都市整備委員会速記録第五号

平成二十年六月五日(木曜日)
第六委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長村上 英子君
副委員長吉倉 正美君
副委員長大塚たかあき君
理事きたしろ勝彦君
理事松下 玲子君
理事新藤 義彦君
鈴木 章浩君
河野百合恵君
高橋 信博君
泉谷つよし君
植木こうじ君
立石 晴康君
相川  博君
藤井  一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長只腰 憲久君
次長泉本 和秀君
技監福島 七郎君
理事河島  均君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長野本 孝三君
住宅政策推進部長松村 光庸君
都市基盤部長升 貴三男君
市街地整備部長宮村 光雄君
市街地建築部長金子 敏夫君
都営住宅経営部長小林 計代君
企画担当部長村尾 公一君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
外かく環状道路担当部長遠藤 正宏君
民間開発担当部長座間  充君
多摩ニュータウン事業担当部長小澤  弘君
都市景観担当部長安井 順一君
建設推進担当部長山室 善博君
経営改革担当部長並木 勝市君
参事中山 正雄君
参事瀧本 裕之君
参事宇多田裕久君
参事福田 良行君
参事清水 文夫君
参事荒川 達夫君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都営住宅条例の一部を改正する条例
・東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
請願陳情の審査
(1)二〇第五号 港区増上寺周辺の貴重な景観と環境の保全に係る超高層オフィスビルに関する請願
(2)二〇第一号 「羽田航空宇宙科学館(仮称)」の設立に関する陳情
報告事項(説明・質疑)
・平成十九年度東京都一般会計予算の繰越しについて
・平成十九年度東京都都営住宅等事業会計予算の繰越しについて
・平成十九年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算の繰越しについて
・平成十九年度東京都都市再開発事業会計予算の繰越しについて

○村上委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議案法制課の河野和美さんです。よろしくお願いします。
   〔書記あいさつ〕

○村上委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び請願陳情の審査並びに報告事項の聴取を行いたいと思います。
 なお、提出予定案件につきましては、本日は、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑を終了まで行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、只腰局長から紹介があります。

○只腰都市整備局長 去る四月一日付で異動のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 多摩ニュータウン事業担当部長の小澤弘君でございます。経営改革担当部長の並木勝市君でございます。航空政策担当参事の福田良行君でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○村上委員長 紹介は終わりました。

