都市整備委員会速記録第一号

平成二十一年二月十七日(火曜日)
第五委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長高橋 信博君
副委員長中山 信行君
副委員長いのつめまさみ君
理事伊藤まさき君
理事神林  茂君
理事三原まさつぐ君
河野百合恵君
植木こうじ君
長橋 桂一君
こいそ 明君
新藤 義彦君
立石 晴康君
大塚たかあき君
相川  博君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長只腰 憲久君
次長総務部長事務取扱泉本 和秀君
技監福島 七郎君
理事加藤 英夫君
理事河島  均君
都市づくり政策部長安井 順一君
住宅政策推進部長松村 光庸君
都市基盤部長升 貴三男君
市街地整備部長座間  充君
市街地建築部長河村  茂君
都営住宅経営部長清水 文夫君
企画担当部長横溝 良一君
連絡調整担当部長岡沢  裕君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
外かく環状道路担当部長遠藤 正宏君
民間開発担当部長石川  進君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
都市景観担当部長町田 修二君
経営改革担当部長並木 勝市君
参事瀧本 裕之君
参事宇多田裕久君
参事福田 良行君
参事中島 俊明君
参事山口 幹幸君
参事荒川 達夫君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十一年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備局所管分
・平成二十一年度東京都都営住宅等事業会計予算
・平成二十一年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・平成二十一年度東京都都市開発資金会計予算
・平成二十一年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・平成二十一年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・平成二十一年度東京都都市再開発事業会計予算
・平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 都市整備局所管分
・東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
請願陳情の審査
(1)二〇第一一一号 東京都住宅供給公社の家賃値上げ反対に関する請願
(2)二〇第一一四号 世田谷区丸子川の水害対策に関する請願
(3)二〇第一一五号 (仮称)「芝浦四丁目計画」に関する請願
(4)二〇第八六号 あきる野複合施設新築計画(温浴施設)の計画の見直しに関する陳情
(5)二〇第一〇九号 首都高速晴海線・晴海仮出入口の設置計画の廃止に関する陳情
報告事項(説明・質疑)
・第百八十五回東京都都市計画審議会付議予定案件について

○高橋委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、請願陳情の審査及び報告事項の聴取を行います。
 なお、本日は、提出予定案件につきましては、説明を聴取した後、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑終了まで行います。ご了承願います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○只腰都市整備局長 本日は、平成二十一年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております都市整備局関係の案件をご説明いたします。
 提出予定案件は、予算案が二件、条例案が二件でございます。
 初めに、平成二十一年度当初予算案の基本的な考え方についてご説明申し上げます。
 二十一年度予算は、日本経済が危機に直面する中においても、都政がなすべき役割を確実に果たし、「十年後の東京」計画に掲げている取り組みを本格化する重要な予算でございます。
 具体的には、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活、三環状道路の整備等による渋滞の解消、震災対策による安全で安心して住めるまちの実現などの目標を達成するため、将来の東京を展望する施策について積極的に予算を計上してございます。
 それでは、二十一年度予算案の内容についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の右上に資料1と書いてございます平成二十一年度当初予算説明書の一ページをお開き願います。都市整備局所管全会計の予算総括表でございます。
 当局は、一般会計を初めとして、合計で七つの会計を所管してございます。表の上から順に二十一年度の会計別予算額について申し上げます。
 まず、一般会計でございますが、二千七百四十一億三千三百万円でございます。特別会計のうち、都営住宅等事業会計は千七百四十億千五百万円、都営住宅等保証金会計は四十七億二千九百万円、都市開発資金会計は三十三億八百万円、多摩ニュータウン事業会計は百九十億五千万円、臨海都市基盤整備事業会計は百二十一億四百万円。公営企業会計でございます都市再開発事業会計は四百十三億千三百万円。これらすべての会計の合計は、一番下段になりますが、五千二百八十六億五千二百万円となってございます。
 合計の予算額を二十年度と比較いたしますと六十四億百万円の増額、増減率で申しますとプラス一・二%でございます。
 次に、平成二十年度補正予算案についてご説明いたします。お手元の資料2でございますが、平成二十年度補正予算説明書の三ページをお開きいただきたいと存じます。
 今回の補正予算案でございますが、大幅な税収減への対応策として、一般会計において一般財源充当額を削減しているものでございます。
 まず、1、歳入予算の表でございますが、一番下の段、合計欄をごらんいただきたいと思います。歳入の補正予算額は百六十億四百万余円でございます。
 その下の2、歳出予算の表でございますが、一番上の段、05都市整備費の欄をごらんください。歳出の補正予算額は、マイナス五十三億六千八百万余円でございます。一番下の表に、歳出の合計から歳入の合計を差し引いた一般財源充当額を記載しておりますが、補正予算額はマイナス二百十三億七千二百万余円でございます。
 続きまして、条例案についてご説明をいたします。お手元、右肩に資料3と書いてございます平成二十一年第一回東京都議会定例会提出議案説明資料をごらんください。
 まず、一でございますが、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例案でございます。
 本条例案は、二級建築士免許等の手数料の額を改定するとともに、長期優良住宅の普及の促進に関する法律の施行等に伴い、関連する手数料を新設するほか、規定を整備するものでございます。
 二の東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例案でございますが、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律の施行及び同法の施行による都市計画法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 私の説明は以上でございます。引き続き、詳細な内容につきまして総務部長事務取扱次長よりご説明をいたします。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○泉本次長 まず初めに、平成二十一年度当初予算案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、平成二十一年度当初予算説明書をごらんいただきたいと存じます。ただいま局長から総括的なご説明をいたしましたので、私からは主要事業の概要について、一般会計から順にご説明申し上げます。
 五ページをお開き願います。都市整備局一般会計総括表でございます。
 まず歳出でございますが、一番上の段、都市整備費の欄をごらんください。二十一年度予算額は二千七百四十一億三千三百万円、二十年度からの増減率を表の一番右に示してございますが、マイナス二・〇%でございます。
 次に、歳入でございますが、一番下から二段目、計の欄をごらんください。二十一年度予算額は一千五百七十六億七千三百万余円、増減率はプラス三二・八%でございます。
 続いて、主要事業についてご説明申し上げます。
 八ページをお開き願います。表の左上、枠の外に予算科目の項を記載してございまして、第一項、都市整備管理費でございます。
 表の一番上の段をごらんください。第二目、企画調査費でございますが、二十一年度の事業費は二十一億三千八百万余円でございます。下の段には、充当する特定財源及び差引一般財源を記載してございまして、以下、各事業とも同様の形で記載してございます。
 同じページの右側、概要欄、中ほどの(3)、建設副産物再利用促進事業でございます。これは、建設発生土再利用センターの設備更新工事を実施するものでございます。
 右側の九ページをごらんください。概要欄の(12)、景観形成特別地区における屋外広告物撤去等支援事業は新規事業でございます。これは、屋外広告物の規制実施に伴う広告物の撤去等について支援策を講ずるものでございます。
 少し飛びますが、一三ページをお願いいたします。第二項、都市基盤整備費の第二目、都市基盤調査費でございますが、事業費は四億四千六百万余円でございます。
 概要欄(2)のイ、豪雨災害に対する取り組みでございます。これは、豪雨対策基本方針に基づき、流域別豪雨対策の推進や、浸透施設の設置補助を行っているものでございます。
 一四ページをごらんください。第三目、都市基盤施設等助成費でございますが、事業費は五百三十九億五千八百万余円でございます。
 概要欄の下の方、(6)、羽田空港再拡張事業でございますが、急激な資材価格の高騰による工事費の増額を見込んだ貸付金を計上してございます。
 一六ページをお開き願います。第三項、市街地整備費の第一目、管理費でございますが、職員費を除いた事業費は七億六百万余円でございます。
 概要欄の中ほど、(5)のイ、高砂地区事業スキーム検討調査でございますが、新規事業となってございます。これは、都営住宅の建てかえにあわせて、高砂地区におけるまちづくりの手法等について検討するものでございます。
 少し飛びますが、二一ページをお開き願います。第六目、都市改造費でございますが、事業費は六百十四億五千二百万余円でございます。
 概要欄の(2)、都施行区画整理でございます。これは、汐留、秋葉原や、新砂、田端など八地区の都施行区画整理事業を実施するものでございます。
 その下の(3)、沿道一体整備でございます。これは、東池袋、鐘ケ淵などの地区において、道路整備にあわせて民間活力を誘導し、沿道の効果的な土地利用を促進する事業でございます。
 二二ページをお開き願います。第七目、ニュータウン事業費でございますが、事業費は二百三億六百万余円でございます。
 概要欄の(4)、多摩ニュータウン事業会計繰出金でございます。これは、多摩ニュータウン事業会計に対して、都債の償還に必要な資金を一般会計から繰り出すものでございます。
 続いて、二四ページをお願いいたします。第四項、建築行政費の第二目、建築指導費でございますが、事業費は四十一億一千百万余円でございます。
 概要欄の(3)、耐震改修促進事業の内訳として、新規事業が二つございます。一つは、キの建築物の耐震化資金融資制度でございまして、これは、緊急輸送道路沿道において耐震改修を実施する建物所有者に対し、金融機関が低利で融資を行う仕組みを新たに創設するものでございます。
 もう一つは、クの建築物の耐震化総合相談窓口でございます。これは、建物所有者が耐震化に取り組みやすい環境を整備するため、さまざまな問い合わせに応じる一元的かつ総合的な窓口を設置するものでございます。
 少し飛びますが、二八ページをお願いいたします。第五項、住宅費の第三目、地域住宅対策費でございますが、事業費は三十五億三千二百万余円でございます。
 概要欄(4)のエ、マンション耐震アドバイザー助成事業でございますが、新規事業でございます。これは、マンションの管理組合による耐震化の検討を支援するため、専門家を派遣する事業でございます。
 右側の二九ページでございますが、第四目、民間住宅対策費でございます。事業費は七十九億七千百万余円でございます。
 事業欄の(2)、民間住宅助成事業の内訳として、新規事業が二つございます。
 一つは、エのマンション施策の総合的展開でございまして、これは良質な住宅ストックの形成に向け、既存マンションの適正かつ計画的な維持更新の誘導策について検討するものでございます。
 もう一つはカの長寿命環境配慮住宅モデル事業でございます。都営住宅の建てかえなどにより創出した土地について、民間活力を導入して、都が目指す長寿命環境配慮住宅をモデルとして供給し、そのノウハウを社会全体に広めていく事業でございます。
 三〇ページをお願いいたします。第五目、都民住宅等供給助成費でございますが、事業費は六百十六億七千万余円でございます。
 概要欄(1)のア、都民住宅制度改善関連施策の新規事業分でございますが、これは、老朽化、陳腐化した設備のリフォームを実施する都民住宅に対し、助成を実施するものでございます。
 三二ページをお願いいたします。一般歳入でございますが、過去の貸し付けに係る返還金収入などを計上しております。
 続いて、三三ページからの繰越明許費については三五ページまで、また、債務負担行為については三七ページから四三ページまで、それぞれ記載してございます。
 以上、一般会計でございます。
 続きまして、特別会計でございます。
 四七ページをお願いいたします。都営住宅等事業会計総括表でございます。
 歳出でございますが、表の一番上、都営住宅等事業費の欄をごらんください。二十一年度予算額は千七百四十億一千五百万円、増減率を一番右へ示してございますが、二十年度と比べてプラス九・四%でございます。
 また、歳入でございますが、表の一番下の段、計の欄にございますとおり、歳出と同額となってございます。
 続いて、主要事業についてでございますが、五〇ページをお願いいたします。
 第一項、都営住宅等事業費の第二目、住宅管理費でございますが、事業費は四百三十六億三千九百万余円でございます。
 右側概要欄の(1)、都営住宅等の管理運営をごらんください。二十一年度における都営住宅等の管理戸数は二十五万八千七百二十五戸を予定しておりまして、その管理運営に係る経費を計上してございます。
 右側、五一ページをごらんください。第三目、住宅建設費でございますが、事業費は六百七億六千六百万余円でございます。
 右側の概要欄の(1)、公営住宅建設事業等をごらんください。アの公営住宅建設事業は三千二百戸を、イの都営住宅スーパーリフォーム事業は千五百戸をそれぞれ予定してございます。
 その下の(2)、都営住宅耐震改修事業でございますが、これは、東京都耐震改修促進計画に基づき、計画的に都営住宅の耐震診断及び改修を実施するものでございます。
 少し飛びますが、五五ページから五七ページは繰越明許費について、また、五九ページから六一ページは債務負担行為について、それぞれ記載してございます。
 六五ページをお願いいたします。都営住宅等保証金会計総括表でございます。この会計は、都営住宅の入居者からお預かりする保証金の経理を行っているものでございます。
 表の歳出、計の欄をごらんください。二十一年度予算額は四十七億二千九百万円、増減率はプラス五八二・四%でございます。
 また、歳入でございますが、下から二段目、計をごらんください。二十一年度予算額は百十八億四千九百万円、増減率はプラス二五・二%でございます。
 少し飛びますが、七三ページをお願いいたします。都市開発資金会計総括表でございます。この会計は、都市施設の整備に要する用地の先行取得を行う会計でございます。
 表の一番上の段になりますが、歳出の用地費の欄をごらんください。二十一年度予算額は三十三億八百万円、増減率はマイナス五・九%でございます。
 また、歳入でございますが、一番下の計の欄にございますとおり、歳出と同額となってございます。
 また少し飛びますが、八一ページをお願いいたします。多摩ニュータウン事業会計総括表でございます。表の一番上の段になりますが、歳出のニュータウン事業費をごらんください。二十一年度予算額は百九十億五千万円、増減率はマイナス四七・二%でございます。
 また、歳入でございますが、表の一番下、計の欄にございますとおり、歳出と同額となってございます。
 続いて、八六ページをごらんください。第四目、公債費会計繰出金でございますが、事業費は百八十二億六千百万余円でございます。これは、公債費会計に対する繰出金を計上しているものでございます。
 八七ページから八九ページには、繰越明許費について記載してございます。
 続いて、九三ページをお開き願います。臨海都市基盤整備事業会計総括表でございます。
 表の一番上の段、歳出の臨海都市基盤整備費の欄でございますが、二十一年度予算額は百二十一億四百万円、増減率はマイナス三一・八%でございます。
 また、歳入でございますが、表の下から二段目、計の欄をごらんいただきますと、二十一年度予算額は二百三十三億五千百万余円、増減率はマイナス四八・三%でございます。
 続いて、九六ページをお願いいたします。第二目、開発費でございますが、二十一年度の事業費は百九億二百万円でございます。これは、概要欄にございますように、晴海、豊洲、有明北の三地区の整備に要する経費でございます。
 九九ページから一〇一ページまでは繰越明許費、一〇三ページから一〇五ページまでは債務負担行為について記載してございます。
 以上で特別会計の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、都市再開発事業会計についてご説明申し上げます。
 一〇九ページをお願いいたします。都市再開発事業会計総括表でございます。この会計は公営企業会計でございますので、収益的収支と資本的収支とに分けて記載してございます。
 まず、表の上の方、収益的収支でございますが、二十一年度の収入の合計は六十九億三千三百万余円、支出の合計は五十六億六千万円でございます。
 次に、表の下の方の資本的収支でございますが、収入の合計は三百四十億八千四百万余円、一番下の段、支出の合計は三百五十六億五千三百万円でございます。
 続いて、事業の概要についてですが、少し飛びますが、一一五ページをお願いいたします。
 第一款、資本的支出の第一項、都市再開発事業費でございますが、支出計は三百二十三億余円でございます。これは一一六ページから一一八ページに記載してございますとおり、北新宿地区、環状二号線地区、大橋地区における都市再開発事業費でございます。
 このうち、一一七ページの第三目、環状二号線地区都市再開発事業費をごらんください。事業費が二十年度と比較して大幅に増加してございますが、これは用地買収費の増加によるものでございます。
 以上で二十一年度当初予算案の説明とさせていただきます。
 続きまして、お手元の資料2、平成二十年度補正予算説明書をごらんください。
 事業の概要について、五ページをお開き願います。第二項の都市基盤整備費の第三目、都市基盤施設等助成費でございます。
 表の上段、歳出計の補正予算額はマイナス四十八億八千二百万余円、その下、特定財源の欄の都債の補正予算額は十一億三千五百万円、対象事業は右側概要欄に記載のとおり、地下高速鉄道建設助成に対する補助金等でございます。これは、国の内示額の減少によって生じる事業の執行残額について歳出の減額補正を行い、その財源について変更するものでございます。
 続いて、六ページをお願いいたします。第三項、市街地整備費の第一目、管理費ですが、事業費の補正予算額はマイナス四億八千六百万余円でございます。これは、給与関係費の執行残額について減額補正するものでございます。
 続いて、七ページをお願いいたします。第六目、都市改造費でございます。
 表の下、特定財源の欄、都債の補正予算額は五億九千八百万円でございます。これは、事業の特定財源として減収補てん債を充当したものでございます。
 続いて、八ページをお願いいたします。第五項、住宅費の第五目、都民住宅等供給助成費でございます。
 表の下、特定財源の欄ですが、諸収入の補正予算額は八十億七千九百万余円でございます。これは、東京都住宅供給公社から貸付金の繰り上げ償還を受けるものでございます。
 続いて、九ページをお願いいたします。第六目、東京都住宅供給公社助成費でございます。
 表の下、特定財源の欄ですが、諸収入の補正予算額は六十一億九千百万余円でございます。これも、先ほどの第五目と同様、東京都住宅供給公社から貸付金の繰り上げ償還等を受けるものでございます。
 以上で二十年度補正予算案についての説明を終わらせていただきます。
 続いて、資料3、条例案についてご説明申し上げます。
 平成二十一年第一回東京都議会定例会提出議案説明資料でございます。
 三ページをお願いいたします。まず、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例案につきましてご説明申し上げます。
 1の改正の理由でございますが、二級建築士免許等の手数料の額を改定するとともに、長期優良住宅の普及の促進に関する法律の施行等に伴い、関連する手数料を新設するほか、規定を整備するものでございます。
 2の条例案の概要でございますが、まず、(1)の建築士法に関するものでございます。
 〔1〕は、二級建築士及び木造建築士の免許手数料等の額の改定及び新設についてでございます。
 〔2〕は、二級建築士免許証明書または木造建築士免許証明書の書きかえ交付手数料及び再交付手数料を指定登録機関の収入とすることができるようにするものでございます。
 次に、(2)でございますが、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部を改正する政令の公布に伴いまして、二級建築士及び木造建築士の試験手数料を改定するものでございます。
 最後に、(3)でございますが、長期優良住宅の普及の促進に関する法律の施行により、長期優良住宅の建築等計画の認定を行う制度が創設されたことに伴い、認定手数料を新設するものでございます。
 五ページから一七ページにかけましては条例案文を、一九ページから三三ページにかけましては新旧対照表を記載してございます。
 飛びますが、三七ページをお願いいたします。東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例案でございます。
 1の改正理由でございますが、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律の施行及び同法の施行による都市計画法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 2の条例案の概要でございますが、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律に規定する歴史的風致維持向上地区整備計画が、都市計画法上の地区計画等に追加されたことに伴い、規定を整備するものでございます。
 三九ページには条例案文を、四一ページには新旧対照表を記載してございます。
 以上で平成二十一年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○河野委員 今ご説明いただきました補正予算案と一般会計予算案に関連して、分けてお願いをいたします。
 まず、補正予算案の方です。
 一つ、首都高速道路整備事業の進捗状況と出資金について。二つ、公社賃貸住宅及び都民住宅の空き家状況。以上二点です。
 それから一般会計予算案につきまして、都営住宅関係について三点あります。
 都営住宅建設事業にかかわる中小企業への工事発注実績。二つ、都営住宅の閉鎖した住宅も含めた総戸数と管理戸数、それから空き家について、事業用、募集用について。三つ、使用承継事由発生状況と、使用が認められた件数、配偶者、例外規定など、内容ごとの内訳。
 それから、二点目の問題です。
 民間賃貸住宅家賃について、東京都と全国、大都市の比較。
 三点目、都市再生関係で三点お願いします。
 都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の推移。主な開発計画の件数、延べ床面積。それから都市再生特別地区ごとの指定容積率に対する都市再生特別地区で定めた容積率の増加状況及び延べ床面積の推移。
 四点目、業務床などの建築物について、高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況の推移。それから都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移。都心三区、二十三区、多摩地域の建設床面積の用途別内訳の推移。
 五点目です。首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路、首都高速中央環状線の事業費及び進捗状況。
 以上です。

○高橋委員長 ただいま河野委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求されました委員と調整の上、ご提出願います。

