都市整備委員会速記録第十六号

平成十九年十一月六日(火曜日)
第六委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十三名
委員長村上 英子君
副委員長吉倉 正美君
副委員長大塚たかあき君
理事きたしろ勝彦君
理事松下 玲子君
理事新藤 義彦君
鈴木 章浩君
河野百合恵君
高橋 信博君
泉谷つよし君
植木こうじ君
立石 晴康君
藤井  一君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市整備局局長只腰 憲久君
次長泉本 和秀君
技監福島 七郎君
理事河島  均君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長野本 孝三君
住宅政策推進部長松村 光庸君
都市基盤部長升 貴三男君
市街地整備部長宮村 光雄君
市街地建築部長金子 敏夫君
都営住宅経営部長小林 計代君
企画担当部長村尾 公一君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
外かく環状道路担当部長遠藤 正宏君
民間開発担当部長座間  充君
多摩ニュータウン事業担当部長今井  光君
都市景観担当部長安井 順一君
建設推進担当部長山室 善博君
参事中山 正雄君
参事瀧本 裕之君
参事宇多田裕久君
参事庄司 貞夫君
参事小澤  弘君
参事並木 勝市君
参事清水 文夫君
参事荒川 達夫君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
事務事業について(質疑)

○村上委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了解願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料についての理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 十月十六日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1の都内における住宅着工件数から、22の都営住宅における駐車場設置状況及び月額使用料までの二十二件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1の都内における住宅着工件数でございます。
 平成十九年六月から八月までの総数と前年同月比が記載してございます。
 二ページをお開き願います。二ページから三ページにかけまして、2の平成十八年度東京都の耐震診断・耐震改修助成実績を記載してございます。
 (1)では木造住宅、(2)ではマンションについて、地方公共団体ごとに耐震診断件数、耐震改修件数を記載してございます。
 四ページをお開き願います。四ページから六ページにかけまして、3の平成十八年度各区市町村の耐震診断・耐震改修助成実績を記載してございます。
 (1)では木造住宅、(2)ではマンションについて、地方公共団体ごとに耐震診断件数、耐震改修件数を記載してございます。
 七ページをお開き願います。4の都内の自動車保有台数の推移でございます。
 過去十年間の台数について記載してございます。
 八ページをお開き願います。5の世界主要都市における地下鉄の輸送状況でございます。
 世界主要都市ごとに、企業体名称、営業キロ、路線数、年間輸送人員を記載してございます。
 九ページをごらんください。6の主要環状道路の事業費及び進捗状況でございます。
 首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路、首都高速中央環状線の三環状道路について、それぞれ区間または路線名、延長、概算事業費と進捗状況を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。7の都市再生特別措置法、都市計画法、建築基準法の主な制度改正とその内容でございます。
 都市再生特別措置法、都市計画法、建築基準法の改正年月、主な内容について記載してございます。
 一二ページをお開き願います。一二ページから一五ページにかけまして、8の都市再生特別地区の指定区域概要を記載してございます。
 都市再生特別地区の指定地区ごとに、その概要を記載してございます。
 一六ページをお開き願います。9の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の件数・延べ床面積でございます。
 制度ごとに、地区数、区別状況、延べ床面積を記載してございます。
 下段注書きには、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
 一七ページをお開き願います。一七ページから一九ページにかけまして、10の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況を記載してございます。
 平成十九年三月末までに建築確認済みの高さ百メートル以上のビルにつきまして、竣工またはその予定日が平成十五年度から二十年度のものを、名称、高さ、延べ面積について、年度別に記載してございます。
 二〇ページから二一ページにかけまして、11の都市再生緊急整備地域指定後の高さ百メートル以上の大規模建築物の建設状況を記載してございます。
 (1)から(6)の各地域ごとに、名称、高さ、延べ面積、従前延べ面積を記載してございます。
 二二ページをお開き願います。12の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移でございます。
 千代田区、中央区、港区の都心三区、これに新宿区、渋谷区を加えました都心五区、二十三区の別に、過去十年間の業務床面積の推移を記載してございます。
 二三ページをごらんください。13の都営住宅・公社住宅・都民住宅等の建設実績でございます。
 過去十年間の建設実績を、新規、建てかえ別に記載してございます。
 二四ページをお開き願います。14の都内の最低居住水準未満・誘導居住水準以上の世帯の割合でございます。
 民間住宅、公共住宅の別に、最低居住水準未満の世帯の割合と誘導居住水準以上の世帯の割合を記載してございます。
 二五ページをごらんください。15の既設都営住宅のエレベーター設置状況でございます。
 既設都営住宅のエレベーター設置状況を、過去五年間について年度別に記載してございます。
 二六ページをお開き願います。16の公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
 公社住宅のエレベーター設置状況を、過去五年間について年度別に記載してございます。
 二七ページをごらんください。17の使用承継制度の厳格化実施状況でございます。
 都道府県と政令市ごとに措置状況を記載してございます。
 二八ページをお開き願います。18の都施行土地区画整理事業の地区別施行面積・総事業費・過去五年の事業費の推移でございます。
 会計区分ごとに、地区名、施行面積、総事業費及び各年度事業費について記載してございます。
 二九ページをごらんください。19の生産緑地地区面積の推移でございます。
 過去五年間の生産緑地地区面積について、都内計、区部、多摩部別に記載してございます。
 三〇ページをお開き願います。20の羽田空港のアクセス整備計画の概要でございます。
 これまでの実施内容と今後の予定について、鉄軌道、道路別に記載してございます。
 三一ページをごらんください。21の平成十九年度東京都木造住宅耐震化促進事業の耐震診断・耐震改修助成の申請状況でございます。
 地方公共団体ごとに、耐震診断件数、耐震改修件数を記載してございます。
 三二ページをお開き願います。22の都営住宅における駐車場設置状況及び月額使用料でございます。
 区部、市町部ごとに、団地数、駐車場設置団地数、駐車場設置率と一台当たり月額使用料について記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○村上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○きたしろ委員 帰り新参で初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
 まさに花と緑の環境に優しい東京、ガーデンシティー東京ということを目指して、私はこの二年間やってまいりました。それに関して、水と緑のまちづくりについてお伺いをいたします。
 地球温暖化問題がまさしく今、地球規模で取り組まなくてはならない最重要課題となっているわけです。東京の都市づくりにおいても、水と緑による環境負荷の少ない都市の実現がますます重要になってまいりました。
 私はこれまで一貫して、都市における水と緑の重要性を取り上げてきたところです。最近では東京都においても、緑について、グリーンロードネットワークを目指す百万本の街路樹整備や環境軸の形成、水辺については、運河のにぎわいを創出する運河ルネッサンス事業など、さまざまな取り組みが始まっているわけです。
 そこで、きょうは、水と緑による都市環境への取り組みに関連し、品川駅、田町駅周辺地域のまちづくりや公開空地の緑づくりについてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、品川駅、田町駅周辺地域のまちづくりについてでありますが、当地域は寺社の緑や運河などの水辺、東京湾の海風など環境資源に恵まれているため、これらを生かして、快適で、省エネルギー、省資源にすぐれた先進的な都市づくりが可能である地域であります。
 また、当地域は交通利便性が大変高いことに加えて、JR車両基地など、今後大規模な開発が見込まれている地区を有し、今後の発展が期待され、重要な新拠点に位置づけられています。
 このように重要な当地域について、都は、約六百三十ヘクタールの区域を対象にしたまちづくりガイドライン案をこの秋に公表したところです。今後は、このガイドラインにより、都市の環境負荷を軽減し、地球温暖化対策につながる環境モデル都市づくりなどに取り組もうとしているわけです。
 そこでお伺いをいたします。まず、ガイドラインにより、水と緑など環境に配慮したまちづくりにどう取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○野本都市づくり政策部長 品川駅、田町駅周辺地域では、現在策定を進めておりますまちづくりガイドラインに基づきまして、環境モデル都市づくりに取り組んでまいります。
 具体的には、まず、東京湾の海風を運河や道路などに沿って導く風の道を確保しまして、ヒートアイランド等を改善するため、例えば風の道の部分で、建物高さは五十メートル以下を基本とするほか、隣棟間隔を十分確保するなど、地区の特性に応じて開発を適切に誘導してまいります。
 次に、緑につきましては、既存緑地の保全、優先整備地区でまとまった緑地を確保することにより、地域全体のみどり率を、現況の約二割増加を目指してまいります。
 また、運河ルネッサンスと連携しまして、水上レストランなど魅力ある水辺空間を形成するほか、CO2削減に向けて、下水熱等再生可能エネルギーを活用するなど、環境に配慮した多様な取り組みを行ってまいります。

○きたしろ委員 ところで、まちづくりには地域住民や地権者など、関係者の理解と協力が不可欠であると思います。ガイドライン案の公表に合わせてパブリックコメントを実施したと聞いておりますけれども、どのような意見が寄せられたのか、お伺いをいたします。

○野本都市づくり政策部長 まちづくりガイドラインの案につきまして、九月十日から約二週間パブリックコメントを実施しまして、個人や法人から約六十件の意見をいただいております。
 いただいた意見の一例としまして、風の道の確保に賛成であり大規模開発の手法などと整合のとれた制度としてほしいなどといった意見、あるいは、運河を再生し水辺を生かしたまちづくりについて公民相互で検討すべきなどで、環境モデル都市づくりに関心を寄せた意見が多かったところでございます。
 いただいたパブリックコメントの意見結果は、各意見に対する都の対応方針とともに取りまとめ、公表するとともに、ガイドラインの運用に当たってはこれらの意見の趣旨を生かしてまいります。

○きたしろ委員 ぜひそういった意見を取り入れて、みんなでいいまちをつくっていってほしいというふうに思います。
 また、今回のガイドラインは環境モデル都市という新たな視点を盛り込むなど、先駆的な指針になったと評価できますけれども、大事なのはこのガイドラインの内容を着実に実現していくことだと私は思います。
 そこで、今後ガイドラインをどのように実現していくのか、お伺いをいたします。

○野本都市づくり政策部長 まず、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインを、今後正式決定を経まして、十一月末に公表しまして、来年一月から運用を開始する予定でございます。
 このガイドラインを着実に実現していくために、地域全体としては、地区計画や景観条例を活用し、風の道の確保、緑のネットワークの形成あるいは良好な景観形成を要請してまいります。
 また、JR車両基地などの優先整備地区では、計画段階から管理運営段階まで、基盤整備やまちづくりを一貫して計画、管理していくほか、都、区、土地所有者等関係者による協議会を設置しまして、環境モデル都市の中核的拠点としての整備に向け、適切に開発誘導してまいります。

○きたしろ委員 当地域の先駆的な取り組みは全国的にも注目されているものだと私は思います。私としては、このガイドラインの中で、環境モデル都市づくりをまちづくりの基本的な方向として掲げ、特に水と緑のネットワーク形成を重視したことは大変高く評価したいと思っております。
 ところで、これからの時代のキーワードは環境だと私は思っております。環境の中で最も重要な要素が、水と緑だと思います。私は常々、公園の中に東京という都市があることをイメージして、ガーデンシティー東京といったスローガンを示し、緑があふれ、魅力ある東京を目指していくことが大事だと思い、発言をしてきたところでございます。
 ガーデンシティー東京をつくるには、緑の数値的な目標だけでなく、いかに機会をとらえてネットワーク形成を誘導していくのかが重要ではないのか、そのように思っております。
 私がことし二月に予算特別委員会で行った、総合設計や再開発事業など大規模な開発における民間事業者の緑化促進に取り組むべきとの質問に対して、局からは、都市開発諸制度の見直し検討を進めていくとの答弁をいただいたわけです。これらの総合設計などの制度の見直しを進める中で、公開空地などを活用した緑が広がり、ネットワーク形成が進むと思っております。
 しかし、実態は、公開空地を緑という視点から見ると、例えば隣のビルとの境界壁の暗がりに植え込みが集中したり、隣接する歩道の街路樹と公開空地の樹木の枝と枝とが競合したり、せっかくの歩道状空地が隣接ビルの敷地の壁で行きどまりになっていたりというような、残念な例も見受けられます。そしてまた、再開発のエリアの中で、自分たちのビルだけのミニパークになっているようなところもあるというふうに私は感じています。
 公開空地相互の緑や街路樹などを上手にネットワーク化する工夫が必要なのではないか。そうすれば、ガーデンシティー東京にふさわしい緑の散歩道の実現の一歩となると私は思っております。
 まち全体の緑のネットワークを考えて、公開空地はこのようにしなさいというような行政の指導が体系立って実施されることが必要だと思いますけれども、そこで、お伺いをいたします。
 緑のネットワーク形成を効果的に進める公開空地への指導はどのように行っているのか、答弁をお願いします。

○升都市基盤部長 お話のように、緑豊かな魅力ある東京を目指していくためには、緑のネットワークの形成を誘導していくという視点は大変重要であると認識しております。
 このため、公開空地などにつきましても、既存の事例を調査、分析した上で、特に緑のネットワークや見通しなどの安全性などの配慮事項を柱とした、公開空地等のみどりづくり指針を本年五月に定めたところでございます。
 現在、総合設計や市街地再開発事業などに基づく公開空地などのうち、都の指導案件につきましては、この指針に基づき、六月から統一的に指導しておるところでございます。

○きたしろ委員 今の答弁の中で、六月から実際に指導を始めているということですけれども、きょうまでどのくらいの実績を上げているのか、また指導の効果について、具体的なところがあれば、ご説明をお願いいたします。

○升都市基盤部長 本指針の運用を開始いたしました六月一日から十月末日まで、指導した件数は六十三件でございます。この新しい指針におきまして適用範囲を明確に示したことから、相談の件数は従前よりも飛躍的にふえている状況にございます。
 指導の効果ですが、既にある公開空地に隣接して新たに総合設計が生じた場所で、敷地境界に沿ってフェンスを設置したり、行き来のできない植栽を行おうとしていたところを、指導によりまして相互に広場として往来できるような一体的な空間に改善させた事例などがございます。

○きたしろ委員 今の答弁にありましたように、着実な効果あるいはまた役割を果たしているように思われます。ぜひこれは効果的に指導をしていっていただきたいと思います。
 しかし、こういった大切な指針も、東京都だけのものと考えてはまずいなというふうにも思います。やはり二十三区等との協働ということが大事で、方向性について周知徹底することが必要だと思います。
 この点について、これまでどんなことをやってきたのか、これからどうするのか、二十三区との関係でお伺いをいたします。

○升都市基盤部長 本指針につきましては、総合設計や市街地再開発事業などで生まれる公開空地などのうち、都の指導案件について適用することとしていますが、緑のネットワークを一層図っていくためには、区や市との連携が重要であると考えております。
 今まで、区や市の緑化担当の窓口に指針の趣旨を説明し、協力を求めてきたところでございますが、今後はさらに範囲を広げまして、二十三区であれば特別区建築行政担当課長会、また市の建築行政担当課長会などにつきましても積極的に働きかけ、指針を準用してもらうよう協力をお願いしてまいります。

○きたしろ委員 こういうまちづくりというのは、東京都だけ、もちろん一万平米以上が東京都というふうになっておりますけれども、一万平米以下についても同じように総合設計等あるわけですよ。そういった意味で、二十三区あるいは市区町村と協力をして、一つの方向で、それこそ緑の都という形の東京をつくるためには、そういう協力がぜひ必要だと思っているんです。
 私自身も二年前、この委員会でも質問をさせていただきました。そして、昨年は環境・建設でも同じような視点で物事をいってきたわけですけれども、本日は、品川駅、田町駅周辺地域の環境モデル都市づくりや公開空地の緑づくりを取り上げてきましたが、これらは、私のこれまで一貫した水と緑への取り組みの成果でもあると、自分なりに自負はしているところです。
 これからも都、区市町村一丸となって、水と緑のネットワークによる豊かな都市環境、ガーデンシティー東京といったようなすばらしい東京をつくっていっていただきたい。それと同時に、事業局である都市整備あるいは環境、建設、そういう各局とも連携をして、一つの方向づけとして「十年後の東京」を目指して、緑の東京をぜひつくっていただきたいということを要望して、運営に協力しながら、これで質問を終わらせていただきます。

○大塚委員 それでは、私も緑のことになるわけですけれども、緑の創出について、民間事業者との関係という観点から、幾つかお伺いをしたいと思います。
 昨年十二月東京都が策定した「十年後の東京」では、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを今後十年間の目標の一つに掲げています。そして、東京を緑あふれる都市へと変えていくために、新たにサッカー場千五百面に相当する千ヘクタールの緑を生み出すとしております。
 緑は都市に潤いや安らぎを与えるだけでなく、今大変問題になっております、お話もありましたように、都市におけるヒートアイランド現象の緩和など、都市環境の向上効果が期待されております。
 千ヘクタールの緑の創出は、大気汚染の改善を目指し、東京都が積極果敢に取り組んだディーゼル車規制に続く、今後の大きなテーマだと思います。
 また、街路樹や公園整備など、東京都が直接緑化に取り組むことはもちろん重要なことですが、同時に都民や民間事業者などに対する緑化の働きかけが重要であり、特に民間事業者の努力や創意工夫に対し、行政が積極的に連携し、手を差し伸べる必要があると思います。そして、その結果、千ヘクタールの緑の創出が実現に近づくと思います。
 そこで、まず確認の意味で、都市づくりを担う都市整備局として、今述べた千ヘクタールの緑を生み出す緑化政策の中で、都市整備局が中心になって取り組む事項をお聞かせください。

○野本都市づくり政策部長 一千ヘクタールの緑は、都市公園の整備で三百ヘクタール、都内の全公立小中学校の校庭芝生化で三百ヘクタール、それから屋上、壁面、鉄道敷地、駐車場、その他あらゆる都市空間の緑化で四百ヘクタールにより創出してまいります。
 当局では、都市づくりを所管する立場から、今申し上げた三点目の、あらゆる都市空間の緑化において、民間事業者の自主的な取り組みの促進、それから都市づくり制度を活用した緑化の誘導策の検討、そして、景観や緑の連続性の向上などに配慮した公開空地等の緑づくりに取り組んでおるところでございます。

○大塚委員 今答弁にありました三つ目の取り組みということですが、その具体的な内容について、幾つかお伺いをいたします。
 まず、先ほどいったように民間事業者の自主的な取り組みの促進策ですが、これまで、民間事業者の緑化を促すために都はどのような取り組みを行ってきたか、お聞かせください。

○野本都市づくり政策部長 昨年十一月、知事及び建築家の安藤忠雄さん出席のもと、民間事業者二十六社のトップを招きまして都市の景観と緑に関する懇談会を開催し、また本年五月には、さらに七つの業界団体にも参加してもらいまして、緑化施策の重要性を確認しております。
 これを受け、二十六社からは、鉄道線路敷ののり面あるいは駐車場の緑化、事業予定地の暫定的な緑化などによりまして、約一・三ヘクタールの緑が新たに生み出されたとの報告を受けております。
 都では、こうした二十六社の取り組みを先導的な取り組みととらえておるところでございます。

○大塚委員 今お話がありました民間事業者二十六社、七業界団体ということで、緑化の促進に関して先導的な取り組みを進めてきたということですが、今後、この千ヘクタールの緑の創出を実現するのは、並大抵の努力ではないと思います。
 そこで、さらなる、二十六社からの新たな取り組みの協力、また東京都全体の中で中小の民間事業者に対しても取り組みのすそ野を広げていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 緑化機運を醸成し、緑化技術の普及を図るため、民間事業者の優良な緑化事例を局のホームページなどを活用して積極的にPRしてまいります。
 また、優良な緑化技術を有する造園業者あるいは発注を意図しているビルオーナー、都民などを一堂に会した緑化に関する展示会を企画し、先ほどの業界団体等を通じ、中小企業などへすそ野を広げてまいります。

○大塚委員 今具体的な中小企業の民間事業者への対応のお話を伺いました。都市づくりの制度を活用した緑化誘導策の検討をすると聞いておりますけれども、実は、私の学生時代からの知人で、トーセイ株式会社という港区の会社があるわけですが、そこの社長と先日お会いをし、東京都の緑化政策について意見交換をしました。
 先ほど答弁がありましたけれども、屋上、壁面、鉄道敷地、駐車場、その他あらゆる都市空間の緑化で合計四百ヘクタールの緑を創出するという東京都の方針に対し、その会社は、二〇〇六年六月、みずからの経営理念やその物件の資産価値を上げるため、原則保有するすべての物件に屋上緑化を実施するという会社の方針を発表しました。既存物件二十棟のほか、現在も新規物件五棟の合計二十五棟について、先ほど目標としております四百ヘクタールには遠く及びませんが、約千五百平米の屋上緑化を実施しているということです。
 このことについては多くの業界紙でも取り上げておりますけれども、そこで、お伺いをしますが、このような企業の自主的な緑化に対する努力をどのようにお考えか、お聞かせください。

