都市整備委員会速記録第十号

平成二十年九月三十日(火曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長村上 英子君
副委員長吉倉 正美君
副委員長大塚たかあき君
理事きたしろ勝彦君
理事松下 玲子君
理事新藤 義彦君
鈴木 章浩君
河野百合恵君
高橋 信博君
泉谷つよし君
植木こうじ君
立石 晴康君
相川  博君
藤井  一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長只腰 憲久君
次長総務部長事務取扱泉本 和秀君
技監福島 七郎君
理事加藤 英夫君
理事河島  均君
都市づくり政策部長安井 順一君
住宅政策推進部長松村 光庸君
都市基盤部長升 貴三男君
市街地整備部長座間  充君
市街地建築部長河村  茂君
都営住宅経営部長清水 文夫君
企画担当部長横溝 良一君
連絡調整担当部長岡沢  裕君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
外かく環状道路担当部長遠藤 正宏君
民間開発担当部長石川  進君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
都市景観担当部長町田 修二君
経営改革担当部長並木 勝市君
参事瀧本 裕之君
参事宇多田裕久君
参事福田 良行君
参事中島 俊明君
参事山口 幹幸君
参事荒川 達夫君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十九号議案 東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例
・第百九十三号議案 東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
・第百九十四号議案 東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅等の指定管理者の指定について
・第百九十五号議案 東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
・第百九十六号議案 東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について

○村上委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○村上委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の付託議案の審査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百六十九号議案及び第百九十三号議案から第百九十六号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料についての理事者の説明を求めます。

○泉本次長 九月十六日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をお開きいただき、目次をごらんください。
 資料は、1の都営住宅管理戸数と予算の推移と、2の東京都住宅供給公社の職員配置状況の二件でございます。
 一ページをごらんください。都営住宅管理戸数と予算の推移でございます。
 この表は、平成十七年度から今年度までの都営住宅管理戸数と予算額の推移を記載してございます。
 次に、二ページをごらんください。東京都住宅供給公社の職員配置状況でございます。
 正規職員、契約社員、嘱託員等の別に、平成二十年六月現在の人数を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願いいたします。

○村上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松下委員 私は、本委員会に付託されました事件案、都営住宅等の指定管理者の指定について、幾つかご質問させていただきます。
 平成十八年度より都営住宅の管理に指定管理者制度が導入されていますが、まず初めにこの制度導入の目的をお伺いいたします。

○並木経営改革担当部長 指定管理者制度導入の目的についてですが、従来、公の施設の管理の委託先については、地方公共団体が出資する団体等に限定されておりましたが、平成十五年の地方自治法の改正により、民間事業者への委託も可能となりました。
 都営住宅の管理におきましても、民間事業者に参入の機会を設けることで競争原理を働かせ、住民サービスの質の向上や効率的な管理を図ることを目的に、指定管理者制度を導入しております。

○松下委員 目的を、今ご説明していただきましたが、それを踏まえた上で、以下の質問に移りたいと思います。
 まず、現在の指定管理者には、公募により指定管理者を募集した地域も含めて、制度導入前から都営住宅の管理を受託してきた東京都住宅供給公社が指定されていますが、この制度導入の目的を達成する上で、実際、効果があらわれているのかどうか、お伺いしたいと思います。

○並木経営改革担当部長 制度導入の効果についてですが、公募の結果、いずれの地域におきましても東京都住宅供給公社が指定管理者に選定されておりますが、公社からの提案によりまして、公募地域以外の地域を含めて、窓口開設時間の午後五時から午後六時までの延長や申請書類の郵送受け付け開始など、サービスの向上が図られ、計画どおり実施されております。

○松下委員 公募の結果、これまでどおり東京都住宅供給公社が指定管理者に選定されている場合においても、住宅供給公社のサービスの向上が図られ、住民サービスの質の向上が図られているというお答えかと思います。
 公募していない地域もありますが、どちらにもかかわらず制度導入による一定の効果はあったようでありますが、二回目となる今回の公募はどのように行われたのか。また公募の結果、指定管理者候補者として東京都住宅供給公社が選定された経緯について、お伺いしたいと思います。

○並木経営改革担当部長 今回の公募におきましては、公募地域として新たに港区を加え、公募地域数を二地域から三地域へ拡大するとともに、指定期間を三年間から五年間に改め、事業者がより応募しやすいと思われる条件により募集を行いました。
 指定管理者候補者の選定に当たりましては、外部委員を中心とする選定委員会において、事業計画、応募価格が総合的に判断され、その結果、東京都住宅供給公社が各公募地域における候補者として最も適切であるとされました。
 具体的には、夜間、休日を含む管理体制、エレベーターなど設備の保守点検における安全対策、個人情報の保護への対応などが特にすぐれた点として評価されております。