○高橋委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、二〇第一一一号、東京都住宅供給公社の家賃値上げ反対に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松村住宅政策推進部長 資料4、請願・陳情審査説明表の一ページをお開きください。
 整理番号1、請願二〇第一一一号、東京都住宅供給公社の家賃値上げ反対に関する請願についてご説明申し上げます。
 請願者は、西東京市にお住まいの東京都公社住宅自治会協議会会長の早川信さん外二万二千八百六十三名でございます。
 請願の要旨は、都は、東京都住宅供給公社に対し次のことを指導していただきたいというものでございます。1、平成二十二年四月の家賃値上げは行わないこと。2、設立の目的に立ち戻り、一方的な追い出しとなる定期借家制度を撤回すること。3、安くて良質でだれもが入居できる公共賃貸住宅の大量建設を行うことでございます。
 現在の状況でございますが、公社賃貸住宅の家賃は、地方住宅供給公社法施行規則第十六条に基づき、近傍同種の住宅の家賃、いわゆる市場家賃を基準として決定しております。
 公社では、居住者の代表を含む有識者から成る賃貸住宅管理問題調査会を開催して、平成十六年二月に取りまとめました公社一般賃貸住宅の募集家賃の設定及び継続家賃の改定に係る実施方針がございますが、これに基づき、平成十六年度以降、新規に入居される方に適用する募集家賃につきましては毎年、既に居住されている方に適用する継続家賃については三年ごとに、改定を行うこととしているところでございます。
 公社におきましては、こうした家賃改定を通じて、民間賃貸住宅家賃との均衡を確保するとともに、空き家解消による住宅ストックの有効活用を図ることとしているところでございます。
 また、公社は、公的住宅として建設、供給している公社一般賃貸住宅につきまして、都民の共有財産との認識から、一定の居住者が長期にわたって占有するのではなく、広く都民が活用できるよう利用機会の拡大や建てかえの促進などを目的に、平成十五年六月から定期借家制度を導入しており、定期借家制度を適用している住戸への入居に当たりましては、入居希望者に対し入居時に十分説明した上で賃貸借契約を結んでいるところでございます。
 さらに、公社の住宅供給は、住宅の量的充足が達成された中にあって、それまでの新規住宅の供給から既存の住宅ストックの活用に転換しており、平成十五年五月に公社一般賃貸住宅の再編整備計画を策定し、計画的な建てかえを進めているところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○植木委員 今回、住宅供給公社の家賃の値上げに反対する請願ということですが、まず、公社の財務状況について、大まかな点だけお伺いします。
 住宅供給公社におけるこの五年間の当期純利益は、まず、どのように推移しているかをお示しください。

○松村住宅政策推進部長 平成十四年度決算から平成十九年度決算における公社の当期純利益は、十四年度は十九億百万円、十五年度は十四億九千万円、十六年度は十三億八千五百万円、十七年度は二十九億二千三百万円、十八年度は四十八億四千四百万円、十九年度は六十億二千二百万円でございます。
 公社は、現在、当期純利益の全額を、公社一般賃貸住宅の用地取得のため借り入れました都貸付金を返済するために積み立てております。

○植木委員 今お示しいただいた当期純利益の大半は一般賃貸住宅の家賃収入で、都民住宅などは逆にマイナスになっているんではないかと思うんですけれども、この辺の事実はどうでしょうか。

○松村住宅政策推進部長 例えば、十九年度決算で申しますと、当期純利益六十億二千二百万といううち、いわゆる一般賃貸住宅の純利益が五十三億七千四百万ということで、大宗は一賃の事業収益ということでございます。

○植木委員 当期純利益について今お話がありましたけれども、剰余金の合計というのは幾らになるでしょうか。

○松村住宅政策推進部長 十九年度決算で申し上げますと、剰余金の合計は三千百二十七億円でございます。そのうち資本剰余金が二千六百四十七億、特定目的積立金が三百二十二億、利益剰余金が百五十九億円でございます。
 資本剰余金は、その大部分は平成十六年度決算で実施しました資産の再評価に伴う含み益でございまして、現金を伴うものではございません。特定目的積立金は、先ほど申しましたとおり、都からの借入金返済のための償還原資として積み立てております土地債務償還積立金でございます。また、利益剰余金は将来の事業の変化などに備えたものでございまして、平成十八年度以降は積み増しはしてございません。

○植木委員 途中から東京都と公社の関係が変わったからそういう話はあるんですけれども、実際に剰余金が三千百二十七億円、それがすべて直ちに使えるということではないけれども、事実としてある。
 それから、各種引当金はどのようなものがあって、それぞれどういう内容になって、合計は幾らになるでしょうか。

○松村住宅政策推進部長 平成十九年度決算で申し上げますと、負債として整理した引当金の合計は六百五十八億円でございまして、そのうち、退職給付引当金が五十二億円、計画修繕引当金が六百五億円、債務保証損失引当金が一億円でございます。
 退職給付引当金は、職員の退職給付に備えるため、民間企業の計上方法と同様の算定方式により必要額を計上したものでございます。
 また、計画修繕引当金は、賃貸住宅資産の経年劣化や耐震化に備えるため、今後計画的に実施する修繕工事に要する費用を、個別団地ごとに必要額を算定し、計上したものでございます。
 また、債務保証損失引当金は、主に借り上げ型都民住宅で、オーナーの公庫融資に際して負っている連帯債務の履行に備えるため、これまで回収不能となった実績に基づき算定した必要額を計上したものでございます。

○植木委員 退職引当金五十二億で、そのほか含めて六百五十八億ということですけれども、かつて十何年か前でしょうか、私が公社問題をやったときは、退職引当金は正規職員が一遍にやめた場合の金額が計上されていたんですね。大変驚きましたよ、当時。
 今回は、その後一定の見直しがあって五十二億円になっているんですけれども、それにしても、正規職員だけ考えると五百数十人だろうと思うんですが、相当な金額ですよね。お一人お一人はわかりませんから単純にはいえないんですけれども、五十二億円というのはやっぱり五百数十人の職員から見るとかなりの金額だということがいえるんじゃないかと思いますね。
 こう見てみますと、当期純利益の大宗は、やっぱり一般賃貸住宅によるものであると。それから剰余金についても、いろいろ中身もあるけれども、戸当たりにすると相当な金額になりますよね、剰余金の合計というのは。使えるもの、使えないものありますけれども、実際に使えるものもある。それから、引当金も先ほど指摘したとおりです。
 こうした一般賃貸住宅の家賃収入で償還に充てるということ、これは制度の仕組みが変わったのでそういうふうになっていますけれども、公社住宅にお住まいの皆さんの大変な生活の中で払っておられる家賃ですから、本来都民住宅などの赤字の解消だとか、それから本来利益を上げる仕組みの公社ではないわけですから、そういった点も含めて考えていく必要があると思うんです。
 このたびの深刻な不況で、これは都民全体がそうですけれども、公社住宅自治会協議会の方で昨年度実施したアンケートをいただきました。
 居住者は、六十歳以上が六九%、年収二百万円以下が三二・五%という結果が出ております。それから、世帯の平均年収でも三百四万円という結果で、三年前の調査と比べて二十七万円も引き下がっている。生活全体では三年前の調査時点と比べて、「苦しくなった」と、それから「非常に苦しくなった」を合わせると六九・六%、実に七割にも及んでいる。こうした生活が大変な方たちが家賃を払っている。
 もちろん住んでおられるから当然といえば当然なんですけれども、住民のこういう生活実態について、公社としてはどのように受けとめているでしょうか。

○松村住宅政策推進部長 継続家賃の設定に当たりましても、公社としては種々の配慮をしてございます。
 継続家賃の引き上げに当たりましては、まず、市場家賃に準拠した募集家賃と現行家賃との差額を全額改定するのではなくて、二分の一を改定するとか、あるいは上げ幅の上限を五千円とし、そういう形での激変緩和措置を設けているとか、それから、高齢世帯、ひとり親世帯、心身障害者世帯等で、いわゆる公営住宅入居階層にある生活保護世帯に対しては特別減額措置等を設けているなど、さまざまな配慮をしてございます。

○植木委員 公的な住宅ですから、いろんな配慮が必要なことは、これまで制度として確立しているのは当然だと私は思っています。
 日本共産党都議団はこれまで、公社家賃について、近傍同種の市場家賃制度の取りやめと家賃の値上げはやめること、これは一貫して求めてきましたし、昨年の四定の一般質問でも、我が党の古館都議が家賃の値上げをやめることを要求しました。
 それから、十二月十六日には東京都住宅供給公社の本社を訪ねて、公社一般賃貸住宅の家賃負担軽減等について要望しました。
 そのときの要望内容は、二〇〇九年度の公社一般賃貸住宅の家賃改定による値上げは行わないこと、それから近傍同種家賃制度と三年ごとの家賃改定制度の見直し、三点目は所得に応じた減額制度創設、四点目は住民参加の合意形成に努め賃貸住宅管理問題調査会を改めて開催することの四点を申し入れました。
 公社は応対してくれましたけれども、只腰都市整備局長から厳しい経済情勢の変動を考慮するよう要請があったとして、経済状況が予想以上に悪化しているので二〇〇九年度の値上げ分について、約二千三百戸ですか--見送る方向で決定したと答えられておりました。
 家賃の値上げの見送りは、〇四年度に三年ごとの家賃改定制度を導入してから初めてだと思うんですね。
 只腰都市整備局長が要請したことについて、公社は現在、どう、この経済状況を改めて受けとめているのか。それから、当時と現在の経済状況の認識はどのように受けとめているのか、お示しいただきたいと思います。

○松村住宅政策推進部長 昨年の十二月八日、都議会自由民主党及び公明党から東京都知事あてに、公社一般賃貸住宅における家賃改定及び家賃減額制度に係る要望というのがございました。
 その中で、平成二十一年度における公社一般賃貸住宅の家賃改定の当面の延期、それから公営住宅法施行令に伴う減額措置世帯等への負担上昇緩和措置の実施という要請を踏まえまして、同日付で都市整備局長から公社の理事長あてに要請書を出しました。
 それを踏まえて、住宅供給公社は二十一年度の家賃改定については当面値上げはしないという措置を行ったものでございまして、そういう意味で、昨年の十二月から非常に厳しい状況になっているという認識はございます。

○植木委員 厳しい状況になったという認識で、それは当然みんなそうだと思うんですね。共産党と自民党と公明党が一致した内容で要求しているということですが、大変重要なことだと思うんですよね。
 じゃ、そうしますと、先ほど答えがなかったんですけれども、現在の状況、これについてどう認識しているのか。
 現在の状況の中で、やはり三年ごとの値上げをやるつもりなのか、その点についてお示しいただきたいと思います。

○松村住宅政策推進部長 非常に厳しい経済状況等を踏まえて、二十一年度については当面、家賃値上げをしないという判断でございます。今現在が、当面というその状況ですね。

○植木委員 二十二年度は……。

○松村住宅政策推進部長 二十二年度というか、家賃改定のルールにつきましては基本的に--家賃改定というのは近傍同種の家賃と均衡を失しないよう公社が定めるということになっております。継続家賃については、平成十六年度以降三年ごとに改定を行うということにしておりまして、基本的には現時点では当然そうしたルールに基づきまして、ルールを変えるということは考えておりません。

○植木委員 現時点では、という限定つきだったと思うんですね。そうしますと、経済状況がこのまま推移をすれば、値上げについては見送るということが再度あるというふうに考えてよろしいですか。

○松村住宅政策推進部長 現時点ではルールどおり、平成二十二年度の家賃改定についても原則どおり行われるものと考えております。

○植木委員 これまでの答弁、これまでというのはきょうじゃなくて、今までの答弁とちょっと違うのは、やっぱり、現時点では、というのがついていることについて私は注目したいと思うんですね。
 やっぱり経済状況はその後一層深刻になっていることは、もう皆さん、私がくどくどいう必要ない状況だと思うんですよ。しかもこの間の、現在の不況やリストラの問題もありますけれども、この間、物価上昇や、住民税や所得税の相次ぐ増税、それから社会保障関係も後期高齢者の医療制度を初めとして負担増が相次いでいる。
 そういう意味で、本当にますます状況は悪くなるばかりですから、先ほど来、現時点ということが繰り返されましたけれども、やはりこの請願の趣旨に沿って二十二年度の値上げは見送るべきだということを重ねて強調して、質問を終わりにします。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○高橋委員長 起立少数と認めます。よって、請願二〇第一一一号は不採択と決定いたしました。

○高橋委員長 次に、二〇第一一四号、世田谷区丸子川の水害対策に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○升都市基盤部長 整理番号2、請願二〇第一一四号、世田谷区丸子川の水害対策に関する請願についてご説明申し上げます。
 資料4の三ページから四ページをお開きください。本請願でございますが、世田谷区の、世田谷区丸子川流域住民一同代表、東條迪也さん外三百三十一名の方から提出されたものでございます。
 請願の要旨ですが、都において、丸子川流域を東京都豪雨対策基本方針における対策促進エリアに指定することというものでございます。
 この付近の状況でございますが、四ページの位置図をごらんください。
 丸子川は、世田谷区大蔵付近で仙川から分岐して南東に四・三キロメートル流れ、等々力渓谷の南、滝之橋付近で一たん谷沢川に合流いたします。その後、さらに南東に二・八キロメートル流れて、大田区田園調布付近で多摩川左岸に合流いたします。谷沢川合流点より上流部の四・三平方キロメートルを丸子川流域Aゾーン、谷沢川合流部から多摩川合流点までの二・一平方キロメートルを丸子川流域Bゾーンと称しております。
 現在の状況でございますが、近年、東京において時間五〇ミリを超える豪雨が増加し、平成十七年九月には、時間一〇〇ミリを超える豪雨によって甚大な浸水被害が発生したことから、都では、平成十八年五月に学識経験者などから成る東京都豪雨対策検討委員会を設置いたしました。
 この委員会において、専門的見地からの十分な検討を行うとともに、広く都民などからのご意見もお聞きし、平成十九年八月に東京都豪雨対策基本方針を策定、発表いたしました。
 本方針は、都の進める治水対策全体のうち、豪雨への対策を中心に、方向性を取りまとめたものでございます。
 具体的には、豪雨やそれに伴う水害が頻発しているエリアを対策促進エリアとして選定し、河川や下水道の整備のほか、雨水流出抑制などの流域対策を進め、十年後までにおおむね時間五五ミリの降雨までは床上浸水や地下浸水被害を可能な限り防止することとしており、対策促進エリアとしては、これまでの浸水被害や降雨状況、流域特性、対策の進捗状況などに基づき、神田川流域など七流域を選定しております。
 また、都内全域においておおむね三十年後までに、河川、下水道の整備と流域対策に加え、高床建築など家づくり、まちづくり対策を進め、おおむね時間七五ミリの降雨までは、床上浸水や地下浸水被害を可能な限り防止することとしております。
 現在、都民生活の安全確保に向けて、本方針に基づき、区市町村とも連携し、豪雨による被害の防止に取り組んでいるところでございます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○植木委員 今回の請願は、地元の議会関係者が超党派で都議会に要請に来られておりました。
 丸子川自体は、川幅が比較的狭く、湧水が流入している。ふだんは地域住民に豊かな自然を提供している。しかしながら、丸子川を含めた谷沢川、丸子川流域については、ハザードマップでもわかるように二メートルの浸水被害が予想されており、いざというときには高齢者や子どもが逃げ切れない、こうした危険な地域として指定されているというふうに思います。
 こういう危険な状況についての認識をまずお伺いします。

○升都市基盤部長 今、委員から、ハザードマップで二メートルの浸水があるというお話がございました。
 ハザードマップ、これは世田谷区が発表しております。世田谷区は二つの洪水ハザードマップを公表してございますが、そのうちの全区版と呼ばれているものでございまして、その中で、二メートルのところが、丸子川流域のところに見られるということでございます。
 この洪水ハザードマップでございますが、大雨により河川から水があふれ出した場合に、浸水の予想される区域や浸水の程度、避難場所等の情報を記載したもので、水害に対する危険性を住民に周知して事前の備えに役立てるものでございます。都内では、昨年末までに二十三区、十四市で既に作成されているものでございます。
 このうち世田谷区のものを初めといたしまして、都内の多くの自治体がハザードマップをつくっておる、その多くの自治体のハザードマップでは、平成十二年九月に発生いたしました東海豪雨で記録された二日間総雨量五八九ミリ、時間最大一一四ミリという降雨が、その流域全体に降った場合を想定して、つくっておるものでございます。非常な豪雨ということでございますが、そういうもので予想した中に若干、二メートルのところがある、流域の中で一部そういうものがあったというふうに認識しているものでございます。
 ただ、今お話ししましたように、こういうハザードマップでございますので、危険を周知するということで、私ども先ほどご説明いたしましたように、特にそのうちの豪雨に着目して、それに対する対策をやっているものでございます。先ほど申し上げましたように、これまでの浸水被害や降雨状況、流域特性等、それから対策の進捗状況を踏まえて七流域を選定したものでございます。その七流域に丸子川流域は入っていないというところでございます。

○植木委員 豪雨対策基本方針の考え方はわかりましたけれども、この谷沢川、丸子川流域について、対策促進エリアから外された理由というのはどういうものでしょうか。

○升都市基盤部長 繰り返しになりますが、対策エリアの選定をするに当たりましては、私どもは昭和五十一年度ぐらいからの浸水被害の状況等を都内全域の河川流域にわたって調査をいたしてございます。その中で、これまでの浸水被害や降雨状況、流域特性等々を踏まえて七流域を選定したものでございます。

○植木委員 じゃ、お聞きしますけれども、昨年八月二十九日から三十一日にかけて、谷沢川、丸子川流域で最大一時間雨量が、桜丘、代田、用賀、砧などで五〇ミリ、五五ミリ、六〇ミリ、六三ミリなどと連続的な降雨があったわけですね。それで、床上、床下浸水が四十四件にもなる。その大半が内水による被害だと、こういう状況です。
 豪雨対策基本方針の制作過程は、私もずっと一貫して求めてきたものですからこれ自体はいいんですけれども、昨年のこういう雨というのはゲリラ豪雨といわれているんじゃないかと思うんですよね。
 そういう意味で、先ほど、なぜ、というのは聞いたんですけれども、ゲリラ豪雨はこの豪雨対策基本方針の中で、全部がとはいいませんけれども、必ずしも位置づけられていない、あるいはそれ以前の段階の検討の内容だったというふうに認識しておるんですけれども、いかがでしょうか。

○升都市基盤部長 昨年の豪雨につきましてお話がございましたが、都としてまだその被害については集計中だというふうに聞いておりますので、何件というのは各区からヒアリングをとっているところだそうで、ちょっと正確な数字というのはございませんが、今、四十数件というのは区でとらえたものかどうかというのは私はわかりませんのでコメントはできませんけれど、この豪雨対策基本方針をつくるに当たりましては、一部地域に集中する豪雨もある、そういう傾向が近年高まってきているということも前提として、この豪雨対策基本方針をつくっているところでございます。

○植木委員 豪雨一般じゃなくてゲリラ豪雨についてお伺いしたいんだけれども、それに答弁がなかったんですが、私は、世田谷区の災害対策課長さんからいただいた資料で先ほどのお話をしているんですね。区の資料ですから間違いないと思うんですけれども。
 いずれにしても、ゲリラ豪雨というのがだんだん都市化の中でいろんな形態をとってくる。特に、都心の海沿いに超高層ビルがどんどんできる中で、ビルの集積の中で、大気がいろんな変化を遂げてきている。
 そのほか千葉の方面やあるいは神奈川の方面からの風との関係で、気象学の専門分野ではゲリラ豪雨について、元の都立大の先生方や、それから東工大だとか東大だとかの先生方が研究されていると思うんですけれども、そういう豪雨対策の中でも、ゲリラ豪雨というのは新しい課題の一つだろうというふうに思うんですよね。
 そういうことを考えるならば、やはりこの願意というのは、一遍に全都なんていうむちゃなことは私もいいませんけれども、受けとめるべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○升都市基盤部長 願意を受けとめるというお答えの前に、ちょっと繰り返しになりますが、先ほどご答弁したように、一部地域に集中する豪雨といういい方を私ども豪雨対策基本方針でしておりますが、これは一般的にいわれるゲリラ豪雨のことを私どもはそういっているということでございます。私としては今、一部地域に集中する豪雨も、豪雨対策基本方針の中では取り入れているというお話をさせていただいております。
 それから、こういう豪雨がある中で、委員おっしゃったような被害があるところなのだから、取り入れたらどうかというお話でございましたが、私どもは、繰り返しになりますが、これまでのいろいろな降雨状況等、地域の特性などを踏まえながら、十九年八月に豪雨対策基本方針を取りまとめたところでございます。昨年の豪雨の状況についてはまだ東京都としての正式な数値をもらっていませんので、そういう状況の中で、私どもとしては、今すぐここのところを取り入れるという状況にはないのかなというふうに思っております。