○野本都市づくり政策部長 建物の屋上緑化は、先ほどの先生のご発言にもありましたけれども、ヒートアイランド現象の緩和や建物の断熱性能の向上につながるだけでなく、人々に潤いや安らぎを与える効果もありまして、大変有効な取り組みであると考えております。
 ご紹介いただいた事例のように、既存ビル、新築ビルを問わず、企業が自主的な緑化に取り組むことは都の施策にも合致しておりまして、今後さまざまな機会をとらえ、広く推奨してまいりたいと思います。

○大塚委員 このような自主的な事業者の緑化への積極的な取り組みについて評価をいただいたわけですけれども、今後はこうした屋上緑化に対する自主的な取り組みに加え、一層の緑化を促していくためには、都市開発の機会をとらえて、例えば今きたしろ理事からもお話があった総合設計制度、都市計画諸制度、緑化に対する容積ボーナスを与えるというようなことで、緑化が進んでいくと思います。
 答弁が重なるといけませんが、容積ボーナスを与えるという観点から、公開空地の評価など、もし重ならない答弁がございましたら、お答えいただきたいと思います。

○野本都市づくり政策部長 総合設計など都市開発諸制度を活用する開発において、割り増し容積の算定に際し、公開空地の緑化あるいは屋上緑化に対するめり張りをつけた評価の導入を検討していきます。
 また、建物の壁面や駐車場など、これまで評価してこなかった、すき間の緑化を評価することも検討してまいります。
 こうした評価とともに、公共空間と民地との緑のネットワークの形成などを図る観点から、公開空地等の緑づくりについても取り組んでまいります。

○大塚委員 最後に若干意見を述べて終わりますが、平成十五年ごろだったと思いますけれども、表参道ヒルズの工事期間中の建設現場で、地元商店街などからの要望を受けて、仮囲いに緑を配置し、そこに広告掲載を東京都が許可をして、その収入をもって緑化の費用あるいは維持管理に充てたと聞いております。工事期間中だけの取り組みでこういった--民間事業の創意工夫をさまざまな分野で引き出していくことが、あらゆる都市空間の緑化につながると考えます。
 また、平成十五年の私の予算委員会での質疑の中で、都市計画の重要性というものを当時の勝田局長に一問一答の形で行いました。人間の住む東京、働く東京、その都市計画のバランスと規制といったものが大事であるという質疑をいたしましたけれども、今後の十年の緑づくりにおいても、都市整備局が大変重要な役割を果たすと思います。
 そういったことから、民間の大手を筆頭に、先ほど述べたトーセイ株式会社の取り組みなど、連携をさらに深めて、都市整備局が都市計画諸制度を今後さらに積極的に検討していただくことを強く期待し、私の質問を終わります。

○吉倉委員 私は最初に、都営住宅の使用承継についてお伺いしたいと思います。
 ことし八月より、利用機会の公平性を確保する観点から、原則として名義人の配偶者のみとする使用承継の新しい制度が施行されております。
 この制度の施行に当たり、都議会公明党は、本人の努力や意思にかかわらず、いわゆる住宅困窮者に対して、特に例外規定を設け継続して居住の安定を図るべきであると主張してきたところであります。その意味で、現在都が設けている高齢者、障害者、病弱者の例外規定については高く評価をしております。
 その上で、第三回定例会の我が党代表質問の中でこの使用承継の問題を取り上げ、例外規定である高齢者、障害者、そして病弱者の取り扱いについては、形式だけではなく実情を踏まえる必要があると、都の積極的な対応を求めたところであります。
 新しい制度がスタートしたばかりですが、実情に即した対応を求める意味から、何点かお伺いしたいというふうに思います。
 この新しい使用承継制度につきましては、冒頭ご説明をいただきました資料、使用承継制度の厳格化実施状況に明らかでありますけれども、四月一日現在で、既に半数以上の都道府県で施行済み、または制度を改正して施行待ちとなっているということであります。
 そこで、改めて、都として今回制度の見直しを行った理由についてお伺いしたいというふうに思います。

○並木参事 都営住宅の入居は公募が原則でございまして、入居を希望する都民が多数いる中で、公募の例外である使用承継によって長年にわたり同一親族が居住し続けることを認めることは、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なうこととなります。
 このため、平成十七年十二月に出されました承継の厳格化を求める国の通知や昨年六月の都の住宅政策審議会の答申も踏まえまして、高齢者、障害者、病弱者など居住の安定を図る必要のある者に配慮しつつ、使用承継の範囲を原則として配偶者に限るということにしたものでございます。

○吉倉委員 都営住宅に入居できる人とできない人との不公平感をなくしていく、公平性を確保していくことは大変重要だというふうに考えております。その上で大事なことは、制度の運営に当たって、現実的にどう社会的弱者に対して配慮していくことができるかということだと思っております。
 そこで、例外規定の中の高齢者についてお聞きしたいと思います。
 居住の継続に配慮していくべき高齢者についてでありますけれども、実際には微妙なケースがあります。名義人である高齢の母親と娘二人の三人家族、娘二人は独身で、しかも高齢。長女は六十一歳、次女は五十八歳であります。この場合、仮に高齢の母親が亡くなった時点で長女が承継しようとしても、同居者である次女が六十歳に満たない場合、承継できないと聞いております。
 例外的に承継できるものとして高齢者世帯を認めるに当たり、同居者を含めて六十歳という年齢で高齢者を区切った意味はわかります。しかし、残された者が病弱者であった場合でも、六十歳に満たない者がいるということで承継の対象外となるのは、適当ではないと思うわけですけれども、このあたりいかがでしょうか。

○並木参事 例外規定の高齢者とは、名義人が死亡した時点で承継しようとする者が六十歳以上で、かつ同居人のいずれもが六十歳以上または十八歳未満である者でございます。
 ご質問の事例では、次女が六十歳未満ということでございますので年齢要件では例外規定に該当しませんが、病弱者に該当することが医師の診断書により証明される場合には、承継の対象となります。

○吉倉委員 わかりました。体に不安を抱える高齢者にとって、安心して住み続けられる生活基盤が保障されるかどうかは死活問題であります。年齢要件とともに、病弱者であるかどうかを踏まえ、実質的な対応をぜひお願いしたいというふうに思います。
 次に、例外規定の中の障害者の範囲についてお聞きしたいと思います。
 名義人の死亡などにより残された者が障害を持っている場合、例外規定として継続して居住することが認められております。しかし、例外として承継が認められる範囲は、愛の手帳所持者が一度、二度、また身体障害者手帳所持者が一級、二級であり、精神障害者保健福祉手帳所持者は一級のみとなっております。これは承継できる障害者の範囲を定めるに当たり準用された所得税法の特別障害者のとおりであり、客観性と公平性の点では納得できるわけであります。
 しかし、特別障害者に該当しない、例えば精神障害者二級の者でも、障害により病弱になっている者、あるいは退去させられると病気になるおそれが大きい者がいるというふうに思いますけれども、こういう者についても一切承継はできないのかどうか、この点いかがでしょうか。

○並木参事 例外として使用承継できる障害者の範囲につきましては、今先生ご説明のとおり、所得税法で定める特別障害者の規定を従来から準用してございますけれども、それに該当しない精神障害者二級でありましても、病弱者に該当することが医師の診断書により認められる場合には、やはり同様に承継の対象となります。
 なお、手帳を取得していなくても、特別障害に準ずるものとして区市町村長や福祉事務所長の認定を受けている場合には、特別障害者として承継の対象となります。

○吉倉委員 さらにお聞きしたいと思いますが、障害をお持ちの方の中には、いわゆる外見からではわからない内部障害や発達障害あるいは高次の脳機能障害の方もふえてきております。こうした外見からではわかりにくい障害をお持ちの方々について、例外規定には含まれるのかどうか、このあたりいかがでしょうか。

○並木参事 外見からは判断できない障害を持つ内部障害者でございましても、一定の級以上の障害者手帳を所持する場合や、先ほどお答えした区市町村長等による認定を受けている場合などで、所得税法上の特別障害者に該当する場合には、承継の対象となります。

○吉倉委員 ただいま例外規定の病弱者について、たびたび言及をいただきました。これは国の通知にもなく、他の道府県でも採用しているのはわずかであり、大変評価できるものというふうに考えております。
 そこで、改めて病弱者の定義についてお伺いしたいと思います。

○並木参事 病弱者の定義でございますが、例外的に使用承継の対象となる病弱者とは、承継しようとする者または同居者で、疾病により当該都営住宅に継続して居住しなければ生活の維持が困難であると認められる者でございます。
 具体的には、国及び都が指定する難病にかかっている者、原爆被爆者、公害病認定患者、そして、当該都営住宅に継続して居住しなければ生活の維持が困難であることが医師の診断書により証明された者等でございます。

○吉倉委員 わかりました。使用承継の見直しを適切に施行しながらも、居住の安定に配慮する必要のある方々のために設けられた例外規定の適用に当たっては、居住者の実情を踏まえて、きめ細かく対応していただくことをお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、都営住宅の建てかえと再編整備に伴う用地の活用についてお伺いしたいというふうに思います。
 都民の切実な要望にこたえて、今後、都営住宅は老朽化した住宅の建てかえを着実に推進するとともに、住宅セーフティーネットとしての機能を確保することが最も大切であります。
 そこでまず、都営住宅の建てかえとその用地の活用について、都の基本的な考え方をお聞きしたいというふうに思います。

○清水参事 都営住宅の建てかえと用地活用の基本的考え方についてでございますが、約二十六万戸ある都営住宅につきまして、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を維持するため、計画的な建てかえを実施することとしており、現在、昭和三十年代以前に建設された約二万五千戸を対象に、着実に建てかえを進めております。
 都営住宅は都民共有の貴重な財産であることから、その建てかえに当たっては、敷地の高度利用や住宅の集約化により生み出された用地を有効に活用して、地域の活力を高め、都市再生を推進することは重要と考えてございます。

○吉倉委員 わかりました。ことし三月に完成した南青山一丁目住宅は、PFI的な方式を活用し、都営住宅を初め、公共施設の整備や定期借地権を生かした民間プロジェクトの推進など、都心居住の新しい形として建設されたものであります。私は、この南青山一丁目の手法は、老朽化した都営住宅の建てかえや再編成ができること、また活性化できること、さらに周辺団地の集約により創出した土地の利活用により財政収入が見込めること、こういう点から高く評価をしております。
 また、東村山市の本町地区では、高品質で低廉な戸建て住宅の供給についての実証実験を行うなど、都心部や郊外部でさまざまな取り組みが行われております。
 そこで、東京都では、この二つの事業の成果についてどのように評価されているのか、お聞きしたいというふうに思います。

○清水参事 南青山一丁目地区では、都営住宅と民間施設等を一体的に整備し、都心居住を推進するとともに、保育園、図書館、高齢者グループホームなどの設置によりまして、少子高齢社会への対策や地域の活性化など、多様な視点からの都市再生を推進しております。
 また、東村山本町地区では、広くて質がよく、建築本体工事費が都内の平均単価より三割程度安い戸建て住宅を供給することによりまして、住宅市場に刺激を与え、市場の構造改革を促進するとともに、ゆとりのある美しい住宅市街地を目指す、多摩地域の郊外型モデルプロジェクトを実施しております。
 いずれのプロジェクトも、東京都の政策目的の実現とともに地域の活性化にも寄与するなど、整備の進展に伴って、所期の成果を発揮しつつあると認識してございます。

○吉倉委員 現在、ほかの地域でも、さまざまな政策目的に沿って、都営住宅の建てかえに伴う創出用地を活用した民間プロジェクトが進められております。地域特性やあるいは事業性の判断もあろうかと思いますが、今後も積極的に用地の活用は進めるべきであるというふうに考えております。見解をお伺いしたいと思います。

○清水参事 ただいまお答えさせていただきました南青山や東村山本町地区以外にも、現在、都営住宅の創出用地を活用した民間プロジェクトを推進中でございます。
 例えば港区の港南四丁目地区では、中堅所得層ファミリー世帯向け定期借地権つき分譲住宅の建設を、中央区の勝どき一丁目地区では、子育て世帯が安心して快適に暮らせるまちづくりなどを目的とした事業を実施しております。
 今後も、都営住宅の建てかえ事業の進捗に合わせまして、老朽化した都営住宅を更新するだけではなく、敷地の高度利用により創出した用地を有効に活用いたしまして、民間事業者の活力などを生かしながら、地域の活性化や防災性の向上など、都の政策目的の実現に向けた事業を推進してまいります。

○河野委員 私は、都営住宅の使用承継、建てかえ問題、それから区画整理事業、この問題についてお伺いをしてまいります。
 初めに、都営住宅の使用承継について伺います。
 国土交通省は、二〇〇五年十二月に、公営住宅法施行令改定と住宅局長通知を続けて出しています。現在、都営住宅居住者に大きな不安を与えている使用承継制度の変更は住宅局長通知によるものでありますが、公営住宅の事業主体である地方自治体にとって、施行令及び住宅局長通知はどのような法的な拘束力を持っているのか、まず伺います。

○並木参事 平成十七年十二月の国の通知は、公募が原則である公営住宅において、長年にわたり同一親族が居住し続け、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なっている実態が見られることから、承継の範囲を配偶者及び高齢者等、特に居住の安定を図る必要がある者に限定したものでございます。
 この通知は法的に各自治体を拘束するものではございませんが、実施については、適切な運用に特段の配慮が要請されているものでございます。
 ご指摘の施行令につきましては、政令ですので、当然法的拘束力がございます。

○河野委員 先ほども質問がありましたけれども、東京都はことしの八月二十五日から、使用承継を認めるのは、国土交通省の住宅局長通知に基づいて原則配偶者のみとし、そして特例として、承継しようとする者が六十歳以上、障害者は愛の手帳一、二度、身体障害者手帳一、二級、精神障害者保健福祉手帳一級、難病などの病弱者を認めるとしました。
 ことしの八月二十五日以降、名義人が亡くなってしまって、使用承継のこの基準に当てはまらずに困っているという家族が出ています。私たちのところにも相談が寄せられております。
 東京都が把握している、サービス公社などに寄せられている相談件数、そしてまた実際に承継できた件数、これはどのくらいの数を把握されていられるのか、お示しください。

○並木参事 施行後の状況ですが、現在手続中のものもございまして、状況は整理中でございます。
 なお、本年九月に使用承継を許可した件数は二百三十件余でございます。

○河野委員 二カ月で二百三十件で、それから相談件数はまだ掌握中ということで、私たちが問い合わせを受けているだけでも相当の数いらっしゃいますので、私自身のところにも昨日も相談が寄せられておりますが、かなりの数の方が困っている、あるいは悩んでいる。そういうところに、今、置かれているのではないかと思います。
 そこで、一つ伺っておきたいんですが、ある多摩地域の市では、親御さんが亡くなられて、残されたご家族に、東京都として、六カ月以内に住宅を出ますという誓約書を居住者に求めたと聞いています。親御さんが亡くなられたばかりの居住者に直ちに立ち退きの誓約書を求めるというのは、余りにも冷たい、そういうやり方なのではないでしょうか。
 まず、このような、人としての尊厳を踏みにじるようなやり方、都として直ちに改めていくべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。

○並木参事 お答えの前に、ただいま二カ月間というお話でしたけれども、九月の一カ月間の使用許可件数でございます。
 それから、ただいまのご質問の誓約書の件でございますけれども、名義人の死亡等の届けがあった場合に、名義人と同居していた親族が承継の許可基準に該当しない場合、あるいは承継を希望しない場合、そういった場合でありましても六カ月間は退去を猶予するように配慮してございます。その確認の意味で、対象者全員から期限を明記した誓約書を提出してもらっているものでございます。

○河野委員 私は、そういう親御さんを亡くされた方の置かれているつらい立場に立てば、こういう六カ月、来年三月までに出なさいよということで誓約書をとる、とられた方は念書というふうにも受けとめていると聞いていますけれども、そういうやり方については、きちんと温かい対応をしていただく、このことが必要ではないかと考えておりますので、改めて善処を求めておきたいと思います。
 具体的に申し上げますが、私が住んでいる江戸川区の都営住宅の居住者からも、何人か、この問題で相談が寄せられています。
 船堀地域の五十代の男性は名義人のお母さんを介護しています。九十歳近いお母さんはほぼ寝たきり。介護保険のケアサービスも使っていますが、息子さんが同居し介護してもらわなければ生活ができません。したがって、息子さんは働く時間がなるべく短い職場を選ぶ、そのために収入が少ない仕事にしかつけないという状態で、何とか生活を支えているわけです。お母さんの年金と合わせてようやく生活が成り立っている。もしこのご家庭で名義人のお母さんが亡くなると、この方は都営住宅を出なくてはならなくなります。蓄えもほとんどないのにどうしたらよいのかと、とても心配されています。
 このような切実な不安の声が本当に数多くあるわけなんですけれども、都はこうした居住者の生活実態を十分に調査、把握して、使用承継の基準を定めたのでしょうか。この点についてご説明ください。

○並木参事 ただいまの誓約書の件は、温かい配慮は当然ですが、なるべく早目にお知らせした方が、突然いわれるよりも本人のためということもありまして、そういう対応をしてございます。
 それから、生活実態の件でございますけれども、使用承継はあくまでも公募の原則の例外でございまして、配偶者のほか特に居住の安定を図る必要がある者に対して認めているものでございます。例外として許可する高齢者、障害者、病弱者の範囲につきましては、客観的かつ公平な基準で定めておりまして、この取り扱いは原則として一親等まで承継を認めていた改正前の例外規定と同様でございます。

○河野委員 なるべく早く教えてあげるのが温かいやり方ということですが、既に何回も「すまいのひろば」ではこのことは通知していますよね。居住している方は大体知っているわけです。ことしの「すまいのひろば」でも見ましたけれども、六月、八月、十月、続けて、東京都は「すまいのひろば」でこの使用承継制度が変わりましたということをどんどん知らせているわけですから、ここで改めて温かい配慮で誓約書をとるなんていうのは、ちょっと私は納得がいきませんので、もう少し心を大事にした対応を改めて求めておきたいですし、私はやはりこういう点では、調査の問題、もっともっときちんと調査して、使用承継の問題では都の努力が求められているのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 委員会の資料で、先ほどもありましたけれども、使用承継制度の厳格化実施状況を出していただきました。十月十八日の毎日新聞の夕刊の記事には、全国で二十の道府県が、国土交通省の住宅局通知が出た後も、公営住宅の親子間継承、つまり一親等まで認めると回答していることが紹介されています。
 今、四十七都道府県のうち二十三の道府県で、国土交通省の住宅局通知のとおりではなくて従前のままの制度を続けており、政令市では十七市のうちで、この表を見ましても、措置済みとなっているのはわずかに二市です。各自治体がこの問題では慎重な態度をとっていることがわかります。
 毎日新聞の記事では、特例の範囲は、例えば大阪府など十一府県は障害者手帳の交付者をすべて対象にしている。一方、十六都県は基準を定め、比較的軽度の障害者の特例を認めていない。東京都と岐阜は身体障害者が二級までと、より厳しい基準だと書いてあります。障害の基準以外にも、大阪府は年齢を東京都のように六十歳以上ではなくて五十歳以上と定めてありますし、母子、父子家庭や生活保護受給世帯にも承継を認めております。神奈川県は母子、父子世帯のほかに特別低所得の人にも承継を認めるとしています。
 こうした他府県の行っている、措置済みといわれているところでも、東京都の基準に比べると、かなり居住者の立場に立った配慮がされていると感じるんですけれども、東京都の基準は余りにも厳し過ぎる、このように感じておりますが、いかがでしょうか。

○並木参事 お答えの前に、ただいまの周知の件ですけれども、「すまいのひろば」で何回もやっているということですが、これは逆にPRが足らない、十分にやれというご指摘がございましてやっているものでございますので、その辺ご理解いただきたいと思います。
 それから、他県と比べた比較ですけれども、例外で承継を認める範囲につきましては、都は病弱者も対象としております。この病弱者を承継対象としている道府県は、承知している範囲では非常に少なく、都は厳しいとは一概にはいえないと考えてございます。
 また、国の通知では、配偶者以外の承継対象として、高齢者、障害者等、特に居住の安定を図る必要がある者としておりますが、各自治体においては応募倍率等の状況はさまざまで、それ等を踏まえて定めておりまして、単純な比較はできないものというふうに考えてございます。

