都市整備委員会速記録第四号

平成二十年三月十八日(火曜日)
第六委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長村上 英子君
副委員長吉倉 正美君
副委員長大塚たかあき君
理事きたしろ勝彦君
理事松下 玲子君
理事新藤 義彦君
鈴木 章浩君
河野百合恵君
高橋 信博君
泉谷つよし君
植木こうじ君
立石 晴康君
相川  博君
藤井  一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長只腰 憲久君
次長泉本 和秀君
技監福島 七郎君
理事河島  均君
総務部長安藤  明君

本日の会議に付した事件
 意見書について
予算の調査(意見開陳)
・第一号議案 平成二十年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備委員会所管分
・第十二号議案 平成二十年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 平成二十年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 平成二十年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 平成二十年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・第十八号議案 平成二十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十一号議案 平成二十年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(決定)
・第六十八号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 国分寺都市計画事業西国分寺土地区画整理事業施行規程を廃止する条例
・第百十五号議案 八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について
・第百十六号議案 多摩都市モノレール株式会社に対する出資について
・議員提出議案第一号 東京都生活応援家賃助成に関する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○村上委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会において、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 次に、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書二件につきましては、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○村上委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備委員会所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案、第十八号議案及び第二十一号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○高橋委員 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、都市整備委員会に付託されました平成二十年度東京都予算関係議案について意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 我が国経済は、平成十四年から続く、息の長い景気回復基調を維持しております。こうした中で編成された平成二十年度東京都予算案は、過去最高となる五兆五千九十七億円の都税収入を見込み、「十年後の東京」の実現に向けた施策展開や、都民生活が直面する課題に積極的に取り組む内容となっております。
 予算案の内容を見ると、都市機能の拡充や治安対策、福祉、保健、医療の充実、産業力の強化など、我が党がこれまで主張してきた事項に対して、ハード、ソフトの両面から意欲的な施策が盛り込まれております。
 都市機能の拡充としては、骨格幹線道路の整備や、東京港の物流機能の強化、鉄道の連続立体交差化の推進など、東京の国際競争力を高め、都民の利便性を向上させる施策が盛り込まれており、投資的経費全体として、対前年度比五・九%の大幅な増となっております。また、福祉と保健などの目的別で見ても、ほぼすべての分野で予算の増額が図られており、こうした各分野における積極果敢な取り組みを、我が党としては高く評価するものでございます。
 一方、「十年後の東京」の実現に向けた、将来を見据えた施策は、中長期にわたり継続的に展開していくことが重要であり、そのためには、施策展開の土台となるべき都財政の基盤を、より一層強固なものとしておかなければなりません。
 折しも、米国の景気減速や資源価格の高騰を背景に、我が国でも景気減速への懸念が急速に高まっております。今後の都税収入の先行きについても、楽観は許されません。
