成九年からの懸案でありました、諏訪、永山地区だけが都市計画上の一団地のいわゆる網かけがあったという、この規制を外してもらいたいという思いで、ご努力もしていただいて、規制が外されました。とりわけ、この今申し上げた諏訪二丁目においては、建てかえが今、始まろうとしております。
その中で、東京都の補助金でありますけれども、一時、廃止される方向でありましたが、東京都都市居住再生促進事業ですね。これがやはり補助金としてのなし得るところだと思うんですけれども、これを活用しながら、地区の再生整備が今進められているということであります。
また、昭和四十年代の--いわゆる三十年代の都営住宅が、いよいよ四十年代段階まで建てかえに入ろうかということも想定されているようでありますけれども、こういう中で私は、再生、大規模団地であるけれども、全部手をつけていくのは大変ですけれども、やはり初期段階で入居したところ、そして、こういう管理組合が中心になって、いわゆる再生事業を行っていこうということに対する支援は、私は結構だと思いますよ、当然。
それともう一点は、今いったような四十年代段階に差しかかっている建てかえが、こういうところによってミックストコミュニティ、よく住宅政策でありますよね。こういうものをどうやって生かしていくのかなと。こういうやはり新たな時代の転換点の中、それから再生整備を行おうとする方向性の中で、これちょっと聞かせていただけませんかね。
また続けますと、この地域に、多摩ニュータウンに、やはり子どもの、少子高齢的なものがじわじわと来ております。その中で、建てかえのときもそうでありますけれども、ファミリー世帯層が居住できる環境、居住環境を、これも整備する必要性があるんじゃないかと。質、条件等、いろいろあると思いますけれどもね。
それと、先ほどの話じゃありませんけれども、今どき、現時点では、やはり命と健康ということになれば、医療、福祉、介護、今日的なものがあります。ミックストコミュニティというのは、都が考えられる新たな再生整備をどう考えているのか、そのあたりを教えてください。
○瀧本参事 諏訪、永山地区の再生整備ということでございますが、この諏訪、永山地区は昭和四十六年に入居が開始された多摩ニュータウンの最初の住区でございまして、中層の集合住宅を基本としてポイント的に高層住宅が配置され、歩行者専用道路により人と車の分離が図られるなど、計画的な市街地が形成されてまいりました。しかし、入居開始から約四十年がたちまして、建物の老朽化や居住者の高齢化が見受けられるところかと存じます。
現在、地区内の分譲マンション、先ほどお話ございましたように、建てかえに向けた取り組みが進められているところでございまして、この建てかえに合わせて、地元市では、歩行者専用道路、公園等のバリアフリー化を行う計画が進んでおります。
今後の諏訪、永山地区の再生整備につきましては、時代状況の変化を踏まえながら、公民が適切に連携したまちづくりとしての取り組みが重要というふうに考えております。また、この住宅の建てかえあるいは施設の整備というものを進めるに当たっては、今、委員からお話がございましたように、ファミリー世帯の居住あるいはお子さんの住む団地、そういったミックストコミュニティ、新たな時代に対応した機能の導入といったことに十分配慮することが必要というふうに考えます。
今後、諏訪、永山地区の再生整備に向けて、地元市や都市再生機構等と連携して検討を進めてまいります。
○こいそ委員 やはりこのミックストコミュニティ政策を現実に、これを導入できるのは、私はこの地域からじゃないかなと思うんですね。ですから、ぜひより一層の検討を加えていただいて、どういうふうな形で導入するか、こういうあたりも、ぜひ計画性を少し持っていただく中で考えていただきたいと思っております。
そして、今申し上げた、ちょっと続けますけれども、諏訪二丁目住宅建てかえの現状と今後の都の取り組みということで、ほとんど触れていただいた部分もありますけれども、いわゆるこの建てかえに当たって、申しわけないので、これは要望でいいです。これ関連しているので。申しわけないけれども、情報が途切れちゃっている部分もあるんですね。それはいろんな事情がある。わかりますよ。だけれども、このいわゆる建てかえというのは非常に全国的に注目されているんですね。あれだけの大規模団地をつくって、これだけやはり計画的にしっかりと建てかえを行っていこうと。
きのうの朝日新聞だったですかね、載っていましたね、これ。もっと詳しく載っていました。ですが、そういうことは余り伝わってこない、我々にも。ですから、ぜひそういうところは我々も連携をとっていきたいと思っておりますし、一定の東京都の動きというものを広報させていただきたいと思いますし、地元の声をまた上げさせていただきたいと思っておりますので、こういう関係、我々も積極的にやっていきたいと思いますけれども、ぜひそういうようなことも据え置いていただきたいなというふうに要望させていただきたいと思います。
それと、次に、生活拠点の整備ということであります。先ほどからの話で、多摩の拠点整備基本計画で生活拠点の整備が位置づけられたと。これは多摩全体の活性化を図る上で、私たちは大変結構なことだと思います。そして、私の地元である多摩市と稲城市、両市でありますけれども、鉄道駅を中心とした生活拠点が、当然にして鉄道結節点である駅に幾つかあります。合わせると十一駅ありますけれども、そこで生活拠点の整備として、例えば現在、東京都が事業主体となって実施している南武線の連続立体交差化事業において駅前地区の整備を、連続立体交差化事業そのものはちょっと違いますけれども、駅前地区の整備は、都はどのように考えているのか、お願いしたいと思います。
それとあわせて、続いてやります。連続立体交差化事業による鉄道の高架下利用ですね。公共空間であります。当然、空間が少しとれるわけですよね。この中で、公共、公益的な空間ということの位置づけの中で、また京王線と小田急線、先ほどは南武線の話、今回は京王線と小田急線でありますけれども、過去の多摩ニュータウンのいわゆる整備事業において、鉄道事業用地がどのように取り扱われていたかという経緯を、いま一つ確認をしていきたいと思いますので、お願いしたいと思います。
○瀧本参事 私の方から、その前段のところの駅前地区の整備、生活拠点の整備のところについてお答え申し上げたいと思います。
この多摩ニュータウンを初めとしまして、多摩地域の活性化を図っていくというためには、核都市とともに、多摩各地の生活拠点において都市機能の充実等を進めていくことが必要でございまして、今、委員からもご評価をいただいたところかと存じます。
この計画では、都市計画マスタープランにおける生活拠点を提示いたしまして、地域の特性に応じながら、これらの拠点の整備を促進することとしております。
お尋ねのこの南武線の駅前地区でございますが、稲城市北部の中核となる生活拠点でございまして、現在、JR南武線の連続立体交差事業とあわせて、市施行による土地区画整理事業が行われており、矢野口駅、稲城長沼駅、南多摩駅の三つの駅前地区において計画的な整備が進められております。都におきましても、この土地区画整理事業に対し、技術面での指導、助言、国庫補助を含む補助金の交付などを行っておりまして、今後も整備の促進に向けて支援に努めてまいります。
○小澤多摩ニュータウン事業担当部長 引き続きまして、私から後段の部分でございますけれども、鉄道事業用地についての経緯の確認でございますが、多摩ニュータウン内の京王線と小田急線の鉄道用地は、土地区画整理事業の区域と新住宅市街地開発事業の区域に分かれてございます。土地区画整理事業の区域内の用地につきましては、事業施行者でありました都が保留地として京王電鉄及び小田急電鉄に売却をいたしまして、新住宅市街地開発事業の区域内の用地につきましては、都及び旧日本住宅公団が事業用地として両電鉄に売却しております。