○松下委員 公募地域を二地域から三地域へ拡大するなど、募集に当たって工夫がなされているということかと思います。その点は評価をしたいと思います。
 今回も、すべての地域において、先ほども述べましたが、再度東京都住宅供給公社が指定管理者候補者に選定をされております。このことを踏まえて、今後指定管理者制度の運用をどのように行っていくのか、お考えをお伺いいたします。

○並木経営改革担当部長 今後の対応ですが、今回の指定による指定期間は三年ないし五年でありますが、その間、都営住宅へ指定管理者制度を導入したことの成果や課題、またこれまでの指定管理者公募の状況や他の自治体における動向などを総合的に検証し、最も適切な管理のあり方について検討してまいります。

○松下委員 指定管理者制度導入の効果を期待していくためには、管理主体としての民間が成熟しているということが前提であり、ただいま伺った方向に沿って、今後は他の自治体等の動向も総合的に検証しながら、都営住宅に特有の性格を踏まえた適切な管理のあり方について、引き続き検討していただきたいと要望して、私の質問を終わりたいと思います。

○吉倉委員 付託議案である都営住宅等の指定管理者の指定について、質問いたします。
 都議会公明党は、三年前に行われた第一回目の都営住宅の指定管理者の指定に際して、住民サービスの向上を第一の目的に、慎重な制度運用が図られるよう、本委員会における質疑を通して都に対し要望してまいりました。
 これまで、指定管理者である東京都住宅供給公社が都の指導のもと、長年のノウハウを生かしながらきめ細やかな管理に当たってきたことにより、特段支障なく指定管理者業務が行われていると聞いております。
 この間、公社は、住民サービス向上の観点から見て重要な窓口開設時間の延長や申請書類の郵送受け付けなど、新たなサービスを主体的に提案、実施してきております。今回、二回目の指定管理者の指定を審議するに当たり、都議会公明党として、この住民サービスの向上の観点から何点か確認してまいりたいと思います。
 まず初めに、窓口開設時間の延長など新たなサービスがどの程度利用されているのか、また居住者の評価をどのように受けとめていらっしゃるのか、伺います。

○並木経営改革担当部長 新たな窓口サービスについてでございますが、まず、窓口の開設時間は午後五時から午後六時に延長されており、平成十九年度においては、この間、延べ約一万二千人の方に利用されております。また、郵送による申請受け付けは平成十九年度に約一万九千件ございました。
 これらの取り組みについてアンケート調査を行ったところ、窓口開設時間の延長については約七〇%の居住者が、また郵送による申請受け付けについては約六五%の居住者が、これまでよりも便利になったと感じているという結果が得られております。
 また、平成十九年度の、指定管理者の管理運営状況について行われた、外部委員を含む評価委員会による評価においても、こうした居住者サービス向上の取り組みがなされたことなどを反映し、最上位の優良という評価になっております。

○吉倉委員 ご答弁ありましたとおり、前回の公募で公社から提案のあった新たな取り組みについて、おおむね適切に実施されていることを伺い、評価したいというふうに思います。
 第二回目となる今回の公募においても、提案内容が評価され、東京都住宅供給公社が引き続き指定管理者候補者に選定されたとのことですが、これまでと比較して、来年度以降、住民サービスの向上がさらに図られるような提案があったのかどうか、この点伺います。

○並木経営改革担当部長 今回の公募におきましては、東京都住宅供給公社は、現在のサービス水準を上回る提案として、居住者の方が申請、相談、使用料の納入等を行う場合、所管の窓口センターだけでなく、公社が設置する十七の窓口センターのいずれにおいても受け付けを行えるようにすることや、巡回管理人による公園遊具の点検を、現在の三カ月に一回から毎月実施として頻度を三倍にふやすことなどの提案を行っております。

○吉倉委員 今、答弁いただいた提案内容をお聞きする限り、東京都住宅供給公社は、今後も引き続き住民サービスをより一層向上させようと積極的に取り組む姿勢があると考えられ、この点については高く評価したいというふうに思います。
 一方、ことしの六月、公社は大きな組織改正を行い、入居者からの電話での問い合わせに一括して対応するためのお客様センター、いわゆるコールセンターを設置しております。以前は内容によって問い合わせ先が異なっていたことから、電話での連絡先を一本にまとめ、居住者にとっての利便性を高めるために設置したものというふうに聞いております。
 ところが設置当初は、居住者から電話がつながりにくい等々の声が、私ども都議会公明党にも寄せられておりました。そこで、都営住宅の居住者からコールセンターに寄せられたさまざまな声に対して、公社は改善措置をどのように講じてきたのか、具体的に伺いたいというふうに思います。

