委員長 | 秋田 一郎君 |
副委員長 | 松下 玲子君 |
副委員長 | 東野 秀平君 |
理事 | 林田 武君 |
理事 | 川井しげお君 |
理事 | 柿沢 未途君 |
高倉 良生君 | |
村松みえ子君 | |
石森たかゆき君 | |
吉田康一郎君 | |
植木こうじ君 | |
小沢 昌也君 | |
こいそ 明君 | |
立石 晴康君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市整備局 | 局長 | 只腰 憲久君 |
次長 | 泉本 和秀君 | |
技監 | 福島 七郎君 | |
総務部長 | 安藤 明君 | |
都市づくり政策部長 | 野本 孝三君 | |
住宅政策推進部長 | 松村 光庸君 | |
都市基盤部長 | 升 貴三男君 | |
市街地整備部長 | 宮村 光雄君 | |
市街地建築部長 | 金子 敏夫君 | |
都営住宅経営部長 | 小林 計代君 | |
企画担当部長 | 村尾 公一君 | |
住宅政策担当部長 | 瀬良 智機君 | |
外かく環状道路担当部長 | 遠藤 正宏君 | |
民間開発担当部長 | 座間 充君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 今井 光君 | |
都市景観担当部長 | 安井 順一君 | |
建設推進担当部長 | 山室 善博君 | |
参事 | 中山 正雄君 | |
参事 | 瀧本 裕之君 | |
参事 | 宇多田裕久君 | |
参事 | 庄司 貞夫君 | |
参事 | 小澤 弘君 | |
参事 | 並木 勝市君 | |
参事 | 清水 文夫君 | |
参事 | 荒川 達夫君 |
本日の会議に付した事件
陳情の取り下げについて
都市整備局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・都市計画法に規定する開発許可等の基準に関する条例の一部を改正する条例
・東京都建築安全条例の一部を改正する条例
陳情の審査
(1)一九第一三号 武蔵小金井駅南口再開発の都市計画法及び東京都駐車場条例との整合性検証に関する陳情
(2)一九第一四号 武蔵小金井駅南口再開発の都市計画法違反及び都条例違反物件の建築の検証に関する陳情
(3)一九第十五号
(4)一九第二四号 広域避難場所の選定に関する陳情
(5)一九第二五号 「(仮称)グローリオ芦花公園」建設計画見直しに関する陳情
(6)一九第二八号の一 「三信ビルディング」の解体工事の中止及び保存に関する陳情
報告事項(説明・質疑)
・第百七十九回東京都都市計画審議会付議予定案件について
○秋田委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
初めに、陳情の取り下げについて申し上げます。
お手元配布の一九第三二号、安心して暮らせる生活環境を求めることに関する陳情は、議長から取り下げを許可した旨通知がありましたので、ご了承願います。
○秋田委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び陳情の審査並びに報告事項の聴取を行いたいと思います。
なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取し資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑を終了まで行いたいと思いますので、ご了承願います。
これより都市整備局関係に入ります。
初めに、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○只腰都市整備局長 本日は、平成十九年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております都市整備局関係の案件をご説明申し上げます。
提出予定案件は、条例案が二件でございます。
お手元、資料1というふうに右の上に書いてございますが、平成十九年第三回東京都議会定例会提出議案説明資料をごらんください。
まず一番目でございますが、都市計画法に規定する開発許可等の基準に関する条例の一部を改正する条例案でございます。本条例は、都市計画法等の一部改正に伴いまして、規定を整備するものでございます。
次に二番でございますが、東京都建築安全条例の一部を改正する条例案でございますが、建築基準法施行令及び学校教育法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
私の説明は以上でございますが、引き続き、詳細な内容につきまして、総務部長よりご説明をいたします。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
なお、航空政策担当理事の河島均は、本日、公務出張のため、欠席をさせていただいております。どうかよろしくお願い申し上げます。
○安藤総務部長 それでは、お手元の資料1、平成十九年第三回東京都議会定例会提出議案説明資料をごらんいただきたいと存じます。
三ページをお開き願います。まず、都市計画法に規定する開発許可等の基準に関する条例の一部を改正する条例案につきまして、ご説明申し上げます。
1の改正の理由でございますが、都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律の施行による都市計画法の改正等に伴い、規定を整備するものでございます。
2の条例案の概要でございます。
まず、(1)に記載してございますが、都市計画法の一部改正に伴い、市街化調整区域内の大規模開発についての規定が削除されるとともに、条項番号が整理されたため、規定を整備するものでございます。
次に、(2)に記載してございますが、建築基準法の一部改正に伴い、条例で引用している当該法律の条に関連する条が新設されたため、規定を整備するものでございます。
五ページから六ページにかけましては条例案文を、七ページから八ページにかけましては新旧対照表を記載してございます。
次に、一一ページをお開き願います。東京都建築安全条例の一部を改正する条例案でございます。
1の改正の理由でございますが、建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令の施行による建築基準法施行令等の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
2の条例案の概要でございます。
まず、(1)に記載してございますが、建築基準法施行令の一部改正に伴い、条項番号が整理されたため、規定を整備するものでございます。
次に、(2)に記載してございますが、学校教育法の一部改正に伴い、用語の改正等がなされたため、規定を整備するものでございます。
一三ページから一四ページにかけましては条例案文を、一五ページから一七ページにかけましては新旧対照表を記載してございます。
簡単でございますが、以上で平成十九年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○秋田委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○秋田委員長 これより陳情の審査を行います。
初めに、一九第一三号、武蔵小金井駅南口再開発の都市計画法及び東京都駐車場条例との整合性検証に関する陳情、並びに一九第一四号及び一九第一五号、武蔵小金井駅南口再開発の都市計画法違反及び都条例違反物件の建築の検証に関する陳情は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○野本都市づくり政策部長 整理番号1、陳情一九第一三号及び整理番号2、陳情一九第一四、一五号は、同一の都市計画及び建築計画についての陳情でございますので、一括して説明いたします。
お手元の説明表一ページをお開きください。
整理番号1、一九第一三号、武蔵小金井駅南口再開発の都市計画法及び東京都駐車場条例との整合性検証に関する陳情について説明いたします。
本陳情は、小金井市再開発監視機構の理事、吉田秀樹さんから提出されたものでございます。
陳情の要旨でございますけれども、武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業の1-Ⅲ街区について、高度利用地区における壁面の位置の制限が都市計画法に合致しているか、また、同街区の設計が東京都駐車場条例に合致しているか検証し、違法・不当あるいは条例違反の場合には、しかるべき措置をとってもらいたいというものです。
現在の状況でございますが、三ページの位置図をごらんください。
場所は、中央線武蔵小金井駅南口で、現在、武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業を行っているところでございます。
一ページにお戻りください。まず、壁面の位置の制限に関する内容について説明いたします。壁面の位置の制限については、小金井市決定の高度利用地区に定められているものでございます。
平成十四年六月二十八日、都知事は、小金井市からの高度利用地区の都市計画決定に係る協議に対し、都市計画法を含む関係法令及び都の定める都市計画に適合していること等から、都市計画法第十九条第三項に基づき同意いたしました。
次に、駐車場条例に関する内容について説明いたします。
東京都駐車場条例では、建築物の用途や規模に応じて、駐車場の附置義務台数を規定しております。
1-Ⅲ街区に係る施設建築物について、平成十八年十二月二十七日に建築主の都市再生機構から計画通知が提出されました。
1-Ⅲ街区の市民交流センター及び商業業務施設は、機能・外観上一体性を有し、一つの建築物として駐車場条例に基づく附置義務台数も確保され、適法であることから、平成十九年四月十七日付で確認済み証を交付しております。
続きまして、整理番号2でございます。
説明表五ぺージをお開きください。
整理番号2は、ただいま説明いたしました整理番号1と同一の都市計画及び建築計画に対する陳情でございまして、陳情の要旨は先ほどの整理番号1とほぼ同様であり、現在の状況につきましては同様でございますので、陳情者のみをご説明させていただきます。
本陳情は、武蔵野市大嶋幸治さん、小金井市鈴木兼綱さんから提出されたものでございます。
説明は以上でございます。
○秋田委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○村松委員 武蔵小金井駅南口再開発に関する陳情の質問をいたします。
私は、いかなる手法を用いたまちづくりも、関係者の納得や理解、合意は欠かせないと考えております。この陳情者は、先ほどの説明にもありました総合建築業者と酒販業者ですが、この二名から出された陳情書を見せていただきました。
1-Ⅲ街区については、小金井市の取得する予定の市民交流センターとJR東日本が取得する商業業務ビル、そして陳情者二名の商業業務ビルに権利変換される予定とのことです。
そこで伺いたいのですが、武蔵小金井駅南口再開発事業において、関係者の合意がこれまでなされていたのかどうなのか。そして、合意されていないとすれば何が原因だったのか。それをお答えください。
○座間民間開発担当部長 武蔵小金井駅南口の再開発事業につきましては、平成四年から、武蔵小金井駅南口まちづくり協議会、まちづくり推進委員会、こういうものが発足しておりまして、再開発を前提とした計画がまとめられておりました。これと現在の施行者でございます都市機構、こちらが提示している市街地再開発事業の案と若干の違いがあるということで、この陳情者の方々がこの事業に反対されると伺っております。
○村松委員 先ほど私もいったのですが、やはりこういう、これは大規模な再開発事業、まちづくり事業だというふうに思うのです。再開発の場合は、やはり地権者の資産にかかわる問題だけに、十分な合意、それから、十分な時間をかけた納得それから理解、それが必要だというふうに思うのです。
きょう出されております陳情は二点書かれてあるのですが、一つは壁面の位置の制限問題。これも、先ほどの説明ですと、都市計画法にもいろいろなものに違反していないのだ、だからいいのだというような説明だったのですが、そういう適法なら何をやってもいいのかという問題が出てくると思うのです。やはりこういう再開発とかあるいはまちづくりをする場合には、住民の十分な合意が必要だというふうに思います。
私は、きょうは二番目に出されております駐車場の問題で質問いたしますけれども、陳情者が問題にしている東京都の条例に基づく附置義務、この駐車場の台数、これが何台で、だれの土地に、どこの権利を持っているところに駐車場がつくられるのか。それはどうなんでしょう。
○金子市街地建築部長 東京都駐車場条例に基づきます駐車場の附置義務台数でございますけれども、本件の建築物は複合用途でございますので、共用部分を面積案分して各用途に割り振りまして、その台数を積み上げた結果、合計で四十八台というふうになっております。
ただ、この四十八台につきましては、駐車場条例では敷地内に設けてあればよいということでございまして、特に具体的にどこに設けなければいけないという規定はございません。
○座間民間開発担当部長 ただいまの1-Ⅲ街区におけます駐車場の所有でございますけれども、1-Ⅲ街区に設置される駐車場の台数でございます四十八台のうち、四十二台が立体駐車場となっておりまして、この分につきましてはJR東日本に権利変換されております。
それからまた、敷地内に附置される残りの六台分につきましては、平場の駐車場でございまして、駐車場を含みます敷地につきまして、区分所有者、小金井市、JR、そして陳情者二名の共有となっております。
○村松委員 先ほどの説明にもありましたけれども、東京都条例に基づく附置義務駐車場の圧倒的多くが、四十八台中四十二台までがJR東日本の権利床につくられる。ということは、陳情者の、その人たちの権利もというか、そこの陳情者の酒販業者あるいは総合建築業者、こういうところに来た来訪者の対応で、ここは使用することができるのですか。
○座間民間開発担当部長 1-Ⅲ街区に設置されます駐車場の利用についてでございますけれども、駐車場の利用形態につきましては、これから定めます管理規約及び使用規則に定めることで、関係権利者が支障なく駐車できる仕組みを構築するということを都市機構から聞いております。
○村松委員 円満にそういう話がいっているのだったらともかく、そういう話がないから、こういう陳情が出てくるのじゃないですか。
結局、都条例に基づく駐車場附置義務、これの四十八台のうちの四十二台までがJR東日本の持ち分になる。じゃ、この四十八台分の積算根拠というのはどこにあるのか、お示しください。
○金子市街地建築部長 駐車場条例に基づきます附置義務台数の算出でございますが、これは先ほど申し上げましたように、このビルは複合用途でございますので、共用部分の面積をそれぞれの用途に配分しまして、係数が決まっておりますので、その係数を掛けて積み上げるという形で算出しております。それで、トータルが四十八台ということになっております。
○村松委員 聞き方が悪いのか、答弁がちょっと意地が悪いのかよくわからないのですが、いいですか、この陳情書の中には、これは一筆一棟で東京都に出しているから、だからこういうふうに同じところに集約した形で四十八台分を置くことができるというふうになっているようなんですが、これも積算根拠があると思うのですよ。
市民交流センター分で何台か、それからJRの権利床で何台なのか、それから陳情を出している地権者が何台なのかという、それがあって初めて四十八台と出てくると思うのですね。その根拠を、根拠というか、その台数を示していただきたいのです。
○金子市街地建築部長 先ほど申し上げましたように、複合ビルの場合は床のそれぞれの用途に応じて積算しますのでトータルで計算しますけれども、もしこれがそれぞれ別の建物としてカウントした場合にどうかといいますと、市民交流センターが二十四台、JR分が十七台、陳情者の建物分が八台ということで、合計で四十九台ということになりまして、これは、先ほど申し上げた計算の過程で、端数処理の関係で一台分ちょっと異なりますけれども、そのような形になります。
○村松委員 陳情者の方はそれぞれお仕事をされている、そういう関係上、やはりきちっと保証された駐車場がなければ困るのだ、そういうことからこういう陳情が出てきているというふうに思うのですね。
そういう意味では、やはりJR東日本のところの権利床に集約されている、この陳情者は八台分ですか、これはきちっと保証してやる。こういうことが大事だと思うのですが、それはいかがでしょう。
○座間民間開発担当部長 駐車場の利用形態につきましては、先ほどご答弁させていただきましたけれども、JRの四十二台分につきまして、周辺の方々にも利用できるように、これから機構の方が調整をしていくと聞いております。
○村松委員 機構の方が調整していく。機構が、JR東日本、市民交流センター、市の方、それから陳情者、そういうところに中に入って調整していく。そのときにこの陳情者の意見を十分聞き取れるように、それは東京都が援助、指導する。このことが大事だと思うのですが、その辺ではどうでしょうか。
○座間民間開発担当部長 この駐車場の利用につきましては、今委員がご指摘のとおり、これから地元の利用がうまくいくように、機構の方を指導していきたいと思います。
○村松委員 やはり最初に私はいったのですが、こういったまちづくりを進めていく上では、近隣住民それから関係者、こういう人たちの十分な合意がなされないままにどんどん進んじゃう。合法だから、適法だからいいのだ、そういうことになれば、やはりいろいろな問題が出てくるというふうに私は思うのです。そういう意味からも、それぞれの財産権のかかった問題ですから、時間をかけて十分話し合いをして進めていくべきだというふうに思います。
そのためにも、行政が果たす役割というのは関係者の利益をどのように守るのか--そのために、合意のないような、合意のないままに進むようなことが決してないように私は強く要望して、質問を終わります。
○秋田委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、一括して起立により採決いたします。
本件は、いずれも趣旨採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一九第一三号、陳情一九第一四号及び陳情一九第一五号は、いずれも不採択と決定いたしました。
○秋田委員長 次に、一九第二四号、広域避難場所の選定に関する陳情を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○宮村市街地整備部長 お手元の資料2の請願・陳情審査説明表では九ページと一〇ページでございますが、整理番号3、一九第二四号、広域避難場所の選定に関する陳情についてご説明を申し上げます。
本件は、中野区にお住まいの野村民夫さんから提出されたものでございます。
陳情の要旨は、都において、広域避難場所を選定する際には、以下の七点を考慮していただきたいというものでございます。
一点目は、一人当たりの避難場所面積を国土交通省の防災公園の補助対象要件の基準である二平方メートルとすること。ただし、避難距離が長くならないようにすること。
二点目は、買い物客、電車の乗客などの国勢調査にあらわれない避難者を、被害想定を参考にして組み入れること。
三点目は、住民などの避難計画人口は、危険度に応じて決めること。
四点目は、大繁華街では住民などと買い物客などの避難場所を分けること。
五点目は、危険な場所、洪水ハザードマップで水没する場所、高層ビルの間は避けること。
六点目は、夜間の避難、移動についても考慮すること。
七点目は、臨時ヘリポート予定地と広域避難場所とは原則として分離できるようにしておくことというものでございます。
次に、現在の状況でございますが、東京都は、東京都震災対策条例第四十七条に基づきまして、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するために、都民が火災の鎮火まで一時的に待つ場所として、避難場所を指定しております。
陳情の要旨にある七点に関しまして、それぞれ現在の状況をご説明申し上げます。
まず、一点目の一人当たりの避難有効面積でございますが、避難有効面積は、安全な避難場所を指定するため、火災による輻射熱の影響や避難場所の規模、避難距離の短縮化などの観点から、学識経験者や東京消防庁の職員など防災の専門家で構成する避難場所調査検討委員会の意見を聞きながら、原則として避難者一人当たり一平方メートルを確保することとしております。
次に、二点目と四点目の買い物客や電車の乗客などについてでございますが、買い物客などにつきましては、東京都地域防災計画の中で、別途、外出者対策として位置づけており、自宅への帰宅が可能となるまでの間は、区市町村が公共施設等に一時的に収容する計画となっております。