 加えて、都財政は、平成二十一年度以降、法人事業税の暫定措置の影響により減収に直面するという、厳しい現実も控えております。
 こうした中にあって、二十年度予算案では、十九年度最終補正予算とあわせて、都財政の基盤をより強固なものとするため、できる限りの対策を講じております。基金の活用もその一つです。
 我が党がかねてから主張しております、大規模施設の改築、改修のために、社会資本等整備基金に二千五百億円を積み立て、世代間バランスと財政負担の平準化に配慮した、安定的な財源の確保を目指すこととしております。
 東京の将来を見据えた、息の長い施策を展開していく上で、それを支える財政運営にも中長期的な視点が求められるのは当然のことです。基金はそのための有効な手段であり、創意工夫に基づいて、その活用を図っていこうとする取り組みを大いに評価いたします。
 都財政は、都民の皆様のご理解とご協力を得て、健全性を回復することができました。これからは、財政再建の成果を、効果的な施策展開によって都民に還元していくことが重要になります。そのためにも、さらなる財政基盤の強化は不可欠であり、今後とも、たゆまぬ努力が必要であると、特に申し上げておきたいと思います。
 なお、予算執行に当たっては、各局とも効率的な事業運営に取り組み、最大限の効果を発揮されるよう強く要望いたします。
 次に、都市整備局関係について申し上げます。
 一、国際競争力の強化に向けた都市再生プロジェクトの推進や都市インフラの整備、物流の効率化など、都民生活の向上に向けた取り組みを着実に推進されたい。
 二、三環状道路等の広域幹線道路ネットワークの形成、羽田や成田への空港アクセスの整備等公共交通網の充実及び羽田空港の再拡張、国際化を積極的に推進されたい。
 特に、東京外かく環状道路については、平成二十一年度事業着手に向けて取り組みを進められたい。
 三、震災時の被害拡大を防ぐため、木造住宅密集地域の整備や沿道一体整備事業による街路整備を促進されたい。
 また、耐震改修促進計画に基づき、緊急輸送道路全路線を対象に沿道建物の耐震化助成を実施するなど、建物の耐震化に全力で取り組むとともに、分譲マンションについては、都内全域を対象とする新たな耐震改修助成制度を活用し、耐震化を促進されたい。
 四、平成二十年二月に公表した地域危険度を踏まえ、防災都市づくり推進計画の見直しを進め、建物の耐震化、不燃化などの事業について、一層効果的な事業展開を図られたい。
 五、都市再生を促進する中で良好な景観の形成にも積極的に取り組み、美しく風格のある東京を実現されたい。
 また、都市の開発において、環境との共生を図り、都市の持続的な繁栄を維持するため、ヒートアイランド対策等を実施するとともに、緑地の創出と保全に努めるなど、緑化対策を推進されたい。
 六、地域の特性に応じた良好な市街地の形成を図るため、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の面的整備事業の促進及びその助成策等を積極的に推進されたい。
 七、近年多発する都市型豪雨から都民の生命、財産を守るための総合的な方策を積極的に推進すること。
 特に、区市町村が行っている個人住宅への浸透施設の設置助成事業に対し、引き続き助成策を実施するなど、雨水流出抑制対策の一層の推進を図られたい。
 八、重要な広域公共交通機関である多摩都市モノレールの安定的な運行を確保するため、抜本的な経営支援を実施されたい。
 最後、九、大変重要であります。八ッ場ダムは、治水、利水の両面から都民にとって必要不可欠な施設であります。地元の生活再建に十分配慮するとともに、コスト縮減への国の取り組みをしっかり見定めて、平成二十七年度の確実な事業完了に向けて万全を期されたい。
 以上をもって私の意見開陳は終了いたします。

○泉谷委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成二十年度予算案にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
 二十年度予算案は、堅調な都税収入を受け、一般会計は前年度比三・八%増、六兆八千五百六十億円の規模となりましたが、一般歳出は一・八%増の四兆四千百三十七億円にとどまっています。財政規模がほぼ同額の平成八年度当初予算と比較しても、抑制がきいた予算案となっています。
 歳入においては、都税全体で十九年度最終補正と比較し百六十九億円、〇・三%の横ばい、とりわけ法人二税は一・六%の減収見込みとなり、企業業績の減速など、今後の経済状況に対する警戒感を示しています。
 歳出では、基金積み立てや大規模施設の改修、負の遺産の処理といった備えと補てんの部分が目立ち、その他の経常経費の増は五百三十九億円、二・八%でしかありません。
 原油、資源価格の高騰やアメリカ経済の先行き不透明感、地方法人特別税制度という大きな減収要因、オリンピック招致や社会資本更新経費といった東京の将来需要などに配慮しつつ、都民生活が直面する課題に適切に対応する予算編成とされていますが、長期にわたった緊縮予算へのなれ、内部努力に伴う定数削減、職員のモラールの低下による企画力や執行力の低下が懸念されます。