○植木委員 資料をもらっていないから今すぐ取り入れることはないというんですけれども、資料をもらっていないならすぐもらってくださいよ。当たり前のことじゃないですか。行政から資料をもらうのに、そんなに難しい話じゃないですよね。
 それで、もともとこの河川対策、豪雨対策あるいは流域の雨対策、全体として遅々として進んでいないところから、特にこういう豪雨--近年大きくなってきて、こういう施策をとってきたという経過は私も重々承知しています。
 もう一つの問題は、雨がなかなか土の中にしみ込まない、そしていきなり川や下水に水が流れる、こういう都市に今なってきているんですよね。ですから、雨水浸透ますの設置事業も、かつて東京都が旗を振って全都的にやってきた。ところが、それが途中でストップしてかなりの期間がたっちゃった。
 私もそのときに、少なくとも豪雨のあるようなところには周辺に雨水浸透ますの設置促進事業をやりなさいよということを何回も何回もいいましたけれども、ようやくそれが復活してきたということでは、これ自体は私は、豪雨対策基本方針は困難な中で出た方針だと思うんです。
 ただ、今いったように都市化が年々進んでいる。先ほど、ゲリラ豪雨はその中の一部のことなんだというふうにいっていますけれども、それは後からつけたものだと私は思うんですよ。
 去年の状況を見れば、もっともっと新たな対策が求められているというのが、社会的にも研究者の間でもいわれているわけですから、ぜひそういう意味で、現時点で資料がないなどといわないで、すぐ資料をとって検討していただきたい、願意を酌み取っていただきたいということを重ねて要望して、質問を終わりにします。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認めます。よって、請願二〇第一一四号は継続審査といたします。

○高橋委員長 次に、二〇第一一五号、(仮称)「芝浦四丁目計画」に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○河村市街地建築部長 お手元の説明表の五ページをお開きいただきたいと存じます。整理番号3、請願二〇第一一五号、(仮称)「芝浦四丁目計画」に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、港区の、(仮称)芝浦四丁目計画対策協議会代表、福田久一さん外二百八十八人から提出されたものでございます。
 請願の要旨でございますが、都において、芝浦四丁目地域住民が安らかに暮らし続けられるよう、住友不動産株式会社に対して次の事項について指導していただきたい、1、地域環境の保全、建築計画、日照、風害等の問題について、住民との話し合いを、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の目的に沿って誠意を持って行うこと、2、工事開始に当たっては、住民との話し合いのもとに工事協定を結ぶことというものでございます。
 計画地でございますが、お手元七ページをごらんいただきたいと存じます。
 本件建築物の計画地は、港区芝浦四丁目一の三十七ほかで、JRの田町駅から八百メートルほど南に位置してございます。
 これまでの経緯でございますが、五ページにお戻りいただきたいと存じます。
 平成二十年七月十四日、建築主の住友不動産株式会社は、紛争予防条例に基づく建築計画のお知らせ標識を設置するとともに、翌七月十五日、都に、景観条例に基づく事前協議書を提出いたしました。また、九月二十四日、建築主は、都に、総合設計の許可申請を行いました。十二月十日、請願者は、都に、建築主と住民の話し合いが円滑に行われるよう行政指導を求める、芝浦四丁目計画(仮称)に関する要請書を提出してきたため、都は、紛争予防条例に基づき紛争調整を解決するあっせんの制度があることを説明いたしました。
 また、都は建築主に対して、請願者から要請書が提出されたことを説明し、誠意を持って話し合うよう指導するとともに、あっせんの申し出があった場合には速やかに応じるよう指導いたしました。
 これに対して建築主からは、あっせんの申し出があった場合には応じる旨の回答を得てございます。
 平成二十一年一月七日、都は、本案件に係る総合設計の許可を建築主におろしました。現在、請願者と建築主との間では、適宜話し合いが持たれております。
 最近の動きとして、二月十二日に請願者から、都に対して紛争調整申し出書が提出されましたので、現在あっせんによる紛争調整の準備に入っております。
 なお、本件建築物については、これまで当事者間の話し合いによる調整の中で、当初計画に比べ、階数が十二階から十一階に一階減るとともに、高さが六十五メートルから五十六・八メートルに、また、延べ面積が二万四千八百七十平米から二万三千百十二平米に削減されております。
 以上で説明を終わります。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○植木委員 この芝浦四丁目計画ですが、この地域は準工業地域であるため、住宅とオフィスが混在しているという状況があります。しかし、近くには学校もあり、川辺には大小取りまぜての住宅がたくさん建っています。もちろんオフィスもありますが、最近のオフィスはガラス張りで、外からは中が見えないんですけれども逆に中からは外がよく見える、こういうビルがこの周辺にはたくさんあります。
 そこでごく基本的なことを伺いますが、準工業地域ではありますけれども、生活基盤である住宅でたくさんの方が生活しているここへの配慮を、当然、オフィスであろうと、しなければならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○河村市街地建築部長 準工業地域ということで、お住まいの方々の生活環境への配慮ということでございます。
 総合設計等の許可に当たりましても、この地域は、品川・田町まちづくりのガイドラインというのが策定されておりまして、複合的なまちづくりを進めていくというふうに整理されてございますので、住宅、事務所、店舗、いろんな用途といいますか、機能がちゃんと融合して環境もちゃんと維持向上するようにということで、総合設計の許可に当たり、市街地環境の向上に大変配慮いたしまして、日影、風、いろいろ配慮いたしまして進めさせていただきました。

○植木委員 今、景観計画に基づいてのお話がありましたけれども、東京都景観計画は二〇〇七年にできて、この地域は、臨海景観基本軸だとか水辺景観形成特別地区に位置づけられています。景観形成基準では、統一感のあるスカイライン、隣棟間隔の確保、水域側にオープンスペースの確保、長大な壁面は避けるなどということが掲げられています。
 実際にここに行ってみますと、何かまちが統一感のないまちで、真っ茶色のビルがあるかと思うと真っ黒なビルがあったり、全面ガラスで外からは何も中は見えないんだけれども、多分中からは我々見られているんだろうなというのが--高さもまちまちですし、本当に統一感がこれであるのかなという感じを受けました。
 そこで幾つかお伺いしますが、一つは、長大な壁面は避けると、こういうことになっていますが、この、長大な、というのは一体どういう基準なのでしょうか。

○町田都市景観担当部長 臨海景観基本軸の景観基準におきましては、外壁につきましては、水域に面して長大で単調な壁面を避けるなど圧迫感の軽減を図るというふうにしております。この基準に定めております長大な壁面につきましては、計画地の周辺の建物の高さですとか規模、配置など、現地の状況を勘案して判断をしているところでございます。
 以上でございます。

○植木委員 周辺の規模などで判断、というのはわかるようでわからないですけれども、さっきもいったように非常に、必ずしも統一感のないまちにだんだんなっているんじゃないかなという感じを受けるんですよね。せめて運河の周辺はもうちょっときれいになってもらったら、住民の皆さんも憩いができるんじゃないか、地元区では努力はされているようですけれども、建物の方でもそういう努力が必要じゃないかなと思うんですよね。
 長さはわからない、基準は周辺で判断するというんですけれども、請願者の方では、無機質な壁、こういうのは人間の気持ちを絶望的にさせるとおっしゃっていますよね。
 もともとは全部ガラスの計画だったようですけれども、今度は逆に、周辺がガラスで真ん中はのっぺりと、こういう状況になっているんですけれども、一体どのような指導を行っておられるんでしょうか。

○町田都市景観担当部長 当該の案件につきましては、周辺状況を勘案しますと、例えば、運河の対岸に幅およそ百十メートルほどの建築物が既に存在をしております。こういった点を勘案し、周辺の市街地状況といったものと調和するように、外壁面につきましては、例えばスリットを入れる、あるいは仕上げの違いを工夫するというようなことから--仕上げの違いによりまして、長大といわれているその壁面を幾つか分割するというようなデザイン上の工夫をしております。そういったことから圧迫感の軽減を図ってきたというところでございます。
 以上でございます。

○植木委員 住民の方は、日常生活を営んでおられる。片や事務所棟ですよね。だから、デザイン上だけでいいのかというのは、やっぱりよく住民と話し合ってその辺もやっていくべきじゃないかなと。
 せっかくこういう話し合いの場を設けるようにという指導をしてきたんだから、そこはいかがでしょうか。

○河村市街地建築部長 先ほどもご説明申し上げた中で触れましたように、二月十二日にあっせんの申し出が出てまいりまして、事業者といいますか、建築主の方もこれを受けるということでやっていまして、今、行政も入ってお話し合いをしっかりやっていくように日程調整中ということで、来週以降速やかにできるかなというふうに考えております。

○植木委員 ではもう一点伺いますけれども、景観形成基準では、水域側にオープンスペースの確保、というふうになっているんですけれども、この図面を見てみますと、運河の側より道路の側の方がオープンスペースがたくさんあって、運河の側のオープンスペースが少ないように見えるんですが、これは都が指導してこうなったんですか。
 水辺側に多少の緑、緑化はありますけれども、オープンスペースを確保するという方針上は、どうなんでしょうか。

○町田都市景観担当部長 景観の協議に際しましては、正式な事前協議に先立つさまざまな事前の相談の段階からいろいろと事業者側、設計者側と東京都で話し合いをしてまいります。
 その過程の中で、建築計画の熟度とともに、一定の、例えば緑地ですとか、それから緑ですとか、運河との歩行者ネットワークですとか、公開空地の位置等も含めて協議を進めて、話し合いを進めてくるという状況がございます。その過程の中で現在のような計画の設計が固まってきたということでございます。
 運河側につきましても、一定の、こちらからの要望を踏まえての現在の空地、緑地のとり方といいましょうか、そういう設計をしたということでございます。

○植木委員 何かそんなふうには見えないんですけれども。運河側の方がどう見てもオープンスペースが少ないですよね。
 これも含めてぜひ、話し合いをするということですから話し合いをやっていただきたいし、住民の皆さんは、やっぱり先ほどもお話がありましたように、環境それから建築そのもの、日照、風害等について要望を聞いてほしいということですから、ぜひそれらを取り入れるように積極的に都としても働きかけていただきたいというふうに思うんです。
 といいますのは、港区のまちづくりマスタープランでもこういうふうにいっているんですよ。港区の芝浦港南周辺地区で、まちづくりの方針の第一に、質の高い居住環境の維持・創出とルールづくり、こういうものを掲げているんですね。
 地域特性に応じて地域の方々の発意と合意に基づき、建物の高さ、壁面の位置、緑の配置などに提案できるルールづくり、これをやろうと。それから、大規模開発によって人口の増加が見込まれているということを前提にして、生活の利便あるいはいろんな地元の施設の充実も図る必要があるということもつけ加えている。それから、オフィス関係も、地域に貢献する施設の誘導もしてほしいと。こういうさまざまな--結局住民の皆さんが住み続けられる住環境をどうやってつくるか、混合地域ですから、かなり粘り強い努力の必要なところだと思うんですけれども、そういう角度が必要だと思うんです。
 それから、もう一点は風の道の問題なんですけれども、東京都も、風の道ということは最近いうようになってきて、それ自体は歓迎しているんですけれどもまだまだ規模が小さいと思うんですね。
 風の道というのは、大きく求められているのは、都市全体に風がどう行き渡るかという角度から考える。そうしますと、この臨海の地域を見ますと、かなり建物が、何ていうんですか統一感のない、しかも海風が結果的にはほとんどふさがれている。わずかばかりの道は、確かにないことはないんですけれども、それだと本当に少しずつしか行かない。
 東工大の先生なんかは、やはり風の道というのは都市全体に行き渡る、そういう本格的なものでなければならないといっているんですけれども、こういう地域においてもそういう手法を取り入れる、これも一つの大事なことではないかと。
 全然やっていないとはいいませんけれども、ごくごく規模が小さいというふうに思いますが、いかがでしょう。規模を大きくするということで、どうでしょうか。

○河村市街地建築部長 風の道に関するご質問でございますけれども、先ほどもちょっとご紹介いたしましたように、この地域は品川・田町まちづくりガイドラインを策定しておりまして、運河沿いということで、風の道づくりに建築を誘導していくということが一つの課題、テーマになってございます。
 本件の建築の許可に当たりましてもそういったことを意識しまして、運河の幅を少し広げていくということで、外壁等をセットバックいたしまして、当初は事業者は二・六メートルぐらいのセットバックしか考えていなかったんですけれども、いろいろ地元の要望等もございまして三・八メートルぐらいですか、ちょっとバックを協力していただきまして、そこに緑をずうっと密度高く入れていただきました。
 さらに、地元住民等の意向も受けまして高木になるようにということで、高木をかなり密度高く入れるということで、運河沿いに幅をつけて、さらに緑で風を起こしやすくということで指導した経緯がございます。
 高さの方も、ナショナルコートよりは若干高いんですけれども、ランドマークになるような高さではなくて、風の道をつくりやすくなるような形で建築計画を導いてきたということでございます。

○植木委員 僕のいっているのは、もっと本格的な大規模な風の道というのが、まちづくりの観点から必要だということをいっているんですよ。
 そういう部分的なものももちろん必要ですけれども、やはりこの辺の地域は都心に向けての風の通り道になっているわけで、そういう意味では、本格的な風の道というのをもっともっとやらなきゃいけないという意味でいっているわけです。
 いずれにいたしましても、港区のガイドラインでもいっているように、本当に、事務所棟がたくさんできたから住民がなかなか住めないなんていうことにならないように配慮が必要だといっているわけですから、話し合いの過程でも、ぜひ東京都としてそういう角度からの指導、それから水辺ラインをもっともっと広げることや、建物についてもあるいは壁面についても、住民との合意を図るように重ねて要望して、終わりにします。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認めます。よって、請願二〇第一一五号は継続審査といたします。

○高橋委員長 次に、二〇第八六号、あきる野複合施設新築計画(温浴施設)の計画の見直しに関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○座間市街地整備部長 整理番号4、陳情二〇第八六号、あきる野複合施設新築計画(温浴施設)の計画の見直しに関する陳情についてご説明申し上げます。
 お手元の審査説明表九ページ、一〇ページをお開きください。本件は、あきる野複合施設新築計画見直しを求める近隣住民の会の代表者でございます朝倉寿夫氏外四十三名から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、財団法人東京都新都市建設公社に対し、公社用地に建設予定の温浴施設計画について、住民と十分に話し合い、内容の見直しや適地への変更など、住民が納得のいく対策を行うよう求めていただきたいというものでございます。
 一〇ページの案内図をごらんください。本件複合施設の建設予定地でございますけれども、JR五日市線の秋川駅の北方約七百五十メートルに位置しております。下段に配置図を示しております。
 現在の状況ですが、財団法人東京都新都市建設公社は、東京都が中心となって出捐して設立された団体で、地方公共団体等からの受託事業のほか、宅地造成事業、地域開発関連事業等の自主事業を実施しております。
 温浴施設を含む複合施設は、公社が西秋留駅北口土地区画整理事業により換地処分を受けた土地に、地域の活性化と公社の収益確保を図るため、建設を予定しているものでございます。
 公社は、複合施設の建設の着手に当たり、平成二十年六月三十日と七月十七日の二回、住民説明会を開催いたしました。説明会では、住民から、住環境が悪化すること、生活道路の安全が確保できないことなどを理由に、計画の見直しを求められております。これを踏まえ、九月十五日に公社は東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例に基づきまして住民説明会を開催し、営業時間の一部変更、規模や配置の計画の変更などについて説明をしております。しかしながら、住民の合意が得られておりません。
 九月二十六日に、あきる野市議会に提出されていましたこの複合施設に関する建設計画の見直しを求める陳情二件につきまして、あきる野市議会で審査されておりますが、不採択となっております。
 十月十七日に、朝倉寿夫氏外四十六名から東京都知事あてに紛争調整申し出書が提出されました。この申し出書を受けまして、十一月四日と十二月二十六日の二回、公社と住民との話し合いが行われておりますが、歩み寄りは見られておりません。
 なお、公社は、秋川駅北口地区地区計画におきましては用途の制限はなく、複合施設は建築が可能であるとともに、駐車場は複合施設を運営していく上で必要不可欠な施設であるとしております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○河野委員 質問します。
 インターネットで検索いたしますと、ブログ秋川3丁目の夕日というのが出ていました。これとか、今ご説明がありました陳情文を見ますと、昨年来から温浴施設を建設する新都市建設公社の対応に、住民の方がいろいろ意見を持っていることが推測できます。あきる野市議会には、千七百を超える署名が出されたということも聞いています。
 質問に入りますけれども、新都市建設公社は東京都の監理団体で、多摩地域の下水道事業や土地区画整理事業を主な業務としている団体です。陳情が出た温浴施設は新都市建設公社の土地につくられるということなんですけれども、公社がこの計画地を取得した経緯、若干ご説明にはありましたけれども、詳しくご説明をいただきたいと思います。

○座間市街地整備部長 建設予定地の土地の取得についてでございますけれども、東京都新都市建設公社が、西秋留駅北口の土地区画整理事業の事業用地といたしまして昭和五十七年から五十九年にかけて先行買収をした土地を、平成七年三月二十日の換地処分によりまして取得したものでございます。なお、この先行買収した土地につきましては、事業執行ということで、公社が仮住居の設置ですとか作業ヤード、工事車両等のための駐車場などに使うことを目的として取得したものと聞いております。

○河野委員 区画整理事業というのは、関係地権者の人たちが減歩などの負担を負いながら行われる事業だと思うんですね。
 公社がこの事業の中で、一つのまとまった土地としてこの建設予定地を換地処分を受けたということだというふうに、私は今のご答弁を聞いて受けとめたんですけれども、そういう形で、区画整理事業の中で新都市建設公社が一団のまとまった土地の所有の権利を得たということだと思います。
 この土地について、昨年の十月から井戸の掘削工事が始まっているということなんです。地域の近隣の方が作業員に尋ねたら、井戸の掘削の深さ、九百メートルくらい掘り下げるかもしれないといわれたそうです。
 掘削の届け出について伺いたいんですが、その深さとか、掘った場合のくみ上げる水量についてはどのような状況なのかお答えいただきたい。あわせて掘削工事の現状、それから今後の工期の予定、これについてもわかっていることをご説明ください。

○座間市街地整備部長 温浴施設の井戸の掘削工事でございますけれども、市に提出されました地下水揚水施設設置届け出書によりますと、予定の深度は約六百メートル、くみ上げ予定量につきましては一日当たり三百立方メートルと聞いております。
 それから現在の工事の状況でございます。公社は昨年七月に井戸掘削工事の契約を締結しまして、本年二月中旬までに掘削工事を完了するという予定でございましたけれども、住民との話し合いによる中断などによりまして、工事完了は数カ月延期になる見通しでございます。
 現在約二百六十メートルほど掘削しておると聞いておりますけれども、本年一月十四日から現在に至るまで掘削を一時中断しているという状況にございますが、近いうちに工事を再開する予定であると聞いております。

○河野委員 聞き間違いかもしれないので確認させていただきたいんですが、今のご答弁で、井戸の掘削は六百メートルという深さを、数字としておっしゃったと思うんです。住民の方のブログなどを見ますと、四百メートルという説明があるようなんですけれども、この四百と六百、どちらが正確なのか。
 それから、くみ上げる量三百立方メートルというのは、一日当たりなのか時間当たりなのか、この辺についても決められた定めというか、申請の届け出を出したときにどういう単位でこの数字が申請されているのか、もう少し詳しく、正確にしてください。

○座間市街地整備部長 掘削につきましてですが、地下水揚水施設設置届け出書によると、先ほどいいましたように六百メートルの深度になっておりますが、地元の住民に対しての説明につきましては、四百メートル以深ということで説明があったように聞いております。
 それから、一日のくみ上げ量ですけれども、一日当たり三百立方メートルでございます。

○河野委員 六百と四百と大分深さが違いますので、この辺は住民の皆さんはどういうふうに受けとめられるかなと、きょう質問して、私は一つ心配がふえちゃったなという思いです。
 この秋川3丁目の夕日ニュースというブログを見ますと、井戸の掘削工事が一回中断しなくてはならないくらい振動や騒音が耐えがたい状態があって、亀裂が入った家も出てきているということが書かれています。新都市建設公社は、住民の方がその被害の状況をお話しすると、後で補償するということはおっしゃるようなんですけれども、具体的にどういう基準でどう補償していくのか、内容は、一向に明確にされないということが出されております。
 私が見る限り新都市建設公社は、今、工事については非常に熱心に、いわば強行というような形で進めようとしておりますけれども、住民に対する対応には親切さが欠けている、不十分さがあるのではないかというふうに感じるんですが、この点はいかがでしょうか。

○座間市街地整備部長 住民への対応でございますけれども、公社は、井戸の掘削工事に起因して家屋や工作物に被害が生じた場合につきましては、工事完了後に補修または補償を行う旨、住民に周知を図っております。
 また、工事に起因して被害が発生しないよう、引き続き工法や使用機械の選定をし、住民への影響を最小限にするための対策に努めていると聞いております。