○並木経営改革担当部長 公社のコールセンターについてですが、六月の開設当初には、居住者から、電話がつながりにくい、窓口センターの担当者と直接話がしたいなどの要望が寄せられたことから、都としては公社に対し、直ちに改善措置をとるよう指導いたしました。
 これを受け、公社では、オペレーターの適正配置や研修体制の充実、電話の内容に応じた窓口への速やかな転送を行うことに加え、ノウハウを有する公社職員がより丁寧にオペレーターによる電話対応を支援するなどの措置を行っております。また、自治会からの要望などに対しても、担当部署への連絡を迅速に行うこととしております。
 その結果、現在おおむね円滑に業務が行われていると考えておりますが、今後とも居住者からの電話への対応業務が一層円滑に行われるよう、引き続き公社に対し、適切に指導してまいります。

○吉倉委員 都営住宅の居住者には高齢の方々やお体の不自由な方も多く、電話だけでは十分に対応できないこともあるというふうに思います。コールセンターにおいては、それぞれ団地を所管する窓口センターと緊密な連携を図りながら、居住者の立場に立った対応をしっかりと行う必要があります。この点からも、都は今後とも適切に公社を指導していただくことを要望し、質問を終わります。

○河野委員 私も、都営住宅の指定管理者についての議案について、質問をいたします。
 東京都住宅供給公社は、都営住宅の管理、営繕の事業には長い歴史と蓄積を持っています。都の監理団体であり、法に基づいて設置されている都住宅供給公社が都営住宅の指定管理者に選定されることについては、これまで私たちは賛成の立場をとってまいりました。
 提案されている事件案に関連して、幾つか質問させていただきます。
 東京都住宅供給公社は、この間、東京都からの自立ということを強く打ち出しています。平成十六年五月に策定した公社のアクションプランには、このように書いてあるんです。「従来、住宅の建設にあたって、都から無利子の貸付金や利子補給などの補助金を受けてきたが、平成十三年度以降の新規建設事業からは、これらの貸付金や補助金は受けないこととした」というものです。そのために、都から公社への財政支援は、一般の民間住宅建設事業者も受けることができる政策的補助金だけということになったわけです。
 またもう一つ、組織の簡素効率化と活性化ということで、正規の職員の数が減らされています。これもアクションプランに載っているんですけれども、平成九年度期首の正規職員数は、都からの派遣を含めて六百九十二人だったのが、平成十四年度は六百十六人、その二年後の平成十六年度には五百四十人に減っています。公社独自の経営努力ということが強調されてきた中で、職員の労働、雇用のあり方が変わってきているというふうに感じます。
 公社職員の今年度の雇用状況、きょう資料で出していただきましたけれども、平成十八年、十九年、二年にさかのぼって、この数字、正規、契約、嘱託の職員数、どういうふうな状況になっているかを伺っておきます。

○並木経営改革担当部長 東京都住宅供給公社の職員数ですが、正規職員は平成十八年度五百二十八名、平成十九年度五百二十七名。契約職員は平成十八年度百四十一名、平成十九年度百六十五名。嘱託員等は平成十八年度五百二十八名、平成十九年度五百五十四名となっておりまして、東京都の監理団体として、業務の性質等に応じた適切な人員が配置されることで、効率的な業務執行のもとに質の高いサービスの提供が行われております。

○河野委員 いただいた資料の平成二十年度で見ますと、公社職員総数千百四十人のうち、正規の職員数は五百二十四人、比率にしますと四六%ということになります。正規雇用の職員の割合が毎年減り続けていることが、今のご答弁でわかったと思います。嘱託職員の中には人材派遣の人も含まれているわけですが、契約や派遣労働などは期間が限られた雇用ということになりますから、公社がこれまで蓄積してきた専門性のいろんなノウハウも、その引き継ぎ、不十分になってしまう心配があるのではないかと感じています。
 職員の雇用配置状況がこれで果たしてよいのかということ、居住者のサービスが守られるのか、この点で一つ心配があります。
 そこで、伺います。先ほども質問がありましたけれども、住宅供給公社はことし六月から大幅な組織改正を行っています。四つの支社がなくなって、これまで窓口センターに寄せられていた各種相談などは、まず民間委託のコールセンターで受け付けを行うようになっています。経営の合理化を目指してこういう方法をとったのだと思うんですけれども、いろいろお話がありましたように、居住者にとっては大変な不便が起きました。
 電話をしてもなかなか通じないというお話も先ほどありました。オペレーターと話ができたとしても、相談内容に適切に答えてもらえない。窓口センターに相談したいから担当者を教えてほしいといっても、きちんと答えてもらえないで、逆に、あなたの氏名、住所、その上に生年月日をいってくださいというように要求されて、不快感を覚えたという方もいらっしゃるわけです。
 その上、光電話ではコールセンターに通じなかったなど、私たちが聞いた苦情だけでも相当数あります。詳細は省きますけれども、困っているのは、高齢者、障害者の方が特に大変だというふうにいっています。
 今回、公社を都営住宅の指定管理者に選定することを提案している東京都は、こうした状況をどれほど把握されていたのか。それから、今後、先ほど努力されるというお話がありましたが、不快感を覚えるような居住者がいないように、また、大変困っていると声を寄せられている高齢者の方や障害者の方々への特段の配慮、こういう点で私は改めて努力を求めたいと思いますが、ご見解を伺っておきます。