 また、私たちが以前から求めてきた、耐震診断や改修などの震災対策の促進や、低所得者生活安定化プログラムの充実、小児科医を初めとする医師不足対策などの取り組みは十分とはいえず、現代の貧困についての調査やメディアリテラシーへの取り組みなども見過ごされています。
 そして、追加補正の新銀行東京、石原知事のトップダウンでつくられた銀行の救済のための四百億円追加出資は、石原知事を初めとした関係者の責任を明確にするとともに、その実態の解明がなければ、到底都民の理解を得られるものではありません。
 最後に、民主党は、石原知事が妥協した法人事業税の一部国税化を取りやめ、道路特定財源の暫定税率を撤廃し、一般財源化を目指す道路特定財源制度改革関連三法案を成立させ、都財政の危機を救うべく取り組むことをつけ加えておきます。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、都市整備局にかかわる事項について申し上げます。
 一、首都圏メガロポリス構想など、都市の構造を大きな視点でとらえた上で、関係県市との連携、協働を図りながら、環境に配慮した風の道、水の道、緑の道の創造、再生に向けた政策誘導型の都市づくりを積極的に展開すること。
 一、密集市街地の防災性向上のため、既決地区の事業促進、必要性に応じた地区計画の作成など、道路整備との一体的沿道まちづくりを行うこと。
 一、豪雨対策として、雨水浸透ますの設置促進など雨水流出の抑制対策を進めるとともに、主要なターミナル地下街においては、施設管理者に止水板や排水ポンプの設置を促すなど浸水対策の推進を図ること。
 一、景観計画に基づき、良好な都市景観の形成に努めるとともに、大規模建築物等に対する事前協議制度については、協議における客観性の確保や迅速な手続など、適切な執行に努めること。
 一、中小企業を含めた民間事業者の自主的な緑化の取り組みを促進するなど、都市空間の緑化を推進すること。
 一、踏切問題に対処するため、踏切対策基本方針に基づき対策を実施、検討するとともに、現在の連続立体交差事業の事業採択要件の基準緩和を国に対して働きかけること。
 一、東京外かく環状道路について、地上部街路や周辺まちづくりに関する調査検討を進めるなど、特に区市、住民との合意形成に向け、これまで以上に創意工夫を重ねること。
 一、マイカーから公共交通への転換を図るため、LRTなどの導入を推進すること。
 一、鉄道駅の安全確保策として、可動式ホームさく等の設置促進に努めること。
 一、八ッ場ダム事業について、建設予定地住民の生活再建事業は今後も引き続き行うこと。
 一、木造住宅の耐震改修促進事業について、診断後の改修まで制度が活用されるよう、創意工夫を凝らした運用や制度改善の検討を行うこと。
 また、耐震診断や耐震改修に関する市区町村担当者の知識や技術力の向上など、市区町村の耐震化への取り組みを促進すること。
 一、分譲マンションの耐震診断の受診の促進を図るとともに、分譲マンション建てかえ・改修アドバイザー制度の積極的活用などにより診断後の対応へのフォローアップを図るなど、マンションの耐震化促進に努めること。
 一、廉価な価格でより広い住宅を供給するための施策に積極的に取り組むこと。
 一、民間賃貸住宅の敷金精算のルール化などを義務づけた賃貸住宅紛争防止条例について、周知徹底などにより制度の定着化を図るとともに、礼金、更新料ゼロ運動を展開すること。
 一、多摩の木材を活用した住宅供給の仕組みづくりについて積極的に取り組むこと。
 一、構造計算書偽装事件を受けて改正された建築基準法による確認検査事務について、適正かつ迅速な事務手続の遂行に努めること。
 一、都営住宅について、入居の公平、公正の確保の観点から、高額所得者対策を進めるとともに、期限つき入居の拡大や募集方法の改善、国に対する公営住宅制度の改善提案などに努めること。
 一、都営住宅の建てかえに当たっては、地域のコミュニティバランスの観点も取り入れた計画を行うとともに、計画段階から近隣住民や地域のまちづくりに最大限の配慮を行うこと。
 以上で、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。

○吉倉委員 都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成二十年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 初めに、各局共通について申し上げます。
 平成二十年度の一般会計当初予算案は、歳出総額が六兆八千五百六十億円、このうち一般歳出は四兆四千百三十七億円と、三年連続して増加しています。この中では、我が党が一貫して充実を要求している福祉と保健の分野の予算額が八千百九十九億円、一般歳出に占める割合も一八・六%と、いずれも過去最高となったほか、都民生活の安全確保、快適な都市環境の実現、産業力の強化など、都民生活が直面する課題への対応が着実に図られており、都民の負託に的確にこたえる予算となっております。
