都市整備委員会速記録第二号

平成二十一年三月三日(火曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長高橋 信博君
副委員長中山 信行君
副委員長いのつめまさみ君
理事伊藤まさき君
理事神林  茂君
理事三原まさつぐ君
河野百合恵君
植木こうじ君
長橋 桂一君
こいそ 明君
新藤 義彦君
立石 晴康君
大塚たかあき君
相川  博君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長只腰 憲久君
次長総務部長事務取扱泉本 和秀君
技監福島 七郎君
理事加藤 英夫君
理事河島  均君
都市づくり政策部長安井 順一君
住宅政策推進部長松村 光庸君
都市基盤部長升 貴三男君
市街地整備部長座間  充君
市街地建築部長河村  茂君
都営住宅経営部長清水 文夫君
企画担当部長横溝 良一君
連絡調整担当部長岡沢  裕君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
外かく環状道路担当部長遠藤 正宏君
民間開発担当部長石川  進君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
都市景観担当部長町田 修二君
経営改革担当部長並木 勝市君
参事瀧本 裕之君
参事宇多田裕久君
参事福田 良行君
参事中島 俊明君
参事山口 幹幸君
参事荒川 達夫君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第九十八号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 都市整備局所管分
付託議案の審査(決定)
・第九十八号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 都市整備委員会所管分

○高橋委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の付託議案の審査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第九十八号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、都市整備局所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○泉本次長 二月十七日の当委員会でご要求をいただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます都市整備委員会資料、二月十七日要求分の表紙をお開きいただきたいと存じます。
 目次でございます。1の首都高速道路整備事業の進捗状況と出資金、2の公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き家状況でございます。
 一ページをお開き願います。
 首都高速道路整備事業の進捗状況と出資金でございますが、(1)には、路線別の進捗状況を、(2)には、平成十一年度以降について年度ごとに出資金と出資率を、それぞれ記載してございます。
 次に、二ページをごらんください。
 公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き家状況でございます。公社一般賃貸住宅と都民住宅について、平成十七年度から十九年度まで年度ごとに、それぞれ管理戸数と空き家戸数を記載してございます。
 以上でございます。どうぞご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○長橋委員 それでは、短時間でございますが、質問をさせていただきます。
 今回の補正予算に関連をいたしまして、私の地元でもありますところで、先月の十四日、首都高速五号線で、コンテナ車の横転事故が発生いたしました。首都高の大動脈である首都高速の五号線の、今回、上り線のところのカーブのところで、聞きますと、海上コンテナ車の横転ということでございました。
 この場所につきましては、ほぼ同じ場所、同じカーブのところで、皆さんもご記憶しているかと思いますけれども、昨年の八月三日、タンクローリー車が横転をして火災、しばらくの間、高速道路が通行どめになって大変な影響があったということでございます。そしてまた、その同じ場所でこういう事故があったわけでありまして、この点についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 当日は、私もそばに、近くにおりましたので、地元の方から事故があったというお話を聞きましてすぐに飛んでまいりました。もう既に一般道、川越街道、また山手通り等、大渋滞をしておりまして、駆けつけましたらまだコンテナ車の撤去が終わってなくて、下から見ると、まさにコンテナ車が落下するのではなかろうかというような状況でございました。また大変多くの方が、この事故を心配して見に来られておりましたし、私自身も駆けつけまして、地元の区議会のメンバーも駆けつけておりました。うちの党の太田代表も、連絡をしましたら、その後来て、国交省にも連絡をとっていたようであります。
 そういうことで、今回の事故、原因はさまざまであろうかと思いますし、基本的にはスピードの出し過ぎであったかと思います。そういう中で、今回の事故、改めて周辺の状況--大動脈ですから、一つの事故が大変な影響を及ぼしたことはあると思いますけれども、交通への影響、そういったものについてはいかがだったか、ご答弁をいただきたいと思います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 先月十四日、首都高速五号線で起きました事故でございますけれども、十四日の正午ごろ、背高海上コンテナを積載いたしましたセミトレーラーが、熊野町ジャンクション付近の上り方向を走行中にカーブにおきまして横転しまして、遮音壁に激突して車両が大破、運転手が死亡に至ったというものでございます。
 この事故によりまして、上り方向、下り方向とも、事故後、約八時間にわたって全面通行どめとなりました。通行どめによります影響でございますけれども、最大で首都高五号線、上り方向で四キロメートル志村料金所付近まで、下り方向につきましては、同じく最大で六キロメートル竹橋ジャンクション付近まで渋滞が発生してございます。
 また、一般道路につきましても、落下した遮音壁を取り除くために、熊野町交差点付近におきまして、川越街道、山手通りを中心といたしまして、周辺各道路で激しい渋滞が見られたところでございます。