○並木経営改革担当部長 コールセンターについてですが、先ほどもご答弁申し上げましたように、開設当初には電話がつながりにくいなどの要望が居住者から寄せられたことから、都としては公社に対し、直ちに改善措置をとるよう指導してまいりました。
 これを受けて、公社ではさまざまな事例を踏まえて、オペレーターの適正配置などの措置を行っております。その結果、現在おおむね円滑に業務が行われていると考えておりますが、今後とも引き続き公社に対し適切に指導を行ってまいります。

○河野委員 今、都営住宅に居住されている方は比較的所得が少ない方とか病弱の方、高齢者の方など、いわば生活に困難を抱えている人が多く居住されていると思います。こういう方々のプライバシーの保護や福祉的支援などを考慮すると、これまで長年専門的取り組みをされてきた東京都住宅供給公社が指定管理者に選定される、このことは居住者の立場に立った、ある意味いい方針かなという思いも私はしています。
 でも、公社が経営効率を優先して、実質、居住者へのサービス後退を招くような体質も強まっているということも同時に感じてしまうんですが、このままでは決してよいとはいえないと思っています。
 九月十日に発表されました平成十九年度の指定管理者管理運営状況評価結果、この文書を見ますと、東京都住宅供給公社は最高の評価である、優良ということになっています。今年度からの組織改正による、今お話ししましたような問題点は、まだわからない時点での優良という評価だと思うんです。
 都の住宅供給公社が今後、公的セクターにふさわしい役割を果たせる管理運営の方法、都営住宅に、そういう姿勢で当たっていくことが大切だと思うんですが、居住者の良好な住環境を守る仕事を進めるように、東京都もきちんと責任を果たすことが重要と考えています。都のご見解を伺っておきますので、よろしくお願いします。

○並木経営改革担当部長 公社による居住者サービスについてでございますが、公社は都営住宅の指定管理者として、これまでも窓口開設時間の延長等の取り組みを行ってきており、今後も、居住者がいずれの窓口センターでも申請、相談等が行えるようにするなど、サービス向上に着実に取り組んでいくこととしております。
 都は、こうした公社が行う取り組みについて、定期的な履行状況の確認や検査等を通じ、必要な指導を行うとともに、先ほど申し上げました、外部委員を含む評価委員会による評価を毎年度実施することなどによりまして、適切な執行を確保してまいります。
 今後とも引き続き居住者サービスの一層の向上が図られるよう、公社に対し適切な指導を行ってまいります。

○河野委員 指定管理者制度が都営住宅の管理運営に導入されたのは二〇〇六年度だったと思います。指定管理者制度は、公の施設の管理運営について競争原理のもとに選定を争うという、そういう本質的な目的を持っている制度だと思っています。営利目的の企業の参入もどんどん認める、こういうことは、福祉や医療や住宅など人間の命、生活にかかわる分野に導入してくるというのは、もともとはなじまない制度ではないかと感じています。
 東京都は今後、公社に、都からの独立を求める、その方向を強めていくだけではなくて、逆に経営や雇用のあり方にも十分注意を払っていただいて、公社が都営住宅を管理運営してくれてよかった、安心だったという都民、居住者の声が寄せられるように力を発揮していただくようお願いをしておきたいと思います。そのことを強く求めて、私の質問を終わります。
 以上です。

○植木委員 私の方からは、今回の議案として出されております、東京都のしゃれた街並みづくり推進条例の一部改正について伺います。
 改正の内容については先日説明がありましたが、公益法人制度改革関連三法案の改定に伴い規定を整備するということと、それから、都市の秩序ある整備を図るための都市計画法の一部改正に伴い、都市計画の提案を行うことができる者が追加されました。
 この推進条例が実際はどうなっているのか、そしてこの改定の影響はどうなるのか、まだこれが指定されている地域が少ないものですから、なかなか一〇〇%はわからないんですが、検討する立場から質問いたします。
 しゃれた街並みづくり推進条例が指定されているのは、品川区の武蔵小山駅東地区、豊島区の南池袋二丁目地区、それから新宿区の新宿六丁目地区の三カ所しかありません。
 そこで、品川区の武蔵小山駅東地区について、具体的にお聞きしたいと思います。どういう目的でこの条例の指定地域にしたのかを、まず伺います。