○こいそ委員 要するに、非常に細長い地形の中で、区画整理側に、なぜ鉄道敷が振られてきたのかと。いわゆる新住との端境でありますから、そういうことなんでしょうけれども、いずれにしてもいろんな問題がその後に引きずっておりまして、それはきょうはちょっとあれなんですけれども、鉄道事業者が土地を購入したといっても、鉄道高架下はまさに公共的な空間であると。その利用方法の検討については、地元市と鉄道事業者だけではなく、都も参画して--これは今、区画整理は東京都の主体事業なんです。区画整理事業なんです。東京都施行なんです。都の施行なんですね。
こういう中で、都も参画して大いに六者協議ですか、いわゆる京王と小田急を対象としているのは六者協議だと。そこで、六者協議において、鉄道高架下の利用に関する協議や調整に、しっかりとこれからも取り組んでいただきたいと、これ要望します。そういうことです。しっかり活用を図ってもらいたいということで、これはもうこういう形で。
それで、次いきます。もう時間がありませんので、あと一問。
要するに、私るる、この多摩ニュータウンの問題を取り上げてきました。時代の変遷として今から四十年前、それ以前、東京都区画整理、あのあたりは、当然今でもそうであります、人が張りついてきた。しかし、そこをどうしてもニュータウン幹線道路及び上下水道を整備しなきゃいけない。人の住んでいるところですよ。田畑、いわゆる共同墓地も全部そうだ。全面的にすべての人を、そこから域外に出てほしいといった。これはとんでもないですね。
そうしたところに、いわゆる区画整理事業が入ってきた。入ってきたんだけれども、これはニュータウンの街区がありますよね。いわゆる住区間の道路があります。そこを通らなければ多摩ニュータウンはできなかった。ニュータウン幹線道路、今走っています、鎌倉街道というのが。これはほとんど住民の減歩ですよね。河川改修、これもしかり。住区幹線道路もしかり。こういうことの認識をやっぱりしっかりと--もう過去のことだと。だって、おれはまだ都なんか入っちゃいないよと。それはそうでしょう。私だって中学生ぐらいだったかな、もっと前かな。そういうことでありますけれども、歴史は歴史だと思うので、そういう中における多摩ニュータウンがあったんだと。
それから、二十一件だったかな。要するに土地買収を、最終的にはやはり調整がつかなかった。それによって土地の強制執行が行われてきたんだと。農民から土地を取り上げれば、あすは死ぬということですね。それをわずか何百円で、今の貨幣価値にしたって大したことはありはしない。当時からしたって大したことはない。何百円だ。そうですよ。たかだか何百円ですよ、一坪というか、山林というか、山がね。何千円ですよ。
こういうことの中で、やっぱり私は、そういう時代背景の中で、都会議員としてここへ出てきているつもりなんで、きょうは総括的にこの多摩ニュータウンのことをやらせていただきました。
それで最後に、このいわゆる多摩ニュータウンの再生ですね、いよいよ始まる。次の段階だと思います。そういう中で、住宅を中層化してもっと集約すべきじゃないかという話もあれば、私はもう一つ、これはみんなに笑われる、ふざけるなといわれるかもしれない。だけれども、あえていわせてもらうと、あそこはほとんどもう農地らしい農地はありません。緑、緑というけれども、あれも再生緑地が多い。私はもう一段、スローライフという時代の中で、もうひとつ、居住空間をあけながらも--それから都有地もそうじゃないのかな、URもそうじゃないのかな、会計検査院に怒られるといわれるかもしれないけれども、あそこに果樹園をつくったらどうかと、あいているところに、共同作業で。そして花きをつくったらどうか、畑つくったらどうかと。みんなで汗を流して、子どもたちも一緒になって。
私は、残されたその、ちょっと相矛盾しているけれども、こういう発想も新しいミックストコミュニティの中にぜひ導入できないかなと思うんですよ。建物の高さ、低さだけじゃない、居住空間の広さとか、それだけじゃない、いろんな形態のまちをつくらなきゃいけない。ちょっと歩いていて音楽が聴ける、ちょっと歩いてカフェに寄ってお茶が飲める、いろんな形態も必要だと思う。そして安心してデイサービスも受けられる、これもそうでしょう。医療機関もそうだよね。そういうことも必要だと思う。
だけど、もう一段--やっぱり時代の変遷の中で多量な住宅供給を促進してきた。つくれやつくれ、山を削って、谷戸を埋めて、生態系をがっちり押さえ込んで。液状化になりますよ、間違いなく。いろんな無理を無理した、生態系を崩しながらやってきたんだ、この開発は。だけれども、当時は、昭和三十年代からおいてのやむを得ない部分はあった。
しかし、今こそ、川だって多自然型に戻そうという時代じゃないですか。いわゆる治水性を確保しながらね。こういうことの中で、私はもう一段、こういう今、私はいったけれども、みんなにいうと笑いましたけれども、しかし果樹園だと、実のなる木だとか、歩いていて、何かいやされるとか、そういう自然空間の創出というものを、私はぜひミックストコミュニティの中にも入れていくべきじゃないのかなと思えてなりません。
こういうことで、最後に、多摩ニュータウンの今回の整備基本計画がいよいよこれからということでありますけれども、ニュータウンの再生整備は、これはもうそれぞれ地元市、公社、都市再生機構、さまざまあります、関係者は。それをぜひリードして取り組んでいただきたい。そしてまた、最後に、多摩ニュータウンの再生整備に向けて、今いろんなことをいわせていただきまして恐縮でありますけれども、これに対して都として今後どう取り組みをされていくのか、お考えを局長にお伺いして終わります。
○只腰都市整備局長 都といたしましては、非常に都市づくりを取り巻く環境の変化等ございまして、そういうものを受けまして、活力と魅力にあふれ、また自立して一層の発展を遂げられるような多摩地域の実現に向けまして、このたび新たな拠点整備の計画を作成いたしまして、これをもとにしまして、多摩地域の都市づくりの展開を図っていく覚悟でございます。
今、委員から、多摩ニュータウン、経過も含めまして、るるお話ございました。もともとはスプロールの防止ということで新住宅市街地開発事業が進んできたわけでございますが、お話のように、すべてが買収手法でなされたわけではございませんで、特に谷の地形で、昔から住宅のあった、あるいは農家のあったようなところにつきましては、非常に減歩という負担をしょっていただきながら、土地区画整理事業と二つ、新住事業と足して一つのまちをつくるということで取り組まさせていただいたわけでございます。そういう面では、大変地元の方の負担を強いたという歴史があることは、お話のとおりでございます。
そういう結果、業務・商業、文化、教育など、現在では多様な機能が集積する複合型の拠点として整備が行われまして、現在に至っているわけでございます。
その中で、人口の減少時代等、あるいは少子高齢化の進展、あるいはお話のございました建物の老朽化等、多摩ニュータウンをめぐる情勢の変化がございます。そういう面では、そういう情勢の変化を踏まえまして、新たな視点、観点に立った取り組みが必要な時期に来ているのではないかというふうに考えてございます。
都といたしましては、今回つくります多摩の拠点整備基本計画に基づきまして、今後とも地元市や都市再生機構等と、お話ありましたようによく連携を深めまして、いろいろ都市計画の手法がございますので、例えば地区計画の手法等も市と連携をとる中で活用しまして、緑の保全、創出を初め、良好な住環境の形成に努めながら、新たな時代に対応した機能の導入等を図ってまいりたいと思います。
お話にございましたスローライフに適合した市民農園の整備等は一つの大きな課題でございますが、ああいう計画が非常にきちっと決まったような中で導入していくのは大きな課題があろうかと思いますが、私ども勉強の素材とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○植木委員 私は、東京の都市づくりビジョンについて質疑を行いたいと思います。