○河野委員 都としては、八月二十五日実施に移したわけですから、そのようにお答えになるしかないのかもしれません。しかし、私たちも調べてみましたけれども北海道は三親等以内の親族に認めている。千葉県も同じです。それから千葉市、三親等以内というようなことが、全国を調べてみますと東京都の基準、参事がご答弁されているように配慮されているということではありますが、さらに配慮されているというのが、実際に今の段階では、調査の結果明らかになっています。
 そこで、もう一つ伺います。十月十日の毎日新聞の夕刊に、都営住宅の使用承継について、やはり記事が出ています。渋谷区笹塚の都営アパートに住む八十三歳の女性のことです。
 五十四歳の娘と二十五歳の孫が同居している。娘は糖尿病で、毎日インシュリンの注射をしながらスーパーのパートに出ている。孫は知的障害四度。娘のパート収入と母の年金で三人の生活はやっとの状態。娘さんの糖尿病治療費は月に二万円近くかかる。八十三歳のこの女性は、自分が死んだら年金収入もなくなり、使用承継の制度変更で都営住宅に残された人たちが住めなくなってしまう。このことをとても心配して、娘や孫はホームレスになれというのでしょうかと、切実に訴えておられます。
 国土交通省の住宅局長の通知は、最初に確認したように、もし通達どおりに実施しなくても問題はない、罰則の規定などはないわけです。国土交通省は、公営住宅の事業者がみずから基準等を定めるもの、との立場を明らかにしています。他の自治体に比べても厳し過ぎる、居住者の生活実態を反映していないと私たちが判断しているこの使用承継制度の基準について、本当に早急な見直しを私は求めたいと思いますが、東京都のお考えはいかがでしょうか。

○並木参事 使用承継の見直しにつきましては、これまでるる申し上げておりますとおり、都営住宅の利用機会の公平性を確保するために、公募の原則の例外であります使用承継の厳格化を図る必要があるということで行ったものでございます。
 見直しに当たっても種々の配慮をしてございますし、また、実施に当たってもさまざまな周知をして行ったものでございまして、今後とも適切に制度を運用していきたいというふうに考えてございます。

○河野委員 つい先ごろ厚生労働省が、社会問題となっておりますインターネットカフェなどに寝泊まりしているネットカフェ難民の実態調査を実施しています。全国で推計五千四百人のネットカフェ難民が存在し、そのうち東京は二千人が難民と呼ばれるような状態になっていることが発表されています。今回のような使用承継制度の厳格化という名のもとの制度がそのままにされれば、さらなる住宅難民をつくり出してしまうことになりかねないのではないでしょうか。
 ある政令市では、高齢の親の面倒を見てきた家族が親がいなくなったときに泣いてしまうような状態になる、そういう施策はどうしてもやる気になれないと、使用承継は従前のままで行っているそうであります。大都市であります愛知、兵庫、京都やほとんどの政令市でも実施に移してはおりません。他府県の例もよく調査して、病気や障害、生活難の中で頑張っている都民の立場に立って、使用承継制度のこうした都民を不安に陥れるようなやり方は撤回して、居住者、都民に安心をもたらすように、私はこの機会に局に強く努力を求めておきます。
 続きまして、都営住宅の建てかえ問題について伺います。
 都は昭和三十年代以前に建築の都営住宅二万五千戸、これを、年間三千戸を目標にして、建てかえ事業を行うとしています。都営住宅の建てかえは、いろいろ要望したいことがありますけれども、今回は型別供給の問題を中心に伺います。
 世帯人数に合った間取りで住宅を供給するという考え方そのものはそれとしてあると思います。しかし、都営住宅などの建てかえで行われている型別供給で問題になっているのは、専用面積がとても狭いということです。基準では単身世帯だと一DKで三十二平米となっています。DKとはダイニングキッチン、食堂と台所が一体の部屋だということだと思いますけれども、都が今一DKということで、DKという言葉を使ってイメージしているダイニングキッチン、その機能や間取りなどについてはどのような内容のものであるのか、イメージやその機能についてご説明を求めておきます。

○山室建設推進担当部長 建てかえで建設する住宅は、世帯人員に応じました最低居住水準を確保するとともに、バリアフリーにも配慮した規模にしておりまして、現行の一DKの食事室の面積についても適切と考えております。
 したがいまして、現在の間取りの中で住まい方を工夫しながら、お住まいいただければというふうに考えております。

○河野委員 そういうご答弁でありますが、実は私、あるひとり暮らしの、建てかえで型別供給という一DKのお部屋に入った方の高齢女性の部屋を見せていただきました。建てかえのときの説明では、ひとり暮らしだから一DKといわれた。大丈夫かなと思って実際に入居してみると、DKといわれる部屋はとてもダイニングキッチンと呼べるような使い方は無理だったと話しておられます。ダイニングキッチン、DKとされている板の間は実質三畳を欠けるくらいの面積です。食器戸棚、炊飯器やポットを置くあるいは電子レンジを置く台などが、この方はコンパクトな家具を選んでおられますが、いっぱいに壁のそばに配置されていました。
 それで、問題は冷蔵庫を置く場所がなかなか見つからないということで、結局考えたあげくガスレンジの前に置いたんですね。でも、そのすき間は、人が横になってやっと入れるスペースしか確保できなかったんです。
 写真も撮ってまいりましたけれども、私は思わず、この場所でてんぷら料理をつくる場合はどうしているのですかと聞いてしまいました。油が飛んできて怖いから、てんぷらは、ここへ移ってきて二年くらいたつけれども今まで一回しかしたことがありませんという答えでした。食卓セットを置けるような状態でもとてもありません。食堂と台所が一緒のスペースがDKという位置づけであるならば、この間取りではとてもDK、そういう呼び方をするようなスペースは確保されていないと考えますが、東京都はどのようにお感じですか。

○山室建設推進担当部長 一DKの食事室でございますが、一DKは主として一人世帯用に供給するものでございまして、この食事室には一般に市販されておりますテーブルや茶だんすを置くことを前提に設計しております。このため、繰り返しになりますが、現行の一DKの住戸規模は適切と考えておりまして、現在の間取りの中で住まい方を工夫しながら、お住まいいただければと考えております。
 なお、建てかえにより移転していただく場合につきましては、その住宅の間取り図を示すとともに、必要に応じまして、移転先の住宅の見学会等を行い、実際に現地で間取りの寸法などを見ていただいた上で、移転先を決めさせていただいております。

○河野委員 上手に使ってくださいよというようなご答弁なのかなと思います。移転に当たっては、確かに今お答えにあったように、選択の範囲というか、どうぞ見てください、だめなら別を選んでくださいということもあるようですけれども、この方も悩みながら苦渋の選択でこの一DKのお部屋に移られた経過があります。当時一緒に住んでいた団地の中には、ここはとても私の生活では無理だからということで断った方も相当数あると聞いておりますので、私は、今ご答弁いただきましたけれども、東京都の局長を初め幹部職員の皆さんが、一DK三十二平米のお部屋がどんなような住まわれ方をしているのか、現場に足を運んでいただきたいと思うんです。ぜひ見てみてください。
 続いて質問しますけれども、この方は、二年前まで住んでいた部屋は二DKの部屋でした。建てかえで転居することが余儀なくなって、それまで使っていた家財道具の大部分を処分せざるを得なくなりました。どうやって工夫しても仏壇を置く場所がない。そのために、この仏壇は息子さんの家に預かってもらっている、そういうお話もされていました。
 夜具は小さな自分用のソファーベッドを和室の六畳間に置いて、押し入れの収納スペースも一般の日本風の家屋よりも狭いつくりになっていますから、布団を一組だけ残して、あとは全部別の場所に預かってもらっているそうです。もし寝起きが大変になって、もう少し大きなベッドを置かなければならなくなったら、娘さんやお孫さんが泊まりに来ても、布団一組をベッドの下に並べて敷くことができない、そんな状態も話してくれました。お友達も一度に招ける人数はもう限られてしまったと、生活の不便を語っていたのです。
 都は型別供給といって、単身世帯は三十二平米、二人世帯は一DKか二Kで三十七平方メートル程度、三人世帯で二DKへの転居を求めています。
 建てかえの説明があった江戸川の東篠崎団地の居住者の話によれば、二DKといっても和室六畳、そして洋間となる板の間の部屋は五畳分ぐらいの広さで、小さな子どもと一緒の三人世帯なら何とかなるかもしれないけれども、大人三人が生活している場合は家族でどうやってこの二DKで住み分けをしたらよいのかこの先大変だと、とても悩んでいるという話でした。
 よく住まいは人権といわれています。東京都がこの間進めてきた型別供給のあり方は、人間としての生活を豊かに保障する立場に立っているかどうか、このことをとても疑問に今私は感じています。
 都は、こうした悩んでいる居住者の生活の実態、把握されておられるのかどうか、この点もお答えをいただきたいと思います。

○山室建設推進担当部長 建てかえに当たりましては、実際に事業を行います住宅建設事務所と連携をしまして、居住者の要望などにつきまして適切に把握しております。
 建てかえ後に供給する住戸につきましては、例えば一人用は一DKとするなど、世帯人員に応じた住宅規模を定めた、いわゆる型別供給実施基準に基づき実施しております。この基準の設定に当たりましては、都営住宅は都民共有のセーフティーネットであることから、最低居住水準を確保するとともにバリアフリーを考慮した面積としており、必要な機能は十分満たしているものと考えております。また、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫をしながら、適切な規模の住宅を供給しているところでございます。

○河野委員 最低居住水準一人当たり二十五平米ですか。これは三十二平米ですから確かに確保されているということにはなりますが、一DKというDKが、今いったような状態でとても台所の機能を備えるような事態になっていない。一DKがそうであれば、やはりひとり暮らしの人にも一LDK、こういうことを供給していく検討も必要じゃないかと思うんですよ。
 だから、二十五平米以上満たしているからといってそこで都民が十分に満足しているというご判断に立つのではなくて、強調しておりますが、やはり東京都の方々が、実際に型別供給で一DKや二Kなどの部屋に転居された場合にどんなふうなご不便が起こっているのか、そういうものも十分に調べていただいて、今、住みやすい住環境のためにさらに努力されていくというようなご趣旨の答弁もありましたので、そういう方向で改善方検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 今、都営住宅の応募状況、大変です。入居者、非常に高い倍率になっています。区部では、住宅供給公社のホームページを見ますと、ある区のある地区では六百倍とか五百倍、こういう地区があります。二百五十倍を超えている地区はざらにあるんですね。一般募集の平均倍率は、ことし五月は三十八倍、昨年の十一月では五十三倍に上っています。圧倒的に都営住宅の戸数が少ないということが現実であり、そのことが公平性の確保という理由づけで使用承継の厳格化や型別供給などの矛盾をつくり出している、そのように私は判断します。
 ことし八月二日、特別区の区議会議長会が、東京都に対して都営住宅建設整備計画の新たな策定を求める要望書を提出し、都営住宅、公営住宅の建設促進を求める異例の働きかけを行っています。
 公営住宅法第三条には、「地方公共団体は、常にその区域内の住宅事情に留意し、低額所得者の住宅不足を緩和するため必要があると認めるときは、公営住宅の供給を行わなければならない」と書かれています。この精神に立ち返って、新規建設に向けて再開していただくよう、直ちにそういう検討もしていただくようにこの機会に求めておきますし、きょうは質問いたしませんでしたけれども、低層都営住宅のエレベーター設置の促進、団地内への高齢者生活相談所の設置要望にこたえることや近傍同種の家賃制度の問題など、都民の都営住宅に対する要望は数々ありますから、居住者の安心と都民の住宅ニーズにこたえられるように、施策の充実に東京都都市整備局が力を注いでいただくことをお願いして、都営住宅に関する質問は終わらせていただきます。
 次に、区画整理事業についてお伺いをいたします。
 まず、江戸川区内で東京都が施行している瑞江駅西部地区、篠崎駅東部地区の区画整理の進捗状況と見通しについて、お伺いをいたします。
 この二つの地区は、事業が大変長期にわたっております。それぞれの地区の移転の執行状況、これについてお答えください。

○宮村市街地整備部長 瑞江駅西部地区及び篠崎駅東部地区は、ともに都営地下鉄新宿線の駅周辺の都市基盤施設の整備及び健全な市街地の造成を目的とした事業でございます。
 瑞江駅西部地区は施行面積が約三十ヘクタールで、平成十四年度から建物などの移転に着手しており、平成十九年度末の建物移転の進捗率は約三〇%となる予定でございます。
 また、篠崎駅東部地区は施行面積が瑞江駅西部地区の三分の二ほどで、一年早く建物移転に着手しており、同じく十九年度末の建物移転の進捗率は約六一%となる予定でございます。

○河野委員 今の二つの地区の中で、篠崎駅東部地区は移転棟数が瑞江駅西部地区に比べて半分以下、四百九十八ですか、そういう五百棟に満たない数です。一方で、瑞江西部は移転棟数千二十四棟、大変大きな、移転しなければならない建築物の数を抱えています。
 この瑞江駅西部地区の場合、今年度の事業が終わっても、先ほど今年度末で移転執行率三〇%ということですから、まだ七百棟以上が移転できないまま残されることになります。今年度は三十七億円の予算で瑞江駅西部地区九十四棟の移転が進むとなっていますけれども、仮に来年度から引き続いて年間平均百棟移転が行われるとしても、移転完了まで七年かかることになります。来年度、平成二十年度から七年かかるとすると、施行期間、平成二十五年末とされていますから、どう計算しても施行期間内に事業が終わらないことになります。
 区画整理事業の場合、施行期間内に事業が完了するというのは、建物の移転が終わるだけでなくて清算金の徴収、交付、こうした手続も完了しているという意味を持ちます。瑞江駅西部地区について、実際にどんな形でこの施行期間内に事業を完了させるという取り組みが進んでいくのか。施行期間内に終わらせると表明しておられる都の計画について、具体的にお伺いをしておきます。

○宮村市街地整備部長 瑞江駅西部地区につきましては、事業計画決定段階から換地設計の決定まで地元の合意形成に時間を要しましたが、移転工事に着手して以降は、事業は順調に進捗してきているというふうに認識しております。
 先ほどご質問にもございましたが、当地区の今年度予算は前年度の約一・二八倍の三十七億円ということでございます。今後とも適切な予算の確保に努め、事業施行期間内の完了に向けて、着実に事業を進めてまいります。

○河野委員 瑞江駅周辺の区画整理は四地区に分かれて行われてきまして、この瑞江駅西部地区が最後に取り残された地区なんですね。この人たちは、周りの約百に満たないヘクタールですけれども、既にほとんど終了しているのに、自分のところだけが都施行でやってもらっているんだけれどもなかなか先が見えないということで、長年にわたって苦労されておりますので、そういうこともお考えに入れていただいて、瑞江駅西部地区そして篠崎駅東部地区の区画整理事業の進行については、特段の努力をお願いしておきたいと思います。
 今おっしゃられた施行期間内に事業を完了させる、この点では、事業予算の確保とともに職員の配置も充実していく必要があると思います。さきに開かれました区部周辺の区画整理議員連盟の総会の際に、足立区の都施行区画整理について、職員配置の充実が必要であるという要望が出されていました。江戸川区でも関係住民の方から同じような要望が上がっています。特に審議員を務めている方からは、審議会に出席する区画整理事務所の所長さんを初め各課長、こういう幹部職員の方の異動が頻繁で、意思の疎通を図るのになかなか苦労している。地域の実情がわかってもらえたかなと思うころに、また別の人にかわってしまう。専門的知識や経験が必要な区画整理事業だからこそ、職員配置について都はもっと工夫してほしいと要望が上がっております。
 瑞江駅西部そして篠崎駅東部などは第一区画整理事務所の所管なんですけれども、所長あるいは副所長、各課の課長の平均在職日数、これはどのくらいの期間、職についておられるんでしょうか。

○宮村市街地整備部長 第一区画整理事務所の幹部職員の平均在職年数でございますが、近年の状況としましては、ほかの事務所も同様ですが、おおむね二年程度となっております。

○河野委員 二年で職員というか責任者の方も含めてかわっちゃうんですが、これはあっという間の期間だと思うんです。一方で関係住民の方はそこに住んでいますから単純に数えても、測量説明会、瑞江西部の場合は私もよく存じていますけれども、昭和六十三年、このころから区画整理、区画整理ということでみんな心配しているわけです。数えると二十年間も区画整理事業とつき合っているわけなんですね。
 こういう現状も踏まえて、もし職員に異動があったとしても、事業の内容や地域の実情などについて住民の疑問や要望にこたえる体制、これにきちんと対応していく仕組みづくりというんですか、人的配置も含めて求められていると思うんですけれども、施行者としてはこういう点でどんな努力をされてきましたか。

○宮村市街地整備部長 先ほどのご質問とあわせて、ちょっとダブりますけれども、幹部職員の平均在職年数は先ほども申し上げたとおりおおむね二年程度ということでございます。ただ、当然組織としてやっておりますので、係長それから担当の係員、あるいは地区長、それぞれ、通常のルールですとほぼ同一事務所に六年程度が一つの目安で、組織的には、できるだけきちんと引き継ぎをしながらやっているということでございます。
 私も所長を、第一区画ではございませんが、経験しておりますけれども、その辺はきちんと、幹部が一斉にかわるということが余りないように、できるだけつながっていくように、そういう人事異動はやっているところでございます。
 それから、土地区画整理の実施に当たりましては、地元の地権者の理解を得ながら進めていくということが重要でございますので、今後ともきめ細かな地権者対応ができるように、適切な人員確保などに努めてまいります。

○河野委員 部長、ぜひそういう地域の声をよく聞いていただいて、十分な対応をしていただくように、よろしくお願いいたします。
 瑞江と篠崎東部についてはこれで質問を終わりますけれども、第一区画整理事務所が所管している他の地区の区画整理事業についても伺います。
 第一区画整理事務所は、江戸川区内の二地区のほかに、臨海都市基盤整備事業会計の開発費で、豊洲、有明北、晴海地区など臨海部の事業も担当しています。豊洲地区の区画整理事業について、きょうは幾つか質問させていただきます。
 平成五年に豊洲地区の区画整理事業が都市計画決定されて、事業計画の決定が公告されたのが平成九年です。豊洲地区の区画整理施行面積は約九十一ヘクタールということになっています。ここに二〇〇〇年、平成十二年三月二十二日の経済・港湾委員会の議事録を持ってきてありますけれども、当時、我が党の丸茂勇夫議員が豊洲地区の護岸整備について質問しています。
 豊洲地区を取り巻く形で、防潮護岸の建設のために幅約三十メートルから五十メートルの沖出しの埋め立てを行うことについての質問です。傾斜が緩やかな緩傾斜の護岸で面積は約十一・五ヘクタールになると、当時、港湾局が答弁しています。そして、この埋め立てた分は区画整理事業の中に組み入れる予定であるとの答弁もあります。
 このとき、護岸工事の事業費は約六百億円とされて、東京ガスなどの地権者いわゆる開発者が二分の一を負担し、残り二分の一を都が負担、そのうち一般会計で二分の一、臨海副都心開発の会計で二分の一、ですから、四分の一の百五十億円ずつ合計三百億円を東京都が負担する、こういうことになっていました。
 その後、平成十三年十二月に築地市場の豊洲移転計画が出されまして、この晴海、豊洲などの、特に豊洲の土地利用方針に大幅な変更があったということで、埋め立てた土地は区画整理事業には組み込まず、護岸の埋め立て費用も開発者と都の負担割合が大幅に変わったと聞いております。第一区画整理事務所が臨海都市基盤整備事業会計で事業に取り組み始めたのは平成十三年度からでありますから、この間のいきさつを都市整備局は承知されていると思います。
 ここでお伺いをしておきますが、埋め立てた護岸が区画整理施行地区に入らなかったことを含めて、この経過、ご説明をいただきたいと思います。

○小澤参事 お尋ねの豊洲地区の防潮護岸でございますが、当初、土地区画整理事業区域に編入する予定でございました。その後、平成十三年に築地市場の豊洲移転が決定をいたしましたことに伴いまして、一つは土地利用に大幅な変更が生じたこと、また、中央卸売市場が新市場予定地の前面部の防潮護岸の所有権を取得することなどになりまして、防潮護岸は土地区画整理事業に編入されないことになった次第でございます。