○長橋委員 大事故でありますし、高速道路の影響というものは、周辺の道路に大変な影響を及ぼしたわけであります。私も--知り合いが高速道路で運搬をする予定だった荷物を、ちょうどそこの事故に遭ってしまって荷物が運べなかった。でも運ばないわけにはいかないということで、別な車で同じ荷物を積んで走って、やったというようなことを聞きました。ここは山手トンネルともつながる要衝のところでありまして、一つの事故が大変な影響を及ぼしたというところでございます。
 そういう中で、そういう影響のために、去年の八月も大事故がありながら、当然再発防止策をとったにもかかわらず、全く同じ場所で、また同じような事故が起きた。これは残念でならないわけであります。
 今回の発生箇所、どういう対策を去年とって--また再び事故が起きてしまったということに対してはさらに調査をしているんだろうと思いますし、対策について考えているんだろうと思うんですけれども、今回の発生箇所、どういう対策をとったのか、お伺いをいたします。

○遠藤外かく環状道路担当部長 首都高速道路株式会社では、これまでも事故多発地点などに対しまして、運転手に注意を喚起するための注意喚起板やLED標示板の設置、横滑りを防ぎます滑りどめカラー舗装の施工など、対策を実施してきたところでございます。
 今お話しございました昨年八月のタンクローリーの横転事故を受けまして、今回の箇所につきましては、注意喚起板や滑りどめカラー舗装の増設、こういった対策が実施されてきたところでございます。

○長橋委員 もちろん対策について講じたというところでありますけれども、お伺いをしますと、ここは九十度に曲がるカーブのところでありますので当然スピードを落とさなきゃいけない、そういうことでカラー舗装を講じた。だけれども、昨年は下り線ですから--上り線もあわせてやったけれども、今度は上り線で事故が起きてしまった。
 ですから、さらにそのカラー舗装を広げるとかいろんな対策があろうかと思いますし、注意喚起の看板を立てるとかあるかと思いますけれども、その前にやはり、こういう箇所は危ないということを、利用する方にはちゃんとお知らせをしなきゃいけないだろうと僕は思うわけであります。
 首都高には恐らくこういう箇所が何カ所もあると思いますし、事故というのは、当然ほかの地点でも多発する地点だとかあろうかと思いますけれども、そういったことに対してちゃんと周知をしているのかどうか。きちっとドライバーに、ここは危ないんですよという周知をしているのか、そこら辺、まず伺います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 道路を管理いたします首都高速道路株式会社は、事故が多発している箇所を地図上に示しました事故多発地点マップ、あるいは大型車の横転事故が発生している地点を示しました大型車横転事故発生危険度マップ、こういったものを作成しておりまして、ホームページ上などで公開してきたところでございます。
 また、分合流部、カーブ、渋滞箇所などにおきます安全運転を促すためにチラシを作成しておりまして、交通安全キャンペーンとか各種のイベントなどで配布するなど、利用者への情報提供に努めてきたというふうに聞いてございます。

○長橋委員 特に大型車両、今回も大型車両でございますけれども、そういったトラック輸送業者、これに対しては徹底しているんですか。そこら辺、もうちょっと答弁お願いします。

○遠藤外かく環状道路担当部長 昨年のタンクローリーの事故を受けまして、首都高速道路株式会社は、トラック運送の業者の団体に対しまして、安全運転の徹底について要請を行ってきてございます。