○村上委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○只腰都市整備局長 本日は、平成二十年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております都市整備局関係の案件をご説明申し上げます。
 提出予定案件でございますが、条例案が二件でございます。
 お手元に、右肩、資料1というふうに振ってございますが、平成二十年第二回東京都議会定例会提出議案説明資料をごらんください。
 まず、東京都営住宅条例の一部を改正する条例案及び東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例案でございますが、両条例とも、公営住宅法施行令の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 私からの説明は以上でございます。
 引き続き、詳細な内容につきまして、総務部長よりご説明をいたします。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○安藤総務部長 それでは、お手元の資料1、平成二十年第二回東京都議会定例会提出議案説明資料をごらんいただきたいと存じます。
 三ページをお開き願います。
 まず、東京都営住宅条例の一部を改正する条例案につきましてご説明申し上げます。
 1の改正の理由でございますが、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律施行令等の一部を改正する政令の施行による公営住宅法施行令の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 2の条例案の概要でございますが、使用者の資格として、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律に規定する支援給付を受けている者の記載を加えるものでございます。
 五ページから六ページにかけましては条例案文を、七ページから八ページにかけましては新旧対照表を記載してございます。
 次に、一一ページをお開き願います。東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例案でございます。
 1の改正の理由でございますが、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律施行令等の一部を改正する政令の施行による公営住宅法施行令の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 2の条例案の概要でございますが、東京都営住宅条例と同様に、使用者の資格として、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律に規定する支援給付を受けている者の記載を加えるものでございます。
 一三ページには条例案文を、一五ページから一六ページにかけましては新旧対照表を記載してございます。
 簡単ではございますが、以上で平成二十年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○村上委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○村上委員長 これより請願陳情の審査を行います。
 初めに、二〇第五号、港区増上寺周辺の貴重な景観と環境の保全に係る超高層オフィスビルに関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○金子市街地建築部長 整理番号1番、二〇第五号、港区増上寺周辺の貴重な景観と環境の保全に係る超高層オフィスビルに関する請願につきましてご説明いたします。
 お手元の資料2、請願・陳情審査説明表の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 本請願は、港区の「(仮称)芝公園プロジェクト」建設対策北側隣接住民の会代表、土屋正道さん外二十三人から提出されたものでございます。
 請願の要旨でございますが、都において、超高層建物である仮称芝公園プロジェクトの総合設計については、増上寺周辺の貴重な景観と環境の保全を十分考慮に入れて審議をすることというものでございます。
 二ページの位置図及び配置図をごらんください。計画地は、西側で日比谷通りに沿う都立芝公園に接しておりまして、北側は幅員八メートルの区道、東側は幅員七メートルの区道に接しております。また、北西方向約二百五十メートルの位置に増上寺の本堂がございます。
 現在の状況でございますが、建築主は、平成十九年十一月一日、同月四日及び十二月十九日に近隣住民説明会を開催しております。
 また、建築主から、平成二十年二月十八日に総合設計の許可申請書が提出されております。
 都は、平成二十年三月十七日に公聴会を開催しております。
 なお、建築主は、現在も近隣住民との協議を継続中でございます。
 以上で説明を終わります。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○村上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○きたしろ委員 この五号、増上寺の周辺の貴重な景観と環境の保全に係る超高層オフィスビルに関する請願に関して、総合設計制度に関して一言意見を申し上げたいと思います。
 総合設計制度というのは、建築基準法に基づく制度であり、敷地内に公開空地を設けることにより容積率を緩和する制度であります。総合設計と同様に、容積の割り増しや斜線制限を緩和する制度として、特定街区、地区計画、高度利用地区など、都市計画諸制度があるんですけれども、これらと比較して、総合設計制度は手続が簡便で、また公共施設整備を前提とせず、公開空地を設けることだけで高い容積の割り増しや斜線の緩和を受けることが可能となっている制度です。敷地単位による許可制度のため、公開空地として提供された歩道状空地が連続しないといった問題も出ていると私は思っております。
 この制度が昭和五十一年に創設されてから現在に至るまで、許可件数は都内で六百を超したと聞いています。この間、歩行者空間の確保や憩いの広場の整備による市街地環境の改善を初め、業務・商業機能の育成や都心居住の推進など、都市再生への貢献は大きかったというふうにも思っております。
 しかし、制度の創設当初は、建て詰まった市街地に空地を生み出すことに主眼が置かれたかもしれませんけれども、現在は、単に空地があればよいという時代ではなくなってきていると私は思っております。公開空地の質、いいかえれば、その空地が地域にとってどのような価値を持つのか、いわば地域にとっての有効性が重視される状況になってきたと思っています。
 これから申し上げることは、都においても留意していると聞いているところですけれども、引き続き、次のようなことを念頭に置いて総合設計制度の運用に努められたいと思います。
 まず、総合設計制度は敷地単位の制度ですけれども、公開空地の価値を高めるためには、できる限り緑化に努めることはもとより、より広い緑のネットワークを形成していくことを意識すべきであるというふうに私は思います。敷地ごとに独立して整備される緑の効果は限定的なものですけれども、それぞれを有機的に連携させることにより都市の快適性を格段に向上させることができます。
 また、総合設計制度を適用するような建築計画は大規模なものであることから、周辺の市街地に与える影響も大きいものと考えます。そのような建築計画は、将来的な地域のまちづくりの方向性に沿ったものとするものが望ましいと思います。地元の区では、地域の将来像を描いたマスタープランを作成しており、それぞれの地域の特性を生かしたまちづくりを進めているということです。大規模な建築計画の場合には、そうした地元区との連携が重要であります。都が総合設計の許可を行う場合には、これまでも地元区と協議していると聞いておりますけれども、地域の実情を十分に反映した建築計画となるよう、一層の連携を期待したいというふうに思います。
 さらに、総合設計制度は空地を設けて容積率を緩和する制度であるから、建築物は高層化する傾向が見られます。これはある程度やむを得ないと考えますけれども、風害や圧迫感など、周辺の市街地へ及ぼす影響が大きくなる可能性もあり、それだけ近隣の方々の不安感につながる場合もあるかと思います。近隣の方々の不安を和らげるためには、建築計画に関する十分な情報提供を行い、丁寧にわかりやすく説明することが重要であります。都においても、事業者に対して、そのような近隣の方々への対応をきめ細かく行うよう、引き続き一層のご指導をお願いしたいと思います。
 最後に、都においては、今後とも、地域のまちづくりとの調和に十分配慮して総合設計制度の運用に当たることを要望として、私の意見といたします。
 以上です。