○河野委員 非常にコンパクトな答弁なんですが、この裏というか、ここまでに至る背景にはいろんな経過があるんですが、きょうはそのことについては深くお聞きしません。
 私は、この区画整理事業に関係して、保留地の問題について伺っておきたいと思います。平成十三年度の第一区画整理事務所の事業概要を見ますと、保留地の面積は十二・二一ヘクタールになっています。平成十九年度、今年度の事業概要では七・二四ヘクタールが保留地とされておりまして、約五ヘクタール保留地の面積が狭くなっています。保留地は、事業費を賄うために各地権者が土地を出し合い生み出していくものでありますが、この保留地を出す負担割合がそれぞれ軽くなったわけであります。地権者ごとの保留地負担の軽減についてどんな状況になってきたのか、十二・二一ヘクタールのときと七・二四ヘクタールに変わった今とでは、どんな変化が起こっているのか、ご説明を求めます。

○小澤参事 区画整理事業では、保留地が減ったことによりまして、各宅地の平均減歩率は緩和されることになります。
 ただし、保留地の面積が変更になった場合につきましては、各宅地の換地面積が変更になるだけではなくて位置とか形状も変更になります。各権利者の減歩率は、従前の宅地と換地の位置、形状等との関係から定まってまいりますので、保留地の面積の変更が一律に各権利者に影響を及ぼすものではございません。したがいまして、お尋ねの個々の減歩率への影響を算定することはできないことになってございます。

○河野委員 そういうご答弁ではありますけれども、豊洲地区の施行面積はさっきいいましたように九十一ヘクタールですね。そのうち東京ガスが持っている土地は約四十八ヘクタールあります。半分以上の土地を持つ最大の地権者が東京ガスです。単純に考えても、一律に各権利者にどんなような影響があったのか算出できないというお答えではありますけれども、本当に単純に考えても、保留地に出す土地の負担割合が減ったことは、東京ガスや東京電力などの民間の開発者、この大手企業の負担も軽くなった、これは確実な事実じゃないかと思いますけれども、その点で違っていたらまた後でご答弁をいただきたいんですが、私はそのように判断いたします。
 次の質問なんですが、事業概要には、平成十七年度、十八年度に保留地処分を行ったと書いてあります。この保留地の箇所、処分の価格、売却先、七・二四ヘクタールのこの保留地の処分がどのような状態で行われたのか、ご答弁をお願いいたします。

○小澤参事 お尋ねの豊洲地区の保留地の位置でございますけれども、晴海通り延伸部と新交通「ゆりかもめ」に囲まれた五街区の一部でございまして、豊洲市場内の予定地にございます。
 また、売却価格は約四百五十億円でございまして、市場予定地といたしまして財務局に売却したものでございます。

○河野委員 その保留地と売却価格の関連で伺います。
 やはり第一区画整理事務所の事業概要、平成十三年版からの数字なんですが、総事業費は七百二十四億円となっています。また、この問題では、平成九年十月三日の当時の建設・住宅委員会、松村友昭議員が豊洲の区画整理の保留地処分と事業費について質問をしています。
 当時建設局区画整理部長の方が、総事業費は七百四十二億円で、保留地売却のお金、これを全部充てて賄うと答弁しています。現在、豊洲地区の事業費は五百九十八億円でありますから、保留地売却分のお答えにありました四百五十億円、財務局の方に移っているようですが、四百五十億円で買ったということでは、豊洲地区の事業費は五百九十八億円から引き算いたしますと百四十八億円の不足が生じることになります。保留地売却費で総事業費を賄うとしていたかつての東京都の考え方は、変更があったのでしょうか。さらに、百四十八億円の不足額、これについてはどのような財源見込みがあるんでしょうか、この点もご説明ください。

○小澤参事 当初の事業費は、委員お話しのとおり七百四十二億円でございまして、保留地処分金を財源としてございました。現在は、その後事業費の縮減に努めまして、約五百九十八億円となったものでございまして、この財源は、保留地処分金のほかに下水道負担金や中央卸売市場負担金などで賄ってございます。
 当初と現在の考え方の違いということでございますけれども、当初負担金の協議が調っていなかった下水道負担金でございますけれども、負担協議額が調いましたので額が確定いたしました。よって、事業計画の変更を行ったものでございます。
 また、先ほどお話ししました中央卸売市場負担金につきましては、市場の移転に伴いまして、道路構造を高架化したことなどにより工事費がふえまして、その増嵩分を事業計画の変更によって計上したものでございます。

○河野委員 当初は、保留地の売却のお金で総事業費を賄うとしておりましたが、現段階では百四十八億円が下水道局や中央卸売市場が負担する、このような方向に進んでいることが今のご答弁でわかりました。いずれも公営企業会計からの支出になるわけですけれども、公共の財政負担ということになると思います。
 晴海と豊洲の土地利用計画はこれまでも何回も改定がありました。都民には極めてわかりにくいものになっているというのが率直な私の実感です。さかのぼって、私も過去何回か改定されてきた豊洲・晴海再開発整備方針などを見てみました。以前は、地区内の都市基盤施設整備に開発者負担をしてもらうとして、地区内にできる上下水道、共同溝などは開発者負担の導入を原則とする、こういうことがうたわれているんですね。こうした内容が何回かの繰り返しの改定案でるる述べられていまして、事業費に充てる保留地負担分が軽減されたり、あるいは都と民間開発者の事業費負担割合が変わったり、都の負担がふえたり、そういうことはこの時点では想定されていなかったということが改定の経過の中でうかがい知ることができます。こういう経過を見ますと、まさに区画整理事業の根本にかかわることが目まぐるしく変更されているという印象を、この豊洲地区の区画整理事業で受けてしまいます。
 きょうは時間の関係もありますのでこれ以上詳しくは申し上げませんけれども、大企業の東京ガスなどの民間地権者、開発者の負担割合がだんだんに減っていって、その分東京都の負担割合がふえている。こういう事業の進め方がされれば恐らく都民の多数は納得しない、こんな声が上がってくるだろうといわざるを得ない状況があるんじゃないかと思います。
 最後に、意見として、要望として申し上げておきたいんですが、今年度、瑞江駅西部と篠崎駅東部の二地区の予算額は合計六十一億円です。臨海部の三地区は百五十九億九千五百万、約百六十億でありますけれども、そのうち豊洲は百十億円を超えています。都市再生路線ということで東京都がまちづくりの方針を進めていますが、臨海部開発と一体となったこの豊洲地区の区画整理事業に予算の大きな重点が置かれていることを、私は改めて感じております。
 二十年もの長い間、区画整理事業のもとで生活や営業を営んできた、区部周辺の区画整理施行地域住民の生活や営業を、本当に大事にするということを第一に据えた区画整理事業を、東京都の努力で進めていただけるように一層の努力を求めて、きょうの質問を終わらせていただきます。

○新藤委員 久々に質問させてもらいますが、立川基地が米軍から返還されたのは昭和五十二年十一月、丸三十年になるわけでございます。そんな関係の中で、昭和記念公園あるいは防災基地等で、立川地区の方は大分整備が進みましたが、昭島地区においては全く三十年間手つかず。ですから、現在、足の踏み場というか、入れないような状況で、タヌキなり、シカはいないけれども、ウサギあるいはキジ等がすんで、大変自然に戻ったことはいいんですが、周りは市街地なんです。そういう中において、駅の近くなもので、このままでいるのももったいないということで、私も都議会議員になってからもう十数年この問題について質問してきました。その中で、立川基地跡地の昭島分についてを中心に、多摩地域の問題について若干触れてみたいと思います。
 多摩地域においては、首都圏メガロポリスを支える中核拠点として、八王子、立川、青梅、町田及び多摩ニュータウンの五つの都市が核都市として位置づけられ、首都圏全体の活力を支え、多くの人たちが訪れ、魅力ある拠点としてさらなる発展が期待されております。そして、引き続き整備の推進が必要とされてまいりました。
 そうした観点から、今回は、昭島市と立川市にまたがって設定されている核都市立川について、お伺いいたします。
 まず、核都市立川について、これまでの都の取り組みと整備状況についてお伺いします。

○瀧本参事 核都市立川につきましては、首都圏の連携、交流のかなめとなる拠点の一つでございまして、都として昭和五十七年に、多摩の心(しん)に位置づけております。
 その後、都では、多摩の心(しん)育成・整備計画を平成十年四月に策定し、立川駅を中心とした、昭島市と立川市にまたがるエリアを整備エリアといたしまして、立川駅周辺の土地区画整理事業や市街地再開発事業など六つの広域重点プロジェクトを計画いたしました。
 そのうち、これまでに五つのプロジェクトが完成または事業中となっており、立川基地跡地昭島地区の整備が未着手となっております。

○新藤委員 ただいまご説明ございましたように、重点プロジェクトの中で唯一立川基地跡地の昭島分が未着手になっています。その中で昭島地区は、先ほど申しました、三十年間そのままずっと放置されてきました。これまで都としてもいろいろと取り組んできたと思いますが、立川基地跡地の昭島地区に関して、これまでの取り組みの経過についてお伺いいたします。

○瀧本参事 理事お話しのとおり、昭島地区約七十ヘクタールにつきましては、国有地に編入された後、未利用の状態となっております。こうした中で、平成十年に、都は昭島地区の土地利用構想を作成し、土地区画整理事業の実施を計画いたしました。平成十五年には、国が基地跡地について処分の留保から利用へと方針転換し、五年以内に自治体が利用計画を作成することとなりました。
 そのため、平成十六年度から、都、地元の昭島市及び立川市、財務省によりまして、土地利用計画に関する利用連絡協議会を組織し、利用計画や事業手法等について検討を進めているところでございます。

○新藤委員 東京都や地元市で土地利用計画の見直しを行っているということでございますが、こうした中で、この九月に、法務省、財務省両方からこの跡地の整備をしたいという申し出があり、特に国際法務総合センターですか、こういったものの話が出ております。
 そこで、法務省からの移転の申し出があった施設の計画の概要と現在の状況について、お伺いいたします。

○瀧本参事 本年九月、法務省から、府中市にある国連アジア極東犯罪防止研修所や矯正研修所、八王子市にある医療刑務所や少年鑑別所などの施設を昭島地区に移転、集約し、国際法務総合センターとして整備する旨の申し出がございました。この申し出に対しまして、地元の昭島市及び立川市は、今後、事業計画の策定の中で検討する意向を示しております。
 法務省の総合センター整備の計画につきましては、現在、法務省が地元への説明会に入ったところでございます。法務省に対しては、地元に十分説明をするよう東京都からも要請してございます。

○新藤委員 現段階で、地元市としては法務省の計画を受け入れるかどうか、現在白紙の状況にございます。都としては、法務省にきちっと説明を要請しているということでありますが、施設の受け入れについては、地元住民の理解が基本になることはいうまでもありません。
 平成十年十一月に、多摩島しょ振興推進本部会議でこの土地を土地利用構想として発表され、その中には流域下水道の処理場が設置される計画が位置づけられております。また、昭和記念公園とあわせて、多摩地域の緑の核となる緑地の一つとして、当地区に都立の総合公園が計画され、市民からの要望の強いスポーツ施設等についても、今後の検討課題として、公園計画が具体化した際に公園の一部を利用するものとされてきました。
 また、隣接する国営の昭和記念公園内には残堀川の治水対策として調整池が暫定設置されていますが、これも基地跡地側に移転すべきとの昭和記念公園側の意見もあったと聞いています。当然この考え方は当時の構想には位置づけられていませんでした。
 一方、この地域は道路整備がほとんど進んでおりません。居住者にとっても大変不便な、一方通行、一方通行のところが多いわけでございます。また、防災面からも非常に問題があり都市計画道路の整備が急務であります。
 また、東中神駅の南口はいいんですが、北口については改札口あるいは駅前広場等が全く整備されておらず、未整備の状態にあります。
 当地域の利用計画の見直しに当たっては、このような状況を十分に踏まえて、都としての果たすべき役割を今後どのように対応していくのか、お伺いいたします。

○瀧本参事 都といたしましては、昭島地区の計画的な市街化に合わせて、地域の将来像にふさわしい適切な機能の立地や都市計画道路等の都市基盤の整備が進むよう、本地区の利用計画の見直しについて、国や昭島市、立川市等と協議、調整を進めているところでございまして、見直しに当たりましては、現在改定検討中の流域総合計画と整合を図るとともに、本年六月に策定された残堀川整備計画も踏まえながら、検討を進めてまいります。
 今後、地元の状況も踏まえながら、年度内を目途に利用計画の見直し案を取りまとめ、来年度、財務省に利用計画を提出する予定でございます。

○新藤委員 多摩地域の中で、この立川基地跡地の昭島分というのは面積約七十ヘクタール、非常に広大な土地があります。しかも全く未整備の状況にありますが、これを整備することによって多摩地域の大きな発展に寄与するわけでございます。この地域の整備は地元としても長年の懸案であり、周辺の多くの市民の方々からこのところを早く何とかしてほしいという要望が非常に強いわけでございます。
 この地区のすぐ西側には、多摩の南北道路といって、よく問題になります非常に交通の便の悪い南北の道路が、非常に整備が進みまして、つい先日は多摩大橋の新橋の完成、そして青梅線の立体交差化というものがほぼ順調に進んでおり、平成十九年度末には完成という予定になっております。
 こういったことをあわせた中で、この地区内に計画されております昭島三・二・三号線、それから三・二・一一号線ですか、この南北道路が整備されることによって非常に交通のネットワークがよくなり、この未利用地域をあわせ、大変な広域的な発展に寄与するものでございます。
 そういったことも含めまして、ぜひこのあたりを十分ご配慮いただきたい。ぜひ、都は、広域的な観点から利用計画の見直しを行うとともに一日も早く都市基盤を整備し、地域に貢献できるような土地の利用が進むように、その取り組みをお願いしたいと思います。
 最後に局長には、この立川基地跡地昭島分を含めた多摩地域全体のまちづくりについての決意をお伺いして、私の質問を終わります。

○只腰都市整備局長 核都市とされています立川でございますが、多摩都市モノレールなどの交通基盤の整備とともに、土地区画整理事業あるいは再開発事業などによりまして、基盤整備が進められております。
 その結果と思いますが、諸官庁の移転あるいはデパートなどの商業施設の集積が図られるなど、多様な機能が立地をいたしまして、多摩地域の拠点の一つとして整備が進んできたものというふうに考えてございます。
 しかしながら、理事からご指摘ございましたように、昭島地区でございますが、取り残された形になっておりまして長年未利用の状態が続いております。このたび法務省の計画が公表されたところでございまして、今後、地元市の意向も十分踏まえながら、貴重な広大な国有地を活用いたしまして都市基盤整備やまちづくりを進め、都として、それに当たりましても必要な役割を果たしていくというふうに考えてございます。
 また、今ご質問ございました多摩地域全体でございますが、本年六月には、ご承知のように圏央道が中央道と接続をいたしまして、多摩地域の交通利便性は非常に向上いたしました。また、今お話ございましたように、多摩の南北道路についても鋭意整備を進めておりまして、八王子村山線の全線開通に向けた整備等が進捗することで、環状方向の機能分担がより一層進むものというふうに、私ども期待をしてございます。
 都といたしましては、今後とも多摩地域におきまして、こうした広域交通ネットワークの強化や産業施策等との連携によりまして、八王子や立川、多摩ニュータウンなど五つの核都市を初めといたしまして、業務機能や新たな産業機能の立地を積極的に誘導いたしまして、住機能と種々の都市機能が複合的に調和した、活気のあるまちづくりがなされるよう取り組んでいく所存でございます。

○村上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時五十四分休憩

   午後三時十分開議

○村上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○松下委員 私は、都営住宅における駐車場の設置に関してと、木造住宅耐震化促進事業に関して、外環ノ2に関して、大きく三つに関して、ご質問を何点かしたいと思います。
 まず初めに、都営住宅における駐車場の設置について、幾つかお伺いいたします。
 都営住宅の駐車場は、新規建設の団地では多摩ニュータウンは昭和五十一年度から、その他の団地は平成二年度から、また既設の団地では平成四年度から駐車場を設置されています。
 都営住宅の駐車場に関する過去の議事録を確認しましたところ、都としては、平成二年四月、都営住宅等駐車施設の設置方針を決定し、これまで原則としては駐車場を設置していなかったが、当時の車社会の進行に伴い地元区市、警視庁及び居住者団体等から強い要望があったため、これらの要望に対応し、設置方針を作成し方針を転換したようであります。
 今回提出してもらった資料によりますと、駐車場設置の結果として、団地数では区部で三二%、市町部で六八%、都内全体で四四%の設置率となっています。
 私の地元の武蔵野市でも駐車場が設置されていない団地があり、建てかえに伴って新たに駐車場を設置してはおりますが、現在、設置に向けて協議を進めている団地もあり、市内全体の住宅戸数に比べると、駐車場設置の割合は団地数に比べて少ない感じがいたします。
 私の感じからしますと、資料にある都営住宅の団地数での割合四四%よりも、都営住宅の総戸数約二十六万戸に対する駐車場の区画割合は圧倒的に少ないのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。区部と多摩地域の市町部、都全体に分けて、お答えください。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅の戸数に対する駐車場の区画割合でございますが、区部が七%、多摩が三三%、都全体では一七%でございます。

○松下委員 やはり、戸数割合でいくと低くなるということだと思います。高齢者がふえて駐車場の需要が少なくなった団地もある一方、子育て世帯が車を必要としたり、駅から遠いなど、駐車場の需要の高い団地もあるかと思います。都営住宅での駐車場設置はどのような考え方により行われているのでしょうか。また、需要を十分に把握して設置しているのでしょうか。建てかえを行っている団地、既存の団地でのそれぞれの考え方をお伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅の駐車場につきましては、設置方針に基づきまして、敷地の形状、建物や緑地等の配置、需要の状況などを勘案し、設置しております。
 具体的には、建てかえ事業におきましては、区市の駐車場設置に関する条例や要綱に基づき、区市と協議を行うとともに、入居する予定世帯の車の保有状況を調査いたしまして、需要に見合った区画を設置するよう努めております。
 また、既存団地におきましては、居住者の保有状況を調査した上で、敷地の状況に応じて可能な範囲で整備しております。

○松下委員 都営住宅等駐車施設の設置方針並びに都営住宅駐車施設の設置基準、既設都営住宅駐車施設実施要領など、また区市の要綱など、いろいろとそれぞれ細かく定められていますので、これらの方針や基準、実施要領に基づいて駐車場整備に取り組んでいるかとは思いますが、団地内にスペースがあり、駐車場を設置すれば利用者が確保できる場合については、都に駐車場収入が入るわけですから、できるだけ早く駐車場を設置して、都有財産の適正化、有効活用を図っていただきたいと思います。
 駐車場設備のない団地では団地内の無断駐車が問題になっており、消防車や救急車の緊急車両が団地内に入る妨げとならないためにも、無断駐車をなくすために駐車場を設置することが必要だと思いますが、一方、無断駐車に対する対策も重要だと思います。
 車を保有するには車庫証明が必要です。団地内に無断駐車の車があるのは、車庫が別のところにあるのか、それとも借りていた車庫を既に解約してしまっているのか、わかりかねるところではありますが、車庫証明を定めた車庫法が適正に運用されていないことにも原因があるのではないかと推測をいたします。無断駐車対策には車庫証明制度の厳格化も必要だとは思いますが、ここでは所管が異なりますので車庫証明制度については言及はいたしませんが、原因の究明に関しても今後検討をしていただきたいと思います。
 いずれにしても、団地内の無断駐車をなくすためにどのように取り組んでいるのか、伺います。

○小林都営住宅経営部長 無断駐車につきましては二つの面から対策を行っております。
 団地内に駐車場が不足する場合には、敷地の状況に応じて可能な範囲で駐車場の整備に努めております。
 また、無断駐車に対しましては、車に警告文を張りつけ、所有者に口頭や文書などにより是正指導を行っております。これにより是正されない場合には、一定期間の通告後、車どめやカラーコーン等を設置いたしまして、無断駐車の防止に取り組んでいるところでございます。

○松下委員 これまでも無断駐車の対応に取り組んでいただいているとのことですが、引き続き無断駐車をなくすように、駐車場の設置とあわせて取り組んでいただきたいと思います。
 自動車ばかりではなく、都営住宅内では、バイク、二輪車の置き場についても問題となっているようです。自転車置き場に置いてあるバイクを見かけたことがございますが、私の見る限り、都営住宅にはバイク専用の置き場が整備はされていないようです。都営住宅内のバイク駐車の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅の敷地内にはバイク置き場を特段に定めていないため、駐輪場やその周辺等にバイクが置かれている状況がございまして、現在、一部の団地でバイクの駐車台数や駐車場所等につきまして、現況を調査しているところでございます。
 バイク置き場につきましては、建築基準法など関連法令による制限や排気量による車体の大きさの違いなど、検討すべき点も多く、その取り扱いにつきましては今後の課題と考えております。