○安井都市づくり政策部長 武蔵小山駅東地区は、駅を含みまして活気ある商業空間が形成される一方で、住商混在の木造密集地域となっていることから、街並み再生方針では、細分化された敷地の統合や行きどまり道路のつけかえ、建物の共同建てかえなどによる街区再編を進め、商業機能の活性化、都心居住の推進及び防災性の向上などを図り、魅力ある地域生活拠点を実現していく、これを目標としております。

○植木委員 今、細分化の統合というお話がありましたが、この指定地域、街並み再生方針を決定する前では、敷地面積は規模別に見るとどんなふうになっているでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 地区の指定以前、品川区が平成十五年に行った調査によりますと九十九の敷地がございまして、その面積内訳は、五十平方メートル未満の敷地が二十、五十から百平方メートル未満の敷地数が二十九、百平方メートル以上百五十平方メートル未満の敷地数が十五、百五十平方メートル以上二百平方メートル未満の敷地数は十二、面積が二百平方メートル以上の敷地数は二十三となっております。
 このうち、十八の敷地につきましては、地権者全員の合意により再生方針に即して街区が再編され、共同建てかえが実現しております。

○植木委員 細分化された土地というのですから、恐らく五十平米以下とかせいぜい百平米、百平米はそんなに細分化というふうにいえるのかというのはありますけれども、百平米以下というふうになりますと、四十九個ですから、大体全体の半分前後になると思います。
 この地域がどうなるかということで、もともとの基準容積率と都市計画の状況、それから提案ではどういうふうになるのか、それから、最低敷地面積も提案されていると思うんですけれども、街区ごとに教えてください。

○安井都市づくり政策部長 地区では、商業地域四〇〇%、近隣商業地域三〇〇%の地区がございまして、一部の区域には第三種高度地区が指定されております。
 街並み再生方針におきましては、地域の貢献度に応じた規制緩和など、良好な街並みを誘導するためのガイドラインが事前に明示されておりまして、これを踏まえ、平成十七年に地区計画を決定しております。この中で、一部の地区では容積率の最高限度を五五〇%、高さの最高限度を六十メートル、敷地面積の最低限度を三千平方メートルとしたほか、地区整備計画を決定した他の地区についてもそれぞれ敷地面積の最低限度を定めております。
 先ほどお話ししました共同建てかえによりまして、地区整備計画の内容に即して約三百五十平方メートルの広場状空地、狭隘道路の拡幅、壁面後退などによる歩行者空地の整備などが行われまして、地区に隣接する福祉施設におきましても、円滑な車の出入りが可能になるだろう、そういった内容が地区で実現しております。

○植木委員 D地区だと思うんですけれども、一部地域は十八の地権者によって完成されていると。容積率は五五〇%に引き上げられている。ここは、お聞きしましたら、もともとは大きな地権者だったのが、分割されるなどいろんな経過を経て今回まとまった、いわばそんなに難しくない地権者や親族、関係者があったということだと聞いています。
 それから、駅に近い方は、小規模な店や住宅など木密というんでしょうか、そういうところもあります。それから、既に小規模なマンションや事務所、商店が建っているところ、ここなどは、これも共同化を進めなければいけないのかなという疑問がちょっと残っています。
 いずれにしても、最低敷地面積を決めて共同化を図ると。例えば木密地域、これは、敷地の統合による建てかえはなかなか簡単でないと私は思うんです。それが最低敷地面積を決められた場合、五十平米に満たない世帯の場合はどうなるのかという心配があると思うんですね。例えば統合されたとしても、権利床が十分得られないために、すごく逆に狭い権利床分しか得られないという可能性もある。あるいは、余りにも小さいので立ち退かざるを得ないという可能性もあると思うんですけれども、こういうものはどうなるんでしょう、この計画では。特別な支援が何かあるんでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 この制度では、木造住宅密集地域なども対象にしまして、共同化などによりまして街区を再編することが、地域の防災性の向上なり地区の魅力の向上なりにつながるということを促すための制度でございまして、方針に基づきまして、その後、具体的な地区整備計画をつくるという段階で初めて都市計画としての担保を持つものでございます。
 その過程で、例えば、これは土地利用計画でございますから、具体的な補助金等の支援策はございませんけれども、都市計画原案の説明、都市計画案の縦覧、あるいは都市計画審議会、そういった場で少数の方々の意見もそれなりに考慮される、そういった仕組みになってございます。