次に、三点目の地域危険度に応じた避難計画人口を決めることについてでございますが、避難場所は、東京都地域防災計画の区部全域の人々の一斉避難を想定するとの考えに基づきまして、区内のどの地域で地震火災が発生しても、人々が安全に避難できるように指定しております。
なお、火災が拡大する危険性がない地域につきましては、避難場所へ避難する必要のない地区内残留地区に指定するなど、市街地の危険性に応じた対応を図っております。
次に、五点目の危険な場所は避けることについてですが、避難場所は、火災による輻射熱の影響や避難場所の規模、避難距離の短縮化などの観点から、避難場所調査検討委員会の意見を聞き、安全な場所として指定しております。また、高層ビルを含む避難場所につきましても、その安全性について最新の情報を取り入れるなどして、同委員会の意見を聞きながら指定しております。
次に、六点目の夜間における避難ですが、避難場所への避難は、夜間におきましても、特別区の職員や防災市民組織のリーダーなどが、安全に避難場所へ誘導することとなっております。
最後に、七点目についてですが、ヘリコプターの災害時臨時離着陸場は、一部の避難場所をその候補地として計画しておりますが、離着陸時には誘導員を配置するなどの運用上の措置を講じまして、ヘリコプターの離着陸と避難者の安全性とを十分確保した上で使用することとしております。
以上で説明を終わります。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
○秋田委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○川井委員 今ご説明いただいた、現在の状況で、ほぼいい尽くされているのだろう、こう思っておりますけれども質問をさせていただきたいと思っております。
東京における首都直下型地震の発生が高い確率で予測される中、関東大震災を教訓とした総合防災訓練がことしも行われ、公民合わせて災害を減災する努力が行われております。しかし、都市部における地震は経験がなく、阪神・淡路の大震災で神戸の長田地区が延焼し、住宅だけでなく市場が全焼するなど大きな被害となったことは、記憶に深く刻まれているところであります。恐ろしい地震時の火災被害から都民の命を守ることに全力を傾注していくべきであります。
このため、都は昭和四十七年から、地震時の火災から都民を保護する避難場所を指定し、おおむね五年ごとに必要な見直しを行ってきております。現行の指定は平成十四年になされ、ことしでおおむね五年が経過することから、今年度中の見直しが予定されていると聞いております。
都は、この避難場所について、炎の輻射熱などの考え方を導入するなど、全国的に見ても先進的な取り組みを行っているが、確認の意味を含めて質問を幾つかさせていただきます。
まず、避難場所の面積についてでございます。
国の防災公園の基準である一人当たり二平方メートルと、都が指定している一人当たり一平方メートルの考え方についてまずお伺いをしたい、こう思っております。あわせて、一人当たりの面積というのは、我々が一般的に考えれば広い方が好ましいと考えますけれども、東京で一人当たり二平方メートルとすることが現実的に可能なのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○宮村市街地整備部長 避難場所について、国は明確な基準は示しておりません。なお、国の防災公園の補助採択要件では、都市公園などを含めても一人当たり二平方メートルの空地が確保されていない地域が対象とされております。
都といたしましては、区内全域の人々の一斉避難を想定し、学識経験者や東京消防庁の職員など防災の専門家で構成する避難場所調査検討委員会の意見を聞き、一人当たり一平方メートル、避難距離三キロメートル以内を原則としております。
また、二十三区全体の避難場所の一人当たりの避難有効面積は、単純平均では二平方メートルを超えております。実際には広い避難場所は偏在をしておりますので、仮にどの避難場所でも一人当たり二平方メートルといたしますと、三キロメートルを越えて遠くの避難場所まで避難する必要が生じ、高齢者など災害弱者の避難に支障を来しますので、現実的ではないというふうに考えております。
○川井委員 今のご答弁をお聞きして、ただ単に防災広場の面積、人口割りをすると二平方メートルを超えるけれども、ただそれだけで済むのじゃない。やはり避難距離、こういうようなことのご答弁だったと思っております。
避難有効面積については、高齢者を含むすべての区民が安全に確実に避難する観点から、一人当たり一平方メートルという要件とあわせて、避難距離をできるだけ短くするという点も考慮すると、現状では、一人当たり一平方メートルを原則とすることはやむを得ない。やむを得ないというよりは、私は、逆にいえばこれが現状に合わせた最適な方法なんだろう、こんなふうにも思います。遠くまで行くということが、果たして避難者に対してどういう負担がかかるのか。避難場所総体を人口で割るということだけではないのだろう、こう思っております。しかし、今後も避難場所周辺の建物の不燃化や延焼遮断帯の整備などを進め、より安全な避難場所の充実に取り組んでほしいと思います。
次に、それでは避難場所と洪水ハザードマップとの関係についてお尋ねをさせていただきます。
大雨により堤防が決壊した場合の浸水を想定して洪水ハザードマップがつくられておりますけれども、その概要と洪水時の避難、そして避難場所についてお伺いをいたします。
○宮村市街地整備部長 東京都地域防災計画では、洪水時の住民の避難などに役立てることを目的として、区市町村が洪水ハザードマップを定めることとしております。
この洪水ハザードマップは、おおむね二百年に一回程度発生する大雨を想定して作成した浸水予想図をもとに、区市町村が洪水時の避難場所や避難ルートなどを含めて作成いたしております。低地の区では、荒川などの大河川がはんらんしたときには区内の大部分で浸水被害が発生するというふうに予測されておりまして、その場合は自区内での避難ができないため、浸水をしないほかの自治体などへ避難することとしております。
○川井委員 洪水ハザードマップは、二百年に一度程度の頻度で発生する大洪水に対して作成されていることがわかりました。
大きな河川がはんらんした場合に区の大部分が浸水してしまうような地域で、洪水時にも地震時にも、地震時の延焼火災から安全な避難場所が計画できるのか。これは恐らく確率としてはめったにないのだろう、こう思います。しかしながら、二百年に一度の大雨、そして大はんらんを起こす、こういうときにたまたま地震があったというような想定をした場合、延焼火災から安全な避難場所が計画できているのかということでお答えをいただきたいと思います。
○宮村市街地整備部長 洪水ハザードマップに基づき、水害の際にも地震時の延焼火災にも安全な避難場所を定めようといたしますと、低地にある区では、自区内に避難場所の指定をすることが困難となります。この結果、洪水でなければ近くに避難の適地があるにもかかわらず、遠くの指定された避難場所まで避難しなければならないなどの問題が生じます。
また一方、洪水ハザードマップが前提としている大雨と同時に大地震が発生するということは、理事がご指摘のとおり、非常にまれであると思います。また、そのような洪水の中で延焼火災が発生する可能性は、また大変低いというふうに考えております。
したがいまして、都といたしましては、いつ起こるかわからない大地震時の延焼火災に対して、高齢者などの避難も考慮した現在の避難場所の指定は現実的であるというふうに考えております。
○川井委員 ちょっと意地悪な質問だったかなと思っておりますけれども、火災時と洪水時の両方に安全な避難場所が指定できるのが理想ではありますが、地震時の延焼火災と洪水が同時に起こるのは、まさにまれなことだということも理解をいたしております。
地震による火災がどこで発生するかわからない中で、高齢者など住民全員の避難を可能にするには、避難距離を長くしないことが重要であるため、現実的には、洪水と火災の避難場所をそれぞれ指定することが、いざというときの住民の命を救うことになるのだろう、こう理解をしました。特に足立区なんかは、荒川がはんらんすると、あの大きな区の大部分が浸水してしまうとなると、避難場所なんか区内にあるわけがないのだけれども、そういうことを考えると、やはり火災の避難場所、そして洪水の避難場所、それぞれに指定をさせていただく現状の形の方が現実的なのかなということを理解させていただきました。
そして、一人当たりの避難有効面積や洪水と火災の避難場所の関係などについて質問をしたわけですが、避難場所の指定に際しては高齢者の避難も考慮し避難距離をできるだけ短くするよう努めていること、また、命を守るための一人当たり一平方メートルという面積も、お聞きをしてみると合理的な理由であると考えます。さらに、洪水時であっても地震時の延焼火災から安全な避難場所を定めることは、区によっては現実的に困難であることなどについての安全性を確認させていただきました。
したがって、あす起こるかもしれない地震の切迫性の中で、都の避難場所指定の考え方は現実的な対応としてやむを得ないものと考えております。その意味から、私は、今回の陳情は不採択にすべきという思いを持っております。
しかしながら、今後とも最新の知見を取り入れるなど、防災の専門家の意見を聞きながら、避難場所がより安全なものとなるように強く要望し、この質問を終わらせていただきます。
○吉田委員 私からも質問をいたします。
東京を含む南関東では、マグニチュード七程度の首都直下型地震が、今後三十年以内に約七割の高い確率で発生するといわれております。しかし、その予知が現在のところほとんどできないということでございますので、都民の心配も大変に高いということから、都民に都の取り組みをより理解していただくという意味で、大地震がいつ、どこで起きても都民の命をちゃんと守っていくという観点で避難場所を指定しているという状況について、二点お伺いをいたしたいと思います。
まず、二十三区全体の一人当たりの避難有効面積は、人口割りの平均でいくと約三平方メートルに達しているのじゃないか、こういう認識をしておるのでございますけれども、一人当たりの避難面積が、この陳情者の方のいう国の基準である二平方メートルというものに満たない地域というのは一体どこなのか、お伺いをいたしたいと思います。
○宮村市街地整備部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、国からは避難場所の一人当たりの面積について明確な基準は示されておりませんけれども、東京都は、先ほども申し上げたように、防災の専門家で構成する調査検討委員会の意見を聞きまして、区部全域の人々の一斉避難を前提に、一人当たり一平方メートルで避難距離が三キロ未満ということを原則にしまして、安全な避難場所を指定しております。
現行の避難場所の指定におきましては、二十三区平均の一人当たり避難有効面積は約三平方メートルでございますが、避難有効面積が一人二平方メートルに満たないところは、主に山手線から環状七号線の間に位置する木造住宅密集地域を中心としたエリアでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。
中野区の一部も含んだ木造住宅密集地域、都心というよりは周辺区部、このベルト地帯を中心として二平方メートルが確保できていないのだという状況でございますけれども、できれば、将来に向かっては、避難距離を長くしない前提で少しでも広い避難場所が確保できるように努力を払っていただきたい。これはお願いを申し上げます。
そして次に、避難場所と買い物客などの関係についてお伺いいたします。
避難場所の計画人口には、地域住民及び通勤通学者が含まれていますけれども、買い物客などは含まれていないと理解しております。この買い物客などが避難場所の計画人口に含まれていない理由について、お伺いをいたします。
○宮村市街地整備部長 避難場所の避難人口は、国勢調査に基づき推計した昼間人口と夜間人口を比較し、大きい数値を採用して安全な避難場所の指定を行っております。
昼間及び夜間人口に含まれない買い物客などの避難は、最初にご説明もいたしましたけれども、東京都地域防災計画において外出者対策として位置づけられており、帰宅可能となるまでの間、区市町村が公共施設等に誘導、一時収容するなどの対策が講じられております。
○吉田委員 買い物客などの避難は、区が公共施設等に誘導、一時収容する計画となっていて、地震火災から地域の住民などを保護する避難場所へ避難させる、この避難とは別に計画されるということは理解をいたしました。しかし、実際に震災が起きたときに、パニック状態の方々が適切に避難あるいは一時収容ということができるように、これは局が違いますけれども、各局をまたいで、区が円滑に避難の誘導ができるように、改めて都が協力していただけるようにお願いを申し上げます。
先ほどご答弁をいただきました、現状で避難場所が少ない地域では、一人当たり二平方メートルの避難面積を確保しようとすると、例えば私のおります中野区の人に、練馬区の光が丘公園など遠くの避難場所まで避難していただく必要が生じて、高齢者などの避難をより困難にするという別の心配もあるということ。これも先ほど川井理事からご質問がございましたけれども、避難距離を今よりも長くしないで一人当たり二平方メートルという避難面積を確保することは、今は無理であって、まさにあす震災が発生したならば、どこに避難してもらうのがいいのかという意味では、現行指定を今すぐ変更することはできない。こういうことで理解をいたしますので、本陳情は不採択とせざるを得ないと考えますけれども、都民の皆様のご懸念、ご心配、こういうことを都においても一層考えていただいて、より安全な避難場所、これをより遠くに行かないで済むというところで確保していただくということについて、今後とも真剣に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。
○植木委員 今お二人の方の質問もありましたように、首都直下地震は、本当に被害想定や、それから特に火災などの起きる状況などについて、国土交通省の資料などを見ますと場合によっては非常に大きな火災が発生する、あるいは長時間にわたって火災が延焼する。そういう地域なども出されているということで、いつ起きるかわからないこの直下地震に備えて避難場所の確保を充実していくということは、非常に大事なことだというふうに私は思っています。
それで、避難場所についてはおおむね五年ごとに見直しをする、こういうふうに聞いていますが、前回については、先ほどお話がありましたように平成十四年だということですが、そういう意味ではことしはちょうど五年たつわけですけれども、既にその作業に入っているのでしょうか。いつごろまでにこの見直しを進めていくのか、どういう体制でやるのか、その点についてまずお聞かせいただきたいと思います。
○宮村市街地整備部長 避難場所の見直しについてでございますけれども、現行の計画が平成十四年に指定をしておりまして、それから五年が経過したということから、今年度中の見直しを予定いたしております。
見直しに当たりましては、以前から、先ほどからご答弁しています専門家による調査検討委員会を設けまして、その中でご議論をいただき、今後、区とも調整しながら決定をしていきたいというふうに考えております。
○植木委員 現在五年目で、いつまでに出すのかという、その点については明確な答弁じゃなかった、ちょっとあいまいだったと思うのですけれども。
○宮村市街地整備部長 今年度中の公表を予定いたしております。
○植木委員 今年度中ということですからもう作業に入っているということだと思うのですけれども、この見直しに当たって、この間、国土交通省でいろいろなケースが出ている。地域防災計画の前提には入っていませんけれども、首都の区部西部の直下地震なども国土交通省の被害想定には入っているわけです。いずれにしても、東京都の防災計画の被害想定でも、避難人口がマグニチュード六・九の場合は一日で二百七十万八千十九人、区部だけでも二百三十七万九百一人、マグニチュード七・九の場合には三百八十五万四千八百九十三人にも及ぶという予測が出されて、先ほどいったように、火災が延焼がひどい地域、長時間延焼することが予想される地域、こういうことも国土交通省と東京都の両方の資料では書かれているわけですが、こういう新しい予測に基づく避難場所の位置づけや、それから内容などについての検討は行うのでしょうか。
○宮村市街地整備部長 東京都防災会議からも、東京湾北部などを震源とする首都直下地震による被害想定が昨年公表をされております。被害想定は、東京湾北部など特定の震源を前提としておりますけれども、避難場所は、東京都地域防災計画の区部全域の人々の一斉避難という考え方に基づきまして、震源の位置にかかわらず、区部のどこで地震が発生し火災が拡大しても、区部の人々全員が安全に避難できるということを前提にしております。
今後とも、防災の専門家で構成する避難場所調査検討委員会の意見を伺いながら、安全な避難場所を指定してまいります。
○植木委員 直下地震がどこの位置で起きようとも、それには関係なく区民が全員、住民が全員安全に避難できる、こういうことで避難場所について見直しをする、こういうことですよね。
そうしますと、実際に避難場所が経年的にふえたのか、減ってきたのか。住民全員が避難場所に避難できるという、そういう前提だということですから、その前提は崩れているのか、いないのか。そういったことを当然見直しの中には入れるべきじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○宮村市街地整備部長 先ほどご答弁しましたのは、十四年度の指定も今度の見直しについても同じ考え方で、全員避難ということでやっておりますので、それは前提で、今回見直しを行っております。
見直しといいますのは、人口とかそれから土地利用の状況等に変化が当然ございますので、そういうのを踏まえて最新のものに見直して、避難場所の土地利用状況等も、新たな区域、面積も含めて見直していくというものでございます。
それで、この五年間にどれぐらい増加したかというようなこともございましたけれども、それにつきましては、現在、増加については見直しをやっている途中でございまして、各区と調整中でございます。
以上でございます。
○植木委員 つまり、見直しで、従来がそうだから、その前提だからということで実際に見直しを行わないという姿勢ではいけないということでしょう、今いったように。現実的に考えてみると見直しの必要な場所は出てくるわけですよ。私は、避難場所というのは、少なくとも避難場所の安全性が確保できているのか、それから、避難場所の量が人口やそれから被害想定やそういうものと比べて量的に大丈夫なのかどうか、この検討は当然前提としてやらなきゃいけないと思うのですよ。
僕が今聞いていて、基準一平米、先ほど来の質問でも、一平米の基準ですよといって、その前提は変えないという姿勢に見え、聞こえるのですね。それで何でそうかというと、これは地域防災計画の方で一人当たり一平米という基準が設けてあって、避難場所の方ではその基準の中でやるだけなんだよという姿勢がありありなんですけれども、果たしてそれでいいのでしょうか。いかがですか。
○宮村市街地整備部長 ちょっと誤解をされているかと思いますけれども、一人当たり一平米というものについては、確かに地域防災計画の中にも書いてございます。当然この避難場所の指定、あるいはその見直しに当たりましては、専門家で構成する避難場所の調査検討委員会に諮りながらご意見をいただきながらやっておりますけれども、この一人当たり一平米についても確認をしながら、今見直しの作業をしているということでございます。その結果としては、一平米を新たに見直すという必要性については今のところ出ておりませんので、そこは変わりません。
ただ、見直しというのは、当然五年間で市街地状況が変わったり人口が増減したりしますし、避難場所の周囲の状況も変わったりしますので、それについては、避難の実際の人口だとか有効面積だとかそういうことを当然五年ごとにきちんと確認しながら、新たに見直した指定をしていくということでございますから、そこはしっかりやっていますので、ご安心をいただきたいと思います。
○植木委員 非常に大事な点なんですよ。
今、一人一平米というのは見直しもあり得る、ただし、今回の見直しについてはその必要性がない。これは非常に大事な答弁ですよ。
それで、つまり量的な問題として、量的に確保しているかどうかの問題ですね。まず二十三区で一人当たり(発言する者あり)勝手な解釈じゃないですよ。答弁が違っていたのならいってくださいね。答弁が違っているならそれはまずいので。
