都市整備委員会速記録第三号

平成二十年三月十七日(月曜日)
第六委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長村上 英子君
副委員長吉倉 正美君
副委員長大塚たかあき君
理事きたしろ勝彦君
理事松下 玲子君
理事新藤 義彦君
鈴木 章浩君
河野百合恵君
高橋 信博君
泉谷つよし君
植木こうじ君
立石 晴康君
相川  博君
藤井  一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長只腰 憲久君
次長泉本 和秀君
技監福島 七郎君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長野本 孝三君
住宅政策推進部長松村 光庸君
都市基盤部長升 貴三男君
市街地整備部長宮村 光雄君
市街地建築部長金子 敏夫君
都営住宅経営部長小林 計代君
企画担当部長村尾 公一君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
外かく環状道路担当部長遠藤 正宏君
民間開発担当部長座間  充君
多摩ニュータウン事業担当部長今井  光君
都市景観担当部長安井 順一君
建設推進担当部長山室 善博君
参事中山 正雄君
参事瀧本 裕之君
参事宇多田裕久君
参事庄司 貞夫君
参事小澤  弘君
参事並木 勝市君
参事清水 文夫君
参事荒川 達夫君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十年度東京都一般会計予算中 歳出 繰越明許費 債務負担行為 都市整備局所管分
・第十二号議案 平成二十年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 平成二十年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 平成二十年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 平成二十年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・第十八号議案 平成二十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十一号議案 平成二十年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十八号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 国分寺都市計画事業西国分寺土地区画整理事業施行規程を廃止する条例
・第百十五号議案 八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について
・第百十六号議案 多摩都市モノレール株式会社に対する出資について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第一号 東京都生活応援家賃助成に関する条例

○村上委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○村上委員長 初めに、平成二十年度予算について申し上げます。
 平成二十年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会の所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十年三月十四日
東京都議会議長 比留間敏夫
都市整備委員長 村上 英子殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(水)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
第一号議案 平成二十年度東京都一般会計予算中 歳出 繰越明許費 債務負担行為 都市整備委員会所管分
第十二号議案 平成二十年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三号議案 平成二十年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四号議案 平成二十年度東京都都市開発資金会計予算
第十七号議案 平成二十年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八号議案 平成二十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十一号議案 平成二十年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○村上委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○村上委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の平成二十年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 河島航空政策担当理事は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 初めに、第一号議案、平成二十年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案、第十八号議案、第二十一号議案、第六十八号議案、第六十九号議案、第百十五号議案及び第百十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 二月十九日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1のみどり率の項目別内訳から11の八ッ場ダム関連の都負担と工程表までの十一件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1のみどり率の項目別内訳でございます。
 区部と多摩につきまして、項目別にそれぞれみどり率を記載してございます。また、参考といたしまして、平成十五年時点の暫定値を記載してございます。
 二ページをごらんください。2の首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路、首都高速中央環状線の事業費及び進捗状況(都内区間)でございます。
 路線別に概算事業費と進捗状況を記載してございます。
 三ページをお開き願います。三ページから四ページにかけまして、3の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況でございます。
 平成十九年十二月末までに建築確認済みの、高さ百メートル以上のビルにつきまして、竣工またはその予定日が平成十六年度から二十年度のものを、名称、高さ、延べ面積について、年度別に記載してございます。
 五ページをお開き願います。4の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移でございます。
 千代田区、中央区、港区の都心三区、これに新宿区、渋谷区を加えました都心五区、二十三区の別に過去十年間の業務床面積の推移を記載してございます。
 六ページをごらんください。5の都心三区、二十三区、多摩地域の建物床面積の用途別内訳の推移でございます。
 区域ごとに、住宅・アパート、事務所・店舗等、工場・倉庫、その他に分けまして、面積及び構成比を過去十年間にわたり記載してございます。
 七ページをお開き願います。6の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の件数、延べ面積でございます。
 制度ごとに地区数、区別の状況、延べ面積を記載してございます。
 下段注書きには、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
 八ページをごらんください。7の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の推移でございます。
 表頭の期間内に都市計画決定または許可を受けた地区数と延べ面積を制度ごとに記載してございます。
 下段注書きには、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
 九ページをお開き願います。8の都市再生特別地区ごとの指定容積率に対する都市再生特別地区で定めた容積率の増加状況及び延べ面積の推移でございます。
 各地区ごとに、用途地域に関する都市計画で定められている容積率である指定容積率と都市再生特別地区で定めた容積率及びその容積率の増加状況を記載してございます。
 下段には、各年度の延べ面積の推移を記載してございます。
 一〇ページをごらんください。9の平成十九年八月二十五日以降使用承継事由発生件数と使用承継が認められた件数でございます。
 使用承継事由発生件数と、このうち使用承継許可となった件数を記載してございます。
 一一ページをお開き願います。10の公営住宅の収入基準の引き下げにより引き下げ後の収入基準を超える現入居世帯数でございます。
 入居収入基準の引き下げにより新たに引き下げ後の基準を超える世帯数について、制度改正施行時の既存入居者については、経過措置により五年間、現行基準が適用されることから、仮に現在の入居世帯に改正後の基準を当てはめ、算出した試算値を記載してございます。
 最後になりますが、一二ページをごらんください。11の八ッ場ダム関連の都負担額と工程表でございます。
 上段には、八ッ場ダム関連の都負担額について、総事業費、都負担額を記載してございます。下段には、八ッ場ダム建設事業の工程について、区分ごとに変更前と変更後の工程を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○村上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○新藤委員 私、多摩出身なもので、多摩都市モノレールへの経営支援について質問いたします。
 今回、第一回定例会では、予算や財産の支出の案件の中で、多摩都市モノレール株式会社に対する経営支援策が提案されています。我が党は前々から、多摩地域の基軸となる公共交通を今後も整備するために、会社に対して抜本的な支援を求めてきたものでありまして、今回の措置は、それを具体化するものとして高く評価しているところでございます。先般の我が党の代表質問におきましても、こうした立場から質問を行い、支援の全体図を聞きましたが、きょうは詳細についてお伺いしたいと思います。
 まず、確認の意味で、これまでのモノレールが果たしてきた役割について、都の認識をお伺いいたします。

○升都市基盤部長 多摩都市モノレールでございますが、平成十二年一月の全線開業以来、着実に乗車人員が増加しておりまして、現在では一日平均十一万人が利用する多摩の大切な足として定着しているところでございます。
 また、多摩の南北を結ぶ広域的な公共交通機関といたしまして、沿線の大学や高校、観光施設などを訪れる際の重要な交通手段となっております。
 さらに、沿線周辺の人口増加、商業施設や企業の沿線への立地促進など、地域のまちづくりや活性化にも大きく寄与していると認識しているところでございます。
 このような多摩の基幹的な交通基盤としての役割の重要性や地域への貢献の大きさを考慮いたしますと、多摩都市モノレールは、多摩の大きな財産であるというふうに考えているところでございます。

○新藤委員 会社はこれまでもいろいろな経営努力をされてこられたというふうに聞いております。二年前だったか、前の社長さん、細渕さんだったかな、来られてお会いして、いろいろと会社の経営状況等々、経営内容、努力をお聞きしたんですが、借入金が非常に多いという中で、大変な努力がというか、先がなかなか見えないというようなことをいっておられました。そういったことで、私どもも、どういったふうにしたらいいのか大分心配していたんですが、大分会社の方でも内部努力をされてこられたようです。
 会社は、平成十一年、全線開通を迎えたわけですが、その当時、都と沿線市五市が協力して会社に対する支援を行ったと記憶しております。それなのに、今回都が二百十億円という巨額の金銭支出、いわゆる真水を投ずることに加えて、さらに都の債権八十九億円分も現物出資するということについては、どうしてこのような支援が必要になったのか、きちんと整理をしておく必要があると思います。
 そこで、今回改めて会社に支援を行うに至った経緯をお伺いいたします。

○升都市基盤部長 会社はこれまで、乗客の増加に向けたイベントやPRを実施し、効率的な経営に努めてまいりました。しかしながら、車両基地用地を含めた多額の初期投資に伴う借入金によりまして、資金的には厳しい状況が続いております。
 このため、平成十一年度には、都及び沿線市は、会社が当期黒字を達成するまでの間、向こう十年間の資金的な支援を行うことといたしまして、総額二百三十五億円の無利子貸付を行っております。その後、会社が当初想定していた期間内に当期黒字を達成することが困難となり、二十年度には資金ショートが発生することが確実となりましたため、抜本的な経営支援策を実施することとしたものでございます。

○新藤委員 ただいま、二十年度にも資金ショートを迎えてしまうという非常に残念な状況を耳にしたわけですが、多摩の都民の足として一瞬たりともとめることはできないわけですから、何としても会社を再建させなければなりません。そのために今回関係者が協力して支援を行うということになったわけですが、会社を支援するに当たり、今回の支援策について基本的な考え方をお伺いいたします。

○升都市基盤部長 今回の措置は、会社の最大限の経営努力を前提にいたしまして、会社の経営を抜本的に改善し、将来にわたって安定的にモノレールの運行を続けるために行うものでございます。
 そのため、債務超過を解消し長期にわたり債務の返済資金を確保すること、建設時に会社が負担した車両基地については都が支援を行うこと、他の出資者、債権者である沿線市や金融機関にも相応の負担を要請すること、以上の考え方のもとに支援策を決定しております。

○新藤委員 筆頭株主である東京都が中心になって支援することは当然としても、モノレールの開通によって人口増や開発の促進などメリットを受けている沿線市、さらには会社への貸し付けによって収益を上げている金融機関も当然、出資者、債権者としての役割を演じて支援を行うべきだと考えています。沿線市だけでも五市、それから金融機関に至っては、政策投資銀行を初め民間金融機関を含めて十行を超えるという多くの関係者がいる中で今回協議がまとまったということは、当事者の大変なご努力があったわけで、敬意を表したいと思います。
 次に、会社のこれまでの経営実績についてお伺いいたしますが、都は、多額の初期投資による借入金により会社が厳しい経営状況にあると述べておりますが、一方、会社は既に黒字を達成したとも聞いています。会社は当初から現在の借入金を前提にした経営見通しを立てていたのに今なぜ苦しい状況になったのか、また、会社の努力は経営指標にどのようにあらわれていたのか、当初の計画と現在の状況を比較するとどうなっているのか、お伺いいたします。

○升都市基盤部長 全線開業時の計画では平成十八年度の乗客数を十二万五千人と見込んでおりましたが、運輸実績では十一万人にとどまっているため、会社の収入は当初の計画より下回ってございます。しかし、支出については、先ほど理事からもお話ございましたが、人件費の削減でございますとか経営の効率化を進めたことによりまして、当初の開業時の計画と比べて大幅な削減を行っております。
 このため、全線開業時の計画では平成十八年度の減価償却前利益を十七億円と予測しておりましたが、実績ではそれを上回る三十一億円に達しており、年々黒字幅も増大しているところでございます。
 また、当初、資金不足に対しましては、金融機関から運転資金の融資を受ける予定でございましたが、金融庁の審査の厳格化によりまして、現在では会社は融資を受けることが困難となっている状況でございます。

○新藤委員 乗客数については、当初の予想から約一万五千人、率でいえば一〇%ちょっと下回っているということでありますが、こうした数値を正確に予測することは大変難しいわけでありますが、この見込みが甘かったということはどうかなというような気もいたします。
 ただ、聞くところによると、他のモノレール事業についての乗客数ですが、当初予想を五〇%くらい下回るケースもあるようで、都の事例とか他の県の事例ではなかなか置かれている環境も違いがあって一概にはいえません。一〇%というのはさほど大きな数字ではないかなと思っているわけですが、さて、現に会社が黒字を確保し、その幅も拡大してきておりますが、今後、資金収支を改善することで何とか経営を立ち直らせていただきたいというふうに思っているところでございます。
 さて、都以外の関係者の支援についてもお聞きしますが、都は今回、合わせて二百九十九億円という膨大な支援を行うわけですが、沿線市や金融機関にはどのような支援を求めているのか、支援の内容、規模についてお伺いいたします。

○升都市基盤部長 今回の支援は、大口の出資者及び債権者でございます都、それから沿線五市、金融機関が連携して実施するものでございます。具体的には、先ほどお話がございましたように、都の二百十億円の金銭出資及び八十九億円の債権の株式化、合わせて二百九十九億円でございます。これを初めといたしまして、都、沿線市及び金融機関が有しております債権の償還期間の延長、それから沿線市の固定資産税などの減免などの支援を行うものでございます。このうち、債権の償還期間の延長につきましては、都及び沿線市が持つ債権は十三年間、金融機関のものは三年の延長を行います。また、固定資産税の減免につきましては、現在行っております二分の一減免を十年間継続するものでございまして、十年間で二十億円程度の支援効果があるというふうに考えているところでございます。

○新藤委員 都の立場からすれば、都以外の関係機関からなるべく多く支援をしていただきたいというところでありますが、一方では、沿線市、五市あるんですが、非常に厳しい財政状況にあります。沿線五市にとっては、今回求められる固定資産税の減免という措置はなかなか大変なもので、何とか会社の経営がよくなって、早く固定資産税を払ってほしい、そういったことも本音として聞いているところでございます。
 私は、今回支援市がそうした苦しい状況を勘案した結果としてこれでいいだろうという形になったことじゃないかと思いますが、さて、これまで、今回の経営支援策の内容について種々聞いてまいりましたが、都は、今回の支援を抜本的な改善策といい、これを将来に経営が安定すると述べています。また本会議においても、これまでの議論で、会社が経営安定化計画を策定するということが明らかになっています。
 そこで、今回支援を前提として将来に経営がどうなるかを含めて、現在会社が考えている経営安定計画について都はどういったことを把握しているのか、その内容をお聞かせください。

○升都市基盤部長 お話の多摩都市モノレール株式会社の経営安定化計画でございますが、会社は、今後、都の出資に関する議会の議決を待ちまして、四月の取締役会で経営安定化計画を決定し発表したいというふうにしております。
 経営安定化計画は、会社のさらなる経営努力と今回の経営支援を二つの柱といたしまして、将来にわたり会社の安定的な経営基盤を確保していくために定めるものでございます。具体的には、お客様サービスの向上、経費削減、増客・増収策などの各項目につきまして、今後五年間にわたる会社の取り組みや今回の経営支援の内容、これらの枠組みに基づく経営の将来予測を定める予定でございます。
 その予測によりますと、今回の支援を東京都並びに沿線市などが行うことにより、会社は、来年度、当期損益の黒字化を達成する予定でございます。また、債務超過も来年度解消する見込みでございます。さらに、資金収支についても、借入金の返済のピークを迎えます三十一年度に必要な資金を確保できるため、会社は将来的にも安定的に経営を続けることが可能となるものでございます。

○新藤委員 じゃ、最後に一言。
 今回の支援によって会社の経営基盤が確立し、モノレールの運行が将来に向かって確保されると思います。これは沿線の住民にとって大変歓迎することでございます。我が党としても、会社の経営予測が想定どおり移行し、場合によっては予想を上回る成果を上げられることを期待しているところでございます。
 多摩都市モノレールの沿線、特に東大和市周辺ではマンションの建設がどんどん進んでおります。しかし一方では、将来的には東京都においても人口の減少が考えられますし、乗客数もそれなりに減ってくるのではないかと思われます。そうした経済、社会情勢の変化に対応するため、会社に対して今後もさらに積極的な経営改善を進めてほしいと期待しておるところでございます。
 多摩都市モノレールは、多摩の十二市町を結ぶ将来構想路線があり、その一部は、運輸政策審議会の答申において、事業化すべき路線と、それから整備について検討すべき路線というふうに位置づけられています。モノレールの延伸は通勤通学の利便性向上や地域の交流促進に大きな寄与をするもので、その構想の実現に向かって、多くの多摩都民はそれを願っているところでございます。三十一年には資金残高が五億円になるということで、会社の資金状況は、会社が直ちに新路線の整備に着手することは難しいと思いますが、今回の支援が、まず上北台から箱根ヶ崎への事業化、さらには八王子、町田方面への延伸につながる、半歩あるいは一歩に近づくことになることを強く期待しておるところでございます。
 最後に申し上げますが、多摩の市町村は、都と比べまして大変財政に厳しい状況があります。我が党は、こうした実態を踏まえて、来年度予算におきましても市町村の総合交付金の増額を要望してきたところでございます。道路とか鉄道とかそういった都市基盤の整備においては、都市整備局が積極的に市町村に対してもこういったふうな支援を行うようお願いして、質問を終わります。
 以上です。