○長橋委員 その前の答弁で、首都高のホームページですけれども、事故多発地点マップであるとか大型車横転事故発生危険度マップ、こういうのがあるということで私もホームページを見させていただきましたら、いわゆる事故多発、回数が多いところ、それから大型車と分けて、ホームページに地図が記載されているわけであります。分ける意味もあるんだろうと思うんですけれども、私なんかも見たら、熊野町のところは事故多発地点のところには印がされてないな、こう思ったら、大型車の方の事故のところで載っていると。まあ、こういうことなので、両方見なきゃいけないということ、危険を喚起するのにどうなのかな、こんなふうに思ったところでありまして、そこら辺については、やはり大事故でありましたので、危険箇所の周知についてももう一度考えを検討していただければな、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、今回の二回の事故を教訓に、去年も再発防止策をやった、また事故が起きた。もう二度と同じ箇所で事故を起こしてはならない、こう思うわけでありますけれども、今回の事故を受けて、今度は絶対に再発をさせないという再発防止策、どのようなことをやっているのか、詳しくお願いをいたします。

○遠藤外かく環状道路担当部長 今回の事故区間におきます大型車の運転事故の再発防止対策を検討するために、首都高速道路株式会社は、学識経験者、警視庁ほか関係機関で構成されます対策会議を設置してございます。先月十九日に第一回会合が持たれておりまして、トレーラーの横転事故を防止するためにはカーブの進入速度の抑制が効果的、このような推測のもとで、検討すべき課題の抽出を行っております。
 その一つが、カーブ手前の直線部で運転手の注意を促すための、しま模様のカラー舗装の施工でございます。
 またこの会議では、さらに、速度超過車両に対しまして減速を促すための対策、これなどについても今後検討していくということになっております。

○長橋委員 再発防止策として、さらに、しま模様のカラー舗装の施工を検討しているということであります。赤色の舗装を、今度はしま模様にすることによって減速を促すということだろうと思うわけであります。
 そういう中で、やはりここの箇所は、首都高ですから渋滞もあるわけなんでありますけれども、こういうジャンクションができてかなり交通がスムーズになった。スムーズになったがゆえに、ついスピードを出してしまったということも原因の一つではなかろうかと思うわけでありますけれども、今お話があったとおり、早速、先月の十九日、ですから事故があってすぐに対策会議を設置をして、開催して、今のような検討がされたと。
 対策会議については、この一回で終わるのではないと思います。検討している、結論を出さなきゃいけない、こういうことでありますけれども、この対策会議、今後の見通し、どのようにしていくのか、そこら辺の答弁をお願いします。

○遠藤外かく環状道路担当部長 対策会議でございますけれども、次回の会議を今月十一日に開催いたしまして、先ほどご紹介しました検討テーマ以外の安全対策についても検討がなされる予定となってございます。
 首都高速道路株式会社では、この検討会議での検討を重ねまして、本年度内に一定の結論を得たいとしてございます。

○長橋委員 今ご答弁で、次は今月の十一日にも開催をするというところでありますけれども、先ほど述べた検討テーマ以外の安全対策についても検討がなされる予定だということであります。先ほどのご答弁は、いわゆるハードの部分であろうかと思いますが、やはりソフト、ハード両面で、さっきのホームページはソフトの部分かもしれませんけれども、ホームページを見て危険箇所がどこかということはわかっていても、それをすべての人が見て運転しているわけではないわけであります。
 いわゆる現場でのソフトの活用というのが僕は必要だと思いますけれども、そこら辺の検討はどうなんでしょうか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 ご指摘のように、ハード面、施設による対策だけではなくて、お話ございましたソフト面の対策も非常に重要だというふうに考えてございます。
 都といたしましては、この検討会議における検討状況なども踏まえまして、首都高速道路株式会社に対しまして、例えば、国が現在研究を進めております音声による安全運転の支援サービス、こういった新しい技術を活用した事故の再発防止策についても充実を図るように、会社の方に働きかけてまいりたいと考えてございます。

○長橋委員 では、最後でございます。今、部長から、音声による安全運転の支援サービス、これについても、そういった技術の活用を、会社の方に働きかけていくというご答弁でございました。
 「十年後の東京」に、いわゆるITS技術の活用ということで、渋滞解消、環境改善、さらには事故防止に向けた取り組みの推進というところがあります。
 これはまさに今ご答弁があった、音声による情報を提供する--光ビーコンの仕組みなんていうことがここに書いてありまして、お伺いをすると、首都高速にはこの光ビーコンについては設置が進んでいるというふうに聞いております。高速道路には取りつけてあるけれども、今度は受ける側の車両の整備がまだ進んでいないわけでありまして、国交省はそれを来年度から、二〇〇九年度には、モデルといいますかモニターを募集して進めていくと。これを普及をさせていきたい、こういうことであろうかと思います。
 首都高も含めて、二〇一六年東京オリンピックを目指して、三環状を初め整備していくわけでありますけれども、やはりそれにあわせて、利便性の向上とあわせて、安全対策、これが重要であろうかと思います。
 日本のこうした技術は世界でも進んでいるわけでありまして、こうしたソフト面につきましても、首都高と連携をとりながら安全対策に万全を期していただきたい。お願いをいたしまして、質問を終わります。