それから(発言する者あり)ちょっと待ってください。量的に確保しているかどうかということでちょっと幾つかお聞きしますけれども、二十三区での平均の確保面積、それから一人当たり二平米確保できていない避難場所、これはどことどこなのか、この五年間でどれだけ増加したのか、まずその点について、あわせてお聞きしたいと思います。
○宮村市街地整備部長 先に、先ほど一人当たり一平米の私の答弁について、今回はそうだけれども今後は見直すか、というようなことを答えたというふうにおっしゃいましたけれども、そういうつもりは全くございません。
ただ、一人当たり一平米というのが、委員からご指摘のあったのは地域防災計画から持ってきているのじゃないかというご質問でしたので、地域防災計画には確かに記述がございます、だけれども一人当たり一平米ということについては、避難場所を指定あるいは見直しをするに当たって専門委員会を設けておりますので、その中で確認しながらやっておるということで、それは一平米が妥当だということでございます。
それから、二十三区全体で一人当たりの避難有効面積は平均でどうだということですが、それは約三平方メートルございます。単純平均では三平方メートルございます。それで、一人当たりの避難有効面積が二平方メートル以下となっておりますのは、現在指定している避難場所百七十カ所のうち約八十カ所でございます。それから、この五年間でどれぐらい増加したかという点ですが、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、避難場所の面積の増加などについては現在見直しをしている最中でございまして、各区と調整中でございますので、具体的な数値についてはお答えできかねます。
○植木委員 これは後で発表されるということですが、いずれにしても、二平米以上の方が百カ所近くになってきていることは事実だと思うのですね。
それで、量的に確保できているかどうかというのをなぜ強調するか。それは、陳情そのものがそういう趣旨なんですが、この検討委員会でも一平米というのを確認していると。最初は検討もあり得るような、ちょっとあいまいな答弁だったのを訂正したわけですが、私は、これは当然、時代やそれから新しい知見や新しい予想に基づく区民の安全性を確保するという点では、絶対のものではないというふうに思うのですよ。だから、陳情者の趣旨は、今すぐこのとおりやれということではありませんけれども、生かすということは当然あり得るということです。
それで、この点はちょっと前の質問とダブるのですが、国土交通省の防災方針の補助要件について、先ほどの答弁では、二平米未満のところを補助する要件として二平米ということをいった。それで、東京都の方の避難場所は一平米、こういうふうにいっているのですが、この違いは何なんでしょうか。
○宮村市街地整備部長 防災公園を整備するに当たっての国の国庫補助の対象要件として、一人当たり二平方メートルが確保されていない。ですから、そういう確保ということが要件とされているわけです。つまり、一人当たり二平方メートル、その避難圏域の中の人口を想定して、一人当たり二平方メートルが確保されていないところについては補助金を出しましょう、そういう公園整備については補助金を出しましょう、そういう制度上の話でございます。
ただ、一方で避難場所というものについて、これは東京都が使っている言葉ですけれども、避難場所については、国からは明確な基準というのは、それに当たるものとして明確な基準というのは示されておりません。また、東京都としましては、さっきからご答弁していますが、全員避難、それから避難距離三キロメートル以内、一人当たり一平方メートルの避難有効面積ということを原則に、都として、先ほどから申し上げている専門家で構成する検討委員会の意見を聞き、安全な場所を指定しているということでございます。
以上でございます。
○植木委員 それは、二平米に満たないところを応援する意味で補助するということですけれども、二平米が望ましいから補助するわけですよ。
それで、この問題を余り突っ込んでいてもあれですから、当然部長は承知していながら答弁していると思うのですけれども、ここの中には、一つは防災公園というものと避難所の性格の違いがもちろん前提にあるのですよ。それがなしに考えられない。片方では二平米、片方では一平米、もちろんふえた方がいいというのは当然大前提ですけれども。
それで、防災公園の方は、避難場所であると同時に避難の拠点的な施設を整備したりする、そういう誘導目標を持っている。一方、避難場所の方は火災がおさまるまでの間。こういう仕分けがあることは私も承知はしているのですが、直下地震に、新しい国土交通省そして東京都の知見が出る中で、やはり好ましい方向に持っていくということは当然していかなきゃならない。行政として住民の安全を考えた場合に、量的に確保していくということは大事だ。ただ、それが現実にいきなりできるかどうかというのは、当然あるのは私も承知していますけれども、そこをきちっと仕分けしてご答弁いただければ本当にかみ合ったのだと思うのですけれども、いずれにしても量的な問題は、ぜひ今後やっていく必要があるというのが私の考え方です。
それからもう一つは、先ほども述べましたように、安全の問題として、量的な確保と同時に安全の問題として、この陳情の中では幾つかいろいろ出ていますけれども、超高層ビルの問題もハザードマップの問題とあわせて出ております。阪神のときも、火炎旋風だとかいろいろな動きがありました。あのときは超高層ビルということではなかったですけれども、火災による被害が非常に甚大になってきて、上昇気流に周囲から火炎が巻き込まれていく、発達していく、こういうことだろうと思うのですね。
それで、避難場所は当然、火災旋風から十分安全を守らなきゃいけない。そういう面から、量的な確保の問題が先ほどの形で出てきているわけですけれども、特にこれからの問題として超高層ビルの問題が、私はやはり十分検討する課題だろうと思うのです。
長周期地震動の問題は、当初、学識経験者や実験などで出されたときはなかなか行政は動きませんでしたけれども、今では長周期地震動についてはいろいろなところで検討をされているというふうにお聞きしていますように、新しい知見というのは時にしてすぐには入れられないこともありますけれども、当然超高層ビルの問題についても、避難所面積から外すかあるいはどの割合で見ていくのかとか、そういった研究が私は必要じゃないかなというふうに考えているのですけれども、いかがでしょうか。
○宮村市街地整備部長 超高層建築物を中に含んだ避難場所についてのご心配のご質問かと思います。
超高層建築物につきましては、構造安全性について国交省の認定が必要でありますし、したがって、一般の建築物を上回る構造上の高い安全基準が適用されているところでございます。
長周期地震動につきましては、平成十八年十一月に土木学会と建築学会が共同提言をまとめまして、現在の耐震技術に基づき慎重な設計がなされた建物については、おおむね耐震安全性が確保されていると考えられるとしております。
また、今の長周期地震動あるいは熱の影響なども含めまして、今後とも避難場所の安全性については、最新の技術情報を取り入れるなど、防災専門家で構成する避難場所調査検討委員会の意見を聞きながら、安全な避難場所を指定してまいります。
○植木委員 超高層ビルの問題を検討するということは、非常に大事なことだと思うのです。
先週の六日、木曜日の夜でしたけれども、NHKで超高層ビルの問題について特集番組がありました。ここには、大学の先生とそれから防災研究所の方々と両面からの実験が出されていました。超高層ビルは、確かに国土交通省の建築物としての安全基準は満たしている。そうでなければつくれないわけですから当然だと思うのですが、一つは、長周期の問題はそういう大学の教授などからいろいろ出されてきて、今研究されていたり対応も検討されているというのですけれども、このNHKの特集は、超高層ビル自体が火災に巻き込まれた、このことについて出しているのですね。
それで、大学の先生のは、内部から、つまり超高層の内部で火災が発生したときに、これはビルは非常に弱いという知見、実験なんですね。超高層ビルというのは、その専門家の話によりますと、鉄骨の周りに超密度の高級なコンクリートで巻いているのが多い。ところが超密度のコンクリートであるがゆえに、逆に周囲が二百五十度以上になると、ほぼ十四分といっていましたけれども、いわゆる超密度であるために中の気泡が、空気が抜けられない。膨張しても抜けられない。それでコンクリートが破裂する。衝撃的な映像でした。コンクリートがバーンと飛んでいくのですね、音を出して。それで、十四分たつとほぼ周りのコンクリートがなくなるという実験結果だったのです。
だから、そういう専門家の研究成果も取り入れていって、検討する必要があると思うのですよ。直ちに除外するかどうかというのは、いろいろ当然科学的な知見を繰り返す中での検討だと思うのですけれども、そういうふうに超高層だから安全だよというふうに単純に考えないで、最新の技術に基づく知見、こういうものを考慮するというのは非常に大事だと私は思いますが、改めてその点について、重ねてお伺いしたいと思います。
○宮村市街地整備部長 超高層建築物のコンクリートに対する熱の影響につきましては、委員、いろいろご指摘がございましたけれども、近年は、ポリプロピレンなどの耐熱繊維をコンクリートに混入させる方法など、火災時の安全確保に対応しているというふうに聞いております。
これらのことも含めて、先ほど申し上げましたが、今後とも最新の技術情報を取り入れるなど、防災の専門家で構成する委員会の意見を聞きながら、安全な避難場所を指定してまいります。
○植木委員 それで、この陳情にはある意味で弱点も私はあると思うのです。というのは、先ほど避難場所と防災公園の違いをいいましたけれども、いろいろ文書を見ていきますと、避難場所、避難地、防災公園、避難所というふうにいろいろ使い分けがあって、それぞれ役割が違うというふうになっているのですね。ところが、都民の受けとめ方は、避難場所というからには、そこにもうとにかく逃げ込めるのだ。そうしたら、当然いろいろな要素も加味してほしい。こういう要望が今度の陳情にはまじっているのですね。
だから、これは厳密にいえば総務局の方で対応してほしいとか、あるいは建設局で対応してほしいとかというものも若干あるのですけれども、ここだけにしかこの陳情はかかっていないし、表現がずばり都市整備にしか、表現がなっていませんから、そういう弱点はあるのだけれども、そうであるとしたら、当然避難場所を管理している都市整備局として関係局に、いろいろな会合で当然防災問題で会うわけですから、意見を伝えるということは非常に大事だと思って、それはぜひやってほしいと要望しておきます。それで、いずれにしても当然改善されていくことは、あるいは充実していくことはいいことですから、入れられるものは真摯に入れていくということが非常に大事だと思うのです。
それで時間もありませんので、最後に、そもそも東京都震災対策条例第四十三条ではこういっているのですよね。
一、「都民等及び防災組織は、地域の安全性について常に監視し、地震に対して危険性のあるものについて知事に意見を述べることができる」。二、「都民は、第四十七条の規定による避難場所の指定について、知事に意見を述べることができる」。三、「知事は、前二項の規定により都民等及び防災組織の意見を聴いたときは、これを施策に反映するよう努めなければならない」こういっているわけですよ。
だから、どんな意見でも、もちろん間違った意見はだめです。それから、充実する上でも、現実とすぐに合っているのかどうなのかとか、多少は離れていても新たな防災の危険度からいって努力しなきゃいけない努力目標があるのかとか、そういった検討は地域防災計画の方でやるのかこちらの検討委員会でやるのか、そこは、私は、先ほど来の答弁では定かではありませんけれども、それは全庁的な立場でどこかで整理して積極的に受けとめるということは必要だと思うのです。
そういう意味で、今回の陳情についても、一歩一歩改善していくということをわざわざ否定することはない、趣旨を生かしていくということで、趣旨採択を願いたいというふうに考えています。
以上で私の質問を終わります。
○秋田委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一九第二四号は不採択と決定いたしました。
○秋田委員長 次に、一九第二五号、「(仮称)グローリオ芦花公園」建設計画見直しに関する陳情を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○金子市街地建築部長 整理番号4番、一九第二五号、「(仮称)グローリオ芦花公園」建設計画見直しに関する陳情についてご説明いたします。
お手元の説明表の一一ページをお開きいただきたいと思います。
本陳情は、世田谷区の芦花住宅跡地周辺の環境を守る会代表星宏隆さん外三千三百三十二名の方から提出されたものでございます。
陳情の要旨でございますが、現在の計画を世田谷区の都市整備方針に沿った中層住宅主体の設計に変更し、階数及び戸数を減らすよう建築主を指導してもらいたいというものでございます。
一二ページをごらんいただきたいと思います。
計画地は世田谷区南烏山三丁目で、京王線芦花公園駅の北西方向約四百メートルのところに位置しておりまして、北側は国道二〇号線甲州街道、南側は旧甲州街道に面してございます。敷地面積は約一万六千二百平方メートルで、旧住宅公団が分譲した芦花住宅の跡地でございます。
一一ページにお戻りいただきたいと思います。
現在の状況でございますが、建築主は、平成十九年四月十一日に東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例に基づく標識を設置いたしまして、住民説明会を平成十九年二月二十五日から月一回程度、現在まで八回実施し、住民と話し合いを続けております。建築確認については、まだ申請されておりません。
説明は以上でございます。
○秋田委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○柿沢委員 それでは、この一九第二五号、グローリオ芦花公園建設計画見直しに関する陳情について、幾つかご質問を申し上げたいと思います。
今もご説明にありましたけれども、このグローリオ芦花公園という集合住宅が予定をされている地域というのは、世田谷区の南烏山三丁目、約一万六千平米という広い敷地でして、もともとは昭和三十年代に芦花住宅ということで、住宅公団、今でいうと都市機構になるのですかね、こちらが開発をした二階建てのテラスハウスが七十戸、敷地に並んでいたということでございます。
周辺も、私たち下町江東区の議員から見ると、大変閑静な住宅街という感じで山の手そのものという感じがするわけですけれども、この旧芦花住宅の一万六千平米に上る広い敷地をセコムホームライフという民間のディベロッパーが買い取って、ここに新たにグローリオ芦花公園というフィットネス棟を合わせると十二棟ですか--の建物をここに建設をしようということで計画をしているわけであります。
これについての計画が持ち上がったのが、去年あたりからこの話が大体地域の住民の皆さんに聞こえてきたような経過であるというふうに聞いておりますけれども、第一回の住民説明会がことしの二月に開かれておりまして、ここで建設計画の内容が明らかになって、そこから地域住民との間でいろいろな議論が巻き起こってきたという経過だというふうに聞いております。
といいますのも、この地域は、先ほど申し上げたように、まさに山の手のしょうしゃな住宅街という地域でございますので、余り高層の建築物、高層住宅等は周辺に多く建っていない地域ですけれども、このセコムホームライフさんの計画によれば、先ほど申し上げた敷地内に建つ十二棟の住宅及びフィットネス棟の中には、一部五階建てというものもありますが、中で、十階建て一部九階というのが三棟、九階建て一部八階というのが一棟、そして最も大きなテラス棟というのは十二階建てということで、高さ四十メートルという、この周辺環境からいえば、ほかにないぐらいの高さの建物が建つことが明らかになった。
この高層建築物というか、高層住宅といっていいのか微妙なところだと思いますが、十二階建てが建つということで、この高さの問題、あるいは敷地における保存樹の保存というような問題、そうしたこと。さらに、この予定地がこの周辺の中で一番低い場所になっていて、数年前に豪雨が起きたときに、写真をもらったのですけれども、車の上の方まで水につかってしまうというような浸水被害が起きていて、まさに水のたまり場になっているところです。ここにこの集合住宅を建てるに当たって、この場所、一番低いところに盛り土をして、ある意味ではこの敷地だけ流れてきた水が入ってこないようにしてしまう。そうすると、周りの住宅についてはさらに大きな浸水被害が及んでしまうのじゃないかとか、こういうさまざまな懸念が周辺住民の方々から出てきて、きょうは、今の水の問題は、私は踏み込むつもりはありませんけれども、さまざまな議論がこの間、セコムホームライフまた世田谷区を巻き込んで行われてきたという次第です。
きょうの整理番号4番の、一一ページの説明表を見ていただければわかりますけれども、この請願・陳情者、代表の星さんという方を中心に、芦花住宅跡地周辺の環境を守る会ということで、星さん外三千三百三十二名ということで、合わせて三千三百三十三名、切りのいい数字ですけれども、いずれにしてもこれだけの方々が署名をされてこの陳情が出されている。それだけの大きな議論の対象にこの計画がなっているということであります。
先ほどご説明の方で、この計画について、住民と建築主でありますセコムホームライフの話し合いが、説明会八回ですか、行われているということでしたけれども、まず最初に、周辺住民の皆さんと建築主との話し合いの経過また現状というものをお聞かせいただきたいと思います。
○金子市街地建築部長 近隣住民の方と建築主との話し合いでございますけれども、先ほどもご説明いたしましたが、ことしの二月二十五日から八月二十五日まで延べ八回住民説明会が開催されて、住民と建築主との間で話し合いが続けられております。
話し合いの内容といたしましては、建物の高さですとか圧迫感、あるいは、世田谷区指定の保存樹木の保存あるいは移植、それから、先ほどお話のございました浸水被害の多い地域であることについての配慮、あるいは、西側に水路敷があるわけですけれども、その水路敷への車両通行の禁止などについて話し合われてきたというふうに聞いております。
○柿沢委員 こうした話し合いが持たれているわけですけれども、今もって周辺住民の方々の中で、この計画が今の計画どおりに進められることに対して、さまざまな危惧が持たれていることも事実なわけでございます。
先ほど浸水被害の問題をお話ししましたけれども、敷地の中に雨水を貯留するための貯留槽をつくるというような対策を、セコムホームライフ、建築主側で講じておりまして、これがどの程度効果を発するのかというようなことについては議論が分かれたりもしますので、ここで浸水被害が起きた場合どうするのだという議論をしても、なかなか適切な答えがいただけないだろうと思いますので、このことについては触れませんが、実は、この都議会への陳情と同時に、世田谷区議会に対しても同じ趣旨の、ほかにも項目があったのですけれども、請願が出されておりまして、これについては、ことしの五月二十九日、世田谷区の都市整備委員会で継続審議ということになっているそうであります。
その過程の中で、世田谷区の都市整備部長さんが、この議事の中で中層住宅の定義という話をされております。といいますのも、この地域は、烏山地域整備方針という世田谷区の地域の整備方針が出ているわけですけれども、この中で、芦花住宅の跡地を含めたこの地域については、周辺環境との調和を踏まえた上で中層住宅を主体とした土地の有効利用を図るということが明記されているわけなんです。この中層住宅というのを、じゃ一体何階までが中層住宅なんだということが、この世田谷区の請願の審査の場で話題になった。
これについて、先ほど申し上げたように、一番高いのは十二階建て、四十メートルという高さの建物を果たして中層住宅といえるのだろうか。これはもう立派な高層住宅じゃないか。したがって、烏山地区のこの整備方針にある意味で反する建物ではないかというような議論がなされて、それに対して世田谷区の都市整備部長が、一般的に区の考え方とすれば、四階から七、八階ぐらいを中層住宅、中層と考えてございますというふうに答弁をされているわけです。
この答弁からすれば、この答弁から機械的に考えれば、先ほどいったように、十階建て一部九階建てが三棟、そして九階建て一部八階建てが一棟、そして一番大きなテラス棟は十二階建て、こういう建物を含んだこの計画というのは、中層住宅を主体とした土地の有効利用という整備方針に合わないのではないかということが問題になったわけであります。