○松下委員 私は、知事提出第百十五号議案、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について、何点かご質問したいと思います。
 まず、昨年の三月の同じ都市整備委員会で、私は平成十九年度予算に関連して八ッ場ダムについて幾つか質問をいたしました。その際、昨年の時点で三年後の二〇一〇年、平成二十二年にダム本体工事が完成するとは現地の方は到底思っていないという、私自身、現地視察をした上での現状もお話しし、ダムの地すべり対策、安全性、水没地権者が移転する代替地の安全性について、何点か質問をいたしました。
 ちょうど一年たって、本日、工期の五年延長を含む基本計画の変更が議案となっておりますことに、予想どおり延びてしまったかという思いと、八ッ場ダム計画に翻弄され続けている現地の方々がさらに五年も翻弄されてしまうという、非常に心苦しい思いでいっぱいであります。現地の方々の一刻も早い生活再建を強く望む思いで、生活再建に関して質問をしたいという気持ちもございますが、ここでは、提案のありました基本計画変更に関して、以下何点か質問をしたいと思います。
 まず、平成十三年の基本計画変更時には、当時の都市計画局は、国から第五次フルプランについて平成十三年度内に策定することをめどに検討していると聞いていると、説明がありました。ところが、その後、フルプランを検討する国土交通省国土審議会の水源開発分科会利根川・荒川部会の審議は中断し、利根川水系、荒川水系の水需給の状況や見通し、供給可能量等が議論の俎上に再び上ったのは昨年の六月であります。都議会での議決から四年以上たっている、また平成十二年で第四次フルプランが計画期間を終了し七年以上たっているにもかかわらず、利根川・荒川水系に関する国の第五次フルプランの策定が放置されていた、この間の経緯について、都は国からどのような説明を受けているのか、お伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 国交省におきまして策定中の利根川・荒川水系第五次フルプランは、平成十一年に検討に着手しまして、その後、関係機関と調整に時間を要していましたけれども、現在、取りまとめの段階にあると聞いております。

○松下委員 平成十一年に着手をしてから九年もたっている現状、関係機関との調整に時間を要したと今ご答弁ありましたけれども、平成十五年のダム事業費の増額時にも、我が党は、第五次フルプランによる水需要予測がなかなか明らかにされない中で、ダムの必要性だけが今日まで強調されているという指摘を本会議において行っております。このフルプランは、水資源開発促進法に基づき、水資源開発水系では策定が義務づけられたものであります。国みずからが必要であるからとつくった法律を自分で守らないというのは一体どういうことなのか、疑問を感じます。ここに水資源開発に対する国の根本的な姿勢が最も強くあらわれていると強く感じるところであります。
 次に、事業費についてお伺いをいたします。
 この基本計画の変更は、先ほども述べましたが、平成十三年に工期のみを五年延長、その後、平成十五年、事業費が二・二倍に増加しているというように、今回で三度目の基本計画の変更であります。今回の変更では事業費は変更はしていませんが、本当に事業費の増額はないのか、過去の八ッ場ダム計画に関する経緯を踏まえ事業費について幾つかご質問をいたします。
 まず、都がこれまで八ッ場ダムに関連して支出してきた金額は幾らになるのか、事業全体の金額と、そのうちの都の負担額もあわせてお伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 お手元の資料にもございますけれども、事業全体の金額は、ダム建設事業が四千六百億円、水源地域整備事業、一般的に水特事業といっていますけれどもこれが九百九十七億円、それから水源地域対策基金事業、一般的に基金事業といっておりますが、事業費総額が定まっていない状態にありますけれども平成十八年度末現在の執行額としては約三十三億円となります。このうち都の負担額は、ダム建設事業で六百三十六億円、水特事業で百三十一億円、基金事業は、同様に平成十八年度末の執行済みベースで約十一億円となっております。
 次に、平成十八年度末現在の都の支出累計額は、ダム建設事業、水特事業、基金事業の三事業合わせまして四百二十四億円となっております。

○松下委員 前回の基本計画変更時に、知事は、八ッ場ダムの事業費について、でき得れば都も独自の調査をすべきではないかと思っているとする本会議の答弁を行っています。その後、都は、八ッ場ダム事業費の独自調査は実施したのでしょうか。したのであればその調査内容と結果について、また、調査を実施しなかったのであればその理由について、あわせてお伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 都は、平成十六年の基本計画変更時に国交省に対しまして、国交省と関係都県で構成する検討の場の設置を働きかけまして、その結果、八ッ場ダム建設事業のコスト管理等に関する連絡協議会が設置されました。この連絡協議会の場を通じて、十分なコスト縮減の検討が行われております。

○松下委員 今の答弁では、独自調査は行っていないということだと私は理解いたしますが、国に働きかけて、国が設置した連絡協議会では国に丸め込まれてしまう可能性というのはないのでしょうか、強く疑問を感じます。八ッ場ダム計画の事業主体はたとえ国であっても、先ほどご答弁いただいたように、平成十八年度末現在で四百二十四億円という都民の貴重な税金を投入する都の事業に対して、国交省のいうことをうのみにするだけでなく、都がやはり独自で調査をすべきではないでしょうか。
 我が会派の花輪議員による本会議の一般質問答弁では、現時点での総事業費について、ダムの本体の規模の縮小や橋梁の施工計画見直しなど、さまざまな工夫によるコスト縮減が、つけかえ鉄道の施工方法変更などのコスト増を上回っているため、事業費増は生じないというふうに聞いているということでした。
 国の公表しているコスト増の要因の内訳と、これに管理経費の増分は含まれているのかどうか、またその金額は幾らになるのか、お伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 国交省の資料によりますと、コスト増の総額は百九十二億円でありまして、内訳は、つけかえ鉄道の施工方法変更あるいは貯水池護岸の形状、延長の変更などでございます。
 工期延長に伴う管理経費の増分は百九十二億円のコスト増の内訳には含まれておりませんけれども、総事業費が、コスト縮減などにより十八億円程度の余裕を見込んでいることから、管理経費の増加が総事業費を増加させることはないということになっております。

○松下委員 予想していたとおり、増額の変更分が実際に発生していることが確認はできました。しかも、工期延長に伴って当然増額することが予想される管理経費等についてはこの増額要因には含まれていない、今ご答弁の中に十八億円の減の中でというふうにありましたけれども、全体事業費の節約などにより吸収されるとは、聞こえはいいですが、明らかにはならない、つまり隠されているということではないでしょうか。
 それでは、コスト増をお伺いしましたので、コスト縮減要因の内訳とその金額をお答えください。

○野本都市づくり政策部長 コスト縮減の総額でございますけれども、二百十億円でございます。内訳は、ダム本体の規模縮小あるいは掘削量の見直し、新技術の採用による橋梁の施工計画やつけかえ県道の構造見直しなどでございます。

○松下委員 費用の内訳が大きく変わっているということだと思いますが、一応増額分と減額分とでトータルでは十八億円の減額ということですが、説明を聞く限りにおいては、たまたまダム本体の規模縮小量が大きかったためにつじつまが合っただけではないか、あるいはつじつまを合わせたのではないかという印象を受けざるを得ません。また、ダム本体の規模縮小が安全性にどう影響するのか、工期延長に伴う負担増を補うために縮小しているのではないかとさえ疑念も抱いてしまいます。工期が五年も延長するのに、本当に事業費総額が四千六百億円内でできるのかどうか、想定し得るあらゆるリスクを回避しているのか、確認したいと思います。
 現在、八ッ場ダム予定地では東京電力が水力発電事業を行い、水利権を保有しています。この水利権に対する減電補償費に関して、費用は幾らになるのか、減電補償費はダム事業費に含まれているのか、お伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 国交省によりますと、減電補償費は、総事業費四千六百億円に含まれているとのことでございます。ただ、個別の企業に対する補償額であるためその詳細は明らかにされておりません。

○松下委員 補償額がまだ明らかにされていない、現在交渉中であるため明らかにできないという国交省の公式な回答文書もあるようですが、補償額が決まっていないのに、本当に、基本計画に含まれている、現事業費に含まれているといえるのか、甚だ疑問であります。国交省が幾ら四千六百億円に含まれているといっても、交渉中で中身がわからないというのであれば、本当に含まれているかどうかの検証ができません。
 これまで他県に建設されたダムにおいても、ダム建設に伴い減電補償を行っている事例がございます。また、国交省が発表している公式なデータをもとに八ッ場ダムにおける減電補償費の試算をした結果、約二百五十億円という見解もあります。もちろんこれはあくまでも試算であり、四千六百億円の中で減電補償費がおさまるかどうかという仮説を検証するために用いたものではありますが、これ以上負担をふやさないというリスク管理を行うためにも、都として減電補償をしっかりと試算すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 減電補償費は、減電の対象となる発電施設を見きわめまして、減る電力量、減電期間、それから発電施設の状況等を総合的に勘案して決まるものでありまして、国交省から、ダム事業費にすべて含まれているとの説明を受けております。
 事業費については、事業主体である国交省が責任を持って算出すべきものでありまして、都として独自に試算を行う必要はないと考えております。

○松下委員 たとえ事業主体は国、国交省であっても、先ほども申し述べましたが、都民の税金を使って都が取り組んでいる事業であるという姿勢で、都民に対してしっかりと説明責任を果たす必要が都にはあるのではないでしょうか。八ッ場ダムが東京都にとって必要不可欠なものであると説明をするならば、その費用負担が都民にとって合理的なものであることについて、明確な根拠データをきちんと示し、都民が納得できるように十分な説明を行う責任が都にはあるはずです。本当に事業費がこれ以上ふえないという約束を、国とすべきではないでしょうか。国は事業費の説明をする際に現時点で四千六百億円という、現時点という言葉を用いることに対し、都は、もっと危機意識を持って厳しく対応すべきだと思います。
 今回の意見にも、都は、やむを得ないものとして同意する二つの意見を付しています。その一つには、事業費の増額がないよう徹底したコスト縮減等に取り組むこと、という意見を付していますが、この意見を付すだけではなく、都として、やはり独自に費用の調査をすべき、そしてそれを都民に対してしっかりとした説明責任として果たすべきだと私自身は強く考えております。
 次に、工期の延長についてお伺いをいたします。
 今回の基本計画の変更では、五年間の工期の延長が提案されています。ダムの堤体本体及び関連工事のうち、現在着手されている仮排水トンネル工事と工事用道路の施工はそれぞれいつ完了するのか、お伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 国交省の計画によりますと、仮排水トンネル及び工事用道路の工事完了時期は、いずれも平成二十二年度とされております。

○松下委員 平成二十七年度末までとされる事業完了期間には、試験湛水開始から供用開始までの期間が含まれるのか、所見をお伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 試験湛水期間は、国交省によりますと、事業期間に含まれているとのことでございます。

○松下委員 掘削並びにコンクリート打設工事など本体及び関連工事の着工から完了、試験湛水開始から供用開始までの概略のスケジュール、並びに平成二十七年度末までに間違いなく事業が完了するのか、平成二十八年からダムの通常管理が開始されるのか、ご所見をお伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 国交省の計画によりますと、本体及び関連工事は、平成十九年度から仮排水工事に着手しまして、その後、基礎掘削を経て平成二十四年度から本体コンクリート打設を行うスケジュールとなっております。その後、試験湛水を経て平成二十七年度末に完成する予定となっております。

○松下委員 ダムは、仮排水工事と工事用道路工事が終わらないと、掘削工事を初めとする本体工事には着手できないものとなっています。この仮排水工事と工事用道路工事が終わるのが二十二年度ということは、本体工事の開始から試験湛水終了までの期間は二十三年度から二十七年度まで、たったの五年しか残されておりません。
 ダム工事の工期は、建設場所の条件やコンクリート打設量に左右されるため、一概に標準的に何年かかると断言はできませんが、例えば現在福島県で建設が進められている滝川ダムは、幅と高さは八ッ場ダムと余り変わらないけれどもコンクリートの打設量は八ッ場の約三分の一という規模のダムでありますが、この滝川ダムは、本体工事、つまり掘削工事の開始からコンクリートの打設完了まで五年半かかっています。これに試験湛水期間を加えれば六年から七年かかることになります。つまり八ッ場ダムは、今回の工期延長期間では完成しないおそれもあり得るということではないでしょうか。
 今回の議案審査に先立ち、民主党では、会派として改めて現状の確認に現地に行ってまいりました。その際に、この工期延長を前提とした全体スケジュールというものを入手してきましたが、これを見て驚きましたのは、最後の試験湛水期間がわずか半年しかとれないということになっていることです。試験湛水というのは、ダムが完成した後に行う、貯水してダムに問題がないかをチェックする試験で、これが終わって、安全性が確認された後に通常管理に移るわけであります。試験湛水は、通常、半年から一年程度かかるのが普通といわれておりますが、場合によっては数年も及ぶこともあり、この部分で八ッ場ダムの工期は非常に大きなリスクを抱えているといわざるを得ません。工期の再延長も予想されるのではないかという危惧をここで指摘しておきたいと思います。
 さきにも述べましたが、前々回、平成十三年の基本計画変更では工期が延長されました。このときには十年間という延長が行われました。その三年後の平成十六年に、事業費が四千六百億円、当初より二・二倍に増額されました。この増額時に、都は、関係県とともに国土交通省へ質問を行っております。その中では、平成二十二年度の完成ということが、利水者が八ッ場ダムへの参画を判断する一つの材料となっており、予定年度における完成を強く要望したい、完成がおくれた場合、ダム完成の時点でダム参加が不要となっていることも想定されるためと質問をしております。国交省からは、予算面で大変厳しい状況であるが、平成二十二年度の完成を目指し、努力していくところであると回答を得ています。
 今回の変更は、この質問時の都県からの要望がかなえられなかったばかりか、平成二十二年度の完成を強く要望した根拠でもある、ダム完成時点でのダム参加の必要性が薄れていることにはならないのでしょうか、ご所見をお伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 平成十五年度に都と関係県が国交省に対しまして行った質問の表現の中に、多額の投資を負担する以上、可及的速やかにダムの効用を発揮すべきであるとして、このような内容となったものでございます。
 現時点におきましても、八ッ場ダムが治水上も利水上も都にとって必要不可欠なダムであるという状況については何ら変わっていないということでございます。

○松下委員 可及的速やかにという今お答えがありましたけれども、一刻も早い完成を望むがゆえにこうした表現になっているということだと思いますが、やはり発言に対しては責任を持っていただきたいと思います。ダム参加が不要となっていることも想定されるといっているので、そこをしっかりとまずは検証すべきではないでしょうか。
 治水や利水に関して、一般質問や予算特別委員会での質疑でも、我が会派は、最新のデータをもとに再度計算し直すべきであると主張しています。今この同じ時間に公営企業委員会の中でも、我が会派の委員が、水需要予測に関してちょうど同じ時間に質問も行っております。
 必要不可欠なダムであるという前提は、人口予測、水需要予測など前提となる数値が古いものでは、本当に必要不可欠なのかどうか検証ができないはずであります。五年の工期延長という新たな事態が発生している現状、しかも、その工期も本当に五年の延長で済むのかという疑問。先ほどは、都が意見を付して、やむを得ないものとして同意するというこの議案の中に、事業費の増額がないようという二つ目を述べましたが、一つ目には、さらなる工期延長がないよう万全を期すことという意見も、この議案には都は付しています。これは本当に工期延長がないように、新たな工期延長が本当にないかどうかということを都としてもしっかりと検証すべきではないでしょうか。
 四千六百億円という事業費内で必ずできるという保証、工期が本当に五年の延長で済むかという保証、そうした保証は、今私が質疑をした中では明らかにはなりませんでした。非常に疑問が残っております。都として、最新のデータで改めて事業全体の検証を行う必要があると思います。都として独自の調査を行い、事業を改めて検証すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 水道需要予測につきましては、今議会、本会議の中で水道局長が答弁しておりますけれども、長期的な将来を見据えて平成十五年に行ったものであり、現時点で基礎指標に大きな変化はないことから、予測を見直す必要はないと判断していると、こんなふうに答弁しているわけでございます。
 事業評価については既に実施されておりまして、事業の継続が妥当であると判断されております。こうしたことから、事業実施の妥当性は既に検証されておりまして、現段階で都として改めて事業評価を行う必要はないと考えております。