今回、東京の都市づくりビジョン改定ということで、副題として、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市の創造、こういう表題が出ています。二〇〇一年の東京の新しい都市づくりビジョン、これをどう二十一世紀にふさわしいものにしていくのか、こういう問題だろうと思うんですが、世界の先進大都市では、都市づくりをコントロールする成長管理の時代に入ったと、こういうふうにいわれています。例えばロンドンなどでも、事あるごとに超高層ビルの是非が論議され、都市づくりについても見直しが進められ、ロンドンプランも出されてきた。ニューヨークでも成長管理についての議論がされている、こういう時代に入ってきたと思うんです。
また、地球温暖化対策が人類生存のための最重要課題として位置づけられ、大都市がこの百年余の間に排出してきた大量のCO2によって海面が上昇するなど、世界の地球環境に異変がもたらされ、大都市が地球温暖化対策で果たさなければならない役割が大きく求められてきていると思います。とりわけ東京の百年の気温上昇は、世界の気温上昇から比べても三度Cと、非常に大きな上昇を示しているということで、それだけの責任があるというふうに私は思います。
したがって、これからの都市づくりは、こうした責任を明確にした、文字どおり二十一世紀にふさわしい都市づくり、これが期待されているんだろうと思うんです。
そこで、東京の都市づくりビジョン改定で、魅力とにぎわいを備えたという頭がついていますけれども、環境先進都市の創造、こういうふうな表題になっていて、改定の背景だとか性格、取り巻く社会経済情勢、課題などが出されていますけれども、現在の東京の新しい都市づくりビジョンをどのように総括してきているのか。
それから、環境や緑、景観などの視点の重視を述べていることは重要ですけれども、環境や緑を軽視したことを反省して方向を転換することなのか。この点について、まずお示しいただきたいと思います。
○安井都市づくり政策部長 まず一点目の、現行のビジョンをどのように総括してきたかということでございますけれども、このビジョンに基づきまして政策誘導型の都市づくりを進めてきました結果、例えば、外環の整備計画の決定であるとか中央環状新宿線の開通など三環状道路の整備に加えまして、羽田空港の再拡張、国際化など、首都圏の広域インフラ整備が進展してまいりました。
また、都市再生緊急整備地域が八地区、約二千五百ヘクタールにおきまして指定され、大手町、丸の内地区の建てかえ、大崎副都心や六本木防衛庁跡地の再開発など、都心の機能更新においても成果が上がってきているというふうに受けとめてございます。
一方、平成十三年に当初のビジョンを公表して以降、今日までの間、先ほどもご答弁申し上げましたが、超高齢社会の到来が現実となりまして、また地球環境への配慮もこれまで以上に必要になってきてございます。このため、現行の都市づくりビジョンの成果であった部分はさらに継承して強化しますとともに、今日の視点で振り返ってみて足りないと思われる部分は、施策を充実させることが必要と考えてございます。
また、緑や環境を軽視してきたことを反省しているのかというようなことでございますが、例えば環境という面で申し上げますと、環境に影響のおそれのある都市計画を定める場合には環境アセスメントをあわせて実施するなど、また、都市開発における地域冷暖房施設の普及であるとか、カーボンマイナスの取り組み、建設工事に伴う発生土や廃棄物の再利用の推進など、多方面にわたりまして環境に配慮した都市づくりを進めてきてまいっております。
また、緑につきましても、きょうの要求資料にもございましたように、区部、多摩ともに都市計画公園、緑地の面積を拡大してきてございます。また、民設公園制度や公開空地などの緑づくりの指針の運用など、都市づくりと連携した緑化にも努めてきているところでございます。さらに、一年間の試行を経まして、ことし二月から都市開発諸制度運用によりまして、環境性能にすぐれた建築ストックの増加、緑豊かな都市空間の形成を誘導してきてございまして、このように、現行のビジョンに沿いながらも、少しずつ時代の変化に対応しながら施策を進めてきてまいってございます。
今回の改定では、こうした考え方をより一歩も二歩も進めて、二十一世紀にふさわしい都市づくりを進めようということで改定するものでございます。
○植木委員 今のご説明をお伺いしていますと、これまでの都市づくりを評価、承継していくということと、それから社会経済情勢の高齢化や地球温暖化などの変化に沿いながら対応していって、その上で一歩も二歩も進めていくと。三段階でしょうか、ちょっとわかりませんけれども、出されているんですけれども、基本はやっぱり、これまでの都市の成長過程でつくられてきたまちづくり、これをそのまま続けていく。それに沿いながら対応していく。
だから、緑や環境も、これはもちろん重視をしていくんだけれども、基本は変わりませんよ、こういうふうに聞こえるんですけれども、私はその範囲では、率直にいって、都市づくりビジョンは二十一世紀に必ずしもふさわしくないのではないか。結論を最初にいって悪いんだけれども、その点について、私は思っていますが、どうですか。
○安井都市づくり政策部長 今回の改定によりまして、これまでの都市づくりを全く別の方向に持っていくということは、かえってそれは正しい方向ではないというふうに考えてございます。例えば、広域交通インフラの整備であるとか、また、経済活力を高める拠点の形成ということは、東京が置かれている役割、日本経済の牽引役を果たすというようなことを考えますと、当然これからも続けていかなければならない考え方ではないかと考えてございます。
こうした考え方は、これまでも、これからも継承を強化いたしますけれども、やはり先ほどもご答弁申し上げましたが、環境とか緑だとか、例えば環境という言葉を一つとりましても、CO2を都市開発にあわせて削減していく、低減していくという考え方は、今まで十分とれていなかったわけでございますから、そういった面を強化して、これまで成果あった部分は伸ばし、それから足りない部分は強化するということが、これからの都市づくりを進めるべき方向ではないかと考えてございます。
○植木委員 都市づくりとCO2の排出抑制等は今までやってこなかった。そういう点では、私はこれまでも一貫して、いろんな具体例で追及をしてきましたように、そのこと自体は私も求めてきたことですから、大いに前進をさせていく必要があると思うんですが、まず、都市づくりの点、それから地球温暖化の点、それから緑、そのほか防災とかいろんなことがたくさんあるんですけれども、特にきょうは、その都市づくり、環境、緑、この辺についてちょっと質問をして進めていきたいと思っているんです。
これまでの計画を見てみますと、かつては、先ほどもお話ありましたけれども、四全総に基づいて多心型都市構造が進められてきて、同時多発的な開発についてはいろいろ問題もありましたけれども、それでも当時は、都心へのこれ以上の業務機能の集中を抑え、それを心しんとして副都心や多摩の都市に分散させる。こういうふうに、文言として業務機能の集中を抑え分散させる、このことを明記していたわけです。
ところがその後、旧経団連の報告書で、大競争時代において東京圏が繁栄しなければならない、新しい大都市圏創造のためにということで、首都圏に都市づくりを広げていこうということが提言され、具体的な提言が出された。そして都市再生への提言というふうに進んでいったと思うんです。それを受けて政府の経済財政諮問会議と経済対策閣僚会議で、緊急経済対策の一環として、都市再生本部の立ち上げと土地の流動化をあわせて決定をしてきました。
その直後に石原知事が就任して、多心型都市構造の拠点づくりが必ずしもうまくいかないまま、東京構想二〇〇〇が提起されまして、国際都市間競争を勝ち抜く観点から、社会的、経済的に一体となっている東京圏全体の機能を最大限に発揮させる、こういうことで首都圏メガロポリス構想が打ち出されてきたと私は見ています。