○植木委員 私もこの質問をしたいと思います。
 請願を拝見いたしまして、これは、実際に現場に行って、地域のまちというのがどういう状況になっているのか見なければいけないかなというふうに思いまして、周辺を歩いてきました。また、関係者からもお話を聞いてきました。
 都市計画というのは、その地域にどういうまちづくりがふさわしいか、どういう都市空間をつくっていくのか、どういう環境整備を行うのか、まちとの調和はどうしたらいいのか、そういったさまざまな角度からの検討が必要だと思うんです。単に一つの建物をどう許可するかということだけではない、都市計画というのはそういうものだろうと私は考えております。
 その立場から見ますと、結論的にいいますと、この芝公園プロジェクトは、美しい都市景観、江戸・東京の情緒と歴史を伝える地域の特性から見ていかがなものかという思いをしてまいりました。
 あそこには都立芝公園がある。それから増上寺。それから周辺にも増上寺に関係する枝院というんでしょうか、たくさんありました。大神宮というのもありました。それから、寺院によっては、表門と練り塀について、文化庁の登録有形文化財と書かれた銘文が飾ってあるところもありました。
 それから、都立公園自体は、明治六年だったと思いますけれども、開園して、芝公園が増上寺を囲うような形で配置されている。増上寺の前にはサイドパークというものもあって、今回のビルが建とうとしているところは--そのサイドパークがちょうど切れたところに建とうとしているという状況でした。
 そのほか、芝大門ももちろんあります。それから、周辺の商店街も、門前に似つかわしい商店もたくさんありました。港区教育委員会の歴史的な説明を記した銘板なども道路際に配置をしてあるなど、本当に江戸・東京の情緒と歴史を伝える地域というふうに私は感じてきました。
 この増上寺自体は、浄土宗の大本山増上寺ということで、徳川が幕府を切り開いて以来営々と歴史が刻まれてきた、まさに歴史的な名刹だというふうに思います。
 こう考えてみますと、この地域が一体どういう地域なのかということを考えるに当たって、国の重要文化財並びに有形文化財指定、国及び都で、どのようなものがこの周辺にはあるのかをまずお聞きしたいというふうに思います。

○安井都市景観担当部長 増上寺周辺の文化財についてでございますけれども、周辺ととらえましても、基点をどこにとるかということでさまざまな、数に影響がありますので、増上寺の敷地内及びその近傍の敷地ということでお答えさせていただきます。
 まず、国の重要文化財は境内に一つございます。それから、都の有形文化財が一つ。それから、区の指定文化財と登録文化財が二つずつございます。また、隣接する敷地、これは、かつては恐らくお寺と一体の敷地だったと思いますけれども、隣接するホテルの敷地に二つの文化財がございます。