○植木委員 そうはいっても、駅近くで五十平米以下のところはなかなか大変な思いがあると思うんですね。駅から出てすぐのところが対象になってくるんですけれども、駅のそばの商店街は非常に有名な商店街ですけれども、ここも結構、密集という言葉を使うとかなり密集--商店街としてはなかなか立派な商店街だと私は思うんですが、それと、私、そもそも木密がすべていけないのかという、こういう問題ももう一つあると思うんですよ。
 しゃれた街並み推進条例ができたときに、いろいろな質疑がありました。その中で私が感心した質疑の一つに、桜井議員の予算特別委員会の質疑がありました。短いですからちょっとだけ紹介しますと、木造住宅密集地域でございますが、木密、即、悪だという考えに対して私は抵抗を感じます、防災対策と木密は両立できないとは考えられない、さまざまな施策を考えれば防災対策と木密は十分に両立できると考えます、こういって、いろいろ要求しているんです。
 また、木密地域の特性についてもこういっていますね。下町などには、木密地域は近所づき合い、良好なコミュニティ、あるいは義理と人情、薄れていくものが残されている地域でございまして、これをばたばた壊しちゃって跡に合同のビルをつくるということは云々ということですね。木密地域の特性について、残す努力が必要だといっていますね。
 それから、木密ならではの情緒あふれる、これは文化というものである、こういうふうにいって、観光産業との関係とかいろいろ多面的に述べているわけですけれども、やっぱりそこに住み続けられる施策あるいは支援、こういうものが、私は木密には求められていると思うんですね。
 指定地域もたくさん都内にありますし、ここは指定地域ではありませんけれども、しかし小規模な木密地域ですよね。こういうものについて、何でもかんでも合同だということでいいのかという桜井さんの質問について、私は、全部一緒ということじゃありませんけれども、非常に共感を覚える部分があるんです。
 こういう木密地域についての見方をどう皆さんは考えているんでしょうか。

○石川民間開発担当部長 木密地域の解消は、防災都市づくりを進める上で非常に重要なことであると考えてございます。したがいまして、地域の特性に応じて、また、地元区また地元住民の地権者の方々の理解と協力を得て、木密地域の解消のため、適切な事業を今後とも推し進めていきたいというふうに考えてございます。

○植木委員 防災対策と木密は十分両立できる、こういう点では、私は非常に、そういう方法を探りたいというふうに思っている一人です。
 今回の制度では、最低面積がいずれ決められると。実際にそこに住めなくなってくる可能性もある。ここはまだこれからですからまだ話し合いが行われている最中なんで、断定的にというふうにはならないんですけれども、しかし、小さな商店とかスナックだとか古い老朽したアパートとか、たくさんあそこはあるんですけれども、そういうところが立ち退きが迫られるという、そういう可能性というのは、十分、私はこの地域ではあると思うんです。
 そういう意味で、都市再生、開発優先ということで進められる、それから民間ディベロッパーが都市計画書の提案者になる、結局そういうケースが多くなるんではないかということが懸念されます。
 それから、そういうことによって提案者が大規模なことになってくると、都民の提案や小さな声がかき消されちゃうんじゃないかという心配がもう一つあります。そういう点で、条例で、都民の提案によるまちづくりという問題について、もう一つの豊島区の例でちょっと考えてみたいと思うんです。
 豊島区の南池袋二丁目地区、ここも同様に条例の指定がされて、街並み再生方針の整備目標が提案されていると思いますけれども、これはどのような内容でしょうか。

○安井都市づくり政策部長 南池袋二丁目地区は、未利用地となっている小学校跡地がある一方で、狭隘な道路に面した小規模な戸建て住宅が密集している地区でございます。
 現在、環状五の一号線の整備、また、地区内外では市街地再開発事業の検討が進んでございまして、地域のポテンシャルの向上が見込まれる地区であることから、街並み再生方針では、池袋副都心に隣接した立地特性を生かした土地の高度利用と、安全で快適なまちづくりの推進、地上及び地下で歩行者の回遊性を高める歩行者空間を形成し、快適な歩行者ネットワークの確立、幹線道路の沿道としてふさわしい街並み景観の形成を目標としております。

○植木委員 今の目標に沿って、現在、真ん中に五号線というんでしょうか(「環五の一」と呼ぶ者あり)環五ですか、五号線が既に敷地が確保されていって、整備が進んでいると。それで、両面に、ブロックごとに進められているようですが、ブロックごとにはどのような内容になる方向性が出されているんでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 街並み再生方針の中では、地区全体を、環状五の一号の西側にあり旧日出小学校跡地を含むAゾーン、その南側のBゾーン、環状五の一号線の東側のCゾーンに分けてございます。地元の豊島区では、Aゾーンを新庁舎建設の優先候補地としており、街並み再生方針を踏まえ、庁舎と都市型住宅の合築による再開発について、地域住民と検討を重ねてございます。
 このほか、Bゾーン、Cゾーンにつきましても、住民によるまちづくりの検討組織が設立されまして、区と住民による話し合いが進められると聞いております。