○植木委員 私はまず最初に、羽田について質問をいたします。
 今回の羽田再拡張事業の貸付金について補正を行っておりますけれども、これについてわかりやすく説明をしてください。

○福田参事 羽田の貸付金の補正予算の理由でございますけれども、羽田空港再拡張事業の財源でございますけれども、当初、都債と一般財源を充てていたところでありますが、平成二十年度において、法人二税を初めとした都税の大幅な減収に伴いまして、財源確保を行うため、全額を都債で対応することとしているものでございます。

○植木委員 つまり、都税が困難になったから補正を行うというんですけれども、結局、東京都が国に対して一千億円の無利子貸し付けを行うようになって、これまで都債と一般会計とで、たしか九対一の割合でやっていたと思うんですよね。この九対一を、今回、補正で全額起債をする。都債を発行する。
 つまり、一般会計が大変だから一般会計分の負担を少しでも減らせ、こういうことですか。

○福田参事 当初予算では、都債九割、一般財源一割というものを、今回の補正で都債十割にするものでございます。

○植木委員 この後は、ちょっと財政当局に聞かなきゃいけない話なのかもしれないんですけれども、たしか減収補てん債でこの一般会計一割分を補うといったんですけれども、減収補てん債というのは、税収が減ったときに補てんするということで発行する、こういう趣旨だと思うんですね。
 ところが、これは逆に東京都が貸し付ける財源の問題ですよね。だから、減収補てん債で補うというのは、何かおかしいなという感じがするんですけれども、もしわかりましたらお答えください。

○福田参事 都債、それから一般財源につきましては財務局が所管しておりますので、当局では把握してございません。

○植木委員 今お話ししましたように、減収補てん債というのは税収が減ったときにそれを補うという仕組みですから、これはうちの財務局所管の委員の者にやらせますけれども、いずれにしても、わざわざ減収補てん債を発行して一般会計の負担を減らさなきゃいけないというのは、よくわからないですね。
 それから、東京都が一千億円無利子貸し付けでこの間やってきましたけれども、都がこれまで貸し付けてきた額の推移、それから利払いがどのくらい発生しているのか、これについてはいかがでしょうか。

○福田参事 都債の利率及び都が負担している利息額等についてでございますけれども、先ほど答弁いたしましたように、都債の発行につきましては財務局が所管しておりまして、具体的発行条件等は当局では把握してございません。

○植木委員 事業局だからということなんでしょうけれども、やっぱり補正として提案するからには、当然これまでの経緯があるわけで、きちっと把握する責任が、私はあるというふうに思います。
 私がいろいろ関係のところにお聞きしまして、これまで累計で無利子貸し付けが七百六十九億円、利子が平均で、毎年変わりますから、単純計算でいくと一・六%を超える、こういうお話を財務局からお聞きしました。
 問題はやっぱり、財源が厳しいからということで、わざわざ都債を発行して国に無利子貸し付けをやらなきゃいけないのかという、ここのところだと思うんですね。もちろん長い間の経過でこういうふうになってきたわけですから、この疑問点には恐らく、都市整備局で先ほどと同じ答弁ですから、わざわざお聞きしませんけれども。
 この間の経過を見ますと、平成十四年、二〇〇二年、当時、東京都以外の首都圏、神奈川など三知事と三市長が、国直轄事業に対する地方負担は地方分権に逆行している、こういう要請を行いました。
 東京都は翌年になって、石原知事が地方負担の反対の申し入れを--なぜおくれたかというのは当時お聞きしたけれども、わかりませんでしたが、いずれにしても東京都は一年おくれて反対の表明をした。
 ところが、羽田再拡張事業について平成十五年六月の定例会でも、国みずからの負担と責任において、つまり国が負担すべきだということを表明していたんですが、その後急転直下、知事は国のいいなりになって地方負担を認めて、無利子貸し付けに転換をして、こういうことになってきているわけですね。
 その財源の内訳は先ほどいったような中身で、それが今度、補正でさらに都債の発行ということになっている。二重、三重におかしいわけですけれども、現在、各地方と国の直轄事業の負担のあり方の問題について、地方自治体から国に対していろいろ意見が出ているわけです。
 確かにもう既に実行しているとはいっても、これは国と地方自治体との関係で極めて大きな問題です。しかも一貫して主張しているのかと思ったら、そうじゃなくて突然、負担すべきというふうに姿勢を変えてしまった。一貫性がない。
 こういうことで私どもは補正予算について、毎年この種のことが出ますし予算でも出てくるわけですので、国が本来負担すべき事業として、こうした無利子貸し付けは行うべきではないという立場から、この補正予算案には反対をいたします。
 それから、一貫性の問題で一、二お聞かせ願いたいんですが、この羽田拡張事業に関して、大田の区長が、羽田の跡地について都が購入すべきだという申し入れを行いましたが、この跡地の買い入れについての大もとの考え方というのはどういう整理で進んでいたんでしょうか。