○植木委員 周辺環境も非常にそういう歴史的な状況だし、文化財も、今示していただいたように、敷地と敷地の周辺だけでもそれだけのものがある。もちろん、広げていけばまだまだあると思うんですけれども、そういう地域だということが改めて認識できると思うんです。
 日比谷通り沿いには百メートル級のビルはありませんでした。そういう街並み全体を考えてみますと、ここに百十四メートルの超高層ビルが建てられようとしているということは、いささか街並みにふさわしくないというふうに思います。
 建坪を見ましたら、約六百七十平米、二百坪前後です。単純に四角にしてみますと二十六メートル四方ぐらいで、本当に小さな敷地で百十四メートルが、のっぽビルですよね、建てられると。
 わずかばかりの公開空地を確保することでこれを可能にしたのは、先ほどもお話ありましたけれども、総合設計制度を活用して--結局、一つのビルとしては総合設計制度が活用できる要件を持ってはいるけれども、周辺の環境から見てどうかという検討を加えてみた場合、どうかということになりますと、やはりそこは、何が何でも総合設計を適用するという必要は、私はないと思うんです。
 この総合設計を活用したことによって、従前のabcビルの容積がどのくらいで、基準容積率はどのくらいで、この総合設計でどのくらい容積率が加わってどのくらいになったのかということをお示しいただきたいというふうに思います。

○金子市街地建築部長 旧abc会館の延べ面積は約一万四十六平方メートル、計画建物につきましては一万六千七百十二平方メートルでございまして、旧abc会館の容積率は四八二%、計画建物の容積率は、基準容積率が六〇〇%に対しまして割り増し容積率が約一五〇%ということで、七五〇%ということになっております。

○植木委員 総合設計で加えられた容積率は一五〇%なんだけれども、これは一般という区域になるんだそうですが、実質的には、従前から比べると二六〇以上容積率が加わっているということで、非常に、住民から見たら圧迫感が二倍近くなるというふうに、下から見ますと、なると思うんですけれども、こういう周辺の街並みにふさわしい建物だというふうに考えておられるでしょうか。

○金子市街地建築部長 総合設計の適用でございますけれども、総合設計は、基本的に、公開空地の整備に対しまして容積率等の緩和を行う制度でございます。
 本件の場合、計画地に隣接する都立芝公園と一体的に約五百七十平米の広場状空地を設けることによりまして、まとまった緑のオープンスペースを確保することができます。
 また、北側と東側の区道につきましては、現在歩道がないわけですけれども、敷地内に幅員四メートルから六メートルの歩道状空地を整備することになりますので、安全で快適な歩行者空間を確保することができると。
 さらに、育成用途といたしまして、飲食店舗ですとか貸し会議室、ホールといったものを導入することによって周辺地域の利便性も向上するというふうに考えております。
 こういった総合設計の適用によりまして、このような地域にとってのメリットが得られるというふうに考えております。