きょうも、「プラン策定の過程」で、東京構想二〇〇〇からは、ここに資料で出されていますけれども、そうして結局、環状メガロポリス構造と都市再生の促進でバブルの再生を期待して、都市計画上の規制も緩和、撤廃して、都市再生の促進を進めてきたと。それから、環状メガロポリス構造のかなめとして位置づけてきた外環道路も、ストップしていたのを、都民の反対を押し切って、住民説明会も不十分なまま、このたび促進に踏み切ってきた。
結局、業務機能の集中を抑えるどころか、都心に超高層ビルを乱立させて、業務の集中、業務機能のスプロール化、これが促進されてきたと思うんです。そこには、地域住民だとか地域事業者、こうした生活や営業も、どちらかというと後景に追いやられる傾向がある。そしてCO2の排出量の増大という問題では、まさに世界の温暖化対策の方向と矛盾するようになったため、一定の規制のルールの必要性が生じてきた。大規模事業所のCO2の排出規制、自動車もそうですし、それから排出権取引の問題もそうだと思うんです。
一方、土地の流動化に基づいて、不動産ファンドが暗躍して土地騰貴を促し、あげくは、まだ新しい建物までつくりかえる事例さえ、この間出てきました。端的にいって、この間のアメリカの投機マネーの破綻によって、資金の引き揚げなどの影響で、不動産関係の企業の倒産も相次いでいるように、不動産ファンドは、後は野となれ山となれというような状況が一部出始めてきています。
そういうこの間の都市づくりの一連の流れを見ていますと、やはり先ほどもいったように、環状メガロポリス構造と都市再生を踏襲するもとでは、やはり二十一世紀型の開発優先型の都市になりかねない。対策をとるというのは、先ほど部長が一生懸命いっていたので、それは促進してほしいんですけれども、一歩進める必要があると思うんです。私はそういう意味で、これまで、高度成長期の都市戦略の延長ではなくて、やはり二十一世紀の都市の成長をコントロールする時代だといってきましたけれども、成長管理政策への転換、これが必要だというふうに思いますが、いかがですか。
○安井都市づくり政策部長 今回の改定では、先ほどご答弁いたしましたが、コンパクトな市街地の再編ということで、都心部であるとか、核都市であるとか、あるいは周辺の区部であるとか、そういうことについての考え方を明示してございます。これは一言で申し上げれば、そういうことがこれからの時代に、環境についても、また効率的な都市活動を進めていく上でも、そのような市街地を再編していくことが必要だという前提のもとで書いているわけでございますが、このような地球環境に配慮した諸機能をコンパクトに集約させた拠点が東京圏全域に適切に配置されるとともに、広域交通インフラを整備して環状メガロポリス構造が構築されることで、核都市などを中心とする圏域の自立性が高まりまして、広域的にも、例えば都心の混雑や環境面の負荷が低減されて、機能集約が一点に集中するということが是正するものと考えてございます。
したがって、今回の改定で、都市再生であるとか環状メガロポリス構造の構築ということを引き続き強化して推進していくということは、これから求められる都市づくりの中で、何ら矛盾するものではないと考えてございます。
○植木委員 矛盾しないというので、具体的な実態についてもうちょっと踏み込んでいきたいと思います。
なかなか直近の資料がないので、東京の土地二〇〇五というのが、これが一番新しい、しかもこれは区部のものですね、多摩の部はないんですが、これを調べてみましたら、二〇〇五年までの十年間で床面積が一千六百六十六ヘクタール増加しているという数字が出ています。これは十六キロ平米。十六キロ平米というと、中野区の面積が十五・五九。だから中野区の面積に匹敵する床面積が二〇〇五年までにふえている。二〇〇五年の後の資料は、残念ながらこういう正式の資料がないんですが、東京都のお出しいただいた百メートル以上のビル、これだけを、その後の数を見てみますと、四年間で、百メートル以上のビルだけでも八キロ平米もふえ続けてきている。これも加えますと、八キロ平米といいますと、これは百メートル以上のビルですから、そのほか、大体約十キロ平米とすると、中央区の面積が十キロ平米なんですね。つまり中野区と中央区の面積がこの十四年間で、床面積ですよ、これは。ふえてきていると。
結局、先ほど、業務機能の集中を抑えるどころか、業務機能のスプロール化、こういうふうに私、表現をしたんですけれども、実際にこれだけの面積がふえてきている。環境の問題はちょっと後で触れますけれども、際限なく都市機能の集中を図る方向だと私は思うんですよね。これについてどのような感想を持っているでしょうか。
○安井都市づくり政策部長 業務機能をスプロールさせてきたという認識は、現行のビジョン以降は全くないというふうに考えてございます。
むしろ都市再生緊急整備地域を指定したり、あるいは容積率を緩和する際にも、エリアをきちっと限定し、それを明示して都市開発諸制度を運用してきているわけでございまして、また、緩和する容積につきましても、すべて業務ビルということではございませんで、先ほどもご議論がございました研究開発機能であるとか、教育機能であるとか、そういうことを含めて、業務も商業も含んだ多様な集積を図っているということでございまして、業務機能をスプロールさせてきたということは、もう一回繰り返しますけれども、そういう認識は持ってございません。
○植木委員 私は、環状メガロポリス構造、それから都市再生の是正をということを先ほどいいました。しかし、先ほどスプロール化は否定をする発言がありました。私とそこは見解が違うんですけれども、業務集中の是正、これについては、少なくとも今後の二十一世紀については、とにかく首都東京が人口集中、どんどんふえているわけです。予想ではもちろん、一定の年度にたつと減っていくという予想は出ていますけれども、これは人口そのものが減っていく過程ですから、しかし、業務集中や人口集中は、その範囲内ではふえていかざるを得ないと思うんですね。
総体としては減るという予想が出ていますけれども、そういう意味で、業務集中の是正、これは少なくとも一歩進めるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
○安井都市づくり政策部長 業務集中の是正ということをすべきではないかという……(「業務集中と人口集中」と呼ぶ者あり)人口だと思いますけれども、床面積は確かに増加しておりますが、どこを基準にとるかによりますけれども、一人当たり必要な居住面積であるとか就業面積であるとかは、ここ十数年の間に大きく変わってきているというふうに考えてございます。
床面積が大きくなるということは、それは満遍なく地べたに広がるということではなくて、むしろ都心などでは地下も地上も有効に活用して拠点的な形成を図ると。そうしたことは、量的拡大というよりも、むしろ質的高度化であるというふうに受けとめてございます。また、そうした考え方は、都心だけでやろうということを、現行のビジョンでも、これからのビジョンでも描いているわけでございませんで、多摩におきましても、また身近な地域におきましても、地域の圏域に応じた多様な機能を集積させると。それによって、環境にも、それから効率的な活動にもよい都市構造を実現するということが必要ではないかというふうに考えております。
○植木委員 私は、先ほど来いっていますように、環状メガロポリス構造、それから都市再生の延長、これをやはり是正する段階に来ていると思うんです。部分的には皆さんもいっているんですよ、部分的にはね。人口増加を前提として市街地を拡大することは、地球環境への対応の面からも好ましくないとか、コンパクトな市街地とか、部分的な面ではいっていながら、総体として、やはり集積の方向が変わっていないものだから、結局その是正を後から追っかけながら是正を図る、こういう構図になっていると思うんです。