○福田参事 跡地につきましては、昭和五十六年に都と国、それから大田区長、品川区長が立ち会っている確認書がございます。その確認書でございますけれども、確認書の中では、沖合展開による空港計画を策定するに当たって前提となる考え方、これは滑走路の配置や運用方式など騒音問題の対策の基本の考え方でございますけれども、これを確認したことと、あわせて沖合展開によって生じることとなる跡地の範囲と利用計画や、都の廃棄物埋立地を国が使用し取得する方法と時期、さらには沖合展開により空港用地外になる土地を、都が取得する方法と時期について、別途協議することが示されております。

○植木委員 明確に確認書で東京都が負担をする、こういうことでこれまで一貫して進んできたわけですね。
 ところが、昨年の本会議で知事が、突然といっていいのかわかりませんけれども、私どもから見ると突然に感じますけれども、土地利用を実現する上で都が跡地を一括取得する必然はない、こう決めつけた発言がありました。これについてはどういうことなんでしょうか。

○福田参事 済みません。先ほどの答弁で確認書のことだけご説明いたしましたけれども、考え方について触れていませんでしたので、考え方について触れさせていただきます。
 当時の考え方ですけれども、昭和五十五年都議会における都知事答弁では、空港移転の具体的な促進を図るためには、羽田沖合の埋め立てを都みずからが実施し、現空港用地を交換することが最も適切な方法であるとされておりまして、そうした考えのもとに確認書が締結されたというふうに考えております。
 現時点の跡地取得に関する都の考え方でございますけれども、確認書締結から二十七年が経過する中で状況が大きく変化してきております。具体的には、まず、先ほどの都の埋立地と国の空港跡地の交換についてでございますけれども、跡地の範囲や土地利用について相当な年月がかかることなどから、平成五年に、跡地と切り離して、埋立地を国に、先行して売却することとなりました。
 また、跡地の面積につきましても、確認書当時は二百ヘクタールを想定したものが、空港機能の維持拡充のため結果的には平成十九年には約五十三ヘクタール、これを三者協で合意することとなっております。
 さらに五十三ヘクタールの利用計画につきましては、昨年三月、国と都と地元区から成る三者協で跡地利用計画を定めたところでございます。この五十三ヘクタールを三つのゾーンに分けて、土地利用の方法を示しておりますが、例えば第二ゾーンでは施設例としてホテルや商業施設が示されていますように、この計画を実現する上でも、ホテルや商業施設がございますので、都が跡地を一括取得する必然性はなく、基本的には各ゾーンのそれぞれの施設の整備主体が国からの土地の譲渡または貸与を受けることが合理的と、このように考えているところでございます。

○植木委員 確かに三者協で跡地利用基本計画を立てているのは承知しておりますけれども、やっぱり当該の大田区の発言というのは極めて重いことだと思うんですよね。その大田区が、これまでの三者協議に基づいている確認事項について改めて申し入れをしているわけですから、東京都が一方的に宣言したからこれで終わりということに私はならないだろうと思うんですよ。
 当然、三者協で話し合って合意がなされなきゃいけないし、その合意の前提が、これまでの経過からいって、東京都が土地を取得するようにということだろうと思うんですけれども、今後のこうした協議は考えておられるんでしょうか。