 また、経済環境の変化などから、これまで順調に伸びてきた都税収入の伸びが鈍化し、また今後、法人事業税の一部国税化も見込まれるなど、都財政を取り巻く環境は厳しくなることが懸念される中、将来の社会資本ストックの更新に備え、社会資本等整備基金に二千五百億円を積み立てるなどしていますが、このように各種基金の充実を図り、攻めを支える備えを講じることは、今後の安定した財政運営に必要な取り組みです。
 その上で、「十年後の東京」実行プログラム二〇〇八における二十年度事業の全額予算化や、二〇一六年東京オリンピック招致の推進など、将来の東京を見据えた先進的な取り組みを加速させるほか、低所得者対策や子育て環境の整備、公立小中学校の校庭芝生化の推進など、我が党が主張する、都民生活を守る施策にも積極的に取り組む攻めを実現していることは評価できるものです。
 また、二十年度からは、これまで公明党が提案し、都が全国自治体で初めて導入した、複式簿記・発生主義会計による新たな公会計制度を活用した事務事業評価を予算に反映したものとなっています。今後もこうしたPDCAサイクルの活用によって、施策の充実や見直しを行い、都政が直面する諸課題に適切に対応し、将来にわたり施策の積極的な展開を図っていくための仕組みづくりが重要です。
 一方、日本を牽引する首都東京が果たすべき役割はますます大きく、そのための財政需要も膨大です。そうした財政需要にこたえる意味でも、税制の抜本改革を強力に推進し、法人事業税の一部国税化の暫定措置を終了させることが、都財政はもとより、地方分権推進の視点からも重要であり、都としても強力に取り組んでいく必要があると考えます。
 今後、本格的な少子高齢化社会、人口減少社会を迎え、都民生活を守る取り組みがますます重要となる中、引き続き都政の構造改革を進めるとともに、中長期的な視点に立った財政運営を確かなものとしていくことを強く望むものであります。
 なお、予算の執行に当たっては、都民の期待にこたえられるよう、より一層効果的かつ効率的に行うことを要望しておきます。
 次に、各局別に申し上げます。
 都市整備局関係について申し上げます。
 一、都市づくりに関する施策立案、計画機能、事業実施を総合的に推進し、二十一世紀にふさわしい、魅力と活力ある首都東京の形成を図ること。
 二、羽田空港の国際化をより一層推進し、魅力ある首都圏空港として機能させること。
 三、震災対策の強化を図るため、耐震改修促進計画に基づき、木造住宅密集地域の整備や住宅の耐震診断、改修を推進すること。
 特に、先日公表した、地震に関する地域危険度測定調査の結果を踏まえ、集中的に耐震助成を実施するとともに、大震災の映像等を活用することにより、防災意識の向上を図ること。
 四、老朽化した都営住宅の建てかえを加速し、住宅セーフティーネットとしての機能を確保するとともに、既存都営住宅へのエレベーター設置を初め、公共、民間住宅のバリアフリー化を推進すること。
 五、少子高齢社会に対応するため、子育てファミリー世帯等に対する住宅対策の充実を図ること。
 高齢者についても、民間賃貸住宅を含め、安心して居住できる対策を着実に推進すること。
 六、都営住宅に関する新たな使用承継制度ついては、入居者と非入居者間の公平性を確保する上で、使用承継を配偶者に限定するという原則は堅持しつつ、高齢者や障害者などに一層配慮した現実的な制度にすること。
 七、多額の初期投資に伴う借入金によって厳しい経営状況にある多摩都市モノレールに対し、都として財政支援を行い、抜本的な経営改善を図ること。
 八、八ッ場ダムについては、コストの縮減と地元の生活再建に留意しつつ、渇水という事態を招かないよう、一日も早い完成に向けて事業推進を図ること。
 以上をもちまして意見の開陳を終わります。

○植木委員 二〇〇八年度東京都一般会計など予算関係議案について、日本共産党の意見を述べます。
 来年度の都税収入は過去最高の五兆五千億円にも及び、連続して増収の見通しになる一方で、雇用の破壊、増税と社会保障などの負担増に加えて、原油や物価の高騰などで都民の暮らしは厳しさを増しています。
 こういうときこそ、貧困と格差の是正を初め、都民生活と営業を守る予算編成を行い、さらに、地球規模での環境問題にこそ力を入れなければなりません。
 ところが、オリンピックの招致と、オリンピックをてこにした三環状道路の整備などに巨費を投じ、その上、破綻が明らかな新銀行東京に四百億円もの追加出資を行う予算になっています。
 都市整備局関係では、第一に、地球環境問題でCO2の排出量の増加率が一番高い事業所ビルなど、都市再生を一層推し進めるものになっています。都市再生緊急整備地区など都心に超高層ビルを乱立させる開発が、かつてない規模で推進されています。
 また、三環状道路の整備が進めば環境が改善されると整備を推進しようとしていますが、国交省の調査によると、広域的シミュレーションでも、三環状道路の整備が進んで自動車走行速度が向上しても、総走行量がふえることによりCO2の総排出量は増加するとの見解があります。ヒートアイランド、大気汚染の深刻化、大量の緑の喪失、集中豪雨による都市型水害など、東京特有の都市問題の解決が求められています。