○松下委員 現在調査中とのことですが、都では全都的にバイクの駐車問題に関して、バイク置き場の設置など積極的な対応をしています。この都庁舎の都議会議事堂の隣にもバイク専用の駐車場が既に設置をされております。都営住宅についてもぜひ早急に対応していただくことを要望しておきます。
 都営住宅は都民共有の財産であります。その管理に当たっては、駐車場に関しても、公営住宅法及び東京都営住宅条例にのっとり適切に行われることを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、木造住宅耐震化促進事業についてお伺いいたします。
 平成七年の阪神・淡路大震災、本年七月の新潟県中越沖地震など、過去の震災では、倒壊した木造家屋の下敷きとなって多くのとうとい命が失われています。このような被害を繰り返さないためにも、既存の木造住宅の耐震化を強力に推し進めていくことが重要だと思います。
 現在、都では、木造住宅の耐震化を進めるために、木造住宅密集地域を対象とした耐震診断・耐震改修助成、耐震診断技術力の高い建築士事務所を登録し紹介する耐震診断事務所登録制度、木造住宅のための安価で信頼できる耐震改修工法の紹介という三つの事業を行っておりますが、本日は、その中の安価で信頼できる耐震改修工法の紹介について、何点かお伺いしたいと思います。
 まず、この事業の目的と方法についてご説明ください。

○金子市街地建築部長 住宅の耐震化は、所有者が主体的に取り組むことが基本でございます。都といたしましては、所有者の主体的な取り組みを支援するため、区市町村や関係団体と連携いたしまして、安心して耐震化に取り組むことのできる環境の整備などを行っております。
 木造住宅の耐震改修につきましては、さまざまな工法や技術が開発されているにもかかわらず、工事費への負担感に加えまして、工法の適切な選択が難しい、地震に対してどの程度有効なのか不安があるなどの理由から、十分に進んでいないのが現状でございます。
 このため、都は、安価で信頼できる耐震改修工法等の事例について広く募集いたしまして、学識経験者等による評価委員会で一定の評価を受けたものを選定した上で、展示会の開催などにより都民に情報提供しているものでございます。

○松下委員 今ご答弁ありましたように、耐震改修工法に関しては本当にさまざまな工法があり、またその費用の負担感、特に高齢者の方から私もご相談を受けることがあるのですが、自分の予算の範囲内でどこまでできるのか、今後の生活を考えた上で私財を全部耐震改修につぎ込むことはできませんので、できる範囲で身を守る方法はないかなど、大変さまざまなお悩みを抱えている方がいるように思われます。
 耐震改修工法について一般の方にわかりやすく情報提供をしていくためにも、実物を見たり、その場で説明を受けたりすることができる展示会というのは大変効果的な方法だと思います。そこで、これまでの展示会の開催状況についてご説明ください。

○金子市街地建築部長 安価で信頼できる耐震改修工法の展示会につきましては、平成十七年度末に初めて都庁の都政ギャラリーで開催いたしまして、七日間で千六百名を超える来場者がございました。これを含めまして、都庁ではこれまでに四回展示会を開催しております。十八年度からは、東京消防庁の協力を得まして池袋、本所、立川にある防災館での展示を実施しているほか、区市と協力いたしまして地域の防災イベントなどでの展示を行っております。さらに今年度からは、新聞社主催の住宅リフォームフェアなど民間のイベントにも出展しております。

○松下委員 都庁での展示会は、この議会棟の一階で行われておりますので私もたびたび見かけましたけれども、今年度になって、展示会自体の、都庁での展示会の数もふえているのは実感しておりましたし、また、新たに多摩地域では、調布市役所や立川防災館で開催されるなど広がりを見せているようです。わざわざ都庁まで足を運ぶのは大変だけれども、もっと身近な場所で展示会が開かれれば見に行きたいという人は大勢いるのではないかと思います。
 展示会の開催について、区市町村と連携して、協力をして平成十八年度に行っているとのご回答ではありましたが、区市町村にはどのような働きかけを行ったのか、具体的にお伺いします。

○金子市街地建築部長 安価で信頼できる耐震改修工法の一層の普及を図るためには、住民に身近な地域で展示会を開催することが必要と考えまして、区市町村と連携して、地域の防災イベントなどで展示を実施しているところでございます。
 今年度の実施に当たりましては、ことしの六月に区市町村にアンケートを行いまして、展示会における都、それから区市町村、出展事業者の役割分担を示した上で、展示会開催の意向を調査いたしました。
 開催の意向を示した区市及び出展を希望する事業者と個別に調整を行いながら開催場所や日程を決定しておりまして、これまでに港区及び調布市で実施いたしましたほか、今後、渋谷区、台東区、墨田区、北区、中野区での実施を予定しております。

○松下委員 今お答えをいただきましたけれども、実際に実施したところが、まだ一部の自治体でしか取り組んでいないのが現状のような感じがいたします。特に多摩地域ではまだまだ少ないのではないかなと感じます。
 区市町村への働きかけの中で、意向を示したところと個別に調整して展示会を開催されたとのことですが、実施をまだしていない自治体の、実施できない理由はどのようなものか、お伺いいたします。

○金子市街地建築部長 六月に実施いたしましたアンケートによりますと、展示会を実施しない理由としては、展示に使用可能な会場が確保できない、人員に余裕がなく通常業務との調整がつかないなどが挙げられております。

○松下委員 都民に身近な基礎的自治体で、広く耐震改修工法の紹介が行われるべきだと私は思います。展示に使用可能な会場が確保できないという理由も今お答えにありましたけれども、市役所や区役所のロビーなど、探せばできそうなところは幾らでもあるんじゃないかなという感じもします。
 今年度は六月になってアンケートを実施したということですが、今後は、区市町村において事前に会場や人の確保ができるように、前年度のうちから区市町村への呼びかけを行うなど、十分な準備期間をとって計画的に展示会を開催していただきたいと思います。
 木造住宅の耐震化への取り組みについては、自治体によって相当温度差があるように感じられます。都民が自宅の耐震化のことでまず相談に訪れるのは区市町村の窓口ではないでしょうか。しかし、区市町村の担当者が、都が紹介している耐震改修工法についてよくわからなければ、相談に来た人に紹介することはできかねます。耐震改修工法について都民に都が直接情報提供するだけでなく、窓口で直接都民からの相談を受けている自治体担当者に対して講習会などで周知を図っていくことも必要と考えます。
 また、中野区では、昭和五十六年以前に建てられた区内の木造住宅約四万戸を対象に戸別訪問を行ったそうですが、耐震診断助成の実績を見ると中野区は突出しており、大きな成果を上げているようです。そうした先駆的な取り組みを行っている自治体から、他の自治体の担当者に、取り組みについて紹介してもらう機会をつくることもよいのではないでしょうか。
 このように、今後、基礎的自治体の担当者に、より丁寧な説明や耐震改修の意義を訴えるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○金子市街地建築部長 都では、区市町村と連携いたしまして、都内の建築物の耐震診断、耐震改修の円滑な推進を図るため、平成十六年度に東京都耐震改修促進行政連絡協議会というものを設置いたしまして、区市町村の耐震改修促進計画の策定支援などを行ってまいりました。
 今後とも、こうした場などを活用いたしまして、耐震診断及び耐震改修に関する区市町村担当者の知識や技術力の向上についても取り組んでいくなど、区市町村の耐震化への取り組みを促進してまいります。

○松下委員 それぞれの都民が、自分の自宅である木造住宅を、耐震診断を行ってそして耐震改修まで行うというのは、私は大変高いハードルがあるように感じられます。そうした高いハードルをできるだけ除去するためにも、都がリーダーシップを発揮して区市町村のモチベーション、耐震改修を促進するためのやる気を高めて、木造住宅耐震化促進事業をより一層推進していっていただきたいと要望して、最後の質問に移りたいと思います。
 最後に、外環ノ2について何点かお伺いをいたします。
 東京外かく環状道路、いわゆる外環は、都心から約十五キロメートルの圏域を環状に連絡する延長約八十五キロメートルの道路であり、現在は常磐道を結ぶ三郷ジャンクションから関越道を結ぶ大泉ジャンクションの間が開通していますが、都内区間の関越道から東名高速の間、約十六キロメートルが未整備となっております。この都内区間は、本年三月、都の都市計画審議会で大深度地下方式による変更案が承認され、同四月、都は地上高架方式から大深度地下方式にする都市計画決定を告示いたしました。この計画変更に関して、大深度地下方式の構造について、地下水への影響や災害時等における安全面での知見が少ない状況にあり、今後も環境や安全に対するさらなる慎重な検討を求めるという沿線区市長からの意見も付されておりますので、今後も沿線区市や地域住民の意見を丁寧に聞くなど、本線に関しても課題はまだまださまざまあると思います。
 外環本線は、地域PI、オープンハウスも、現在も開催されているようです。一方、この外環本線の地上部には外環ノ2という都市計画道路が既に決定されているものがあります。この外環ノ2に関して、本線のような地域PI実施など、住民の意見を聞くような取り組みは行われていないようです。この外環ノ2に関して、これまでの経緯と今後について幾つか伺いたいと思います。
 まず、外環ノ2が昭和四十一年に都市計画決定するに至った経緯と、その位置づけについてお伺いいたします。

○遠藤外かく環状道路担当部長 地上部街路の外環ノ2についてのお尋ねでございます。
 外環ノ2でございますけれども、東京の都市計画道路のネットワークの一部といたしまして、三鷹市内の東八道路から練馬区内の目白通りまでの約九キロメートルが、外環ルート上の地上部分に幅員四十メーターの道路として計画決定されているものでございます。
 その件についてでございますけれども、東京の都市計画道路につきましては幾多の変遷があるわけでございますけれども、戦後、戦災地復興計画方針、これを経まして昭和二十五年に計画決定されたものが基本でございます。
 その後、昭和三十年代に入りまして、増加する自動車交通への対応、あるいは都心集中型の都市構造を再編する、こういったことが喫緊の課題となりまして、昭和三十九年から四十一年にかけて計画の再検討が行われております。
 そうした状況の中で、この外環ノ2は、昭和四十一年に外環本線と同時に計画決定されておりまして、当時、外環本線と一体となって自動車交通に対処するとともに、地域の利便性や沿線のまちづくりに寄与する道路、こういうことで計画決定されたものでございます。

○松下委員 今ご答弁いただきまして、この外環ノ2は幾多の経緯を経て再検討した結果、外環本線と同時に、そして外環本線と一体とした都市計画、一体としたまちづくりのために都市計画が決定されているというようなお答えかと思いますが、この昭和四十一年の都市計画決定以前にこの付近に都市計画道路のネットワークというのが存在していたはずですが、外環ノ2の計画決定に伴って廃止した都市計画道路はあるのか伺います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 外環ノ2の計画決定前の周辺の計画道路ということでございますけれども、外環ノ2の計画地の周辺には、何本かの細街路、つまり幹線や補助線の街路網を補う幅員の小さい道路という意味でございますけれども、こうした細街路の計画が決定されてございました。
 これらは、昭和四十一年の再検討におきまして、経済的で能率的な街路計画に編成するという方針のもとで、一部は補助線街路に集約されまして廃止になっているという経緯がございます。

○松下委員 この昭和四十一年の外環ノ2の都市計画決定の前に細街路が幾つかあり、この四十一年の決定とあわせて廃止された他の街路もあったというお答えだと思いますが、この外環ノ2というのは、外環の本線が高架式で現在の位置に決定したこととともに決定したのだという歴史的な経緯のある都市計画道路であります。今、再検討を行ったという経緯もご説明いただきましたが、この当時の昭和三十年代後半そして四十一年決定までの、都市計画道路網の再検討が行われているその背景としては、激増する自動車交通に対処するための方策として高速道路計画の樹立とともに都市計画道路網の再検討が行われたということが、この昭和四十一年、東京都市計画区域全域について再検討が完了したようであります。この再検討は基本構想というものがあったようで、昭和五十五年の道路交通需要に応じ得るばかりでなく、当時から、今後二十年で完成し得る、最も経済的でしかも能率的な街路計画に編成するというものであったようであります。
 昭和四十一年の計画決定から四十年以上を経て、外環道路の高速道路本線が地下方式に計画変更した経緯や、その重み、ネットワーク形成時からは、道路交通需要や少子高齢という社会構造の変化、また環境への配慮など、当時とは前提が大きく変わっているということを都は重く受けとめていただきたいと思います。高度経済成長真っただ中の時代と、持続可能な社会を目指す現在という時代の、時代は変化しているにもかかわらず都市計画道路だけがそのままということに私は強い違和感を感じます。
 この外環ノ2は東八道路以北に都市計画決定されたものですが、従前の都市計画では東八道路以南に附属街路という道路が計画決定されていました。この都市計画上の位置づけの違いと、附属街路を廃止した理由を伺います。

○遠藤外かく環状道路担当部長 外環ノ2につきましては、先ほどご答弁申し上げましたように、東京の都市計画道路のネットワークを構成する一部ということで計画されたものでございます。
 それともう一つ、東八以南についての附属街路のご質問がございました。こちらの方につきましては、東八道路から東名高速までの約七キロメートルにわたりまして、外環本線に沿う形で幅員六メーターの附属街路が、従前、都市計画決定されていたわけでございます。
 この附属街路につきましては、外環本線が高架構造で整備された場合に外環本線によって分断されて、接道しない土地とかあるいは土地利用ができない土地が発生してまいりますので、それを避けるため、救済するために計画された道路でございまして、この附属街路につきましては、本年四月の大深度方式に計画変更しましたことを受けまして、その必要がなくなりましたので、この計画そのものを廃止してございます。

○松下委員 今ご説明、ご答弁ありました中で、外環ノ2と附属街路の部分は、附属街路は道路としての機能が異なるということかとは思いますが、両道路とも外環本線とともに昭和四十一年に都市計画決定をされ、南北一本の地上部街路となっていたものであります。その機能は、東八道路を境に異なるというふうに位置づけられていたようではありますが、機能が異なるといっても、同じ線上に一本の道路で、片や東八道路以南の附属街路が廃止になり以北の外環ノ2がなぜ廃止にならないのか、この外環ノ2の沿線住民にとってはなかなか理解がしがたいことではないでしょうか。外環ノ2について、外環本線の都市計画変更手続の中で、都民や沿線の区市からどのような意見が都に出されたのかお伺いいたします。

○遠藤外かく環状道路担当部長 外環本線の都市計画変更に当たっての意見でございますけれども、最初に都民の意見でございますけれども、法の定めるところによりまして都民等から意見が出されておりますけれども、その中に外環ノ2について触れたものがございます。早期実現を求めるもの、あるいは廃止すべきとするものなど、非常にさまざまでございます。
 それと、沿線の区市からの意見といたしましては、ことしの一月でございますけれども、意見書をそれぞれの市が提出してございますけれども、地上部街路が計画されております三鷹、武蔵野、杉並、練馬の四つの区と市から、この地上部街路に関します意見が提出されてございます。
 重立ったものを拾い出しますと、都の責任において適切かつ十分な検討を行うこと、必要性について原点に立ち返ってオープンに議論をすることが重要であること、外環本線の事業着手は外環ノ2の方向性が明確になってから行うべきだ、等々の意見をいただいているところでございます。

○松下委員 今、都民や沿線区市の外環ノ2に関する意見についてご紹介いただきましたが、早く整備してほしいというものから、原点に立ち返って考え直してほしいというものまで賛否が両論あるということだと思います。
 今、ご答弁の中にもありました市長意見で、私の地元の武蔵野市では武蔵野市長としての意見を提出しております。外環ノ2の計画の方向性を明確に示すこととして、本来、外環本線と外環ノ2は一体として計画されるべき路線であり、本都市計画変更に伴い都市計画の変更が必要な路線である。東京都は外環ノ2について、廃止することも含め、計画の方向性、検討のプロセスを早急に明らかにされたい。また、その検討過程においては、地元との協議、対話を重視するとともに、安全面、環境面に最大限配慮することを求める。なお、外環本線の事業着手については、外環ノ2の計画の方向性が明確なものとなってから行うべきであり、現時点で着手は容認するものではないという武蔵野市長からの意見も出ております。
 東京都も、これまでも外環の本線の計画の中に、地上部の取り扱いについて、外環ノ2の今後の検討として三つの案--今後の検討、三つの方法を示してきているわけではありますが、今後、具体的な、この三つをどう検討するかにはまだ至っていないところかと思います。
 外環ノ2について、現在、検討のどの段階にあり、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○遠藤外かく環状道路担当部長 現在、検討のどの段階にあるかということでのお尋ねでございますけれども、先ほど先生のご質問の中にもございましたけれども、三つの考え方をこれまで整理して地元に示してまいりました。それと、武蔵野市長さんからのご意見を紹介されましたけれども、基本的な考え方を示してほしい、あるいはデータの提示を求めるといったことが沿線の区や市からの要請でございます。それに対しまして、私ども東京都あるいは国は、必要性の検証を行う旨の回答をしてきてございます。
 そうした状況を踏まえまして、現在、環境、防災、交通ネットワークなどの観点を踏まえまして、この道路の必要性や整備のあり方を早期に地元に提示すべく作業を進めている段階でございます。これまでの実施してまいりました調査の成果なども活用しながら、現在、課題の分析や、機能の代替の可能性等々について検討しているところでございまして、早期にそれらを取りまとめまして、地元初め広く都民の方々に意見を聞いてまいりたい、このように考えてございます。

○松下委員 調査の成果を示し、そのデータの裏づけというものをきちんと沿線市または都民に対して示していただきたいと思いますし、都としての方針を取りまとめる前に沿線市や沿線住民、また広く都民の意見をしっかりと聞いた上で、今後、外環ノ2に関して検討をしていただきたいと思います。
 外環ノ2の沿線住民は、昭和四十一年の計画決定から四十年以上にわたり苦しみ、都市計画決定された道路上に自分の自宅があるということで非常に苦しみを強いられて今日まで来ております。外環の本線が、本年、大深度地下方式に計画が変更されたという経緯とその事実の重みをしっかりと考えた上で、外環ノ2についても検討をしていただきたいということを要望し、私の質問を終わります。

○藤井委員 まず、この都市整備局は、都市づくり全般に関する政策並びに住宅に関する政策や、あるいは道路、鉄道等の都市基盤整備、そしてまた市街地の整備や宅地開発、そして都営住宅の建設、管理など幅広い分野にわたる仕事を遂行しておられます。大変重要な仕事であるというふうに思っておりますが、只腰局長初め理事者の皆様方が、この仕事を通して都民サービスにますます寄与されるよう、まずもって期待をしたいと思っております。
 私は、この都市整備局、委員会、初めてでございまして、そういう意味では、いろいろとこの一年間勉強させていただきたいと思っております。
 きょうは、羽田空港の跡地利用等についてのお伺いをしたいと思います。
 先月の三十一日に東京都と国と、そして大田区、品川区で構成をいたします羽田空港移転問題協議会が開催されました。そこで、この羽田空港の跡地利用基本計画の素案というのが合意をされ、都民に公表されたところであります。現在、今年度中に基本計画を取りまとめをするためにパブリックコメントを実施いたしまして都民の意見を集約しているというふうに聞いております。
 今回の羽田空港跡地利用基本計画素案と、それに関連する羽田空港周辺の道路などの基盤整備に関して、何点か質問をいたします。
 まず初めに、羽田空港跡地利用基本計画素案についてですけれども、羽田空港の跡地に関しては、私も大田区、地元ですけれども、大田区民の皆さん、大変最大の関心事であり、また大きな関心と期待を持って今日までまいりました。
 昭和二十年に、敗戦のときにGHQが乗り込んでまいりまして、今の羽田の跡地に住んでいた、当時鈴木町といっておりますけれども、ここに住んでいた人たちが四十八時間以内に撤収しろとGHQにいわれまして、泣く泣く自分たちが住んでいた先祖からの土地を、そしていろいろな思い出を積みながら、雨の中、とぼとぼとリヤカーを引いて疎開といいますか、海老取川を渡ったというふうに聞いております。まだ羽田を中心に、そのころの方が現に生きておりまして、そういったつらい思い出を私たちも聞かされているわけでございます。
 その後、空港が沖合へと展開していく中で、昭和五十二年、羽田空港移転に関する国、都、区の三者の話し合いの場として、羽田空港移転問題協議会が設置をされたわけでございます。
 この跡地利用基本計画、今回出ました跡地利用基本計画では、羽田空港跡地を約五十三ヘクタールというふうにしておりますが、まずそこで、この羽田空港跡地の範囲及び面積が決定された経緯についてお伺いをいたします。