最初にいいましたように、世界的にもそうした都市の成長をコントロールする時代に入ってきたというお話をいたしましたけれども、そういう方向がこれから二十一世紀に必要だということを改めて強調しておきたいと思います。平行線になると思うので、これは私は今後も一貫して、このことについてはいっていきたいと思うんです。
地球温暖化問題ですが、こういう業務集中を前提とした都市づくりの中で、地球温暖化の問題をどう考えていったらいいのかというのは、非常に大きな課題だと思うんです。東京が百年余りで三度C上がってきた。高度成長時代からのまちづくりが、いろんな手法は変わってきましたけれども、一貫して続いてきている。こういうことの中でそうした結果を招いていると思うんです。
確かに、大規模事業所や自動車の二酸化炭素の排出規制、それからCO2の排出権取引制度等々については、もともと、もっと規制を強化するように求めてきましたので、それ自体は歓迎しておりますけれども、やはりそれに満足してはならない、そういう段階に入ってきているというふうに思うんですね。
例えばEU諸国では持続可能な発展戦略、こういうことをいっていますけれども、その最上位に気候変動対策を位置づけて--最上位にですよ。まちづくりを進めて、その対策としてCO2の抑制というのじゃないんですよ。そういう違いもあるし、それから、ことし年末に開かれる国連気候変動枠組条約の第十五回締結国会議、COP15に向けて、二〇一三年以降の温暖化対策の国際協定づくりに世界が取り組んでいます。その中で、長期ビジョンや先進国の中期削減目標など、野心的な目標を持つという検討が行われています。アメリカでも、オバマ大統領になって、五〇年までにマイナス八〇%削減を打ち出そうということで検討が始まっているようです。
ところが、日本経団連はCO2排出量四%増の案を主張しているということで、世界のひんしゅくを買っている状況です。日本も中期目標は現在まだ定まっておらず、具体的な検討も十分な状況になっていない、こういう状況だと思うんです。ですから、本当にその中で首都東京が果たさなければならない役割から見るとどうかということが、やはりこれから問われてくると思うんです。
東京の場合、二〇〇〇年を基準とした削減目標から見ても、目標にはるかに届かない。京都議定書の九〇年比で見たら、もっと届かない。こういうところから見て、大規模事業所や自動車の排出規制、排出権取引制度の問題についても抜本的に強めていく方向性を、いきなりはできないかもしれませんけれども、都市づくりですから、今後の課題として、基本戦略の第一にそういうことを位置づけるべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○安井都市づくり政策部長 今回は現行のビジョンにないような形で、七つの基本戦略というものを示しているわけでございまして、特に基本戦略三では、今ご質問の低炭素型都市への転換ということに必要なものを、重要なものを掲載してございます。
この七つの戦略は、どれが順番が上で、どれが優先するのかというものではございませんで、どれも今後の都市づくりに不可欠なものでございまして、今ご質問がございました低炭素型の都市づくりへの転換という基本戦略だけで環境先進都市を実現するものとは考えてございません。例えば外環などの広域インフラの整備が都心部の通過交通を減少させましてCO2排出量を削減し、また慢性的な渋滞の改善が経済活力の効率化につながるなど、インフラ整備あるいは経済活力を高める拠点の形成と、この低炭素型都市への転換というものは、互いに関係し合いながらその効果を高めていくものだというふうに考えてございまして、もしかすると、この三番目に載っているから、一番最初に書かれるべきではないかというようなご主張かもしませんが、インフラ整備あるいは経済活力と低炭素型都市への転換というものが対立する概念ではなく、相互に必要なものというふうに考えてございます。
○植木委員 互いに関連することは当然だし、わかると思うんですけれども、先ほど超高層ビルの話をしたのは、二十三区の資料しかないものですから、都心での集積が進んでいるということをいったんですけれども、もう一つ、このメガロポリス構想というのは首都圏全域に業務機能を広げていく。外環というのはその一つなんですよ。確かに、都心に流通するのを外すという意味合いをしきりに強調されているようですけれども、やっぱり環状メガロポリス構想というのは、首都圏にこれを広げていくという役割を持っているわけですよ。そういう意味で考えた場合には、やはり都市機能の集積だけじゃなくて、この首都圏メガロポリス構想という、この意味合いがもう一つあるんです。
それに加えて、やはり地球温暖化の問題は、まさに人類生存の課題としての位置づけというのが世界的に論議をされているときですから、目標自体が日本も少ない。東京は、日本よりは少し大きいように見えますけれども、やっぱり東京の果たす役割からすればまだまだ低い。だから位置づけをはっきりさせるべきだということを私はいっているんです。
ですから、この点については、ことしCOP15までの間でまだまだ議論も行われていきますし、首都東京の果たす役割も、海外の都市に支援するのは結構ですけれども、東京自体、やはり責任を果たすということの重要性というものがあるということを改めて強調しておきたいというふうに思っています。
次に、緑の問題です。「十年後の東京」では、三年間で海の森など四百ヘクタールふやすとなっていると。「十年後の東京」全体としては千ヘクタールの緑をふやすということになっていますが、それにとどまらない巨大な面積の緑が失われている。実は、このことを深刻にとらえるかどうかが今後の都市づくりにかかってくるんだろうと思うんですね。
私自身が計算して大変ショックを受けました。この皆さんからいただいた資料、これはみどり率、これしか正式な資料がない。昔は緑被率というのもあったんですけれども、これがない。河川なども入ったりはしています。それから十五年は暫定値ということになっていますが、これしか正式な資料がないので、これでお聞きします。
これは、ランドサットで上から見た東京全体、中でも区部、多摩の面積の中で、緑の率は二八・六%から二四%、マイナス四・六%になっている、区部は。多摩はマイナス七・九%になっていると。こういう数字が出ています。
私、計算してみたんですが、この五年間で区部ではマイナス四・六%ですから、計算しますと二十八・六キロ平米となります。これは、中央区と新宿区の合計面積が二十八・四キロ平米。つまり中央区と新宿区の合計の面積の緑が失われているという、そういう驚くべき数字なんですね。これは平成十五年までの数字です。多摩の方はどうかというと、マイナス七・九%。これを計算しますと九十一・六キロ平米。大島町が九十一キロ平米、それから西東京とあきる野市を加えると八十九キロ平米。つまり西東京市とあきる野市の合計の緑が多摩部では失われたことになる。実に驚きました。
その後も、平成十五年しかこれは資料がないんですけれども、減少していることは多分間違いないと思うんですけれども、これについてどのように反省し、その失われた緑を本気で取り戻す計画、これに着手すべき、計画を強化すべきだと、こんなふうに思っていますけれども、いかがでしょうか。
○安井都市づくり政策部長 ただいまの区部の緑、多摩の緑がそれぞれ減ったということをご説明されましたけれども、区部の緑がふえたということは先ほど局長がご答弁したとおりでございます。
もう少し具体的に申しますと、中央区、港区などでは、普通、人口密度が上がると緑被率が下がるということなんですけれども、むしろ高層マンションなどを建てるときに、容積率を緩和して公開空地を緑化することによって、政策的に緑がふえたということが報道されてございます。