 第二に、首都直下地震に備えた安全・安心のまちづくりについても、木造住宅密集地域整備事業について対策のおくれを早急に克服することや、木造住宅やマンションの耐震診断、耐震改修助成などの促進が一層求められています。
 また、都営住宅については、新規建設は石原都政になってから一切行われておらず、使用承継制度の改悪や入居収入基準の引き下げなど、都民の願いに逆行するものになっており、許されません。その一方で、低廉な住宅を求める都民への家賃助成についても実施をしようとしないばかりか、逆に、高級マンション建設などに都有地を提供する開発プロジェクトを促進しています。
 これらの立場から、日本共産党都議団は、来年度予算について、都市再生やオリンピックをてこにした環状道路整備や大型開発の促進ではなく、公共事業のあり方を見直し、投資の規模を抑えて、生活密着型の事業への転換を図ること、住宅や暮らしの面でも住み続けられるよう、都市と生活の質を高めるなど、都市のあり方そのものを大きく転換することを求めるものです。そして、人口減少や地球環境への対応など環境との共生を図り、真のサスティナビリティー社会を目指すよう求めるものです。
 以下、主な点について要望します。
 一、さらなる東京一極集中と環境破壊をもたらす都市再生の促進は中止し、都市づくり計画を、人口減少時代にふさわしい、だれもが安心して住み続けられる環境共生型まちづくり、サスティナビリティー社会を目指すこと。
 道路、橋梁、公共施設などのインフラ整備は、維持、更新中心に切りかえること。
 一、国の直轄事業である羽田空港再拡張事業への都税を使った無利子貸付は行わないこと。
 一、過大な水需要予測に基づく八ッ場ダム建設計画は中止すること。
 一、圏央道、外かく環状道路と外環ノ2、環状二号線、中央環状品川線など環状道路計画は凍結し、都民参加で再検討すること。
 都が負担する必要のない首都高速道路株式会社への出資は行わないこと。
 一、区部都市計画道路第三次事業化計画は、人口減少、少子高齢化社会の到来を踏まえたものとし、住環境を破壊することのないよう、住民参加で再検討すること。
 一、多摩地域における都市計画道路の整備方針についても、既存道路の整備拡充を基本とし、生活道路と歩道優先、自然環境への負荷とならないよう、都民参加で再検討すること。
 一、地域住民が切実に求めている生活道路整備と歩道整備の促進と、電柱の地中化を図ること。
 一、東京における公共交通を中心とした交通網の整備を進めるため、ロードプライシングを初めとした総合的な交通政策を確立すること。
 バス専用レーンやバス優先信号帯の設置など、公共交通優先を進めること。
 交通不便地域での都民の移動手段の確保のために、ミニバスの整備など、あるいはLRT導入促進を具体的に進めること。
 多摩モノレールにシルバーパスを適用すること。
 一、鉄道駅や地下鉄駅のバリアフリー化や火災対策の促進、踏切渋滞解消を早急に促進すること。
 一、災害に強いまちづくりのため、首都直下型地震対策として耐震改修促進計画の充実、拡充を図ること。
 木造住宅密集地域整備地区はもちろんのこと、木密地域全体、戸建て住宅や共同住宅についても、耐震診断や耐震改修助成の拡充を図ること。さらに、住宅の倒壊から高齢者の命を守るシェルター助成やマンション耐震化助成を創設、拡充すること。
 一、都市型水害対策として、豪雨対策基本方針に基づく事業を促進し、雨水抑制浸透ます設置促進事業を、一層、拡充を図ること。
 また、高層ビルなどの長周期地震動への対応や、地下空間災害対策、エレベーター対策の強化などを確立すること。
 一、瑞江駅西部地区など区部周辺の都施行区画整理事業の拡充を図ること。
 一、ないがしろにされている東京の緑の計画について、地球環境問題にとって重要な柱として位置づけ、新たな緑確保計画を策定すること。
 南山東部区画整理事業に象徴されるような、開発による緑の喪失を行わないこと。
 一、警察大学校跡地など国公用地は、都市公園、防災公園など緑の回復と保全に活用し、都民本位の利用計画を策定すること。
 工場跡地や未利用地など都心に残された貴重な土地は、緑地の確保など公園づくりを促進すること。
 また、未整備の都市計画公園の整備促進と拡大を図ること。
 一、不足している低中所得者、高齢者、若年ファミリーなどへの住宅供給計画を立て、公共住宅を施策の中心に据えること。
 一、東村山本町プロジェクトなど、都営住宅用地を活用した民間開発やまちづくりへの供給は中止し、都営住宅の新規建設を行うこと。
 一、都営住宅の建てかえ、大規模団地再生、住宅改善、スーパーリフォームなどは住民の意向を尊重すること。
 住宅改善を拡充し、エレベーター設置を促進すること。
 型別供給については誘導居住水準の確保に努めること。
 使用承継制度の条件緩和に努め、もとの一親等まで認めること。
 公営住宅の収入基準の引き下げについて、国に対して政令の一部改正を撤回するよう求めること。
 一、低所得者世帯への生活応援家賃助成を実施すること。
 以上です。