○松下委員 今、水道局長のご答弁を申し述べられましたので私はあえて、同じ本会議で猪瀬副知事は、公共事業に関して最新のデータに基づいて調査をし直す必要があるという、公共事業全般ではございますが、答弁をしたことに関しても述べさせていただきたいと思います。
 八ッ場ダムの建設に関して、今回、特定多目的ダム法第四条に基づく基本計画の変更で、東京都は、都知事が議会の議決を経て意見を述べるという手続を経ようとしています。この機会に、こうした貴重な機会に、半世紀以上に及んだ八ッ場ダム計画の歴史を振り返り一度立ちどまって事業を精査し、工期や事業費に関して、より詳細な再調査を行う必要があると思います。そして、詳細な再調査の結果、必要性がなくなっているならば、この事業から撤退し、ダム計画に翻弄されたダム建設予定地の人々の生活再建を第一に考え、一刻も早く安心して暮らせる、落ちついた生活を取り戻してあげることが大切なのではないでしょうか。五年工期が延長するということを、簡単に一言で、現地に住んでいる人たち、生活している人たちの気持ちを思うと、そう簡単に五年もまた延びるということをいえるものではないと私は思います。
 今、議会には、チェック能力というものが、新銀行東京に関しても大変厳しく問われています。未来に多額の負債を残すのか、資産を残すのか、都議会での議決が大きく問われていると申し上げ、私の質問を終わります。

○吉倉委員 最初に、平成十九年十二月に公営住宅法施行令が改正され、公営住宅の入居収入基準や家賃の算定方法の見直しが行われることについて、都の見解を伺います。
 これは国土交通省が、当初平成十八年九月に改正案を発表し、パブリックコメントを実施したものであります。しかし、公営住宅は、憲法第二十五条の趣旨に基づく住宅セーフティーネットの中核として重要な社会基盤であることから、都議会公明党は、国土交通省に対して、昨年十一月に再検討を要請する申し入れを行いました。その結果、申し入れの趣旨に沿った政令改正が行われたものであります。
 すなわち、当初案に比べ、第一に、既存入居者について五年間の経過措置が設けられたこと、第二に、全居住者の七割以上の家賃が負担増が生じない形となったこと、第三に、地方自治体の裁量で国の地域住宅交付金を活用した激変緩和策が実施できることとなったことであります。また、制度の施行も、当初予定の平成二十年四月から一年延期され、平成二十一年四月とすることができました。
 しかしながら、平成八年以来の大きな見直しのため、居住者にとっては大変な不安が生じております。現段階で決まっていることをお答えいただきたいと思います。
 そこで、改めて今回の入居収入基準等の見直しが行われた理由について伺います。

○並木参事 国の説明によりますと、公営住宅の入居収入基準は、最低居住水準の住宅を市場において自力で確保することが困難な収入として、平成八年に、収入分位二五%に相当する額である認定月額二十万円に設定されております。しかし、その後十年以上が経過する中で、その間の世帯所得の変化、世帯人員の減少等により、収入分位二五%に相当する認定月額は十五万八千円に相当するとされています。
 家賃制度につきましても、この間の世帯所得の変化や世帯人員の減少等を踏まえ、算定基礎額や規模等の係数が見直されているものでございます。

○吉倉委員 現実に収入が変わらないにもかかわらず、入居資格者でなくなったり家賃が変動したりした場合、これは居住者にとって大変な負担となります。
 そこで、次に伺いますが、先ほど提出していただきました委員会の提出資料によりますと、入居収入基準の引き下げにより新たに引き下げ後の基準を超える世帯が一万七千五百とありますが、この数値の説明を求めたいと思います。

○並木参事 今回の入居収入基準改正が施行されますのは平成二十一年四月一日でありますけれども、経過措置により、既存の入居者への適用は五年後の二十六年四月となります。そのため、それまでの間は現在の収入基準が適用されます。したがって、基準が下がったことにより直ちに収入超過者となることはございません。
 提出資料でお示しした数値は、現在の入居者に改正後の基準を当てはめて算出した仮の試算値でございまして、具体的な対象者は、二十六年四月時点の状況により算定されるものでございます。

○吉倉委員 今回示された世帯数が、制度施行後の二十一年四月に直ちに対象となるものでないということでありますけれども、五年後には収入基準で対象外となる人が出てくることは現実であります。突然、公営住宅法の施策対象外である収入超過者というふうにされまして退去を求められて、居住者が戸惑うことのないように、経過期間中、改正内容について十分な周知に努めるべきであります。
 次に、家賃の見直しに関して、国の資料では、都営住宅の既存入居者の七割以上は家賃の負担増は生じない、こういうふうに推計されておりますけれども、その詳細について伺います。

○並木参事 政令案の発表に際しまして国土交通省は、現在の入居者の収入から家賃負担増の推計を示しておりますが、それによりますと、全国平均では約七二%、都内では約七四%を占める、下から一〇%の収入分位であります第一区分の世帯につきましては、家賃負担増は生じないとされております。都においては、現在推計を行っている段階ですが、概算値で見ますと、ほぼ同様の結果となるというふうに見込んでおります。

○吉倉委員 政令では、改正後、家賃が上昇する場合、段階的に新家賃にすりつくよう、五年間の経過措置を行うことが定められております。それに加えて、国からの地域住宅交付金を活用した都独自の激変緩和措置が実施できることとされております。
 そこで、都は、例えば五年間かけて段階的に上昇する家賃を、例えば七年間に拡大して負担の軽減を図ることも可能であります。あるいは毎年の家賃の上昇率についても、国の交付金を活用することで一定幅に抑えることもできるというふうに思います。こうした対応を積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。

○並木参事 国土交通省は、政令による五年間の経過措置に加えまして、収入区分が二段階上がる場合や建てかえが行われる場合などにおいては、地域住宅交付金の提案事業を活用して、自治体独自のさらなる激変緩和措置を行うことができる旨を例として示しております。
 今後、家賃改定による影響等を把握しながら、これらの国の例示も参考にしつつ対応を検討してまいります。

○吉倉委員 これまで、入居収入基準及び家賃制度の改正について質問してまいりましたが、今後とも、政令に定める経過措置に加え、都独自の家賃激変緩和策をとるなど、既存入居者の負担軽減に向けた対応を積極的に図るべきであります。
 次に、都営住宅の使用承継制度について伺います。
 今回我が党の代表質問でも取り上げましたが、都民の共有財産である都営住宅において、入居者と非入居者の公平性を確保するため、平成八年の見直しにより使用承継できる範囲は原則として配偶者に限定されましたが、特に、住宅に困窮する高齢者等については特段の配慮をしていくことが必要であります。この点に関し、我が党の申し入れを受け直ちに運用の変更を行ったことは高く評価しておりますが、今後とも居住者の立場に立ちきめ細かく対応すべきであります。その観点で何点か質問いたします。
 まず、今回の見直しの詳細について、確認の意味で伺います。
 今回、障害者が承継できる範囲を拡大したことは前進ですけれども、知的、精神は手帳所持者すべてをカバーしているにもかかわらず、身体については三級までにとめております。その理由について伺います。

○並木参事 都営住宅の使用承継は、原則として配偶者のみに認めるという原則は堅持してまいりますが、特別な事情がある障害者等に配慮しまして、今回、運用の変更を行ったものでございます。具体的には、他の自治体の例を参考としながら、身体障害者については、例えば心身障害者福祉手当について、都内の区市が共通して支給対象としている者が身体障害者三級までであること等を踏まえまして、今回の取り扱いをすることとしたものでございます。

○吉倉委員 精神、知的障害者に比べ、身体障害者については、他団体においても手帳所持者すべてが必ずしも対象となっていない中で、今回、従来の二級までから三級までと拡大されたことは評価いたします。さらに今後の適正な取り扱いを期待したいというふうに考えております。
 また、障害者と同様、特別の事情により配偶者以外でも承継できる病弱者の認定に関して伺います。
 都立病院及び公社病院の診断書を踏まえ判断するとしておりますけれども、中には、都立または公社病院に限定する必要がない場合もあるというふうに思います。この点について見解を伺います。

○並木参事 病弱者の承継についてでございますが、承継しようとする者または同居者に、疾病により当該都営住宅に継続して居住しなければ生活の維持が困難であると認められる者があるときに承継を認めることとしております。具体的には、パーキンソン病等国が指定する百二十三の難病や、進行性筋ジストロフィーなど都が指定する難病にかかっている者、原爆被爆者、公害病認定患者が対象となります。このほか、都立病院、東京都保健医療公社病院の医師の診断書を踏まえ、住環境の病状への影響状況に基づき、居住の継続が必要と判断される場合に認めることとしております。
 お尋ねの都立病院または東京都保健医療公社病院には限定しない場合でありますが、まず難病については、病名で対象者を判断できることから限定しないこととしております。また、既に他の病院に入院中で、入院期間も相当長期になることが見込まれ、退去猶予期間中に都立、公社病院で受診することが困難な場合につきましても、他の病院の診断書でも対応していくものというふうにしてございます。

○吉倉委員 昨年の八月から九月にかけて名義人死亡等の事由が発生した人については、経過措置により、六カ月間の退去猶予期間を、三月三十一日まで最長一カ月間延長して対応しておりますけれども、その期限も今月末までとなっております。該当者で承継できる方には急いで手続をする必要があると思いますが、これについてどのように対応しているのか、伺います。

○並木参事 昨年の新制度施行以降、既に名義人が死亡または転出され、届け出た方に対しましては、二月に運用の変更を行った際、直ちにその全員に対し個別に通知をお送りするとともに、「すまいのひろば」臨時号の配布、団地内のポスター掲示、東京都のホームページ等のお知らせなどにより周知を図っております。さらに周知徹底を図る上で、「すまいのひろば」三月号においても、再度、手続期限についてお知らせをすることとしております。

○吉倉委員 居住者が不利益をこうむらないよう、十分周知徹底に努めていただきたいというふうに思います。
 最後に、局長の見解をお伺いしたいというふうに思います。
 住宅は、人々の暮らしに不可欠な生活基盤であり、特に、二十六万戸を超える規模の都営住宅は、住宅セーフティーネットの中核であります。安心して住み続けられる都営住宅の今後のあり方について、所見をお伺いしたいというふうに思います。

○只腰都市整備局長 都営住宅でございますが、市場におきまして自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯への住宅の供給を行う施策の中心的な役割を担ってございます。
 都はこれまで、少子高齢化に対応しまして、子育て世帯向けの期限つき入居制度の実施また優先入居の拡充、安心して暮らせる社会づくりを目指した、DV被害者や精神、知的障害者の単身入居資格付与など、さまざまな施策を行ってまいりました。加えまして、来年度からは建てかえの戸数を拡大いたしまして、あわせて住宅のバリアフリー化を加速いたしまして、だれもが住みやすい住宅の整備も図ってまいります。
 今後とも、高額所得者の明け渡し促進等の管理の適正化や既存ストックの有効活用を図りながらセーフティーネット機能の充実に努めまして、十年後の東京を見据えた、居住の場としても魅力的な東京の実現に向けた取り組みの一環といたしまして、都営住宅を真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給してまいります。

○河野委員 まず、耐震対策について質問します。
 地震による家屋の倒壊から高齢者の命を守る助成事業として、耐震シェルターへの助成が実施になることは、被災者を減らす減災という観点からも一歩前進の施策と思います。制度の詳細はこれからのようでありますけれども、できるだけ多くの人がこの助成を受けられるように制度を構築していただくよう初めに要望しておきます。
 それで、マンションの耐震施策について伺います。
 新年度予算案では、マンション耐震補強工事助成が一億円計上されています。平成十九年度から都内の六区一市でマンション耐震補強工事助成が設けられていたようでありますけれども、その実績はどうだったでしょうか。また、マンション新聞などで、都内の区市でマンション耐震策を講じる自治体がふえる傾向ということも報じられていますが、都として把握している区市の動向など、そういうものがありましたらご報告いただきたいと思います。

○宇多田参事 区市におけるマンション耐震改修助成制度の実績でございますが、まだございません。
 それから、マンション耐震改修に向けまして、複数の自治体で来年度助成を開始する動きがございますが、都としましては、区市町村に対しまして、都の制度を活用した助成制度の創設及び充実を促してまいります。

○河野委員 十九年度は、この補強工事助成、実績ゼロということですが、これから取り組む自治体が拡大していく方向ということなので、ぜひ都としても支援のために努力をしていただきたいと思います。
 この新しい年度から始まります都の事業がどのような仕組みになるか、これも示していただきたいと思います。そして、制度の活用を促進するためには啓発活動がとても大切だと思いますけれども、この問題でもどのように取り組んでいくのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○宇多田参事 都は、来年度新たにマンション耐震改修助成制度を創設いたしますが、これは旧耐震基準で建築された分譲マンションのうち、耐震診断の結果、改修が必要なものにつきまして、耐震化に要する費用の一部を、国費を受けつつ区市町村が管理組合に対し補助する場合、都が当該区市町村を助成するものでございます。
 なお、耐震化の促進に向けましては、今後、区市町村と連携しまして相談体制を整備するなど、管理組合の耐震化への取り組みを引き続き支援してまいります。

○河野委員 専門家の方のお話も伺いました。マンションの耐震補強工事助成が進むのは、まず耐震診断が入り口になる、これがかなめだというお話でありました。私、横浜市の場合を調べてみたんですが、一九八一年以前、いわゆる旧耐震のときですね、それ以前に建築のマンションが横浜市では六万四千戸あるんだそうです。そのうち、平成十年から予備診断などを行ってきて今どのような状況にあるかというと、五万七千戸の耐震診断が、予備診断が終わっているということなんです。お隣の川崎市でも、予備診断、棟数にして五十七で戸数で二千四百十八ということが、平成十二年から平成十九年度までの数で出されております。
 都市整備局が昨年の秋にこの委員会に出した資料によりますと、東京都で行っているマンションの耐震診断件数、二十一件の千九百十八戸数ということが出ているんですが、横浜市の五万七千戸終わっているという数と比べるとかなり数としては差が出てきているんですけれども、私は、マンションの耐震性を高めていく上では、やはりこの診断数を都として抜本的にふやす取り組みが大事だと考えています。この点ではどういう方針をお持ちでしょうか。

○宇多田参事 東京都はこれまで、耐震診断を促進するために、区市町村やマンション管理団体等と協力し、耐震化に関する情報の提供や耐震診断助成制度の周知等を行ってまいりました。
 今後、先ほども申し上げましたが、区市町村と連携しつつ相談体制を整備するなど、管理組合の耐震化への取り組みを引き続き促進してまいります。