また、今のふえているからいいではないかということを主張するわけではございませんで、やはり都市の成長過程で失われた緑が多いということも事実でございます。そうしたことから、今回の骨子では、まだ項目だけしかお示ししてございませんけれども、第4章の施策のところで、新たな戦略による緑づくりを展開するということになってございまして、樹林地や農地などの保全方策を検討していくことを書き込む予定でございます。これは既に区市町村と連携をとって取り組みを始めたところでございます。
○植木委員 緑がふえつつあるということはいいことだと思うんですけれども、しかし、先ほどいったように、区部と多摩で、区部が二十八・六キロ平米、それから多摩部で九十一・六キロ平米、これに比較したら、まだそこまではいっていないはずですよ。そんなにいっていればもっと改善がされるわけですけれども、もちろん徐々にふやしていくことは大事だと思うんですけれども、新しい数字が出ればそれははっきりすることですから。
それと、今後、これに記載するもので強化をするというご答弁をいただきました。この強化をするというのは、私は先ほどいったように、本当にこの失われた緑のことを考えたなら、「十年後の東京」の数字では全く少ない。部分的にふえたことはいいことだけれども、全く少ない。根本的にふやさなければいけない。こういうふうに思うんですよね。
ですから、ふえたのがどのくらいかというのをお聞きしても、お聞きして出るのかどうかわかりませんけれども、それから「十年後の東京」の千ヘクタールでふさわしいかどうか、その点についてお答えいただきたい。
○安井都市づくり政策部長 緑被率の集計結果という数字で申し上げますと、一九九〇年の区部では八千五百九十九ヘクタール、これが二〇〇六年では八千七百六十四ヘクタールということで、緑被率が〇・三%上昇ということが報道されてございます。今のものは五月七日の朝日新聞で報道された記事でございます。それから、そこでこういった結果を紹介されている方は千葉大学の先生でございます。
それから、「十年後の東京」につきましても、東京を緑と水に囲まれた、そういった空間にしていくということでございまして、それはこれからも非常に重要なことだと考えてございまして、今回はそういう考え方に沿いまして、都市づくりでどういうふうに進めていくかということの方向を示しているわけでございます。
○植木委員 朝日新聞の記事に出ていたというんですけれども、これは後で確認させていただきますけれども、それにしても〇・三%という程度では、やっぱり少ないことは事実ですから、ぜひ強化の計画を盛り込んでいただきたいことを重ねて申し上げておきます。
それから、時間もないので二問に絞ってお聞きしたいと思うんですが、オリンピックに関連して、国連平和大使のポール・コールマン氏が、稲城市の南山の里山をつぶして開発することは環境をうたう五輪と矛盾するとしていることが問題になって、記者会見で知事が質問を受けておられました。都市づくりビジョンの水と緑に囲まれた潤いのある都市の実現の中で、里山を守る取り組みといいながら、七十八ヘクタールの里山をつぶして開発する。やっぱりおかしいと思うんですね。片方では海の森といっていながら、片方ではそれに匹敵する里山をつぶす。先ほどいいましたように、一万二千ヘクタールも失われている中で、さらにこういう状況では、やっぱり危機感が十分ではないというふうに思います。
南山は、そういう意味では里山として残すべきだし、やはり緑の増加のための計画に切りかえるべきだということをお聞きしたいと思いますが、いかがですか。
○石川民間開発担当部長 南山東部地区は、昭和三十年代に山砂を採取したときにできた高さ約六十メートルのがけ地が、京王相模原線に沿って連なっていて、現在まで約五十年近く放置された状況にございます。この間、たびたびがけ崩れが発生しているほか、地区内で子どもの死亡事故が起こるなど、南山のがけ地をこのまま放置すると大変危険な状況にございます。また、がけ地に続く里山も人手が入らなくなり、放置され、自転車やバイク、家電製品などが不法投棄され、里山として荒廃している状況にあり、これらの解決が稲城市の長年の課題となっている地区でございます。
そこで、この地区では、地権者の大多数、九四%の地権者の方の合意を得て、区画整理事業により、みずからの力で安全で緑豊かなまちづくりを進めているものでございます。事業に当たっては、里山の緑をつぶすのではなく、荒廃した里山を再生し、公園緑地で施行面積の約二割、道路の植栽や民有地の緑化で約三割、合計、緑を五割以上確保しています。
なお、緑の確保については、計画段階から稲城市と組合で、地元の環境団体で昭和六十二年から地道に活動しております南山の自然を守る会と話し合いを重ね、意見を計画に取り入れるなどして進めてきており、地元稲城市も全力で支援しており、適切に管理された里山の再生に寄与するものと考えてございます。
○植木委員 実際は七十八ヘクタールのうち、公園的な緑地というのは八ヘクタールなんですよ。だから、もちろん危険なものは管理をきちっと行うというのは、それは当然のことでありますけれども、やっぱり七十八ヘクタールを削るということ自体が問題になるんですよ。それは国連の人たちも、海の森を一方でつくるといいながら、一方でこれだけのものを減らす、それから、いろんなところでオリンピックの施設をつくって公園もつぶす、こういうことがやはり問題になっているんだということで、改めてこれは計画に位置づけていただきたいということです。
それからもう一つは……(発言する者あり)すりかえじゃないですよ。ちゃんとこれは委員会でも、私どもの村松議員がきちっと質問をしておりますので、そのことについてだけ私はやっているわけじゃないので、ぜひそれはお願いしたいと思います。
それから、中野の警察大学校跡地など中野駅周辺の開発についても、私は問題が二つあると思っています。
一つは、警察大学校の移転の跡地を東京一極集中の是正に資するためということで、当初、四ヘクタールの防災公園を軸に計画がつくられてきた。にもかかわらず、その後、区長がかわって、変更に変更が重ねられて、超高層ビルの建設に土地を提供し、駅周辺に開発を広げる、そういう地区計画の都市計画決定を行うまでになってきています。
これは、こういう面と、もう一つは、東京の新しい都市づくりビジョンでは、水と緑の効果的な創出ということで、防災面から緊急を要する公園の迅速な整備の促進、それから公園整備に対する国有地の無償貸与などのところでは、都市の貴重なオープンスペースとして残されている大学移転跡地などの国有地を公園用地として活用できるように、用地の無償貸与を国に求めていくなど、かなり詳しく明記してきています。
ところが、この間のビジョンと実際の都市計画の動き、それから今回のビジョンとで少しずつニュアンスが変わってきているんですね。特に住民の皆さんが訴訟まで起こして求めている防災公園、これももともとは四ヘクタールということでやってきたんですが、これが一・五ヘクタールになった。それから、四ヘクタールと合わせて、周辺のビルの公開空地などに当然緑をふやすと、こういう計画だったはずなんですが、これも防災公園自体が三分の一に縮小されて、周辺も合わせて四・五ヘクタールだと、こういうふうにいってきているんですけれども、やはり都市計画のビジョンとして一貫性が欠如してきている。信頼性がない。こういわざるを得ないというふうに思いますけれども、いかがですか。
○安井都市づくり政策部長 中野の公園のことでございますけれども、都、中野区、杉並区が十七年八月に策定しました警察大学校等移転跡地土地利用転換計画案の見直しでは、約一・五ヘクタールの防災公園、その周辺に公開空地とオープンスペースを整備いたしまして、この公園と合わせまして合計で三から四ヘクタールの防災上有効な空地を確保するとしてございました。この見直しを踏まえまして、十九年四月に、当初の再開発等促進区の決定と同時に、中野区は約一・五ヘクタールの都市計画公園を決定しているわけでございます。