○河野委員 その周知がなかなかされていないという現状を、ぜひ東京都の方は把握していただきたいというか、認識していただきたいというふうに思います。
 建設予定地の問題について伺いますが、この予定地、いただいた略図を見ますと、道路が囲んでありますよね。道路で囲まれている土地なんですけれども、この道路の幅員は何メートルなのか、歩道がつけられている道路なのかということが気になります。地図を見ますと、ここには載っていませんけれども建設予定地のすぐ隣には保育園もありますから、子どもたちや地域住民の通行の安全や生活環境が守られるのか、この点で都市整備局の見解をお聞きしておきたいと思います。

○座間市街地整備部長 説明表の一〇ページをごらんいただきたいと思います。下に配置図がございますけれども、委員のご説明もありました保育園がこの敷地の北側に位置してございます。北側の道路それから南側の道路につきましては、幅員六メートルでございます。
 公社用地につきましてはただいまの六メートルの道路に接しておりまして、安全の対策としましては、車両出入り口、これは南側に一カ所として、車道に接している面につきましては一メートルのセットバックをするとともに車両出入り口を広げて、出入りに伴う車両の停滞防止を図ることとしております。
 また、隣地に面しております東西の面につきましては二メートル敷地を後退させて、敷地周辺の歩行者空間の確保を図っているところでございます。

○河野委員 建設する公社の方も一定の改善策は示され始めたようだということは今のご答弁でわかりましたけれども、私が感じるのは--この温浴施設が建設されることによって、隣接するところにあります保育園、あと南側には市営住宅もありますよね。そのほかに戸建て住宅が並ぶという点では、非常に静かな生活環境が守られた住宅地であるというふうに思います。車でここに、入浴を楽しむということでお客さんが集中することは十分に予想されることなんですけれども、そのことによりまして交通事故の発生とか、生活環境が悪化してしまうのではないかと、その不安を地域の皆さんが抱くのは当然だというふうに思います。
 私は、この温浴施設の建設を計画している新都市建設公社についてちょっと伺いたいと思っています。
 この公社は、東京都が出捐金一千万、そのほかに多摩の六市が分け合って合計三百万出して、東京都の出捐金の割合が七七%を占めている団体です。公社の理事長は、これもインターネットで見てみたんですけれども、元副知事で、新銀行東京の取締役会議長兼取締役会長の職にある大塚俊郎さんで、その他、都の管理職だった人も常勤役員として名前を連ねている団体です。
 公社の設立目的を見ますと、首都の秩序ある発展を図るというようなことがうたわれています。温浴施設の建設は、本来ならこの新都市建設公社が乗り出すような事業ではない、このことを私は思います。これまでの経過で、また新都市建設公社が担っている役割、これに照らして考えれば、まず公社が努めるべきは住民要望を尊重する、これが第一の問題ではないかと思います。
 せめて、地域住民の皆さんが求めている話し合い、あるいは施設運営に対しての協定書を取り交わしてほしいということを訴えておられるのですから、こうしたことに真摯に向き合う姿勢を示すのは当然ではないかと考えるんです。
 もう一点、井戸の掘削工事、先ほど近いうちに再開されるというようなご答弁もありましたけれども、この問題についても話し合いの途中なわけですよね。だから、これをきちんとお互いの気持ちが結び合うところまで話し合いを尽くしていく、ここが大事であって、一方的に工事を再開する、こんなことをしてはならないと考えるものなんですが、都市整備局として公社に対してどのような姿勢で臨まれるのか、そのお立場をお伺いしておきます。

○座間市街地整備部長 公社の設立趣旨につきましては先ほど答弁したとおりでございますけれども、今回の地域の協定、それから掘削工事につきましてお答えしたいと思いますが、本年一月十四日から井戸の掘削工事の作業を停止しております。これにつきましては公社の自主的な判断によるというものでございます。
 温浴施設の建設に当たりましては、協定を結ぶ必要があるかどうかということでございますけれども、公社が近隣住民の方と話し合いの中で、その必要性について判断すべきものであると考えます。
 したがいまして、これまで公社は安全対策あるいは騒音対策等に取り組みながら、住民への説明を行ってきておりますので、引き続き公社の自主的な解決を尊重したいと考えております。

○河野委員 局の立場は、都市整備局が所管している監理団体の公社ではあるけれども、あくまでも自主的な考え方、運営方針を尊重するということに終始しているんだと思うんです。
 私は、このことは申し上げなくてもいいかなと思っていて控えようかなと思ったんですが、あえて申し上げますけれども、九月ごろですか、話し合いが住民の方と行われたときに、新都市建設公社の職員の人が会議の終わりに、それでも井戸は掘るんだということを--話し合いの経過が、まだ住民の皆さんはこれからも話し合いを続けていかなくちゃと思っているところに、井戸は掘るんだということで、いい置いてお帰りになったみたいなことも起こっています。
 これではとてもお互いの歩み寄りなんていうことは難しいというか、感情的にももう本当にそごが生じるわけですよね。私は、その辺はやはり都市整備局がきちんととらえまして、公社の自主的な判断、運営に任せるというような第三者的な立場をとっているこの姿勢は、改めていただきたいということを求めておきます。
 最後、意見なんですが、陳情者の皆さんは静かな生活環境を求めて、この地に住宅を求めてこれまで暮らしてきたわけです。新都市建設公社は、昨年四回説明会を開いて理解を求めたというふうになっておりますけれども、井戸の掘削工事の強行の問題とか、いろいろなことで住民の皆さんとの溝を深めてしまっているというのが現状じゃないかと思います。
 私は、この場所に温浴施設がつくられるということは好ましいものとは思っていません。これまでの生活環境を悪化させたくないとの住民要望は理解できます。
 公社は、工事の再開を急ぐのではなくて、本当に誠実に話し合いに心を尽くして当たるべきだと思いますし、新都市建設公社は、住民生活をよりよくするという公的役割を担っていることを改めて自覚していただいて事に当たっていただきたい、このことを要望しておきます。
 陳情については、賛意を表明いたします。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○高橋委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二〇第八六号は不採択と決定いたしました。

○高橋委員長 次に、二〇第一〇九号、首都高速晴海線・晴海仮出入口の設置計画の廃止に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○遠藤外かく環状道路担当部長 整理番号5、陳情二〇第一〇九号、首都高速晴海線・晴海仮出入口の設置計画の廃止に関する陳情についてご説明申し上げます。
 資料4の一一ページから一二ページをお開き願います。本陳情でございますが、中央区の、ソフトタウン晴海の住環境を守る会会長の廣田政司さん外二名から提出されたものでございます。
 陳情の要旨でございますが、都において、次の三点を実現することでございます。一点目は、首都高速晴海線につきまして、もともとの計画にはない晴海仮出入り口の設置を行わないこと。二点目は、豊洲-晴海間の工事は行わないよう、首都高速道路株式会社に対して働きかけを行うこと。三点目は、晴海-築地間の事業化について、慎重にその必要性を再検討することというものでございます。
 現在の状況でございますが、都市高速道路晴海線は、築地地区などの都心部や臨海副都心で発生いたします交通の分散、臨海部におきます交通利便性の向上、臨海部の開発促進などに寄与する路線といたしまして、高速湾岸線の有明から都心環状線の築地を結ぶ約五・一キロメートルを平成五年七月に都市計画決定してございます。
 一二ページの平面図と縦断図をごらんください。晴海線全線のうち、有明から晴海までの間二・七キロメートルにつきましては、Ⅰ期区間といたしまして、平成十二年八月に当時の建設大臣が首都高速道路公団に基本計画を指示いたしまして、平成十三年十二月に事業着手してございます。この基本計画に示されております晴海仮出入り口につきましては、高架で計画されているⅠ期区間の終点に位置するものでございまして、晴海線本線を暫定的に平面街路に接続させる機能を担うものでございます。
 Ⅰ期区間のうち、有明から豊洲までの間一・五キロメートルにつきましては去る二月十一日に開通してございまして、残りの豊洲から晴海までの間一・二キロメートルについて、平成二十四年度の完成に向けまして事業を進めているところでございます。
 一方、晴海から築地までの区間、Ⅱ期区間でございますが、この区間二・四キロメートルにつきましては、都市計画決定後の情勢の変化も踏まえまして、交通量推計や整備効果の検証など事業化に関する検討を進めるとともに、国に対しまして早期事業化を求めているところでございます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高橋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○立石委員 お伺いいたします。
 都は、交通渋滞の解消、都市環境の改善、都市景観の形成などさまざまな課題に直面し、その解決に向けて日々取り組んでいるところでありますが、その中でも、都市基盤の最も根幹的な施設である道路の整備は極めて緊急性の高い課題といえます。
 特に、大動脈である高速道路については、我が国を牽引する首都圏の発展に大きく貢献する三環状の早期完成に向けて、整備を促進していかなければなりません。一方、都区部については首都高速道路網がネットワークを形成していますが、本陳情の晴海線など、以前から構想、計画されていながら実現されていない道路も一部に見られます。
 そこで、高速晴海線はどのような経過で計画され、またどのような整備効果が見込まれる予定なのか、改めてお伺いしたいと思います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 高速晴海線でございますけれども、東京臨海部の道路ネットワークの充実と、臨海副都心などを初めといたしますこの地域の開発の促進を目的に、放射三四号晴海通り、あるいは環状二号線など五つの広域幹線道路とともに、平成五年に都市計画決定してございます。
 この晴海線の整備を交通の面から評価いたしますと、首都高の都心環状線と湾岸線が結ばれまして、築地、月島地区や臨海副都心地区で発生いたします交通が分散されるとともに、羽田、横浜、千葉方面から、箱崎ジャンクションとか浜崎橋ジャンクションといった渋滞のポイントを避けて、都心とアクセスすることが可能となります。
 こうしたことから、交通利便性が非常に向上するものというふうに考えてございます。

○立石委員 先月、二月十一日には、高速晴海線の一部区間である有明から豊洲間が開通しました。これにより、豊洲地区から直接高速湾岸線に乗ることが可能になり、横浜、千葉方面を初め、広域的な移動の効率性は大きく高まりました。今後は、平成二十四年度完成を目指して、晴海仮出入り口の設置とともに、晴海地区まで延伸するとの説明でありました。
 そこで、今後、豊洲から晴海までの区間すなわちⅠ期区間を整備することによるその効果について、引き続いてお伺いをいたします。

○遠藤外かく環状道路担当部長 晴海線のⅠ期区間のうち、東雲ジャンクションから豊洲出入り口までの間の工事が完成いたしまして、お話がございましたように、去る二月十一日に開通いたしました。開通区間の直近の交通量につきましては、一日五千台余となってございます。
 今後でございますけれども、Ⅰ期区間の工事の全線を完成させることが非常に重要だというふうに考えてございます。築地地区を初めといたします都心から湾岸線方面へのアクセス性の向上を図りたいというふうに考えてございまして、二十四年度までに晴海地区まで延伸いたしまして、この端部に晴海仮出入り口をつくりたい、設置する、ということで考えてございます。

○立石委員 Ⅰ期区間を早期に整備することの必要性についてはわかりますが、しかし、晴海仮出入り口が設置されることにより、晴海地区の交通状況が大きく変わることが予想されます。特に、交通渋滞や騒音など周辺地域の環境に大きな影響を及ぼすことなどが考えられ、この仮出入り口付近では平成十五年から、沿線住民、都、区、首都高により、晴海三丁目交差点付近の環境保全対策を協議するため、沿道環境対策協議会を計十一回開催し情報交換を行ってきたと聞いております。
 地元の方々が不安に思うのも当然であり、地元を置き去りにして道路をつくることなどあり得ませんし、こうした不安を払拭するため最大限の努力をすべきだと考えます。
 そこで、Ⅰ期区間の開通、特に晴海仮出入り口の設置による環境への影響に対し、どのような対策をとっているのかお伺いいたします。

○遠藤外かく環状道路担当部長 晴海仮出入り口の周辺におきましては、平成十八年の三月に放射三四号線の支線のうち、いわゆる晴海通りの延伸部でございますけれども、これを整備してございます。この整備の際に、将来晴海線が供用された状況も考慮いたしまして、沿道環境対策といたしまして、歩車道境界に高さ五メートルの遮音壁を延べ二百メートルにわたって設置してございます。
 今後、豊洲から晴海間の工事、整備に際しましても、事業者でございます首都高速道路株式会社に対しまして、地域の方々の理解と協力が得られるように強く求めてまいりたいというふうに考えてございます。

○立石委員 地元に不安を残したまま整備を進めるようなことがあってはなりません。道路をつくるからには、地域の将来性を見据え、地元に愛されるものにしていくべきと考えます。今後、地元住民の方々の理解と協力が得られるよう、とことん話し合い、解決すべきと思います。
 ところで、晴海から築地までのⅡ期区間については、いまだ事業化に関する検討段階との説明がありました。仮出入り口が設置される晴海地区の住民の方々のことを考えても、Ⅱ期区間の早期事業化は絶対に必要と考えます。
 そこで、晴海線の全線完成に向けて、都はどのように取り組んでいるのか伺います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 晴海線につきましては、都はこれまで政府提案要求などを通じまして、国に対しましてⅠ期区間の整備促進とⅡ期区間の早期事業化を要請してきてございます。Ⅱ期区間の早期事業化につきましては、国と都の実務者協議会におきます議題の一つというふうになってございます。
 Ⅱ期区間につきましては、現在交通量推計、整備効果の検証など、事業化に関する調査を実施しているところでございまして、今後こうした調査も踏まえまして、引き続き早期事業化に向けて鋭意取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○立石委員 ポイントは早期事業化ということでありますし、時代がバブル的傾向であったところからリセッションに入った。それはそれでまた大きな事情があるわけでありますから、まちづくりは、まさに百年の地域の将来を見据えることが必要であり、子々孫々の世代になってこれでよかったといえるものを整備しなければなりません。
 このためには、単に道路の機能だけに着目せず、地元の要望にも十分耳を傾け、地域の発展に大きく貢献する高速道路の整備を進めていくべきであります。
 このことを強く主張して、質問を終わります。

○河野委員 私も、この晴海仮出入り口の設置計画に関する陳情について質問します。
 首都高速晴海線、説明にありましたように九三年に、築地から湾岸線までの五・一キロが都市計画決定されたと。このときの計画なんですけれども、陳情者の人たちは、晴海の仮出入り口はこのときは計画になかったといっています。
 計画が変更になった経過についてご説明を求めておきます。

○遠藤外かく環状道路担当部長 先ほど申し上げましたように、高速晴海線につきましては、臨海副都心、都心などで発生する交通の分散、臨海部におきます交通利便性の向上、臨海開発の促進、こういったものに寄与する路線といたしまして、平成五年七月に都市計画決定をしてございます。
 その後、平成十二年の八月でございますけれども、当時の建設大臣から首都高速道路公団に対しまして、有明から晴海までのⅠ期区間についての基本計画の指示がなされてございます。
 これをもちまして、首都高速道路公団が平成十三年の十二月から事業着手してございます。晴海仮出入り口につきましては、この基本計画の中に示されてございまして、全線高架で計画されておりますⅠ期区間の終点におきまして、暫定的に平面街路に接続するという施設として計画されたものでございます。

○河野委員 二月十日の朝日新聞の夕刊に、晴海、築地の間の第Ⅱ期区間、二・四キロを含めた全線開通のめどは立っていないという報道があります。豊洲-晴海間の残った区間についての二〇一二年度開通、この目標も先行き不透明ということが書かれています。今の社会経済情勢の影響で、車を使っての物流の流れが変わってきて、車両の交通量は減少してきています。その上に自動車の販売台数も減ってきているわけです。
 この状況を受けて、高速道路建設などは、今、見直していく必要がいわれ始めているわけですね。都心の築地方面から湾岸線へのアクセスは、晴海通りの延伸がされましたので可能になってきていますから、今すぐ豊洲-晴海間のⅠ期区間の残りの工事を急ぐ必要はない、このように陳情者はいっているし、多くの人も感じていることです。
 陳情者は、築地-晴海間のⅡ期区間の計画が明らかでない中でⅠ期の残区間は着工しないよう、首都高速道路株式会社と東京都が協議されたいと要望しています。現下の経済情勢とかも踏まえて、この区間の延伸の必要性が、今、急いであるのかどうか、こういう検討、協議を国や首都高速道路株式会社と行うべきときではないかと考えますけれども、どうでしょうか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 晴海線のⅠ期区間につきましては、先ほどご答弁申し上げましたように、国から基本計画指示を受けてございます。
 築地地区を初めといたします臨海部から湾岸線方面へのアクセス性を向上させることが非常に重要である、より早期に発現されることが重要であるというふうに考えてございます。
 このため、Ⅰ期区間のうちの未整備区間につきましても、平成二十四年度完成を目指して首都高速道路株式会社において整備を進めることとなってございます。

○河野委員 あくまでもやりますよということなんですが、晴海三丁目の交差点に予定されている仮出入り口の建設については、私は昨年十月の事務事業質疑で伺いました。答弁は、ただいま部長が立石委員にお話しになったように、ここに車が集中してくる、車両の交通量の増加があると見込んでいるために遮音壁を設置しますというようなことをおっしゃっていて、きょうと変わらないなと思いながら伺っておりました。
 問題は、先ほどの質問にもありましたけれども、車の交通によって、騒音だけじゃなくて、排ガスによる大気汚染の健康被害とか交通事故の問題とか、いろんなことが地域では心配されているわけです。そういう中で、住民生活に影響が大きい構造物をつくる必要は全く感じられないと、これは地域住民の声として陳情者が訴えています。
 この指摘を受けとめて、晴海仮出入り口の建設計画は見直しをすることが妥当である、これはそうなのかなと私たちも思うんですが、いかがでしょうか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 晴海の仮出入り口でございますけれども、Ⅰ期区間が完成する暁には、ここの出入り口に平面街路と接続するためにつくる施設でございます。
 必要性につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。この位置につきましては、先ほどお話もございましたけれども、交通が集中することを見越しまして遮音壁等の対策も講じてあるところでございまして、私どもとしては、こういった対策を十分に講じて今後のⅠ期区間の残りの整備に努めていきたいというふうに考えてございます。

○河野委員 では、もう繰り返しませんけれども、国土交通省が最近出した交通需要予測では、自動車交通は今後減る見込み、ということが出されています。要因はいろいろありますけれども、環境問題、経済の悪化状況、いろいろなことが要因で自動車を利用する人は減るということなんです。やっぱり、工事にかかわる税金の使い方の問題とか経済社会動向などいろいろな角度から見て、私は、今、首都高速晴海線の延伸と晴海のところに設ける予定である仮出入り口、この建設については検討が必要になっていると感じておりますので、陳情は採択していただくように意見を述べて終わります。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二〇第一〇九号は継続審査といたします。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時十六分開議

○高橋委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
 理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○只腰都市整備局長 来る五月二十二日に開催予定の第百八十五回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件につきまして、ご説明をいたします。
 お手元の資料の中から案件総括表、青い表紙の資料をごらんいただきたいと思います。
 めくっていただきますと、今回、東京都の決定案件は区部のみでございまして十七件でございます。また、産業廃棄物処理施設の用途に供する特殊建築物の許可案件が一件ございます。
 本日は、これらのうち主な案件といたしまして、都市再生特別地区、銀座四丁目十二地区、これは歌舞伎座の建てかえの案件、並びに幹線街路環状第五の一号線ほか関連する五件、これは渋谷駅周辺の基盤整備の案件でございますが、これらにつきまして引き続き担当部長から説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