○河野委員 国とか区市町村、そしてマンションの管理組合や自治会との連携が欠かせない問題だと思いますが、かなり難しいことも、いろいろ隘路があることもわかりますが、どうぞ促進のために努力していただきますように求めておきます。
 次に、都営住宅の使用承継の問題について質問します。
 これは昨年の八月二十五日に、使用承継制度、東京都は見直しを行ったわけで、その後の十一月六日の当委員会で私も改善を求めて質問をいたしました。先ほどもご質問がありましたしかなり重なるテーマもありますけれども、大事な課題ですので伺いたいと思って、あえて重なったものも質問いたしますのでご承知おきください。
 本当に居住者の方々の切実な訴えにこたえた改善であるということで一定の評価もありますが、残されている課題もたくさんあります。この残された課題の幾つかの点について、順次質問をいたします。
 一つ、誓約書の問題です。
 昨年の委員会でも質問しましたが、名義人が亡くなったと届け出があったらすぐに誓約書が提示されて、六カ月以内に立ち退きますということを居住者に求めているわけですね、都が。昨年八月の使用承継制度の見直しの際、このときにはこういう誓約書の提出については説明がなかったわけで、かなり戸惑いもありました。昨年の委員会の質疑で、並木経営改革担当参事は、承継の許可基準に該当しない家族に、六カ月以内に退去することをなるべく早目に知らせてあげるために誓約書をとっていると答弁されました。その後、都の考え方が、誓約書は強制しないいわば任意の提出というものである、そういうふうに考えていることがわかりました。
 それであるならば、今、誓約書をとる必要はないと私は判断するんです。前回も質問したとおり、家族を亡くしたばかりの居住者への配慮に欠けるという点でも問題がありますから、誓約書については求めるべきではないと考えておりますが、どうでしょうか。

○並木参事 名義人の死亡等があった場合、本来都営住宅の使用権がなくなるということから、使用承継ができない場合には、残った同居者には本来すぐに住宅の明け渡しを求めるべきところではありますが、遺族の生活再建あるいは転居先を探すなどの期間として、六カ月間は退去を猶予することとしております。
 都営住宅は都民共有の財産であることから、この明け渡しが猶予されていることを確認する意味で誓約書を提出していただいております。提出については、ご本人によく説明し納得を得た上で書いていただいており、無理強いはしてございません。

○河野委員 誓約書にはいろいろ書く欄があるんですが、一番下の段のところに、期限以内に退去しない場合は明け渡し訴訟を提起することになります、また、期限経過後は翌月から近傍同種の家賃相当額を徴収することになりますと記載されています。これは以前にとっていた同意書には書かれていない文言なんですね。昨年十一月十四日の毎日新聞の夕刊は、誓約書や法的手段で退去を迫る都の手法に反発が強まっている、こういう報道も行っています。
 私、この誓約書の問題では、幾つかの県や政令市に問い合わせをしてみました。お隣のさいたま市そして神奈川県、長野県、神戸市、兵庫県など、私が聞いた自治体はどこも誓約書はとっておりません。東京都は厳し過ぎるのではないでしょうか。
 前にもいいましたけれども、全国四十七都道府県の中で約二十の道府県が従前どおりの承継制度を続けているわけですから、こうした、居住者の方々がいろいろ意見を持っているような、納得いかないという意見もたくさん出ているような誓約書については、提出を求めないように判断をするべきだと重ねて要望いたしますけれども、いかがでしょうか。

○並木参事 ただいまお答え申し上げましたとおり、都営住宅は都民共有の財産であることから、この明け渡しが猶予されていることを確認する意味で誓約書を提出していただいております。その際、納得を得た上で書いていただいており、無理強いはしてございませんということでご理解いただきたいと思います。

○河野委員 納得をしていただいた上でというのは、参事はそういうご判断かもしれませんけれども、私たちのところに来ている声は必ずしもそうではないということをこの機会に申し上げておきます。
 次に、診断書の問題です。
 先ほども質問がありましたし、これまでも都は、公害患者、難病患者、原爆被爆者以外の病弱者も承継に該当するということはいってまいりましたけれども、これだけだとなかなか具体的にわかりません。どのような症状とか病名の人、先ほど一定、病名のご紹介もありましたけれども皆さん不安に思っていますのであえてもう一度お聞きしますが、どんな症状の人が許可になるのか。私が聞く範囲では、高血圧症とか、いわゆる生活習慣病のような人たちは対象にならないということも伺っていますので、この点、もう少し詳しくご説明をいただきたいと思います。

○並木参事 先ほどお答え申し上げましたとおり、承継しようとする者または同居者に、疾病により当該都営住宅に継続して居住しなければ生活の維持が困難であると認められる者があるとき、承継を認めることとしております。具体的には、これも先ほど申し上げましたとおり、国や都が指定した難病にかかっている者や原爆被爆者、公害病認定患者が対象となります。このほか、都立病院、東京都保健医療公社病院の医師の診断書を踏まえまして、住環境の病状への影響状況に基づき、居住の継続が必要と判断される場合に認めるものにつきましては、さまざまな場合が想定されまして、具体的な病名や症状が特定されるものではございません。

○河野委員 この「すまいのひろば」ですね、配られましたけれども、この「すまいのひろば」には、都立病院、東京都保健医療公社病院の医師の診断書を踏まえ、住環境の病状への影響状況に基づき、居住の継続が必要と判断される場合等として、診断書を認めるのは都立病院、公社病院に限られるとされています。
 お医者さんに診断書を出してもらうのはそう簡単なものではないことは、ご承知のとおりだと思います。都市整備局は、都立病院、公社病院にかかわる病院経営本部とか、かかりつけ医の方々、地域のお医者さんたちが構成している医師会あるいはほかの専門の医療機関、そういうところと意見交換するなど、診断書を必要とする人が都営住宅承継に当たって診断書を提出しなくてはならないときに不安のないような仕組みづくりをしていく、そういうことが求められると思うんですけれども、その辺の取り組みはどのようにされているでしょうか。

○並木参事 診断書は、医師法に基づきまして医師の責任において作成されるものであります。また医師は、診察した場合には、求めに応じて交付する義務があることから、個々の患者の病状を踏まえ、適宜作成されるものというふうに考えてございます。

○河野委員 私、ある開業医のお医者さんにお聞きしてみました。医師会の会長も務めた権威ある内科のお医者さんです。その方は、都営住宅の使用承継で必要だからということで患者さんが都立病院あるいは公社病院に直接行っても、なかなかスムーズに書いてもらえるのかどうか疑問だと、このような発言をされておりました。医師が診断書を書く場合、当然その病気について検査することが必要ですし、そして慎重になるだろうということがご見解でした。
 きょう伺いたいのは、例えば江戸川区の場合で申し上げますと、身体障害者の方が手帳を受給したいと申請をされた場合に、区が指定した医師の診断書を提出するんですが、その診断書の費用などは区から後日、本人に支払いがされるということで、自己負担がない制度がつくられております。今回、公社病院、都立病院、そういうところで新たに検査が必要になり医療費がかかる、そして診断書を書いてもらうについてもお金がかかるわけですから、都営住宅の使用承継にかかわって発生する検査代そして診断書を書いていただくお金、そういう負担についてはどのような対応をされるのか、この点についてもお考えをお示しください。

○並木参事 使用承継は原則として配偶者に限り認められる中で、病弱者の承継については、特別な事情があると判断される場合に認められるものでございます。難病や公害病認定患者等以外につきましては、この特別な事情にあることの判断を都立病院または東京都保健医療公社病院の医師の診断書を踏まえて行うこととしていることから、病状を客観的に証明するために必要な経費はご本人に負担していただくことになります。よろしくお願い申し上げます。

○河野委員 先ほども若干お話がありましたけれども、都営住宅に居住されている方は経済的にもなかなか大変な方が多いわけですよね。そういう方のことを本当に考慮したこういう診断書提出を求めるのであれば、かかりつけのお医者さんじゃなくて都立と公社しかだめだよというのであれば、そういうものも含めた制度をつくり上げていくということが東京都に求められているのではないかと、このことを申し上げておきたいと思います。
 先ほど、都立、公社病院じゃなくても、長期にわたって入院している場合の方などはその病院の診断書で認めるというお答えもありましたけれども、やはり患者さんの病歴や症状を詳しく知っているのはかかりつけのお医者さんなわけですね。私たちが住んでいる江戸川区内には都立も公社の病院もありません。墨田区の墨東病院か、あるいはかかりつけのお医者さんの紹介状が必要な東部の地域病院、公社がやっていますね、あそこへ行くしかないわけですね。世田谷区の場合は、松沢病院、梅ケ丘病院がありますけれども、いずれも精神の専門の病院で内科などのお医者さんじゃないわけです。都立の病院、公社病院に限定するということは、病気を持っている居住者の方々に精神的あるいは経済的な負担を重くするものだと私は感じるんです。
 診断書を書いてもらう医療機関をできるだけ拡大する、その努力を行うべきではないかと考えますし、限定しないという方針が一番大事な問題じゃないかなと思います。客観性を持つというような、先ほど都立病院、公社病院の診断書に対しての評価、考え方を参事はお答えになりましたけれども、そういう立場じゃなくて現状をしっかり踏まえてみて、一体どうすれば居住者の方々が安心できる制度になるのか考えていただきたいんです。その辺では医療機関の拡大を求めたいと思いますけれども、どうでしょうか。

○並木参事 ただいま申し上げましたとおり、都営住宅という東京都が保有する財産の扱いに関するものであることから、特別な事情に相当する病弱者であることの判断は、都が設置した病院ないしは都が中心となり設立した東京都保健医療公社が設置する病院の医師の診断書を踏まえて行うこととしてございます。
 診断書の取り扱いにつきましては、これまで明確なものがなかったことから、今回、運用の変更に合わせて明確にしたものでございます。

○河野委員 なかなか冷たいご答弁だと私は思います。
 障害者の方の手帳の問題、これもさっきご質問がありましたけれども、疑問なのは、なぜ身体障害者の手帳の等級は三級までとなっているのか、四級の方が対象にならないのか、その根拠についてもう少し踏み込んで具体的にお示しいただきたいと思います。(「さっき質問したじゃない」と呼ぶ者あり)したけど納得いかないので。

○並木参事 先ほどお答えしたとおり、他の自治体の例も参考としながら、従前二級までだったものを今回三級まで拡大したものでございます。
   〔「さっき答弁した」と呼ぶ者あり〕

○河野委員 さっき答弁はしましたよね、三級までの根拠は。四級までの根拠を聞いているんですからね、私は。
 他の自治体を調べてみました。大阪府などは手帳所有者全員に認めている、これは事実です。身体障害者手帳の三級と四級の人にそれほど大きな違いがあるのか、これが疑問の大きな問題です。私は、身体障害者手帳の四級まで許可対象にするように改めて求めておきたいと思います。
 承継できる人を原則配偶者のみとしたことで、高齢の親御さんの介護などに苦労してきたのに住み続けた住宅を退去しなくてはならない、こういう人が出てきております。以前は東京都は三親等まで認めていたわけですが、現在でも他の自治体の中で三親等まで認めているところもあります。東京都も従前どおり一親等まで承継を認めるように、この問題でも再考をされるように改めてお願いをしておきます。
 使用承継についての国土交通省が示したものは住宅局長の通知であり、それを実施しなくても、自治体への罰則などそういう規定はありません。地方の時代、地方分権ということが強調されている今、自治体の判断で住民が救済される方策は幾らでも考え出せると思うんです。今後さらなる改善が必要であることを使用承継制度の問題について感じていることを申し上げて、次の質問に入ります。
 これも質問が重なりますが、公営住宅法施行令の一部を改正する政令を公布した、これが昨年の十二月二十七日のことであります。お話にありましたように、月額二十万円から十五万に公営住宅の入居者の収入基準が引き下がるということになりました。所得の格差が拡大して国民の貧困化が深刻になっているのに、入居基準を引き下げることは、公営住宅、都営住宅からの居住者追い出しにほかならない、このように感じるものです。新聞報道でも、今回の政令改正は、公営住宅の応募倍率を半減させるためのもの、民間の住宅市場では低額な家賃のところはない、大問題になるだろうという記事もありました。
 国の政令で、先ほど、経過措置五年間があるなど一定の救済策というんでしょうか、緩和策、そういうものがあるということはお話がありましたけれども、居住者にとって本当に安心できるような対策が必要だと思われるんですが、政令に基づいて考えた場合に、ほかにもう少し詳しい、救済されるような仕組みというのは示されているのでしょうか。

○並木参事 平成二十一年四月一日の施行までの入居者には、急激な変動がないよう、同平成二十五年度末までの五年間、経過措置がとられるということになっておりまして、その間は現行の入居収入基準が適用されます。そのことが政令で定められております。

○河野委員 政令の一部改正の文書を読みますと、居住者の安心のために地域住宅交付金制度を使って自治体独自の工夫も考えてみたらどうかとか、そういう具体的な提言もされておりますので、国のやっていることは私は本当に冷たいと思いますけれども、使えるものは全部使って東京都が知恵を出して、やはり都営住宅、市営住宅などにお住まいの居住者、都民の方々の安心を図るように努力が必要だと思います。
 東京は、全国に比べて、民間の借家の家賃は二倍近い状況だということもいわれています。今回の政令改正の影響は本当に大きいものがあります。東京都として独自の救済策を検討する、この必要があるのではないかと考えるんですが、どうでしょうか。それから私は、ぜひこれは本当に考えていただきたいんですが、この国土交通省が出しました政令について、見直し、撤回を求めるべきと考えるものですが、それぞれお答えをいただきたいと思います。

○並木参事 今回の制度改正は、住宅セーフティーネットの中核である公営住宅を住宅困窮者に公平、的確に供給するためのものであり、入居収入基準を適切な額とすべきとの住政審答申や住宅マスタープランの内容とも整合するものであることから、改正の趣旨に沿って実施してまいります。
 また、既存入居者に対しましては、国の当初改正案が三年間の経過措置としていたものを五年間に延長しており、国も急激な変動がないように一定の配慮をしてございます。

○河野委員 月額収入十五万八千円ということは……
   〔発言する者あり〕

○村上委員長 ご静粛に願います。

○河野委員 生活保護を受給できるかどうかという収入の世帯くらいしか入居対象にならないと、こういう心配の声が上がっています。実際に都内の自治体からも、市議会などから、この政令の改正に当たって国に対してきちんと見直しをしてほしいというような意見書も上がっているという状況があるわけです。都営住宅に申し込んでもなかなか入居できない、そういう怨嗟に近い声が都民から寄せられている状況の中で、これを受けとめて、都民の立場に立って国に政令の見直し、撤回を求めるように改めて私は東京都に強く要望しておきますので、よろしくお願いいたします。(「聞く必要ない」と呼ぶ者あり)そちらに聞いているんじゃないんです。
 続いて、先行まちづくりプロジェクトについて質問します。
 先日、東村山市本町地区プロジェクトを見てまいりました。都営住宅の建てかえによって生み出した約十ヘクタールの都営住宅用地に、都が公募で選定した民間の企業グループで設立した事業会社に一括七十年の定期借地権で土地を貸し付け、戸建て住宅を建設し分譲するプロジェクトです。一戸当たりで敷地面積は五十坪を超えて、分譲価格は二千数百万から三千万を超えるくらいの価格ということでした。
 まずお聞きしますけれども、東村山市本町プロジェクトの事業前の都営住宅の戸数、そして事業後の戸数は幾つだったのでしょうか。また、民間企業グループが供給する戸建て住宅の戸数はそれぞれ幾つだったのでしょうか。

○清水参事 都営東村山本町団地の建てかえ前の戸数ですが、千九百三十四戸でございます。建てかえ後の戸数は千九百六十戸でございます。
 また、民間活用事業で供給する戸建て住宅の戸数は二百八十戸でございます。

○河野委員 千九百三十四戸が今千九百六十戸ということで、従前の戸数は確保されたことになりますが、もし建てかえで創出された十ヘクタールに都営住宅を建設したら、さらに今と同じくらいの戸数の都営住宅ができる、そういう思いが多くの人から、私が見に行ったときに語られておりました。
 本町プロジェクトで戸建て住宅を購入した人たちの収入階層、世帯の状況について、特徴的なことをお示しください。

○清水参事 東村山市本町地区プロジェクトの戸建て住宅を購入された方を対象にいたしましてアンケートを実施しております。世帯人数では、三人、四人世帯が七〇%を占めてございます。また年収では、八百万円未満の世帯が約六〇%、また五百万円未満の世帯は二〇%となってございます。