先月開催されました都市計画審議会では、この都市計画公園の周辺に約一・五ヘクタールの公開空地をいわゆる二号施設として定めるとともに、再開発等促進区等の適用条件となるオープンスペース約一・五ヘクタールを整備するための都市計画変更を行ってございます。すなわち、都市計画として担保される公園等の面積は合計四・五ヘクタールでございまして、平成十七年八月の見直しで定めた約三から四ヘクタールを上回る計画となってございます。
また、防災公園としての機能でございますけれども、都では、防災を専門とする学識経験者や消防庁等で構成する避難場所調査検討委員会の意見を聞きながら、安全性について検討し、避難場所を指定してきてございます。
中野の警大跡地でございますけれども、今ご説明しましたような都市計画公園を含む跡地を含めまして、区役所の周辺は中野区役所一帯として避難場所に指定されてございまして、周辺の市街地における大規模な火災による熱輻射などに対して安全な空間となってございます。
避難面積につきましても、約一・五ヘクタールの都市計画決定の公園等含む約十ヘクタールの有効面積に約十万人が避難する計画になってございまして、東京都の地域防災計画で示す一人当たり一平方メートルを確保する計画となってございます。
また、国有地を公園に活用するということでございますけれども、今回のビジョンにおきましても、これはいいところは引き継ぐという、先ほど来ご答弁していることでございますが、今回の改定するビジョンにつきましても、国公有地を活用した公園整備ということで、引き続きオープンスペースとして公園等に利用できるよう、自治体が優先的に用地を確保できる仕組みの充実、自治体に対する無償貸与制度の継続、拡充を国に求めていくことを明らかにする予定でございます。
なお、今回の都市計画公園一・五ヘクタールのうち約〇・五ヘクタールは、囲町公園ということで、これまであった公園を国から無償貸与することでございまして、残りの三分の一は公共用の利用に基づく減額により区に提供されているわけでございます。
○植木委員 それは違いますよ。もともと四ヘクタールの防災公園ということで始まっている。それから囲町公園の〇・五ヘクタールはそれに加わっていなかった。だから四ヘクタールと囲町の〇・五ヘクタール、これは期限つきの借り入れですから、これはどうするかということはありましたけれども、その四ヘクタールに公開空地を加えていけば、もっと広い面積になるんですよ。それを一・五ヘクタールに縮小したために、周辺の公開空地を入れざるを得なくなってきたというのが事実ですから、それは全く認識が違う。はっきりいっておきたい。やはりそこのところを区民の皆さんは、行政の一貫性、それからビジョンの一貫性、ここから訴えているのであって、やはり防災公園としての機能の確保という問題をきちっとすることを求めておきたいというふうに思っております。
時間も来てしまいましたので、最後に意見だけ述べて終わりにしたいと思いますけれども、都市づくりビジョンの問題、それからふえ続ける事業所の床面積の問題、地球温暖化の、まさに人類生存の危機にさらされている中での問題、そして環境や緑を軽視してきたことも、そういう意味で、今回のビジョンについてはぜひさらなる充実を、まだこれは改定の案ですから、していただきたいし、そういう方向での転換を求めて質問を終わりにします。
○新藤委員 私は多摩の拠点整備基本計画についてお伺いいたします。
これはきのう、我が党の鈴木一光総務会長が代表質問で行ったわけでございまして、先ほどお二人の委員の皆さんからもこの質問がありましたけれども、この件は、東京都におきましても、多摩地域におきましても大変重要な課題でありますので、細かい点は別として、大局的な面から質問いたします。
多摩地域には現在、環状メガロポリス構造における中核拠点として、八王子、立川、多摩ニュータウン、青梅、町田の五つの核都市が位置づけられています。これらの核都市については、かつて多摩の心しんと呼ばれていましたが、今日までそれについては検討、整備が進められてまいりました。
振り返ってみますると、昭和五十七年に八王子、立川、町田が多摩の心しんとして東京都の長期計画に位置づけられましたが、今、核都市の始まりであります、その後、青梅、多摩ニュータウンが心しんとして追加されました。国の方では、昭和六十一年の第四次首都圏基本計画において八王子市、立川市、青梅市、さらに平成十一年には多摩市、町田市が業務核都市として位置づけられました。都では、平成十年に多摩の心しん育成・整備計画を策定して、業務核都市としての整備を視野に入れて、計画的に核都市の整備を進めてきたところだと思います。
こうした中で、今回、多摩の心しん育成・整備計画の見直しを行い、新たに多摩の拠点整備基本計画を策定するとのことであります。そしてその骨子案が示されました。
そこでまず、多摩の心しん育成・整備計画が作成された後、今日まで核都市の整備はどう進んだのか、都の取り組みの状況と整備の成果について説明を願います。
○瀧本参事 今、委員からお話がございましたとおり、都は平成十年、多摩の心しん育成・整備計画を策定いたしまして、多摩自立都市圏の形成に向け、八王子、立川、青梅、町田、多摩ニュータウンの五つの心しんを多摩地域の広域的な拠点として位置づけ、整備を進めてまいりました。
その後、平成十二年には、東京構想二〇〇〇において、多摩の心しんの名称が核都市へと変更されております。都、地元市等では、多摩の心しん育成・整備計画に基づきまして、核都市の拠点駅周辺における区画整理事業や再開発事業の実施、交通基盤の整備などに取り組んでまいりました。
育成・整備計画では、五つの核都市で合計四十四のプロジェクトを位置づけておりますが、現在十一のプロジェクトが完了し、二十のプロジェクトが実施中ということで進捗してきております。また、五つの核都市の整備エリアにおいて、過去十年間で事務所の床面積が倍増いたしました。また、従業者数も二割増加するなど、職住の近接が図られるとともに、核都市としての機能の充実が図られてきております。
○新藤委員 核都市の整備が着実に進められ、多摩地域の発展が図られてきましたが、まだ道半ばであり、今後の整備の取り組みが必要でございます。
今日、多摩の拠点整備基本計画をつくるところですが、多摩の心しん育成・整備計画が策定された平成十年当時と時代の状況は大きく異なってまいりました。人口が減少過程に入ってきたこと、また少子高齢化が進行してきたこと、さらには地球温暖化への対応が急務になってきたこと、さらには緑の一層の充実などが求められています。新たな計画をつくる上で、こうした動向をきっちりと踏まえることが必要だと思います。
そこで、多摩の拠点整備基本計画の策定に当たって、時代の状況が変化する中で、都はどのような視点や方針を持って拠点の整備を行っていくのか、お伺いいたします。
○瀧本参事 多摩の拠点整備基本計画の作成に当たりましては、都市づくりを取り巻く環境の変化等を踏まえまして、七つの基本方針を設定して拠点の整備を進めることといたしております。
具体的には、コンパクトなまちづくりによる市街地の再生として、成熟社会に対応したコンパクトで質の高い市街地の形成を目指します。また、多摩シリコンバレーの形成に向けた産業拠点の整備を図ります。さらに、CO2排出量の削減や省エネ化など環境に優しい持続可能なまちづくり、緑豊かな都市空間の形成、地域の歴史や特性を生かした美しく魅力あふれる都市景観の創出、防災性の向上やユニバーサルデザインなど安全・安心な市街地の形成、東京国体を初め、人々の活動や交流を支援する交通基盤の充実を図るといった方針を設定することといたしております。これらの基本方針に基づきまして、拠点の整備を進めてまいります。
○新藤委員 先ほどある方から、シリコンバレーの形成は自然破壊につながるというお話がございましたけれども、これは進め方によっては決してそんなことないんです。むしろ逆に増大させる方向ができるわけでございまして、もう一つ、やっぱり富の生産と雇用の創出という面では、シリコンバレーはぜひ多摩地域においてもさらにしなければいけない。そういうところをしっかり認識しなければならないということを、私は特に申し上げておきたいと思います。