○福田参事 地元と都と十分協議すべきというご質問でございますけれども、昭和五十六年の確認書の中でも、都が跡地を取得する方法と時期は、関係機関との調整を踏まえて別途協議することとされております。
 都といたしましては、跡地利用を推進するための三者協議会におきまして、地元の意見を聞きながら十分話し合いを進めてまいります。

○植木委員 協議は当然大前提なんですけれども、やっぱり大田区でそういうふうに、これまでの経過からいって、東京都として最大限土地を取得するように、東京都が購入するようにということをしておるわけです。
 また日本共産党の大田区議団も、跡地取得方法について、もともと都が土地の取得を行うと確認書を交わしてきた経緯があり、都が実行するように、ということで東京都に申し入れをされているはずなんです。そういう意味で、一方的に進めるんじゃなくて、地元区の発言というのは私は非常に重いものがあると思いますので、それをきちっと全面的に受けとめて、やっていただきたいということで、この質問は終わりにします。
 それから、住宅供給公社についても今回の補正の提案がありますけれども、この補正の提案の意味はどういうことでしょうか。

○松村住宅政策推進部長 今回の補正でございますけれども、公社は一般賃貸住宅の建設に当たりまして、用地取得に必要な資金を都から借り入れておりまして、これを土地債務償還積立金に積み立てております。
 この積立金につきまして、公社は、借入金残高の圧縮が課題である、負債を圧縮し財務状況を改善しようということで、東京都も同じく都税収入が大幅に落ち込んでいる中、公社が都貸付金の繰り上げ償還を行うことは都の厳しい財政にも寄与するものであるということから、こうした形の繰り上げ償還を行ったものでございます。

○植木委員 僕は、住宅供給公社というのは、公社法に基づいて都が支援すべき対象だろうと思うんですよ。それが、都が税収が大変だから支援してくれと、逆になっているんじゃないでしょうか。

○松村住宅政策推進部長 繰り上げ償還というのは、公社にとって借入金残高の圧縮が課題だと先ほど申し上げましたけれども、債務を圧縮し財務状況を改善しよう、これは公社にとって長期的な債務を繰り上げて償還するということで、経営状況の改善にもつながるというものでございます。都のためだけということではございません。

○植木委員 都のためだけじゃないというんですけれども、今回補正として出されたのは、やっぱり都のためなんですよ。そうでなければ、わざわざ補正しないで従来の中でやっているはずなんです。だから、供給公社の考え方はともかくとして、この補正はそういう意味を持っているというのははっきりしているんですよ。そこはやっぱりごまかしちゃいけないと思うんですね。
 しかも、これまでもともと--この前の十七日の都市整備委員会でも、私、この問題を公社の財政状況からお聞きしましたけれども、今回の仕組みを考えたときに、十七年度決算までは、分譲事業及び賃貸管理事業で生じた利益については特定準備金というものに繰り入れていた。それが、平成十八年から、公社法施行規則の改正や特定準備金が廃止されることによって、また会計基準が改正されることによって特定目的積立金の設置が可能になったということから、特定目的積立金の方に利益分を計上してきてそして返してきた、これは公社の立場ですよ。だけれども、だからといって東京都のためにわざわざ繰り上げ償還するというのはやっぱりおかしい。
 それからもう一つは、この特定目的積立金の問題ですけれども、十七年度決算までの特定準備金の関係でいえば、賃貸住宅を初めとした計上前利益全額が特定準備金に加わっていたわけじゃないはずですよ。
 それが今度は、特定目的積立金という新しい仕組みの中に全額計上している、こういうふうになっていて、実際に住んでおられる都民の皆さんの利便が、逆にこれによって圧縮される可能性があるんじゃないかというふうに私は思っているんですけれども、いかがでしょうか。

○松村住宅政策推進部長 繰り上げ償還はおかしいといいますけれども、これは先ほども申しましたとおり、繰り上げ償還で早く長期債務を返した方が、公社にとってもいいということでございます。
 それから先ほどの特定目的積立金につきまして、いわゆる住民にとっての利便性というふうなことでございましたけれども、これは、今の公社の家賃というのは近傍同種家賃ということでございまして、いわゆる利益が上がっているから家賃を下げ、逆に赤字だから上げるというふうな仕組みではございません。
 そういう意味で、いずれにしてもこの償還が、住民の家賃の上げ下げに関係するというものでは全くございません。そういう意味で、おっしゃるような、利便に対して何ら問題が生じるというものではございません。