○河野委員 現地で聞いてきたんですけれども、どういう世代かというと、子育て世代の人たちも購入はしております。しかし、目立つのは団塊の世代の人たちですね、そういう人たちが多いということが特徴だということがいわれていました。
 こういう方々は、これまで働いてきて、住宅ローンなどで購入した持ち家を売ってお金をつくって、本町プロジェクトの戸建てを買う、あるいは退職金を使って購入する、そういう方々の比率が高いということでありました。お話を伺いながら、一定の経済力がないとやはり、安い、市場価格の三割ですか、安く戸建てを分譲しますということが本町プロジェクトのうたい文句でしたけれども、本当に一定の経済力がないと買えないというのが実態であるということも私は行ってわかりました。
 本町プロジェクトについて、まちがかなりでき上がってきているわけですけれども、このプロジェクトについての東京都の現在の評価を伺っておきます。

○清水参事 東村山市本町地区では、広くて質がよく、建築本体工事費が都内の平均単価より三割程度安い戸建て住宅を供給する実証実験を行うことによりまして、住宅市場に刺激を与え、市場の構造改革を促進するとともに、ゆとりある美しい住宅市街地を目指す多摩地域の郊外型モデルプロジェクトを実施しているところでございます。
 昨年二月の販売開始から五期までの応募倍率が平均で七・七倍、最高で五十一倍でございまして、いずれも即日完売してございます。また、まちづくりの進展に伴いまして、地域の活性化に寄与するなど所期の成果を発揮しつつあると認識してございます。

○河野委員 ご答弁ではバラ色のまちづくり、夢のあるまちづくりという感じでしたが、本当にそうなんでしょうか。応募倍率、センターに張り出していましたけれども、おっしゃるように最高五十一倍ということでしたが、私が行ったところも三十七倍、あるいは三十一倍というところがありました。しかし、倍率が高いのは、価格が三千万円を切っている二千四百五十万とか二千八百万、そういうところは倍率が高いんです。三千万を超えると一倍から二倍になる、これが通常の例だということを伺ってまいりました。経済的に力があれば希望の家を購入できる可能性はあるけれども、資力のない人は手が出ない、こういうことだと思います。
 東村山市の隣の東大和市向原団地にも私は行ってみました。本町と同じように都営住宅の建てかえが行われていて、今、大変広い土地が空き地になっています。向原団地では、建てかえ事業を始めるときに、東京都は建てかえ計画をどのように居住者に説明されたでしょうか。これを教えてください。

○清水参事 東大和団地の建てかえに当たりましては、当初、居住者に対しまして、従前の都営住宅千百九十四戸を、平成六年度から二十一年度まで五期に分けまして千七百九十二戸に順次建てかえ、あわせて高齢者在宅サービスセンター、保育園、公園などを整備する計画を説明してございます。これまでに建設した都営住宅は千五十四戸でございます。

○河野委員 向原も従前の戸数は建てかえで確保されていきつつあるということかと思うんですが、広大な空き地が創出されているのは事実です。これは、ちょっと持ってきたんですが、建てかえが始まる前に東京都が住民の方に示した、こういうまちができますよという都営住宅の建てかえのもともとの案だったんですね。これが今は全く変わっておりまして、かなり広い土地があいちゃっているわけですよ。この周りに戸建ての住宅があったり商店街があったりするわけなんですが、相当の土地があいていて、こんなにたくさんの集合住宅は建っていません。従前は二階建ての都営住宅だった向原団地が、建てかえによって広い公園が配置されて近代的な団地に変わっていく姿がこのパースから読み取れると思うんです。この計画が、都営住宅の新規建設はしませんよという方針、九年前からずっとそうですけれども、そういう方針になって、今、都営住宅の用地としてある土地が、長い、何年かにわたって空地になっているわけです。
 地域では、東村山本町のように、都営住宅の用地に大型店が進出してきたり分譲の戸建て住宅が建設されていくのではないか、こんな声も出てきています。とりわけ、周辺に住宅がなくなったということでまちが寂しくなり、経営が大変になっている個々の商店の方々は本当に心配されています。
 私は、こうした皆さんの話を聞きながら、向原団地の空き地になった土地利用については、常時地域への情報提供を行うことが必要だということ、そして近隣住民の人たちの意見を聞く機会をできるだけ多くつくっていくことが大事だということを感じてまいりました。近隣の人たちと力を合わせて住みよいまちをつくる、その立場に都は立って、この向原団地の問題、取り組んでいくべきだと考えますが、このことについてはどのようなお考えをお持ちですか。

○清水参事 東大和向原団地における用地の活用に当たりましては、地元の意見を反映し、地域の特性を生かしたまちづくりを進めるため、これまで東大和市と鋭意協議してきてございます。
 今後とも、市と協議を行い、この用地の利用について検討してまいります。

○河野委員 地元市と協議していただくのは当然だと思うんですが、周辺住民の方々、商店街の皆さんの声もしっかりと聞いていただくことを求めておきます。
 おととしの十一月の都市整備委員会で、我が党の村松議員が、多摩地域で建てかえをしている都営住宅について質問をしています。東村山の本町、東大和の向原、東京街道団地などですけれども、こうした広い空地が創出された都営住宅用地にそれこそ都営住宅を建設するべきという村松議員の質問に対して、都市整備局は、供給管理戸数を抑制し現在あるストックの有効活用に重点を置く、新規建設を行う予定がないという趣旨の答弁をされています。
 都営住宅の建てかえに当たっては、従前戸数を確保したからよしとするのではなくて、都営住宅用として土地活用すべきだと考えます。ましてや都民の生活実態が厳しくなっている現状のもとで、長年にわたって空き地のままになっている向原団地のような土地を活用し、都営住宅の新規建設、再開に踏み出すべきときではないでしょうか。どうでしょうか、お考えを示してください。

○清水参事 都営住宅用地は都民共有の貴重な財産であることから、建てかえに当たりましては、老朽化した都営住宅を更新するだけではなく、土地をできる限り有効に活用して用地を生み出し、地域の活性化や防災性の向上、住環境の整備など、地域のまちづくりの課題に的確にこたえていくことが重要と考えております。
 また、都内の住宅数は世帯数を一割以上上回っており、さらに将来的には、東京都においても人口減少社会の到来が見込まれています。一方、都営住宅は、一度建設を行うと耐用年数が七十年となっておりますので、長期間にわたって管理していかなければなりません。
 こうしたことから、都営住宅については今後とも管理戸数を抑制していく方針でございまして、元戸数以下を基本として、入居実態を踏まえ、建てかえを行ってまいります。

○河野委員 私は、この問題も含めて都営住宅の問題、いっぱいいいたいんですが、最後に意見を述べておきたいと思います。
 東村山市と東大和市の市民の方々の感想、本町プロジェクトの近くで聞いてまいりました。ちょうど偶然会った人が六十代前半の女性だったんですけれども、住宅を見ながら、こんな戸建てを買える人はいいんだけれども私にはとても買えないんですというんですね。都営住宅を毎回申し込んでいるけれども全く当たらない。そして、年をとってきて収入も減ってきたから市に相談に行ったそうです。この方、六十二歳なんですけれども、高齢者への家賃助成は市では六十五歳からしか対象にならないからもう少し我慢して頑張ってください、民間のアパートで耐えてくださいということしかあなたには申し上げられないということをいわれたそうです。年をとって収入が少なくなっても暮らしていけるように都営住宅をもっと建ててほしいと、この方も含めて何人もの方が話してくれました。こうした声にこたえる必要があるのではないかと感じています。
 新規の住宅建設ストップの理由の一つ、これが東京都が財政難ということでありました。しかし現在は状況が変わってきています。過去三年、東京都は税収増が続いており、基金残高も大きく膨れ上がっているのはみんなが知っています。財政難を理由にした総戸数抑制論は今、通用しないという状況になっています。先ほどご答弁に、都民共有の貴重な財産が都営住宅用地だとおっしゃいましたが、それならば、できるだけ多くの都民がその貴重な財産の恩恵を受けられる対策を住宅政策で講じるべき必要があります。都営住宅の新規建設を一日も早く再開することを強く要望して、私は質問を終わります。
 以上です。

○鈴木委員 平成二十年度都市整備局当初予算案に計上されております、多摩川を活用したランニングコースの整備事業について、何点かお尋ねいたします。
 この多摩川ランニングコースの整備については、昨年の予算特別委員会において、我が党の、現在、あきる野市長であられます臼井委員が、多摩川に沿って都民ランナーがいつでも走れるようにマラソン文化を育てる場を提供できないかと質問したことに関連しまして、知事から、多摩川に沿ってマラソンコースをつくることはそう難しいことではない、夏ごろには素案ができると思うとの発言がありました。
 その後、昨年の第三回定例会における知事の所信表明では、羽村市から大田区に至る約五十キロメートルのランニングコースを整備するとの発言がありました。先日行われた東京マラソンは十五万人以上の方々の応募があり、当日は、三万二千人のランナーと多くのボランティアまたそれを見守る多くの都民により、まさに東京が一つになったイベントであったわけでありますが、現在、東京が火つけ役となりマラソンブームが起きているといわれておりますが、その東京が先頭に立って、ランニングコースとしての活用も含め、こうした環境を整備していくことは大変意義あることであると思っております。
 私も、多摩川べりはよくランニングして以前から改善をお願いしてきましたけれども、今回予算が計上され、いよいよ着手されるということで、ランニングをする方々だけでなく、多くの地元の方々にとりましても大変喜ばしいことであると思っております。
 そこでまず、この多摩川ランニングコースについて、コースの整備など現在の検討状況をお伺いいたします。

○升都市基盤部長 多摩川ランニングコースにつきましては、多摩川の地形などを勘案いたしまして、羽村市内の羽村取水堰から大田区内の大師橋緑地付近までの多摩川左岸で、二区八市にわたる延長約五十キロメートルの区間を考えております。
 先月、都と関係の区市や、河川管理者である国土交通省で構成いたします協議会を設置し、検討を開始したところでございます。この区間では既に多くの箇所で区市によって堤防上や河川敷にサイクリングロードなどが整備されていることから、これを活用いたしまして、関係者が連携して連続したコースの整備に取り組んでまいります。

○鈴木委員 ぜひ早期実現に向けて取り組んでいただきたいと思っております。
 羽村市から大田区までの区間を整備していくとのことですが、私の地元大田区を流れている多摩川には広大な河川敷が広がっており、野球場、グラウンド、公園などが整備され、区民、都民のスポーツや憩いの場として利用されております。また、大田区により、ジョギングやウオーキングやサイクリングを楽しめるコースが整備されております。しかし、このコースを上流に上っていきますと、中原街道の丸子橋付近で河川敷内の連続したコースが突然途切れており、多摩川沿いの都道である多摩堤通りに迂回しなければ上流側に行くことができない状況になっております。この都道は交通量が多く歩道も狭くなっております。これは、丸子橋の上流側に水道局の調布取水堰があり、しかもこの付近ががけ状となっていることによるものと考えられます。
 多摩川には、この大田区内の例だけでなく、コースが途中で途切れている箇所がほかにもあるのではないかと思います。そこで、このように河川敷内でコースが連続していない箇所について、どのように対応していくのかお伺いいたします。

○升都市基盤部長 お話にございましたように、大田区内の丸子橋付近では河川敷内の通行が分断されており、都道に迂回せざるを得ない状況にございます。このため、丸子橋付近では、河川管理者である国土交通省が昨年から河川敷内にフットパスと呼ばれる散策路の整備工事を進めており、近々完成する予定であるというふうに聞いておるところでございます。
 このほかにも、交通量の多い都道を横断しなければならない箇所などがございます。今後、このような河川敷内のコースが分断されている箇所につきまして、関係機関と連携して、できる限り連続して安全な通行が可能となるよう努めてまいります。

○鈴木委員 以前は大変難しいというふうないわれ方をしていたわけですけれども、このような形で実現していくということは大変喜ばしいことであると思っております。多摩川沿いにマラソンや散策を楽しむ都民が連続して安全に通行できるよう、ぜひ整備に取り組んでいただきたいと思います。
 この多摩川は、東京を東西に貫く大河川であり、都内に残された貴重な自然空間でもあります。この空間を河川沿いの住民だけでなく、さらに多くの人々が享受できるようにすべきです。都は、今後さらに多摩川ランニングコースがより多くの都民にとって利用しやすいものとなるよう取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○升都市基盤部長 お話のございましたように、多摩川ランニングコースを利用しやすいものとしていくことは大変重要であるというふうに考えてございます。このため、現地に、案内板や距離表示などの設置につきまして検討を進めているところでございます。
 今後、関係区市や河川管理者と連携を密にいたしまして、このような案内施設の整備を初め、わかりやすく利用しやすいコースとなるように取り組んでまいります。

○鈴木委員 大田区は、ランニングコースのゼロキロ地点がある場所でありますけれども、今後、羽田空港跡地の整備の中でそうした表示も含めて使いやすいランニングコースの整備をしていきたいとも伺っておりますが、ランニングをする方々にとって一キロごとのラップがその日の目安、目標になるということから、連続した走りやすい整備というのは大変意義あることであると思っております。そうしたことも含め、多摩川を訪れる都民が迷うことなく自然の中で安心してスポーツを楽しめるよう、充実した案内施設の整備にしっかり取り組んでいただきたいと思います。多摩川の河川敷は、日当たりがよく心地よい風がそよぎ、散策、ウオーキング、ランニング、サイクリングなど、多くの人々が休日のひとときを思い思いに過ごしております。また、大田区内を初め川沿いの各地では、マラソン大会などさまざまなスポーツイベントも行われております。この多摩川をさらに多くの都民に利用してもらうためには、これらのイベントを活用して多摩川ランニングコースを知ってもらうことが必要ではないかと思います。
 多摩川は、都民共有の貴重な財産であることを改めて認識し、多くの市民ランナーが多摩川の美しい景観を楽しみながら健康づくりに汗を流せるような東京の新名所としていただきますよう、このことは関連区市と十分に連携して早期に多摩川ランニングコースの整備に取り組むことを強く要望して、質問を終わります。

○村上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時十一分開議

○村上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○相川委員 防災都市づくり推進計画の見直しにつきまして、一点だけ質問いたします。
 ちょうど四年前になると思いますけれども、私は、現行の防災都市づくり推進計画の整備プログラムの策定を目前に控えていました平成十六年の第一回定例都議会の一般質問におきまして、リダンダンシーの確保あるいはセキュリティーとアメニティーの結合といった、防災都市づくりを進める上での重要な視点に照らして、現行計画はセキュリティーに傾斜し過ぎているという指摘をいたしました。また、こうした機能面を偏重した都市づくりは、結果として都市を無味乾燥なものにしてしまうという前提に立って、江戸の都市設計などを例に挙げまして、風景、水、緑などの視点を重視する、空、山、川、まちという四つの言葉をキーワードとした都市計画の可能性について問題を提起いたしました。
 具体的には、河川上空での連続的な空間の確保、非常時の空域の活用、障害物のない眺望軸線の創出と保持、建設残土の活用による眺望公園の整備、都市計画緑地による河川網ネットワークの実現、都市再生によって生まれる開発利益を木密整備に投入するリンケージプログラムの樹立、そしてこのリンケージプログラムへの震災復興グランドデザインの中の緑の回廊構想の位置づけなど、大きくくくって七点の問題提起をしています。
 ところで、平成二十年度当初予算説明書の概要を見ますと、防災都市づくり推進計画に関する検討調査に対して千六百万円余りの予算がついています。検討調査に当たりまして、ここで改めて私の問題意識を申し上げておきたいと思います。
 現行の防災都市づくり推進計画は防災に傾斜し過ぎており、この計画の内容のみをとらえて木密地域の整備を進めてしまうと、まちの潤いをなくし、無機質なまちができてしまうと懸念をしております。ただ防災面ばかりを重視して計画の見直しを進めるのではなくて、計画そのものの色合いについても、景観などの観点も含め見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を伺い、質問を終わります。