そこで、お伺いをしたいと思うのですけれども、この区の整備方針、中層住宅を主体とするという、それと今回のこの計画との整合性といいますか、そういう部分については、都はどのような見解をお持ちでしょうか。
○金子市街地建築部長 区の委員会でも、中層について明確な定義はないというふうにした上で、世田谷区としては区としての中層の考えを述べられたものというふうに私どもとしては認識しております。
区の都市整備方針では、計画地を含む南北に広がりのある地域を住宅団地更新地区というふうに位置づけまして、その地区を中層住宅を主体とした土地の有効利用を図るといったことを記載しております。この都市整備方針というのは、平成二十七年までの区のまちづくりの方針あるいはビジョンとしての性格を持つということからいたしますと、地区全体から見て、中層住宅を中心とする将来の市街地像を目指しているのだろうというふうに考えられます。
したがいまして、今回の計画地の一部に十二階建ての住宅が立地することにつきましては、この住宅団地更新地区全体から見ると、必ずしも方針と矛盾するものではないというふうに考えております。
○柿沢委員 十二階建てが建設されても、都市整備方針と必ずしも矛盾するとはいえないと考えているというのがご答弁でありました。また同時に、五月二十九日に行われた世田谷区議会の都市整備委員会での部長答弁として出ている、四階から七、八階を中層と考えているという答弁についても、その前段に、中層住宅についての明確な高さの、階数の定義があるわけではないのだという前置きがついているというお話がありました。
このご説明をいただいて、私もはっと思うのですけれども、そう考えてみると、中層住宅というのはどのぐらいの高さの建物なのかという一般的な定義というのはないのですね。ちょっと私も驚いたというか、ああ、そうなんだなというふうに改めて思わされたのですけれども、たしか高層住宅については、高層、超高層というのはたしか定義がありますよね、ちょっと僕は数字がわからないのですけれども。中層についてはない。
だから、一般的にどのぐらいだというふうにみんながイメージするか、ということがある程度共有されていないと、こういう問題が起きるのだということだと思うのですけれども。世田谷区議会では、四階から七、八階という一応の、前置きつきではありますけれども、中層住宅のある種の定義というのをご答弁しておられるようなんですが、東京都として、この中層住宅というのはどのぐらいの高さのものだ、あるいは、一般的なモデルになっているような中層住宅はこんなものだよという定義に似たようなもの、準用されるようなもの、そういうものがあるのかどうかということを、ちょっと質問の順番が逆になっちゃったのですけれども、お伺いをしたいと思います。
○金子市街地建築部長 建築物の高さの定義的なものにつきましては、都の場合ですと、都の建築構造設計指針というものがございまして、高さが二十メートルを超え三十一メートル以下の鉄筋コンクリート造及び高さが二十メートルを超えて四十五メーター以下の鉄骨造あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物を中層建築物というとしておりますけれども、これはあくまでも構造計算上の区分として定めたものでございまして、一般的な意味合いでの高さとしての中層というものに関する、そういった法令上の具体的な明確な定義はないというふうに認識しております。
○柿沢委員 今ご答弁にもありましたとおり、これは建築士事務所協会のつくった二〇〇一年のものをもらったのですけれども、建築構造設計指針ということで構造設計をやる上で一つの指針になっている冊子のようですけれども、ここで五四二ページというのをコピーをもらったのですが、許容応力度計算による場合、適用範囲、二十メートルを超え三十一メートル以下のRCの建築物、これを中層建築物といって、その上で、構造計算の上でこうこうこうだということが書いてある。これを中層住宅の定義として援用するには、これはちょっとやはりなかなか無理があると思いますよね。三十一メートルという一つの数字は出ているわけですけれども、これをもって三十一メートル以下が中層住宅だといえるような資料ではない。
これがある意味唯一の資料だということになりますと、中層住宅がどの程度の高さのものであるか、どの程度の階数のものをいうのかということについての定義はやはりないのだということになって、四階から七階、八階建てという答弁が出たときに十二階建てはじゃ中層に入るのか、こういう、ある種、議論の対象に絶えずなってしまうという気がします。
そういう意味でいうと、ある種の中層住宅というのはどのぐらいのイメージなのかということについて、何か共有のできる一般的な見解というものが本来あってしかるべきなのじゃないかなというふうに、今回この陳情についていろいろ調べる中で感じたところでございます。これについては、深入りをしても具体的な案件から離れてしまいますので、これ以上申し上げるつもりはありませんが、ぜひそういう面で検討していただきたいというふうにも思います。
また、このグローリオ芦花公園、この計画について、先ほど申し上げたように一万六千平米の大きな敷地に、フィットネス棟を含め十二棟の、十二階建てを初めとする建築計画があるということで、ここではいわゆる一団地認定という制度を活用しています。これは、建築基準法の八十六条の一項にある規定で、一敷地一建築物という建築基準法の原則の特例として、一敷地の中の複数の建築物が建つというものを一まとまりとして認定して、それに対して、都市計画、建築基準法上の適用をかけていこうというものでありますけれども、この一団地認定の特定行政庁として、東京都が去る七月三十一日にこの敷地に関して一団地認定というのをおろしておられます。
この一団地認定が認定をしてもらえる基準という中で、建築基準法八十六条第一項、同条第二項云々かんぬんに基づく認定基準、認定基準というのがあるのですけれども、これについて運用方針として、良好な市街地環境の確保に寄与し適切な土地の有効利用に資する建築計画に対して、本制度の積極的な活用を図るということが書いてあります。
果たして、この計画が今いった良好な市街地環境の確保に寄与し、というような運用方針上の理念に合致するのかどうかということなんですけれども、この地域は、中には敷地内に建物十二棟のほかにさまざまな植え込みがあったり、あるいは敷地内の通行できる道路があったり、いろいろと計画上の工夫があることは私も認めますけれども、しかし一番問題なのは、この一万六千平米の計画予定地の外周部が、ゲートコミュニティというらしいのですけれども、入り口のところでゲートで閉ざされていて、周辺から立ち入りができないように事実上仕切られていて閉鎖的空間となっている。これは、アメリカで高級住宅街で使われるゲートコミュニティというらしいのですけれども、いずれにしても、周辺の住民の皆さんやあるいは通りがかりの皆さんが自由に通行できるという空間ではないわけですね。
そういう意味では、この敷地内で、植え込みがあって緑があって空間があって道路があって、大変いい環境があるかもしれませんけれども、これを享受できるのはその敷地に住んでいる住民だけだということになってしまう。これは、セコムホームライフというセコムの関連会社ですから、セキュリティー上、治安対策上そういうものを売りにしているということらしいのですけれども、結果として周りの住民を排除した形の計画になってしまっている。
これは一体、じゃ周辺も含めた良好な市街地環境の確保に寄与しているということになるのだろうか。享受できるのは、良好な市街地環境ができたとしても、享受できるのはそこに住んでいる住民だけじゃないかということになるのじゃないかというふうに思いますけれども、こうした形であったとしても、一団地認定をおろす上で支障にならないのかどうかというふうなことをお伺いしたいと思います。
○金子市街地建築部長 一団地認定と申しますのは、通常は一敷地に一建築物でございますけれども、複数の建築物が総合的に設計されていれば、それを一つの建築物とみなして基準法の規定を適用していいだろう。それを特定行政庁が認定するものでございます。
したがいまして、通常と同じように、広い区域であっても建築敷地でございますので、認定基準の中でも、その周囲、認定区域の境界部分に塀を回すことについては認めております。それから、通路部分につきましてゲートが設けられるというふうにおっしゃいましたけれども、この認定区域の中では、通路がいわゆる普通の市街地でいえば道路に当たるものになりますので、やはり緊急時に、例えば緊急車両が入らなければならないということで通路は通常はあけておくわけでございますが、今回お話がございましたように、最近はセキュリティーの重要性というものがいろいろいわれておりますし、また、緊急時の車両通行につきましては警察、消防とも協議が調っているということもありまして、今回はこの一団地の認定をしたところでございます。
○柿沢委員 今ご答弁がありましたけれども、緊急時の緊急車両の通行等に、だから緊急時のアクセスについては警察、消防と話がついているというようなことでありましたけれども、しかし、こういう形で排他的にその敷地をよくして、そこのよさを享受できるのがそこに住んでいる人だけというこの形。私の地元の江東区でもありますけれども、果たして、総合設計の制度でいえば公開空地というのがあるわけですけれども、これにも提供公園は出していますけれども、本当の意味で周辺環境を向上するということをいえるのかどうか若干の疑問があるというふうに思いました。
いずれにしても、まだまだ、住民説明会が八回ですか、重ねているわけですけれども、建築確認の申請に至っていないということでありますので、十分な合意が、先ほど申し上げた陳情の提出者であります三千三百三十三人の皆さんと形成をされているとはいえない状況なんだろうというふうに思います。いろいろと計画変更のご努力を建築主としてもされていることは承知をしておりますけれども、今後、周辺に配慮して、また住民の皆さんと合意形成を円滑に進めていく上で、東京都として、東京都の立場で何ができるのかということを最後に確認しておきたいというふうに思います。
○金子市街地建築部長 現在、当事者の間で話し合いが続けられておりますので、当面はそれを見守っていくこととしたいと思いますけれども、中高層建築物紛争予防条例に基づきまして、建築主あるいは近隣関係の住民の方から紛争調整の申し出というものがなされれば、それに適切に対応していきたいというふうに考えております。
○村松委員 私の方からも、仮称グローリオ芦花公園、この陳情について質問をいたします。
仮称グローリオ芦花公園、このマンション建設予定地は、先ほどお話がありました、かつて公団のテラスハウスがあった約五千坪の土地に、セコムホームライフが大規模な高層マンション群を建設しようとしているものです。
私も現地を見てまいりましたが、計画地の周辺は、低層住宅が多い落ちついた住宅街でした。関係者からお話を伺うと、この地域は水害の多い地域で、これまで事業者とお話をされてきたことだそうです。しかし、近隣住民の皆さんが納得していないのは、世田谷区が、二〇〇五年に世田谷区の都市計画に関する基本的な方針、ここで打ち出した世田谷区都市整備方針に、烏山地域整備方針、そういう内容の方針を打ち出したのですが--この世田谷区都市整備方針、この中の烏山地域整備方針というのが第六部にありまして、ここでは、烏山地域整備方針の住宅団地更新地区、こういうところに入っていまして、周辺環境との調和を踏まえた中で中層住宅を主体とした土地の有効活用を図る、こういうふうに書かれているのに対して、今度の十二階建てマンションはちょっと違うのじゃないか、こういう思いで納得していないと。
この方針には一理あるわけなんですが、私は、今度のこの陳情の中で二つの問題が問われているというふうに思うのです。一つは中層住宅に対する定義の問題。先ほどもお話がありました。もう一つはやはりまちづくりの問題。この二つが問われていると思うのです。
それで、改めて私は、東京都が中層住宅に対する定義を持っているのかどうなのか、これを伺いますが、いかがでしょう。
○金子市街地建築部長 先ほど申し上げましたけれども、構造計算のための区分というのはありますが、いわゆる一般的な意味での中層住宅というものの定義はございません。
○村松委員 中層住宅団地の定義はないとはっきりお答えになりました。
私がことしの六月七日に、同じ世田谷区の成城アパート、都営住宅の建てかえ問題で質問をしたときに、このときに東京都は、中層住宅、この問題に対してどういうふうに答えたか覚えていますか。そのときはこういっているのですよ。都営住宅の建てかえなのに、世田谷区が定めた地区計画の中で中層住宅団地といっているのはおおむね三十メートルまでというふうな理解をしている、こういうふうに答えているのですが、この辺では、東京都と世田谷区の中層住宅に対する定義というのは矛盾しているのですか。どうなんでしょう。
○金子市街地建築部長 たしか成城の関係だったと思いますが、そのときも、一応明確な定義はないというお断りをした上で、先ほども申し上げました建築構造設計指針についてご紹介したというふうに記憶しております。
○村松委員 答弁された建築構造設計指針の中で、高さ二十メーターを超え三十一メーター以下の云々というのは、これは中層建築物のことをいっているのですよね。中層住宅じゃないのですよね。
それで、東京都の中層住宅に対する定義、これがどこの部署でもないのですか。もう一度確認させてください。
○金子市街地建築部長 中層住宅というものについての定義は、高さの定義ですか、ございません。(村松委員「ございません」と呼ぶ)はい、ございません。
○村松委員 平成十八年十月の都営住宅建築工事共通仕様書というのがあるのです。東京都の都営住宅の定義の中では、住宅、都営住宅等をいう。それから中層住宅、都営住宅で階数が三以上五以下のものをいう。はっきりとあるじゃないですか。私も(発言する者あり)成城八丁目アパートは都営住宅の建てかえ団地だったのですよ。その都営住宅の建てかえ団地のときに、近隣住民にはしきりに緑豊かなオープンスペースを備えた中層住宅団地として計画的な建てかえを誘導する、こういう説明をしておきながら、実際にはそうじゃないのですよ。だから私は問題にしているのです。
それで、今度の問題というのは、やはり中層住宅に対する定義、私はこれを適用すべきだというふうに思うのです。世田谷区の方でも、先ほどお話がありました議論が議会の中であって、四階から七、八階というふうにおっしゃっておりましたけれども、やはりこの辺の問題では、中層住宅、この辺の定義ははっきりと持って、それぞれの市町村をきちんと援助、指導する必要があるのじゃないかというふうに思います。
私は、改めてこの問題での、六月七日に行われた都市整備委員会の中で、成城アパートの中層住宅、この問題での東京都の定義、これは間違っていたのじゃないか、このように思うのですが、いかがでしょう。
○山室建設推進担当部長 六月七日の都市整備委員会、当委員会で私の答弁は、中層住宅の定義につきましては明確な統一されたものはございませんというふうにいった上で、ちなみに構造設計指針等では、二十一メーターを超え三十一メーター以下を中層というふうにしてございますというふうに答弁してございます。
○村松委員 ということは、中層住宅ではないということを、東京都はさっきのこの問題では認めるということですよね。
それで、世田谷区の都市整備方針、この中で、先ほども紹介がされましたけれども、周辺環境との調和を踏まえた中層住宅を主体とした土地の有効活用を図り、多様なコミュニティの形成が図られるよう、誘導居住水準を目標とした既存住宅の改善と新規の住宅供給を進め、人口の定着と新たな受け入れを進める、こういう目的を持ったところに、この下の方に芦花公園団地というふうに書かれているのですね。
だから、私はやはり、この芦花公園団地というのは先ほど来の中層住宅団地、中層住宅--これを区の方にもしっかりと伝えていただきたいし、まだ建築確認が出されていないというふうに申請も出されていないというわけですから、ぜひ伝えていただきたいなというふうに思います。
もう一つ問題は、まちづくりの問題。これまでずっと、建築基準法に合っていればいいとか、都市計画に合っていればいいとか、何が合っていればいいということで機械的にどんどんそれを出そうとする。そういう動きがあるわけですが、やはりまちづくりというのは周辺住民や関係者のきちんとした合意をとることが大事だというふうに思うのです。それで、今話し合いをしている、事業者と住民の皆さんが話し合いをしている、その根拠は何なのか、お示しください。
○金子市街地建築部長 一般的にいいまして、建築行為、開発行為を行う場合には、近隣の方にいろいろご説明をしてご理解をいただくということが重要でございますので、そういった考え方に基づいて近隣の方にご説明し、ご理解をいただこうと話し合いをしているというふうに理解しております。
○村松委員 ご答弁されたとおり、これは世田谷区の街づくり条例というのがあります。この中で、事業者の責務というのがあります。その事業者の責務の第六条では、事業者は、安全で住みやすい快適な環境の街づくりにみずから努めるとともに区が実施する施策に協力しなければならない。それで第六条の2には、事業者は、大規模建築物の建築、宅地開発等街づくりに影響を及ぼす行為を行うに当たっては区民等の理解を得るよう努めなければならない、こういう立場で近隣住民の皆さんと話し合いをしているというふうに思うのですね。
この話し合いは本当に大事だ。何が合っているから適法なんだということじゃなくて、さっきお話がありましたけれども、これまでずっと二階建てのテラスハウスがあったのに、いきなり十二階建ての建物が目の前にできるということになれば、だれだって、どんなに法律で合っていても、自分たちの暮らしが脅かされるというか環境が破壊される、そういう思いから黙っていられないという思いがあると思うのです。
こういう中で、私は本当に、三千三百三十三名の陳情提出者の思いというのは大変重たいなというふうに思うのです。そこで、今後の問題なんですが、東京都が区の方に対してどういうふうにアプローチしていくのか、その辺をお聞きしたいと思います。
○金子市街地建築部長 世田谷区には世田谷区としてのお考えがあるでしょうと思いますので、それは世田谷区の方針に従って進めていただくのが最善かなというふうに思います。
当事者間につきましては、もし、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、紛争予防条例に基づいて都の方に紛争調整の申し出が出されるようであれば、適切に対応していきたいというふうに考えております。
○村松委員 余り及び腰にならないで、ぜひ住民の皆さんのこれまで築いてきた大事な住宅環境それからコミュニティ、そういうものを大事にするようにぜひお願いをして、私の質問を終わります。
○山室建設推進担当部長 先ほど、十二階は中層でないと認めたというお話しのことですが、中層住宅の定義につきましては、繰り返しになりますが明快な統一されたものはございません。ただ、参考までに、構造設計指針等ではそういったことを中層建築物としているということを述べただけでございます。
○村松委員 きょうの答弁は大事だと思うのです。
東京都としての中層という、中層住宅という定義はない。そこはしっかりと、やはり大事だなと。ただし、区市町村、区の方では、四階から七階、八階というふうにいっているわけですし、東京都の都営住宅の仕様書、これが東京都として、ないとはっきりいえるのかどうなのか。私は、これは唯一東京都の定義だというふうに思うのですね。
私も、この東京都の仕様書のもとになっている東京都建築工事標準仕様書、それから建築基準法、これを全部調べてみましたが、中層住宅というものの階数の定義はないのです。東京都であるのは、唯一これなんですね。だから、この都営住宅の定義というのは非常に大事だな、重みがあるな、こういうのを基準にしながら中層住宅というのを位置づけて、これからのいろいろな問題に取り組んでいただければ、きょうの陳情みたいなのがなくなるのじゃないかというふうに思います。
以上です。
○山室建設推進担当部長 都営住宅の仕様書の件が出ましたので、お答えしたいと思います。
都営住宅の仕切り、中層の定義は、あくまでこれは内部の運営の基準でございまして、一般の住宅の中層、高層、低層という定義をあらわしたものではございません。
○秋田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一九第二五号は継続審査といたします。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時三分休憩
午後三時十六分開議
○東野副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