○瀧本参事 都市再生特別地区、銀座四丁目十二地区の変更についてご説明申し上げます。
 資料は、お手元の白表紙、提案事項概要、薄茶色表紙、事前説明会資料でございます。あわせて、お手元のフジ色表紙、都市計画(素案)の提案もご参照ください。
 今回の変更は、都市再生特別措置法に基づき、松竹株式会社と株式会社歌舞伎座から、本年一月、都市計画の提案があったものでございます。
 スクリーンをごらんください。都における都市再生緊急整備地域は、八地域、約二千五百十ヘクタールが指定されており、本地区は東京駅、有楽町駅周辺地域内にございます。
 薄茶色表紙、事前説明会資料八ページをごらんください。計画地は、南側に晴海通り、西側に昭和通りが接する約一ヘクタールの区域でございます。
 スクリーンには地区の航空写真を示しております。計画地南側に日比谷線東銀座駅、西側に都営浅草線東銀座駅が近接しております。
 事業者からの提案内容については、地域の整備方針に適合し、周辺環境への配慮、都市基盤との均衡が確保されるとともに、都市再生貢献が高く、周辺地域の方々のおおむねの同意も得られていると判断いたしてございます。
 事前説明会資料一〇ページ及び一一ページをごらんください。
 本計画は、日本を代表する古典芸能である歌舞伎の専用劇場の再生を行い、あわせて、だれもが気軽に歌舞伎を見学できる歌舞伎ギャラリー、交流拠点となる国際文化交流センター、伝統文化の学びの場となる歌舞伎アカデミーを整備し、歌舞伎の複合文化拠点の形成を図るものでございます。
 また、防災広場機能も備えた、情報発信や交流に資する地下広場を整備するとともに、日比谷線東銀座駅の出入り口を新設し、バリアフリー化を行います。
 さらに、円滑な交通の確保に向けて、公共的駐車場のほか、観光バスの駐車場、タクシー乗り場を整備いたします。
 災害時の支援機能として、防災備蓄倉庫を整備するとともに、帰宅困難者のための一時的な避難場所を確保いたします。
 環境負荷低減の取り組みとして、太陽光など自然エネルギーの活用、設備システムの高効率化等を行うとともに、緑化を推進し、屋上部の高反射性塗装等の実施を図ります。
 白表紙、提案事項概要四ページ及び事前説明会資料九ページをごらんください。
 都市計画の主な内容として、容積率の最高限度は一二二〇%とし、うち三〇〇%を劇場等の用途といたします。高さの最高限度は、高層部の部分で百五十メートルといたします。
 事前説明会資料一二ページをごらんください。
 完成予想図でございます。主要用途は、劇場、交流施設、教育施設、事務所、店舗となっております。
 私からの説明は以上でございます。

○升都市基盤部長 私から、東京都市計画道路幹線街路環状第五の一号線外五件の案件についてご説明させていただきます。
 これらは、渋谷駅及び駅周辺の都市基盤の再編整備に関する道路、鉄道、河川などの都市計画の変更に関する案件でございます。
 お手元の白表紙、提案事項概要は四五ページから五三ページ、薄茶色表紙、事前説明会資料は四四ページから五八ページでございます。
 スクリーンには現在の渋谷駅の状況を示しております。
 渋谷駅は、昨年六月に開業いたしました東京メトロ副都心線を含む六駅八線の鉄道路線が結節しており、一日に約二百九十万人が利用する全国有数のターミナル駅でございます。平成二十四年度には、東急東横線と副都心線との相互直通運転により、交通の利便性は一層充実されることとなり、駅周辺では再開発の機運も急速に高まっております。
 しかし、現在の渋谷駅を見ると、駅施設の老朽化、わかりにくい乗りかえ経路、自動車と歩行者が錯綜する駅前広場などの問題を抱えており、乗りかえ利便性の向上、交通結節機能の強化、歩行者空間の拡充などが急務となっております。本件は、これらの課題の解決に向け、駅施設や駅前広場などの都市基盤を一体的に再編整備することを目的に、都市計画変更を行うものでございます。
 まず初めに、計画全般の概要について説明し、その後に個々の都市計画についてご説明させていただきます。
 事前説明会資料五六ページをごらんください。初めに駅施設についてご説明いたします。
 渋谷は、若者の文化や情報の創造、発信拠点として多くの来街者でにぎわう一方、その玄関口である渋谷駅は、大正時代から増改築が繰り返されたことにより、階段や通路がふくそうし、乗りかえも複雑でわかりづらい構造となっています。
 今回の変更は、地下鉄副都心線の開業や東急東横線との相直化など、渋谷駅における鉄道の整備計画などを踏まえ、現在、東急百貨店と一体構造となっている地下鉄銀座線渋谷駅を東側へ約百三十メートル移動し、明治通り上空部に移設することにより、各鉄道路線間の乗りかえ利便性の向上やバリアフリー化を図るものでございます。
 また、この移設とあわせて、ホームの形式も、現在の乗りおりが別々のホームとなっている相対式から、同一のホームで乗りおりが可能な島式に変更いたします。
 次に、駅前広場についてご説明いたします。
 一日約三十万人が通過するハチ公前交差点に代表されるように、駅前広場は多くの人であふれており、歩行者空間が不足しております。また、都内最大級となっているバスターミナルは、車道の中央部に乗降場があるなど安全性の問題を抱えているとともに、鉄道等の交通手段と結節するターミナル機能の強化が必要となっています。
 そこで、東口については、バスターミナルを再配置するとともに、歩行者の滞留空間を拡充いたします。
 また、西口についても、ハチ公広場を約一・五倍に拡充するとともに、バスターミナルを南北に分割して、歩行者の滞留空間の創出やバス利用者の安全性の向上を図ります。
 続きまして、事前説明会資料五七ページをごらんください。
 駅前広場の地下部でございますが、東口地下には、広場空間を創出し、鉄道とバスとの乗りかえ利便性やまちへのアクセス性の向上を図ります。
 また、西口地下には、タクシー乗降場を配置しタクシープールを拡充することで、駅周辺におけるタクシーの客待ち待機列を改善いたします。
 次に、駅外周の道路でございますが、JR線高架下の国道二四六号の拡幅などにより、渋滞の緩和や安全性の向上を図ります。
 次に、河川、下水道ですが、駅周辺の治水能力を向上させるため、雨水貯留施設などを整備するとともに、宮益橋から稲荷橋までの区間を公共下水道として再整備いたします。
 また、地下化される東急東横線の現線路敷において、「春の小川」をイメージさせるような、渋谷川と一体となった水辺空間を創出いたします。
 以上の各種の都市基盤のうち、駅前広場などの公共施設については、主に土地区画整理事業による整備を予定しております。
 それでは、個々の都市計画変更について、順にご説明させていただきます。
 提案事項概要の四五ページから四八ページ、事前説明会資料の四四ページから四六ページをごらんください。
 初めに、都市計画道路の変更について説明いたします。
 まず、東口については、既定の渋谷駅付近広場第二号を廃止し、幹線街路環状第五の一号線、通称明治通りでございますが、これに附属する約九千百平方メートルの交通広場を新設します。このうち約千六百平方メートルは地下式でございます。
 また、西口については、既定の渋谷駅付近広場第一号を廃止し、後ほどご説明する渋谷区決定の区画街路渋谷区画街路第二号線を新規に追加いたします。
 次に、幹線街路放射第二二号線、国道二四六号線でございますが、これにつきましては、現況四十四メートルから三十八メートルとなっている鉄道高架下区間の幅員を、五十メートルから四十五メートルに拡幅いたします。あわせて、全線の車線数を六車線といたします。
 次に、都市高速鉄道の変更でございます。
 提案事項概要の五一ページ、事前説明会資料の五〇、五一ページをごらんください。
 都市高速鉄道第三号線、地下鉄銀座線でございますが、これにつきましては、駅位置及びホーム形式の変更に伴い、一部区域を変更するとともに、渋谷駅の位置を渋谷区道玄坂一丁目から渋谷区渋谷二丁目に変更いたします。
 次に、都市計画河川の変更でございます。
 提案事項概要の五二ページ、事前説明会資料の五二、五三ページをごらんください。
 第十二号渋谷川については、終点を渋谷二丁目から渋谷三丁目に変更し、宮益橋から稲荷橋までの約二百五十メートルの区域を廃止いたします。
 続きまして、参考として、渋谷区決定の都市計画変更の内容についてご説明いたします。
 提案事項概要の四九ページ、事前説明会資料の四七ページをごらんください。
 まず、西口については、区画街路渋谷区画街路第二号線を新規に追加するとともに、これに附属する約一万七千四百平方メートルの交通広場を新設いたします。このうち約二千六百平方メートルは地下式でございます。
 次に、提案事項概要の五〇ページ、事前説明会資料の四八ページをごらんください。
 交通広場渋谷駅西口広場及び東口広場についてご説明いたします。
 さきにご説明いたしました環状第五の一号線及び渋谷区画街路第二号線に附属する交通広場と一体的に機能する広場空間を確保するため、交通広場に接する民間敷地の一部を渋谷駅東口広場及び西口広場として都市計画決定いたします。
 なお、民間敷地の適正かつ合理的な利用の促進と、公共的空間の確保を同時に図るため、立体的な範囲をあわせて定めます。
 この東口広場及び西口広場と、今回変更する都市計画道路の整備のイメージ図を、事前説明会資料四九ページに掲載しております。
 最後に、提案事項概要の五三ページ、事前説明会資料の五四、五五ページをごらんください。
 土地区画整理事業、渋谷駅街区土地区画整理事業についてご説明いたします。
 施行区域は、渋谷駅を中心に四方の都市計画道路で囲まれた区域のほか、駅南側の渋谷川に隣接した水辺空間用地となる東急東横線の現線路敷の一部を加えた、面積約五・五ヘクタールの範囲でございます。
 以上が今回の都市計画変更の内容でございます。
 なお、事前説明会資料の五八ページに、再整備後の渋谷駅のイメージパースを掲載してございますので、ご参照ください。
 説明は以上でございます。

○高橋委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○立石委員 渋谷駅周辺の都市基盤に関する案件についてお伺いいたします。
 昨年、都市再生特別地区として、渋谷駅の東側に隣接する渋谷二丁目二十一地区、東急文化会館の建てかえが提案され、質問いたしました。今回の案件は、渋谷駅及びその周辺の都市基盤の再整備に関する計画であり、東西の駅前広場を地上と地下とで抜本的につくりかえるとともに、JR線の大改良や東京メトロ銀座線のホーム移設を行うなど、まさに副都心渋谷の大改造ともいうべき計画がまとまったことになります。
 そこで、今回の都市計画が具現化されることにより、利用者にとって具体的にどのような整備効果がもたらされるのか、端的にお伺いいたします。

○升都市基盤部長 今回の都市計画が具現化されることによる整備効果でございますが、まず、鉄道施設の改良によります耐震性の向上、バスターミナルの再配置による歩行者の車道横断の改善などにより、安全性が向上いたします。
 また、鉄道の複雑な乗りかえ経路の整序化、地下通路や歩行者デッキの整備などにより利便性が向上し、駅から各方面へのアクセス性が格段に向上すると考えております。
 さらに、駅前広場を地上、地下に整備し、ゆとりある空間を創出することによりまして、快適性が向上することなどが考えられております。

○立石委員 利用者の安全性、利便性、快適性を高める計画であることはわかりました。こうしたターミナル駅の機能を高めることは、公共交通の利用を促進させ、ひいては環境に優しいまちづくりにもつながると思います。また老朽化した大規模ターミナルの再整備は、防災性の視点からも早急に進めるべきものと考えます。
 さて、今回の都市計画案を作成するに当たって、地元からさまざまな意見があったことと思います。具体的にどのような意見があったのか、またその意見に対しどのように対応してきたか、お伺いをいたします。

○升都市基盤部長 昨年六月に策定、公表いたしました渋谷駅街区基盤整備方針から意見募集等を行っておりまして、その整備方針に関する意見、また地元説明会や意見交換会なども開催しておりまして、その際に地元の皆様からさまざまな意見をいただいております。
 そのうち主な意見といたしましては、西口広場の一般車両通行どめに関する交通に対する影響、駅と国道二四六号線南側地区へのアクセス性の問題、また環境への配慮などがございました。
 その対応につきましては、まず西口広場の一般交通どめに関しましては、駅中心地区への自動車交通流入量の削減などとあわせて、引き続き検討が必要と考えておるところでございます。
 また、国道二四六号線南側地区へのアクセスにつきましては、地下通路や歩行者デッキにより、現在よりも歩行者動線が強化されるものと考えているところでございます。
 さらに、環境への配慮につきましては、渋谷区が策定いたしました渋谷駅中心地区まちづくりガイドライン二〇〇七に沿って、駅前広場での積極的な緑化や保水性舗装など、環境の向上に資する施策を実施するよう事業者を適切に誘導していくこととしております。

○立石委員 今後、計画を具現化していくに当たっては、こうした地元の声を十分踏まえた上で進めるべきと考えます。
 この計画は東京のビッグプロジェクトであり、都の役割がますます重要になってくると思います。そこで都は、今後、渋谷駅及び駅周辺の都市基盤の再編整備に向けてどのように取り組むかをお伺いいたします。

○升都市基盤部長 渋谷駅街区の都市基盤は、土地区画整理事業のほか、鉄道改良事業、国道事業などにより整備することを予定しておりまして、現在、事業化に向けた検討が進められているところでございます。これらの事業化に当たりましては、先ほどご説明させていただきましたような整備効果が十分に発揮される設計を行うとともに、工事による地元への影響を極力抑制する施行計画がなされるよう、誘導していく必要があるというふうに考えております。
 都は、今後、地元区、関係機関とともに、これらの基盤整備事業が適切に実施されるよう、事業者を指導してまいります。

○立石委員 これからの渋谷では、この基盤整備が起爆剤となって、駅周辺の再開発が健全な形で促進され、副都心渋谷にふさわしいまちづくりが発展すること、さらには、国際都市東京にふさわしい、若者のまち、情報発信のまちとして活気ある魅力的なまちづくりがなされることが期待されます。
 今後、都において、この渋谷駅及び駅周辺の基盤整備がターミナル駅改良の模範的な事例となるよう、しっかりと取り組んでいただくことを要望して、この質問を終わります。
 次に、先ほどいただきました配布資料や説明によると、今回の都市再生特別地区の二件については、京橋二丁目地区は、明治屋京橋ビルを保存しながら東京駅八重洲口前地域の街区再編を行う再開発であり、銀座四丁目地区は、日本の伝統芸能であり国の重要無形文化財に指定されている歌舞伎の専用劇場である歌舞伎座の再生、それぞれ大きなテーマを持ったプロジェクトだと思います。これらのプロジェクトの提案が都市再生特別地区にふさわしいものなのか確認する意味から、何点か次に質問をいたします。
 最初に、京橋二丁目地区について伺います。
 都市再生のプロジェクトは、都市機能の更新、高度化や、国際競争力の強化などグローバルな視点を持って進めることが必要でありますが、同時に、そのプロジェクトが本当に住民の幸せにつながっているかどうか、この点が重要であります。そこに住む人、商売を営んできた人が地域から追いやられ、昔から培われた地域のコミュニティが壊れてしまうのでは、まちづくりとは呼べません。
 今回のプロジェクトは、地区内の地権者による市街地再開発事業として実施されますが、地区内にはさまざまな地権者やテナントがおられると思います。これらの人たちが住み続けられ、働き続けられるまちとしてプロジェクトが進められているかどうか、まずこのことを確認したいと思います。

○瀧本参事 本プロジェクトの地元におきましては、平成十三年から十八年にかけて、京橋西地区のまちづくりの検討会等を実施いたしまして、十八年二月に再開発準備組合を設立いたしました。現時点で地区内のおおむねの同意が得られておりまして、地元の総意による都市再生の提案であるというふうにとらえてございます。
 これまでも、都市再生特別地区の計画の作成に際して、地権者やテナントの意向の把握に努め、住宅や店舗の配置がなされております。引き続き意向の把握を行いながら、住み続けられ、働き続けられるまちづくりに取り組むこととしております。

○立石委員 再開発は、住み、働く人々の思いや周辺地域の声など、肌と肌で感じ合えるプロジェクトでなければなりません。今回のプロジェクトは、権利者の意向を尊重し、住み続けられ、働き続けられるまちづくりとして進めるとのことであり、大変いい計画だと思います--思いますが、これはどうなんだろうね。都市再生特区というのは、都市再生特別措置法というのが二〇〇二年にできて、それ以来、いわゆる特定街区とか、ああいうまちづくりとがらっと変わってしまった。
 何が変わったかというとね、もう全く煙さえ聞こえてこない、見えない。昔はね、地域の住民の人が、こういうまちづくりをしたいんだって、区議会の議員さんとか都議会議員とか国会議員とか、やっぱり自分の選挙区のみんなに何となく相談をしてきた経緯がある。しかしもう、そこのけそこのけお馬が通るみたいに、いい計画だから何でも構わないんだみたいに、これはちょっと、専門家が専門的にまちを進めようとしているのではないかというような、私は気がいたしました。
 この京橋二丁目、明治屋さんの、非常にいい計画です。もう非の打ちどころがないくらい、何回も読み直しているけれども、本当に非の打ちどころがない、いい計画でした。しかし、そういうのは、突然資料として--たまたま都市整備委員会の委員をしているから事前説明もあったり、こういう都市整備委員会に所属しているのでわかるんですけれども、やっぱり何かこう、のみ込みが非常に悪いなと自分で思うんですよ。
 地域のことだし、そのために、それこそ都会議員も区会議員さんも、土地を代表する選挙をやる人たちはみんな、大はオバマ大統領から、東京あるいは地方の議員さんに至るまで--選挙をやる者の立場というものをしっかり皆さんからも指導しなきゃいけないと思います。
 これは、何を立石がいおうとしているかわかると思います。だってそうでしょう、だって全然--昔は苦情とかそういうのがあって、いろいろ苦情も聞こえるし、いいことも聞こえてきた。しかし今は全くそういうのはない。ほかの議員さんはそういうことがいっぱいあるかもしれませんけれども、ない。やっぱりそれじゃだめだね。それでは私はだめだと思います。とってもいい計画なんですよ。だから、そういういい計画--専門家にぼんとゆだねちゃうともう非の打ちどころのないものが返ってきて、非の打ちどころがないなと。
 中央区でいえば、また都心区でいえば、求めているものが全部ここに入っていていいなと。もちろん、生まれたときからずっと使っている日比谷線ですし京橋駅ですから、ここに書いてあるバリアフリーのエレベーターがあったらいいなとか思いますね。そうすると今度できますよね。東京駅の駅前だから、それこそ外国の方が東京を訪ねて、ちょっと腰をおろせる。
 ニューヨークのマンハッタンなら、それこそティファニーの隣のああいうようなところで、ちょっとアトリウムがあってというようなものもここにできるので、すべてできているこんないい計画なのに、全然知らないうちに何年もかかってやっているんだろうけれども、それは都会議員がぼんやりしているのかもしれませんけれども、やっぱり議員も行政も提案者も、みんながまちをつくっていくんだという意識がないといけないと思いますので、非の打ちどころがないというふうな感情を抱きながら、しかし、質問いたします。
 次に提案書の内容を見ると、今回のプロジェクトは、再開発による街区再編に伴い、区道のつけかえや廃道が提案されています。いうまでもなく、区道は、区民、都民、国民の貴重な財産であります。改廃する道路について、プロジェクトの中できちんとした対応が行われているのかどうか、改めて説明をお伺いしたいと思います。

○瀧本参事 中央区におきましては、地元住民の協議会にも説明を行いながら、平成二十年十一月に東京駅前地域のまちづくりガイドラインを作成しました。このガイドラインにおいて、幹線道路である外堀通り、昭和通り、永代通り、鍛冶橋通りに囲まれた区域を街区再編すべき区域として位置づけまして、交通ネットワークの充実強化を図りながら、街区の統合等を誘導していくということにしております。
 今回の計画では、計画地の中央を通る区道について、その一部を地区内回遊道路である柳通りの歩道につけかえまして、歩道の幅員を三・五メートルに拡幅し、道路幅員を十一メートルから十二メートルに拡幅する計画となっております。区道の残りの部分については、計画建物への権利変換により、区の施設を整備する計画として提案が行われているところでございます。

○立石委員 では、区道の廃道する部分の権利変換により整備される区の施設はどのようなものなのか。廃道部分の道路の価値と、その権利変換により整備される区の施設の役割はどうなっているのか。また、道路の通行の機能は担保されているのか、確保されているのか、お伺いをいたします。

○瀧本参事 整備される区の施設につきましては、区では、区の基本計画に位置づけている都市観光の総合的な拠点施設として、歴史・文化交流ステーションを整備する計画となっております。この施設の具体的な内容については、今後区において検討を進めてまいります。
 廃道部分の道路面積と整備される施設の床面積につきましては、現時点の想定でございますが、廃道面積約七百三十平方メートルが、施設の床面積約四千平方メートルに変換される提案となっております。
 廃道する道路の部分は貫通通路といたしまして、さらに敷地の南側にも広い幅員の歩道状空地を整備して、歩行者空間を拡充するとともに、これらの通路等については、地区計画の地区施設に位置づけまして公共性を担保いたします。

○立石委員 中央区でも幾つか既に、都市再生のいい計画が都市計画決定されておりますね。これは都市再生特区ではなかったんですけれども、地区施設として非常にいいなと思っていたんだけれども、名前は挙げませんけれども、できてみたらがんじがらめになっている。いろんな意味で自由に使えない。
 あれ、議論したときと違うなというようなものもあります。ここでは挙げません。そういうことにならないように、地区施設に位置づける、とありますから、地区施設に位置づける公共性をしっかり担保していかないと、えらいことになるね。悪用されるようなことになったら大変ですから。
 この計画を見ると、設計会社というか建築家というか、都市計画家がつくったから非の打ちどころがないように見えるんですね。多分そうでしょう。しかし、運用の面で悪用されるというか、都民の財産、国民の財産であることを忘れてしまったら大変なことになりますので、この点に注目しながらこの質問をしております。ご答弁を願います。