○植木委員 それは、建物のメリットや、地域のごく真下のわずかの公開空地はあるでしょうけれども、先ほどから私がいっているのは、この地域全体の、江戸・東京の文化にふさわしい、そういう現状の地域にとってふさわしいかどうかということを聞いているんです。
 だから、都市計画というときに、そういう発想じゃ私はいけないと思うんですよ。やっぱりその地域全体を見て、その地域、地域によって特性があると思うんです。高層ビルがたくさん建っているところに建つということであれば、また違う考え方もあるでしょうけれども、ここは、先ほど来お話ししたように非常に地域の特性のあるところだ、そこのところにこういうものが建つということが、私はいかがなものかといっているわけですから、それに答えていないわけです。
 私は、そういう意味で、東京都自身も、総合設計による計画を認めるという結論先にありきじゃなくて、やはり十分関係者との話し合いや、関係者がどういうものを都に求めているのか、そういうものも勘案する必要があると思うんですね。
 お聞きしましたら、敷地が、のっぽビルが建つために、日影のこういう図もいただいてきました。増上寺の真上に、八時から九時ごろがずっと日陰になるという日影図でした。この日影図のことでは、公聴会に増上寺の方が出席して、環境への配慮を訴えられていったそうです。数百年間にわたる行事として三段式というのがあると請願にも書いてありますけれども、それがちょうど朝の八時から九時に行われて、参拝の方々にお話をするというときに日が差す、こういう荘厳な感じ、雰囲気の中で行われるというふうにお聞きしました。芝公園のプロジェクトの日照は、まさにこの時間帯を遮ることになるわけです。
 世界的に見ても、いろいろな宗教儀式の中で、こういう日の光を活用した儀式というのが有名なところもたくさんありますけれども、こういうものも大事にするという角度から、少し土地の配置も移してほしいとか、あるいは高さを低めてほしいとか、それから角度。角度は、公園の日影の配慮だけはやるけれども、増上寺の方は何ら規定がないから配慮は一切必要ないんだというふうに建て主側はいわれていると。こういうようなことでいいのかということだと思うんですよね。
 そういう意味で、私は、請願者の趣旨をよく酌んで、総合設計先にありきという結論ではなくて、先ほども総合設計の問題点の指摘がありましたけれども、その地域の特性に合った立場で、東京都が調整に、あるいは話し合いをリードする、誘導する、こういう立場が必要じゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○金子市街地建築部長 まず、総合設計の適用についてでございますけれども、都では、東京の新しい都市づくりビジョンに示す地域の将来像を実現するために、新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針を定めておりまして、地域の特性に応じたゾーニングによって、具体的な例を示しまして、総合設計を含めた諸制度の運用を行っております。
 本計画の計画地につきましては、複合市街地ゾーンに位置しておりまして、活用方針では、このゾーンについて、都市開発諸制度を活用して、適切な育成用途の促進を図ることにより、地域の特性を十分に生かした整備を進めるということにしております。
 また、港区のまちづくりマスタープランにおきましても、計画地を含む地域では、総合設計制度の活用等により、防災性の向上とオープンスペースの確保を図りつつ、高次の商業・業務環境を整備するとしております。
 このように、本件の計画地につきましては、都市開発諸制度を活用して都市づくりを進めるべき地域に位置しておりまして、総合設計制度を適用して市街地の整備を進めることは妥当であるというふうに考えております。
 それからまた、建物についての地域の方々のご意見あるいは話し合いの場ということでございましたら、東京都の紛争予防条例に基づいてそういった話し合いの場をご提供するということもできますので、そちらの方の申請をしていただければというふうに思っております。

○植木委員 決められた範囲内でやるというんだったら、何もわざわざ請願を出さないんですよ。請願を出すからには、実際にいろいろ事態が起きたときに、実情に合わないという思いを持って出すわけでしょう。そういうときに、決まっていることだからというんだったら、そんな一度決めたら、皆さん、仕事がなくなっちゃいますよ。そうじゃないんです。やっぱり、実情に合わないことがあったら、それを変えるという姿勢が必要なんですよ。
 私、「十年後の東京」への実行プログラム、この中を読んでみましたら、目標1の施策7に、美しい都市景観の創出、それから先ほどからもいいましたけれども、江戸・東京の情緒を伝える街並みを保全、創出し、魅力的な空間を形成する、こういう目標が出ているんです。そういうのはお題目じゃなくて、それから、既にそういう誘導をする地域はもちろん大事ですけれども、新たに誘導すべき地域も今後考えていく必要がある。そう考えたときに、ここで総合設計で百十四メートル認めちゃったらその先がなくなっちゃう。あそこが百十四メートル認めたんだから、ここもいいじゃないか、ここもいいじゃないかということで、あの周辺はずっと超高層ビルの周辺になる。それでいいのかという疑問を投げかけているんだと思うんですよ。
 この中では、花と緑の環境に優しい東京、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活させるともうたっているわけであります。そういう意味で見ますと、歴史をたどれば、先ほど来いいましたから詳しくまたいいませんけれども、まさに当時は、増上寺そのものは現在の増上寺よりもっと広い範囲まであったわけですよ。ところが当時の国の事情で一たん国に土地をお返しして、そしてまた国から土地をそれぞれのところにお分けして、その過程で、民間のビルがいろいろ入ってきたという過程をとっているわけですけれども、増上寺の歴史的な面積というのはもっと広いんですよ。
 そういうことを歴史的にたどってみますと非常に重要だと思います。だからこそ港区の教育委員会は、先ほどもいったように、周辺の建物や歩道にいろんな銘板をつけて、街並みをよくして、街並みの名前も、そういう由来した名前をつけていますよ。そういう意味で、本当に、一度ここに百十四メートルのものを許しちゃったら、今後、そういう誘導の必要が出てきたときに、もうそこはあそこがやっているのにうちは認めないのかという話になっていく。だから単体の問題じゃないんです。面的の問題なんです。
 こういう立場から、僕は、景観に配慮する、地域の特性に配慮するというのは、単なるお題目にしちゃいかぬというふうに思うんですよ。
 そういう意味で、これは港区も東京都もそうですけれども、例えば高度地区を設けるとか、景観に基づく、景観の指定建築物にしていくとか、そういった先々の誘導措置、街並みをどうするかという将来計画を持った誘導措置、こういう提案を、警鐘乱打を与えた請願だというふうに受けとめているんです。
 ですから、将来のそういうことも考えていけば、ここに百十四メートル建っちゃったら、やっぱりだめなんですよ。ですから、結論先にありきじゃなくて、請願者の真意と周辺の地域環境というものを積極的に受けとめて政策的な誘導を行う、まさに都市計画、それをやってほしいと私は強く思っております。
 そういう意味で、この請願は、私は採択をしていただきたいということを理事会でいいましたけれども、ぜひご努力を願いたいということを重ねてお願いいたしまして、終わりにいたします。