○庄司参事 まず、跡地の発生についてでございますけれども、羽田空港跡地は、航空輸送力の確保と航空機騒音問題の解消を図るため昭和五十八年度から行われた沖合展開事業及び、都市の国際競争力強化及び発着容量の改悪の解消などを図るため平成十六年度から行われております再拡張事業の結果、発生したものでございます。
 次に、経緯と面積でございますが、昭和五十六年、国、都、大田区、品川区がメンバーとなります羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協におきまして、沖合展開完了後引き続き空港用地として使用する範囲が示され、跡地の範囲として約二百ヘクタールが示されました。平成十二年には、空港処理容量の拡大に対応した空港施設計画の変更などに伴いまして、三者協において、跡地が約七十七ヘクタールとなることが国から提示されました。
 その後、再拡張事業によって平成二十二年に四本目の滑走路が整備されるとともに国際定期便が就航するなど羽田空港をめぐる状況の変化を踏まえ、平成十八年十二月に三者協におきまして、国から跡地の範囲と面積として約五十三ヘクタールが提示され、平成十九年三月に三者協で合意に達したものでございます。

○藤井委員 ただいまご答弁ありましたように、最初は約二百ヘクタールということで検討され、そしてそれが七十七ヘクタール、そして今回五十三ヘクタールというふうに徐々に面積が狭められてきたわけでございます。これは羽田空港が国際化をするということで、それに必要ないろいろな設備あるいは施設等がどうしても必要だということで、こういった面積が削られてきたことは私もやむを得ないことだというふうには思っておりますけれども、そういう中でこの跡地利用計画が、先ほどのご答弁にありましたように、もう既に二十数年、三十年近い間、推移をしてきたわけでございます。
 この、国と東京都あるいは大田区の三者の間で跡地利用基本計画を検討する上での基本的な視点は何か、このことについて伺います。

○庄司参事 羽田空港跡地基本計画の検討に当たっての基本的な視点につきましては、再拡張事業により、発着回数が年二十九・六万回から年四十・七万回に約一・四倍に増加するとともに年間七百万人の国際線利用者が見込まれることなどを踏まえ、平成十九年三月に開催された三者協におきまして、一つ、空港を生かす、一つ、空港と連携する、一つ、周辺と調和する、の三つを基本的な視点とすることに合意いたしまして、これを踏まえて国、都、大田区の三者で今年度の検討を行っているところでございます。

○藤井委員 三つの視点ということで今回の利用基本計画が策定をされたということでございますが、この利用計画を策定する上での基本的な視点というのは、やはり何といっても三年後、第四番目の滑走路がいよいよ完成をするわけでございまして、また国際旅客ターミナルも平成二十二年度に完成をするというふうに聞いております。そういった再拡張事業を踏まえまして、羽田空港の国際化の視点とか、あるいは空港に隣接をいたします大田区との連携を図る上でも、大変重要であるというふうに考えます。
 そこで、基本計画を策定する上で、ただいま答弁にありました基本的な視点に加えて、特に留意した点についてお伺いいたします。

○庄司参事 本基本計画の検討に当たっての留意事項につきましては、空港や周辺市街地などとの位置関係や、航空法による高さ制限などの条件に配慮すること。また先ほど先生からお話がありましたように、終戦直後の強制退去の歴史などの過去の経緯を踏まえるとともに、再拡張事業後のさらなる航空需要の増加に対応すること。また国際便の就航や旅客数、貨物量の増加を踏まえ、多様な交流によるにぎわいの創出など、空港整備との相乗効果が期待できる計画とすることなどに留意して検討を進めてまいりました。

○藤井委員 ただいま基本的な視点と留意事項についてご説明いただきました。
 それでは、この利用計画素案で示されておりますゾーニングについて何点か伺います。
 まず、この五十三ヘクタールの跡地を三つのゾーンに区分けをしております。最初にその考え方及び各ゾーンの特性、そして利用の方向性についてお伺いいたします。

○庄司参事 ゾーンについてでございますが、本基本計画の検討に当たりましては、道路との関係、空港用地、国際線地区、周辺市街地との位置関係、航空法による高さ制限などを考慮し、跡地を大きく三つのゾーンに分けております。
 第一ゾーンは大田区市街地に近接したゾーンであり、天空橋駅を有するアクセスのよさなどから、文化・交流、産業支援ゾーンとして位置づけております。
 第二ゾーンは、新たに整備される羽田空港の国際線地区に隣接するゾーンであり、国際線旅客ターミナルビルとの補完的、一体的な旅客サービスを提供する、国際交流、商業ゾーンとして位置づけました。
 第三ゾーンは、航空法による高さ制限を一番強く受け、空港の制限エリアとの連続性や近接性が高いことから、再拡張事業後の空港関連施設のニーズに対応するための空港連携ゾーンとしての位置づけを行っております。

○藤井委員 ただいま、この土地利用の方向性についてのご説明をいただきましたけれども、それだけでこの基本計画が具体化されるということではないと思います。今回、あくまでも基本計画でありまして、今後、事業化を進めるに当たっては数々の課題が残されていると思います。
 そこで、どういう課題があって、それに対して東京都がどのような対応をしようとされているのか、お伺いいたします。

○庄司参事 今後、事業化を進めていくためには、跡地の基盤整備や事業手法などの課題を整理し解決を図る必要がございます。都は、引き続き羽田空港移転問題協議会などの場を通じまして国や地元区と調整し、課題の解決を図ってまいります。

○藤井委員 この跡地利用については、地元大田区は、既に二十年近い前、エアフロントシティ21という計画をつくっております。そこでは、産業拠点施設をつくったり、あるいは区民の人たちが憩える森をつくったり等々の計画がなされたわけですが、さらに最近、大田区では、五十三ヘクタールの跡地範囲が決まってから、大田区独自の跡地利用基本計画というものを示しております。
 私は、かねてからこの跡地利用については、都議会におきまして、委員会、本会議等におきまして、早く東京都も跡地利用についての体制をつくり、そして跡地に何を東京都としてつくるのか、これを検討すべきだということを主張してまいりました。
 東京都は、国と大田区、品川区の間に入りまして、この跡地利用のための三者協の事務局という立場でございまして、そういった意味では、国も、あるいは東京都、大田区、それぞれの考え方があると思いますけれども、東京都として、この跡地についてはここの部分が必要だ、あるいはここに何をつくりたいという都の考え方は必要ではないかというふうに考えるわけでございます。大田区は既に地元としてここの土地を買いたいというようなこともいっているわけでございますが、そういった意味では、なかなか国と区の間に入ってご苦労はあると思いますが、東京都独自としての跡地利用についての基本的な考え方、こういったものも早急に検討していただきたいということを強く要望したいと思います。
 もう一つは、先ほども答弁にありましたように、羽田空港の第四番目の滑走路ができますと、今までは年間三十万回の離発着の飛行機便でございましたが、これが第四番目の滑走路ができれば約四十万回にふえるわけでございます。国はこれの増便に対しては国際便として約三万回ということを示しておりますが、三万回では私はまだまだ少ないというふうに考えております。そしてまた、国の計画では、羽田から約二千キロ、二千キロを範囲として考えておりますが、これは石垣島までの距離しかありません。ですから、中国でいえば、北京とか上海はたしか入らないと思います。
 知事も本会議の答弁で、この羽田からの国際便については東南アジアまで飛ばしたいということも述べられたわけでございますが、そういった意味では、せっかくこの羽田空港が国際化をして、年間七百万人、もっともっと多くの海外からのお客を迎え、そしてまた二〇一六年の東京オリンピックを考えれば、早急にこの羽田からの国際便の回数をふやすと同時に、飛行距離も東南アジアまで行けるように引き続き国に働きかけていただきたいということを強く要望したいと思います。
 次に、羽田空港周辺の道路についてお伺いいたします。
 羽田空港機能の再拡張、国際化に際しては、空港へのアクセス道路の機能が大変重要になってまいります。しかしながら、羽田空港に直結いたします幹線道路である国道三五七号線については、東京港トンネル部やあるいは多摩川トンネル部などがまだまだ整備されておりません。そのため、ネットワーク化が図られていないわけでございます。
 そこでまず、国道三五七号についての都の認識について伺います。

○升都市基盤部長 国道三五七号線に対する認識でございますが、国道三五七号線は、東京臨海部における広域的な道路ネットワークを形成していく上で必要不可欠な路線であるとともに、国際化に向けて再拡張が進められております羽田空港へのアクセス道路としてもまた重要な路線であるというふうに認識しているところでございます。

○藤井委員 この国道三五七号が海や川で途切れることなく連続して通行可能となることが何よりも重要であるというふうに考えます。
 そこで、国道三五七号の事業の見通しについて伺います。

○升都市基盤部長 国道三五七号線でございますが、先ほど委員からお話がございましたように、東京都区間におきましては、東京港トンネル部と多摩川トンネル部がまだつながっていない状況にございます。
 東京港トンネル部につきましては、国土交通省におきまして平成十四年度に事業化しております。現在、構造形式の検討や地質調査などを行っていると聞いております。
 また、多摩川トンネル部につきましては、都市計画決定はされておりますが、事業化については未定となっております。

○藤井委員 この交通アクセスについては、今回の羽田空港跡地利用基本計画の中にも出ておりますけれども、三ページの地図のところですけれども、ここに神奈川口構想というのがあるのですね。これは神奈川県と横浜市と川崎市と国も入っておりますけれども、神奈川の方から多摩川、川崎から多摩川を越えて羽田空港の道路にアクセスをしたいということが今検討されているというふうに聞いております。
 これはなぜかというと、羽田空港が国際化をして、人、物、金、情報が入ってまいります。特に物、いわゆる物流拠点を神奈川の方に引っ張りたい、羽田空港から多摩川を渡ればもう川崎ですから。ですから、昔の東急ホテルがあった、多摩川沿いにあったところに橋を渡して、今ちょうど羽田空港の空港連絡道路というのができまして、空港に行くのに大変便利な道路ができたわけですけれども、ここにつながれたら、もう物流は羽田空港--飛行機で運ばれた物流は神奈川の橋でもってみんな向こうに行ってしまうという危険性、可能性もあるというふうに思っております。やはり何といっても、東京が海外から来た人や物、情報、こういったものを受け入れられる、そういった体制整備というのが大変重要だというふうに思っております。
 そういう意味では、ただいまご答弁ありましたけれども、アクセス、国道三五七号を初め、あるいは京浜急行、そしてモノレール、バス、こういったアクセスだけでは到底足りなくなるし、また、そういったものが運ばれてきたときの、受け入れられるだけの、いわゆるそういった体制も早急に整備しなければならないというふうに考えております。
 そこで、東京港トンネル部と多摩川トンネル部の双方のトンネルともに、完成の具体的な見通しが立っていないと今ご答弁がありましたけれども、都として、この早期整備を求めるなど積極的に取り組むべきであると考えますが、所見を伺います。

○升都市基盤部長 都といたしましては、国道三五七号線のトンネル部につきまして、これまでも国へ提案要求を行うなど、さまざまな機会をとらえて整備促進を要請してきております。今後とも、関係自治体と連携を図りつつ早期整備に向けて積極的に取り組んでまいります。

○藤井委員 最後に、局長にお伺いをいたします。
 羽田空港は再拡張事業によって、三年後には二十四時間化されました国際空港として名実ともに国際化が図られることになるわけでございます。そういった意味で、今後、重要なこういった羽田空港の機能そしてまた役割、そしてそのための整備というのが大変必要になってまいりますが、羽田空港の国際化について局長のご決意を伺いたいと思います。

○只腰都市整備局長 再拡張後の羽田空港でございますが、国際空港としての持つポテンシャルを十分に発揮した国際旅客定期便や国際貨物便の就航を図るとともに、国際線地区に隣接する跡地につきましても、空港と連携しながらその機能を高めていく重要な空間として活用することが不可欠でございます。
 また、就航する国際線につきましては、近距離に限定することなく、都心に近い空港としての利便性を生かして東南アジアの主要都市にまで足を伸ばすことが必要であるというふうに考えてございます。
 さらに、羽田空港の再拡張、国際化を踏まえた道路ネットワークの拡充、今も国道三五七号線のご質問がございましたけれども、あるいは公共交通の質の向上など、広域的な社会資本整備も重要であると考えております。
 都は引き続き、世界に向けた我が国の玄関口としての機能を十分発揮できるよう、こうした課題への積極的な取り組みを国や関係機関に働きかけてまいります。

○植木委員 私は、木造密集地域の問題を最初、取り上げたいというふうに思います。
 阪神・淡路大震災で死者が六千五百人、この大半が建物の倒壊によるといわれています。もちろん火災もありました。しかも、木造建物の倒壊で被害者が多い、こういう事態だったと思うんですけれども。東京でも、木造密集地域、重点的に取り組んでおられるとは思うんですけれども、首都直下地震が起きた場合の被害想定や、それに基づく地域の防災計画の見直しが進んでいると思うんですが、都内に多く存在する木造密集地域での被害、どのようになるか、まずお示しいただきたいと思います。

○座間民間開発担当部長 東京都地域防災計画に示されました首都直下地震による東京の被害想定によりますと、東京湾北部地震、多摩直下地震、いずれも地震規模マグニチュード六・九、七・三の場合、人的被害や物的被害が区部の木造住宅密集市街地を中心に発生すると想定されております。
 これは木密地域に限定された被害想定ではございませんけれども、一つのケースとして、東京湾北部地震では、マグニチュード七・三、冬の夕方十八時、風速毎秒十五メートルの場合、人的被害では、都全体で約六千四百人が死亡、約十六万人が負傷されるとされています。また、物的被害では、揺れ、液状化や地震火災で、全壊の建物被害が約四十七万棟と推定されております。

○植木委員 六千四百人、十六万人の負傷者、建物は四十七万棟というお話がありました。本当にこのことをきちっと受けとめて対策をとっていかなきゃならないと思うんですけれども。木造密集地域といいますと、中には昭和五十六年以前のいわゆる旧耐震の建物も非常に多かったり、それから狭隘道路だとか、長年の地域の歴史によって所有権もいろいろ複雑だったり、困難がたくさんあるのは私も承知しておりますけれども、こうした震災対策の中で特に木造密集地域の位置づけを持って取り組んでおられると思うんですけれども、その位置づけについてお示しください。

○座間民間開発担当部長 地域防災計画における木密事業の位置づけでございますけれども、本年公表しました地域防災計画では、初めて減災目標を定めまして、その目標を達成するための対策を掲げております。その減災目標のうち、火災による死者の半減、住宅の倒壊や火災による避難者を三割削減を達成するためには、木造密集地域の不燃化が掲げられております。
 その主な対策の一つとして、木密事業や不燃化促進事業の実施が位置づけられております。

○植木委員 減災目標、火災の半減、住宅の倒壊を三割削減という明確な目標が出たわけですから、特に力を入れなきゃいけないと思うんですけれども、一つは、この木造密集地域の総体としての面積がどのくらいあって、中でも危険度の、つまり防災危険度の高い整備地域としての指定面積、これが防災都市づくり推進計画の中でどのように変更されたのか、その見直しの理由、あわせてお聞きしたいと思います。

○座間民間開発担当部長 防災都市づくり推進計画につきましては、平成八年度、そして平成十五年度に公表されておりますけれども、平成八年度の計画では、約九千二百ヘクタールを事業対象区域としておりましたが、平成十五年度公表の新しい防災都市づくり推進計画では、震災時の危険度が高い地域で集中的に事業を実施し早期に安全性を確保するために、各事業の進捗状況や地域危険度調査の結果を踏まえ、防災対策を実施する整備地域を約六千五百ヘクタールに絞り込んでおります。
 また、整備地域のうち、重点整備地域として約二千四百ヘクタールを選定し、街路事業等の基盤整備型事業、建物の共同化や沿道の不燃化を進める修復型事業等を重点化して実施するとともに、各重点整備地域における延焼遮断帯の形成率や不燃領域率などの整備目標を明確化しております。

○植木委員 危険度の高い整備地域の見直しを縮小した。しかしそこで集中的に、重点的にということなんですけれども、木密全体の総面積は二万三千ヘクタールですから、そのうちの六千五百ヘクタールということは二八%、約三割程度です。さらにその中の重点地域となりますとそのまた三分の一になりますから、全体とすれば木密地域の十数%になるわけですね。先ほど、改めて減災目標が確定したわけですから、ここで改めてこの被害想定や減災目標に基づいて見直しを図る必要があるんではないか。つまり、危険度の高い整備地域、それから重点整備地域、これをぜひ実行すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○座間民間開発担当部長 防災都市づくり推進計画の見直しにつきましては、現在の市街地整備の状況等、そしてただいま検討しております地域危険度、そういうものを踏まえながら、適当な時期に見直しを考えていきたいと考えております。

○植木委員 適当な時期は私は今だと思うんですけれども、地域防も改めてそこに出たわけですから。いずれにしても見直しをするということをはっきりいったわけですから、できるだけ早くやってほしい。これは後の事業に関係してくるわけです。
 それで、現在、木造住宅密集地域整備事業としていろいろやっていますけれども、この事業として実施している地域及び面積、それから今後の見通しについてはいかがでしょうか。

○座間民間開発担当部長 木密事業につきましては、現在五十三地区、約二千二百ヘクタールで木密事業を実施中でございます。これまでに十八地区約七百ヘクタールで事業が完了しております。
 今後、事業実施地区におきましては、その整備進捗を図るとともに、区と連携いたしまして、木密事業が導入されていない整備地域での事業の展開を図ってまいりたいと考えております。

○植木委員 これまで七百ヘクタールの事業終了、二千二百ヘクタールが残っている、こういうことですから、進捗率は非常に低いわけですよね。これはなぜ進まないのか。もちろん、最初にいいましたように狭隘道路だとか権利関係とか、それから個々のご事情がある。特に老朽した住宅なんかは、年配の方々などは、とてももう改善するわけにいかないよという人だとか、いろんな問題があると思うんです。建物、あるいは道路関係、権利関係あると思うんですけれども、進める側の問題点については、どのように、進まない原因について認識しているでしょうか。

○座間民間開発担当部長 木密地域の課題でございます。ただいま委員ご発言のとおり、高齢化の進行や権利関係がふくそうしていること、加えて狭小敷地や道路に接していない建物が多いことなどから、建てかえが容易に進みにくく、防災上危険な状況と認識しております。
 このため、東京都では、早期かつ効果的に木密地域の整備、改善を進める観点から、震災時に大きな被害が想定される地域に対し、集中的かつ重層的に事業を展開しているところでございます。
 具体的には、避難、救援活動を円滑にする主要生活道路などの公共施設の整備や、沿道一体整備事業、防災街区整備事業などを積極的に活用しております。
 今後とも、住民の協力を得ながら、地元区と連携し、効果的に事業手法を組み合わせながら、木密地域の整備、改善に努めてまいります。

○植木委員 効果的にやるために努力するということで、ぜひやっていただきたいんですけれども、実態はどうかということですね。平成十一年度と今年度と比較して、木密事業それから都市防災不燃化促進事業、防災生活圏促進事業それぞれが、十一年度とそれから決算というか結果ですから十八年度末とで、どのように決算額が推移しているでしょうか。

○座間民間開発担当部長 平成十一年度並びに平成十八年度の各事業の決算額についてでございますけれども、木密事業につきましては、平成十一年度が約二十四億円、平成十八年度は約十二億円の補助を行っております。また、不燃化促進事業につきましては、平成十一年度が約二億円、平成十八年度が一億七千万円となっております。また、防災生活圏促進事業につきましては、平成十一年度が五億七千万円、平成十八年度は二億二千万円の補助となっております。

○植木委員 十一年度と十二年度で--今のお話をトータルしますと大体三十一億円余が十五億円余に半減になっているんですね、予算は。だから、いろいろ重点的にというんですけれども実態はどんどん予算が削減されているんですよ。それは、なかなか困難で進まないから予算を組んでも不用額が多くなったりして、木密が七割程度の進捗率だし都市防災不燃化事業は八割というような状況ですけれども、それにしても額がこれだけ減ってきて重点化を図るんだといっても、最初の位置づけそれから減災目標、この規模からしてこれでいいのか、これが問われていると思うんですけれども、これでいいとそういうふうにご判断で、先ほどの答弁なんでしょうか。