○植木委員 今お話にありましたAゾーン、日出小学校それから音楽学校もあるんでしょうかね、豊島区役所の庁舎、(資料を示す)これは庁舎の絵柄ですけれども、四十八階建てで下層が区役所、この後ろの方が分譲住宅、マンションですね。四十八階というのですから、正確な容積率や高さがまだ出ていませんけれども、単純に考えると約百五十メートルぐらい、ここにこういうものが建つ。その周りのBゾーン、Cゾーンは、今お話があったように住宅の密集地域だということですよね。細分化されていると。こういうことなんですが、これが、今回のしゃれた街並みづくり条例、密集地域の合同というのはまだ、よしあしいろいろありますけれども、努力すればまだまだできる可能性はあると思うんですけれども、これだけのものが建つということになっていると。
 それから、Bゾーン、Cゾーンは、一方はそういう超高層ビルが建って--懇談会ニュースというのが出ているので、私も見てみましたら、賛成の意見ももちろんありますけれども、反対の意見が非常に多くなっている。Bゾーンで参加している人たちの中で、アンケートで十二名中十一名が反対をしている、こういう中で豊島区が共同化を進めようとしているということで、いろいろ発言があります。例えば、将来を見据えてよき指導をしてもらいたい、それから、建て直したばかりでまたかよという感じ、このままほうっておいてほしい、防災のことも考えるなら狭隘道路を広げて電線を地中化するだけでよい、お金がなくても建てかえることができるという話だったが高層ビルができるという話にまとめられてしまう、変化がなくても静かな暮らしを望んでいる、やたらと高層ビルをつくることが都市再生だと考えているのではと、いろんなことが出されています。
 片や超高層で百五十メートルのビルを建てて、片や非常に密集した地域でこういう声が出ている、こういう声についてどのように受けとめているでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 この地区では、広幅員の環五の一が事業化整備されていることから、面的なまちづくり手法を講じなければ、ルールのない単発な開発による街並みの混乱が危惧されるというような危惧のもとに、区としては、単に道路整備にとどまらず、副都心の都市再生とも連携するまちづくり方針を積極的に示すことは必要だということで、地元で取り組んできたと聞いてございます。このような考え方を受けて、都条例の街区再編まちづくり制度に基づき、街並み再生方針を定めたものと考えてございます。
 また、地元では、今ご紹介ありましたけれども、賛否両論があるということも聞いてございまして、それゆえに、区では方針の内容をきめ細かく説明しながら、地権者の方々とともに将来を見据えたまちづくりについて話し合いを進めているというような状況でございます。

○植木委員 結局、環五ができて池袋駅からだんだん都市化が進んできている、ポテンシャルも高まったから、いずれここも開発の波が来るからここも開発をしろ、そういうことだろうと思うんですね。現在たしか三〇〇%の容積率だと思うんですけれども、容積率や高さ制限とか、いろんなもので防げることもあると思うんですよね。
 ところが、Aゾーンに百五十メートル建つ、今度これができると、この計画はさっきの品川の例のように、一地域でもまとまればそこだけ先に、先行できるという制度になっていますから、そうしますと、ここがまたポテンシャルが上がったから次のところもポテンシャルを上げなきゃいけないという、どんどんどんどん連動していくことになっていって、確かに住民懇談会を開いてやっているという点では非常に大事な取り組みをやっているとは思うんですけれども、都民の提案といっても、結局、行政がそういうものを提案して超高層のビルを建てて、さらにポテンシャルが上がるよさらにこうだよ、狭隘な道路に面して小規模な不整形な土地だから、けしからぬよとはいわないけれども改善しなさいよ、こういうことでどんどん行っている。
 私が見た限りでは、連綿と密集地域が並んでいるということではないんです、この地域は。確かに幹線道路が出てきたから表面に出ているんですけれども、日出小学校の、あれは南側なのかな、密集地域の側の玄関にこういうのが張ってありましたね。緑とそよ風、美ゾーン静かなまちを守る会--BゾーンのBは、美しいという字をわざわざ書いているんですね、ローマ字のBじゃなくて。そういうふうにしていると。
 それで先ほど紹介したように、十二名のうち十一名が反対しているというところの懇談会では、小さなゾーンで三分の二の合意で整備計画ができてしまえば、結局受けざるを得ない、しゃれ街の指定を外してほしい、こういう発言に対して区の答弁では、今回は方針の段階だから廃止ということにはならない、第二ステップで地区計画を決めた後、五年以上事業が動かない場合、権利者の二分の一を超える申し出があれば都市計画決定の廃止ができる、こういうふうにいっています。住民の方では、とてもこんな長い間かかってやるというエネルギー、なかなかできませんよね。指定されたのが平成十六年ですから、現在既に四年たっていて、今後第二ステップを経てなんていいますと、十年かかるのかわかりませんけれども、そのうちにまた周りのポテンシャルが上がった、さらに高いポテンシャルをというのが求められる。
 結果的に、言葉としては都民が提案者であり主体であるというふうに書いてあるんで、それを私たちは望むんですけれども、実際には後景に追いやられる可能性があるんではないか、そういう危険性があるんではないかと私は見ているんですけれども、いかがでしょうか。