○村上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、よって、請願二〇第五号は継続審査といたします。

○村上委員長 次に、二〇第一号、「羽田航空宇宙科学館(仮称)」の設立に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○福田参事 お手元の請願・陳情審査説明表の三ページをごらんください。
 整理番号2、二〇第一号、「羽田航空宇宙科学館(仮称)」の設立に関する陳情についてご説明いたします。
 本陳情は、府中市在住の羽田航空宇宙科学館推進会議の会長、幸尾治朗さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は二点ございまして、一点目は、羽田空港跡地利用基本計画の具体案の策定に先立ち、航空宇宙科学館設立の構想を検討の上、理解し、基本的に賛同すること。二点目は、航空宇宙科学館設立の構想案を大局的な見地から検討し、この案を羽田空港移転問題協議会並びに羽田空港跡地利用基本計画に関する有識者委員会に提案することでございます。
 現在の状況でございますが、東京都では、国、都及び地元区から成る羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協において、羽田空港の沖合展開事業及び再拡張事業の実施に伴い発生する跡地の利用について検討を進め、平成十九年三月に、範囲、面積五十三ヘクタール、跡地利用検討に当たっての基本的な視点を合意いたしました。
 これにより、国、都及び大田区で構成される羽田空港跡地共同調査に関する連絡会議において、羽田空港跡地利用基本計画に関する有識者委員会を設置し、跡地利用について専門的かつ幅広い見地からの指導助言を得まして、検討を行ってまいりました。
 その結果、平成十九年十月、三者協において羽田空港跡地利用基本計画素案を合意し、その後、パブリックコメントを実施、平成二十年三月、羽田空港跡地利用基本計画を取りまとめ、公表いたしました。
 四ページの図をごらんください。羽田空港跡地利用基本計画では、跡地全体を大きく三つのゾーンに分け、それぞれのゾーンにつきまして、土地利用の方向性を示しております。
 三ページ一番下の段にお戻りください。大田区議会に対しても同様の陳情が提出されておりまして、平成二十年五月十六日の羽田空港対策特別委員会において継続となっております。
 四ページ右上でございますけれども、一点目の、航空宇宙科学館設立構想の賛同についての要望でございますが、羽田空港跡地利用基本計画は、平成二十年三月の第四十九回三者協において取りまとめられ、公表されており、具体的な施設等の整備内容については、羽田空港跡地利用基本計画の内容を踏まえ、今後、事業実施段階において詳細な検討が行われることとなります。
 次に、二点目の、航空宇宙科学館設立構想の三者協等への提案についての要望でございますが、三者協においては、平成二十二年十月に予定されている再拡張事業の供用開始も踏まえつつ、跡地利用の早期具体化に向けて、基盤整備や事業手法等の課題について検討、調整していくこととしております。
 また、羽田空港跡地利用基本計画に関する有識者委員会は、跡地利用基本計画を作成するに当たり、専門的かつ幅広い見地から指導助言を得るために設置したものでありまして、平成二十年三月に羽田空港跡地利用基本計画は策定されていることから、その役割は既に終えているものであります。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○村上委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、よって、陳情二〇第一号は継続審査といたします。
 以上で請願陳情の審査を終わります。