○座間民間開発担当部長 平成十六年に策定いたしました現行の防災都市づくり推進計画でございますが、これは震災時に危険性が高い地域の安全性を早期に向上するために、防災都市づくりに関する施策の指針や、特に重点整備地域の具体的な整備プログラムなどを定めた計画でございます。
 これまでも、木密事業などによりまして、合計で約三百カ所、約九・六ヘクタールの公園、広場等を整備し、まちに潤いを与える緑化等を進めてまいりました。また、都市計画道路の整備はもとより、主要生活道路の整備におきましても、災害時の消防救急活動の円滑化や避難空間の確保と同時に、景観にも配慮して電線の地中化等を促進してまいっております。
 来年度から着手いたします防災都市づくり推進計画の見直しに当たりましては、関係区と連携いたしまして引き続き事業を重点化するとともに、昨年改正されました密集法に基づく新たな推進方策などを盛り込んで防災都市づくりを加速してまいります。
 また、この中で、主要生活道路沿いの公園、広場等の整備促進や電線類の地中化、街並み誘導型地区計画の活用等を図るとともに、沿道一体整備事業や防災街区整備事業などの基盤整備型事業に合わせた緑地の確保や景観形成など、環境面に配慮するよう調査検討を進めてまいります。

○植木委員 私は、行政が行う公共事業について幾つか質問したいというふうに思います。
 一つは、外環の問題です。外環については、昨年の国土開発幹線自動車道建設会議、いわゆる国幹会議で決定が行われたばかりでございますが、その内容についてお示しいただきたいというふうに思います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 昨年十二月二十五日でございますけれども、第三回国土開発幹線自動車道建設会議、いわゆる国幹会議が開催されております。この会議におきまして外環の基本計画について審議がなされまして、提案のとおり了承されてございます。
 この基本計画におきましては、外環十六キロメートルの建設区間につきまして、練馬区から三鷹市までを関越道として、それと三鷹市から世田谷区までを中央道として位置づけるほか、標準車線数を六車線、設計速度時速八十キロメートル、建設主体を国土交通大臣または高速道路株式会社とすることなどについて定めてございます。

○植木委員 今、建設主体は国土交通大臣または高速道路株式会社法に規定する会社ということですが、どこが建設主体になるかでいろいろフレームも変わってくるんでしょうか。中身変わってくる可能性もあるんじゃないかと思うんですが、一つは、国が建設主体となった場合、国と東京都の事業負担はどのくらいになるんでしょうか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 外環につきましては、現在、基本計画の段階でございまして、整備計画がまだ定められておりませんので、現段階におきましては事業方式については決まっていないということでございます。

○植木委員 ちょっと私の聞き方が悪かったと思うんですけれども、ここに整備主体が二つ書いてあるわけですから、じゃあ、ちょっと聞き方を変えます。国が建設主体となった場合、国と都の負担はどうなるのか。高速道路株式会社が主体となった場合、まあ両方しか予想されないわけですから、この場合はどういう財政フレームになるのか、その基本的な考え方です。実態がこれからどうなるかはもちろん整備計画になっていませんから明らかでありませんけれども、基本的な考え方です、お示しください。

○遠藤外かく環状道路担当部長 外環でございますけれども、一般論といたしまして、高速自動車国道のうち整備計画が定められている路線につきましては、有料道路事業方式による整備と、国がいわゆる新直轄方式で整備する、この二つの手法があるわけでございます。
 今、国が整備する場合ということでございますけれども、新直轄方式によりますと、国と地方が費用負担して国が整備をするということになっておりまして、その場合の負担の割合は、国が三、それに対して地方が一、このようなことでございます。あくまで一般論でございます。

○植木委員 国と地方と三対一と。それで、株式会社の場合は当然採算性が伴わないと会社として成り立たないということになってくるわけです。私どもが会社の方にも行ってお聞きしましたけれども、とても採算ベースからいって大変だというお話をしていました。そうなりますと、どういうふうになるかはまだわかりませんけれども、新直轄方式による国と地方、この分担になる可能性も否定できないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 繰り返しになりますけれども、現段階で整備計画が定められておりませんのでどちらになるか、あるいは整備方式につきましては今後検討して、都に対しても協議が来るということで考えております。

○植木委員 現段階ではいえない、あくまでもいえないということですね。整備計画にのっていないわけですから、そういうこともいえるんですけれども、じゃ、整備計画と、今、いろいろ道路の中期計画の素案が出ていますけれども、それとの関係が実は問題になってくるんではないかなと。つまり、財政フレームは今後どうなっていくのかというのは、今の国の動きとも連動してくる可能性があるんではないかというふうに思います。もちろん国幹会議で基本計画を立てたばかりですから、今もお話もあったように整備計画には入っていない。じゃあ、今の国土交通省が出した道路の中期計画素案、これには入っているんでしょうか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 お話しの道路の中期計画の素案、昨年の十一月に国土交通省が発表したものでございますけれども、この中におきまして、今後重点的に整備を推進する道路、道路の基幹ネットワークといたしまして幾つか例示がされておりますけれども、その中に、大都市の環状道路のうちいまだ整備がされていない区間、このようなことを挙げて、それが明記されております。しかしながら、個別の路線の名称については記述されていないわけでございまして、私どもとしましては、外環が含まれているかどうか、この中期計画に入っているかどうかについては明らかではないというふうに考えております。

○植木委員 明らかでないというんですけれども、資料を見れば僕は非常に明確だろうと思うんですよ。中期計画の補足資料というのがあるんですよ。これを見ますと三つに分類しているんですね、三つ。一つは、最初素案で六十五兆円というのが載っていたんですけれども、今五十九兆円というので論議がされているんですけれども、道路公団が民営化されるときに評価を行った区間、この区間が九千三百四十二キロメートルあるんです。そのほかに、民営化時に評価を行われなかったけれども既に供用が始まって延長を図っているもの、これが載っています。それとは区別して点検対象区間ということで書かれているんですね、外環はこの点検対象区間に入るのと違うんでしょうか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 中期計画の素案でございますけれども、参考資料といたしまして高規格幹線道路の点検結果について掲載してございます。高規格幹線道路全体構想として一万四千キロあるわけでございますけれども、先ほど委員の方からお話にございましたように、道路公団の民営化のときに評価を行った区間九千三百四十二キロ、それと評価を行っていない区間から十九年度末までに供用する区間、一千七百八十七キロございますけれども、これらを除きました百八十七の区間、約二千九百キロについて、整備効果などについて点検した結果を参考として示しているわけでございます。その中には外環十六キロも点検結果が示されてございます。

○植木委員 今、補足資料の中でというふうにいっていましたけれども、この高規格幹線道路の点検対象区間、つまりまだ整備計画にのっていない、で、初めてここで一兆六千億円という金額が載った。今までは一兆三千幾らといってたんですね。それが一兆六千億に、また三千億円上がっているわけです。ですから明らかに、今の中期計画の素案で問題になっている五十九兆円、この中には入っていないというふうに私は思うんですけれども、先ほどはわからないというお話でしたけれども、入っていないというふうに思うんです。多分それは否定できないと思うんです。今の段階では、局として肯定もできないのかもしれませんけれども、それが一つ。
 それから、皆さんは、この予定路線が基本計画にのったと。基本計画だけでは、工事が、先ほどいったようにまだフレームが大枠しか決まっていない、やっていないとすると、次に皆さんが多分とるのは、この中期計画の素案の中に入るような整備計画として認めろということを要求してくると思うんですけれども、そういう道筋を考えておられるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 ただいまの委員のご質問の中で、外環が五十九兆円の中に入っていないんじゃないかというお話でございましたけれども、この十六キロの点検結果、費用対便益については三・四四、すべての評価区間百八十七区間における偏差値が六七・四というふうに非常に高い値で、現計画に基づいて早期にネットワークの機能を確保するグループ、このようなグループ分けをされているわけでございまして、五十九兆円の中に入っているかどうかということについては明確ではございませんけれども、私どもとしては、その可能性は十分にあるというふうに受けとめております。
 それと、外環でございますけれども、基本計画路線となったわけでございますけれども、一日も早く整備計画を策定して二十一年度には事業着手するように、これを国に対しまして今後ともあらゆる機会をとらえて強く働きかけをしてまいりたい、このように考えております。

○植木委員 願望としてはという前提がついていましたけれども、明確に入っているともいえないんですよ、現段階では。つまり、六十三兆円が五十九兆円というふうになって、今それ自体もどうするかという話になっていて、そのらち外の二千九百キロメートル、この中に外環が入っている。しかし優先度は高いんだということを先ほどいわんとしたと思うんですよ、評価点が高いというのはそういうことだと思うんですよ。
 そうしますと、五十九兆円の枠を、国会でどういう論議になるかまだわかりませんけれども、これをもし削減、あるいは一部見直しですか、必要であるものないものいろいろ論議があります。そうなってくると、もしこれを都直轄の新直轄方式などでやるとすると、この国の予算からはじかれる、そういうことになりかねはしないか、そういうふうに私は見ているんですけれどもあながち間違いじゃないと思うんですが、いかがですか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 五十九兆円の行方につきましては、今、国会審議中ということでございまして、私ども、その動向を注視している段階でございます。それと都の負担云々につきましては、先ほど来申し上げてございますように、整備計画決定前でございましてまだ具体的な事業方式が決定してございませんので、何ともお答えできないというような状況でございます。

○植木委員 まさに国会で論議されている最中でありますけれども、整備計画の俎上にのっていないこの外環道、その枠から外れる可能性も十分あると。そうすると、都直轄の新直轄事業、民間が受けるかどうかという問題がもう一つありますけれども、もしとても採算上大変だということになれば国直轄、新直轄、しかし、国の予算の枠外になってくると東京都自身が莫大な負担を負いかねない、そういう計画路線だと思うんですよ。
 そういう意味で、国会では現在やっている最中ですからこれ以上いいませんけれども、いずれにいたしましても、そういう都の莫大な公共事業費としてこれからのってくる可能性のある、そういう路線だと。そういう意味で、私ども、これまでも道路そのものの問題も指摘してきましたけれども、現時点のそういう国民的な世論の中でも、この計画はやはり凍結すべきだということを改めて主張したいというふうに思っています。
 それで、本当は環境問題も質疑をしたかったんですけれども、ここは環境局でないので意見としていっておきますが、道路問題をやると必ず、道路をつくると自動車の速さが速くなってCO2の排出量が減るよということがいわれているんで、そのことについて一言だけ、これは指摘をしておきたいというふうに思っています。国交省の広域的シミュレーションによれば、三環状が、つまり外環道も入っているわけですけれども整備された状態で、シミュレーションの結果は、都市圏全域で自動車の平均走行速度が二十五・七キロメートルから二十六・八キロメートルに向上し、すなわち四・三%の改善になると推定される一方、自動車総走行量は二億七千四百四十五万台キロメートル一日当たりから二億八千六百十万台キロメートルに増加、すなわち四・二%増加すると推定される結果が得られている。その結果、CO2の排出量を見ると、走行速度の増加によって自動車一台の走行距離当たりのCO2の排出量は二・三%低下するが自動車総走行量は四・二%増加するとすれば、差し引き、三環状を整備した方がCO2の総排出量は増加することになる、こういう指摘をしているんですね。国土交通省自身の調査の中で出されている。これはここで本当は論議したいんですけれども、別の機会にしたいというふうに思っています。
 この外環道とあわせて外環ノ2というのが、都民から見れば突然という感じがするんですけれども、こういう非常に簡単なパンフレットが出て、外環の地上部の街路についてというのが出ています。
 石原知事は、知事に就任直後間もないときに外環の視察をしました。住宅密集地のところで、私も知事の行ったところに行ってみましたけれども、まさに住宅が密集しているところですね。そこに視察に入って、その後地下方式に転換を表明した。住民の皆さんは、地下方式になるので私たちの地域の住環境は守れる、こういうふうに思っていたら、何と上部は別にちゃんと残っているんだよと、こういうことになって、地元の人から見ますと、やっぱり道路はここを通るのか、私たちは一体どうなるんだろう、こういうまさに都民を欺くような結果に今なっていると思うんです。
 そこで伺いますが、この地上部の整備で現時点で、もちろん実施設計とかいろいろやっていくとまた厳密には違ってくる可能性は十分承知していますけれども、どのくらいの世帯が立ち退かなければならないのか、道路、ジャンクション合わせて、あるいはそれぞれお示しいただきたいというふうに思います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 外環ノ2、外環の地上部の街路でございますけれども、これにつきましては、東京の都市計画道路のネットワークの一部といたしまして、三鷹の東八道路から練馬の目白通りまで約九キロメートルにわたりまして、外環ルート状の地上部に幅員四十メーターで計画決定されている都市計画道路でございます。
 この道路は昭和四十一年に外環本線と同時に計画決定されておりまして、当時、外環本線と一体となって自動車交通に対応するとともに、地域の利便性、あるいは沿線のまちづくりに寄与する道路として計画されたものでございます。突然降ってわいたものではないというふうに考えております。
 この道路につきましては、外環の本線の都市計画変更に対しまして、沿線の区や市からいろいろ意見が出されておりまして、それを踏まえまして今、種々検討を行っているところでございます。お話しの地上部街路の用地買収あるいは移転の戸数等につきましては、現段階ではまだ把握しておりません。

○植木委員 把握してないというんですけれども、いろんな説明会だとかそういうところへ行くと、約五千人程度はという話も出ている。もちろん厳密には線を引かないとひっかかるかどうかということはありますから、ですけれども住民がそれだけの世帯が影響はするということは当然予測されるわけです。
 それで、外環ノ2、住民との関係であるいは地元の自治体との関係で話し合いをするというんですけれども、ここに、パンフレットを見ますと今後の検討ということで三つのフレームが出ています。一つが、現在の都市計画の区域を活用して道路と緑地を整備する、二つが、都市計画の区域を縮小して車道と歩道を整備する、三つが、代替機能を確保して外環ノ2の都市計画を廃止する、こういうふうになっていて、これが今住民の間に配られているんだろうと思うんです。
 それで一つお聞きしますけれども、一番目と二番目は、いずれにしても、幅がどうなるかはありますけれども道路は従来どおりつくる。幅を狭くするのかどうかということは明確にはメートルでは書いてありませんのでわかりませんけれども、いずれにしても道路は計画を進めていくということなんですけれども、三つ目の、代替機能を確保して、こういうふうになっているんですがこれはどういうことを意味するんでしょうか。例えばあの周辺ですと調布保谷線が西の方にある、東の方には環八がある。これは代替機能として考えられることなんでしょうか。いかがですか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 外環の地上部の道路ですけれども、地元の関係の区や市からは、必要性について原点に立ち返ってオープンに議論することが必要だ、重要だということでご意見をいただいてきた経緯がございます。それを受けまして、私ども、現段階ですけれども、環境、防災、交通ネットワーク等々の観点から、この道路の必要性や整備のあり方について調査検討を行ってまいりました。近く、そのあらましや方針策定に向けた道筋等について明らかにしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、ただいまの代替機能についてというところでございますけれども、例えばこんなふうに考えております。防災の観点でいいますと、この地上部街路、計画道路が整備しなくとも、広域的な避難とかあるいは救援といったことが可能なのかどうか、あるいははたまた、遮断、延焼防止といった観点でこの道路がなくても可能なのかどうかといった点から、現状とかあるいは将来の可能性について検証する、このような考えでございます。

○植木委員 そうしますと、もう道路はつくらないと。代替機能、今ご説明があった、道路はつくらないということを明言していただけますか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 私ども、三つの考え方、先ほど先生がパンフレットをお示し……

○植木委員 三つ目のところで、代替機能を確保してというのは、道路をつくらないということを断言できますか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 それは今後よく地元と話し合って、私どもとしての考えをまとめていきたい、こういうふうに考えております。