○瀧本参事 今まさに立石委員の方からご指摘がございました。今回はこの区道を廃道いたしまして、地区施設といたしまして貫通通路と南側の歩道状空地というものを整備して、ここで歩行者のネットワークを形成するというふうな計画になってございます。
 これにつきましては、当然、公共的な施設ということで地区施設に位置づけてございますので、これを整備いたした後、広く一般の公衆に開放されて、この地域の歩行者ネットワークとしての機能を発揮していくということになってございます。
 そういうことで事業者の方もこれに取り組むとともに、区の方でも地区計画に位置づけて、きちっと公共性を担保していくという計画にして進めていくところでございます。

○立石委員 明治屋さんの京橋ビルは、ちょうど中央通りのある意味で象徴的なビルで、これをすっかり保存するということで、よかったな、こういうふうに思うわけでありますけれども、保存の結果、使われ方、そしてその経費は大体どのぐらいかかるんだろうか。
 いつもいうように、欧米なんかへ行きますと、中は物すごく近代的で、外はしっかり、外形、まちの雰囲気を残しておるというのを見ますね。東京のまちもすばらしくなりましたけれども、ちょっとそこら辺で、東京がシンガポールのように、すべてが新しくなっちゃうのと似通ってくると、寂しいなと。
 やっぱり東京らしさ、いつもいう東洋らしさをあらわしていくために、残していく方法として、例えばお金がどのくらいかかるのかを知って、そのかかる費用があるとすれば、公的に助成するにしても応援する価値があるんじゃないかとか、そんなことを思いながら今、質問しています。
 とりあえずここでは、保存することについて費用ってどのくらいかかるものだろうかと。差し支えがなかったらご答弁願いたい。

○瀧本参事 お尋ねがございました明治屋京橋ビルでございますけれども、昭和八年の竣工時から京橋地区を代表する建物とされておりまして、長い間、京橋の顔となってきた象徴的な建物でございます。この辺はもう委員に申し上げるまでもないことかと存じます。今回のこの都市再生のプロジェクトに当たっていろいろ検討いたしまして、耐震化や改修を行って、全面的に保存するということにいたしました。
 このビルにつきましては、中央区の文化財保護審議会におきまして、昭和初期の建築技術の高さを反映させた貴重な近代建築であるということから、本年一月、指定有形文化財として指定が行われております。このビルについては、現在の建物の機能や用途を維持しながら、住民や地域を訪れる人々が気軽にこの文化財に親しむことができるように活用を行うことといたしておりまして、具体的な検討を今後していくということでございます。
 しかし、このビルでございますが、今ご指摘ございましたように、耐震性能が不足しておりますし、修復もしなければいけないということでございまして、建物の地下に免震装置を取りつけるという工事と、リニューアルの工事を行ってまいります。
 この工事費については、現在、詳細な調査や設計を行っておりませんので、想定になるわけでございますが、免震化や修復など全体の工事費については、この建物を新築する場合と同等以上の費用がかかるというふうに見込まれてございます。

○立石委員 どうもありがとうございます。
 それでは次に、例の歌舞伎座の方、銀座四丁目十二地区について質問をいたします。
 例年暮れになると、ベートーベンの例の第九、交響曲九番、歓喜の歌が大はやりでございますが、実は歌舞伎座が、日本における最初の歓喜の歌が歌われたところらしいんです。昭和の初めにね。
 歌舞伎座を改築する予定だという話が起こって、私も中央区の第九の会という合唱団の一員なんですが、この間、去年の四月に機会があって、歌舞伎座で歓喜の歌を歌わせてもらったんです。その体験を踏まえてというか、あれ、外から見ると立派だけれども、失礼ながら中は大変老朽化しているんだなということを肌身に感じました。地下の食堂に集合して、階段はもう本当にきついし、昔の建築だなと思いながら。
 しかも、私は昭和十六年生まれですから、物心ついて歌舞伎座を見たときにはもうあの姿でした。だから、あれがずうっと昔から、初めから、明治二十二年当時からあの形だったのかなと思ったらば、ことし一月二日の歌舞伎座の手打ち式というのに出ましてね--明治二十二年でしたか二十七年だったか、間違えたらごめんなさい、どっちかに初めて歌舞伎座ができたときは、この形ではなくて洋風だった。やがて帝国劇場ができて、洋風だったので和風に変えた。やがて大正十年に改築をした。大正十二年に例の関東大震災で焼けてしまった。そしてまた改築をしている。そして戦災に遭って被害を受けた。
 ですから、屋上へ上がってみますと本当につぎはぎだらけで、これで地震にもつのだろうかと心配に思っていたところ、今度のこういう計画を見て、これも本当に立派な計画だなと。
 私も時々、腰痛で、近所の歌舞伎座の裏にありますペインクリニックに伺うんですが、同じように腰痛の患者さんで役者さんも来ておりまして、僕のことを知っていて、この委員会に所属しているというのも知っていて--何かいろいろあるけれども、今の歌舞伎座のような形になるのかねなんて聞かれたりしていまして、ちょっとそんなことを踏まえながら、質問に入りたいなと思っております。
 歌舞伎座の建てかえはやはり必要だと思いますが、改めて今回建てかえを行うこととした理由について、まず説明をお伺いしたいと思います。

○瀧本参事 現在の歌舞伎座につきましては、平成十四年に国の登録有形文化財となりまして、これまで事業者において維持管理に努めてまいりました。しかしながら今日、この歌舞伎座でございますけれども、先ほど委員からご指摘ございましたように、震災の後に建て直して、大正十三年、竣工いたしております。それから築後八十四年が経過をしております。
 またその後、ご指摘ございました戦災もございまして、戦災を受けて、その十三年の建物の改修を行いました。それを行ってからでも既に五十八年が経過をしております。
 これはご指摘ございましたとおり、建物の躯体、設備の劣化や老朽化が著しくなっております。建物の耐震性能や防火性能も不足しているほか、エレベーターやスロープなどバリアフリー化の設備を設置するスペースがないということがございます。さらに、観劇を妨げる劇場内の柱や狭い観客席、急な階段、トイレの不足といった接客機能も不十分であるということで、技術的、物理的に解決困難な多くの問題が生じておりまして、今回、事業者として建てかえを行うこととしたものでございます。

○立石委員 それでは、歌舞伎座の建てかえにおいて、事業者は、まち並みとの整合や景観の継承についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。

○瀧本参事 この歌舞伎座の計画建物の低層部の劇場部分につきましては、これまで地域に親しまれてきた建物の骨格やデザインの基本部分を受け継ぐこととしておりまして、歌舞伎座の特徴的な意匠である欄干や唐破風、かわら屋根などを継承することとなっております。この歌舞伎座の歴史的な姿を継承しつつ、現代の技術を駆使いたしまして、白色系の洗練されたデザインの外壁として、新しい時代に合った優雅さの感じられる外観を形成いたしました新生歌舞伎座として、銀座のまち並みに調和したデザインとすることとなっております。
 また、高層部につきましては、晴海通り側から三十五メートル以上セットバックをさせることとしておりまして、晴海通りの幅員が三十六メートルでございますので、歌舞伎座の対岸の晴海通りの歩道から高層ビルまでは約七十メートルの空間が確保されます。これによりまして劇場部分の姿を引き立たせるとともに、高層部はガラスの外装とすることによって、空に溶け込むデザインといたします。こうしたデザインについては、地元の銀座通連合会や銀座街づくり会議におきましても賛同が得られているところでございます。

○立石委員 セットバックの部分が三十五メートルというと、対岸といいますか真ん前に立ってみると、事務所棟の部分というのはいわば後ろのビルという感じがして、今の歌舞伎座の面影がそのまま残るなというふうに、この図を見ると印象を受けます。
 それはそれとして、歌舞伎座は銀座の、晴海通りの顔であり、東京、日本を代表する文化の象徴ともいえる施設であります。建てかえに対して、今ある歌舞伎座の雰囲気を残してほしい、あの姿が歌舞伎座だといった声も、先ほどの役者さんなどからも聞いています。今の歌舞伎座のデザインを継承するとのことですが、歌舞伎座独特の趣と華やいだ雰囲気が継承されるのかどうか。
 そこで提案書の完成予想図をよく見ると、歌舞伎座の伝統的な姿の表現である懸垂幕や招き看板、軒幕やちょうちんなどがついていません。これらのいわば歌舞伎をあらわす装飾品が建物につけられると、まさに今の歌舞伎座の雰囲気が出てくるものではないかと思いますが、この点はどうなのか、お伺いをいたします。

○瀧本参事 提案書にございます完成予想図でございますが、今回の都市再生特別地区の提案としての計画建物について描かれているものでございます。ご指摘ございました懸垂幕ですとか招き看板、ちょうちん、こういったものにつきましては、計画建物が竣工して、歌舞伎座として供用開始する際に装備をしていくというふうに事業者からは聞いているところでございます。
 事業者としては、計画建物にこうした伝統的な装備も施すことによりまして、歴史的な歌舞伎座の雰囲気を継承しながら、新しい時代に合った新生歌舞伎座を創造していくというふうにしてございます。

○立石委員 先ほどもちょっと触れましたが、ことしの一月二日に歌舞伎座で行われた、いわゆる古式顔寄せ手打ち式に出席をいたしました。その際、歌舞伎の人間国宝である中村芝翫さんが全員を代表して、歌舞伎座の建てかえに当たりあいさつがありました。
 芝翫さんは、私たちの先輩はこの劇場で伝統を正しく受け継ぎながら新しい時代にふさわしい作品を創造し、歌舞伎を世界に誇る舞台芸術にまで育て上げた、今では世界じゅうで歌舞伎が高く評価されるようになり、この歌舞伎座も世界の歌舞伎座になった、と話されていました。
 伝統を正しく受け継ぎながら新しい時代にふさわしい作品を創造する。この言葉に私はいたく感動をいたしました。先ほどの答弁の中で新生歌舞伎座という説明がありましたが、まさに今回のプロジェクトにより、伝統を正しく受け継ぎながら、新しい時代にふさわしい歌舞伎座となることを期待して、質問を終わります。

○河野委員 私は、二つの都市再生特別地区と、八潮の問題について伺います。
 最初に都市再生特別地区、京橋二丁目三地区と銀座四丁目十二地区について伺います。
 まず、容積率の問題なんです。二つの地区の容積率は、公共貢献ということで割り増しになっています。京橋二丁目三地区は、基準容積率七一八%に、都市再生の公共貢献ということで六一二%の上乗せで一三三〇%。銀座四丁目十二地区、歌舞伎座の方は、都市再生の貢献ということで五五〇%が上乗せされて一二二〇%の容積率が認められる計画です。
 こうした容積率の緩和は、どういう基準、係数などによって算出されるのか、これを明らかにしていただきたいと思います。

○瀧本参事 都市再生特別地区におけます容積率の評価といったようなご質問かと思います。これにつきましては、国の指針などにおきまして、都市の魅力や国際競争力を高めるなど、都市再生の効果等に着目した柔軟な考え方のもとに、一件ごとの個別の審査を行って、容積率などについて総合的に評価をするというふうにされてございます。
 まず、そうしたものをベースにいたしまして今回の計画について見てみますと、両地区とも、老朽建築物の機能更新等により、歴史と文化を生かした潤いと風格あるまち並みを形成しつつ、業務機能や商業機能などが調和した魅力ある複合機能集積地の形成を図るという、地域の整備方針に即したプロジェクトとなっておりまして、さらに今回の京橋二丁目三地区、銀座四丁目十二地区につきましては、提案書にいろいろ説明がございますような、いずれも大きな公共貢献の提案を行うということでなされているところでございます。
 これらについて、他の開発諸制度における容積率の評価の仕方といったようなものも踏まえながら、総合的に審査をし、評価を行っているところでございます。

○河野委員 京橋二丁目地区の建ち上がるビルは、百九十メートルの高さですね。それから銀座四丁目地区は百五十メートル。超高層ビルが、比較的近い地区に二つ建設される計画になります。
 銀座地区についていいますと、従来、銀座ルールというまちづくりの考え方が中央区などであって、建築物の高さを五十六メートルに制限してきたという歴史もあり、そうしたことが、今の落ちついた銀座のまちの風情をつくり出しているというふうに思います。都市再生特別地区の指定による開発で、この建物の高さ制限が取り払われまして、でこぼこの建物があちこちにあらわれるとしか表現しようがない、そういうまちに銀座が変わってしまうのではないかという声を私は地元の方から聞いています。
 テレビなどでヨーロッパのまちの様子を見る機会がありますけれども、色彩であるとか形、あるいは高さが一定の決まりのもとにつくられていて、各都市が落ちついた雰囲気、美しさを醸し出しています。
 都市を形づくる建造物について、私は、スカイラインの統一ということはとても大切な、尊重すべきものだと考えているんですけれども、スカイラインの統一について、都市整備局のお考えをお聞きしておきます。

○瀧本参事 銀座地区というものの建物の高さといったようなご質問かと存じます。今回この提案がございました銀座四丁目十二地区のプロジェクトでございますけれども、中央区が策定した銀座地区の地区計画、いわゆる銀座ルールというものがございます区域内で行われるプロジェクトでございます。
 この銀座ルールでは、総合設計や都市再生特別地区等による建築物で、文化等の維持継承に寄与すると認められるものについては、この地区の高さの限度として定められている五十六メートルを超える建物の建設も、可能というふうになってございます。
 今回はそうした適用を受けていくものでございますが、銀座地区においては、こうしたルールに適合する計画の場合に、高層化が可能ということになっているところでございます。

○河野委員 私が伺ったのはそのことではなくて、スカイラインを統一して都市の景観をいかに整えていくかということについての局のお考えはどうなのでしょうかということを伺ったんですが、これについてはご見解がありますか。

○瀧本参事 今回提案がございました二地区、中央区の東京駅前地域の京橋地区それから銀座地区の提案でございますけれども、これは両地区とも、中央区、地元においての地区計画の策定がなされてございます。その中で、景観上から見た建物の一つのルールといいますか、そういうものが定められて、その一つが先ほどの銀座ルールということでございます。
 もう一つの基本的なものとしては、中央通り沿いの歴史的な景観を生かしたまち並みを形成する、あるいは先ほどの歌舞伎座の建物を含めて、幹線道路の、これまでの歴史的な軒線の三十一メートルという高さを尊重したものをつくりつつ、都市再生特別地区といったような優良な計画による建物については、その後ろに国際都市東京にふさわしい超高層のスカイラインを形成して、その両者の中で景観を形成していく、このような計画になってございます。

○河野委員 そういうすぐれた都市づくりの手法を用いてまちをつくっていくんですということが、基本的なスタンスだということはわかりましたけれども、私はここで申し上げておきたいんですが、公共貢献ということで、京橋二丁目地区では、防災備蓄倉庫、歴史・文化交流ステーションなどで容積率が六一二%サービスになりますね。銀座四丁目の方も、歴史、文化とかを含めて公共貢献のために五五〇%上乗せになります。地下鉄駅へのバリアフリー化など、こういう問題については評価するにしても、果たして六〇〇%とか五百数十%とか、これだけのサービスがあっていいのかという声が起こっているのも事実です。
 東京における都市再生特別地区の運用についてという、これは都市整備局が出されているんでしょうか、この文書をインターネットで見てみました。
 容積率の限度等の設定というところがここにあるんですけれども、容積率、高さの制限について、必要性、妥当性を判断する際にはあらかじめ数値基準や上限を設定することはしないが、プロジェクトごとに事業者が提案する容積率の設定や--ということで、事業者が提案することを尊重するという立場が一つうたわれている。そして、都市再生に対する貢献にふさわしい適切なものとなっているか、この問題でも総合的な見地から評価すると。これは今お答えいただいた問題だと思うんですが、私はちょっと要約していいましたけれども、こういう文章が載っているだけで、一般的には本当にわかりづらい、理解しづらいものがあるわけです。
 容積率の割り増し基準が、審査する専門の機関とかあるいは開発を提案する事業者の人たちにはわかっていても、一般都民はわからない。これが現実なんじゃないかと思うんです
 私は、容積率の上乗せ基準は、もっと透明性を保障するための何らかの改善策を行うべき、このように考えていますので、これは都市整備局の方でも検討方をお願いしておきたいと思います。
 次に、環境の問題でお伺いいたします。CO2の排出問題です。
 説明では、一平方メートル当たりの年間のCO2排出量はそれぞれの地区で約七%程度減るという数値が、いただいたそれぞれ二つの地区の資料、パンフレットで示されているわけです。現在の排出量に比べると、省エネ性能を高めるよう建設するから、CO2排出はこれまでの建物より減少して当然なわけです。超高層ビルの建設で延べ床面積は従前の何倍にもなることから、こういう一平方メートル当たりの年間のCO2排出量、原単位というんでしょうか、これが減少したとしても、これを延べ床面積で掛け合わせると床の面積が相当ふえていくわけですから、従前よりもCO2の排出量が増加することは明らかなんじゃないかと思います。
 この問題は、植木委員がこの委員会でずうっと、都市再生特別地区の議案の審議のときに指摘してきたことなので、皆さんもご承知だと思うんですが、伺っておきたいのは、自動車交通の増加によるCO2の排出増が示されていないということです。
 車両交通は、今回の特区というんですか、二つの地区の周辺では増加するということになっています。しかし、CO2排出の変化の値は出されておらず、車両交通分の増加については一切数値として出されていない。
 環境に優しいとか温暖化防止とか、そういうことにも貢献する都市再生特区なんだということであれば、全体に交通がどうなのか。そこから発生するCO2の問題についても、建物と合わせた総予測値をわかりやすく正確に、これから示していくことが必要なんではないかと思っていますけれども、どうでしょうか。

○瀧本参事 都市再生特別地区につきましては、自動車交通について、計画に伴う自動車台数による周辺の交通状況、交差点等への影響といったものにつきまして、プロジェクトの中できちっと検証を行っておりまして、円滑な交通の処理を確保するということで進めてきているところでございます。
 自動車交通については、個別の地区の開発が行われた場合、一般的には、ほかの地区に行く自動車がその開発地に回るケースが多いというふうに考えられます。そのため、自動車のCO2排出量でございますが、個別で見ますといろいろございますけれども、二十三区全体で見ますとその増加量は現状と差はない程度であるというふうに考えてございます。

○河野委員 答弁を聞きますと、自動車交通量による影響は少ないとか、あるいはこの計画を見ますと、都市再生特別地区では最新の省エネ仕様のいろんな技術や機材を使って施設が運営されるから大丈夫だとか、屋上緑化などで温度上昇を下げるから環境への負荷は少ないというようなご見解が示されていますけれども、私自身としては納得できないものがあります。
 緑化の問題でいいますけれども、例えば、京橋二丁目地区の地上部及び屋上緑化の数値ということで、いただいたこのパンフレットの五一ページに出ています。
 敷地面積に対して二三%の緑化をする、千八百五十五平方メートル緑化するとなっています。これ、二三%、おお、すごいじゃないか、四分の一ぐらい緑化するのかと受けとめちゃう側面があると思うんですけれども、よく見ますと、建物全体の延べ床面積は十万六千二百平方メートルもあるわけですから、これで計算すると、延べ床面積比では緑化の割合は一・七%ということになるわけですね。
 公共貢献として容積率の割り増しが与えられる緑化なのかどうか、これが評価されていいのかどうかという点でも、私はどうなのかなと感じちゃうものがあります。
 超高層ビルができることによるまちの排熱機能の低下などで、ヒートアイランド現象が、今まで東京都が私たちに説明されてきた状況におさまらないで深刻になってしまう、この懸念もあるということを申し上げておきます。この温暖化と環境問題についてはもっといいたいんですが、時間がないので省略します。
 次に、まちづくりについて重要なのは、先ほども立石委員の質問でありましたけれども、関係する地域住民の理解、合意が形成されているかどうか、これがかなめの問題だと思うんです。
 京橋二丁目の地区の資料では、法定市街地再開発にかかわっての関係権利者百人との合意形成を図るということがうたわれています。都市再生特別地区の地権者、これは四十三人ということですが、計画案に同意されている方は三十七人、都市計画に反対はしないけれども--という人を加えると四十一人がまあ賛成ということで、引き算すると、現段階ではまだ二名の方が同意という立場をとっていないわけです。
 これだけ大きなプロジェクト、開発計画なんだから、こうしたまちづくりの大前提は、関係する地権者全員の同意を得た上で計画が提出されてしかるべき問題じゃないかと感じておりますけれども、この点ではいかがでしょうか。

○石川民間開発担当部長 京橋二丁目地区の再開発事業地区内の合意形成については、ただいま委員からお話がございましたとおり、地区内の地権者は全体で四十三名ございますが、そのうち同意が得られているものは三十七名、八六%の同意率でございます。
 なお、その未同意の六名についてでございますが、四名については、互いの権利調整に時間を要しているもので、事業には賛同しているものでございます。そして、委員のご指摘のございました残り二名の方でございますが、この方々についても事業に反対ということではございませんで、事業が具体化した時点で説明を受けたいとのことであり、事業進捗に合わせ事業者の方で十分な説明を行い、同意を得ていくものというふうに考えてございます。