次に、一九第二八号の一、「三信ビルディング」の解体工事の中止及び保存に関する陳情を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○安井都市景観担当部長 整理番号5番、一九第二八号の一、「三信ビルディング」の解体工事の中止及び保存に関する陳情につきまして説明いたします。
お手元の説明表の一三ページをお開きください。
本陳情は、台東区にお住まいの川西崇行さんから提出されたものでございます。
陳情の要旨ですが、魅力的な都市空間を形成するため、現在進行中の三信ビルディングの解体工事を中止させ、歴史的建造物または文化財として指定し、保存していただきたい。また、耐震性能について、東京都を初め公の機関による調査、検証を行っていただきたいというものです。
現在の状況ですが、本建物は、昭和五年に建設された事務所ビルであり、平成十年十一月に、東京都景観審議会において、歴史的な価値を持ち景観上重要な建造物の一つとして認められ、東京都選定歴史的建造物の選定候補として答申されました。これを受け、都は、本建物の所有者に対し、東京都景観条例に基づく選定に同意し、保存、活用に協力していただけるよう要請を行ってまいりました。また、所有者といたしましても、耐震診断を実施するなど、本建物を改修の上、保存し、長期にわたり管理、運用する方法について検討を進めてまいりました。
平成十五年九月に本建物で室内天井材の落下事故が発生したため、所有者は、テナント入居者や一般利用者の安全確保を徹底する観点から、それまで検討してきた保存方法の見直しを行いました。その結果、耐震、防災等の安全性の確保と特色ある意匠の保存の両立が経済的にも極めて困難であることから、平成十七年一月に解体方針を公表しております。
所有者は、本年五月から本建物の解体工事に入っており、本年十月末には地上部分の解体を完了する予定です。
なお、選定候補とされた建造物につきましては、選定同意を円滑に進めるため、景観審議会の答申で選定候補とされていること、建物の所有者に選定に向けて都が要請をしていることなどを非公表としております。本建物については、本日の委員会のために、あらかじめ所有者の承諾を得て、選定候補となっていること及び都の要請の経緯を明らかにしております。よろしくご審議をお願いいたします。
○東野副委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○松下委員 ただいまご説明のありました「三信ビルディング」の解体工事の中止及び保存に関する陳情に関して、幾つかご質問をしたいと思います。
今、現在の状況でもご説明がありましたとおり、この三信ビルディングは、陳情の理由にも書かれていますように、関東大震災という未曾有の災禍を教訓として震災復興期である昭和初期に建設された近代建築であり、以前から、保存を求める市民等の要望や、三信ビルの学術的な重要性を指摘して日本建築学会、日本建築家協会などから所有者あてに保存要望書が提出されている建物でもあります。
解体ではなく、後世へと伝える方向で検討してほしいという市民からの要望は、本年三月にビルが閉館となってからも、最後の提案ということで、四月に、二千二百八十四名分の署名を、三信ビルの所有者である三井不動産、都知事、千代田区長に提出をされています。しかし、建物所有者の判断により既に解体が進行し、来月には上物部分の解体が終了するという事態に現在は立ち至っております。
建物の耐震性や安全性を考え、所有者が判断をされたとのこと。また、現在の取り壊しの状況からすると、保存は残念ながらもはや難しいと思えますが、建物の取り壊しに至る前にもう少し何とかならなかったのかなという気持ちが非常に強くあります。建物の保存には所有者の同意が不可欠であり、所有者の理解を得られるよう、都選定の歴史的建造物に位置づける意義、所有者にとってのメリットなどについて、都として所有者に説明を尽くす必要があると思います。
そこで、まず、東京都選定の歴史的建造物に関する東京都景観審議会による選定候補数、そのうち選定数について伺います。その他、選定数以外の内訳についてもお答えいただきたいと思います。
○安井都市景観担当部長 歴史的建造物の選定候補と選定数についてのお尋ねでございます。
平成十年十一月から平成十三年二月までの三回にわたり、計百八十五件について、選定候補として答申を受けてございます。この中には土木構造物なども入ってございます。このうち、平成十八年度末までに七十六件について所有者の同意を得られ、選定しております。
その他でございますけれども、文化財の指定を受けたものがほかに十七件ございますが、このうち五件は、都選定歴史的建造物選定後の移行が重複してございます。さらに、滅失したものが十四件、協力要請中のものを含め、その他が八十三件となってございます。
○松下委員 実際に選定された七十六件という数よりも、現在協力要請中八十三件の方が多い。先ほどのご説明でもありましたが、現在要請中のものについては内容非公表ということで、今回は所有者さんのお断りを得て経緯をご説明いただいたとのことなので、三信ビルさんは現在この協力要請中に入っているのかと思いますが、実際、都の歴史的建造物に選定されることの意義、そして効果というものはどういったものか。また、三信ビルの歴史的建造物への選定に向けて、建物所有者の理解を得るために東京都としてどのような働きかけを行ってきたのか、あわせてお伺いしたいと思います。
○安井都市景観担当部長 歴史的な建造物の中でも、国指定の文化財のように必ずしも学術的な価値を伴わないものであっても、東京の歴史や文化を今日に伝え、街並みを形成する景観資源となったものについては、都は、景観条例に基づき選定し、その保存や活用を支援しております。所有者が選定を承諾し、一般都民への公表が可能となった建造物につきましては、景観、意匠の保存に必要な工事費の補助、建物の説明・解説板の設置、周辺において建築行為などが行われる場合に、そのものに対して配慮の要請、こういったことを行っております。
三信ビルにつきましては、景観審議会の答申後、今ご説明したような意義、効果を所有者に説明いたしまして、継続的に、選定の同意、建物保存の要請をしてきたところでございます。また、解体公表の直前にも、都市開発諸制度を活用した保存について働きかけを行っております。
しかしながら、平成十五年九月に、本建物内で想定外の天井材落下事故が発生いたしまして、所有者の判断により、テナントビルという性格上、賃借者、一般利用者に対する危害を防止するため、解体はやむを得ないとの判断になり今日の状況に至ってございます。
○松下委員 この間、都としても、建物の所有者に対して働きかけを継続的に行ってきたことは理解できます。しかし、その努力はむなしく、取り壊されている現実、東京都としても歴史的に意義があると考える建物が壊されてしまっているという現実を非常に寂しく残念に思います。これから、建設後五十年を条件に候補が選ばれてくるというのであれば、三信ビルと同様に取り壊さざるを得なくなってくる建物も数多く出てきてしまうのではないかという不安が非常にあります。今後、どうしたら昭和初期に建てられた近代建築が保存できるのかということを考えていかなければならない、大きな課題であると私は思います。
本年四月に策定されました東京都景観計画の第三章には、歴史的建造物の保存等による景観形成、今後、都市づくりを進める中で、歴史的建造物の保存や歴史的景観の形成を一層推進するための取り組みを強化していく、というふうにも書かれています。今後、都はどのように取り組んでいく考えなのか、お伺いをしたいと思います。
○安井都市景観担当部長 今後の保存に向けての取り組みでございますけれども、今ご質疑の中にもございましたように、都の選定制度は、選定時に建設後五十年ということですのでかなりの年数が経過したもので、老朽化等により解体、建てかえを余儀なくされたものが少なくございません。こうしたことが、今後とも全面保存ということができればそれを原則として取り組んでまいりますけれども、そういった意味では現状での保存、活用について協力要請ということが原則でございますが、建てかえなどが予定される場合には、既に幾つかの事例もございますけれども、都市開発諸制度の活用などまちづくりを進めていく中で従来の建物の歴史的価値であるとかイメージなどが継承するような、そういった都市の記憶を残していかれるようなことも含めて、できるだけ保存が可能となるような方法を事業者に働きかけてまいりたいと考えてございます。
○松下委員 歴史的な価値を東京都の中に残していくということ、建物を残していくということは、まちづくりを考えた上で建物だけに歴史的な建築物としての価値があるだけでなく、その建物に集い、その建物を、青春の記憶だったりそこで集ったり仕事をしたりしたさまざまな人々の、東京都で住み、働く人たちのさまざまな思いが建物自身に凝縮しているものであると私は思いますし、実際にこの陳情を提出された仲間の方からお話を伺ったところ、この三信ビルに思いを寄せている、何としても保存をしたいと思っている人たちの中には、自分だけじゃなくおじいさんから三信ビルでの思い出を聞かされて、おじいさんからの遺言のような形で受け取っている。過去から現在、そして未来へとつないでいきたいという思いを持っているんだということも教えていただきました。
実際にこの建物が壊されてしまった後に、例えば、今も歴史的価値を残していく形でというふうなご説明がございましたが、私自身は、例えばレプリカや模型--模型といいますか、実際にその建物になじみのある方には物足りないかもしれませんが、その歴史的な価値を後世に引き継ぐためにも、設計の資料を保存したり、そして新しく建てかえた後の建物の中に模型をつくったりして、そういう努力を、所有者に働きかけを東京都としてもしていっていただきたい。従前の建物の記憶が残されるような働きかけを都として行っていただきたいという要望をしまして、最後に、私の要望として述べさせていただきたいと思います。
○植木委員 私も、三信ビルについて質問をしたいというふうに思います。
この陳情が出されたのが六月二十二日ですね。私、おととい改めて見てきました。一階部分の柱は、私素人ですから正確にはわかりませんけれども、非常に頑丈な柱で、三階以上はもうなくなっておりましたけれども、一、二階部分、躯体のところはまだ残っている。中まで入れてくれなかったものですからどこまで全部が残っているのかというのは詳細にはわかりませんけれども。しかし、多くの都民の方々から、先ほどもお話がありました、関東大震災直後の建築物としては非常に重厚で当時の技術の粋を集めてつくられた、しかもいろんな特徴があって、天井部分、それからエレベーターも半円形のホールにあるとかアーチも非常にすばらしい、今でも建築史上に残る、そういうものですから、残してほしいという方々がたくさんおられて、私のところにもいろいろお声がかかりました。メールやお手紙などもいただいたりしましたけれども。
三信ビル保存プロジェクトを提案した方々が、こういうことをおっしゃっておられました。都心の再開発が加速し超高層ビルが次々と建設される一方で、まちから古い記憶が失われてしまうのは残念だ。こういって、東京は多くのすぐれた近代建築を創出してきました。さらに、一つは文化的歴史的意義、二つ目に超高層林立への疑義、三つ目に三信ビルが持つ日比谷の景観としての重要性、この三点、特に一の文化的歴史的意義を三信ビルに見出す意見は非常に多い。こういって、いろいろな方々の声を紹介し、築七十年を経過する三信ビルを単に歴史的建造物として保存するだけでなくて、現代の風景とともに生きる魅力的な空間として活用すべく、ぜひとも所有者にご要請いただきますようご英断をと、都知事や、それから千代田区長にも要望書を出されている。そのほか、建築学会や日本建築家協会等々も要望書や見解が出されていたり、この陳情も出されております。
そういう意味で、東京都として、この三信ビルについての建物の価値、近代建築物としての歴史的建造物としてどのような価値を持っているものというふうに考えておられるのか。それから、景観審議会、東京都歴史的建造物としての認定作業はどのように行ってきたのか、改めてお聞きしたいというふうに思います。
○安井都市景観担当部長 二点のご質問をいただいておりまして、まず一点目ですけれども、歴史的建造物の価値をどのように受けとめているかということでございますが、これは歴史的、文化的価値の継承ということで、街並みに風格を与えたり、あるいはランドマークとなって都民に親しまれる、そういった街並みを形成したりということで大変意義があるばかりでなく、そうしたものを活用することによって観光資源としてもなり得るものだというふうに考えてございます。
そうしたことで、景観審議会でも三度にわたり答申を受けているわけでございますけれども、この中では、原則として建設後五十年を経過している歴史的建造物について、景観上の重要性、また外観の保存状態などの観点から調査、審議をして候補を抽出しております。
本件三信ビルにつきましては、建物内にアーケードを持つ数少ない現存例でございまして、当時としてはそういう例でございまして、日比谷周辺の景観形成とのかかわりなどが評価され、選定候補となったものでございます。
○植木委員 歴史的価値は非常に認めて選定をしてきたということはわかりますが、具体的に関係者との協議の中で、最終的にどうしてもこれは保存できないと、こういうふうにいってきたのか、どういう話し合いが行われてきたのか、この点についてはいかがでしょうか。
○安井都市景観担当部長 所有者への協力要請の経緯ということのご質問だと思いますけれども、都は、平成十年に答申を得てから、翌年、都選定歴史的建造物の制度を説明し、また、選定同意の協力依頼を所有者に対してしてございます。所有者は、このビルが多くの賃借人を抱えるテナントビルという性格上、社内でよく検討したいという約束をいただいてございます。
平成十二年、都から再度要請をいたしまして、これを踏まえ、所有者は保存を前提として詳細な耐震診断を実施してございます。平成十三年末には、所有者はこの結果を踏まえ、保存、活用を前提としたリニューアル案をまとめ経済面での検討を継続してございます。平成十五年には、維持管理費や土地開発諸制度を活用した保存についても検討しております。
しかしながら、その後、先ほどご説明したように天井材の落下事故が発生したことを踏まえまして、全館の天井を対象に緊急の暫定工事を行うとともに、保存、活用の前提となる安全確保の徹底を図るために、リニューアル案の見直しを行い、その結果、冒頭ご説明したような経緯で解体という判断に至ったわけでございます。
○植木委員 そうすると、一たんはとにかく耐震診断をやりながら保存する方向で考えたということなんですが、耐震診断というのはどの程度の診断なんでしょう。相当精密な、当然、五十年以上たっているわけですから、もともと長期にもたせるには手を加えてどうなるかということが前提となるものなんですけれども、そういう意味での耐震診断が行われたのかというのが一つ。それから、なぜ了解が得られなかったかということで、もう一つは天井が剥落するというお話でしたけれども、この程度がどの程度であったのか、この点について詳細につかんでおられるでしょうか。
○安井都市景観担当部長 実を申しますと、所有者は、平成七年の阪神・淡路大震後にもビルの耐震診断を行っておりまして、当然これは長く使うという前提での診断を行ったわけでございますけれども、選定同意について都の働きかけを踏まえまして、さらに精密な調査を平成十二年に実施してございます。その結果も含めて報告を受けているわけでございますけれども、耐震診断の結果によれば、本建物は、新耐震設計法に基づいて設計された建物が保有すべき耐震性能を確保しておりませんで、当時の状況のままでは、長期にわたり建物を安全に管理運営していくことは極めて困難との結論に至っております。
これは耐震上の問題ではございますが、そのほかに、消防法であるとか防災であるとか、そういった点からの検討も含めて今日の判断に至ったというようなところでございます。
〔東野副委員長退席、委員長着席〕
○植木委員 先ほどもいったように、築五十年以上たっているわけですから、現存の建物で耐震診断すれば新耐震基準から合わないという、それは単純にわかりますよ。問題はやっぱり、保存するためにはどういう努力をするのかという意味で、どのくらい努力すれば長もちさせることができるのかという意味での診断や検討が必要だし、私の聞いたところによりますと、この陳情者の川西先生も、日本建築学会や日本都市計画学会だとか景観問題についても専門にやられている方ですけれども、剥落現場を見てきたけれども、技術的にいえば、技術的にいえばですよ、実際にお金の問題とかいろいろあるかもしれませんけれども、技術的にいえば保存できないほどの剥落ではないと、こういうお話をしておられました。それで、そういう剥落がどの程度、柱やはりに対して影響があるのかということなども、文書でしたけれども、三井さんからは何の回答もなかったんだというふうに残念がっておられました。そういう意味では、五十年以上たっている建物は、何らかの手をつけなければそのままでは耐震基準に満たないのは当然ですから、何らかの対策をとるということが前提になると思うんですよ。そういう意味で私は非常に残念だと思います。
それで、最初にいいましたように、おととい見てきましたけれども、上部はもうなくなっているんですね。六月に陳情を出した、あの段階で、陳情について審議するから何とか一時とめてくれということでいえば被害も非常に少なかった。今日の段階でも、どのくらいの部材が残っているかこれがわからないけれども、もし部材が残っているようであれば一、二階部分の一定部分の保存というのはできるんじゃないか、こういうこともおっしゃっていました。そういう点で、現在の状況の中でそういう部材や部分的な、どの程度残っているのか、もう一、二階部分しか現実にはないんですけれども、その点について詳細に把握しているでしょうか。
○安井都市景観担当部長 先ほど、都の交渉経緯の中で、プレスリリースを発表した前後においてもいろいろ働きかけを行ったというご説明を申し上げました。その中での話ですが、記録はきちっと保存してあるということでございまして、また、所有者のホームページにも出てございますけれども、三信ビルが持っている魅力を次の開発の中で継承していきたいというようなことがうたわれてございますので、そういうことを前提に、新しい開発の相談があった場合には、都としても積極的に働きかけていきたいというふうに考えております。
○植木委員 先ほど、部材という言葉を使ったからちょっと一般的ですけれども、そういういろんな意匠というんですか--だとか、部分的にでもそういうものが残っているかどうかというのは掌握されているでしょうか。
○安井都市景観担当部長 どのような部分をどのような形で保存しているかということの報告は受けてございません。
○植木委員 できれば、これはぜひ聞いてほしいんですよ、部材で本当に残せるものがないのかどうか。それはそれで今後に生きる可能性もありますし、現時点でストップできれば部分的にでも保存できるという専門家の方のおっしゃる意見も含めて、最後のチャンスだといっていました。最後の努力ができないんだろうかと、こういうふうにいっていましたので、ぜひ聞いていただきたいと思うんですが、そのぐらいはやっていただけるでしょうか。いかがですか。
○安井都市景観担当部長 先ほど来そのような趣旨でご答弁させていただいてございます。
○植木委員 ぜひ、どこまで残っているかというのを、その運動に取り組んでいる方々にも情報を提供してやってほしいということをお願いしたいと思います。
それで、三井さんは、三井不動産が中心になっていろいろ検討されているということで、先ほどの答弁の中でもちょっと出ていましたけれども、開発ということも考えておられると。専門紙の中でも大規模開発という言葉も出てくるんですね。そういう中で、いろんな方々の中では、結局、三井の関係者の方々は、現在のまま保存するということよりも、再開発などによって外壁の一部分を保全すれば容積率が大幅にプラスになるということも想定しておられたのではないかということも考えておられるという方もおられました。結局、情報や、いろいろ要請を出しても返ってこないからわからないというわけですよね。そういう点で、この点についてはどのように掌握しているでしょうか。
○安井都市景観担当部長 開発の状況でございますけれども、道路を隔てて向かい側のビルも同一所有者ということで、開発が予定されているということは公表されてございますが、そういったところを含めて、今後どのような開発があるのかということの具体的な相談はまだ一切ございません。