平成二十五年に行われる東京国体、別称、多摩国体ともいわれておりますが、これは都民あるいは多摩に住む都民にとっては大きな期待が寄せられているところであります。ぜひまちづくりの面からもしっかりと取り組んでもらいたいと思います。
今回作成する多摩の拠点整備基本計画は、核都市だけを対象にするのではなくて、新たに多摩各地の生活拠点をも対象にするとの説明があります。そこで、多摩の拠点整備基本計画に生活拠点を位置づけた意義について確認しておきたいと思います。また、今後どのように生活拠点の整備を進めていくのか、お伺いいたします。
○瀧本参事 多摩地域全体の活力と魅力の向上を図っていくためには、核都市とともに、鉄道駅など公共交通の結節点に形成されている多摩各地の生活拠点におきまして、都市機能の充実等を進めていくことが必要でございます。このため、都市計画区域マスタープランにおける百三十二カ所の多摩の生活拠点を整備基本計画の中に位置づけまして、地域の特性に応じながら、その整備を促進することとしたものでございます。
今回の計画では、生活拠点の整備を先導するまちづくりの取り組みが現在行われている地区を、地域やまちづくりの特性も踏まえて七地区を選定いたしまして、これらの地区のプロジェクトを提示することといたしております。これによりまして、そのプロジェクトの進捗を図るとともに、他の生活拠点のまちづくりを先導し、促進することとしておりまして、本計画に基づき、市などに対して拠点の整備に向けたまちづくりへの取り組みを働きかけてまいります。
○新藤委員 今回の計画は生活拠点を対象に加え、核都市とともに生活拠点のまちづくりを促進することは、多摩地域全体の活性化が図られ、多摩の暮らし、あるいは働く都民の生活を一層豊かにするものと評価いたします。多摩の拠点整備基本計画は骨子案の段階ということですが、多摩地域の一層の発展に向けて、都にはすばらしい計画をつくっていただきたいと思っております。そして計画の策定後は、多摩の核都市と生活拠点の整備に全力を挙げて取り組んでいただきたいということをお願い申し上げます。
最後に、多摩地域全体の発展に寄与する五つの核都市と多摩各地の生活拠点の整備に向けた都としての決意をお伺いいたします。
○只腰都市整備局長 多摩地域でございますが、現在、人口四百万人を超えておりまして、都道府県を並べましても上から十番目ということで、十分独立してもいいぐらいの規模があるわけでございます。あわせまして、多摩地域の製造品の出荷額は二十三区を上回っております。また、大学の数は隣接三県よりも多い六十大学に上っておりまして、多摩地域は首都圏の中で非常に大きな重要な役割を担っているというふうに私ども考えてございます。
こうした中で、今日、社会経済情勢や都市づくりを取り巻く環境が大きく変化しておりまして、これに的確に対応することが求められております。また、お話がありました多摩シリコンバレーの形成、また東京国体の円滑な実施に向けた取り組みなども必要となってございます。
このたび、こうした変化に対応するため、平成十年の、十一年ほどたちました多摩の心しん育成・整備計画の見直しを行いまして、核都市とともに、多摩地域全体の活性化を図る観点から生活拠点も対象といたしまして、新たな整備基本計画を作成することといたしました。部長からも答弁いたしましたように、核都市につきましては、業務・商業など都市機能の充実、また多摩シリコンバレーの形成、幹線道路の整備の促進などを位置づけてございます。
また、これに加えまして、生活拠点におきましては、地域に密着した商業・業務、福祉などの機能の集約を図るなど、コンパクトな市街地の再編を促進してまいります。
今後、この新たな計画に基づきまして、活力と魅力にあふれ、自立して一層の発展を遂げる多摩地域の実現に向け、地元市等と連携しながら拠点の整備に積極的に取り組んでまいります。
○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
○高橋委員長 これより付託議案の審査を行います。
第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、都市整備委員会所管分、第百十二号議案及び第百十三議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
これより採決を行います。
第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、都市整備委員会所管分、第百十二号議案及び第百十三号議案を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 異議なしと認めます。よって、第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、都市整備委員会所管分、第百十二号議案及び第百十三号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
以上で付託議案の審査を終わります。
○高橋委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りをいたします。
本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○高橋委員長 この際、只腰都市整備局長から発言を求められておりますので、これを許します。
○只腰都市整備局長 一言御礼のあいさつを申し上げます。
高橋委員長を初め委員の皆様方におかれましては、昨年の十月以来、私どもの事務事業につきまして大変ご熱心な審議を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
この間ちょうだいいたしました多くの貴重なご意見、ご提言につきましては、今後の施策に十分反映させ、安全で快適な都市の整備を進めるため、最大限の努力をいたす所存でございます。
本日は、今任期最後の委員会でございます。高橋委員長を初め委員の皆様方の今後のますますのご健勝を祈念いたしますとともに、改選を迎えられる方々におかれましては、ご健闘を心よりお祈り申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。
○高橋委員長 発言は終わりました。
この際、私からも一言ごあいさつを申し上げます。
中山副委員長、また、いのつめ副委員長、そして理事、各委員の皆様には大変ご協力、お力添えをいただきまして、ありがとうございました。おかげさまで本日を迎えることができました。また、只腰都市整備局長を初め、理事者の皆様にはご協力をいただきまして、ありがとうございました。感謝しております。
今、東京都民の関心というか、東京のまちづくりに関して関心があるのは、安心・安全でございます。やはり防災、ゲリラ豪雨だとか、震災のことだとか、そういうまちづくり、災害に強いまちづくり、そしてまた、十月二日を目指す東京オリンピック・パラリンピックの開催の理念にもありますように、緑を守り、都市を躍動させるんだということでございまして、やっぱり環境、そして元気というものに大変関心を持って、それに伴ったまちづくりが重要でございます。
環境につきましては、環境先進都市を目指すということでありますし、元気につきましては、羽田の再拡張を初め、横田の軍民共用化、三環状道路、東京の産業、いろんな面で元気を出すと、元気なまちをつくるということが大事でございますし、また、日本の首都である東京であります。その東京のまちづくりのためにも、さらなる引き続きのお力添えを皆様方にお願いして、委員長としてのあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時五十五分散会
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