○河野委員 民間提案型が柱になっている開発計画ですからそういうことになるのかもしれませんが、私はせめて、関係する地権者については、全員の納得、合意が必要だというふうに感じています。
 銀座四丁目についていいます。
 開発する土地の地形が、図で見るととても不整形ででこぼこしています。松竹が提案している開発計画に加わらない隣接地の地権者が何人か存在していることが、計画図から読み取れるわけですね。果たして地域住民の理解に基づいた開発計画なのかという疑問が起きてきます。
 開発地域周辺で、日照、風害など環境に変化がもたらされるであろう地域住民や、あるいはそこで仕事を行っている事業者の方々の合意形成、これについてはどのような努力で進められてきたのでしょうか。

○瀧本参事 都市再生特別地区のプロジェクトでございますけれども、計画を作成する中で、自動車交通や歩行者交通の処理計画、上下水道などの供給処理計画、こういったものを作成するということはもとより、周辺の風環境や、開発、自動車交通による騒音、振動、電波障害、日影など周辺環境の影響を把握いたしまして、都市基盤との均衡や地域の環境が保持されるよう検証を行い、計画の策定を進めているところでございます。
 今回のこのプロジェクトについては、それを行いつつ、この銀座四丁目地区につきましては、事業者におきまして、建物のデザインや高さを初めとして、この計画の内容について、地元の銀座通連合会や銀座街づくり会議、あるいは町会、商店会等々に対して説明を行いまして、賛同を得て進められているというふうに理解をいたしております。

○河野委員 その銀座街づくり会議が一月十六日に説明会を開いて、その場では意見というようなものは出なかったということも聞いていますけれども、そのことをもって地域住民全体の了解をかち得たというふうに判断する、そういうものにはならないんじゃないかということを申し上げておきます。
 ちょっと時間がないから、もう詳しいことは省きますけれども、関係する地域住民の生活や営業にどのような変化をもたらすのか、そういう意味では本当に、合意形成が大事だということを重ねて強調しておきたいと思います。
 それでもう一点、歌舞伎座の関係で質問なんですが、幾つかのメディアが報道いたしましたけれども、歌舞伎座の建てかえ計画について、石原知事が初めに出た案にクレームをつけて、このことで計画変更になったと。それで二〇一〇年完成予定が二〇一三年の開場にずれ込むことになったというようなことが報道されています。
 これは、計画にかかわった伊藤滋早大特命教授の発言として新聞報道されているわけなんですけれども、歌舞伎ファンの人たちは、これまで親しんできた唐破風そして入母屋づくり、白壁の景観を生かした桃山様式、そういう歌舞伎座にしてほしいという強い思いを持っております。提案されている計画は、ガラスや格子などが壁面になっていて、今の歌舞伎座とは少し違うイメージになってしまう、そういう感じがします。
 知事が発言したかどうかは新聞の報道範囲でしかわかりませんが、この知事の発言に、ブログなどでも批判の意見が少なからず載っていますので、この知事の発言についてご報告いただけることがあったら、この場でお示しをいただきたいと思います。

○瀧本参事 お尋ねでございますけれども、都市再生特別地区を含めまして、都市づくりの状況等に関しては必要に応じて知事に報告しているところでございます。

○河野委員 報告をして、知事がそれを受けて、計画変更があったということはないわけですね。

○瀧本参事 先ほどお答えいたしましたとおり、都市づくりの状況等に関して、必要に応じて知事に報告をしているというものでございます。

○河野委員 よくわからないですけれども、民間提案型、民間提案型ということで、行政は余り計画に口出ししないんだということがこの都市再生特別地区の仕組みの柱になっているようですので、知事がもしそういう発言をされたのであれば、このまちづくりの手法について、私はやっぱり問題があるんじゃないかなと思っていますけれども、はっきりしないからこれはこれで、きょうはお聞きしておきます。
 もう一つ伺っておきます。都市の成長を抑制するまちづくりの問題についてです。
 既に東京では百メートルを超える超高層ビルが、平成十四年の都市再生緊急整備地域の政令、そして都市再生特別措置法などの施行後、百数十棟も建設されています。国際競争に打ち勝つ東京づくりという名のもとに都市再生が拡大しているわけです。今回の二地区もこの路線のもとでの開発計画というふうにも考えられますが、東京のまちづくりが果たしてこれでいいのかというふうに疑問を持っています。
 東京への一極集中の弊害がずっといわれ続けてきましたけれども、このまま都市再生路線を拡大し続けると、国際競争に打ち勝つ、生き残るどころか、逆に温暖化やヒートアイランド現象を深刻にして、結局世界から取り残されてしまう、そういう都市になってしまうのではないかと危惧しています。
 環境面とあわせて経済活動の面などからも、都市再生路線を、今、検討すべき時代に至っているのではないかということで、私は、都市整備局のこの点についてのスタンスをお伺いしておきたいと思います。

○安井都市づくり政策部長 これまでも同様の趣旨のご質問をいただいているわけでございますけれども、東京が環境と調和した、しかも国際競争力を持つ都市であり続けるためには、計画的な都市施設の整備や都市機能の更新が不可欠だと、このように考えております。こうした取り組みを通じまして、慢性的な交通渋滞が解消されたりCO2の削減が図れるとともに、一つ一つの建物の更新につきまして、省エネ化や開発に伴う緑の創出などが促進されまして、都市活動に伴う環境負荷も低減されます。
 今後とも都市の更新を適切に進めまして、環境にも十分配慮した高度な都市機能を備えた東京の実現を推進してまいります。

○河野委員 じゃ、もう時間がありませんので、今、もう部長も皆さんもご存じだと思うんですが、スローライフという考え方が注目されています。
 今の東京は、国際競争力を重視するとか利便性や経済性の効率化を求める、こういうことを優先してまちづくりを進めていく感が強いんですけれども、世界の流れとなっている持続可能な都市づくり、環境や暮らしに優しい、そのことを重視したまちづくり、こういうことについて、私は都市整備局がこれから直ちにでも検討を深めていただくことが必要だというふうに感じておりますので、そのことを要望いたしまして、質問を終わります。

○新藤委員 このたびの都市計画審議会の付託議案の中に、産業廃棄物処理施設の用途に供する特殊建築物の許可について、この関係がございます。すなわち拝島リサイクルプラントの件ですが、この件について質問させていただきます。
 これは私の地元で、昭島市拝島町に計画されている拝島リサイクルプラントで、事前説明会資料によると、国道一六号の拝島駅近く、多摩川に面した場所に立地しております。施設の東側にはヤマト運輸や佐川急便などの配送センター、そして北側には低層の住宅、あるいは都立拝島高校あるいは市立の多摩辺中学等々が立地している場所でございます。
 今回の提案のリサイクルプラントについては、余り歓迎する施設ではございませんけれども、都市の発展あるいはいろんな地域での活動、そういった産業の活動や社会生活を行う上で、なくてはならない施設というふうに認識しているところでございます。そのためには、私は本計画に対して反対のための反対をするつもりは全くございません。
 こういった施設が必要であるということは、やはり廃棄物をいかに有効にまた無害な形で活用できるか、こういった施設であるということの中で--ただし、この地域の環境や安全面に対しては十分配慮していただきたい。そういう面から確認しておきたい意味で、今回質問いたします。
 まず、今回の提案のリサイクルプラントについては、多摩地域での鉄道工事によるシールド工事で発生した泥土を脱水したり、あるいは計画地に既にある施設でセメントと混合して、リサイクル材すなわち建設素材、こういうものを生産するところということと認識しております。そこでまず、搬入される泥土が重金属や有害物質で汚染されているかどうか、これは非常に大切なことでございますし、またこの事業で出てきたリサイクル材を使うことで、他地域へ汚染というものが拡大されることが心配されるわけでございます。
 そういったことを考えまして、今回提案のリサイクルプラントで受け入れるときに、汚染されているかどうか、この土砂に対する対応というものはどんなふうにされるのか、お伺いいたします。

○升都市基盤部長 搬入される土砂が汚染されることがないのかというお話でございます。土壌汚染対策法によりますと、土壌調査が義務づけられている土地の所有者は、国が指定する調査機関に委託いたしまして土壌調査を行い、特定有害物質の有無について環境局に報告することになっております。
 仮にその特定有害物質といわれるものがあった場合には、土地の所有者が、土壌汚染対策法に基づきまして適切に処理するということになっております。このため、当該のリサイクルプラントには搬入することができないということでございます。
 また、このリサイクルプラントの事業者におきましても、泥土の受け入れ時には、異臭の有無でございますとか異物の混入について確認することとしておりまして、異常があれば受け入れを拒否するというふうにしているところでございます。

○新藤委員 お話によれば、適切に管理された中での泥土のリサイクルということでございますが、この地域は、先ほどお話し申し上げました学校あるいは住宅地に隣接しておりまして、環境に及ぼす影響というのは非常に配慮しなきゃならない、そういった場所にございます。現在計画地には既設のプラントが稼働しておりまして、さらにこれに新しい機械が入る。そういうことによる騒音とか振動が現状よりもさらに悪くなるんじゃないか、そんなことが予想されるわけでございます。
 そこで、今回のプラントの計画に当たっては、どのような事前調査を行い、どのような対策を行っているのか。また、将来に向かってこういった問題が生じないのかどうなのか、お伺いいたします。

○升都市基盤部長 このリサイクルプラントの事業者でございますが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして、施設設置に係る生活環境影響調査を行ってございます。それによりますと、リサイクルプラントで使用する機器から発生する騒音については、機器の周囲に防音カバーを取りつけるとともに、敷地境界に沿って高さ四メートルの防音壁を設置することによりまして、騒音規制法の規制値以下にするということを考えているところでございます。
 また、機器からの振動につきましては、厚さ一・五メートルの砕石の上に鉄筋コンクリート製の強固な基礎を設けることによりまして、機械の振動が広がることを防止して、振動規制法の規制値以下にするとしております。これら環境保全の措置の実施によりまして、本事業による騒音や振動が周囲に及ぼす影響は軽微であるというふうに評価しているところでございます。
 また、プラントの稼働後でございますが、定期的に騒音や振動などの測定結果を事業者から環境局に報告をすることになっております。環境基準を超えた場合には、環境局が事業者に対して改善を指導していくことになっているところでございます。

○新藤委員 防音壁の設置あるいは振動対策等を十分に行って、周辺への影響をできるだけ少なくしていただきたい。これは当たり前のことでございますが、そこで、当然泥土ですから、脱水することによって水が出ることと思います。この周辺は、かつては水田地帯であったし、それから現在も、昭和用水路を初め水路がたくさん残っております。また多摩川崖線があって、そこからわき水も出ておりまして、非常に環境のいい地域なんです。
 そこで、出る廃水といったらよろしいんでしょうか、脱水された水は、まさか川に流すことはないと思いますが、この水をどのような形で処理しそしてどこに流すのか、ご説明願います。

○升都市基盤部長 事前説明会資料ですと七一ページに施設の図面等が載ってございますが、このリサイクル処理施設で、まず搬入した泥土にさらに水を加えまして、泥土の中の砂と砂利を分離いたします。その後に残る含水率の高い、今度は泥になっているわけですが、これを脱水して、セメント等をまぜながら造粒固化をいたしましてリサイクル材の原料にするものでございます。
 泥を脱水処理する工程で発生する廃水がございますが、先ほど申し上げましたように、施設内の水槽に一たんためた後に、泥土から泥と砂、砂利を分離するときに加える水に再使用するということでございます。またさらに、既設の施設で、含水率の低い泥とセメントを混合する工程にも水を加えるということで使うことを予定しているところでございます。
 このためこの施設では、廃水を循環利用するということで、施設外に排出されることはないというふうに聞いておるところでございます。

○新藤委員 当然、この施設でいろいろと行うものについては、都市生活あるいはいろいろ社会的な生産とか何とかの活動を通して出てくるものであって、これを有効に使うということは必要なことですが、ただ、その周辺とか、その後のことについて、汚染あるいは騒音等々を大変心配するところでございます。
 これを十分に徹底していただきまして、近隣の方に迷惑をかけないように、さらにはこれからも引き続き、そういった面について業者にも十分配慮していただきたい。こんなことを要望して、私の地元でございますので特に要望して、終わります。

○植木委員 都市計画案件について、まず最初に中野の四丁目地区地区計画の変更についてお伺いしたいと思います。
 この中野四丁目地区の計画というのは、中野駅の北側にあります警察大学校という国有地、都内に残された貴重な国有地だったわけですが、これを売却して開発が進められるというものです。それで、もともとの東京都の都市づくりビジョンの中では都市環境再生ゾーンというところに位置づけられて、避難有効面積十五ヘクタール、それから環状七号線周辺の防災拠点の整備とか、都市に残されたオープンスペースとして残された国有地を公園とする、などがうたわれていたものであります。
 ところが、〇七年度の地区計画の決定、そして今回の地区計画の変更ということで、中身が相次いで変わってきている。さらにさかのぼれば、中野区の四ヘクタールの防災公園ということからずうっと出発しているわけですけれども、どんどん変わってきているということがあります。その点について幾つか質問しながら、問題点を指摘したいと思うんです。
 都市計画の決定時の企画書では住宅中心の計画だったはずですが、これが、前回の都市計画決定時に私が指摘したとおり、業務・商業中心の計画になってきている。こういうふうに住宅千戸の計画が変わってきているんじゃないか、こういう計画決定で進めていいのかということですけれども、いかがでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 業務・商業中心ではないかという件でございますけれども、地元中野区は、平成十七年に、一部区域を含みます杉並区と東京都で共同いたしまして、警察大学校等移転跡地土地利用転換計画等の見直しを策定しております。この跡地につきましては、当初から、住宅、商業・業務や高齢者福祉施設、災害時には医療の拠点となる医療施設、医療等の地域開放施設を含む大学等の機能を整備することと定めております。
 また、財務省の土地処分に先立ちまして、区は、この見直しの内容を都市計画として定めているために、平成十八年十月に当初の地区計画を定めておりまして、その前提として企画提案書を区みずからが定めているわけでございます。すなわち、土地処分以前の具体的な計画や開発事業者は定まらない段階ではありますけれども、区としては、地区全体が開発された場合に、その複合日影はどうなるのか、あるいは開発全体の発生交通量と基盤の関係がどうなのか、こういったことを検討するために、見直しに沿いまして、一定の方針のもとに用途やフレームなどを想定して検討したわけでございます。
 今回提案いたしている地区整備計画は、当初の地区計画の枠組みに沿った中で、具体的な施設規模を定めた企画提案書をもとに定めるものでございまして、その内容は、今申しましたが、当初の計画から業務・商業中心ではなく、現在も住宅、商業・業務機能や福祉、医療等の公共公益施設、大学等の機能を複合した土地利用となってございまして、基本的な考え方は変わってございません。

○植木委員 名前が載っていればいいというものじゃないんですよね。住宅一千戸というのが、実際には、面積的には十五ヘクタールのうち千数平米ですよ。それで住宅まで名前が載っているからいいというふうにはなかなかいかないですよ。
 要するに、最初いったように、当初の都市づくりビジョンから始まって、防災広場中心のまちづくりがだんだん変わっていった。住宅中心、業務・商業、それに大学が加わった。その中で医療も加わって、確かにそういう経過はあるんだけれども、やっぱり全体のフレームがどんどんどんどん変わってきているということはもう否めない。それは否定できない事実ですよ。
 それから、住民が強く求めてきた防災公園、これはもともとは四ヘクタールという計画で、東京都にもちゃんと中野区から出ていた。その後一・五ヘクタールに縮小して、周辺の業務・商業ビルに一定の緑地空間を義務づけるからいいんだと、こういうことだったんですが、この防災公園が、中野区でのいろんな説明会を見てみますと、南側の高層ビルによって日陰になってきている。
 公園というのが、例えば冬至のときにはほとんど日が当たらない、こういうことで公園として好ましいのかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 公園に対します日照時間でございますが、一年のうちで日照条件が一番厳しい冬至におきまして、おおむね一時間から三時間確保されてございます。春分、秋分では公園の過半の日照をおおむね五時間以上、夏至ではおおむね終日確保される計画となってございまして、複合日影を考慮した配置計画が企画されてございます。

○植木委員 そういう、冬至に日陰になっているのが公園の機能として好ましいのかと私は聞いたんだけれども、それには全く答えていないんですよね。
 しかも、周辺がビルに囲まれているわけですよ。南側はさっきいったように東京建物、それから東側もビル、西側は大学、その間に植栽を植えるということなんですが、北側も結局これから公務員住宅が建設される予定になっている。これは高さがまだ決まっていませんけれども、ほかは高さがみんな出ているわけですね。
 こういう高層ビルに囲まれた、しかも日影--季節によっては十分でないということになっている。こういう公園でいいんですかということが住民から問われている。まずそのことをお聞きします。

○安井都市づくり政策部長 公園の配置についてのご質問だと思いますけれども、公園を取り囲んで施設を配置されることになってございますが、大学であるとか商業・業務、住宅などさまざまな施設を公園を中心に配置することによりまして、公園と一体となった--その周囲に約一・五ヘクタールの公開空地、またさらに一・五ヘクタールの敷地内のオープンスペースを確保され、にぎわいや地域の活性化を創出するものになると考えてございます。
 また、防災的な公園を持つということでありますれば、周辺の施設を利用する人、あるいは居住する人たちが絶えず公園を日常的に使っているということが、いざというときの都市防災上も大切であると、このように考えてございます。

○植木委員 だけれども今いったように、四方面を全部ビルで囲まれているんですよ。それでいざ防災のときに--日常的に利用するというけれども、建物自体だって今、超高層ビルの長周期地震動の問題、あるいは超高層ビルを中心としたビル風による火炎旋風の問題、こういう問題が専門家からは指摘をされている。そういうことを考えると、ビルに囲まれた公園というのは必ずしも安全でないというのが専門家の意見なんですよね。
 そういう意味で、今いったように、まず公園自体が縮小されてきている。それから建物に囲まれてきている。まさに谷間の中で、そういう防災面からも安全面が危惧されている。
 こういう点で、今回高さが提案されていますけれども、こういう高層ビル計画はやっぱり外すべきだし、もっともっと、もともと住民の皆さんが要望していた広さというものを確保することが大事だというふうに思いますけれども、いかがですか。

○安井都市づくり政策部長 計画図、事前説明会資料の三五ページぐらいをごらんになっていただければ、囲まれているとはいいながら、この都市計画公園は、北側はかなりの幅員の道路に接しているわけでございます。
 また、各街区はそれぞれ五割から七割の空地率を確保するということを考えますと、公園が建物で城壁のように囲まれるという計画にならないわけでございます。
 また、ある程度かたい建物によって公園を囲むことによりまして、その公園の中の防災性は逆に高まるのではないかと、このように考えております。

○植木委員 これは絶対に後で後悔することになると私は思うんですよ。もし防災面でいろんな事態が起きたときですね。皆さん、大丈夫だといっていたら、そのときに責任をとってもらわなきゃいかぬと私は思うんですね。
 もう一つ防災面でいいますと、北側の中央中学校と第九中学校が統合して統合中学校ができるとなっているんですけれども、もともと、統合中学校と防災公園と連担して防災性を高めるというのがもともとの計画だったんです。
 ところが公務員合同宿舎を、中学と防災公園の間につくっていく。学校の生徒たちは防災広場を利用するという趣旨だったのが、それがなくなっちゃったんですよ。しかも、これも学校が三方を建物に囲まれる。南側は、高さは決まっていないけれども公務員の合同宿舎。移動する前はたしか四、五階建てだったんですけれども、今回高さが決まっていないからわかりませんけれども、一、二階ということは絶対にないというふうに思うんですよね。
 そういう点で、これで好ましい状況だと、学校、防災の関係でいえるんですか。

○安井都市づくり政策部長 今回統合される学校と都市計画公園の間に公務員宿舎が入ったということについては、これはむしろ地元、地区の南側に隣接する町会の方々が、跡地のエリアと町会との間に道路をつくってほしいというふうな陳情を区に出されまして、聞いているところでは、それが全会派一致で採択されまして、その結果、その道路に当たるところ、そこにはもともと公務員宿舎があったわけでございますけれども、それを今回の開発計画の中へ取り込む過程の中で、今の位置に配置されたというふうに聞いております。
 今回の配置というのは、ある意味では周辺の住民の方々の意見を酌み取った結果だというふうに考えてございます。

○植木委員 それは事実と違いますよ。
 確かに道路の計画はあった。しかし、公務員住宅を学校の南側に配置しろというのはだれもいっていないはずですよ。だれがいったんですか。区ですか。