○植木委員 今もお話がありましたように、現在の課題になっております建物と隣がやはり三井さんの土地と、真ん中に区道が走っているんですね。もしその専門紙のいうとおりだとしたら、その区道も廃止して、どういうふうに道路をするのかわかりませんけれども、一体的な開発ということが新聞には書かれておるんですよね。だから、そういうのがどうなっているのかさっぱりわからないし、区の方に聞いても全然相談もありませんよということですから、これからなのかあるいは内部での検討がまだ不十分なのかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、きょうが最後のチャンスというふうに陳情者もおっしゃっていましたから、何とか部分的にでも保全する方向を最後まで努力をしてほしいというふうに思うんです。
それで、先ほど松下委員の質問にも、私も聞こうと思っていたんですけれども、答えていましたんですが、未認定--結局、歴史的建造物がなぜ保存できないのかということは、当然個人あるいは企業の持ち物であるということでの限界もあるし、それから、そうはいっても、五十年以上という基準でいけば当然、先ほど消滅が十四件というお話がありましたけれども、残したいと思っても耐震診断したらもうだめですよと、アウトですよと消滅してしまう。こういうことが繰り返されるのでは、どんなに関係者の方々が要望しても、認定されるものもあるし認定されないものも出てくる。そういう意味で、八十三件の未認定を考えた場合、支援のあり方についても今後努力をしていく必要があるんじゃないかと私は思うんですが、認定された場合現状ではどのような支援を行うようになっているんでしょうか。
○安井都市景観担当部長 先ほどのお答えでございますけれども、選定された場合には、工事費の一部が補助されたり、建物の解説・案内板を設置したり、また、周辺で建築行為などが行われる場合については当該建築物に対する配慮を要請したりと、このようなことを行ってございます。
○植木委員 所有者の協力が得やすいように、一つは今、工事費とか周辺に要請をするとかというお話がありましたけれども、協力が得やすいように支援を現在よりも充実させるということが一つ必要じゃないかということと、それから、築五十年以上というところから出発して、延々と話し合っているうちに実際にはもうだめになっちゃうよということなのかどうか。その残りの八十三件、わかりませんけれども、やっぱり早目に早目に話し合いを持っていくということをやらないと同じようなことが繰り返される。そして、地域の方々が気がついて働きかけたときには、もう遅いよ、こういうふうにいわれて、仕方ないというふうにならないように、仕組み自体も改善をしていく必要があるんじゃないかと思うんですよ。
そういう点で、現在はまだそこまで検討していないかもしれませんけれども、そういう、一つは支援のあり方、それから認定のあり方について、ぜひ積極的な立場で拡充といいましょうか、改善をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○安井都市景観担当部長 冒頭の説明の中でお話ししたとおり、今どのようなものが未選定になっているかということはちょっとつまびらかにはできませんけれども、個人がご所有の、個人の住宅であるとか店舗であるとか、木造のようなものもかなり残ってございます。そうしたものはやはり、なかなか要請については限界がございますが、本件のように近代洋風建築というものは都心部に集中しているものが相当多いわけでございます。そうすると、機能更新が進む都心部に集中しているということから、これらの建物を含む区域で開発が進められる機会をとらえまして、都市づくりを通じて、都市開発諸制度などによって保存を図るということが非常に大切なのではないかなということを考えてございます。
このため、今後は、歴史的建造物の全面保存を原則としておりますけれども、四月に公表した景観計画にお示ししたとおり、場合によっては、特色ある外観の部分保存であるとか滅失された外観の復元についても、景観審議会の意見を参考にして、都市開発諸制度の中で評価して、歴史的な景観が継承させられるような、そういった開発を誘導してまいりたいと考えてございます。
○植木委員 確かに、個人あるいは企業いろんな所有関係というのがあると思いますから、当然努力がなかなか大変なのはわかりますけれども、歴史的建造物として保存の価値のあるものについてはあらゆる努力をしていくということで、ぜひそういう制度の改善も含めて今後やっていただきたいというふうに思いますし、本案件は、陳情者も最初に紹介したように最後のチャンスだと。ここで立ちどまって、もう全部というのは無理ですから、部分的にそういうものができないものかどうか、部材も含めて努力してほしいと、そういう意味で私どもは趣旨採択を訴えたいというふうに思います。
以上です。
○秋田委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立少数と認めます。よって、陳情一九第二八号の一は不採択と決定いたしました。
以上で陳情の審査を終わります。
○秋田委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○只腰都市整備局長 来る十一月二十二日木曜日に開催予定の第百七十九回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件につきまして、ご説明を申し上げます。
お手元の案件総括表にございますように、今回、東京都決定案件、全部で十四件ございます。その内訳といたしましては、区部が七件、市町村部も七件でございます。
本日は、これらのうち、主な案件といたしまして、一ページ開いていただきまして、3の特別緑地保全地区、七国・相原特別緑地保全地区の決定につきまして、ご説明をいたします。
引き続きまして、担当部長から説明をいたさせますので、よろしくお願いいたします。
○升都市基盤部長 それでは、八王子都市計画及び町田都市計画特別緑地保全地区の決定及び変更についてご説明させていただきます。
資料といたしましては、資料4、提案事項概要、並びに資料5の事前説明会資料を使わせていただきます。提案事項概要でございますと四七ページ、事前説明会資料でございますと四二ページ、四三ページでございます。
まず、特別緑地保全地区についてご説明させていただきます。
特別緑地保全地区は、都市計画法に基づく地域地区の一つで、都市におけるすぐれた自然や景観の保全などを必要とする緑地に対して指定するものでございます。この区域内では、建築や土地の形質の変更など、一定の行為が強く規制されることから、現状がほぼ凍結された形で保全される特徴がございます。
今回、都市計画審議会に付議いたします七国・相原特別緑地保全地区は、多摩丘陵の西側に位置する丘陵地にあって、八王子市、町田市の二市にまたがり、JR横浜線相原駅から北西約二キロの距離に位置しております。スクリーンに航空写真を映させていただいてございます。
本地区の北側に当たる八王子市七国側は、南八王子土地区画整理事業、いわゆる八王子ニュータウン事業の一環といたしまして確保された尾根沿いの良好な樹林地で、約十一・七ヘクタールの規模となってございます。
これと隣接した南側の町田市相原町側の尾根沿いは、緑豊かな丘陵地の保全を目的に町田市が土地の取得を進めてきており、今回、その周辺の民有地も含めた面積約二十八・一ヘクタールの区域でございます。
これら両区域の樹林地につきまして、今後の緑の保全のあり方を検討した結果、合わせて約三十九・八ヘクタール、多摩地区では最大規模の特別緑地保全地区として指定することとしたものでございます。スクリーンに町田市相原町側から見た現況写真を映してございます。現在、この地域の大部分は、クヌギ、コナラから成る自然豊かな樹林地となっております。
なお、今後、民有地のある町田市側において買い入れの申し出があった場合には、町田市が対応することとなってございます。
以上で説明を終わらせていただきます。
○秋田委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○こいそ委員 それでは、ただいま説明をいただきましたいわゆる特別緑地保全地区指定、一号、五号ですね、これにつきましてお聞きしたいと思います。
これはよくさまざまな場でお話も出ておるところでありますけれども、東京の緑が、この五、六年のいわゆるスパンで急激に減少していると。とりわけ東京の、島しょ部はちょっと除きまして、区部を中心に、そして多摩地域を二つのエリアとすると、ちょうど北多摩、南多摩、そして区部との隣接、この部分が、このゾーンが極めて減少傾向が著しいということなんですね。当該の今お話しいただいたこの地区もまさにそこに入っているわけでありますけれども、その中で、もう一点は、緑の減少が極めて著しい中、それと今日的な、これはちょっと局が違うかもしれませんけれども、気候変動の、とりわけ温暖化傾向、これに対する効果というものも実証されていますよね。緑が熱を吸収するということなんでしょうかね。東京も百年のスパンの間に、何と、年平均的に温度が三度、全国平均では一度上がっているということの中で、この数字を見た中でも対応が急がれると思うんですね。
この都市計画の中における今回の特別緑地保全指定というのは、大変私は制度上--これは昭和五十八年からこの制度が適用になっておりますけれども、自来、十八カ所、九十七ヘクタールが指定をされてきているという現状があるわけであります。このような中で、もう一点条例の中で、緑地保全地域の制度ですね、もう一つあるわけでありますが、今回の特別緑地保全地区との制度上の相違点といいますかどのような内容なのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○升都市基盤部長 今、指定をお願いしております、ご説明いたしました特別緑地保全地区と、それから、お話のありました、東京都の東京における自然の保護と回復に関する条例で指定している緑地保全地域の制度との相違ということでございますが、両制度とも、今ある良好な樹林地につきまして、一定の行為を強く規制することにより、樹林地などの現状がほぼ凍結された形で保全が行われるものでございます。
東京における自然の保護と回復に関する条例による緑地保全地域は、主に山間部や丘陵地などの多摩地域において都が指定を進めてきており、その保全につきまして広く都民の参加を募るなどの特徴がございます。
一方、本日ご説明いたしました特別緑地保全地区でございますが、都市計画法に基づく地域地区の一つでございます。都または区、市が指定する仕組みとなってございまして、条例による保全地域よりも税制面では優遇されているところでございます。
○こいそ委員 いわゆる税制の面での配慮がなされているというお話でありますが、確かにそうなんですけれども、しかし、この特別緑地保全地区の活用について、私は、昭和五十八年から今年度、平成十九年を見た中でも十八カ所、先ほども申し上げましたけれども十八カ所の九十七ヘクタールと。一方、緑地保全地域の制度適用は、指定は三十六カ所の百二十六になっている。こういう中で、単純な数字ではありませんけれども、やはりこの制度の活用がいま一つではないのかなという感がしてなりません。
このような中から、あらゆる施策を講じながら、当然都市景観的な要素も含めて、この貴重な自然、緑というものを保全していく、確保していく、こういうことの中でこの制度の活用について局はどのように考えているのか。
○升都市基盤部長 特別緑地保全地区の活用についてでございますが、先ほどもお話しいたしましたように、樹林地をほぼ現状の形で凍結する保全の制度ということでございますから、丘陵地など良好な樹林地を保全するには非常に有効な制度であるというふうに認識しておるところでございます。特に多摩地区の緑が継続的に減少している中では、本制度の活用は緑の保全に効果的というふうに考えているところでございます。
○こいそ委員 確かに、前段申し上げましたように、この制度をしっかり活用していくということは当然効果があると思うんですね。まあ凍結が一番なんでしょうけれども。そういう中でもやはりこれが活用されていかないと、限られた東京の、また多摩地域の貴重な緑というのは、まさに急坂を転がり落ちるがごとく減少してしまう。これはいろいろな要因がありますけれども、相続とかいろいろありますけれども。しかし、今この制度をしっかりと活用することによって一定の歯どめもかけられるのではないかという思いもするんですね。
そのような中から、地元区市町村との連携もそうでありますけれども、普及啓発が当然にして重要であるという中で、これを具体的にどのように取り組んでおられるのか、取り組んでいかれる考えなのか、教えていただきたい。
○升都市基盤部長 委員からお話のございましたとおり、本制度の活用につきましては、区市町への徹底した普及啓発が重要というふうに私ども考えてございます。このため、区市町との都市計画に係る、定例的なまた総合的な会議を活用いたしまして周知していくほか、本特別緑地保全地区の指定を検討しております区市町に対しては、個別に説明会や情報交換を進めていくことも考えてございます。
これらにより、指定環境を整え、都と地元区市町とが密に連携いたしまして、一層の指定拡大に向けて努力してまいりたいというふうに考えてございます。
○こいそ委員 今後、具体的に指定の計画があるように聞いているんですが、そのあたりを教えていただきたいと思います。まず、そのあたりをお願いします。
○升都市基盤部長 今お答えいたしましたように、保全地区の指定を検討しているところがございます。今回の案件の指定のほかに、小規模なものではございますが、地元区市の努力もあり幾つか検討を進めてございます。例えば、多摩市でございますが、和田緑地保全の森という今指定しているものがございますが、これを指定拡大する計画がございます。また、江戸川区におきましても、河川緑地や都市計画公園に隣接した土地の神社を対象に、近く指定を予定しているところでございます。
○こいそ委員 いずれにいたしましても、これは東京都全体的な中で、ぜひ指定の拡大に鋭意取り組んでいただきたいと要望させていただきたいと思います。
それとともに、これを指定して、もう一方、先ほどの自然保護条例でも、一方で緑地保全地域指定が、局が違いますけれどもあるわけでありますが、この中で私は、今後のいわゆる特別緑地保全地区の指定は拡大をしていただきたい。先ほど何回もいっておりますけれども、その中で、例えば霞ヶ関緑地という、余り広くありませんけれども、それを昭和五十四、五年だったですかね、指定をしていただいたんですね。私は常にそこを見ておりますけれども、先ほど凍結というお話もあるけれども、都市景観上はよくわかるわけでありますが、やはり一定の期間の中で指定をする--これもまた局がまたがってしまいますからあれですけれども、ただ指定をするだけでなく、その後の連携、調整というんですかね、これらのことも踏まえていただければなというふうに思っております。
昭和五十年代、都がまさにこのときに積極的に指定や買収を続けていただいた。今後これらのことを踏まえながら、拡大を踏まえながら、総合的な、やはり今までの、昭和五十八年から法律で、それと条例の二つの制度の中の指定がありますけれども、より効果的なまた現状も検証していただいて、実効、効果が上がるような、ぜひ緑地また自然林の保護、保全に努めていただきたいとお願いをしたいと思いますが、最後に、局長のご答弁をお願いします。
○只腰都市整備局長 都市の緑でございますが、委員からもご指摘ございましたように、単なるレクリエーションのスペースということではございませんで、景観の向上、それから大気の浄化、CO2の吸収、ひいてはヒートアイランド対策、そういうためのスペースとして非常に重要な都市のインフラであるというふうに私ども認識をしてございます。
緑豊かな東京をつくっていくためには、主として都市整備局は、新たに緑を整備するという方の分野を担当はしております。そういう意味では、民有地に公園をつくる民設公園の制度あるいは環境軸というような考え方、道路や河川の緑と開発の緑を連動させる、こういうような最近出しました環境軸の考え方、こういうようなことを主に取り組んできているところでございます。
ただ、一方、先生、今ご指摘がございましたように、今ある緑をどのように守っていくか、特に都市整備の面で守っていくかということも大きな課題でございます。本日ご説明いたしました特別緑地保全地区につきましては、ただいま部長からもご説明申し上げましたように、税制面と連動しているという面では、非常に緑地の保全にとって有力な手段というふうに私ども考えてございます。また、例えば神社の森とか、規模が小さい緑でも適用ができるんじゃないかというふうに考えてございます。
都市整備局といたしましては、今お話がございました環境局ともよく連携をしながら、私ども今、「十年後の東京」の中では、一番最初に水と緑の回廊に囲まれた東京の実現というのを掲げてございます。そういう目的に沿いまして、都市計画の面でも緑豊かな東京にするということで全力で取り組んでまいります。
○吉田委員 私からも幾つかの案件についてご質問をしてまいりたいと思います。
まず、ただいま、こいそ委員からもご質問のございました七国・相原特別緑地保全地区の決定に係る案件、これに関連してご質問いたします。
今ある緑を保全していくことの必要性、重要性ということについては、こいそ委員からもご質問があり、そして、局からも大変前向きな決意というか、お考えをご開示いただいたのでございますが、この特別緑地保全地区、これを含めまして、現在の都市緑地法に基づく緑の保全制度、ちょっと余り使われていないような制度もあるやに伺っているんですが、この緑の保全制度、どのようなものがあるのか、そしてまた、その実績についてお伺いをいたします。
○升都市基盤部長 緑を保全する制度でございますが、都市計画法の中で、今ある緑を保全する主なものにつきましては、今ご説明いたしました特別緑地保全地区のほかに、緑地保全地域というものがございます。また、このほかに、先ほどこいそ委員からご質問のありました、東京都の条例でございます東京における自然の保護と回復に関する条例に基づく、同じ名称、これはまた名前が同じでございますが、緑地保全地域というものがございます。
都市計画法の方でございますが、特別緑地保全地区は、今るるご説明いたしましたように、現状凍結的に建築行為を強く規制することで緑を保全するものでございます。また、緑地保全地域、これは都市計画法の方でございますが、緑地保全地域は、緩やかな行為の規制により、土地利用との調和を図りながら保全を図っていく制度でございます。
実績でございますが、特別緑地保全地区は現在、十八カ所、合計百ヘクタール弱を指定しているところでございます。区部で六カ所、多摩部で十二カ所でございます。また、緑地保全地域の方でございますが、都市計画法に基づく緑地保全地域の方は、現在のところ実績はございません。
○吉田委員 ありがとうございます。
調べさせていただいたところによりますと、東京のような大都市を擁する都府県の特別緑地保全地区の指定状況は、平成十八年三月末で、東京都の十四カ所、九十四ヘクタール、今もう少しふえていますが、これに対して神奈川県が七十八カ所、三百二十三ヘクタール、愛知県が七十二カ所、百九十三ヘクタール、大阪府は少なくて三カ所、二・四ヘクタール、兵庫県が二十四カ所、四百八十三ヘクタールとなっております。東京都は、十九年に入ってから、三カ所、三ヘクタールを指定しまして全部で九十七ヘクタールとなっているわけですが、実はこの九十七ヘクタールの内訳を見ますと、うち七十ヘクタールは昭和五十一年に指定された明治神宮境内でございまして、この明治神宮を除くと二十七ヘクタールになってしまうわけであります。
この法改正、従前の都市緑地保全法から平成十六年に都市緑地法に改正されたわけですが、この法改正以後の指定の実績を見ますと、さらに小さな数字となってしまうと思うわけでございますが、各都府県の指定地区の内容、これは昔からのものと、その内容、そして法改正後の指定の実績についてお伺いいたします。
○升都市基盤部長 指定の箇所数や規模などにつきましては、お話のありました各府県のその時々の判断でございますとか地域の事情もあり、一概には比べることはできないというふうに考えてございますが、委員の例示された五都府県での平成十八年三月末の指定状況では、例えば愛知県では昭和から平成にかけて寺社境内地を中心に、また兵庫県では平成に入りまして六甲山ろくの大規模な樹林地を、また神奈川県では小規模な丘陵地を含め、広く指定しているところでございます。
なお、お話しの平成十六年十二月の法改正以降で見ますと、五都府県におきまして、大阪、愛知、兵庫では新たな指定は行われてございません。
○吉田委員 ありがとうございます。
法改正以降ということであれば、東京都が頑張っていらっしゃるんだなということが今のご説明で理解できるわけですが、それにしても、これまでの指定の面積と比べますと、これまで全部で明治神宮を除くと二十七ヘクタールというのに比べて、今回の七国・相原の保全地区の指定は約四十ヘクタールと大変大規模でありまして、本当に好ましいわけでありますが、これはなぜ他府県もなかなか指定できない中、指定できることとなったのか、この件についてお伺いいたします。