○座間民間開発担当部長 各事業の執行につきましては、特に木密事業におきましては用地取得、これはかなり大きいウエートを占めておりますので、こちらの実績が十一年度と十八年度、相手の都合にもよりますのでこの差が出てきていると思います。
 また、不燃化事業につきましては、建てかえが主になりますので、これは建物の建てかえ動向、市場、そういうものがかなり影響しているものと思っております。
 しかしながら、この状況で決してよいとは思いませんので、先ほどご答弁申し上げましたように、今後の木密事業、木密地域の効果的な整備を進めるために、沿道一体事業ですとか防災街区整備事業、こういう効果的な事業を積極的に展開してまいりたいと考えております。

○植木委員 三つの事業で年間約十五億円決算で、これで僕は進むわけないと思いますよ。もちろんいろんな要因があるのは私も承知している。金をふやせばそれだけでいいとは思っていません。ただ、どう打開していくかというこの方向ですよね。一つは、減災目標を掲げたからには重点化はもちろん大いに取り組む、同時に、指定面積をふやして面的にも対象を拡大するということがまず一点必要じゃないかというふうに思うんですよ。
 それからもう一つは、防災生活圏事業、これは終了しましたよね。私、この時期になぜ終了するのかと不思議に思っているんですけれども、それでいいのだろうかと。これはむしろ今こそ活用に--きちっと再開すべきじゃないか。この二点についてどうですか。

○座間民間開発担当部長 ただいまご意見にありました防災生活圏の促進事業でございますけれども、これにつきましては、いわゆる延焼遮断帯となる道路ですとか鉄道、それに囲まれた一定の区域を防災生活圏として位置づけまして、その中の防災機能を高めるということで、主に我々はガワとあんこといっておりますけれども、あんこ、市街地の中のそういう整備を進めるということで制度化されたものでございまして、それが平成十八年に木密事業に統合されております。したがいまして、現在、この防災生活圏事業につきましては、十八年当時に現存、事業中のもの、事業中の区域に限って継続しているものでございます。
 しかしながら、この必要性については十分東京都としても理解しておりますので、この防災生活圏促進事業が終了した地区におきましても、地区の事業実施状況あるいは地区の特性を踏まえて、必要に応じて木密事業あるいは不燃化事業に編入することは可能でございます。

○植木委員 十八年度に防災生活圏事業が終わるというので、私、中野区にもちょっと、地元ですから聞いてきたら、そしたら、もうこれで終わりですよと周知、宣伝して、活用してくださいといったら、やっぱりその年度はぐっとふえているというんですね。
 不燃化事業の方は確かに同様に使えるんですけれども、これは都市計画上のいろんな制約だとか整備を、要件が整わないとできないわけですね。だから、不燃化事業を促進するということはあるんだけれども、防災生活圏事業というのが木密事業の中に入っちゃってわからなくなっているんですけれども、やはりきちっとこういうものも位置づけていってこそ促進できる。
 それから、答弁なかったのでそれをもう一度お願いしたいのは、対象面積を思い切って広げる問題、これは減災目標を掲げたら絶対に不可欠ですよ。いかがですか。

○座間民間開発担当部長 整備事業区域の拡大についてでございますけれども、先ほどご答弁いたしましたが、木密地域の整備効果を高めるためには、重点化、集中化して整備を進めることが得策と考えておりますので、整備区域を改めて拡大する考えはございません。

○植木委員 考えはございません、さっきは適切な時期に、どっちが本当なんですか。対象のことなんですか、それとも、何が、今できませんといったんですか。

○座間民間開発担当部長 木密地域の整備効果を高めるために重点的、集中的に今施策を展開しているところでございますので、現段階では整備地区区域を拡大する考えはございませんが、先ほど申し上げましたように、現在、地域危険度調査をしておりますので、その結果によって改めて区域の拡大を、必要になれば拡大したいと思っております。

○植木委員 ぜひこれは両方とも、指定もそうだし、それから活用の、内容の対象地域の拡大、イコールの部分が大半だとは思うんですけれども、ぜひ早くやって、とにかく執行率が七割、八割ですし、とても間尺に合わない。減災目標なんて、これはいかないわけですから、ここは大いに、さっきいったように実行する側の、進める側の問題点の認識が非常に弱いということを重ねて指摘をしたい。
 時間の関係もありますので次に移りますが、一点だけ具体的な問題、先ほど中野区の南台の防災生活圏事業の実施のことはちょっといいましたからこれは省きますが、南台一、二、四丁目地域というのは、東京大学海洋研究所の移転が計画されていて、防災公園を整備する、こういうふうに聞いておりますけれども、この見通しをどのように都はつかんでおられるでしょうか。

○座間民間開発担当部長 東京都は、防災都市づくり推進計画におきまして、南台一丁目地区に約一ヘクタールの防災公園の整備を位置づけております。これを踏まえまして中野区では、東京大学海洋研究所が平成二十年度末を目途に順次千葉県柏市に移転することを契機にいたしまして、その跡地と、隣接いたします東京大学教育学部附属中等教育学校の校庭の一部用地を防災公園として整備をすべく、現在、大学側と協議中であると聞いております。

○植木委員 こういう公的な建物、国の建物ですけれども、移転が決まったということで木密地域の中に公園をつくることが可能になった。そういう点で地元も大変喜んで早く整備してほしいという思いがあるわけですが、こういう東京大学海洋研究所、今回一つの例ですけれども、木造密集地域に国有地のもう完全に利用がない、活用されないという土地だとかあるいは活用されていない都有地、こういうものを、現在活用されているものということを私はいいません、活用など、思い切った措置をとるべきではないかというのが一点。
 それからもう一つは、そうはいっても中野区だけでなくて各区でも、建物共同化への補助要件なども緩和しないとなかなか実際には進まないというようなこともあると思うんですけれども、これは国の制度なんでしょうか。そういった制度の改善といいましょうか緩和といいましょうか、そういうものも国にも求めるなど、具体策についても促進をいただきたいと思うんですけれども、この二点についていかがでしょうか。

○座間民間開発担当部長 木密地域の整備、改善のためには、公有地を種地として活用することは有効であると考えております。例えば、従前、居住者用の住宅の整備や防災広場の整備、また防災街区整備事業等の種地としても活用し、円滑な事業推進を図ることが可能と考えております。
 今後とも、都営住宅の再編整備や小中学校の統廃合等によりまして公有地の確保ができる場合につきましては、区と連携し、防災都市づくり用地に活用していきたいと考えております。
 また、木密事業等いろいろな共同化につきましても、今いろんな制度ができておりますけれども、今後その整備が円滑に進むように、制度改正等も含めて国に働きかけてまいりたいと考えております。

○植木委員 ぜひそういう具体化を促進していただきたいと思います。
 いずれにしても、結局ずっと聞いていても、予算は減っている、対象地域も減っている、防災生活圏事業も終わってきちゃっているということで、予算が実際に縮小されちゃっているということはやっぱり問題だと思うんですよ。大規模開発なんかだったら一カ所で百億単位で平気で使うわけですから、こういう、面的に思い切って広げる対策としてやる必要があるし、かつて東京都、皆さんは、一つ一つの事業がいいかどうかは私もここではつまびらかにする余裕はありませんけれども、白鬚の地域だとか、墨田の京島とか、都の職員も入ってモデルをつくったりいろいろ意欲的な取り組みもやった経験あるわけですよ。そういう体制も含めて強化をするということを重ねて求めておきます。
 それから、耐震診断、耐震改修、これも木密地域の問題ですけれども、これも執行率が十分でないんですね。執行率、十八年度の決算書を見ますと六・四%、決算委員会でも指摘があったということですけれども。そしたら、十八年度は制度の周知が不十分で、今年度は昨年度と違う、大幅に増加することが見込まれると答弁されているようですが、既に今年度に入って半年たっていますけれども、実績と見通し、これはいかがでしょうか。

○金子市街地建築部長 木造住宅の耐震化助成の今年度の見通しにつきましては、現時点では正確に把握できておりませんけれども、半年後、半年たっております九月末現在の申請状況につきましてはお手元の資料にあるとおりでございまして、今年度は、年度当初から整備地域を抱えるすべての区で助成が実施されておりますので、制度の周知も進んでいくことから、大きく増加していくのではないかというふうに見込んでおります。

○植木委員 資料で確かにあるんですけれども、九月末で、診断の方は三百四十九件、改修が三十一件ですよ、この木密地域の耐震診断、耐震改修が。このテンポで果たして大丈夫なんだろうかと。執行率は今年度はまだわかりませんけれども、若干伸びるとしたって一けた台ではどうしようもないので、一けた、二けたの一〇%台ではどうしようもないんですけれども、これで一つは達成できるのかということですよ。その点について一つ。
 それからもう一点あわせてお聞きしますが、さっき木造密集地域での指定の拡大という話もしていましたけれども、木造の耐震診断、改修の、この対象も拡大すべきではないかというふうに一つは思いますし、それからもう一つは、先ほどの質問でもありましたが、全部するのはなかなか大変だけれども寝室とか居間とか一部分の改善で何とかしたい。こういう思いの人は今は対象に、たしかなっていないと思うんですけれども、こういう命を守るという立場でやる場合も対象にするような要件の緩和とか、そういった努力が必要ではないかというふうに思うんですが、この二点についてどうでしょうか。

○金子市街地建築部長 木造住宅の耐震化を促進する上で、助成制度というのは非常に有効であると考えておりますけれども、そのほかにも、安価で信頼できる耐震改修工法の紹介ですとか耐震診断技術者の育成など、耐震化に取り組みやすい環境の整備を図っていくことも重要でございます。
 また、ことし六月には、建物の耐震化に全庁を挙げて取り組むための建物の耐震化推進会議を立ち上げたところでございまして、木造住宅の耐震化を加速する新たな方策についてもさまざまな角度から検討しているところでございます。
 今後とも、目標の達成に向けまして、庁内はもとより区市町村や関係団体とも連携を一層強化し、総合的な取り組みを進めてまいります。
 それと制度の関係でございますが、住宅の耐震化は、自助、共助、公助の原則を踏まえまして所有者によって行われることが基本でございまして、都は公共的な観点から必要がある場合に財政支援を行うこととしております。
 こうした基本的な考え方に基づきまして、耐震化助成につきましては、住宅が倒壊した場合に道路をふさいでしまって避難や救急消火活動に支障が生じるおそれの高い木造住宅密集地域の整備地域を対象に実施しております。
 また、住宅の倒壊による道路閉塞の防止を目的としておりますことから、前面道路の幅員が六メーター以内であること、また耐震改修後の耐震診断の評点が一・〇以上、すなわちいいかえれば大地震が来ても倒壊しない程度の強度を確保すること、そういったことを助成の要件としております。
 まず、こうした地域を対象に、こういった耐震性のある、耐震性を確保していくということに重点的に取り組むことが防災上重要であるというふうに考えておりまして、当面、制度の周知の徹底などを行いまして、普及啓発に力を注いでまいりたいと考えております。

○植木委員 要件の緩和は今は考えていないという答弁ですね。執行率を見たらやっぱり木密事業の指定対象地域の拡大、それから要件の緩和というのは、もちろん無制限に、これは税金ですから何でもいいということを僕はいっているんじゃないんです。適切な基準というのをもちろん設けて緩和をというふうにいっているので、ぜひこれは、その推進会議ができたというんですが、そこで具体化を図っていただきたいというふうに思います。
 それで、簡易な形のというのは、先ほどこの議会棟で展示が行われているということのお話がありました。これは非常にいろんな人に喚起する上で私も大事な事業の一つだろうというふうに思うんです。総務局なんかにも防災展示全体についての常設展示をできるようなところということをいっていますけれども、都市整備局としても、こういう常設展示に総務局と一体となって努力すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○金子市街地建築部長 今のご質問は、安価で信頼できる耐震改修工法の紹介についてということだと思いますけれども、これにつきましては、都庁での展示会の開催に加えまして、先ほどもちょっとご答弁させていただきましたが、東京消防庁の協力を得まして、池袋、本所、立川にある防災館での展示を実施しております。
 また、住民に身近なところで展示会を開催する、それが効果的であるというふうに考えておりまして、区市と連携して地域の防災イベントなどで展示を実施しているほか、新聞社主催の住宅リフォームフェアなど民間のイベントにも展示しておりまして、現在ではほぼ毎月、都内のどこかで、どこかの場所で展示が実施されているといった状況でございます。
 今後とも、さまざまな機会をとらえまして展示会を継続的に開催し、安価で信頼できる耐震改修工法の普及を図ってまいります。

○植木委員 これは都市整備局だけでできるかどうかというのは難しい問題もありますので、ぜひ今後、努力をしていただきたい。もちろん、身近なところでの展示の促進は私も大賛成です。
 この問題の最後に、耐震診断、耐震補強とか、それから姉歯設計事務所以来、倒れない住宅ということで建築確認審査の厳格化が行われました。行われたことは、私も主張していましたし大賛成であります。ただ、実際には国の準備が十分整わなくて、いまだにソフトができ上がっていないということだとか機械的な運用の問題も指摘されて、かなりマスコミにも大きく報道されていて、国土交通省の発表では、住宅着工戸数が七月にはマイナス二三%、八月にはマイナス四三%、九月はマイナス四四%と、こういうふうな状況になってきているということで、厳密な審査を前提にしながらも国のそうしたおくれによる問題点はきちっと正さなきゃいけないというふうに思うんですね。もちろん周知の問題もいろいろあると思うんです。
 そういう意味で、この間、国や東京都がどのような努力をされてきたのか、それから今後東京都としてどうするのか、あわせてお聞きしたいと思います。

○金子市街地建築部長 現在、生じている建築確認の停滞に関するご質問でございますけれども、国につきましては、九月の下旬に国土交通省が改正建築基準法の円滑な運用に関する技術的助言を通知いたしまして、都道府県に対して説明会の開催など、特定行政庁や設計者等への周知徹底を要請しております。また、十月末には、運用面の改善を図るために添付書類の簡素化など規則の一部を改正する、そういった予定をしている旨を公表しております。
 一方、都におきましては、建築行政を所管する立場から、新たな制度について早期に定着を図ることが重要であるというふうに認識しておりまして、このため、申請窓口における事前相談を丁寧に行うとともに、区市や関係団体と連携いたしまして、設計者、審査担当者など実務者向けの講習会をきめ細かく開催しております。
 また、国とも連携しまして、QアンドAの作成ですとか、電話相談窓口の開設を行って、設計事務所等からの問い合わせにも対応するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、建築確認申請の円滑化に向けて新たな制度の周知に努めてまいります。

○植木委員 震災関係はこれで終わりにいたします。
 次に、多摩ニュータウンについての質問をしたいと思いますが、多摩ニュータウンは昭和三十八年に、当時は深刻な住宅不足だとか土地の値上がりだとかいろんなことを背景にして、新住宅市街地開発法によって始まって今日に至って、途中いろいろ変遷ありますけれども、来ておるわけですが、今、この問題では財政的な問題、いろんな開発による影響、それから今日では環境問題、こういったいろんな問題が出てきているというふうに思うんですね。
 それで、まず全体の、この間、都議会でも大きな問題になってまいりました隠れ借金が、二年前に欠損金が約一千億円というのが出されておりました。昨年度末はということで、昨年度の資料によりますと一千四百億円、これは多摩ニュータウン事業等というふうになっていますから、そこがどういうふうになっているかわからないんですが、これらの内容と今後の見通しという点ではどんなふうになっていますでしょうか。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウン事業の会計の状況でございますが、まず先生がおっしゃった隠れ借金という言葉でございますが、これにつきましては、平成十七年の七月に都の財務局が発表いたしました「都財政が直面する課題」の中で、隠れ借金というものの一つとして多摩ニュータウン事業の欠損金が約一千億ある、こういうふうな記載をしたものでございます。
 この二年前の平成十七年の時点において財務局がどのような方法でこの一千億円ということを推計したかは詳しくは承知しているわけではございませんけれども、現金の収支の整理を基本といたします官庁会計における予算と決算の情報から試算したものと思われます。
 私どもは、今年度の決算特別委員会で、東京都決算参考書の財務諸表の中で多摩ニュータウン事業会計貸借対照表に記載いたしましたとおり、平成十九年三月三十一日現在の債務超過は一千二百二十九億円と算定してございます。
 このいわゆる「都財政が直面する課題」の中で出されました隠れ借金というものと、それから今回の決算の参考資料中の財務諸表でございますが、これにつきましては算出の時点がまず違うということが一点、それから算出の行い方も違います。そういうことで、都市整備局といたしましては、多摩ニュータウン事業会計の貸借対照表の記載のとおり、債務超過が千二百二十九億円である、こういう認識をしております。大変な厳しい財政状況にあるという認識をしております。
 今後の見通しについてでございますが、地価でございますとか宅地需要の将来動向に左右されるなど、確定的なことは申し上げられませんが、このような厳しい状況を十分に認識いたしまして、事業用宅地を積極的に販売をいたしまして、債務超過額の圧縮に努めてまいるつもりでございます。

○植木委員 隠れ借金というのは私が使ったんじゃなくて財務局が出したわけですから、全庁的に隠れ借金問題がこれだけ大きな問題になっているときに、それを知らないよというわけには当該事業局としていかないのは当然ですよ。もともと財務諸表については、購入時価格が基本になっていたり、いろんなルールがあって、現実と合わない中身も計上せざるを得ないということですから、やっぱり収支の関係という点では、この隠れ借金という財務局の方が非常にわかりやすいと私は思うんですけれども、いずれにしてもこれは、どちらにしても巨大な金額であることは間違いないわけです。
 これは、当初は山林原野を買ったり安い土地だったりしたのが、バブルの時代になっても引き続き土地を購入し続けて、途中で見直しも十分行われなかったり、あるいは開発を取り入れたり、いろんなことがふくそうして巨大になっていったわけです。もともとバブル以前の段階ではこういう状態というのはなかったわけですよ。そういう意味で、途中でのきちっとした再検討や見直しが行われる必要もあったと私は思うんですね。
 それで、四十四年もたった現在ですけれども、到達点はどこまでいっているんでしょうか。

○瀧本参事 多摩ニュータウンでございますけれども、八王子、町田、多摩、稲城の四市にわたる総面積約二千九百ヘクタールの地域でございまして、先ほど委員のお話ございました昭和三十八年の新住宅市街地開発法施行以来、四十年以上の長きにわたってまちづくりを進めてきております。
 当初は住宅の大量供給を目的に整備を進めてきましたが、昭和六十一年に新住宅市街地開発法の改正がございました。それを機に、住機能だけではなくて多様な機能の立地も図ってまいりました。
 平成十七年度をもちまして新住宅市街地開発事業が終了いたしましたけれども、計画人口三十四万二千人に対しまして、平成十八年十月一日現在の居住人口、二十万五千人というふうになってございます。

○植木委員 未利用地というのか残地というのか、それぞれ東京都だけじゃない、URとかあると思うんですけれども、どのくらいになるんでしょうか。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 東京都の未利用地でございますが、今年三月末で約六十八ヘクタールでございます。また、都市再生機構の未利用地につきましては、同じく今年三月末で約九十一ヘクタールであると聞いております。

○植木委員 両方合わせると百五十ヘクタールを超えるわけですね。相原・小山地区、多分これは入っていないと思うので、入れれば東京都のは八十・三ヘクタールになると思うのですけれども。いずれにしてもこれだけの、今は東京都、売却するというふうに最初の答弁でありましたから重ねて聞きませんが、どんどん売却しているといろんなトラブルも起きるわけですね。地元市との整合性というんでしょうか、それから巨大マンションだとか大型店の問題とか。あるいは、今までは公的な住宅だと、割と建ぺい率、容積率を多少見ながら緑を配置したりいろんなことをやってきたんですけれども、民間だとどうしても目いっぱい建ててくるということで、住環境問題などでトラブルが発生する。これらは当然、地元市と調整を図ってやっていると思いますけれども。
 私、もう時間もないので、結論的にいっちゃうと、誤解を生みかねないのでちょっと心配なんですが、いずれにしても、新住法は終了したといっても多摩ニュータウンのいわゆるまちづくりというのはいろんな形で進んでいるわけです。今後も、そういう意味では、私は東京都に責任が当然あると思うんですよ。ですから、都と市長と詰めたまちづくり計画というものを関連四市でやるか、あるいは各市とやるかはいろいろやり方はあると思うんですけれども、改めて今日時点に立ってまちづくり計画の立て直しをきちっと図るべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 まちづくり計画の前に、未利用地の先生のご指摘でございますが、ただいま申し上げた六十八ヘクタールというのは相原・小山地区も含んでおります。(植木委員「前にもらった資料が違うよ」と呼ぶ)いや、多摩ニュータウン全体の未利用地ということでございますので、新住宅市街地開発事業地と相原・小山地区の未利用地と両方含んだものでございますので、もし先生そういう誤解がございましたら、訂正させていただきます。