○安井都市づくり政策部長 私が申し上げたのは、道路をつくることによって、そこから立ち退かなきゃいけない公務員宿舎と、開発を成り立たせるために今の形になったということを申し上げたわけでございまして、だれが申し上げたということを答弁しているわけではございません。

○植木委員 結局、学校と防災公園の間を建物でふさいだんですよ。それは区が提案したんですよ。はっきりいって住民じゃないんです。これだけの広大な土地、わざわざそこの間にやらなきゃならない理由は全くないですよ。
 全体が十五ヘクタールですよ。防災対象区域も含めたら二十二万九千百の対象地域の中で、ここでなきゃ公務員宿舎はだめだなんていうことは絶対にあり得ないんですから、そういうことをいっちゃいけないんですよ。
 それからもう一つの問題点は、これはまだ建物がはっきりしていない面もあるんだけれども、東京都が発表した避難場所について、つまり都が指定した避難場所の面積、区域面積、避難有効面積と、区が今回の地区計画の変更に当たって出した面積、これが違うんですよね。
 住民から、なぜ違うのかということで、東京都にも中野区にも公開を求めていって請求をしたんだけれども、一切出てこない。こういう不可思議なことが起きているんですよね。
 だから、だれも今、区がいっている根拠が信用できないということで、地元では大きな問題になっているんですけれども、この経過、事実に関して、それから根拠数字、これを示してください。

○座間市街地整備部長 避難場所についてのお尋ねですけれども、都が指定しております中野区役所一帯の避難場所につきましては、区役所周辺あるいは警察大学校等の跡地を対象として、警察大学関連施設が移転した直後の建物配置をもとに、警察病院の範囲等を考慮しまして昨年、平成二十年二月に改定したものであります。その面積につきましては、約十・二九ヘクタールとして指定しております。
 一方、中野区の報告によりますと、警察大学校跡地等の開発協議会におきまして各事業者から提案を受けているわけですけれども、この建築プランを調整しておるところです。平成二十年十月に、この事業者の建築基本計画に基づきまして避難の有効面積を算定した結果、約十・九八ヘクタール確保できる計画として区の方に報告されたものであると認識しています。

○植木委員 根拠数字は……。

○座間市街地整備部長 失礼しました。根拠数字ですが、東京都が指定したものですと、区域面積二十二・九一ヘクタールに対しまして、避難有効面積十・二九ヘクタール、避難計画人口九万六千人、一人当たりの面積としては一・〇七平方メートルとなります。一方、再開発後、区の報告によりますと、避難有効面積が、先ほどいいました十・九八ヘクタール、計画人口が九万六千プラス新しい概数一万人ということで、一人当たり約一・〇三平方メートル確保できるということになっています。

○植木委員 そうじゃなくて、東京都が指定した面積については数字は出てくるんですよね。ところが中野区のこの数字というのが出てこない。これをちゃんと住民に示してほしいということなんです。
 きょう持っていなければ後ほどでいいですから、隠すんじゃなくてちゃんと出せという指導をして、あるいは東京都が手に入れてちゃんと我々に示してほしいということなんですけれども、いかがですか。

○座間市街地整備部長 区の示した根拠数字につきましては、確認をした上で、報告したいと思います。

○植木委員 とにかく地元区では公式に一切出さないということになっていますから、今きちんと都として出させるという約束をしてくれましたので、これはぜひお願いしたいと思います。
 いずれにしても、先ほど最初に経過をちょっと、ごくごくアウトラインですけれどもお話ししましたけれども、これは話をしてれば長くなるからやめますけれども、本当にもともとの計画がくるくるくるくるご都合主義で変わっている。当初計画していたものも、結局これだけの広大な土地だということで、どんな事業者が出てくるか予想をしながらやって、出てくるものだったらいわば何でもいいと。住宅中心だといっていたけれども、事業所中心の建物ができても結果的にそれを後追いして認めていく、そういう経過になっているということは否めないんですよ。
 そういう意味でこの問題は、具体的に今回地区計画の変更をやりましたけれども、まだまだこれから都市計画決定がたくさん出てくる、案件がたくさん出てくる計画ですから、多分これで終わらないんだと思うんですよね。そういう意味で、その都度一貫性のない姿勢を示さないで、もっと住民の声に耳を傾けながら、一貫した態度をとるべきだと。
 もともとの計画というのは、大規模な国有地だったわけですから、やはりそこを生かすというのは最後まで貫くべきだということを重ねて強調して、この問題を終わりにします。
 それから、渋谷駅周辺の都市基盤整備の計画変更についてでありますが、今回は、都市基盤、つまり渋谷駅周辺の基盤整備という計画になっておりますけれども、まず、この経緯というものをお示しいただきたいと思います。

○升都市基盤部長 今回の都市計画案の経緯ということでございますが、渋谷駅周辺では、昨年、地下鉄副都心線の開業がございました。また、平成二十四年には東急東横線と副都心線との相互直通運転が始まる予定でございまして、交通の利便性が一層充実され、再開発の機運も急速に高まっているところでございます。こうした状況から、渋谷駅周辺地域は、平成十七年十二月に都市再生緊急整備地域の指定を受けたところでございます。
 一方、先ほどもご説明させていただきましたが、渋谷駅及びその周辺では、駅施設の老朽化でございますとかわかりにくい乗りかえ経路、自動車と歩行者がふくそうする駅前広場など、都市基盤にさまざまな問題を抱えているところでございます。
 このため、駅周辺の基盤整備について、都、学識経験者、国、渋谷区、鉄道事業者で構成いたします渋谷駅街区基盤整備検討委員会におきまして、渋谷駅が策定いたしました渋谷駅中心地区まちづくりガイドライン二〇〇七に示されたまちづくりの方針を踏まえ、鉄道施設や公共施設の再編整備の検討を進め、昨年六月、渋谷駅街区基盤整備方針を策定したところでございます。
 今回の都市計画案は、この基盤整備方針をもとにいたしまして、この方針に対するご意見、また、都市計画素案や原案に対するご意見を踏まえ、策定させていただいたものでございます。

○植木委員 そうすると、今お話があったように、都市再生緊急整備地域に指定されて、そのかなめとなる、つまり開発を促進するリーダー役として、この駅周辺の開発を今回一気に進めていこうと、こういうことですか。

○升都市基盤部長 都市再生緊急整備地域、十七年十二月に指定を受けたわけでございますが、これの指定そのものは、駅施設の大規模改良でございますとか、渋谷駅の総合的なまちづくりを推進する目的でございます。
 一方、今回の都市計画案は、施設の老朽化でございますとかわかりにくい乗りかえ経路など、先ほどご説明したとおり、いろいろな課題を抱える渋谷駅及びその周辺の都市基盤を一体的に再編整備し、渋谷のまちづくりの推進に寄与するというものでございます。
 まちづくりでございますので、開発ということばかりではなく、全体の渋谷のまちづくりを進めるということでございます。

○植木委員 まちづくりだから全体の駅周辺の老朽化などを改善するんだというんですけれども、都市再生緊急整備地域を一気に進めていく、やっぱりそのかなめだということは、渋谷区の渋谷駅中心地区まちづくりガイドライン二〇〇七、この中で明確に述べているんですよね。
 こういうふうにいっていますね。渋谷駅を中心とした地区は、先行エリアとして、駅及び鉄道改良と一体となった都市基盤とさまざまな開発計画が集中する--そのためにということで、基盤整備と連鎖した駅周辺のまちづくりの方向性は重要である、渋谷駅周辺地域のまちづくりをリードするものであると、こういうふうに位置づけていっているわけですね。だから、やっぱり都市再生を、このままでは進まない、中心の渋谷駅を一気に進めていこう、こういうことがありありとしていると思うんですよね。何か首をかしげておりますけれども。
 何でこんなことをいうかというと、この地域は後から指定されたんですよね。都市再生というのは時限立法のはずです。しかも経済対策として始めた。それを一般的なまちづくりに強行する、そのかなめとしてこの手法を進めていこうと。
 これまでいろんなところが都市再生特別地区としてありました。この間、何回も私は問題を指摘しましたけれども、いよいよ今度は渋谷が、この間の東急文化会館以後、一気に進めていこうと。そのかなめとなる計画だから、これはちゃんといっておかなきゃいかぬなと思っているんですよね。
 そういう、都市再生そのものが時限立法であり経済対策として進められてきた。このことは否定できないでしょう。どうですか。

○升都市基盤部長 繰り返しになりますが、渋谷のまちづくりを進めるという観点から緊急整備地域の指定を受けたものでございまして、ある意味、都市基盤もそのまちづくりを進める上で重要な要素でございます。私どもは、その都市基盤を今回は決定するということで、渋谷のまちづくりが進むものというふうに期待しておるわけでございます。
 お話しのように、都市再生緊急整備地域でございますので都市再生特別地区の提案は可能でございますが、当然、地区の提案があれば関係法令に基づいて適切に対応していくものでございます。私どもとしては、まちづくりを進めるという趣旨で、十七年十二月に緊急整備地域の指定を受けたところでございます。

○植木委員 国の文書を読めば、ちゃんと経済対策として進めるということが出ているんです。だから短期間で何でもできるように仕組みをつくった。これは先ほど立石さんも--やり方の問題については、中身はともかくとして、そういう指摘があったとおりですよ。
 短期間でどんどん進める。僕は、まちづくりというのはそれでいいのかということをいつも思っている。短兵急で、たとえそれが一〇〇%譲ってよかったとしたって、そういうやり方はやっぱりよくないし、ましてや経済対策として進めた時限立法のものを、次々と改定したり延期したりしてやるようなのは、私はまちづくりとはいわないと思うんですよ。
 だから結果的に見ますと、都市再生という中での問題点がいろんなところで次々と出てくるんですよ。先ほどの一つがそうですね。住民との合意というのが目に見える形で行われない。それから二点目、わずかな期間で特区などはどんどん許可をしていく。それから、まちが経済優先になって、特定目的会社や不動産ファンドなどがまちづくりをリードする。こういう役割がこの間ありましたよね。
 ここのところへ来て経済がちょっと深刻になってきて、ファンドが動かないところも若干出て来て、不動産関係が倒産したり、あるいはゼネコンが倒産したり、そういう動きはありますけれども、やっぱりそういうファンドがまちを動かしている、そういう仕組みになっているんですよね。
 特定目的会社などが中心になって、短期間ですから潤沢な資金を寝かさないで済んで、どんどん進められていく。行政が指導しているように見えるが、実は事業者が引っ張っていたということも、こういう都市再生の中である。
 渋谷のまちづくりについては、先ほどは、そういうものじゃなくて、まちづくりとしてきちんとやっていくというお話があったけれども、実際には緊急整備地域として、この時限立法の中でいろんな特区がこれからまた出てきますよ。東急の文化会館だってそうですし、あそこは東急のまち、という人も中にはいますよ。そのぐらいに、この都市再生というものが、悪くいえばまちを壊す、よくいえば行政を初めとして巻き込んで、どんどんリードしていく。こういう状況になっているといわざるを得ないと思うんですね。
 だから、駅周辺の開発でも、駅ビルなんかもちろん民間がやることになるだろうと思うんですけれども、絵を見ているともう超高層の絵が最初から出ていますからね。街区の中には場所しか書いていないけれども、絵を見るとちゃんと超高層ビルが出ているわけです。そういうのを許可していくんだなというふうに思わざるを得ない。
 渋谷というのは谷ですから、あんなところへ、真ん中に超高層ビルが建ったら風を遮るしかないわけだし、先ほど地元住民はどういう意見が出ているかという話もありましたけれども、住民の皆さんの中には、自分たちが非常に日陰になるし、それからビルの裏側のまちというふうになりかねないという意見も出ている。それから交通も、西側ですか、図面には点線がかいてあるけれども、交通渋滞なんかもどうなるかというのはあれだけじゃちっともわからない。そういう点で住民からいろいろ疑問が出ている。
 先ほどもありましたけれども、改めて、交通広場、交通の渋滞関係それからビルに対しての住民の意見、これらに対してどうしていくのか、お答えいただきたいと思います。

○升都市基盤部長 個々、通行どめですとか、裏になるとかというお話がございました。通行どめについては先ほども少しお話をさせていただきましたが、現在、交通流を解析するなど、引き続き駅中心地区の自動車交通流量の削減などとあわせて検討していくこととしているところでございます。
 また、ビルの位置の問題だと思いますが、提案事項概要には今、高層ビルと呼べるのかどうかわかりませんが、ビルの敷地が決まっておりますので、何となく少し薄くかいてございますが、あれが高層という高さかどうか、そこまでは書いていないと私は思っておりますが、そのビルを南側に寄せる配置計画については、先ほどもお話ししたように若干地域の方からご意見がございました。
 その点についてご説明させていただきますと、渋谷駅周辺については非常に歩行者が多いということをご説明させていただきました。特にハチ公側についてはかなりの歩行者がありまして、歩行者空間が非常に狭うございます。そういう意味で、可能な限り拡充をするということを考えてございます。
 また、ターミナルにつきましても、車道中央にあるということもございます関係から、バスターミナルを分割して中央部に新たに広場をつくるということで、バス利用者の安全性を確保する、また、歩行者の滞留空間を確保するということを考えてございます。そのような公共施設の配置の考え方から、駅ビルの位置が南側へ来ているところでございます。ビルの形についてはこれからビルを建てる方がいろいろ検討されていくんだということで、私どもとしては今、敷地が、南側になったということでございます。
 それから、先ほどもお話ししましたが、その関係だけではなくて、二四六号の南側地区についていろいろお話がありますが、そちらのアクセスについては、地下通路でございますとか歩行者デッキを整備するということ、また、駅ビルの敷地の一部を交通広場として活用して、南北方向の歩行者動線を確保することなど、さまざまな対策をとる予定をしてございまして、現状より強化されるのではないかというふうに考えているところでございます。

○植木委員 住民の皆さんの声には率直にこたえていただきたいとは思うんですけれども、やっぱり前提として、都市再生緊急整備地域に指定された、あるいは特区がどんどんできるということで、まちづくりを強引に進めるようなことは、私は絶対にやめるべきだと。まちというのは本当に住民合意で築き上げていくものだ。それから時によっては大幅な、何というのでしょうか、抑制も必要だというふうに思います。そういう意味で、いつもいっておりますけれども、まちづくりについては大幅に変更--変えていただきたいということを重ねて述べまして、終わりにします。

○神林委員 もう早いものでございまして、羽田空港では、来年の十月には再拡張、国際化を目指して、国際線ターミナルと新滑走路の整備が進められております。羽田空港は、首都圏のみならず日本の玄関口として、空港機能はもとより、空港の国際化にふさわしいアクセス道路の整備が必要であると考えております。今回提案されております環状八号線も、その空港アクセス道路の一つでございます。そこで、環状八号線の都市計画変更案について何点か伺います。
 今回提案されている環状八号線は、まず、どのような理由で都市計画変更を行うのか伺います。

○升都市基盤部長 環状八号線の都市計画変更でございますが、羽田空港の沖合展開、再拡張事業に伴う空港跡地について、昨年三月、羽田空港移転問題協議会によりまして、羽田空港跡地利用基本計画が策定されております。この基本計画の中で、跡地の土地利用の方向性、跡地の中央部に新設する構内道路などが示されております。
 今回の環状八号線の変更につきましては、この基本計画に基づきまして、新設される構内道路を新たな環状八号線といたしまして、線形の改良、道路交通の円滑化、交通安全、利便性の向上を図ることを目的といたしまして、都市計画の変更を行うものでございます。

○神林委員 今いろいろ理由を出していただきましたけれども、安全性の向上という意味では、あそこに行っていただければ一番よくわかるんですけれども、弁天橋付近は本当にすごい直角の曲がりですし、トンネルを抜けてすぐ、勾配が下になっております。
 さらに、あそこはかなり詰まってしまうんですけれども、弁天橋通りからの車も合流して危険な状況にございます。今回そういう意味では、その点がしっかりと解消されるというふうにも、私も認識しております。
 しかしながら今回の計画は、これから利用計画を具体化していく空港跡地を、分断することにもつながります。新しい環八を横断して跡地を行き来する歩行者に対する配慮が必要であり、歩行者と車を分離することが望ましいと考えられます。
 そこで、環八の横断など、跡地の歩行者動線をどのように考えているのか伺います。

○升都市基盤部長 新設される環状八号線でございますが、車道の両側に現在の環状八号線より広い歩道を設置する計画としてございます。また、環状八号線の横断を含めた空港跡地の歩行者動線につきましては、今後、跡地利用基本計画に基づきまして具体的な土地利用計画を策定する中で、適切な歩行者動線が確保できるよう検討していくことになるというふうに考えているところでございます。

○神林委員 今、環八の件に強く、そういう意味で出していただきましたけれども、例えば跡地内の中には、これから検討される、それぞれの地域内の道路もあるわけですね。ですから、これから大きく成長するポテンシャルの高い空港跡地でもございますのでその敷地が一体的に活用できるように--例えば一番いい例が、この新宿なんかそうなんですけれども、要は車と歩行者が完全に二層に分離されているんですね。こういう形の方式ですとか、あるいは実際道路を横断する部分で、具体的には何とか容易に、快適性を持った工夫とか、さまざまなことが考えられると思いますので、一言でいえば、ぜひとも歩行者に十分配慮した計画となるように要望しておきます。
 それからもう一つ、住民にとって重要なこととして、地域の防災という観点がございます。新しい環八が計画されている場所は、大田区の羽田、羽田旭町、東糀谷などに住む区民の避難場所に指定されております。
 都市計画変更された環八の工事中や工事完了後は、この避難場所が分断されることになりますが、都は避難場所機能の確保についてどのように考えているか伺います。

○座間市街地整備部長 避難場所についてのお尋ねですけれども、避難場所の確保は、災害時の都市の防災を考える上で大変重要な事項であると認識しております。
 東京都は、東京都震災対策条例によりまして、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するために、一時的に避難する場所をあらかじめ定めておりまして、現在、区部におきまして百八十九カ所、面積で五千九百十五ヘクタールを指定しております。このうち羽田空港内に指定しております避難場所、東京国際空港につきましては、区域面積が約三十二ヘクタールございまして、約二万九千人の周辺住民が避難する計画となっております。
 今回の環状八号線の都市計画変更によりまして区域が二分されますけれども、避難場所としての機能を確保するよう、跡地利用計画とともに関係機関と調整をしてまいりたいと考えております。

○神林委員 座間部長は大田区の地理的な条件をよくご存じと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 遠からず起こるといわれております首都直下型地震など災害への備えとして、避難場所の確保は非常に重要なことであり、地元区民もどうなるのか心配しております。東京都はその確保に万全を期し、住民の不安を解消するように、重ねて要望しておきます。
 次の質問でございますが、一方、羽田空港の周辺では、大鳥居交差点などで交通渋滞が起きております。今後、再拡張、国際化が進み、空港跡地利用も図られることになれば、交通渋滞が増加するのではないかという心配がございます。特に昨今の流れとしまして空港周辺地域では、トラック輸送などの物流施設や、空港関連事業の駐車場などの需要が大変頻繁に起きております。
 東京都は羽田空港周辺の交通対策をどのように考えているのか、お伺いいたします。

○升都市基盤部長 羽田空港の国際化を現在進めておりますが、それをさらに一層進めていくためには、国際化を視野に入れた空港へのアクセス道路の充実が必要であるというふうに認識しておるところでございます。
 現在、羽田空港周辺では、空港に通じる環状八号線と国道一五号線の交差点の立体交差、産業道路の拡幅整備、京浜急行の連続立体交差化などが進められており、道路交通の円滑化が図られる予定でございます。今後も引き続き関係機関と連携を図りながら、羽田空港へのアクセス道路の改善に向けて取り組んでまいります。

○神林委員 今ちょっと、ご答弁いただいた中で二つ三つ抜けているんですよね。一つは何かといいますと、国道三五七号線の多摩川トンネルの部分の早期開通、これが抜けていますよね。
 それから、意外と今、議論されていないんですけれども、幹線道路を整備するだけじゃなくて、それに基づく、その幹線を補う補助線があるんですね。これもしっかり整備していただかなきゃいけませんし、また新たなルートということも考えられるのかもしれませんが、今後想定される交通量に十分見合った道路整備を、ぜひ計画的に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 羽田空港については、国際化を進め、日本の国際競争力の向上、首都圏の将来の航空需要にこたえるという重要な課題とともに、地元の立場でいえば、騒音などの環境改善、水と緑と安全のまちづくり、交通アクセスの整備、地元産業の活性化などの課題について、空港の再拡張、国際化とともに取り組む必要があると考えております。
 そのためには、空港跡地だけの開発ではなく、周辺地域も含めた総合的、一体的まちづくりがぜひとも必要でございます。このような視点から、今回の環八の整備により、跡地のまちづくりがよりよい方向に進むことを期待して、私の質問を終わります。

○高橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十五分散会

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