○安井都市づくり政策部長 この街区再編まちづくり制度について誤解があるといけませんので、改めて説明いたしますけれども、この制度の大きな特長というのは、まちづくりの方向を事前に明示いたしまして、例えばそれが建物の壁面線であるとか、有効空地のとり方であるとか、共同化の単位であるとか、そういった具体的なメニューを用意した上で地権者の方々の発意を受けたまちづくりを展開することでございます。その合意ができたところから、全体同時に進まなきゃいけないということじゃなくて、合意ができた範囲でも、それが地区全体として整合がとれた形でいいということであれば、それを機動的に認めていくという制度でございます。

○植木委員 その点は私も理解しているつもりです。だから、先ほどいったように、懇談会などで話し合いを事前にやるというのは、これはいいことだと思うんです。しかし、百五十メートル級のビルが建つ、都市再生とどこがそんなに変わるんだろうというふうに--恐らくいろんな容積率、土地も学校がメーンにありますからかなりの敷地で、それだけのものが建つだろうと思うんですけれども、都市再生と何ら変わらない。都市再生ではない、もっと、地域の住環境を守って、前段では木密の話をしましたけれども、そういうところに力を注ぐ身近なまちづくりかと思っていたら、何のことはない、都市再生と何ら変わらないじゃないかという危惧がこの計画にはあるということなんです。
 それで、既に平成十六年から四年たっている。にもかかわらず合意がまだできていない、懇談会ニュースも見させてもらいましたけれども、納得していない。結局主体はだれなのか、それから今後、提案者がだれになるのかということ、住民にとってどうなるかというのが、非常に関心事だと思うんです。
 最低敷地面積などができると、建てかえ能力がない者とか大規模を望まない者が、三分の二で合意を押し切られてしまう。こういうことで、しかも最終的には二分の一を超える申し出がなければできないということになると、その間、悩み、苦しみ、それから住民をまとめたりする、住民の合意を図るエネルギーも大変なことになると思っています。
 先ほど桜井議員の一例を紹介しましたけれども、当時の各党の質疑を見てみますと、もちろんこの条例に全面的に賛成している方もいましたし、その一方で、都市再生特別措置法に基づく大きな都市再生というのは本当に疑問を持つとか、住宅密集地を改善したい、しゃれ街条例がそれにふさわしいものになってほしい--ここでなってほしいというのは、どうだろうかという心配の気持ちも入っているというふうに文章から私は読み取ったんですけれども、さらに、結局開発というものは多くの住民が立ち退かされる、こういうような発言がたくさんありました。
 この豊島区の指定地域を見て感じるのは、まちづくりとは、都民が主体ということになっているんだけれども、今や官主導というふうな感じをどうしても受けざるを得ない。話し合いはやっているんですよ、やっているんだけれども、そう受けざるを得ない。百五十メートル級のビルができたり、都市再生と何ら変わらないようなものが出てくると。結局、民間ディベロッパーもこれからも入ってくるでしょうし、それから、今回は、さらにURだとかほかの者も事業提案者としてどんどん入ってこられる、こういうふうになってくる、改定になっているわけです。
 そうしますと、本当に高層ビルが林立して、それが地域のポテンシャルが向上したという典型になって、また次に行くよ、こういう心配がある。それから、日本のよき文化である下町風景がだんだん失われつつある、こういうふうに思わざるを得ない。
 そういう意味で、今後多くの団体がまちづくりの提案者になれるということが、今後のことですから全部そうなるというふうには推定でしかないんですけれども、しかしこの豊島の例一つをとってみても、そういうことが予想されるというふうに思わざるを得ません。
 つけ加えていえば、NHKの朝ドラで「瞳」という番組がありましたけれども、もんじゃ焼きで有名な月島の下町風景、裏長屋、まちの小さな商店街の風景、多くの都民が好感を持って見ているんだけれども、今の東京のまちづくりが進めば、こういうまちというのはテレビや演劇の中にしか見られなくなるんじゃないかというふうに思うんですね。
 今、地域で行なわれているみこしの祭りなんかを見ましても、有名な大きな祭りはともかくとして、地域の祭りを担っている人たちを見ていますと、超高層ビルの谷間で一生懸命都市再生に抵抗しているような感じに思えてならないんです。これは私の実感なんですけれども。
 いずれにしても、開発によって多くの住民が追い出されることがないように、それから、住民主体のまちづくりとはどういうものか、木造地域と防災対策の両立はどうあるべきか、私は、こういうものをもっと研究を深めてよりよい制度をつくっていただきたいし、そういう木密地域対策、中野にもありますので、この面で努力をしたいというふうに思っております。
 いずれにしても、都市再生は、住環境の面はもちろんのこと、地球環境の面からもこれ以上進めるべきではないということを強調して、質疑を終わりにします。

○村上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十五分散会

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