○植木委員 本当に防災の観点から、いろんなまちづくりの関係で住民と合意して進めるというやり方もあるわけですよ。だから、道路をつくらなくていい道は当然選択できて、その場合は廃止するということなんだけれども、しかし、道路をつくらないと明言できない。こういうことでは住民同士疑心暗鬼にならざるを得ないですよね。じゃ、本当に道路をつくらないということであれば、どうするかという道筋を検討する。しかし、ここの道路はやめて、例えばもう一つ代替道路をつくるということになると、そこの住民との関係がまた出てくる。こういうことですから、こういうあいまいなことじゃなくて、代替機能、いわゆる防災のまちづくりで、この外環ノ2という道路はやらないというふうに明言すればいいんじゃないですか。いかがですか。

○遠藤外かく環状道路担当部長 私ども、これまでの調査検討をもとに、今後、広く都民の方々の意見を聞いて、都としての考え方をまとめていくということでございます。

○植木委員 外環そのものも、今指摘したように、国会の論議から見ても整備路線に入っていない段階でどうなるかということは当然考えていかなきゃならないはずですし、私どもは凍結せよという思いですけれども、それから外環ノ2も、例えば武蔵野市では外環ノ2は現状では認められないという趣旨の発言をしておりますし、三鷹市は、これまでの意見書どおり、現状のままの事業着手は認められないといっている。まさに、外環ノ2そのものが大きな問題になっている。
 それから、道路そのものとあわせて、工事による地下水の問題だとかいろんな問題が絡んでくるわけですね。そういう意味で、外環が復活して、そして外環ノ2も同じようにやっていくというようなことは絶対にやるべきでないということを指摘して、次の質問に移ります。
 先ほど八ッ場ダムの質問、丁寧な質問がございました。私も、本当に今のこの計画変更はとても認められないおかしな計画だという思いであります。私も、もともと群馬県の出ですし、先般、昨年だったかここでも質問しましたし、実際に現地の温泉にも入って周りの視察をしてきました、私の地元ですから。
 それで幾つかお伺いしますが、先ほどの質問とダブらないようにするのはなかなか難しいんですが、ここは都市整備局で、本来であればここに水道局、下水道局、それから総務局かな(「建設」と呼ぶ者あり)建設局、一緒に呼んでこの論議をする必要があると思うんですよ。地元の群馬県ではそれをやっているんですよ。そういうことだとこれはダムの問題点が非常にわかる。ところがここは都市整備局、だけれども統括局ですからあえて、細かい論議は私どもの委員が公営企業のところでやっているはずですので、大枠の問題は皆さんが答えられないということはいえないと思うので、質問をしたいというふうに思っております。
 それはまず、水需要予測の問題なんですよ。これは先ほどの答弁では、水道局は、変える必要はない、こういうふうにいっていましたという報告がありました。本当にそうなんだろうか、皆さん自身、何も努力をやってこなかったんだろうかという思いなんです。例えば、細かいことを先にいうのは余り好きじゃないんですけれども、都市整備局が直接担当している雑用水の問題。今の水道の使用量の中でトイレだとか自動車を洗車するとか庭に水かけをやるとかいろんな水が使われていて、これは節水して減らしていこう、こういうことで皆さん都市整備局としては、事業所ビルなんかの、ここもそうですけれども、雨水をトイレに使うような努力をされていると思うんですよ。これがどのくらい進んでいて、一体節水にどのくらい効果があらわれているというふうに皆さんは見ているんでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 雑用水のことでございますけれども、雑用水あるいは雨水利用につきましては、水の有効利用促進要綱に基づきまして需要促進に努めております。計画利用量ということで、これは水道局としても全量をつかめるものではないんですけれども、計画としては日量約十万立米程度ということで、都内の一日平均使用量の比較でいえば二%程度というふうに考えております。
 水の有効利用は極めて重要な課題であると認識しておりますけれども、施設配置や維持管理のコストの問題はもとより、臭気、色、あるいは誤って飲んでしまう、あるいは誤って接続してしまうという事故もありますので、なかなか受け入れられないということでございます。
 したがって、水の有効利用の促進がダムを不要にするとは考えてございません。

○植木委員 何も雑用水一つでやめろといっているんじゃないんですよ。そんな僕も荒っぽいことはいっていません。十万立方メートルというと、ことしになるんでしょうか、滝沢ダムが供用開始になりますね。これはたしか七万ですよ。それを上回る量ですよ。もちろんこれが全部水道の節水、イコールとは僕はいいませんけれども、そのぐらいの量を皆さん努力しているわけでしょう。
 それからもう一つ、これは水道局の努力ですけれども、この間、石原知事も環境問題で自慢していました。都内の水道の漏水率、逆にいえば有収率ですね、改善されてきたといっていましたよ。私の手元には十七年度までの資料しかないんですけれども、十二年度から十七年度で有収率が九〇・五%から九四・二%、つまり三・七%改善されているという資料を持っています。三・七%といいますと、先ほどの雑用水より多いんです。二十三万立米。本当に大きい、一つのダムですよ。皆さんこれは努力してきているんですよ。
 もう一つは地下水の問題、たしか四十万立米、これもダムに匹敵する立米ですね。これは六百二十三の中に入っていないんです。国の方ではこれは基本計画の中に入れていい、こういうふうにいっているはずなんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 地下水の取水につきましては、広域的な地盤沈下の問題あるいは水質の問題がありまして、長期的には安定的な水源に位置づけることは困難と考えております。
 こうしたことから、安定的な給水により渇水に強い都市づくりを目指すためには、先ほども申しましたけれども、やはり八ッ場ダム等による水源確保に努める必要がある、このように考えております。

○植木委員 今三つの事例を挙げましたけれどもこれはまさに行政としてできる分野ですよ、つまり直接できる分野。まだほかにもいろいろあるんですけれども、大きな確度ですよ。実にダム一つ以上の規模になっていることは間違いないわけです。これだけ明確でしょう。もし水需要予測したらこの分はどうなるか。年々変わっているんですから、有収率だって雑用水の利用率だって地下水の考え方だって。これは見直しをしたら何か都合の悪いことがあるんじゃないですか。つまり、ダムの根拠の一つ、治水の面とかほかの面もありますけれども、利水の面が一番強調されているわけです。このダムをつくる根拠、これが狂ってくるんじゃないですか。いかがですか。

○野本都市づくり政策部長 地下水の利用あるいは雑用水の利用あるいは漏水率の改善というんですか、そういったものを合わせわざでやることによってダムの水源の見直しができるんじゃないかということなんですけれども、私どもとしてはあくまでもやはり安定的な給水ということで、渇水に強い都市づくりのためには、以前から考えておりますダム等による水源確保に努める必要があると考えております。

○植木委員 それはだめですよ。だって、有収率だけだって変わっているんだから見直しすべきなんですよ。見直ししなかったらおかしいじゃないですか、実態と合わないんですから。それは統括局として水道局に申し入れるぐらいの重要な意味ですよ。だって、石原知事がこれを認める意見書を出すんでしょう。その根拠の一つなんでしょう。知事が恥をかくだけですよ。局長、どうですか、これ。ちゃんと水道局に都市整備局として申し入れたらどうですか。

○野本都市づくり政策部長 先ほど説明しましたように、地下水につきましても、地盤沈下の問題あるいはトリクロロエチレンとかというそういうふうな水質の問題がございます。それから雑用水については、やはりなかなか安定した量が確保できない、それから臭気や色、コストの問題もある。それから漏水率などにしましても、安定した給水の確保というような、総合的に考えますと今いったようないろいろ原因がございますので、こうしたものを当てにするということは難しいと思います。

○植木委員 もう何年も前から同じことをいっているんですよ。検証したらどうですか。有収率だけだって単純に見れば違うんですから。だって、今の見直しは二〇〇三年度予測でしょう。その予測の前提というのは、その二年前の資料で使っているわけですよ。二〇〇三年ということは、それより二年前、平成十三年、もうかれこれ八年か九年たっている。それで見直しもしないで、同じ答弁繰り返している。地下水の地盤沈下だって変わってきていますよ、減っていますよ。そういう資料を出してくる必要があると思うんですね。やっぱり、公共事業を一度始めたら、やり直すという立場になかなか立たない。立った上でなおかつ必要だと主張されるなら、またそれは新たな話し合いができるんです。何にも調査もしない、見直しもしない、これで進めろ、認めろといったってどうやって認めるんですか。
 この問題でもいっぱいありますけれども、水道局の関係もありますのでこの程度にしまして、財政問題。
 先ほどは四千六百億円、二倍に引き上がって、管理経費は十八億の余裕の中で見ますよ、こういうお話でした。実は、前回の計画を立てたときも縮減するといっていたんですよ。もっと大きい額でいっていたような気がするんですけれども、前回の縮減の到達点というのは今の時点でどうなっているんでしょうか、わかるでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 コスト縮減協議会のコスト縮減の成果のことかと思いますけれども、それについては三カ年で十五億円となっております。

○植木委員 四千六百億のわずか十五億円ですよ。そのほかに、先ほど資料にありますように、水源地域整備事業、基金事業、あるわけですね。管理費ももちろんありますし。それから、減電補償について、この四千六百億の中に入っているということだったんですけれども、その中身は説明がありませんでした。この減電補償の考え方と、将来にわたってこの金額というのは変わらないんでしょうか。お示しください。

○野本都市づくり政策部長 国交省によりますと、減電補償費は総事業費四千六百億円に含まれているとのことです。個別の企業に対する補償額であるため、その詳細は明らかにされていないということでございます。

○植木委員 減電補償というのは、正確には今いえないというのは、変わる可能性があるんですよ。これは電力の、ダムの方で一部使うわけですから。だからいえないわけじゃないですか。これが、補償費が膨れ上がったら四千六百億のフレームそのものが崩れていくわけでしょう。これは財政問題からいってもいろいろ疑問があるんですね。
 そこで事業評価委員会の資料を見ましたら、現時点で総事業費を変更する必要はないと考えていますと。この現時点でというのはどういう意味なんでしょうか、教えていただけますか。

○野本都市づくり政策部長 今回、工期変更をするに際しまして、工期の変更だけでなくて事業費についての心配をなさる向きも多いということで、そこで改めて事業費について計算したところ、ふえる部分とそれからコスト縮減と両方合わせると、今のところ十八億円のゆとりがあるということで事業費をふやす必要がないということでございます。

○植木委員 五年間でわずか十八億でしょう。先ほど詳細なことは出なかったけれども、そのとおりだとしても管理費だけで消えるわけでしょう。減電補償費--それから群馬県ではこういうこともいわれていますよ。ダムサイトの岩盤補強工事、当然ダムの位置が少し変わったわけですね。調査は、事前の調査はやっているけれども、これは実施するときにもう一回精密な調査をやるはずだと思うんですよ。そういうダムサイトの岩盤補強工事、貯水池周辺の地すべり防止対策など。こういうものが、増額、避けられないんじゃないかという論議が群馬県議会ではされているんですよ。
 そういう意味で、四千六百億、変わらないよといっても僕は余り信用できないなと思うんですよ。というのは、わずか三年前の二〇〇四年度だって出して、あのときもこういっているんですよ。六都県つまり一都五県による合同調査チームで、平成二十二年度の完成ということが利水者や八ッ場ダムへの参画を判断する一つの材料となっており、予定年度における完成を強く要望したい、完成がおくれた場合はダム完成時点でダム参加が不要になっていることも予想されているため、こういうふうにいって、工期、もうこれ以上延びないですねと、二〇〇四年でも六都県でいっているんですよ。わずか三年で変わっているわけでしょう。これで、いや四千六百億変わりませんよ、工期も五年で間違いないですよと、だれも信用できないんじゃないですかね。(「どうすればいいの」と呼ぶ者あり)やめればいいんですよ。やめればいいんですよ。
 いずれにしても、公共事業、一度とにかく走り出したら、見直しをする機関あるいは見直しをする立場に立つ人が、行政の中にいないということですね。統括である都市整備局が本来それに当たるんじゃないかなと思うんですけれども。その上で、どうしてもまたやりますよという資料を提供してくれるなら、また論議があると思うんです。そういうのがなくて、とにかく国がこういうことを示してきたからやりますよというふうにいって、せいぜい石原知事が、さらなる工期の延長がないように万全を期すこと、事業費の増額がないように徹底したコスト縮減に取り組むこと、こういう程度で、三年前がまた繰り返される、こういうことは見直しをすべきだということを重ねて強調したいというふうに思っています。
 もう一つの問題ですが、多摩モノレールについて質疑をします。
 これも公共事業のあり方の一つだろうと思うんですけれども、私どもは多摩モノレールは賛成をしてきました。ただ、事業の内容については当然厳しく、またその時々物をいうというのは、これは議会人として当然のこととして思っております。いろんなところでもう出ましたので幾つも幾つも質問をするつもりはありませんが、現在の収支見通しや、それからいろいろその都度見直しが行われてきたと思うんですけれども、どういう見直しが行われてきたのか、また事業費はどういうふうに推移をしてきたのか、お示しいただきたいというふうに思います。

○升都市基盤部長 まず第一点目の収支の見込みでございます。軌道法の特許申請を昭和六十二年に行っておりますが、そのときに収支の見込みを作成してございます。また、平成十年度に運賃認可申請を行ったときにも、やはり収支の見込みというものを出してございます。また、平成十一年に経営支援を受けるときも、収支の見込みを見直してまいりました。都合三回出しているということでございます。
 それから事業費につきましては、これはインフラ外、会社が行うインフラ外の事業費でございますが、軌道法の特許申請時に出してございます。
 その後、最終的には運賃認可申請時に、平成十年になりますが変更してございます。現在約千二百六十億円ということで、運賃認可申請時に事業費を出してございます。

○植木委員 六十二年、十年、十一年という見直しをやってきた、十一年に経営安定化策が出された。現在二十年になってきているわけですけれども、資金ショートに陥ることを避けるための措置として今回の提案が出されている。本会議でも、きょうも質問ありましたし、細かいことはちょっと省略いたしますけれども、十一年のときの安定化策が、これは十年たっているからということはあるかもしれませんけれども、何で十年の段階でこのことが見通しできなかったのか。もちろん初期投資の問題は最初からずっとあっただろうと思うんですよ。それから財政見通し、黒字転換などの時期、こういうのが実際と違ってきている。そして結局、追加出資あるいは貸し付けを行ってきた。非常に見通しが、分析が甘かったのか。あるいは、議会に情報提供が不十分だったのか。その辺はどのように反省しておられるでしょうか。

○升都市基盤部長 平成十一年度の経営支援策におきましては、会社が当期黒字を達成するまでの間、向こう十年間の資金的な支援を行うということで支援を行ったわけでございます。その後の運転資金の不足というものも予想しておったわけですが、その場合、民間金融機関からの融資で対応するという計画でございました。
 その後、金融庁の金融機関等に対する審査の厳格化が進みまして、会社が融資を受けることが困難となった関係で平成二十年度に資金ショートが発生するということが確実になったため、今回、抜本的な経営支援策を実施するということで議会にお諮りをしているところでございます。
 この中で、お話がございましたように、車両基地用地取得に伴う負担軽減を図るということでお願いしているところでございます。

○植木委員 そういう状況はあるにしても、今回も巨額ですよね。もっと早く計画的にできないのかという思いは、私あるんですよ。
 それから、細かいこと、いろいろあるんでしょうけれども、例えば、単年度では財政フレーム黒字になりましたよ、黒字になりましたよと。それは皆さんの努力で黒字になったということをいうのはいいんだけれども、それは減価償却前と減価償却後と、私がもらった資料は減価償却前だけの資料しかいただけないんですが、これはどういうふうに違ってきているのか。もし減価償却後で見たら、現時点の毎年毎年は多分マイナスだろうと思うんですけれども、その状況についてお示しいただきたいというふうに思います。

○升都市基盤部長 まず、現在の営業収支でございますが、減価償却後の営業収支におきまして、平成十六年度から黒字になってございます。それから、減価償却前、これは経常収支の方になりますが、キャッシュ・フロー等を考える上での経常収支につきましては、平成十三年度から、減価償却前ということでございますが、黒字になっているところでございます。