○升都市基盤部長 今回指定した範囲のうち、八王子市側は、南八王子土地区画整理事業のまちづくりで確保した緑地でございます。また、町田市側におきましては、市が特別緑地保全地区の制度を十分理解し、長年努力を重ねてきたところでございます。
東京都としては、広域的な見地から、八王子市側も含めた一体的な特別緑地保全地区として誘導を図ってきたところであり、今回これだけ大きな指定ができることになったということでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。
今回の指定を前例として、ぜひ今後とも、今回のノウハウというか、ものを生かして積極的に指定を進めていただきたい、このように希望するものであります。できれば、東京の二十三区二十六市に毎年順番に一カ所ずつ指定していって、半世紀後にはすべての地区に一カ所は保全地区がある、そのような姿になると本当にすばらしいなと思うわけでありますけれども、そこまではというお話もあるかもしれませんが、今後のお取り組みの決意というか、お取り組みの内容についてお伺いをいたしたいと思います。
○升都市基盤部長 今回の指定は、今ご説明いたしましたとおり、将来を見据えて地元市が長年努力を重ねてきた結果でございまして、一般的には、地権者の対応などを考慮いたしますと、具体的に指定目標を設定するというのは難しいというふうに考えてございます。しかし、緑豊かな東京を実現していくために、特別緑地保全地区の活用が重要であるということから、指定のための環境づくりを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
先ほどもこいそ委員にお答えしたとおり、制度が十分に浸透していない状況では、まず区市町への普及啓発を積極的に推進いたしまして、その上で候補地や地権者の意向などの基礎的な調査を進める必要があるというふうに考えているところでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
次に、武蔵野都市計画一団地の住宅施設についてお伺いをいたします。
これに関連してというか、東京都では昨年十二月に「十年後の東京」、これを公表されたわけで、水と緑の回廊で囲まれた美しいまち東京の復活を掲げると。そして、その実現に向けた実効性のある取り組みが求められているわけでございます。緑地の保全、拡充ということを全都でやっていかれるということだと思っております。
これに関連して、まず、この団地計画における現状の緑被率、目標数値は何%で、そして、地区計画に移行することによってその目標数値は変わるのかどうか、お伺いをいたします。
○金子市街地建築部長 桜堤団地は、昭和三十三年に都市計画決定されまして、当時の日本住宅公団、現在の都市再生機構でございますが、これによって建設された団地でございまして、平成九年に、老朽化した住宅の建てかえ計画に合わせまして、一団地の住宅施設の都市計画変更を行っております。
緑被率につきましては、平成八年五月時点での現況数値といたしまして、約四二%であります。平成九年の都市計画変更では、この数値を維持することを目標としております。
今回、一団地の住宅施設の都市計画を廃止いたしまして、地区計画へ移行するに当たっても、既存の水と緑を生かした良好な住環境を保全するため、この目標数値を継承することとしております。
○吉田委員 ありがとうございます。四二%という緑被率が確保されるというのは本当にすばらしいことだと思います。
そして一方、災害に強い都市づくりの観点も重要であります。今回の地区計画の目標には、防災性の向上を進めてきたとあるわけでございますが、具体的に防災機能の向上策としてどういうことをやってこられたのか、そして、今後予定されていることがあれば、あわせてお伺いをしたいと思います。
○金子市街地建築部長 平成九年の都市計画変更では、団地中央の広場に消防団詰所や交番を公益的施設として新たに位置づけておりまして、既に整備済みとなっております。また、団地内及び隣接する市立公園に既に防火水槽などが設置済みでございまして、今後、団地内で再整備中の公園緑地地区におきましても貯水槽の設置を予定してございます。さらに、団地内広場におきましては、民間事業者の協力も得ながら、平常時にはベンチとして利用し、災害時の仮設トイレとしても利用できるいすの設置などを予定しているところでございます。
○吉田委員 ありがとうございます。さまざまなお取り組みについて理解をいたしました。
こうした緑豊かで、防災機能も充実が図られている当団地、ここにおきましては、新たに建てられる建物についても、周辺環境にも調和した、そういうものがつくられていくことが望ましいと私は考えます。この団地内で既にでき上がっている地区の建物の最高の階数は何階であって、また、現在建設中あるいは計画中の建物の最高の階数、高さ、こういうものは何階となるのか伺います。
○金子市街地建築部長 団地内の建物の高さにつきましては、都市再生機構による従前居住者のための建てかえ工事が完了しております団地内南東側の中高層住宅地区では、階数にして三階建てから十階建てとなっております。
現在、民間事業者によって建設中のI街区では六階建てから十二階建てでございまして、今後建設される他の街区におきましても、おおむね四、五階程度から十一階建て程度になるというふうに聞いております。
○吉田委員 既存の建物と同程度ということでございますので、大変に理解が得られやすい計画なんだろうと思います。
そして、道路について着目をいたしますと、これまでの一団地の住宅施設の計画と比較をすると、今回の地区計画では、一部道路を真っすぐにしているところがございます。その内容についてご説明をお願いいたします。
○金子市街地建築部長 今回の地区計画への移行に際しまして、例えば団地内西側の仙川沿いの道路、主要区画道路一号線といっておりますけれども、これにつきましては、今スクリーンの方に示しておりますけれども、以前の道路と河川との交差を解消いたしまして、東西に流れる仙川をすべて団地北側ブロックに寄せまして整形化を図るとともに、仙川沿いに緑地、遊歩道、あわせて整備いたしまして、緑豊かで魅力的な水辺空間を形成することとしております。
○吉田委員 今回の計画は、豊かな緑に囲まれて、防災機能が拡充されて、道路も真っすぐで、親しめる水辺を整備するという、私が常々ご要望申し上げていることにも合致した大変ありがたいというか、よい計画だなという感想を申し述べさせていただいて、次の案件について質疑をさせていただきたいと思います。
次は、江戸川区江戸川一丁目の用途地域の変更に係る案件についてお伺いをいたします。
先ほど来申し上げているとおり、「十年後の東京」で新たに一千ヘクタールの緑を生み出していくという中で、この目標を達成するために、今後、江戸川一丁目のようなところでも、まちづくりの機会をとらえて緑の確保と創出に努めていくことが重要かと思います。
こういう観点で、まず、この地域での現在の緑そして道路、この割合についてお伺いをいたします。
○野本都市づくり政策部長 江戸川一丁目の緑あるいは道路の現状でございますけれども、本地区における公園面積は現在、区域の約二・四%でありまして、公園や民有地の緑を加えた緑被率は約一三・六%でございます。
また、道路率は約一三%でございます。
○吉田委員 ありがとうございます。
この地区では、地区計画の決定や用途地域の変更に合わせて、住宅市街地総合整備事業によるまちづくりを進めているということでございますが、これによって緑や道路の割合はどのように変化をするのか、お伺いいたします。
○野本都市づくり政策部長 公園につきましては、同事業によりまして約二千三百平米を整備しまして、全体で約三%となる計画でございます。
既存の緑が保全された上で公園が整備され、さらに民有地の生け垣整備などが進められますと、緑被率は約一四・二%以上となることが期待されます。
また、建てかえ時のセットバックあるいは防災道路の整備などによりまして、道路率は約二三%を目指すこととしております。
○吉田委員 ありがとうございます。
次に、防災という観点でございますけれども、地区計画の目標である、安全で安心して住めるまちを実現するというためには、行きどまりの道路や消防活動困難区域の解消、こういうことが必要だと思います。これらを実現していくためには、どのようなまちづくりを進めていく計画なのか、お伺いいたします。
○野本都市づくり政策部長 住宅市街地総合整備事業によりまして、行きどまり部分の民有地を買収、整備することにより、行きどまり道路七カ所の解消のほか幅員六メートルの防災道路の拡幅整備を行うこととしております。
また、地区施設の区画道路などが整備されますと、消防活動困難区域が解消される計画となっております。
○吉田委員 ありがとうございます。この地区計画の、安全で安心して住めるまち、あるいは人に優しい魅力的なまちという目標に向けて取り組んでおられるご様子について理解をいたしました。
ただ、ここで、あえて苦言というか、申し上げさせていただきたいと思います。
「十年後の東京」で、新たに千ヘクタールの緑を生み出すということを都は目指していて、現在、どういうふうに落とし込んでいくのか、各事業にどれぐらいその千ヘクタールの内訳をやっていただくのか、その具体的な方策が検討されているところだと理解をしております。このご検討に当たって私なりに理解いたしますと、千ヘクタールを新たに生み出すということは、一つには民間の活力を生かして民間に新しい緑をつくっていただく、あるいは小中学校の校庭を初め既存の公有地、ここでの緑化を図っていく、そして最後に、今まで全く緑地がなかったようなところについて新たに都として財政的な措置をして、買っていって緑につくり変えていく、こういう取り組み、この三つがあるんだろう、このように思います。
そして、新たに土地を都として買って緑化をしていく、こういうお取り組み。これは都市計画公園あるいは「十年後の東京」においても、木造住宅密集地域について点在する空き地をネットワーク化してミニ防災公園として再生していくなど、そういう取り組みが明記をされているわけでございますけれども。先ほど広域避難場所に関する陳情でいろいろご懸念あるいはご説明もあったとおり、木密地域についてはそれ以外の地域に比べて避難場所、これが大変シビアな状況だ。こういうことも踏まえて、こういう江戸川一丁目のようないわゆる木密地域、こういうところでは現在のご計画、さまざまな困難の中で必死にというか、公園面積を三%確保するんだ、こういう目標であるということで大変なご努力を理解しているわけでありますけれども、こうした地域にこそ重点的に緑、防災機能も含めた、こういうものをふやしていくまちづくりを都として重点的に取り組んでいくんだ、こういうお考えをぜひお持ちをいただきたいな。こうした地域の、地区の緑の目標値について、「十年後の東京」、これを落とし込むという作業にぜひ少しでも位置づけていただいて、現在の計画に加えてさらに新しい野心的なというか、目標を今後設定していっていただいて、安全・安心のまちづくり、こういうものを進めていただきたい、こういうご要望を申し上げたいと思います。
最後に、小平市小川町一丁目の用途地域の変更に係る案件についてご質問を申し上げます。
この地区は、都市の貴重な緑である農地の多い地域でございます。このような緑がまだ残っている地域においてどのような都市計画を進めていくのか、これは先ほどこいそ委員もご懸念がありましたけれども、今日、これまで以上にさまざまな観点からよく考えて進めていただく必要がある、このように考えます。
こうした観点から質問させていただくわけですが、まず、この区域内における現況の緑の状況、これについてお伺いをいたします。
○野本都市づくり政策部長 小平市小川町の地区ですけれども、武蔵野の面影が残る地区でありまして、区域の大部分を占める農地のほか、キャンプ場など約一・六%の緑がございます。
○吉田委員 それでは、当地域は農地など緑が大変多いわけでございますが、生産緑地を含めて、本事業によりましてどのくらい緑が確保されるのか、これについてお伺いをいたします。
○野本都市づくり政策部長 本件の土地区画整理事業では、土地区画整理法に基づく三%の公園に加えまして、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づく五%の緑地、合わせて八%の緑を確保しなければならないこととなっております。土地区画整理事業の計画では、公園、緑地、道路の植栽などを整備し、それを上回る八・六%の緑を確保することとなっております。これらの緑に加えまして、生産緑地として換地される面積を加えると、土地区画整理事業区域の約五二%、九ヘクタールが緑となる予定でございます。
○吉田委員 ありがとうございます。
この計画後に、区域の約五二%、これが生産緑地も含めて緑となるということで大変に喜ばしいと思うわけでございますけれども、この生産緑地というものは、実は相続の発生などをきっかけに指定が解除されることも多々あり、必ずしも代がわりを越えて長期にわたって保全されるような実態でないという残念な実情であるというふうに聞いております。
東京都議会は、ことしの三月九日に、都市農地の保全に関する意見書、こういうものを関係要路に提出いたしました。私も含めて百二十五名の議員の共同で意見書を国に出して、その中で、都議会は、国会及び政府に対して、これまでの都市農地は宅地の供給源であるという考え方を改め、都市農地と住宅地が共存共栄できる政策に転換し、都市農地の保全のために必要な措置を講じるよう強く要請する、このように意見を申し上げております。この要望は、もちろん東京都に対しても向けられたものであるわけであります。
大変振りかぶったことを申し上げますと、現在、大変残念ながら日本の人口は減っていく状況にある。一生懸命子育ての支援等をやっても、何十年間人口がふえていくような状況には残念ながらない。そして、そういう状況を踏まえて、国の方針としても、国土利用開発、例えば全総というものが五全総まであったんですが、それが廃止をされて国土利用開発という言葉が国土利用という言葉になって、東京都の審議会の名前も開発がとれて国土利用審議会となりました。開発ということから、今あるものをリプレースして良質にしていく、こういうことが重視されるようになってきた。あるいは民間の住宅が現在東京で余っているというか、世帯数を戸数が上回っているという状況であります。
こうした状況を受けて、都営住宅も新規にどんどん着工してふやしていくということではなくて、既存の建てかえを年間三千戸ずつやっていくという方針に変わっております。こういう時代の趨勢ということを考えれば、現在の都市計画において、市街化地域、これは要するに市街でないところを市街に変えていくという考え方の指定でございますけれども、しかも、もちろんこれは変えていくだけでなくて、既に市街地を形成している地域、これについても良質化していくということ、そういうことも踏まえた概念であるとは認識しておりますけれども、この市街化という考え方の中で農地を新しく宅地に変えていくというよりも、農地はなるべく守っていって、そして、従来の住宅の地域で良化、良質化していく、こういう取り組みに少しずつ考え方をシフトしていただきたい。こういう思いの中で、生産緑地の保全ということについても、制度を少しでも実効性があって生産緑地が守っていける、そういうことが担保されるような制度に変えていく、あるいは生産緑地のみならず、農地の保全、こういうことに向けて従来以上の取り組みを進めていただきたい、このようにお願いを申し上げて、私からの質問を終わります。
○村松委員 私の方から、七国・相原特別緑地保全地区の問題と、八王子戸吹北地区地区計画、この二つについて質問いたします。
先ほど来から、多摩地域の緑が減少しているというお話がありました。私も本当にそれは痛感いたしております。そこで最初にお聞きしますが、東京都が握っている--この十年間で多摩地域の森林の減少がどのくらいなのか、それから八王子の戸吹の関係もありますので、その中で八王子の森林がどのくらい減少しているのか、お答えください。
○野本都市づくり政策部長 森林面積という一般的な定義はございませんけれども、都がおおむね五年ごとに実施している土地利用現況調査によりますと、多摩部全域の森林の面積は、平成四年度調査で五万七千七百ヘクタール、これが平成十四年度調査では約五万六千八百ヘクタールでございます。この十年間で、多摩部全体で約九百ヘクタール減少してございます。
次に、八王子市内での森林の面積でございますけれども、平成四年度調査では約九千百ヘクタールで、平成十四年度調査では約八千七百ヘクタールでありまして、八王子市内で約四百ヘクタール減少しております。
○村松委員 ご答弁にありましたが、多摩地域で森林、森林のみですが、減少しているのが十年間で八百十七ヘクタール、そのうちの八王子が四百三ヘクタール。約半分が八王子の森林が減少している、多摩地域の半分がね。そういうふうになると思うんです。
それで、こういうふうに減少している中で、今回の七国・相原特別緑地保全地区、これを指定して緑地を保全していこう、そういう姿勢は私は評価をしたいと思うんです。ただ、問題は、今度保全しようとする約四十ヘクタールの土地というのは現在どこが所有しているのか、それをお示しください。
○升都市基盤部長 約四十ヘクタールのうち、八王子市側、約十二ヘクタール弱、割合としては三〇%になりますが、この土地は、先ほども申し上げましたとおり南八王子土地区画整理事業で創出される緑でございまして、最終的に所有者は八王子市になるということでございます。
それから、町田市側、約二十八ヘクタールございますが、そのうち、先ほどご説明しましたように、町田市が先行取得をしてまいりました、その先行取得した土地、これは公社が持ってございますが約五九%、二十三・五ヘクタールございます。それから、市有地となっているものが〇・三ヘクタール、一%。民有地が約三ヘクタールで七%。そのほか、水路でございますとか赤道がございます。これは国有地等になってございますが、面積としては、一・二ヘクタールで三%ということでございます。
○村松委員 それぞれの市が所有しているんですが、現在公社が所有しているところをいずれ市が所有する場合には、財政的な負担はどういうふうになるんでしょう。補助制度があったらお示しください。
○升都市基盤部長 現在公社が持っている土地でございますが、市が公社からまた土地を買い入れるということになりますが、これに対しては、国の補助制度といたしまして、土地の買い入れ費用に対しましては三分の一の補助がございます。
○村松委員 今答弁されたように、最初公社の方が先行取得をしておいて、それを市が買い取って、永久に緑として緑地として保全する、そういう仕組みなんですが、私はやっぱりこういう特別緑地保全地区に指定するという意義はすごくあると思うんですね。
もう一つお聞きしたいんですが、今回指定する地域約四十ヘクタールの、近隣の都市公園とか町田市で持っている公園とか、そういう公園があったらちょっと示していただけますでしょうか。
○升都市基盤部長 この七国・相原特別緑地保全地区の指定予定の周辺でございますが、八王子市側の隣接地になりますが、都市計画の七国公園がございます。また、都市計画緑地としては、宇津貫緑地が都市計画決定されておるところでございます。
また、町田市側でございますが、町田市側には、町田市民の森、これは市が持っておるというふうに聞いてございますがそういう緑地と、それから都市計画、相原中央公園がございます。
○村松委員 説明がありましたように、それぞれの、八王子市にしてもそれから町田市にしても、多摩地域の自治体がそれぞれ、緑地を保全するために相当な努力をしていると思うんですね。私、やっぱり足りないのは、東京都が本当にこういうところを支援する仕組みというのをなぜつくらないのかなというふうに思うんです。
市長会の来年度の東京都に対する予算要望を見れば、重点要望の中で、緑の保全に対する施策の充実というところで、こういうふうに書かれているんですね。都民の憩いの場として、また防災上の観点からも、多摩地域の緑の保全、オープンスペースの確保は最優先の課題である。そのため、各市とも保存樹林地域等の保全に努めているところであるが、保全地域の指定や公有化には多額の財政負担を要している。このことから、市の財政負担に対する補助制度等を創設するなどの措置を図られたいと。こういう要望が出されているんですが、私は、今度の特別緑地保全地区、こういったものを指定する場合には、東京都として補助制度を創設することが大事じゃないんだろうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○升都市基盤部長 各区市町村もまちづくりに関するマスタープラン等をつくっておるわけでございますが、その中では、良好な緑地の保全について、区市町が地域に即して方針を定めているところでございます。現在、各市は、その方針に基づきまして緑の保全に取り組んでいるというふうに認識しておるところでございます。