○村上委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○安藤総務部長 お手元の資料3、平成十九年度繰越説明書によりましてご説明させていただきます。
 今回のご報告は、平成十九年度予算の繰越明許費繰越及び建設改良費繰越について、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び地方公営企業法第二十六条第三項の規定によりまして、議会にご報告するものでございます。
 資料の一ページをお開き願います。初めに、番号1、平成十九年度繰越明許費繰越総括表でございます。
 一般会計及び特別会計の各会計別に、予算現額、繰越明許費予算議決額、翌年度繰越額及びその財源内訳を記載してございます。
 合計欄をごらんください。予算現額一千三百四十三億六千七百万余円に対しまして、繰越明許費予算議決額は二百二十一億九千二百万円でございますが、このうち、翌年度への繰越額は九十六億六百万余円となってございます。
 財源といたしましては、財源内訳の欄に記載のとおり、国庫支出金その他の特定財源及び繰越金を充当してございます。
 番号2、平成十九年度建設改良費繰越総括表でございます。公営企業会計である都市再開発事業会計につきまして、予算計上額、支払い義務発生額、翌年度繰越額、その財源である繰越資金及び不用額を記載してございます。
 予算計上額三百二億九千百万余円に対して、支払い義務発生額が二百三十五億三千七百万余円、翌年度繰越額が三十三億四千四百万余円、不用額三十四億八百万余円となってございます。
 二ページ以降は事業別の内訳となっております。
 まず、一般会計でございます。
 三ページをお開き願います。番号1、地下高速鉄道建設助成でございます。表の右端の説明欄に記載しておりますとおり、繰り越しの理由といたしましては、地下鉄工事に伴う調整等に日時を要したことによるものでございます。
 番号2、地下駅火災対策施設整備助成でございます。繰越理由は、地下駅火災対策工事に伴う調整等に日時を要したことによるものでございます。
 四ページをお開き願います。番号3、臨海都市基盤関連街路整備でございます。繰越理由は、富士見橋下部工事に伴う地盤の掘削等に日時を要したことによるものでございます。
 番号4、都市改造でございます。繰越理由は、街路整備工事に伴う関係機関との調整及び物件移転補償に伴う関係人の移転等に日時を要したことによるものでございます。
 五ページをお開き願います。番号5、住宅建設事業でございます。繰越理由は、都営住宅等事業会計における住宅建設事業の繰り越しに伴い、その財源として繰り越しをするものでございます。
 次に、都営住宅等事業会計でございます。
 七ページをお開き願います。番号1、住宅建設事業でございます。繰越理由は、住宅建設工事に伴う地元住民との調整等に日時を要したことによるものでございます。
 続きまして、臨海都市基盤整備事業会計でございます。
 九ページをお開き願います。番号1、臨海都市基盤整備でございます。繰越理由は、街路整備工事に伴う関係機関との調整及び物件移転補償に伴う関係人の移転等に日時を要したことによるものでございます。
 最後になりますが、公営企業会計である都市再開発事業会計の建設改良費繰越について、ご説明させていただきます。
 一一ページをお開き願います。番号1は、市街地再開発事業でございます。繰り越しの理由といたしましては、街路整備工事に伴う関係機関との調整及び用地買収に伴う関係人との折衝等に日時を要したことによるものでございます。
 以上をもちまして平成十九年度予算の繰り越しにつきましてご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○村上委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十二分散会

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