○植木委員 減価償却というのは、長い間の、一時的負担が起きないように、そして将来の新たな事業展開に、あるいは更新も含めて出費を抑えていくという意味合いがあるわけですから、やはりここのところで財政フレームをきちっと見ていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
 いずれにしても、この第三セクターというのは、これまでもいろんなところで社会的に破綻をしたり、地方に行きますと悲惨な状況をつくり出したりする例がたくさんあります。東京都はそうはいっても財政規模が大きいし、ここのところの財政状況というのは巨額な税収増があるということもあるからこれはできることなんですけれども、やっぱり三セクの経営については非常に慎重に、なおかつ行政としての支援のあり方、もちろん経営者としての改善の方向性、こういうものをしっかりと生かしていく必要があると思うんです。自治省では、この第三セクターに対する指針が出されているはずだと思うんですけれども、特にこういう問題についてどのように指針を受けとめ、どのように生かしていくつもりでしょうか。

○升都市基盤部長 お話のありました自治省の基準でございますが、これは平成十一年五月に、旧自治省から第三セクターに関する指針が都道府県、政令指定都市に示されてございます。
 この中では、第三セクターの経営悪化時の対応といたしまして、累積赤字の増加や改善の見込みのない債務超過などにより経営が深刻化していると判断される場合には、経営悪化の原因を検証し、経営努力の方策を講じ、あるいは抜本的な経営の改善策を検討すべきというふうにされているところでございます。
 一方、多摩都市モノレールにつきましては、乗客数も着実に増加しており、既に先ほども申し上げましたが営業黒字を達成しております。しかし、多額の初期投資に伴う借入金により資金的に厳しい状況になっているものでございます。
 先ほども申し上げましたが、当初、資金不足については金融機関から融資を受ける予定でございましたが、金融庁の審査の厳格化により融資を受けることが困難になっているということから、会社の経営の改善のため、将来の資金収支の安定化を中心に経営の改善を行うということでございます。

○植木委員 努力はされているということなんですが、いずれにしても金額の大きい都の支援策になるわけですから、今後も、そういう点では特に都民、都議会に情報を早く早く提供していただいて、そして問題が大きくなる前に改善を図れるように努力をしていただきたいというふうに思うんです。
 それで、私どもは、日本共産党は、この多摩モノレールの議案についてはこれまでも賛成してきましたが、本来のあり方だとか経営の安定の面あるいは税金の使い方、住民サービスのあり方など、問題点があれば厳しく指摘をしていくという点では、これまでもしてきましたけれども、今後もしっかりと見きわめていかなければならないという思いでおります。
 そういう意味で、きょうは三つ、公共事業についてお話ししてきましたけれども、それぞれが非常に金額の大きいものです。立ちどまるときに立ちどまって、是正するときには思い切った是正措置をとる、こういうことを私は、局にそして東京都に強く求めていきたいということを指摘いたしまして、私の質問を終わりにします。

○きたしろ委員 私も、公共事業に対して質問をさせていただきたいと思います。
 公共事業とか都市計画事業決定ということになったら、その受けた人たちの反応というのはさまざまあると思います。私の地元の港区においては現在、環状二号線都市計画道路の事業がようやくスタートする段になりました。しかし、こういう都市計画道路の事業にしても、やはり長い歴史があるわけです。賛成する方も反対する方も、そういう人たちの思いを、やはりそれぞれ皆さん方こういう計画決定に携わる人たちが、その決定を受けて所有権、自分の私有権の制限を受ける人たちのそういう思いをいつも持っていてもらいたいなというふうに思っているわけです。
 だから、そういう意味では、環状二号線の事業がようやくスタートしたということに関しては、それはそれで一日も早く完成をしてもらいたいなと。そして、そこで生活をしている人たちのことも十分に配慮して、生活の再建のために努力をしていただきたいな、そういうふうに思っているわけです。そういう意味では、この地元の方々の気持ちを無にするようなことがあってはならないし、環状二号線の方では、今、地域の人たち、協力してくれている人たちに対して生活再建ができるように最大限の努力をしてもらっているところです。
 この構図というのは、場所は違うしちょっと内容は違うけれども、八ッ場ダムにおいても同じだと私は思うんです。現地で生活する人々の生活再建にできる限りの配慮をする必要があると思っております。そういった意味で、まず最初に東京都に対して、生活再建について、このことを国に対して強く要望していただきたいということを申し入れておきたいと思います。
 もう時間も時間ですから、協力いただいている方もいらっしゃいますので、端的に質問をさせていただきますので、的確にお答えをいただきたいと思います。
 まず、八ッ場ダム建設事業は昭和四十二年に事業着手となっているところです。先ほどもいいましたように、多くの反対の方々もいらっしゃったでしょう。しかし現実には、今、事業がスタートするようになっているわけです。現在、地元の町や住民の理解のもとで工事が進められていると聞いておりますけれども、現時点における事業の進捗状況についてお伺いをいたします。

○野本都市づくり政策部長 八ッ場ダム建設事業の進捗状況でございますけれども、国によりますと、平成十九年三月末時点における進捗率は事業費ベースで約五五%とのことでございます。
 まず、ダム事業に必要な用地の取得につきましては、地権者との用地補償基準について平成十七年にすべて妥結しまして、取得予定面積に対しまして約七割の買収が完了してございます。
 次に、基盤整備としましては、JR吾妻線のつけかえ工事は八割強の進捗でございまして、既に完成したトンネルもあり、また国道一四五号線のつけかえ工事は五割以上進捗しております。
 また、家屋が移転するための代替地につきましては、昨年六月から第一期の分譲手続が開始されまして、現在五地区で整備中でございます。
 以上のことから、現地における全般の状況としては相当程度の進捗が見られていると認識しております。

○きたしろ委員 進捗が進んでいるということでございますので、それをますますスピードアップするようにぜひお願いをしておきたいと思います。
 そして、今回、工期延長ということが出てまいりました。現地の工事関係はある程度の進捗を見せているのですけれども、残念ながらここへ来て工期の延長が必要になったということですが、この工期延長の理由を聞かせていただきたいと思います。

○野本都市づくり政策部長 工期延長の理由でございますが、国は、代替地計画やダム本体施工時間帯等を見直したことによりまして事業工期を五年延長し、平成二十七年度末に変更することにしております。
 具体的には、代替地分譲基準の妥結に予想以上の時間を要したということと、移転者の意向を最大限尊重した結果、代替地への移転家屋数が大幅に変動しまして代替地の計画を見直したことから、三年のおくれが生じました。また、この代替地計画の見直しに伴いまして、つけかえの道路計画、鉄道の構造変更、例えば新たにトンネルが必要になることなどもありまして、一年のおくれが生じています。さらに、居住者の生活に配慮しまして、夜間、土日、祝日の作業を行わないことにしまして、一年間の延伸が必要となっています。
 これらによりまして、五年間の延長が必要になっているわけでございます。

○きたしろ委員 こういう事業をやるときには、人様の土地、人様の住居を移動させるんですから、ある程度相手があることですから、これだけの時間でということはなかなか簡単にはいかないと思うんです、予定どおりには。しかし、そういう中で、今まで五五とか七〇とかそういうような進捗率を見せているということなので、ぜひそれは努力をしてもらうように国に対して強く要望してもらいたいと思います。
 そして、今、水と安全はただであるというのは、昔こういう日本人がいましたけれども、今はそういう時期ではなくなった。今、新藤先生に聞いてみると、十年ぐらい前のことですか、東京都でも渇水の危機があって、水道の給水制限をしなきゃいけないような時期になったということをお聞きしたわけです。そのときにはタイ米と日本のお米を混ぜて売ったというような時期だったらしいんですけれども、私は残念ながらそのことは知らないんです。(「知ってるはずだよ」と呼ぶ者あり)まあ、いいじゃない。
 そして、今こういう時期に、ダムの需要予測を見直すべきあるいは事業評価を行うべきといった意見をいう人がいるんですけれども、これについてはどう考えているのか、お伺いをいたします。

○野本都市づくり政策部長 水道の需要予測につきましては、先ほど申しましたけれども、今議会、本会議の中で水道局長が、長期的な将来を見据えて平成十五年に行ったものであり、現時点で基礎指標に大きな変化はなく、また予測の基礎となる一日の平均使用水量は実績との間に大きな乖離は認められないことから、予測を見直す必要はないと判断していると答弁しているとおりでございます。見直す必要はないと考えております。
 それから、事業評価でございますけれども、これについては平成十九年十二月、昨年の暮れですけれども、国交省によって実施されておりまして、キャサリン台風並みの大雨に対する洪水被害が軽減されるなどの効果があることから、事業の必要性に変わりはなく、事業の継続が妥当と判断されております。
 これらのことから、事業実施の妥当性は既に検証されており、現段階で改めて事業評価を行う必要はないと考えております。

○きたしろ委員 私も、先ほども申し上げましたけれども、交渉する相手がいるときにはそれなりに時間はかかるというふうに思っているんです。ただ、こういうことを計画発表した以上は、その実現のためにまさに努力をしてもらわなきゃいけないというふうに思っているわけです。そしてまた、ここまで進んだ事業を今からやめるべきだという、撤退をすべきだという人が、質問もありましたけれども、今まで投下した資本はどれぐらいあるんですか。

○野本都市づくり政策部長 八ッ場ダムにつきましては、都は既に四百二十四億円を負担しておりまして、仮に撤退した場合は、莫大な額を何の見返りもなしに支出することになる、このように考えております。

○きたしろ委員 やっぱり八ッ場ダムというのは利水であり、治水であり、東京都にとっては非常に大切な事業だと私は考えているんですよ。こういうことに関して、四百二十四億円というと、今いろいろ問題になっているような数字と同じ額なんですよ。それが見返りとして何もなしにそのまま、いいじゃない、撤退しちゃえというような意見には私は到底賛成はできないわけですよ。現実の問題として、先ほどもいいましたけれども、水と安全はただじゃないんです。今はもう水は、本当に必要なんです。ガソリン一リットル当たりと同じぐらいの値段でみんな水道を買っているじゃないですか。そういうことを考えると、水道の蛇口からいつも水が出るようにやるべきだと私は思っているんです。
 そういうことで、今回の基本計画変更に関して、あえて、変更後、工期の厳守と事業費の増額がないようにと二つの意見を付した上で、やむを得ないものとして同意するとの意見となっております。都は、この意見にどのような思いを込めているのか、局長の決意をお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 先ほど来、三人の委員の皆様から八ッ場ダムにつきましていろんな論点からの議論がございました。八ッ場ダムにつきましては、先般の予算特別委員会の場におきましても、知事、東京都の最高責任者であります知事みずから答弁をいたしまして、水源の確保は一朝一夕にはなし得ない、長期的視点で、将来を見据えて、首都東京の水の安定供給を確保していくことが重要とした上で、八ッ場ダムにつきましては、将来の水需要や渇水に対する安全性などを総合的に検証した上で、必要不可欠ということで明確に答弁をいたしております。
 その上で、今回の工期延長でございますが、先ほども部長からも答弁いたしましたように、地元の移転者の意向を最大限に尊重して、代替地の計画やあるいはダム本体の施工時間帯を見直すことで、五年間延長したものでございます。都といたしましては、これによりましてダムの必要性、重要性には何ら変更がないというふうに考えてございます。
 ただ、都といたしましては、さらなる工期延長がないよう万全を期すこと、また事業費の増額がないよう徹底したコスト縮減に取り組むことにつきまして、こういう意見を付しまして国に対する強い姿勢を示したものでございます。
 都といたしましては、この八ッ場ダム事業が多くの地元の方々の理解と協力の中で進められておりますことから、今後とも水源県であります群馬県並びに国とも連携しまして、現地の地域振興、生活再建などの諸施策が適切に行われ、早期にダムが完成しますよう努めてまいります。

○きたしろ委員 八ッ場ダムは首都東京の治水、利水にとって重要な施設であり、これ以上おくれることなく間違いなく竣工させるように国に対して強く要望することをお願いして、私の質問を終わります。

○村上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○村上委員長 次に、議員提出議案第一号を議題といたします。
 本案について、提出者の説明を求めます。

○河野委員 日本共産党都議団が提出した議員提出第一号議案、東京都生活応援家賃助成に関する条例案についての提案理由を説明させていただきます。
 本条例案は、低所得の都民の生活支援のために、生活費の中でも特に負担が重い家賃について助成を行うものです。
 所得格差の拡大と貧困化が社会問題になっています。働きたくても仕事がない、就職できたとしても低収入の不安定雇用の仕事しかない、また、年金、介護、医療など社会保障の負担増と、相次ぐ庶民増税で、青年層から高齢者まで全世代が生活難に直面しています。
 昨年九月の国税庁の民間給与実態調査では、年収二百万以下の給与所得者が二十一年ぶりに一千万人を超えて一千二十二万八千人になりました。懸命に働いても、収入が生活保護水準に達しないワーキングプアと呼ばれる人たちが増大しています。家賃を払うお金が捻出できず、二十四時間営業、低料金のインターネットカフェに寝泊まりするいわゆるネットカフェ難民といわれるような住宅喪失者が、二十三区内だけで二千人も存在することが、厚生労働省の調査で明らかになりました。
 この間、都民の都営住宅への入居要望は年を追うごとに切実になっていますが、その願いも遠のくばかりです。石原知事が就任した一九九九年には都営住宅の空き家応募平均倍率は十一・六倍でしたが、二〇〇六年は五十五・一倍と、わずか七年で五倍も厳しさを増したのです。格差社会の矛盾が都民を苦しめている今こそ、暮らしを支える都の具体的な施策が待ち望まれています。
 都内区市町村では、高齢者、障害者、ひとり親家庭、子育てファミリー向けなどの家貸助成制度が実施されていますが、すべての年齢層を視野に入れた家賃助成制度はいまだ存在せず、都政の喫緊の課題となっています。
 日本経団連の二〇〇三年の提言は、国際的に見ても、住宅関係予算総額のGDPに占める比率はイギリスが一・四八%、フランスが〇・七〇%、アメリカが〇・三四%、ドイツが〇・二二%なのに対して我が国は〇・一八%と低いことを指摘し、国際比較の観点からも、住宅政策を重点分野の一つとしてその充実強化を図るべきとしています。
 イギリスの現在の住宅政策の柱は住宅手当で、権利として保障されており、総世帯数の約一六%に支給。フランスでは、一九七〇年代に政策を住宅手当に大幅にシフトし、総世帯数の約二六%に支給されています。これに対し、日本では、民間借家に居住する世帯に対する補助がほとんどなく、民間借家のストック数が多いことを考慮すると、著しく住宅予算の配分が小さいことが問題になっています。欧米各国の住宅政策が家賃補助や住宅手当に重点を置いているのに比較すると、日本の国の住宅政策の貧しさが浮き彫りになってきます。
 政府の社会資本整備審議会二〇〇五年答申も、民間住宅を活用した家賃補助が効率性の高い政策手段であるとして、具体的な検討を進めることが必要と述べています。
 石原知事は、しばしば、国に先駆けて東京から改革を進めると発言していますが、それならば、住宅政策についても、貧困と格差が最も深刻な東京において都民の住宅難と生活苦を改善する立場から、国に先駆けて家賃助成制度創設に踏み出すときに至っているのではないでしょうか。
 提案した条例案は、公営住宅、公社住宅、都市再生機構などを除く、民間賃貸住宅に居住している生活保護受給水準の世帯を対象にし、ひとり暮らし世帯には月額一万円、年額十二万円、二人以上世帯には月額一万五千円、年額十八万円を助成するものです。対象世帯数は約三十万世帯、所要額は平年度で四百八十億円の見込み、条例公布の日から一年以内に実施し、期間限定のない制度を創設します。
 雇用破壊、原油高騰、増税、社会保障の切り下げなどに苦しむ都民生活に安心感をもたらす上でも、本条例案は各会派の皆様のご賛同をいただけるものと思います。全会一致のご賛同を心からお願いして、提案理由の説明といたします。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○村上委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十分散会

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