○植木委員 じゃ、お聞きしますけれども、この間の質問でも、当期利益がどういう推移かというのをお聞きしましたよね。当期利益が平成十四年で十九億百万円ということだったんですけれども、十九年度になりますと六十億、ずっと利益が上がってきているわけですよね。
 利益が上がってきているというのは、もちろん営業努力もその中にはあると思うんですけれども、一般賃貸住宅の収入が大宗を占めているということは、この間お認めになったはずですよ。
 それから、家賃の算定基準も原価積み上げ方式から近傍同種家賃に変更されたことや、建てかえによって、近傍同種になれば当然家賃も計算も高くなってくる。都の利子補給や無利子貸し付けの効果があったのが、それもなくなってきている。
 結局、この六十億に膨れ上がってきた大宗は、一般賃貸住宅にお住まいの方々の生活費の負担に乗って、みんな払われているわけです。
 もちろん皆さんは、仕組みが変わったんだからといわれると思うんですけれども、仕組みが変わったということによって逆にそれだけ負担がふえてきている。その結果、利益が年々上がる仕組みになってきている、このことを私はいっているんです。

○松村住宅政策推進部長 前回の、その利益の推移を今、手元に持っておりませんけれども、利益が出てきた理由というのは、住宅金融支援機構いわゆるもとの住宅金融公庫、これに対して、高利の利率で借りたものを社債を発行して借りかえた、というものがこの中では一番大きいというふうなことでございまして、そういうことで公社は企業努力をして、借入金の圧縮に努めている。
 もう一つは、単純に継続家賃が上がったということではございませんで、家賃の部分でいうと、建てかえによる新規の物件というものが利益に寄与しているということは事実でございますけれども、一番というか、主な、大きいものとしては、住宅金融支援機構からの借りかえ利率、それの圧縮ということでございます。

○植木委員 経営努力は当然なんですよ。それじゃなくて、建てかえによって利益が上がったということは、それだけ家賃も上がっているんですよ。だから、そういう意味で家賃算定がこの間ずっと変化してきて、先ほどいったように利潤が、平成十四年では十九億、平成十五年は十四億、平成十七年が二十九億、平成十八年が四十八億、そして平成十九年が六十億、こういうふうに引き上がってきているんですよ。
 だからそういう意味で、財政の健全のためにはいいんだというお話がありましたけれども、やはり公社というのは、財政の健全はもちろんなんだけれども利潤追求に走ってはならないというのが、公社法に基づく--勤労者に良好な集団住宅及びその用に供する宅地を提供し住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与するという、この大もとから考えれば、本来支援すべき都のために補正予算を組むというのは、やっぱり本末転倒だというふうに私は思います。
 そういう意味で、十七日にも、今度の三年ごとの家賃値上げは行うべきでないという請願が出されていましたけれども、そういう立場で、財政運営というのは単に健全化だけで進めるものではない。公社住宅としての役割を認識してやっていくべきだ。そういう意味で、この補正予算については私は認められないという立場でございます。
 以上です。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○高橋委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第九十八号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、都市整備委員会所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○植木委員 先ほど財政が大変だというお話がありましたけれども、石原知事就任当時から比べたら、都税収入は二割増しの税収が見込まれております。それから、投資的経費も五年連続で経常費に含まれる、当初予算も含めると一兆円規模が推移をして、バブル前の二倍になっています。しかも、オリンピック基金は、都民の苦しみをよそに来年度も一千億円積み立てて、四千億円になろうとしています。
 そういう中で、この補正案は先ほどの質疑で明らかにしましたように、羽田の事業について、国直轄事業なのに無利子で貸し付けすることを行うもので、その補正は認められませんし、公社住宅についても賃貸住宅の繰り上げ償還が、都の財政が大変だということを理由に行われるということについては反対だということを表明いたしました。
 したがって、今回の補正予算について、全体として反対をいたします。

○高橋委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 第九十八号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、都市整備委員会所管分を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○高橋委員長 起立多数と認めます。よって、第九十八号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、都市整備委員会所管分は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十分散会

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