○瀧本参事 まちづくり計画の見直しというようなお尋ねでございますけれども、この多摩ニュータウンでございますけれども、それぞれの時代の要請を踏まえまして先導的なまちづくりを進めてまいりました。
 それには大もとの土地利用計画、あるいは新住宅市街地開発事業の計画に基づいて進めてきたところでございます。今日では、開発者主体の建設の時代から、地域や生活者の視点に立った地域経営の時代を迎えております。また、その事業期間が四十年以上にわたってきているということから、この地域の中も開発時期ごとに、特殊なまちの課題、それぞれ各地で異なっておりまして、地域の整備のよりきめ細かい対応が必要となってございます。
 そうした中で、都といたしましては、これまでの大きな計画というものに基づいて、今後は地域経営の主体である地元市を初めとして関係機関と連携しつつ、多摩ニュータウン全体を視野に入れて、広域的な観点からまちづくりに取り組んでいくということとしております。

○植木委員 当然、広域的な観点は必要なんだけれども、市長会からの要望書はこういうふうに出ていますよ。ちょっと省きますけれども、この事業はすぐれて政策的に実施されてきた経過にかんがみ、事業の実施に伴い発生した課題及び財政課題云々と、こういって、いわゆる多摩ニュータウン地区には住民の年齢構成の偏在や都市更新の困難性など独自の都市的な課題が存在する。この現状認識に基づき課題解決に向けた研究、検討が重ねられてきたが実効性ある対応策は確立されていないといっているわけですよ。これらのまちづくりに向けた経営主体が地元自治体であることに異論はないけれども、事業の実施自体に起因する課題については、総合調整権に基づき、多摩ニュータウンの事業をリードしてきた東京都が課題解決に至るまでの間主体的な対応をされたい、こういっているわけですよ。
 ですから、やはり今日の時点できちっとそういう対応をするように求めておきます。
 最後に、一点だけ質問します。
 多摩ニュータウン、いろいろ課題があって挙げればきりがないんですけれども、一点だけ挙げます。
 稲城市の若葉台地区では、小学校の学級数が当初二十学級だったのが現在は二十九学級、千五十人の生徒。全都で一番規模が大きい、文字どおり大規模校になっています。学校教育法によりますと標準学級数は十二から十八学級になっているので、その二倍の規模になるわけです。大規模化に伴って学習発表会でも一人一人の発言がほとんど一言になってしまう、こういう声もある。
 この地域は、URの関係が多いんですけれども、開発計画を踏まえて二校建設する計画だった。ところが、都の補助がだんだん順次削減されて、新たな建設は市も断念して増設によって補ってきた。したがって、学校の敷地も、間に一般道路があるという異常な形態になってきている。こういう状況は、これは何も教育庁でなくても、まちづくりの観点から見ても決してよい教育環境ではないというのはわかると思うんですけれども。問題は、今でも土地処分が続いていて世帯数がふえる。稲城市ではアッパー三十四学級、つまり今二十から二十九学級まで伸びている。それが三十四学級、あと五学級ふえそうだ、人口増になって。問題は、東京都の住宅建設対策、都の補助金、これが削減されてきて、そういうことで新たにつくるということは困難になってきている。これはまさにそういう意味では負の遺産の一つでありますから、たとえ新住法が終わったからといって、やはり開発によって起きたこういう問題についてはきちっと対応すると。
 二十年度の先ほど出した四つの市長会の予算要望にも、多摩ニュータウンにおける住宅建設と地元市の行財政に関する要綱で、関連公益施設整備費の補助の大幅な引き上げを行われたい、こういっているわけですから、これをぜひ要望を受け入れて進めるべきだと思うんですが、いかがですか。

○瀧本参事 私の方から、前段のところにつきまして、ちょっとご答弁申し上げたいと思います。
 この地区の状況でございますが、都市再生機構が新住宅市街地開発事業によりまして宅地造成を行って土地売却を進めているエリアということでございます。ここの小学校の状況につきましては、今、委員おっしゃったような状況でございまして、二校整備するということを一校の整備ということになっているのが現状でございます。ただ、これにつきましては、将来の児童数のシミュレーションというものを行って、そして地元の稲城市と都市再生機構が協議をいたしまして、その中で、じゃ、一校でこれはいけるという中で戸建て用地に変更して土地処分をしたというふうに聞いてございます。
 東京都といたしましては、こうした都市再生機構が土地を処分するに当たりましては、地元市と都市再生機構、よく協議をした上で住居の変更というものを行うということでございまして、この地域のまちづくりに当たって引き続き都市再生機構と地元市が十分に検討を行う、行っているということでございまして、都としてはそのようなところでの認識をいたしてございます。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 今、住宅建設補助制度についてご質問がございましたが、この制度、昭和四十九年に創設されたんですが、その目的は、開発初期の大量かつ集中的な住宅建設による地元市の財政負担を軽減することでございまして、補助を開始してから見直しの時期まで二十年以上経過いたしまして、多摩ニュータウンの地元市におきましても、まちづくりも進展するなど、制度が創設されたときとは状況が相当に変化をしてきたということでございます。
 このため、平成八年でございますけれども、都の行財政改革大綱において補助制度の運用を実態に見合ったものに見直すことになったわけでございます。三年間の協議を経まして、平成十一年度から激変緩和措置も伴って現行の制度に移行したものでございます。
 本制度はそれから定着をしているということで、既に私どもとしてはこの制度で運用を続けたいというふうに考えております。

○村上委員長 植木委員、大分超過していますから気をつけてください。

○植木委員 はい。いずれにしても、市長会から改めて出ているんですから、そのことをぜひ受けとめていただきたいということを述べて、私の質問を終わりにします。

○鈴木委員 お疲れさまであります。前が予定時間を大幅にオーバーしておりますので、簡潔な質問で時短に寄与したいと思っておりますので、明快な答弁をよろしくお願いいたします。
 先ほど藤井委員より、羽田空港誕生に至る大田区住民のつらい過去についての話がありましたが、その後も騒音の問題や安全性の問題、防災上の問題など、今日に至るまでさまざまな困難な状況に耐えてきたわけであります。こうした中で、羽田空港移転決議、その後の沖合展開事業の受け入れ、そして二〇二〇年の国際化につながってきているわけであります。
 私は、さきの第三回都議会定例会の一般質問で、そうした大田区における経緯と区民の思いを踏まえて、目の前に迫る羽田空港の国際化に関連して何点か質問させていただきました。その中で、羽田空港跡地整備については、羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協で合意された基本的な視点を踏まえ羽田空港跡地利用基本計画の取りまとめを進めること、また、基本計画は都民の関心が高いことなどから、計画の策定には、地元大田区の意見を十分考慮しつつ各意見の調整に努めみんなが納得できる最善の計画となるよう要望したところであります。
 そこで、お伺いいたしますが、先日発表した羽田空港跡地利用基本計画の素案について、私が要望した地元大田区の意見をどのように考慮されたのかお伺いいたします。

○庄司参事 羽田空港跡地利用基本計画の策定に当たりましては、国、都、大田区から成る羽田空港跡地共同調査に関する連絡会議におきまして、三者による共同調査を行っております。この調査の中で、国と大田区が意見を出し合い、有識者委員会の委員の指導、助言をいただきながら検討を重ね、素案に反映させております。
 最も大田区市街地に隣接している第一ゾーンでは、公共的な空間形成として、周辺地域との共生や調和、海外との文化交流などを促進する文化・交流ゾーンや、地元大田区の高度な技術を保有した企業の集積地域を踏まえた産業技術の国際展示などを行う産業支援ゾーンに位置づけているところでございます。
 また、本計画素案につきましては、国、都、大田区、品川区から成る羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協で合意をいただいているところでございます。

○鈴木委員 今の答弁で、この策定に当たりましては、大田区も参画した連絡会議で十分議論を尽くし検討し、関係者間で合意された素案であるということは理解できました。
 今回示された第一ゾーンは、先ほどの答弁にもありましたし、また、ただいまいただいた答弁にもありましたように、大田区市街地に隣接する地域で、文化・交流機能や産業支援機能などが望ましい機能として提案されております。この内容については、現在、パブリックコメントを実施して都民の意見を募集している最中ということでありますが、原則、素案提案に当たっては大田区も合意しているという理解であります。
 今後、パブリックコメントを踏まえ今年度中に羽田空港跡地利用基本計画を取りまとめることになると聞いておりますが、今後、事業化に当たっても地元大田区と連携を図っていくことが重要と考えますが、東京都はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○庄司参事 都の取り組みでございますが、都はこれまでも東京、首都圏を見据えた広域的な視点に立って、羽田空港移転問題協議会の開催や共同調査の実施などを通じまして国や地元区と調整し、跡地利用に主体的に取り組んでまいりました。
 都は、計画の早期具体化に向けまして、地元大田区はもとより、土地所有者である国などの関係者間の一層の連携のもと、跡地の基盤整備や事業手法などの課題を整理し、解決を図り、計画の早期具体化を進めてまいります。

○鈴木委員 この跡地は以前、東京都が買って整備するとしていたときもあったわけです。それが一千億円を貸し付けたころから仕切り直しになり、国際化も含め、今日に至っているわけであります。
 こうした経緯からも、またこの地域は東京の空の玄関に隣接する大切な地域として、ぜひ東京都がリーダーシップを発揮して跡地利用の早期具体化を図っていただきたいと思います。
 そのためには--今までこれは余り触れられていませんけれどもこのままでは使えないわけであります。六メートルもの高潮対策の護岸整備は不可欠なものでありますし、また国道の三五七号の整備も含め跡地内の道路ネットワーク等の基盤整備が必要であるわけであります。その整備は、土地の所有者である国が責任を持って行うべきと考えておりますけれども、都の考えをお伺いいたします。

○庄司参事 都といたしましても、羽田空港の持つポテンシャルを十二分に生かすため、国道三五七号、東京港トンネルなどの空港周辺の道路ネットワークなど広域的な社会資本整備を推進するとともに、空港跡地の利用促進に不可欠な河川護岸などの基盤整備が不可欠であると考えております。
 このような観点から、従来からも、国への提案要求などにおきまして国の積極的な取り組みを求めており、今後も国に強く働きかけてまいります。

○鈴木委員 我々も国に対して要望していきますので、都も強力に推し進めていただきますようお願いいたします。
 最後に、羽田空港を多摩川で挟んだ対岸の川崎市側では、羽田の再拡張、国際化の効果を京浜臨海部や神奈川県経済の活性化につなげるため、新たな交流拠点を形成する神奈川口構想の整備に向け、京浜臨海部利用検討会を立ち上げ、国を巻き込んで推進していると聞いております。また、都市再生緊急プロジェクトの一環で、平成十六年に神奈川口構想に関する協議会を立ち上げ、県と川崎市、横浜市と連携をとりながら推進していると聞いております。しかし、この跡地は、東京都の、また当該地であります大田区の今後のまちづくりの重要な拠点でありますので、都としても、このことに関しては積極的に対応していただきたいと強く要望しておきます。
 また、神奈川県側におくれることなく、城南島や京浜島を含めた京浜臨海部のまちづくり、活性化について、地元大田区と連携して検討を進めるなど取り組んでいただきますよう強く要望して、今回はこの程度で終わります。

○立石委員 六月二十日に建築基準法が改正されて社会問題になっている。着工戸数が、確認がおりないということで大変社会問題になっている。このことについて何点か質問したいと思います。
 私の友人が八月の末に確認申請を渋谷に出した。きのう確認がおりたようでありますが、通算七十日近い、あるいは七十日を過ぎたかもしれませんが、そこら辺はあやふやですが、いずれにしても従来は、改正前は二十一日間で確認というのはおろさねばならない、そういう規定があった。しかし、やりとりがあって構造上の間違いがあれば、それは設計士の方に球が投げ返されて確認は再び期間が延びるわけでありますが、それにしても、おおむねほぼ一カ月でおりてきたわけですが、昨今、改正後の規定によると、確認申請は何日以内におろさねばならないという規定があるのかないのか、ちょっと初めにお聞きしたいと思います。

○金子市街地建築部長 今回の法改正後の建築確認の審査期間についてでございますけれども、木造二階建てにつきましては従来どおり七日間ということで変更はございませんが、それ以外の建築物につきましては、先生お話しのとおり、従前二十一日間であったものが、今回の法改正によりまして、新たに構造計算適合性判定いわゆるピアチェックというものですが、これが導入されたことから、原則的には三十五日間に延長されております。
 なお、大臣認定の構造計算プログラムを利用しない場合や、あるいは申請図書に、先ほどもお話ありましたが、不明な点が多い場合には最大七十日間まで延長できるとされております。

○立石委員 つまり、二十一日間が三十五日に延びたということですね。それならそれほどの問題は起こらないですね。七、八、九の三カ月でおおむね半分近く着工件数が減ってしまったわけですけれども、そのことで押せ押せでえらい経済効果、国民総生産もかなり大きな影響を受けるだろう。〇・三として、四倍すれば三、四、十二、一・二%のマイナスというか、下限がおりるわけでありますけれども、経済成長率一つにしても、大変な、すそ野の広い産業としてこれは重大な問題だと。これは何とかしなきゃならない。
 そこで、七十日というのは、要は最大七十日でもいいということになれば、押せ押せで大変なデメリットになる、社会的にもですね。社会的にデメリットになるというだけじゃなくて、これはやはり、職人というのは物をつくるわけでしょう。ものづくりの基本、職人ですね、大工、左官、とび、土工、それぞれ大変な長い年月をかけて熟練工になっていく。そういう意味では、大変なマイナスになると思うんですね。経済成長率だけじゃなくて大変なデメリットになる。
 そこで東京都は、どういう対応をしてこの法改正に、いうまでもなく姉歯事件でこういう厳しいことになったわけでありますが、それは結構なことであります。しかし、どういうふうに対応を都はしていこうとしているのか、お答えいただきたいと思います。

○金子市街地建築部長 今ご指摘がございましたように、建築確認のおくれが現在の景気にも悪影響を与えるというような状況を生じていると思いますが、今回の建築基準法の改正につきましては、お話ありましたように、耐震偽装事件の再発を防止し、建築物の安全・安心に対する信頼を回復するための必要な措置であるというふうに認識しております。
 しかしながら、確認や検査に当たっての審査の基準ですとか設計図書の様式など、明確にすべき国の告示や技術基準の公表が六月二十日の施行日直前までおくれたために、新たな制度の周知が十分にできなかった、そういった経緯がございます。
 それから、申請書につきましては、軽微な不備を除いて原則として補正ができないとされましたけれども、その範囲があいまいであったということ、それから構造計算の途中経過やその結果の改ざんを防止する機能を持つ大臣認定プログラムというものが供給されることになっていたわけですが、いまだに供給されていない、そういった複数の要因が確認申請の実務に影響を与える結果となっております。
 こうしたことから、新たな制度に対して設計者などが的確に適応できずに確認申請が円滑に進まない状況が生じたものというふうに認識しております。
 それで、都の取り組みでございますけれども、都は建築行政を所管する立場から、今回の法改正で導入されました新たな制度について早期に定着を図ることが重要であるというふうに認識しておりまして、このため、申請窓口における事前相談を丁寧に行うとともに、区市や関係団体と連携いたしまして、設計者や審査担当者など実務者向けの講習会をきめ細かく開催しております。既に十六回で延べ三千人を対象にした説明会を開催しておりまして、今後も五回、延べ二千四百人を対象に開催する予定となっております。
 また、国とも連携いたしまして、新制度に関するQアンドAを作成するとともに、電話相談窓口を開設して設計事務所等からの問い合わせにも対応するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。

○立石委員 そもそも論をここでいうと時間がなくなっちゃうのでやめますけれども、建築確認ということは、第一義的には設計者の意図ですね。設計者の意図が本質的には信頼されなければならない。それに対して検査機関だとか地方自治体、建築主事のいる確認行為というのはいってみればセカンドオピニオンだ。これを、この地味な仕事を、社会全体の中でまちづくりという派手な仕事に、都市計画とか派手な仕事に、技術者の方が寄り過ぎて少し手薄になっているんじゃないかというような気がいたします。これは私の考えなのでとりあえず申し上げておきたいと思いますし、国も、これだけ重要な法改正をしながらソフトがおくれているということですよね、簡単にいえば。これはけしからぬことで、早急に東京都からも国に上げてもらいたいし、国としてはもう既に今十一月ですから数カ月過ぎているわけですね。国の通達その他どんな手を打たれているのか、わかりましたら教えてほしいんですけれども。

○金子市街地建築部長 国の動向でございますが、国は十月三十日に、改正建築基準法の円滑な施行に向けた取り組みといたしまして、建築確認手続に関する運用面の改善のための規則改正を行うということを明らかにしております。
 内容といたしましては二つありまして、一つは確認申請時における構造や材料などに関する大臣認定書の写しの添付を簡素化するということ、もう一つは、工事途中の間仕切りなどの変更で構造や防災の性能が低下しない場合には計画変更申請を不要とする、そういった内容でございます。
 これらは、設計者が書類の準備に多大な労力と時間を要することや、わずかな変更でも工事がストップするといったことへの大きな懸念材料として従来から関係団体などが改善を要望してきた事項でございます。
 したがいまして、国が明らかにした改善内容につきましては、設計者の負担軽減ですとか円滑な工事の進捗に対して一定の効果があるというふうに考えております。

○立石委員 最後に局長に、心構えといいますか東京のあるべき姿といいますか、建築のすそ野の建築確認行為という非常にすそ野の広い、社会経済的に与える影響、そういうものを考えて、どういうふうな決意といいますか、局全体として大きな役割を担うわけですから、その辺の決意を語っていただきたいと思います。それを質問したいと思います。
 それと同時に、非常に私、昨今思うのですが、理科系の学生さんも、就職先がどちらかというと何か金のもうかる、金、金、金の金銭至上主義みたいな世の中の風潮になっている。こういうところは、やっぱり地味な技術を育てる職人という人たちがどのぐらいとうとい仕事であるか、あるいは建築士が医者、弁護士に等しい、同じように大事な大事な国民の財産、都民の財産をつくる基本ですよね。こういう人たちの技術を大切にしないという風潮が社会の全般に私はあると思います。そういう点を、絞れば絞るほど、あの姉歯事件が、あつものに懲りてなますを吹くみたいな形で国交省がこういう形になってきたと思うんですが、そこら辺は現場を預かる局長として十分配慮して、局の中でも、またいろんな意味で技術者を大事にするということをしてほしいと思います。
 特に、都市計画法で特定街区というのができて、もちろん私も賛成なんですが、この間の事前説明、都市計画決定しましたけれども、十五年とか十六年ぐらいで本当に立派な建物をたたき壊してやるような風潮がこういうものに--まるで工業製品のようになっていくんじゃないか。今度、福田総理も、住宅を二百年住宅をつくろうというような提案をされているようですけれども、そういう思想がないと、大事な都民の基本的な財産が、やはりばかなことが起こると思うんですね。そういう点も踏まえて、私の意見を申し上げながら、局長の決意を聞いて終わりたいと思います。

○只腰都市整備局長 今回の建築基準法改正でございますが、耐震偽装事件の再発防止に必要な措置でございまして、建築士を初めかかわります設計者、工事施工者にも十分理解を得て施策の展開を図っていく必要があるというふうに考えてございます。
 一方で、今ご指摘ございましたように、建設業界は非常にすそ野が広うございまして、設計や工事のみならず、建築の資材あるいは住宅の関連の機器などさまざまな業種と関連をしておりまして、建築工事のスタートになります建築確認申請が停滞いたしますと、社会経済上大きな影響を及ぼすということになろうかと思います。
 現在、そのような状況が残念ながら生じつつあるというふうに広く各方面から認識、指摘がされておりまして、早急な事態の打開が必要な段階に至っているというふうに思ってございます。
 都といたしましては、国に対しまして、新たな制度が一日も早く定着するよう運用面でのより一層の改善と対策の実施を強く求めてまいります。
 また、都みずからも、みずから審査している立場がございますので、円滑な審査に努めることはもとより、建築確認の大半を担います区市並びに民間の指定確認検査機関への情報提供や技術的支援など、都内全体の建築確認が円滑に進むよう積極的に取り組んでまいります。
 最後に、ただいま立石委員から、技術者の社会での有用性といいますか、大切にしなければいけないというふうに、そういうご指摘ございましたけれども、私どもの局も事務、技術、力を合わせて行政を執行してございますが、我々、先生にご指摘いただいたような認識を持ちまして、技術者、私もその一員でございますが、そういう矜持を持ちまして運営に当たりたいというふうに思います。ありがとうございました。

○村上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村上委員長 異議なしと認めます。よって、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十八分散会

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