○村上委員長 以上で予算に対する意見の開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において調査報告書として取りまとめの上、議長まで提出いたしますので、ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○村上委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第六十八号議案、第六十九号議案、第百十五号議案、第百十六号議案及び議員提出議案第一号を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○河野委員 第百十五号議案、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について反対、議員提出第一号議案、東京都生活応援家賃助成に関する条例に賛成の立場で意見を述べます。
 第百十五号議案は、今回、八ッ場ダムの建設工期を五年間延長するために基本計画の変更を行うことになり、変更に当たって関係都道府県の意見を聞くための議会の議決が必要になったものです。これまでも、総事業費を二千百十億円から四千六百億円にも倍加させてきた上に、五年もの工期延長を行うことに対して、関係住民や自治体から疑問の声が上がっています。そもそも、八ッ場ダムは、過大な水需要予測に基づいて計画されたものであり、その必要性を失いつつあります。関連事業費も入れると巨額な投資になり、認められません。よって、議案に反対します。
 議員提出第一号議案は、低所得の都民の生活支援のために、生活費の中でも特に負担が重い家賃について助成する制度を創設するものです。欧米各国では、住宅政策の中心を家賃助成、住宅手当に据えています。政府の社会資本整備審議会二〇〇五年答申でも、民間住宅を活用した家賃助成が効率性の高い政策手段として、具体的な検討を進めるよう提言しています。東京都は税収が大幅な伸びとなっている中で、二〇一六年に東京にオリンピックを招致するとして、関連する大型公共事業も含めると九兆円の投資、そして、破綻している新銀行東京に多額の追加出資を行おうとしていますが、都政が最も重点を置くべきは、都民のための生活応援施策です。提案した生活応援家賃助成は、貧困と格差が最も深刻な東京において、住宅難と生活苦の改善に極めて有効な制度になるのは明らかであり、国に先駆けて都が実施する意義は極めて大きいものがあります。皆様のご賛同をお願いいたしまして、意見表明といたします。

○村上委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、議員提出議案第一号を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○村上委員長 起立少数と認めます。よって、議員提出議案第一号は否決されました。
 次に、第百十五号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○村上委員長 起立多数と認めます。よって、第百十五号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第六十八号議案、第六十九号議案及び第百十六号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認めます。よって、第六十八号議案、第六十九号議案及び第百十六号議案は原案のとおり決定されました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○村上委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○村上委員長 この際、只腰都市整備局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○只腰都市整備局長 一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 このたびの定例会に提案いたしました議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。
 村上委員長を初め委員の皆様には熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。これまでのご審議の過程でいただきました貴重なご意見、ご指摘等につきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいりたいと存じます。
 今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、大変簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。
 まことにありがとうございました。

○村上委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十七分散会

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