東京都としては、今回、特別緑地保全地区を決めたわけでございますが、まだまだ指定が進んでおる状況ではないため、一層の普及を図っていくため、今後、制度の周知でございますとかPRに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
○村松委員 制度のPRも大事なことなんですが、それと一緒に、財政的な裏づけ、それぞれの自治体が身近な市民の皆さんから強い要望を受けているわけですから、それに本当にこたえたいと思ってもなかなか財政的にこたえ切れない。そういうときに、やっぱり東京都がこういう制度に対して補助制度を創設することが今本当に求められているというふうに思うんです。
次に、戸吹の問題なんですが、このようにして多摩地域の緑がどんどん壊されている。それから、特に八王子の緑が壊されている。私が調べたところによりますと、二〇〇二年以降の八王子の森林の減少というのは、九十ヘクタール、この間減っているというんですね。その原因というのは、砂利なんかの採取、それから残土を捨てるときに緑を壊してそういうところをつくる、そういう--採石場というんですね、採石場と残土処理、そのために緑地が壊されているというふうに聞いております。
この間の八王子の都市計画審議会の中で決定された案件を見ましても、約八十件を超える案件が都市計画変更されているんです。もちろん私は全部が全部開発を、というふうには思っていませんけれども、その中には緑地を保全するために指定を変えたとか、そういうのが入っておりますが、でも、やっぱり八王子が随分減っているなというふうに思っているんです。そういう中で今度の戸吹の問題があるんですけれども、この地域は今どういうふうな状況になっているんでしょうか。
○座間民間開発担当部長 現在の戸吹北地区の状況でございますけれども、当地区につきましては、これまで、企業の研究所あるいは運動場として利用、そういう目的のもとに開発許可により宅地造成をされた土地でございます。しかしながら、宅地造成が行われて以来研究所の撤退あるいは研究所自体の計画が実現しなかったことなどから、現在、大半が未利用の地区になっております。
○村松委員 私もちょうど二日前に現地に見に行ってきたんですが、あそこの現地は、右側と左側あの真ん中に滝山街道があって、あそこの入り口の左側のところが日清食品のグラウンドになっているんですね。右側の方がこれまでのグラウンドか倉庫か何かだったと思うんですが、ここが市街化調整区域から市街化区域に変わることによって、どういうふうなものが建てられるのか、お示しください。
○座間民間開発担当部長 現在、市街化調整区域でございまして、これまで開発の許可をとって現状になっておりますけれども、現在このままでおりますと、土地利用の許可を受けた者、その人たちの研究所あるいはグラウンド利用に限定をされます。そういうことから--ただ、この地区につきましては、八王子都市計画のマスタープラン、これが平成十五年に策定されておりまして、これに基づきますと、本地区につきましては、緑豊かな自然環境の保全、活用を図りつつ、圏央道あきる野インターチェンジに近接した、すぐれた立地条件を生かした新たな産業基盤の確立を目指していくと、このように八王子のマスタープランには位置づけられております。
しかしながら、先ほどの開発許可が現状のように滞っていることから、この都市マスタープランにのっとった流通、研究業務機能の導入が図られません。このため、八王子の方では、研究機能の導入を図るために個人、共同施行による土地区画整理事業、こういうものを実施したいということで考えているようです。
○村松委員 具体的にどんなものが計画されているのか。
○座間民間開発担当部長 具体的には、日清食品につきましては、滝山街道、後ろの図面にありますけれども、地区の西側の街区には日清食品の食品工場。それから道路の東側街区の北側、トッパン・フォームズ、ここには印刷工場ができる予定です。それから、南側の街区のエルドラド、丸和セレクトホームのところには物流倉庫、そういうものが予定されておりますけれども、現在、事業者がその建築計画について検討を行っているところであると聞いております。
○村松委員 今、グラウンドが中心で本当に緑豊かなところだなというふうに思ったんですが、改めて私、環境局から地図をいただいてきたんですが、この地域、ちょうど都立滝山自然公園の入っているこの端っこのところにすっぽりこの土地が入っているんですね。本当にこういう貴重なところをまた開発をしてと、そういう思いなんです。先ほど来から、緑地がどんな役割を果たしているのかという話もありました。CO2を吸収する役割を果たすとか、地球温暖化やヒートアイランド問題なんかを解消するために、本当に今大事だし、今こそ緑を守らなければいけないというときに、改めてまた開発をするのかという思いが私にあるんです。
これまで、東京都として、市街化区域から市街化調整区域、逆指定をしたところがあると思うんですね。そこを、具体的にどういうところが、特に一番大きいところで、どういうところが何ヘクタールで何を目的に逆指定しているのかということを示していただきたいと思います。
○野本都市づくり政策部長 平成九年度以降、市街化区域から市街化調整区域へ、いわゆる逆線引きした事例は八カ所ございます。これらは、大半が道路や河川などの現況に合わせて区域、区分を整合させたものでありますけれども、そのうちの大規模なものとしましては、八王子市長沼町におきまして約四ヘクタールを逆線引きした事例がございます。
○村松委員 私は、これこそ都民が求めているところだと思うんです。今、ほうっておけば、どんどん固定資産税の問題とかそういうものを含めて緑がなくなってしまうというような状況の中で、逆線引きをするというそういうこともあるわけですから、この八王子戸吹の地区計画、これは本当に白紙に戻して、これができることによって新たな大型車も通るし、それから交通量もどんどんふえてきて環境を悪くしていくというふうに思うんです。
今現在、ここのグラウンドを何に使っているのか私ちょっと聞いてみたんですが、日清食品の八王子グラウンドとして、八王子シニアの野球専用試合会場として使われている。市民から大変喜ばれているそうです。両翼九十三メートル、センター百十三メートルのグラウンドが、関東全域でも最大のホームグラウンドだそうです。三カ所のブルペン、ピッチングの練習ができるところなんだそうですが、二面のバッティングゲージ、五十メートル掛ける二百メートルのトレーニンググラウンドを関係者の皆さんが整備されたということですが、それで、駐車場も二百台収容できる駐車場が確保されて、八王子市民の皆さんや近隣自治体の皆さんが本当に喜んで使っている、こういうところをあえてなぜやるのか。先ほど説明の中で、圏央道がとか滝山街道がというふうにおっしゃっておりましたが、その後圏央道や滝山街道ができることによって、八王子の緑は--残土処理とか環境をどんどん悪くしているんじゃないか、そういうふうに私は思っているんです。こういう思いから、これ以上の市街化区域への変更には私たちは賛成することはできません。
以上です。
○柿沢委員 私の方は、この都計審案件の東京都市計画用途地域の変更、東雲二丁目の南地区地区計画について、幾つか触れさせていただきたいと思います。
これは江東区の東雲二丁目、いわゆるりんかい線の東雲駅の南口の駅前に当たる地域でありますけれども、この地域について、工業専用地域であったものを準工にすると、ある意味ではこれだけのことです。容積率が変わるとかいうこともありませんし、用途地域の変更が行われるということだけなんですけれども、しかし、これは地元の江東区東雲そして江東区全体にとっても、長年待たれてきた本当に地域の悲願だったことでもあります。
もともとこの臨海高速鉄道りんかい線の東雲駅というのは、もともとのりんかい線の計画にはなかった駅でありまして、請願駅として実現をしたものであります。ご承知のとおり、うちのおやじは地元で代議士をやっていましたので、その当時、地域の皆さんと連携をして、一万以上の署名を集めて運輸大臣に持っていって、ようやくここに駅をつくるという方針が決まって、本当に大きな喜びを地域にもたらしたと、こういうことを過去の歴史としていろいろ語られてきました。
この東雲駅が開業することによって、主に東雲駅の北側には今、三菱製鋼の跡地で五十階建てのマンションが二棟というダブルコンフォートタワーズというものができて、公団の再開発が行われたり、あるいは嘉悦学園がこの地域に移転をしてきたり、あるいは大型商業施設のイオン東雲ショッピングセンターができたりというようなことで、本当に近年目覚ましい発展をしているところであります。ロケーションとしても、この東雲駅のある場所というのは、すぐ西側には臨海副都心の有明、そして東側には新木場があり、またその先にはディズニーランドというようなことになりますので、ある意味では東京のベイエリアの非常に要衝の地域にあるわけでございます。
しかしながら、過去の経過から、この東雲駅の南口のその南側にある地域については、過去、りんかい線とかあるいは東雲駅とかいうことがまだまだ遠い先、計画のなかったような時代に、鉄鋼業を営んできた江東区内の業者が、ある種の公害移転でこの地域に集団移転をしてきたという土地が広がっていたわけでございます。ここが鉄鋼団地と呼ばれまして、鉄鋼業を営んできた業者が、ある意味では、もともとは本当に草っぱらが生えていた埋立地であるところの東雲に移転をしてきた。そういう場所にりんかい線が通って駅ができて、突然この鉄鋼団地、ある種の公害移転をしてきた団地が駅前の一等地になっちゃったということで、この地域をもっともっと活用しようじゃないかと地元の声が持ち上がってきたという経過です。
それ以降、協議会をつくって粘り強い努力を地域の皆さんで行って、ようやく今回こういう形で用途地域の変更を行うに至るということで、これは地域にとって歴史的な出来事として、そこに中心的にかかわった皆さん、町会長さんや地元の企業の方々は本当に感慨深い達成感を感じているところであります。そういう意味で、私たちにとっては長い間懸案であり、待望してきたこの用途地域の変更を歓迎したいところですけれども、過去この話し合いが始まって以来の長い年月を経て実はここまで至っているわけですけれども、これまでの経緯について、改めて確認のために伺いたいと思います。
○野本都市づくり政策部長 まちづくりの経緯についてでございますけれども、平成七年六月に地元地権者で構成する協議会が設立されまして、まちづくりの話し合いが始まっております。平成八年三月には、地区の北側に東京臨海高速鉄道りんかい線の東雲駅が開業しております。平成十七年十一月には、協議会の活動などを踏まえまして、江東区が地元の意向を把握するためアンケート調査を実施しております。また、本年四月には、地元地権者の大方の同意を得た上で、協議会から江東区に対し地区計画に関する都市計画提案が行われております。
○柿沢委員 今ご答弁ございましたように、もともとは平成八年三月にりんかい線の東雲駅が開業しておりますが、それより前に、東雲駅前産業推進協議会というのが平成七年の六月に設立をされています。その前に、もちろんこの協議会に至る将来を見据えた動きが地元であったわけでありますので、平成七年を起点としても、今平成十九年ですから十二年。地元では、大体十五年かかった十五年かかったといっておりますけれども、この用途地域の変更に至るまで、何と十五年の期間が経過をしております。それまでの間に、今申し上げたように、まちの目覚ましい発展があって、ある意味では鉄鋼団地としてのこの工専地域の利用のあり方というのが時代にそぐわなくなってきたという状況が生まれたわけであります。
私がちょっと思いますのは、地元の方からもいわれるわけですけれども、ここまで平成七年から見ても十二年、この用途地域の変更でかかっているということが、どうしてこんなに時間がかかってしまったのかなということでありまして、私も初当選から六年この都議会議員の仕事をやらせていただいていますけれども、何度も何度もこの話をされて、努力をしますというようなことを他の江東区選出の都議会議員の皆さんと同じように申し上げて、なかなか前進を見なかった。これはやはり用途地域の変更には地元の地権者の合意形成というのがどうしても必要になってきますので、この合意の取りつけというのは確かに時間がかかることなんだとは思いますけれども、このように時間がかかったのは、さまざまな要因が積み重なってのことだというふうにも思っております。
その意味で、まちづくりは、都市計画手続について、例えば再開発についてでも、例えば六本木ヒルズができるまで十七年の時間がかかっているとかこういうことがあるわけですけれども、やはり用途地域の変更、見直しについても、スピーディーに時代の変化に合わせて行っていくことが必要だというふうに思いますけれども、こうした、要する期間の短縮について、どのような方策を講じていくことができるのかということについてお伺いしたいと思います。
○野本都市づくり政策部長 本地区は、昭和四十年代以降に、鉄鋼団地あるいは自動車団地として港湾局で分譲した土地であるというのは、先ほどご指摘のとおりでございます。その後、東雲駅の開業あるいは周辺市街地の変化に伴いまして、土地利用転換が進んでおります。今後、業務商業系の土地利用を希望する地権者もおります。しかしながら、鉄骨の加工場あるいは自動車整備工場などを営んでいる事業者も多く、その中には事業継続を望む者もいらっしゃることから、地権者の今後に向けた意向は多岐にわたっております。このような状況で、地元の理解を得ながら合意形成を進めていくためには、ある程度の時間が必要であったということでございます。
とはいいましても、地元のまちづくりに向けた機運をとらえ、計画実現を図っていくことが重要であることは十分認識しております。今後とも地元区と連携を図りながら、都市計画提案制度の活用などによりまして、都市計画手続の短縮化を図っていきたいと思います。
○柿沢委員 部長、若干はしょって答弁されましたので私の方で補足したいんですけれども、平成十四年に都市計画法が改正されて、都市計画提案制度というのが導入をされました。要するに地元の地権者が大方の合意を得て、地元から提案をするということによって、都市計画手続を下からボトムアップの機運を用いて進めることができるというものでありまして、三分の二以上の地権者の同意があれば用途地域の変更を提案することが可能ということになって、結果として、今回地権者の、現状においてアンケートの結果で、八三%が用途地域の変更に同意をしているというふうに聞いております。
しかし、この過程で、これは江東区がある意味で窓口になることでありますけれども、やはりその後の手続の円滑化を求めているんでしょうけれども、なるべく一〇〇%の合意をということでかなり合意の取りつけに高いハードルを設定されて、これを乗り越えるのに大変苦労したというような話。また同時に、私が聞いたところでは、江東区の担当者、二年に一度あるいは一年に一度かわっていっちゃいますから、一から話のやり直しをして何度も何度も同じ話を繰り返して、異動をするたびにやり直しというようなことを繰り返したというようなことも苦労話としてお話をされていました。
その間で、早く進めてくれよという話をしたときに、江東区の担当者、だれだかわかりませんけれども、いやあお役所仕事ですからと、こういうふうに答えたという話があって、お役所がお役所仕事だといっているようでは始まらないじゃないかというような苦言もおっしゃられていましたけれども。こうした経過を見ているにつけ、やはり時代の変化に対応して、適応して、それに合わせてまちを発展させていくことが、地元にとっても大切ですけれども東京都の全体のまちづくりにとっても大切なわけですから、そして江東区の発展にとっても大切なわけですから、ここに江東区の役所の方はいらっしゃいませんけれども。そういう意味で、このことに限らず、こうしたまちづくりの、時代に合った計画を進めていく上で必要な手続というものは、可能な限り手続にかける時間というのはとにかく早めていっていただきたい。そして、地元の機運を冷やすことなく、実現に向けて皆さんもご協力をいただきたいというふうに、今回のケースをいろいろ聞いていて感じさせられた次第でございます。そのことだけ申し上げたいと思いまして、ご質問に立たせていただきました。
これで終わります。
○植木委員 私は、三九ページから四一ページの臨海副都心の青海地区の問題についてお聞きしたいと思います。
ここには、事前の説明では産業技術研究センターが立地することになったということなんですが、まず基本的な点で、その経緯を教えていただきたいと思います。
○野本都市づくり政策部長 産業技術研究センターが立地することになった経緯でございますけれども、産業労働局が平成十八年四月に策定しました東京の産業支援体制の再整備に係る基本構想におきまして、既存施設の分散による非効率性の課題あるいは施設及び機器類の老朽化などの課題を踏まえまして、高度先端技術による支援や製品開発の支援等の機能を持った産業支援の拠点を青海地区に整備することが位置づけられております。その後、産業労働局と港湾局、そして都市整備局が協議を進めまして、今回、産業技術研究センターの施設計画の具体化に合わせ、地区計画の変更を行うものであります。
○植木委員 立地のことはいろいろいっているんですけれども、産業技術研究センターそのものの役割からいって、なぜ臨海副都心でなければいけないのか、なぜ産業集積地域につくらないのか。この辺がよくわからないんですが、担当当局とも協議をしてきたというんですけれども、その点はどういうふうに整理しているんでしょうか。
○野本都市づくり政策部長 先ほども申しましたけれども、産業労働局の方では平成十八年四月に、東京都の産業支援体制の再整備に係る基本構想というのを発表しております。その中で、この研究センターにつきましては、西が丘と駒沢のそれぞれ、西が丘の約二万六千平米の庁舎、それから駒沢の四千三百平米の庁舎を移転、整備するということを位置づけております。そうしたことを踏まえまして、産業労働局、港湾局、都市整備局等で協議を進めたということでございます。
○植木委員 産業労働局がここにいないから、それ以上ちょっとわからないんですけれども、独法化した技術センターの目的のところを見ますと全くわからないんですね。ものづくり産業を取り巻く環境は大きく変化しているということでいろいろ書いてあって、新たな技術課題への迅速かつ効果的な支援が求められる、技術支援ニーズに対する柔軟かつスピーディーな支援が今まで以上に必要だ、中小企業のニーズに合った技術支援の実施により都内の中小企業の振興を図るという、お題目は立派なんですが、集積しているところからわざわざ臨海副都心に持ってくるということですよね。ですから、これはどう考えてもわからない。
現に、地元の関係者の皆さんが、この計画が出されたときに知事にいろいろ要望書を出しています。もちろん独法化の問題もありますけれども、移転の問題も。例えば板橋区長は、本施設の移転は、城北地域から産業支援施設がなくなることになり、城北地域のみならず東京都全体の産業力低下を招くことになると危機感を訴えているわけですね。それから、社団法人滝野川工場協会では、開設以来技術相談や依頼試験を初めさまざまな支援を実施していただいてきたと、身近なところにあることの重要性を延々と書いているんですけれども。それから、北区長も、城北の中小企業の技術の高度化にとって欠かすことのできない身近な産業支援施設だと。城北地域は精密機械技術の集積があり云々ということで、医療、健康、福祉関連事業、KICCプロジェクト等々を推進する上で必要だと。これは商工会議所もそうですね。それから産業連合会、それから赤羽王子工場協会、北区工場協会、それから東京商工会議所は支部ごとにも要請が出されていて、結局、産業集積のところからわざわざ臨海のところに持ってくる、これが一つわからないんですね。
青海地区の産業集積とかといっているんだけれども、臨海そのものも、臨海三セクの破綻の問題だとか未活用用地の売却問題とかいろいろ課題を抱えていて、結局、臨海の救済のために地域の産業集積のところからわざわざこっちに持ってくる、こういうことじゃないかなといわざるを得ないんですよね。そういう意味で、産業政策の方は局にまた、産業労働局でいいますけれども、やっぱり都市整備局として、まちづくりのためのいろいろガイドラインや土地利用方針との関係をいっても整合性がないんだということを自覚していただきたいし、私たちも、そういう意味でこの地区計画については賛成するわけにいかない、地元産業を応援していきたい、こういうことを述べて、私の質問を終わります。
○秋田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時二十三分散会
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